衆議院

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第2号 平成29年4月12日(水曜日)

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平成二十九年四月十二日(水曜日)

    午前十時五分開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 あべ 俊子君 理事 岩屋  毅君

   理事 奥野 信亮君 理事 神田 憲次君

   理事 山下 貴司君 理事 落合 貴之君

   理事 牧  義夫君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 道孝君    今枝宗一郎君

      尾身 朝子君    大串 正樹君

      鬼木  誠君    門山 宏哲君

      小松  裕君    今野 智博君

      坂本 哲志君    白須賀貴樹君

      助田 重義君    瀬戸 隆一君

      寺田  稔君    長尾  敬君

      平沢 勝栄君    古川  康君

      古田 圭一君    牧原 秀樹君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      山本  拓君    和田 義明君

      岡田 克也君    吉良 州司君

      黒岩 宇洋君    篠原  孝君

      田島 一成君    國重  徹君

      富田 茂之君    大平 喜信君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

      椎木  保君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省政治資金適正化委員会事務局長)      宮田 昌一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 矢野 康治君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     務台 俊介君

四月十二日

 辞任         補欠選任

  うえの賢一郎君    宮路 拓馬君

  助田 重義君     池田 道孝君

  古川  康君     尾身 朝子君

  宮内 秀樹君     大串 正樹君

  和田 義明君     古田 圭一君

  穀田 恵二君     大平 喜信君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     助田 重義君

  尾身 朝子君     古川  康君

  大串 正樹君     宮内 秀樹君

  古田 圭一君     和田 義明君

  宮路 拓馬君     うえの賢一郎君

  大平 喜信君     穀田 恵二君

    ―――――――――――――

二月二十四日

 政党助成金を直ちに廃止することに関する請願(笠井亮君紹介)(第二六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二六二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二六三号)

三月三十日

 民意を反映しない小選挙区制をやめ、定数削減反対、選挙制度の抜本改革を求めることに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第六五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長安田充君、総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、総務省自治税務局長林崎理君、総務省政治資金適正化委員会事務局長宮田昌一君、財務省大臣官房審議官矢野康治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。民進党の篠原孝でございます。

 三十五分ほどいただきまして、質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、住所についてちょっといろいろもめごとがありましたので、学生とか単身赴任とか、最近はデュアルライフというので二カ所に家があって、国会議員が典型的ですけれども、両方に住んでいるということで、私の選挙区内は広いから三つぐらいあって、まあ、いいですが。あちこちに住所があって住んでいる。

 一体どこに住所を登録するべきかというのは、日本のルールはみんな住民票、住民台帳でなっていますけれども、これは、基本的なルールはどうなっているんでしょうか。簡単に事実関係を事務方の方でお答えください。

原田副大臣 住所は、各人の生活の本拠をいいまして、住所の認定は、客観的居住の事実を基礎として、これに居住者の主観的居住意思を総合して、市区町村長が決定することとされておるところでございまして、学生の住所について言えば、例えば、遠方の実家から引っ越してひとり暮らしをしている大学生等の住所は、一般的にはひとり暮らしをしている場所の所在市区町村にあると考えられます。

 また、単身赴任の会社員の住所につきましては、毎週土日のごとく勤務日以外には家族のもとで生活をともにする者については家族の居住地に住所があるが、勤務地と家族の居住地が遠隔であるため、月平均二回程度家族のもとで生活をともにしていても、これのみをもって住所が家族の居住地にあるということにはならないと考えられます。

 個別の住所の認定については、これらをもとに、各市区町村において判断すべきものということでございます。

篠原(孝)委員 大事なことのようで、副大臣からお答えいただきまして、ありがとうございます。

 本当に大事なんです。今聞いていますと、皆さん頭が混乱すると思います。

 高市大臣はどうされているかわかりません。大臣になられて、忙しくて選挙区に帰っておられない、いっぱい留任されていますから、ほとんどお国入りできずに、二年間全然地元に帰っていないと。

 だけれども、国会議員は大体地元に住民登録してやっていますよね、地元の国会議員。そうすると、規定をきちんと見ますと、二年間も住所地に住んでいないとなると、そこで選挙人名簿に登録されないおそれがある。こういうことが起きたんですね。国会議員にはそんなことはしないでしょうけれども。

 十八歳に選挙権年齢が下げられて、そして七月の参議院選挙だということで、新聞紙上をちょっとだけにぎわわせたので皆さん覚えておられると思いますけれども、住民票を置く自治体というか、田舎の市町村、北海道が多かったようですけれども、実際に学生が住んでいない、不在者投票もできないというので、選挙人名簿に登録しないで、結局選挙ができなかった。我々は法律をつくって、三カ月の居住条件を満たさない場合の者の手当てをしたはずなんですけれども、それよりも前に一部の転出学生が投票できないという混乱が生じたんですね。

 どこかというと、同じ北海道でも、札幌市なんかはでか過ぎるし、そんなの一々チェックできないから、ちゃんと住んでいるかどうか、転出したかどうかなんてチェックしない。だけれども、田舎の町村は、みんな聞けばわかりますし、顔を見ないからもう学生で行って、いないんだから、こんなのは選挙人名簿に登録しなくてもいいというので、地方自治体によって扱いが違っちゃっているんですね。

 これについての統一方針は、総務省はどのように考えておられるんでしょうか。もう各地方自治体に任せっ放しなんでしょうか。

高市国務大臣 選挙人名簿の登録につきましては、当該市町村の区域内に住所を有する年齢満十八年以上の日本国民で、その者に係る登録市町村等の住民票が作成された日から引き続き三カ月以上登録市町村等の住民基本台帳に記録されている者等について行うこととされております。公職選挙法第二十一条でございます。

 当該市町村の区域内に住所を有するということは、選挙人名簿への登録の基準日において当該市町村の区域内に現実に住所を有するという意味であると解されております。

 一般的には、住民基本台帳に記録されていたとしても、現実に住所を有していない者を当該市町村の選挙人名簿に登録することはできないのですが、個別の事案について、現実に住所を有するかどうかの判断は、具体の事実に即して、各市町村において行われるべきものでございます。

 学生さんの投票ということでお話がございましたし、以前の公職選挙法改正についてもお触れをいただきました。それによりまして、転出時に住民票を適切に移していない者については、旧住所地、新住所地いずれの選挙人名簿にも登録されないということなんですが、旧住所地市町村の住民基本台帳に引き続き三カ月以上記録されていた者で、新住所地市町村に住所を移してから四カ月以内である者については、旧住所地市町村において選挙人名簿に登録されるという規定が設けられています。

 昨年の参議院選挙ということでいうと、平成二十八年四月に親元を離れて進学された方は、住民票を移していなくても、この規定により、旧住所地の選挙人名簿に登録されている場合は旧住所地で投票できるということとなりました。

 ですから、今大切なのは、やはり投票していただくために、現実に住所を有する市町村に適切に住民票を移していただくということですので、各選挙管理委員会、文部科学省と協力しながら、適切な住民票の異動について、これまでも周知をしてきておりますが、引き続き周知を図ってまいります。

篠原(孝)委員 いい方向に行っているんですよ。だから、今大臣が答えられましたけれども、なるべく投票できるようにということで、三月、四月から東京の大学、大阪の大学に行った人たちでも投票できるようにという温かい措置を講じたわけですね。

 ところが、住民票を、東京や大阪、まあ都会ばかりじゃないですけれども、都会の大学に移していない。地元で投票できる、不在者投票も知っているというので、それでやろうとしたら、選挙人名簿に登録しないというのが、北海道で、新聞報道でしか知りませんけれども、正確な数字はどうか知りませんけれども、三百人、四百人の単位で投票できない人がいた。地元でも投票できない、新しいところでは住民票を移していないからなおさらできない。これはやはりおかしいんじゃないかと思うんです。

 特にどこがおかしいかというと、私なんかはそうだったんですけれども、あちこち転々としました、仕事をし始めてからですけれども。投票もしましたけれども、神奈川にも東京にも千葉にも住みましたが、選挙に行ったんですけれども、どの衆議院議員、どの参議院議員に投票したか、さっぱり覚えていないんです。心は長野にありまして、小坂善太郎、倉石忠雄とか、そういうのばかり頭にちらついていまして、その延長線上で国会議員になってしまったのかもしれませんけれども。地元に思いをはせている人がいっぱいいるわけです。まして、卒業したばかりの人なんというのは特にそうだと思います。

 これは、総務省から非常にきちんとした資料をいただきましたので、そのエキスを集めたのを資料で提供してあります。

 混乱は、一番下の三つなんですよ。大臣がお答えになりましたように、下宿する学生たちのは一番上の判例で、逆の規定なんですけれども、ともかく学生は下宿のところを住所地とするんだという最高裁判例が昭和二十九年に出ている。

 それでもって、上から三番目ですけれども、「客観的居住の事実を基礎とし、」ここからややこしいんですよね、昭和四十二年の通達、「当該居住者の主観的居住意思を総合して決定する。」主観的意思を総合してというのは、我々国会議員は絶対地元に置くんだというのはこれに当たると思うんですよ。

 それで、一番下を見てください。単身赴任の会社員の住所、二つあるんですけれども、昭和四十六年には家族の居住地とあったんですが、原田副大臣にお答えいただいたように、月平均二回程度、これは回数の問題じゃないと思いますけれども、家族の居住地にあるということにはならないというので、サラリーマンの場合は、会社員の場合は勤務地に置いてもいいようになっているんです。実際そうだと思います。

 私は、長野駅前三分ぐらいの高い、わびしいワンルームマンションにいるんです、十二階建ての。長野支店長、長野営業所長とかいう人たちばかりです。選挙のたびに、朝飯とかがみんなあるところなので、励まされるんですけれども、篠原さん、頑張ってください、だけれども、私はここに住民票がないので投票できませんけれども、こういう言いわけばかりされるんです。腹が立つんですよ。腹が立つというか、よくないなと思うんです。これは一度質問したことがあるんですけれども、この人たちの地方税はやはり長野市に集めるべきだと思う、一番高給を取っているので。そういうのがあると思っているんです。

