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第1号 平成31年2月5日(火曜日)

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本国会召集日(平成三十一年一月二十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    木村 次郎君

      佐藤 明男君    田野瀬太道君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      伊藤 俊輔君    小川 淳也君

      岡島 一正君    中谷 一馬君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      稲富 修二君    古川 元久君

      國重  徹君    本村 伸子君

      足立 康史君    吉川  元君

      井上 一徳君

平成三十一年二月五日(火曜日)

    午後四時四十一分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    木村 次郎君

      佐藤 明男君    田野瀬太道君

      津島  淳君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      伊藤 俊輔君    小川 淳也君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      本村 伸子君    足立 康史君

      吉川  元君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   法務副大臣        平口  洋君

   国土交通副大臣      大塚 高司君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   会計検査院事務総局次長  宮内 和洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  堀江 宏之君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (消防庁次長)      横田 真二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     北村 知久君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  古川 元久君     日吉 雄太君

二月五日

 辞任         補欠選任

  山口 泰明君     津島  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     山口 泰明君

    ―――――――――――――

一月二十八日

 行政機関の保有する情報の公開に関する法律等の一部を改正する法律案(後藤祐一君外十四名提出、第百九十五回国会衆法第五号)

 日本放送協会平成二十八年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

 日本放送協会平成二十九年度財産目録、貸借対照表、損益計算書、資本等変動計算書及びキャッシュ・フロー計算書

二月五日

 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する事項

 地方自治及び地方税財政に関する事項

 情報通信及び電波に関する事項

 郵政事業に関する事項

 消防に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。石田総務大臣。

    ―――――――――――――

 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石田国務大臣 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案につきまして、その提案理由説明及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成三十年度の第二次補正予算により、同年度分の地方交付税の額が五千三百十一億円増加することとなります。本年度においては、このうち普通交付税の調整額の復活に要する額三百九十六億円と、特別交付税の増額に要する額七百億円とを交付することとし、残余の額四千二百十五億円を平成三十一年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとする必要があるので、平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律を制定することとし、所要の規定を設けることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

江田委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、行政管理局長堀江宏之君、自治行政局長北崎秀一君、自治行政局公務員部長大村慎一君、自治財政局長林崎理君、統計局長千野雅人君、消防庁次長横田真二君、法務省大臣官房審議官石岡邦章君、経済産業省大臣官房審議官上田洋二君及び国土交通省大臣官房建設流通政策審議官北村知久君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長宮内和洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。冨樫博之君。

冨樫委員 自由民主党の冨樫博之でございます。

 時間に限りがございますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 総務大臣より説明のあった平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案では、国税収入の増額に伴って増額する平成三十年度の交付税のうち七百億円を特別交付税の増額に活用することとしており、この七百億円の増額分は、地方自治体が今年度多発した災害に対応するため必要となる経費が多額となると見込まれることを踏まえ、措置されたものと聞いております。

 まずは、確認のため、特別交付税は、災害対応に係る経費を算定していると承知しておりますが、具体的にどのような経費を措置しているのか、お聞きします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 普通交付税の方は、いわば画一的な算定方法で地方公共団体の財政需要を把握をするわけでございますけれども、特別交付税の方は、そういった普通交付税のいわば画一的な算定方法では捕捉されない、災害に伴い地方団体に生じる財政需要などを対象として算定、交付するものでございまして、具体的には、災害の応急復旧対策等により生じるさまざまな財政需要につきまして、災害復旧事業費やあるいは罹災世帯数等に基づいて包括的に措置しておりますほか、また、被災地に対する職員の短期の応援あるいは中長期の派遣に要する経費でありますとか、あるいは災害廃棄物の処理に要する経費などを個別に算定しているところでございます。

冨樫委員 被災自治体にあっては、当然ながら、望んで災害を受けたわけではなく、また、災害が起こることを予測できたわけでもないことから、災害対応に要する経費を特別交付税で措置することは適切であり、増額することも異論はありません。

 ただ、増額する必要性を判断するに当たっての前提としては、一つ確認をしておきたいことは、これまで災害を理由に特別交付税を増額した例としてどのようなものがあるのか、お聞きします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 平成以降につきましてお答え申し上げます。

 災害の状況を踏まえまして特別交付税の増額を行った事例、五つほどございます。

 一つは、平成三年度でございますが、これは、雲仙普賢岳噴火を踏まえまして百二十三億円を増額したところでございます。また、平成六年度は、阪神・淡路大震災を踏まえまして三百億円、平成十六年度に、新潟中越地震や台風災害などを踏まえまして七百一億円、平成二十三年度に、東日本大震災を踏まえまして四千七百七十三億円、平成二十八年度に、熊本地震を踏まえまして五百十億円をそれぞれ増額した例があるところでございます。

冨樫委員 ただいま答弁があったように、過去に特別交付税を増額した例においても、災害の種類、増額の規模はさまざまであります。また、毎年度、台風を始め何らかの災害は起きている中で、増額が行われた事例は限られているが、特別交付税を増額するに当たり、一定のルールや考え方はあるのか、お尋ねいたします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税法上は、特別交付税は地方交付税総額の六%とされているところでございますけれども、年によって、巨大な災害などが発生をいたしまして、その応急復旧対応等に多額の財政需要が見込まれる場合につきましては、その状況を踏まえまして、特別交付税の増額の必要性についてまず検討をし、そして対応を図ってきているところでございます。

 また、本年度のように、年度途中に、補正予算によりまして地方交付税の増額が生じた場合でありますけれども、普通交付税の調整額の復活というものをまず行って、それとともに、災害など追加的に発生する財政需要への対応が必要かどうかを検討いたしまして、必要な場合には、その特別交付税の増額などを行いまして、そして、残余の額につきましては、翌年度の地方交付税の財源として活用をするために繰り越すということを基本としてこれまで対応してきているところでございます。

 本年度につきましても、こうした考え方のもとで、災害の状況を踏まえまして、特別交付税の増額を行うこと等を内容とする法改正を今般お願いすることとしたものでございます。

冨樫委員 特に、今年度は、私の地元秋田県でも五月には記録的な豪雨災害があって、また、六月には大阪北部地震、七月には西日本豪雨、九月には台風二十一号や二十四号、北海道胆振東部地震など、甚大な被害をもたらし、平成三十年の漢字に「災」が選ばれるほどに災害の多い年であったことは、記憶に新しいところであります。

 被災された地域が全国的に広がるとともに、地震や水害、台風と、災害の種類も多岐にわたっており、こうしたことは近年なかったことであります。それぞれ被災自治体は、災害への応急復旧対応に本当に御苦労をされていることと思います。

 特別交付税においても、それぞれ被災自治体が応急復旧対応等に要した経費をきちんと算定し、措置する必要があります。今回の特別交付税の増額も、そうした状況を踏まえてのものだと思いますが、今回、この特別交付税の増額に当たり、どのような考え方、積算に基づいて七百億円としたのか、お尋ねします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今年度の災害の状況を踏まえまして、今般、特別交付税を七百億円増額することとしておりますけれども、これは、災害関連経費の今年度の算定見込み額が、過去五年の算定額、これまで五年間算定してきた算定額の平均を上回る額、これが七百億円と見込んで増額をしているものでございます。

 具体的には、特別交付税、十二月交付と三月交付とあるわけでございますけれども、この十二月交付における災害関連経費の算定額、これをもとにいたしまして、被災団体へのヒアリングなども踏まえまして、今年度の算定額を一千百四十億円程度と見込んだところでございまして、一方で、先ほど申し上げました過去五年の災害関連経費の平均、これはおよそ四百四十億となっております。

 全国の地方団体の財政需要に応えるためには、今申し上げました五年平均の四百四十億、そして、今年度につきまして、算定見込みとして一千百四十億、こういう数字がございますので、この差額分七百億円を特別交付税増額ということで対応する必要があると判断したところでございます。

冨樫委員 質問時間が終了いたしましたので、これで終わりとしますけれども、いずれにしても、地方自治体、今のような、災害があることによって財政需要が大きくなる、あるいは、そういう意味において財政運営が、やはり支障を来す、そういうことにならないように、できるだけ速やかな対応をお願いを申し上げ、終わりといたします。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、長尾秀樹君。

長尾(秀)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの長尾秀樹でございます。

 どうぞよろしくお願いします。

 質問に入ります前に、一言申し上げたいと思います。

 本日、この総務委員会が職権で開催をされているということは極めて遺憾であります。抗議を申し上げたいと思います。

 もちろん、補正予算案並びに関連法案、一日も早い成立が必要である、そういう事情はよく理解をいたしておりますが、そうであるならば、しっかりと審議の環境が整えられるべきである。後ほど質問いたしますが、今回の統計の不正問題をめぐって、予算委員会でしっかりと議論ができる環境が整えられていない、参考人の招致が行われていないという中でこのような強行が行われるということは、今後あってはならないということを強く冒頭申し上げておきたいと思います。

 それでは、まず、地方交付税の総額の特例に関する法律案についてお聞きをいたします。

 ただいまの冨樫委員の御質問にもございましたけれども、昨年は、六月に大阪北部地震、七月には西日本豪雨、九月には台風二十一号、二十四号、そして北海道胆振東部地震など、大規模な災害が頻発をして、各地に甚大な被害をもたらしました。私の地元大阪でも、大阪北部地震で六名の方がお亡くなりになり、住居被害は五万五千棟に上っております。また、台風二十一号では八名の方がお亡くなりになり、住戸被害は四万二千棟に上っております。被災地においては、今もなお避難所生活を強いられている被災者がいるなどの状況が続いており、一日も早い復旧復興が望まれます。

 各被災自治体においては、一日も早く住民の生活をもとどおりにするために、復旧復興事業等を進めております。しかし、各被災自治体だけで復旧復興事業に係る経費を負担するには限界があるということで、国の支援が求められているところです。本法律案では、このような災害による追加的な財政需要に対応するため、特別交付税総額を七百億円加算して各自治体へ交付するということになっております。

 これは大変いいことだと思いますが、今も御質問ございましたが、この七百億円という額が各自治体の必要な額を賄えるのかどうか、この七百億円の根拠について、千百四十億円マイナス四百四十億円と今説明ございましたけれども、再度根拠について説明を求めるということと、具体的にどういう配分がされるのか、各災害ごとあるいは各自治体ごとの配分の予定がわかればお聞きをいたします。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、七百億円でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたが、災害関連経費の今年度の算定見込み額が過去五年の算定額の平均を上回る額、この差額分を増額するというものでございます。

