衆議院

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第2号 平成29年12月5日(火曜日)

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平成二十九年十二月五日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井林 辰憲君    小倉 將信君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    国光あやの君

      小林 史明君    左藤  章君

      佐藤 明男君    新藤 義孝君

      谷  公一君    冨樫 博之君

      鳩山 二郎君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    岡島 一正君

      高井 崇志君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    井上 一徳君

      小川 淳也君    寺田  学君

      太田 昌孝君    原口 一博君

      本村 伸子君    足立 康史君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   総務副大臣        奥野 信亮君

   総務副大臣        坂井  学君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      山田 修路君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    小林 史明君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  横田 真二君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 米澤  健君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     小糸 正樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        池田 憲治君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  山下 哲夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  黒田武一郎君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   谷脇 康彦君

   政府参考人

   (消防庁長官)      稲山 博司君

   政府参考人

   (消防庁次長)      緒方 俊則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           椎葉 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局次長)        鳩山 正仁君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君

   総務委員会専門員     塚原 誠一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     宮路 拓馬君

  木村 次郎君     国光あやの君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     安藤 高夫君

  宮路 拓馬君     穴見 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     金子万寿夫君

  安藤 高夫君     木村 次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会専務理事坂本忠宣君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府大臣官房審議官米澤健君、復興庁統括官小糸正樹君、総務省大臣官房総括審議官吉田眞人君、大臣官房地域力創造審議官池田憲治君、行政管理局長山下哲夫君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長山崎重孝君、自治行政局公務員部長佐々木浩君、自治財政局長黒田武一郎君、自治税務局長内藤尚志君、国際戦略局長今林顯一君、情報流通行政局長山田真貴子君、情報流通行政局郵政行政部長巻口英司君、総合通信基盤局長渡辺克也君、政策統括官谷脇康彦君、消防庁長官稲山博司君、次長緒方俊則君、厚生労働省大臣官房審議官椎葉茂樹君、国土交通省土地・建設産業局次長鳩山正仁君及び内閣官房内閣審議官横田真二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橘慶一郎君。

橘委員 おはようございます。

 一年半ぶりに総務委員会へ戻ってくることができました。久しぶりの質問になります。質問の冒頭には万葉集を詠ませていただいているのが通例とさせていただいております。

 時雨が降るたびにイチョウもだんだん黄色くなってくる時期でございます。そういう時雨の雨が降るたびにさらに色づいていくという歌を詠ませていただきます。

 万葉集巻八、一千五百九十三番。

  こもりくの泊瀬の山は色づきぬしぐれの雨は降りにけらしも

 それでは、きょうもよろしくお願いいたします。(拍手)ありがとうございます。

 大臣の所信で、全ての大臣が復興大臣である、そして、私も双葉、浪江、川俣にまず行ってまいりましたという大変うれしい御挨拶をいただきました。復興庁で勤務させていただいた橘としても、大変ありがたい総務省からのエールだったと思っております。大臣、ありがとうございました。

 まず、復旧復興のお話から始めるんですけれども、福島県の福島第一原発事故によりまして長期避難を余儀なくされた地域がありましたが、本年春には、富岡町、浪江町など、避難が解除され、希望される方々の住民の帰還がようやく始まってまいりました。そうなりますと、住民サービスを担う国の行政機関ももとの姿に戻す、そして、さらにこの復興を加速化していく必要があるだろう、このように思っております。現状を復興庁にお伺いいたします。

小糸政府参考人 お答えいたします。

 住民サービスを担う国の出先機関の再開は、避難指示解除区域の復興にとりまして重要であります。昨年来、当時の橘復興副大臣の御指導のもと、各省庁等と連携のもとに対応してきているところでございます。

 具体的な動きでございますが、福島地方法務局富岡出張所につきましては、本年七月に登記申請の受け付け、相談等の一部業務を再開いたしました。今後は、登記申請の動向等を踏まえつつ、できる限り早期に業務を全面再開することを目指しております。

 また、簡易裁判所につきましては、本年八月に富岡町内の臨時の執務場所で、裁判所職員を派遣し、手続案内等の業務を再開したところでございます。

 また、富岡労働基準監督署及びハローワーク富岡につきましては、本年度中の帰還を目指してまいります。

 引き続き、関係機関と連携を図り、必要な対策及び支援を講じてまいりたい、このように考えております。

橘委員 ありがとうございました。どうか復興庁として、また横串を刺していただきながら、ぜひこういったサービスの充実を図っていただきたいと思っております。

 あわせて、金融機関、いろいろな方々が、皆さん、そこへ支店をまた戻したり、本当に民間の方からも応援いただいている状況にあるかと思いますが、その中で、ユニバーサルサービスを担っている郵政事業においてもやはりぜひ頑張っていただきたいな、こういう思いがございます。

 郵便局ネットワークの復元の状況につきまして、川俣町の山木屋郵便局など、現状をお伺いいたします。

巻口政府参考人 福島第一原発事故の影響により一時閉鎖となっていた郵便局につきましては、これまで八局で営業を再開したところでございまして、このうち、今年度につきましては、川俣町の山木屋郵便局が十一月二十日に再開するなど、四局において営業を再開したところと承知しております。

 今後の対応につきましては、日本郵便において、避難指示の解除の状況及び地域住民の帰還状況等を確認し、関係自治体と調整の上、郵便局の再開について検討しているところと聞いております。

 総務省としましても、郵政事業のユニバーサルサービスが提供されますよう、地域の生活インフラである郵便局の再開が進んでいくことを期待しております。

橘委員 ぜひ、事態の展開に伴って、また、それを後押しするようにまた御検討いただきたい、このように思うわけであります。

 総務省におかれては、復興特別交付税の関係、あるいは選挙の関係、住民票の特例の関係、さまざまな形で復興を応援いただいていると思っております。また、各委員の皆様方にも、さまざまな特例法案の成立、議員立法もございました。こういった中で、これからまた、双葉郡の選挙区の特例の問題であったり、あるいは二重ローン機構の延長の問題であったり、さまざまなことをまたお諮りしていかなきゃいけないことがあるかと思います。ぜひまたいろいろと御論議いただいて、またいい形に復興が進むように御協力を賜れば大変うれしいと思っております。

 そこで、被災自治体への応援職員の確保ということについても、随分総務省の方で旗を振っていただいていることであります。これで六年目、七年目と進んではきておりますけれども、もうあとしばらくぜひお願いしたいというのが被災地の皆さんの思いであろう。そしてまた、熊本、九州と、また新たなニーズも出てきているわけであります。ぜひ、このあたりの状況、そしてまた今後に向けての総務省の御対応、ここはぜひ野田大臣の方からお願いいたします。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 今お話がございましたように、東日本大震災、そして熊本地震及び九州北部豪雨の被災市町村においては、復旧復興を進めるための人材確保は喫緊の課題であります。全国の地方公共団体からの応援職員の派遣が必要な状況になっているところです。

 このため、九月二十九日に私の方から、全国の都道府県知事及び市区町村長に対してお手紙をお送りしました。応援職員の派遣について格別の協力をお願いしたわけであります。

 現在、平成三十年度における被災市町村からの応援職員の派遣要請を総務省において取りまとめているところでございまして、東日本大震災関係で約千名、熊本地震関係で約百四十名、そして九州北部豪雨関係で約六十名、合計約千二百名の派遣が必要となる見込みとなりました。

 総務省では、これらの派遣要請について、年内に全国の地方公共団体に対し協力を依頼することとしております。

 さらに、総務省で開催した研究会の報告においては、全ての地方公共団体の人的資源をフルに活用するための全国一元的な仕組みである被災市区町村応援職員確保システムを整備、導入することが提言されたところです。

 この仕組みの運用に向けて、現在、地方三団体及び指定都市市長会などと年度内の取りまとめを目指して、現在協議を進めています。

 引き続き、被災市町村からの要望をお伺いしつつ、地方三団体などと連携し、全国の地方公共団体に対し、応援職員の派遣について働きかけを行うなど、しっかりと対応してまいりたいと思います。

橘委員 どうもありがとうございました。

 どうも毎年のように、あっと驚くような災害が起こるような状況にあり、やはり助け合いということが大変大事になっております。これまでの経験を教訓として、今お話のあった提言等について、また実現方、省の方でぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それでは、総務省は、自治関係、そしてまた行政管理、評価関係、テレコム関係、統計関係、さまざまな分野があるわけでありまして、今回、きょうは、そういったところから、やや、ぱたぱたっとした、さくさくっとした質問になるかもしれませんが、私なりに問題意識を持ってこの七、八年眺めてきたことを含めて、順次お伺いいたします。時間のある限り、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、地方税財政からお伺いを始めさせていただきます。

 委員の皆様方にも資料をお配りしております。臨時財政対策債、いわゆる地方交付税で、本来ならば現金で各地方団体にお渡ししなきゃいけないものが、どうしても財源不足ということで起債に頼っている部分がありまして、これが、皆さんにお配りした資料でいうと黄色く塗っているところですが、だんだんだんだんその額がふえてきております。

 気がついたら五十兆を超えて、二十八年度は五十一兆八千億まで膨らんできているわけであります。これを何としてもストップさせたい、そして減らしていきたい。地方全体では、緑の部分がいわゆる建設投資等に基づく本来しなければならない起債、これはしっかり減らしてきているわけでありますが、黄色い部分の負担が重くなってきております。これが二十九年度はどうなるのか、黒田局長にお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、近年の地方財政におきましては、巨額の財源不足は継続して生じておりますので、その一部を臨時財政対策債により対処せざるを得ない状況になっております。

 平成二十九年度の新規発行見込み額四兆円が発行されることを前提といたしますと、平成二十九年度末における臨時財政対策債の発行残高は五十三兆円程度になると見込んでおります。

橘委員 今では、財源不足の部分と、既存の発行した臨時財政対策債の償還のための借りかえみたいなことも含めて、発行額が膨らむという傾向もあるわけであります。

 実は、消費税を一〇%に引き上げる際に、これは、いわゆる三党合意というところから来るわけですけれども、地方消費税の方も率が上がるということで、多分一〇%のところまで持っていくと大分改善されるのかなという状況ではあったんですが、ただ、ここへ来まして、やはり、一〇%引き上げの際の使途を変えるという話も出てきたわけであります。そうなりますと、もう一度、国、地方の財源の関係のフレームが、見直さなきゃいけないということになるだろう、このように思っております。

 その際、まだ、これから議論はしなければならないんですけれども、地方の歳入歳出にどういう影響が出てくるんだろうか。そしてまた、そういったことも含めて、地方の財源確保ということは引き続き望まれることだろうと思いますが、この辺をどのように取り組んでいくのか、総務省の取り組み方針をお伺いいたします。

小倉大臣政務官 お答えいたします。

 消費税率引き上げに伴う増収分の使途を見直し、幼児教育や高等教育の無償化などの人づくり革命を推進するための経済政策パッケージについては、現在、取りまとめに向けた議論が行われているところであります。そのため、委員御指摘のように、使途変更による地方への具体的な影響について、今のところお答えをすることは困難でございます。

 現在の社会保障と税の一体改革のスキームは、国と地方の役割分担に応じた税収の配分も含め、国と地方が十分に協議をして決めたものであります。

 したがって、このスキームの変更に際しましては、地方の理解を得ながら制度設計を進めることが重要と考えております。

 いずれにせよ、地方が教育無償化などの施策を着実に実施しつつ安定的に財政運営を行えるよう、地方の財源確保に努めてまいります。

橘委員 ありがとうございました。

 ぜひ、この黄色い部分が年々ふえていかなくなるような事態になるように、私個人としても努力していきたい、このように思います。

 続いて、行政管理、評価の分野について、何問かお伺いしたいと思います。

 皆さんの方に、きょうは二枚ですが、もう一枚資料をおつけしております。行政手続のオンライン化ということを、総務省でも旗を振っていただきながら、逐次進めてきているわけであります。「輸出入・港湾」、これは税関の部分ですが、このように非常に高い率になっているものもありますし、法務省の登記関係、そして今、国税、ここには載せておりませんが、地方税もeLTAXということで随分取り組んでいただいて、これも五割を超えるという率になってきております。だんだんそういうことが自然に行われる状況になっております。ただ、「社会保険・労働保険」については、スタートが非常に遅かったということもあって、まだなかなか進んでいない状況にあるわけであります。

 この社会保険、労働保険のオンラインのシステムについては、総務省で所管されているe―Govというシステム、そこからオンライン化をしていくということで進んできたわけであります。

 そこで、今日的には多分、これは二十七年度の資料なので、今は一〇%以上には伸びていると思うんですけれども、これをどういうふうに伸ばしていくのか、これまでの取り組み、また、これからのお考えについて、総務省のお考えをお伺いいたします。

山下政府参考人 お答えいたします。

 オンライン申請の場合も申請事項はオンライン上に入力する必要があるわけでございますけれども、社会・労働保険分野では、従業員の人数分のデータを入力する必要がある手続も多いところでございます。

 そこで、企業が保有している給与等のデータ、これを自動的に申請書に転記できるようにすることが有効でございまして、当時の橘政務官の御指導もいただきまして、政府のオンライン申請の窓口サイトであるe―Govでは、そのための仕様であるAPIを平成二十七年四月に公開したところでございます。

 二十七年四月スタートですので、まだデータが出ておりませんけれども、現在、これを利用した申請がふえつつあると見込んでいるところでございまして、今後さらに、関係機関と協力しながら、オンライン申請の利便性向上に努めてまいりたいと考えております。

橘委員 民間企業では大変ここの分野について前進を期待されているところでもありますし、そして、こういった申請の仲立ちをされる社会保険労務士会、そういったところの御意見も非常に大事かと思います。税の方も税理士会の皆さんといろいろ打ち合わせをされて制度の改善に努めておられると聞いておりますし、ぜひ、そういった打ち合わせも含めて、進めていただいて、やっぱり、早く、オンライン申請の方が普通だねと言われるような状態にしていただきたいと引き続きの努力を求めるものであります。

 そして、マイナンバーカードについても、逐次、今普及が図られているところであります。これにつきまして、きょう現在といいますか、直近の申請あるいは交付枚数がどうなっているかということをここでお伺いしておきたいと思います。あわせて、マイナンバー制度を使えば、今まで紙で提出しなきゃいけなかったもの、そういったものについても、そういう提出を簡素化できるとか、行政の仕事もより効率化できる、このように思っております。担当されている小林政務官の方からお答えをお願いいたします。

小林大臣政務官 日ごろからマイナンバーカードの政策についても応援をいただきまして、まことにありがとうございます。

 現在、マイナンバーカードにつきましては、交付開始から二年が経過をいたしました。十二月三日時点で約千五百二十二万枚の申請がなされておりまして、交付枚数は約千三百一万枚ということで、国民の人口一割以上の方に現在所持をしていただいております。

 さらに、マイナンバーカード普及に向けては、国民の皆様が自然に持ちたいと思えるような利便性自体を高めていくことに取り組んでまいりたいと思います。

 引き続き、マイナンバー制度を利用した行政手続の簡素化については、本年十一月十三日から、情報連携の本格運用を開始いたしました。児童手当や介護保険等八百五十三の手続において、今まで必要だった住民票の写しや課税証明書等の書類を省略できるようになっております。

 また、マイナポータルにおいても、十月七日から子育て関係手続の電子申請を可能としてきましたが、今回の情報連携の本格運用により書類の添付を省略することが可能となっております。

 先ほどの社会保険分野の電子化も含め、あと税も、いつも橘委員、大変細かく、国民のために御指導いただいていると思っております。それはやっぱり、国民に働き方改革を求めるのであれば、やはり政府自体も効率化を図って、国民の利便性を高めることが重要だ、そういう理念で御指導いただいていると思っておりますので、引き続き効率化に向けて頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

橘委員 申請千五百万件を超えて、千三百万枚を超えてきたと。でも、もう一頑張りしていただいて、予算上は、もう三千万枚までのカードをつくる予算はセットされておりますので、まずそういった目標に向けて、ぜひ引き続き、さまざまな形で、マイナンバーカードはいろいろな使い方ができるよと。そして、JRさんのああいうSuicaとかICOCAのように、皆さんが自然に持っていただけるようなこと、もちろん個人情報保護ということも大事でありますけれども、そういったことを兼ね合わせながら進めていただきたいと思います。来年にはいよいよ健康保険の方についてもまた情報連携もされていくということになってくるんだと思いますので、ぜひ引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 次に、行政評価局でございますが、行政執行の監視、勧告機能ということで、非常に大事な役割を果たしていらっしゃると思います。国の行政が多岐にわたる、またいろいろな行政ニーズがある中で、やはり違った目で行政のあり方を見直していくということは非常に大事なことであろうと思います。

 行政評価局長に、当面どのような方面について調査を進めていくのか、お伺いをしたいと思います。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 行政評価局では、各府省における政策効果や業務運営上の課題を実証的に把握、分析し、行政の適正性の確保等を図るため、行政評価等プログラムに基づき、現在、十四本の行政評価局調査を実施しているところであります。

 一例を挙げますと、高度外国人材の受け入れに関する政策評価といたしまして、イノベーションや生産性向上に資する観点から、高度外国人材の受け入れに関して、入国管理制度上の対応や企業における就労環境の現状などを調査しております。

 また、地籍整備の推進に関する政策評価といたしまして、昭和二十六年以降、地籍調査の計画的な取り組みの推進が図られているとされながら、地域によっては著しく進捗におくれが見られ、迅速な災害復旧上のリスクともなり得ることから、現状を把握し、推進を図るために調査しております。

 そのほか、少子高齢化や人口減少等に伴い空き家が増加している状況に対しまして、空き家対策特措法に基づく市町村の対応状況を調査する空き家対策調査、保育施設における安全対策の取り組み状況について調査する子育て支援に関する行政評価・監視などを行っております。

 今後とも、内閣の重要政策等の動向や地域の課題に関する情報を幅広く収集し、我が国が直面する課題解決に資する調査や、国民、社会のニーズを踏まえた調査に取り組んでまいります。

橘委員 今挙げていただいたところでも、高度外国人材の受け入れ、あるいは地籍調査なども、大変、ぜひそういったことを進めてほしいという声があちこちからあって取り組んでいらっしゃるわけですが、また一面、空き家対策もそうですが、いろいろと難しい面もあって、国土交通省であったり、あるいは法務省であったり、いろいろな検討をされ、努力をされているところであります。

 しかし、そういったことは、ちょっと第三者的な目でこうやって光を当てていただいて、またそこに改善点を見出していくということは非常に大事なことだと思います。ぜひこういったことを地道に進めていただいて、またいい提案をしていただきたいと。せんだっても小型家電のリサイクルについての調査も終えられたということで聞いております。そういったことも含めて、ぜひ引き続き息長く進めていただきたい、このように思っております。

 最後に、テレコム関係についてお伺いをいたします。

 何とか五分あるので二問いけるかなと思います。

 社会全体のICT化、このICTというものを社会全体さまざまなシーンに及ぼしていくということはテレコム部局の大変大事な役割であり、またこれも横串機能でもあるかと思います。そのための電波や通信のまた5Gとかいろいろな改革、技術革新であろうと思っております。

 一つお伺いしておきたいのは、医療・介護分野のICT化の進展のためには、どうしても電子カルテのネットワークというものを地域に張っていかなければなりません。

 個人の診療所、これはお医者さんはみんな、新しいお医者さんはどんどん電子カルテをお持ちになるわけですが、一番大変なのは地域のかなめになるような公立病院、特に二百床とか百床とか小規模な公立病院において、なかなか電子カルテというものは費用対効果で合わないという部分で悩んでおられるのだろうと思います。

 ここは、公立病院を所管される総務省さんとして、これは自治部局になるんですが、ぜひ応援いただきたいとも思うわけでありますが、取り組みの状況をお伺いいたします。

黒田政府参考人 お答えをいたします。

 公立病院の電子カルテの導入状況でございますが、平成二十八年度末で、全八百六十八病院中、八割弱の六百五十八病院が導入済みでございます。その内訳を見ますと、三百床以上の病院では九割以上が導入済みである一方、百床未満の小規模な病院では約五割にとどまっております。

 総務省といたしましては、この電子カルテを含む医療機器の整備のために活用できる病院事業債につきまして、その元利償還金の二分の一についてを一般会計からの繰り出し対象とし、その二分の一、すなわち全体の二五%につきまして地方交付税措置を講じております。

 特に、再編・ネットワーク化を行う場合につきましては、さらに手厚い措置を講じまして促進をしております。

 こういう財政措置も活用いただくことによりまして、電子カルテの導入支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。

橘委員 自治財政局長、ありがとうございました。

 小規模なところはまだ五割というところがこれからやはり問題になってくるかと思います。クラウド化とかあるいは様式の統一化とか、いろいろな面でまた知恵も出していただいて、応援もいただいて、ぜひこういったものが、ネットワークがきちっと全国的に展開できるように、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 最後の質問になります。

 4K、8Kテレビの普及ということについては、順次進んでまいりまして、どうやらいよいよ8Kテレビも小売で売られるようなものも出てきたようであります。8Kテレビについては、NHKさんも、さきのリオのオリンピック等のときに、各地方放送局にも置いていただいて、国民の皆様にこういうものが8Kテレビだよということもいろいろ紹介、普及していただいているということも聞いております。

 何やら総務省の方でもせんだってキックオフイベントもあったようでもありますし、ぜひ8K、そろそろ、みんな、こういうことになるんだということを大いにPRいただき、また普及ということも大事じゃないかと思うんですが、現状、取り組みの状況について最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。

小林大臣政務官 4K対応テレビにつきましては、累計出荷台数が現状の統計では本年十月末時点で累計約三百二十八万台、十月について見ると、テレビ出荷台数全体の三九・九%を占める状況になっております。また、8K対応テレビは、本年十二月一日に一般消費者向けに販売もスタートされたところです。

 来年十二月一日に始まる4K8K衛星放送の普及に向けては、受信機の普及など受信環境の整備、そして4K、8Kならではの魅力あるコンテンツ、この両輪が重要だというふうに認識をしておりますが、さらに、やはり橘委員御指摘のように、周知、広報というのも大変重要だと思っておりまして、4K・8K放送推進連絡協議会において、広報計画のアクションプランを取りまとめたところでございます。

 また、その具体的な取り組みの一環として、先週の十二月一日には新4K8K衛星放送開始一年前セレモニーを開催いたしまして、サービス名称やロゴの発表、そして推進キャラクターとして、野田総務大臣から深田恭子さんを任命するなどして、メディアを通じた周知、広報を図っております。

 総務省としては、今後も、関係団体、事業者と連携をして、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、多くの方に楽しんでいただけるよう、努力を進めてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

橘委員 ありがとうございました。

 一つ一つの仕事が前へ進んでいるというところ、しかしまたそこには課題もあるわけですから、ぜひさらに前へ進めていただきたい、そのことをまた質疑の中で後押しをしていくことをお誓いして、私の質問を終わらせていただきます。

 きょうは、ありがとうございました。

古屋委員長 次に、佐藤明男君。

佐藤(明)委員 佐藤明男でございます。

 さきの総選挙におきまして、自由民主党から出馬をいたしまして、当選をさせていただきました。本日が初めての質問であります。質問の機会を与えていただきました諸先輩方に感謝を申し上げます。ただいまの橘先生の質問を聞きながら、大変緊張さが増してまいりました。

 本日、大臣の所信質疑の質問に当たりまして、若干過去の総務委員会での審議模様を確認させていただきました。さすが議論の府、特に総務委員会では、すごいなという感覚を覚えております。その一員になれたことを大変光栄に思っております。

 私の質問は、地方をいかに元気にしていくかという視点で質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、地方消費税の清算基準の見直しについてお尋ねをさせていただきます。

 地方分権の推進、地域福祉の充実などのため、地方消費税が平成九年から導入をされました。地方消費税は、その負担を最終消費者に求めるものであることから、その税収は最終消費地の都道府県の収入となるべきもので、そのため、統計データを用いて都道府県間の消費の額に応じて清算を行うという制度、清算基準があるものと承知をしております。

 しかしながら、私の地元栃木県などでも、休日などには、東京近郊ということもありまして、都内に買い物に行ったりする方が大変多うございます。そこで買い物をしたものが、実際に消費するのは栃木県内であることは疑いもありません。しかし、統計データでは、百貨店のある東京に計上されまして、税収も入ってしまいます。本来は、栃木県で消費をされたものでありますから、税収が入るべきは栃木県であるべきです。

