衆議院

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第2号 令和4年10月24日(月曜日)

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令和四年十月二十四日(月曜日)

    午後四時二十分開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 奥野 信亮君 理事 冨樫 博之君

   理事 藤井比早之君 理事 松本 洋平君

   理事 源馬謙太郎君 理事 渡辺  周君

   理事 浦野 靖人君 理事 伊藤  渉君

      石原 正敬君    加藤 竜祥君

      勝目  康君    神田 潤一君

      熊田 裕通君    斎藤 洋明君

      塩崎 彰久君    鈴木 憲和君

      辻  清人君    中西 健治君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    平井 卓也君

      古川 直季君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      落合 貴之君    佐藤 公治君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    徳永 久志君

      岩谷 良平君    山本 剛正君

      吉田 豊史君    金城 泰邦君

      輿水 恵一君  斎藤アレックス君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   参考人

   (衆議院議員選挙区画定審議会会長)        川人 貞史君

   参考人

   (衆議院議員選挙区画定審議会会長代理)      久保 信保君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大泉 淳一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     西野 太亮君

  福重 隆浩君     金城 泰邦君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     川崎ひでと君

  金城 泰邦君     福重 隆浩君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」)


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     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件、特に衆議院議員選挙区画定審議会の「衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告」について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として衆議院議員選挙区画定審議会会長川人貞史君及び衆議院議員選挙区画定審議会会長代理久保信保君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 両参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。

 それでは、衆議院議員選挙区画定審議会の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告について、川人参考人から説明を聴取いたします。川人参考人。

川人参考人 衆議院議員選挙区画定審議会会長の川人でございます。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 当審議会は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法、いわゆる区割り審設置法の規定に基づき、去る六月十六日に内閣総理大臣に対し、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案についての勧告を行ったところであります。

 今回の区割り改定は、衆議院に設置された衆議院選挙制度に関する調査会答申において、最高裁判決において求められている人口比例に基づく定数配分方式として望ましいものとされ、衆議院選挙制度改革関連法により平成二十八年に導入された、いわゆるアダムズ方式により行う初めての区割り改定でございました。

 本日は、審議の経過と勧告の概要について御説明申し上げます。

 まず、当審議会における審議の経過について御説明申し上げます。

 当審議会としては、区割り審設置法の規定により、大規模国勢調査である令和二年国勢調査の結果に基づく区割り改定案の勧告については、国勢調査の速報値が官報公示された日から一年以内に行うものとされていたことを受け、昨年七月二日に審議を開始しました。

 まず、全国二百八十九全ての選挙区について、現行の選挙区の人口や格差の状況、これまでの区割り改定の経緯などを確認するレビューを行いました。

 この間、昨年十一月三十日に令和二年国勢調査人口の確定値が公表され、令和二年日本国民の人口が確定し、アダムズ方式による十増十減、格差二倍以上となる選挙区が確定しました。

 次に、区割り審設置法第八条において、「審議会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、行政機関及び地方公共団体の長に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。」とされていることを踏まえ、都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っていると考えられる都道府県知事に対し、昨年十二月十四日に、現行の区割りなどについて意見照会を行い、回答をいただきました。

 意見照会の際には、県内市町村の意見を聞くなど地域の実情を踏まえて意見を提出いただくようお願いしました。

 いただいた知事意見では、特に、市町村合併等により分割された状態となっている市区町を有する都道府県のほぼ全てから、その解消を望む意見がございました。

 その後、区割り基準や作業手順を定める区割り改定案の作成方針について、過去の区割り改定時のものを踏まえ、知事意見も参考としながら審議し、本年二月二十一日にこれを決定、公表いたしました。

