衆議院

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第2号 令和5年4月26日(水曜日)

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令和五年四月二十六日(水曜日)

    午後二時四十分開議

 出席委員

   委員長 平口  洋君

   理事 奥野 信亮君 理事 冨樫 博之君

   理事 藤井比早之君 理事 松本 洋平君

   理事 源馬謙太郎君 理事 渡辺  周君

   理事 山本 剛正君 理事 伊藤  渉君

      井原  巧君    石橋林太郎君

      上田 英俊君    加藤 竜祥君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      熊田 裕通君    塩崎 彰久君

      鈴木 憲和君    橘 慶一郎君

      辻  清人君    西野 太亮君

      鳩山 二郎君    平井 卓也君

      深澤 陽一君    古川 直季君

      本田 太郎君    落合 貴之君

      佐藤 公治君    手塚 仁雄君

      寺田  学君    徳永 久志君

      浦野 靖人君    遠藤 良太君

      岡本 三成君    福重 隆浩君

      斎藤アレックス君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   衆議院調査局第二特別調査室長           大泉 淳一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     上田 英俊君

  神田 潤一君     西野 太亮君

  熊田 裕通君     深澤 陽一君

  斎藤 洋明君     石橋林太郎君

  中西 健治君     橘 慶一郎君

  櫻井  周君     寺田  学君

  岩谷 良平君     遠藤 良太君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     井原  巧君

  上田 英俊君     石原 正敬君

  橘 慶一郎君     中西 健治君

  西野 太亮君     神田 潤一君

  深澤 陽一君     熊田 裕通君

  寺田  学君     櫻井  周君

  遠藤 良太君     岩谷 良平君

同日

 辞任         補欠選任

  井原  巧君     斎藤 洋明君

    ―――――――――――――

二月二十七日

 政党助成金の廃止に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三五号)

 政党助成金を直ちに廃止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一五五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一五八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一五九号)

四月二十日

 政党助成法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八五八号)

 同(笠井亮君紹介)(第八五九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八六〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第八六一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八六二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第八六三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八六四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八六五号)

 同(宮本徹君紹介)(第八六六号)

 同(本村伸子君紹介)(第八六七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件(選挙運動等について)


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     ――――◇―――――

平口委員長 これより会議を開きます。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松本総務大臣。

松本国務大臣 総務大臣松本剛明でございます。

 公正かつ明るい選挙の実現に向けて、副大臣、大臣政務官、職員とともに全力で取り組んでまいりますので、平口委員長始め理事、委員の先生方の御指導をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

平口委員長 総務大臣は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

平口委員長 次に、政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する件、特に選挙運動等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長森源二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平口委員長 本日は、去る令和四年十二月七日に行われました自由討議の論点から、討議項目を選定し、選挙運動用文書図画規制のあり方(選挙運動用ビラ、ポスター等の規格の統一・制限の緩和、証紙の貼付)、事前運動と期日前投票の制度改革、特定の候補者に対する誹謗中傷対策、選挙におけるディスインフォメーション(偽情報)対策、インターネット選挙運動の規制緩和、郵便等投票の対象者拡充、投票所への移動支援事業等の充実、その他、以上七項目について、各会派の代表者の意見表明及び委員間の自由な討議を行います。

 議事の進め方でありますが、まず、各会派を代表して一名ずつ大会派順に十分以内で発言していただき、その後、順序を定めず自由討議を行いたいと存じます。

 発言時間の経過につきましては、終了時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 御発言は着席のままで結構でございます。

 選挙運動をめぐり、様々な課題があろうかと思います。しかし、これらは各党がお互いに知恵を出し合って、できるだけ接点を見出して解決策を見出していきたいと考えております。私も委員長として最大限努力してまいります。

 それでは、各会派の代表者から発言の申出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 私は、自由民主党の橘慶一郎です。

 自由民主党・無所属の会を代表して、選挙運動等に関する課題につきまして、郵便投票の対象範囲の拡大、また、特定の候補者に対する誹謗中傷対策等を中心に、その他の項目についても意見の表明を行わせていただきます。

 まず、郵便投票の対象範囲の拡大について申し上げます。

 我が国は、今日、高齢化が進んでおり、在宅高齢者の方で、投票の意思があるにもかかわらず投票所に行くことができない方も多くおられます。現在、高齢者の方は、投票所へのアクセス支援や、病院等の入院、入所中の施設における不在者投票のほか、身体に重度の障害をお持ちの方に対する郵便投票が認められていることは各位御承知のとおりであります。

 郵便投票の対象となる要介護者の範囲については、現在は要介護五とされておりますが、従前より、都道府県選管連合会や市区選管連合会等の現場からは、その拡大の要望が出されておりました。

 また、平成二十九年六月には、総務省の投票環境の向上方策等に関する研究会において、要介護四及び三の方々、また、令和四年九月現在でこの方々は約百八十一万人おられるわけでありますが、これらの方々に対象範囲を拡大することが適切であるとの報告書が出されているところであります。

 こうした状況を受けて、我が党は、郵便投票の対象者について、有権者の選挙権行使の機会をできる限り確保する観点から、また、本格的な高齢化が進展している中で、特に在宅介護を受けている方々の投票機会を確保するため、その範囲を拡大し、要介護四及び三の方々を郵便投票対象者とする法律案を平成三十年五月に公明党と一緒に取りまとめております。

 与党案の具体的内容について申し上げますと、郵便投票の対象者について、現行の、選挙人で身体に重度の障害があるもののほか、これに準ずる程度の障害があるものを加えることとし、その具体的範囲について、自ら投票所に行くことが不可能、又は著しく困難な状態を示す障害の区分又は要介護状態区分に該当するものとして、政令で定めるものとしております。その上で、政令において、要介護四及び三の方々を対象に追加することを想定しております。

 一方、選挙の公正を心配される向きもございます。

 総務省の研究会の報告書では、現行法の対象者となって以降、特段、不正事例は見当たらないとされておりますが、選挙の公正を確保することは大変重要であり、我が党は、現行の公正確保策について、高齢者御本人を始め、御家族、介護福祉関係者などへの周知を徹底的に行い、手続や罰則を含めた制度の正確な理解を促進するべきと考えております。

 このような点を勘案し、与党案におきましては、本法施行まで一年をかけて、制度の周知と公正確保のための周知徹底を行った上で、施行日以後に初めて期日が公示される直近の国政選挙から適用することにしております。

 郵便投票の対象範囲を要介護四及び要介護三に拡大することは、高齢化社会の中にある我が国にとって不可欠な制度改正であると信じております。皆様方には御賛同いただければ幸いであります。

 次に、特定の候補者に対する誹謗中傷対策、選挙におけるディスインフォメーション対策に関連し、いわゆる落選運動に関する規制等について申し上げます。

 近年、選挙の現場において、候補者以外の一般個人が○○候補を落選させようと記載した文書を大量にポスティングしたり、この人を落選させようと、○○候補の似顔絵を描いた看板を駅頭に掲示し、マイクで通行人に訴えたりしているような行為が大きな問題となっております。

 実際、候補者以外の個人が行う、落選を目的とする行為の標的となった候補者は党派を問わずおられますが、選挙期間中にこのような行為をされた際の困惑、対処の難しさが推し量られるところであります。

 我が党は、標的となった方々からお話をお聞きし、現に弊害が生じている実態を確認し、現状を一歩でも改善するため、候補者、政党等以外の個人が行う、落選を目的とする一定の行為に新たな規制を加える必要があると判断するに至ったところであります。

 現行公選法上では、戸別訪問、署名運動等のように規制の必要性、合理性が認められる行為があるわけですが、個別に落選運動規制がこういったものについては設けられているわけですが、それらに加え、落選運動のためのビラの頒布、ポスターの掲示、落選運動のための拡声機を使用した街頭での演説についても規制の対象とすべきと考えております。

 我が党は、候補者個人の選挙運動は厳格な規制の下で行われるのに対し、一般個人が行うこれら落選運動の行為は、選挙運動規制の脱法的な行為であり、放置すれば選挙の公正が害されるおそれが極めて高いと考えております。

 本来、複数の候補者が同じ選挙運動手段の下で競い合うべき選挙において、仮に、A候補者に対して、候補者でない個人Bが落選運動を行った場合を考えてみます。

 落選運動をされているA候補者から見れば、あたかも他の候補者と個人Bの連合軍と戦うに等しいような状況になってしまい、実質的には他の候補者よりも少ない選挙運動手段しか持っていないことになります。これで選挙の公正性が確保されるか、疑問であります。

 もとより、我が党は、憲法の保障する表現の自由との関係で、落選運動全般を網羅的、包括的に規制しようとする考えはなく、現に弊害が生じている個別の事実に着目し、これに対処するために、必要性、合理性が認められる範囲において規制を設けようと考えていることを申し上げ、皆様方には、何とぞ趣旨御理解の上、御賛同いただきますようお願いを申し上げます。

 なお、国内外でフェイクニュースや偽情報のプラットフォームサービス上の拡散が深刻となっている今日、民主主義の根幹を成す選挙へのこれらフェイクニュースや偽情報については、国家安全保障の観点からも早急な対応が求められる極めて重要な課題であると認識しております。

 次に、投票所への移動支援事業等の充実について述べます。

 これまで、大学や商業施設への期日前投票所の設置を始め、共通投票所の設置、移動期日前投票所の設置、期日前投票の投票時間の弾力化などの法的措置や、自動車を用いた移動期日前投票所への移動支援、主権者教育の取組など、有権者の利便性向上のための取組が行われてきましたが、残念ながら、先般の統一地方選挙でも、投票率の低下には歯止めがかかっていないのが現実であります。

 その要因は様々あると思います。極論かもしれませんが、選挙を財政的に支える経費が全体的に不足していることも、投票率低下の一因ではないのかと思うこともあります。我が党は、選挙は議会制民主主義の土台であり、財政面でも講じないといけない取組については前に進める方針であると申し上げておきます。

 次に、候補者個人の選挙運動用ポスターの規格の統一等について申し上げます。

 選挙運動用ポスターの規格統一の項目については、昨年十二月の意見表明でも述べられていますので重複は避けますが、我が党は、選挙の種類が異なってもビラ、選挙はがきの規格は同じなのに、ポスターの規格が選挙の種類により異なるのは整合性が取れないこと、演説会告知用ポスターの記載の有無は候補者の選挙の進め方に関わるものであり、その判断は候補者に任せるべきであること等の理由から、候補者の選挙運動用ポスターの規格を統一すべきであると主張しているところであります。

