衆議院

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第6号 平成31年3月1日(金曜日)

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平成三十一年三月一日(金曜日)

    午後八時四十一分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    木村 次郎君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      田野瀬太道君    冨樫 博之君

      中谷 真一君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    福田 達夫君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      務台 俊介君    山口 俊一君

      和田 義明君    伊藤 俊輔君

      小川 淳也君    岡島 一正君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      本村 伸子君    足立 康史君

      吉川  元君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月一日

 辞任         補欠選任

  井林 辰憲君     高村 正大君

  宗清 皇一君     和田 義明君

  山口 泰明君     中谷 真一君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     井林 辰憲君

  中谷 真一君     山口 泰明君

  和田 義明君     宗清 皇一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)

 特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案(内閣提出第五号)

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案(内閣提出第六号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、自治財政局長林崎理君、自治税務局長内藤尚志君、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二君及び厚生労働省政策統括官藤澤勝博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井でございます。

 まず冒頭、委員長、これは、またきょうも職権ということで、大変遺憾でございます。厳重に抗議を申し上げます。

 時間が短いので早速質問に入りますが、まず、きょう、統計委員長、来ていただけません。今回、統計の不正問題が本当にこの総務委員会でも大きなテーマになり、しかし、まだまだ審議不十分ということでありました。きょうも統計委員長に、この遅い時間ですから、確かにこの時間は難しいのかもしれませんが、しかし、昼過ぎにはもう来れないと。しかも、総務省からも来れない理由の説明もありませんでした。

 大変、このようなことで、私は、今後の審議、これからも総務委員会、この後一般質疑等もありますけれども、こういう姿勢では到底審議に応じることはできないというふうに考えておりますので、ここはぜひ、総務省あるいは与党の皆さんも、この統計委員長の、来ていただくということについては、最大限、確かに、統計委員長の本務が忙しいという話、きのうの予算委員会でもおっしゃった、統計委員長の本音だと思いますよ。

 そういう意味で、私は、何度も提案していますけれども、統計委員長はもっと、常勤の方を、その職責の重要性に鑑みれば、そういう忙しいことをいろいろして兼務をしている方じゃないという制度にすべきだと申し上げていますが、総務大臣は、いや、今のままでいいんだとおっしゃる以上は、やはり、忙しいから、民間人だから来れないというような言いわけではなく、もし来れないんだったら、本当に制度を変えるなり人をかえるなりして、しっかりこの統計の問題、本当に統計というのは、いろんな委員会とか審議会がありますけれども、極めて位置づけが重いですから、そこはぜひよくお考えいただきたいと思います。

 それから、厚生労働省にも申し上げたいんですけれども、きょう、特別監察の報告が出て、できれば委員長に来ていただきたいけれども、それは無理だということで、事務方でいいですよと。しかし、これは官房長ですよね、本来。きょう、官房長、通告しているんですけれども、何で官房長がいないんですか。厚生労働省、答えてください。

土生政府参考人 大変恐縮でございますけれども、先ほど委員長からお諮りいただきましたとおり、私、総括審議官の土生でございますけれども、政府参考人として答弁をすることをお許しいただいたと承知いたしております。

高井委員 きのうの、私は官房長にお願いしますと言ってあるんです。しかし、何の理由もなく、紙切れ一枚来て、違う方が登録されています。

 こういうことで、私は、本当に、この統計の問題、厚労省のこの問題でどれだけこの委員会でも時間を割き、また、この法案も全て統計が基礎なんですよ。統計が間違っているから、我々、反対ですよ、今回の法案。こういう事態に陥っているということを厚生労働省はもっと自覚していただいて、監察委員長が来れなくても、何で官房長が来れないんですか。全く、統計を所管しているんですよ、総務委員会は。ぜひそこは猛省を求めたいと思います。

 それでは、まず最初に聞きますけれども、厚生労働省、藤澤統括官、来ていただいたことは評価いたします。藤澤統括官にお聞きしたいんですが、毎月勤労統計の問題をずっと取り上げてまいりましたけれども、これは、大臣がいまだに、官邸の影響がないというふうに説明されていますよね。私も予算委員会を全部見ていないので、ひょっとしたら答弁を変えていたら言っていただければいいんですけれども、官邸の影響がないと言い切れるのはなぜですか。