 その前に、学生たちでどういう人たちがいるかというと、次の三ページ目を見ていただきたいんですが、成人式。

 私の地元中の地元、中野市の成人式。いろいろな成人式、いろいろな日にちがあります。五月四日なんです。変な日にやっていますよね。変わっているんです。だけれども、現実的なんです。連休にはみんな帰ってきている、五月のゴールデンウイークには帰ってきている。

 それで、もっと私の北の方、木島平村、野沢温泉村とか飯山市とかいうのは、ここは、全国各地同じですが、八月十五日にやっています。一月十五日なんて大雪で、二メートル、三メートル雪に覆われている、そんなところで成人式なんか、やれないことはないでしょうけれども、とてもじゃないが不便でできないというので、夏。だから、親たちも気楽ですよね。夏だと浴衣で三千円で済むんです。普通のときだと何十倍するんですかね。まあ、それは別の事情でしょうけれども。

 ここで見ていただいて、中野市の二段目の、中野市以外に住民登録をしている方で中野市成人式出席を希望される方はお申し出くださいと。それから、次は長野市。長野市以外へ移してしまいましたができますか、引っ越してもできますということ。要するに、地方は温かいんです、地方に呼びとめておきたいので。

 これも知っているんですけれども、きちんとした連絡が欲しいということで、成人式までは、わかるでしょう、こっちに、東京に来たって全然知らない人たちで、級友ができているかもしれませんけれども、友達ができているかもしれませんけれども、小学校、中学校、高校と一緒に来た人たちと一緒に成人式をやりたい、ちゃんと通知も来てほしいというので、地元に置いておいたりする。

 横浜市はどうかというと、結構冷たいんです。「会場の定員の関係から横浜市在住者に限らせていただいております。」人はいっぱいいますから、そんなにいなくたっていいという。冷たい大都市です。温かい地方都市とどっちに報いるべきでしょうかということ。

 私は、住民票を移していなくてというか、地元に置いておいて、そこで投票したいという気持ちに応えるべきだと思います。ふるさと納税というのがあるんです。だから、ふるさと投票というのもあっていいんじゃないですか。大臣のときにそういうのをつくっていただきたいんですけれども、この点についてどう思われるでしょうか。

 僕は、北海道の市町村がいっぱいそうやったようですけれども、真面目にやって、生活実態をチェックして、いないからというので選挙人登録をしなかった、それで両方で投票できない。これはやはり投票の機会を奪っているということで問題だと思うんですけれども、この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

原田副大臣 繰り返しになりますけれども、住所は、各人の生活の本拠をいうものでありまして、当該生活の本拠のある市区町村に住民票を移していただくことが必要となるものでございます。

 また、現実の居住関係にかかわらず選挙人名簿の登録を行って投票できるようにすることは、投票できる選挙区を自由に選べることにつながる可能性もあるなど、課題も多いものと考えておるところでございます。

篠原(孝)委員 冷たいですね。

 せっかく、投票率を高めよう、皆さん政治に関心を持ってというのを、やはり現実問題として、転々とするという大都会。私は、サラリーマンで自分でお金を稼ぐようになっていったら、納税の義務とかいうのも関係ありますし、それはある程度ぴしっとしてもいいと思いますけれども、学生は学生の家族の居住地に、サラリーマンは家族の居住地にと言っているわけですね。

 ではというので言えば、静岡県だと交通の便がいい、長野県も北陸新幹線で便利になりましたから、相当近くなりましたよ。これは親離れしていないだめな学生だと思いますが、毎週末家に帰っているという学生がいたら、それはどっちなんでしょうか。そこの家族の居住地に住民票を置いている、サラリーマンはそっちを居住地としてそこで投票できていいのに、学生はだめだという。サラリーマンと学生を区別しているんですね。そんなことをする必要はないと思うんです。

 原田副大臣が答えられましたけれども、あっちゃこっちゃ、どこでもいいところで投票できるようになってしまうと。そんな悪いことを考える人は、いないことはないですけれども、どこでも悪いやつはいますからね。だけれども、そんなに疑ってかかるのは僕は問題だと思います。学生はけなげな気持ちで、ふるさととのきずなを断ち切りたくない、そこに住民票を置いておきたい、お父さん、お母さんがいる、弟も妹もいればお兄さん、お姉さんもいるかもしれませんけれども。

 それで、二ページ目の横浜市。去年、横浜市は非常に意欲的なことをしたのです。十八歳選挙スタートということで、もっと大きいのでその一部だけ、四ページにわたってですけれども、こういうリーフレットをつくって、二十七大学に二万部配っているんですね。

 大事なのは四角で囲ったところで、全国調査、明るい選挙をやる会とかそういうところが調査をしたら、最近の全国調査で、「しかし、」のところ、線を引っ張ってあります。「高校卒業後に親元を離れて進学した大学生等は六割以上が住民票を移していない」。でも、立派ですよ、横浜市。ちゃんと総務省の基本方針に従っています。「そこで、」ということで、住民票を移して現住所での投票を原則としながら、やむを得ず住民票を移していない学生には、住民票のある市町村に投票用紙を請求し、最寄りの選挙管理委員会で投票できる不在者投票を呼びかけた。

 呼びかけたにもかかわらず、もとの地元が冷たく、選挙人名簿に登録していないからできなかった。僕は、そういうことをやらせちゃいけないと思います。これは改善していただきたいと思います。大臣、この点はぜひ改善してください。

高市国務大臣 旧住所地の市町村の住民基本台帳に引き続き三カ月以上記録されていた者で、新住所地市町村に住所を移してから四カ月以内である者については投票できるわけでございます。

 ですから、例えば、恣意的に市町村が法律に定められた投票という権利を阻害する、これは絶対あってはいけないことであると思います。そのかわり、やはり全くどこでも投票権がないような形で住民票を移されないということについては、これは大変残念なことでございますので、しっかり法律の周知をまずしていきたいと思います。

 先ほど学生さんの例も挙げられました。確かに、毎週地元に帰るという学生さんもおられるんだろうと思います。これも先生が配付してくださった資料で恐縮ですけれども、上から四つ目、寮、下宿等に居住する学生さんの住所、「その寮、下宿等が家族の居住地に近接する地にあり、休暇以外にもしばしば帰宅する必要がある等特段の事情のある場合を除き、」ということでございますので、その場合、御家族がいらっしゃる場所が居住地であるという判断を市町村でしていただけるケースもあると承知をいたしております。

 また、成人式もそうです。先ほど、比較可能な例を挙げていただいて、私もちょっと、横浜市、新成人数が三万六千人以上を超えているため、会場の定員を考慮すると受け入れることはとても難しい状況ですと、余りにも残念な気がいたしましたが。成人式というのは、主催する市区町村が個々の事情によって開催している任意の行事でございますので、各市区町村の判断で、住民票を移されても、もとの、卒業した学校のある、中学校のあるところでぜひ成人式に出ましょうよということで、丁寧に案内をしていただいているところも多いと思いますので、こういった事例についても、私ども総務省で、ブロック単位でさまざまな説明会を、予算措置も含めて開いています。

 その中で、いろいろな内容を盛り込んで説明会を開いていますので、しっかりと選挙権を行使していただくための取り組みの広報、周知も含めて、成人式などについても、任意の行事ではありますけれども、これからやはり地方創生と言われる時代の中で、配慮を、一つの事例として横展開ができたらと思っております。いい地域の事例を横展開させていただけたらと思います。

篠原(孝)委員 ぴしっとしない答えですね。いいんですけれども。

 単純なんですよ。我々政治家のことをよく考えてみてください。政治家、私は閣僚を長くやっていませんけれども、ずっと東京にいるわけですよ。それで、配偶者なり親戚等が地盤を守っている、ほとんどいる。そちらは、国会議員の場合は、地元で選挙権を堂々と行使できるわけです。

 学生が、ふるさとへの思いを断ち切りがたく、きずなもちゃんと持ちたいといって、意図的に自分の生まれ育ったところに、うっかりしてじゃなくて置いておく。それを、チェックして生活実態がないからだめだというのは、これはやはり行き過ぎだと思いますよ。ぜひ直していただきたいと思います。

 それで、成人式の方が当たり前で、地方は、栄村なんて人口二千人ですよ。二千人の村が成人している人たちに温かくするので、どうしているかというと、僕は、自分のところの北の方の村をみんな調べました。成人式ですけれども、全部中学校の名簿をもとにやっています。そして、返事があったりしたら全員で、そして、卒業していなくても、今職場に来て二十になった人もどうぞと、みんなウエルカム、ウエルカムです。横浜市なんかの人が多過ぎるから邪魔だみたいなのと違うんです。

 だから、そういう思いを受け入れていただいて、やはり、地方が過疎になっていく、きずなを残したい、そして、どういうことかというと、そういうふうにしておいて、地元にまた帰っていく、ずっと一度も住民票を移したことはない、栄村で生まれて育って、栄村で死んでいくんだ、そういうかたい意思のもとに住民票も移さないでいる、そういう人たちがいるんですよ。そういう人たちの気持ちに報いるべきだと私は思います。このことをちゃんとやっていただきたいと思います。

 それから次に、資料をちょっと見ていただきたいんですが、一番後ろのページですね。ちょっと数字ばかり並んでいて恐縮ですけれども、長野県の過去三回ということで、途中は間引いて、おろのいてありますけれども、二〇〇三年の秋の総選挙、それから政権交代選挙と一四年の冬、一二年、一四年、二回とも冬だったんです。

 それで、投票率を見ていただきたいんです。栄村、みんな律儀なんです、真面目なんです、投票率が高いんですよ。ごらんいただくとわかると思います。Bの二〇〇九年八月三十一日は、長野県の全体の投票率は七五・六七%。島根県に次いで二位で、長野県人の熱しやすく冷めやすいのをこれはよくあらわしているんです。全国二位になんてなったことはない。ああ、この間の参議院選挙、杉尾候補のとき、あれで安倍総理が三回も来て、小泉進次郎さんも三回も来たので盛り上がって、我が方が勝ちましたけれども、全国一位だったんです。またどっと下がると思いますけれども。まあいいや、それは。どうでもいいことです。