 最後に、インターネット選挙運動の規制緩和に関し、電子メールを使用した選挙運動について申し上げます。

 電子メールを使用した選挙運動については、現行法上、候補者、政党、確認団体以外のものはできないこととされていますが、その送信主体を一般有権者や団体等にまで拡大するか、また、現行のように相手の同意を得ることとするか等について、検討する必要があると考えております。

 そのほか、選挙運動用自動車の規格制限の簡素化、及び、自動車等に取り付けて使用する文書図画の種類、規格制限の撤廃についても、昨年十二月の意見表明で述べられているとおり、選挙運動規制の自由化に沿う内容であることから、皆様方には是非御賛同いただければと考えております。

 あわせて、現在一万五千円以内とされている車上運動員の一日当たりの報酬上限金額が低いとの指摘がなされていることから、これを引き上げるべきと考えております。その具体的な金額については、各党各会派で議論を行い、その結果に基づいたものになるようにすべきと考えております。

 以上で私の意見の表明を終わります。御清聴どうもありがとうございました。

平口委員長 次に、寺田学君。

寺田(学)委員 立憲民主党の寺田学と申します。

 まず、前回に引き続き、このような機会を設けられた委員長を含め理事各位の皆さんには心から感謝申し上げたいと思いますし、発言の機会を賜りましたことを同僚議員にも御礼申し上げたいというふうに思っております。

 前回もお話し申し上げましたけれども、やはりこういう討議の場というものが慣例的、定期的に行われることは非常に有意義なことだと思っています。一過性に終わることなく、様々な機会を聴取する機会として、こういう機会が設け続けられることをお願い申し上げたいと思います。

 加えて、今日も様々な議論がなされるとは思いますけれども、やはり、議論して終わりということではないと思います。衆議院においてはいつ選挙があるか分かりませんし、先ほど終わりました統一地方選挙を含めて、地方選挙は日に日に行われておりますので、議員立法に向けた検討の小委員会というものをこの委員会の中に設けまして、実質的な法文、法改正に向けた動きというものも是非とも御検討いただきたいというふうに、委員長含め理事の皆さんにお願い申し上げたいと思っております。

 本題に入ります。

 さきの統一地方選挙、また補選が行われましたけれども、残念ながら、投票率というものは劇的に上がることなく、下がり続ける傾向というものも見受けられます。様々な要因があるとは私も思っておりますけれども、今日この場でお話しするこの選挙運動というもの自体が、今の時代において有権者にとって最善の選挙運動になっていないのではないかなというのも大きな理由の一つだと思います。

 以下、様々御提案申し上げたいと思いますが、まず第一歩として、選挙運動の在り方を考える中で留意すべき点をまず三つ申し上げたいと思います。

 一点目は、非常に基本的なことではあるんですが、選挙運動は誰のためにあるべきなのかといえば、もちろん候補者のためではあるとは思いますが、何よりも何よりも主権者たる有権者にとって、分かりやすく、そして投票行為を行うに当たって有意義な情報が提供される選挙運動の在り方であるべきだと思います。

 二点目ですけれども、まず、政治にとって好ましいことというのは、議会であれば、多くの者がその舞台に立ち、様々な価値観というものを自分の背景を参考にしながら述べ合うことであって、そのためには、その議会に集う者の新陳代謝というのは必ず必要だと思っています。

 また、首長においては、その権限が集中することが必然であって、その弊害として、長期に権力の座にとどまることを問題視する向きもあると思っています。

 これらのことを踏まえて、選挙制度、選挙運動の在り方自体は、現職よりも新人にとって有利なものを前提とした仕組みに変えていくべきだと思っております。自分自身も現職の議員でもありますけれども、ここはまた強く申し上げたいと思います。

 三つ目ですけれども、議会活動や政治活動、自らの志や政策を基に有権者が判断をしていく、そういうような選挙運動であるべきだと思います。

 最近行われた地方選挙、私の友人もたくさん立ちましたし、都内でも立ちましたが、活動の目玉とされているものが、特定の駅において始発から終電まで駅で立って演説をするということを、根性を見せつけるためにアピールしている節がありました。それに対して多くの方が激励を寄せているんですが、こういうものがはやってしまっていること自体にも、私は大きな問題意識を持っています。

 一生懸命、御本人としても、それをたたえる有権者としても、相互の関係はあるとは思いますが、本来、その人の人格であり、その人の理念であり、その人の政策的な思考を基に、できれば選挙の投票行動が行われることが、国民にとってもふさわしい結果を招くものと思いますが、やはり今は、根性と露出というものが投票行為において大いに影響を与えていることになっていると思います。

 そのことがあるからこそ、候補者ないしは現職の人間も含めてですけれども、自らに限られた時間とそのリソースというものを、地元の中において一生懸命露出を増やすこと、そしてまた、とにかく多くの方々にお会いをして、つけ届けをしっかりと満たしていくこと自体が大事になっているということは、人の気持ちをつかんでいく上ではとても大事なことでありますが、それだけに、それがより強くなっていくこと自体は、本来、議会であり首長が求められている部分とは違った形で人が選ばれるということが強くなるのではないかなと思っております。

 以上申し上げた三点をまとめますと、選挙運動のあるべき姿というものは、候補者ではなく有権者にとって有意義なものであるべきだということ。そしてもう一つ、選挙運動は現職ではなく新人にとって有利なものであるべきということ。そしてまた、選挙運動を通じた投票が、根性と露出ではなく、理念や実績で判断されるような仕組みにしていくべきことだと思います。

 それらの留意事項を踏まえた上で、二、三点、提案をしたいと思いますが、前回も申し上げておりますけれども、まず一点目に申し上げたいのは、事前運動の解禁です。

 この法制度の立法趣旨は制定当時には何かしらの意味があったということは推測をしておりますが、今日においてこの事前運動を禁止することが果たしてどのような意味と公平性を保つために必要とされているのかがよく分かりません。事前運動を制限すること自体は、候補者及び現職もそうですけれども、候補者にとっても大変面倒なことのみならず、有権者にとっても分かりにくく、そして、先ほど申し上げた、特に新人にとっても不利なものとなっています。

 事前運動は様々な禁止がありますけれども、象徴的な事案としては、何の選挙に出るかをはっきり訴えられないということがまず挙げられます。

 私自身の解釈としては、事前運動に当たるのは、特定の選挙において特定の候補者に投票を依頼することだと捉えていますが、もちろん、そのことを禁止することの意味は当時はあったのかもしれませんけれども、有権者にとってみれば、そこの街頭に立って訴えている人間が何を目指そうとしているのかということをできるだけ明快に分かりやすく知りたいと思っているにもかかわらず、県政を目指しますということで、県知事なのか県議会議員なのか何かも分からない中でやっているということは、有権者にとっても訴える側にとっても効果的なものではないと思っています。

 もちろん、様々な理由があってそういうことをしていると思いますけれども、自分自身が何を目指すのかということをはっきり主張すること、そして、ここは御議論あるかもしれませんが、はるか昔から、選挙になったら投票してくださいと言うこと自体が何か問題があるのか、私には分かりません。

 そういうことも踏まえて、事前運動の在り方というものは今日においてどうあるべきかということは考えるべきだと思います。

 あと、実務上、問題点として感じることは、選挙の公示、告示が行われた後に、皆さんも集会や街頭演説を告知しながらやると思いますが、まさしく選挙においての関心が高まってくる告示中の集会であったり街頭演説の日時や場所を、告示になるまで案内ができないということになっています。

 本来であれば、その最も注目が集まるタイミングにおいて、どの場所に立ってどのようなことを訴えたいのかということを事前にお知らせをし、有権者の方々が日時をすり合わせながらその場に集って候補者の意見を聞くというのが本来あるべき選挙の在り方だと思いますが、この事前運動の禁止によって、告示になってから初めて告知をしなければなりませんので、告示直後の集会や街頭演説を十分に有権者に浸透させることができなくなっているというのは、私は大きな問題だと思っています。

 ですので、いずれにせよ、事前運動の解禁ということ自体は様々なものに係っているというのは十分承知しておりますが、今の二点をもっても、特段、変えることに大きな支障や問題点や複雑さはないと思いますので、これらのような有権者にとって必要なこと、そして、先ほども申し上げましたけれども、新人の方にとってみると、この手の制限が一番自分を浸透させていく上では障害になっている部分であると思いますので、直ちに改正していくために、今日ここに集われている方々の御賛同を願いたいと思っております。

 そしてまた、もう一個ですが、これも前回お話ししましたけれども、選挙カーを廃止すべきだと思っています。

 もちろん、選挙カーというものが選挙を象徴する運動であることは多くの国民が思っていると思いますけれども、先ほど申し上げたような選挙のあるべき要点ということから鑑みると、選挙運動で訴えられることと受け取られることというものは限界があると私は思っています。

 それでは何をしたらいいのかということがあるかもしれませんが、まず取りあえず、その選挙カーでの運動というものをやめてみるということが一番大事なような気がします。やめることによって初めてイノベーションは生まれて、何をすると有権者に対してしっかりと自分の考え方を伝えることができるのかということを真剣に考え始めると思うからであります。

 あと、前回も申し上げましたが、公開討論会の解禁というもの、そしてもう一つ、ここは御議論あると思いますが、私は公開討論会を強制化すべきだと思います。

 義務化をして、候補者としてなったのであれば、有権者の前に一堂に並んで訴えるということを実質上義務化するような形になれば、先ほど申し上げたとおり、有権者にとって有益な情報を受け取る機会というものが確保されるのではないかと思います。

 最後になりますけれども、様々、先ほど申し上げたとおり、選挙の細々とした部分もあると思います。候補者の手間を減らすために、公営掲示板、活用されていると思いますが、一々ポスターを貼るのは面倒くさいです。ですので、事前にデータを選管に送付して、そのデータをあの板のところに直印刷していただければ、貼りに行くこともないですし、剥がれることもないです。証紙を貼ること自体も、今の時代、やめるべきだと思いますので、その他のことも含めて、是非この場で議員立法の検討委員会をつくっていただいて、前に進める努力をしていただきたいと思います。

 御清聴ありがとうございました。

平口委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 選挙制度や選挙運動に入る前に、議員定数について一言述べたいと思います。

 厳しい財政状況の下、国民に負担を強いるのであれば、まずは、国民の血税から報酬が支払われている我々議員の身を切る改革を断行することは必須です。

 国会議員の定数削減については、二〇一二年の党首討論において、自民党と当時の民主党の両党で合意された、二〇一三年の通常国会までの衆議院定数の大幅削減すら、いまだに実現していません。国会や選挙での国民への約束を守ることは当然のことです。人口減少により、数多くの自治体で定員割れが起こっている地方議会も含めた議員定数の削減は当然の措置であると考えており、日本維新の会は、率先して定数削減の議論を進めていく所存であることをまず申し上げます。

