衆議院

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第4号 平成28年10月27日(木曜日)

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平成二十八年十月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      岡下 昌平君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      神田 憲次君    菅家 一郎君

      小林 史明君    佐々木 紀君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      高木 宏壽君    谷  公一君

      津島  淳君    土屋 正忠君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      古田 圭一君    三ッ林裕巳君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      八木 哲也君    山口 俊一君

      山口 泰明君    和田 義明君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    武正 公一君

      宮崎 岳志君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 嶋田 裕光君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井野 靖久君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        奈良 俊哉君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            松尾 元信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武田 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    会田 雅人君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   今林 顯一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長)       山本 麻里君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山上 範芳君

   政府参考人

   (気象庁地震火山部長)  上垣内 修君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 室石 泰弘君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松原 洋一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黄木 紀之君

   参考人

   (日本放送協会理事)   大橋 一三君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     三ッ林裕巳君

  菅家 一郎君     古田 圭一君

  小林 史明君     佐々木 紀君

  新藤 義孝君     津島  淳君

  高木 宏壽君     神田 憲次君

  谷  公一君     岡下 昌平君

  鈴木 克昌君     宮崎 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     谷  公一君

  神田 憲次君     和田 義明君

  佐々木 紀君     小林 史明君

  津島  淳君     新藤 義孝君

  古田 圭一君     菅家 一郎君

  三ッ林裕巳君     八木 哲也君

  宮崎 岳志君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  八木 哲也君     池田 道孝君

  和田 義明君     高木 宏壽君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長石原進君、日本放送協会会長籾井勝人君、理事松原洋一君、理事黄木紀之君及び理事大橋一三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府大臣官房審議官嶋田裕光君、政策統括官井野靖久君、地方創生推進事務局審議官奈良俊哉君、金融庁総務企画局参事官松尾元信君、総務省大臣官房総括審議官武田博之君、大臣官房地域力創造審議官時澤忠君、自治行政局長安田充君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長林崎理君、情報流通行政局長南俊行君、統計局長会田雅人君、政策統括官今林顯一君、文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、大臣官房審議官白間竜一郎君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、大臣官房審議官諏訪園健司君、職業安定局次長大西康之君、雇用均等・児童家庭局児童虐待防止等総合対策室長山本麻里君、国土交通省大臣官房審議官山上範芳君、気象庁地震火山部長上垣内修君及び環境省大臣官房審議官室石泰弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田所嘉徳君。

田所委員 皆さん、おはようございます。茨城一区選出の自由民主党田所嘉徳でございます。

 久しぶりに総務委員会で質問の機会をいただきまして、感謝をいたしたいと思います。しかも、我が党にとりましては破格の長時間の時間をいただきまして、それでも二十分でありますので、端的な答弁をお願いしたいと思います。

 現在の景気の状況でありますけれども、今の政権になってから、非常に急激に、本当に奇跡的にというくらい景気が回復してきたんだろうというふうに私は思っております。企業業績あるいは雇用の状況、客観的な数値にもあらわれているわけであります。これは、三本の矢もあるでしょうけれども、やはり一年半ぐらいで総理がかわったり、そういった中で、安定した政治、そういったものへの期待、さまざまな要素があるんだろうというふうに思っております。

 しかし、批判をされることはさまざま自由でありまして、それも受けてきたわけでございます。

 まず、格差が生じたとか、あるいは非正規社員がふえたというようなことでありますが、私は、こんな急激な経済の変化ですから、当然、格差も非正規社員も、過渡的な状況として、タイムラグもあるんだろうというふうに思っております。

 この前の選挙でも、分配の仕方が悪いというようなことが論点にもなったように思いますけれども、何しろ二十年近くも低迷した景気の中にあったわけですから、私は、分配ができるようになったことであって、このことはむしろ褒め言葉ではないかというふうに思うくらいに感じたわけでございます。

 そこで、今回の消費税の増税の再延期ということでございます。これにつきましても、経済政策の失敗であるというような批判もされるわけでありますけれども、経済は生き物でありますから、消費とか投資の動きというものは非常に微妙であるというふうに思います。そういう中にあって、税金を上げて投資やあるいは消費が低迷して、景気が冷え込んで税収も入らないというのでは本末転倒でありますので、私は、適宜判断していく、そういう問題だろうと思っております。

 これについて、税金は上がらなくていい、このままの方がいいんだなんという向きもありますけれども、私は、やはりしっかりと責任を持って政治を進めるという中で、批判も聞くわけであります。地元の首長さんやなんかは、非常に困ったと。いろいろな政策を期待していたわけでありますけれども、それらができなくなってしまうということで、残念がる向きもあるわけであります。

 そこで、まず知っておきたいのでありますけれども、今般のこの消費税一〇%への値上げの延期によって得られなくなる地方団体の財源、これはどのくらいになるのか、まずこれを把握しておきたいと思いますので、お尋ねをしたいと思います。

冨樫大臣政務官 消費税率一%を二・八兆円として仮定した場合、地方消費税と地方交付税法定率分全体でおよそ八・七兆円であるところ、今回の引き上げ延期による地方税収等への影響は、地方消費税と地方交付税法定率分を合わせ、平年度でおよそ一・七兆円の減収と見込んでおります。

田所委員 十・四兆円ぐらいになるところ、一・七兆円が得られないということであります。

 そういう中にあって、意欲のある首長さんは、非常にさまざまな政策を独自に進めております。例えば、子育て支援という観点から、二人目とか三人目の保育料等のいろいろな軽減等、無料化、そういったことを考えて進めております。予防接種等の負担についてもさまざまでありますし、社会保障政策を行っているわけでありますけれども、やはり地域の特性とアイデアを生かして独自の政策を進めるということは大変重要であります。

 そういう中にあって、こういった事業ができなくなってしまうということは非常に残念であります。

 私も県議時代に地方財政等をよく見てきましたけれども、本当に厳しい状況で、まさに地方にしっかりとした積極的な投資ができないから地方の景気がよくならないんだというような、そういう思いを私は持っていたわけでございます。

 そこで、単独事業によってでもその地域が必要とする政策を進めようとしているといった背景がある中で、地方自治体の財政需要を考慮しながら、来年度の地方の一般財源総額を確保する必要があるというふうに考えるわけでありますけれども、その点について大臣の御所見をお伺いいたします。

高市国務大臣 消費税率引き上げ時期の延期に伴いまして、予定されていた引き上げ分の消費税収などの歳入は得られなくなりますけれども、地方団体が地域に必要な行政サービスを確実に提供しながら安定的な財政運営を行っていけるように、年末の地方財政対策において、地方交付税を初めとした地方の一般財源総額をしっかりと確保できるように、精いっぱい取り組んでまいります。

田所委員 地方の財源ということをしっかりと捉えながら進めてもらえるということで、大変心強い答弁であるというふうに思っております。

 そういう中にありまして、先ほど言いましたように、税金を上げても景気が冷え込んで税収が上がらないというのでは本末転倒、何をやったんだかわからないということでありますから、今、延期をしてやるべきことは、景気が上昇するようなそういう政策を積極的に進めていくことだろうというふうに思っております。

 一億総活躍社会と言うかどうかはともかくとして、安心して現役世代やあるいはシニア、そして女性が活躍できるような、そういう環境の整備というものが大変重要だろうというふうに思っております。

 そのためには、待機児童ゼロあるいは介護離職ゼロというようなことが実現するような、そういう保育、介護の受け皿の整備等、さまざまな施策を進めていかなくてはなりません。

 あわせて、今後においては、保育士とか介護職員が非常に不足している中にあって、その待遇改善を行って、しっかりとそういった仕事に入ってくる人をふやす、そういうことも考えていかなければならないわけであります。

 これらの事業を実効性のあるものにするためには、やはり財源をしっかりと確保しなければならないことは言うまでもありませんけれども、とりわけ、社会保障の施策については地方自治体の行うところが非常に大きいわけでありますので、地方負担分の財源の確保というものが大変重要であります。

 これらについて、どう確保していこうとしているのか、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 今、田所委員おっしゃっていただいたとおり、子育てや介護など、社会保障の多くは地方自治体を通じて国民に提供されております。その役割が極めて大きいということから、所要の財源を確保することは重要だと考えています。

 総務省としましては、このために、消費税、地方消費税率の引き上げ延期に対応した社会保障の充実施策や、保育士、介護職員の処遇改善など一億総活躍プラン関係施策の実施に関しては、地方負担分も含めた安定財源を確保するということについて、関係府省に既に要請を行っております。

 財政負担のあり方も含めまして、具体的には今後予算編成過程で検討されることになりますけれども、社会保障施策の取り扱いに係る地方財政への影響というものにつきましては、年末の地方財政対策の中で、歳出歳入の両面において地方自治体の財政運営に支障が生じることのないようにしっかりと対応してまいります。

田所委員 ありがとうございます。

 続きまして、携帯電話等の料金の負担軽減につきまして大臣に質問をしたいと思います。

 携帯電話、スマートフォン、非常に便利になってまいりまして、多くの人が使うようになっております。例えば、家族五人いて、三人がスマホを使っていたら、もう大変な家計の可処分所得がそこで奪われてしまうのではないか、消費されてしまうのではないかということも思うわけでありまして、やはりこれをしっかりと安くしてもっと活用されるようにする、そういったことが私は今非常に重要であるというふうに思っております。

 そういう中で、今見ていますと、毎日嵐のように、テレビをつけると、スマートフォン等のコマーシャルが行われております。そして、取引の慣行についても、ゼロ円でこれを提供して、後、どんどん補助みたいに出してつなぎとめておくというようなことも行われておりますし、SIMロックがあって、いろいろ容易に乗りかえられないようにしているというようなこともある。契約自由の法則というものもあるのかもしれませんけれども、私は、やはり非常識なそういう囲い込みみたいなことで利益をリードしようとすることは非常に問題があるというふうに思っております。

 経済財政諮問会議等でも触れられておりまして、何とかこれをもうちょっと低廉なものにして、人々に負担を課さないようにしていこうということが言われているわけでありますし、当然のことであるというふうに思っております。

 そういう中にあって、大臣も大変苦慮されているんだろうというふうに思います。私企業でありますので、そういったことの中で言えることと言えないことがあるわけでありますけれども、その点について、特許という言葉があります。これは、特許法の特許ではなくて、講学上の設権的行為、行政行為の設権的なものによる特許でありまして、これは先願主義も妥当しないですし、非常に大きな裁量の中で、排他独占の利益を得ることを認められているというようなことでありますので、私は、こういう立場にある事業というものについては、役所がやはりしっかりと見ていくということは大変重要なんだろうと思っております。

 そういう中にあって、大臣は、しっかりとした競争が進められるようにして、そういう市場原理の中で是正されていくようにする、私は大変すぐれた進め方をしているというふうに思っております。

 例えば、ライトユーザーにも、少ししか使わない人でも安い契約で使えるような、そういう選択肢を広げることであるとか、あるいは、行き過ぎた安売りみたいなものをやはり控えるような方法、そういったことを考え、さらには、MVNO、安い価格で使えるような製品についてもどんどん普及するような、そういう制度を広めること、こういうことによってコストを下げていこうということを進めようとしております。

 それは大変重要な論点であるというふうに思っておりますし、これらが市場の競争をどんどん促進して、安くなって、非常に便利に使え、負担が軽減されるということになってもらいたいと思っております。

 大臣が積極的に進めてきたこれら携帯料金等の負担軽減について、これまでの成果と、これからさらにどのように進めてこの課題を解決しようとしているのか、お聞きをしたいと思います。

高市国務大臣 携帯電話、スマートフォンは、もう今や、災害時ですとか子供さんの見守りとか、いろいろなことを考えますと国民の皆様の生活インフラでございますから、利用者の特に通信料金の負担軽減というのは重要な課題でございました。

 これまでの総務省の取り組みによりまして、大手の携帯電話事業者において、従来と比較しますと、最大千六百円低廉なライトユーザー向けプラン、最大千円の長期利用者割引、最大一万四千五百円低廉なヘビーユーザー向けプランなどの提供が始まりました。

 また、大手携帯電話事業者の半額以下の料金で利用できるMVNOも、一年間で三百万契約以上増加しまして、急速に拡大しつつあります。

 ですから、通信料金の低廉化は進展しているんですが、利用者にとってわかりやすく納得感のある料金、サービスの提供をさらに促すためには、移動通信市場の競争をさらに促進させる必要があると考えております。

 このため、今月十三日からモバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合を開催しているんですけれども、MVNOの拡大を通じた競争の加速と、あと、利用者の方々による通信サービスと端末のより自由な選択という観点から、今後のさらなる取り組みを御議論いただいています。これは十一月上旬の取りまとめを目指して頑張っていただいておりますので、それを受けて今後の方策を検討してまいります。

田所委員 ありがとうございました。

 さらに使いやすく、さらに高度な生活ができるように、あるいは防災等でも活用されるわけでありますので、その取り組みを期待しているところであります。

 次に、車体課税の見直し等についてお尋ねをしたいと思います。

 平成二十八年の税制改正の中で、法制化ということで、自動車取得税を廃止して、新たな環境性能割を導入するというようなことが決まっているわけでございます。

 そういう中にあって、いろいろと動きがこれからどうなっていくのかということが問題でありますけれども、自動車産業は、地方に多くの部品会社があったりして、また販売店があったり、いろいろと経済に裾野の広い大きな効果のある分野であります。一方で、これは非常に地方の財源としてでも、自動車税あるいは軽自動車税といったものは極めて重要な自主財源ということでございますので、この確保ということもやはり重要な課題であります。この二つをどう両立て、相反する課題をどうバランスよく進めていくのかということが非常に難しく、重要なことだろうというふうに思っております。

 これから性能がどうなっていくのか、あるいは、環境性能割の区分ということがありますけれども、これによって、技術開発の動向とか、そういったものによって税額が非常に動いていくわけでありますので、これから三十一年度税制改正で見直すとしていますけれども、これをどんな考え方で、地方の財源獲得を優先してがっちりと強くしていくということであるのか。あるいは、この産業をしっかりと、自動車も売れるようにして、さらには環境インセンティブといいますか、非常に性能のいい、燃費のいいものをしっかりと販売促進されるような、そういう力が発揮できるようにするのか。そのバランスをとるところが非常に難しいことだろうというふうに思っております。

 その点、どのような視点を持ってこれを進めようとしているのか、大臣にお伺いをしたいと思います。

冨樫大臣政務官 車体課税に係る税制改正に当たっては、道路等の行政サービスを提供するために必要な税収の確保という視点だけではなく、自動車産業が我が国経済や地域の雇用を支える重要な基幹産業であるとの認識のもと、技術開発の促進等にも十分配慮する必要があると考えております。

 これまでにおいても、例えば、自動車税のグリーン化特例や自動車取得税のエコカー減税の導入により、自動車メーカーの技術開発が促され、次世代自動車や環境性能にすぐれた自動車の普及が進展したものと評価しているところであります。

 今後の税制改正に当たっては、必要な地方財源を確保しつつ、技術開発の促進ということも踏まえながら、適切に取り組んでまいりたいと考えております。

田所委員 続きまして、ゴルフ場利用税というもの、今、大変話題にのって、非常に重要な局面なんだろうというふうに思っておりますけれども、これについてお尋ねをしたいと思います。

 これは、立地する市町村等にすれば、やはりゴルフ場までの道路の整備とかいろいろな環境の管理等さまざまなコストがかかっているということでありますので、そういう点では、何とか存置してもらいたいという思いがあるわけであります。一方、プレーヤーとかゴルフ場の経営者からすれば、これはなくしてもらいたいということだろうというふうに思っております。

 しかしながら、私は、ゴルフ場利用税に限らず、税金はなければない方がいいんですし、軽減されればいいということだろうと思います。市町村長さんや自治体でも、やはりそんな負担がなくて多くの人がプレーしてくれればそれはいいし、なくてもいいと言いたいんだろうと思いますけれども、私は、これを何としても各地方が守りたいということで頑張っているその中には、いかに地方財政が厳しいか、そのことがあらわれているんだろうというふうに思っております。

 私は、そのことに思いをいたして、やはりこういった税制についてはしっかりと、地方の財源を毀損しないように、そしてどう守っていけるのか、とりわけ山間部等の小さい自治体については大きな依存があるわけですので、そういったことを考慮して進めるべきだということをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。端的に御答弁いただければ結構でございます。

冨樫大臣政務官 ゴルフ場利用税について、近年廃止の要望をいただいておりますが、平成二十八年度税制改正においても、与党の税制調査会で議論され、現行制度を維持することとなっております。

 総務省としては、アクセス道路の整備や維持管理、地すべり等の災害防止対策、ごみ処理等、環境対策等のゴルフ場関連の行政需要があること、税収の七割がゴルフ場所在市町村に交付されており、財源に乏しく山林原野などを有する市町村の貴重な財源であり、プレーヤーは市町村の域外から来訪する方々が多い状況にあり、またプレーヤーは一般的に担税力があると考えられていることから、受益者としての納税を通じて公平かつ合理的に負担いただいていると考えているところであります。などから、現行制度は地方税制にふさわしい重要な制度であると考えております。

 いずれにしても、地方財政の厳しさ、地方団体からの現行制度の堅持の強い要望、負担の公平性などの観点からも、ゴルフ場利用税については今後とも堅持すべきものと認識しておるところであります。

田所委員 ありがとうございます。

 終わります。

竹内委員長 次に、長坂康正君。

長坂委員 愛知九区の長坂康正でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 私も県議が長かったものですから、今、田所議員の質問を聞きながら、ああ、聞きたいことは重なるものだなと思っておりましたので、その辺は気をつけて質問をさせていただきたいと思います。

 また、今、おかげさまで大型補正予算を通していただいたので、地方はしっかりとその予算を執行する思いで頑張っているわけでありますが、それに続いて、来年度の予算に向けて、各自治体の市町村長さんは、夢を形に変えたい、また、私どもでありますと、海抜ゼロメーター地帯日本一の地域でありますので、南海トラフのそんな話の中で防災、減災でやらなきゃいけない課題、また少子高齢化のいろいろな課題について、今、来年度予算に向けての要望活動が盛んなときであります。

 そんな中で、今回の、やはり今お話がありましたような地方の心配というのもございますので、そういったことをぜひきょうも質問の中でお尋ねしていって、しっかりと地方の要望、不安に応えていただきたい、そんな思いで質問をさせていただきます。

 今回の法案においては、地方消費税の引き上げ時期について二年半延期する措置が盛り込まれております。介護や子育て支援など、社会保障給付を担う地方自治体、市町村の多くが、社会保障の財源化とされる地方消費税の増収分について、少子高齢化が進む中での命綱とも言える貴重な財源として期待をしているわけであります。

 一方で、世界経済がさまざまなリスクに直面をし、内需が腰折れしかねない状況の中で、経済再生、デフレ脱却に向けてあらゆる政策を総動員するという観点から消費税一〇%への引き上げを延期することとしたのは、我が国の経済財政運営に責任を持つ政府・与党の判断として妥当なものとして考えている一人であります。

 消費税率引き上げの延期を行う一方で、このことにより自治体の財政運営に支障を来すことがないように適切な措置を講じることで、地方自治体が安心して社会福祉給付を初めとする行政サービスを提供し、地方創生の担い手として活躍していただくことができるようにすることも、政府・与党の重要な責任であると考えております。

 そこで、今回の消費税率一〇%への引き上げの延期で地方税収等にどの程度の影響があるかということは、さっき田所議員の質疑で一・七兆円というお答えがあったわけでありますが、そういうことの中で、今回の消費税引き上げ延期によって地方自治体の財政運営に支障が生じないように所要の財源を確保していただきたいということを、まず冒頭に、大臣にもう一度御所見をお尋ねしたいと思います。

高市国務大臣 九月二十七日に衆議院本会議で安倍首相が答弁をしておられるんですけれども、消費税率の引き上げを延期する以上、社会保障の充実についてですが、全てを行うことはできませんと断った上で、しかし、安倍政権の子育て世帯を応援する決意は揺らぎません、消費税財源を活用して行う社会保障の充実のうち、待機児童ゼロや介護離職ゼロを目指した保育、介護の受け皿整備は予定どおり着実に進めます、さらに、保育士、介護職員などの処遇改善など、一億総活躍プランに関する施策については、アベノミクスの成果の活用を含め、財源を確保し、優先して実施していきますと言っておられます。

 これを受けまして、私も、地方の一般財源総額をしっかり確保することで、地方団体が必要な行政サービスを行えるようにしっかりと努力を続けてまいります。

長坂委員 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 地方財政は、毎年巨額の財源不足が生じております。これを補填するために多額の臨時財政対策債の発行を余儀なくされていることも事実であります。地方消費税率の引き上げによる地方税収の増加に伴い、この財源不足が縮小し、臨財債の発行額も縮小することが期待されておりましたけれども、引き上げ延期により、引き続き財政不足が生じ、臨財債を発行せざるを得ない状況が続くことが懸念をされております。

 平成二十九年度地方財政収支の仮試算においても、臨時財政対策債は、前年度から〇・九兆円、二四・五%の大幅増となっております。

 地方の巨額の財政不足が生じる場合には、地方交付税法第六条の三第二項の規定に基づく交付税の法定率の引き上げを行うべきであり、消費税率引き上げが実施されるまでの間においても、少しでも法定率を引き上げて財源不足を縮小し、臨財債を縮小すべきと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

原田副大臣 お答えを申し上げます。

 地方財政の健全な運営のためには、本来的には、臨時財政対策債のような特例債による対応ではなく、法定率の引き上げにより地方交付税を安定的に確保するということが望ましい方向と考えております。

 平成二十九年度地方交付税の概算要求においては、引き続き巨額の財源不足が生じ、地方交付税法第六条の三第二項の規定に該当することが見込まれておることから、同項に基づく交付税率の引き上げを事項要求したところでございます。

 一方で、平成二十九年度においては、国、地方の役割分担に係る大きな制度変更が現時点では見込まれないこと、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることから、法定率のさらなる引き上げは容易なものではないと考えておりますが、予算編成過程におけるさまざまな制度改正等の議論も見きわめつつ、法定率の見直し等による交付税総額の安定的確保について、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論してまいりたい、このように思います。

長坂委員 ありがとうございます。

 ぜひその方向で御努力をお願いしたいと思います。

 大臣、副大臣から大変前向きな温かい答弁をいただいておりますが、次に、今回の法案に盛り込まれております地方法人課税の偏在是正についてお尋ねをいたしたいと思います。

 地方法人課税の偏在是正については、そもそも平成二十年度税制改正において、法人事業税の一部を地方法人特別税として国税化し、その税収を地方法人特別譲与税として都道府県に配分するという措置が暫定措置として設けられたことに端を発したものであります。

 当時、私は平成十九年度の愛知県議会自民党の県議団長を務めておりまして、今の雰囲気とは全然違って、もう余りのことに強い衝撃を受けまして、総務省不信というか、何だ、一生懸命企業誘致をして、ようやく果実が入ると思ったら、それを取り上げるというのは何と理不尽なことかと憤ったことを忘れることができません。(発言する者あり)また、一刻も早く廃止して法人事業税に復元すべきだと考え、大西さんも今エールを送っていただきましたが、発言をしてきた一人でございます。

