衆議院

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第13号 平成29年4月11日(火曜日)

会議録本文へ
平成二十九年四月十一日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      菅家 一郎君    小林 史明君

      國場幸之助君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    武部  新君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷  元君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      鈴木 克昌君    高井 崇志君

      武正 公一君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        あかま二郎君

   内閣府副大臣       盛山 正仁君

   内閣府大臣政務官     長坂 康正君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   総務大臣政務官      島田 三郎君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  田中 勝也君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           川合 靖洋君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  山下 哲夫君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            富永 昌彦君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大庭 誠司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           北島 智子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           大角  亨君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         坂野 公治君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 岡  真臣君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 谷井 淳志君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     國場幸之助君

  谷  公一君     武部  新君

同日

 辞任         補欠選任

  國場幸之助君     金子万寿夫君

  武部  新君     谷  公一君

    ―――――――――――――

四月十日

 地方公共団体情報システム機構法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公共団体情報システム機構法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官田中勝也君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、大臣官房審議官緒方俊則君、地方創生推進室次長川合靖洋君、総務省大臣官房地域力創造審議官時澤忠君、行政管理局長山下哲夫君、自治行政局長安田充君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長黒田武一郎君、情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、情報流通行政局長南俊行君、総合通信基盤局長富永昌彦君、消防庁次長大庭誠司君、厚生労働省大臣官房審議官谷内繁君、医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長北島智子君、農林水産省大臣官房審議官大角亨君、国土交通省航空局交通管制部長坂野公治君、防衛省防衛政策局次長岡真臣君及び地方協力局次長谷井淳志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木憲和君。

鈴木(憲)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木憲和です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。十五分というすごく短い時間ですので、きょうは二問に絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。地方創生ということをテーマに二問質問させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 昨日、厚労省の社人研の発表で、二〇五三年に人口一億人割れ、そして五十年後には八千八百八万人に、このままのペースであれば日本の人口が減るという将来推計が出されたところであります。

 日本はまさに今人口減少社会に突入をしておりますが、その最先端を行くのがまさに日本の地方であるというふうに思います。

 私の地元の山形県も、三十五の自治体がありますけれども、先日の国勢調査においても、人口がふえたのは二つだけで、あとの自治体はすごい勢いで人口が減っています。

 日本の将来、人口が減るということを考えたときに、地方が持続可能であるかどうか、先を見通せるかどうかというのは、私は、日本の将来にとって大変大切な要素であるというふうに思っています。

 その中で、安倍内閣の中で始まった取り組みとして、二〇一四年から地方創生という取り組みを始めました。まだまだ地方創生、時間がかかりますので、始まってすぐに大きい成果が出るというわけではありませんが、実際やってみて思ったのは、東京一極集中の是正はそう簡単ではないということもわかってきたところであると思います。

 この中で、成果が少しずつ出ているなというふうに感じるときに、何がその要素だろうかということを考えると、やはり何といっても、自治体を活性化できていくための人材がいるかどうか。そしてもう一つは、新しい取り組みをやろうと思ったときにその資金があるかどうか、お金の問題ですね。この二つが私自身は大変大切な要素であるというふうにこの数年感じています。

 この中で、きょう一点目の質問は、二〇〇八年から始まりましたふるさと納税の制度であります。

 ふるさと納税の制度、大変いい成果も上がっているというふうに感じていますが、一方で課題が多いということも、先日も大臣からも御答弁などあったところであります。

 成果として私自身考えているのは、一つは、自治体自身が、寄附を集めるのに、どういうプロジェクトをやったら全国の皆さんからその自治体に対して関心を持っていただいて、それが地方活性化に資するというふうに考えていただけるのかということを頭を使って考えるようになったということと、もう一つ、これはまさに返礼品というものでありますけれども、地元の産品がどういうものが魅力的なのか、そして、それをどのようにしたら全国の、地域外の方にわかっていただけるのかということを、自治体がマーケティングという概念を多少ですけれども持つようになっているというのは、ふるさと納税のすばらしい成果であるというふうに思います。

 実は、地方交付税の制度は、全国的に格差を是正して行政のサービスを最低限担保していくという制度でありますので、なかなか地方交付税の制度でこういうことをやるのは難しい中で、これからの時代はやはり自治体もそれぞれ努力をして創意工夫をしていくということを促した意味では、ふるさと納税の制度は私は大変意義があったというふうに思っています。

 私の地元に、大変いい事例だなというふうに思った事例を一つ紹介しますと、山形県の寒河江市というところがあります。ここに、奈良時代からある、慈恩寺という大変古い由緒あるお寺があるんですが、そのお寺が、二〇一五年の五月に、実は、油のような液体をまかれてしまって、そういう跡が発見されたという事案がありました。

 地元では、文化財保護の観点から大変問題だということで、何とか対策を講じようということを考えて、何をやったかというと、文化財保護の観点から、油なんかをまかれないように、まず監視カメラをしっかりと設置しましょうという取り組みをしようと思ったわけです。しかしながら、それは財源が必要になりますので、これをふるさと納税の制度を使って、こういうプロジェクトを、保護するために監視カメラを設置するので寄附をお願いしますというふうにしてやったところ、目標四百五十万円に対して九百万円以上、要するに倍以上の寄附が全国から集まったといういい事例があります。

 本来、やはりこのふるさと納税というのは、こういうプロジェクトベースで、こういう取り組みをするので地域活性化のために寄附をお願いしたいというのが本筋であるんだろうなということを、改めてその場で私自身も感じさせていただいたわけです。

 一方で、山形県の場合、県内三十五の自治体がありますけれども、ほとんど全ての自治体でこのふるさと納税の制度に一生懸命取り組んでいます。特に熱心な自治体においては、もう一定額以上寄附が集まるようになってきておりますので、それを使って今度は新しいことを何をしようかということをかなり前向きに考えられる段階にも入ってきているわけです。

 私自身が感じるのは、日本が人口減少して、特に自治体が人口が減っていくと、なかなか財源の確保は残念ながら難しいという中において、地方活性化のためにこういうことをやろう、ああいうことをやろうと思ったときに、努力をすれば自由な財源が得られるんだということは、大変重要な、やる気を引き出していくという意味では、将来にわたってもしっかりとこの制度を維持していきたいなというふうに思うところなんです。

 いろいろな御議論はあると思いますけれども、まずは、きょうは総務省に一つ質問をしたいのは、この制度、まず本来の趣旨にしっかりと立ち返った上で、立ち返りつつも、それでも、自治体の、例えば寄附の集め方、そしてその集まった寄附をどのように使っていくのかについてはなお一層創意工夫を促すような、こういう改善をこれからもしながら、ぜひ持続可能な制度にしていってほしいというふうに思いますが、ここについての見解をお伺いしたいと思います。

冨樫大臣政務官 ふるさと納税制度は、ふるさとや地方団体のさまざまな取り組みを応援する気持ちを形にする仕組みとして、子育てやまちづくりなどに活用されるとともに、災害時の被災地支援としても活用されているなど、地方創生を進めていく上で重要な制度であると認識をしているところであります。

 地方団体の中には、それぞれの地域の実情や課題をみずから考え、ふるさと納税の活用を想定する事業をPRすることによって、ふるさと納税を募ってこられたところもあると承知をしております。

 返礼品競争の過熱が指摘されており、今後は、各地方団体においても、返礼品の送付を強調してふるさと納税を募集するのではなく、その使途について、地域の実情に応じて創意工夫を図っていただきたいと考えているところであります。

 そのため、四月一日付で発出した通知においては、まずこうした趣旨を明記するとともに、これまで具体的な目安を示してこなかった、寄附額に対し返礼割合の高い返礼品について、少なくとも三割を超える返礼割合のものについては速やかに三割以下にすること、金銭類似性の高いものや資産性の高いものについて例示を追加するとともに、これらについて、換金の困難性や地域への経済効果のいかん等にかかわらず送付しないことを要請するなど、制度の趣旨に沿った責任と良識ある対応を厳に徹底するよう求めているものであります。

 その上で、返礼割合の高い返礼品の送付を初めふるさと納税の趣旨に反するような事例について、これまでは都道府県を通じて、必要に応じ、総務省として個別の団体に直接見直しを働きかけて、しっかりとフォローアップをしていくこととしております。

 こうした取り組みの強化を通じて、過度の返礼品競争について是正を図り、ふるさと納税が国民の信頼を得つつ地域の活性化等に資する持続可能な制度として健全な発展を図られるよう努めてまいりたいと考えているところであります。

 以上です。

鈴木(憲)委員 政務官、大変丁寧な答弁をありがとうございました。

 今、これは質問ではありませんけれども、大臣にもぜひ御配慮をいただければというふうに思うのは、各自治体、それぞれの、例えば私の地元ですと農業県ですので農家の方と一緒になって、こういう返礼品でいこうということなんかも、既に随分前から実は準備をしてきている自治体もたくさんあるわけです。

 その中で、新年度になって、私自身は過熱競争というのは大変よくないというふうに認識をしていますけれども、是正もすぐにというふうに言われると難しいのも現実だと思います。徐々に、私自身も地元の自治体に適正なしっかりとしたものになるようにということをお願いしていきたいと思いますので、ぜひ、それぞれ取り組んでいる自治体の意見なんかもよく踏まえてこれから対応していただきたいと思いますし、ぜひその点を、何かあればよろしくお願いします。

高市国務大臣 今回、返礼品に限定した初めての通知の発出ということなんでございますけれども、既に地方自治体と事業者の間に契約関係があるといった特別な事情もあるかと思いますので、個別の団体の事情も丁寧にお伺いをしながら対応を進めてまいります。

鈴木(憲)委員 大臣、ありがとうございました。

 それでは、もう時間もありませんが、簡単に、次の質問に移ります。

 私がもう一つ地方創生をやる上で大変大切だと思っているのは、今ふるさと納税の話もありましたが、もう一つは、やはり人材が地方自治体にいるかどうかというのが大変大切だと思います。

 この中で、地方創生人材支援制度というのをこの数年間、安倍内閣のもとではやってまいりましたが、山形県においても、三十五の自治体のうち七つの自治体に霞が関や民間から人を派遣していただいて、大変いい成果が出ています。実は、さっきの慈恩寺のプロジェクトの話も、経産省から地方創生人材で来ていただいた方がこういうことをやろうということでやって、いい成果が出ているという、いい事例もあります。

 これからも、まだまだ要望に、うちの自治体にも来てほしいんだけれどもまだ応えられていないよ、マッチングがうまくいっていないというケースも多々あるように感じておりますので、一番初めに派遣された方が、二年間終わって、もうこの四月には帰ってきている方もいると思いますが、三年目、四年目というふうにどんどん改善をしながらこの制度をしっかりと続けていって、中長期的に見て自治体の底力が上がるように、政府としてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 その点について御答弁をお願いして、質問を終わらせていただきたいと思います。

川合政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のございました地方創生人材支援制度は、地方創生に積極的に取り組む意欲を持ちながら、その取り組みを担う人材が不足しがちな比較的規模の小さい市町村に対して、意欲ある国家公務員、大学研究者、民間人材を市町村長の補佐役として派遣するものでございます。

 この制度は、いわゆる地方創生版三本の矢の一つである人材支援制度の中でも重要な役割を果たす施策でございまして、これまで、派遣先の市町村長や関係者からはさまざまな機会を通じて派遣者に対する強い期待と高い評価の声を伺っており、それぞれの地域の地方創生の取り組みに大いに貢献してきているというふうに思っております。

 また、委員から御指摘のございました山形県寒河江市に派遣されている派遣者につきましても、御紹介のありました取り組みのほかにも、西村山地域と二つの町による広域的取り組みとして、JRフルーツライン左沢線を核とした観光振興、まちづくり、公共交通の取り組みをスタートさせるなど、リーダーシップを発揮して取り組んでいるものと承知をしております。

 このように、本制度に基づく派遣者が各地で活躍をしているということを踏まえまして、引き続き市町村長のニーズに応じた人材派遣ができますよう努めますとともに、さまざまな機会を通じてその取り組みの好事例を広く周知し、他の市町村にも横展開を図ることにより、地方創生の取り組みの底上げを全国的に図ってまいりたいと考えております。

鈴木(憲)委員 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 初めに、きょうは金子政務官にいらしていただいておりまして、先週、G20のデジタル大臣会合、高市大臣の代理として我が国を代表して出席をされたというふうに伺っております。

 そこで、今回のG20のデジタル大臣会合における各国の代表との意見交換を踏まえての感想と、昨年日本で行われたG7の高松での情報通信大臣会合の成果などをどのようにこの中に反映されたのか、今回の会合の成果についてお聞かせ願えますでしょうか。

金子大臣政務官 お答えいたします。

 四月六日、七日にわたりまして、G20としては初めてのデジタル大臣会合がドイツのデュッセルドルフで開催をされまして、今ほど御紹介いただきましたとおり、高市総務大臣の代理として出席をしてまいりました。

 私は、バイ会談でもEU、またイギリス、ドイツの代表の方との意見交換もさせていただいた上で、大臣会合の席で私から、情報の自由な流通の促進が経済成長や社会の革新をもたらすものである、そしてまた世界の発展の基礎となるといったことでありますとか、また、デジタル化の恩恵の最大化のためにはやはり世界どこにおいても、デジタルデバイドの解消が重要なことである、その中で、我が国としましてはICTのインフラ整備の面でしっかりと貢献してまいりたいといったことなどを大臣会合の中で発言させていただきました。

 輿水委員も当時総務大臣政務官として御尽力されました、昨年のG7の高松での情報通信大臣会合の主要な事項でありますとか、メッセージ、そこで合意されたものを反映された大臣宣言をこのたび取りまとめすることができた、そこにまた積極的に日本として貢献することができたものと認識をいたしております。

 以上です。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ICT、また最近はAIという言葉が常にいろいろなニュースの中へ入ってくるということで、昨年のG7でも、AIの開発原則等も高市大臣からも提案をされて、そういったことが一つ一つ国際社会の中で共有化されていくことをまたこれからも応援してまいりたいというふうに思っております。

 さて、そんな中で、先月は、総務省主催で、AIネットワーク社会推進フォーラムといったものが、国際シンポジウムなんですけれども、開催されました。

 ここでは、日本から総務省のAIネットワーク社会推進会議における検討状況の報告がなされ、その後、米国、EU、イタリア、ドイツ、フランスの政府関係者やOECDの代表者と、人工知能の未来について、またAIの高度化がもたらすインパクト、また社会的、倫理的課題、AI・スマートロボットの開発及び利用に関する原則とルールなどが議論をされた、このように伺っております。

 そこで、AIネットワーク社会推進フォーラムにおいて具体的にどのような議論があり、どのような合意が形成されたのか、お聞かせ願えますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、昨年の十月に、今委員御指摘のAIネットワーク社会推進会議を立ち上げまして、AI開発原則を具体化したAI開発ガイドラインの策定に向けた検討を進めているところでございます。

 そして、こうした議論を国際的に推進するため、先月十三、十四の両日、東京におきまして、国際シンポジウム、AIネットワーク社会推進フォーラムを開催したところでございます。

 このシンポジウムにおきましては、G7の政府関係者やOECDのほか、民間からも、AIの分野の国際的な議論をリードする主要団体の代表者を含む、国内外のトップレベルの有識者の方々に御参加をいただきました。

 このシンポジウムにおきまして、開発ガイドラインのあり方など、AIネットワーク化をめぐる社会的、経済的、倫理的あるいは法的な課題に関し幅広く御議論をいただきましたけれども、多様なステークホルダーによるオープンでグローバルな議論を通じた合意形成が重要であること、AIネットワーク化の便益が広く享受される人間中心の社会を構築すべきであること、また、AIネットワーク化のガバナンスについては、非規制的で非拘束的なアプローチ、いわゆるソフトローのアプローチが適切であるといったような点について、おおむね意見の一致を見ることができたと考えております。

 総務省といたしましては、本シンポジウムの議論を踏まえつつ、ことしの夏ごろをめどに推進会議の報告書を取りまとめ、G7やOECDなどに発信し、引き続き、AI開発ガイドラインの策定に向けた国際的な議論において先導的な役割を果たしてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 そのAIの活用、AI、AIと言うと何かAIが、不安を感じていらっしゃる方もいるかもしれませんけれども、社会的な課題に特化して、一つ一つの課題に特化して物事を処理していく特化型のAIというのと、まるで人間のようにいろいろなことを考えていく汎用型AI、全く違うものだと思っています。