 それで、何を申し上げたいかというと、その当日、雪が降ったんです。もともと積雪が多かったんです。そうすると、さすがの栄村なんかも、投票率は高いのに、Aと比べて、Bは民進党の政権交代選挙でちょっと異例な、AマイナスCで比べていただくと、一三、四ポイントから二〇ポイント近く投票率が下がっているんですね、雪で。

 それはそうですよ。寝たきり老人になる理由の四分の一が、骨折でもって寝込んで、そのまま筋肉が衰えて立ち上がれなくなる。だから、そんな、選挙のときに雪で転んだりして足を折ったら大変です。

 そして、過疎で、投票所を統合しては遠くになって、私の生まれ育ったところの投票所は、四・八キロ歩いていかないと投票できないんですよ。これはばかなことをしていると思いますけれども、公会堂で投票所を設ければいいのに、統合しては少なくしていくんです。だから、若い人が車で送っていってくれなくちゃ、できなくなる。若い人がいなかったら投票に行けない。

 見てください。飯山市、一九・九九ポイント、二〇%も低くなっている。長野市も中山間地域をちょっと抱えているんですけれども、小布施町は平らなところが多いんです。こっちは一〇%ちょっとなのに、豪雪地帯はこれだけになっている。こういうときは、いろいろなことをしてやらなくちゃいけないと思うんです。

 だけれども、ここは感心したんですが、移動支援というのをやっているんですね。この実態、どういうふうになっているか、教えていただきたいと思います。御存じない方がいっぱいいるので広めていただきたいと思いますので、これは正々堂々と、こんないいことをやっているといって答えてください。

原田副大臣 投票所等までの移動支援につきましては、市町村選管が地域の実情を踏まえまして実施を判断するものでございます。今御指摘がありましたように、巡回、送迎バスの運行や臨時バスの運行、無料乗車券の発行などの取り組みが実施をされておるところでございます。

 近年の国政選挙における移動支援の取り組み状況は、平成二十六年執行の衆議院選挙では、百二十五団体で百三十六事業が実施、平成二十八年執行の参議院選挙では、二百十五団体で二百二十一事業が実施をされておるところでございます。

 投票所までの移動支援に要する経費につきましては、選挙執行の実態を踏まえ、平成二十八年の執行経費基準法の改正において加算規定を新設いたしまして措置したほか、地方選挙における取り組みに対しても、平成二十八年度から特別交付税措置を講じておりまして、これらの財政措置の充実について、さらなる周知を図ってまいりたいと思っております。

 また、島根県浜田市では、投票所まで距離が離れている交通手段の確保が難しい選挙人への投票機会を確保するため、自動車を利用した移動期日前投票所を開設いたしたところでございます。

 平成二十九年三月には、浜田市の事例も含め、先般の参議院選における移動支援等の取り組みを取りまとめた投票環境向上に向けた取組事例集を作成し、各選挙管理委員会に対する周知とあわせて、地域の実情を踏まえ、積極的な取り組みの実施をお願いしたところでございます。

 引き続き、個別の団体からの相談にきめ細かく応じ、移動支援の実施に向けた取り組みをしっかりと支援してまいりたいと思います。

篠原(孝)委員 これは本当に立派なことだと思います、投票していただく、投票の機会をちゃんと均等にするために。

 だから、これはわかっているのでいいですけれども、栄村が大雪で選挙に行けない、大変だというのを、バスをチャーターして各所を回る、後から請求していただいて総務省からお金が出る。こんないい仕組みがあるのを、残念ながら我が選挙区でやっていなくて、長野県で、松本、岡谷、小諸、伊那、大町、松川町、阿南町、阿智村、泰阜村、王滝村、南の方では雪はそんなに多くないんですけれども、やっている。

 このとき、雪は降っているんですよ。スリップしてというか、転んではいけないからというので、こういうことがあるのをちゃんと周知徹底して、投票率を高めるようにしていただきたいと思います。これは非常にいいことをやっておられると思います。

 それから、これも、よく硬直的な役所だとは思っているんですけれども、そうじゃなくて、この点についてはなかなか、浜田市の例です、移動購買車じゃなくて移動投票所ですね、これは画期的なアイデアだと思います。久保田市長というのはなかなかユニークな市長なんですね、いろいろな場面でも。それで、それをちゃんと受け入れてやっておられる。

 私はまた、繰り返しになりますけれども、ここまでやられるんだったら、先ほどの、僕がこだわっている、学生が自分の地元に住民票を置いておいて、その後、郵便投票でというか、不在者投票させない、実態がないからなんて、それはやめてくださいと。

 これも僕は感心するんですけれども、不在者投票のお金もどうなっているかというと、杉並区に住んでいたら、この栄村に行きたいので投票すると、八十二円かかるわけですね。あちらから書留で送られてくるんですね、五百十二円です。それで、そこに、どうやって計算しているのか知りませんけれども、その不在者投票一人につき七百五十三円、ちゃんと総務省が補助するようになっているんです。こんな手厚く、本当にきめ細かにやっていただいていると思います。

 それだったら、なぜ今の学生のところの気持ちに応えてやらないのか。こんなものはちょっと直せばいいことですから、そんなことはしないでちゃんと投票できるようにと言えばいいことですから、ぜひそういうふうに、しつこいようですけれども、していただきたいと思います。

 最後にもう一つ。

 僕は、総務省は非常にきちんと、投票率をいかに上げるか、投票環境をよくするかというのをいろいろやっておられるのを感心していますよ。

 それから、ちょっと嫌みですが、さっきの表のところで見ていただきたいんですけれども、資料の一ページ目の表の一番下のところ、単身赴任の会社員の住所、愛知県地方課が電話をかけて聞いた、聞いたことを、ちゃんとメモをとってこういうふうに残している。財務省とえらい違いですよ。感心していますよ。公明正大で、記録を残して、みんなにも知らしめている。だから、あとちょっと頑張っていただきたい。

 それで、立派な総務省にお願いなんです。

 いろいろ効率化を図ろうということで、農業の分野でも、ロボット化とかいってやっている。いいことだと思います、それは。しかし、国会の中の、あるいは選挙にかかわることは時代おくれ、僕は何でもかんでもああいうふうにやっていくのは余り賛成できませんけれども、自書式で、そして開票に手間がかかる。

 ほかの国々はどうしているかというと、ほとんどの先進国は、IT化、電子投票めいたことをみんな導入しているわけですよ。我が国だけがそういうことを全くしていない。これは一部の皆さんは御存じだと思いますけれども、議員立法でやりかけたのに、参議院、与党、自民党の反乱分子がいまして、通らなかったんですよね、電子投票というのは。そういうことがあったんです。よくないなと思いますよ。

 岡山県の某市の市長さん、これに情熱を傾けておられまして、市が独自にやっている。市町村、県のまではできるんですね。ところが、国の選挙になると電子投票ができないんです。どれだけ省力化できるかというのをやっている。

 この改正を誰がするか。議員立法でやると、議員立法でやり始めたんです。僕がやろうと思ったらできますよ、今、党でろくな役職をやっていませんので暇ですけれども、本当はそっちの方をやればいいと思うんですけれども、まあいいんです。

 だから、やろうと思えばできるんですけれども、僕がまたやってなんというよりも、これは政党によって考え方が違ったりするものじゃないと思うんですよ、電子投票というのは。政党によって変わらない。それぞれの個人の人たちでどうこう、こんなのがいい、これがいい、悪いというのはあるかもしれませんけれども、大体もう皆さんのコンセンサスはできているというか、できやすい。何にもしないでいて、いつまでたってもやっていて。

 そして、特に気になるのは、これまた細かくなりますけれども、私の選挙区でいえば、長野市が七割の大票田なんです、三十五万人。またこれは硬直的で、栄村なんか二千人、栄村はすぐ開票が終わりますよ、長野市の開票が終わらないんですよ、いつまでたっても。

 そんなのは、いっぱい市町村合併していますから、長野市の投票所の方で四つぐらいに分けて開票所をすればいいんだけれども、一市で全部同じところでやらないといけないというルールがあるから、そこに全部持ってくるから、全部くるんでがんがらがんにかきまぜるまでにまた時間がかかるから、始まるのも遅くなるわけです。そんなことをしているわけです。

 それはよくないので、これもちゃんと、投票環境を改善するというものの一つにぜひ電子投票も加えていただいて、総務省の立派な官僚の皆さんの頭脳でもってやっていただきたいと思うんです。

 これをぜひ取り組んでいただきたいと思うんですが、大臣の前向きな御答弁をいただきたいと思います。

高市国務大臣 電子投票については、私も大変興味がございます。総務省の中でも検討を続けてまいりました。

 開票時間の迅速化、それから疑問票や無効票がなくなるといったメリットがあるという一方で、電子投票機の信頼性を確保するための措置が不可欠であることと、また、投票結果の検証手段を別途確保する必要があるといった課題はまだ残っております。技術的な面が主でございます。

 公職選挙法では、先生がおっしゃったとおり、自書投票方式を原則としておりますので、この方法を変更するというのは、やはり広く有権者の合意も得て進めていくべきことであると考えます。

 有権者の皆様の、国民の代表である国会でまず御議論をいただきたいということと、それから、先ほど委員もお触れになりましたが、平成十九年六月に国政選挙に電子投票を導入する法案が議員立法で提案されて、最終的に廃案となったという経緯がございますので、まずはやはり各党各会派で御議論をいただくべきものだと私どもは考えております。

 引き続き研究は続けさせていただきたいと思っております。

篠原(孝)委員 議員立法で手がけたからそっちだなんというルールなんかどこの法律にも書いていないわけですから、安心してそんなのは無視してやっていただくことをお願いして、終わります。

