衆議院

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第7号 平成30年4月5日(木曜日)

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平成三十年四月五日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井上 信治君 理事 池田 道孝君

   理事 橘 慶一郎君 理事 原田 憲治君

   理事 務台 俊介君 理事 武内 則男君

   理事 奥野総一郎君 理事 高木 陽介君

      安藤  裕君    井林 辰憲君

      小倉 將信君    大西 英男君

      金子万寿夫君    菅家 一郎君

      木村 次郎君    小林 史明君

      左藤  章君    佐藤 明男君

      新藤 義孝君    谷  公一君

      冨樫 博之君    中村 裕之君

      中山 展宏君    鳩山 二郎君

      百武 公親君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      岡島 一正君    高井 崇志君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      井上 一徳君    小川 淳也君

      小熊 慎司君    寺田  学君

      太田 昌孝君    原口 一博君

      本村 伸子君    丸山 穂高君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         野田 聖子君

   総務大臣政務官      小倉 將信君

   総務大臣政務官      小林 史明君

   外務大臣政務官      岡本 三成君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  三角 育生君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           林  幸宏君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           吉田 眞人君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       巻口 英司君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            渡辺 克也君

   政府参考人

   (総務省政策統括官)   谷脇 康彦君

   政府参考人

   (消防庁次長)      緒方 俊則君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   富山 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           前田 泰宏君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           小波  功君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        石川  武君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          諫山  親君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          小方 憲治君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     百武 公親君

  山口 俊一君     安藤  裕君

  井上 一徳君     小熊 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     中山 展宏君

  百武 公親君     木村 次郎君

  小熊 慎司君     井上 一徳君

同日

 辞任         補欠選任

  中山 展宏君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     山口 俊一君

    ―――――――――――――

四月四日

 電気通信事業法及び国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長上田良一君、日本放送協会専務理事木田幸紀君、日本放送協会専務理事坂本忠宣君、日本郵政株式会社常務執行役諫山親君及び日本郵政株式会社常務執行役小方憲治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官三角育生君、内閣府規制改革推進室次長林幸宏君、総務省大臣官房総括審議官吉田眞人君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長山崎重孝君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治税務局長内藤尚志君、情報流通行政局長山田真貴子君、情報流通行政局郵政行政部長巻口英司君、総合通信基盤局長渡辺克也君、政策統括官谷脇康彦君、消防庁次長緒方俊則君、財務省理財局次長富山一成君、経済産業省大臣官房審議官前田泰宏君、防衛省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官小波功君及び防衛装備庁プロジェクト管理部長石川武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、放送事業の見直しについて、まず質問させていただきたいと思います。

 この一、二週間、規制改革会議におきまして放送事業の見直しをしているということで報道がなされてまいりました。その点につきまして、特に民放連を始め放送事業者の方から懸念の声が上がっております。内容については、これまでもこの委員会等で質疑がございましたが、なかなか幅広い議論をしていて細かいことまでやっていないというような御答弁でございましたけれども、ここで改めて確認をさせていただきたいと思います。

 この規制改革会議のワーキンググループの議論につきまして、検討課題、これはどのようなものなのか、又は結論の時期、これをどのように考えているのか、又は当事者、まさにこの放送事業の当事者に対してヒアリングがなされているのか、また、していくのか、こういった点について、まずは御答弁をお願いいたします。

林政府参考人 お答えいたします。

 昨年十一月二十九日の規制改革推進に関する第二次答申において、放送事業の未来像を見据えて、放送用に割り当てられている周波数の有効活用などにつき検討を行うと提言し、閣議決定されております。これを踏まえ、規制改革推進会議では、放送事業の未来像を見据えて検討を行うため、対象範囲をあらかじめ絞ることなく、さまざまな関係者からヒアリングを行っております。

 また、会議においては、現時点で改革の方向性について決めているものではなく、ヒアリング日程が決まっているわけではございませんけれども、これまでの議論を踏まえれば、総務省や放送事業者にもお越しいただいてヒアリングする必要があるのではないかと考えております。

 いずれにしましても、本年夏に予定されております答申に向けて、会議で改革の方針について検討されるものと承知しております。

高木(陽)委員 六月にこの答申が出る。成長戦略含めて、また骨太の方針等含めて閣議決定をしますが、これは、その後どう展開するかはちょっとわからないんですけれども、閣議決定をする場合には、与党の場合には事前の審査をさせていただきます。それが、答申が出ました、さあ一週間後に閣議決定です、こういうような形でもし与党に提示された場合でも、これは議論が深まることはできないと思うんですね。

 ですから、私は早目に、そういう答申が出る前の段階でも、しっかりとしたこういう方向性である、中間報告ではないですけれども、出すべきであろうな、このようにも考えておりますが、その点はいかがでしょうか。

林政府参考人 お答えいたします。

 規制改革会議は基本的にオープンな会議でございまして、会議での論点だとか資料だとか議事録とか、議事要旨ですか、議事要旨についても、いずれも公開をホームページ等でさせていただいております。そういったところで今後の議論をつぶさに見ていけば、どのような議論がなされるのかということがわかるのではないかと思っております。

高木(陽)委員 前回のこの総務委員会で希望の党の奥野委員から同じような質問がありまして、議事録が出ている。私もこの分厚い議事録を読まさせていただきました。これをいろいろと、幅広い部分もありますけれども、まさに放送の、放送法四条の問題を含めまして、方向性はかなり出ているのではないかな、そんな気もいたしました。

 一方で、これも新聞各紙、具体的な今規制改革会議が目指そうとしているその内容について、例えば四条の撤廃ですとか、そういったことが報道されています。しかし、これまでのこの委員会また予算委員会の議論を聞きますと、幅広い議論をしていると言いますが、なぜメディアがそういう具体的な内容を書いているのか。ペーパーが出ているわけですね。

 放送事業の大胆な見直しに向けた改革方針、目指すべきゴール、通信、放送の垣根を越えた伝送インフラのもと、多様なコンテンツ制作事業者が競いながら、良質で魅力的なコンテンツ、番組を消費者に提供できる事業環境を創造し、国民共有財産である電波を有効活用。これは全般的な意見としては結構だと思うんです。

 さらに、その改革の進め方で、例えば、通信と放送で異なる規制、制度の一本化、そこには、放送のみに課せられている規制、放送法第四条等の撤廃、又は、放送のソフト、ハード分離を徹底し、ソフト部門において独立系も含めた多様なコンテンツ制作事業者等の参入を促す、NHKの取扱い、公共放送から公共メディアへ、同時配信などネット活用を本格化、放送内容に関する規律は維持。こういうのが書かれている。

 こういうペーパーをベースにして、メディアはこの報道をしているわけですね。

 さらに、通信・放送改革のロードマップ、そういう資料がございまして、それを見ますと、例えば、NHK等の問題に関しましても、ここは、NHK以外の放送は要らないみたいな内容も書かれている。

 これは規制改革会議にレクチャーを受けまして確認すると、そういうペーパーはつくっていないと、つくっていない。つくっていないけれども、ちまたにもう出ている。ここが一番問題なんですね。つくっているならば、これははっきりと提示をして議論を深めた方がいいと思うんです。

 いろいろな意見があると思うんです。例えば、規制改革会議の場合には、経済の側面から見ている。これはこれでいいと思うんですね。

 ただ、放送というのは、戦後、この放送法に基づいて行われてきた。ある意味でいうと、言論、表現の自由、さらには民主主義の根幹をなす部分を担ってきたのは事実であると思います。そういった点についての議論というのは、ある意味でいうと、この議事録を読むと、余りなされていない。

 経済的な効率、そういったものは議論されていますけれども、大切なことは、その部分を否定するものではありません。一方で、歴史的に放送の果たしてきた役割、今後また果たしていくであろう役割というのも、しっかりと議論を踏まえて、その上で初めて放送法をどうするかという議論にならないと、これはまた大変な問題になるのではないかなというふうに思いますが、その点について規制改革会議はどのようにお考えか。

林政府参考人 お答えいたします。

 ソサエティー五・〇の実現に向けて、そのインフラである電波の有効活用を図ることが重要であり、こうした観点から、規制改革推進に関する第二次答申において、放送事業の未来像を見据えて、放送用に割り当てられている周波数の有効活用などについて検討を行うと提言し、閣議決定されたところでございます。

 一方、放送をめぐる規制改革の検討に当たっては、委員御指摘の公益性や文化の観点を含めて幅広く議論する観点から、規制改革推進会議では、対象範囲をあらかじめ絞ることなく、さまざまな関係者からヒアリングをしているものと承知しております。

 規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループでは、例えば、第十五回の会合で上智大学の音好宏教授から、放送が地方創生に寄与した事例などについて、第十八回会合において東京大学宍戸教授から、国民の知る権利の増進とメディアの役割と産業振興との両立の視点などについて、それぞれヒアリングをしております。

 いずれにしても、今後とも幅広く関係者からヒアリングをして、今後、これらの議論を踏まえて、会議で改革の方針については検討されるものと承知しております。

高木(陽)委員 役所だからそういう答弁しかできないのはわかるんですけれども、私の言っていることは、先ほど言ったように、もっと幅広い、放送というのは何ぞやというところの観点が必要なのではないかなということを申し上げているわけですね。

 規制改革会議というのは、これはこれで、まさに規制を改革しよう、撤廃していこう、そういう自由化の中で競争を促進してよりよいものをつくっていこう、この考え方はこの考え方であると思うんです。それじゃなくて、それ以外の視点というのがあるんだよということをちょっと指摘しておきたいと思います。

 これはちょっと総務省の方にもお伺いしたいんですが、放送法四条というのが、これが今議論になっている。

 その中で、特に政治的公平、これは大変重要なものであると思いますが、これって一体誰が判断するのか。又は、その四条の中の他の三項目、例えば、公安、善良な風俗を害しないという公序良俗の問題。又は、報道は事実を曲げないでする、当たり前なんですけれども、そういう規定がある。又は、意見が対立している問題では、多様な意見、それをしっかりと放送していかなければいけないということで規定されておりますが、これが果たしてきた役割についてどのように認識をしているか、まずお伺いしたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、放送法第四条第一項第二号の規定により、放送事業者は、番組の編集に当たり、政治的に公平であることが求められております。政治的に公平であることとは、政治的な問題を取り扱う放送番組の編集に当たりまして、不偏不党の立場から、特定の政治的見解に偏ることなく、バランスのとれたものであるということと解してまいったところでございます。

 放送法は、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、放送事業者はみずからの責任において放送番組を編集する立場にございますので、政治的公平性を確保しているか否かについても、まずは放送事業者みずからが判断するべきものと考えております。

 また、政治的公平性のほか、先生御指摘のとおり、四条におきましては、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という各号が定められていると承知しておりまして、放送事業者は、四条を含めた放送法の枠組みの中で、自主自律によりまして放送番組を編集することによって社会的な役割を果たしてきていただいたものと認識をしているところでございます。

高木(陽)委員 今、山田局長からは、放送の自主自律という言葉が出ました。まさに放送事業者が自主的にまた自律的にとり行っていく。そういった意味では、BPOというのができました。まさに番組の内容について自分たちでしっかり検証していこう、これはすごい大切なことであると思いますが、このBPOの行う自律的な仕組み、これに対する評価はどう考えていますか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 BPO、正式名称、放送倫理・番組向上機関でございますが、は、正確な放送への寄与等を目的といたしまして、二〇〇三年七月に、NHK及び民放連が自主的に設立したものでございます。

 その活動も、放送事業者による自律的な取組の一環として行われてきているものでございまして、総務省としてのコメントは差し控えさせていただきます。

高木(陽)委員 コメントは、今、差し控えさせていただきますという答弁でしたが、私、これを評価しているんですね。

 どういうことかというと、この放送法の四条を含めまして、これの取扱いについて、これは学説が分かれているんですけれども、大半の学者の皆さん方も含めて、これは倫理規定であると。一方で、これは法的な拘束力があるんだということで、これに基づいて、前の大臣は、電波を停波する、こういった発言もありました。私、これはちょっと違うんじゃないかなと。

 ある意味でいいますと、自分たちでしっかりとそれを律していけるからこそ、この信頼をかち得るということができる。誰かに何かチェックしてもらわないと、これが事実の報道なのかどうか、これが問われてしまうような報道は、やはり国民の信頼をかち得ることができないと思うんです。だからこそ、じゃ、今の放送が、NHK又は民放連の各事業者、これが全てすばらしいかというと、私は結構疑問もある。

 例えば、バランスの問題で、報道と娯楽と教養、こういった問題をバランスよくやるというのも放送法に書かれている。じゃ、これが本当にバランスがいいかというと、どうなのかなというふうに疑問を呈しますが、これ以上言うと、私も、国会議員として、また与党の議員として、その権力を持っている人間が逆にそれに介入する話になる。これも、やはり放送事業者が自律的に考えていただきたい問題だろうなと。

 そういった中で、こういう自律的な取組、これをやっていくんですけれども、でも、この四条があることによって、やはりそれを担保しているという問題があったと思います。そういう中において、例えば、事実に基づかない放送をした場合には、自分たちでこれをちゃんと認定をしてやっているこのBPOですが、これについて、その四条の役割、これはどのように捉えていますか。

山田政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど、BPOに関しまして、放送倫理・番組向上機関と申し上げましたが、放送倫理・番組向上機構でございました。大変失礼いたしました。

 今の御質問でございます。

 放送法第四条第一項の番組準則のうち、「報道は事実をまげないですること。」という規定は、放送による報道の社会的影響力に鑑みまして、虚偽の放送を行うことを禁止する趣旨で設けられたものでございまして、報道は、ニュースなど社会的事象を事実として伝える番組を指すというふうに解されているところでございます。

 一般論として申し上げますと、放送事業者は、放送法第四条の番組準則を含めた放送法の枠組みの中で放送番組を編集することによって、重要な役割を果たしてきたと認識しているところでございます。

高木(陽)委員 事実に基づかない、まさにフェークニュースがいいのかどうか、悪いに決まっているわけですけれども。

 そういった中で、もし放送法四条がなくなった場合、又は、通信と放送の融合というのがもう長年議論されてまいりまして、まさに垣根がなくなっているという、この問題はこの問題で、しっかりと議論を詰めていかなきゃいけない。これを否定するものではありません。その一方で、通信の方には、又はネット放送にはそういった規制がない。そこに合わせていいんだろうかという問題なんですね。

 やはり民主主義をある意味じゃ守り抜いていくためには、その事実というもの、事実の報道というものをベースにしてやっていかなければいけないのに、その四条がなくなった場合、又は、ネット放送が今規制がないんだから、そこに合わせるという感覚でやった場合には、じゃ、どうなるか。

 アメリカでフェアネスドクトリンがなくなった。それによって、それぞれ主張がありますから、保守的な論調の番組、一方でリベラルな論調の番組、それはそれでいいでしょう。それを見て満足する方もいる。それも否定しない。しかし、それによってアメリカがどうなったかというと、分断が起きたわけですね、やはり極端な論調だけが先走ってしまって。やはり、民主主義というのは多様性を認めるというところから始まるわけですから。

 そうなりますと、これは自分自身が、例えば、僕は与党の議員、権力の側ですね。権力の側というのは批判の対象になるんです、そもそも。だから、批判を受けた場合に、それにむきになって反論するんではなくて、まず一旦それを受けとめて、それはどうなのか、そういう懐の深さが僕はなきゃいけない、これは野党もそうだと思うんです。政治というのは、そういう中で行われている。

 そういう観点からいうと、やはりその中庸な部分、さまざまな、極端な主張も、いけないということはあってもいいんですけれども、それを多様化した中で、ちゃんと国民が知る権利を行使できる、そういう流れが必要なんではないかな、それが民主主義の本来の発展していくインフラではないかな、このようにも考えています。

 そんな中で、また、規制改革会議の方にちょっと聞きたいんですが、放送に関する施策、先ほども少し申し上げました。規制改革会議というのは、産業政策として議論しているんですね、産業政策として。これは否定するものではないんですが、果たしてそれだけでいいのかどうか。

 又は、放送には公益性、又は、この戦後七十年間、その前はラジオの、戦前は文化でしたけれども、そういったものの中での文化という観点、こういった視点での議論が必要ではないかと思いますが、その点どのようにお考えか、もう一度お伺いしたいと思います。

林政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、規制改革会議では、ソサエティー五・〇の実現に向けて、そのインフラである電波の有効活用を図ることが重要であって、そうした観点から、放送用に割り当てられた周波数の有効活用などについて放送事業の未来像を見据えて検討を行うということで、この検討が開始されているところでございます。

 一方で、公益性や文化の観点というところも幅広く議論していく必要があるというふうな御指摘は、全くおっしゃるとおりだと思っておりまして、規制改革推進会議においても、そうした認識のもとで幅広く議論していく必要があるのではないかというふうなことの認識を共有しているのではないかと考えております。

 いずれにしても、今後、幅広く、さまざまな視点を踏まえて、議論を深めてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今、幅広くと言っていただきました。

 そうなりますと、今報道でなされているような観点、それは一つの考え方かもしれない。しかしながら、そこには、先ほど申し上げた経済政策としての議論がずっと来た。いよいよここから、まさに、民主主義とは何ぞや、また、それに資する放送とは何ぞや、そういった観点という議論がなされるということですね。それでいいんですね。

林政府参考人 規制改革推進会議の運営については規制改革会議の委員の先生方にお決めいただくことでございますけれども、今後とも幅広く関係者からヒアリングをするという方針は共有されているのではないかと考えております。

高木(陽)委員 規制改革会議の委員の人たちは、そういった、ある意味、産業政策に通じる人たちですから、そこで議論を進める。

 問題は、では、今までの放送の文化ですとか、民主主義だとか、表現の自由だとか、そういう民主主義の基本的なインフラの部分をその人たちだけで議論できるかというと、なかなかそうじゃないなと思うんですね。

