衆議院

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第3号 平成29年2月16日(木曜日)

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平成二十九年二月十六日(木曜日)

    午前八時三十五分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      加藤 鮎子君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      菅家 一郎君    小林 史明君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      高木 宏壽君    谷  公一君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷  元君    長坂 康正君

      藤原  崇君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        原田 憲治君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   総務大臣政務官      島田 三郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補)       末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  日下 正周君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         中山 隆志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        星野 岳穂君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     関  博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  山下 哲夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          高原  剛君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            富永 昌彦君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 久島 直人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           丸山 雅章君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 早水 輝好君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事・技師長)         森永 公紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 今井  純君

   参考人

   (日本放送協会理事)   坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松原 洋一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   黄木 紀之君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十六日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     藤原  崇君

同日

 辞任         補欠選任

  藤原  崇君     加藤 鮎子君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     鈴木 憲和君

    ―――――――――――――

二月十六日

 地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成二十九年度地方財政計画)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長石原進君、日本放送協会会長上田良一君、専務理事木田幸紀君、専務理事・技師長森永公紀君、専務理事今井純君、理事坂本忠宣君、理事松原洋一君及び理事黄木紀之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、まち・ひと・しごと創生本部事務局地方創生総括官補末宗徹郎君、内閣審議官日下正周君、人事院事務総局職員福祉局次長中山隆志君、内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、地方創生推進事務局審議官星野岳穂君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、復興庁統括官関博之君、総務省大臣官房長山田真貴子君、大臣官房地域力創造審議官時澤忠君、行政管理局長山下哲夫君、自治行政局長安田充君、自治行政局公務員部長高原剛君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長林崎理君、情報流通行政局長南俊行君、総合通信基盤局長富永昌彦君、消防庁次長大庭誠司君、厚生労働省大臣官房審議官坂口卓君、大臣官房審議官浜谷浩樹君、農林水産省大臣官房審議官丸山雅章君及び環境省大臣官房審議官早水輝好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林史明君。

小林(史)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の小林史明でございます。

 きょうは、質問の時間をいただきまして、本当にありがとうございます。早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 きょうの質問は三ポイントでありまして、全体、やはりこれからの日本を考えるに当たって、生産性をいかに上げるかということを考えると、総務大臣の所管する、行政をいかに電子化していくか、これがポイントだと思っています。二つ目のポイントは、それを支える基盤になる、やはりマイナンバー、これをいかにしっかり使っていただくかということが二点目。そして三つ目は、この電子化をやっていく上で、国民の皆さんに安心をしていただくためにもサイバーセキュリティーをしっかりしなきゃいけない、しかし、これはやはり財源が問題になってまいりますので、この財源をどこから確保するか。この三点についてお話をお伺いしたいというふうに思います。

 まず、電子化についてですけれども、生産性をいかに上げるか、これはもう高市大臣、党にいらっしゃるときから取り組まれていた課題だと思っています。

 ただ、今の日本の現状を見ますと、GDPは世界ランキングでは三位。まあまあかなと思われるかもしれませんが、中国を除くと、先進国の中で人口一億を超えるのはアメリカと日本だけであります。そういった中で三位というところで、本当にいいんだろうか。実際に、一人当たりGDPを見てみますと、最新のランキングでは二十六位という状態でありまして、大変厳しい状態だというふうに思っています。

 それを、いかに生産性を上げていくかということで、まずは行政が電子化を進めて、民間がビジネスをやりやすい、そして国民一人一人が効率的な生活ができるという環境を整えることが私は重要だと思っています。

 高市大臣も大変なリーダーシップを発揮されて前に進めてこられたと思っていますが、残念なことに、国の電子政府ランキングでは、日本は六位だったのが十一位に最近後退をしている、こういう状況であります。これは日本が後退しているというよりは、周りの国がどんどん前に進んでいる、こういうことだと思っていますが、そういう意味では、もっともっと加速をしていかなきゃいけないということだと思っています。

 そういう点で、国、地方、全体を含めて、やはり総務大臣にしっかり引っ張っていただく、これが重要だと思っていますので、まずはこの行政の電子化、進める決意をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今、小林委員がおっしゃった生産性の向上、そして働き方改革の切り札であるテレワークの推進ということを考えましても、国、地方を通じた電子行政の推進というのは大変重要だと思っております。

 電子化によりまして、印刷コストの削減だけではなくて、配付、受領の手間、それから保管スペースを省くことができます。検索、閲覧が容易となるということで、国民の皆様の利便性向上にもつながりますし、また、テレワークもしやすいといったメリットがございます。

 政府におきましては、e―Govや各省ホームページによるさまざまな情報提供、申請手続のオンライン化に加えて、先般、政府税調もペーパーレス化するなど、ICTを活用した業務の効率化と働き方改革の取り組みを進めています。

 また、総務省から各府省に対しまして、法定の国会報告、いわゆる白書でございますが、電子データを両議院に提供するようにお願いしましたら、全国会議員の皆様が国会のイントラネットで閲覧いただける環境が昨年二月に実現したところであります。

 これからもしっかりと進めさせていただきたいと思っております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 総務省の中でも、部署によっては電子化を大変進めていただいているということで、率先してやっていただいていることだと思います。ぜひ、総務省全体、そして政府全体にさらに広げていただけるようお願いをしたいと思います。

 大臣からの御答弁にもあったとおり、この電子化というのは、ただ紙の印刷代を抑えるだけではなくて、働き方を変えて、人の生産性を上げていくことにつながる、こういうことでありました。報告、白書も電子化をすることで効率化をということでありました。

 ぜひ委員の皆様に御理解をいただきたいと思うのは、この国会も、このまま紙ベースでいいのかということはやはり我々がしっかり考えて、国会の運営も効率化をしていくことが役所の皆さんの働き方改革にもつながりますし、我々自身の生産性も上げていくことにつながるんだろうと思っております。これは政府ではなくて国会で決めなければいけませんので、ぜひ我々で一緒に進めさせていただきたい、そういう思いを共有させていただきたいと思います。

 続いて、それを支えるマイナンバーカードの普及についてお伺いをしたいと思います。

 最新の状況でいくと、申請数は千二百八十五万枚、かなり前に進んできたな、こういうことでありますし、直近では申請数の伸びもふえてきている、こういう状況だというふうに思っています。

 この伸び率が上がっているのは、年末調整であったりとか税の申告、こういったものがあるから直近伸びているのではないかということで総務省の御担当の方から伺っています。やはり利便性、使い道があると、使いたいなと申請数がぐっと伸びてくるんだと思います。

 そういう意味では、今回の大臣所信にもあったマイキープラットフォームを使った地域のポイントカードであったりとか、あとは図書館カードの一体化、さらには、私はかなり重要だと思っているのは、マイナポータルを使った子育てワンストップサービス、これはかなり主婦層の方々にも御理解をいただけるんじゃないかな、こういうふうに思っていますが、一番効くのは健康保険証の一体化だと思っています。

 それで、きょう、厚生労働省にお越しをいただいていますが、この健康保険証とマイナンバーカードの一体化、どういったスケジュールで完了する予定なのか教えてください。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、マイナンバーカードを使いました医療保険のオンライン資格確認につきまして、日本再興戦略二〇一六を踏まえ、平成三十年度からの段階的な運用の開始、平成三十二年からの本格運用の開始を目指して、具体的なシステムの仕組みや実務の検討など、準備を進めております。

 この導入に当たりましては、マイナンバーカードによるオンライン資格確認について生じますシステム運用経費あるいは実務運用経費がふえることなどにつきまして、保険者や医療機関等の理解を得ながら進めてまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 しっかりスケジュールに沿って進めていただきたいと思いますが、一点気になっているのは、健康保険証の紙はなくならないんですね。紙をなくさないと、健康保険証のままでいいじゃないか、こういうふうになるわけであります。

 総務省が進めてきた例えばテレビの地デジ化、これは、アナログ放送をやめますと言って、やはりやめるからきっちり地デジに移らなきゃいかぬということでしっかり移行が進むわけですから、旧来のシステムは排除をして新しいものに一本化していくということが重要だと思っています。

 さらに、費用の問題においても、例えば国民健康保険、大体三千五百万人が加入している。これに毎年、郵便で送るわけです。最低でも三千五百万掛ける八十円毎年かかるわけですから、三十億から四十億のお金が毎回毎回かかっている。それにさらに事務費がかかっているわけですから、これをしっかり浮かせて、今度は医療機関にそのマイナンバーカードで認証ができるようなシステムを導入するにしても、しっかり財源を生み出せるというふうに思っています。

 ここで、もう一度厚労省にお伺いしたいと思いますが、紙をなくして完全にマイナンバーカードに統一する方がわかりやすいですし、コストも削減できると思いますが、何かマイナンバーカードに問題があってできないと考えているのか。厚労省にお伺いしたいと思います。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードによります医療保険のオンライン資格確認が実現した後に医療保険の被保険者証そのものを廃止することにつきましては、保険者が発行する被保険者証にかえまして、全ての国民がマイナンバーカードをお持ちいただくことが前提となります。

 また、マイナンバーカードの券面には医療保険資格の確認に必要な被保険者番号などが記載されておりませんので、通信障害などでオンラインでの資格確認ができない場合に資格確認が困難となるなどの課題があるものと考えております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、まずは医療保険資格確認の実現に向け、関係府省と連携しながら着実に準備を進めてまいりながら、今御指摘の点についても検討してまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 通信障害でできなかった場合に困りますという答弁だったんですけれども、それはさすがにちょっともう理由にはなりづらいんじゃないかな、こういうふうに思います。

 そういう意味では、しっかりシステム上乗り越えていくことができればできるということでいいですね。というわけですから、あとは政府側がしっかりやればやりますということで御理解をいただいたというふうに認識をいたします。

 その上で、それをしっかり進めていくことを、今度はグリップする側もしっかり後押しをしていかなきゃいけないと思いますが、内閣官房の方でそこはリーダーシップをとってしっかり前に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードに健康保険証の機能を持たせるというのは、マイナンバーカードの活用策の中でも極めて重要であると考えております。

 厚労省から課題もありましたが、この話は、一方で、全部が電子化されてしまうと、そもそも見える番号というのは要らなくなる話になりますので、将来的にはそれを目指して、しかも、こういうシステムをつくる場合に費用のことが常に問題になりますが、これも医療保険のシステムを全部見直して、できるだけ安価で、かつセキュリティーも高いようなものをつくってもらいたいと思っております。

 マイナンバーの一つの目的は、行政、国、地方あるいは民間も含めたIT化の推進だと思っておりますので、これに内閣官房、厚労省挙げて取り組んでまいりたいと思っております。

小林(史)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、向井審議官、リーダーシップをとってやっていただきたいと思いますし、総務省からはそれをしっかりバックアップしていただいて前に進めていただくことが、最終的には行政の電子化をしっかり進めることにつながると思いますので、お願いをしたいと思います。

 若干時間がなくなってきましたので、一問飛ばして、もうストレートにお聞きをしたいと思っています。

 このマイナンバーカードの活用であったりとか行政の電子化を進める上では、サイバーセキュリティー対策が大変重要だと思っています。

 これは、最後にぶつかるのは、どこから財源を持ってくるのか、こういうことでありまして、研究開発、人材育成、どこから持ってくるかと考えたときに、電波利用料は私は使えるんじゃないか、こういうふうに思っているんです。

 事前に御質問で伺おうと思っていましたが、この電波利用料の使途の中にも、IoTに関するサイバーセキュリティーの研究開発ということで少しだけお金がついています。ただ、セキュリティー人材は全く足りない、そして研究開発もまだまだ伸ばさなきゃいけないという中では、その金額では足りないと思っています。

 この電波利用料の使途をしっかり使うためには、配付資料にありますけれども、「「電波利用料」とは、次に掲げる電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用の財源に充てるために」というふうに書いてあります。

 電波の適正な利用を確保するためには、今重要インフラとしてNISCからも指定を受けている情報通信そして放送分野のセキュリティーの確保というのは、間違いなくこの「適正な利用」に当たると私は思っています。

 ぜひ、今の少ない予算ではなくて、大きく予算をとってサイバーセキュリティーを進めるためにも、電波利用料の使途にこのサイバーセキュリティーというのを改めて書き込んで、正面から予算をつけていくべきじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 電波利用料制度の対象事務でございますけれども、電波の適正な利用の確保に関すること、無線局全体の受益を直接の目的とすることというのを要件としております。その費用について、無線局の免許人で公平に負担するという趣旨でございます。

 今、委員からもお話がございましたけれども、IoTのサイバーセキュリティーに関する研究開発というのは、周波数を効率的に利用する技術として実施することにしています。

 今後、IoTが進展して、無線機器の利用がさらに増大していく中で、サイバーセキュリティー確保の必要性も一層高まっていくと想定されますので、電波の適正な利用の確保に関すること、無線局全体の受益を直接の目的とするという要件による電波利用料制度の範囲内で、どういった対応が可能かは検討してまいります。

 なお、電波利用料とは別に、今回、IoT時代におけるサイバーセキュリティ総合対策実証事業についても二十八年度の第二次補正でお認めいただきましたし、今審議をいただいております二十九年度の政府予算案の中でも、ナショナルサイバートレーニングセンターの構築ですとか、また、ICT環境の変化に応じた情報セキュリティ対応方策の推進事業など、お願いをしているところでございます。

小林(史)委員 ありがとうございました。

 積極的な御対応をよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、稲津久君。

稲津委員 おはようございます。公明党の稲津久です。

 時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、公共施設等の適正管理推進事業についてということでお伺いをしてまいりたいと思います。

 近年、公共施設の老朽化対策ということが大変課題になってきております。施設の集約化、複合化、それからどのように転用していくかとか、そうしたことがこれまでも重要な視点になっておりまして、そこで、平成二十八年度は、公共施設等最適化事業費ということで二千億円が予算に計上されておりました。

 平成二十九年度は、この事業を、今度は公共施設等適正管理推進事業費ということで、これは三千五百億円の予算を組んでいるわけでございますけれども、これまでの最適化事業とどのような違いがあるのかということについて、まず説明をしていただきたいと思います。

原田副大臣 お答えをいたします。

 総務省では、これまでも、地方公共団体が公共施設等総合管理計画を策定して取り組む施設の集約化、複合化、転用、除却事業について、公共施設等最適化事業として地方債措置を講じてきたところでございます。

 今年度中にほぼ全ての地方公共団体において公共施設等総合管理計画の策定が完了し、今後、老朽化対策等の取り組みが本格化する見通しでございます。

 公共施設等適正管理推進事業は、こうした取り組みをより一層推進し、公共施設の適正管理の推進を図るため、平成二十九年度から、これまでの公共施設等最適化事業の対象に加え、既存施設をより長く活用するための長寿命化事業、コンパクトシティーの形成に向けたまちづくりを進めるための立地適正化事業、熊本地震の被害状況を踏まえ、災害発生時の庁舎機能を確保するための市町村役場機能緊急保全事業を追加するなど、内容を拡充するものでございます。

稲津委員 今、副大臣から御説明いただきまして、大変関係者から期待の大きい事業でもあると思いますし、それから、この事業内容を例えばコンパクトシティーとか長寿命化とか市町村役場の機能の強化とかこうしたことをするということで、予算も拡充するということ、大変意味のあることだというふうに思っております。

 そこで、特に市町村役場の機能緊急保全事業についてお伺いしておきたいと思うんですけれども、これは、いわゆる役場等を建てかえたいとか、あるいは、実際に災害に遭ったときに災害対策本部としての機能をしっかりと強化していきたい、こういうことで、かなり考えていらっしゃる自治体も多いんじゃないか、こんなふうに思っているわけです。

 そこで、今私申し上げました市町村役場の機能の緊急保全事業の概要について、簡潔に説明をいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 市町村行政を運営していく上での基本となります公用施設である庁舎の建設、建てかえ事業につきましては、それぞれの市町村の判断で決定されるものでありますので、これまでは特別な財政措置を講じないことを基本としてまいりました。

 しかし、熊本地震によりまして、業務継続が確実に行われるためには、業務を行う場である庁舎が発災時におきましても有効に機能しなければならないことが強く再認識されましたために、未耐震の本庁舎の建てかえを緊急に実施できますよう、この市町村役場緊急保全事業を創設いたしました。

 対象事業といたしましては、昭和五十六年の新耐震基準導入前に建設され、耐震化が未実施の市町村の本庁舎の建てかえ事業。その要件につきましては、公共施設等総合管理計画及び個別施設計画に基づく事業であって、建てかえ後の庁舎を業務継続計画に位置づけることでございます。事業期間につきましては、平成三十二年度までの四年間としている状況でございます。

 以上です。

稲津委員 ありがとうございました。

 それで、この事業についての地方債の措置についても、これは、充当率九〇%、交付税措置対象七五%、交付税算入率三〇%ということで、格段の措置がされているというふうに思っております。

 これまでの類似の事業については、これほどまでのものはなく、主に自主財源ということでやってきたというふうに承知しておりますが、そうなると、過去に努力して苦労して整備してきたところにしてみると、今度のはいいな、こういう地方債の措置もされていていいなということになるんですけれども、それはさりとて、しかしながら、今ありました熊本の地震等から考えていくと、やはりこの時点でこうした措置をするということを、きっちりハンドルを切って決めていただいたということは、これは大変意味があるというふうに思っております。

 そうした政策目的のもとにこの事業が推進されていくわけでございますけれども、ただ、これを見てみますと、平成二十九年から三十二年度までの四年間ということで、もちろん、政策目的を持って臨むわけですから、その期間についても当然、こういうふうに決めてくるのは十分理解はしておるんですけれども、しかし、このことがどのくらいのニーズがあるのか。

 現場の自治体からは、さらにもう少し、この予算を年度ごとに十分確保していただきたい。そうなってきますと、当然、これはいろいろ検討する中で、例えば平成三十年度以降、この事業について、場合によっては事業費もふやしていくということも必要ではないか、このように私は思うわけですけれども、この点について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 今回は、緊急防災・減災事業債に合わせて平成三十二年度までという四年間といたしておりますけれども、今、稲津委員がおっしゃっていただいたとおり、恐らく、この市町村役場緊急保全事業を創設したということによって、一定の進捗というのが図られていくと思います。

 平成三十年度以降の市町村役場緊急保全事業を含む公共施設等適正管理推進事業の事業費につきましては、その活用状況をしっかりと踏まえながら、適切に地方財政計画に計上してまいりたいと存じます。

稲津委員 今、大臣から御答弁いただいて、非常に前向きなお話をいただきましたので、ここは私も非常に安心して御答弁を聞いておりまして、いろいろな関係者の方々についても、そうしたことも含めて、もし尋ねられたらお答えしていきたい、こんなふうにも思います。

 ただ、ここで指摘をさせていただきたいのは、確かに、この緊急防災の事業に合わせて平成三十二年度までの実質四年間ということでございますけれども、四年間となると、例えば、もう既に役場庁舎の建てかえを検討しているところ、それから議会承認も得られているところについては、これはもう本当によかったということでさっと手が挙がって、そして総務省ともいろいろな相談に入っていけると思うんですけれども、例えば、まだそういう計画概要が決まっていない、これからどうしようかという中で、この事業が出てきたので、この際ぜひと。

 やはりここまで踏み切るのには、例えば議会の承認が必要であったり、それから市民等の、いわゆる住民の庁舎建てかえに対する気持ちというか、なかなか、十分な説明をしていかないといけないということで、そう考えていくと、この四年間の間で速やかにそうしたことが申請できるかどうかというのは、もちろん、ここは自治体が汗を流して頑張ってもらわなきゃいけないところですし、二元代表制の議会の方も、そうしたことについて十分な検討、配慮も必要だと思っています。

 ですから、これこそまさに自治体の考え方や、ある意味政策に対する腕の見せどころなのかもしれませんけれども、しかし、四年間というのは非常に、そんなに長くない期間だと思っていますので、ぜひ、説明、PRというか、事業内容をしっかり、自治体の方にもうまく、きっちり発信していってあげていただきたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 それで、もう一問、今度は、今のお話にもありましたが、コンパクトシティーについてお伺いしたいと思います。

 施策の具体的な推進については、国交省とか、あるいは地方創生という観点でいったらまた別のところになるんですけれども、きょうは、総務省ということで、その視点に立ってお伺いしておきたいと思います。

 これは、総務省が一月三十一日に発表した二〇一六年の住民基本台帳に基づく人口移動報告。これを見ますと、さらに都市部への人口の移動、転入が進んでいるということで、なかなか人口減に歯どめがかからない地方の実態というものがさらに少し浮き彫りになってきたのかな、こんな気もいたしております。

 そこで、今この時代に、生活に必要な施設等々の機能を中心部の方に集約していく、いわゆるコンパクトシティーということが非常に注目されていて、これが進んでいくと思っているんですけれども、もちろん、これは非常に重要なことだと思っています。まだどんどん進めていった方がいいと思っています。

 ただ一方で、では、中心部に人口が移動していくことによって、郊外の方がどうしても今までの機能とは随分違う形になってきているということ、こんなことにも配慮をしながら、これからの時代はこうした視点についてのまちづくりの取り組みも必要かなと思っていますが、特に離島とか条件不利地域については、こうしたことも非常に深刻なことになってくるのかなと思っています。

 そこで、このコンパクトシティーについて、地方財源措置も今後十分視野に入れて、また、あるいは今のことを含めてしっかり定着させていくという考え、こうした認識について大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 平成二十八年度中には、およそ百都市が、この取り組みを推進するために、立地適正化計画の作成、公表を予定しておられます。平成二十九年度以降、地方団体のお取り組みが計画に基づく政策実行段階に移行することから、省庁横断的な支援が求められていると思っております。

 立地適正化計画に基づいて国庫補助制度を補完し、または一体となって実施される地方単独事業を支援するために、今回創設される公共施設等適正管理推進事業債の中に立地適正化事業を設けて、新たに地方財政措置を講じるということにいたしております。

稲津委員 時間が参りましたので以上で終わらせていただきますが、きょう質問させていただいて、また御答弁いただいた内容について、ぜひしっかり施策の推進を進めていただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、大臣所信の質疑ということで、放送を主に取り上げたいと思っております。

 今、総務省でも、放送を巡る諸課題に関する検討会が開かれており、そして、今まさに議論中なのが、NHKの受信料のあり方、あるいはガバナンスを含めて業務のあり方、そしてインターネットとの同時送信、これはNHKのみならず民放も大きくかかわってくる問題でありまして、場合によっては放送法の改正もということで、今回も、国会にも提出もあり得るというふうに聞いております。

 NHK、今、会長、経営委員長にお越しいただきました。早朝からありがとうございます。

 この後、NHK予算もまた審議があろうかと思いますが、NHKについては、大変残念なことでありますけれども、三年続けて全会一致が成らなかった。

 NHK予算というのは、これは我々国会が、国民、視聴者ですね、受信料をお支払いされている視聴者が国民とイコールになるわけですが、そこの視聴者を代表して国会で審議するということでありますから、やはり視聴者全員から賛成してもらえる予算でなければならないということで全会一致が原則になっているわけですが、しかし、退任された籾井会長のもとでさまざまなことがありました。

 ちょっと振り返りますと、やはり最初に、就任されてすぐに言われた発言、政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない、そういった発言は、これは本当に公共放送の根幹にかかわることでありましたし、さまざまな人事の問題もありました。全員から辞表を預かる、そしてまた、辞表を提出したということをこの委員会で発言した専務理事については、どう考えても左遷と言わざるを得ない役職のつけ方をしていたり、あるいは、情報公開を我々が求めたものもほとんど出されることがなかった等々、タクシーのチケットの不正利用とか、いろいろありました。

 そして、我々国会議員、野党がこれを言っているというだけではなくて、経営委員会の中でもかなりの苦言を呈され、委員長代行だった方が退任のときには大変厳しい言葉を述べられ、また、退任後もそういったことを表明されている。あるいは、理事が経営委員会の場で、本当に異例のことだと思いますけれども、しかも一人や二人じゃない、三人、四人、理事が苦言を呈してやめていった、そういう状況がある中で、やはり賛成というわけにはいかなかったということであります。

 しかし、新しい体制となりました。上田会長は、監査委員そして常勤の経営委員ということで、この間ずっとこうした状況を見てこられたわけであります。私は、これは党内で相談しているわけじゃありません、私の個人の考えでありますけれども、やはりNHK予算というのは賛成をしたい、そういう気持ちでおります。

 きょうは、ぜひ、会長そして経営委員長と、忌憚のない、腹を割った、NHKそして公共放送のあり方について議論をさせていただいて、来るべきNHKの予算審議に備えたい、そういう思いもあってお越しをいただきました。

 まず、会長にお伺いをいたしますが、今るる私が申し上げた、とても申し切れません、これ以上のこともいろいろありました。この三年間、籾井会長の三年間を見ておられて、常勤の経営委員でありますから常にそばで見てこられたと思いますけれども、率直に、会長として、この三年間、どのように見ておられましたでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、三年半、常勤の経営委員それから監査委員として務めてまいりました。

 過去三年間にわたっては、監査委員の立場で、真摯に監査委員としての役割を果たしてきたというふうに考えておりますけれども、私が会長になりまして、どういうふうな形で経営のかじ取りをしていくかということなんですが、NHKが抱えている経営課題に関しましては、大きな方向を定めるということに関しては経営幹部が共有して、それから職員一人一人のやる気を極大にしながら、一丸となって目標に取り組む経営を目指したい、こういうふうに考えております。

 そのためには、役職員の意思疎通といいますか、コミュニケーションが極めて大事であるというふうに考えておりまして、さまざまな課題について、既に実行に移しておりますが、しっかりと議論して、合意形成を図りながら物事を決めていく、コンセンサスの経営ということを心がけていきたい、こういうふうに考えております。