竹本委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 民進党の落合貴之でございます。

 本日は、政治資金の問題、また、選挙制度、若者の政治参加などについて質問をさせていただければと思います。

 先日、企業・団体献金のあり方について、前回の委員会で質問をさせていただきました。

 私自身は、自発的に企業・団体献金は受け取らないで、資金集めパーティーもやらないという形で活動しています。そのかわりに、地元の方々にボランティアで活動を支えてもらって、それから多くの方に個人献金、カンパで支えてもらうというスタイルをとっております。特定の団体等ではなくて多くの自立した個人に支えられて活動すること、これが我が国の民主主義を深化させるためには重要だと思って、私はこのスタイルを貫いているわけでございます。

 我が国の政治に対する個人献金を今後ふやしていくためには、やはり政治団体の収支報告書の透明性、収支報告の透明性の向上が必要不可欠な要素であると思います。この透明性をどういうふうに実現していくべきか、政治の側も、それから総務省の側もいろいろと試行錯誤をしてきたわけでございます。

 いろいろと調べてみますと、そもそも、国会議員関係団体の収支報告書をインターネットで公開している県、それからしていない都道府県、これがまちまちでして、国会議員関係団体の登録は、総務省にしている場合もありますし、各都道府県の選管にしていますので、収支報告書は、それぞれ届け出たところにするわけですけれども、調べたところ、四十七都道府県のうち、恐らく二十八だけがネットで国会議員関係団体の収支報告書の公開をしています。ネットで公開していない県は、資料請求をするわけですけれども、一枚十円コピー代がかかりますですとか、経費もかかって、それでやっと見られるわけでございます。

 この政治とお金の問題の信頼性を高めるために、せめて国会議員関係団体の報告書は、どんな都道府県の選管でも一律に同じ方法、同じレベル、つまりインターネットで公開をするようにするべきだと思うんですが、大臣、御所見を伺えればと思います。

高市国務大臣 総務省における収支報告書のインターネット公表については、e―Japan戦略などに基づき、平成十六年三月、平成十四年分から実施をしております。

 平成十九年十二月に、議員立法によって政治資金規正法が改正されました。収支報告書をインターネットにより公表するときは、官報または都道府県の公報により当該報告書の要旨を公表することを要しないとされ、行政庁側の事務負担の軽減を図ることも可能とされています。

 この採否の判断は都道府県選管に委ねられていますけれども、法改正以降、都道府県選管における収支報告書のインターネット公表は徐々に拡大してきております。平成二十四年分十八団体でございましたが、二十五年に二十一団体、二十六年二十四団体、二十七年二十八団体という形でございます。

 総務省からもお願いをしておりますが、引き続き、インターネット公表の実施に向けた積極的な検討を依頼してまいります。

落合委員 法令の整備はある程度進んだわけです。それで、実際に実施している県もふえていますので、ぜひ高市大臣のリーダーシップでもっともっと加速をしていただければと思います。

 次に、それぞれの選挙管理委員会や総務省で公開したとしましても、一人の国会議員が持っている政治団体というのは複数あることが多いと思います。となると、この国会議員の団体を調べたいとなったときに、何県の選挙管理委員会のを調べればいいのか、また総務省で調べればいいのかわからないというような問題があると思います。

 例えば、私の場合は、民進党の東京六区の支部長であるので、その支部の届け出をしている。それにプラスして、資金管理団体で、みんなで日本を良くする会という団体を設立して、それは東京都の選挙管理委員会に届けております。

 団体の名前だけでは、誰々議員の団体というふうに名称だけでは書いていませんので、一目ではわかりづらいという問題もあると思います。場合によってはいろいろ届け出先も違いますので、一覧にして見えるようにした方がいいんじゃないかなとずっと思っていたんですが、総務省が工夫をして、最近、総務省のホームページで、現職国会議員の国会議員関係団体一覧というのを出すようになりました。これは、二千以上の団体が、あいうえお順で国会議員の名前ごとに、それぞれ、この国会議員が代表している政治団体、国会議員関係団体は何だというふうに公表をしているわけでございます。

 今、一覧で総務省のホームページで関係団体の名前は見えるようになったわけですから、そこからもう一歩踏み込んで、その団体の名前をクリックすると収支報告も見えるというふうに、ワンストップで見えるようにする、これも重要なことだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

冨樫大臣政務官 落合委員の御理解しているとおりでありますけれども、総務省及び都道府県選管においては、政治団体の活動区域に応じ、それぞれ政治資金規正法令に基づき政治団体から提出された収支報告書について、同法令に基づいて公表しているところであります。

 その上で、さらに政治資金の透明性を確保するための制度を議論することは重要であると考えております。

 一方で、政治資金に関することであり、各政党、各政治団体の政治活動の自由とも密接に関連していることから、各党各会派で十分に議論していただきたいと考えておるところであります。

 以上です。

落合委員 そもそも単体では、インターネット上で公表している県が半分以上ですので、少し工夫をしていけばできる問題だと思います。

 問題なのは、公表している都道府県としていない都道府県があるのと同時に、さらに調べていくと、収支報告書のフォーマット、様式がそれぞれの都道府県によってちょっとだけ違う、同じフォーマットで提出していない。

 これは、何らかの問題があって、少しずつ微調整しているうちに各都道府県ばらばらになっていっちゃったんでしょうけれども、そういう報告の様式がばらばらであるということは、また、例えば、間違いが少なくなるように会計ソフトなどを取り入れている事務所は多いでしょうけれども、届け出る総務省ですとか都道府県によってフォーマットが違うと、ソフトの開発もお金がかかってしまうわけでございます。

 そういった意味で、記載事項はもう法令ですとか省令で統一されているわけですから、実際に提出する紙の書き方もIT化等に合わせて統一するという方向に、これは運用面でできると思うんですけれども、持っていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 収支報告書の様式につきましては、政治資金規正法の第十二条一項に定める項目について、施行規則の第十四号様式で様式を定めております。

 ただ、委員御指摘のとおり、都道府県選挙管理委員会において、むしろ収支報告書を記載しやすくするようなコメント、それから留意事項、あるいは丸つけ方式にするなどの工夫が見られるために、ちょっとずれてきているというふうなことも事実でございます。

 統一した方がよいというような御指摘でございますけれども、政治資金の会計処理が大体電子的に行われてきていることもございますので、都道府県によりそれぞれ、表計算ソフトを公開したり、あるいは民間のソフト、そのまま印刷したりするようなこともありますので、むしろ統一することは混乱を生むのではないかという懸念がちょっとあるところでございます。

 それから、総務省としては収支報告書用の作成ソフトを今公開しておりまして、これが大分普及してきているとは思いますけれども、これの利用によって結果的に統一されていけばいいかなというふうなことで考えておるところでございます。

落合委員 そもそも、丸をつければいいようにしたというのは、手書きのことを前提として、そうやって様式がそれぞれの都道府県で変化をしていったんだと思います。そういうふうに、書き方が違う上で、それぞれの県でIT化したがために、それぞれの県に合わせたソフトを開発しなきゃいけない。これは、だんだんと様式を統一していくのがさらに難しくなっていってしまう。なので、これ以上もっとIT化が進む前に、やはりばしっとやらなければいけない、いつかやらなければいけない問題だと思います。

 総務省の音頭で、十年以上前から、そもそも確定申告でいう電子申告のような形で報告書の提出もできるようになって、各都道府県はそれも始めているわけです。今おっしゃったように、それぞれフォーマットは各都道府県でつくっているわけですけれども、それぞれの都道府県で電子申告のような形での利用率というのは低いと聞いていますが、これは実際に利用率、利用数、どのような感じなんでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年分の収支報告書につきまして、電子情報処理組織の使用の前提となります、総務省がホームページで提供している、先ほど申しましたけれども収支報告書作成ソフト、これを使用している団体は、統計がとれるのは総務大臣届け出の全国会議員関係政治団体でございます七百三十八団体でございますが、このうち五百三十四団体でありまして、全団体に占める割合は七二・四%と、ソフトの使用自体は大分上がってきているということでございます。

 しかしながら、多くの団体はそれを出力して紙ベースで提出いただいているということになっておりまして、電子情報処理組織を使用して提出いただいている団体は十一団体ということで、先ほどの七百三十八団体に占める割合は一・五%となっております。

落合委員 それなりにお金を使って開発して、十年以上たって一・五%というような状況なんです。

 これもやはり、前に戻りますが、フォーマットを統一して、そうすることでソフトの開発も進んで、それで電子申告も進んでいくというような流れができていくと思いますが、政府として、この利用数、利用率が低い原因をどのように考えているか、またその対策はとっているんでしょうか、お聞かせください。

冨樫大臣政務官 収支報告書を電子情報処理組織を使用して提出していない、団体の割合が低い原因としては、窓口ヒアリングによると、紙による提出になれており、また、記載について窓口で質問も可能なため提出方法を変えたくないという話が出ています。また、申請手続が面倒であるといった理由があるとも承知をしております。

 これまでも総務省は、オンラインシステムについて、総務省ホームページ等において周知するなど、オンラインシステムの利用促進に向けた取り組みを実施してきたところであります。

 今後も、政治団体に対し、オンライン提出のメリットを周知するなど、さまざまな機会を捉えてオンライン提出率の向上に努めてまいりたいと考えております。

落合委員 確定申告をするときも、会場に行って、端末がその会場にあって、教えてもらいながら入力したりもできるようになってきました。恐らく、何で進んだかというと、その後の行政側の処理も、オンラインの端末で入力してくれていて電子情報でもらった方がやりやすいからであると思います。そういったメリットも、電子化、オンライン化していく上であると思います。

 そもそも、手書きを前提にしているからこそ、国会議員関係団体の収支は、十二月末で締めますけれども、公表は十一月一日からですか、になるわけで、十カ月以上かかってやっと公表されるというのが今の現状でございます。

 政治とお金の信頼性を高めていくためには、電子化を進めることで公表までの時間も短縮していく、なるべく早く前年度の収支報告書が公表できるようにするという点で、これは重要な問題だと思います。