藤澤政府参考人 お答え申し上げます。

 これは平成二十七年九月のころの経緯を御質問いただいているんだと思いますけれども、その際、当時の統計情報部長にこちらで確認をしたところによりますと、毎月勤労統計について、元部長が総理秘書官に説明に行ったのは平成二十七年三月の三十一日と九月十四日の二回だけでございまして、三月三十一日の説明の際も指示を受けていないとのことでございました。

 また、元部長によりますと、毎月勤労統計の月次の公表資料を事前に事務的に官邸参事官に報告をしていた中で、恐らく検討会の状況についても事務的に情報提供していたとのことでございました。

 この点につきまして、当時の官邸参事官に確認をいたしましたところ、同年九月四日の前後に、厚生労働省から検討会の動向について報告を受けたかもしれないが、内容がテクニカルと思われたので総理秘書官には報告していないのではないかとのことでございました。

 さらに、サンプル入れかえ方法については引き続き検討するという修正につきまして、九月の十一日か十四日の午前中に自分、これは元部長でございますが、自分が指示した内容であり、この指示を行ったのは総理秘書官レクよりも前だったと記憶をしているとのことでございました。

 こうしたことから、官邸の影響があったとは言えないものと考えているところでございます。

高井委員 私は、この委員会でそんたくという言葉を使いました。そんたくについて、随分皆さんから批判の声もいただきました後、足立委員からも厳しい、そんたく、いいじゃないかと。私も、官僚の皆さん、そんたくすると思うんですよ。それは、そんたくが全然悪いなんて言っていません。ただ、それを隠すからいけないんですよ。

 何で、官邸の影響が、だって、中江秘書官とこれだけ何度もやりとりをしているわけじゃないですか。それによってこの状況が変わったということは、この時系列を見れば明らかですよ。それを、きょう、小川委員も厳しく指摘されましたけれども、若い職員が、何か、部長から指示を受けていたけれども、それは聞いていなかったとか、失念していたとか、多忙だったんじゃないかみたいな、そういう答弁で、もう世の中誰も納得しないんですよ。新聞の社説なんかでも、こんな子供じみた言いわけが通用するかと。何でそんな言いわけをするんですかね。

 中江秘書官といろいろ協議した結果、統計を変えましたと言えばいいじゃないですか。そのこと自体を誰も批判していないんですよ。なぜそこまでしてかばうんですか。

藤澤政府参考人 厚生労働省といたしましては、今ほども申し上げましたように、元統計情報部長、あるいは、当時官邸におりました、出向しておりました参事官、また、当時の担当補佐などから状況を確認をいたしまして、その上で今ほどのような答弁を申し上げているところでございます。

高井委員 これは、通告しないと絶対答えてくれないんですよね、なぜなら過去の方ですから。姉崎さんがいれば聞けるんですけれども。だから、ちゃんと通告しなきゃいけない。通告しましたよ。

 これは、姉崎部長は、八月の初旬だったと思います、第五回の検討会でははっきりと全数入れかえがいいと言っているわけですよ、それが、九月十四日じゃないというトリックを使って、中江秘書官の関与を否定しているわけですけれども。じゃ、仮に百歩譲って九月十一日だったとして、これは何で、どういうことで変わったんですか。何でこんなに長い間放置して、突然、十四日の直前に言って、そんなふうに変わるんですか。

藤澤政府参考人 御指摘の点は、その検討会の、毎月勤労統計の改善に関する検討会の第五回目とそれから第六回目での成り行きというか、それについてのお尋ねだと思いますけれども、そもそも、その五回目の検討会に厚生労働省の事務局が提出いたしました素案は、検討会での御意見を踏まえて修正されることを前提とする文書でございました。

 五回目の検討会で、統計の専門家の委員から、ローテーションサンプリングの導入により、早い時期により正確な情報をとり得る旨の意見が示されて、座長からも修文の意向が示されたものでございます。

 その上で、当時の担当部長に経緯を確認いたしましたところ、統計ユーザーの一人として、サンプル入れかえに伴う遡及改定についてかねてから問題意識を持っており、統計情報部長に就任して以来、改善の方策を考えたいと思っていたこと、ローテーションサンプリングについては、都道府県の人員体制や予算措置等の実務面での議論が論点の中心であり、手法そのものが否定されていたわけではないこと、また、同年十一月以降の統計委員会におけます未諮問基幹統計の確認作業が控える中で、統計委員会の委員の意見を聞くまでは断定的に結論を出すべきではないのではないかと判断したことなどから、これまでの検討会の委員の意見を尊重する形で修文案を指示したのではないかとのことでございました。