 選挙運動について申し上げれば、まずは何といっても、候補者はもとより、国民にも分かりやすいルールの策定と統一的な運用が必要であります。現状、各選挙管理委員会の独自の解釈により運営されている公職選挙法の抜本的な見直しが急務です。

 公職選挙法では、政治活動の際には本人の名前の入ったたすきをかけてはならない、選挙期間中であっても、候補者が政党車の上で演説する際はたすきを外さなければならない、選挙期間中には、それまで掲示していたポスター、これにもいろいろ言いたいことがありますが、を政党ポスターに貼り替えなければならないなど、細かなルールが規定されています。

 しかし、実際には、そうしたルールを候補者自身が知らない、あるいは知っていたとしても、どうせ選挙違反として処分されることはないとたかをくくって守らない等、とても厳格に守られているとは言えない状況が散見されます。しかも、それを選挙管理委員会や警察に連絡しても、そのときに注意するだけで、その後も、再度指摘されるまでまた同じことを続けるという状況は日常茶飯事です。

 選挙運動と政治活動の線引きの曖昧さに起因するものであります。中には、各選管によって解釈が異なるグレーゾーンも数多く、最終的には警察の判断に委ねられるわけですが、そもそも明確なルール設定があれば、こうした問題も発生しません。

 ルールを守っている正直者がばかを見るという現在の公職選挙法は抜本的に見直しを行い、管理できないルールや時代遅れのルールは、大胆に廃止、見直しを行うべきであると考えております。

 頒布ビラの枚数制限の必要性、その枚数管理を証紙で行うというやり方、掲示板に各陣営がポスターを貼っていくというやり方などを改善することにより選挙活動の負担軽減と合理化を図ることは、議員のなり手不足などの課題の解消に資するものですし、インターネット選挙運動の規制緩和や公設の討論会の充実、戸別訪問の解禁などは、名前連呼の選挙から政策を語る選挙への転換を図ることで、有権者の判断に資するものであります。

 選挙期間については、現在、各級ごとに日数が定められていますが、交通網の発達や政策等の訴求手段の充実、あるいは労力や経費の観点などにより、これまでも何度も短縮の法改正がなされてきています。最終は、平成六年が最後でした。

 インターネット選挙が、一定の制約はあるものの、解禁された今、選挙期間はもっと短くして、同時に、政治活動と選挙活動の線引きそのものを極力撤廃していくといった見直しを行うことによって、育児中の女性や、働きながら挑戦をしようという方々が選挙に出馬することへのハードルを下げることにもつながります。

 かつて、インターネット選挙解禁の際には、各党協議会を定例で開催し、実務的な内容を詰めていくという形で法案成立を実現しました。是非、そうした仕組み、枠組みで、選挙ルールの明確化、見直しや、選挙運動に関わる見直しの具体案を検討していくことを提案したいと思います。

 次に、インターネットの活用について意見を申し上げます。

 インターネットを使用しての選挙運用に関しては、SNSと、メール、ショートメッセージでの取扱いが異なっていることについて、いまだに多くの国民が理解できていないのが現状ではないでしょうか。これまでの運用実態も踏まえ、緩和の議論を進めるべきですし、メタバースと言われる仮想空間の活用をどう考えるのかの検討も必要と考えます。

 しかし、今、実現に向けて早急に議論すべき課題は、インターネットでの投票であると考えます。

 私は、民主主義の根幹を成す選挙において、投票率の向上をよしとしない政党、会派はこの委員会にいないと確信しております。ブロックチェーン技術やマイナンバー等を活用して、スマホやパソコンなどのネットでの投票、あるいはコンビニでの投票ができれば、期日前投票を含めた投票率の向上に資するものとなりますし、郵便投票や投票所への移動支援事業の充実といったことを別途検討する必要もありません。

 幾ら高校や大学に期日前投票所を設置しても、当該地区に住民票を移していない生徒、学生は、学内の期日前投票所を利用することもできません。ネット投票、コンビニ投票は、こうした問題を根本的に解決してくれるものであります。

 もちろん、ネット環境の整備、安定したシステムの構築はもちろん、本人認証、秘密保持、自由意思の尊重など、克服すべき課題を一つずつ丁寧に解消する努力を重ね、公平かつ公正な選挙を実現することが肝要であることは言うまでもありません。

 だからといって、一〇〇%の完璧さをひたすら求めていては、一歩も前に進むことはできません。制度やシステムには必ず欠陥が伴うからです。

 現行の選挙制度においても、事務的な手続のミスや不正は発生しています。国民の皆様に、これなら公平公正だと十分に納得していただける形で制度を構築し、いつでもどこでも投票できる環境を早急に整えていくことが、ひいては、国民一人一人が政治に直接参加できる唯一の手段である選挙の意義を高め、正しく国民の判断を仰ぐこととなり、より成熟した民主主義を我が国にもたらすものであると、我々、本委員会の委員は特に強く認識すべきであると考えます。

 是非、先ほども提案いたしました各党協議会において、精力的に各党の考える問題認識、克服すべき課題等を共有し、整理して、実現に向けて議論を深めていくことを提案します。

 本日は、時間の制約上、これまで我が党が主張してきたテーマの中から、一部についてのみ意見を述べさせていただきました。

 日本維新の会は、ほかにも、記号式投票用紙には政党名を記載する様式とするといった細かいことから、外国籍を有する者は被選挙権を有しないと定めること、被選挙権年齢を十八歳以上に引き下げること、子供に投票権を与えて親がその投票を代行するドメイン投票方式の導入を検討すること、参議院と衆議院の機能分担に資する選挙制度の確立などといった大きなテーマまで、これまでにも本委員会において意見表明をしてきております。いずれも重要なテーマであると考えていることを申し添え、私の意見表明とさせていただきます。

 ありがとうございました。

平口委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩でございます。

 本日は、発言の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 さて、今般実施されました統一地方選挙におきましても、投票率の下落傾向が続いております。

 私からは、投票率の向上に向けた取組につきまして意見を述べさせていただきたいと思います。

 先日、毎日新聞に、ある女性読者からの投稿記事が掲載されておりました。その冒頭、「選挙が行われるたびに、つらい記憶がよみがえる。」と始まります。女性のお父様は、晩年、車椅子の生活になられましたが、欠かさず投票には行かれていたそうでございます。しかし、ある選挙の際、投票所内で車椅子のお父様が事故につながりかねない危ない状況になり、また、係員の心ない一言によって、その後、お父様は投票に行くことができなくなったことでございます。投稿者の方は、最後に、本当に投票したい人が快く投票できる仕組みをつくってほしいと切に願うと締めくくっておられました。

 このように、障害をお持ちの車椅子の方や高齢者の方々が気軽に投票できる環境を整備していかなければならないと私は強く思っております。

 昨年の当委員会でも、我が党の伊藤理事を始め多くの委員さんからも意見表明がありましたが、現在、郵便投票については、歩行困難、外出困難の障害者等、要介護五の方に限定されております。公正性の担保の議論も必要となりますが、要介護四及び三の皆様につきましても、投票機会が確保されるよう、郵便投票の対象にするべきであると強く申し上げたいというふうに思っております。

 次に、今もお話がございましたが、インターネット投票について述べさせていただきます。

 河野デジタル担当大臣は、今年の一月のBSテレビの番組で、海外に住む日本人の国政選挙での投票率は僅か二%しかないと指摘し、大臣は、まず、次の国政選挙において海外在住の日本人がネット投票ができるような準備を進める考えを述べられ、将来的には国内でのインターネット投票についても導入を検討していく考えを示されました。

 インターネットによる投票は、法改正を含めて、様々クリアしなければならない要件がございます。ただ、先ほど紹介させていただいた投稿記事のような、車椅子で日常生活をされている方についても、インターネットであれば投票が可能となります。是非、インターネットによる投票についての議論、検討を進めるべきだというふうにお願いを申し上げたいというふうに思います。

 次に、投票所における入場時の受付対応について意見を述べさせていただきます。

 現在、一般的には、投票日当日の投票及び期日前投票も、投票券や入場整理券のバーコードを読み取ることにより投票用紙が発券され、投票が行われております。ただし、投票所に行かれた際、投票券や入場整理券を忘れてしまわれることもあると思います。このような場合であったとしても、健康保険証、運転免許証やマイナンバーカードを提示し、係員が名簿と照合し、本人確認を行うことによって、多少の時間を要しますが、投票することは可能となっております。

 この投票所における本人確認について、マイナンバーカードを更に有効に活用しているのが新潟県の三条市であります。あらかじめマイナンバーカードを読み取るカードリーダーを設置し、投票券や入場整理券を持ち合わせていなくても、カードリーダーで読み取ることにより、通常と同じ投票ができる仕組みとなっており、この取組は期日前投票にも活用されております。

 この三条市の取組はマイナンバーカードを使用した好事例であり、DX化による行政サービスの向上につながると思います。是非、全国的な展開を望むものであります。

 次に、共通投票所について述べさせていただきます。

 総務省の報告によりますと、大型商業施設等の共通投票所に関して、投票率が低い若年層が多く利用したと分析をされており、利用した方の声として、堅苦しい雰囲気がなく投票しやすいや、駐車場が広くて便利など、好評の声が多く寄せられたということでございます。

 一方で、大型商業施設内を借りる場合、施設側との調整や自治体職員の派遣などが必要となり、それらの条件の整備が自治体の負担となり、共通投票所が広がらない理由の一つにもなっていると聞いております。

 もし、大型商業施設などで共通投票所の設置が当たり前に行われ、先ほどのマイナンバーカードによる本人確認と合わせて実施されるようになれば、買物に行った折に気軽に投票をすることが可能となり、投票率の向上にも大きく資することになると思います。是非、総務省として、予算面の支援やセキュリティーの確保など、御検討いただきたいと思います。

 次に、移動支援、移動投票所について述べさせていただきます。

 総務省の資料によりますと、昨年実施された参院選では、巡回バス、送迎バスや介護タクシーなどを使用した投票所までの移動支援に関わった自治体団体は三百六団体、二〇二一年の衆院選では二百十五の団体と伺っております。

 地方の自治体では、人口減少により投票所の統廃合が行われ、移動手段を持たない高齢者の方などが利用されているとのこと、具体的な例としても、車椅子に乗ったまま乗車できる大きなワゴン車を活用して喜ばれたとの話も聞いております。これらは高齢者や障害のある方への対応ではありますが、交通環境が不便な地域や過疎化が進む地域では、今後、更に需要が増えることは間違いありません。

