衆議院

メインへスキップ



第4号 令和4年10月31日(月曜日)

会議録本文へ
令和四年十月三十一日(月曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 奥野 信亮君 理事 冨樫 博之君

   理事 藤井比早之君 理事 松本 洋平君

   理事 源馬謙太郎君 理事 渡辺  周君

   理事 浦野 靖人君 理事 山本 剛正君

   理事 伊藤  渉君

      石原 正敬君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    神田 潤一君

      熊田 裕通君    塩崎 彰久君

      鈴木 憲和君    辻  清人君

      土田  慎君    中西 健治君

      西野 太亮君    根本 幸典君

      長谷川淳二君    鳩山 二郎君

      平井 卓也君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    穂坂  泰君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      山口  晋君    若林 健太君

      落合 貴之君    後藤 祐一君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    徳永 久志君

      岩谷 良平君    日下 正喜君

      福重 隆浩君  斎藤アレックス君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         寺田  稔君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省政治資金適正化委員会事務局長)      志田 文毅君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    堀内  斉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大泉 淳一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     若林 健太君

  川崎ひでと君     平沼正二郎君

  熊田 裕通君     根本 幸典君

  斎藤 洋明君     深澤 陽一君

  古川 直季君     山口  晋君

  佐藤 公治君     後藤 祐一君

  輿水 恵一君     日下 正喜君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     熊田 裕通君

  平沼正二郎君     川崎ひでと君

  深澤 陽一君     斎藤 洋明君

  山口  晋君     西野 太亮君

  若林 健太君     土田  慎君

  後藤 祐一君     佐藤 公治君

  日下 正喜君     輿水 恵一君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     勝目  康君

  西野 太亮君     古川 直季君

同日

 理事山本剛正君同日理事辞任につき、その補欠として浦野靖人君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案(内閣提出第一〇号)

 最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事山本剛正君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に浦野靖人君を指名いたします。

     ――――◇―――――

平口委員長 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。寺田総務大臣。

寺田国務大臣 当委員会におけます十月二十六日の後藤祐一委員の御質問に対する答弁において、宣誓書は、政治資金規正法第二十五条第一項第三号に定める報告書又はこれに併せて提出すべき書面に該当し、同法第二十五条の罰則の対象となる趣旨の答弁をいたしました。

 しかしながら、同法第二十九条において、収支報告書を提出する者は、真実の記載がされていることを誓う旨の宣誓書を添えなければならないとする旨の規定がございますが、収支報告書に併せて提出すべき書面としては、同法第十二条第二項において領収書等の写しと規定をされており、宣誓書は、収支報告書又はこれに併せて提出すべき書面に該当せず、同法第二十五条の罰則の対象とならないと答弁すべきでございました。

 さきの答弁が不正確であるものとし、訂正をし、おわびをいたします。

     ――――◇―――――

平口委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国税庁課税部長堀内斉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 質疑の申出がありますので、これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 立憲民主党の後藤祐一でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 前回の委員会で、寺田稔竹原後援会の亡くなられた元の会計責任者のお名前を岡田ミネユキ様と申し上げましたが、岡田タカユキ様と読まれるようです。おわび申し上げたいと思います。

 なお、本件は岡田峯幸様御自身には何の問題もないということを、本人の名誉のために申し上げます。

 大臣から今、訂正、おわびの発言がありましたけれども、もう一度確認します。

 亡くなってしまった方が会計責任者であったことは、政治資金規正法上、罰則の対象にならないということでよろしいですか。

寺田国務大臣 そのように理解をいたしております。

後藤(祐)委員 配付資料一ページ目と三ページ目を御覧いただければと思います。

 これは収支報告書の一枚目でございますが、ここの四という欄には、会計責任者の氏名として岡田峯幸さんのお名前が挙がっております。これは収支報告書そのものが虚偽記載だと思いますが、これは罰則の対象になるんじゃないですか。

寺田国務大臣 政治資金規正法上、政治団体の会計責任者、これは、毎年十二月三十一日現在で、政治団体に係るその年の全ての収入、支出、資産等の状況を記載した収支報告書を作成し、選管又は総務大臣に提出をしなければならないということでございまして、故意又は重大な過失によりまして収支報告書に虚偽の記入をした者につきましては、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する旨の定めがございます。

後藤(祐)委員 先ほど私は、亡くなってしまった方が会計責任者であったことは、政治資金規正法上、罰則の対象にならないということですかと聞いたら、そのように解しておりますという答弁がありましたが、これは間違いじゃないですか。答弁を訂正していただけますか。

平口委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

平口委員長 速記を起こしてください。

 総務大臣。

寺田国務大臣 確認をいたしましたところ、会計責任者が欠けた場合には、その職務代行者がその職務を行うということでございまして、後段の御質問は、この収支報告書の記入の問題の御質問だったかと思います。その点については、虚偽記入について、故意又は重過失についての罰則の定めがあるということでございます。

後藤(祐)委員 よく分かりませんが、この一ページ目の会計責任者の氏名として、お亡くなりになった方の名前が書いてあるというのは、二十五条の対象となり、罰則の対象になるということでよろしいですか、大臣。はっきり答えてください。

平口委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

平口委員長 速記を起こしてください。

 総務大臣。

寺田国務大臣 御質問は、この収支報告書の記載ということでございますよね。

 この収支報告書の様式その一、表紙に記載をされる会計責任者の氏名につきましては、政治資金規正法に基づき届出をされている会計責任者の氏名を記載をするということとなっておりまして、政治資金規正法においては、故意又は重大な過失により収支報告書に記載すべき事項を記載しない又は虚偽の記入をした者については、罰則の対象となります。

 個別の事案についての判断は差し控えますが、規定上はそのようなことでございます。

後藤(祐)委員 罰則の対象になるということですね。

 そうしますと、最初の答弁は間違っているじゃないですか。訂正してください。

平口委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

平口委員長 速記を起こしてください。

 総務大臣。

寺田国務大臣 最初の問いというのが、死んだ方が会計責任者である場合ということでございますね。

 それについては、必ずしも規定上は明らかでないということでございます。

後藤(祐)委員 何を言っているか分かりませんが、私はこう言ったんですよ。亡くなってしまった方が会計責任者であったことは、政治資金規正法上、罰則の対象にならないということですかと聞いて、そのとおりと答えたんですよ。

 収支報告書の一枚目は、どう考えたって収支報告書ですよ。罰則の対象になると先ほどお答えになったじゃないですか。

 そうすると、最初の答弁が虚偽答弁じゃないですか。答弁を訂正してください。

寺田国務大臣 収支報告書の一枚目にどう書くかどうかということと、会計責任者が亡くなった場合の会計処理というのは、ちょっと私、今分けて考えておりまして、収支報告書の表紙の記載については、先ほど申し上げたとおりです、規定があるわけでございますが。

 会計責任者が亡くなった場合の会計処理については、これは職務代行者が行うわけですが、そのことについては、罰則上、明文の規定はないということでございます。

後藤(祐)委員 先ほど罰則の対象になると答えましたけれども、罰則の対象にならないということですか。どっちなんですか。

寺田国務大臣 罰則の対象になるというのは、収支報告書の表紙の記載において、故意又は重過失により正しい記載が行われなかった、虚偽の記入をした者について罰則の対象になるという答えでございます。

後藤(祐)委員 岡田峯幸様がお亡くなりになっていたことは、大臣は、次の年の新盆参りのときには知っていたとおっしゃいました。令和元年分はちょっと微妙ですが、少なくとも令和二年分については、もう当然知っていたわけですから、重過失は少なくともあったんじゃないんですか。罰則の対象じゃないですか。

寺田国務大臣 私自身が直接管理している団体でもございませんし、私自身が後援会の収支報告についてチェックすべき立場でもございません。

 したがって、今言われているのは私自身に対してという意味ですよね、それについてはそういうことでございますが、収支報告の表面の記載については、個別の判断となるわけでございますが、亡くなった後の収支報告書の記載については瑕疵があったということでございます。

後藤(祐)委員 瑕疵があったということは、過失は少なくともあったわけで、これが重過失だったら罰則の対象じゃないですか。

 重過失か軽過失かというのはいろいろな判断があり得るでしょうから、重過失の場合には、虚偽記載で罰則の対象になるということで、もう一度、よろしいですね、本件についてですよ。

寺田国務大臣 規定上は、政治資金規正法上は、故意又は重大な過失により虚偽の記入をした場合については罰則の対象となりますが、個別の事案については、その判断は控えたいと思います。

後藤(祐)委員 大臣、昨日のパーティーでも、しっかり説明していくとか言った割には説明しませんね。

 時間がないので、もう一つ聞きますが、配付資料の五ページ目、これは、寺田慶子様が寺田稔呉後援会の方に家賃の領収証として百二十万円の領収証を切っているわけですが、これは、令和元年と、あと二年もあるんですが、こちらには収入印紙がついていますが、平成三十年のものについては収入印紙がついていません。

 ちょっと時間がないので財務省の答弁は省略して、印紙税法八条では、当該課税文書、領収証ですね、の作成のときまでに、文書に貼り付ける方法により、印紙税を納付しなければならないというふうにありますが、これは印紙税法違反ではありませんか。

 この収入印紙、まだ貼り付けていないんですか。貼り付けたとすれば、いつ貼り付けたんですか。

寺田国務大臣 昨日行われたのは、パーティーではございません。講演会でございます。

 御指摘の平成三十年の領収証です、これは、収入印紙を貼付していない時点でコピーがなされ、そのコピーを選管に提出しております。事務担当者に確認しましたところ、提出期限との関係でそのようにしたということでありますが、その後、当日速やかに四百円の収入印紙が貼付をされ、貼付をされたものとして保管をされているところでございます。

後藤(祐)委員 国税庁に伺いますが、収入印紙はいつまでにつけなきゃいけないんですか。作成のときまでと条文上はなっていますが、これは、領収書を相手方に渡すときまでということでよろしいですか。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 印紙税法上、印紙税の納税義務は、課税文書を作成したときに成立することとされております。

 例えば、領収書のように相手方に交付する目的で作成される課税文書につきましては、交付のときが作成のときとなります。したがって、領収書を相手方に交付するときまでに収入印紙を貼り付けて印紙税を納入する必要がございます。

平口委員長 後藤君に申し上げます。

 申合せの時間が既に経過しておりますので、御協力を願います。

後藤(祐)委員 はい。

 これで終わりますが、大臣は、相手方に領収証を渡す前のものを収支報告書として添付して選管に提出したということですか、今の話を聞くと。

 そろそろ、もうお辞めになったらどうですか、大臣。

 以上、終わります。

     ――――◇―――――

平口委員長 次に、内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案及び最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、総務省自治行政局長吉川浩民君、総務省自治行政局選挙部長森源二君、総務省政治資金適正化委員会事務局長志田文毅君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。冨樫博之君。

冨樫委員 自由民主党の冨樫博之です。

 時間の関係上、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 統一地方選特例法案について質問いたします。

 昭和二十二年四月に、戦後初めて地方公共団体の議会議員、首長の選挙が執行されました。任期が満了する四年ごとに、選挙期日を統一して執行する統一地方選挙が実施され、国民の地方選挙に対する関心を高めた上で、重要な意義を有するものと考えています。

 しかしながら、おおむね昭和四十年代までは七〇%から八〇%を超えていた投票率が、近年の投票率の低下は著しく、五〇%を下回る状況も見られるようになりました。選挙は民主主義の根底を成すものであり、国民、住民が関心を持って選挙に参加することが健全な民主主義の第一歩であると考えます。

 統一地方選挙における投票率の状況について、総務省はどのように認識し、どのような対処が必要と考えているかをお答え願います。

森政府参考人 お答えいたします。

 投票率につきましては、例えば天候や選挙の争点など様々な事情が総合的に影響するため、その要因を一概に申し上げることは難しいですが、統一地方選挙の投票率が低下傾向にあることは残念であり、民主主義の根幹である選挙にできるだけ多くの有権者の方に投票いただくことが大切であると考えております。

 前回の統一地方選挙に際しまして、明るい選挙推進協会が実施しました選挙に関する意識調査の結果によりますと、投票に行かなかった理由として、選挙に余り関心がなかったから、仕事、用事があったから、政党の政策や候補者の人物像など違いがよく分からなかったからとの回答が多くなっております。

 このうち、選挙への関心や政策への理解に関して言えば、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え、自ら判断し、行動していく主権者を育成するための主権者教育の取組が重要と考えており、文部科学省とも協力しながら取り組んでまいります。

 また、仕事や用事のある方に関しては、通勤通学や買物の際などに投票できるようにするため、ショッピングセンター、駅、大学などへ期日前投票所の設置、期日前投票所の開設時間を弾力的に運用することなどの投票環境の向上に資する取組が有効となるものと考えております。

冨樫委員 次に、なり手不足対策について質問させていただきます。

 地方選挙については、有権者側の低投票率という課題のほか、候補者側にもなり手不足という問題が指摘されています。市町村合併等の影響で議員数が減少するなど、人口減少、高齢化とも相まって、議員のなり手不足が深刻化しています。

 総務省の研究会の報告によると、前回、平成三十一年の統一地方議会選挙における無投票当選者の割合は都道府県議会議員で増加傾向にあるとともに、立候補者数が定数割れになった団体もあったとされています。

 地方議員のなり手不足には、選挙制度のみならず、様々な角度からのアプローチが必要であると考えています。地方自治法に規定する地方議会制度を所管する総務省には、様々な対策を講じることができるのではないかと思います。

 地方議員のなり手不足について、総務省はどのように認識し、どのような取組を考えているかをお答えください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、近年、無投票当選が増加し、また、一部の団体において定数割れも発生しておりまして、地方議員のなり手不足が課題になっていると認識しております。

 なり手不足の解消を図っていく上では、女性や若者、勤労者など多様な層の住民の議会への参画を促進していくことが重要と考えておりますことから、総務省といたしまして、これまでも、地方議会活性化のためのシンポジウムを行うなどいたしまして、先進事例の共有や議論の促進に努めますとともに、議長会と連携し、議会における旧姓使用や、会議規則における育児、介護の取扱いの明確化などに取り組んでおります。

 また、現在、第三十三次地方制度調査会におきまして、議会の位置づけや議員の職務の明確化、多様な層の住民の議会への参画につながる環境整備など、地方議会の在り方について調査審議が進められておりまして、審議の状況を踏まえ、総務省として必要な対応を検討してまいります。

冨樫委員 次に、地方議員のなり手不足については、我が党においても真摯な議論を重ねてきたところであります。私もメンバーでありましたけれども、地方議会の課題に関するプロジェクトチームにおいて、地方議会を取り巻く様々な課題について、地方六団体から意見を聴取し、また、総務省や学識経験者などからもヒアリングを行ってきたところであります。

 その中で、請負禁止の緩和については、第三十二次地方制度調査会においても議論がなされたものと承知していますが、請負禁止の緩和についての総務省の見解をお答えください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方議員の請負禁止につきましては、令和二年六月の第三十二次地方制度調査会の答申におきまして、議員のなり手不足への対応として、禁止の対象となる請負の範囲を明確化する必要があること、個人の請負に関する規制の緩和について検討する必要があることなどが提言されております。

 また、自民党におかれまして、請負禁止の範囲の明確化や緩和等について御議論いただいていることも承知しておりますが、総務省といたしましては、各党における議論の状況も踏まえつつ、必要な対応を検討してまいります。

冨樫委員 地方議員のなり手不足対策に関し、町村の選挙における立候補の環境の改善を図る見地から、令和二年、この倫選特委において議員提出の法案を審査し、この法案が成立したことにより、町村議会議員の選挙において、ビラの解禁や、町村長、町村議会議員の選挙公営の拡大が図られることになりました。

 選挙運動に係る費用を選挙公営の対象とすることで、立候補に関する環境を改善し、公営制度導入によって、議員のなり手不足の解消や、立候補しようとする人材の裾野が広がることが期待できると思います。来年の統一地方選挙には、この法改正後初めての統一地方選挙であることから、その成果が注目されています。

 この法改正に伴う町村選挙の選挙公営は、条例を制定することにより行われますが、現時点における公営条例の制定状況はどのようになっているのか。

 あわせて、人手不足や物価高騰の中で、ウグイス嬢と呼ばれる車上運動員やドライバーの確保が困難な状況等にもあり、報酬を含め、実態に合った、大勢に合わせていく工夫も必要かと考えますが、御所見をお伺いいたします。

