衆議院

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第3号 平成31年2月19日(火曜日)

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平成三十一年二月十九日(火曜日)

    午前九時六分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      岩田 和親君    大西 英男君

      鬼木  誠君    加藤 寛治君

      川崎 二郎君    神田  裕君

      木村 次郎君    佐藤 明男君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      冨樫 博之君    中曽根康隆君

      長坂 康正君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    伊藤 俊輔君

      小川 淳也君    岡島 一正君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      本村 伸子君    足立 康史君

      吉川  元君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   内閣官房副長官      西村 康稔君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   法務大臣政務官      門山 宏哲君

   会計検査院事務総局次長  宮内 和洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府知的財産戦略推進事務局長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   武田 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           安藤 英作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 白岩  俊君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  堀江 宏之君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            谷脇 康彦君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       竹内 芳明君

   政府参考人

   (消防庁次長)      横田 真二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 小野平八郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山田 雅彦君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  織田  央君

   参考人

   (統計委員会委員長)   西村 清彦君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月十九日

 辞任         補欠選任

  金子万寿夫君     岩田 和親君

  鳩山 二郎君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     加藤 寛治君

  中曽根康隆君     神田  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     鬼木  誠君

  神田  裕君     鳩山 二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     高木  啓君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     金子万寿夫君

    ―――――――――――――

二月十五日

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出第五号)

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出第五号)

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成三十一年度地方財政計画)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として統計委員会委員長西村清彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府知的財産戦略推進事務局長住田孝之君、個人情報保護委員会事務局次長福浦裕介君、総務省大臣官房長武田博之君、大臣官房総括審議官宮地毅君、大臣官房総括審議官安藤英作君、大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、大臣官房地域力創造審議官佐々木浩君、大臣官房審議官白岩俊君、行政管理局長堀江宏之君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長北崎秀一君、自治行政局公務員部長大村慎一君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治財政局長林崎理君、自治税務局長内藤尚志君、総合通信基盤局長谷脇康彦君、統計局長千野雅人君、サイバーセキュリティ統括官竹内芳明君、消防庁次長横田真二君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、法務省大臣官房審議官石岡邦章君、財務省大臣官房審議官小野平八郎君、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、厚生労働省大臣官房審議官山田雅彦君及び林野庁森林整備部長織田央君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局次長宮内和洋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長坂康正君。

長坂委員 おはようございます。自民党の長坂康正でございます。

 大臣所信を受けての質疑をさせていただきます。

 十四日の、大臣質疑を拝聴しまして、臨時国会でもそう感じたわけでありますけれども、役所言葉や施策の羅列ではない大臣御自身の言葉で、地方行政に対する思いが伝わってくる、そして意欲を感じられる、意欲的な、意気込みを感じられるような、そんな大臣所信であったと感銘をいたしました。大臣の指導力に御期待を申し上げまして、質問に入らさせていただきます。

 限られた時間でありますので随時質問をいたしますが、まず、平成三十一年度財政計画についてお尋ねをいたします。

 前年度より〇・六兆円を上回る一般財源総額が確保されておりますとともに、地方交付税総額も七年ぶりに増額し、臨時財政対策債も大幅に抑制するなど、地方財政に配慮したものと考えますが、今回の地方財政計画のポイントと大臣の評価をお願いをいたします。

石田国務大臣 長坂議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 平成三十一年度の地方財政対策におきましては、一般財源総額の確保、その中でも地方交付税総額の確保、臨時財政対策債の抑制、さらには幼児教育の無償化等の新たな政策に係る財源の確保、そして相次ぐ災害に対応した防災・減災対策の強化といったことが最大の課題でございました。

 これらにつきましては、一般財源総額は前年度から〇・六兆円増となる六十二・七兆円を確保する中で、地方交付税総額を〇・二兆円増の十六・二兆円確保するとともに、臨時財政対策債を〇・七兆円減の三・三兆円と大幅に抑制することができたと思っております。

 また、幼児教育の無償化の財源につきまして、平成三十一年度は臨時交付金を創設して全額国費により対応するほか、防災インフラの整備に係る事業費及び地方財政措置を拡充することといたしております。

 このように、厳しい財政状況の中ではございましたが、最大限の対応ができたと考えております。

 なお、これらの内容については、地方六団体からも高い評価をいただいているところでございます。

 以上です。

長坂委員 ぜひ、地方のことをよく御存じの大臣でありますけれども、更にまたいろんな意見を吸い上げて対応していただきたいと思います。

 次に、ソサエティー五・〇時代の地方のキーワードで、大臣は地方の首長の皆さんと双方向にやりとりを始めておられるということを伺いました。大変意を強くするところでございます。

 大臣所信の中で、ソサエティー五・〇が地域活性化の切り札になると述べられております。私の地元、一宮市でも、つい先ごろから、町中、市街地の一般の公道で、5Gを使った無人自動運転の実証実験が始まっております。

 大臣からは、新しい5Gの全国展開に力を入れていくということでありますが、5Gの整備によって地方の暮らしはどのように変わっていくとお考えか、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。

石田国務大臣 5G、すなわち第五世代移動通信システム、これは、私は、今まで、高速道路あるいは新幹線、そういうことの整備の中で地域の活力が活性化が図られてきたと思っておりますけれども、それに匹敵するような二十一世紀の基幹インフラである、そのように考えているわけでございます。

 5Gは、例えば二時間の映画を三秒でダウンロードできる、そのぐらい速い、超高速、また、身の回りの多数のものが同時にネットワークにつながる多数接続、そういう意味で申し上げますと、IoTというのはこの5Gでなければ処理ができない、そういうことも言われているわけであります。さらには、遠隔地でロボット等の操作をスムーズに行える超低遅延といったような特色がございまして、これらによりまして、私は、これから特に、今もう現在ある程度見えている部分もありますけれども、もっとさまざまな分野にわたってこういうものを活用して、いろいろなアイデアが出てくるものと思っております。

 具体例を申し上げますと、今議員から御指摘ありました自動運転もそうでありますし、例えば、建機ですね、機械、ユンボとかを動かす、そういうものも現実に今動き始めておりますし、さらにはサテライトオフィス、これは私も先日白浜へ行ってきて実感をしてきたところでありますけれども、非常にそういう意味でも有効。あるいは、農作業におきましても、さまざまな、農作業を取り巻くいろいろな分野にわたってこういうものが活用されていくのではないか、そういうことも思っております。そしてまた、地方にとって非常にこれから有効になってくるのは、4K、8Kの映像を使った場合に遠隔診療が可能になってくるということであります。

 私は、この5Gの活用によって持続可能な地域社会を実現していく、そのための働く場あるいは生活支援サービス、こういうものが可能になってくるのではないか、そういう意味では、この5Gというのは地方にとっても非常に有効な手段になってくると考えているところでございます。

長坂委員 私が初当選したときに、新藤大臣の大臣室へ伺ったら4K、8Kのテレビがありまして、ああ、こういう時代が来るのかなと思っておりましたけれども、本当にどんどんそういった時代、さらに、5Gが全国展開になることを期待をする一人でございます。

 この5Gを二年以内に全都道府県に展開するという、そんな目標があるようでありますが、そのためには具体的にどのような施策を講じられるのか、お尋ねをしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gの展開につきましては、本年の一月の二十四日に告示をいたしました5Gの電波の割当て方針を示します開設指針におきまして、地方を含む全国各地で早期に5Gが利用できるよう促す項目を盛り込んでいるところでございます。

 具体的には、委員御指摘のとおり、二年以内に全都道府県でサービスを開始することなどを、通信事業者が電波の割当てを受けるに当たり最低限満たすべき基準として設けまして、これらの基準に従って5Gの電波の割当て審査を行うこととしているところでございます。

 また、実際に電波の割当てを受けた通信事業者に対しましては、電波の割当ての後、四半期ごとに計画の進捗状況につきまして報告することを義務づけておりまして、総務省として、基地局の開設状況等につきましてしっかりと確認をしていくこととしております。

 通信事業者におきましては、この開設指針を踏まえ、地方を含む全国各地で早期に5Gを利用できるよう基地局を整備をしていただき、5Gの特徴を生かした高度かつ多様なサービスを提供していただくことを期待しているところでございます。

長坂委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 ソサエティー五・〇の地方の実現というのは、地方の生活もより便利になっていくと期待をされるわけであります。しかし、その影の部分として、今もいろいろありますが、個人や企業の暮らし、経済がサイバー攻撃のリスクにさらされるおそれがあるということであります。

 所信の中で述べられました官民提携したセキュリティー対策とはどういう対策なのか、国民に安心感を持ってもらえるような具体的な説明をお聞かせいただきたいと思います。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 ソサエティー五・〇の実現に向けて、サイバーセキュリティーの確保が大きな課題と認識しております。

 特に、ネットワークに大量に接続されるIoT機器のセキュリティー対策が重要となります。総務省では、情報通信研究機構、NICT及びインターネットプロバイダーと連携をし、サイバー攻撃に悪用されるおそれのある機器を調査し利用者に注意喚起を行う取組、NOTICEを、明日、二月二十日より開始することとしております。

 また、サイバー攻撃が巧妙化、深刻化している中、セキュリティー人材の不足も官民共通の課題です。総務省では、NICTを通じて、国、地方の行政機関に加えまして、民間の重要インフラ事業者等を対象とした実践的サイバー防衛演習、CYDERを実施しており、官民双方のセキュリティー対処能力の向上を図っております。

 総務省としては、このほか、研究開発や国際連携を含め、今後とも、民間企業や関係省庁と連携しつつ、我が国のサイバーセキュリティー確保に尽力してまいります。

長坂委員 しっかりそれは進めていただきたいと思います。

 せっかくですので、ちょっと地元の話題も触れさせていただきたいんですが、愛知県、豊田市と田原市で豚コレラの発生が確認をされまして、防疫措置が完了したのもつかの間、更に、二月の十三日には、田原市で新たに三施設目の発生が確認をされました。

 愛知県に限らず、豚コレラが発生した県においては、殺処分を始めとする防疫措置に多額の経費を要しております。こういった事態が発生した場合は、国もいろんな支援をしていただいているわけでありますが、地方財政措置はどのように講じられることになるんでしょうか。地方財政措置が特別交付税措置として行われるとした場合はどのように算定することになるのか、伺いたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 愛知県、岐阜県等におきましては、豚コレラの感染被害を防止するため、感染した豚の殺処分、移動制限区域内の農家への損失補償などの疾病の蔓延防止対策、あるいは風評被害対策等に取り組んでおり、そのための多額の財政需要が生じているというふうに伺っているところでございまして、これらの地方団体におけます対策経費のうち、国の負担金などを受けまして実施する疾病の蔓延防止対策等に要する経費につきましては、これは、地方負担を生じる部分につきましてはその八割、それから、今申し上げた対策に関連をして実施します風評被害対策等に要する経費につきましては、地方負担の五割を特別交付税により措置することとしているところでございます。

 関係する地方団体の実情を丁寧にお伺いして、財政運営に支障が生じないよう適切に対応してまいります。

長坂委員 しっかりお願いをしたいと思います。

 次に、平成三十一年度税制改正におきまして、地方法人税の法人課税の偏在是正が行われ、特別法人事業税・譲与税制度が創設されることになっております。これは都市部の税収を地方に配分する趣旨だと理解はいたしますが、単なる再配分では都市部の自治体の不安が募るだけであります。これは、私や、大西政務官もいらっしゃいます、また愛知の鈴木副大臣もいらっしゃいますが、同じ思いがあると思いますけれども、日本全体の活性化につながらないのではないかという懸念を持つ私は一人であります。

 効果額の活用については、偏在是正の効果があらわれる平成三十二年度に向けて、与党税制改正大綱にあるように、地方が偏在是正の効果を実感できるよう、今後検討を進めるということでありますので、しっかりそれは進めていただきたいと思います。

 日本全体の活性化に向け、大臣は強い思いをお持ちのことだと思います。総務省において、大臣肝いりで地方力強化戦略本部を設置したと伺っておりますが、その狙い、趣旨はどのようなものなのか、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 所信のときにも申し上げましたけれども、やはり地方の疲弊はもう限界に達してきている、あるいは東京一極集中の是正も急務であるというふうに考えておりまして、それを解決していくためには、やはり持続可能な地域社会、これを構築していく必要がある。それにとって必要なのは、一つはやはり働く場の確保、それから生活支援サービスの提供、そして担い手の確保ということが非常に大事だ、その三つがそろっていくということが大事だと思っておりまして、そういうことを考える中で、私は二つの明るい兆しということを申し上げましたけれども、感じているわけであります。

 一つは、やはり若い人たちの意識、生活環境を変えたいという意識、これが非常に今顕著になりつつあるのではないか、そのように考えております。

 一つの例としては、NPO法人のふるさと回帰支援センターへの移住相談件数、ずっと毎年一万人ぐらいずつふえていって、昨年は過去最高、四万人になりました。そして、その内訳でいいますと、二十代、三十代で五〇%を超え、四十代を含めると七〇%を超えている。まさしく働き盛りの人が地方移住を考えているということになるわけであります。

 そして、もう一つの明るい兆し、これは、先ほども触れましたけれども、やはりソサエティー五・〇を支える技術革新、これの着実な進展、これによって、私は、今既に実用化されている技術でも地方を大きく変えていくだろうし、今後の進展によって更に大きく変えていく、変わっていく、そのように感じておりまして、こうした変化を地方にとってのチャンスにしていくということが大事だと考えております。

 そのためには、やはりこういうことについての認識の共有ということが私は非常に重要だと思っております。

 そういう意味で、昨年、私を本部長とする地域力強化戦略本部を立ち上げまして、そして、ソサエティー五・〇時代の地方、これはどういうことになるのかということをキーワードとして、今現実に実装されている革新的技術、そういう例などを全国の首長の皆さんと共有し、また、地方からも優良事例や必要な施策を御提言いただく、双方向かつ持続的なやりとり、このことによって、ソサエティー五・〇の進化とともに、地方が活力を取り戻していく、そういう取組をしたいということでつくらせていただきました。そして、一月の二十五日に第一号を発出し、間もなく第二号を発出させていただく予定にしております。

 以上です。

長坂委員 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 もう時間が余りありませんので、最後の一問にさせていただきますが、私の地元は、木曽三川に育まれた濃尾平野のただ中であります。六十年前には伊勢湾台風に襲われまして、海岸から二十キロ上流まで水没をし、三カ月間水が引かなかった、日本で最大の海抜ゼロメーター以下の地域でございます。

 そのため、住民は災害に対する意識が非常に高いわけでありまして、また、近年、全国で大規模な災害が頻発していることを踏まえますと、国土の強靱化が喫緊の課題であり、大規模なハード整備から予防的な措置を含めて、きめ細かなインフラ整備を行っていくことが肝要だと感じております。

 この点について、総務省では、平成三十一年度から緊急自然災害防災対策事業債を創設し、個別の国庫補助事業の要件を満たさないような地方単独事業を対象にしていただけると伺っております。

 私も県議の経験が長いわけですが、自治体が単独事業に踏み切るというのは、財政面の不安が大変強くて、大変勇気のあることであります。そういった意味で、大変画期的な措置だと考えておりますが、大臣の意気込みをお尋ねしたいと思います。

石田国務大臣 近年、大規模な自然災害が続いておりますけれども、事前に、専門家から見れば、ここをこういうふうに直せば災害は防げる、そういうところは、河川にしろため池等にしろ、いろいろなところでわかっているわけであります。そういうことについて、やはり事前にきちっと対応する、そういう考え方は私は非常に重要と考えておりまして、今回、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策、これが予算化されたということは非常に重要なことだと思っております。

 それに連携して、地方自治体が単独事業として実施する防災インフラの整備、これを推進するために、私たちは新たに緊急自然災害防止対策事業費三千億円を計上しているということでございまして、本事業については、その全額に緊急自然災害防止対策事業債を充当できることとし、同時に、元利償還金の七〇%について地方交付税措置を講ずることといたしておりまして、本事業を地方自治体に活用いただいて、喫緊の課題である防災、減災にしっかり取り組んでいただけたらと思っております。

長坂委員 ぜひお願いをしたいと思います。

 さっき申しました私どもの地元の例えば南部の方、海抜ゼロメーター以下だと申しまして、大変、伊勢湾台風では厳しい被害を受けましたが、今は、例えば飛島村というのは、航空宇宙産業なんかが来ていまして、日本一裕福な村と言われております。例えば、隣の弥富市は、今、財政力指数が〇・九九、辛うじて普通交付税の交付団体となっております。

 質問終了時間だと言われましたので要望にとどめますが、そういったところは、一に近いところという自治体は税収が極端に多いわけでもありませんけれども、そういった中で、公共施設がこれから十年先、二十年先に更新の時期が来る、そういう中で、地元は再配置計画など苦労しております。

 そんな中で、例えば、今年度の交付税措置率は、財政力に応じて三〇%から五〇%と段階づけられているわけでありますが、こういったのを少し、交付税措置を一律五〇%にするなど、弥富市のような自治体でも公共施設の再配置計画などが順調に実施できるような検討をされるよう要望しまして、ここで終わらさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、福田達夫君。

福田(達)委員 おはようございます。自由民主党の福田でございます。

 花粉症のシーズンになってまいりまして、少々ちょっとお聞き苦しいところがあるかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。

 石田大臣とは、私が当選以来、自民党の中におきまして本当にさまざまなことを勉強させていただきました。

 これは五年前に出た本でありますけれども、自民党の国家戦略本部というところで出した本であります。これは、二〇三〇年というところにピンどめいたしまして、さまざまな学者の先生方、若しくは事業をやっていらっしゃる方々にお集まりいただきまして、二〇三〇年に日本はどうなるのかということに向けて、そこに目線を向けて今から話を始めよう、そういうことをさせていただいた。

 これは、名目上率いていただいたのとはまた別に、実質的にこのプロジェクトを率いていただいたのが石田先生ということで、その中でも非常にさまざまなことを教わりました。やはり、地方自治の御経験が、実務の御経験がある一方で、この国全体の、しかも将来の時間軸にしっかりとピンどめをした上で議論をする、その姿勢と、そしてその見識に非常に勉強させられた、そういう思いがございます。

 その大臣が今回所信をやられたということで、拝見していて、先ほど長坂委員もおっしゃっていましたけれども、非常に、自分の言葉で、自分の思いを込められた所信というふうに受けとめました。

 ということなので、きょうは皮切りの質問ということもありますので、この思いについて主に聞かせていただきたいというふうに思っております。

 所信表明の中にも似たようなフレーズがございましたし、大臣就任時の職員への訓示、これがある意味、一番初めの大臣の思いだと思いますので、ここを引きますと、地方の疲弊も東京一極集中も限界に来ている、こういうフレーズがございました。

 実は、この二つの言葉は、私の記憶する限り、もう二十年も三十年も言われている話だというふうに思っています。人口問題ということ、最近やっと、高齢化問題、少子化問題というものがこの十年ぐらい表に出てきましたけれども、その前は、正直、永田町でもほとんど語る人はいらっしゃらない。私の父が政治家をやっているときに、人口問題ということを中山太郎先生と一緒に言っているときも、記者さんからも何を聞かれたか。なぜ福田先生は人口問題と言うんですか。これが十年前です。

 そのころから考えますと、正直、予測はできたし、みんなも知っていたんだけれども、何となく通り過ぎてきてしまった。しかも、それがフレーズになってくるとフレーズが先行するんですが、じゃ、何が問題点かということをちゃんと共有できているかというと、正直言うとフレーズ先行型になっているかなというふうに思います。

 まず、この東京一極集中、是正すべき東京一極集中というのはどういうものなのか、これについて御説明をいただければというふうに思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 東京一極集中による課題につきましては、まち・ひと・しごと創生総合戦略でも触れられているとおり、まず、公共インフラがキャパシティーオーバーになることによる通勤時間の長さや住宅価格の高さ、保育サービスにおける多数の待機者など生活環境面でさまざまな課題が生じているのではないかと考えております。また、首都直下地震など巨大災害に伴う被害のリスクも想定されるところでございます。

 さらには、出生率が相対的に低い首都圏に若年人口が多数流入することにより、将来的に首都圏の高齢者が増大し、これに伴うさまざまなリスクが顕在化することが考えられるところでございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 インフラのキャパオーバーについても、首都直下地震のリスクについても、結局はこれは、いかに、東京に過剰なインフラ投資がされていく、過剰にアセット、資本が都市部に蓄積されていくということだと思いますし、また、出生率の問題につきましても、余り過度に人が入ってくると、結局、コストというかリスクが高まっていく、そういうものだというふうに思っております。

 また一方では、これは逆に言いますと、地方からの人の流出というものも、これは特に地方の選出の方については本当に肌身をもって感じていると思いますけれども、とても大きなリスクであり、また将来の可能性が狭まるものだと思います。経済活動、地域活動を始めとしまして、地域における活動が小さくなります。また、そこに人がいなくなれば、地域の伝統文化等も失われてまいりますし、また安全保障面でもこれは問題ということになります。

 ただ、この人の流出というものは、あくまでこれは結果でありまして、その原因というもの、これをいかに正確につかむのかということがとても大事なんだと思いますが、実は、ちょうど十一年前の総務委員会の質問を見ていましたらば、当時の石田委員が、某福田総理という人に質問されておりまして、そのときの指摘で、人を地域にとどめておく仕組みが壊れた状態を端的に、地域経済のモデルが崩れたと表現されていらっしゃいます。

 その地域経済が崩れたというふうに言われた十年前と、先ほど、最近二つの兆しがあるという話をされていましたけれども、根本的なこの地域の現状についての認識というものを、十年前と今と、大臣が今どういうふうに思われているか、お聞かせいただければと思います。

石田国務大臣 十年前に総務委員会で、福田総理がお見えになられまして、そのときに私が質問をさせていただきました。ただ、短い時間であったものですから十分に質問できなかったんですけれども、今そういうことを思い出しました。

 私は、今御指摘いただきましたけれども、十年前の認識と基本的には変わっていません。

 私は、その後も、大臣になる前、毎週のように地元に帰りまして、地元を歩く。そうしますと、ちょうど定点観測しているようなものなんですね。そうすると、地域の変化というのが手にとるようにわかるわけでありまして、十年前に比べて、私は、一段と地方の疲弊が進んでいる、そういう意味で、地方の疲弊は限界ということを申し上げたのは、一段と進んでいて、これから五年先、十年先になったときには本当に持続可能なのかな、そういうような地域もあるということを念頭に置いて申し上げているわけでございます。

 今日まで十年間、御指摘があったように、いろいろな取組をされてきたと私は思います。本当に、地方自治体でも政府でも、何とかしようと思ってやってこられたというのは事実でありまして、今現実にも、政府では、まち・ひと・しごと創生本部で地方創生ということにしっかり取り組んでおります。

 この皆さんの努力の結果として、私は、本当に何とかしなければいけないという機運は、御指摘いただいたように、十年前に比べると随分と出てきているんではないかな、そういうふうに思っております。

 そういうことの中で、どうすればいいのかなというふうなことを考えていく中に、先ほど来申し上げているような二つの明るい兆しということでありますけれども、何とかこれを手がかりにして、そして地域の活性化に向けてみんなが危機感を持ってしっかり取り組んでいくということが、私は、地方創生、地域の活力の再生につながっていくんではないか、そのように思っているところであります。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 確かにさまざまな取組がされているというふうに思いますし、また一方で、それにもかかわらず、状況が改善しているところばかりではないというのが現状認識で正しいのだというふうに思います。

 また一方で、御指摘ありました技術の進展というもの、特にこの十年間の技術の進展は非常にすさまじいものでございまして、二十世紀というのは、やはり物づくりの時代だった、そして、やはり大きなものにとって強い力が与えられる時代だと思います。

 そこの物づくりの時代からプラットフォーム産業の時代に、アメリカならGAFAでありますし、中国ならBATJなどもございますが、そのプラットフォームを提供する側と、そしてそのプラットフォームを使って新たなビジネスをつくるプレーヤー、こちらへだんだん稼ぎの形が移っていく、産業の形もそろそろ大胆に変わっていく時期なのかなというふうに思っておりますが、そういう大きな変化が訪れている。

 また、よく最近、巷間言われますが、AIを使うことによって労働機会が減っていく、平たく言うと仕事がなくなっていく可能性、現状の仕事がなくなっていく可能性も指摘されている中にありまして、社会全体も随分大きく変わっていくということなのであります。

 先ほど申し上げましたとおり、二十世紀型というのは、大きな組織、大きな企業とか大きな都市、力の大きい人、組織などが有利な時代だったわけでありますが、二十一世紀型の社会というものは、機能別の小さい単位が状況に合わせて離合集散することで変化を乗り越える力、これを得られる力だというふうに思っています。よく言う、強いものが生き残る時代ではなくて、適者生存の時代が、小さいものにも与えられる、地方にもそういう力が与えられる時代だというふうに思っています。

 特に、5Gに代表される新しい技術というものは、ソサエティー五・〇を支える非常に大きな柱だというふうに思っておりますけれども、この新しい技術というものがしっかりと地方に挿入されていく、しっかりと力になっていくということが最も重要なのでありますけれども、ただ、なかなかこれは自治体が単独事業でやっていくのは多分難しいというふうに思います。

 先ほど長坂委員の方からも御指摘ありましたけれども、これまでの携帯の基地局の整備状況などを見ますと、やはり、市場性が見られる、人口集積する、そういう都市部から優先的に整備されてしまって、これも正直二十世紀的だと思いますが、収益性に乏しい地方、特に過疎地域などは相当後回しになってしまうんじゃないかという危惧がございますが、先ほどから言っているとおり、この技術というものは特に過疎であるとか地方にとって力になるものであるということを考えると、やはり、極めて重要なインフラの一つである5Gの基地局整備については、政府のリーダーシップで地域間の偏在なく進めるべきだと思いますけれども、御所見をいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gの展開につきましては、本年一月二十四日に告示をいたしました5Gの電波の割当て方針を示す開設指針におきまして、地方を含む全国各地で早期に利用できるよう促す項目を盛り込んでいるところでございます。

 この開設指針におきましては、例えば、農地や工場地帯といった5Gの産業への応用展開を見据えまして、これまでの人口カバー率にかわりまして、非居住地域も含めて、事業可能性のある地域の五〇%以上で、地域展開の核となる高度特定基地局を五年以内に最低一局以上整備することとしております。

 また、総務省が平成二十九年度から実施をしております5Gの総合実証実験におきまして、遠隔医療あるいは建機の遠隔制御など、さまざまな産業に5Gを応用することを想定をいたしまして、自治体あるいは企業など多様な主体の参画を得て実証を行っているところでございます。

 さらに、5Gの基地局の展開に必要な光ファイバーの整備につきましては、まずは通信事業者がみずから整備していただくのが基本と考えておりますけれども、整備がおくれがちな条件不利地域につきましては、光ファイバー整備費用の一部を補助する事業を来年度予算案に計上しているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした施策を通じまして、地方を含む全国各地で早期に5Gを利用できるような環境が整備され、5Gの特徴を生かした高度で多様なサービスが実現することを期待をしているところでございます。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 政府にはぜひお願いしておきたいのが、どうしても、やはり政府というものはこれまでの考え方にとらわれがちだというふうに思います。市場性があるところに打ち込んでいくのも、これは重要であります。しかし一方で、あるべき地方のあり方というものをきっちりと想定した上で、もちろん、自治体の方々の主体性、これを一番重要視するわけでありますけれども、これまでの考え方とは少しく離れた新しい社会をつくっていくという概念からこのことを検討いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 ちょっと話題がかわりますが、十一年前の総務委員会での大臣の御質問の中で非常に感銘を受けた言葉が一つございまして、地方の活性化は、国民全員が地方に関心を持ち、積極的、主体的に参加する姿勢が必要というふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 日本という国は、本当に、狭いと言われながら南北に長いですし、また、気候風土等、さまざまに多様性があるということは、これは農政をやらせていただいていて本当に痛感したところでありますけれども、それぞれの地域においての実は生き方も、日本人といっても大分違う。そのソーシャルニーズというもの、社会的な需要というものが地域によっても随分違うということが、これはあちこち回っていると感じるところであります。

 この細やかなソーシャルニーズに対しまして、国政という大きな力というものは、力は大きいんだけれども、きめ細やかさには欠けてしまうというところがあります。やはりこれは、その地域地域において何が本当にできるのかということ、この総合力をしっかり出していく、これがやはり、地方創生時代、地方からもう一遍強くなる時代については大事だというふうに思っておりますけれども、この国民の主体的な姿勢、積極的な参加という重要性について、先ほど大臣は危機感をしっかり持つということもおっしゃっていましたけれども、これについては今どういうふうにお考えなのか、御所見をいただければと思います。

石田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、やはり十年前に比べると、随分と地方の問題について地域の方も危機感を持っておられると思いまして、そういう意味で、私、変わらないというか、もっと一段と進んでいるというふうに思います。

 そして、御指摘のありました地域資源の活用ということについては、まず、地域の方々が自分の身近にあるものの価値に気づいて活用する姿勢が大変重要である。これは十年前からも変わらないわけでありますけれども、特に最近は、パラダイムシフトと私は考えますけれども、起こって、例えば、どこにいても世界とつながって取引ができる、あるいは、どこにいてもいろいろなサービスを受けられる、そういう時代になってきたわけですから、やはり、自分たちの周りにある地域資源、それを、パラダイムシフト、ソサエティー五・〇に象徴されるようなさまざまな技術を使って、どういうふうにすれば地域活性化につながっていくか、そういうことをみんながそれぞれの立場で考えていただくということが非常に私は重要だと思います。

 一例を挙げますと、私の地元に、私の地元は漆器の産地ですけれども、御夫婦、お父さん、お母さん、従業員数名でやっておられる方がネットで商売されていまして、どこから注文が来るのと聞いたら、世界じゅうから来ますと言うんですね。別に何も難しいことはないわけでありまして、ネットの事業者にお願いをして、あとは自分のところから郵便局で送るだけです。

 そういうような時代に今もうなっているわけですから、やはりもう一度、地域の資源というものに目を向けて、どうすればそれが御商売になるのか、あるいは、いろんな人に来てもらえるような観光資源になるのか、しっかり考えていくことが大事だと思っております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 本当に気持ちの入ったお言葉だと思いますけれども、まさに、我々は現状について覚悟がまず必要なんだというふうに思います。やはり、それぞれが甘いことを言い合っているのではなくて、しっかりとそれぞれがそれぞれの役割に立って覚悟を示すことと、そしてあと、世界観、結局、別に地域だけで稼ぐ必要はなくて、これだけいろんな技術が手に入ったわけでありますから、世界観を広く持つということがとても大事なのかなというふうに思っています。

 私の地元で、きのう、ジェトロ群馬さんが、世界じゅうのコーディネーターを集めまして、十人のコーディネーターを世界じゅうから集めてシンポジウムをやっていましたけれども、群馬県のみならず県外、近いところからも人が集まって、二百人ぐらいでしょうか集まって、シンポジウムが開かれました。

 何を言いたいかといいますと、そういう状況さえお示しすればやる気がある方はいらっしゃる、覚悟を決めてやるぞと思っている方はいらっしゃるので、我々も、余り優しいというかやわらかい議論ばかりではなくて、しっかりとお互い議論し合う、自分自身ができることは何なのかということをさらけ出し合って前に進む、そういう時代なのかなというふうに思っています。

 ぜひ大臣のリーダーシップを求めたいところでありますが、そのときに考えますと、実は、ちょっとこれは、きょう、資料を二枚お配りしていまして、資料一の方は時間がなくなったのでなくしますが、これは何が言いたいかというと、これは、随分前から普及活動をやっているんですが、僕は、地域というものを二十年間ずっと見てきている人間でありますが、実は、地域というものの経済的な捉え方というのがほとんど存在していなくて、景気が悪いねと言っても、どこから金が入ってきているかということを定量的に押さえられていないというのをちょっと問題意識として持っているんですが、これは、ちょっと済みません、またに譲ります。

 最後、数分残ったところで、やはり統計問題にちょっと触れたいと思います。

 私、商社の調査部というところにいまして、まさに統計のユーザーでありました。また、社内統計をつくる立場でありまして、今回の統計問題と言われていることについて、肌感覚は正直わかります。ああ、こんな感じでもって、統計のつくり方、担当者がやったんだろうなというような感覚が少しくわかる人間として、政治的に国会で議論するのはいいと思います。

 ただ、本来的に大事なことは何かというと、統計というものって実は日がほとんど当たらない世界であります。僕が会社でつくっていたときも、上役の方々は、データが出てくるか出てこないかが重要であって、どういうふうにつくっているかということはほとんど興味がなかったと思います。

 また、それを受けて、我々統計をつくっている人間も、矜持を持ってつくるわけでありますけれども、正直言って、僕は、総理とか大臣が答弁するレベルの話じゃないと思っています。これは、本当に作業的な話なので、そこはしっかりつかさつかさでやるべきなんだというふうに思っています。

 ただ、これはしっかりやらないと、結局、主体性を持った国民が、しっかりと政治に参加したい、若しくは自分たちがこの地域について考えたいというふうに思うときも、やはりこれがないとできないわけでありますから、ぜひここは、レベルの違う対策というか腹を決めたことをやはり統計の司令塔である総務省には求めたいというふうに思っています。

 資料二を見ていただきますと、これは、平成二十一年からの統計人材、統計職員の数の推移であります。ずっと、過去十年間、減っていました。農水省の地方局だけは少し異例なので抜いてありますが。二十七年から統計改革でもって今少しはふえていますけれども、これから世界はビッグデータの時代に入ります。数量データだけじゃなくて、定量データ、文字のデータもデータとして扱える、AIを使えば、そういう時代に入っています。

 そこの状態において、まだまだこの国のデータを取り扱う状態というのは、人材も少ないし、その人材を取り扱う人事についてもだめだし、また、統計を扱っている方々をしっかりと見る方が統計についてどれだけわかっているかというと、正直言って不安があります。

 また、役所の中でも、部局によって、データを誰が持っているかもよくわかっていないという状況もあり、また、地方自治体とも接続ができないという状況にあります。

 ぜひここは、総務省が統計委員会等を主宰して、また、統計の司令塔でもありますので、しっかりと身の入った改革をぜひ引っ張っていただきたい。なかなかこれは各省にまたがるので難しいんですけれども、ぜひここはお願いを最後にして、それに対しまして答弁をいただきまして、最後にしたいと思います。

江田委員長 時間が来ておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

横田(信)政府参考人 今御指摘いただきましたように、人員、予算といった統計リソースについては非常に重要な課題であるということで、統計委員会の方でも認識されております。このため、昨年の七月でございますけれども、こうした取組につきまして、統計リソースを重点的に配分する必要がある旨、建議をいただいたところでございます。

 総務省といたしましても、統計法、統計制度を所管する立場、また、人口、経済に関する重要な統計を所管する立場、さらには統計に関する研修、研究を行う立場といったような立場を有してございます。そのため、これらの取組を総務省としても積極的に更に推し進めていくということで努力してまいりたいと思います。

福田(達)委員 ぜひよろしくお願いします。ありがとうございました。

江田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 先ほどから、ソサエティー五・〇の時代、新しい技術を活用した地方のあり方について議論されておりますが、私は、公務における障害者雇用問題への対応について議論したいと思います。

 大臣は、就任されたさきの国会ではこうおっしゃいました。総務省としても障害者雇用に関する問題を重く受けとめ、再発防止を期するとともに、障害者が働く環境の整備を進めると発言をされたわけであります。先日の大臣所信表明では特に明言がなかったな、こう思いながら、今まさに進行中の問題でありますので、改めて、公務における障害者雇用問題への取組姿勢をお伺いしたいというふうに思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 総務省としては、障害者雇用に関する今回の事態を重く受けとめておりまして、今後は、法律制度についての部内への周知、障害者手帳の確認の徹底、チェック体制の確立を図り、再発防止を徹底してまいりたいと考えております。

 一方で、障害者雇用の推進につきましては、秘書課に障害者雇用推進室を設置をいたしました。ここを中核に障害者雇用の取組を実施いたしているところであります。

 これまでに、就労支援機関と連携して、障害者のインターンの受入れや障害者の採用を進めておりまして、本年二月一日までに新たに、非常勤でありますけれども、十名を採用したところであります。

 障害者雇用の推進に当たっては、非常勤の採用だけでなく、人事院が実施する障害者選考試験の枠組みを活用した常勤の採用にも取り組む予定でございます。また、障害者の働く環境の整備や職場定着の支援にも取り組むことで、本年末までの法定雇用率の達成に向けて努力してまいりたいと考えているところでございます。

