衆議院

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第22号 平成29年6月1日(木曜日)

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平成二十九年六月一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹内  譲君

   理事 古賀  篤君 理事 左藤  章君

   理事 坂本 哲志君 理事 田所 嘉徳君

   理事 葉梨 康弘君 理事 小川 淳也君

   理事 奥野総一郎君 理事 輿水 恵一君

      池田 道孝君    大西 英男君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      菅家 一郎君    熊田 裕通君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    谷  公一君

      土屋 正忠君    冨樫 博之君

      中谷 真一君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    逢坂 誠二君

      岡本 充功君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    鈴木 克昌君

      高井 崇志君    稲津  久君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      浦野 靖人君    吉川  元君

      長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        あかま二郎君

   総務大臣政務官      金子めぐみ君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            南  俊行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 金子  修君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 飯島 俊郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月一日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     熊田 裕通君

  金子万寿夫君     田畑 裕明君

  中谷  元君     中谷 真一君

  武正 公一君     岡本 充功君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     鬼木  誠君

  田畑 裕明君     金子万寿夫君

  中谷 真一君     中谷  元君

  岡本 充功君     武正 公一君

  浦野 靖人君     足立 康史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電子委任状の普及の促進に関する法律案(内閣提出第四六号)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電子委任状の普及の促進に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事木田幸紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官時澤忠君、自治行政局長安田充君、自治税務局長林崎理君、情報通信国際戦略局長谷脇康彦君、情報流通行政局長南俊行君、法務省大臣官房審議官金子修君、外務省大臣官房参事官飯島俊郎君及び厚生労働省大臣官房審議官浜谷浩樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。

 電子委任状の普及の促進に関する法律案につきまして、早速質問をさせていただきます。

 本法律案は、法人の代表者から委任を受けた者であることを電子的に証明する電子委任状を、法人の委託を受けて保管し、必要に応じて第三者に送信する、この一連の業務を行える事業者の認定制度、これらを創設するものでございますが、この電子委任状取扱業務の創設により、代表者から委任を受けた者がオンライン上でさまざまな申請や承認等事務処理を行うことが可能になり、今後、オンライン上での手続は相当進んでくる、このように思うわけでございます。

 今日、例えば、保育所の入所申し込みの際の雇用証明書のように、行政への申請手続を進める際に添付が義務づけられている証明書類も多くあると思います。

 そこで、まず、実際に行政手続のために法人が発行する証明書類について、どのような書類が年間で何枚程度紙ベースで発行されているのか、その主なものの実態についてお聞かせ願えますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 現状におきまして、法人は、行政手続などの際の添付書類といたしまして、さまざまな種類の紙の証明書を日々大量に発行しているところでございます。

 具体的な証明書の種類と発行枚数は、例えば、従業員の保育所入所申請の際に必要となる雇用証明書の発行件数が年間推計約四百九十二万件、所得税の還付申告などの際に必要となる保険料控除証明書の発行枚数が年間推計約二・六億枚、同じく所得税の還付申告などの際に必要となる医療費通知の件数は、例えば全国健康保険協会の場合で年間約二千八百十万件、国や自治体の調達の場合での入札資格申請書の発行件数が国と自治体を合わせまして年間推計約百五十六万件となっているところでございます。

 こうした大量の証明書を紙ベースで発行することが法人の重い事務負担となっていることから、産業界からは、かねてより添付書類の電子化に向けた制度整備に向けた要望が出されていたところでございます。

輿水委員 本当に大量の紙が今使われて、そういった申請が行われている。これを電子化することによって法人の負担も相当軽減できる。また、申請者にとっても利便性は高いように感じるわけでございます。

 今、紙ベースでの申請書ということで、承認を印鑑等で行うこともあると思うんですけれども、もう既にオンライン上の書類に電子署名を行うといった個人認証システムの普及も進んでいることと思います。確認として、現状どの程度この個人認証システムが普及されているのか、また今後どのような形で普及が進むと見込まれているのかにつきましてお聞かせ願えますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、法人の代表者がオンライン上で書類に電子署名を行うための主な手段といたしまして、まず、マイナンバーカードに搭載されている署名用の電子証明書を用いる方法、それから、電子署名法に基づく認定認証事業者が発行する電子証明書を用いる方法、さらに、商業登記制度に基づきまして法務省が発行する電子証明書を用いる方法が考えられるところでございます。

 それぞれの普及状況でございますけれども、まず、マイナンバーカード搭載の署名用電子証明書の発行枚数は、平成二十八年度末時点の累計で約千百八十七万枚。次に、電子署名法に基づく認定認証事業者が発行する電子証明書の発行枚数は、平成二十七年度末時点の累計で約百三十万枚でございます。さらに、商業登記制度に基づき法務省が発行する電子証明書の発行枚数は、平成二十八年度末時点の累計で約八十五万枚となっているところでございます。

 こうした各種の電子証明書を認証の手段として、さまざまな分野で手続の電子化が行われているところでございますけれども、例えば、政府調達の電子応札率は平成二十八年度時点で約四七%となっているところでございます。

 今回の法案で制度化を図る電子委任状は、これらの電子証明書と組み合わせて使うことでその用途を実質的に拡大するものであり、電子委任状の普及が進むことで、電子署名や電子調達の利用もさらに進むことが期待されるものと考えているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 電子証明書も大分普及が進んでいる、このような中で、今度は電子委任状を活用するということで、代表者だけでなく代行者による事務のオンライン処理が可能になる、よって、オンライン上でのさらなるそういった手続が進展するものと考えるわけでございます。

 ここで、先ほど、保育所の入所の申請のために雇用証明書の添付が紙ベースで必要だった、これが電子委任状等、電子上で具体的に進められるようになった場合に、今までの紙ベースのやり方と電子ベースでのオンライン上でのやり方で、雇用証明書を発行する法人、また雇用証明書を携え行政に申請を行う者、そして行政側の事務、それぞれどのように変わり、どのようなメリットがあると考えているのか、確認をさせていただけますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の紙ベースの保育所入所申請手続では、まず、子育て中の住民は、勤務先に依頼をして雇用証明書を発行してもらった上で、その雇用証明書を入所申請書に添付して、みずから自治体に提出する必要がございます。

 また、勤務先企業の担当者は、依頼があった都度、内部で決裁の上、代表者印を押印して雇用証明書を発行する必要がございます。

 さらに、自治体の担当者は、住民からの申請に窓口で対応したり、あるいは住民からの郵送による申請に対応する必要がございます。

 今後、電子委任状や電子私書箱を活用してオンラインで手続を行うことが可能となった場合、まず、子育て中の住民は、勤務先からの雇用証明書の取得や、自治体への入所申請書や雇用証明書の提出を、在宅のままオンラインで一括して行うことが可能となります。

 また、勤務先企業の担当者は、都度の決裁手続を経なくとも、信頼性の高い雇用証明書をオンラインで発行することが可能となります。

 さらに、自治体の担当者は、信頼性の高い雇用証明書の添付された入所申請書をオンラインで受け取ることが可能となるところから、手続にかかわるそれぞれの当事者の大幅な事務負担の軽減が図られるものと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 相当オンライン化で事務負担の軽減が図られるということが確認できたわけでございますけれども、ここで、せっかくの機会なので、確認をさせてもらいたいことがあります。

 ただいま御説明のあった保育所の入所手続の電子化は、具体的に、申請書を提出する当事者の動き、電子申請のために準備するべきもの、どんなものを準備していけばいいのか、また申請書提出までの作業手順、これが利用者の側に立ってどのような形で進められるのかにつきまして御説明願えますでしょうか。

谷脇政府参考人 お答えを申し上げます。

 保育所の入所申請のための一連の手続を電子委任状とそれから電子私書箱を活用してオンラインで進める場合でございますけれども、その準備手続といたしまして、まず、子育て中の住民は、マイナンバーカードを取得していただいた上で、パソコンとカードリーダー、あるいはマイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンを御用意いただく必要がございます。また、勤務先の企業をあらかじめ御自分の電子私書箱に登録していただく必要がございます。

 次に、勤務先の企業でございますけれども、担当者の証明書発行権限を証明する電子委任状を電子委任状取扱事業者に対してあらかじめ登録しておく必要がございます。

 さらに、自治体におきましては、あらかじめ住民の電子私書箱を通じた入所申請を受け付ける旨を住民の皆様に周知しておいていただく必要がございます。

 以上の準備手続をしていただいた上で、子育て中の住民の方は、自分の電子私書箱に対して保育所入所申請に必要な情報を入力し、提出をいたします。次に、住民の電子私書箱が、勤務先企業の担当者に対して雇用証明書の発行依頼の通知を送信いたします。この通知を受け取った勤務先企業の担当者は、雇用証明書を住民の電子私書箱に提出いたします。その際、電子委任状取扱事業者が担当者の電子委任状を添付することになります。

 住民の電子私書箱は、住民から受け取った入所申請書と勤務先企業から受け取った雇用証明書、それに雇用証明書の真正性を担保する電子委任状、この三つをセットにして自治体に提出をすることとなります。

 このような形で、保育所の入所申請のための一連の手続がオンラインで完結する仕組みが実現するものと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 一つ一つ丁寧に説明をしていただきまして、わかりやすい説明だったんですけれども、でも、そんな中でも、やはりICTの機器やサービスの高度化に取り残されてしまう、そういった皆さんもいるのかなというふうに思うわけでございます。

 今後は、高齢者の方、障害者の方また主婦などにも、ICTによる利便性を享受できるよう、相談窓口とか相談員なんかも地域に、また行政窓口等にあってもいいのかな。これは質問ではないんですけれども、そんなこともぜひ検討していただいた方がいいかなと聞いていて感じました。

 また一方で、行政のICT化も相当進んでくるのかな、そういった状況の中で、やはり自治体にICTをどのように投入すればいいか、また、どういった形で地域の利用者の方にそういった方向で普及できるようにするのか。そんな取り組みも進めていただけることによって、このICT化、オンライン上での手続、多くの方に利用していただいて、より利便性の高いものにしていただければというふうに感じるわけでございます。

 ここで、最後に高市大臣にお伺いを申し上げます。

 少子高齢化が進む中で、今後、特に手続の件数の増加が見込まれる介護等の高齢者福祉に係る手続、あるいは死亡に伴う相続手続などの各種手続について、ただいまの保育所の入所申請のように、マイナポータルを活用したオンライン手続を可能とすることは大変重要なことであると考えるわけでございますが、そこで、総務省としてどのようにこのようなことを進めようとしているのか、お考えをお聞かせ願えますでしょうか。

高市国務大臣 子育てに関する手続だけではなくて、今、輿水委員がおっしゃっていただきましたように、介護など高齢者福祉などに関する手続ですとか、また死亡に伴う相続手続などにつきましても手続のオンライン化を実現するということで、住民の皆様の利便性向上や行政の効率化を図っていくことができると思っております。

 その中で、マイナンバー制度を官民のオンラインサービスの基盤として活用するということが重要だと考えております。今後、マイナポータルを活用した介護や相続に関する手続のワンストップサービスの提供につきましても、関係府省とともに積極的に推進をしてまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに生まれてから介護そして相続手続、死亡届まで、今後はオンライン化をぜひ適切に進めていただければというふうに思います。

 やはり国民の負担を軽減する、また、一つ一つワンストップ化ということによってさまざまな間違いも防止できる、そしてそれぞれの負担も軽減できる、そういった中でこれからICT化をさらに進めていただければと思うわけでございます。

 また、重ねてなんですけれども、やはりどうしてもデジタル化とかICT化についていけないといった皆さんもいる中で、行政において、相談窓口、あるいは、先ほどのマイナポータルを活用した、また電子認証のマイナンバーカード等を活用した手続を窓口でもやれるというか確認できるような、そういった形で利用者の拡大等もぜひ図っていただけるような取り組みもしていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 若干、一分程度時間があるんですけれども、以上で質問を終わらせていただきます。大変にありがとうございました。

竹内委員長 次に、高木宏壽君。

高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽です。

 きょうは、理事を務めているのも含めて三つほど委員会が重なっておりまして、質疑順、変更していただきました。御配慮をありがとうございます。

 きょうは、電子委任状の普及の促進に関する法律案ということでございますが、私、地方分権を進めていく上で整備すべきインフラとして、三つあると思っています。一つは電子自治体、二つ目は社会保障番号、日本の場合はマイナンバーでございますけれども、そして三つ目に、当委員会の一般質疑でも質問をさせていただきましたけれども、公会計、この三点があると思っております。

 今回の法律案、電子自治体、電子政府を実現していく上で必要な制度の一つであると考えておりますし、先ほど述べた三点、いずれも電子商取引を推進していく上でかかわりがございますので、この三点に沿って質問をしていきたいと思います。

 マイナンバーについては、私も、マイナンバー法案、法律を審議したときに内閣委員会で質疑をさせていただきましたけれども、マイナンバーカードの普及というのが思ったように進んでいないというのも事実ではないかと思っております。

 昨年六月に閣議決定した日本再興戦略二〇一六、「第四次産業革命を支える環境整備」という項目に、法人の代表者から委任を受けた者による電子契約について、マイナンバーカードを用いて対面、書面なく電子的に契約書等の作成、提出等が可能となるよう、公的個人認証サービスを活用した法人間取引等における権限の認証等の実現に向けた多様なアクセス手段や制度的措置について検討を進め、可能な限り早期に国会に提出するという記載を盛り込んでおり、マイナンバーカードの普及、利活用と電子契約の普及、両方を狙ったものであると認識をしております。

 マイナンバーについては、平成二十七年の十月から通知が開始されて、昨年の一月からマイナンバーカードの交付も始まっております。また、若干おくれましたけれども、本年秋からマイナポータルの本格運用も始まります。

 高市大臣は昨年の夏からこのマイナンバー制度の特命担当相を兼務されているということでありますけれども、マイナンバーの普及、しっかりと取り組みを進められていると承知しております。

 そこで、まず、最新のマイナンバーカードの交付枚数、交付率とあわせて、マイナンバーカードの普及拡大に向けてどう取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 マイナンバーカードの普及状況の現状についてでございますけれども、平成二十九年の五月三十日現在でございますが、約一千三百九十一万件の申請があり、約一千百六十一万枚が交付されております。交付率にして約九・一%となっており、まだまだ普及枚数については不十分であるというふうに考えております。

 まずは、国民の皆様に持ちたいと思っていただけるよう、マイナンバーカードの普及と利活用の推進が大切であるというふうに思っております。本年三月に、マイナンバーカードの利便性を高める取り組みをわかりやすく整理したマイナンバーカード利活用推進ロードマップを新たに策定し、公表したところでございます。

 具体的にでございますけれども、まず、土日や時間外でも証明書が取得可能なコンビニ交付の利用促進であるとか、健康保険証としての利用やインターネットバンキングへのログインなど、公的個人認証サービスの民間開放に伴う新たな民間サービスの実現、また、子育てワンストップサービスの導入などマイナポータルの利便性の向上、さらには、スマートフォンやテレビなどカードが利用できるアクセス手段の多様化などに取り組むこととしており、マイナンバーカードが利用できる場面をふやしていきたいと考えております。

