衆議院

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第7号 令和4年12月7日(水曜日)

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令和四年十二月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 奥野 信亮君 理事 冨樫 博之君

   理事 藤井比早之君 理事 松本 洋平君

   理事 源馬謙太郎君 理事 渡辺  周君

   理事 山本 剛正君 理事 伊藤  渉君

      逢沢 一郎君    石原 正敬君

      岩屋  毅君    上杉謙太郎君

      大塚  拓君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    神田 潤一君

      熊田 裕通君    斎藤 洋明君

      塩崎 彰久君    鈴木 憲和君

      辻  清人君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    平井 卓也君

      古川 直季君    本田 太郎君

      牧島かれん君    山口  晋君

      落合 貴之君    佐藤 公治君

      櫻井  周君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    徳永 久志君

      岩谷 良平君    遠藤 良太君

      輿水 恵一君    福重 隆浩君

      斎藤アレックス君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 林  理恵君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大泉 淳一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     岩屋  毅君

  熊田 裕通君     大塚  拓君

  斎藤 洋明君     山口  晋君

  中西 健治君     逢沢 一郎君

  穂坂  泰君     上杉謙太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  逢沢 一郎君     中西 健治君

  岩屋  毅君     勝目  康君

  上杉謙太郎君     穂坂  泰君

  大塚  拓君     熊田 裕通君

  山口  晋君     斎藤 洋明君

    ―――――――――――――

十二月五日

 政党助成金の廃止に関する請願(本村伸子君紹介)(第四六四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(選挙運動等について)


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     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件、特に選挙運動等について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事林理恵君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長森源二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 これより自由討議を行います。

 議事の進め方でありますが、まず、各会派を代表して一名ずつ大会派順に十分以内で発言していただき、その後、順序を定めず自由討議を行いたいと存じます。

 発言時間の経過につきましては、終了時間一分前にブザーを、また終了時にもブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 御発言は着席のままで結構でございます。

 それでは、各会派の代表者から発言の申出がありますので、順次これを許します。逢沢一郎君。

逢沢委員 先生方、おはようございます。自由民主党選挙制度調査会長、逢沢一郎でございます。

 私は、自由民主党を代表いたしまして、選挙運動等に関する課題につきまして、現行公選法における選挙運動規制の見直しの方向性及び具体的な見直し事項に関し、意見の表明をさせていただきます。

 まず、我が党が考えます選挙運動規制の見直しの方向性について申し上げます。

 選挙運動などについて全面的な自由化を仮に認めた場合、お金がかかる選挙につながる、お金のある候補者が大量の文書や自動車等を使用することとなり、選挙の公正を害する、また、平常時から選挙運動的な活動が絶えず行われ、生活の平穏、美観が害されるなどの弊害も大きくなることも事実であろうかと思います。

 したがいまして、お金がかかるなどの弊害を除去するため、言い換えますと、選挙の公正を確保するために必要な規制は存置するものの、選挙運動、政治活動に関する規制は原則自由化する方向で見直す必要があると考えております。

 また、選挙関係法規を明確化する方向で見直すことも重要であり、存置せざるを得ない規制につきましては、有権者や候補者に分かりやすい、単純な規制に見直すべきであると考えております。

 原則自由化、規制の明確化及び社会経済情勢の変化等への対応が、選挙運動規制の見直しの方向性であると考えます。

 次に、以上の選挙運動規制の見直しの方向性を踏まえ、我が党において、選挙運動規制をめぐって議論をいたしております具体的な見直し事項について説明をいたします。

 一点目は、郵便投票の対象範囲の拡大でございます。

 郵便投票の対象となる要介護者の範囲につきましては、現在、御承知のように、要介護五とされておりますけれども、従前より、都道府県選管連合会や市区選管連合会等の現場からは、その拡大の要望が出されております。また、平成二十九年六月には、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会におきまして、要介護四及び三の方々に対象範囲を拡大することが適切であるとの報告書も出されております。

 こうした状況を受けまして、我が党は、郵便投票の対象者について、有権者の選挙権行使の機会をできる限り確保する観点から、また、本格的な高齢化が進展している中で、特に在宅介護の方々の投票機会を確保するため、その範囲を拡大し、要介護四及び三の方々を郵便投票対象者とする法律案を公明党の先生方と一緒に取りまとめております。是非、御賛同賜りますようにお願いを申し上げます。

 二点目は、在外の日本国民のインターネット投票についてでございます。

 総務省においては、在外ネット投票のシステムのプロトタイプを構築し、令和二年と三年にかけまして、投開票、登録の実証実験を実施し、検証を重ねる一方、二重投票の防止や投票の秘密保持、システムのセキュリティー対策等の論点について検討を進めていただいております。

 我が党は、在外の選挙人の投票しやすい環境を整備する観点から、在外ネット投票は喫緊の課題であると認識しており、検討の段階から実行の段階に進むべきだと考えております。早期に法整備に取り組むべきだと主張をいたします。

 三点目は、選挙運動用ビラの証紙の貼付についてであります。

 我が党では、ビラの証紙貼付作業に係る負担が極めて大きいとの指摘を受け、ハンドラベラーの活用、ナンバリング印刷への変更を検討いたしましたけれども、有効な方策は見出せなかったのが実情でございます。

 また、枚数規制の廃止についても検討いたしましたけれども、大量頒布する候補者陣営が現れるのではないか、枚数制限を廃止する選挙の範囲や他の選挙運動に係る数量規制の緩和の必要性などの議論も必要とのことから、引き続き検討をすることといたしております。

 四点目は、落選運動の規制についてでございます。

 近年の国政選挙の現場において、個人の立場から、特定の候補者の当選ではなく落選をさせる目的で、その候補者の政策や資質などを批判するビラを頒布するなどの行為が行われております。

 我が党は、このような行為は厳格な選挙運動規制のいわば脱法的な行為であり、これを放置すれば選挙の自由公正が阻害されるおそれがあると懸念をしており、このような個人による落選運動について新たな規制を加える必要があると考えております。

 五点目は、電子メールを使用した選挙運動についてでございます。

 現行法上、電子メールを使用した選挙運動につきましては、候補者、政党、確認団体以外のものは使用することができないこととなっております。

 そこで、法律に見直し規定があることを踏まえ、電子メールの送信状況等に鑑み、送信主体、方法の在り方について検討すべきであると考えております。具体的には、一般有権者や団体等にまで拡大するのか、現行のように相手の同意を得るのか、よく吟味する必要があると思います。

 また、現行法上、何人も、選挙運動用自動車の上においては、SNSで動画等を作成し送信するような選挙運動を行うことはできないこととなっていますけれども、この点も、実態を踏まえ、検討すべきであると考えております。

 六点目は、候補者の選挙運動用ポスターの規格についてであります。

 候補者の選挙運動用ポスターの規格につきましては、現行法上、衆議院小選挙区、参議院選挙区及び都道府県知事の選挙において、公職の候補者が公営掲示場に掲示することができる選挙運動用ポスターは四十二センチメートル掛ける四十センチメートル以内、このうち四十二センチメートル掛ける十センチメートルは個人演説会告知用ポスターとされている一方、参議院名簿登載者、都道府県議会議員や市町村の選挙における選挙運動ポスターは四十二センチメートル掛ける三十センチメートル以内とされ、規格が異なっているのが現状でございます。

 そこで、候補者個人の選挙運動用ポスターの規格を、個人演説会の告知の記載の有無にかかわらず、四十二センチメートル掛ける四十センチメートル以内に統一をし、これに伴い、個人演説会告知用ポスターを廃止するようにすべきだと考えております。

 七点目は、選挙運動用自動車の規格制限の緩和及び簡素化等についてでございます。

 候補者が使用いたします選挙運動用自動車につきましては、現行法上、複雑な車種制限、構造制限があり、時代に合ったものとなっていないため、規制の緩和と簡素化を図る観点から、その規格を、全ての選挙について、乗用定員十人以下で、車両総重量五トン未満の自動車とすべきだと考えます。

 また、選挙運動用自動車また船舶に取り付けて使用することができる文書図画についても、現行法上、ポスター、立札、看板、ちょうちんの類の規格の制限が設けられておりますけれども、その規格を撤廃すべきだと考えております。ただし、ネオンサイン、電光表示などの映写の類いを掲示することは、引き続き禁止すべきとの立場でございます。

 八点目は、投票所内での投票用紙の写真撮影の禁止についてでございます。

 投票人による投票所内での写真撮影は、現行法上、これを禁止する規定は設けられておりません。近年、投票所内におけるSNSによる写真撮影、動画配信が見受けられますが、我が党は、選挙人の自由な意思表明を考えたとき、投票が平穏な環境の下で行われる必要があると認識しており、投票所の秩序維持の観点からも、写真撮影の禁止を条文上明確にすべきだと考えます。

 その他、被選挙権年齢の引下げを始め、投票所への移動支援の取組、移動期日前投票所の活用、投票時間の変更や投票済証交付の扱いなどの課題も我が党の選挙制度調査会において議題になっており、検討を続けてまいることをつけ加えさせていただきます。

 以上、具体的な見直しの事項について述べましたが、これ以外にも多くの課題があると思われます。我が党は、さきに述べました見直しの方向性、つまり、原則自由化、規制の明確化、また、社会経済情勢の変化への対応などに沿って、具体的な見直し案を可能な限り取りまとめることができるよう、他の会派の先生方の意見もお聞きさせていただきつつ、建設的に取り組んでまいりたいと思います。

 意見表明とさせていただきます。ありがとうございました。

平口委員長 次に、手塚仁雄君。

手塚委員 立憲民主党の手塚仁雄です。

 今日は、貴重な発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、小選挙区の十増十減の新たな区割りが成立をしたところでありますが、次の国勢調査の結果を見越せば、既に格差二倍以上を上回る選挙区が出てくることが確実視されており、先般の法案成立時の附帯決議にもあったとおり、施行後も不断の見直しがなされることを強く確認をしておきたいというふうに思います。

 その上で、選挙運動の在り方について数点申し上げたいと思いますが、まず、原則として、選挙運動や政治活動にはできるだけ制限を設けずに、可能な限り自由に行われる環境を担保することが望ましいという基本的な立場を表明しておきたいと思います。

 その上で、まず、具体的に二点。

 一つ目は、期日前投票についてであります。

 期日前投票に行かれる方が大幅に増えておりまして、二〇〇三年に従来の不在者投票制度が改められ、期日前投票制度が創設されて、間もなく二十年になります。今年の七月の参院選では、過去最多の千九百六十一万人が期日前投票を済ませました。二〇一七年の衆院選では、二千百三十七万人の期日前投票がありました。全有権者数の二割近く、投票者数の三分の一以上に当たる方が期日前投票を利用されたということになります。

 そのような状況にある中、昨今の国政選挙においても、あるいは地方選挙においても、これは都市部での傾向なのかもしれませんが、告示以降の選挙運動期間中に、各自治体の期日前投票所の出入口付近で各種運動がなされる事例を見聞きしています。