桝屋委員 今大臣が御答弁になりました、推進室をつくって新たに十人の雇用が始まったというようなことでありますので、我が党の対策本部でも、この推進室、ぜひいろいろお取組を伺わせていただこう、このように思っております。

 そこで、私が大臣にお伺いしたいのは、総務省本省ももちろんでありますけれども、地方自治体がどうなっているかという問題意識であります。

 総務省に伺いたいと思いますが、二月三日、国は、人事院が、初めてのことでありますが、国家公務員として障害者の選考試験を実施されました。約七千人の方が試験を受けられたと承知をしております。

 一方、地方自治体も新年度採用に向けて障害者の別枠採用の選考試験を行っているのではないか、こう考えるんですが、その実態についてはどのように把握されているのか、お示しをいただきたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におきましては、従前から障害者を対象とした別枠による採用が行われておりますけれども、総務省では、その実績について毎年度調査を行っております。

 平成二十八年度に障害者を対象とした別枠採用を行った団体は、全都道府県、政令市及び二百十四市区町村でありまして、全体で六百十八人の採用が行われております。

 平成二十九年度の実績につきましては、現在取りまとめを行っているところでございます。

 今後、平成三十年度の別枠による採用実績を調査することといたしておりまして、御指摘の平成三十一年度の採用に向けた別枠採用の状況の把握についても、今後十分に検討し、対応してまいりたいと考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 今、二十八年度の実績の状況が御報告されたわけでありますが、二十九年、三十年度については、二十九年度は今集計中、三十年度はこれから調査、こういうことでありました。ぜひ詳細な調査をお願いしたいと思います。

 重ねて総務省に確認をしておきたいのでありますが、これは場合によっては厚労省に聞けと言われるかもしれませんが、行政機関における障害者雇用数の不適切な計上問題を受けまして、ことし、国の機関あるいは地方自治体でどの程度の採用計画になっているのか、この規模をどのように認識しておられるのか、改めて総務省に伺いたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 法定雇用率を達成していない地方公共団体に関する障害者の採用計画の状況につきましては、障害者雇用促進法等に基づきまして、採用計画の案の通報を受けた厚生労働省において、現在、取りまとめに向けた精査が行われているものと承知をいたしております。

 一方、厚生労働省により公表されました平成三十年六月一日時点の障害者雇用状況の集計結果によりますれば、地方公共団体における法定雇用率未達成の機関数は、都道府県の機関が六十二機関、市町村の機関が七百五機関、都道府県等の教育委員会が六十八機関となっております。不足数は全体で六千二百八・五人となっておりまして、法定雇用率を達成していない機関におきましては、その達成に向けた取組を進める必要がございます。

 地方公共団体は、国と同様、民間の事業主に対しまして率先して障害者を雇用すべき立場にあると認識をいたしておりまして、総務省としても、引き続き、厚生労働省に協力し、法定雇用率の達成に向けて地方公共団体に助言をしてまいりたいと考えております。

桝屋委員 ここからは、ちょっと大臣に聞いていただきたいのでありますが、先ほど大臣は、総務省本省、総務省本体の障害者雇用の取組について御紹介がありました。今公務員部長が報告された内容、いささか私は危機感に欠けるのではないかという思いを持っております。

 その思いは、今、国は、先ほど御紹介したように、二月三日、人事院が別枠採用試験をしました。国は四千人ぐらい法定雇用率不足という状況でありまして、この一年間で採用するということで、まずは試験をされた。七千人が受けた、採用枠は六百七十六というふうに思っておりますが、今後、四月一日に向けて採用が進む。あるいは、地方自治体は、今のお話でありますと、まだ厚労省がまとめていないということで、これも大問題だと思うんですけれども、約六千人ぐらい不足している、これをこの一年かけて採用する。

 したがって、一万人ぐらいの方が、今、これから、四月というのは年度がわりでありますから、極めて大事な、人事の、新しいスタートの年でありまして、先ほどの人事院の試験と同時に、地方自治体でも、この時期、別枠選考試験の試験が行われているのではないか。

 どういうことかというと、規模からいきますと、大体、働いている障害者というのは四十万人と言われております。ハローワークの障害者の求職件数というのは毎年二十万、新たに新規で仕事を開始するのは年間十万人ぐらい。そうした中で、一万人の方がことし一年で新たに公務の部分に仕事を求めるという道が開かれるということでありまして、これは、大臣、働きたい、働く障害者にとっての労働市場、大変なマグニチュードが今起きているということでありまして、地方自治体における実態は今から調査するというようなことでは、いささか私は手ぬるいのではないかと。

 今現場でどういう問題が起きているのかということをぜひ、大臣は就任されたときに、縦割りではなく地方の課題は全て総務省がかかわるとの考えに立つ、このようにおっしゃったわけでありまして、もう少し強い関心を、総務省はともかく、地方自治体がどうなっているかということを私はしっかり持っていただきたいな、こう思っているわけであります。

 総務省から矢継ぎ早に国の対応について情報はどんどん落とされておりますけれども、しかし、せっかく三十年度の調査をするのであれば、私はもっと今の状況を把握する調査をやってほしかったわけでありますが、例えば、国がやっているプレ雇用であるとかステップアップの新しい仕組みを導入しよう、こういうことがあるわけでありますから、地方自治体はどういうことをやっているのかというようなことも含めてぜひ調査をしてもらいたい、ちょっとおくれてもしようがないなと思うのでありますが、そういうきめ細かな調査をしていただきたい。

 私も、御答弁があった毎年の勤務条件調査、ホームページで見ました。だけれども、勤務条件調査のホームページで報告されている内容は、障害者の雇用というようなことは項目が立っていないわけでありまして、総務省を挙げてこの問題に取り組んでいるという熱は伝わってこないということを私は御指摘を申し上げたいと思うんです。

 こんなことを十分お考えいただき、あわせて、大臣、やはり、総務省として地方自治体を応援する、支援をするという取組も要るんではないかというふうに思いまして、障害者問題、もう一度大臣の御答弁をいただきたいと思います。あわせて、地方の支援も御説明いただきたいと思います。

石田国務大臣 今、桝屋議員から御指摘をいただいたことをしっかり胸にして頑張ってまいりたいと思っております。

 平成三十年十月二十三日に、公務部門における障害者雇用に関する関係閣僚会議が開かれまして、公務部門における障害者雇用に関する基本方針が取りまとめられたところでございまして、これを踏まえまして、総務省としては、各地方公共団体の実情に応じ、必要な措置を講ずるよう、厚生労働省とともに要請をしているところでございます。

 また、人事院が策定した国家公務員における合理的配慮に関する指針の周知など、地方公共団体における障害者雇用の促進に関する助言を行ってきたところでございます。

 また、総務省では、来年度から、地方公共団体が障害者の就労を進めるために必要な施設や設備の設置、整備等に要する経費につきまして地方交付税措置を講ずることとしているところでございまして、引き続き、厚労省に協力をしながら、法定雇用率の達成はもとより、地方公共団体における障害者の活躍の場の拡大に向けて必要な助言を行っていきたいと考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 ぜひお願いしたいと思うんですが、私がさっきから議論をしているテーマは、一つは、今現場で何が起きているか。私も地方公務員でしたから、採用試験を受けたときに、国に行くか地方に行くか、地方でも、県に行くか市に行くか、そんなことを悩んだわけでありますが、障害者の皆さん方もまさに今一万人ぐらいの規模でみんなが考えている、こういうときに行政として何をすればいいのかということ、先ほど地方交付税における支援ということがありましたけれども、ぜひきめ細かな支援を推進室でも検討していただきたい。

 公務員部長、せっかくおられますから、確認です、最後。先ほど私が申し上げた三十年度の調査をするんであれば、今のこの動態ができるだけ把握できるような、例えば地方自治体におけるプレ雇用とかステップアップとかさまざまな配慮、そんなことも把握できるような調査を御検討いただきたいと思うのでありますが、最後にもう一回御答弁をいただきたいと思います。

大村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の点でございますが、厚生労働省との連携は十分必要でありますけれども、今後、そういった取りまとめの内容も踏まえながら、調査内容については十分検討した上で、速やかに調査を実施してまいりたいと思っております。

桝屋委員 その調査結果をしっかり分析をして、地方交付税の支援の中身等についても更に検討を進めていただきたい。我が党は、引き続きこの問題、特に地方公共団体における障害者雇用のあり方について、しっかりこの場でも議論をさせていただきたいというふうに思います。

 残された時間、統計問題についていささか議論したいと思います。

 統計は、国や社会を映す鏡であるというふうに言われておりますし、国民生活に密着する極めて大事な指標だと思っております。今回の厚生労働省の一連の不適切案件、私自身、あの期間、二度厚生労働副大臣を経験しておりますから、みずからの不明を恥じなきゃなりません。多くの国民に迷惑をかけたということを反省をしながら、その責任においてしっかりこの問題に取り組んでいきたい。

 ただ、きのうの衆議院の予算委員会の姿を見ておりましてつくづく感じましたのは、今回の事案というのは、昔の自公政権あるいは民主党政権でもなかなか、私も副大臣のときに明らかにできなかった。この問題が、二十七年から始まりました我が国の統計改革、この中で初めて私は発掘された問題ではないのかな、ここは大事な視点だな、こう思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

鈴木(淳)副大臣 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の毎月勤労統計の事案は、まさしく統計委員会が自律的に審議する過程で発覚したものでございます。統計改革推進会議の最終取りまとめを受けて、個別統計の改善や統計委員会の機能強化などの統計改革を進めてきたところでございまして、このような取組が今回の事案発覚の後押しとなったものと考えてございます。

桝屋委員 そうではあるのでありますが、私も、二十七年以降、平成二十七、二十八、二十九、そして昨年の法律改正等ずっと一連の流れを見てまいりました。いわゆる証拠に基づく政策立案、EBPM、エビデンス・ベースト・ポリシー・メーキング、これを求めて統計改革をするというのは、きのうも随分予算委員会で議論がありました。

 ただ、統計の体系的整備、有用性の確保、向上という観点は、確かにそのとおりであるし、結構でありますが、そもそも、今回の問題を踏まえると、我が国の統計行政機構のあり方が問われる問題ではないかと私は認識をしております。

 今までの政府が取り組んできた統計改革では、政府自身の姿を省みる視点が私はいささか欠けていたのではないか、こう思っております。違う言葉で言いますと、統計に携わるお役人の姿、これら、ガバナンスやコンプラも含めて、そこに視点を置いた改革という視点が欠けていたのではないか。

 私は、この問題は、公務における障害者雇用と同じ、あれは全部厚労省の仕事だというふうに思って、本当に最後は、厚労省も、各省の動きを的確につかみ、そして指摘をし、是正をさせることができなかったわけでありまして、前例踏襲、こういう体質、この役人の体質というのはあるんだろうと思うんです。

 そういう意味では、確かにEBPMを求めて統計改革をやるのは結構でありますけれども、どれほど改革の流れをつくろうとも、組織的な隠蔽があったんじゃ意味がない。あるいは、コンプライアンスといいましょうか、この問題は、その所管に立った人間が、放置できないとみずからの職責をかけて正す、こうした体制がなければ、どんな改革をやっても、これは中身が担保されないわけであります。

 私は、今後、毎勤統計あるいは賃金構造統計に係る追加報告、あるいは、統計委員会も点検検証部会を今始めていただいて、春をめどに、五十六の基幹統計あるいは二百三十三の一般統計全体を点検する、こうおっしゃっておりますから、こうした点検結果をしっかり見ながら、改めて、腰を据えて、場合によっては第三者委員会を立ち上げて、あるいは、かつて統計改革を始めた、もう一回内閣に戻して、ここはしっかりと議論をする、こういう姿勢が求められているのではないかと思いますが、最後に大臣の御所見を伺いたいと思います。

石田国務大臣 今議員御指摘のとおりでありまして、今現在、毎月勤労統計につきましては厚生労働省の特別監察委員会、そして、賃金構造基本統計につきましては総務省の行政評価局が調査を行っておりますし、今日まで司令塔的役割を果たしてまいりました統計委員会、ここでは、改めて点検検証部会で基幹統計と一般統計についての検証をやろうということで今行っているところでございます。

 皆さんからもさまざまな御指摘を今いただいているわけでございまして、私も、総合的にこういうものが出そろった段階で対応を考えていくべきときに来ている、そのように考えております。

桝屋委員 引き続き、私ども公明党も、この委員会で統計全体の問題をしっかりと議論をしてまいりたい、このように思っております。

 以上で終わります。ありがとうございます。

江田委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。

 本日もよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず、マイナンバーカード及びマイナポータルについての御質問をさせていただきたいと思います。

 二〇一六年一月からマイナンバーカードの交付が始まり、約三年の月日が経過をいたしました。二〇一九年二月時点での交付実績は千六百十六万枚と、住基人口一億二千七百七十万人の一二・七%程度の交付率となっており、国民の約八七・三%に当たる一億一千百万人以上の方がマイナンバーカードを持っていない現状がございますが、まず、こちらの現状認識について、担当の政府三役であられる石田総務大臣、佐藤副大臣、そして古賀政務官について、この現状をどのように捉えていらっしゃるのか、所見を伺います。

石田国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘いただきましたように、まだ、二月十七日の時点で、マイナンバーカードの交付が約一千六百十七万枚、人口の約一二・七%の方に交付という状況、これは非常に残念なことだというふうに思っておりまして、我々としては、マイナンバーカードというのは、これからのデジタル社会にとって必須のツールであると考えておりまして、何とかこの交付をふやしてまいりたいというふうに思っております。

 現在もいろいろな取組をいたしておりますけれども、今後は、例えばマイナンバーカードを健康保険証として利用する取組、こういうものを三十二年度から開始する、そういうことも含めまして、関係各省としっかりした取組を進めてまいりたいと思っております。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 今、委員御指摘のとおりですけれども、マイナンバーカードは、二月十七日の時点で、今大臣からも御答弁いただきましたが、約千六百十七万枚、人口の約一二・七%の方に交付をされている事実がございます。実際にこの普及率というのはやはり迫力に欠けると私も考えているところでございます。

 マイナンバーカードは、やはりこれからのデジタル社会の必須のツールと私も考えておりまして、多くの方々に取得いただけるように、今後、さらなる普及に向けて、カードの活用場面をふやしまして、そして、その利便性を国民の皆様方に御理解いただくことが必要であるというふうに考えるところでございます。

 実際、現在、サービスの普及状況でございますけれども、住民票などのコンビニのコピー機を使用した交付サービスなどを始めとしました公的分野のほかに、公的個人認証の暗証番号を利用したオンラインでの新規証券口座の開設や住宅ローンの契約締結など、民間分野でも利用が拡大してきているところでございます。

 また、この絡みでは、平成三十一年一月末現在でございますが、公的個人認証のための電子証明書を取り扱うことができる事業者として十一社を認定しておりまして、この電子証明書を利用したサービス事業を展開する企業と合わせますと、現在、二十六社となっているところでございます。

 今後は、マイナンバーカードを健康保険証として利用する取組を平成三十二年度から開始することといたしておりまして、厚生労働省を中心に、総務省、内閣官房が協力して検討を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、利便性の向上に取り組みまして、普及促進を図ってまいりたいと存じます。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 もとより、私も基本的な認識は大臣、副大臣と同じでございますけれども、加えて申しますと、カードを取得する際の利便性、これも重要だ、課題だ、こういうふうに認識しております。

 総務省といたしましても、地方団体の職員が企業や病院など生活に身近な場所に出張いたしまして申請を受け付ける等の方法をまとめたガイドブックを作成いたしまして、地方公共団体に配付したところでございます。

 こういった取組も含めまして、引き続き、カードの活用と取得、双方の利便性の向上に取り組んで、普及促進を図ってまいりたい、このように考えております。

 以上です。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 少し伺わせていただいて、似たような御答弁を返していただいて、温度感というか、マイナンバーカードに対する熱量みたいなものというのはどうなのかなというのが少し気になりました。

 それで、ちょっと、そもそも論で確認をさせていただきたいんですが、政府三役の皆様は、それぞれマイナンバーカードはお持ちでいらっしゃいますでしょうか。確認をさせてください。

石田国務大臣 持っております。

鈴木(淳)副大臣 所持をしてございます。

佐藤(ゆ)副大臣 所有しております。

國重大臣政務官 持っております。

古賀大臣政務官 所持しております。

大西大臣政務官 持っております。

中谷(一)委員 皆さんに答えていただいて、ありがとうございます。三役の皆さんに聞かせていただきたいと思ったんですが、ありがとうございます。

 その中でなんですが、マイナンバーカードを皆さんお持ちだということなんですけれども、マイナンバーカードを利用されたこと、又はマイナポータルを利用されたこと、こちらはございますでしょうか、教えてください。

石田国務大臣 e―Taxで使ったことはあります。

鈴木(淳)副大臣 確定申告の際に使っております。

佐藤(ゆ)副大臣 携帯電話の契約の本人確認で使用いたしました。

大西大臣政務官 佐藤副大臣と同じです。携帯電話の購入の際に使わせてもらいました。

國重大臣政務官 私も携帯電話の購入の際に使わせていただきました。

古賀大臣政務官 時期も時期ですから、確定申告で挑戦してみようかなと思っております。

 以上です。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 皆さん、マイナンバーカードの方は多分使われたことがあられるということなんだと思うんですけれども、ちなみに、マイナポータル、ネットの方の操作については利用されたことってございますか。

石田国務大臣 私は利用しておりません。

鈴木(淳)副大臣 私もまだ利用したことはありません。

佐藤(ゆ)副大臣 私も、使ってみたいと思いますが、まだ使っておりません。

大西大臣政務官 使ったことはございません。

國重大臣政務官 一応、どういうものか確認したことはありますけれども、実際に実務として使ったことはありません。

古賀大臣政務官 なかなか利用し切れていないというのが実情でございます。

 以上です。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 どうしてこのようなことを聞かせていただいたかといえば、国民の八七・三%の人がなぜマイナンバーカードを持たないのかということを、やはり、これは自分自身が使ってみないと、当然ですが理由ってわからないと私は思ったんです。企業であれば、自社の社長であったり担当役員の方がそのサービスを利用していないということは当然あり得ないと思いますし、そのサービスを利用するためのカードやID、これを持っていないことは論外だと思いましたので伺いました。

 その中で、皆さん、カードはお持ちでいらっしゃる。でも、マイナポータルは多分ほとんどの方が使ったことがないということでございましたので、使い勝手はどうなのか自分自身が体験をしていただいて、どういったものになれば皆が使いたいと思うのか、ユーザーの視点に立って考えることは、組織の重役である政府三役の皆様においては大変重要なことだと思います。

 その中で、ぜひ三役の担当の方に伺いたいんですけれども、自身が使っていないものを人に勧めても使っていただけないんじゃないかなと思うんですが、その辺に対しての所見はいかがでしょうか、教えてください。

 石田大臣、佐藤副大臣、古賀政務官に伺いたいです。

石田国務大臣 自分が使っていないものをということでありますけれども、やはり、それぞれの実情に応じて御利用されるというふうに思っております。

 また、ことしの予算におきまして、消費税関連の事業として、マイナンバーカードを利用した制度をやらせていただく上で、ことし、それについての調査等の予算をお願いをいたしておるところでございまして、これから多くの方に御利用いただけるようになっていく、そのように考えております。

佐藤(ゆ)副大臣 私自身も、私自身のニーズが生じましたときに、次回に必ずこの確認をして、皆さんに御説明できますようにやってまいりたいと思っております。

古賀大臣政務官 やはりこのカードの利便性に気づく機会というものに触れるというのが、私も含めて重要なポイントかなと思っております。そういった機会を国民の皆様に、まさに触れ合う機会をふやしていくということが重要なことかな、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。御答弁いただきました。

 私も実はマイナポータルをさわってみたんですけれども、何かすごい使いづらいなと正直思ったんです。

 例えば、ログインをするために方法が幾つかあるんですけれども、ICカードリーダーを買って、それを、ハードウエアを買ってパソコンにつないでログインをする方法があるんですけれども、多分ほとんどそれ以外の用途に使わないものですから、まず購入のハードルが高いんじゃないかなということを思いました。

 あと、スマートフォンのマイナンバー対応機種でアプリを使用する方法とかもあるんですけれども、実はアンドロイドの端末に限られていて、アイフォンとかが使えないんです。

 今、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会の調査報告があるんですけれども、この中で、我が国で使用されているスマートフォンのうち、アップル社のアイフォンなどiOSが使用されているシェアが、二〇一八年六月時点で約四二・九%ということで、半数近い方がマイナポータルにおいてスマートフォンアプリを利用することができません。

 あと、スマートフォンにおけるインターネットの利用の仕方についても、ニールセンデジタルの調査によると、一日当たりの利用時間のシェアが、ウエブブラウザーの使用時間はわずか一五%でございまして、アプリの八五%に比べるととても低い数値が出ております。

 こうした状況下で、スマートフォンユーザーの半数近い方がアプリを使えない現状というのは、ユーザーエクスペリエンスがとても悪くて、当然のことながら、マイナポータルの利用は進まないんじゃないかなということを思っております。

 こうした状況を踏まえまして、マイナンバーが対応できるスマートフォンをもっとふやすなど、ユーザーに寄り添った、国民目線に立った改革が求められるんじゃないかなということを思うんですが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘がございましたとおり、スマートフォンにマイナンバーカード読み取り機能を搭載をしていくということは、いつでもどこでもスマートフォンから必要な手続を行えるということにおきまして非常に重要な意義があると考えてございます。

 このため、平成二十八年七月以降、携帯電話事業者及び製造業者に対しまして、マイナンバーカードの読み取り機能に対応したスマートフォンの製造、販売につきまして対応をお願いしてきたというところでございます。

 この結果、本年二月八日の時点でございますが、マイナンバーカードの読み取り機能のついたスマートフォンは六十一機種に広がっているということでございますが、今委員の方からも御指摘がございましたとおり、まだ対応ができていない機種も残されているという状況にございます。

 今後も、私どもといたしましては、未対応の製造業者に対しまして働きかけを行いまして、対応スマートフォンの拡大を図っていくということについて積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

中谷(一)委員 実は私もアイフォンユーザーなものですから、使えなくてすごく困っているんです。なので、ぜひ改革を進めていただけたらと思います。

 そうした中で、先ほど皆様からも御答弁をいただきましたが、二〇二〇年度から健康保険証としての利用、カード取得の手続の負担軽減など、マイナンバーカードの普及策を検討するようにということが、菅官房長官から指示があったという報道が出ておりましたが、マイナンバーカードで受けられるサービスをふやして、利便性を高めることで普及拡大を狙っているのかなということを拝察をいたしますが、こうした定量的に判断できる事業を進めるに当たっては、私は、KPIの設定が非常に重要だと思っております。

 その中で、私、個人番号カードの普及、利活用に関する経費、事業に関するレビューシート、こちらを拝見させていただきました。この事業は、名称のとおり、個人番号カードの普及、利活用に要する経費であるのであれば、成果指標は、当然、マイナンバーカードの交付枚数であることが私は妥当なんじゃないかなと思って見ていたんですけれども、定量的な成果目標であるアウトカムの事業で管理をするということはできないということがこの表の中で示されておりました。

 これは、理由を読んでみたんです。そうしたら、「本事業はマイナンバーカードの普及・利活用に係る調査研究、広報等についての経費であり、定量的な成果目標を示すのは困難」という記載がされておりまして、私、この意味がさっぱり理解できなかったんです。

 普通に考えれば、数値を取り扱う事業において、まず目標を定めて、それに到達させるための普及、利活用に係る施策について効果の調査研究を行い、導き出されたエビデンスに基づいて、広報等によるアウトプットを進めて、成果としてのアウトカムをチェックすることで、この事業の進め方は正しいのか、正しくないとしたら、PDCAを回しながら、その事業がうまくいくように改善を行うのが普通の事業では当然のことではないかと私は思います。

 こうした観点から、三十一年度も予算をつけて、普及、利活用に主眼を置いた事業を行おうとするのであれば、アウトカムの成果指標を出すことから逃げずに、二〇一九年、二〇二〇年、二一年には、マイナンバーカードを何枚交付して、どの程度の交付率を目標としていくのか、本来的には定めるべきじゃないかなと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。御所見を教えてください。

 済みません、私、さっきから大臣に実は伺っているんですけれども。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの普及に向けた取組と、その目標を定めるべきであるという御指摘でございます。

 カード自体は申請に基づいて交付されるものでございまして、その普及に向けては、私どもの基本的な考えは、国民の皆様が自然に持ちたいと思っていただけるよう、その利便性自体を高めていくことが必要だと考えております。

 現在、コンビニ交付サービスを始め、公的分野のほか、オンラインでの新規証券口座の開設や住宅ローン契約締結など、民間分野でも利用を拡大してきておるところでございます。

 今後は、健康保険証として利用する取組を平成三十二年度から開始することとしておりますので、私ども、厚生労働省、それから内閣官房、協力して推し進めてまいりたいと思っております。

 こういった努力を重ねることで、より多くの方に、交付を進めてまいりたいと思っているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

石田国務大臣 今局長の方から答弁させていただきましたけれども、マイナンバーカードというのは申請に基づき交付されるということが一つございますが、先ほども申し上げましたように、さまざまな取組をする、そして、特に三十二年度から健康保険証として利用することを可能にするということでございまして、今、いよいよこれから、厚労省、内閣官房ともに協力して、これに向けて協議を重ねていくわけでありますけれども、そういう中で、委員御指摘のような問題意識もしっかり持ってやっていきたいと思っております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。大臣からは前向きな御答弁をいただけたのかなと思っております。

 自然にふえればいいけれども数値目標はないというのは、さっぱり言っていることがわかりませんので、ぜひ、事業を、しかも定量的に行うときには、やはりある程度目標を持って、それに向かって達成に向けた取組を進めていくというのは、私は重要じゃないかなと思いますので、ぜひ、改めまして、こうした管理をしていただくことを要望させていただきたいと思います。

 あと、マイナンバーカードが普及しない理由の一つとして、やはり捏造とか隠蔽とか改ざんとか、こういったことが続いている政府に対して不信感を持っている国民もいらっしゃるんじゃないかなということを思っております。

 私は、デジタルファーストの政策を進めていった方がいいと思っている人間でございますので、やはり、公正で透明性の高い制度やシステムの構築が必要不可欠だと思っております。

 そうした中で、現在、ユーザーが自分の個人情報を誰に閲覧されているのか気になった場合に、マイナポータルにアクセスをして、自分の個人情報をいつ、どのように提供されたのかということを確認することができます。

 しかしながら、誰にそれを見られたのかという点においては、システム上、行政機関等の部署名までしか確認をすることができません。特定のやりとりに疑問を持って、照会機関にその詳細を聞きたいよということを思った個人が問合せをしようとしても、それはもう各機関の判断に任されているという現状がありまして、制度でも対応を定めているわけではないので、各機関の対応に委ねるしかないというのが現状ということであります。また、個人情報を取り扱っている各行政機関等の組織内部においても、その個人情報を誰が閲覧したり扱っているのかということを知るすべがないということも伺ったことがあります。

 なので、実はエストニアでは、こうした場合に、説明請求をした場合、アクセスした機関又は人が特定時間内にその理由を回答して、回答が不十分だった場合には、エストニアン・データ・プロテクション・インスペクトレートという機関とかが調査に乗り出して、内部での処罰だったり、裁判が行われたりとか、そういった事例があるとのことです。

 このように、誰が何の目的で自分の個人情報にアクセスしたのかということを個人が知ることのできる体制整備を行うことが私は必要不可欠じゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。政府の御所見を伺います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 エストニアでは、先生御指摘のとおり、そういうふうな制度ができておりますけれども、日本のマイナンバー制度とエストニアとは若干違うところがございまして、エストニアの場合は、かなり広い範囲で、割と、比較的行政がフリーに個人情報のやりとりをできるかわりに、そのやりとりは全部見せて、ちゃんと透明性を図る。マイナンバーの制度の場合は、利用範囲とか情報の提供を全部法律で定めている、そういうところがございます。

 ただ、このマイナンバー制度自体、民主党政権時代にそれこそ検討が始まり、最終的には自民党政権のときで三党合意のもとに通っている、成立したという経緯がございますけれども、そのときから、透明性を高めるためにマイナポータルというのをつくって、やりとりの履歴を見せようというふうにやっております。

 そして、マイナポータルの中で問合せのフォームがございまして、その問合せを一元的にマイナポータルで受け付けるようになってございます。それにつきましては、回答できるものはできますし、できないものにつきましては、所管の省庁、担当省庁に問合せという形になろうかと思いますが、さらに、個人情報保護委員会には苦情窓口というのもございますが、いずれにいたしましても、できるだけそういうふうなものにきっちりと答えていくことが大事だと思っておりますので、そのような運用に努めてまいりたいというふうに考えております。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 私はやはり、でも、更にその公平性、透明性を高めることができるんじゃないかなと思います。他国の事例を見ても、そういった取組を前に進めているところは多くございますし、もっと言えば、やはり個人が情報を出しても、これなら安心だねという制度をつくっていくことこそが、このマイナンバーの普及にもつながってくるんじゃないかなということを思いますので、そういった制度設計を行うことを、こちらに関しては要望をさせていただきたいと思います。

 次に、私の方からは、マイナンバーを活用した消費活性化について伺わせていただきたいと思います。

 大臣は所信の中で、消費税率の引上げに伴う対応として、二〇二〇年度にマイナンバーカードを活用した消費活性化を実施するとしまして、国民の皆様への積極的な広報、マイナンバーカードの取得促進やシステムの改修に取り組みますと述べられました。

 その事業の詳細を見ますと、消費税率引上げに伴う駆け込み、反動減に対応して、中小・小規模事業者向けに、消費者へのポイント還元等の支援策を実施して、消費活性化のため、こうした一定期間の措置として、マイキープラットフォームを活用して発行される自治体ポイントへのプレミアムポイントの付与を検討するということをされておりましたので、これについて何点か伺っていきたいと思います。

 二〇一七年の九月二十五日からマイキープラットフォームが運用されておりますが、登録者が一万三千三百六十五人と大変低調な状況であるということを思うんですが、この利用人数の原因をどのように考察をされていらっしゃるのか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 現行のマイキープラットフォーム事業におけるマイキーIDの設定者は、委員御指摘のとおり一万三千人ということで、低調な状況になっております。

 この原因といたしまして、マイキープラットフォーム事業、いわゆる自治体ポイントが、物を買えたりいろんなことで使えるという事業が、利用可能な自治体数が七十団体と少ないことが原因と考えております。使えるところが少ないとIDを設定するメリットが少ない、メリットが少ないとカードも取得したくないという、いわゆる鶏が先か卵が先かというジレンマに今のところはある状況にはございます。

中谷(一)委員 私、これも大臣の所信から引用をさせていただいた言葉をもとに質問をさせていただいているんですが、大臣がお答えをしていただくことができないというのは何か理由があるのかなと、ちょっと今は勘ぐってしまったんですけれども。

 皆さんに、これ、そもそも論でまた伺いたいんですけれども、大臣が所信の中で、この消費税の、消費活性化についてやっていこうという取組で、総務省が、これは要するに旗を上げて、頑張ってやっていこうということだと思うんですけれども、そもそもこのマイキープラットフォームで使うマイキーのID、これは政府三役の皆様はお持ちでいらっしゃいますか。全員教えてください。

石田国務大臣 まだ取得しておりません。

鈴木(淳)副大臣 私もまだ取得しておりません。

佐藤(ゆ)副大臣 まだ設定しておりません。

大西大臣政務官 同じく、設定しておりません。

國重大臣政務官 まだ設定しておりません。

古賀大臣政務官 私も設定しておりません。

中谷(一)委員 先ほどと同様の話なんですけれども、マイナンバーカードの話とまさに似た話なんですけれども、これも、要するに国民の九九・九九%の方が使っていないんですね。

 その使っていない理由というのは、やはり自分が使わないとわからないと思うんですよ。やはり、自分が使い方がわからないようなものを人に勧めるというのは、私はちょっと違うんじゃないかなということを思います。

 それで、これは代表して、じゃ、大臣に伺わせていただきますが、所信で述べられた、要するに思い入れのある事業であると思います。こうしたものを自分自身が使っていなくて、私は人に勧めても使っていただけないんじゃないかなということを思うんですが、そちらについてはいかがでしょうか。御所見をお願いします。

石田国務大臣 これから、今、先ほど来御議論ありましたように、マイナンバーカードを、取得率が一二・七%、これをいろんな意味で何とか引き上げていきたいということもあるわけでございまして、今御指摘のありましたマイキーのIDを設定することも、マイナポータルを利用するということも、私は、さまざまな取組をしていく中で、皆様方に御利用いただける状況を生み出せるのではないかなと考えております。

中谷(一)委員 御答弁をいただきましたが、やはり、使い勝手はどうなのか、自分自身が現場目線で体験をして改革をしていくというのは、組織の重役であれば私は当然じゃないかなということを思いますので、この制度、何で普及しないのかということを、政府三役の皆様にはぜひ体験をしていただけたらと思うんですが。

 一年半たった今でも国民の約〇・〇一%の人しか使っていなくて、お世辞にもうまくいっている事業だということは思えませんが、わざわざなぜこのプラットフォームを用いて消費増税における対策を行おうとされているんでしょうか。大臣の御所見を伺いたいと思います。

佐々木政府参考人 消費税率引上げに伴う対策の実施に当たっては、ポイントを利用するための別のシステムを全くゼロから構築するということではなくて、現在使われているマイキープラットフォーム事業のシステムを改修することにより対応していこうという形に考えておりまして、その方がより効率的な対応ができるだろうと考えております。

 また、消費税の、活性化策ということで二〇二〇年度に予定しておりますので、これを機にマイキーIDの設定をふやしておこうということで、来年度予算においても、その準備経費として、地方公共団体の参加を促す経費とか、さまざまな経費を盛り込んで、来年度、力を入れて取り組んでまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 済みません、ぜひ大臣にお答えをいただきたいと思っているんですけれども、国民の〇・〇一%しか使っていないプラットフォームにプレミアムポイントを与えることで、本当に消費活性化につながると考えていらっしゃるんでしょうか、教えてください。

石田国務大臣 私たちは、予算案を見ていただければ、この一年間で準備をしっかりやっていくわけでありますから、準備をやっていくわけでありますから、それに伴って御利用いただける度合いも上がってくると思っております。

中谷(一)委員 ちなみに、この予算に仮に同意をしたとしたら、このプラットフォームの人数はどれぐらいふえるとか、KPIの設定だったりとか、そういったものというのは想定されていらっしゃるんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードを活用した消費活性化策は、再来年度、いわゆる二〇二〇年度に実施することとしていることでございますので、対策の規模やプレミアムの内容などについては、今後検討し、来年度決定することになると見込んでいるところでございます。

 このため、本体の規模とか中身がはっきりまだ決まっておりませんので、現時点ではこの事業の利用者数を見込むことは困難であると考えておりますが、私どもとしては、消費の活性化を図る観点から、できるだけ多くの国民に参加していただきたいと考えております。

中谷(一)委員 私は、国民の九九・九九%が使っていないプラットフォームを用いる消費活性化というのはやはりぴんとこないですし、これが仮に百倍になったとしても、百倍にするのもすごく難しいと思うんですけれども、それでも百万人の規模ですよ。本当にそれで消費の活性化につながるのかといえば、私は相当疑問に思っています。

 このマイキープラットフォームのIDの作成だったり登録、これも非常にしづらくて、動作環境もかなり限定的です。OSはマイクロソフトウィンドウズの7や8・1、10でしか利用することができない、ブラウザーもインターネットエクスプローラーの11でしか、それがインストールされていないと使えない。要するに、これもマックユーザーは全員マイキーのIDが登録できません。

 それで、ブラウザーも、マイナビの調査によれば、二〇一九年の一月のデスクトップ向けブラウザーのシェア、これはすごい、インターネットエクスプローラー11、ごめんなさい、IE11といいますが、非常に低いんです、六・八%にシェアがとどまっていて、六七・三%のシェアを誇るグーグルクロームだったり、九・九%のシェアを持つファイアフォックス、これは利用できない現状があります。

 今どき、日本国民一億二千七百七十万人を対象としたサービスで、マックが使えなくて、グーグルクローム、ファイアフォックス、サファリなどのブラウザーが使えないサービスなんて私は聞いたことがないですし、それはみんな使わないよということを思います。

 だからこそ私は、マイナンバーポータルの議論でも触れましたが、アプリがないこともその原因だと思いますし、このままやったら、プレミアムポイントを仮にばらまいたとしても、UXが悪ければ二度と使わないと思いますし、アクティブユーザーが少ないプラットフォームであれば、登録者数が仮にふえたとしても、その数字に何の意味もありません。