 都道府県で様式を合わせていくこと、それからネットで公開していくこと、それから電子申告を進めていくこと、これは重要な問題であり、法整備はもうある程度進んでいますので、あとはやはり大臣初め皆様の音頭のとり方、熱の入れようだと思いますので、ぜひ前向きにやっていただければと思います。

 それでは次に、政治資金の収支報告に関連しまして、国会議員自身が代表者を務める団体の寄附に対する寄附金控除の問題についてでございます。

 これはもう何年もいろいろと問題で出てきていることでございますけれども、私自身も、自分が代表者である団体への寄附は、寄附金控除の申請はやっていません。これは、私なりには、政治団体の資金の使い道というのは代表者の意思が通りやすいという実態から、一般的な寄附には当たらないというふうに私自身は考えるわけでございます。

 いろいろと、記事ですとか、国会での議事録も調べてみますと、直近では東京新聞、例えば、三月十八日に記事にしていまして、ここで各党に東京新聞の記者が聞いていまして、例えば自民党では、内規では定めていないが、国会議員に対し控除を受けないように指導しているというふうに答えていまして、民進党は民主党時代、控除を禁じる通達を所属議員に出したというような形で、寄附金控除の申請はしないようにしようというような姿勢が、各党そういった答えをしているわけです。

 税制の面で、まず財務省に伺いますけれども、国会議員自身がみずから代表者を務める団体への寄附に対して、その寄附した国会議員に対して税金を控除する、してもらう、これはどのように考えているんでしょうか。

矢野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘に関して申し上げさせていただきますと、政治献金のあり方につきましては公党間で御議論をされるべきものと考えてございまして、関連する税制につきましても、政治献金のあり方の御議論の中で取り扱われるべきものと考えております。

落合委員 現状は違法ではないというか、脱税ではないという見解でよろしいですか。

矢野政府参考人 そのとおりでございます。

落合委員 これは政治の側の問題でもありますので、大臣にも伺いたいと思いますが、議事録を調べていたら大臣のことも載っていて、まあ、これはきょうは取り上げませんので。総務大臣ですから、選挙制度や政治資金の問題を取り扱っている、所管している大臣である。それから、与党の要職も今まで務められてきましたので、発言力がある立場であると思います。

 そういう立場から、国会議員が代表者を務める団体への寄附に対して、控除していいのかどうか、御見解を伺えればと思います。

高市国務大臣 まず、政党支部でございますが、それぞれの政党によって支部の活動の態様は違うんだろうと思います。

 政党支部は政党の一分枝でございますから、支部の支部長となっている者だけの活動をサポートするところではございません。例えばでわかりやすく申し上げますと、私が今、奈良県第二選挙区支部というところの支部長を自民党で務めさせていただいておりますが、支部の地域内に今で八つの市町村支部がございます。毎年そこに交付金を出しておりますので、相当部分、他の活動に使っていると考えます。これは、政党によって活動の態様がまず違うだろうということを感じます。

 それから、現行の政治資金規正法及び租税特別措置法上の問題は生じないということでございます。

 その上で申し上げましたら、政党支部への寄附に係る寄附金控除というのは、これは政党活動の自由にかかわる問題でございますから、私ども総務省の方から寄附金控除の自粛などの是非について申し上げるということは適当じゃないと思います。

 先ほど委員が例として挙げていただきましたので、余り大臣の立場で政党のことは申し上げないようにはしているんですが、自民党では、ことしの二月だったと思いますが、各都道府県連に対して、地方議員などへの周知を目的にということで、自粛を求める紙が配付されたと承知しています。

 これは、各党各会派で、政党活動の自由をどう考えるか、そしてまた租税特別措置法の改正なども含めてどう考えるかということになるかと思いますので、御議論いただいて、了解が得られた場合には、それで大変結構なことではないかと思います。

落合委員 私が調べた範囲では、寄附金控除やっていいんじゃないかと言っている政党は、前向きな政党は見当たりませんでしたので、これは国会全体で合意できる問題だと思っています。

 違法ではないというような財務省の見解ではございますけれども、いろいろと具体的な例を見てみると、意識的なんじゃないかと思われても仕方ないようなことも多々出てきているわけですので、ぜひ、国会議員の公人としての行動を、全政党で合意してそれで一つの行動をしていくべきだということを、今回、問題提起としてさせていただければと思います。

 それでは、通常国会、毎年、細かい部分で公職選挙法の改正というのをいろいろな点で行っております。実際に改善していくことは大変重要だと思います。

 昨年はそれなりに大きな改正がありまして、共通投票所というものの設置ができるようになりました。昨年の夏、その後参議院選挙がありましたので、この参議院選挙での共通投票所の実施状況、それから、あわせまして、この実施に関連して何か問題は起こったのかどうか、お聞かせいただければと思います。

冨樫大臣政務官 まず、共通投票所の設置状況についてお話をさせていただきます。先般の参議院選で共通投票所を設置したのは四団体であります。

 また、問題は生じなかったのかというようなお話もありました。共通投票所の設置、運営に当たっては、問題が生じたとの報告は聞いておりません。

 なお、共通投票所の設置は有権者の投票機会の確保につながるものであり、総務省としては、今後も、個別の団体からの相談にきめ細かく応じ、しっかりと支援してまいりたいと考えております。

落合委員 法令も整備がされましたので、実際にどうやって運用されるのか、これがこれから重要な問題になってくると思います。私もこの点は注視をさせていただければと思います。

 昨年、共通投票所に加えまして、投票時間の弾力化もさらにやっていくということで、変更がありました。この実施状況と、それから、特に投票時間の変更は混乱が生じるという意見もあったわけですけれども、実際に問題が起きたのかどうか、お聞かせいただければと思います。

冨樫大臣政務官 実施状況についてお話をさせていただきます。先般の参院選で期日前投票の投票時間の弾力化を行った団体は六十三団体で、七十三カ所の期日前投票所で行われました。

 そして、問題は生じなかったのかという質問であります。期日前投票時間の弾力的な設定に当たり、具体的な問題が生じたとの報告は聞いておりませんが、期日前投票時間の延長により、投票管理者等の従事時間が最大午前六時半から午後十時まで十五時間三十分となることから、その健康上の問題を考慮する必要があるとの指摘もあったと承知しております。

 なお、投票時間の弾力的な設定は、各選管において投票者の投票が見込まれる時間帯を把握するなど、地域の実情を踏まえた上で、投票の利便性向上に資することが重要であり、今後も個別の団体からの相談にきめ細かく応じ、しっかりと支援してまいりたいと考えております。

 以上です。

落合委員 こういった問題も国民の政治参加を促していく上では重要だと思いますので、私もこれからも注視をさせていただきたいと思います。

 本日は、ありがとうございました。

竹本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、政治資金の問題について質問をいたします。

 最初に、大臣に確認をしたいんですが、政治資金規正法の二つの柱であります政治資金の収支の公開と授受の規正、その目的について御説明いただきたいと思います。

高市国務大臣 政治資金規正法は、第一条「目的」において、政治活動が国民の不断の監視と批判のもとに行われるようにするため、政治資金の収支の公開及び政治資金の授受の規正等の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とすると定めています。

塩川委員 政治資金の収支を国民の不断の監視と批判のもとに置くことで、民主主義の健全な発展につながるということであります。政治資金の公開というのが極めて重要、大前提となるわけであります。

 そのために幾つか数字を確認したいのですが、政界全体の政治資金収入のうち、企業・団体献金の額と政治資金パーティーの収入額、この二つについて、それぞれ幾らかを御説明ください。

大泉政府参考人 まず、政界全体の政治資金収入、支出額ということでございました。

 これは、現在公表している平成二十七年分の政治資金収支報告書においては、総務大臣分、都道府県選管分を合わせまして、収入は二千二百八十六億三千八百万、支出の総額は二千二百十一億五千五百万円でございます。

 収入のうち、法人その他の団体からの寄附額は、総務大臣分それから都道府県選管分を合わせまして九十億百万円でございます。

 政治資金パーティーの収入額は、これも合わせまして百八十六億七千百万円でございます。

塩川委員 総額の方はいろいろダブり感もあるんだと思うんですけれども、法人その他団体からの寄附、いわゆる企業・団体献金が九十億余り、政治資金パーティーの収入が百八十六億円を超えているということです。

 この中で一番大きな額を占めるのが自民党ですが、自民党全体の企業・団体献金額が幾らになるのかをお示しください。

大泉政府参考人 自由民主党が受けました法人その他団体からの寄附金額、これも総務大臣届け出分と都道府県選管分を合わせまして五十八億三百万円となっております。

塩川委員 全体の三分の二が自民党ということになっています。

 加えて、自民党の政治資金団体である国民政治協会への企業・団体献金額は幾らになるでしょうか。(大泉政府参考人「失礼しました」と呼ぶ)

竹本委員長 大泉選挙部長、呼び出してから言ってください。

大泉政府参考人 済みません。

 一般財団法人国民政治協会が受けた法人その他の団体からの寄附総額は、平成二十七年分で二十二億九千五百万円となっております。

塩川委員 自民党本部、支部プラス国民政治協会の合計で、二〇一五年は自民党全体で企業、団体から八十一億円もの献金を受けているということであります。大半が自民党ということになるわけです。私、昨年のこの委員会でも確認をしましたが、自民党が政権復帰した二〇一二年と比べてみると、国民政治協会への企業・団体献金というのは一・七倍にもふえているわけであります。

 そこで、総務省にお尋ねをいたしますが、その寄附のうち、メガバンク、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行の寄附した日付と金額が幾らになるのかについてお答えください。

大泉政府参考人 一般財団法人国民政治協会の収支報告書によりますと、その寄附のうち、株式会社みずほフィナンシャルグループからは二千万円、二十七年の十二月二十一日付で受けております。株式会社三井住友銀行からは二千万円、十二月二十五日付。それから、株式会社三菱東京UFJ銀行からは二千万円、十二月二十八日付で受けたとの記載でございます。