 チラシを配ったり、声がけをしたり、のぼり旗を立てたり、確認団体による活動のケースも含めて、選挙の種類により許される形態が異なるため、どんな運動がなされているのかは一概に言えませんが、今まさに期日前投票を行うために投票所に入ろうとしている有権者へ直接的な働きかけをする行為がどこまで許されるのかどうか、議論が必要ではないかというふうに思います。これが仮に、投票日当日、すなわち日曜日に、投票日の当日に投票所の入口で街頭演説がなされる光景を想像していただければ、それは許されないだろうと考える方が多いと思います。

 期日前投票の投票所付近における選挙運動実施の公正性について、議論を深めてまいりたいというふうに考えています。

 次に、選挙運動の規定に関わる様々な数字が現実の実態に即していないことが多いということを指摘したいと思います。

 東京で選挙をやっていて一番感じるのは、区議会、市議会の選挙運動で、選挙ビラ、証紙を貼るビラですが、ビラの枚数が四千枚、選挙はがきが二千枚という規定になっています。現在の、都内だけで見ても、九月現在の選挙人名簿登録者は、一番都内で大きい行政区の世田谷区で七十七万三千四百五十五人です、七十七万。一番小さい千代田区は五万四千五百二人。有権者が七十七万と五万人、およそ十五倍も違う自治体の選挙運動で、一人の候補者が活用できる選挙ビラや選挙はがきの数が一緒というのは、なかなか運動として成り立ちにくいというふうに感じます。人口が多い自治体に居住する有権者の不利益にもつながるというふうに感じます。

 選挙制度としておかしいのではないかなというところもありますので、ここについても議論を深めていきたいな、こう思っています。

 また、選挙運動従事者などに対する報酬規定が、一九九四年に改正されて以来、三十年近くにわたって変わっていないことも指摘をしておきたいと思います。

 現在の規定では、労務者が超過勤務手当を合わせて日額一万五千円、事務員が日額一万円、車上運動員が日額一万五千円という規定になっています。ですが、例えば東京都の最低時給は千七十二円でありますし、仮に実働十二時間で一万五千円の報酬ということは、時給換算で千二百五十円ということになるわけで、これだとなかなか厳しいものがあると思います。

 できるだけ選挙資金のかからない選挙運動が当然の理想でありますけれども、決して金満選挙につながるおそれのある改正を望むものではありませんが、社会の実情に合わない規定は変えていく必要があるのではないか、こんなふうに考えます。

 私の発言は以上です。

平口委員長 次に、山本剛正君。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正でございます。

 本日は、選挙運動等についての自由討議ということでございますけれども、選挙運動を始め、選挙制度や政治資金規正法などについても、限られた時間の中で若干の意見を述べさせていただきます。

 まず、選挙運動についてですが、全国の選挙を見渡しますと、各選挙管理委員会の独自の解釈により運用されている公職選挙法の見直しが急務であるというふうに考えています。

 候補者はもとより、国民にも分かりやすいルールの策定と統一的な運用が必要であると考えています。違反かどうかの判断は警察に委ねられるわけでありますけれども、そもそも明確なルール設定があれば、やっていいことと悪いことの区別は容易につきますし、いわゆるグレーゾーンと言われるものは存在しません。

 また、現行では、知っている知識のみを振りかざして、その知識をもって選管や警察に通報することも横行しており、それが揚げ足取りとなり、およそ公平公正な選挙と言えるものではないと私は思っております。

 また、選挙運動と政治活動の線引きも曖昧な部分が散見されますが、どちらも民主主義を支える重要な権利でありますから、この委員会での議論を通じて、公職選挙法改正に向けた議論を強力に進めていくことを要望いたします。

 また、時代に合った選挙の在り方というものも同時に議論をしていかなければならないと考えています。

 ネット選挙と一くくりに言われますが、ネット選挙の肝は、何といっても、ネットで投票ができるか否かということに尽きるんだろうというふうに考えております。インターネットでの投票は、その環境整備、安定したシステムの構築は言うまでもありませんが、本人確認の問題や投票の秘密保持、自由意思の尊重など、克服すべき課題を丁寧に解消していく努力をしていくべきだと考えております。民主主義の根幹である選挙の信頼性を決して失うことのないように、精密な制度設計を構築した上で、公平かつ公正な選挙を守っていかなければならないということは言うまでもありません。

 次に、公営選挙の在り方を申し述べます。

 先ほど手塚委員もおっしゃられましたけれども、法定ビラは、各市町村の条例でもいろいろ定められていますけれども、枚数は各級選挙で定められています。

 ここでは一般市と特別区の例をお出しをいたしますが、両方とも枚数は四千枚でございます。一般市や特別区の人口には大きな開きがあり、一般市で選挙人名簿登録者数が一番多いのは船橋市の約五十三万三千人、逆に、少ないのは北海道歌志内市で約二千七百人でございます。一方、特別区で最も多いのは、先ほど開陳がありましたけれども、世田谷区で約七十七万八千人、少ないのは千代田区で五万四千人でございます。

 ビラの配布の目的は候補者の政策等を広く知ってもらうためにもかかわらず、このいずれの場合も四千枚の配布しか許されていません。これを人口見合いでということは、考えていく余地はあると考えております。

 また、選挙用自動車の看板について、国政選挙に合わせた見直しは必要ではないかとも考えております。

 公営選挙の拡大は、担い手が少なくなっている今日においては、民主主義を守っていくためにも重要であります。削減できるところは思い切って大胆に削減し、必要なところに置き換えていく。税金の使い方の原点に返って、無駄を削減しつつ、必要な措置を講じていく改革が今こそ求められていると申し上げさせていただきます。

 また、これも先ほど出ましたが、車上運動員の報酬などについてでございます。

 日常でお話をされることをなりわいとしている方、つまり特別な技能を有する方を登用することが非常に多い。また、車上運動員は、そういった方々の活躍の場でもあるというふうに私は考えています。

 しかしながら、その方々に支払える上限の日額は一万五千円。これも、約三十年間も据え置かれている状況でございます。マイクを使用しての選挙運動は八時から二十時まで。拘束時間を考えれば、非常に低賃金であるということは間違いありません。無論、交代すればいいという考え方もあるでしょうが、しかしながら、狭い選挙区ならともかく、広大な選挙区や離島を有している選挙区では交代制は現実的ではありません。上限でありますから、必ず上限いっぱいまで支払わなければならないというものではありませんから、この上限を引き上げていくこと自体は議論の余地があるのではないでしょうか。

 その他にも、ネット選挙の選挙運動の規制緩和や公設の討論会の充実など有権者の判断に資する改革や、選挙ビラ、ポスターへの証紙の在り方など合理化を進める議論を深めていかなければならないと考えています。

 次に、選挙制度について幾つか申し述べます。

 まず、四月に統一自治体選挙が実施されるわけでございますが、自治体の合併や辞職などにより、統一率の低下が顕著になっており、もはや三割を切っている状況でございます。投票率の低下や税金の効率的使用の観点から、統一自治体選挙の日程を可能な限り同日に集約をしていくこと、統一の名にふさわしいものにしていくことを改めて考えていくべきだと思います。

 また、先日の区割り法、いわゆる十増十減法案が成立をいたしました。行政区などの分割の解消が進んだことは歓迎いたしますが、今後の人口統計の変化を考えますと、不十分というより、抜本的な改革の必要性があることは言うまでもありません。地方の選挙区の減少は、地方の声が届きにくくなるだけでなく、地域間格差などを増幅させてしまいます。また、人口減に伴う定数の削減は当然の措置であるというふうに考えています。

 我が党会派は、身を切る改革を党是として実行をしています。我々が率先して我が身を切ることで改革の意思を明確にし、無駄の削減、合理化を進めていかなければなりません。真の国民主権の我が国の政治の確立のためにも、身を切る改革、定数の削減の議論を進めていく所存でございます。

 また、記号式投票については、総務省が例示している様式に政党名が含まれておりません。有権者の選択の材料を増やし、確かなものにしていくためにも、候補者名に加えて政党名を追加する方向での様式の統一を提案をいたします。

 ほかにも、外国籍を有する者が被選挙権を有しないことを定めること、国政選挙に立候補する者の国籍の得喪履歴の公表、参議院と衆議院の機能分担に資する選挙制度の確立なども併せて議論すべきものと考えております。

 最後に、政治資金規正法についてお話をさせていただきます。

 先般、寺田大臣の政治団体が問題になりましたが、政治家の名を冠した政治団体の在り方の議論は待ったなしと考えています。先日の寺田大臣の話は、関与がありましたので、言語道断と言わざるを得ませんが、あの一件が、もし寺田大臣の知らないところで勝手につくられて、恣意的に運用されていたならば、政治家が何の関係もない団体であったとしても、名を冠していることから、関係を疑われ、道義的な責任を負わなければならないことになりかねないということであります。

 現行法では、政治団体は、どのような名前でも、自由に、どこでもつくることができるわけでございます。個人名を冠した政治団体の設立に当たっては、個人名を冠された名の承認を必要とするなり、関与を義務づけるなりの措置が必要であると考えています。

 政治団体は、政治家の活動を支える重要なものでございます。その運用は厳格でなければなりませんし、悪用されるということなどもってのほかだと考えております。政治生命に関わる重要な問題であるということを最後に申し添えて、私の意見表明とさせていただきます。

平口委員長 次に、伊藤渉君。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉でございます。

 発言の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 私からは、少子化、高齢化、その結果として当面続くと想定せざるを得ない人口減少社会の中で、民意を適切に反映させるために、投票率向上などに向けて必要な取組は何か、そうした問題意識から五項目ほど発言をさせていただきたいと存じます。

 まず初めに、今回、当委員会で成立をいたしましたいわゆる十増十減法案につきましては、有権者の皆様に分かりやすく丁寧な周知をくれぐれもお願いをしたいと思います。

 また、中長期的な観点からは、少子化などにより特に人口が減少している地域では、有権者の声が政治に届きにくくなるのではないかという声があるのももっともなことというふうに考えます。人口を基本としつつ、行政区画や地勢など、各地域の民意をより適切に反映するために必要なパラメーターは何なのか、立法府の責任として、将来のためにも熟議を積み重ねていくべきというふうに考えます。

 次に、投票環境の改善、制度の見直しについて。

 冒頭申し上げたとおり、少子高齢化社会が進む中で、今後の投票環境の改善は随時実施していく必要があると考えます。特に、過疎地域に住む御高齢の方、時に都市部でも同じような御要望をいただくことがございますけれども、投票所に行くまでが遠く、行きたくてもなかなか行けない。あるいは、そもそも近くにあった投票所がなくなった、運転免許を返納しており、車もないなどのお声を頂戴することがございます。移動支援事業が行われておりますけれども、こうした取組を一層増やしていく必要がございますが、そのためには、人材及び予算の確保がどうしても必要になってまいります。現状の問題点を整理をして、高齢者の方々を始め、投票の機会をしっかり確保する取組を強化をしていただきたいというふうに思います。