 消費税率の一〇%の引き上げを定めた税制抜本改革法において、消費税率引き上げにあわせて地方法人特別税・譲与税制度については抜本的に見直しを行うこと、地方消費税の充実とあわせて地方法人課税のあり方を見直すことにより税源の偏在性を是正する方策を講ずることの二点が検討課題とされ、そして、政府・与党においては、この税制抜本改革法に基づいて、平成二十六年度改正と二十八年度改正において地方法人課税の偏在是正措置を講じたところであります。

 もっとも、これらの地方法人課税の偏在是正措置についても、東京都や愛知県内の市町村を初め、減収となる可能性のある地方自治体を中心に反対の声もある中で議論がなされ、決定されたものであったと思います。

 そこで、改めて、平成二十八年度改正法において講じていた地方法人課税の偏在是正措置の内容についてお尋ねをいたします。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度改正法における地方法人課税の偏在是正措置は、消費税率一〇%段階において、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るために、第一点として、法人住民税法人税割の税率を引き下げるとともに、地方法人税の税率を引き上げまして、その税収全額を地方交付税原資化するということ。それから第二点として、今御指摘があったような地方法人特別税・譲与税制度を廃止いたしまして、これを法人事業税に復元するということ。第三点として、法人事業税の一定割合を都道府県から市町村に交付する法人事業税交付金制度、これをつくりまして、地方法人特別税・譲与税の廃止に対応した法人住民税法人税割の税率引き下げに伴いまして市町村が減収となる、その減収を補填するという仕組みを設ける。以上の三つの措置を講ずることとしているところでございます。

長坂委員 それで、地方法人課税の偏在是正措置が今度二年半延期されることで、法人住民税法人税割の国税化により減収となる不交付団体は、その影響も二年半延期されることとなるわけでありますが、そうはいっても、三年後に施行され、法人住民税が減収していくことが予想されること、財政運営について大変心配になることは当然であろうと思います。

 総務省におかれましては、今回の法案により、三年後に施行されることとなる地方法人課税の偏在是正措置により減収となる地方自治体に対して、どのように対応していくのか、お尋ねをいたします。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の偏在是正措置は、地方消費税の税率の引き上げに対応したものでございまして、市町村においても、ほとんどの団体は、地方消費税交付金の増、あるいは法人事業税交付金の新設による増収、これが法人住民税法人税割の減収を上回って、全体としては地方税源が充実する形となるところでございます。

 一方で、御懸念と思いますが、法人住民税法人税割の税収が非常に大きい団体、これにおきましては減収となるということもあり得ますので、法人事業税交付金は各市町村の従業者数を基準に交付をするということといたしまして、各市町村の産業の集積度合い、あるいは税源の涵養努力が反映される制度としているところでございます。また、法人事業税交付金の導入に伴う経過措置を設けまして、激変緩和措置を講ずることとしているところでございます。

 さらに、その上で、なお減収が生じる団体に対しましては、その減収額を対象に地方債を起こすことができるよう、地方財政法上、特例規定を設けることとしているところでございます。

 以上でございます。

長坂委員 地方債が発行できるというのは、これは借金がふえるだけのことでありまして、余り、別にうれしいわけではありません。取り上げたら例えばほかの交付金で面倒を見るとか、そういうことにぜひしていただきたいな、そんな思いであります。

 地方法人課税の偏在是正については、国、地方を通じた厳しい財政状況の中で、地方創生の推進の一環として行う措置でありますが、一方で、減収となる団体があって成り立つものであるということを忘れてはいけないと思います。

 地方法人課税の偏在是正措置を進めていくことについて、減収となる自治体、市町村へどのように理解を求めていくかも含めて、ぜひ総務大臣の御見解をお願いしたいと思います。

高市国務大臣 減収となることが見込まれる自治体でございますが、長年にわたって企業誘致や産業振興に一生懸命取り組んでこられて、当該地域の税源涵養につながる努力を積み重ねてこられました。その皆様に深く敬意を表させていただきたいと思います。

 今回の地方消費税率の引き上げと地方法人課税の偏在是正措置というのは、これはもう長年の税制の課題でありました、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築には資するものでございます。

 先ほど局長から経過措置の説明もありましたけれども、地方の御意見や御要望も踏まえながら検討し、また、この委員会でも大変激しい議論を展開していただきながら、与党税調でも決定し、法案化し、最終的には御可決いただいたというものであることから、何とか御理解をいただきとうございます。

 ただ、二年半延期になりましたので、この時間も使いまして、この意義ですとか具体的な制度内容、また導入に関しての配慮措置、こういったことについて、減収となる団体を含めて、地方団体の皆様にさらに丁寧に御説明をしますし、また、地方の財政運営に結果として支障が生じてしまっては何にもなりませんから、ここはしっかりと対応をさせていただきたいと思っております。

長坂委員 ありがとうございます。

 ぜひ丁寧なそういった対応をお願い申し上げたいと思います。

 愛知県は、不交付団体が多いと言われております。でも、これは、ちょっと異論があるかもしれませんが、東京は首都圏で、首都東京であります。大阪は天下の台所という歴史があるわけでありまして、それと比べて、他の地方と同じように、愛知県の場合は、私どもの地元、飛島村というのは、四千六百人の村であります。

 財政力だけ見れば日本一の村とも言われておりますけれども、江戸時代に干拓から始まって、そして、伊勢湾台風では全村海の中に沈んでしまった、三カ月水が引かなかった。それから堤防をもう一回築き、そして名古屋港の一部としてまた整備もされ、今は航空宇宙産業のロケットの工場だとか、いろいろな基盤整備も進んでおります。

 人口で割れば、よそよりも多い、二倍以上の財政力はありますけれども、例えば、大きなトレーラーが通るような村道も、自前で整備していかなきゃなりません。投資をしております。これに交付金とか補助金を少しつけていただくとか、いろいろな方策があると思いますので、ぜひ温かい前向きな御対応を心から期待を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、本会議に続き、このような質問の機会を与えていただき、感謝の思いでいっぱいでございます。ありがとうございます。

 早速質問に入らせていただきますけれども、先ほど来、今回の消費税率の引き上げの延期による地方財政への影響、一・七兆円ということでお答えをいただいたところでございますが、ここでもう一歩踏み込んで確認をさせていただきたいと思います。

 この中で、地方税収への影響と地方交付税原資分への影響、これはそれぞれどの程度になっているのか、まず確認をさせていただきたいと思います。

 また、あわせて、一・七兆円というこの使途について、社会保障の安定化と充実の財源配分はどのように考えていたのかにつきましてもお答えいただければと思います。

 よろしくお願いいたします。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方財政への影響として見込まれるおよそ一・七兆円の減収というものがございますけれども、地方消費税収に係るものがおおよそ一・四兆円、地方交付税の原資分に係るものはおおよそ〇・三兆円ということでございます。

 増収分につきましては、御承知のとおりの、社会保障経費の充実に充てる、こういうことでございました。

輿水委員 ありがとうございます。

 先ほど来の質問の中で、こういったものに対して適切な対応をとっていただけるということで、見守っていきたいと思っているわけでございます。

 あわせて、自動車税につきまして、平成二十九年四月より予定していた、自動車取得税を廃止するとともに自動車税及び軽自動車税に環境性能割を導入する、これは今回延期するということで決定をしたわけでございますけれども、もしこのまま延期せずに自動車取得税を廃止し、環境性能割を導入した場合の地方財政への影響額について、お聞かせ願えますでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 全体の話がちょっとありますけれども、消費税率一〇%への引き上げ時の車体課税の見直しにつきましては、与党税制改正大綱において、他に確保した安定的な財源と合わせて、地方財政へは影響を及ぼさないということで、制度設計をこれまでしてきたところでございます。

 今委員お尋ねの、二十八年度税制改正における自動車取得税の廃止と環境性能割の導入のみの影響額だけを見ますと、この部分については約二百億円の減ということになりますけれども、その他、二十七年度から実施した軽四輪等の税率引き上げの増収分も含めて、必要な地方財源をおおむね確保してきたところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 こういった問題に対しましても適切な財源確保に努めていただけるものと考えておりますが、今回、消費税引き上げの延期の中で、しかし、やはり介護とか子育ての支援というのは待ったなしであると思うわけでございます。この引き上げの延期により地方財政は大変厳しい状況になっている中で、また政府からは、緊急の取り組みとして、保育の受け皿の整備など、今までの社会保障施策とは別枠で、新たな社会保障の充実に取り組んでいく姿勢が示されたところでございます。

 ここで、毎年増大していく社会保障関係費の地方負担増への対応に苦慮している自治体において、新たな負担増は大変に厳しいものがあると感じるわけでございます。このような状況におきまして、地方における社会保障施策への実施に支障が生じることのないようにしなければいけない。

 またさらに、人材確保が喫緊の課題ということで、これもまた新しい今の課題になっているわけでございますけれども、保育士、介護職員などの処遇改善など、一億総活躍プラン関係施策においても地方負担分の財源をどのようにしていくのかという課題があるわけでございます。

 これらの施策は、国として責任を持って進めていく中で、地方が協力をして実施するものであると思います。そういった観点から、新たに政府より打ち出された社会保障の充実や処遇改善に係る費用につきましては、地方に負担を押しつけることなく、国の責任において明確に財政措置がなされなければならないと考えますが、総務大臣の御見解をお聞かせ願えますでしょうか。

高市国務大臣 子育て、介護などにつきましては、社会保障の多くが地方自治体を通じて国民に提供されておりますけれども、役割が極めて大きいということから、国と地方の協力が不可欠です。ですから、所要の財源確保というのは明確になされるべきであると思っております。

 このため、総務省から、消費税それから地方消費税率の引き上げ延期に対応した社会保障の充実施策や、保育士、介護職員の処遇改善など一億総活躍プラン関係施策の実施に関しては、地方負担分も含めた安定財源を確保すること、その際、地方に負担を転嫁するような制度改正等を行わないことということについて、関係府省に既に要請をしております。

 財源負担のあり方も含めて、具体的には今後予算編成過程で検討されますけれども、地方財政への影響については、年末の地方財政対策の中で、地方自治体の財政運営に支障が生じることがないようにしっかりと対応をしてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。力強い御答弁をありがとうございます。

 今日、地方財政におきまして大きなウエートを占めているのが社会保障関係費であると思います。その割合と額は年々ふえている。例えば、地方向け補助金等において、平成十四年度は総額が二十・四兆円、そのうち社会保障関係費は十・五兆円、約半分でございましたが、これが、平成二十五年度は総額が二十三・九兆円となり、そのうち社会保障関係費は十六・四兆円、全体の約七〇%となりました。この社会保障関係費が二十八年度は十八・四兆円となり、この十八・四兆円のうち医療、介護関係費が約六〇%を占めている、このような状況でございます。

 そこで、社会保障費が増大する中、健康増進、介護予防、また医療費の適正化など、地方自治体における社会保障の負担軽減への取り組みが大変に重要であると考えます。

 近年のネットワーク環境の拡充とクラウド技術の進化は、地方自治の効率化の上で追い風になっていると思います。消費税引き上げは二年半延期となりましたが、社会保障関係費の低減による地方財政の安定化への取り組みは積極的に進めるべきと考えます。

 そこで、総務省におきまして、ICTを活用した自治体の健康増進、医療費適正化などの取り組みにつきまして、現状と今後についてお聞かせ願えますでしょうか。よろしくお願いいたします。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御承知のとおり、ICTには地理的な制約を克服する力があるということでございまして、こういうことを活用すれば、例えば地方におきましても都市部などと同様に豊かな医療サービスを適切に受けることが可能になるのではないかというふうに言われております。

 また、最近ではIoTとかAIとかビッグデータというようなことが言われますけれども、先ほど先生がおっしゃったとおり、いろいろな技術の進歩によりまして、こういったことを活用することが可能になっております。

 例えば、患者さんの情報を医療、介護の関係者の間で共有する、あるいは、国民がみずからその健康データを把握して、これを十分に利活用することができれば、国民の健康長寿の増進と医療費の適正化、この両立を図ることができるのではないか、こういうことが言われておりまして、自治体や厚生労働省などの関係省庁と連携して総務省でも取り組みを行っております。

 例えば、具体的に申し上げますと、平成二十六年度から三年間で、伊達市とか岡山市など六つの自治体におきまして、住民の七割を占めると言われております、健康診断、健康指導に参加しない、いわゆる健康無関心層でありますが、こういう方々に対しても、ポイントを付与するといったようなインセンティブなどを用いてそれらの方々の参加を促し、また、そのデータに基づいて健康指導を行う、こういったモデルの確立に向けた実証事業を実施しております。

 これまでの実証におきまして、健康無関心層が全体の参加者の七七%に上っておりまして、例えば、一日の歩数が増加したということで、これを仮に人口十万人程度の自治体で計算しますと、年間医療費が六千七百六十万円程度抑制されるのではないかという効果が試算されております。

 今年度末には三年間の実証事業の成果を取りまとめまして、そういった健康増進効果とともに、医療費の適正化効果の試算も行いまして、有効性を確認した上で、厚生労働省などと連携しながら、来年度以降、ほかの自治体にも展開できるように検討してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ICTを積極的に活用しながら、地方財政の安定化、目指していただければと思います。

 本会議での質問で、地方財源確保において大変に重要な消費税一〇%への引き上げを平成三十一年十月に確実に実施するための、ローカルアベノミクスの推進について質問させていただきました。大臣より、ふるさとテレワークなどの推進に引き続き力を入れるなど、あらゆる政策を動員して、ローカルアベノミクスを強力に推進するとの答弁をいただきました。

 総務省では、日本経済再生の鍵を握る地方創生に向けたふるさとテレワーク推進のための地域実証事業等を進めてきたと伺っておりますが、まず、その成果と今後の展開についてお聞かせ願えますでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 テレワークは、さまざまな働き手が多様な生活スタイルに応じて働くことを可能とするものでございますので、地方における人手不足の解消ですとか雇用創出、いずれの面でも有効なツールであると私どもも考えております。

 総務省では、こういう観点から、従来型のテレワークから一歩進めまして、先生今御指摘ございました、都市部から地方への新たな人や仕事の流れをつくり出すふるさとテレワークを大臣のもとで推進しております。

 昨年度は全国十五カ所でふるさとテレワークの地域実証事業を行いましたが、全国各地で人や仕事の地方への流れが生まれたところでございます。

 例えば、委員が総務大臣政務官でおいでになったときに、昨年十一月に御訪問になった和歌山県白浜町におきましては、平成二十七年十月から二十八年の四月までの七カ月間に、商談の件数が二〇%、契約金額も三一%向上するといった生産性の向上を示す具体的な成果も出ております。

 昨年度の実証の成果を踏まえまして、ふるさとテレワークの全国展開を図るために、今年度からはその導入を希望する地方自治体などへの補助事業を開始しておりまして、全国二十三カ所で導入予定でございます。

 来年度も継続したいと考えて平成二十九年度概算要求にも盛り込んでおりますので、また御支援をいただきまして、ふるさとテレワークの全国展開を本格化させてまいりたいと存じます。

輿水委員 ありがとうございます。

 さらに、このふるさとテレワークに重ねて、このたびの補正予算でお試しサテライトオフィス事業が進められる、このように伺っておりますが、これは具体的に、どのような目的のもと、どのような取り組みを進めようとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 地方への人の流れをつくり出すために、サテライトオフィスの開設、誘致に取り組む地方公共団体がふえておりますけれども、都市部の企業の具体的ニーズが把握できない、あるいは誘致に向けた戦略やノウハウがないといった課題が指摘されております。

 また、都市部の企業には、いきなり地方にオフィスを設置することに対する不安もありまして、こうした課題を解決するために、お試しサテライトオフィスというものに取り組むこととしたわけでございます。

 具体的には、サテライトオフィスに関心の高い三大都市圏の企業を地方に招聘いたしまして、空き公共施設等におけるお試し勤務というものによりまして、企業ニーズを実践的に検証、分析するほか、執務環境や立地環境、生活環境を総合的に勘案した必要条件の整理や、開設、誘致に向けた戦略の策定などを行う地方公共団体を支援するというものでございます。

 あわせまして、これらの取り組みを効果的に進めるために、総務省におきまして、三大都市圏の企業等を対象にサテライトオフィス等に関する基本ニーズ調査を実施いたしまして、ニーズがある業種や業態や必要な条件等について、整理し、提供することといたしております。

 地方公共団体の取り組みを効果的に支援し、都市から地方への新たな人の流れを創出することといたしているものでございます。

輿水委員 ありがとうございます。ぜひ、積極的な取り組みをよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨日、総人口の二八・四%が東京圏に集中しているとの国勢調査の確定値が出されましたが、この東京圏一極集中をやはり是正し、地方の活力を生み出す上でも、ただいまのテレワークをいかに地域に定着させるか、また、サテライトオフィスを具体的に推進するか、こういった中で企業の働き方改革もしっかり進めていかなきゃならないと思っております。

 例えば、都市部の企業がプロジェクトチームなんかを組んで、一定の期間、システム開発や事業計画を地方で行う開発合宿などに対応したサテライトオフィスの展開など、さまざまな工夫を凝らした働き方改革を進め、そして、地域、もっともっと活性化をしていく。そういった中で、地方財政の安定化と、将来の、今度の消費税率引き上げはしっかりと確実にできるように進めることが必要だと考えております。

 そこで、地域経済の活性化を目指して、総務省としてあらゆる施策を動員して、テレワークの地域への定着を大胆に進めるべきと考えるわけでございますが、大臣の御決意をお聞かせ願えますでしょうか。

高市国務大臣 輿水委員には、ことし八月まで総務大臣政務官として御活躍いただき、特に、ICT分野ではもう私よりもはるかに詳しい知識をお持ちなんですけれども、特にテレワークを先進的に実施している自治体や企業を全国各地、随分回ってきていただきました。先進的な取り組みについても横展開をするためにお取り組みをいただきましたことに、まず感謝を申し上げます。

 テレワークというのは、いろいろな効果があると思うんですけれども、やはり時間や場所にとらわれずに働ける働き方を可能にするものですから、ライフステージごとのいろいろな生活スタイルに応じて、自宅ですとか地域でも仕事ができる。そうすると、子育て世代やシニア世代や障害をお持ちの方にもまた働く場所ができてくるということで、働き方改革の切り札でもあります。

 また、地方創生という観点でも、離島や山間部でも今御活用いただいているところがふえてまいりましたので、大変大きな効果があると思います。ですから、三大都市圏だけではなくて、北海道、東海、北陸、九州、沖縄でもテレワークセミナーを開催することにしました。地方における普及に努めるということを考えますと、割とよく聞く声が、導入したいんだけれどもやり方がわからないというお声でありまして、テレワーク導入を目指す地方自治体や企業にテレワークアドバイザーを派遣して、導入支援を行っています。

 それから、先ほど地創審から説明をさせていただきました、ふるさとテレワークの全国展開を図るための補助事業を開始したんですけれども、この事業で設けられたサテライトオフィスの中にコワーキングスペースが併設されているという例もございますので、今、輿水委員が御紹介くださったような、都市部の企業が短期間、開発合宿をするというときにも御活用いただけると思います。

 いよいよ来月、十一月は産学官でテレワークを集中的にPRするテレワーク月間でございますので、私どもも優良事例を収集して、テレワーク先駆者百選として総務省のウエブサイトにも掲載しますし、この百選に総務大臣賞を新設しまして、特にすぐれたお取り組みをされている企業、団体を表彰するなど、これからもしっかりとテレワークを推進してまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 地方消費税の引き上げ、二年半延期となりましたけれども、その間、あらゆる政策を総動員しながら、地方創生が着実に進められることを御期待申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 大変にありがとうございました。

竹内委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、六十五分という長い時間の質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 きょうは、消費税の増税延期に伴う地方税法及び地方交付税法の一部改正法律案ということでありますが、今私が聞こうと思ったことをかなり与党の先生方に聞かれまして、なるべく重複を避けていきたいと思いますが、六十五分という時間ということもあって、少し幅広く聞かせていただくことをお許しいただきたいと思います。

 それともう一つ、ちょっと幅広く聞かせていただきたい理由として、実はきょう、この総務委員会で私が質問に立つのは五カ月ぶりでございます。前回、五月の二十四日に質問に立ってから、総務委員会では比較的多く質問に立たせていただきましたけれども、やはり五カ月もあいてしまいますと、この五カ月間にいろいろなことがありまして、お聞きしたいことがたくさんあるわけでございます。

 実は、きのう、内閣委員会でも同じことを申し上げたんですが、やはり国会の会期というのを、ぜひ先生方皆さん、国会議員でもう一度考えた方がいいのではないかという気がいたします。

 私も実は総務省の出身でございまして、政府で働いているときに、いろいろな大事な法案を通してほしいということがありましたけれども、国会の会期の関係でなかなか通らないということが多々ありました。きのうも、宇宙関連の二法案、内閣委員会で、実は通常国会では時間切れで通らなくて、そしてようやく衆議院を通過したということがありましたけれども、やはり、ぜひこの国会、私はもう一年じゅう開いておくべきだというのが持論でございます。

 実は、お隣韓国はほぼ一年開いているということで、韓国に行ってどういう状況なのかと調べてまいりましたら、何のことはない、韓国も我が国と同じように、会期というのは憲法上決まっている。しかし、これも我が国と同じように、四分の一の国会議員が要求をすれば開かれるということで、随時、野党議員中心に四分の一の議員が延長を求めているので、ほぼ慣例的に通年で開かれているということであります。

 しかし、去年の年末、我が党が中心となって延長を求めましたけれども、それは認められなかったというか、結局、通常国会が開かれましたので、それと吸収されてしまったような格好になりました。

 やはり私は、国民の皆さんの期待というものを考えたら、そして、現実に通してほしい、通したい法律というのがたくさんあるわけでございます。そういう中で、できる限り国会を開いておくということは我々全員で考えなければいけない課題ではないかなということを、まず一言申し上げておきたいと思います。

 その上で、まず、きょうは鳥取の地震のことを少し聞かせてください。

 実は、我が党には鳥取選出の国会議員がおりません。私は中国比例ブロックの選出でございますが、中国比例が三名いるだけでございまして、そういう意味では、私も鳥取県を代表して御質問をしなければいけないなと思ってきょうは参りました。

 今回の地震で被災された皆様には、本当にお見舞いを申し上げ、そして一日も早い復旧復興を果たしてまいりたいと思います。

 大臣が退席されてしまったんですけれども……(高市国務大臣「まだいます」と呼ぶ)いいですか、最初に一問だけ。ちょっと聞いていただきたいということで。

 実は、きょう、鳥取県の平井知事が安倍総理にお会いになられます。七項目の要望を持って、また関係各省、ちょっと総務省に行くかどうかまでは確認できなかったんですけれども、参ります。