 私は、監査委員として三年間、役員の一人一人の業務の遂行状況を見てきたという意味では、そういった経験を積ませていただいたわけですが、この経験を踏まえて、会長としてしっかりとリーダーシップを果たしていきたい、このように考えております。

高井委員 私の質問への直接の言及はなかったわけでありますが、それをすると、前の会長を批判するということにもなりかねませんので、そういう意味では少し言葉を選んで御答弁いただいたかなと思います。

 私も、今会長がおっしゃったように、やはり意思疎通、経営幹部の理事、理事会が、非常に議事録も限られた公開でありましたけれども、しかし、いろいろ漏れ聞いたり、あるいは公開された議事録だけを見ても、本当にこの組織はどうなっているんだろうかと思わざるを得ないことも多々ありました。私は、非常に前の体制で人事というものも恣意的に行われていたように感じます。

 そういう意味では、改めて、会長になられて、それぞれ会長も幹部の方々をよく御存じでしょうから、適材適所の人事をしていただいて、ある意味、籾井会長に対して苦言を呈し、直言を言って仕事がかわったという方もいると思います。そういう方については、私はNHKのことを考えての発言であったであろうと思いますから、そういう方のことももう一度気にかけていただいて、よりよいNHKをつくっていくための体制というものをつくっていただきたいというふうに思います。

 もう一つお聞きしたいと思います。

 やはり会長は経営の経験のある方でございますが、しかし、メディア、放送というものを長く経験してきたわけではございません。そういう点は心配があるわけでありますが、改めて、公共放送の役割、NHKの役割、使命というものをどのようにお考えか、会長にお聞きいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKの使命は、憲法で保障されました表現の自由のもとで、正確で公平公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供して、健全な民主主義の発展それから文化の向上に寄与することである、こういうふうに考えております。

 NHKは、広告料で成り立っている民間放送とか、それから税金で成り立つ国営放送とは異なっております。その存在意義を視聴者・国民の皆様に御理解いただいてお支払いいただく特殊な負担金とされる受信料で成り立っております。だからこそ、特定の利益や視聴者に左右されずに、まさに自主的、自律的に放送することができると考えております。

 その上で、社会生活の基本となります確かな情報や豊かな文化を育む多様な番組を、いつでも、どこでも、誰にでも分け隔てなく提供することで、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与できると考えております。

高井委員 御答弁は承りました。

 ただ、会長が放送というもの、メディアというものをどこまで熟知しておられるかということは、やはりこれからわかってくることだろうなというふうには思います。

 その意味で、今度は経営委員長にぜひお聞きをしたいんですが、会長を選ぶのは経営委員会、そのトップが経営委員長でありますが、過去四代、五代ですかね、続けて経営者の方であります。放送業界とは関係のないところで働いてこられた方がなっている。かつてはNHKの生え抜きの方がなっていたときが多いわけでありますけれども、今そうなっている。NHKがいろいろな不祥事や問題があって、外部の力を入れなきゃいけないということで、そうなっています。

 しかし、実は、よくNHKが比較されるイギリスのBBC、公共放送、これは、ちょっと私調べましたら、歴代の会長はほとんどがBBC出身者か、若干例外としている方も民放のテレビ局の出身者ということで、やはりメディアを経験した方がトップをやっているということであります。

 単純にBBCと比較、同じである必要はありませんけれども、しかし、ずっと外部の方、放送メディア以外の方が会長につかれるというのは私はやはりちょっと違和感があるんですけれども、今回上田会長を選任されたその理由をお聞かせください。

石原参考人 お答えいたします。

 私ども、NHKの会長の任命というのは経営委員会の最も重要な仕事だと考えております。

 確かに、先生がおっしゃるように、過去四回か五回にわたってNHKの中とか放送関係の方ではない方がNHKの会長に選ばれました。その皆様方にはいろいろな方が実はいらっしゃったということでもあろうかと思います。

 ただ、NHKが、先ほど来先生からの御指摘あるいはNHK会長のお話にもありましたように、国民に信頼される公共放送としてしっかりとした役割を果たすということがやはり最大の使命であるわけでございまして、そのために最もふさわしい方をNHKの会長として選ぶということだと思います。

 私、昨年の六月の末に経営委員長になりまして、それから、半年前に、つまり一月の二十五日がたしか前会長の任期が来るわけでございまして、その半年前までに、できたら年内に決めたいということで、考え方として、六カ月前に経営委員会の指名部会というのを立ち上げました。

 そこで、十二名の委員の、やはり一番NHKにふさわしい会長を選ぶというコンセンサスをとるために、新しい委員の方もいらっしゃいましたので、内規の見直しとかあるいは資格要件についての議論とか、結果的に中身は前回のものとはそう変わりませんでしたけれども、相当な時間をかけて共通の認識をつくるということに取り組んでまいりました。

 真剣な議論の結果の結論であり、その結果、複数名の方が最後候補に挙がりましたけれども、現在の上田会長が最もNHKにふさわしいと。

 私ども、資格要件の中に五項目整理いたしまして、まず一つ、公共放送としての使命を十分に理解しているかどうか、それから二つ目が、政治的に中立であるか、三つ目に、人格高潔であり、説明力にすぐれ、広く国民から信頼を得られる方かどうか、あと二つございますけれども、リーダーシップの問題とか、そういうことを五項目挙げて、十二名の委員のその共有した認識のもとに、無記名で投票して、最終的に上田会長が全会一致で選ばれたわけでございます。

 私も、今までの会長選任の経緯、かかわってまいりましたので、そういったことの反省も含めて、できる限り現在の制度、法律の中で厳正にNHKに最もふさわしい会長を選ぶということに取り組んだ結果、上田会長を選んだということでありまして、目下のところ、最もNHKにふさわしい会長を選ぶことができたと認識しているところでございます。

高井委員 今、会長選任の基準の五項目を説明していただきましたけれども、やはり私は、一番最初に言われた公共放送の使命、役割を熟知している、そこが何より大事なんだろうなと思います。

 そういう意味では、上田会長は監査委員、常勤の経営委員を務められておりましたから、そこの部分は該当したということだろうと思いますが、私は、上田会長がいいとか悪いとかいうことではなくて、少し長い目で見たときに、上田会長の次ということだと思いますけれども、やはりもう一度、放送、メディア、こういったものをよく熟知した方を広く探すということも必要なのではないかな。恐らく、その候補という方は誰かは存じ上げませんけれども、やはりそういったことをもっと、まさに経営委員長、経営委員の最大の役割はNHK会長を選ぶことだとおっしゃられましたので、そこに全力を傾注していただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 それでは、幾つか質問があったんですけれども少し飛ばしまして、NHKの受信料のあり方についてお聞きをしたいと思います。

 受信料の議論は、昨年も一昨年もこの国会でもやっております。私、実は、この場でも申し上げたんですけれども、大学生のときにNHKの受信料の集金のアルバイトを四年間ずっとやっておりまして、そういう意味では人一倍受信料に対しては愛着があるというか、思い入れがございます。

 私の持論は、今、本当にNHK、頑張っていただいて、収納率は上がっています。しかし、それでも七十数%、まだ八割は達しない。そして、私が大学生のころ受信料のアルバイトをしていたときの経験からしても、どう見ても明らかにテレビを持っている大きな御家庭に、恐らく家に二台も三台もあるだろうなというような方が、いや、テレビがありませんといって払わない方というのはたくさんいらっしゃいました。それ以外にも、特に都会であれば、夜遅くしか帰ってこない若い方とか、いろいろな生活のパターンがありますから、なかなか全ての受信料を徴収するというのは大変なことであります。

 そういった中で、今、だけれども、一方でちゃんと払っている人と、そしてテレビがあって、恐らくNHKも見ているのに払っていない人がいる、このことはやはり不公平であり、払っている人に対して私は申しわけないなという気持ちがあります。ですから、義務化、罰則を設けるというところまではなかなか、行き過ぎなのかもしれませんけれども、もう少しやはり抜本的な受信料の徴収率を上げる、収納率を上げる方策を考えなきゃいけないと思うんです。

 そういった中で、今回、放送を巡る諸課題検討会の資料を持ってまいりました。第十三回の資料、去年の十二月十三日にあった資料の二十一ページ目なんですが、ちょっと皆さんにお配りしていなくて申しわけないんですけれども。

 イタリアの公共放送における制度改革ということで、これはNHKが出した資料ですけれども、二〇一六年から、去年から法改正をした。それまでは、イタリアの受信料の支払い率は七〇%から七五%。ちょうど我が国と同じぐらいですね。ところが、去年の七月に制度改正、法改正をして、テレビを設置していないということを申告しない限りテレビは所有していると推定する、つまり、テレビは持っていませんよということを申告してもらうというふうに制度改正をしたということです。

 あわせて、未設置申告に虚偽が、うそをついた場合は罰則を入れる。それから、電力料金とあわせて受信料を徴収する等々のことを法律に書いた。このことによって増収が見込まれている。かつ、その増収を見込む分で受信料を百十三ユーロから百ユーロまで値下げをした。

 私は、これは非常にモデルになる取り組みだなと思います。収納率を上げて、そしてその分で受信料を還元する、これが私はあるべき姿だと思いますが、会長にまずお聞きしますけれども、こういったイタリアの例をこの諸課題検討会でも提出しているわけですが、NHKとしてはこういう制度をぜひやりたいということでよろしいんでしょうか。

松原参考人 お答えします。

 イタリアを含めて、海外の公共放送においては、テレビを設置していないことを申告していただく制度があるというふうに承知をしております。

 こうした申告制度が導入されれば、受信料の契約収納業務について軽減がされるということで有効だというふうに考えておりますが、そうした制度を活用するに当たっては、あくまで視聴者・国民の理解を得られることが大前提だというふうに考えております。

高井委員 これは大事なことなので会長からぜひお答えいただきたいんですが、今、国民の理解が得られることが大事だという理事からの答弁ですが、国民の理解が得られればぜひこれをやりたいということでよろしいですか。

上田参考人 お答えいたします。

 今御指摘がありましたように、受信料の公平負担というのは非常に大事な問題だ、課題だというふうに私は認識しております。

 受信料の公平負担を解決する一つの方策として、今おっしゃられました、イタリアにおける受像機を持っていないことを申告させるという方法、これはフランスなんかでもやっているようですが、それも一つの方策だとは思います。

 いろいろな形で、知恵を出しながら、いかにして公平負担を達成するかというのが私たちの課題だというふうに認識しておりますので、今後とも、公平負担に一歩でも近づけるべく知恵を絞って、いろいろ私どもの方でも検討させていただきたい、こういうふうに考えております。

高井委員 選択肢の大きな一つではあるということだと受けとめさせていただきます。

 それでは、これは法改正が必要なことでございますので総務大臣にお伺いしたいと思いますが、こういった制度、公式な場でNHKからも、参考ということではありますけれども、しかし、こうやって資料の中に出てきているし、今の会長の答弁でも、やはり一つの有力な選択肢だということだと思いますが、総務省としてはどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 受信料支払い義務化というのは、今後の公共放送のあり方を検討していく上で重要な論点の一つとは認識をしています。総務省としては、NHKの御要望や諸外国の状況も踏まえながら、引き続き研究をしてまいるという段階でございます。

 まず、言論報道機関としてのNHKの中立性確保といった点、それから、仮に、政府が直接関与するようなことを避けるという観点、ここにも十分留意をしなければいけないということで、現在の受信料の制度になってきております。

 有識者による検討会の中でNHKからも紹介があったイタリアの制度についてでございますけれども、私の方で制度の詳細について十分まだ承知をしておりませんので、具体的な受信料制度のあり方については、今NHKでも検討をいただいていると聞いておりますけれども、その状況を踏まえながら、多角的な議論を積み上げ、まずはやはり国民・視聴者の皆様の十分な御理解が必要な、大きな大きな課題だと思っております。

高井委員 私も、義務化というか、税金のようにこれを納めてもらうということは、自主放送の公共放送の役割がまさに国営放送に近くなってしまうということで反対でありますけれども、実は、今回このイタリアの制度を私も初めて知って、これはいい制度だなと思ったわけであります。去年の七月に制度改正したばかりということでありますから、私は、これは大きな一つのモデルとなるものだと思います。

 しかし、さはさりながら、これは一体いつまで議論をして結論を出すのか。この受信料の問題は非常に長く、常に議論を続けてきており、また、去年も私、籾井会長にNHKの中でどういう議論をしているんですかと言いますと、なかなか公式な場での議論にはなっていないということであります。

 しかし、今総務大臣からもNHKでも検討しているというふうにおっしゃられましたので、改めてNHKに、この受信料のあり方の検討状況、そして、これはいつまでにNHKとしての考え方をまとめる考えか、お聞かせください。

上田参考人 お答えいたします。

 この受信料のあり方に関しましては、私の前の執行部においても検討がなされていたんですが、さらに検討を進めるといいますか、NHKだけではなくて第三者の意見も取り入れるという意味で、私が会長に就任しまして、早速にNHK受信料制度等検討委員会という委員会を常設の形で設立いたしました。

 いつまでにということなんですが、常時同時配信、こういったものが実現した際の負担のあり方等についても検討してもらいたいと考えていますし、また、平成三十年以降の経営計画を年内には作成しなくちゃいけません。そういう経営計画の中でも、受信料の仕組みがどうなるかということはやはり考慮に入れた上での作成というのが必要になってこようかと思いますので、今後、委員の先生方とも相談しながら、我々が受信料に関して第三者的な意見を仰ぎたいものを逐次、適時御相談しながら進めていきたい、こういうふうに考えております。

高井委員 この質問はもう一年も二年も前からしていて、検討中だとかいう答えなわけですけれども、やはりどこかで期限を切って結論を出さないと、いつまでたってもまとまらないことだと思います。ぜひ早急に、精力的に検討を進めていただきたい。

 あと、総務省に聞くと、やはりNHKがどうしたいかが見えないと総務省も検討できないんだと。そうかなとも思いますけれども、総務省は総務省で検討してもいい、まさに放送法の改正でありますから、私は同時並行でやればいいと思いますけれども、ぜひこれは精力的にやっていただきたい。

 今、会長から、同時送信という話が出ました。初めて聞く方は何のこっちゃと思われたかもしれませんけれども、今、総務省の諸課題検討会の中でも大きなテーマになっているのが、NHKの放送番組をインターネットで同時に送信できないか。私は、これは当然やるべき話だ。

 たしか二年か三年前のこの総務委員会でも、私は地元は岡山ですけれども、岡山のNHKのニュースが東京では見られないんですね。だけれども、これをインターネットで見られたらどんなにいいだろうか、地球の裏側のことはアルジャジーラでいつでも見られるのに、何で岡山のニュースがインターネットで見られないんだろうかとずっと指摘し続けているわけですけれども、ようやく今回、NHKとしてもやりたいということで議論が行われているわけです。

 しかし、残念ながら、私はこの議事録を見て本当にがっかりしたんですけれども、民放各社が反対なんですね。この議論を見ていると、民放各社の言い分は全部、いや、自分の会社ではやれない、コストがかかるという話なんです。

 しかし、私はここをぜひ放送業界の皆さんには考えていただきたいんですけれども、やはりお客様、視聴者あってじゃないですか。どんな民間ビジネスだって、やはりお客様がどう思っているかということを常に考えて新サービスを提供するのに、自分たちの会社の都合でできないというのは、これは本当におかしいと思います。

 明らかに視聴者は、インターネット、もう今若い人なんかはテレビを持っていないんですよ、みんなインターネットを見ている。そういう時代の中にあって、これができないというのは、私は本当に大きな問題だと思います。

 NHKはやりたいという立場ですから、これはむしろ総務省にお聞きしたい、総務大臣にお聞きしたいと思いますが、何か民放との調整がつかないと結論が出せないというようなことも漏れ聞くんですけれども、これはやはり調整をつけてくれというのじゃなくて、総務大臣がリーダーシップをとってやるようにすべき、そのための法改正が必要なのであれば私はこれを出すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 まだ、現在、有識者会議で検討中でございますので、結論は出ておりません。総務大臣が結論を出すべきという御指摘でございますけれども、さまざまな詰めていかなきゃいけない課題がございます。

 先ほど受信料のお話もございましたけれども、やはり払っていらっしゃらない方も残念ながらおられる中で、では、常時同時配信のコストを誰がどのように負担していくのか。その費用はほかの受信料を払っている方々から取って、実際に払わなくてもネットでだったら見られるよというようなことになってしまっては、これは不公平感というものが出てきますから、まずコストをどのように捻出していくのかということもございます。

 それから、日本では、NHKとそれから民放と、二元体制でやってまいりました。御承知のとおり、民放の場合は、特にこの同時配信については放送法で何の規制もありませんから、やろうと思ったらできるわけでございますけれども、それでも、幅広く放送業界の理解も得ながら、二元体制で切磋琢磨しながら発展していける、そのような状況もつくっていきたいと思っております。

 さらに、放送法の中で、NHKは先導的な役割を果たしていくという趣旨もございますので、将来、やはりこれだけ情報通信が発達している時代でございますので、より多くの事業者が活用できるような基盤の構築に貢献されるというのも一つの方法であるんだろうと思います。

 いずれにしましても、いろいろな道がございますが、現在有識者会議で検討中でございますので、その結論も踏まえ、またNHKの方でもさまざま御議論いただいておりますので、ここは丁寧にしっかりと進めてまいりたいと思います。特に、莫大なお金のかかる話でもございます、大切な受信料収入でもございますので、その中で実現可能な方策を見出してまいりたいと思います。

高井委員 今、大臣おっしゃったように、このコストが数十億から百億くらいかかる。本当にそんなにかかるのかなというのもちょっと疑問だし、これから技術革新が進めばもっと安く済むんじゃないかと思います。

 それは当然、あとは、私は、今受信料を払っている皆さんに追加負担を求めるのではなくて、受信料でつくったテレビ番組をインターネットで流すだけなんですから、それはそうすべきだと思いますが、おっしゃるように、NHKの中で、ではこの負担をどうするかという議論が、まだ結論が出ていないということもこの議論が進まない一因になっていますから、これはぜひ先ほどの受信料の検討会で精力的に進めていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってしまいました。

 では、最後に一問だけ、実は、NHKの子会社の問題を聞きたかったんです。

 一体何人の退職OBが、今、天下りの問題がこれだけ政府ではある中で、大問題です。数はもういいです、後で教えていただきますが、最後に会長、OBが、かなりの数がNHK子会社に再就職しています、このことについて見解をお聞かせください。

 数はいいですから、最後、会長のコメントだけ聞いて。会長からお願いします。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKの関連団体の売り上げの多くは、NHKからの委託業務や展開業務などで成り立っております。

 その際に、NHK退職者の培った知識経験、人脈を生かして、高品質で効率的に委託業務や展開業務を担ってもらうことは、経済的で合理的であると考えております。

 したがいまして、あくまでも再就職であり、いわゆる天下りには当たらないと認識しております。

 さらに、技術やノウハウの移転、継承など、人材活用の観点や高齢者雇用の観点からも重要なことと考えております。

 いずれにいたしましても、子会社、十三社ありますけれども、これも踏まえてグループとしての一体経営というのを私は会長の立場で今後推進していきたいと考えておりますので、御理解いただければと思います。

高井委員 終わりますが、本当に、NHKは純粋な民間会社と違いますから、この天下りの問題は引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、鈴木克昌君。

鈴木(克)委員 鈴木克昌でございます。

 私は、きょう、五点ほどお伺いをしたいと思って準備をしてきたんですが、まず最初はふるさと納税、そして二つ目が地方創生の財政上の問題、三つ目が上下水道事業に対する財政措置、四つ目が女性消防職員のためのハード面の環境整備、五つ目がマイナンバーの導入状況ということでありますが、限られた時間でありますので、恐らく、一問で終わってしまうのか、二問で終わってしまうのか、わかりません。その点、御準備をいただいた皆さんには、まずもっておわびを申し上げておきたいなというふうに思います。

 では、早速、ふるさと納税から入らせていただきます。

 ふるさと納税の理念というのは、ふるさと納税で日本を元気にということで、三つの大きな意義があるということであります。その意義はともかくといたしまして、納税者と自治体が、お互いの成長を高める新しい関係を築いていくということであります。自治体は納税者の志に応える施策の向上を、そして一方で、納税者は地方行政への関心と参加意識を高める、いわば、自治体と納税者の両者がともに高め合う関係である、このように理念はうたわれておるわけであります。

 総務省が出されておりますふるさと納税の活用事例集「ピックアップ!ふるさと納税」では、大雪山の恵みの水を未来の子供たちにもとか、原生の森の復元に百年の計で挑むとか、天守を動かす百年ぶりの石垣修理とか、おらほの町のためにつながる力をみんなの力へとか、まさに先ほどの理念に沿った事業がいろいろと紹介をされておるわけであります。

 ところが、現実にはどういうふうになっておるのかというのを、釈迦に説法かもしれませんけれども、まさに過激、過熱をし過ぎておるという状況があるわけですね。

 連日、テレビや雑誌などで話題を呼ぶふるさと納税だが、一方でブームが過熱ぎみだとの指摘もある。また、我が町に寄附してほしいということで、自治体同士の競争が過熱をしている。日本三景の天橋立で知られる京都府宮津市では、一千万円以上の寄附をしてくれた人に七百五十万円相当の二百平米の宅地をプレゼントしようとするなど、やり過ぎな特産品が問題視されている。まあ、実際にやられておるかどうか、あれですが。それから、町営ケーブルテレビのニュースキャスターや一日町長など、特産品がどんどん豪華になっているふるさと納税という報道もあります。頑張っている自治体を応援する趣旨で始まったふるさと納税でありますが、いつの間にか、豪華な特産品をゲットするための制度になってしまっておる。

 豪華な特典ゆえに、自治体や特産品を提供する業者が赤字になる例もある。神奈川県の南足柄市では、相州牛ですか、牛肉でありますけれども、特産品にしたが、寄附額では元が取れない状況、地元業者は身を削って対応したという。魅力的な特産品を用意するため、せっかくの寄附金を特産品に使ってしまう。また、自治体が特定のお店から特産品を提供する、自治体と企業の癒着が問題として指摘されている。

 また、特典が魅力ではない市町村では、ふるさと納税をする住民は多いが、してくれる住民が少ない。その結果、市町村の住民税が大きく減り、危機感を募らせている。静岡県富士市では、ふるさと納税によって本来入ってくる税収が三百九万円も少なくなっており、富士市が受け取った寄附と差し引いても二百万円の赤字になってしまっておる。特典を豪華にしないと、あっという間に赤字になる。

 こういう例は枚挙にいとまがないわけであります。

 ふるさと納税、駆け込むならこの自治体、返礼品を狙え。わずか二分で売り切れも。過熱するふるさと納税人気。納税額の約半分が返礼品用。お得な返礼品がメジロ押し。人気の返礼品は肉と米。ポイント制も狙い目。ということで、資料はちょっと用意しておりませんけれども、ここにはこういう形でカテゴリー別の、まず牛肉、それから果物、そして日用雑貨等々、まさにこれは年末年始のデパートのギフトの宣伝のような状況の様も見られるわけであります。

 ただ、さはさりながら、例えば熊本、鳥取については被災地支援にも役に立った、こういう記事もあるわけであります。

 そこで、高市大臣が去年の四月一日ですか、総務省から、返礼品送付への対応ということで三つの問題を指摘されていますよね。一つは金銭の類似性の高いもの、二つ目が資産性の高いもの、三つ目は高額または寄附額に対し返礼割合の高い返礼を自粛するように、こういう通達を出されたと聞いております。

 また、ことしの二月十日に閣議後の記者会見では、要するに、インターネット上で七福感謝券がネットで転売をされておるという状況は、やはりふるさと納税の趣旨にそぐわないというふうに御答弁をされておるというふうに聞いておるわけですね。

 そこで、改めて大臣の、今るる申し上げた状況についてどのようにお考えになっておるのか、御答弁をいただきたいと思います。

高市国務大臣 今、とてもたくさんの課題を御指摘くださいました。

 私自身も、ふるさと納税の意義については非常に大きいものがあると思っております。この間からも、被災地に随分たくさんの御寄附をいただきましたし、年末の糸魚川の火災によって被害を受けられた地域にも多くの寄附が寄せられました。そういう温かい気持ちは大切でありますし、また、返礼品送付と言われるものも、地域の特産品のPRなど、地域の創意工夫を発揮する手段としては評価するという意見があることも承知をしています。

 ただ、返礼品送付というのは、ふるさと納税制度そのものに組み込まれているものではございません。税制上の措置とは全く別に、各地方団体が独自の取り組みでやっておられるものですから、まずは地方団体がみずからの御判断と責任のもとで良識ある対応を行っていただくことが重要です。

 ただ、鈴木委員がおっしゃったように、平成二十八年四月に私の方から、特に金銭類似性の高いものなどを返礼品として送付しないようにということ、それからまた、受け取ったものが一時所得に当たる可能性があることも書き添えた上で、地方団体に要請を行いました。

 現在、個別団体に対しまして、返礼品の見直しについて、総務省の担当部局が都道府県とも連携しながら働きかけを行っております。昨年の通知発出後に随分多くの団体が見直しをしていただいて、それでもまだ問題があると考えられるところに対しましては、本当に都道府県の御協力をいただきながらでございますけれども、できるだけふるさと納税の趣旨に合ったものへという働きかけをさせていただいております。

