衆議院

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第3号 平成28年11月15日(火曜日)

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平成二十八年十一月十五日(火曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 あべ 俊子君 理事 岩屋  毅君

   理事 奥野 信亮君 理事 神田 憲次君

   理事 山下 貴司君 理事 落合 貴之君

   理事 牧  義夫君 理事 佐藤 茂樹君

      青山 周平君    今枝宗一郎君

      岩田 和親君   うえの賢一郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      鬼木  誠君    門山 宏哲君

      工藤 彰三君    小松  裕君

      今野 智博君    坂本 哲志君

      白須賀貴樹君    助田 重義君

      瀬戸 隆一君    寺田  稔君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      平沢 勝栄君    牧原 秀樹君

      宮内 秀樹君    山田 賢司君

      山本  拓君    和田 義明君

      岡田 克也君    吉良 州司君

      黄川田 徹君    重徳 和彦君

      篠原  孝君    武正 公一君

      中島 克仁君    馬淵 澄夫君

      國重  徹君    角田 秀穂君

      穀田 恵二君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君    椎木  保君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   外務大臣政務官      小田原 潔君

   文部科学大臣政務官    樋口 尚也君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 矢野 康治君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  長坂 康正君     大串 正樹君

  古川  康君     岩田 和親君

  黒岩 宇洋君     武正 公一君

  田島 一成君     黄川田 徹君

  馬淵 澄夫君     重徳 和彦君

  富田 茂之君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     青山 周平君

  大串 正樹君     長坂 康正君

  工藤 彰三君     山田 賢司君

  黄川田 徹君     田島 一成君

  重徳 和彦君     馬淵 澄夫君

  武正 公一君     中島 克仁君

  角田 秀穂君     富田 茂之君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     尾身 朝子君

  山田 賢司君     瀬戸 隆一君

  中島 克仁君     黒岩 宇洋君

同日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     古川  康君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件

 不在者投票における投票環境の向上等に関する件


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、財務省大臣官房審議官矢野康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田義明君。

和田委員 こんにちは。北海道第五区選出の自由民主党、和田義明でございます。

 本日は、当委員会にて十五分、質問のお時間を賜りました。また、大変御多忙のところ、高市総務大臣を初め関係各位のお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、最初の質問に入らせていただきます。

 公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案におきまして、在外選挙人名簿の見直しについて記載がございました。具体的な改正内容と、これが具体的にどのような利便性向上につながるかについて、まずはお答えください。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 在外選挙人名簿の登録制度でございますが、現行制度におきましては、選挙の公正を重視するという観点から、在外選挙人名簿に登録されるには、本人確認のため、原則本人が在外公館に出向いて登録申請を行うことが必要であり、また、国外で領事官の管轄区域において三カ月の居住要件を求めているところでございます。

 さらに、登録申請から在外選挙証が交付されて実際の在外投票ができるようになるまで一定の期間を要しまして、登録手続の簡素化を求める意見も多うございます。

 このため、選挙人の利便性の向上を図る観点から、現行の在外選挙人名簿の登録手続に加えまして、国内の最終住所地の市町村の選挙人名簿に登録されている者につきましては、転出時と同時に市町村の窓口で申請を行うこと、出国時申請と申しますが、これを可能とし、市町村選管は、国外に住所を有することが確認できれば、速やかに在外選挙人名簿への登録の移転という形でこれを行うものでございます。

 この見直しによりまして、本人確認は国内の市町村において行われますため、選挙人は登録申請のため在外公館に出向く必要はなくなります。また、投票できる選挙区は変わりませんで、現に国内の最終住所地の選挙人名簿に登録されている者でございますから、国外における三カ月の居住要件は今度は不要になるということでございます。

 また、在外公館と国内の市町村の間での書類のやりとりや、申請者の被登録資格を確認するための本籍地への照会、こういった手続が簡素化されるということによりまして、事務の簡素化及び手続に要する時間の短縮などが図られまして、選挙人の利便性の向上につながるものと考えております。

和田委員 御答弁ありがとうございました。

 大変大きな進歩があったというふうなことで、大変すばらしいことだと思います。

 しかし一方で、こういったよい改正は、有権者の皆様方に周知をされなければ意味のないところだと思います。

 そして、さらに申しますと、例えば、海外駐在に出られる方が住民票の転出を各市区町村で行うと同時に、ワンストップでこういった手続がされますと、より利便性が高いと思います。

 これは私個人の話になりますけれども、私がインドに駐在をしておりましたときに、まず、住民票を転出するときに、こういったリマインドが市役所ではなかったように記憶をしております。また、衆議院の解散というふうになったときに、すぐに手続ができれば間に合ったのかもしれないんですけれども、インドの国内をどさ回りしておりまして、領事館に行くのがおくれ、そして結果、投票ができなかったというふうなこともございました。

 こういったところからも、まず、転出時にワンストップでこういった手続が進むことが理想的だというふうに考えます。こういった点につきまして、御意見をお伺いしたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、従前から、在外選挙制度の周知や在外選挙人名簿の登録促進ということで、外務省と連携しまして、ホームページ、広報誌などを通じまして、制度の概要、登録申請の方法などについて周知啓発を行っておりました。今回の制度改正につきましても、このような媒体を活用して、制度を広く国民に周知してまいりたいと思います。

 また、御指摘ございましたとおり、国外へ転出する際の転出届というところで届け出がありますので、そこの窓口において、選挙人への周知啓発あるいは申請の促進を図るように取り組んでまいりたいと考えております。

和田委員 御答弁ありがとうございます。

 ぜひ、お役所の組織に準じた縦割りの形ではなく、利用者にとって、ワンストップでできるような、さらに利便性の高いものにしていただければと思います。

 続きまして、次の質問に参ります。

 十月二十六日の平成二十七年国勢調査確定値の公表から、区割り改定法が成立いたしました。それに基づく総選挙までのスケジュールはどのようになっているのでしょうか。

 また、区割り改定法施行前に衆議院が解散された場合、最高裁で違憲状態とされた区割りで総選挙を行うことの是非について、御答弁をお願いいたします。

高市国務大臣 十月二十六日に国勢調査の確定値が公表されまして、衆議院選挙制度改革関連法に定められた日本国民の人口が確定しました。定数が一減少する六県や、改定対象と見込まれる選挙区が明らかになりました。

 衆議院議員選挙区画定審議会による勧告は、改正法施行の日から一年、つまり来年の五月二十七日までの間に行うものとされております。審議会においては、今回、日本国民の人口が確定したことなどを踏まえて、適切に区割りの改定作業が進められていくものと考えています。

 なお、今後についてでございますが、審議会が決定すべきことでございます。しかしながら、これまでの例から見ますと、関係都道府県からの知事意見照会に対する回答の報告を受けて、区割り改定案の作成方針の審議、区割り改定案の審議といった手順で改定作業が進められる見込みだと考えられます。

 勧告がなされました後は、政府として、勧告に基づき、速やかに区割り改定法案を作成し、国会に提出することとなります。

 それから、衆議院の解散についてなんですが、衆議院の解散権は総理の専権事項でございますので、総務大臣として言及することはできません。

 なお、内閣が衆議院の解散を決定することについて、憲法上これを制約する規定はございません。

和田委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 次の質問に参ります。

 十八歳選挙権に引き下げられましたさきの参議院選挙におきまして、投票率を見ますと、主権者教育に一定の効果があったと考えます。しかしながら、海外の主権者教育の事例を拝見しますと、まだまだ道半ばと言わざるを得ません。

 例えば、アメリカの政治教育では、小学校の段階で、情報収集力とそれに基づく判断力の訓練が行われているというふうに仄聞しております。また、非営利団体キッズボーティングが子供を対象とする模擬選挙を行っておりまして、二〇〇四年の大統領選では、百五十万人の子供が模擬選挙に参加いたしました。また、全米親子模擬選挙という非営利団体も、二〇〇八年に五百万人以上の親子が参加して模擬選挙を実施したというふうに伺っております。

 この子供模擬選挙は、ドイツやスウェーデンでも実施をされている次第でございます。

 さらには、英国では、十一歳から十八歳までの若者議員が学校単位で地域から選出され、年に一度、英国の実際の下院を利用しまして会議を行うことで、政治へのリテラシーと関心の向上が図られております。

 あと、これは私自身の実体験でございますけれども、インターナショナルスクールに通っておりましたときに、いろいろな国籍の人がおりまして、モデル国際連合というのがございました。それぞれの生徒が自分の国の代表者になったつもりで国の利益を語る、そういったことが中学校から行われておりまして、政治リテラシー、そして意識を高める非常に有効な手段だったと考えております。

 今後、若者の投票率をさらに向上させるために、主権者教育拡充にどのように取り組んでいかれますでしょうか。大臣、御答弁よろしくお願いします。

高市国務大臣 ことしの参議院選挙における十八歳及び十九歳の投票率は、二十代に比べて高い水準となりました。

 これは、高校生に対して、総務省において、全ての生徒に副教材を配付したこと、選挙管理委員会と学校が連携して出前講座などを実施したこと、また、社会人や学生に対して、経済団体や大学を通じて働きかけるといった、主権者教育を推進したことによって一定の成果は出たと考えています。

 今、今回の参議院選挙におけるフォローアップとして、選挙管理委員会に対する主権者教育に関する調査と、十八歳から二十歳の有権者に対する十八歳選挙権に関する意識調査を実施しておりまして、その結果を年内には公表する予定でございます。これらの調査結果も踏まえて、今後の主権者教育の推進方策を取りまとめます。

 今、委員から、アメリカの小学生に対する教育や模擬選挙のあり方、ドイツ、スウェーデンの例も伺いました。日本でも、出前講座に関しては小学校、中学校でも実施をしておりますけれども、今回始めた主権者教育が一過性に終わることなく、さらに深化した形で定着して行われるように、精いっぱい努力をしてまいります。

和田委員 御答弁ありがとうございました。

 なお、今後、まずはどの学校の年次あたりからこういった主権者教育に注力していかれますでしょうか。済みません、ちょっとこれは予定をしていなかった質問なんですけれども、例えばもう小学校レベルから始められるおつもりかですとか、まずは高校から始めるとか、そういったところで、もしおわかりになる範囲で結構でございますので、よろしくお願いします。

高市国務大臣 まず、高校に関しては、もう既に副教材も配付しまして、各校で取り組んでいただいていると思います。

 今回、私が反省点として持っておりますのは、十八歳の投票率は高かったんですが、十九歳の方の投票率はそれよりも低うございましたので、そうしますと、高校で主権者教育を受ける機会を得ないまま社会人になられたり進学をされた方の投票率が思った以上に低かったということでございますので、大学でもしっかりと入学時のオリエンテーリングなどで周知徹底していただく。また、大学にも出前講座などを充実していく。