 やはり、もちろん、被災された皆さん、避難所にまだ生活されている皆さんもいらっしゃいます。そのことも一日も早い解決をお願いいたしますが、あわせて、風評被害といいましょうか、鳥取は旅館、ホテルが大変多いんですね。あと、私の地元の岡山も温泉地でございまして、そこのキャンセルが物すごい数が出ております、こういったこと。あるいは農業、鳥取といえば梨ですけれども、そういった農業の被害もかなり出ている。

 ということもあって、平井知事からは、その宿泊キャンセルになった分を、何とか鳥取観光キャンペーンを関係団体と実施できないか、あるいは復興支援を目的とした割引の旅行プランをつくれないかというようなこと。あと、歴史的な建造物の修繕、これも大変、二十一件の被害が出ているということでございます。

 きょうは、ちょっと、それぞれ担当をお呼びするとまた時間もかかりますので、要望ということでとどめたいと思いますが、せっかく大臣に戻ってきていただいたので、一言、総務省としてやるべきこともたくさんあると思いますので、今回のこの鳥取地震に関して、総務省としての決意をお聞かせください。

高市国務大臣 まずは、鳥取中部の地震におきまして大変な被害が発生しました被災者の皆様に、お見舞いを申し上げます。

 直前の日曜日に、私も平井知事、また倉吉市で大きな被害がございましたので倉吉市長と、電話ではございましたが、お話をいたしました。まだずっと被災地を回ったりなさっている最中でございました。そして、上京されるときには、もしも委員会などで私が留守であっても、この局長とこの局長に会ってお話をして帰ってくださいということもお伝えをしてあります。もし時間が合えば、私自身が御要望を伺いたいと思います。

 いずれにしましても、各省でさまざまな補助事業もございますし、これから対応が決まっていくと思いますけれども、地方の財政運営に影響が生じないように、しっかりと総務省としても応援をしてまいります。

高井委員 全力で取り組んでいただくことをお願いいたします。

 では、どうぞ御退席いただいて。

 私も、実はこの地震を受けて少し悩みました。というのが、気象庁が、きょう来ていただいていますけれども、一週間程度は余震が続く可能性が高いということを言われました。

 実は、熊本のあの地震のときに、余震と本震が逆転したといいましょうか、極めて例外的な事象だったと思いますけれども、ああいうことがあって、やはり私もそのことが心配になりました。鳥取県、あるいは岡山もかなり揺れましたので、岡山の皆さんに向けて、しばらく、少なくとも一週間は万全の備えをしてくださいということを、いろいろなところで申し上げました。一方で、そのことが温泉地のキャンセルにつながったといって、旅館業界の方からは厳しい言葉もいただいた。本当に難しい問題だと思います。

 しかし、やはり、ああいう熊本のようなことが起こり、また、地震が起こる、余震の回数も相当な回数が出ておりますので、ここはしっかりと県民の皆さんには正しい情報を伝えなければならないと思っております。

 その意味で、気象庁に伺いますが、きょうで六日目ですか、先週の金曜日午後二時七分でした。私は東京におりましたが、岡山からはかなり揺れたという一報をたくさん受けて、すぐに岡山に戻ったわけであります。気象庁、あのとき、一週間は余震が続きますということでありましたけれども、現時点、どのような見解でしょうか。

上垣内政府参考人 お答えいたします。

 十月二十一日十四時七分に、御指摘のとおり、鳥取県中部を震源とするマグニチュード六・六の地震が発生し、鳥取県中部で最大震度六弱を観測いたしております。その後、本日九時までに、最大震度一以上を観測する地震が二百五十五回発生するなど、活発な地震活動が続いております。

 気象庁では、今後の地震活動の見通しにつきまして、揺れの強かった地域では、地震発生から一週間程度、最大震度六弱程度の地震に注意するよう呼びかけているところであります。

 なお、十月二十二日、地震の翌日でありますけれども、政府の地震調査委員会が開催されまして、鳥取県周辺では、大きな規模の地震の発生後に規模の近い地震が続発した事例もある、また、同程度かさらに大きな地震が数カ月後に発生した事例もある等と評価されているところであります。

 気象庁では、引き続き、地震活動をしっかり監視して、迅速かつ的確な情報提供を行ってまいります。

 以上でございます。

高井委員 もう一問、これも大変聞くかどうか迷うというか、悩む質問なのでありますが、一部報道などでも、やはり、今回の鳥取の地震が南海トラフの地震と連動する可能性というのを指摘されています。かなり、過去の例を照らし合わせると、鳥取でこういう地震が起こった後の二年とか三年以内に南海トラフ地震が起きているという例もあり、また、地震の研究をされている学者の皆さんからも、あるいは実は気象庁の一部の方からも、そういった心配の声が上がっているわけであります。

 このことについては政府は何も触れられないわけでありますが、この点については政府としてはどのように考えているんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の地震の震源域は、南海トラフ地震の想定震源域からかなり距離が離れているということ、そして、今回の地震は内陸で発生をした地震でございますけれども、これに対しまして、南海トラフ地震は海溝型の地震であって、地震の発生メカニズムが異なるということから、直接的に影響を与える可能性は考えにくいというものと認識をしております。

 しかしながら、地震調査研究推進本部の地震調査委員会におきましては、南海トラフ地震について、今後三十年以内にマグニチュード八から九クラスの地震が起こる確率は七〇%程度、このように評価をしておりますので、今回の地震にかかわらず、防災上の備えを万全にしていただく必要があるものと考えております。

高井委員 今の七〇%というのは、実は岡山県民だとほぼみんな知っているというか、いつもそのことは備えているわけでありますが、やはり今回、鳥取の地震が起きたことでその可能性がより高まった、あるいは早まったのではないかということを私は懸念いたします。

 気象庁にもう一度同じ質問をしたいんですが、私は、ちょっとある方から、気象庁の中ではそういう懸念の声があるけれども、なかなか政府としては公式発表にならないという話を聞いたんですが、気象庁としてはこの点をどう考えておられますか。

上垣内政府参考人 お答えいたします。

 気象庁といたしましても、先ほどの文部科学省からの答弁と同様、今回の地震が内陸の地震である、南海トラフとは発生メカニズムが異なる、また、規模に照らし合わせて、かなり距離が離れているということから、直接的な影響は考えにくいというふうに考えております。

高井委員 こういう場でお聞きすると、さすがに政府で違ったことは言いにくいんだろうなと思うんですが、私は、やはりこういったことは幅広く。不安をあおってはいけないし、風評被害になってはいけないということを本当にいつも悩みながら思うわけでありますが、しかし、やはり正しい情報を国民に伝えるということは、これは絶対になくてはならないことでありますので、政府の中でいろいろな意見があるのであれば、そういったことも幅広く伝えていただくように、この場ではお願いするということにきょうはとどめさせていただきます。

 気象庁と文部科学省さんは、この地震の対応などもあると思いますし、忙しいと思うので、どうぞ御退席いただいて結構です。

竹内委員長 気象庁と文部科学省は御退席ください。

高井委員 それでは、きょうは実はNHKさんに来ていただいております。NHKさんもお忙しいと思いますので、この質問を終えたら御退席いただいて結構でございますし、石原委員長におかれては、九州からわざわざお越しをいただいたということで、大変ありがとうございます。

 NHKのことを質問したいのは、きょう、消費税の延期を絡めた法案であります。受信料というのも、国民にとっては本当に税金と等しく感じる負担金、特殊な負担金と専門的には言っていますけれども、でありますので、来ていただきました。

 そういう意味では、ちょっとこれは通告していないので、ひょっとしたら答えられないかもしれないんですけれども、前回、消費税が五から八に上がったときに、受信料も同じように改定をしているんです。しかし、今回は、つい半年前までは上がるということを前提にしていたと思うんですが、その時点では、受信料の改定というのは検討していたんでしょうか。

松原参考人 お答えいたします。

 前回、五%から八%になったときも、これはシステム対応が必要になりますので、事前に準備をしておりました。一〇%のところも、一度経験をしましたので、それをもとに準備はしてありますけれども、最終的には決まってからということでございます。

高井委員 そうすると、ある意味、自動的に変えるということを予定していたわけですね。わかりました。きょう、そのことを聞こうと思ったわけじゃないんですけれども、そういえばどうなっているんだろうと思って、ちょっとお聞きをいたしました。

 もう一つ、受信料のことでお聞きをしたいと思います。

 今、受信料を値下げすべきじゃないかということがかなり議論されています。総務省の検討会でも値下げの方向性が出たという報道を受けておりますが、それを受けて、NHK会長と経営委員長、それぞれ新聞や記者会見やインタビューなどに答えられていますが、ちょっとそれぞれ違うお立場を答えているように思います。

 改めて、受信料の値下げということについて、会長、経営委員長にそれぞれお聞きをいたします。

石原参考人 お答えいたします。

 経営委員会では、経営計画議決の際に経営委員長見解を出しておりまして、その中で、執行部に対して、放送と通信の融合時代の受信料制度について、あるいは新たな受信料制度の研究を鋭意進めることを求めております。

 また、国際放送の充実や通信との融合、4K、8K放送など、今後経費が相当必要だという部分がございますので、その辺は再度検討して収支の設計を見直す必要もあると考えております。

 いずれにしましても、制度面、コスト面をあわせた検討を重ね、視聴者・国民の皆様の御理解をいただける制度を全体として検討する必要があると考えております。

 なお、現時点で、個別の制度や金額について、具体的に決めたことは何もありません。

籾井参考人 受信料の値下げということでございますけれども、これまでも、去年も含めてですが、申し上げていますとおり、受信料については、収支の状況を見きわめながら、財政的に余裕がある場合には視聴者へ還元すべきという考えに変わりはございません。

 今後の受信料については、いろいろなかかるコスト等を精査しまして、例えばスーパーハイビジョンであるとかインターネット活用業務など、こういう対応をよく踏まえて検討しております。

 いずれにしましても、NHKとしましては、このことは経営委員会の議決事項であるというふうに承知いたしております。

高井委員 ちょっと石原経営委員長のお答えがわかりにくかったんですけれども、朝日新聞のインタビュー、記者団に答えたということで複数の新聞に出ておりますが、NHKにはお金が必要なことがたくさんある、今やるのはよいのかと慎重な姿勢を示したという報道なんですが、その考えには変わりはないですか。

石原参考人 先ほど申し上げましたけれども、例えば国際放送とか、通信と放送の融合とか、あるいは4K、8K放送など、相当お金が必要になると考えられる部分がございますので、そういったことをもう少し慎重に見きわめて考えていく事柄ではないかということで、変わりません。

高井委員 わかりました。

 それでは、総務省はこの受信料の値下げについてはどういう立場でしょうか。

南政府参考人 総務省では今、大臣の御指示のもとで、放送をめぐる諸課題の検討会というものを開催してございまして、その中で、公共放送のあり方というものも非常に重要な論点として取り上げられてございます。

 その中で御議論いただいておりますのは、NHKのあり方につきましては、受信料の問題、ガバナンス、経営の問題、それから業務範囲の問題、これらの事柄をいわば三位一体として改革していく必要があるという基本的な考え方のもとで、現在議論を深めていっていただいているところでございますので、その結果を踏まえて適切に判断してまいりたいと考えてございます。

高井委員 この問題は非常にちょっとわかりにくくて、総務省でも検討会を開いて検討をしている。それから、NHKでも、ことしの春聞いたときには、内部で検討中だけれどもいつまでに結論が出るかわからない、総務省の検討会も見ながらと。総務省の方も、NHKの意向を聞きながらみたいな。では、結局、誰がいつまでに決めるんだということがわからないんですが、大臣、どうなんですか。いつ、誰が決めるんですか。

高市国務大臣 NHKの受信料でございますが、NHK予算は、国会で御審議をいただき議決をしていただく、それによって決定をするわけでございます。その過程においてということでございます。

 総務省で開いております検討会におきましても、もちろんNHKにも来ていただいてしっかり御意見をお伺いし、そして、私どもはやはり、業務内容も、ガバナンスも、そして受信料も、三位一体でしっかりと改革をしていただかなきゃいけないと思っておりますので、有識者の御意見もお伺いしながら、一定のあるべき方向性というもの、NHKのあるべき役割というものを示していかなければならないと思っております。

 あくまでも、受信料は、またNHK予算の審議の中で御議論を賜りたく存じます。

高井委員 なるほど。確かに、法制度上もなかなか難しいですね。NHKが予算案を決めて、それを国会が承認するという手続ですけれども、そこだけ見ると総務省は絡む余地はないようにも感じますが、しかし、現実には総務省と相談しながらということじゃないかなと思いますので。これはやはり国民的関心事でありますし、我が党としても大変大きな関心を持っておりますので、引き続きまた聞いてまいりたいと思います。

 きょうは、この値下げの件はこのくらいといたしまして、実は、受信料についてもう一つ課題がございます。それは、ワンセグと言われる、携帯でテレビを視聴する受信料について、先日、さいたま地裁の判決が出ました。ワンセグ機能つき携帯電話を所持しているだけではNHKと受信契約を結ぶ義務はないという判決だったわけですが、これに対しては、NHKは控訴する方針だと。つまり、ワンセグ携帯にも受信料を取るべきだと。

 この議論を見ますと、実は、設置と携帯という言葉の解釈の違いだと。NHKは、設置。テレビ、受信機を設置したときにはもう契約しなければならないと放送法の六十四条で書いているわけでありますが、これは携帯、設置していないじゃないか、ワンセグを携帯しているだけじゃないかというのが主張というか判決なんですね。

 設置の中に携帯を含むかというのはいろいろ考えがあると思いますが、やはり放送法改正をして、わざわざ「携帯」という文言を平成二十一年、二十二年の改正で入れている。つまり、法律の中では「携帯」と「設置」という言葉は明確に別になっているにもかかわらず、この「設置」の中に盛り込むのは私はちょっと無理があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

南政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘の設置と携帯との関係につきましては、これは訴訟のまさに争点中の争点でございますので、今、当事者間で係争中の話でございますので、その点についてのコメントはちょっと差し控えさせていただきたいと存じます。

 その上で、先生御案内のとおり、ワンセグと申しますのは、我が国の地デジ方式の一つの大きな特色でございまして、移動しながらでも放送が受けられる。これは放送サービスでございますので、これを受けることのできるデバイスであれば、PCであろうがカーナビであろうが携帯電話であろうが、全てNHKの受信契約の対象になるということにつきまして、ワンセグのサービスが開始された十年ほど前から、私どもとしては国会等で繰り返しそのように答弁申し上げてきたところでございます。

高井委員 今、会長も手を挙げたので、では、会長もお願いします。

籾井参考人 NHKとしましては、今回の判決は、放送法第六十四条の受信設備の設置についての解釈が間違ったものだというふうに理解しております。

 したがいまして、九月二日に東京高裁に控訴いたしました。

高井委員 NHKのことばかり聞いているわけにいかないのでこのくらいにしたいと思いますが、この点も引き続き、あと、放送センターの建てかえ、これは、当初三千四百億だったのが千七百億にいきなり半分になったということも我が党の木内委員から本会議でも話がありましたが、この点も本当は聞きたいんですけれども、ちょっとこれも飛ばさせていただいて。

 もう一つ、きょうは経営委員長に来ていただいていて恐縮なのでございますが、先般、経営委員の同意人事がございました。我が党は、三名の皆さんには反対をいたしました。これは、実は総務省からのヒアリングのときに私は出席していなくて大変恐縮なんですが、同僚議員から聞いたところでは、やはり、推薦というか、なぜ三名の方が経営委員にふさわしいかという説明が全然わからなかった、理解できなかったということが我が党のメンバーの総意でございまして、反対ということになりました。

 この経営委員というのは非常に大事な仕事だと思います。特に経営委員長というのは、極めて、NHKのトップ、会長を決めるという非常に大きな仕事を担っておりますので、やはり経営委員にどういう方を選ぶかというのは極めて重要な、さまざまな観点から必要だと思うんですが、これはどういう理由で改めて経営委員というのは同意人事の提案があるんでしょうか。

南政府参考人 お答えいたします。

 NHKは、先生御案内のとおり、国民の日常生活に非常にかかわりのある公共放送でございますので、そのNHKの最高意思決定機関であります経営委員会の委員の選任に当たりましては、できるだけ広く国民の総意を経営委員の運営に反映する必要があるという趣旨から、教育、科学、文化、産業、そういった分野別のバランスでございますとか、地域のバランスでありますとか、あるいは女性の比率を高めるという観点もございます。そういったNHKのミッションをよく御認識いただいた方を透明で公平なプロセスにかけるという趣旨で、国会の同意に係らしめさせていただいているということだというふうに理解をいたしております。

高井委員 そういう観点から今の方が適切というのはなかなか説明として理解しがたかったわけでありますが、いずれにしても、この経営委員あるいは経営委員長の決定の方法というのは非常に我が国の放送、NHKのあり方の根幹にかかわる部分でありますので、ぜひこのことはこれからも問題提起してまいりたいと思います。

 それと、最後にもう一つ、NHKの子会社のことで一つちょっと御指摘を申し上げ、できれば会長から御見解を伺いたいんです。

 実は、前からNHKの子会社がさまざまな業務をやっております。最近よく耳にするのは、名前を出すとNHKエンタープライズという会社が、映像を制作する、例えば東京オリンピック・パラリンピックのときの映像をさまざまな企業の広告につくるとか、そういった映像をつくる仕事を請け負っているわけです。

 当然、いろいろな民間企業と競合してプレゼンになるんですが、そういうときにこのNHKエンタープライズは、うちはNHKの子会社ですからさまざまな特典があります、世界じゅうにいるNHKのスタッフを活用することができます、あるいは、NHKが持っている素材、番組であったり、あるいは4K、8Kの世界最先端の技術の機材を使うことができますということ。NHKの素材をアーカイブされているものを使うのも、ほかの企業も使えるらしいんですけれども、非常に手続が煩雑で時間もかかる、料金も違うんじゃないかと。これはちょっと確かめていないんですけれども、そういううわさもある。

 こういうことになりますと、NHKが受信料でつくったものをこういった民間企業と競合する場で使う、しかもそのことを強調して競争、コンペに勝っていくということは、これはやはり競争している企業からすればおかしいんじゃないかという指摘があります。

 会長、会長は国会でもいろいろなことがありましたけれども、やはり改革、子会社を改革するという姿勢は私は一定の評価をしておりますので、ぜひ、まさに外から来た方にしかできないことかもしれません。そういう意味で、この件についての会長のお考えをお聞きいたします。

黄木参考人 お答えいたします。

 まず、NHKが関連団体に番組の制作を委託して番組をつくらせる場合、これは受信料で制作するものでございまして、著作権もNHKにありますので、NHKの映像素材を使用する場合の使用料は発生いたしません。

 一方、関連団体がNHKの映像素材を独自の事業に使用する際、これは、使用料などの条件は外部の事業者と区別しておりません。全く同一といたしております。

 さらに、お話がありました関連団体がオリンピック関連の業務を外部から独自に請け負うこともあり得ますが、その際も、NHKの映像素材等の使用料は、外部事業者と区別せず、全く同一といたしております。

籾井参考人 今、NHKでは、関連企業の抜本的見直しということで、ガバナンスの問題であるとかそういうことも含めて、それを第一にまずスタートしました。この点については、かなり具体的に進んできたと思っております。

 それから、さらに、従来の関連企業任せっ放しというわけじゃないんですが、任せていたものを、本体の方でも責任部署というものをつくりまして、例えば、制作局はエンタープライズの会社に対しての責任を持つというか、きちんと管理する、責任を持つ、こういう体制をつくるとか、それから、関連企業にそれぞれ専門の公認会計士を常駐してもらいまして、そこに中堅の職員を派遣する。それによりまして、NHKの中でのいわゆる関連企業に対する認識と、さらにもっと言えば、将来の経営感覚を持った中堅、人材を育てていく。

 こういうことも含めて、一つ一つではありますが、一応全体を見ながら改革を進めていっております。よろしくお願いします。

高井委員 会長、ぜひ、その改革のお気持ちはよくわかっておりますので。今私が申し上げたことも、恐らくNHK内部から話を聞けば、いやいや、そんなことはありませんということしか上がってこないと思うんですね。ですけれども、外の実際にそういう競合している人が、現に私は目の前にいてその人から話を聞いていますので、幾らでも、会長に直接説明に行ってよければ連れていきますので。

 やはり、どう考えてもアンフェアだと思うんですね。受信料で成り立っているNHKが、その子会社でそういう競争相手に不当に何か有利なことをするというのはやはりおかしいし、会長もそこは同意いただけるんじゃないかと私は思いますので、ぜひ、この点についての改革はお願いをしたいということ。

 済みません、あと一問と言いながら、もう一つだけ。

 これは経営委員長にぜひ最後にお聞きしたいんですけれども、実は、この間、あるマスコミ、田原総一朗さんとか竹中平蔵さんと、万年野党というNPOがあって、国会議員を何かランクづけとかしてくれるところがあって、そこのシンポジウムにちょっと参加したときに、非常に重要な話をしていたなと私は思うんですけれども、マスコミというのは権力から距離を置く、これはもう当たり前だ、権力からも距離を置くけれども、大衆からも距離を置く、大衆と言ったかな、そこが結構大事なんだと。今のマスコミ全般を見ていると、ちょっとやはり、大衆というか、つまり視聴率を重視し過ぎなんじゃないかと。

 やはり視聴率がとれるから、朝のワイドショーでは東京オリンピック・パラリンピック、豊洲の問題ばかりで、全然我が党の代表選挙なんか全く報道されなかったわけでありますが、あるいは国会でいろいろな議論をされていることも余り報道されない。そこは、しかし、幾ら視聴率はそっちがいいからといって、やはり一定の矜持を持って放送するというのがマスコミの矜持だということで、なるほどと思いました。マスコミ人が何人かいる中でそういう話で、そこはもう本当にマスコミの皆さんの矜持に期待するしかないところだと思っています。

 そういう意味でいいますと、会長の人事ということになります。御本人もいる前であれですけれども。

 私は、外から来た籾井会長の改革の姿勢というのも評価はいたします。一定の評価はいたします。しかし、放送、マスコミ、こういったものの矜持をしっかりわかって放送番組をつくっていく、そのトップに立つという意味では、私は、内部からの生え抜きという方がずっとこの間いませんけれども、NHKの中から登用するということも大事だし、あるいは、中からがいないのであれば、少し外からでも、マスメディア、こういったものにやはり精通した人を登用するというのも重要な視点だと思います。

 この秋冬にも会長人事を経営委員会で議論する、もう議論は始まっていると思いますけれども、経営委員長に、最後に、会長人事についてのお考えをお聞かせください。

石原参考人 お答えいたします。

 次期会長の任命につきましては、ことしの七月から指名部会というのを立ち上げまして、まず、新しい委員もいますので、合計十二名の委員でございますが、選定の手続をきちっとやっていきたいということで、現行の内規あるいは前回を含む過去の会長任命の経緯、こういったものも再度確認いたしました。同じ考え、同じ気持ちできちっとした会長を選びたい、こういうことでございます。

 その中で、内規については、前回定めたものが非常に精緻にできています。みんなで議論した結果、これについては、大きく変更なく、前回の内規を基本にしていこうじゃないかということになりました。

