衆議院

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第5号 平成30年7月13日(金曜日)

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平成三十年七月十三日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 岩屋  毅君 理事 鬼木  誠君

   理事 白須賀貴樹君 理事 橋本  岳君

   理事 宮内 秀樹君 理事 森山 浩行君

   理事 吉良 州司君 理事 國重  徹君

   理事 佐藤 茂樹君

      井野 俊郎君    大塚  拓君

      神田  裕君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    坂本 哲志君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    田畑  毅君

      武井 俊輔君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      百武 公親君    星野 剛士君

      本田 太郎君    八木 哲也君

      落合 貴之君    松田  功君

      宮川  伸君    山川百合子君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      山井 和則君    鰐淵 洋子君

      岡田 克也君    塩川 鉄也君

      浦野 靖人君

    …………………………………

   参議院議員        石井 正弘君

   参議院議員        磯崎 仁彦君

   参議院議員        岡田 直樹君

   参議院議員        古賀友一郎君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十三日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     小寺 裕雄君

  小島 敏文君     八木 哲也君

  古賀  篤君     武井 俊輔君

  新谷 正義君     田中 英之君

  藤井比早之君     工藤 彰三君

  古川  康君     杉田 水脈君

  太田 昌孝君     鰐淵 洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     藤井比早之君

  小寺 裕雄君     安藤 高夫君

  杉田 水脈君     古川  康君

  田中 英之君     新谷 正義君

  武井 俊輔君     古賀  篤君

  八木 哲也君     小島 敏文君

  鰐淵 洋子君     太田 昌孝君

同日

 理事國重徹君同日理事辞任につき、その補欠として佐藤茂樹君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

七月十三日

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一七号)


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事國重徹君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に佐藤茂樹君を指名いたします。

     ――――◇―――――

平沢委員長 次に、本日付託になりました参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 発議者より趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員岡田直樹君。

    ―――――――――――――

 公職選挙法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岡田(直)参議院議員 ただいま議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして、自由民主党・こころ及び無所属クラブを代表し、提案の趣旨及び主な内容を御説明申し上げます。

 参議院議員の選挙制度については、平成二十七年に成立した四県二合区を含む十増十減を行うための公職選挙法改正法附則第七条において、「平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」旨が規定されたところでございます。

 そこで、参議院では、議長のもとに設置された参議院改革協議会及びそのもとに設けられた選挙制度に関する専門委員会において鋭意協議が行われてきましたが、なお意見の隔たりがある中で、かかる協議の状況について議長に報告がなされました。

 このような状況を受け、私どもとしましては、平成二十七年改正法附則の検討条項を踏まえ、通常選挙が来年に迫っている中で、今国会中に公職選挙法の改正を行う必要性から、参議院選挙区選出議員の選挙について、選挙区間における議員一人当たりの人口の格差の縮小を図るため、参議院選挙区選出議員の定数を増加して各選挙区において選挙すべき議員の数の是正を行うとともに、参議院比例代表選出議員の選挙について、全国的な支持基盤を有するとは言えないが国政上有為な人材又は民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材が当選しやすくなることを目的とし、現行の非拘束名簿を基本的に維持しつつ、候補者の一部について、他の候補者と明確に区分する形で、拘束式の枠を設けることができるようにするため、政党その他の政治団体が参議院名簿にその他の参議院名簿登載者と区分して当選人となるべき順位を記載した参議院名簿登載者が、当該参議院名簿に係る参議院名簿登載者の間において優先的に当選人となる特定枠の制度を導入し、及び参議院比例代表選出議員の定数を増加することとし、本法律案を提出した次第であります。

 本法律案により、参議院選挙区選出議員の選挙における議員一人当たりの人口の格差は、平成二十七年の国勢調査日本国民人口によれば、最大で一対二・九八五となり、平成二十九年九月二十七日の最高裁判所判決で合憲とされた、平成二十八年参議院通常選挙時の一対三・〇八から、更に縮小されることになります。

 次に、本法律案の内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、参議院選挙区選出議員の定数を二人増加し百四十八人とした上で、埼玉県選挙区の定数を二人増加し八人とするとともに、参議院比例代表選出議員の定数を四人増加し百人とすることとしております。