 そうなりますと、規制改革会議の意見が出た、これはこれで結構ですよ。問題は、そこから更に深めていくということが大事。それには、当事者である放送の事業者、又は、それを受けている視聴者、そういったさまざまな議論があって初めて放送法というのを改正するというのが、国民のためになるのか。これは事業者のための放送法じゃないんですね。国民にとって利益がある放送法でなければいけないわけです。

 それは、新たなネット事業者が参入しやすい、そこで競争していいコンテンツができる、そういう観点があるかもしれないけれども、その事業者のためだけに民主主義は壊しちゃいけないんです。そういうところをしっかり認識しないと、これは大変誤った考え方になるのではないかなということを指摘をさせていただきたい。

 そういった中で、ちょっと大臣にお伺いしたいのは、今ずっと、民主主義のインフラである、一条にはそのことが書かれてあるわけです、放送法の。この理念としての役割、これを大臣、政治家としてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 今の放送法第一条ですが、放送法の掲げる原則として、「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」を掲げています。

 また、放送法は、憲法第二十一条により保障された表現の自由を踏まえて、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」としており、これを踏まえ、放送事業者による番組編集に関し、自主自律を基本的な枠組みとする規律を設けております。

 このように、放送事業者は、表現の自由を確保すること等を目的とする放送法の関連規定に基づいて報道機関として活動することにより、重要な社会的役割を果たしてきたと認識しています。

高木(陽)委員 なかなか大臣、お立場としては、突っ込んだ答弁しづらい部分かと思うんですが、やはり私たち政治家は、先ほど申し上げました、特に政権側、政府もそうですし、私たち与党の議員もそう、権力を握っているわけです。だから、そこら辺のところは抑制的にやらなければいけないというのは当然のことで、これは、野党の議員の皆さん方も、先ほど申し上げました、野党だから何でもやっていいという話じゃなくて、これもお互い権力、国会議員としての権力を持っている。私たち、権力を国民の皆様方から委ねていただいている者として見れば、自分に都合の悪いことほど、これは謙虚に受けとめなければいけないと思うんですよね。

 そういった中で、先ほどフェークニュース、いわゆる事実に基づかない、こういうような話をしましたが、実は、私も議員になる前は新聞記者をやっておりまして、事実と真実とは何かとずっと考えてきました。これは議員になってからもそうです。

 それは、どういうことかというと、報道は事実を報道する、当然なんですけれども。でも、じゃ、事実が全ての真実をあらわしているかというと、なかなか違う。例えば目の不自由な方がこのコップを表現する場合、手でさわりながら、冷たい、これは事実ですね。指を入れた場合、ぬれている、これも事実ですね。そういう事実を積み重ねたからといって、全てこのコップの中のものを表現できるかというと、そうではない。だからこそ、多様な事実、さまざまな側面から報道されるということが大切なんですね。

 これは今、大変、私は、個人の意見で、不幸だなと思うのは、在京六紙のメディアが、新聞ですね、これはかなり対立をしている。よく言われる、朝日、毎日、東京新聞対大手町三社と言われる読売、産経、日経。例えば、安保法制の問題や、さまざまな政策で賛否が分かれる。これはこれで結構なんですけれども、それがだんだん極論してくると、いわゆる、そのそれぞれの立場だけの話がずっと報道、全てじゃないんですけれども、多くなってくる。そうなると、国民は、もっと幅広い、もちろん、右の意見もあるし、左の意見もあるね、でも、真ん中はこういう感じだね、そういう中で国民がさまざまな判断を下せるというのが、これは民主主義にとって大変重要なことだと思うんです。

 そうなりますと、この報道という部分、放送も報道を担っていただいていて、問題は、競争をしてコンテンツをやる、ところが、競争すればコンテンツはすばらしくなるかというと、見てもらう、特に今テレビ各局は視聴率競争である。特に民放はスポンサーの問題がありますから、視聴率が高い方が、スポンサーの、いわゆる広告料が、単価が高くなるということで頑張るわけですね。そうなると、そういう利害を超えて、民主主義の基盤としての事実を多角的に多様に広げていく、こういうことよりも、受ける、見てもらえる、見てもらえるものが全て、そういう、民主主義にとってプラスかどうかは別なんですね。

 だから、ここは、その放送法四条を、しっかりと自律的に、権力がそれを盾にとってどうのこうのと言うのではなくて、まさに自分たちが、これは放送事業者がしっかり考えてもらいたい、こういうことを申し上げるとともに、そのためには、先ほど申し上げた通信の基準のないところと放送の基準のあるところをどこで合わせるか。足して二で割るという話じゃないです、これは。

 それで、規制がなくなると、これはこれで、そういった自律的なところがなくなるわけですね。そうなりますと、これは国民にとって、まさに民主主義の基盤である多様な意見というものを知るということが不可能になってくる。不可能とは言わないまでも、やりづらくなってくる。この方が僕は問題なのではないかなと。そこのところをよくよく考えながら議論をしなければいけないと思います。

 先ほどから申し上げておりますが、規制改革会議というのは、まさに、産業政策、経済の活性化、ソサエティー何とかという言い方で、それはそれでやっていただいていいんです、それはそれでしっかり議論する。

 でも、それで、規制改革会議の答申が出たから、じゃ、これで法律をつくるよ、じゃ、総務省がつくれ、こういう話じゃないんですよ。そこからまた議論が始まるんです、本当は。そうじゃないと、これは、この日本の、戦後七十年、もっと言えば明治維新以降、近代国家になって、民主主義という概念、これは日本だけじゃありません、フランス革命以来、さまざまな形で民主主義とはということが問われ続けてきたこの歴史の中で、これを崩していく。

 だから、先ほど、アメリカで、フェアネスドクトリンがなくなってどうなったかというと、テレビに対する信頼というのは三割になってしまった、国民が信用しないテレビになってしまった。果たしてこれがいいのかどうかということ。これは、与党も野党も関係ありません。ここはしっかりと、私たちが、その民主主義を体現する国会議員として、認識をしながら、そしてこの議論を進めていかなければいけない、そういうことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 希望の党の小熊慎司です。

 高木先生の御高説を賜った後に、非常に恐縮ではありますが、質問をさせていただきます。

 まず、在外選挙制度について、昨年の衆議院選挙でも、これは新しい制度でありますが、在外邦人が全て投票にかかわるということではありません、登録制度です。十万人程度ぐらいしか今いないわけであります。国民の大事な権利ということでこの選挙制度が始まっていながらも、これを利用してくださる方が、登録してくださる方が少ないという現状、これは、まず登録人をふやしていかなきゃいけないという現況があります。

 まず、この登録人をふやしていく、向上させていくということについてどのような対策をとっているのか、お聞きいたします。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御指摘がありましたとおり、国外においては、在外邦人の動向を正確に把握するという方法がございませんため、申請主義によって在外選挙人名簿に登録するということとなっております。

 このため、従来から、在外選挙制度の周知、あるいは在外選挙人名簿への登録の促進を図るため、制度概要やあるいは申請についての方法など、これはホームページやビラなどによりまして啓発をしてまいりました。

 また、在外選挙人名簿の登録には、外国の領事館の管轄区域内に引き続き三カ月以上住所を有しないというような要件がございます。それで、その三カ月が過ぎた後に登録申請をするということとなっておりましたが、平成十八年の公選法の改正によりまして、三カ月の経過前でも登録申請はできる、登録は三カ月後でございますというような改正を行ってまいりました。

 それで、御指摘のあったとおり、近年の在外選挙人名簿登録者数は約十万人となっております。

 このような中、総務省に置いております投票環境の向上方策等に関する研究会が、平成二十八年九月の報告におきまして、在外選挙人名簿登録の利便性向上に関しまして、申請のための負担軽減、投票機会の確保に関する観点から、最終住所地の選挙人名簿に登録されている者がその市町村から直接国外に転出する場合には、転出届と同時に当該市町村の窓口で在外選挙人名簿の登録申請を行うことを可能とし、国外に住所を有することが確認できれば、速やかに在外選挙人名簿に登録をさせるようにすることがいいということで提言を受けました。

 これを受けまして、平成二十八年の公職選挙法の改正によりまして、最終住所地の市町村の選挙人名簿に登録されている者は、国外転出時に、当該市町村の選挙管理委員会に対して登録の移転の申請、出国時に申請するものでございますけれども、移転ということで、これまで三カ月の住所要件あるいは資格審査などに時間を要していたというものを省略することによって登録しやすくするということとなっております。

 これは本年六月一日までに施行することとなっておりまして、総務省としては、その出国時申請の施行に備えまして、各選挙管理委員会に対して、制度の円滑な運用に向けて、あらかじめ転出届の届出先となる住基部局とも十分に協力するよう通知するなど、必要な準備を進めております。

 あわせて、今回の制度改正を周知するため、チラシ等を作成し、都道府県、市町村に配布するとともに、外務省、文科省とも連携しまして、海外に駐在する駐在員を派遣している企業あるいは大学への働きかけなどを行うなどしまして、国内外に向け周知啓発を図っていくことを検討しておりまして、在外選挙人名簿の登録の促進がされるように取り組んでまいりたいと考えております。

小熊委員 では、野田聖子総務大臣にお聞きをいたしますが、これはだから、十万人程度なんですけれども、今言ったように、努力をし、新たな形になるということでありますが、意識的に登録している人にもかかわらず、結局選挙では二割ぐらいしか投票しないんですよ。一番低いと言われている若い世代よりも低いんです。

 これは何でかといえば、投票のしにくさがあります。三つ方法があります。この在外邦人の投票の仕方は、在外公館に行ってやる、郵便投票でやる、あと、たまたま国内に帰ってきたときに国内でやるというのがあるんですけれども、いずれも、在外公館まで、そんなの世界じゅうどこらでもあるわけじゃなくて、これは限られたところにしかない、行くまで大変。郵便も、これは手続がいろいろあってタイムラグが生まれて間に合わないとか、いろいろあるんですね。そういう意味では、これは、しやすさをちゃんとやらなきゃいけない。

 これは在外公館のことですから、先週の金曜日に外務委員会で河野大臣と質疑をしました。そうしたら、大臣そのものが答弁に立っていただいて、部長もいらしていたからわかるとおりですけれども、結構踏み込んだことを言ったんですね。今の登録に関しても、転出するときに自動になるぐらいじゃなきゃだめなんだと。あと投票に関しても、インターネット投票、これは次の総選挙ぐらいから、ことし解散しちゃったら間に合わないんですけれども、次の総選挙ぐらいからやるぐらいの思いで取り組んでいきたい、野田大臣と議論していきたいと。これは、インターネット投票、あと、自動的に、転出届、やった場合に登録をされる。自動登録です、申請主義ではなくて。ここをやっていきたいという答弁をされました、先週、河野大臣が。

 この件に関してはまだ河野大臣とは議論はされていないとは思いますが、大臣はこういった河野大臣の見解についてはどう思われますか。

野田国務大臣 お答えします。

 投票率が低下傾向にある中、海外居住者などの、投票しにくい状況下にある有権者の投票環境を向上させていくことは大変重要なことだと思っています。そのため、昨年末、私の方から事務方に対して、有識者研究会において議論を行うよう指示をしたところです。

 現在、投票環境の向上方策等に関する研究会において、ICTや選挙制度を専門にされている有識者、選挙事務に精通した実務者等に御参加をいただきまして、ICTの活用などによる、こうした方々の投票環境の向上に向けたさまざまな課題について議論をいただいています。

 インターネット投票については、過去の研究会の報告において、本人確認の確実な実施や投票の秘密の確保、セキュリティー対策、システムダウン対策やデータ改ざんへの対応、事後的な投票内容の検証手段等について課題が指摘されるとともに、本人確認の確実な実施を前提に、在外投票等からの導入を検討すべきとの意見があったと承知しています。

 今回の研究会では、こうした論点について更に検討を深めていただくほか、議論の中では、在外選挙人名簿システムを導入していない小規模団体もある中で、二重投票防止のため、オンラインでどのように名簿対照を行うのか、想定されるリスクがどの程度あり、セキュリティーの面の対策をどの程度講ずればよいのか、そしてコスト負担はどの程度になるのかなど、更に検討すべき課題があるとの意見も出ています。

 なかなか困難な点もあるわけですけれども、これらを一つ一つしっかり詰めていくことが大切で、実現を目指して検討を進めていきたいと思っています。

 総務省としては、選挙の公正な実施を確保しつつ、海外居住者の投票環境を向上させるため、研究会における議論などを踏まえ、引き続き外務省とも連携しながら取り組んでまいります。河野大臣とはもう大分前にこの話をしまして、それによって、今回の研究会には、より一層海外の有権者に対しての取組というのをさせているところです。

小熊委員 選挙権というのは大事な権利です。先週の外務委員会でも、大泉部長は、日本国民である以上は国政選挙の選挙権を保障されている、こういう権利について、しっかりこれが行使されやすい、失われないようにということでいろいろ努力をしているということです。大臣の答弁も、その前提があるというふうに思いますが。

 一方で、次に移りますけれども、国内で失われた投票権があります。これは、大臣とも予算委員会でも、また予算委員会の分科会でもやってきましたけれども、昨年の特別国会で我が党の津村委員が予算委員会でこの話題をやったときに、これは従来から取り組んでいる議員も何人もいらっしゃいますけれども、でも、余り知らない、国会議員でも知らない場合も多いケースです。

 つまり、住民票と居住実態がずれていれば、投票権が、私はあえて言います、剥奪されるというこの現状、でも、ほとんどの市町村が調べていないから、きょう、所属されているこの総務委員のメンバーの皆さんの御地元でも、調べていない自治体がほとんどです。大臣のところも調べていないです、全てが。私のところは半分近く調べている、真面目に。

 これは、実態調査してくれと昨年から言っていたら、それは市町村の判断だからやりませんと言っていたんですよ、総務省。ところが、津村委員の予算委員会での質疑で、調査しますと言って、調査をしていただきました。

 それが、お手元の資料の、「選挙人の居住実態把握の方法等に関する調査(依頼)」でありますが、これが、まあ、やらないと言ったものをやるということで、これは一歩前進だなと思っているんですが、二枚目の「調査要領」を見ていただけば、問一、「本年の衆議院議員総選挙に関し、」と。あれだけ急な解散、また解散から公示日まで短い中で、そんな事務作業をする市町村なんかないですよ。ないんですよ。ありますか。やれませんよ。郵便出して、あなたはいますかいませんかって、返ってくる、集計する、そんな数日間でできるわけない。この聞き方が悪い。

 もちろん、選挙に関して、その都度、名簿を届けてくださいという趣旨、後ろで首、総務省の方は振っていますけれども、それはそうですよ、選挙のたびにこれを整えてくださいという通達を出していますから、それは正論ですけれども、現実としてやっているわけがないんですよ。やれないんですよ。建前と現実との差を埋められないでいる、総務省。

 結局、三枚目に、これはいろいろな報道各社も報道して、全国で三千人いるということ、これは全体像が出ていません。

 だって、私の地元で、調査票をもらったときに、四枚目が、私なりに調べた県内の状況ですけれども、私が調べたときにやっているといって、総務省がやったらやっていないって、何でだと直接聞きました、当該自治体に。

 そうしたら、衆議院選挙のときはやりませんよ、定期的にやっているんですから、そんな解散・総選挙のたびにこんなアンケートはとりませんというのが答えでした。でも、そうなのにやっていますと答えたのは、衆議院選挙のときはやっていないけれども、調査自身はやっているからやっているということで人数も挙げましたと。一〇〇%これの言葉に従って答えたところは、おもんぱからなくて、衆議院選挙のときはやっていないからやっていないで、ゼロで出しているわけです。

 だから、三千人以上いるんです、全国で。だって、私の地元で三千人いるんですから。この問題を矮小化する結果にしかならなかった。まず、この三千人という数字、総務大臣、どう思いますか。

大泉政府参考人 調査について若干補足させていただきます。

 この選挙人名簿の登録に当たりましては、どのようにやっているか、登録に遺漏がないように登録するということが求められておりますけれども、実際、住所の調査をやっているかどうかというのは、それぞれ団体によって違うということ、あるいは、それがわかったことによって、選挙人名簿から登録を抹消したり、あるいは登録しなかったりするということがばらつきがあるんじゃないかというような指摘がございまして、そこで、今回の、昨年の衆議院選挙につきましては、通知の中で、住民基本台帳部局との、住所は一つだという割には選管と住民基本台帳部局で分かれてしまっているのではないかという疑念もありまして、どのように調査をしているのかということを昨年の衆議院選挙のときに通知で、きちっと連携をとるようにというふうに助言をいたしたところであります。

 この助言に対しまして、実際どのような対応をとっているかというのを今回調査したということでございまして、居住実態の調査の実施の有無、あるいはそれを選挙人名簿に反映しているのか、それから住民基本台帳部局とどのぐらい連携しているのかということについて今回調査を行っております。

 もとより、住所の認定権限はそもそも市町村の事務でございますので、それを前提に、今回の選挙についてきちっと聞いたということでございます。

 その結果、四十団体で居住実態調査を今回実施しているということを受けとめまして、そのうち三十団体で選挙人名簿に登録しなかった、又は選挙人名簿から抹消したということが出たということでございます。

小熊委員 大臣にお聞きします。

 だから、何か建前を言っているんですけれども、そのことによって実態は出てきていないんです。答えた方も、選挙のときなんかやっていませんから。確認しました、私の地元で。総務省のこのアンケートで答えていますと言ったけれども、この際やったわけじゃないです。毎年定期的にやっているんですよ。それは、大きい自治体だったら何千人と送らなきゃいけないですから、郵便物で。返ってくる時間も必要、後追い調査をやる自治体もある。