 それから、中学校を卒業して、高校を卒業して社会人になられた方に対しても周知啓発活動をするように、さらに経済団体なども通じまして、各事業者様にもお願いをしていきたいと思っています。

 もちろん、小学生、中学生の段階から学んでいくということは大変重要なことだと思います。こちらは、文部科学省との連携もしながら、さらによい方法を考えてまいりたいと思います。

和田委員 大臣、御答弁どうもありがとうございました。

 少しでも早い教育の開始が非常に重要だと思っております。また、早い段階での教育におきましては、特にそのファシリテーターとなる先生、学校の教師の方々の中立性、こういったことも大切になってくると思います。ぜひ鋭意御検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

 少々時間が早いですが、これで終わります。どうもありがとうございました。

竹本委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 本日は、公職選挙法及び最高裁判所国民審査法の一部を改正する法律案について質問をいたします。

 今般の改正案は、有権者が投票しやすい環境を整備する、こういった観点からのものでございますが、その実効性を図るためにも、その周知、運用等が極めて重要になってまいります。

 きょうは、十五分という限られた時間ではありますが、以下何点か確認をさせていただきます。

 まず一点目に、在外選挙人名簿の登録制度の見直しに関してお伺いをいたします。

 これまで、在外選挙人名簿に登録するためには、在外公館に出向いて申請をする、こういった必要がありました。

 改正案では、この現行の登録申請に加えて、新たな登録制度といたしまして、最終住所地の市町村の選挙人名簿に登録されている者が当該市町村から直接国外に転出する場合には、国外転出時に、当該市町村の選挙管理委員会に対して登録の移転の申請、出国時申請を行うことができるようにする、そして当該選挙管理委員会は、申請者が国外に住所を定めたことを外務省を通じて確認した上で、在外選挙人名簿への登録の移転を行うこととしております。

 要は、有権者の負担を軽減させて利便性を向上させる、投票率の向上を図るといった観点からの改正案でありますけれども、そもそも、これまでの現行制度において、在外公館に出向いて在外選挙人名簿の登録申請を行った人というのは何割程度いたのか。また、登録申請した人のうち、実際に選挙権を行使して投票する人というのはどの程度の割合いたのか。大泉選挙部長にお伺いいたします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 ことしの七月十日執行の参議院議員通常選挙についての資料でございますが、在外選挙人名簿登録者数は、公示日前の六月二十一日現在の登録で十万五千五百二十九人ということでございまして、これは、統計で出ております十八歳以上の海外在留邦人のうちの約一〇%でございました。

 また、投票者数につきましては、選挙区選挙が二万三千三百六十一人、比例代表選挙が二万三千六百十四人でございまして、投票率、これは当日有権者数、名簿登録者数とは若干数字が異なりますのが分母になりますが、投票率は、選挙区選挙で二二・二一%、比例代表選挙で二二・四五%であったということでございます。

國重委員 大泉部長、ありがとうございました。

 今答弁いただきましたとおり、実際に登録申請する人も十八歳以上の約一割程度、また、実際に投票権を行使する人はそのうちのわずか二割強程度ということで、極めて投票率が低いという現状がわかりました。

 今般の出国時申請の改正によって、在外選挙人名簿の登録者数の増加が期待されるところでありますけれども、国内での住所の移転の場合とは異なって、国内の住所の移転の場合はこれは職権でやられる、でも、今回の改正案におきまして、在外選挙人名簿への登録というのは申請が必要になります。制度を知らなければ、申請はできません。今般の改正案を含めて、在外選挙人名簿への登録方法をどのように周知徹底していくのか。

 先ほど、和田委員の方からもこの点はございました。それが共通するということは、重要であるということでありますけれども、私も、少なくとも、出国する際には、出国時申請の制度を誰しもが認識、理解していることが必要だと思います。そのためには、国外への転出届をした際に、在外選挙人名簿の登録申請を窓口で促していく、こういったことも大事になってくると思いますけれども、これに関する見解について高市総務大臣にお伺いいたします。

高市国務大臣 先ほど、大泉選挙部長から自民党の和田委員にも答弁を申し上げました。

 委員おっしゃいますとおり、住民基本台帳が完備されている国内と異なりまして、国外では、在外邦人の居住関係について、御本人の申告によることなく職権で把握する方法が存在しないということで、やはり出国時にしっかりと、新制度をお認めいただきましたら、新しい制度を御理解いただかなきゃなりません、ですから、国外へ転出する旨の転出届の提出を受ける市町村の窓口で選挙人への周知や申請の促進を図るように取り組むということ、それから、申請者の負担を軽減できるようにしっかりと検討してまいります。

 今回、法改正を国会でお認めいただきましたら、新しい内容をやはり主権者教育の中にもしっかりと反映していかなければならないと考えております。

國重委員 法改正、これも大事ですけれども、周知徹底、これも極めて大事なことですので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、出国時申請が行われますと、最終住所地の選挙管理委員会は、これも先ほど申し上げましたとおり、申請者の国外における住所を外務省を通じて確認することになります。

 では、確認された国外での住所が出国時の国外転出届の住所と違った場合、例えば国の単位で違った場合、また、国は同じなんだけれども国内で違う住所だった場合、また、国外の住所がまだ正確に詳細に確定していない段階というのもあるかと思いますけれども、そのような場合、出国時申請というのはどのように取り扱われることになるのか。大泉選挙部長、よろしくお願いします。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、国外に住所を移す方の中には、出国前には国外における住所が不確定である方や、出国前に予定していた場所と異なる場所に居住する方もいると想定されます。

 基本的には、このような完全に住所が定まっていない方につきましても申請としては受け付ける予定でございまして、そのような方について、住所が確定した時点において、外務省で確認した住所により登録の移転を行うことができるようにするという予定でございます。

 具体的な詳細につきましては、変更届を徴するのか、あるいは選挙管理委員会の方で補完という形でとるのかというような、いろいろな細かい点もございますので、選挙人の利便性の観点も含めまして、外務省と相談し、協議の上、政省令においてきっちり決めていきたいと考えております。

國重委員 ぜひ、こういった技術的な観点ではありますけれども、現場が混乱しないようにしっかりとした制度設計をよろしくお願いいたします。

 最後に、選挙人名簿制度の見直しに関してお伺いをいたします。

 選挙人名簿の内容の確認方法といたしまして、これまで縦覧と閲覧、この二つの手続がございました。今般の改正によりまして、その件数が極めて低い縦覧制度を廃止して、閲覧に一本化する、こういうことになっております。

 この選挙人名簿の抄本の閲覧につきましては、平成十八年の法改正におきまして、個人情報保護の観点に配慮するといったことから、閲覧できる場合を、特定の者が選挙人名簿に登録された者であるかどうかの確認、また、政治活動、選挙運動のため、そして、調査研究で公益性が高いと認められるもののうち政治、選挙に関するものに限定をいたしました。

 市町村の選管は、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがある場合等には閲覧を拒否できることとなっておりますが、その目的に沿った運用がされることというのが大事でございます。

 私、事前に、実際に申請が何件あって、閲覧拒否しているのが何件あるんですかということを確認しましたけれども、まだ総務省としては正確な数字は把握していないということでございました。こういったことも、この運用状況を、ちゃんと運用されているのかということを確認する意味でも、こういった数字を把握していくことも大事ではないかと思います。

 総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会報告には、現状と課題といたしまして、DV、ストーカー行為の認知件数が増加を続けていることから、さらなる厳格な運用を求める声が強くなっている、こういったことが指摘されておりまして、検討事項といたしまして、DV及びストーカー行為等の被害者にかかわる選挙人名簿の抄本については、閲覧の申し出がいずれの者からなされた場合にも、被害者にかかわる個人情報の閲覧を求めることそれ自体が不当な目的と疑われることから、原則として閲覧させないこととする方向で考えるべきではないか、こういったことが書かれてあります。

 私もそのとおりだと思いますけれども、DV及びストーカー行為等の被害者にかかわる選挙人名簿の閲覧許可について、現行でどのような取り扱い、運用がなされているのか、また今後の対応につきまして、原田副大臣にお伺いいたします。

原田副大臣 お答えをいたします。

 公職選挙法の規定により、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがあると認めるときには、市町村の選挙管理委員会は、申し出に係る閲覧を拒むことができることとされております。

 こうした観点から、総務省では、DV及びストーカー被害者に係る閲覧について、平成十七年及び二十一年に通知を行ってきたところでございます。さらに、昨年三月には、ストーカー総合対策において選挙人名簿の抄本の閲覧に関する取り扱いの一層の周知が盛り込まれたことを受けまして、加害者から被害者の選挙人名簿の抄本の閲覧の申し出がなされた場合には、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがある申し出として、閲覧を拒否することといたしております。その他の第三者からの申し出において特段の申し出がない場合には、被害者を除く申し出であるとみなし、被害者に係る記載のある部分以外の部分に限って閲覧に供することとして差し支えないことといった留意事項について、再度周知をしたところでございます。

 各市町村の選挙管理委員会においては、こうした通知を踏まえ、DV及びストーカー被害者に係る情報の管理について適切に対応しておるものと承知をしておりますが、委員御指摘のように、投票環境の向上方策等に関する研究会において、閲覧申し出者を問わず、原則として閲覧させないこととする方向で考えるべきとの指摘があったことを踏まえ、本法案による改正に合わせて、その対応を検討してまいりたいと思います。

國重委員 原田総務副大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民進党の武正公一です。

 公選法改正質疑をさせていただきます。倫選特でこういう機会をいただいたことに感謝を申し上げます。

 まず、お手元の方に資料もつけさせていただきました。先ほど同僚委員からも質問がありまして、参議院選挙の投票率二二・四五%、在外選挙という資料でございますが、公館での投票や郵便投票、国内における投票、これはまだ集計中ということなんですけれども、大体いつぐらいにわかるのか、もしおわかりになればお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 年度内でございます。

武正委員 今回、この後ちょっと十八歳、十九歳を中心に議論を進めさせていただきますので、初めての大改正後の参議院選挙でありましたので、速やかな検証、そして国会に報告を求めたいというふうに思います。

 先ほど二二・四五%ということを言いましたが、有権者数の登録が一〇%ですから、単純に割れば、この在外選挙の投票率は二%ということでありまして、このたびの改正で飛躍的に投票率が上がることを期待し、今回の法改正に賛成をするということで質問させていただきます。

 ただ、それを実際に運用する政府にあって、この後お話をする総務省、外務省、文科省など、それぞれの省庁の連携が図られてのことということかと思います。

 そこで、伺いたいと思いますが、では、十八歳、十九歳で、在外での有権者登録そして実際の投票者数、投票率、おわかりになりますでしょうか。

高市国務大臣 平成二十八年七月十日執行の参議院議員通常選挙における十八歳及び十九歳の在外選挙の選挙当日有権者数は百五十六人でございました。また、投票者数は六十六人でございましたので、投票率は四二・三一%でございました。