塩川委員 三大メガバンクからそれぞれ二千万円というので、年末、クリスマスの時期に振り込まれたということでありますが、銀行業界は、不良債権処理のために国民の税金である公的資金が投入されたことを受けて、一九九八年から献金を自粛してきたわけであります。それが、日本経団連の呼びかけに応じて、十八年ぶりに政治献金を再開したわけです。

 企業献金というのはそもそも見返りを求める賄賂性があるものであって、その中でも、預金者のお金を原資に成り立つ公共性の高い銀行が政治献金をすることは、とりわけ問題が多いと言わざるを得ません。

 私は、昨年十月の質問時にも三大メガバンクの一五年末の献金再開について指摘をしましたが、そのときにはこの一五年分の収支報告書は公表されていませんでした。

 確認ですけれども、二〇一五年分の収支報告書が公表されたのはいつでしょうか。

大泉政府参考人 二〇一五年分、平成二十七年分の総務大臣届け出分の収支報告書が公表された日は、平成二十八年十一月二十五日でございました。

塩川委員 平成二十七年の十二月の末の寄附、この数字が収支報告書で公表されるのは、それから十一カ月たった平成二十八年、二〇一六年の十一月の二十五日ということで、非常に間があいているわけであります。

 以前は収支報告書の公開は十一月末ではなくて九月末だったと思いますけれども、収支報告書の公開が十一月になったというのはどういう理由だったんでしょうか。

大泉政府参考人 収支報告書の公開について、もともと期限の規定はございませんでしたが、平成十八年改正に基づきまして、九月末までというふうに一旦なりました。

 さらに、平成十九年の政治資金規正法改正によりまして、国会議員関係政治団体の制度が創設されまして、収支報告の範囲が拡大されるとともに、政治資金監査が義務づけられました。収支報告書の提出期限がこの監査のために二カ月延長されまして、三月三十一日から五月三十一日となりました。これに伴いまして、この要旨の公表の期限も九月末から十一月末へと移動したと承知しております。

塩川委員 国会議員関係政治団体ができたことで事務量がふえたという話でありますけれども、でも、全ての政治団体のうち国会議員の政治団体の数というのは非常に一部だと思います。全ての政治団体数と国会議員関係政治団体数について、幾つなのか、お答えください。

大泉政府参考人 平成二十七年分の収支報告の公表時点での総務大臣届け出分の政治団体数は三千四百四十八団体、うち国会議員関係政治団体は八百九団体となっております。

 合計は、都道府県分と合わせまして六万四千二百九十七団体ございますが、国会議員関係政治団体数は三千七十六団体となっております。

塩川委員 六万を超える団体に対して国会議員関係政治団体が三千余りですから、五%にもならないわけです。

 大臣、お尋ねしますけれども、こういうように、本来、こういう政治資金について公開をすることによって国民の批判のもとに置く、それがまさに政治資金規正法の目的であるわけですけれども、その公開の期間が二カ月おくれてしまったという点について、やはり改めるべきことだと考えます。

 国会議員関係政治団体ができたことで事務量がふえたと言いますけれども、全ての政治団体のうちの五%にすぎませんし、しかも、国会議員の関係政治団体については登録監査人によって監査済みの報告書を提出しているわけですから、いわばそのまま公表すればいいわけで、公開期間をおくらせる理由にはならないと思います。

 ですから、二カ月おくらせるようなことは改めるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 しかしながら、これまで政治資金規正法の改正によって、収支報告の範囲が拡大され、また政治資金監査が義務づけられたということから提出期限が二カ月延長され、これに伴って収支報告書の公表の期限が二カ月また遅くなったということでございます。

 今後、事務の効率化等を進めていける範囲というのはあるかと思いますけれども、現時点で、これは法に基づいてしっかりと、各党各会派の御議論の中で法改正も行われ、そしてまた、国民の皆様の疑惑を招くことのないよう、政治資金等の透明性をきちんと図っていくということに留意された上で決まっているルールでございますので、今、適切にこれは運用されていると私は考えております。

塩川委員 公開の期限をおくらせることがないように改善を図る、事務の効率化という話もありましたけれども、そういう見地で取り組むことが国民との関係でも極めて重要だということを申し上げておきたいと思います。

 あと、政治資金監査の話がありましたが、それは私自身非常に問題がある仕組みだと思っておりますので、若干ちょっと後で議論しようと思いますけれども、公開の問題について続けてお聞きをいたします。

 政治資金収支報告書は、総務省だけではなく、全国の都道府県選挙管理委員会への届け出もあることから、各選管での公開も一律となっていなければ、政治資金の全体像を確認することは難しいと思います。

 そこで、総務省に確認をいたします。

 インターネット公開の話と要旨の作成のところですけれども、全国の都道府県選管で収支報告書そのものをインターネット公開しているのはどこなのか、その中で収支報告書の要旨を作成していないのはどこか、いつからこのような事態になったのか。この点について、都道府県名も挙げていただきたいと思うんですけれども、お答えください。

大泉政府参考人 平成二十七年分の収支報告書について、収支報告書そのものをインターネットで公開しているのは、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、岐阜県、静岡県、愛知県、大阪府、奈良県、和歌山県、鳥取県、岡山県、徳島県、香川県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、沖縄県の二十八都府県の選管でございます。

 そのうち、要旨公表を取りやめているのは、山形県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、富山県、岐阜県、愛知県、大阪府、奈良県、和歌山県、鳥取県、岡山県、徳島県、香川県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県、沖縄県の二十一府県でございます。

 この取りやめたということでございますが、平成十九年に、政治資金規正法の改正により、収支報告書をインターネットの利用その他の方法により公表するときは、官報または都道府県の公報により当該報告書の要旨を公表することを要しないという改正が行われましたことから、このように行われております。

 この理由でございますが、国会議員関係政治団体の制度の創設によりまして、行政庁側の事務負担の増大問題への対策の一つとして、従来どおりの要旨の公表とインターネットによる収支報告書の公表の選択制とすることによりまして、実情に応じた行政コストの削減を可能にするということであったと思います。

塩川委員 二〇〇七年の法改正のときに、今言ったように、インターネットの報告書の公表の場合に要旨の公表をすることを要しないという、選択制という話がありました。事務負担の増大に対応するということですけれども、それが結果として国民への公表を後退させるような形になってはならないということが大もとに据えられなければいけません。

 二〇〇七年の改定時には、各党協議では、この要旨の公表を取りやめるという話は話題にも上っていなかったんですよ。その際にこの規定が入れられた。

 当時の委員会の質疑で我が党の佐々木憲昭議員が問題にしましたが、そのときは要旨を作成していないという都道府県は数県であったのに、今は二十一府県へと大きくふえているわけです。

 要旨があれば、三年間の閲覧公開期間を超えて収支を知りたい場合に、官報や県報などに載っている要旨を使うことで概略を把握することができたわけであります。しかし、要旨を作成しないと、こういう保存期間、閲覧期間を過ぎた報告書は何も残らないということになってしまうわけで、政治資金の収支の痕跡そのものが消えてしまうということになります。これはやはり、国民への公開ということを考えても、明確な後退だと言わざるを得ないと思うんですが、その点はどうですか。

大泉政府参考人 これは、平成十九年の、各党協議の後で成立しました政治資金規正法の改正により定められたことですので、それに従っているということでございます。

塩川委員 佐々木議員の当時の何回にもわたるような実務者の検討会の話なんかも聞きましたけれども、各党からそういう要望なんか出ていないんですよ。事務方の総務省の方から出てきたものがこっそり入っているような経緯というのが実態であって、私、これはおかしいと言わざるを得ません。

 大臣、伺いますけれども、当時の増田大臣は、現在の官報による要旨の公表、それが持っている意義ということもある、つまり、要旨の公表の意義があるということを言い、それがなくなった場合の影響や事務量というものも勘案する必要があるが、そうしたことを勘案しながらこの点について検討したいと述べていたわけです。

 私は、法の趣旨からいっても、インターネットでの公表もやり、要旨も作成をするということが当然必要だと思いますけれども、大臣としてのお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 国会議員関係政治団体の制度の創設による行政庁側の事務負担等の増大問題への対応策の一つとして、従来どおりの要旨の公表とインターネットによる収支報告書の公表の選択制とすることによって、実情に応じた行政コストの削減を可能としたということでございます。先ほど答弁があったとおりです。

塩川委員 ですから、本来はさかのぼってそのポイントだけでもつかめるということが、できなくなったというところが問題なわけであって、インターネットでの公開はいいんですよ。しかし、それは閲覧期間が三年という形で切れてしまう。そういう中で、要旨をきちっと作成するということが、国民に対して、まさに国民の目にさらすことによってこの政治資金規正のあり方をきちんと規制していく、このことが後退していると言わざるを得ません。

 こういった要旨の作成を求めたいということと同時に、そもそも、収支報告書そのものを公開期間の三年を超えてインターネット公開するということは可能だと思うんですよね。そこは考えないんでしょうか。そもそも消す必要がないんだから。事務負担量なんかは、消す事務負担量がなくなるぐらいなわけですから。そういう点でいえば、インターネット公開を、三年という区切りじゃなくて、それを引き続きそのまま載せておく、これはすぐできることなんじゃないでしょうか。こういう対策を行うことをお考えになりませんか。

大泉政府参考人 これも、政治資金規正法上、公表の日から三年間、収支報告書を公開するということになっておりますので、その法律に従って、ある意味、三年間ということで決まっておりますので、そこまでは公開しますが、それ以降は公開していないということとしております。

塩川委員 では、何で三年で公開しないとしていたんですか。

大泉政府参考人 それは、行政の負担、それから国民への公開、そのバランスで決まったものと考えております。

塩川委員 国民への公開であれば、三年で消す必要がないし、行政の事務負担というのであれば、インターネット上でもう掲載されているものなんですから、消す方が事務負担がふえるわけで、そのまま残しておけばいいじゃないですか。