 電子委任状を活用した証明書、契約書の電子化促進についても本ロードマップに位置づけをされており、地方公共団体の御協力のもと、実証実験を行い、平成三十年以降の実用化を目指しております。

 本ロードマップについては、定期的に進捗状況を点検するとともに、必要に応じて見直しを行うこととしており、その実現に向け、関係省庁連携のもと、着実に取り組んでまいりたいと思っております。

 以上です。

高木(宏)委員 ぜひ、マイナンバー利活用ロードマップ、工程に沿った利活用が実現できるように取り組みを進めていただきたいと思います。

 先般、三十一次地制調の答申を踏まえて、自治体に内部統制に関する方針策定を義務づけることや監査制度の充実強化を目指す地方自治法の改正案、当委員会で審議をされました。

 私も、二〇〇九年当時、地方議会におりまして、二十九次の地制調や総務省の検討会議あるいは研究会で議論されて、すぐにもこの監査制度の見直しとか内部統制の導入が実現するんじゃないかと大きく期待をしておりましたけれども、十年たってようやくここまで来たのかという、今、感慨深い思いをしております。

 監査については別の機会にまた質疑をさせていただきたいと思うんですけれども、現行の監査委員監査制度が内部監査なのか外部監査なのかといった監査の位置づけとか、監査委員に求められる専門的能力とか実務経験、あるいは外見的独立性、こうしたものを担保するために、例えば、英国にあるような地方版の自治体監査委員会というものの設置を検討したり、あるいは地方自治体監査士といった資格の創設のようなものも必要ではないかという問題意識を持っております。

 内部統制については、内部統制の基本的な、統合的なフレームワークのCOSOモデルというものがありますけれども、これは統制環境とかリスク評価、五つの構成要素から成っております。日本版のSOX法では、さらにITの利用、統制というものが加えられて、ITがより重視された形になっております。

 ことしの二月に閣議決定された産業競争力の強化に関する実施計画で、入札参加資格審査から契約まで一貫した電子化のためのシステム基盤の整備等を行うとされておりまして、本法律案でも、地方公共団体に対し電子委任状の利用を促す施策を求めております。

 今後、調達事務の電子化を進めていく中で、電子契約のリスク管理が重要となってくると考えておりますけれども、地方自治体が策定する内部統制の方針の中にもITの利用と統制をしっかりと盛り込むべきと考えますが、答弁をお願いします。

安田政府参考人 お答えいたします。

 今国会に提出しております地方自治法の改正案におきまして、内部統制に関する方針を義務づけるということにいたしておりますが、必ず対象としなければならないリスクは、影響度が大きく発生頻度も高いなどの理由から、財務に関する事務に限定しているところでございます。

 他方で、情報の管理に関するリスクにつきましては、第三十一次地方制度調査会答申において、「地方公共団体の判断により内部統制の対象とすることが考えられる。」こう指摘されているところでございます。

 今回の地方自治法の改正案におきましては、財務に関する事務の執行に伴うリスク以外も、地方公共団体において、任意に、内部統制に関する方針の記載事項とすることができるということにしていることから、各団体が置かれている環境でございますとか内部統制体制の運用の状況を踏まえまして、情報の管理に関するリスクにつきましても、各団体の判断で内部統制の対象とすることが可能であるというふうに考えているところでございます。

高木(宏)委員 今回の法律案、電子的な商取引を推進していく上で欠けていた属性認証、つまり、電子文書等の作成者が法人の代表者等から契約書締結等に関する権限を委任されていることを証明する制度をつくるもので、必要な法律であると思っております。

 電子文書等の作成者の本人性の証明とか作成者が所属する法人の実在については電子署名法等で既に手当てされてきたわけで、契約書は電子文書でやりとりしても、属性証明の制度がないために、代理権を証明するための委任状をわざわざ紙で持参するというようなことを行っていたと伺っております。

 先ほど、マイナンバーカードの普及が低迷しているということを指摘させていただきましたが、このような制度は活用されてこそ利便性の向上につながるわけで、電子署名法の施行から今十七年たちました。電子署名の活用状況というのはどうなっているのか、電子署名を活用する上での隘路をどう認識されているのか、電子署名とあわせて電子委任状を普及させていく具体的な方策について、お伺いしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の電子署名の現在の活用状況でございますけれども、電子署名法に基づく認定認証事業者が発行する電子証明書の発行枚数は、平成二十七年度末時点の累計で約百三十万枚となっているところでございます。

 電子署名の普及に向けた課題の一つといたしましては、電子署名法における特定認証業務が、委員御指摘のとおり、個人の本人性を証明するものであり、役職や権限等の個人の属性の証明にかかわるものでないということが挙げられるところでございます。

 電子署名と電子委任状とを組み合わせることで、企業の社員が業務上作成する電子書類のやりとりに必要な権限を電子的に証明することが可能となり、電子署名の普及の促進につながるものと考えております。

 また、本法案では、国及び地方自治体に対して、みずからが一方の当事者となる電子契約において他方の当事者となる事業者の電子委任状の利用を促進するために必要な施策の推進に係る努力義務を課しているところでございまして、電子委任状の普及とあわせて、電子署名の普及に資するものと考えているところでございます。

高木(宏)委員 私の伺っているところでは、中小企業はほとんど電子取引というのは行われていないと伺っております。大企業、ITに精通した者がいるところとか、そういう施設があるところは電子取引というものは進んでいるということでありますけれども。

 最後に、電子自治体に向けた取り組みについてお伺いしたいと思います。

 平成二十五年にIT戦略として世界最先端IT国家創造宣言というものを採択して、今後の重点項目として国及び地方のIT化、業務改革の推進等の三点を掲げて、平成三十二年までを集中取り組み期間として、国、地方が一体となって推進していくこととしております。

 さらに、毎年策定している日本再興戦略においても、世界最高水準のIT社会の実現、利便性の高い電子行政サービスの提供というものが位置づけられております。

 いずれも電子自治体の実現を目指しているものと理解をしておりますが、最後に、電子自治体の実現に向けた施策に関するこれまでの取り組み、進捗状況とあわせて、電子自治体実現に向けた決意を伺いたいと思います。

金子大臣政務官 地方公共団体における電子化の推進は、行政運営の効率化にとどまらず、住民生活の利便性の向上や公共サービスの改善にも寄与するものでございます。

 例えば、先ほど御紹介ありましたコンビニ交付サービスでありますが、土日祝日を含め、役所の開庁時間外でも全国約五万のコンビニエンスストアで住民票の写しなどを取得でき、住民の利便性向上につながることから、導入団体の普及拡大に取り組んでいるところであります。

 また、地方公共団体のICT化が進んでおりますことから、職員が時間や場所にとらわれず仕事を行える、いわゆるテレワークを実施する環境が整いつつありまして、仕事の生産性向上や住民サービスの充実に大きく資するものとして取り組んでいるところでもあります。

 国、地方を通じた厳しい財政状況のもとで少子高齢化社会を乗り越えていくためには、言うまでもなく、力強い経済成長を実現させる必要がありまして、ICTはそのための鍵の一つであります。

 こうした意味からも、また先ほど委員のお考えどおり地方分権を進めていくためにも、今後も電子自治体の実現を積極的に推進してまいりたいと考えております。

高木(宏)委員 この法律で電子商取引がさらに普及することを期待して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民進党の小川淳也でございます。

 大臣、連日の国会質疑、お疲れさまでございます。最後の内閣提出法案と今国会はお聞きをしておりますので、真摯な御答弁をぜひお願い申し上げたいと思います。

 まず、電子委任状法に関連して、この法案に私どもは賛成をいたします、したがって、大きな異議があるわけではございませんが、少し形式面と実態面で確認したいことがございますので、それぞれお尋ね申し上げます。

 まず、形式についてでありますが、先ほど高木委員が電子署名法に触れられました。恐らく、契約書類あるいは申請書類等を電子化するに当たって、本人性を電子空間上確かめるという意味ではこの電子署名という概念があるんだと思います。今般、これに加えて、電子委任状法という委任関係を明確にするための法律が、新法が一本立てられるわけです。そこに若干違和感を感じております。

 委任関係というのは、いわば契約関係あるいは申請書類等でいえば、補完的、補足的な役割を果たすものだろうと思います。したがって、法形式上、電子署名法の改正により、電子委任という枠組みを一つ、カテゴリーを設けることの方が実態に合っているのではないかと思います。

 新法ということに少し違和感を感じておりますが、まずこの点からお聞きしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電子署名法の改正による対応ということも確かに選択肢の一つではあったというふうに考えております。

 しかしながら、電子署名法における特定認証業務が個人の本人性を証明するものであるのに対しまして、本法案における電子委任状取扱業務は役職や権限などの個人の属性の証明にかかわるものであり、この両者の性質が異なるということ、それからもう一点、電子署名法における電子証明書が認証事業者によって作成されるものであるのに対しまして、本法案における電子委任状はあくまで法人代表者等が自分で作成するものであり、この両者の位置づけが異なることから、法制上の整理といたしまして、電子署名法とは別の法律により対応を図ることとしたものでございます。

小川委員 ぜひ大臣から御答弁、大臣にもちょっとお考えいただきたいところがありましたので、昨日も、局長の陪席については了といたしますが、大臣にお聞きしますということで御出席いただいていますので、細則は結構ですが、基本的なところは大臣から御答弁いただきたい。ちょっと確認させていただきます。

 その上で、今の御答弁に関連すると思われます、形式と実態との関係について。

 今回、この法案の必要性を事前に御説明いただく際に、例えば党の部門会議等でよく事例として挙げられましたのが、先立つ質疑の中でも出ておりましたが、雇用証明とか、そういう法人関係のものが専らでありました。

 もちろん個人間でも委任関係というのは発生しますから、この法律にそれなりの意義はあると思いますが、私は率直に、法人であれば、法人としての何らかの証明、申請、あるいは契約関係を行うのであれば、まさに、法人に電子署名、あるいは法人としての電子署名を認証する仕組みがあれば、委任関係を一々追跡する法整備をする必要もないし、むしろ、その方が社会通念に合っているという気がいたします。

 実態面のお尋ねは、委任関係を追跡する法制整備より、むしろ、法人の電子署名、法人の電子署名に対する認証制度をつくるということの方が適切だったのではないかというお尋ねですが、これはぜひ大臣から御答弁ください。

高市国務大臣 法人による電子署名ができるような制度をつくるという御指摘でございますが、我が国の民事法の体系上、法人は権利義務の帰属主体とはなり得るのですけれども、契約などの具体的な行為は、あくまでも代表者である自然人が行い、その効果が法人に帰属するということとなっています。

 ですから、今回は、現行法制度との整合性を図るべく、法人の電子署名を制度上位置づけるという方法はとりませんでした。

 政府としては、対面、書面原則というものを転換して、手続の電子化を推進していくということが基本的な方針でございます。

 今後の技術ですとか社会の変化も踏まえながら、この法案も含めて、既存の制度や業務のあり方ということを不断に見直していくというのは必要だと考えております。

小川委員 今の御答弁、ひとまず受けとめたいと思います。それに、電子化を推進していくということからいえば、一里塚であり、そしてさらに便宜を図ったという意味で、今回、私どもも賛成するわけなんです。

 しかし、後にちょっと質問させていただきますが、例えば今般、ふるさと納税に関して、総務省として通知を発せられました。それは担当課長名で発せられているんですね。これを受け取った側からすると、この担当課長は、もちろん、つかさつかさで分掌しているわけですから、一定の権限はあると思いますが、最終的には、総務大臣の助言、指導権限を背景に通知を発しているわけです。

 そうすると、あえて今回議論していることを現物で、実態面でイメージしますと、この課長通知と、そして大臣から担当課長に委任状、この担当課長は真に私の、総務大臣のこうした技術的助言を行う権限を持った者です、ですからその権限を委任していますという委任状とがセットで来るというイメージなんですよね。

 一方、総務大臣名での通知に、総務大臣の公印を押すということはよくあることだと思います。この総務大臣の公印は、まさに高市早苗さんの印鑑なのか、いや、誰が大臣であるかにかかわらず、総務大臣という公職の、政府機関、法人を代表する者の公印なのか。私は、後者だと思うんです。

 ですから、例えば今議論になっている雇用証明やさまざまな法人の証明関係が担当者名で来るよりは、正当に本来の権限を有した例えば代表取締役から来る、その電子署名を行ったかどうかは、担当部長なのか担当課長なのか係長なのか、いろいろあるでしょう、しかし、それは社内の問題であって、社内規定により整理をしていればいいというふうに、社会通念に照らせばそうだと思うんです。

 その意味で、今回、あくまで一里塚としては賛成するんですが、将来的には、やはり法人としての公印、法人としての電子署名、そしてそれを認証する仕組み、これを考えていくべきだと思いますので、この点、大臣、もう少し前向きに、きょうあすとは言いません、長期的な課題としてはそれは大きな課題だ、政策課題だということをぜひ御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 総務省だけで決断することはできません。

 先ほど申し上げましたように、例えば民法第三十四条の規定など、現在の民法の考え方というものがございます。法人というのは自然人におけるような意味での行為能力ということを観念することができないとされておりますので、今後、先ほどの答弁申し上げた件から一歩進めてというのは現段階で非常に難しいんですが、やはり今後の技術ですとか社会の変化も含めて、法務省などとも協議をしながら、業務のあり方を見直していくということでございます。

小川委員 ちょっとしつこくて恐縮です。半歩前向きなニュアンスを受けとめましたが、まさにその点、法人は実在しているのか、あるいは擬制されたものなのか、これは非常に学術的な問いであり、なかなか一義的に答えが出にくいことかもしれません。

 まさに今大臣がおっしゃった点を、昨日、担当課とさんざん議論をさせていただいた上でここに臨んでいるわけでありますけれども、例えば法人に関して言えば、印鑑登録というのは法人にも認められていますよね。そういう実態面からすれば、法人の印鑑登録を電子化する、シンプルに考えれば。そういう議論でもあり得るわけですから、ぜひここは余りかたくなになられずに、今回の法案は今回の法案として、やはり将来的には、法人の法人としての意思表明、あるいは権利義務主体、この世界観を電子化していくということもぜひお考えをいただきたい。しつこくて恐縮ですが、今後の検討課題としてぜひ引き取っていただきたいと思います。

 その上で、個人番号カードの利用状況等については先ほどの質疑の中でもございました。一点、ちょっと、国民に身近な話になり得ることですので、その利用普及促進の観点からお尋ねさせていただきます。

 当然、この電子的な意思表示等には、マイナンバーカードを取得して、その読み取り機を含めたインフラ整備が必要でありますが、まだまだ一千万枚ちょっとということで、国民全体からすれば、普及度合いは一割に満たない状況でしょうか。そのように受けとめております。

 この利用普及促進の観点から、例えば、民間のポイントカードや銀行のキャッシュカード、あるいは国保、私は、場合によっては運転免許証のようなものも含めて、このICチップに記入する、記載をする、一種のオールマイティーなカードとしてマイナンバーカードが利用されるときがやってくるというのが一つの方向感。もちろん、管理をすることの要請というのは極めて高まるわけでありますが、それにしても、何枚も何枚も似たようなカードを持たされている現状からすれば、極めて有効な方法だろうと思います。