 まず、社会的な課題を解決する特化型のAIのあり方、あるいは、汎用型というものに対してどのような考えの中で今後取り組んでいくのか、そういったことも含めて、総務省、ぜひ中心となって議論を進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、次の質問に移らせていただきます。

 四月十四日、もうすぐなんですけれども、昨年の熊本地震からもう一年がたちました。また、東日本、また昨年は北海道や東北でも水害ということで、本当に、いきなりこんなところでという被害が起こっているわけでございますが、まずはそういった皆様方に心からお見舞いを申し上げるとともに、きょうは、そういった過去の災害から、これから起こるかもしれない災害に対してどのように備えをしていくかについて、ちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 災害が起こる前に何をしておかなければいけないのか。災害が起こったときに何をしなければいけないのか。被災直後、あるいは避難所の運営、仮設、また住宅の建設、あるいは復旧復興、そういったところをどのように取り組んでいるのか。

 昨年、東北地方では、まさかの台風による洪水で犠牲者が出てしまいました。

 現地の防災計画では、県が監視している河川の水位、氾濫の注意水位二・五メートルを超え、その後八十ミリの降雨量が想定される場合に避難勧告が出される、そういったことだったんですけれども、実際、当日は、十七時の水位が二・三八、十八時の水位が三・一七ということで、ここで十八時に氾濫水位を超えた。

 このときに避難勧告を発令したとしても、現地ではどのようなことが起こっていたかというと、もう十七時半に浸水が始まって、あっという間に腰の高さになってしまったということで、十八時に避難勧告が出されていたとしても避難ができなかった、そういう現実があるというふうに伺っております。洪水の現場の皆様にお話を聞くと、あっという間に浸水されたということをよく聞くんですけれども、流れ込んだ後の河川の水位で避難情報や警報を出しても間に合わないということがここで言えるんだと思います。

 これらのことを踏まえ、今後は、河川流入前に降雨量を面で計測し、積算雨量等を加味した警報発表等、少しでも早い段階、また的確な形で避難情報の発令ができる仕組みが必要ではないかと考えます。

 そこで、近年の雨水において、最前線で対応してきた経験も踏まえ、今後は被害を最小限に食いとめるために、消防庁としてどのような取り組みを進めようと考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

大庭政府参考人 お答えします。

 消防庁においては、昨年の台風十号による水害の教訓を踏まえ、地域の防災体制の再点検を実施したところでございます。

 この結果を踏まえまして、消防庁から地方公共団体に対しまして、地域防災計画、マニュアル等について必要な見直しを行い、防災体制の再構築に取り組むようお願いしたとともに、具体的な取り組み方策や先進事例を盛り込みました避難勧告等に関するガイドラインを提示したところでございます。また、市町村の自己点検用に活用できる防災・危機管理セルフチェック項目につきましても策定、提示したところでございます。

 これらの通知、ガイドラインなどを参考に、一つには、市町村においては、従前、避難勧告等の発令基準が定められていなかった中小のその他河川も含めて、その危険性に応じ、雨量情報も加味して、わかりやすい基準の策定に努めていただきたい。二つには、都道府県は、専門的な知見を生かしまして、避難勧告の発令基準の策定の助言を行うなど、平時から市町村への積極的な支援を行っていただきたい。三つ目には、いざというときに都道府県による助言、市町村の避難勧告発令が滞りなく行える体制を確保することなどが各地域において着実に進められることが重要と考えております。

 今後、消防庁といたしましても、市町村の取り組みが確実に進むよう、よりきめ細やかな支援を行ってまいる考えでございます。

輿水委員 本当に、避難勧告が適切に出されるような支援を積極的にお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、自治体のBCPについて伺います。

 災害や事故で被害を受けた場合において、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や継続のための方法、手段などを取り決めておく、計画しておくことが望ましい。この計画をBCP、事業継続計画と称されているわけでございます。

 従来の防災計画は、みずから被災することを想定していない。しかし、BCPでは、みずからが被災する、災害時に緊急に活動する職員が集まらないことも想定をして取り組む、そういうふうになっております。

 ここで、一般財団法人日本防火・危機管理促進協会の調査では、BCPの内容面では、非常時優先業務を選定している自治体は九割に上るんですけれども、肝心の業務資源の確保策まで言及している自治体は五割を下回っている、そういった調査結果も出ております。つまり、必ずしもBCPの手引、ガイドラインなどに記載されている事項が網羅的に実施されているわけではない、このようなことが明らかになっております。

 そこで、今日、首都直下型や南海トラフなどの大きな震災の発生も懸念される中で、このような大きな災害が突然起きたときのことを考えた、自治体の災害対応業務を適切に継続するためのBCPが必要と考えますが、各自治体のBCP策定への支援の現状と今後についてお聞かせ願えますでしょうか。

大庭政府参考人 お答えします。

 災害時に地方公共団体が応急対策を迅速的確に行えるよう、庁舎、職員の被災に備えまして、代替庁舎、職員の参集基準、業務遂行体制などを定める業務継続計画、いわゆるBCPをあらかじめ策定しておくことは重要であると考えております。

 このため、消防庁では、平成二十七年五月に内閣府と連携し、市町村のための業務継続計画作成ガイドを示すとともに、市町村職員を対象とした研修会を開催し、策定を促進してきたところでございます。

 平成二十八年四月現在の調査では、全都道府県でこのBCPの策定が完了いたしまして、市町村については策定率が約四二%でございました。この結果を踏まえまして、BCP未策定市町村に対し、早期策定を促す通知を昨年秋に発出したところでございます。

 今年度は、特に未策定の市町村が多い都道府県などにおきまして研修会を開催するなど、引き続き、地方公共団体におけるBCPの策定が進みますよう強力に働きかけてまいる考えでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 時間もないんですけれども、最後に、大規模な震災が起こってしまったときに、その市町村、現場だけでは対応できない、全国的な応援が必要になってくる。そんな中で、的確に現場の情報を集約しながら、そして適切に対応する、そういった支援体制もしっかりと構築していくことが必要だと思うんですけれども、その辺の取り組みについてもお聞かせ願えますでしょうか。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害の発生時におきまして、被災をいたしました自治体の円滑な災害対応を支援していくためには、関係機関の間におきまして迅速に情報収集と共有を図っていきまして、被災地の状況について的確に把握をし、これを踏まえた物資供給や人員派遣等の必要な支援を実施していくことが重要と考えております。

 このため、今般、災害発生時におきます関係機関の間の情報共有と利活用を推進していくために、中央防災会議のもとに、国と地方・民間の「災害情報ハブ」推進チームを設置いたしまして、昨日、キックオフをいたしました。

 この推進チームにおきます検討におきましては、関係省庁とか自治体のみならず、携帯電話やカーナビの位置情報に関します企業や物流事業者など、災害対応に資する情報を有する幅広い分野の企業等に参加をいただいております。

 こういった多様な主体と連携を図りながら、災害時の情報共有に資する基本ルールなどを定めていくとともに、情報の利活用によります効果的な物資調達とか輸送の方策などを初めとしまして、課題解決に資する取り組みを進めていきたいと思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

竹内委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 おはようございます。民進党の逢坂誠二でございます。

 きょうも、三十分余り、少しやりとりをさせていただきたいと思います。

 お手元に新聞記事を用意させていただきました。一昨日の東京新聞の記事でありますけれども、「特定秘密、開示せず廃棄可能 公文書管理に「抜け穴」」という記事であります。

 これはどういうことかというと、特定秘密に指定されている情報が記載されている文書が、特定秘密の指定期間内のうちに廃棄される可能性があるという指摘であります。この問題については以前から指摘はされていたわけでありますけれども、なかなかそれが改善されずに、また一昨日、東京新聞でこうやって大きく扱われるということになりました。

 この東京新聞に扱われたことをまた一つの契機として、この問題はどうやって乗り越えていったらよいのか、少しやりとりをする中で考えてみたいというふうに思っています。

 まず最初に、特定秘密保護法のおさらいをさせていただきたいんですけれども、特定秘密の指定というのは、五年ごとに指定をする、そして、それを五年ごとに見直してまた更新をするというルールであるというふうに理解をしておりますけれども、それでよろしいでしょうか。

田中(勝)政府参考人 特定秘密保護法におきましては、第三条におきまして、行政機関の長が特定秘密を指定するということになっておりますが、特定秘密保護法第四条におきまして、行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとするというふうにされております。

逢坂委員 最初、まず五年を指定する、さらにまたそれが延長の必要があるとなればさらにプラス五年というような考え方になっていくのか、五年の都度やるのかということと、上限は、いつまでそれができるのかというところについて、お知らせください。

田中(勝)政府参考人 特定秘密保護法第四条第二項におきましては、行政機関の長は、指定の有効期間が満了するときにおいて、当該指定をした情報が指定の要件を満たすときは、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとするとされているところであります。

 また、同条第三項におきましては、指定の有効期間は、通じて三十年を超えることができないとされているところでございます。

 さらに、同条第四項におきましては、前項、すなわち第三項の規定にかかわらず、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得た場合につきましては、行政機関の長は、当該指定の有効期間を、通じて三十年を超えて延長することができる。ただし書きがございまして、ただし、各号に掲げる事項に関する情報を除き、指定の有効期間は、通じて六十年を超えることができない、このようにされているところでございます。

逢坂委員 五年ごとに更新をしていくんだ、それで三十年が原則である、しかしながら、三十年を超えても、特別の理由がある場合はそれは延長することができる、ただし六十年を超えることはできないという説明でありますけれども、もう一度確認をしたいんですけれども、これは、その六十年をさらに超えることというのは可能なのでしょうか。

田中(勝)政府参考人 特定秘密保護法第四条第四項におきまして、指定の有効期間は通じて三十年を超えることができないけれども、指定に係る情報を公にしないことが云々という先ほど申し上げました理由を示して、内閣の承認を得た場合には、通じて三十年を超えて延長することができるとされております。ただし、この特定秘密が各号、武器、弾薬、航空機その他の防衛に供する物である場合、その他、六号ございますけれども、そういった場合を除いては、指定の有効期間が通じて六十年を超えることができないこととされております。

 したがいまして、指定の有効期間が通じて六十年を超えるのは例外的な場合に限られる、このように解しております。

逢坂委員 六十年を超えるのは例外的ではあるけれども、例外も制度上はあり得るという理解をさせていただきました。

 そこで、もう一つなんですが、特定秘密でありますけれども、これはいわゆる文書を指定する、そういう性質のものなのか、そうではない、情報を指定するというふうに理解をしているわけですが、このあたり、もう少し説明いただけますか。

田中(勝)政府参考人 特定秘密保護法第三条におきましては、一定の要件を満たす情報を特定秘密として指定するとされておりまして、指定の対象は情報でございます。

逢坂委員 すなわち、特定秘密保護法においては文書を指定しているのではないのだ、情報を指定するのだということでありますが、情報の指定の仕方というのは、当然それは何か書き物にならなければ指定ができないというふうに思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

田中(勝)政府参考人 お尋ねが指定の際のやり方ということでございましたらば、この特定秘密の指定と申しますのは、指定書という文書を作成いたしまして、その情報の範囲を示して指定するということになっております。

逢坂委員 それでは次に、公文書管理法の観点からお伺いをしたいんですが、公文書管理法上、公文書の保存年限というのは特定秘密の指定年限と何らか関連があるのかないのか、このあたりはいかがでしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 公文書管理法におきまして、これは第五条でございますけれども、行政機関の長は、保存期間が満了したときの措置として、歴史公文書等に該当するものにあっては国立公文書館等への移管の措置を、それ以外のものにあっては廃棄の措置をとるべきことを定めなければならないというようなことでございまして、このように保存期間を定めているということでございます。

逢坂委員 ということは、特定秘密に指定されている、指定されていないとは、そのことと公文書、行政文書の管理の期間というのは全く連携、関係がないという説明に受け取るわけですが、それでよろしいでしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

逢坂委員 それでは、次のようなケースの場合はどういうことになるのかをお知らせいただきたいんですが、特定秘密の指定を何度か更新を繰り返して、特例的に三十五年の特定秘密の指定期間が与えられた情報がある、その情報が記載されている行政文書、それがたまたま保存期間が二十年であったというような場合、二十年の期間が満了した場合にその行政文書はどのようになるでしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 行政文書につきまして、保存期間が満了いたしますれば、それは廃棄が可能ということになります。ただ、廃棄する場合には、内閣総理大臣に協議して、同意をするということが必要になってまいります。

逢坂委員 今回のこの東京新聞の一面で指摘する問題は、今のようなことなわけでありますね。すなわち、特定秘密に指定されている、その特定秘密の指定期間は、仮に三十五年になっていた、だけれども、行政文書の保存期間というのは二十年であるとするならば、それは特定秘密が記載されている文書が破棄されてしまうということであります。

 そこで、情報公開の観点からお伺いしたいんですが、その特定秘密が載っている文書、それを指定して情報公開をお願いしたいとした場合に、まず一つは、三十五年の指定がある段階でその行政文書の公開を求めた場合はどうなりますか。

山下政府参考人 お答えいたします。

 その場合には、情報公開法上の開示、不開示の要件に照らして、開示または不開示の決定がなされることになります。

逢坂委員 ちょっと私の聞き方が悪かったのかもしれませんが、特定秘密の指定が三十五年だ、二十年で公文書の保存期間が満了した、その際に廃棄されていたというような場合に、これを情報公開請求をしたらどうなるかという話であります。

山下政府参考人 失礼いたしました。

 情報公開法上、行政文書の名称その他の行政文書を特定するに足りる事項を明示した上で、開示請求を行うことができるとされておりますので、何らかその文書を特定するに足りる事項を示せば、開示請求を行うことは可能でございます。

 その場合、開示請求に係る行政文書が存在しないということでございますれば、行政文書が不存在であることを理由とした不開示決定が行われることになります。

逢坂委員 では、仮に、かつて特定秘密として指定されていた行政文書がある。ところが、その特定秘密は公文書の保存期間内に特定秘密が解除された。その時点で実は、同時に、特定秘密の指定期間と文書の保存期間年限がイコールであった、その時点で文書が廃棄をされるケースも、場合によっては、公文書管理法上ありますね。その際に公文書の開示請求をした場合はどうなりますか。

山下政府参考人 開示請求の時点で文書が廃棄されていれば、先ほどお答えしましたとおり、不存在であることを理由とした不開示決定が行われることになると考えております。

逢坂委員 それでは、もう一回特定秘密の方へ戻りたいんですけれども、特定秘密の指定年限が三十年を超えた文書というものについては、特定秘密保護法の観点から、保存に関しての特別なルールというのは何かあるんでしょうか。

田中(勝)政府参考人 特定秘密保護法及び同法の運用基準におきましては、指定の有効期間が通じて三十年を超えた特定秘密である情報を記録する文書を含む行政文書ファイル等は、保存期間満了後、全て国立公文書館等に移管するものとされております。

逢坂委員 そうなんですね。特定秘密の指定期間が三十年を超えれば公文書館に移管をするということでありますので、三十年を超えさえすれば今回のこの廃棄の問題は出てこないというふうに理解をするわけですが、それでよろしいですか。これは特定秘密の担当の方からお願いします。

田中(勝)政府参考人 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、こういった行政文書ファイル等は、保存期間満了後、全て国立公文書館等に移管するものとされております。

逢坂委員 公文書館です。

 それでは、その特定秘密の指定期間が三十年に満たないものについて改めてお伺いをしますが、三十年に満たないもの、例えば特定秘密の指定期間が五年であって、文書の保存期間が三年であるというようなものについては、三年の期間が満了すれば、これは廃棄、あるいは公文書の保存期間の延長、そのどちらかの判断がなされる。廃棄の可能性もあるということでよろしいでしょうか。公文書管理法の担当、いかがですか。

 よろしいですか。特定秘密の指定期間が五年であった、初回の五年で指定されていた、公文書管理の保存年限が三年であったというものは、三年の期間が満了したら、廃棄または延長の判断をせざるを得ないですね、その段階で。延長しなければ、それは廃棄になるという理解でよろしいでしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答え申し上げます。