 また、先ほども出てまいりましたが、その一環として、要介護三及び四の方の郵便投票の実施に向けても申し上げたいと思います。

 高齢者の方々の投票の機会を確保するとともに、介護を要する障害を持った方々の投票機会、これも確保していかなければなりません。

 そこで考えられる支援策が、既に行われております郵便投票の対象者の拡大であります。郵便投票は、疾病等により歩行が著しく困難な者の投票機会を確保するために設けられておりましたが、昭和二十六年、統一地方選挙において第三者による不正投票等が横行したこともあり、翌二十七年に全廃をいたしました。

 しかし、事実上選挙権の行使が困難となった在宅重度身体障害者などを中心に復活を望む声が高まり、昭和四十九年に一定以上の重度障害者等に限定して制度が再創設をされました。現在は、郵便投票の対象は、歩行困難、外出困難の障害者等、要介護五と限定をされております。

 先ほど逢沢先生からも御発言がございましたけれども、過去には、自民、公明両党として要介護四及び三の方々に拡大することを提案をしてきておりますけれども、不正投票や公正性の確保の点が課題となっていると承知をしております。

 実は、最近でも、ある要介護三の方、この方はいつ病気の症状が出るか分からない、庭に出ることさえドクターストップのかかる状態という方がございまして、投票所に行けないが、何とか大事な一票を投じたいと語っておられたことが大変印象的でございました。しかし、結局この方は投票することはできなかったと後に報告をいただいております。

 投票意思がありながらも投票ができない方が現に存在をする、こうした実態を踏まえて検討をする必要があるというふうに考えます。

 その延長線上に、インターネットによる投票ということが話題になると思います。投票率全体の向上という観点から、こうした電子機器を通じての投票の導入検討も推進していくべきであり、その先駆けとして、在外投票での検討が進められていると理解をしております。

 総務省の情報通信白書では、二〇二一年の情報通信機器の世帯保有率は、モバイル端末全体で九七・三%、その内数であるスマートフォンは八八・六%、パソコンは六九・八%となっております。多くの国民がインターネット環境を利用できる状況であることは論をまたないと思います。システムの問題や、公平性、公正性の担保などの課題がございますが、高齢者、障害を持たれた方などの投票環境の改善だけでなく、若者やこれからの世代の投票率向上にもつながるものになると確信をいたします。

 さきに述べました郵便投票の対象拡大と並行して、マイナンバーカードの普及、DXの進展、こうした時代の進化を、最も大切な投票機会を確保するために発揮をし、投票したいと願う人が誰でも投票できる仕組みを構築すべく、選挙実務を取り仕切る総務省において鋭意検討を進めていただきたいと存じます。

 最後に、これも先ほど御発言がありましたが、証書について最後申し上げて終わりたいと思います。

 立候補を届け出た際に選挙管理委員会から渡される証紙について、上限を超えるビラの配布を防ぐには証紙が必要といいますが、その証紙を貼る労力、これは大変なものがございます。業者に委託することも可能でありますが、資金力の関係などで、陣営によってはその労力に時間を割かなければならなくなります。また、ネット選挙が解禁をし、若い方は、ビラやポスターよりも、ビラのような規制が比較的少ない、SNSで掲載されている候補者の情報や画像などを見て投票先を判断することが徐々に増えてきていると思います。

 そうしたことも勘案をして、時代に即した、改めて証紙の在り方も含めて検討を進めるべきではないかと考えます。

 以上、私からの意見表明とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

平口委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。国民民主党の斎藤アレックスです。

 本日は、与野党の筆頭理事を中心に、また、委員長、理事の皆様の御尽力の結果、当委員会で自由討議が行われる運びになったことを心から歓迎いたします。

 選挙制度や選挙運動の在り方を検討するに際しては、事務方の皆様に議論の方向性を委ねることはふさわしくなく、やはり、国民の代表者である各党会派の議員が議論を積み重ね、そして時代にふさわしい姿を目指していくことが必要だと思います。

 だからこそ、この自由討議の場が一回限りとなってしまったり、あるいは各議論が言いっ放しになったりすることがないようにしなければならないと思います。今回の各会派からの発言、またこの後の自由討議を通じて、ある程度、選挙運動の在り方に関する論点が明らかになるはずですので、来年一月の通常国会、また、それ以降も、引き続きこのような場を定期的に設け、論点を絞り、そして各論点に関する意見集約を図り、最終的には具体的な公職選挙法の改正案についての議論まで目指すことを求めたいと思います。

 また、選挙運動の在り方に限らず、さきに本委員会で審議されたいわゆる十増十減の公職選挙法改正法に付された附帯決議には、選挙制度の在り方に関して、二〇二五年の国勢調査の結果判明時前に具体的な結論を得るように求めています。

 地方の議員が議席数が減る一方である問題、合区の問題、また、小選挙区制や比例復活制度の在り方を含めて、多岐にわたる選挙制度の課題を議論していくためにも、残された時間を考えれば、速やかにそれを検討する場を決め、議論を進めていく必要があると思いますので、改めてそのことも各会派の皆様に求めたいと思います。

 では、主に本日は選挙運動に関する課題について、何点か意見を申し述べたいと思います。

 日本の選挙運動には様々な理解に苦しむ規定があると感じています。選挙で街宣車から選挙運動をするたびに困惑するのが、走る街宣車からは演説はできず、名前の連呼のみが認められているという公選法の規定です。政策を訴えずひたすら候補者の名前を連呼することは有権者に失礼だと思い、政策の訴えを交えながら回ろうと思っても、それをしてしまえば公職選挙法違反ということになってしまいます。

 二〇一三年にはインターネットを通じた選挙運動が解禁されましたが、そのルールも不可解です。有権者は、ブログ、ユーチューブなどの動画配信、SNSでのメッセージやシェア機能などを使って特定の候補者に投票を呼びかけることはできますが、メールや携帯電話のショートメッセージを用いると公選法違反となってしまいます。

 外国人は日本の選挙で選挙運動を行っていいのに、日本国籍を持っていても十八歳未満は選挙運動ができず、ツイッターで選挙目的のリツイートをすることでさえ公選法の疑いがあります。

 先月の参議院の政治倫理選挙制度特別委員会で、我が党の伊藤孝恵議員が、子連れ選挙に関して、子供を連れながら選挙運動をすることに関して、当時の寺田大臣に質問をしましたが、それぞれの様々なケースの公選法の違反に当たるかに当たっては、個別判断との回答がたくさんありました。子連れで選挙をしていいのか駄目なのか悩まなければいけないこと自体、公職選挙法に、分かりにくかったり、そもそも余計な規制があり過ぎることを示しているのではないでしょうか。

 また、投票を呼びかけることができる期間、日本の公選法で言う選挙期間が短過ぎる一方、事前運動と呼ばれるような選挙期間前の活動は政治活動として実質的に選挙本番と遜色なくできてしまう実態も、有権者の混乱を招いていると思います。

 日本の選挙では、海外の民主主義国で一般に行われている、住居などを訪問して投票依頼を行う戸別訪問が禁止されていますが、選挙期間前、例えば後援会の入会活動を知り合いに対して行う戸別訪問は行えるなど、その線引きは曖昧となっています。

 お金がかからない選挙にしようという目的で、選挙期間中に配れるビラの数は制限されていて、その枚数を管理するために、先ほどから議論に上がっている、ビラに一枚一枚、選挙管理委員会から渡されるシールを貼り付けるという途方もない作業が毎回生じますけれども、選挙が始まる前、投票依頼を行わない内容で政党ビラを作成すれば、選挙期間中のビラとほぼ変わらない内容のビラが、資金がある限り何万枚でも刷れてしまいます。

 先ほど言った街宣車による活動も、選挙が始まる前の期間であれば、投票を呼びかけないという点に気をつければ、逆に選挙前の方が政策を訴えて走るということができてしまいます。

 今、数例申し上げたように、選挙前から実質的に選挙期間中と変わらない、あるいは、捉え方によってはそれ以上の活動ができてしまうことに加え、そもそも、先ほどもありましたように、期日前投票の利用が盛んになっていることも相まって、短い選挙期間が始まる頃には選挙の大勢は決していると言われる中で、選挙期間を限定することはとても実態に即しているとは言えないと思います。

 以上のように、複雑怪奇で線引きが曖昧な規制があり過ぎることが、有権者の政治参画を妨げたり、市民と政治の間の乖離を生んだり、政治不信を招いたりする原因の一つになっているのではないでしょうか。もちろん買収などを防止するためのルールを設けることは重要ですけれども、言論活動は本来自由であるべきです。べからず選挙法と呼ばれる公職選挙法の在り方を抜本的に見直していくことが必要だと考えております。

 そのほかにも、先ほどもありましたように、投票の利便性向上に向けては、まず在外選挙人の投票向上に向けては、インターネット投票の導入を速やかに進めていくことが必要だと考えております。また、開票事務の負担軽減などに向けて、また、不正の防止などに向けて、電子投票の活用の在り方に関しても改めて再検討をしていくことが必要だと思っております。

 そしてもう一つ、インターネットを活用した選挙運動がますます取り入れられていることも踏まえて、フェイクニュースと呼ばれるようなディスインフォメーションによる選挙人への困惑させるような情報の流布に関しては、しっかりと規制の在り方を検討していく、インターネット、フェイクニュースに関する審査機関、チェック機関など、体制を整備していくことも検討を行うことが必要ではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、立候補者も、投票する有権者も、老若男女を問わず、より活発に、自由に、そして気軽に政治に関われるようにするため、時代の変化や情報技術の発達も加味しながら、選挙規制の基本的な考え方から見直す検討を進めていくことを求めて、私からの発言とさせていただきます。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 日本共産党を代表して、意見表明を行います。

 日本の公職選挙法は、立候補や選挙運動に様々な規制を設けています。民主主義や国民の参政権の保障という点で重大な問題です。選挙権、参政権は、国民主権、議会制民主主義の根幹を成すものです。民主主義の土台を決める選挙制度は、国民の参政権に関わる問題であり、十分な議論と国民の合意を得ていくことが必要です。

 この間の選挙制度改革において、一部の政党で談合し、多数の力による押しつけが行われてきており、我が党は、全党全会派参加の下での協議とともに、主権者国民に開かれた議論を行うことを求めてきました。今回の自由討議がその一歩となることを願い、今後、当委員会に委員がいない少数会派も含め議論ができるように要望をいたします。

 国民の参政権は、候補者を応援し投票する権利だけでなく、自ら候補者となり政治に参加する権利も当然含まれています。

 二〇一六年の参議院選挙から、十八歳以上の若者も投票と選挙運動を行えるようになりました。しかし、十八歳からの投票と選挙運動だけにとどまり、被選挙権の引下げは盛り込まれませんでした。選挙権と被選挙権は一体として考えるべきであり、若者の政治参加を保障する上でも、被選挙権の引下げが必要です。

 巨額の供託金制度が、金を持っている人でなければ選挙に出られない立候補阻害要因として、主権者国民の被選挙権の行使を妨げていることは明らかです。

 二〇二〇年には、自民党などが町村議会議員選挙に供託金を導入しました。現在、町村議員のなり手不足が深刻となっているにもかかわらず、立候補に新たなハードルを設けるというのは筋が通りません。