 このような状況もあり、全てのニーズに応えることはできませんが、既に運用されている期日前移動投票所の取組が有効ではないかと思います。各地域により、既に様々な取組が実施されております。例えば、大きなワゴン車や市町村が所有しているバスや民間のバスを借り上げ、公民館や集会所などで期日前の移動投票所として使用するなど、工夫をされております。

 また、期日前投票所を設置する時間についても工夫されている地域もあります。ある県では、学校内に移動投票所を開設し、選挙権年齢に達した高校生は学校内での投票が可能となり、時間帯も、昼休みや下校時間に合わせて投票ができるよう、配慮されています。

 現在、期日前移動投票所がどのくらいの地域で運用がなされているかは分かりかねますが、期日前移動投票所について全国的に拡充すべきであるということを申し上げさせていただきたいと思います。

 最後に、選挙ビラに貼付する証紙について述べさせていただきます。

 証紙につきましては、ビラの制限枚数を管理する観点から用いられていると理解しております。ただ、証紙を貼付する作業は、時間的にも人員的にも労力がかかります。外部の事業者に委託することも可能ですが、当然、費用が発生し、資金力が乏しい陣営については、人に頼らざるを得ません。

 現代はSNSの時代であり、若い方々は、規制の多い紙のビラなどより、SNS等で候補者の政策などの情報を得て投票先を決めている方が多くなってきているのではないかと感じております。

 このようなことを踏まえ、ビラの証紙の問題や、さらには、候補者の情報を有権者に確実に届ける周知方法についてなど、検討していくべきではないかと考えております。どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で、私からの意見表明を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

平口委員長 次に、斎藤アレックス君。

斎藤(ア)委員 国民民主党の斎藤アレックスです。

 本日は、昨年末に続いての自由討議が開催に至ったことに関して、与野党の筆頭の皆様、理事の皆様の御尽力に感謝を申し上げます。

 本日、私からは、選挙運動期間の定めに関して、ディスインフォメーション対策に関して、そしてインターネットの活用に関しての三点で意見を述べさせていただきたいと思います。

 まず、選挙運動ができる期間の定めを見直すべきとの意見を申し上げます。

 選挙期間を限定することは、様々な矛盾を生み出してしまっています。

 例えば、ビラの問題があります。選挙期間前であれば、政党機関紙の号外として、ほぼ専ら候補者や候補者の政策を紹介するビラを何枚でも何回でも印刷をして、ポスティングや新聞折り込み、配布をすることが可能である一方、選挙本番になると、配布できるビラの種類、枚数には制限があり、ポスティングはできなくなり、街頭演説や個人演説会の会場以外では配布できなくなり、極めつけに、全てのビラに一枚一枚証紙シールを貼らなければならなくなります。

 選挙期間中は、海外の民主主義国で一般に行われている、住居などを訪問して投票依頼を行う戸別訪問が禁止されていますが、選挙前であれば、後援会への入会、紹介活動のために行う戸別訪問、個別面談はできます。

 街宣車による活動も、選挙が始まる前の期間であれば、投票を呼びかけないといった点に気をつければ、選挙中は名前の連呼しか許されない一方、選挙前であれば政策を訴えて走るということができてしまいます。

 SNSでの広告出稿も、そして朝八時前の駅でのマイクを使った街頭活動も、ポスターの掲出も、投票を呼びかけないということなど一定の注意をすれば、選挙前の方が選挙期間中よりも実質的に様々な活動ができてしまって、選挙が始まる頃には既に選挙結果は決まっていると言われるような状態にもなってしまっています。

 一方で、選挙前はどの選挙に出るのかを明らかにすることができないので、活動を行っている候補者にどの政策分野で意見を言えばよいのか、有権者にとっても分かりづらくなってしまっているという問題があります。

 このように、有名無実になっていたり、誤解を生んだり、分かりにくくなってしまっている選挙運動期間の定めに関して、なくしていく方向で検討し、時期にかかわらず、できることとできないことを時代に即した形で改めて整理をして法制化し、明確にする、そういったことをするべきだというふうに考えております。

 次に、ディスインフォメーションの問題について速やかな対策が必要との意見を申し上げます。

 二〇一六年のアメリカ大統領選挙に関して、ロシアのグループが、選挙の結果に影響を与えるため、情報操作等の活動を行っていたことが明らかになっています。その後は、SNS各社での対策などもあって、同様の問題は鎮静化しているとも言われますが、今後は更にこのディスインフォメーションの危険性が高まることになります。その最大の理由が、チャットGPTに代表される高度な生成系AIが実用段階に達していることにあります。

 チャットGPTのような極めて自然な文章を生み出す言語生成系AIを活用すれば、これまでよりはるかに少ない人員で、様々な言語で違和感のない文章を大量に生成することができるようになり、それらをSNS上などに大量にアップすれば、偽の情報を、あたかも実在する多くの人間が持っている意見だとか、あるいは、見た、聞いた人がたくさんいる意見だとして信頼性があると誤解される、そういった情報、世論操作がより手軽にできるようになってしまいます。

 より少ない人員でこういったオペレーションが実行可能になるということは、より少ないコストで大量の工作が行えるということを意味すると同時に、関与する人間が少なくなることで、工作を行っているグループなどを追跡し、明らかにすることが困難になることも意味します。

 そして、高度な言語生成系AIで実現可能な、違和感のないやり取りを活用すれば、一対一で個人を説得、誘導するようなことも可能であり、また、こちらも急速に発展している画像、動画生成系AIを組み合わせることで、更にもっともらしい情報ややり取りを無限に作ることが可能となり、ディスインフォメーションの脅威の度合いというものはこの一、二年で明らかにステージが変わったことを認識する必要があります。

 民主主義の根幹である選挙の公正性を守るのに加えて、他国からの干渉や世論操作を防ぐために、国を挙げて、AIの利用や規制の法制度を整えて、AIによって生成された文書や画像が判別できるようにすることを始め、様々な対策を早急に講じていかなければなりません。この点に関しては、同じ問題を抱えることになる世界の自由主義、民主主義陣営とともに、連携した取組が必要です。

 最後に、インターネットの活用を進めるべきとの意見を申し上げます。

 まず、有権者がブログ、ユーチューブなどの動画配信、SNSのメッセージやシェア機能を使って特定の候補者に投票を呼びかけることができる一方、メールや携帯電話のショートメッセージを用いると公選法違反になるという意味のない区分けは早急に廃止すべきです。

 そして、インターネット投票に関しては、海外に居住する邦人の投票機会の確保という観点にとどまらず、全有権者に向けての実現に向けた検討、研究を更に加速させるべきです。高齢化や過疎化に伴い、投票所に行くことが困難な有権者の割合が増えることや、特に、若年層の投票率が危機的な水準であることを踏まえると、インターネット投票はますます必要性が高まっていると考えます。

 以上、選挙運動期間の定めに関して、ディスインフォメーション対策に関して、そしてインターネット活用に関しての三点に関して私の意見を申し述べましたが、これらの論点を含めて、選挙制度のみならず、選挙運動の在り方に関しても議論を進め、見直しに向けて取り組んでいくことを呼びかけさせていただいて、発言を終わらせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。

平口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 意見表明を行います。

 前回も述べたことですが、そもそも、選挙運動規制があっては、有権者が十分に政策比較できるとは言えません。有権者に候補者情勢がきちんと伝わることが必要です。国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加していくため、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、公職選挙法を抜本的に見直す必要があります。

 まずは、インターネット選挙運動の規制緩和について述べます。

 二〇一三年の参議院選挙から、インターネットを利用した選挙運動が可能となり、ウェブやSNSを利用して投票を訴える選挙運動ができるようになりました。ネット選挙運動の自由化は、有権者にとって、政党、候補者の政策を知る機会を拡大し、国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わる機会を増やすことにもなります。ネット上に限定されたものではあっても、国民の基本的権利である選挙運動の自由にとって大きな前進です。

 当時、ネット選挙運動の解禁をめぐって、国会に議席を持つ全ての政党が参加する各党協議が行われておりました。各党とも、解禁では基本的に一致していましたが、その対象や範囲をどうするかで議論が続き、各党協議と並行して、民主、みんなの二党と自民、公明、維新の三党がそれぞれ法案を提出、日本共産党も修正案を提案しました。

 各党協議で大きな問題となったのは、選挙運動を誰にどこまで解禁するかという点でした。日本共産党は、選ばれる側の政党、候補者と同時に、一人一人の有権者がネット選挙運動を自由にできるようにすることが原則であり、有権者個人がウェブサイトや電子メールを選挙で利用できるようにすることは当然だと主張いたしました。今、自民党からも第三者メールの見直しが提起されていることを受け止めておるところです。

 ただし、当時も問題となった、第三者とは何かということが問題です。有権者個人のみならず、企業や団体も含めて第三者として選挙運動ができるようにすることは許されません。憲法十五条は、選挙権の行使は主権者である国民固有の権利であるとし、投票の秘密を侵してはならず、選挙人を制約してはならないとしています。選挙運動は、国民の基本的権利を成すものです。

 一方、法人企業は、有権者ではなく、選挙権も被選挙権も持たない存在です。主権者ではない、営利を目的とする企業が、その組織力や資金力に物を言わせてネット選挙運動を行い、選挙に影響を与えることになれば、国民の基本的権利を侵しかねません。

 公選法は、リアル社会では法律で認められた手段でだけ選挙運動を認め、それ以外の選挙運動を実質的に制限、規制する仕組みを取っています。ですから、現行法の体系の下では、企業の選挙運動禁止とは書いていなくても、企業は、リアル社会において実質的に選挙運動のツールを持てず、選挙運動はできません。

 これが、企業などもネット上で選挙運動ができるようになると、話は違います。企業などの選挙運動は、国民の基本的権利を侵害するおそれがあります。

 特に、メールの場合は、情報提供者が受け手の受信意思とは関係なく一方的に送信することができ、受信者の端末にダイレクトに情報が届き、密室性が高いのが特徴です。このことから、企業が選挙運動のツールとして利用すれば、個人とは比べ物にならないくらいの膨大なメールアドレスを取得している名簿などに基づいて、大量に、一斉に、一方的にメールを送ることが可能となり、その影響は大変大きいものとなります。

 したがって、メールを含めたネット選挙運動は、主権者である国民一人一人に解禁すべきです。

 なお、企業、団体が政治的発言をすることはあり得ることで、その表現の自由は認められます。しかし、有権者個人の権利に基づく選挙運動においては、企業などの自由な活動は容認できないということであります。