 こうした現状を改善するためにも、ユーザー目線に立ったシステムの改修を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

江田委員長 では、まず佐々木大臣官房地域力創造審議官。それから大臣。

佐々木政府参考人 マイキーIDの設定等に当たり利用可能なブラウザーについての御質問がございました。

 準備経費として盛り込まれている来年度予算を活用し、その範囲を拡大したいと考えております。マックOSでもマイキーIDの設定を利用可能とするように対応したいと考えております。

 また、マイキーIDの設定のためのアプリについても、今ではちょっと手続は面倒ということがございますので、それをより簡単な手続で行うことができるものを開発する予定でございます。

中谷(一)委員 私、大臣にユーザー目線に立った改革が必要じゃないかということを伺わせていただいているつもりなんですが、先ほど来、本当に政府参考人の方がよく出てこられて御説明をいただくんですけれども、大臣、このことについてはお答えはいただけませんか。

石田国務大臣 先ほど来の議論の中で、やはり技術的なこととかそういうことは政府参考人が答弁させていただくということでありまして、私の方としては、そういうことを踏まえて、この制度がいかにうまくやっていけるか、そういうことについては答弁をさせていただいているつもりであります。

中谷(一)委員 私、そんなにテクニカルなことを聞いているつもりはなくて、マックかウィンドウズか、サファリかインターネットエクスプローラーか、これはそんなに、普通にスマホやPCを使っている人であれば難しい議論じゃないんじゃないかなということを思います。なので、こういったことについても、私、大臣にぜひ答えていただきたいということでちゃんと通告させていただいておりますので、今後お取り計らいをいただきたいということを思います。

 じゃ、もう時間も参りましたので、最後に質問をさせていただきますが、こういった数値を扱う事業を行うに当たっては、KPIの設定、これが非常に重要だと思っております。仮にこのマイキープラットフォームを普及させるためには、何年までに何人登録してもらうか、私が政府サイドだったらこの定量的な目標をしっかり定めると思います。

 そうした事業を行うにおいて、私は、ソーシャル・インパクト・ボンドの活用、こうしたものは非常に適しているんじゃないかなということを思いました。

 ソーシャル・インパクト・ボンドは、成果が出るかわからない事業に対して行政が取組を進める際に、そのリスクを民間投資家に移転する仕組みでありますが、行政としても、予算が厳しい中で、事業実施だけではなく、この成果に対して予算を投下することのできるペイ・フォー・サクセスの事業実施を行うことができれば、費用対効果の高い事業を実施できる可能性があります。

 ソーシャル・インパクト・ボンドは、行政が期待する社会的成果が生まれない限り行政支出が発生しない設定にすることもできるので、税の運用効率を最大化することができますし、民間投資家も、ソーシャル・インパクト・ボンドをポートフォリオに組み込むことで投資リスクを分散することができるので、双方にウイン・ウインにできる効果があるんじゃないかなということを思っております。

 このような成果主義を取り入れた補助金、交付金、事業委託を行うシステムは私は有用だと思いますし、今回、百十九億円という多額の予算を使って事業を実施しようとされるのであれば、この予算を無駄にすることなく、しっかりと狙いどおりの成果を出すことが求められると思いますので、KPIの設定、ソーシャル・インパクト・ボンドを活用した事業の実施、こちらも検討していただいてもいいのかなと思うんですが、大臣の御所見はいかがでしょうか。教えてください。

石田国務大臣 先ほど局長の方から答弁させていただきましたけれども、マイナンバーカードを活用した消費活性化策は二〇二〇年に実施することとしていることから、対策の規模やプレミアムの内容などについては、今後検討を進めることといたしております。

 このため、この事業の利用者数を現時点で見込むことは困難でございますが、消費の活性化を図る観点から、できるだけ多くの国民に参加してもらいたいと考えているわけでございます。

 なお、今御指摘のございましたいわゆるソーシャル・インパクト・ボンドにつきましては、民間の活力を社会的課題の解決に活用するために、民間資金を呼び込む成果報酬型の事業として実施するという考え方でございますが、今回の対策は、国費の投入に対して一定の対価を求めるものではなく、また、消費税率引上げに伴う反動減への対策として確実に実施する必要があることから、こうしたソーシャル・インパクト・ボンドの考え方を取り入れることはなかなか難しいものと考えております。

中谷(一)委員 国費を投入するものだからこそ、ペイ・フォー・サクセス、ちゃんと成果を出した方がいいんじゃないかと思って私は質問をさせていただきましたので、ぜひ、このソーシャル・インパクト・ボンドの仕組み自体をもう一度皆さん勉強をしていただいて、御検討をいただければと思います。

 済みません、それでは、時間が参りましたので、本当は、IoT機器のセキュリティー調査やインターネット投票についても質問をさせていただきたいと思っておりましたが、時間が参りましたので、このあたりで私、中谷一馬の質問は終了させていただきます。

 皆さん、ありがとうございました。

江田委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの伊藤俊輔でございます。

 総務委員会での質疑は初めて立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣の所信に対し、引き続き質問をさせていただきたいと思います。

 まず、不正統計問題について、引き続きお聞きをさせていただきたいと思います。

 大臣も先日の所信で、不正統計問題に対して触れられておられました。今、実質賃金が上がったか下がったか答えられないほど、この日本の統計の信頼性を失う、かつてない事態が起こっていると思います。

 そもそも統計は、統計法第一条、「国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」と位置づけられているとおり、国民の生活に幅広く影響を及ぼすものだと思います。昨年末以来次々と発覚をしている不正統計問題においては、ゆゆしき事態だと言わざるを得ません。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 問題となっている不適切なデータ処理や統計法違反となる調査は、初めに行った人物がいることは確かだと思いますが、しかしながら、統計に関する不適切な処理が多くの省庁で恒常的に行われていた事実を見れば、個別の要因があったにしろ、統計を担当する現場の職員と、そしてまた担当の幹部職員による日々の怠慢の連鎖の結果ということも言えます。

 このようなことが起こるのは、政府全体として、本来の統計の持つ意味や統計の重要性に対する理解が欠如していたからではないか、そのようにも思います。さまざまな政策について検討を行う際に統計を有効に使っているのか、今回のことで非常に疑問を持つところもあります。

 実際に、統計調査を行う担当省庁や地方自治体の職員などが手間と時間をかけて行った統計調査が、その結果が本当の意味で政策の立案に活用できているのか、まず大臣に御所見を聞きたいと思います。

石田国務大臣 お答えいたします。

 公的統計は、国民の合理的な意思決定の基盤であり、EBPM、すなわち証拠に基づく政策立案を支える基礎となるものであります。

 政策の立案、改善が適時に行われるためには、必要な公的統計が適時に作成され、提供される必要があると考えております。

 その一方、公的統計自身も、政策に活用されることにより顕在化するニーズを踏まえ、改善を重ねていく必要があるわけであります。

 このため、統計の改革は、EBPMの推進と一体的に取り組んでいくことが重要であると認識しております。

伊藤(俊)委員 統計に基づいて政策立案を行うということであれば、まさに今回の不正問題もそうですが、統計の結果が変われば、また政策も、そして政策の優先順位も変わって当たり前だ、そのようにも思います。

 そういう意味で、国民生活に影響を及ぼすという認識が今回も甘いのではないか、そのようにも思いますし、統計をもとに一度決定をした政策においても、その後の統計調査の結果、今回のように統計の調査が変わったときも含めてですが、政策の見直し、より実態に合った政策に見直すこと、これも必要だと思います。

 その具体的な、政策を見直すことは行っているのか、統計の活用に対する政府の認識をいま一度大臣にお聞きをしたいと思いますが、御所見を聞きたいと思います。

石田国務大臣 先ほど答弁をさせていただいたように、やはり施策を立案していく場面におきましては、やはりきちっとした統計に基づいて行っていくということは重要でありまして、そのように実行されていると考えております。

伊藤(俊)委員 同じような答弁だと思いますが、やはり政策の立案の土台となっているこの統計というものを、日本が、改めて今この統計に光が当たっていると思いますが、改めて、これが本当の意味で活用されているのか、そしてまた、統計によって政策の優先順位が大きく変わっていくこともあってしかるべきだと思いますが、そういった検討をいま一度認識を持ってやっていただくときに来ているのではないか、そのようにも思っております。

 今回の統計不正問題において、一貫して政府の対応は後ろ向きだと言わざるを得ないと思いますが、全容解明に積極的な対応をしていただきたい、そのように思っております。

 そしてまた、総務省の家計調査が、去年の一月から様式が大きく変わったということもあります。当然、統計の調査のあり方が時代に合ったものに改善をされるということは必要だと理解ができます。しかし、これまでの積み上げられてきた統計に継続性を保たれるのかどうか、あるいは、その影響を十分に考えて、当然、調査方法を変えた場合には、変えないときの場合と比較検証を慎重にやらなきゃいけない、このように思います。

 今回の家計簿の調査で、新旧の方式で数字を出していただいて、比較可能な資料を出していただきたいと思いますが、いま一度御所見をお願いします。

千野政府参考人 お答えいたします。

 家計調査では、平成三十年一月から記載様式を全面的に改正した家計簿を使用しております。

 この改正によりまして、記入者の記入負担の軽減、それから記入漏れの防止といった調査の改善が図られることになりました。

 また、これによって統計がより正確になるということが期待されると思います。一方で、記載漏れ、記入漏れが少なくなるということが期待されますので、結果数値に増加の影響を与えるということが想定されました。

 このため、平成三十年の一年間につきましては、全国の調査世帯を二つに分けて、それぞれ新しい家計簿と従来の家計簿で調査を実施しました。

 この二種類の家計簿の調査結果から、統計数理的手法を用いまして家計簿改正による各月の影響額を推計いたしまして、それを調整額として報道発表資料などで公表しております。

 この影響額を、調査方法を変えてそのまま集計した原数値から引くことで、調査方法を変えなかった場合の数値も得ることができます。

 また、調査方法の変更の影響を除去しまして、一年前と比べた増減率を変動調整値として公表しております。

 このほか、主要な数値につきましては、新旧家計簿別の集計結果も参考として公表しております。これらは全て報道発表資料に掲載して公表しているところでございます。

 このように、調査方法の変更によります影響の大きさをユーザーが的確に把握することができるようにするとともに、調査方法を変えた場合と変えなかった場合の数字を算出することができるようにしておりまして、ユーザーが比較、検証できるさまざまな数値をオープンにしているところでございます。

 御参考までに、家計簿改正による増加の影響の大きさですが、平成三十年平均で、二人以上世帯の消費支出は千九百四十六円、それから二人以上世帯のうちの勤労者世帯の実収入は二万一千四百七十五円と推計しております。

伊藤(俊)委員 家計調査の新旧家計簿の比較、今、二万一千四百六十円ということで御答弁いただきました。

 先日の予算委員会で、階委員の質疑では、月平均で三万一千八百円、年額三十八万円の上振れになる、パーセンテージにして約六%になるという質疑もありましたし、西村統計委員長の答弁では約二万一千円であると。その差額も実態の数字を知りたかったので、今、二万一千四百六十円ということで御答弁いただきました。

 これは計算ができるといっても、私は、こういう結果がGDPやほかの政府の統計に影響が出る可能性がないのかという、これもまた予算委員会でも西村統計委員長も影響が出ないとは断言できないという答弁をされている以上、ぜひ正確な比較ができる資料を開示をしなきゃいけない、このように思っておりますし、もしこのような変更がある場合、変更をしなかった場合と、どういう数字、どのような数字になるのか、あわせて開示をするように、これは僕らから質問がなくても、改めてわかりやすい開示の仕方を検討していただきたいと思いますし、判断に影響が出ないように当然すべきだと思います。

 この件に関して、大臣、一言答弁いただけますか。

千野政府参考人 お答えいたします。

 GDP統計につきましては内閣府の方で発表している資料がございますが、調査方法の変更の影響を調整した前期比を推計に用いているというふうに内閣府では発表しております。

伊藤(俊)委員 きょうは所信のあれで時間がありませんので、引き続き、またほかの委員からも質問させていただきたいと思いますが。

 続いて、ふるさと納税についてもお聞きをしたいと思います、時間があれば統計に戻りたいと思いますが。

 ふるさと納税は、地方で生まれ育ち、都会に出てきた人がふるさとへ恩返しをしたいという思いで税制を通じて貢献する仕組みだと思います。そもそも返礼品ありきの制度ではないということはもちろん承知の上、理解をしておりますけれども、今回、返礼割合が三割、地場産品に限ったとしても、どこまで地場産品と認められるのか、あるいは、地場産品が少ない自治体には不利な面があるということも事実だと思います。

 そもそも寄附の実際の活用につなげる改善が今回のことで見込めるのかということも疑問視をされるところでありますけれども、多くの方から、なぜうちの町はもっとよい返礼品がないのかという声もいまだにあります。そしてまた、何もしなければ、ほかの自治体、ほかの市町村に自分たちの税金がとられてしまうのではないか、こういう危機感があることも、そしてまた、いつしか過熱をする返礼品競争に対応せざるを得ない、こういう声も一部、直接いただいているところもあります。

 そこで、ふるさと納税の受入額とふるさと納税にかかわる住民税控除額を差し引くと赤字になってしまうような自治体、あるいは赤字になる可能性のある自治体、これは完全なる比較が難しいことも承知の上で、現状について見識をお伺いしたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税は、寄附金控除の仕組みを活用いたしまして、個人住民税の一部を実質的に地方団体間で移転させる効果を持つものでございますので、ふるさと納税の受入額とふるさと納税に係ります住民税控除額を単純に差引きをいたしますと、寄附者の多い大都市部の地方団体を中心といたしまして、住民税控除額が受入額を上回る地方団体もございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 二〇一八年二月の三十日の朝日新聞の記事にも、市町村と東京二十三区の計千七百四十一自治体のうちで、赤字が拡大又は黒字が縮小した自治体が五八・三%、千十五自治体に上るという記事もありました。地方自治体の赤字が拡大していくと、当然、自治体の財政運営に影響が出かねないと思います。実際に、財政運営への影響に対して懸念を表明している自治体もあります。

 その意味では、地方間の競争で結果的に地方が赤字になる、あるいは財政運営への影響が出る、こういう実態があるのであれば、このふるさと納税の制度的な問題を抱えているのではないか、このようにも思います。政府の見解、認識をお伺いしたいと思います。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、そもそもこのふるさと納税は、先ほど委員からも御指摘ありましたとおり、ふるさと、あるいはお世話になった自治体への感謝や応援の気持ちを持って、納税者が税の使い道を自分の意思で決める、こういった趣旨で個人住民税の一部を実質的に地方団体間で移転させる、こういうものでございます。

 その結果といたしまして、個人住民税が減収となる団体も生じているわけではございますけれども、一方で、この制度から、例えば災害時の被災地支援としての活用など、よい事例も生まれてきておりますし、また、人口減少が深刻化する中で、地域資源を最大限活用して地域経済を再生させていく上で重要な役割も果たしているということでございますから、政府といたしましては、このふるさと納税制度を健全に発展をさせていきたい、このように考えているところでございます。

 そうした観点から、過度な返礼品や過度な宣伝広報によりまして不適切な形で寄附金を集めることによって当該団体に寄附が集中をして、これによって他の地方団体の大きな減収につながっている実態については、これは見直す必要があるもの、このように考えている次第でございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 このふるさと納税という制度が結果的に、寄附が本来の使い道に発展をしていくこと、この制度自体の本質的なところを私も活用していただきたい、発展をしていただきたいと思いますけれども、現状、地方間で自治体が苦しむようなことがあった場合、それはやはり検討しなきゃいけない、この制度自体の現状もしっかりと捉えていただきたい、そのように思いますが。

 また、今回の地場産品の限定をすることによって、地域の経済や地場産業の活性化につながるということも一部、地方からは期待されているところも制度上あるかと思います。これは、たてつけは違うことはもう十分こちらサイドとしては承知の上ですけれども、そもそも制度上、返礼品競争ではなくて、いかに寄附を有効に地域に活用していただくかということが原点でありますが、今後、この制度を継続していく上で、本当に本来の活用をされていく上での検証というものをどのように考えているか、一言答弁いただきたいと思うんですが。

石田国務大臣 今般の税制改正におきまして、寄附金の募集を適正に行う地方団体をふるさと納税の対象とするよう、制度の見直しを行うことといたしました。また、地方団体が返礼品を送付する場合には、返礼品の返礼割合を三割以下とすること及び返礼品を地場産品とすることといたしております。

 見直し後の制度下においては、これまで同様、毎年度、現況調査を実施をいたしまして、地方団体におけるふるさと納税に係る取組の実態を把握することを予定いたしております。

 また、法律上、ふるさと納税の募集の実施状況等について総務大臣が報告を求めることができることとしており、その求めに対して地方団体が報告拒否や虚偽の報告を行った場合には指定を取り消すことができることといたしております。

 こうした手続を通じまして、個別団体における適切な制度運用が担保できるものと考えているわけでございます。

 このように指定制度が適切に運用されることにより、ルール外の返礼品を送付する一部の地方団体にふるさと納税が集中する状況が改善され、一定のルールの中で地方団体同士が創意工夫し、ふるさと納税制度が健全に発展していくことを期待をいたしております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 地場産品がどこまで認められるのか不明確な部分がある以上、新たな返礼品競争が起こらないとも限らないので、制度の検証が必要かと思います。何を認めるか認められないかという地場産品の話も、返礼品の中の不確定な話も、聞きたいところはたくさんありますけれども、きょうは時間の都合上、また次回にと思います。

 改めて、今回のこのふるさと納税もそうですし、多くの方が東京一極集中やあるいは偏在の問題をいろいろ考えられている部分はあるかと思いますけれども、そもそも、地方税源の偏在の是正の目先的な改革ではなくて、国の権限あるいは財源を思い切って地方に移譲する地域主権改革も、そしてまた税のあり方を変える抜本的な改革も求められているところだと思いますので、あわせて申し添えて、また次回に質問させていただきたいと思います。

 次に、地方議会議員のなり手不足の問題についてお聞きをしたいと思います。

 平成三十年三月に町村議会のあり方に関する研究会の最終報告が取りまとめられてから一年近くたちますけれども、議員のなり手不足の解消に向けた議論は進んでいないという認識であります。

 このような中で、議員のなり手不足のために町村総会の設置を検討したことのある高知県大川村では、議員の兼業規則の緩和をする独自の条例案を検討しているとの報道もありました。これによれば、条例案では、村からの請負額が事業収入額の五〇%を超える法人や村に土地を継続的に貸し付けている個人であっても、非営利性や公共性が高く、村づくりに欠かせない事業を実施している場合は兼業に該当しないなどと明記、明示をされております。

 議員の兼業規則の緩和は地方自治法に抵触するという御意見もあるかと思いますけれども、このような独自の条例案の取りまとめに至ったのは、それだけ議員のなり手不足が深刻だということだと思いますし、国による地方自治法の見直しを待っていられないという声も一部あります。

 大川村が議員の兼業規則、規制を緩和する条例案をまとめたことについてどのように受けとめているか、そしてまた、大川村などの状況を見ても、議員のなり手不足を解消するための地方自治法の見直しが求められていると思いますが、早急に地方制度調査会などでも議論を開始すべきだと考えますが、御見解をお聞かせください。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法第九十二条の二に定めます議員の請負禁止は、議会運営の公正を保障しますとともに、事務執行の適正を確保することを趣旨として規定しているものでございます。

 委員御指摘の大川村の検討につきましては、詳細は承知をしておらない段階でございますけれども、条例の検討に当たっては、地方自治法との関係を踏まえながら検討されるものと考えておりまして、現在、大川村は高知県といろいろ相談をなさっている、高知県が相談を受けている段階であると承知をしてございます。

 さきの国会におきまして石田大臣が発言なされたとおり、議員のなり手不足について各議会が抱えております課題や背景については、都道府県、あるいは指定都市、中核市、一般市、町村、それぞれの区分の議会において違いがあると認識をしてございます。課題や対応策等について、それぞれの議会や議会団体においても研究していただくことが必要だと考えているところでございます。

 以上でございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 地方の議会を含めたこういう現状をしっかり捉えていただいて、早急に検討していただきたいと思います。

 次に、森林環境譲与税について一問お伺いしたいと思います。

 森林環境税の市町村への交付基準、私有林人工林面積五〇%、林業就業者数が二〇%、そして人口が三〇%ということにされております。単純に、森林保全等への使途のものが人口の割合で都市部などに還元されることには、制度上、少々違和感も覚えるところであります。

 人口割三〇%の基準、その理由をいま一度お聞きしたいということと、制度の趣旨に照らし、整備すべき森林面積が広く存在をする地域に、自治体に対してより多くの財源を配分すべきという声も一部いただいているところでもあります。

 森林とは直接関係のない人口割合で三〇%配分することが本当に割合的にも適切なのか、いま一度、大臣の御所見もいただきたいと思いますが、できればよろしくお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税・譲与税につきましては、都市部の住民も含めました国民全体の御理解を得ていく必要がございますので、都市部においても行われます木材利用の促進あるいは普及啓発を使途の対象としているところでございます。

 また、森林整備が進みますと間伐材の供給がふえることが想定されるわけでございますけれども、都市部の地方団体が間伐材等の木材利用を進めることで、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の経済の好循環が生まれることが期待されるところでございます。

 さらに、多くの府県等で実施されております森林環境の保全等を目的といたしました超過課税につきまして、平均すれば、おおむね三割強を森林整備以外の事業に充てているところでございます。

 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、森林環境譲与税のうち三割を、木材利用の促進や普及啓発等に相関する指標でございます人口基準として譲与することとしているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 関連してですけれども、できれば大臣の所見もお伺いしたいと思いますが、現在、日本の林業は本当に厳しい現状にあると思います。今回のこういう新しい制度、国民から広く千円ずつ徴収するというときにおいて、やはり林業のことも少し考えていただけるとありがたいな、そういうふうに思いますけれども、木材の需要の低迷あるいは輸入材との競合などによって木材の価格は下落傾向にありますし、森林所有者の多くは林業経営の意欲が低い現状にあります。

 林業の平均年収は、今、年収でいうとわずか十一万円というデータもあります。これは平成三十年度版の林業白書の中でも掲載されておりますけれども、林業に携わる所得が年収十一万、こういう現状を改めて私たちは認識をしなきゃいけないと思いますし、世界でもこれほど林業の産業が活用されていない国も少ないと思います。

 今、再エネなど、エネルギー分野でも多くの期待をされている資源だと思いますので、日本の林業がもっと大きな役割を果たしていただけるように、これはもう国家戦略として進めていくべきだと思いますけれども、今回の新しい制度を導入するに当たって、大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思うんですが。

石田国務大臣 林業についての御質問がございました。

 まず、森林は、これはもう御承知のことと思いますけれども、地球温暖化防止、あるいは国土の保全、あるいは水源の涵養、さらには川と海との関係とか、いろいろなことの公益的機能を有しておりまして、国民一人一人がその恩恵を受けているというふうに考えております。

 過去には、例えば、木材が骨材や燃料として大いに活用されてきたわけでありますけれども、鉄や石油の登場といった時代の変遷によりまして、その役割が縮小してきたということがございます。

 しかしながら、また最近、新たに、CLTとか、あるいはバイオマス、あるいはセルロースナノファイバーなどの新たな需要も創出されてきておりまして、豊かな森林を次世代へ引き継いでいくこと、これは我々の使命だと考えております。

 森林環境税は、こうした森林の有する公益的機能の重要性に鑑み、地方団体が実施する森林整備等に必要な財源を安定的に確保する観点から創設するものでありまして、地方団体が今般創設される森林環境税を有効に活用することで、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の経済の好循環が生まれ、日本の林業の発展に寄与することを期待をいたしております。

伊藤(俊)委員 大臣、ありがとうございます。

 きょうは多くの資料を添付することはできませんでした。林業に係る今の現状、もう非常に厳しい現状にあると思いますので、またその認識も改めて持っていただきながら、大臣も御存じだと思いますが、今、岡山県なんかでも真庭市などで、バイオマスで町を、エネルギーを補う、賄うという事業も進んでおりますし、木材の促進等も進められております。

 世界と比較をしても、日本のこの木材、林業というのはもうかなり低迷をしているという現状ですので、これから脱原発に入る時代において、国民から改めて千円の御負担をいただくこの機会に、総務大臣の、国家戦略として、閣僚の一人として、日本の林業、バイオマスの資源なども考えていただきたい、このように改めて思います。また次の機会に質問させていただきたいと思います。

 時間もあれですが、最後、消防団に関することで一つお聞きをしたいと思います。

 石田大臣は、所信表明でも、消防団員の入団促進を図る発言をされております。地域住民の安心、安全を確保するためには、消防団員の入団促進を図ることは極めて重要だと思います。

 平成三十年度の消防庁の調査結果において、消防団の組織率が人口千人当たり団員二十三人と最も高かった佐賀県では、テレビCM等の活用もすることにより一定の効果を得ている、そしてまた、活動への理解促進を図っていると聞いております。

 このような大規模な広報活動が消防団員の確保において必要との声も聞かれておりますけれども、私の地元、東京の町田市、多摩市でも、消防団員から、CMとか大きな広報の宣伝を国を挙げてやっていただきたいという声も、一部、日々いただいているところでもあります。財政的な問題から各自治体だけで対応するのは難しい、あるいは国で対応するのも難しい現状、そういうことも言われると思いますけれども、国も、これまでホームページやSNSなどさまざまな検討をされ、周知をしていただいているということは承知をしております。

 全国共通の課題である消防団への加入促進の機運が高まるためには、国が率先をして大規模な広報の活動を行うことも必要だと考えますけれども、国が率先をしてテレビCMを活用するなど、今までにやっていない大規模な広報を行う必要性について、見解をお伺いしたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防団員数が全国的に年々減少傾向にある中で、消防団への加入促進を継続的かつ積極的に進める必要があると考えております。

 市町村等におきましては、広報啓発を始め、さまざまな取組が毎年行われているところでございまして、消防庁といたしましても、消防団の加入促進に向けたもろもろの取組を実施しているところでございます。

 その中で、広報啓発に関する取組といたしまして、具体的には、毎年一月から三月までの間を消防団員入団促進キャンペーン期間と位置づけまして、当該期間に合わせて、ポスター、リーフレット、それからDVDなどを作成をいたしまして、市町村等による毎年の入団促進活動に役立てていただいているところでございます。なお、消防庁ホームページにも、当該ポスター、リーフレットを掲載しているところでございます。

 また、平成三十年二月には、ウエブ上で、「消防団PRムービーコンテスト」と題しまして、市町村等が作成した入団促進に関するPR動画、映像を全国から募集をいたしまして、優秀作品を平成三十年四月に表彰したところでございます。

 さらに、地域住民等を対象とした地域防災力充実強化大会などを、毎年、複数の地方都市で開催をいたしまして、消防団の活動や、女性、大学生等の消防団員の取組などに関する発表を通じまして、消防団への理解を地域住民に深めていただけるようにしているところでございます。

 なお、テレビCMの活用のお話がございました。インパクト等の点では効果的と考えておりますが、一方で費用がかかるという面もございますので、いずれにいたしましても、今後とも、国としても、御提案のあった方法についての検討も含め、消防団への加入促進に向けた広報啓発の取組を進めて、消防団が行っている活動をわかりやすく住民に伝えることなどによりまして、消防団をより一層身近に感じていただいて、入団促進につなげることができるよう、創意工夫を図ってまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 また新しい取組をされているということもお聞きをさせていただきました。

 テレビのドラマ等でも最近注目をされたこともありますし、ぜひ、テレビCMだけとは言いませんけれども、検討していただきたいと思います。日本最大のボランティア組織ですし、最も身近に活躍をしていただき、活動していただいている消防団の維持のためにも、どうぞ皆さんにお力をいただきたい、そういうふうに思います。

 質問を終わります。ありがとうございます。

江田委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 私からも、統計の不正の問題、本当にこれは、民主主義の根幹を揺るがす、大変ゆゆしき重大な問題でありまして、この総務委員会が統計を所掌しているということでございますから、当然この問題を取り上げるべきであり、また、今後も、一般質疑だけではなく、ぜひ統計の集中審議を、我々野党各会派一致してこれは求めております。

 予算委員会では、統計というのは、これは予算の基礎になる大前提ですから、ここが揺るいでいては予算の審議ができない。同じように、地方交付税あるいは地方財政計画だって、ここの統計が揺らいでいては審議できないわけでございますから、地方交付税等の審議の前にぜひこの集中審議を行うべきだということを強く求めて、質問に入りたいと思います。

 この統計の問題は、本当にちょっと幅広くて、いろんな論点があるものですから、ちょっと国民の皆さんも、結構、どれをやっているんだという感じになってしまうんですけれども、でも、それだけ、全て大事なんですね。

 どれも、我々も論点が絞れないぐらいたくさんあるわけでございますが、きょうは、まず私からは、毎月勤労統計、厚生労働省、しかし、これはその後、統計委員会に移行して、まさに二〇一五年に端を発して、今までの調査を総入れかえ方式という方式から部分入れかえ方式に変更した、その経緯が今かなり問題になっているわけでございます。

 きのうの予算委員会でも随分議論になりましたけれども、二〇一五年の三月ごろに、日付はわかりませんけれども、厚生労働省が総理官邸に説明したところ、中江総理秘書官が、わかりにくいという話があり、そして、その後、この中江秘書官から問題意識を伝えると、何だかよくわからない問題意識という言葉で伝えられ、そして、その後、六月三日の日に、これは厚生労働省で毎月勤労統計の改善に関する検討会、突如こういう検討会が開かれて、六回開かれるわけです。

 九月の十六日まで六回開かれるんですが、その八月七日の時点、第五回目は、これは、当面、現在の全部入れかえ方式で行うことが適当だ、そういう取りまとめを当時の阿部座長という方がされている。そして、その前段で、厚生労働省も総入れかえ方式が適当だという説明をしているわけですね。少なくとも、次回の入れかえ時には、現在の総入れかえ方式で行うことが適当だと整理したと厚生労働省が説明をし、そして、その後、座長が、検討会の方向性としては、総入れかえ方式で行うことが適当と取りまとめている。

 ところが、その一カ月後の九月十六日には、突然、座長が欠席する中、当時の厚労省の姉崎統計情報部長が部分入れかえ方式を検討したいというふうに主張されて、結局、結論を得ず、中間的取りまとめということになっていて、これは明らかにこの一カ月の間に何かあったんじゃないかと。

 実際に、総理が中江秘書官から九月三日に説明を受けたという事実があって、それに前後して、この大きな変更があったということで、今疑惑が広がっているわけでありますけれども。

 まず、お聞きしたいのは、なぜこの検討会をやめたのかということは、今までも予算委員会でも随分聞かれていますけれども、これは、きのうの玉木委員、予算委員会の質問で、その検討会は六回で、しかも、六回目の最後に、こういうふうに議事録には残っているんですね。皆様方には来年の三月まで委員をお願いしておりますので、しかるべき時期に、大変恐縮でございますけれども、また検討会を開催させていただくことになろうかと思いますと。そして、事務局からも、第七回以降の検討会については、開催日等の調整はまた別途させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたしますと言っておきながら、その間、開かないどころか委員に連絡すらしていないということが、きのう玉木委員の質問で明らかになったわけですけれども、これは、連絡すらしなかったのは、なぜですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 まずもって、今般の毎月勤労統計の事案につきまして、国民の皆様に多大な御迷惑をおかけしましたこと、改めておわび申し上げたいというふうに思います。

 議員御指摘の毎月勤労統計の改善に関する検討会でございますが、議員御指摘のように、平成二十七年の六月から第一回目を開催いたしまして、九月十六日に第六回の会合で中間的整理案が示されたところでございます。

 これ以前から、統計委員会の方で、この秋以降レビューを行うということが毎月勤労統計調査については決まっておりまして、事実、この後、統計委員会の、検討の場が本格的に移りまして、平成二十七年十二月十一日の統計委員会第六十五回基本計画部会以降、統計委員会におきまして議論が重ねられてまいりました。

 平成二十八年三月二十二日統計委員会第六十八回基本計画部会及び同年八月三十一日の統計委員会第三回新旧データ接続検討ワーキンググループにおきまして、それぞれ、定期的なサンプル入れかえ方法につきましては、ローテーションサンプリング、すなわち標本の部分入れかえ方式の導入に向けて取り組む、また、ギャップの補正方式につきましては、新旧計数をそのまま接続するというような方針が示されまして、一定の結論が出たことから、厚生労働省の検討会について再開されることがなかったというふうに承知しております。

 なお、こうした経過の中で、委員の皆様方に御連絡できなかったということにつきましては、詳細は把握しておりませんけれども、大変失礼なことだというふうに存じておるところでございます。

高井委員 これは、ある意味、両論併記的にというか、中間取りまとめになって、それで、統計委員会で、そういう結論になったことの、こういう結論になりました、そういう連絡すらされなかったんですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 そういった連絡をしたということにつきましても承知しておりません。

高井委員 これは、やはり、そういう連絡ができないような中身に変わってしまったということじゃないんですかね。やはり、常識的に考えれば、事務局、七回目以降はまた別途日程を調整させていただきますと言っておきながら、何の連絡もしない、できないというのは、やはり何か理由があるんじゃないかというふうに疑われても仕方がないですよね。

 そして、加えて、もう一つ不可解なことがありました。議事録の件です。

 これも、この第三回目までは議事録があるんですね。ところが、四回、五回、六回と議事録が公表されていない。これは、きのう玉木委員が理由を聞いたところ、藤澤政府参考人から、公表のおくれた理由でございますけれども、これは、各委員に議事録の確認を依頼しないまま期間が経過したことによるものでございますけれども、その原因といたしましては、当時の担当者に議事録の原則公開という認識が十分に及ばなかったこと等が考えられるというわけですけれども、でも、これは皆さん、三回目までは公開しているんですよ。それから、この間に担当者がかわったというのを聞いていないですよね。

 しかも、この最後、第六回の最後に、課長補佐の方が、「遅れておりますけれども、第四回、第五回の議事録についても近日中に確認の依頼をさせていただきますので、併せて御確認のほうをよろしくお願いします。」と、一番最後の最後にこういうことを担当者の課長補佐が言っているにもかかわらず、急に失念するということはあり得ますかね。

 どう考えてもおかしいと思いますけれども、いかがですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 事実関係につきましては、昨日、藤澤の方から答弁させていただいたとおりかと思いますけれども、いろいろそのほかにも、多忙ですとか、そういった要因があったのではないかというふうに思われるところでございます。

高井委員 多忙、急に多忙になるんですかね。急に多忙になったらなったで、この一連の経緯から、急に総理や官邸が出てきて、てんやわんやになったということも推測されなくもありませんけれども、しかし、常識的に考えて、第三回まで議事録を公開していて、その担当者が急に、しかも、会の最後で、各委員に、確認作業をしますので、近日中にしますのでと言っておきながら、それを怠っていたとは、ちょっと私は想像しがたい。やはり何らかの、これは公表できない、公表したくない理由が、うやむやにできたらしたいという、やはり要因が働いたんだろうというふうに私は推測をいたします。

 ちなみに、これは東京新聞の記事ですけれども、この座長を務めた阿部教授は、取材に対して、ことしの一月末に、厚労省から議事録の発言内容の確認を求められました、メールには忘れていましたみたいなことが書かれていたとか、あと、委員の一人は、取材に、すぐに議事録をつくらなかったことについて、検討会で議論した内容と省の方針が違うことから、気まずさがあったのではないかと推察したと。これは、もちろんわかりません、推察ですけれども、しかし、これは十分そういうふうに推察される理由があるというふうに言わざるを得ないと思います。

 それで、その後、統計委員会が引き継ぐわけですけれども、統計委員会を所掌しているのは総務省ですけれども、統計委員会はこの話を、九月十六日にそういう両論併記的な取りまとめになって、その後は統計委員会が引き継ぐということを、厚生労働省からどういう引継ぎ、説明を受けたんでしょうか。

横田(信)政府参考人 統計委員会におきましては、諮問を受けた基幹統計についてチェックを加える形で、これまで審議を行っておりました。

 平成十九年の委員会発足後、一度も審議されていない基幹統計、これをいわゆる未諮問統計と申しておりますけれども、これにつきまして、基幹統計としての重要性や必要性の観点からチェックを行うべきであるという議論がございまして、平成二十五年十月には、総務大臣に対してその旨の意見が提出されたところでございます。