武正委員 外務省に伺います。

 きょうは外務、文科、政務官においでいただきまして、ありがとうございます。

 今、在外での登録者百五十六人、投票六十六人ということで、投票率でいうと四二・三一%ということなんですが、外務省は、海外在留邦人届け出で調査を行っておりますので、直近の十八歳、十九歳、人数がわかれば教えていただきたいと思います。

小田原大臣政務官 十八歳及び十九歳の在外在留邦人数は、平成二十七年十月一日現在、外務省の在外在留邦人人数調査統計によれば、二万六千八百三十三人であります。

武正委員 事前に聞きまして、十八歳が一万三千四百八十三人、十九歳が一万三千三百五十人ということで、今の合計ということですので、先ほどの有権者を割りますと、有権者登録率が〇・五八%、投票率が〇・二五%ということであります。

 ですから、先ほどの全体で二%よりも、さらに十分の一ということで、せっかく十八歳選挙権が実現した最初の国政選挙でありながら、このように在外での十八歳、十九歳が大変低いということでございます。

 この点、総務大臣、御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 現在御審議いただいております法律案、お認めいただきましたなら、先ほど来申し上げておりますとおり、やはり出国時に手続として市町村の窓口で十分に周知啓発を行っていくということ、それからまた、先ほど申し上げましたが、私は主権者教育の中でもしっかりと新たな制度を周知していかなきゃいけないと思っております。

 去年、法改正の前に、十八歳選挙権というのが実現する前に出国された子女の方、若い方に、主権者教育というものを行ってはおりますけれども、まだなかなか浸透していなかったのかなという反省は持っております。

 しかしながら、海外におきましても、主権者教育は国内で行っているのと同じように受ける機会はございますし、その体制を整備しておりますので、今後、啓発活動をさらに充実させてまいりたいと思っております。

武正委員 外務省に伺います。

 旅券法十六条で、外国滞在の届け出は義務ということで、三カ月以上滞在の場合は届け出をしなければなりません。

 二ページをごらんいただきまして、今回の法改正の総務省作成の現行それから今後のイラストでございますが、現行はこのように、さまざま、三カ月要件もあって、実際のところ申請から半年かかるというお話を伺っています。ただ、出国時申請になれば、在外での三カ月居住要件もなくなりますので、場合によっては二カ月で在外投票権を得るんだという説明なんです。

 ここで、今の旅券法十六条との関係であれば、在外公館に外国滞在の届け出を出さないと、国外の住所が確認できずに、在外選挙登録証がもらえないのではないのかと思うんですが、いかがでしょうか。

小田原大臣政務官 委員御指摘のとおり、在留届は、旅券法第十六条により、外国に住所または居所を定めて三カ月以上滞在する者によって、管轄の在外公館に提出することが義務づけられております。その際には、インターネット、郵送、ファクスでも行うようにしております。

 在留届の提出の必要性に関する邦人への周知に関しまして、外務省及び各在外公館のホームページでの案内のほか、国内の旅券事務所や経済団体、旅行業界、大学等への協力依頼、在外公館による領事メールの発信、日本人会等、在留邦人が多く集まる団体との連携など幅広く実施をしているところであります。

 なお、現行制度のもとでも、在外選挙人名簿への登録に当たっては、在留届に基づく住所の確認を行っていますが、出国時申請者に対しては、市町村窓口での申請受け付け時に在留届提出の案内を行うなど、総務省とも協力の上、積極的な広報に努めたいところでございます。

武正委員 そうすると、総務大臣、この下の図には、やはり在外公館に在留届を届け出るというのが入っていかないと正確ではないだろうというふうに思うんですが、また、今外務政務官から、やはり出国時申請でそのことをしっかりと周知しないと不備があるだろうといった点、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今おっしゃっていただきましたとおり、今回新設される出国時申請につきましては、在外公館に提出された在留届などによって国外に住所を有することを確認した上で、在外選挙人名簿への登録の移転を行うものでございます。

 制度を検討する中で、総務省としても外務省と問題意識を共有してまいりました。投票環境の向上方策等に関する研究会にも、外務省領事局の方にオブザーバーとして参加もしていただいておりました。

 今後、国外転出の際の市町村の窓口やホームページなど、さまざまな機会を捉えて、在留届の提出についての周知啓発も外務省と十分に連携して取り組んでまいります。

武正委員 ぜひこのイラストも、これから法律が通っていって、周知をしていくわけですから、ぜひ在留届を出すといった形で周知を進められるように、またこれから衆議院から参議院に送付されるんでしょうから、加筆訂正をお願いしたいというふうに思います。

 そこで、ちなみにちょっと、在外での投票は郵便投票といったこともあるということで、私も事前に聞きまして、この参議院選挙で郵便投票で期日までに間に合わなかったのはどのぐらいあるんですかと聞いたんですが、これも集計中というお返事でした。

 衆議院の解散・総選挙、平成二十六年はどうですかと言ったら、百二十人の方が、やはりその郵便が間に合わなかった、期日、投票日以降に着いたということで、それは無効ということでありまして、海外で速やかに投票が現地でできる、あるいは郵便投票ができるような仕組み、海外ではまだ期日前投票というのはありませんが、この期日前投票や、あるいは事前に投票用紙が速やかに得られるような仕組みなども改善の余地があるんじゃないかと思っております。

 そこで、文科省、お見えでございますので、三ページ、四ページで、これは外務省が調査を行っていただきました。在外公館、十六歳―十八歳、在留邦人が四万二千人いるということでございまして、その四万二千人が一体どこの学校に通っているのか、これを調べてくれということを三月、四月の外務委員会でお願いしまして、外務大臣が、外務省としてこうした結果を十一月十一日に出していただきました。

 義家文科副大臣におかれましては、四月の時点で、こういった、外務省が在外公館で在留邦人、十六歳―十八歳、高校生相当の年齢がどういった学校に通っているかが把握できればさまざまな対応が可能なんだということでありましたが、まず文科省、先ほど総務大臣が言った主権者教育ということで、補助教材、副教材、これを在外の十六歳―十八歳、あるいは十五歳からかもしれませんが、高校生相当の日本人にどのような対応をしたのか、御説明いただけますでしょうか。

樋口大臣政務官 ありがとうございます。

 先生御指摘のとおりでございまして、文部科学省では、総務省と連携をいたしまして、高等部を設置する在外教育施設に対して、ディベートや模擬選挙などの実践例なども盛り込んだ副教材をつくり、そして教師用の指導資料を作成し、送付は総務省さんの予算でやっていただきました。

 また、高等学校等における政治的教養の教育に関する通知の周知の発出等を行ったところでございます。

武正委員 何校に何冊送ったか、お答えいただけますか。

高市国務大臣 配付対象は、文部科学大臣が認定した七校でございます。配付部数は千二百六十部でございます。生徒用が千二百二十部、教師指導用が四十部でございます。

武正委員 日本人学校で唯一高等部が置かれている上海日本人学校以外、六校、立教英国学院、慶応ニューヨーク校など、文部省が認めた日本法人の設立高校ということだと思いますが、四万二千人いるうち千二百二十部しかこの主権者教育の本が届かなかったというお話であります。

 例えば、高等部を設置する補習授業校というのがあるんですけれども、在籍者、六十校千百三十五人、このことを文部科学省が把握しておりますが、総務省、ここは郵送したんでしょうか。

高市国務大臣 この補習校は、今おっしゃったとおり、六十校、在籍者数が千百三十五人でございます。

 この在外の高等部の生徒さんにも副教材を活用して主権者教育を実施していただくということは重要ですから、今御指摘いただきました学校につきましても、文部科学省と調整の上、今後対応してまいりたいと存じます。

武正委員 十八歳選挙権法案、昨年の六月十七日に成立をして、一年を経過して、この一年、政府にあっては、十八歳選挙権、主権者教育、特に先ほど総務大臣が言われたように取り組んできたはずなのに、四万二千人のうち千二百二十人しか事前に副教材が届かなかったということは極めて遺憾である。私も法案の提出者でもありますので、極めて残念に思います。

 ぜひ、海外での日本人、邦人の把握、外務省はもとより努めていただいて、先ほどのこの法改正に伴う投票権の環境改善が進むよう、お取り組みをお願いしたいと思います。

 そこで、文科省さん、五ページをごらんいただきますと、高等学校等支援事業補助金というのがございます。いわゆる高校授業料無償化対象者、平成二十七年現在、先ほど触れましたように海外で四万二千人日本人の高校生対象者がいる、しかし、立教英国学院、ニューヨーク慶応義塾など六十一名しか対象者はいないということでありますが、これについては、先ほど触れたように、外務省が実態を把握すればという義家副大臣の答弁もあります。

 これについて御所見を伺うとともに、一方、会計検査院からは、逆に、平成二十六年度、四千五百五十二人、海外で暮らしている日本人の子弟、日本にいらっしゃる子弟に就学支援金を四億三千四百五十二万余円支給した、うち八百八十八名は、二十六年七月から三月までの間、就学支援金が支給されていた、しかし、四百二十九人については、所得割額が対象外、対象以上の収入があるため、二十六年四月から六月まで支給されていなかったということで問題点が指摘をされ、高校などの生徒の保護者が国内に在住している場合と国外に在住している場合で就学支援金の支給が可能な限り公平に行われるよう、都道府県及び学校設置者の事務負担に配慮した上で、国外在住保護者の収入の把握やその収入を考慮した受給資格の認定などの方法を検討することという指摘を受けております。

 以上二点、御所見を伺いたいと思います。

樋口大臣政務官 一問目でございますけれども、海外に留学している高校生等につきましては、留学の場合は、国内に住所があって、そして日本の高等学校に在籍をし、授業料を払っており、所得等の要件を満たす場合にはこの支援金の支援を行っております。

 また、平成二十六年度から、高等学校等就学支援金と同等の支援を、国内の高等学校と同等の課程を有すると文部科学大臣が認定する在外教育施設の高等部に在籍する日本人高校生にも実施しているところでございます。

 この授業料の支援の対象を文部科学大臣が認定する在外教育施設以外の現地の学校に広げることにつきましては、一つ目に、対象生徒の特定、把握をどのように行っていくのかという点と、対象となる学校等の課程、カリキュラムですね、この状況等についてどのような方法で確認をとるのかという多くの課題がございまして、十分慎重に検討する必要があるため、現時点では困難であるというふうに考えております。