 そもそも、供託金制度は、成り立ちそのものが民主主義に逆行する時代遅れの制度です。また、国際的に見て、こんなに高い供託金を取っている国はありません。制度そのものがない国が多く、廃止した国や、制度があっても数万円程度です。巨額の供託金は引き下げ、廃止へ進まなければなりません。

 日本は、選挙運動を行える期間が定められ、この期間以外は選挙運動が禁止されています。これは国際的に見てもまれな制限です。本来、選挙運動は政治活動の一部であり、日常的に行うものです。選挙運動期間の見直しが必要です。

 そもそも、選挙運動規制があっては、有権者が十分に政策比較できるとは言えません。誰が立候補し、どのような公約を出しているのか、有権者に候補者情報がきちんと伝わることが必要です。そして、有権者が、自分がいいと思った候補者の支持を周囲に広げていく活動が保障されなければなりません。

 日本のように戸別訪問を禁止している国はほとんどありません。日本では、立候補者だけでなく、支持者による戸別訪問も禁止されており、有権者と戸口で質疑や討論をすることもできません。戸別訪問の禁止は廃止しなければなりません。

 二〇一三年の参議院選挙からは、インターネットを利用した選挙運動が可能となり、ウェブやSNSを利用して投票を訴える選挙運動ができるようになりました。一方、実社会では、選挙期間になると候補者氏名が入ったビラ、ポスターが極端に減るといった配布規制を始め、立会演説会の禁止など、従来と変わらない規制や禁止規定が依然として残っています。ビラ、ポスターの規制を見直し、候補者討論会などが行えるようにする必要があります。

 国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加していくため、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、公職選挙法を抜本的に見直す必要があります。

 国民の参政権行使を保障するには投票機会の保障が不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。また、投票や開票に不正があっては選挙無効になりかねず、ひいては選挙権を行使できなくなることになります。選挙権行使の保障と選挙の公正性の確保を同時に追求し、投票機会を最大限保障することが必要です。

 この二十五年間で投票所は六千七百七十か所も減り、三分の一の投票所が閉鎖時間を繰り上げ、二十時前に投票を締め切っています。期日前投票が増えているからといって、選挙当日の投票環境を後退させたままでよいとはなりません。有権者の投票機会を奪わないように、投票所そのものを増やし、閉鎖時間の繰上げを行わないようにする必要があります。

 国政選挙は、選挙権年齢以上の日本国民が、選挙権を有しているにもかかわらず投票できない事態が生じています。この間、一部改正を図りましたが、今後も、不在者投票、在外投票、洋上投票など、投票機会の保障を図る必要があります。

 住民票を異動せずに遠方に進学している大学生らの投票が認められないことが問題となっています。住民票異動の周知徹底は当然であり、当時の総務大臣も周知したいと表明しました。選挙権を保障する立場から、選挙権を有していても権利行使できない事態を解消するための協議を各党に呼びかけます。

 また、障害を持つ方、高齢の方が、投票所が遠い、バリアフリー化されていないなどの理由で投票所へ行きにくいという問題もあります。外出が困難な有権者の投票行動を制約させることがないよう、投票環境の改善を進める必要があります。

 コロナ下のような感染症拡大時においても、感染者を含め、全ての有権者の投票権を保障することが大原則です。自民党などは二〇二一年にコロナの特例郵便投票法を主導しましたが、知っている者だけが使える制度と言わざるを得ない状況であり、問題の多い制度です。感染症拡大のリスクを減らし、投票権を保障する方法を考えなければなりません。

 我が党は、選挙管理委員会が立会人と一緒に投票箱を持って車に乗り、施設や自宅など要望がある場所に行くことで投票ができる巡回投票を提案します。この方法であれば点字投票や代理記載も可能とすることができます。

 この間、選挙管理委員会の開票不正、選挙執行上のミスの増加、現憲法下でなかったことが立て続けに起こっています。選挙の正当性、公正性を担保するためにも、管理、執行、啓発に係る経費と選挙事務に従事する人員は十分に確保すべきです。

 選挙運動の課題を考える際、選挙制度そのものを切り離すわけにはいきません。民意を正確に反映した国会での徹底した議論を通じて国の進路を決めることこそが国民主権の議会制民主主義です。

 現行小選挙区制の最大の問題は、第一党が四割の得票で六割から八割の議席を獲得し、半数に上る、いわゆる死票を生み出すことです。民意と議席に著しい乖離を生み出す小選挙区制は廃止すべきです。私たちの声が届く国会ごとの国民の声に応え、参政権の点からも選挙制度は抜本的に見直し、多様な民意が正確に反映される比例代表を中心とした選挙制度にすべきです。

 国会議員定数の在り方は、国民の代表をどう選ぶかという選挙制度の根幹を成す問題です。定数削減によって、国民の代表で構成される国会の政府監視機能が低下することは明らかであり、切り捨てられるのは主権者国民の声です。理由も根拠も見出せず、これ以上の削減は難しいという二〇一六年の結論を無視し、定数を削減するなど、断じて許されません。

 以上、意見表明を終わります。

平口委員長 これにて各会派の代表者からの発言は終わりました。

    ―――――――――――――

平口委員長 次に、委員各位からの発言に入ります。

 一回の御発言は、五分以内におまとめをいただくこととし、委員長の指名に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いをいたします。

 御発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。

 それでは、ただいまから御発言を願いたいと存じます。

岩屋委員 ありがとうございます。自民党の岩屋毅です。

 私は、党で、逢沢会長の下で選挙制度調査会の会長代行を務めております。先ほどの逢沢会長の発言を踏まえて、若干意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず、郵便投票対象者拡大法案についてです。

 その前に、特例郵便投票法について一言申し上げたいと思います。

 昨年六月以後の選挙から特例郵便投票ができるようになっている。新型コロナウイルス感染症で宿泊あるいは自宅療養をされている方で、一定の要件に該当する方は郵便投票ができるという仕組みが始まっております。

 私は、当時、倫選特の与党筆頭理事としてこの法律制定に関わった者の一人ですけれども、先ほど塩川委員からはちょっと厳しい指摘がありましたけれども、私は、この法律が制定されていなければかなり多くの方が投票の機会を失うという事態が発生していたわけで、この特例郵便投票法の制定は投票機会の確保という点で画期的な一里塚であったと思います。当時の各党及び関係者の皆さんの御協力に改めて敬意を表し、感謝、お礼を申し上げたいと思います。

 今後、仮に新たなパンデミックが発生したとしても、この法律を改正すれば迅速に対応できる素地ができているということでありまして、これは、投票機会の確保という課題に対して大きなセーフティーネットの一つが確保されたと評価していいのではないかと思っています。

 郵便投票の対象者拡大を提案申し上げる最大の理由も、まさに投票機会の確保にございます。高齢化はますます進んできておりまして、投票の意思があるにもかかわらず、投票所に行くことができない方が増えています。

 現在、そういった方々に対しては、投票所へのアクセス支援や、入院、入所中の施設における不在者投票のほか、身体に重度の障害をお持ちの方に対する郵便投票が認められていますけれども、この郵便投票については、十分に制度がまだ知られていないという指摘があるほかに、現在、要介護五に限定されている対象者を、更に要介護四及び三の方々に拡大してほしいとの強い現場の要望があることも事実です。要介護四及び三の方は、それぞれ九十万人ぐらいいらっしゃいます。

 一方で、郵便投票を拡大することによって不正が起こるのではないかという心配もございます。

 選挙の公正を確保していくことは最重要の課題です。これを防ぐためには、高齢者御本人はもとより、御家族、介護福祉関係者への周知を徹底して行って、手続や罰則を含めた制度の正確な理解を促進することが何より必要だと思います。

 これらの点を踏まえまして、与党案では、法施行まで一年をかけて制度の内容及び公正確保のための周知徹底を行った上で、施行日以後に初めて期日が公示、告示される国政選挙から適用することとしているところです。

 是非、各党各会派における御検討と審議の促進をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に申し上げたいのは、いわゆる落選運動についてです。

 選挙期間中に、この人の名前を投票用紙に書いてはいけません、週刊誌で疑惑が報じられた候補を落選させようと、チラシを大量にポスティングされたり、候補の似顔絵を描いた看板を駅頭に掲示して、拡声機で訴えたりする行為が増えてきています。

 私は、これは、落選せしめようとして行われる行為は選挙運動ではないという理解はおかしい、明らかにおかしいと思っておりまして、選挙期間中の候補者や政党はがんじがらめに手足を縛られているのに、個人による落選運動には何の規制もない、これには検討を加えるべきだというふうに思っております。

 もちろん、個人の政治活動全体に規制をかけるようなことはすべきではなくて、仮に規制するとしても必要最小限にとどめるべきだと思いますが、この件に関しても、各党各会派において是非御議論をいただきたいと思っております。

 以上です。

渡辺(周)委員 立憲民主党の渡辺周でございます。

 本日、このような機会が実現しましたこと、平口委員長を始め各党各会派の皆様方に敬意と感謝を申し上げ、また、こうした機会が今後も続くように、是非実現を続けていきたいと思います。

 それでは、まず、私、二つ、二点について所見を述べ、そして、今日は答弁をいただけるということなので、お答えいただきたいと思います。

 一つは、政見放送についてであります。

 公職選挙法の百五十条において、政見放送はそのまま放送されるということが書かれておりますが、もう一つは、品位の確保、品位を損なう言動をしてはならないというふうに書かれております。

 昨今、どこの誰とは言いませんけれども、非常に目に余るような、政見とは関係のないことを主張されたり、半裸になっていたり、あるいはわいせつな言葉を使われたり、果たしてこういうものがそのまま放置されていていいのかという議論がございます。

 今年の七月十九日の金子当時の総務大臣の閣議後の記者会見でこの質問をされて、大臣は、選挙運動の在り方に関わる問題であり、各党各派において御議論いただくべき事柄であると考えております、そのように記者会見でお答えになっていますので、あえて今日はここで是非問題提起をさせていただきたいと思います。

 この点について、後ほど、発言が終わりましたら、NHKでこうした問題について戸惑いはないのか、地方放送局も含めて、こうしたことについて、かくあるべしというような形で議論をされているのか、そしてあわせて、総務省に、この在り方について何らかの今検討等がされているのか、その点について確認をしたいと思います。その上で、是非、これはやはり考えなければいけない問題だということを提起させていただきたいと思います。

 二点目ですけれども、落選運動という先ほどお話がありましたが、選挙期間中のいわゆるフェイクニュース、ミスインフォメーション、悪意のない間違い、あるいは悪意のあるディスインフォメーションについて、選挙期間中にこうしたものがSNS上で流された場合に、もうこれは対応できないというのが現実であります。こうした選挙期間中のいわゆるSNSによる誹謗中傷あるいはフェイクニュースに対して、どう取り組んでいくべきか。