 大臣、いかがですか。これはすぐできるんじゃないですか。

高市国務大臣 収支報告書ですとか使途等報告書の公開などにつきましては、各党各会派の御議論の中で、憲法で保障された政治団体の政治活動の自由を確保するということと、それから国民の皆様の疑惑を招くことのないように、政治資金等の透明性をきちっと図っていくということのバランスをとりながら、現在の仕組みになっていると思っております。

 各党各会派で御議論をまず賜れれば幸いに存じます。

塩川委員 いや、政治活動の中に口出しをするような、政治活動の自由を侵害するような話ではなくて、こういった公開を通じて国民の前に、まさに信頼を確保する、国民そのものが監視をするというスキームなんですから、まさに国民の監視のもとにさらしていくというその規正法の趣旨にのっとって言えば、三年で公開をやめるということは道理がないし、事務負担なんかも発生しないんですから、これはやはりしっかり考えるべきじゃないかと思うんですが。もう一回。

高市国務大臣 委員の御意見として承らせていただきます。

塩川委員 当然、総務省としても真剣に受けとめてもらいたいと思いますし、各会派においても、ぜひこういう点での御努力を求めていきたいと思っております。

 あわせて、税金が原資であります政党助成金の公開がどうなっているのかということであります。

 総務省、お尋ねしますが、政党助成制度の使途等報告書において、幾ら以上の支出について記載することになっているのか、政治資金の収支報告書との違いは何か、この点について説明してください。

大泉政府参考人 政党助成法に基づく政党交付金使途等報告書におきましては、人件費、光熱水費を除く全ての項目で一件五万円以上の個別の支出について報告しなければならないとされております。

 一方、政治資金規正法におきましては、国会議員関係政治団体及び資金管理団体以外の政治団体につきましては、政治活動費について一件五万円以上の支出の明細を記載することとされております。

 なお、資金管理団体につきましては、平成二十年分の収支報告書以降は、人件費以外の経常経費及び政治活動費につきまして一件五万円以上の支出の明細を記載することとされております。

 また、国会議員関係政治団体につきましては、平成二十一年分の収支報告書から、人件費以外の経常経費及び政治活動費につきまして一件一万円を超える支出の明細を記載することとされております。

塩川委員 今答弁にありましたように、政党交付金の使途等報告書は五万円以上なんです、もちろん、案件の違いがありますけれども。一方で、国会議員関係政治団体が一万円超になっているわけです。そういう点でも差ができているということがあります。

 使途等報告書というのは、インターネット公開されているんでしょうか。印刷、保存ができるのか。この点で、政治資金の収支報告書との違いについて説明してください。

大泉政府参考人 使途等報告書につきましてでございますが、総務省においては、e―Japan戦略に基づきまして、平成十六年三月から実施しているところでございます。

 ただし、政党助成法三十二条四項及び五項におきまして、使途等報告書につきましては閲覧のみが規定されておりまして、使途等報告書の写しの交付については規定がございません。それまでの解釈から見まして、インターネットでは印刷することはできないということとなっております。

 一方、政治資金収支報告書でございますが、これは、平成十九年十二月の政治資金規正法改正によりまして、これまでの閲覧に加えまして、写しの交付も認められたということでございましたので、これに基づきましてインターネットでの印刷が可能になったということでございます。

塩川委員 今答弁にありましたように、差が出ているんですよね。この議論を行った当時の各党協議では、政党助成金は税金を原資にしているんだから全面公開しようという方向で議論されていたんですが、土壇場になって対象から外された。

 この間の改正を踏まえると、国会議員関係政治団体の政治資金は一万円超の報告義務になったのに、政党助成金の方は五万円以上のままであります。ネット公開についても、政治資金の方は複写、印刷ができますが、政党助成金の方はいまだに閲覧しかできない。税金が原資である政党助成金の方が公開水準が低い。これは大臣、おかしいんじゃないでしょうか。

高市国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、収支報告書や使途等報告書の公開ですとか政治資金の規制などにつきましては、各党各会派の御議論の中で、憲法で保障された政治団体の政治活動の自由を確保することと、国民の皆様の疑惑を招くことがないよう、政治資金の透明性をきちんと図っていくことのバランスをとりながら、今の仕組みとなっていると存じます。

 さらに政治資金などの透明性を確保するための制度を御議論いただくということは重要だと考えておりますが、一方で、政治資金や政党交付金に関することでございます。各政党、各政治団体の政治活動の自由にも密接に関連することから、各党各会派で十分御議論いただきたいと思っております。

塩川委員 政治資金収支報告書は、先ほど述べたように、公開時期がおくらせられたことや、要旨をつくらなくなったということだけではありません。二〇〇六年の法改定で、要旨が公表される前に情報公開法に基づいた開示請求があったとしても、開示できないという条項を加えた。それまでは、要旨公表前であっても各選管の判断で情報公開に応じる選管が四十二府県あったものが、それをできなくしてしまったわけであります。二〇〇六年と二〇〇七年の改定で、国民の目から収支報告書を十一月末まで隠したということになっているわけです。

 冒頭確認しましたように、政治資金規正法は、収支の公開によって政治活動を国民の不断の監視と批判のもとに置くことになっていますが、この法の趣旨から見ても、後退していると言わざるを得ません。

 政治資金の収支は、そのまま速やかに公開すればいいのであって、アメリカでは、報告書の受領後四十八時間以内にネットで公開をする、イギリスは、提出期限から二十開庁日以内にネット公開をしている。日本では、例えばことしの一月の政治資金の動きが、来年の十一月末まで約二年間公開されない。余りにも公開が遅いと言わざるを得ません。

 そして、政治と金をめぐる重要な問題は、入りの問題であります。企業・団体献金の全面禁止、政党助成制度の廃止が国民の政治不信を払拭する上で不可欠だということを求めて、政治資金の公開のあり方を改めることを強く求めて、質問を終わります。

竹本委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いをいたします。

 本日は、投票機会の拡充について質問をしていきたいと思います。

 最初に、以前にもこの委員会で質問をさせていただきました。高校、大学で投票できるようにする整備を、前回、参議院の選挙の前にした、できるようになっているということで、その結果、ほとんどの学校が国公立でしたけれども、大学内に投票所をつくるということをやっておられました。

 そのときも指摘をしましたけれども、要は、その大学が所在している当該市町村の選挙を、住民票を持っている人しか投票ができない。結局は、投票できる人が非常に限定的な中で投票所を開所したということになるんですね。

 そもそも、投票機会の拡充をするためにそういうことをしたわけだから、本来、その大学に通っている有権者がみんな投票できるようになったら一番、僕はそういう姿を想像していたんですけれども、実際に確認をしていけばそうじゃなかったということで、そのときもその委員会でも、問題はどこにあるのかということは指摘をしましたし、何とか改善できるように、どういった点があるかとか検討してやってくださいよということを言わせていただきました。

 その後、何かその議論というか、進展はあったんでしょうか。まずお聞かせください。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 期日前投票所はどういうところに置けるかということでございますが、市町村の選挙管理委員会が、選挙人の便宜を考慮して、最も適切な施設を選定して設けるということでございまして、その場合、投票の秘密や公正を確保するというようなことでございます。また、二重投票の防止の措置を講じるということでございます。

 今のような場所、設備が要件を満たしておりまして、またあらかじめその場所を告示できれば、大学内に置くことは可能でございます。

 また、そこの市町村の域外にある大学においても、期日前投票所を置くことは禁止されておりませんので、それは需要などを考えまして市町村の判断で域外設置をしまして、多くの人、学生に投票してもらうということは可能なことは可能でございます。

 ただ、期日前投票は、投票箱に直接入れる投票方式でございますので、選挙区あるいは市町村が違いますと別な投票箱に入れるわけにはいかないということでございますので、それぞれ設置しなきゃいけない、そういうようなことがございます。

 ただ、大学とは限りませんけれども、例えば政令市の幾つかの区をまとめて、期日前投票所を利便性の高い場所に、投票箱が幾つか並ぶわけでございますが、そういう例はあると承知しているところでございます。

浦野委員 ここできょう一番最初に質問された篠原先生の住民票の話がまた絡んでくるんですけれども、すごくタイムリーな話で、僕もずっと集中して聞かせていただいたんですけれども、篠原委員もおっしゃっていましたけれども、大学生なんかは特に、六割ぐらいが結局住民票を移していないということをおっしゃっていました。

 私も、学生の皆さんが真面目に住民票をちゃんと移しているかと言われると、実態的にはもっと低いんじゃないかなとちょっと思ったんですけれども、きのう総務省の方に来ていただいて、その話をして、皆さんはどうでしたかと聞くと、総務省のお二方はやはり真面目なんですね、ちゃんと住民票を移しているんですね、大学のときに。ああ、すごい、やはり真面目な人がこういうところに就職して、ちゃんと仕事をすんねんなと思いました。変な感心をしました。

 でも、やはり篠原委員がおっしゃったみたいに、地元にそういう愛着もあって、わざと住民票を移していない学生もたくさんいるのが事実なんですね。実際はそういうことになっているんですよ。

 選挙にやはり関心のある若い人たちは、自分が住んでいた地域の選挙に投票したいという思いはもちろんあるでしょう。今行っている大学の場所なんて今たまたまいてるだけで、そこの政治家に興味があるかというと、私はそんなに直接自分たちには関係ないと思っていると思うんですね。やはり、地元の人たち、地元のこれからのことを考えてみんな投票している、真面目な学生が多いんじゃないかなと思うんですね。だから、きょうの一つ目の住民票に関する議論は、本当にどういうふうにしていくかというのを、議論をこれからしていっていただけたらなと思うんですね。

 私のきょうの質問の内容はちょっとまた違う面ですけれども、例えば、大学と下宿先が違う市町村でとなると、それだけで投票できない。実際、住民票を移していても、自分が住んでいるところの人の投票は、大学では期日前投票ではできないということですよね。

大泉政府参考人 住所を移している方でも、住所地と大学のある投票地が違いますので、その市町村外からの有権者でございますので、期日前投票は大学ではできないということになります。