 私どもの方で十二月に交付をいたしました特別交付税、そのときの災害関連経費の算定額をもとに、被災団体へのヒアリングなども踏まえて、今年度の算定額を一千百四十億円というふうに見込んだところでありまして、必要な額がこれで確保されているというふうに私ども現時点で考えているところでございますけれども、その内容といたしましては、十二月分ということで既に六百六十九億円配分をしたところでございますが、今後の三月分ということで、災害応急復旧対応等ということでございますけれども、包括的な措置、これであと三百四十億程度はかかるのではないか、また、災害応援、中長期職員派遣、災害復旧等の従事職員の採用などに四十億円程度かかるのではないか、そういった見込みをそれぞれ立てて、あと四百八十億程度必要になるだろうということでございまして、十二月分と合わせて一千百四十億円程度必要となってくる、こういうことでございます。

長尾(秀)委員 それでは、各自治体の追加的な財政需要はこれで満たされるものであるというふうに理解をいたします。

 今、三月交付というお話がございました。地方交付税法では、大規模な災害があった場合などにおいて、省令で特例を設けることによって、三月に交付すべき特別交付税を繰り上げて交付できるというふうに理解をいたしております。実際に、平成二十四年度や二十九年度の大雪等の被害に遭ったときは、三月交付分の一部を二月に繰り上げて交付しております。

 今回のこの増額された特別交付税については、いつ交付されるのか。二月にも交付することは考えていないのか、お考えをお聞きします。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 特別交付税は、地方交付税法に基づきまして、今御案内のような十二月、三月にそれぞれ交付することとされておりまして、今般増額をお願いしております七百億円を含めて、特別交付税は総額一兆三百五億円になりますけれども、十二月に既に交付した分を除く七千四十九億円、これにつきましては三月に交付をすることになります。

 ただいま御指摘いただいたような、いわゆる被災団体の資金繰りという観点から、私どもの普通交付税の方で、既に、昨年の六月以降、これは、六月の終わりには今お話があった大阪府北部地震がございまして、このときには大阪府内の五団体に普通交付税の繰上げを六月の終わりに実施しております。それから、七月豪雨に対しても十一府県の六十三団体に繰上げ交付、これは普通交付税でやっておりますし、その後も、九月の豪雨でありますとか、北海道の胆振東部にも、それぞれ普通交付税の繰上げ交付ということで、資金繰りの方は一応こちらの方で手当てをしたところでございまして、合計で、去年の六月から九月にかけて、百一団体に対して五百五十七億円の普通交付税の繰上げ交付を行っているところでございます。

 現在、特別交付税の先ほど申し上げました三月交付に向けまして、被災団体へのヒアリングを行いながら算定作業を進めておりまして、各地方団体の実情を今後も丁寧にお伺いしながら、適切に対応してまいりたいと思っておりますが、繰上げ交付という点に関しては、今のところ地方団体側からは御要望いただいていない、そういう状況にございます。

長尾(秀)委員 繰上げは考えていないということだと思います。そういうことであれば、そもそも、この特別交付税の増額、第一次補正予算においてできなかったのかという問題が残っております。

 大阪北部地震で被災した大阪市を含む近畿市長会と全国市長会、七月二十五日に総務大臣へ提出をいたしました要望書においても、災害への緊急応急的な対応に多額の費用が生じているため、特別交付税等による財政措置を求める旨の要望が行われておりました。一日でも早い復旧復興のためには、できるだけ早い時期に国による財政支援が行われるべきである、当時の委員会でもそういう議論があったかと思います。

 しかし、結果として、政府は、平成二十九年度国税決算に伴う地方交付税法定率分の増額、増加額二千六百八十四億円が確定をしていたにもかかわらず、第一次補正予算では増額が計上されませんでした。仮に計上をされていれば、十二月交付時に増額交付が可能だったのではないかというふうに思います。なぜそれをしなかったか、理由をお聞きをいたします。

石田国務大臣 長尾委員にお答えをさせていただきます。

 十月十五日閣議決定されました第一次補正予算の時点では、今年度の十二月分の特別交付税の算定前ということもありまして、災害関連経費の全体像の把握が難しい状況であったこと、また、第一次補正予算では、国税収入の補正が行われておらず、地方交付税の増額も確定していなかったところでございます。

 今般、第二次補正予算におきまして、国税収入の補正が行われ、地方交付税の増額が確定するとともに、十二月分の特別交付税の算定等を通じまして、今年度の災害関連経費の算定額を見込むことができたことを踏まえ、特別交付税を増額すること等を内容とする法改正をお願いすることとしたものでございます。

長尾(秀)委員 いずれにしても、被災自治体の要望にぜひ沿う形で今後ともお願いしたいと思います。

 今回のこの法律案によりますと、いわゆる増額分について全額を今年度中に交付しない、一部のみを交付。残り大部分、四千二百十五億円、五千三百十一億円中四千二百十五億円、約八割については平成三十一年度へ繰り越すこととしております。

 このような繰越措置を講じるのは、平成二十二年以降の九年間で七回目であります。地方交付税法の本則に基づかない措置が当たり前のように講じられている状況であります。今回のような特例的な措置が常態化する理由について政府の見解をお聞きします。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 補正予算に伴う地方交付税の増額につきましては、従来から、地方財政に巨額の財源不足が生じていることを踏まえまして、災害など追加的に発生した財政需要への対応に必要な財源、これは、今御審議いただいているような形で手当てをしたいということでやってきておりますけれども、それらを除いた額につきましては、翌年度の地方交付税総額の確保に資するように繰り越すことを基本として対応してきたところでございまして、来年度の地方財政におきましても、健全化ということを図りながらの中でありますけれども、巨額の財源不足は依然として生じることが見込まれたわけでございまして、地方交付税の増額五千三百十一億円のうち、災害対応を踏まえた特別交付税の増額分などを除きました四千二百十五億円につきまして、平成三十一年度に繰り越して、地方交付税の総額に加算することとしたところでございます。

長尾(秀)委員 財源不足の補填のために繰り越すということについては、一定は理解できます。しかし、年度途中の地方交付税の増額分は年度内に地方に交付をする、財源不足には、別途、法定率の引上げ等で対処をするというのが地方交付税法の本来の趣旨だと思います。地方固有の財源である地方交付税を国の政策判断で繰り越すという措置が常態化をしているのはやはり問題があるのではないかということを指摘しておきたいと思います。

 それでは次に、今般の統計に係る問題についてお聞きをいたします。

 既に昨年も厚生労働省の業務統計、労働時間等総合実態調査に不適切な調査データがあることが判明をして、国会で議論になりました。今回は、基幹統計調査の一つである厚生労働省の毎月勤労統計調査について、全数調査するとしていたところを一部抽出調査で行い、集計時の復元を怠るなど、不適切な調査が行われていたことが発覚をいたしました。

 このように、業務統計ではなく、国の重要な統計として位置づけられる基幹統計にまでこのようなずさんなやり方が及んでいたということになります。

 この毎勤統計は、労働関連の補助金制度の給付額の目安にも使われております。その影響は一千万人にも及ぶとされております。

 また、雇用者報酬など国内総生産推計に必要な算定資料ともなっております。不適切な調査は、国際的にも日本の公的統計の信頼を揺るがす事態であると思います。

 また、統計は政策遂行の道具でもあって、例えば給付措置を行う場合、どのようなものを対象とするかを特定する根拠資料となるなど、行政情報の側面もあわせ持っております。国民が質の高い行政サービスを受けるには質の高い統計が不可欠であります。

 そこで、お聞きをいたします。

 今回のこの毎月勤労統計における不適切事案を受けて、各府省において基幹統計の点検を実施して、総務省において結果を取りまとめたところ、五十六ある基幹統計のうち、実に二十二の統計に不適切な事例が見つかったと当初、公表されました。その後、厚生労働省から追加の報告があり、一つふえ、二十三となりました。さらに、足元の総務省においても新たに一つ追加をされたということで、今二十四、問題がある、こういうことだと思います。

 そこで、このように追加報告になった理由、そして、この追加報告がなされたことを踏まえて、全ての基幹統計について総務省として改めて点検をする必要があると思いますけれども、見解をお聞きします。

横田(信)政府参考人 今般の毎月勤労統計における不適切事案を受けまして、統計法において特に重要な統計とされております五十六ございます基幹統計、これを対象に、承認された計画や、あるいは対外的な説明内容に照らして、実際の調査方法や復元推計の実施状況について問題がないかという点につきまして、各府省において緊急に点検を行ったものでございます。

 この結果といたしまして、調査結果の訂正が必要なものや手続等に問題があるものとして、御指摘のとおり、二十二件報告がございました。これらについては、各府省において速やかに必要な対応がとられるということになっております。

 さらに、その後、賃金構造基本統計に関しまして、厚生労働省から追加で報告がございました。これは当初出てこなかったものが追加で出てきたということでございまして、この経緯につきましては、厚生労働省の方から二月一日に公表がされておるところでございます。

 これを受けまして、私どもといたしましても、念のため、他の基幹統計についても計画の記載内容と実際の調査に相違がないか再度確認いたしましたが、点検の漏れはないということで報告をいただいたところでございます。

 今般、統計委員会に新たに点検検証部会が設置されたところでございます。今後、再発防止等の観点から、基幹統計や一般統計調査について徹底した検証を行うこととしております。

 御指摘ございました、小売物価統計調査の問題もございました。

 これにつきましては、個々の調査員が不適切な事務処理をしていたということで、今回の我々の点検は、国からの指示に問題があるかないかというところで見たものでございます。そういったものではないことから、今般の点検の対象外であったところではございますけれども、今後、統計委員会の点検検証部会において、こうした事案の対策も含めて、不適切事案の防止を検討するということで取り組んでまいりたいと思います。

長尾(秀)委員 では、政府として、証拠に基づいた政策立案ということを推進をしている中でこういう問題が起きたということで、統計制度を所管する総務省として、総務大臣として、今回の事案、不適切な統計調査の問題についてどのように受けとめているのか、改めてお聞きをします。

石田国務大臣 御指摘のように、公的統計は本当に国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤でございますし、EBPM、すなわち、証拠に基づく政策立案を支える基盤でございまして、その品質確保、向上を図ることが非常に重要であるというふうに思っておるわけでございます。

 我々といたしましては、統計調査の体制を確保する上で必要な予算、人員の確保、特に統計に関する専門性を有する人材を確保、育成することが重要である、そのようにも認識いたしております。