 この作成方針に基づいて、具体的な区割りの改定作業に入り、その後は、週一回程度のペースで審議会を開催し、審議を進めました。

 当審議会としては、精力的に丁寧に審議を進め、三十五回にわたる審議を経て、六月十六日に区割り改定案を取りまとめ、同日、内閣総理大臣に対して勧告を行ったところです。

 続きまして、当審議会が具体的な区割り改定案を作成するに当たり基本的な考え方を明らかにした区割り改定案の作成方針について御説明申し上げます。

 区割り改定案の作成方針は、区割り基準と作業手順の二つから構成されております。

 まず、区割り基準については、議員一人当たり人口の最も少ない県である鳥取県内の人口最少選挙区、すなわち鳥取二区を基準として、令和二年日本国民の人口において、選挙区間の人口格差を二倍未満とすること、選挙区は飛び地にしないこと、市区町村の区域は原則として分割しないこととし、市区の人口が人口基準の上限人口を超える場合等、やむを得ない一定の場合に限り分割すること、地勢、交通その他の自然的、社会的条件を総合的に考慮することなど、おおむね過去の区割り基準を踏襲しておりますが、今回については、特に、市区町村の分割基準について、分割解消により県内の最大格差が拡大する場合には分割を維持することとすること、選挙区の改定に当たっては、地勢、交通等を総合的に考慮することとし、第四十九回総選挙当日有権者数において格差二倍以上となっている状況も考慮することといたしました。

 次に、作業手順については、具体的な区割り改定案の作成に当たっての作業手順を示したものであります。

 具体的には、鳥取県については、各選挙区の人口格差二倍未満の基準となるため、他の都道府県よりも先行して審議を行い、区割り改定原案を作成すること、選挙区の数が増加することとなる五都県については、都県内の選挙区のうち、人口が最も多いもの、又は、人口が最も多いものから順に定数が増加する数までの順番にあるもの、すなわち一票の価値が軽い選挙区を順次手がかりとして改定案を作成すること、選挙区の数が減少することとなる十県については、県内の選挙区のうち、人口が最も少ないもの、すなわち一票の価値が最も重い選挙区を手がかりとして改定案を作成すること、選挙区の数に増減はないが、人口格差二倍以上の選挙区を有する二府県については、人口基準に適合するように改定案を作成すること、選挙区の数の増減がなく人口基準に適合していない選挙区のない二十九道府県については、区割り基準に照らし、必要な場合には所要の改定案を作成すること、作業の結果得られた区割り改定案が、合理的かつ整合性の取れたものになっているかどうかの総合的な検討を行うこととしました。

 以上が、区割り改定案の作成方針の概要であります。

 次に、勧告した区割り改定案の概要について御説明申し上げます。

 最初に、都道府県別定数の異動についてですが、これは、区割り審設置法第三条第二項に規定されるいわゆるアダムズ方式により定まるものです。

 令和二年日本国民の人口に基づき計算すると、東京都で五人、神奈川県で二人、埼玉県、千葉県及び愛知県でそれぞれ一人定数が増加、宮城県、福島県、新潟県、滋賀県、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、長崎県の十県でそれぞれ一人定数が減少することとなり、当審議会は、この都道府県別定数を基に審議を行いました。

 今回の改定案で変更される選挙区の数については、二十五都道府県で百四十選挙区となります。

 その内訳は、選挙区の数が増加することとなる都県の区域内の選挙区として、五都県六十一選挙区、選挙区の数が減少することとなる県の区域内の選挙区として、十県四十五選挙区、格差二倍未満の人口基準に適合しない選挙区の改定に伴うものとして、大阪府、福岡県の二府県四選挙区、第四十九回総選挙当日有権者数で格差二倍以上となっている選挙区の改定に伴うものとして、北海道、兵庫県の二道県五選挙区、合併等による市区の分割を解消する改定に伴うものとして、茨城県、栃木県、群馬県、岐阜県、静岡県、島根県の六県二十五選挙区を改定することとしております。

 人口最少選挙区との格差が二倍以上となる選挙区の数については、令和二年日本国民の人口で、現行では二十三選挙区ありますが、今回の改定案において全て解消しております。

 最大人口格差については、令和二年日本国民の人口で、現行の選挙区では二・〇九六倍ですが、今回の改定案においては一・九九九倍となります。

 改定案における分割市区については、現行では分割されている市区町は百五ありますが、その解消を求める意見が多くの都道府県から寄せられたことを踏まえ、大幅に解消し、三十二市区となります。現行では三つの選挙区に分割されている市区は五ありますが、これらの分割は全て解消します。

 最後に、今回の区割り改定について総括的に申し上げれば、今回の区割り改定は、十年に一度の大規模国勢調査に基づく全都道府県の二百八十九全ての選挙区を対象としたものであり、いわゆるアダムズ方式による都道府県別定数の十増十減、格差二倍以上の選挙区の見直し、多くの都道府県から望まれていた分割市区町の解消などにより、改定される選挙区の数が現行選挙区二百八十九の半数近くに及ぶ過去最大のものとなりました。