浦野委員 だから、本当に限定的にしか投票できないんですよね。大学の所在地と同じ市町村の住民票を持っている学生しか、結局は投票できない。

 大学なんて本当に至るところから学生が来ますし、下宿先も至るところにあると思うんですね。私なんかは、大学生のときは二時間半かけて大学に通っていましたから。大阪の南部から兵庫県の西宮というところ。西宮のちょっと山手の方でしたので。学生生活、中学、高校、大学、中学は私は剣道部で、朝練とかでも早く行っていましたけれども、それと同じぐらいの時間に起きないと一時間目の授業に大学は間に合わないという、何で大学生になってまでこんなはよ起きなあかんねんと思いながら通った記憶があるんですけれども、そういう距離ぐらいやったら大学生は通ったりとかするわけですね。

 住民票がある地域のところの選挙にしか投票できない、それは確かに総務省の理論的にはそうなんでしょうけれども、私は、だからこそ、投票機会を拡大する意味でも、やはり、前回の委員会のときにも言いましたけれども、ネットで投票できるようにするというのが一番近道だと思うんですね。

 我々、参議院でも、スマホで投票できるようにする法案を提出させていただいていますけれども、ネットというのは、要は、ITというのは長所は何かというと、物理的な距離を縮めるというのがやはり最大の利点なんですね。次の質問にも係ってきますけれども、投票所になかなか行けない、物理的な距離もあって、住民票の関係もあって行けない、でも選挙権を行使したい、投票したいという方にとっては、やはりネット投票というのは非常に大きな意味を持つと思います。

 実際、この次の質問ですけれども、皆さんに配らせていただいております四月六日の東京新聞の朝刊に、「投票所まで行けない、書けない」「消えた有権者」という記事がありました。今、要介護者が六百万人いて、そのうちのもしかしたら二百万人以上、投票したくても結果的に投票できなかったんじゃないかという記事が載っていました。この文章の中に、特別養護老人ホームなどで投票できるようにする制度はもちろんありますけれども、ところが、都道府県の選挙管理委員会がこれは指定するんですけれども、規模が規定に達していないと投票所を開所できないということで、却下をされるところもたくさんあるということなんです。

 規模が規定に達していない、この規模、規定というのは一体どういうものなのかをちょっとお聞かせください。

大泉政府参考人 公職選挙法及び同法施行令におきましては、都道府県の選挙管理委員会が指定する病院や老人ホーム等に入院、入所している選挙人につきましては、当該施設におきまして不在者投票をするということができるとされております。

 これらの施設における不在者投票が、投票の秘密や選挙の公正を確保しながら適切に行われるということが必要でございますので、このためには、人的、物的に相当の規模の施設であることが必要であると考えられます。従来より、都道府県選挙管理委員会の指定に当たりましては、収容人員、人数がおおむね五十人以上という基準を示してまいりました。

 ただ、このおおむね五十人という基準は判断の一つの目安であり、定員五十人未満であっても、これらの施設と同様に不在者投票の適正な管理、執行が確保できると認められる場合には、施設側からの申し出などを踏まえて、都道府県選挙管理委員会がその判断で指定することができるということとしておりまして、その旨、選挙管理委員会にお伝えしているところでございます。

 現在、各選挙管理委員会におかれましては、これらの規定や基準あるいは通知を踏まえまして、適切に運用がなされているものと考えております。

浦野委員 今お聞きいただいたとおりですけれども、これは昭和四十年代にそういったことを決められたということで、確かにその当時のおおむね五十人という規模というのは、その当時は適当だったのかもしれないですけれども、それから特養の数もかなりふえましたし、特養だけじゃなくて、この記事にあるように、要介護の皆さんが入っておられる施設は、今はもう特養だけではありません、いろいろな業態がありますし、そういった皆さんが投票に行きたくても行けないというのを解消するために投票所を設置する制度ができているわけですね。

 そもそも、この規定、僕も一定の規定はあるべきだというふうには思っています。でも、なぜ施設で投票できるようにしたかというと、この記事にもありますように、そもそも、投票所まで行こうと思ったら、家族も含め、施設側も含め、やはり、例えば、歩けないけれども投票に行きたいという方は車に乗せて連れていったりとかする、そういった人手が足りないから連れていけなかったりする。例えば、耳が聞こえない、不自由な方だとかもいらっしゃいます。投票する意思はあるけれども、痴呆症とかで自分の生年月日が言えなかったりとかする人もいてます。

 そういった人たちの投票機会を確保するために、普通の期日前投票とか投票所に行くときに人手不足でできないからこそ、では人手不足でも投票できるように、その施設でやれるようにします、投票できるようにしましょうというのがもともとの前提の話ですから、投票の公平性を確保できるかどうかとか、そういうことはもちろんありますけれども、であるならば、もっとそういう施設で投票できる機会をもう一度ちょっと考え直したらどうかなと。どうやれば、こういった、ここに書いてある皆さんが二百万人ぐらいいてるかもしれないという、二百万人の皆さんが投票できる機会をどうやって確保していくかというのは考えたらいいと思うんですね。

 私、これを総務省に確認したら、実際にどれぐらいいてるのか数字を把握していますかということを聞くと、残念ながら、調査したことがないということなんですね。

 一つ目の大学の投票所の話も、果たして、大学に投票所をつくったことによってどれぐらいの大学生の方が投票に行ったか。これは、大学じゃなくて、高校もたしか投票所を開所したところがあったと思いますけれども、そういった投票機会の拡大をこうやってやりましたけれども、実際こういうふうになっていますよという明確な数字というのは、総務省では把握はされていないんですよね。

大泉政府参考人 個別に、その施設においてどのぐらいあったかというのをまとめたものはなかったと思います。

浦野委員 だから、投票機会を拡充しよう、拡大しようと言うている割には、どれぐらいできましたというのもわからぬとやっているわけですね。多分拡充されるだろうというのでやっているわけですよね。

 この東京新聞の記事が指摘している例えばこの二百万人という数字も、本当はどうか、私もわからないです。これは恐らく東京新聞の方も、これぐらいいてるんじゃないかという推測なわけであって、だから、そういった意味でも、どれぐらいの方の投票の機会を、奪ってしまっているわけじゃないですけれども、結果的には投票行動を抑制する結果になってしまっているというのを、やはり私は総務省としてはしっかりと調べるべきだと思うんですね。

 きょうはこの二つのことを出して言っていますけれども、いろいろほかにも投票機会を拡充する取り組みは、移動投票所だとかそういうことを積極的に今は国もやられているというのはもちろん承知をしておりますので、ぜひ、どうすれば投票機会がふえるか、これは本当にしっかりと、もう永遠の課題かもしれませんけれども、議論をしていただきたいと思うんですね。

 でも、やはり、これは全部ITを活用してネットで投票できるようにしたら、格段と投票率は上がると思うんですね。こういった投票所に行けない人でも、タブレットで投票できるようなシステムを構築すれば、実は、投票ができるようになるんですね。私は、きょうもほかの委員も質問で触れていましたけれども、このネット投票というのはもう真剣に考えるべきだと思うんですね。

 反対している人たちの意見というのは、恐らく個人情報がどうだとか、セキュリティーがどうだとかという話になるんですけれども。残念ながら、それはもちろんセキュリティーは日進月歩で、日々、悪意のある人たちとの戦いですけれども。

 例えば、クレジットカードとか銀行のカードとかを持っていらっしゃる方が大半だと思うんですけれども、セキュリティーでいうたら、もう既にそういうクレジットカードとかを使っていらっしゃる方の大半が、そういう個人情報の漏えいの危機だとかセキュリティーに対する危機だとかがあるけれども、その利便性を享受して使っているわけですよね。恐らく日本人で、今社会人になっている方で、クレジットカードを持っていない、使ったことがないという人はもうほぼほぼいてないと思うんですね。若干、私の知っている人で、国会議員で一人だけクレジットカードを持っていない方がいらっしゃったのでちょっとびっくりしたんですけれども、今まで使ったことないんですかというので、本当にまれな人が確かにいたんですけれども、でも、普通はみんな使っています。

 だから、セキュリティーとかそういうレベルというのは、クレジットカードとかああいうものが実際に使われている世の中で、そこまで心配することかという気持ちはあります。そこは技術的にはもう幾らでもクリアができる世界になっていると思いますので、ぜひ、ネット投票、総務省も、もちろんこれは国会議員の皆さんがお決めになることだという答弁になるとは思いますけれども、ぜひ、もう国を挙げて、ITを活用していくというのはもう国の政策のやはり大きな流れの一つですから、しっかりとこれはやっていってほしいと思うんですね。

 もし、何か答弁があるなら。

大泉政府参考人 失礼します。

 先ほど、個別の投票所の数はないと申し上げましたけれども、前回の参議院選挙におきまして、期日前投票所で大学等で投票した人は二万四千三百七十八人という数字がありました。ただ、委員おっしゃるとおり、どれだけの人が来られていないかという数字についてはちょっと把握をしておりませんのでございます。

 それから、IT関係、インターネット投票でございますけれども、課題といたしましては、委員御指摘のとおり、本人確認の確実な実施、インターネット回線等のセキュリティーの確保、システムダウンやデータ改ざんへの対応、投票の秘密が本当に守られるのかなど、あるいは投票の検証が後からできるのかとか、多くの問題があると考えられます。

 総務省の投票環境の向上研究会でも、この辺、研究をしまして、長期的、今後の課題ではございますけれども、効果が見えやすい分野、在外投票など一部の本当に来られない人などから適用してはどうかというようなアイデアが出ております。報告書でまとめられているところでございます。

 このようなことも踏まえまして、総務省としても検討していきたいと思っております。

浦野委員 ぜひ、投票機会の拡大、拡充につながる、もちろん実際にどういうふうにデータが出ているかというのをしていただくということと、ネット投票をしっかりと議論して、最終的には実現をしていっていただきたいということをお願いして、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

竹本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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