高井委員 私も、これは議事録を全部読んでいるんですよ。だけれども、どう考えても、そんな前からそう思っていたというような姉崎さんの発言はないんですよ。後づけで、どう考えても、やはり、後からそういうふうに、実は前々から心の中で思っていたんだみたいなことを言っても、これは理解をされないですよ。

 ですから、別にいいじゃないですか、首相秘書官だって、そういう権限というか、アドバイスというか、したっていいじゃないですか。そして、それを踏まえて変えたなら変えたと。ただ、それがいいかどうかというのを判断するのが我々の役割であって、そこを隠すから、何か不毛な議論を延々と予算委員会でもやらざるを得ないということなんです。

 一点だけ、もう時間がなくなりますけれども、私も統計の専門家と話して、この毎月勤労統計というのはもともと連続性を見る統計じゃないんだと、統計の専門家からすると。雇用保険とかの金額上限、下限を決める、そのためにとっているから、別に段差があってもいいんだというのがもともとの統計の、専門家的にはそうなんですよ。

 それを専門家じゃない方が見て、何か横やりを入れたりアドバイスをすると、こういうふうにゆがんだことになって、それはその専門家である姉崎部長や部下の方々がきちんと総理秘書官に説明すればよかったんですよ、そういうものじゃないんですと。だけれども、それが説明できない関係になっているんじゃないですか。そういう統計の専門家以外の人がいろいろ口を出して統計がゆがめられることが、本来、中立的で、いろんなバックデータに使わなきゃいけない統計が変わっていってしまうということを私は問題にしているんです。

 これは今後も総務委員会でしっかり、統計を所掌する総務委員会に統計委員長に来ていただいて、それから厚労省にも引き続き来ていただいて、しっかり、他委員会だからとかいうことじゃなくて、しっかりわかる人が来てください。

 じゃ、最後にもう一問、官房長は来ていませんけれども、特別監察委員会で、これは何で、毎月勤労統計の調査変更の話、これはいろんな新聞でみんな言っていますよ。記者も言っていますよ。これはもう通り一遍の答えだから余り聞きたくないけれども、何でですか、これを取り上げなかったのは。

土生政府参考人 まず、先ほど先生から、厚労省、反省が足りないというお叱りをいただきました。そのことは重く受けとめさせていただきます。

 その上で、御質問でございますけれども、特別監察委員会の監察の対象につきましては、今回の追加報告におきまして、端的に申し上げますと、統計法違反等を含む不適切な取扱いが疑われるケースについて監察の対象とし、調査等を実施してきたと記述されているところでございます。

 先日、追加報告を公表した際の記者会見におきまして、樋口委員長からは、委員会ではローテーションサンプリング方式の導入に関してはきちんとした手続を踏んだ上で採用されており、また、サンプル入れかえに伴うギャップをできるだけ少なくし、利用者にとってわかりにくさを解消するための措置であり、統計学的にも十分な合理性が認められるというふうに判断して、調査の対象とする必要がないというふうに判断したと委員長みずから述べられているということでございます。

高井委員 もう時間が来たので終わりますけれども、これは本当に納得できません。引き続き、今後の総務委員会で、ちゃんと統計委員長とそれから厚生労働省、できれば姉崎さんとかあるいは樋口さんとか、そういう当事者の方にもちゃんと来ていただいてやらないと、本当に我々、これ以上の、ここから先の審議、なかなか応じられませんということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 国民民主党・無所属クラブの日吉雄太でございます。

 先ほど、予算委員会で採決が行われました。予算の前提であるデータがでたらめ、そして統計に不正がある、実質賃金がマイナスではないか、こう疑われている中で、真相をしっかりと究明する、慎重に審議をするべきであったのにもかかわらず採決が行われましたこと、また、本委員会が職権立てされましたことに強く抗議を申し上げさせていただきまして、質問に入らせていただきます。