 また、統計委員会からは、昨年七月に、こうした取組について、統計リソースを重点的に配分する必要がある旨、建議をいただいておりまして、公的統計の信頼性を確保するため、これらの取組を更に進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、今日の統計をめぐる問題につきましては、今、政府委員から答弁をさせていただきましたけれども、統計委員会に新たに点検検証部会を設置をいただきまして、各府省が所管する統計について、再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うことといたしておりまして、そうした結果を踏まえつつ、総合的な対策を講じてまいりたいと思っております。

長尾(秀)委員 徹底した検証、真相解明、総務省としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 今、統計委員会のお話も出ました。点検検証部会を設けるということですけれども、今回、厚生労働省は、基幹統計の調査手法に従っていなかったということになります。このような状況を統計委員会としてどのように受けとめているのか、また、今後の対策をどう考えているのか、統計委員会委員長にお聞きをしたかったんですけれども、海外出張中ということでありますので、参考人の方で答えられる点があればお願いをしたいと思います。

横田(信)政府参考人 一月十七日、統計委員会がございました。この場におきまして、政策立案の基盤となり、多方面に活用される公的統計の信頼に疑念を生じさせたこの事案につきまして、これは極めて遺憾ということとされております。

 その上で、厚生労働省に対しまして、統計技術的な観点から、徹底した原因究明と再発防止を求め、承認を受けた調査計画のとおりに、東京都の五百人以上の事業所の全数調査を可及的に速やかに実施することなどを意見としてまとめたところでございます。

 また、一月三十日にも統計委員会が開催されました。その場におきましては、毎月勤労統計につきまして、東京都の五百人以上の事業所を全数調査に戻すための調査方法の変更が適当とされ、統計の信頼回復に向け、新たに点検検証部会を設置することもあわせて決められました。

 今後、基幹統計や一般統計調査のさらなる点検、検証に取り組むことについて議論されております。

 総務省といたしましても、今後、統計委員会のこのような点検、検証の取組につきまして、全力を挙げて補佐してまいりたいと考えておるところでございます。

長尾(秀)委員 昨年の統計法の改正によりまして、統計委員会の権限は強化をされております。今御答弁にあったように、点検検証部会を設けて徹底的にやるということですので、とりあえずは、統計委員会の取組あるいは総務省としての取組、しっかりとやっていただく、その結果を見させていただきたいというふうに思っておりますけれども。

 基本的なことから考えますと、今回の事態は、我が国の公的統計全体の信用を毀損をしたということが最も大きい問題です。担当大臣や統計委員会、今後しっかり検証していく、あるいは適切な統計調査を行うと言われましても、その統計のユーザーである国民、研究者、他の行政機関等には確かめるすべがないわけであります。

 そういう疑念を抱かれないために、払拭するために、政府の統計のあり方について根本的にこの機会に考え直すべきではないのかというふうにも思いますので、今後、政府としてどうしていくのか、どういう展望を持っているのか、総務大臣にお聞きをいたします。

石田国務大臣 先ほど来答弁申し上げておりますけれども、これは、公的統計は本当に重要な問題でございまして、皆さんに大変疑念を抱かせる、御迷惑をかけているわけでございます。

 今、統計委員会では、点検検証部会、そして厚労省では特別監察委員会、それぞれ課題について真摯に御検討いただいている、調査をしていただいているわけでございまして、我々といたしましては、今後、その結果を踏まえて、信頼いただけるような統計行政を行っていけるようにしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

長尾(秀)委員 しっかり取り組んでいただきたいわけですけれども、やはり、今回の問題を受けて、統計行政の抜本的な改革の議論も行われるべきであるというふうに思っております。

 私の考えでは、本来、政府の統計は、その作成を一つの組織に集中させるか、あるいは第三者機関が強い権限で統括をするのが望ましいのではないかと思っております。さらには、人材の育成あるいは予算の重点配分、こういうことも今後必要になるのではないかというふうに思っております。

 こういう点は引き続きこの総務委員会でも議論をしていきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党・無所属クラブの稲富修二でございます。

 きょうは、発言の機会、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、平成三十年分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案について御質問申し上げます。

 先ほど来、各委員からございましたように、昨年は本当に多くの災害がございました。我が福岡においては七月豪雨が、多くの人的、物的被害を受けました。中四国の皆様にとどまらず、広範囲にわたっての被害がございました。

 そして、一昨年、平成二十九年には九州北部豪雨という災害がございました。これも、多くの被災をされた方、地域が多くのダメージを受けたことがございました。

 九州は、毎年のように豪雨そして地震ということで災害が続いております。そういった意味で、このように補正予算を通じ地元支援をするということは大いに進めるべきという立場からお伺いをいたします。

 各委員からもう質問がございましたので、私からは、改めて、この今回の特別交付税の加算七百億についてなんですけれども、今回、七月豪雨はかなり広範囲にわたっております。中四国、そして九州、そして岐阜まで、多くの範囲にわたっております。その自治体の皆様におかれては、この支援がどこまで来るのかということは大いに関心があるところかと思います。十分に被災地に対して、この特別交付税、支援が行くのかどうかということを改めてお伺いをいたします。

鈴木(淳)副大臣 繰り返しの答弁になりますけれども、今年度の被災状況は大変多岐にわたっておりますが、広く、広範囲でありますけれども、特別交付税七百億円増額でございます。

 これは、災害関連経費の今年度の算定見込み額が過去五年間の算定額の平均を上回る額を増額したものでございまして、具体的には、十二月交付における災害関連経費の算定額をもとに、被災団体へのヒアリング等を踏まえて、今年度の算定額を千百四十億円と見込んだところでございます。

 一方で、過去五年間の災害関連経費の平均は、およそ四百四十億でございますので、全国の地方団体の財政需要に応えるためには、これを上回る七百億円につきまして、特別交付税を増額して対応する必要があると判断したものでございます。

 現在、各被災団体へヒアリングを行いながら今年度の特別交付税の算定作業を進めているところでございますが、各地方団体の実情を丁寧に丁寧にお伺いしながら、財政運営に支障がないように適切に対応してまいりたいと思います。

稲富委員 よろしくお願いいたします。

 防災力について引き続きちょっと質問をしたいと思いますので、ちょっと質問の順番を変えて、防災について引き続き御質問させていただきます。

 防災力をつける、あるいは防災体制をしっかりととるということは大きな我が国の課題であるという中で、消防の役割が非常に大きくなっていると私は思います。

 そこで、消防についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 昨年の十二月四日の当委員会において消防を取り上げさせていただいて、緊急防災・減災事業債についてお伺いをいたしました。この活用状況についてお伺いしたところ、三十年度地方債計画で五千億という計上をしている、そして、そのうち約五五%、うちというか、その中で二千七百四十三億円が活用されるということと当時御答弁をいただきました。

 あれから二カ月たっているわけでございますが、この活用、どこまで広がったのか、どこまで進んだのか、御答弁をお願いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 この緊急防災・減災事業債は、緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災のための地方単独事業を対象としているというところでございまして、今年度は、先ほど委員御指摘のとおり、地方債計画に五千億円を計上しておりますけれども、先月末の時点におきましたら、本事業債の発行のために必要な手続が行われた同意等額は二千七百六十八億円という状況でございます。

 本事業債につきましては、これまでも、現場の声を聞きながら、対象の拡充も行った上で、東日本大震災の復興・創生期間である再来年度まで継続をしているというところでございますし、そういう状況でございます。

 今後とも、この執行に向けて、適切に総務省としても対応してまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

稲富委員 前回お尋ねしてから二カ月たって、二十五億円その活用が広がったということなんですけれども、年度末をもうあと二カ月に控えて、六割にもこの活用が至っていないという状況がございます。

 あと残り、年度末に向けて具体的にどのような取組をするのか。前回御質問させていただいたときは、周知に努めるということを御答弁いただきましたけれども、これからどうするのか、改めてお伺いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 これまでの周知につきましては、市町村職員向けの説明会等々やってきておるわけでございますけれども、今回、この補正予算関係の議案を国会で成立していただけましたならば、そういったものも含めまして、また、総務省としても、地方に対して通知等を発出する、そういった機会もございますし、そういった機会を捉えまして、総務省としても各地方団体に対する周知を行っていきたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 周知をするということなんですけれども、これは前回の御答弁と変わらないということで、平成三十二年までということとなると、あと丸二年あるわけです。

 私は、この事業はいい事業だというふうに思うので、むしろ、もっと地方が活用するべきだ、活用するいいものだと思っている立場から質問させていただいています。

 そうすると、六割も活用が進まないかもしれないということは、そもそも需要がないか、おっしゃるように周知が足りないか、この事業そのものが魅力がないのか、どれかですよね。その場合に、私は、これ自体の、緊急防災・減災事業債そのものは、この需要がないとは思えないです。毎年これだけの災害が起きている以上、各地方自治体にとっては非常に大きな、やはり大切な、非常に有利な仕組みだと思うんです。

 したがって、周知が足りないか、事業の、そのものの見直しが必要なのかということかとすると、もちろん周知も必要なんですけれども、やはり対象事業そのものが、もっと現場の意見を聞いて見直す余地があるんじゃないかというふうに思うわけです。

 その点、もう少し柔軟に、この活用促進をするために、単に周知をするというだけでは六割もいかないというのであれば、この事業債の中身の見直しをしてはどうでしょうか。その点、御答弁をいただければと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 対象につきましては、先ほども少し御答弁申し上げましたけれども、これまでも、現場の声を伺いながら、拡充をしてきているという状況にございます。これまでも、指定避難所における避難者の生活環境の改善のための、例えば空調設備とか、拡充をしてきた、そういった実績がございます。

 その上で、確かに、平成二十八年度に一回また延長いたしまして、そのときに実績が少し減ったということで、反動が来たという時期もございましたけれども、またそこそこに、今年度も、昨年度に比べますと、これでもまたふえてきているという状況にございますので、そういった周知とともに、現場の声をきちんと聞きながら適切に対処していきたい、このように考えております。

 以上でございます。

稲富委員 繰り返しになりますけれども、この緊防債は、私は、いい制度だ、ぜひ活用していただきたいという立場から、ぜひこれは、この課題を追っていきたいと思います。

 次に参ります。

 昨年十二月十四日に、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策が閣議決定をされております。平成三十年度から三十二年度まで、おおむね七兆円という大規模な対策を打つということ、この中では、ハードのみならずソフトもという点は、私は評価できるという中において、消防についてはどのような強化策がなされるのかということを御説明をお願いいたします。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、災害が激甚化する中で、国民の生命、身体、財産を守る消防防災の役割、これは一層重要になっているものと認識をいたしております。