 だから、これは本当の実態ではないです。一部でしかあらわれていません。再調査を求めたいと思いますし、定期的にやっているんですよ、選挙のたびにやっているわけじゃないです、これは。それで、失われた投票権がある。

 昨日、谷先生にも大変お世話になりましたけれども、倫選特で、福島県の県議会の特例の法案、私も提出側にならせていただきましたけれども、これは衆議院で委員会で全会一致で可決をいたしましたが、そのとき、実は通告を受けていて、ただ、時間がなくて質疑に至らなかった点、この点も実は通告を受けていました、他党の議員から。

 想定問答もあって、選挙権は国民の基本的な権利であり、投票の機会が得られるようにしていくことが重要であるから、どこにおいても投票できないという事態が生じないよう、政府においてはしっかり取り組んでいきたいという答弁の案があったわけでありますけれども、まさにこのとおりですよ。

 だって、居住実態関係なく在外投票権があるんです、国政選挙においては。地方議員の選挙は多少住居要件が入ってくるというのは、これはあると思います。でも、国民である以上は選挙権があるんです、国政選挙は、どんな場合においてだって。これを簡単な理由で剥奪をしているんです。

 もちろん、住民票と実態が一致してくださいよというのは正論ですよ。でも、調べていない自治体がほとんど、調べた自治体では大量に選挙人名簿から外される人が多い、この実態をどうしてくれるんだということです。

 総務省は、これまでのレクの中でも、住民票を移さないということに関しては過料だってあるんですという言い方をしたんですよ。努力してもらわなきゃいけないというけれども、せいぜいやっていることは、市町村においては、転出したときはちゃんと住民票を移してくださいよというのをホームページで出すぐらいですよ、各選管のホームページで。直接一人一人に言っていない。

 調査によれば、親元を離れた大学生の三分の一程度しか住民票を移していないという調査もあるわけです。これが現実ですよ。じゃ、三分の二が選挙権、若者がないのか、大学生がないのかといえば、ほとんど持っているわけです。

 こうした実態について、総務省が言う建前、正論と実態のギャップについて、大臣、どう思いますか。どうやって埋めようと思いますか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 若い人たちにしっかり選挙権を行使していただくことは大変重要だと思います。

 今お話がありました居住実態調査、確かにこの設問を見ますと、委員がおっしゃるような、厳しい、なかなかできないこともあったのかもしれませんが、ただ、この実態調査を実施したことで、全てではないけれどもいろいろな問題点がやはり見えてきたこと、サンプル調査のような形になってしまったのかもしれませんけれども、委員が御指摘されていたように、本来ならば、原則は住んでいるところがやはり選挙を行使するところだという、これは現行の選挙人名簿制度ですけれども、判例で合理性があるという、そこが一番大原則なんですけれども、さはさりながら、調査をしてみるとそういう実態がある。

 だけれども、そこで何が得られたかというと、やはり選挙管理委員会、調査をする選挙管理委員会と、そして、本来住民票を管理している住民基本台帳担当部局、この間に全く、全くとは言いませんが、十分な連携がとれていなかったという事実がわかったわけですね。それで、その結果として、住民票が残ったまま、いずれの団体の選挙人名簿にも登録されずに投票の機会が得られなかった事例があったということが、はっきり、不十分な調査とはいえ、しっかりと明るみになったわけであります。

 これからなんですけれども、大切なことは、選挙人が必ずいずれかの団体の選挙人名簿に登録されること、そして選挙権を行使できるようにすること、これが重要なんだという観点から、選挙管理委員会が居住実態について調査を行う場合には、調査の方法や時期、調査結果の取扱い等について、これまでなかったと思われますが、住民基本台帳担当部局とちゃんと連携しなさい、調整を行ってくださいということを先月末に通知をさせていただきました。

小熊委員 政令指定都市とか大きい自治体ではこんな調査、できないんですよ。居住実態を調べて選挙人から外すなんという作業はできません。あと、私の地元でも、小さい自治体ほどやっていない。そんなお金ない、そんな人がいないということです。じゃ、やっている自治体が余裕があるかといえば、余裕もないですよ。中には、手紙を出して、返ってきて、返ってこないところには訪問までして真面目に調べている自治体もある。でも、全国のほとんどがやっていない。

 まして、我々国会議員の中にも、議員宿舎にいて、選挙権が発生している息子さんや娘さんといて、東京の学校に通っているのに自分の選挙になれば地元に帰して投票させる、これは本来間違いですからね。そういう実態もあるわけですよ。間違いでしょう、それは。大臣が言ったとおり、居住実態と合わないんだから。違うんですよ。でも、それをいいと言うんだったら、僕は、地元に帰って、調べている自治体に、お金もかかるし人員もかかるから、やめた方がいいよ、こんなのと言いますよ、はっきり言って。やっている方がばかを見ているんです。

 こういうことが明らかになって、やめていっている自治体もあるのも、総務省、わかるとおりです。初めてこういうことを一年半ぐらい前の報道で知って、やめたという自治体もふえてきているんです。それに対しては何も言うすべもないし、これが実態です。現実どうですかって、できないんですよ、大臣。できない。それは、正論は吐き続けていいけれども、できないんですよ。

 やっちゃっているところとやっていないところでもうこんなに差があるわけですから。三千人ですよ、私の地元で。会津若松市では千何百人いるんですけれども、これは市会議員一人分ですよ。喜多方市だってそうです。市会議員一人分の投票権がないんですよ。数票じゃないですよ、地方議員一人分が登録を剥奪されているんです。権利を剥奪されているんです。

 これは、権利の問題です。憲法上の問題です。テクニカルの問題じゃないんですよ。正論はわかる、でもそんなの実施しているのはほとんどない。大変重いもので、もう一度、大臣、答弁お願いします。

大泉政府参考人 済みません。今の状況、委員も御指摘のとおり、住民基本台帳法それから公職選挙法、これについては、住所を認定して、そこで投票する、あるいは住民票を入れるというようなことになっておりますので、それを前提として、法制度として、それに違ったような方がいいんですよとはなかなか言うことはできません。

 それで、住所の認定は、各市町村長の権限に基づくということが前提、市町村長あるいは選管の認定に基づくということを前提にした上で、住所は生活の本拠で、一つであるということでございますので、そこの団体での内部的な整合性を図るということで解決をするというようなことも考えております。

 また……(小熊委員「わかった、はい」と呼ぶ)はい。

小熊委員 時間がないので、最後に、会津人はちょっと生真面目過ぎていつも損を、歴史上もそうですけれども、ですから、ちょっと考えたいと思いますが、ただ、これは、今言いましたけれども、一つ問題は、先ほど言った地方選挙と国政選挙の意味合いがちょっと違うのもあります、憲法上も。でも、国民である以上、国政選挙の権利があるんです。だから在外投票だってやっているわけですよ。居住実態じゃないですよね。ダブルスタンダードです、ある意味では。国外に行っている人は居住実態を問わない、国内においてはこれを問うている。

 もちろん、選挙人名簿は、地方選挙であれ、国政選挙であれ、一つのものですから、こういうふぐあいが生じますけれども、とにかく、このダブルスタンダードの問題、あとは、実際調べていない、まして、我々国会議員にもそこをスルーしている、自分たちの家族ですから。スルーしていないで生真面目にやっているところが国民の権利が奪われているという問題については、このままでは終われませんから、大臣、しっかりこれからも検討していただいて、いい落としどころを決める。

 これは、ないです、正解はないんです。正論どおりに、ただ、正論どおりにもいきません、総務省の言うとおり。だから、どこかで落としどころを決めなきゃいけない。これは、各党の皆さんにも、この問題は大事な国民の権利の問題でありますので、憲法上の問題でもありますので、ぜひ各党の中でも議論していただいて、いい結論を出していただきたいというふうに申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 きょうは、お忙しい中、NHK会長に来ていただきまして、ありがとうございます。

 三月二十九日の参議院の総務委員会で、山下委員から、NHKの内部告発ということで、森友問題についてNHKの幹部が、トップニュースで伝えるな、放送の尺は三分以内にしろ、昭恵夫人の映像は使うな、それから前川前文科次官の講演問題と連続して伝えるなということを指示をしたということを質問され、会長、ちょっと一般論の答弁だったんですが、改めて私からも聞きたい。

 私もこれを確認したところ、NHKの関係者に聞いたら、これは報道局長からの指示だったというふうに私は聞いたんですけれども、事実でしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKで編集権を行使する権限は、放送法の規定に基づきまして、会長である私にあると承知いたしております。

 実際の業務運営におきましては、放送部門の最高責任者であります放送総局長に分掌させ、そのもとで、自主的な編集判断に基づいて放送いたしております。

 個々のニュースや番組の編集内容につきましては、その都度、放送法や国内番組基準に基づき、担当責任者が総合的に判断しています。

 NHKといたしましては、引き続き、公平公正、自主自律を貫いて、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えております。

高井委員 それは前回の参議院の答弁もそうなんですが、じゃ、会長は知らないということですか。質問もされたのに、事実かどうかも会長は知らないということですか。事実かどうかをお答えください。

上田参考人 お答えいたします。

 ニュースや番組につきましては、報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送いたしております。NHKといたしましては、公平公正、自主自律を貫き、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えておりまして、これをしっかりと守ってまいりたいと考えております。

 取材、制作の過程は、報道機関としての編集権にかかわることであり、これまでも明らかにしていないことを御理解いただければというふうに思います。

高井委員 取材の過程とか番組制作の過程という問題の次元じゃないと思うんですね。

 これは分掌されている放送総局長も来ていただいていますけれども、事実かどうか、それは答えてください。

木田参考人 お答えいたします。

 取材、制作の過程は、今会長が申しましたとおり、報道機関としての編集権にかかわることであり、これまでも明らかにしていないことを御理解いただきたいと思います。

 その上で、実際の業務運営は、各担当責任者が、時間帯ごとに、その日に起きたさまざまな分野のニュース全般を見渡しつつ、重要度や緊急度、さらに視聴者の関心の度合いや広がりといったものを勘案して、総合的に判断しております。

高井委員 これは、番組の編集の問題だとか、あと分掌しているから現場の判断だというレベルじゃないと思いますよ。

 だって、皆さん、一九九三年に椿発言というのがありましたね。あのとき、椿、テレビ朝日の報道局長ですよ、これも同じ報道局長は、反自民の連立政権を目指すということで、小沢一郎氏のけじめを殊さら追及する必要はないとか、そういう指示を出したということが大問題になって、当時の郵政省の放送行政局長は、記者会見を緊急に開いて、事実ならば電波停止もあり得ると言ったんですよ。衆議院で証人喚問までやって、そして最終的には厳重注意で終わったんですけれども、しかし、それをきっかけにBPOができた、そういう大問題。

 そこまでじゃないかもしれません、そこまで自民党政権を擁護するということを言っていませんけれども、さっき言った中身を考えれば、明らかにやはり官邸をそんたくをした、そういう偏向報道の疑いがある。

 だからこうして聞いているわけですけれども、これは総務大臣、放送法上問題がないんですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 NHKの今の御指摘の点については、事実関係を承知していません。総務省としてコメントすることは差し控えさせていただきます。

 いずれにしても、NHKを始めとする放送事業者は、放送法上、みずからの責任において放送番組を編集する仕組みとなっており、総務省としては、放送事業者における自主自律による取組を尊重してまいりたいと考えています。

高井委員 先ほど申し上げましたとおり、椿発言と似ているわけですよ。当時は、放送行政局長が電波停止もあり得るまで言っているんですよ。

 私もNHKの関係者に確認したら、報道局長からそういう指示があったということなんですよ。

 これは総務省、調べなくていいんですか、調査もしないんですか。

山田政府参考人 私どもとして、現時点で事実関係を承知しておりませんので、仮定の質問にお答えはできませんけれども、いずれにしても、NHKを始めとする放送事業者は、放送法上、放送番組を自主自律のもと、みずからの責任において編集することになっておりまして、放送事業者における自主自律による取組を尊重してまいりたいと考えております。

高井委員 NHKへ三回聞いて、はぐらかした答弁をしているわけですよ。事実じゃないんなら事実じゃないと言うでしょう。だから、事実なんですよ。

 ですから、これは総務省としてしっかり調査をする、少なくともNHKに確認するぐらい、総務大臣、やってください。

野田国務大臣 お答えいたします。

 仮定の質問に対してお答えすることは差し控えさせていただきます。

高井委員 何が仮定なんですかね。いやいや、そういう、うわさレベルじゃないですよ、私も確認したんですから、NHKの関係者に。それが事実かどうかをまず調査する。仮定とかいう問題じゃないんじゃないですか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣からお答え申し上げたとおりでございまして、現時点で仮定のお話に対してお答えはできないということでございます。

高井委員 これは、本当に、ちょっとよく総務省内で検討していただいて、国民の皆さんも関心はあると思いますよ、そういう。

 私は、本当、上田会長はよくやっていただいていると思っているんです。ただ、NHKの方に聞くと、やはり、上田会長はよくやっていただいているんだけれども、ちょっと現場に任せ過ぎじゃないか、現場の皆さんが勝手に暴走しているんじゃないかと。

 私は、上田会長が就任したときにも申し上げたんですが、籾井会長が去って、しかし、籾井会長のときに行った人事がそのままになっていることで、私は、いまだに、籾井会長が政府が右というものを左と言うわけにはいかない、そういう考えのもとに人事も行って、その影響がまだあるんじゃないか。官邸をそんたくしているということは、普通に考えたら明らかですよ。

 これが放送法に抵触するかどうかわかりませんよ。椿発言とはちょっと重みが違うと思います。椿発言は、反自民政権を目指すと言ったわけですから、それは重い。そこまで言っていないけれども、しかし、先ほどの報道の方針を見れば、そういう安倍政権を守ろうとする意図がやはり明白だと思いますよ。

 ですから、これはせめて、総務省が調査をするということは、もうこれ以上聞いても同じ答弁でしょうから聞きませんけれども、ぜひ行っていただきたいということをお願いしておきます。

 関連いたしますが、きょうこの話をしたのは、やはり、今の放送法の改正の問題、これは規制改革会議が主導してやっている。これも先ほど高木委員がおっしゃったように、本当に、のりを越えた、産業政策で語るべき話じゃないものを、無理やり規制改革会議が、私は、やらされているんだと思っています。

 このいわゆる内部文書、新聞でも何度も出ています。通信、放送で異なる規制を一本化する、放送法四条を撤廃する、ハード、ソフト分離を徹底して、そして放送に多様な事業者を参入させて電波を有効活用する、そういうこの内部文書ですが、これは、規制改革会議はこの文書は見たことはあるんですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 報道されている内部文書について、その記載内容を承知していないので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 現在、規制改革推進会議において、放送をめぐる規制改革について幅広く関係者からヒアリングをしておるところでございまして、規制改革推進会議の事務局である内閣府規制改革推進室において、通信と放送の融合が進む中、通信と放送、それぞれの規制、制度の内容等について調査をしているところでございます。

 しかしながら、現時点で改革の方向性を決めているものではなく、これまでの議論は全て準備段階のものでございまして、具体的な検討は今後行われるものでございます。

 いずれにしても、今後の会議における議論を踏まえ、本年夏に予定されている答申に向けて、会議で改革の方針について検討されるものと承知してございます。

高井委員 先ほども申しましたとおり、やはり規制改革会議の範囲を超えていると思うんですよ。規制緩和、規制改革の次元じゃなくて、やはり、放送と通信のあり方そのものも問うている。そして、さらには、放送法の根幹の部分を変えようとするということですから。

 規制改革会議の、私、メンバーの原座長を始めよく知っていますけれども、その方々からこんな発想が出てくるとは到底、それまでの議論もずっと見てきました、電波改革は私はよくやっておられたんじゃないかと思います。なぜここで放送のこういう話が出てくるのかというのは、やはりどう考えても納得できないんですけれども。

 私は官邸がやはり関与しているんじゃないかと思いますけれども、こういう、通信、放送の規制を一本化するとか放送法四条を撤廃するという話は、官邸の皆さんとは話はされているんですか。

林政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁させていただいたとおり、通信と放送それぞれの規制制度について内閣府規制改革推進室で調査を行っておりますけれども、特に官邸から御指示があったという事実はございません。

高井委員 まあ、公式に聞いて、そう答弁はしないでしょうし、しかし、私はなぜそう思うかということですけれども、それは理由があるんです。

 これは、実はこの話というのは、もうずっと昔、私、総務省出身ですけれども、私がその前の郵政省に入ったときから、通信と放送の一体化、今後どうなるんだ、そして、なぜ放送だけ規制するんだという話はずっとあるんですね。

 これを、実は二〇〇七年、二〇〇六年に竹中総務大臣のときに端を発して、二〇〇七年にその後を受けた菅総務大臣のときに、この通信・放送一体化を図る、九本の法律を一本にまとめて情報通信法というのをつくるということを研究会で答申を受けているんです。そのときに、通信の中にも、公然性を有する通信、つまりインターネット放送のようなものがどんどんふえたときに、それは放送に類似するサービスとして一定の規制を設けようという話がこの情報通信法構想の中にはあったわけです。

 ところが、その後、二年たって、菅大臣がかわり佐藤勉総務大臣になったときに、情報通信審議会では、放送類似の通信サービスは規律の対象外にする、それから、ハード、ソフトの分離は選択制にする、そして通信と放送は法益が異なるため一本化しないという答申が出て、そして、その後、民主党政権になって、原口大臣のときだったと思うんですけれども、法改正を行ったわけですが、それが今の現行法律なんです。