 それから、その次に、次期会長の資格要件、これについて三回ほどこの指名部会で検討いたしました。そこでまたいろいろな意見が出ましたけれども、基本的には、前回決めたこと、これと余り変わりませんが、若干の修正を加えて、六項目を五項目に、中身はそんなに変わりませんが、加えることとしたところでございます。

 続いて、現在のNHKの経営状況について確認するということで、一昨日でございますか、会長から説明を業務状況について聞きまして、委員間の認識の共有を行うということで、これから、私の考えとしては、年末まで、十二月までの間に次期会長を決めたい。現在の会長の任期が一応一月の下旬になっておりますので、一カ月ぐらい前には何とか決めて、しっかり勉強していただこうと思っているわけでございます。

 そういった中で、これから、それぞれの委員の持ち寄った候補者、十二名全員が一人ずつ出すことはできますので、候補者、それから現会長についてこの前お話を聞きましたので、現会長についても適格かどうかについての審議を行うということで、最終的に候補者を一人絞りまして、その結果、それを再度、経営委員会で形としては決定した上において、年末までに決める。

 大変大事な、最もNHKにとっては大事なこと、経営委員会にとって最も大事なことだと私も認識しておりますので、国民の皆様方に信頼される、本当にNHKの会長としてふさわしい方を選んでまいる努力をしているところでございます。

高井委員 私はNHKにはちょっと思い入れがあって、学生時代、受信料の集金を四年間アルバイトでやって、それで食べていたものですから、ちょっと済みません、いつも長くなってしまって申しわけありません。

 おっしゃっていただいたように、会長は非常に大事でありますし、さっき言ったように、今、マスコミ全体がちょっと視聴率偏重になっている。それは、どうしてもスポンサーを大事にしなきゃならない民放はわかるけれども、NHKまでそこに行ってしまったら、やはり私は、今、国民のマスメディアに対する期待の先頭に立てるのはNHKしかいないと思っていますので、ぜひそこは会長にもよくお考えいただきたいということを申し上げて、NHKへの質問はこれで終わりますので、NHKの関係者の皆さん、どうぞ御退席ください。

竹内委員長 日本放送協会の関係の皆様は、どうぞ御退席ください。

高井委員 それでは、引き続き、消費税の話、地方税、交付税の話に参りますが、大分もう時間がなくなってしまったのと、あと、先ほど与党の議員からかなり質問が出ているので、もう繰り返さないことにいたしまして、今回、消費税、なぜ延期するんですかということを改めて聞こうと思いましたが、もうこれも同じ答えしか返ってこないと思いますので、そこも省略します。

 私は、成長戦略、これがやはりまだうまくいっていない、アベノミクスの三本の矢でいえば、三本目の矢が飛んでいないんだと思っています。

 先般、内閣委員会でも、石原大臣にもこの質問をさせていただいて、そのときに、実は、具体例としてフィンテックというのを取り上げましたが、時間切れでフィンテックの質問ができなかったので、この成長戦略というのは消費税と大きく関係すると思うので、フィンテックのことをちょっと聞かせていただきます。

 フィンテックというのは金融とITがかけ合わされた造語でありますが、これは金融機関が、銀行なんかは、世界の大手銀行も、もうこれからは自分たちの競争相手は銀行ではなくて、グーグルやアップルやアマゾンだ、そういう発言もされている。つまり、IT企業がどんどん金融の役割を担っていくようになる。

 例えば、一番わかりやすく言うと、貸付業務なんというのは、銀行マンが一軒一軒、会社を訪問して審査なんかをしなくても、全部コンピューターのデータで、預貯金や入出の状況とか全部ビッグデータ解析すれば、この会社がもうかるか損するかなんかは全部わかる、そういう時代がもう到来しつつあるというのがフィンテックであり、また、私は、これは金融機関にとどまらない、もっと大きな変革だと思っています。

 まずは、ちょっときょうは金融庁に来ていただいていますので、金融機関の話に絞って言いますと、実は、大きく二つ重要な課題があると思っています。

 一つは、フィンテック企業というIT企業、ベンチャー企業が多いんですが、この位置づけが不明確なんですね。中間的業者というふうに言っていますけれども、本来、今まで銀行がやっていたことをフィンテック企業がやるようになったときに、これに銀行法上の規制をかけるのかどうか。

 今の現行法でいうと、銀行代理業とか銀行の外部委託先管理という規制の枠組みがありますけれども、それをそのまま、銀行の代理業というのは本当に何か銀行のかわりをしているそういったところなんだと思うんですけれども、フィンテック企業というのは、ちょっとやはり、銀行と利用者の間に立つ、だから中間的業者と称しているわけですけれども、こういったところを海外なんかではもう新しいカテゴリー、法律をつくって、新たな規制、しかも、これは緩やかな規制でなければいけない、金融機関と同じ規制をかけていたのでは発展しませんから、できる限り規制をなくした形で最低限の規制制度を設けるということをやっているわけですが、この点、我が国はいかがなんでしょうか。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 フィンテックの動きを踏まえました制度面の対応につきましては、さきの通常国会で銀行法の改正法を成立させていただきまして、フィンテック企業への出資を容易にするような法改正をさせていただいたところでございます。

 御指摘のように、引き続き、フィンテックのさらなる展開も見据えて、利用者保護、また不正の防止の観点も踏まえつつ、制度面の課題について検討をしていかないといけないというふうに金融庁としても思っております。

 このため、金融審議会におきまして、当面の課題として、決済に関する御指摘の中間業者について議論を始めているところでございます。

 この議論につきまして、現時点で特段の期限ということを設けているものではございませんが、観点といたしましては、今御指摘いただきましたように、決済に関する中間的業者の取り扱いについては、利用者保護という観点もございます。また、オープンイノベーションを進めていかなければいけないという観点もございます。このような観点から、幅広く検討を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

高井委員 今、オープンイノベーションの観点ということで言われましたけれども、まさにオープンAPIという考え方なんですけれども、つまり、銀行が、さまざまなシステムが、これは本当に強固な、堅牢な、お金も相当かけてシステムをつくっているんですけれども、こことフィンテックベンチャー企業が接続をする、そこの接続する部分のシステムをオープンにする。

 このことがフィンテック企業が発展していくためには重要で、欧米なんかは今、投資額なんかを見ると日本の数百、数千倍のスピードで進んで、我が国はおくれています。しかし、おくればせながら、今、一生懸命ベンチャー企業が雨後のタケノコのように出てきている状況の中で、私はこのオープンAPIが非常に大事だと思いますが、この点について、改めて金融庁、お考えを。

松尾政府参考人 お答え申し上げます。

 フィンテックの進展の中で、日本におきましても、御指摘のように、金融機関とIT企業の協働、また連携という、オープンイノベーションという観点が非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 こういう中で、金融審議会の決済高度化ワーキンググループにおいてアクションプランを既に取りまとめておりまして、その中で、御指摘のオープンAPIについて、全国銀行協会で関係者が参加する検討会を設置し、本年度中を目途に取りまとめを行うということとしております。この検討会は今月の二十一日に既に設置されておりまして、今後幅広く検討が進められていくものと承知しております。

 金融庁といたしましても、このオープンイノベーションに関する取り組みを進めていくことを通じまして、フィンテックの動きを日本の金融、経済の発展につなげていきたいということを考えております。

高井委員 フィンテックは金融業界にとどまらないです。ブロックチェーンという新しい技術は、あらゆる産業に変革をもたらすと言われております。

 実は、経済産業省はそのあたりいち早く気づいて、フィンテック、かなり積極的に取り組んでいますが、総務省は私はまだまだ十分ではないなと感じておりますし、あと、IT戦略本部、きょうIT総合戦略室に来ていただいていますけれども、IT総合戦略本部にも私は早くフィンテックというのを位置づけて、各省横断でやらなきゃいけないことがたくさんありますので、ぜひ位置づけるべきだということを申し上げて、フィンテックの質問はこれで終わらせていただきます。

 続いて、ちょっと郵政の問題、これは消費税と絡むんです。

 実は、郵便局が今分社化されて、貯金と保険の窓口がそれぞれ、会社が別になりましたけれども、今、この貯金、保険会社が、郵便局の窓口業務をやってもらうために手数料というのを日本郵便に払っているんですね。これは、三社一体であれば、一社であればこんな手数料も要らなかったわけでありますが、会社が分社化されたということで手数料が発生した。そこまではいいとしても、この手数料に実は消費税がかかっていて、それが年間九百億もかかっている。

 これはおかしいじゃないかということで、減免措置を総務省は頑張って要求していただいているんですけれども、財務省が全然いい返事がなくて、実は、去年まで九百億だったのを、来年度要求では過疎地に限定しようと、せめて過疎地の百七十億にぐっと下がるわけですが、過疎地の郵便局だけでも減免してくれと。これは本当に妥協だと思いますけれども、しかし、とにかく一つでも二つでも前に進まないと仕方ないので、この妥協はよしといたします。

 ぜひこれは獲得してほしいんですが、財務省に来てもらってもいい答えにはならないと思うので、大臣、ぜひ決意を述べていただきたいと思います。

高市国務大臣 委員が今、全てのことをお話しいただきました。事実関係についてもおっしゃったとおりでございます。

 金融二社に窓口業務委託手数料に係る消費税が発生していますけれども、窓口業務を一体で行っている他の金融機関ではこれは発生しないものでございますから、やはり金融二社にとっては他の金融機関と比べたら追加的な負担になっています。

 ということで、この追加的な消費税負担を解消するということを目的として、平成二十九年度の税制改正要望を行っております。昨年度は、委員がおっしゃったとおり、全体ということを考えながら要望いたしましたが撃沈でございましたので、まず一歩ずつでもということで、二十九年度改正では、過疎地における人件費相当分の仕入れ税額控除に限って、絞って要求をしています。

 とにかく年末に向けて、この要望について関係者の御理解を得られるように、精いっぱい私も頑張ってまいります。

高井委員 これは本当に郵便局にとっては切実な問題で、まさに競争上フェアじゃないということだと思いますので、ぜひ大臣、頑張っていただきたいと思います。

 それでは、今度、私はITをずっと専門でやっているので、自治体の情報システムの話をしたいと思います。自治体クラウドとか、そういった言い方をしていますけれども、実は今ちょっとある大きな問題が起こっています。

 それは、自治体の情報システムというのは大体大きく四つに分類されます。税と社会保障と住民基本台帳系のネット、それから国民健康保険、国保であります。

 実は、この四つのうちの国保の部分について、きょう、厚生労働省に来ていただいているんですけれども、国が主導的に国保の標準処理システムというのを新たに開発して、希望する都道府県、市町村に無償で配付をする。私は、これは大変すばらしいことだと思う。今までは、千七百の自治体が全部それぞれベンダーが違って、それぞれ個別にやっていたことによって非常に無駄なロスが発生をしていたのが、一つで、国が開発して一者でやる。

 そのことによって大幅にコストダウンが図られるということはいいことなんですが、実は、このことをやったところ、市町村やあるいは都道府県で何が起きているかというと、この四つの大きなシステムのうち一者だけがある特定のベンダーになって、残りの三つはそれぞれ昔から古くからつき合いのあるベンダーということになりますと、そこの接続がうまくいかない。その接続をするために、では、幾ら払ったらいいんですかといって見積もりをとったら、別のベンダーからはとんでもない高額の金額が入ってきて、つまり、国保システムを、せっかく安いのを入れても、それ以上のコスト高になるという事例が全国で発生をしています。

 私はこれは非常に大きな問題だと思いますが、こういったことは、厚生労働省それから総務省、それぞれ認識していますでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年に予定されております市町村国保改革、これは都道府県が財政運営の責任主体となるものでございまして、非常に大きな改革でございまして、厚生労働省といたしましては、円滑な施行に向けまして、各自治体とさまざまなレベルで導入に向けて協議しているところでございます。

 その改革に向けまして、システム開発に向けましても検討会、分科会を相当程度開いておりまして、その際に、議員御指摘のように、オールインワンパッケージシステムを導入している市町村から、国保の標準システムを導入すると費用が高くなるということを何度も聞いているというところでございます。

 国が開発しております市町村事務処理標準システムについてでございますけれども、これは市町村の事務の標準化を促進するためのものでございまして、標準システムに移行した場合には、今後の制度改正のたびに生じるシステム改修費用が不要になるといったメリットもあると考えております。

 一方で、先ほど述べましたように、市町村からの声もございますので、市町村事務の標準化に当たりましては、国が主導して開発する標準システムに移行する方法以外に、国が公開する標準システムの仕様書を参考に、おのおのの自庁システムを改修する方法によっても対応することを可能としておりまして、市町村の選択に委ねているところでございます。

時澤政府参考人 私どもは自治体クラウドを推進する立場でございます。その自治体クラウドを推進するに当たりまして、やはり業務の標準化というのが一番重要なところでありまして、難しいところでもございます。

 そこをどういうふうに標準化を持っていくか、今の厚生労働省の取り組みも含めまして、またいろいろと、厚生労働省の取り組みにつきましては私どもも注視をしているところでございます。

高井委員 今の厚生労働省の答えで、私は簡単には解決しないと思いますね。

 これは、結構、今後も自治体クラウドを進めるに当たっても重要な事例だと思うので、ぜひここはよく連携してというか、これは総務省の方がむしろ、つまり、ほかのシステムの値段が高くなっているわけですから、主導的に考えなきゃいけないんじゃないかと思っております。

 実は、自治体クラウドのことも聞きたいわけでありますが、自治体クラウド、いろいろな自治体のシステムを一つのクラウドに集約することによって、今、全自治体の情報通信システムの保守運用経費というのは年間三千三百億円だそうです。これが、三割、最低三割、私は五割ぐらいいけるんじゃないかと。このクラウドをちゃんとやれば。三割でも一千億ですよ。年間一千億の財源が捻出できるということになります。

 実は、国はもう既にかなり進めてやっていまして、国もやはり四千億、全省庁の情報通信システムというのがあるんですが、この三割削減というのを今一生懸命やっていて、もうちょっと早くできないかなと思うんですけれども、二〇二一年度までに三割削減という目標を立ててやっています。これも三割ですから千二百億円ですよね。

 ところが、地方自治体は、実は目標の年数がないんですね。三割といっても、何か三割を目途に頑張りましょうみたいな、そういう計画でありまして、現時点でも自治体クラウドをやっているのは二百九十三団体、一七%、二十七年の四月の数字ですけれども。これを次の更新のときにどうしますかというアンケートをしても、次の更新、いつになるかわかりませんけれども、それでも三五%しか自治体クラウドをやると答えていないわけですね。

 これはやはり国がもっともっと主導して、コストが安くなるんですよ、一千億も予算が浮くんですよということをPRして進めていかないと、自治体の職員、日々の仕事で大変ですから、なかなか改革は進まないと思うんです。

 ところが、来年度の総務省の自治体クラウドに関する予算というのを見たら、何と二千九百万円しかない。調査研究費で二千九百万円。しかも、去年は三千八百万円だったのが、九百万円も下がっているということなんです。一千億を生み出すためのプロジェクトをやるのに、何で二千九百万円なんという小さな額でやるのか。私は、ここをもっと、何に使うかというのはもちろんありますけれども、もっと本気で、総務省はこの自治体クラウド、大変ですよ、いろいろなベンダーを説き伏せたり、自治体の職員を説得したり、大変な仕事ですけれども、やる価値あるんですよ。毎年一千億浮くんですから。

 これをぜひ、総務省、やるべきだと思いますけれども、いかがですか。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘のありました予算の話でございますが、それは、私どもの方でクラウドを促進する上に当たっての調査研究でございます。

 別途、クラウドの推進に要する経費、例えば共同化の計画経費、データの移行経費、こういった必要経費につきましては、特別交付税による措置というものがございます。私どもはそれを活用していただきたいと思っています。

 先ほども申し上げましたが、クラウドを導入するに当たっての問題点、課題としましては、やはり標準化をどうやってやっていくか、それから専門家がいないということ、それからシステム、データ移行経費等の財政措置が必要だと。

 財政措置につきましては先ほど申し上げましたけれども、標準化、それから専門家という部分につきましては、私どもの方で、これまでクラウドを促進してきました五十六グループを細かく分析いたしました。どういう課題をどういうふうに克服していったかということで、手順とポイントというのを取りまとめまして、地方公共団体にもお示しをしました。同時に、意欲のある市町村を直接訪問いたしまして、導入の働きかけを行っているところでございます。

 現在、新たに四十団体がクラウド導入を決定しております。さらに、二百十八団体で検討を始めていただいておりますので、私どもは、それがうまくクラウド化につながっていくように、きちんとフォローしながら支援していきたいというふうに考えております。

高井委員 特別交付税で幾ら措置しても、それを使うか使わないかは自治体の判断だということは、もう皆さんが百も承知だと思いますので、やはり特別な予算をどんとつけて強力に進めていく。また、体制も、地域情報政策室という数名の職員だけではだめだ。せっかく、総務省というのは、郵政省とくっついて、ITと地方自治が一緒になったそのメリットをまさに生かすときですから、旧郵政省の皆さんももっとこの問題に積極的にかかわっていただいて、これは大臣のリーダーシップのもとでぜひ進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 ありがとうございます。大変うれしいエールをいただいたと思っております。

 とにかく、普通交付税措置も特交措置もあります。しかしながら、やはり多くの自治体にそのメリットをよく知っていただくということが重要でございますので、今でも職員が出向いて説明をしたり、さまざまな取り組みはしておりますけれども、省を挙げて頑張って進めてまいります。

高井委員 本当に一生懸命やっていただいているんです、総務省の、旧自治省の皆さんは。しかし、マンパワーが足りないと思いますので、ぜひお願いいたします。

 済みません、きょう、あとマイナンバーと地方創生を聞く予定だったんですけれども、向井審議官と奈良次長、申しわけございません、ちょっと時間がなくなってしまいましたので、また改めて聞かせていただきます。

 では、これで終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、宮崎岳志君。

宮崎(岳)委員 総務委員会で質問させていただきます、民進党群馬一区でございます宮崎岳志でございます。

 まず、本日は、ふるさと納税について御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 ふるさと納税について、先日、菅官房長官が、ことしは寄附額が一・五倍に伸びそうだというふうに御挨拶で言われたということであります。

 しかし、課題がいろいろ多いというふうに私は思っておりまして、特に、返礼品競争の過熱化というものが大変な問題になっている。ふるさと納税の制度自体に問題があるんじゃないか、抜本的にこれを改めるか廃止をしないと、むしろ地方の負担を増すばかりになるのではないか、そういう危惧を持って質問をさせていただきたいです。

 ふるさと納税は、寄附をした分だけ、所得税だったり住民税だったり、税金が減るという仕組みです。二千円分だけ自分が負担すれば、あとは損得ない、こういう仕組みでありますが、いろいろなものが返礼品としてもらえるということであります。つまり、ある自治体の収入というのは、ほかの自治体あるいは国の減収から持ってこられる、そういう収入の移転の制度というふうに言ってもいいかもしれません。

 それをマクロで見るとどうなるかということですが、資料の一をごらんいただきますようにお願いします。

 これは総務省の資料でありますけれども、ちょっと資料が薄くて見にくくて申しわけありませんが、ふるさと納税で寄附を受けた、つまり収入がふえたというところが全国で千四百七十億円あります。一方で、この寄附に伴って住民税が減ったというようなことが九百九十八億円ある。こういう状況になっているわけですね。このほかに国の所得税収入も減ってくる、こういうことです。

 これは平成二十八年度と書いておりますが、平成二十八年度の住民税の課税ということですので、実際は、平成二十七年の一月から十二月、暦年でふるさと納税をされた、こういうことになります。

 こういうことかなというふうに思うんですけれども、まず最初に、ちょっと数字的なことで、役所の方で構いませんが、ふるさと納税による地方自治体の収入の純増というのはどれぐらいになるのかということをお答えいただけますか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 直近のふるさと納税受入額というふうに受けとめればいいかと思いますが、平成二十七年度のふるさと納税の受入額、これは約一千六百五十三億円という調査結果になっております。

宮崎(岳)委員 私、純増と申し上げました。収入が一千六百億余りあるというのはわかりますが、そこから、地方自治体からなくなる分があるわけですね。ふるさと納税によって控除をされて、住民税が減ります。その分を引くとどうですか。

林崎政府参考人 失礼いたしました。

 控除額につきましては、平成二十八年度において約九百九十九億円、こういう数字になってございます。純増という言葉の定義もございますけれども、これの差し引きということになると、六百五十億円余りということになろうかと思います。

宮崎(岳)委員 私の方でちょっと資料をつくってまいりました。先ほどの御説明、ちょっと違うところがあるのは、恐らくふえた分と減った分の時期がずれているということだと思うんですね。私、総務省にいただいた資料でちょっと表をつくってきました。これはパネルです、資料の方にもございますのでお手元でごらんいただきたいと思うんです。

 ふるさと納税で地方自治体に寄附が入ります。これが千四百七十億円あります。一方で、寄附をしたから、もともと住んでいる自治体の住民税が控除されて軽減をされる、それが九百九十八億円余りあります。これを差し引きすると四百七十一億円余り、こういうことになります。

 この間、ふるさと納税をした方が百二十九万五千三百人おりますので、それぞれの方が最低二千円ずつもちろん負担をするということですから、その利用者の自己負担分が二十五億九千万円、二十六億円程度ある。これを差し引きますと、四百四十五億になります。

 この四百四十五億というのは、所得税が減っている分と考えておおむね間違いないと思います。つまり、所得税の減っている分の四百四十五億が主に自治体の税収上の収入になっている、こういう仕組みであります。

 そして、しかし、そのほかに返礼品の費用というのがかかるんですね。これは多少時期がずれています。こっちは平成二十七年の一月から十二月、こっちは四月から翌三月。三カ月ずれているんですけれども、年度と、税務の暦年の違いで多少ずれているんですが、しかし、おおむね同じだと思うんですね。

 つまり、確かに四百七十一億円のプラスにはなっているんだけれども、返礼品とか、あるいはそのための人件費、新たに人を雇ったりとか委託したりということで、返礼品を送ったりするそういう作業に八百億近くかかっているので、実際、地方ということでマクロで見ると、三百二十一億円程度の赤字になっている可能性が大だというふうに思うんですが、この計算は間違っていますか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今お示しいただきました「ふるさと納税の「損得」試算」ということでございまして、個々の数字はまさにこういうことなんだろうかというふうに思います。

 この点に関してはなかなか難しい。一つの切り口というふうには非常に思いますけれども、今まさに先生言われたような、統計のとり方、特に、税の関係は暦年、それから、ここの中でいえば返礼品等費用というのは予算で賄っていますのでこれは年度、こういう統計上の違いもございます。それから、これは私どもの調査結果をこのような形で活用いただいているということですけれども、これは実は私ども初めてやった調査でございまして、受けとめる自治体側の方も、その数字のとり方、分類といったようなものもまだあるといったような点もあろうかと思います。