森政府参考人 お答えをいたします。

 最新の調査結果である令和三年十二月三十一日現在における公営条例の制定状況について申し上げますと、町村九百二十六団体のうち、町村長の選挙では、選挙運動用自動車の使用に係るものが七百五十六団体、八二%、選挙運動用ビラの作成に係るものが七百五十二団体、八一%、選挙運動用ポスターの作成に係るものが七百六十団体、八二%となっております。

 また、町村議会議員の選挙では、町村九百二十六団体のうち、選挙運動用自動車の使用に係るものが七百五十四団体、八一%、選挙運動用ビラの作成に係るものが七百五十団体、八一%、選挙運動用ポスターの作成に係るものが七百五十九団体、八二%となっております。

 次に、報酬の基準額の在り方についてでございますが、選挙運動員等への報酬の支給等について定めた公職選挙法第百九十七条の二の規定は議員立法により創設されたものであること、報酬の基準額については、金のかからない選挙の実現という観点も踏まえる必要があることから、各党各派において御議論いただき、その意思を受けて総務省として対応することとなるものと考えております。

冨樫委員 時間になりましたけれども、在外国民審査法案については、最高裁の判決を受け、速やかに在外国民が在外国民審査できるよう進めていただければというふうに思います。

 そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。

平口委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 時間が十分と短いため、早速質問に入らせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずは、統一地方選挙特例法について質問をさせていただきます。

 二十六日に行われました当委員会でも質疑がありましたが、統一地方選挙の統一率は低下傾向にあり、平成十九年に行われた第十六回以降の統一地方選挙では三割を下回っております。特に、平成二十三年三月十一日の東日本大震災の発生により、同年四月の統一地方選挙として予定されていた被災地域の五十二団体の選挙が執行を延期されたことなどもあり、前回の統一地方選挙、第十九回、平成三十一年でございますけれども、最終的な統一率は二七・五%にとどまりました。

 このような状況の中で、地方選挙を統一して行う意義及び統一することの効果はどのようなものであるとお考えでしょうか。例えば、本法律案の提出の理由の一つである、選挙の円滑かつ効率的な執行に、選挙期日の統一はどの程度寄与するとお考えでしょうか。総務省内で統計、地方行政を御担当されております、地元でも大変お世話になっております尾身副大臣に御見解をお伺いいたします。

尾身副大臣 福重委員にお答えいたします。

 統一地方選挙は、国民の選挙に対する関心を高めるとともに、選挙の円滑かつ効率的な執行を図ろうとするものです。

 多くの選挙が全国で同日に行われるため、マスコミの報道も多く、国民の関心が高まり、また、選挙啓発を効率的かつ効果的に行うことができると考えております。

 選挙の円滑かつ効率的な執行としては、同一団体の長と議員の選挙が同日に行われる場合、投票所や開票所が一つにできる、投票立会人や事務従事者も兼ねることができるなど、事務の軽減や経費の節減を図ることができる等の効果があると考えております。

 前回の統一地方選挙の統一率は、委員御指摘のとおり三割弱となっておりますが、都道府県の議会の議員の選挙については八七%、指定都市の議会の議員の選挙については八五%と、引き続き極めて高い統一率となっており、こうした統一地方選挙の意義や効果はなお大きいと考えております。

福重委員 どうもありがとうございました。

 ちょっと任期満了の期間の延長などの質問に関しましては、時間の関係上、割愛をさせていただきたいと思っております。

 それとまた、今回、提出理由の一つではございます投票率の向上の施策に関しましては、今の冨樫委員さんの方からも質問がありましたので、重複を避ける意味から割愛をさせていただきます。

 ただ、この中で、若年層の投票率の向上と選挙啓発について、ちょっと掘り下げて質問をさせていただきたいと思います。

 前回の統一地方選挙に関しまして、総務省、公益財団法人明るい選挙推進協会がまとめた第十九回統一地方選挙全国意識調査によりますと、新聞広告等の選挙啓発媒体について、見聞きしなかったとの回答の割合が平成二十七年の統一地方選挙の調査から一・五倍以上に上昇しており、特に、Z世代と言われる十八歳から二十歳代の回答者で、選挙の啓発媒体を見聞きしなかった割合が高いというふうに伺っております。

 若年層の投票率が低迷していることに鑑みれば、若年層を対象とした啓発活用が必要であり、もっとSNS等を積極的に使うべきと考えますが、いかがでしょうか。そのほかにも、具体的にどのような施策を考えておりますでしょうか。お伺いをいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、若年層を対象とする選挙啓発については、SNS等インターネットを用いることが有効と考えられ、総務省としては、国政選挙の際には、特設ホームページの設置、インターネット広告やSNSを活用した啓発を行っております。来年の統一地方選挙においても、総務省ホームページやSNSのほか、インターネット広告を含めた政府広報の活用などにより、周知啓発を行いたいと考えております。

 また、各選挙管理委員会におきましても、ホームページやSNS等を用いて工夫を凝らした啓発を実施していると承知しておりまして、来年の統一地方選挙についても、若年層に対する積極的な周知啓発を要請してまいります。

 さらに、若者の政治意識の向上を図り、長期的な観点から投票率の向上を図るには、国や社会の問題を自分たちの問題として考え、捉え、行動していく主権者を育てる、いわゆる主権者教育の取組が重要と考えております。

 今年度から設置をされた「公共」などの授業で、文部科学省と連携し、作成、配付している高校生向け副教材を活用いただいたり、学校における模擬選挙などの実践的な取組を推進するとともに、主権者教育に知見のあるアドバイザーの全国派遣、若者啓発イベントのインターネット配信などを通じ、主権者教育の更なる充実を図ってまいりたいと存じます。

福重委員 ありがとうございました。

 私は、昨年までは十八年間、群馬の県会議員をさせていただいていたんですけれども、若者の啓発ということで、県会議員が高校に赴いて、そういった政治意識を上げていくためにはどうしたらいいかということで、ガチでいろいろな意見交換をさせていただきました。やはり、そういった主権者教育というものもしっかりと行っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次に、在外国民審査制度の創設についての質問ですが、時間がございませんので、創設に当たっての背景等については詳細を割愛させていただきますけれども、この場では、在外邦人のインターネットの投票のことについて質問をさせていただきます。

 今もお話がございましたけれども、本年の五月二十五日に、最高裁判所は、最高裁判所裁判官の国民審査に投票できないのは憲法違反であるとの判断を下されました。この判決を機に、在外邦人に対するインターネットによる投票及び国民審査を求める声が多くなっていると伺っております。

 というのも、在外邦人が投票する場合には、居住する国の大使館や領事館など在外公館で行うこととなりますが、居住地が遠隔地になる場合には、日本国内での投票と違い、時間と費用がかかることになります。

 ほかにも、郵便投票等も可能でありますが、コロナ禍で諸外国ではまだ混乱が続いている国もあります。さらには、二〇二一年の衆院選では、投票用紙の送付が間に合わなかった例もあると聞いております。

 また、郵便投票以外では、長期間外洋を航行する船員や南極観測隊員など、ファクシミリによる投票が行われていると伺っております。

 現在、総務省の有識者研究会においては、在外投票に限りインターネット投票を導入できるとの報告書をまとめ、これを受け、総務省内では調査研究を続けていると思いますが、これまでの進捗及び課題についてお伺いをいたします。

森政府参考人 お答えいたします。

 在外選挙インターネット投票については、平成三十年八月の総務省の研究会報告を踏まえ、これまで、実証用のシステムを用いた検証を行うとともに、制度、運用面の論点の洗い出しを行ってきております。

 引き続き、こうした論点の方向性や、システムに必要な機能、システム構成などについての検討を行うこととしております。

 導入に当たりましては、マイナンバーカードの海外利用を前提とした確実な本人確認、二重投票の防止、投票の秘密保持、システムのセキュリティー対策などの論点について、確実な対応を行うことが必要となります。

 また、現在認められていない新たな投票方法を導入することが選挙制度の根幹にも関わることから、各党各会派における御議論などを踏まえる必要がございますが、総務省としては、在外選挙インターネット投票のできるだけ早期の導入について、引き続き着実に検討を進めてまいりたいと存じます。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 今幾つかの論点がお話しされましたけれども、ネット等を見てみますと、やはり課題として、今おっしゃられたシステムへの不安、それから成り済まし投票、こういったことをどう未然に防いでいくかということが大事だというふうに言われておりました。

 そういった中で、マイナンバーの今御指摘がございましたけれども、是非、私も、このマイナンバーを活用して、成り済まし投票等ができないようなシステムというのをしっかりと考えていただければというふうに思っております。

 そういった意味で、もう一つだけ。

 やはり、今こういった時代ですから、サイバー攻撃等があって選挙の公平性というものが失われてはいけないと思うんですけれども、そういったことに対しましてはどういうふうにお考えでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 今おっしゃられたようなサイバーセキュリティーの問題、これにつきましては、具体の実際の導入の際に、その時点における最新の知見なども踏まえる必要があるというふうに思っております。導入をする際の最新のセキュリティー対策が講じられるような形で検討を進めてまいりたいと存じます。

福重委員 海外におけるこういった投票の機会が奪われないように、是非、インターネットを活用してこういったものが進めばというふうに思っております。

 また、そういったことがやはり国内における投票率の向上というものにもつながるのではないかというふうに思いますので、しっかりとした議論を進めていただければと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

平口委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺でございます。

 先ほどの後藤祐一議員の補充質問について、加えて質問をさせていただきたいと思います。

 大臣はこれまでも、会計責任者が亡くなられていた、それは新盆で回られてお分かりになったと。もう何度も同じ質問は繰り返しませんけれども、そうしますと、一体どなたがこの事務の手伝いをしていた、事務担当者の方はしていたのだろうか。

 十月二十七日の総務委員会、奥野委員からの質問で、当該会計責任者の方はその事務担当者、亡くなられた方ですね、その事務担当者の方に判こなどもお預けになっておられたというふうなことも聞いておりますということでございます。

 言ってしまえば、名義だけを借りて、普通に考えれば、会計責任を任せる方ですから、相当な信頼関係があって、亡くなられたら一大事なんですね。亡くなられたら慌てて飛んでいくぐらいの、把握をされているぐらいの方だと思います。しかし、そうではなかったと。もうその辺からして非常に分かりにくい話でございますけれども。

 答弁にもあります、「事務担当者の者は、事務的なお手伝いを必要が生ずればするということで、私と雇用関係のある者もおりますが、その者が本件について関与したということは確認ができておりません。」と。

 そうしますと、一体誰が亡くなった方のお名前でこの収支報告書を提出したのか、その点について確認をしたいと思います。この竹原後援会では、代表者の方がなさっていたんですか。それとも、その方が事務処理等を管轄していたのかどうか、その点について改めて確認をしたいと思います。

寺田国務大臣 御指摘の竹原後援会についてでございますが、私が直接管理する政治団体ではなく、収支報告を含め、事務処理の詳細は承知をしていないところでございます。

 今回、この御指摘も踏まえ、令和元年分以降の収支報告書等につき、御指摘の令和元年十月に会計責任者がお亡くなりになったということでございます、職務代行者というものを届け出ております。この職務代行者、それと、収支報告書の事務を行う者、これらが事務処理を行っていたというふうなことでお聞きをいたしております。

渡辺(周)委員 この方々に今秘書さんを通して確認をしているということで答弁されておりますが、一週間前のこの委員会で後藤委員が質疑に立つということで、通告をされてからもう一週間たっているんですね。一体どれぐらい確認はされたんですか。

寺田国務大臣 今、総務委員会の方の理事会協議事項とはなっておりますが、地元秘書などを通じ確認を行ったところ、先ほども申し上げましたとおり、令和元年十月にお亡くなりになったと。

 秘書がその関係者の聞き取りを行ったところ、本来、会計責任者がお亡くなりになり、その職務の代行をするときは、収支報告書の会計責任者の宣誓書等には職務代行者の名前やあるいは印を記すべきところ、収支報告書の事務を行う者が、その事務処理を誤ったということでございます。これは、その死亡情報が事務的な連絡ミスにより事務を行う者に伝わっていなかったことが確認をされております。

 なお、その事務を行った者というのは、私が代表を務める政治団体とは雇用関係にある者ではないことが確認をされておりまして、現在、既に是正の手続、すなわち竹原後援会の、正式な政治団体の異動届を終えたところでございます。

 なお、事務担当者は、非常に、今回については事務的ミスで申し訳なかったというふうなことを申しておったようでございます。

渡辺(周)委員 この質問はまた、後に続く方にもお任せしたいと思いますけれども。

 今日配付された資料では黒塗りになっていますけれども、これは収支、資金報告書というのは公開されているものでございます。私どもが入手した中では、事務担当者の氏名として松島さんという女性の方、それから熊沢さんという男性の方のお二人の名前が書かれているんですね。このお二人は、事務担当者はどういう方でいらっしゃいますか。また、この方々には、竹原後援会あるいは第五支部から何らかの報酬の支払いをしているんでしょうか。

寺田国務大臣 今御指摘の二名の、この収支報告書、表紙に出ております事務担当者、これはいずれも女性でございます。いずれも女性でございますが、雇用関係について申し上げますと、一名は第五支部職員、すなわち常勤職員であります、もう一名はそうではございません。請負に基づく報酬支払い者でありますが、この両名とも、何か必要があったら手伝うというふうな意味で名前の記載はいたしておりますが、今回、今申し上げたような事務処理を行った者にはいずれも該当しません。

渡辺(周)委員 失礼しました。配付された資料には黒塗りでありますので、あえてフルネームは申し上げませんでしたから、男性か女性かということについてはちょっと私も誤認していたかもしれませんが。

 先ほど申し上げた松島さんと熊沢さん、職員の方、松島さんが職員の方なんですか、それとも熊沢さんが職員の方なんですか。

寺田国務大臣 いずれか一名が職員でございます、おっしゃるとおり。どちらかは、ちょっとこれは個人情報ですので差し控えたいと思います。

渡辺(周)委員 会計責任者が亡くなっていた方で、そして、それを事務担当の方が、いろいろな不手際があったかもしれませんが、そのまま、預かっていた判こや、恐らくこの収支報告書のひな形もろくに見ないで記載されたのかもしれませんが。今おっしゃったような、事務の職員であるのはどちらがですかと言って、御本人は知らないということなんですか。今のはちょっとびっくりしたんですけれども。

 どちらが第五支部の職員さんとしていらっしゃるのかと聞いただけなので、松島さんですか熊沢さんですかというふうに聞いただけなんですけれども。それもお答え、何か、さっき大臣は後ろを振り向いておられてびっくりしたんですが、御自身の資金管理団体の事務を取り扱う方のことは、事務方に確認しないと分からないんですか。

寺田国務大臣 いや、もちろん私自身は、どちらが自分の職員であり、どちらがそうでないかはもちろん知っております。知っておりますが、ちょっとこれは個人情報になりますのでお控えをしたいということでございます。

渡辺(周)委員 少なくとも、政党支部の職員の方は、もう既に、しかも収支でありまして、当然、公的な立場にいる方でもありますし、収支報告書に事務担当者の氏名として、ここには連絡先も記載されているんですね。ですから、これは公開されている話ですから、個人情報だというようなことでお答えできないというのは非常に不誠実だと思うんですけれども、ちょっとその点についてもう一回確認します。

 この女性事務員で事務担当者をされた松島さん、この方は報酬を得ているのかどうなのか、それだけ、では確認をします。松島さんは第五支部から職員報酬を得ているのか、あるいは竹原後援会から報酬を得ているのか。つまり、大臣がここでおっしゃるような、私と雇用関係のある者もおりますがという方に入っているかどうか、その点について確認をしたいと思います。

寺田国務大臣 今御指摘の者は、第五支部からも報酬を受けておりませんし、竹原後援会からも報酬を受けておりません。

渡辺(周)委員 今日は法案の質疑でございますので、法案の質問も用意していますが、この点については、この後の議員からも追及があるかもしれませんので、その点につきましては答弁を整理しておくようにお願いしたいと思います。

 それで、ちょっと、一つだけ法案の中身についてお尋ねをいたします。

 この国民審査法の手段として、これは、在外投票、先ほども与党委員から質疑がありましたけれども、この在外投票は、大体、十八歳以上の在外邦人が百万人いる。しかし、有権者として登録されているのが、十分の一のほぼ十万人しかいない。この点については、また改めて議論しますが、非常に、この権利を行使できないというのは大変もったいない話だなというふうに思うわけでございます。