 保存期間が到来いたしますれば、それは廃棄ができるということになります。期間が到来した場合に、延長すれば、それは廃棄はしないということになるわけでございまして、延長しないことによって廃棄をしないということは当然あるわけでございます。

逢坂委員 一般国民の感覚からすれば、特定秘密の指定期間と公文書の保存年限のずれがあるというのは少し違和感があるように思うんですが、このずれがあるということについて、特定秘密の担当あるいは公文書管理の担当、両者から、このずれの存在については合理性があるというふうにお考えでしょうか。それとも、このずれというのは必ずしも合理性がないというふうにお考えでしょうか。この点、いかがでしょうか。

田中(勝)政府参考人 特定秘密保護法に基づく特定秘密の指定の有効期間につきましては、指定の理由を見直すに当たって適切であると考えられる期間として設定をされるものであるのに対しまして、行政文書の保存期間は、公文書管理法に基づきまして行政文書の適切な管理を行うために設定されるものであるというふうに承知をしておりまして、元来、両者はその趣旨を異にするというふうに考えております。したがいまして、特定秘密の指定の有効期間が満了する前に特定秘密を記録する文書の保存期間が満了することもあり得るところだというふうに考えております。

 なお、特定秘密が記録されております行政文書ファイル等でありまして、行政文書ファイル管理簿に記載されているものの廃棄につきましては、内閣総理大臣の同意を得た上で行うこととされておりまして、恣意的には廃棄されることがないような仕組みが設けられているところでございます。

田中(愛)政府参考人 今ほど内閣官房からも答弁ありましたように、趣旨を異にするというところは同じでございます。

 また、廃棄に当たっては内閣総理大臣の同意が必要になる、そういう手続を経て廃棄されるということになります。

逢坂委員 どちらも、特定秘密の指定期間と公文書の保存期間が一致していなくてもそれは問題がないという答弁でありますけれども、でも、これをもし政府の側が悪用しようとすれば、特定秘密を指定期間を超えて国民に知らせないということを、悪用できるのではないかという気がするわけでありますけれども、この点、いかがでしょうか。

 すなわち、本来、特定秘密は五年で解除される、でも、それを記載した公文書は三年で廃棄をするというルールにもしなるとするならば、国民はその情報を知ることはできないわけでありますけれども、悪用するというような懸念はないのでしょうか。これは両者からお答え願えますか。

田中(勝)政府参考人 特定秘密であります情報を記録する行政文書につきましても、公文書管理法が当然に適用されるところでありまして、公文書管理法の定めるところによりまして保存期間が定められ、保存期間が満了した後は、歴史公文書等に該当するものについては国立公文書館等に移管をされ、それ以外の文書につきましては、内閣総理大臣に協議をして、同意を得た上で廃棄をする、こういった手続を踏むことになっておりまして、恣意的な廃棄はできないというふうに理解をしております。

田中(愛)政府参考人 お答え申し上げます。

 今ほど内閣官房からも答弁がございましたけれども、公文書管理法につきましては当然適用されるということでございまして、公文書管理法の各規定の内容を正確に理解して、適正な運用を徹底し、国民に対する説明責任を全うするということで運用はされるものというふうに理解しております。

逢坂委員 特定秘密保護法を担当する方に聞きたいんですけれども、特定秘密は、文書の指定ではないんだ、情報の指定なんだということです。だから、情報が指定され、その指定された情報が載っている公文書というのは、場合によっては一つではなくて複数であるケースがあるというふうに理解をいたします。

 その場合に、その複数の文書の保存年限も多種多様であって、必ずしも短いものばかりではなくて、その文書本来の性質上、非常に長い保存年限のものもあろうかというふうに思います。場合によっては特定秘密の指定の年限以上に公文書の保存年限が長いものも、ケースによってはあるのかなという気がするわけですね。

 だから、そういう点でいいますと、たくさん公文書に特定秘密が載っているものが、そういう特定秘密がある場合は、多少の文書が仮に廃棄されても、後に国民はその情報を知るという手がかりを持つことになるわけですが、仮に、特定秘密が一つの公文書にしか載っていない、だけれども、秘密指定の期間よりも公文書の保存年限が短い、そして、それは廃棄されてしまうということになってしまえば、これは、その特定秘密が解除された後に、国民はその特定秘密の内容を知るということは可能になるんでしょうか。この点、特定秘密の担当、いかがでしょうか。

田中(勝)政府参考人 文書が廃棄されました後の情報公開あるいは開示請求につきましては、先ほど総務省の方から御答弁があったとおりかと思っております。

 御指摘ございましたように、特定秘密の指定の対象は文書ではなく情報でございますので、特定秘密を記録した、例えば唯一の文書が廃棄されまして、文書が存在しなくなった特定秘密も観念的には否定をされないところであります。

 しかしながら、特定秘密に限らず、行政上重要な情報がある場合には、幹部への報告でありますとか関係部局との情報共有が行われるよう、また、後年においても正確に引用ができるよう、文書を作成し組織的に管理されるのは有益なことでありまして、実際にそのように管理されるのが通例であるというふうに考えております。

 文書が存在しないがために、特定秘密を適切に管理するという、これは特定秘密保護法の趣旨でもございますが、こういった趣旨を損なうことになるようなことは厳に避けなければならないというふうに考えておりまして、このようなことを考慮いたしまして文書の取り扱いがなされる、このように考えております。

逢坂委員 今の答弁、ちょっとわかりにくかったんですけれども、今私が言ったようなケースがあっても、それは文書が適切に管理されるという意味なんでしょうか。それとも、特定秘密に指定した情報が後にもわかるように何らかの措置を講ずるという意味なんでしょうか。もう少し丁寧に教えていただけますか。

田中(勝)政府参考人 後々の情報の検討も含めまして、情報の管理が適切になされるように文書の保存、管理をしていくべきだということでございます。

 ただ、万一、それが廃棄をされました場合には、開示請求につきましては、先ほど総務省の方からお答えがあったとおりだというふうに思っております。(逢坂委員「今、語尾は何と言いましたか」と呼ぶ)仮に文書が廃棄された後におきまして開示請求があった場合につきましては、先ほど総務省の方から御答弁があったとおりであろうかと思います。

 それで、文書不存在ということになった場合に問題が生ずるというふうな情報につきましては、しっかりと文書を残していくべきだというふうに考えております。

逢坂委員 文書が廃棄されてしまって後に問題が生ずるような情報についてはしっかり対応するというような話でありましたけれども、それを判断するのは誰なんでしょうか。後に問題が生ずるようになるようなものについてはしっかり対応する。後に問題が生ずるというようなことを判断するのは誰なんでしょうか。

竹内委員長 田中審議官に申し上げますが、語尾をはっきりと。

田中(勝)政府参考人 先ほど申し上げましたとおりのことなのでございますけれども、第一次的には、行政文書の廃棄を判断いたしますのは行政機関の長でございますけれども、その廃棄に当たりましては、公文書管理法に基づきまして、内閣総理大臣の同意が必要だということになっております。

逢坂委員 そこのところはよくわかっているんですが、そうではなくて、文書が廃棄されてしまって、でも、特定秘密として指定されている、しかも、特定秘密が記載されている文書はその文書一つしかない。であれば、特定秘密が解除された後に、その情報は、国民は知り得るすべがないですよねという質問を私はしたわけです。

 それに対して、田中さんは、いや、そうではないんだ、後にその情報がないということになって問題が生ずるようなケースがある場合については適切に対処するかのような答弁をされたので、特定秘密が解除された後にその文書がないということで問題になるというものを判断するのは誰なんですかと私は聞いたんですけれども。

田中(勝)政府参考人 第一次的には、各行政機関の長でございます。しかし、文書を廃棄するに際しましては、内閣総理大臣に協議をして、同意を得る必要がございますので、内閣総理大臣の判断というものも加わってくるということでございます。

逢坂委員 私は、そこのところがやはり問題だと思っていまして、特定秘密に指定をするということでありますから、それはやはり国民にとっても、場合によっては、関心の高い情報ということにもなる場合もあろうかと思います。特定秘密というものが解除されたら、その情報がやはり全部残っているというのが私は通常の考え方なのではないかなというふうに思うんですね。

 今、この東京新聞の記事が指摘するように、特定秘密に指定されたものであっても、ケースとしてですよ、私はこのケースはそんなに多いものだとは思わないんですけれども、その秘密が載っている文書が唯一、一つしかないという場合、保存年限が特定秘密の指定期間よりも短い場合は廃棄される可能性がある。それを避けるための措置を講ずるべきではないかというふうに思うんですが、公文書管理の担当の方にまずお伺いしたいんですけれども、公文書管理上、そういう考え方というのは持つことはできないでしょうか。

田中(愛)政府参考人 保存年限が到来した文書については、内閣総理大臣の同意、協議がございましてそれに同意が得られれば廃棄する、こういうことになっているわけでございます。その同意に際しましては、ガイドラインにおいて具体的な考え方を示しているところでございまして、それに従って同意をするということでございます。

 したがいまして、歴史的公文書については、そのような過程で廃棄されることはないということになってまいります。

逢坂委員 答弁がよくわからないんですが、例えば今のようなケースを避けるために何らかの手だてを講ずることはできないのかということを端的に私は質問したんですけれども、公文書管理の側面から何らかこういうケースを避けるというようなことはできないのかという点、いかがでしょうか。

田中(愛)政府参考人 お答えいたします。

 公文書管理法は、公文書の管理に関する基本的事項を定めるものでございまして、法三条におきまして、公文書等の管理については、他の法律またはこれに基づく命令に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるところによるというふうに規定しているところでございます。

 したがいまして、特定秘密である情報を記録する行政文書ファイル等について、仮に特別な扱いを要するという場合でございますと、特定秘密保護に係る枠組みの中で対応するということになろうかと認識しております。

逢坂委員 ということで、今度は特定秘密保護法の方に、そちら側で対応すべきではないかという今の答弁でありますけれども、特定秘密保護法の中で今回のようなケースを避けるための手だてを講ずることは可能でしょうか。いかがですか。

田中(勝)政府参考人 一部繰り返しの御答弁になりますけれども、特定秘密である情報を記録する文書も公文書管理法の適用を受けるわけであります。すなわち、保存期間が満了した行政文書ファイル等は、歴史資料として重要な公文書に該当する場合は国立公文書館等に移管をされ、該当しない場合も、廃棄する際は内閣総理大臣の同意を得ることが求められるわけであります。

 また、特定秘密保護法及び運用基準では、指定の有効期間が通じて三十年を超えた特定秘密である情報を記録する文書を含む行政文書ファイル等は、保存期間満了後、全て国立公文書館等に移管するものとされているところであります。

 このように、特定秘密である情報を記録する文書も歴史的な検証に資するよう、公文書管理法及び特定秘密保護法に基づいて適切に管理されるものと認識しておりまして、現時点で何らかの特別な制度が必要であるとは考えていないところであります。

逢坂委員 現時点では特別なことは考えていないということなんですが、長坂政務官と盛山副大臣にもお越しいただいていますけれども、これは単純な話だと思うんですよ。特定秘密の指定期間よりも公文書の管理期間を長くとっておけばこういう問題は生じないわけですね。そういう手だてを講ずるというようなことをやることはできないのか。

 先ほどの答弁でいくと、公文書管理法は一般法であって、それは一般ルールを定めているからなかなか難しいので、特定秘密保護法の方でやってくださいというふうに言った。ところが、今の答弁では、それは今手だては講ずる必要がないと言っているんです。

 事務的にはそういう仕切りなのかもしれませんけれども、やはりこういうケースを避けるために、公文書の管理期間を秘密指定期間よりも長くするというような手だてを講ずるという措置をとることはできないのかどうか。この点、長坂政務官、それから盛山副大臣、いかがでしょうか。

長坂大臣政務官 お答え申し上げます。

 もう既に先生御理解のように、特定秘密が記録された文書も公文書管理法の適用を受けるわけでございます。そのうち、歴史公文書、歴史資料として重要な文書に該当するものは、特定秘密の指定が解除され、または指定の有効期間が満了した後、保存期間が満了したときに国立公文書館等に移管、保存をされることとなっております。

 一方、歴史資料として重要な文書に該当しないものについては、各行政機関から内閣総理大臣の廃棄同意を得た上で廃棄することとされているわけであります。

 内閣府といたしましては、特定秘密が記録された文書の管理についても、他の行政文書と同様、このような公文書管理法の手続を踏まえて適正に運用してまいりたいと考えております。

盛山副大臣 逢坂委員の御満足のいく答弁になるかどうかわかりませんが、特定秘密である情報を記録する文書も公文書管理法の適用を受ける、そして、保存期間が満了した行政文書ファイル等は、歴史資料として重要な公文書に該当する場合には国立公文書館等に移管され、該当しない場合も廃棄する際は内閣総理大臣の同意を得ることが求められる、先ほども申し上げたところでございます。

 ちょっとはしょりますと、特定秘密である情報を記録する文書についても、歴史的な検証に資するよう、公文書管理法及び特定秘密保護法に基づいて適切に管理されるものと認識しておりますので、現時点で、私どもとしては、何らかの特別な制度が必要であるとは考えておりません。

 適切な管理がなされているというふうに私たちは考えているところでございます。

逢坂委員 私は理由がわからないんですけれども、特定秘密に指定されていても、それが載っている行政文書が廃棄されてしまう可能性が制度上はあるんだ。しかも、それは、複数の文書に特定秘密が記載されている場合は、一つの文書を捨てられても、何らかの手だてで、秘密が解除された後それを知ることができるわけですね。それが唯一、一つの文書にしか記載されていなくて、それが廃棄されてしまう可能性というのは否定できないわけですよ。

 それから、先ほど来何度も何度も、総理大臣の同意が必要なんだ、同意が必要なんだという話をされておりますが、事務の現場、実態は御存じですか。実は、膨大な文書を少ない人数でチェックをして、とてもとても手が回る状況ではないというのも、人員配置を後で調べてみたら結構だと思うんですけれども、きょうはこの問題は余り深入りしませんけれども、これは何らかの手だてを講ずる必要が制度上あると私は思っています。

 だから、特定秘密の指定期間よりも公文書の管理期間を長くするんだということをしっかり徹底すれば、ただ、そのことによる弊害も幾つか出ると私は思っているんですが、それをやらない限りはこれは乗り越えられないというふうに思いますので、この点、指摘をしておきたいと思います。

 さらに加えて、長坂政務官が来ておりますので、公文書管理法上、実は問題が幾つかありまして、一年未満の公文書あるいは組織共用文書という概念は、非常に今の情報公開上弊害になっているところもありますので、この点については後に審議をさせていただきたいと思います。

 最後に、高市大臣、今の話を聞いて、特定秘密が、場合によっては、指定解除されても、情報公開請求しても、それが国民がわからない状況になり得る可能性があるということで、情報公開上も問題だと思うんですが、最後に御感想だけ聞いて終わりたいと思います。

高市国務大臣 御指摘は、特定秘密保護法、内閣官房所管の法律と、公文書管理法、内閣府所管の法律との関係についてということで、問題意識をおっしゃったんだと思っております。

 総務省の所管ではございませんが、特定秘密が記録された行政文書についても公文書管理法が適用されて、廃棄については、先ほど来御答弁がありますように、内閣総理大臣への協議が必要であり、内閣総理大臣がこれに同意をしなかった場合には、またその所管省の大臣は新たに期間を定めなければいけないということになっております。

 新たな保存期間、保存期間の満了する日を設定することとなりますので、そういったプロセスの中で、両者の関係についても適切な対応が図られるのではないかなと考えております。

逢坂委員 終わります。

竹内委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 民進党の近藤昭一でございます。

 きょうもまた質問の時間をいただきましたこと、感謝を申し上げたいと思います。

 私の方からも、文書管理について、関連することでお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 衆議院議員選挙の選挙区における一票の不平等を是正するため、選挙区画定審議会、いわゆる区割り審でありますが、新たな選挙区を画定するための審議を重ねているということであります。

 今回の選挙区の変更は、選挙区が一減する県以外でも、二〇二〇年の見込み人口で最少となる鳥取一区を基準にして、全選挙区の人口格差が一倍以上二倍未満におさまるよう、境界が変更され、全国二十都道府県の約百選挙区で選挙区の境界が変更されるというふうに報道されているわけであります。