 ふるさと納税の控除額の上限についてお尋ねいたします。

 今回の法案の審議が始まる衆議院本会議で、会派を代表いたしまして質問をさせていただきました。

 その際、ふるさと納税の上限についてお話をさせていただいたんですが、その中で、石田大臣の御答弁は、平成十九年に開催されたふるさと納税研究会におきまして、地域社会の会費という個人住民税の性格を踏まえれば、住所地の地方団体に納付される個人住民税額が大きく減少するような仕組みをとることは適当ではなく、一定の上限額を設定する必要があるとされており、ふるさと納税の特例控除額は、現在、個人住民税所得割の二割を上限としておりますということでございました。

 ただ、このことは、高所得者ほど控除限度額が高いため、返礼品で得られる利益もそれだけ大きくなり、有利である、結果的に、高所得者を利する、こういうことになる制度だと考えておりますが、大臣の御答弁をもう一度お願いいたします。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 議員御指摘のように、平成十九年に開催されましたふるさと納税研究会におきましては、地域社会の会費という個人住民税の性格を踏まえれば、住所地の地方団体に納付される個人住民税額が大きく減少するような仕組みをとることは適当でなく、一定の上限額を設定する必要があるとされておりまして、ふるさと納税の特例控除額は、現在、個人住民税所得割の二割を上限としております。

 この特例控除額の上限につきましては、地方六団体から当時一割であった上限額を引き上げるよう要望をいただいたことを踏まえ、与党税調におきまして議論をいただいた上で、平成二十七年度税制改正において一割から二割に拡充したものでございます。

 高所得者の方々がふるさと納税を通じて積極的にみずからのふるさとや地方団体を支援していただければ、それは地域の活性化にも大きな効果を生むことにもつながることから、現段階におきまして、御指摘のような特例控除額の上限の引下げを行う考えはないところでございます。

 今回の制度見直しが実現することによりまして、ルール外の返礼品を送付する一部の地方団体にふるさと納税が集中する状況が改善され、一定のルールの中で、地方団体同士が創意工夫し、ふるさと納税制度が健全に発展していくことを期待いたしております。

日吉委員 ただ、今、先ほど申し上げましたように、高所得者ほどやはり税額控除を受ける絶対額が大きくなる、こういった意味で、上限額を何割というわけではなくて、金額として上限を設けるとか、そういった考えはございませんでしょうか。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま大臣から御答弁申し上げましたとおり、この特例控除額の上限は地方六団体からの要望を踏まえて拡充したものでございまして、また、高所得者の方々がふるさと納税を通じて積極的にみずからのふるさとや地方団体を支援していただければ地域の活性化に大きな効果を生むことにもつながりますので、現段階において見直す考えはございません。

日吉委員 一方で、返礼品の割合について今度はお尋ねさせていただきますけれども、これを今回、三割以下というふうに改定するところではございますが、このふるさと納税の制度自体が広く浸透してきている、こういった中で、三割以下ではなくて、本来の趣旨にのっとって感謝を込めるという意味で、もっと二割以下とか一割以下とか、こういった引下げ、こういったことも考えられるのではないかと思いますけれども、この点について御答弁をお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 返礼割合につきましては、平成二十九年四月の総務大臣通知を発出いたします際に検討いたしまして、過度な返礼品を送付せず、平均的な取組を行っていると考えられる地方団体における返礼割合がおおむね三割であったことなどを踏まえまして、少なくとも三割以下という基準を設定をしたところでございます。

 その後、累次にわたりまして、返礼割合を三割以下とするよう、地方団体に対して良識のある対応を要請してきた結果といたしまして、現在、ほとんどの団体の返礼割合が三割以下となっているところでございます。

 そのような中で、一部の団体が過度な返礼品によって多額の寄附を集める状況を是正する必要があること、他方、地域資源が有効に活用されて返礼品として用いられることで地域の活性化につながっている事実もあること、この双方に鑑みながら、国民的な御理解をいただける範囲はどこかということを踏まえまして、今回の改正法案におきまして返礼割合を三割以下とさせていただいたところでございます。

日吉委員 そういった中で、今度は指定取消しについてということですけれども、ふるさと納税の対象となる地方団体の指定取消しについてお尋ねをさせていただきます。

 指定を取り消す場合は相手の地方団体に対してどのような手続を行うかということなんですが、すぐに取り消すことはないと思いますが、まずは文書で通達を出すのか又は呼び出して意見を聴取し改善を促すのか、特に指定を取り消す場合についてどのような段取りを踏むのか、教えてください。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 改正法案では、指定を受けている地方団体が指定の基準のいずれかに適合しなくなったとき、又は総務大臣からの報告の求めに対して報告をせず若しくは虚偽の報告をしたときは指定を取り消すことができることとしているところでございます。

