衆議院

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第6号 平成30年7月17日(火曜日)

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平成三十年七月十七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平沢 勝栄君

   理事 岩屋  毅君 理事 鬼木  誠君

   理事 白須賀貴樹君 理事 橋本  岳君

   理事 宮内 秀樹君 理事 森山 浩行君

   理事 吉良 州司君 理事 佐藤 茂樹君

      安藤 高夫君    井野 俊郎君

      大塚  拓君    神田  裕君

      小島 敏文君    古賀  篤君

      坂本 哲志君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田畑  毅君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    百武 公親君

      藤井比早之君    古川  康君

      星野 剛士君    本田 太郎君

      落合 貴之君    亀井亜紀子君

      松田  功君    宮川  伸君

      山川百合子君    泉  健太君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      山井 和則君    太田 昌孝君

      國重  徹君    岡田 克也君

      塩川 鉄也君    浦野 靖人君

    …………………………………

   参議院議員        石井 正弘君

   参議院議員        磯崎 仁彦君

   参議院議員        岡田 直樹君

   参議院議員        古賀友一郎君

   参議院法制局第三部長   山岸 健一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   衆議院調査局第二特別調査室長           荒川  敦君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月十七日

 辞任         補欠選任

  宮川  伸君     亀井亜紀子君

同日

 辞任         補欠選任

  亀井亜紀子君     宮川  伸君

    ―――――――――――――

七月十七日

 政党助成金の廃止に関する請願(志位和夫君紹介)(第二九〇一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員長不信任動議

 政府参考人出頭要求に関する件

 公職選挙法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一七号)


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     ――――◇―――――

平沢委員長 これより会議を開きます。

 参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平沢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平沢委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山川百合子君。

山川委員 おはようございます。立憲民主党・市民クラブの山川百合子でございます。

 本日、公職選挙法の一部を改正する法律案の質問をいたしますが、その前に、冒頭、西日本豪雨災害で犠牲になられました皆様に心から哀悼の意をささげます。そして、いまだに行方がわからない方の一刻も早い発見、そして次々と明らかになる被災地の惨状の中、被災地の復興に向けて、政府そして国会が一丸となって取り組まなければならないという思いを申し上げた上で、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 まず最初にですが、与野党間で野党案も含めた十分な協議が行われないまま、参議院から自民党案が衆議院に提出されて、今回、自民党案だけが審議されているこのこと、この事態そのものが、私はおかしいのではないかという思いを持っています。まずそのことを申し上げたいというふうに思います。

 少し確認も含めてですが、平成二十七年、前回の改正で十増十減が行われた。このときの改正の附則第七条には、「平成三十一年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて、参議院の在り方を踏まえて、選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」と規定をされているわけであります。

 昨年二月に参議院議長のもとに参議院改革協議会が設置されて、十七回の会合が開催され、ことし五月七日に専門委員会の報告書が提出をされました。

 ところが、この協議会の議論を踏まえることなく、先月、六月一日に突然、自民党さんから唐突に定数六増案が示され、しかも、比例代表制度の中に一部拘束名簿式を導入するという案であったわけであります。

 各会派代表者懇談会では賛同会派はなく、私たちを含め野党は議長にあっせんを求めましたが、それも無視をされました。

 そして、今月四日になりますが、会派の代表者懇談会で、議長は、意見の取りまとめは困難であるとし、各党に法律案の提出と委員会での審議を求めたわけであります。三権の長としての自覚と責任論がマスコミからも問われているわけであります。

 この四日から、参議院で数の力で押し切って通してしまったのが十一日、たった一週間であります。

 我が国の民主主義の根幹を決定づける選挙制度をこれほど簡単に決めてしまうやり方には、驚くばかりですし、私は強い憤りを覚えます。合意形成の努力もなされず、数の力で押し切るそのやり方は、余りにも乱暴であるというふうに私は思います。

 与党は、今会期末までに成立させる方針というが、頭を冷やしたらどうか、今国会にこだわるな、民主主義の土台を壊すなといった厳しい文言が各種の論説欄を埋め尽くしている現実を自民党の皆様はどのように受けとめておられるでしょうか。

 そこで、まずお伺いしたいのですが、この民主主義の根幹である選挙制度改革を、与野党間のみならず与党内でさえ十分に協議せず、また、これまで行われた限られた一定の議論さえも、ほとんど無視している。これほどまでに拙速に、合意形成の努力すらせず、強引に数の力で押し切ることについて、自民党の皆様は、民主主義国家の立法府の手続としてこのようなやり方に一切問題がないとお考えなのかをまずはお伺いをしたいというふうに思います。

岡田(直)参議院議員 お答え申し上げます。

 選挙制度は民主主義の根幹でございますので、当然丁寧な議論というものが必要と存じます。

 参議院におきましては、平成二十九年四月二十一日に参議院改革協議会のもとに選挙制度専門委員会が設置されまして、全ての会派間の代表者により計十七回の議論が重ねられてまいりました。

 この専門委員会の中で、やはり一票の格差の是正はどうしても必要であるということとともに、各党とも二県合区の拡大については極めて問題が多いと否定的な流れの議論になったというふうに思っておりますが、しかし、全ての党が一致するというのはなかなか難しい。本当に、比例と選挙区の二本立てか、選挙区への一本化、ブロック制か、そういう大きな違いでも溝はなかなか埋まらない中で、やはり我々は、来年の参議院選挙までに結論を出さなくてはいけない、周知期間を含めたら一年前というのが常識でございますので、そこに向けて法案をまとめることが急務と考えましたし、その選挙制度専門委員会でさまざま挙げられてきた論点も踏まえた上で、また、我が党内では、それに先立って、平成二十八年から参議院の在り方PTというところで議論もしっかりいたしてまいりました。

 憲法改正というのは時間的に困難であるというふうに思ってこれを見送り、そして、今回、その専門委員会では示すことができませんでしたけれども、親会である参議院改革協議会、そして各派代表者会議で厳しい御意見もいただきながら、これを御提案を申し上げ、そして、参議院の倫理選挙特別委員会において御審議をいただき、委員会、本会議で御可決をいただいたというのが状況でございます。

山川委員 今御答弁いただいた中で、来年の参議院選挙まで一年を切っているので仕方がないというようなお話というふうに私は理解いたしましたが、そうではないのではないかと思います。抜本的な改革をするということを定めて前回の改定が行われたわけでありますから、やはりそれに合わせて、そのときまでに、もし一年前にやらなければいけないのであれば、そのときまでにやはり与野党間の協議、合意形成にもっと努めるべきであったのではないかというふうに思いますし、また、合意形成ができていない中で拙速に押し通そうとするのは、私はやはり、民主主義の土台である選挙制度をこのように拙速に押し通してしまうことには大きな問題があるというふうに思います。

 続けてお伺いしたいのは、この発議者である自民党の皆様は、提案されているこの改正案の内容を抜本的見直しだと自負しておられるのかどうかということであります。繰り返しになりますが、前回の制度改正の附則で国民の皆様に誓った抜本的見直しができたと考えておられるのでしょうか、御認識を伺っておきたいと思います。

 先週の委員会では、たった三十分でしたが、そこで行われた質疑に対する御答弁で、選挙区間の最大格差を三倍未満に抑えること、合区の解消をひとまず見送る、地方の声、多様な声を国政に反映されるということを踏まえて、次の通常選挙に向けては最善の策に当たると考えているというふうに御答弁をされていたかというふうに思います。

 次の選挙に向けては最善の策ということは、その次の選挙に向けてまた事情が変わるという認識をお持ちということでしょうか。今回の提案は、選挙区間の格差を三倍未満に抑えるために、定数、これは埼玉県ですが、二の増を御提案になっておられますけれども、人口動態の予測からは、次の改選期、その改選期にまたその格差が三を超えるという試算があるわけであります。

 そもそも、二〇一五年の改正のときに、その格差が二・九七と、辛うじて三を切ったわけでありますが、三年後の今回は三・〇七一になってしまったわけであります。

 そうすると、私たちの宮川委員が資料をもとにちょっと計算をしてみましたが、国立社会保障・人口問題研究所の日本の地域別将来推計人口、総人口をもとに試算したものでありますけれども、今後の推移を計算してみると、この格差が三年後にはまた三を超えるという結果でありました。

 また一方、合区解消を求める地方の声に応えるということについては、自民党の皆様は、憲法を改正してでもこれを解消しようと提案してこられたはずだと思うんですが、合区解消は改憲四項目の一つとまで主張したのですから、今回の改正案が、自民党の皆様にとって、国民の皆様にお約束された抜本的改革と言えるのかどうかということであります。

 そしてさらに、合区が解消できないから、合区によって締め出されてしまう現職議員を今度は比例区で救済するために拘束名簿を一部導入するというのですから、本当に驚きました。このことによって、都道府県代表という性格が強い小選挙区で選出されるべき議員を、事実上、全国の代表を選出する比例区にまぜてしまってその議席を確保するという、制度設計の根幹を崩してしまう改正案となっているわけですが、自民党の皆様は、これを抜本的改革だと主張されるんでしょうか。国民の皆様に納得していただける改正案と断言できるのでしょうか。

 このあたりの御見解をお伺いをしたいというふうに思います。

石井(正)参議院議員 お答えを申し上げます。

 幾つか御質問をいただいた、こう理解しておるわけでございますが、まず、抜本的改革と言えるのかというお尋ねでございます。

 さきの参議院選挙で初めて導入されましたこの合区につきましては、合区解消を求める地方公共団体の皆さん方の決議がありましたし、これに加えまして、現時点では、三十五もの県議会におきまして、都道府県を単位とする区域で選挙された者の国政参加を求める意見書等が採択されているというところでございます。

 この合区解消の声、これに、地方の声に応えるために、単純に合区解消するような公選法の改正を行った場合におきましては、現時点で三・〇七倍となっております選挙区の最大格差というものが四倍以上、具体的には四・一八七倍となる、従来の状態に逆戻りさせるということになりまして、違憲状態、このように判断されることは、おそれは否めない、このように考えるものであります。

 そこで、先ほど申し上げましたとおり、次回の参議院選挙まで約一年ということになりましたので、現段階では、この合区解消、このことはひとまず見送る。

 ただ一方で、その合区対象県は拡大をさせずに、一票の格差が再び以前のように大きくならないように、埼玉選挙区、これを定数を二増加して、格差を三倍未満であります二・九八五倍に是正をする、こういったこと、そして地方の声、多様な声、これを国政に反映させるといったことから、御質問にございました拘束式の特別枠の活用、こういったことなど、今回の公選法の改正案を出しているわけでございます。

 こういった全体の状況からいたしますと、私どもといたしましては、二十七年の改正公選法附則の検討条項というものを満たす、次の通常選挙に向けましての一つの最善の策に当たるものと考えているところでございますが、この合区を解消して全ての都道府県から少なくとも一名の参議院議員が選出できるようにするためには、憲法四十七条を改正する憲法改正が不可欠である、このように考えているところでございます。

 また、定数につきまして、人口の動態から見て、三年後にまた見直しというようなことになるのではないかといった観点からの御質問も頂戴したところでございますが、現在、我が国は人口減少社会に直面しているわけであります。これからも人口減少が続いていくわけでありますけれども、都市部と人口少数地域との間の人口の偏在、これも著しくなっているというところであります。

 今回、埼玉県の定数二増によりまして、最大格差を見ますと、宮城県そして次いで新潟県と福井県の間において二・九倍台となるところでありまして、人口増加傾向にありますこの埼玉県と異なりまして、これらの県のこれまでの人口動態を見ますると、人口格差が今後大きく拡大していくとは予想しがたいところでありまして、当面、三倍を大きく変えるような状況にはならないもの、このように考えているところでございます。

 こういった点からいたしまして、格差是正を図ろうとする今回の改正につきましては、改正公選法附則の検討条項に言っております一つの抜本的な見直しにもなろう、このように考えているところでございまして、我が党といたしましては、あくまでも憲法改正によって抜本的な対応を行っていくことが必要である、このように考えているものでございます。

 以上です。

山川委員 もう時間もないわけですので、今、抜本的改革だというふうなことについては、いろいろ御説明はされましたが、私は、そのようには、国民の皆様は納得されないと思います。

 さらに、定数六増ということが国民の皆様に果たして納得されるのか、そして、比例代表制において拘束名簿と非拘束名簿の混在という本当に複雑怪奇なこの選挙制度が国民の皆様に理解され得るとは、なかなか思いづらいわけであります。

 やはり、民主主義の根幹である選挙制度、これをもっと丁寧に、与野党、協議をして、議論を積み重ねて国民の理解を得るという、その手続なしに押し通そうとされていることに強い憤りを表明いたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、亀井亜紀子君。

亀井委員 おはようございます。立憲民主党の亀井亜紀子でございます。

 本日は、質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。会派を代表し、また島根県の代表として、質問をさせていただきます。

 参議院の皆様御存じのとおり、私はかつて、合区じゃない、島根選挙区が存在していたころ、島根選挙区選出の参議院議員でした。一期六年務めまして、その間に、参議院の一票の格差が当時五倍もありましたから、最高裁で違憲判決が出るかもしれない、そういう危機感のもとで参議院の選挙制度改革に取り組んでおりました。