 第二に、参議院比例代表選出議員の選挙における特定枠の導入であります。政党その他の政治団体は、特定枠として、候補者とする者のうちの一部の者について、優先的に当選人となるべき候補者として、その氏名及びそれらの者の間における当選人となるべき順位をその他の候補者とする者の氏名と区分して名簿に記載することができることとしております。

 次に、特定枠の候補者の有効投票は、当該候補者に係る政党その他の政治団体の有効投票とみなすものとしております。

 また、候補者の間における当選順位について、特定枠の候補者があるときは特定枠の候補者を上位とし名簿記載の順位のとおりに当選人とし、その他の名簿登載者についてその得票数の最も多い者から順次に定めることとしております。

 さらに、特定枠の候補者には、参議院名簿登載者としての選挙運動である選挙事務所の設置、自動車等の使用、文書図画の頒布及び掲示、個人演説会等は認めないこととしております。

 なお、この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行し、施行日以後に期日が公示される通常選挙について改正後の公職選挙法を適用することとしております。

 以上が、本法律案の提案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

平沢委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀貴樹でございます。

 まず、質問に入る前に、平成三十年七月豪雨でたくさんの方が亡くなられました。亡くなられた皆様方に心からのお悔やみと、そしてまた、被害に遭われた方々に心からのお見舞いを申し上げます。そして、一日も早い復興復旧をお約束をしたいと思っております。

 さて、今回の参議院の選挙制度のこの法案の中身に入る前に、国民の方々も含めて、皆さんにまず理解していただきたいのは、実は、日本というのは意外と大きくて、距離があって、そしてまた人口も多いということです。

 世界の人口は約七十八億人でございますが、もちろん世界一位の人口は中国、十三億七千万人、第二位がインドの十二億四千万人、第三位がアメリカの三億四千万人で、ちょっと飛ばして、第九位がロシアの一億四千万人、日本が第十位の一億二千七百万人。世界で十番目の人口をまず有している。

 そしてまた、この日本の国土は、皆さん、メルカトル図法になれてしまっていますが、意外と日本の面積というのは大きくて、三十七万七千九百十五平方キロメートル。世界で六十一番目の広さを有しているのがこの日本です。

 そして、さっき言ったように、メルカトル図法に皆さんなれ過ぎちゃっていますから、あれは正確な緯度と経度だけを示しておりますが、ちゃんとした大きさでヨーロッパの地図に持っていきますと、もうポルトガルからドイツの先ぐらいまで、我が国の、縦に長い、まあ、横に長い、まあ、縦にも長いといいますが、物すごい距離がある。

 そういう、まず我が国の現状を理解していただきたいと思います。

 そして、例を挙げさせていただきますと、前回合区になった鳥取と島根、徳島と高知について少し例を出して話しますと、鳥取県は五十七万人で三千五百平方キロメートル、島根県は六十九万人で六千七百平方キロメートル、徳島県は七十五万人で四千百平方キロメートル、高知県は七十二万人で七千百平方キロメートルです。

 つまり、鳥取と島根を合体させると、約百二十万人ぐらいで、面積は一万平方キロメートルを超えます。徳島と高知も、合わせますと、約百四十万人を超え、そして面積も一万一千平方キロメートルを超えます。

 世界地図で一万平方キロメートルの国というのはどこだと思いますか。これは、実はもう、ジャマイカとかレバノンとか、全くもってそういう国々と同じぐらいの大きさになります。

 人口でいっても、百万人クラスの人口といいますと、バーレーンとか東ティモール、これは、百四十万人、そして百二十万人ですから、もう我が国の県一個一個が、世界から見れば一つの国レベル。

 しかも、今回、鳥取と島根というその合区のところの面積、人口規模を考えると、本当にこれは、裏表で、改選一人だとしましたら、一人の人間が目が届く範囲なのかということをいつもいつも私は考えておりまして、これは、正直、参議院の先生方、この広い範囲でやっているというのはいかがなものかな、そのように私は感じている次第でございます。