 続きまして、二問目の会計検査院の意見でございますが、これにつきましては所得制限の問題でございます。

 保護者等が国外に在住する場合については、在住先の国によりまして税制等がさまざまであること、為替の問題、必ずしも全ての国において所得証明を受けることができるものではないことなどから、日本の市町村民税所得割額に相当する額を把握するのが困難であるという状況でございます。

 今後、専門的な観点も交えて検討を進めてまいりたいと思っております。

武正委員 海外在住者の所得、収入の把握、この指摘を、会計検査院から求められております。今後検討と文科省は言っていますが、外務省、これについての御所見と、総務大臣、最後に、やはり海外にいる日本人の把握がなかなか、今在外公館、外務省、まだ道半ばといったところがあると思うんです。先ほど冒頭言われたような主権者教育は、在外の日本人も国内の日本人も同じで一生懸命やらなきゃいけないと総務大臣はおっしゃられましたが、それをやるためには、やはり省の垣根を越えて、しっかりと海外の日本人の把握により努める必要があると思うんです。

 以上、御所見を外務省、総務省に伺いたいと思います。

小田原大臣政務官 外務省においては、毎年、在外公館を通じまして、海外に在留する邦人数を調査しております。

 今回の調査から、年代別に調べていた在留邦人数を年齢別に調べる方式に改め、ことしの六月に調査結果を外務省のホームページに掲載したところであります。

 その調査によれば、平成二十七年十月一日現在で海外に在留する十六歳から十八歳の邦人は、全世界に約四万二千人いらっしゃいます。これを踏まえて、さらに高校生相当者が多く在留する国、地域を管轄する在外公館を通じ、現地の主要な教育施設に就学する邦人生徒数等を調査したところ、海外に在留する十六歳から十八歳の邦人約五千三百人の就学実態を把握することができました。

 その結果、長期滞在者の子女の就学実態は地域等に応じて特徴があることが判明しました。具体的には、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど英語圏の先進国では、外国人を対象に英語で授業を行ういわゆるインターナショナルスクールなどの教育施設は少なく、長期滞在者の子女であっても居住地周辺の現地校に分散して在籍していると考えられます。

 他方、フランス、ドイツ等の非英語圏の先進国やフィリピン、パキスタン等英語圏の途上国では、それぞれの事情に応じて、いわゆるインターナショナルスクールや、英語等で授業が行われている現地校に分散して在籍していると考えられます。

 中国、ベトナム、メキシコ等の非英語圏の途上国では、いわゆるインターナショナルスクールに通っている場合が多いと考えます。

高市国務大臣 今も外務省から答弁がございました、年齢別の在留邦人数、就学別、地域別の在留邦人子女数なども調査していただいていますし、選挙権年齢の十八歳への引き下げを受けて、昨年実施された調査で、新たに十八歳、十九歳の在留邦人数も調査対象に加えていただいたと聞いております。

 とにかく、主権者教育に資する情報については、外務省と連携して、しっかりと対応してまいります。

武正委員 以上で終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、公選法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案と、それにまつわる事柄について質問をさせていただければと思います。

 今回の法改正で、選挙人名簿制度の見直しが行われます。縦覧制度を廃止して閲覧制度に一本化させるわけですが、改めまして、縦覧制度の趣旨それから閲覧制度の趣旨についてお聞かせください。

原田副大臣 お答え申し上げます。

 公職選挙法における縦覧用書面の縦覧と選挙人名簿の抄本の閲覧の制度について、まず、縦覧は、選挙人名簿への登録を行った場合に、その登録に間違いがないかどうかを広く有権者一般に公開し、有権者の審判を受けることを趣旨といたしております。新たに選挙人名簿に登録された有権者について、登録後の一定期間、その確認ができる制度でございます。

 また、閲覧は、登録について確認を得る手段を設けることにより、選挙人名簿の正確性を確保することを趣旨とし、選挙人名簿への登録の有無の確認などに閲覧の事由を限定した上で、選挙人名簿に登録されている有権者全体に、原則として常時その抄本を見ることの申し出ができる制度でございます。

落合委員 これは確認ですが、今回一本化するということで、特に縦覧制度は廃止、なくなるわけでございます。この両方の趣旨は、しっかりと曲がることなく達成されるということでよろしいでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 縦覧制度はもともと、先ほど答弁がありましたとおり、有権者の目に見せてそれで確認するという、見せる制度でございました。これは、昭和四十四年の前までは、見せた後で名簿が確定した、そういうような歴史的な制度でございます。

 ただ、現在は、縦覧におきましても、登録した後に縦覧するという制度になっておりますので、その違いがわかりにくいというか、小さくなってまいりました。

 したがいまして、今回、縦覧を廃止することといたしましたけれども、そこら辺の不備はないと考えております。

落合委員 ありがとうございます。

 それで、先ほどこういった制度について國重委員も触れていましたが、調べてみますと、平成十八年に、選挙人名簿の抄本の閲覧については法改正を行っています。

 個人情報保護に配慮した規定が盛り込まれたわけですけれども、閲覧が厳格化されたことで、この閲覧制度が原因で起きた、それまで起きていた犯罪とかストーカー犯罪とか、そういったものが減ったですとか、そういう効果というものは把握はされていますでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 犯罪が減った、ふえたというようなことはちょっと把握はしておりませんけれども、十八年の法改正によりまして、住民基本台帳の閲覧に準じて、個人情報保護に配慮した設定が設けられているところでございまして、閲覧できる場合の明確化等々、法改正が行われております。

 また、その前までは、選挙人名簿の複写をして、それが世に出ていたような不祥事というものが当時はございましたけれども、その十八年の改正により、そこも禁止しました。閲覧のみにしておるというようなところから、犯罪、あるいは個人情報保護に資した制度になっていると考えております。

落合委員 参考までに、十八年の法改正、厳格化したことによって、閲覧者の数というのはどのように変化したんでしょうか。減ったんでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 これは、法改正に合わせまして、閲覧の申し出件数をそれぞれ調べた数字でございますが、十八年の法改正前の平成十六年度一年間では二万三千九百二十五件の閲覧の申し出件数がございました。法改正後の、これは今回の研究会にも資するために調査したものでございますが、平成二十三年度一年間では一万百七十四件というふうに、減少はしております。

落合委員 半分以下に閲覧者が減ったということですので、もしかしたら、減った数が目的外使用だった可能性もあるというふうに考えられると思います。

 選挙人名簿は、住所、氏名、生年月日、性別などが書かれているわけですので、近年、個人情報の取り扱いについては厳格化を求める声が高まっております。しかし、一方で、最初に趣旨をお伺いしましたけれども、厳格化をすることとそれから趣旨が達成できないこと、これはバランスというのが重要だと思います。

 改めまして、どういう方向にこの制度を進めていくことを検討しているのか、御見解を伺えればと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 ただいま落合委員御指摘のように、例えばDV及びストーカー被害者など、国民の中にはみずからの個人情報を知られたくない方がおいでになると考えております。

 選挙人名簿の抄本の閲覧については、平成十八年の法改正により、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがあると認めるときは、市町村の選挙管理委員会は、申し出に係る閲覧を拒むことができることとされております。

 例えば、DV及びストーカー被害者については、加害者から被害者の選挙人名簿の抄本の閲覧の申し出がなされた場合には、閲覧事項を不当な目的に利用されるおそれがある申し出として、閲覧を拒否することとなっております。その他の第三者からの申し出において特段の申し出がない場合には、被害者を除く申し出があるとみなし、被害者に係る記載のある部分以外の部分に限って閲覧に供することとして差し支えないことなどの留意事項を通知しておるところでございます。

 総務省としては、公職選挙法の規定に沿って適切に閲覧制度の運用を行うことにより、個人情報保護に配慮してまいりたいと思います。

落合委員 選挙人名簿を公正公平に整備していくことは、民主主義の根幹にかかわる重要なことだと思います。一方で、個人情報の取り扱いについても重要な問題でございます。これは、よりいい状況に運用を持っていかなければならないと思いますので、今後も、この制度の変更も含めて、どう推移していくか、私も注視をさせていただければと思います。

 こういった選挙人名簿をもとに、実際の投票においては、投票用紙がその住所に送られてきて、その投票用紙を持って投票するというような仕組みに今なっていますが、投票所に投票用紙を持ってこない方もいらっしゃると思いますし、もしかしたら、わざと他人の投票用紙を持ってくる人もいるかもしれません。

 期日前の投票所それから当日の投票所、本人確認というのはどのように行っているんでしょうか。

冨樫大臣政務官 具体的には、選挙人が投票所入場券を持参した場合には、投票所入場券の情報を選挙人名簿と対照することにより本人確認を実施しているものと承知しております。

 また、投票所入場券を持参しない場合には、選挙人に氏名、住所、生年月日を確認した上で、選挙人名簿と対照することなどにより本人確認を実施しているものと承知をしており、なお、期日前投票所では、投票所入場券を持参しない場合の方法のほか、宣誓書に記載された氏名、住所、生年月日を選挙人名簿と対照することなどにより本人確認を実施しておるものとしております。

 総務省といたしましても、これまでも、選挙人名簿との対照を確実に行い、当該選挙の選挙権を有する者であることを十分確認するよう各選挙管理委員会に対し要請してきたところでありますが、引き続き、本人確認の徹底について要請してまいります。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

落合委員 引き続き徹底について要請してまいりますということで、今のやり方で、悪意のある成り済まし、それから二重投票、これは防げているというふうに考えてよろしいんでしょうか。

冨樫大臣政務官 期日前投票においては、今、それぞれの選挙管理委員会からも、そのような不正があったというような事実はありません。

落合委員 期日前投票は、ある程度、何重にも仕組みがある。それから、当日に、投票日の投票で投票券を持ってこなかった人に対しても、ある程度確認する仕組みがある。しかし、当日、投票日に投票券を持ってきた人に対する本人確認というのは、やはり穴があるのではないかというふうに思います。

 これからインターネットの投票についても検討が進められていくと思いますが、必ずしもネットだけが本人確認に問題があるのではなくて、今行われている選挙においても本人確認にもしかしたら穴があるかもしれないということを前提に、インターネット投票も考えていかなければならないというふうに私は思います。

 今回、公職選挙法の改正に加えまして、最高裁判所裁判官国民審査法も改正がされています。

 まず、基本的な点についてお伺いしますが、この最高裁判所裁判官の国民審査の趣旨についてお聞かせください。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 最高裁判所裁判官の国民審査でございますが、憲法第七十九条に規定されております。「最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、その後も同様とする。」とされているところでございます。

 この最高裁判所裁判官の国民審査は、裁判官がその職責にふさわしい者であるか否かを国民が審査する解職の制度であると考えられておりまして、国民主権の観点から重要な意義を持つものと考えられております。

落合委員 国民主権の観点から、立法府に対するチェックだけではなくて司法に対するチェックも国民が行っていくというようなことでございますが、今回、総選挙と国民審査と期日前投票の始まる日にちがずれていたのが、同時に開始できるように変えていこうということでございます。