 これだけ大規模に選挙区の境界が変更されることに対して、衆議院議員を含む多くのさまざまな関係者が、総務省に対して要望を伝えたり、また照会を行ったり、あるいは、現地の情報といいましょうか、そうしたことを伝えているというふうに聞いておるわけでありますが、それらについては全てきちんと記録をとっておられるのかどうか、確認したいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 政と官のあり方につきましては、平成二十四年の十二月二十六日閣僚懇談会の申し合わせによりまして、政の関係者と接触した場合の記録について、この閣僚懇談会の申し合わせに基づいて、適切に対応しているところでございます。

 この申し合わせについては、国会議員、その秘書から、個別の行政執行に関する要請、働きかけがあって、政府の方針と著しく異なる等のため、施策の推進における公正中立性が確保されないおそれがあり、対応が極めて困難なものについては、大臣等に報告する。その場合、日時、経過、内容、当該案件の処理経過を記録し、大臣等の確認を経た上で保存することとされていると承知しております。

 政と官の関係についての今のお尋ねでございますけれども、この申し合わせに照らしますと、記録を保存するような案件にこれまで出くわしたことがないということでございますので、そういうことで、記録は存在しておりません。

 また、そのほか、地方の団体などその他いろいろな各種の団体から要望書という形で、区割り審宛て、総務省宛てに出てくる文書もございます。これらにつきましては、保存をしているところでございます。

 ただ、今まさに区割りの審議中でございますので、これらにつきましては、現時点においては公表はなかなか難しいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした記録が存在しないということ、要望については保管をしているということでありますけれども、今回、森友事件ということで、財務省あるいは国交省が関係する記録を破棄していたということでありました。これが問題の真相解明を著しく困難にしている。

 先般も、また今も逢坂議員から、公文書管理のあり方についていろいろと指摘があったわけであります。公文書管理法という法律は、いろいろと趣旨が書いてありますが、そこにはやはり、経緯を含めた意思決定に至る過程及び当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡づけ、または検証することができるよう、文書を作成しなければならない、こう書いてあるわけです、こう規定されてあります。後にどういうプロセスで意思決定が行われたのかというのがちゃんと検証できなければならないというのが、公文書管理法の規定なわけでありますね。

 衆議院の選挙における全国で百選挙区もの境界変更、先ほども申し上げましたように、大きな影響が出ることになるわけであります。今も部長の方からも御指摘があったように、その関係者にとって有利な区割りになるような、そんな要望があるかもしれない、そうしたことのないように、話し合いが行われて、今御報告いただいたようなことがあるということであります。

 また、今、記録自体は、そうしたものがなくて、存在をしないというお答えでありましたけれども、そうした照会があった、そういう中で、例えばそんたくをするようなことがあるかもしれない。したがって、要望や照会については必ず記録をしっかりとることを強く求めたいと思います。

 とにかく、今回の選挙区の区割りの変更、〇増六減でありますが、今後、地方部の過疎化、東京と大都市の人口増加が進めば、次回の区割り見直しはさらに大規模にまた行われるのではないか、制度そのものの変更が問われることになるかもしれないと思っています。少なくとも次回の、新たな選挙区が画定する選挙が行われるまでは、今回の区割り変更に関して行われた照会や陳情の記録をしっかりと保存すべきと考えます。

 それで、今部長の方からもお答えがあって、少し確認をしたいんですけれども、そうした記録、そうしたことは記録が存在しないという意味はどういうことなのかを確認したいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、政と官の関係につきましての記録につきましては、先ほど申したとおりの要件があるものについて、保存しなければいけない。

 その他につきましては、公文書管理法については所管外でございますけれども、通常の政官の接触の記録や、意思決定に至る過程の合理的に跡づけるものに当たらない記録の作成まで、これを保存することが義務づけられているものではないというふうな解釈がされていると承知をしております。

近藤(昭)委員 そうした今の部長のお答えでありますが、ちょっと今言葉が正確には出てきませんけれども、そうしたことに影響を与えるものではない限り記録をする必要がない、そういうふうに判断するということでありますが、それがそうした決定に影響を与えるものではないかどうか、そうした判断はいかように。今、判断をすることに影響がないというような非常に抽象的な言葉でおっしゃられたわけでありますけれども、そこにある一定程度の基準といいましょうか、ルールといいましょうか、そうしたものは、より具体的なものがあるのかないのか。

 今、非常に漠然として抽象的に、そうしたものが影響することがないことについては保存をする必要がないと考えているようなおっしゃり方でありましたけれども、それは誰がどのように判断しているのか、そして具体的にどういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思いますし、例えばそのことを、一定程度、影響を与えるかどうかということの微妙なこともあるというときには、少なくともある程度の記録をきちっと残すべきだと思うんですね。いかがでありましょうか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもは、閣僚懇談会の申し合わせについて適切に対応しているということでございますので、どういうことを残すか、制度をどうするかというような、申し上げる立場にないということは御理解いただきたいと思います。

 また、関係者との話の中で、それは地方公共団体などが地域のつながりはどうだとか、そういうような話を承ることは事実としてございます。

 ただ、区割り審議会は第三者機関としてきちっと審議して区割りを定めていくということでございますので、我々としては、事務局としてそのようなお話を伺ったとしても、それがそのまま反映するということは全くないわけでございまして、伺って帰るだけというようなことでございますので、そういう意味では、先ほどの閣僚申し合わせにあったとおりのこともございまして、保存することは必要ないのではないかと考えているところでございます。

近藤(昭)委員 先ほど、公文書管理法の趣旨についても、規定について申し上げました。検証をすることができるように文書は残していかなくちゃいけない。検証であります。

 ですから、結果として、多くの人が、大多数のかなりの人からの意見で、これは不合理ではないか、不平等ではないかというようなことがあったとする。そうすると、それについて検証したい、検証しなければならない。

 しかしながら、検証するに当たって、振り返れば、その文書が、今おっしゃったことで、申し合わせについて我々はやっているけれども、それについて適正に判断をしているというようなおっしゃり方でありましたが、では、適正に判断をしているかどうか。つまり、残す、残さないということを適正に判断して、しているんだということ。

 しかしながら、それが検証できるかどうかというのが必要なんだと思うんですね。その場所で、その場で判断をして、残していない。しかしながら、後で、これは問題があるのではないか。では、問題があるときに、検証したいけれども、検証する段になってはその記録がもうないということは、私は、本来の公文書の管理の趣旨と違うんだ、趣旨に反するんだと思います。

 もう一度だけ、部長、お答えいただきたいと思います。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 衆議院議員選挙区画定審議会についてでございますが、これは毎回、改定のとき、あるいは区割りの画定のときもそうでございますが、議事録を残しております。議事録については、審議会の勧告前についてはお出しすることは、公表することはできませんけれども、審議会の勧告後であれば、当面、発言者の名前を除いて公表することによりまして、説明責任を果たすと申しますか、その区割りのきちっとした理由を公表していくというようなこととしております。

 したがいまして、一つ一つの、個別の要素がどうなったかということではなく、第三者機関としての区割り審の議事などでそれは証明できるのではないかと考えております。

近藤(昭)委員 もう一度だけ趣旨をお伝えして。

 まさしく、そうしたところで、審議会で行われている。ただ、その審議会とは別のところで、いろいろと要請とかあるのではないか。そうしたことが、そうした審議、そうしたことを曲げないように、また、そうしたことが疑われないようにしっかりと検証ができる、そういう文書の管理の保管の仕方をしていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に行きたいと思います。

 法定受託事務の取り扱いに関連して、質問させていただきたいと思います。

 都道府県の法定受託事務の処理に問題がある、都道府県が受けた法定受託事務の処理に問題があると考えられるとき、処理に関して、事業者は、審査請求、行政訴訟の提起などを行うことができるわけでありまして、その際、国は、法令の定めによる関与、つまり、助言、勧告、資料の提出の要求、協議、同意、許可、認可、承認、指示、代執行などを行うことができ、二〇〇〇年に施行された第一次地方分権改革で実現をした機関委任事務制度の廃止と国の関与の抜本的見直し、新しいルールが創設された以降の地方自治法で想定される姿がそれだと思うんですね。国が定めによって関与する。

 ところで、沖縄県名護市辺野古への基地建設をめぐりまして、沖縄県が出した岩礁破砕許可、三月三十一日に期限が切れたにもかかわらず、海上での工事を強行している防衛省沖縄防衛局に対して、四月五日、沖縄県は、許可の更新を申請するよう文書で行政を指導したわけであります。しかるに、政府は、地元漁協が漁業権を放棄したことを理由に、岩礁破砕許可を必要とする法的根拠は失われたとして、更新の申請をしていないわけであります。

 政府、国が沖縄県の行政指導に問題があると考えるならば、行き過ぎた行政指導をやめろと是正指導をする、地方自治法に定められた関与を行うべきである。先ほど申し上げましたけれども、関与を行うべきである。

 ところが、今回、地方自治法が定める関与を行わずに、これまでの行政のルールを実質的に一方が変えるのであるということになれば、地方分権改革以前の、知事や市町村長を国の下部機関と構成して国の事務を執行させる仕組みであるかつての機関委任事務制度を廃止したこと、また、それに伴って、主務大臣の包括的な指揮監督権等も廃止をした、こうした法定受託事務制度が導入された意義を国が否定することになるのではないかと思いますが、大臣、いかがでありましょうか。

高市国務大臣 各大臣は、都道府県の事務の処理について、その事務の性質に応じて助言、勧告、是正の要求、是正の指示など、地方自治法に基づく各種の関与を行うことができることになっております。

 今委員が御指摘された事例は、水産資源保護法を所管する農林水産大臣の御担当でございます。

 具体的にどのような関与を行うかということは、個別の行政分野を所管する各大臣の判断に委ねられております。

近藤(昭)委員 そういう意味で、そうすると、大臣に委ねられているということでありますから、大臣としては、今回のことについては、指導するとか、指導といいましょうか、そうした、ある種、戻して、きちっと沖縄県に判断をしろ、行き過ぎた行政指導をやめるべきだということではなくて、漁業権は失われたんだ、それまでだ、こういうようなお考えでいらっしゃるということですか。

高市国務大臣 法定受託事務というのは、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法令に特に定めるものでございます。

 各大臣は、その担任する事務に関して、各都道府県の法定受託事務の処理が法令の規定に違反するとき、または著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときには、講ずべき措置の内容を具体的に示した是正の指示を行うことができます。

 ただ、是正の指示を行うかどうかは、ほかの関与と同様に、個々の状況に応じて各大臣の判断に委ねられておりますので、是正の指示を行わなかったからといって、この法定受託事務の意義を否定するようなことにはならないと考えております。

近藤(昭)委員 わかりました。そうしたそれぞれの大臣に委ねられているということで、今回のことは、行き過ぎた行政指導をやめろという指導でなくても、それは一定程度の、一定程度といいましょうか、そうしたやり方でもあるということだということに理解をいたします、と承りました。

 それでは、次の質問に参りたいと思います。

 消防職員に対するハラスメント問題について、質問させていただきたいと思います。

 先般発表されました全国七百三十三の消防本部に勤務する職員に対するアンケート調査によりますと、過去一年間に職場でセクハラを受けた女性の吏員は二八%、パワハラを受けた男性は一七・五%に上るということであります。

 女性吏員に対するセクハラの内容は、性的な言葉や、早く結婚しろなどの言葉で苦痛を感じるが最も多いわけでありまして、体をさわられる、飲み会で隣に座らされたり、執拗に誘われたりするなどが挙げられているわけであります。

 これは過去一年間の調査であると考えますと、実際にはこの数字をかなり上回る被害者がいるのではないかと想像するわけでありますけれども、なぜ調査を過去一年間に限ったのか、また、こうした同様の調査を拡大する予定があるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 このアンケートは、消防庁が、全国の消防本部におけるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメントなどのハラスメントの防止対策を検討するに当たって参考にするために行ったものでございます。

 したがいまして、ハラスメントの現状の確認という観点から、過去一年間で被害に遭った経験をお尋ねするとともに、過去との比較としまして、ここ十年で職場内での被害は減ったと感じるかどうかにつきましてもお尋ねしたところでございます。

 御指摘のように、今回の調査結果によりまして、ハラスメントの被害は決して少なくないと私どもも認識しているところでございます。

 今後、この調査結果を踏まえまして、ハラスメントの撲滅に向けた対策をしっかりととっていくことが重要と考えておりまして、さらなる調査を行うことは考えておりません。

近藤(昭)委員 さらなる調査を行うことは現状考えておられないということでありますが、ただ、今、次長からお答えもありましたように、今後こうしたことを減らしていく、そのためにいろいろとやっていくんだということであります。

 私は拡大をすべきだと思っていますし、また、そうした対策を講じている中で、さまざまな状況確認、当事者へのヒアリング等々もあるのかもしれませんが、そうした状況に応じて、しっかりと対応していってほしいと思うんですね。調査も拡大をする必要があるのではないかと思うわけであります。

 ところで、こうした消防の職場にセクハラ、パワハラが横行する要因について、どのように分析をしておられるのか。今回、調査結果が出た、これから対応していく、それに当たってどのように分析をしておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 先般の消防職員を対象としましたアンケート調査におきまして、なぜセクハラが生じると思いますかとお尋ねしておりまして、その結果として、消防は男性が多い職場で、以前は男社会であったため、異性に対しての気遣いができていないこと、また、一日衣食住をともにすることで仕事以上に親密になったと勘違いする職員がいることなどが挙げられております。

 また、パワーハラスメントにつきましても同じようにお尋ねいたしておりますが、その結果といたしまして、上下関係が他の職場より厳しく、閉鎖的な職場環境にあること、パワハラをしているという職員本人にその自覚がなく、指導の範疇という認識でいることなどが挙げられております。

近藤(昭)委員 そうした調査の結果も出て、それを受けとめているということであるわけでありますけれども、そうした今の調査の結果、十年間、パワーハラスメントがふえた、ないしは減ったかという質問もあったわけですね。それは、パワハラについては、かなり減った、やや減ったが五九・五%であった、変わらなかったが三三・二%であった。同様に、セクハラについては、かなり減った、やや減ったは四八・九%、変わらなかったが四四・一%。

 これをどう見るかでありますが、私は、これを見る限り、特にセクハラ、これについては啓蒙活動や対応がまだまだ不十分ではないかと思うわけでありますが、これに対しての見解をお聞かせいただきたいと思います。

大庭政府参考人 御指摘のように、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントにつきましても、この十年間の傾向として、かなり減ったということが多くなっているところでございますけれども、現在、これらのハラスメント対策につきまして、消防庁におきましてワーキンググループを設置いたしておりまして、内部通報窓口や相談窓口の設置、あるいは懲戒処分の厳格化、研修や教育の充実などについて議論していただいているところでございます。

 このワーキンググループでは、今年度のできるだけ早い時期に取りまとめを行う予定といたしておりまして、それを踏まえまして、消防庁と各消防本部が一体となりまして、ハラスメントの撲滅に向けた対策をしっかりととっていくことを考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今、次長お答えいただいたわけでありますが、ワーキンググループをつくっているということでありますけれども、答弁の中にもありました相談窓口、これは実は、消防本部のうち三七・五%ではこの相談窓口を置いていない、それは置いていなかったということであります。ワーキンググループが今検討しているということでありますが、三七・五%の本部で相談窓口さえ開いていないわけですね。そういう意味で、もう一度、こうしたことに対する対応策をお聞かせいただきたいと思います。

大庭政府参考人 御指摘のように、相談窓口をどこにも設置していない消防本部は全体の三七・五%でございますが、通報窓口あるいは相談窓口を設置している本部は七四・一%ということで、これにつきましても四分の一は設置していないという御議論があるかと思います。

 これらの相談窓口とか内部通報窓口につきまして、まず、基本、各消防本部できちんと設置していただきたいというようなこととか、まさにハラスメントを起こしたときにどういうような形で懲戒処分を行うかということにつきまして、それぞれ基準を定めてほしい、あるいはその公表をしてほしいということや、各県の消防学校あるいは消防本部においてハラスメントにつきましてしっかりとした研修や教育をしてほしいなどにつきまして、今、ワーキンググループで議論をいただいているところでございます。