 総務省のプラットフォームサービスに関する研究会というところは、選挙期間中には触れておりませんけれども、こうした点について、ファクトの確認、これは民間の推進団体等、ファクトチェックの、協力も得て、やはり、苦情処理あるいは即座の取消し、訂正をするという機関、何らかの対応が必要ではないかと。

 かつては、文書で、怪文書というものがあって、投げ込まれたり、あるいは郵送等で地域にばらまかれたりしましたけれども、今は、その拡散のスピードたるや大変影響力がありますし、正直言って手に負えないものがございます。

 こうした選挙期間中に起きる候補者に対する根拠なき誹謗中傷であるとか、あるいはフェイクニュースが流された場合にどう対応していけばいいのかについて、これは皆考えなければいけないことだと思いますが、今、総務省としてこうしたフェイクニュースについては取組をされていることは承知でございますが、選挙期間中、限られた期間の中で、訂正や何らかの反論をしたときにはもう選挙が終わっていて、結果が分かったときには、結果、フェイクであっても、もう選挙が終わってしまえばともかく消してしまうわけですね。

 その点について、やはり新しいSNSというものが社会インフラとなっている以上、どう対応していくか。これは、今は選挙のことを申し上げておりますが、社会共通の新たな課題だと思っております。その点について、総務省がどのように今取り組んでいくのか、あるいは、今後、我々、ここにいる議員も含めて、どう対応していくのかということにつきまして、やはり問題意識を提起させていただきまして、総務省からお答えをいただきたいと思います。

 以上でございます。

森政府参考人 お答えをさせていただきます。

 最初に、政見放送の関係でございます。

 御指摘のとおり、政見放送につきましては、公職選挙法において、放送事業者は、政見を録音し又は録画し、これをそのまま放送しなければならないとされておりまして、放送法の規律にかかわらず、この規定に基づいて放送が行われているところでございます。

 他方、公職選挙法第百五十条の二におきまして、候補者等に対して、その責任を自覚し、他人若しくは他の政党その他の政治団体の名誉を傷つけ若しくは善良な風俗を害し又は特定の商品の広告その他営業に関する宣伝をする等の例示をした上で、いやしくも政見放送としての品位を損なう言動をしてはならないとされております。

 過去、放送事業者の判断で差別用語の音声を削除して放送した事例につきまして、同法百五十条の二の規定に違反する言動がそのまま放送される利益は法的に保護された利益とは言えず、法的利益の侵害があったとは言えないというふうに判示をした最高裁判決もあったところでございます。

 他方、選挙管理委員会その他の公的な機関が政見放送の内容を事前にチェックするというようなことになりますと、検閲に該当するおそれも出てまいりますことから、慎重に議論すべきものと考えておりますが、政見放送の在り方につきましては、選挙運動のまさに在り方に関わる問題でございますので、各党各会派において御議論いただきたい事柄というふうに考えておるところでございます。

 それから、誹謗中傷の関係でのお尋ねでございます。

 民主主義の基盤を成す選挙というのは、選挙人の自由に表明する意思によって、公明かつ適正に行われることが必要でございます。

 選挙期間中の候補者に対する誹謗中傷や虚偽情報の拡散については、その内容によって、公職選挙法の虚偽事項公表罪や選挙の自由妨害罪、刑法の名誉毀損罪などに抵触することもあり得るものと考えておりますが、ただ、これは事後という形になるものでございます。

 そして、インターネット上の選挙運動用又は落選運動用文書図画により自己の名誉を侵害された候補者が、迅速に当該文書図画を削除させるために、プロバイダー責任制限法におきまして、候補者等からの申出を受けた場合の削除同意照会への回答期間を短縮するなどの特例が設けられているところでございます。また、今ほど委員御指摘いただいた、民間においてファクトチェックの取組なども始まっているというふうなことも承知をしておるところでございます。

 このほかに、どのような行為を禁止をして、どのような防止措置を講じていくのが適切かにつきましては、政治活動の自由や公正な選挙の確保等の観点も含めまして、各党各会派においても御議論をいただければというふうに考えているところでございます。

 以上です。

林参考人 お答えいたします。

 政見・経歴放送は公職選挙法に基づいて行われております。公職選挙法では、先ほど委員御指摘のとおり、第百五十条で、NHKと民放に対して、そのまま放送しなければならないと定めております。このため、NHKには政見放送をそのまま放送しなければならない法律上の義務があり、政見放送の内容に介入したり、編集を加えたりする立場にはございません。

 また、政見放送の収録に当たって、全ての政党、候補者に対して、公職選挙法第百五十条の二で定められた品位の保持について事前に御説明をしております。

渡辺(周)委員 ですから、そういうことに戸惑いはないのか、あるいは、NHKの場合、地方の放送局も含めて、何らかの、かくあるべしという議論はされていないんでしょうか。今回の、これまでの政見放送の在り方というものについて、何らかのやはり問題意識は持っていないのかということは伺いたいと思います。

 もう一つ、総務省に、結局、各党各会派の議論に委ねるということですが、先ほどの政見放送のことであるとか、あるいはファクトチェックについて、フェイクニュースの、これについては問題意識を持って、省内では、何らかの検討なり、あるいは今後調査をしていくとか、統一地方選挙がありますけれども、その点について、やはりその実態をある程度把握をするとか、あるいは分析をするとか、そういうことも考えていないんですか。その点について再度確認をして、私の質問を終わります。

林参考人 お答えいたします。

 何らかの戸惑いということでありましたけれども、今年、二〇二二年七月の参議院選挙の政見放送に対しましては、聞くに堪えない、内容がひど過ぎるなどの不評意見も視聴者の皆様から寄せられましたけれども、視聴者の皆様に対しては、その都度、政見放送は公職選挙法に基づいて行われているもので、NHKには政見放送をそのまま放送しなければならない法律上の義務があるということを丁寧に御説明をしております。

 政見放送は、選挙運動の在り方そのものに関わるものであり、国会で御議論いただくべきものと考えております。

森政府参考人 お答えをいたします。

 今ほど、情報通信部局の方のお話の御紹介がございましたけれども、選挙部としてこのことにつきまして独自に何か検討しているというところはないのは事実でございます。

 ただ、こうした問題がかなり大きな問題となっているということも認識はしておりますので、各省庁あるいは省内の関係部局ともよく連携をしながら、情報収集には努めてまいりたいと存じます。

岩谷委員 日本維新の会の岩谷良平です。

 今の選挙運動について、まず、有権者の皆様から、選挙そして候補者に関する情報が少な過ぎると言われることがあります。実際に、ネット社会になって、あふれる情報の中から、いかに選挙そして候補者について有権者の皆様に伝えていくことができるかが重要な課題だと思います。

 そんな中で、今の公職選挙法等には、逆に情報を制限する規定が多くあります。

 例えば、ビラの頒布方法は、現行では街頭演説の周囲、選挙事務所、個人演説会、新聞折り込みに限られていますが、ポスティングや演説ではない街頭での頒布も自由化すべきです。

 また、被選挙権は民主主義の根幹を成す極めて重要な権利であることはもちろん、議員のなり手不足も深刻であるにもかかわらず、新人にとって大きな参入障壁となっている規定があります。

 例えば、公営掲示板へのポスター貼りは無駄な負担です。あらかじめ貼っておいたり、デジタル化したりする余地があるのではないでしょうか。ビラへの証紙貼りも、膨大なマンパワーが必要で問題です。ビラ証紙を廃止し、枚数制限も撤廃してよいのではないかと私は思います。

 選挙期間以外のいわゆる政治活動では、名前が書かれたたすきやのぼりの使用が禁止されていますが、誰が何を訴えているか知っていただくことは必要ではないでしょうか。

 次に、時代遅れだったり曖昧だったり、現実に即していない規定などがあります。

 例えば公職選挙法百三十九条では、飲食物の提供の禁止として、「湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子を除く。」とされていますが、湯茶と菓子の範囲が曖昧です。総務省の担当者にお伺いしましたところ、例えばコーヒーに関して言うと、インスタントコーヒーは湯茶として認められるであろうが、ケーキ屋でショーケースに並んでいるようなケーキは、ここで言う菓子には含まれず、認められにくいのではないかとのことでした。こういった曖昧な規定を明確化すべきです。

 また、今どきちょうちんについて規定があるのも時代遅れだと感じますが、街宣車の看板の中には光源を入れることができず、入れると法で規定されたちょうちんとなるため、高さ八十五センチ、直径四十五センチというちょうちんの規制に従う必要があるとされています。不要な規制だと思います。また、二項で、ネオンサイン又は電光による表示が禁止されていますが、例えばアドトラックなど効果的な広報媒体が増加している中、解禁すべきだと思います。

 公職選挙法施行令で、車上運動員の方の一日の報酬限度額は一万五千円以内とされていますが、この金額では現実問題としてなかなか引き受けていただけず、苦労されている方も多いと思います。上限を上げるべきです。

 ただし、そもそも、街宣車で名前を連呼する選挙運動も、うるさいとか迷惑だとか名前の連呼は意味がないなど、有権者の皆さんの厳しい声も多いので、もうやめてはどうかというふうに私は思います。

 戸別訪問の禁止やいわゆる二連ポスターの規制も、皆さん御存じのとおり、実態は有名無実化していますので、規制を見直すべきです。

 また、既に存在する同じ名前の政治団体をつくることもできますし、誤認されるような類似の団体名の使用も認められています。

 例えば、我が党とは全く関係のない人物が、西宮維新の会という名前を掲げて兵庫県議会議員選挙に立候補し、当選されましたが、その方は不祥事を起こして辞任し、有罪判決を受けました。大変迷惑な話ですし、有権者に誤認させるような名称使用は禁止すべきです。

 参議院地方議員選挙の確認団体ビラは自由にまけますが、衆議院比例ビラは街頭演説でしかまけませんし、ポスティングも禁止されていますが、なぜ違いがあるのでしょうか。同じにすべきです。

 また、電子メールを利用する方法による文書図画の配布で、SNSと電子メールで取扱いを異にしていることも議論すべきです。

 公費が出る範囲が異なることもあります。例えば街宣車の看板代が、供託金の額は同じなのに、知事選挙では公費で出ませんが、衆議院選挙や参議院選挙では出ます。なぜ差があるのか、よく分かりません。

 最後に、インターネット投票の導入について述べます。

 十月三十一日の本委員会で、私は、在外投票について行われたインターネット投票の実証実験について、国内のインターネット投票を検討する際においてもその実証実験の結果は有用ではないかという質問をさせていただいたところ、政府から、国内のインターネット投票についても、在外選挙インターネット投票システムの基本的な仕組みとしては応用可能と考えられると答弁をいただきました。

 議論する環境は整っています。国内でのインターネット投票についても議論、検証を加速させるべきです。

 以上、もろもろ述べましたが、このおかしな現行の選挙運動について、是非、今日の自由討議だけで終わらせず、与野党で定期的かつ集中的に議論していく場を設け、公選法の早期の改正を目指すことを提案しまして、私の発言を終わります。

 ありがとうございました。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まさに、選挙は、国民が政治に参加をして、有権者として、主権者としてその意思を政治に反映させるための本当に重要な機会であると思っております。