 総務大臣による地方団体の指定の取消し等につきましては、改正法案におきまして、地方六団体による推薦者を含めて構成される地方財政審議会の意見を聞くこととしているところでございます。

 さらに、個別の団体の取消しに当たりましては、事前に具体の状況をお伺いすることや注意喚起をすること等によりまして当該団体の実態を丁寧に捉えた上で行う必要があると考えておりまして、突然指定を取り消すというようなことは考えておりません。

日吉委員 そうしますと、もう一点これに絡んで教えていただきたいんですけれども、今度、指定を取り消された場合に、この取り消された地方団体の減収については全く国は関知しないということでよろしいのでしょうか。自己責任として、財政の補填は一切認めないとか、この部分についてどのような対応をされるのか、御答弁をお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな制度下におきまして指定の取消しが行われますのは、当該団体によるふるさと納税の募集が法律に基づいて定められた一定の基準に適合しなくなったとき等でございまして、その後、当該地方団体が期待する寄附金の額が減少することとなったといたしましても、それは当該地方団体の責任であり、国として補填することは考えておりません。

日吉委員 そうしたら、もう一点お願いいたします。

 このふるさと納税の際のポータルサイトの運営業者についてお尋ねをさせていただきます。

 以前にも他の委員の方が御質問させていただいているとは思うんですけれども、改めまして、このポータルサイト、これを見ますと、やはり自分の欲しい品物とか高価な返礼品がないかということを探すような形になっておりまして、サイトの広告につられてふるさと納税、これを利用しているということが現状なのかなというふうに思われます。

 こういった中で、このふるさと納税の利用のあり方について、この申込み代行サービスに一定の制限なり、こういったものをどのようにかけるのか、かけられないのか、この点をもう一度教えてください。明確にお願いいたします。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたいわゆるポータルサイト運営事業者でございますけれども、全国のふるさと納税先団体の情報を求める寄附者のニーズ、あるいは、職員が限られている中でふるさと納税の募集や受入れに関する業務を委託したい、寄附者に対して地域の魅力を発信したいという地方団体のニーズなどに応える形で、ここ四、五年の間に急速に発展してきたものと承知しております。

 ポータルサイト運営事業者が行う業務内容といたしましては、地方団体を紹介するページの作成、運営、ポータルサイトや他のウエブサイト上での広告、寄附の受け付け、決済、寄附証明書の作成、寄附者からの問合せ対応、返礼品の調達、管理、発送などさまざまでございまして、一概に申し上げることは困難でございますけれども、特に返礼品を過度に強調した広報について批判があると承知しているところでございます。

 そうしたことを踏まえますと、ふるさと納税の募集に関しまして、ポータルサイト運営事業者に地方団体が多大な経費を支出して過度な広報や宣伝を競い合うことは避ける必要があると考えているところでございます。

日吉委員 時間が参りましたので終わりますが、そもそものふるさと納税の趣旨、ふるさとに対して感謝を込める、こういった気持ちである、こういった趣旨をもう一度考えていただき、抜本的な改革が必要であるということを申し述べて、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 まず冒頭、予算委員会での予算案の採決の強行、そして、この委員会も委員長職権で開かれていることに強く抗議をしたいと思います。二度とこうしたことがないように、委員長にはくれぐれもお願いしたいというふうに思います。

 きょうは、幼児教育、保育の無償化について質問をさせていただきます。

 幼児教育、保育の無償化の、まず、市町村の負担、一体どうなるのか、二〇二〇年度から公立保育園が多い自治体ほど負担がふえるのではないかと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 幼児教育、保育の無償化に関する財源負担のあり方については、国と地方で適切な役割分担をすることが基本と考えており、国と地方がよく連携して無償化を進めていくことが重要と考えております。

 この財源負担のあり方については、現行制度の保育所等に係る負担割合と同様に、国二分の一、都道府県四分の一、市町村四分の一とし、公立施設については市町村等十分の十とすることで、昨年の教育の無償化に関する国と地方の協議において地方三団体から御了承をいただきました。

 これらの無償化の財源については、消費税率引上げに伴い国と地方へ配分される増収分を活用することとしており、国の責任において必要な地方財源をしっかりと確保してまいります。