 その中で、これまでも議論をされてきました、投票環境の向上方策等に関する研究会というのが総務省で研究される中で、やはり、在外選挙人のことについては、投票の機会向上、利便性を向上させるためにネット投票を行うべきではないかと。今回の国民審査については、通常の政党名や名前を投票する選挙と違いまして、いわゆる罷免をしたい裁判官の名前にバツをつけるという制度でございます。

 どういう選挙制度に、これを導入するとなると、導入を前提に、当然、今法案審議していますが、この点については、どういう投票方法が今検討されていますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 現在検討をしております在外インターネット選挙なりの、その投票方法というふうに承ってお答えをさせていただきますけれども、このことにつきましては、具体的には、記名ということではなくて、記号式と申しますか……(渡辺(周)委員「いや、だから、それ、今言いました。委員長」と呼ぶ)

渡辺(周)委員 いや、だから、今度、これはもう違憲判決が出ているわけですよ。次の衆議院選挙でやらなければいけない、併せて。となると、どういう投票方法が今検討されていますかと聞いている。

森政府参考人 大変失礼をいたしました。

 今般の国民審査につきましては、裁判官の氏名があらかじめ印刷された投票用紙にバツの記号を記載する記号式投票というのが現在採用されておりまして、今回は、その裁判官の氏名のところが、あらかじめ印刷した投票用紙が準備できない、こういうことでございます。

 したがいまして、そこのところにつきまして、分離記号式という形で、番号を投票用紙に印刷をした上で在外公館に配置をしておき、あとは、氏名掲示などで、何番の方が誰であるというようなことが分かるようにしておいて、その対応関係を見ながら投票していただく、こんな方式を想定しているものでございます。

渡辺(周)委員 それに、そういう手法が取られていることは、これは確定、ある程度もう決まっているんですか。もう確立されている、もう決まっているんですか。

 つまり、違憲判決が出て、次の選挙でやらなかったら、これはもう違憲であると。だからこそ、この法案が出てきているわけですけれども、それは、今みたいに、番号を書いて、名前は記載されていないけれども、まず番号だけが書かれるということになるんですか。どういう方式を考えているか、端的に答えてください。

森政府参考人 お答えをいたします。

 おっしゃるとおりでございまして、本法律案の中で、分離記号式投票という形での投票方法を明示をさせていただいているところでございます。

 これは、今般の訴訟に係る東京高裁の判決においても言及をされておるものでございまして、投票用紙に裁判官の氏名に代えて一から十五までの数字を印刷をしておる、こういうものでございます。このため、投票用紙の事前の調製が可能である上に、また、従来の記号式投票と同様にバツの記号を記載する方式であり、審査人の意思表示が容易であることなどを踏まえて採用することとしたものでございます。こうしたものを法案の中に盛り込んでおります。

渡辺(周)委員 いずれにしても、この点について、どういう方法が一番投票機会の向上、利便性の向上につながるかをまた改めて議論したいと思います。

 それから、法案に関して、ではもう一点。

 統一地方選挙の期日は決まるにしても、この統一地方選挙の毎回毎回の投票率を見ていきますと、直近の大体五回、平成十五年県議選挙で五二・四八%、平成十九年が五二・二五%、平成二十三年が四八・一五、平成二十七年で四五・〇五、平成三十一年で四四・〇二と、投票率が、もうこの過去三回は五〇を、過半数を割っているというような投票率でございます。

 市議選についても、もう一々数字は申し上げませんけれども、市議会議員選挙、一般の市議ですね、指定市を除く、これも過去二回、平成二十七年、四八・六二、そして平成三十一年が四五・五七。最も身近な代弁者である地方議員の選挙においても、これはもちろん、政党間、政党の擁立状況であるとか、あるいは候補者の、様々な魅力ある候補者が多数いたかそうでないか、はなから結果が見えているような選挙であったか、いろいろなこともあるとは思いますが、いずれにしても、もう五〇%を切っているということがほぼ平均化してきています。

 いろいろ、先ほども、投票意識の向上、啓発活動の推進等々出ていますけれども、やはり一つ私は、効果的なのは、駅や商業施設における期日前投票の設置を促す、あるいは共通投票所、投票日に自分の選挙人名簿が登録されている最寄りの投票所でなくとも投票に行くことができるということが、やはり一つには解決策だろうと思います。

 そこで、ちょっと共通投票所の設置状況も申し上げますと、令和元年の参議院議員選挙では十三団体四十五か所、令和三年の、昨年の衆院選では十八団体六十八か所、そして、今年の参議院選挙では二十八団体百四十三か所。少しずつ増えてはいるんですけれども、なかなかこの共通投票所というものが広がっていかない。

 これは、共通投票所の必要性というのはこれまでも研究会等で識者から指摘をされているんですが、やはりここでなかなか進まないのは、よく言われるように、いわゆる二重投票を防ぐための、投票のいわゆる公正性の確保であるとか、あるいはシステムを結ぶ経費の問題だとか、いろいろ言われます。

 一体、この共通投票所あるいは期日前投票での、駅や商業施設でのこうした投票の設置がなかなか進まないということについては、今どのような問題点を持っていて、それを改善するためにどうするか、その点について総務省に伺いたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、投票環境を向上させる取組としては、買物や通学の際に投票できるようにするための共通投票所あるいは期日前投票所のショッピングセンターや大学などへの設置とか、こういったことが有効であるというふうに考えております。

 期日前投票所の方はかなり進んできておるかとも思うのでございますけれども、特に共通投票所の方がいま一つ進んでいないという御指摘かと存じます。

 この共通投票所につきましては、投票日当日、市町村の区域内のいずれの投票区に属する選挙人も投票できる投票所でございますので、選挙人が自身の投票区の投票所と共通投票所のどちらでも投票できることから、二重投票を防止する措置を講じなければならないことになります。

 そのため、共通投票所と学校、公民館、集会施設など、様々な場所に設置をされる当日投票所の全てをネットワークで結んで投票済情報を一元的に管理する必要があり、このためのシステムを導入する必要があることが団体にとっての課題となっていると承知をしております。

 総務省におきましては、ネットワーク回線について、回線工事に期間がかかってコストも高い有線の専用回線だけではなく、データの暗号化等一定のセキュリティー対策を講じた上で、比較的安価な無線の専用回線を用いることも可能である旨の技術面での助言を行っております。

 また、このシステムの導入経費については、国政選挙においては国費により措置し、地方選挙においては特別交付税措置を講じておるところでございます。

 また、共通投票所の取組事例をまとめた事例集を作成しておりますので、どういったことをやっているかということを自治体の方にもよく知っていただく、これを活用した周知も行っております。

 こうした取組で、積極的に設置できるように支援をしてまいりたいと存じます。

渡辺(周)委員 五割を割っている投票率の選挙が続いている。これは当然、政党や政治の側にも責任があるということは申し上げなければならないと思いますが、今お話があったように、例えば交付税でそれを措置できるという形で、やはり財政的な負担が理由になって、それで例えば共通システムなどを導入することをためらっているような自治体があれば、是非この点については積極的に交付税による支援を拡充していただいて、是非とも投票率の向上に全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 残り五分となりました。

 最後は、大臣に是非伺いたいんですけれども、いわゆる旧統一教会が、今、地方自治体に対して様々な、例えば後援申請でありますとか、あるいは施設の利用でありますとか、こういうことで、実は関係があったということが、この数か月で相当な数が表れております。必ず言われるのが、統一教会と関連ある団体だということが把握できなかった、あるいは、これまでの実績主義から照らし合わせて、今までも利用を認めてきているので認めていた、そういうことが言われるんですね。

 ゆゆしき問題は、参考資料としてちょっとお見せしますが、これは河北新報という新聞で報じられました。南三陸町というところに対して、旧統一教会が、今年の入学式に子供たちに入学祝いと称して文房具やら何やらをパッケージにして贈っていたと。ところが、その中にこういう「アワーストーリー」という何か機関誌が入って、どう考えてもこれは、子供、小学校一年生の子が読んで理解できる内容じゃないんですね。あくまでもこれは親に向けて、保護者に向けて多分配布されたものだろうというふうなものが入っていたというふうに報じられています。

 これから来年、例えば卒業だとか入学だとかというタイミングに合わせて、こうした自治体が様々な団体から、もちろん、これまで、子供の交通安全のために必要な例えば黄色いかばんだとかワッペンだとか、そういうものを配っている方々もいらっしゃいます。一概には否定することはいけません。むしろありがたいことだ。

 ただ、その中に乗じて、こうした統一教会が、まさに自治体のお墨つき、実績づくりのためにこのような形で関わっていることに対して、国として何らかの形で注意を促す、若しくは、問合せがあって答えられるシステムをつくるべきだと思うんです。

 その点について、統一教会の自治体への今の様々な接近について、どうやはり自治体に対して一つのブロックをしていくことができるか、その点についての大臣のお考えはいかがでしょうか。

寺田国務大臣 御指摘のように、各自治体と旧統一教会またその関連団体との関係については、これまでの諸経緯また様々な対応があるのではないかというふうに思われるところでございます。

 基本的には、寄附あるいは後援、また、今御指摘のような雑誌掲載等も、個々の自治体において対応すべきことではあるわけでございますが、現在、総務省として注意なり通知を出すというのではなく、自治体からのお問合せがあれば、総務省も、御承知のとおり、各省の連絡協議会の一員として入っております。したがいまして、自治体からのお問合せがあれば真摯に、また適切に御相談に応じてまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 総務省として、行事の後援だとか施設利用だとか、やはり何らかのルールを設けて、やはり統一教会の、まさにお墨つきを与えるような、何か教団側の活動を結果的に公認したことにつながらないように、やはりガイドラインを、何らかのルールを設けるべきだと思うんですけれども、それは総務省としていかがお考えですか。

寺田国務大臣 総務省として、個々の自治体のそれぞれのこれまでの経緯、対応等もあろうかと思います。一般的に、自治体がどのような団体のどのような活動に後援、協賛するか、それはもちろん基本的には当該自治体の対応でございますが、先ほども申し上げたとおり、お問合せ等については適切に御相談にあずかり、応じてまいりたいというふうに考えております。我々総務省の方で持っております様々な情報等も、お伝えをすることができればと思います。

渡辺(周)委員 これで最後にします。

 是非、本当に怖いことは優しい顔をして、本当に怖いことは甘い顔をして忍び寄ってくるものですね。ですから、それをどう事前に察知をして、そして、結果、大きな不幸につながらないようにするか。特にこの統一教会の様々な問題が今指摘されている中で、是非、総務省としても、地方自治体に対してしっかりと取組を強化するような指導をしていただきたい、そのことを申し上げまして、質問を終わります。

平口委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 寺田学です。

 寺田という珍しい名字同士、国会は二人ですけれども、正直、いろいろ間違い電話を以前からいただいていて、過去、自民党の大物議員の奥様から、なぜあなたのところは婦人会に入らないのだというのを延々とうちの方でお叱りを受けたり、去年は、赤旗さんに、NTTの接待を受けた、私、覚えはないんですが、稔と学の間違いで、私が接待を受けたようなことになったりということで、いろいろ、余りいい思い出はなかったんですが。

 大臣になられたので、本当に御就任をお祝いしたいところではあるんですけれども、就任直後から、非常に、今も質疑がありましたけれども、度重なる疑念が報道されまして、地元紙でも、総務大臣と書かれず寺田氏と書かれるんですけれども、寺田氏が妻に政治資金を渡していたとか、さんざんなことを書かれて、誤解している県民も多いのかなと思っていて。

 本当に、はっきりと御自身としての説明責任を果たして理解を仰ぐ、ないしは、できないのであれば責任を取ってもらうというのが、私は大事だと思っています。

 後藤さんの質疑の範囲の中で、政治資金についての質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 一点ちょっと、先ほど答弁を聞きながら思ったんですが、後藤さんの資料の七枚目に、「寺田氏「説明責任果たす」」ということで、政治資金パーティーの話が載っていますけれども、大臣、わざわざ、これはパーティーじゃない、講演会だと言いましたけれども、これは、政治資金法八条二項の政治資金パーティーの開催ではなかったんですか。事実関係だけです。

寺田国務大臣 私が申し上げたのは、その形態が、いわゆる飲食を伴うパーティーではなくて、講演会であったという意味で申し上げたのみでございます。

寺田(学)委員 私が聞いているのは、政治資金法八条二の政治資金パーティーの開催の、この政治資金のパーティーだったんですかと聞いているんです。

寺田国務大臣 その点については、ちょっと確認をさせてください。

寺田(学)委員 それも分からないのに、パーティーじゃないと言ったんですか。大分いいかげんですね、答弁が。

 わざわざ突っかかるところじゃないところで突っかかったんですから、しっかり、この八条の二の政治資金パーティーじゃないということで自信を持って言われたのかなと思うんですが、そこの確認ができないということですか。

 では、確認してすぐ理事会の方に報告してください。

平口委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

平口委員長 速記を起こしてください。

 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

寺田(学)委員 大臣、事実確認して、政治資金パーティーだったらパーティーだったと答弁を修正してくださいね、パーティーじゃありませんと言っているんですから。

 収入印紙の方に移りますけれども、まず事実確認ですが、現状、貼っているんですよね、印紙を。イエス・オア・ノーだと思います、どうぞ。

寺田国務大臣 現状、貼っております。

寺田(学)委員 いつ貼られたんでしょうか。

寺田国務大臣 先ほども御答弁いたしましたが、同じ日、すなわち選管に出したのと同じ日でございます。

寺田(学)委員 選管に出すものには、選管に出したその日、印紙を貼らないで出して、その手元にあるものに印紙を貼ったんですか。なぜ、同じように印紙を貼ったものを提出しなかったんでしょうか。

寺田国務大臣 選管には写しを出すわけですが、その写しを取るときに、収入印紙を貼っていないものの写しを取ってしまった、しかし、それは直ちに、当日、収入印紙を貼ったということでございました。

寺田(学)委員 寺田慶子さんから交付された日は、選管にそれを届け出た日ということなんですか。

寺田国務大臣 交付と言われるのは、そのお金を支払った呉後援会に対して寺田慶子が交付をした日はまさにその日でございます。同日でございます。

寺田(学)委員 寺田慶子さんが後援会に収入印紙を貼らないで渡して、それをコピーをして、事務所の方が選管に届けて、その同じ日に寺田慶子さんは領収証の方に印紙を貼ったということなんですか。

寺田国務大臣 領収証でございますので、当然、その収入印紙を貼る予定にしておりましたが、その貼る前に事務担当者がその写しを取って提出をしたということですので、直ちにその収入印紙を貼付をしたということでございます。

寺田(学)委員 収入印紙を貼られたのはどなたですか。

寺田国務大臣 物理的に収入印紙をつけたのは事務担当者であるというふうにお聞きをしております。

寺田(学)委員 領収証を渡したのはどなたですか、後援会に。

寺田国務大臣 寺田慶子がお金をもらったという領収証を書いて、寺田慶子が後援会に渡しております。

寺田(学)委員 収入印紙は誰がお渡ししたんですか、後援会の事務の方に。

寺田国務大臣 寺田慶子が渡しております。

寺田(学)委員 とすると、寺田慶子さんは、印紙を貼っていない領収証だけを渡し、時間を置いて収入印紙を渡したんですか。その間に……。

 どうぞ。

寺田国務大臣 もちろん、収入印紙を貼るつもりで渡したわけです。ところが、直ちに手元に収入印紙がなかったので、収入印紙を準備をしました。しかし、収入印紙を貼っていない写しを既に事務的に提出をしてしまったので、直ちに原本の方に収入印紙を貼付をしたということであります。

寺田(学)委員 収入印紙と領収証を同時に渡して、貼る作業を任せたのではなくて、まずは収入印紙を貼られていない領収証を渡して、収入印紙が手元になかったので、収入印紙を後ほど、同日ですけれども手配をし、事務の方にお渡しをしたと。そのタイムラグの間に、収入印紙が貼られていない領収証のコピーが、何かしらの形で、選管に届け出る書類の中に入ってしまったということですか。

寺田国務大臣 はい、おっしゃるとおりでございます。

 直ちに収入印紙が見つからなかったようでございまして、すぐ結果的に見つかったのであります。見つかったのですが、ちょっと、見つかるまでの間にタイムラグがあったので、自分で名前を書いて、まず出しました。しばらくの間に収入印紙を、あったということで貼付をしております。その間の間にこの写しが取られてしまったということのようであります。

寺田(学)委員 いや、よく分からないんですけれども。

 収入印紙をポケットに入れていて、出てこなくて、ああっとやっている話なのか、そもそも丸々全部事務所にやってもらって、名前だけ貸して、手続は全部やってもらっているのか、果たして分かりませんけれども、先ほどから、やはり大臣の答弁自体に苦しさがありまして、このこと自体、いつ寺田慶子さんが領収証を出して、収入印紙が見つからなくて、その後に発見をして、貼付して出した等々のこのいきさつは、いつ大臣自身として確認されたことなんですか。