 私は、西岡議長の時代に、当時所属していた政党の代表として選挙制度改革に深くかかわっていた者です。当時のことも振り返りながら、きょうは質問をさせていただきます。

 まず、島根県民の立場として申し上げますが、今回の改正案は合区の解消ではありません。それは皆様もよく御存じだと思います。そして、私たちが求めているのは、あくまでも合区の解消です。

 四十七都道府県という行政単位で政治が行われている以上、人口が少ないからといって隣の県と一緒に一つと数えていただきたくない、それが根本にありますから、今回、合区は解消されずに、拘束名簿を入れることで実質的に県から一人代表が出せるからいいだろう、そういう話じゃないんです。平等に扱っていただきたい、一つの県として見ていただきたい、そういう思いがありますから、今回の制度改正は地元においても余り評価をされていません。その一端として、今、参考資料、新聞記事をお配りしております。

 そして、前回の合区の後の選挙、一票の格差、先日の最高裁の判決は合憲でした。合憲であるならば、そして合区を解消する抜本的な改革でないのならば、なぜこんなに急いで改革をするのか、改正を今回するのか、その理由をまず教えてください。

石井(正)参議院議員 お答え申し上げます。

 二十八年の参議院選挙合憲という中で、なぜ急ぐのかというお話を今御質問いただいたわけでございます。

 次回選挙までの検討条項が公選法の附則にありまして、この改正を合憲といたしました二十九年の最高裁判決、この趣旨を踏まえまして、今回、埼玉県、福井県の間で三・〇七倍となっている最大格差、これを是正するということがまず求められているわけでございます。

 四県二合区ということについての御地元の強い御意見というものを今御紹介があったわけでございますが、実際に、おっしゃるとおり、選挙をやってみますと、対象県におきましては投票率が低下をする、そして、合区反対といったことなどが書かれました多数の無効票が出る、こういったようなことでありまして、合区への不平等感、不満感というものが地域から際立ってまいりました。

 先ほども御答弁させていただきましたが、地方公共団体からのこの合区解消に関する決議、あるいは多くの県議会の方からの意見書、こういったことから、都道府県単位の地方の声を国政に届けられる選挙制度を望む、こういった地方の強い声、これに応えるためにも、時間がなくなってまいりまして憲法改正等々のいとまがないといったこともありまして、早急に、次回の選挙までにこういった声に応えていくという必要がありまして、今回のような法案を提出し、埼玉県の選挙区定数を二増加して、三倍未満の二・九八五倍に是正する、こういう法案をお願いをしているところでございます。

 こういった状況でございまして、本来ならば、合区解消という強い声に応えるべきものとは考えておりますが、先ほど来申し上げておりますとおり、この憲法改正の問題が時間的ないとまがないといったことでありまして、今回、もう約一年前に迫っております参議院の選挙、これに備えた対応として今回提案をさせていただいたということでございまして、この点、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。

亀井委員 繰り返し申し上げますが、今回のは合区の解消ではなく、拘束名簿式を入れることで実質的に県から代表が一人出るんだから、合区でもいいじゃないか、そちらの方向に固定化されるのではないかと私たちは心配しておりますので、全くその地元の声に応えているとは私には思えません。

 抜本改革についてですけれども、一つの例として、かつて西岡議長がつくられていた案をきょうは参考資料として提出をしました。

 西岡議長は、もともと長崎選出、参議院のときには比例代表であられましたけれども、長崎県の御出身で、当時、合区で長崎、佐賀の合区案というのもありました。私のところ、島根、鳥取の合区案もあって、お互いそういう対象県同士で話もいたしましたし、その中で、やはり人口が少ないからといって隣の県と一つというのは考えられないよねということで、どうにか一つの県から代表が出せないものか、西岡議長もかなり模索をされました。学者さんですとか法律家、メディアの解説員などを呼んで意見交換をしたわけです。

 アメリカの上院は、人口に関係なく各州二人ずつと選出が決まっております。同じように地域代表にできないものかと模索したんですけれども、アメリカは連邦国家です。連邦国家における州と日本の都道府県では位置づけが異なるので、これでは最高裁で争ったときに負けてしまうということで、憲法改正しか道はないということで、当時、諦めました。

 そして、何とか間に合わせる、最高裁が違憲を出せないように間に合わせる案として抜本改革を取り組んでおりまして、最初、西岡議長が出されたのは、全国を九ブロックに分ける比例代表制でした。ところが、現実に全国比例があるわけですし、相当な批判が出まして、各党の意見を入れながら二回ほどたしか改正をして、最終的に全国比例も取り入れ、そして、今お配りしておりますように、衆議院と同じように十一ブロックに分けた大選挙区制といいますか、そのブロック単位の選挙区制度と、その選挙区定数が百五十、全体で百五十人ですね、そういう案を当時つくりました。

 そして、これを各党に説明している間に亡くなってしまいまして、私は説明を受けたんですけれども、全体的に未発表のままになってしまった、これが最後の案なんですけれども、今、法案提出者の中に、この西岡議長の時代に選挙制度改革にかかわっておられた方はありますか。また、この案について聞いたことがある方はいらっしゃいますか。

岡田(直)参議院議員 今回の法案提出者の中には、当時の西岡議長が主宰しておられた選挙制度改革検討会のメンバーはおりません。

 ただ、先生御提出になったこの資料と同様の、「参議院選挙制度の見直しについて(参考案)」という、比例の議員を九十六人から八十二人に減員をして、選挙区百五十、それで十一ブロック、この案については、概要を承知してございます。

亀井委員 西岡議長は、議長として、一つの政党に偏らず、いろいろな政党の案を入れながらこの一つの案をつくっていったわけですけれども、こういうのを抜本改革というと思います。

 憲法改正が間に合わないのであれば、当時の西岡議長のように、なぜ抜本改革に取り組まないのでしょうか。

 そして、私が見る限り、余り改革をやる気がないとしか思えません。つまり、時間切れに持ち込んで、そして、今まで表に出ていなかった、党内だけで議論していたものをぎりぎりに出す、そういうやり方で、いつまでたっても抜本改革ができない、それが実態ではないかと思いますけれども、本当に、憲法改正までして合区を解消しよう、そういう姿勢があるのでしょうか、また、それができなかったときに、どういうタイミングで抜本改革をしようとしているのか、又はその気はないのか、お答えください。

岡田(直)参議院議員 先ほどの西岡議長のこの案について、私どもの考えからすれば、やはり参議院の大切な柱の一つである比例の定数を減員をされているということと、それからもう一つ、もっと大きなのは、やはり、全国比例を残しながらブロック制を取り入れる、これはちょっと中途半端になってしまうのではないかなと。大体、そのブロックの中心都市とか大規模県に集中をして、島根県とか鳥取県とか高知県とか徳島県、このあたりからはなかなか立ちにくいということは問題意識として考えるところであります。

 我々は、あくまでも、憲法四十七条で、三年ごとに少なくとも一県から一人立ち得る、そういう制度を今後とも追求してまいる覚悟でございますし、この西岡私案も抜本改革の一つと思います。憲法改正を追求しますけれども、憲法改正によらない方向もいろいろと模索をしてまいりたいと存じます。

亀井委員 西岡私案が必ずしも完璧というわけじゃありませんし、バランスが悪いところもあるかもしれませんけれども、それを言いましたらば、今回の拘束式と非拘束式を混合させるという案も非常にバランスが悪いと思います。

 誰が拘束比例に回ってという、その決め方の基準はあるんでしょうか。また、これを取り入れる理由というのは、本当に、各県から一人出す、それが目的でしょうか。

 例えば、来年の選挙、島根、鳥取、両方とも現職がいます。二年前の選挙は、島根県の代表が選出されています。今度、鳥取県から代表が出なければ、鳥取の参議院議員がゼロになるわけですけれども、その場合、比例で拘束をすれば、必ず、寝ていても当選すると思います。議員をなくさないためには、鳥取の候補を比例にして、島根の候補が戦うですとか、そういう何か基準というのはあるのでしょうか、お伺いいたします。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 特定枠の制度に関する御質問でございますが、今回の特定枠制度というのは、全国的な支持基盤あるいは知名度はないけれども国政上有為な人材、あるいは民意を反映させる上で必要と各政党が考える、そういった人材など、多様な人材が当選しやすくなることによって、現代社会の民意の多様化に対処しようとするものであります。そのために導入するという趣旨でございます。

 我が党といたしましては、先ほど来御指摘いただいておりますように、この合区対象県のように人口的に少数派ともいうべき条件不利地域の声を国政に届けるような活用を想定しているところでありまして、これは今後調整がなされていくことであろうというふうに思いますけれども、それ以外、各政党がどのように活用するかは、これはもう各党の自由な判断に委ねられているというところでございます。

 以上でございます。

亀井委員 非常にわかりにくい改正ですし、各党が恣意的に利用することもできますし、合区の解消にもなっていない、地元でも評価もされていない、そういう法律で、非常に不満である。今合憲であるところを急いで改正するよりも、きちんと抜本的な改革をしていただきたい、そのことを申し上げて、時間ですので、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

平沢委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 国民民主党の後藤祐一でございます。

 まず、冒頭、このたびの豪雨災害でお亡くなりになった皆様に御冥福をお祈りするとともに、今も避難所で苦労されている皆様に一日も早く通常の生活を取り戻すよう、政府にも頑張っていただきたいと思います。そこで、きょう、総務大臣ですとか、これにかかわりそうな方はお呼びすることは差し控えさせていただきました。

 早速質問に入りたいと思いますが、現在、参議院議員の人数は二百四十二名で、参議院の議員会館、満室だと思われますが、これは、もし来年ふえた場合、また二回やると六人ふえるはずなんですが、会館はどうするんですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 現在の参議院議員会館は現行の二百四十二名の定数を前提につくられておりますので、仮に今回の法案が成立いたしますれば、差し当たり、来年七月の通常選挙終了後までに少なくとも三名分の事務室を新たに確保する必要がある、このように考えているところでございます。

 具体的にどこに確保するかにつきましては、これも法案が成立した場合には、その後、参議院の議院運営委員会、あるいは自治委員会などにおいて検討いただくもの、このように考えているわけでございますが、どの程度の費用がかかるかは場所によると思います。

 いずれにしても、その費用については、できるだけ追加的な国民の負担にならないように努めていきたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 議員会館を建てかえたのは数年前ですよね。その時点で、ふえることはまさか想定していなかったということですよね。今答弁があったとおりです。減ることはあってもふえることはないと思ったから余裕は持っていなかったということですよ。想定外のことをやっちゃっているということ、今答弁で明らかになりました。

 参議院の附帯決議で、参議院議員の定数増加に伴い、参議院全体の経費が増大することのないよう、その節減について必要かつ十分な検討を行うこととされていますが、検討じゃ、だけじゃだめでしょう、これは。人数がふえた分の経費というのはほかの部分で経費節減するということをお約束してください。お約束できますか。

磯崎参議院議員 お答えを申し上げたいと思います。

 経費についてのお尋ねでございます。定数増ということにつきましては、国民の皆様から厳しい御指摘があることは十分に承知をいたしております。定数増につきまして国民の理解を得るためには、当然、経費の削減が不可欠であるというふうに考えております。

 今回の定数増を考えるに当たりましては、参議院創設時よりも少ない定数となるように、抑制的な考え方をとったわけでございますし、また同時に、行政監視機能等、参議院独自の機能を強化をし、二院制における参議院の役割を十分に果たしていくとともに、なおかつ、参議院の運営経費の削減にも、縮減にも積極的に取り組んでいくことが不可欠であるというふうに考えております。

 今回の参議院の審議におきましても、この定数増に伴う参議院全体の経費の増大が生じないように、しっかりとその節減に取り組んでいくという意識が改めて高まり、採決に当たって附帯決議を付したところでございます。

 まず、大切なことは、具体的に次回の選挙でふえる定員三名分について、国民の皆様に新たな御負担をお願いすることがないようにする。効率化できる部分は何なのか、経費を削減できるものは何なのかということについて、国民民主党を含めた各派の皆さんとしっかりと詰めてまいりたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、附帯決議を十分に踏まえ、参議院の議院運営委員会あるいは参議院改革協議会の場で具体的な経費の削減案を提案をして、当面は議員定数が三名ふえても新たな負担を国民の皆様にお願いしないという覚悟を持って臨みたいと思いますので、国民民主党の皆様にも御理解、御協力を賜りたい、そのように思っております。

後藤(祐)委員 国民に新たな御負担を求めないって、これのために増税なんかするわけないじゃないですか。そういう言葉でごまかさないでくださいよ。

 覚悟とか意識とか、そういう言葉ではなくて、この定数がふえたことに伴って発生する費用は全て節減すると約束できないということですか。もう一回、はっきり答えてください。約束するのかしないのか。

磯崎参議院議員 しっかりとその覚悟を持って臨んでまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 覚悟はあるけれども約束はできないことが明らかになりました。

 これは、参議院の法制局によると、平年度化した段階で一人当たり約七千三百万の費用増だという御説明があります。三人分で二・一億。ただ、これはどこまで入っているんですか。歳費、文書通信交通費、立法事務費、秘書給与までですか。それ以上のものは含まれていないということですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 議員一人当たりの経費、年間七千三百万円、こう見積もっておりまして、これは議員歳費、文書通信交通滞在費、立法事務費、議員秘書手当などの額ということでございます。

 平成三十一年の通常選挙で増員される三名の新議員につきましては、平成三十一年度、おおむね八月から八カ月分の経費が必要というふうに考えまして……(後藤(祐)委員「聞いていません、いいです」と呼ぶ)年七千三百万円、このように見積もっているという次第でございます。