本村委員 二〇二〇年度から公立保育園、公立幼稚園は無償化の負担は一〇〇%市町村負担ということになってまいります。

 東京二十三区の特別区長会の試算では、東京二十三区だけで区立保育所で九十一億円負担増などで、幼児教育、保育の無償化トータルでいいますと三百十六億円の負担増ということになりまして、消費税が来るというふうに言われても、法人住民税の国税化減収分三百八十四億円もございますので、それと合わせますと、結局、差引き二百四十億円の負担増になるというふうに試算をされております。東京も待機児童対策が緊急に求められているのに、そこにお金が回らないということがあっては絶対にいけないというふうに思います。

 そして、愛知県内の自治体からも、公立保育所そして幼稚園、一〇〇%自治体負担で、待機児童対策が必要なのにできないという声も出されております。中核市の市長会の試算では、公立保育園だけで中核市の平均で二億五百万円の負担増ということになってまいります。

 ちょっとここで、別でお伺いをしたいんですけれども、私の地元は愛知県の豊田市でございます。無償化の市町村負担分、不交付団体は二〇二〇年度から丸々持ち出しということになるんでしょうか。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 今般の幼児教育、保育の無償化の財源については、消費税率の引上げに伴い、国と地方へ配分される増収分を活用することとしており、国の責任において必要な地方財源をしっかりと確保いたします。

 そして、地方交付税の交付団体か不交付団体かにかかわらず、初年度に要する経費については全額国費による負担とすること、そして、初年度と二年目の導入時に必要な事務費について全額国費による負担とすることなどの措置を行うこととしております。

 これらを含めて、地方の財政負担については、昨年、教育の無償化に関する国と地方の協議において、国から地方団体に提案し、その内容について御了承をいただいたものでございます。

 十月からの実施に向けて、引き続き、国と地方でよく連携しながら進めてまいりたいと考えております。

本村委員 豊田市などは、法人住民税の国税化でとられている。保育の無償化でも、公立の部分は市町村負担、みんな持ち出しということになってまいります。幼児教育、保育の無償化は全額国の責任でやるべきだというふうに思います。

 私どもは、そもそも消費税増税に反対でございます。大企業や高所得者に応分の負担を求める税制改革が必要だということも主張させていただいております。ぜひそうした方向でやっていただきたいと思います。

 もう一つお伺いをしたいんですけれども、愛知県の南知多町では、島の一園を除いて、あとは全て公立の保育園でございます。愛知県内のほかの自治体と比べましても、財政力、財政が豊かな自治体ではありません。こうした自治体は、一〇〇%市町村負担になったら大変になるのではないか。公立保育園、保育士の皆さんは、子供さんの健全な成長のために本当に必死に頑張っておられます。南知多町では、島の民間の保育園では保育士さんがなかなか集まらないということで、保育士さんを町が、南知多町が派遣をして、努力をしているわけでございます。

 公立保育園なら一〇〇%市町村負担という国の方針は、結局、こういう山間僻地の自治体を苦しめることになるのではないかと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。大臣に、これは大臣に通告をしております。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御紹介ございましたけれども、本年十月から実施されます幼児教育の無償化における公立保育所に係る経費につきましては、実施初年度分は全額国費により措置される、これはもう先ほどのお話がございました。

 三十二年度以降は、子ども・子育て支援法の規定に基づいて、今御指摘のように、全額が市町村の負担ということになるわけでございますけれども、平成三十二年度以降の幼児教育の無償化に係るその地方負担分につきましては、地方財政計画の歳出に全額計上いたしまして、一般財源総額を増額確保した上で、個別団体の地方交付税の算定に当たりましても、基準財政需要額に全額算入することによりまして、必要な財源をしっかり確保してまいる所存でございます。この点は、保育所が公立であるか私立であるかにかかわらず同様でございます。

 今般の幼児教育の無償化の実施に当たりまして、地方団体の財政運営に支障が生じないように、引き続き適切に対応してまいる所存でございます。

本村委員 一般財源総額に全額のせるといいますけれども、一年分ですと約五千億円ですけれども、ちゃんと一般財源総額まるっとふえるという理解でよろしいでしょうか。これは大臣に。いや、大臣に聞く機会がなくなってしまうので、この質問は大臣にお願いしたいと思います。公立保育園の運営が難しくなるような、そんなことにはさせないという御答弁を大臣にお願いしたいと思います。