 ここで、有権者の皆様に政策や考えを訴える選挙運動の在り方や、投票における高齢者や障害者の皆様に対しての配慮等についての議論、本日、大変に有意義な議論であるというふうに思っております。

 特に、高齢者、高齢化の進展に伴う投票の在り方の見直しにつきましては、まさにうちの伊藤委員からもありましたけれども、郵便投票の要介護四また三の皆様への拡大、また、移動支援の拡充は大変重要なテーマだと思いますので、是非、公正性の担保の議論も深めながら、一日も早い実現を皆様とともに取り組めればと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 また、有権者の皆様と地域や社会の課題等について認識を共有する機会ともなる選挙運動につきましても、ビラや政見放送、またインターネット、SNSの活用の在り方等について更に議論を深めていければ、このように思っておりますので、これからもよろしくお願いを申し上げます。

 以上で意見とさせていただきます。ありがとうございました。

斎藤(ア)委員 ありがとうございます。

 先ほど私から申し上げた点に関して、一つだけ追加で発言させていただきたいと思います。

 選挙運動の中身の在り方について、本日も様々な御意見が出されていまして、先ほども逢沢委員から、選挙活動を今の形でずっと続けてしまうと生活の平穏が乱されてしまったりというところで、規制はある程度必要ではないかといった御趣旨の御発言があったと思いますけれども、確かに、今のような、名前の連呼であったりだとかそういった活動が常に行えるようになってしまえば、それはそれで有権者の方の政治への理解が更に下がってしまう、政治不信を招きかねないということがあるかと思いますので、先ほど維新の岩谷委員から御発言があったような問題点も一緒に検討しながら、あるべき選挙運動の在り方を検討すると同時に、選挙期間の定めについて、残しておくのがふさわしいのかどうか、同時に検討していくことが必要だと考えております。

 選挙期間のことに関して何点か追加で申し上げますと、選挙期間が定まっていることが政治不信を招く一つの原因になっていると思います。よく政治家は、選挙期間中だけ頑張って顔を出して活動しているけれども、選挙期間が終われば顔も見なくなる、そういったことを言われることは皆さんも多いかと思うんですけれども、やはり選挙期間でできることとそれ以外でできることが大きく異なるせいで、こういった誤解を与えるようなことになってしまっていると思いますので、そういった意味でも、選挙期間を定めることの是非については議論をしていく必要があると思っております。

 また、選挙期間が限定されていて、選挙の候補者であるということはその期間でしか言えないということになれば、やはりそれは新人にとって大変な参入障壁になると考えております。選挙期間の前には、次の衆議院選挙に立候補するということが言えずに、有権者の皆様には何となくそれを感じていただくような活動しかできずに、大変不利な状況に新人は置かれていることになってしまいます。

 次の選挙に向けて有権者の皆様が判断材料をしっかりと得るようにできるためにも、選挙期間前からやはり、どの選挙に出るのか、どういった活動をしているのか、より明確に答えられるような、そういった選挙期間の設定の在り方であったりとか政治活動の在り方についても議論をしていく必要があるというふうに考えております。

 また、選挙期間中にしていいこと、そして選挙期間前でしか行えないこと、こちらは極めて曖昧になっている、線引きが分からないということは、有権者にとっても、また、選挙に挑戦する人にとっても大変な活動の阻害要因になっていて、政治活動における市民の参画の阻害要因になっているということは先ほど申し上げたとおりでございます。

 以上のような理由から、そもそもの選挙活動の中身について、しっかりと在り方を検討していくことと同時に、選挙の活動の期間を設けるのかということについては併せて議論をしていくことが必要だというふうに申し上げまして、私からの追加の発言とさせていただきます。

 ありがとうございました。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 選挙運動と政治と金の問題は切り離せません。

 先月、前の寺田稔総務大臣が、選挙や政治資金の収支報告における領収書偽造の疑惑、地方議員らに報酬を支払っていた疑惑などにより更迭となりました。

 安倍政権時には、河井元法務大臣夫妻の大規模選挙買収事件、安倍総理の桜を見る会前夜祭の有権者買収疑惑が発覚しており、選挙犯罪である買収の問題を放置することは許されません。寺田前大臣は、亡くなった方を後援会の会計責任者として記載していた違法行為、身内への資金の還流や脱税の疑惑なども発覚しています。空白領収書の問題は、岸田総理の選挙収支でも発覚しています。

 プロの目を通すとして導入された政治資金監査制度が全く意味を成さないことを証明しています。収支報告書はそのまま速やかに公開すればいいのであって、政治資金監査制度は必要ありません。秋元担当副大臣のカジノ汚職事件、吉川農水大臣の鶏卵汚職事件など、金の力で政治をゆがめた問題が後を絶ちません。

 そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。国民が自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのものです。選挙権を持たない企業が献金することは、国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものです。

 一九九〇年代の政治改革は、廃止の方向に踏み切るといいながら、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道により、企業・団体献金を温存してきました。巨額の政治資金パーティー収入は、献金に比べ、名前や金額を公表されにくく、透明度が低いことも問題です。寺田氏の後を継いだ松本剛明総務大臣の資金管理団体が、会場の収容人数を大幅に上回るパーティー券を販売し、寄附隠しの疑いが持たれています。事実を明らかにしようとしない松本大臣の姿勢は、前任者に引き続き、大臣の資質が問われます。

 政治のゆがみを正し、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の全面禁止がどうしても必要です。パーティー券購入も含め、企業、団体による寄附の禁止、分散寄附の禁止、収支報告書公開の迅速化、罰則の強化などを行うべきです。

 国民は、自らの思想、政治信条に従い、支持政党に寄附する自由と権利を持っており、政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのものです。

 これに反するのが政党助成制度であり、思想信条の自由や政党支持の自由を侵す、憲法違反の制度です。

 九〇年代の政治改革において、企業・団体献金の禁止と引換えという名目で導入しましたが、現在も、企業・団体献金も政党助成金もという二重取りが続いています。九五年の法施行以降、国民に一人当たり二百五十円を負担させ、毎年約三百二十億円もの税金が日本共産党以外の各政党にばらまかれています。

 重大なことは、この制度が極めて深刻な形で政党の堕落を招いていることです。多くの政党が運営資金の大半を政党助成金に依存し、政党助成金目当てに新党の設立と解散が繰り返されてきました。政党は、国民の中で活動し、国民の支持を得て、国民から浄財を集め、活動資金をつくることが基本です。税金頼みの官営政党では、金への感覚が麻痺し、庶民の痛みが分からなくなっているからです。民主主義を壊す、極めて有害な税金の使い方である政党助成制度は廃止するしかありません。

 以上、発言を終わります。

大塚委員 自由民主党の大塚拓です。

 私は、外国勢力の選挙への介入について発言いたします。

 外国勢力による政治介入は、従来は政治資金の提供を通じた政界工作などが中心と考えられ、我が国でも、政治資金規正法で外国人からの寄附を規制しています。

 実際、長年こうした規制のなかったオーストラリアでは、中国による政治家への資金提供で安全保障に関わる重要政策がゆがめられたことが大きな政治問題となり、二〇一八年に外国献金を規制する法律が導入されました。

 一方、インターネットやソーシャルメディアが普及した現在、世界で大きな懸念を呼んでいるのは、偽情報やプロパガンダによる選挙への介入です。

 こうした手法が初めて大きな注目を集めたのは、二〇一六年のアメリカ大統領選挙です。このとき、ロシア軍参謀本部情報総局が民主党全国委員会の内部資料やヒラリー・クリントン陣営のEメールをハッキング、ウィキリークスへ暴露したり、インターネット・リサーチ・エージェンシーという会社がSNS上で大量の偽装アカウントを作成、クリントン候補を中傷する偽情報やプロパガンダを拡散したことが明らかにされています。この会社は、ウクライナに大勢の戦闘員を送り込んでいる民間軍事会社ワグネルの創設者、エフゲニー・プリゴジン氏が設立した別会社です。プリゴジン氏は、今年十一月に、アメリカの選挙に過去にも介入してきたし、現在も介入しているし、これからも介入すると公然と認めています。

 ロシアは、ほかにも、イギリスのEU離脱をめぐる投票やフランス大統領選挙にも介入してきたことが知られています。

 アメリカのランド研究所は、ロシアは、選挙を標的にした情報工作で人種、階級、ジェンダーなど内部対立を招く問題を悪化させ、社会を分断、混乱させる、民主的な制度やプロセスに対する国民の信頼を毀損するなどを目指していると分析しています。

 中国も、宣伝工作や影響力工作に熱心に取り組んできた国として知られています。

 人民解放軍は、早くから世論戦、心理戦を重要な戦いの領域と位置づけ、習近平政権ではプロパガンダを担う統一戦線工作部を特に重視するなど、心理、認知領域を標的にした取組を強化しています。

 八月のペロシ米下院議長の台湾訪問に際しても、数多くのサイバー攻撃や偽情報の発信が見られました。

 本年のアメリカ中間選挙では、米メタ社が、中国の影響力工作に関連すると見られるフェイスブックアカウント八十一件などを停止したと発表しています。

 NHKは、先月行われた台湾の統一地方選挙に際しても多くの偽情報が観測されたこと、台湾のNPOがネット掲示板やSNSを分析した結果、中国からの影響を受け、情報がゆがめられ拡散している傾向が見られたことなどを報じています。また、選挙期間中には、台湾の調査局が、中国寄りの偽情報を流したとして台湾の会社を摘発しています。

 我が国においては、これまでのところ、偽情報を発信しているアカウントの日本語が不自然であるなど、言語の壁に守られ、英語、中国語圏に比べてネットを通じた情報工作の影響は限られていると言われています。しかし、自動翻訳の技術が急速に発展している上、日本語が母語である協力者がいる場合は、言葉の違和感で気づくことはできません。更に言えば、我が国は偽情報や選挙への介入を監視する組織を有しておらず、単に気づいていないだけかもしれません。

 諸外国は、SNSなどを通じた選挙介入に強い警戒感を持って取組を進めています。アメリカは、既存の捜査、情報機関に加え、国土安全保障省に偽情報対策組織を立ち上げています。ヨーロッパでは、EU、NATOが共同で設置した欧州ハイブリッド脅威対策センター、NATO戦略的コミュニケーションセンター、各国の政府機関、NPOなどの組織によって、世論操作や偽情報の監視対策が実施されています。

 国際情勢が大きく変化する今、我が国においても、外国勢力による選挙介入、影響力工作に対応する組織や法的な枠組みの整備に早急に取り組む必要があるのではないでしょうか。民主主義の根幹である選挙の結果に影響が出てしまってからでは手遅れであることを認識すべきです。