 以上です。

後藤(祐)委員 最後のなどがよくわからないんですが、先ほど議員会館をふやさなきゃいけないという話がありました。この改修費だとか、それに伴ってまた電気代がふえるとか、いろんな費用がふえると思うんですが、こういったものは計算しているんですか。

古賀(友)参議院議員 今申し上げた経費の中で、などと申し上げましたのは、社会保険、児童手当の事業主負担分も含めてのなどということでございます。

 以上でございます。(後藤(祐)委員「改修費は。質問に答えていないです」と呼ぶ)

 さっき申し上げました一人当たり七千三百万円というのは、以上の経費ということで、今言った改修費は入っていないということでございます。

後藤(祐)委員 改修費など含めて全ての費用は幾らになるんですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 改修費につきましては、どういった、場所をどこにするかとか、そういったところに絡んでくる話でございまして、そういった、場所をどこにする、そしてどういった整備を行うかということにもかかわってまいりますので、その設計いかんにもよるということでございますので、今後の検討になってこようかと思います。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 定数増加に伴ってどれだけのお金が余計に必要になるのか、計算もしていないことが明らかになりました。問題ではないでしょうか。

 さて、次に、この法案が出る根拠というか、地方からの御要請として、よく三十五の県議会の御要請ですとか、地方六団体の御要請ですとかという言葉がさっきの答弁にありましたが、この御要請は、あくまで合区を解消してほしいという御要請であって、特定枠をつくってほしいなんということは一文字たりとも書かれていないと理解しておりますが、この三十五の県議会ですとか六団体の要請の中に、特定枠をつくってほしいという話はどこか一つでもあるんでしょうか。

磯崎参議院議員 お答えをいたします。

 今御指摘ございました地方六団体の決議及び全国三十五の県議会の意見書につきましては、多少の表現ぶりの違いはございますけれども、総じて申し上げれば、合区を解消し、都道府県単位による代表が国政に参加することが可能な選挙制度となるよう強く要望する、こういう内容になっております。

 しかし、今回、合区の解消が見送られたということではございますけれども、地方から評価をされていないわけではございませんで、例えば、全国知事会の全国知事会総合戦略・政権評価特別委員長として知事会で合区解消に努力をされてきた飯泉徳島県知事、今回の改正案につきまして、各都道府県に参議院がいない状況は回避できるというふうに前向きに評価をされております。

 このように、今回の我が党の公職選挙法改正案、これは地方六団体の決議や県議会の意見書の方向性に特定枠制度という工夫をもって応える制度であり、地方から一定度の理解が示されているというふうに理解をいたしております。

 一方、やはり、合区を解消して、全ての都道府県から少なくとも一名の参議院議員が選出できるようにするためには憲法改正が不可欠であるというふうに考えており、引き続き憲法審査会での自由討議等を通じて議論を活発化させてまいりたい、そのように考えております。

後藤(祐)委員 どこの県からも特定枠をつくってくれなんてことは求められていないんですよ。これはよろしいですね。今の答弁で明らかだと思いますが。

 仮にこの法律が通って、来年、参議院選挙が行われた場合、比例の定数が残念ながら二ふえることになりますが、自民党は、この二ふえたものを、合区対象県の選挙区で出ているのでない方の県の方をこの特定枠で二人出すという御理解でやるんでしょうか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 我が党の今回の提案は、都道府県単位の地方の声を国政に届ける、こういったテーマでやっているということでございまして、御指摘のありました特定枠の活用につきましては、人口少数派ともいうべき条件不利地域、こうした地域の候補者を特定枠を活用することによって国政に送り出していく、そういった想定をしているところでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 はっきりした言い方をしませんが。

 仮に、自民党だけでなくてほかの政党も、今申し上げたような合区対象県の方を、この特定枠で、一人ないし二人、特定枠扱いで全国比例に出した場合、結果によってはこの合区対象県の出身の議員が二人以上になってしまうという可能性があり得ると思うんですが、まず、この可能性があり得るということに関して、よろしいですか。

磯崎参議院議員 お答えいたします。

 可能性はございますし、今もそういう状況はあるというふうに認識をしております。

後藤(祐)委員 今は、でも、どちらかというと、全国の団体の代表とかそういう方が偶然出身がそこだったとかいうことで、この制度を用いてというのは意味が違うと思うんですね。

 今明らかになりましたが、この特定枠を使うと、複数の政党がこれを使うと、この合区対象県は逆にたくさんの議員を送り込む結果になる可能性はあることが明らかになりましたが、これはむしろ不平等じゃありませんか。

磯崎参議院議員 お答えいたします。

 特定枠の候補は、あくまでも全国比例代表の参議院議員候補でございまして、県選出の参議院議員候補ではないということでございます。先ほど申し上げましたように、これまでも、非拘束式で、ある県出身者が複数、全国比例代表候補となることは通常見られる現象でございまして、このような現象が拘束式の時代にもあったということでございます。このような現象が法のもとの平等に反するとされたことはなく、違憲の問題が発生するとは考えておりません。

後藤(祐)委員 違憲というところまで私は指摘していませんが、さっきは人口の少ない県の代表を出すということが大事だと言っておいて、今はまた逆のことを言って、全くロジックが通っていないじゃないですか。

 次に行きたいと思いますが、総務省、お越しいただいています。事務方にお越しいただいておりますけれども、これまで、国政、衆参両院の選挙、あるいは地方議員の選挙を通じて、人口が減っているのに議員の定数をふやした例というのはあるんでしょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省統計局による推計人口において人口がピークに達したとされる平成二十年、二〇〇八年でございますが、これ以降について、衆議院及び参議院で定数の増加はないと承知しております。

 また、総務省が行いました地方議会議員の定数に関する調査結果、平成二十八年に行いましたものについては、条例定数が二十四年と比較して増加しているのは埼玉県所沢市の一団体でございました。ただ、この団体におきましては、当分の間、条例定数を用いず定数の抑制をするとされております。

 また、この調査以降の定数の状況につきまして、網羅的ではございませんが把握している範囲で申し上げますと、三重県議会において、平成二十七年五月に五十一人から四十五人に減らした議員定数につき、本年三月に四十五人から五十一人に戻しているというような条例改正、あるいは、熊本県議会において、平成二十七年三月に四十九人から四十八人に減らした議員定数につきまして、本年三月に四十八から四十九に戻すというような条例改正がそれぞれ行われたと承知しております。

後藤(祐)委員 比例がふえる人数が二回合わせて四である理由というのがちょっとよくわからないんですが、これについてお聞きしたいと思います。

 まず、きょうお越しになられていますが、古賀議員は、七月九日の参議院の倫選特で、この四名ということに関して、三年の改選ごとに二つあるということでございますので、それを考慮して合計四名分の増員をお願いしているというふうにしておりますが、特定枠を何でつくるかというのは、合区で減っちゃうので、その残った方の声を国政に届けたいということであれば、何も比例の定数をふやさないで、私は賛成はできませんが、特定枠という制度だけをつくって人数はふやさない、あるいは、埼玉で今回二ふえちゃうんだから、我々は比例を二減らす案を参議院で出させていただきましたけれども、それでプラマイ・ゼロにしていますが、全国比例をプラマイ・ゼロあるいはマイナス二にしたままで特定枠を設ければ、もともとの合区対象県の声を届けるという目的は達成できると思うんですが、何で四ふやす必要があったんですか。合区対象県の声を届けるだけだったら、何も数をふやさないで特定枠だけをつくればよかったじゃないですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 今回の我が党の提案は、先ほども申し上げましたとおり、都道府県単位の地方の声を国政に届ける、こういったテーマで御提案申し上げているところでございまして、この比例定数につきましては、現行の四県二合区によって都道府県単位の地方の声が届きにくい県が三年の改選ごとに二つあるということを勘案いたしまして、定数四増をお願いしているというわけでございまして、これは、先ほど、私も参議院の方で御答弁申し上げたとおりでございます。

 この定数増と特定枠制度を組み合わせることによりまして、今回、確かに合区の解消はできませんけれども、都道府県単位の地方の声を国政に届けることのできる制度になると考えておりまして、飯泉徳島県知事、全国知事会で取りまとめに当たられました飯泉知事も、都道府県代表の性格を持つ議員が出せないことを回避できる点は評価したい、このようにおっしゃっているところでございます。

 お尋ねの趣旨は、特定枠制度を設けるとしても比例定数をふやす必要はないのではないかということでございますけれども、仮に比例定数をふやさずに今申し上げたようなことをやろうといたしますと、その分従来の比例代表選挙の当選枠が減るということになります。

 参議院の比例代表選挙は、専門性の高い人材や職能代表的性格を有する人材のほかに、少数意見の代表者等の国政参加を可能とするものでございまして、このことは、参議院におきます多様な民意の反映、参議院の役割、機能の発揮にとりまして大変重要なことであるということに鑑みまして、今回、従来の比例定数を減らさない、つまり定数の上積みでお願いしているという次第でございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 全く理解できないですね。

 今の、従来の比例の当選枠は、専門性がある、職能代表、少数者の意見という理由と、今回の特定枠をつくるときに言っていた、全国的な支持基盤を有するとは言えないが国政上有為な人材とか、民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材とかいうものと何が違うんですか。多様な意見の反映をするためにいろんなところの方が当選できるようにすることは必要だと思いますが、それは従来の比例枠とこの特定枠と何が本質的に違うんですか。全く変わらないじゃないですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 人口少数地域の意見を反映するというのも多様性の一つでございます。そして、現状、参議院の比例代表選挙で議員になっている方々も、それぞれ参議院の多様性の議員ということでございまして、そのこと自体は変わることがないわけでございますが、仮に人口少数地域の特定枠ということで二名をそこに追加いたしますと、仮にそこを従来の定数を削減してやるといたしますと、その分が多様性が減るということでございますので、今回、それを減らさずに、上積みでお願いしているというところでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 従来の比例の定数が割を食うと多様性が減るから、だから四人ふやすんですか。驚きましたね、この理由は。ひどい理由ですね。まだ、埼玉で二ふえて、全国で比例二減らして、特定枠を設けるというのであれば、私は与野党の合意点としてあり得る案だと思いますよ、正直言うと。ところが、今の理由が、そこの折り合うところに皆さんが寄ってこない根本的な理由だということじゃないですか。

 しかも、国民が怒っているのは、合区対象県からも代表を出したいという気持ちは、私は神奈川ですけれども、あると思うんですよ、ほかの都道府県の方にも、全国的に。ですが、人数をふやすのは絶対だめだというのが多くの国民の意見なんですよ。それに対する答弁が今の答弁ですか。ひどいですね。

 しかも、恐らく自民党は、これで来年の選挙を比例の特定枠で二、合区対象区のところから出されるんでしょうが、来年の選挙で自民党が、じゃ、この特定枠分二、比例でプラスアルファで当選できるんですか。

 実はそうじゃないんです。二〇一六年は、今の枠よりも二個多かったら、おおさか維新の会と自由民主党がとっていました。二〇一三年は自由民主党とみんなの党がとっていました。二〇一〇年は公明党と自由民主党がとっていました。つまり、あと二枠ふえた場合、恐らく自民党は、今の支持率であればプラス一ぐらいはなるかもしれませんが、プラス二とるというのは、そういう場合もあるかもしれませんが、そんなに確実な話じゃないんです。

 ですから、結局、割を食っちゃうんですよ。先ほどの既存の比例の方の声が届かなくなるというのは、この制度が導入されても、自民党は一しかとれなかったら、一人分、割を食うはずなんですよ。

 私の言ったことは正しいですか。

古賀(友)参議院議員 選挙結果はどうなるか、確かにわかりません。しかし、考え方として、るる御説明したとおりでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 つまり、最初におっしゃっていた、既存の比例の方々の声が届きにくくなるのは多様でなくなるから四人ふやしたという理由は、その程度の理由でしかないということなんですよね。

 四をふやすということに合理的に理由はないことは明らかになったんですが、これは要するに、これは参議院の法制局に聞きたいと思いますが、政治的御判断でこういうことになったということでよろしいですか。何かほかに論理的な理由がありますか。

山岸参議院法制局参事 お答え申し上げます。

 参議院の比例代表選出議員の定数につきましては、当方に立案の依頼をされました議員の御判断により四人の増とされているところでございます。

 参議院法制局といたしましては、この依頼者の御判断による依頼を受けまして、本法律案を憲法上の問題は生じないものとして立案したところでございます。

 なお、両議院の定数でございますけれども、これにつきましては政策的な判断により決められるものと考えておりまして、参議院の比例代表選出議員の定数を四人の増とすることにつきましても、依頼議員の政策的な御判断を受けたものというふうに承知しております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 まあ、政治的御判断なんです。政策的判断じゃなくて政治的御判断なんですよ。

 恐らく自民党は、来年の選挙で、合区対象県でこの特定枠を使われるということなんでしょうけれども、合区対象県で選挙区選挙に候補者を出していない県で、来年選挙になったときに、自民党は、必ずこの、例えば高知県の参議院議員をつくります、もう特定枠に入れたから確実に高知県の方は当選します、だから自民党に入れてください、そういう選挙運動をやるんじゃないですか、来年。