 したがって、運転免許証や国保、社会保険関係といった公的なものと、それから各種ポイントカード、ポイントプログラム、民間の利活用の局面、この双方あわせてどのようにこれから利用していくのか。これを進めていくという報道も先ごろ見られましたのでお尋ねをしていますが、どういう課題に対してどのようなスピード感で進めていかれるのか、この点をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 マイナンバーカードの公的個人認証の機能、いわゆるマイキーの部分でございますが、これは、国や地方自治体だけではなくて、民間でも活用していただけるものでございます。

 このマイキー部分のさまざまな可能性を活用して、より便利な暮らし、それから、できますれば地域の活性化につなげていきたいという強い思いがございまして、マイナンバーカードを各種カードのサービスを呼び出す共通の手段とするためのマイキープラットフォームというのを構築しております。これによって、マイナンバーカード一枚で、例えば図書館カードや商店街、自治体のポイントカードなど、さまざまな利用カードとして使えるようにしていきたいと思っております。

 それから、クレジットカードなどのポイントやマイレージ、携帯電話のポイントなど、これが毎年度数千億円規模で発行されているんですけれども、相当程度使われていないという話もあります。私自身もそうです。はっと気がついたら、一生懸命ためたポイントが期限切れだったということがございます。これらを地域経済応援ポイントとして自治体ポイントに合算して、それぞれの地域で使えるようにして地域の消費を拡大して、地域の活性化につなげたいと考えました。

 そこで、マイキープラットフォームと自治体ポイント管理クラウドを構築して、クレジットカードなどのポイントやマイレージをそれぞれの自治体のポイントに合算して、地域にとっても利用者の方にとっても使いやすいものにしてまいりたいと思っております。

 具体的には、今、地域の商店街などで使う、それから観光地で使う、オンラインで全国の地域の特産品などが購入できるようにすることを想定しながら、関連システムを構築中でございます。今年度内のできるだけ早い時期に運用開始を目指しております。

 それから、先ほど、例えば運転免許証ですか、そういった公的なものとしてもということで事例を挙げていただきましたけれども、さまざまな用途がこれからあるということで、健康保険証を初めさまざまな使い方、診察券として使えるんじゃないかとか、各省と連携をしながらお話し合いをして、順次できたものからマイナンバーカードを使って実行していくということで、先般、マイナンバーカードの利活用のロードマップを策定して発表させていただきました。ことしの三月につくったものでございます。

 スピード感を持って進めてまいりますし、このロードマップは、技術の進捗の状況などもありますから、絶えず進捗管理をしながら、必要に応じて前倒したり、時には安全性ですとかいろいろなことを勘案しながら少し後ろにずらすこともあるかもしれませんが、進捗管理をしながらしっかりと改善を積み重ねて、少しでも便利なカードへと発展させていきたいと思っております。

小川委員 これからも、もちろん、個人情報を含めた安全管理の研究と利便性を高める研究、そして冒頭申し上げた法人にとっての便宜、これらのセットでぜひとも御議論をいただきますようにお願いを申し上げ、この点についての質問をひとまず終えたいと思います。

 後半、ちょっと総務行政全般についてお聞きをいたします。

 大変残念なことでありますが、ここはちょっと野党の立場から看過できませんので、少し大臣の受けとめを改めて公式にお聞きしたいと思います。

 ほかでもありません。先月ですか、五月の二十九日に、国連の人権理事会に提出される特別報告者の報告が、非常に、日本の報道の自由あるいは表現の自由に対して、政府並びに与党から圧力ともとられかねない状況が頻発をしている、そのことに対する懸念が表明されたわけであります。

 これについて、まず大臣の受けとめをお聞きしたいと思うんですが、その中でも、名指しで、昨年さんざん総務委員会でも議論になりましたが、いわゆる高市大臣の停波発言、ここが引用されているわけであります。これについては、おどしともとられかねないという大変強い表現もございます。国連の人権理事会にこのような報告がなされているということについて、まず総務大臣の受けとめをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 デビッド・ケイ氏は表現の自由国連特別報告者でありまして、この方による訪日報告書案というもの、まだ事前の未編集版だと聞いておりますが、これが国連人権高等弁務官事務所のホームページ上に公表されました。

 その中で、私が答弁した放送法第四条と第百七十四条に関する、これは民主党政権時代と同じ従来からの政府解釈でございますが、この内容がメディアを制約する脅迫として受け取られる可能性というような表現で指摘されているということでございます。

 この点につきましては、これまでも機会を捉えて丁寧に説明を続けておりますし、ケイ氏からの求めに応じて、日本政府としての説明文書を送って、誤解に基づく点について再考を求めたにもかかわらず、日本政府の立場を反映していない内容の報告書案を公表されたということは大変残念に思っております。

 欧米などの主要国において、番組規律違反に対する刑事罰ですとか、行政庁による罰金の規定というのが設けられていて、実際に発動された例もあると承知していますが、日本にはそのような規定はなくて、放送法第四条違反として放送法第百七十四条や電波法第七十六条を適用した例もございません。

 ですから、今後、日本政府としては、説明文書に記載したわけでございますけれども、総務省としては、ケイ氏に対して、日本の国内法である放送法の解釈を含む状況というのが正しく理解されるように、外務省と連携しながら取り組ませていただきます。

小川委員 最終的には当然そのような御答弁だろうと予想もしておりますし、また、日本政府として反論書を送られたということでありますので、そういうことだとは受けとめているんですね。

 ただ、後にももう一点お聞きしたいんですが、やはり少なくとも国連の、まあどういう、国連を代表する方かどうかは別としても、国連の公式機関あるいは公式に委託された研究者が、日本の報道の自由あるいは表現の自由に関連して、特に政府あるいは与党という非常に強い権力を持った側からおどしともとられかねないような状態、事態が起きているということが公式に述べられたことに関しては、厳粛に受けとめるとか、あるいは真摯に受けとめるとか、まずそのワンクッションがあって、その上で反論されるというのが常識的な対応ではないか。私はそう思うんですが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 まず、ケイ氏がまとめられた報告書案でございますけれども、大いなる誤解に基づくものだと考えております。

 奥野先生もいらっしゃるので恐縮でございますが、昨年二月八日の衆議院予算委員会における私の答弁は、奥野先生から御質問を受けて、放送法第四条第一項に違反した放送が行われた場合に、その放送事業者に対して、放送法第百七十四条の業務停止命令や電波法第七十六条の無線局の運用停止命令に関する規定が適用される可能性はあるのかと問われたため、従来からの法律の枠組みですとか解釈を答弁したものでございます。

 民主党政権下でも同様の答弁があり、また、その前の自公政権下でも同様の答弁がございますので、行政の継続性の観点から、これはあくまでも法律の枠組みや解釈の答弁でございますから、これはそうさせていただいたということも含めて、ケイ氏には説明をさせていただいております。

 国連の人権理事会の特別報告者ということですが、これは特定の人権テーマについて調査報告を行うために任命する独立専門家ということですが、この報告者の見解というのは個人としての資格で述べられるものであって、国連または人権理事会としての見解ではない、その報告書に含まれる勧告に法的拘束力はないと聞いております。

 それから、以前は主に中東、アフリカなどの国を訪問されたことが多かったと思います。例えば、米国、アメリカですとか、中国、ロシアにはなぜ行かないのだろうという御疑問もあるかもしれませんけれども、これも、二〇一一年ですから民主党政権時代ですが、全てのテーマ別特別手続に関する無期限有効な招待状というものを日本の方から発出しているので、それをもって、日本に対して、昨年初めてこの報告者が来日されたということを聞いております。

 一旦それを受けとめてというお話でございますけれども、個人の資格での見解でございます。国連としての公式見解だとは受けとめておりませんし、誤解に基づく部分について、説明した、日本政府から反論したことについて十分に反映されていない内容だと考えておりますので、引き続き外務省と連携して理解を求めてまいります。

小川委員 反論の内容については、私も受けとめるべき部分はあると思うんですよね。

 ただ、やはり、ちょっと国会審議の場ですから、余り曖昧なこと、中途半端なことを申し上げにくいんですが、野党としては、これはずっと懸念してきたことです。政府側の反論、高市大臣の反論はあると思いますが、野党としては、同じような懸念をずっと表明し続けてきたことであります。

 それと同趣旨のことを国連のしかるべき方がおっしゃった。代表しているのかどうかは別ですが、少なくとも公式な機関に所属をされる方の報告ですから、私は、まず、それなりに重く受けとめる、あるいは真摯に受けとめる、謙虚に受けとめるという一言があれば人心がおさまるという部分において、非常に大臣の御発言なり御答弁が一面的だというふうに感じるわけなんです。

 民主党政権時代の解釈の表明もありましたし、同じような御答弁だということでありますが、恐らくこの方も、いろいろな周辺状況をあわせて総合判断しているんじゃないかと想像します。それは、与党側のいろいろな発言もありました、それから安倍総理御自身がニュース番組の席上でおっしゃったこともあった。ですから、政権全体としての立ち位置やあるいは体質、そうしたものから総合的に評価、判断しておっしゃっている可能性もあるわけで、そこはぜひ、謙虚に受けとめたい、あるいは真摯に受けとめたいというお言葉が一言あれば、その上で反論をお聞きする、野党側としてもそういう心境になるわけでありまして、その点は重ねて指摘したいと思います。

 同時に、政府・与党と報道機関との関係もありますが、今般、最近といいますか、特に議論されているのは、政府、政権と官僚との関係であります。

 特に、やはり私どもも衝撃を持って受けとめたわけですが、前川前文科次官の、加計学園問題に対する総理官邸からのプレッシャー、圧力が実際にあった、そして文科省から流出したと思われる文書は真正なものだという告発、これも同様に、私は、政府として、あるいは責任ある閣僚として極めて重く受けとめるべきだと思います。反論はあっていいですよ、反論はあっていいと思いますが。

 これに関する大臣の会見発言を拝見しました。行政がゆがめられたとみずからおっしゃるとしたら、私には理解できかねます、仮にそのようなおそれがあるのであれば、官僚として、それもトップとして、しっかり意見の食い違っている他省とお話し合いをされるべきだったと思いますと。

 これはそのとおりなんですよね。私も同感です。全くそのとおりです。ただ、やはりおっしゃっていることは一面的なんですよ。

 もう一つおっしゃるべきことが私はあると思います。それは、総務省ではないにしても、政権中枢で事務次官まで務められた方がです、事務次官まで務められた方が、ああして顔をさらして、体を張って告発に踏み切らざるを得なかった、そこには相当強い力学が働いた結果、ああいう形になったと思われます。このことに対しては、尋常ならざる事態だ、同様に、真摯に謙虚に政権として受けとめなければならないということをまず一言おっしゃって、その上で反論なさるべきではありませんか。

高市国務大臣 私の記者会見に触れられましたが、これは五月二十六日の閣議後記者会見でございます。

 これは、前川次官の記者会見についてどう評価されるかということを聞かれましたので、会見を私が見ていたわけではございませんから、会見の詳細は承知していないということ、また、大学の設置認可や国家戦略特区法は私の所管外なので、特にコメントはございませんというふうにお答えしたものです。

 その後、さらに、公平な行政がゆがめられているという指摘も前川事務次官の方からあったのですが、その点について、行政評価を担当する大臣としてどうお考えかということでしたので、先ほど委員が御紹介いただいたように答弁をしました。

 つまり、国家公務員は、政治的にも中立で、公平公正に行政を執行する責務を担っている、そのトップであられた方が行政がゆがめられたとみずからおっしゃるとしたら、私には理解できかねるというふうにお答えしました。続けて、仮にそのようなおそれがあるのであれば、官僚として、それも、トップとして、しっかり意見の食い違っている他省とお話し合いをされるべきだったと思うということも申し上げました。

 私が事務次官のおっしゃったことを一旦受けとめるべきだという御指摘なんですが、私が申し上げた趣旨は、例えば総務省でも、入省式のときに、入省者全員が宣誓書を署名、捺印して提出をされ、そして代表者がそれを読み上げます。これは各省共通のものでございますが、「私は、国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」ということです。

 ですから、官僚というのは、不偏不党であり、また、公正に職務の執行に当たるということを誓って、それぞれの職務についておられる。そのトップにおられた方がみずから行政がゆがめられたとおっしゃるということについては、私は理解できないと率直に感じました。

 そしてまた、もう記者会見録をお読みでしょうから御承知だと思いますが、総務省でも、確かに他省と意見の食い違うことはあります。内閣府とも、また内閣官房とも意見が食い違うことはあります。それでも、そのときには、担当局長なり官房長、また事務次官などがカウンターパートといろいろ議論をします。それでも、どうにも折り合わない、向こうの言っていることがどうにも納得できないというようなときには大臣に報告があります。これは、私自身がその役所に出向いたり、また、電話でその大臣と話したり、大体対面をすることが多いのですが、その省の大臣に対して、もう一度御説明申し上げ、理解を求めることもあります。

 政府として、内閣としては、やはり国会に対して、行政執行について一致して責任を持たなきゃいけませんから、その統一した意思決定までの過程にはさまざまなことがございますけれども、そのときにはやはり、そのために政務三役がいるのですから、相手方の、私でしたら大臣としっかり話をして調整をしていく、意思決定、統一した意思の決定ができるように努力をしていくというのが一つの筋だと思っておりますので、そのように私はお答えをいたしました。

小川委員 建前からいえば、大臣のおっしゃったことは全て正しいと思いますが、今、中央官庁の幹部人事は、内閣が一元的に取り扱うということになりました。これはもともと民主党政権が志向したことで、実現できなかったことでありますので、それ自体を否定するものではありません。

 あわせて、内閣総理大臣が一年や二年でころころかわるというのは私もよくないと思います。決してそれがいいとは思いません。

 したがって、一定の期間、やはり一人の指導者が国家のかじ取りを担うというのも大事なことだと思いますが、政権が長期になればなるほど、いろいろなおもんぱかりや、あるいは最近はやりの言葉で言えば、そんたくということが生じかねないわけでありまして、今まさに大臣がおっしゃった、建前どおりに全ての行政執行が、どこから見られても、あるいはどう情報公開しても大丈夫なようであればいいんですが、なかなかそうはいかない局面も日々刻々出てくる、あるいは出てきても、それは病理現象ですけれども、長期政権の生理現象の裏返しだと私は思うんですよね。

 だからこそ、事務次官まで務めた方がああいう告発に踏み切ったということのシグナルを、これは在職中それから離職後含めて、相当なプレッシャーなりいろいろ積み重なった思いがなければあり得ない言動であり行動だということに対する、もっと感度のいい反応なり、まあ対外的に言いにくいことはあるにしても、私はそういうものが伝わってきてしかるべきではないかと思います。

 最後に、これも断定は避けたいと思いますが、いま一度、報道機関、公共放送として、NHKに関連してお聞きします。

 この前川発言、前川告発が行われたのは五月二十五日の夕方であります。私も断定は避けますが、名前も伏せます。ある民放の、それこそ無視できない方から、公共放送としてちゃんとこのことを報道しているんでしょうかというお尋ねが私にありました。私もわかりませんし、個々の内容に踏み込むわけにまいりませんので、客観的な事実だけ教えてくださいということで昨日お聞きしました。