 また、改定案の作成に当たっては、地域のまとまりや選挙区の安定性、被災地の状況等にも配慮しながら、詳しく見直しを検討する必要がありました。

 例えば、東京都などの都市部においては、前回の区割り改定では、定数を変えずに格差を二倍未満に収めるため、格差二倍以上若しくは二倍近くである選挙区が林立している中、多くの市区が分割されるなど複雑な区割りとなっておりましたが、今回は定数増もあったため、分割解消を求める知事意見も踏まえ、できる限り市区の分割を解消できるよう、地域のまとまりにも配慮しながら検討を行うことができました。

 以上のように、鋭意、調査審議に努め、当審議会として最善と考える改定案を取りまとめたところであります。

 何とぞ御理解のほどよろしくお願い申し上げます。

 以上で、私からの審議の経過と勧告の概要説明を終わらせていただきます。

平口委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平口委員長 川人会長、久保会長代理を始めとして、審議会の委員各位におかれましては、今般の区割り改定に向けてこれまで精力的に審議を進められ、去る六月十六日に改定案の勧告をされたところであります。この間における御尽力に対し、委員会を代表して、深く敬意を表する次第であります。

 それでは、理事会において了承されました質疑事項について、委員会を代表して、私からお尋ねいたします。

 今回の区割り改定は、平成二十八年に成立したいわゆる衆議院選挙制度改革関連法に基づいて、都道府県への定数配分についてアダムズ方式を完全に採用するものでありますが、審議会では、今回はどのような手順で改定作業を行い、どのような議論がなされたのでしょうか。また、改定作業において難しかった点、特に留意した点を挙げればどのようなものでしょうか、お聞かせください。

川人参考人 初めに、改定作業の手順について御説明いたします。

 審議会においては、昨年六月二十五日に令和二年国勢調査人口の速報値が官報公示されたことを受け、七月二日に審議を開始しました。

 まず、全国全ての選挙区について、現行の選挙区の人口や格差の状況、これまでの区割り改定の経緯等を確認するレビューを行いました。

 十一月三十日に令和二年国勢調査人口の確定値が官報公示され、アダムズ方式による都道府県別定数配分の十増十減や格差二倍以上となる選挙区が確定した後、都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っていると考えられる都道府県知事に、現行の区割りなどについて意見照会を行い、回答をいただきました。

 過去の区割り改定時の作成方針を踏まえ、知事意見も参考としながら、本年二月二十一日には区割り改定案の作成方針を取りまとめました。

 この作成方針に基づいて、具体的な区割りの改定作業に入り、その後は、週一回程度のペースで審議会を開催し、精力的に丁寧に審議を進め、六月十六日に区割り改定案を取りまとめ、内閣総理大臣に勧告を行ったところです。

 次に、改定案の作成に当たっての議論などについて御説明します。

 今回の区割り改定は、いわゆるアダムズ方式による都道府県別定数の十増十減、格差二倍以上の選挙区の見直し、多くの都道府県知事から望まれていた分割市区町の解消などにより、結果として、改定される選挙区の数が現行選挙区二百八十九の半数近くに及ぶ、過去最大のものとなりました。

 改定案の作成に当たっては、地域のまとまりや選挙区の安定性、被災地の状況等にも配慮しながら詳しく見直しを検討し、地勢や交通の状況、地域のまとまりなどから慎重に検討しました。

 区割り改定案は、こうした様々な事項を検討、考慮した上で、三十五回に及ぶ審議を経て作成したものであり、当審議会としては最善の改定案を取りまとめることができたと考えております。

平口委員長 今回の区割りの改定は、本年二月に審議会が決定した区割り改定案の作成方針に基づいて行われました。

 作成方針では、一定の場合を除いて市区町村の区域は分割しないことを原則とするとしており、三つの選挙区に分割された状態となっていた五市区はいずれも分割が解消され、分割市区町の数は百五市区町から三十二市区に大きく減少しました。一方で、北海道と福岡県においては分割区の数が増え、三十二市区においていまだに分割が解消されていない状況にあります。このような市区町の分割について、審議会はどのように考え、対処されたのか、お聞かせください。

 また、作成方針では、昨年の第四十九回衆議院議員総選挙における当日有権者数において格差二倍以上となっている状況も考慮するものとするとし、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の要件に当てはまらない二道県五選挙区の区割りが変更されました。審議会はどのような考え方に基づいてこの改定を行ったのか、お聞かせください。