 こうした意見も受けまして、平成二十六年三月に閣議決定されました公的統計の整備に関する基本的な計画におきまして、毎月勤労統計を含む未諮問統計について、統計委員会が能動的に確認する仕組みを設け、基幹統計の改善を図ることとしたというのが流れでございます。

 これを受けまして、平成二十六年度以降、審議が行われることになりまして、毎月勤労統計調査については、平成二十七年六月の統計委員会基本計画部会におきまして、平成二十七年十一月以降に審議を行うとのスケジュールが決定されました。

 この後でございますが、一方で、厚生労働省の方で毎月勤労統計の改善に関する検討会が行われたということになっていまして、これが二十七年の六月から九月ということでございました。

 この検討会、中間的整理を取りまとめた後の経緯につきましては、総務省としては承知はしておりませんけれども、この年十二月、統計委員会の基本計画部会におきまして、ここで毎月勤労統計の審議が行われたわけでございます。

 この場で、厚生労働省の方から、この検討会の検討状況の報告を受けた形になっております。その際に、部分入れかえ方式、ローテーションサンプリングを導入する予定といった旨の説明を受けたという形になってございます。

高井委員 これは質問通告していますからね、きちんと。厚生労働省からどういう引継ぎを受けたか、説明を受けたかというのを過去に、それは、横田さんは当時いなかったから知らないでしょうけれども、過去にさかのぼって調べてくださいといって通告していますので、もう一度、どういう引継ぎを受けたのか。その統計部会の前ですよ、事務的にどういう引継ぎが、なかったらなかったと答えてください。あったのかなかったのか、どういう引継ぎを受けたのか答えてください。

横田(信)政府参考人 詳細には承知しておりません。

高井委員 承知していませんで済みますかね。これは通告をしていますから。ここが解明されないと、この後の質疑ができないんですけれども。

 もう一度お答えください。

横田(信)政府参考人 説明は受けていないということでございました。

高井委員 そうですね。なぜ最初から、承知していませんと最初逃げられたのかが非常に不信を感じますけれども、説明を受けていないんですね。本当ですかね。

 いきなり厚生労働省で、じゃ、六回にわたる検討会を開いてきたことを、統計委員会が十二月でしたっけ、十一月でしたっけ、やったその場で、厚生労働省から統計委員会の場で説明を聞いたのが、総務省としても初めて説明を聞いたということで、間違いありませんか。

横田(信)政府参考人 その場で初めて聞いたということでございます。

高井委員 これは非常に重要なことだと思います。今後、この問題、私は、統計の問題、いろいろ問題ありますけれども、この問題はかなり大きな問題だと思っておりまして、統計委員会が、なぜ厚生労働省が最初進めてきた全部入れかえ方式というものを変えたのか、きょうは統計委員長に私は聞けません、後で統計委員長、来られるので、またぜひ聞いていただけたらと思いますけれども。

 これは、なぜ、統計委員会が引き取って、そういう、ある意味、総理官邸あるいは経済財政諮問会議でいろんな議員が、国会議員が、大臣が、そうなるべきだのような発言をしたのに合わせた方法になっていくのかという非常に重要な点でありますので、ぜひ、横田さんは当時の方じゃありませんので、やはりこれは、同じく総務委員会においても、当時の方に、予算委員会では来ていただいておりますので、また、それから、先ほどの厚生労働省も、きょう来ていただいている方では、やはり当時の実態を解明しようと思っても、結局、承知していませんとか聞いていませんとか、そういうことになって非常に時間もかかってしまいますので、ぜひ、これは出席をお願いしたいと思いますが、委員長、お取扱いをお願いいたします。

江田委員長 後刻、理事会で協議をします。

高井委員 じゃ、ちょっと別の、今度は賃金構造統計の話もしたいと思いますが。

 賃金構造統計については、これは総務省が検証することになったんですね、行政評価局が。新聞報道によれば、菅官房長官と石田大臣とそれから根本厚労大臣とで決めたということなんですが、これも、なぜこの賃金構造統計だけやるんだということは非常に疑問です。

 これは朝日新聞の社説ですけれども、恐らく総務省の説明に対して、この説明に納得する人がどれだけいるだろうか、問われているのは、勝手にルールを破り、ルール違反を認識しながらうその上塗りを続け、こっそり修正しようとした組織の体質である、二つの問題の根っこは同じだと。

 二つの問題というのは、つまり、毎月勤労統計については厚生労働省がそのままやる、そして、この賃金構造統計については総務省が検証するということですが、これは大臣のトップダウンで決めたということなんですけれども、大臣、なぜ、この賃金構造統計だけを総務省がやる、毎月勤労統計は厚生労働省がやるということなんでしょうか。

石田国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 賃金構造基本統計調査につきましては、御指摘のように、官房長官、根本厚生労働大臣と相談の上で政府として決定をいたしました。

 賃金構造基本統計調査については、統計数値の問題というより、行政のあり方に大きな問題があると考えられました。このため、行政機関の評価、監視を実施している総務省行政評価局が調査を行うこととなったわけであります。

 一方、毎月勤労統計調査につきましては、不適切な取扱いにより統計数値に影響を与えていることから、既に統計の専門家を含む外部の専門家による厚生労働省の特別監察委員会において、より独立性を高めた形で検証作業が進められている。このため、総務省の行政評価局の調査の対象とはしていないということでございます。

 総務省としては、与えられた役割である賃金構造基本統計調査の検証にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

高井委員 ちょっと先走って私言ってしまいましたけれども、まさに今の説明に対して、この朝日新聞の社説は、この説明に納得する人がどれだけいるだろう、問われているのは、勝手にルールを破り、ルール違反を認識しながらうその上塗りを続け、こっそり修正しようとした組織の体質であって、二つの問題の根っこは同じだと。

 まさに今大臣が説明したのはちょっと部分的なというか技術的な話であって、体質そのものをやはり改善していくということであれば、私は、やはり毎月勤労統計だって、これはやはり厚生労働省に任せるんじゃなくて総務省が、年金記録のとき、二〇〇七年の、このときは総務省がまさに事務局となって検証委員会を立ち上げた。そして、このときは外部有識者の組織をつくったんですね。ところが、今回は、総務省のチームには外部有識者は入らないというんですね。これはなぜ外部有識者を入れないんですか。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 今回、調査を担うこととしている総務省行政評価局は、これまでも、政策を推進する担当府省とは異なる立場で、行政にメスを入れるという観点から、行政機関の業務の評価、監視を実施しており、さまざまな調査を行ってきた実績がありますということから、本事案についても、私どもとして事実関係を明らかにし、原因を究明することとしているというふうに承知しております。

高井委員 これはやはり、ちょっとこの問題への認識が甘いんじゃないでしょうか。ほかの事案というか、しかし、さっき言ったように、年金のときはそういう体制をつくってやっているわけですし、やはりそれに匹敵する私はこれは非常に重大な問題だと思いますよ。

 これは、大臣、今後、今時点はそうじゃないですけれども、今後、外部有識者も入れて、あるいは、政府の全体の統計をそういう総務省が主導してしっかり点検をしていく、そういう考えはありませんか。

石田国務大臣 今現在は、先ほど答弁もさせていただいたように、賃金構造の基本統計調査については総務省の行政評価局が行い、そして、厚労省の毎月勤労統計調査については厚労省の特別監察委員会が行っています。

 そしてまた、もう一つ、司令塔であるべき統計委員会、ここには点検検証部会が設けられておりまして、基幹統計のみならず一般統計も含めて検討をするということを言っているわけでございまして、そういうことの中でしっかりやって、まずは取組をしっかり進めていくべきだと考えております。

高井委員 これは本当に総務大臣のリーダーシップが重要だと思います。

 まさに今、統計委員会、きょうですかね、点検検証部会がスタートする。まあ、これだけ随分たっていますよね。ようやくきょうスタートかと思いますし、新聞報道によると、何か、部会長が最初は別の方だったんだけれども、元統計局長だったからかえたというような記事もありますけれども、もしそんなことなのであれば、そもそも、やはり姿勢が相変わらず、何というか、第三者的な視点でしっかりやろうという意識に欠けているんじゃないかというふうに思わざるを得ません。

 実際、じゃ、どういう点検をしていくかということをちょっと聞きたいんですけれども、これは、厚労省の毎月勤労統計が、今検証作業をされています。ここが一番の発端で、一番大きな事案ですけれども、これは、いろいろ調査方法を聞いているんですけれども、非常に甘い聞き取り調査などであって、例えば、ほかの民間企業がやっている、スルガ銀行の第三者委員会とか、あと雪印のときの第三者委員会なんかを見ると、電子メール、スルガ銀行三百六十六万件の分析、それから雪印も四十万件の分析とか、あとアンケート、全役職員三千七百人にアンケートとか、それから内部通報窓口も両方とも設置している。しかし、いずれも今回の厚生労働省の特別監察委員会はやっていないわけでございます。

 特に、今、電子メール、これは非常に重要で、文部科学省の天下り、これを告発した再就職等監視委員会は、メールを押さえて、それで摘発できた。メールをやはり見るということをやらないと、これはデジタルフォレンジック、そういう電子鑑識、そういう技術がありますので、こういったものを使ってやるべきだと考えますけれども、いかがですか。

土生政府参考人 御答弁させていただきます。

 毎月勤労統計に関する事案につきましては、先生から御紹介いただきましたとおり、特別監察委員会におきまして、現在、さらなる調査を行っていただいているところでございます。

 委員会におきましては、より独立性を高めるということで、二月七日付で元最高検検事の方を事務局長に迎え、民間有識者で構成される事務局が新たに設置されたところでございます。

 厚生労働省はあくまで事務局の庶務としての位置づけでございまして、事務局の指示に従いまして、例えば日程調整、あるいは資料の印刷、資料の整理等を行っているところでございます。

 御指摘のありました事案の解明に必要な具体的な調査手法につきましては、こうした中で特別監察委員会において御判断いただくということでございますので、大変恐縮ではございますが、具体的な調査手法につきまして、私の方から、どのように取り扱うかということにつきましては、コメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

高井委員 いや、本当、ちょっと都合のいい逃げの答弁だと思うんですよね。

 賃金構造統計は、総務省の行政評価局が第三者も入れずにやる。だけれども、この毎月勤労統計は、第三者がやっているから、もう事務局は一切口は出しませんと。これで国民の皆さん、納得しますかね。

 この手法は、非常にやはり、民間の第三者委員会は、これは厚労省の特別監察委員の方にもぜひ伝えたいと思いますけれども、やはりこういう手法をやるべきだし、これは総務省にも通告していますので、総務省は、統計全体を所掌する立場から、この毎月勤労統計についてももちろんですけれども、ほかの、今みずからがやる賃金構造統計であったり、あるいは、政府の、これから二百三十三ですか、一般統計も全部検証するということでありますから、こういった民間企業に倣った手法を取り入れていく。

 みずから率先するし、あるいは他省庁に対してもそういったことを勧告、アドバイスしていく必要があると思いますけれども、総務省、いかがですか。

横田(信)政府参考人 点検検証部会におきましては、個別事案の発生経緯を検討することに重点を置くものではなく、政府統計全般、これは五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計を対象として、今後の再発防止や統計の品質向上について統計技術的な観点から検証を行っていくものということでございます。

 具体的にこの後どうするかということでございますけれども、こういった観点からの具体的な検証や調査の進め方につきましては、先ほどございましたような、どういった手法を取り入れることが有効かというようなことも含めまして、今後、点検検討部会の審議によって御議論いただくことになるかというふうに考えております。

高井委員 今後検討というのが多いですね。ちょっと、こんなスピードで本当に大丈夫なのかと。

 先ほども言いましたように、予算案や地方交付税、地方財政計画案にも響く話でありますので、早急な調査、解明を求めたいと思いますし、大臣に最後に聞きたいと思いますけれども、こういった今のような話も含めて、やはり統計の改革、これは抜本的改革をもうやらなきゃいけないと思います。組織の一元化という話もあります。これは賛否両論あるかもしれませんが、一つの案でしょう。

 それから、やはり、今言ったようなITの導入ですね。特に、これは民間企業の方が進んでいるんですよ。昔ながらの紙でやるという今の政府の統計というのは、もう戦前から同じような手法だと東大の渡辺教授は指摘していますけれども、民間はどんどん、顧客情報とか購買履歴とか従業員の賃金とか、デジタルデータで持っているんですね。それをそっくりそのままもらうという仕組みも考えるべきだ。これは、実際、スイスの連邦統計局ではそういうことをやっているそうです。

 こういった改革を断行すべきときが来ていると思いますけれども、総務大臣の見解を伺います。

石田国務大臣 今委員から御指摘いただいたような点を各方面からもいただいているわけであります。

 公的統計の品質確保、向上を図る上で、民間のビッグデータの活用、AIの導入、オンライン調査の推進等は重要な課題の一つであると考えております。

 また、統計委員会からも、こうした取組について、統計リソースを重点的に配分する必要がある旨、昨年の七月に建議をいただいておりまして、これらに基づくこのような取組を更に進めているところでございます。

 また、統計機構の一体性を確保するため、昨年の統計法改正によりまして、統計委員会の機能の強化として、各府省の統計部門を束ねて、統計委員会と調整、連携を行う統計幹事を設置し、また、総務大臣の諮問によることなく自律的、機動的に意見を述べることができるよう、所要の規定がなされたところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほども申し上げましたが、今現在、毎月の勤労統計につきましては厚生労働省の特別監察委員会で調査が行われ、また、賃金構造基本統計については総務省の行政評価局が調査を行っているところでございます。

 さらに、統計委員会におきましても、今般の統計をめぐる問題を受けて設置された点検検証部会におきまして、基幹統計及び一般統計調査について、再発防止や統計の品質向上といった観点から徹底した検証を行うこととしているわけでございます。

 こういうそれぞれの検証の結果を踏まえまして、今後の統計全体を考えていく中で総合的な対策を講じてまいりたい、そのように考えております。

高井委員 我々立憲民主党も、統計改革のワーキングチームを立ち上げて提案してまいりますので、ぜひ聞いていただきたいと思います。

 きょうは、インターネット海賊版対策のことを聞きたかったんですけれども、時間がなくなり、申しわけありません。

 質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二と申します。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣の所信に対する質疑ということで、まず大臣にお伺いをしたいと思います。

 ことしは、消費税が十月に上がるということ、そして今回の新税の導入ということと、直接的には、負担という意味ではことしは変わりませんけれども、この新税に関しては、しかし、増税の年を迎え、やはり我々として非常に大きな節目の年になるかと思います。

 私、先輩のある議員に、新税というのは悪税であるということを教わったことがございます。やはり、新しい税を入れるということはよほどの理由がないといけないということかなと。やはり、増税をするということは、もちろん各家計においての大きな負担もそうですけれども、マクロ経済に対する影響、あるいは、新しい税を入れるということは、きょうの、後ほどある、さまざまな法案の紙、人員、さまざまなコストをかけてこれをやるということ。

 したがって、昨年には観光旅客税が二十七年ぶりに新税として導入され、そして、きょうは、ことしはまた新たな新税ということで森林環境税が議論をされ、そして消費税が増税ということで、税を重たくしていく年でございます。もちろん観光とか環境ということはこれからの時代にとって必要なこととは理解するものの、やはり、増税あるいは新税ということに関しては、覚悟を持って我々臨まなきゃいけないというふうに思います。

 まず、その点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきたいと思います。

 今おっしゃられるように、新税というのは、国民の皆さん方のやはりきちっとした理解をいただく、そのための理由も要るわけでございますし、御理解をいただくためのさまざまな取組をしていく、慎重にやるべきことというのは同感でございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 それでは、森林環境税について、少し基本的なことからお伺いをしてまいりたいと存じます。

 まず、私の地元福岡で、二年前に九州北部豪雨災害というのがございました。大分を始め福岡で集中豪雨があって、その際、甚大な被害が起こりました。

 現地に赴きますと、大量の流木が流れ落ち、そして、その流木によって家屋が倒壊をし、川がせきとめられて、そのことによって更に豪雨が鉄砲水のようになって市内を流れていくということがございました。

 現地を見て、改めて、森林の持つ防災力、そして同時に、逆に言うと、それがないときには豪雨に対して大変な被害が出得るということ、必ずしも森林がしっかりと間伐されていなかったからそれが起こったとは、専門家の方はそれだけが要因ではないとはおっしゃっておりましたけれども、やはり、間伐をしっかりしていくこと、そして森林の防災力を高めることが必要だということは改めてその場で私も勉強させていただきました。

 それと同時に、今回の森林環境税については、目標の中で、パリ協定の枠組みのもとにおける温室効果ガスの排出削減の目標の達成というものが書かれております。

 そこで、パリ協定については、二〇一五年に採択をされ、我が国も、二〇一六年発効し、締結をしているということ。その中で、二〇三〇年度に温室効果ガス削減が二〇一三年度比でマイナス二六%というのを国際公約というか、コミットしております。その中で、森林吸収源対策でマイナス二%ということも政府として掲げているわけでございます。

 そこで、お伺いをいたします。

 その目標達成のために幾らの財源確保が必要かということを試算をされているか、お伺いをいたします。

織田政府参考人 お答えいたします。

 森林吸収量目標の達成に向けた間伐等の森林整備等につきましては、国庫補助事業によるもののほか、地方団体ですとか森林所有者等が単独で行うものなどもございます。さまざまな事業をあわせて進めているということでございます。

 このため、この達成に必要な費用の総額については試算をしたことはございませんけれども、京都議定書第一約束期間におきましては、森林吸収源対策関係の、国の予算事業の、国費といたしまして、補正予算を含めまして年間約二千三百億円を措置して、当該期間の目標を何とか達成したというところでございます。

 一方、森林環境税の制度検討の過程におきまして、整備が進んでいない条件不利な私有林を対象に、年間十万ヘクタール程度の間伐等を市町村が主体となって進めるということを前提といたしまして、森林整備やその促進に要する費用について農林水産省で試算をいたしましたところ、年間六百億程度となったところでございます。

稲富委員 もう一回確認です。

 二〇三〇年度に森林吸収源対策としてマイナス二%ということを国際公約としてというか、我が国としてマイナス二%というのを目標に掲げているわけですよね、それを達成するということも掲げている。その達成のために幾らかかるのか、幾らの財源が必要かということは、結論的には試算がないという理解でよろしいんでしょうか。もう一回、御答弁お願いします。

織田政府参考人 御指摘のとおり、試算をしたものはございません。

稲富委員 ありがとうございます。

 それは問題じゃないかと私は思います。率直に言って、今回の森林の税に関して言うと、その二〇三〇年度の我々の国際公約のために、それが実質上、目的の一つとしてパリ協定の枠組みにおける温室効果ガス削減の目標の達成ということが掲げられているわけであって、そのためには幾らかかるのか、財源が幾らなのかということは、極めて大事な話だと思うんです。

 それがない中で、幾らかかるかもわからないけれども、でも税が必要だということであれば、じゃ、結局、最終的にこれ、今回の森林環境税にとどまらないんじゃないかということも考え得るわけです。

 そこで、改めて伺います。

 先ほど六百億ということがございましたが、それでは、なぜ一人千円なのかということをお伺いをいたします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 森林環境税の税率についてでございますけれども、まずは、森林環境税の税収規模を検討するに当たりまして、これは先ほど林野庁から御答弁があったわけでございますが、整備が進んでいない条件不利な私有林を対象として、その整備をする必要がある、ここから算定をされておられるというわけでございますけれども、そういった森林整備あるいはその促進に要する費用等について、六百億円という試算が示されている。

 これを前提といたしまして、森林は、地球温暖化防止あるいは災害防止等の公益的機能を有しまして、広く国民一人一人が恩恵を受けているということで、その整備等に必要な財源となる森林環境税につきましては、国民の皆様に広く均等に御負担をいただくという観点から、個人住民税均等割の枠組みを活用することとしておるわけでございますけれども、その納税義務者数が六千万人強と見込んでいるというところでございます。

 森林環境税の税率については、こうした状況と国民の負担感などを総合的に勘案いたしまして、年額千円というところとしたところでございます。

 以上でございます。

稲富委員 今のお話、総合すると、林野庁としては試算はしていない、幾らかかるか、国際目標を達成するために幾らかわからないけれども、とりあえず六百億円が必要だと。それに対して、だから税を千円ずつかけるというお話かと思いますが。

 繰り返しになりますが、これ、本当に六百億で、林野庁さん、足りるんでしょうか。二〇三〇年度の国際目標達成のために足りるのかどうか、お伺いします。

織田政府参考人 お答え申し上げます。

 吸収源対策につきましては、いろんな主体がいろんな財源を使ってやるということでございまして、林野庁といたしましては、引き続き森林整備のコスト縮減などにも努めながら国の森林整備予算の確保にも当然努めますとともに、この森林環境譲与税も市町村に活用いただいて、条件不利地も含めた必要な森林整備量全体が賄えるように取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

稲富委員 はっきりと今の段階では言えないということかなと思います。

 まず、先ほどの政務官から御答弁いただいた千円の件なんですけれども、今回の税に関しては、当然、税の原則があって、恐らくいろんな議論をされた中で千円に落ちつかれたのかなと思います。税の中立、簡素、公平という原則からすると、定額の課税というのは極めて珍しい課税だと思います。ほとんど、やはり率であるとかということが普通である。

 しかし、定額ということが、非常に珍しい税をとっているというのは、これはなぜかということなんですけれども、非常に逆進性の高い税とも言えます。なぜなら、所得にかかわらず同じ額を課税するからであります。今、消費税が一方で大変議論になって、逆進性対策をどうするという議論が非常に大きくなっている中で、この千円一律というのは、まあ言うと、非常に逆進性の高い税を採用しているわけです。

 もう一度お伺いします。

 何で定額なんでしょうか。所得割もあるのに、なぜ定額にしているのか、お伺いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁も申し上げたところでもございますけれども、森林は、地球温暖化防止あるいは災害防止等の公益的機能を有しているということでございまして、これは広く国民一人一人がその恩恵を受けている、そういった整備等に必要な財源となる税は、国民に広く均等に御負担をいただく、こういった理念が根本に、今回の税についてはございます。

 そして、この税を検討するに当たりまして、地方財政審議会に設置いたしました森林吸収源対策税制に関する検討会におきましても、森林整備等による効果が国民に広く及ぶものであることを踏まえて、必要な負担を国民一人一人が広くひとしく分任する仕組みとすることが望ましい、この点、個人住民税均等割は、必要な費用について、住民がひとしく負担を分かち合うものであり、森林環境税の考え方に最も合致する、こういった提言をいただいたところでございます。

 こういった考えに基づきまして、今回、定額千円という税率でお願いをしているということでございます。

 以上でございます。

稲富委員 国民一人一人にひとしくということは、それイコール定額というのが、そこがストレートにつながらないところだと私は思います。

 なぜなら、国民に広く負担をお願いをするということがこの森林に関しては必要だということは一定理解できます。ただ、だからといって定額で全部かけるかというのが、それが正しいかというのはそれはまた話が別の話で、先ほど申し上げたように、税の公平性、中立性、簡素という視点からどうかという話です。

 それは、そういう原則に照らしていくと、我が国においてはほとんどが、率を掛ける、あるいは定率をするということがそれに資するという考え方から、多くのサービスであっても、定額じゃなくて定率を掛けていくということが大きな流れだと思うんです。

 改めてお伺いします。

 今回、住民税の均等割に上乗せをするという形だということは、先ほど御答弁をいただきました。しかし、この均等割については、もう御存じのとおり、各市町村によって課税最低限が異なります。

 要するに、国税で今回取るわけですよね。国税で千円一律に取るということだけれども、各市町村によって課税最低限が違うというのが現状です。

 ですので、私は、ここは検討会でも検討されているということはあるとは思いますが、しかし、国税で一律取るのに市町村によって課税最低限が違うものを取るというのは矛盾しているし、だからこそこの均等割を本当に採用してやるのかどうかということは議論しなきゃいけないと思いますが、改めて答弁を求めます。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林吸収源対策税制に関する検討会におきましてもさまざまな御議論をいただいたわけでございますけれども、個人住民税均等割の枠組みの活用に関して申しますと、既に全国の多くの府県等で実施をしております森林環境や水源環境の保全等を目的といたします超過課税においても均等割が活用されて、課税実務として定着をしておりまして、国民の間で一定の理解を得られている手法である、こういうことを考えられることから、比較的円滑な導入が期待できるという評価のもとに適当とされたところでございます。

稲富委員 であれば、国税でやるということが、理屈が合わないということですよね。

 もう一度申し上げます。各市町村によって円滑に運営されているというのはわかります。そのとおりだと思います。今回は国税として千円一律で取るということであれば、ある市町村によっては課税最低限、この人にはかからない人がいる、同じ収入であってもこの人にはかかるところがあるというのは、国税としてどうなんだ、一律じゃないとおかしいんじゃないかと。日本に住む、国税としては、それは一律じゃないとおかしいんじゃないかということです。

 それから、実務上楽だからそっちだというのは、それをやり出したら、各市町村の実務上やりやすい、あるいはそれが実務上行われているという理由でやっていいのであれば、国税であっても、それぞれの市町村で別の税率、別の税額ということになるんじゃないんですか。それは正しいんでしょうか。

古賀大臣政務官 国税というのは、恐らくナショナルミニマム的な考え方に資するんだろうというふうに思います。

 先ほど申し上げたとおり、地球温暖化防止あるいは災害防止、こういったことは、地域の実情等々もあるかと思いますけれども、基本的には広く全国民的に共有の課題であろう、こういうふうに考えるわけでございます。その上に、各自治体ごとに、地域の実情に応じて超過課税をしていただく。

 今回、このナショナルミニマム的な、地球温暖化防止であるとか災害防止、そういった観点から新たにこの森林環境税を設けてきている、こういう考えであるというふうに考えております。

 以上でございます。

稲富委員 ちょっとなかなか伝わりにくいのかもしれません。ちょっと最後にこの点だけもう一回申し上げて、次の話題に移ります。

 各市町村によってもちろん事情がある、ナショナルミニマムを達成することが必要だということはわかります。であれば、国税でやるのであれば、当然国税に見合う形でやるべきだということで、改めてこの点は少し審議の中でまた御質問をさせていただきたいと思います。

 次に移ります。

 今回は、家計に対して、千円一律、個人に対してかけるということで、本来であれば、二酸化炭素の排出量に応じて、今回の目標がパリ協定の枠組みの中での目標達成ということであれば、CO2の排出削減ということが目標である以上、多く排出をしている人に対して、あるいは法人に対して課税をする、重課していくということが本来じゃないかと率直に思うわけですけれども、なぜ今回家計に対する課税をしているのか、御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 地球温暖化対策につきましては、二酸化炭素排出抑制対策と森林吸収源対策の両面から推進しているところでございます。

 このうち、二酸化炭素の排出抑制対策につきまして、産業界は、これまでも自主行動計画等の枠組みの中で温室効果ガスの排出削減を実現いたしますとともに、平成二十四年度の税制改正におきまして創設されました地球温暖化対策のための税、すなわち石油石炭税の上乗せ措置でございますけれども、これを負担をしているところなど、地球温暖化対策に係る取組に産業界として既に一定の貢献をしていただいているところでございます。

 一方で、森林吸収源対策につきましては、先ほども御答弁ございましたように、森林整備等に必要な財源に充てるため、すなわち森林吸収源対策として今般創設するものでございまして、森林の有する公益的機能が、広く国民一人一人が恩恵を受けておりますために、国民に広く均等に御負担をいただくとともに、法人に対してはさらなる負担を求めないこととしたところでございます。

稲富委員 お手元の資料、お配りさせていただいております一ページのところで、これは総務省さんが作成をされている資料で、恐らく今御答弁いただいた中でいうと、家庭部門においても、日本全体のうち約一五%のCO2を排出をしている。ここの円グラフの中でいうと、CO2の排出量の、運輸部門、そしてエネルギー転換部門、産業部門、その他の部門等はそれぞれCO2に対する租税を負っている。ただし、家庭部門はいまだないから、だからここに課税をする、そういう御答弁かなと思います。

 確かにそれは一部言えるんですけれども、でも、総務省さんの資料の中で、この表を見ると、むしろ、円グラフの多いところはもっと、であれば、その七割程度の負担をしているのか、そして、運輸部門は一七・四%で、それに見合うだけの負担をしているのかという、そっちの議論の方にむしろなるんじゃないかと思うんです。もちろん、エネルギー転換部門、産業部門において、ここに書いてあるようにさまざまな、石油石炭税の上乗せがあるということですけれども、であれば、六八・〇%のCO2排出に応じた課税あるいは納税になっているのかということになろうかと思います。

 要するに、これは、個人に課税するのはもちろんそうかもしれません、ただ、排出量が多い企業に対して応分の負担をむしろ求めるべきじゃないかということが意見として出ると思うんですが、その点はいかがでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございました地球温暖化対策のための税でございますけれども、これは、税制によります二酸化炭素排出抑制を強化するため、石油石炭税に二酸化炭素排出量に応じた税率を上乗せすることとして、平成二十四年度税制改正において創設されたところでございます。

 先ほどおっしゃられました、比率というんでしょうか、それに基づいて比較をしたのかというような御指摘がございましたけれども、議論の過程におきましては必ずしもそういう比較をしたわけではございませんですけれども、現在、地球温暖化対策のための税につきましては、引上げをいたしました税収規模は大体約二千六百億円ということでございまして、相応の負担をいただいているというふうに認識をしております。

稲富委員 ありがとうございます。

 改めてですけれども、今回の新しい税をつくるに当たっては、恐らく、石油石炭税の上乗せの、今二千六百億だという御答弁がありました、普通に考えれば、これまである地球温暖化対策のための税が今あるわけで、なぜこれに、今の税率を少し上げてそちらに重課をしてということが、普通に、素直に考えれば、そういうことも一つのやり方だということがあったと思うんです。

 にもかかわらず、今回やはり新税をつくったということで、改めて伺いますが、今、地球温暖化対策のための税というのが石油石炭税の上乗せとしてあるにもかかわらず、なぜその上乗せとして、個人に新税をかけるのかということを改めてお伺いします。なぜ石油石炭税の上乗せを更に重課しなかったのか。お伺いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化対策のための税、石油石炭税の上乗せ措置でございますけれども、この税収につきましては、省エネルギー対策や再生可能エネルギー等のエネルギー起源二酸化炭素排出抑制のための諸施策を実施していくために用いられるものでございまして、いわゆる森林吸収源対策に用いられるものではございません。

 一方で、森林吸収源対策を進める必要があるという観点、そして、先ほど御答弁申し上げましたように、森林の有する公益的機能が、広く国民一人一人が恩恵を受けている、こういうことを考えて、新しく税を、御負担をお願いをしているところでございます。

稲富委員 次に、その使い道について少しお伺いをさせていただきます。

 年間千円という負担は、普通に考えれば、年間千円、高いか安いかということは、なかなかすぐその千円だけでは議論は私はできないと思うんですね。やはり、それに見合ったサービスといいますか、それに見合った効果があるかどうかということが、年間千円ということに見合うかどうかということに関係すると思います。千円だからいい、あるいは千五百円だからいい、五百円だから安いということではなく、お支払いしたその税金に見合った何らかの効果があるのかどうかということかと思います。

 そういう意味でいうと、今回の森林環境税についてはさまざまな、新聞等でも、賛成のところあるいはむしろちょっと批判的なところ、さまざまありますけれども、共通しているのは、やはり使い道の問題です。ちゃんと使われるのかということが、やはりどうしても一番大切なことだと思います。それに見合った使い方をするのかということです。

 そこで、端的に大臣にお伺いします。

 これは特定財源なんでしょうか。お伺いします。

石田国務大臣 お答えいたします。

 新法案の第一条におきまして、市町村が実施する森林整備等の財源に充てるため、森林環境税について必要な事項を定めることとしておりますことから、目的税として分類されるものであります。

 市町村の森林環境譲与税の使途につきましては、税創設の趣旨を踏まえまして、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と規定しているところであり、その範囲内で事業を実施する必要があると思います。

 また、各地方団体の森林環境譲与税の使途について、毎年度インターネット等により公表することを義務づけることによりまして、適正な使途に用いられることが担保されるものと考えております。

稲富委員 今の御答弁に従うと、使途が制限される、限定されているということであれば、特定財源という考え方でよろしいんでしょうか。

 もう一度お伺いします。使途が限定をされている、したがって特定の財源であるということでよろしいんでしょうか。

石田国務大臣 先ほど申し上げましたように、新法案の第一条においてそういう規定をいたしておりまして、目的税として分類されるものであります。

稲富委員 そこで、お伺いをいたします。

 二枚目、お手元の資料、お配りをさせていただいております。

 この中で、府県の超過課税の状況ということで、今、三十七の県、府が、それぞれ超過課税という形で森林環境にかかわる課税をされております。

 そこで、ここに書かれているように、都市緑化等の森林・林業関係以外や、木材利用促進、普及啓発など、森林整備以外へも幅広く活用されている状況であるということで、森林・林業関係以外のところでもやはり使われている部分が、今の府県の超過課税の中では使途があるということでございます。

 先ほど来、使い道がどうしても、大丈夫なのかというお話がある中で、この上のグラフの都市緑化、河川等というところが、府県が使われている中で、こういう森林・林業関係以外に使われております。

 今回の森林環境税が、こういう都市緑化、河川等、ここで描かれている上のグラフの一番右のところ、こういったところに使われるということはないということでしょうか。御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 都市緑化、あるいは河川整備でございましょうか、その言葉自体が多義的でございますので、一律にお答えすることは大変難しゅうございますけれども、いずれにいたしましても、森林環境税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と明記をしておりますので、その範囲内でのみ使用が可能だということでございます。

稲富委員 木材の利用促進はいかがですか。これは使用目的に入りますか。

内藤政府参考人 森林の整備の促進に関する施策の中で読めるものと考えております。

稲富委員 ありがとうございます。

 これは、少し詳しくこれから御議論があるかと思います、この使い道の範囲についてでございます。次の質問に少しかかわる部分だと思います。

 午前中の質疑の中でも、なぜ三割なのかということがございました。なぜ人口基準があって、人口割の部分が十分の三ということが規定をされております。それについて御質問がありましたけれども、改めて、なぜこの人口割があるのか、そしてなぜ十分の三ということになっているのか、御答弁をお願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 森林環境税につきましては、都市部の住民の方々も含めました国民全体の理解を得ていく必要がございますので、都市部においても実施されます木材利用の促進や普及啓発を使途の対象としているところでございます。

 また、森林整備が進むことで間伐材の供給がふえるということが想定されるわけでございますけれども、都市部の地方団体が間伐材等の木材利用を進めることで、山間部における森林整備から都市部における木材利用までの間の経済の好循環、これが生まれることが期待されるところでございます。

 さらに、多くの府県等で実施されております森林環境の保全等を目的とした超過課税につきましても、平均すれば、おおむね三割強程度を森林整備以外の事業に充てているところでございます。

 こうしたことを総合的に勘案いたしまして、森林環境譲与税のうち三割を木材利用の促進や普及啓発等に相関する指標でございます人口を基準として譲与することとしているところでございます。

稲富委員 検討会の中では、都市部に配分するのは余り適切ではないんじゃないかということが、御議論があったかと思うんですけれども、なぜ最終的に人口三割ということになったんでしょうか。

内藤政府参考人 重ねての御答弁で恐縮でございますけれども、一つには、都市部の住民の皆様方にも、要するに御負担をいただく皆様方にも御理解を得ていただく必要がある。

 それから、やはり、間伐材の供給がふえますと材の値が落ちる可能性がございます。それを、ある程度木材利用を進めることによって、材の値段を維持あるいは上げていくことによって、川上も結局のところは間伐というのが進む、そういうようなことから、これらについて三割ということで決定をさせていただいたところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 この点は、多分いろんな御意見があろうかと思います。私は、率直に言って、今の特定財源であるということと使い道というのは、受益と負担ということを考えれば、やはり出している人に受益があるのと、要するに課税、税金を払っている方と、その受益があるというのは、まさに特定財源たる意味だと思うので、私は、人口の三割、都市部にあるということは、実は賛成の立場です。ですので、ちょっと委員の方で違う方がいらっしゃるかどうか、私は、やはりそれは受益と負担の関係でいくとそういうことかなと思うんです。やはり、その中でいうと、先ほどの川上と川下の経済の好循環のためにその使い道を変えるんだということは、非常に今回の趣旨にも合致する話じゃないかという立場です。