 二十五日当夜、この前川発言、前川告発はかなり社会的に大きな出来事だと私は受けとめていますが、公共放送として公共放送の視聴者に、具体的に「ニュースウオッチ9」にしましょう、何分間これを報じたんですか。何分このニュースを取り扱ったのか、その事実だけ教えてください。

木田参考人 お答えいたします。

 当日、二十五日木曜日の「ニュースウオッチ9」では、およそ六分間お伝えいたしました。

小川委員 この評価も、私もできる立場にありませんし、重ねて断定は避けたいと思いますが、同時刻同時間帯には民放各社がそろってニュース番組を提供しています。社によっては、二十分を超える重大な取り扱いをした局もあります。

 そして、好むと好まざるとにかかわらず、非常に民放界で権威ある方がそういう懸念を個人的にも表明しているという事実もあります。

 この点を表明させていただいて、全体の質疑を終えたいと思います。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民進党の奥野総一郎でございます。

 きょうは最後の閣法ということでありまして、これから質問の機会も限られるかと思いますので、先ほど大臣の方から私の名前も出していただきましたけれども、昨年から停波の問題とか、あるいは、私は憲法審査会にも入っていまして、表現の自由の話なんかも憲法審査会で発言をしてきた経緯がありますので、まず、そちらの方から少し質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 きょう、外務省にも来ていただいていると思いますけれども、まず、ちょっと通告していない部分もありますし、順序も変わるところもあるんですが、特別報告者とは何ぞや。

 先ほど大臣の方から、個人としての見解を述べていて、拘束力もないんだというような話をされていましたけれども、先日、これは別のニュースなんですが、ケナタッチさんという方、共謀罪の話ですよね、安倍総理とグテーレス事務総長が懇談して、このケナタッチさん、この方も国連特別報告者だったんですが、その立場や慰安婦問題について意見交換をした、こういうニュースがありました。

 政府の発表だと、特別報告者というのは、東京新聞のものを引用すると、「国連とは別の個人の資格で活動しており、その主張は、必ずしも国連の総意を反映するものではない」、こうグテーレス事務総長は述べられた。これは先ほど高市大臣がおっしゃったのとほぼ同じ中身だと思います。

 一方、それを打ち消すかのように国連が発表したとされていますが、特別報告者というのは、独立しており、人権理事会に直接報告する専門家であるとだけグテーレスさんは安倍総理に述べたという、特段、価値判断を入れていないんですね。国連の総意を反映するものではないとかというのは特段言っていないんだ、こういう話だったんですが、では、この特別報告者というのはどういうものなんですか。

 ここから見えてくるのは、国連から独立をしていて、そして、何らかの調査を請け負ってそれを国連に報告するという立場のように思われますが、そういうことでいいのか。そして、その意見というのは全くの個人的意見であって、現時点では、個人的意見であって、何らの強制力も影響力もない、こういうことでいいのか。ちょっと伺いたいと思います。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 国連の特別報告者につきましては、特定の国の人権状況または特定の人権テーマに関し調査報告を行うため、国連の人権理事会から任命された独立の専門家でございます。

 この専門家の見解は、独立の資格でありまして、出身国政府を代表するものではございません。そして、特別報告者が提出する報告書はそのまま人権理事会の意見となるわけでもございません。

 他方、報告書に含まれる勧告につきましては、法的な拘束力はございませんが、加盟国はこれを不当におくれることなく対応することが促されているという性格のものでございます。

奥野(総)委員 最後のところが少しわかりにくかったんですが。

 では、今はこれは暫定版ですよね。途中経過がホームページにアップされていて、それについて反論しているということなんですが、今後の扱い、これは人権理事会でしたか、人権理事会は六月の五、六でしたかに開かれて、そこでこの報告書はどう取り扱われるのか。それが正式に確定をすれば、それぞれの国はこの内容について、もう一度、強制力はないんだけれども、どういう効力、どういう立場になるんですか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 今回、表現の自由国連特別報告者による訪日報告書と、これに対する日本政府の説明反論文書が国連人権高等弁務官事務所のホームページ上に公表されております。特別報告者の報告書は五月二十九日付、日本政府の説明反論文書は五月三十日付となっております。

 特別報告者の報告書は、六月六日から二十三日にジュネーブにおいて開催される第三十五回国連人権理事会に先立って公表されたものであり、訪日結果を含め同報告者の活動について、人権理事会において、報告者本人より報告される予定となっております。

 政府といたしましては、同報告者に対し、これまで機会を捉えて事実関係や我が国政府の立場について丁寧に説明を重ねてきたところでございますが、今般公表された報告書には日本政府の立場が十分に反映されているとは言えず、政府として引き続き、我が国の状況が正しく理解されるよう、特別報告者との対話を継続するとともに、人権理事会の場におきましてもしっかりと説明をしていく所存でございます。

奥野(総)委員 六日から始まって、そこで報告書として確定したときに、もう一度、ごめんなさい、さっき聞き漏らしたんですが、その報告書が確定すれば、それを尊重しなきゃいけないんですか。我が国としてはどういう立場なんですか、仮に確定した場合。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 報告書が確定、そういうことではございませんで、報告書は報告書として人権理事会に提出をなされておりまして、これを踏まえて関係国とこの報告者との間で対話を続けていくということになります。

 この出された報告書につきましては、加盟国は、我が国も含め、対応をしていくことが促されているということがこのシステムになっております。

奥野(総)委員 この中身、今反論していますが、もう一度確認しますが、まだこれは最終版ではないわけですよね。だから、変わり得るということですが、もしこのまま報告書として提出された場合には、加盟国として、参加国としては対応を促されるということですね。義務ではないけれども、対応は促される、こういうことになるわけですね。

 そして、もう一点。これは通告はしていないんですが、日本は、この人権理事会はどういう立場ですか。理事だという報道もありますが、そういうことなんですか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 報告書につきましては、現在はアドバンスで出ておりますが、これが人権理事会において報告書として提出されることになります。

 我が国につきましては、人権理事会四十七カ国のうちの理事国でございます。

奥野(総)委員 ということは、責任ある立場である。理事国というのは何カ国ぐらいあるんですか。ちょっと通告していないからあれですけれども、それを答えていただきたい。

 それから、そういう意味では、責任ある立場として、この特別報告者も理事会決議か何かで選ばれているというふうにレクで伺いましたけれども、では、このケナタッチさんにしても、デビッド・ケイさんにしても、日本が選任にかかわっているということでいいんですか。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 人権理事会の理事国は四十七ございまして、我が国は、その四十七のうちの一つの理事国でございます。

 それから、特別報告者の選出につきましては、コンセンサス採択がなされておりまして、我が国も、特別報告者の選出に当たりましては、このコンセンサス採択に参画しております。

奥野(総)委員 だから、我々日本も選定した責任があるということ、しかも理事国でありますから、報告書が提出されたときにはそれを守る、対応を促される、こういう理解でいいわけですね。

 そうすると、これから我が国の対応としては、これから人権理事会が始まった、そうすると、理事会の場において、理事会の場ではもう報告書が出てきているわけですから、そこで反論する立場にはないということなんですか。そこだけもう一点。

飯島政府参考人 お答えいたします。

 人権理事会の場におきましても、我が国の立場につきまして説明を行い、対話を続けていくということになるかと思います。

奥野(総)委員 済みません、大体わかりました。これは、だから、報告書として出ると遵守しなきゃいかぬというか、促される、こういう性質のものだということはよくわかりました。

 ここで大臣に伺いたいんですが、先ほど小川委員の方からもありましたけれども、この報告書の中、いろいろ書かれていますが、特にメディアについては、メディアの規制は、政府、特に時々の政権与党から法的に独立していない、これは読売新聞の訳をそのまま使っていますけれども、あるいは、放送法四条が放送免許停止の理由になり得るという政府見解は、メディアを規制するおどしと受けとめられる、こういうことであります。

 大臣は、毎回、民主党政権のときの見解を踏襲しているとおっしゃいますが、毎回これも僕も反論するんですが、一点だけ違うところがあって、四条の解釈が変わっているんですね。

 放送法四条の政治的な公平性というのは、従来は、放送番組全体、要するに、あるテレビ局が放送する番組全体を見て、全ての放送を見て判断する、こういう話だったんですが、たしか参議院の総務委員会の答弁の中でそこが修正された、あるいは予算委員会でもたしかペーパーが出ましたけれども、一つの番組であっても、政治的公平性を欠いていると判断される場合がある、こう解釈を変えたんですね。まさに高市大臣のときに解釈を変えた。

 この部分が懸念の主たる原因じゃないか。要するに、特定の番組が政治的公平性を欠くというふうに狙い撃ちされる可能性があるんじゃないかというのが私の主張でありまして、だからこそ、特定の番組のキャスターが交代したんじゃないかというのが去年の議論だったわけですけれども、この点についてはどういう反論があるんでしょうか。

高市国務大臣 まず、去年、政府として統一見解としてお示ししたものでございますけれども、番組全体を見て判断するという基本は変わっておりません。ただ、番組全体といっても、それは一つ一つの番組の集合体でございますから、そのうちの一つを見る場合ということでございます。

 それから、例えば、私の発言によってキャスターが交代したというようなことは、これはもう全くあり得ないと聞いております。昨年二月の予算委員会で議論をしたときに、既に四月改編の番組のキャスターの人事などは終わっていたというふうに聞いておりますので、私の発言によってキャスターがかわるということもないと思っております。

 また、国連特別報告者の方の報告書案の概要ですけれども、放送法第四条の違反が確定された場合、放送法第百七十四条に基づき、放送事業者の免許の一時停止を命じる可能性があると総務大臣が二月に表明した政府の見解についてということが書いてあるのでございますけれども、それからまた、この法的見解が報道を規制する脅威となっているということになっているんですけれども、この放送法第四条も、そして放送法に違反した場合に、例えば電波法の第七十六条ですとか、それから放送法第百七十四条、これが適用されるというのは、私が大臣に就任するよりはるか前から法律に規定をされており、それは法律の条文を、解釈を述べたにすぎないということで、いきなり去年からメディアの方々が脅威に感じる法律の内容に変わったわけではございません。

 また、私自身が電波をとめると言ったこともございません。

 さらに、この報告者は、放送法第四条の見直し及び撤廃を勧告するだとか、独立規制機関の枠組みを構築するように強く要請するというようなことも書いておりますけれども、放送法第四条の見直しもしくは撤廃ということを、法的拘束力のないこの報告書によって日本政府が強要されることではないと思っております。

 放送法第四条に規定する番組準則ですが、これは、憲法の規定を踏まえて、放送を公共の福祉に適合するように規律するために設けているものでございます。これは放送法の目的にも書いてありますから必要な規律だと考えておりますし、諸外国においても、先ほど私が答弁しましたような非常に厳しい規律がございます。日本の場合は、番組規律違反に対して諸外国がとっているような刑事罰ですとか行政庁による罰金というのは設けておりませんので、ここはやはり日本の反論を正しく受けとめていただきたいと思っています。

 また、独立規制機関、これを構築するようにということですが、これは、独立規制機関を設置することについては、放送事業者自身が政治的な干渉を受けない組織をつくるということが難しいといったようなことで明確に反対をしておられますので、こういったことについて強制をされるようなものではないと考えております。

奥野(総)委員 なかなか、内政干渉だという反論もあろうかと思いますが、一方で、先ほど参事官からありましたけれども、理事国でもあって、事の性格上、対応を促されるんだ、強要はされないけれども一定の敬意を払わなきゃいけないものだということは国際間の約束としてどうもあるようでありますから、先ほど小川委員が言っていましたけれども、やはり一呼吸置いて真摯に受けとめる、そういうことを言われているということ、全てが事実じゃないとおっしゃるかもしれませんが、一呼吸置いて真摯に考えるということも必要じゃないかと思うんですね。

 四条の廃止というのは、これは全く荒唐無稽な話じゃなくて、これは、僕はさんざん申し上げていますが、フェアネスドクトリンですよね。アメリカではこういう条項はたしか大分前に削除されてしまっています。要するに、電波が希少であってメディアの数が少なかったころの規制であって、これだけ多チャンネル化し、多メディア化している中で、この条項が本当に要るのかというのは検討に逆に値するんじゃないか、言われてやるわけじゃなくて、我々として検討に値するんじゃないかというふうに私は思います。

 それから、先ほど来大臣は、もちろん、電波を実際にとめると言ったわけじゃないともおっしゃっています。そのとおりですし、キャスターが大臣発言でやめたわけじゃない、そこの因果関係は証明できないのはそのとおりだと思います。

 ただ、一点だけ、変わってきたのは、もともと四条は倫理規範であった。これはずっと、椿発言ぐらいまでは倫理規範だったということで来たんですが、ある時点から法的規範性を持つというふうになって、そのときに、民主党のときに例の停波のところの答弁もあるんですが、そこから決定的に変わっているのは、再三申し上げますけれども、大臣は、いや、全体を見ているけれども個別も見るんだと。個別を見るということは今まで言ってこなかったんですね。

 だから、個別の番組を見るんだというところが決定的に変わってきて、個別の番組を政権側がウオッチして政治的公平性を問うんだということは、これは結構重たい発言でありますし、そこを問われているんだというふうに思います。その部分がこの報告者の言っている懸念、危惧じゃないかというふうに私は理解をしているわけであります。

 それからもう一点。こればかりやってもあれなので、最後に憲法の話もしておきたいんです。

 同じく、これは読売新聞の訳文ですけれども、日本政府の反論として、日本での表現の自由は憲法二十一条で保障されている、こう言っています。ところが、デビッド・ケイ氏の方でも指摘していますが、自民党の憲法改正草案、これは私は憲法審査会でも取り上げたんですが、二十一条に新しい二項を設けて、「公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。」こういう規制を入れようとしているわけですね。

 基本的人権、特に内心の自由、思想、良心の自由、このあたりについては、憲法の常識としては規制をしない。財産権は、二十九条とか、公共の福祉の制限を加えるんですけれども、こういった内心の自由については規制を置かないというのが先進国の憲法の常識なんですね。

 それに、あえてこういう憲法草案、これは私は憲法審査会でも話を伺って、これを前提に議論されるんですかという質問をしたら、中谷筆頭は、これは前提に議論されるべきだ、こういうような趣旨のことをおっしゃっていました。

 大臣にもう一回伺いたいんですが、この二十一条が保障されている、それはそのとおりだと思うんですが、では、そういう立場からして、この改正草案の二項というのは本当に必要なものなんでしょうか。こういうことを与党の案として明らかにされているからまたこういう報告書、懸念を生むんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

高市国務大臣 まず、先ほど奥野委員が番組準則については倫理規範だとおっしゃいましたけれども、平成二十二年、民主党政権時代の答弁でございます、「番組準則については、」「我々としては法規範性を有するものであるというふうに従来から考えているところであります。」という答弁が副大臣からなされております。また、この四条は法規範性を持つというのは、文理上も法規範性を有することは明らかであるということで閣議決定をされております。