 そもそも、最高裁判所の裁判官の国民審査で解任された方はいない状況でして、そして、投票に行った人たちが、この国民審査に当たり裁判官の情報などもしっかり得る機会が現状あるのかということも疑問であると思います。

 この制度、形骸化してしまっているのではないか、もうちょっと改善の余地があるのではないか。どうでしょうか。

原田副大臣 お答えをさせていただきます。

 最高裁判所裁判官の国民審査は、憲法第七十九条に明記をされている重要な制度であります。

 総務省においては、従来より、国民審査の投票方法のほか、その意義、目的等についてもパンフレット、ホームページなどの広告媒体を活用した啓発を行い、制度の周知徹底に努めておるところでございます。

 また、国民の判断材料の一つとして、審査に付される裁判官の氏名、生年月日、経歴、最高裁において関与した主要な裁判等を掲載した審査公報を発行しておりまして、さらに、最高裁判所のホームページには、各裁判官ごとに略歴、裁判官としての心構え等、最高裁において関与した重要な裁判などの情報が掲載をされ、当該判例の内容について検索することができるようになっておると承知をいたしております。

 今後とも、国民審査の意義、目的等の周知徹底に努めてまいりたいと思います。

落合委員 投票率を上げるためにも、主権者教育をやっていこう、選挙に行く人をふやしていこうということを、いろいろな施策を練ってやってきているわけです。その中で、この国民審査の意義がわかっている人がどれぐらいいるのか、私は疑問でございますので、ここはぜひ運用面でも改善の余地があると思います。私も、これは重要な問題として今回取り上げさせていただきました。

 それでは、残りの時間、前回の質疑の中で、一番最後に、地方議会議員選挙において、今、政策のチラシを配れない、これを解禁するべきではないかというような質問をさせていただきました。

 その際に、原田副大臣が答弁してくださったんですが、その答弁を要約すると、まず、こういった候補者個人の使用する選挙用ビラは、有権者に対する情報伝達の手段としては有効です、一方で、選挙費用の増嵩を招くおそれがある、選挙費用がふえてしまうおそれがあるというようなことでした。

 それで、政府の見解としては、有効な点もあるが、そういう選挙費用の点でデメリットもあるということなんですが、選挙費用がふえるというのは、本当にこれを禁止するぐらいの問題なんでしょうかということでございます。

 調べてみますと、国政選挙はチラシを配ることが認められていますけれども、大体はがきの二倍ぐらいの数が認められていますので、これを適用しますと、都道府県議会の選挙では八千枚はがきが認められているので、一万六千枚例えばチラシを印刷したとします。そうすると、私の事務所も聞いてみたら一枚二円で両面カラーをやっていますので、掛ける二だと三万二千円なわけでございます。一枚五円でも、掛ける五で八万円ぐらいなわけでして、これは上限ですから、もっと少ない枚数でも可能なわけでございます。町村議会議員について調べてみると、はがき八百枚ということなので、チラシ千六百枚まで配っていいよといったときに、一枚二円の費用としたら、三千二百円なわけでございます。

 これは、チラシを認めたことで、費用の面でチラシを配れる人と配れない人が出てきてしまうとか、それが原因で選挙に出ない人が出てきてしまうということは私は余りないと思うんですが、政府の見解として、地方議会議員選挙でチラシを禁止しているのはコストがかかってしまうからです、この理由は妥当なんでしょうか。大臣、いかがですか。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

高市国務大臣 今委員がおっしゃっていただいたおおむねの費用というものが、それぞれの候補者の方にとって高いのか安いのか、それはさまざま事情によって違うと思います。

 前に原田副大臣が答弁させていただいたとおり、有権者に対する情報伝達手段としては有効なものである、ただ、選挙運動費用の増嵩というものを招くおそれもあるということなんですが、この候補者個人の選挙運動用ビラについては、これまでの国会における審議ですとか各政党間の議論の積み重ねの中から順次認められてまいりました。昭和五十年に国会議員の選挙において初めて頒布が認められました。そして、平成十九年に、このときは議員立法でございましたけれども、知事及び市町村長の選挙に拡大されることになりました。

 ちなみに、知事と市長については、条例によって公営とすることもできます。町村長さんは公営がないということです。

 今後、地方議会議員の候補者の方々にビラの頒布を認めるかどうかというのは、選挙運動費用の観点も含め、なおかつ、どのような文書図画の頒布を認めるかということについては選挙運動のあり方にかかわる問題ですので、これまでと同じように、各党各会派において、また国会の場において御議論いただけるとありがたいと思っております。

落合委員 私は、例えば町村議会で千六百枚配るのにコストがかかるというようなことは全く思いません。最終的に各党間で決めるにしても、政府の見解として、コストがかかるというデメリットがありますと言うよりも、そんなに特に禁止するような理由はありませんという政府見解を示していただいた方がやはり議論は進むと思いますので、これは議事録を見ますとどの質問に対してもそういう答弁がされているんですけれども、ぜひ、やはり大臣のリーダーシップで、政府の見解も少し改めることを検討していただければと思います。

 それでは、最後の質問なんですが、前回、企業・団体献金の厳格化について質問させていただきました。

 きょうは財務省の方にいらしていただいていますが、個人献金をこれからもう少し広げていくということも重要なポイントだと思います。

 これは、今、政党や政治家個人に個人が献金すると所得控除、税額控除もありますが、これをさらに拡大していくということについては政府はどのような見解をお持ちでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 個人からの政治献金につきましては、今先生が御指摘になられましたとおり、議員立法等によりまして、一般の寄附金には認められない所得控除や税額控除の制度が設けられているところでございます。

 御指摘に関連して申し上げますならば、政治献金のあり方につきましては、公党間で御議論をされるものと心得ておりますし、また、それに関連する税制につきましても、政治献金のあり方の御議論の中で取り扱われるべきものと考えております。

落合委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

竹本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 政府提出の公職選挙法改正案について質問をいたします。

 憲法十五条は、国民の固有の権利として選挙権を保障しております。これは、国民が主権者として政治に参加する機会を保障するものであり、国民主権、議会制民主主義の根幹をなすものであります。この憲法上の権利行使には投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。有権者に投票機会を保障することについての認識の確認ですけれども、選挙権を有している者が投票できないという事態は問題であり、投票できるよう措置するのは当然だと考えますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 選挙権は、我が国の民主主義を支える重要な国民の権利であると認識しています。ですから、選挙の投票につきましては、公正かつ適切に実施されることが確保された上で、できるだけ多くの方に投票の機会を保障することが重要だと考えています。

 そのために、有権者が投票しやすい環境を一層整備するため、通常国会でも御審議をいただきましたが、それに引き続き、今国会においても投票環境の向上につながる内容を盛り込んだ改正法案を提出させていただいたところでございます。

塩川委員 多くの有権者に選挙権を保障するということでのお話であります。

 それを踏まえて、法案の内容について確認をいたします。

 大臣にお尋ねしますが、国民は、選挙人名簿に登録されることにより、投票を行うことができ、さらには被選挙権を保障されております。そのため、選挙人名簿というのは国民の参政権の基礎にかかわる重要なものであり、正確なものでなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 選挙人名簿は、選挙人の範囲を確定しておくために選挙人を登録する公簿でございます。有権者をあらかじめ的確に把握することで投票事務を円滑に進め、かつ、有権者でない者の投票や二重投票を防止することも目的とするものでございます。

 公職選挙法第四十二条におきまして、「選挙人名簿又は在外選挙人名簿に登録されていない者は、投票をすることができない。」とされており、選挙人名簿に登録されていない者については、選挙権を有していたとしても、選挙権を行使すること、すなわち、投票することができません。

 つまり、選挙人名簿は国民が選挙権を行使するに当たって重要な役割を担っておりまして、この選挙人名簿に正確な登録を行う必要がございます。このことを担保する観点から、選挙人名簿の閲覧等の制度や選挙人名簿に関する異議申し出の制度が設けられております。

塩川委員 選挙人名簿が国民の参政権の基礎にかかわるものだということであります。

 そこで、総務省にお尋ねしますが、現行では、選挙人名簿は縦覧と閲覧の制度が設けられておりますけれども、この縦覧、閲覧制度の趣旨、目的は何かについて確認をします。

大泉政府参考人 公職選挙法におきます縦覧と閲覧でございますが、縦覧は、選挙人名簿への登録を行った場合に、その登録に間違いがないかどうかを広く有権者に公開し、有権者の審判を受けることを趣旨とし、新たに選挙人名簿に登録された有権者について、登録後の一定期間、その確認ができるという制度でございます。

 一方、閲覧は、登録についての確認を得る手段を設けることによりまして、選挙人名簿の正確性を確保するということを趣旨としておりまして、選挙人名簿への登録の有無の確認など閲覧の事由を限定した上で、選挙人名簿に登録されている有権者全体について、原則として常時その抄本を見ることができる、申し出ができるという制度でございます。

塩川委員 縦覧と閲覧では、成り立ちや対象期間に違いがあるわけであります。

 縦覧制度は、現在の公職選挙法以前から設けられており、また、現在のような住民基本台帳制度も整っていないころから、選挙人名簿を正確にするために設けられてきたものです。選挙人名簿の登録を見て不服がある場合には異議申し出ができるという制度もあわせ持っております。

 総務省にお尋ねしますが、この法案では、縦覧を廃止し、閲覧に一本化をするとしております。正確でなければならない選挙人名簿の確認手続が損なわれることがないようにどのように措置をしているのかについて、お答えください。

大泉政府参考人 縦覧制度につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、昭和四十四年の法改正前には、縦覧を経た後に登録するということでございましたけれども、現在は登録後に縦覧するということに変わっておりますので、縦覧と閲覧の性格は区別がつきにくくなっているという現状にございます。

 そういう中で、選挙人名簿の閲覧の対象につきましては、縦覧の対象となっていた選挙人名簿への新規登録者を含む有権者全体でございます。したがいまして、現在縦覧により確認のできている情報につきましては、閲覧が認められる目的の一つである、特定の者が選挙人名簿に登録された者であるかどうかの確認ということによりまして代替できますので、引き続き閲覧を行うことができるということでございます。

 また、縦覧期間に付随して認められておりました選挙人名簿の登録に関する異議の申し出でございます。これにつきましても、閲覧をもとに引き続き行うことができるように配慮しております。

 したがいまして、今回の縦覧制度の廃止により支障が生じるということはないと考えております。

塩川委員 異議申し出を閲覧制度において存続させるということで、選挙人名簿は、国民の参政権の基礎で大事なものであり、正確でなければなりません。同時に、国民の政治参加、政治や選挙活動の自由を確保する観点から、選挙人名簿を公平に、有効に利用することも求められているということを指摘しておきたいと思います。