 しかし、これをもう一度、この二〇〇七年のときの情報通信法、通信・放送一体にしたときの規制、ただ、このときと違うのは、通信のインターネット放送は規制しないというところが、これが今問題になっているわけですけれども。

 こういう伏線があって、私は、菅官房長官がこのことはよく御存じですから、こういったことを規制改革会議、まあ規制改革会議のメンバーでもありますから菅官房長官は、会議に出ていますから、そういうふうに類推するわけですけれども。

 これは総務大臣にお聞きしたいんですが、この二〇〇七年の情報通信法、通信、放送を一体化するというこの法案については、なくなってしまったわけですけれども、今、総務大臣としてはどのように考えていますか。

野田国務大臣 お答えします。

 委員がお話になられたとおり、総務省の中で議論がなされた結果、通信は通信の秘密の保護、そして放送は表現の自由の確保が重要であるように、通信と放送は互いに規律する対象や確保すべき法益が異なった、そういうことがあったので、通信、放送に関する法制度は一本化しないことというふうに決せられました。

 ただ、一方で、通信、放送それぞれの規制の整理合理化を図る観点から、今お話があったように、平成二十二年に放送関連四法の統合等を行う制度見直しを実施して今日に至っています。

 通信と放送の法体系の一本化については、現時点で総務省として検討しているわけではありませんが、技術革新が極めて速い通信そして放送分野においては、その法制度のあり方について、必要に応じて見直しを行うことは大切かなと思います。

高井委員 今回の、私は、この規制改革会議がこういったことを言い出して、産業政策、規制改革の観点からやっているし、その裏にはやはり官邸の思惑があるんじゃないかと。

 これ、野党の我々が言っているだけじゃなくて、新聞各紙がみんな書いているわけです。毎日新聞も、産業政策に名をかりた新たなメディアコントロールではないか。朝日新聞も、フェークニュースの拡大の対応が社会問題になっているときに性急で乱暴過ぎる、四条撤廃の衣の下からは、メディアを都合よく使える道具にしたいという思惑がのぞく。あるいは、読売新聞だって、識者の見解として、構造改革にこだわる理由は一部の民放による首相批判への不満にあるのだろう、これは民放全体を解体しようというものではないか。

 こういう識者のいろいろな、もう何枚もあるわけですよ。これは別に野党だけが言っている話じゃないし、先ほど、高木委員はそこまではおっしゃいませんでしたけれども、そういう背景の中でこういった話が出てきているということに問題があるんだと。

 改めて、私はこれは総務省がしっかり検討するべき問題だと思いますけれども、これは、規制改革会議がとか、内部文書がという前提だと、大臣も、それは答えられない、そんなものを見ていないということなんですが、これは一般論としてよくあるわけです。我々の周りでも、あるいは私だってそう考える部分もある。それはやはり、放送のハード、ソフトをこの際分離をして、そして放送法の各種規制を撤廃して、そうすれば、NHKを除く放送は基本的にはもう要らなくなって、そして電波からネットへの転換が進んで、そして放送用の周波数があいて、そこに携帯電話始め、あるいはIoT、いろんな使い方ができる、そういう意見、議論はあるわけですよ。

 こういう一般論、一般論でこういう見解に対して、総務大臣としてはどのような見解をお持ちですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 一般論としてお答えします。

 地上放送の番組については、一部の事業者により、既に光ファイバー経由での配信サービスが提供されています。

 現在の環境で地上テレビ放送を全てネット配信に移行しようとすることについては、技術面や費用負担面などでさまざまな課題があるのではないかと思います。

 例えば、条件不利地域を含めて、全国全ての世帯にブロードバンドが普及していない中、現在は全国的に視聴可能なサービスについて、ネットでは相当数の世帯が視聴できなくなるという点も課題として挙げられると思いますし、また、現在の通信ネットワークの構成やデータの処理能力などを踏まえれば、全ての放送番組を確実かつ円滑に配信することについて、技術面ではネットワークの容量などの課題が多いのではないかとも思います。

 また、通信事業者というのは、これまでトラフィックの増大に対応するために積極的に設備投資を行ってきています。ネット配信の本格化により相当の投資負担増が生じた場合、その費用負担のあり方、誰が払うのか、そういうようなことも課題になるのではないかと思っています。

高井委員 今御指摘いただいたとおり、やはりこれは、やろうと思ったらさまざまな技術的課題があって、現実的には相当難しいんですね。それをやはり、規制改革会議が一部の方だけでこういう議論を進めていくというのは、私は、極めて拙速だし、おかしい。一刻も早く総務省から、あるいは放送関係者から話を聞くべきだということは申し上げておきたいと思います。

 ちょっときょうはほかの質問もしたいので、NHK会長にも聞こうと思ったんですけれども、もう結構でございます。NHKの方、どうぞ御退席ください。次は、通信と別の話に入りますので。

 それでは、もう一つ、これも非常に大きな関心事になっております携帯電話の参入について、小林政務官にぜひお聞きしたいと思います。

 楽天が参入をするという申請を出して、本当は申請が出てからじゃないとなかなか答えをいただけない、ああ、答申というか許可か免許、と思うんですけれども、しかし、やはり既定路線だと思うんですよね。

 これは、私は、確かに、競争を進めていく、参入すればいい。しかし、かなり、やはり携帯事業というのは相当な投資がかかる。六千億を借金で集めてやるということを表明されておりますけれども、しかし、六千億で本当にできるのかという懸念もある。そして、万が一失敗に終わると、イー・アクセスという会社が、前、別の会社に合流するということになりましたけれども、こういう失敗を繰り返さないということを総務省は決めて、今電波の割当てをやっているはずなんです。

 ですから、やはり、こういった利用者、何百万という方が新たな新規参入の携帯会社に入って、それが立ち行かなくなるということを、そういう可能性がないかどうかというのを総務省はきちんと審査をするべきだと思いますけれども、そういう観点で、今のこの携帯事業の参入についてどのように考えておられますか。

小林大臣政務官 御質問ありがとうございます。お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、重要な観点だと思っておりますが、今回の第四世代移動通信システム用の周波数の追加割当てにおいては、新規、そして既存事業者を問わず申請を受け付けておりまして、新規事業者一者を含む四者から申請がありました。

 現在、総務省においては、事業者さんから申請された開設計画について、公正かつ適正に審査を行っているところであります。

 今後の具体的スケジュールは調整中ですが、電波監理審議会への諮問を経て、できるだけ速やかに割当てを実施できるようにしたいと考えております。

 委員御指摘の、きちっと審査できているのか、こういうところでありますが、我々も、一般論として申し上げれば、今回の周波数割当ての審査基準においては、例えば、申請者は十年間で単年度黒字を実現する計画などを、財務的基礎を有すること、そして、ほかの既存携帯電話事業者への事業譲渡等をした場合は計画の認定を取り消すこととし、責任を持って事業の遂行がなされる仕組みとしております。

 その上で、総務省としては、もし割り当てられた後も、四半期ごとに報告等により状況を把握して、その結果を踏まえて適切な措置をとるということで、フォローアップもしっかりしていくということでございますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

高井委員 本当に、事業が立ち行かなかったときは譲渡はしないということですね。そうなると、ますます、じゃ、利用者はどうするんだという話になりますから、ここは本当にしっかりと、総務省として、そういった点も、やはり新規参入についてのもうちょっと法的な整理というか、しっかりしていただく必要があるんじゃないか。これはまた、実際、免許がおりた後に、ぜひまた取り上げたいと思います。

 もう時間がありませんので、最後にもう一つ、これも大変国民の関心事であります、ふるさと納税についてお聞きをいたします。

 これは、総務大臣通知で、返礼品を原則として地場産品にするという趣旨の通知を出されて、これはかなり反響がありますね、テレビのワイドショーなんかでも相当取り上げられて。テレビを一緒に見た私の妻なんかは、そんなの、ちっちゃな自治体にできるわけないじゃないと。

 それは、そういう地場産品、つくる努力をしてほしいと総務大臣はおっしゃいますけれども、努力しても、やはりできない自治体はいっぱいあるわけですよ。

 そういう中で、何とか工夫して、例えば地元の商店街の取り扱っているカタログだったらいいとか、あるいは、姉妹都市の地場産品ならいいんじゃないかとか、加工品の一部が地元産ならいいんじゃないかと。

 こういったことも総務省はお答えになっていないんですけれども、せめてこういう、姉妹都市の地場産品はいいとか、加工品の一部が地元産ならいいとか、こういったことはちょっと明確にして、できるだけ緩くしてあげないと、やはり特産品がない自治体はありますよ、それは。どんなに頑張ってもつくれない自治体はあって、もともと特産品があるところにばかり寄附金が行くというのは、これはやはり私は、不公平だ、制度そのものがおかしいということになってしまうと思いますから、ぜひそのあたり検討いただきたいんですけれども、いかがですか。

野田国務大臣 お答えします。

 ふるさと納税のそもそもの趣旨というのは、地方で生まれ育って教育を受けた人たちが、何らかの理由で仕事のために都市に出てきている、そうなると、通常は居住しているところに税金を納めるけれども、やはりふるさとに対して恩返しをしたいとか、又は、そこに生まれ育っていなくても、大好きな場所があったりする、そこに何か貢献したい、そういう人々の自発的な寄附の行為ということを尊重して、そして結果として地方が独自財源を持つことができるという、大変いいシステムだったと思います。

 ところが、この委員会でもそうですし、行き過ぎた返礼とか、その率の高さとか、そういうことで、せっかくのふるさと納税が、全国的に流通し、そして受け入れられる中、批判が高まってくると、そのもの自体をやめた方がいいんじゃないかという声が実際に上がってきていることは確かなんですね。

 ですから、やはり懸命に努力している地方の大宗の人たちの、ふるさと納税を引き続き健全に進めていただくために、そういう、とりわけ、なぜ地場産業かというと、やはりそこに地場のものをつくるということで、まず業が起きて、そして雇用が創出されて、そしてお金を得ることができる。

 これは、小さいからできないという問題ではないと思います。人口五千人のところで、そこでつくられたジェラートによって大変潤ってきた上士幌の話をしたことがあると思いますけれども、必ずやはり人がいれば知恵もあります、努力もできます。

 例えば、岐阜県では、特別支援学校の子供たちがつくった木工のおもちゃとか、そういうものを返礼品としてお出ししていて、大変人気が高く、もう既に在庫がないというような状況もあります。

 ですから、そこにあるものを出せと言っているのではなくて、やはり、そこにいる人たちが、自分たちの町の中で、いろいろな人たちがつくり上げていくものに対して返礼品としてやっていくことが、一つのイノベーションにも、地方のイノベーションにもつながっていくのではないか、そういう応援をしていきたいなと。

 物をつくれないのであれば、例えば今は、クラウドファンディングのように、その地域で、例えば、なかなか墓参りができない人たちにかわってお墓を洗ってというサービスとか、そういうのも結構人気があると聞いておりますし、一部では、議会を開放して、そこで一日町長になってもらうとか、そういうこともやられております。

 とにかく、ないという前提で始めるのではなくて、何かできないかという発想で、そういうユニークな、さまざまなものをつくり上げるふるさとに対して、なお一層の支援、そして、あそこに行きたいな、そこに住みたいな、そういうやはりインセンティブづくりというのは、ぜひ、地方それぞれ力がありますから、取り組んでいただければ幸いだと存じます。

 で、今、姉妹都市に関することですけれども、地場産業についてはさまざまな形態が考えられます。明確な線引きを一律に行うことは適当ではないと考えているところですが、姉妹都市の地場産品や加工品の一部が地元産であるものを返礼品とすることについて、個々の事例に即して、国民の理解を得られるか否かという観点で判断されることだと考えています。

 各地方団体におかれては、国民の理解が得られるよう、ふるさと納税の趣旨を踏まえた良識のある対応をぜひとっていただきたいなと考えています。

高井委員 まさにおっしゃったとおり、これをきっかけにその自治体を好きになる、別に返礼品目当てじゃなくて、ということもあるわけですから、そういうきっかけにもなればいいと思うので、ここは本当に、余り地場産品と言ってしまうと、萎縮して、そういう新たな発想も生まれなくなるおそれもありますから。何もやっていない自治体より、私はよっぽどいいと思うんですよね。そういう、全然別なものでも出す、それだけ努力、一生懸命やっているんですよ、彼らは。営業マンもつけたりして。そういう努力はぜひ買っていただきたいと思います。

 終わります。

古屋委員長 次に、原口一博君。

原口委員 おはようございます。民進党の原口一博でございます。

 無所属の会として、質問をさせていただきます。

 先日の質問のちょっと続きからスタートさせていただきたいと思います。

 もう本当に驚くべきことが毎日明らかになってきています。明治維新以降、ことしが百五十年ですけれども、大臣、やはり無謬性との闘いだと思うんですよ、官僚制が持っている無謬性。つまり、自分たちは間違わないんだと。しかし、大きく間違っている。それを前提に、もう議論をせざるを得ないのかと。

 きょうは防衛省に来ていただいていますが、なぜ一年も、見つかっていたにもかかわらず、イラクの日報の報告がおくれたのか、一点目。

 それから、二点目。陸自の日報があったということは、これは空自もありますね。それから、アフガンでの給油、これの日報もあるでしょう。この三つ、あったら出してください。

 よろしくお願いします。

小波政府参考人 どうも失礼いたしました。

 ただいま御質問ございました、今回の一連、報道等にも出ております、イラクでのいわゆる陸上自衛隊の活動の日報についてということで御質問いただいておりまして、まず、簡単に御説明いたしますと、昨年二月の国会に際しましては……(原口委員「いや、聞いたことだけ答えてください」と呼ぶ)はい。

 まず、なぜという御質問、いただいたと存じます。

 これにつきましては、このような事態を踏まえまして、ただいま、防衛大臣より、当時の稲田大臣にこのような重大な情報がなぜ上がっていなかったのか、また、このような情報がどのような範囲まで共有されていたかということについて調査するために、大野大臣政務官をチーム長とする調査チームを立ち上げまして、早急に調査するよう指示を受けたところでございます。

 本チームの調査により事実関係が明らかになったところで、厳正な措置も含め適切に対応させていただきたいと考えております。

 それから、今、突然のお尋ねで、幾つかの活動の報告等についてございました。それについては、持ち帰り、検討させていただきますが、当然のことながら、提出物につきましては提出させていただきたいと考えております。

原口委員 いや、何で一年も、見つかったにもかかわらずやっていないかって、イラクなんというのはもう十何年も前ですよ。本当に信じられない。これが見つかっていれば、また法律の枠組みも違ったと思います。

 それから、これがもし有事であれば、大日本帝国が我が国を亡国のふちに陥れたのと全く同じ構造じゃないですか。あるのにないと言い、そして、その調査も何かわからぬ答えをしている。とんでもない。今、出すということでしたから、三つの日報について出してください。

 それから、財務省も、引き続き、きょう、今、お手元の資料をごらんになってください。資料の三です。佐川証人は、この資料の五にある、共産党の宮本委員、証人喚問において、近畿財務局と森友学園の交渉記録はございませんでしたと言ったじゃないかと聞かれて、「大変申しわけありません。その確認をしたという意味ですけれども、理財局に、本省で文書の取扱規則を確認したということで、」と答えています。これはおかしいでしょう。それはなぜかというと、これから証明しますね。

 資料四をごらんになってください。これが、昨年の、ちょうど今ごろですね、四月の十日、私が決算行政監視委員会で佐川財務局長と交わした質疑の資料です。これは何かというと、その前の三ページをごらんになってください。実は、「処分等価格の決定に至る処分等相手方との交渉の経過については、必ず書面により記録するもの」、こういう理財局通達を出しているんですよ。

 私は、平成二十三年に出しているんだと思って、出しているのに記録がないのはおかしいじゃないかと質問したわけです。そうしたら、佐川証人は、当時理財局長ですけれども、三ページ、資料三をごらんになってください、これは平成二十三年に出した通達でございますが、その後、何度か改正するたびに、変えてきたんだ、そして、本年一月十九日に改正した文書でございますと言っているわけです。本年というのは平成二十九年、去年ですよ、去年の一月十九日に改正を、こうやって文書をしていながら、なぜわざわざ財務省の文書規則に当たる必要がありますか。みずからが発しているわけですよ、こういう形で残しなさいと。

 これは、財務省、答えられますか。事務方で結構です。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘の、通達と規則がそれぞれございまして、まず、通達の方につきましては、佐川前理財局長が昨年四月に委員との関係で御答弁をさせていただきました、二十九年一月改正の理財局の管理処分に係る通達でございます。一方、規則の方につきましては、佐川前理財局長が証人喚問で証言した当時の文書管理規則でございまして、それらに係る時期あるいはその対象が異なっているのではないかというふうには思っております。

 加えてちょっと申し上げさせていただきますと、まず、昨年四月十日の衆議院の決算行政監視委員会で、理財局通達でございます未利用国有地の管理処分方針についてにございます、処分等価格の決定に至る処分等相手方との交渉の経緯につきましては、必ず書面により記録するものとするという規定の趣旨について、佐川前局長より、公共随契における見積合わせの運用の統一性を図るという観点から、二十九年一月に管理処分通達を改正したという趣旨の御答弁をさせていただいています。

 一方、先日の証人喚問の場では、佐川前局長は、森友学園との売買契約が締結された平成二十八年六月に至るまでの森友学園と近畿財務局とのさまざまな交渉記録について、財務省の文書管理規則における取扱いを確認の上で答弁した旨の証言をしたものということではないかというふうに考えております。

原口委員 いや、全く、それは通達と規則で違いますよ。しかし、あなた方はこういうずさんな文書管理をしていたから会計検査院からも指摘をされて、そしてこういう通達を出しているんじゃないですか。そんな見え透いた官僚答弁はやめてくださいよ。