 また、憲法の自民党草案についての御質問でございますけれども、憲法第九十六条におきまして、憲法改正案の発議権というのは国会にあるものでございますから、現在、内閣の立場で、内閣の一員の立場でこの答弁に立っております私が、政党の案についての評価をすることはできません。

奥野(総)委員 これでやめにしますが、私は、今の四条の解釈は倫理規範だと言っているつもりはなくて、それは椿発言のときに明確に変わったんですね。倫理規範から法的規範に変わって、民主党政権のときの停波の根拠となり得るという解釈もそこによっているんですが、そこは否定はしませんけれども、最後に重ねて言えば、その解釈、四条の政治的公平性の解釈が変わった、個別の番組に踏み込んで適用できるというふうに変わったというところが世界に問われている、報告者に懸念を生んでいる、こういうふうに申し上げているわけであります。

 ずっと行っても平行線ですから、時間もなくなってしまったので、肝心の本題、電子委任状法の方に入らせていただきます。済みません。

 電子委任状の方は、一条の「目的」で、何のためにこの法律をつくるかということで、「電子契約の推進を通じて電子商取引その他の高度情報通信ネットワークを利用した経済活動の促進を図ることを目的とする。」こういう規定ぶりになっていますが、今、ではそのBツーBの電子契約というのはどのぐらいあるのか、全契約のうちどのぐらいの割合であるのか。もしそれがわからないのであれば、例えば政府調達についてはどのぐらい使われているのかということを伺いたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省の調査によりますと、我が国における企業間取引の電子化率につきましては、取引金額ベースで、平成二十八年度時点、約二八%ということでございます。

 また、政府調達における電子応札率は、総務省の集計によりますと、平成二十八年度時点で約四七%となっております。

奥野(総)委員 これは非常に、取引額ベースで三割近く、電子調達では半分ぐらい使われているということですね。これは思ったより使われているとも言えるんですが。

 重ねてですが、事前にいただいた資料では、その四七%という数字は、電子的に応札できるものについて四七%ということなんですが、ごめんなさい、これは通告していないんですが、基本的に全部の調達は電子的に応札できるんですか。その割合はどのぐらいでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電子的に応札が可能なもの、そこに一者でも応札をしてきたというものがあった場合をベースにして、この数字というものを算定しているわけでございます。

奥野(総)委員 四七というのは非常にいい数字だとは思いますけれども、もう少し厳しく見るともう少し下がっていくのかもしれない、こういう理解ですね。

 ですから、まだまだ半分いっていないという中で、これをさらに高めていくというのはなかなか難しいと思うんですけれども、もう一点、商業登記に基づく電子認証制度、電子登記制度というのが、これは私今回初めて知ったんですが、ある。これはどういうふうに、どのぐらい使われているんでしょうか。法務省、きょう見えていると思うんですけれども。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 登記所では、登記された会社、法人の代表者に対し、その代表者本人であることや、代表者として登記されていること等を電子的に証明する電子証明書を発行しております。この電子証明書は、書面での取引の際に利用される代表者の印鑑証明書にかわるものとして、オンラインでの会社、法人の手続が代表者の意思に基づくものであることを証明するものとして利用することができる、こういうものでございます。

 平成二十八年度の商業登記電子証明書の発行件数は約十一万件であり、運用開始以降、年々増加しているところでございます。

奥野(総)委員 全国に法人というのはどのぐらいあるんですか。恐らく数百万社あるんでしょうけれども、そのうち、ある時点を取り上げて十一万件。これは発行した場合ですよね。だから、何社かというのはわからないですね。数百万社のうち何社がこれを使っているかというところはわからないんですよね、恐らく。

金子政府参考人 ちょっと会社の数が手元にないんですが、おおむね三百万ぐらいだったというふうな記憶がありますが、会社の数ベースでは資料がございません。

奥野(総)委員 ですから、もっと、十一万件よりは少ないということですから、三百万社として、中小企業もいっぱいあるんでしょうから、実際この電子登記を使っている会社というのは数%ということになると思います。

 ですから、全体として、電子契約を将来的には一〇〇%近くBツーBについてはしていくことが目標になろうかと思うんですけれども、まだまだこれから努力しなきゃいけない点があると思います。

 今回、この法律が、目的に書いてあるように、電子契約の推進にどういうふうに貢献するのかというところを、大臣、お願いします。

あかま副大臣 お答えいたします。

 政府といたしましては、官民の手続や契約について、対面、書面原則を転換し、手続の電子化を推進していくことを基本方針としております。

 このためには、電子化を阻む業務上の慣習や制度を幅広く見直し、必要な業務、制度の改革を進めていくことが不可欠であると考えております。

 本法案は、こうした取り組みの一つでございます。電子委任状によって、契約文書などに電子的に署名した社員の権限を確実に証明することが可能となって、書類の電子化が進み、対面、書面なく契約や手続を行うことが容易になると考えられます。

 今後とも、引き続き、契約や手続の原則電子化に向けて、関係省庁と連携をし、業務や制度の見直しに取り組んでまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 そういう答弁になると思うんですが、実際は、どうやって普及させていくかというのはなかなか難しい問題だと思います。

 この法律は、電子委任状を預かって、それを提示するという業務を認定制度として、そのセキュリティーを確保していこう、それによって電子委任状の普及を促していこうという趣旨だと思うんですけれども、任意の認定制度にした理由と、それからもう一点、あわせてお答えいただきたいんですが、報告徴収、立入検査の対象を認定事業者に限っているわけですけれども、認定事業者以外にもこういう業務を行うことができるはずでして、そうした認定外の事業者が問題を起こしたときにどうやって対応するのかということを伺いたいと思います。

金子大臣政務官 電子委任状取扱業務を営む事業者を経由して電子委任状が提出された場合、当該委任状が相手方に安心して受け取られるためには、実在する法人の代表者の意思に基づいて作成されたものであることや、第三者による改変などが行われていないことについて確認されていることが必要であります。

 取扱事業者がこうした点を確認していることを担保することによって、受け手側から見た場合の電子委任状の信頼性を確保するため、本法案において取扱事業者の認定制度を設けたものでございます。

 しかしながら、電子委任状の送り手と受け手が、双方とも同じ電子委任状取扱事業者と契約している場合など、認定を受けなくとも電子委任状取扱事業者に対する信頼が成り立つ場合も想定されるため、認定は任意のものとしたところでございます。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 報告徴収あるいは立入検査についてのお尋ねもございました。

 本法案では、主務大臣が、認定電子委任状取扱事業者の行う電子委任状取扱業務の内容が基本指針に適合しているかどうかなどを的確に把握する必要があるため、認定電子委任状取扱事業者に対する報告徴収及び立入検査を規定しているものでございまして、あくまで認定制度の適正な運営を確保する観点から、こうした規定を設けているところでございます。

奥野(総)委員 時間もなくなってまいりましたけれども、例えば政府調達でマックス四七%の応札、実際、これよりさらに電子契約をした数というのは減ってくると思うんですけれども、電子契約を、本当にオンラインで契約の締結まで全部持っていこうとするとなかなか努力が要ると思うんです。

 例えば、政府調達についてはもう全てオンラインでやっていく、入札もそれから契約ベースもオンラインでやっていくというふうに政府が義務づけるというか、政府側の対応として、全部オンラインでやりましょう、こういうふうにやれば、飛躍的に政府調達の電子化が進むと思うんですね。

 今回、電子委任状も入り、電子署名、電子署名はもう二十年近く歴史があるわけですから、きちんと道具立てはできてきているわけですから、決して難しいことじゃないと思うんですが、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきまして、目的としている部分は、今委員御指摘のような、電子取引をいかに促進するか、あるいは電子商取引を普及させていくかということでございますけれども、とりわけ、これだけで電子化が進むというわけでもございませんで、例えば政府調達ですとか行政の申請手続などの電子化を促進するべく、先ほど副大臣から、対面、書面原則を転換し、手続の電子化を推進していくということを御答弁申し上げましたけれども、業務や制度の見直しなどを含め、必要な取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 一例を挙げますと、電子調達のシステムにおける入札資格情報や調達情報を国と地方自治体間で共有する仕組みを実現するなど、具体的な取り組みを今後関係省庁と連携しながら進めてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 ありがとうございます。

 最後に大臣に、今の谷脇局長の答弁に対して、電子契約の推進に対する決意を述べていただいて、終わりにしたいと思います。

高市国務大臣 政府では、官民データ活用推進基本法、それから、これに基づき五月三十日に閣議決定されました世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画を踏まえまして、対面、書面原則を転換し、手続の電子化を推進していくことを基本方針としております。

 この基本方針にのっとって、政府調達や行政申請手続などの原則電子化に向けて、関係省庁としっかり連携して、業務や制度の見直しなど、必要な措置を講じていくつもりでございます。

奥野(総)委員 どうもありがとうございます。

竹内委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 電子委任状の普及の促進に関する法律案について質問します。

 電子委任状が位置づけられますと、法人においては、通常の電子文書のやりとりで認定認証事業者に登録をする、そして今度、契約締結等で電子委任状の取扱事業者の登録もすることになっていく、そういう法人もこれから出てくるだろうというふうに思われます。

 では、なぜ、電子署名法の改正で属性認証ができないのでしょうか。お答えいただけますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、電子署名法の改正による対応も、確かに選択肢の一つではあったところでございます。

 しかしながら、電子署名法における特定認証業務が個人の本人性を証明するものであるのに対しまして、本法案における電子委任状取扱業務は役職や権限といった個人の属性の証明にかかわるものであり、その性質が異なるということ、また、電子署名法における電子証明書が認証事業者によって作成されるものであるのに対しまして、本法案における電子委任状はあくまで法人代表者などが自分で作成するものであり、その位置づけが異なることから、法制上の整理として、電子署名法とは別の法律により対応を図ることとしたものでございます。

    〔委員長退席、左藤委員長代理着席〕

田村(貴)委員 これまでの電子署名による取引で、属性認証に法的な担保がないもとで、何らかのトラブルがあったのでしょうか。また、裁判になった事例というのはあったのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電子署名法に属性認証に関する法的な担保がないことで裁判になった事例があるとは承知をしておりません。

 しかしながら、現在の電子署名法における認証業務の範囲が、専ら署名者の本人性の認証に関する業務に限られていることから、署名者の属性の認証を行う業務を法的に位置づけることへの要望が、認証業務を提供している事業者からかねてより寄せられてきたところでございます。

 こうした要望を踏まえまして、総務省におきまして、総務大臣が主宰する懇談会のもとにワーキンググループを設置しまして、検討を重ねてきた結果、今般、この法案の提出に至ったという次第でございます。

田村(貴)委員 トラブルや裁判による係争はなかったということは確認しました。

 高市大臣にお伺いします。

 大臣の提案趣旨説明の中で、当該手続を行おうとする者が正当な権限を有しているかどうかの確認手段の確保が課題とされているという説明でありました。どのような課題があるのでしょうか。そして、今度の電子委任状の導入によって、その課題というのは解決されるのでしょうか。

高市国務大臣 企業が紙の契約書や証明書を発行する場合には、社員が代表者の印鑑を押すことで、その書類が作成責任者によって作成された正式なものであることを証明できます。これに対しまして、企業が電子的な契約書や証明書を発行する場合には、社員が電子的に署名しただけでは、その電子書類が作成責任者によって作成されたものかどうかがわかりません。

 そこで、企業の社員が、代表者から書類の作成に必要な権限を委任されているということを電子的に証明する電子委任状を円滑に利用できる環境を整備する必要があるということから、本法律案を提出させていただきました。

 この法案に基づいて、主務大臣、具体的には総務大臣及び経済産業大臣になりますけれども、主務大臣の認定を受けた事業者を介して、信頼性の高い電子委任状が流通するようになりましたら、電子書類に電子的に署名した社員の権限を簡易かつ確実に証明することが可能となりますので、さまざまな手続がオンラインで完結するということが期待できます。

田村(貴)委員 それでは、電子委任状の目標、数値目標等について伺っていきたいと思います。

 法案第三条第一項、「主務大臣は、電子委任状の普及を促進するための基本的な指針を定めるもの」とし、第二項では基本方針において定める事項を挙げ、その第一号では「電子委任状の普及の意義及び目標に関する事項」とあります。この目標というのは、数値的な形で設定するのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 普及目標の具体的な内容につきましては、本法案をお認めいただいた後、有識者や外部の関係者の意見も伺いながら、基本指針の中で定めていくこととなります。

 目標の明確性の観点からは、数値目標を定めるということも考えられるわけでございますけれども、他方、電子委任状の普及は企業の自主的な取り組みにより進むものであることから、いわば定性的な目標設定を行うこともあり得ると現時点においては考えているところでございます。

田村(貴)委員 それでは、民間における電子証明書を使った電子商取引の普及状況についてはデータがあるでしょうか。直近の数字でいいので、お示しいただければと思います。

    〔左藤委員長代理退席、委員長着席〕

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、電子署名を行うための主な手段といたしましては、マイナンバーカード搭載の署名用電子証明書を用いる方法、また、電子署名法に基づく認定認証事業者が発行する電子証明書を用いる方法、さらに、商業登記制度に基づき法務省が発行する電子証明書を用いる方法が考えられるところでございます。

 それぞれの普及状況でございますけれども、マイナンバーカード搭載の署名用電子証明書の発行枚数は、平成二十八年末時点の累計で約千百八十七万枚、次に、電子署名法に基づく認定認証事業者が発行する電子証明書の発行枚数は、平成二十七年度末時点の累計で約百三十万枚、商業登記制度に基づき法務省が発行する電子証明書の発行枚数は、平成二十八年度末時点の累計で約八十五万枚となっているところでございます。

田村(貴)委員 経済産業省が本年四月にまとめた報告書があります。「我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」という報告書によりますと、企業間の電子商取引、電子データ交換、EDIと呼ぶそうでありますけれども、この市場規模が実に二百九十一兆円に達しているという報告であります。

 電子商取引はこのように大量に行われているんですけれども、電子データ交換における電子署名や電子委任状というのは存在しないということであります。こうした状況があるわけなんですね。電子委任状が今度法的に位置づけられても、このやりとりについては影響を及ぼさないだろうというふうにも言われているわけであります。そうした経済活動の一つの流れがあるわけであります。

 先ほどの答弁の中では、今の電子商取引の中において、トラブルが起こっているわけでもなく、訴訟もないということであります。民間の中においては、電子署名を必要としないシステムも含めて商取引が行われていることは現実であります。

 そこで、やはり重要なのは、これは押しつけてはいけない、電子委任状を押しつけてはいけないというふうに思うわけであります。

 本法案の説明資料を読ませていただきました。「本法案による電子委任状は、民間の発意によって活用されるものである(何らかの強制を伴うものではない)。」というふうにされているわけであります。

 この強制を伴うものでないとするところは、本法案のどこかに担保されているのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、主務大臣による基本指針の策定と、電子委任状取扱業務に対する主務大臣による任意の認定制度をその内容とするものでございます。本法案には、事業者や利用者に対して、電子委任状の利用について何らかの義務を課すような趣旨の規定は一切置かれていないところでございます。

 法案の概要につきまして事前にお示しをした説明資料における「本法案による電子委任状は、民間の発意によって活用される」という表現は、まさにこの趣旨を確認したものでございます。