 次に、住民票を異動させずに遠方に進学した学生が投票できない問題について質問をいたします。

 ことしの通常国会冒頭に改正された選挙人名簿の登録制度の見直しや、本案の都道府県選挙の選挙権、一部の新有権者の選挙人名簿への登録といったように、有権者でありながら投票できない者をなくす努力がこの間行われてきております。しかしながら、有権者が投票できない事態というのは残っております。

 ことしの参議院選挙で大きな問題となったのが、住民票を異動させずに遠方に進学した学生が投票できなかったという問題であります。これは、ことしの通常国会で私も質問もし、また我が党の穀田議員も指摘をしてきた問題であります。マスコミにも大きく取り上げられてまいりました。

 いろいろ各紙報道がありますけれども、例えば産経新聞によりますと、北海道内の十の自治体の選挙管理委員会が、住民票のある自治体から離れて暮らす大学生などの有権者を、住所地に生活実態がないとして選挙人名簿に登録しなかった。一方で、札幌市の選挙管理委員会は、住民登録に基づき選挙人名簿を作成していると言い、選管として生活実態調査をしていないと説明していたとのことであります。このように、選管によって対応がまちまちであるわけです。

 大臣にお尋ねいたしますが、同一の国政選挙において各選管の対応が違う、投票できる場合とできない場合が起こるということが公平な選挙と言えるのかということが問われてくる。この点についての大臣の見解をお尋ねします。

高市国務大臣 選挙人名簿の登録につきましては、当該市町村の区域内に住所を有する年齢満十八年以上の日本国民で、その者に係る登録市町村等の住民票が作成された日から引き続き三カ月以上登録市町村等の住民基本台帳に記録されている者等について行うこととされています。公職選挙法第二十一条の規定です。

 この当該市町村の区域内に住所を有するとは、選挙人名簿への登録の基準日において当該市町村の区域内に現実に住所を有するという意味でございます。

 一般的には、住民基本台帳に記録されていたとしても、現実に住所を有していない者を当該市町村の選挙人名簿に登録することはできませんが、個別の事案について現実に住所を有するかどうかの判断は、具体の事実に即して各市町村において行われるべきものでございます。

 いずれにしましても、きちんと投票していただくためには、現実に住所を有する市町村に適切に住民票を移していただくということが必要でございます。各選挙管理委員会や文部科学省とも協力し、適切な住民票の異動について引き続き周知を図りたいと存じます。

 ちなみに、ことしの二月にも、各選挙管理委員会、文部科学省に対して総務省から依頼をいたしております。

塩川委員 住所を有しているということが必要なわけで、住民票を異動してもらうのが基本だということであります。

 それはわかります。だから、ことし一月の私の質問の際にも、明るい選挙推進協会の調査を紹介して、住民票を異動しているのが二六・四%という実態のもとでどのような対策を講じているのかということについて質問をいたしました。ことし三月の穀田議員の指摘でも、大学側が入学の際に住民票を提出することを求める、こういうことを本格的に取り組むよう総務省も力を尽くす必要があるのではないか。この点は改めて申し上げたいと思っています。

 そもそも、この問題は、選挙人名簿に登録される際に住所での生活実態があるかどうかがポイントとなっているわけです。そのことを考えると、この間、投票機会を保障する制度がいろいろ創設をされてまいりました。例えば、在外投票を行うために在外選挙人名簿に登録している方は、選挙区内に生活の本拠はないわけですけれども、投票できるようになりました。自衛隊員などが対象となる、国外における不在者投票制度もできました。ですから、このようにいわば生活の本拠がないところでも投票ができる制度をつくってきているわけです。

 ましてや、国政選挙においては、選挙年齢を超えた日本国民が選挙権を有しており、参議院の比例代表選挙は全国単位の選挙です。それなのに、住民票がある市町村に生活実態がないからということで投票できないということに合理性があるのか。この点ではやはり知恵を出す必要があるんじゃないのか。

 大臣にお尋ねいたしますが、住民票を異動させずに遠方に進学した学生が実際には各選管の対応で投票できたりできなかったりする事態を解消していく必要があると考えるわけですけれども、そういう点で工夫、知恵を出すということが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 今でも、例えばことしの四月に親元を離れて進学された方が住民票を移していなくても、旧住所地の選挙人名簿に登録されている場合には、旧住所地で投票できておりました。

 住民票の異動を適切に行っていただければ、投票できなかったというような状況は生じないものですから、まずは適切に住民票の異動を行っていただくということを徹底するのが基本だと考えています。

 仮に、現実の居住関係に全くかかわらず選挙人名簿の登録を行えるようにしてしまいますと、投票できる選挙区を自由に選べるということにもつながる可能性があるので、私はそちらにも課題が多いと考えております。

塩川委員 参議院比例代表は全国一区ですから、そういった場合についてもどうするのかというのは知恵を出すことができるんじゃないのか。そういうことも含めて、選挙権をいかに保障するのかということについてさらに踏み込んで考えていく必要があるということを申し上げたいと思います。

 毎日新聞に掲載されておりましたけれども、住民票を移さずに大阪府内の大学に通う女子学生が、成人式を地元で迎えたいということで地元に住民票を残していたという方なんですけれども、でも投票はぜひともしたいという学生の話が紹介されておりましたけれども、不在者投票で人生初の投票をしたいとふるさとの選管へ電話をしたら、投票できないと断られたという話でありました。

 十八歳選挙権が実現し、より多くの有権者の意思を議会に反映させることができるようになったのに、投票したいという意思があっても投票できなかった新有権者がいる。この重さというのをしっかり受けとめて、こういう事態を解消していくことにも真剣に知恵を出し合う必要があるということを申し上げておきたいと思います。

 次に、いわゆる居住三カ月要件についてお尋ねをいたします。

 本改正案では、都道府県内で引っ越しを繰り返しても、知事選などの選挙権を失わせないという改正が盛り込まれております。現行では、二回以上引っ越しを繰り返すと選挙権を失ってしまうわけです。同一の都道府県内に住んでいれば選挙権を失わないということは、投票できるようにしていこうということであります。

 しかし、一つ問題があるわけで、旧住所で居住三カ月の要件を満たし、選挙人名簿に登録されていないと、投票ができません。

 総務省にお尋ねしますが、選挙人名簿の登録には一つの市町村に三カ月以上の居住をしていなければならないが、なぜこのような規定が設けられているのかを確認したいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 現行の選挙人名簿制度におきましては、市町村の区域に住所を有する年齢満十八年以上の者で引き続き住民基本台帳に三カ月記録されているものが登録されているということでございますが、これは、国政選挙と異なり、地方選挙の選挙権の要件がございます。これには住所要件が課されておりまして、その期間は三カ月ということでございます。

 その上で、多数の選挙人によって行われる各種の選挙を混乱なく適正に、そして能率的に執行するために、国政選挙と地方選挙を通じて一つの名簿とする、いわゆる永久選挙人名簿制度ということでございますが、これが実務的にも適切であると考えられているところでございます。

 また、選挙人名簿の正確性を期するためには事実確認等に一定の期間を要するというような理由もございまして、現在の制度が採用されているものと考えられます。

塩川委員 国政選挙と地方選挙、同じ選挙人名簿でということになっているわけです。

 国政選挙においても、居住三カ月を満たさず転居を繰り返していると、選挙人名簿に登録されず投票できないということになります。公職選挙法では、国政選挙の選挙権は選挙年齢を超えた日本国民が有するとしており、三カ月以上という居住要件は規定しておりません。しかしながら、例えば衆議院の比例代表選挙でしたら同じブロック内で、参院比例選挙に至っては国内で転居を繰り返したとすると、選ぶ候補者は同じなのに投票することができない。

 今回の都道府県の選挙権にしても、旧住所で名簿登録できるようにした前回の改正でも、大きな流れは、選挙権を持つ者が投票できるようにしようということではないかと思います。

 私が、一月の質問の際に、住民票がある市町村に長期不在の場合においても投票機会を保障する知恵を出し合うことが必要ではないかと提案者に質問したところ、自民党の逢沢議員からは、不断の努力でよりよい制度を整えていきたい、さまざまな工夫を重ねていきたいとの答弁がありました。

 大臣にお聞きしますが、こういった三カ月要件の見直し、三カ月以内の転居を繰り返したからといって投票できないのはこういう流れに合わないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 先ほど大泉選挙部長からお答えしたとおり、国政選挙、地方選挙を通じて一つの名簿を用いることにいたしております。その上で、公職選挙法第四十二条第一項において、「選挙人名簿に登録されていない者は、投票をすることができない。」とされています。

 このような取り扱いにつきましては、選挙事務の適正かつ能率的な執行や、選挙人名簿の正確性の確保もまた決しておろそかにはできないということから、合理的なものだと考えられています。

 なお、過去の裁判におきましても、この仕組みについては一応の合理性があると判示されていると承知をいたしております。

塩川委員 同一都道府県内で引っ越しを繰り返す場合でも今回は認めるという法改正というのは、さまざまなその正確性、能率性を考慮しても可能ということで行ってきているわけで、そういった工夫を国政選挙における比例代表などにおいて、三カ月要件というのを地方選挙のいわばスライドのようにして適用するということも改めて見直すときに来ているんじゃないかということは申し上げておきます。

 最後に、遠隔地での投票を保障することについてお尋ねをします。

 この間の改正で投票できないという事態を解消できた人は、旧住所での投票となるために、新住所が遠方の場合、遠隔地での不在者投票が欠かせないものとなります。私は、手続に時間がかかり複雑な不在者投票はしっかりと周知徹底を行うことを求めてまいりました。

 過去五回の国政選挙における遠隔地での不在者投票者数は、例えば直近の二〇一四年の総選挙では六万八千七百二十三人、少しさかのぼる二〇〇九年の総選挙は十万百五十九人という数であります。こういったことを踏まえて、今回の参議院選挙での遠隔地での不在者投票がどれくらいかというのは、集計中というふうにお聞きしております。なかなか多く利用されているとは言えないという状況だと思っております。

 参議院選挙で、春に住民票を異動したために、遠隔地で不在者投票をした人の話をお聞きしました。選挙お知らせのはがきは新住所へ公示日に届いたということですけれども、不在者投票の手順は詳しく記載されていない、選管のホームページから宣誓書をダウンロードして郵送したということです。でも、一週間しても投票用紙が届かなかったために選管に問い合わせをしたら、前日に処理をしているという話でした。この選管はレターパックで送っていたので、本人が不在だったために受け取れていなかったということでした。この方は、郵便局に再配達してもらってその日のうちに新住所の選管に出向いて、無事不在者投票ができたということであります。