 これらの対策をしっかりと打ち出しまして、各本部と一緒になりまして、この撲滅に向けた対策を進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 今、そうして御対応いただいているということでありますので、私の今申し上げた懸念、窓口すら開いていなかったところが多かった、こういう現況を改善するため、しっかりと取り組んでいただきたいと要望を伝えたいと思います。

 ところで、救急搬送についてお伺いをしたいというふうに思います。

 少子化時代であります。ただ一方で、高齢化が進んでいる。こういう中で、救急搬送等が、救急出動件数、また搬送人数が急増しているということであります。

 私は名古屋に住んでおりますが、名古屋でも大変にふえておりまして、昨年、二〇一五年も十一万九千九百九十六件、前年比二千三百一件であります。約四分二十三秒に一回の頻度で救急車が出動している。救急搬送人員は十万六千七百九十七、前年比三千七百三十七人であります。人口換算ということでちょっとわかりやすいかなと思ってお伝えしますと、市民十九人に一人が搬送された、十九人に一人の市民が搬送されたということであります。

 そこで、全国における救急業務の実施状況についてお尋ねしたいと思います。

 二〇〇五年と二〇一五年の実績で、救急出動件数と搬送人数を御報告いただきたいというふうに思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 二〇〇五年の全国の消防本部の救急自動車による出動件数は五百二十七万七千九百三十六件でありまして、救急搬送人員は四百九十五万五千九百七十六人となっております。

 一方、二〇一五年の出動件数は六百五万四千八百十五件で約一五%の増、救急搬送人員は五百四十七万八千三百七十人で約一一%の増となっております。

近藤(昭)委員 それでは、一一九番通報を受けてから現場に到着するまでに要する時間、いわゆる現場到着所要時間の平均について、これも二〇〇五年、二〇一五年の数字を教えていただきたいと思います。

 また、同時に、一一九番通報を受けてから病院に収容するまでに要した時間、いわゆる病院収容所要時間の平均について、これも二〇〇五年、二〇一五年の数字を教えていただきたいと思います。

大庭政府参考人 お答えします。

 二〇〇五年において、救急自動車が現場に到着するまでの現場到着所要時間の平均は六・五分でございました。二〇一五年につきましては、八・六分となっております。

 また、二〇〇五年の一一九番通報を受けてから救急自動車によって傷病者を病院に収容するまでの病院収容所要時間の平均は三十一・一分で、二〇一五年には三十九・四分となっております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今御報告いただきましたけれども、十年前と比べて、出動件数では七十七万六千三百八十九件、搬送人数で五十二万二千三百九十四人、現場到着所要時間で約二分、病院収容所要時間では八分もふえているわけであります。

 現場到着までの所要時間は五分以内が理想とされてきました。現状がますます厳しくなり、いわゆる病院の収容時間は病院のたらい回しに直結するものでありますが、平均で今は四十分近くになっているというのは大変な深刻な状況だと思うわけであります。

 もう言うまでもないわけでありますが、救急医療においては、できる限り早く搬送し、そして病院に収容する。重篤な傷病における時間経過と死亡率の関係を示すカーラーの救命曲線というのがありますけれども、それによると、心臓が停止してからは約三分、呼吸がとまってから十分、多量の出血が続いて三十分間放置されると、それぞれ死亡率は五〇%に達するというわけであります。

 これらの数字について大臣の所感と、現行の対応についてどうお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

高市国務大臣 高齢化の進行によって救急出動件数はふえております。十年前と比べると、現場到着時間も病院収容時間も延びており、これは重大な課題だと認識をしております。

 現場到着時間の延伸につきましては、救急出動件数の増加をまず抑制するということとともに、救命率を維持するということが重要です。今委員がおっしゃったとおりの事情でございます。

 このために、周囲の方々に応急手当てを行っていただくことが大切ですので、短時間の応急手当て講習の新設ですとか、通信指令員による通報者への口頭指導の支援に取り組んでおります。この結果、心肺が停止した傷病者への応急手当ての実施率と一カ月後の生存率は十年前と比べて上昇をしています。

 また、病院収容までの対応としては、都道府県に対して、傷病者を円滑に病院に受け入れるための実施基準の策定を消防法で義務づけました。その結果、病院の受け入れ困難事例は減少してきております。

 病院収容時間などの増加抑制ですとか救命率の向上のために、全国の消防本部と連携しながら、救急車の適正利用の推進ですとか応急手当ての普及などに取り組んでまいります。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 大臣が今御答弁をいただきましたように、それぞれの自治体でもさまざま努力をしている、そういう中で、数字的に上がってきているところもあるんだというようなところであります。

 ただ、私の問題認識としては、今前段で質問させていただいたように、非常に救急搬送また収容までの所要の時間というものがふえているんだと。ですから、そこをどうするかということも非常に大きな問題、課題だと思うんです。

 また、これはよく報道もされるわけでありますが、救急車を呼んだ、でも実は大変な軽症であった、こうしたこと、ある意味で、こういう言い方をすると難しいところはあるわけでありますが、必ずしも必要ではないときのそうした依頼も多かったのではないか、こういうところが出てきているんだと思います。

 質問時間が終了いたしますので、そうしたことに対して、改めてしっかりと各自治体と連携をして、やはり国としての、これまでもいろいろなところで質問しておりますが、そうした全国的なデータをきちっと見ながら、各自治体と連携してしっかりと進めていっていただきたいと要望して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 きょうは、水道事業の広域化について、またその問題点について質問をしたいと思います。

 厚生労働省から馬場政務官、お越しいただいております。

 早速質問に入らせていただきます。

 総務省は、三月二十二日、公営企業の抜本的な改革の検討を求める、公営企業の経営のあり方に関する研究会による報告書を公表しました。

 このうち、水道事業の項目では、事業統合を視野に入れた広域化の検討などを留意点に上げています。「都道府県が主導的な役割を果たすべき」とし、「広域化等や更なる民間活用といった抜本的な改革を検討する必要がある。」としています。

 特に広域化については具体的な内容となっているんですけれども、簡単に御紹介していただけるでしょうか。

黒田政府参考人 御指摘の公営企業の経営のあり方に関する研究会報告書におきましては、水道事業についての問題意識としまして、特に、人口減少が著しい団体を初め経営環境が厳しい中小規模の公営企業では問題がより深刻であり、現在の経営形態を前提とした経営改革だけでは持続可能性を保てない懸念があり、現在の経営形態のあり方自体を見直し、広域化等やさらなる民間活用といった抜本的な改革を検討する必要があるとした上で、広域化等の改革の方向としまして、各事業者が地域の実情に応じて適切な広域化等の形を選択することが望ましいが、改革の先行事例を踏まえると、広域化等の類型の中で、経費、更新投資の削減、水源の一元管理や管理体制強化による水の安定供給、人材育成等の点から、事業統合に最大の改革の効果が期待できるため、各事業者は事業統合も視野に入れて広域化等を検討する必要がある、また、これまでの事業統合を初めとする広域化等の先行事例を踏まえれば、長い時間とプロセスを要することから、早急に検討を開始することが必要であると記載されております。

田村(貴)委員 そこで確認したいのでありますけれども、こうした内容、それからこうした広域化を望むのか、民間委託を選択するのか、いずれとも違う道を選んでいくのか、これは全て自治体が判断することだと私は考えます。決して政府が強制するものではないと思いますけれども、高市大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 具体的な方策につきましては、経営の現状と課題、将来のシミュレーション、地域の実情などを踏まえて、地方公共団体において適切に判断し、取り組んでいただきたいと考えております。

 総務省として、特定の経営形態を強制するということを考えているわけではございません。

田村(貴)委員 わかりました。

 しかし、文書では詳細に、早くやる必要がある、できることから段階的に広域化を推進する必要性があると言われては、これは地方自治体にとってはかなりのプレッシャーになるのではないかと思います。

 そのプレッシャーとなる文書が、昨年二月二十九日、これまた総務省から出されております。市町村等の水道事業の広域連携に関する検討体制の構築等にという通知であります。

 この通知においても、広域連携については十分な検討が進んでいないとして、広域連携についての検討は都道府県内の全ての市町村をもって構成することとか、都道府県においては、生活衛生担当課、市町村担当課、広域連携担当課及び用水供給事業等の関係部局が参加した体制とすることなど、事細かに指示されています。

 自治であるはずの水道事業に対して、国からこうした広域化を迫られれば、地方自治体はおのずと従わなければならないのではないでしょうか。

 きょうは、広域化が進んでいる香川県の事例を御紹介したいと思います。

 香川県では、岡山県から取水する直島町を除く全十四自治体が広域水道事業体検討協議会をつくっています。広域準備会に不参加を表明していた二つの自治体、坂出市、善通寺市も、この通知が出された前後で参加となりました。

 坂出市が不参加としていた理由は、自治体間の給水人口の違いから発言力が低下し、自己決定権が喪失することによって市民の声が届きにくくなるとか、地形的条件等に効率化は望むべくもなく、コストの低減は期待できないとしていました。

 しかし、広域準備組合から、広域準備会から、香川用水の受け入れ単価が、単独経営の場合、大幅に値上げをするとの試算が示されたのであります。広域化に参加しない限り、水道事業の経営が成り立たないように向けられていったということです。これはまさにペナルティーと言わなければなりません。

 善通寺市は、もともと自己水源の割合が高く、香川用水への依存度が低い、企業債の残高が少なく、将来的にも水道料金の値上げを抑えることができると踏んでいました。ところが、企業債残高を料金収入の三・五倍以内まで認めるとしたことで一転、参加となったわけであります。

 広域事業体に参加せずとも自前でやっていけるというその自治体の理由は、市民的にも大変説得力のあるものでありました。しかし、全県一本の広域化の強い流れの中で、大変悩まれたうちに、不参加、参加との判断になったわけであります。

 広域化になれば、それこそ自治体の事情が考慮されにくくなるのではありませんか。

 そこで、厚生労働省にお伺いします。

 事業が広域化された場合にも、共通水源とは別に、自己水源の必要性を主張する自治体もあります。災害によるリスク分散という観点からも、自己水源、自前の施設を維持していくということは、それはそれぞれの自治体の判断に基づいて尊重されるものだと思いますけれども、いかがでしょうか。

北島政府参考人 お答えいたします。

 水道は、日常生活に必要不可欠であり、不断に提供される必要がありますことから、水道法の定めるところにより、水道事業者は、水道使用者に対し、常時水を供給する給水義務を負っております。

 この給水義務を履行するため、水道事業者は、将来の水需要、自然条件、社会条件、水源確保に関する費用、取水の安定性、確実性等を総合的に勘案し、地域の実情に応じて適切に水源を確保するとともに、施設の維持管理を適切に実施していく必要があります。

 広域化を進めるに当たりましては、こうした地域において、さまざまな観点から議論が尽くされることが重要であると考えております。

田村(貴)委員 私と梅村さえこ議員と昨年末に香川県の視察、調査をさせていただきました。

 そのときに、香川県からの説明であったんですけれども、災害時などに備えて、幾つかの取水場を予備水源でとっていくということをお伺いいたしました。当然、そのためには維持管理の費用がかかります。そして、私は、それは広域事業体の一体財政の中で認めていく必要があると思いますし、そうでなければ、独自の財政措置が求められて当然だというふうに思いますけれども、厚労省はいかが考えておられるでしょうか。

北島政府参考人 ただいま申し上げましたとおり、給水義務を履行するため、水道事業者は、地域の実情に応じて適切に水源を確保する必要があると考えております。

 このため、広域化によりまして、水源計画を見直して、自己水源を統合していくことも水源の整理の一つの方法であると考えておりますが、一方で、災害時を想定して複数の水源を有しておくという観点もあり、そのバランスを確保しつつ、水源を確保していくことが重要であると考えております。

 地域において、さまざまな観点から議論が尽くされることが重要であると考えております。

田村(貴)委員 そのための財政措置というのもしっかりと位置づけていただきたいというふうに思うわけであります。そうやって広域化を推進していくならば、それは最低必要条件だというふうに思います。

 水道法第六条二項では、水道事業の市町村経営の原則を定めています。これは、法改正、入っていませんよね。それは、一定の区域に給水を行う水道事業の性質からして、地域の実情に通じた市町村による運営が最も公益に資するからであります。

 香川県では、早明浦ダムを活用する香川用水の水が県の隅々まで配られています。これは、不安定水源である上に、広域化で香川用水への依存度が高まることに対して、県民や地方議会から不安や疑問の声も出されています。全国初、県下全自治体参加の広域組合の話であります。一番大きな取水、この問題についての声が上がっている。

 厚生労働省、このことを御存じでしょうか。いかがお考えになっていますか。

北島政府参考人 ただいまもお答え申し上げましたとおり、広域化によって、水源を見直して、水源を統合していくことも水源の整理の一つの方法であると考えますが、一方で、そういった災害時の想定をして、複数の水源を有していくという観点もあり、そのバランスを確保しつつ、水源を確保していくことが重要であると考えております。

 香川県では、県と関係市町村で水源や施設の考え方について議論され、再編整備の計画が作成されたものと理解しております。

 いずれにいたしましても、地域において、さまざまな観点から議論が尽くされることが重要であると考えております。

田村(貴)委員 国を挙げて、あるべき方向性を指示しているわけです。事細かに指図しているわけです。広域化をやれやれのオンパレードであります。このもとで、地方自治体が揺れ動いているんですよ。そこはしっかりと関心を持っていただきたいと思います。それは、人ごとにしたらだめですよ、国が指示しているわけなんですから。だって、法改正もそうでしょう。こうした問題が起こっているわけですよ。

 早明浦ダム、これはいつも夏場、出てきますよね、渇水時のときとか。それから、この香川用水というのは、この一本化でいいのかという議論は、当然、住民から出てくる、自治体からも出てくるわけです。ちゃんと関心を持っていただきたいと思います。

 時間がないから、次に進みます。

 水道の広域化に向けて、国が箸の上げおろしまで細かく指示するような音頭取りを推進してきたこと、そして、香川県での広域化に向けたさまざまな悩みとか現状、矛盾について、私、きょうは紹介させていただきました。

 そもそも、水道法の目的というのは、「清浄にして豊富低廉な水の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与する」ということが究極の目標とされています。これは逐条解説にもちゃんと示されています。生存権を保障し、その実現のための国の役割を定めた憲法二十五条に基づく法律体系の一環として水道法があるわけであります。

 その水道法の改正案が、今国会に提出されています。

 政務官にお尋ねしたいと思います。

 この第一条の改正についてですけれども、第一条の目的規定から、水道の計画的な整備、水道事業の保護育成、この文言が削除されています。これは一体なぜでしょうか。

 それにかわって、「水道の基盤を強化する」となっています。水道の基盤強化とは、一体何を指すということでしょうか。これはすなわち、広域化の意味でしょうか。

馬場大臣政務官 お答えします。

 まず、なぜ水道法第一条の改正において、水道の計画的整備、保護育成の文言が削除されたかというお尋ねでございますが、現在、水道の普及率が九七・八%に達している一方、人口減少に伴う水の需要の減少、高度経済成長期に布設された水道施設の老朽化の進行等の水道を取り巻く課題に対応し、将来にわたり安全な水の安定供給を確保していくためには、水道事業の基盤強化を図ることが最重要の課題となっております。

 このため、今般の改正においては、こうした時代の変化を踏まえ、法の目的として、水道事業の基盤強化を明確に位置づけるものでありますが、これは、水道を計画的に整備することや水道事業を保護育成することを含む広い概念であるというふうに考えておるところであります。

 また、水道の基盤強化とは何を指すかということでございますけれども、水道の基盤強化とは、水道施設の老朽化や人口減少に伴う料金収入の減少、水道事業を担う人材の不足など、水道を取り巻く厳しい状況に対応し、将来にわたって安全な水の安定供給を維持していくことを指すものであります。

 具体的には、適切な管理による健全な施設の保持、財政基盤の確保、経営ノウハウや技術力を有する人材の育成、確保をすることを指すものであります。

田村(貴)委員 政務官とはこの間議論させていただいたんですけれども、水道の技術継承ができないということについて、政務官からは、水道事業を支える職員数減少については、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題であるというようなお答えがありました。そして、審議官からは、これまでの徹底した組織人員の削減、これが要因の一つとしてお答えなされたわけであります。