田村(貴)委員 義務を課すものではないといったところは確認しておきたいというふうに思います。

 続いて、官庁との取引、調達などの電子取引についてお伺いします。

 国とか地方自治体の政府調達については、ある程度の目標設定を念頭に置かれているようであります。法案第四条三項では、「国及び地方公共団体は、自らが一方の当事者となる電子契約において他方の当事者となる事業者の電子委任状の利用を促進するために必要な施策の推進に努めなければならない。」と国等の責務を規定しているわけであります。

 お伺いしますけれども、この国等の責務規定が入ったのは、官民データ活用推進基本法第十条を踏まえたものなのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、今委員御指摘の官民データ活用推進基本法の第十条第三項におきまして、「国は、法人の代表者から委任を受けた者が専ら電子情報処理組織を用いて契約の申込みその他の手続を行うことができるよう、法制上の措置その他の必要な措置を講ずる」と規定していることを受けまして、提出をさせていただいているものでございます。

 本法案の第四条第三項は、その一環として、国及び地方公共団体に対しまして、調達手続において電子委任状の利用を促進するための施策を講ずる努力義務を課すこととしているものでございます。

田村(貴)委員 先ほど、民間の電子証明書を使った電子商取引の普及状況について回答があったわけなんですけれども、有効な電子署名が付されている電子証明書、これは総務省から資料をもらったんですけれども、二〇一五年で三十三万八千枚というように記録されているんですが、これは間違いありませんか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

田村(貴)委員 今度は電子入札の方の統計ですけれども、先ほど答弁がありました応札率四七%の部分であります。

 この数字をお伺いします。

 電子入札が可能な案件数はどうだったのか、実際に電子応札が行われた件数はどうだったのか、教えてください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度における政府調達の電子応札率は約四七%となっております。これは、電子入札が可能な件数、具体的には二万九千六百二十件の中で、実際に電子応札が行われた件数が一万三千九百六十四件ということでございますので、電子応札率は四七・一%という数値になるところでございます。

田村(貴)委員 確認しました。

 それでは、政府は、電子応札率の目標というのを持っておられるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 政府調達につきましては、電子応札率を平成三十年度中に六〇%まで引き上げることを目標としているところでございます。

田村(貴)委員 重ねてお尋ねします。

 六割に引き上げたいとの回答でありましたけれども、地方自治体には、電子入札の応札率、こういう目標を持たせるという考えにあるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、政府におきまして、地方自治体について今のような電子応札率の目標というものは定めていないところでございます。

田村(貴)委員 この点も確認しました。

 私が申し上げたいのは、特に官庁との取引において、中小企業であるとか中小零細業者であるとか、電子証明書、電子委任状、なかなかここまではいかないよといったところの考えはいつも持ち合わせてもらわなければいけないというふうに思うわけであります。小さな事業所にとってみたら、電子証明書、認定認証事業者への登録とか、それから、今度の電子委任状は、取扱事業者への登録というのはこれはお金を要します。負担はかかってくるわけであります。

 そこで、高市大臣に確認の質問をしますけれども、政府調達の一方の相手方となる民間事業者に対する強制はあってはならないというふうに思います。特に、地方自治体におけるこれまでの商取引、慣習、それから事業等の状況を考慮していくことがやはり大事であるというふうに考えます。電子委任状を使った電子調達に対応できないという業者がおられるとしたら、その理由をもって調達から排除される、各種の契約から除外される、こうしたことは絶対にあってはならないというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

金子大臣政務官 先ほど来の答弁からございますように、本法律案は、電子委任状の普及を通じて、契約や手続に必要な書類の電子化を促進することを目的とするものであります。

 国の調達に電子的な手続で参加を希望する企業が、電子委任状の活用によって、より効率的に必要書類を電子化して提出できる選択肢を提供するものであります。

 ですので、委員御懸念のような強制によるものではございませんで、こうした選択肢を活用するか否かは、あくまで調達に参加する個々の企業の判断によるものと考えております。

田村(貴)委員 政務官がそうおっしゃるのであれば、紙媒体による調達もある、契約もある、対面がある、そして書面によるそういう調達もあるんですよということをやはり周知していく必要があると思うんですけれども、総務省としてはどう考えておられますか。

金子大臣政務官 先ほど私申し上げましたように、電子調達に参加する新たな選択肢が加わることによって、調達に参加する企業が増加することが期待されるのでありますけれども、そういう意味で、本法案を活用した調達手続について幅広く周知していきたいと考えておりますが、あわせて、書面による手続など他の選択肢についても、従前のとおりであるとの周知を図ってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 それでは、電子商取引、電子委任状の安全性について質問をします。

 取扱業者の安全性の確保が重要であると思いますけれども、法案では、三年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければならないというふうに定められております。なぜ三年なのでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法における基本指針は、認証技術やセキュリティー技術などの関連分野の技術進歩や、電子委任状に係る国際的な動向の変化を踏まえて定期的に見直しをしていくこととしております。

 このため、認定の効果を永続的なものとしてしまいますと、基本指針が規定する望ましい電子委任状取扱業務の内容と認定電子委任状取扱事業者の実際の業務内容とが次第に乖離をし、認定制度の趣旨が没却されるおそれがあるため、技術進歩などを踏まえた電子委任状取扱業務の適正な運営が継続して維持されるよう、定期的に認定の更新を求めることとしております。

 更新が必要となる期間につきましては、三年を下らない範囲において政令で定めることとしておりますけれども、これは、認証技術やセキュリティー技術の動向、電子委任状取扱業務に用いるソフトウエアや設備の標準的な更新期間などを考慮したものでございます。

田村(貴)委員 新たなウイルスとか、それから新たなサイバー攻撃というのが目立っております。こうした最新の対応というのは求められるところですけれども、いかがお考えですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電子委任状取扱事業者は、企業の代表者が作成した電子委任状を自社のサーバー上に保管することから、保管中の電子委任状については、電子委任状の改ざん、漏えい、あるいは滅失といったリスクが存在いたします。こうしたリスクに備えるため、電子委任状取扱事業者のセキュリティー水準を確保することが極めて重要だと考えております。

 このため、電子委任状取扱事業者の認定に当たりましては、認定の要件として、一定水準以上のセキュリティー対策を講ずることを求める予定としております。

 具体的な対策の内容は基本指針の中で定めることとなりますが、例えば、通信回線経由での不正アクセスの防止、権限を有しない者による操作の防止、システムの動作記録の取得、責任体制の明確化と規程類の整備といったような点につきまして、所要の対策を講ずることを求めてまいりたいと思っております。

 また、その上で、こうしたセキュリティー対策が実際に行われていることをチェックするため、認定要件の一つとして、定期的に外部機関の監査を受けることを求めることを想定しているところでございます。

田村(貴)委員 質問は以上でありますけれども、高市大臣、ちょっと通告はしておりませんけれども、我が党の政令市二十市の共産党市会議員団としんぶん赤旗の集計と調査結果が明らかになりました。

 マイナンバーカードを活用した質問については、この後、梅村議員の方から行いますけれども、マイナンバー制度の実施に伴う政令市の支出が二年間で三百十六億円。とにかくお金がかかっています。そして、そのうち、システム改修費用が二百六億円。大半がシステム改修費用で、このうち八割がマイナンバー設計制度に携わった大手四社に発注されている、NEC六十五億円、富士通五十五億円初め。こういう状態が明らかになっています。

 偏った発注、受注というのはお手盛りとなりかねないという、構造的な問題があるというふうな指摘もありますし、この巨額なマイナンバー制度に伴う費用というのは、国民や住民の理解を果たして得られるだろうかといったところの疑念も生じてくるわけであります。

 この点について、私は、総務省として検証を求めたいというふうに思いますけれども、高市大臣、何かありますか。

高市国務大臣 総務省には行政評価局もございます。総務省が行っている施策についても、第三者的にかなり厳しい評価を受けることとなります。国が出すお金でしたら、これは会計検査院の調査もございます。地方自治体に関しましても監査のシステムがございますし、また、それぞれの地方自治体の判断で、十分に能力のあるところを選んで発注されているものと存じます。

 マイナンバーカードというものが普及して、さまざまなサービスに使えるようになっていけば、より便利なカードになっていけば、これは行政の効率性にも、そしてまた国民の皆様の負担軽減にもつながってまいります。かなりの効率化が期待できるものだと考えております。

田村(貴)委員 その点についてはまた議論したいと思います。

 終わります。

竹内委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 インターネット等を利用した電子商取引が拡大する中、電子署名や電子認証についての法的効力を明確にし、その取り扱いルールを整備することは重要だと考えます。その上で、幾つか質問したいと思います。

 まず一点目ですが、本法案についての政府の説明資料などでは、マイナンバーカードの利活用が満載となっているかと思います。日本再興戦略二〇一六では、電子委任状の導入はマイナンバーカードの利活用拡大の手段の一つと位置づけられています。しかし、本法案を法文上ずっと読んでみても、マイナンバーカードという言葉は出てこないように思います。

 その規定と考え方について、まず高市大臣に伺いたいと思います。

高市国務大臣 この法律案は、対面、書面原則を転換して、電子委任状の普及を通じて、各種手続の電子化を進展させようとするものでございます。

 この法案が電子化を推進する手続において電子署名の手段としてマイナンバーカードを用いるということは、あくまでも選択肢の一つでございます。電子署名の方法としては、マイナンバーカードを用いる方法以外に、民間事業者が現在発行している専用のICカードなどを用いて行う方法もございます。

梅村委員 ありがとうございます。

 あくまでもマイナンバーカードは一つの選択肢で、これまでの民間の電子署名なども活用対象であるということだと思います。

 それで、今の答弁にはなかったんですけれども、第二条の「定義」の中の「主務省令で定めるもの」という中で、今後この中で、マイナンバーカード、法務省の商業登録簿などが入るということを事前に伺っておりますので、今後そうなるのかなというふうに思い、確認をさせていただきたいと思います。

 今のように、あくまでも選択肢の一つだという答弁がありました。では、そこで、選択肢の一つということであれば、ほかにどのような選択肢があるのか。電子署名法ができて、先ほども約二十年近くということでしたが、現在の取扱会社名と、電子署名の活用の内容について端的に伺いたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 法第二条第四項イの省令においては、マイナンバーカードによる電子署名のほか、商業登記認証局が発行いたします法人代表者の電子署名を規定することを想定しております。

 また、委員お尋ねの、電子署名法上の認定を受けている民間認証事業者、具体的な事業者でございますけれども、八者ございます。株式会社NTTネオメイト、株式会社コンストラクション・イーシー・ドットコム、株式会社帝国データバンク、株式会社日本電子公証機構、ジャパンネット株式会社、セコムトラストシステムズ株式会社、東北インフォメーション・システムズ株式会社、日本電子認証株式会社、以上でございます。

 なお、電子署名は、行政機関にオンラインで申請、届け出を行う場合や民間の商取引において電子契約を行う場合に利用されるものでございます。

 具体的なイメージでございますけれども、申請書面や契約書面などをまず作成した後、パソコンに接続されたカードリーダーなどにマイナンバーカードなどをタッチして、カードのICチップに格納されております電子証明書などを用いていわゆる電子署名が行われるという形をとるところでございます。

梅村委員 それでは、配付資料の1、これは総務省の方から資料で出されているものですが、「「電子委任状取扱業務」のイメージ」の中で、どのように電子委任状とマイナンバーや電子署名が使われるのかということを簡潔に御説明いただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が配付をしていただきました資料の、右肩上でいいますと4と書いているページでございます。「「電子委任状取扱業務」のイメージ」と題する資料でございますけれども、この資料に基づきまして御説明をさせていただきます。

 まず、法人A、左の上にございますが、の社長が同じ法人Aの社員、下にございます、に代理権を授与したことを電子的に表示する電子委任状を作成する段階で、法人Aの社長が電子署名を行うことが想定されるところでございます。

 次に、法人Aと法人Bが実際に契約を締結する段階で、法人Aの社員の行った契約締結行為が法人Aの代表者が授権した代理権の範囲に属するものかどうかという点を確認するために、右下の法人Bの契約担当者が電子委任状取扱事業者に保管されている、右上でございますけれども、電子委任状を閲覧または取得してこれを確認するという段取りでございます。

梅村委員 今、どういうふうに活用になるのかという具体的な御答弁があったと思います。

 ということは、電子委任状の送信を法人A社が電子委任状取扱事業者に送るときに、一つは電子署名が使われる。また、最終的に契約の締結を行うときに、代理権の授与がされたかどうかを契約相手である法人Bが確認するために、このときにマイナンバーカードや電子署名を使って、その人が本当に代理権の授与があるかどうかを、ここでも活用される、そういう活用シーンになるかと思います。それでよろしいですね。

 そこで、確認したいんですけれども、もし法人Aの社員さんが、私はマイナンバーカードは使いたくないというふうなお考えを持っている人の場合はどうなっていくのかということ。また、民間の電子署名のICカードであれば、会社の金庫に会社のものとして厳重に管理することができるかもしれませんが、もしここでマイナンバーカードを使うことになれば、会社の契約であっても、そもそも個人のものなので、個人で管理することになるのではないかと思いますが、その点はどのように想定されているでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、電子委任状の普及を通じて、各種書類の電子化を進展させるとともに、マイナンバーカードの利活用の選択肢を広げようとするものでありまして、マイナンバーカードの利用を強制するものではございません。

 また、会社の業務としてマイナンバーカードを活用する場合であっても、マイナンバーカードは身分証明書でもあり、個人で管理することが原則であると考えております。

 なお、この点につきましては、他の認証手段に用いるICカードの管理方法についても、個人管理を含め、それぞれ当該企業の判断でさまざまな手法が現実にあり得るものというふうに考えております。

梅村委員 何度も強調されて、マイナンバーカードを強制するものではないということが今もありましたので、それはこの後議論していきたいと思います。

 ただ、これまでの民間の電子署名のICカードと個人の情報が入るマイナンバーカードとは、全然質が違うものだというふうに思います。会社の契約のために個人のマイナンバーカードを持ち歩き、また使われるのは、紛失したり落としたりのリスクが高まり、個人への負担が大変大き過ぎるものではないかというふうに思います。そういう点では、選択肢の一つにもしていくということは、本来、管理との関係でもすべきではない、この点でも考えたいというふうに思います。

 また、マイナンバーカードを強制するものではないという点についてさらに聞いていきたいと思うんですけれども、資料2のところの雇用証明の場合の事例、これも事前にいわゆる総務省の資料としていただいたものです。

 選択肢はさまざまあるんだ、その一つの中にマイナンバーカードがあるんだということを重ねて強調されているんですけれども、この資料によりますと、社長さんの電子署名、括弧、社長のマイナンバーカード等に格納、この場合は等なので、まだ従来の電子署名も対象になっているのかなというふうにも思いますが、その下の、押印、社員の電子署名、括弧、社員のマイナンバーカードということで、マイナンバーカードしか記述がないんですね。