 このようないわゆる持ち帰り消費、さらに、最近、通信販売なども大変盛んでありますので、このような課題について適切に対応すべきと考えます。

 平成二十九年の与党の税制大綱において、清算基準については、平成三十年税制改正に向けて、地方消費税の税収を最終消費地により適切に帰属させるため、抜本的な方策を検討し、結論を得るということになっております。

 現在、総務省において検討が進められているものと考えておりますが、大切なことは、あくまでも税収の帰属をより適切にするということであろうかと思います。

 今まさに税制調査会において議論が山場を迎えているわけでありますが、地方消費税の清算基準の見直しにつきまして、総務大臣の御所見をお聞かせいただければありがたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 ほぼ、佐藤委員がおっしゃったことと重複することもありますが、地方消費税の清算基準の見直しは、地方消費税の税収を最終消費地により適切に帰属させる観点から検討をしてまいりました。

 そうした観点から検討を行っていただいてきた検討会において、せんだって報告書が取りまとめられたところです。

 その報告書の中では、まず、統計データの利用方法の見直し。持ち帰り消費など、今お話がございましたけれども、統計の計上地と最終消費地にずれがあるものなどを除外し、これを踏まえて統計カバー率を再設定し、制度創設時に比べ、二十年前になるわけですが、サービス統計の調査対象が大きく拡大したこと等を踏まえて、統計のカバー外の代替指標については、従業員数を用いず、人口を基本とすべきとされています。

 今後、この報告書を踏まえ、今お話がございましたように、与党税制調査会における税制改正プロセスの中で、さらに議論、検討を行っていただきまして、平成三十年度税制改正において結論を得てまいりたいと考えているところです。

佐藤(明)委員 ありがとうございました。

 さきの国会審議においては、格差是正のための見直しだというような議論もあったようでありますが、ただいまの大臣の明確な答弁をいただきまして、よくわかりました。

 次に、ローカル一万プロジェクトについてお伺いをいたします。

 日本全体が人口減少局面に入っているわけですが、各地方においては、自分たちの地域の魅力を大切にするため、さまざまな知恵や工夫を凝らしています。私は、地域の元気があってこそ日本が元気になっていくというふうに考えております。国としてもしっかりとした支援が必要だと思います。

 では、地域を元気にするためにはどうするのか。我々、さまざまな取り組みが考えられますが、その一つとして、地域の雇用、これが重要であります。総務省において、同様の考えのもと、ローカル一万プロジェクトを推進していると承知しておりますが、本プロジェクトは、産学金官連携により、地域の資源と資金を活用して、雇用吸収の大きい地域密着型の企業の立ち上げを支援するというものであります。

 大変有意義な事業ではありますが、ローカル一万プロジェクトについて、地域経済循環創造事業交付金における交付決定された事業数、交付金額及び自治体数について、制度創設以降のそれぞれの合計数をまずお伺いいたします。

池田政府参考人 お答えいたします。

 地域経済循環創造事業交付金は、平成二十四年度の補正予算において創設したものでございまして、昨年度、平成二十八年度末までに交付決定いたしましたのは、事業数で三百二十三事業、交付金額で百・四億円、自治体数で申しますと二百十三団体となっております。

佐藤(明)委員 ただいま制度創設以降の利用実績について御答弁があったわけですが、その一方で、私の地元栃木県では、県と町とそれぞれ一件、計二件しか活用ができておりません。地元の市町村なんかにお話をすると、このプロジェクトそのものも知らないというのが、本当かどうかわかりませんけれども、そういうお答えをいただいたこともあります。

 総務省として、このプロジェクトについてもっと周知を図るべきだと考えますが、制度の周知、普及に向けて今後どのような取り組みをするのか、お伺いをしたいと思います。

池田政府参考人 ローカル一万プロジェクトは、委員御指摘いただきましたように、産学金官が連携して、地域の資源と資金を活用して取り組む事業でございまして、ローカルアベノミクスの推進にとって重要な施策であると考えております。

 産学金官、このうち、特に官と金であります地方自治体と地方金融機関が連携して取り組む必要がありますことから、これら関係者の理解と協力を得ることが重要でございます。

 このため、総務省が開催いたします全国会議やブロック会議などの機会を通じて、全ての地方自治体に制度やその意義、活用事例の周知、普及を図るとともに、中小企業庁や金融庁とも連携いたしまして、地域金融機関や商工会、商工会議所など関係機関への周知なども行ってきたところでございます。

 また、市長会や町村会が行います会議の場など、多くの市町村長の皆さんが集まるさまざまな機会に出向きまして、市町村長に直接に働きかけを行ってきているところでございます。

 そして、今年度からは、こうした取り組みをより拡充いたしますとともに、加えまして、地域に出向いて、より多くの知事や市町村長、地方銀行などに対して直接働きかけを行っておりまして、今後もあらゆる機会を捉えて、さらなる周知、普及に向けた取り組みを行ってまいります。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 この事業なんですが、平成二十四年度のスタートということで、名前のとおり、一万事業程度を立ち上げるという戦略を描いていたと思うんですが、昨年までの実績が三百数十ということで、若干、ちょっと寂しい数字だなと思います。

 この一つの要因が、当初の交付決定額を、二十七年度の決定額が二十七億九千万ということであったわけですが、翌年、二十八年度には五億七千万と大幅に減少したこと、この辺が、一つのこの事業が進まない要因ではないのかなと思うんですね。

 ですから、次の年度から、国が一〇〇%助成を、従前の十分の十という制度に戻すこともちょっと検討をしていただきたい、これは要望でございます。よろしくお願いをいたします。

 次に、公共施設等の老朽化対策について質問をさせていただきます。

 公共施設の老朽化対策については、全国的な課題でもあります。各地方公共団体においては、これまで以上に計画的かつ効率的な取り組みを進めていかなければなりません。

 総務省においては、平成二十六年度から、地方公共団体に対して、公共施設等の総合管理計画の策定を求めてまいりました。当初は、本当に策定が進むのかなというような心配もあったようですが、現時点ではほぼ全ての団体が策定済みとなっており、計画策定が順調に進捗しているとの印象も持っております。

 そこで、各地方公共団体が実際に策定をした総合管理計画を踏まえて、総務省としては、地方公共団体が公共施設等の老朽化対策に取り組んできたのに当たり、どのような課題を抱えていると認識しているか、まず御見解を伺いたいと存じます。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、公共施設等総合管理計画につきましては、平成二十九年九月末時点で九九・四%と、ほとんどの地方団体において策定が完了しております。

 今後、地方団体におきましては、この公共施設等総合管理計画に基づきまして、さらに個別施設ごとの具体の対応方針や経費の見通しを織り込みました個別施設計画を平成三十二年度までに策定し、それらの計画に基づきました具体の老朽化対策等の取り組みを着実に実施していくことが求められます。

 あわせまして、この個別施設計画に基づく点検、診断等の実施を踏まえまして、総合管理計画を不断に見直し、充実を図ること、また、これらを、全庁的な老朽化対策の取り組みを推進する観点から、庁内での推進体制を強化すること、それと、これにあわせまして、中長期的視点に立ちまして所要の財源を計画的に確保していくことなどが課題であると考えております。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 さて、その総合計画が策定済みとなったことで、今後、計画に基づく取り組みが本格化していくということになると思います。

 一方で、総務省が本年十一月に取りまとめました基金の積み立て状況に関する調査によれば、多くの団体が、近年、基金の増加について、公共施設の老朽化対策への備えが要因と回答しているところであります。この事実は、各地方公共団体、将来の不安、財政不安を背景としている、必要な対策に十分取り組めていないことを物語っているのではないかと私は考えております。

 そこで、総合管理計画が全国的に整備され、地方公共団体における公共施設等の老朽化対策が本格化していく中で、地方公共団体の取り組みを支援していってもらうための今後の取り組みについて、見解をお伺いしたいと思います。

小倉大臣政務官 お答えいたします。

 佐藤委員御指摘のとおり、今回行いました私どもの地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査におきまして、公共施設等の老朽化対策への備えが基金積み立ての大きな目的の一つになっていることが確認をされました。

 今後、地方公共団体におきまして具体の老朽化対策等の取り組みが本格化をする段階に入る中で、総務省としましても、公共施設等の老朽化対策に取り組む団体への地方財政措置を拡充するなど、地方公共団体が適時適切に対策を実施できる環境を整備してまいります。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 ただ、ちょっと昨日県の方とお話をしたときに、この事業の中に県庁舎が対象となっていないと。県庁舎は単に県庁所在地に一カ所あるものではなくて、地域にどこどこ事務所みたいな形で点在しておりまして、この対象にならないということを非常に残念がっております。災害時等には避難施設ともなる建物でございます。この制度緩和をちょっと考えていただきたいと思います。

 さらに、つけ加えさせていただければ、一昨日の地元の新聞に、筑波大や高知工科大などの研究グループがまとめた資料がちょっと掲載されておりました。地方自治体や道路公社が管理する道路橋について、老朽化に伴うかけかえを初め、修繕費用が今後五十年間で二十七兆円に上るというような試算であります。

 非常に衝撃的な数字ではあるんですが、特に私が心配をするのは、小規模市町村での財政確保が困難になる可能性が非常に高いのではないか。また、費用を正確に見積もる人材が、小さな自治体では不足しているのが現状だと思います。この辺も踏まえて、総務省の勇断をお願いしたいと思います。

 次に、救急安心事業、シャープ七一一九の全国展開について質問させていただきます。

 消防庁が取りまとめた資料によれば、平成二十七年の救急自動車による救急出動件数は約六百五万件、十年前と比較すると七十八万件の増加ということであります。また、救急搬送人員も約五百四十八万人と、平成十七年の約四百九十六万人から五十二万人も増加しているということであります。

 さらに、速報値でありますが、昨年、救急出動件数は六百二十一万件、救急搬送人員は五百六十二万人となり、いずれも過去最多を記録しています。救急搬送人員の内訳を見ますと、高齢者の割合が平成十七年の四四%から平成二十七年は五六・七%と十年間で約十ポイント以上増加している。今後、高齢化の進展で救急出動件数、搬送人員ともにさらに増加することが見込まれます。

 この救急出動件数、搬送人員の増加に対しましては、国民に救急車の適正利用を呼びかけることも重要でありますが、病気やけがをして不安なときに、救急車を呼ぶか、自分で病院に受診をするかのアドバイスを受ける救急安心センター事業、シャープ七一一九により抑制することもできるのではないでしょうか。

 また、救急出動、救急搬送だけではなく、休日や夜間に救急相談があった場合に、緊急性がなければ翌日の受診を促すことで、病院スタッフの少ない夜間ではなくて、スタッフの多い昼間の受診につながり、医療機関の負担軽減にもつながると考えます。

 この事業は、全国で実施されているものではありませんが、東京や大阪など大都市圏を中心に広がりつつあります。効果を考えると、救急安心センター事業の全国展開を目指していくべきですが、消防庁は今後どのように取り組んでいくのかお伺いをしたい。お願いいたします。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 救急安心センター事業、シャープ七一一九でございますが、住民が急な病気やけがをした際に救急車を呼ぶかどうか迷った場合に、専門家が相談に応じる電話相談窓口でございます。

 地域の限られた救急車を有効に活用し、緊急性の高い症状の傷病者にできるだけ早く救急車が到達できるようにすることに加え、住民にとりましても、適切なタイミングで医療機関を受診できることになっていくために、極めて有効な事業と考えております。

 実施しております団体の数でございますが、今年度は四団体がふえまして合わせて十一団体となりまして、全国の人口の三七・八%をカバーするなど着実に拡大をしております。

 本年度からは、既に実施しております団体の職員をアドバイザーとして未実施団体などに派遣する取り組みを進めております。

 今後とも、未実施の団体に対しましてきめ細やかな支援をしていくことで全国展開を推進してまいります。

佐藤(明)委員 ありがとうございました。

 今後普及を進めるために当たっては、医療面での費用対効果を示すことも最も効果があるのではないのかなと考えております。必要な調査を早急に行い、効果のほどを積極的にアピールして、この事業を進めていっていただきたいと思います。

 最後に、テレワークの推進についてお伺いいたします。

 人口減少、世界に先駆けて少子高齢化が進行する我が国では、女性も高齢者も障害を持つ方も、誰もが望む生き方を選択できる環境を早急に整備することが必要ではないでしょうか。

 また、我が国は、生産年齢人口の減少に伴い、経済縮小の課題を抱えていますが、特に地方圏ではその影響が顕著であり、地方の人口流出が続いています。

 私は、ICTを活用して自宅や外出先などどんな場所でも仕事ができるテレワークは、こうした課題の解決に寄与できるものではないかと考えております。

 そこで、女性や高齢者、障害を持つ方の柔軟な働き方を実現させ、一方、地方への移住を含む地域雇用の増加にも有効な手段と考えられるこのテレワークについて、総務省としてどのように推進していこうとされているのか、総務大臣の見解をお伺いいたします。

野田国務大臣 テレワークは、今委員のお話がございましたように、子育て世代、シニア世代、障害のある方も含めて、国民一人一人のライフステージや生活スタイルに合った柔軟な働き方を実現するものであり、まさに働き方改革の私は切り札だと思っております。

 こうした認識のもと、総務省では、経済産業省、厚生労働省など関係府省と連携しまして、全国各地でのテレワークを導入するためのセミナーの開催、テレワーク導入を目指す企業などへの専門家の派遣、そして、ことし初めて実施した七月二十四日のテレワークデーや十一月のテレワーク月間といったイベントを通じた普及啓発活動など、さまざまな施策に取り組んでいるところです。

 また、私は、このテレワークの推進に最も必要なのは、やはり経営者、トップの意識改革だと考えています。離れてしまうわけで、自分の目の届かないところで部下が働くというところを、一概にサボっているというような認識を持たずに、やはり生産性とか効率を考えてマインドセットしていかなきゃいけないということですが、そのため、先月の中旬から経団連などの経済界に対して、テレワークを活用しながら目に見える形の働き方改革を推進していただくようにお願いしているところです。成功事例をお見せしながらお願いしているところです。

 さらに、テレワークは地方創生の有効なツール、これは地方にとっても有効なツールになり得ると考えています。

 総務省では、平成二十七年度から、テレワークにより地方でも都市部と同じように働ける環境を実現し、都市部から地方への新たな人や仕事の流れをつくり出す、ふるさとテレワークを推進しているところでございます。

 総務省としては、引き続き、関係府省と連携しながら、テレワークを通じた働き方改革や地方に積極的に取り組み、これからの日本を担う人材が、世代を超えて、ありとあらゆるところで働きやすくなる環境をつくっていきたいと考えているところです。

 御理解のほど、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございます。

佐藤(明)委員 ありがとうございました。

 まだまだたくさん聞きたい部分もありましたが、初めての質問ということで、なかなか時間配分がうまくいきませんでした。野田大臣の温かいお言葉をいただいて、今後ますます頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、大臣の所信に対する質疑ということでお時間をいただきました。よろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、今、地方自治体というのは大変財政的に苦労している、こういう現状がございますが、その中で、今現在、与党の方では税制改正、さらには政府として今後予算編成を行っていくわけでありますけれども、ここに来て、地方交付税の交付金と、あと地方自治体が持っている基金について、これがかなりクローズアップされております。

 野田総務大臣、一方で麻生財務大臣、かなりバトルをしているという報道もなされている中で、平成十八年度末と二十八年度末の地方公共団体の基金の残高を比べてみますと、十八年度末は十三・六兆円、一方で平成二十八年度末は二十一・五兆円と、七・九兆円増加している。

 ここのところは、なぜこれだけふえたか。この基金の残高の増加の理由について、まずお尋ねをしたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、地方公共団体の基金につきましては、平成十八年度末と平成二十八年度末の比較で七・九兆円の増加となっております。

 この増加の要因につきまして、今回、全ての地方公共団体を対象に行いました調査によりますと、国の施策に伴う基金や合併といった制度的な要因、それから、公共施設の老朽化対策や災害などさまざまな将来への備えでありまして、多くの団体が、それぞれの地域や財政運営上の課題に対処するため、行政改革や経費節減に努めながら基金の積み立てを行っているものと把握しております。

高木(陽)委員 地方は努力しているんですけれどもね。

 この基金の問題について、十一月十六日の経済財政諮問会議でこの基金が話題になったと聞いておりますが、翌十七日付産経新聞でこんな記事が載っておりました。

 経済財政諮問会議の民間議員がこのように、民間議員は、自治体の基金残高が二十八年度末時点で二十一兆五千億円と過去最高に達すると同時に、自治体が国からの交付税不足の場合に借金で補う臨時財政対策債の残高が二十七年度末で約五十兆円と年々増加している状況を問題視。貯金と借金をふやす自治体に改善を求めた。現在の地方財政に強い問題意識を持つのが財務省だ。十八年度から十年間にわたり、交付税は一般会計ベースで十五兆円前後の高水準で推移しているのに、基金が積み上がっているためだ。麻生太郎財務相は十日の記者会見で、基金を使わずためている、有効に使われているのか見えないと批判した。

 こういうふうに書いてあるんですね。

 今、自治体の方が行政改革等かなり努力をされているというお話がありましたけれども、こういった記事がなされている。また、財務省のこういった主張に関しまして、総務省の考えはどのような考えか、お聞かせ願いたいと思います。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 臨時財政対策債と基金との関係でございますが、この臨時財政対策債は、地方の財源不足に対処するために発行される、交付税の代替措置としての赤字地方債でありまして、その元利償還金につきましては、全額を地方交付税の基準財政需要額に算入することで、それぞれの地方団体が確実に償還できるように財源保障をしております。

 したがいまして、現実の地方団体の財政運営におきましては、地方交付税と臨時財政対策債は一体の交付税として扱われております。

 すなわち、多くの地方団体におきましては、当初予算の段階におきまして、例年七月に決定される地方交付税と臨時財政対策債の見込み額につきまして所与の歳入として計上した上で、年度を通じての財政運営を実施しております。

 一方、基金の最終的な積み立てなり取り崩しの額につきましては、こうした財政運営の年度を通じての結果としましての年度末の歳入歳出全体の見込みを踏まえて決定されるものでございます。

 このように、基金残高と臨時財政対策債の発行につきましては直接的な関連はないと考えておりまして、この旨につきましては、先日十二月一日の諮問会議におきましても、野田総務大臣の方からも明確に指摘をされているところでございます。

高木(陽)委員 総務省のお考えはわかりました。

 その上で、総務省からいろいろと御説明をいただきました地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査結果のポイント及び分析というこの概要についていろいろと読ませていただく中で、基金残高増加の要因分析を見てみますと、国の施策や合併といった制度的な要因による増加が二・三兆円、さらに、景気動向による法人関係諸税等の変動、人口減少による税収減、公共施設等の老朽化対策など、さらに、災害、社会保障関係費の増大といったその他の将来の歳入減少、歳出増加への備えによる増加が五・七兆円。これは将来不安なわけですね。これを解消しなければならない。

 また、基金の積み立ての方策を見てみますと、調査した市町村の五三・四%が、行革、経費節減等により捻出。先ほどのお話にもありましたように、一生懸命無駄を削減して頑張っている。行革などの努力をした方が報われないというおかしな話になってきているんですね。努力しない方が、このまま報われるというか、対応してくれる。頑張った人は報われない。こんなおかしな話はないと思うんですね。

 その上で、特に、基金残高増加の要因分析で、公共施設などの老朽化対策で二兆円積んでいる。この老朽化対策、大変重要な問題ですね。

 大きな転機となったのは、二〇一二年、山梨県の中央道の笹子トンネルの天井板崩落事故です。十二月二日、先日で丸五年を迎えました。この事故を受けまして、二〇一四年から橋やトンネルに五年に一度の点検が義務化された。

 これは国交省からいろいろお話を聞いたんですが、二〇〇八年以降、七十三万、橋があるんですね。このうち、自治体が管理する六十六万の橋について規制の状況というのを聞き取った。そうすると、老朽化などで通行が規制されている橋、これは昨年の二〇一六年四月現在ですが、二千五百五十九、前年よりも二百二ふえている。いわゆる一割増だ。そうですね。

 これは、高度経済成長時代にかなりインフラが整備されて、これが四十年ぐらいたってきた。いよいよ老朽化が佳境を迎え始めているんですね。そのうち、緊急に措置を講ずべき状態とされた橋は三百九十六。そのうち四つは国管理。国管理ですと、道路局等が直轄ですぐに対応してくれるんですけれども、だから、四つのうち三つは修繕がもう決まっている。ところが、自治体管理の三百九十二は対応がおくれている。こういったことが指摘をされています。

 今後、必要な老朽化対策をどうしていくか、この計画というものが必要ではないか、このようにも思うんですが、その点、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 さまざまな御指摘をいただき、ありがとうございます。

 今お話がありました今回の調査によりまして、公共施設等の老朽化対策の備えが基金の積み立ての大変大きな目的の一つとなっていることを確認することができたわけです。

 今お話がありましたとおり、今後は、財政マネジメント強化の観点から、各地方公共団体において公共施設等の総合的かつ計画的な管理を行っていくことが重要となります。

 既に、ほとんどの地方公共団体においては、公共施設等総合管理計画というものの策定が完了しております。これからは、この計画に基づいた具体の老朽化対策等の取り組みが本格化する段階に入ってきているわけです。

 総務省としては、公共施設等の老朽化対策に取り組む団体の地方財政措置を拡充するなど、地方公共団体が適時適切に対策を実施できるよう環境整備していきたいと思います。

高木(陽)委員 今大臣の方から、しっかりと計画を進めていきたいという旨のお話がございました。

 実は、平成二十五年に、政府がインフラ老朽化対策の推進に関する関係省庁連絡会議というのを設置している。これは安倍内閣になってからです。各省庁が集まって、インフラの老朽化に手を打たなきゃいけないねとやっている。

 大切なのは、把握するだけじゃないんですね、把握した後どういうふうにするかというのが大切で、よくあるのは住宅の耐震診断なんです。住宅の耐震診断で、国交省がいろいろと補助金を出しますよとやってきた。ところが、耐震診断してみたら危ないねというのがわかった、わかったけれどもそれを建て直すお金がありません、こういった話が往々にして多い。だから、逆に言えば、耐震診断さえしないという流れもありました。そうじゃなくて、その次の手も一緒に打つということが大切であろう。

 もちろん主管官庁は国交省です。国交省の方は、橋やトンネルの老朽化、特に自治体管理に対して補助金をしっかりつくった方がいいね、こんな議論がなされていますけれども、補助金というのは全額出してくれるわけじゃありません。一部、何割か国が負担しましょうと。残りは自分でやらなきゃいけない。だから、こうやって基金をしっかり蓄えて、これからいよいよやる。

 先ほどから申し上げていますが、この老朽化については、今だんだんふえてきて、では、全部手を打ったかというと、十年後、そうするとまた三十年前にできたものが老朽化するから、言葉は悪いですけれども、永遠に続くんですね。

 そういったことをしっかり考えないと、総務省というのは、財政は地方自治体の部分はしっかり面倒を見ています、所管をしています。しかしながら、その細かい部分の、例えばインフラの老朽化対策の部分、これは所管が国交省になりますから、ただ、その実態というものをしっかり把握しておかないと、今後、財務省とさまざまな交付税問題、基金問題の話をするときに、その実態がわからないと、マクロの部分で話をしていてもだめだと思うんです。

 大切なことは、老朽化したインフラというのは、一番困っているのはそこの地元の住民なんですね。地元の住民が使えなくなっている。例えば、橋が今通行どめになっているからかなり大回りをして移動しなきゃいけないだとか、こういった話があるということで、財務省の方にもその現場に行ってもらいたいなと思うんですね。

 この霞が関で幾ら議論しても、結局、実態がわからないと、理論だけで言うと、それは貯金がたまっているんだから交付税を減らしてもいいよね、こういうような言い方をする。そうじゃないんだ。この貯金というのは何のためにやっているのかということをもっとえぐり出すような形で総務省がもっと把握をしていかないと、結局、御存じのように自治体のやることというのは幅広くて、住民と対面していますから、まさにインフラ以外の、例えば社会保障問題、子育て支援もそうでしょう、または高齢者対策もそうでしょう、そういうためにもお金が必要だ。

 だから、そういう一つ一つの、所管はそれぞれ、霞が関、全部役所が分かれていますけれども、やはり地方自治の大もとたる総務省がしっかりそういう実態を把握して交渉していかないと、この問題というのは解決しないと思いますが、これは質問通告はありませんけれども、大臣、どう思われますか。