 また、現行では、有権者個人は、候補者、政党等から送られてきた選挙運動用メールを転送することもできず、メールと同じような機能を持つSNSは利用できるのにメールは利用できないということになり、とても分かりにくいものとなっています。有権者個人にウェブ利用もメール利用も全面自由化するという立場から、選挙運動用電子メールの送信先の規制や保存義務も簡素化する必要があります。

 次に、特定の候補者に対する誹謗中傷対策、選挙におけるディスインフォメーションの関連です。

 ネット選挙運動においては、ネット上の誹謗中傷や成り済ましが懸念されています。国民、有権者が大いに政治、選挙運動に参加するようになれば、ネット上の衆人環視が働き、誹謗中傷、成り済ましを抑制することもあるでしょう。

 また、候補者のサイトやアカウントの公式アドレス等を示す手段も必要です。選挙管理委員会のホームページで、各候補者情報の中で候補者個人のサイトアドレスを表示するようになりましたが、SNSのアカウントも掲載することも有効だと考えます。ただし、今回の地方選で、誤ったリンク先になっていたという不備も報道されております。このようなことがあってはなりません。

 先週末から、ツイッターの公式認証マークが外れたことが大きな話題となっております。課金していないのに認証バッジが復活といった状況も生まれており、ツイッターのバッジの基準が日々動いておりますが、成り済まし防止対策は今後も必要です。

 元々、二〇一三年、ネット選挙運動の解禁に関する各党協議会が行われ、その際に、各社に対して議員候補者の誹謗中傷や成り済まし防止などの要請を行い、これを受けて、ツイッター社は、候補者に対し公式認証バッジをつけたという経緯があると承知をしております。是非、ツイッター社が認証した政府機関などの公式アカウントを示すグレーバッジについて、議員候補者にもつけるよう各党そろって要請していくというのはいかがでしょうか。

 日本共産党は、ネット選挙運動の自由化を議論している当時から、ネットの世界だけをテーマにするのではなく、それ以外の現行の選挙運動の在り方も取り上げるべきだと主張してきました。その際、今後も選挙運動規制の在り方について協議を続けることで各党協議会は合意をしておりましたが、既に十年を経過をしております。

 ネット選挙運動が自由化をして、ブログに有権者自ら○○候補者に一票と載せたり、ウェブ上に候補者を集めて公開討論会を行ったり、有権者同士で選挙の争点について情報交換をするウェブイベントを開催することもできるようになりました。また、ネットの特徴である、時間と場所を選ばず双方向のやり取りが可能になるので、政党候補者が国民から寄せられる多様な疑問、質問に個別に答えることもできます。

 一方で、ネットを利用した選挙運動が自由になっても、リアル社会の選挙運動は様々な規制を設けたままです。また、ネット利用者が増えてきているとはいっても、まだ全ての国民、有権者が利用しているわけではなく、デジタルデバイドの問題もあります。

 国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加をしていくために、選挙制度や選挙運動の規制を見直すことは民主主義の発展のため不可欠であります。このことを申し述べて、意見表明を終わります。

平口委員長 これにて各会派の代表者からの発言は終わりました。

    ―――――――――――――

平口委員長 次に、委員各位からの発言に入ります。

 討議の際は、議事整理のため、一回の御発言は、五分以内におまとめをいただくこととし、委員長の指名に基づいて、所属会派及び氏名をあらかじめお述べいただいてからお願いをいたします。

 御発言を希望される方は、お手元のネームプレートをお立てください。御発言が終わりましたら、戻していただくようお願いいたします。

 それでは、ただいまから御発言を願いたいと存じます。

藤井委員 自由民主党の藤井比早之です。

 御指名いただきありがとうございます。意見を述べさせていただきます。

 まず、選挙運動用ポスターの規格統一についてですが、先ほど橘委員、昨年十二月に逢沢委員より意見が表明されましたが、候補者の選挙運動用ポスターの規格につきましては、現行法上、衆議院小選挙区、参議院選挙区及び都道府県知事の選挙と、参議院名簿登載者、都道府県議会議員や市町村の選挙とで、個人演説会告知の有無で規格が異なっております。個人演説会告知用ポスターにつきましては、数ある選挙運動の中から個人演説会告知のみを抜き出すことには合理性がないものと考えます。

 したがいまして、候補者個人の選挙運動用ポスターの規格を、個人演説会の告知の記載の有無にかかわらず四十二センチ掛ける四十センチに統一し、この場合に、個人演説会告知用ポスターという仕組みは不要と考えます。

 次に、選挙運動用自動車の規格制限の緩和と簡素化等についてでございます。

 選挙運動用自動車は、現行法上、複雑な車種制限、構造制限があります。例えば、町村の選挙のみにおいては小型貨物自動車を使用することができたり、それ以外の選挙においては、乗用か否か、四輪駆動かどうかなどにより使用できる自動車が変わったりするなど、非常に複雑で分かりづらいものとなっております。

 したがいまして、規制緩和と簡素化を図る観点から、その規格を、全ての選挙について、乗用定員十人以下、かつ、車両総重量五トン未満の自動車とすべきだと考えます。

 また、選挙運動用自動車又は船舶に取り付けて使用することができる文書図画は、現行法上、ポスター、立札、看板、ちょうちんの類の規格の制限が設けられております。例えば、車上の看板の四隅を合わせた状態で内側から照らすとちょうちんと認められ、規格制限八十五センチ掛ける四十五センチが課せられることがあるなど、非常に不合理と考えます。自動車に掲示できる文書図画は、数の面でも規格の面でもおのずと限界があります。

 したがいまして、こうした規格等の規制は撤廃すべきだと考えます。ただし、ネオンサイン、電光表示などの映写の類いを提示することは、引き続き禁止すべきだと考えます。

 落選運動に関する規制につきまして、特定の候補者に対する誹謗中傷、選挙におけるディスインフォメーション、怪文書など、落選運動には常軌を逸したものが散見されます。また、組織的に介入されているおそれも感じられます。特に、SNSでのフェイクニュースや偽情報拡散などは看過できません。民主主義の根幹となる選挙への介入は、早急な対応が必要であると付言させていただきます。

 先ほど、我が党の橘委員より、現在一万五千円以内とされている車上運動員の一日当たりの報酬金額を引き上げるべきとの意見が出されました。その具体的な金額については、各党各会派で議論を行い、その結果に基づいたものにすべきだと考えますが、私からは、物価高騰で幾ら幾ら、何%物価が上昇しているから幾らと細かく算定する以前の問題として、報酬支払い対象者の区分と一日当たりの報酬額は細かく分かれ過ぎているのではないか、運用するには煩雑過ぎるのではないかと考えます。

 お金のかからない選挙の実現が目的なのですから、煩雑さを避けるために総枠で幾らというような形で簡素化できないか、何に従事したかは届け出ることで透明化を図りつつ簡素化が図られないか、意見として申し上げたいと思います。

 期日前投票につきまして、期日前投票が一般化しております。期日前投票所の目の前に選挙事務所を設けている例が実際に存在いたします。本当に目の前になっております。選挙の当日の選挙運動を禁止した趣旨、公職選挙法第百三十二条で、選挙の当日は投票所から選挙事務所への距離規制がある趣旨に鑑み、期日前投票においても、一定の距離規制など、特定候補者に有利な影響が生じないように制度改正すべきではないかと考えます。

 選挙運動費用収支報告書の提出期限が十五日以内と早過ぎるので、三十日以内とか延期できないか提案を申し上げます。

 収支報告書への領収書等の添付につきましては、これからはデジタル化の時代であり、領収書のデジタル化も考えられているところでございます。何でも紙でという事務処理の煩雑さを避ける工夫を考えるべきではないかと思いますので、提案をさせていただきます。

 以上でございます。ありがとうございました。

源馬委員 立憲民主党の源馬謙太郎です。

 今日、私からは、立候補することへのハードルを下げること、それから投票へ行くことへのハードルを下げることという観点から、幾つか意見を申し上げたいと思います。

 現行の制度ではできることが限られているので、皆さんが効果がないと思っていながら、しかも場合によってはそれが有権者にとって迷惑になると分かっていながら、でもやらざるを得ないということを皆さんやっていると思います。そういう制度になってしまっているので、やめた方がいいものは絶対にやめるべきだというふうに思います。

 例えば、先ほど寺田委員からお話がありましたが、選挙カーの廃止は私も真剣に検討すべき課題の一つだと思います。騒がしいし、環境にも悪いし、子育て中の御家庭から苦情が来ることもありますし、夜勤で寝ている方たちから苦情が来ることもあります。迷惑でしかありません。そして、有権者が投票先を決めるための有用な手段とも到底言い難いと思います。

 また、チラシに貼る証紙の廃止も検討すべきだと思います。これはもう何人もの先生からも既に御指摘がございます。これだけ皆さんがやめた方がいいと思っているものを、ずっとやり続ける必要は全くないと思います。今DXが求められていて、デジタル化とか言われているのに、今更、極めてアナログで前近代的な、証紙を貼るという行為をすぐ改めるべきではないかと思います。

 それから、そもそも配布枚数の制限も、当時と今とは印刷費も違いますし、その必要性においても当時とは大分乖離があるのではないか。今はもうネットで意見を拡散すればいいわけで、わざわざ紙のチラシを、制限がなかったら五十万枚とか配りたいなんていう人は、ほとんどいないのではないかと思います。

 それから、今回の統一地方選挙と五つの補欠選挙がありましたけれども、やはり、低投票率は深刻だったと思います。政治や選挙実施自体に関心がないことも、一つのこれは事実だと思いますけれども、やはり、事前のアンケートや世論調査で、今回の選挙に行くかどうかという調査をすれば、多分行くとかと合わせれば、多くの方が行くつもりはあると思うんですね。別にこれは格好つけて、行くつもりと答えているわけじゃなくて、本当に行けたら行くつもりだよと思っていると思うんですが、それでも、行くつもりだったけれども雨が降っちゃったとか、行くつもりだったけれども面倒くさくなったとか、予定が入ったとか、そういう声を実際に皆様も聞かれていると思います。

 ですから、有権者にとっては、利便性を高めるということも、政治への関心を高めることと同様に大事なことではないかと思います。

 選挙に行くためのハードルを下げるのは、やはり私はインターネット投票の実現だと思います。わざわざ投票所に足を運ぶしかない現状よりは、ハードルは確実に下がると思います。皆さんが全てネットで投票しなきゃいけないというわけではもちろんありませんので、今までどおり投票所に行く方が便利な人はそれでもいい、でも、ネットでやりたい人はネットでできる、こういう制度にすべきだと思います。