 そのほかにも、委員が御指摘いただいたさまざまな課題があります。余りにも返礼品にかけるお金が高過ぎて、せっかく寄せられた寄附であるにもかかわらず、住民のサービスに使えるお金が減ってしまうというようなことですとか、そのほかにも、山間部、過疎地などで、本当は自分の自治体でとても住民の皆様の税金が必要であるのに、そこにお住まいの方がよその自治体に対して納税をしてしまうというようなことによる弊害なども指摘されておりますので、このふるさと納税制度の意義はしっかりと生かしながら、本来の趣旨に沿ったものになるように、課題をこれから網羅的に洗い出しまして、どのように改善できるかという検討もしっかりと進めてまいります。

 あわせて、個別の地方団体への御協力をお願いする働きかけも続けてまいります。

鈴木(克)委員 先ほど矢継ぎ早にいろいろなケースを申し上げたわけでありますけれども、一つ一つはともかくとしても、この返礼品の裏に、地元の特産品がPRできるのではないか、それから、ある意味で地場産業の復興につながるんじゃないか、こういう見方があるわけですよね。ところが、これが余りにも行き過ぎると、一部の特定の企業が潤って、非常に大きな問題を、不公平感が出ておるというケースも散見されるわけであります。

 したがって、私は、やはり、本来のふるさと納税の趣旨に立ち返るなら、返礼品どうのこうのではなくて、総務省がまさにここにお書きになっておるような、どういう町を私たちはつくっていくんだ、これについてぜひ応援をしてもらいたいというような運動に本当に変えていくべきだというふうに思うんですよね。その辺は相当やはり政治的な決断をしないと、今申し上げたように、地場産業のPRになるじゃないか、それから地場産業の振興になるじゃないかという声に押し流されてしまうというふうに私は思うんですが、よっぽどその決意を固めて指導をしていただく必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。

 先ほどの大臣の御答弁でよくわかりましたけれども、もう一度、その点、決意のほどをぜひお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 返礼品送付については、先ほど申し上げましたとおり、ふるさと納税制度そのものに組み込まれたものではございません。ですから、返礼品ですとか、どの返礼品を使うかとか、調達先となる事業者の選定というのは各地方団体の判断で行われているものでございます。ですから、これに対して総務省が法律で何か網をかけるとかそういったことは、元々この制度に組み込まれていないので、考えてはございません。

 ただ、度を越した返礼品でなければ、地場産業のPRになったり、また、それで地場の企業が潤って納税をしていただいたり、それからまた、一回は返礼品でこういうものがあるということを知ったけれども、お取り寄せが続いてリピーターになったり、さまざまな効果というものを評価する声もございます。

 ただ、ふるさと納税制度をここまでやってまいりまして、地方団体からは、交流人口の増加ですとか、子育て支援の充実ですとか、地域の発展につながるという積極的な御評価もいただいておりますので、そして、先ほど申し上げましたように、やはり被災自治体への御寄附というのはとてもありがたいものでございましたので、この制度の根幹はしっかりと守りながら、今指摘されたような課題が少しでも解決に向かうように、現行法の範囲内で、総務省ができる限りのこと、特に個別団体への働きかけをしっかりと都道府県とともに続けてまいります。

鈴木(克)委員 この問題だけで終わってはなんですから、これぐらいにさせていただきますけれども、先ほど私が申し上げましたように、自治体は納税者の志に応えるということなんですね。本当にしっかりとやってくれ、自分の思い入れのあるふるさと、しっかり頑張ってくれよ、そういう意味だと私は思うなら、やはり返礼品でどうのこうのというような今の状況というのは明らかに間違っておるというふうに私は思います。

 総務省として、それは制度の外の問題で、言いようによっては、聞きようによっては、それは自治体がお考えになることだということでありますけれども、自治体はもう既にそういう過度な競争に入っちゃっておるわけですよね。

 だから、これはどこかで、政治決断で、こういうことはやめようじゃないか、本来の納税者の志をどうやって生かすかというまちづくり、国づくり、地方づくりに転換すべきじゃないかということをやはり大臣がばちっと出すことが、今のこの状況を大きく変えていくことになるし、ある意味では歴史に名を残す名総務大臣になるというふうに私は思いますよ。(発言する者あり)ああ、それもそうだ。

 そういう意味で、政治決断がやはり今こそ必要なときだというふうに思いますので、もう一度、ぜひひとつ、やめたらどうだという与党議員からの応援もありますので、それにも応えていただいて、御答弁ください。

高市国務大臣 そもそも制度に組み込まれていないものを法として禁止するということはできませんけれども、ただ、先ほど来委員がおっしゃったような課題につきましては、私も強い問題意識を持って、課題の洗い出しを自分自身でも行っておりますし、職員に対して、とにかく徹底的に課題を洗い出して、有識者それから地方自治体の実務者のお知恵もいただきながら改善策を検討するように指示をいたしました。

 これから春先に向けて、改善が進むようにまた行動を起こしてまいりますので、お楽しみにお見守りいただけたらと思います。頑張ってまいります。

鈴木(克)委員 楽しみに期待をしてお待ちしておりますので、ぜひひとつ、本当にそろそろこれは考えるべきだというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 それでは次に、大臣所信で、地方財政計画に、まち・ひと・しごと創生事業、約一兆円計上というふうにあるわけであります。まさにそれに関連をしてちょっと、地域住民による独自の取り組みの必要性ということで御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今現在の国と地方の長期債務残高というのは、今さら申し上げるまでもありませんけれども、国が約八百九十八兆円、そして地方が約百九十五兆円というような状況、合わせて千九十三兆円、千百兆円程度というふうに見込まれておるわけであります。

 そういう中で地方創生をどのようにやっていくかということなんですけれども、大都市は結構財政状況のいいところもあるんですが、私、特に申し上げたいのは、過疎地そして条件不利地域なところほど地方自治体の財政が本当に厳しくなってきているんですよね。私も地方の首長の経験があるわけでありますが、本当に今大変な状況であります。

 それに対して、まち・ひと・しごと創生事業というふうにうたうことはできても、実際にそれは本当に難しい仕事だというふうに思います。それにはやはり、地域の皆さんが、地域の課題をみずから捉えて、そして解決をしていく、そういう姿勢をつくっていく、またつくっていただくということが私は必要だというふうに思っていまして、そこで、何点かお伺いをしてまいりたいというふうに思います。

 それで、国もずっとこの事業をやってみえて、地域住民が独自で地域の課題解決に向けた取り組みを進めているという事例があるというふうに聞いております。私はやはり、そういういい事例を大いにアピールして、ほかの自治体にも示していく必要があると思いますので、ここで、各地域のモデルとなるような取り組みをぜひ御紹介いただきたいと思います。

時澤政府参考人 お尋ねのありましたモデルとなるような取り組みといたしまして、山形県の川西町吉島地区というところにおきまして、地区住民全員の参加によりまして、平成十九年に特定非営利活動法人きらりよしじまネットワークというものを設置いたしまして、コンビニの休息スペースを利用した産直朝市の実施に加えまして、高齢者の交流、見守り、買い物支援などの、地域の課題解決に向けた幅広い活動を実施している例がございます。

 また、広島県東広島市小田地区というところでございますが、地区の全世帯が加入をいたしまして、地域における生涯学習、青少年育成、将来ビジョンの策定等のコミュニティー活動を行う組織、そして、地区内の農家によります集落営農システムの確立、地域の女性グループによる米粉パンの製造、販売等を行う組織という、いわゆる二階建て方式によりまして、地域活動を支える活動と地域農業の発展を目指す活動を実施している、このような例がございます。

鈴木(克)委員 今御紹介をいただいたのはほんの三例、四例でございますが、まだまだたくさんあると思います。

 私が申し上げたいのは、ぜひひとつ、そういう本当に前向きないい事業を大いにPRしていただいて、では、我々も頑張ろうかというような発信をしていただきたいというふうに思います。

 ただ、さはさりながら、それに対して、あなた方勝手にやってくださいよというのではなくて、一生懸命やったところに対しては少しでも支援をしていくということがやはり私は必要だというふうに思います。その辺で、その支援についてはどんなふうに考えておるのか、お示しをいただきたいと思います。

時澤政府参考人 先ほど申し上げた例は、地域運営組織というものが土台になっている例でございます。この地域運営組織が、地域の生活、暮らしを守るために、地域で暮らす人々が中心となって形成されておりまして、私どもも、暮らしを支える活動を実施という観点から、非常に重要なものと認識をしておりまして、先進事例の横展開、あるいは課題解決のための私どもとしての調査研究事業を実施するほか、財政支援措置などの支援も行っているところでございます。

鈴木(克)委員 今御答弁があったそういった形の取り組みについて、地域運営組織という支援方法があるというふうに聞いておるんですが、現時点で余り一般的にそのことは知られておらないというふうに思いますので、ここで、ぜひひとつ、地域運営組織の役割、そして構成、地域運営組織の形成状況等について御披露をいただきたいと思います。

時澤政府参考人 お答えいたします。

 地域運営組織につきましては、当省で研究会を開催いたしまして、そこで定義づけをいたしておりますが、地域の暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内のさまざまな関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づき、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する組織というふうに定義をしております。

 私ども、平成二十七年に調査を実施しましたところ、全国で千六百八十団体がこういった組織として活動しているということでございます。

 活動範囲につきましては、主に、旧小学校地域を含みます小学校区とおおむね一致する範囲での活動が最も多いということになっております。

 活動の中身でございますが、高齢者の交流サービス、声かけ見守りサービス、家事支援、弁当配達や給配食サービス、買い物支援などの暮らしを支える活動、それから体験交流事業、地域資源を活用した特産品の加工、販売などの地域経済の活性化に向けた活動、さらには公的施設の維持管理などの、地域住民の暮らしを支える活動などを幅広く実施しているところでございます。

 構成につきましては、地域の実情に応じてさまざまなものがございますが、例えば、自治会、町内会に加えまして、地域で活動するNPO法人や老人クラブ、消防団といった地域内のさまざまな関係主体も参加して構成されているというものでございます。

鈴木(克)委員 この質問の最後にさせていただきますけれども、今、みずからが考え、みずからが地域をつくっていこうという組織がだんだん広がってきておるということを御紹介いただいたわけでありますが、やはりそれには引っ張っていくリーダーが必要だというふうに思います。

 このリーダー育成というのは非常に大事なんですが、例えば、こういうすばらしい人材がいますよというようなこととか、こうやって人材を育てていきますよというような、人材育成とか人材紹介とか、そういうような人的支援については総務省として現在どのように取り組んでいるのか、お示しをいただきたいと思います。

時澤政府参考人 御指摘のとおり、地域の課題あるいは地域の活性化というものに向き合うためには、地域のリーダーとなる人材の力が必要でございます。

 また、地域住民や自治会、NPO、自治体などの多様な主体をコーディネートして、地域の潜在力を引き出すというふうな人材の力というのも必要でございます。

 総務省では、そうした人材力の発揮を図るために、平成二十二年度より人材力活性化研究会というものを開催いたしまして、人材力活性化の目指すべき方向を示しました人材力活性化プログラム、そしてカリキュラムを作成いたしております。

 それに基づきまして、地域づくりの関係者や地方公共団体の職員を対象に全国地域づくり人財塾というものを開催いたしまして、研修等の実施を通じて地域人材の育成を図っております。

 また、総務省では、先進市町村で活躍している職員あるいは民間の専門家のデータベースを構築しまして、地域独自の魅力や価値を向上させる取り組みを支援する人材を広くお知らせして、それを御活用いただいているという取り組みもやっております。

 そのほか、都市から条件不利地域に住民票を移しまして、地域協力活動を行いながら地域への定住を図る地域おこし協力隊というのもございますし、さらには、民間企業の社員がそのノウハウや知識を生かして、地域独自の魅力や価値の向上につながる業務に従事をしていただくという地域おこし企業人交流プログラムというものの制度を用意しておりまして、地域の実情に応じた取り組みを支援しているところでございます。

 それぞれの地域がその実情に応じて実効性のある対策を行えるように、引き続き積極的に支援していきたいと考えております。

鈴木(克)委員 ぜひひとつ頑張っていただいて、総務省の使命の中の私はこれは非常に大きな部分だというふうに思っていますので、もちろん、何をやるでも予算がついて回るわけでありますけれども、金だけではない部分もあるんだということをぜひひとつ示していっていただきたいというふうに思います。頑張ってください。

 それでは、三つ目の課題に入りたいと思います。

 上下水道というのは、まさに人間が生活をしていく上で不可欠なライフラインだというふうに思っております。ただ、人口が減っていって料金収入が減少して、このインフラについて、もう本当に厳しい状況も来ておるわけですね。

 そこで、まず、近年、水道管や下水道管の老朽化が原因と見られる漏水、破断、道路の陥没等が相次いでおるわけでありますが、直近の例で結構ですが、老朽化が原因と見られる事故の件数、それから、耐用年数や更新時期のピークというのはいつごろになるのか、そしてまた、その維持管理や更新費用というのはどれぐらいになるのか。

 非常に難しいかもしれませんけれども、わかっている範囲で、この三点、現在、老朽化が原因となる事故の件数、それから更新時期のピークがいつごろになるのか、そして維持管理や更新費用の見込みについて、お示しをいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 まず、事故件数でございます。これにつきましては、その原因別の統計はございませんので、老朽化を含む全ての管路事故件数でのお答えになりますが、事業者団体の調べによりますと、水道事業では年間約二万二千件、下水道事業では年間約三千三百件という状況でございます。

 それで、今の法定耐用年数を超えた管路の割合が、水道事業で一三・二%、それから下水道事業で四・一%になっております。

 これらを踏まえまして、今後、更新需要が発生していくことになりますが、これはそれぞれの事業者でいろいろな計画を立てることになりますので、明確にピークが何年になるかということは申し上げることはできませんが、水道事業につきまして、今後二十年程度につきましては、年間一・二兆円から一・六兆円程度必要となるとの厚生労働省の試算がございます。また、下水道事業につきましては、今後二十年程度におきましては、年間〇・五兆円から一兆円程度必要になるとの国土交通省の試算がございます。平成二十七年度実績も、おおむねこの水準となっている状況であります。

鈴木(克)委員 これも本当に大変なことなんですね。老朽化というのは見えないわけですよね、地面の下なものですから。冒頭申し上げましたように、人口がどんどん減っていく、そして料金収入が減少していくということで、これは相当真剣に対策、そして財源を確保していかなきゃいけないというふうに思うんですが、いずれにしても、これは我が国のライフラインという、本当に人が生活をしていく基本でありますので、この部分についてはやはり計画的にしっかりと予算配分も含めてやっていただかなきゃいけないというふうに思っております。

 時間もありますので、この質問の最後にさせていただきますが、もう一つ私は問題だなと思っているのは、実はこの上下水道事業にかかわる職員の技術力なんですね。

 日本水道協会の資料によりますと、現在のそういった関係にかかわっておる年齢構成というのは、三十歳未満の人が八%、そして五十歳以上の人が四〇%と極端に偏った構成になっておるわけですよね。例えば、今後十年間で経験豊富な熟練技術員が大量退職をしていくというふうになったときに、では、誰がどこでこの問題をやっていくのかということであります。

 ここはやはり今のうちから真剣に考えていかないと大きな問題が出てくるのではないかなと思うんですが、職員とその技術力の確保についてのお考え、どのような対策を講じているのか、また、講じていくつもりなのか、お示しをいただきたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ございましたように、団塊世代の経験豊富な熟練した技術職員が大量に退職していく中で、人材及び技術力の確保を図るに当たりましては、広域化等によりまして一定規模の組織体制及び職員数を確保し、柔軟で効率的な職員配置や役割分担による専門化を図ること、また、民間が有する新技術、ノウハウを積極的に活用することが有効と考えております。

 このため、総務省といたしましては、この広域化、それから民間活用を推進しますとともに、個々の職員の能力の向上と技術の組織的な承継に計画的に取り組むなど、人材の育成に努めるよう、地方団体に対して助言を行っているところでございます。

 この問題につきましては、先ほどの巨額な更新投資の問題とあわせまして、引き続き、関係省庁と連携しつつ、水道事業及び下水道事業における人材及び技術力の確保に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(克)委員 恐らくこれが最後の質問になるのではないかなと思いますが、女性消防職員の関連、特に私はハード面における環境整備についてお尋ねしたいんです。

 昨年の十一月十五日にやはり当委員会で私はこのことを指摘させていただきました。その後、調査をされて、その結果もお聞かせいただければと思いますが、いずれにしても、問題なのは、女性消防職員の割合を平成三十八年度当初までに五%にするという目標があるわけですね。これは、このままでいけば、私は非常に難しいんじゃないかなというふうに思います。

 大臣は、所信で、女性や若者の消防団、これは消防団でありますけれども、加入促進を図っていく、それから、緊急消防援助隊の大幅増隊を目指すとおっしゃっておるわけでありますが、いずれにしましても、この女性消防職員の状況がどんなふうになっておるのか、その調査結果をまずお示しいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えいたします。

 消防庁が実施しました平成二十八年四月一日現在の調査によりますと、女性消防吏員がいる消防署のうち、女性専用の仮眠室を整備している消防署は九〇・四%、女性専用の浴室、これはシャワーのみも入りますが、を整備している消防署は八一・六%、女性専用のトイレを整備している消防署は九七・五%となっております。

 一方、消防本部の規模別に比較しますと、女性消防吏員がいる消防本部のうち、五百人以上の消防本部では、全ての消防本部、消防署に女性専用トイレが設置されておりますが、三百人未満の消防本部では、消防本部、消防署においても女性専用トイレが設置されていないところもございます。

 また、女性消防吏員がいない消防署のうち、女性専用の仮眠室を整備している消防署は二二・五%、同じく浴室は一九・五%、トイレは五四・二%となっておりまして、女性消防吏員がいる消防署の整備割合と比較しまして、比較的、整備割合が低い状況になっております。

 なお、女性消防吏員のいない消防署の女性専用施設整備の整備割合は、消防本部の消防吏員数の規模、この大きさで比較してもほとんど差がございません。

 以上のとおり、女性消防吏員がいる消防署であっても、小規模消防本部におきましては整備が進んでいない施設整備があり、いない消防署においては全体的に整備が進んでいない状況にございます。

鈴木(克)委員 まさに問題は大分絞られてきたと思うんですね。大きいところはまずまずであるけれども、小さいところについてはおくれておるということ。それから、女性消防職員がいないところはできていない。だから、できていないから女性消防職員を入れることができない。言い方は悪いかもしれませんが、卵が先か鶏が先かというような状況で、要は、本当に五%の目標を達成できるんですかということになるわけです。実際には、五パー以上の、もっと女性に活躍をしていただくということも十分考えていかなきゃならないわけであります。

 時間が参りました。最後に、大臣、今の女性消防職員の問題について、大臣の御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 今、特に女性消防吏員の活躍推進に力を入れております。御承知のとおり、消防大学校でも、ことし、女性消防吏員の方のかなり本格的な厳しい研修を実施いたしました。今、全国の消防本部に対して、数値目標を設定した上で、女性消防吏員の計画的な増員、それから女性の職域拡大の推進をお願いしています。

 今、鈴木委員から御指摘がありましたような、やはり、既存の消防署で女性専用の施設を整備して、女性消防吏員の執務環境をしっかりと整えていくということも必要不可欠だと思っております。そのため、今年度から、消防署や出張所における女性専用の浴室、トイレ、仮眠室、更衣室といった施設の整備に対して特別交付税措置を行うこととしております。

 広報も含めて、しっかり取り組んでまいります。

鈴木(克)委員 頑張ってください。

 終わります。

竹内委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民進党の近藤昭一でございます。

 きょうもまた質問の機会をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 高市総務大臣の所信に対する質問について、いろいろと、これまで私がこの総務委員会で質問したことを関連させて、質問させていただきたいと思います。

 まずは、天下りの問題であります。いわゆる天下り、違法な再就職あっせん問題についてお聞きをしたいと思うんです。

 今国会の召集日に、文部科学省が省ぐるみで天下りあっせんを共謀した上、隠蔽を図っていた事件が明るみになりました。同省の前川事務次官が辞職をする事態となったわけであります。

 政官業の癒着は、国家に対する信頼、そしてまた市場の公正性を揺るがす重大事であります。根絶する以外に解決策はないと考えるわけでありますが、この事件を受けて、安倍総理は、全省庁の調査を指示されておるわけであります。総務省の所管でいいますと、マイナンバーの調査業務をめぐり、厚生省の職員が業者から現金を受け取り、収賄罪に問われる事件もありました。

 高市大臣は、一月二十日の記者会見で、総務省について再就職あっせんという事例はないと承知していると述べられておりますが、その後、総理の指示を受けて、省内の調査を進めておられるのでありましょうか。調査されているとすれば、その概要と中途報告をお聞かせいただけるとありがたいです。

高市国務大臣 これまで、今委員がおっしゃっていただいた記者会見ですとか総務委員会の場におきましても、現在のところ、総務省で組織的なあっせんがあったことはないと理解しているということを申し上げてきております。これは、次官や官房長など現在の省の幹部に確認をしたところ、組織的なあっせんはしていないということでございました。

 それで、一月二十日に総理から山本担当大臣に対して、全府省を対象とした調査の実施の指示がありまして、現在、内閣人事局が調査を行っているということでございますので、まず私からは、この調査に全面的に協力するように指示をいたしました。

 総務省内で調査を行っているのかという御疑問であると思いますけれども、内閣人事局で外部の第三者である弁護士の方々も入れてチームをつくって、全省的にしっかりとした調査をするということでしたから、総務省を含めたほかの省もですけれども、ばらばらに何か概括的な調査を行うという意義は乏しいと思います。一つの基準で、第三者の目を入れてしっかりと調査をしていただく、この調査に協力をしていくということでございます。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 おっしゃるように、外部の目も入れる、そしてそれを、統一的な基準といいましょうか、観点の中からしっかりと調査をしていくということでありますし、そのことは大変重要だと思います。

 ただ、これは、総務省を管轄するトップでいらっしゃるわけでありますから、今、協力ということももちろん大事、しかし、そういう中で、しっかりと大臣には御対応いただきたいと改めてお願いをしたいと思いますし、また、その過程で、あるいは結果として出てきたことについて、しっかりと議論をするというか、チェックをさせていただきたいと思います。

 それで、関連して、地方公務員の天下りの問題についてということでお聞きをしたいと思います。

 二〇一四年の地方公務員法改正によって、地方公共団体を退職した元職員による口きき、働きかけでありますが、この行為が禁止をされ、監視システムがつくられたわけであります。地方公共団体には、退職管理の適正確保を講じるよう求めているということであります。

 ただ、国家公務員法が禁止しているあっせん行為や現職職員の求職活動の規則には至っていないわけでありまして、状況に応じて必要な措置を講じるということにとどまっているわけであります。

 そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、昨年度の最新情報で、口きき違反の報告と調査に至った件数、いわゆる地方公務員でありますが、これを教えていただきたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方公務員法では、平成二十八年四月から、人事委員会または公平委員会の監視体制のもとで、営利企業等に再就職した元職員が離職前の職務に関し現職職員へ働きかけることについて、国家公務員と同様に禁止をしております。

 都道府県・政令指定都市において、平成二十八年四月から十二月までの間、当該規定違反とされた事案はないと承知をしております。

 また、地方公務員法においては、働きかけの規制に違反する行為を行った疑いがある場合には、当該違反について任命権者が調査を実施することになりますが、都道府県・政令指定都市において、同期間、当該調査を行った事案もないと承知をしております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 そうしたことがないということでありますけれども、地方公務員、残念ながらといいましょうか、法的には仕組みがないという中であります。ぜひ今後もしっかりと調査といいましょうか、フォローをお願いしたいというわけであります。

 先ほど、国の問題について私もお話をさせていただきました。この問題も、これまでは明るみには出ていなかったことであります。天下りの問題が非常に大きくなって、そしてそのことに対して歯どめをかける仕組みができた。しかしながら、その中で文部科学省が省ぐるみで行っていた、それが明らかになったということであります。

 もちろん、それぞれの地方公共団体が、地方自治体がこの問題については直接的には取り組んでいくことだと思いますが、国におかれましても、公務員という人たちに対する信頼というのは共通した課題であるわけでありますから、しっかりとこれからもお願いをしたいというふうに思うわけであります。

 それでは、都道府県の職員の再就職に関する取り組みということでお伺いをしたいと思います。

 都道府県と政令市の権限は非常に大きいわけであります。官業癒着は、地域経済の公正性を阻害し、住民の行政不信を助長するものでしかありません。

 あっせん禁止を明文化している都道府県の数、そして特定の再就職先の禁止または自粛を行っている都道府県の数を教えていただきたいと思います。

 同様に、政令市における取り組みについて、政府はどこまで把握しておられるのか、これもお聞きをしたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 現在、都道府県において、再就職あっせんの制限について条例、規則等で実施している団体数は十五団体、特定の営利企業等への再就職の制限について条例、規則等で実施している数は十四団体となっております。

 また、政令指定都市については、再就職あっせんの制限について条例、規則等で実施している数は六団体、特定の営利企業等への再就職の制限について条例、規則等で実施している数は六団体となっております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 この数字を聞いてどういうふうに感じるかというのはそれぞれかもしれませんが、私は非常に少ないという印象を持つわけであります。

 先ほど来からありますように、国、地方公務員の天下りの問題についても、国としては法的な仕組みがあるけれども、地方自治体にはないということであります。ただ、そういう中で、条例として取り組んでいる自治体がどれだけあるのかということをお伺いしたわけであります。

 先ほど、そうした口きき等々の調査については、天下りではなくて口ききではありますが、口ききについては上がってきているのはないということでありましたけれども、私は、しっかりとした実態というものを捉えていく必要がある。そういう中では、自治体がやはりしっかりと条例をつくって取り組んでいく必要がある。それに関して、やはり国としても、これは共同作業という私はイメージでありますけれども、しっかりと自治体に対してもそうしたチェックと働きかけをしていく必要があるんだと思います。