石田国務大臣 先ほど局長から申し上げたと同じ答弁になるわけでありますけれども、平成三十二年度以降の幼児教育の無償化に係る地方負担分については、公立、私立にかかわらず、地方財政計画の歳出に全額計上し、一般財源総額を増額確保した上で、個別団体の地方交付税の算定に当たっても、基準財政需要額に全額算入することにより、必要な財源をしっかり確保してまいります。

 繰り返しになりますが、総務省としては、今般の幼児教育の無償化の実施に当たって、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、引き続き適切に対応してまいります。

本村委員 公立保育園は、例えば、困難な御家庭の子供さんを迎えに行くような登園支援ですとか朝食の支援ですとか、民間ではなかなか人手が足りなくてできない部分もカバーして頑張っているわけでございます。民間の保育園の園長さんも、公立の保育園がなくなったら保育水準が下がってしまうと大変心配をしております。公立保育園の役割をぜひとも評価していただいて、公立保育園の維持が難しくなるようなことがないように、くれぐれもお願いを申し上げたいと思います。

 そして、最後に、もう一つ質問をさせていただきたいんですけれども、今回の無償化なんですけれども、給食食材費が無償化の対象になっていないという問題がございます。

 給食は保育の一環で、給食は必須だからこそ、三歳以上の子供さんを含め、副食材費等が公的な保育所運営費に組み込まれてまいりました。しかし、今回は、三歳以上の子供さんの副食材費は新たに実費徴収というふうに言われております。そうしますと、今払っている保育料が低所得で安くなっている方は、今よりも負担がふえてしまうという方々もいる、できてしまうのではないかという心配があるわけでございます。

 そうしたことがないように、給食食材費無償化、これは対象にぜひしていただきたいというふうに思います。今よりも負担がふえることがないように、ぜひお願いしたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 幼児教育、保育の無償化に当たり、食材料費については、在宅で子育てをする場合でも生じる費用であること、そして、これまでも実費又は保育料の一部として保護者に御負担をいただいてきたこと、既に無償化されている義務教育においても実費相当の負担をいただいていることから、引き続き保護者に御負担いただくこととしましたが、あわせて、副食費の免除対象をこれまでの生活保護世帯や一人親世帯から年収三百六十万円未満相当の世帯に拡充することとしており、低所得世帯にとって負担増にならないと考えております。

本村委員 無償化をやるのであれば全額国費でということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 短い時間でありますが、十分間、この法案審議の最後に確認を大臣にさせていただきたいと思います。

 たびたび私は、この委員会で、この場で、ふるさと納税を取り上げてまいりました。

 千代松泉佐野市長と石田大臣とのいろいろ攻防がありましたので、これは何度も申し上げていますが、自民党と維新の会の特徴というか、やはり自民党は中央集権ですから、総務省が上から目線でいろいろやっていてもいい。しかし、維新の会はやはり地方から生まれた唯一の国政政党ですから、やはり国が決めるルールはわかりやすくないといけない。地方公共団体が、千七百の地方公共団体が切磋琢磨をするためには、総務省がつくるルールはやはりわかりやすくないといけない。

 ところが、先日、二十六日に石田大臣そして安倍総理に御質問したけれども、結局、ますますよくわからないんです。

 石田大臣は、再三、このふるさと納税の趣旨は、ふるさとやお世話になった自治体への感謝の気持ちを伝えること、税の使い道を自分の意思で決めること、この二つだとおっしゃっているんですが、私は、そうであれば、返礼品の広報は禁止をすべきだ、それをしないのであれば、地域活性化なり、消費拡大なり、景気対策なりという趣旨を入れるべきだと再三申し上げてきましたが、どうしてもそこはうやむやにされています。

 きょう、改めて大臣にお伺いしたいのは、すると、先ほど大臣が再三言われている趣旨と、今回の改正法の中身は乖離している、今回の改正法によって実現しているふるさと納税の実態と、大臣が訴えていらっしゃる趣旨は乖離をしていると言わざるを得ませんけれども、乖離しているでよろしいですか。

石田国務大臣 乖離しているとは思っておりません。

足立委員 じゃ、もしそういう地域活性化という趣旨を認めないのであれば、繰り返しになりますよ、なぜ広報を規制しないんですか、返礼品の広報をなぜ規制しないんですか。誰でもいいよ。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ふるさと納税の募集に関しまして、過度な広報が行われていることについて批判があることは承知をいたしております。ふるさと納税の募集に関しまして、ポータルサイト運営事業者に地方団体が多大な経費を支出して過度な広報や宣伝を競い合うことは避ける必要があると考えております。