 さらに、資料3をめくっていただくと、「本法案で想定される電子委任状の利活用シーン」ということで、本法案により、電子委任状の利用シーンを段階的に拡大するということ。でも、本来、選択肢の一つであれば、従来の電子署名の記述もあっていいのかなと思いますけれども、ここも、段階的に拡大、マイナンバーカードの普及も加速というふうになっているので、この説明だけ聞くと、何かマイナンバーカードしか使えないというか、ありきというか、そういう説明になっちゃっているのではないかなということを大変強く思うんですよね。

 それで、本法案が、マイナンバーカードの利活用が強制ではない、あくまで選択肢を広げる、選択肢の一つということであれば、こういう説明は正して、これまでの電子署名もあわせて明記するように、国民の皆さんにきちんと正確に伝えるべきではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の配付いただいております配付資料の2につきまして御指摘を頂戴したところでございます。

 この中で、社員の電子署名、社員のマイナンバーカードというふうに書いてございますけれども、この資料の表題にもありますとおり、これは雇用証明書の場合の事例ということで、あくまで例ということでございます。したがいまして、マイナンバーカードのみというわけでは当然ございませんで、マイナンバーカード以外の認証手段、例えば民間認証局が発行しているICカードの使用を排除しているものではございません。

 なお、配付資料の3、次のページでございますけれども、今委員の御指摘があったところでございますけれども、その下に書かせていただいておりますように、「本法案による電子委任状は、民間の発意によって活用されるものである(何らかの強制を伴うものではない)。」と記載をさせていただいておりますとおり、本法案による電子委任状は、マイナンバーカードの利用を前提とした制度設計とはなっていないところでございます。

 今後、本制度が実際に動き出していくという段階には、きめ細かな配慮をしながら、正しい情報を国民の皆様に提供できるよう、政府としても努めてまいりたいと考えております。

梅村委員 今の御答弁にあったように、誤解のないような進め方をぜひしていただきたいというふうに思います。

 そこで、引き続いて、資料3に基づいて、さらに幾つか確認したいんですけれども、この中に、先ほど来他の委員の先生方からも御質問があった、マイナポータルでの子育てワンストップサービスについて質問をしたいと思います。

 保育所の入所手続において雇用証明書などが必要ですけれども、これを経由してやると非常に便利になるという説明がありました。Eメールやインターネットを経由して提出することになると思いますけれども、必ずここでマイナンバーカードが必要なのかということを確認させていただきたいと思います。

 先ほど、他の委員からの質問に、詳しい手順の答弁もあったかと思いますけれども、それを聞いても、必ずしもマイナンバーカードではなくても、従来の電子署名でも可能ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 また、これまでどおりの窓口に直接行って申請するというやり方であっても入園には不利にならないと考えますが、この点もあわせて確認させていただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本年秋ごろのマイナポータルの本格運用開始に伴いまして、保育所利用申請などの子育てワンストップサービスが実現されれば、自治体への入所申請書、雇用証明書などの提出をオンラインで一括して行うことが可能となるものでございます。

 他方で、一般的には、従来のように、住民が自治体に出向いたり、必要書類を郵送する申請についても、マイナポータルによるものと同様に受け付けられるものと認識をしているところでございます。

 政府といたしましては、今後、官民データ活用推進基本法及びこれに基づき去る五月三十日に閣議決定をされました世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画を踏まえまして、対面、書面原則を転換し、手続の電子化を推進していくことを基本方針とし、住民の方々の利便性向上に資する観点から、行政手続の原則電子化に向けた取り組みを進めてまいりたいと考えております。

梅村委員 その前の大切な質問の御答弁が抜けているんですけれども、従来の電子署名でも、いわゆるマイナンバーカードを使わなくても、電子化、いわゆるEメールやインターネットを経由しての雇用証明の提出というのは可能だと思うんですけれども、この点をしっかり確認したいんですね。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおりでございまして、いわゆるマイナンバーカードに限定されるというものではございませんで、民間認証局が提供する電子署名等を活用するといったようなことも、選択肢が、要は、一意に決まらない、自由に選択ができるという形で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

梅村委員 そこら辺も正確に、しっかりと周知をしていただきたいというふうに思います。

 さきに指摘したような、少しマイナンバーありきのような、マイナンバーカードありきのような説明になるのは、やはり、本法案の方向性について検討した総務省の懇談会、個人番号カード・公的個人認証サービス等の利活用推進の在り方に関する懇談会では、最終的には個人カードの普及等が一番の趣旨、いかにうまく属性と業務をあわせて普及していくかなど、マイナンバーカードの有効活用のための認証業務のあり方が議論され、電子委任状の普及促進を通じたマイナンバーカードの利活用拡大の狙いがこの根底にあるからだということをここで指摘しておきたいと思います。

 同時に、電子商取引、電子活用の促進を真に考えるならば、こうしたマイナンバーカードありきの電子委任状の推進はやめて、マイナンバーカードは使いたくないという人も含めて、全ての国民の皆さんにとって安心してわかりやすく活用できるような電子活用の環境づくりこそ行ってほしいし、行うべきだというふうに思います。

 民間の電子署名を使うと大変高い、一年で一万円ぐらいかかるというのもあります。また、中小零細業者の人たちにとっても、いまださまざまな負担が大きくて、やりたくてもやれないという声もありますので、こうした方々が安心してわかりやすく活用できるような、そういう環境づくりをぜひ行っていただきたいというふうに思います。

 最後に、あかま副大臣に一点のみ確認しますが、マイナンバーカードは申請主義であり、国民に義務づけるものではないかどうかだけ確認させてください。

あかま副大臣 お答えいたします。

 本法案は、電子委任状の普及を通じて、各種書類の電子化を進展させるとともに、マイナンバーカードの利活用の選択肢を広げようとするものであり、マイナンバーカードの利用を強制するものではないことは、本日、累次御答弁をさせていただいたとおりでございます。

 また、御指摘のように、マイナンバー法上、マイナンバーカードは国民からの申請に基づき交付することとされ、取得を強制することはできませんが、一方で、国民の理解を得ながら、さらなる普及促進に取り組むことが必要と考えております。

 以上です。

梅村委員 質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。

 本日も、足立さんのかわりにやってまいりました。

 法案質疑ということですけれども、今回の法案は、私は個人的には非常に期待をしている内容がたくさん含まれておりますので、ぜひこれはしっかりと進めていただきたいなというのがまず一点。

 もちろん、政府としては最大限いろいろな効果を狙ってやる予定にはしていると思いますけれども、その中で一番期待している効果というのは一体何なのかというのをお聞かせいただけたらと思います。

あかま副大臣 お答えいたします。

 本法案は、企業の代表者から担当者に対する権限の委任を電子的に証明する電子委任状について、その円滑な利用環境を整備することを目的としております。

 例えば、今後、マイナポータルを活用した子育てワンストップサービスの取り組みにより、保育所の入所申請書、雇用証明書の提出をオンラインで一括して行うことが可能となりますが、さらに、将来的には、電子的に発行された雇用証明書に、本法案の認定を受けた事業者を介した電子委任状が付されることで、雇用証明書の信頼性が向上することが期待をされます。

 このように、本法案は、行政手続などの電子化をさらに加速、推進する効果があると考えております。

 以上です。

浦野委員 きょう、朝からも、保育所の入所の申請だとかそういうのにも活用できるということですけれども、この中で、電子委任状の活用の推進を努力義務としている部分がありますよね。この努力義務とした理由というのを一度お聞かせいただきたいと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、電子委任状を利用した効率的な調達手続を促す観点から、第四条第三項におきまして、国及び地方公共団体に対しまして、調達手続における電子委任状の利用を促進する努力義務を課しているところでございます。

 電子委任状の利用を促進するための具体的な取り組みの内容は、各団体の規模や電子化の進捗状況に応じてさまざまであることから、現時点で一律の義務を課すのではなく、それぞれの実態に応じた努力をしていただくことが適当と考えられたため、当該規定は努力義務規定としているところでございます。

浦野委員 要は、財政基盤が弱かったりマンパワーが少ない、例えば町村のような規模の小さな自治体がこれをなかなか前に進めることができない場合も想定しているということで、努力義務というふうに書いたのかなということは理解しているんですけれども、ただ、そういったところこそ、やはり経費削減とかにつながるようなこういうものをしっかりと進めていっていただかないとだめだ。

 我々大阪でも、町村は非常に今涙ぐましい努力をしながらいろいろな政策をやっていますので、ぜひ、こういった経費削減につながっていく、効率化につながっていくようなことをしっかりとそういったところにこそ進めてもらいたい、ちょっと矛盾をしたことですけれども、やっていただきたいと思うんですけれども、これは国としてどういった対処をしていこうというふうに考えておりますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、官民データ活用推進基本法の規定を踏まえまして、国及び地方公共団体における電子調達の推進を含む官民データの活用に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 特に、本法案では、第四条第四項におきまして、地方公共団体が行う電子委任状の利用促進策を支援するため、国に対し、地方公共団体に対する情報提供などを行う努力義務を明記していることから、この規定に基づきまして、国の電子調達システムの仕様の地方公共団体への提供、あるいは、先進的な導入事例の地方公共団体間での共有、地方公共団体が調達担当職員向けに実施する研修への講師の派遣やテキストの提供といった措置を講ずることにより、地方公共団体のニーズを踏まえ、きめの細かい支援策を講じてまいりたいと考えているところでございます。

浦野委員 今までの質問の中でも少し触れていましたけれども、もちろん、一気に申請方法が電子委任状に切りかわるというわけではないので、しばらく従来ベースの申請方法と併存することになるというのは、それは事実だと思います。

 私は、方法は最後にはやはり統一すべきだというふうに思っています。マイナンバーも、共産党さんはマイナンバーに反対されていますので、ほかのやり方でやった方がいいんじゃないかと言いますけれども、利用者からしたら、複数のやり方があると混乱しますので、やはりそこは一つに統一すべきだと私は思うんですね。

 だから、それはマイナンバーを使えばいいというふうには思っているんですけれども、そういった、いろいろなやり方が併存するところを解消する具体的な方法とか期限というのは考えていらっしゃるんでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、紙の委任状による、いわゆる従来ベースの申請方法に加えまして、選択肢の一つとして、電子委任状によるオンラインでの申請も行えるようにするものでございますけれども、現時点では、一定の期限を設けて、紙の委任状から電子委任状に全面的に移行させるということは考えていないところでございます。

 その一方で、政府といたしましては、オンラインでの申請方法が原則となるように、これまで御答弁させていただきましたような地方自治体に対する情報提供などの取り組みに加え、地方自治体の要望に基づきまして、さらなる支援策の実施について、継続して、引き続き検討してまいりたいと考えているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 続いて、電子委任状取扱業者を立入調査するという権限がありますけれども、具体的には立入調査をするのは誰かというのをまずお聞かせいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 認定事業者に対する立入検査でございますけれども、これは、総務省及び経済産業省の職員が実施をすることを予定しているところでございます。

浦野委員 私がちょっと心配しているのは、お聞きいたしますと、取扱業者というのはそんなに今は多くない、十前後じゃないかということをおっしゃっていたんですけれども、こういった電子委任状取引がふえればふえるほど、取扱業者というのは恐らくこれからどんどんふえていくんだろうと想像しております。

 数がふえたときに、では、その全ての業者をどうやって、何か不正が起きたとか何か問題が起きたときに立入調査するということだとは思うんですけれども、数がふえたらふえただけ、やはりそういったことが多くなる可能性もあります。

 そういったときに、担当課だけで果たして僕は立入調査をこなせるのかなとちょっと危惧をしているんですけれども、その点についてはどうお考えですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、基本指針で定める認定要件の一つといたしまして、定期的に外部機関のセキュリティー監査を受けるということを求めることを予定しておりまして、認定事業者がセキュリティー上の基準を遵守しているかどうかは、まず、この外部機関の監査によって担保されることとなるというふうに考えております。

 また、認定事業者に対しましては、必要に応じ報告徴収を求めることが可能となっております。また、立入検査につきましては、これらの措置では十分に対応できない場合に、限定的に実施することになると想定をしているところでございます。

 なお、委員御指摘のとおり、将来的に認定事業者の数が増加した場合には、この仕組みを適切に運用していくために必要な体制整備を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

浦野委員 ありがとうございます。

 続きまして、朝一の輿水委員からも触れられましたし、先ほどの梅村委員もおっしゃっていましたけれども、保育の、子育てワンストップサービスというのをマイナポータルでやっていこうということで、これは私は非常に期待をしている取り組みの一つなんです。

 国・地方IT化・BPR推進チームの第二次報告書で、この申請手続の電子化をことしの七月以降でやるというふうに明言しているんですけれども、今、この状況というのを、どこまで進んでいるのかをお聞かせいただきたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、子育てワンストップサービスにつきましては、子育て世代の方々の利便性の向上を図るため、マイナポータルを使って子育て関連手続のオンラインサービス化を行うものでございまして、御指摘の報告書、これは五月十九日の報告書でございますが、明記しているところでございます。

 具体的には、地方公共団体の子育て関連手続である児童手当、保育、一人親支援、母子保健の分野におきまして、利用者みずからが受けられるサービスの検索、それからオンライン申請やオンライン通知の受け取りを可能とし、国民の利便性向上と、地方公共団体の業務の効率化を推進するものでございます。

 スケジュールといたしましては、マイナポータルの本年七月以降の試行運用、秋ごろからの本格運用に合わせまして順次開始していくものでございまして、各子育ての関係手続の実施時期、例えば保育所の入所申請ですと平成二十九年十月以降となってございますが、に向けて、現在、各地方公共団体に準備に取り組んでいただいているところでございます。

 なお、本年秋ごろのマイナポータルの本格運用に当たっては、マイナポータルを多くの方に便利に使っていただけるよう、スマートフォンでもオンライン申請等を可能とすべく、現在準備を行っているところでございます。

浦野委員 来年度の保育園の入所申請は、大体どの自治体でも年末、十二月の頭からとか、大体それぐらいの時期から始まりますので、それまでに間に合えば十分できると思いますので、ぜひこれは早速実現をしていただきたい、やっていただきたいと思います。

 多くのこういう保育所の入所手続をされる方々の世代は、若い世代がほぼほぼ、大半ですから、こういったことにも強い人たちが申請をしていくんだろうと思っていますので、そんなに心配はしていないんです。ただ、やはり初めてやることになると思いますので、各市町村、保育園のない市町村は多分ないと思いますので全ての市町村がこの業務に追われることになるので、ちょっと初めてやることなのでその部分だけ心配はしていますけれども、ぜひこれはしっかりとした、好事例になるようなことを取り組んでいただけたらと思います。

 私は、一つ、これは通告していないんですけれども、マイナンバーを使って申請できるということだと思うんですけれども、今、マイナンバーが九・一%しか発行されていないということの一つの原因ですね。番号さえわかれば発行しなくても手続できることというのはたくさんあるんですよね。マイナンバー、自分の番号さえわかっておけば、それを書けば申請書類は全部それで済ませられるということになっているのが多いんです。だから、みんなわざわざ発行しないんですね。私も発行していないです、番号わかっているので。わざわざ発行する必要ないから発行していないんです。発行してくださいと後で怒られるかもしれませんけれども。