 それに対して、東京は、面積は二千百平方キロメートル、人口は千三百万人もいらっしゃる。人口は物すごく多いんですけれども、範囲が物すごく狭い。

 ですから、もちろん司法の判断という形で、一人当たりのいわゆる一票の格差というものは大切ではございますが、幾ら何でも面積の差が私はあり過ぎるんじゃないかなと日々感じておりまして、参議院の今回の公選法の改正の提出された内容を見ますと、一応、地域地域で代表をつくっていこうというその思いと、そしてまた司法の判断である一票の格差をどう乗り越えていくか、そのための私はベストな案だと思っておりまして、いろいろと御判断、御批判もあると思いますが、私個人の見解としては、今回の法案の内容、すごくよくできていると思っております。

 この今回の公選法の提出の意義とポイントについて、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

岡田(直)参議院議員 今回の改正案は、今御指摘のありました四県二合区が導入された平成二十七年改正公職選挙法の附則、あるいはこの改正を合憲とした平成二十九年最高裁判決の趣旨を踏まえまして、一票の格差を是正しながら、一方で、地方六団体の合区解消に関する決議、また、現時点で三十五の県議会で採択をされました意見書等を受けまして、地方の声を国政に届けるとともに、現代社会における民意の多様化にも対処するという意義を持ってございます。

 まず、一票の格差が再び以前のように大きくならないように、投票価値が最も軽くなっている埼玉県選挙区の定数を二、改選ごとに一増加をいたしまして、最大格差を三倍未満にとどめるとともに、平成二十七年改正において四県二合区が導入され、人口減少地域の民意を国政に届けることを求める声も高まっていることなどを踏まえまして、また、これとあわせて、全国的な支持基盤や知名度を持っているとは言えないけれども、やはり国政上有能な専門的な人材、あるいはさまざまな意味での少数意見や多様性を代表する者、あるいは政党が民意反映の役割を果たす上で必要と感ずる人材などが当選しやすくなるように、全国比例の現行の非拘束式の中に一部拘束式の特定枠を導入し、各政党の自由な選択肢を広げることとしようとするものであります。

 この特定枠を活用するか否か、あるいはその活用方法は各政党の自由な選択に委ねられるものでありますけれども、拘束式の特定枠の活用を通じて、有為な人材を参議院議員として国政に送り出し、より多様な民意を、またお声を国政に反映させることができる制度であり、政党の政策や考え方をアピールできるというメリットもあると考えております。

白須賀委員 ありがとうございます。

 特に、私は、今お話があった中でやはりもう一度冷静に考えなくちゃいけないのは、我が国のこの広い国土で、距離がある中で、そして人口も多い中で、この日本という国の民主主義を行うためのコスト、これを本当に国民の方々がどこまで許容していただけるか。

 そして、今回、どうしても定数をふやさない限り、ある意味、一票の格差の方もなかなか乗り越えられない。しかも、削るだけでしたら、それこそ、もっともっとお一人の参議院の先生が面倒を見るというか目を届かさなきゃいけない範囲が広くなり過ぎてしまって、物理的に人間の僕は限界を超えてしまうんじゃないかと思っております。ですから、今回、定数をふやしたということに関して、私は、よく英断をしていただけた、実はそのように思っております。

 批判を恐れずにやっていただきたいと思いますが、もう一度、今回、議員定数をふやした理由について、特に御説明をいただきたいと思います。お願いします。

石井(正)参議院議員 お答えをいたします。

 議員定数増の理由ということについて御質問をいただきました。

 先ほどもこの点につきましては岡田議員より御説明を一部申し上げましたけれども、合区対象県、これを拡大せずに選挙区の格差拡大を抑制するというものといたしまして、選挙区選挙におきまして定数を二人ふやすことといたしまして、埼玉選挙区に配分をし、最大格差を三倍未満、二・九八五倍にするものであります。

 また、比例代表選挙でありますけれども、平成二十七年改正において四県二合区が導入をされまして、人口減少県の民意を国政に届けることを求める声も高まってきているということ、現代社会におきまして民意の多様化が著しいことなどを踏まえまして、参議院創設以来、多様な民意を酌み取ってまいりました全国比例区の定数を四増加することとしたものであります。