寺田国務大臣 先週、国会での総務委員会での質疑がありましたので、直ちに聞いております。

寺田(学)委員 ちょっとこのことだけやれませんので、もう一個。

 亡くなられた方の収支報告の話ですが、大臣が関係されている国会議員としてのいわゆる管理団体が五つあると。管理団体というか、政治資金に関わる団体が五つあるというふうに聞いていますけれども、これに関連して全部収支報告書を出されていると思いますが、そこに記載されている人全員は、当該問題になった件を除いて、それ以外の方は全員生きているんですか。

寺田国務大臣 関係政治団体の方は、私は収支報告を見るべき立場にございません。ございませんが、今回の御指摘等も踏まえて、今、確認中でありますが、私が直接管理しております政治団体については、生存しております。

寺田(学)委員 そこら辺、所管の大臣ですから、専門的にお話しされているのは分かりますけれども、これを通して一般の方も聞いていると思いますので。

 五つあるということですが、その五つの団体に関しては、収支報告に載っているお名前がある方は、当該ケースを除いて全員生存されていることは確認されたんですね。

寺田国務大臣 私が直接管理していない残りの三つの政治団体がございます。その三つのうちの過半はもう確認しておりますが、まだ確認中のところもございますが、生存しているものと思います。

 そこは最終確認をいたします。

寺田(学)委員 よく分かりませんけれども、こんな大事なことをやっている人が生きているかどうかも、確認にそんなに時間がかかるんですか。正直、感覚が分からないですけれども。

 その確認を今している最中で、生存確認はいつまでに終わるんですか。

寺田国務大臣 私が直接チェックをすべき収支報告書でもありませんし、収支報告書自体、私がチェックする立場でもございませんので、これは全く別団体として、今現在お伺いをしているところで、できるだけ早く分かると思います。

寺田(学)委員 是非、委員会の方に報告していただけるように、理事会の方で取り計らいいただければと思います。

平口委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

寺田(学)委員 法律の方に移ります。

 先ほど渡辺委員の方からもお話がありましたけれども、在外の国民審査制度ですけれども、郵便投票の在り方、そのプロセスを総務省の方からお伺いしましたが、現実的なやり方なのかなというふうに思います。

 この中の委員の皆さんは、皆さん御存じと思いますが、まず、在外において、自分が投票したいということを、自分が直前までいた自治体の方に郵便でしたいんですと言って、その上で紙が送られてきて、それをまた書いて郵送してというプロセスで合っているんでしたっけ、だと思いますけれども。

 大使館があるエリアに住んでいる方、領事館があるところに住んでいる方々にとってみると、領事館や大使館に行くということでできるかもしれませんが、郵便でやるということに関しては、今言った、参議院選挙ぐらいある程度見通しが利いていれば分かりますけれども、衆議院ぐらい突然解散が来るものに関しては、郵便投票というのはやはり現実的な手段ではないなというふうに思っています。

 当然、昔はこの方法しか現実的に取りようがないからこそ続いていたのかもしれませんけれども、やはり在外に関しては、私は、インターネットの投票の在り方というのは本気で検討して実施するべきではないかなというふうに思っております。

 その辺を含めて、部長でも結構ですけれども、御答弁いただければ。

森政府参考人 お答えをいたします。

 在外選挙人の投票につきましては、委員御指摘のような課題があるということは認識をしておりまして、在外公館投票における在外公館へ赴くことの困難さだとか、郵便等投票にかかる郵送の時間だとか費用負担についての指摘がなされているということも承知をしております。

 こうした課題にまず当面対応するために、総務省では、各選挙管理委員会に対しまして、投票用紙の請求があった在外選挙人に対する投票用紙の発送を、法令で定められている日以後直ちに行って、遅れることのないように周知するとか、また、新型コロナウイルス感染症等によって国際郵便が影響を受けていることを踏まえまして、投票用紙を迅速に送付するために、国際スピード郵便などが利用できない場合に、国際宅配便を利用することも差し支えないといったことを新たに通知したりというようなことに取り組んでおるところでございます。

 また、先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、研究会報告を踏まえまして、在外選挙インターネット投票についての検討を進めているところでございます。できるだけ早期の導入について、引き続き、着実に検討を進めてまいりたいと存じます。

寺田(学)委員 方法が確保されているから、それは有権者の権利を確保しているんだというふうに言えるかもしれませんけれども、実質的に、今部長がお話しいただいたような方法でやるには、相当ハードルが高いですよ。全て簡便にせよとは言うつもりはないですが、今現状にあるテクノロジーを使ってやること自体には真剣に取り組んでほしいというふうに思います。

 今、統一地方選挙の統一をする法律もかかっていて、そのこと自体が、投票率を上げるというか周知のために統一するんだという、その趣旨自体は分かっていますけれども、やはり、根本的に投票率が上がらない大きな理由の中の一つに、公選法の分かりにくさ、その分かりにくさ及び、非合理的なやり方に制限していることによって、有権者に伝わるもの自体が乏しくなって投票率が下がるということはかなりあると思います。

 これはいろいろ申し上げたいところですけれども、総務省に言っても、いや、それは議員立法でお決めになられることなのでということなので。それは、お立場は分かっています。なので、総務省として閣法でやってくれと言うつもりはないですけれども、やはり、ここに集っている、倫選特ですから、議員側の方でかなり主体的に意識を持ってやらないと、ずっと昭和初期、昭和の頃のやり方が残って、変な話ですけれども、この令和の時代に、自分の名前を車の上につけて、たすきをかけて拡声機で走り回るというのはどうかしていますよ。

 ただ、それしか法律上できないからこそみんなそれをやるし、選挙が終わっちゃうと、喉元過ぎればではないですけれども、選挙法のおかしさみたいなことを考えることなく他の国政課題に皆さんで挑んでしまうので、ずっとそれが放置されているということだと思います。

 事前運動の禁止というのも私は不思議に思っていて、皆さんもあると思いますが、特定選挙において特定候補者を応援することは駄目だという話なんです。なので、我々としては、例えば新人であれば、国政に挑むとか、すごい中途半端な言い方をして活動をするわけで。これは、事前運動の禁止というのは何だって定まっているものなんですか。

 あともう一個、ちょっと時間がないので言うと、公示中、告示中、選挙中に候補者同士で集まって討論することは法律で禁じられていますよね、立会演説会の禁止。私の選挙相手の冨樫さんが今この場にいるのであれですけれども、まだ一回も公開討論はできていないですけれども、これをわざわざ禁止しているわけですよ。昔は昔で、禁止した理由があって議員立法をしたんだと思いますけれども、今まさに、国民としては、候補者同士を並び立てて、どのような考え方なのかというのを見聞き、比べるというのは大事なことだと思っています。

 この手のものが禁止されている理由って何なんですかね、総務省で把握していることで。

森政府参考人 二点お尋ねをいただきました。

 まず、公職選挙法において、選挙運動期間を定めて事前運動を禁止していること。これは、選挙運動の開始の時期を特定することによって、各候補者等の選挙運動を可能な限り同時にスタートさせて無用の競争を避けるとともに、選挙運動費用の増加を抑制しようとする趣旨というふうに承知をしておるところでございます。

 それから二点目の、選挙運動期間中の立会演説会。これにつきましては、御指摘のとおり、有権者が各候補者の政見を知り選択する上で便宜な制度として、公営による選挙運動として実施されていたことがございます。

 ただ、有権者に占める立会演説会の聴衆の割合が低下していたこと、テレビによる政見放送の実施及び個人演説会の回数制限の撤廃に伴いまして、当初に比べ、公営による選挙運動としての価値が減退してきていると言われていたこと、また、立会演説会の実態を見ると、特定の候補者の時間帯に動員した支持者のみが集まり、他の候補者の時間帯になると一斉に退場するような現象が見られ、形骸化が指摘されるようになったことから、昭和五十八年の公職選挙法改正、これは議員立法によって廃止をされたものと承知をしております。

 なお、公職選挙法第百六十四条の三において、選挙運動のためにする演説会は、個人演説会、及び、衆議院小選挙区、比例代表に届け出た政党等による政党演説会等に限られており、これらの演説会を第三者が合同で開催することは禁止をされておりますけれども、一方、複数の公職の候補者等が合同で個人演説会を開催することは認められておりまして、この合同で開催する個人演説会において候補者同士が議論を行う、こうしたことは可能ということでございます。

寺田(学)委員 いろいろお話しされましたけれども、いや、総務省の責任だと全然思っていないです、まさしく政治家の怠慢だと僕は思っていて。

 挙げれば切りがないですよ。皆さんも、ここにいる以上、何かしらやられていると思いますけれども、選挙中に配るビラに一生懸命何万枚もシールを貼ることをやっているわけじゃないですか。どうかしていますよ、この時代に。

 あと、公営掲示板と言えばいいんですか、公示中、告示中に貼っているあれを全部貼り尽くすというのは相当な労力ですよ。あれが無用だとは思っていないですよ。有用な一部だとは思いますけれども、全体的に通して言えるのは、既存の団体を持っていたり、支援団体があったり、現職だったり、そういう人たちに有利なものになっていて、結局、新人の人にとってみると、いきなり東京で参議院選挙に出ます、何万件もポスターを貼ってください、それ自体で、もうこれは無理だなと思って諦めざるを得なくなったりする。

 やはり、私は、どちらかというと、新人に有利な選挙制度をつくること自体が選挙の活性化につながるし、活性化の中に議論の習熟さというのは出てくるとは思うんです。

 これはちょっと役所に聞くことじゃないので、お願いなんですが、是非、この倫選特の委員会の中に、十増十減とか大きい話、中選挙区にするどうこうというのはすごく大きい話なので、そういうところは除いて、いわゆるビラにシールを貼るとか、公営掲示板とか、僕は、事前運動の問題ももう解禁してもいいと思いますけれども、立会演説会を禁止している内容とか、この手のことに関して、しっかりと現状、令和というこの時代においてどういうことを公選法として改正しなきゃいけないのかということを検討するような小委員会をつくっていただきたいなと。

 その場で、各党各会派が合わさって、御事情はいろいろあるでしょうし、皆さんのお考えはあるでしょうから、その中で議論して、何かしら成案を得るような仕組みをつくっていただきたいなというのを、松本、渡辺両筆頭以下理事の皆さん、委員長にはお願いをしたいというふうに思いますので、委員長、是非、そういう取り計らい、お願いいたします。

平口委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。

寺田(学)委員 本当に、誰かが何かしらのきっかけがあってやらないと、微修正だけで終わり続けて、本当にこの公選法は古くて、理屈が成り立たないようなものばかりです。

 ですので、是非、小委員会をつくって、その場で何度か議論をして、諸外国の例も見て、国民の意見も聞いて、そういうような新しい公選法の在り方を、成案を得ていただきたいというふうに思っております。

 以上で終わりたいと思います。

平口委員長 次に、岩谷良平君。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。よろしくお願いをいたします。

 まず、統一地方選挙の特例法案につきまして、お伺いをいたします。

 今回の法案は、来年の三月一日から五月三十一日までの三か月間に任期が満了する議会の議員及び長の選挙を統一地方選挙の対象とするというものでありますけれども、まず、この期間を三か月というふうに限定しているのはどういう理由からでしょうか。

 また、今、統一率が三〇%を下回る状況になっている中で、やはり統一率を高めていくためには、この期間を三か月にこだわらず更に長くしていくということも考えるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 統一地方選挙特例法案につきましては、令和五年三月一日から五月三十一日までの間に全国多数の地方公共団体の議会の議員又は長の任期が満了することから、選挙期日を四月九日及び二十三日に定めた上で、長や議会が不在となる期間が長期にならないよう、現行制度においても最長五十日程度の不在期間が想定されていることも踏まえまして、選挙期日の前後五十日程度を対象期間とすることとしております。この期間については、昭和三十八年の統一地方選挙以来、定着しているものと考えられます。

 お尋ねのように、統一地方選挙の対象範囲を更に広げることとする場合には、任期の延長や任期の短縮などの特別な措置を講じないということを前提とすれば、長や議会が不在となる政治空白期間が更に拡大したり、当選後に更に長期間の待機期間が生じたりすることにもなり、このことをどう考えるか等の課題があると考えております。

 投票率の向上につきましては、引き続き努力をしてまいりたいと存じます。

岩谷委員 確かに、任期に空白が生じるとか、今おっしゃったような課題があるとは思いますけれども、私は、これは地方分権の観点からも、地方選挙に関することはやはり地方の、住民の自治、住民の意思に任せるべきだと思うんですね。ですから、やはり三か月と国が決めるんじゃなくて、一年とか六か月でもいいと思うんですけれども、各自治体と各地方議会の判断で決めていただくというべきだというふうに思いますが、次の質問に行きたいと思います。

 今回の法案もそうなんですけれども、従来から、統一地方選挙は、都道府県知事や議員、それから指定都市の市長や議員を前半で、四月九日ですね、今回、それ以外を四月二十三日、こういうふうに前半、後半に分けて実施しているわけなんですけれども、有権者の皆さんからは、あれ、今月、選挙もうやったやんか、またやるのと、よくそういうお声をやはりかけられるんですね。

 執行上の問題はあると思うんですけれども、課題を乗り越えて、前半、後半を分けずに一度でやった方が、やはり当然、経費の面、効率性あるいは投票率という観点からもよいと思うんですけれども、これはいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 都道府県の選挙と市区町村の選挙の選挙期日を同日とした場合には、都道府県知事、都道府県議会議員、市区町村長、市区町村議会議員と、合わせて最大四つの選挙が重なる団体もございますが、そうした場合、投票所やポスター掲示場の確保が困難となる等、選挙の管理、執行に支障を来すおそれもあったことなどから、従来から都道府県の選挙と市区町村の選挙を別々に行ってきているところでございます。

 こうした方式につきましては長年定着しているものと考えておりますけれども、こうした大きな考え方を変えるということになりますと、選挙のルールに関わる問題でもございますので、また各党各会派でも御議論いただければという事柄ではないかと存じております。

岩谷委員 物理的な問題もあるよというお答えですけれども、しかし、やると決めたらできないことではないと思うんですね。最初からやらないと決める理由にはならないと思います。

 それこそ、今おっしゃったような、投票所がやはり規模的に難しいとか、ポスター、掲示板の問題、設置の問題等が出てくるのであれば、だからこそ、やはりインターネット投票とかも検討しなければなりませんし、それから、先ほど寺田学議員もおっしゃっていましたけれども、ポスター掲示の在り方とか選挙運動の内容そのものも、やはり、だからこそ議論をしていかなきゃならないんじゃないかというふうに私も強く思います。

 それから、次に、この法案では、六月一日から六月十日までに任期満了となる地方公共団体の長の選挙期日について、四月に統一できるというふうに規定されていますけれども、これは先ほどもお話に出たとおり、阪神・淡路大震災で一部の自治体の選挙が延期されて統一からずれてしまったために、これを統一地方選挙にもう一度合わせるようにしようということでできた規定だと伺っておるんです。

 ただ、これは平成二十九年の任期特例法で既に統一されている、統一地方選挙に合わされているということですから、そうであるにもかかわらずあえてこの規定を残したのは、震災の被災自治体とは関係なく、六月一日から十日に行われる予定の、例えば大阪府でいうと堺市なんかもあるんですけれども、そういったところの選挙について統一地方選挙として実施をしていくという余地を残すことで、やはり統一率を高めて効率のよい選挙をしよう、そういう趣旨が含まれているという理解でよろしいでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 平成十一年の統一地方選挙においては、阪神・淡路大震災に伴い任期が延長された地方公共団体から統一地方選挙への復帰について強い要望があり、これらの地方公共団体以外にも六月十日までに任期が満了する地方公共団体が存在したことも踏まえ、地方公共団体の選択により統一地方選挙として実施できることとし、その後も同様の措置を講じてきたところでございます。

 この措置は、平成十一年以降、前回の統一地方選挙まで計六回にわたり設けられておりますが、阪神・淡路大震災に伴い任期が延長された地方公共団体以外にもこの措置により統一地方選挙を実施した地方公共団体があること、また、この措置により統一地方選挙を実施する意向のある地方公共団体があること、そして、この措置を設けても特段支障はなく、統一率を高めることで国民の関心を高めるという本法案の目的にも資すると考えられること等を踏まえまして、今回の統一地方選挙においても同様にこの措置を設けることとしたものでございます。