 それから、もうこれもよく先生御承知のとおりでございますけれども、ふるさと納税の趣旨、それで、結果として地元産品の返礼品あるいは地域活性化策の充実といったようなこともございまして、そういった経済波及効果をどう考えるか、それによる税収の増効果をどう考えるか、そういったようなこともあろうかと思いますので、お示しいただいたものを一つの貴重な切り口として受けとめさせていただきたいと思っております。

宮崎(岳)委員 大臣、これは地方にとって実質マイナスだ、その原因はいろいろあるけれども、基本的には、返礼品が高騰しているからなんですよ。これは問題ないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 返礼品に限ってお答えいたしますけれども、二十七年度のふるさと納税の募集や受け入れ等に伴う経費が約七百九十億円、このうち約六百八十億円、つまり、受入額の約四割が返礼品送付に要したものでございました。

 これは各地方団体によって状況は異なっていると思うんですけれども、私も四月に地方団体に通知を発出したことは御承知いただいていると思います。高額または寄附額に対して返礼割合の高い返礼品を送付しないように要請しまして、この通知を踏まえて、地方団体が良識のある対応をしていただくということを期待いたしております。

宮崎(岳)委員 大臣、確かに通知を出された。ことしの四月一日、私も総務省の方からいただきました、こういう通知を出した、大臣通知。

 でも、全く守られていないですよ。返礼品の割合が高いというような商品はだめだとか、還元率の表示はするなとか、商品券やプリペイドカードはだめだとか、そういったことを言われています。還元率の表示自体はちょっと目立たなくはなっているというか、少なくとも表向きのところからはなくなっているとは思いますが、実際に守られていない。

 例えば、私、上毛新聞社というところの出身でありますけれども、その上毛新聞に、九月十九日に次のような記事が載りました。引用します。「金券を返礼品としている九市町村がいずれも取り扱いを継続することが」「上毛新聞の取材で分かった。」「残る県内市町村の多くは通知を順守する意向だが、一部で金券の導入を検討する動きもあり、」引用を終わります。

 つまり、大臣が通知を出されて、そのおおむね半年後、こういう通知が出ましたけれどもおたくの市町村はどうしますか、群馬県内に九市町村があって、どうされますかといったら、その九つは全部、継続しますというふうにお答えになり、そして、残りの市町村も、新たに大臣通知に反して導入をしようということを検討されているということなんです。

 資料三を見てもらいたいんですが、ある市の、あえてここで個別名は申し上げませんが、ある千葉県内の市のホームページ。感謝券といういわゆる金券を出している。下に、ネットオークション等で転売してはいけませんとか、そういったことは書かれていますけれども、例えば一万円コースだと感謝券七枚、十万円コースだと感謝券七十枚。感謝券は一枚千円分なんです。つまり、一万円だと七千円戻ってきますよ、十万円だと七万円戻ってきますよ、こういうことですね。

 これは、観光施設とかレストランとか、そういうところだけ使えるのかなと思ったんです。でも、実際、例えば地元のセブンイレブンとかでも使えるんです。地元の方がオーナーになってフランチャイズで経営しているのかもしれませんが、地元のコンビニエンスストアとかガソリンスタンドとか、そういうところで使える。

 転売禁止というふうに書いてはありますが、実際それを確認する方法はございません。

 これは、大臣通知を出しても意味はないんじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

高市国務大臣 そもそも、返礼品を送るということは、このふるさと納税制度そのものに組み込まれているものではございません。各地方団体が独自の取り組みとして行っているものでございます。

 返礼品だけではなくて、ぜひこういう体験をしにいらしてくださいというようなことや、こういう政策のために使わせてもらいますという呼びかけや、それから、ここのところ相次いでおりますさまざまな災害に対して、温かいお心をもってのふるさと納税の例もございます。ですから、私ができるのは、通知を出し、要請を行うということ。

 そしてまた、要請を実際にしました後に、これもわざわざお手紙を下さり、大臣室までもおわびに来られたんですが、ちょっと換金性があると思われるような高額な返礼品をしておられた市の市長さんが、通知をいただいてよくわかりました、やめましたという報告がございました。

 また、担当部局が、都道府県とも連携しながら、今、実情を踏まえながら、個別団体の返礼品の見直しということについて働きかけも行っておりますので、引き続き、しっかりと注視をしながら、余りにも行き過ぎた、制度の趣旨を逸脱したものがふえないように、しっかりと対応を進めてまいります。

宮崎(岳)委員 大臣、返礼品は確かにふるさと納税のシステムには組み込まれていない。

 ただ、市町村が寄附をもらってお礼をするのは勝手ですよ、勝手。ただし、控除がなければですよ。それによって税金が減るわけですよね。ほかの市町村は住民税を減らされちゃうんですよね。国の税収だって減っちゃうんですよね。そうしたら、そんな悠長なことは言っていられないんじゃないですか。

 今、このふるさと納税という仕組みは、えいやあでルールを乗り越えてしまったところが得をするような仕組みなんです。違法じゃないんですから、首長さん方にとってみれば、それは村のため、町のためにやるという人は必ずいるんですよ。村民もそれを評価しますよ。大臣に怒られちゃった、でも、俺たち村の者のためにやらなきゃならないからやったんだ、何が悪いんだ、国は地方のことをわかっていないんだ、こう村長さんが言えば、そうだよな、さすがうちの村長だ、そう言いますよ。俺たちのことを考えてくれていないな、国から金を分捕ったって平気じゃないか、都会のことなんか知るか、そういうふうに言う人だっていますよ。

 そういうことではだめなんです。抜本的に制度を変えないと、これはことしのままでとまりませんよ。先ほど言いましたけれども、菅官房長官が本年度は一・五倍になると言っている。来年まで続けばもっとひどくなるかもしれません。

 先ほどまでマクロの数字の話をしてきましたが、個々の自治体について見るとどうかということをちょっと御説明したいと思います。

 パネル二枚目です。お手元の資料にもございます。

 ふるさと納税を受け入れた額が公表されています。そして、ふるさと納税によって減収になった、つまり、よその市町村の収入、住民税が減った、これも公表されているんですね。時期が三カ月だけずれてしまっていますから確実にぴったり同じとまでは言えませんが、おおむね正しい結果が出るはずです。

 全国千七百八十八都道府県、市区町村のうち、黒字になっているところが千二百十九、赤字が五百六十九です。つまり、返礼品が云々ということを除いても、三割の自治体はもう赤字なんです。

 これが首都圏とか都会の裕福な自治体というのなら、それはそれでまだいいですけれども、現実には、三大都市圏以外が三百三十九。三大都市圏というのは私が抜き出して除いたんですけれども、東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知それから大阪、ここまで抜きました。三大都市圏、首都圏中心に抜いて、それでも、つまり五百六十九の六割ぐらいということだと思いますが、三百三十九、これはいわゆる地方の市町村、都道府県、こういうことになります。そこに、さっきの返礼品のコスト、八百億円近くがかかってきている。こういう現実があるわけであります。

 私はこういう計算をしました。総務省の方で、ふるさと納税で黒字になっている、赤字になっている、こういう計算もしているかと思いますが、自治体ごとに見るとどれぐらいの市町村で赤字になっているか、答えられますか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税制度、先生御指摘のとおりでございますけれども、その控除額と寄附受入額の比較ということだろうと思います。

 控除額につきまして、先ほどもお話ありました、前年の一月から十二月までの期間ということで、寄附金に係る控除額、これは法律上なっておりますし、それから、寄附受入額の方は、これは地方団体の会計年度期間ということで、四月から翌年三月までの数値が把握可能なものということもありまして、私どもとしてなかなか単純には比較できないと思いますので、総務省としては、これまで各地方団体ごとに控除額と寄附受入額を比較するということは行っていないところでございます。

宮崎(岳)委員 こちらの表、損得の方、これはおおむね正しいという御評価を先ほど御答弁の中で局長からいただきました。こっちについては、私が独自に計算したものなので、正しいとも間違っているとも言えないということだと思いますが、総務省が実際に出している資料をただエクセルで並べかえて差し引きしただけですから、おおむね合っているはずです。原資料もここに、こういうものをつくって計算したんですけれども、大して手間がかかるようなものでもございません。

 先ほど言いましたけれども、結局、これは返礼品競争、地方同士の奪い合いが始まっているということです。どうやってふるさと納税を集めるか、集めないと持っていかれてしまうということです、よそに。持っていかれてしまうと、マイナスになるということです。実際に三割のところがもうマイナスになっている。自分たちも返礼品をつけて、がんがん宣伝して、お金をかけて寄附をかき集めることをやらなければ赤字になってしまう、そういう危機感の中に今陥っています。

 では、どうやって寄附を集めるんですかと言ったら、それは還元率を高くする、換金性を高くする、それが一番なんですよ、一番簡単。はっきり言って、七割還元される商品券なんかを出せば、それは幾らでも集まります。返礼品とその他のコストで三十四億円かけている自治体だってあるんですよ、三十四億円。そうすれば、十億ぐらい実入りが入るんですよ、高い返礼品を返しても。別に工夫も何も要らないんですよ。高いもの、換金性が高いもの、これをただ出せばいいだけ。

 これを考えると、私は、もうふるさと納税はやめるか、抜本的に仕組みを見直すしかない。返礼品を禁止するとかというレベルじゃないと思うんですね。二千円自己負担額がありますから、この二千円の範囲内で返礼品を出す、絵はがきとかそういうもの、そういうことならいいと思いますけれども、今はもう郷土愛もふるさと愛もほとんど関係ないんですよ、この制度には。はっきり言って、物がもらいたくて寄附している人が大半ですよ。全てとは言いませんけれども、大半です。

 これは、やめるか、仕組みを抜本的に見直すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 ふるさと納税制度、平成二十一年度からのグラフも委員が配付していただいておりますけれども、そこまで意義がない、そしてほとんどの方々が返礼品目当てで寄附をしておられると断言されるのであれば、二十二年、二十三年、二十四年、民主党政権の間に廃止をされたらよかったんじゃないかと思います。

 私は、違う考えに立っております。

 確かに、それは、個人住民税について実質的にその一部が住所地団体から他の団体に移転しますから、控除額が寄附受入額を上回る団体というのも生じてきます。そして、さっき御指摘いただいたように、それが大都市だけじゃなくて地方だという場合もあるでしょう。

 しかしながら、私たちは地方公共団体が住民にとって必要なサービスをちゃんと提供できるように地方財政措置は講じておりますし、また、地方団体の方も、そもそも、余りにも高額な返礼品を出し続けたらせっかくの多くの方々の寄附が手元に残らないということになってしまうわけですから、ここは制度に組み込まれたことではないので、地方団体が節度を持ってやっていただくべきだと思いますし、私は、多くの寄附者が必ずしも返礼品目当てでやっているとは思わないです。

 特に、災害が発生した後にたくさんのふるさと納税による支援が寄せられたということをたびたび耳にするたびに、私は手を合わせております。

 これからも、必要な改善は要請してまいりますけれども、制度そのものの廃止、見直しということについては考えておりません。

宮崎(岳)委員 民主党政権時代にやっていたからいいじゃないかと言いますが、中身はどんどん変わっているじゃないですか。同じものじゃないですよ。だからふえ続けているんでしょう。

 返礼品だって豪華になり続けて、そして額だってふえ続けているんじゃないですか。当時のものと今のものとでは全然違いますよ。当時のものも、問題がなかったとは言いません、あったかもしれない。しかし、それは、小さい、余り目立たない問題にとどまっていた。しかし、今起こっているのは別のことですよ。これはもちません、長くは。

 今、ふるさと納税上位の二十市町村、二十の市町村で寄附の総額の二七%を占めているんですよ。つまり、一部特定の自治体が高額な返礼品等を使って寄附をかき集めている。そういうことが実態ですよ。

 二十市町村を見ても、例えば昨年のものを見ても、大きな災害があって、返礼品を出していないけれども、あるいは本当に少額の返礼品だけれども、そこを励まそうということでふえているところは、ほぼないと思います。

 十月二十日には、東京都中野区が返礼品を導入して、もうふるさと納税による税収の流出を食いとめるんだということを始めています。杉並区も検討している。こういうことですね。無理もないんですよ。被災地の支援のために中野区や杉並区の住民が、自分のふるさととか被災地が大変だから寄附しましょう、そんなのに対抗しようという区長はいないですよ。そうじゃないと思っているから対抗しようとしているんじゃないですか。

 例えば、金券を返礼品として出しますね、地域限定、この地域、うちの村で使える。それを出したとして、都会の人がその金で旅行に行く、そういうことで地域にお金が落ちる。そういう理解でよろしいんでしょうか。大臣、いかがですか、このこと。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のような事例というのは、例えば、地域限定で使える宿泊券をふるさと納税の返礼品としてお送りし、例えば都会の方がふるさと納税を行ってその返礼品を手に入れて、そして、その当該地まで旅行をして、宿泊をして、一定の消費活動を行ってお帰りになる、こういうことかと受けとめました。そういったことはあろうかと思います。

宮崎(岳)委員 大臣も同じでいいですか。

高市国務大臣 たびたび申し上げますが、返礼品は、ふるさと納税制度には組み込まれておりません。それぞれの地方自治体の御判断でなさっています。

 その地方自治体の中には、返礼品といっても、そう高額なものではないけれども、その地域の特産品であり、特に産業振興の意味からこういったものをアピールしたいといったところもありましょうし、また、地域に来て、ぜひお出かけください、それでえにしをつないで、これから長く、将来の移住なども含めて経験していただきたい、旅行に来て経験していただきたい、そういう思いを持った地域もおありだと思います。

宮崎(岳)委員 そういうこともあると思うんですけれども、実質的には、そういうことが少数例になってしまっている、そこが問題だというふうに私たちは主張しているわけです。

 大臣が言われたように、確かにふるさとが大切だ、あるいは被災地を助けたい、そういう思いで出す、あるいは市町村の側も、自分の地域について知ってもらいたい、そういうことで返礼品を出すということもあります。最初はそういうものが大半だったと思うんですよ、制度の開始当初は。でも、どんどん意義が薄れていって、今ではそのような、当初想定されたものは少数派になってしまった、そこが問題じゃないかというふうに言っているんです。

 実際は、A町で金券を出したら、それを使うのはどこの人が多いですか。それは、隣のB市とかC村の人なんですよ。そういう方々がふるさと納税をして、隣の市の金券をもらって使う。あるいは、都会の人がそれを転売する。転売禁止と言っていますが、強制力は今のところどこの条例にもないと思うんですね。たまたま、あんた違うじゃないかと店の人が気づくというようなこともないとは言えませんが、しかし、商売ですからなかなか、あなた、この券不正じゃないですかとお店の人が言うということもやりにくいでしょうし、身元確認をするということも基本的にはないんだろうというふうに思います。

 返礼品をどうやって転売するか、どうやるのが効率的かというのを解説するサイトというのがたくさんあるんです。あるサイトからちょっと引用してみます。「ヤフオク売却で最大半額を現金で回収可能。」「ふるさと感謝券のヤフオク相場は約七割。つまり最終還元率は七割×七割でおよそ半分。寄付金額に対して半額が現金で回収できます。」引用終わり。

 回収ですよ、回収という言葉。つまり、払っている税金を現金で回収する、こういうニュアンスで使っているんです。

 別のサイトを引用します。「「寄附還元率」でお得な商品券・金券を選ぶ」「ふるさと納税で知られる還元率には通常、自治体から貰った返礼品の金額を寄附金額で割った「寄附還元率」が用いられます。これは、「寄附金額に対して自治体からの返礼品はいくらぐらいの価値があるのか」を測る指標です。」「商品券・金券の「現金還元率」で転売益を予測」「転売をして現金化すると寄附金額に対しいくらになるのか。その指標をまとめたのが「現金還元率」です。」引用を終わります。

 つまり、寄附還元率と現金還元率という二つの指標を用いて、通常は寄附還元率が使われるけれども、転売する場合は現金還元率云々というような解説までやっている。

 このサイトに、コンサートのチケットをもらってどうなるか、返礼品としてコンサートのチケットをもらいました、お礼の品還元率は五〇%、これをヤフオクで転売すると、ヤフオク相場利率は一六〇%、つまり、半額のものをもらうんだけれども、実はそれが三倍以上の値段でヤフオクで転売できるので、一六〇%で売れますから、ヤフオク落札実績は十一回、結果、現金還元率は八〇%、こういうことがリスト化されて載っているわけです。

 自治体同士の食い合い、共食いになっているんです。やらなきゃやられるんです。ゼロはないんですよ。やらなきゃやられるから、やられる前にやる、隣の自治体にやられたら大変なことになる、だからうちがやる、さらに過激なことをやる。チキンゲームになっております。

 地方紙でいろいろ載っておりますので、どんな記事が載っているかというのを最後に紹介したいと思います。

 七月八日、信濃毎日新聞、長野県内十一市町村赤字。八月四日、中国新聞、広島県内三億円の赤字。八月四日、北海道新聞、苫小牧、ふるさと納税赤字、札幌、千歳、石狩、室蘭、伊達、函館、北斗は赤字。八月十四日、栃木の下野新聞、九市町村赤字。八月十八日、佐賀新聞、佐賀、鳥栖市が赤字に。八月二十二日、徳島新聞、本日この場にも徳島出身の議員さんもいらっしゃいますけれども、県と市町村を合わせて寄附額は全国最下位にとどまっている、一五年に失った税収額は三億一千百三十万円に上り、県全体で見ると収支は赤字の状態、現状のまま県民の貴重な税金が県外に流出するのを座視するわけにはいかない。九月六日、福島民友、会津若松市、三百八十九万円赤字。九月八日、同じく、ふるさと納税で赤字、郡山市。九月十八日、青森の東奥日報、ふるさと納税、自治体に打撃。

 こういう状況になっているということをもう一度考えて、仕組みの全ては、二千円以外が控除されるという仕組み、そして返礼品を幾ら出してもいいという仕組み、この二つの仕組みが合わさるとこういうことになってしまうということですし、大臣通知は強制力がないんですから、強制力がないとすれば、法律を変えるなり仕組みを変えるなり、何か別のことを考えないといけないのではないでしょうか。

 私は、ふるさと納税という発想はもちろん正しい発想だと思いますけれども、ただ物を配れば自治体の財政が豊かになるというのは、これは自治体の自主性、独創性を奪うことにもなる。

 それから、返礼品で地元の農産品を選んで送っている、喜ばれている、こういう理解だと思うんですけれども、これも、実は、地方創生やまちづくりに携わっている人から批判もあるんです。

 つまり、地方を応援しようと思って通信販売とかサイトを運営して地方のものを売っていて、売れ行きもついて、固定客もついて、そういう状況で展開をしていた。ある日突然その生産元から、ふるさと納税の返礼品に選ばれたので、もうおたくとの取引はやめます、うちの何とかも有名になりましたから。その業者さんが一生懸命宣伝をして育ててきた、そういうものですよ。それで、今、返礼品になるからやめます、そこだと全額買い取ってくれるし、条件も悪くないし。

 しかし、この制度がとまったときにそういう産品はどうなるのかなと、私はちょっと不安ですね。

 ですから、最後に、大臣、一言だけ。

 この制度、私も大臣のおっしゃることはわかります。いいこともわかる、地方が喜んでいることもわかる。私の地元も、地元選挙区内にも、ふるさと納税で税収がプラスになって喜んでいるところもあるんですよ。だから、私だってこんな質問はしたくないんですよ。したくないの。だって、うちの村に対しておまえは何をするんだ、こういう話になりますよ。しかし、日本全国のためによくないから聞いている。

 大臣、もう一言だけ、政治家としてきちんとした答弁をお願いします。

高市国務大臣 先ほどからきちんと答弁をさせていただいているつもりでございます。

 返礼品送付の見直しの通知を出しまして、結果的には、もう既に通知の内容に沿った対応をしているというところが千四百四十八団体、見直しを実施しますと決めてくださったところが三十四団体、見直しを実施する予定ということが五十七団体、合計千五百三十八団体から非常にいい回答をいただいています。

 きょう委員がいろいろ御指摘いただいた非常に極端な例、悪質な例もあるかと思います。サイトの書き方も、今ちょっとここで聞いていて、私も大変残念に感じた書き方のものもございます。そういった情報も十分に参考にしながら、また次に必要があれば要請もしていきたいし、部局からの働きかけも続けてまいります。

宮崎(岳)委員 ぜひ、よりよい制度にしていただきたい、その一念だけでございます。このことで大臣をおとしめようということも全くございません。大臣に全責任があるとも思っていませんし、大臣が指摘したように、もともと民主党政権時代だって似たようなことをやっていたじゃないかということを否定するつもりもございませんが、しかし、そろそろもう袋小路に突き当たっているということを御指摘申し上げます。

 残りの時間で、ちょっと政治資金についての質問をさせていただきたいと思います。

 まず、国会議員関係政治団体についてお伺いいたします。

 第一次安倍内閣から福田康夫内閣にかけて、二〇〇六年から二〇〇七年に政治資金の事務所費問題というのがありました。その結果、二〇〇七年末に政治資金規正法が改正されて、国会議員関係政治団体という制度が新設されました。これまで五万円以上の領収書をつければよかったのが一万円超になったのかなというふうに思います。

 しかし、そこから十年近くたっていると思うんですが、現在いろいろ見てみても、国会議員が実質的に支配している団体であっても、国会議員関係政治団体に登録されていないというケースがかなりあるというふうに思っています。

 これは、国会議員が事実上主宰しているような団体でも、国会議員関係政治団体に登録する必要はないということでよろしいんでしょうか。大臣、いかがですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 国会議員関係政治団体でございますが、委員御指摘のときに、当時の自民党、公明党、民主党、社民党そして国民新党の五党の合意に基づいて政治資金規正法が改正されまして、その改正の中で、政治資金規正法第十九条の七という規定がございまして、国会議員関係政治団体の範囲が定まっております。

 この要件に該当するものについては国会議員関係政治団体となっておりますが、実質的にかかわっているということでございますが、その具体の事実関係がわかりませんので、法律に基づいて定義づけられている団体については届け出義務があるということだと思います。

宮崎(岳)委員 次は大臣にお答えいただければと思うんですが、例えば、ある政治家の秘書さんとか後援会長さんが代表者をやっていて、そして、ある政治家の政治資金パーティーの主催だけが主な業務というような団体がありますよね。幾らでもあると思います。想像もつくと思います。

 そういった団体が国会議員関係政治団体じゃない。そうすると、そこの団体の支出というのは、領収書を一万円から五万円までの間は添付しなくていいわけですよ。

 実質的に同じその政治家の団体であって、例えば政党支部であったりとか資金管理団体、後援会であったりとか、そういうところはもちろん一万円超の領収書をつけなきゃいけないけれども、どこからどう見たってその人の政治団体なのに、国会議員関係政治団体になっていなければ、領収書は五万円の上でいいわけですから、これは本当にざる法じゃないかなということを問題意識で持ったので、ちょっとお伺いしているんですが、そこのところはどう思われますか、高市大臣。

高市国務大臣 今委員が挙げていただいたような例が具体的にどのようなことなのか、私にはわかりません。

 具体の事実関係を承知する立場にないんですけれども、一般論として申し上げたら、政治資金規正法上、三つの区分のいずれかに該当する政治団体は国会議員関係政治団体の届け出義務があって、該当しない政治団体は届け出をする必要がない。国会議員関係政治団体に該当しない政治団体は、国会議員関係政治団体の収支報告に関する特例の対象とはならないとなっています。