 これによりまして合計六人の増員をお願いすることになりますけれども、これは、既に、今述べました理由がありますほか、参議院が衆議院の半数強の定員で同様の審議、調査を行っているということ、それに加えまして、行政監視機能の強化など新たな課題に取り組むということを方向として決めているわけでありまして、参議院創設時の定員でございます二百五十人を下回る二百四十八人となるように抑制的に配慮をして、配意をして決めたものでありまして、参議院全体の経費縮減によって国民の皆様方の理解を求めていきたいと考えております。

 選挙制度専門委員会におきましては、二県合区をふやすという主張をされる会派、これは極めて少なかった、このように承知をしております。また、複数の会派から、格差是正や合区問題の解決のためには定数増の議論も避けては通れない、こういう議論が示されたと承知をしているところでございまして、ぜひともこの点、御理解を賜りたいと存じます。

白須賀委員 ありがとうございます。

 私自身は、参議院の先生方に対して、そして参議院のことに関して、自分のことのように実は思っております。それは、私が十一年前に自分で千葉県の参議院選挙区に出て、負けておるんですが、本当に千葉県を回ったときに、物すごい広さと、そして全県下での戦いがどれだけ大変で、じゃ、これが、先ほど言ったように合区になったときに二つの県にまたがってあの面積を回るということは、正直なことを言って、人間の限界を超えちゃいます。

 ですから、私はやはり、政治というのは、地域地域、その地域の要望を運んでくださる政治家は絶対に必要だし、そうでなければ、本当に都市だけに集中してしまい、都市だけにいわゆる民意が集まってしまう、そういうふうないびつな形の民主主義になってしまうリスクがございますので、今回、参議院の先生方がしっかりと自分たちの考えを持って、定数増も含めて出していただいたことに対して、私は心から本当に尊敬をする次第でございます。

 そしてまた、いわゆる参議院の比例代表選出選挙における特定枠の導入で、参議院の方でもいろいろと質疑があったと思いますが、私、衆議院の比例の方を見ますと、僕らの方にも順番はついていますよね。ですから、別に、いわゆる順位をつけることに関して、これは新しい制度でもないと思っておりますから。

 今回の参議院の皆様方がつくられた法案を、私、何度も何度も読みましたけれども、たくさん本当に議論されて、熟考されてつくられた内容だなというのが本当によくわかります。ですから、私は、一日も早くこの法律を通していただき、まずは、いわゆる一票の格差を是正していただいてもらって、来年の参議院選挙に間に合うようにこれを施行していきたいなと思っております。

 しかし、我が党は、憲法改正を含め、いろいろなものを提案しております。

 参議院の先生方にお伺いしたいのは、今回の合区の問題もありまして、いわゆる合区の問題を解消するためにはやはり憲法改正も必要だと思っております。その決意について最後にお尋ねしたいと思います。よろしくお願いいたします。

磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。

 憲法改正による合区解消の決意についての御質問でございます。

 さきの参議院選挙で初めて導入をされました合区、これにつきましては、合区解消を求める地方六団体の決議に加えて、現時点でも三十五の県議会で、都道府県を単位とする区域で選挙された者の国政選挙を求める意見書が採択をされております。

 合区解消を求める地方の声に応えるためには、単純に合区を解消する公職選挙法の改正、これを行った場合には、現時点で三・〇七となっている選挙区の最大格差、これが四倍以上になるわけでございますので、これは従来の状態に逆戻りさせてしまうことになるということでございます。違憲と判断されるおそれは否めないのではないかというふうに思っております。

 そこで、今回、参議院選挙まで約一年という期間となったことから、現段階での合区の解消をひとまず見送る一方で、我が党としては、合区対象県を拡大はさせずに、一票の格差が再び以前のように大きくならない、こういったことのために、投票価値が最も軽くなっていく埼玉県地方区の定数を二増加をして、選挙区間の最大格差を三倍未満、これに抑えるということを内容等とする今回の公職選挙法を提案をさせていただきました。