野田国務大臣 まさに基金においてはそういう誤解をされている方たちもおるので、しっかりした調査をして、そしてどういう形で基金を調達しているのか、これは行革やさまざまな人件費の削除、その集まったものに対しては、やはりこれからの備えで、まさに老朽化というのは昭和四十年代にできた建物がほとんどです。

 私も一昨日、高知に行ってきたところ、本当に今おっしゃったとおり、見ていただくと、五十年前の建造物の中で住民サービスが行われているということで、本当に大変な中で仕事がされている。そういうことを目の当たりにしますと、単に積もったお金ではなくて、それなりに目的を持っているお金だということを子細に理解することができました。

 今後、そういうものを生かして、調査結果も生かして、しっかりと御説得に当たりたいと思っています。

高木(陽)委員 よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、福島の復興についてちょっと質問をしたいと思うんですね。

 先ほど橘委員が質問されました。橘委員は復興の副大臣をやっておられまして、私も、経産と内閣府の副大臣を異例の三年間務めさせていただきまして、同時に、原子力災害の現地対策本部長ということで福島の現地の担当をいたしました。

 この原子力災害本部というのは、御存じのように、二〇一一年三月十一日に発災して原子力事故が起きてから、原災法、法律のもとで、原子力災害対策本部が政府に設置されました。今現在、総理が本部長で、全閣僚が本部員、官房長官、環境大臣そして経産大臣が副本部長ということで体制をつくっています。

 同時に、現地対策本部というのができておりまして、これはほかの委員の方もちょっと知っておいていただきたいんですけれども、この現地対策本部というのは、まずは、福島第一原子力事故、これの廃炉を責任を持って最後までやるということで、現地に入ってやっています。

 もう一つは、国が強制的に避難をさせました、十二市町村、当時は八万人を強制的に避難させた、この被災者の支援ということで、内閣府に支援チームというのができました。これの責任者をやっておりました。

 もう一つは、今現在、環境省に除染をやっていただきながら、または復興庁そして国交省等々、各省庁が一丸となってインフラ等の復旧をして、そして順次解除をして、ことしの四月の段階で、三つのエリアがありましたけれども、帰還困難区域を除く大半の地域が解除されるということになりました。ところが、解除したけれどもなかなか帰ってこないという現実もございます。そういった中で先ほど橘委員もしっかりバックアップをしてくれというお話があったと思うんですが、実は、この原子力災害の現地対策本部長を私は務めて、三年間で二百六十日間福島に入りました。私、三年務めたんですけれども、私の前に、二〇一二年の十二月に政権交代をしてから、私の同僚である赤羽一嘉議員が二年間、現地対策本部長を務めた。今は武藤副大臣がやっているんですけれども、この五年間で二人がこの現地対策本部長を務めました。

 ところが、実は、私が就任したときに十二の市町村の首長の皆さんと、最後に知事、副知事とお会いしたときに、今知事をやっている内堀知事、当時は副知事でしたけれども、名刺交換したときにこういうふうに言われました。これは、高木さんで現地対策本部長は十二人目ですよと。えっとびっくりしました。政権交代して赤羽さんと私しかやっていない。ところが、二〇一一年三月十一日から、政権交代したのが翌年の十二月ですから、一年九カ月の間で、当時の民主党政権は現地対策本部長が十人かわったんです、一年九カ月で。これはどういうことか。中には現場に一生懸命入ってくれた方もいますけれども、平均して二カ月に一人かわる。ということは、国は何にもしてくれないというのが地元の自治体の思い、気持ち。または、被災者は、国は何にもやってくれない、こういうような思いがあったわけです。

 それを、政権奪還してから、現地に入りながら、本当に寄り添うというのはやはり足を運ばないとできないということでやってまいりましたが、その中で聞いた話の一つを質問したいと思います。これは、先ほどもありましたように、派遣職員なんです。

 実は、解除をしました、解除する前の準備で、もともとの町役場は活動できなかったから、避難所の避難地の方に移っている、解除して戻り始めているから、そっちにも役場機能を持たなきゃいけない。そうすると、二重行政をやっているわけです、役場が。職員も皆さん被災者なんです。被災者でありながら二重の行政をやっている。しかも、普通の行政だけではなくて、被災者の支援をやるという、今までに違うことまでやる。さらには、まちづくりもしなきゃいけない。そういうような中で、本当に苦労しながらこの福島の被災十二市町村の行政、自治体は頑張っています。

 そういった中で、その現状、派遣職員も含めて、どうなっているのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

佐々木政府参考人 東日本大震災に伴う原発事故により深刻な被害を受けた福島県の避難地域十二市町村における応援職員派遣の現状についてですが、平成二十九年十一月一日現在、計二百二十五名の要請に対して、一般事務職員百三十二名、土木職員五十二名など、計二百十名が充足されているところです。

 避難地域十二市町村においては、避難指示の全部または一部解除に応じ、ようやく復旧復興が本格化しつつあり、任期つき職員の採用などの独自の取り組みや全国の地方公共団体に対する応援職員の派遣要請など、あらゆる手段を尽くして人材の確保に努めているところです。

 総務省といたしましても、避難地域十二市町村の一日も早い復旧復興の実現に向け、重点的な支援に取り組んでまいります。

高木(陽)委員 これは福島の被災十二市町村だけじゃなくて、この東日本大震災では岩手、宮城も含めて大変御苦労されて、先ほどから出ていたお話、全国からさまざまな自治体職員の応援派遣がありました。今現在、熊本等、これも大変な状況の中で復興に向けていろいろと応援をしている。これはこれで大切なことなんですが、実は、時期によって人のニーズが変わってくる。

 これも御存じだと思うんですけれども、例えば、沿岸部、津波被害で全部移転をしている、移転をするというか、高台移転をする。そういうふうになってきますと、最初のころは被災者の支援ということでさまざまなニーズがあったのが、今度、いよいよまちづくりになってくると土木関係が必要、先ほど土木の職員も出しているというお話がありましたが、時期によって、行政として必要な人が変わってくる。だから、一律に人さえ出せばいいという話ではないわけですね。そんな中で、そこのきめ細かさ、本来は僕は県がしっかりしなきゃいけないと思うんです。県がもっとそのニーズをきめ細かく把握をして、そこで手を打たなきゃいけない。

 先ほど大臣のお話にもありましたし大臣の所信にもあった、各自治体に応援をしてもらいたいということで文書を発出したという話がありました。

 ただ、これは発出しただけではなかなかマッチングできない。なぜかというと、先ほどのあの基金の話じゃないですけれども、各地方自治体、あっぷあっぷでやっているんですね。余力のある自治体というのはほとんどない。だから出せない。

 だから、実は、私は地元は東京ですから、東京二十三区、特別区はかなり財政的にも力があるので、頼む、福島をちょっと応援してもらいたいということで、わざわざ私は二十三区の区長会に行きまして、頭を下げて、お願いに行きました。ところが、いろいろ、区長さん一人一人に聞いてみると、いやいや、熊本にもこれだけ出しているんです、また、オリンピックで人をまた派遣しているんですと。

 やはり、それぞれの自治体ごとに事情が違うんだなということをしっかりと把握をした上で手を打たないと、結局、よくないのは、霞が関というのは、いろいろとやってくれているんです。私はやりましたという言いわけはうまい。私はやりました、こういう文書を出しましたと。しかし、大切なことは、実態が変わっていないと意味がないわけです。そこまでしっかりフォローするんだという認識を持って、この福島だけじゃありません、今後さまざまな災害があると思いますので、そういった手を打つということを考えていただければと思います。

 最後に、この考え方に関して、大臣、一言ありましたらよろしくお願いします。

野田国務大臣 その前に、私は、大臣として初めての出張というか現地視察は福島県に行ってまいりました。

 もう委員はお忘れかもしれませんけれども、経産副大臣のころにお目にかかると、やはり、ずっと福島におられて、現状の厳しさと、でも、人々の中に見える努力とか、そういう光みたいなことを教えていただき、必ず自分の目で見なければならないよと言ったことをずっと念頭に置いておりましたので、おかげさまで実際に出かけることができたことを報告したいと思います。

 九月六日に福島県の、今お話があった双葉町や浪江町、川俣町を訪問させていただきました。もう六年半が経過しているわけですけれども、特に帰還困難区域に行かせていただいたときには、まさに、そのときがそのままとまってしまっている状況でございます。どんどん復旧復興のところというのは、さまざまなマスメディアでかいま見ることができるんですけれども、帰還困難区域ということがあってそういうマスメディアも入ることができない場所で、まさに東日本大震災が起きたその日のままになっていたということで、大変なショックを受けましたし、改めて復旧復興が道半ばであるということを再認識したところです。

 先ほどのお話にありましたように、今現在知事になられている内堀知事からも、やはり一番最初に派遣職員のことがございました。

 委員御指摘のとおり、基金の話の中もそうですけれども、全国、地方は相当リストラをして、そして備えをつくるために人を減らしています。ですから、いっぱいいっぱいのところで派遣をするというのは大変厳しいことだと思いますが、そのためにやはり、先ほどもお話し申し上げたように、スムースに、一元的にやりとりができないか。または、例えば私は岐阜県ですが、岐阜県とどこどこというふうにダイレクトにつながることによって迅速な対応ができないかという、さまざまな取り組みをする中で、内堀知事の御期待にも応えていきたいと思いますし、他の被災地域の皆さんにもその取り組みをお示しできればと思っています。

 総理が、まず最初の日に、閣僚全員が復興大臣であると。その中でも、私たち地方自治を預かっている総務省の大臣として大変思いが強うございました。これからも、今のような話を承りながら、もっともっと熱心に積極的に、被災地域の中に地方自治がしっかりと、そこにいらっしゃる皆様方が自分のものとして、そして自分の生活をしっかり守るために取り組んでいけるような伴走ができればと思っています。頑張って取り組んでいきたいと思います。

 ありがとうございます。

高木(陽)委員 どうもありがとうございます。

古屋委員長 次に、武内則男君。

武内委員 立憲民主党の武内則男です。

 きょうは二十分という時間ですが、大臣、どうぞよろしくお願いをいたします。

 四年三カ月ぶりの国政でして、また、院も、参議院から衆議院に変わりました。参議院時代は、ねじれの参議院を二回経験して、与党も経験させていただきましたが、衆議院は初めてでございます。しっかりと、また総務委員会で議論できることを大変うれしく思っております。

 野田聖子総務大臣におかれましては、本当に豊富な経験を持って円滑な総務行政の運営に御尽力、御活躍をされておりますことに、まず心から敬意を表したいというふうに思います。

 そこで、所信に対して、何点かお伺いをしたいというふうに思います。

 まず初めに、来年度予算に向けた地財計画全体の維持と地方一般財源総額確保についてお伺いをいたします。

 子育てや教育、あるいは社会保障、人口減少、雇用対策といった具体的な実際の対住民サービスを実施しているのは、地方の自治体であります。財源が安定的に確保されていく仕組みが重要ですし、さらに、地域の課題は複雑化、高度化しており、それに対応した地方財政計画であるべきだというふうに思っています。

 国民生活の安心、安全のために、地方交付税の削減など、一般財源総額を削減することはあってはならないというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

野田国務大臣 激励をいただき、ありがとうございます。

 今まさに武内委員おっしゃったとおりでございまして、今後ますます少子化、人口減少が、特に地方の方ではもう既に進んでおりますし、もっともっと進行していくことは間違いありません。その中で、全ての人々が支え合う持続可能な社会の構築とかを目指していくためには、地方が各地域において子供、子育ての支援や地域経済の活性化などに取り組むことが大変重要な課題です。もう既に、むしろ国よりも先進的に取り組んでいただいている地方も多うございます。

 地方団体がこれらの課題に取り組みつつ、必要な行政サービスを適切に提供することができるよう、安定的な税財源基盤を確保することがまさに不可欠であり、年末の地方財政対策では、地方交付税を初めとした一般財源総額の確保に向け、最大限の努力をしてまいります。よろしくお願いします。

武内委員 ありがとうございます。

 来年度予算の一般財源総額確保についてお伺いしましたが、中期的にもぜひ、そうしたことが一八年で終わるということですので、中期的にもしっかりと財源確保に向けて御奮闘されることをよろしくお願いしたいと思います。

 次に、質問がかぶってしまいますが、基金の問題についてお伺いをしたいというふうに思います。

 十一月七日に自治体の基金の積み立て状況に関する調査の結果が公表をされましたが、まさにそれぞれ委員の先生が御指摘のとおり、公共施設等の老朽化対策やあるいは災害、将来の備えのためとしているものが大変多く、また積み立ての方策も、行政改革であったりあるいは経費の削減によって捻出されてきたものであることが明らかになったというふうに思います。

 基金残高を理由として交付税削減等の議論があるということをいろいろなところで我々も承知をしておりますが、こうした理由でもって削減というのはあってはならないというふうに考えますが、大臣の御所見をお願いいたします。

野田国務大臣 今委員からお話がございましたように、今回の地方公共団体の基金の積立状況等に関する調査によりまして、各地方公共団体はそれぞれ、国の施策や合併といった制度的な要因のほかに、もう既にお話がございました、公共施設等の老朽化対策とかまた災害の備えなど、将来のさまざまな備えに対して、蓄えを基金として積み立てていただいている。そのもとというのは、行革であったり、または経費節減、さまざまな、本当に大変な努力をされた結果の基金であるということが明らかになっています。

 そして、一昨日、私は、高知県高知市そして大豊町に訪問させていただきまして、それぞれの知事、市長、町長さんから、この基金について直接当事者としての話を聞くことができました。

 皆さん、基金は、地方財政運営上、歳入歳出の変動に対応するため必要不可欠なものであるとおっしゃっておりましたし、人件費の削減など行政改革により財源を捻出して積み立てたものである、そして、大規模な災害の備え、庁舎や公共施設の老朽化対策など、地域の喫緊の課題に対応するために積み立てているという、本当にまさに同じ、そして切実な声を承ったところです。

 こうした実情を踏まえれば、基金の増加を理由に地方財源を削減することは妥当ではないと私は考えています。

 年末の地方財政対策に向けて、地方交付税を初め、地方が自由に使える一般財源総額をしっかりと確保していきたいと思っているところです。

武内委員 ありがとうございます、高知の方にもおいでをいただきまして。

 実は私の古巣でございまして、高知市は。ちょうど、私が退職をして、二〇〇三年に市議会議員になったときに、その秋に岡崎市長は誕生しました。

 いわゆる平成の大合併、三位一体改革、二〇〇四年の地財ショック、もうこれで、実は翌年度、一月から三月、執行を停止した時期でもありました。その後、職員の給与の独自カットを初め各特殊勤務手当の廃止、いろいろなやはり内部での努力をしながら、あるいは地域の町内会に対する交付金を減額させていただいたりとかということをして何とか乗り切ってきて、異論はあるかもわかりませんが、我々、政権をとったときに、地方交付税をその三位一体改革前の水準に戻すんだということを約束して、水準に戻してきたという歴史もございます。

 そうした状況の中で、地方も不断の努力をやられているということは大臣も本当に御承知のことと思いますので、ぜひ、この基金問題、基金が残っているから地方は余裕があるんだとかということではなくて、しっかりと、将来計画を含めて、現状とこれからについて、ぜひ御尽力のほど、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、少しお叱りを受けるかもわかりませんが、地方創生について、あえて問題点を指摘しながら、提案も含めて御質問をしたいというふうに思います。

 地方創生は、地方分権の観点だけでなく、実はその性格自体にも多少問題があるのではないかというふうに思っています。

 増田プランの自治体消滅のインパクトというのは相当強かったんだろう。それ以降、やはり地方創生が大きく喧伝をされる中で、地方自治体はいかに人口減少を食いとめていくかという命題を飛躍するような形で、産業振興やあるいは雇用の創出をメーンとした地域活性化、稼ぐ力の創出、成長しなければ生き残れないといった強迫観念にとらわれるようになってしまいました。

 しかし、実のところ、地方全体の底上げにはなっていなくて、自治体間競争による、限られたパイの奪い合いといった様相を呈すようになってしまったという側面を持っています。

 こうしたことは、果たして地方自治体や公共の本来果たすべきミッションと言えるのかどうか。どこに住むのが有利、不利という功利性で地域を差別化することではなくて、日本のどこに住んでも普通に安心、安全に生活を送ることができる社会生活と経済活動の基盤を提供することが、国と地方の責務ではないかというふうに思います。

 地方創生によって雇用を生み出すということも確かに大事だろうというふうに思います。しかし、実は、窓口業務だとか、地方で自治体の方に聞くと、仕事がないわけではないんですね。むしろ、既存の雇用において、その処遇やあるいは労働環境を改善していくことがより大事ではないかという感想を持たれています。

 ただ、基礎自治体には、実は、労働行政に係る権限は非常に弱くて、そして、予算や人員の割り当ても非常に少ないという。しかし、そこから見えてくることで、自治体が果たすべき役割というのは結構ございます。それは、既存の制度の独自給付だとか、あるいは、補助金によって、介護、あるいは保育、障害者支援などの公共的なサービスで働く民間労働者を正規雇用へ転換をしていって、そして、処遇改善を図ったりとか、若者がブラック企業で泣き寝入りをしないように、ライフワーク教育といったものを学校現場で推進したりだとか、いろいろなそうした現場から出てくるさまざまな知恵が、実は自治体も持っています。

 雇用の安定や賃金の底上げ、地域の雇用慣行の改善だとか、あるいは、ワーク・ライフ・バランスの推進によって、地域で働く労働者が、家庭や地域社会をしっかりと、やはり、そちらを向いて、ゆとりを持って生活をできるようにサポートするという、こうした発想が地方創生にあってもよいのではないかというふうに考えますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

野田国務大臣 むしろ、おっしゃるとおりだと思います。

 先ほどの基金の話で、高知市にお邪魔したときに、市長さんは財政の出身ということで、今ある基金ではなく、なぜこういう形で基金の積み立てをしているかという経緯等もお話しいただきましたので、非常に勉強になったことをお伝えしたいと思います。

 それで、その基金も、今、全体的に見ると上がっているじゃないか、ふえているじゃないか、だからそれをという話ですけれども、実は、高知県自体は、基金の金額は下がっているわけですね。それは、南海トラフという地震を想定したときのしっかり防災をしようということで、そういうことにお使いになっているということで、私自身は、地方というのは、一くくりにせず、それぞれの顔がある。基金一つにしても、ぱっと見は、みんなが積み立てがふえているように思われるかもしれないけれども、個別具体的な事業に対して使っているところは減っているわけですから、そういうふうに捉えていかなければならない。まさに、それぞれの個性が生かせるような地方を応援する形が必要だと思っています。

 私は、もともと、今後の地方自治のみならず、全ての政策のベースにあるのは、これだけの少子化、人口減少という、私は静かなる有事と申し上げているんですけれども、それに向かっていくためには、やはり、地方であれ国であれ、まず落ちついていこう。成熟国家として、今あるものは何かというのをしっかりと熟知して、人がいなくなることだけがだめなんじゃなくて、そこにあるものをどう生かしていこうという、落ちついてやはり取り組んでいくこと。

 そして、やさしく。誰でもそれは取り組んでいける。今、何度も先生がおっしゃっているように、若い人でも、お年寄りでも、女性でも、どんな人でもやはり地域社会を担える人として応援をしていただく。そして、支えていかなければならない。

 そして、最終最後はやはりサステーナビリティー、持続可能じゃなきゃいけないんだ、追い詰めていってはいけないんだと。やはり、その地域のありようで、しっかりと生活が営めるような、そういう持続可能な地方自治というのを目指していかなきゃいけないというのが、地方創生の一番の鍵ではないかと私は思っています。

 では、今、どんなことに取り組んでいるかというと、例えば、総務省というのはテレコムを抱えているので、そことうまく融合して、テレワーク、これは、今大都市に集中している企業に就職しなくても、地方にリモートであってもきちっとした設備があれば、テレワークという形で幾らでもやはり仕事は可能ですし、地方にいるから仕事ができないという環境を打破することができると思います。

 あとは、やはり、人がいなくなることでままならなくなるいろいろな運搬とか、そういうことも、シェアリングエコノミーという考え方を通じて、そこで、若い人たちが高齢者の病院の送り迎えをサポート、そこに経済をしっかりと根づかせてあげるということも、これからの地方にとっては大切な共助の仕組みになるのではないかと思っています。

 いずれにしても、追い詰めるのではなく、まさに、今あるものをしっかり生かしていただけるような、むしろ地方発意のものに対して、しっかりと受けとめて、お支えし、そして、ともに歩んでいければと思っています。

武内委員 ありがとうございました。

 大臣おっしゃられるように、地域には、それぞれ本当に特色と歴史、文化もあって、その地域で、やはり行政主導で、政策誘導でもっていろいろなことをやるということも、それはその側面を否定はしませんが、きちっと地域が、住民と、あるいは行政、議会なんかが、あるいはコミュニティーの中で、一緒になって地域でいろいろなものをつくり上げていく、そして住み続けられる地域をつくっていくというところが基調にないと、こうした事業というのも、本当に、先ほどから持続可能のことも大臣おっしゃっておられますが、単発的で終わってしまって、何があったんだという状況が生まれてくることもありますので、ぜひそういう側面を、視点というのもやはり総務大臣として持っていただいて、地方創生というものにそういう視点をぜひ多く持っていっていただけたらというふうに思います。

 済みません、残り五分を切ってしまいましたので全部いけるかどうかわかりませんが、四つ目の質問に入りたいと思います。

 消防職員の団結権と無賃拘束についてお伺いをしたいというふうに思います。

 実は、民主党政権のときに、地方公務員の労働協約締結権とあわせて消防職員の団結権付与を立法して、閣議決定までした経緯がございます。

 この間、団結権の付与については、何度もILOなんかでも勧告、指摘をされながら、衆参それぞれで長い歴史の中で議論をされてきたということも承知をしております。そうした歴史を踏まえて、我々政権のときにそういう法律をつくったんですが、団結権の付与について、まず御所見をお伺いできたらと思います。

野田国務大臣 今おっしゃいましたように、この議論というのは、昭和四十年ですか、ILOの第八十七号条約の批准から始まっていまして、やはり相当回数を重ねて議論をいただいているところでございます。

 現時点におきましては、消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方については、国家公務員制度改革基本法附則第二条において、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」こととされているところです。

 ですから、国家公務員の労働基本権のあり方については、安倍総理からも、多岐にわたる課題があります、これまでの経緯などを踏まえて引き続き慎重に検討する必要があると認識が示されているところであります。

 今後とも、消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、国家公務員の動向を踏まえ、関係各位の御意見をしっかり伺いながら対応してまいりたいと思います。

武内委員 ありがとうございました。

 実は、無賃拘束について、次、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 一九九〇年にILOで消防職員の雇用と労働条件に関する合同会議があり、そして二〇〇三年開催の公共緊急サービスに関する合同会議で採択をされた公務緊急サービスの社会対話に関するガイドラインでも、「当務中、公共緊急サービスに従事する労働者の休憩時間は、労働時間とみなされるべきである。」との結論が、日本の政府代表も含めて全会一致で採択をされています。

 災害時における、あの三月十一日、二〇一一年のときもそうでした、阪神・淡路大震災以降、救急消防援助隊ができて、災害時における消防士の皆さんの活動というのは非常にやはり重要にもなってきて、ハイパーレスキュー隊もできたりして、どんどん高度化も進んでいっています。

 こうした中で、やはり休憩時間中というのは指揮命令系統にありますので、ぜひ私としてはしっかりと休憩時間イコール労働時間という位置づけをするべきだというふうに思っていますが、御所見をお伺いします。

稲山政府参考人 お答えをさせていただきます。

 消防職員の勤務体制のお尋ねでございますが、消防職員の大半は、二十四時間を一単位とする交代制勤務に服しております。一回の当直二十四時間につきましては、市町村等の条例、規則等によりまして、勤務時間といたしまして十五時間三十分、休憩時間といたしまして八時間三十分などと区分しているところが多いものと承知をいたしているところでございます。

 休憩時間につきましては、一般には労働基準法で自由利用原則が規定されておりますが、消防職員につきましては、災害等に即時に対応しなければいけないという消防業務の特殊性から、委員よく御承知のとおりでございますが、その適用が除外されているところでございます。

 こうしたことから、例えば深夜で、休憩時間として割り振られた時間に火災出動等を行った場合は、休憩時間の全部または一部が取得できない状況も生じますが、こうした場合には時間外勤務として取り扱う等の対応が必要でございまして、消防庁としても、これまでもその旨通知をしてきたところでございます。