 高市大臣、いかがでありましょうか。今の調査の結果を聞いてどのように受けとめられて、どのように国としては対処していくべきか、お聞かせをいただければと思います。

高市国務大臣 地方公務員法の中に規定がございます。元職員による働きかけの禁止、また、退職管理の適正を確保するための措置、再就職情報の届け出などの規定がございますので、まずはしっかりと法令を遵守していただくということ。

 そして、またそれぞれの地方自治体のお考えでございますけれども、ここは、条例が必要な場合には条例を制定される、そしてまた、疑義があった場合には調査をするということになりますので、その調査も必要があるときに行っていただくということでお取り組みをいただきたいと思っております。

 現在、国家公務員に関しましても、これだけ大きな問題になっております。それぞれ地方自治体においても、問題意識を持って取り組んでいただいていることだと存じます。国家公務員のように五十代ぐらいでかなり早く退職をするというような慣習がありませんので、それは、地方によって、自治体によって事情の違う、こういった点にも留意をしながら注視をさせていただきます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 それぞれの自治体が取り組まなくてはならない課題であります。そういう意味では、大臣がおっしゃるように、それぞれの自治体がしっかりと地方行政の信頼を確保していくということの中で、しっかりと取り組んでいかなくてはならないと思うんです。

 ただ、そういう中で、私は、全国的にどういうような状況にあるのかということは、やはり国がしっかりと責任を持って情報を提供していくということも必要だと思うんです。

 例えば、今の御報告をいただいた、全国でどのような条例、幾つぐらいの自治体でそうした条例がつくられているのか、そしてそれはどういうようなものであるというものを、例えば総務省が、国が総合的に報告をし紹介をしている、こういうようなことはあるんでしょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私ども、ホームページで、それぞれの地方公共団体が取り組んでおります退職管理の状況等を周知いたしております。

 また、加えて、今回総務省といたしましては、文部科学省の事案が起こったことを踏まえまして、各地方公共団体に対し再就職等監視委員会の調査結果を周知したところでございますので、引き続き適正な退職管理の確保について助言等を行ってまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そして、今回残念ながらそういう事件があったということがきっかけではありますが、各自治体に通知をして、しっかり取り組むようにということの中で、こうした情報があるんだ、全国でこういう取り組みがあるんだということを告知しておられるんだと思います。

 引き続き、もちろんそれぞれの自治体がしっかりと対応していかなくてはならないことではありますけれども、やはり総括的に、コーディネートといいましょうか、情報を共有したり情報を提供したりということで、ぜひ総務省におかれましては、大臣におかれましては、しっかりと取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 さて、国家公務員と地方公務員の公務災害についてお聞きをしたいと思います。

 以前私もこの委員会で関係の質問をさせていただいたわけでありますが、海上自衛隊や水道局など、公務員も少なからずアスベストの公務災害認定を受けているわけであります。

 アスベスト疾患の中でも、アスベスト以外の原因では起こらないとされる中皮腫、これは残念ながら、いまだ治療法が確立をされていない病気であります。

 中皮腫は、全国的に、居住地の近くに専門的な治療に当たることのできる医療機関の設置数が確保できていないということであります。治療法が確立されていない、そしてさらに、そういう中で、確立はされていないけれども専門的に当たっている医療機関があるわけでありますけれども、そうした設置数が十分に確保できていないということが実態であるわけであります。

 尼崎のアスベスト公害、すなわちクボタ・ショックであります、が起きたとき、尾辻厚生労働大臣は、二〇〇五年十月十八日の記者会見でありますけれども、労災の通院費について次のように述べられておるわけであります。

 一般の疾病でしたら最寄りの病院に行ってくださいねということでいいわけでありますが、事中皮腫になりますと、最寄りの病院に行ってくださいというわけにはいきません。そのことを患者さん方は言っておられており、常識的な範囲で患者さん方の納得なさる病院に行っていただくというのが一番よいと思っておりまして、これは直ちにやります。直ちに交通費を払うという形にいたします。

 労災の取り扱いは、尾辻大臣の会見どおりになっているということであります。近くに専門の病院がない中で、患者さんの立場から交通費を払うということになっている。厚生労働省の対応であります。

 そういう中で、公務員、地方公務員についてはどうなっているか、お聞かせをいただきたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方公務員災害補償法第二十七条においては、療養補償の対象となる療養の範囲を規定しており、いわゆる通院費も同条第六号に規定する移送に該当するものであれば、補償されることとされております。

 その具体的な取り扱いについては地方公務員災害補償基金が定めておりますが、基金においては、お尋ねの中皮腫につきまして、病院等への通院のための交通費は、医学上または社会通念上必要かつ相当と認められるものを支給の対象としているところでございます。

 以上でございます。

中山政府参考人 国家公務員の療養補償制度について、御説明いたします。

 お尋ねのありました遠隔地に所在する病院への交通費の支給でございますが、個々の負傷または疾病について、やはり、医学上または社会通念上必要かつ相当であると認められる場合には支給の対象としているというところでございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした地方公務員法の中で、医学上必要等々、こうした場合には払うということであります。

 そこで、ちょっとお伺いをしたいわけでありますが、先ほど申し上げましたように、中皮腫については治療法が確立されていない。アスベスト由来で中皮腫になり、大変に苦しい思いをする。また、アスベスト、これからさらに発症がふえてくるという予測があるわけであります。そういう中で、多くの方が不安を感じている、また、治療に対する要望を持っているということであります。

 そういう中で、中皮腫の治療法について米国が進んでいるというお話を聞いております。日本でも、独立行政法人国立病院機構山口宇部医療センター、ここで、世界で最多の胸膜中皮腫例を手術している米国の病院で診療経験のある外科医の方が手術を行っているということであります。

 具体的には、悪性胸膜中皮腫や肺がんに対する胸膜外肺の全摘出という手術、全摘をする術ということであります。また、悪性胸膜中皮腫に対する胸膜切除剥皮術という方法があるそうでありますが、これをハーバード大学の医学部で学んだ、こうした外科医の方がおられるわけであります。

 中皮腫というのは、予後が悪く、治療の機会も一刻を争い、患者御本人、また家族からすれば最善の治療を受けたいということだと思います。

 例えば、私の地元名古屋でありますが、東海地域からこの山口宇部医療センターで国内屈指の手術を受けたという患者さんがいた。どこであろうとも、この宇部に行く、行きたいということでありますときに、公務災害の通院費として出るのか。人事院、そして総務省から、それぞれ御回答をいただきたいと思います。

中山政府参考人 初めに、国家公務員の制度について御説明申し上げます。

 遠隔地の病院への交通費の支給の可否につきましては、個別の案件ごとに、その病院で手術を受ける必要性あるいは被災者の病状などを総合的に考慮しまして、必要に応じまして専門家である医師の見解などもお聞きして、社会通念上あるいは医学上必要かつ相当であるかどうかというのを判断してまいるということでございまして、必要である、あるいは相当であると認められる場合には、支給の対象とすることとしております。

高原政府参考人 地方公務員についてでございますが、先ほども御答弁申し上げましたが、医学上または社会通念上必要かつ相当であると認められる場合には、移送に該当するものとして補償の対象となるということでございます。

 具体的には、当該病院で手術を受ける必要性、被災者の病状等を総合的に考慮して、地方公務員災害補償基金において適切に判断されるものというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 そういうふうに書かれている、社会通念上、医学上ということであるわけであります。

 ただ、そうした場合、今申し上げたように、中皮腫という、治療法としては確立をされていない、そういう中で、本当に患者の皆さん、そして家族の皆さんが最善の治療を受けたいということであります。そういう中で、今、山口宇部医療センターが注目を受けている。

 そうした場合、社会通念上また医学的な必要上ということでいうと、私は、認められるべきだ、認めていただきたい、こういうふうに思うわけでありますが、この中皮腫の治療法について、具体的にいかがでありましょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 個別の事案についての回答は差し控えさせていただきたいと存じますが、中皮腫という特殊性を踏まえた上で、基金において適切な判断がなされるものというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 個別の検討ということではあるかもしれませんが、ただ、そうしたとき、今部長もおっしゃったように、中皮腫の場合、治療法が確立されていない、そういう中で、山口でそういう、米国で治療されてきたこういうところはかなり特殊、特殊というか、非常に考慮すべき。ほかになかなか治療法がない、しかし、そういう中でアメリカで経験をされてきた方がおられるというのは、個別の案件として考慮するときに非常に重要なファクターになるのではないかと思いますが、それはいかがでありましょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 個別の事案について具体的な回答はちょっとできないわけでありますが、先生御指摘の事情等も、地方公務員災害補償基金において十分考慮した上で判断がなされるというふうに考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 もう一点だけ、ちょっとお伺いしたいんです。

 そうすると、では、個別の事情として認められるかどうか。例えば、いざ申請したけれども認められないときもあるかもしれない、そうしたときに、これは仕組みとしてあるわけでありますが、改めてお聞きしたいんですけれども、そうしたことに対してどういうふうに判断をされていくのか、改めて教えていただきたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 地方公務員災害補償基金は、公務災害を受けられた方に対する支援機関でもあるということでございますので、具体的に、支部等も含めて御相談いただければ、迅速かつ丁寧に御相談に乗らせていただきますので、そういった中で解決が図られるものと考えております。

近藤(昭)委員 アスベストの問題は、御承知のとおり、先般も札幌地裁での判決が出たところであります。六つの判決が出ていて、五つの判決で国の責任が認められているというところであるわけですね。

 そういう中で、アスベストによって発症する中皮腫、そしてその中皮腫については治療法が確立されていない、しかし、そういう中で、米国の進んだ治療をするセンターが山口にある。私は、やはりここは、今申し上げた社会通念上そして医学的には非常にそれは認められる重要なファクター。

 今申し上げた中皮腫というものの発症、そしてそれを取り巻く裁判を含めた社会環境からすると、私はやはり患者さんが納得をして治療できるようにぜひしていただきたいというふうに思うわけであります。

 高市大臣、どうでしょうか、今の質疑を聞いていて。

高市国務大臣 これは、今、高原部長が答弁したとおりでございますけれども、やはり個別の事案についての回答は差し控えさせていただくことになります。

 当該病院で手術を受ける必要性、またその方の病状などを総合的に考慮して、基金で適切に判断されるものであると考えております。

近藤(昭)委員 大臣、ありがとうございます。

 そうした総合的に判断されるという中で、総合的が、やはり今申し上げたさまざまな環境、裁判の状況の中で、もちろんそれを国が認めているわけではありません、裁判所が国の責任ということで認めていることでありますけれども、私は、しっかりと患者さんが納得できる、そういう治療をしっかりと受けられる体制をつくっていただきたいと思うわけであります。

 それでは、次の質問に行きたいと思います。

 昨年の十一月の十七日、この総務委員会におきまして、私は、地方公務員の時間外労働が非常に深刻化しているということで質問させていただきました。

 長時間労働ということについては、本当に今、社会で大きな注目が集まり、政府でも対応しておられるというところではありますが、そういう中で、大臣から各団体に時間外労働の実態の公表を助言していくという旨の答弁をいただいたわけであります。

 その後、進展がどのようにあったか、御報告をいただきたいと思います。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 現在、地方公務員のワーク・ライフ・バランスの推進等に資する基礎資料を得ることを目的といたしまして、また大臣の指示を受けまして、時間外勤務の実態を把握するための調査を行っております。

 具体的には、時間外勤務の全体状況に加え、時間外勤務が多い職員の状況、勤務時間管理の状況、時間外勤務の是正方策について調査をしており、今年度内に調査結果を取りまとめる予定でございます。

 総務省としては、この調査結果を踏まえ、各団体における時間外勤務の実態の公表のあり方等について検討を行い、実態の公表を含め、時間外勤務縮減に向けて各団体の積極的な取り組みが行われるよう、必要な助言や働きかけを行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 さきの委員会では高市大臣から前向きな御答弁をいただいて、今、調査をしているところということであります。

 改めて繰り返して恐縮でございますが、発表されているのは平均時間。しかしながら、まさしく平均時間でありますから、長い職場もある、あるいは非常に長時間労働している人がいる。つまり、個人差がかなりあるだろうと。ですから、平均時間でしてしまうと実態がなかなかわからない。こういう中で、ぜひ実態を調査していただきたいということであり、今、今年度内にはその調査が済む、そして今、それをどう公表し、どう助言をしていくかということを検討しているということでありました。

 それはまさしく、今年度内に調査が終わり、今年度内で終わったところですからどのくらいかはわかりませんけれども、今年度内にそういう調査が終わり、そして公表または助言等についてもできるだけ速やかに行っていただきたいわけでありますが、その日程というのはどうでありましょうか。

高原政府参考人 御答弁申し上げます。

 私どもの調査では、平均時間だけではなくて、時間外勤務が多い職員の状況等についても調査をしております。

 そして、三月末で締め切りまして集計をいたしまして、私どもといたしましては、できるだけ早期に結果の取りまとめあるいは今後の助言について検討いたしまして、速やかに地方公共団体に対して御連絡させていただきたいなというふうに思っております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、次の質問に行かせていただきますけれども、同じく、同じ日の十一月十七日の総務委員会であります。

 先ほど鈴木克昌委員も質問した消防分野についてであります。女性消防吏員に対するセクシュアルハラスメントの実態調査と対策検討をお願いしたいということで、質問させていただきました。大庭参考人からは、消防庁の次長でありますが、検討するという旨の答弁をいただきました。

 これについても、その後の進展についてお伺いをしたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防庁においては、消防本部におけるセクシュアルハラスメントだけではなくて、パワーハラスメント、マタニティーハラスメントなどのハラスメント全般につきまして消防職員の実態調査を行いまして、これをもとに有識者及び全国消防長会とともに実効性のある対策の検討を進めることといたしておりまして、二月六日に第一回目のワーキンググループを開催したところでございます。

 このワーキンググループでは、今後実施する消防本部におけるハラスメントの実態調査の内容、あるいはその方法につきまして御議論をいただきました。

 ハラスメントの実態調査につきましては、ワーキンググループのメンバーと今内容を調整中でございまして、近日中に開始することといたしております。

 この調査の結果も踏まえつつ、今後、このワーキンググループにおきまして、ハラスメント等の発生防止対策、あるいは発生した際に適切に対応する体制のあり方などについて取りまとめる予定といたしております。

近藤(昭)委員 昨年の十一月にそうした答弁をいただき、そして今、ワーキングチームですか、をつくって取り組んでいただいている。

 先ほど鈴木委員からは、職場環境における女性用のトイレ、あるいはいわゆる寝るときの空間といいましょうか環境についての実態調査、そしてそれに対する対応ということでありましたが、私の方からは、今申し上げたセクシュアルハラスメントの実態を調査ということでお願いをしたわけであります。

 十分に女性の職員の人が休暇をとることができているのか。それは、いわゆる通常の仕事の中での休暇ということだけでなく、女性、女性だけではないわけでありますが、子育てという意味でいうと。しかしながら、女性の出産のときにかかわって、その出産に対して、事例として、上司からセクシュアルハラスメントにつながるような発言があった、こういうような話も私は聞いているわけです。そういう意味で、しっかりと実態を調査していただきたいと思うわけでありまして、今チームをつくって、これもめどとしてはいつぐらいになるのでありましょうか。

大庭政府参考人 今回、ワーキングチームを開催しまして、その内容、やり方につきましてはいろいろ御議論がございました。ということで、その方向性を、できれば来年度の早い時期に向けてまとめていくことを想定いたしております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 これも、今年度にまとめ、来年度の早々には発表するということでありますので、ぜひしっかりとお取り組みをいただきたいと思います。

 間もなく質問時間が来ますので、最後に一点だけ、今後また議論をさせていただきたいと思いますので、少し触れるだけ触れさせていただきたいと思うことがあります。

 それは、NHK受信料についてということであります。

 大臣は、政府としては、ワンセグつき携帯など携帯用受信機も、受信契約、いわゆるNHKの受信契約締結義務の対象であるというような、会見で述べられているわけでありますが、その理解でよろしいでしょうか。

南政府参考人 お尋ねのありましたワンセグというのは、我が国の地デジ方式の一つの大きな特色となるような放送サービスでございます。このワンセグチューナーが搭載された携帯電話というのが出現しましたのが平成十八年でございますので、そのサービスが開始された当初から、総務省といたしましては、NHKの受信契約の対象になるというふうに考えておりまして、国会答弁や質問主意書に対する答弁書でも繰り返し一貫してその旨を申し上げてきたところでございます。

近藤(昭)委員 また議論させていただきたいと思うわけでありますが、携帯電話以外、チューナーつきのタブレットPC等があるわけでありますが、将来的には、ゲーム用などのヘッドマウントデバイスなども、携帯なのか設置なのか、さまざま問題というか課題が出てくると思います。そういう意味では、技術進化に伴うデバイスの多様化、これによって、契約対象が際限なく拡大をし、受信料の徴収がますます難しくなる、そんな懸念を私は持っております。また今後議論させていただきたいと思います。

 きょうはこれで終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として外務省大臣官房審議官相木俊宏君及び大臣官房参事官久島直人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民進党の逢坂誠二でございます。北海道函館からやってまいりました。

 まず、高市大臣に冒頭お伺いしたいんですけれども、一昨日の記者会見だったと承知をしておりますが、固定電話のユニバーサルサービスについて言及されていたと承知をしておりますけれども、どういう内容で固定電話のユニバーサルサービスに言及されたのか、高市大臣の思い、考えをお知らせいただければと思います。

高市国務大臣 記者会見でございますが、これは、NTTの鵜浦社長が二月十日の会見において、先々本当に固定電話がユニバーサルサービスかどうかということについてはしっかりとした議論が必要と発言されたことを受けまして、私自身は、十四日火曜日の閣議後記者会見で、記者の方から所感を聞かれました。

 そのときに私からお答えしたことを改めて申し上げますと、現在の電気通信のユニバーサルサービスは、固定電話、第一種公衆電話、緊急通報が対象となっていること、そして、NTT東日本、西日本が提供する固定電話は、地域や高齢者の方々のライフラインとしても重要であり、また、携帯電話の基地局が、このときは台風の例を挙げたんですが、停波したときにも使えるということもあって、災害などの非常時の通信手段としても重要であること、こういった固定電話は、全国あまねく提供され、また安価な料金で公平に安定的に提供されることが求められるサービスと認識しているということを申し上げた上で、他方、将来的にどういったサービスが最低限度のサービスとして低廉な料金で利用者から求められるのかについては、無線やブロードバンドなどの技術動向も見つつ、見きわめていく必要があるということを申し上げました。

 今すぐに鵜浦社長の御期待に沿えるということはなかなか難しいということも申し上げました上で、NTTからも私は直接伺っておりませんので、御意見を伺いたい旨申し上げました。

逢坂委員 高市大臣、全国のさまざまな地域でしっかり情報通信の手段が確保されるというのは大事なことでありますので、固定電話の議論もいろいろあろうかと思いますけれども、これからまたさまざまな形で議論を深めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そこで、次に、きょうはNHKの上田会長にお越しをいただいております。これまで経営委員としていろいろお世話になりまして、ありがとうございました。今度はまた会長として、力強いリーダーシップを発揮していただいて、さまざま課題のあるNHKをいい方向に導いていっていただければと期待をしております。よろしくお願いいたします。

 そこで、実は、きょう発売の週刊誌に、NHKのある種の不祥事といいましょうか、まるで詐欺まがいで受信料を徴収しているといったような記事が掲載されておりました。私は、きょうこの個別の事案についてどうだこうだここでは言うつもりはないのでありますけれども、多少紹介をさせていただきます。

 これは受信料契約をやっている下請の会社の方のようでありますけれども、「私がやっていたのは、パラボラアンテナなどの受信機器が設置されておらず、明らかに衛星放送が映らない世帯に衛星契約を結ばせるというものでした。」あるいはまた、こんな発言もあります。「衛星契約と地上契約の違いには敢えて触れずに「一カ月で二千円くらいです」」この二千円というのは衛星契約の料金なんだそうですけれども、「とだけ伝えるんです。すると、「そんなものか」と、疑問を持たずに衛星契約を結んでくれる」。あるいはまた、こんなくだりもあります。「「名前」と「口座情報」の欄は本人に記入してもらい、疑われそうなときは、「衛星契約」の欄は、こちらで勝手にサインをすることもありました」。

 これがきょう発売の週刊誌に、あたかも詐欺のようにしてNHKの受信料の徴収に歩いているのではないか、こういう記事が載ったわけであります。

 きょうはこの中身についてどうこうと言うつもりは私はないんですが、NHKについては、二〇〇四年、非常に大きな問題が発生しまして、その時点から、受信料が減るとか、あるいはまたNHKに対する信頼が損なわれるといったようなことがあったわけであります。それ以降、さまざまな努力によって今のNHKにまで、回復をすると言ったら変なんでしょうけれども、回復をしてきたというふうに思います。受信料収入もふえてきたというふうに思います。

 この間、例えばNHKがやっていたいろいろな業務、効率化するために外部委託をするなんということもやってきたでありましょうし、職員を削減するといったようなこともやってきたのではないかと承知をしているわけであります。

 ただ、私は、この外部委託というものは、確かにある一定程度効果はあるんだというふうには思うんですが、目的を間違うと、NHKの将来に大きな禍根を残すことになりはしないかと思うわけであります。

 例えば、外部委託をして受信料を徴収してください、確かに受信料の徴収の割合は高まる、あるいは全体の額は高まるかもしれないけれども、そこで果たしてNHKの本来の役割みたいなものをきちんと説明できているのかとか、あるいはなぜ受信料というものが必要であるのかといったようなことが、単に委託をして足元の数値の改善だけを求めていくということでは、私は相当問題が出てくるのではないかなというふうに思うわけであります。

 そこで、やはり必要になるのは、NHK本体が抱えている職員の皆さん、この職員の皆さんにしっかりとNHKの存在意義を理解していただいて、確実な、例えば受信料でいうならば徴収をしてもらうということが必要なんだろうというふうに思います。だから、その意味では、職員の育成ということに相当力を入れなければいけない。あるいはまた、仮に委託をするにしても、委託先について、単に受信料だけが徴収できればいいんだ、額が上がればいいんだ、水揚げさえ多ければいいんだということでは、私は将来を誤るというふうに思うんですね。

 したがいまして、この法人委託といいましょうか、委託についての多少見直しというか検討というか、こういうことが必要ではないかなと思うんですけれども、このあたり、会長、どうお考えでしょうか。

松原参考人 お答えします。

 委員のおっしゃるとおり、やはり受信料制度で成り立つNHKにおいては、視聴者との信頼関係というのが最も重要だというふうに思っています。

 その上で、これまで営業部門においては、法人委託の拡大とか営業拠点の再編、あるいは業務のアウトソーシング等により、職員の効率的な業務体制の構築を進めてきました。

 効率的な業務体制を構築していくということは引き続き必要だと思いますが、御指摘のように、法人委託については、まず拡大ありきということではなく、しっかりと育成をしながら安定的に拡大をしていくことが重要だと認識をしています。

 今後も、こうした考えに基づいて、職員はもとより、委託先事業者の育成に最優先で取り組んでやっていきたいというふうに思っています。

逢坂委員 職員の育成最優先でということは、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 私、毎朝、国会に向かうときに、電車で国会まで来るわけであります。最近の電車のホームを見ると、その会社の社員の方というのは極めて少ない。委託によって、朝のラッシュなどもさまざまな方がホームの混雑に対応するということであります。

 これは、業務効率という観点でいうと、そういう方法も私はあり得るんだろうというふうに思っています。しかしながら、それをずっとやり続けると、鉄道会社そのものの本務、それは、ホームの混雑も鉄道会社がちゃんとさばかなければいけない本務だというふうに思うんですが、そういう現場の感覚をどんどんどんどん忘れて、理念だけ、頭でっかちといいましょうか、現場のことがわからない組織になって、最終的には組織全体の力をそぎ落としてしまうというふうに思うんですね。

 現状で委託業務がうまくいく理由というのは、私は、これまでの職員の皆さんが直接、直営でやってきた積み重ねがあって、その遺伝子というか、文化というか、それがまだ残っているからまだやれているんだと思うんです。これが完全に分業化し、委託化していくと、その遺伝子がだんだん消えていく、そうなってしまうと、組織本来の役割を見失う可能性があるというふうに私は思っています。

 その意味で、私は委託を全面的に否定するものではありませんけれども、NHKとは一体何なのかというところをしっかりと職員の皆様に共有してもらうというような取り組みをやることが大事だろうと思いますし、この間、いろいろな不祥事があって、どうしても経費も削減しなければならないということで職員給与の見直しとかということもやられてきたというふうには理解をしておりますけれども、ただ、それを余りやり過ぎると、職員のモチベーションにも大きな変化を生じさせかねないというふうにも思いますので、こういったところはしっかり全体のバランスを考えてやっていただきたいと私は思います。そうしなければ、組織そのものが存在意義がわからなくなってしまうというふうに思います。

 そこで、特に私は受信料に関して思うんですが、委託をして受信料を徴収する、これは全否定は私はしません、そういう方向もあると思いますけれども、やはり受信料の意味、なぜ受信料なのか、なぜ皆さんに広く御負担いただくのか、なぜテレビを見ていてもいなくても御負担いただくのか、こういうことも周知徹底させる必要があると思いますし、今後の将来の受信料のあり方を考えると、そのところをしっかりやっておかなければ受信料の将来を誤る、そして受信料収入がなくなると公共放送としてのNHKが成り立たなくなる、そう思っておりますので、本来あるべき受信料の姿について、何か思うところがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