 地方の声、多様な声を国政に反映されるという参議院のあり方を踏まえて一票の格差を是正をしている本改正案は、次の通常選挙に向けては最善の策に当たるというふうには考えております。しかしながら、合区を解消して、全ての都道府県から少なくとも一名の参議院議員が選出できるようにするためには、憲法四十七条を改正をする、この憲法改正が不可欠である、そのように考えております。

 党本部の憲法改正推進本部におきまして、四十三条に規定する全国民の代表と抵触しない形で四十七条の条文イメージを取りまとめたところでございますけれども、引き続き、憲法審査会での自由な討議等を通じた議論を活発化させてまいりたい、このように考えております。

白須賀委員 ありがとうございます。

 最後に、今お話しの答弁の中で、地方の声を重視、ちゃんととると。本当にそれは大切なことでございまして、私はいつも思うんですけれども、東京ってすごいなと思います。千三百万人、日本の人口の十分の一いて、そして、東京だけで稼ぎ出すGDPは九十三兆円、日本全体の六分の一。これは、実は九十三兆というGDPって、世界十七位のトルコと一緒なんですよ。トルコ全体と一緒なんです。それぐらいまで東京ってすごいんです。

 でも、人口だけで本当に分けてしまうと、東京だけの意見が本当に強くなってしまうので、私は、地方の声をしっかりとすくい上げる、そういった制度が必要だと思っておりますので、この法律の一日も早い可決をよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

平沢委員長 次に、國重徹君。

國重委員 公明党の國重徹でございます。

 参議院の選挙制度改革について、公明党としては、憲法が求める投票価値の平等と、合区対象県の有権者が抱く違和感を解消することが必要だ、この観点に立って、全国十一ブロックの大選挙区制を提案をいたしました。多数の賛同が得られず、参議院の委員会で否決されたことは残念でありますけれども、この大ブロック制こそが、平成二十七年の改正公職選挙法の附則にある抜本的な見直しにふさわしい方向性であると確信をしております。

 他方で、先ほどの附則には、参議院の選挙制度の抜本的な見直しについて検討をし、必ず結論を得ると約束をしております。また、平成二十九年の最高裁判決では、一票の格差が是正されたことと、さらなる格差是正を参議院として決意していることが合憲判決のポイントになりました。

 このようなことから、一票の格差の是正について、何らの是正もしないままに来年の参院選を迎えることになれば、司法から厳しい断罪がされるものと考えております。

 責任ある政治を担っていくという立場からして、私どもが求める抜本改革案そのものでなかったとしても、限られた時間的制約の中で格差是正につながる法整備をするとともに、本格的な抜本改革に向けた検討を引き続き行っていくという意思を明確に示して、更に知恵を絞って努力を重ねていく必要があると考えております。

 本改正案の具体的内容について質疑をいたします。

 本改正案では、参議院の選挙区の定数を二ふやして、比例区の定数を四ふやし、合わせて総定数で六増をするとしております。

 我が党が提案をした全国十一ブロックの大選挙区制のような案をとらない限り、埼玉選挙区の二増については、一票の格差を是正するために、これはやむを得ないものだと考えております。これにつきましては、参議院でも、立憲民主党、国民民主党、希望の党も同様の提案をしております。

 ただ、比例で四増までするというのは、これはどうなんでしょうか。

 参議院創設以来、選挙区と比例区のバランスを三対二で維持してきた経緯からして、仮に比例区の定数をふやすとしても、選挙区が一増であれば、比例区は〇・六六、繰り上げて一、裏表全体で二増までに抑えるのが筋ではないか。こういうことから、我が党も修正案を提示して再考を迫りました。

 しかも、日本では人口減少が続く中で、地方議会においては定数を削減する地方公共団体も多いですし、また、衆議院では、二年前に、身を切る改革として定数十の削減を行いました。