 このように、勤務時間と休憩時間を区分し、交代制勤務時における仮眠や食事等に充てられる休憩時間につきましては勤務時間には該当しないものと考えているところでございまして、そうした趣旨の徹底を引き続き図っていきたいというふうに考えております。

武内委員 ありがとうございました。

 済みません、時間が超過して申しわけありませんでした。

 五問目で公営企業会計について御質問する予定でしたが、黒田局長、またしっかりと委員会の中で議論を引き続きさせていただけたらというように思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・市民クラブの長尾秀樹でございます。

 比例近畿ブロックで初当選をさせていただきました。選挙区は大阪五区でございます。初質問でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは早速、まず、マイナンバー制度及びマイナンバーカードについて何点か質問をさせていただきます。

 マイナンバー法は二〇一三年に成立をいたしまして、その後二〇一五年十月から施行され、いよいよ先月からは自治体間でマイナンバーの情報連携が本格的に開始をされました。大臣も、先日の所信におきまして、マイナンバーカードの利用拡大について触れられました。住民の利便性が向上し、行政の効率が図られるということは必要であると私も考えております。

 しかし、マイナンバーカードの利用が拡大されることにより、いつの間にかマイナンバーそのものの利用も拡大されていくことを懸念いたしております。例えば、政府におかれては、マイナンバー法成立後から、マイナンバーの利用範囲の拡大について検討を行ってきておられます。ことし八月ごろからは、戸籍事務への利用拡大に向けての検討も加速をしてきております。

 そもそもマイナンバーは、個人情報保護への配慮などから、その利用範囲が法律または条例に定められた社会保障、税、災害対策の行政事務に限定をされ、その他の目的では利用できないこととされております。もちろん、確かに法の附則第六条第一項では、利用範囲の拡大について検討をするということとされております。しかし、あくまで、法律の施行後三年を目途とすること、法律の施行の状況等を勘案すること、国民の理解を得ること、この三点が大前提となっております。利用範囲の拡大に当たっては、これらを外してはならないと考えております。

 現在の政府における検討について、国民の利便性向上といった目的については理解をいたしますけれども、この前提となる条件を満たしているのかどうかという点について検証が必要であるというふうに思っております。特に、国民の理解が十分に得られているかという点が軽視されているのではないかという印象を受けております。

 二〇一五年九月に内閣府から公表されましたマイナンバー(社会保障・税番号)制度に関する世論調査においては、マイナンバー制度における個人情報の取り扱いに関して最も不安に思うことを聞いたところ、「マイナンバーや個人情報の不正利用により、被害にあうおそれがあること」を挙げた人が三八%、「個人情報が漏えいすることにより、プライバシーが侵害されるおそれがあること」を挙げた人が三四・五%となっております。その他も含めて何らかの不安を感じている人が全体の八七・一%に上るという調査結果が出ております。

 そこで、内閣府にお聞きをいたします。

 二〇一五年九月の調査はマイナンバー法施行直前ですけれども、法施行後も同様の調査を実施したのかどうか。また、マイナンバー利用範囲を拡大することの是非について国民がどのように考えているかを調査したことがありますでしょうか。していない場合はその理由についてもお聞かせください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年七月から八月にかけて実施したマイナンバー制度に関する世論調査は、同年十月からのマイナンバー法の施行を控え、制度についての国民の認知度等を把握し、今後の周知、広報活動等を行う際の参考とするため実施したものでございます。

 その結果によりますと、マイナンバーを知っている、聞いたことがあるという人の割合が九割を超えており、認知度は高まっている一方で、マイナンバーカードの取得希望については、現時点では未定の回答が約半数となっているなど、制度の内容や利便性の理解については課題があることがわかったところでございます。

 この結果を踏まえ、御指摘のように、平成二十七年八月以降は世論調査を行っていないものの、関係府省とも連携しつつ、マイナンバーカードの利活用の推進、情報提供ネットワークシステムやマイナポータルの着実な整備等に取り組むとともに、これらの周知、広報を展開してきたところでございます。

 なお、マイナンバー法附則六条一項には、「政府は、この法律の施行後三年を目途として、」「この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずるもの」とされているところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましても、今後、マイナンバーの利用範囲の拡大を具体的に検討するに当たりましては、適切な手法やタイミングで国民の理解を得ていくことが重要であると認識しております。

長尾(秀)委員 しっかりと引き続き国民の意向について調査をしていただきたいと思います。

 次に、個人情報保護委員会の資料によりますと、マイナンバーをその内容に含む個人情報、特定個人情報の漏えい事案等の件数が、二〇一五年十月法施行から情報連携が開始される前のことしの九月末までで五百二十一件、このうち重大な事態も十一件と報告をされております。

 マイナンバー制度に関しては、当初の利用目的である税や社会保障に係る部分が十一月十三日にようやく情報連携が開始されたばかりであります。セキュリティー面なども含めて制度が安定的に運用できているか否かを判断するための十分な時間はまだ経過していないというふうに思います。

 そこで、大臣にお聞きをいたします。

 少なくとも、情報連携の運用状況を見きわめる時間を十分に確保した上で利用範囲を拡大する検討に入るべきであり、先ほども申し上げました戸籍事務への利用拡大も含めて、時期として早過ぎるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

野田国務大臣 マイナンバーの利用範囲の拡大については、今も答弁がありましたけれども、マイナンバー法の附則の中で、「政府は、この法律の施行後三年を目途として、」「この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずるもの」とされているところです。

 政府としては、この規定に基づいて、平成二十六年六月二十四日には「日本再興戦略」改訂二〇一四で閣議決定し、そして、平成二十七年六月三十日には世界最先端IT国家創造宣言等において閣議決定をし、そして、その中で戸籍事務や旅券事務等への利便性ですか、利用者にとって、我々国民にとって利便性を高めることになる、そういうものへのマイナンバーの利用範囲の拡大について検討する方針を示してきているところです。

 現在、その制度のそれぞれ所管府省において検討が進められているというふうに私は承知しています。

 このような各府省の検討を踏まえて、私としても、マイナンバー制度の拡充について適切に対応していきたいと思っています。

長尾(秀)委員 国民の理解を得るということと制度の運用状況をしっかりと踏まえるということを、時間をかけて検討していただきたいということで重ねて要望いたします。

 続いて、マイナンバーカードの利活用の拡大についてお聞きをいたします。

 先ほども御質疑があったかと思いますが、マイナンバーカードの交付率は約一〇%という現在の状況であります。普及促進を図るということで、利用範囲の拡大ということを政府として進めておられます。

 ことし三月には、利活用推進ロードマップも策定がされました。具体的には、職員証や社員証、図書館や体育館などの利用カード、診察券、インターネットバンキングへの認証手段、ポイントカード、イベント会場へのチケットレス入場、まだ議論を要するかと思いますが、カジノの入場規制など、あらゆるものに利用できるようにしようとしておられます。

 しかし、本当に国民がそういうことを望んでいるのかどうか。マイナンバーカードという公的な身分証明書をそういう使い方をするということには違和感がある方も多いのではないかと思っております。

 先週、委員会において、大臣は官民での利活用を進めるというふうにおっしゃいました。しかし、マイナンバーカードの取得が進まない理由は、利便性の低さだけではなく、マイナンバーカードを使用することによって個人情報が流出するのではないかという国民の不安が背景にあるのではないかと私は考えております。このような不安をまず取り除くことが最優先ではないかと思っております。

 そこで、大臣にお聞きをいたします。

 マイナンバーカードの利用範囲を拡大、推進する前に、まずはセキュリティー面での国民の不安を取り除き、国民の理解を得ていく努力をしていく必要があると思いますが、見解をお聞きいたします。そもそもマイナンバーカードの取得は義務ではなく任意であるにもかかわらず、普及促進を図る理由はどこにあるのか、あわせてお聞きをいたします。

野田国務大臣 おっしゃるとおりで、普及促進に欠かせないのはマイナンバーカードに寄せる国民の信頼だと思います。ここでも委員からの御指摘がございましたので、改めてその安全性について申し上げたいと思います。

 マイナンバーカードのセキュリティーに関しては、まずカードの券面には偽造防止の特殊加工が施されているほか、ICチップには地方税関係の情報や年金給付関係情報などプライバシー性の高い情報は記録されておりません。また、不正に読み出そうとするとチップ自身が壊れる措置を講じるなど、万全を期しているところです。加えまして、マイナンバーカードを紛失したときには、二十四時間三百六十五日体制のコールセンターに連絡していただくと、速やかにカード機能の一時停止の措置を行う等の対応をとっています。

 このようなさまざまなセキュリティー対策については、新聞広告、市区町村が住民向けに配布するチラシへの掲載等により広報してきているところですが、引き続き、さまざまな機会を捉えてしっかりと周知して、不安を取り除いていけるように頑張っていきたいと思っています。

 マイナンバーカードを安全に利用いただけることを周知するとともにカードの利便性を高めていくことが、結果として、皆さんが自然に持ちたい、その率を上げていくことだと思っておりますので、取り組んでいきたい。

 あと、なぜそんなにという話なんですけれども、やはり、これは公的なさまざまな利便性だけじゃなくて、今後、マーケットとしてマイナンバーカードを活用していただくことが民間企業にも可能であるということをこの間も経済団体のところにプレゼンテーションしてきたところですけれども、お互いに、やはり一人でも多くの利用者がいるとそこで新たなビジネスチャンスが生まれるということで、双方相まって取り組んでいければということを申し合わせているところでございます。

長尾(秀)委員 利用範囲の拡大を余り急ぎ過ぎずに、国民の理解を得る努力を引き続きお願いしたいと思います。マイナンバーにより税と社会保障の給付と負担が公平公正になるという本来の目的を忘れずに制度設計を進めていただきたいということを要望いたします。

 済みません、時間がなくなってまいりましたので、ちょっと四問目は簡単にお聞きをしたいと思います。

 国が主導して自治体の申請行政をオンライン化するという点に関しまして、一部不備があることが発覚して、予定されていたサービスの一部本格運用が来年七月に延期をされたということもありました。そのシステム改修に要する費用の負担について、この事例だけではなく、今後、他の分野でもふぐあいが生じる可能性が考えられます。その際の財政負担について、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 地方公共団体におけるマイナンバー制度の導入に伴うシステム整備費用については、原則として、各関係府省において国庫負担等の財政措置を講じてきております。今後、業務システムの改修費用が発生する場合にも、必要に応じて所要の財政措置を検討するよう関係府省に要請してまいります。

 今の御指摘ですが、今回の情報連携に必要なデータ項目の不備については、主として厚生労働省所管の制度に係るものですけれども、多くの地方公共団体が経常的な保守契約の中で追加的費用負担なく対応できるよう、当該手続の本格運用開始を延期した上で、来年七月の定期的なデータ項目の改版に合わせた対応とするとともに、厚生労働省からも一定の国庫補助措置が講じられるものと聞いています。

 マイナンバー制度を所管し推進する内閣府、内閣官房としては、引き続き、各府省が責任を持って所要の財政措置等の対応を図るよう、各種機会を通じてしっかり促してまいります。

長尾(秀)委員 しっかりと措置を地方自治体に講じていただきますよう、要望いたしておきます。

 それでは、マイナンバー関係の質疑は以上で、最後に一点お聞きをしたいと思います。改正地方自治法による総合区についてお聞きをいたします。

 私、地元が大阪五区ということで、大阪市内北東部、此花区、西淀川区、淀川区、東淀川区が選挙区でございます。いわゆる都構想、大阪市の廃止、特別区の設置案が否決をされました二〇一五年五月十七日の住民投票から二年半が経過をいたしました。住民の意思によって結論が出たにもかかわらず、この春に、大阪府、市議会の議決により、再び法定協が設置をされ、大阪府知事、市長及び維新の会の皆さんは、来年秋に再度の住民投票を目指すとして、前回の協定書とほとんど変わらない特別区案を法定協に提出をしております。

 そして、それと並行して、あたかも都構想の対案であるかのごとく誤解をさせる総合区案を作成して法定協に示すとともに、住民説明会を実施いたしております。しかし、今回の大阪府、市の総合区案は住民自治の拡充のためとは無関係な合区が前提となっており、財政的に均衡が保てるのかどうかなどが議論となっております。なぜ合区案と総合区化による事務権限移譲をセットにするのか、理解をすることができません。

 いずれにしても、政治行政が勝手に案をつくり上げ、これでどうかと問いかける総合区、合区セット案は自治の拡充の議論の仕方とは真逆であると言わざるを得ません。地方自治法改正から三年たちますけれども、大阪以外、全国どの政令市にも導入の動きは表立ってありません、総合区は。引き続きの議会と住民の議論が必要であると考えております。

 そこで、大臣にお聞きをいたします。

 総合区の設置と行政区の合区は全く別の問題であること、また、政令市内に複数ある行政区を、どの区を総合区にするのか、全部か一部か、あるいは総合区にしないのか、全て各政令市の自主的判断に任されていること、改めてこの二点を確認させていただきたいと思います。あわせて、今の大阪の法定協の議論についてコメントがあればお伺いいたします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 大阪府、大阪市では、本年六月に大都市制度協議会を設置し、現在、総合区と特別区の設置の両方が検討されているということを承知しています。

 今お尋ねの総合区については、指定都市の一部の区域に設置することも、全域に設置することも、また設置しないことも、いずれも可能であり、現在の行政区を合区して総合区を置くこととするかどうかも含めて、地域の実情に応じ、それぞれの地域の判断に委ねられているものです。

 総務省としては、特別区の設置に向けた議論も含めて、今後、大阪府、大阪市における取り組みをしっかり注視してまいりたいと考えております。

長尾(秀)委員 ありがとうございました。

 私も、引き続き、法定協の議論を見守りたいと思いますが、特別区と総合区の議論を一緒にやることは無理がある、そう思っていることを最後に重ねて申し上げて、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 希望の党の奥野総一郎でございます。

 野田大臣、きょうはよろしくお願いをいたします。

 主に三つ、表現の自由、放送、それから弾道ミサイルが来た場合の避難等について、そしてふるさと納税について伺いたいと思います。多少、時間によって質問をできない部分もあろうかと思いますが、御了承いただきたいと思います。

 最初に、放送それから表現の自由について伺いたいと思います。

 これも、昨年、ことし、ずっと問題になってきましたけれども、国連の人権理事会の勧告、まだ最終勧告じゃない、作業部会の中間の勧告ということでありますけれども、それが十一月十七日ですかね、出ました。その中で、各国の意見が取り上げられている中で、我が国の報道の自由について懸念が示されている。とりわけ、例えばアメリカなどは、放送法四条を改正したらどうかとか、あるいは、規制機関について独立行政委員会方式をとったらどうかというような意見もあったかと思いますが、報道機関と政府との関係について懸念が示されているという中間の勧告が出ています。

 これについて大臣はどのように評価されているか、まず伺いたいと思います。

野田国務大臣 奥野委員はよく御存じのことと承知した上でお答えをさせていただきたいと思います。

 今指摘がありました暫定報告書の件だと思いますが、参加国一つ一つが自由に勧告として表明した意見がそのまま列挙されたものであります。人権理事会としての総意ではなくて、法的拘束力もないものというふうに理解をしています。

 この暫定報告書は、放送法第四条の見直しを含めて報道の自由に関する一部の国からの勧告を記載しておりますが、政府としては、報道の自由を初め表現の自由は、憲法で保障された基本的人権の一つとしてこれを尊重することは当然のことと考えておりますので、今後ともさまざまな場所で政府の立場をしっかりと説明してまいります。

奥野(総)委員 そういう答弁になるんですが、高市大臣もそういう答弁をされていましたけれども、なぜこういうことが言われ出したか。これまでは日本について、言論の自由とか報道の自由、余り言われてきたことはなかったんですね。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

 いつもこれも引き合いに出されますけれども、報道の自由度ランキングというのがあって、これは二〇一〇年、民主党政権のときなんですが、このときは十一位だったわけです。それが安倍政権になってから現在七十二位まで下がってしまっていまして、具体的な国名を挙げるのもどうかと思いますが、モンゴルとか韓国とかよりも下ということでありまして、先進民主主義国としては非常に低い評価をされているということなんですね。これは、政府はしっかりやっておられる、そういう答弁をされていますが、やはり海外から見て、あるいは我々から見ても、安倍政権になって何かが変わったんではないかということを感じざるを得ません。

 具体的に、アメリカ政府も放送法四条の話をしています。放送法四条の解釈は、これは私が予算委員会で取り上げて電波停止問題として話題になりましたけれども、変わったと、安倍政権になって変わったということであります。

 お手元の資料を紙でお配りしていますけれども、資料一は法律ですね。これは電波法と放送法のたてつけになっていますが、電波法七十六条で、放送法または関連の法律に違反したときは、無線局の運用の停止を命じる、あるいは期間を定めて時間を制限することができる、こういう命令規定が備わっています。当然放送局は無線局の一種ですから、放送法違反あるいは電波法違反をしたときにはこの規定が適用になる、ここまではいいんですが、では、その放送法違反というのはどういうものがあるのかということですね。

 放送法は三条で放送番組について、「何人からも干渉され、又は規律されることがない。」ということで、一応、政府との距離感、報道の自由というのが、放送番組の中身の自由というのがこれで保障されているんですが、ただし、「法律に定める権限に基づく場合でなければ、」とあって、逆に、法律に定められていれば、放送番組について、中身について、言葉の上では、規律、干渉ができる、裏読みすればそういうことになるわけですね。

 では、「法律に定める権限」というと何か。何が法律違反かということが問題になります。

 四条というのがあって、放送事業者は、次の各号の定めるところによって放送番組の編集に当たるとなっていまして、当たり前のことが書いてありますね。公序良俗を害しない、あるいは、報道は事実を曲げない、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにする、あるいは政治的に公平であること。一見常識的なことが書いてあります。

 従前は、この規定は努力義務であって遵守義務ではなかった。放送番組はこれを守りなさい、努力義務がかかっていて、これに違反しても七十六条の適用がないんだ、法律違反ではないんだ、こういう解釈がずっと、昭和五十年代ぐらいかな、なされてきたはずであります。ですから、番組に対する行政指導も行われなかった、この規定に基づく行政指導も行われなかったし、もちろん停波の根拠となるということも言われてこなかったんですね。

 これが、時代の流れとともにだんだん変わって、いろいろな、事実に反するような過剰な脚色があったり、そういうちょっとどうかというような番組が問題になってきたところで、この四条については法規範性があるんだ、こういう流れになってきたわけです。

 しかし、それでもなお、この「政治的に公平であること。」ということについては慎重な運用がとられてきたというふうに理解しております。それは、主観によって変わりますから。事実に反するということは、誰が見ても事実に反するというようなことはあり得ますが、政治的に公平かどうかというのは多分に主観が入りますし、時の政権によって恣意的に解釈されると、これを根拠に放送番組に介入されると、例えば反対党あるいは反対意見について制限され得る、根拠になるということで、これまでも非常に慎重に運用されてきた。

 では、どういう解釈だったかというと、裏をごらんいただきたいと思いますが、資料二、裏面にありますけれども、スイスのマークみたいに、足し算になっていますが、一番左の端が従来の解釈でありまして、「「政治的に公平であること」の解釈は、」とあって、下に、下線が引いてありますけれども、「一つの番組ではなく、放送事業者の「番組全体を見て判断する」」、これが従来の解釈だったんですね。

 これは非常によくできていて、例えば、一つの番組で特集番組をやります、ある特定の政治家の特集番組をしても、それは別に政治的公平性は問われない、その放送局全体でバランスがとれていればいい。例えば安保法制について安倍総理の意見を、特集番組をつくっても、反対派の意見を取り上げてバランスがとれていれば、政治的に公平である、こういうふうになる。全体として、一つの放送局の番組全体の中で見ていくんだ、こういう解釈になっていたわけですね。だから、事実上、政治的公平性について法令違反を問われたことはないという運用は続けてきたわけですね。

 ところが、これが変わったのが高市大臣のときの、真ん中のところですが、平成二十七年五月の参議院の総務委員会ですね。これは、余り当時は目立たなかった、ひっそりこういう答弁が行われていたんですが、その中で、総務大臣の見解として、これまでは、一つの番組では判断しない、政治的公平かどうかは一つの番組では判断しないと言われていたんですが、一つの番組のみであっても、「例えば、」ということで例示が挙がっていて、「選挙期間中又はそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間にわたり取り上げる特別番組を放送した場合」。これは十分あり得るんですよね、こういうことは。それから、あるいは「国論を二分するような政治課題について、放送事業者が、一方の政治的見解を取り上げず、殊更に、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合」。こういう場合は、「一般論として「政治的に公平であること」を確保しているとは認められない」。

 こういう番組については、放送法四条違反として行政指導の対象になったり、あるいはさっきの例でいえば、まあ、これは極端な場合でしょうけれども、電波法の七十六条違反で処分を受ける、停波であったり免許の取り消しの根拠となり得る、こういう解釈を生む余地が出てきたんですね。

 それを私が予算委員会で取り上げ、予算委員会の中で統一見解がこのように出されたんですが、これは昨年ですかね、二〇一六年の予算委員会で統一見解が出され、それが一番右端ですね。「「番組全体」を見て判断するとしても、「番組全体」は「一つ一つの番組の集合体」であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことである。」という、これが今の政府の見解だと思います。

 これを見比べると、左の端は、一つの番組ではなく、全体を見て判断すると言っている。右端は、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことであると。明らかに解釈が変わっているんですね。全体を見て判断するところから、場合によっては、一つ一つの番組を見て政治的公平かどうかを判断することもあるんだと解釈が変わっているわけです。

 これが問題なのは、例えば報道番組にしても、ニュース番組の中で偏り過ぎている、一つの番組について、この番組は偏っているんだといって、処分の対象となり得る余地が出てきたということですね。これは非常に私は報道の萎縮を生むと思います。特に今のような政権のもとでは、総理みずから報道についていろいろ口を差し挟まれるような政権のもとでは、報道の自由について萎縮を生むと思います。

 そこで、もう一回、大臣がかわったところで、これは高市大臣のときにこういう解釈になって、高市大臣のもとで停波についてまで踏み込んでいったということなんですね。これは明らかにそうなんですが、大臣がかわったところで、もう一回、リベラルな、私はリベラルだと思っている、リベラルっていろいろな意味があるんですよ、社民リベラルとかいろいろな意味があるんだけれども、意見の多様性を受け入れるという意味のリベラルという意味なんですが、と思っている野田大臣に伺いたいんですけれども、この高市さんのもとの放送法の解釈を踏襲されますか、ちょっと長くなりましたけれども、これを引き継がれますか、あるいはもとに戻されますか、伺いたいと思います。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

野田国務大臣 奥野委員が恐らく郵政省にいたころ、私、二十年前、大臣を務めておりまして、そのときに放送法のこの問題に直面したことが、事案がございました。大変、自分なりに勉強し、そしてさまざまな周辺の御意見やら参考にしながら、その当時取り組んだことを今思い出したんですけれども、その経験を踏まえて申し上げるならば、今御指摘があった政府統一見解については、放送法第四条が規定する政治的公平に関して従来の解釈を変更するものではないと。

 つまり、今おっしゃった、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するというのが、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然ということが違うんじゃないかということですけれども、私自身の放送法のずっと蓄積の中では、基本的には、番組全体というのはつまり一つ一つの集積体ですから、それについて大きく逸脱してはいないという理解をしていますし、基本的には、やはり、政治的公平であることのみならず、この放送法というのは放送事業者をしっかりむしろ守っていくような法律であるということを私は常に意識しておりますので、このことについては決して、枠組みが変わる、その解釈が変わったから何かが起きるということではないし、調べたところ、これによって何か大きくそういう事案があったということも今までなかったわけですから、私自身は、御懸念はありますけれども、この政府統一見解というのは問題がない、変更がないというふうに受けとめています。

奥野(総)委員 あのとき大騒ぎになったのは、この解釈と相まって、安心なわけですよね。例えば、ある番組で政治問題を取り上げても、その番組について問われることはなくて、その局の全体の姿勢を問うというのがこの前の話だったんだけれども、この真ん中の高市さんの解釈だと、一つ一つを注視しているぞ、番組の中身を一つ一つ見ているぞということにつながって、なかなか自由に報道ができないんじゃないかということで、あのとき大騒ぎになったんですね。