 そこで、少し先ほどの話に戻りますが、自治体の超過課税という中で、さまざまな事業を行っております。そこは、使途が、今回の部分は限定をされている。ただし、自治体の部分については、超過課税については少し幅があるということですので、その超過課税の部分と同じ部分といいますか、森林関係のものであれば、それで上乗せをして地方自治体が事業を展開するということは、今回の法の中では許されるといいますか、それは使えるということの理解でよろしいんでしょうか。

 それともう一つ、超過課税をしている中でも、やはり今回の税を使えないという場面も当然あるという理解でいいのか。御答弁お願いします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御答弁を申し上げましたとおり、森林環境譲与税の使途につきましては、法律上、森林の整備に関する施策及び森林の整備の促進に関する施策と規定しているところでございますので、その範囲内でのみ使用が可能でございます。

 各地方団体におきましては、この使途の範囲内におきまして、地域の実情に応じて幅広く弾力的に事業を実施することが可能でございまして、超過課税による府県等が実施している事業の上乗せ分への活用も、森林環境譲与税の法律上の使途の範囲内であれば可能な仕組みでございます。

 逆に申しますと、この範囲内でなければ活用はできないということでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 その意味で、先ほどの、木材の活用等々もその範囲内になるかどうかということが問われるということかと思います。

 それで、次に、お渡しした資料の三枚目をごらんいただければと存じます。

 今、森林環境に関する超過課税、これだけの地方自治体が超過課税を行っている。都道府県では三十七団体、市町村では横浜市一団体ということで、税収も三百億を超えるということになっているということでございますが、これは、今回同じものに課税をするということで、同じ住民税の均等割に対して課税をするということで、これは二重課税だと思いますが、その点どうかということを御答弁お願いします。

古賀大臣政務官 お答え申し上げます。

 現在、三十七の府と県、それから一つの政令市におきまして、森林整備等を目的とした地方独自の超過課税が行われているわけでございます。委員お示しの資料のとおりでございます。

 そして、その上で、今回の国の森林環境税は、昨年成立いたしました森林経営管理法も踏まえつつ、主に市町村が行う森林整備等の財源として創設する、こういったものでございます。したがいまして、両者は、財源の帰属主体が基本的に異なるというわけであります。

 ただ、府県等が行う超過課税の使途はさまざまでございますから、使途において重複する可能性がございまして、その点、国の森林環境税は平成三十六年度から課税をすることといたしておりまして、それまでの間に全ての超過課税の期限や見直し時期が到来するというわけでございますから、関係府県等におきまして超過課税の取扱いを御検討いただけるもの、このように考えているところでございます。

 なお、現時点におきます地方団体への聞き取り結果によりますと、平成三十年度末に期限等を迎える超過課税を実施している五団体につきましては、いずれも森林環境税の導入を見据えて御検討をいただいておりまして、両税の考え方を整理した上で超過課税を延長する予定である、このように伺っております。

 総務省といたしましても、森林環境税との関係の整理が円滑に進むように、林野庁とも連携をしながら、関係府県等の御相談に応じまして助言を行ってまいりたい、このように考えております。

 以上でございます。

稲富委員 政務官、なかなか二重課税だとはおっしゃれないのは理解しつつも、国税庁のホームページにこうあります。「二重課税とは、多義的な不確定概念であるが、一般的に、一の納税者に対して、一の課税期間において、一の課税要件事実、行為ないし課税物件を対象に、同種の租税を二度以上課すことを指す」ということで、まさにこれはそのものです。

 その他、もちろん課税に、二重課税はたくさん、その他もありますけれども、今回、新税をつくって、結果としてというか、二重課税があるままで、整理がないままでこれをつくるということで、果たしていかがなものかということは率直に思うわけです。やはり、整理した上でどうするかということが大事ではないか。だからといって、二重課税そのものが即座にだめだということにはならないということも一方ではあるものの、わざわざ、今回新税を導入するに当たって、整理もないままこれをやるのはどうかということは、私は思います。

 ただ、御答弁あったように、各自治体においては、それぞれが、それぞれ期限が切られているので、途中でやめるところもあるかもしれない、そしてその中で、地方自治体が整理をするということですが、ただ、いかがでしょうか。これはある意味、丸投げをして、地方自治体においてそれをどう整理するかということを任せるということになろうかと思うんですけれども、その点は、どこかで国がやはり主導してやるか、何かをしないといけないのではないか、そう思いますが、政務官、いかがでしょうか。

古賀大臣政務官 まさに、今委員御指摘の点は、地方の実情を踏まえまして、各地方団体において御判断をいただくことかな、こういうふうに考えているところでございます。三十六年度の税の施行までの間に見直し期間がございますので、各自治体でそれぞれの実情に鑑みまして御判断をいただければ、こういうふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

稲富委員 この点なんですけれども、地方自治体が独自で課税をするということは、これは私はいいことだと思っています。今回、国税という形で国が課税をして、それによって地方の独自の超過課税がなくなる、あるいは独自の課税がなくなるというのは、むしろ私は、今の地域主権とか地方の、地域のことは地域で決める、地方のことは地方で決めるという考え方からすると逆行するんじゃないかと思うんです。

 と申しますのは、今回は、冒頭申し上げましたように、森林環境の防災力強化とともに、国として、パリ協定があって、それを達成するために森林吸収源対策として、これは国税として、そして課税をし、それに対するお金を国としてやるというのは、それはわかります。ただ、そのことによって地方が、福岡もそうなんですけれども、福岡が課税している、国からお金が来るから自分たちはもう課税をしない、あるいは、国からの財源に頼る、国からの決めたことに頼るというのであれば、私は今の流れと逆行するんじゃないかと思うんです。

 ちょっと大臣、ここは通告をしておりませんでしたが、超過課税をするということは、各自治体が、まさに政務官おっしゃったように、各都道府県が独自に御判断をして課税をして、その財源でもって事業をしているということは、これはいいことだと。それを、国税が来ることによって、各自治体の判断が、ある意味変えて、国税の来るものを頼るようになるということになると、私はそれは、やはり違う、むしろ逆行するんじゃないかと思うんです。その点、もし、大臣、所見があればお伺いします。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 森林環境税は、今いろいろと御議論いただきましたけれども、森林の有する公益的な機能の重要性に鑑みまして、地方団体が実施する森林整備等に必要な財源を安定的に確保する観点から創設されるものでありまして、この森林環境税の創設につきましては、私も実は与党の税制調査会で長年おりましたけれども、随分与党の税制調査会でも丁寧に議論をしてまいりました。

 また、長年にわたって地方団体からの要望もたくさんいただいているわけでございまして、今回の法案の提出につきましても、地方団体からも高く評価をしていただいているというふうに承知いたしておりまして、御指摘の問題については、地方公共団体にも御理解いただいているものと考えております。

稲富委員 時間となりましたので、最後、一言申し上げて、終わりたいと思います。

 冒頭申し上げましたように、新税の導入ということで、非常に大きな政府の御判断かと思います。これからしっかりと議論して、更に論点を深めてまいりたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎でございます。

 きょうは盛りだくさんですので、早速、着席次第、始めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、最初に、辺野古の問題ですね。

 国地方係争処理委員会が、昨日、却下、沖縄県の不服申立て、埋立ての承認撤回の効力の一時停止、これを国交省が判断したことに対する不服申立てをしていましたけれども、これについて却下をしたということでありますが、却下の理由ですね、これはホームページを見てもまだ出ていませんが、どういうロジックで却下になったのか、伺いたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 昨日開催されました国地方係争処理委員会において、沖縄県知事からの審査申出に関して、審査申出の適法性が議論されまして、一つに、本件審査申出は不適法であって却下すると決定され、沖縄県知事に対しては、文言を調整した上で却下する旨の通知を後日発出し、到達後にこれを公表することといたしました。

 その判断の理由の概要について申し上げますと、まず、行政不服審査法に基づく審査請求手続における執行停止決定であれば、原則として委員会が審査すべき国の関与からは除外される、ただ、しかし、国の機関等が固有の資格において相手方となる処分のように、審査請求の対象とならないものを対象とする審査請求などは、審査請求がその成立の要件を欠き、ひいては、執行停止の申立てにも同様の瑕疵があるような場合には、もはや執行停止決定として扱う必要がなく、委員会が審査すべき国の関与に当たり得る。本件執行停止決定にはこのような成立に係る瑕疵は存在しないから、委員会の審査の対象にはならないというふうに決定したものと承知をしております。

 以上であります。

奥野(総)委員 ちょっとわかりにくいんですが、要は、もともと無効となるような大きな瑕疵がないかどうかを審査するんだということなんですね。

 じゃ、瑕疵があるかないかということで審査するとすれば、沖縄県の主張は、要するに、行政不服審査法というのは、そもそも私人の権利救済を迅速簡易にするための法律であって、国が、国の立場で、国を救済するものじゃない、適用対象とならないと。

 これは、そもそも、適用除外規定、七条二項というのがあって、国の機関又は地方公共団体等がその固有の資格において処分の相手方となるものは適用しないんだと書かれているわけですが、今回、ここは判断したんでしょうか。要するに、国固有の資格において処分を受けたかどうかということ、ここを判断しないとこれは議論できないと思うんですが、いかがでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 固有の資格においての判断につきましては、公有水面埋立法における承認と免許の相違につきまして、委員会としては、基本的に両者は適法な埋立権限を付与するということで共通しており、本件埋立承認取消処分は、固有の資格において相手方となる処分には該当しないと判断したところでございます。

 以上であります。

奥野(総)委員 これは踏み込んだんですね。これまで、こういう判断は国地方係争処理委員会はしてこなかったんですよ。要するに、私人と同じ立場で、少なくとも公有水面埋立法の承認については許可と変わらないんだ、私人と同じ立場で処分を受けたんだという判断、踏み込んだ判断をしたわけですけれども。

 大臣にこれは伺いたいんですが、これで埋立てがますます進んでしまうわけです。県民投票も間もなく行われますが、この決定、却下が出たことについて、大臣、いかがお考えですか。

石田国務大臣 お答えをいたします。

 国地方係争処理委員会の決定につきましては、先ほど局長が答弁したとおりでございまして、本件の決定は、国地方係争処理委員会において法令に基づき判断された結果であると受けとめています。

奥野(総)委員 大臣としては、これは尊重する、尊重というか、受けざるを得ないということでしょうけれども、私はやはり、地方自治の観点からはかなり問題だと思うんですね。やはり、地方の立場に立って大臣には物を言ってほしいなと改めて思います。

 この話はもう一つ問題があって、これは執行停止については判断が下っているんですが、肝心の不服申立ての本体。防衛省は執行停止を求めていますが、それと同時に、審査本体として、この埋立ての撤回について取消しをたしか求めていると思うんですが、その本体について、まだ国交省は判断していないんですよ。

 最初に申し上げたとおり、不服申立て制度というのは、私人を簡易迅速に救済するためにできた制度なんですよね。裁判をやってもいいんですが、なかなか大変なので、まずは行政の方で判断をしようというのが恐らくこの趣旨なんですけれども、簡易迅速にしなければならないのにもかかわらず、まだこれは判断が下されていません。

 とりわけ、この埋立ての撤回、埋立許可の撤回の理由というのが、一つは希少生物の保護、沖縄県知事の判断としては、希少生物の保護が必要だという話と、もう一つは、地盤が軟弱だから工事ができないんじゃないかという判断をして、撤回をしているんですね。この件については、総理も本会議等で、地盤が軟弱だから工事の変更をしなきゃいかぬのだ、改めて申請しなきゃいかぬのだということを認めているわけです。

 とすると、あながち、これは理由がないわけじゃない。沖縄県知事の判断も理由があるんじゃないか、こう思われるわけですが、そこの判断をしないままスルーしてしまうのはいかがなものかと思いますが、これは期限を切ってやることはできないんでしょうか。

 標準審理期間というのが行政不服審査法の中にあるんですが、これは適用にならないんでしょうか。今どうなっているんでしょうか。

堀江政府参考人 審査請求につきましては、簡易迅速かつ公正な手続により、国民の権利利益の救済を図る制度でございます。その審理は、審理期間に対する一定の目安を持って計画的に進めることが求められるものでございます。

 このようなことから、平成二十八年四月に施行された行政不服審査法第十六条においては、審理期間の目安となるものとして、審査請求に対する裁決をするまでに通常要すべき標準的な期間、すなわち標準審理期間を定めるよう努めることと規定されているところでございます。

奥野(総)委員 伺いたいのは、じゃ、どれだけの省庁がこれを定めているのか。そして、国交省は定めているんでしょうか。どうなんでしょうか。

堀江政府参考人 総務省におきましては、改正行政不服審査法の施行後一年を経過した平成二十八年度末時点におきまして、その施行状況調査を行っております。その際、まずは標準審理期間について府省別に取組状況を確認いたしました。

 その調査結果によりますと、平成二十八年度末時点では、調査対象二十五機関のうち、一部の手続について標準審理期間を設定済みのものが五機関、設定していないものが二十機関、国土交通省においては未設定となっているところでございます。

奥野(総)委員 これは、防衛省としては埋立てをしたいわけですから、執行停止が効力を有していればいいわけでありまして、今回も、国地方係争処理委員会では却下ということで、執行停止は続いているわけですね。だから、あえて審査を求める理由はないんですけれども、それにしても、一方では私人と同じだと言っておきながら、一方では国の立場というのは、私はいかがなものかと思います。

 大臣にお願いしたいんですが、一般私人の立場に立ったときには、やはり、きちんと標準審理期間を各省庁が定めて、迅速に不服申立てを処理すべきだと思うんですが、各省庁に促していただけますか。

石田国務大臣 総務省としては、先ほど局長から答弁させていただきましたけれども、調査結果を踏まえた通知を発出するなどにより、標準審理期間の設定に取り組むよう各府省に働きかけているところでございまして、引き続き、処理例の多いものや処理が比較的定型的なものを中心に、標準審理期間の設定が進むよう取り組んでまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 しっかりお願いしたいと思います。

 次に行きたいと思いますが、今度はプラットフォーマー規制なんですが、けさの新聞で一斉に、いわゆるGAFAですよね、プラットフォーマーについての企業規制のあり方を話し合う検討会が開かれました、そこに、公取、公正取引委員会、経産省、総務省というのが入っている、こういう報道があるんですが、総務省はどういう立場で入っておられるのでしょうか。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 委員から御指摘のございました検討会でございますが、昨年の七月から設置をいたしましたものでございますけれども、これにつきましては、プラットフォーマー型ビジネスの台頭に対応いたしまして、競争政策、情報政策、消費者政策などの観点から、ルール整備を目的として設置されたものでございます。

 御案内のとおり、総務省におきましては、情報の電磁的流通の規律及び振興に関することを所管しておりまして、この観点から、主にインターネット上のデータ流通環境の整備の視点から検討に加わっているという状況にございます。

奥野(総)委員 これは最初に通告したのが、総務省でやっているプラットフォームサービスに関する研究会ということで最初は通告していたんですが、これとの関係ですよね。これと、記事によれば、データの移転・開放等の在り方に関するワーキンググループというのもつくると言っていますが、どのように連携していくんですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省、公正取引委員会との合同の検討会と、御指摘のございました総務省の研究会では、これまでも互いに検討内容を紹介するなどしているところでございまして、今後とも、引き続き情報共有を図りながら取り組んでまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 これはちゃんと連携をとらないと、ばらばらにやっていてもしようがないので、ぜひお願いしたいと思います。日本の国益にとって非常に重要なことだと思います。

 それで、今申し上げたんですけれども、プラットフォームサービスに関する研究会の検討ですよね。ざっと、中間報告ですか、報告書は見せていただきましたけれども、難しいところもあるんですが、ざくっと言うと、個人の情報をどうやって守っていくか。

 例えば、我々、スマホで検索をしますよ、グーグルで検索した検索履歴はどう使われるんですかとか、あるいは、サイトにアクセスしたアクセス履歴はどう使われるんですか、あるいは、いっとき問題になりましたけれども、メールの中身を勝手に見て、書いてあることについて、例えば、温泉に行きたいなと書いていたら温泉の広告が勝手に送りつけられてくるとか、個人のプライバシーが筒抜けになってしまうというおそれがあるんですが、そうしたところに対応するというようなことを考えているんだろうなと思われるんですが、それらについて具体的に教えていただけるでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、海外のプラットフォーム事業者のプレゼンスが増大するとともに、プラットフォームサービスと通信サービスの融合あるいは連携が進んでいるところでございます。また、こうしたサービスを通じて、大量の利用者情報が取得、活用されております。

 こうしたプラットフォーム事業者による利用者情報の取得、活用は、利用者利便の向上に資するという面はございますけれども、他方で、昨今の相次ぐ個人情報の大量漏えい事案も相まって、その取扱いに対する不安あるいは懸念というものも高まっている状況でございます。

 こうした現状を踏まえまして、総務省では、電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証の一環として、昨年の十月から、今委員から御指摘がございましたプラットフォームサービスに関する研究会を開催をいたしまして、プラットフォーム事業者による利用者情報の適切な取扱いの確保のあり方などにつきまして検討をしているところでございます。

 先般公表いたしました中間報告書案におきましては、ウエブメール等を提供する国外の事業者についても、電気通信事業法に定める通信の秘密の保護規定が適用されるよう、法整備を視野に入れた検討を行うことや、通信の秘密の適用対象範囲を明確化すべき旨などが示されているところでございます。

 現在、中間報告書案に対する意見募集を行っているところでございまして、その結果も踏まえて中間報告書を取りまとめていただくこととしておりますが、今後、この研究会の提言を踏まえて、総務省としても所要の対策をしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 ぜひ、やっていただきたいんですよね。

 以前、この委員会でも質問したことがあるんですが、グーグルがメールの通信障害を起こしたときに、報告徴収できるのか、電気通信事業法で業務改善命令が出せるのかと言ったら、出せないというわけですね。設備がないとか、法人がない。国内法人、国内に設備がないと適用にならないんだ、こういう話だったんですよ。これも同じ話で、通信の秘密も適用にならないということでありますから、ぜひ、海外の事業者においても適用できるようにお願いしたいと思います。

 それからもう一点、今言った、例えば、通信障害、メールが届かなくなったり、何かそういう問題が起きたときに電気通信事業法が適用になるように、そこも国外適用を考えていただきたいんですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、例えば、平成二十九年八月でございますけれども、グーグルによる経路情報の誤送信が原因で、我が国の通信事業者の回線設備に大きな負荷がかかりまして、大規模なインターネット障害となる事案が発生をしております。こうした通信障害に備えた対策は極めて重要な課題であると認識をしております。

 総務省におきましては、同様の事案の再発防止や発生時の早期復旧等のため、経路情報に関する設定ミスや不正、不要な送受信の防止、あるいは障害発生時における通信事業者と総務省との間の迅速かつ効果的な情報共有などの対策を盛り込んだ情報通信ネットワーク安全・信頼性基準の改正等を実施しているところでございます。

 さらに、今委員からも御指摘がございましたような、引き続き、海外事業者に起因する通信障害の社会的な影響の大きさにも勘案をいたしまして、電気通信事業法の適用のあり方を含めて、多角的な観点から検討をしてまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 これもぜひお願いしたいんですね。

 ようやく海外適用の話が動き出して、私も前からやるべきだと思っていたのでぜひお願いしたいんですが、大臣、いかがですか。

石田国務大臣 近年、海外事業者がインターネットを経由して国内利用者向けに多様なサービスを提供するとともに、そのような海外事業者に起因した大規模な通信障害が発生するなど、その社会的な影響力が拡大しているものと考えられます。

 このような環境変化を踏まえまして、利用者が安心、安全に電気通信サービスを利用できるように、利用者情報を保護し、ネットワークに対する信頼を確保していくことが重要であると考えておりまして、このため、海外事業者における適切な利用者情報の保護や海外事業者に起因する通信障害の防止を図るため、必要に応じ、制度上の見直しも含めまして、適切な取組を検討してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 ぜひ法改正を含めて対処をお願いしたいと思います。

 それから、何回か通告して聞かなかったんですが、地方への移住の話ですね。

 地方創生、総理もお認めになりましたけれども、東京圏への人口流入の均衡を図る、二〇二〇年までには東京圏に入る人と出ていく人の割合が均衡する、これが地方創生のそもそもの目的だったはずなんですが、これは、今や総理も非常に難しくなったと予算委員会でお認めになられておられました。

 そして、じゃ、その前提は何かというと、地方に働き口があること、これが大事なんです。これはまた別途予算委員会などで伺いたいと思いますが。

 もう一つ、最近総理がよくおっしゃるのが移住の話なんですよ。均衡の話がもうできないし、地方の職の創設なんというのもなかなかできないのでおっしゃらないんだと思うんですが、唯一おっしゃるのが、そのまま読み上げると、十年前、東京から地方への移住相談は、その半分近くは六十歳代でした、しかし、足元では、相談自体十倍以上に増加するとともに、その九割が五十歳代以下の世代で占められています、特に、三十歳未満の若者の相談件数は五十倍以上になりました、こう答弁されているわけです。

 いや、すごいなと思うんですが、でも、実際移住していないことには意味がないんですね。地方創生というのは、地方に若い人が定住をして、そして子育てをしていく、そうすることで地方の人口も安定をし、そして日本の人口も下げどまる、こういう話だったはずなんですけれども、じゃ、本当に移住が進んでいるのかということを改めて伺いたいんです。

 五十倍と言っていますが、これは一体、いつからいつの間に何件が何件になったんでしょうか。そして、それを受けて、相談はいいんですが、実際に、じゃ、地方に移住した若者の数、大事なのは二十代、とりわけ二十代、三十代、今なぜ流入がとまらないかというと、みんな大学とか就職で若い人が東京にやってくるわけです。帰らないので入超が続いているわけですね。だから、それをとどめるには、やはり若い人が地方に帰ってもらうというのが大事なんですが、どのぐらい移住があるのかというのを大臣にお答えいただきたいと思います。

石田国務大臣 お答えします。

 NPO法人のふるさと回帰支援センターにおける移住相談者のうち、三十歳未満と回答のあった相談者は、二〇〇九年には二十四名であったのが、二〇一七年には千六百九十七人となり、約七十倍となっております。

 なお、そのうち、実際に移住された方が何人いるのかについては、ふるさと回帰支援センターは把握していないと聞いております。

 ただ、先日、私、申し上げました、和歌山県の白浜町のサテライトオフィスへ行かせていただきましたけれども、そこだけで十数名もう移住をしたという話を聞いておりまして、先ほども、午前中の議論でも申し上げましたけれども、やはり若い人たちの意識というのは随分とここ数年大きく変わってきているということは事実だというふうに思っております。

奥野(総)委員 移住を否定しているわけじゃないんです。どんどん若い方が地方に住んでいただきたいし、それがやはり日本が生き残る、繁栄する道だと私も思いますし、この取組はやめてはいかぬと思うんですが、ただ、余りにこれは総理がおっしゃるもので、ちょっと伺ってみたくなったんですね。

 二十四人が千六百九十人、確かにふえているんですが、これは施政方針演説とかでも言っているわけですよ。胸を張って言える話かと思うわけですよ。こんなに実際に移住がふえましたとかいうならわかるんですが、それもわざわざ何倍だとか、そういうテクニックを労して言う話かと思います。

 統計の話もそうなんですけれども、もうちょっと正直に、謙虚に総理にはなっていただきたいなと思って、この話を伺ったわけであります。大臣の御努力とか皆さんの御努力は大事だと思います。だから、総理はもう少し言い方を考えていただきたいなというのがこの質問の趣旨でありますので、よろしくお願いいたします。

 それで、きょうは厚労省もお見えですし、統計の話を残りでさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど来問題になっていますけれども、毎月勤労統計の改善に関する検討、中間的整理、これが九月に出されました。これは予算委員会の方でも私、やったんですが、そこの中間的整理では、ローテーションサンプリングについては、最初、第五回では、やらない、全数入れかえをやると言っていて、最後、第五回は取りまとめと言っていたんですね、取りまとめ案の中では全数入れかえをやると言っていて、それが一カ月たって九月になると、八月から一カ月たって九月になると、取りまとめが中間的整理になって、全数入れかえについては検討だ、ローテーションサンプリングについても検討するというふうに言い方が変わっていたんですよ。

 さらに、統計委員会の基本計画部会、十二月十一日に基本計画部会の中で、いわゆる施行状況調査の中で、厚生労働省が毎勤統計について説明をされているんですが、その中で、いきなりローテーションサンプルを行うようになったんだ、いきなりそういう説明をされているわけであります。九ページの中で、いきなり、ローテーションサンプリングをやるんだという、変わっているわけです。これはどういう判断がなされたんでしょうか。

 九月の十六日から十二月十一日までの間、もちろん間に経済財政諮問会議の麻生発言もありますけれども、この間に、更に十一月四日の経済財政諮問会議もありますけれども、じゃ、どういう判断がなされたのか。先ほど高井委員からもありましたけれども、改善検討委員会では、三月まで、もう一回、引き続き検討する、この件については引き続き検討するといって終わっているんですが、そこを開かないまま、いきなり話がこの統計委員会の基本計画部会に持ち込まれて、しかも、いきなり結論をやる、結論をやるんだ、ローテーションサンプリングをやるんだという結論が出ているわけですが、この間、何があったんですか、誰が判断したんでしょうか。厚生労働省。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省に設置されました毎月勤労統計の改善に関する検討会におきましては、平成二十七年九月十六日の第六回会合におきまして、委員御指摘の中間的整理案が示されたところでございまして、この中間的整理案におきましては、当時の総入れかえ方式について検討するとともに、サンプルの入れかえ方法につきまして、入れかえ時のギャップの縮減を図る観点、また、ギャップの縮減により結果的に精度の向上に貢献する可能性もあることから、現在実施している総入れかえ方式から部分入れかえ方式、いわゆるローテーション方式へ移行することも考えられるというような意見もございました。

 また一方で、サンプル入れかえ時に生じる賃金、労働時間のギャップを十分に縮減するには、部分入れかえの頻度を高める必要があり、入れかえの頻度を、現在の二、三年に一回から毎年又は年に数回に高めた場合には、それに伴い、実務面での問題が発生するという御意見もございまして、サンプル入れかえ方法につきましては、引き続き検討するということにされたところでございます。

 一方、午前中にも答弁させていただきましたように、統計委員会の方では、毎月勤労統計につきましてレビューを行うということに既になっておりまして、そのレビューに向けまして、サンプル入れかえによるギャップを縮減するためにはどうすればいいかといった点、あるいは、統計の精度を高めるためにはどのような方策が考えられるかといった観点から、内部で検討を進めまして、この第六十五回統計委員会基本計画部会、平成二十七年十二月十一日でございますけれども、その場で、ローテーションサンプリングの適用を考えている旨、説明させていただいたところでございます。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

奥野(総)委員 これは、きのう、予算委員会、長妻委員が質問されたベンチマーク更新に伴う補正も、結論、変わっていますよね。九月十六日では、三角補正、三角修正方式を行うんだとなっていますが、十二月十一日では、修正しない、そのまま接続させるというふうに書いてあると思うんですが、いかがですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、以前は、二、三年ごとに新たに無作為抽出しました事業所の総入れかえを実施したところでございまして、過去にさかのぼって数値を補正するということが、その際、段差が生じるということで課題になっておりまして、それにつきまして改善策を検討する必要があるというふうに考えていたところから、先ほどの検討会を開催したところでございます。

 サンプル入れかえに関するギャップを縮減するためにどうすればいいかといった点、また、統計の精度を高めるためにどのような方策が考えられるかということにつきましては、先ほど申しましたように、内部で……(奥野(総)委員「その答え、質問が違いますよ、こっちはベンチマークの話をしているんだから」と呼ぶ)はい。

 そういった中で、ローテーションサンプリング方式を適用するということを……(奥野(総)委員「そっちはいいですから、ベンチマークについて結論が変わっているかどうか」と呼ぶ)はい。

 ベンチマークの更新につきましては、当初の検討会では、中間的整理におきましては、平行移動方式プラス三角修正ということでございましたけれども、ローテーションサンプリング方式を適用するということであれば、三角修正まで行う必要はないのではないかということで、こういった方式をとることにしたと承知しております。

奥野(総)委員 確かに、私は予算委員会で質問したんですが、毎勤統計改善に関する検討、中間整理を、この統計委員会の中でも説明はしているんですよ。ただ、つまみ食いでして、増減を変えないとかそういうところだけ、率は変えないんだということだけつまみ食いしてあって、こういう、結論を勝手に変えているところもあるんですね。

 報告書の中で、今言ったように、ローテーションサンプリングはやらない、あるいは、引き続き検討だと言っていたことをやりますと言い、それから、今言ったベンチマークについても、三角補正方式をとると言ったのを、しないで、平行してつなぐんだといって、勝手に結論を変えているんですよ。そのことには一切触れていないんですね。改善検討会をやりました、その中では、一旦決まった増減率を動かすのは世論に誤解を与えるからよくないんだと、そこは引っ張ってきているんですけれども、そのほかのところは勝手に変えているわけですよ。これはいいんですかね、こんなことをして。

 じゃ、誰の判断でやっているか。これは大臣まで上がっているんですかね。普通、こういう場に出るときは、きちんと大臣に説明をして、こういう検討会中間報告は座長まで御了解をいただいていたけれども、これを変えて出しますということは、当時は塩崎大臣だと思うんですが、大臣にはきちんと御報告をして外で発言しているんでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、確認中でございます。

奥野(総)委員 私の持ち時間は十五分なので、電話するなりなんなりして、終わるまでに答えていただけるでしょうか。お願いします。そんなに難しい話じゃないと思うんですね。

 これは、だけれども、必ず誰か大臣に、こんな大事な話ですから、経済財政諮問会議で麻生さんが指摘している話ですから、そんな話を大臣の了解なしに、同じく、統計委員会が引き取ってやっているわけですから、やっているとは思えないんですよ。ぜひ至急確認をしてください。

 続きますが、きのう、諮問の話が出ていましたね。諮問というか、諮問の答申にベンチマークの更新が入っているかどうかということなんですが、きのう、答弁の中であった八月二十八日の資料ですね、毎勤統計の接続方法及び情報提供に係る統計委員会の評価案という資料、これはホームページに出ていますけれども、その中を見ると、ベンチマーク更新は諮問対象外であると書いてありますが、諮問の申請をしたときに、ここについてはしなかったということでいいですよね。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 統計委員会におきます毎月勤労統計調査に係る諮問審議におきましては、厚生労働省からの変更申請に伴う説明は、標本交代に起因するギャップとベンチマーク更新に関するギャップを区別せず、一体のものとして行った経緯がございます。

 その上で、統計ユーザーの多様なニーズへの配慮等も踏まえつつ、調査統計は遡及改定しないという原則的な考え方に照らし、賃金・労働時間指数の接続方法についても、従前の方法を改め、新旧指数をそのまま接続し、遡及改定を行わないことにつきまして適当という答申が平成二十九年一月二十七日になされ、二月十三日に総務大臣が承認したものというふうに承知しております。

 なお、このウエート更新を含む対応につきましては、御指摘の平成三十年八月二十八日の第百二十五回統計委員会、「毎月勤労統計」の接続方法及び情報提供に係る統計委員会の評価案におきましても、当該諮問・答申との関係について、新旧データ接続検討ワーキンググループでは明示的に取り上げられていないが、標本交代に係る新旧計数をそのまま接続等との考え方を援用したもので、標準的な対応と評価されているというふうに承知しております。

奥野(総)委員 いや、今ちょっとよくわからなかったんですが、接続方法及び情報提供に係る、まあワーキングが開かれていたんですよね。ワーキングの中では明確に議論を二つに分けていて、ベンチマーク更新のような場合と、それからローテーションサンプリングの接続のような場合、二つに分けていて、ローテーションサンプリングの場合は、特に接続、補正しなくても大丈夫だというような議論のもと、一方で、ベンチマーク更新については検討していたわけですよ。していたんだけれども、結論が出ていない。

 結論はどうなっていたかというと、遡及改定をしない場合はその事由を対外公表しろ、こういうことになっていますね。ワーキングの報告書、最後、結論を見ると、まずは遡及改定をしなさい、ベンチマークに起因する断層を解消する、それから、しない場合は、遡及改定を見送る場合はその事由を対外公表する、こう書かれています。

 もう一度聞きますが、しないという判断を厚生労働省でして、諮問の申請も見送った。諮問対象外だとはっきり公の資料で書いてあるわけですから、まず、諮問しなかったんですねというのを端的に確認します。

 それはどういう判断に基づきますか。諮問しないという判断を明確にしたわけですね。これはワーキングで議論しているわけですから、諮問しないという判断を厚生労働省がして、その上でやっていることでしょう。

 そうすると、ここに縛りがかかっていて、遡及改定しない場合は公表する、こうなっていますが、公表は済んでいるんですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 変更申請の中身そのものかどうかという問題があるとは思いますけれども、我々としては、先ほど申し上げましたように、変更申請に伴う説明の中で、標本交代に起因するギャップとウエート更新に起因するギャップにつきましては、区別せず、一体のものとして説明申し上げたというふうに理解しておるところでございます。

奥野(総)委員 説明はしたんですか。遡及改定しない、ワーキングで、そういう場合は事由を説明しなさい、遡及改定しない理由を説明しろと書いてあるんですが、それは明確にしたんですか。

土田政府参考人 ちょっと確認させていただきたいと思います。

奥野(総)委員 今のもきちんと確認してください。

 総務省に伺いますが、これは総務省の統計委員会の中での議論なんですね。西村委員長は、まだペンディングだという認識をきのう示されています。

 ということで、ペンディングなので諮問されていない、遡及改定がないという理解でいいんでしょうか。

 その上で、きょう、西村委員長、時間の関係でこの場にはいらっしゃらないんですが、西村委員長の指摘だと、十分に資料がないということでペンディングだと言っていますが、資料がそろえばもう一度検討しなければいけないということになりますよね。総務省、統計委員会事務局、いかがですか。

横田(信)政府参考人 今お尋ねの西村委員長の答弁につきましては、詳細の、具体的な内容については現時点ではちょっと御本人には確認はできておりません。

 明らかでありますのは、平成二十八年六月から八月にかけて議論をした新旧接続ワーキンググループ、ここの議論の段階では、ベンチマーク要因の断層でどのように賃金指数を接続するかということについては、検討の対象外であったということはございます。

奥野(総)委員 ですから、対象外ということは、諮問の対象外ということですね。だから、委員長のおっしゃっていることは正しいということだと思います。

 ということは、厚労省が独自の判断で、内容を変えて、見送ったということですよね。これは統計委員会の中の議論に沿っていませんよね。

 こればかりやっていてもあれなんで、進んでいきますが、今言った、大臣が関与していたかどうかという話と、公表したのかどうかというのは、ちゃんとあと数分のうちに回答してくださいね。回答がないと、とめますよ。

 それからもう一つ。話題をかえますが、十二月十四日に、総務省の統計管理官室から厚労省の担当参事官宛てに、毎勤統計の実施に係る経緯の調査、十三日に統計委員長が重大な問題だと認識した、それを受けて、現状報告をしろという文書が厚労省に行ったと思うんですが、これはきのう聞いたんですが、この回答はあったんでしょうか。

土田政府参考人 お尋ねの十二月十四日付の依頼につきましては、当時、事案の詳細につきまして把握に努めているという段階でございまして、総務省に回答できる状況ではなかったというふうに承知しております。

奥野(総)委員 これは、どんな影響があるかということは、十三日の時点では、復元処理がなされていないということは委員長には伝わっていないんですよね。厚労省の中でも、大臣には二十日に伝わったと言っていますが、この間、動いていないんです。せっかく十四日に文書が来たんだから、ちゃんと影響を調べろという文書が来ているわけです。何で対応しなかったんですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたとおり、事案の把握に努めている段階でございまして、回答できる状況にはなかったというふうに承知しております。

奥野(総)委員 これは、この後、二十八日に新聞が書いて、事態が動き出すわけです。一月四日に、今度、大臣名で報告の命令が行って、ようやく本腰を入れるわけですよね。やはりこれは、対応が、厚労省、遅過ぎますよね。

 それからもう一問。大臣ですが、予算委員会の方ではさっきの改善検討委員会の議事録を出してもらったんですが、統計委員会の議事録が、議事要旨は直近二回を除いて出ていますが、議事録が百二十五回から百三十一回、平成三十年八月、まさに今のベンチマークの見直しの議論があった回ですけれども、そこから議事録は出ていないんですよね。これは理由は何ですか。そして、いつ出していただけるんでしょうか。

横田(信)政府参考人 まず最初に、この議事概要、議事録がおくれておることにつきましては、おわびさせていただきます。

 統計委員会自体は、原則、会議は公開としております。あわせまして、議事概要それから議事録についても速やかにつくるということで進めておったわけでございますが、統計委員会は月一回開催するということのほか、分科会、部会等、頻繁に開催されるということもございました。これを限られた事務局職員で対応しているということでの事務のおくれということでございまして、ここは重ね重ねおわびさせていただきます。