 このように、やはり選管によっての対応もありますし、なかなか不在者投票というのも利用が十分にされにくい状況にある。これは、不在者投票の投票用紙を簡易にばらまけといった話ではなくて、選挙の公正性をしっかりと確保するということは必要なわけです。

 そのことを踏まえて大臣にお尋ねしますが、例えば選管から選管へ投票用紙を送るような際とか、在外投票においても在外公館から選管へ投票用紙を送る場合にも、ファクスを利用すれば選挙期日ぎりぎりであっても投票できるんじゃないかと思うんですね。そのために、まずは全都道府県選管に受信用のファクスを導入するといった工夫が考えられると思うが、この点についてはいかがかということと、重ねてもう一つ、さらには、新住所での……

竹本委員長 時間が来ておりますので、御注意ください。

塩川委員 はい。

 投票をできるように国政と地方の選挙人名簿を分ける、こういった対応も検討してみる必要があるのではないかと思いますが、あわせて大臣にお願いをいたします。

高市国務大臣 現行の不在者投票制度で投票用紙の送信にファクスを活用しているものとしては、洋上投票制度や南極投票制度がありますけれども、これは実に特例的な措置でございます。

 運用面におきまして、実際に投票手続に入る前に、船長などが指定市町村の選挙管理委員会と連絡をとり、同一の用紙を用いて投票内容を複数回送信するなどの不正が行われないようにするということとともに、確実な送受信が行われるように、ファクシミリ送信の試行を行った上で投票手続に入っています。

 ですから、不在者投票や在外投票において同様の厳正かつ確実な運用を確保するためには、個々の選挙人が投票する都度、当該選挙人が選挙人名簿に登録されている個々の市町村の選挙管理委員会との間でこのような手続を行うということが前提となるということで、困難な点がございますので、ファクシミリ送信による投票を導入するということについては慎重な立場でございます。

 また、国政選挙と地方選挙で選挙人名簿を分けるということですが、これも先ほど来お話をしてまいりましたが、国政選挙、地方選挙は一つの名簿を用いて行っております。これも、選挙事務の適正かつ能率的な執行、選挙人名簿の正確性の確保もおろそかにできないという合理的な理由によるものでございます。

塩川委員 このファクスの話は、選管から選管へ……

竹本委員長 時間が過ぎていますので。

塩川委員 はい。

 それと、在外投票の場合には在外公館から選管への投票ですから、投票者が直接じゃありませんので、そこは公正性も担保できる。

 この点についてもぜひ知恵を出して前に進めるということを改めて求めて、質問を終わります。

竹本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日、公職選挙法の一部改正を含めた改正法の法案の審議ですけれども、一点まず最初にお伺いしたいと思います。

 縦覧、閲覧、この制度が今回見直されるということで、縦覧についてはその件数が非常に少ないということもあって、事実上ほとんどもうされていないということでの法改正をするということでしたけれども、縦覧については一体どれぐらいの件数があったのかということ、また、閲覧についても実績の数をちょっと教えていただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 縦覧の件数につきましては、平成二十三年から二十六年まで集計したところ、平成二十三年には六百六十五件、二十四年に五百二十九件、二十五年に六百五十七件、二十六年に三百一件と、年間約五百件程度の利用となっております。

 一方、閲覧につきましては、申し出件数につきましては、同じ期間、平成二十三年から二十六年までですが、二十三年で一万百七十四件、二十四年で九千五百四十三件、二十五年で一万一千六百七十一件、二十六年で一万三千八百七十七件と、年間で約一万一千件の平均となっているところでございます。

浦野委員 全国に約千七百ほど自治体があるということになると思うんですけれども、それを考えれば、年間約五百件というのは、各自治体、年に一回あるかないか、ほとんどない自治体の方が多いというようなレベルなので、これはもう制度としては実用性がないというのは非常にわかります。

 閲覧についても、もうちょっと多いのかなと思っていたら一万二千件だということですので、こういう閲覧制度も、これからまださらにいろいろなものに置きかえられていってしまうのではないかと思います。これはまたそのときにしっかりと議論して考えていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 きょうの各委員の質問の中でも一つありましたが、選挙制度についてのいろいろな言及がありました。例えば戸別訪問の解禁だとかそういったのも含めて、今の時代に合った選挙制度というのを、やはり我々、この委員会では、どんな質問をしても行政側からは、各政党による議論でということで、必ずそういった同じような答弁が返ってくるわけですけれども、そうであるならば、各政党、やはりしっかりと議論をする場をつくっていかなければいけないというふうに思っています。それはそれで、またこれから、日本維新の会がいろいろな法案を出させていただいている中で、我々ももっと議論する機会をつくっていきたいと思っておりますけれども。

 さらにもう一つ、では逆に、投票の機会というのも非常に重要になってきます。今回、特に十八歳から投票ができるように、参議院からなりました。これについていろいろな、きょう出てくる洋上投票の件もそうですけれども、投票する機会が失われないようにしていくのはもちろん国会の務めですから、それをどんどんやっていただきたい、漏れがないようにしていっていただきたいと思います。

 これまで、ここ数年、特に投票機会の拡大についていろいろな対策をとっていただいていると思うんですけれども、それを少しお聞かせいただけませんか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 有権者の投票環境の向上のためということでございますが、近年、国政選挙、地方選挙を通じまして投票率が低下傾向でございます。有権者が投票しやすい環境を一層整備するということで、投票率の向上を図っていき、引き続き重要な課題であるということと考えております。

 こういう中で、現在の地方公共団体におけるICT化の進展あるいは期日前投票の活用状況などを踏まえまして、選挙の公正は確保しつつ、有権者が投票しやすい環境を一層整備するための具体的方策につきまして、平成二十六年の五月に総務省に投票環境向上方策等に関する研究会を設置しまして、議論を行い、平成二十七年三月に中間報告、それから、ことし、二十八年九月に報告を行っているところでございます。

 二十七年三月に公表しましたこの研究会の中間報告の内容のうち、本年に執行された参議院選挙の投票環境の向上に効果があるのではないかと見込まれるものにつきまして、共通投票所制度の創設、期日前投票の投票時間の弾力化、また、投票所に入ることができる子供の範囲の拡大といった項目について、さきの通常国会において、公選法を改正するとともに、執行経費基準法においても、投票所への有権者の移動支援に関する加算規定を設けるなどの改正を行ってまいりました。

 また、中間報告の残る内容及び本年九月の同研究会の報告を踏まえまして、通常国会での法改正に続きまして、今国会に、有権者が投票しやすい環境を整備するためのさらなる改正案を現在御審議いただいているところでございます。

 有権者一人一人に着目したさらなる投票機会の創出あるいは利便性の向上は、重要な課題であると認識しております。引き続き、投票環境の向上のための取り組みを進めてまいりたいと考えております。

浦野委員 我々、例えば投票機会の拡大ということでいえば、ネットで投票できることを実現させるという、これは我が党だけではなくて、各党、最終的にはネットで投票できるようになればいいなというお声はかなりいただいている状況です。ただ、技術面だとかそういったことで、なかなか思い切って前に進まないというのがそういったネット投票の現状ですけれども。

 投票機会というのは、やはりできる限り広げていかなければなりません。今回、十八歳、十九歳の方々が選挙、投票権を得ることになって、現役の高校生、そしてもちろん大学一年生、二年生の方でも非常に対象者がふえました。対象者がふえましたので、私は、やはり高校、大学において投票できる環境というのをこれからもっともっと広げて拡大していっていただきたいと思っているわけです。

 今回の参議院の選挙のときも、高校、大学で投票できるようにしているところがあったと思いますけれども、ちょっと実績というか、それを教えていただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 今回の参議院議員通常選挙で高校に当日投票所を設置したものは、百五十団体で二百十八カ所でございました。これは、従来から投票所として学校に設置されてきたものも含まれると思いますが、このような数字でございます。また、期日前投票所を設置した高校でございますけれども、これは十五団体、二十一カ所でございました。

 また、大学等に投票所を設置したのは、当日は四十二団体、四十五カ所でございました。期日前投票所を設置したものは、七十九団体で九十八カ所ございました。

浦野委員 当日の投票所というのは、例えば地域の小学校の体育館だとか公共施設で投票所をつくりますから、これまでもたくさんあったと思うんですね。

 私が今お願いをしたいのは、期日前投票で、高校、大学でそういう会場を設営していただくのがやはり必要になってくるかなと。そうすることによって、ふだんやはり投票の機会、高校、大学になると、例えば日曜日なんかは部活で試合に行ったりとか、もちろん遊びに行く予定も、みんな忙しい、バイトもあるし、忙しいというのもありますから、なかなか投票に行ってくれないかもしれません。ただ、学校で期日前投票ができるとなれば、投票に行ってくれる子もたくさんふえるんじゃないかというふうに思っています。

 今答弁いただきましたけれども、各高校、大学、どれぐらい、どんな学校が期日前投票所とかをつくってくれているのかというのもデータでいただきましたけれども、高校、大学、両方ともに言えることなんですけれども、やはり国公立の高校、大学がほとんどなんですね。

 例えば期日前投票は、高校は二十一カ所ということでしたけれども、高校は全国で約四千九百校、五千校近くあるわけですね、国公立もあれば公立もあれば私立もある中で、二十一校が期日前投票、ほんの〇・何%ですよね。しかも、ほとんどが公立の学校でした。

 大学も調べてみると、七百七十五校、国公立と私学合わせるとあるんですけれども、その中で期日前投票所をつくってくれているのは九十八カ所しかない。ほとんどがやはり国立の大学だったり、公立の大学だったりするわけですね。

 高校なんかは、例えば、今ざっと見ても、福島県で一校しかやっていない、三春町の県立田村高校だとか。埼玉も一校しかやっていません。東京なんかもっとたくさんやっているのかなと思いきや、期日前投票の会場は、東京都の高校では一校もありませんでした。神奈川も一校もなかったです。新潟もないですね。ないところがほとんどなんですね、やはり。大阪も残念ながらありませんでした。

 大学を見てみますと、大学はさすがに国公立の大学がたくさん期日前投票所をやっています。ただ、やはりほとんど国公立で、東京なんかは期日前投票をやった大学はゼロですね。神奈川は慶応とかがやっていますね、それでも二カ所しかやっていません。結構若い人たちが、政治的ないろいろな興味が高い人たちがたくさん住んでいる大学がある地域でも期日前投票所がこれだけしかないということは、やはり非常に残念だなと思うんですね。

 ちなみに、政治家をたくさん輩出している早稲田も実は期日前投票はやっておりません。残念です。私の大学もやっておりませんでした。大阪でもほとんど、大阪大学とかしかやっていなくて、なかなか、もちろん総務省は文科省の方にお願いをされていると思うんですけれども、これはもうちょっとたくさんやってもらえるようなことをした方がいいと思うんです。どうですか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 今回、参議院議員通常選挙では、期日前投票所を置いた大学等が九十八カ所でございました。これは、統計的には統一地方選挙以降しかとっておりませんけれども、大分ふえているという現状でございます。