 先ほど局長も答弁しましたとおり、これは、平成十九年に自民党、公明党、民主党、社会民主党、国民新党五党の合意で同年十二月に成立した政治資金規正法改正によって国会議員関係政治団体というのが創設されて、どのような団体が該当するかというその三つの区分についても決められたわけでございます。

 ですから、これは、やはり国会議員関係団体ということになりますと、国会議員の活動の自由、政治活動の自由にかかわることでございますので、議員提案としてお決めいただいたことについて、これは問題ありますかと言われても、私の方で内閣として問題があるという見解を示すわけにはいかないと思っております。

宮崎(岳)委員 私は当時もちろん当選をしておりませんし、民主党という政党も既に存在をしていないそうでございますので、私が言うべきかどうかはわかりませんけれども、まあ、しかし、民進党という団体にその民主党の議員の多くが移行しているわけですから、全く関係ないと言うつもりはございません。

 当時決めましたけれども、制度を運用していて、いろいろやはり穴があるんじゃないかなというふうに私は思うんですね。この穴を塞いでいかないと、つまり、どこからどう見てもその政治家の団体なのに、それが国会議員関係政治団体ではなく、そのために国会議員関係政治団体に課せられた多くの責任を果たさずに済む、政治資金監査も受けなくていい、領収書も一万円超を出さなくていい、こういうことになるともう制度の趣旨がなくなってしまうんじゃないかなというふうに思うんですけれども、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 私がさっきからちょっと委員の御指摘がよくわからないと言っているのは、まず、国会議員に係る公職の候補者が代表者である政治団体、これは国会議員関係政治団体ですよね。それから、特定の国会議員に係る公職の候補者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体、これも二号団体とされていますよね。あと、政党の支部で、国会議員に係る選挙区の区域または選挙の行われる区域を単位として設けられるもののうち、国会議員に係る公職の候補者が代表者であるもの。この三つの区分のいずれかに該当する政治団体を国会議員関係政治団体と定められたわけでございます。もちろん、各党でよく議論をされて話し合われた、話し合われて議員提案をしてこられたわけでございます。

 おかしいと思いませんかと。それはそれぞれの受けとめだと思いますけれども、現行法に定められたものを逸脱していない限り、それは合法的に対応しているんだろうというふうに思っております。

 それで、よく各党各会派でという答弁を私はせざるを得ないのが自分でも大変もどかしく感じることもあるんですけれども、ただ、事公職選挙法ですとか政治資金規正法というのは、憲法で保障された政治活動の自由に係るものでございますから、内閣の側が、内閣をチェックしていただく立法府の議員の身分ですとか議員の政治活動の自由を縛るような法律案を閣法として出すと言ったり、また、議員立法で定められた法律について否定的な見解を申し上げるということはなかなか、これはしてはならないことだと私は考えておりますので、そこのところは御了解いただきたいと思います。

宮崎(岳)委員 二号団体の説明が今若干不足だったかなと思うんですけれども、大泉選挙部長にちょっと補足をしていただければと思うんですが、ある国会議員を推薦しているというだけでは二号団体にならないですよね。

高市国務大臣 済みません、ちょっと、委員の質問時間を余りとりたくなかったので省きました。

 租税特別措置法に規定する寄附金控除の適用を受ける政治団体のうち、特定の国会議員に係る公職の候補者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体でございます。

宮崎(岳)委員 つまり、ある特定の政治家を実質的に推薦するような団体でも、税の控除、つまり、政治献金を集めますよね、政治献金を集めるときに寄附をした人に税金の控除があるんですが、その控除をそもそも受けない、あるいはそもそも献金は集めない、こういうことになると二号団体にはならないということでよろしいですか、大泉選挙部長。

大泉政府参考人 お答えいたします。

 法律上の定義で、十九条の七に、租税特別措置法に規定する寄附金控除の適用を受ける政治団体のうちと書いてございますので、それに当たるか当たらないかというのは、明文で、そのような政治団体のうち、特定の国会議員に係る公職の候補者を推薦し、または支持することを本来の目的とする政治団体と書いてございますので、この条文どおり解釈するということだと思います。

宮崎(岳)委員 条文は私も読めばわかります。その解釈を聞いているんです。

 つまり、献金を受けなかったり、あるいは献金を受けているけれどもそれが税の控除にならないという団体であれば、特定の政治家を推薦していても二号団体にしなくてもよろしいのですねというふうにお聞きをしているわけです。純粋にそれだけです。

大泉政府参考人 さまざまな政治団体があると思いますが、そのうち、税の控除を受けないということでございましたら、届け出の義務はないということでございます。

宮崎(岳)委員 そうすると、やはりざる法じゃないかと思うんですね。

 パーティーを主催する母体の団体があって、政治家の政治資金パーティーとしてお金を集めているけれども、それは国会議員関係政治団体にしなくていい。私、こういう席で多くの国会議員の方を前にこういうことを言ってしまうと、新たにまねをする人が出てくるんじゃないかと思って、ちょっと心配なんですけれども。そうすると、一万円超の領収書を出さなくていいわけですよ。

 何で私がこういうことを言っているかというと、例えば、山本有二農水大臣が近々パーティーをされたんだかされるんだか、毎年東京でパーティーをやっている団体があって、国会議員関係政治団体になっていないわけですよ。パーティーの主催のこと以外、収支報告を見ても、ほぼ何の政治活動もしていないんです。あと飲食が結構出てくるのと、パーティーの主催以外活動をほぼしていないし、会計責任者も、農水大臣が持っているほかの三つの団体、政党支部を含めて、そういうものと全部共通なんですね。

 去年のものはわかりません、既に公開されている分だけですけれども、その後登録されている可能性はもちろんありますが、しかし、毎年パーティーをやっていて、二千万円以上のお金を集めていて、しかもパーティー以外の支出もしていて、しかし、そこは国会議員関係政治団体でないから支出は一万円超の領収書を添付しなくていいということになれば、これは制度の根幹を揺るがすんじゃないかなというふうに思っています。

 もちろん、内閣が決めた閣法ではないということだから、総務大臣がそういう答弁を、この法律についていい悪いを言うべきではないという高市大臣の主張も、これもわかった上で、私は、これはざる法じゃないかという思いはやはりありますので、もう一度、大臣、これについてのお考えを政治家としてお述べいただけないですか。

高市国務大臣 平成十九年の参議院の通常選挙後、政治資金の使途について与野党六党による協議がなされました。国会議員関係政治団体の範囲について、そこで合意されたと承知をしています。

 そして、先ほど来申し上げました当時の五党の合意に基づいて、政治資金規正法改正案が議員立法として提案され、平成十九年十二月に成立して、現在に至っております。

 仮に宮崎委員がおっしゃるような、さらなる検討の必要があるということでありましたら、これは各党各会派での御議論の結果でございますから、各政党、各政治団体の政治活動の自由とも密接に関連しているということもございますから、各党各会派で御議論をいただけたらと思います。(発言する者あり)

竹内委員長 不規則発言は控えてください。

宮崎(岳)委員 足立委員も不規則発言はいろいろ多いんですが、もう少しいいセンスでやっていただけると私も質問がしやすい、こういうことかと思います。

 さて、続いて、白紙領収書問題について御質問をさせていただきたいんです。

 これは、白紙の領収書が出されて、それを受け取った側が金額を記入するということに、私は、法的、道義的な問題を感じておりますし、不正の余地もいろいろ出てくるんじゃないかというふうに思っておりますが、これについては何度か答弁をされていますが、不正の余地はございませんでしょうか。いかがですか。

高市国務大臣 その不正の余地ということについて、もう少し具体的におっしゃっていただけないでしょうか。

宮崎(岳)委員 これは市販の白紙の領収書をコピーしたものですが、宛名を書いて、日付を書いて、金額を書いて、内容を書いて、発行者が名前を書く、こういうことです。

 今回は、政治資金パーティーの領収書に絡んでいろいろな問題がありますが、国会議員関係政治団体に限りますが、支出は一万円超で領収書を添付です。一万円超で記載をして、領収書を添付する、こういうことになっております。収入の方は、これはパーティー券収入ですから、年間二十万円以下は記載しなくていい、こういうことですね。

 そうすると、例えば二万円の領収書が提出をされて、しかし、実質的には、のし袋に二十万円入れて持っていった。しかし、領収書は二万円で書いたということになると、受け取った側の団体に十八万の裏金が発生する余地がある、こういうことになります。だって、個別の収支は公表しなくていいわけだから。総額で何百万とか何千万とかばくっと出るだけですから、個別のことは書かなくていいですね。

 逆に、二万円しか持っていかなかった。当然、相手の政治資金収支報告書、公開されるものには二万円としか載らないんですけれども、ここに自分で二十万円と書いてしまう。そうすると、自分のところに十八万円の裏金が発生しますよね。だから、逆に、そういう余地があるんじゃないか。

 ですから、これは、そういう不正が行われているとは申しませんが、仲間同士のお金のやりとりですから、それはやりようはいろいろあるわけで、やはり自分で、少なくとも金額は記入するというのはふさわしくないんじゃないか、すばらしくないんじゃないか、そう思われませんでしょうか。問題はありませんか。

高市国務大臣 今おっしゃったようなことをしてしまいますと、これは政治資金規正法上、政治資金収支報告書の虚偽記載にも当たります。虚偽の記載をした者は五年以下の禁錮または百万円以下の罰金となりますし、領収書への虚偽の記載、領収書を徴する、とるということは定められていますけれども、そこに全く違う金額や日付を書いてしまった、虚偽の記載をしてしまいますと、これは三年以下の禁錮または五十万円以下の罰金となりますので、虚偽記載というのは法的に禁じられております。

宮崎(岳)委員 もちろん、虚偽記載は法的に禁じられているんですね。しかし、その虚偽をする余地があって、しかも、外形的に公開された政治資金収支報告書等を見ても、その虚偽は全く見抜けないということになりますから、そもそも自分で、少なくとも金額は記載するということは好ましくないのではないかというふうに思うんです。

 大臣の方は、法的にはそういう定めがないというような答弁がありましたけれども、当然、その前提として、金額を自分で書くことはないというのは予定されているんじゃないか。そもそも、書くまでもなく、金額は自分で記入しちゃいけないよということではないのかというふうに思いますが、こうやって不正の余地があるんですから、少なくとも金額を自分で記入することは好ましくないというふうには発言できませんでしょうか。

高市国務大臣 民進党もそういう対応をされたと聞いておりますが、自民党の方でも、これは法的にはそういう領収書の作成方法についての規定がないものですから、仮に法的に問題がないとしても、やはり政治資金規正法の趣旨を考えますと、公開することによって、国民の皆様の厳しい監視のもとに私たちの活動を置くということですから、誤解が生じないようにということで、自民党では、幹事長から改善の方法について具体的な方法も書いた紙が回ってまいりました。御党でも同じような対応があったと報道で承知をいたしております。

 ですから、ここはしっかりと、指摘を受けて、誤解のないようにみんなで努力をしていくということは大切だと思います。

宮崎(岳)委員 私は実務的にそんな無理なことを主張しているわけでもないんですよ。別に、民進党の方からこういう質問をしろと言われているわけでもありません。個人的にこういう問題が残るんじゃないかなというふうに思ったから伺っているわけなんです。

 この名前のところは……(発言する者あり)

竹内委員長 お静かに願います。質問者が質問している途中でありますので、お静かに願います。

宮崎(岳)委員 済みません、ちょっとやじが激しくて聞こえないんですが。

 この名前のところは、宛名のところは、実は、発行者が書かないということも結構あるんですね。税務の方の対応でも、小売業とか、あとは例えば交通関係の会社とかは宛名を書かなくてもよろしい。実際、例えばJRで券売機で買ったりとかしたときに券売機で領収書が出たりとか、あるいはスーパーとかで領収書をもらっても、宛名が書いていないということはあると思うんですけれども、これは一応税務上も認められている、そういった形なんですね、業種が限られているんですけれども。

 年月日は、パーティーですから開催日が決まっていて、その場で現金のやりとりがあったといえば、その開催日なんでしょう。ただし書きのところは、これはパーティーですから、使途は明らかでしょう。そして、発行者も明らかなんでしょう。だから、こういうことは、それは実務上、例えばなかったり省略されたということもあり得るとは思うんですね。

 実際、政治資金監査のQアンドAを見ましても、ただし書きのところは勝手に書いてはいけませんと。勝手に書いてはいけないので、発行者に書き直してもらうなり再発行してもらうなりしてください、こういうことが書いてあります。発行者に再発行してもらえない場合は、これは政治資金監査人がヒアリング等をしたりとか、請求書とかそのほかのものを確認して、間違いなしという判断をすれば、そのまま掲載されることになると思うんですが、そういうことだと思います。

 宛名については、これは発行者がそっちで書いてくれ、あるいはそちらで記入してください、こういうふうにしてくださいと言えば、そういう対応もありだよというふうに、これもQアンドAに書いてあると思うんです。

 ただ、金額のところは、一切そういう記載がないんですね。これはやはり金額というところが不正を一番起こしやすいからやめろということだと私は思うんです。

 これ自体ももちろん、全体の仕組みそのものも議員提案でしたかでなったと思いますので、全て総務省の管轄ということではないのかもしれません。しかし、総務省の方でそういう収支報告に関する手引等は作成をされている、あるいは先ほど言ったQアンドA等も、最終的には総務省の方から配付をされている、こういうことであります。

 総務省として、そういう手続のガイドラインというか指針というか案内というか、何という法律的な位置づけになるのかわかりませんが、今後、金額を自分で記入してはいけませんとか、白紙でもらった場合は先方にちゃんと記入してもらってくださいとか、そういうことをお知らせするという気持ちはございますでしょうか。

大泉政府参考人 お尋ねにありました政治資金監査に関するQアンドAでございますが、これは、政治資金適正化委員会という、第三者機関である適正化委員会が登録政治資金監査人に対する政治資金の監査の的確な実施のために、助言指導の一環として作成したものでございます。

 金額ということがございましたが、登録政治資金監査人の本来業務は、収支報告書、会計帳簿とその領収書等を照らし合わせるという業務でございますので、その中で金額がないものというものは、そのようなケースがなかったということでQアンドAにも出てきていないというふうに考えられます。

宮崎(岳)委員 過去に例がないからこれまでのQアンドAに出てこないのかな、こういった答弁かと思いますが、今回こういう例が出てきたわけですね。実際に何人かの方が、自分の事務所サイドで書きましたとか、うちも金額のない領収書を発行していますとか、そういったお話もあって、その関連の話を高市大臣もされたというふうにも議事速報で見ました。

 いずれにせよ、今回、こういうケースがあったわけですから、当然、総務省が発行する手引なりに、こういうことはいけませんなり、そういうことが発生した場合はどういう対応をすべきという記載をなされるべきかと思います。大臣、お答えいただけますか。

高市国務大臣 各党で運用について改善の取り組みをしていただいていると伺っております。御党におかれましても、報道のベースでございますけれども、類似の例があったというようなこともあって、改善のための文書が出たと聞いております。

 今でも監査人に対するQアンドAはございます。そして、私たち国会議員は、収支報告書を提出する前に、弁護士、公認会計士、税理士がお務めになる登録政治資金監査人によってかなり厳しい監査を受けています。

 私自身の事務所でも確認しましたけれども、例えば領収書の記載に不備があった場合、これを確認し、そして使途が不明確な場合、例えばお品代と書いてあったりするような領収書があったら、発注書、見積書、納品書とうちの監査人は突合をされる。最終的には、これは所得税法や法人税法、民間の世界でも一緒でございますけれども、領収書と帳簿を突き合わせて、最終的に総合的な判断をするということで、帳簿との照合もした上で、それでもまだ疑問が残ったら、監査人から会計責任者がヒアリングを受けています。

 そういったことで、QアンドAは監査人に対しての助言という扱いではありますけれども、これは各党各会派で、やはり誤解を招かないような領収書の作成方法ということで工夫をしていただくべきものだと思います。

 領収書の作成方法についてまで、では、またこれは新たに法改正をして、総務省が、内閣の側が法改正をして細かい要件を定めていくということになりますと、これはまた先ほど申し上げましたような政治活動の自由を内閣の方が縛っていくということにもなりますし、民間の現在の税法よりもはるかに厳しいものにもなっていくかと思いますので、そこは慎重に考えながら、各党での改善をお願いできたらというのが私の希望でございます。

宮崎(岳)委員 もう終わりますけれども、QアンドAについては、確かに監査人への助言ですけれども、それを見て多くの方がやっているんだと思います。実際に、例えばただし書きの内容についてはこういう対応をしなさいという記述があるわけですから、そこに一言、一単語つけ加えるぐらいのことでも済むわけですので、ぜひその対応についても御検討いただければというふうに思います。

 長くなりました。終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 地方税等改正案について質問いたします。

 本法案は、来年四月からの消費税一〇%増税を延期し、二〇一九年十月にその増税を実施する、つまり、増税実施法案です。

 そこで、最初に伺いたいのは、消費税八%増税と個人消費についての認識です。

 先日の消費税延期をめぐる国税の改正についての本会議質問で、私どもの日本共産党宮本徹議員が、消費税増税は長期にわたって個人消費を落ち込ませる要因となっている、個人消費が低迷して経済が好循環するはずはないではないかと質問したところ、石原大臣は、経済の好循環は確実に生まれている、総じて見れば、個人消費は底がたい動きと言えると答弁されました。

 まず、この石原大臣の答弁について、どうして底がたいと判断するのか、伺いたいと思います。

井野政府参考人 お答えいたします。

 月例経済報告における消費動向の判断に当たりましては、さまざまな消費関連の統計やその背景、要因等を総合的に見て判断しているところでございます。

 例えば、GDP統計の実質民間最終消費支出で見ますと、本年一―三月期、四―六月期と二四半期連続でプラスとなっておりますし、七月以降につきましては、需要側、供給側双方のデータから総合的に消費動向を捉える消費総合指数の動きを見てみますと、七月に上昇した後、八月にはマイナスとなりましたけれども、八月に関しては、例年より多く台風が上陸したことなどの特殊要因を考慮する必要があると考えております。

 また、消費を取り巻く経済環境につきましても、雇用、所得の環境が改善する中で、消費者マインドに持ち直しの動きが見られているところでございます。

 このように、消費は、力強さには欠けるものの、底割れして、基調として減少していくような状況ではないことから、直近の十月の月例経済報告では、先月に引き続き、総じて見れば底がたい動きと判断を行っているところでございます。

梅村委員 底がたいという言葉そのものだと思うんですけれども、底がたいというのは、調べてみると、踏みとどまっているだとか、下がりそうな気配を見せても意外に下がらない、そういうことだと思うんですけれども、それでよろしいでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 基本的に、そのような認識で我々も考えております。

 すなわち、このまま底割れして、基調として減少していくような状況ではないということでございます。

梅村委員 ただ、上がりそうな元気はないということでよろしいんでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 個人消費につきましては、雇用、所得環境などの改善ですとか、それから、消費者マインドに持ち直しの動きが見られていること等を勘案いたしますと、今後につきましては、全体として持ち直して、上向きの方向に行くことを我々としては期待しているところではございますけれども、足元、力強さに欠けるということは言えると思っております。

梅村委員 期待と現実はやはり違うと思いますし、石原大臣自身が底がたいという言葉を使っているわけですから、そこは正確に御答弁をいただきたいと思います。

 底がたいという表現を使ったからには、それでどうして経済の好循環と言えるのか、まだ上向きということではかなり力も要るんじゃないかという現状認識もあると思うんですけれども、そこにはやはり安倍首相自身が所信表明で、経済の好循環が生まれていますと言い切っちゃっているわけですよね。そういう方向に向かっているということではなくて、首相自身が所信表明で、経済の好循環が生まれていると大変強い口調で言われたというふうに思うんです。

 そこにはやはりちょっとギャップというか、ずれがあるのではないかなというふうに強く思いました。非常にすりかえられるというか、事実を隠すような説明がこの分野で国民の皆さんにされているのではないか。だから、私たちが地域や地方に行けば、やはり住民の皆さんから出てくる声というのは、政府の答弁とは実感が違う、国民生活は本当に今大変なんだ、そういう認識なのかという声が消費税増税からもう二年半たつのにやまないというのは、そういうところにあるのではないかなと。

 そういうことでいうと、私は、個人消費の冷え込みの問題をもっとリアルにしっかりと捉えて手を打っていかないと、いろいろその先が間違ってしまうのではないかなというふうに思っております。

 事実、政府自身だって、この八月の経済財政白書では、個人消費は力強さを欠いた状況と書いてあるじゃないですか。この個人消費は力強さを欠いた状況と判断する理由、これをお聞かせいただきたいと思います。白書の中身でお願いいたしたいと思います。

井野政府参考人 お答えいたします。

 本年八月に公表いたしました経済財政白書におきましては、企業収益ですとか賃金の増加につきまして中小企業にも広がりが見えていること等を分析いたしまして、好循環が着実に回り始めているということを示しております。

 その上で、個人消費が力強さに欠けている背景といたしましては、消費税率引き上げ等に伴います耐久財の買いかえ需要の先食いですとか、家計が将来不安を抱くことに伴います消費の抑制などを挙げているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、白書では、雇用、所得環境に見られている経済の好循環に向けた動きをさらに支出につなげていくことが重要であるというふうにしているところでございます。

 現時点では、所得から支出への波及という側面がまだ十分ではありませんけれども、高水準の企業収益が雇用の拡大、所得の改善にはつながっておりまして、経済の好循環は生まれているというふうに言えると考えております。

 今後、さらにそれが支出の増加にもつながっていくことで、回り始めた好循環が確立していくことが期待されるところでございます。

梅村委員 そこはやはり国民生活の実感とは違うなというふうに思います。

 今御答弁いただいた中で、この経済財政白書でも「個人消費が力強さを欠く」、こういう表現をしているのに、経済の好循環というふうに言われるんでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 個人消費が力強さを欠いておりますので、今生まれ始めている好循環の流れ、今好循環は、高水準の企業収益から雇用の改善、それから所得の増加につながっているところでございますが、それがまだ支出面、すなわち個人消費の方に十分につながっていないということは認識しておりますので、今後、そうしたところをしっかりつなげていって、経済の好循環をしっかりと確立していくということが重要と考えるところでございます。

 私が申し上げておりますのは、好循環が生まれている、回り始めているということでございまして、決して、現時点でしっかりとそれがもう既に回っているということを申し上げているわけではないということであります。

梅村委員 それは、今の御答弁はそうかもしれませんが、安倍首相の所信表明では生まれていると断言していたものですから、国民の皆さんは、あら、そうなのかなということでびっくりしちゃっている。そこがしっかりと、やはり認識がずれているんじゃないかということを今御指摘させていただいたわけです。

 それで、冷え込んでいるといいますか、個人消費が力を欠く背景として、やはり一番トップには、消費税の増税、引き上げの影響があるというふうにここでは書かれているということでよろしいでしょうか。