 平成三十年七月豪雨や北海道胆振東部地震等における救助活動それから情報伝達等のさまざまな課題、これを踏まえまして、消防庁におけます防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策といたしましては、その内容でございますが、一つには、大規模風水害や土砂災害に対応した津波・大規模風水害対策車や大型の救命ボートの整備、さらに、地域防災力の中核を担う消防団の災害対応能力向上のための資機材の配備、また、高齢者世帯等に確実に避難勧告等の情報を提供するための戸別受信機の配備の促進、さらには、地方公共団体の災害対策本部設置庁舎や消防庁舎の非常用電源の確保、さらには耐震化の促進などを行うこととしております。

 これらのために、平成三十年度第二次補正予算案で四十四・一億円、平成三十一年度当初予算案で三十二・三億円の確保をお願いし、また、地方財政措置の一部拡充も図ったところでございます。

 この三カ年緊急対策のもと、地方公共団体と緊密に連携しながら、国民の安全の確保のため、総力を挙げて対策を推進してまいりたいと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 お手元に資料を配らせていただいております。この大規模風水害、土砂災害に対応するための緊急消防援助隊に関する緊急対策等に予算が割かれるということで、このような緊急対策における援助隊に対する新たな機材を投入するということが今回決まったということかと思います。

 そこで、私が問題提起したいのは、消防本部についてでございます。

 もちろん、緊急対策、広域化をする上で、さまざまな対策が必要であることは言うまでもありません。しかし、消防本部そのもの、各地域にある消防本部ですね、委員の皆様の御地元にあると思われる消防本部ですが、地元では大きな、構造的な課題を抱えていると思います。

 例えば、自治体の財政が逼迫しているということで、人的にふやすことはできないということ、あるいは、高齢化が進んで、救急車の出動が非常にふえているということ、消防団員が減少していること、あるいは、緊急出動が常態化しているなどなど、消防本部が抱える構造的な課題、問題があるかと思います。

 このような緊急対策をするということは非常に大事ではあるんですけれども、当然なんですけれども、ただ、消防本部そのものが機能強化をしないと、幾ら緊急消防援助隊に対する財政措置をふやして、そして新たな機材を投入したとしても、支えているのは消防本部である、全国にある消防本部であるという観点からすると、この消防本部が抱えている課題についてどう対処するか、どう考えるか、どう課題を認識するかというのが極めて大事だというふうに思います。

 そこで伺います。今、我が国の消防本部の課題、どのように認識をされているか、お伺いをいたします。

横田(真)政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、消防本部が抱えている課題でございますが、実は、消防本部といっても、大きいものから小さいものまでさまざまな本部が七百以上ございまして、一番大きい本部は、東京消防庁、御案内の東京消防庁ですが、これは職員数が一万九千百五十五名います。一方で、一番小さいのは、同じ東京都の三宅村消防本部、これはもう職員数が十七人という状況でございます。ここはちょっとあれですが、通常でも、管轄人口が十万人以下の消防本部、これが全消防本部の六割を占めております。大体十万人といいますと、職員数でいいますと百人ちょっとというようなところが多うございますけれども、こういう本部でございます。

 したがいまして、どうしてもやはりこれから限界が出てくるのではないかということで、消防庁といたしましては、消防の広域化を今、今といいますか、前から進めておりまして、そういう小さな本部が一緒になって、委員御指摘のように、本部としての機能を高めていくという方向で広域化を進めているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 中長期の課題として広域化が必要だというのは全く私も同感です。

 今ちょっと私が申し上げたいのは、例えば七百二十八ある本部を、広域化を進めてどんどん、要するに集約化していくというのは、今すぐはできない話だと思うんですね。

 それはそれで一方で進める中にあって、今足元にある、おっしゃるようにその規模はありますけれども、各消防本部が抱えている問題をどうするかということは、同時にこれはやらなきゃいけないという意味でいうと、私の地元の声でいうと、例えば、緊急消防援助隊の緊急対策は必要だ、一方で、使っている消防車両が物すごく古い、もう二十年たっているのをいまだに使っている。でも、おっしゃるように、これは各自治体が更新計画に基づいてそれをやるものだ。だから、今回の、例えば緊防債にしても緊急対策にしても、普通の消防車両について国が何か補助をするというのは、ごく限られた部分になると思うんです。

 でも、繰り返しになりますけれども、消防車両が古いのを、言うと故障リスクを抱えながら緊急出動しているという状況の中で我が国は消防力をつけようというのは、少し、やはり消防本部そのものの、今の足元にある課題を解決しなければいけないんじゃないかという問題意識を持っているわけです。

 改めて申し上げますけれども、各消防本部における消防力について、これは各消防本部がみずから分析をしてということを前回答弁がございましたけれども、私は、消防力、それぞれの消防本部の消防する力については、これは国として、あるいは消防庁自身がやはり把握をしていく必要があるんじゃないかというふうに思うわけですけれども、御答弁をお願いいたします。

横田(真)政府参考人 各本部の消防力につきましては、消防力の整備指針というものを消防庁として示しておりまして、それに基づいて各自治体が消防力を整備してほしいというふうに考えておりまして、その財源といたしましては、普通交付税によりきちんと措置をいたしまして、地方債の対象にもいたしておりますし、そういう財政支援も行っているところでございますので。

 それで、各消防本部がどういう消防力を整備しているかにつきましては消防庁の方で調査を行っておりまして、それで一応、各自治体でも当然調査の段階で把握するようになっておりますし、消防庁としても、調査をすることによって、各本部がどんな状況か、一応ペーパー上もそれで把握できますし、また、当然ながら、いろいろな相談もお受けしますし、各本部に出向いていろいろ助言もさせていただいているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 交付税措置をしているというのはそのとおりです。ただ、実際問題は、それが交付税措置をされているから、じゃ、各自治体が消防力を高めているかというと、冒頭申し上げましたように、各自治体の今の財政状況の中でなかなかそこに至っていないからこそ、これはどうするんだという問題になっている。

 それは、もちろん制度としてはそうだと思います。しかし、現実問題、各消防本部、先ほどおっしゃっていただいた小さなものから大きなものまであって、大きなものは財政力はあるかもしれませんが、そうでないところは、百人以下のところは四割だと聞いています。

 そこの消防本部をどうするかということは、もちろん、交付税措置しているじゃないかと言ってしまえば終わりですけれども、でも、現実、それで本当に消防対応できるのか、あるいは防災力をつけられるのかということが問題なので、先ほどの、政務官も御答弁いただいた、例えば緊防債の対象については、私は、拡大をして、ある意味柔軟にもっと考えるべきじゃないかと思うんです。

 各自治体において本当に消防力をつけるために必要なことについては、やはり広く認めていくようなことを考えるべきじゃないかということを思いますが、改めて、これはどちらか、政務の方に御答弁いただければと思いますが。

古賀大臣政務官 この点については先ほども御答弁申し上げておりますけれども、我々は、現場の意見を丁寧にお伺いしながら、どういった即効性のある効果的な減災・防災対策ができるかという観点からいろいろと検討を行っておりますので、またそういった現場の意見も伺いながら考えてまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

稲富委員 広域化についてさきの国会でも質問させていただいたところ、平成十八年の広域化、法律上位置づけられてから、五十二地域で広域化が実現したということなんですけれども、七百二十八あって、三十万規模というと、少なくとも四百本部ぐらいに集約をするのがいいという基本方針があると思うんですね。

 さらに、例えば、基本方針の中では、全県で一つの本部にするとか、そういう理想のあり方があるということからすると、今の七百二十八、えらい先の話になります。これは、やはりもう政治主導で進めるしか私はないんじゃないかと思うわけです。

 さまざまな、さきの国会でも副大臣に、財政支援あるいは消防広域化アドバイザー派遣などの実施を考える、それで広域化を進めるんだという御答弁がありましたけれども、これだけだと、七百二十八ある消防本部の広域化を進めるというのは、もう何年かかるかわからない。

 今、足元にあるさまざまな災害に対応できるのかといったときに、何らかこれは、もっと強力に政治主導で進めるべきじゃないかと思うわけですけれども、なぜ進まないのか、そして今後どうするのか、改めてお伺いします。

鈴木(淳)副大臣 お答えいたします。

 なぜ広域化が進まないかでありますが、その理由を聞き取ったところ、山で地域が分断されるなどの地形的な理由がまず一つ、それで広域化のメリットが見出せない。次に、比較的大規模な団体におきましては、今度はみずからの団体の消防力が周辺地域に流出してしまう、そういう懸念もある。また、比較的小規模な団体におきましては、みずからの団体に消防本部がなくなってしまう、こういうことに心理的抵抗感があるというふうに聞いております。

 さらなる消防の広域化を進めるためには、広域化の推進期限を延長しまして、平成三十六年四月一日としたところでございまして、現在、都道府県におきましても、広域化に向けた推進計画の再策定に取り組んでいるところでございます。

 消防庁としましても、指令センターの整備を始めとする、広域化に伴い必要となります経費に対する財政支援、また、消防広域化推進アドバイザーの派遣、消防の広域化及び連携・協力モデルの構築事業などを通じまして、引き続き消防の広域化を積極的に推進してまいりたいと思います。

稲富委員 どうもありがとうございました。終わります。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子です。

 冒頭、この委員会が委員長職権で開催されていることに対し、強く抗議をいたします。この委員会、そして予算委員会を含め、民主的な運営をぜひしていただきたいということを強く求めておきたいと思います。

 予算審議の前提であります毎月勤労統計調査始め政府統計の不正について質問をしたいというふうに思います。

 間違った統計の発表のもとで間違った方向に世論誘導がなされることがないように、政治からの独立性など、しっかりと担保されなければならないというふうに考えております。

 今回の毎月勤労統計調査など不正の調査の前にも、かなり深刻な統計の不正事件として、経済産業省の繊維流通統計調査における不正事件が二〇一六年十一月に発覚をいたしました。これは、過去のデータを長期間そのまま使用する、あるいは、これらの数値の一部について六年間でゼロにするという不正があり、これも統計委員長が捏造と激怒をした事件でございました。

 この不正事件は、経済産業省が調査をして関係者を処分をいたしましたけれども、この調査というのは内部調査で、そして、訓告と厳重注意のみという大変軽い処分で終わってしまいました。政府において、統計の不正をやっても訓告や厳重注意で済むという軽い認識があったのではないかというふうに言わざるを得ないというふうに思います。