 いつできるかということにつきましては、これも作業を急ぎまして、何とか前に進めていきたいなというふうに思っております。

 順番といたしましては、議事録は時間がかかりますので、まず議事概要、それから議事録という順番で作業を進めていくということにさせていただければと思います。

奥野(総)委員 いや、だけれども、平成三十年の八月ですよね。もう半年以上たっているわけですよ。過去の例を見ると、毎回、前々回分ぐらいの議事要旨を、議事録を必ず配られているわけですよね。ところが、ある時点から配られなくなるわけですよ。これはよっぽど理由があるんだろうなと思います。

 時間が来るようですが、最後、今、厚労省、私が出した宿題、ベンチマーク更新について遡及適用しないということについて公表を求められていましたが、したのか。それから、さっき言った基本計画部会での発言について、大臣の許可をとってきちんとやっていたのかということ。二点。

 それから、もう一度、最後に確認しますが、諮問はしていないんですよね。ベンチマークの更新、遡及適用しないということ、ここの部分については諮問はしていない。諮問対象外だということは、諮問もしていないし、答申にもないということでいいですよね。

 以上、三点。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣への報告につきましては、先ほども申し上げたように、まだ確認中でございます。また、公表につきましても同じでございます。

 また、諮問事項かどうかということにつきましては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

 それから、答申につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、賃金・労働時間指数の接続方法について、従前の方法を改め、新旧指数をそのまま接続し、遡及改定を行わないことにつきましては適当という答申が二十九年一月二十七日になされているというふうに承知しております。

奥野(総)委員 時間が来ましたが、あした、私、予算委員会に立つので、大臣の判断があったかどうかは、きょう宿題を投げましたので、お答えを願いたいというふうに思います。

 とめようかと思いましたが、後の方もいらっしゃるので、これで終わりたいと思います。

 以上です。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 本日は、この間の総務大臣所信表明で述べられました防災、減災について質問をさせていただきたいと思います。

 総務大臣から、防災、減災について、南海トラフ地震それから大規模風水害、そしてテロ災害に対応するために消防力を強化しますという趣旨が述べられました。

 私も、東日本大震災に、防衛省・自衛隊のときに対応いたしまして、消防の重要性というのは非常に実感しております。そういう意味で、消防力の強化ということについては、私も一緒になって取り組んでまいりたいというふうに思っています。

 特に南海トラフ地震、これが三十年内に七〇%から八〇%の確率で起きる。もし起きた場合に、政府の被害見積りによれば、東海地方が大きく被災するケースでは、死者が最悪三十二万三千人というふうに言われております。そういう中で、やはり被害を最小限にするためにも、徹底して防災、減災に取り組む必要があるんだというふうに私も思います。

 そういう意味で、この消防力の強化というのは進めていかないといけないと思いますが、大臣は、和歌山県の海南市長をされておりまして、消防署それから消防団、実務的な責任者として携わってこられたと思いますけれども、この南海トラフ地震などの大災害に備えた消防の重要性それから役割について、大臣の思いを述べていただきたいと思います。

石田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘のように、消防は、災害から住民の生命、身体及び財産を守ることが責務とされており、将来、南海トラフ地震や首都直下型地震などの大規模災害の発生が危惧されることから、常備消防、消防団の両面から消防体制を強化していくことは極めて重要だと考えております。

 とりわけ、私は、広域的な大規模災害が発生した場合に、常備消防では対応し切れないところがたくさん出てくると。その際は、まず、初期の対応ができるのは、やはり地域に密着している方であり、そのリーダー的役割を果たしていただけるのが消防団だというふうに感じているわけでありまして、消防団の皆さんには、最近の大規模災害でもさまざまな場面で御活躍をいただいております。

 私も、海南の市長をしておりました。また、就任以来、去年の七月の豪雨災害、九月六日に発生しました北海道の胆振東部地震の被災地、そして東日本大震災の被災地である福島県、視察をさせていただきました。応急復旧活動に携わった消防団員などの声も直接伺ってまいりました。

 こうしたことを通じまして、地域の防災力を全国的に強化する必要性について強く思いをしておるところでございまして、消防団を始め消防防災体制の充実強化に向け全力で取り組んでまいりたいと思っております。

井上(一)委員 ぜひ、強い思いを持って、引き続き消防の強化に尽力いただきたいというふうに思います。

 私の地元の福知山消防署に、ことしに入って最新鋭の救助工作車が導入されまして、それから、平成三十一年四月から、緊急援助隊として救助員五名が新規登録されるということになりました。大規模災害などで重要な役割を果たす緊急消防援助隊について質問をしたいと思います。

 資料を皆様のお手元に配らせていただいていますが、これは消防庁からの資料なんですけれども、緊急消防援助隊、これは阪神・淡路大震災を教訓に平成七年に創設され、平成十五年には法制化されたというふうに聞いております。被災県知事からの応援要請があり、消防庁長官の求め又は指示で全国から緊急消防援助隊が出動するという枠組みになっていると聞いております。これは、東日本大震災それから七月豪雨でもこの緊急消防援助隊が派遣されて、人命救助等の活動に当たったということであります。

 この緊急消防援助隊の仕組みについてもう少し詳しく説明していただくとともに、どういうような活動をこれまでしてきたか、それから、今後の課題、その課題に対応するためにどう取り組んでいくか、お聞かせいただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急消防援助隊でございますけれども、お示しの資料にございますとおり、通常、消防は市町村消防でございますので、通常の火災、事故、災害の場合は市町村レベルで対応いたします。それが大きな、市町村レベルでの対応が難しい災害になりますと、今度は、都道府県レベルで相互応援協定を各消防本部が結んでおりまして、それで都道府県レベルでの対応ということになります。

 しかし、都道府県レベルでの対応でも難しい、より大規模な災害の場合でございます。この場合につきましては、先ほどお示しいただきましたように、都道府県を越えた消防の広域応援を行う仕組みがございます。これが緊急消防援助隊という仕組みでございまして、阪神・淡路大震災を教訓に平成七年に創設され、平成十五年に法制化されました。

 緊急消防援助隊は、基本的に、先ほども御紹介ありましたが、被災地の都道府県知事から消防庁長官に応援要請が来ます。この応援要請に基づきまして、被災地以外の都道府県知事に消防庁長官から出動の求め又は出動の指示を行いまして、被災地に消防の部隊が出動するという枠組みになっております。

 この緊急消防援助隊でございますが、平成七年の創設以降、東日本大震災ですとか昨年の七月豪雨などの災害に対しまして、計三十八回出動いたしておりまして、人命救助活動などを実施してきたところでございます。

 この緊急消防援助隊の今後の課題でございますけれども、今後、甚大な被害が想定されます南海トラフ地震への対応、それから、多発する大規模風水害時の救助体制を強化すること、それから、国際的なイベントが控えておりますので、その中でのテロ災害への対処などが課題だと認識をいたしております。

 こうしたことを踏まえまして、おおむね五年ごとに緊急消防援助隊の基本的な計画を改定をいたしておりまして、本年三月に改定する予定でございます。登録目標隊数、今までの六千隊から六千六百隊に増強しますとともに、先ほどの風水害に対応するための特別な部隊でありますとか、化学剤等のテロ災害に特化した部隊をそれぞれ新たに創設をいたしまして、部隊に必要な重機とか水陸両用車などを計画的に配備することを検討しているところでございます。

井上(一)委員 緊急消防援助隊について、教訓ということで、東日本大震災のときには長期に活動が及んだものですから、この支援体制が重要な課題であるというふうに指摘をされていると承知しております。自衛隊では後方支援活動と呼びまして、特に重視した活動となっておりますけれども、いずれにしても、こうやってしっかりした応援体制なしに長期に活動を続けることはできないと思います。

 緊急消防援助隊への後方支援のあり方についても取り組まれているというふうに聞いておりますけれども、今までどのような取組がなされてきたか、また今後どのように取り組まれるか、教えていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災のときの緊急消防援助隊の活動でございますが、八十八日間に及ぶ活動をいたしました。その間、テントとか調理器具等の資機材が不足したことや、宿営場所の衛生管理などの課題があり、後方支援体制の確保が重要と改めて認識をしたところでございます。

 このため、平成二十五年度以降、大型テントや調理器具、簡易トイレなどを備えまして、百名規模の宿営が可能な車、拠点機能形成車を順次配備をしておりまして、今年度末で二十二台が全国に配備できる予定でございます。さらに、平成三十一年度当初予算におきましても、一台分の整備費として一・三億円を計上しているところでございます。

 また、緊急消防援助隊の訓練におきましても、この拠点機能形成車を活用いたしまして効率的な後方支援活動を行うこととか、汚染、感染予防を考慮することなどについて重点的に訓練で取り組んでいるところでございます。

 今後とも、緊急消防援助隊の効果的かつ効率的な後方支援活動が行えるよう取組を進めてまいります。

井上(一)委員 緊急消防援助隊、当然、いろんな訓練をしておかないといけないと思いますし、特に、緊急消防援助隊の指揮命令は被災地の市町村長が行うということで、それをサポートするためには、全国の消防署から指揮支援隊それから指揮隊などが派遣されるというふうに聞いております。

 こういった部隊が来ても、常日ごろは違うところにいるわけですから、一カ所に集まって活動するとなると、常にやはり実践的な訓練をしておく必要があると思いますが、どういうような訓練を行っているのか、教えていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 緊急消防援助隊の訓練でございますが、毎年度、全国を六つのブロックに分けまして、その六ブロックの地域単位で、地震等による倒壊家屋からの救助訓練や多重衝突事故への対応の訓練、それから大規模な街区火災や石油コンビナート火災に対する消火訓練など、実践的な訓練を関係機関と連携をしながら実施しているところでございます。

 さらに、おおむね五年ごとに、より大規模な災害を想定しまして、全国の合同訓練、全国一カ所で行います合同訓練を実施しておりまして、第五回は千葉県で行いました。次回は、平成三十三年度に第六回を実施する予定となっております。

 こうした訓練におきまして、実際の災害で明らかとなった課題を反映させ、検証を行いまして、緊急消防援助隊の運用の改善に生かしているところでございます。

 今後とも、こうした実践的な訓練を継続して行いまして、緊急消防援助隊の機能強化を図ってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 緊急消防援助隊については以上で終わりまして、次に、消防団について質問をさせていただきます。

 平成二十九年度補正予算と平成三十年度当初予算との合計が十八・五億であったのに対して、平成三十年度補正と平成三十一年度当初予算との合計が四十八・六億円と二倍増になっているということで、私は、この点については高く評価したいと思います。

 東日本大震災におきましては、消防団の皆さん、みずからを犠牲にしてまでも、水門の閉鎖、それから避難の呼びかけなどの任務を遂行されて、公務中に百九十八名の方が亡くなられました。

 こういったことで、公務で亡くなられるということは非常に残念なことです。東日本大震災の教訓を踏まえて、消防団の安全対策、それから装備強化、どういうふうにして取り組んでおられるか、教えていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災におきましては、水門閉鎖や住民の避難誘導などに消防団員が献身的に活動をされました。その一方で、多くの団員が犠牲となったところでございまして、その教訓を全国の消防団員の安全対策に生かすことが重要な課題として認識をいたしております。

 消防庁では、東日本大震災を踏まえまして、平成二十三年十一月から検討会を開催をし、多くの犠牲者が生じた要因の分析を行いました。そして、平成二十四年三月には、各市町村に対しまして、退避ルールや指揮命令系統の確立等を内容といたします津波災害時の消防団活動・安全管理マニュアルの整備を要請したところでございます。

 平成二十五年以降、毎年、そのマニュアルの策定状況を調査して公表しております。海岸を有する市町村及び津波の遡上による被害が想定されている市町村、これは全国で六百六十四ありますけれども、平成三十年四月一日現在で、避難指示区域を有します福島県内の三町を除く六百六十一市町村においてこのマニュアルの策定が完了したところでございます。

 また、上述の、今申し上げました消防団員の安全対策に係る課題を踏まえまして、平成二十三年度第三次補正予算におきまして、消防団安全対策設備整備費補助金を創設し、ライフジャケット等の安全用の資機材とか投光器等の夜間活動用の資機材の緊急整備を行ったところでございます。

 さらに、平成二十五年の地域防災力充実強化法の制定を契機といたしまして、ライフジャケットや安全靴等、消防団員の安全確保のための装備等の充実を図るために、平成二十六年に消防団の装備の基準を改正をいたしました。その改正に伴い、消防団の装備に係る地方交付税措置、これを大幅に増額したところでございます。

 あわせて、地方公共団体の長に対します総務大臣の書簡、消防庁長官等による通知の発出、それから全国消防防災主管課長会議等を通じまして、消防団の装備の充実に向けた取組を働きかけてきているところでございます。

井上(一)委員 消防団の設備、これについて力を入れているということで、今回、消防団救助用資機材補助金を創設されたということで、資料も配っておりますけれども、こういう中で消防団の装備の充実強化をするということについては評価したいと思います。

 ただ、補助対象機材が、ここに書いてある、エンジンカッター、チェーンソー、油圧切断機、AED、ジャッキ、トランシーバーということで、補助対象資機材が限定されているわけですけれども、ここは限定することなく、もう少し、本当に消防団が必要なものを補助するという考え方で取り組んでいってもいいのではないかと思います。

 というのは、各消防学校におきましては、女性や学生でも扱いやすい小型動力ポンプを使っていたり、それから、オフロードバイク、ドローン、こういうものを使用した教育訓練を実施しているということですので、こういう装備を導入したいという消防団もあるんじゃないかと思います。そういう消防団に対しても、今言ったような機材を補助してあげるということは大事ではないかと思うんですが、三年間に限定するということであれば、もう少し消防団の充実強化のための施策を幅広くやっていくという必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の消防団設備整備費補助金でございますが、これは、平成三十年七月豪雨等の大規模災害を踏まえまして、地域防災の中核を担う消防団におけます救助能力の向上を図ることを目的といたしまして、消防団の装備の基準において必要とされる配備の割合、これがとりわけ低い五種類の救助用資機材及び情報伝達を行う携帯用無線機でありますトランシーバー、これの整備を期限を区切って特例的に進めるため創設したものでございます。

 平成三十年度第二次補正予算のみならず、平成三十一年度当初予算案におきまして、国費分としてそれぞれ七・四億円の確保をお願いしているものでございます。

 一方、平成三十一年度当初予算案におきましては、御紹介ありました、消防団が災害現場の状況を速やかに把握するための先進的な資機材として、オフロードバイクやドローンのほか、地域の実情に応じて必要数を配置すること等とされております動力ポンプの一つであって、女性や大学生等の消防団員も容易に扱うことが可能な小型動力ポンプ、この三種類の資機材等を都道府県の消防学校に無償で貸与するための所要額についても計上しているところでございます。

 これは、平成二十九年度当初予算それから平成三十年度当初予算においても同じように措置がされておりまして、三年間で全ての都道府県の消防学校に配備をし、まずはこういうものについて消防団員の使用方法等の教育訓練を行うことを目的とするものでございます。

 したがいまして、先ほどの消防団設備整備費補助金と無償貸与につきましては、それぞれ趣旨、目的等が異なるものでございますが、いずれにいたしましても、消防団の装備につきましては、先ほど申し上げましたように、装備に係ります地方交付税措置を大幅に増額しているところでございまして、こういう施策を総動員してと申しますか、通じまして、消防団の充実強化に全力で取り組んでまいります。

 以上でございます。

井上(一)委員 ぜひ、消防団の装備の充実について引き続き取り組んでいっていただきたいと思います。

 前回、消防団員の報酬について質問させていただきましたけれども、今回は、消防団員の遺族補償について質問させていただきたいと思います。

 消防団員は非常勤の地方公務員という位置づけですので、公務中に死亡した消防団員の遺族に対しては、賞じゅつ金を含む遺族補償が行われるというふうに承知しております。

 先ほど述べましたような、東日本大震災などでみずからを犠牲にしても任務を全うされた消防団員の方の遺族に対して、具体的にどのような支援が行われるのか、教えていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 消防団員が殉職をされた場合には、御指摘の賞じゅつ金のほか、消防組織法や消防団員等公務災害補償等責任共済等に関する法律等に基づきまして、公務災害補償として、御遺族に対し、一時金や年金等が支給されることとなっております。

 例えば、一つの例として、殉職した消防団員の方が在職年数十年未満の男性の分団長の場合で、扶養親族として奥様と中学生、小学生のお子様がいる場合、こういうケースを想定いたしますと、まず、初年度には、遺族補償年金などや、それから各種の一時金がございます。例えば、葬祭を行った場合に支給される葬祭補償費でありますとか、遺族へのお見舞金として支給されます遺族特別支給金などの一時金がございます。こういうものを合わせまして、合計で約二千五百七十六万円支給がされる。次年度以降は年金でございまして、年金と、教育費の負担の奨学援護金、合計で約三百四十六万円支給されるということになります。

 以上でございます。

井上(一)委員 やはりみずからを犠牲にしてまでも公務を遂行した方、その遺族の方がきちんと安心して生活できるように手厚く対応していただきたいと思います。

 東日本大震災のときに、日本消防協会が運営する消防団員福祉共済制度の弔慰金、これが、死亡した方が多かったということで、本来ならば二千七百万円もらえる弔慰金が一千百万円に減額をせざるを得なかったという事例があったと聞いています。

 これは、法人の弔慰金だということで、国が関与することはできなかったということだと思いますが、今は弔慰金についてはどのような扱いになっているのか、御説明していただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、公益財団法人日本消防協会が運営をいたします消防団員等福利共済制度でございますが、全国の消防団員が任意で加入する福利厚生のための相互扶助の制度でございます。

 東日本大震災当時、消防団員の死者・行方不明者が多数であったため、弔慰金を従前の額で支給することは共済制度の運営上困難であるとの理由で、日本消防協会におきまして支給額の減額を決定したものと承知をいたしております。

 こういった経緯を踏まえまして、大規模な災害に備えた共済事業の安定的な運営を確保するということで、平成二十四年度には一時的に掛金を三千円から四千円に引き上げるなど、給付に充てるための積立金であります責任準備金の積立てを計画的に行ってきているところでございます。

 その結果、平成三十年三月三十一日現在の責任準備金でございますが、約三十九億四千万円ということになっておりまして、今後の大地震や風水害の発生に備えた共済運営を行っているものと承知をいたしております。

井上(一)委員 それでは、残り時間が余りなくなりましたが、先ほど、消防団員を希望する人が少なくなってきて、それをふやすためにも、伊藤先生の方からテレビCMをやったらいいのではないかというような話がありましたけれども、私も同様に、一つ一つの消防団での取組というのは限界があると思いますので、全国的にテレビCMをやっていくというのもいい考えだと思いますし、ACジャパンに頼んでみるというのもいいのではないかと思います。

 いずれにしても、消防団員を希望する人が少なくなっている中で、消防団の顕彰など重要な役割を果たしている消防協会に対して国も支援をしていく必要があるのではないかと思っています。

 平成二十一年度までは、広報誌の発行、それから研修等の支援として、年に四千万円程度の補助を行っていたというふうに聞いておりますけれども、現在は消防協会に対してどのような支援が行われているか、御説明いただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 お答えの前に、済みません、先ほどの答弁の中で、日本消防協会が運営する制度、消防団員等福利共済制度と申し上げてしまいました。正式には、消防団員等福祉共済制度でございます。申しわけございません。訂正させていただきます。

 今のお尋ねに対するお答えでございます。お答え申し上げます。

 日本消防協会は、消防団員や消防職員、地域において自主的に消防防災活動を行う方々の福祉厚生、消防施設整備等の改善充実、消防知識、技能の向上など、消防活動の強化や地域防災の向上を図る重要な役割を担っておりますことから、消防庁としても、密接に連携して活動を支援いたしておるところでございます。

 例えば、毎年秋に開催しております全国消防操法大会、それから全国女性消防団員活性化大会につきましては、消防庁と日本消防協会とがともに主催者となり、一緒に実施をしているというところでございます。

 引き続き、日本消防協会と連携して、消防団員などの支援をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 最後に、大臣、これは、所信の中で、災害からの復旧復興に向けて被災地方公共団体の財政運営に支障が生じないよう適切に対応しますと言っていただいておりますので、いろんな自治体がかなり困っていると思いますので、特別交付税の配慮、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは五十分いただいていますが、有意義にやっていきたいと思います。

 最近、いろいろ、いろんな支持者の皆さんとか、ネットとか、いろんなところで国民の皆さんの御意見を伺っていると、ちょっと今の国会どうかという、国会に、まあ、政府に対するものもそれはありますが、国会に対する苦言がやはり大変多くなってきていると思います。

 私は、もちろん、議院内閣制のもとで、政府には当然説明責任があるわけでありますが、ここに並んでいる私たち国会議員にも、国会議員としての責任がこれはあると思いますね。しっかりと取り上げたテーマについては結果を出していく。何か、どこまでも、いつまでたっても答えが出ないような空虚な質問を余り繰り返さないように、一般論ですよ、これは一般論ですが、そういうふうに大変強く思うわけであります。

 この国会は統計の話がいろいろ出ていますが、きのうの予算委員会を見ていても、きょうの新聞ですけれども、統計不正と手法変更は別問題だ、これは安倍総理が、統計不正と手法の変更は別問題だ、いや、それは別問題に決まっていますよね。これをまぜこぜにしてわざわざ国民にわかりにくくしているのが今の国会の維新以外の野党の質問だ、こう思います。

 更に言うと、その統計不正と、抽出の、サンプリングの手法の変更と、それから何かアベノミクスの実質賃金がどうのこうのという経済指標の問題、この三つをわざと混乱させているんだと思うんですよね。

 きのうも、夜十時半ぐらいに、玉木雄一郎さんが、きょう、国民の皆様も、国民でしたっけ、いつもお世話になっております、中谷先生ね。中谷先生も、きょう御質問を拝見していましたけれども、誰が答弁するかなんというのはどうでもいいと思いますよ。(発言する者あり)いや、だって、一番詳しい人が答弁したらいいじゃないですか。それで、きょうの中谷先生の質問を見ていると、明らかにそれは局長がやればいい話を、いや、大臣やってくれ、何で大臣が答弁しないんだと言うけれども、それは大臣が答弁するに値しないテーマだからですよ。(発言する者あり)まあ、いいや。

 だから、余り誰が答弁するかとかいうのは、それはやはり質問する側の責任も大きいと私は思いますよ。

 きのうの夜、玉木さんが、御党の代表がこういうことをツイートされていました。官邸や経済財政諮問会議がやることは、統計ルールを都合よくいじることではなく、これもひどいよね。官邸や諮問会議が統計ルールを都合よくいじっているという前提で書いているんですね。こういうのを印象操作と言っているわけです。官邸や諮問会議がやることは、統計ルールを都合よくいじることではなく、どうやったらみずからの会社も含め労働分配率が上がるかを考えることだ、これは実質賃金の話をしているんだと思いますけれども、総理に質問したが明確な答えはなかったと胸張ってツイートしているんですけれどもね。

 いや、それは、あなたが政府に聞くんじゃなくて、国民民主党として提言した方がいいんじゃないの。国民民主党。玉木君だから。玉木君だから。国民民主党として、しっかりと。

 僕は本当にそう思うんですよ。大体、政府に聞くんじゃなくて、じゃ、どうやったら経済がもっとよくなるのか。安倍政権、アベノミクスに文句があるんだったら、もっと、どうやったらいいのか。いや、僕は意見がありますよ、きょうもちょっと申し上げますけれども。

 そうやって、総理に質問したが明確な答えはなかったと胸張って言っているのは、国民民主党の、支持率はうちより低いので、ちょっと胸張って私も言いますけれども。

 その関係で、けさ、ある方がツイートされていました。苦言ですよ、国民民主党に対する。

 労働組合を支持母体とする政党は、ほかにもあります、労働組合を支持母体とする政党は実質賃金向上の責任は自分たちにあると思ってほしい。そうだよね、労働組合なんだから。そして今回の春闘でのベースアップ目標を五%程度とし、これが実現できなければ枝野と玉木は、僕が言っているのはツイッターですよ、僕は呼び捨てにしませんから。国民です、国民。枝野と玉木は責任をとって代表からおりるぐらいの覚悟を示してほしい。過去の実質賃金のデータをちまちまなめているときか。ばあっと、ツイッターですよ。これが国民の声だと思いますよ。

 だから、私は、きょう、お時間を頂戴していますし、西村統計委員長にも、ありがとうございます、大変お忙しい中、大変尊敬を申し上げております西村委員長、お越しをいただいていますし、それから、同じ西村、西村康稔副長官にもおいでをいただいています。ありがとうございます。

 できるだけ早くその部分を終わらせて、御退席をいただきたいと思っていますが。

 それで、早速、西村委員長、済みません、いや、もう頭で答えていただいたら十分ですが、ずっと国会が統計の問題でわあわあやっています。

 先ほど私が申し上げたように、統計不正の問題は、これは委員長が一番怒っていらっしゃるように、十何年にもわたって統計不正があったということは大問題ですね。これは大問題。これを、西村委員長も再三、これはけしからぬということをおっしゃっている。

 それから、西村委員長、経済の御専門ですから、当然、名目賃金、実質賃金の話も、これは言うに及ばず、野党の国会論戦がいかに意味がないかということは十分御理解されていると思いますが、それは答弁を求めません。

 むしろ、三つに分けて、経済指標の問題と、統計不正の問題と、その間に、今一番国会に時間をとっている、手法の変更ですよ、手法の変更。西村さん、これは何か問題がありますか。

西村参考人 お答え申し上げます。

 問題があるかどうかということについて、端的にお答えができませんので、それは、どういうような経緯で、どういうふうな形で、透明性のある形で、かつ、中立性を保ちながら、そして、私がもう一つ申し上げたいのは適時開示ということを含めて、そういった形で、きちんとした形でなされているかどうかということが問題だというふうに思います。

足立委員 済みません、立憲ですね。失礼しました。中谷先生は立憲でございます。ここにおわびして訂正申し上げたいと思います。もうみんな一緒に見えるので、済みません。

 西村委員長、ありがとうございます。

 もちろん、先生は学者というか委員長でいらっしゃるから、それはケース・バイ・ケースだし、背景によるということだけれども、野党は、何かおかしい、おかしい、それは官邸の指示だ、そういう見立てで迫ってきているわけですが、西村委員長はどういう見立てですか。

 要すれば、この一連の統計不正について、西村委員長はどういう見立てでいらっしゃいますか。

西村参考人 これは統計委員会の委員長としての答弁という形になりますが、これはもう何度も申し上げていますけれども、過去二十年間の間に起きた、その府省統計部署の体制の弱体化という深刻な問題の氷山の一角だというふうに認識しています。長きにわたって、統計部署の軽視から、人や予算などのリソースの削減が進んで統計作成部署の足腰が弱っていたということが背景にあるわけで、この問題に対処しない限り、抜本的な解決はありませんし。

 基本的には二点が重要な点で、一つは、統計の専門的な知識を持つ専門家、統計の専門家が不足している。これは、統計というと狭く捉えがちなんですが、統計というのは実は広いんですね。経済の統計であれば当然経済もわかっていなきゃいけない、それから、社会の統計であれば社会もわかっていなきゃ、そういった広い視野を持った専門家というのが不足しているというのがまず一点で、そのために、初歩的な誤り、この初歩的な誤りが重要な点なんですが、それが放置されていたということが一つ大きな問題です。それから、二番目は、管理職の能力の不足ですね。統計作成実務をしっかりとチェックしていく専門的な能力や、職場の実情把握力が不足していたという点が大きな問題だというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 全く御見識でありまして、私も統計不正については全く同じ意見です。だからこそ、今国会冒頭の代表質問においても、我が党の馬場幹事長の方から、やはり、そういうガバナンス、統計の組織の問題をやはりしっかりと考えなあかん、そのときに、多くを言ってもわかりにくいので、我が党からは、例えばイギリスの統計、国家統計局のような、各省庁から独立したようなちゃんとした組織をしっかりつくった方がいいよなということを馬場幹事長から言っていただいたわけであります。

 まさに今、普通の見識のある方、普通以上の見識のある方は、普通にそう思います。だから、それをしっかりと統計不正についてはやっていかなあかん。これは、余りここで何か官邸のことを持ち出して議論する必要はありません。

 今問題になっている、もう一つの、その調査方式ですね、サンプリングの話。

 これは、西村さん、ちょっと通告がちゃんとできていないかもしれないんですけれども、私は、サンプリングの話ですが、経済実態を的確に反映させて、サンプルの入れかえに伴う変動を緩やかにするために行われたことなわけですけれども、そういうふうな目的をしっかりと踏まえれば、別に、かつ、それは厚生労働省だけじゃなくて総務省の承認も得ているわけですから、私は、今回の調査方法の変更自体、経緯はまた調べたらいいですよ、しかし、その変更自体に何か殊さら国会を挙げて、これだけ大の大人が集まって、国会議員が、そして政務三役がずらりと並んでいるところでわあわあやる話かと。

 私は、いやいや、それは、いろんなやり方があるけれども、今選ばれているサンプリングのやり方も、今申し上げたように、経済実態を的確に反映させ、入れかえに伴う変動を緩やかにするという目的から見れば一定の合理性がある、こう思います。専門家としてどうですか。

西村参考人 統計委員会として、先ほど申し上げましたように、中立性、それから適時開示、それから透明性ということをお願いしているわけですので、そういうことから考えれば、いろいろな考え方があって、その考え方に関してが、なぜそういう形になっていったのか、そういったことに関しての十分な情報提供がなされ、それを客観的に判断できるようにするというのが一番重要な形になります。

 したがいまして、そういった情報開示がきちっとなされていたかどうかというところが問題でありまして、今回のケースの場合はそれがなされていなかったというのが、統計委員会の統計、技術的な側面から見たときの大きな問題であるということです。

足立委員 全くおっしゃっていることはよくわかるんですが、一方で、その中身、まさに今おっしゃっているのは手続面ですね。私が申し上げているのは、中身として、いや、これは、統計委員長、ちょっと、統計委員長を離れては余り発言できないのかもしれませんが、要すれば、私は一定の合理性があると思うんです。一定の合理性がある。そんなむちゃくちゃなことをやっているわけじゃない。

 答えにくいかな。難しい。ちょっと、委員長、やはり有識者として、いや、私はこれはおかしくないと思うんですよ、だって、なだらかになるんだから、どすんとこないんだから。

西村参考人 統計委員会としては、この諮問に対しての回答というのを既に出しておりまして、それに従えば、それはそのとおりでありますということであります。(足立委員「もう一言。そのとおりというのは、妥当だと」と呼ぶ)諮問の結果として、そういうのは、我々としてはそれは認められるというふうに、そういう答申を出しております。

足立委員 まさに今御答弁をいただいたように、今野党がわあわあわあわああげつらっているこのサンプリングの仕方というか調査方法の変更、これは、総務省が、統計委員長が、いや、これは諮問を受けて、我々はこれは問題ないというふうに言っているという話なんだから問題ないんですよ。問題ないのに、ああだこうだ言っている。

 結局、私は、これは政府が信用されているかどうかに尽きると。もう統計の問題でもないんですよ。先ほどの統計不正のところであったように、これは、統計組織、政府の組織が信用されていない。いや、もしかしたら安倍官邸、安倍さんの官邸も信用されていないのかもしれません。

 すると、これを検証するに当たっても、ここで何かよくわからない人がよくわからない質問をするんじゃなくて、やはり、しっかりとした、国民が信用するに値する検証組織でこれを点検、検証することが一番大事だ、こう思うんですが。

 きょうも午前中、総務大臣からも御紹介があった今やっている検証、厚生労働省の監察委員会、厚生労働省の中ですよね。それから、総務省の行政評価局、これも総務省の中です。だって、これは総務省が問題になっているんだから、厚生労働省と。それから、統計委員会。だって、統計委員会って、今回、当事者ですよね。

 西村委員長、私は、今回、統計委員会は当事者だと思っているんですよ。だから、厚生労働省の統計については統計委員会が見たらいいですよ。そやけども、政府全体の統計のあり方は、だって、統計委員会って当事者じゃないですか。八条委員会か三条、まあ八条委員会なんだろうけれども、それは一定の行政権を今付与されつつある組織です、一定の行政権をね。すると、今、先ほど、きょう午前中、総務大臣がおっしゃられた、ここでやっています、ここでやっていますって、全部当事者じゃないですか。

 何で本当の意味での第三者、だから、西村委員長に伺いたいのは、統計委員会に設置した点検検証部会というのは、これは第三者性はあるんですか。

西村参考人 お答え申し上げます。

 統計委員会そのものは、基本理念に、適切かつ合理的な方法により、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければいけないというふうに明確に置いています。

 ですから、これは、重要なのは中立性ということで、私は、先ほど申し上げましたけれども、中立性、適時開示、それから透明性、この三つの点で非常に重要な点だというふうに考えております。

 それで、これをやるために、今回に関しましても非常に注意を払っておりまして、それは、例えば点検検証部会の会長につきましても、二月十五日の委員長談話というのがホームページに載せてありますが、そこでは、曲がりなりにも中立性に関して疑念を生じるようなことのないように、部会長を川崎委員から河井委員に変更して、かつ、ワーキンググループも二つ、場合によってはもっとふえるかもしれませんが、そういう形で、それぞれの省の統計に何らかの関係があったと思われるような人は、そこのワーキンググループの議論には参加しないという形で中立性を確保するという形にしております。

 第三者委員会かと言われますと、それは第三者委員会ではありませんが、中立性という形で、この中立性と同時に、それから専門性というのも必要になってきますので、その間の絡みの中で、これが最適だというふうに考えておりますし、それに対応する専門チームも部会が中立性、公平性、公正性、透明性を保った運営を徹底することができるようにサポートするようにお願いしております。

足立委員 西村委員長の御決意というかお考え、これはよくわかります。

 でも一方で、本当、これは総務大臣、いわゆる総務省の官僚の皆さんが統計委員会を支えています。これは総務省が持っている委員会ですからね。

 以前も私ちょっと取り上げましたが、いわゆるその審議官をヘッドとする政府統計検証チームというのをアレンジされていると思います。ここが、統計委員会点検検証部会の事務を担う、報道では実質的な作業を担う、こう報道されているんですね。

 西村委員長は、だって大先生ですからね。実務部隊は当事者なんじゃないですか、大臣。実務部隊というのは、総務省の中の政府統計検証チームは、これは当事者なんじゃないですか。あれ、大臣に聞いちゃいけない。誰でもいいよ、さっきそう言ったもの。

江田委員長 質問は明確ですか。(足立委員「誰でもいいよ」と呼ぶ)

 横田大臣官房政策立案総括審議官。

横田(信)政府参考人 今お話のございました政府統計検証チームの審議官というのが私でございますので、私の方からちょっとお話をさせていただきますということでございます。

 もちろん、この統計委員会、これまでいろいろと作業をやってきたということでございますけれども、今回の点検検証部会は、先ほど委員長からもございましたように、特に中立性、専門性に配慮してあるということ、それから、あと、これも非常に大事なところだとは思っておりますけれども、委員長からも先ほどお言葉がございましたように、しっかりと委員が主導してやっていくということでございますので、私どもが前に出るとかそういうことではなく、サポートに徹していくということでやっていきたいというふうに、ここで申し上げさせていただきます。

足立委員 僕はもう、まあ、いいけれどもね。もう面倒くさいからいいけれども。

 しかし、国民はやはり信用しないと思いますよ。だって、先ほど西村委員長も言われたように、ある程度統計のそのコミュニティーの中にいらっしゃらないとこれはわからないし、でも、コミュニティーの中にいれば当事者性が出てくるから大変難しいんだけれども、しかし、統計委員会の点検検証部会を支える横田さんでしたっけ、横田総括審議官が支えるチーム、僕はやはり国民はそれは信用はなかなかし切れないだろうなと思います。

 で、なぜ、こういうことになるか。厚生労働省は、ああいう監察委員会しかつくれない、総務省はこういう体制しかつくれない。なぜつくれないかというと、これは総務委員会で何度もやっていますけれども、僕は、ガイドラインをつくるべきだ、第三者とは何だというガイドラインを。大体、先ほどから皆さんいろいろ、いや、第三者、客観的、中立的と言うけれども、では、第三者性って、どうやって担保するかについて日本は政府の中に規範がないんですよ。第三者性って何だ。大臣に前これを総務委員会で伺ったときは、いや、いろいろバリエーションありますから、一律にそれは決めることはできない、言っているんだけれども、一律に決めることができないからといって、適当でいいかということじゃないですよね、大臣。これは適当な、適当でいいんですか、第三者性。