 水道事業の保護育成を怠ってきたのは、これはまさに国の責任ではないでしょうか。今こそ、若手職員の増員配置を初め、水道事業の育成保護が求められているときです。しかし、保護育成を削除するというのは、これは本末転倒していると言わざるを得ないというふうに思うわけであります。

 私は、やはりここが一番大事だと思うんです。政務官、施設が普及してきたと言うけれども、三十万人からの人口でまだ未給水、普及していないところもあります。それから、今から老朽管の取りかえ。しっかりと計画的な整備と、それから水道の保護育成というのは、これからまさに求められていくというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

馬場大臣政務官 お答えします。

 先ほどのお答えとも繰り返す部分もありますが、今般の法改正では、現状の水道を取り巻く課題を踏まえ、先ほど御紹介のあった点も踏まえ、将来にわたって安全な水の安定供給を確保する必要があることをより明確化するために、水道を計画的に整備することや、水道事業を保護育成することも含む広い概念として、水道の基盤を強化することを法の目的に掲げておるところであります。

 人口減少社会においては、人材そのものが不足する中で、水道事業の持続可能性を高めるためには、必要とする職員を直接確保することに加え、周辺自治体との広域連携を推進し、スケールメリットにより人材を確保すること、官民連携により民間の技術力を活用することと、地域の実情に応じて適切な方策を選択できる環境を整備することが重要であると考えております。

 水道事業を支える職員数の減少につきましては、水道事業の基盤を揺るがしかねない重大な課題であるとの認識に変わりはなく、まずは改正案の成立に全力で取り組んでまいりたいと存じます。

田村(貴)委員 やはりこの二つの削除は認めることはできないというふうに思います。

 時間がなくなりました。

 法改正の第五条の四で、都道府県が市町村の区域を超えた広域的な連携を推進する上で、広域的連携推進協議会を組織することができると言っています。

 端的に一問だけ。この市町村協議会への参加というのは、これは義務ですか、それとも任意なのか、その一点だけお答えいただけますか。

北島政府参考人 この広域的連携等推進協議会への市町村の参加につきましては、都道府県の決定によって義務づけられるものではなく、各市町村の判断に委ねられるものであります。

田村(貴)委員 確認できました。

 この総務委員会で、私、水道事業のことをきょうで三回目、取り上げさせていただきました。やはり、コンセッション方式であるとか広域化にはたくさんの問題があり、住民の不信も広がっているところであります。水道事業の窮状を招いてきた国の責任については、しっかりと踏まえていただきたいというふうに思います。

 水道というのは人の命を支えるものであります。決して、経済性、効率性だけで判断できるものではありません。水源の確保とか、それから水の供給というのは、自治体によって歴史があり、そしてやり方もそれぞれ異なってまいりました。それを無視してはいけないということであります。

 水道法の目的や市町村の水道の原則を、事実上、掘り崩して広域化を推進していくようなやり方、今度の法改正については重大な問題があるということを指摘しまして、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 きょうは、日米共同演習へのオスプレイ参加と自治体の役割について質問いたしたいと思います。

 三月六日から十二日間、陸上自衛隊と米海兵隊との日米軍事演習が群馬県の相馬原演習場と新潟県の関山演習場で行われ、米海兵隊のMV22オスプレイが訓練に初参加をいたしました。

 まず、参加と、中身について簡潔にお答えください。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 国内における米海兵隊との実動訓練、いわゆるフォレストライトにつきましては、陸上自衛隊及び米海兵隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における相互連携要領を実行動により訓練し、日米それぞれの戦術技量の向上や、相互理解と意思疎通の促進、相互運用性の向上を図ることを目的とするものでございまして、平成二十九年三月六日から三月十七日にかけて、新潟県の関山演習場及び群馬県の相馬原演習場等において実施をしたところでございます。

 本訓練の参加人数につきましては、自衛隊からは、東部方面隊第一二旅団第三〇普通科連隊、新潟県新発田駐屯地に所在する部隊でございますけれども、この部隊を基幹として約三百名が参加、それから、米軍につきましては、米海兵隊第三海兵師団第四海兵連隊の一個中隊、これは沖縄県のキャンプ・ハンセンに所在している部隊でございますけれども、こうした部隊を基幹として約四百五十名が参加をしたところでございます。

 また、MV22オスプレイに係る訓練につきましては、より実戦的な空中機動作戦の演練を通じて双方の練度向上を図るため、主として、陸上自衛隊の航空機、UH60総数三機、CH47総数三機に加えまして、米海兵隊の航空機、MV22オスプレイ総数六機が飛来し、各機に日米の隊員が相互に搭乗し、ヘリボーン訓練、特殊卸下訓練、第一線救護訓練等を実施したところでございます。

 関山演習場及び相馬原演習場において実施したフォレストライトに合わせてオスプレイが訓練したのは、今回が初めてのことでございました。

梅村委員 今の御答弁にもありましたように、共同演習、前回、二〇一四年に行われていると思いますが、参加規模が二倍以上になっていますし、今回、オスプレイが初めてその訓練に参加をしたということです。

 そして、このオスプレイ六機ですけれども、そもそも、三月五日に米軍の横田基地に飛来し、二十二日に普天間基地に戻るまでの約半月以上、横田基地を拠点に、共同訓練のほかも含めて、関東甲信越、福島、静岡などで訓練を繰り広げました。特に、横田基地での離発着は百四回にも上ります。

 各地で飛行が目撃をされ、例えば、群馬県では、高崎市や前橋市などの住宅街上空、群馬大附属病院や学校の上を飛んでいったという目撃情報もあり、低空飛行、いつもの空域と違うところの飛行、そして騒音もひどかったというお声を私どもも聞いております。

 そこで、高市大臣に伺いたいと思います。

 例えば、群馬の昭和村長も、住民の安全を守る責任がある、訓練内容についてもできる限り地域に教えてもらいたい、伝えてもらいたい、沼田市長は、飛んできてもらっては困ると述べておられます。

 そこで、確認ですけれども、自治体は、住民の不安を取り除き、安全、安心の確保の役割もあると思いますが、その点での御意見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 日米共同訓練につきましては、総務省の所管外でございますので、現在総務大臣の立場にある私からお答えすることは大変難しいということを御理解いただきたいと思います。

 所管省において適切に対応されるべきものだと存じます。

梅村委員 今、発言させていただきましたけれども、こういう飛行訓練のもとで、やはり自治体の長の皆さんや住民の皆さんが今どういう不安を持たれているかということをしっかりこの総務委員会でも捉えていただきたいというふうに思って、私はここで質問をさせていただいているところです。

 今回、自治体、住民は、飛行ルートなど、全く情報がございません。その訓練内容もわからないまま、突然、普通に暮らしていた上空を、保育園、幼稚園や学校、病院の上で飛ぶ。三月上旬は、ちょうど学校は期末テストや入学試験の時期でもありました。しかも、十二月には沖縄でオスプレイの事故があり、まだ原因究明もされていない中ですから、もしこの上空で事故が起こったらというふうに住民の皆さんが思うのは私は当然のことだと思いますし、自治体はそういう不安を取り除く責務があるというふうに思います。

 そこで、さらに確認したいんですけれども、御紹介したいんですけれども、では、どんなふうに飛んでいるのか。政府も米軍も明らかにしませんので、きょうは、三月九日の目撃情報を集めて、さいたま市浦和区高砂にある埼玉県平和委員会というところが地図にしたものを資料一と二で用意いたしました。

 資料一をまず見ていただくと、三つの色の線があると思います。ブルーは機体一、これは横田基地から群馬の相馬原に行き、帰ってくる、赤は機体二、緑は機体五、この二つは横田基地から新潟の関山に行く流れとなっています。

 これを見ますと、まず午前八時三十二分に一機のオスプレイが相馬原に向けて横田を飛び立ち、午後二時四十七分には二機が関山に向かったということです。横田から相馬原には片道二十分、関山には約四十分かかっているところでございます。

 二枚目を見ていただくと、相馬原に行ったルートだけが抽出されております。これを見ていただくと、午後四時五十分に相馬原を飛び立ったオスプレイは、横田に帰還するのは午後五時十七分と、二十七分もかかっていることがわかります。

 本庄市上空を四時五十五分、寄居町上空を四時五十七分に飛んだ後、東松山市から鴻巣市方面へ向けて飛んだことが午後五時に吉見で目撃されています。真っすぐ横田に帰還せずに、大きく東方面へコースを変えて、どこかでUターンしてきたということも推測されると思います。

 また、戻っていただいて、赤の線で、関山、新潟の方に行くルートですけれども、午後四時四分に関山を離陸した二機も、四時四十一分に一度横田に着陸しながら、四時五十分に再び離陸、二十九分後の五時十九分に帰還。この間、飯能や日高市上空をおよそ三回にわたって旋回していたというような可能性がある、目撃情報があるわけでございます。

 これは、あくまでも市民の皆さんの情報なんですけれども、そういうことが政府や米軍から明らかにされていないもとでは、やはり市民の皆さんが皆さんの目で、こういうふうに自分たちの上空がどうなっているかということをチェックするのは私は当たり前のことだというふうに思います。

 それで、これを見ていただきますと、一目瞭然なのは、オスプレイは、自衛隊の演習場で訓練しただけではなく、横田から演習場の上空間で、通告もせず、さまざまな飛行を勝手に行っている、こういうことは明らかだというふうに思います。

 そこで、確認をしたいのは、飛行訓練における日米合同会議の合意はどのようになっているのか、これを御答弁いただきたいと思います。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

岡政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年九月十九日の日本国における新たな航空機(MV22)に関する日米合同委員会合意がございますが、この中におきまして、MV22オスプレイの我が国における運用に係る具体的な措置について、米側と合意をなされております。

 その中では、米軍施設・区域の上空及び周辺における飛行経路について、進入及び出発経路を、できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を避けるように設定すること、低空飛行訓練について、訓練航法経路を飛行する間、天候等の安全上の理由がある場合を除き、地上から五百フィート、メートルに直しますと約百五十メートルになりますけれども、五百フィート以上の高度で飛行することや、史跡、人口密集地域、学校、病院等の上空を避けて飛行すること、騒音については、米側が騒音規制措置に関する既存の合同委員会合意を引き続き遵守する意図を有することなどが定められているところでございます。

梅村委員 今の御説明で、上空百五十メートルがいいのかどうかということについては大変意見がありますけれども、ただ、その合意の中におきまして、飛行計画、経路、時間帯などを事前に公表していく問題や、人口密集地や学校、病院など公共の建物の上空はなるべく避けるというような合意があるわけでございます。

 ただ、そういうことからいいますと、先ほど御紹介した資料の一、二のルートは、御紹介したように、群馬大附属病院の上を通っていただとか、学校の上を通っただとか、高崎や前橋その他の人口密集地を通っていることは間違いありません。自宅上空を飛んだ方が言っていましたけれども、訓練空域と言われたことは私は一度もないということもおっしゃっております。

 こういう事例からいうと、今回のさまざまな問題、日米合同会議の合意上問題があるのではないかという点についてはいかがお考えでしょうか。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 先ほど答弁がありましたとおり、MV22オスプレイにつきましては、合同委員会合意で、米軍施設・区域の上空及び周辺における飛行経路につきまして、進入及び出発経路を、できる限り学校や病院を含む人口密集地域の上空を避けるようなどが合意されております。

 今回のフォレストライト02に際しまして、米軍のMV22オスプレイの横田飛行場からの飛行経路につきましては、米軍の運用に関することでございまして、その詳細について承知しておりませんけれども、米側の方からも累次の機会に、この合意に基づき飛行運用を行っているという説明も受けております。

 MV22の配備は我が国の安全保障に大変意味があるというふうに考えておりますけれども、その飛行運用に際しましては、安全確保はもとより、周辺住民の皆様方の生活への最大限の配慮が大前提でございます。

 今後とも、米側と連携を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう対応してまいりたいと考えております。

梅村委員 その点を踏まえれば、さまざまな問題点があるということだというふうに思います。

 そこで、国交省に確認しますけれども、飛行ルートについて、そもそも、航空法ではオスプレイも飛行ルートは報告されなければならないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

坂野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のオスプレイを含めまして米軍機が飛行する場合には、航空法第九十七条及び日米地位協定の実施に伴う航空法の特例に関する法律に基づきまして、国土交通大臣に対して飛行計画の通報が必要となっております。

梅村委員 ですから、今の御答弁だと、国交省の方では航空法に基づいてオスプレイの飛行ルートをつかんでいるということだというふうに思います。ただ、米側との関係でそれは公表できないということだと思いますけれども、やはり国交省がつかんでいらっしゃると。日本の空は一体誰のものなのかということで、これは私は公表されるべきだというふうに思います。

 住民からの苦情の問題についてもあると思います。そして騒音の問題についても、北関東防衛局で測定していると聞いております。こういった問題については今後どのように対応されるのかをお聞きしたいと思います。

谷井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年三月に実施いたしましたフォレストライト02に伴い、地域住民の方々から、オスプレイと思われる航空機の飛行に関して複数の苦情があったというふうに承知をしております。

 その内容につきましては、現在取りまとめ作業中でございまして、具体的に申し上げることはなかなか難しゅうございますけれども、防衛省といたしましては、引き続き、米軍に対して、オスプレイの飛行に際しては安全面に最大限配慮しつつ、地域住民の方々に対する影響を最小限にとどめるよう働きかけてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、騒音測定の話でございますけれども、オスプレイの騒音測定につきましては、日米共同訓練における航空機騒音が周辺環境へ与える影響等を把握して今後の業務の参考とするため、本年三月の相馬原演習場及び関山演習場の日米共同訓練において、おのおの北関東防衛局がオスプレイの騒音測定を実施いたしております。

 この結果につきましても、現在精査中でございますけれども、結果の公表も含め、今後適切に対応してまいりたいと考えております。

梅村委員 ぜひ、住民からの情報、苦情、そして、騒音も大変重大な、安全にかかわる問題ですので、まとめていただいて、公表をしていただきたいと思います。そして、日米合意に基づいて違反があれば、しっかりと意見を言っていただきたいというふうに思います。

 最後に、今度はCV22の配備計画に関して聞きたいと思います。

 米軍は、ホテル地区を飛行対象にするとしておりますが、これは自衛隊の訓練空域のエリアHと重なると想定されるのか。これについて確認させてください。

谷井政府参考人 お答え申し上げます。

 米側が作成しましたCV22の横田配備計画に関する環境レビューにおきまして、基本的に、横田飛行場に配備される航空機は、現在の訓練区域あるいは訓練場を引き続き使用するというふうに書かれております。

 また、CV22が訓練を行う六つの訓練区域の一つとして、ホテル地区が記載されているところでございます。

 このホテル地区の訓練内容につきましては、米側に問い合わせましたところ、飛行訓練及び夜間飛行訓練を行う旨を米側からも説明を受けております。米軍のこのホテル地区というのは、航空自衛隊のHエリアとほぼ重なっているというふうに承知をしてございます。

梅村委員 夜間訓練も行われ、自衛隊のエリアHに重なるということで、私、資料の三で、今回、エリアHがどこなのかということで、長野十七市町村、群馬二十五市町村、新潟も八市町村、栃木、福島ということで、およそ五十三の自治体が影響を受ける。そして、MV22とは違って、CV22は本当に今までとは全然違う訓練をされていくということだと思います。ですので、このCV22のオスプレイが配備された場合、さらに今回の訓練以上に大変危険なことが起こってくる可能性があると思います。

 表の下のところに、入間基地が調整している、自衛隊が自由に使える時間調整の一覧もあります。この時間帯というのは、事前通告もなくオスプレイというのは飛行訓練できるのか、また、空中給油というのはこういうところでは今後可能なのかどうか、これについて最後に確認させていただきたいと思います。

岡政府参考人 エリアHとの関係での御質問でございますけれども、自衛隊の訓練試験空域を米軍が使用する際には、当該空域の使用の重複を避けるために、自衛隊の担当部隊が使用統制機関として、米軍と使用日時について事前調整を実施しているところでございます。