 この繊維流通統計調査は、統計委員会の中からも、委員から疑問が出されましたけれども、廃止をされてしまいました。これも問題だというふうに思っておりますが、まず、この繊維流通統計調査の不正事件について、経済産業省はどのように原因分析されているか、お示しをいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 繊維流通統計調査につきましては、平成二十八年十一月に不適切な処理が行われていたことが判明した後、事案の背景、事実関係等を調査し、原因分析を実施するとともに、再発防止策を取りまとめ、統計委員会に二度にわたり報告をいたしました。

 二回目の報告に当たる平成二十九年二月の統計委員会では、原因分析の結果として四点、報告をしております。一点目は、組織として統計人材を育成する取組が十分ではなかったこと、二点目は、統計業務の重要性についての管理者の意識の不足、三点目は、不十分な遵法意識と不適切な行政文書の管理、四点目は、外部からのチェックの不足ということでございます。

 経済産業省としては、こうした事態が再び起きないよう、調査部局によるヒアリング並びに第三者によるレビューの実施でありますとか調査計画のホームページでの公開など、透明性の向上と文書保存の徹底、さらには、調査実施の管理職向けの会議でありますとか担当者向けの研修の実施など、再発防止策に取り組んでいるところでございます。

本村委員 この繊維流通統計調査のときも不正があり、原因が言われているわけですけれども、また同じようなことが毎月勤労統計調査の中でも原因として指摘をされているわけでございます。

 この二〇一六年十一月に発覚をしました繊維流通統計調査の不正事件を契機に、総務省が、二〇一七年一月に各府省に対して、統計法遵守についての統計調査などの一斉点検を実施をいたしました。

 しかし、今回の毎月勤労統計調査の不正は、二〇一七年一月の時点でも、東京の五百人以上の事業所は全事業所調査ではなくて三分の一しかやっていなかったわけですけれども、統計法に反する調査をしていたわけですけれども、総務省の一斉点検では見抜けなかったわけでございます。この二〇一七年の統計調査の一斉点検は、今回の統計の不正を把握し、正す機会であったはずでしたけれども、そういう機能をしていなかったということでございます。

 公的統計の司令塔としての役割を果たすという総務省が、この繊維流通統計調査の現場の実態と不正の原因分析を踏まえて一斉点検をやったかということが問われているというふうに思います。

 そこで、具体的にお伺いをしますけれども、資料を出させていただいておりますが、資料の一を見ていただきたいんですけれども、文章の下から四行目のところに、詳細なヒアリングもやるんだということが書かれております。二〇一七年一月二十日までに報告してくださいと各府省に送って、報告を踏まえて詳細なヒアリングをやるというふうに書かれておりますけれども、この二〇一七年一斉点検で、基幹統計について、どの省庁にどの統計で問題があったのかという点と、詳細なヒアリングをどういうふうに行われたかということをお示しいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 今ございました一斉点検についてでございます。

 平成二十九年に実施いたしましたこの一斉点検は、先ほどございました繊維流通統計調査の問題をきっかけとして行ったものでございます。

 これにつきましては、承認された調査計画と実際の調査内容の相違について報告を求めたということでございます。

 これにより、十六の基幹統計について、承認された計画と実際の内容との間に相違があったということが把握されました。

 相違が多かったのは公表の遅延ということでございまして、全体の四分の三を占めておりました。

 この際、各府省からの報告内容について、確認が必要な場合についてはヒアリングを行って確認を行ったところでございます。

本村委員 今回問題になりました毎月勤労統計調査や賃金構造基本統計などは、詳細なヒアリングは行われたんでしょうか。

横田(信)政府参考人 毎月勤労統計調査と賃金構造基本統計調査につきましては、厚生労働省から報告はございませんでした。その結果、ヒアリングは実施しておりません。

本村委員 二〇一七年の一斉点検の際に、厚生労働省は、毎月勤労統計調査、賃金構造基本統計について何と回答したんでしょうか。

横田(信)政府参考人 調査計画の内容と実際の内容に相違があるという報告を受けたわけではございません。

本村委員 厚生労働省がこの一斉点検の際に問題がないとうそをついたということは大問題でございます。しかし、総務省や統計委員会がもっと踏み込んで調査をしていれば、不正は見抜けたわけでございます。

 この繊維流通統計調査の不正の原因分析にもありましたけれども、外部からのチェックということが必要であるということでございましたけれども、そういう意味も含めて、総務省や統計委員会がもっと踏み込んで調査するべきだったというふうに思います。

 二〇一七年一月のこの一斉点検ですけれども、どのような体制で一斉点検をやったのか。書類だけの点検ではなく、ヒアリングですとか実地調査ができるようなそういう人員の配置、体制があったのか、お示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 平成二十九年の一斉点検につきましては、体制といたしましては計十五名で実施しております。

 それから、報告内容について、確認が必要な場合についてはヒアリングは行っておりますが、調査実施府省への実地調査は行っておりません。

本村委員 この二〇一七年の一斉点検で百三十八の統計調査で問題が見つかって、そちらの対応で手いっぱいになるような体制であったということだというふうに思います。

 この繊維流通統計調査の不正の原因分析で、先ほど四つ指摘をされておりましたけれども、一つ目として、十分な人材育成が必要だったこと、二つ目に、管理者の統計の重要性の深い認識に基づくチェックがなされていること、三点目は、十分な遵法意識、適切な行政文書の管理がされていること、四つ目が、踏み込んだ外部からのチェックが必要であること、こういうことがわかっていたのに、なぜこういう内容の一斉点検にならなかったのかということを総務大臣にお伺いしたいと思います。これは総務大臣で通告をしております。

横田(信)政府参考人 これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、経済産業省所管の繊維流通統計調査の不適切な処理を契機として調査を行ったものでございます。

 相違の原因となった背景事情につきましては、当方としては、当時、横断的な取りまとめは行っておりませんでした。これにつきましては、その後の変更承認申請における審査において個々に確認は行ったところでございますが、繰り返しになりますが、横断的に取りまとめを行ったということは行っておりません。

本村委員 今回の毎月勤労統計調査の不正によって、賃金が二十一年ぶりに物すごく上がったかのような偽装が行われ、二千万人の方々に被害を与え、そして、日本の統計の信頼性を大きく揺るがしたわけでございます。

 これから、五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計という膨大な公的統計について、総務省は、政府統計検証チームを総勢約三十人の体制でやるんだ、あるいは、統計委員会の中に点検検証部会をつくってチェックをするというふうに言われておりますけれども、先ほど四つ指摘をさせていただきましたけれども、四つの点を含め、十分な人材育成や統計の職員体制、あるいは、システムやプログラム改修の際のダブルチェックができる体制になっているかという点、そして、管理者が統計の重要性の深い認識があるかという点、深い認識に基づいて担当者にチェックがなされているか、また、十分な遵法意識を持っているか、適切な行政文書管理がなされているか、踏み込んだ外部からのチェックがやられているか、この点についてしっかりとチェックをして統計不正を二度と起こさないようにするべきだと思いますけれども、これは総務大臣に通告をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

石田国務大臣 先ほど来の委員とのいろいろの御議論があったわけでございますけれども、御指摘のように、今回の事案を受けまして、統計委員会に新たに点検検証部会を設置して、基幹統計、そして一般統計調査について徹底的な点検、検証を行うこととしているところでございます。

 今御指摘のいただいたような点を含めまして、この点検検証部会で、徹底的に、再発防止、あるいは統計の品質向上を目指して検証が行われるものと思っておりまして、総務省といたしましても、先ほど御指摘いただきましたように、総勢三十人から成るチームを編成をいたしまして、統計委員会、この点検検証部会の活動をしっかり支えていきたいというふうに考えております。

本村委員 もう一つなんですけれども、都道府県の統計専任職員についてもお伺いしたいと思います。

 毎月勤労統計調査についての都道府県の統計専任職員の数について、二十年前と最新の数字をお示しをいただきたいと思います。また、都道府県の統計専任職員の方がかかわる基幹統計で、それぞれの統計で統計専任職員の体制がどうなっているのか調べるべきだと考えますが、お答えをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 基幹統計調査の実査等の事務につきましては、都道府県統計主管課のほかにもさまざまな部署が所管していることから、全体の数を把握するということはなかなか難しいところでございます。

 統計主管課の統計専任職員、これの定数につきましては、平成十年度が二千三百七十八人であるのに対しまして、平成三十年度は千六百七十一人ということになっております。

本村委員 この二十年間で七百七人、総務大臣が決める定数が減らされているわけでございます。ただでさえ国際的に見ても体制が貧弱という状況の中で、総務大臣、歴代の総務大臣の責任も大きく問われているというふうに思います。

 次に、総務省が二〇一七年の一斉点検を受けてつくった再発防止策について伺いたいと思います。

 資料の二つ目なんですけれども、二〇一七年四月二十日の統計委員会に出した総務省の資料ですけれども、その中で、「総務省としての今後の対応」という中で「再発防止策の強化」がございまして、主要な統計調査について、改善のPDCAスキームを今年度から実施し、統計精度の観点から調査内容をチェックとあります。二〇一七年から今までどういうことをされてきたんでしょうか。

横田(信)政府参考人 平成二十九年に実施いたしました一斉点検におきましては、再発防止策の観点から、主要な統計調査について、改善のPDCAスキームを今年度から実施し、統計精度の観点から調査内容をチェックすることとしたところでございます。

 これを受けまして、平成二十九年度から、統計委員会の横断的課題検討部会のもとに、統計の精度向上及び推計方法改善ワーキンググループを設置し、統計精度に関する計画的な検査を実施したところでございます。平成三十年度には、統計業務プロセス部会を新設し、既存の統計全般について、順次、事後的なモニタリングに着手したところでございます。ここまでが現在でございます。

 その後、今回の事案判明を契機といたしまして、今申し上げました統計業務プロセス部会、これを発展的に改組いたしまして、点検検証部会という形に今度新設したところでございます。ここにおきまして、基幹統計や、さらには一般統計調査を含めまして徹底調査を、徹底した検証を進めるということで行ってまいりたいと思います。

本村委員 二〇一七年度の段階で改善のPDCAスキームがしっかりと機能していれば、今回の不正はなかったわけでございます。

 そしてもう一つ、「再発防止策の強化」の二つ目として、政策統括官が行う、統計調査の承認プロセスにおいて、事後のチェックに重点を置いた仕組みを構築とありますけれども、二〇一七年度から何をやっているか、お示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 平成二十九年に実施いたしました一斉点検におきましては、再発防止策の観点から、統計調査の承認プロセスにおいて、事後チェックに重点を置いた仕組みを構築するところといたしました。