 だから、大臣の立場としては変わっていないんだとおっしゃるかもしれないけれども、明らかに、一つ一つは見ないんだというところから、一つ一つも注視して見ていくんだぞというところに流れは変わったということだ、だからこそ世論がこれだけ大騒ぎになったということではないか。ここは平行線になるので、時間も使ってしまってあれなんですが、もうこれ以上言いませんが、今の結論から言うと、ここの解釈は引き継がれるということになりますね。そうすると、だから政治的公平性の違反が一つの番組について問い得るということになるわけです。

 次の話に移りますけれども、行政指導。

 四条に基づく行政指導というのは、これもずっと行われてこなかったんですね。最初申し上げたように、そもそも四条というのは努力義務であって法規範性がないと言ってきたから、それに基づいて、例えば政治的公平に違反するといって指導が行われたこともなかった。あるいは、事実に反するとか、そういうことですら行政指導が行われたことがなかった。

 ある事件をきっかけに行政指導が行われるようになりました。ところが、政府は、行政指導、これを見ていくと、ある時期はやっていないんですね。BPOを改組したときに、そこで、行政指導についてまずBPOで一義的に議論をしてやっていきましょうと。

 たしか、放送法を改正して、いろいろな番組の問題が起きたときに、総務大臣が再発防止計画をテレビ局に出させるというような法律改正をしようとしたことがあった、二〇〇七年ですか、あったんですが、それが世論の批判に遭って結局できなかったんですが、その後しばらく、BPOに任せましょう、BPOを改組してそこに任せましょうということにずっとなっていたんですね。

 これはまた、高市大臣になってから行政指導がまた復活して、その間ぽつぽつあったんですね、ポケモンの光問題とか、ああいう明らかに人体に害があるとか、大きな問題のときはあったんですけれども、高市大臣になってからまた行政指導が行われるようになったんですが。

 これはどうですか。やはり、報道の自由というこの観点からいえば、従前どおり、BPOにまずは一義的に判断をさせて、その答申を受けて指導を行う、こういった形の方が私はいいと思うんですが、大臣、いかがですか。

野田国務大臣 おっしゃるとおりで、放送番組に対する行政指導というのは、やはり、放送の健全な発達を図る観点から、しっかりと放送事業者から報告を受け、踏まえ、再発防止の徹底など対応を求める必要性が認められた場合に、慎重に検討を行った上で実施をするものだと思います。

 ですから、考え方は従来の対応と何ら変わるものではありません。

奥野(総)委員 先ほどから申していますけれども、やはり世界の見る目が厳しくなってきているのは、第二次安倍政権になってから、そういう放送法の解釈が、政府に基づいて、ちょっと言葉は悪いですけれども、恣意的に運用されているんじゃないかという疑念を招いているということじゃないかと思うんですね。

 ですから、行政指導に当たっては、明らかに事実に反する場合、あるいは公序良俗に反するような場合はともかく、例えば政治的公平性とか微妙な問題については慎重に当たっていただきたいと思いますし、間違っても停波をするというような発言は、国会の場で、可能性があるというにしても、しないということなんですが、どうですか。

野田国務大臣 先ほどの繰り返しになりますけれども、放送法というのは、やはり、放送事業者の自律をしっかりと促して、しっかりといい放送環境をつくってもらうための法律だと思います。

奥野(総)委員 ぜひそこを踏まえて謙抑的に運用していただきたいと思います。

 次の話題というか流れなんですが、放送といえば、放送の電波に、周波数割り当てにオークションを入れようという話、これは結局、今回の規制改革会議には出てきていなかったんですが、新聞報道とか一部委員が言っているという形で流れてきました。これは、一部の論評によれば、一部のテレビ局を狙い撃ちにして、モリ・カケ問題に対して牽制しているんじゃないかというようなことも言われています、ことも言われています。

 確かに、オークションについてはむしろ我々の方が一生懸命、きょう原口先生がいらっしゃらないけれども、民主党政権のときにオークションをやりましょうと言って法案化までして、結局廃案になってしまいましたし、政権をおりた後も、我々の方で日本版FCC構想とか、あるいはオークションについては議員立法を出して審議をしていただいたこともたしかあるんですね。

 ということで、我々は割と一生懸命やってきて、それに対して与党の方は、いろいろ問題があるんだ、こういうことで消極的だった。廃案になったのも当時の野党の自民党が反対したというのも大きかったと思いますし、政権につかれてからも我々の提言に対しては慎重だったというふうに考えていますが、これは急に出てきたわけですね。

 規制改革会議第二次答申では、引き続きオークションについては検討する、こうなっていますが、これは具体化に向けて動くんですか。今後のスケジュール感はどうでしょうか。

野田国務大臣 規制改革推進会議の第二次答申において、電波オークションについて記載がありました。

 その前の会議の進行中も総務省はヒアリングを求められたりするんですけれども、これまでは、従前、省内でもオークションに対しては否定的であったけれども、今回は中立の立場で、オークションに対していいところと悪いところと率直にやはり委員の皆さんに申し上げて、そこで、今の日本の経済状況、今後の将来見通しと相まって、このオークションが効果的かどうかという判断をきちっとしてもらうようにというような話はさせていただいたところの結果だと思います。

 具体的に、メリットはあるんですね。多分、恐らく御存じのとおり、透明性です。だけれども、それ以外、国民にとってのメリットが何かというのがはっきり見えてこない。そういうことで、しっかり、今後とも引き続き、いつもいつも考えなきゃいけないのは国民にとっての利便性と国民にとってのメリットですから、それで、今回は、時間足らずであるならば継続していこうということになったのだと思います。

 ただ、日程は区切られていませんので、今の経済情勢に見合って、そこにフィットするような形なのかどうか、基本的には、オークションというのは、自由なかわりに歯どめもありませんから、それにやはり日本の今の国力が対応できるかどうかという、そういう深掘りもしていかなきゃいけないということで、とりあえず、スケジュールとしては、進めていくけれども、いつまでにということはありません。

奥野(総)委員 確かに、そのメリット、デメリットがあって、割り当ての透明性、それから財源論として国庫にプラスの影響があるということもありますが、逆にそれは裏腹で、電波の価格が高騰すれば、あるいは我々の通信料金にはね返ってくるかもしれないということもあります。

 それから、放送については我々は割と慎重に、放送は対象としないというような形で言ってきたと思うんですね。さっき、いろいろなうわさというか話もありますが、これは唐突に出てきたんですけれども。

 放送について、オークション、諸外国では実例が少ないと思うんですが、諸外国でどういう実例があるのか。イギリスなんかでは一九九〇年代に実施してから行われていないということも聞いていますが、その背景や理由、海外の実例、あるいは行われなくなった理由について、わかっている範囲でお答えいただきたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国の事例について、網羅的に調査しているわけではございませんけれども、欧米等の先進国のうち、放送用帯域についてオークションを行った国としては、アメリカ、また委員御指摘の英国の例があるものと承知をしております。

 委員御指摘の英国におきましては、民放のアナログテレビ放送局の事業免許につきまして、一九九一年、また九五年、その二回オークションを実施して以降、実施していないと聞いております。

 九五年以降実施していない理由につきましては、つまびらかにしているわけではございませんけれども、二〇一四年にオークションを実施せず、再免許を与えた理由といたしまして、英国の担当大臣が、質の高い番組提供を維持するために行う旨言及したと聞いているところでございます。

奥野(総)委員 そうなんでしょうね。

 やはり、コストがかかり過ぎると、番組の質、商業主義に迎合して質が落ちるんじゃないかという懸念もあるわけですね。それから、仕組みによっては値段がどこまで本当に高騰するかわからないということもあります。

 だからこそ、さっき言ったような、事実かどうかわからないけれども、政権側が殊さらに今回放送のオークションを入れようとしてきたというようなことも言われるわけであります。

 そこで、もう一回大臣に伺いたいんですが、今、メリット、デメリットがあるとおっしゃっていました。そこは中立に考えている、考えたいとおっしゃったように聞こえたんですが、もう一度。

 これまで、むしろオークションに積極的だったのは我々野党の方だった、放送を除いてという意味でありますけれども、積極的であった。今回は放送まで視野に入れてというような報道もなされていますが、政府として、オークションを放送まで含めて積極的に導入する方向に変わったのかというのを改めて確認したいと思います。

野田国務大臣 恐らく、我々の共有の財産である電波の有効利用というのが一番大きな課題なんだと思います。

 そこで、いろいろな技術があるけれども、これまでもずっと議論になってきた電波オークションについてもその中の一つとして取り上げられたというふうに私は承知しています。

 今、山田局長が言ったように、いろいろな事例があります。しっかりと時間をかけて、決して排することなく、いただいたものに対して、本当にいいものであるならば導入しなきゃいけないし、ただ、これからやはり人もいろいろ限りが出てきていますので、そこをしっかり見合いながら検討していければと思います。

奥野(総)委員 これもメリット、デメリットを踏まえて慎重に、言論の自由、報道の自由にかかわるところもありますし、我々の、消費者にかかわる影響もありますから、慎重に御判断いただきたいというふうに思います。

 それから、電波利用料はちょっとはしょって、大臣所信の中で、この間たしか、私の見間違いじゃなければ、インターネットのコンテンツ配信、同時再送信の話は特段言及がなかったように思いますが、NHKによる常時同時配信、部分的にはできるはずですけれども、常時同時配信についていわゆる諸課題検で議論を始めた、高市大臣のときに始めたと理解しています。その後余り進展していないと理解していますが、大臣としてはこの問題をどのように考えているか。

 諸外国を見ても、結構、要するに媒体なんですよね。コンテンツを何で運ぶか、電波、ケーブルあるいはネット、単なる媒体の違いであって、そこに差を設けているところというのはなかなかないと思います。日本は無線局免許に着目して放送規制が入っているからこういう形でいろいろな問題が出てくるんですが、どうですか、NHKの常時同時再送信。

 それから、民放さんもこれをどんどんやられたらいいと思うんですが、もちろんいろいろな課題があることは承知していますけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 NHKの常時同時配信については、放送を巡る諸課題に関する検討会、ここで議論いただいているところです。

 NHKにおいて、公共放送としての実施のニーズや意義の明確化を図るとともに、民放等の関係者の理解を得ながら、何よりも国民・視聴者の視点に立った検討を進めていくことが重要と考えておりますので、総務省としても引き続き検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 難しい問題があることは理解しているんですが、世界で普通に行われていることですから、ぜひ日本でも速やかに、オリンピックまでにとは言いませんが、きちんと道筋を示していただきたいと思います。

 それからもう一つ、同時再送信の話、特にNHKになると受信料をどうするかという話も出てきます。それから、受信料について言えば、あした恐らく最高裁の大法廷判決などもあって、どういう判断が示されるかというのは非常に関心がありますし、判決によっては、受信料制度の考え方を抜本的に考え直さなきゃいけないという事態もあり得るわけですね。

 そこで、大臣に受信料制度について伺っておきたいんです。

 いろいろな考え方があります、いろいろな論点がありますが、前のNHK会長は受信料の引き下げなんということも話されておりますし、それから、今回の諸課題検の中でも、利益を国民・視聴者へ適切に還元することが重要だと。支払い率が上がってきていますから、取り過ぎないように還元することが大事だ、こういう意見も出されています。あるいは、負担の公平性の観点からいって、徴収の義務化の話なんというのも論点としてあります。

 ちょっと盛りだくさんなんですが、大臣としてそういった受信料制度のあり方についてどのようにお考えか、伺っておきたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 受信料というのは、私が申し上げるまでもなく、NHKが公共放送の担い手という社会的使命を果たすために、国民広くから受信料をいただいているということになります。ですから、公共放送としての水準をきちっと確保できているかどうかとか、皆さん、視聴者にとって納得感がいくかどうかというのも大変必要なことではないかと思います。

 ですから、NHKにおいては、受信料の公平負担を徹底するほか、業務の合理化、効率化による経費削減を進め、その利益を国民・視聴者に適切に還元していくといった取り組みが求められるんじゃないかというふうに考えています。

 受信料につきましては、御承知のように、放送法第七十条の四項によりまして、国会が収支予算を承認することと定めることとされており、まずはNHKが算定するものだと思います。

奥野(総)委員 次の三カ年計画もあって、その中でこれはまた議論していきたいと思います。いろいろな論点があるということですね。

 ここでまた話題をかえまして、弾道ミサイルについて伺いたいと思います。

 今、Jアラートは、この前初めて使用されて、堅固な建物の地下に逃げてくださいという放送というか通知があって、あれはびっくりしたんですが、では、あれの位置づけはどうなのかということですけれども、そもそも、まず武力攻撃事態が認定されて、それに従って国民保護法制が動き出すというたてつけになっているんですが、いきなりミサイルが飛んできた場合、ああいうような事態ですよ、どこに落ちるかわからないといったときに、恐らく武力攻撃事態の認定がなされないということもあると思うんですね。実際これは手続がいろいろあって、閣議決定しなきゃいけないとか、安全保障会議に諮問しなきゃいけないとか、恐らくそんな十分や十五分で済む話ではないはずなんです。

 そこで確認なんですが、武力攻撃事態が認定されない、間に合わない、普通は間に合わないと思うんですね。最初、初動は間に合わないと思うんですが、その場合、避難はどういう根拠に基づいて行っているのか。自主避難なんですかということです。その場合、避難場所や避難方法については現状どのように決まっているというか、どのようになっているんでしょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 北朝鮮から発射された弾道ミサイルが日本に飛来する場合、弾道ミサイルは極めて短時間で日本に飛来することが予想されますため、政府といたしましては、武力攻撃事態等の認定が行われる前であっても、弾道ミサイルが我が国に飛来する可能性がある場合には、国民保護法に基づくものではありませんが、国民の生命を守るため、Jアラートを活用して直ちに国民に避難を呼びかけることといたしております。

 Jアラートにより緊急情報が伝達されました際は、国民の皆様には、まず、屋外にいらっしゃる場合は、近くの建物や地下に避難していただきたい、また、近くに建物がない場合は、物陰に身を隠すか、地面に伏せ頭部を守っていただきたい、屋内にいらっしゃる場合は、窓から離れるか、窓のない部屋へ移動していただきたいと考えておりまして、これは、武力攻撃事態等の認定がなされた後に弾道ミサイルが発射された場合も同様でございます。

 こうしたJアラートによる情報伝達があった場合に国民の皆様が身を守るためにとるべき行動や、Jアラートによる情報伝達の流れなどにつきましては、国民保護ポータルサイトへの掲載のほか、新聞広告、テレビCM、インターネット広告、それから地方公共団体等を通じた周知などによりまして国民の皆様へ周知に努めているところでございます。

奥野(総)委員 いつでしたか、三月でしたか、最初にJアラートが鳴ったときに、屋内それから地下という言葉もあったんですよね。

 それで、私の選挙区はJアラートの対象外だったんだけれども、ふと思ったときに、では、地下に逃げる場所があるのかなと。大体、地方都市においては地下がないところも多いんですよね。だから、どうするのかなと。また、住民の皆さんも、どこに逃げるのかというのは日ごろから訓練しておかないと、なかなか戸惑うと思うんですね。

 そうした視点からきょうちょっと伺っていきたいんですが、国民保護法制においては国民の保護に関する基本方針というのがあって、その中では、ミサイルが飛んできたときには、今御説明があったように屋内避難が基本とされていますが、そこに何と書いてあるかというと、「近傍のコンクリート造り等の堅ろうな施設や建築物の地階、地下街、地下駅舎等の地下施設に避難」と、こうあって、地下ということがいっぱい書いてあるわけです。それは当然で、地上にいるよりは地下に逃げた方が安全だということでこういう書き方になっていると思うんですが。まあ、だからこそ、ああいうJアラートの初動、一回目はああいうJアラートの通知になったと思うんですけれども。

 では、国民保護法で指定施設が全国で九万カ所ぐらいあるのですかね、これは新聞報道ですけれども、九万カ所ぐらいあるとされていますが、そのうち、地下への避難が可能な施設の割合はどのくらいあるんですか。この基本方針を見てもやはり地下中心に書いてあるわけですけれども、では、どのぐらい指定された地下施設があるのかというのをお答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 今お話があったとおり、全国で約九万の施設が指定されている中で、地下への避難が可能な施設というのは六百六十三施設、全体の〇・七%です。

奥野(総)委員 ほとんどないんですね、これは。絶対地下に逃げた方が誰が考えても安全なはずなんだけれども、ない。

 例えば地下駐車場とか地下鉄なんかも使って民間への協力を求めていけばもっとふえるんじゃないかとかいろいろ考えるんですが、なぜふえないのか。あるいは、これからどうやってふやしていくのかということは、どうでしょうか。ふやすべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

野田国務大臣 そのとおりだと思います。

 先月には、都道府県に対して通知を行いました。避難施設が適切に確保されているか改めて検証をするとともに、地下施設については、国の基本方針に例示している地下街とか地下駅舎のほか、それぞれの地域の実情に応じて建築物の地下の階、地下駐車場、地下の通路なども活用するようにというふうにアドバイスをしたところです。

奥野(総)委員 もう時間がないのでこの質問は飛ばしますが、スイスとかイスラエルなんかも一〇〇%シェルターがあったり、アメリカも八二%、ソウルは三〇〇%、余分に使用できるだけの施設、シェルターがあるということで、日本は、これはネットで、正しい情報かわかりませんが、〇・〇二%なんですね。ほとんどないわけです。

 だから、せめて原発周辺とか基地の周辺、狙われやすいとされているところについては地下施設を公費でつくって、まあ、日ごろは民間が使っていてそれを転用するとか、あるいはシェルターの補助をするとか、そういうことをしてはどうかと思うんですが、では一応聞きましょうか。

横田政府参考人 お答えいたします。

 ミサイル攻撃等の際の発生します爆風それから破片等から直接の被害を軽減するために、おっしゃるように地下施設は非常に重要、有効でございますが、その地下施設のみではなくて、地下施設がないところにつきましては、例えばコンクリートづくり等の堅牢な建築物でありますとかビルの地下部分等への避難が有効と認識をいたしております。

 このため、政府におきましては、堅牢な建築物等についての都道府県等による避難施設の指定、これを今現在促進しているところでございます。

奥野(総)委員 イスラエルとか韓国というのは常にそういう攻撃あり得べしということでやっているところですから、それと同じようにはなかなかいかないと思うんですが、でも、日本も状況は変わってきていますから、しっかり考えていただきたいと思います。

 もう一つが、国民保護法制上、避難実施要領というのを各市区町村がつくることに制度上なっているはずなんですが、これは、つくっていない、つくられていない、半分ぐらいしかたしか整備されていないというふうに承知しています。

 いつ何が起こるか、昨今の情勢ではわかりませんから、避難実施要領をちゃんとつくっておくべきじゃないか、ミサイルが飛んできた場合、あるいは生物化学兵器が飛んできた場合、さまざまパターンがあると思うんですが、こうしたパターン別の避難実施要領をつくっておくべきじゃないかと思いますが、まず、どのぐらいの割合でつくられていて、では、残りの部分についてこれからどうやってつくっていくのかということを伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 国民保護法上、市町村長は、今おっしゃった避難実施要領を定めることとされていますが、御指摘のとおり、二十九年四月一日現在で、ツーパターン以上作成したのは六百四十二団体、三七%、一パターン作成が百四十五団体、八%、作成中、九十八団体、六%、未作成、八百五十六団体、四九%となっています。

奥野(総)委員 ですから、これは、何が起こるかわかりませんから、作成をきちんと働きかけていただきたいと思います。それが一点と、それから、当然、避難訓練をちゃんとやっておかなきゃいけない。最近、九州で行われたようでありますし、ぽつぽつ行われるようになってきていますが、普通の防災訓練と同じように、どこに逃げるか、みんな多分わからないと思うんですね。だから、日ごろから避難訓練をちゃんとやっておくということでありまして、来年度予算でどのぐらい計上されているのか。多分、少なかったと思います。ですから、しっかり予算をつけて、パターン別の実施要領をちゃんとつくっていただくということと、こうした弾道ミサイルが飛んできた場合の避難訓練をしっかりやっていただきたいということ、二点お願いしたいと思います。

野田国務大臣 まず、最初の避難実施要領のパターンというのは大変重要だということを改めて昨今の情勢を見ると御理解いただけると思います。

 消防庁では、市町村向けの手引を作成して通知を行っているんですが、さらに作成を促進していくよう頑張っていきます。

 これからも引き続き、都道府県と連携して、市町村における作成状況を確認しながら、必要な対応については要請していくということ。

 あと、訓練につきましては、確かに、万が一弾道ミサイルがという話になるわけですけれども、みずからの身を守るためにどのように行動すべきか国民自身が理解して、そして行動をしていただくために、実践的な訓練を繰り返ししていかなければならない。

 そのために想定した住民避難訓練というのは、国と地方の共同とか地方単独でこれまで九十九団体実施していただいていますが、三十年度予算編成においては、訓練回数の増加、訓練内容の充実を図るべく、必要な予算の確保に取り組みたいと思います。ぜひとも応援のほどよろしくお願いしたいと思います。

奥野(総)委員 そこは全面的に我々も考えていきたいと思っていますし、まあ、ないにこしたことはないし、国民の不安をあおる必要はないという意見もありますが、ただ、もうこういう状況ですから、むしろ、しっかりやった方が国民も安心すると思います。

 ちょっと時間が大分なくなった。最後、ふるさと納税について伺いたいんですが、大臣は、新聞報道によれば、ことしの春に出した通知はもう来年度以降は出す予定がない、インタビューで、これは産経新聞だったと思いますが、返礼品については自治体にお任せする、来年度は通知を出さない方向で検討するとされていますが、事実なんでしょうか。

 私は、立場からいうと、本来は、税収はきちんといろいろな行政サービスに使われるべきだと思っています。このふるさと納税をやると、お金の使い道が、ある特定の地域の地域振興に使われてしまう。物に、ひどい場合は地域振興にすらならない、家電とか、RIZAPなんというのも最近出てきているようですが、全然違うところに使われてしまう。本来行政に使えるお金が、その地域の行政に使える金が、別の地域の、しかも場合によっては行政に関係ないところに使われてしまう。これは僕は問題だと思うんですね。本来は、税金をきちんと使って、その地域の行政サービスを高めて、企業に来てもらう、あるいは人に移り住んでもらう、それによって税収をふやしていくのが私は筋だと思うんですね。だから、過度にこれをやり過ぎると、余分なものを買っているということになりかねない。全部とは言いませんよ。全部とは言いませんが、どこかの市でRIZAPの無料券を配るなんという話もありましたし、家電なんかもそうですね、全然違う地域の量販店が乗り込んできてなんてこともありました。

 ですから、伺いたいのは、私としては、もう一度、返礼品については見直していただく、できれば検証してもらって、大臣が提唱されているクラウドファンディング型のもの、あれはわかりやすいんですよ、事業が特化して、使い道がはっきり見えていますから、しかも、事業予算がしっかり見えますから、無駄遣いもないと思うんですね。ですから、返礼品については、もう一度、考慮、考え直していただいて、その上で、クラウドファンディング型のものに切りかえていくというのが私は次善の策だと思うのですが、最後、いかがでしょうか。

野田国務大臣 ふるさと納税、私は、就任早々、まずネガティブな方から、相当マスメディアからの御質問がありました。今御指摘の、返礼品のあり方でした。

 もう既に通知が出されているというのを聞きまして、恐らく良識ある首長の方たちは、今寄附をされる方は、そういう返礼品競争を望んでいるのではなくて、やはり育ったふるさとをよくしたいとか、好きな土地に対して何か貢献したいという気持ちを持っていらっしゃる方が大宗だと思うので、そういうやはり善なる心をもっと拡充していただけるような受けとめ方をしていただければいいんじゃないか。また、重ねてしつこくしつこく送るような、通知を出すような筋の話ではない、大人でございますので、皆さん、その良識をお待ちしているところです。

 ただ、返礼品も、その場所でできたものというのは非常に直接の効果があります。例えば、好事例の一つとして、上士幌、乳牛がいっぱいいるところなんですけれども、その牛乳からできたアイスクリームを返礼品として使うことで、そこに新たな乳牛の牛乳を使った会社が生まれるというようなことも実際に起きているので、そこら辺は、やはりしっかりその地域地域で勉強していただきまして、直接効果があることに対しては、しっかりと返礼品として取り組むもよしですけれども、今おっしゃったようなことは慎重に取り扱っていただきたいな。