 以上、問題提起させていただきます。

寺田(学)委員 立憲民主党の寺田です。

 まずは、このような機会を与えてくださいました委員長並びに理事の皆様に心から感謝申し上げたいと思います。

 せっかくの自由討議ということですので、忌憚ない意見を申し上げたいと思います。失礼がありましたら、あらかじめおわび申し上げたいと思います。

 まず、今日の議題となっている、選挙活動自体がどうあるべきかという根本的なところの考え方を二点申し上げたいと思うんですが、そもそもとして、選挙活動自体が、まず、主権者たる有権者が選択をする上でいかに参考になる活動であるのか、有権者にとって選挙行為、投票行為をする上でどれぐらい参考になっているのかということが私は一番に考えられるべき軸だと思っております。

 そしてまた、もう一つの点を申し上げると、議会自体が一人ではなく何百人という議席を保有していることの役割は、多種多様な考え方や立場の人間が集うべきということで設定されていると思いますので、そういう多種多様な立場の者が議会に上がってこれるように、特に新人にとって有利な選挙制度であるべきである。私も現職で六期目ではありますけれども、人の入替えがある程度行われること自体が議会にとっては必要なことだと思いますので、ある種、新人にとって有利な仕組みをつくること自体が求められているものではないかなと思っています。

 今まで様々な議論を、意見をいただきまして、今の制度の不具合を修正するという意味では本当に大きな御意見をいろいろいただきましたけれども、私も以前、ここの場の質疑の中で申し上げましたが、改めて申し上げて、この令和の御時世に、たすきをかけて、名前をでかでかと掲げた選挙カーで、拡声機で名前を連呼しながら町を走り回るという活動自体が、先ほど申し上げた、有権者にとって有益な活動なのかということに照らし合わせると、甚だ疑問であるというふうに思っております。

 我々も、何回もこの活動をしながら上がってきていますので、そういうものだと思ってしまっているかもしれませんが、やはり冷静になって考えると、この御時世に、選挙カーに乗って手を振って、遊説をして握手をして回る活動自体が、果たして、有権者にとって有意義な選択肢を提供しているのか。そしてまた、こういうスタイル自体が、先ほど申し上げた、議会に上がってくる方々、手を挙げよう、政治を変えていこうと思う新人の方々に尻込みをさせている部分はあると思っています。

 この場にいる委員の同僚の方と我が家はちょっと知り合いがおりまして、その同僚の方から言われたことがすごく印象に残っています。それは何と言われたかというと、ついこの間まで隣の席でトップクラスの頭脳労働をしていた人が、選挙に出るとなったら、いきなり大きな旗を持って路上で手を振っていて驚いたと言われました。

 家族が政治をやっていなければ、一般の方であれば、今の政治活動や選挙活動の実態がおよそ理解できないものであって、そういう奇異に映るような活動自体が、政治に飛び込んで世の中を変えようということをそいでいることは事実だと思います。そういう意味で、我々は、そういう環境自体を変えていかなきゃいけないというふうに思っています。

 あともう一つですけれども、根底にはやはり、今の我々の政治活動自体が、いかに有権者に根性を見せるかとか、身をささげている、家族を犠牲にしているということ自体を見せ合うかというような、過当な競争になっていることは改めなければならないと思っています。

 私自身も、寒い街頭に立ち続けることが結構有益であるということは、私自身、二回、選挙カーを廃止して、集会だけをやるような選挙をやりました。それはそれで三千人ぐらいが集まってよかったんですが、やはり、冬の吹雪の中で手を振っている方が反応はよかったというような経験もあります。これ自体が選挙にとって有効かどうかという点では様々な考察がありますけれども、有権者にとって必要な情報を与えられたかということは、選挙カーに乗っても、街頭で手を振り続けても、私は、必要なものを与えることはできなかったんじゃないかなというふうに思っています。

 先ほどるる出ていますけれども、事前運動に関しても、甚だ私は疑問に思っています。やはり公示前であろうとも、私は何の選挙に出るのだということをはっきりと言うこと自体が、候補者にとっても、まさしく有権者にとっても必要な情報であろうと思いますので、その点に関してはしっかりと改正が必要だと思っています。

 ブラック校則をなくせとさんざん国会で言いながら、自分たちの公選法自体を見直せないこの国会自体がいかに情けない状態であるかということは、我々、自分にも肝に銘じたいというふうに思っております。

 ですので、いろいろ直したいところはあるんですが、私自身としては、まず、既存の発想から脱するという意味で、選挙カーを廃止するということが一つ。そしてもう一つ、事前運動規制をやめるということの柱が一つ。以上の二点を、まず早速、我々として様々な議論を交わしながら、方向性としてやっていくべきではないかなと思います。

 見直しのプロセスが必要だと思います。この場で話し合うことは有意義でありますが、話したところで何にも変わりませんし、閣法では出てきません。ですので、前からここで申し上げていたとおり、この倫選特の中に常設の小委員会をつくっていただきたいと思います。常設の小委員会をつくっていただいて、選挙部の方から様々な論点整理をしていただいた上で、議論を交わし、ある程度議論が高まったところで、またこのような全体の会議を行うということのやり方が必要だと思っています。

 私自身としては、総選挙が行われるたびに、一年後をめどに、毎回、公選法に関しての不具合であったり、又は改善点ということを議論し、成案を得て、毎回、総選挙のたびに公選法を変えて、先ほど冒頭に申し上げたとおり、選択をする有権者にとって有意義な、有益な情報が与えられる選挙活動、そして、候補者として新人ができる限り入ってきやすいような選挙制度というものを絶えず制度化して、習慣として見直していくような仕組みをつくっていただきたいというふうに思っていますので。

 まずは、今日開いていただいた方、委員長を含め皆さんに御礼申し上げたいと思いますが、是非、常設の小委員会をこの倫選特に設置することを強く求めて、終わりたいと思います。

 以上です。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 私からは、二点、意見を申し述べます。

 まず一点目は、公営掲示板に関しましてでございますけれども、先ほどから議員の皆様から御指摘あったと思いますけれども、現在は、木の公営掲示板に候補者陣営がポスターを貼っていっている。選挙では、公営掲示板にポスターを貼るのに多くの方々の協力を得なければならない中で、非常に時間がかかっていると思います。

 公営掲示板ポスターは、有権者に候補者を知っていただく点では非常に優れていますし、一方で、広い選挙区を持っている方は、貼っていくのが非常に大変だというところでありますけれども、この度、十増十減が実現し、選挙の区割りが変わりました。

 この中で、ますます大きな選挙区になるところも出てきます。例えば、私自身の選挙区でもそうなんですけれども、兵庫五区という選挙区に関しては、川西市の西部が加わって、ただでさえ広い選挙区が更にまた広くなってしまった。

 公営掲示板を電子化することでポスターを貼る手間が省けるんじゃないかということを提案をさせていただいていまして、紙の削減にもなると思います。以前、本委員会でも、この公営掲示板の電子化についても質問させていただきました。御答弁では、どのような範囲で選挙運動のために電光表示などを用いることを認めるとするのか、あるいは、お金のかからない選挙の観点から、設置に関わる経費などをどのように考えるかといった論点があるとの御指摘がありました。

 確かに、現在の全ての掲示板の場所を電子化するのは現実的ではないかもしれないんですけれども、一方で、インターネット投票も含め、時代の変化に合わせて変えていくべきであるというふうに思います。そのため、公営掲示板の電子化についても、今後、各党各会派で検討を進めていくべきではないかと思います。

 それから、二点目に関しましてですけれども、現在、メタバースと言われる仮想空間を活用した選挙運動などが注目されていると思いますけれども、インターネットの仮想空間であるメタバースが次第に、今メディアにも取り上げられていると思います。大企業でも本格的に取り入れようとしているところも増えてきていますし、一方で、地方自治体でも、大阪府、大阪市のバーチャル大阪であったり、兵庫県の養父市のバーチャルやぶであったりとか、そういう取組も地方自治体で実際行われている。

 メタバースを選挙運動に活用する課題についても検討を進めていくべきではないかなというふうに思います。

 公職選挙法では、ウェブサイト等を利用する方法による文書図画の頒布について、表示義務が課されている中で、現時点では特段の課題は生じていませんが、今後ともこの課題が生じないかについて、総務省において検討を行っていただきたいというふうに思います。

 また、若年層の投票率について、令和四年七月に行われた第二十六回参議院選挙、通常選挙では、十代が三五%、二十代が三四%、三十代が四五%となっていますけれども、全年代を通じた投票率の五二%と比べると非常に低くなっているんじゃないかなと。

 ちなみに、環境省では、メタバース内の東京ガールズコレクションにブースを設けて、環境意識の向上を図っている、こういった事例もあります。

 若年層に関心のあるメタバースを活用して政治意識の向上を図っていくことも、総務省として検討していただけるとありがたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木(憲)委員 自由民主党の鈴木憲和です。

 本日は、発言の機会をありがとうございます。

 私は、そもそも、民主主義の健全な発展のためには、選挙というものに対して、誰一人まず取り残さない、そしてアクセスしやすいような選挙体制というのをしっかりとつくるべきだろうと思います。その意味で、最初、逢沢委員が御発言をされたとおりで、できる限り選挙運動の規制というのはやはり自由にしていくんだ、最低限にして分かりやすくしていくんだという観点が今の公職選挙法を見直す上で全く必要なんだろうというふうに思っています。

 その上で、具体的にちょっと四点だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 まず一点目に申し上げたいことは、配布できる文書についてです。

 公職選挙法の第百四十二条に規定された一定のもの以外は、原則としては配布することができないということに今なっていますが、例えばなんですけれども、個人演説会の案内を内部文書として、内部連絡という形で配ろうと思うと、そこに候補者の名前は書けないわけです。見た人は誰の演説会なのか当然分からないわけです。こんなおかしな話は、有権者にとって、果たしてこれは正しい民主主義の、要するにアクセスをちゃんと確保しているんだろうかという観点でいえば、私は甚だおかしいというふうに思っています。

 それと同時に、本来であれば、こういう演説会に来ていただいてリアルに話を聞いていただく、そして、それは全ての候補の話をできたら聞いていただく、そして判断をしていただくというのが私は基本だろうというふうに思っていまして、その観点でいえば、本来は、あしたやりますと言われても普通の人は来られないわけなので、事前にどことどこで演説会をやりますということを選挙公報にしっかりと全候補載せていただいて、行けるところに皆さん来ていただくということが私は本来あるべき姿でないかなというふうに思います。

 ちなみに、選挙はがきについては、選挙公報がありますから、正直、取って代わられていると思うので、全く不要じゃないかなというふうに感じています。

 そして二点目は、戸別訪問についてです。

 今日も何人かの皆さんから議論がありましたが、やはり戸別訪問が禁止されている理由は、買収や利益誘導などの不正行為を招きやすいためという説明がどこを見ても書いてあるわけですが、正直、不正な手段については、それはそれとして規制をすべきであって、外形的に戸別訪問を私はやはり規制する理由としては果たしていかがかなというふうに思います。

 特に、高齢社会になってきたときに、私の地元でも、これから雪が降って、雪が降れば、御高齢の皆さんはほとんど外に出ません。外に出ない中で、その皆さんにどうした政策を伝えるのか、人柄はどうなのか、やはりこれを知っていただくというのは、私は戸別訪問以外に、正直言うと難しいのではないかなというふうに思いますので、やはり直接候補者に触れる機会を奪っているのが私は今の戸別訪問の禁止だろうというふうに思います。