 エリアHにつきましては、航空自衛隊第二輸送航空隊本部が使用統制機関とされているところでございまして、そうした使用日時に関する事前の調整を行った上で使用されることになるものというふうに理解をしております。

 それから、空中給油についてでございますけれども、現時点におきまして、日米共同訓練の際に米軍のオスプレイに対する空中給油訓練を実施する計画はありません。また、空中給油訓練については、陸地から離れた海域の上空で実施されているものと承知しているところでございます。

梅村委員 陸地も海上でも空中給油は憲法違反であり、危ないことですので、やるべきではないと思います。そして、肝心なことは、やはり大切な情報が国民に知らされないような状況ですので、自主自立の日米関係をつくっていくことが必要だと思います。

 今、危険なオスプレイを日本上空で飛ばさせてはならないということで各地で開かれているオスプレイ反対集会は、二千人、三千人と大きくなってきております。オスプレイの訓練、配備はやめることを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは通告を七問させていただいていまして、平成の大合併、何度かこの総務委員会でも議論させていただいたことがありますが、合併の話。先ほど共産党の田村委員の方から、水道政策についていろいろ御異論があるということですが、我が党とは全く真逆の考え方でありますが、傾聴に値する真逆の考え方でありますので、また田村委員と御意見交換しましょうということで、さっき資料の交換なんかも水面下で、言っちゃったら水面下になりませんが、お話をしていたところでございます。

 平成の大合併、それから国保の財政責任、あるいは二千個問題、いろいろ通告させていただいていますが、ちょっとそれは後に回させていただいて、築地の話をさせていただきたいと思います。時間、何とか後段もしたいと思っていますが。

 きょう、いろいろな読み物が最近はあって、一生懸命今読んでいるんですが、またちょっと話が飛び散って恐縮ですが、民進党の細野豪志議員が憲法改正案を、私案を出されましたね。これは総務委員会と関係ありませんが、木曜日に憲法審査会の自由討論、ちょうど地方自治がテーマでありますので、ぜひ細野議員には民進党を代表してこの私案を、党を代表して木曜日の憲法審査会でテーブルにのせていただくことを切に希望しておきたいと思います。もしそれができなければ、もう民進党は、なかなか党としては厳しい局面、党の政策の提示という意味では大変厳しいことになってくるということを、人様のことでありますが言わざるを得ません。

 いずれにせよ、民進党はもう終わったんじゃないかなんということがちまたで言われていますので、私も、これから焦点は小池都知事ということで、焦点を絞ってまいりたいと思います。

 さて、築地再整備案というのがこの週末に出ました。これは何なのかよくわからないんですね。東京都にちょっと聞いておいてくださいということでお願いしていますが、いかがでしょうか。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都に確認いたしましたところによりますと、四月八日に実施された議員御指摘の説明会は、東京都専門委員による説明と意見交換と位置づけられておりまして、築地改修案は、市場問題プロジェクトチームの小島座長を含む三名の専門委員と一名の特別協力者による研究であり、同じく説明された豊洲移転案は、小島座長を含む三名の専門委員の研究とのことでございました。

 東京都からは、こうした取り組みは、東京都専門委員による市場問題の調査研究の一環として、専門委員等の名義により提示されたものと聞いているところでございます。

足立委員 ごめんなさい。細かい、東京都のことを余りここでやるのは違和感を持たれる方もいらっしゃるかもしれませんが、後ほど申し上げますが、これは東京都だけの問題ではありません。

 先日、農水委員会でその旨は明らかにしておきましたので、また、きょうの夕刊フジをごらんいただければ詳細を書いていますので、夕刊紙は余り読まないという方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひごらんをいただきたいと思います。

 今、ちょっと御答弁をいただきましたが、すると、これは都の組織でオーソライズしていないという理解ですね。

大角政府参考人 私どもが東京都に聞いたところによりますと、あくまで東京都専門委員による市場問題の調査研究の一環としてのものというものでございます。

足立委員 これは私の解釈ですが、農水省を通じて東京都に聞いていただいた今の御答弁、これを私なりに解釈すると、今回の築地再整備案というのは、憲法改正でいうと細野私案みたいなもので、組織でなかなか言えないから、個人的に外で言ったというふうにしか受けとめられません。

 引き続き、この築地整備案については、土壌汚染対策なんかは含んでいない金額がひとり歩きしていたりして、大変ミスリードしていますので、しっかり国の立場からも、国会でも議論していきたいと思います。

 それからもう一つ、石原元知事と小池都知事とのバトルが繰り広げられていまして、この週末発売の文芸春秋に小池都知事が、「独占手記 石原慎太郎の嘘、豊洲移転の判断」というわけのわからぬ記事が出ていますが、これは大変違和感がありまして、これも確認してくださいとお願いしています。

 小池都知事はこうおっしゃっているんですね。いろいろ私を批判する人がいるが、「私は石原さんが掲げた「高いハードル」をあらためて引き継ぎ、「安全・安心」を確保しようと、一つ一つのステップを重ねてきたにすぎません。」要すれば、石原元都知事から引き継いだだけで、私が別にそのハードルをつくったわけでもなければ何でもないなんということで逃げちゃっています。別のところで、こういうことも書かれています。「舛添要一前知事は、法的な安全と五輪用道路建設を優先させ、昨年十一月七日を豊洲新市場の開業日と定めました。」というのも、一応認識はされているんですね。

 すなわち、石原、猪瀬の両都知事の時代に設定していた高いハードル、地下水基準というものでありますが、これを引き継いだと言っているんですが、その間に、舛添知事の安全宣言というのがあって、平田座長も安全宣言されていますが、舛添都知事が、これで法的な安全、私が何度も言っているように、法律、条例の法的な安全をちゃんとクリアしているのであると。

 環状二号線のことだと思いますが、「五輪用道路建設を優先させ、」優先させというか、それを実現するための総合判断として、その高いハードルについては将来的な課題として位置づけて、あくまでも、そういう意味では、モニタリング、今のあくまでもというのはちょっと、いいんですが、要すれば、モニタリング調査が全て終わる前に、モニタリング調査というのは将来へのいろいろなデータとしてとればいいんだが、昨年の十一月に開場すると決めていた、その舛添さんから私は引き継いだはずなので、これは明らかに、小池都知事の手記はうそである。欺瞞と言ってもいいですね。詐欺に近いものだと私は思いますが、それはいいです。評価は私が勝手に言いますが。

 猪瀬さんはまあいいですよ、石原、舛添、小池という引き継ぎがおかしいと思うんですね。それも確認してくださいとお願いしていますが、いかがでしょうか。

大角政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都の方に、当時の舛添知事の発言との関係について問い合わせをしたところでございますけれども、当時の舛添知事の御発言は、豊洲市場用地において、土壌汚染対策工事が全街区において完了し、技術会議において確認を受けたことから、東京都として、豊洲市場用地の安全性が確認できたことを言及したものとのことでございます。

 具体的には、平成二十六年十二月九日、舛添元都知事が、定例会見において、記者からの質疑に対し、安全宣言と受けとめてよいかとの質問に対し、大丈夫ですよ、一部略しますが、私はこれで十分安全である、市場を開設しますということを責任持って申し上げたいと思いますと答えたと承知しております。

 東京都からは、卸売市場は生鮮食料品を取り扱う場であり、食の安全、安心を確保するため、法を超える高いレベルの対策を講じることを都民と約束してきたものであり、それをクリアするために取り組んでいると聞いているところでございます。

足立委員 これ以上、農水省に申し上げてもあれですが、まことにひどい話でありまして、小池都知事は認識しているんですよ、わざわざ書いてあるんだから。

 舛添要一前知事の整理、これを引き継いだというのが多分、多分じゃないな、当たり前ですね、客観的に見た事実関係であるにもかかわらず、その事実を、頭には入っている、書いてあるんだけれども、その後に何と書いてあるかといったら、「国会議員時代、「環境大臣などは頼まれても受けないよ」と舛添さんは、私に自信たっぷりに語られたのを、鮮明に覚えています。」要すれば、舛添さんの環境への思いというのはいいかげんなんだとなじって終わっているわけですよ。

 本当にこういう人が都知事というのは、都知事は、もちろん、東京都は自治体ですから、国会で議論する必要はありませんが、建前は。しかし、首都ですよ、首都。首都の知事がいいかげんなことを言うようでは、これは本当に日本が揺るぎます。

 日本は今、東京一本足打法ですからね、一本足打法。これから僕たちは二本足で立っていこうということで、大阪で頑張っているわけであります。

 この小池都知事の手記にこういうことを書いてあります。看過できませんね。

 「私が豊洲移転を再考すべきと考えた理由は、おもに二つあります。」一つは、何か持続性みたいな話なんですけれども、その第一の理由が、「スポーツ施設と生鮮食品市場を同じに扱っていいのか、違和感を感じる方々はいるでしょう。私の豊洲に対する考えの根本には、その経験があります。」こう書いているんです。

 要すれば、日本の法令、日本の国法においては、土壌汚染対策法を別途、今、環境委員会で審議をして、採決が近いと思いますが、リスクに応じた規制の合理化ということが柱になってやっているわけでありますが、これは国の法律にたがえることを言っているんですよ、首都の知事が。スポーツ施設と生鮮食品市場を同じに扱っていいのか。今の法体系はいいんです。もしこれがだめだというのであれば、合理的な理由を示して、場合によっては国会でも議論したらいいと思う。

 ところが、小池都知事がおっしゃっていることが取るに足らない理由、最大の理由は、彼女が言っていることは、彼女が言っていることを適用しているのが豊洲市場だけだからですよ。適用するんだったら、東京都の築地市場、大田市場など、全ての東京都の市場に適用するのがまず第一の都知事の義務であるし、義務というか当たり前のことであるし、それは、国政の観点からいえば、もし本当に卸売市場全体にそういう議論が必要なのであれば、卸売市場法を改正して、我々はしっかりと議論をせなあかんと私は思っています。

 私たち日本維新の会は、そういう観点から、先般、小池都知事にも提言書を持っていきましたが、あわせて、卸売市場法の改正案、これを今策定しておりまして、近日中に国会に提出をさせていただきたいと思っています。

 ただ、小池都知事がおっしゃっているような合理性のないことを卸売市場法に書こうとしているのではありません。我々は、今後、小池都知事のような妄言がなされると、特に首都は困りますから、だから、卸売市場法にこういう規定を追加します。すなわち、市場開設者は、適切なリスクコミュニケーションをしなければならない、これを義務づけるわけですね。

 それが、もし、都道府県知事を初めとする、都道府県知事とも限らないんだけれども、要は、卸売市場の開設者が適切なリスクコミュニケーションを実施できない場合にはしっかりと農水大臣が勧告をする、そういう枠組みを今つくっていますので、しっかりと、都議会議員選挙もありますので、小池都知事のこうした豊洲移転に係る欺瞞、うそ、うそっぱちのこういう手記が拡散されて議論がおかしくなることのないように、日本維新の会として取り組んでいくことを申し上げておきたいと思います。

 さて、あと四、五分なわけですが、またこれはじっくり時間をとらせていただいてやりますが、先ほど共産党の田村委員の方からあったのは、水道事業の広域化という話であります。水道はまたちょっと私は位置づけが別だと思っているので、別途整理したいと思いますが。

 私の地元でも、小選挙区に三市二町あるわけです。その二町なんというのは、国が、これは市町村がやってくれ、これは市町村がやってくれと、今、国が苦しいのは全部市町村に振りますから、さまざまな仕事が、社会保障であれ何であれ、降ってきます。もう受け切れません。

 特に、総務省所管の、二千個問題というのを通告させていただいていますが、個人情報保護とかビッグデータの活用とかマイナンバー、いろいろな情報政策が総務省の中で今推進をされていますが、全部受け手は市町村なんですよ。それをもって、二千個問題、要は自治体が千七百あるわけですから、とてもそれを地域が受け取れていないという問題があるわけでありまして、これはもう深刻なテーマであります。

 国は、例えば二千個問題、一言、せっかくだから、二千個問題をちょっと簡単に。二千個問題というのはあれですね、きのう通告した、報告書を取りまとめようとしているもの、あれをちょっと簡単に紹介してください。

時澤政府参考人 お尋ねのありました二千個問題でございます。

 私ども、個人情報の保護につきまして、地方公共団体における現在の法体系は条例によるということとされておりまして、これまで、国の制度改正が生じた場合におきましては、各地方団体において、それぞれ条例の改正によって対応されております。

 今般、個人情報保護法の改正がございまして、地方団体では条例の改正に取り組む必要がございますが、私どもとしては、検討会を開催しまして、条例改正に係る論点整理を行ったところでございます。

 その中で、例えば、個人情報の定義の明確化、要配慮個人情報の取り扱い、それから非識別加工の仕組みの導入、こういった点について提言をいただきまして、私どもといたしましては、条例の見直しの検討に当たり留意すべき事項を取りまとめ、また、条例改正のイメージもお示ししながら、個別の地方団体に対しても御相談に応じつつ、円滑に条例改正が行われるように対応してまいりたいと考えているところでございます。

足立委員 これは別途時間をとらせていただいてやりますが、今後の課題ということで、将来的には、地方公共団体共通の提案受け付け窓口や地方公共団体が共同して非識別加工情報の作成を委託できる等の仕組みを検討していくことも考えられる、こういう報告書なんです。

 要すれば、千七百の個々の市町村で対応できるような仕事ではもうなくなっているんですね。大変行政も高度化をして、さまざまな対応を市町村がしていかなあかんときに、平成の大合併が失敗した結果、今総務省は、もう合併は諦めて、では、皆さん共同で、例えば広域行政でやってくださいといってお茶を濁しているわけでありますし、それぞれの行政分野においても、できないところは共同でやってくださいと振っているわけでありますから、もうこのままではできません。

 だから、私たち、木曜日の憲法審査会においても、国と地方の関係、道州制とか市町村合併とかいろいろ我々は申し上げますけれども、これは別に絵そらごとで言っているんじゃなくて、本気でこれをやらないと、日本のガバナンス、地域のガバナンス、行政サービスの高度化、もう立ち行きません。

 今御紹介があったこういう話も、非識別加工情報云々という個人情報保護の法令も、五月三十日にもう法施行されます。こうした総務省のやっつけ仕事は、私は絶対にこれは国のためにならないというふうに思っていますので、引き続き具体的な提案を申し上げていくことをお誓い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、先週木曜日の電波法の際にも少し議論されましたが、スマートフォンなどの携帯端末に関連して、何点か質問させていただきたいと思います。

 昨年もちょうど同じような時期に質問しておりますが、昨年四月から、端末価格の適正化として、スマホ価格が実質ゼロ円になるような端末購入時の補助を規制するガイドラインが施行されました。施行されてすぐに、大手携帯事業者に対して、端末購入補助の是正を求める要請が総務省から行われました。

 最近、ちょっとどうなっているのかなというふうに思って調べたところ、昨年の十月七日付で、携帯事業者四社に対して文書が発出をされております。

 大手携帯事業者三社に対しては、総務大臣名で厳重注意、それから残りの一社については、総合通信基盤局長名で注意の文書が出ております。

 大手の三社については、これは厳重注意ですからかなり重たい処分だというふうにも思いますが、この案件の概要、そして、注意を受けた四社それぞれ、それぞれといいますか、簡単で結構ですので、対応についてまず簡単に教えてください。

富永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の措置でございますが、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、沖縄セルラーにおきまして、端末の購入を条件としてキャッシュバックなどを行うためのクーポンを送付する手法を用いまして、端末の販売を実質約ゼロ円またはゼロ円以下で行わせる不適正な端末購入補助が行われておりまして、端末購入補助の適正化に関するガイドラインに沿わないものと認められた事案に関するものでございます。

 NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの三社につきましては、昨年四月に行政指導を行ったにもかかわらず、再度不適正な事案が発生したことから、十月七日付で総務大臣名で厳重注意を行い、電気通信事業法第百六十六条の規定に基づきまして、再発防止策等について報告することを求めました。

 沖縄セルラーにつきましては、初めての不適正事案であったことから、同日付で総合通信基盤局長名で注意を行い、再発防止策等について報告することを求めました。

 これを受けまして、各社におきましては、ガイドラインに沿わない不適正な端末購入補助を速やかに是正するとともに、社内の確認体制の整備などを内容とする再発防止策を講じるなど、対策がとられたところでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 端末の購入に際して、現金割引、キャッシュバックのような手法ではなくて、今回はクーポンという特典を与えてということで、そういう意味でいいますと、ガイドラインの抜け穴を探して、それを今度、総務省が塞ぐという、何かイタチごっこのような感もあります。