 客観性、中立性というのを、単に委員長の決意とかそういうことではなくて、外形的に確認できるような、だって、委員長のお言葉、私は西村委員長は信用していますよ。でも、西村委員長が、統計委員会検証部会、そして、その横田総括審議官をトップとする官僚のチームをしっかりとマネージできる、ガバーンできるかどうかについては、それは国民はわからないですよね。わからない。それを、客観的、外形的に、明らかにこれは公正な体制である、第三者性、中立性、客観性を担保できるということを説明しなくていいんですか、大臣。

石田国務大臣 今いろいろと御指摘をいただきました。

 私は、例えば、毎勤統計の、厚労省の特別監察委員会、これも、当初御指摘もいただいた中で、より独立性の強い形に今なって、されていると思いますし、また、賃金統計につきましては、これは総務省の方から行政の評価局がチームを組んで行っているわけでありますし、今の統計委員会の点検検証部会におきましても、今委員長からもお話ありましたように、新たに部会長以下有識者の皆さん方を選出する、そしてそのサポートする体制として、チームを編成をして事務的なサポートをするということでありますので、私は十分に活動していただけると思っておりますし、何よりも、まず、今大きく三つの部門で調査がなされておりますけれども、こういう結果を、しっかりやっていただいて、その結果を踏まえて、そして、総合的にどういう形のものをやっていかなければならないのか、国民の、どうすれば信頼を得られる統計の機構、行政が成り立っていくのか、そういうことをしっかりやっていくことがこれからの大きな課題だと思っております。

足立委員 結局、ここで私が大臣から伺えたお言葉は決意ですよ、あるいは認識。大臣は、できると思う。大臣は、中立性、客観性を担保、これでできると思う、俺は信じている。いや、いいんだけれども、そんなことは。そんな石田大臣の御決意とか国民は求めていません。

 繰り返し言いますが、外形的なルール、外形的に国民が確認できる、第三者とは何かという規範を政府として僕は定めるべきだと思うんですよね。西村委員長、私、西村委員長とこうやってお話しできるのが余りないので、こういうの要ると思いませんか、ちょっと一言。

西村参考人 お答えいたします。

 統計委員会委員長として発言しなきゃいけないので、端的に言えば、これは統計委員会の範囲を超えてしまうので、お答えすることはできないとしかお答えしようがありません。

足立委員 ぜひまた、この国会の外で、またぜひ面談等をさせていただいて、また御見識を拝聴できればと希望しております。

 さて、きょう、西村官房副長官においでをいただいています。

 西村さん、結局、私は、この通常国会でずっと繰り広げられている安倍総理に対する印象操作、これはひどいと思いますね。もうあり得ないですよ、この国会。この野党の質の低さ。野党が質が低いんじゃないんだ、野党の質問の質の低さですね。やはりこれは、僕は、国民ももうあきれています、よくこんなことで遊んでいるなと。先ほどツイッターで紹介をしたとおりです。

 しかし、じゃ、なぜ野党がこういうレベルの低い質問しかできないかというと、特に今の野党の方は、政治と行政の役割分担がわかっていないんですよ。政治家は何をすべきで、大臣は何をすべきで、行政官、官僚は何をするのかということについてわかっていないんですよね、皆さんね。いや、皆さんの一部ね。

 だから、政権をとったときだってそうでしょう。民主党政権で政府に入った国会議員たちは何をやっていたかって、自分で電卓をたたいていたわけですよ。そして、大臣室には官僚は入れない。

 こういう政治と行政の線引きを、間違っている、それをハンドリングできない、それをマネージできないところに今の野党の限界があるし、民主党政権でそれを失敗したのと同じことを、またこの立法府に場所を移して、この立法府でも野党は失敗しているんです。だから、しようもない質問、そんなもの、議員会館の部屋で聞けばいいようなことを延々と議論をする。

 そうじゃなくて、ここは、ここでしかできないことをやったらいいんでしょう。そういうことがやはり野党はできない。まあ、それはいいや、野党の話は。

 西村長官、じゃ、政府にも私は問題があると思いますね、自民党にも。その最大の問題は、私は、今の第三者性の話ですよ。当事者と第三者というのの線引きがぐちゃぐちゃなんですね、自民党は、自民党政権。

 だから、見てください、あの森友学園。森友学園のときに何が起こったかといったら、国民の財産である国有地を払い下げるときに、第三者である不動産鑑定士にそれを委託する。ところが、一番大事な地中のごみの話は、当事者である大阪航空局に丸投げしていたんですよ。それが一番たたかれたわけでしょう。だから、そうですよ、当事者にやらせたらだめなところで当事者にやらせているのが、あの森友学園が紛糾した最大の問題です。

 いや、隣の野田中央公園はもっと悪いんですよ、やるべきことをやっていないんだから。当事者にやらせるだけ、まだましですよ。野田中央公園は誰もやっていないんだから。僕は、だから、政府は悪いと言っているんじゃないんです。民主党政権より安倍政権は百倍すばらしいです。

 だから、そこは御理解をいただきたいんだけれども、でも、じゃ、安倍政権、自民党政権の最大の欠点は何かというと、そこの、当事者と第三者の線引きができないところですね。それが原因で、不動産鑑定評価、これは豊中市だけじゃないんですよ、全国の国有地、公有地の払下げがずさんなんです、特に国有地は。

 だって、公有地でずさんな払下げをしたところはみんな住民監査請求を受けているんですよ。公有地、自治体は、自治体所有の土地をずさんな形で払い下げたら住民監査請求を全部受けています。受けて、たたかれています。場合によっては賠償ですよ。それは市長さんが賠償、住民訴訟に訴えられるわけですよ。

 森友学園でしょう、それから財務省理財局の公文書の改ざん、これだって、別に、普通だったら国民監査請求を受けないといけないけれども、受けられません、制度がないから。そして、今回の統計不正。不動産鑑定も、公文書管理も、そして今回の統計不正も、全てずさんなんです。それは、厚生労働省だけの問題じゃない、森友学園だけの問題じゃない、理財局だけの問題じゃないんです。

 霞が関全体にそういうずさんさが広がっているその原因は、私が今申し上げたように、チェックする人がいない。地方公共団体はチェックする人がいるんです。住民です。住民が監査請求をする、住民訴訟に訴える、これができる。

 だから、大阪で橋下市長とか橋下知事はいっぱい訴訟を打たれたわけですよ。変なことをしていたら、たたかれるから、というか、裁判に訴えられるから、橋下大阪府知事、大阪市長は懸命に、ずさんなルールをもう一回組み直して、どこからたたかれても、どこから訴訟を打たれても、資財を奪い取られないように彼は頑張ったわけですよ。だから今、大阪の行政はきれいになっているわけです。

 西村副長官、国は、私は、こういう制度、国民が、厚生労働省、総務省、財務省に対しておかしいじゃないかということを監査請求する権利、これを国民に認めるべきだと思いますが、どう思われますか。

西村内閣官房副長官 足立委員におかれましては、常々明快な御指摘、御提案をいただいておりまして、本日も御提案をいただいたものというふうに思います。

 まず、政府内で検証、調査等を行うときには、御指摘のように、客観性、中立性、これに疑念が抱かれることがないよう、これからも取り組んでいきたいというふうに思います。心して取り組んでいきたいというふうに思います。

 その上で、御指摘をいただいた点でありますけれども、まず、行政の適正さを確保するためには、行政内部で監査等を行う機関が適切に機能を発揮していくことが大事だ、極めて重要である、まずこう認識をしております。

 その上で、御指摘の国民訴訟制度ともいうべき御提案でありますけれども、まずは、会計検査院による行政のチェック機能に加えて、地方自治法における住民訴訟のように、国民が訴えを提起することにより国の行う契約や支出の適法性を裁判所が審査する仕組み、これを指しているものというふうに思います。

 ただ、このような制度を設けることにつきましては、憲法におきまして、国の財政については国会が統制をすることとされ、また、国の収入、支出の適法性については会計検査院が検査を行う仕組みがとられている、こうしたこととの関係等を整理する必要があり、慎重な検討が必要ではないかというふうに考えられます。

 地方における住民が身近なところの訴訟を行うのと、国会、国が外交、防衛などを含めて幅広い観点から行うことについて、憲法上の規定との整理も必要ではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、大切なことは行政が適正に運営、運用されるということでありますし、足立委員のお考え、御指摘、御提案をしっかり受けとめて、まずは会計検査院の機能が十分に発揮されるよう、引き続き配慮してまいりたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 自民党はやらないですね、これは。自民党はこういうことはやりません。立派な政党ですからね。でも、我々維新の会は、やはりそういう自民党が、戦後七十年、あるいは自民党が結党されてから六十数年、自民党がつくってきた社会というのはそういうものだと思っているんです。そういうものなんです。

 きょう御紹介したようなことですよ。財務省、厚生労働省、文科省、みんなそうです。だから、我々維新の会は、そもそもの統治機構、今申し上げたような憲法機関である会計検査院のあり方、あるいは国会のあり方、こういうものをもう一回つくり直していかないと、とてもじゃないけれども、国民の皆様に疑念を与えないような、信頼していただけるような国づくりをすることはもうできないところまで自民党の六十年にわたる治政というのは来ていると、私は強く訴えるところでございます。

 西村長官、お忙しいと思うので、ありがとうございました。またよろしくお願いします。

 今の関係で、きょうは会計検査院にもお越しをいただいています。

 会計検査院は統計不正について、これはしっかりと検査しないんですか。

宮内会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、国や法律に定められた機関の会計について検査を行い、会計経理が適正に行われるよう監督するという職責を担っております。

 そして、会計検査院は、これまでも統計調査に係る会計経理について検査を行っており、不適切な事態が見受けられた場合には、その結果を検査報告に掲記しておるところでございます。

 今般の政府統計の諸問題につきましては、国会での御議論を踏まえ、統計調査に係る会計経理について、引き続き厳正に検査を実施してまいりたいと考えております。

足立委員 いや、会計検査院、今私がこうやって質問している文脈、わかっていますか、会計検査院。会計検査院がサボっているからみんな困っているんだと言っているんですよ、私は。

 大体、森友学園のときも、私は、会計検査院の課長を呼んで何回も言いましたよ。森友学園だけ見ていてもわからないよ、一筆の土地のもう一方の野田中央公園も一緒に調べたらいろんなことがわかるよとあれだけ教えてあげたのに、結局やらない。やらないんですよ、会計検査院は。

 会計検査院は憲法機関ですよ。なぜ日本に国民訴訟制度がないかといえば、会計検査院があるからですよ。先ほど西村長官は国会ということもおっしゃいましたが、いや、そういうことでいえば、地方自治体だって、二元代表制のもとで議会があるじゃないですか。国は、議院内閣制だから、よりそれは弱い。そうであれば、それは一緒ですよね。とりあえず、それはおいておくと。

 やはり日本の統治機構に欠けているのは、会計検査院がその憲法に規定されている役割を果たしていないことなんですよ。いや、適宜、適当にやりますじゃなくて、これだけ統計不正、問題になっているんですよ。大体、会計検査院だって、十五年間か二十年間か知らないけれども、これを見つけられなかったわけでしょう。反省の弁はないんですか、反省の弁は。反省と決意を答弁。

宮内会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 委員からも御指摘ございましたように、会計検査院は、内閣から独立した憲法上の機関として、国や法律に定められた機関の会計を検査し、会計経理が適正に行われるように監督するという職責を担っているところでございます。

 会計検査院といたしましては、改めて、この会計検査院の職責を認識し、与えられた権限を活用して、しっかり検査してまいりたいと考えております。

足立委員 結局、こういう、憲法に規定されている立派な組織というのは、だめだったら潰されるんですよ。だから、僕はもうだめだと思います。僕は、憲法に規定されている会計検査院は、その役割を果たしていないと思います。国会だって果たしていないんだけれどもね、僕以外は。

 だから、私は、ここで提案をしておきたいのは、もう憲法を改正して、アメリカみたいに、会計検査院はもう国会のもとに置いた方がいいですよ。国会の附属機関にする。国会の附属機関にして、アメリカもいろいろ紆余曲折があって、GAOという米国の会計検査院が、結局、議会のもとに今置かれているんですよ。いろんなことがあったけれども、ねえ、先生。

 だから、しっかりと、そういうことをこれから国会でやります、憲法をつくっているのは国民だからね。その国民の行政不信、国民の自民党に対する不信は、これはもう憲法レベルで解決していかなきゃあかん。

 だから、我々維新の会は、例えば平和安全法制でいろいろもめました。平和安全法制でもめて、万年野党と万年与党が違憲かどうかというのでもめたけれども、それは誰も決着つかないですよ。だって、日本には憲法裁判所がないから。

 だから、我々はあのとき、平和安全法制のときの国会で我々は何を言っていたかといったら、憲法裁判所をつくろうと言っていたんですよ。そうしたら、本当は賛成すべき山尾志桜里とか、ああいうのが、憲法改正反対と。おまえら、何がしたいんだと。やはり、本当に違憲論争をしたいのであれば、憲法裁判所をつくるしかないじゃないですか、ねえ、高井先生。

 だから、立憲民主党も国民民主党も、ちょっと心を入れかえて、日本の国がちゃんと繁栄を続けられる統治機構というのは何なんだということをちゃんと議論した方がいいよ。

 一つは、憲法裁判所ですよ。

 それから、今新しく申し上げているのは、会計検査院を国会に附属をさせるぐらいの改革をしなければ、国民の自民党政権に対する不信は、これはもうフラストがたまるばっかりですよ。もちろん野党がしっかりしていて、野党に政権を動かせればいいんだけれども、それもできないわけでしょう。まあ、いいや、ちょっと。

 とにかくそういうことを提案をしておきたいと思います。

 きょうは、本当は、マイナンバーとか外国人労働者とか、いろいろやりたいんですが、消費税とかね。ちょっと、あともう五分ぐらいしかないんで、どうしようかな。

 もう一問、そうだ、西村委員長、まだ、ありがとうございます、この後もありますものね。西村委員長、せっかく来ていただいているんで、もう一問。

 先ほどあったように、日本の統計はずさんだということが現実としてある。それをどう検証するかは、また、さっき言ったみたいに、いろいろ検証したらいいんだけれども。そもそも、よくあったじゃないですか。年金、消えた年金とか、要すれば、ずさんなんですよ、ずさん。特に年金はずさん。何もずさん。今回、統計もずさんだということがわかった。

 大阪でも、何か中小の小売店にアルバイトの方が歩いて調べに行くわけですよ。それを、もう行っても、だから、要はサボってちょっとこうやったりとかね。それで、何でそのサボっていたのが発覚したかといったら、お礼品を送ったら戻ってきたというわけですよ、お礼の品を。統計調査に協力してくれてありがとうといったら、そこはないというわけですよ。でも、事業所がどこにあるかって、事業所がどこにあるかって、だって、捕捉しているでしょう、普通は、国家たるもの。

 それは、法人番号とか、これからはマイナンバーとか、いろんな制度インフラがある。そういうものをちゃんと全部使えば、もっと合理的な統計調査の仕組み、つくれると私は思うんですよね。そういうの一緒にやりませんか、委員長。

西村参考人 お答え申し上げます。

 今の話は、恐らく、新しいいろいろな情報の基盤というのはできてきている、その情報の基盤を使って、統計調査というものもいろんな形で再構築した方がいいのではないか、そういう御提案だと思いますが、方向性は全くそのとおりだというふうに思っております。

 先ほど、調査員の方にちょっと不心得者がいたということなんですが、それは、私としてはちょっと訂正していただきたくてですね……(足立委員「ああ、そうですか」と呼ぶ)ええ、非常に優秀な調査員の方はたくさんいらっしゃるわけですよね。それが、今回の場合は、残念ながら数名の方がそういうようなことでその問題が生じた。これはほかの調査でもあるんですが、それが全体の調査員のインテグリティーといいますか誠実さになるとすると、やはりそれはちょっと私としてもあれですので。

 基本的には、今のシステムで、それは厚生労働省であろうとどこであろうと、調査員の方は、やはり非常に長い時間それに従事されて、使命感を持っておられます。私は大内賞委員会の委員長でもありまして、大内賞というのは、その統計の調査員の方、非常に長い期間に非常に優秀なお仕事をされた方に賞を差し上げているわけですが、これは大変な作業でありまして、そういうものの積み重ねの上でできている。

 私が非常に心配しているのは、今回のいろいろな不正、不適正なことが、この調査員の方に対する不信のようなもの、若しくは、調査員の方がお願いすることに対して、それは大変な作業をしていただかなきゃいけないので、それに対して、嫌です、やめます、そういうような拒否をされる、そういうのの理由にされてしまうと非常にまずい形になる、という形になりますので、その点についてはお考えいただきたいというふうに思います。

 以上です。

足立委員 ありがとうございます。

 西村委員長からの御指摘はもう大変ごもっともで、今回の統計不正の騒動をもって、まさに、統計調査の基盤みたいなものが、地域におけるその統計調査の基盤みたいなものがもし侵食されるようなことがあったら、もうこれは大変な問題だから、そういう方々の名誉にもかけて、これは、しっかりとそういう信用は保っていかないといけない。

 でも、西村委員長、だからこそ私は、きょう、こうやっているんですよ。だからこそ、国民から信頼される検証をしっかりとしていかないといけない。幾ら西村委員長が、いや、調査員の方はすばらしいんだと言っても、それは、国民は、じゃ、誰が悪いんだといったら、また野党が安倍総理が悪いとか言うわけでしょう。

 そういうことじゃなくて、やはり、何が問題なのかということを外形的、外形的に公正であるということがわかるように、そういう検証それから点検、検証を、部会あるいはワーキングでもお願いをしたいし、そのリーダーシップを西村委員長にしっかりととっていただきたい、こうお願いを私からもしておきます。

 調査員の方等の名誉については、改めて私も意識してこれから発言をしていきたいと思いますが、ただ、繰り返しになりますが、この国会が、本当にこの印象操作の場と化してしまっているわけです。国民もそれを見破ってきていますね。だから、やはり、きょう西村委員長がおっしゃった、統計調査の行政のガバナンス、ガバナンス自体をもう一回どう再構築していくかということについて、我々維新の会、日本維新の会、そして私も、しっかり力をかけて、そういうものを政府・与党と論戦を闘わせていきたいと思いますので、また委員長、委員長のお立場から御助言をいただきますようお願い申し上げて、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 一人の嘘は万人の実を殺す。新聞紙上でもそう紹介されておりましたけれども、これは一九二〇年、第一回国勢調査が実施された年に政府が公募した統計の標語で、大阪府の方で一等に選ばれた作品だそうです。

 まさにこの百年前の標語のとおり、毎月勤労統計の不正の発覚、これに端を発して、日本の統計全体の信頼が大きく損なわれようとしております。皮肉にも、百年前のこの標語というのは恐らく国民に向かって言われたことだろうと思いますけれども、今疑念の目を向けられているのは、まさにその統計を収集し、作成をする政府の側に向けられていること、これをぜひ深く自覚をしていただきたいと思います。

 本日は、大変お忙しい中、引き続き西村統計委員長においでいただいておりますので、西村委員長を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 今、毎月勤労統計の調査方法の変更に当たり、政府の関与があったのかなかったのかということが大きな議論になっておりますが、調査方法の変更については統計委員会でも議論してきた経過がありますので、その点、最初、何点かお聞きしたいと思います。

 二〇一五年の十一月四日の経済財政諮問会議で、日銀の黒田総裁が、直近の名目賃金のマイナス部分は、統計上のサンプル要因が影響していると思われ、実勢で見た賃金は緩やかに上昇している、こういう発言をされたのをきっかけにして、民間委員でありますとか、あるいは総務大臣、ほかにも大臣の方が、毎月勤労統計などについて次々と意見を表明をされました。

 これに続いて、同年の十二月十一日、統計委員会基本計画部会が開かれておりまして、基本計画部会で西村委員長は、この経済財政諮問会議の話を持ち出し、私は非常に重く受けとめていますと冒頭に述べられております。

 重く受けとめるというのは一体どういう意味なのか。それは、この経済財政諮問会議で指摘をされたという、この事実を重く受けとめられているのか。それとも、今回のサンプル入れかえに際して、新旧の調査結果にギャップがこれまで生じてきたということについてはもう御承知のとおりだと思いますが、こうした問題についてみずから以前から関心を抱いていたということなんでしょうか。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 端的に申し上げますと、この経済財政諮問会議の以前から、問題というのは認識、問題というか、毎月勤労統計については問題があるというふうに認識しておりました。その点については、先ほどから申し上げましたけれども、標本入れかえ時の断層の発生とその要因、それから断層の縮減や補正、それから速報値と確報値での改定要因や傾向というようなことを解決すべき問題というふうに認識していたところです。

 それで、申し上げますと、これは、そういった問題意識で毎月勤労統計を考えなきゃいけない。それから、その他、これ以外のものに関してもいろいろな問題があるということを我々は認識していまして、それを考えなきゃいけない。これは横断的に考えなきゃいけないということを考えていたわけですが、そのときに、ユーザーである経済財政諮問会議の方からいろいろな御指摘を受けましたので、当然ながら、それを重く受けとめて、こういう問題に関してはきちんと考えなければいけないというふうに考えたわけです。

 スケジュール的にいえば、二〇一五年の六月二十五日に、統計委員会の基本計画部会においては、毎月勤労統計については平成二十七年十一月以降に審議を行うということのスケジュールを決めて、それから、平成十九年の、二〇〇七年の十月の設置以降一度も審議されていない基幹統計、いわゆる未諮問統計というものについて、重要性や必要性の観点からチェックを行うべきであるということが二〇一三年の八月になされており、これに基づいて、同年十月には総務大臣に対して意見を提出したという形になっています。

 こういった意見を受けて、基幹統計の改善というのを図ろうとした、そういう背景のもとで、ユーザーとしてのこういう意見が出てきたので、それを重く受けとめる、そういう形で発言したということでございます。

吉川(元)委員 今、ユーザーからの声を重く受けとめるというお話でございました。もともと問題意識は持っておられたということであります。

 少し古い話になりますけれども、サッチャー政権のイギリスの時代に、たしかレイナー統計改革というのが行われて、統計がほぼでたらめになってしまった歴史的な経過があります。もうGDPの統計も、全く整合しないような統計が次から次へと出てきた。簡単に言えば、人を減らして、金を減らして、その中で、統計改革を進める中で、たしか、ちょっと正確に名前を覚えていないんですけれども、統計の責任ある方か、大臣だったのか、政治家だったのかわかりませんが、ユーザーの声にしっかり耳を傾けるというようなことを発言をされて、実はこれは、その後イギリスの統計改革では大きな問題に発展をいたしました。

 ユーザーというのは、主には国、政府でありますから、ユーザーの指摘について考えるのは結構ですけれども、ユーザーの声を重く受けとめるという言い方の中には、そのイギリスのサッチャーの後の統計改革の時代には、これは、じゃ、政府のために統計をやるのかというような、そういう議論が実際にイギリスで過去の経験として存在をしていたということは、一つ指摘をさせていただきます。決してそういう立場でやられてはいないというふうには思いますけれども、同じような発言がありましたので、この点については指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、十二月の十一日の基本統計部会で、先ほどの、厚労省の石原課長が調査方法の変更案を説明をしております。ローテーションサンプリングと、それから、標本入れかえ時点での旧標本の指数を段階的に補正をし、新標本に接続をしてきたけれども、変えずに新しい標本に接続していく、こうしたものが柱だったというふうに思います。

 これに対して、統計委員からは、それぞれから、ギャップが生じている要因を掘り下げて分析してからでないと説得力がないという意見が複数出されておりまして、委員長も、最後のまとめのところだったと思いますけれども、正直言って、これでは少し難しい、説明できていない感じです、これを諮問会議に出したら、どうしようもないという感じがします、このように言われておられました。どういう中身で、恐らくこれは厚生労働省の説明ではとてもじゃないけれども耐えられないよというようなお話かというふうに思いますが、また、その中で、定量的にどうなのかというようなことも指摘をされておられます。

 その後、サービス統計・企業統計部会で議論が重ねられて、二〇一七年一月二十七日の統計委員会で、この毎勤統計の変更という、総務大臣への答申案が委員会で了承されております。

 これは、答申案を見る限り、結果として、これじゃ難しいと言っていた、厚労省が説明した変更案と大きく変わっているようには見えないんですが、当初、これではどうしようもないよねと言っていたものが、わずか一年後ですか、ほぼ一年後には、ほぼその内容で了承される、そこに至った経緯あるいは理由は何だったんでしょうか。

西村参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、十二月十一日の基本計画部会においては、ローテーションサンプリングを導入する予定という報告がなされて、それに対して、ギャップの要因、それから未提出の事業所分が賃金等に与えるバイアスなど定量的なエビデンスが不足していた、私もこれは明らかに不足していたというふうに思って、改めて審議を行うという形にしたわけです。

 その後、二〇一六年の二月十六日の統計委員会の基本計画部会においては、これは、標本入れかえに伴うギャップの縮小に向けて、ローテーションサンプリングの導入の方向性とか、それから調査期間を三年一カ月、一年ごとに三分の一を入れかえるという案が示されるとともに、そのギャップの縮減効果というのを定量的な数字を出してきたので、それを三月二十二日の統計委員会において取りまとめて公表したという形になっております。

 それから、二〇一六年の六月三十日、それから七月二十九日、八月三十一日に、横断的課題検討部会という、先ほども申し上げましたけれども、府省横断的に統計をいろいろ精査して、そしてできるだけ共通の土俵に乗るようにするということをやったことなんですが、その検討部会のもとでの新旧データ接続検討ワーキンググループという会合があります。そこで、多くの統計調査においては標本交代時にリンク接続などをしていないということを踏まえて、ギャップを修正することなく、直接接続しながら、ギャップが過度に広がる前に標本を交代させるということが標本交代の接続方法の望ましい方法として結論づけるという形になりました。

 これを踏まえて、十月二十七日の諮問では、このような審議結果となったわけです。つまり、ローテーションサンプリングの導入、それから部分的な標本交代を毎年行う、それとともに、新指数と旧指数をそのまま接続させて、遡及改定もしないというこの審議結果を踏まえて、厚生労働省において、事業所サンプルの入れかえ方法に関して調査計画を見直したということが行われたために、サービス・企業統計部会における審議を経まして、一月二十七日の答申において、情報提供の充実などを指摘し、かつ御案内のような了承という形になった、そういうのが経緯であります。

吉川(元)委員 それでは、昨年八月二十八日、第百二十五回統計委員会の最後の議題、その他のところで、この毎勤統計について厚労省から説明を求めております。どのような問題意識で説明を求めたのか、簡単に御説明ください。

西村参考人 済みません、簡単にできなくて、ちょっと詳細に言わなきゃいけないので、ちょっと詳細になるかもしれませんが、毎月勤労統計については、二〇一八年の一月以降に、ローテーションサンプリングの変更を踏まえた調査計画によって調査が実施されたわけです。

 それ以前は、御案内のように、標本を一斉に切りかえる方式を採用していた、そのために断層ができたということだったんですが、ローテーションサンプリングの導入によって従来より断層が小さくなるということを想定していたわけですね。

 そうすると、実際上、一月の結果、ローテーションサンプリング導入後の初の結果というのが四月六日に行われました。四月の十六日に、総務省が以前から求めていた報告について厚生労働省からの説明があって、ローテーションサンプリングを導入しても断層が小さくならなかったということが判明したわけです。このため、この断層の要因について、まずは、細かい分析ではなくて全体の視点からの分析等を私から厚生労働省に求めたわけです。しかしながら、返事が来なかった。

 つまり、厚生労働省の対応には非常に時間がかかって、七月十二日に厚生労働省からようやく統計委員会の部会に中間的な報告があって、その後、八月二十八日に統計委員会に報告があったという形になっています。それがこの背景という形になっています。

吉川(元)委員 そうしますと、翌月、九月の二十八日の統計委員会でも呼んでおります。つまり、八月二十八日の段階の説明では、これではまだ不十分だということで、九月の二十八日にもう一度説明を求めたということ、そういう経緯でよろしいんでしょうか。

西村参考人 九月二十八日に説明を求めて、それでその説明を受けたわけですね。その受けたときのものに関しては、基本的には、わかりやすい説明資料を示せという形で要請したわけです、その二十八日の一つ前の統計委員会ですが。二十八日の厚労省の説明は、なかなか評価は難しいんですが、これに応えたものであったというふうに統計委員会としては整理しまして、その説明資料により、統計ユーザーの理解が深まるということが期待されると整理したということであります。

 重要な点は、そのときの統計委員会では、厚生労働省に対しては毎月の公表資料の説明を開示すること、これは先ほども申し上げましたように、透明性の確保という点で極めて重要ですし、適時開示という点では極めて重要ですが、この点と、それから、今後は、そうした説明は毎年実施する改定と同時に提供する、これは適時開示のことですが、これを要請したということであります。

吉川(元)委員 恐らく、八月、九月、両方の統計委員会の会議の場で厚生労働省が示した資料の一つが、毎月勤労統計におけるローテーションサンプリングの導入に伴う対応についてということで、いわゆる段差の原因を分析をしたものが出ております。

 ローテーションサンプリングを入れれば段差がもともと少なくなるという話だったのが、実際には非常に大きな段差、このときはプラスの二千八十六円という段差が出ている。それ以前の切りかえ時は、大体、過去、その前の四回分を載っけているんですがマイナスで、大きいところでマイナス三千三百四十七円、小さいところではマイナス七百七十円、こういう段差が出ていて、明らかに、絶対値としてもそれなりの、過去と余り変わらない絶対値ですし、プラスマイナスで言うと全く逆の、プラスの段差が出ている。

 これは、実はでたらめだったということがわかるわけですけれども、その要因について、いわゆるローテーションサンプリングによってプラス二百九十五円です、ベンチマークの更新で千七百九十一円です、こういう説明が厚生労働省からされていたわけです。

 そもそもどうやって、実は、実際には一月以降、東京の抽出調査の補正をかけ始めて上がったわけで、実際にベンチマークの変更によって千七百九十一円は上がらない、上がっていないわけです。

 これを見たときに、妙だなとか変だなとかいうような感じは持たれなかったんでしょうか。それとも、厚労省の説明をそのままうのみにされたということなんでしょうか。

西村参考人 データの入れかえによってすごく大きな変更が起こるというのはいろいろあり得ます。

 それから、五百人以上に関しては、当然のことながら、我々、全数だと思って考えておりますから、そうすると、この五百人以上に関しても、後で問題になる復元のこと以外の問題もあり得るかもしれないので、そういったことが問題になっていたのかなというふうなことは考えました。それは、例えば、不正確な記入だとか、それから回答率が違ってくるとか、そういったものになるわけですね。

 したがって、データが出てきたから、それが今までと違うから大きく、何か不正があるというようなことで普通は考えるのではなくて、出てきたデータがきちんと説明できるのかどうかということで考えて、我々としてはどういう形で説明できるのかというのを考え始めたというのが、このところの実情です。

吉川(元)委員 それは、どうやったら説明できるのかを考え始めたのが九月の時点だという認識でよろしいんですか。

 厚生労働省は、鉛筆をなめなめじゃありませんが、つじつまを合わせるためにでたらめな寄与度を出してやってきたわけです。その時点では、そういうこともあり得るのかなというふうに委員長は思われたということですか。

西村参考人 我々としては、そういうような不正が行われているというのは全く予想もしていないし、そういうことは考えておりませんでした。

 簡単に、我々は性善説に立っていますので、少なくとも、統計委員会に報告されるものというのは、その時点の形では正しいものであるというふうに考えますから、そうすると、その中で数字が出てきたときに、それが合理的に説明できるのかどうかということをまず最初に考えるという形になります。

吉川(元)委員 実際に、二〇一八年四月に公表されたということですけれども、一月以降の調査結果については、民間のエコノミストから、この数字はちょっと異常だという指摘がたくさん行われていたというふうにも私自身は記憶をしております。

 もちろん、それはそうだと思います。だまされるというふうに思って聞く人はなかなかいないと思います。そうではなくて、この数字というのは妙な数字だ、どう考えてもこういうふうにはならないんじゃないか、そういう疑問というのは持たれなかったということですか。

西村参考人 これはウエートの問題もありますので、大企業のウエートが大きくなれば、その分だけこういうことも起こり得るということもありますので、そういったものを全体を勘案して見るという形になりますので、これが、民間の方はいろんな形のことをおっしゃいますけれども、統計委員会としては、なぜそういうことが起こるのかということを突きとめるということが基本的な態度ですが、おかしいとかなんとかというようなことは、我々としては想定の中になかったということです。

吉川(元)委員 いや、結果的に言えば、突きとめた結果として、実はこっそり一月から、東京都について、数字を三倍、抽出調査していたものを全数に割り戻す、そういうことが実際に行われていたわけであります。

 疑えという言い方がいいのかどうかわかりませんけれども、明らかに傾向が違うもので、確かに、これを見ますと、ウエートについても何かしら細かく数字を出しています。五人以上は旧サンプルと新サンプルで何人で、五人以上に占める五人から二十九人の労働者の割合が減っています、四三・九%から四一・一%に減っています、だからこうなったんですというふうに説明されたと思うんですけれども、それは具体的に、例えばこういう計算をしたらこうなりますという数字を出されたんですか、その場で。

西村参考人 今確認しましたけれども、一応、厚生労働省は、数字そのものは、細かい数字は出してきていました。そういうことから考えて、形式的にはあの数字というのは一応説明できるというか、説明が非常に不可能であるという数字ではないといった方が正確だと思いますが、そういうものの数字であります。

吉川(元)委員 ちょっと通告していませんけれども、厚労省に聞きます。

 この二千八十六円、当時はいわゆるローテーションとベンチマーク更新に分解をされて二千八十六円となっていますが、実際は、これはどうなっているんですか。どれがどれだけ寄与したかというのも出していますか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま出ました分析でございますけれども、決まって支給する給与のギャップということでございまして、当初、平成三十年一月の公表値は二千八十六円ということでございまして、それにつきまして、再集計値では千三百四円と三百三十七円というようなことで分析を行っているところでございます。

吉川(元)委員 ということは、今のお話ですと、二千八十六円が千三百四円になった、そういうことで、七百円分がいわゆる東京のデータを補正をした結果として生まれたという認識でいいんですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま申し上げました、七百八十二円になりますけれども、それが、復元を正しく行っていなかったことによる影響だというふうに考えております。

吉川(元)委員 いやいや、復元を正しく行っていなかったじゃなくて、こっそり復元した結果でしょう。それ以前のやつが復元していなかったということであれば、そういうことになるかと思いますけれども。

 もう一点、西村委員長にお聞きしたいんですけれども、いわゆる本系列と継続標本についてなんですが、これを見ておりますと、本系列の方は上昇傾向を示しています。一方で、継続標本の方は、傾向として、トレンドとしては横ばいというふうになっています。

 これを見られたときに、もともと、なぜ、データを全部入れかえるんじゃなくて、今回、二分の一ですけれども、少しずつ入れかえていこうというふうにしたかというと、入れかえたときに、いわゆる経営がよくない企業も含めて入ってきて、それが三年たつ間に潰れていくから、当然、新しく入れれば、新しいところにはそういう企業も入っているから賃金が下がると。だからデータをローテーションしていきましょうという話だったと思うんですよ。

 だとするならば、この時点で、本系列は上昇傾向で、継続標本は横ばい。これは、トレンドとしてはおかしくないですか。たとえ三分の一、二分の一しかかえていないとしても、本系列の方が継続標本よりもトレンドが明らかに違うというのは、これは先ほど言ったとおり、なぜ、そもそも、データを総取っかえじゃなくて、標本を総取っかえじゃなくて、三分の一、今回、二分の一というふうにかえたかという、その趣旨と結果が大きくずれているんじゃないんですか。

西村参考人 先ほどから御議論になっています継続サンプルのバイアスというか、方向性の問題、これはサバイバーバイアスと呼ばれているもので、これは、たくさんのことをずっと、何度もやっていくと、傾向的にそういうことが起こるということであります。つまり、その分だけを取り出したら、そういうことになるということです。

 実際のデータというのは、それ以外のいろいろなことが入ってきますので、データがそういったものとはずれているということは、一つの情報ではありますが、それが何かアラームをいきなり立てるというものではありません。