 このような中で、一票の格差是正のための埼玉選挙区の定数二増だけではなくて、比例区の四増までする理由は一体何なのか、お伺いいたします。

石井(正)参議院議員 お答えをいたします。

 比例代表選挙の定数増について、そのバランスといった点の考え方も含めまして御質問を頂戴したところでございます。

 確かに数字だけを見ますと選挙区選挙と比例代表選挙の定数はおおむね三対二となっているところでありますが、このことと定数の関係をどう考えるかということにつきましては、まずは、それぞれの選挙の重要性あるいは役割等、こういったことを考慮すべきことでありまして、選挙区選挙と比例代表選挙の定数の比率を三対二にすることを目的化するということで考えているわけではございません。

 また、そうはいっても、仮にバランスを考慮すべきだといたしましても、比例は創設時百人でありまして、今回の定数増と増減ないところでありますし、選挙区は創設時百五十人でありまして、今回の定数増でもマイナス二となっているということから、創設時と比較いたしましてもおおむねバランスを保っている、このように言えるのではないかと考えているところでございます。

 以上です。

國重委員 今るる説明がありましたけれども、本改正案が成立をして、定数六増、これが実現すれば、それに伴って当然必要とされる経費も増大いたします。

 先般の参議院の倫理選挙特別委員会における提出者の答弁において、改正後の三年間、平年ベースで二億一千万円の増加が推計される、このように説明をされております。これはあくまで次回の改選時に増加する三人分の経費分のことでありまして、その次の改選時に更に増加する三人分、これを加えますと、平年ベースで四億二千万円もの増加になります。

 来年十月に消費税が増税されまして国民の皆様に負担を求めていく中で、定数増に伴って参議院の経費が比例的に、そのまま増大するようなことになれば、これは到底、国民の皆様の理解は得られないと考えます。

 我が党の強い主張で、参議院の附帯決議に、「参議院議員の定数の増加に伴い、参議院全体の経費が増大することのないよう、その節減について必要かつ十分な検討を行うこと。」という内容が盛り込まれました。

 この経費節減に向けて、本法案の提出者として、今後具体的にどのように取り組んで国民の理解を得ていこうと考えているのか、お伺いいたします。

岡田(直)参議院議員 お答えいたします。

 定数増については、国民の御理解を得るには、当然、経費の削減が不可欠と考えております。

 今回の定数増を考えるに当たりまして、参議院創設時よりも少ない定数となるよういたしましたけれども、同時に行政監視機能等、参議院の独自の機能を強化し、二院制における参議院の役割を十分に果たしながら、なおかつ参議院の運営経費の縮減にも積極的に取り組んでいくことが必要不可欠と存じます。

 御指摘のとおり、参議院での審議により、公明党からの御指摘があり、この定員増に伴う参議院全体の経費の増大を生じないよう、しっかりとその節減に取り組んでいくという意識が改めて高まり、附帯決議が付されたところでございます。

 その上で、大切なことは、具体的に、まずは次回の選挙でふえる定数三名分について、国民の皆様に新たな御負担をお願いすることがないようにする、このことでありまして、効率化できる部分は何か、経費を縮減できるものは何かということについて、各派の皆様とともに、しっかり詰めてまいりたいと思います。

 議員活動に役立てるため、事務局等を通じて、さまざまな業務や、施設整備、賃料といったものが提供されておりますけれども、このような議員活動の周辺にあるさまざまなものについては、効率化という観点から、提供方法の見直しや削減を十分に検討し、参議院全体の経費の節減に努めてまいりたいと思いますし、ペーパーレス化の一環として、紙の会議録を全議員に配付するのを見直すなども、こうした一つの方法ではないか。また、事務局が行っている業務の外部委託について、更に行える部分がないか検討する必要もあると考えておるところでございます。

 新たな負担を国民の皆様にお願いしないという覚悟を持って臨みたいと存じます。

國重委員 次に、本法案の比例区における特定枠制度に関してお伺いいたします。

 平成十二年に参議院の選挙制度の比例区をそれまでの拘束名簿式から非拘束名簿式に改正した目的は、候補者の顔の見える選挙、国民の皆様が当選者を決定する選挙にするという点にありました。もっとも、本改正案では、その比例区の一部に、優先的に当選させる候補者についての拘束名簿式を導入することになっております。この導入と平成十二年改正で候補者の顔の見える選挙にした目的との整合性については、どのように考えているのか。