松原参考人 お答えします。

 当然、NHKは受信料制度で成り立っていまして、特殊な負担金ということで、設置をすれば受信料をお願いするということになっています。

 そういう中で、営業活動において、受信契約を頂戴するときには、まず受信料制度の趣旨をよく説明し、理解していただいた上で、御納得の上、払っていただけるということが一番大事だというふうに思っていますし、そういうことがなくして視聴者との信頼関係あるいはNHKに対する信頼はないというふうに考えています。

 今後も、我々、視聴者に対する丁寧な対応に引き続き努め、訪問マナー等についても、行き過ぎた対応がないように契約勧奨あるいは収納活動を行っていくことを徹底していきたいというふうに思います。

逢坂委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、次の話に移りたいんですけれども、きょうは内閣官房の方からも説明にお越しいただいております。

 まず、内閣官房にお伺いしたいんですけれども、政府の会議、政府にはさまざまな会議がありますけれども、これの公開でありますとか取材のルール、こういったものは内閣官房として何か統一的なものはお持ちなのかどうか、お知らせいただければと思います。

日下政府参考人 政府が行います会議の公開及び取材に関するルールについては、お答えする立場にはございませんけれども、それぞれ、個別具体の案件の内容等に応じて適切に判断されているものと承知してございます。

逢坂委員 今の答弁は、お答えする立場にはないということは、それぞれの会議を主催するそれぞれの省庁が独自に判断をするという理解でよろしいでしょうか。

日下政府参考人 そういうことで結構でございます。

逢坂委員 了解いたしました。

 それでは次に、政府の会議を政府自身が撮影して、その映像をマスコミに渡すといったようなことは、内閣広報室としては、そういうようなことというのはあるんでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 政府が行う会議を内閣広報室が撮影し、その映像を報道機関に提供する場合もございます。

逢坂委員 そこで、外務省に来ていただいているのでありますけれども、外務省にお伺いします。

 国家公務員には秘密を守る義務というものがございます。そして、外務省が開く会議の中でも、外交上さまざま守らなければならない秘密、そういったものが話し合われる会議というものもあろうかと思います。

 そういう守らなければならない秘密があるような会議をマスコミに取材させる、こういったことはあるんでしょうか。外務省、いかがでしょうか。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましても、政府の会議につきまして、報道機関の取材を認めることはございます。その場合でありましても、職務上知ることのできる秘密を漏らさないことなどを定めました国家公務員法及び国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範、これを遵守しております。

逢坂委員 もう一度確認ですけれども、外務省として、国家公務員として漏らしてはいけない秘密、あるいは政務三役として漏らしてはいけない大臣規範などに抵触するような会議の議論というのは当然あり得ると思うんですね。こういうものであっても、今の答弁は、取材をさせるという意味でしょうか、それとも取材をさせないという意味でしょうか。それはケース・バイ・ケースだということでしょうか。取材をさせるということもあり得るということでしょうか。

久島政府参考人 お答え申し上げます。

 取材を認めることはございます。ございますが、その場合であっても、先ほど申し上げた国家公務員法及び規範を遵守している、こういうことでございます。

逢坂委員 取材を認めることはあり得るということは理解をいたしましたが、その際に、特定のマスコミに限って取材を許可するということはあるんでしょうか。通常で考えますと、外務省の記者クラブ、あるいは官邸が絡むものであれば官邸の記者クラブ、そういうものに広く一般に、クラブに公開されるというふうには思うわけですが、その点はいかがでしょうか。

久島政府参考人 一般的に申し上げて、各社公平に対応させていただいているところでございます。

逢坂委員 了解いたしました。

 そこで、実は、お手元に資料を用意させていただきました。一枚は、安倍総理が真ん中に写って、両側に、これは総理秘書官が二人と、それから谷内国家安全保障局長、それから秋葉外務審議官が写っている写真であります。これは、昨年の十二月にNHKで放送されました「スクープドキュメント 北方領土交渉」という番組の中で流されたものであります。

 この際に、実は、こういうナレーションがあわせて流されております。それが二枚目の紙、文字だけの資料であります。「これは政府幹部の打ち合わせを撮影した映像です。外交機密が含まれるため音声は使用できません。」こういうナレーションが流れて、この会議の様子が、まあまあ長い時間流されたわけであります。

 私、これを見たときに、相当に違和感を覚えました。相当に違和感を覚えたというのは、もしこれをマスコミに公開して撮影をさせていたとするならば、本当に守るべき秘密というものをしっかり守ることができたんだろうか、これは大丈夫なのかなというふうに思ったわけです。

 しかも、この映像は、少なくとも私の知る限り、NHKでしか使われておらない。しかもこれは、どうも推測するに、リマのホテルの一室ではないか、これは推測でありますけれども、思われるわけでありまして、そこに、それでは日本の各社のマスコミが公平、平等にカメラを並べていたのかなというところも私は非常に疑問に思うわけであります。

 それからもう一つでありますが、もし仮に、違うんだ、それはマスコミに取材させたものではない、先ほど内閣広報室から答弁があったように、政府の方で撮影をして、それはマスコミに渡したものであると仮にするとした場合であっても、私は、問題が相当に大きいだろう。なぜそれは一社にだけ提供したのか。いや、複数に提供しているというのなら、それをまた明らかにしてもらいたいわけでありますけれども、この辺は非常に微妙だというふうに私は思います。

 しかも、提供された映像が音声つきであるのかないのか、この点も問題になると思いますし、なぜNHKが、この映像を見て、外交機密が含まれる、こういう判断をして、こういうナレーションを流したのか、これも非常に疑問に思うんですね。

 もう一つは、撮影者がマスコミの人間でもない、政府の人間でもない、第三者であるとするならば、これはそもそも、危機管理上、相当に問題のあることだろうというふうに思います。

 ただ、撮影をするのはこの三者以外に一般的には考えられない。マスコミであるのか、政府であるのか、あるいはマスコミでもない政府でもない全く別の第三者。いずれのケースにおいても、私は、この映像が放送で流れるということについては相当に違和感があって、これは一体どういうことなのかなと思わざるを得ないんです。

 そこで、きょう、この会議の現場にいらっしゃった、しかも、政府に問い合わせをしたところ、この件については外務省で取り扱いますので外務省に聞いてくださいというのが政府の仕切りだというふうに理解をしておりますので、この場にいらっしゃった外務省の方は秋葉外務審議官だけでありますので、それでは、秋葉外務審議官に放送を所管しているこの総務委員会の場に来ていただいて、事実だけを、どんな状況だったのかだけをお聞きしたいということで、今回、この総務委員会にお越しいただきたいということをお願いしましたけれども、残念ながら、理事会ではそれは認められないということで、ここへ外務審議官を呼ぶことはできなかったわけであります。

 でも、私はこれは非常に、大いなる不満でありまして、やはりこういう疑義のあるものについては積極的に政府は説明をしなければいけないというふうに思うんですね。

 そこで、まず、ぜひ、いずれかの機会に秋葉外務審議官に、ここにいるわけですから、直接話を聞きたいということを改めて委員長にお願いをしておきたいと思いますし、両筆頭にも継続してその取り組みをしていただければなというふうに思います。

 さて、そこで、外務省にお伺いをしますが、この映像、これはどういう状況で撮影されたのか、この点については御説明いただけますか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の点は、報道機関でございます日本放送協会の取材、報道内容についてのことでございますので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたく存じます。

逢坂委員 私はNHKの報道内容や取材について聞いているのではありません。私が聞いているのは、この映像を誰が撮ったのか、あるいはその周りの状況はどうであったのか。報道のことを聞いているのではなくて、この会議が行われたときのその状況を聞いているわけであります。放送とは全く別の問題であります。

 お答えください。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問の点は、報道機関であります日本放送協会がこの映像を放映するに当たりまして、いかなる取材を行ったのかという点にかかわる点でございますので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたく存じます。

竹内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 外務省の相木審議官からは、きちっと丁寧に説明をしていただきたいと思います。

 逢坂誠二君。

逢坂委員 報道機関が、さまざまな手法を用いていろいろな情報収集をする、そういう機関であることは私は理解はしています。だから、どういう経過でNHKがこれを入手したか、そのことをここで問うつもりはありません。

 そうではなくて、この映像そのものが流れたということで、この会議のことについては外務省が責任を持っているという政府からの話でありましたので、では、そのことについてどう思うんだということを外務省に問いたいわけであります。報道の中身を聞いているわけではありません。

 特に、これは、外交上の秘密が含まれるというナレーションが入っている。これは私は大問題だと思うんですよ、もし実際にそういう会議であるとするならば。だから、もしここで外務省から、いや、実はこの会議は全くそんなものは含まれていないんだということであるならば、それはそれでまた納得もできるでしょう。でも、そうも言わない。何も言わない。

 これは、完全に私は説明責任が不足していると思います。外務省、いかがですか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 NHKの番組において流されたナレーションにつきましては、NHKの番組における報道内容にかかわる部分でございます。それから、この映像がどのようにNHKによって取得されたか、それはNHKの取材の活動、プロセス、その現場の状況というのはそこにも関連するところでございます。

 そういったことから、NHK、報道機関であります日本放送協会の取材活動また報道内容にかかわる御質問でございますので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。

竹内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 逢坂君、質疑を続けてください。

逢坂委員 私は、繰り返しますけれども、報道の中身について聞いているわけではないんです。政府の対応について聞いているんです。

 それでは、外務省にストレートにお伺いします。

 こういう映像が放送で流れることについて、外務省はどう思われますか。これは妥当なことだ、あるいは、不都合な点がある、あるいは、もっと別の感想があるかどうか。外務省としてどう考えますか、これは。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 報道の、取材ですとか報道内容については政府としてコメントを差し控えさせていただくということは、繰り返しになって恐縮でございますが、申し上げるところでございます。

 また、今回、職務上知り得ることのできた秘密の漏えいなど、国家公務員法でありますとか国務大臣、副大臣、大臣政務官規範に違反する行為はなかったというふうなものと認識をしておるところでございます。

逢坂委員 相木審議官、これは、職務上の秘密を漏らす、それには抵触しないんだと答弁されましたけれども、本当にそれでよろしいですか。

 私の知り合いに読唇術に詳しい者がいるんですよ。これは、画像を見て、これだけの映像があって、唇の動きを見たら、どういうことが話し合われているか、確定はできないけれども推測できる、そう言っているんですよ。

 これは、秘密を漏らすおそれ、そういうことのある映像なんじゃないですか。いかがですか。お答えください。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますが、本件の取材、報道の内容について政府としてコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、個別具体的に判断をして、その結果として、国家公務員法などに違反する行為はなかったものというふうに認識をしておる次第でございます。

逢坂委員 ということは、外務省は、この映像が流れていることを、問題なし、容認している、そういうことでいいんですね。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員法などに違反する行為はなかったものと認識している次第でございます。

逢坂委員 それでは、相木審議官、その法律に抵触しなかったという根拠を教えてくださいよ。

 こうこうこういう場面で撮影されているから法律には抵触しないんだ、こうこうこういう事情でこの映像は撮影されているから秘密は漏れないんだと説明してください。それがない限りは、全然理由、説明になっていないじゃないですか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 個別具体的に判断をいたしまして、関連の規定との関係で、違反に当たる行為はなかったものと認識をしておる次第でございます。

逢坂委員 違反がなかった根拠をもう一度お伺いします。

 どういう事実に基づいて、違反がなかった、そう言えるんですか。そこを御説明ください。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 取材活動に関連する部分あるいは報道内容に関連しましては、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、個別具体的に判断をした結果として、国家公務員法などに違反する行為はなかったものと認識しておる次第でございます。

逢坂委員 委員長、今のやりとりで委員長は御理解いただけますでしょうか。

 国家公務員法上、秘密を漏らすという事案には該当しないんだ、個別に判断をしたらそうだというふうにおっしゃる。だがしかし、それでは、それはどういう事実に基づいてそれを判断しているんだと私は聞いているんです。ただそれはない、それはないと言うだけでは、これは説明にはなりません。

 こんなことでは、これはこのまま審議できない。

竹内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹内委員長 速記を起こしてください。

 質疑を続行します。逢坂君。

逢坂委員 それでは、相木審議官に改めてお伺いするんですけれども、これは誰が撮影したか。例えばNHKが撮影した、あるいはその他のマスコミが撮影した、あるいは政府が撮影した、あるいは第三者が撮影した。これらの課題について、私は、それぞれ、先ほど、いずれにしても問題があるということを説明させていただきましたけれども、この点は御納得されますか。

 要するに、NHKだけが撮影したのかマスコミが撮影したのかわからないけれども、広くマスコミが撮影した。でも、外交機密を含むような場面をマスコミに撮影させるということの是非、これについてはどう思うか。あるいはまた、政府が撮影をしてマスコミに便宜供与した、提供した。これにも私は問題があると思っているんです。あるいは、第三者が撮影した。これは危機管理上大問題なんです。

 この三つのパターンについて、いずれも問題があると考えているか、ないと考えているか、お答えください。これぐらいは答えられるでしょう。内容でも何でもないです。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 この映像を撮影したのは誰かという点との関連でございますけれども、その点は、まさに報道機関であります日本放送協会がこの映像を取得するに当たってどのような取材活動を行ったかという点でございます。

 そういった点でございますので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思うところでございますけれども、いずれにしましても、今回の件の関連で国家公務員法などに違反する行為はなかったものと認識をしておるところでございます。

逢坂委員 相木審議官、私はマスコミの取材姿勢のことを言っているのではないんですよ。こういう映像が流れた、そのことについて外務省としてどう判断しているかということなんです。

 これは、広く公開の場で、どこか野っ原でやっている会議を誰かが撮って流したというなら、こんなことにはならないんですよ。これはペルーのリマのホテルの一室と思われる。いずれにしても、これは閉じられた空間であることは確かだ。

 こういうところで、秘密の会議とは言わないまでも、これからプーチン大統領との交渉に臨む前の会議で何を話し合っているか、そういう場面に、いろいろな話が出てくるでしょう、その映像が撮られて、放送で流れる、そのことについて何の問題意識もないのかということを聞いているんですよ。いかがですか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、この映像につきまして、報道機関であります日本放送協会が取材をした、その取材活動の結果として放映されたものと承知をしております。

 したがいまして、その取材活動にかかわることでございますので、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたいというふうに存じますけれども、いずれにいたしましても、国家公務員法などに違反する行為はなかったものと認識をしておる次第でございますので、その点、繰り返しになって恐縮でございます。(発言する者あり)

逢坂委員 これは、今、場内からやじが飛びましたけれども、あたかもスクープのように盗み撮りされてということでもしあるとするならば、それはそれで大問題なんですよ。あるいは、政府の側がこれを撮影してマスコミに便宜供与したというのでも、これは私は問題があると思いますよ。あるいは、マスコミに公開をしてやったんだ、それでも私は問題があると思うんですよ。

 だから、外務省として、こういう映像が流れる、このことについて何にも答えられない、こんなことで本当に安心して外務省の皆さんに日本の外交を任せられるのか、そういう気がいたします。

 では、もう一つ、これに答えてください。

 先ほど私は読唇術の話をしました。唇の動きを見て何を話しているか読み取ることができる、そういう技術であります。

 この映像を見て、外交上の漏らしてはいけない秘密が漏れない、そういうふうに言い切ることはできますか。いかがですか。

相木政府参考人 お答え申し上げます。

 この映像に関連いたしまして、職務上知ることのできた秘密の漏えいでありますとか、そういった国家公務員法あるいは国務大臣、副大臣、大臣政務官規範に違反する行為はなかったというふうに認識をしております。

逢坂委員 私、相木審議官は気の毒だと思っているんですよ。この現場にいたのかいないのかわかりませんけれども、お役目上ここへ出ざるを得なくて出てきた。本来であれば秋葉外務審議官に聞いた方がその状況というのはよりわかるだろうというふうに思うわけです。

 私は報道の内容を問うているのではありません、繰り返し言いますけれども。こういう映像が流れる、そのことについて外務省としてどう思うのか、あるいはどういう形でこの映像が撮られたと認識をしているのか。しかも、瞬間を撮られたわけではありません。長い間にわたってこの映像は流れています。途中で総理は上着からワイシャツ姿に変わっている、そういう時間軸の中で撮られているんですよ。これはやはりおかしいと思わざるを得ない。

 きょうはもう時間になりましたのでこれでやめさせていただきますけれども、委員長、これは私は非常に大事な問題だと捉えておりますので、これからも継続してやらせていただきたいと思いますし、本当であれば、上田会長には、公共放送とは何かということについてももう少し議論をしたかった、高市大臣とも、この点について、公共放送とは何かということについても議論をしたかったのでありますけれども、外務省の不誠実な答弁しか得られないので、これ以上ちょっと議論ができない状況になっていますので、質問できなくて本当に申しわけなく思います。

 時間が来ましたのでこれで終わりにしたいと思いますけれども、この問題、継続してやりたいと思います。

 ありがとうございます。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 所信表明で高市大臣は、熊本地震や台風十号などの災害に触れ、国民の生命、生活を守るとして、被災自治体の財政運営に支障が生じることのないよう、適切に対応してまいりますと述べられました。

 きょうは、公共施設の耐震化と災害関連死対策について質問をいたします。

 熊本地震では、地域医療の中核を担ってきた熊本市民病院が損壊しました。入院患者は、転院を余儀なくされ、転送中あるいは転院先で容体が悪化し、命を落とす例もありました。

 消防庁にお尋ねします。

 防災拠点となる診療施設の耐震化の状況について、説明をしていただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 平成二十七年度末時点の耐震化状況調査結果におきましては、防災拠点となる公共施設等としての診療施設につきましては、二千七百六十四棟のうち、八八・〇%に当たる二千四百三十三棟が耐震化されている状況でございます。

田村(貴)委員 すなわち、三百三十一の自治体医療施設がいまだ非耐震の状況にあるということであります。

 熊本市民病院は、一部が旧耐震基準でつくられた建物でありました。四歳の女の子の命が亡くなった悲しい話があります。命を守る病院がその使命を果たすことができなかった痛苦の教訓について、高市大臣、ちょっとお話を聞いていただきたいと思います。

 四歳の女の子が入院していたんですけれども、心臓の病気で手術をし、そして肺炎となって集中治療室で治療に当たっていた。そんなやさきに熊本地震が襲いました。入院患者さんは、退院し、あるいは転院を余儀なくされたわけであります。

 この女の子は、救急車に乗って、手厚い医療スタッフに囲まれて、百キロ離れた福岡の病院に転院をいたしました。渋滞です。そんな中、二時間かけて病院に着いたわけでありますけれども、転院から五日後に息を引き取られたということであります。回復して幼稚園の入園を楽しみにされていたということであります。

 大臣、この女の子のお父さんは、病院さえ機能してくれれば移動する必要はなかった、お母さんは、病院は災害の際に命を救う拠点である、同じことを繰り返してほしくない、そうしたコメントが報じられているところであります。

 災害時にかけがえのない役割を果たす自治体病院がしっかりとその機能を果たせるように、直ちに一〇〇%の耐震化に踏み出すべきではないでしょうか。いかがでしょうか。

高市国務大臣 今委員がおっしゃった、かわいい盛りの、そしてまだ長い将来のあるお子さんがお亡くなりになったこと、心からお悔やみを申し上げます。

 公立病院を含めての診療施設でございますが、災害発生直後から被災者の方々に必要なサービスを展開する拠点となりますので、耐震化によって業務継続を可能とするということは極めて重要でございます。

 耐震化を含めた病院施設の建設改良に要する経費については、病院事業債が活用可能でございますが、その元利償還金については、地方交付税措置を講じています。

 このうち、医療計画において災害拠点病院等として位置づけられた公立病院の耐震化に要する経費に関する起債については、通常よりも充実した地方交付税措置を講じております。

 こうした財政支援を活用していただいて、地方公共団体におかれましては、必要とされる耐震化をしっかりと進めていただきたいと考えていますので、引き続き取り組みを支援してまいります。

田村(貴)委員 この女の子にとってみたら、長時間の搬送に耐えられる容体ではなかったんだろうというふうに思うわけです。

 実は、熊本市は、震災前の二〇一五年度中に病院の新築工事に着手する予定でありました。しかし、直前に延期を決めたんですね。なぜなんでしょうか。

 これは、建設需要の高まりから資材が高騰して、建設費が当初よりも大幅に膨れ上がってしまった、それで延期を決めざるを得なかったということであります。

 耐震化に踏み出したくてもなかなかできない、こうした背景があることもぜひ知っていただきたい。念頭に置いて、自治体を財政面から支援していく必要があると思いますけれども、総務省、いかがでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣から答弁がございましたように、耐震化を含めました病院施設の建設改良に要する経費につきましては、病院事業債が活用可能でございます。その元利償還金に対する一般会計からの繰り出しにつきまして、地方交付税措置を講じるという形になっております。

 特に、医療計画において災害拠点病院等として位置づけられました公立病院の耐震化に要する経費に関する病院のこの事業債につきましては、一般会計からの繰り出しの割合を高めますとともに、その繰り出しについて、通常よりも充実した地方交付税措置を講じているという状況でございます。

 それぞれの公立病院におきましては、こうした地方財政措置も念頭に置きながら、必要とされる耐震化を進めていただきたいと考えております。

田村(貴)委員 前の委員会では、庁舎の耐震化についてお伺いしました。きょうは、病院の耐震化についてお尋ねしました。

 防災拠点となる公共施設というのは、ほかにもたくさんあります。社会福祉施設、文教施設、体育館等々であります。警察の庁舎もそうであります。そのいずれもが一〇〇%に至っていません。全体で一割、一万六千六百二十四の施設がいまだ非耐震という状況にあります。全ての公共施設の耐震化が達成するように強く求めたいというふうに思います。

 先ほどの女の子の御両親は、災害弔慰金を申請して、災害関連死が認められました。きょうは、その災害関連死、そしてその対策について尋ねていきたいというふうに思います。

 避難生活の疲労や環境の悪化などによって、病気にかかったり持病が悪化するなどして死亡する災害関連死、この災害関連死というのは、阪神・淡路大震災で九百二十二人と言われています。新潟県の中越地震では五十二人、東日本大震災では三千五百二十三人。そのたびに大きな問題となってまいりました。熊本地震では、今現在、百四十四人に上っているところであります。

 多くの国民の知るところとなった災害関連死、震災関連死という言葉でありますけれども、どうやら政府においては統一した見解になっていないというふうに思われます。

 まず、復興庁にお尋ねします。

 東日本大震災における災害関連死の定義づけはどうなっているんでしょうか。集計はどうされていますか。お答えいただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災における震災関連死の調査についてでございますが、復興庁として、平成二十四年三月以降、半年に一度、各都道府県を通じて市町村ごとの数字を調査、集計して公表しております。

 この調査におきます震災関連死の定義でございますが、建物倒壊や津波による直接的、物理的な原因ではなく、震災による負傷の悪化や避難生活等の身体的な負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給対象となった方ということで、調査を行っているところでございます。

田村(貴)委員 集計について、今、御答弁ありましたか。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げましたが、半年に一度、各都道府県を通じて市町村ごとの数字を調査、集計して公表しているということでございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 今、統括官が答弁されたことについては、お配りしている資料の1にその資料がございますので、委員の皆さん、御確認いただければと思います。

 それでは、またお尋ねしますけれども、復興庁はこの震災関連死をなぜ定義づけすることになったのか、その背景と理由について説明していただきたいと思います。

関政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災における震災関連死でございますが、震災後、被災地などからさまざまな情報が私どもにも寄せられておりました。そういう中で、平成二十四年二月に復興庁ができまして、三月にこの調査を行ったという経緯でございます。

 また、その結果を踏まえまして、助かった、助けられた命の中で、お亡くなりになっている方がいらっしゃることを真剣に受けとめまして、将来の災害に向けた対応策などを検討する必要があると考えまして、関係府省を構成員とします震災関連死に関する検討会を設けて分析をし、これまで調査も進めてきた、こういう経緯でございます。

田村(貴)委員 自治体などからさまざまな震災に関連しての死亡事例等情報が寄せられた、これを真剣に受けとめる必要があった、そして対応が必要になったといったところのお答えであったなというふうに思います。これは、震災の教訓から得られた重要な前進ではないかなというふうに私は受けとめました。

 それでは、内閣府防災の方にもお尋ねします。

 東日本大震災以外の災害においては内閣府防災の所管に当たるというふうに思いますけれども、震災関連死、災害関連死という表現を組織内で用いておられるでしょうか。その定義づけはされたんでしょうか。また、今復興庁がお答えになりましたけれども、災害関連死の取りまとめをしておられるんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましては、災害によりお亡くなりになった方の御遺族に対しまして支給をしております災害弔慰金につきまして、年度ごと、災害ごとに、支給件数及び支給額につきまして取りまとめを行っております。

 その中では、お尋ねのございました災害関連死ということにつきましては定義づけはございませんので、災害関連死の数についての取りまとめもないところでございます。

田村(貴)委員 私、内閣府防災の方に、例えば熊本地震における災害関連死の数について取りまとめを資料としてお願いしますとしたら、お持ちいただいた資料は、熊本県のホームページに載っているものをプリントアウトして持ってきていただきました。

 それを見ますと、分類の1というところは、「警察が検視により確認している死者数」、これはいわゆる直接死と言われるものですね。二番目、「災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による死者」となっています。3として、「2のうち市町村において災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの」というふうになっています。

 この3の数が、いわゆる災害関連死者の数としてマスコミなど世間的に用いられている数字ということで理解していますけれども、それでよろしいでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 内閣府といたしましては、先ほど申し上げましたように、災害関連死自体を定義づけてはいないところでございます。

 お尋ねいただいております資料でございますけれども、熊本県におかれまして記載がありましたとおり、災害による負傷の悪化または避難生活等における身体的負担による死者のうち市町村において災害弔慰金法に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの、この数を分類されたものと受け取っております。