 そうしたら聞きますけれども、あなた方は、じゃ、交渉記録を持っているでしょう。私たちには出していないんですよ、決裁文書を改ざんしたものしか。これは誰が改ざんしたんですか。そして、交渉記録を出してください、この委員会に。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 今委員御指摘の、三月の十二日に、財務省といたしまして、書換え前のものについての十四件の決裁文書について国会に御報告をさせていただいております。

 現在も、いわゆる財務省の人事担当部局を中心としました、なぜ書換えが行われたのか、あるいは、どういう意図で行われたのかといったことについて、人事担当部局における調査を今継続中でございます。その結果をできるだけ速やかに取りまとめをした上で、また国会の方にも御報告したいというふうに思っているところでございます。

 それからもう一点、交渉記録というお話もございました。これも、他の委員会でもるるそういった御指摘を受けております。

 我々としましては、今、十四本のうちの一つの決裁文書については全体版として書換え前のものをお出ししておりますが、残り十三本の決裁文書について、これは紙ベースだということもございまして、悉皆的に、精力的に、書換え前のオリジナルなものを作成するという形で今取り組んでおります。

 そういった優先順位をつけながら鋭意やっておりますが、今の御指摘の交渉記録といった点についても、今後、我々としてはできるだけ速やかに対応していきたいというふうに考えております。

原口委員 いや、改ざん前のものがあるわけですから、それを出せばいいんですよ、そのまま。何も作業量が要るものじゃないでしょう。あなた方が破棄をしていたという交渉記録、これはあるでしょう。そして、改ざん前の文書、これだってあるじゃないですか。それを何で、優先順位どうのって、こんなに時間がかかるんですか。

 三月二日に、朝日新聞というか、これは別のところがスクープを最初しようとしたと聞いていますけれども、それからもう一カ月以上たっているんですよ。あなた方がやっているのは単なる時間稼ぎです。そして、自分たちの責任を免れる、こういうことだと思うんです。

 そこで、総務大臣、あなたが指示してなさった公文書に関する調査は、これは改ざんとか書換えとか隠蔽とかを前提としたものではない、この間、内閣府にも確認をしましたけれども、当然、公文書管理法はそういうものを、そこまでやるとは考えていないんですよ。ですから、あなたがなさった調査もそこを想定していない、そう考えてよろしいですか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 この調査は、開始時点には想定が及び得なかった決裁文書の書換えといったことを視野に入れたものではありません。

原口委員 明確な答弁ありがとうございます。

 ですから、きょう、理事会でも、武内筆頭からも、あるいは与党の井上筆頭からも言及をいただきました。

 ぜひ委員長、今のような状況を続けていれば、これは政治全体が沈没をしてしまいます。この委員会で議決をいただいて、そして一刻も早く真実を明らかにしていただくように、再度理事会でお諮りいただきますようにお願いを申し上げます。

古屋委員長 理事会で協議をさせていただきます。

原口委員 そこで、先ほど財務省の答弁で不思議なのは、規則と通達で違う、それはそうでしょう。通達の中に文書をこうしなさいと言っているだけですから。それは理由になりますか。

 じゃ、聞きますが、当時の理財局長は、財務省のこういう自分が出した文書に関する通達も知らずに答弁をしていたんですか、教えてください。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 通達と規則の違いがあるということを根拠に申し上げたつもりはございません。

 その上で、まず、時点としては、いわゆる文書管理規則というのは、これは財務省全体の文書管理についての規則でございますので、それについて佐川前理財局長が、当時の、二十八年六月時点の、いわゆる契約に至るまでの交渉の記録ということについて、この文書管理規則を念頭に答弁をしていたのではないかというふうに思っております。

 その一方で、委員御指摘の通達の方でございますが、これは、いわゆる文書全般ということではなくて、いわゆる理財局の国有財産の管理処分に係る通達の中で、見積合わせといったようなものに限定した形での通達でございますので、しかもそれは二十九年の一月という時点での改正がされているということを御説明したものでございます。

原口委員 実際に交渉記録がありますかということを聞いて、そしてそれを、文書の取扱規則を確認したなんという答弁は、全くの偽証であると言わざるを得ないと思います。これはまた財務金融委員会でも追及をしていくということで、次の質問に移りたいと思います。

 日本郵政のトール社買収について、きょうは頭出しの質問に終わってしまうかもわかりませんが、資料一をごらんになってください。

 これは驚きますね。日本郵政がトール社に対する詳細な調査を初めて実施したのが二〇一四年の七月、そして、その約五カ月後にはもう買収を決めようとしている、いや失礼、二〇一五年の二月十七日には、日本郵便が六千二百億でトール社を買収する旨を両社間で合意という報道があり、その翌日には日本郵便によるトール社買収を公表と。

 大臣、この二〇一五年二月の十八日から、トール社買収に係る損失計上、減損ですね、減損を発表したのが二〇一七年四月二十五日。たった二年で減損を発表するなんてありますか、普通の会社で。これは極めて不自然だと言わざるを得ない。

 しかも、この資料一の先ほど読み上げたところをごらんになってください。下から、二〇一五年の二月十八日のところです。「この日高橋日本郵便社長はデューデリジェンスを継続すると発言している」と。この発言は本当にあったんですか、日本郵政。

諫山参考人 答弁申し上げます。

 そういった発言があったというふうに認識をしております。

原口委員 大変大事な証言だと思います。

 これは、買収を公表して、それからまだデューデリやりますという人、いますか。トール社というのは、もうその時点で債務超過だったんじゃないんですか。高づかみしたんじゃなくて、むしろもうマイナスだとわかっているようなものを買って、日本郵政に大きな損失を与えたんじゃないですか。極めてその疑いを濃くするわけであります。

 次のページをごらんになってください。

 これが、会計検査院がこのトール社の買収について報告しているところです。横線をやっている。日本郵政、このトール社買収の取締役会は開きましたか。

小方参考人 お答え申し上げます。

 取締役会の開催についてでございますが、トール社の株式取得に向けた契約締結、このタイミングと、二つ目としましてトール社の株式取得、子会社化、この二回のタイミングにおきまして、日本郵便それから日本郵政とも取締役会の決議を行っておりまして、日本郵政では、日本郵便の決議を経て申請があったものについて、親会社として承認を行ったものでございます。

 開催があったのかどうかという点でございますでしょうか。その点につきましては、日本郵政の二回の取締役会決議のうち、書面決議を一度行っております。最初の日本郵便によるトール社の株式取得に向けた契約締結の承認の際に書面決議を行っております。(原口委員「委員長、もう結構です」と呼ぶ)よろしいですか。

原口委員 決議を行ったか、決議を行っていなきゃ買収できないんですから、そのことを聞いているんじゃないんですよ。取締役会を開きましたかと。そうじゃなくて、皆さんは、書面を回しただけで、それを決議にかえたんじゃないんですか。

 ここに書いてあるじゃないですか。「日本郵政は、同契約の締結が経営会議規則で定める緊急を要する場合に該当するとして、経営会議を開催せずに執行役社長が決裁を行い取締役会に提案した。 そして、日本郵政は、同月十八日までに、同契約の締結について、取締役全員から書面による同意の意思表示を得たことから、取締役会規則に基づき取締役会の決議があったものとみなした。」と。これが事実でしょう。違いますか。

小方参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の点、そのとおりでございますが、先ほど申し上げましたとおり、日本郵政の二回の取締役会決議のうち、書面決議は……(原口委員「委員長、聞いたことだけで結構です」と呼ぶ)よろしいですか。

古屋委員長 今答弁をしております。

小方参考人 書面決議は、最初の日本郵便によるトール社の株式取得に向けた契約締結の承認の際に行ったものでございまして、こちらの方は、日本郵便における慎重な議論を経て同社取締役会において決議されたものに対しまして、当社において、緊急を要する書面決議により承認決議したものでございます。

 その後、株式取得、子会社化に際しましては……(原口委員「委員長、時間稼ぎです、これは」と呼ぶ)

古屋委員長 答弁中です。

小方参考人 当社取締役会の……(原口委員「いやいや、答弁って、聞いたこと以外のことを聞いているんだから。今言ったことが事実ですかと聞いているんです」と呼ぶ)いえ、お聞きいただいたことを答えさせていただいております。

 その後、株式取得、子会社化に際しましては、当社取締役会の議論を経た上で承認の決議を行っており、いずれの決議も当社社内規程にのっとって適正に行ったところでございます。

 以上でございます。

原口委員 時間稼ぎするのはやめてくださいよ。

 あなた、デューデリをやっている最中に買収するって、これはどういうことですか。不思議ですね。

 総務省、財務省、トール社買収のときに何か相談はありましたか、これが一点目。それから二点目、今度は、減損公表について何か相談はありましたか。それぞれ伺います。

巻口政府参考人 お答えいたします。

 前者の、トール社の買収に際しての事前相談ということでございますが、日本郵便によるトール買収につきまして、日本郵便から事前に相談はございませんで、日本郵便の取締役会で意思決定した後に報告を受けたということでございます。

 また、二点目、トール社の減損処理に関する点でございますけれども、減損処理に関しましては、日本郵政及び日本郵便における経営判断によって行われたものであり、行政手続はございませんでした。四月二十五日に、日本郵政長門社長の会見後に日本郵政及び日本郵便から報告を受けております。

 以上でございます。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 まず、トール社の買収につきましては、平成二十七年二月十七日に日本郵便において取締役会で決議を行った後、同日中に日本郵政から説明を受けております。

 一方、減損処理につきましては、四月二十五日に日本郵政が公表した後、同日中に日本郵政からその経緯等や今後の経営改善策等について説明を受けたところでございます。

原口委員 財務省、財務省は株主ですよね。これは、買収時点はまだ一〇〇%ですか、減損のときは八〇・幾つかな、そういう株主だったと思いますが、事実ですか。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 買収時点では一〇〇%国が株主、それから減損のときというのは、最初の第一次の売却を行っておりますので、一部については、いわゆる市場で株が持たれているという状況であります。

原口委員 そうすると、減損後に意見を交わしておられますね。こんな特別損失、減損することについて、財務省として何かおっしゃいましたか。そして、その記録は残っていますか。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 株主としての立場で、財務省といたしましては、まず、日本郵政がトール社の経営改善策を含め企業価値を向上させていくということが一つ。それからさらに、市場関係者に対して、トール社の経営改善策や日本郵政の配当方針等についてしっかりと説明を行っていくことを求めております。そういった中で、日本郵政において適切に対応されていくというのが基本的な考え方であります。

 一方、記録ということについては、こういった場面もございますが、そういった意味では、日常的にさまざまな機会におきまして日本郵政の方には株主としての考え方をお伝えしておりますので、本件、今御指摘のあったところについての記録というものは特に残っているものはございません。

原口委員 いや、本当ですか。これだけ大事なことがですよ、しかも、六千二百億の買収をするに当たって、デューデリしている最中に公表しているような会社に対して、財務省は株主としての責任を果たしているんですか。

 これは結局、こうやって民営化すると、会社法によって、いわゆる財務諸表も承認事項じゃないでしょう、決議事項じゃないでしょう、これが民営化なんですよ。私たち国民の財産を、結局民間会社、こういう野方図な経営をする人たちに売り渡して、そして結果、どうですか。四千億の減損をやらなければ、切手上げなくていいんじゃないですか、国民に郵便の安心を与えることができるんじゃないですか。

 私はこれは極めて不自然だと思うし、記録は本当に残っていないんですか。少なくとも話すでしょう、六千二百億の買物をしますよと。だって、このときどういう時期だったかというと、日本郵政は、株の上場について、会社価値を上げていかなきゃいけない、そういう時期だったんですよ。そして、財務省としても、いや政府としても特段の注意を払う、そういう時期だったと思います。

 にわかには信じられませんので、ぜひ探してみてください。そして、そのときに、そのときというのは減損のときですよ、あるいは買収のときに交渉したというか意見を言ったものがあったら、本委員会に提出をしていただきますようにお願いをしたいと思いますが、いかがですか。

古屋委員長 申合せの時間が来ております。答弁、簡潔にお願いします。

富山政府参考人 お答えをいたします。

 記録が残っていないということについては、先ほど御答弁申したとおりでございますが、委員からのお申出でございますので、十分確認をさせていただきたいと思います。

原口委員 終わります。

古屋委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 アメリカ空軍省とのFMS契約となっておりますF35ステルス戦闘機の試験飛行及びリージョナルデポの問題について質問をしたいというふうに思います。

 愛知県豊山町にあります三菱重工小牧南工場では、ロッキード・マーチン社の下請工場として、F35ステルス戦闘機の最終組立て、検査を行っております。航空自衛隊は、四十二機のF35ステルス戦闘機を保有する計画で、四機はアメリカから直接購入して、残り三十八機をこの三菱重工小牧南工場で最終組立てを行う計画でございます。

 二〇一七年度、初めてF35ステルス戦闘機の最終組立てが終わり、試験飛行が行われ、最終組立て一号機、FACO一号機はアメリカのルークに今行っておりまして、さまざまな検査などをしているということで、まだ帰ってきておりません。最終組立てをした二号機ですけれども、これは試験飛行を終え、三沢基地に配備をされております。今、最終組立てをした三号機が、試験飛行が最近、三月に行われたという段階でございます。

 このFACO一号機なんですけれども、試験飛行では、昨年六月二十日に、トラブルが起きまして県営名古屋空港に緊急着陸するという事態になりました。基地周辺の住民の皆様は、騒音だけではなく、いつも危険と隣り合わせでリスクにさらされているという状況にあるということが改めて浮き彫りになりました。

 そこで、まず確認ですけれども、春日井市長、そして小牧市長、豊山町長、そして春日井市市当局、議会、区長の皆様などで構成をされております春日井市飛行場周辺対策市民協議会の皆様からは、県営名古屋空港において米軍機の利用などがないようにされたいと繰り返し要望が出されております。

 住民の皆様の安全を守るというのは、自治体の大切な役割でございます。こうした愛知県内の自治体の皆様やあるいは住民の皆様が繰り返し要望されていることは、やはり重く受けとめなければならない、当然尊重されるべきものであるというふうに思いますけれども、総務大臣の答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 お答えいたします。

 お尋ねの県営名古屋飛行場における米軍機の利用などについては、総務省の所管外であり、お答えすることが難しいことを御理解いただければと存じます。

 本件については、防衛省において適切に対応されるべき事柄と考えています。

本村委員 自治体の皆様の立場に立って、総務省として自治体の意見を尊重していただくということをぜひお願いしたいと思いますけれども、もう一度答弁、自治体の意見を尊重するという点で、ぜひ答弁をお願いしたいと思います。

野田国務大臣 繰り返しになって恐縮ですけれども、やはり、この件につきましては、ずっと過去以来今日まで防衛省に問いかけているものでありまして、防衛省においてしっかり適切に対応されるべき事柄だと考えております。

本村委員 この三菱重工小牧南工場で最終組立てをしたF35の試験飛行のことについては、二月二十六日に衆議院の予算委員会の分科会でもやりとりをさせていただきましたけれども、そのときに防衛大臣の答弁が大変曖昧であったということがございまして、その点で、後からまた防衛省に資料を出していただきまして、きょう、資料を提出をさせていただいております。

 ちょっとそこで確認なんですけれども、F35のFACO一号機、二号機、三号機、四号機以降ですけれども、所有権とそして管理の変遷はどうなっているのか。そして、試験飛行のときは、所有と管理、どうなっているのか。それぞれ御答弁をお願いしたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 国内FACOで最終組立て等を実施しましたF35Aにつきましては、米側の所有、管理のもとで製造及び試験飛行が実施され、その後に、防衛省への納入に伴って、防衛省の所有及び管理となっております。

 これまでに国内FACOで製造、組立て等を実施した機体につきましては、初号機と二号機を受領しております。したがいまして、これにつきましては防衛省の所有及び管理となっておるところでございます。それから、三号機と四号機につきましては、現在まだ受領をしておりませんので、米国の所有及び管理となっておるところでございます。

 それから、先ほど委員が御指摘されましたように、初号機につきましては、現在、米空軍の管理のもとで、米国で検査を受けておるところでございます。

本村委員 つまりは、試験飛行のときは、所有も管理も米国防省ということになるというふうに思います。

 所有と管理の状況は資料にも書かれているので、細かいんですが、ぜひ見ていただきたいというふうに思います。

 FACO初号機が、アメリカ軍のマークをつけて県営名古屋空港から飛び立ち、アメリカに行っている。このときも、所有は防衛省となっておりますけれども、アメリカ国防省の管理になっております。

 F35ステルス戦闘機が三菱重工小牧南工場で最終組立てをされ、試験飛行をしているとき、所有も管理も米国防省となっておりますけれども、そのことは日米地位協定上どういう扱いになるのか、お願いをしたいと思います。

岡本大臣政務官 お答えいたします。

 日本側への引渡しが行われる前に試験飛行を行うF35A戦闘機は、米国政府が管理をしておりますので、日米地位協定の適用のある航空機となります。

本村委員 要するに、試験飛行のF35戦闘機というものは米軍機の扱いになるということだというふうに思います。

 アメリカが日本に戦闘機を納入するために、試験飛行を日本の施設と空域を使って行ったことはこれまであるのかどうか、防衛省、お答えをいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本が米国製の戦闘機を導入するに当たり、試験飛行を米国の管理下で、施設及び空域を使用して行ったことは、F35A以外では過去ございませんでした。