古賀(友)参議院議員 今後の選挙運動については、ここでお答え申し上げるのは適当ではないと思いますけれども、我々の考えといたしましては、人口不利地域の候補者をこの特定枠を活用していこう、こういう想定でいるわけでございます。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 恐らくそういう選挙をやるためにこの制度を導入しているんですよ。まさに政治的理由であって、合理的理由がない、党利党略の選挙制度改正ということがこの質疑で明らかになっていると思いますが、我々国民民主党は対決より解決をモットーとしておりますので、先ほども、埼玉二ふやすのはしようがない、だったら全国比例二減らしたらいいじゃないか、プラマイ・ゼロです、それが国民の御要請だと。

 更に言えば、特定枠というのはけしからぬと思うけれども、どうしても自民党がそうしたいんだったら、プラマイ・ゼロの中でやる手はあるんじゃないかと。私は、これは個人的な話ですけれども、そういう話までできると思うんですよ。

 ただ、抜本的改革という面では、まさに都道府県から御要請があるように、全ての都道府県から、都道府県選挙区で最低一人は三年置きの選挙で選出をいただくというのは、私は、憲法の平等の要請からしても、決して憲法違反じゃないと思うんです。

 我々国民民主党が参議院に提出した法案の附則に、「選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正を図りつつ各都道府県の区域による選挙区において議員が選挙されるようにすること等を考慮して、」「抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る」という附則をつけさせていただいております。

 つまり、各都道府県、最低一人、都道府県選出の選挙で出られるような制度にすべきだということを附則で書かせていただいておりますが、じゃ、この場合、一票の格差はどうなるかというと、これは現行の百四十六でやった場合には、二十七年の国勢調査だと四・四四三、合区を解消して百五十になった場合でいくと、二十七年のもので四・一八七、埼玉プラス二で百五十二までなった場合には、二十七年の国調で四・〇七〇。四倍を少し超える数字にはなりますが、五倍にはいきません。

 国民から見たときに、一県一代表というのは、まあいいのではないかと。ただ、一票の格差もある程度是正しなきゃいけないといったときに、この四倍ちょっと超えるぐらいが本当に憲法違反なのかということについては、我々立法府で議論すべきだと思いますし、我々国民民主党としては、きちんと国会で法律を通せば、憲法の解釈として、今のようなことというのは可能ではないかというふうに考えております。

 ところが、七月六日の参議院の倫選特で古賀議員は、我々の案について言ったんではないと思いますけれども、単に法律改正で合区を解消いたしますと、この一票の格差が四倍以上になってしまうわけでございまして、これは違憲と判断されるというわけでございますと断定的な答弁をされておられますが、なぜ違憲と判断されると断定できるんでしょうか。

石井(正)参議院議員 私の方からお答えをさせていただきたいと思います。

 二十九年の最高裁判決が、御案内のとおり、今、最大格差二・九七倍、選挙当時では三・〇八倍、この定数配分規定を合憲としたわけでありますけれども、その背景として、一つには、参議院議員の選挙制度の仕組みについて、都道府県を一つの要素として考慮するということは認めつつも、今回、合区というこれまでにない手法を導入をいたしまして、二十四年と二十六年の最高裁判決の趣旨に沿って格差の是正を図ったということにつきまして評価をしているということ。もう一つには、二十七年の改正法附則、ここに規定されております、抜本的な見直しについて引き続き検討を行って必ず結論を得る、こういう旨を定めることによって、今後における投票価値の格差のさらなる是正に向けての方向性と立法府の決意が示されますとともに、再び大きな格差を生じさせることのないように配慮されているということによるものと理解をするものであります。

 二十六年最高裁判決について、最大格差四・七七倍を違憲状態とされたということからいたしますと、合区を導入して縮小させた投票価値の格差を、合区を解消して四倍台に拡大をさせるということにつきましては、違憲、違憲状態となる、このように判断されるおそれは否めないのではないかと私どもは考えているところでございます。

後藤(祐)委員 違憲と判断されるという表現から、おそれは否めないに後退しましたけれども、参議院法制局に伺いたいと思いますが、この我々の案、すなわち一県最低一代表を三年に一回送るというやり方で、四倍ちょっと超えるというようなものが必ず違憲だということになるんでしょうか、合憲の可能性はゼロなんでしょうか。法制局、お答えください。

山岸参議院法制局参事 お答え申し上げます。

 最高裁判所がどのような判断をすることになるのかということにつきましては、参議院法制局としては判断をいたしかねるところでございます。申しわけありません。

後藤(祐)委員 一見、明らかに違憲だということじゃないということだと思うんですね。

 ですから、今我々が提案させていただいている、最低一県一代表で、四倍は超えるけれども、当面はすぐ五倍にはならないぐらいな数字というのは、これは国民からも理解されると思いますし、とにかく、定数をふやすのはけしからぬというところでは国民の大きな声があるわけですから、いろんな要請を踏まえたときに、今回のプラス四というのは非常に国民からも、過半数の国民は反対しているわけですから、私は、憲法の解釈というのも、この法案に対する国民の反応がどうであったかということも踏まえれば、いろいろ変わってくることもあり得ると思うんですね。

 ぜひ、憲法の平等に対する要請の中に、一県に少なくとも一代表を三年に一度送るということも含まれ得るというふうに言えないでしょうか。

岡田(直)参議院議員 今先生が御提案いただきましたことは、今の憲法のもとではなかなかに難しいのではないかという我々は考えでありますけれども、これはまさに、我々が憲法改正をもって一県から少なくとも三年ごとに一人の参議院議員を、代表をという、そうした考えとは方向性は全く一致いたしておりますので、またいろいろな意見交換を、御議論をお願い申し上げたいと存じます。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、四ふやすところについては極めて理由がないということが明らかになったことを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

平沢委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の参議院の選挙制度法案について質問をいたします。

 そもそも、今回の参議院選挙制度改革の発端は何だったのか、このことを振り返れば、二〇〇九年九月、最高裁判決が、格差が五倍前後に達している参議院選挙区定数配分規定について、投票価値の平等の観点から仕組み自体の見直しを提起したということがあります。しかしながら、自民党などによって抜本改革は先送りをされて、一二年に四増四減、一五年に二合区十増十減という糊塗策がとられてきたわけであります。

 二〇一五年の改正法の附則では、「選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする。」と入っておりました。

 提出者の方にお尋ねをいたします。この本案というのは、参議院選挙制度の抜本改革として提案をしたということなんでしょうか。

石井(正)参議院議員 お答えを申し上げます。

 今回の私どもが提案いたしました法案でございますけれども、御案内のとおり、格差の是正を図りつつ、また一方で、地方からの国政にその声を届けてほしいという切実なる強い御要望、これに応えるということから、今回、比例選挙の方におきまして特定枠という方式を導入していこう、こういったことで全体として地方の声にも応えていこう、多様な民意にも応えていこう、こういう考え方でございます。

 もちろん、私ども自民党といたしましては、憲法改正によって、各都道府県から少なくとも一人の代表を選出するということ、これは憲法改正によるしかない、現行の最高裁判決等を踏まえますと、このような考えを持っているところでございますが、御案内のとおり、なかなかこの憲法改正の問題が、皆様方のもとで、憲法審査会、自由な討議がまだ入っていないという状況でございます。

 そういった中におきまして、時間的な余裕は、約一年後に迫っております参議院選挙、こういったことを考えました場合に、今回、今のような、冒頭申し上げましたような内容で法案を提出させていただきまして、現下の、今の法律改正によってこの問題をこれから解決していこうという意味におきましては、最善の、法律改正によっては最善の方策の一つである、このように私どもは考えまして、提案をさせていただいているところでございます。

塩川委員 二〇一五年の改正法の附則にあるような、抜本的見直しということで出されたということは、そのとおりなんですか。

石井(正)参議院議員 二十七年改正法附則にあります抜本的見直しに当たるのかというお尋ねでございますけれども、私どもといたしましては、この抜本的な改正、見直しに当たる、一つの考え方である、このように考えまして、提案をさせていただいております。

塩川委員 しかしながら、安倍総理は、六月二十七日の党首討論で、本改正案は臨時的な措置と述べているわけなんですよね。党の総裁が臨時的な措置と言っているのに、抜本的な見直しだというのは非常に整合性がつかない話だと思うんですけれども、これは、抜本的な見直しなのか臨時的な措置なのか、その辺はどうなんですか。

石井(正)参議院議員 お答えを申し上げます。

 党首討論におきまして臨時的な措置という御答弁があったということにつきましては、先ほど私が御説明申し上げましたとおり、憲法改正というものが我が党といたしましては抜本的な、各都道府県から少なくとも一人選出という意味におきましては抜本的な改正になる。しかしながら、現下のような状況でございますので、そこに至るまでの間の、今回、法律改正によっては最善の策ということでありますけれども、そういった、全体としては次善の策になろうということで、総理としては臨時的な措置、このような御答弁をされたもの、私どもはそのように理解をしております。

塩川委員 そもそも、最高裁は憲法改正を求めていないわけですよ、現行制度下において抜本的な見直しということを求めているわけですから。そういう際に、この現行憲法下での抜本的な改革の案があるのかということを聞いているんですが、お話を聞くと、最善策だという言い方をするけれども、安倍総理・総裁の発言にもあるように、臨時的な措置ということでは、自民党として、現憲法下での抜本改革の案を持っていないということを示しているんじゃないんですか。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

石井(正)参議院議員 お答えいたします。

 私どもといたしましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおりの憲法改正、このことこそが抜本的な現下の地方の声に応える改正である、このように考えるものでございますけれども、現下のような状況でございまして、こういった中で今回の案を提出したということでございます。

 憲法改正をしないで、現下の法改正の中でほかに方法がないかというようなお尋ねでございますけれども、私どもとしましては、その法律改正という中において考え得る最も最善の案という形において提案をさせていただいた次第でございます。

塩川委員 埼玉選挙区定数二をふやすということにおいて格差是正を図るという措置にあるわけですけれども、しかし、この間の過去の法改正と同等の話であって、それがやはりあくまでも当座の対策でしかなかったということを言っても、これはどう考えても、前回の附則で言っているような抜本的見直しに当たるとは考えられないという点でも、その責務を果たしていないというのがこの自民党案だということを言わざるを得ません。

 法律の附則に抜本的見直しを必ずという検討事項が入っているにもかかわらず、改憲を前提とした合区解消案に固執し続けていたことは、法律をないがしろにしたものだ、最高裁が求めているものとも違うと言わざるを得ません。

 参議院において二〇一〇年秋より行われてきた各党による協議で、我が党は、選挙制度を考える上で最も重要なことは、多様な民意を正確に議席に反映させることとの基本的な見地に立って、当時、西岡議長が当初提示をしました総定数維持、ブロックごとの比例代表制をたたき台として議論すべきだと提案をし、各党の合意を形成する努力を続けてまいりました。

 我が党の提案というのは、基本的考え方として、投票価値の平等実現を目指す抜本改革案とする、また、多様な民意が正確に議席に反映する制度とする、さらには、参議院の立法、行政チェック機能を弱め、民意を削る定数削減を行わない、こういう立場に立って、議員定数は現行の総定数二百四十二を維持し、全国十ブロックの比例代表制、非拘束名簿式とすることを提案をしています。

 私は、こういった最高裁の判決の要請も踏まえ、また前回の改正法の附則による抜本的見直しということであれば、こういった案こそ検討されるべきだと思うんですが、この自民党案の提出者の方に、こういった案こそ抜本的見直しとして検討すべきではないのか、この点についてお尋ねをいたします。

岡田(直)参議院議員 先ほどから申し上げております参議院における各派の選挙制度専門委員会において、私どもは、確かに、我々が目指す選挙制度の憲法改正による合区解消、一県から少なくとも三年ごとに一人ということを申し上げてはまいりましたけれども、それに、憲法改正に固執をしていたということは必ずしもございませんで、例えば、都道府県単位を尊重しながら、そうすると、大規模県、人口の多いところ、大都市圏、そういったところに格差が広がって不満を生じる、そういうことのために、複数の候補者に、そうした大都市圏の有権者の方々に複数の投票を可能とする、そういう制限連記というあり方も提起をして、これも真剣に検討をしたところであります。

 当時の参議院の第二会派でありました民進党もこうしたお考えをお持ちでありまして、第一会派、第二会派で何とか接点が見出せないかというような議論もしたことがございます。各派の合意形成に努めてまいったわけでございまして、必ずしも憲法改正に固執をしたということはありませんし、やはり時間的あるいは政治状況を見まして今回は見送るという決断をしたことでございますので、御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 今回の自民党案というのは抜本的な見直しと言えないということをみずから語るような中身だと考えます。

 選挙制度は、民主主義の土台であります主権者国民の代表の選び方や国民の参政権のあり方を決めるものであり、十分な議論を重ね、合意を得る努力を尽くす必要があることは誰もが認めるところであります。多数党がみずからに都合のよい制度に変えることを強行すれば、議会制民主主義を壊すことになるわけです。多数の力で押し切ることは許されません。最大党である自民党の責任が厳しく問われていることを申し上げたい。

 その上で、特定枠についてお尋ねをいたします。

 本案では、比例代表選挙において政党等が優先的に当選人となるべき候補者に順位をつけて名簿に記載する特定枠を盛り込んでおります。

 お尋ねしますが、そもそも現行の非拘束名簿方式というのはどういう制度なのか、有権者が当選する順位を決める、有権者に委ねる、こういう制度だったのではなかったかと考えますが、お聞かせください。

磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。

 委員おっしゃるように、現行の非拘束名簿式、これが導入されたときの経緯からすれば、顔が見える選挙あるいは国民が当選者を決定できる、こういう趣旨で今の非拘束名簿式が導入をされたというふうに認識をいたしております。

塩川委員 顔が見える選挙、国民が当選者を決める選挙というお話であります。

 では、本案はどうなのか。この特定枠の人数は、候補者とする者のうち一部の者となっており、この一部というのが全部ではないということで、いわばほぼ全てを特定枠にすることが可能だ、これは参議院の審議の中でも、答弁者、提出者の方もお認めになっていることであります。

 ですから、政党が順位を拘束した候補者を、例えば二十人の名簿登載者のうち十九人まで登載できる、こういう仕組みとなっているということでよろしいですね。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

磯崎参議院議員 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、今回の法の中では、名簿の中の一部に特定枠を導入することができるということでございますので、全てでなければ法律上は否定をされるわけではないということでございます。

 ただ、この特定枠、まず、活用するのかどうなのか、何名特定枠として名簿登載をするのか、どういう方を登載をするのかということについては、各政党等の判断に任されているということでございます。

塩川委員 各政党の判断ということです。

 そうしますと、例えば二十人のうち十九人を特定枠にする、二十人のうち一人を特定枠にする、あるいはゼロにするということもあるわけで、そうしますと、実質的に、有権者から見ると、政党ごとに、非拘束名簿式の投票を求める政党や、実質ほとんどが拘束となるような、そういう政党を選んでもらうことになるのか、非拘束なのか拘束なのか、こういうのが政党によってばらばらだといったことで選挙に臨むということは、有権者に大きな混乱をもたらすことになりはしませんか。

磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 冒頭委員が御質問をされましたとおり、この非拘束名簿式、このメリットというのは、先ほど答弁させていただきましたように、顔が見える選挙、国民が当選者を決定できる、こういうメリットを持つということでございます。

 他方、今回導入をいたしました特定枠、これはやはり、現代において民意が非常に多様化をしている、細分化をしている、こういった中で、少数の有為な人を国政に送りたい、こういうニーズがあるのも事実だろうというふうに思っておりますので、それぞれ制度にはメリットがあるんだろうというふうに思っております。

 そういった意味では、私どもの提案の趣旨としては、あくまでも非拘束名簿式、これを補完する形で比例名簿の一部に特定枠を導入をしようということでございますので、基本的には非拘束名簿式を維持をしていくというのが考え方でございます。

 したがいまして、私どもとしましては、御指摘のように、政党ごとに非拘束名簿とほぼ拘束名簿が混在する選挙にはならない、そのように考えております。

塩川委員 いや、そうであれば、例えば数を限るとか割合を限るとか、そういう提案もあっていいと思うんですけれども、一部ということで、実質的にはほとんど全てを拘束にする、特定枠にするということも可能とする制度にする意味がわかりません。

 先ほども言ったように、政党がそれぞれ選択をするという場合には、有権者にすればどういう違いがあるのかというのがそもそもわからない。有権者を混乱させるような制度でどうして国民の理解が得られるのか、その点についてもう一度お答えいただけませんか。

磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。

 まさに、この拘束名簿式を、先ほど申し上げましたように、活用するのかどうなのか、何名活用するのか、どういった方をこの名簿登載者として登載をしていくのか、これはまさに各政党の御判断に委ねられるということでございます。

 したがいまして、有権者としては、例えば拘束名簿、特定枠のあり方、そういったものも含めて有権者は御判断をされるということもあるのではないかなというふうに思っておりますので、逆に、政党の選択肢をふやしていくということに今回の意味もあるのではないかな、そのように思っております。

塩川委員 それは国民から見て本当にわかるのかという疑念というのは拭えないわけであります。

 ちょっと具体的に聞きますけれども、例えば二十人の名簿登載者がある、そういう政党があった場合に、そのうち特定枠は四人とした場合に、実際に当選した人が四人だったということになります。そうしますと、非拘束名簿式の選挙であるにもかかわらず、当選者は全て拘束の人だけになる、こういうことも起こり得るということですよね。非拘束名簿式なのに特定枠の候補者のみ当選をして、これで非拘束名簿登載の候補者が当選しないということでは、これは非拘束名簿式と言えるんでしょうか。

磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 まさに、今回特定枠を導入して、今のようなことが発生をする可能性は否定できないというふうに思っております。

 非拘束、特定枠以外の名簿に登載された方については、政党に投票するのかあるいは個人名で投票するのか、これはどちらもあるわけでございますし、特定枠についても、特定枠の個人名を書くことも政党名を書くことも両方あり得るということでございます。

 ただ、やはり、カウントの仕方につきましては、特定枠に登載された名簿の個人名を書いた場合には、政党の当選者を確定する、そのことだけに票が活用されるということでございますので、結果的に、先ほど言われたような結果になることもあり得るということかと思います。

 ただ、やはり、特定枠に掲載されていないそのほかの名簿登載者につきましては、その順位を決定するために個人の名前で投票するという、そのことの意味が失われるわけではございませんので、結果的にそうなるということはあろうかと思いますけれども、根本的なものを失わせるものではないだろう、そのように思っております。

塩川委員 非拘束名簿式を補完する拘束特定枠というお話でしたけれども、でも、実際の当選者が拘束の特定枠の人のみということになりますと、非拘束名簿式の、まさに顔が見える、そういった選挙のあり方、国民が当選者を決める、そういう選挙のあり方そのものが否定されることになりはしませんか。

磯崎参議院議員 お答えいたします。

 そのことも踏まえて、重ね重ねということになりますが、名簿、特定枠を活用するかどうなのか、何名なのか、これは政党がまさに判断をするということでございますので、政党の選択肢をふやすという意味での判断に委ねていくということかと思います。

塩川委員 非拘束名簿式というあり方そのものが問われる制度だと言わざるを得ません。

 今お話の中で、特定枠の候補者についての投票との関係で、政党の投票と個人名の投票のお話がありました。特定枠の候補者に個人名の投票を認めるというのはなぜなんでしょうか。

磯崎参議院議員 お答えさせていただきたいと思います。

 これは、先ほど来お話が出ておりますとおり、今回特定枠を導入することで選挙の制度が複雑になるのではないか、こういう御指摘がございました。

 特に、今回、例えば、特定枠の名簿に掲載された方については、これは本人の、例えば投票ができない、政党名だけ、特定枠に掲載されていない非拘束の人については政党名でも個人名でもいいということになると、やはりこれはより複雑な選挙制度になるということになろうかと思いますし、更に言えば、基本的には特定枠は個人名を書いても順番に影響がないわけでございますので、政党名だけに絞るということも可能かと思いますけれども、今申し上げましたように、より複雑になるということを避けるということが一つの意味としてはあるというふうに認識をいたしております。

塩川委員 いや、有権者から見たら奇々怪々の仕組みになるんじゃないでしょうか。

 特定枠の人の中で、例えば、仮に千票だった人がいた場合に、その後の非拘束の名簿の登載者の候補者が十万票とっても、今言ったように四人までしか当選しないような仕組みだとしたら、十万とるような非拘束の人は当選に届かず、千票の人がもちろん特定枠ということで当選するということになると、これは、はたから見たら納得が得られるような仕組みになるんだろうかと思うんですが。

岡田(直)参議院議員 先ほど後藤議員からもこうした特定枠の候補の性格についての御質問がございましたし、今、塩川先生からもいただいております。

 非拘束名簿式というのは、先ほど申し上げたように、顔の見える、個人を選ぶ選挙。そうしますと、個人名を書いてもらうための選挙というのは甚だ激烈であります、全国回ってですね。しかし、それではやはり酌み取ることのできない、少数派というか、ある意味マイノリティーというか、あるいは社会的弱者という方々もいらっしゃると思うんです。

 例えば、島根、鳥取、高知、徳島というのは、これはもう人口的なマイノリティーというか、絶対的な人口減少地域ということで、これも含めて、我が党はそれを想定しておりますけれども、ほかの党には、いろいろな、なかなか今までの非拘束式の比例選挙では当選し得ないような方を拘束名簿式に入れる、それがゆえに、先ほども申し上げたように、比例四増というのは、現状の非拘束名簿式に大きな影響を与えることなく、こうした新しい、自由度の高い、そして、選挙に必ずしも強いとは言えないけれども、これはぜひ国会で働いてもらいたい、そういう方々を特定枠に入れる、こういうことを構想しているもので、両者の性格が違うということを御理解を賜りたいと存じます。

塩川委員 いや、私が聞いているのは、百歩譲ってそういう話があったとしても、特定枠の候補者について個人名を書く必要があるのかという話なんですよ。

 今言ったように、有権者から見れば顔が見える選挙で、その有権者が当選者を決めるような仕組みと言われているのに、実際には、得票数で大きな差がある、非拘束の人の方がたくさんとっているのに、特定枠であるがゆえに個人票が少なくても当選するというのは、有権者から見たらわかりにくいんじゃないのかということと、その特定枠の中でも順番がついているわけですけれども、一番の人が十票で、二番の人が一万票とかという場合だってあり得るわけですよ。特定枠の中でも得票数の実際に順位との逆転が起こるような場合も起こるわけで、こういうのというのは有権者から納得が得られるんでしょうか。

磯崎参議院議員 お答え申し上げたいと思います。

 まず、特定枠の中の票ということにつきましては、これは特定枠の候補者の個人票というのは、あくまでも政党の当選者の人数を決めるためのみに活用されるということでございます。

 ただ、やはり有権者にとってみれば、そこのところの、事前に制度としての説明をきちんとしておく必要はあるんだろうなというふうに思っておりますが、あくまでも特定枠につきましては、あらかじめ順番が決まっておりますので、本人の得票数にかかわらずその順番に当選をしていく。この制度の趣旨ということにつきましては、やはりきちんと導入に当たりまして説明をしていく必要はあるんだろうというふうに思っております。

塩川委員 いや、個人名の投票を行う意味があるのかという話なんですよ。有権者は、だって理解できないじゃないですか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 特定枠、非特定枠、いずれも基本的に、比例代表選挙は政党を選択する選挙であるというこの原則は変わらないわけでございます。

 その上で、したがいまして、特定枠につきましては政党に対する得票で当選が決まっていく、非特定枠につきましては個人名で党内の当選順位が決まっていくということでございますけれども、特定枠候補に有権者が投票をした場合に、これを死票化してしまうのは不都合である、こういった考えから、特定枠候補者に対して国民が投票してしまった場合でも、これは政党への得票として認めましょう、こういったことで今回の制度設計がなされている、このように理解しているところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 私が聞いている、名簿順位と得票順位が異なった結果が出た場合に有権者の意思と反することになるんじゃないのかといったことについてのお答えにはなっておりません。今聞いただけでも、矛盾が多い、有権者の理解が得られない制度だと思います。

 こういった特定枠を導入する契機となっているのが、この間の答弁にもありましたけれども、合区問題に対応するということで、自民党案の提出者の方は、合区の対象となっている人材は国政上有為な人材と言い得る、こういった人材の当選の機会を高めることを可能とするべく特定枠を利用することは可能であると考えているということで、合区で立候補できなかった人を比例に回し、優先的に名簿登載するために定数も四増し、現職候補者の救済という、自民党の都合に合わせたというのがこの特定枠の導入だというのが率直なところだと思いますが、そういうことですね。

岡田(直)参議院議員 特定枠については、さまざまな活用法、あるいは活用しないという選択肢もあるところでありますけれども、我が党以外にも、合区対象県にそうした特定枠の候補者を立てるということはあり得ると思います。

 しかし、それは、何党何党の代表を出すという意味ではなくて、まさに地方六団体が、また多くの県議会が求めているように、その地域の代表者を、代弁者を、国政に声を届ける人を立ててくれる、そうした手法というものを今回我々は御提案を申し上げているので、これはいずれかの党に有利になるとか不利になるとか、そういうものではございません。自民党の議席が必ずしもふえないというのは先ほど後藤先生も御指摘になったとおりでありますし、これは価値中立的な、そうした法案であるということを御了承願いたいと存じます。

塩川委員 現職候補者救済という側面は否めないということと、更にお尋ねしたいのが、自民党の提出者は法案の趣旨説明で、全国的な支持基盤を有するとは言えないが国政上有為な人材又は民意を媒介する政党がその役割を果たす上で必要な人材を当選させることが目的と答弁していました。

 この国政上有為な人材というのが合区の現職候補者の救済の面があるわけですけれども、もう一つの方の、政党が役割を果たす上で必要な人材というのはどういう人を指しているんですか。

岡田(直)参議院議員 これは各党の御判断に委ねたいところでございますが、一つ、選挙区では酌み取れない、御党も二県合区には御反対というふうに存じておりますけれども、そうした地域の民意をこの全国比例の特定枠という制度で、事実上、やはり地域をよく知り、そして活動できる、そういう方を、しかも全国民の代表者として、全国比例の議員として進出可能になる、そういう制度を考えているところでございます。

塩川委員 お答えいただいていないんですけれども、政党が役割を果たす上で必要な人材、今言ったような話もあるかもしれませんが、しかし、自民党として、政党が役割を果たす上で必要な人材という理屈で、例えば自民党の参議院幹部を特定枠に入れる、こういうことも可能ということなんですか。