 実際上、本系列と継続標本というのは、事業所のサンプルが違っていますし、それから労働者のウエートも違ってくるわけですね。したがって、その両方の系列が違う方向を示す、違うというか、方向が同じであったとしても、大きさが随分違うというようなことが起こり得るということは、ある程度当然なことなわけで、そうすると、次は、こういった系列の動きが異なるときには、賃金のデータや、それから労働者ウエートにおける誤差ということを考えなきゃいけない。それについてきちんと考えていかなきゃいけない。

 それを考えていく間のうちで、統計委員会事務局に、とにかく、厚生労働省の説明が、必ずしも、少なくとも私に納得できるような形になっていないので、論点を整理してくれという形で指示を出して、それを今度は厚生労働省に投げて、それに対しての説明を受けているときにこれが発覚したという形になっています。

 よろしいでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

吉川(元)委員 ちょっと余り時間がないので、そうしましたら、西村委員長にもう一点だけ。

 厚労省は、実質賃金の数字、共通の事業所についての実質の賃金をまだ出していないというふうに承知をしておりますが、これはもともと厚労省が、いわゆる傾向、景気も含めて見るときには継続の方がいいといって、統計委員会もそっちの方がいいというふうに言われたわけで、この数字が出ていないというのはおかしいと思いますけれども、この点、出すべきだというふうに思いますが、いかがお考えですか。

桝屋委員長代理 西村統計委員会委員長、時間が来ておりますので簡略にお答えをいただきたいと思います。

西村参考人 はい、済みません。

 実質賃金は、毎月勤労統計で集計される名目賃金の原データから加工されて得られる分析データであり、これはあくまでも統計作成者の判断で作成されているというふうに考えています。これは、厚生労働省では有識者の会議を立ち上げてこれの検討をするということを聞いておりますので、その報告を受けると聞いています。

 この際に二つの点を考慮していきたいと実は思っていまして、一つは、実質賃金は名目賃金を物価指数で割ったものですから、概念的には難しくありません。したがって、目的に応じてどの名目賃金の系列とどの物価指数の系列を使うかということが論点になりますので、この点について透明性を確保して、その妥当性を検証できるようにするということが大切だと思っています。

 それから第二は、賃金統計は一国の経済統計の根幹ですので、国際比較可能性ということについても十分配慮すると思いますので、過不足ない情報公開が必要だというふうに考えています。

 以上です。

吉川(元)委員 時間が来ました。終わります。

 まだ聞きたいことがたくさんございましたので、ぜひ集中審議の開催を要望したいというふうに思います。

桝屋委員長代理 後刻、協議いたします。

 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子です。

 きょうは大臣の所信に対する質疑ということですけれども、大臣は、統計不正について、重く受けとめています、そして、検証を行い再発防止に全力を尽くします、賃金構造基本統計については行政評価局において調査しますというふうに言われております。

 真相究明、調査、検証、再発防止について本当に実効あるものにするために、きょうは西村統計委員長にお越しをいただき、質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、統計委員長にお伺いをしますけれども、統計委員長が昨年十二月十三日、違法性を指摘をし、十二月十四日、総務省が厚生労働省に、毎月勤労統計調査の実施に係る経緯等の報告及び注意喚起についてという文書を出しております。統計委員長あるいは統計委員会が毎月勤労統計調査についておかしいと思ったのは、昨年の一月の毎月勤労統計調査の速報値が出たときなのか、昨年六月の速報値が出たときなのか、あるいは別のときなのか、答弁をお願いしたいと思います。

西村参考人 先ほどから申し上げていますように、この件は、十二月十三日に不適切な対応があるということがわかったわけで、実は、それ以前は全くそのようなことがあるというのは、想像だにしていなかったということであります。ただ、いろいろ説明が難しいところがあるので、分析を命じていたということが事実であります。

本村委員 十月十三日に不正を認識をした、違法を認識をした、その前にも説明ができないようなことがあったということでしょうか。

西村参考人 不適切なことというのは、そういうことはもちろんないということでやっていますが、説明がちゃんとできているかどうかということは、当然前から考えていたわけですね。したがって、説明がちゃんとできているのであるならば、それはそれで構わない。しかし、実際上は説明できなかった。そして、できなくて、不適切なことをしていたということがわかったというのがこの十二月の十三日ということです。

本村委員 改めてですけれども、毎月勤労統計の不正についてどのような問題であるというふうに認識をされているかという点と、また、毎月勤労統計調査の不正について統計委員会として厚生労働省に今まで何を求めてきたのかという点、お伺いをしたいんです。

 昨年八月の統計委員会でも厚生労働省に資料の提出を求めておりますし、その後も、データの復元など、厚生労働省にさまざま求めているというふうに思います。厚生労働省に今まで何を求め、統計委員会に報告があったもの、統計委員会に報告がないものをお示しいただきたいというふうに思います。また、統計委員会に報告があったものについて、ぜひ資料を提出、お願いしたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 本事案を整理すると、三つの側面があります。

 一つは、全数調査で行うべきである東京都の五百人以上を勝手に抽出に変更するなど、本来の承認を受けた調査計画とは異なる方法で実施されたというのが第一点です。

 それから第二には、復元推計を実施していないなど、調査データの扱いに極めて初歩的な誤りが、犯した誤りがあった上、それを長期にわたって放置した、これが第二点です。

 第三点は、今回の事案は、実は統計改革の一環として制度改善を検討するためにこの毎勤統計を吟味していた統計委員会の活動として明らかになったということが私は重要な点で、それは皆様方にもきちんと理解していただきたいというふうに思います。

 極めて遺憾なことですが、これは事実なので、それをどういう形で再発を防止していくのかということはこれから考えていかなきゃいけないということで、厚生労働省には猛省を求めるとともに、徹底した原因究明と再発防止というのを求めたいということです。

 それからもう一つは、どのようなものを求めたかということですが、すごくいろんなやりとりがあるので、主要なものだけにちょっと限定させていただきます。

 二〇一八年の八月二十八日の統計委員会では、特に、新旧指数の接続や共通事業所系列の利用方法に関するわかりやすい説明資料を作成して九月の統計委員会に提出することということを厚生労働省に要請し、その結果は報告されております。

 その報告を受けて、断層縮小に向けた検討のために、先ほど申し上げました、私の指示のもとで詳細な分析に着手して、ほとんど断層が生じない全数調査である五百人以上の事業所に断層が生じているということに気がついたということです。

 これは、気がつくのにちょっと時間がかかったんじゃないかというような御批判があると思うんですが、統計委員会は、この当時は毎月勤労統計だけではなくて、今もそうですが、SNAの改定とか、四半期GDPのものとか、今度、経済センサス、それからGDPに即した形で調査統計を広げる、そういった非常に重い問題をたくさん抱えておりましたので、必ずしもこのことが最優先課題にはなっていなかったということがあります。

 その私の指示のもとに、その報告を受けたのが十二月十日で、これを、従業員の規模別の断層データを示して、その理由を厚生労働省に照会したというところで今回の事案が発覚したというのが事実であります。

 事案の発覚後は、一月十七日とそれから一月三十日の統計委員会において、五百人以上の事業所について全数に、求めて、そのように答申が出されたほか、それから、その他いろいろの質問、後で必要であればお話ししますが、そういうことを求めており、引き続き審議しているという形になります。

 統計委員会では、八月二十八日の統計委員会における厚生労働省からの報告では、厚生労働省が提供した新旧指数の接続方法に関する情報というのは、これは私は評価できるというふうに思いまして、それは非常に重要なものであると評価したわけですが、そのときの時点での問題というのは、やはり分かりやすい説明というのがなっていない、我々専門家から見てもわかりにくい、わかりにくいというか、正直言ってほとんどわからないというような、きちんと説明をしてもらわないとよくわからないというようなものでしたので、それでは困ると。利用者の理解促進に向けた取組としては不十分であるということを考えて、こういったものの利用方法に関するわかりやすい説明を作成するように要請したということがあります。

 その後、九月二十八日の統計委員会において説明資料が提出されたというのが経緯であります。

 以上です。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

本村委員 昨日も高橋千鶴子衆議院議員が二〇一八年分の毎月勤労統計調査の速報を資料として出しておりましたけれども、過去の分が真っ白であるということで、大変な甚大な被害であったというふうに思います。

 このことに対して、日本経済学会から統計委員長に声明が出ているというふうに思うんですけれども、

 日本経済学会としては、「毎月勤労統計」の過去のデータを速やかに復元すること、同時に「毎月勤労統計」を利用する国民経済計算などの関連統計を適切な手法で再推計することを政府に対し要望します。一般論として個票さえあれば、なすべき全数調査を行っていた時期に戻って比較検討することなどにより、かなり正確な統計に修正することができるはずです。学会員にも統計に関する多くの専門家がおり、こうした専門家の活用が必要です。

など声明が出されておりますし、日本統計学会、あるいは国民経済計算部会長を歴代務めていた方々からも、統計委員長に対して、さまざま声明、要望が出ておりますけれども、こうしたことにしっかりと応えていくということでよろしいでしょうか。

西村参考人 日本経済学会、それから日本統計学会の声明というのは非常に重い声明だというふうに考えております。それから、過去のSNA部会長の合同の声明も非常に重要な声明だというふうに考えております。

 したがいまして、そういうような声明にあることについてはきちんとした形で対処していくという形で考えていきたいと思いますし、実際、そういう形で現在のところ統計委員会を運営しているところであります。

本村委員 ありがとうございます。

 二十一年ぶりの名目賃金、賃上げ上昇率と八月七日の夕刊あるいは八月八日の朝刊に新聞各紙出ましたけれども、その後、統計委員会で段差の問題が議論をされております。昨年八月二十八日の統計委員会ですけれども、まず、どのような認識のもとでそうした議論をしたのかという点をお示しをいただきたいと思います。

西村参考人 統計委員会は個別の統計に関しては審議していないものですから、名目賃金が二十一年ぶりの高水準になったという報道に関しての認識というのは、統計委員会そのものとしてはお答えできないという形になります。これは、統計技術的なものをやるのが統計委員会、統計委員会の委員長として、そういう形でお答えせざるを得ないという形で考えております。

本村委員 二十一年ぶりの名目賃金、賃上げ上昇率については、そういう関心を持って審議はしていないということですか。

西村参考人 統計委員会というのはどういう組織かというと、統計がどういうふうにつくられているか、つくられているそのつくられ方が統計技術的に妥当なものかどうかというのを審議する形になります。したがって、結果としてどういう形になるかということについては、結果、統計のデータとしてもちろん見ますけれども、その数字がどういう意味を持っているかとか、そういうものに関しての審議はしないということなんですね。それはそれぞれの、例えば政策担当者それからエコノミスト、そういう人たちが判断することであるというふうに考えております。

本村委員 政治からの独立性の問題について総務省にお伺いすると、やはり統計委員会の役割というのが非常に大きいということで、いろいろな法文などを引いて御回答いただいたわけですけれども、そうした点でも、このことを問題視しなかったという点は非常に問題だというふうに思っております。

 ちょっと総務省の方にお伺いをしたいんですけれども、先ほど奥野議員が言われました、二〇一八年八月二十八日以降の七回分の統計委員会の議事録が出ておりません。今回の統計不正の真相究明のためにも急いで必要だというふうに思いますし、統計委員会の役割についても私どもが考える上でも必要だというふうに思いますし、今後の統計の問題でも素早く是正をするということが何よりも大事だというふうに思いますので、人をふやして、すぐに公開できるような体制をぜひ大臣含めてお願いをしたいというふうに思いますのと、きょうも点検検証部会が行われるということですけれども、その議事録もすぐに出していただきたい。人員をすぐにふやしてやっていただきたいと思いますけれども。

横田(信)政府参考人 議事録、議事概要については、非常におくれておることにつきましては重ね重ねおわびさせていただきます。

 統計委員会については、これは部会も含めまして、会議は原則公開という形にして、透明性の確保はこれまでも図ってきたつもりでございます。また、ちょっとおくれておるものについては、これもなるべく早くやるということで努力してまいります。

 よろしくお願いします。

本村委員 この審議も、議事概要でしか議論ができないというのは問題だというふうに思うんです。いつまでに出していただけるでしょうか。

横田(信)政府参考人 極力早く出したいと考えております。

本村委員 大臣、人をふやして、ぜひ早く出していただきたいんですけれども、大臣、通告をしておりませんけれども、お答えをいただきたいと思います。

石田国務大臣 議事概要と議事録についてはその都度出させていただいて、議事概要はあと三回分ぐらいかな、出ていないのは。それから、議事録は少しおくれておりますけれども、できるだけ速やかに提出できるように頑張りたいと思います。

本村委員 ぜひ、人をふやして、早急にお願いをしたいというふうに思います。

 八月二十八日の統計委員会でも、厚生労働省はうその説明をしたわけでございます。二〇一七年に比べて二〇一八年の毎勤統計の結果に段差があることについて、厚生労働省は、部分入れかえによる寄与分と、あと、労働者推計のベンチマークの更新による寄与などで、二〇一八年一月分はこれによって二千八十六円上がったというふうに説明をしたわけでございます。

 この後、厚生労働省の説明が虚偽であったということが明らかになっているわけですけれども、東京都の五百人以上の事業所が全数調査しなければならなかったのに三分の一しかしていなかったという問題ですとか、あるいは、こっそり三倍補正というふうに言われているのが二〇一八年。小川淳也議員などでは、日雇労働者を含めないですとか、そうしたさまざまなことで、しかも遡及をして過去分補正をしなかったということも含めて、二十一年ぶりの名目賃金伸び率といううその情報が飛び交ってしまった、結構な期間飛び交ってしまったということが明らかになっております。

 九月には総裁選挙があった。このことにも影響したのではないかということも言われておりますけれども、八月の段階で統計委員会でせっかく議論をしたのに見抜けなかった。四月の段階で厚生労働省に問題を指摘して回答を求めていたと事務局の方からお伺いをしましたけれども、その説明が、やっと八月二十八日、統計委員会に報告があったということでしたけれども、この期間、ただ待っていたということも問題だったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

西村参考人 結果的に申し上げますと待っていたということになってしまったのは、ざんきにたえないというふうには思います。

 ただし、この時期は、今もそうですけれども、SNAの部会、それから人口・社会部会でのさまざまな審議というのは、審議がふくそうしておりまして、統計委員会は、残念ながらさほど人数がおりません。今回、随分またふやしていただきましたが、それまでは非常に少ない人数で非常に多くのものをこなしていましたので、正直言って、うそをつくとは思っていませんでしたので、基本的に、毎勤統計に関してのプライオリティーはそんなに高くなかったということであります。

 そういったことがこういった問題に、発生してしまったということに関しては、ざんきにたえないというふうに思っております。

本村委員 厚生労働省が統計のプロからして信じられないことを行った、そういう不正であったということだというふうに思いますけれども、この八月二十八日の統計委員会、昨年の議論の中で、もう一つ気になることがございます。

 これは、議事要旨しか公開されていないので、なかなか議論を深めるにもまた一段階置かないといけないということですけれども、ここに、さかのぼって前年同月比を遡及して改定した値については、非常にわかりにくい、使いにくいという声によって、今回の諮問・答申に至ったという経緯がある、よって、それに着目したような指数を提供する必要はないと考えているというふうに誰かが述べているということですけれども、これは誰の発言でどういうことなのか、お示しをいただきたいと思います。

西村参考人 済みません、この点に関しては議事録が出れば明確になることなので、本来ならば議事録がきちんと早く出ていなきゃいけないということで、そうなっていないので非常に申しわけないと思っております。

 これは、事務局がそれまでの統計委員会における議論の一端を紹介したというものであります。したがって、この発言を受けて統計委員会が判断したということではありません。

本村委員 確認ですけれども、入れかえ部分、あるいは労働者推計のベンチマークの更新の部分、遡及して補正して前年同月比を出さなくてもいいというふうに統計委員会は判断したんでしょうか。

西村参考人 これは、そういう議論があったということで、統計委員会として何かこういうことを決めたということでは全くありません。

本村委員 昨日の予算委員会で、西村委員長、ウエート変更の問題は事実上ペンディングとおっしゃっていますけれども、これはどういう意味でしょうか。

西村参考人 これは、ペンディングと申し上げましたが、その時点では審議はしていなかったということです。

 それで、その後、これは原則論を申し上げますと、企業や世帯に調査票を送付して回収された調査票を集計して作成される調査に基づく統計、調査統計ですが、これは、調査票をそのまま集計するので、原則として遡及改定はしないということを既に決めておりましたので、この時点ではその話はしなかったんですが、最終的には、それについての見解というのを、二〇一八年の八月二十八日に、明確に、遡及改定はしないということについての統計委員会の見解というのを明らかにしております。

本村委員 八月の段階で二十一年ぶりの名目賃金上昇率という報道があったんですけれども、この点について、他人の背を比べて背が伸びたと言っているようなものだというふうにも言われておりますけれども、遡及して補正しなくてもいいという、比べる問題はまた別の問題があるかというふうに思いますけれども、別のものを比べて二十一年ぶりの名目賃金上昇率というのはやはり問題だと思うんですけれども、その点。

西村参考人 このときの議論というのは、横断的に調査統計をいろいろ比較し、そしてその中で統一的にしていくという、そういう形で審議をしたわけですね。そうすると、ほかの統計ではそういった形の遡及はなされていないので、この毎月勤労統計に関しても、そういった統計は遡及はしないという形になっています。

 ただし、重要な点というのは、そういったものが、それを、きちんとした情報を提供して、しかも適時開示で、それから透明性のある形で情報を提供して、それをユーザーが自分の目的意識に従ってきちんと計算できるようにするということが重要なので、そちらの方をきちんとやれというのが、この八月二十八日の決定の背景にあるということであります。

 だから、毎月勤労統計だけを取り上げてということではなくて、ほかの統計との整合性を考えて、これに関してもその形でやる。しかし、重要な、必要な情報は全部出して、それがどういう形でつくられているのか、そしてそれがどういうふうな性質を持っているのか、そういったものは必ず適時に開示して、そして透明性のある形で開示しろというのが、統計委員会の基本的な態度です。

本村委員 ユーザーと言われても、さまざま、いろんな方がみえるので、やはり、他人の背を比べて背が伸びたという比較自体がおかしいというふうに思います。

 昨年八月二十八日の統計委員会で厚生労働省に提出を求めていたものはある部分返ってきたということですけれども、統計委員会に出された資料に関して分析、検討した結果をお示しをいただきたいと思います。

西村参考人 九月二十八日の統計委員会の、関連する御質問だと思いますけれども、分析結果というのは、まずは、ちょっと待ってください、済みません、統計委員会の、厚生労働省からの情報ということですね。わかりました。

 産業計及び産業別の現金給与総額についての要因分解をしたデータを頂戴したわけですが、これについては、分析結果というのは平成三十年の十月二十二日の国民経済計算体系的整備部会に報告されております。その後、部会長より、十月二十五日の統計委員会にその概要が報告されております。

 主な分析結果というのは、二〇一八年の七―九月期の一次QEにおいて、毎月勤労統計を用いている雇用者報酬の二〇〇九年から七月期それから二〇一八年から四―六月期の計数を遡及改定するというものであります。

 以上です。

本村委員 九月の二十八日の統計委員会で出されたので、厚生労働省と協力しながら分析、検討をしていく、その結果について委員会に報告するというふうにありまして、十月以降に事務局の方が分析をして、五百人以上の事業所がおかしいというふうになって、十二月十三日の発言に至ったんだということだというふうに思います。

 先ほど来お話がありましたけれども、次に、公的統計のリソースの問題についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 公的統計の各府省の現場の予算と人員がかなり深刻な事態であるという認識を、先ほども、統計委員長として具体的にお持ちになられているというふうに思います。

 厚生労働省の賃金構造基本統計では、長年郵送で行われてきた、調査員が一人で千カ所を超える事業所を担当するというような現実的ではない実態があったわけですけれども、こういう実態は、長年、統計委員会があるわけですけれども、わからなかったのだろうか。予算が妥当かということも含めて、承認された統計の計画が、調査の計画が本当に現場で実現できる内容なのかということも含めて状況把握をするべきだったのではないかというふうに思っております。

 先ほども紹介をいたしました日本統計学会は、一月二十八日の声明でも、近年の行政改革による人員、予算の削減による影響が懸念されるというふうに指摘をしております。

 公的統計の司令塔である統計委員会は、この職員の削減、経験の非連続性について、どう認識し、どう対処すべきとしてきたか、そして、対策としてどうアクションをしてきたのかという点、お示しをいただきたいと思います。

西村参考人 お答え申し上げます。

 この件については、私ども統計委員会の中でも、非常に強い問題意識を持っていました。特に、統計作成部局の予算や人員体制のあり方については問題意識があったわけです。

 しかしながら、統計委員会というのは、それまでそれを対外的に表明する機能というのを有していなかったんですが、昨年の統計法の改正によって、統計委員会の機能が強化されて、各府省の所管する統計調査について、予算や人材の配分を含めて、自律的、機動的に政策提言を行うということができるようになったわけです。ただし、これは非常にリミテッドというか、制約のあるものですが、それに基づいて、昨年七月に、統計リソースをどのような分野に重点配分すべきかなどの建議を行ったところであります。

 統計調査を所管する府省においては、当該の統計調査の諮問に当たっては、調査の実施に必要な体制というのは、調査計画を策定していますので、それは審査できるわけですが、個別具体の人員体制というまでには実は把握しておりません。

 それから、賃金構造基本統計については、十分な情報がありませんし、現在、行政評価局において調査が行われているというところでありますので、我々は、それも踏まえながら、点検検証部会で、基幹統計及び一般統計調査について、再発防止や品質向上といった観点から徹底した検証を行いたいと思っています。

 それから、リソースの件に関しては、非常に重要な点なので、ぜひとも、現在の統計委員会のシステムでは限界がありますので、それを超える形で、人員を政府の全体の中で考えていただきたいというふうに思っております。

本村委員 ぜひ、私どもも、リソース、予算、人員の充実のために力を尽くしたいというふうに思っております。

 統計委員会の初代委員長である竹内啓さんがインタビューに答えて、極めて重大な問題です、データを真剣に取り扱う姿勢が欠けてきているのではないかというふうに指摘をしております。

 昨日もNHKが報道しておりましたけれども、不正が行われた期間に統計業務に携わっていたかつての厚生労働省の担当者が、毎月勤労統計調査がさまざまな政策に関係する重要な統計だと知らなかったという発言をされたり、あるいは、人事異動が頻繁にあるため、仕事の内容がやっと理解できたタイミングで異動してしまう、先輩の引継ぎに従うだけで精いっぱいだったと。不正には全く気づいていなかった、統計の部署は人員や予算を削減され、いつも業務に追われていた、さらに、縦割りの体質で横の人が何をやっているかチェックもしなかったとインタビューに答えておられました。

 公的統計に関する基本的な姿勢が崩れているということが指摘をされているというふうに思うんですけれども、西村委員長はこれについてどういう認識を持っておられるのかという点と、繊維流通統計調査でも同じようなことがございましたけれども、データを真剣に取り扱う姿勢をどのように国として担保をしていくのか、教育、研修のあり方についてぜひお示しをいただきたいと思います。

西村参考人 竹内先生は私の先生でもありますので。それから、この点に関しては、全く同じあれを持っております。

 公的統計の品質確保、向上というのに関しては、これはもう、統計に対する専門性を有する人材の確保、育成というのは極めて重要です。

 こうした認識のもとで、統計委員会は、一応、議論としては、昨年の四月に、政府全体を通じた統計人材の確保、養成について決定したところであります。それは三つの点で、特に、各府省において計画的な採用をしてほしい、それから、オン・ザ・ジョブ・トレーニングや研修を通じた能力開発をきちんとしてほしい、それから、統計部門においては、各府省間の人材交流など、戦略的、重点的な統計人材の確保、育成の取組を進めることが必要であることを提言しております。

 これは統計委員会の中でのいろんな議論で出てくることですが、やはり、日本の統計の最大の問題というのは、専門性が十分にできる前に人材が動いてしまうということであります。そして、それが国際的にも非常に重要な、重要なというか、悪い影響を及ぼしていまして、国際的な統計の論議に関して日本から積極的な説明をする人が育成されないということになっています。

 だから、そういうことも含めて、統計委員会としては、こういった公式の文書だけではなくて、いろいろな形で、各府省の統計幹事なりいろいろなところを通しながら、そういったことを実態としてできるように、つまり、お題目としてそれをやるということを決めるのではなくて、実態としてできるようにお願いしているという形になっています。

 そのためには、やはり国民の信頼ということが不可欠ですから、統計に関する職員の基本的な考え方、先ほど議員がおっしゃいました、ああいうような、信頼性を失わさせるような、そういった、プロとは言いがたいような言動が起きるようなことが二度と起こらないように、きちんとした再発防止策というのをこれから考えていかなきゃいけないというふうに考えております。

 以上です。

本村委員 統計委員長、五時までということですので、最後に一問お願いをしたいというふうに思います。

 公的統計は政治からの独立性が担保されなければならないというふうに思いますけれども、国際的な統計の考え方には、統計機関は、ほかの政府機関、あるいは政策、規制、あるいは行政の省や機関、民間部門、あるいは利害が潜在的に相反すると考えられ得るいかなるほかの人物あるいは単位からのいかなる政治的その他の介入あるいは圧力なしに統計を開発、生産、配布する義務を持つというふうにございます。

 政治からの圧力ですとかそんたくですとか、今回の統計不正でもあったのではないかというふうに言われておりますけれども、日本で、公的統計について、本当に政治からの独立性を担保しようとより明確にする場合、どこを変える必要があると考えているのか。

 あるいは、各府省の統計部局長の皆さん方は、部局長級の方々というのは、当然、内閣人事局の人事評価の対象となる幹部でございます。政治からの中立性、独立性の担保はどのようにとれるというふうに考えておられますでしょうか。

西村参考人 まず最初に、最後の点からお答えいたしますが、これは、残念ながら、私は法律の専門家ではありませんので、国家公務員制度については余りつまびらかにありませんので、具体的なコメントは差し控えたいというふうに思います。

 それから、独立性、独立性というか中立性ですね。中立性についてはまことにおっしゃるとおりで、それを、統計委員会の委員長として、統計委員会の運営に関しては、それが実際上担保できるような形で運営をするということは心がけております。その中で、先ほど申し上げましたけれども、中立性、適時開示それから透明性、この三つが重要で、そしてそれが国民に対して開かれた形でわかるという形にしなきゃいけないというふうに考えております。

 それで、それ以上の制度的な要因というのは、統計委員会が何かするということではなくて、全体を含めた統計システムというのは、政府内、それから国会を含めてお考えいただきたい。非常に危機的な状況であることは確かですので、これを克服して、危機をばねにして、よりよい統計をつくっていくということをお願いしたいと思います。

 そういう方向として、我々は、今、毎勤統計のことだけが問題になっていますが、いろいろな、統計改革は進めております。例えば、GDPの統計に関してもいろんな形で進めております。そういったものの正しい目を、正しい目というかふさわしい目を、我々、大きく広げていくようなサポートをお願いしたいというふうに思っております。

 以上です。

本村委員 ありがとうございます。

 昨年の統計法の改定の中で……

江田委員長 済みませんね。

 西村委員長、ありがとうございました。御退席いただいても結構でございます。

 御配慮ください。(拍手)

本村委員 ありがとうございます。またお越しをいただきたいというふうに思います。

 昨年の統計法の改定で、各府省に統計委員等の補佐役として、各府省の連絡ですとか、あるいは統計部局での意見集約ですとか、事務局の役割を担う幹事を置くことになりました。各府省の統計部局長級の職員から内閣総理大臣が任命するということになっておりまして、先ほど統計委員長は具体的な言及は避けるというふうに言われましたけれども、やはり、これで統計の独立性というのが確保できるのかということが非常に危惧をされるという点を指摘しておきたいというふうに思います。

 続きまして、総務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 今回の統計不正事件を契機につくられた政府統計検証チームは三十人の体制というんですけれども、どのような職員を集めたんでしょうか。当時の所属、もともと所属していた省庁、部署名、人数、肩書なども含めて言っていただきたいのと、あと、検証専任なのかあるいは兼務なのかという点、そして、この統計検証チームは常設なのか臨時なのかという点、お示しをいただきたいと思います。

横田(信)政府参考人 済みません、申しわけございません。ちょっと通告がございませんでしたので、ちょっと今手元にございませんでしたけれども、三十名のうち、一番の責任者は私ということでございます。以下、審議官相当職、それから課長相当職、課長補佐相当職以下で構成されております。

本村委員 済みません、通告は大分前に、本当は資料として求めたのに来ないからこの場で、通告もしておりますし、その前に資料も求めていますけれども、来ないからここで審議しなければならないということでございます。

横田(信)政府参考人 ああ、恐縮でございます。

 あと、済みません。ちょっと申しおくれましたけれども、職員の体制ということでいいますと、これは全て兼務ということでございます。

本村委員 どこの省庁から来られている、内訳を教えていただきたいんです。どこの省庁、どこの部署、人数。

横田(信)政府参考人 済みません。

 それでは、調べてまたお答えしたいと思います。

本村委員 もう人はちゃんと決まっているんでしょうか。

 ごめんなさい。まず、任命しますよね。それを見れば全部すぐわかるんじゃないですか。私、先週この資料をお願いしたんですけれども、なぜこんなに時間がかかるんでしょうか。

横田(信)政府参考人 済みません。

 ちょっと詳細を承知しておりませんでしたけれども、これは全て任命した形になってございますので、特に、少しお時間をいただければ対応できるものでございます。

本村委員 この点についても、審議を充実させるために、もしかして、統計不正の問題があって総務省の皆さん方も大変お忙しいのかもしれませんので、人員体制も強化していただいて、資料も早急に出るように、大臣、お願いしたいと思います、大臣。(石田国務大臣「じゃ、先にちょっと答弁」と呼ぶ)いいです。じゃ、要望とさせていただきます。それはお願いしたいというふうに思います。

 毎月勤労統計調査の不正事件で、厚生労働省の報告書、特別監査委員会の報告書と言われていますけれども、第三者性が問われていますので、厚生労働省の報告書とあえて申し上げたいというふうに思いますけれども、これを読みますと、事務取扱要領の改定の時期ですとか、あるいは都道府県に出している事務連絡の発出した際ですとか、システム、プログラムを改修した際にちゃんとチェックしていれば、今回の毎月勤労統計調査の不正は見抜けたというふうに思いますけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。

横田(信)政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、各省は、承認された調査計画に基づいて適切に調査を実施することとなっております。

 今回の毎月勤労統計調査の不正事案につきましては、これも、基本的には、厚生労働省が作成する事務取扱要領や復元プログラムの改修時などに、本来的には各省が適正にチェックすべきものであったというふうに考えております。

 しかしながら、こういう事態に立ち至ったということでございますので、私どもとしても、今後どういう形でチェックしていけばいいのかということは、先ほど来出ております品質検証部会等の議論を踏まえまして、また検討していきたいというふうに考えております。

本村委員 事務取扱要領の改定ですとか、事務連絡を発出した際ですとか、システム、プログラムを改修した際にチェックするには、それなりの体制をまた強化しなければいけないというふうに思います。その点について、ぜひ大臣に、増員を、政府全体として、各府省できるようにしていただきたいというふうに思います。

 一つ一つの基幹統計ですとか一般統計について、少なくとも年一回、統計不正がないかなど、今までは性善説でやっていたかもしれませんけれども、それではだめだということが、繊維流通統計ですとか、あるいは今回の毎月勤労統計の調査の不正でわかったというふうに思いますので、統計専任職員がおられる地方統計機構の現場がどうなっているのか、労働局を始め地方事務所の現場がどうなっているかということも含めて、実地調査も含めて、詳細なチェックをする体制が必要だというふうに思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。

石田国務大臣 この事案についてはさまざまな御指摘をいただいているわけでございまして、繰り返しの答弁になりますけれども、今、毎勤統計では厚労省の特別監察委員会、そして賃金統計では総務省の行政評価局、そして統計委員会における点検検証部会、先ほどの足立議員の御指摘では、これで第三者性を保てるのかという御指摘もございますけれども、今はその各部門において調査を行っているわけでございまして、速やかにその調査を実行していただいて、そしてその上で、それを踏まえて、いろいろな御指摘がございますから、そういうものを勘案しながら、統計行政、あるべき姿というものをもう一度しっかり議論していく、総合的に考えていく、検討していく、そういうことであろうかと思っております。

本村委員 チェックできるような体制強化をぜひやっていただきたいと思います。

 最後に、今御答弁がございました統計委員会点検検証部会はいつまでに何を行うのか、再発防止が出るにはいつごろをめどに考えているのか、大臣に答弁をしていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

石田国務大臣 点検検証部会は、再発防止、統計の品質向上の観点から、各府省が所管する統計について、春までをめどに統一的な審査を行い、その結果をもとに重点的に検証を行うべき統計や項目を絞り込んだ検証を行いまして、夏の時点で一旦結論を得ることを念頭に進めることとしている、そのように承知をいたしております。

本村委員 まだまだ審議が必要だというふうに思いますので、この統計不正の問題に集中審議をお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成三十一年度地方財政計画について説明を聴取いたします。石田総務大臣。

石田国務大臣 平成三十一年度地方財政計画の概要について、御説明を申し上げます。

 本計画の策定に際しましては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、人づくり革命の実現や地方創生の推進、防災・減災対策等に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足につきましては、適切な補填措置を講ずることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分につきましては、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針のもとに、平成三十一年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ二兆六千九百五十七億円増の八十九兆五千九百三十億円、東日本大震災分につきましては、復旧復興事業が、前年度に比べ九十二億円減の一兆九百八十七億円などとなっております。

 以上が、平成三十一年度地方財政計画の概要であります。

江田委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。石田総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する法律案

 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石田国務大臣 地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現下の社会経済情勢等を踏まえ、経済の好循環をより確かなものとし、地方創生を推進する等の観点から、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、法人事業税の改正であります。地方税の税源の偏在性の是正に資するための特別法人事業税の創設にあわせて、法人事業税の税率の引下げを行うこととしております。

 その二は、車体課税の改正であります。自動車税の税率の引下げを行うとともに、環境への負荷の少ない自動車を対象とした自動車取得税、自動車税及び軽自動車税の特例措置等の見直し、自動車重量譲与税の譲与割合の引上げ等を行うこととしております。

 その三は、個人住民税の改正であります。地方公共団体に対する寄附に係る寄附金税額控除における指定制度の導入等を行うこととしております。

 その他、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 次に、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方税の税源の偏在性の是正に資するための特別法人事業税を創設し、その収入額に相当する額を特別法人事業譲与税として都道府県に対して譲与するため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、特別法人事業税の創設に関する事項であり、特別法人事業税は、法人の事業税の納税義務者に対して課する国税とし、法人の事業税額を課税標準とすることとしております。税率は、資本金一億円以下の普通法人等について三七%とする等としております。また、申告及び納付、賦課徴収等につきましては、法人の事業税とあわせて行うこととしております。

 その二は、特別法人事業譲与税に関する事項であります。特別法人事業譲与税は、特別法人事業税の収入額を、使途を限定しない一般財源として人口の基準等により都道府県に対し譲与することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑み、市町村及び都道府県が実施する森林の整備及びその促進に関する施策の財源に充てる観点から、森林環境税を創設し、その収入額に相当する額を森林環境譲与税として市町村及び都道府県に対して譲与するため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、森林環境税の創設に関する事項であります。森林環境税は、国内に住所を有する個人に対して課する国税とし、年額一千円とすることとしております。また、賦課徴収等につきましては、個人の市町村民税とあわせて行うこととしております。

 その二は、森林環境譲与税に関する事項であります。森林環境譲与税は、森林環境税の収入額を、森林の整備及びその促進に関する施策の財源として私有林人工林面積、林業就業者数及び人口の基準により市町村及び都道府県に対して譲与することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあることに鑑み、地方交付税の総額の特例等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、地方交付税の総額の特例であります。平成三十一年度分の通常収支に係る地方交付税の総額は、地方交付税の法定率分に、法定加算額及び地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十六兆一千八百九億円とすることとしております。

 その二は、地方交付税の単位費用の改正であります。各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、平成三十一年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 その三は、東日本大震災の復旧復興のための財源となる震災復興特別交付税の確保であります。平成三十一年度分の震災復興特別交付税については、新たに三千二百五十億円を確保することとし、総額四千四十九億円としております。

 その四は、地方特例交付金についてであります。自動車税の環境性能割及び軽自動車税の環境性能割の臨時的軽減を行うことによる地方公共団体の減収額を埋めるため、自動車税減収補填特例交付金及び軽自動車税減収補填特例交付金を創設することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

江田委員長 これにて各案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十二分散会


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