 技術的な課題は、一つ一つクリアしていけば必ずクリアできるものだと思いますし、既に多くの政党の中でもいろいろな課題が議論されていて、それについて一つ一つ解決策なんかも考えられているというふうに思います。ですから、そろそろ実現に向けて前に進めていくべきだと考えます。物理的に投票所に行けない人への選挙権の確保にもつながると思います。

 それから、ポスターですとか政策なんかもネットで見られて、検索から投票まで一貫してネット上で完結できると、なおよいと思います。

 これも先ほど寺田委員からお話がありましたけれども、公開討論会の実施は、私も制度化して担保するべきだと思います。今JCがやってくださっていますけれども、現状は、皆さんも御存じのとおり、出ない候補もいたり、自分の身内ばかりいたり、余り公開討論会の体を成していないと思うので、これはやはり、制度として候補者側がやる、そしてネットで見られる、こういう制度にしていくべきだと思います。

 最後に、この二回の自由討議は本当に意義深いことだと思いますが、これをちょっとアリバイ的にやったということにして、後はほっておくということだと何も進まないので、これまでも意見がありますが、常設の小委員会をこの委員会の下に設置して、議運との関係も整理しながら、本格的見直しにつなげるべきだというふうに思います。

 以上です。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 本日は、公営掲示板について意見を申し述べます。

 先日、統一地方選挙が行われましたけれども、統一地方選挙では、各地に公営掲示板が設けられ、投票の前に公営掲示板を見る方も多かったと思います。

 日本維新の会の我が党の音喜多駿参議員のツイッターによると、東京都北区の選挙管理委員会が痛恨のミス、どうやってもポスターを貼れない陣営が出てしまう、選管が対応中とのことですが、少数で済んでいることを祈ります、掲示板を何となく眺めているだけだと気づかないトラップと記載されていました。

 公営掲示板で、四十六番から五十一番までが重複しているような状況です。四十六番から五十一番までが二つあるので、どちらにポスターを貼ればいいのかが分かりません。これは委託した業者のミスだと思いますが、選挙管理委員会でのチェックが行われていませんでした。チェックを選挙管理委員会で行うとすると、選挙管理委員会にとって大変なことになります。

 また、別のケースですと、吹田市議会議員選挙で、六十区画の掲示板で、数字がランダムに上げられているものがありました。山田かな大阪市議会議員のツイッターに掲載された写真によると、右側一番上には、右から二、二十二、二十八が割り当てられ、右側二番目には、十一、五十三、三十三が割り当てられていました。

 これだと、どこに貼るのかを捜すだけで時間がかかります。ポスター掲示については、くじで番号が決まりますが、番号は順にしていても公平性は保つことができます。わざわざランダムにしていることの意味が分かりません。

 総務省に確認したところ、掲示板の番号をランダムにして貼ることは、公職選挙法百四十四条の二第七項で、「掲示場におけるポスターの掲示の順序その他ポスターの掲示に関し必要な事項は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会が定める。」と規定されております。市議会議員選挙であれば、市の選挙管理委員会で決めることになるとのことです。とはいえ、ポスターを貼る側にとっては非常に大変なことであります。

 このように、公営掲示板には様々な問題があります。面積が多い選挙区では、ポスターを貼るだけで大変な作業になります。

 以前、本委員会で、公営掲示板の電子化について質問したときに、どのような範囲で選挙運動のために電光表示などを用いることを認めることとするのか、あるいは、お金のかからない選挙の観点から、設置に関わる経費などをどのように考えるかといった論点があるとの指摘がありました。まずは、電子掲示板にどれぐらいの費用がかかるのか等について実証してみるのもよいと思いますが、いかがでしょうか。

 それから、設置場所についても、全ての場所に設置をするのが経費の面からは難しいとすれば、まずは投票所のそばのところから設置をする方向性が考えられます。また、QRコードでの、掲示板を読み取れるようにするといったことも考えられます。

 選挙において、電子化を進めていくことは重要だと思います。こうしたことが、デジタルネイティブである若い方への選挙への関心を高めていくのではないのかなと思います。公営掲示板の電子化について、是非検討を行っていただきたいと思います。

 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。

伊藤(渉)委員 公明党の伊藤渉です。

 本日も発言の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 私からは、二点お話をさせていただきたいと思います。

 一点目は、今日も何度も出ておりますし、前回も出てまいりました、ビラの制限に関わる証紙の件であります。今回の統一地方選挙でも、各地でこの証紙の、貼るという作業で大変な労力を要しました。

 また、この件については、私は、枚数に、ある一定の制限を設けることは必要だと考えております。その上で、そのために選管が発行する証紙をわざわざ後から貼るという作業は、現代にあっては何らかの技術的な解決策があると思います。

 よって、これはまた当委員会での今後の議論ですけれども、一つの事柄について各党各会派の合意が得られて、かつ、この件については極めて技術的な話でありますので、そして合意が得られるのであれば、広く技術的な知見を、これは行政からでも結構ですので、世に募集をするといいますか、そういう知恵をおかりをする、そういう方向に一歩踏み出してもよろしいのではないかと思いますので、御提案をさせていただきたいと思います。

 もう一点は、郵便等による不在者投票についてであります。

 これも改めて確認させていただきますと、この不在者投票は、不在者投票管理者のいない選挙人の自宅など現存する場所において、選挙人が投票用紙に記載し、これを郵便等によって、所在地の市町村の選挙委員長宛て、送付する制度ということで、現在は、身体障害者福祉法に記載する身体障害者又は戦傷病者特別擁護法に規定する戦傷病者のうち公選法施行令第五十九条の二で定める一定の障害を有する者及び介護保険法で規定する要介護者のうち要介護五である者に限られておりまして、既にこれも議論されておりますけれども、更に要介護度については四及び三に緩和をする必要があるのではないかということも、議論も重ねられております。

 この議論の私が考えておりますポイントは、いわゆる不在者投票管理者のいない選挙人の自宅で投票する機会の拡大というところにあると思います。これは、この先にあるインターネット投票とも関連をしてくるものと思っております。

 これはまだ様々検討が必要ですけれども、まず、郵便投票の緩和という意味において、一人で投票行為ができてしまうところがポイントであれば、このコロナ禍の中でオンラインということも随分広がってまいりましたので、オンラインということも利用をして、自宅であるけれども一人でないという状況をつくり出して投票をすることで、この課題を乗り越えられるのではないか。これはまだまだ詰めていく必要がありますけれども、そのように思いましたので、意見として表明をさせていただきます。

 本日は、以上で終わらせていただきます。

斎藤(ア)委員 引き続いて、私から意見を申し述べたいと思います。

 本日、委員の皆様から出された意見について、意見を言いたいと思います。

 まず、私も、選管によって、地域によって対応が異なるローカルルールみたいなものが存在するという状況を実感、経験をしてきました。私は最初、京都で候補者として活動を始めたんですけれども、その後、ほどなくして滋賀県に候補者として移ったときに、京都でやっていたことを滋賀県でやると、すぐに警察に呼び出されて、取調べ室に連れていかれて、パイプ椅子に座らされて、何でやったんだと聞かれて大変困惑した思い出があります。

 全国的にしっかりと統一したルールがあるはずなのに、それが地域によって、これはいい、これは駄目だということになってしまっているような、おかしな運用になってしまっているところも含めて、全体として、事前運動の在り方も含めて、そして選挙活動の在り方も含めて見直して、もう一度整理していくことを改めて求めていきたいというふうに考えております。

 選挙カーの方に関しても、同様の問題意識を持っています。確かに、田園部で選挙カーで行くと大変喜んでいただくこともありますけれども、本当にこの活動が全体的に必要だと有権者が思っていただいているのかということは、もう一度冷静に判断をして、公開討論会などに移していくことも必要だなというふうに感じております。

 今回、千葉五区での補選があるタイミングで市議選が行われた関係で、七十名以上の候補者が小さな選挙区にひしめき合う状態で、朝の市川駅などには十台以上の街宣車が集まり、まさに右翼の街宣活動みたいな感じになってしまっておりまして、地域の方は困惑しているというふうに思いましたので、この選挙カーの在り方についても改めて検討していくことを我々からも求めていきたいと思っております。

 また、投票所の本人確認であったり、電子投票、ネット投票の導入についての検討は、早急に進めていくべきだと考えております。

 今回、私の知り合いが期日前投票を活用しましたけれども、投票用紙を、整理券を忘れてしまった、そして身分証明書も全て車に置いていってしまったけれども、投票所で氏名と生年月日と住所を言えば、それだけで投票できたということを本人は驚いていました。

 こういったことがありますと、成り済ましという可能性もやはりあると思いますので、マイナンバーカードを活用した本人確認のスムーズな導入の意見が先ほどありましたけれども、そういったことは、成り済ましの防止の観点でも進めていくべきだというふうに考えております。

 また、特に若年層においては、住民票がない地域に暮らしている方も大変多くなっております。自宅でネット投票ができるという状況が好ましいのは私も先ほど申し上げたところでございますけれども、その前段階として、投票所で、どの地域の方であっても投票できる電子投票の導入、それにはマイナンバーカードも活用した方法が必要だと思いますけれども、そういったものをその前段階として導入していくということも検討に値するのではないかなというふうに考えております。

 いずれにしましても、大変投票率が低い状況でございますし、こういったところに対策を講じていくためにも、速やかな検討を求めていきたいというふうに考えております。

 以上とさせていただきます。ありがとうございました。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 選挙運動用文書図画規制の在り方について述べます。

 先ほども申し上げましたが、二〇一三年の参議院選挙から、ネット上であれば、枚数や種類の制限もなく、候補者や政党等に限らず政策や応援を訴えることができるようになりました。しかし、選挙政策をパソコンなどのディスプレー上で表示することは自由でも、それを印刷して配ったり貼り出したりすることはできず、国民、有権者が手作りでチラシやポスターを作り、配布、掲示することは禁じられたままです。同じ文書図画でも、ネット上とリアル上での落差が大きくなっています。

 現行では、候補者名が入ったビラの頒布やマニフェストの頒布場所もかなり限定され、選挙運動用ビラは証紙を貼り、寸法、枚数、頒布場所などが細かく規定されています。さらに、選挙期間中の政党、政治団体の政治活動においても、ビラの頒布に規制が設けられています。ポスターも同様に規制が多く、選挙までにポスターを何度も貼り替えなければなりません。多くの有権者に候補者の政策を知ってもらおうとしても、選挙期間に入ると、候補者氏名が入ったビラ、ポスターは極端に減るというのが日本の選挙です。これでは、有権者が十分に政策を比較できるとは言い難いものです。