 今回のこの子育てのものも、番号さえわかれば発行しなくても済むのかというのはちょっと疑問に思ったので、お聞かせください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーを使う手続につきましては、基本的には本人確認と番号確認をいたしますのでマイナンバーを確認できるものが必要となりますが、それには三つございまして、通知カードと、それからマイナンバーカードと、それからマイナンバー入りの住民票と、三通りぐらいはあるだろう。

 その中で、マイナンバーカードのみが一つで本人確認と番号確認ができるということで便利だろうとは思っておりますが、マイナポータルを使う場合には、マイナンバーカードにあります公的個人認証の機能を使って本人を特定いたしますので、したがって、マイナポータルにつきましてはマイナンバーカードは必須となってございます。

浦野委員 ということは、発行がまたふえるんだろうなというふうに、私は推進派ですので、それはぜひ、それでも構わないと思っていますけれども、一部の方は反対するとは思いますけれども。わかりました。ありがとうございました。

 これで、法案、私が用意した質疑は終わります。

 足立先生、足立代議士だったら、ここでまた民進党さんの批判を少しして終わるところで、例えばきのうの蓮舫代表の、首相と同じ空気吸うのつらいという発言を受けて何か言ったりとかしたんだろうなと思います。私もちょっとどうかなとは思いますけれども、足立さんなら、低レベルな批判だとかそういったことを多分言っていたんだろうなと。お里が知れるんじゃないかみたいなことを言って、どのお里かわかりませんけれどもぐらいのことは足立さんも言っていたんだろうなとは思いますけれども。私は感想を述べただけですので、足立さんの。私はそんなことは思いませんので。思っても、心の中で思うだけにしておきますので、私は。

 ということで、私の質問を終わります。以上です。

竹内委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 法案の質問に入る前に、先般、当委員会、四月十八日だったと思いますけれども、取り上げさせていただいた医療分野の情報連携に係るシステム開発費、運営費に関連して質問をさせていただきます。

 先般の質疑で、医療保険の中間サーバーシステムの運営費、ことし七月から来年三月までの九カ月間で約七十五億円というような答弁がございました。さらに、この費用について、根拠も含めて精査し、運用事業者と引き下げ交渉を行っている旨の答弁がございました。

 あれから約一カ月強たっております。きょうは六月一日ということで、運用開始がもう本当に目前に迫っているわけですけれども、この交渉の進捗状況はどういうふうになっていますでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 医療保険分野におけるマイナンバーを活用した情報連携のための医療保険者中間サーバーにつきましては、先生御指摘のとおり、現在、保守運用費用の積算根拠の精査及び当該費用の引き下げの交渉を行っております。

 現在、最終的な詰めの段階になっておりまして、もう時期も時期ですので、できる限り早期に交渉を終了いたしまして、運営費を確定させたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 今、最終段階だというお話がございましたけれども、制度といいますか、連携が始まるのは七月、十八ぐらいだというような話もちらっと昨日伺ったんですが、一カ月半しかもう残っていない。

 最終段階と言われますけれども、最終段階で、いつぐらいに最終的な数字が出てくるのか。各保険者、最終的には被保険者の負担になるわけですけれども、一カ月ちょっと先からスタートするものの費用がまだわからないというのは、ちょっとこれは幾ら何でもおかしいというふうに思います。いつごろまでに最終的な決着がつくんでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、七月の中旬、十八日、現在の予定でございますけれども、情報連携開始ということで、もう時期が来ておりますので、確定日付で申し上げるのは難しゅうございますけれども、本当にできる限り早期に交渉を終了させたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 先ほども言いましたけれども、これは最終的には被保険者、国民の方々の負担というふうになるわけでありまして、できる限り早く決着をつけていただいて、どのぐらいになるのかということをきちんと周知をお願いしたいと思います。

 関連して、総務省に尋ねますが、医療保険と同様に、七月から自治体中間サーバーを通じた情報連携が始まるというふうに承知をしております。自治体中間サーバーのソフトは総務省が一括開発し、J―LISが全国二カ所にプラットホームを設ける形になっていると承知をしています。

 この自治体中間サーバーですけれども、システムの開発費と運営費、どの程度の費用が予定されていますか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 J―LISが運営いたします自治体中間サーバーの開発経費でございますが、平成二十六年度、二十七年度の二カ年で開発いたしております、約百二十七億円でございます。また、平成二十九年度の運営経費につきましては、約三十七億円でございます。

吉川(元)委員 ちょっと非常に、先ほどの医療保険、これだと、九カ月間、同じ期間で七十五億円の運営費がかかる。開発費は、前回の質問で、二百七十二億。ほぼ倍、二倍の金額が開発費並びに運営費でかかるということであります。

 ちょっと角度を変えて質問いたしますが、この自治体中間サーバーですけれども、約千七百の自治体、都道府県、あと知事部局、教育委員会等々を含めて大体三千強の利用が見込まれるということで、さまざまな形で利用されるというふうに思うんですけれども、大体どのぐらい利用を、数といいますか、見込まれているのか。割合でも結構ですので、お答えください。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 利用数というのはちょっと申し上げるのは難しいかと思いますけれども、割合ということで申し上げますと、内閣官房が作成いたしました情報提供ネットワークシステムの性能設計書がございます。情報連携全体の年間業務処理件数のうち自治体中間サーバーを使用して自治体が行うものの割合でございますが、情報照会でいいますと約五割、情報提供でいいますと約七割ということになっております。

吉川(元)委員 続けて、厚生労働省に聞きます。

 今と同じはかり方で、大体どのぐらいの利用を見込まれているのか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 情報提供ネットワークシステムを活用する事務のうち医療保険関係の事務の割合につきましては、総務省のものとは若干前提は異なりますが、一定の仮定を置いて推計いたしますとおおむね二割程度となるものと考えております。

吉川(元)委員 これもまた非常にびっくりするわけです。

 たくさん扱うところの方が、ですから、今でいうと、照会だと五割、提供だと七割というのが総務省ですから、照会でいうと二・五倍、それから提供ですと三・五倍ぐらいですか、これは圧倒的に自治体中間サーバーの方が能力も、それから、恐らくたくさん使えば使うほどメンテナンスの必要性も高まると思いますから、能力的には二倍から三倍ぐらいの能力を自治体中間サーバーは持っていなきゃいけない。ところが、その開発費並びに運営費については、少ない方が、たくさん使うところよりも二倍お金がかかる。これはちょっと、非常に納得しかねる。

 普通の常識で考えると、小さい規模の方が開発費それから運営費も安くなるというのが普通だと思うんですが、なぜこれほど大きな差が出てしまうのか。この点について内閣官房はどういうふうに見ておられるのか。

 また、これはこれからいろいろな形で連携が進んでいきますけれども、こんな調子でやられていたら、それは利用者にとって、最終的には負担するのは利用者ですから、大変なことになりますけれども、このあたり、内閣官房はどのように考えておられますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 中間サーバーは、情報提供ネットワークシステムによる機関間の情報連携を行う際に、既存の業務システムで管理している正本データから連携用の副本データを作成し、格納するということを主な目的としております。全ての接続予定機関において整備する予定と承知しております。

 中間サーバーの整備や調達は、それぞれの設置主体において実施されてございます。そういう意味では、自治体につきましては総務省がというかJ―LISが一括して置いている、医療保険については厚労省というか支払基金が一括して置いている。一方で、個々に置いているところもございます。そういう中で、開発費や運営費というのは、それぞれの機関における中間サーバーの位置づけ、機能、システムのつくり方、中間サーバーの情報量、規模によって異なってくると考えております。

 例えば、医療保険関係の中間サーバーにつきましては、地方自治体の中間サーバーと異なるところもございます。機能といたしましては、地方自治体が個別に持つ統合宛名システム、これはマイナンバーと情報をやりとりする中での符号をひもづけるようなシステムになりますが、それを医療保険の場合は中間サーバーそのもので持っている。それから、自治体の住基システムとつなぐところを今回新たにつくっているというようなところもございまして、単純に年間利用のもののみで開発費や運営費を比較することはできないと思っております。

 ただ、マイナンバー関係のシステム、それのみならず政府全体のシステムあるいは政府が関係するシステム全部でそうでございますが、できる限り効率的で適正な価格、低廉な価格での調達というのは非常に重要でございます。今回の医療保険の中間サーバーの保守、運営費につきましては、現在、厚生労働省において保守運用業者との引き下げ交渉を行っているところでございますけれども、内閣官房といたしましても、必要に応じ、その後押し、これは厚労省だけじゃなく、全てのマイナンバーにかかわる機関についての調達手続についてもフォローをしてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 一概に言えないというのは、それはもちろんそれぞれやることが少しずつ違いますから当然だと思いますが、ここまで、例えば、利用件数は半分から三分の一、ところが金額は二倍強、これを掛け合わせると、六倍から十倍ぐらい高いお金をこの保険、特に、運営費に関しては利用者、それから開発費についてはこれは税が入っていますから、国民の税金が使われている。

 厚生労働省、ちょっと伺いたいんですけれども、この自治体の中間サーバーの金額と自分たちがやっているものと、見ておかしいなというふうに思いませんか。いかがですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 今、内閣官房から答弁がございましたけれども、いわゆるマイナンバー等各サーバー内で個人を特定する番号とマイナンバーとのひもづけを行うシステムについて、自治体では既存システム内において行っている一方で、医療保険者ではそういうシステムがございませんので、医療保険者の中間サーバー内で実施している。あるいは、自治体はマイナンバー制度創設以前から住基のネットワークシステムを利用しておりますけれども、医療保険者については新たに住基ネットワークシステムと接続する必要があるなど開発の中身がやはり異なるので、一概には処理件数ではかるということは難しいのではないかというふうに考えております。

 ただし、いずれにいたしましても、今目安として示している金額からできる限り効率的に運営を行うよう、引き下げについて最大限努力を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 余り時間がありませんので、できるだけ簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

 一点だけ確認したいんですけれども、前回の質疑の際に、その七十五億というのは、業者の見積もりなどをもとに、あくまで目安として七十五億という答弁をいただいております。なぜこの目安というものを同様のシステムである自治体中間サーバーの、先ほどのお話ですと三十七億を目安として考えなかったのか。この点、いかがですか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになりますけれども、システムの中身や運用形態が違いますので、そういう意味では、私どもとして、医療保険者の中間サーバーとして必要な機能、サービスレベルなどについて十分検討して精査をした上で運営費を確定させる必要があるというふうに考えております。

吉川(元)委員 何かまるで医療保険の方で使うのは自治体中間サーバーと違って非常に高機能ですさまじい能力を持っているような言い方をされますけれども、実際にお話を聞いていますと、これはどうやって利用されるんですかというふうに聞いたら、年一回、妻や夫ら家族が扶養の範囲内で働いているかどうかを確認する程度だ、こういう利用の仕方しか今のところ保険者は考えられないというふうに一方で言われているわけです。

 明らかにこれは高値をつかまされた、言い値でやってしまった、文句が出たから慌てて今値下げ交渉をしているけれども、最初からきちんと、例えば自治体中間サーバーの運営費の価格でありますとかあるいは開発費、そうしたものをきちんと見ながらその中で目安をつくるべきだったものが、結果的には泥縄式に、とりあえずやれということで言い値でやったとしか私は思えませんし、これは内閣官房の責任も大きいと思いますよ。

 もちろんそれぞれがやっているんだろうし、モニタリングするといいますか、そういうようなお話をされましたけれども、これは全部国民のお金なんですよ、やるのは。税であるか保険であるかは別にして。それがほとんど何のチェックもなく、業者の言い値で値段が決まっていくようなこのやり方というのはしっかりと改めていただかなければいけないと私は思いますし、これから連携が広がっていく際に、しっかりこの値段の問題は監視をしていただいて、必要な指導なりなんなりしていただかないと、国民はなかなか納得していただけないということを指摘させていただきたいと思います。

 もう時間がありません。法案の方に少し入りたいと思います。

 まず、確認なんですけれども、時間がないので、通告したもの、幾つか飛ばして質問させていただきますが、今回の電子委任状を利用して電子契約の手続を進める際の、マイナンバーあるいはマイナンバーカード、法人番号、それぞれどのように利用されるのか、これを簡潔に答弁お願いします。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 電子委任状を活用すれば、企業の社員が代表者から書類の作成に必要な権限を委任されていることを電子的に証明ができるということから、電子申請等が進んでいくということでございますけれども、電子委任状と電子署名を組み合わせて電子的に契約や手続を行う場面においては、マイナンバーそのものは無関係でございまして、マイナンバーを利用することは想定をしておりません。また、法人番号とも制度上は関係をしていないものでございます。

吉川(元)委員 マイナンバーそのものは関係がなく、マイナンバーカードの持つ機能を使ってやるんだということで確認をさせていただきました。

 続いて、今回の法の第四条「国等の責務」の第三項において、「国及び地方公共団体は、自らが一方の当事者となる電子契約において他方の当事者となる事業者の電子委任状の利用を促進するために必要な施策の推進に努めなければならない。」ほかの委員もこれに関連して質問されておられました。

 恐らく、これは努力義務ということでありますが、他の委員の質問の中でも、これと並行して、対面あるいは書面による契約も引き続きやるんだというお話でございましたので、それについての答弁は結構であります。

 それで、ちょっと気になるのは、国や自治体、恐らくこれは多くは調達事務ということになろうかと思いますけれども、電子契約を主流として、電子委任状の取得を相手方に求めるようになった場合、入札等に参加する事業者の代表は、法人の役員あるいは従業員に代理権を委任して手続を開始することになります。その際、委任された法人の役員あるいは従業員は、マイナンバーカードを持っていないとできないわけであります。

 マイナンバーカードそのものの取得についてはあくまで任意のはずですけれども、国や自治体の業務で電子契約、電子委任状の利用を促すということは、相手方の法人で代表者の代理人となる従業員に対し、あるいは役員に対して、間接的にマイナンバーカードの取得を強制といいますか、する、そういうことになりかねないのではないか。

 もちろん、これを使わなくても、対面、書面でもできますよということでありますけれども、結果的に、その法人がこれでいくんだというふうになった場合に、実際に行う人は、実は自分はマイナンバーカードなんか欲しくないと思っていても、仕事上、強制的にマイナンバーカードを取得しなければいけなくなるという事態が想定をされるのではないかと思いますが、この点についていかがですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案は、マイナンバーカード利活用の選択肢を広げるということを意図しているものでございまして、マイナンバーカードの利用を強制するものではございません。

 そのため、国が、法第四条第三項及び第四項に基づきまして、国や地方公共団体が結ぶ電子契約の相手方となる事業者における電子委任状の利用促進のための施策を講じたとしても、実際の契約の場面における本人確認方法が限定されるわけではございませんで、マイナンバーカードの取得を強制することにはならないと考えております。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、これは努力義務とはいえ、相手方に対して、利用を進めてください、促進してくださいというふうになった場合に、もちろん、個人商店であれば、その方がそうだと判断すれば自分でとるわけですけれども、そこで働いている方は別人格であります。ところが、仕事上、社長がこうするんだとなったときに、マイナンバーカードをいやが応でも取得しなきゃいけない、そういう点は、私、やはり問題ですし、この書き方をもう少し工夫すべきではないかということを最後に指摘して、質問を終わります。

竹内委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

竹内委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 電子委任状の普及の促進に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

竹内委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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