久保参考人 まず、市区町の分割についてでございます。

 御指摘のとおり、現行の選挙区におきましては、過去の区割り改定によって分割された市区や、市町村合併に伴い分割された状態となっている市区町など、合計百五の分割市区町がございます。

 衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条第一項は、区割り改定案の作成について、直近の国勢調査人口において、選挙区間の人口格差を二倍未満とするほか、行政区画、地勢、交通等の事情を総合的に考慮して合理的に行わなければならないと定めております。

 また、区割り改定案の作成に当たり、都道府県知事に対して行った意見照会では、分割市区町の解消を望む意見が数多く寄せられました。

 これらを踏まえ、当審議会といたしましては、区割り改定案の作成方針において、市区町村の区域は分割しないことを原則とし、一定の分割基準に該当する場合に限って分割することといたしました。その結果、分割市区町の数は現行の百五から大幅に減少して三十二となり、また、五市区にあった三分割の状態は全て解消いたしました。

 分割基準におきましては、市区の人口が鳥取二区の二倍以上である場合や、飛び地を避けるために必要な場合のほか、定数に増減のない道府県において、現在分割されている市区の分割解消によって県内の最大格差が拡大する場合などに限られることとし、三十二の市区におきましては分割することはやむを得ないものと判断いたしました。

 御指摘の北海道や福岡県の新たな分割につきましては、行政区単位で改定することとした場合、隣接選挙区以外の選挙区に改定が及び、大幅な選挙区の見直しとなりますことから、分割基準に基づいて分割することにいたしました。

 次に、第四十九回総選挙の当日有権者で格差二倍以上となっている状況を考慮したことについてのお尋ねがございました。

 今回の改定作業の最中に執行された昨年の総選挙につきましては、当日有権者数ベースで格差二倍以上となった選挙区が二十九存在しておりました。

 これらの選挙区につきましては、見直しを行わないと引き続き格差二倍以上となるおそれがあることから、国勢調査実施時点からの人口異動の結果という現実に生じた客観的な事情を考慮するものとし、選挙区の見直しを行ったものでございます。

平口委員長 今回の区割りの改定案では、二十五都道府県、百四十選挙区の区割りの見直しが行われ、全小選挙区の半数近くが改定の対象とされました。特に、十増十減の対象となった都県では、多くの選挙区の区割りが変更されることとなりました。このように、区割りの改定対象となる選挙区が過去最多となったことについて審議会はどのようにお考えか、お聞かせください。

 また、従来、周知期間が一か月とされてきましたが、審議会は適切な周知期間をどう考えるか、お聞かせください。

 次に、今回の区割りの改定案では、選挙区間の最大人口格差は、現在の東京二十二区と鳥取二区の間の二・〇九六倍から、福岡二区と鳥取二区の間の一・九九九倍に縮小しました。しかし、一・九九九倍は、衆議院議員選挙区画定審議会設置法の定める二倍未満を辛うじて満たした数値であり、また、一・九倍を超える選挙区は十九選挙区あります。

 今後の人口動向の傾向からすると、早晩、格差二倍以上となる選挙区が生じることも考えられますが、審議会では今回の改定案での格差をどのように評価されているか、お聞かせください。

久保参考人 今回の区割り改定は、いわゆるアダムズ方式が初めて適用され都道府県別定数が十増十減となったこと、格差二倍以上となる選挙区の見直しを行ったこと、また、多くの都道府県知事からの要望のあった分割市区町の解消を目指したことなどによりまして、結果として、二十五都道府県、百四十選挙区において改定を行うこととなりました。

 直近二回、過去二回の区割り改定は、緊急是正措置として限られた範囲でのみ見直すこととされたのに対し、今回は全都道府県を対象に必要な見直しを行ったことから、過去最大規模の見直しとなりました。

 お尋ねの、いわゆる周知期間につきましては、当審議会としてお答えする立場にございませんが、今回の見直しについては、既に各方面で様々な議論が行われ、国民の皆様の関心も高いものと認識しております。

 勧告に基づく区割り改定法案成立の暁には、政府におかれましては、選挙人を始め関係者の皆様に混乱が生じることのないよう、その趣旨や内容を含め、きめ細かく周知啓発を図っていただきたいと切に希望しております。