 二〇一四年の通常国会時に、平常時におけるのぼりの解禁、選挙運動用自動車に関する規制の緩和及び簡素化等、選挙運動用ポスターの規格の統一といった、全党が一致した選挙運動関係の公選法改正案が準備をされておりました。まずはこの改正を行うべきではないでしょうか。

 また、この間、二〇〇三年に国政選挙のマニフェスト頒布の法定化、二〇〇七年にマニフェストの頒布場所の増加や都道府県知事選、市区町村長選の候補者ビラの解禁、一七年に都道府県議選、市議選の候補者ビラの解禁、二〇年に町村議選の選挙運動用ビラの解禁を行ってきました。この流れを振り返ってみても、枚数制限などについても抜本的に見直し、自由化することも検討すべきです。

 そもそも、現行の公選法は、選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっています。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段、方法が厳しく制限され、複雑で、プロでなければ選挙運動ができない仕組みになっています。国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わりやすくするためにも、複雑な現行法を抜本的に変える必要があります。

 選挙運動は原則自由にし、禁止事項を列挙した、いわゆるネガティブリストに改めることを提案をします。これによって、候補者、政党だけでなく、有権者個人が、文書図画や言論を使って選挙運動を自由に行えるようになります。有権者と戸口で質疑や討論できる戸別訪問や、ネット上の公開討論会のような、国民、有権者が主催して、複数の候補者による討論会の開催が可能となります。

 また、前回も申し上げましたが、選挙運動期間の見直しも必要です。本来、選挙運動は政治活動の一部です。事前運動の規制は撤廃し、日常的に、候補者、政党だけでなく、国民、有権者も含め、政治的議論、選挙運動を行うことができるようにすることが必要です。これらは、有権者が政党、候補者の政策を知る機会を拡大し、国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わる機会を増やすことにもなります。

 国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加していくため、選挙に気軽に多面的に参加できるようにすることで、民主主義の発展につながります。

 最後、事前運動と期日前投票の制度改革についても触れました。

 以上で終わります。

古川(直)委員 自由民主党の古川直季でございます。

 本日は、発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、二点、意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 まず一点目は、候補者等の氏名等が入ったたすきやのぼりについてです。

 私たち政治家は、街頭に立って、有権者の皆様に政策を広く周知する活動を行うことがございます。現在、公職選挙法第百四十三条十六項により、公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者の政治活動のために使用される文書図画は一定のものしか掲示することができないとされており、街頭での政治活動において、自分の氏名等が入ったたすきやのぼりについては使用することができません。その代わりに、皆様も御承知のとおり、本人と書かれたたすきを使う候補者がいます。私もそういうふうに使用したことがございます。これは、九〇年代前半にある候補者の方が本人と書かれたたすきを使い始めて以降、全国的に使われるようになったと言われています。

 根拠法となる公職選挙法第百四十三条十六項は、昭和五十年に、当時の社会情勢から、金のかかる選挙を防止することを目的として設けられ、その後も、金のかからない選挙や町の美観を維持する観点から改正されてきたと承知しております。この立法目的を鑑みるに、政治活動を行う人、つまり候補者になろうとする人が、街頭で市民の皆様に政策を伝え、また市民の皆様の声を聞こうとするときに、自分の名前が書かれたたすきやのぼりを自らが使用できないよう規制をかけることが、金のかかる選挙の防止や町の美観の維持につながっているのかは疑問が残ります。

 候補者の街頭演説に限っては、氏名などが入ったたすきやのぼりを政治活動で使用できるように改めるべきだと思います。

 二点目は、指定都市の議会議員の補欠選挙についてです。

 現行の公職選挙法では、都道府県議会議員の補欠選挙については、同一選挙区において欠員が二名に達した場合に実施されます。それに対して、指定都市を含む市町村議会議員の補欠選挙については、選挙区の定数の六分の一を超える欠員が生じた場合に実施するものとされています。

 昭和二十四年の公職選挙法制定時の国会審議において、原案では、都道府県議会議員、市町村議会議員、いずれの補欠選挙についても定数の六分の一を超える欠員が生じた場合に実施するものとされていました。その場合、都道府県議会議員については、複数の選挙区があるため、欠員が一名発生した場合に補欠選挙を実施しなければならないため、相当に煩雑になるとの意見が出されました。これを受けて、同一選挙区において欠員が二名に達した場合に補欠選挙が実施されるとする修正がなされました。

 その後、昭和三十一年の地方自治法の改正により、一般市町村とは異なる権能を有する指定都市が設けられました。しかし、補欠選挙の実施要件については、一般市町村と同じままで今日まで続いています。

 指定都市は、都道府県議会議員と同様に、域内に行政区単位で複数の選挙区を有している一方で、定数五以下の選挙区においては一名の欠員で補欠選挙を実施しなければなりません。また、市町村の役割に加え都道府県の役割も担っているため、選挙に当たっては一般市町村より広範多岐にわたる政策議論が必要です。

 こうした実態を踏まえて、指定都市の市議会議員補欠選挙を都道府県議会議員と同じ実施要件とするよう、公職選挙法の改正をすべきと考えております。これは、横浜市会などでは意見書として国に提出がされております。

 そのほか、公選ビラ、公選はがきの枚数などについても、指定都市の市議会議員選挙と都道府県議会議員選挙を同じ実施要件とすべきであると考えます。

 以上で終わります。ありがとうございました。

徳永委員 立憲民主党の徳永久志です。

 この統一地方選挙で仲間の応援に行かせていただき、候補者や、あるいはその選挙活動に関わっておられる方、支援者の方々、様々な話の中から何点かピックアップしましたので、申し上げたいと思います。

 まずは、選挙カーであります。

 これの是非については、効果がある、意味があるという人と、意味がない、もうやめてしまえという人と分かれます。その是非についてはちょっと横に置いて、いろいろな方のお話の中で多かったのは、朝の八時から夜の八時まで十二時間もこれを運行し続けるというのはどうなのかねという声は結構ありました。ですから、まずは、時間短縮というのは考えてしかるべきではないのか。いやいや、そこはちょっとというのであれば、せめて土曜、日曜、祝日、一般の方がお休みの方が多いときぐらいは午前十時ぐらいからにしましょうよというような声が結構あって、私も、なるほどなという思いで聞いておりました。

 二点目です。これは、先ほど来から様々出ております証紙を貼ったビラの話です。

 選挙事務所で証紙を貼っている人たちは、ぶつぶつ文句を言いながらやっています。何の意味があるんだ、こんなものはということです。枚数制限をかけることに意味があるとするならば、先ほどもいろいろな方がおっしゃっているように、様々な技術を駆使して枚数管理ができるようにすべきだというふうに思います。

 その次に、配るときもまたこれは文句たらたらです。新聞折り込みはできるのに、なぜポスティングはできないのだと。これの合理的な説明ができる人というのは多分いないと思うんです。ただでさえ、若い人はもう新聞を取らなくなっている。若い人に何とかこの候補者を知ってもらいたいと思っても、新聞折り込みしていたらなかなか届かないではないかというような話ですね。ですから、配布方法については、これはもう完全に自由化をすべきだろうということを思います。

 それから、三点目です。これも先ほど来出ております、政治活動と選挙活動の区分というのはもう取っ払っていいのではないか。

 新人候補の方の話を聞くと、やはり、声を大にして自分は市議会議員選挙を目指して頑張っています、県議会議員を目指していますということを言えないのが大変つらかったというか、非常に厳しいものを感じたということであります。

 逆に、有権者の方からすれば、この人、非常によく頑張っている、活動しているけれども、何の選挙に出るんだろうか、何を目指しているんだろうかといったような疑問も湧く有権者も多くおられるんだろうということになると、これは非常に有権者に対しても分かりにくいことになるというふうに思います。

 片や、例えば県議会議員とか我々国政になってくると、出馬表明というのをやるんですね。県議会議員選挙に出馬します、参議院選挙に出馬しますというのを、解散もなっていないのに堂々と記者を集めてやる。そのことについては何のおとがめもない。翌日には、新聞は大きく書いて、地元テレビも放映をしてくれる。何か特集があれば、立候補が予想される顔ぶれといって一斉に載る。頼みもしないのに、週刊誌は当落予想で丸、ペケ、三角までつけてくれる。ここは何のおとがめもなくて、実際に活動している人たちについては、そこは厳しいおとがめがあるという矛盾があるわけですよね。

 ですから、こういった部分についてもしっかりとやはり正して、自由化をしていくということが必要なんだろうと思います。

 それから、四つ目です。

 これは、かねがね私は思っていたんですが、ちょっと本題からそれるかもしれないんですけれども、こうした我々の活動やあるいは有権者の様々なルールとしての公職選挙法、これは実はどこででも教わらないですよね。学校教育の中でも、恐らくない。それから、大学の法学部に行っても、この法律を専門的に教える授業などというものはありません。したがって、何も学ばないまま社会に出て、そして、何かのきっかけで、ある人を是非当選をしてほしいと思って政治活動の支援をしていくと、よかれと思ったことが丸々選挙違反に当たってしまうという例がやはりあると思うんです。

 ですから、私は、主権者教育ということで様々言われています、投票すること、あるいは選挙に出ること、そういったものについてしっかりと教えるというのは大事ですが、一方で、やはり選挙、自分のこれはと思う候補者の応援をする、活動を支えるということも立派な主権者としての活動だというふうに思いますので、その最低限のルールである公職選挙法の概略みたいなものは、どこかの段階でしっかりと教える機会というものがあってしかるべきなんだろうというふうに思います。

 以上です。

山本(剛)委員 日本維新の会の山本剛正です。

 私は主に、公営選挙の拡大、選挙運動従事者等に対する報酬上限の引上げについて意見を述べさせていただきます。

 まず、公営選挙の拡大ですが、有権者の選択に資する候補者討論会の開催を公営で行うことを提案いたします。

 現状では、地域によっては任意団体等が主催する候補者討論会が実施されているところもありますが、実施されていないところもあるため、候補者の政策や人物等を知る機会が平準化されていません。公営の候補者討論会を実施し、その模様をインターネット等で中継することは、有権者が候補者を知る上で有意義と考えます。

 また、国政選挙と都道府県議会議員選挙や市町村議会議員選挙などでは、選挙用自動車看板の負担が違いますが、これも是正すべきと考えます。

 今回の統一選でも、無投票の選挙区は多く、議員のなり手不足は深刻度を増しています。公営選挙の拡大は、候補者負担の軽減だけでなく、有権者の候補者認知を高め、選択の一助となる側面も大きいと考えております。