平沢委員長 岡田君、時間が来ていますので、簡潔にお願いします。

岡田(直)参議院議員 はい。

 そういうことは現在想定しておりません。

平沢委員長 塩川君、時間が来ました。

塩川委員 党利党略、御都合主義、露骨なお手盛りという批判というのは当然のことであって、更に徹底審議を通じてこの問題を明らかにしていきたい、このことを申し述べて、質問を終わります。

平沢委員長 次に、岡田克也君。

岡田委員 無所属の会の岡田克也です。

 この案は、私は、本当に恥ずかしい案だ、よく出してきたな、参議院の自民党、そういうふうに思うわけですが、具体的に幾つか聞いていきたいと思います。

 まず、先ほど来、今回の改正案は抜本見直しに当たるというふうに答弁されました。ここが全くわからないわけですね。

 前回の十増十減、これについても、脇さんは抜本改革に当たらないというふうに参議院における質疑で言われたと思いますが、提案者も提案理由の中で、抜本改革の第一歩であるという言い方をしているんですね、第一歩。

 十増十減が第一歩で、なぜ、二つ埼玉県でふやす、これが抜本改革なんですか、明確にお答えいただきたいと思います。

岡田(直)参議院議員 何をもって抜本改革か、これはいろいろ御評価があると思います。

 確かに、前回、四県二合区という参議院創設以来初めての県をまたぐ選挙区をつくったということも一つの抜本改革ではなかったか、その時点において実現可能なですね。

 そういうふうに思うと同時に、今回は、やはり、最高裁判所の判決あるいは前回の改正法の附則にありますような一票の格差是正とともに、比例を、非拘束式に加えて拘束式の特定枠を補完的に一部導入をする、こういう新しい仕組みを導入するものでございますから、これは、来年の、一年後に迫った選挙に向けて、一つの抜本改革と言い得るものではないか、このように考えておる次第でございます。

岡田委員 合区を含む十増十減すら抜本改革の第一歩である、提案者がこれを言っているんですよ。それがなぜ、埼玉で二つふやすのが抜本改革になるのか。

 今、特定枠の話をされましたが、一票の格差是正、そういう観点からいうと、特定枠というのは関係ないわけですよ。それを含めて抜本改革だと言っているのは全く詭弁じゃないですか。

岡田(直)参議院議員 一票の格差是正につきましては、埼玉に二増することの意味は先ほど申し上げました。

 一つには、埼玉が大都市圏にあってなお人口の増加を見込める地域であることに対して、これが今最大になっているわけですけれども。次が、宮城と福井の比較になります。そうしますと、これは、ともに残念ながら人口減少が始まっておりますので、この格差は、大きくこれから三倍を超えて広がっていくことはない、こうしたことも一つの一票の格差の判断材料。そしてもう一つは、先ほど申し上げましたように、非拘束式の中にこの特定枠というものを導入して、先ほどから繰り返し御答弁しておりますような目的を達成するために、こうした法案を御提示している次第でございます。

岡田委員 私は経緯の説明を聞いているんじゃないんです。そして、特定枠は一票の格差と関係ないでしょう、それがなぜ抜本改革と言えるのかと聞いているんです。

岡田(直)参議院議員 参議院における十七回専門委員会を重ねてきたと申しました。当初、当然、一票の格差の是正ということが一丁目一番地のテーマでありましたけれども、やはり、前回の法改正によって四県二合区された、先ほどの亀井議員の御質問にもございましたけれども、これは極めて地域の方にとっては心情的な面も含めて大きな痛みを伴うものとなってきたことが際立ってきて、その専門委員会の過程でも、二県合区には問題がある、何とかこれを解消できないか、こういう議論の流れも出てきたところであります。

 そしてまた、今の社会には極めて多様な民意というものがあって、参議院はもともと、多数形成もさることながら、そういうバラエティーに富んだ、マイノリティーも含む、そうした民意を反映するのが参議院の特色と考えておりますので、ここのところを考慮してそうした制度になっているということでございます。

 ですから、一票の格差のみが論点ではなくて、地域性の加味、やはり人口少数地域に対する温かい手当てというものもこの提案の中に含まれているということを、どうか岡田先生、御理解を賜りたいと存じます。

岡田委員 一票の格差是正は憲法上の要請なんですね。そのことを前提にした上で、どういったことが可能かということを考えていかなければいけないということを申し上げておきたいと思います。

 それから、附則で前回書いたのは、参議院のあり方を踏まえ、人口の格差是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする、こういうふうに書いたわけですね。前提になる、「参議院の在り方を踏まえ」、参議院のあり方については参議院の中でコンセンサスはあるんですか。

岡田(直)参議院議員 お答えを申し上げます。

 この間、選挙制度専門委員会と同時並行で、その親会である参議院改革協議会でも各派で御議論をいただいてまいりました。

 それは、まず第一のテーマとして、参議院の行政監視機能を強化をしよう。これは、参議院は、決算の参議院といって、決算委員会、非常にボリュームがあるわけでありますけれども、それとは別に、やはり今各省庁でさまざまな問題や不祥事が起きている、このことについて、常時参議院が、衆議院は決算行政監視委員会という形でありますけれども、行政監視委員会、独立したものとして今ございます、それを閉会中も、年間通しで、しかもその中に小委員会も設けて、機動的に常時省庁に目を光らせる、このことを全会派一致で合意をいたしまして、今回、参議院規則の改正にという運びになっております。

 そうした意味で、参議院のあり方というものを踏まえた議論、参議院が衆議院と異なるところの使命をいかにして果たすかという議論については、しっかりと参議院の中でやっておりまして、各派の御賛成もいただいたことを大変ありがたく、画期的なことだと思っておりますし、この後も、地方自治との連携とか、そうした第二、第三のテーマに精力的に取り組んで、憲法上の権能のみならず、やはり法律レベルあるいは規則のレベル、運用レベルでさまざまなことを、参議院のあり方、考えてまいりたいと思っております。

岡田委員 行政監視機能を強めるというのは一つの方向だと思います。

 しかし、この附則に書いてあるのは、「参議院の在り方を踏まえて、」と書いた以上は、やはり参議院のあり方についてのコンセンサスが参議院においてできる、それをするということが大前提だと思うんですね。

 今、第二、第三のテーマとおっしゃいましたが、そういう話じゃないんですよ、これは。第二、第三も含めて、次回の参議院選挙までにきちんと、参議院のあり方について参議院の中で議論がなされ、コンセンサスを得るということはこの附則の前提ですよ。その附則の前提が満たされていないのに、抜本改革ですというのは、全く国民を欺くものじゃないですか。

岡田(直)参議院議員 各会派におきまして、特に参議院の改革協議会の中で、一つの共通した認識というものが醸成されたというふうに思っております。

 それは、先ほども申しましたが、多様性、ダイバーシティーというんでしょうか、そういった、現代社会において、さまざまな意味でなかなか大きな声になりにくい、そういう声も含めて、政党においても、少数会派にもそうしたチャンスが生まれ得るような、ですから、先ほどの、比例四増には合理性がないというふうな厳しい仰せもございましたけれども、そうしたあらゆる意味での多様性に応えていく、少数意見にも対応可能な参議院をつくってまいりたい。この認識は、各会派共通で、参議院のあり方として認識をされたものと思ってございます。

岡田委員 私が非常に問題だと思うのは、法律に書いたわけですね。脇さんも言っていますが、単なる選挙公約、いや、選挙公約違反も大きいですよ、だけれども、法律に書いた、立法府として。その中に、「必ず結論を得るものとする。」という非常に強い表現を使った。その結果が、今回のこの特定枠と全体で六つふやす、こういう案でしかないと。

 前回の参議院選挙は、この法律を通して参議院選挙を戦っているわけですから、有権者を欺いたものだと言われても仕方がないと思いますよ。いかがですか。

岡田(直)参議院議員 二十七年公職選挙法改正法附則にございます、必ず結論を得ること、その前段としては、一票の格差是正をしつつ、そして参議院のあり方も踏まえてという前提がございますけれども、それを一定満たしておることは申し上げたとおりでございます。

 必ず結論を得ることというのは、これは法文にはなかなかまれな表現である、必ずというのはまれな表現であると思いますけれども、しかるがゆえに、来年の選挙が迫る中で、必ず結論を見出さなければいけないと思った次第であります。

 各会派の完全な意見の一致を見ることは理想でございます。本当に我々もそれを望むところでありますけれども、残念ながら、幅の広い御意見があって溝が埋まらない、そんな中で、しかし、理想のみ追い求めて、今、何事もなし得ないということになりますと、これはかえって無責任というそしりを国民の皆様からお受けすることになるのではないか、こういった考えから、今、必要な手続を踏んだ上で、ここに御審議をいただいている次第でございます。どうか御理解賜りますようお願い申し上げます。

岡田委員 私は理解できないわけですが。

 各会派の意見がまとまらないからこういう案を出してきた、こういうふうにおっしゃるんですが、先ほど来議論されている、特定枠を設けたことによって比例を四ふやすというのは、全く必要のないことですよね。今の比例の枠の中でやればいい。特定枠で何人ふやすかというのも各党に委ねられているわけですから、四という数字に何の根拠もないわけですね。

 結局これは、自民党の中で現在比例当選している、そういう人たちの声を参議院自民党が抑えることができなかった、だから、安易に四ふやしたということじゃないですか。これを抜本改革と言うのは、まさしく国民を欺いていませんか。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

岡田(直)参議院議員 まず、この法案が自民党を利するものではないということについては先ほど申し上げたとおりでございまして、党利党略ということでは我々は決して考えてございません。

 そして、この特定枠の制度、これは国民を欺くものではないか、そういうお尋ねもございましたけれども、我々としては、一票の格差を是正し、また、なかなか国会に届きにくい、そうした地域の声、あるいは少数者の声、そういったものを酌み取る仕組みとして現代的な御提案を申し上げているつもりでございますので、これは国民を欺くといったことは毛頭考えてございません。

岡田委員 本来、抜本改革をきちんとやらなきゃいけないにもかかわらず、それをやらず、かつ、どさくさに紛れて定数をふやす。だから、二重の意味で国民を裏切っているというふうに私は申し上げているわけです。

 もう一つ、憲法改正との関係を言われていますが、これはまことに私は遺憾だと思いますよ。憲法改正の議論が自民党から出てきたときに、私は、これは到底次の参議院には間に合わないことはみんなわかっているわけですよ。憲法を改正して、国民投票して、制度を新たにする、それがわずかな期間でできるはずがない。できるはずがないにもかかわらず、この憲法改正の議論を中心にして時間を潰して、最後になって、与野党で議論もしていない案をいきなり出してきた。これは全部できレースじゃないですか、自民党の中の。いかがですか。

岡田(直)参議院議員 憲法改正を私どもの公約として、四項目の中に合区解消・地方公共団体という項目を掲げて、各県、三年ごとの選挙で少なくとも一名の参議院議員を出し得る、そういう憲法改正の、これはまだ条文イメージということで、たたき台の段階であります。これを参議院の憲法審査会では一度だけ、今国会、その自由討議で私はその意見を開陳させていただきましたけれども、残念ながら、衆参の憲法審査会は現在そうした憲法の本論に触れるような御議論をなさっておられない、開かれていることが極めてまれ、そういう事情もあって、時間が推移して、このことが困難になった。

 そこに我々は率直に、今の状況では憲法改正によることは難しい、こういうふうに今回は見切りをつけて、しかし、更に次回に向けて努力を重ねてまいる所存でございますし、また、この今提案しておる案は、かつて参議院の選挙制度協議会の座長をしておられた脇雅史先生、先日参議院に参考人にもお見えになりましたけれども、この比例の非拘束式名簿の中に拘束式の要素を取り入れる混合型の提案をされたこともあります。

 そんな段階から発想はあったわけでございますけれども、やはり今回、十七回の専門委員会を経ても成案が得られない、それなら、速やかに次の親会で、参議院改革協議会でこの案を提示しようというふうに、今般、そうした発案をして、党内でもしっかりと選挙制度調査会やあるいは政調審議会、総務会といったところで御議論をいただき、御批判もいただきながら、党内手続をとってここに、国会に御審議いただいている、そういう事情を御報告申し上げます。

岡田委員 憲法改正は、与野党の中で丁寧に議論していかなきゃいけないです。そういう観点で、憲法調査会、さまざまな議論をしている、そのことは当然自民党もわかっているわけですね。

 にもかかわらず、来年の夏までに憲法の改正を、参議院の制度についてなし遂げて、かつ、国民投票も終えて、参議院選挙で、新たな制度で、新たな憲法改正のもとでスタートさせる。そんなこと、三年間の期間でできないことは最初からわかっていたんじゃないですか。わかっていて、憲法改正の議論に持っていって、そしてぎりぎりまで引っ張って、そして、与野党で議論していない、全く自民党の都合のいい案を出してきた、これが実態じゃないかと私は言っているわけです。いかがですか。

岡田(直)参議院議員 憲法改正にこだわって時間を費やした、あるいはそもそもこの三年間で憲法改正などは無理ではないか、このような仰せであったと思いますけれども、そのことは、我々は超党派で憲法審査会というものを国会に設けて、常設をして議論を重ねるべきところ、なかなか開かれないことは残念でありますけれども、こうした憲法改正による選挙制度改革というものを、これは否定されるべきものではないと思いますし、我々は堂々と今後もそうした議論を続けてまいりたいと思います。