田村(貴)委員 はっきりしたのは、内閣府防災においては災害関連死、震災関連死の定義づけをしていない、したがって、その数については掌握をしていないということですけれども、熊本県の発表によって、こういう分類からしたら、災害関連死というのは大体3になるということになると思います。

 東日本大震災においては、災害関連死、震災関連死の定義はあるんですけれども、それ以外の災害においては、この定義がなされていないということであります。

 そこで、内閣府にまたお尋ねしますけれども、長い歴史の中で災害が幾つも起こり、そして近年は、阪神・淡路大震災から始まって、災害関連死、震災関連死というのが多くの国民の知るところになっています。学界や、あるいはマスコミの報道でも、この言葉はたくさん用いられています。災害関連死を生まないためにという施策も、去年の熊本地震でも、そして東日本大震災でも、復興庁は取り組んでこられたんです。

 私は、復興庁の先ほど述べていただいた定義というのは、これは政府全体のものとして考えていいのか、そこで今疑問があるわけなんですけれども、内閣府はどういうふうに捉えているんでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 災害関連死の定義ということでございますけれども、大切なことは、災害が直接的な原因となる以外で亡くなる方を少なくしていくことだというふうに考えております。

 避難所等での厳しい生活環境がその後の健康状態にも影響を及ぼすため、今般の熊本地震におきましては、避難所の暑さ対策等の環境整備や、応急仮設住宅への早期の入居に努めていったところでございます。また、災害発生後は、避難している方の心身の健康管理が大変重要であり、保健師などが中心となりまして、避難所や公園、駐車場等を巡回し、健康状態の把握、心のケアなどを実施したところでございます。

 災害時の対応につきましては、災害の規模、態様、発生場所などが千差万別であるためにさまざまでございますが、過去の災害における知見などを生かし、災害が直接的な原因となる以外で亡くなる方が一人でも少なくなっていきますように、今後とも、政府、自治体、関係者がしっかりと連携して取り組んでまいります。

田村(貴)委員 災害後に亡くなる方をなくしていくことについては大事である、共有できますよね。そして、そのための対策も大事であるし、対策もとってきている。私は、やはり構えと予算措置の点で復興庁との違いがあるというふうに思うわけなんです。

 高市大臣、今お話を聞いていただいたと思うんですけれども、災害関連死は本当に多くの国民の知るところとなっています。しかし、政府の受けとめは今二通りであります。一つは意義づけをする、しかし、一つは定義づけをしないといったところであります。

 私は、被災者が災害によって受ける施策というのが変わってはいけないというふうに思うんですけれども、大臣は、今お話を聞いて、いかがお感じになりましたでしょうか。

大庭政府参考人 災害による被害状況の把握、情報収集は、私どもとしましても災害応急対策を進める上で重要な情報でありまして、消防庁は、市町村からの情報をもとに都道府県が取りまとめた報告を受け、取りまとめを行っております。

 その中で、人的被害の状況は重要な情報でございますので、全国で統一的な運用が図られるよう、災害報告取扱要領やその運用に係る通知におきまして、死者の定義を「当該災害が原因で死亡し、死体を確認したもの又は死体は確認できないが、死亡したことが確実な者」とした上で、「当該災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき災害が原因で死亡したものと認められたもの」につきましても、市町村の方で死者として計上することをお願いしているところでございます。

 引き続き、被害状況の迅速、正確な把握に努め、適切に対応してまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 大臣の方はちょっと今手が挙がらなかったんですけれども。

 先ほど復興庁の方から話があったんですけれども、復興庁の震災関連死に関する検討会の報告書、その趣旨にこういうくだりがあります。「「助かった、助けられた命」の中で、お亡くなりになっている方がいることを真剣に受け止め、将来の災害に向けた対応策等を検討する必要があると考えた。」ここが私は重要だと思うわけです。助かった、助けられた命をその後の生活において失わせない、この行政の決意というのが非常に大事だというふうに思うわけです。

 結果は、災害弔慰金を申請して受け取られた方が震災関連死、災害関連死として数としてはなるんだけれども、では、その数を把握する中で、どういう災害だったのか、直接死があって、災害関連死が生まれそうになっているこの事態をどうやって防いでいくのか、先ほどの女の子みたいな悲劇を繰り返さないためには何に今手を打っていかなければいけないのか、この教訓を一つ一つの災害でちゃんと前に進めていかなければいけないと私は思うんです。ですから、いつまでたってもこの問題は続いていっているわけなんですよ。

 復興庁の取り組み、もうちょっとお伺いしたいと思うんです。

 資料の2、お配りしています。被災者支援総合交付金事業、復興庁の取り組みであります。

 各省庁が一緒になってやっているわけなんですけれども、今年度は二百億円であります。被災者支援の施策を自治体が企画立案し、そして政府が全額交付する、このスキームになっています。これは、自治体にとってみたら、災害を受けたところは大変助かる制度だというふうに思うわけです。この被災者支援総合交付金事業についてお伺いします。

 避難生活の長期化等に当たって、被災者の生活再建を切れ目なく支援するというふうに図られています。災害関連死、震災関連死を生み出さないという点では、どのような施策を行っているんでしょうか。

関政府参考人 お答えいたします。

 御案内のとおり、今なお約十二万七千人の方々が避難生活を余儀なくされております。避難の長期化や、あるいは災害公営住宅などへの移転など、復興の進展に伴う新しい課題への対応が必要になってまいります。

 そういう復興のステージ、地域の実情に応じた対応をきちんとするために、今御紹介いただきました被災者支援総合交付金を用いまして、自治体などによる被災者支援に関する取り組みを一体的に支援しているところでございます。

 具体的には、まず被災者の見守り、あるいは住宅再建、生活再建に向けた相談支援、あるいは、被災者の方々の移転に伴うコミュニティーの形成や既存のコミュニティーとの融合など、生活の重要な要素であるコミュニティー形成の支援、人と人とのつながりをつくり、生きがいを持って暮らしていただくための心の復興などについて支援をしております。

 こういうものが被災者の方々が抱えておりますストレスを軽減して、あるいは不安を軽減して、それぞれの方々が地域においてしっかりとした心身のケアを受けていただいて、新しい取り組みを、それぞれの方々に生活を充実していただくということで進めてきているわけでございまして、我々は、引き続き、自治体など関係のところと連携をしましてこの取り組みを進めてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 わかりました。

 やはり大事なのは、被災者の生活不安、それからストレスの解消といった中で、こうした取り組みをされているということであります。

 それで、この交付金事業の成果についてはどのように掌握されているでしょうか。

関政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な取り組み事例なり成果でございますが、私どもいろいろ伺っておりますと、まず、仮設住宅におきまして、巡回して高齢者の方々の見守りをしていただいているケースがございます。また、災害公営住宅の整備状況に関する情報を提供申し上げたり、専門家の方による生活再建の相談をしている、こういう事業もございます。

 また、災害公営住宅の入居者の交流会の開催や、自治会の立ち上げに対する支援も行っている。あるいは、手工芸品の制作を行う取り組みや男性向けの料理教室、さまざまな取り組みがその地域の実情に応じて進められているということでございまして、それぞれの地域の方々からお話を伺いますと、一定の成果を上げていただいているものと認識をしております。

田村(貴)委員 一定の成果が上がっているというお答えでありました。

 熊本地震の場合は、犠牲者に占める震災関連死の割合は七一・二%、これは非常に高いわけですね。阪神・淡路大震災の一四・三%、東日本大震災の一五・九%に比べても非常に高い割合になっています。

 こうした関連死をやはり生まないように、被災者に寄り添ったフォローが求められます。それは行政と人間の手によって必ず達成できるというふうに思うわけです。

 内閣府の方にお尋ねしますけれども、今、復興庁からあったこの意義づけ、取り組み、検討それから事業、これは参考になる話ではないかなと思うんですけれども、いかがですか。参考になりませんか。その一点でいいです。参考になるべき取り組みかどうか。評価はどうですか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 復興庁がやっておられます、過去の災害、東日本大震災を受けた課題とか原因を分析して今後の対策に生かしていくという取り組みにつきましては、非常に重要なことだと思っております。

 私どもといたしましても、大変参考になっていくものというふうに認識をいたしております。

田村(貴)委員 やはり、家を失った、財産を失った、家族を亡くした、その被災者というのは、その災害が風水害あるいは雪害、あるいは地震であろうと火事であろうと、それは変わりないわけです。みんな同じ苦しみの中にあるわけです。そして、寂しくなり、生活不安を抱え、ストレスを抱えてしまう。それによって心身が弱まってしまって、持病が悪化して亡くなってしまうということが起こっていくわけなんですね。これをなくしていくためには、やはり制度をしっかりつくる必要があるというふうに思うわけです。

 高市大臣にお伺いします。

 今、ずっと議論してまいりました。役所によって判断は変わるわけなんですけれども、私は、やはり被災者の気持ちに政治がしっかりと寄り添うことが何よりも大事であります。災害の規模で、東日本大震災は、それはもう未曽有の、空前の大災害であったから、復興庁が立ち上がってこういうケアをしている。だけれども、ほかの災害においても同じことが言えるのではないかなというふうに思います。

 被災者の見回り、相談、心のケア、介護サポート、健康支援などの事業というのは、二百億円からの予算措置で、そして一〇〇%交付している。やはりこのような気構えというのは大事なものだろうというふうに思うわけです。オール・ジャパンの制度とすべきだと私は考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 どのような災害であっても、被災者の方お一人お一人の生活再建、日常生活への復帰を支援していくということは大変重要でございます。

 先ほど来説明のありました復興庁による被災者支援総合交付金というのは、東日本大震災の被災者の避難生活の長期化という課題を踏まえたものだと認識をしています。

 具体的に必要となる対応方策というのは個々の災害ごとにさまざまでございますけれども、今後の災害において、災害関連死の方々が少しでも少なくなりますように、例えば心のケアでしたら、それを所管する厚生労働省において、被災地方公共団体の御意見も伺いながら検討をいただきたいと思いますし、内閣府防災には、政府全体を見渡せる立場としてリーダーシップをとっていただきたいと存じます。

田村(貴)委員 助かった、助けられた命の中でお亡くなりになっている人がいる。ここを真剣に受けとめる、そして対応策をつくっていく、これがやはり大事だというふうに思います。

 東日本大震災でやられているこのソフト事業を、では、熊本地震はどうなのか、ほかの災害ではどうなっていますかと聞いたときに、ちゃんと答えて、まとめて対策を打っている人はいるんですか。その部署はないですよね。だから私はこの施策が大事だというふうに思うわけです。

 災害の規模の大小でいうならば、私は、東日本大震災も、それから熊本も、台風十号も、被災者にとってみたらやはり同じ苦しみの中にあるというふうに思います。

 被災者がせっかく助かった命、失われないように、その対策に国がイニシアチブをとっていくこと、そして、災害関連死について復興庁が検討してきた、そして施策を展開してきた、こうした経験を共有して、政府が役割を果たしていただく、しっかりと災害関連死対策、震災関連死対策を構築していく、そのことを強く求めて、きょうの質問を終わります。ありがとうございました。

 終わります。

竹内委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十四分開議

竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 マイナンバーについて質問いたします。

 本格運用が始まって一年、いまだ番号通知が届いていない方はどれぐらいいるか、まず伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年十一月末時点でございますけれども、約六千二十八万通の通知カードが郵送されまして、当初の返戻率、約一〇%でございましたけれども、市区町村において再送等の取り組みが行われまして、現在、約二・二%、約百三十五万件まで低減しておりますが、いまだ届いていない状況ということでございます。

梅村委員 人数にしますと、そうすると、二百万人から三百万人の方々がまだ届いていない。

 それでは、総務大臣に伺いたいと思います。

 マイナンバーカードの発行状況をどう見ていらっしゃるか。よろしくお願いします。

高市国務大臣 マイナンバーカードにつきましては、二月十四日時点でございますが、約千二百八十七万件の申請がされていて、約千三十九万枚が交付されています。住基カードの有効交付枚数はもう既に超えておりますけれども、まだ普及枚数としては不十分であると考えています。

 さらなる普及と利活用を図っていくということのためには、やはり便利さを国民の皆様に実感していただくことが必要でございます。

 このために、昨年九月にワンストップ・カードプロジェクトを立ち上げまして、戸籍や住民票などの証明書に関するコンビニ交付、マイナポータルを活用した子育てワンストップサービス、マイキープラットフォームの全国展開に向けた方策を昨年十二月に取りまとめたところです。

 また、民間サービスにおける展開やスマートフォンなどのアクセス手段の拡大も含めた、マイナンバーカード利活用推進ロードマップの策定を指示いたしました。

 これから、一人でも多くの方々にマイナンバーカードの申請をしていただけるよう、関係省庁の連携を強化、深化し、取り組みを加速するとともに、取得促進に向けての広報についても取り組んでまいります。

梅村委員 そうしますと、国民の大体一〇%ぐらいかというふうに思いますけれども、ただいまの答弁で、利活用を進める中で広げていくという御答弁だったかというふうに思います。

 改めて、国民の皆さんがみずからマイナンバーにまだ積極的になれない問題として、やはりメリットとリスクを比べた場合に、リスクの方が大きい、特にプライバシーの保護や個人情報保護への不安が、利活用が進めば進むほど、やはり大きくなっているからだという点をぜひ考えたいというふうに思います。

 そこで、内閣府にお願いしていたんですけれども、先ほど大臣の方から利活用の計画などの御答弁がありましたので、質問は割愛させていただきたいと思いますけれども、ただいまの御答弁にもありましたように、二〇一六年のマイナンバー法の改定により、マイナンバーで管理される個人情報は既に、社会保障、税、災害対策の三分野、九十九もの行政事務に今拡大されてきております。これらを、情報ネットワークを利用して七月からは国と地方自治体がつながって、他組織が保有する個人情報の照会、突合が行われるようになり、この行政機関、団体の種類については、百二十項目もの列挙がされております。また、金融機関の預貯金口座に個人番号を付番することも可能にしました。

 そして、二〇一六年の日本再興戦略の閣議決定でも、今後、戸籍や旅券、在外邦人の情報管理、証券分野等において、マイナンバー利用範囲を拡大するということもされております。

 こういうふうに、今の御答弁やこういう数字を振り返ってみますと、先ほど住基ネットのお話もありましたけれども、それと比べても、物すごい利用計画、その個人情報というものも物すごいものがこのマイナンバーによってつながれていくということは既に明らかでありますし、利用拡大がさらに進んでいる状況があるというふうに思います。

 そのときに、利用拡大と個人情報の保護の関係について、二〇一一年の社会保障・税番号大綱では、個人情報の有効性が高まれば、扱い得る情報の種類や情報の流通量が増加し、情報の漏えい、乱用の危険性も同時に高まることから、情報活用の場面における不正は妨げなければならない、もしこれをおろそかにするならば、国民のプライバシーの侵害や、成り済ましによる深刻な被害が発生する危険があるというふうに指摘しております。

 つまり、その利用対象が広がれば広がるほど、やはり、国民のプライバシーや、成り済ましによるような被害も発生する危険が非常にあるということを当初から指摘しているのだと思います。

 そこで、改めてお伺いしたいと思いますけれども、そもそも、マイナンバーというのは個人情報の保護が前提だと議論されてきたというふうに思います。逆に言えば、個人情報の保護に危惧があるならば、利活用を拡大してはいけない制度なのかどうか、そこの関係を御答弁いただきたいというふうに思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、マイナンバーの利活用ですが、大臣が御答弁いたしましたのはマイナンバーカードでございまして、主に利活用されるのは、マイナンバーそのものではなく、公的個人認証であることをまず申し添えたいと思います。

 その上で、マイナンバーそのものの利活用に当たりましては、当然、マイナンバー法上は、個人情報保護法、これは行政機関もございますし、独法もございますし、通常の個人情報、これは民間を規定しておりますが、これらの個人情報を前提に、それらの個人情報保護法制の特例を定めることを目的の一つとしておりまして、マイナンバー法自体にこれらの個人情報保護法制の特例が定められております。

 具体的には、マイナンバーの利用範囲を法律で限っていること、個人番号利用事務の再委託の制限とか委託先の監督、個人番号利用事務実施者の安全管理措置を講じる責務、それからマイナンバーの提供を求めるのも法律で限定されてございます。それから、本人からマイナンバーの提供を受ける際の本人確認義務、マイナンバーつきの情報の提供を制限していること、これも法律で提供できる場面が限られてございます。それから、特定個人情報保護評価等のマイナンバーつきの個人情報の保護に関する規定、同じく、マイナンバーつきの個人情報の取り扱いに関する個人情報保護委員会の監督等に関する規定などを定めて、マイナンバーやマイナンバーを含む個人情報の適切な取り扱いを求めているところでございます。

梅村委員 今の御答弁でも、やはり個人情報がしっかりと守られることが前提だということのたてつけになっているかというふうに思います。

 そもそも、住基ネットですよね。住民票コードは民間で利用されないというシステムですし、また、システムで住民票に結びつけられているものは、個人情報は氏名、生年月日、性別、住所の四情報に限定されていたと思います。そういう住基ネットの中のカードでも偽造、券面の改ざん、成り済ましによる不正取得が起こり、総務省の調べでも、〇九年から一二年の四年間に二百二十六件の問題、そして、そのうち成り済ましが百三件あったというような調査も聞いております。

 やはり、意図的にこういう情報を盗み得る人がいる。その背後には、やはり暴力団だとか窃盗グループによる組織的犯罪がこういう情報を狙っているというものも、事実、住基ネットをめぐってもこの間あったかというふうに思います。

 そういうことを踏まえると、より一層の、あらゆる情報が官民を超えて極めて容易に名寄せされ、集積され、一つの番号で一生にわたって管理されるという、やはりマイナンバーについてはもう徹底的に、個人情報の保護というものに厳しい縛りをかけていくことが必要な制度だというふうに思います。

 そこで、今、個人情報の保護への対策が後回しになっているんじゃないかということで危惧の声が上がっている特別徴収の問題について、質問に移っていきたいというふうに思います。

 事業者には、市町村から、特別徴収義務者として住民税などを天引きするために、特別徴収税額通知書が送付をされます。その通知書に、今回から個人番号が一斉に印字されて送られようとしております。

 それをめぐって、中小零細業者の皆さんや保険医団体の皆さんから、非常に困っている、中止してほしいという要望が総務省の方にも寄せられているということも聞きましたけれども、どんなことに事業者の皆さんは困り、要望が上がっているのか、そういう御要望の声の中身について御紹介いただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー、今御紹介がありました特別徴収義務者の方に、課税当局であります市区町村の方から今回通知をされるということになってくるわけですが、そのマイナンバーの取り扱いをめぐりまして、これは番号法、そしてそれに基づきますガイドラインがございますが、そういったいわば責務をしっかり果たす必要があるわけでございまして、その点について不安をお持ちのお声があるというふうに承知しているところでございます。

梅村委員 そういう御不安だということを御答弁いただきました。

 そして、今お話がありましたけれども、ガイドラインを守らなければいけないということとの関係では、ガイドラインにどんなことが求められていて、そして、では、それとの関係でどんなことを困っているのかという点ではもう少しいかがでしょうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ガイドラインにおきましては、安全管理措置の内容ということで、基本方針の策定、あるいは取扱規程といったものを策定しなければいけない、組織的安全管理措置について置かなければいけない、それらについてのその組織体制を整備する等々の内容、あるいは、人的安全管理措置といったようなことで、事務取扱担当者の監督等々、規定があるというふうに承知しているところでございます。

梅村委員 そういう安全措置をとらなければいけないのに、マイナンバーの番号が、働いている人たちが知らないうちにもう全部その納付書に一斉に印字がされて、しかも、市町村からは基本的に普通郵便で送られようとしているということをめぐって、本当にガイドラインが守れるような措置が事業者としてできるのか、危ないんじゃないかというような声が今上がっているということだというふうに思います。

 マイナンバーをめぐっては、事業所単位で見てみますと、民間の他人、民間人、行政ではなくて民間の他人には知られたくないというふうに思っていらっしゃる人も事実おられます。それは企業の責任ではないと思います。国民の不安の、反対の中で決めたやはり国の責任であるというふうに思います。

 施行一年でそういうマイナンバーについて理解していない従業員がまだいるのに、本人の意思とは無関係に、事業所に一方的に、一斉に特別徴収の通知に、この春、マイナンバーも印字して普通郵便で送る、これは情報漏えいのリスクがないのか。本当にこのようなやり方をしていいのか。やはり準備不足じゃないか。

 しかも、ここに個人番号を書かなくても、今までどおり特別徴収ができるじゃないか。なぜ、こんな管理を厳しく求められているものについて、こんなに急いで、早急に書かなきゃいけないのか。別に、書かなくても特別徴収の天引き事務はできるじゃないかという声が上がっているわけですけれども、私はこの声は当然だなというふうに思いますけれども、当然だとは思いませんか。

林崎政府参考人 まず、今回の特別徴収義務者につきましてでございますけれども、これまでも、課税当局であります市区町村と一体となって賦課徴収等の事務を行う中で、個人情報の適切な管理に努めてきていただいている、こういうこれまでの経験というのがまず一つございます。

 その上で、個人住民税の特別徴収義務者につきましては、番号法の個人番号関係事務実施者という位置づけでございまして、所要の安全管理措置が求められるということになるところでございます。

 特別徴収義務者となります事業者につきましては、これは同時に、その他の税務事務あるいは社会保障分野においても個人番号関係事務実施者として安全管理措置を講じる必要があるということでございまして、特別徴収税額通知にマイナンバーが記載されるということのみの問題ではないという部分が一つはございます。

 それから、安全管理という点に関してでございますけれども、先ほどもお話に出ましたが、具体例も示したガイドラインが策定されている、それから事業者における必要な対応を説明する動画、あるいは、やはり中小規模事業者の対応力という問題もございますので、そういった中小規模事業者にも配慮したわかりやすい資料などによって、周知が関係府省からも行われているという状況でございます。

 それから、先ほど御紹介したガイドラインでございますけれども、適切な安全管理のために、中小規模事業者に対しましては、規模に応じた対応方法、実務への影響なども配慮されているという状況でございまして、そういう中小規模事業者に対する配慮といったことも種々なされてきているところでございます。

 それから、管理リスクという点もあろうかと思います。この点について申し上げますと、市区町村それから個人番号関係事務実施者でございます特別徴収義務者に対しまして、番号法に基づいて、所要の安全措置を講じることがまず義務づけされているということがございます。

 そういった中で、特別徴収税額通知の郵送方法につきまして、市区町村の特定個人情報保護評価書、これは個人情報保護委員会の方で適切性をチェックしまして、その上で承認されているものでございますけれども、その評価書に記載をされた全ての措置を講じるものとされておりまして、市区町村の責任で、適切な対応、適切な方法で送付されているというふうに理解をしているところでございます。

梅村委員 質問したのは、そういうふうに送られてきている人たちがこういう困るという声を上げるのは当然じゃないかという質問をしたんですね。今お話があった、これまでも経験していることじゃないかとか、マイナンバーによって起こっている問題じゃないというふうにもし言われるのであれば、それは全然現場の状況を見ていない御回答だというふうに私は思いますよ。

 マイナンバーが実施されることによって、一体、どれだけのいわゆる管理措置が中小零細業者の人たちにこの間課せられていたのか。それを担保にしてマイナンバーを進めていきますよ、個人情報を守りますよと。

 今、ガイドラインということをおっしゃいましたけれども、例えば、ポスターをつくっていらっしゃいますよね、マイナンバーをしっかりと事業所はやってくださいと。そのことには六つのチェックリストというものがありまして、マイナンバーを扱う担当者を決める、マイナンバーを従業員から取得する際は利用目的を伝え、番号の確認と身元の確認をする、マイナンバーが記載された書類は鍵がかかる棚や引き出しに保管する、ウイルス対策ソフトを最新版にするなどセキュリティー対策を行う、退職や契約終了で従業員のマイナンバーがなくなったら確実に廃棄しましょうという、こんな大きなポスターができて、六つチェックして、あなたの事業所はちゃんとできているか、こういう準備をマイナンバーの実施までやりましょうということを呼びかけているわけですから、こういうことを事業者の皆さんは聞けば、ああ、責任管理義務がある、もうしっかりやらなきゃいけないなと。

 そういうことで必死になって準備をしてきたのに、準備が間に合っていないというふうに悲鳴を上げている。そこに一方的に、管理責任がとてもあるマイナンバーという数字が印字して送られてきたら。

 私が質問しているのは、やはりこれだけ一生懸命、事業者の皆さんはやっている。そもそも特別徴収というのは、税金を集めるのは税務署がやるべきものを、その徴収は事業者が肩がわりして納めてもらっているという位置づけのものだと思うんですよ。協力してもらっているわけですよ、事業者の皆さんに。何で、そういう事業者の皆さんに、そもそもこういうセキュリティーでも増税しておいて、そして今、不況で、ただでさえ営業が大変な中でこれだけの準備をしている中で、準備ができないので待ってください、一方的はおかしいんじゃないですか、こういう声さえも聞くことができませんか、地方税の徴収の中で。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のお話ですけれども、番号法が目的といたします公平公正な課税につながるということで、そういったことを期待しまして、個人住民税の税務手続を通じて事務の効率化につなげていく、こういう考え方がまず一つございます。

 それから、今の御懸念、るるあろうかと思いますけれども、そういった意味で、特別徴収義務者用の特別徴収税額通知へのマイナンバーの記載につきまして、特別徴収義務者及び市区町村に対しまして、私どもとしても、引き続き、制度の趣旨を丁寧に説明するとともに、この五月の事務の実施に向けて、御理解と御協力を求めてまいりたいと考えているところでございます。