岩谷委員 今、統一率を高めていくというところの趣旨に入っているんだというお答えかと思います。

 この点、先ほど申し上げた大阪府の堺市では、市会議員選挙は統一地方選挙で行われますけれども、市長の任期は六月八日ということで、このままだと統一地方選挙があってその後またすぐ市長選挙ということになってしまうんですが、やはり税金も余計にかかるわけですし、投票率の低下なども懸念されておるわけですから、これは堺市の選挙管理委員会で今後判断されることになろうかと思うんですけれども、今答弁いただいたような趣旨をしっかり踏まえて御判断いただけるのかなというふうに思っております。

 少し質問、済みません、通告を飛ばしまして、統一地方選挙の再統一の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。

 統一地方選挙をもう一度再統一してはどうかというのは、これまで何度も議論されてきて、地方議会でもいろいろと議論が行われております。

 例えば、大阪府議会の令和三年二月定例会で、我々日本維新の会の鈴木憲府議が、統一地方選挙の再統一について新田谷修司大阪府選挙管理委員会委員長に質問したところ、地方選挙の日程を統一するには、長や議員の任期や不在期間をどうするかという課題があり、広範に日程の統一を実現するには何らかの立法措置が必要と考えますと、再統一については国における立法措置が必要だということを言及して答弁されておられます。

 この点、統一地方選挙を仮に三月から五月ということで再統一していくと、新しい首長さんとかは、最初の一年は既に前任者が決めた予算を執行するということになってしまう。こういうことから、元鳥取県知事で元総務大臣の片山善博さんなんかは、新しい長が予算編成に携わることができるために、再統一する際には統一地方選挙を十一月にする方がよいと、十一月ということを主張されていらっしゃるんですけれども、これらの見解についてどのようにお考えになるか、お聞かせいただきたいと思います。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 地方選挙の再統一につきましては、これまでも、地方選挙を年一回に統一して十月に行うことなどに関する議論が行われ、各党間の意見調整が行われたものの合意には至らなかったものと承知をしているところでございます。

 その際、地方選挙を年一回に統一をして行おうとする場合には、導入時に現職の大幅な任期延長が必要となることについてどう考えるか、また、強制的に統一することが地方分権の流れに沿うのか、あるいは、長の死亡、退職や議会の解散等の場合の取扱いをどうするかなどの課題が指摘されていたものと承知をしております。

 また、長年定着してきた地方選挙の仕組みを考えることとなりますと、各方面に極めて大きな影響を与えることになりますことから、地方選挙の再統一については、まずは、各党各会派において、幅広い観点からの議論が必要な問題であると考えているところでございます。

岩谷委員 確かに、地方分権の観点からは一見矛盾するような話になってしまうんですけれども、一方で、地方議会の方から立法が必要じゃないかというような話が出てきているということでありますから、質問させていただいたわけなんです。

 例えば、片山善博さんは、四年の選挙のたびに一月ずつ任期を延ばしていく、一か月ずつ、四年に一度、一か月任期を延ばすと。そうすると、二十年以上ぐらいの時間はかかるんですけれども、段階的に十一月に収れんさせていくというような方法もあるというふうに述べていらっしゃるんですね。

 私は、やはり立法措置も含めて、いま一度、統一地方選挙の再統一の問題、これは真剣に検討すべきだと思いますので、これはもう是非、政府もそうですし、各党各会派、積極的に御議論をいただければというふうに思っております。

 続きまして、選挙の広報啓発の予算についてお伺いしたいと思います。

 今、選挙の広報とか啓発の予算は五億円ぐらいということになっておりまして、テレビCMなども行われていないと思います。これは、以前は、例えば平成二十一年ですけれども、十億円ぐらいあったんですね、予算が。ところが、これは民主党政権による事業仕分で、平成二十一年に十億あったものが、平成二十二年には四億くらいまで一気にばさっと減額されたということなんですね。

 これはやはり、これだけ、半額、半分以下に予算を一年でばっさり切られた、その後も四億、五億ぐらいでずっと続いているということですけれども、こうやって予算を減らしてきたことが投票率の長期低迷傾向に拍車をかけたと言えるのではないでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 選挙時の啓発につきましては、本年七月の参議院議員通常選挙を例に申し上げますと、都市圏では駅のデジタルサイネージを利用した広告や電車内広告を行うとともに、地方圏でテレビCMを活用、さらに、新聞広告、インターネット広告、ポスター掲示なども行い、できる限り多くの方の目に触れるよう啓発を行いました。

 また、その内容についても、幅広い世代に認知度の高い俳優に投票を呼びかけていただいたところでございますし、また、地方公共団体に対しましても、選挙啓発推進委託費の交付という形で、地域の実情に応じた広報啓発活動を実施いただいているところでございます。

 委員御指摘のとおり、啓発予算の縮減はございましたが、投票率に関しては、天候や選挙の争点など様々な事情も総合的に影響しますので、明確に影響を測ることは困難でございます。

 他方、第四十九回衆議院議員総選挙に関する意識調査で、国や選挙管理委員会の周知啓発について、見聞きしなかったと回答した割合は一六%、それ以外の八四%の有権者は、何らかのこれらの周知啓発の媒体を見聞きし、投票日、投票時間、投票場所などの情報を得たとの回答を得られております。

 平成二十一年以前の国政選挙に関する意識調査については、このような集計をしておらず、比較できませんけれども、現状の予算による選挙啓発によっても、多くの方々に選挙に関し必要となる情報は周知はできているのではないかというふうには考えているところでございます。

岩谷委員 十億から一年間で一気に半分以下、四億以下になったということなんですけれども、それが一概に投票率の低下に影響があったかどうかは分からないというお答えなんですけれども。

 先ほど、福重議員も質問されておられましたけれども、若年層では新聞などの媒体で選挙の啓発などを見たことがないということが非常に多いということで、その対策としてインターネット広告などを行っているということなんですけれども、これは、当然、予算がもっとあれば、インターネット広告で表示回数を劇的に増やすとかいうこともできたはずなので、それは一概に言えないとしても、やはり影響があるというふうに私は思うんですね。

 これは、先ほどいろいろアンケートの結果とかおっしゃっていましたけれども、何かしら検証みたいなことというのはされたんでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げましたとおり、投票率との因果関係と申しますか、一律な関係性というものはなかなか難しいだろうということで、ただ、選挙のたびに、今ほど申し上げましたような、アンケート調査というような形で、その周知啓発の媒体を見聞きしたのかどうか、こういったことをやっておるので、こういったことは引き続きやってまいりたいと存じております。

岩谷委員 なかなかお答えは難しいかと思うんですけれども、逆に言うと、これは事業仕分前の年間十億ぐらいの広報予算が無駄だったのかというような話にもなりかねないなと思うので、しっかりと検証は行っていただきたいなと思うんです。

 実は、この点、私、今年の二月の予算委員会の分科会でも質問させていただいております。そのとき、私から、投票率が下がっているのに、啓発や広報の予算を、上げるどころか下がったままになっているのは本末転倒で、この予算を大幅に増額すべきではないかというふうに質問させていただいたところ、所要の額を確保して、啓発を適切に執行しておるものと考えているという御答弁をいただいたんですけれども、所要の額を確保してとか適切に執行しているというお答えというのがちょっと分かりにくかったんですが、これは、最低限の予算額は確保して最低限の啓発は行っている、そういう意味なのか、それとも、十分な予算額を確保して十分啓発しているよという意味なのか、再度お伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 周知啓発予算につきましては、費用や効果を勘案しながら、必要と認められる額を要求、確保した上で、効果的な啓発に取り組んでいる、こういう趣旨でございます。

岩谷委員 必要ということで、なかなか答えにくいところかなと思うんですけれども。

 これはもちろん、予算がこれだけ一気に削られて、役所の皆さんは本当に、創意工夫しながら、苦労されているんだろうなというふうに思うんです。そのことには本当に敬意は表するところなんですけれども、やはり、決して現状、適切というふうに言い切れることはないと思います。

 ですから、代弁するならば、決められた予算の中で役所としては最大限やっているということなのかなというふうに思います。

 この点、大臣に是非私はお聞きしたいんですけれども、これは民主党政権時代に削られた予算ですね、それがその後も削られたままになっているということなんですけれども、そうすると、これは自民党政権としても、削られたことは正しいと、追認して予算計上しているということになると思うんですけれども、これはやはり今後増額を検討していただくようなお考えというのはないですか。

寺田国務大臣 選挙時の周知啓発予算についてでございますが、費用や効果なども勘案しながら、必要と認められる額を要求、確保した上で、効果的な啓発に取り組むようにいたしているところでありますが、今後も、様々な媒体を活用しながら、効果的な啓発ができますように、必要な予算を確保していきたい、確保を図ってまいりたいと考えております。

岩谷委員 残念ながら役所と同じような答弁で、いささか残念ではありますけれども、本当に、政治家としても選挙の大事さというのは重々御理解いただいていると思いますので、予算増額に向けて是非かじを切っていただければというふうに要望したいと思います。

 また、同じくこの分科会での私の質問に対して、政府の方から、自治体の方からまた不足の向きなどの声があれば、また今後考えていくこともあろうと存じますと御答弁いただいておったんですけれども、自治体の方から、選挙の広報啓発予算について、何らかの意見書とか、そういったものが上がってきているかどうかお伺いしたいのと、あるいは、自治体に対して、この広報啓発予算についてヒアリング等の調査を行っているのか、あるいは、行っていないのであれば、是非そういった調査をしていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 毎年、全国の都道府県や指定都市、市区の選挙管理委員会の御意見、要望等を取りまとめたものを各連合会の方からいただいておりまして、近年のものも確認をしておりますが、選挙啓発予算に関する御要望としては伺ってはいないところでございます。また、個々の自治体からの選挙啓発予算に関する要望も、特段承知をしていないところでございます。

 総務省及び各選挙管理委員会が連携して効果的な選挙啓発を行うことは重要でございますので、国政選挙の際、各選挙管理委員会でどのような選挙啓発を行ったのかの調査を行って、今後の効果的な啓発につながるように、その取組内容の共有はしておるところでございますが、御指摘の費用だとか、また効果の点も含めまして、各選挙管理委員会の御意見も伺いながら、より効果的な選挙啓発に取り組んでまいるようにしたいと考えております。

岩谷委員 この予算の部分について限った形でヒアリングすればまた違った答えが返ってくるんじゃないかと私は想像していますので、そういった絞った形での調査、ヒアリングというのも御検討いただければなというふうに思います。

 次に、ちょっと話題を変えまして、主権者教育についてお伺いしたいと思います。

 これも同じく今年の予算委員会の分科会で、私は、今年度から高校の「公共」という科目で主権者教育が行われることを取り上げさせていただきました。ただ、そのときに、この「公共」の科目の中でどうやって時間を使うかは学校の現場の判断に任されているというところから、やはり教育現場というのは政治的中立性が強く求められるということもあって、現場の先生方は及び腰になるんじゃないか、そういった心配のことを私は申し上げたんですが、実際に「公共」という科目が新しく始まって約数か月経過しているわけですけれども、この「公共」の科目の中で、どれくらい主権者教育というものが行われたかというのを調査をしていただいているかどうかお伺いしたいと思います。

 また、これは、もちろん主権者教育は極めて重要ですから、調査していないとすれば、今後、調査していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校における主権者教育の実施状況についてでございますが、これまで文部科学省において、平成二十八年度及び令和元年度に調査を実施してきております。また、関係教科における実施内容、また関係機関との連携の状況などについての把握についてしてきたところでございます。

 これは令和元年度の調査の一例でございますが、調査対象校の第三学年に在籍する生徒に対して主権者教育が実施された割合というのは九五・六%、こういったデータを取っております。また、どういった教材を使っているかというのも調査しております。

 また、先生おっしゃったとおり、今年の四月から「公共」という科目が始まりましたので、これにつきましては、今年度におきまして調査を実施する予定としております。その中で、今年度から始まった「公共」における主権者教育の実施状況についても把握できるように検討してまいります。

 また、そういった結果、詳しい実施状況や課題について、必要に応じて関係会議等についても情報収集させていただきたいというふうに考えております。

岩谷委員 ありがとうございます。

 調査をしっかりしていただける、それを検討していただくという御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 これは本当に、投票率を根本的に上げていこうと思えば、教育がやはりキーになるわけですから、私は非常にこの「公共」には期待をしておりますので、そういった調査も含めて今後もよろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、統一地方選挙にも関連することですけれども、住民票異動の適正化についてお伺いしたいと思います。

 例えば、大学生とかが地方から東京の大学に来た、要は、ほかの市区町村に引っ越してきたというときに、住民票の届出を、異動届を正確に行っていないというところが散見されるわけなんですけれども、これは余り語られてこなかったかもしれないんですけれども、投票権、投票という観点から見ると、本来、選挙権を行使できる、例えば東京の議員選挙とかには住民票が登録されていないために投票できない。一方で、例えば、住民票を実家に置いている、大阪に置いているとなれば大阪の地方議会選挙とかには投票できてしまうということで、これは投票権の行使という観点から見ると、非常に問題があるんじゃないかというふうに以前から思っております。

 まず、どれだけの方が実際に住民票を、異動を適正にしていないのかどうかとか、そういった実態調査をまずは始めるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 住民基本台帳制度は、基本的には、住民に正しく届出を行っていただくことを前提とした制度となっております。

 また、市町村では、様々な事務を処理する過程において疑義が生じた場合などに、それをきっかけとして行います住民の居住実態調査などにより、住民票の記載事項に誤り等があることを知ったときは、市町村長が職権で住民票の記載や消除を行っております。

 総務省といたしましては、これまでも、市町村に対し、住民に住所変更の届出を促す啓発資料の提供や届出制度の周知啓発、また、適切な調査の実施等の要請を行ってきております。また、進学や就職等を機に引っ越しをする方が多い学生や生徒さんに対する周知啓発を関係省庁の協力を得ながら行っておりまして、引き続き、住民基本台帳の記録の正確性の確保に向けた取組を行ってまいります。

 御指摘の調査につきましては、市町村の意見も踏まえながら、課題を整理した上で、どのような対応ができるか検討してまいりたいと存じます。

岩谷委員 ありがとうございます。

 市町村の意見を聞きながら、課題を整理して、調査を検討していただけるということで、是非とも調査をやはりやっていただきたいと思います。

 これは本当に、先ほど申し上げたとおり、非常に民主主義の観点から重たい話でして、今回も、一票の格差がやはり二倍を超えると一人一票の原則に反するということで、十増十減なんかを、本当、すったもんだしながらやっているわけです。

 ところが、先ほど申し上げたとおり、大阪の実家に住民票を置いていて、東京に来て、東京都知事選挙に本来投票できるはずなのにできない、あるいは、本来投票できないはずの大阪府知事選挙に投票できてしまうというのは、ないはずの一票が行使できてしまったり、あるはずの一票が行使できなかったりということですから、これは一票の格差以上の問題じゃないかなというふうにも思ったりするんですね。

 ですから、そういう観点から、ちょっと、今までの住民票異動の適正化の範疇を超えて、より重いテーマとして、しっかりと調査に向けて検討を進めていただきたいというふうに思います。

 続いて、同じく地方分権の観点から地方選挙についてお伺いしたいことがあるんですが、十年ほど前に、私は当時、大阪府議会で府議会議員をやっておりましたけれども、大阪府知事の選挙に、ちょっと極端な意見かもしれませんけれども、義務投票制を導入できないかということを府議会において当時の選管委員長に質問をさせていただいたんですが、御答弁としては、地方自治法や公職選挙法の規定上、条例で義務投票制を定めることはできないという御答弁でございました。

 私が調べたところ、世界では三十か国以上義務投票制が採用されていて、例えばスイスでは、各州に選挙に関する事項を定める権限があって、州によっては州法で義務投票制を採用している州があるということなんですね。

 また、オーストラリアにおいては、初めはクイーンズランド州議会選挙で義務投票制が導入された。その後、連邦議会で義務投票制が採用された。以来、九〇パーを超える投票率を維持しているようですけれども、地方が先駆けて地方議会選挙で州法で義務投票制を導入した結果、それが国全体に広がったというのがオーストラリアの例であります。