 そして、どさくさ紛れという大変厳しいお言葉でありましたけれども、そうしたことは毛頭考えておりません。

 これはやはり、専門委員会の中でも、一票の格差の是正と、もう一つはやはり、地方から沸き上がってきた、少数地域にも最小限の代表をという声に応える、応えるべきであるというこの認識は共有をされておって、そうした点を踏まえて我々の案を練ったということでございまして、このどさくさ紛れということは、どうか、同じ名字の大先輩に甚だ恐縮ではございますけれども、どさくさ紛れという言葉だけはどうか御容赦をいただきたいと思います。

岡田委員 憲法の改正で対応するということを自民党は志向されていて、これからもそうだとおっしゃるんですが、これは簡単な話じゃないと私は思うんですよね。つまり、憲法の中の、法のもとの平等というのは基本的人権の最も基本の部分ですから、ここの部分と、それから各都道府県代表としての参議院の性格というものをどう調和させるか。憲法を改正して書けば済むというものじゃないと思うんですね。

 この法のもとの平等という大原則のもとで都道府県代表としての性格を憲法改正によって認めるというのは、具体的にどういうことを考えておられるんですか。

石井(正)参議院議員 お答えをいたします。

 憲法改正の私どもが提案しておりますイメージ案の中においての御質問を頂戴いたしました。

 私どもは、憲法四十七条、これを改正をいたしまして、原則的な規定といたしまして、投票価値の平等の要請につきましては、人口を基本とする、こういう規定を置く一方で、人口だけではなく、行政区画、地域的な一体性、地勢等の要素も総合的に勘案して選挙区等を定める旨の規定を置くということをイメージとして考えております。

 これは、選挙区や定数を定める上で、人口を基本的な基準とすることまでは変えるものではありませんで、あくまでも投票価値の平等と地域の民意の適切な反映との調和という観点からそのような定めを置くことと考えているところであります。

 その上で、参議院議員の選挙につきまして、合区を解消して各都道府県から代表者を選出できるように、広域の地方公共団体の区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙することが可能となる規定を置くということを考えております。

 このように改正をすることで、御質問は、憲法四十三条に規定する全国民の代表者とする規定、こういったことと矛盾するのではないか、あるいは十四条の平等性の問題とも抵触するのではないか、このような御質問でございます。

 このような考え方があるということも承知はしているわけでございますけれども、最高裁も述べておりますように、四十三条の全国民の代表ということにつきましては、その選出方法にかかわらず、「特定の階級、党派、地域住民など一部の国民を代表するものではなく全国民を代表するものであつて、選挙人の指図に拘束されることなく独立して全国民のために行動すべき使命を有する」ということを意味しているということであります。

 こういった解釈を前提とする限り、事実上、都道府県代表的な意義ないし機能を有する要素が加わったからといって、これにより選出された議員が全国民の代表であるという性格と矛盾、抵触することはない、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

岡田委員 法のもとの平等というのは、これは憲法の基本的人権の最も根幹の部分ですね。そことの調和というものを、憲法で今おっしゃったように書けばクリアできるとは到底思えない。

 例えば、参議院の権能、権限というものを弱める、衆議院と比べて更に弱くするとか、そういうことまで考えていかないと、私は法のもとの平等との調和ってできないと思うんですよ。そういう覚悟は皆さんあるんですか。

岡田(直)参議院議員 この二院制のあり方に関する、特に参議院の権能という議論については、参議院の憲法審査会がかなり頻回に開かれていた時期に、二院制についてというテーマで議論をされたところであります。

 しかし、各会派を通じて、やはり憲法上、参議院の権能を縮小すべきではないという声が参議院においては強かった、これは自民党に限ったことではございません。

 その一方で、先ほども申し上げましたように、憲法本体のみならず、やはりそこに附属する法律、国会法であるとか、あるいは両院規則であるとか、あるいは公選法もその中に入るかもしれません、あるいは、その運用をもって参議院の権能、権限を、権能、権限というと何かちょっと偉そうな感じがしますけれども、参議院の機能というものをもっと充実させて、強化させて、もっともっと衆議院とは違った角度で働いて国民の皆様の御期待に応えるような、そんな参議院でありたい、そういう議論は参議院において各会派が一生懸命、行政監視を嚆矢として、行政監視を第一歩として今進めているところでございます。その成果も上がっているところでございます。

岡田委員 衆議院と比べて違う権能、例えば行政監視機能を強めるとか、そういうことは私は非常に有用だと思うわけですが、例えば今法律については衆参同じ権限ですね、これは予算とか条約とは違うわけです。憲法上、法律については同じ権限だ。

 でも、法のもとの平等というものについて、より弱めるような参議院になるのであれば、そういった法律についての権限だって、予算や条約と同じような規定を置くというようなところまで覚悟しないと、私はこの議論というのは成り立たないんだと思うんですよ。そういう議論をされていますか。覚悟はありますか。

岡田(直)参議院議員 私ども、しばらくこの国会では、ただ一度の参議院の憲法審査会における自由討議のみでありましたけれども、もっともっと活発に開いて、特に参議院においては二院制の問題というのは極めて大きな問題で、国会全体としては一院制をという党是の政党もおありになり、そういう御主張の衆議院の先生方もおられる。そういう中で、どこに参議院の独自性を見出すかということを懸命に、憲法審査会でも、あるいは参議院改革協議会でも行ってまいりたいと思っております。

岡田委員 各党間じゃなくて、自民党の中でちゃんと議論していますかということを私は申し上げているわけです。

 自分に都合のいいようなことばかり、法のもとの平等は弱めます、だけれども権限は変えませんとか、今回のこの改正案だって、特定枠を設けて、比例の数はその分ふやす、なぜならば、比例の人たちの声が抑えられない。こんなことをしていたら、政治不信はきわまりますよ。次の参議院選挙にこれは必ず影響しますよ。そのことを申し上げて、私の質問にかえさせていただきたいと思います。

 終わります。

橋本委員長代理 次に、浦野靖人君。

浦野委員 一院制が党是の日本維新の会の浦野靖人でございます。

 よろしくお願いをいたします。

 この法案、この三連休、今、私の地元の大阪の方では盆踊りが始まる時期でもあります。もう既に盆踊りは始まっていますけれども、たくさんの方にお会いをします。やはり、あれどないなん、日本維新の会はどないすんねんというふうなことを、よくこの法案について聞かれます。もちろん、まさか賛成せえへんよなということをやはり言われます。

 私が、今までこの間、この六増案が出てきたときからお会いした全ての方々、これは自民党の衆議院議員の方々も含まれますよ、の中で、この法案についていい法案だとおっしゃった方は白須賀さん一人です。この間の法案の審議のときにおっしゃった白須賀さん一人だけですね。私はほかの方からも、自民党の先生方そして地元の有権者、ありとあらゆる方々が、この法案についてはちょっと考えられへんということをおっしゃっております。

 これは後藤先生が質疑で指摘をしましたけれども、これは政策の話ではないんですね。これはもう完全に政治の話だと私は思っていますので。いろいろ難しいことを、もちろん一応法案ですから、法律ですから、理屈立てといいますか、そういったものもあるでしょう。ありますけれども、しかし、これは、国民の皆さんがこれについてどう思われるかというのは、非常に政治の話は大きいと思います。

 そういう意味では、我が党はもちろん、皆さんも我が党のスタンスについてはもう知っていただいていると思いますけれども、全く賛成できる余地がない法案です。

 どういったものが抜本改革かという議論については、これは党によってすごく差があると思うんです。今、発議者の、提案者の岡田さんもおっしゃったように、我が党はそもそも最終的には一院制を目指していますから、そういう意味では、この法案、抜本的でも何でもない、我々にとっては改革というものですらないものでありますけれども。

 そういった中で、今、日本全体がどうなっていっているのかということをやはり確認をしていきたい。これもちょっと質問がかぶってしまっていますので、簡素に答えていただいていいと思うんですけれども。

 今人口が減っている、減少が始まっています、日本の人口は。地方議会を含めて、全議会で定数増をしたところがあるかという質問にお答えをいただきたいと思います。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

石井(正)参議院議員 御質問いただきました、地方議会においての状況でございますが、これは地域の事情もあるということでありまして、地域の代表を確保するという上で、人口比例のみで一律に削減することが望ましいのかどうかという点につきましては、議論があることではないかと存じます。

 平成三十年六月二十八日以降に実施されます県議会議員の選挙で、現在の議員定数より多い定数で選挙を行う、こういう県議会といたしましては、三重県議会におきまして、四十五議席から五十一議席へと定数六増の条例が可決をされたと聞いております。また、熊本県におきましては、四十八議席から四十九議席へと一増となった、このようにお聞きをしているところでございまして、地方議会の状況は以上でございます。

浦野委員 今お話があった三重県議会は、これはそもそも、もともと五十一やったのを議会改革ということで四十五に減らした。ところが、その四十五に減らした後、まだ選挙を一回もやっていないんですね。選挙を一回もやっていないんですけれども、また選挙が来る前にもとに戻そうという話になって、五十一に戻ってしまった。増をしたわけじゃないんですね。次の選挙では議員定数を減らそう言うてやったけれども、その前に、いや、やはり戻そう言うて戻しただけの話ですよね、これは。

 本当に、全地方議会を合わせて、本当の意味での定員増は、先ほどの質疑の中にもありましたように、所沢、たしか名前は出しませんでしたけれども、所沢市なんかは、定員増のあれはやっていますけれども、時代の流れを見て、定員増を事実上していない、様子を見ている、そういったところもあります。

 地方議会、特に、やはり皆さん、議会の運営費、民主主義のコストと、やはり自分たちの今見ている市町村、都道府県の財政状況も横目で見ながら、一体自分たちはどれぐらいの経費をかけて、民主主義の経費をかけて、住民のために何ができるのかという観点からも、自分たちの存在を考えて、例えば定数を削減したりとか、議員報酬を削減したりとか、そういうことを行っているわけです。

 地方議会ではもう本当に血のにじむような努力をそうやってされております。そして、我々衆議院も、この間の解散・選挙で定数減の選挙をしてきました。

 答弁の中でも、時間がない中で、あと参議院の選挙が迫っているからということをおっしゃいましたけれども、参議院の選挙というのは三年に一回あるとわかっていますよね、我々衆議院と違って。必ず三年に一回、半分ずつ改選されることがわかっている、政治のスケジュールがわかっている中で、いや、もうあと一年しかないんです、ないんですと言われても、それはただただ、あなたたちがやることやれへんかっただけだと思うんですけれども、これはもう政治の不作為だと私は考えているんですけれども、どう思われますか。

岡田(直)参議院議員 決して手をこまぬいて、この間、時間を費やしていたということはございませんで、もう重なる御答弁は簡潔にさせていただきたいと思いますけれども、選挙制度専門委員会、そして参議院改革協議会、また各派代表者会議、こうしたところで活発な、時には激しい御批判も受けながら、いろいろな議論をしてきたところでございます。

 したがって、そうした、何もせえへんかったんじゃないかということは必ずしも当たらないというふうに思っておりますし、参議院の選挙の特質として、確かに、解散がない、三年に一度、通常選挙であるということはございましょうけれども、やはり、選挙のスケールを見ますと、全国比例というのはまさに日本全土に及ぶわけでありますし、都道府県選挙区におきましても、衆議院のまた小選挙区とは、少し大きなくくりになっております。そして、従来、この選挙区というものは、都道府県の民意を集約して、そしてそれを国会に届けるという、そうした意味では、地方団体と密接な関係も持ってきた。

 そんな中でこうした案というものを考え出したということでありますので、御理解を賜りたいと思います。

浦野委員 安倍総理はよく、選挙制度は民主主義の根本にかかわる云々ということで、各党各会派で意見を持ち寄って、しっかりと合意形成をしていっていただきたいということでおっしゃいます。

 今回、その合意形成は全くありません。ということは、これから自民党さんはもう各政党間のそういった合意もなしで選挙制度を変えていくんだという決意のあらわれだと我々はとってよろしいですか。

岡田(直)参議院議員 お答え申し上げます。

 選挙制度については、各党各会派で完全な一致を見ることが理想であると存じます。しかし、なかなかこれが、過去の例に見ても、全会一致で決まったということはまれであろうというふうにも思うところであります。

 それは自然なことでありまして、各党各会派、御主張が、基本的な理念、ポリシーというものがそれぞれにおありになる中で、なかなか完全な一致点というものは見出しにくい。

 そんな中で、理想は我々も追求してまいりたいと思いますけれども、理想を追い求めるのみでは、今の時点で何もなし得ない。そういうことでは、やはり、先ほど申し上げたように、無責任のそしりを免れない。

 そんな中で、選挙制度専門委員会の取りまとめの後ではありましたけれども、できるだけ速やかにという思いでこの法律案を取りまとめまして、各会派に御提示して、それは厳しい御意見もたくさんいただきましたし、本当に異例なことではありますけれども、法律案を国会に出す前に、自民党としての見解を書面をもって参議院の各派代表者会議にも示したところでございまして、政党間の合意形成に今後とも努めていくということには全く変わりはありません。それがいかに困難なことであっても、しっかりと協議をしてまいりたいと存じます。

浦野委員 ありがとうございます。

 今冒頭にも言いましたけれども、日本の人口は減り続けています。この間、つい先日発表されました、ことしの一月一日現在の人口は、去年の同じときの人口、前年比で三十七万四千五十五人減りました。非常に減っているわけです。恐らく、これはまだ更に続くでしょう。この三年後、四年後も恐らく人口が減っています。