 これを受けまして、平成三十年度から、基幹統計、一般統計調査の承認審査におきまして、再発防止策として、事後的なチェックに重点を置いた取組を試行的に開始し、本格実施に向けた検討を進めていたところではございました。

 さらに、今回の事案判明を契機といたしまして、先ほど来申し上げております点検検証部会、ここにおきまして、徹底した検証、これまでの反省も含めまして、進めてまいるということでございます。その結果を承認審査プロセスの本格実施に向けた検討に生かしてまいりたいということで考えておるところでございます。

本村委員 総務省の二〇一七年の一斉点検が体制上も弱く書類の点検だけになってしまった、また、再発防止策といいながらやはり十分できていなくて言葉だけであったというふうに言わざるを得ないというふうに思います。

 統計調査の現場の実態をしっかりとつかんで、かみ合った対策を立てて実行することこそ統計の司令塔の役割だ、総務省、統計委員会の役割だというふうに思います。二〇一七年の一斉点検、再発防止策について深い反省そして総括なくしては真の再発防止策はとれないというふうに思います。総務大臣の答弁をお願いしたいと思います。

 そして、もう一つなんですけれども、やはり、国や都道府県の統計の体制を抜本的に増員する必要がある、そして、早急に強力な統計専門職の育成体制を再構築、増強する必要があると思いますけれども、総務大臣、最後にお願いしたいと思います。

石田国務大臣 本当に、この統計にかかわる問題については、今、先ほども申し上げましたけれども、統計委員会の点検検証部会、そして厚労省の特別監察委員会で調査等を行っているわけでありますけれども、しっかりその結果を踏まえて対応していかなければならないというふうに思っております。

 その中にはいろいろとやるべきことがあるわけでございまして、総務省としては、国や地方自治体の統計職員を対象とした、統計知識や統計的思考力の習得のため、研修の充実、あるいはオンライン研修による研修受講機会の拡大などをしっかりやっていきたいと思っておりますし、また、昨年四月に、政府全体を通じた統計人材の確保・育成方針を作成をいたしました。

 各府省におきましては、この方針に沿って、計画的な採用、OJTや研修を通じた能力開発、外部の専門人材の活用など、戦略的、重点的な統計人材の確保、育成に取り組むこととしたところでございます。

 また、統計委員会からは、昨年七月、こうした取組について、統計リソースを重点的に配分する必要がある旨、建議をいただいており、今後、公的統計の信頼性を確保するため、これらの取組を更に推し進めてまいりたい、そのように思っております。

本村委員 統計委員長を呼んでの集中審議を委員長に求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きのう、きょう、予算委員会で基本的質疑が行われていたわけでありますが、統計不正についての話が中心ですが、まあ、余り生産的な議論が行われたようには見受けられません。

 特に、何といいますか、モリカケ騒動のときと一緒で、そんたくとかアベノミクス偽装とか賃金偽装とかいっても、これはそんたくって証明できませんから。だから、こういう出口のない議論は少なくともこの総務委員会ではないようにしていきたい、こう思っております。

 きょうは、平口副大臣、大塚副大臣にもお越しをいただいています。お忙しい中、ありがとうございます。

 ちょっと補正予算の関連ということで、一言だけ、マイナンバーカードについて、ちょっと私のこだわりでありまして、マイナンバーは私の、もう日本維新の会はやはり新しい社会をつくっていきたい、こう思っています。日本の社会というのは本当にいいところもたくさんあるんですけれども、やはり自民党が六十年つくってきた日本の社会というのは悪いところもあります。その最たるものが、何といいますか、そういうある種のずさんさ、あるいは融合型行政といいますけれども、国と地方との境目がはっきりしないとか、まあ、これは総務委員会でもまたやりますが。

 それから、裏社会とは言いませんが、なかなか表でやりたくない人たちがたくさんいるという中で、自民党さんも余り熱心じゃないし、特に共産党は体を張ってマイナンバーについては反対をされています。まあ、何かやましいところがあるのではないかという指摘があっても仕方がないぐらい反対をされているわけでありますが。

 まず、マイナンバーカード一般で、御承知のとおり、昨年の臨時国会で入管法が成立をしました。我々、修正協議でしっかりマイナンバーについて検討していく、特に法務省がこだわってきた在留カード、これは、報道で見られましたか、皆さん。千枚、二千枚の偽造が発覚していまして、法務省は、在留カードの券面が大事なんだといって抵抗しているわけですけれども、簡単に偽造されているわけです。

 早く、マイナンバーカードを使っての本人確認、これを当たり前にしていく。これを、入管法の附則で、公布後、速やかに検討していただくということになっていますが、法務省、きょう来ていただいています。平口副大臣、検討していますか。

平口副大臣 お答えをいたします。

 入管法改正法の附則第十八条第一項の規定によって、政府は、この法律の公布後、速やかに、外国人の在留管理等における在留カードの番号その他の特定の個人を識別することができる番号等の利用のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされています。そして、この規定の内容には、マイナンバーカードの活用に関する検討等も含まれていると認識しております。

 委員御指摘のようなマイナンバーカードの活用については、在留カードの有用性も考慮しつつ、制度面や運用面から幅広い検討が必要であるところ、当該規定により速やかな検討等が求められていることを踏まえ、関係省庁とも協力して検討を進めていきたい、このように考えております。

足立委員 副大臣、ゼロ点ですね、ゼロ点。

 在留カードがマイナンバーカードよりもすぐれている点は何ですか。

平口副大臣 例えば、記載事項として、就労に関する事項なんかがございます。そういったようなことでございます。

足立委員 それが何千枚も偽造されているんですよ。ホログラムも含めて偽造されているわけです。

 それで、マイナンバーカードであれば偽造されません。できないようになっているんです。あのICチップは、それを、何か情報を抜き取ろうとしたら、もう即座に壊れるようにできているんです。そのために皆さん、きょう石田総務大臣もいらっしゃっていますけれども、そのためにマイナンバーつくったんじゃないんですか。何で、よりすぐれているマイナンバーカードを使わないんですか。

 副大臣、もう一回。もう、条文を読むとか、そういう役人みたいな答弁は要らないから、政治家として、どうなんですか。

 マイナンバーカードを本人確認に使った方がいいに決まっているんです。だって、それは、どれだけ法務省と私、議論をしたって、私、負けようがないんだから。(発言する者あり)いいよ、後ろから教えてあげてよ、ちょっと。どう答弁したらいいんですか、ちょっと。

平口副大臣 偽造の防止の問題は偽造の防止の問題としてあるわけでございますが、法務省としては、こうした状況を踏まえて、マイナンバーカードと在留カードの関係等について検討を行ってまいりたいと考えております。

足立委員 副大臣、検討は始めたんですか。それだけ教えてください。

平口副大臣 検討準備を始めております。

足立委員 ちょっとふざけていない。公布後、速やかにと法律に書いてあるんですよ、法律に。法律ですよ、副大臣。

 僕らは、維新の会は、それで体を張ってやっているんですよ。副大臣、ちょっと、仕事を真面目にやった方がいいんじゃないですか、真面目に。

 法律ですよ、法律。公布後、速やかにですよ。検討を始めたんですか。

平口副大臣 マイナンバーカードの活用を図ることについては、制度面や運用面での幅広い検討が必要となると考えておりまして、現在、各省庁によるタスクフォースでの議論を踏まえて、検討を進めてまいりたいと思っております。

足立委員 そんなものは、我々が法文修正する前からタスクフォースなんて走っているんですよ。タスクフォースでやっていますって、副大臣、ちょっともうだめじゃない、ちょっと。だめ。(発言する者あり)ああ、言い過ぎ。じゃ、どう言ったらいいかな。

 あのね、なぜ公布後速やかに検討を始めるかといったら、当然四月一日の施行までに、だって、施行、動き出すんですよ、外国人の労働者の話が。それまでに一定の見通しを僕は立てるべきだと思っているんですけれども、副大臣、どうですか。

平口副大臣 現在検討を進めておりますので、それ以上のことは申し上げられないと思います。

足立委員 検討を進めているって、検討の準備を進めているんでしょう。ふざけているよね。まあ、いいや。

 とにかく、法務省、これは山下大臣に、ちょっと今夜、僕、電話するからね、携帯に。(発言する者あり)何かまずい、いいよね。だから、副大臣、ちょっと、山下大臣にきょうのやりとりをちゃんと報告してください。きょうの夜、山下大臣に直接お願いして、四月一日の施行までに本件についてもう少しちゃんとした答弁ができるように準備をしていただきたいと思います。

 さて、きょうは地元の、大変お世話になっております大塚副大臣にもお越しをいただいていまして、いつもありがとうございます。選挙区が隣でして、ありがとうございます。

 今私が申し上げた方向と真逆の動きが国土交通省にあります。数日前に大きく報道されました。建設分野の外国人労働者に建設キャリアアップカードというカードを渡して、スキルを管理するというんですね。

 これは、一体、法務省、外国人労働者は、副大臣でもいいや、何枚持つんですか、カードを。何枚持つんですか、何枚。

 いいよいいよ、もう適当に答えてよ、適当に。あっ、適当って、適切にね。

石岡政府参考人 お答えをいたします。

 平成二十九年の在留カードの交付件数は百二十四万件……(足立委員「いや、違う。委員長」と呼ぶ)

足立委員 だから、要すれば、一人の労働者ですよ。在留カードを持つんでしょう、在留カードを。国土交通省とかいろんなところがこうやってばらばらにいろんなものを持たせたら、カードばかりですよ。外国人労働者はポケットいっぱいになりますよ。どうするんですか、これは。

石岡政府参考人 法務省においては、外国人の方々の在留を適切に管理するために、中長期の在留外国人については在留カードを所持していただくこととしております。

足立委員 これは縦割りだからね。また予算委員会、また本予算の予算委員会もありますから、しっかり総理大臣に、あるいは山下大臣にしっかり聞いていきたいと思います。

 せっかく大塚副大臣、お越しいただいているので、一言いただきたいんですが、これは、だから、内閣、きょう内閣官房も来ていますが、国交省と内閣官房は、向井さんのところでこの話、議論しているんです。この建設キャリアアップカードはマイナンバーカードとひもづけしていく、そういう議論は、内閣官房の方からはしているんです。ぜひ前向きに、内閣官房と国交省、連携して御対応いただく、お願いできないでしょうか。

大塚副大臣 お答えをいたします。

 先ほど議員御指摘の建設キャリアアップシステムは、建設技能者の就業履歴や保有資格を業界横断的に蓄積、登録する仕組みとして、建設業界において検討が進められてきたものであります。その開発、運営につきましては、一般財団法人建設業振興基金の方から行っておるところでございます。平成三十一年度から本格的な運用開始に向けて、現在、最終的なシステム開発を進めているとともに、本年一月より、システムを運用できる現場を限った限定運用を開始しているところであります。