 若者の政治参加、投票行動につながるということでございますので、今後とも引き続き、文科省などに要請するなり各選挙管理委員会と協力しまして、大学等への期日前投票所の設置に働きかけてまいりたいと考えております。

浦野委員 うちは三田キャンパスでやっていました。済みません、関係者の方に失礼をいたしました。

 大臣も、奈良は天理大学さんと奈良県立医大さんが期日前投票所をやっていただいています。

 当日の投票所と期日前投票所というのは全然違うと思うので、期日前投票ができるような環境、総務省の方にお聞きをすると、やはり非常に人手もかかるし、やるとなるとかなり労力がかかるということで、例えばその選挙期間中に一日だけとか、そういうふうな形でしか投票所がつくれないということもおっしゃっていました。

 投票の機会を拡大するために、もちろん一日、まずは一日やっていただけるというのは努力をしていただいて、やはり二日、三日、しっかりとそういう投票所がどこの学校、大学、高校でも開けるような環境を私はぜひ整えていただきたいと思いますけれども、大臣もこのことについてはいかがお考えですか。

高市国務大臣 学生さんを選挙事務に起用した学校もありまして、そういった意味では、学内に期日前投票所が設置され、そしてまた選挙事務にかかわる経験をされるということは、主権者教育としても非常に意義のあることであると思います。

 今後とも、文部科学省にも、それから選挙管理委員会にも要請をしっかり続けてまいります。

浦野委員 今大臣がおっしゃったように、主権者教育にも寄与するということはもう間違いないと思いますので、ぜひこれからもこの取り組みを進めていただきたいと思います。

 少し時間が早いですけれども、質問を終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、公職選挙法及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

竹本委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、岩屋毅君外三名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案により、お手元に配付いたしております公職選挙法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。牧義夫君。

牧委員 提出者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 現行の公職選挙法においては、洋上投票が認められているのは船員のみであるため、船員ではない水産高校等の実習生については、洋上投票を行うことができません。このことにより、実習航海中に行われる国政選挙において、実習生が投票できないケースも出ております。

 このような状況を踏まえ、本案では、実習を行うため航海する学生、生徒その他の者であって船員手帳に準ずる文書の交付を受けているものについては、船員と同様に、洋上投票の対象とすることとしております。

 なお、本案は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 洋上投票に係る公職選挙法改正案について、動議提出者の皆さんに質問をいたします。

 ことしの参議院選挙は、選挙権年齢が十八歳に引き下げられた最初の選挙でありました。ことしの通常国会では、選挙人名簿の登録制度の改正が行われるなど、十八歳選挙権施行に向け法改正も行ってきたところです。

 ところが、ことしの参議院選挙の公示直前に、実習中の水産高校の生徒が洋上投票を利用できないとの報道がありました。このことにつきまして、どれだけの学生、生徒が投票できなかったのかについてはおわかりでしょうか。

岩屋委員 お答えいたします。

 平成二十八年六月十六日の文部科学省の調べによりますと、ことし七月十日の参議院議員通常選挙におきまして、先生御指摘の、遠洋航海中のために投票できなかった水産高校の生徒は、計七校、人数は計八十二名であったと承知をしております。

塩川委員 七校、八十二名、これは水産高校ということで、もちろん水産大学校などの学生などもありましょうし、関連してのお話も当然あることと思います。このように、実際には、十八歳選挙権ということが施行されながらも、こういう中で投票ができないという生徒、学生がおられたということであります。

 次にお尋ねしたいのが、ことしの通常国会では洋上投票の対象を拡大する改正が行われたわけですが、その検討時に、実習中の水産高校の生徒が利用できないということは想定されたのか、その点について確認をしたいと思います。

牧委員 御指摘の趣旨についてはよくわかります。

 さきの通常国会において、洋上投票制度の対象となる船舶の範囲を拡大する旨の公職選挙法改正が成立したところでありますけれども、この改正案というのは、船員ではあるものの、それまでの洋上投票制度では対象外とされていた、いわゆる便宜置籍船や日本人船員が二人以下の船に乗船している船員について洋上投票を行えるようにすることを目的としたものであります。

 他方、今回の本法案の目的は、従来の洋上投票ではそもそも対象とされていなかった水産実習生などについて、実習を行うため航海する水産高校の生徒等であって船員手帳に準ずる文書の交付を受けているものを洋上投票の対象とすることであって、さきの通常国会における改正とは異なる観点からの改正であります。

 今からすると、前回の法改正の際に、おっしゃるとおり、水産高校の実習生等についてもあわせて手当てをしておいてしかるべきでありました。当時は考えが及ばなかったというのが正直なところでありますので、今回、立法府にある者としての反省を踏まえて本法案で手当てをするということであります。

 今後も、投票環境の充実整備、不断の追求が必要であると考えております。

塩川委員 わかりました。

 今回の改正の中身ですけれども、実習中の学生、生徒も洋上投票の対象としようというものですけれども、本案での「実習を行うため航海する学生、生徒その他の者であつて船員手帳に準ずる文書の交付を受けているもの」とは具体的にどのような方々を指すんでしょうか。

 また、「船員手帳に準ずる文書」とは具体的にどういったものかについて、御説明をお願いします。

佐藤(茂)委員 塩川委員から二点御質問いただきましたけれども、後段の部分からお答えさせていただきます。

 「船員手帳に準ずる文書」について、現在交付されている文書としては、練習船実習生証明書を想定しております。この練習船実習生証明書は、国土交通省の出先機関の長である地方運輸局長等が、水産高校の実習生等の所属する機関の長から申請を受け、交付するものでございます。

 前段の部分でございますが、本法案の「実習を行うため航海する学生、生徒その他の者であつて船員手帳に準ずる文書の交付を受けているもの」とは、まず一つ目に、学校教育法上の学校に所属するものとしては、例えば水産高校の生徒、次に商船高等専門学校の生徒、そして商船大学の学生が想定されております。

 次に、学校教育法上の学校以外の機関に所属するものとしては、例えば国立研究開発法人水産研究・教育機構が設置、運営する教育施設である水産大学校の学生、さらに独立行政法人海技教育機構の実習生や、同機構が運営する海上技術学校、海上技術短期大学校及び海技大学校の生徒や学生、さらに公益財団法人日本船員雇用促進センターが実施する外航基幹職員養成事業により同センターに登録されている訓練生、こういう方々が想定されているところであります。

塩川委員 練習船実習生証明書の交付を受けている、これが「船員手帳に準ずる文書」ということであります。

 「学生、生徒その他の者」とあるんですけれども、「その他の者」というのが何を指すのか。あるいは、教職員の人も全員船員ということでいいんでしょうか。その辺の整理はおわかりになりますか。

佐藤(茂)委員 教職員の方々というのは、もちろん生徒や学生ではございませんので、我々法案提出者の統一した見解としては、船員と同様の扱いという形にさせていただきたいと考えております。

塩川委員 「その他の者」というのは、いわゆる学生、生徒以外の訓練生、そういう受けとめでおるんですけれども、よろしいでしょうか。

佐藤(茂)委員 まさに今御質問の中で答えておられますように、「その他の者」というのは訓練生という意味合いで捉えていただければありがたいと思います。

塩川委員 ありがとうございます。

 選挙権年齢が二十歳のときでも商船大学の学生などは同じように洋上投票は利用できなかったわけですが、残念ながら、そういう要望が上がっていたというのは承知をしておりません。ことしの参議院選挙の公示直前に、実習船に乗っているため投票できないという事態が明らかになったわけであります。もちろん、今回の参議院選挙から実習生が洋上投票を利用できれば本当によかったなと思っております。

 最後にお尋ねしますが、今回このような事態が明らかになったということは、私は、十八歳選挙権の実現によって、新有権者とともに学校の先生ですとか大人たちの意識も、この権利行使のために何とかしなくちゃいけない、そういう思いというのがあらわれているんじゃないのか、これ自身が選挙権の拡大ということを通じて民主主義の発展と捉えられると思っていますが、この点についての提出者のお考えをお聞かせください。

牧原委員 御指摘のように、選挙権年齢が十八歳に引き下げられたからこそ、マスコミを初め社会の注目が今回洋上投票することができなかった実習生に集まったというふうに理解をしております。その意味では、先生御指摘のとおり、民主主義の発展の一つのあらわれではないかというふうに考えております。

 投票機会の確保というものが民主主義にとって重要な課題であるという認識のもと、引き続き、選挙の公正の確保を図りつつ、投票環境の向上について真摯な議論を行っていきたいというふうに考えております。

塩川委員 茨城県立海洋高校の生徒さんの例が報道されていました。

 新しく有権者となった高校三年生の七人は、参議院選挙の公示を目前に控えた六月二十日に出航し、一カ月間、日本近海のマグロのはえ縄漁を学ぶ乗船実習に参加をしていた。そのために、公示日から投票日までの間、茨城を離れてしまう、どうしようかと校長先生が教育委員会などと相談して、不在者投票を利用しようということになって、この海洋高校の生徒さんが、選挙期間中に船が立ち寄る高知市に投票用紙を送ってもらって、高知市内で投票用紙を受け取って、高知市の選管で投票を行う。住んでいる市町村に送ってもらった。

 私も、そのお話、報道を見ましたけれども、投票した高校生たちが大変誇らしく語っているのが印象的でありました。

 憲法は、主権者国民が政治に参加する機会を保障しております。この権利行使には投票機会の保障が不可欠です。実習のために航海に出ている学生、生徒などの投票機会を拡充するため、実習生を洋上投票の対象とする本案に賛成ということを申し述べて、質問を終わります。

竹本委員長 これにて発言は終了いたしました。

 お諮りいたします。

 公職選挙法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付いたしております起草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹本委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 この際、神田憲次君外二名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による不在者投票における投票環境の向上等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。神田憲次君。

神田委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文を朗読し、説明にかえさせていただきます。

    不在者投票における投票環境の向上等に関する件(案)

  本委員会は、公職選挙法の一部を改正する法律案を提出することに決した。

  本案は、実習を行うため航海する学生、生徒その他の者の投票の機会を拡充するため、これらの者を不在者投票である洋上投票制度の対象とするものである。

  不在者投票については、確実な本人確認の実施などにより制度の安定性を担保しつつ簡便化を図る等、有権者が投票しやすい投票環境の向上を図るとともに、更なる充実した不在者投票制度の広報及び周知の在り方について速やかに検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとする。

  右、決議する。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

竹本委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹本委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とするに決しました。

 なお、本決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十四分散会


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