梅村委員 間に合わないと事業者の人で言っている人がいるわけですから、説明を幾らしてもだめなんですよ。

 もう何カ月と決まっていて、準備が追いついていないから何とかしてくれという意見、一旦中止をしてほしいだとか、郵送の仕方を見直すべきだとか、そういう具体的な声が上がっているわけですから、そこに、法律でこういうふうに決まっているからやりなさい、やりなさいと言ったら、中小業者の皆さんたちを追い詰めることになるだけじゃないですか。一生懸命、お給料から天引きして、納税して、肩がわりをしてくださっているのがそういう方々ですので、よく見る必要があると私は思います。

 そもそも、確認したいと思うんですけれども、個人番号はそもそも慎重に扱うべきものだと思います。番号カードの世帯への配付のときは簡易書留だったと思うんですよね。なぜそれが今回は普通郵便でもいいというような判断がされるんですか。

林崎政府参考人 特別徴収税額通知につきまして、先ほど述べたとおりでございますけれども、それぞれの市区町村におきまして、ガイドラインに沿いまして、そして、個人情報保護委員会が承認をした評価書、特定個人情報保護評価書に記載された全ての措置を講じるという中で、送付の対応を図っているということでございます。

 その上で、確かに、個人番号通知カードの通知につきまして、これは個人に対しまして初めて個人番号が通知をされるというもので、確実に御本人に送付ができるよう、簡易書留等の信頼性の高い手段によって送付されたものというふうに承知をしているところでございます。

梅村委員 確実にということでしたら、やはり今度も、いわゆるマイナンバーというこの重い位置づけからすれば、本来、情報漏えいのリスクを極力になくす点からいえば、やはり、普通郵便で送られてきたら誰が見るかわからない、どうするんだという悲鳴の声が上がるのは当然だし、それに応えて自治体がでは簡易書留で送ろうかというふうに思うと、市町村の場合は郵送料がすごくかかっちゃうわけですよ。

 であるならば、国の制度としてマイナンバーはスタートしたわけですから、私たちは、これは一旦凍結したり、準備がされていないというわけですから、その声を聞くべきだと思いますけれども、もし万が一郵送する場合も、簡易書留にしたいという市町村があれば、そういう財政措置も含めて、しっかりと個人情報の管理に責任をやはり国が持っていくというような措置ができなければ、現場は守れない、こんな重要なものはということをお伝えしておきたいというふうに思います。

 それで、そもそも、この準備に当たっては、しっかりと事業者がどれぐらい準備ができているのかということを握っておく必要があると思いますけれども、これはどこかつかんでいますか。ガイドラインに基づいて、どれぐらいの準備が事業者はできているか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業の数というのが四百万社近くございますので、安全管理措置の実施状況を網羅的に把握することは困難でございますけれども、当委員会といたしましては、マイナンバーの適正な取り扱いに関しまして、中小企業を含めまして、広報に全力を挙げて取り組んできたところでございます。

 例えば、中小企業にも配慮しましたガイドラインを定めまして、これまでに全国で四百八十回、参加者数でいいますと七万三千名の方に御参加いただいておりますけれども、説明会を実施してきたほか、委員会のホームページでは中小企業サポートページというものを設けまして、わかりやすい資料の提供を行っております。

 また、委員会の苦情あっせん相談窓口にはこれまでに約二千件の御相談が寄せられておりますけれども、その中身に応じまして、必要に応じて企業に対する指導助言等も行っております。

 今後とも、こういった取り組みを全力で行ってまいりたいと思います。

梅村委員 今の話だと、調査していないんですよね。広報している、お知らせしている、さっきと同じです。お願いをしている。

 私たちの共産党の池内さおり議員が内閣委員会でこの問題を二〇一五年五月二十日に質問しているんですけれども、いわゆる実施状況、どれぐらい準備ができているのか。だって、六つのチェックリストまでポスターにして提示しているわけですから、業者の方々は、それができない、もう責任を持てないというふうに、皆さん真面目な方が多いですから、思っていらっしゃるわけですよね。どれぐらい準備したのか調べるべきじゃないかと言ったときに、当時、副大臣が答弁で、準備状況をつかむと約束しているんですよ。

 では、そういう準備状況を、そういう広報をやっているということをもってもう準備ができていると判断したのか。やはり、準備もつかまずにこの特別徴収の送付の決断をしたのか。そういう事業者の人たちの準備状況をちゃんとチェックするような、そういう機能はないんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 まず、マイナンバーの利用につきましては、去年の一月から始まっておりまして、年末調整等の事務で、企業は国税に対していろいろな調書等を出しておりますが、その際に既にマイナンバーをつけて調書を出していただいているということになってございます。

 マイナンバーそのものは、そもそも、企業とか税とか社会保険の事務で使う以上、そういう企業とかの経理担当者等に当然提出することを前提に設計されておりまして、したがいまして、マイナンバーは個人情報でありますし、特にマイナンバーのみで個人を特定できるという能力がございますが、一方で、個人を証明するものではない。したがって、マイナンバーがあるから何か被害が出るとかそういうものではない、そういう性質のものとして設計してございまして、したがって、個人情報よりも若干加重した、そういう取り扱いをしている。

 したがいまして、国税で既に源泉徴収等の、年末調整等の事務でマイナンバーを利用されておりますが、現時点で私どもの把握しているところでは、その間にそれほどの大きな混乱はなかったと承知しております。

梅村委員 そういうふうに設計されているとか、そういう責任が求められるものじゃないというようなことですけれども、それはガイドラインに書いてあることと全然違うというふうに思います。

 先ほど、六つのチェックリストも紹介しましたけれども、厳重な管理というものを現場には求めているじゃないですか。でも、自分たちが実施するときには、そういうものではないから、十分できていなくてもやれるものだというのは、大変それはおかしいし、個人情報の保護という点では無責任なまま進んでいる。そんなことを国民が知ったら、ああ、そういう状況でやっているのかというふうに思うような事態だというふうに私は思います。

 時間となりましたので、ちょっと最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 マイナンバーをめぐって、特別徴収をめぐって、とりわけ中小業者の皆さんが、特別徴収義務者の皆さんとして日ごろいろいろな努力をされている中で、この間、機械もふやさなきゃいけない、体制もとらなきゃいけないということで必死にやってきたんだと思いますけれども、ここに来て、やはり準備も間に合っていないし、一方的に普通郵便で送るのはどうかという声が出ています。

 このことについてぜひ考えていただきたいということで、御答弁をお願いいたしたいと思います。

高市国務大臣 そもそもマイナンバー制度ができたのは、税、社会保障、災害ということでマイナンバーを使う対象を限定して、公正公平な負担を実現する、公正公平な社会を実現する、本当に支援が必要な方々のところに支援の手が差し伸べられるように、そういう社会をつくるために、長い期間をかけて、まさに、民主党政権の野田内閣のときに閣議決定され、法案が提出され、一度廃案になり、また自公政権になって、自公民でも議論をして積み重ねてきた制度でございます。

 この中でやはり目的を果たしていかなきゃいけないわけです、私たちは。公正公平な社会をつくる、本当に必要な方に福祉の手が行き届く、そして災害のときに多くの方が救われる、そういう社会をつくらなきゃいけないわけです。

 確かに、今おっしゃったような負担感というものは当初はあるでしょう。そのために、平成二十七年の十二月に、個人番号の記載を求めることによって生じる本人確認手続等の納税者や事業者などの負担を軽減することを目的として、国税における取り扱いと同様に、複数の書類をあわせて提出する場合、同様の書類を複数回提出する場合において、一部の手続においてマイナンバーの記載を要しないよう見直しを行ったものでございます。

 多くの方にやはりきちっと御理解をいただき御協力をいただくということが、最終的には、税金の節約にもなる、行政の効率化にもなる、公正公平な社会づくりにもなると思いますので、丁寧な説明に努めてまいりたいと思っております。

梅村委員 まだ理解していないという方々がたくさんいて、準備が間に合わないと言っているわけですから、ぜひ、その声を聞いて、実現をしていただきたいというふうに思います。

 これで終わります。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 先ほど本会議で、交付税法等、地方税法等について質問させていただきました。終わりましてから、いろいろ与野党の先生方から、ちょっときょうはおもしろかったけれどもいつもに比べるとパンチが弱いな、こういうふうに御指導をいただきました。

 ただ、実は、我が党、去年、百一本の法案をつくったんですね、百一本の法案。つくり過ぎだと言われていますが。でも、これは本当に今国会では成立させたいんです、何本と。だから、成立させるためには、特に議員立法ですから、自民党の皆様も、ここに並んでいただいている野党の皆様も、公明党の皆様も、御理解をいただかなあかんので。

 実は、きょうの原稿には、民進党という文字が二カ所、大阪自民党という文字が三カ所、合計五カ所あったんですけれども、全て国対に削除されまして、若干のっぺらとした原稿になってやりました。

 だから、ことしは、そういう意味ではちょっとなかなか去年のようにはいきませんが、できるだけ、政治はやはりエンターテインメント性がないと国民の皆様が関心を持っていただけませんから、ことしも、特にこの総務委員会では有意義にやらせていただきたいと思います。引き続きまた、委員長を初め同僚の皆様には御指導いただきたいと思います。

 きょうは、実は十一問通告をさせていただいて、その前に、ごめんなさい、原田副大臣、通告じゃないんですけれども、私、今週月曜日に上京してまいりましたら、ちょうど月曜日の夜七時のニュースで突然、交通事故のニュースが飛び込んできて、NHKの夜七時のニュースの一番最初に。

 実は、私たちの地元の能勢町というところで、小学校、中学校が複数あったんですけれども、それを全面的に統廃合して一つの小中一貫校をつくったんです。今年度はちょうどまさに、それが開校して一年目。結局、統廃合しているから、どうやって通うかというと、スクールバスで通うんですね。そのスクールバスをおりたところで三人の児童が事故、車に、自動車にひかれてというか、ただいま入ってきましたということでニュースになりました。

 本当に関係の皆様にはお見舞いを申し上げたいと思うんですけれども、命にはかかわらなかったということでありますが、お見舞いを申し上げたいと思います。

 原田大臣、地元のことですので、総務副大臣ということで、やはり最近、高齢者の方とか、事故が多いですよね。だから、私は野党なので余りできることはないんですけれども、ぜひ政府の中で、交通事故をしっかり、地元の一を見て、それを普遍化して政策にしていくのがやはり我々の仕事だと思いますので、副大臣、ちょっとその辺、お取り組み、ないかもしれませんが、一言いただければ。

原田副大臣 通告をいただいておりませんので、お答えをするのが適当かどうかわかりませんが、私は今、総務副大臣としてこの場所へ出てきておりますので、地元案件につきましては、また足立議員と別な場所でじっくりとお話をさせていただけたらと思いますので、委員会以外のところでも、別にしょっちゅうけんかしているわけではありませんので、ぜひよろしくお願いします。

高市国務大臣 ちょっと交通事故対策一般という話になりますけれども、まず、総務省では政策評価を行っております。各省の取り組みに対して、私の方から閣議で担当大臣に勧告をすることがございます。

 例えば、軽井沢でも起きましたけれども、バスの事故、あれも、国土交通省の取り組みが必ずしも十分ではない、はっきり言って不十分だということで勧告をいたしておりましたけれども、それが改善されないままに事故が発生しました。

 そして、最近では、高齢者の方が多いんですが、高速道路の逆走が相次いでおりますので、これもちょっと、短期のテーマとして評価局に調査を指示いたしました。

足立委員 ありがとうございます。

 本当に、通告していなかったんですけれども、地元のことで大変心を痛めていまして、ぜひ政府には、今高市大臣がおっしゃっていただいて、本当に感謝申し上げます。みんな、これは問題意識を持っていただいている方は、別に私の地元に限らず、全国今多いですから、ぜひいろいろな角度から各省協力してやっていただければと思います。

 それで、きょうは十一問通告させていただいていますが、そのうちの八問はきょうの本会議とダブらせてありまして、きょうの本会議で高市大臣初め閣僚の皆様から御答弁いただきました。それで、おおむねもう、細かいところはまた改めて質問させていただきたいと思いますが、きょうは時間の関係もあるので、その八問はちょっと後にずらして時間があればということで、先に豊洲の話をちょっと取り上げさせていただきたいと思います。

 大臣、豊洲のことは、豊洲市場の認可は農水大臣である、土壌汚染対策は環境大臣である、だから総務大臣は関係ないと思われる、総務委員会は関係ないと思われる方は多いかもしれませんが、まさにこれは、何か国が言うと、いや、これは自治事務だから東京都が勝手というか、東京都がやっているんだということで、なかなか国会でこの議論がこれまで行われてきませんでした。

 しかし、実は今、東京都で、あるいは築地、豊洲で起こっていることは、もう今や東京都だけの話じゃありません。

 例えば、こういう環境問題でいうと、我が地元の豊能町、能勢町なんかでも、食品の安全じゃない、食の安全じゃないんです、ダイオキシンなんです。でも、起こっていることは全く一緒。選挙があって、前首長と現職の首長ができるわけですね、選挙で入れかわると。すると、新しく首長になった現職が、前職、選挙で戦った政敵である前職を追及するということが非常に今ふえています。私の地元でも、今、百条委員会をやっています。

 今度、東京のこの豊洲の問題では、石原元都知事が、百条委員会ではありませんが、東京都議会の委員会に呼ばれる。

 これもちょっと通告していないんですが、実はこういう政治闘争を、政治の党利党略と言うのはちょっと言い過ぎかもしれませんが、現職が前職を追及するみたいなことが余り際限なく行われると、これは大変なことに、それこそ韓国みたいになっちゃいますよ。だから、私はこれはちょっと問題意識があるんです、余りやり過ぎるのはどうかなと。地元でもそうだし、東京でもそうです。

 ちょっとこの間、総務省の法律を伺っていると、ちょうど地方自治法の当該、すなわち住民訴訟についての規定の見直しを今検討していると仄聞しました。ちょっと一言でいいので、どういうことを検討されているか、住民訴訟にかかわるところだけで結構です。御紹介ください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法等の一部を改正する法律案でございますが、昨年の三月に第三十一次地方制度調査会の答申を受けまして、現在、法案化に向けての検討を行っている最中でございます。

 内容といたしましては、一つは地方公共団体のガバナンスの強化ということで、内部統制の導入でございますとか、監査制度の改革といったことが、これは地制調の答申の中でも提言されているところでございます。

 住民訴訟についてでございますけれども、この中での四号訴訟と言っている首長個人等に対する損害賠償請求等に関する訴訟でございますが、これにつきまして、個人の責任として非常に過大な負担となる場合がある、それによっていわゆる萎縮効果を生じさせることがあるのではないか、こういう意見があることを踏まえて、軽過失の場合における責任のあり方を見直すべき、こういう答申をいただいているところでございます。

 これを踏まえて、今、具体的内容について検討しているところでございまして、今後、関係方面と調整の上で、今国会提出に向けて検討を進めてまいりたいと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 これはまさにタイムリーというか、今御紹介をいただいた地方自治法の改正案、この国会に出てくるのかもしれませんが、もちろんこれは石原さんを助けるために立案しているんじゃないですよね。いや、いいです、いいです、そうじゃないわけですが、もともと、今御紹介いただいたように、審議会で提言がされ、検討してきた。ちょうど同じタイミングで、東京都で豊洲をめぐる石原元知事に対する住民訴訟、東京都が間に入って今やっているわけでありますが、今御答弁あったように、過大な、過重な負担が首長経験者に行くのは萎縮効果を、萎縮というのは、すなわち、それが怖いので首長が萎縮して本来の行政ができなくなるというようなことだと思いますが、私がまさに冒頭申し上げた懸念、これを、総務省が問題意識を共有していただいていることを確認できました。

 もちろん石原さんのためじゃないと申し上げたのは、実は、これは多分法律ができても遡及適用されません。今うなずいていただいていますが。だから、石原元都知事はこの法律ができても救われないんですが、制度としてやはりそういうことを、今、政府も問題意識としてお持ちであるということを余り知られていませんので、御紹介のためにも取り上げさせていただいた次第であります。

 豊洲なんですけれども、きょう、農水省丸山官房審議官、環境省早水官房審議官においでをいただいています。お忙しい中、ありがとうございます。

 端的に申し上げて、まず土対法、土壌汚染対策法ですが、早水官房審議官、豊洲市場は土対法、土壌汚染対策法の規制をしっかりと守られていると私は承知していますが、そういうことでいいですね。

早水政府参考人 お答えいたします。

 土壌汚染対策法では、調査の結果、土壌が汚染されているか、また、当該汚染による人の健康被害のおそれがあるかについて、都道府県知事等が判断して区域の指定や対策の指示をする仕組みとなっておりまして、豊洲新市場の予定地につきましては、この法律に基づく調査の結果、東京都によって、土地の掘削等の形質変更を行う場合に届け出が必要な区域、形質変更時要届出区域に指定されているということでございます。

足立委員 だから、満たしている、しっかり、形質変更時要届出区域である豊洲において豊洲市場を建設する、その建設する行為自体が形質変更ですから、それについては既に届け出が行われ、手続は当該規制を満たしているということでいいですね。

早水政府参考人 お答えいたします。

 この地域ですけれども、平成二十三年の十一月に東京都が、土壌汚染対策法に基づきまして、形質変更時要届出区域に指定をしております。その後、法で求めている以上の上乗せ的な対策を含めた土壌汚染対策工事に着手をして、平成二十六年十一月に工事をされたということでございます。(足立委員「だから、満たしているでいいですね」と呼ぶ)はい。(足立委員「満たしていると言ってくださいよ」と呼ぶ)満たしているというその表現が何を意味するか、ちょっと難しいところですけれども、ここの地域は……(足立委員「ちょっと質問し直す」と呼ぶ)はい、そうですね。

足立委員 要すれば、土壌汚染対策法が要届出区域に求めている規制、これには東京都は服して、それに従って、やるべきことは十分にやっているということでいいですね。難しくないですよ。

早水政府参考人 必要な届け出は行われていると承知しております。

足立委員 そういうことで、土壌汚染対策法の規制は満たしているわけであります。

 さて、農水省の丸山官房審議官に伺いたいのは、もちろん、卸売市場の認可、これについては卸売市場法に基づいてされるわけですが、もちろんまだ申請されていません。ただ、土壌汚染あるいは地下水の水質ということについては、今あったように、環境省の土壌汚染対策法は満たしている状況です。

 そういう中で、今後、将来申請があって認可をするときに、この土壌の問題が何か障害になって認可ができないというようなことは想定できないと私は理解していますが、どうですか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 中央卸売市場は食品流通の重要な基盤でございまして、食の安全性や消費者の信頼を確保することが重要な課題でございます。

 豊洲市場への移転について、市場開設者である東京都から卸売市場開設の認可申請があった場合、御指摘のように、卸売市場法の認可基準に従って適切に判断をすることにしております。

 具体的には、卸売市場法第十条に基づきまして、農林水産大臣が策定する中央卸売市場整備計画に適合するか、生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所として開設されているか、業務規程の内容が関係法令に違反していないか、また、卸売業者、仲卸業者等の業務の適正かつ健全な運営を確保する観点から適切に定められているか、事業計画が適切で、その遂行が確実であるかについて判断することとなります。

 御指摘の土壌につきましては、土壌汚染対策法への違反が認められない場合、関係法令の一つとして、認可の障害になるとは考えてございません。

足立委員 今、きょうは両省を呼ばせていただいているわけだから、土壌汚染対策法は満たしているということであれば、改めてもうちょっと逆の側から言ってほしいんですけれども、要すれば、土壌汚染対策法は満たしている、満たしているとすれば、先ほど環境省から、満たしている、こうなったわけですが、そうであれば、今後、認可に当たって、土壌が、あるいは地下水の汚染が理由となって認可できないというようなことは、それが原因となってですよ、それが原因となって認可できないというようなことは想定できないと私は思っていますが、それでいいですか。そういう理解でよろしいですか。

丸山政府参考人 豊洲市場の用地につきましては、汚染の除去や封じ込め等の措置が講じられているとして、環境省からお答えがありましたように、土壌汚染対策法の形質変更時要届出区域には指定されているということでございます。

 この土壌汚染対策法では、こうした形質変更時要届出区域において、掘削等を行わずに利用することを否定していないということでございますので、現在の区域指定を前提とすれば、卸売市場法に基づく認可の障害になるということは考えていないということでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 加えて、実は、いろいろな方とこの議論をしていると、ちょっときょうはばたばたしていて持ってきていませんが、過去の農水省の審議会の資料に、東京都が取り組むと言っていた上乗せの部分、すなわち、国が法律で求めているわけではないんだけれども、安心というものを、安全とは違う、何か安心というものがきっとあるんでしょう、それを、都民の皆様あるいは市場関係者の皆様に安心感を持っていただくために、法律が求めていない深い取り組みをこれまでやってこられているわけでありますが、そのことが実は農水省の審議会の資料に書いてあったことがあるんです。

 それを取り上げて、やはりそれを完璧にやらないと認可されないんじゃないかという不安を抱いていらっしゃる関係者の方がいらっしゃいます。これはどういう扱いになりますか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 足立委員御指摘の資料でございますけれども、これは、平成二十三年三月二十五日に開催されました食料・農業・農村政策審議会食品産業部会における農林水産省提出資料におきまして、「汚染の除去の措置を行わず、盛土等のみを行った上、区域指定を受けたまま土地利用をすることは可能」だが、「生鮮食料品を取り扱う卸売市場用地の場合には想定し得ない」、このような記述をしているということでございます。

 こうした記述の趣旨でございますが、土壌汚染対策法では、形質変更時要届出区域において、掘削等を行わずに利用することを法律上否定はしていないということでありますため、卸売施設が建つことを否定しているものではございませんが、東京都が、生鮮食料品を取り扱う卸売市場について、汚染の除去の措置を行わず、盛り土等のみを行った状態でその用地とすることは想定し得ないという考えをこの資料でお示ししたものでございます。

足立委員 まさに、今御答弁があったように、東京都がそういうことは想定していないらしいよと。東京都のことを付記してあるということです。

 すると、仮に、そこに書いてあるような特別の、豊洲市場における東京都が特段に行っているそういう特別の取り組み、これが完璧に行われていなくても、認可基準としては、卸売市場法に基づく認可には障害にはならない、これでいいですね。

丸山政府参考人 豊洲市場の移転につきましては、市場開設者である東京都から卸売市場開設の認可の申請があった場合に、先ほど申し上げましたように、卸売市場法の認可基準に従って厳正に審査を行いまして、土壌汚染対策法を含む関係法令に適合しているかどうかについて確認をした上で認可を行うということでございます。

足立委員 要すれば、先ほど官房審議官が紹介してくださった規定は、東京都が想定していないということを書いただけだという御説明がありました。

 だから、その規定の内容が、認可に認可基準として使われることはないねと言っているんですよ。

丸山政府参考人 認可申請のあった時点でその状況が変わらなければ、そういうことでございます。

足立委員 えっ、ごめん。何が変わらなければ。

丸山政府参考人 東京都が想定していることについて、土壌汚染対策法上、法令に違反がないという状況が認可申請時に変わっていなければということでございます。

足立委員 ちょっと、頼むよ。もっとわかりやすく答えてよ。

 要すれば、あそこに書いてあったのは、先ほど冒頭、官房審議官が紹介してくださったあの書きぶりは、想定していないのは、農水省が想定していないんじゃなくて、東京都が想定していないと聞いているということです。その東京都は今議論しているわけですよ、どうしていくか。それがどう取り扱われるかにかかわらず、既に土壌汚染対策は満たしているんだから、認可に影響はないねと聞いているんですよ。

丸山政府参考人 土壌汚染対策法に違反していないというばかりにおいては、おっしゃるとおりでございます。

足立委員 ありがとうございます。ちょっと時間がかかりましたが。あと五分なので。

 一方、これから私は、この豊洲市場、築地市場のことをしっかりと、これは別に東京都のためだけに私は議論しているんじゃないんです。冒頭申し上げたように、私の地元の豊能町、能勢町も一緒なんです、これは。だから、こういう環境の問題は、自治体がもちろん主体的に当事者、自治事務でやっているんですが、国もいろいろな、特に私の地元は国のお金も入っています。だから、一体こういうことについてどうしていくんだと。

 地方の、地域の上乗せ規制の取り扱いという意味ではこれは結構普遍的なテーマですから、ぜひ委員の皆様にも御理解いただいて、あと五分おつき合いをいただきたいと思います。

 私、実は、混乱している議論を整頓していくために一番重要なのは、豊洲と築地を比較するということが大事だと思うんですよ。だって、築地から豊洲に移転するので騒いでいるわけですから。

 実は、築地の地下水、これは調べたことがありません。築地の地下、地下水の水質を調べたことはありません。ただ、どうも伺うと、土壌汚染対策法に従い、大規模な形質変更があったことが過去に四回あります。その四回においては、東京都知事が、豊洲じゃないですよ、築地の地下水、これを調べるように命令することは土壌汚染対策法上可能だという規定になっています。

 東京都はどういう対応をしたか、ちょっと簡単に御紹介ください。

早水政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のとおり、土壌汚染対策法の第四条第二項におきましては、都道府県知事は、土地の形質変更の届け出を受けた場合、当該土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるときは、土壌汚染状況調査を命ずることができるとされております。

 東京都にお聞きしたところでは、この環境省令で定める基準に従って審査をしておられまして、届け出四件、今御指摘のありました四件のうち、三件については土壌汚染状況調査の命令を発出していない、また、残りの一件についてはまだ審査結果が出ていない状況と聞いております。