 分析としては、今読み上げていただいたところについて、消費税の引き上げの影響に加え、こういうことがあると書いてあるわけですから、やはり今の消費の力強さを欠くという大前提は、消費税の二年半前の八%に引き上げ、これにあるという御認識でよろしいんでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 個人消費の低迷の、低迷といいますか、力強さに欠けているその要因といたしましては、御指摘のように、白書でも書いてございますけれども、その要因の一つとして、消費税率引き上げ等に伴います耐久財の買いかえ需要の先食いなどがあるものと考えておりますけれども、そのほかにも、家計が将来不安を抱くことに伴う消費の抑制など、さまざまな要因があると認識しております。

梅村委員 それも非常に、ちょっとごまかされて言われているんじゃないかなと。

 だって、この経済財政白書を読み、今読み上げていただいたところを読めば、力強さを欠く背景として、消費税率引き上げの影響に加え、こういう問題があると言っているわけですから、しかも、全体を読みますと、消費税の増税による影響がかなり分析されて、影響があるということはやはり書かれてあるというふうに思うんですよね。

 それで、ぜひここで確認させていただきたいのは、低所得者に非常に強く影響が出ているという分析はこの中であろうかと思うんですけれども、それで間違いはありませんでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 経済財政白書におきましては、特にその影響を強く受けている世帯の類型といたしまして、子育て世帯ですとか、それから六十歳代前半の高齢者世帯などを取り上げて指摘しているところでございます。

梅村委員 その高齢者や子育て世代との関係で、消費税増税が消費をどんなに落ち込ませたかということを分析しているんじゃないんですか、この場で。それをしっかり答えていただきたいと思います。

 これは、消費税の延期と同時に、一〇%に上げるという法案なわけですから、しっかりその影響は答えていただきたいというふうに思います。

 それで、これには書いてあるわけですよね、そのことが。ぜひお願いいたします。

井野政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたように、子育て世帯、それから六十から六十四歳の無職世帯、こういったところで影響が相対的に強く出て、消費の全体の抑制要因となっているという分析をしているところであります。

梅村委員 何の影響ですか。影響が出ていると言いますが、何の影響が出ているか。

井野政府参考人 いろいろ、それぞれの世帯の類型別に異なるとは思っておりますけれども、例えば、六十歳代前半の無職世帯におきましては、定年退職などの働き方の変化に直面しておりまして、勤労所得がなく、年金などの安定収入も少ない中で、計画的な貯蓄の取り崩しや金融資産からの収入などを当てにせざるを得ない環境にあるところでありまして、そうした世帯では、二〇一五年半ば以降の株価変動以降、金融資産からの収入などの減少もあって、消費が抑制されているという分析を行っております。

 それから、子育て世帯に関しましては、子供に対する保育料、それから教育資金、社会保険料などの負担が発生していく中で、将来も安定的に収入を確保できるのか、老後の生活設計は大丈夫なのかといった将来不安などが消費に影響を与えていることを分析しているところでございます。

梅村委員 明確な御答弁がいただけないんですけれども、この経済財政白書では、個人消費の伸び悩みとその要因ということで、一番初めに、個人消費は二〇一四年の消費税率引き上げ以降、力強さを欠いた状況にあるというふうに、トップに書いてあるわけですから、やはり、消費税の増税、八%増税が、そういう個人消費、特に子育て世代、高齢者に影響があるということぐらいは御答弁いただいてもいいと思うんですけれども、これにはそういうふうに書いてあるということでよろしいでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘いただきましたように、経済白書におきましては、消費税率引き上げ後に、御指摘いただきましたような子育て世帯ですとか六十歳代前半の無職世帯などに影響があるということを申し上げております。

 したがいまして、消費税率引き上げがそういった世帯に影響を及ぼしているということは言えるとは思いますけれども、特に、それがどの程度であるとか、それが非常に重要な要因として消費の現在の姿になっているとか、そういった要因分解まで詳しい分析を行っているわけではございません。

梅村委員 全然、それはこの中の評価とは全く違うというふうに思います。ぜひしっかりと読んでいただきたいなというふうに思います。

 消費税の増税が、子育て世代、高齢者世帯、それに非常に大きく影響を与え、消費を落ち込ませているということが書いてあるわけですよね。そうなってくると、なぜそういう世帯にこの消費が特に影響があるかといえば、私はやはり、消費税が、逆進性のある、低所得者に強く影響が出る、そういう税だからだというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 経済白書におきましては、低所得者に対して逆進性があるから大きく消費税率引き上げが影響を及ぼしたというところは、今回の白書では扱っておりませんので、明確には指摘しておりません。

梅村委員 この白書の中では確かにそういう記述はないですけれども、では、消費税が逆進性が強い税金だということはお認めになりますか。

井野政府参考人 税制につきましては、いろいろさまざまな議論があるものというふうに認識をしております。

 逆進性というときにもさまざまな見方があるものと思いますので、例えば、一人の人の生涯をとってみると、若いころ、高齢になってから、ライフステージのそれぞれにおいて所得の多寡もあるわけですし、そういうのを通して見ればそれほど大きな差はないというような意見もございますので、一概には言えないというふうに思いますが、税制がどのような性格を持つのかにつきましては、今回の経済財政白書でも明確には分析しておりませんし、また、それを分析するには非常に細かい税制の細部に立ち至った議論が必要でありますので、税務当局の分析も必要であろうかというふうに思っております。

梅村委員 そういう検討で消費税を一〇%に上げるということは、大変国民の皆さんにとっては無責任だなというふうに私は思います。

 財務省の統計でデータがありますけれども、一世帯当たり年収が二百万円未満の方の五%段階での消費税負担額は約五万七千七百三十一円です。八%になると九万二千三百六十九円です。こういう二百万円未満の世帯で、八%になると九万二千円ものやはり負担がある。月収にすれば約一カ月分ぐらいが丸々消費税で吹っ飛んでいってしまう、それが今の低所得者の皆さんの中での消費税の負担額だというふうに思います。

 消費税は、導入されるときに、羊の毛を鳴かないようにむしり取るのが税の極意だということで導入されましたけれども、やはり、国民お一人お一人の痛税感といいますか、重さといいますか、そういうものをしっかりと捉えてこの増税の議論はしていただきたいなというふうに思いますし、低所得者の皆さんに重い、逆進性の強い税金であるということは、やはり議論の前提としてしっかりと認識していただきたいなというふうに思います。

 ですから、こういう八%増税、相当厳しいわけです。今言いましたように、二百万円未満で八%になって九万二千三百六十九円です。ですから、国民の皆さんは、今、財布のひもをぎゅっと締めているということだというふうに思います。

 その結果、家計調査の消費支出は、うるう月を除けば、今、十二カ月連続マイナスになっているというふうに思います。その結果、地域経済との関係で今どういうことが起こっているかというと、小売業界の売り上げは軒並みマイナスになってきているのではありませんか。

 つい三日前に発表されたチェーンストア協会、ことし、二〇一六年の一月―九月までの販売概況ですけれども、前年度同時期よりマイナスになりました。百貨店協会についても、先月に発表した八月の売り上げ、今年度最大の落ち込みで、消費税増税前の駆け込み需要の反動が出た昨年三月以来の二桁の減となっています。コンビニも健闘しているということがずっと言われていましたけれども、既存店で、この九月、売り上げが前年度比で四カ月ぶりのマイナスになっています。

 ですから、上向きとか元気の方向にというよりは、ここでやはり個人消費の落ち込みが、こういうスーパーさんだとかコンビニだとか、どこでも地方に行けば地域経済の主要を担うような、こういう小売店業界の皆さんの売り上げが落ちているわけですよね。こういう状況を見たら、やはり消費は上向いているとは言えないのではないでしょうか。

井野政府参考人 個人消費関連につきましては、さまざまな統計がございます。御指摘いただいたようなチェーンストアの売り上げですとか、コンビニの売り上げもその一つだとは思いますけれども、さまざまな統計を全体として総合的に判断してみて、このまま現在の一部の統計に出ているようなマイナスがずっと続くような状況にはないというふうに思っております。

 例えば、こういった販売側の統計というのは、そういうチェーンストアですとか一部の形態でどのくらい売れているかということにとどまっておりますけれども、今さまざまな構造変化が起きております。例えば通信販売がふえていたり、いろいろな形態で買い物をするような時代にもなっているところでございますので、一つの個別の統計をもって、それを全体の基調というふうに判断をするのは適切ではないというふうに考えております。

梅村委員 チェーンストア協会や百貨店協会やコンビニエンスストアの協会のこういう指標が、一部、部分的だと。これではやはり地域経済は、よくしていく手だて、そこから悲鳴が上がり、物が売れないというふうに言っているわけですから、私は、もっとこういう現状を真摯に受けとめた上で、ではどうしていくのかという議論をすればまだわかりますけれども、それさえも一部の指標だと。ほかにいろいろ携帯電話とか売れている。それでは、国民生活、やはり納得できない。

 何よりも、やはり、毎日毎日子供たちに御飯を食べさせる、お食事をする、スーパーで買い物をする、これが一番の生活の基本じゃないですか。そういうところの売り上げが落ちているわけですから、私は、ここをしっかりと拡大していかなければ地域経済や消費というのは上がっていかないのではないか、ぜひその認識にまず立つべきだということを強く求めたいというふうに思います。

 そこで、今ですらそういう状況なわけですね。では、一〇%になったらどれぐらいの負担になるのか、これが大事だというふうに思いますけれども、この春の通常国会で、私たちの小池晃参議院議員が麻生財務大臣に質問したときに、麻生大臣は一〇%の増税の額についてこういうふうに言っています。

 軽減税率を適用する場合の総世帯の一世帯及び一人当たりの消費負担の税率は、五%時から比べての増加額ということですが、消費税の見込み額、税率一%当たり二・七兆円、先ほどは二・八兆円という御説明がありましたけれども、ここでは二・七兆円、軽減税率制度導入によります減収見込み額約一兆円程度というのを、世帯数及び人口により算出しますと、一世帯当たり十八万四千円程度、一人当たり八万千円程度、これが五%から一〇%への増税額だというふうに麻生大臣がお答えになっているわけですね。一〇%になればこういう負担だということではよろしいでしょうか。

 済みません、財務省はちょっといないので、そういうことを麻生大臣は言っているということで、そういう増税額だということをぜひ認識していただきたいというふうに思います。

 ですから、こういう一〇%の増税が今回延期ということですけれども、まだ延期であれば私たちも賛成をすることができるかもしれませんが、やはり増税がセットになっている。五%からの合計ですけれども、これほどの、一世帯当たり十八万四千円程度、一人当たり八万千円程度、こういう増税を、こんなに、今言ったチェーンストア協会や、まだまだそういう力強さが出ていないときに、増税するよということを一緒に決めちゃうということは、やはり逆に消費の足を折るようなことになるのではないかということを強くここでは指摘をしておきたいというふうに思います。

 さて、次に、具体的に、子育て世代と高齢者世帯についてお伺いしたいというふうに思います。

 経済財政白書の中で、若年子育て期世帯は全世帯と比べ低所得者が多いというような分析をしていると思うんですけれども、それで間違いないでしょうか。

井野政府参考人 経済財政白書におきまして、子育て世帯が影響を受けているという記述はございます。低所得者が多いということが明確に書いてあったかどうか、ちょっと現在確認できておりません。済みません。

梅村委員 現在確認できておりませんということですけれども、この中に明確にその文言はあるんですね。(発言する者あり)そうなんです。若年子育て期世帯は全世帯と比べ低所得者が多いという記述は、この中にあります。だから、消費が非常にさらに落ち込んでいるというような記述があり、この点についてはお答えくださいというふうにお願いしていたと思うんですけれども、いいです、それは入っているということで。

 ですから、こうした世帯が、消費税増税によって、必需品の上昇により、家計が直面する程度は他の階層に比べて大きくなることがあるということも、この中で書いてあるんですね、子育て世代、もともと低所得層が多いと。だから、必需品の増税が消費税であると、そういう家計が直面する程度は他の階層に比べて多いんだという分析をしているかと思うんですけれども、それはそれでよろしいでしょうか。

井野政府参考人 お答えいたします。

 経済白書の中で、今御指摘いただいたようなことがそのとおり書いてあるかどうか……(梅村委員「三十一ページに書いてあります、三十一ページに。子育て世代の影響についてはお伺いするというのは聞いていましたけれども」と呼ぶ)済みません。子育て世帯の消費が抑制されている背景といたしましては、子供に対する保育料や教育資金、社会保険料などの負担が発生する中で、将来も安定的に収入を確保できるのかといった不安心理があるという要因を白書では挙げているところでございます。

梅村委員 ですから、そういう中で私がここで確認させていただきたかったのは、若年子育て期世帯は全世帯と比べ低所得者が多い、所得が少ないという分析があると思うんですけれども、では、それはそういうことですねということを前提に進めさせていただきます。

 ですから、低所得者が他の世帯と比べて多い、それは、非正規が多い、やはり雇用状況が反映しているということで、とりわけこの世代のことをこの白書の中では指摘をしてあるわけですね。であるならば、私は、入り口でも出口でも二重三重に苦しめているのが消費税だなということを次に指摘させていただきたいと思うんです。

 本会議質問のときに、学校給食費をめぐって、八%になったときに、父母の皆さんに、給食費を上げますか、それとも、上げるのが嫌であればお弁当の日をつくりますか、こういうアンケートが行われたということを御紹介しました。

 学校給食というものは、どの子も健やかに成長していくということで、長い間の父母の皆さんの運動によってかち取られたもので、それが、増税を機に逆にお弁当に戻しますかというようなアンケートがとられること自身に、私は、やはり消費税増税がこういう学校給食にも大きな影響を与えている一つの事例だと思って質問をさせていただきました。

 そのときは高市大臣からも前向きな御丁寧な御答弁をいただいたというふうに思いますけれども、改めてこういう消費税増税、とりわけ子育て世代はそういう低所得者が多いわけですから、こういう学校給食、子供たちでいえば、もう毎日かかわる問題ですから、ぜひこういうことは調べていただきたいということでお願いしましたけれども、ぜひよろしくお願いしたいんですけれども、文科省、いかがでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省においては、毎年度、学校給食実施状況等調査を行いまして、学校給食の実施状況や保護者負担の平均額等について把握をしているところでございます。

 この調査によりますと、平成二十六年四月の消費税率引き上げの前後でございます平成二十五年度と二十六年度について保護者負担額を比較しますと、小学校では月額四千百六十円から四千二百六十六円に、中学校では月額四千七百七十一円から四千八百八十二円に、それぞれ百円程度の増加をしていると承知をしております。

 このように、平成二十六年四月の消費税引き上げ前後におきます学校給食費の状況については、既に把握をしているところであります。

 学校給食については、保護者の経済的負担への配慮も必要であることから、文部科学省としては、今後とも学校給食費の状況を注視してまいりたいと考えております。

梅村委員 ありがとうございます。

 それが二年半後に一〇%にするということですから、今回の法案は。そういうことも踏まえて、やはり、学校給食にさらに、五から八でもこういう影響があったわけですから、一〇になったときにどういう影響があるのかということはぜひ考えていただきたいし、調べていただきたいなというふうに思います。

 この点で、経済財政諮問会議に高市大臣も御出席だと思うんですけれども、そのメンバーのお一人、民間の方だと思うんですけれども、給食費の無償化のような提案も消費者対策としても出されているかと思います。政府も真剣に検討すべきだと思います。

 例えば、各地方自治体では、若い世代を町に呼ぶ、そして、少子化対策としてかなり子育て対策を打ってきていると思います。埼玉県の滑川町では、こども医療費支給制度の拡充とともに、二〇一一年から学校給食も保育園から中学校まで無償化をされ、出産祝い金も実施をし、そうしましたら、自治体の政策により、子育てに手厚い町として人口もふえてきている。

 やはり、こういう努力が各地方団体にも行われているかというふうに思いますので、こういう自治体の努力にも学びながら、ぜひ国としても給食費の無償化を初め子育て支援に全力を尽くしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 子育ての支援施策を実施する上で、住民に身近な行政を担う地方公共団体が果たす役割は極めて大きいということから、政府として後押しをしていくことが重要だと思います。

 例えば、子供の貧困対策ですとか待機児童対策など、地方公共団体が実施する子育て関連施策に要する地方負担についても、適切に地方財政措置を講じております。

 そして、今委員がおっしゃっていました給食費に係る保護者負担についても、家庭の経済状況が厳しい要保護、準要保護の児童生徒に対して各市町村が援助を実施しており、その地方負担についても地方財政措置を講じております。

 そのほか、総務省の政策としては、やはり多様な働き方の実現ということも子育ての支援に資すると考えられることから、テレワークについても強力に推進をしていますし、また、来年七月以降は、子育て世代の方々の利便性向上のために、マイナポータルを活用した子育てワンストップサービスを実現し、順次、保育所の利用申請や児童手当の現況届などのオンライン提出にも対応するよう、プロジェクトチームを設けて準備を進めております。

 引き続き、子育て関連施策に取り組む地方公共団体を総務省として積極的に支援をしてまいります。

梅村委員 ありがとうございます。

 それで、今出された就学援助なんですけれども、この就学援助というのは、消費税増税分は金額的には足して子供さんたちに渡るようにはなっているんでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度の消費税率の引き上げに伴い、要保護者への就学援助として、市町村の事業費の二分の一を国が補助します要保護児童生徒援助費補助金の学用品費等の予算単価について引き上げを行っております。

 なお、要保護者に準ずる程度に困窮をしていると市町村教育委員会が認める準要保護者への就学援助につきましては、各市町村が単独で実施をしておりますため、援助費目あるいは単価についても、各市町村の判断で実施をされているところと承知をしております。

梅村委員 やはり、そこがもう一つ問題だと思うんですよね。要保護世帯の子供さんたちと同時に準要保護世帯の皆さん方、今、もう六人に一人が就学援助をもらっている。私の子供のクラスも、三十人ぐらいとしたらやはりその中で単純に計算してももう六人に一人ですから、たくさんの方が困って受け取っているということだと思うんですけれども、準要保護世帯では地方がということで、しっかりとそこが上乗せしているのか、行き届いているのかというのが、責任が持たれていないわけですよね。

 では、実際には、上乗せしているのかというのはつかんでいないということでしょうか。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度に援助費を増加させた理由として、国の行っております要保護児童生徒援助費補助金の予算単価に合わせて単価を変更したものと回答した市町村数は、全体の三割弱の四百八十七自治体となっております。

梅村委員 そうしますと、対応したのは三割ということでよろしかったですか、今の御答弁。そうすると、七割の自治体にいらっしゃるお子さんの中で、やはり消費税が上がったのにその分は増額されていないということでよろしいんでしょうか。

瀧本政府参考人 国の単価と同様に合わせて単価を変更したものと回答されました市町村が三割弱の自治体でございますが、その額と同額ではない引き上げというようなものも幾つかございまして、かなり実態がばらばらでございますので、詳細についてはさらに分析をさせていただきたいと思います。

梅村委員 そうしますと、子供の貧困がこれだけ広がり、子供たちがなかなか苦しんでいる状況、学校に行くとそうですけれども、入学服や体操着や文房具や習字セットや水着や、本当に義務教育といいながらたくさんのお金がかかるわけで、そこにはやはり、五から八にしたときには増税になり、それは、就学援助金が、自治体、準要保護だとはしてもふえていないということは、それだけしわ寄せがそういう御家庭に行っている可能性があると思うんですね。

 この増税は国の責任でやった制度ですから、やはり準要保護世帯の皆さんにも行き届くような措置というのを、もう少し見切るためにしっかりと調査や措置をすべきじゃないか。本当に今、子供たちが貧困であえいでいます。お母さんやお父さんたちも、大変な中、子育てします。そういうことをぜひ知っていただきたいなというふうに思います。

 ただ、自治体がなかなかできない背景に、やはり財源問題がある。要保護世帯であれば国からというのはあると思うんですけれども、準要保護世帯は財源的にはどうなっていますでしょうか。

瀧本政府参考人 お答えいたします。

 準要保護世帯への対応でございますが、これは、従来は国の補助金として実施をしておりましたが、三位一体改革におきまして、国と地方の役割分担ないしは国庫補助金のあり方という観点から見直されたものであります。その際、その国庫補助を廃止すると同時に税源移譲をし、一般財源化とされたところと承知をしております。

梅村委員 やはり、三位一体の中で税源移譲し、一般財源化したという中で、保護世帯の皆さんには国のということで行くんだけれども、なかなか地方財政が大変な中で、そういう困っている子供たちにしっかりと増税分を見切れていない、政策的に。これは非常に重大だというふうに思います。

 ですから、財源確保もしっかりして、やはり国が五から八に上げたわけですから、それは学用品だとか修学旅行だとか卒業アルバムだとか、もう本当にお金がかかるわけですから、とりわけ大変な御家庭ですので、ぜひ見切っていただきたいなというふうに思います。

 高市大臣に、この点での財源との関係など、ぜひ御答弁をいただきたいというふうに思います。

高市国務大臣 厚生労働省が実施しています生活保護を受給している世帯への負担金、そして文部科学省が生活保護を受給していない要保護者世帯への補助金ということで、それぞれ負担率が四分の三、二分の一とございます。

 今委員が、特に準要保護者ということで問題意識も強くお持ちなんだろうと思いますけれども、総務省では、先ほど答弁申し上げましたとおり、準要保護世帯も含めて地財措置で対応をいたしておりますので、これからも市町村の実情をしっかりお伺いしたいと思います。

 そしてまた、各自治体で本当に必要なものにお金を使っていく。その判断は、やはり首長さん、そして車の両輪である議会が適切に判断をしていかれるものであろうと思っております。

 子育てしやすい環境に向けての取り組みは、今後もしっかりと続けてまいります。

梅村委員 非常に重要な、必要なものだというふうに思いますので、文科省の方からもそういう点はつかむ必要があるという御答弁だったというふうに思いますので、ぜひ見ていただきたいなというふうに思います。

 最後になりますけれども、高齢者世帯の問題について若干質問して、終わりたいというふうに思います。

 この白書の中で、高齢者世帯についても非常に消費が冷え込んでいるという御指摘があろうかというふうに思います。

 それで、今、消費税一〇%と一緒に、年金の改悪といいますか、その議論も進められようとしているというふうに思います。

 この国民年金等改正法案は、従来は、物価がプラス、賃金がマイナスとなった場合、年金改定はゼロだったんですけれども、これを賃金に合わせてマイナス改定する、また、物価も賃金もマイナスだった場合はどちらか低い方に合わせて改定するようにする、こういう制度だというふうに思いますので、年金生活の皆さんにとっては、幾ら物価が上がっても、働いている皆さんの賃金が下がればその分一緒に年金額も下がっていってしまうということでいえば、非常に重大な内容かというふうに思います。

 これが、ちょうど消費税一〇%になる二〇一九年とあわせてこの時期が襲ってくるということになろうかというふうに思うんですけれども、消費税がもし一〇%になりましたら、物価はどれぐらい上がるのでしょうか。