 ただ、結果として、相当ふるさと納税に対する意識が国民に高まっています。その中で、今委員指摘のようなクラウドファンディングのような形で自分の思いを遂げたいというような流れもできていますので、これからは、やはりしっかりと地方自治体においては見える化、皆さんからの寄附に対してどういうことをなし遂げていくかということを明らかにしていただくこととか、あと、やはりそこの人たちを育てていくこととか、さらには、寄附をしてくれた人が、そこに行ってみようという、結果的には移住してくれるぐらいの気持ちの取り組み、継続した取り組みをしていただけるような、そういうこちらからのオファーをさせていただいているところです。

 いろいろな試行錯誤の結果、本来のふるさと納税のあるべき姿を多くの国民の皆さんの御理解で進めていけることができればありがたいなと思っています。

古屋委員長 奥野総一郎君、申し合わせの時刻が来ております。

奥野(総)委員 はい。

 以上であります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、原口一博君。

原口委員 民進党の原口一博です。

 無所属の会を代表して、大臣所信について、今日は、命を守る、地方を守る、言論の自由を守る、この三つの観点から質問をしていきます。

 まず、先ほど、高木委員が御質問なさっておりました、武内委員も御質問なさっておりました基金と交付税の関係について、もう議論があったところは省きますが、もともと基金というのは国がお願いをして積んでいるもの、先ほど御答弁にあったように、災害やあるいはメンテ等に備えているもの、これと交付税を、何かバーターのように議論すること自体がおかしいんじゃないかと私は思っています。

 地方交付税は、本来、地方の税収入とすべきでありますけれども、団体間の不均衡を調整して全ての地方団体が一定の水準を維持できるように財源を保障するという見地から国がかわって徴収している、まさに地方税である、地方自治体の独自財源である。その地方自治体独自の財源を、基金を理由に云々するということ自体が不合理だと私は思うのですが、大臣の御所見をまず伺いたいと思います。

野田国務大臣 まさに、お答え申し上げるんですけれども、御指摘のとおりでありまして、地方交付税の考え方というのは、さまざまな地方があります、しかし、そこに住む人たちに住民サービスの不公平があってはならないということでしっかりと取り組んでいることもあり、基金に関しては、国と違って、何かあれば借金をするというわけにいきませんし、ふだんの、やはりキャッシュを持っていなきゃならない、地方独特の備えであるわけですから、そこはやはりちゃんと区別して、同じお金だからということではなくて、それぞれのよって立つところが違うわけですので、御理解いただいて、混同されないようにしてほしいなと思っています。

原口委員 大臣、ぜひ頑張ってください。

 あなたに最初にお会いしたのは、二十六歳の時、最年少の県議、たしか、野田大臣が日本一若くて、僕が三番目ぐらいで、間にいたのが、今愛媛の県知事をしている中村君だったと思います。その時に私たちは、私の佐賀県の県会議長は二十六年間同じ県会議長で、県会議員の平均年齢は六十歳でした。若造が何を言うんだという圧力と私たちは戦って、ともに勉強会をしながら地方を変えてきたわけです。

 その中で、やはり、こんな議論をするのであれば、むしろ、私の時にも、交付税を一・一兆円、皆さんの御協力で増やさせていただきましたが、そもそも、所得税、法人税の三三・一%、酒税の五〇%、消費税の二二・三%、少なくとも、所得税、法人税の算入割合を増やすべきじゃないですか。私はそのことを指摘して、それは課題として、大臣、お胸にとめてください。

 それから、これは事務方で結構ですから、地方消費税収の推移及び地方税収の交付税繰り入れ分の推移を教えてください。今どうなっていますか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地方消費税収につきましては、平成九年度の地方消費税導入後、おおむね二・五兆円程度で推移をしておりまして、平成二十六年度の税率引き上げ後は、おおむね四・七兆円程度となってございます。

 一方で、消費税収の法定率分につきましては、平成元年度の消費税導入後、消費税収に合わせて推移をいたしまして、現在はおおむね三・八兆円程度となってございます。

原口委員 今お答えいただいたように、私たちは地方の独自財源というのを増やそうと頑張ってきました。やはりサービスの主体は地方、地方ができることは地方でということで。

 そこで、大臣に伺いますが、今日ここにいらっしゃる金子代議士が鹿児島県の県会議長で議長会の会長の時に、大変その時もお世話になりまして、ありがとうございます。私たちの地域主権改革に最も御協力をいただいた方でございまして、本来だったら表彰しなきゃいけない、そういうあれですけれども。

 その時に私たちが合意をしたのは、国、地方のプライマリーバランス論をとらぬと。これは、当時の麻生知事会長とも金子議長会会長とも、さんざん議論をしました。それはなぜかというと、国、地方のプライマリーバランスを合わせてどんぶり勘定にしてしまうと、国の歳出削減努力がまさに減ってしまう。逆に言うと、地方が一生懸命歳出削減、財政再建をやっているものが消えてしまう。だから、私たちはそのスタンスをとらないということを政権としてアナウンスしてきたわけです。

 それは安倍政権になっても変わらないというふうに思いますが、大臣の確認の答弁を伺っておきたいと思います。

野田国務大臣 国、地方を合わせたプライマリーバランスは、中央政府、地方政府による国民への行政サービスに必要な歳出が税収で賄えているかどうかを示すものであり、財政構造の持続可能性を見る上で重要な指標であることから、目標としているものです。

 国と地方のプライマリーバランスの改善に当たっては、国と地方が歩調を合わせて、歳出削減や歳入確保の努力を行っていく必要があります。

 したがって、国みずからの行革努力がおろそかになって、一方的に地方への負担転嫁が行われることのないように取り組んでいく必要があると思われます。

 委員が取り組まれてきた、民主党政権のときの国単独のプライマリーバランスについても言及してよろしゅうございますか。

 これも、国単独のプライマリーバランスについては、仮に国から地方への負担転嫁が行われたとしてもプライマリーバランスが改善してしまうという課題があるわけですね。

 大切なことは、国民が負担する租税と国民に対する行政サービスのバランスです。このため、国と地方を合わせたプライマリーバランスを目標としているものです。

 いずれにしても、常に御指摘されているように、一方的に地方への負担転嫁が行われることがないよう、国と地方が歩調を合わせて、財政健全化に向けて取り組む必要があるということを、私もしっかり対応していきたいと思っています。

原口委員 いや、そこは、歩調を合わせてとか言うと格好いいんだけれども、独自に頑張ればいいじゃないですか。いや、協力し合って頑張る部分もありますよ、だけれども、ここは切り離して、国は国で一生懸命頑張るんだ、競争しながら頑張るんだ、そういう答えが欲しかったですね。

 今日は大臣のお祝いの所信のあれですから、ここでとめておきますが、もうちょっと前向きな答弁ができるように、次、頑張ってください。

 次に、一括交付金です。

 これは今、沖縄だけが一括交付金があります。これも二十代の県議の時に、私たちはつくづく、ひもつき補助金の矛盾についてずっと議論をしてきました。本当だったら学校やあるいは地域の防災に使いたい、だけれども、ほかの箱物に来る補助金だから、地域を回る補助金だから仕方がない、お金が地域に回るんだったらというので県議会で議決をした、そういう苦い思いを私たちは語り合いました。

 新進党の時もこの一括交付金というのを出して、それから民主党も、一括交付金で使途を決めないで、それは自由に地域で決めてもらうんだ、ひもつき補助金をなくすんだというのが基本的な考え方だったんですね。

 今残っているのは沖縄の一括交付金で、沖縄に行きますと、これは本当にありがたいと。離島の学校の振興や、あるいは、那覇に離島から来てそして学ぶ子供たちの物や、自由に使えている、ありがたいんだと。九百八十億ぐらいあったと思います。沖縄でやっていて、なぜほかのところでやらないのか。

 総理の所信を聞いていますと、一括交付金は使い勝手が悪いと。これは事務方で結構ですから、どう使い勝手が悪いんですか、教えてください。

黒田政府参考人 地域自主戦略交付金につきましては、当時、内閣府が所管していたものですけれども、その上で申し上げますと、この一括交付金につきましては、地方の自由裁量を拡大するため、各省庁の投資補助金等を一括して創設されました。

 しかし、運用される中で、申請手続の煩雑さなど地方からさまざまな問題点が指摘されたことから、平成二十五年度に廃止され、事務手続を簡素化するなどの運用改善を行った上で、各省庁の交付金等に移行されたものと承知しております。

 一方、この沖縄振興交付金でございますが、沖縄県の特殊な諸事情を踏まえまして、沖縄県からの要望を最大限尊重して、沖縄振興特別措置法を改正して創設され、現在に至っているものでございます。

 いずれにいたしましても、総務省といたしまして、地方の意見を踏まえまして、真に地方にとって使い勝手のよい仕組みづくりを推進することが重要だと考えております。

原口委員 これを黒田局長に答えさせるのは、僕もつらいところがあります、一緒にやってきたから。

 今のは理由になっていないでしょう。だって、手続だったら、煩雑さを変えればいいじゃないですか。それから、何も省庁横断の一括交付金を省庁でミシン目を入れる必要はないじゃないですか。そういう省庁ごとの縦割りをなくして、地方の裁量、地方の自由度を増やそうというのが一括交付金なんです。

 確かに、私たちも政権の時代が短かったから、完全形には行きませんでした。しかし、ぜひ野田大臣、私たちは三十年間これをやってきた。あの時の県会議員の平均年齢にはまだ僕らは達していない。だから、やはりチャレンジしてほしい。依存と分配の政治をやっている限り、税金は幾らあっても足らぬ、そのことを指摘して、答えてくれたらうれしいんだけれども、お答えいただけますでしょうか。

野田国務大臣 三十年前になります。県議会でいろいろ勉強させていただきました。

 やはり、そのときの苦々しい思いというのはございました。二割自治、三割自治と言われて、常に陳情して、それで中途半端なものをいただいては、何となく合点がいかないな、そういう日々を送っていたわけで、国会を目指したのは、まさにその地方がしっかりと自立するために地方分権推進法をつくるんだ、国会から変わっていかなきゃいけないということで恐らくお互い上がってきたんじゃないかと思っています。その気持ちは変わっておりません。

 ですから、否定をするのではなくて、前回はそういう問題点があったのでやめることに至ったけれども、これからもやはり地方にとって使い勝手のいいお金というのは常に頭の中に入れて、それが何かというのを、前回こういう形で、手続上煩雑だったとか、限られていたとかそういうことがあったとするならば、またしっかりそれを土台に研究していきたいと思います。

原口委員 前向きの答弁、ありがとうございます。

 やはり、県にいた時は、自由度を増やしてほしい。今国にいますから、国にいると、この間の予算委員会で質問したような例えば今治市のああいう例があったら、やはり補助金にしておけばよかった、そうしたら会計検査院も入れて、ああいうことは防げたと思っちゃうんですよね。だけれども、やはりそこは、地域主権改革で、地域のことは地域に任せるということをやらぬといかぬというふうに思います。

 さて、サイバーについてお伺いしたいと思います。

 これも予算委員会で総理からお答えいただきましたけれども、サイバー攻撃の被害が深刻化する中で、NICTのサイバーセキュリティー予算については、運営交付金とは別に特別枠を設けるなどの充実を図るべきだと思います。

 国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTですね、運営費交付金の当初予算の推移を見てみると、平成二十三年度には三百二億円を超えていたものが、どんどんどんどん減って、平成二十八年度には二百七十億三千万円。やっと、平成二十九年度で、私、皆さんにお願いをして二百七十三億円になった、こういう状況なんですね。

 総理がおっしゃったように、第五の空間、陸、海、空、宇宙、それにサイバー、このサイバーのところに力を入れるべきだというふうに思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 まさにそのとおりでございまして、なかなか国の中でサイバーセキュリティーに対しての理解が進まなかったということで、それぞれ総務省初め経産省、警察、防衛省など独自にサイバーセキュリティー対策をしていたんですけれども、やはり、先般も原口委員が予算委員会で御利用されたパネルは、あれはnicterというんですけれども、相当高い技術を持っているNICTというのがあるんですが、つい最近まで余り政治のど真ん中で議論されることがなかった次第です。

 ただ、二〇二〇年の東京オリパラでじわじわとサイバー攻撃の怖さを実感しつつ、世界じゅう、空間を超えているわけですから、今までのリアルテロと違って、この国もサイバーテロというもののターゲットになることは当然明らかなことで、そういう理解のもとで予算も若干ふえたと思います。

 今後とも、しっかりと、これからICT、IoT、AIだという中で、まさにそこがしっかりしなければ全てが崩壊してしまうわけなので、取り組んでいきたいと思っています。応援のほど、よろしくお願いします。

原口委員 これはこの委員室におられる全ての委員にお願いをしたいと思います。やはり、オーダーが一桁、二桁違うんですね。このオーダーでは、どんなに優秀な日本のNICTであろうが何だろうが守り切れません。

 少し具体的に、これは事務方で結構ですけれども、ことし、ワナクライというような、国境を越えたサイバー攻撃を受けました。これはもとは誰がつくったんですか。ワナクライ、事務方おられますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 ワナクライは、平成二十九年五月以降、百五十カ国程度で広くマルウエアが配布をされ、ランサムウエアというふうな呼び方もしておりますけれども、データを暗号化して身の代金を要求するというものでございました。

 この作成者につきましては、諸種いろいろな説がございますけれども、確定した情報というものは持ち合わせてございません。

原口委員 ただ、このワナクライがどこから出たかということは、私もこれは公の場では言いにくいけれども、ある国家の機関ではないか。いわゆるスパイウエアや、今おっしゃったようなランサムウエア、そういったものを国または国に準ずるものでつくっていて、それが流出をして、そして世界が脅威にさらされている、こういうことは決して許される話ではないと思うんですね。

 そこで大臣に伺いたいんですが、サイバーセキュリティーの強化といった国内の対策に加えて、私の時も、FCCの委員長、ジェナカウスキーさんというパートナーでした。彼と一緒に、総務省とFCCの間でサイバーセキュリティーのタスクフォースをつくりました。彼が日本に来た時に一枚の報告書を出してくれましたけれども、そこには、二つの国がまさにサイバーアタックを頻繁にアメリカ、我が国に行っている国だというふうに名指しをされていました。

 やはりそこから考えるについても、国際的な連携、あるいは、マルウエアをつくらない、そういう法的な枠組み、これに向けた積極的な取り組みをすべきじゃないかと思っているんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

野田国務大臣 お答え申し上げます。

 まさにそのとおりで、先ほど申し上げたように、もう国境は関係ないことでございますので、それぞれがやはり情報を共有して、みんなでプロテクトしていかなきゃいけないと思っています。

 私自身はまだ国際会議等々に出ていないんですけれども、総務省の方に頻繁にその関係の外国の皆さんがお訪ねいただきまして、常に、今御指摘のとおりの情報連携についてはしっかり取り組んでいこうということで、むしろ皆さんの方から私たちに対しておっしゃっていただけるので大変ありがたい。甘えることなく、今まで取り組んでいただいている例えばG7とか、さらにはそれぞれの二国間の、これまで十三カ国で協議をしていただいていると聞いていますが、そういう蓄積をしっかり守りながらふやしていければと思っています。

原口委員 特に日米の連携、これは防衛の方もそうですけれども、このサイバーのところでの日米の緊密な連携というのは必須だということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。

 消防です。

 消防庁の予算は百三十億程度じゃないですか。消防庁でいろいろな研究をしています。即、命を助けることができる、あるいは、海外に災害の時に出ていって、日本の消防は世界一高い評価を受けています。この消防庁の予算の内訳、大体で結構ですから、これを事務方、教えてください。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 消防庁の予算につきまして、平成三十年度概算要求にいたしましては百三十六・四億円を要求いたしております。

 内訳といたしましては、主要事業といたしまして、緊急消防援助隊の事業、また消防団関係の事業、それから予防の関係の事業、こういった観点での分類がございます。

原口委員 消防に対する研究もやっていますし、それから、消防団を中核とする地域防災力の強化のための法律、これは務台さんが頑張っていただいて、一緒に議員立法で出させていただきました。これは消防団についての初めての法律です。退職金やあるいは装備やといったことをもろもろやると、今のやはり予算では足りないんですよ。

 だから、私は、防衛をするなと言いません。国防も大事です。しかし、FMSにあんな巨額なお金を投入するよりも、目の前にあるサイバーの脅威、目の前にある災害から人々を助ける、そういったことにも力を入れてほしいと思うわけであります。

 さて、時間が迫ってまいりましたけれども、最後に、電波オークション。

 先ほど奥野委員が質問をしてくれましたが、今回、規制改革会議、僕は、この三十年を見てみると、世界を新自由主義、新保守主義の、何というかな、戦争屋と言ったらいいんでしょうか、金融ハイエナと言っていいんでしょうか、そういうものが吹き荒れた、暗く冷たいものとの戦いだったと思うんです。

 郵政の民営化についても、郵政を民営化すれば年金は大丈夫だ、郵政を民営化すれば日本は大丈夫だといいながら、結果どうなったかというと、分社化ありきの民営化。それを私たちは、この中に、党派を超えて、大臣もそうだったと思いますが、本当にそれでいいのかということで戦ってきたわけです。

 私たちの敵は、こうやって今、与党、野党に分かれているけれども、それではないんじゃないか。本当に敵とすべきは新自由主義、新保守主義。今回の、今の中東の動きを見ても、それから北朝鮮の動きを見ても、これは国対国というよりも、むしろ、その裏にあるものとの戦いじゃないかと思っているんですね。

 それからすると、この電波のオークションで、規制改革会議が出してきたものだけを見ると、私たちは前向きに検討すべきだという立場だったけれども、本当にこれでいいのかなというふうに思います。

 というのは、通信については、外資規制はやはり緩いですよね。巨大な資本が一つを買ってしまって、それ一色になってしまえば、言論が統制されてしまう。あるいは、他国の資本に我が国の世論が左右される。こういうことは絶対にあってはいかぬというふうに思います。そういう意味でも、電波オークションについて、やはり別の観点からの検討が必要なのではないかというのが一点。

 それからもう一つは、これは私が総務相の時に法案に入れさせていただいたんですけれども、クロスオーナーシップ規制です。

 このクロスオーナーシップ規制は、何も、今ある放送局のことを考えてやったんじゃないんです。今申し上げたように、もう放送と通信が、極端に言うと一つになっている。何万チャンネルも持っている巨大なキャリアが日本に出てきた時に、新聞も、あるいはネットもテレビもラジオも全部一つの資本になってしまえば、それは言論の自由を守ることができないんじゃないかということで、私たちは、民主党政権時代にクロスオーナーシップ規制を入れた法律をつくったわけです。

 ところが、ねじれが起きて、ここは外れた法律が今動いているんですね。

 私は、もう一回、クロスオーナーシップ規制について真剣に議論をしておくべきだ。それは我が国を守るためのものであって、単に、放送には外資規制がありますから大丈夫ですというような話ではもう済まないんだということを御指摘したいというふうに思います。大臣の御所見を伺いたいと思います。

野田国務大臣 まず、電波オークションとクロスメディアオーナーシップ規制についてのお話、サジェスチョンをいただきました。

 オークションについては、ああいう形で答申が出たわけですけれども、今お話があったような、冷静な議論の中で、国民にとっての財産ですから、メリットは透明性というのが先行していますけれども、その裏腹のデメリットというのがまだきちっと見えてこない中で、精査していかなければならないと思っています。

 また、クロスオーナーシップ規制についても、確かに、いろいろ我が国の言論、報道に大きな影響を及ぼすことは考えられますけれども、あえて逃げることなく、こういう議論を積み重ねていかなければならないと思います。

原口委員 今日は時間が来ましたのでこれで終わりにしますが、大臣、来年の九月に向けて何か特別な意欲もお持ちだそうでありまして、党派を超えてエールを送りたいと思います。それは、やはり、多様な意見が、多様な日本の自由がしっかり保障される、そういう明るくあったかい日本をつくっていこうじゃありませんか。そのことを申し上げて、質問を終えたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十分開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 地域医療を守る立場から質問をいたします。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 大事な役割を果たしている自治体病院の医師不足というのは大変深刻であり、それが勤務医の皆さんの長時間過密労働という重大な問題を引き起こしております。

 昨年一月、新潟市民病院に勤務する三十代の女性研修医の御遺体が公園で発見され、労働基準監督署が過労で自死されたと労災認定をするという痛ましい事件が起こりました。心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 御遺族によれば、この自死された方の月平均時間外労働は、厚生労働省の過労死ライン八十時間の二倍を超える約百八十七時間、最も多い月では二百五十一時間に達しておりました。すさまじい状況の中で、みずから命を絶たれたわけです。二度とこうしたことを引き起こしてはならない、そのための対策をとらなければいけないというふうに痛感をいたします。

 野田大臣のお地元の岐阜市でも、岐阜市民病院で、過労死ライン残業時間月八十時間を超える医師が複数いるということが発覚をしております。時間外労働に関する労使協定で定めた月百時間の上限を超えて医師に残業させたとして、労働基準監督署から岐阜市民病院が是正勧告を受けました。そうしましたら、今度は上限を月百五十時間とする協定を結び直した。これは毎日新聞の情報公開で明らかになったわけでございます。これでは、また過労死の被害が出てしまうのではないかということになってしまいます。

 各地の自治体病院が労働基準監督署から是正勧告を受けるというケースが相次いでおります。こうした自治体病院で働く勤務医の長時間過密労働の問題について、総務省として、新公立病院改革ガイドラインで効率化だけを強調するのではなく、長時間過密労働の背景などもしっかりと分析をし、今後過労死を出さないために、医療の安全性を確保するために対策をとるべきだというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 まず、過労死は絶対あってはならないものだと思っています。公立病院の医師についても、働き方改革をしっかり進めていく必要があると認識しています。

 しかし、一方で、医師については、求めがあれば診療を拒んではならないという応招義務が課せられていることなどから、働き方改革実行計画においては、「医師については、時間外労働規制の対象とするが、医師法に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要である。」とされているところです。

 これを受けて、現在、厚生労働省において、医師の働き方改革に関する検討会が立ち上げられました。時間外労働規制のあり方や具体的な勤務環境改善策の検討を行っていると聞いており、私たちはこの状況をしっかり注視してまいりたいと思います。

本村委員 過労死が起こらないように、総務省としてもぜひ力を発揮していただきたいというふうに思います。

 そもそも日本の医師の絶対数が足りないということで、きょうは資料を出させていただきましたけれども、OECD諸国の中で人口千人当たりの臨床医、資料一を見ていただきますと、棒グラフのとおり、日本は下から四番目で二・三人、OECD加重平均二・八よりもかなり下になっております。

 医師の絶対数が足りない中で、過労死、長時間過密労働になっている現実もございます。医師を抜本的にふやす必要があるということを前提に質問を続けたいというふうに思います。

 過疎の地域や中山間地における自治体病院の医師の確保というのは大変厳しいということは、大臣も御承知いただいているというふうに思いますけれども、医師が確保できないことで自治体病院の経営が悪化するという認識はございますでしょうか。大臣、お願いします。

野田国務大臣 過疎地の公立病院のお話なんですけれども、まず、民間病院の立地が困難である僻地等における医療とか、救急、周産期、災害等の不採算・特殊部門に係る医療など、公立病院は提供する重要な役割を担っているところです。

 一方、公立病院の経営状況を見ますと、医師不足などの影響により、僻地等の条件不利地域での立地が多い二百床未満の小規模な病院については、四百床以上の病院と比べて、より厳しい状況にあると認識しています。

 委員のおっしゃるとおりです。

本村委員 医師が確保できないことで経営悪化するということで認識は一致するということだと思いますけれども、今、政府は、高齢化のピークとされる二〇二五年までに、地域医療構想をもとにベッド数を削減するという計画がございます。

 資料の二をごらんいただきたいんですけれども、各都道府県の地域医療構想のベッド数でございます。これは、しんぶん赤旗が各都道府県の結果を取りまとめたものですけれども、大臣の御出身の岐阜県でいいますと、二〇二五年までに三千五百七病床減らすという計画でございます。

 この地域医療構想に関する審議のときに、我が党、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が、医師が足りないために病棟が閉鎖をされ、そのために都市部の病院に入院、通院する、その受療動向のデータが固定化してしまったら、病院がいっぱいあるところに通っているから、その過疎の地域の病院がなくてもいいという話になってしまうじゃないかという質問をいたしました。

 これに対して、当時の塩崎厚生労働大臣は、過疎地では医療がなかなか提供されないというのは困りますから、そこのところもしっかりと踏まえた議論をということで答弁をいただいております。