 一方、供託金については、その額を引き下げることが望ましい一方、近年、選挙の本来の目的からそれた理由での立候補が見られるようになったこともあり、慎重な検討が必要であると考えています。

 また、ビラや選挙はがきの枚数などは、当該選挙の有権者の規模によって変える必要があるのではないでしょうか。

 ビラについては、配布できるようになった理由は、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するためとなっています。現状では、A4サイズ以内で二種類まで、都道府県一万六千枚、政令市八千枚、一般市四千枚、特別区四千枚、町村千六百枚となっています。

 政令市で最も人口が多いのは横浜市で三百七十七万人、少ないのは静岡市で約六十八万人です。一方、一般市においても、最も人口が多いのは船橋市で約六十五万人、少ないのは北海道歌志内市で約二千七百人です。これだけ人口の開きがあるにもかかわらず、配布枚数が一律というのは、候補者の政策等を有権者が知る機会を拡充するためというビラの配布の理由の趣旨にそぐわないのではないでしょうか。

 いたずらに増やすべきではないと考えますが、適正な枚数というのは検討していく余地があると考えています。

 次に、車上運動員の報酬について述べます。

 現在、一日上限は一万五千円となっていますが、この上限が現在の時代に見合ったものなのかということを様々な観点から論じてみたいと存じます。

 まず、選挙における実費弁償及び報酬額は、平成十二年から手話通訳者、平成二十八年から要約筆記者への報酬が認められた以外は、平成四年から約三十年にわたり変わっておりません。一方、消費者物価指数が、昭和五十八年から平成四年までの間、一四弱上昇している中で、車上運動員の報酬は平成四年の改定では九千円上昇している一方、平成四年から令和二年の消費者物価指数は六程度上昇しているにもかかわらず、全く引き上げられておりません。最低賃金は、平成四年の平均額は五百六十五円ですが、令和二年では九百二円に上昇している一方、車上運動員の報酬は据え置かれたままです。

 このように、平成四年からの三十年を考えれば、最低賃金の上昇や若干の消費者物価指数の上昇、社会状況の変化などを考えれば、この問題を論じないということは民主主義の根幹を支える選挙制度に対して不誠実であり、時代に見合う制度の構築は立法府に籍を置く私たちの使命であると考えています。

 また、車上運動員は、普通の一般職と違い、専門職と言えるものであると考えています。無論、専門的な技能を有していなくてもできないことはありませんが、話すことをなりわいとしている方々を登用することも多く、そういった方々の活躍の場でもあると考えています。

 選挙では、マイクを使える時間は八時から二十時まで、先ほど無駄だということもありましたけれども、休憩等もございますが、最長で十二時間の拘束になります。交代すればよいという方もいらっしゃいますが、狭い選挙区ならともかく、広大な選挙区や離島を有している選挙区では現実的ではありません。

 例えば、十二時間拘束して、八時間勤務の一時間休憩、三時間の残業と位置づけた場合、一万五千円の報酬では時給換算で約千三百円弱になります。イベントの司会などの時給は最低でも二千円くらい、高いものだと五千円ほどになっているようです。先ほどの例えに当てはめますと、時給二千円だと二万三千五百円、二千五百円だと二万九千三百七十五円、三千円だと三万五千二百五十円となります。

 こうしてみますと、約三十年据え置かれている状況もいいとは言えませんし、特殊な専門職である車上運動員は、現在の状況で上限が一日一万五千円というのはちょっと水準が低いのではないかと感じます。上限ですから、必ず上限いっぱい支払うというものではありませんし、能力に応じて減額するなど双方の話合いで報酬額を決めればいいと思いますが、法定の上限をもう少し考えることは極めて重要だと考えます。

 以上で、私の意見とさせていただきます。

加藤(竜)委員 自由民主党の加藤竜祥です。

 発言の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 私からは、選挙運動における政党ポスター、ビラの枚数制限について意見を述べさせていただきます。

 私は、選挙期間中の政党用ポスターや選挙用のビラについて、枚数制限を撤廃するべきと考えます。

 御承知のとおり、衆議院小選挙区政党用ポスターの枚数は各選挙区千枚に限られております。また、候補者個人用ビラ七万枚、政党ビラ、各選挙区四万枚と、枚数制限があります。これは、数を制限する公選法の各規定が、無秩序に掲載、配布されることを防ぐ目的があると理解をいたしておりますが、選挙区の地理、地形や人口密度を考慮に入れず、一律に枚数を規制することは合理的でないと思います。

 私の選挙区の、例に出して恐縮ではございますが、東西に六十キロ以上と長く、人口密集地がないため、政党用ポスターの設置位置に大変苦労をいたしております。さらに、今回の十増十減により、離島地域も選挙区に含まれました。選挙区の面積や人口が増えるにもかかわらず、政党ポスターの数、ビラの枚数を増やすことができません。これは、地域の有権者の、政党の主張や候補者の判断材料に触れる機会を減らしていることになるかと思います。

 有権者の皆様方に候補者の名前や顔、主義主張を知ってもらう手段を最大限尊重して、住民の皆様方の生活に害を与えるような配布の方法、体系だけ制限をかければよいのかと考えております。

 続きまして、作ることができるビラの種類とサイズですが、個人用と政党用、両方のチラシの作れる種類を無制限にし、サイズもA3に統一すべきだと考えます。

 地方の選挙区は大変広く、多様な特色のある自治体が存在をいたします。例えば、私の選挙区では都市近郊、県央地区、半島、離島と、基幹産業も様々な違いがあります。政党用ビラは種類無制限である一方で、個人用は、二種類に限られていると同時に、ビラのサイズがA4と、小さいサイズの規制があります。限られたスペースで、地域の全ての有権者の関心事項に応じた政策を訴えることは不可能です。制限をなくして、地域ごとの特色に応じた種類の、複数の種類のビラを作成することを可能とすれば、有権者の判断材料が増えることになりますし、候補者の主張をより幅広く知ることができるようになると思います。

 また、証紙の貼付についてですが、枚数制限があるために、ポスターやビラには証紙の貼付を求められますが、先ほどから皆様方がおっしゃっているとおり、この作業は膨大な時間と人数を要します。しかも、立候補の受付を済ませてから証紙の交付を受けるので、これをポスター、ビラに早急に貼る必要があります。証紙を早急に貼る後、各候補者の陣営が、競い合うように政党掲示板にポスターを貼りに動きます。恐らく、ここにいる先生方全員が、ボランティアの皆様方の御支援により、この作業を行っていると思います。このルールは、御協力いただいている方々の多大な御負担の上に成っております。この作業が遅れると、ただでさえ短い選挙期間の中で、有権者が候補者の情報に触れることが少なくなります。候補者にとっても、有権者にとっても、デメリットが大きい制度かと思います。

 以上が私の意見です。ありがとうございました。

松本(洋)委員 自由民主党の松本洋平です。

 これまでも各議員から様々な御意見を頂戴しておりますが、私からは、先ほど山本理事からもお話がありましたけれども、まず、車上等運動員の報酬について申し上げたいと思います。

 先ほどもお話がございましたけれども、車上等運動員につきましては、昭和五十三年の四千五百円から始まりまして、随時改正がされ、現在一万五千円となっているところであります。我が国における最低賃金を見てみますと、平成四年は四千五百四円、令和四年には七千六百八十八円ということで、約一・七倍に上昇しているにもかかわらず、据え置かれたままとなっております。今、賃上げというものが大きく叫ばれている中におきまして、見直しを図るべきに差しかかっていると思っております。

 そういう意味では、少なくとも、平成四年に決められた車上等運動員報酬の一万五千円を、最低賃金の伸びである一・七倍の二万五千円、厳密には二万五千五百円になるんですけれども、以上に引き上げることが適当だと考えております。また、選挙時の報酬が決められている車上等運動員以外につきましても、事務員の一万円、手話通訳者一万五千円、要約筆記者一万五千円、労務者一万円につきましても、同様の改正を行うべきと考えております。

 また、自民党の会議におきましては、報酬を支払った者に対する規制が分かりにくいといった指摘もあったところであります。具体的には、報酬をもらった者がビラを配ってはいけないとか、有権者からしてみれば、すぐ目の前に人がいるのに、その人はビラを渡してくれないとか、よく分からないような、そういう実際の運動員の規制も細か過ぎるのではないか、有権者に分かりにくいのではないかというようなこともありましたので、これらに関しても整理が必要だと考えておりますので、御提案を申し上げたいと思います。

 また、インターネット投票に関しても、様々な御意見があったところであります。一つ一つ大変ごもっともだなと思う部分もあり、また、投票の秘密性というものをどういうふうに守っていくのかという大変難しい問題も内包をしていると思っておりますので、是非これからも各党での議論というものをしていただければと思っております。

 また、斎藤アレックス議員からは、まずは、全ての地域で、いろいろな地域の候補者に投票できるような、そういう投票所を、IT環境を整えてつくればいいのではないかという話もあったところでありますけれども、恐らくこれは、選挙人名簿をしっかりと中央に一元化しなきゃいけないとか、そういう地方自治の在り方にも関わってくる話だと思いますので、是非これをきっかけに、そういう議論も進められればいいのではないかということを大変強く感じたということを申し上げたいと思います。

 この度、臨時国会に続いて自由討議を行いまして、有意義な御意見の開陳、また議論を行うことができました。与党筆頭理事として、各党理事、オブザーバーの皆様や委員各位、御協力いただいた皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。

 さきの臨時国会での自由討議が、二十六年ぶりの開催としてマスコミでも取り上げられました。選挙をそれぞれ戦ってきた議員が、会派を超えて自由に討議することは大変貴重であるばかりでなく、倫選特という他の委員会とは違った役割を担う委員会ではありますが、国会での議論の在り方という点でも大変意義深いものであると感じているところであります。

 選挙は、言うまでもなく民主主義の根幹です。さきの臨時国会、そして本日と二回行われた自由討議で頂戴した御意見をどのように成果として残していくかとの御意見を、先日の理事懇、また本日も多く頂戴したところでありまして、今後、渡辺筆頭を始めとする理事、オブザーバーの皆さんと相談をしてまいりますが、各党の御理解の下、今後の選挙運動における制度の在り方に可能な限り反映し、民主主義の発展に資することができればと思いますので、どうぞ引き続き御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、私からの意見表明とさせていただきます。

 以上です。

平口委員長 他に御発言の希望はいかがでしょうか。

 他に御発言の希望はないようですが、よろしいですか。

 各会派各委員におかれましては、貴重な御意見、御提案をいただき、ありがとうございました。

 議論も尽きないところでありますが、本日の討議はこの程度で終了することといたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十六分散会


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