 その中で、今皆さんがおっしゃるような話でいけば、参議院の定数はまた上がるんじゃないかというふうになると思うんですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

石井(正)参議院議員 お答えをいたします。

 委員御指摘がございましたとおり、七月十一日に総務省が公表いたしました平成三十年一月一日現在の住民基本台帳ベースの日本人住民人口につきましては、一億二千五百二十万九千六百三人となりまして、対前年三十七万四千五十五人の減少となっております。

 この総務省の住民基本台帳の日本人住民人口を使いますと、参議院選挙区選挙の最大格差は、埼玉県と福井県との間において三・〇八七倍となりますが、今回提案いたしております埼玉県の二増、これを行いますと、この最大格差は宮城県と福井県の二・九四九倍となるところであります。

 御指摘のとおり、我が国は人口減少社会に直面をしているところでありまして、これからも人口減少が続いていくこととなりますけれども、埼玉県の定数二増によりまして、最大格差は宮城県、次いでは新潟県と福井県の間におきまして二・九倍台となります。人口増加傾向にある埼玉県と異なりまして、これらの県のこれまでの人口動態を見ますと、最大格差が今後大きく拡大していくとは予想しがたいところでありまして、当面、三倍を大きく超えるような状況にはならないものと考えておりまして、定数増を考えているところではございません。

 我が党は、そもそも、憲法改正によって合区を解消して、少なくとも各都道府県から一名を選出することができるようにする必要がある、このように考えているところでございまして、選挙区定数を増加し続けるようなことを予定をしているところではございません。

 以上です。

浦野委員 日本の人口が減っていく中で特定の地域は人口がふえていくということは、結局、東京一極集中が今も続いているということなんですね。でも、今、こういった一票の格差が開いていっているのは、そういう政治を行ってきた自民党政権の責任でもあるわけですよね。地方の人口が減っていく、そういった政治を続けてきたのは、今までの長期にわたって政治を続けてきたのは自民党政権だったわけです。それをやはり、地方もしっかりと人口をふやしていく、東京一極集中を是正をしていく努力を今以上にしていかないといけないということは私は指摘をしておきたいと思います。

 次に、特定枠というものを今回創設をまた新たにしますけれども、過去に拘束名簿式を非拘束名簿式に変更した当時の議論、それはどのような議論だったかをお聞かせいただけますか。

古賀(友)参議院議員 お答え申し上げます。

 拘束名簿式比例代表制、これは昭和五十七年に導入されたわけでございますけれども、この制度につきましては、候補者の顔の見えない選挙、過度の政党化、あるいは政党の行う順位づけが有権者にわかりにくいといった御批判を受けまして、平成十二年に、候補者の顔の見える選挙、そして国民が当選者を決定する選挙とすることを目的として非拘束名簿式比例代表制が導入されたもの、このように承知しております。

 以上でございます。

浦野委員 岡田さんに我が党に説明に来ていただいたときに、我が党の代表であります片山虎之助先生がおっしゃいました。ちょうど参議院の比例、非拘束名簿をやったときの自民党の責任者が片山先生だったということで、岡田さんもお聞きになったと思いますけれども、先祖返りしているやないか、何のために拘束名簿をやめて非拘束にしたのか、あのときの議論は何だったのかということを自民党の中で議論はあったのかと非常に残念がっておられました。

 今回の特定枠というのは事実上の拘束名簿、先ほど答弁を聞いていても、答弁の中でも特定枠の話と拘束名簿をごちゃまぜにして、同じトーンで答弁をされているような感じもしましたけれども、実際、これも、特定枠というのはもう完全に拘束名簿方式と一緒だと私たちは思っています。

 そういった意味では、やはり、その当時議論があって変えた、民意をしっかりと反映できないと自分たちで言っておいて変えたものをまた復活させる、それが民意を反映することができるんだという議論になるというのが我々にはわからないし、国民の皆さんにも恐らくわからないだろうというふうに思います。

 この法案の議論の中で、経費削減のことについても触れられてきました。その中で、いろいろな議会改革などして経費削減をしていくんだという答弁をされましたけれども、これは、定数増をしていない場合ですよ、そうであった場合、そういった議会改革で経費削減をしないということでよろしいですか。

磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 経費の削減につきましては、これまでもいろいろな形で努力を重ねてきたところでございます。委員も御存じかと思いますが、例えば、事務局におけるペーパーレス化の推進であるとか、あるいは議員室への官報配付の電子化、あるいは職員の定数削減、こういったことはこれまでも経費削減の一環として行ってきたところでございます。

 今回は、定数増ということに際して、国民の皆様に新たな負担をお願いしないという覚悟を持って臨む、そういう趣旨でございます。

浦野委員 ということは、定員増をするから、経費が上がるからそういう改革をしているんだということとはまた別の話だということだと思うんですね。

 であるなら、やはり、これは答弁の中にもありましたように、ふえるのはもうわかっております、ふえるのがわかっている中で、そういった経費分を、議員報酬を削って、皆さんの歳費を削って自助努力で賄うつもりはあるのかどうかをお聞かせいただきたいと思います。

磯崎参議院議員 お答えをさせていただきたいと思います。

 定数増につきましては、国民の皆様から厳しい御指摘があるということは十分承知をしているところでございます。今回の定数増によりまして、参議院は定数が二百四十八になるわけでございますけれども、この定数増につきましては、参議院創設時よりも少ない、そういう定数に抑えよう、そういうところを考えたところでございますし、ぜひとも御理解を得てまいりたいというふうに思っております。

 同時に、参議院としてきちんと機能を果たしていく、そういった意味では、行政監視機能等、参議院独自の機能強化をして、二院制における参議院の役割を十分に果たしていく、このことを行っていかなければいけないというふうに思っております。それと同時に、参議院の運営経費の節減、こういった自助努力にも積極的に取り組む所存でございます。

 参議院におきましては、審議の過程で附帯決議が付され、その中で、参議院議員の定数の増加に伴い参議院全体の経費が増大することのないように、その節減について必要かつ十分な検討を行うことというふうにされていることを踏まえて、具体的な削減項目や額については今後各党と協議をしていくことになろうと思います。

 その際には、参議院として本来果たすべき役割と機能、例えば、少数者の意見に耳を傾け、その意見を国政に反映させるという参議院らしい役割を機能強化をさせていく、このことはもちろんでございますが、消費税の増税が控えている中で、この増員のために国民の皆様に新たな負担を強いることがないよう、効率化できる部分は何なのか、経費を縮減できるものは何かということにつきましてもしっかりと詰めてまいりたいというふうに思っております。

 そのためには、まずは、参議院改革協議会で複数の会派から提案をされましたペーパーレス化について考えていきたいというふうに思っております。ペーパーレス化を進めることで、印刷物の削減に加え、印刷等に要していた時間も短縮できることから審議等の効率化にもつながることが期待できるものと考えております。また、事務局において行っております業務のさらなる外部委託につきましても検討を進めなければならない、このように考えております。

 いずれにしましても、何ができるのか、このことを各党とも真摯に協議をした上で、経費の削減や効率化など自助努力に取り組んでいき、国民の皆様に新たな負担をお願いすることのないよう、覚悟を持って臨みたいというふうに考えております。(発言する者あり)

浦野委員 そうなんですよ、覚悟だけじゃだめなんですよね。やるかどうかを、まあ、やる覚悟はあるけれどもやらなくてもいいという話になるので。

 これは、覚悟を示すのであれば、皆さん、議員報酬にはどうしても手をつけたくないとおっしゃるんですけれども、これは別に法律が通らなくても自分たちでできることなんです、やろうと思えば。今我が党がやっていますけれども、例えば議員報酬は、自分たちの党で決めさえすればやりようはあります。それを、では例えば、せめて今災害が起こっているところに寄附をするなりなんなり、そういったことができるわけですから、そういう覚悟を示していただけたらと思いますけれども、いかがですか。

磯崎参議院議員 お答えをいたしたいと思います。

 日本維新の会がそうした観点から具体的な行動に取り組んでいただいていることにつきましては、承知をしているところでございます。

 その上で申し上げるとすれば、政治に要する費用の問題、これは、議会政治や議員活動のあり方、また議員の活動にも直接影響を及ぼす面もあることから、各派と協議をすると同時に、衆議院にも影響を及ぼす問題でございますので、慎重な検討を要するというふうに考えております。

 むしろ、参議院の運営に係る共通の経費全体について、自助努力による縮減に努め、増員分を吸収し、新たな負担を生じないように努力すべきである、そのように考えております。

浦野委員 二〇一九年の十月には消費税が一〇%になります。国民の負担は更に上がるわけですね。その中で自分たちだけが負担増を税金で賄う、そういったことが許されるのかというのは、私は本当に考えるべきだと思っております。

 参議院の選挙の前には統一地方選挙もあります。統一地方選挙でも、今回のこの法案でとられた態度、国民の皆さんはしっかりと見ていると思います。どの党がどういう態度をとったかというのは非常に重要な話になりますので。

 冒頭に言いましたけれども、衆議院の先生方も、この法案についていい顔をしていない先生方もたくさんいらっしゃいますけれども、しかし、衆議院でもこの法案は採決されるでしょう。そして、衆議院の皆さんもその片棒を担ぐわけですね。私たちはその態度をしっかりと国民が見ているんだというふうに思っておりますので、覚悟を持って頑張っていただきたいと思います。

 質疑を終わります。

平沢委員長 白須賀貴樹君。

白須賀委員 動議を提出いたします。

 本案に対する質疑を終局し、討論を省略し、直ちに採決されることを望みます。(発言する者あり)

平沢委員長 森山浩行君。

森山(浩)委員 動議を提出いたします。

 立憲民主党の森山浩行です。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会委員長平沢勝栄君の不信任の緊急動議を提出いたします。

平沢委員長 それでは、ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平沢委員長 それでは、速記を起こしてください。

 じゃ、もう一回速記をとめてください。

    〔速記中止〕

平沢委員長 速記を起こしてください。

 ただいま、森山浩行君から、成規の賛成を得て、委員長に対する不信任に関する動議が提出されております。

 本動議は、私の一身上の問題でありますので、この際、本席を理事岩屋毅君に譲りたいと思います。

    〔委員長退席、岩屋委員長代理着席〕

岩屋委員長代理 それでは、委員長の指名によりまして、私が委員長の職務を行います。

 森山浩行君提出、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長平沢勝栄君不信任に関する動議を議題といたします。

 提出者の趣旨弁明を許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 ただいま議題となりました政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員長平沢勝栄君不信任に関する動議、

 本委員会は、委員長平沢勝栄君を信任せず。

右の動議を提出をする。

 趣旨弁明をさせていただきます。

 今回の法案につきましては、前回の公職選挙法改正時、期待されておりました抜本的なものではない。しかるに、提出者の皆さんは、抜本的であると言ったりないと言ったり、その答弁の中でも揺れているところではあります。

 さらに、今回は特定枠という形で、自民党の党利党略に偏った内容で、政治的なというようなことに対して論理的な説明ができないまま、ここまでの議論が進んでおります。

 そして、何よりも国民の皆さんに説明ができていないのが、突然、定数を六ふやす、このような提案になっております。

 現在の日本の状況を、皆さん、よく御存じだと思います。自治体の議会そして衆議院も含めて、多くの議会において定数を削減をする、このような中において、論理的な説明もなく、定数を六ふやすんだということに対しても、国民の怒り、これは新聞の報道によりますと、週を追ってどんどんどんどん反対がふえているという状況にも明らかであります。

 党利党略によるこのような部分、論理的にきちんと説明ができるように修正をするべきではないか。そういった意味で、しっかりと審議時間をとるべきである。参議院でも、一周各党が三十分ずつ話をした後、また十五分ずつという形で二巡目の質疑をしています。

 それでも多くの議題が出てきて説明がし切れていない中、衆議院に回ってきたわけですけれども、もし、抜本改革というのであるならば、前例を見れば、八時間五十五分というような形の衆議院審議が行われております。たった二日間、そして野党分に限ると二時間半というような審議時間では短過ぎる。

 けさの理事会におきましても、きょう終結をするというような与党の皆さんからの提案に対し、いや、まだまだ終結をするべきではないとお話をしました。委員長もお聞きになって、そして、筆頭間で十分に調整をしてほしい、協議をしてほしいという話でありましたけれども、協議が調わない、このことをお伝えをしたにもかかわらず、このまま質疑終局に向かっていくということは、到底許されるものではありません。

 公正な運営をするべき委員長が、このような形で、選挙制度という国民の権利の根幹にかかわるような法律を、やっつけ仕事のように仕上げればいいんだというような話にはなりません。

 したがって、改めて徹底審議を求め、そして委員長の不信任を提案をするものでございます。(拍手)

岩屋委員長代理 これにて趣旨弁明は終わりました。

 討論の申出がありませんので、直ちに採決をいたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

岩屋委員長代理 起立少数。よって、本動議は否決されました。

 平沢委員長の復席をお願いいたします。

    〔岩屋委員長代理退席、委員長着席〕

平沢委員長 ただいまは信任いただきまして、ありがとうございました。

 引き続き、白須賀貴樹君から提出された動議について採決したいと思います。

 白須賀君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次いで、参議院提出、公職選挙法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平沢委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


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