 本改正案では、比例区においては、一人の候補者を除いて、そのほかの候補者全員を特定枠とする拘束名簿式とすることも可能でありまして、そのようにした場合には、実質的には全候補者を拘束名簿式にした場合と同様の効果が生じることになりますけれども、本改正案によっても平成十二年改正時の目的、理念というのは維持されているのか、お伺いいたします。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 今回の特定枠制度と現行の非拘束名簿との整合性についてという御指摘でございましたけれども、この特定枠をどの程度活用するかということにつきましては、これは各政党それぞれの御判断があるというふうに思いますので、一律に法律で何名までと制限しているわけではございません。

 そのため、先ほど委員からは、一人の候補者を除き、そのほかの候補者全員を特定枠とするというような御指摘がございまして、実は、これは、参議院の審議でも、そういった御指摘のような極端な事例の御質問がございまして、その際、あくまでも法律上の可能性について御答弁申し上げているところではございますけれども、我が党の提案といたしましては、非拘束名簿を基本的に維持した上で、あくまでもその一部について、補完的に特定枠という拘束式を導入する趣旨で提案させていただいているところでございますので、平成十二年改正時の目的、理念は維持しているもの、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

國重委員 今答弁のありましたとおり、本法案の比例区の特定枠制度というのは、各政党によって、この利用の仕方というのはまちまちになります。また、拘束名簿式と非拘束名簿式、これが併存をすることになります。

 こうなれば、ただでさえ選挙制度というのはややこしい面がある上に、更に複雑になりまして、有権者の皆様にここで混乱を生じさせるのではないかというような懸念も指摘されているところであります。しっかりとこの懸念に対して対応するようなこと、これが必要になってくると思います。ぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、ちょっと時間の関係で最後の質問に移りたいと思います。十五分という限られた時間でありますので、より重要な質問をさせていただきたいと思います。

 平成二十七年の改正公職選挙法の附則に基づいて、参議院改革協議会において参議院の選挙制度の抜本見直しの協議が行われてまいりました。この協議の中で、行政監視機能の強化について議論がされてきたと承知をしておりますけれども、参議院のあり方については、もっと参議院の権限、役割について踏み込んだ議論をして、今後、本格的な抜本改革をしていく必要があると考えております。

 そこで、我が党の強い主張で、参議院の附帯決議に、「今後の参議院選挙制度改革については、憲法の趣旨にのっとり、参議院の役割及び在り方を踏まえ引き続き検討を行う」という一文も盛り込まれました。先月二十七日に行われました国家基本政策委員会合同審査会において、安倍総理も、本改正案を臨時的な措置と述べられております。

 今後の抜本改革に向けて、具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

岡田(直)参議院議員 選挙制度の考え方というものは、各政党の理念や性格によってさまざまに異なり、そのスタンスに違いがあることは何ら不自然ではないと思います。

 今回、参議院において公明党が示された十一ブロック大選挙区案は、一票の格差を是正する上では徹底した案であり、全国比例を廃止するという大胆な御提案でもあったと拝察しております。一方、我が党が目指す抜本改革は憲法改正によるものを考えており、安倍総理が今回の自民党案を臨時的措置と述べた理由もそこにあると考えております。

 しかしながら、今回、最終的には附帯決議を付して自民党案に御賛同いただいた公明党との間でも、文字どおり、参議院の役割を踏まえ、行政監視機能の強化、これは閉会中も通年で行う、常時行政に目を光らせる、こういうシステムを、今回、全会派一致で参議院では合意をいたしました。

 こうしたことを実現をしていくとともに、各党会派との間でさらなる参議院の独自性を踏まえた選挙制度改革を検討してまいりたい、このように存ずる次第でございます。

國重委員 我が党は、来年の参院選まであと一年と迫る中で、責任ある政党として、やむを得ない選択として本改正案について参議院でも賛成をいたしました。

 ただ、これは単なる賛成ではなくて、附帯決議をつけております。しっかりと、ここで決議をされたこの附帯決議、これを真摯に受けとめて、抜本改革に向けたさらなる取組、これをしっかりと行っていただきたいということを再度強く申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三十八分散会


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