 ところが、この日本においては、そうやって地方が独自に義務投票制のような選挙制度とかを導入しようとしても、法律に縛られてできないということになるわけなんですね。地方自治体の議員や長の選挙についても、公職選挙法とか地方自治法が、国が決めた法律が事細かに規定されていて、地方の住民が自分たちのリーダー、長を選ぶ方法を自分たちで決めようと思っても、それが法律が壁になってできないというところがありまして、これは、やはり私は、地方分権という観点から、今回の統一地方選挙においても言えることなんですけれども、地方の在り方、地方の選挙の在り方も地方で自由に決められるというように地方自治法であるとか公職選挙法を是非改正すべきではないかと思いますが、これは大臣、いかがでしょうか。

寺田国務大臣 現行の公職選挙法では、地方選挙について、議会議員選挙の選挙区の設定や記号式投票の導入、また選挙公営の採用などを条例に委ねておりまして、地域の実情や団体規模などに応じた自治体の判断も一定の範囲内で認めているところでございますが、御承知のとおり、選挙権や被選挙権の内容、また当選人決定の仕組みなど、選挙制度の基本に関わる事項については、団体ごとの差をつける合理的な根拠もないことから、全国一律の制度となっております。

 お尋ねの地方選挙の在り方について各地方団体が自由に決めるようにできるようにすることについては、これはやはり民主主義の根幹である選挙制度に関わることですから、各党各会派において御議論いただくべき事項であると考えております。

岩谷委員 おっしゃるとおり、一定の細かな事項というのは条例に委ねられておりますけれども、やはり、義務投票制のような大きなテーマで何かやろうとしても、そこは法律が壁になっているということであります。法案質疑から、本筋から離れてしまうのでこれ以上申しませんけれども、やはりこれも、各党各会派、しっかりと共に議論をさせていただければというふうに思っております。

 続いて、期日前投票所の件についてお伺いをしたいと思いますけれども、先ほどからも御答弁等があったとおり、政府としては期日前投票所の設置等は積極的に推進されている立場だというふうに思いますけれども、期日前投票所が少ないからといって、別に選挙権の行使そのものが妨げられているというわけではないとは思いますけれども、しかし、投票環境、投票しやすい環境の整備というのは、やはりこれは選挙権の関係から非常に重要であると思います。

 この点、期日前投票所の設置にやはり非常に積極的な市区町村もあれば、残念ながら消極的な市区町村もあって、かなりばらつきがあるというふうに認識しておるんですけれども、この現状についてはどのように思われますか。

中川大臣政務官 委員御指摘のとおり、選挙の公正を確保しつつ、有権者が投票しやすい環境をつくることは大変重要なことであると考えているところでございます。

 本年の参議院議員通常選挙における期日前投票所は、過去最高の六千百六十九か所で設置されるなど、各選挙管理委員会において増設に御尽力をいただいたところでもございます。

 期日前投票所については、それぞれの選挙管理委員会において、人口、地勢、交通、市町村合併の経緯など、地域の事情を考慮した上で、その設置数、設置場所、設置期間を決定されているものと承知をしているところであります。

 総務省といたしましては、投票環境の向上の観点から、利便性の高い駅やショッピングセンターでの設置、また、大学と連携してその構内での設置、あるいは、投票日前日など有権者が集中して混雑が見込まれる日に増設して設置することなどについて、積極的に増設実施をしていただくよう要請をしているところでもあり、地域の事情に応じて取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

岩谷委員 これは、先ほど地方分権の観点からいろいろ申し上げましたけれども、確かに、市町村それぞれにお任せしてお願いしていくということになっているわけなんですけれども、ただ、これは、国政選挙も期日前投票所の設置は市町村に任されているわけなんですね。地方議会議員選挙に関しては、私は地方分権でどんどん任すべきだと思うんですけれども、国政選挙はやはり国の方で責任があると思いますので、自治体、自治体と自治体任せにせず、国の方でもうちょっと責任を持って進めていくような方策というのも是非お考えいただきたいというふうに思います。

 法案の方に移りたいんですが、最高裁判所の裁判官の国民審査の改正案についてですけれども、これは、先ほど福重委員の質問の中でインターネット投票の実証実験の話も出ておりましたが、今、在外投票について行われていると思うんですけれども、そうじゃなくて、これは国内でインターネット投票を検討する際においても今行われている実証実験の結果というのは有用ではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 現在行っている実証につきましては、総務省では、実証用のシステム、プロトタイプでございます、これで投開票や、インターネット投票を希望する者の申出、登録が確実かつ円滑であるかといった点についての検証を行うとともに、制度、運用面の論点の洗い出しを行ってきておるところでございます。

 そして、今ほど、国内の投票に活用できるか、こういうことでございます。平成三十年の研究会報告においても言及されておりますとおり、国内のインターネット投票については、在外選挙インターネット投票システムの基本的な仕組みとしては応用可能と考えられるところでございます。

 ただ、他方、国内では、在外選挙インターネット投票特有の問題に加えまして、有権者の規模が極めて大きいことに伴う一斉アクセスがあったときのシステムの安定性の確保などの課題もあるというふうに考えているところでございます。また、こうしたシステム面のほか、国内においては投票管理者や立会人の下で行うことが原則となっている選挙の投票を、特段の要件なくこれらの者が不在の中で認めることの是非といった大きな課題もあるわけでございます。

 総務省としては、まずは在外選挙での導入についての引き続きの着実な検討を進めてまいりたいと存じます。

岩谷委員 いろんな課題はあるにしても、技術的な部分では、一定、実証実験の結果が国内の投票においても応用可能だというお答えをいただきました。まさに、今、国内でのインターネット投票の導入についても議論、検討を進める環境が整いつつあるというふうに思いますので、是非この点も今後積極的に議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 最後に、国民審査の対象となる裁判官の経歴とか顔写真、これは公報で情報が提供されているわけですけれども、やはり多くの国民の皆様から分かりにくいというような声をよくお伺いします。

 今、私の事務所で大学生の方がインターン生で来てくれているんですけれども、国民審査のことを、これはちゃんと行っているの、印をつけてきているのというふうに聞いたら、ちゃんとやっていますと。それはどうやって情報を得ているのと言ったら、ティックトックと言うんですね。ティックトックでそれを解説をされている方がいて、そういうのは非常に短時間ですから、ざざっと見て、この人は夫婦別姓に反対の判決をしたからとか、そういう判断をされているというふうに聞きまして、非常に驚きました。

 やはり、今インターネット等での発信、ホームページ等はやっていただいていると思うんですけれども、SNSなども使って発信しないと若い世代にはリーチしないと思うので、是非取り組んでいただきたいと思うんですが、いかがですか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 審査に付される裁判官の情報につきましては、国民審査法第五十三条等の規定に基づき発行されます審査公報のほか、最高裁判所のホームページにおいて、裁判官の経歴、最高裁において関与した主要な裁判、裁判官としての心構えなどの情報が掲載されていると承知をしております。また、中央選挙管理会及び各都道府県の選挙管理委員会においては、国民審査の際、審査に付される裁判官の一覧などの審査に関する情報、あるいは審査公報のデータをホームページに掲載をしているところでございます。

 また、審査公報がより分かりやすいものとなるように、これまでも、審査公報の掲載文の文字数自由化や掲載文への裁判官の写真掲載など、充実を図ってきておりますが、今後とも、関係機関とも連携しながら、裁判官の情報のできる限り分かりやすい周知に努めてまいりたいと存じます。

岩谷委員 時間になりましたので終わりますけれども、本当にホームページだとなかなか、取りに来てもらわないと情報を得られないので、SNSは流れていく情報ですから、そういったことも是非検討をしていただきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

平口委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスでございます。

 本日は、本日議題となっている法案についての質問をさせていただきたいと思いますが、まず冒頭、私からも、先ほど寺田学議員からあった件について、一言発言をさせていただきたいと思います。

 先週、憲法の国際比較をされている研究者の方とお話をする機会がありまして、その方から、選挙期間に制限がある、日数に制限がある国は結構珍しい、日本ぐらいなものだというようなお話を伺ってびっくりしたんですけれども、この選挙期間が短いせいで、特に新人の候補者が一体何者なのか有権者の皆様に説明できないまま活動するという状況が続いていて、非常に新人にとって不利な状況が続いているというふうに思います。

 私の場合ですと、初当選するまでは国民民主党の滋賀県第一区の総支部長ですといって、一体それは何なんだ、誰も分からないといった中で、選挙に挑戦する、立候補ということを言うと選挙違反になってしまうので言えないということで、大変おかしいなというふうなことを思ったことを覚えています。

 今の日本の選挙制度の選挙の戦い方のままで選挙期間の制限をなくしてしまうと、ずっと街宣車が走っていたりとか、とても耐えられないような状況になってしまうので、もちろん、選挙のやり方についても、先ほど寺田議員がおっしゃったように、検討を、これは総務省でされるべきものではなくて、やはり議員間でしっかりとしていくべきだと思っておりますので、この委員会でも、渡辺野党筆頭の方から与党の方には、議員間討議などを設けてほしいという要請をさせていただいているというふうに理解をしておりますけれども、しっかりと与党の方にもそのことを受け止めていただいて、選挙の在り方、大きな選挙制度の仕組みというものについても各派協議をしていかなければならないですけれども、選挙の中身についてもしっかりと議論をしていく必要があると思っておりますので、その点、私からも一言お願いをさせていただいた上で、質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、在外国民審査制度について質問をさせていただきたいと思います。

 今国会に提出をされている、今、本委員会で取り扱っている在外国民審査制度を創設する法律案は、衆議院選挙と同時に行われる最高裁判所の裁判官の国民審査を在外国民にも可能とする法律案でございますけれども、そもそも、日本国憲法の公布、施行以降、今日に至るまで、在外国民が憲法に明記された投票権の一部を行使できない状態が続いていたことを政府としてどう受け止めているのか、冒頭にお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

寺田国務大臣 御指摘のこの国民審査は、最高裁判所裁判官の任命に民主的コントロールを及ぼすことを目的とするものでございまして、国民主権の観点からも意義を有するものでございます。

 現行の審査制度においては、昭和二十四年の第一回の国民審査以来、裁判官の氏名があらかじめ印刷された投票用紙にバツの記号を記載をする記号式投票を採用しており、この方式自体は国民の間でも定着をしているところであります。

 この記号式投票を前提といたしますと、投票用紙の調製は国民審査の実施が確定する衆議院選挙の解散日以降に始める必要があり、国外の在外公館への投票用紙の送付に要する期間等を考慮すると、在外国民審査の制度化には技術的に困難な面があるとされてきたところでございます。

 この点については、今般の最高裁判決においても、運用上の技術的な困難があることを否定することはできないと判示されているところですが、他方で、在外国民の国民審査権の行使を認めない現行制度は違憲であると判断されたことについては、厳粛に受け止めたところであります。

 したがいまして、総務省として、今回の判決内容を踏まえ、国民審査の在外投票を可能とするための方策について関係各方面とも協議をし、早急な検討を行って、今般、法案を提出したものでございます。

斎藤(ア)委員 今回、法律案が提出をされて、その中では、名前の記されていない紙をあらかじめ用意しておいて、そこに、後から示された裁判官の名前と照らし合わせてマル・バツをつけるということになっていますけれども、これは、違憲判決が出なければこの方策は取れないというふうに総務省では理解されていたということなんでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 現行の国民審査制度におきましては、裁判官の氏名があらかじめ印刷された投票用紙にバツの記号を記載する記号式投票が採用されておりまして、これが国民の間にも定着をしているということでございます。

 そして、重ねてになりますが、この記号式投票を前提といたしますと、投票用紙の調製が、国民審査の実施が確定する衆議院解散日以降に始める必要がある、そして、在外公館への投票用紙の送付に要する期間、郵便等投票における投票用紙の発送、送付に要する期間、これを考慮すると、技術的に困難であり、在外国民審査を制度化することが難しい、こういうふうに考えてきたというのが現状でございます。

 これに対しまして、今般の最高裁判決においては、国民の審査権又はその行使を制限することは原則として許されず、これらを制限するためには、やむを得ないと認められる事由がなければならないとした上で、現在の取扱いとは異なる投票用紙の調製や投票の方式等を採用する余地がないとは断じ難い、こういうふうに判示をいただいたところでございます。

 このことによりまして、在外国民による国民審査の投票を認めていない現行国民審査法の憲法適合性や、そもそも現在の記号式投票と異なる代替の投票方式が許容されるのか、このことについて、最高裁の判断が明確になりましたので、今回、投票用紙の事前の調製が可能な分離記号式投票により在外国民審査制度を創設することとした、こういうことでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 この裁判官審査の在外審査制度に関しては、今回の、令和四年度、今年度に判決が出た最高裁の裁判の前にも、平成二十三年の四月二十六日に、東京地裁の判決で、違憲とは言えないものの、憲法適合性については重大な疑義があるものと言わざるを得ないといった趣旨の指摘がなされています。

 その後、四回の国民審査、衆議院選挙が行われているわけですけれども、まさに、今回、本法律案を審議するに至った背景としてある最高裁の違憲判決が確定する前も、地裁、高裁とずっと違憲判決が出ていて、同様の、今導入しようとしている方策が示されている、提示をされているわけでございますけれども、この最高裁で確定するまでは具体的な方策が総務省としては取れなかったというか、取らなかった。

 なぜここまで、最後まで、最高裁判決が確定するまで、憲法施行以降ずっとこういった状態になってしまったのか、ちょっとそこについては問題があるとは考えていないのか、改めて答弁をお願いしたいと思います。

森政府参考人 重ねて同様の言い方になりまして恐縮でございますけれども、現行の定着しておる国内での記号式投票というものがある、これを前提とすると、在外での同様な投票をするということが技術的に困難な面があるということ、そして、そこを改めるとするならば、現在の取扱いとは異なる投票用紙の調製や投票の方式等を採用しなければならないわけでございますけれども、そこは、同様の投票方式というようなことの平等性とかそういったことの観点も懸念されたところでございまして、あくまで最高裁の判断が明確になったということをもって、今回、この制度を創設することとさせていただいたものでございます。

斎藤(ア)委員 今回の法案で創設される在外審査制度は、相変わらず、郵送をしたりとか、在外公館に出向いて投票しなければならないといったもので、技術的に決して難しいものがもちろんあったわけではなくて、ただ、総務省、行政の方で、今回裁判所から示されたような方策を導入する決断ができなかったということだと思いますので、そもそも、裁判所に具体的な行政の手続について示してもらわなければ制度を導入できないというのは、ちょっと行政府としては問題だと感じます。

 まあ、様々な背景として、法律的な背景があるんだとは思いますけれども、やはり、最高裁判所で判決が確定するまで、技術的に大して難しくない対案でさえ導入できないというのは問題だと思いますので、今後、同種のことが起こるか、あるのか、把握しておりませんけれども、最高裁判所の判決を待たずして行政として対応できるものはしっかりと対応していただきたいというふうに考えております。

 これに関連して、在外投票全般について確認をしていきたいというふうに考えております。

 日本の選挙全体として投票率が低調だということは、かねてから、本日もこの委員会でも様々な発言がありますけれども、国外に住んでいる有権者、邦人の投票率が更に低いものとなっていて、その背景として、手続が煩雑であったりとか、時間がかかってしまうということがあると思っています。本日も、この話ももう既にされていますけれども、根本的な改善が必要だと私も考えております。

 まず、海外に在住する有権者が在外投票をする際にどのような手続を経なければならないのか、お示しをいただきたい。

 具体的に、海外の在住の有権者が投票しようと思ってから投票を完了するまでどれぐらいの日数を要するものなのか。地域によっても違うと思いますので、目安でどれぐらいかかるかということもお示しをいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。難しければ手続だけでも、ちょっと、通告はしているんですけれども、お答えいただければと思いますが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えをいたします。

 まず、手続の方でございます。

 在外投票を行うためには、国外転出時に市町村の窓口において、あるいは、出国後であれば在外公館を経由して、あらかじめ在外選挙人名簿への登録申請を行って、在外選挙人名簿に登録される必要がございます。

 そして、在外投票には、在外公館で行う在外公館投票、郵便等によって行う郵便等投票、帰国した際に行う日本国内における投票の三つの方法がございまして、いずれの方法でも、登録後に交付される在外選挙人証を提示することが必要となってまいります。

 在外公館投票ができる期間というのは、在外公館によって異なりますが、原則として、公示日の翌日から選挙期日の六日前となっておりまして、在外公館に赴いて投票する、こういうことでございます。

 それから、郵便等投票は、在外選挙人が名簿登録地の市町村に投票用紙等を請求をし、当該市町村から交付された投票用紙に投票の記載をした上で、これを当該市町村へ送り返すことで投票することができる、こういう仕組みでございます。この郵便等投票の投票用紙等の請求は、公示日前でもすることができます。