 総務大臣も過疎地、中山間地の医療を守っていくという立場、これは確認させていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 現在、各都道府県において、人口減少や高齢化による医療ニーズの変化を踏まえ、質が高く効率的な医療提供体制を各地域で構築することを目的として、地域医療構想の達成に向けた取り組みが進められているところです。

 この地域医療構想と公立病院改革は、地域において必要な医療提供体制の確保を図るという目的において共通しており、各地域での状況を勘案した取り組みが行われるものと認識しています。

本村委員 過疎や中山間地の医療を守っていくという大臣の立場を、ぜひ聞かせていただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 そのとおりです。

本村委員 ありがとうございます。

 医師不足、地域医療構想という中で、実際に現場はどうなっているかという点、お話をしたいというふうに思います。

 中津川の例でお話をしたいというふうに思うんですけれども、岐阜県の中津川市に、国民健康保険坂下病院という中津川市が運営する総合病院がございます。一九四八年に開設をされました。

 この坂下病院の常勤の医師というのは、二〇一〇年には十四名だったものが、二〇一六年度では半分の七人になってしまいました。うち、内科は五人だったのが二人になってしまいました。医師の数が減れば経営も悪化するということになっていき、そして悪循環になっていくわけです。

 この坂下病院というのは、半径五キロメートル以内で人口が三万人未満という、いわゆる不採算の地区に当たる地域にあるわけでございます。現在、この坂下病院という病院は、一般病床が五十床になってしまって、常勤のお医者さんの数が減ったことから、夜間の診療や休日診療ができなくなり、救急車の受け入れも月一回の当番日だけ、眼科の手術後の入院もできなくなるなど、どんどん地域の医療が縮小してしまっているわけでございます。

 私も、現地に行きまして皆さんのお声を聞いてまいりました。こういうファイルもいただきまして、たくさんのお声を伺ってまいりました。聞いてください、坂下病院の存続を求める住民の声ですというふうに、本当に分厚い資料もいただきました。

 幾つか御紹介をしたいというふうに思いますけれども、もう三十年以上も糖尿病を患っています、倒れて頭を切り大出血、肺炎、心臓病等を起こし、そのたびに、身近な病院があったおかげで現在があると思います、病院が遠くなれば助かる命も助からなかったと、つくづく坂下病院があることに感謝して生きている、決して坂下病院をなくさないでください、心からのお願いですという八十代の男性のお声です。

 また、三十代の女性の方は、坂下病院のリハビリ、ST、言語、OT、作業、PT、理学に通っている子供たちは多く、重度心身障害児から発達障害児までいろいろな障害を持った子供たちが利用しています、中にはリハビリ・イコール生命維持と言えるような子供さんも見えます、坂下病院のリハビリテーション科の存続を強く希望しますというお声がございます。

 また、六十代の女性の方は、災害が多い時代、国道や県道が寸断された場合、中津まで行くことはできません、耐震されている坂下病院の役割は大きいです、絶対に必要となります、施設の整った坂下病院をなくすことはできませんというふうなお声をいただいております。

 また、二〇一七年二月には、坂下、山口、川上の区長会の皆さんやまちづくり協議会の皆さん、そして馬籠地域づくり推進協議会、南木曽町地域振興協議会長会議の皆さんからも要望が出されております。「「一般病床」を残した「国保坂下病院の機能」の存続を要望をいたします。」と。それはなぜかというと、眼科や整形外科で手術をして帰宅が困難な患者さんが入院することや、肺炎の診療後に数日間入院をしたり、あるいは糖尿病の検査入院をしたりするなど、軽度な急性期、回復期の入院機能を残してほしいという思いからこういう要望書が出されているわけでございます。

 先ほど、中津川市の坂下病院と申し上げましたけれども、これは岐阜県の問題だけではなく、今御紹介をしましたように、お隣の長野県の南木曽町を初め木曽南部の皆さんが三〇%利用をしている病院になります。

 ことし三月に、中津川市の国保坂下病院経営改善計画というものが出されて、そこの冒頭で、現在、坂下病院の経営は、地方病院における医師不足や国の医療制度改革などの影響により大変厳しい状況にありますと書かれて、だから病院の機能を縮小していくんだという話が書かれております。

 このまま放っておいたら本当に病院は守れないわけでございます。医師を確保すればこの自治体の病院の経営もよくなるわけですから、総務省ももっと自治体病院の医師確保に力を入れてほしいというふうに思うんです。困難を抱えている自治体病院の医師確保に何ができるかということを、もっと総務省も研究するべきだというふうに思います。

 例えば、医師確保のための専任の人員をしっかりと置けるようにすることや、あるいは情報収集のためのお金や通信費、あるいは、何回も何回も大学へ行ったりお医者さんに会ったりするわけですから、そのための出張経費などなど財政保障をしていくことや、来てくれるお医者さんが医師としてキャリアを積めるような研修の保障やそのための代替医師の確保や派遣、女性医師も今ふえておりますから、仕事と家庭の両立ができる労働時間、労働環境の改善、自治体病院がほかの機関と協力しながら総合的な医師確保の取り組みができるような支援を、ぜひ実態に基づいて行っていくべきだと思いますけれども、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。大臣、お願いいたします。

野田国務大臣 地元岐阜県の中津川の坂下病院についてさまざまなお声を今お伝えいただきまして、まことにありがとうございます。子供の医療につきましても人ごとではございません。そういう御不安を少しでも解決するために、今しっかり取り組んでいかなければならないという気持ちを新たにしたところです。

 地方における医師確保というのは大変重要な課題だと考えています。総務省における対策としては、基本的には厚生労働省が医療行政を担っておられるので、ただ、私たちとしてできることは、例えば公立病院が医師派遣を受ける際の経費や、お話がありましたが、女性医師を確保するためにやはり院内保育所の運営費、そういうことに対して地方交付税措置というのを既に講じているところです。

 また、地域医療介護総合確保基金の地方負担金や、産科、小児科等の後期研修医に対する修学資金の貸与事業等についても地方交付税措置を講じています。

 今後とも、医師確保に向けた地方公共団体の取り組みに対して、関係省庁と連携しながら、必要な地方財政措置をしっかり取り組んでまいります。

本村委員 今大臣が言われたような施策が坂下病院はあるもとで医師が減っているという現実を、ぜひ見ていただきたいというふうに思います。

 ことし三月に出された中津川市の公立病院改革プランの中では、市民病院と坂下病院のための医師の招聘に病院長ともに大学にも出向きお願いはしておりますが、大変厳しい状況にありますというふうに書かれております。そして、ことし三月二十八日の中津川市議会では、「早急な医師確保が必要です。」と、医師確保を求める意見書も出されております。

 厚生労働省の話では、一万六百人の勤務医の先生方からアンケートの回答があって、そのうち四四%の医師が地方に行ってもいいというふうに答えておりまして、そして、二十代の勤務医の先生でいいますと六〇%以上が行ってもいいという回答になっているわけです。

 そして、資料の三ページを見ていただきたいんですけれども、これも厚生労働省の資料なんですけれども、二〇〇八年度以降の医学部の臨時定員増などによる地域枠の入学者が順次卒業して臨床研修を終えて、今後、地域医療に従事する医師が順次増加していく見込みなんだというふうに厚生労働省は言っているわけです。

 そういう展望もあるんだということも地方の皆さんにしっかりと示していきながら、自治体病院に結びつける施策をぜひやっていただきたいと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

椎葉政府参考人 お答えさせていただきます。

 各都道府県におきましては、全ての患者が状態に応じて必要な医療を適切な場所で受けられることを目指しまして、人口減少や、また高齢化による医療ニーズの変化に応じた受け皿の目標を作成しているところでございます。

 それを受けまして、二〇二五年に必要な病床数の必要量の推計を盛り込んだ地域医療構想を策定いたしまして、地域医療構想調整会議におきまして、その達成に向け、検討を進めていくこととしているところでございます。

 県境の医療提供体制の確保につきましては、患者さんの移動を加味した上で整備するよう国から考え方を示しているところでございまして、先生が御指摘いただきました地域におきましても、長野県民の医療需要の一部を岐阜県が担うべきものとして、両県が調整した上で、それぞれ地域医療構想を策定していただいていると承知しているところでございます。

 現在、各地域でこの地域医療構想調整会議が開催されておりまして、国としては、取り組みの進捗状況を把握することを通じまして、適切な医療提供体制の確保がなされるよう各都道府県に対しまして必要な助言等の支援を行ってまいりたいと考えております。

 そして、将来に向けて果たすべき役割を果たす上で医師の確保が必要な場合でございますが、各都道府県におきまして地域医療介護総合確保基金を設置いたしまして、地域医療支援センターの運営や、産科、救急、小児等の不足している診療科の医師確保支援など、医療従事者の確保、養成のための事業についても活用できることとしているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、岐阜県、長野県における医師確保対策を支援してまいりたいと考えているところでございます。

 さらに、厚労省といたしましては、一層の医師確保対策を推進するために、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会におきまして検討を進めているところでございまして、年末に向けて、法案提出を視野に、さらなる議論を深めてまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

野田国務大臣 お答えいたします。

 冒頭、委員から、医師不足によって公立病院の経営が厳しくなって悪循環が始まっているという御指摘でした。

 いろいろな原因があるんでしょうけれども、やはり偏在というのもあると思います。どうしても都市部に医師が集中するとか。

 そういう現実問題の中、今お話があったように、臨床研修を修了した地域枠医師数がこれからどんどんふえるであろうということと、また、アンケート結果で、若い二十代の医師が地方での勤務をいとわない、行きたいという話が合致すれば、相当期待が持てるはずですね。

 私どもも取り組んでいることですが、医師確保の対策として、総務省としては、先ほど申し上げたようなことを取り組みながら、公立病院が安定した経営のもとで不採算医療等を提供する重要な役割を継続的に担っていけるように取り組んでいくわけですが、公立病院への医師派遣に関する経費等についても必要な地方交付税措置を講じておりまして、今後ともしっかりその支援には取り組んでいくことを約束したいと思います。

本村委員 しっかりと支援をしていただくという答弁をいただきました。ぜひ地域の皆さんの声を聞いていただいて、地域医療が守られるようにということでやっていただきたいというふうに思います。

 先ほど厚生労働省からは御答弁がもう既にあったんですけれども、坂下病院というのは木曽南部の医療も担ってきたわけです。過疎、中山間地の医療を守ると言っていたはずで、先ほども御答弁いただいたわけですから、県をまたがる医療を担っている自治体病院に対する支援、これは県がまたがっているがゆえに、なかなか困難な問題も抱えているわけです。ぜひ、そこのところの支援もお願いしたいと思います。大臣、お願いします。

野田国務大臣 お答えします。

 取り組んでまいります。

本村委員 ありがとうございます。

 一つ確認をさせていただきたいんですけれども、資料の四にありますように、不採算地区病院について、一般会計からの繰り出し金に対して特別交付税措置をしてきたわけですけれども、これを算定するための病床を、許可病床数から稼働病床数に変更して、稼働病床数等掛ける単価か、あるいは自治体の繰り出し金額掛ける〇・八、どちらか低い方でという方法に変更をいたしました。

 算定方法が変わる前の二〇一五年度と算定方法が変わった後の二〇一六年度、特別交付税はどのくらい減っているでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきました公立病院に関する特別交付税措置につきましては、平成二十七年度は七百八十一億円、平成二十八年度は六百三十七億円という状況でございます。

本村委員 特別交付税は百四十四億円減っているわけでございます。これは、不採算地区の病院や、結核、精神、感染症、周産期、小児、リハビリテーション専門病院、そして救命救急センター、小児救急の部分の特別交付税でございます。公立病院がここを担うんだと言っているところの特別交付税が減っているわけです。

 もう一つ減っているのが普通交付税でございます。普通交付税も、二〇一五年度から、許可病床数をもとにした算定から稼働病床数をもとにした算定に変更いたしました。これによって、自治体病院の病床に対する普通交付税は減らされたんじゃないですか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税の算定につきましては、定型的な算定と実態に即した算定と、バランスをとりながら算定しております。信頼すべきデータが出てまいりましたら、それに即して算定するという方法をとっております。

 今御指摘をいただきました、病床数に基づき算定する部分につきましては、病床機能報告制度の中で、統一的な基準に基づき稼働病床を把握することが可能となりましたので、地方交付税措置の算定基礎を許可病床から稼働病床に見直したことによりまして、結果として算定額は減少しておりますが、これにつきましては、医師不足等により一時的に稼働病床が減少する場合には、看護師給与等の経費を急に減らせないといったケースも考えられますので、この基準財政需要額が急激に減少しないように緩和措置も講じながら措置しているところでございます。

本村委員 いずれにいたしましても、過疎地や中山間地の地域医療を支える自治体病院の運営に対する自治体の繰り出し金に対する特別交付税を減らし、自治体病院を支える普通交付税も減らしているわけです。

 地域医療を支えている自治体病院を、総務省が首を絞めている側面があるのではないか。総務省として、もっと自治体病院を守る立場で、地域医療を守る立場で支援をするべきだというふうに思いますけれども、最後に大臣、お願いをしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今、黒田局長の説明にあったとおり、減らしているというよりも、実態に合わせて支払っているということで、繰り返しになりますけれども、医師不足でそうなったときでも、しっかりとその病院経営が行き詰まらないような措置をしているということで御理解いただければと思います。

本村委員 今のままでは不十分だから、質問をさせていただいております。

 野田大臣、地元の問題でもございますので、ぜひイニシアチブを発揮していただいて、力を発揮していただきますことを心からお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは一般質疑ということで、よろしくお願いします。

 きょうちょっと私がお出しをした資料で、いろいろ、委員長あるいは両筆頭を初め皆様に大変御負担をおかけしましたことを最初におわび申し上げておきたいと思います。

 その上で、きょうは、橘慶一郎先生初め、最初、橘慶一郎先生がまた大変上品なお歌を御披露いただきまして、私もちゃんと見習って品よく、これからまた、余り受けないですね、特別国会はこれで終わりですが、通常国会がまた始まりますので、できるだけ品よく質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、テレビ、4K、8Kの話もいたしますが、冒頭、地方行政ということで、ちょっと、森友問題あるいは野田中央公園の問題、これをさっと最初に取り扱わせていただきたいと思います。

 まず、ちょっと冒頭、私が理事会にお示しした資料はもうちょっといろいろ書いてあったんですが、大分すっきりといたしております。

 結局、いろいろマスコミの報道を見ていると、まだこの話が続くと。

 私は、実はきょう、これをやりたくてやっているんじゃありません。ただ、どうも、マスコミ、人によっては、自分たちで、特に朝日新聞ですが、私が言っているんじゃないですよ、いろいろな方々が、自分たちで疑惑をつくって、それを自分たちで盛り上げて、そして自分たちでその疑いを、風評を広げている、そういう御指摘も多い中で、私は、まだまだ、何といいますか、野党の追及、与党の答弁、与党の答弁じゃない、政府の答弁いずれをとっても、まだこの問題の本質に行き着いていないような気がします。

 したがって、できるだけ、きょうは、この森友問題について、問題の本質は何かということを、何とかたどり着けばいいなと思っておりますが、できれば十分ぐらいでこの話は終わりにしたいと思います。

 ここに書かせていただいているのが、資料の一枚目、森友学園の隣には、野田中央公園という公園ができています。

 よく、立憲民主党を初めとする野党の皆様は、森友学園について、昭恵夫人が関与したんじゃないかというような議論をずっとされてきて、まだこれは続いていますね。続いているというか、僕は終わっていると思いますよ、でもマスコミは、特に朝日新聞はまだ追及を続けています。

 ただ、ここで明らかになったことは、少なくとも籠池さんたちは今詐欺の容疑で逮捕され、そして被告の身にあります。それは事実ですね。一方で、道を一つ挟んだ隣の野田中央公園、これについては、私が何度か国会で取り上げましたが、朝日新聞は一切書きません。立憲民主党を初めとする野党の皆さんも取り上げません。したがって、仕方なくきょう私がこの野田中央公園の話を取り上げるわけでありますが、いずれも、有益費とか補助金とか、あるいはごみの値下げということで、事実上、その土地を受け取った森友学園あるいは土地を受け取った豊中市、ほとんどお金を負担していない、これは同じですね。同じです。

 問題は、今、会計検査院が入って、森友学園について、九から八を引いて事実上一億円で入手したという話について、その八は適当かという議論をしています。僕はその会計検査院も落ちたものだなと思いますよ、ああいうどうでもいいところをつっついて、では八というのがどうかという議論をしている。では、隣の土地、勉強してくださいと。隣の土地は、近財は九億と見積もったんです。それに対して、豊中市は十四億で見積もりをしている。十四億でこれは取引が動いているんです。

 では、それはおかしくないのかということで、一応私の方で、これも党の方からもう、与党と立憲民主党でやらせておいたらいいから足立さんはもうやめたらという議論もありますが、私は別に与党を守るためにやっているんじゃないんですよ。私は、憲法だけはやりたいんですよ、憲法だけは。憲法改正だけをやりたいときに、安倍総理の脇が甘いとか与党がだらしないとか、そういうことで我々は足を引っ張られたくないので、早く本質にたどり着こうと思ってこれを持ってきました。

 皆さん、見てください。野田中央公園は、三つの数字があります。一番上は、一番真ん中が肝なんですけれども、一番真ん中の十四億二千三百八十六万三千円、これが実際に、民主党政権、政権交代があった半年後、そのお金で取引がされています。

 それに対して、自民党政権末期の麻生政権のときの予算要望、補正予算をつくるときにはこういう数字を各自治体から集めます、この数字も十四億です。これを見てください。おかしくないですか。予算要望のときのざくっとした見積もり、〇・九五というこの根拠。

 これはちょっと、きょう国交省に来てもらっています。豊中市に聞いてもらいましたよね。この〇・九五、根拠はわかっていますか。〇・九五の根拠、もし豊中市から聴取できていれば答えてください。

鳩山政府参考人 先生お尋ねのこの数字ですけれども、私ども、きのう、先生から御質問いただくということで、豊中市の方にいろいろ資料をいただきたいということでお願いしたところ、このものを送っていただいたということで先生の方にもお届けさせていただいているんですが、このものがどういう性格の資料なのか、先生の資料の中では二〇〇九年の四月の予算要望というふうに書いておられますけれども、そういうものかどうかというのも承知しておりません。

 ですから、この計算の式が、恐らく、推測ですけれども、この損失補償基準に基づき土地価格の算定を行ったところというふうに言っておられますので、その部分を書き出されたものではないかと思いますけれども、その具体的な詳細については我々としても承知してございません。

足立委員 結論から言うと、見つからないらしいんですよね。よくあることですよ、これは。財務省でも国交省でも航空局でも、どこでも全部そうです。豊中市も、ないと言っているわけですよ。

 それで、問題は、この十四億と下の十四億を比べてみてください。結論は、三千円違いですね。その式を見てください。よくこんな合致すると思いません、皆さん。

 二つの見積もりが、数字が同じになることは世の中にはあります。それでも、同じような見積もりをしたら同じ結果になるんです。

 これは、ベースになる単価も違えば、割引率も違うんですよ。この掛け算が三千円違いでぴったし合うなんということは、僕はこれはおかしいと思いますよ。何でこれは野党は追及しないんだ。立憲民主党は、特に。そして、何で朝日新聞はこれを追及しないんだということを僕はずっと言い続けているんですよ。

 もう一つの疑惑。不動産鑑定士Bと書いていますね、これは近財が頼んだ不動産鑑定士です。近財が頼んだ不動産鑑定士は九億と見積もっているんです。高圧線、マイナス二〇パーの減価、地中ごみ、マイナス六パーの減価です。それに対して、豊中市が頼んだ不動産鑑定士Cは、高圧線、マイナス二パーです。地中ごみ、マイナスゼロパーです。これで取引されているんですよ。もうちょっと言うと、日本じゅうの不動産取引、こんな感じですよ。

 きょう、国交省、不動産鑑定士制度というのは国交省が持っていますね。ごめんなさい、これは総務委員会だけれども、地方行政にかかわることだから。国交省、不動産鑑定というのはこんなものですか。

鳩山政府参考人 不動産鑑定についてのお尋ねでございますけれども、不動産の鑑定評価といいますものは、その不動産の経済価値を判定し、その結果を価額に表示するというものでございます。

 不動産鑑定士は、良心に従い、誠実に鑑定評価を行うということとされています。

 鑑定評価に当たりましては、評価の作業工程において統一的な手順や手法がとられるよう、不動産鑑定評価基準というものを定めてございまして、これにのっとって行うこととされております。

 この不動産鑑定基準では……(足立委員「いや、こんなものかどうかで」と呼ぶ)そういう意味で、一つちょっと申し上げさせていただくと、鑑定評価は、その不動産の効用が最高度に発揮される使用形態である最有効使用を前提として行うこととされています。

 先生お尋ねの点でございますけれども、今回の土地のような非常に広大な土地につきましては、その土地の利用につきまして、これを一体的に利用するのか、あるいは分割して利用していくのか、それから、それを売買として売り払うのか、あるいは賃貸に使うのかということについて、どういうその使用形態があるかということについて、鑑定士ごとにやはりそこはいろいろ考え方があるところでございます。

 そういう意味で、その不動産鑑定士の方によって評価の結果に違いが出てくるということは十分あるところでございます。

足立委員 そんなものなんですよ。

 だから、私が申し上げたいことは、不動産鑑定士、これは、Bさん、Cさん、こういう結果ですよ。これが、まあ、言ったら、隣の土地でも行われているわけですよ。それを、森友学園の地中ごみの評価について、八億円なのか七億円なのか六億円なのか根拠が定かではないと会計検査院が言っているわけでしょう。わかります、皆さん。

 だから、この一枚は、結構私の力作なんですよ。こんなことは、僕がやらなくても、与党がやれよ、ちょっとは。

 だから、私が申し上げたいことは、これはもう、何といいますか、ずっとこの半年か一年か一年半か知らないけれども、森友だ加計だといって騒いできて、特に朝日新聞が、捏造か誤報か偏向か知りませんが、これをやってきた結果、もしかしたら次の通常国会もこれをやるかもしれないんでしょう、立憲民主党は。だから、私は、もうやめたらどうかと言っているんです。

 そして、もし問題があるとすれば、例えば、もし昭恵夫人に問題があるというのだったら、あわせて、当時の国交省、大阪府も間に入っているかもしれませんが、それを追及したらいいんですよ。やるんだったら、両方やったらいいよ。

 さらに、もし本当にやるんだったら、これはちゃんと日本じゅうの不動産の取引、日本じゅうの公的な、いわゆる公的な土地の取引ですよ。日本じゅうの千七百以上ある自治体、公共団体がどういうふうに土地を取引しているのか、一回調べたらいいですよ。豊中の庄内地区のこの二つを取り上げただけでもこんなことになっているわけでしょう。

 だから、これは大変なものですよ。戦後、自民党がつくり上げた日本の土建国家の恥部ですよ、こんなものは。だから与党もやりたくないんだ、これは。野党も、何か、あれでしょう、野党は、森友はやりたいけれども、野田はやりたくないんだ。

 だから、私が申し上げたいことは、国会もいいかげん真面目に仕事をした方がいいということですよ。やるならやる、やるなら本質を追求する。立憲民主党、ちゃんと聞いておいた方がいいですよ。そして、自民党も、いつまでこんなしようもない話を引っ張っているんだ。早く自民党の議員が五対五でも八対二でもいいから質問に立って、早くこの話を終わらせろよ。それが自民党の仕事だと思いますよ、私は。

 ごめんなさい、ちょっと言葉が悪いのは。きょう橘先生を見習おうと思ったら、ちょっとうまくいきませんが。

 済みません、では、まあ、これぐらいにして、森友は以上にして、4K、8Kテレビ。

 野田大臣、十二月一日に、ちょうど一年後の十二月一日から4K、8Kテレビが始まります。まず、野田大臣にお伺いしたいのは、かつて、この4K、8Kの高精細な動画、動画というかテレビ、映像については、コピーネバーも必要じゃないかという議論が一時されていました。これはもうコピーネバーは、要は、録画禁止という選択肢は不可という理解でいいのか、御答弁をお願いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 放送に係るコピー制御方式は、民間の技術規格として定められており、新4K8K衛星放送のコピー制御方式については、現在の地上波デジタル放送と同様のダビング10、これは先生が役所のときに手がけられた、これの導入が既に決まっております。