 先ほど足立議員の御指摘のとおり、建設キャリアアップカードとマイナンバーカードを一本化することにより、保有しなければならないカードの枚数を減らすことができれば、建設技能者の負担軽減が図られるものというふうに考えております。

 そして、まずは、キャリアアップシステムの平成三十一年度からの本格的な運用に向けて、今、最終的なシステム開発等に注力しているところでありますが、マイナンバーカードとの連携については、大きな課題と認識をしております。

 連携に当たっては、追加的に必要となるシステムの開発やコストなどについても、引き続き、建設業界に対して検討を促してまいりたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 平口副大臣も、少し大塚副大臣を見習って、しっかりと、ちゃんと政治家として、この問題はどういう問題なのか認識をして、政治家としてしっかり答えを持っていてくださいよ、役人から振りつけられるだけじゃなくて。

 マイナンバーカードについては、とりあえず以上にしますが、四月一日までまだ時間があります。総理入りの衆議院の予算委員会、またありますので、私、質問に立たせていただけるかわかりませんが、マイクを持てた暁には、しっかりこれは、こればかりやっていきたいと思いますから、よろしくお願いしたいと思います。

 さて、もう、十分というか六分ぐらいしかないんですが、統計不正は、大臣、これは、ちょっと通告というか、あれじゃないんですけれども、余りちゃんとしていないんですけれども、大臣、厚労省のこの問題は、今、予算委員会でも厚労大臣ばかり責められています。厚労大臣は、予算委員会で謝っています。

 確かに、問題の一番の起こっている場所は厚労省だと思いますが、私は総務大臣の責任も結構大きいと思うんですね。

 この問題は、ひとり厚労省の問題じゃなくて、霞が関全体。大体、霞が関は、公文書管理もずさん、私もいましたからよく知っているんですけれども、公文書管理もずさん、僕もずさんでしたから、公文書管理もずさん、統計調査もずさん、不動産鑑定評価もずさん。不動産鑑定評価は、別に豊中市だけじゃありません、日本じゅうがずさんです。公文書管理もそうでしょう、財務省だけじゃなかった。厚生労働省だって、資料がないんでしょう。だから、文書の問題、不動産鑑定の問題、そして統計調査の問題、全部、別に一部の問題じゃないんですよ、霞が関全体の問題です。

 そういった意味で、一月二十五日に総務大臣が、まことに遺憾とおっしゃった。これは、厚労省がしようもないことをやっているから遺憾なのか、御自分の職責、総務大臣として責任があるとお感じなのか、どっちですか。

石田国務大臣 足立委員にお答えをさせていただきます。

 一月二十五日の記者会見でしょうか。これは、やはり、この事案が発生したことについてのお話をさせていただく中で遺憾と申し上げたと今思っておりますので、それについては、やはり、こういう事案を起こしたこと自体についての遺憾という発言であります。

足立委員 すると、厚労大臣は責任を感じていらっしゃるんだけれども、総務大臣は、この一連の統計の不正の問題、それは厚労省以外の統計でもいろんなことが起こっています。これは、総務大臣として責任をお感じになられていますか、なられていませんか。

石田国務大臣 先ほど長尾委員さんとのやりとりの中で、この問題にかかわって、いろいろと御迷惑をおかけしている、そういうことについては申しわけない趣旨のことは申し上げましたけれども、今は、やはりこの事態が、先ほど来申し上げておりますけれども、検討委員会、統計委員会の中の検証、検討部会、ここで事実確認と調査を幅広くやっております。そして、厚労省の中では特別監察委員会が、今の起こっている事案についての調査をやっているわけでありまして、そういうことをしっかり、事実を確認をする、私はそのことがまず今一番大事なことだろうと思います。

 そして、それに基づいて、我々として、何が悪かったのか、あるいはどういう点を改めていかなければならないのか、そういうことをしっかりやっていくということが今非常に重要なことではないかと考えております。

足立委員 国民の統計不信をしっかりと払拭をしていただく、これは総務大臣にぜひお願いをしたいわけでありますが、予算委員会でもずっと議論をされている第三者性。これは、皆さん、第三者性ってみんな適当に議論をしていますが、第三者性って結構難しいんですよね。

 私は大嫌いですが、日弁連という組織があります。まあ、ろくな仕事をしていないわけでありますが、日弁連も一つ二つまともな仕事をしていまして、その日弁連がしているまともな仕事の一つが、第三者ガイドラインというガイドラインをつくっています。要は、弁護士がいろんな第三者委員会に参画をしてやるときに、国民から見て、客観性、中立性等の疑念が湧かないようにするためにはどういう委員会をつくっていけばいいかということが、日弁連がまとめた第三者ガイドラインというのがあるんです。

 日本政府は、第三者性というのはどういうことかについての統一的な規範、ガイドラインを持っていますか。大臣、どうですか。

石田国務大臣 この第三者性に関するガイドラインについては、先日の代表質問でも、あるいはきょうの予算委員会でも、維新の皆さんから御指摘がございまして、総理も答弁されているわけでありますけれども。

 いわゆる第三者委員会が置かれる場合、その調査の対象となる事案はさまざまであり、また、委員会に求められる役割もそれぞれのケースで異なり得ると考えられる。

 したがって、委員会の構成、調査のあり方、事務局の役割については、具体の調査対象事案の内容等に応じて個別、適切に決定していくことが必要であって、一律のガイドラインを整備することにはなじまない面もあるものと考えるが、いずれにしろ、調査の客観性、中立性に関する疑念を抱かれることがないよう対応することが重要である、そのように考えております。

足立委員 第三者性についての統一的な考え方もない政府に国民の疑念を払拭することは絶対にできません。

 我々日本維新の会は、早く、安倍政権の間はまあいいんですけれども、その後はしっかりと政権に食い込んで、ひっくり返すぐらいの勢いで、新しい社会、もっと合理的で透明な社会をつくっていくように頑張っていくことをお誓いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 私からも、冒頭、本委員会が委員長の職権で立てられたということ、これについて抗議をいたします。

 また、参考人として、統計委員会の委員長ないしは委員長代理の招致をということで要求をしておりましたが、これについても引き続き理事会での協議ということになりました。

 今回の厚生労働省、また厚生労働省以外のところもそうですけれども、多くの基幹統計で不備が見つかった、あるいは不正が見つかった、この問題、やはり、統計委員会が今後どうしていくのかも含めて、しっかりこの委員会の中で議論していかなければいけないというふうに思いますので、ぜひ委員長をお呼びして、統計委員会の委員長をお呼びして、集中審議をお願いをしたいというふうに思います。

 それでは、今回、交付税法の改正ですけれども、まず、一点だけ指摘をさせていただきたいと思います。

 地方交付税の増額五千三百十一億円、そのうち、調整額の復活が三百九十六億円ということでありますが、本来ならば、本則に従うのであれば、残りの四千九百十五億円は全額特別交付税としなければならないところを、七百億円、大規模災害に対応するための特別交付税の総額に加算をする、残りは次年度に回すということになりました。

 二〇一〇年度以降、九年間で実にこのパターンは七回繰り返されております。本則に基づかない例外措置が、率直に言わせていただいて定着しつつあるような現状というのは、これはやはり問題である、そのことをまず指摘をさせていただきたいと思います。

 私の方からも、本日は統計の問題について少しお聞きをいたします。

 毎月勤労統計、昨年一月以降大きく伸びているということについて、昨年の九月二十八日に厚労省が説明をしております。その際に配付をされた「賃金データの見方」という説明資料がございますけれども、そこでは、「本資料は、従来の公表値に基づいて作成されたものであるので、ご留意ください。」という注意書きがついております。

 なぜ伸びたのか。これは予算委員会等々でも議論されておりますけれども、ローテーションサンプリングとベンチマーク更新、これが大きいんだというふうに書かれております。それだけ、この見方については、この二つが全ての原因であるというふうに書かれておりますけれども、その後、データの補正が行われたということが明らかになったということは、この「賃金データの見方」、これは完全な誤りだというふうに理解してよろしいんでしょうか。

横田(信)政府参考人 昨年九月二十八日の統計委員会に提出された厚生労働省の資料では、サンプルの入れかえ前後における賃金の新旧差二千八十六円の要因について、サンプル入れかえによる寄与を二百九十五円、ベンチマークの更新による寄与を千七百九十一円ということで、二つに分解して説明がなされておりました。

 しかし、今回、不適切な取扱いが明るみに出ました。新旧差である二千八十六円の中には、入れかえによる寄与、ベンチマークの更新による寄与だけでなく、東京都に関する復元推計の影響が含まれていることがわかりました。

 統計委員会は、昨年九月二十八日の委員会で説明された資料は、新旧差の分析資料としては、不正確なものであったと認識していると承知しております。

吉川(元)委員 昨年九月二十八日、なぜ伸びたかの説明をする際に、うそにうそを塗り重ねた。これは非常に大きな問題だというふうに思いますし、そもそも、その原因のベンチマークとそれからローテーション、これは一体どの程度寄与したのか。これが、後から鉛筆をなめて引き算をしてやったとしか思えない。そういう意味でいうと、全て、この統計の信頼性を根底からそれこそ覆すような中身だということだというふうに思います。

 そこで今回、毎月勤労統計の不正によって、雇用保険、労災保険、船員保険、そして事業主向け助成金の給付に影響が出るということで、異例の予算案の閣議決定のやり直しも行われました。

 一方で、毎勤統計のホームページを見ますと、この毎勤統計の主な利用状況として、未払い賃金の立てかえ払い、建設工事の労務単価の算定、人事院勧告の基礎資料にも利用されているというふうにも書かれております。それ以外にも幾つかありますけれども、今回の不正が、これは影響を与えていないのかどうか。また、それ以外にも、この毎月勤労統計が他の統計等々の中に組み込まれて影響が出るものは幾つ程度あるのか、わかれば教えてください。

横田(信)政府参考人 申しわけございません。ちょっと正確には、私どもの方では把握してございません。

吉川(元)委員 昨日の通告の際に、これは厚生労働省の方で調べるということでありますけれども、調べた結果をきちんと、総務省は統計委員会に報告させるべきだというふうに思いますが、その点、いかがですか。