 それから、日本国内における投票につきましては、一時帰国した場合や帰国後に国内の選挙人名簿に登録されるまでの間、国内の投票方法を利用して投票することができます。

 そこの、登録申請をして投票までというところでございますが、おおむね、これまでですと大体二か月程度ではなかったかというふうに思っておるところでございますけれども、今般、申請のために在外公館へ出向くことが困難との声もございましたので、登録手続を行いやすくする観点からの、在外公館に申請書を郵送、メールで送付した上でのビデオ通話を通じて本人確認を行う、こんな仕組みも取ることによりまして、一定程度早くなったのではないかというふうには思っておるところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 これはほとんどの、海外に住んでいる邦人の方も御存じない方が多いと思うんですけれども、そもそも、在外投票をするためには在外選挙人の名簿に登録をする必要があると。日本では必要のない手続が必要になっていて、そもそも、それをしていなかったら、海外に住んでいる邦人の方、何か日本で解散になった、選挙になった、投票しようとそのときに思っても、もう時既に遅し。そこから登録をして、投票用紙を請求してみたいなことでは間に合わないわけですね。

 ワシントンDCの近くに住んでいるとかニューヨークに住んでいるとか、公館が近い方であれば、より何とかなるのかもしれないですけれども、基本的に諦めざるを得ないような状況がほとんどだというふうに思いますし、なかなか、選挙が始まってやっと、日本国内の有権者でも、ニュースで見てやっと投票しようか、投票所に行ってみようかと思うようなことがほとんどだと思いますので、やはりなかなか、これほど期間を要していると、投票までたどり着くのは難しくて諦めてしまうということが大変多いんだと思うんです。

 次にお伺いしたいのが、実際にどれぐらいこの制度が利用されているかということなんですけれども、海外在留邦人のうち、何割が選挙人名簿に、まずそもそもの入口として、名簿登録をしている人たちがどれぐらいいて、そして海外在留邦人のうち何割がしっかりと投票に至っている、投票をしているのか、ちょっとその割合、数字などをお示しいただきたいんですけれども。

森政府参考人 お答えいたします。

 在外投票につきまして、直近の国政選挙である本年七月の参議院議員通常選挙における利用状況を申し上げます。

 在外選挙人名簿登録者数は約九万九千人ということでございまして、選挙区選挙について申し上げると、投票者数が二万二千人ということですので、投票率が二一・九%ということでございます。

 その内訳については、在外公館における投票者数が一万九千二百七十七人、八八%、郵便等投票による投票者数が八百二十六人、四%、国内における投票者数が千六百八十二人、八%となっております。

 したがいまして、在外投票、国内投票を合わせた選挙全体の投票率は五二・〇五%ということでございます。

 それで、在外邦人全体の数ということでございますけれども、これは、短期の方だとか様々な方がおられるということでございますし、外務省の方で把握している数字でございますので、私ども、正確な数字を持っておりませんけれども、約百万人とか、そういった数字が巷間言われているのではないかと存じております。

斎藤(ア)委員 今、在外投票の名簿登録をしている方が九万人しかいらっしゃらなくて、そのうち投票を実際にしたのが二万人程度というお話があって、投票率が二〇%ちょっとということだったんですけれども、どの程度が有権者ということは、ちょっと私も精査をしていませんけれども、おおむね、近年、在外邦人は百三十四万人程度いらっしゃるわけで、コロナ禍で落ち込んでこの数字でございまして、コロナ禍以前までは、毎年、ずっと在外邦人というものは増えていました。

 昨年の衆議院選挙でいいますと、昨年の十月時点で在外邦人が百三十四万人いて、実際に投票した人が二万人でございますから、十八歳未満の方もいらっしゃるでしょう、いると思いますけれども、ほとんどが十八歳以上の有権者の方だと仮定をして機械的に計算をすれば、投票率は一・五%程度になってしまうわけでございます。これは非常にざっくりした計算であるということは申し上げておきますけれども、いずれにしても、数%程度の投票率しかないということは間違いないと思います。

 本当にこれは危機的な状況だと思っていまして、これから更にコロナ禍も収まって海外に行く人がまた増えていくでしょうし、海外に在住する、海外で活躍する日本人というのはどんどん増えていくでしょうから、海外に住んでいる日本人の方にもしっかりと投票していただくということは、これは憲法上の要請でもあると私は思います。

 制度は一応あるとはいえ、数%しか利用されていないのであれば、実質的にないのと余り変わらないのではないか、実質的に違憲状態である、そう言ってしまっても、まあ、違憲状態であるとはもちろん言わないでしょうけれども、それぐらいの気持ちでこの対策に取り組んでいかないといけないと思うんですけれども、この在外投票の制度を抜本的に見直すといった、そういった検討を今総務省の方ではされていないのでしょうか。ちょっとそのことについてお伺いできればと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申しましたとおり、在外選挙における投票率は国内の投票率に比べて低いものと認識しておりまして、投票率向上に取り組むことが大変重要というふうに考えているところでございます。

 先ほども少し触れさせていただきましたけれども、在外投票を行うには、まず、在外選挙人名簿への登録が必要ですが、申請のために在外公館へ出向くことが困難との声もございまして、登録手続を行いやすくする観点から、在外公館に申請書を郵送又はメールで送付をした上で、ビデオ通話を通じて本人確認を行うことによって、在外公館に出向いていただくことなく登録申請できるように、これは外務省と連携をして本年見直しを行ったということでございます。

 そして、あわせて、在外公館が受け付けた申請書の電子データを市町村の選挙管理委員会に送信することにより、市町村における登録手続をできる限り早く始められるようにするとともに、発行された在外選挙人証は、外務省を経由せず在外公館へ直接送付することとし、登録手続に要する時間を短縮するための取組を実施したところでございます。

 また、抜本的というふうなお話でございましたが、先般来話が出ております、投票しにくい状況下にある在外選挙人の利便性向上の観点からの在外選挙におけるインターネット投票の導入についても、検討を鋭意進めているところでございます。

斎藤(ア)委員 漸次、様々な取組をしていただいていると思うんですけれども、それでも、今年の参議院選挙の投票率もやはり、少しは増えても大幅に改善することはなくて、相変わらず、在外邦人の数%しか投票に至っていないという状況は変わりませんので、端的に申し上げれば、本日様々議論になっているインターネットを用いた投票というものを早急に実現することが必要だということは、間違いないんだと思います。

 もう既に、インターネット投票の検討の状況、実証検証の状況については御答弁をいただいていますので、その詳細については改めて答弁を求めませんけれども、改めて、本当にこのインターネット投票、少なくとも在外投票に関しては、このインターネット投票を早急に取り入れていく、今行っている検討を早くしていくということが必要だと思うんですけれども、総務大臣、今までの議論を聞いていて、いかがでしょうか。このインターネット投票の件について少しお話をいただきたいと思います。

寺田国務大臣 既に、検討状況についてはこれまでも答弁をいたしておりますが、在外選挙におけるインターネット投票の導入について、今、着実な検討を進めているところであります。

 これはもう御承知のとおり、実証面での検証、制度面、運用面、様々な問題点を洗い出して検討を行っているところであります。

 とりわけ、本人確認、二重投票の防止、セキュリティーなど重要な論点については、これは当然クリアしていかないといけません。

 在外選挙インターネット投票のできるだけ早期の導入に向けて、我々も着実に検討を進めてまいりますので、新たな投票方式ということで、また選挙制度の根幹にも関わりますので、各党各会派における御議論などもいただければと思います。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 このインターネット投票、最終的にはやはり国内でも導入に向けた検討がなされるべきだとは思っていますが、まずは、海外でなかなか投票所がないし、投票に行けないしという方がいる状態というのは早く解消しなければならないと思いますので、特に海外の在外投票の件に関しては、インターネット投票の導入、早急に検討を進めていただきたいと改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、地方選挙の件に関して質問をさせていただきたいと思います。

 本日も、様々な委員の方々から、統一地方選挙あるいはその他の地方選挙の投票率が低いという問題意識に関してお話があって、政府の取組についても御答弁をいただいているところでございます。

 少し滋賀県の話をさせていただきますと、昨日、栗東市という地方自治体の市長選挙がございました。これまで三回にわたり無投票が続いていて、十二年ぶりに市長選挙が行われたわけなんですけれども、投票率は三八・九七%と過去最低になってしまって、有権者の関心が高まっていないということに大変私も、滋賀県の一人の政治家として危機感を持っております。

 当選された方の得票数が一万一千票程度で、当日の栗東市の有権者が五万五千人ですから、二〇%程度の有権者からしか信任を得ていないということになってしまって、投票率が低いということは本当に大きな問題であるというふうに考えております。

 るる、これまで様々な議論がありましたけれども、国政選挙でもそうですけれども、地方選挙で特に、身近な問題を扱う地方選挙の方で更に投票率が低くなってしまっているということについて、政府においてはどのようにその原因などを認識されているのか、お伺いしたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 投票率が低い原因というところでございます。

 これは、先ほど来答弁していますとおり、天候の問題であったり、あるいは、選挙の際に争われる争点がどれぐらい明確なのか、いろいろと対立的な争点があるのかどうか、様々な事情が総合的に影響しておるということで、一概に申し上げることは難しいのかなというふうには思っております。

 ただ、投票環境の問題だとか、あるいは、やはり主権者教育の観点から、政策だとか政治に対する関心が行き届いていないとか、こういったことも影響している部分はあろうかと思いますので、鋭意取り組んでまいりたいと存じます。

斎藤(ア)委員 地方選挙の投票率を向上していくため、本日度々議論になっていますけれども、統一地方選挙の統一率を上げていくということは、これはひとつしっかりと検討して、そして有効であるのであれば実施をしていく。これは、最終的には議員でしっかりと議論していかなければならないところですけれども、統一地方選の統一率を上げるということは投票率の向上につながるというふうに単純に想定をしているんですけれども、そういったことについて、総務省の方で今まで検討されたとか、統一率を上げるということを投票率の改善につながる施策として検討したことがあるのかとか、そういったところをちょっと伺えればと思うんですけれども、ちょっと政府の認識を伺えればと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般論といたしましては、一定の期間内に地方公共団体の議会の議員又はその長の任期満了日が全国的に集中する場合に、選挙期日を統一することによって、国民の地方選挙に対する関心が高まって、これは投票率の向上にも寄与するものというふうに考えるところでございます。

 ただ、これも一般的にでございますが、統一地方選挙の対象期間を拡大するということになりますと、統一期間の前の方の任期満了を迎える団体が、任期満了日から選挙期日までに議会の議員又は長が不在となる、また、仮にこの不在となる期間の拡大を防止しようとすると、任期延長等の措置を講じる必要がある、こういった課題があるということを十分認識をしているところでございます。

 そしてまた、統一期間の後ろの方に任期満了を迎える団体について、選挙期日後から当選者の任期が開始するまでの期間が拡大するとともに、仮にこれを防止しようとすると、任期短縮等の措置を講じる必要がある、こういった課題もあるということ、これは、かつても、統一の範囲を広げるといったような議論があったときに考えたところでございます。

 長年定着しておる地方選挙の仕組みを変えるということでございますので、最終的には、範囲の拡大については、各党各会派においての幅広い観点からの議論をいただくべき問題かなというところで考えておるところでございます。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 この問題は今に始まったことではなくて、恐らく、様々な議論がなされてきたけれども、対策が国会で講じてこられなかったということだと思いますので、冒頭の私の発言であったり、本日の各委員の御発言に戻りますけれども、やはりもう一度、選挙制度の在り方、これは統一地方選挙の在り方についてもしっかりと検討していき、有権者の皆様がしっかりと選挙に関与していただく、投票していただく、そういった国の在り方というものをしっかりと取り戻していかなければならないというふうに考えております。

 今、民主主義国家において、選挙をしっかりと行っていくということが国際情勢の変化の中で改めて重要だという認識を広めるいい機会だとも思いますので、こういった観点で、この臨時国会でも、この倫選特の委員会の討議の場をしっかりと設けていただき議論していくように、与党の各位にもお願いをさせていただきまして、本日の私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この倫選特で議論が行われてまいりましたけれども、寺田大臣の政治資金問題は、所管大臣として看過できない重大問題であります。

 政治資金規正法の目的、基本理念においては、政治資金の収支を国民の不断の監視と批判の下に置くことで、民主主義の健全な発展につながるということ、政治資金の公開が重要だということを強調しております。当然、公開された情報に虚偽があっては、判断を委ねられている国民は判断できないのであって、正確に収支の状況を明らかにすることは基本中の基本であります。政治資金規正法は、その公開についても規定しております。

 寺田大臣は五つの国会議員関係政治団体を持っておりますが、これらの政治団体に関わり、幾つも問題が発覚しています。

 寺田稔竹原後援会の収支報告書に、亡くなった方が会計責任者として、二〇一九年、二〇二〇年と記載されている問題についてですが、先週二十六日の当委員会では、この会計責任者の方が二〇一九年に亡くなっていることを翌年春に認識したこと、二十五日に初めてこの収支報告書を見て、事務処理の詳細を確認中とのことでした。

 二十七日の総務委員会では、事務的なミスであった、会計責任者の職務代行者が存在している、職務代行者が適正に行ったとの答弁がありました。

 大臣にお尋ねいたしますが、この竹原後援会の会計責任者の職務代行者というのはどのような方でしょうか、寺田大臣とはどのような関係にあるのか、御説明ください。

寺田国務大臣 御指摘の竹原後援会でありますが、私が直接管理すべき団体ではありませんので、直接私がその収支報告書を見るべき、あるいはチェックすべき立場にはございません。

 職務代行者はおりますが、非公開事項でございます。

塩川委員 先日の答弁の中で、この職務代行者の人とは雇用関係にないとの答弁がありましたけれども、例えば、役務の提供などを求めるような請負関係ですとか、あるいは金銭のやり取り、こういうものはある方なんでしょうか。

寺田国務大臣 当該職務代行者については、そうした雇用関係、あるいはその他の金銭等は発生しておりません。

塩川委員 実際に、その会計責任者が亡くなっている中では、職務代行者が収支報告書の提出をされておられると。

 その件については、御本人にお聞きになりましたか。

寺田国務大臣 私の秘書を通じ、その職務代行者、先ほどもお答えいたしましたが、現実のこの収支報告の事務を行う者も別途存在しております。秘書がこの関係者に聞き取ったところ、会計責任者はお亡くなりになった、この会計責任者の職務を代行する者が職務代行者として代行していたわけでございます。現実的な収支報告の提出、今提出と言われましたが、提出の事務等は、事務を行う者が処理をしていたということでございます。

塩川委員 提出の事務を取り扱う者が別途いるというお話でしたけれども、この事務担当者というのは、収支報告にもありますけれども、二名の方が書かれております。このお二人ということでよろしいんでしょうか。

 そのお二人は、それぞれ、大臣との関係について、どういう関係にあるのかについて御説明ください。

寺田国務大臣 収支報告書表面に記載の二名、これは事務担当者として、御承知のとおり記載しております。

 雇用関係については、先ほどもお答えしましたが、一名については、雇用関係はございません。もう一名については、雇用関係のある者です。それは、何か必要が生ずればお手伝いをするという立場で参加をしていたと聞いておりまして、一切後援会から人件費あるいは報酬等は受け取っていないことも確認しております。

 私が申し上げているのは、その二名とは全く別の、別途の、事務を行う者が存在していて、その者が提出を行ったことを確認いたしております。

塩川委員 その事務担当者の二名とは別に事務を行った者がいた、その者が提出の事務を行ったと。

 その方はどういう方でしょうか。大臣とのつながりはどういう方になるんでしょうか。

寺田国務大臣 個人名等は伏せますが、雇用関係のない者でございます。

塩川委員 実際に、でも、提出をしたのは職務代行者ということでよろしいですね。

寺田国務大臣 現実に提出をしたのは、コロナ禍で郵送だったようでございます。郵送だったようでございますが、その手続を取ったのは、職務代行者でなく、事務を行う者が提出をしたということであります。

塩川委員 この実際に事務を行った方について、会計責任者の方が亡くなっていたという件についてはどのような確認をされたんでしょうか。

寺田国務大臣 収支報告書の作成の事務を行っていた者については、会計責任者の死亡情報について、事務的連絡ミスにより事務を行う者に伝わっておりませんでした。

 したがって、当該事務を行う者が、これまでどおり従前の会計責任者の名前で出したという意味で、事務処理を誤ったという報告を受けております。

塩川委員 国会議員関係政治団体でありますから、大臣がそもそもサインもしているようなそういった関係の団体について、知らないという話では済まされない、適正な処理が行われたと言えるのか、このことが問われているわけであります。