本村委員 アメリカ空軍省とのFMS契約の中で、アメリカ国防省が所有、管理する戦闘機が日本の施設と空域を使って試験飛行を行うというのは初めてのことでございます。

 三菱重工小牧南工場で最終組立てをされたF35戦闘機の試験飛行のときは米軍機扱いということになりますけれども、もし事故が起きたときに、日本がアメリカ軍よりも先に、警察、消防、労働基準監督署環境部局、こういうところは調査できるんでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機による事故が発生した際の警察や消防等の調査権限につきまして、防衛省としてお答えする立場にはございませんけれども、そもそも、米軍機の運用に際しては、安全性が最大限確保されることは当然でございます。

 お尋ねのような調査のあり方につきましては、発生した事態の態様に応じてさまざまであり、一概にはお答えすることはできません。

 ただ、その上で、あえて申し上げれば、専ら米軍機のみが関係する航空機事故については米側が事故調査の責任を負うこととなりますが、そのことをもって、直ちに我が国が事故調査に参画することが否定されるわけではないというふうに承知しております。

本村委員 沖縄の事故でも、なかなか日本側が調査に入れないということが大問題になっているわけでございます。

 三菱重工小牧南工場で最終組立てをされたF35の試験飛行のとき、米軍機扱いとなりますけれども、事故の責任は誰がとり、賠償については誰がとるのか。お願いします。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 米軍機の運用に際しましては、先ほども申し上げましたように、安全性が最大限確保されることは当然でございます。

 仮にF35Aの試験飛行の際に事故があった際の賠償という仮定の御質問にお答えすることはなかなか難しゅうございますけれども、いずれにしましても、具体的な事故発生の責任等を踏まえまして、日米間でしかるべき調整をした上で、損害賠償等に遺漏がないよう、政府として措置していくべきと考えております。

本村委員 これについては外務省にもお願いしていると思いますけれども。

岡本大臣政務官 仮の話ですので具体的にお答えすることは難しいんですけれども、その事故の様態に応じまして個別に判断されるものだと思います。

 ただ、お尋ねの被害の補償につきましては、日米地位協定の中に規定がございまして、第十八条五において、米軍関係者の公務執行中の行為又は米軍が法律上責任を有するその他の行為等で、日本国政府以外の第三者に損害を与えたものから生ずる請求権につきましては、我が国の国内法令に従って日本政府が主体となって処理し、被害者の方々に対して賠償金を支払うというふうに規定されております。

本村委員 ありがとうございます。

 アメリカ側に責任があるときも、アメリカは七五%、日本は二五%ということで、日本側の負担も出るわけでございます。

 試験飛行ということですけれども、米軍機の扱いだということで、このことについては自治体や警察、消防、労働基準監督署環境部局、こういうところに、愛知県内あるいは岐阜基地もタッチ・アンド・ゴーなどの試験飛行をしておりますけれども、米軍機扱いなんだということについてはちゃんと周知をされているんでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 F35Aの試験飛行の実施につきましては、地元自治体であります愛知県、岐阜県等の関係自治体に説明を実施しておりまして、その際に、試験飛行は防衛省への納入前の機体でありまして、米国防省の管理下において実施されるということを御説明しておる次第でございます。

本村委員 春日井市、小牧市、豊山町にもちゃんと言っているんでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 F35Aの飛行試験の実施に関する説明につきましては、平成二十九年四月二十日に防衛省から愛知県庁に御説明をしております。そして、愛知県庁の方から今委員御指摘の関係自治体に対しては連絡がなされているものと承知しています。これは、愛知県庁との間で事前に協議をした連絡の仕方で行われておるものでございます。

本村委員 防衛省から直接、豊山町や小牧市あるいは春日井市に対してしっかりと説明をしていないわけでございます。自治体や住民の皆様を軽視したひどいやり方だというふうに私は思います。

 もう一つ問題になりますのが、F35ステルス戦闘機のリージョナルデポの問題でございます。

 このF35リージョナルデポの問題も、アメリカ政府が二〇一四年十二月十七日、一方的に、私たち県民あるいは自治体の皆さんからすれば勝手に決めて、二〇一四年十二月十八日、豊山町、春日井市、小牧市、名古屋市に対してはファクス一枚で知らされたという問題でございます。

 まず、この単純な確認をしたいんですけれども、F35ステルス戦闘機は、どのくらいの頻度でリージョナルデポを使うことになるんでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 航空自衛隊のF35Aのリージョナルデポにおける整備の実施間隔につきましては、F35の具体的運用に係る情報でございますので、米側においても公表されていない情報であるため、お答えすることは難しゅうございますけれども、基本的には数年に一回のペースで整備が実施されることになるというふうに見込んでおる次第でございます。

本村委員 予算委員会分科会では、F35戦闘機のリージョナルデポ、重整備の拠点の機能については、ことしの夏から運用開始するというふうに答弁をされましたけれども、運用開始というのは一体どういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 本年二月二十六日の衆議院の予算委員会におきまして、防衛省の方からリージョナルデポにつきましては夏ごろまでに運用開始する予定という御説明をした趣旨は、このリージョナルデポにつきましては、本年夏ごろまでに一定の整備用の機材がそろうなど、F35Aの整備が可能となる状態になるということを意味するものでございます。

本村委員 アメリカから購入をした四機と小牧南工場で最終組立てをしたF35は新しいわけですから、すぐにリージョナルデポを使って重整備が必要となるわけではない、当面は必要ないわけでございます。

 なぜ、ことしの夏から運用を開始するということになるんでしょうか。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 F35のリージョナルデポにつきましては、本年一月から三沢基地において航空自衛隊のF35Aの運用が開始されたということを踏まえまして、万が一機体のふぐあい等が生じて、自衛隊の現場の精鋭部隊の能力を超えるような整備の必要性が生じた場合に対応できるように、リージョナルデポの能力を整備したものでございます。

 したがいまして、委員御指摘のように、機体は新しいものでございますので、直ちに定期整備の必要はないのですが、ただ、万が一そういった緊急の機体のふぐあい等が生じた場合には整備できるようにということで、本年夏から運用を開始するものでございます。

本村委員 もう一つお伺いします。

 在日米軍などのF35がこのリージョナルデポを使用することができるのか、確認をしたいと思います。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本に設置されるF35のリージョナルデポは、アジア太平洋地域における機体、エンジンの整備拠点と位置づけられております。

 したがいまして、まずは航空自衛隊の取得する四十二機のF35の整備を実施する予定ではございますけれども、このリージョナルデポの性格上、在日米軍の使用も排除されているわけではございません。

 ただ、いずれにしましても、在日米軍のF35の整備につきましては、まだ具体的に米軍から要望がございませんので、仮に要望があれば、その時点で米国政府と調整していくこととなるものと考えております。

本村委員 在日米軍始め外国軍のF35を持ってきて、県営名古屋空港の滑走路を使って、小牧南工場のリージョナルデポを使おうとしているのではないかということですけれども、まだ米軍の要請はないということで、確認させていただいてよろしいですね。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本に設置されるF35Aのリージョナルデポにおける米軍のF35Aの整備につきましては、現時点ではまだ具体的な要望はありませんが、今後、具体的な整備の要望があった時点で、米国政府と調整していくこととなると思います。

本村委員 先ほども申し上げましたけれども、春日井市長、小牧市長、豊山町長、そして春日井市の当局、議会、そして区長の皆様などから構成をされております春日井市飛行場周辺対策市民協議会の皆様からは、県営名古屋空港において米軍機の利用などがないようにされたいと繰り返し要望が出されております。

 こういう自治体の皆様の声に反することはやるべきではない。米軍が要請があっても、しっかりと断っていただきたいと思いますけれども、防衛省、お願いしたいと思います。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のような要望書をいただいているということについては承知をしております。

 ただ、いずれにしましても、F35Aのリージョナルデポにつきましては、例えば、試験飛行を行う場合につきましても、飛行前の点検を入念に実施する等、万全の準備を行った上で、試験飛行を含めた整備を行う次第でございます。

 したがいまして、仮に米軍から具体的な要請があれば、その時点で政府部内で検討することになりますけれども、その場合であっても、いずれにしても、関係する自治体の皆様の御理解をいただくことは大変重要と考えておりますので、丁寧な御説明、御連絡に努めてまいりたいというふうに考えております。

本村委員 アメリカから要請が来たすぐの段階で、オスプレイの問題では大分たってから公表されたという問題がございます、要請がアメリカから来た段階で、すぐにその事実を公表していただけますね。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、米国からどういった形で、どのような要請が来るかというのは現時点では不明でございますので、その具体的な要請、要望が来た段階で、これをどういった形で、どういう手順で処理するかにつきましては検討していきたいと思っております。

 ただ、いずれにしましても、関係する自治体の皆様の御理解をいただくことは大変重要でございますので、丁寧な御説明、御連絡に努めてまいりたいと思っております。

本村委員 本格的に、アメリカ軍などの他国軍のF35ステルス戦闘機が県営名古屋空港を使い、そして三菱重工小牧南工場に来るということになれば、例えば、青森県の三沢基地で、F16戦闘機が補助燃料タンク二個を湖に投棄して、結局、それは、自衛隊がタンクの破片の捜査とか回収に当たって、費用は日本持ちというように、米軍の使いっ走りのようなことになり、事故があれば、住民の皆様も、自治体も、そして自治体の消防も警察も巻き込まれていくことになるんじゃないですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 リージョナルデポも含めまして、米軍機の運用につきましては、安全性が最大限確保されることは当然でございますので、万が一事故があった場合という仮定の状況における対応について具体的にお答えすることは控えたいと思いますけれども、いずれにしましても、米軍機の事故が仮にあれば、米軍が対応すべきことは当然でございますけれども、部外への影響があれば、その具体的状況に応じまして、周辺自治体の皆様への影響が速やかに除去、改善されるよう、適切に関係当局が協力して対処していくべきものと考えております。

本村委員 自治体の首長の皆さんや、あるいは春日井市飛行場周辺対策市民協議会の皆様から、県営名古屋空港において米軍機の利用がないようにされたいということが繰り返し要望されております。こうした自治体の皆さんや住民の皆さんの声を無視することはやるべきではないというふうに思いますし、アメリカ軍の兵たんの拠点をつくるべきではないということを強く申し述べ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも一般質疑させていただきます。よろしくお願いします。

 まず最初に、前回も少しお話しさせていただいた、地方議員のなり手不足の関係についてお伺いしたいというふうに思います。

 さきの質疑では、たしか山崎局長ですかね、深刻な事態やと認識されているということはおっしゃっていましたけれども、一方で、今ちょうど年度末、もう年度変わりましたけれども、三月末までに、町村議会のあり方に関する研究会を回していらっしゃって、この報告書が出るのを待ちたいというお話をされておられました。これは三月末にしっかり出てきました。

 これを受けてどうしていくのかというのは非常に大事な観点だと思いますが、総務省、今、これを受けてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。よろしくお願いします。

野田国務大臣 お答えいたします。

 まず、昨年、高知県大川村において、議員のなり手不足を理由として、町村総会の設置が検討されたことは、小規模市町村における議員のなり手不足の深刻さを象徴する出来事であったと考えています。

 また、今後、人口減少の本格化に伴い、小規模市町村ほど人口減少率が大きくなると見込まれており、まさしく今地域における行政サービスの持続可能性が問われているのだと認識しています。

 そうした中で、町村議会のあり方に関する研究会の報告書が取りまとめられたことは大変意義深いものと考えているところです。

 このたびの報告書においては、小規模市町村における持続可能な議会のあり方について、現行議会において自主的な議会活性化の取組を進めることを第一の選択としつつ、集中専門型という、権限を集中させた専門的議員により構成される議会のあり方と、多数参画型という、多数の非専業的議員により構成される議会のあり方を条例で選択できることとすること、また、女性や若者など、議員の裾野を広げる取組として、住民が議員とともに政策的議論に参画する議会参画員制度を集中専門型と一体的な仕組みとして設けることなどが提言されています。

 いずれにしろ、地方議会が多様な民意を集約しながら意思決定を行うためには、単になり手不足を解消するだけでなくて、議員の選出に女性や若い人たちなど住民の多様性が反映されることも極めて重要だと考えています。このたびの提言にそうした視点が含まれていることを評価しているところです。

 報告書の提言については、各方面からさまざまな意見をいただきました。お互いに意見を交わすことで、これから議員のなり手不足のよりよい解決策につなげるとともに、議論を通じて議会の活性化も期待できると考えられることから、これからも、地方自治を支える議会のあり方については、建設的にしっかり議論してまいりたいと考えています。

 いずれにしても、総務省として、研究会報告書の提言を議論の材料として、三議長会を始めとする関係者の御意見を伺いながら、必要に応じて地方制度調査会での議論をお願いすることも含めて、対応を検討してまいりたいと考えています。

丸山委員 大臣、議論をして出た報告書をもとにまた議論をしてというのを重ねておったら、いつまでたっても、これはなかなか前に進まぬと思うので、具体的な、この今出てきたものに対して次のアクションを起こしていただかなきゃいけないですし、それは総務省だからこそできることが多々あると思います。そうしたアクションというものはないんですか。議論をされるだけなんですか。

 局長でも構いません。どなたでも、事務方でもいいんですけれども。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、研究会の報告書が出て、ある意味では二つのパターンの革新的な提言がございます。これは、出た後で、やはり市議会議長会、町村議長会等からも反応がありまして、これらの方々ともしっかり議論をしていく必要があると思っております。

 その上で、地方制度調査会というのは、与野党の衆参議員、それから地方六団体が入っておりますので、そういうオープンな場でしっかり議論を積み重ねて、制度改正に結びつけるものは結びつけていきたいというふうに考えているところでございます。

丸山委員 やってくださいと言っていくしかないんですけれども、これは、深刻な問題やというのは大臣も今認識を一にしていただいていますし、これに対して早くやっていかないと、もう現実の問題として起きているわけで、今、高知の例を出していただきましたけれども、議論だけじゃだめなんですよね。具体的な、やってみるということも必要だと思いますし、やってみて、トライ・アンド・エラーで難しいところを変えていくというのも最後は必要な部分だと思います、もう現実に迫った問題という意味では。

 しっかり、議論だけで終わらず、総務省として具体的な施策を前に進めていただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、平成の大合併の関係もあって、この地方議員の数というのはどれぐらいが適正なんだろうというのは、各地方自治体においてもいろいろな議論がある、また、ちょっと混乱を生じているところもあるなというのが正直なところです。

 維新の会は、いつも、必要のない数の議員じゃなくて、しっかり適正な、できる限りミニマムで皆さんの声は届くラインのミニマムでの定数というものをしっかり各自治体で定めていこうということで、それぞれの自治体の維新の会の議員もそうした提案をしていっているんですけれども、これはやはり、国全体としてある程度、方向性とか、どれぐらいの規模だとどれぐらいなのかというのの全く今見えない中で、もちろん地方のことは地方で決めるんです、だから、その地域でそれは多い方がいいとおっしゃる住民が多いときには、それはそうなんですけれども、今、現状のままを放置しているところが結構多くて、そういった意味で、それに対して総務省として、ある意味、方向性を示していくというのも、先ほどの現状を改めていくという行動、議論だけじゃなくて行動という意味では、私は一つの方法としてありだなと思っていまして、こうした部分に関して総務省はどのような見解でいらっしゃるのか、お伺いできますか。

山崎政府参考人 お答えを申し上げます。

 実は、これは非常に重い問題でございまして、もともと地方自治法制定時には、全ての人口規模で議員定数を法律で決めておりました。その法律で決めておって、それを少なくするときだけ条例をつくるというふうなことで、スタンダードをかちっと示しておったわけでございます。

 ところが、平成十一年の地方分権等を踏まえた改正の中で、それはよくないだろう、条例で定数は決めますよ、みんな条例で決めますと。で、上限だけ地方自治法に定めるというふうに変えたんです。その後、実は、また更に自由化の議論が進みまして、平成二十三年の改正で法定上限も廃止して、全て自治体の条例に委ねる、こういうふうにしたわけでございます。

 そういった意味からしますと、こういう流れからすると、なかなか総務省が基準とか、あるいはスタンダードとか目安とかを出すのは難しくて、それぞれに自分で議論をしていただくということになると思うんです。

 ただ、今回の研究会の報告書なんかは、やはり一つの一石を投じる考え方で、三人から五人の集中専門型はどうかとか、それから、かなり多数で議論するのはどうかということをお話をしているわけでございますが、こういう新しいタイプの議会についてどうかということについては、私ども研究もしておりますし、お話ししてまいりたいと思うんですが、これまでの実は定数を決めた流れの中では、一般的にこれぐらいの人口だったらこうということを申し上げるのはなかなか難しいということでございます。

丸山委員 なかなか地方議会では、こうした状況を調べる、例えばそういった最新の研究はどうなっているのかとか、そういった部分でも調べていくのは限界があるという話も議員の皆さんからあって、では、一体国はどれぐらいを適正と考えているのかなみたいな、ちょっと確認したいみたいな方々もいらっしゃると思います。

 さっき出たような研究会の話もありますし、それだけじゃなくて、世界じゅうを見て、いろいろな国のやり方があると思います。そうした中でどういうふうに決めていくか、最後決めるのはもちろん自治体だと思いますが、そうした中で、総務省として、そうした議論が出たときに議論しやすいような環境のためのデータなり、そういった提案みたいなものを出していただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、新しい取組をやっている自治体、定数の方じゃないんですけれども、投票の方で、電子投票という形で、特別法が制定されてからやっている自治体があると思います。

 報道で、この電子投票を最後に実施していた自治体である六戸市、青森の、この六戸市で、ついに最後の自治体までこの電子投票を休止せざるを得ない、そういうものが出ております。

 これについて、総務省、どのような見解で今いらっしゃいますか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 地方選挙における電子投票につきましては、平成十四年二月に施行されました電子投票法に基づきまして、条例を定めた地方公共団体において実施されてきております。