 また、格差が一・九倍を超える選挙区が十九あることについてのお尋ねがございました。

 区割り審議会設置法におきましては、令和二年の国勢調査人口において、選挙区間の人口格差を二倍未満とする旨、明確に規定されており、また、合理性のある将来推計人口を算出することは困難でございますので、これ以外の人口基準を一律に適用すべき改定基準とすることは難しいと判断いたしました。

 また、先ほど御答弁申し上げましたように、国勢調査実施時点から約一年後に行われた第四十九回総選挙の当日有権者数ベースで格差二倍以上の選挙区が生じている状況につきましては、これを考慮することとし、当該格差が二倍未満となるよう見直しを行っております。

 さらに、平成二十八年に議員立法で新設された現行の区割り審議会設置法第四条第二項は、十年後を待たずに、中間年の国勢調査の結果で選挙区間の最大格差が二倍以上となったときは改定案を作成すると定めており、次回の令和七年国勢調査の結果によって最大格差が二倍以上となったときには、当該規定によって適切に対応されるものと思います。

 今回の勧告は、累次の最高裁判決を踏まえて改正された区割り審議会設置法に基づいて行ったものでございまして、選挙区間の人口格差の是正に寄与するものと考えております。

平口委員長 審議会では、改定作業を進めるに当たって各都道府県の知事から意見を聴取されていますが、これらの意見をどのように審議し、どのような形で区割りの改定案に反映されたのか、お聞かせください。

 また、各都道府県知事の意見では、具体的な区割り改定に関する意見とは別に、人口減少と都市部への人口集中が進むことにより地方選出議員の減少が避けられないことや、これにより地方の声が国政に届きにくくなることへの懸念が少なからず示されております。

 このような意見についてどのような御所見をお持ちか、政治学が専門である川人会長のお考えを交えつつ、お示しください。

川人参考人 都道府県知事は、都道府県の行政、地勢、交通等全般に通じ、区割りについて都道府県全体を総合的に判断し得る視点を持っていると考えられることから、都道府県知事に対して、現行の区割りなどについて意見照会を行い、回答をいただきました。

 こうして提出された知事意見については、市町村の意見を聞くなど、地域の実情を踏まえて提出されたものであることから、区割り改定案の作成方針に照らして検討し、反映できるものについては区割り改定案に反映しました。

 具体的に申し上げれば、分割市区町の解消を望む意見が多く寄せられたことを踏まえ、区割り改定案の作成方針において、市区町村の区域は分割しないことを原則とし、一定の分割基準に該当する場合に限って分割することとし、審議の結果、分割市区町は、現行の百五市区町から三十二市区に大幅に減少しました。

 また、御指摘のとおり、いただいた知事意見の中には、地方選出の国会議員が減少することを懸念する意見もございました。

 衆議院選挙区の都道府県別定数は、区割り審設置法に規定されるいわゆるアダムズ方式により計算することとされております。

 アダムズ方式については、衆議院に設置された衆議院選挙制度に関する調査会答申において、比例性のある配分方式であること、都道府県間の格差をできるだけ小さくすること、都道府県の配分議席の増減変動が小さいこと、一定程度将来にわたっても有効に機能し得ることといった点から総合的に考慮され、様々な比例配分方式の中で望ましい配分方式とされ、議員立法により導入されたものと承知しています。

 政治学者としての個人的意見を申し上げれば、アダムズ方式とは、都道府県の配分議席は、人口を小選挙区基準除数で除して得た数に一未満の端数が生じたときには、これを一に切り上げる数とする方式ですが、これは、端数がない場合には完全比例する配分議席となることが可能な比例代表制の諸方式の中では、人口の少ない県に最も有利な方式であると言うことができます。

 審議会としては、現行法の規定に従い、アダムズ方式による都道府県別定数配分に基づき改定案を取りまとめたものでありますが、今後の選挙制度の在り方については、各党各会派において御議論いただくべきものと考えています。

 もとより、選挙制度に対する国民の信頼と地方の声も含めた多様な民意の反映が両立できるよう、国会において活発に御議論いただき、地方の活性化につながる様々な施策が進められるよう念願しております。

平口委員長 ありがとうございました。

 冒頭にも申し上げましたが、川人会長を始め審議会委員の御尽力に対し、重ねて敬意を表しまして、以上で私からのお尋ねを終わります。

 川人会長、久保会長代理には、お忙しい中、委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

 次回は、来る二十六日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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