 関連してお聞きしたいんですけれども、三社に対しての厳重注意の際にもそうですが、沖縄の方もそうなっていますね。携帯事業者が扱うスマホの機種ごとの価格、同時に、事業者が販売店に支払われている代金について報告徴収を求めておりますけれども、この目的というのは何なんでしょうか。

富永政府参考人 昨年十月七日の厳重注意等におきまして、各社に対して、昨年十一月分から本年四月分まで、毎月、個別の端末購入補助の具体的な金額、条件等を報告することを求めました。

 これは、各社におきまして、ガイドラインに沿わない不適正な端末購入補助の再発防止策の実行が徹底されているかを総務省においてモニタリングするということを目的といたしまして、報告を求めたものでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 ガイドラインで決められました補助の規制に対して、先ほども言いましたけれども、抜け穴、抜け道探しができないように、あらかじめ卸売価格まで含めて端末の価格を把握しておくというような趣旨なのかなというふうに思います。果たして、それがいいことなのかどうなのか。まるで、これだと、価格の届け出制に近くなっているような気もしないでもありません。

 この問題、いろいろ見ておりますと、大変難しい問題のように感じます。

 端末購入補助のような割引システムは、ある種、市場での価格形成のあり方について、国がどこまで関与すべきかという問題が一つあろうかというふうに思います。

 さらに、携帯端末でいえば、大手三社による寡占状態ですから、そのもとで競争が阻害され、消費者に不利益が生じているんだとしたら、これは、総務省というよりは、どちらかというと公正取引委員会の取り扱う案件なのではないかというような気もします。

 それともう一つ、総務省による規制が、事業者だけでなく、利用者にもしっかりと理解され、受けとめられているのかという大変重要な問題があるというような気がいたしますので、そういうことも踏まえて、少し何点か質問させていただきたいと思います。

 もともと、携帯端末の購入価格補助に規制をかける発端となったのが、二〇一五年九月に開かれた経済財政諮問会議と聞いております。経済の好循環についてが議題だったようですけれども、報道陣を前にして、総理から、携帯料金等の家計負担の軽減は大きな課題である、高市総務大臣にはその方策等についてしっかりと検討を進めてもらいたいという指示をしております。また、同じ会議で、高市大臣からも、家計に占める通信費負担の軽減の必要性を強調しております。

 これを受けて、ゼロ円スマホのような携帯端末の割引ではなくて、通信料金を引き下げる、さらには、MVNOのような格安スマホの市場参入を奨励させる施策を推進していくようになったものと私は理解をしております。

 そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、昨年四月のこのガイドライン、端末の購入補助に規制をかけたものですが、どのような効果を上げたというふうにお考えでしょうか。

高市国務大臣 総務省では、料金の低廉化に向けまして、一昨年の十二月に「スマートフォンの料金負担の軽減及び端末販売の適正化に関する取組方針」を策定しました。

 その取り組み方針に沿って、大手携帯電話事業者各社に対して、利用者の多様なニーズに対応した料金プランの導入を要請させていただき、昨年の四月から端末購入補助の適正化のためのガイドラインを運用してまいりました。

 これまでの取り組みによりまして、大手携帯電話事業者では、ライトユーザーや長期利用者、さらにはヘビーユーザー向けの新たな料金プランが導入されました。また、大手携帯電話事業者の半額以下の料金で利用できるMVNOも急速に拡大してまいりました。利用者の料金負担軽減について、一定の進展は見られてきていると思います。

 また、通信料金の高どまりですとか利用者間の不公平につながり、MVNOの新規参入、成長の阻害を招くおそれがあった実質ゼロ円や、それをさらに下回るキャッシュバックなどの行き過ぎた端末購入補助の適正化も進んでまいりました。

 私は、利用者にとってわかりやすく納得感のある料金、サービスの実現に向けて、着実に進展していると考えております。

吉川(元)委員 大臣そうおっしゃられますけれども、利用者にとってのわかりやすい料金設定になっているかどうか、これはちょっと後で、時間があればまた最後の方でお尋ねしたいと思います。なかなかそうはなっていないんじゃないかなという気がいたします。

 確かに、総務省が進めてきましたSIMロックの解除、それからMVNO、格安スマホの回線利用に関する規制緩和、これは一定の成果は上げているというふうに思います。実際、格安スマホ、テレビ等のCMでも最近よく流れるようになっておりますが、通信料が月額二千円を切るようなものも出ているということでありますから、利用者の選択肢は広がりつつあると思います。

 他方、携帯端末に対する補助を規制し、端末価格の引き上げによって通信料を下げる、結果的に下げていくという総務省の描いたプラン、これがそのとおりになっていないのではないかという気がいたします。

 先日の当委員会でも高井委員からも指摘されていましたけれども、家計における端末電話の通信料、むしろ上昇しております。私も家計調査を調べたところ、二人以上の世帯で、ガイドライン実施前の昨年三月の通信料が九千四百七十三円、ことし二月は一万五十三円ということで、通信料は一万円台の大台に乗って、また家計に占める通信料の割合も、二〇一六年は過去最高の三・三%に達しております。

 これは、恐らく端末数がふえたんだというようなことが言われるかもわかりませんけれども、あるいは、いわゆるガラ携と言われるものからスマホへの乗りかえが進んでいるというようなことも言われるかもわかりませんが、民間事業者の調査を見ますと、携帯大手三社と契約する利用者の、利用している人のそれぞれの月額通信料金というのは、二〇一五年十二月が五千四百七円、昨年十二月が五千二百六十一円ということで、それほど下がってはおりません。通話とデータを平均的に利用する人の通話料というのは、これは余り下がっていないんじゃないかというふうな気がいたします。

 その一方で、携帯大手三社の昨年の四月―十二月期の決算、ちょうどガイドラインの施行後の決算ということになりますけれども、ドコモとauは、スマホの販売台数が減っているにもかかわらず、営業利益はそれぞれ前年同期比より二二・九%、一五・四%、ふえております。それから、ソフトバンクについては、これはスマホの販売台数がわからなかったんですけれども、こちらも営業利益は一八%ふえております。

 ここから言えることというのは、端末の値引き制限が通信料の低下につながらず、値引きに回していたお金がそのまま事業者の利益になってしまったのではないか。家計に占める通信料と大手三社の営業利益の増について、大臣、どのようにお考えなんでしょうか。

高市国務大臣 先ほど吉川委員もお触れになりましたけれども、移動電話通信料の負担は、家計調査によると増加傾向が続いております。そして、主な要因は、おっしゃったとおり、携帯電話の世帯当たり保有台数が増加していることと、従来のフィーチャーフォンと比べて料金が高いスマートフォンの普及が急速に拡大していることだと考えられます。

 スマホの普及が進展する中で、通信料金の低廉化は重要でございますから、先ほど答弁申し上げましたとおり、これまでの取り組みで、以前よりも料金負担は軽減できるようになってきております。

 例えば、以前でしたら、一ギガバイトしか使わないのに七ギガ分の契約をさせられていたり、そういったケースが多うございましたけれども、今は、ライトユーザー向けのプランも、それからヘビーユーザー向けのプランも、個人で選択できるようになってきております。

 それから、大手携帯電話事業者においては、まだまだ私は努力をしていただく余地があると考えております。総務省では、MVNOも含めた競争を加速させて、さらなる料金の低廉化を促してまいります。

 引き続き、MVNOが大手携帯電話事業者に支払う接続料の適正化を進めてまいります。ことしの二月十五日に省令改正を行いました。おおむね一、二割の接続料の低廉化が実現しました。

 また、SIMロック解除の期間短縮ですとか販売端末のさらなる適正化の取り組みも着実に進めてまいります。

吉川(元)委員 昨年四月に施行されましたガイドライン、これにかわりまして、モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針がことし四月から順次施行されております。この新たなガイドラインの取りまとめに際し、パブリックコメントが実施されたと聞いております。

 寄せられた意見の数、内容について、ざっくりで結構ですので、総務省、どのように見ておられるのか、評価されているのか、教えてください。

富永政府参考人 総務省では、スマートフォンの販売やサービスの提供の適正化に向けた関係ガイドラインの見直し案につきまして、昨年十一月十九日から十二月十九日まで意見募集を行いました。その結果を本年一月十日に公表いたしました。

 この意見募集におきましては、計百三十一件の意見が提出されておりまして、賛同の意見やさらに積極的な総務省の対応を求める意見も寄せられましたが、他方で、端末の負担が高くなったが通信料金は十分に安くなっていないといった、御批判の意見も個人の方から寄せられました。

 このように、端末の負担が高くなったという御意見はございましたが、端末の実質負担につきまして、総務省で確認した範囲では、携帯電話番号ポータビリティーを利用した利用者につきましては、従来のような実質ゼロ円やそれをさらに下回る過剰なキャッシュバックがなくなったため、以前に比べ実質負担が生じていますが、それ以外のおおむね八割程度の利用者では、実質負担はむしろおおむね減少しておるという状況でございます。

 他方で、通信料金が十分に安くなっていないという御意見に関しましては、総務省としては、これまで一定の通信料金の低廉化はあったものの、なお一層の低廉化が必要と認識しておりまして、引き続き、MVNOを含めた競争を加速させまして、通信サービスと端末をより自由に選択できる環境を整備し、さらなる料金低廉化を促していきたいと考えております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 私も、そのパブリックコメントを見させていただきました。百三十一件、この数字も結構、新聞等によりますと、総務省の幹部のコメントとして、近年では最高記録だろうというようなコメントも出されております。

 今御紹介ありましたけれども、大変厳しい、私は、どちらかというと、個人に関して言うと厳しい意見が圧倒的、事業者はもちろん新たなガイドラインの策定の過程の中で意見を述べていますからそんなに辛辣なことは言わないと思いますけれども、そこに参加をしていない個人の方はかなり辛辣な、総務省に対する批判といいますか、厳しい言葉を散見いたしております。

 これは、安くなっているとかそういうふうに言われますけれども、実際の肌感覚として、携帯電話を使っている方からすると、通信料が安くなったという感覚は全くない、あるいはほとんどない。一方で、端末は高くなっている、そういう認識なんだろうというふうに思います。

 また、私も、ああそうだなというふうに思うんですけれども、個人の意見の中でいいますと、民間事業者が行う価格設定やサービスに国が口を出すのはおかしいのではないかといったような指摘も多々あったようにも思います。

 結局、利用者の利益のために進めた施策が、実はそうは受けとめられていない。利用者の、いわゆる通信料を含めて安くなるんだということが、実はそういうふうには受けとめられていない。これは、パブコメを見ると厳然たる事実だろうというふうに思います。

 今回の新たなガイドラインについては、つくられたものそのまま、パブリックコメントによって何か変えたということはなかったというふうに聞いておりますけれども、今後も引き続きということであれば、しっかりフォローアップをしていただいて、新たな施策を展開するに当たっては、利用者の声、寄せられた声や意見というものをしっかりと大切にしていただきたいということを指摘させていただきます。

 次に、端末価格について、ちょっと伺いたいと思います。

 新たなガイドラインでは、端末価格について、合理的な額の明確を図るとして、具体的には、二年前の同型機種の下取り価格以上としております。

 二年前の機種の中古価格以上は合理的な価格であるとした、その根拠というのは何なんでしょうか。

富永政府参考人 今回のガイドライン改正では、端末を購入する利用者に求める合理的な額の負担につきまして、古い端末の下取り価格に着目して、判断基準を充実させました。

 大手携帯電話事業者が販売する新品端末の実質負担が、性能が劣る古い端末の下取り価格を下回るような場合は、新品端末が中古端末よりも安く購入できることになり、不合理であると考えられます。

 それから、このような場合には、大手携帯電話事業者では、新品端末の購入者を過度に優遇することとなり、それ以外の利用者との間で著しい不公平につながると考えられます。

 このため、端末を購入する利用者に求める合理的な額の負担の基準を、おおむね二年前に販売が開始された同一製造事業者の先行同型機種の下取り価格以上とすることといたしました。

 以上でございます。

吉川(元)委員 ちょっとよくわからないんですけれども、適切な施策なのかなという疑問を持たざるを得ません。

 私の知り合いで、写真が好きな人がいて、カメラの話をよく聞きます。カメラは、かなり昔から中古市場というのが機能しておりまして、中古カメラの価格が新たな新機種の販売に左右されるということがあるそうであります。

 一方で、今、説明はございましたけれども、新機種の市場価格が、いや、割引率が、中古カメラの価格に規定をされるというような話は聞いたことがありません。新機種が出そうな時期になると、その前のタイプのカメラというのは価格が徐々に下がり出して、新機種が出た途端に、中古機種の価格が大幅に下落をする。

 つまり、新機種の市場、新機種の動向によって中古の値段が決まっていくというのが普通の決まり方で、中古の値段によって新機種の値段をどうこうするというのは、ちょっと余り聞いたことがないのではないか。

 逆に、中古価格というのは誰が設定をするのかということを考えたときに、例えば中古価格を一円まで下げてしまえば、新機種は、それを上回る価格ですから、二円でも合法的に販売することができる、新たな抜け道ができるんじゃないかというようにも思います。

 もう時間がありませんので、まだ通信料金のことも少し聞きたかったんですけれども、結局、やり方が少し間違っているんじゃないか。

 先ほども言いましたけれども、寡占状態にある大手三社の携帯電話のこの市場、ここをより競争的なものに変えていくことは必要だと思います。ただし、その際には、ぜひ注意していただきたいのは、携帯電話の市場が焼け野原になるようなむちゃくちゃな競争が発生しないように、適切に対応していただきたいということを指摘して、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

竹内委員長 次に、内閣提出、地方公共団体情報システム機構法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公共団体情報システム機構法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方公共団体情報システム機構法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、個人番号制度の一層の円滑な運用を図るとともに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定により地方公共団体情報システム機構が処理する事務の適正な実施を確保するため、機構について、役員の解任、業務方法書、機構処理事務特定個人情報等保護委員会の設置等に係る規定の整備を行うとともに、当該事務について、機構処理事務管理規程、機構処理事務特定個人情報等の安全確保、総務大臣による監督命令、機構保存本人確認情報の利用等に係る規定の整備を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、地方公共団体情報システム機構法の一部改正に関する事項であります。

 まず、機構の代表者会議による理事長に対する是正措置命令について、法令、定款に違反し、または違反するおそれがあると認めるときに行うことができることとしております。

 また、機構の役員の解任事由について、職務に係る義務の違反等も含ませるため、組織法たる同法等違反、定款違反としているものを、職務上の義務違反に改めることとしております。

 さらに、機構の業務における適正を確保するため、必要な体制の整備に関する事項を業務方法書に記載しなければならないものとすること、そして機構に、機構処理事務特定個人情報等の保護に関する事項の調査審議等を行う機構処理事務特定個人情報等保護委員会を設置すること等の見直しを行うこととしております。

 第二は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部改正に関する事項であります。

 まず、機構処理事務の適正な実施を確保するため、機構に対し、同法の規定により機構が処理する機構処理事務の実施の準則となる機構処理事務管理規程の制定を義務づけることとし、そして、機構処理事務管理規程の制定、変更については、総務大臣の認可を要するものとし、総務大臣による変更命令の規定を設けることとしております。

 また、機構処理事務において取り扱う情報の適切な管理のため、機構に対し、機構処理事務特定個人情報等の安全を確保する措置の義務づけを行っております。

 さらに、機構処理事務の適正な実施を確保するため、機構に対し、機構処理事務に関する帳簿の備えつけ等及び報告書の作成、公表を義務づけるとともに、機構処理事務の実施に関し、総務大臣の機構に対する監督命令並びに報告要求及び立入検査を可能としております。そして、帳簿の備えつけ等並びに報告要求及び立入検査に関し、不履行等があった場合における罰則を設けております。

 第三は、住民基本台帳法の一部改正に関する事項でありますが、機構が保存する本人確認情報を利用することができる機構処理事務の範囲を拡大することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

竹内委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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