 他方、コピー制御方式の技術規格を策定する一般社団法人放送サービス高度化推進協会によると、現在、一部の放送番組の録画を禁止できる規格の検討は行われていません。新4K8K衛星放送では録画を禁止する方式は導入されないということを聞いております。

 以上です。

足立委員 大臣、お手を煩わせました。一応、大事なことなので、大臣御答弁ということで頂戴をしました。

 事務方で結構です。すると、今のA―PABの規格、これは今はTBDと書いてあります。TBDは消えるんですか、TBDのままですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 現状、今大臣から御答弁があったとおりでございます。

 現在、新4K8K衛星放送に録画禁止を導入する動きはございません。今後、仮にそのような検討を行う動きが見られた場合には、総務省としても視聴者の声をしっかりと反映できるように、オープンな場を設けまして、関係者や有識者の意見を聴取するなど対応を検討していきたいと考えております。

 以上でございます。

足立委員 私は、もう不可なら不可と書いてセットするのが当たり前で、まさに野田大臣が出席されたイベントで、大々的に、オリンピックに向けて4K、8Kテレビを五〇%まで普及させていこうとしているんだから、その技術規格が、TBD、検討中という状況のまま走り出すのは、私は、異常じゃないかな、こう思っていますが、これはこれぐらいにしておきます。

 次に、いわゆるB―CASの後継であるACASチップです。

 チップを内蔵するようなテレビ、これは私はガラパゴスだと思いますね。受信機にこういうチップを載せる、そういうACASチップを内蔵した機器がこれからつくられようとしている、少なくとも検討されていると。もう一年後ですね。もう時間がありません。

 私は、このACASチップの検討が、新CAS協議会という、NHKが座長を務める、民間団体だから、きょう呼んだけれども来てくれません。そのACAS協議会、NHKが代表幹事を務めるその場で議論がされていると聞いていますが、こんな大事なこと、国民の、テレビの視聴者の、ユーザーに大変深くかかわるB―CASカードが、これからACASチップになって内臓されるかもしれないということについて、消費者の意見を聞く場、必要じゃないですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のACASのチップでございますけれども、現在、新CAS協議会というものがございまして、そちらの方で4K、8Kの放送時代に即したコンテンツ保護管理のあり方を検討しております。

 現在、同協議会、スカパーJSAT、NHK、WOWOW、スター・チャンネル、日本ケーブルテレビ連盟の五社から構成されるところで検討されておりますが、この前提となりますACASのセキュリティーを高めた暗号化方式につきましては、情報通信審議会で、パブリックコメント等もとりまして、オープンな手続を経て技術基準として定めたところでございます。

 現在、同協議会では、この技術基準に準拠したチップを開発しているところでございますが、今後こうした動きにつきまして必要な情報が消費者に提供されるよう、しっかり総務省としては見守ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

足立委員 情報通信審議会で決めたという御答弁ですが、具体的に情報通信審議会の答申のどこがこのACASチップを決めたというふうに今御答弁されたんでしょうか。具体的に紹介してください。どなたでも結構です。

山田政府参考人 今御答弁申し上げました情報通信審議会の検討でございますけれども、今回、秘密鍵を、暗号の強度を向上するという観点から技術基準を定めたものでございまして、その技術基準をもとにいたしまして、総務省令また総務省の告示を定めたところでございます。

 以上でございます。

足立委員 ちょっとよくわからないですね。

 少なくとも関係者は、この情報通信審議会で決めたと思っていませんよ。この新CAS協議会で決めているんですよ。この審議会の答申が本当にそれをフィックスしたものかどうか、それも改めてちょっと時間をとってやります。

 それから、そもそもこのACASチップというのは、利用者からすれば、不当な取引条件の変更に当たるんじゃないかという指摘が既になされています。それから、4K、8K、要はACASチップを必要としないユーザーに対しては、これは抱き合わせ販売になるのじゃないかという、競争法、独禁法上の疑義も提示をされている。さらに言うと、NHKがこの新CAS協議会の座長を務めてリードしていることについては、放送法に抵触するという指摘もあります。

 三つまとめて御答弁をお願いします。

山田政府参考人 まず一点目でございます。

 来年の十二月から始まります新4K8K衛星放送でございますが、これはいわゆるモアチャンネルでございまして、この放送を視聴されたい方につきましては、先生御指摘のとおり、ACASに対応した受信機を購入いただく必要がございます。

 また一方で、現在の地上デジタル放送あるいは衛星放送のみを視聴されたい方は、従来のB―CASに対応した受信機を引き続き選択することが可能でございます。

 一方、御指摘の新CAS協議会の関係でございます。

 新CAS協議会におきましては、製造販売事業者との調整等を新CAS方式について行われることとなっておりますけれども、現在、ACASチップの取引に関する合意形成に向けた調整等が行われているものと承知をしております。この新CAS協議会における意思決定は、定款に基づきまして、理事会の決議によりまして、関係放送事業者等の総意として行われるものでございます。NHKが新CAS協議会に参加していることをもって、直ちにNHKが何らかの無線機器の製造業者等の業務について規律、干渉をしたとは言えないと考えているところであります。

 以上でございます。

足立委員 ちょっと時間がないので、局長、細かいことはいいんですが、今、選択肢があると。要は、ACASチップが嫌な人は、ACASチップが内蔵された受信機が嫌な人は、既存のB―CASカードの機器でいいじゃないか、そういう選択肢があるからいいんだと。でも、それって2K放送じゃないですか。要は、ACASチップが内蔵されている受信機が嫌な視聴者は2Kを見続けなさい、4K、8Kは見なくて結構です、そういう意味じゃないんですか。そういう意味ですか。違いますか。

 要は、ACASチップが搭載されていないテレビを使い続けながら、4K、8Kというサービスを享受することを視聴者はできるんですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、新CAS協議会が開発を進めておりますACASチップでございますけれども、来年十二月から開始する新4K8K衛星放送を御視聴するために開発を進めているものでございますが、無料放送のコンテンツ保護、あるいは有料放送の視聴制御の機能を有しているものでございまして、新4K8K衛星放送を視聴するに当たり必要不可欠なものであると考えておりまして、こちらは受信機に内蔵するということが前提となると考えております。

足立委員 大臣、もう時間が来ましたが、大臣には、きょうはちょっと聞いていただきたかった。

 これは大変難しい分野です。なかなかこれは勉強してもよくわかりません。しかし、世界の映像、テレビというか、我々は今、テレビだけじゃないです、スマホでもいろいろなものを見ます。そうしたときに、いわゆる今までの地上波のテレビというものがこれからどう進化していくのかということを決める大変重要な分岐点なんです。それを、閉じたACAS協議会という中で、坂本専務がその代表幹事を務めていらっしゃいますけれども、これはしっかり、大臣としても、これは一体何が起ころうとしているのか。

 そして、五〇%を目指すと。だって、日本の中で、4K、8K、チップが入ったテレビがドミナントになるわけですよ。ところが、世界を見ると、全く違う方向に行っている可能性がありますよ。

 だから、私は、大臣にはぜひしっかり、これは大臣みずからチェックをいただくということをお願いいたしたいと思いますが、まあ、既にもうよく御存じかもしれませんが、しっかりそこは監督するというか、リーダーシップを発揮していただく御決意をいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えします。

 たまたまですけれども、めぐり合わせですが、二十年前、郵政大臣のときは、アナログからデジタルに変えるときの取り組みの第一歩を取り組ませていただきました。あのときは強制的でしたから、いろいろな意味で苦労もあったけれども、やり切ることができましたが、今回の4K、8Kというのは、2Kから任意で移っていただくことなので、むしろその方が難しいかもしれません。ですから、委員御指摘のように、やはり透明性を持って、その動きが明確に消費者に伝わるように努力しなきゃいけないと思います。

 B―CASからACASに移るのも、消費者からすると大変大きな動きになります。なぜかというと、セキュリティーを高めるという中で、これまではカードであったから、私たちも、見える化、利用者が見えて、カードをなくしたりいろいろあったんですけれども、そういうことがありました。でも、今回は基本的にチップにして中に入れるということで、そもそも買うときからもう手が届かないところにある。

 であればこそ、やはり丁寧に、消費者の皆さんが任意で買うものですから、よりわかりやすく取り組んでいけるよう、消費者目線を大切にして頑張っていきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 任意とおっしゃいましたが、一方で五〇パーを目指すとおっしゃっているわけで、私は、舌をかんでいるな、こう言わざるを得ませんが、引き続き議論したいと思います。

 ありがとうございます。

古屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、少し午前中の議論ともかぶるところがありますけれども、地方財政について中心に質問させていただきたいと思います。

 私の地元は大分県なんですが、昨年は熊本、大分地震が発生をいたしました。そしてことしは、七月に集中豪雨、そして九月には台風十八号、大変甚大な被害が県下に出ております。予想のつかない自然災害によって、今なお多くの方々が日常生活を取り戻せずに苦しんでいる、そういう現状にあります。

 総選挙の直前、台風十八号の被災現場に足を運びました。そこには、床上にまで水が上がったお宅で、泥をかき出すことができずに、その上にブルーシートを敷いて、その上で生活をする年配のお年寄りの方がいらっしゃいました。若い人たちに迷惑はかけられない、そういう思いで、ボランティアの手助けにちゅうちょをされていたそうです。そんな実情に触れるにつけまして、自然災害というもの自体はなくすことはできませんが、政治の責任で復旧を少しでもスピードアップできないものか、そういうふうに考えさせられます。

 七月の豪雨災害も九月の台風十八号による被害も、激甚の指定はされております。そして、復旧に必要な事業の一部に対し、国からの補助率のかさ上げ等々も行われることになります。

 しかし、被害額の確定にはやはり時間がかかります。以前よりはかなりスピーディーになっているとはいいますけれども、やはり一定の時間がかかってしまいます。最終的に復旧費用が幾らぐらいかかり、そのうち自治体負担分と国の支援分がどの程度の額になるのか、なお時間がかかる状況であります。

 したがって、裕福な、まあ、余り裕福な自治体というのは存在しませんけれども、そういう自治体であれば財政事情にかかわりなく迅速に取り組むことも可能ですけれども、現在、全国的に見れば、財政事情が厳しい自治体が多数を占める。そんな中で、復旧復興に向けて取り組みがおくれてしまうようなことがあってはならないんだろう。

 そういう点で、きょうは内閣府に来ていただいておりますけれども、激甚災害指定、さらなるスピードアップをすることが必要ではないか。この点、いかがお考えでしょうか。

米澤政府参考人 お答えいたします。

 大規模災害からの復旧復興に当たりまして、被災自治体が財政面に不安なく取り組むことができるようにすることが重要と認識してございます。

 このため、特に被災したインフラや農地、農業施設などの復旧が円滑に行われますよう、激甚災害指定について、これまでも、指定見込みの公表などにより早期化に取り組んできたところであり、今後も、さらに速やかな指定が可能となるよう、運用の見直しを行ってまいります。

 また、激甚災害の指定基準に達しない場合におきましても、通常の補助事業より国庫補助率が高い災害復旧事業を実施いただくことで速やかな復旧が図られると考えており、事業着手に向けて、査定の効率化などの迅速化の取り組みを必要に応じて行っております。

 今後とも、被災自治体が災害からの復旧復興に円滑かつ迅速に取り組めるよう支援してまいります。

吉川(元)委員 ぜひさらなる迅速化をお願いしたいというふうに思いますし、あわせまして、これはお願いなんですが、今、大きな災害が発生いたしますと、交付税の前倒し交付等々も行われております。ただ、これは交付税の前倒しといいましても、時期によってはそれができない場合もありますし、それから、被災した自治体が、先ほども少し指摘しましたけれども、財源の懸念から復旧復興がなかなか進まないというようなこと、これはなかなか、そうしたことが起こらないようにしなければいけないというふうに思います。

 大規模な災害が起きた場合に、直ちに国から財源の手当てを行い、一定のめどが立った時点で自治体との清算を行う、そういう手だてを講じることも必要ではないかというふうに思いますので、ぜひ政府としての御検討をお願いしたいと思います。

 次に、今回の災害復旧に際してはさまざまな側面から国が支援をしているということは十分承知をしております。ただ、大規模な災害が起きると、自治体財政は非常に厳しい状況に追い込まれます。

 台風十八号で大きな被害を受けた県内のある自治体なんですけれども、二度にわたって災害復旧のための補正予算を編成いたしました。それは、そのうち半分は国庫あるいは県費によるものですけれども、残り半分は起債とそれから財政調整基金によって手当てをするということを聞いております。

 この自治体、大臣も先日、高知に行かれていろいろお話を聞かれたということですけれども、まさに同じでありまして、職員の数を減らしたり、そして爪に火をともしながら、何とか十六億円の基金を積み上げることができました。ただ、今大変財政が厳しい状況で、毎年、一般予算にもこの基金から繰り入れを行っております。そして、今回の台風の災害、これは復旧費用に十億円を充当しなければいけない。そうすると、基金がほとんど残らない状況になってしまいます。

 国からの支援があるとはいいますけれども、とにかく当座必要なお金は自分たちのところで、起債をするか、あるいはさまざまな基金を使ってお金を用意するわけで、そういう面でいうと、基金というものは、さまざまな基金がございますけれども、小さな自治体にとってはこれはなくてはならないものだというふうにも思います。非常に重要な役割を果たしているというふうに思うんですけれども、災害復旧に際してのこの基金の役割、大臣、どのように認識をされているでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 地方団体の財政運営におきましては、災害発生時の応急対応を含めまして、歳入歳出の変動は基金により対応することが制度上の前提とされております。

 特に、災害につきましては、都道府県においては、災害基本法それから災害救助法の規定によりまして、災害対策基金の積み立てが義務づけられております。

 今回、基金の調査を行いましたが、災害発生時の復旧復興事業など災害への備えが基金積み立ての大きな目的の一つとなっていることが確認されております。

 先ほど御指摘いただきましたが、平成二十八年四月の熊本地震の発生に際しましては、熊本県においては、国の災害救助や復旧事業に係る財源措置が明確でない時点で、みずから確保してきた財政調整用の基金を一旦は全額使いまして、六月補正を行っております。

 このように、通常の財政需要に上乗せされる復旧復興事業の財源の確保に加えまして、災害の発生時に即応して円滑に事業をするための財源を確保する意味でも非常に大きな役割を持っているものと認識しております。

吉川(元)委員 まさに、今回、毎年のように大きな災害が全国各地で起こっております。大分は二年連続で、ことしは二回大きな災害が発生をいたしました。そういうときの備えとしての基金の役割というのは、これは本当に、いつどこで何が起こるかわからない時代ですから、そういう面でいうと、非常に重要な役割を私も果たしているというふうに思います。

 それで、この基金、きょう午前中、お話がございましたが、先般、十六日の経済財政諮問会議で、基金の考え方、増減の理由、今後の方針について、各自治体に公表を求める仕組みを構築すべきというようなことが民間議員から出されております。

 また、財務省、昨年来、自治体の基金残高、これを理由に、交付税の交付の効率化、効率化と言えば聞こえはいいですけれども、簡単に言えば、減らしたいという意味だというふうに思いますが、そうしたことを示唆しております。

 それから、ことし五月の財政制度等審議会の建議でも同じような指摘がされておりますし、先般、十一月の二十九に出された建議でも同様のことが言われております。

 きょうは財務省に来ていただいておりますが、自治体の基金、何が問題なのか、財務省としてどうお考えなのか、端的に説明してください。

今枝大臣政務官 お答えいたします。

 平成二十三年度以降、地方が安定的に財政運営を行うことができるよう、地方一般財源総額を実質的に同水準確保する枠組みを導入しているところであります。

 こうした中で、近年、地方団体の基金残高の増加が続いておりますけれども、地方の財源不足の半分について、毎年度、赤字国債を発行して地方交付税を手当てしている現状を踏まえると、国、地方を通じた財政資金の効率的配分につなげていくことが重要であると考えております。

 こうした点も踏まえながら、今後、年末の地方財政対策の策定に向けて総務省と十分に協議をしてまいりたい、このような考え方でございます。

吉川(元)委員 ちょっと驚きましたが、地方財政を確保するために赤字国債を発行しているんですか。違うでしょう。

 地方交付税法を読まれたことがありますか。六条の三の二項。地方財政をきちんと支えるというのは国の責務であって、そこに、六条で、まず最初に、法定率、先ほどお話がありましたが、三三・一とかいろいろ決まっています。六条の三の二項では、不足する場合には法定率を上げろ、あるいは財政制度等々を含めて対応せよと書いてあるわけです。どこに赤字国債を充てろなんて書いてあるんですか。

今枝大臣政務官 お答えいたします。

 地方の安定的な財政運営は、国の安定的な財政運営を基礎に成り立つというふうに考えておりますけれども、国の財政は、現在、長期的な債務残高が八百九十八兆円に達し、さらなる累増が見込まれるなど、極めて厳しい状況がございます。この中で、法定率の引き上げは困難と考えております。

 近年、地方団体の基金残高の増加が続いている中で、国、地方を通じた財政資金の効率的配分につなげていくことが重要であると考えておりまして、年末の地方財政対策の策定に向けて総務省とよくよく協議をしてまいりたいというのが財務省の姿勢でございます。

吉川(元)委員 今枝政務官、私が聞いたのは、赤字国債を充てているんですか。違うでしょう。

 これは政務官だけのお話ではなくて、実際に建議の中でも、「毎年度、赤字国債を発行して地方交付税を措置している現状を踏まえれば、」と。

 交付税法のどこに赤字国債の、例えば六条の最初のところで赤字国債のうち一〇%を地方に充てると書いてあればまだわかりますけれども、そんなことは一言も書いていないじゃないですか。どこに赤字国債を充てているんですか。もう一回きちんと説明してください。

今枝大臣政務官 お答えをいたします。

 地方交付税総額の算定において、地方財政計画で見込んだ歳出歳入ギャップがございますけれども、これを埋めるべく、さらに、法定率分に加えて、赤字国債による特例加算などにより交付税が手当てをされております。

 毎年度、赤字国債を発行して地方交付税を措置していると私が先ほど申し上げたのは、この部分を意味しております。

吉川(元)委員 では、ちょっと総務省に伺います。余り時間がないので、端的にお答えいただきたいんですけれども、いわゆる折半ルールに基づく臨財債、これは交付税法でいうとどの条文に当たることなんでしょうか。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 今の国の方の特例加算とそれから地方が負担をします臨財債の部分につきましては、附則の第四条及び第六条の二で規定が行われております。

吉川(元)委員 つまり、赤字国債を充てるなんてどこにも書いていないんですよ。そういう認識、何か非常に粗雑な議論を財務省はされていて、それこそ、印象操作という言葉がよく使われますけれども、まるで印象操作するような議論というのはやめるべきだと思います。

 非常に私は残念なんですけれども、今枝政務官、いわゆる議員のプロフィールとか書いたものを見ますと、その中に、こんなふうに書かれています。中央集権ではなく、権限や財源を地方に移すべきだと主張すると。その方が、今のような粗雑な議論で地方の交付税を減らすなんという方向性で議論されるということは、私は非常におかしいというふうに思います。

 今の議論を聞いて、大臣はどのようにお感じですか。

野田国務大臣 地方の財源不足については、先ほどお話がありましたように、本来、地方交付税の法定率の引き上げなどにより対応することが望ましいわけであります。

 しかし今、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えていることなどから、財源不足額については、折半分について、国は一般会計からの特別加算により地方交付税を増額し、地方は臨時財政対策債を発行することにより対処しています。

 このように、各地方団体は、赤字地方債である臨時財政対策債を発行せざるを得ない状況の中で、行革や経費節減に努めながら、将来に備え、基金を積み立てているところです。

 したがって、国の特例加算のみを強調して基金の増加を議論することは建設的ではないと思います。

 なお、国、地方とも厳しい財政状況でありますから、法定率の引き上げは容易でないと考えていますが、引き続き、粘り強く主張し、政府部内で十分に議論をしていきたいと思います。

吉川(元)委員 本来であれば、国の責務として法定率を上げなきゃいけないんですよ。それが上げられないから、苦肉の策として、いわゆる折半ルールも含めて行われている。それを、まるで赤字国債を発行して面倒を見てやっているんだというその財務省の姿勢というのは、私はおかしいというふうに言わざるを得ません。

 もう余り時間がないので、次、総務大臣にもう一点お聞きいたしますけれども、いわゆる地方財政の規模について、二〇一八年度まで、二〇一五年度地財計画の水準を下回らないよう実質的同水準を確保するという同水準ルール、これは二〇一八年度で終わります。それ以降の財政規模について、一般歳出の規模についてどのように考えておられるのか。

 先ほども言いましたとおり、毎年のように災害は発生をいたしますし、それから、少子高齢化、生産年齢人口の減少、そういう中で、医療や介護、地方自治体が担わなければいけない業務というのはこれからますますふえていきます。私は、同水準ではなくてふやしていかなければいけない、そういうふうな地方自治体の現状があるというふうに思いますけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 これまでのことはお話しされたとおりなので、先のことを申し上げたいと思いますが、二〇一九年度以降の地方の一般財源総額のあり方については、集中改革期間後に、どのように経済・財政一体改革を進めていくのかを今後議論する中で検討されるものだと私は考えています。

 その際には、地方団体が、今お話があったように、必要な行政サービスをしっかり提供しつつ、安定的な財政運営を行っていけるよう、地方が自由に使える一般財源総額をしっかり確保していきたいと思っています。

吉川(元)委員 今回、これは大分だけじゃなくて全国どこもそうだと思うんですけれども、大きな災害が起こると、まずはお金、財政の問題もありますけれども、同時に、いわゆる自治体の職員の数が物すごく減らされていて、災害対応が十分に、まあ、それでも懸命にやっているんです。ほとんどもう寝る時間もなくやっていますし、全国から応援が来るといいますけれども、これも先ほどどなたか指摘されていたと思いますが、応援を出す方ももう目いっぱい。今回みたいに、大分で、七月に北部九州で発生をして、今度二カ月後に県南の方で大きな災害が起こると、もう県の中だけでは対応ができない、そういう状況になっています。

 ですから、人をこの間ずっと減らし続けてきた結果として、対応できないような今自治体体制になっている。そういうことも踏まえれば、これまでの地方行革ということでずっとやってきたことも含めてもう一度検討し直して、きちんとした公共サービス、また、災害が起こったときの迅速な対応、こうしたことができるような、そういうものをしっかりと総務省として今後の計画といいますか考え方の中に反映させていただきたいということをお願いしたいと思います。

 最後、時間がありませんので、一点。

 いわゆる給与法、きょう本会議で参議院に送られました。今国会の中で恐らく国家公務員の給与法は成立するのだろうというふうに思いますが、地方公務員の給与について二点ほどお伺いしたいと思います。

 一つは、国家公務員の場合は人勧に基づいて、人事院勧告に基づいて行われておりますが、地方については、自治体の人事委員会、これが勧告を行って、地方の自主性、独立性を担保して、その中できちんと条例を改正して行っていくということだろうと思います。この原則というのはやはり私はきちんと守っていかなければいけないということが一点。

 それからもう一点は、今回退職金の引き下げがあります。退職金というのは、三十年、四十年働いてその後もらうものですから、当然人生設計の中に深く組み込まれているものです。今回削減額は前回に比べるとそれほど大きくはありませんけれども、ただ、やはり職員の納得性というのは不可欠だ、そういう意味でいいますと、地方自治体における職員団体との十分な協議、これが必要だというふうに考えますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の給与については、人事院勧告どおり、本年度の給与改定を行う法律案とともに、退職手当について、平成三十年一月一日から支給水準の引き下げを行う法律案を御審議いただいているところでございます。

 これを踏まえ、地方公務員給与改定及び退職手当の引き下げについて、各地方公共団体において地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応することなどについて各地方公共団体に要請する通知を平成二十九年十一月十七日付で発出いたしました。

 これを受け、各地方公共団体においては、人事委員会勧告の内容や職員団体との交渉等を踏まえ、議会に条例改正案を提出するものと認識しております。

 地方公務員の給与については、地方公務員法の趣旨を踏まえ、各地方公共団体の議会において条例で定められるものであります。

 退職手当については、勤続報償を基本的性格とするものですが、その見直しについては退職後の職員の生活設計に大きな影響を及ぼすことから、各地方公共団体において、職員への十分な周知を図りつつ、職員の理解と納得を得ながら円滑に制度改正が行われることが重要と考えています。

 また、職員団体の意見を聴取することも重要であると考えております。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十四分散会


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