横田(信)政府参考人 御指摘は厚生労働省の方に伝えたいと思います。

吉川(元)委員 いや、厚生労働省に伝えるじゃなくて、求めるべきだというふうに思いますが、いかがですか。

横田(信)政府参考人 今の御指摘も踏まえて、厚生労働省の方に求めたいと思います。

吉川(元)委員 それで、実は、この毎勤統計の不正なんですけれども、地方公務員の育児休業手当あるいは公務員の公務災害の災害補償金等々に影響が出ているというような報道もされております。この点、どういうふうに総務省としては考えておられるでしょうか。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 地方公務員に支給されている育児・介護休業手当金ですとか、公務上の災害を受けた場合の休業補償等につきましては、民間の雇用保険や労災保険に倣った制度が適用されておりまして、毎月勤労統計の見直しによって、過去の給付が過少に給付されていた方に対しまして、さかのぼって追加給付を行う必要があるものと考えております。

 なお、地方公務員における影響につきましては、対象者が育児・介護休業手当金の給付の上限額や、休業補償給付の下限額に達していた方などに限られておりますことなどから、民間の雇用保険や労災保険と比べて限定的になるものと認識をいたしております。

 いずれにしても、追加給付に関する事務に遺漏の生ずることのないように、総務省としては、事務連絡を発出いたしまして、共済組合等において適切な措置を講ずるよう要請をしたところでありまして、今後とも適切に助言等を行ってまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 額が大きくないということでありますけれども、これは、量の問題ではなくて質の問題でもあります。基幹統計の半分が、何らかの問題があった、不適切であったということも明らかになっておりますし、総務省所管の小売物価統計でも問題があったということも指摘をされております。

 底なしの状態というふうにも言えるんじゃないかと思いますけれども、ただ、一方で、これは先ほど同僚議員も質問しておりましたが、大臣の認識はどうなのか。何か他人事といいますか、のように聞こえるようなこともございます。今回の問題についての大臣の認識を問います。

石田国務大臣 これは、先ほど来申し上げておりますように、公的統計は、国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であります。

 私といたしましては、公的統計全体に対する信頼を損ないかねない事案が発生したというふうに認識をいたしております。

吉川(元)委員 昨日、実は、予算委員会を見ておりますと、ここに座っている同僚の小川委員が質問されておりましたが、そのときに、総理が、政治主導でないと統計のやり方の改革なんかはできないんだというようなことをおっしゃっておられました。私は、非常に強い違和感を持ちます。

 といいますのも、統計というのは、これは学問であり科学であります。科学を政治主導でやり方を変えるというようなことはあり得るのか。例えば、統計という言葉を物理と変えれば、物理のやり方を政治主導で変えるなんてことはあり得ないわけで、そういう意味でいえば、この間の政府の行ってきた統計改革と言われるものの中にも大きな問題があることを指摘をして、質問を終わります。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 最後の質問になりますが、よろしくお願いいたします。

 昨年は、七月の豪雨災害を始め、本当に災害の多い年でありました。私は、消防団について、消防団の活動なくしてはこういった災害対策はできなかったと思いますので、消防団の、特に処遇面についてですね、中心に質問をさせていただきたいと思います。

 その七月の豪雨災害の被害状況を見るために、八月に希望の党として現場に行ってまいりました。その際に、呉市の東消防署長からいろいろ説明を受けまして、そこに安浦町というところがあるんですけれども、その消防団員の方が、住民の方々に逃げてくださいという声をかけながら回っていたときに、土石流に巻き込まれてお亡くなりになったということをお聞きしました。四十二年間ずっと消防団員をやっておられた方ということで、もう本当に消防団員のかがみだというふうに思っております。

 まさに、消防団の中核というのは人だと思いますので、この消防団員の処遇について、特にみずからを犠牲にして職務を遂行した消防団員の遺族補償を含めて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、消防団員の方への報酬について伺いたいと思います。

 資料をつけておりますけれども、これは総務省の消防庁の資料ですが、年額報酬及び出動手当についてというのがあります。この中で、交付税の単価としては三万六千五百円ということになっておりますけれども、これは、ただ、自治体の支給額は条例で定めるということになっておりますので、このとおりにはなっておりません。

 条例で定める年額報酬の状況は以下のとおりということで、ずっと年額報酬がありますが、ここの交付税単価で書いてある、三万六千五百円になっているところは二七・三%ということで、三万六千五百円未満が大体四分の三ぐらいになっているという状況です。

 もう一つの資料で、都道府県別に平均額の一覧表というのがございまして、これを見てもらうと、最高のところで、埼玉県で六万一千二百二円、これは平成三十年度ですが、一番最低のところは山梨県で一万二千円ということで、相当の差が開いている。五倍ある。

 これは都道府県ですので、市町村になると更にこの格差が広がっているというふうに思います。

 消防団員の方に聞いてみると、ボランティアということで、そんな、報酬は気にしていないんだというふうに言われますけれども、やはり、活動に報いるという観点から、余り大きな格差があるのは問題だというふうに思います。

 まず、消防庁の方に、市町村で一番高いところ、それから低いところを示していただいた上で、なぜこのような大きな格差が生じているのか、また、この格差是正のために、これまでにもいろいろ取り組まれているというふうには聞いていますけれども、どのような取組を行ってこられたのか、御説明いただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、市町村の年額報酬の額でございますが、御指摘のように、市町村ごとに条例で定めるということでございまして、一番高いところは、沖縄県伊是名村、これが二十万七千円ということでございます。最も金額の低い市町村でございますが、山梨県の鳴沢村でございまして、三千円ということになっております。

 その理由でございますが、一つには、やはり市町村の厳しい財政状況というのが影響している場合があるというふうに考えておりますし、それぞれの市町村におきまして、常備消防との関係で、消防団の果たす役割というのがそれぞれやはり異なるということが一つあろうかと思います。

 また、実は、報酬だけではなくて、出動手当というものがございまして、これは消防団が出動するごとに支払われるものでございますが、このどちらに重きを置くか。簡単に申し上げますと、報酬は低いけれども出動手当は非常に高く出すというような市町村もございまして、出動手当との関係も一つあろうかと思います。

 そういう中で、我々といたしましては、地域防災力充実のために消防団員の処遇の改善を図らなきゃいけないということで、平成二十五年に成立した地域防災力充実強化法におきましても、国の責務として規定をされました。

 したがいまして、低い報酬を、年額報酬を引き上げていただくということで、低いところには引き上げていただくということで、いろんな手を打っております。

 一つには、地方公共団体の長に対しまして、年額報酬の引上げを要請する総務大臣からの書簡も出しておりますし、消防庁長官からもさまざまな通知を発出いたしております。また、全国消防防災主管課長会議などの機会を捉えて引上げを要請しておりますし、個別の市町村ごとの報酬がどうなっているか、また、各県ごとの報酬の条例額の平均値などを公表いたしまして、低いところには引き上げていただくということを直接要請をいたしているところでございます。

井上(一)委員 消防庁の方でもやはりいろいろ取組はされているというふうにはお聞きはしているんですけれども、依然としてやはり大きな格差が生じているという状況は変わりないというふうに思います。

 消防団の役割はますます重要になっておりますけれども、消防団員になられる方も減ってきているという状況の中で、やはり私は、この年額報酬については、三万六千五百円がいいかどうかは別にして、消防団員の最低報酬額を法令で定めるとか、そういうことも含めて速やかに抜本的な対策をとる必要があるんじゃないかと思いますけれども、この点、ちょっと大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。

石田国務大臣 私は、消防団の役割というのは非常に重要だと考えておりまして、ここにお見えの務台議員と一緒に、地域力防災強化法ですか、の原案づくりに携わったわけでございますが、消防団員の報酬について、地方交付税単価、年額三万六千五百円に比べて相当程度低い金額を条例で定めている市町村においては、早急に報酬の引上げを行っていただく必要があると思っております。

 ただ、今、議員御指摘いただきました消防団員の最低報酬額を法律で定めるということになりますと、市町村消防の原則との関係に加えまして、消防団の活動内容が広範囲であることや、地域のさまざまな実情を踏まえる必要があること等に照らせば、慎重に検討すべき事柄であると考えております。

 しかしながら、消防団員の報酬の引上げに向けまして、今消防庁の方からもお話がありましたけれども、私といたしましても、報酬や出動手当が極めて低額な市町村に対しましては、市町村のトップに引上げを直接お願いすること、また、消防団員を大幅に増加させた消防団等に対し、総務大臣感謝状の贈呈対象としておりますけれども、さらに、消防団員の確保のため、年額報酬を大幅に増加させた市町村をその総務大臣表彰に加えるとか、可能な限り工夫を講じまして消防団員の処遇改善を図ってまいりたい。そして、地域防災力の中核たる消防団の充実強化を強力に進めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 あと、改善状況についてはまた御質問をさせていただきたいと思います。残余の質問については次回ということで、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税の総額の特例法案に対し、反対の討論を行います。

 地方交付税法は、各年度途中で地方交付税原資が生じた場合、その年度の特別交付税に加算して地方自治体に配分すると規定しています。

 また、地方財政法では、加算、配分された交付税は、地方自治体が自主的に判断し、災害により生じた経費や緊急に必要とされた経費、また、積立てや地方債の償還財源に充てると定めています。

 しかし、本法案は、二〇一八年度の途中に生じた地方交付税原資五千三百十一億円の大部分を、特例措置によって、来年度の地方交付税総額に組み込むものです。これは、地方の固有財源である地方交付税は速やかに地方自治体に配分し、地方自治体自身がその使い道を決するという法の趣旨に反するものであり、認めることはできません。

 従来から、政府は、年度途中に生じた地方財源の増額分を次年度の交付税に繰り越す特例措置を繰り返してきましたが、多くの地方自治体にとって、住民福祉や公共インフラの維持などのため、一般財源の確保が喫緊の課題となっています。

 地方交付税法、地方財政法に背くやり方を続けるのではなく、現行法の規定に沿って、特別交付税として配分、交付するべきです。

 大阪北部地震、豪雨災害、台風、北海道胆振東部地震など、深刻な自然災害が相次ぎ、特別交付税の規定により交付する災害関連経費が当初の見積りを大幅に超過したことから、災害関連経費として七百億円を増額することは、特別交付税で交付する災害関連経費以外の諸経費への減額影響を避けるためにも、当然の措置です。しかし、半壊や一部損壊世帯に対する自治体独自の支援を始め、被災者支援やなりわいの再建のためには、更に十分な一般財源が求められています。

 以上を申し述べ、反対討論といたします。

江田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより採決に入ります。

 平成三十年度分として交付すべき地方交付税の総額の特例に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時五十分散会


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