 そして三点目は、取締りの在り方です。

 これはそもそもルールとも関係をするんですが、選挙の違反をやりたくてやっている候補者というのはいないわけです。そして、応援する方も一緒だというふうに思います。

 しかしながら、現状のルールが本当に曖昧で、しかも、かつ、細か過ぎるせいで、故意でなかったとしても、知らずしてミスを犯してしまう。ミスを犯してしまった際に何が行われているかといえば、選挙後にいきなり警察から呼出しを受けまして、そして何日も何日も取調べを受けるというような、これは任意とはいえ、こうしたことが行われています。

 特に、田舎の社会に行けば、地域では、そういうことがあれば当然白い目で見られますので、だとしたらもう選挙に関わっちゃ駄目だよねという空気感を醸成することになるわけです。私は、これは今の制度が原因だというふうに思いますが、取締りの在り方も含めて、もう一度考え直すべきだというふうに思います。

 最後に四点目です。主権者教育の在り方について考えるべきだというふうに思います。

 日本においては特に若年層の投票率が低いことは言うまでもありませんが、やはりこれを改善するためには、学校教育の現場で、もっと政治について自由に意見が表明できるんだ、そういうことを教えていく必要があると思います。

 例えば、日本の学校現場は、衆議院と参議院の違い、国会の仕組みはこうですよということは教えますが、申し訳ありませんが、それは生徒の皆さんにとっては、全く面白いものではないわけです。本来は学校の先生方が、まあ、余り政治的中立というのを今気にし過ぎているせいで何も物事が言えないという雰囲気にあるわけなんですが、本来はそういうことを気にしないで、先生方も一人の国民として意見があるんだよ、支持する政党があるんだよ、こうしたことを明確に言って、そして、政治というのは様々な意見があって、それを基に一つの方向ができるんだということを、学校現場の中で、そういうリアルに議論する場というのを私は増やすべきでないかなというふうに感じています。

 以上申し上げて、意見表明とさせていただきます。ありがとうございます。

櫻井委員 立憲民主党・無所属の櫻井周です。

 本日は、このような自由討議の機会を設けていただいたということで、本当にありがとうございます。

 それでは、私の方から発言をさせていただきます。

 まず、今日、もう様々な御提案が出てきております。是非、こうした提案、今日のこの委員会で言いっ放しということでなくて、やはり実のあるものにしていくべきだというふうに思いますので、小委員会を設置していただくことを理事会で御協議いただきたいと思いますが、委員長、お願い申し上げます。

平口委員長 御指摘の件については、理事会で協議をいたします。

櫻井委員 ありがとうございます。是非実現をよろしくお願いいたします。

 その上で、民意のありようについて、これまでもいろいろな議論がございました。先ほど寺田委員からは、根性論の見せ合いみたいな話で、しかし、それは票を獲得する上で現実には有効だろうというお話もございました。でも、本当にそれが国民の民意をしっかりと吸い上げるといいますか、国民に対して有意義な選択肢を示すことになっているのかどうなのかということでも大変疑問があるという御発言もありました。

 また、そもそもこの民意とは何なのかというところでございますけれども、そもそも政治というのは、私たちの生活、自分たちの生活について、これをよくしていく、そのためにみんなでルールを決めていく。自治会とか小さな場面であれば、自分たちで集まってということができますけれども、国とかいうふうなことになってくると、これは規模が大き過ぎるということもあって、間接民主制を導入しているという側面もあろうかと思います。

 そうした中で、自分たちの問題は自分たちで解決するということのこの基本について、じゃ、小学校、中学校で、高校で、十分、学校教育で学ぶ機会を持っているのか、また、それ以外で十分な機会を持てているのかというと、必ずしもそうではないように思います。

 先ほど鈴木委員からもお話ございましたけれども、制度を教えても、本来の、政治の本質であるところの、自分たちの問題を自分たちで考えて解決していく、その部分についてやはり考えていく機会、そして実践をしていく機会、そうした成功体験の積み重ねこそが民主主義を育んでいくということになるのではないのかというふうに思います。

 諸外国を見て、投票率の高いところ、低いところ、いろいろございます。高いところの中でも、実は、投票に行かないと罰金というような制度を設けて、強制的に投票に行かせるという制度を導入している国もございますし、そんなことをしなくても十分高いという国もございます。

 罰金制度を設けていなくても高い国というのを見ると、一つには、やはりそうした小学校、中学校時代からのいろいろな教育制度で、自分たちで決めるんだということ、特に小学校、中学校なんかでは学校評議会制度のようなものを設けていて、その中で、日本であれば、そういう制度があっても大人たち、PTA、学校の先生それから地域の人たち、大人が全部決めてしまうということになっているけれども、そうした地域においては、生徒が過半数を持っていて、生徒が一致団結すれば、生徒たちで、自分たちで決められる、それが仮に余りいい選択ではなかったとしても、それをやって失敗して、その結果を自分たちで受け止めるというところも含めての教育をやっているというようなことも聞いておりますので、やはりそうしたことを根本から我々は考えていくべきではないのかなというふうに思います。

 そうしたことも含めて、是非引き続き議論させていただきたいと思います。

 二点目について、ちょっとこれはもう一回、この委員会でしっかりと議論をさせていただきたいと思うのは、前の総務大臣、寺田大臣、これは御自分のことでいろいろな問題が出てきた。その都度、国会での答弁の中で、私が聞いていると、何か自分の言い逃れのために法令解釈を曲げてしまっているのではないのか、そんなように聞こえる場面が多々ございました。

 私自身、政治資金収支報告書に添付の領収書につけるべき印紙について質問させていただきましたけれども、印紙は領収書を発行したときにちゃんとつけなければいけないんですけれども、明らかにそれをつけていない、でもそれは問題ではないような、印紙税法に違反しても別に構わないかのような発言をしていたようにも受け止められます。

 したがいまして、やはり、ちょっとこの寺田大臣の答弁について、もし、ある種、法律の解釈をねじ曲げてしまっていたのであれば、その点について修正をするという作業をしっかりやっていかなければいけないということを問題提起させていただきます。

 以上です。

藤井委員 自由民主党の藤井比早之です。

 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、まず、憲法改正国民投票法はあくまでも憲法調査会において議論すべきものと理解をしておりますけれども、投票環境整備などの外形的事項、手続について一言述べたいと思います。

 国民投票法は、投票環境整備などの投開票に係る外形的事項、まさに手続と、国民投票運動に係るCM規制などに代表される投票の質に関する部分とから構成されていると理解しておりまして、前者の投開票に係る外形的事項は、国民投票法制定以来、公職選挙法並びとすることが合理的というふうに考えられ、そのように規定されてきました。

 しかしながら、洋上投票の対象の拡大や投票所へ入場可能な子供の範囲拡大など、まさに実務的な外形的事項と言える、まさに手続ですね、公職選挙法が改正されたのは平成二十八年、国民投票法が改正されたのが令和三年ということになります。天災等における安全、迅速な開票に向けた規定整備と投票立会人等の規定整備は、令和元年に公職選挙法は改正されましたが、国民投票法案は改正されておりません。

 投票環境については、国政選挙と国民投票、これに差を設けず、時間差が生じないというのがあるべき姿だと考えられるところから、公職選挙法で実務的な外形的事項、手続ですね、これからまさに郵便投票の対象範囲拡大とかも行われた場合はまた時間差ができるということであれば、これは問題ではないかと思いますので、準用等も含めて、国民投票法も同時に改正できないか、検討をお願い申し上げたいと思います。

 次に、供託金の額についてなんですけれども、先ほど塩川委員からも御指摘ございましたので詳しくは申し上げませんが、お金のかからない選挙の実現、そしてまた幅広い皆様に選挙に携わっていただく、参画していただくというためには、供託金の額の引下げも必要なのではないかというふうに考えておりますので、御検討をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 また、これは私も委員会で質疑させていただきましたし、先ほど手塚委員から御指摘がございました、期日前投票における選挙の公正の確保でございます。

 例えば、公職選挙法第百三十二条には、選挙の当日は、選挙事務所は、投票所を設けた場所の入口から三百メートル以外に限り設置することができると規定されております。これは、特定候補者に有利な影響が生じないようにおもんぱかっているというふうに解されているところでございます。

 しかしながら、期日前投票所の目の前に選挙事務所を設けている例は実際にございます。目の前でずっと、それで選挙運動をしておられるわけです。

 公職選挙法第百二十九条で、選挙運動の期間は選挙の期日の前日までとする、選挙の当日における選挙運動を禁止している。これは選挙の静ひつと公正を維持する、まさに特定候補者に有利な影響が生じないようにおもんぱかっているものと理解できます。

 そもそも、期日前投票は、不在者投票の一環、投票の例外として扱われてきたのではないかと考えます。しかし、現在では、期日前投票こそが選挙の結果を左右すると言っても過言ではない状況になってきておりまして、毎日が選挙の当日と言っても過言ではございません。選挙の当日に選挙運動を禁止した趣旨に鑑み、期日前投票が一般化した現在において、特定候補者に有利な影響が生じないように、選挙の公正を確保するために制度改正をすべきではないかと提案をさせていただきたいと思います。

 また、これは複数委員からも御指摘がございました。車上運動員そして手話通訳者、要約筆記者は一万五千円、選挙運動のために使用する労務者は一万円、選挙運動のために使用する事務員は一万円、そしてまた時間が、そしてまた人数がと、非常に細かく報酬支払い対象者の区分というのは規定をされております。賃上げをして、最低賃金を上げてということになりますと、それを上昇させるというのも考え方でございますけれども、お金のかからない選挙を実現しつつということであれば、総枠で幾らとか、そういった簡素化が図られないか。

 また、選挙運動費用、収支報告書の提出期限が十五日以内と早過ぎますので、三十日以内とか延期できないのか、提案をさせていただきたいと思います。

 以上でございます。

平口委員長 他に御発言の希望はないようですが、よろしいですか。

山本(剛)委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が余っているので、ちょっと要望的なものを申し上げさせていただきたいなと思うんですが、皆さんの御意見を伺っていると、やはり、この委員会が動かないと何も変わらないということがあると思いますので、是非、活発な議論を今後継続をしていくことを要望をさせていただきたいと思います。

 やはり、多様化する民意に対応する議会というものをしっかりとつくっていくためにも、制度設計というものは非常に大事だというふうに考えております。

 そういった中で、公選法の条文ごとに、条文を取り上げてその議論をしていくような、こういった討議の場を設けていただくことも併せて要望させていただきたいと思います。

 公選法は、地方選挙にも非常に大きな影響を及ぼすわけでございまして、我々だけで決めるのがどうなのかということも一方ではあるかと思います。幅広の議論を進めていただくことを委員長には是非お願いを申し上げて、私の意見とさせていただきます。

平口委員長 他に御発言の希望はないようですが、よろしいですか。

 本日は、活発な御議論をいただき、誠にありがとうございました。

 これにて自由討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十七分散会


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