 なお、この電子投票でございますが、一般的には、投票所に配置されたタッチパネル式の投票機で投票して、投票の記録が入った記録媒体を開票所に持ち込んで開票するというものでございまして、オンライン等ではございません。

 この電子投票につきましては、開票の迅速化に加えまして、疑問票、無効票などがなくなるなどのメリットがあることから、総務省としても、これを実施する地方公共団体に対し、特別交付税による財政措置などを行ってきているところでございます。

 御指摘の青森県の六戸町の件でございますけれども、機器の貸与を受けている事業者から今後選挙における機器の供給ができない旨の連絡があったことから、電子投票の休止を検討しているという御報告を総務省としても受けています。また、さまざまな方面に当たりましたけれども、他の事業者も含めまして機器を供給できていないというような状況でございます。

 現在、総務省に投票環境の向上方策等に関する研究会を設置しておりまして、この中で選挙事務におけるICTの利活用などにつきましても議論を行うということでございますので、電子投票の改善点、これがございましたら検討を進めてまいりたいと考えております。

丸山委員 総務省さんも、ICT、ICT、いつも言うてはるわけですから、しかも、選挙という総務省のさらにこれは所管でもある、その組合せの部分なので、しっかりリーダーシップをとっていただきたいんですけれども、現実は、今申し上げたように、インターネット投票ですらないんです。電子投票です。その場でパネルを押して、それを、しかもネットワークでつなぐんじゃなくて、持っていって集計するという、この基本の一番最初のところです。

 でも、これはすごく便利で、まず、お話あったように、無効票が消えますし、何よりも、不正も、ほかのインターネットにつなぐみたいなものも考えづらい。

 そして、何より開票が速いんですよね。我々政治家はいつもそうですけれども、開票を待つのにえらい時間がかかって、また、開票所も、意地悪でと言ったら怒られますけれども、最初の開票、みんな千票とか、みんな五千票とか並んで、いや、そんなことないんちゃうんみたいに思いながら、レースかのようにと言ったら怒られますけれども、だから、うまいといったらうまいんでしょうけれども、出し方をおもしろいようにおやりになるんだと思いますが、しかし、それを見ているとやきもきしますし、この時代に、さすがに、夜遅く、日付越えてまで開票するというのは、働き方改革の面でも変な話だと思います。

 不正がないようにする部分はちゃんとやりながら、効率的にできる部分はしっかりやるべき一番の、政治こそ自分の襟を正してやるべきところだというふうに思うんですが、残念ながら、でも、これ、今こういう状況で、何で広がらないのかなというのは非常に大事な観点だと思います。

 これについて、総務省、お伺いしたいんですが、まず事実関係も確認しておきたいんですけれども、これまで電子投票が行われた自治体数、どれぐらいあって、地方の選挙、どれぐらいの選挙でこれは実施されたんですか。そして、今回なくなりそうになっていますが、広がっていかない、なくなりそうになっている理由、どこにあって、総務省としてどう考えるのか、お伺いできますでしょうか。

大泉政府参考人 まず実績でございますが、地方選挙における電子投票につきましては、これまでに十団体で二十五回実施されております。

 なお、現在は、電子投票条例を制定している団体数は六団体ございます。ただ、そのうち、六戸町を除く五団体は条例を凍結しているという状況でございます。

 それで、なぜ地方公共団体における電子投票を導入することが広まらないかということでございますが、まず第一点として、専用の投票機を用いる必要がございまして、使用頻度が少ないこともあり、導入経費が高額となっているというようなことがございます。

 第二点としては、これは地方選挙だけですので、国政選挙において制度的に導入されていないということでございます。

 これは、平成十九年に、議員立法におきまして、国政選挙に電子投票を導入する法案がございましたのですけれども、これにつきましては、平成二十年、参議院の段階で審議未了になりまして、廃案となったという経過がございます。

 三番目に、機器の技術的信頼性に関する不安があるということでございます。

 この点につきましても、平成十五年の選挙におきまして、電子投票機が基本的には過熱して処理できなくなったということも原因で、全ての投票所で一時的に投票不能になったというような状況がございまして、裁判においては選挙無効というふうになっております。

 このようないろいろな状況から、なかなか普及しないのではないかと考えております。

丸山委員 普及の問題、コストの問題を最初にお話しされまして、やはり、国政選挙も含めて数がないと、一回一回にコストがかかり過ぎて、自治体の交付金、補助をいただいても限界があって、結局やめていく。それでどんどんどんどんなくなっていって、結局、最後、この六戸も、六戸町もですね、ここも、やろうとしても、その機器を出している組合さんが一個しかなくて、その関係でやめざるを得ないという非常に残念な結果に、どちらかというと時代の流れに逆行している感があるなというふうに思います。

 これは非常に政治のリーダーシップが要るところですし、与党にいらっしゃって大臣でもいらっしゃって、しかもこの電子投票というICTの部分で、しかも投票制度というと、まさに野田大臣が一番リーダーシップをとっていただきたい分野だというふうに思うんですが、この状況について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えいたします。

 青森県六戸町においては、通算六回の地方選挙で電子投票を実施し、これまで特段のトラブルもなく、開票も短時間で完了していたものというふうに聞いています。今後、事業者による機器の供給ができないというやむを得ない事情があるものの、やはり電子投票が実施できなくなったことは大変残念なことだと思います。

 電子投票については、先ほども選挙部長から話がありましたけれども、投票環境の向上方策等に関する研究会の中で、選挙事務におけるICTの利活用について議論をしています。というよりも、積極的に議論をしてくれというふうに言ってあります。

 これまで、ICTとは似て非なる電子投票ですけれども、こういうところで起きたこと、特に結果として進まなかった理由について、しっかりと精査して、例えば私の地元岐阜県でもやはり今お話があったようなことがあって、裁判で無効になるんだったらもうやめた方がいいみたいな、そういう、どうしても引っ込み思案になってしまったところがあるので、そういうところをしっかり乗り越えていけるような、ICTの、インターネットでの選挙ができるかどうかということについて、議論だけじゃなくて、ある一定の方向性が出せるよう取り組んでもらいたいと言っているところです。

丸山委員 世界的に見ても、いわゆる押してという電子投票、ネットワークを通じてというのはなかなか少ないんですけれども、こういった押すところは結構ありますし、これでトラブルになっても最終的には無効にできる、無効にしてもう一回やるというのが普通です。これは紙でも同様で、トラブルがあったときは無効になってというのは普通にあるものでございますので。

 そういった意味で、いつまでこの二十一世紀の時代に、みんな携帯電話を持ってネットワークでつないでいる時代にこの電子投票すらできないという状況は、正直、若い者の一人として、政治をやっている者の一番若い一人として、恥ずかしく思います。次の時代に、まだ紙でやっているのかと言われないようにしっかり前に進めていただきたいと思いますし、我々も超党派で後ろを押していきたいというふうに思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。

 選挙の関係でいいますと、憲法の議論がここから進むと言われていますが、大阪で住民投票をやったときに、憲法も最後は国民の皆さんの国民投票ですが、いわゆるCM、広告宣伝費というのを非常に各陣営かけて、あの住民投票のときも、大阪はすごく、イエス、ノーどちらの陣営も大量の資金を使って広告したという現状がありました。

 ただ、これは、今、憲法審査会も含めて議論が始まるんだと思うんですが、こうした部分に対する規制は現行法ではしっかりしていなくて、その意味で、お金をかければかけるほどそういうことができるという、非常に不公平感があるという問題の可能性とか、いろいろな問題点が指摘されていると思います。

 これは今の間に整備していくというのが非常に大事な観点だと思いますが、これに関してどのようにお考えでしょうか。

野田国務大臣 お答えします。

 日本国憲法の改正手続に関する法律、国民投票法は、平成十九年に議員立法で制定されています。その際、各党各会派でのさまざまな議論を経て、国民投票運動については基本的に自由とし、投票の公平さを確保するための必要最小限の規制のみを設けるとの結論に至ったものと承知しているところです。

 今御指摘のとおり、現行の国民投票法においては、国民投票運動に係る費用について、公職の選挙における選挙運動費用とは異なり、その限度額に関する規定は設けられていません。

 国民投票法制定時においても、広告放送規制の議論の中で、資金力の多寡によって影響力に格差が生じる等の指摘があったことは承知しています。

 国民投票運動に係る費用のあり方を含め、国民投票運動のあり方については、国民投票制度の根幹にかかわる事柄でありますから、国会において御議論いただくべき事柄であると考えています。

丸山委員 これはまさに我が党でも議論していますし、憲法審査会が始まるのかどうか、ちょっと予断は許しませんが、しかし、そうした中で各党会派で議論をさせていただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、しっかりこれは議論を前に進めなきゃいけませんね。まだ結論を出せないんですが、しかし、できれば、総理が言っている年数でこれをやろうと思ったら、ことしか来年には決めておかなければ、やるやらないも含めて結論を出さなければ前に進めないと思いますので、これは議論だけで終わるわけにはいきません。しっかりと、大臣も、よろしくお願い申し上げます。

 続きは、ちょっと、通信インフラ関係と、あと情報セキュリティー関係、続けてお伺いしていきたいと思います。残りの時間を使います。

 公衆電話、緑の電話ですかね、一番最近のはそうなんですけれども、今どんどんどんどん町中から減っているという状況があると思います。それはいたし方なくて、やはり携帯電話が便利で、みんな携帯電話を使っているので、需要がそもそもないというふうなことだと思います。

 それは時代の流れだと思いますが、一方で、公衆電話が見直されている部分もありまして、実は災害にかなり強い、携帯の基地局が軒並みだめな状況になったときも公衆電話がつながっているところが結構あったとか、過去の事例、東日本大震災とかでもそうした事例が見られているということで、今見直されていまして、NTT東日本なんかは、こうした、非常時の、災害時のための公衆電話の設置みたいなものを進めている、配備を進めているというふうに聞いております。

 これは非常に大事な点だと思うんです。最終の通信インフラを確保していく、災害時のですね、非常に大事な部分だと思うんですけれども、これは政府としてどのようにお考えか。そして、バックアップなりそれに対する支援なり、取組として政府として何かされているのか。そういった部分をお伺いできますでしょうか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 公衆電話は、戸外における最低限の通信手段として重要でございまして、御指摘のとおり、ふくそうが生じにくく、停電時でも使えるということから、災害時も有効な通信手段となっているというものでございます。

 また、御指摘のとおり、近年の携帯電話等の普及によりまして、常設の公衆電話の設置台数は、設置を義務づけられている第一種公衆電話、これは全国で約十一万台ございます。これに関しましては維持しておりますが、それ以外の公衆電話は減少しているという状況にございます。

 他方で、NTT東日本、西日本では、災害時の避難所となる学校、公民館など、災害時に無料で使える公衆電話であります特設公衆電話の事前配備といったものを、東日本大震災のございました平成二十三年以来進めているところでございます。その設置台数は、平成二十四年度末時点で約一万八千台でしたが、平成二十九年九月の時点で約六万七千台となっている状況にございます。特に、東京二十三区内におきましては、帰宅困難者の利用というのも想定いたしまして、一部のコンビニエンスストア等の店舗での特設公衆電話の設置も進めているというところでございます。

 この特設公衆電話は、災害時等における通信手段を確保するために重要な取組でございまして、非常時の需要に応えられるよう、その十分な配備を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

丸山委員 いや、進めていただきたいと考えているじゃなくて、ぜひ、NTTだけじゃなくて、政府としてもバックアップをいただきたいんです。これは、別に、NTTが独自にやっているということですね、今のお話だと。政府としてはやってねと言っているだけということなんですか。

渡辺政府参考人 災害時の通信の確保は非常に重要でございまして、NTTとしましてもこういった整備等を積極的に進めていただくように、総務省としてもさまざまな場面等で要請等をしているところでございます。

丸山委員 お答えを見ると、現状としては、東日本なりNTTさんがやっている部分に満足しているというか、しっかりやっていただいていると思っているのでそれはぜひやってくださいと思っているということだというふうに思いますが、非常に災害の部分というのはコストがかかる部分で、採算に合わないところもあると思うんです。しかし、採算に合わないからこそやっておかないと、合わないからとなくなってしまったら、非常時に使えない、非常なところで。これこそ、いわゆる経済学的には政府がやるべき部分だと思いますので、しっかりこれはバックアップをお願いしたいと思います。

 同時に、携帯電話の普及で、まだやはり携帯電話がつながらないところもあります。うちの地元でもやはり、うちも大阪は大阪なんですけれども一番南で、イノシシも出るようなところでございまして、市内だと考えられないと思うんですけれども、そういった山村部のところはやはりいまだにつながりにくい、つながらない、うちの家のところは難しいという話もあるんですが、一方で、総務省さん、これに対しては、携帯、今、三キャリアですかね、そのキャリアに対して、もしそうした部分があれば、エリア整備事業という形で補助金をつけることで推進していこうというのもやられています。

 これは非常に大事だと思いますし、しっかりやっていただきたいと思うんですけれども、このエリア化されていない地域に関する基地局の整備について、今後このカバーをどのようにやっていくかというのは非常に大事だと思うんですが、これは、目標設定だとか、どういうふうに今後進めていくかとか、どのようにお考えなのか、総務省の見解をお伺いできますか。

渡辺政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、携帯電話サービスエリアの居住人口の割合は九九・九九%となっております。携帯電話のサービスエリア外の居住人口は全国で約一万八千人、エリア化を要望しない居住者を除きますと約一万四千人となっている状況でございます。

 このような状況のもとで、総務省では、平成三十一年度末までのエリア外人口といったものを一万人未満とするということを目標にいたしまして、御指摘の携帯電話等エリア整備事業によりまして携帯電話の基地局整備を進めているという状況でございます。

 あわせて、緊急時の通信を確保するといったニーズが高まっていることから、例えば、登山道をカバーする基地局ですとか、災害時に避難路としても使用する道路をカバーする、こういった基地局の整備も進めているところでございます。

 総務省といたしましては、携帯電話事業者及び自治体と連携の上、携帯電話等エリア整備事業を活用いたしまして、引き続き、携帯電話の不感地域対策の推進と、国民の皆様が緊急時や災害時に携帯電話を利用できる環境を整備してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 しっかり目標に従って前に進めていただきたいと思いますし、この間、NHKの予算審議のときに、NHKも、見られないところに関しての、最後の最後、ほぼないということでした。その域まで、一〇〇%というのはなかなか難しいかもしれませんが、域まで言えるような、ぜひ政策を前に進めていただきたいというふうに思います。

 続きは、いわゆるサイバーセキュリティーの関係をお伺いしていきたいんですが、ちょっとびっくりしたんですが、ニュース、きのうですかね、出ていまして、中央省庁の職員のメールアドレスやパスワードが大量に流出したという報道がありました。二千件を超える数だということですが、非常にゆゆしき事態だと思います。

 これは事実でしょうか。現状と状況とそれに対する対応等、お伺いできますでしょうか。

三角政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の件、インターネットサイトにアカウント情報として登録されたメールアドレスと当該サイトで用いられるパスワードが漏えいしていること、その中には政府機関の職員のものと見られるものが含まれていることにつきましては、政府機関以外の組織が運営するインターネットサイトからこれらの情報が流出したものと認識しております。

 本件は政府機関の情報システムがサイバー攻撃を受けたものではございませんが、平素から、流出した情報が極力悪用されることがないよう、対策を講じることが重要と考えております。

 具体的には、政府機関における情報セキュリティー対策を定めた統一基準において、政府機関の内部と外部のシステムにおいて共通のパスワードを使用することや、政府機関の業務のために使用しているメールアドレスやパスワード、これを私的に利用することについて禁止しているところでございます。

 内閣サイバーセキュリティセンターにおきましては、これまでも各府省庁や独立行政法人に対して注意喚起を行ってきているところでございますが、一昨日、改めて注意喚起を行いました。政府として引き続き必要な対策を行ってまいりたいと存じます。

丸山委員 これは二千件ということで、要は、公用と私用を分けないで使っていらっしゃる方がいて、それに関して、外部のサイトでそれを使ってメールアドレスとあとパスワードを登録して、外部のサイトの利用をされているということなんですけれども、これは一瞬聞いたら、別に外部サイトの話だからいいんじゃないかと思うんですけれども、実は情報セキュリティーというのはそんな単純じゃないと思うんですね。

 パスワードというのは、人間、同じパスワードを使っていらっしゃる方も結構いて、その割合が例えば一%であっても、二千件なんですから二十人はいるわけですよ。二十人のメールアドレスとパスワードがわかってしまうわけですね、一%と仮定したとしてもですよ、この数字はわかりませんが。

 そういったレベルで考えたときに、非常に数も多い中で危惧すべきところだと思いますし、早急に、これは漏れたのはわかっているわけですから、その漏れた方々に対して、アドレスを変えていく、若しくはアドレスなりパスワードを変えていく、そうした指示が必要だと思いますし、何より、さっきの禁止をしているという話は、これは罰則があるんですか。

 このあたり、まず何を聞きたいかといいますと、これに対して、誰のが漏れたか把握していて個別に指導ができる状況なのか、同時に、これは禁止されているという話なんですけれども、これに対して罰則があるのかどうか、いかがなんでしょうか。

    〔委員長退席、原田(憲)委員長代理着席〕

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、委員御指摘のとおり、個別にわかっておりますので、そこについては一つ一つ丁寧に対処しているところでございます。