会田政府参考人 お答えいたします。

 消費者物価指数の作成には、消費税込みの価格が採用されております。

 仮に、二〇一九年十月に消費税率が一〇%に引き上げられた場合は、当該引き上げ分が、消費税の対象となる品目の価格指数にその時点で反映されることになります。

 一方、家賃や診療代など、税率引き上げの直接的な影響を受けない品目もございますので、引き上げられた税率分がそのまま消費者物価指数に反映されるわけではございません。

 なお、二〇一四年四月に消費税率が五%から八%に三%引き上げられた際の試算では、二・〇ポイント程度の直接的な影響があるとされておりました。

梅村委員 今の指標で、もし一〇%になった場合、二%上がるわけですから、一%ぐらいというふうにもし仮定をしますと、年金は実質で一%下がり、さらに名目で一%下がり、合計二%下がってしまう。物価上昇分の二倍下がってしまう。その上、今度は福祉給付金もないということで、そして消費税も一〇%に上がる。やはり年金生活者はトリプルパンチになっていくのではないかなというふうに思います。

 そうした年金改悪とそして消費税一〇%、この高齢者の影響について、最後、お答えいただきたいというふうに思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の公的年金制度につきましては、年金制度を支える現役世代の負担が過重とならないように保険料を設け、その見通しのもとに、限られた財源を適切に現在の年金受給世代と将来の受給世代で分かち合うという仕組みがございます。

 ところが、過去、特例水準によりまして年金が支給されていたことなどによりまして、マクロ経済スライドによる調整が一度しか行われなくて、年金水準が相対的に維持されましたということで、現役世代の手取り賃金に対する年金受給世代の受取額の割合である所得代替率が上昇したといったことを踏まえて、今回の賃金に合わせた改定、見直しを行うところでございます。

 これは、確かに、平成三十三年度から実施するということでございますけれども、政府としましては、現在、賃金上昇を含む経済再生に全力で取り組んでいるところでございまして、今回のルールの見直しに影響を受けますのは、将来、名目でも実質でも賃金が低下した場合でございますので、そうした場合の三十三年の影響というのは今わかるものではないということでございます。

梅村委員 ただ、この間の経過からすれば、そういうことは十分予想できることだというふうに思います。

 やはり子育て世代、高齢者世代も安心して暮らしていけないというふうに思います。一〇%増税は、延期ではなく、きっぱりと中止することを求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず、私自身なかなか聞く機会がありませんでしたので、消費税増税延期の判断について尋ねたいと思います。

 既に、二〇一四年の総選挙直前に一度延期が行われました。その際に、景気条項が削除をされ、リーマン・ショックや東日本大震災級の事態が生じない限り再延期はしないと総理自身が明言をされました。

 ところが、今回、新興国の経済状態などを理由に、新たな判断だとして、再び増税を延期いたしました。私自身はこれは非常に唐突感を感じましたし、多くの方もそのように感じたのではないかというふうにも思います。

 この総理の判断について大臣はどのように受けとめておられたのか、これは、消費税、今まさに議論しております地方の地方消費税も大きく関係してきますし、地方の財源を含めて大きく影響してまいりますので、どのように感じられたのか、まずお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 消費税率一〇%への引き上げにつきましては、安倍総理大臣が先般答弁をされていたとおり、世界経済がさまざまなリスクに直面し、内需が腰折れしかねない状況の中で、あらゆる政策を動員し、経済再生、デフレ脱却に向けた取り組みに万全を期すべきであることから、その引き上げを二年半延期することとしたということでございました。

 私としましても、これは地方財源に影響が出る問題であるというのは御指摘のとおりでございますので、何とか、今まで以上に力を入れながら、地域住民の皆様に景気回復を実感していただかなきゃいけないということで、働く場所、雇用をふやすためにさらに政策を強化していくという強い決意を持って、補正予算の編成にも臨みました。

吉川(元)委員 きょうは財務省に来ていただいておりますので、お聞きしたいんですけれども、今回の延期によって、社会保障も含めて非常にいろいろな影響が出てまいります。

 景気条項があるときには、もちろん、それに基づいて判断をするということは当然あり得るわけですけれども、それがない中で、客観的な基準がない。世界経済のリスクというのは常に存在しているわけで、リーマン・ショックの直前まで誰もそんな危機が発生するというふうには思っておりませんでしたが、ああいう状態になってしまいました。つまり、世界経済のリスクというのは、資本主義経済、市場経済である以上常に存在をしているわけで、いかようにでもこのリスクというのは言えるわけであります。

 そうなりますと、言ってしまえば、その時々で、リスクがあるんだ、実際に危機が発生しなくてもリスクがあるんだということになれば、政策判断はいつでも変えられる。本来は法律で定められているものがそういう不確かな基準に従って変えられるというのは、これは、我々は消費税増税は反対ではありますけれども、ほかの政策全般についてもそういう理由で変えられてしまえば、私は、もはや法治国家とは言えないのではないかというふうにも思わざるを得ません。

 新たな判断、これは何度でも繰り返すことが可能になるわけで、そうなった場合に、客観的な何らかの基準を設けないとならないのではないかと思いますが、その点、いかがお考えですか。

三木大臣政務官 吉川委員お尋ねの点についてお答えさせていただきたいと思います。

 ただいま委員御指摘いただきましたように、近年の世界経済は、新興国経済の陰りなど、需要の低迷や、あるいは成長の減速のリスクが懸念されておるところでございます。また、国内経済におきましても、個人消費のところに力強さを欠くというふうな状況にございます。

 今般の消費税率引き上げの延期は、こうした状況を十分に踏まえまして、経済再生、デフレ不況からの脱却に向けた取り組みに万全を期すために、伊勢志摩サミットにおける合意に基づいてあらゆる政策を総動員する中で、構造改革の加速など、総合的かつ大胆な経済対策を講じることとあわせて判断したものでございます。

 政府といたしましては、二〇二〇年度にプライマリーバランスの黒字化を実現するという財政健全化目標を堅持しております。その実現に向けて、経済再生なくして財政健全化なしとの基本方針のもと、民需主導の経済の好循環を確実なものとすることを通じまして、二〇一九年十月の消費税率一〇%への引き上げが可能な環境を確実に整えるべく、経済財政運営に万全を期していくというふうなことにしております。

 したがって、今般の法案には御指摘いただいたような基準というのは設けてございません。

吉川(元)委員 確実にというのは、たしか二〇一四年のときにもその手の話はされたと思います。間違いなく次は上げるんだ、そのための経済財政の状況をつくるんだというふうに言われて、一回目の延期をして、解散・総選挙に臨んだわけです。

 ですから、それでもって今回また延期をしたのであれば、確実にこうやりますから大丈夫ですというのは全く信用が置けないというか、既に一回目で裏切られたわけですから、私自身は、それは幾ら言ったとしても基準にはならないですし、その点でいうと、何度も繰り返しますけれども消費税増税自体には反対ではありますけれども、こういう基準もないまま決定していた政策がひっくり返るというのは、やはりおかしいというふうに思います。

 次に、内閣府に来ていただいておりますので、内閣府にも尋ねたいと思います。

 一体改革、法律で定められたのは二〇一二年。当初、二〇一五年の十月に税率が一〇%になる予定でありました。二回延期をされて、二〇一九年十月に一〇%というふうになったわけであります。そうしますと、一体改革の決定からもう実に七年が経過をしている。

 この間、今年度から二〇一八年度まで、社会保障費の伸びを三年間で一兆五千億をめどに抑制する、そのための受診時定額負担増や後期高齢者医療制度の自己負担割合の引き上げなど、負担増が検討されていると聞いております。そうなりますと、何のための消費税増税なのか、社会保障をよくしていくという約束のもとで行われてきたのに、やられていることは全く逆なのではないか。

 一体改革当初から税率一〇%引き上げまで七年以上も要して、そういう意味でいうと、七年前に、今からいうと七年前ではありませんけれども、実際一〇%に上がるときには七年前にいろいろなことを前提にしてつくられたわけでありますから、そうなると、かなり前提も変わってきているわけで、また、実際に国民が期待していた社会保障制度の改革、充実からはかけ離れ、逆に負担増、給付抑制が顕著になっていることを考えれば、私は、なぜ消費税だけが対象になるのか、これが非常に理解できないんです。

 それ以外の法人税あるいは所得税、相続税も含めた、そういった税制全般の改革を視野に入れた一体改革、これはもう一回やり直す必要があるんじゃないかと考えますけれども、どのようにお考えですか。

越智副大臣 吉川委員から御質問をいただきました。

 二〇一二年から、三党合意に基づいて法律ができて、二〇一五年十月に本来一〇%の税率になるという予定が、それが二〇一九年十月になって、七年もかかるじゃないかという中で、その五千億円の話も出てきているということについての御質問だと思います。

 まず一つ目は、消費税を社会保障の財源とする考え方ですけれども、税収が景気に左右されにくい安定した税である、それとともに、特定の世代に負担が集中しなくて、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が高齢化社会における社会保障を支える財源にふさわしいとまず考えているというところでございます。

 また、社会保障と税の一体改革につきましては、三党合意を経て成立した各般の法律の枠組みに沿って、社会保障の重点化、効率化と同時に充実、安定化を進めることで社会保障の持続可能性を確保しよう、そういう取り組みでございます。

 その中で、具体的には、既に消費税は五%から八%に引き上げられました。それ以外に、保育の受け皿を四十万人から五十万人に拡充するなど、さらなる子ども・子育て支援の充実、また、地域包括ケアシステム構築などの医療、介護の提供体制の改革、国保、介護の低所得者軽減の強化など医療・介護保険制度の改革、また、難病制度の充実なども着実に改革を進めてきているというふうに考えております。

 この改革は、少子高齢化が進む中で、世界に冠たる日本の社会保障制度をしっかりと次世代に引き継ぐためにも、引き続き、着実に進めていきたいというふうに考えております。

 また、自然増五千億円への制限、このことについて御指摘がございましたけれども、このことは、少子高齢化が急速に進んで社会保障関係費が増大していく中で、社会保障制度の持続可能性を確保するとともに、財政健全化を図るものとして、一体改革の枠組みとはかかわりなく不断に議論されるべきものだというふうに認識していまして、こうした議論があるからといって、一体改革に基づくさまざまな子育て、医療、介護、年金にわたる改革をやり直すということにはならないというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 今言っている話というのは、一体改革というのはでは一体何だったんですかという話になってしまいますよ。

 これから、高齢化社会、少子化の中でいろいろな社会保障をつくっていかなきゃいけない。そういう中で消費税を一〇%に引き上げてやっていく。その中で社会保障をしっかりと守っていき、なおかつ充実させ、なおかつ子ども・子育てをしっかり支援していくという中で消費税増税をやったわけでしょう。

 ところが、今言ったのは、抑制については一体改革とは関係ないと。それはおかしいんじゃないですか。もう一回答弁してください。

越智副大臣 改めて御答弁申し上げますけれども、自然増の五千億円の話と一体改革の話は分けて考えるべきだと考えていまして、私たちは、少子高齢化が急速に進んで社会保障関係費が増大していく中で、制度の維持可能性を確保するとともに、財政健全化を図るものとして、一体改革にかかわらず不断にこの抑制というのは議論されるべきだというふうに考えております。

 その中で、昨年の骨太の中で、経済・財政再生計画の中で一・五兆円ということを議論いたしまして、その初年度としてこの五千億円の議論をしているということでございます。

吉川(元)委員 年々社会保障関係経費が上がっていくのは、それはそうだと思うんです。そのために七兆円を、後の世代の負担先送りをしないためにということでやられているんじゃないんですか。

越智副大臣 吉川委員から改めて御質問いただきましたけれども、先ほどの私の答弁にちょっと追加をさせていただきます、追加といいますか深掘りさせていただきますけれども、こうした制度改革の議論は、公的保険給付の適正化や負担の公平性など制度の持続性を確保する観点から、一体改革の枠組みにかかわりなく議論されているということでございます。

吉川(元)委員 かつて、今から十年ほど前ですか、もうちょっと前かな、毎年の社会保障二千二百億を削っていくということをやられて、非常に国民の皆さんは、社会保障がこのままどうなっていくのかというのがあって、その中で、消費税を上げて安心の社会保障をつくっていくという話でやったわけじゃないですか。やっていることは前と同じじゃないですか、消費税増税前と。言っていることとやっていることが全く違うと私は思います。

 ちょっと時間がないので次に行きたいと思います。

 次に、総務省の方にお聞きしたいと思いますが、消費税というのは、法人税などに比べますと偏在性が比較的小さい税制というふうには言われておりますけれども、ただ、そうはいっても、やはり各都道府県、現行の算定基準では、人口一人当たりの税収で偏りが生じているというふうにも思います。

 知事会の方も、二倍の格差が生じているというような指摘もされておりますけれども、実際のところ、格差というのはどのぐらいになっているんでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費税につきましては、今委員御指摘のとおり、ほかの税目と比較をしますと地域間の偏在性は比較的小さいわけでありますけれども、平成二十六年決算ベースで各都道府県における地方消費税の清算後の税収を人口一人当たりに換算したデータで比較をしますと、最大の東京都は最小の沖縄県の約一・七倍となっているところでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、仮に消費税の税率を一〇%に引き上げた際、さらにこの格差というのは広がるという認識でよろしいんでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費税を引き上げた場合は、今申し上げたように、比較的、地域間の偏在性が少ないとはいえ、その増によりまして一定の偏在度が上がってくる、こういうふうに考えております、それだけを捉えた場合ですが。

吉川(元)委員 一つこれに関して提案といいますか、やはり私は算定基準を少し見直す必要があるのではないかというふうにも思います。

 地方消費税の使途、これは増税分については社会保障に充てるということでありますし、社会保障を担保する一人当たりの消費税収に格差が生じているということで、今、恐らく算定基準は商業統計を使ってやられているのかなというふうにも思いますけれども、より人口中心の算定に見直すべきではないか。

 例えば、ネット通販。地方でもネット通販を利用されている方々がいますけれども、そこでネット通販をやった場合には、その地域で物を買うわけですけれども、実際には商業統計上は、例えば東京だとか、大都市になるわけで、こうした算定基準は見直すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費税は、これも委員御承知のとおり消費税の一つでございまして、最終消費者を実質的な負担者として予定する消費型の付加価値税ということになります。

 したがって、地方消費税の場合は、税の帰属地と今御指摘あったような消費地がずれてきた場合、これを一致させるというために清算基準というものを用いるということになっていまして、地方消費税収を清算基準に基づいて都道府県間で清算する、こういう仕組みになっております。

 その清算基準、今御指摘ありましたけれども、今申し上げたような、最終消費地に税収をできるだけ帰属させる。地方消費税、税ということでございますので、清算基準は、七五%につきまして、小売年間販売額とサービス業対個人事業収入額の合算額、まさにこれを消費と捉えているわけですが、これが七五%、それから、一五%については人口を、一〇%について従業者数をそれぞれ用いることとしている、これが現状でございます。

 その考え方でございますけれども、今申し上げたように、税収を消費が行われる場所に最終的に帰属させるという考え方でありますので、各都道府県ごとに小売やサービスに係る消費金額を調査した統計データ、これが基本ということで七五%を使っているわけですが、それで、データで把握し切れないと考えられる部分を、補完的に人口と従業者数を代替指標として用いているところでございます。

吉川(元)委員 お話はわかりますけれども、特に今のようなネット社会になりますと、通販の関係も含めて、かなり、実際に買う人と売る場所、これが大きくずれることはこれまで以上にふえていくということになりますので、この算定のあり方については、ぜひ、引き続きの検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、軽減税率について若干お聞きいたします。

 現行の税率八%で、地方消費税は、税率にして一・七、そのうちの〇・七%が社会保障財源、一%が一般財源に相当するというふうに承知をしております。これを一〇%に引き上げたときも、一般財源一%は変わらないというふうに聞いております。

 ところが、軽減税率が導入された際には、地方消費税分が一・七六%になり、そのうち、社会保障財源分が〇・九六、一般財源が〇・八となっている。

 一般財源が一%というのは、これはずっと前から、約束として、今払っている一%分は一般財源ですよというふうにしてやってきたと思うんですけれども、なぜこのような変更になったんですか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率導入時における地方消費税収に係る一般財源分それから社会保障財源分、これの割合に関しまして、軽減税率相当分の税収について区別をして特別な案分割合を適用するという仕組みは現在設けられておりません。

 現在の規定は、一般財源とそれから社会保障財源の双方の財源の必要性を踏まえつつ、制度及び実務の簡明性を確保するものというふうに考えますけれども、いずれにしても、今委員御指摘があったような点も含めまして、軽減税率の導入に伴う減収に関連する措置につきましては、平成二十八年度税制改正法におきまして、安定的な恒久財源を確保するため、歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることとされていることを踏まえまして、今後検討していくことになると考えているところでございます。

吉川(元)委員 ここに、平成二十六年度の、内閣府ですか、年次経済財政報告というのがあります。その中にもはっきり、増収分を含め、消費税収は、全て社会保障財源にされることとされている。その中に、括弧つきで、従来の地方消費税分の一%は除くと書いてあります。

 これは変えることがあるということですか。変えるんですか。さっきの〇・八というのを今からやっていくということですけれども、それはどういう立場で臨んでいくんですか。

林崎政府参考人 繰り返しになって申しわけございませんけれども、軽減税率導入時における地方消費税収に係る一般財源分と社会保障財源分の割合に関して、軽減税率相当分の税収について、現状、区別して特別な案分割合を適用する仕組みが設けられていない、こういう今の状況になっているということでございます。

吉川(元)委員 そうすると、一%を割り込むということですね。確認です。それでやると一%を割り込むということですね。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 軽減税率導入の際のお話だと思いますけれども、これに伴います減収に関連する措置については、先ほども申し上げましたけれども、平成二十八年度税制改正法において、安定的な恒久財源を確保するため、歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることとされていることを踏まえまして、今後検討していくというふうになると私どもは承知しております。

吉川(元)委員 一%、地方のものは一%は一般財源として残すと約束してきたんですよ。ずっと約束してきたんですよ。

 今聞いていると、平成二十八税制改正云々かんかんでどうしたこうしたと言われますけれども、これは一体どうするつもりなんですか。〇・二%といっても、大きいですから、金額からすれば。どういうふうに考えられているのか。それを聞いているんです。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども……(吉川(元)委員「だったらもういいです」と呼ぶ)先ほど来申し上げている形で、安定的な恒久財源を確保するために、歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることとされている、今後検討することになるということでございます。

吉川(元)委員 これは恐らくいろいろなところで地方の一般財源一%は除くというふうに、政府の公的な文書の中でも、先ほど言いましたが、年次の経済財政報告の中でもはっきり書かれているわけです。

 なぜそれが、どうするのかもはっきりおっしゃらないですし、検討すると。だけれども、ここで約束をしているんですよ。地方は当然これを見て、一%は地方の一般財源だというふうに考えたっておかしくないと思います、その約束があったんだと。ところが、それが変わるかもしれないというのはちょっとおかしいんじゃないですか。

 それに関連して、もう一つ問題といいますか、これも軽減税率の関連ですけれども、現行の税率八%の際、地方消費税分、今言ったとおり一・七に加えて地方交付税原資分が税率換算で一・四、合わせて三・一ということになっています。一〇%引き上げの際には、地方消費税分二・二に加えて地方交付税原資分が一・五二、合わせて三・七二ということで、現行よりもふえる。

 ところが、軽減税率が入って八%の場合、地方消費税分が一・七六。今、これがまさに一般財源が一%を切るかどうか、よくわからない答弁だったんですけれども、その可能性も、それはないというふうに答弁されない以上は、それもあるという可能性もあるんだと思います。さらに、地方交付税原資分が一・二二%にとどまって、地方財源分が合わせて二・九八となってしまいます。

 同じ八%の現行よりも〇・一二%低く抑えられてしまう、これはちょっとおかしいんじゃないか。軽減税率の導入時の地方交付税算定率は見直しが必要だと考えますけれども、この点、いかがですか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、軽減税率制度の導入に伴いまして消費税に減収が生じた場合には、地方交付税の法定率分にも影響が生じることとなりますが、消費税の軽減税率制度の導入に必要な財源につきましては、先ほど来税務局長も答弁しておりますが、特に交付税につきましては、その先の問題としまして、歳入で財源を確保するか、さらには歳出を見直して財源を確保するかで交付税の対応分が大きく変わってまいりますので、そういうことも全て含めまして法制上の措置を講ずることとしていることを踏まえまして、今後検討することになると考えております。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 もう余り時間がないんですけれども。

 税と社会保障の一体改革に基づいて、地方ではさまざまな施策がスタートしております。また、先ほどから言っていた一%分、それからあと地方交付税の、これは地財計画あるいは基準財政需要額等々でやるというふうに言われるのかもわかりませんけれども、それはやはり一般財源として入ってくるというふうに地方は見ながらいろいろな政策、これからの計画を立てているわけで、それが曖昧だ、今から決めるんだ、これから考えるんだというのでは、ちょっと話がおかしいんじゃないか。

 そもそも、国会等々を見ておりますと、軽減税率の問題について、おかしいじゃないかという質問が出た際には、給付つき税額控除それから軽減税率を含めて検討するとなっていて、軽減税率になったんだという答弁であります。だけれども、給付つき税額控除の場合は当然一%は守られるわけですし、それから地方交付税の算定も、これは軽減税率じゃないですから、このとおりそのままいくわけであります。

 そうすると、同じことだと言いますけれども、地方の財政にとっては違うんじゃないんですか。軽減税率であることとそれから給付つき税額控除であることとは、地方財政に与える影響というのは違ってくると考えるんですけれども、その点は、総務省、どう考えていますか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の点も含めまして、最終的にどの程度の影響額が発生するかということを地方財政全体で見きわめませんと対応方針が出てまいりませんので、全てそれを含めまして平成三十年度を目途に対応していく、そういうことになろうかと思います。

吉川(元)委員 今のままいくと、地方消費税は〇・八%、一般財源が減る。だから、これは何とかしなきゃいけないんじゃないんですか。

 地方交付税も、軽減税率が入っていくと、これは延期になりましたから来年四月以降ということになりませんけれども、いずれにしてもこれは穴が当然あくわけで、軽減税率を決めるときにそのことについて何の議論もされなかったということですか。今から全部考えるということですか。

黒田政府参考人 当然、軽減税率の導入に伴いまして減収が発生することを前提にしましてさまざまな議論はされておりますけれども、具体の制度設計につきましてはまさにこれからの議論ということになろうかと思います。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、地方にとって、先ほども言いましたとおり、軽減税率と給付つき税額控除、同じ選択肢の中の一つなんだという答弁と、地方財政に与える影響、これは、もし何の措置もされないのであれば、その分減収になりますから全く話が変わってくる、そのことを指摘させていただいて、質問を終わります。

竹内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 これより足立康史君の質疑時間に入ります。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

竹内委員長 委員長から一言申し上げます。

 足立康史君からのお申し出並びに理事間の協議によりまして、本日の足立康史君の質疑はこれで終了をいたします。

 次回は、来る十一月一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十四分散会


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