足立委員 なるほど。それは初めて知りましたが、だから、最新の一件についてはまだ審査中ということであれば、東京都知事が築地についても地下水の水質を調べろと、調べるというのは自分が調べるわけですけれども、そういうことをやる余地があるようですので、私は、ぜひこれを調べていただいて、築地の地下水と豊洲の地下水をしっかり比べていくことが今回の議論を前に進めていく大きな力になるのかな、こう思っています。

 もう時間ですから終わりますが、実はこの問題、安全と安心という言葉が両方あります。私たちの理解では、豊洲は今、危険だ危険だと言われて、都民の安心はもうないです。風評被害です。でも、きょう議論があったように、議論でわかっていただいたように、豊洲は安全です。

 一方の築地は、築地ブランドと言われるように、安心感はあるかもしれないけれども、私、現場をこの間見てきました。築地市場、カモメは飛んでいるし、猫とかネズミは走り回っているし、とても、都民の食をこれからも支えていける、老朽化もありますから、そういう状況ではもうないと私は大変感じました。

 だから、ぜひ、食の安全と安心。安全というのは、国の法令があります。国の法令の上に、地方公共団体が上乗せ規制をしていることがあります。でも、東京都は上乗せ規制をしているんじゃないんですよ。豊洲だけ、東京都議会で、かつて、当時の民主党と共産党に突き上げられた石原知事が、あるいは部局が、議会で責められるものだから、地下水まで飲み水基準できれいにします、地下水基準できれいにしますと言っちゃったんですね。だから、そこには過剰期待が生まれたわけです。

 だから、国の法令が満たすことを求めているものと、地方公共団体の上乗せ規制と、それからその上乗せ規制の上にさらに過剰期待というものが生まれてしまったわけでありまして、これから私は、この築地と豊洲、食の安全と安心ということについて、実は週明けも農水委員会あるいは環境委員会もございますので、またそちらの角度からもこの問題をしっかりと取り組んでいくということを関係の皆様にお誓い申し上げて、きょうのところは一旦質問をこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、介護の地域支援事業について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 二〇一四年の法改正で、要支援者に対する訪問介護、ホームヘルプサービスというそうです、通所介護、デイサービスなどが介護予防・日常生活支援総合事業に再編をされ、市区町村の地域支援事業へと移行されることになりました。そして、ことしの四月までに全ての市区町村において移行を完了させることになっております。

 しかしながら、お話を聞いておりますと、移行期間、二〇一五年からということだったんですけれども、移行がスムーズに進んでいないという声を耳にします。

 最初に、現時点における介護予防・日常生活総合支援事業の地域支援事業への移行状況をお聞かせください。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今、議員の方からお尋ねがございました点でございますけれども、平成二十六年に介護保険法を改正いたしまして、それで、要支援者等に対する介護予防給付のうち、訪問介護あるいは通所介護につきまして、今ございましたように、市町村が地域の実情に応じた取り組みができるようにということで、地域支援事業へ移行するということとされたところでございます。

 この事業、今もありましたが、介護予防・日常生活支援総合事業、簡単には総合事業と申させていただきますけれども、今議員から御紹介ございましたが、平成二十七年の四月施行ということになっておりますが、同月より前に市町村が条例を定めるということによりまして、ことしの四月、二十九年の四月まで実施を猶予するということができる制度となってございます。

 具体的には、昨年の四月の時点でございますけれども、約一千百の市町村がこの総合事業についてはその時点では未実施ということになってございますが、これら全ての市町村におかれましては、それぞれの条例に基づいて、ことしの四月までに総合事業を実施する予定となっているということで承知をしております。

吉川(元)委員 昨年四月の段階で、千五百七十九のうち千百がまだ移行していない。

 私が聞くところでは、昨年十二月の段階では、広域連合を含む全国の千五百七十九の市区町村のうち六割近くが、最終期限といいますか、ことしの四月からの実施を予定しているというふうに報じられております。

 もちろん、猶予期間ということですから別にだめだという話ではないんですけれども、これだけ、六割がもう最後の最後のぎりぎりのところで移行していくというふうに対応がなっているわけで、これはどういう理由があってこれだけぎりぎりまでおくれているのかということを、厚労省はどう考えていらっしゃいますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁したような状況であるということではございますけれども、この総合事業への円滑な移行ということになりますと、これまで予防給付という形で行ってきたものを、市町村が地域の実情に応じた形でという取り組みに移すということでございますので、やはり市町村さんの中では非常にいろいろな準備が必要だということがございます。

 それからまた、委員御承知かと思いますけれども、そのサービス形態についても、多様な主体も含めていろいろな形での充実を図っていただくということもございますので、一定の時間がかかるということで、法制定時におきましても、そういった議論から、この二十七年の四月施行ということでございますけれども、条例に基づいて二十九年の四月までにという形での猶予期間が設けられたということでございます。市町村におかれましては、それぞれの地域の実情を踏まえられて条例を制定されたということかと承知をしております。

 ただ、やはりこの円滑な実施ということが非常に重要となってまいりますので、私どもとしましては、準備を進める市町村に対しまして、都道府県等を通じましてしっかり支援を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 昨日質問レクした際には、いや、これは役所の人間が紙にぴゅぴゅっと書けばできるんですよというような説明がされたんですけれども、実際にはいろいろな準備が、大変手間がかかる。それが結果的には締め切り直前に六割が駆け込むように移行していくという実態なんだろうというふうに思います。

 そうはいっても、四割の市区町村が既に地域支援事業に移行しているわけです。

 そこで、尋ねますが、総合事業の対象者は事業対象者と要支援者ということになりますが、現時点での利用者数をお聞かせいただきたいということが一点。それと関連して、この利用者、総数のうちどのぐらいの方がそれに移っているのかということがわかれば教えていただけますか。

坂口政府参考人 まず、利用者数の関係についての御質問を今いただきましたが、この総合事業の利用者数につきましては、やはりその利用者の実態、先ほど申し上げましたように多様な形での実施ということもお願いしておるということでございまして、なかなか、市町村におかれます調査の事務負担ということもございまして、利用者数そのものについては私どもとしては把握ができていないというものでございます。

吉川(元)委員 それは、事業者数、利用者数ともにわからないということですか。

坂口政府参考人 利用者数について、今申し上げたような形でできないということでございます。

 総合事業のサービス量そのものにつきましては、この総合事業の開始前後につきまして、先ほど申し上げましたような、平成二十七年の四月時点に事業を開始されたところが七十八の自治体でございますので、そちらの方の施行状況ということを確認いたしましたところ、利用者一人当たりのサービスの利用日数ということについては大きな変化はなかったということは把握をしております。

吉川(元)委員 これはまだこの後少し質問してまいりますけれども、場合によっては、移行したんだけれども、これまで介護保険で受けていたサービスが地域支援事業に移った結果、事業者が見つからずに介護が受けられなくなったという方が出ている可能性というのはあるんじゃないんでしょうか。その点いかがですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたとおり、サービス量につきましては、先ほどのような形で、大きな変化がなかったということでございます。

 また、私どもとしまして、現在、結果そのものについてはいろいろ精査をしておるところでございますが、平成二十八年、去年の四月時点でこの総合事業を実施されている市町村が約五百ほどございます。そちらの方に確認したところでございますけれども、総合事業の方へ移行したことによって必要なサービスを受けることができなくなったというような利用者の方々からの苦情ということは出ていないという点については、しっかり確認はしております。

吉川(元)委員 もう一度確認いたしますけれども、総合事業サービスの利用者というのは全く把握されていないんですか。もう一回確認させてください。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、総合事業の関係は、従前並みの形でのサービス以外にも、例えばNPOとかそういったところも含めて、多様な形での住民主体の通いの場を設置したりというような形になりますと、これは補助というような形で実施をさせていただいたりという形で市町村の方でお取り組みいただいておる。

 そういう関係から、必ずしも利用者の数を全て管理するというような仕組みになっていないものですから、そういった点について、利用者数の把握についてはなかなか難しい部分があるということでございます。(吉川(元)委員「ちょっと短くして。把握しているか、していないかだけ」と呼ぶ)はい。

 ですので、先ほど申し上げたとおり、利用者数の状況については把握ができていないんですけれども、今後、引き続き、いろいろな形での事務負担等についても勘案しながら検討してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 私、政府統計の総合窓口の介護給付費等実態調査月報という資料で見ますと、そこには総合事業サービスを受けておられる方が十六万一千人と出ているんですけれども、これは違うということですか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと今手元にお示しのデータがないもので、正確なことを申し上げられませんけれども、恐らくその調査は要支援者がどういった方々がおられるかという数であって、実際は、それぞれ市町村が今申し上げましたような形での総合事業に移行されて、その総合事業の中で利用されているかどうかというところまでの数字ではないものと承知をします。

吉川(元)委員 政府統計の中にこういうのがあるのに把握していないというのは私ちょっと理解に苦しむんですが、実態もきちんと把握していないというのは非常に愕然といたしました。

 では、関連して聞きますけれども、要支援の方々へのホームヘルプサービス、デイサービスを総合事業として市区町村の地域支援事業とする法改正に際して、厚労省は、その意義として、市町村が地域の実情に応じた取り組みができること、さらに、介護事業所による既存のサービスに加えて、NPO、民間企業、ボランティアなど、先ほどからお話にありました地域の多様な主体を活用できることを挙げておりました。

 これは、軌道に乗っているところもあるようですけれども、多くの自治体は大変苦労しているというようなお話も伺います。

 そこで、お聞きしたいんですけれども、従来の介護事業者によるサービス提供以外に、NPO、ボランティアなど多様な主体によってサービスが担われているケースはどの程度存在するのか。保険者数、事業者数、それぞれ数字をお聞かせください。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども触れさせていただきました、平成二十七年の四月に総合事業を開始していただいた七十八の自治体の施行状況につきまして確認をいたしましたところ、今議員が御指示いただいたような、訪問、通所のサービスをNPO等の介護サービス事業者以外で実施されている件数につきましてですが、市町村数で五十三、事業者数で二百七十三ということとなっております。

吉川(元)委員 利用者の割合はわかりますか。これはやはりわからない。

坂口政府参考人 申しわけございませんが、先ほど申し上げたような状況でございますので、利用者数については把握はしておりません。

吉川(元)委員 非常にびっくりするんですけれども、まさにこの法改正をしたときに、多様な主体によってサービスをやっていくんだというふうに言われたわけですよね。その多様なサービスで今どのぐらい、四割がもう実施をしているわけで、そこの数字をなぜ持っていないんですか。だったらわからないじゃないですか。

 多様な主体、多様な主体とおっしゃいますけれども、では、多様な主体がやっているのかやっていないのかは知らないということでいいんですね。

坂口政府参考人 今御答弁させていただいたとおり、実際にそういう介護サービス事業者以外で実施をされている状況については、先ほど御紹介しましたように二百七十三の事業者で実施をされておるということでございますが、やはり利用者の実情につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まさにそういった形で利用されている場合の利用者数の管理というようなもの、あるいは、では翻って市町村の方々がそれをどう調査するかというようなことについての負担ということもございます。

 ただ、今委員も御指摘いただいたとおり、我々もこの総合事業の実施状況ということについては引き続きしっかり把握を行っていきたいと考えておりますので、こういった点についても、市町村の状況も配慮しつつ、検討をしっかりして把握をしてまいりたいと考えます。

吉川(元)委員 知らないようなので、では、先ほどのと同じ統計、介護給付費等実態調査月報、二〇一六年八月審査分というのがあります。それを見ますと、いわゆる多様な主体と言われるものが担っているのは、訪問型で二〇%、通所型で三〇%、残りはこれまで行っていた事業所がみなしという形で行っているというふうに出ています。

 こんな数字も全くわからないままやっているんですか。

坂口政府参考人 この総合事業につきましては、指定のサービス以外にいろいろ、先ほど申し上げたような形で、実際委託をしたりとか補助をしたりというような形式で事業を運営されている部分がございますので、今委員の方から御紹介のあったようなデータにつきましては、そういったところのデータが入っていないので、やはり総合事業の全体像という形ではないということでございます。

 ですから、我々としていろいろ、先ほど申し上げましたような二十七年の四月時点、それから、まだ今精査中でございますけれども、二十八年の四月時点という形での状況の把握ということについてはしっかり整理をしていきたいと思っておりますし、また、今後の状況についても、先ほど御答弁させていただきましたように、その把握に努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 偉そうに言わないでください、全体像じゃないと。そもそも何も調べていないじゃないですか。何も調べていなくて何もわからないというのが今の厚労省の立場だということでよろしいですね。

 では、質問を次に移らせていただきます。

 今回、報酬単価についてですけれども、地域支援事業ではサービス料も事業者への報酬単価も全て市区町村の裁量ということになります。一部が介護保険から支出はされておりますけれども、国、自治体の負担も入って、実施主体の市区町村の多くは財政が厳しいですから、報酬単価をなるべく下げようというふうに動くのは当然だろうというふうにも感じます。

 一つ紹介をいたしますと、ある広域連合が介護事業者に対して介護報酬を提示したところ、事業者から反発が生まれて、広域連合に対して質問状が突きつけられた。提示された介護報酬を見ますと、通所介護が現行の三割カット、それから訪問介護に至っては五割カットの数字が提示をされた。そこの事業者の方のお話によりますと、このままだと職員に支払う賃金について県の最賃すら払えない、こういう不満の声が事業者から上がってきております。

 この過剰に引き下げられている事実について、どの程度把握をされていますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の方からございましたとおり、総合事業の単価の設定ということにつきましては、まさに緩和した基準の内容等も踏まえながらというケースもございますので、市町村がその地域の実情に応じて設定をするということとしております。

 具体的に、先ほど来申し上げております二十八年四月時点での約五百の市町村の状況につきましては現在確認中でございますが、今委員からもございましたとおり、従前相当のサービスというような形を実施されているところにあればこれまでの介護予防、訪問介護、通所介護の単価とおおむね同等であるということかと思いますが、緩和型のサービスということで実施されているケースについては、これを下回る単価設定ということで行われているということについては把握をしております。

 ただ、この点につきましては、今冒頭申し上げましたとおり、緩和型サービスというのは、まさに緩和した人員基準等の内容に即して、それを踏まえて単価設定が行われた結果ということで承知をしております。

吉川(元)委員 緩和されたと言いますけれども、例えばホームヘルプサービス、訪問介護で、今まで一時間でやっていたものを三十分に短くする、その分報酬単価をカットするということをおっしゃっているんだろうと思いますけれども、別に、報酬単価というのは、そこで行ういわゆる作業だけではなくて、当然、訪問ですから、そこに向かう交通費もかかりますし、また、人件費といいますか、いわゆる人事管理のためのお金も必要になります。

 先ほど、なぜ多様な担い手というのがどうなっているのか聞いたのは、恐らく厚労省は、この法律をつくったときに、多様な担い手ということでNPOだとかボランティアの人たちにやってもらって、できる限りお金を出さないようにしよう、お金が、支出が膨らまないようにできるのではないかというふうに踏んでやってきたわけです。ところが、実態は、多様な担い手が育っていないんです。

 そうすると、結果的には、今、既存の事業者がその単価で、当然交渉をしてやりますけれども、今までどおりにはいかない部分も出てくるわけです。そうすると、その事業からそもそも手を引く、あるいはもうこれ以上は続けられないということでやめちゃう。実際に統計を見ますと、倒産件数が一・四倍になっている、急増しているというような話も聞きます。

 そこで、改めてもう一つお伺いしたいんですけれども、もともと、地域支援事業の費用計算のあり方ですけれども、現在の計算の仕方は、地域支援事業に移行する前年度の予防給付等の実績額に、後期高齢者人口の伸び率、三%から四%ということらしいですが、それを掛けた数字が地域支援事業にかかわる費用の上限額になっているというふうに聞いております。

 後期高齢者人口の伸び率よりも、さっきの三、四というのは後期高齢者人口ですけれども、予防給付の伸び率は五から六になっております、そちらの方が高いわけで、これは法改正時の厚労省の資料にも出ております。

 お聞きしたいのは、まず、第七期、二〇一八年から二〇年、第八期、第九期、それぞれについて、後期高齢者人口の伸び率、どのように推計されておられますか。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほどの単価の設定にありましては、私ども国としても、基準を緩和したサービスについても、そういった緩和した人員等もろもろ踏まえながら、そして今委員の方からもありました事業者との十分な協議ということも重要だというようなことも含めて、しっかり指導してまいりたいと思います。

 お尋ねの地域支援事業の費用の計算でございますけれども、総合事業の費用につきまして、予防給付から総合事業に移行する訪問介護、通所介護のサービスに要する費用が賄えるようにということで、今議員からも御紹介ありましたとおり、移行の前年度の予防給付等の費用の実績と、そして……(吉川(元)委員「同じことを説明しなくていいです」と呼ぶ)はい。ただ、実際、我々が費用の上限額としておるのは、後期高齢者数の伸びの実績も勘案して事業費の上限額とするというのを原則としているということをまずちょっと御説明させていただきます。

 その上で、委員の方からは、今、今後の七期等の将来の推計ということでございましたので、お答え申し上げますと、これは、参考までに、私どもとしましては、国立社会保障・人口問題研究所の全国将来推計人口をもとに算出をさせていただきましたが、いわゆる介護保険の事業計画でいう第七期、三十年から三十二年度の平均が三・三%、その次の三カ年の第八期で見ますと一・八%、第九期の三カ年で見ますと平均は三・六%ということで、算出しますとそういう状況でございます。

吉川(元)委員 いずれも予防給付の伸び率を大幅に下回る伸びになるわけです。

 そうすると、結果的に言うと、地域支援事業に充てられる総額というのは必要なお金からどんどんどんどん乖離をしていって、お金が足らなくなる。しかも、保険じゃないですから、お金がなくなったらそれでおしまい。それは結果的に何につながっていくかといったら、報酬のさらなる引き下げということにつながっていくんじゃないんですか。

 先ほど、多様な担い手というのがほとんど誕生していない中でいいますと、既存の事業者に一方的な負担を押しつけることにつながるのではないかということを指摘させていただきたいと思います。

 次に、これは今国会提出予定と聞いておりますが、財務省は、財政制度等審議会で、要支援のみならず、要介護一、二の方々の生活援助サービスについても地域支援事業に移行させるべきだというような建議をしております。さすがにこれについては多くの反対があって、見送られたようであります。

 そういった中で、今国会、介護保険法改正案に地域共生社会の実現に向けた取り組みの推進という項目が盛り込まれておりまして、市町村による地域住民と行政等との協働による包括的支援体制の制度化が打ち出されております。介護分野でいえば、地域の多様な主体が多様なサービスを提供する地域支援事業と極めてこれは重複するのではないか。自治体として、円滑にこの移行が進んでいない中にあって、さらに屋上屋を重ねるようなことになるのではないかというふうにも危惧をしております。

 今国会に提出予定と言われています介護保険法の改正案における地域の包括的支援体制の制度化ということと、この四月から完全実施をされる地域支援事業、どういった関係にあるのでしょうか。

坂口政府参考人 きょう、先ほど来御議論いただいておる介護保険の地域支援事業の中の総合事業でございますが、先ほど来申し上げているとおり、これは、今まで予防給付の対象となっていた要支援者等を対象として、議員も御紹介いただいているとおり、多様な主体も総合的にサービスができるようにということで、まさに地域の支え合いの体制づくりということで、二十六年の法改正をして、行い出したというものでございます。

 今、議員の方からございました、今国会に提出をさせていただいた地域包括ケアシステムの強化法案の中で改正を予定させていただいておる内容につきましては、これは、地域のあらゆる住民の方が役割を持って支え合いながら自分らしく活躍できる地域共生社会の考え方ということを踏まえてということで、ですから、具体的な今ある地域支援事業、総合事業をすぐさまどうするということではなくて、具体的には、社会福祉法というものを改正する中で、地域住民の方が主体となった地域づくりへの取り組みというようなものの支援が重要ですねと。

 それから、高齢者に限らず、障害者とか児童等の分野ごとの相談体制ではなかなか市民の住民課題に対応することが難しいので、個人であったりその世帯の複合した課題というものを実際は住民と行政が協働して解決につなげていくような包括的な支援体制の整備ということに、市町村において努めていただきたいという内容を掲げさせていただいているというものでございまして、私どもとしましては、介護保険の地域支援事業とは別に、そういう形での地域共生社会、事業そのものを拡大するということをその法律でやるということではないということでございます。

吉川(元)委員 うがった見方をすると、多様な担い手というのができない、介護だけじゃできないから、ほかの福祉分野も含めて多様な担い手をつくって、そこにその事業を移していこうと。

 これは恐らく厚労省でつくられているイメージだと思います。見ますと、「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部というところがあって、ここで法案提出というような、こういうポンチ絵がありますけれども、これは、地域の方から見ると我が事、丸ごとということになりますけれども、厚労省の立場から見たらどうなりますか。人ごと、丸投げでしょう。人ごと・丸投げ地域共生社会実現本部、こっちの方が実態としては正しいんじゃないんですか。

 介護保険が二〇〇〇年にスタートいたしました。その際には、国は、介護保険は地域分権の試金石と言ってきたはずであります。国が中核をしっかりと担って、その上で、地方が上乗せ、横出しのサービスを提供することによって実現をしていくというふうに言っていたと思います。

 ところが、今やっていることというのは、国が中核を担う部分がずっと後退をしていって、まあ、言葉は格好いいですよ、NPOとかボランティアとか多様な主体とか地域とか。そこに、本来国がやるべきこと、介護保険としてやらなければいけないことをそれこそ丸投げしてしまう。結果的には、それは事業者はやっていけない。なおかつ、下手すれば介護難民が発生をしてしまう。私は、そういうふうになってしまうのではないかという危惧を持ちます。

 そこで、先ほどから、何にも調べていないようですので、まず、四月に完全移行、全市区町村で実施されるわけですから、どういうふうになっているのか、多様な担い手が生まれているのか、地域間格差は生じていないのか、それから、報酬単価の引き下げはどういうふうに行われて、それが事業者にどんな影響を与えているのか、しっかり調べるべきだというふうに思います。これは厚労省にもお聞きします。

 それから、あわせて大臣にもお聞きしたいんですけれども、これは実際に担うのは地方自治体です。自治体がこれまでの業務にプラスしてこの新しい地域支援事業、これは主体が自治体ですから、行政不服審査だとかあるいは請求だとか、非常に膨大な事務が発生をいたします。結果として、そういう膨大な事務が発生をするから今まで移行がおくれているということだと思います。この点についても、総務省もしっかり調べるということで、答弁をいただきたいと思うんです。

坂口政府参考人 お答え申し上げます。

 地域包括ケアシステムをしっかり推進していくためにも、地域における生活支援であったり予防のサービスの確保が重要でございますので、そういった点からも、この総合事業の整備ということは非常に重要かと思っております。

 委員の方からもございましたが、この総合事業等の状況につきましては、私どもとしましても、調査の実施を通じて、的確な、定期的な把握を行うとともに、市町村への必要な支援ということをしっかり行ってまいりたいと考えます。

高市国務大臣 今、厚労省の方から調査をされるというお話がございましたので、地域支援事業に関する実態調査については、総務省からも地方三団体への協力要請をしなければなりませんから、厚労省のお話もよく伺いながら取り組んでまいります。

 どちらにしましても、この地域支援事業がサービスの充実と費用の効率化という制度の目的をきちっと達成できなきゃ何にもなりませんので、今も地方財政措置も講じておりますけれども、厚労省と連携をしながら、しっかりと円滑に運用できるように努力を重ねてまいります。

吉川(元)委員 時間が来ました。終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十九年度地方財政計画について説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 平成二十九年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、一億総活躍社会の実現や地方創生、公共施設等の適正管理に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取り組みと基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足につきましては、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針のもとに、平成二十九年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ八千六百五億円増の八十六兆六千百九十八億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ四千九百五十七億円減の一兆二千八百四十二億円などとなっております。

 以上が、平成二十九年度地方財政計画の概要でございます。

竹内委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。

 まず、地方税法及び航空機燃料譲与税法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、我が国経済の成長力の底上げなどの観点から、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、個人住民税の改正であります。就業調整を意識しなくても済む仕組みを構築する観点から、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しを行うとともに、県費負担教職員の給与負担に係る改正に伴う道府県から指定都市への税源移譲等を行うこととしております。

 その二は、車体課税の改正であります。環境への負荷の少ない自動車を対象とした自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の税率の軽減等の特例措置について、所要の見直しを行った上、適用期限を平成三十一年三月三十一日まで延長する等の措置を講ずることとしております。

 その三は、固定資産税、都市計画税及び不動産取得税の改正であります。居住用超高層建築物に係る新たな税額の算定方法の導入等を行うこととしております。

 そのほか、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、地方交付税の総額の特例であります。平成二十九年度分の通常収支に係る地方交付税の総額は、地方交付税の法定率分に、法定加算額、臨時財政対策のための特例加算額及び地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十六兆三千二百九十八億円とすることとしております。また、交付税特別会計借入金について、各年度の償還額を見直し、平成六十四年度までに償還することとするほか、平成三十年度から平成四十四年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を改正することとしております。

 その二は、地方交付税の単位費用等の改正であります。各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、平成二十九年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正するほか、県費負担教職員の給与負担に係る改正に伴う道府県から指定都市への個人住民税の税源移譲に対応した基準財政収入額の算定方法の特例等の措置を講ずることとしております。

 その三は、東日本大震災の復旧復興のための財源となる震災復興特別交付税の確保であります。平成二十九年度分の震災復興特別交付税については、新たに三千四百六十四億円を確保することとし、総額四千五百三億円としております。

 そのほか、平成二十九年度から平成三十一年度までの間に限り、地方財政法第五条の規定により起こす地方債のほか、適正な財政運営を行うにつき必要とされる財源に充てるため、地方債を起こすことができることとする旨の特例を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

竹内委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会


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