 罰則につきましては、政府統一基準上は罰則はございませんが、適切な指導を行ってまいる、そういうことでございます。

丸山委員 年金機構のやつは、たしかハッキングか何かでとられたんだと思います。今回はそうじゃないわけで、しかし、それを発端に、一人のメアド、アカウントをとられただけで、そこからどんどんマルウエアのウイルスを流して大量感染させるというのも可能ですし、今の時代、やろうという組織なり、個人のおもしろ半分にやる方もいるかもしれませんが、存在し得るので、しっかり、これはわかっているのであれば、全員対応いただきたいと思います。

 その上で、できれば、やらないように注意喚起だと、そのときは気にするんですけれども、結局、人間なので、パスワードだって同じのを使うとか、結局、いつもこのメアドを使っているから使おうとなっちゃうので、余り頻出するようであれば、禁止だけじゃなくて罰則も含めて、だめなんだよというのをしっかりやっていかなきゃいけないと思いますし、それも含めてぜひ検討いただきたいと思いますが、まずやらなきゃいけない、今の、確認をしていく、そして、それに対してすぐ、変更も含めて、現状、何かなっていないかの確認をしていく、その対応をよろしくお願い申し上げたいと思います。

 各省においても、サイバーセキュリティー関係の担当というのは必ず必要だと思いますし、置いていらっしゃるところもあると思うんですが、総務省についてお伺いしていきたいんですけれども、この間記事を見ていたら、びっくりした総務省の話があって、「総務省のサイバー担当募集 日給八千円 専門性必須なのに買いたたき」みたいな書き方をされているんです。

 びっくりしまして、ええっ、八千円という話で、しかもボーナスも、賞与なし、しかも交通費自腹という。交通費を自腹で払ったら一体幾ら残るんだ、これは大変やんかという話でもって確認したいんですけれども、どうやら、ちょっとこの記事の方が変な書きぶりをしているんじゃないかというふうに聞いていますが、これについてどうお考えになっているか。

 同時に、ほかで情報流通振興課、これは別の話なんですけれども、ほかの課でも同様に、総務省内で同様の人材を採用したというふうに書かれているんですが、これに関して、どのようになっているのか、現状、状況をお伺いできますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の今回の募集でございますけれども、システム構築などを行ういわゆる専門的な技術者ということではございませんで、上司の指示に従って、サイバーセキュリティーに関する人材育成あるいは情報の共有の促進といったような施策の事務を行うための非常勤職員を募集したものでございます。

 非常勤職員の給与につきましては、常勤の職員の給与との均衡を考慮して、職務内容などを踏まえて設定をさせていただいているというところでございます。

 なお、この募集につきましては、応募がございまして、四月から実際に採用をしているという状況でございます。

吉田政府参考人 情報流通振興課についてもお尋ねがございましたので、お答えいたします。

 こちらにつきましては、情報流通振興課にも同様の募集をしておりますが、これは教育の情報化の関係でございまして、教育の情報化に関する施策やその他の関連業務の事務に従事するという内容で募集をかけたものでございますが、こちらの方は、応募がございませんでしたので、実際の採用は行っておりません。

丸山委員 つまり、そうしたサイバーセキュリティー用の、防御するような専門的な方というよりは、こうした施策を、今回、電気通信事業法の改正が出てきますけれども、こうしたセキュリティーを高めていくような施策を出すための政策の立案の補助等をやられる方ということですので、そういった意味では、この記事自体はちょっと書き過ぎかな、「専門性必須なのに買いたたき」というのはちょっと言い過ぎかなというふうには思います。

 しかし、逆に考えれば、そうした人材はいないのか。総務省の中に、ICTだと言っているのに、こうした専門の方々がいるのかどうか、今後そうした方々をふやしていくのか、非常に気になる疑問だと思いますが、このあたり、いかがでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現状でございますけれども、総務省におきましては、政府機関における情報セキュリティー対策を定めました統一基準に基づきまして、総務省のセキュリティー対策基準を踏まえた情報システムのセキュリティー確保のための体制を整備しております。

 その具体的な体制としましては、最高情報セキュリティー責任者、いわゆるCISOのもとに、関係課室と連携をとりながらセキュリティー対策を講じておりますけれども、その際、セキュリティーの専門的な知識あるいは経験を有する外部の専門家を最高情報セキュリティアドバイザーに任命をいたしまして、システムのセキュリティー水準を高めるために、より堅牢なシステム構築やセキュリティーインシデント発生時の対処などに対応をいただいているところでございます。

 ただ、委員御指摘のように、これからのことを考えますと、私どもの中にもセキュリティーの専門的な知見を持っている人材というものをきちんと育成していくことが必要だと思っております。

 そういった観点からは、例えば、内閣官房などに出向をして経験を積むだとか、あるいは、民間の企業に出向してさまざまな業務経験を得るだとか、こうしたさまざまなキャリアパスを通じて、部内の人材の育成についてもあわせて取り組んでまいりたいと考えております。

丸山委員 ぜひつくっていただきたいんですけれども、発想は、それはやはり役所の発想な気がします。

 もう外部から、そういう専門家の方はいるんですから、一から今いらっしゃる方とか役所の方を育てるのも、まあ、もちろんやっていただければいいと思いますが、これは専門性を高めるためにどれだけ時間がかかるか。よりは、むしろ、外部から、民間から出向してきていただいて最初はついていただくとかですね。

 機構・定員の要求なりを財務省にしていかなきゃいけないのかもしれませんが、しかし、こうした部分は非常に大事なので、総務省さん、ICT、ICTだと言っているわけですから、先んじて、この分野を、しっかり省内でもそうした部署、そうした担当の職員の方をつくっていただきたいというふうに思います。今、検討していく、やり方があるといろいろな御提案もされましたので、ぜひ前向きにやっていただきたいというふうに思います。

 こうした意味で、人材不足なんです、でも、問題は。経産省の推計だと、十九万三千人ほど、このセキュリティー人材が日本全体で足りないんじゃないかという、非常な不足、大不足だと言っていいほど、今いらっしゃらない状況だと思います。

 これは、政府としても、もっと資金を人材育成に当たって投入していくべきだと思うんですけれども、こうした目標だとかこれに対する担当部署だとか、そうした部分を政府としてどう考えているかという部分、どのようにお答えになりますでしょうか。

三角政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、委員御指摘のとおり、サイバー攻撃が深刻化、巧妙化する中、サイバーセキュリティー人材の育成も重要な課題でございます。

 このため、昨年四月、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして、サイバーセキュリティ人材育成プログラムを作成したところでございます。

 そこでは、高度なサイバーセキュリティーの技術者の育成のみならず、ITを利活用したイノベーションと一体的にサイバーセキュリティーに取り組むことが必要であるとの認識のもと、民間の場合につきましては、例えば、経営層の意識改革、経営層を支えてサイバーセキュリティーの企画立案を行い、実務者を指揮できる人材の育成、専門家や実務者の育成等に取り組むことが重要と考えております。

 このプログラムを通じまして、関係省庁に人材育成施策の連携強化を促すなど、実際には、総務省、経産省、そういったところも中心に、具体的な実務者の育成、そういうことを行っているところでございます。

 また、政府の方の人材育成、こちらにつきましては、政府の中の人材育成、これも重要な課題と考えております。

 このため、サイバーセキュリティ戦略本部において決定いたしましたサイバーセキュリティ人材育成総合強化方針、これは平成二十八年三月三十一日に決定したものでございますが、これに基づきまして、平成二十八年度から、各府省庁におきまして、セキュリティー対策などを専任で行うサイバーセキュリティ・情報化審議官など、これを設置しております。

 各府省庁は、こうした司令塔機能のもと、セキュリティ・IT人材確保・育成計画を策定し、計画的にサイバーセキュリティー人材の採用、育成を行っています。

 内閣サイバーセキュリティセンターでは、毎年、その実施状況についてフォローアップを実施しているほか、サイバーセキュリティ・情報化審議官に対する研修や情報提供、共有、これを行っているところでございます。

 例えば、平成三十年度におきましては、本府省庁全体で約五十名の定員増による体制強化を図るとともに、俸給の調整額についても、約五十のポストの要求が実現しております。

 内閣サイバーセキュリティセンターといたしましては、引き続き各府省庁のサイバーセキュリティー人材育成の強化を推進してまいりたいと存じます。

丸山委員 意気込みはすごく感じますし、しっかりやっていただきたいんですが、でも、現状、多分、各省、その審議官なりは兼任だったりしたり、あと、総務省の今の、その前の答弁を聞いていただいてわかるように、まだ、今からというところが現状だと思いますので、しっかり音頭をとっていただいて、今の意気込みで、決してそうした穴をつくっていかないんだという意気込みでやっていただきたいと思いますけれども。

 でも、現状を見ると、エンジニアの皆さんのお給料というのはなかなか、特に民間なんか見てみたら、もう明らかに、アメリカと比べても低いとか、そういう現状があります。こうしたSEの待遇について、民間企業の部分だと思いますけれども、今、どのようにお考えなのか、政府参考人、お伺いできますか。

    〔原田(憲)委員長代理退席、委員長着席〕

前田政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省で平成二十八年の六月に調査をしました。システムエンジニアを含むIT人材の実態、その中で給与水準も聞いております。

 日米のIT人材の年収なんですけれども、日本では、年収が五百万前後に結構大きな層がありまして、そちらに集中しておりますが、米国の場合、年収一千万を超えて二千万までの間にかなりの人たちがそのゾーンに入ってくるということでございます。平均年収額で見ますと、日本は約六百万、五百九十八万と出ておりますけれども、米国は千百五十七万、いわゆる千二百万、大体倍ぐらい違うと。

 さらに、その一つの原因かなと思うんですが、年代別にこれを見てみますと、日本では、ソフトウエアのことも含めて、年齢を重ねると給料が上がっていくということなんですが、米国は、三十代でピークを迎えまして、その後、四十代、五十代にやはり落ちてくる、こういうふうな結果が出ている、こういう状況でございます。

丸山委員 恐らくそれぞれの国の特徴があって、日本の場合は年功序列の部分がまだ残っているということで、特にSEの方は若い方もまだ多いので、年配の方でSEというよりは、若手の、まだ三十、四十も含めてという方が多いと思います。そうした中での数字も出ているのかもしれませんが、しかし、明らかに、どの民間のデータとか見ても、経産省さんだけじゃなくて、低いと言われている中で、また、しかも激務だと言われている中で、このなり手不足を解消するためにこのままでいいのかなというのは、現場の皆さん思っていらっしゃると思いますし、政治も意識を持って、行政側も意識を持って、改善に努めていかなきゃいけないと思いますので、しっかりと目を向けていただければと思います。よろしくお願いします。

 今回、この後、電気通信事業法が出てきますけれども、改正で、サイバーセキュリティーの強化をやられるということで、これは非常に、何で今ごろなんだ、もっと早くやってほしかったという話もあるぐらい、しっかりやっていただきたい部分なんですけれども、ただ、こうした、今、セキュリティー上、狙われるというのはもう世界規模になっていまして、そういった意味では、私、今回審議予定のこの法案に関して、これだけではまだまだ甘いなというふうに思っている部分があるので、ちょっと、そこだけ先にお伺いしておきたいんですけれども。

 結局、今回の法改正が実現すると、日本国内にある、例えば監視カメラだとかIPアドレスをとられているような、そうした端末、脆弱な端末に対して、チェックをしてくれるようになると。それをチェックすることで、おかしなものに対しては、そのおかしな持ち主なり、もしくは管理者に、つながれる方に対して、これはセキュリティーが脆弱ですから、しっかりやってくださいねという形で確認をしていけるようになるというのが今回の法改正です。

 一方で、現状のネットワーク攻撃、DDoSを見てみますと、基本的に、日本国内の端末からだけで攻撃を受けるなんてことはほぼありませんので、世界じゅうのこうした端末にマルウエアを埋め込んで、そのマルウエアから、眠っている、スリープしているものを起こして、一気に世界じゅうからアクセスをかけるというのが普通のDDoSですので、どうしても日本国内だけ確認しても、もちろん日本国内、ちゃんと確認しなきゃいけないんですが、しかし、それは限界があって、世界規模で連携を強めていかないとだめなんですけれども、こうした部分に関してどのように考えられているのか、取り組まれているのか、お伺いできますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、サイバー空間は国境がございませんので、サイバーセキュリティー対策を強化していくためには国際連携というものが必要不可欠だというふうに私どもは考えております。

 総務省といたしましては、政府レベルの取組といたしまして、米国を始めとする十三の国・地域との間でサイバー協議を開催をしております。こうした議論を通じまして、サイバー空間における脅威の動向や、サイバー攻撃の手法を含む情報の共有や、あるいは共同的な演習、こういった取組の国際連携を強化をしているところでございます。

 また、政府間のみならず民間レベルにおきましても、サイバーセキュリティーに関する情報の収集、調査、分析を行いますいわゆるISAC、情報共有・分析センターが国際的な連携ワークショップを開催するなど、国際的な情報共有の強化に取り組んでいるところでございます。

 今回御審議をお願いしております電気通信事業法等の一部を改正する法律案、この中で、NICTの業務追加についても御審議をいただくわけでございますけれども、こうした取組も、日本国内だけではなくて、今後は他国においても採用いただき、同様の取組をグローバルに展開していくことが必要だというふうに考えているところでございます。

 総務省といたしましては、今後とも、関係省庁と連携しながら、国際連携の取組を継続、強化し、サイバーセキュリティーの強化に取り組んでまいりたいと考えております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 連携が必要なんですが、そういった意味で、アメリカの動きが報道で出ていて少しびっくりしたんですけれども、アメリカ政府はこの半年間で、韓国とか日本を含む複数の国々で、北朝鮮に対するサイバー攻撃の下準備を進めてきた。下準備には、北朝鮮のインターネット環境に外部からアクセスするためのファイバーケーブルの導入だとか、遠隔操作の拠点設置などが含まれているという、これは読売の記事なんですけれども、記事が出ています。

 これは非常にびっくりしたんですが、これは事実でしょうか。政府は事前事後に把握していたかどうか。これは、連携の話がさっきありましたけれども、米国との連携をとっているのかどうか。この辺も含めて、政府の見解をお伺いできますか。

小波政府参考人 お答えいたします。

 まず、御指摘の報道がありました点については、私ども、当然のことながら承知しております。

 防衛省・自衛隊は、現行の日米安保体制のもと、平素から米国と緊密に連携しておりますが、米国の活動に関する報道の一つ一つ、あるいは米国とのやりとりの詳細についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、その上で申し上げますと、外交努力を通じて平和を守ることが重要であることは言うまでもありませんけれども、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、地域の平和と安全の確保には日米同盟による強い抑止力が必要だと考えています。このような観点から、北朝鮮に対する圧力を最大限まで高め、北朝鮮がみずから変えるような状況をつくることが重要だと考えており、我が国として、米国が全ての選択肢がテーブルの上にあるとの姿勢を示していることを評価しているところでございます。

 例えば、三月六日に発表されましたペンス米国副大統領の声明においても、北朝鮮が非核化に向けた具体的な行動を示すまで全ての選択肢はテーブルの上にあるとの米国の一貫した姿勢のもとで、最大限の圧力をかける方針が示されています。

 我が国といたしましては、引き続き、先生御指摘のように、日米で密接に協力し、韓国を始めとする関係国と連携しながら、北朝鮮に政策を変えさせ、核・ミサイル計画を放棄させるため、あらゆる方法で圧力を最大限まで高めていく方針でございます。

丸山委員 これは恐らく、アメリカだけじゃなくて、ロシアや北朝鮮もそうですけれども、サイバー攻撃のニュースなり報道が多々出ていますが、こうしたとき、基本的には、その国だけでの、こうしたマルウエアをつくって、DDoSだったらDDoS攻撃するときにやるわけじゃありません。どう考えてもそのIPではじかれてしまうので、基本的には他国にマルウエアを埋め込んでいって大量にやるというのが当たり前の攻撃作法だと思いますので、日本に対してアメリカがこういうことをやるということに関しては、あり得る話だと思いますし、あると思うんですが。

 これは、問題は、日本の国内法に抵触することはないのかなというのが非常に気になるところなんですけれども、こうした部分、一般的で構いません、一般的に、先ほど申し述べたような状況や不正アクセスがあった場合には、不正アクセス防止法だとかその他安全保障上の国内法関係ありますけれども、こうした部分に抵触しないんでしょうか。一般的にいかがですか。

小波政府参考人 失礼いたします。

 ただいまのお話にございました、いわゆる不正アクセス禁止法等に関連する法律そのものにつきましては、防衛省の所管外でございますために、こちらで、いかなる行為が違法行為となるかどうかも含め、これ以上について防衛省の立場でお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、あくまでも一般論として申し上げれば、ある行為が不正アクセス行為の禁止等に関する法律、不正アクセス禁止法等によって禁止されている行為に該当する場合には、当然のことながら、違法行為となる可能性があるものとは考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、具体的な行為そのものについての評価については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

丸山委員 非常に、外交の関係もありますし、センシティブな話です。そして、恐らくアメリカも極秘裏にやるでしょうから、そういった意味で、アメリカが日本に対して、特に違法行為があるのなら余計言わないと思いますし、そういった意味で非常に難しい問題ですが。

 これはただ、日本としても、どうやっていくかというのは、非常に難しい、大事なところだと思います。日本国として同様の行為を他国でできるかというのは、非常に難しいものでございます。

 そうした中で、アメリカの動きだとか、恐らく北朝鮮の動き、先ほど申し上げたロシアだけじゃなく、世界じゅうの国の動きがある中で日本がどう防衛していくかというのは非常に大事なので、そういった意味で、先ほど来申し上げているような人材の育成だとかそこに資金投入するというのは、もう本当に必要な、ずっと言われているのに、なかなかまだまだ進んでいない部分でございます。

 ICTとずっとおっしゃる総務省ですから、ぜひリーダーシップをとっていただくことをお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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