 そこで、寺田大臣はこの問題についてもきちんとした説明責任を求められておりますし、寺田大臣は、会計責任者などの修正は異動届出ができる仕組みがあると答弁をしております。

 この点について、修正のために異動届出の仕組みがあるわけではなくて、政治団体の実態を正確に公開をするためにこの届出の仕組みがあるわけであります。

 大臣にお尋ねしますが、政治資金規正法の第七条には何と書いてあるかは御承知でしょうか。

寺田国務大臣 第七条ですね。「政治団体は、第六条第一項」、括弧書きはちょっと割愛してよろしいでしょうか、「の規定により届け出た事項に異動があつたときは、第六条第五項に規定する場合に該当する場合を除き、その異動の日」、また括弧書きがございますので割愛をいたしますが、「から七日以内に、その異動に係る事項を第六条第一項の規定の例により届け出なければならない。同条第二項」、また括弧は割愛いたします、「の規定により政治団体が提出した綱領等の内容に異動があつたときも、同様とする。」でございます。

塩川委員 政治団体は、届け出た事項に異動があったときは、その異動の日から七日以内に届け出なければならないということであります。はっきり書いてあるわけですが。

 大臣、この竹原後援会の会計責任者の件について、この異動届はどうなっているんでしょうか。

寺田国務大臣 地元秘書を通して確認をさせていただきました。御指摘のように、政治資金規正法上、政治団体の届出事項に異動が生じたときには、その異動に係る事項を届け出なければならないこととされておりまして、御指摘の竹原後援会については、政治団体の異動に係る事項の届出を既に行ったというふうに報告を受けております。

塩川委員 この問題が発覚する前の時点、その間は届出がされていなかったということでよろしいですね。

寺田国務大臣 おっしゃるとおり、七日間という規定がございますが、この七日間については過ぎていた、徒過していたことは確認をいたしております。

塩川委員 ですから、会計責任者が二〇一九年十月に亡くなってから、三年間も届出事項を訂正しないままでいたと。このことは、政治資金規正法の規定に反するということは明らかですよね。

寺田国務大臣 罰則規定はないものの、七日以内の届出という、先ほど読み上げさせていただいた規定には反していると思います。

塩川委員 罰則がなければ法に反していても問題ないというふうにお考えでしょうか。

寺田国務大臣 先ほども申したとおり、既に是正をさせていただいております。

 当該事務を行った者も、誠に申し訳なかったということを言っておりますが、罰則がなければ反してもいいということでありませんで、やはり政治資金については、政治資金規正法にのっとり適切に処理する必要があろうかと思います。

 私自身が直接指揮監督すべき団体ではないので、その点について目が行き届かなかったことは御指摘のとおりでございます。

塩川委員 七条の異動届出違反であることはお認めになったわけであります。

 ただ、指揮監督の関係にないというお話ありますけれども、国会議員関係政治団体ですから、関係ないとそもそも言えるのかという問題であります。

 大臣自身の名前を冠した大臣を支える後援会のことですから、その後援会の皆さんにとってみたらどんな思いかということが当然浮かぶわけですし、余りにも身勝手な言い方ではないでしょうか。

 この国会議員関係政治団体は、国会議員が後援会などに通知を行います。このことについては、大臣も認識をお持ちであります。しかし、関係がない団体と言い張ることにはそもそも無理があるわけであります。

 寺田大臣のホームページを拝見しますと、事務所として、国会事務所、呉後援会事務所、そして竹原後援会事務所が寺田稔事務所として掲載をされております。まさに、大臣御自身の関係の深い団体だということも、ホームページ上にもはっきりと示されているわけであります。竹原後援会事務所を寺田稔事務所としてホームページに掲載をし、事務担当者は第五選挙区支部や呉後援会と同じ方、寺田大臣と雇用関係のある者であります。

 こういった竹原後援会は、寺田大臣自身と一体のものじゃありませんか。

寺田国務大臣 私がこれまでも申し上げているのは、指揮監督すべきものではないと言っているわけで、一切関係ないとはこれまでも申し上げておりませんで、この竹原後援会については、おっしゃるとおり、私の国会議員関係政治団体でございます。したがって、今回のこの事務処理等についても、これはもちろん、独立した政治団体でありますので、その政治活動の自由の観点から、もちろん敬意を持って接しておりますし、事務処理を直していただくようにお願いベースでお願いしているところであります。

 もちろん、実体がある団体でございます。この事務所も所在しておりますが、そこにおりますこの事務スタッフについては、雇用関係はございません。

塩川委員 元々この竹原後援会の政治資金を見れば、その収入の八割以上が大臣が代表の第五選挙区支部から入っているわけであります。そういう点でも、いわば一体ということであるわけで、大臣を支えようという皆さんのそういう後援会活動について、大臣自身が全く別団体とか繰り返し繰り返し国会の中で発言されておられる、それは余りにも無責任でしょうというのは、はたから見ていても、私も思うところであります。

 そこで、事務方にお尋ねしますが、この国会議員関係政治団体、この制度ができた経緯、またその目的は何か御説明ください。

森政府参考人 お答えいたします。

 平成十九年十二月に、与野党協議の結果、政治資金規正法が議員立法により改正され、この国会議員関係政治団体の制度が創設をされております。

 本改正の背景としては、資金管理団体以外の政治団体による多額の経費計上を受け、資金管理団体に限定した改正では不十分との指摘がなされたこと等を受けてのものでございまして、本改正の趣旨は、国会議員関係政治団体の支出に係る収支報告の適正の確保及び透明性の向上のためであるというふうに承知をしております。

塩川委員 答弁にもありましたように、この国会議員関係政治団体が導入されたきっかけというのは、いわゆる事務所費問題が大きな議論になったときであります。何とか還元水とか、ああいう議論があったときですけれども、幾つもの政治団体を財布にして使い分けて金の流れが分からないことから、これは、国会議員が関係政治団体であると通知をし、その団体名を公表することになったわけであります。

 さらに、国会議員関係政治団体は、他の政治団体より公開度合いを高めるため、二〇〇九年分の収支報告書から記載金額が低く設定され、少額の領収書も開示することになったわけであります。

 大臣にお尋ねしますが、自ら関係政治団体であると通知した団体を、あくまで別団体と切り離すことは、法の趣旨から見ても間違っているんじゃないでしょうか。

寺田国務大臣 私自身が代表でもありませんし、役員等も一切兼ねていないわけで、やはり、独立した政治団体として政治活動の自由を有している、実体のある団体でございます。

 もちろん、後援会のお一人お一人の皆様には、大変、私の活動を支援している方々でございますから、お世話になっているわけでございますが、その収支報告について私がチェックをしたり、あるいは、それについて是正をする立場にはないわけでございますが、先ほども申し上げたとおりでございまして、今、お願いベースでお願いをし、是正を図ったところでございます。

塩川委員 実際、でも、この竹原後援会の収入の八割以上が第五選挙区支部から行っているわけですよね。それは、支出が想定されているから、それに見合うような収入という形での寄附が行われているわけであります。その点では、まさに一体不可分の関係であって、実際の活動にも深く関わっていることなしには、こういったお金の出入りというのはあり得ないわけであります。

 そういう点でも、複数の政治団体の金の流れの公開度合いを高めるために導入をされたという国会議員政治関係団体に関する法の趣旨が、率直に言って、理解されないまま発言をしているのではないのかと思わざるを得ませんが、いかがですか。

寺田国務大臣 法的には、委員、通知という言葉を言われました。関係政治団体の設立については、当該国会議員自らの同意が必要でございます。

 御承知のとおり、この後援会の収支報告書には、関係政治団体の欄にチェックがつき、記載をされるわけでありますが、実際の個別の運営について細かな関与はいたしておりませんで、もちろん、実態のある活動、私もよく竹原の事務所に行き活動しているわけでございますので、実態のある収支があるのはおっしゃるとおりでございます。そして、第五選挙区支部からも足らざるお金を入れております。もちろん、竹原後援会としての、自らの収入も計上しているところでございます。そうして運営している団体でございますので、法の趣旨に沿った取扱いになっていると思います。

塩川委員 財布がたくさんあってお金の流れが不透明だから、その公開度合いを高めるという趣旨で出されているわけで、そういう団体と別な団体であるかのように言い募るようなことというのは、これは、率直に言って、政治資金の制度を所管をする担当大臣としてふさわしくないということを言わざるを得ません。

 国会議員関係政治団体の導入に併せて持ち込まれたのが政治資金監査の制度であります。我が党は、登録監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするものにほかならないと、この制度導入の議論には反対をしてきたという経緯があります。

 大臣にお尋ねしますが、寺田大臣個人の確定申告をしている税理士が大臣の五つの国会議員関係政治団体の政治資金監査をしているということは、事実ということでよろしいでしょうか。

寺田国務大臣 政治資金監査人についてのお尋ねでございますが、委員御承知のとおり、一定の研修を修了し資格を得た者しかできない。私が初当選したときには、私の確定申告をしている人、一名しかその資格のある政治資金監査人がおりませんでしたので、当該税理士がこの五つの関係政治団体の政治資金監査を行ってきたところでございます。

塩川委員 政治資金適正化委員会の政治資金監査に関するQアンドAにおいて、確定申告を受託をしている税理士による政治資金監査は望ましくありませんとあります。寺田大臣の場合、個人の確定申告を行っているのも大上税理士ですし、また、五つ全ての関係政治団体の政治資金監査を行っているのも大上税理士ということで、望ましくない状態にあるわけであります。

 自分が代表を務めていない後援会などは自分は関与していないと言い張っておりますけれども、この東京にある政治団体も含めて五つ全て、自らの顧問税理士が監査を行っていて、どこが関係ない団体なのかと、この点からも指摘をせざるを得ません。

 しかも、これについて、好ましいかどうかはケース・バイ・ケースの判断だろうかと思う、こんな答弁をされていた。十月二十一日の記者会見の説明でも、全く法令上問題がない、こんなことを述べている。

 このQアンドAは、政治資金の担当大臣の立場でありながら、守らなくてもよいということをおっしゃっておられるんですか。

寺田国務大臣 まず、政治資金規正法上は、これは同一人物であっても全く違反ではないというのは、まず申し上げたいと思います。

 先ほども申し上げたとおり、私が政治活動を開始したときには、当該一名しか存在していなかった。もちろん、第三者性を確保する観点から、確定申告を行う人と政治資金監査人が別であることは望ましいと思います。ただ、私がケース・バイ・ケースというふうに申し上げたのは、別の資格を取った方が、私の地元、今現在、多少増えて三名おります。やっていただけないですかとお願いしたところ、忙しくてできないとか、あるいは、立憲民主党さんの方の監査をしているからできないとか、お断りになられた事実もございます。

 選挙区外の方にもお願いいたしました。そのときも、やはり選挙区内でお願いしてくださいというふうにお断りをされたわけでございまして、なかなか、今、御指摘の大上税理士以外、政治資金監査を行っていただける方が見つかっていないのが現状でございますが、これは、やはり第三者性の観点から、何とか別の政治監査人を見つけて、望ましい状態にしていきたいと思います。努力をしたいと思います。

塩川委員 事務方にお尋ねしますけれども、この政治資金監査制度は何を目的としているのかについて、説明をしてください。

森政府参考人 お答えをいたします。

 政治資金監査制度は、外部性を有する第三者が国会議員関係政治団体の全ての支出をチェックすることで、政治団体内部のみで処理されることによって生じ得る誤りを防ぐとともに、職業的専門家が、その知識と経験を生かして公正かつ誠実に政治資金監査を行うことにより、国会議員関係政治団体の収支報告の適正の確保を図ることを目的として導入されたものと承知をしております。

塩川委員 このQアンドAのこの項というのは、政治資金監査に対する国民の高い信頼を保つ観点から、経済的な利害関係を有している者の政治資金監査は望ましくないと書いております。政治資金監査マニュアルには、政治資金監査においては、外部性の確保が重要と明確にあります。政治資金監査マニュアルもQアンドAも、政治資金適正化委員会の所掌事務として政治資金規正法に明記をされているものです。それを、所管大臣である総務大臣がケース・バイ・ケースと言う。この政治資金監査制度が収支報告の適正の確保には意味を持っていないということを認めるような発言を、答弁をされてこられたという点も、極めて重大だと言わざるを得ません。

 今、答弁が大臣からありましたように、選挙区内で以前は一名しかいなかった、今は三名で、断られた、また、選挙区外の人にも聞いてみたというお話なんかもありましたが、最初の時点では全然そういうお話も何ら言及もされなかったということがありました。

 政治資金適正化委員会で、この間、取りまとめを行っておりますけれども、登録政治資金監査人の登録状況がどうなっているのかについて御説明をください。

志田政府参考人 お答えいたします。

 政治資金適正化委員会が令和二年三月に公表した「政治資金適正化委員会における取組及び検討状況についての取りまとめ(第四期)」におきましては、以下のような記載がございます。

 登録政治資金監査人の登録者数は順調に推移し、令和二年二月末現在で五千三十人となっている。

  これに対し、平成三十年分の収支報告書の提出義務がある国会議員関係政治団体数(解散団体を含む。)は二千八百八十一団体であり、登録者数がこれを上回っている状況にある。

  都道府県別の登録状況を見ても、全都道府県において登録がなされており、都道府県によっては、登録政治資金監査人一人当たりの国会議員関係政治団体数が一以上となっている地域もあるが、多くの地域では一未満であり、全国平均も〇・五七団体となっている。

と記載されております。

塩川委員 この適正化委員会は、監査人の登録は順調に推移をしており、国会議員関係政治団体数に対して登録政治資金監査人は足りていると報告をしております。

 こういう立場で、担当大臣の寺田大臣自身が率先して対応することこそ求められていたんじゃないですか。ケース・バイ・ケースなんという答弁をしている場合じゃなかったんじゃないですか。

寺田国務大臣 先ほども申し上げたとおり、かなり前の段階から、第三者性を確保し、政治資金監査のより望ましい状態に持っていくべく努力をいたしております。

 現状、まだやっていただける方が見つかっておりませんが、私の選挙区内でいうと、なかなか数が増えないし、数が少ないがゆえに皆さんお忙しくて、なかなか現状受けていただけない。今、選挙区外も含めて、何とかこの第三者性を確保する努力をさせていただこうと思います。

塩川委員 担当大臣さえ守ることができないのが政治資金監査制度ということであるわけで、我が党は、この政治資金監査制度がそもそも監査と言えるものなのかといったことを厳しく指摘をしてまいりました。

 収支報告書の記載内容と会計帳簿、領収書などを突き合わせて、形式的な適正を確認するだけであります。収入や繰越残高については監査の対象外で、領収書に改ざんの形跡があっても、監査人に調査権限はありません。違法な支出があっても、使途の妥当性を評価するものではありません。制度導入後も、政治資金監査を受けていた河井元法務大臣夫妻が有罪となった巨額の選挙買収事件などなど、この監査制度のチェックが意味を成さないということを露呈をしております。

 さらには、この監査制度が導入された際に、収支報告書の公開期限を遅らせたことで、前年の報告書は十一月末にならなければ公開されなくなってしまいました。今、この時点で、去年の二〇二一年分の収支を確認しようとしても、確認できないという状態であります。

 収支報告書はそのまま速やかに公開すればいいのであって、政治資金監査制度は必要がない。この政治資金監査制度は失敗をしているということが、まさに大臣の自らの実践が証明しているんじゃないでしょうか。

寺田国務大臣 この仕組み、各党各会派の御議論でこの監査制度、平成二十一年でしたか、導入をされたというふうなことでございますので、また、この仕組みが、先ほども事務局長の御報告があったとおり、登録者数も増えてきているのも事実でございますが、非常に、私の選挙区の場合、有権者数も少なく、かつ、税理士さん、弁護士さん等、政治資金監査を行うそのような母数、すなわち、研修を受け、登録をする前の母数もかなり少ないという実情がございます、典型的な田舎、郡部の選挙区でございますので。何とかそこは、全国平均の数字も示されましたが、しっかりと政治資金監査制度の実効を上げるべく努力をしてまいりたいと思います。

塩川委員 大臣は、政治資金規正法第七条の届出違反、国会議員関係政治団体の趣旨の歪曲、政治資金監査QアンドAを守らない、こういった点で、所管する法の趣旨や目的を理解していない寺田大臣は大臣の任に値しないということを申し上げて、質問を終わります。

平口委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、最高裁判所裁判官国民審査法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平口委員長 次回は、来る十一月二日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.