 そのため、改正法案では、寄附金の募集の適正な実施に係る基準に適合することを求めておりまして、その基準については検討中でございますけれども、当該基準の内容として、寄附金のうち少なくとも半分以上が寄附先の地域の活性化のために活用されるべきとの観点から、広報等の経費も含めて募集経費の総額を、原則として、各団体における年度ごとのふるさと納税の受入額の五〇%以下とすること等を盛り込むことを検討しているところでございます。

足立委員 いやいや、そういう、役人だから役人答弁は仕方ないけれども、大臣、やはりこれは、そうであれば、なぜ広報を、返礼品の広報を何で規制しないんですか。できるじゃない。だって、広報はだめよと言ったら終わりじゃないですか。何でそれを規制しないの。

 いやいや、今局長がおっしゃったようなことはもういいですよ。わかっている、わかっている。それはいいよ、そういう、ちょっとは抑えるということなんだけれども、それはいいけれども。少なくとも、法律に三割と書くんですよ。返礼品の三割と法律に書くんですよ。法定するんですよ。今までの通達じゃなくて、法定するんです。それを国会で審議しているんですよ。いや、でも、それは趣旨とは関係ないんだと。

 趣旨にのっとるのであれば、私が繰り返し申し上げているように、返礼品をなしにするか、しかし、地域経済へのいろいろマイナスのインパクトが問題だという、じゃ、広報だけでもやめたらいいじゃないですか、広報だけでも。いや、納税者がいろいろ自分で調べるのはいいよ、いろいろ。でも、積極的に何で広報する必要があるの。大臣、どうですか、広報する必要ないんじゃないですか。ねえ。(発言する者あり)ない。与党の先生方も、ちょっと、合流しましょう、合流。

 いや、石田大臣、ちょっと、これは本当に私、わからないんですよ。わからない。恐らく与党の自民党本部の中でも、部会でも出た議論だと思うんですよ。なぜ広報を規制しないのか。大臣、もう一度お願いします。

石田国務大臣 今回の改正法案において初めてふるさと納税の返礼品を法律に位置づけることとしているのは事実でございまして、返礼品を提供する場合にはと限定して、その場合における一定のルールを定めているものであって、全ての地方団体が返礼品を提供することを前提とした制度に改変しようとしているものではございません。

 現に、市町村の首長の中には、ふるさと納税の趣旨を重んじて返礼品は送付しないという方もいらっしゃいますし、自然災害が発生した際におけるふるさと納税を通じた災害支援として、返礼品がなくても国民の皆さんから温かい御支援が寄せられているものもあるわけであります。

 また、この制度は、結果として、個人住民税が減収となる地方団体も生ずるものであり、都市と地方それぞれの団体が制度の趣旨を踏まえた対応をすることで成り立つ制度であることから、地方団体がそれぞれ集められるだけ集めることを推奨しているものではございません。

 こうしたことを踏まえれば、やはり、ふるさと納税の趣旨として、景気対策や消費拡大策を位置づけるのはなじまないと考えているところでございます。

 しかし、その一方で、今回の法改正によって設けられる一定のルールのもとにおいて、地方団体が創意工夫し、ふるさと納税を通じて得られた資金を有効に活用して、地場産業の振興や雇用の創出等、地域経済の活性化に取り組んでいただくことは重要なことでありますし、現実にそういう動きがあるわけでございます。

 ふるさと納税については、廃止すべきといった御意見や、もっと拡大すべきといった御意見、また委員のような御意見等、さまざまな意見があることを承知をいたしておりますけれども、国民の皆さんの御理解をいただけるような一定のルールを決めさせていただき、その中で、この制度を健全に発展させていただきたい、そのように思っているところであります。

足立委員 この通常国会、一月の末から三月一日、きょうまで一カ月にわたって、一年で一番大事な一カ月です。一年で一番大事なこの一カ月で、私は改めて確信しました。やはり今の自民党だけではだめだ、やはり、地方から生まれた、地域から生まれた唯一の国政政党として私たちが本質的なチャレンジを自民党に挑んでいかなくては日本はよくならないということを痛感しました。

 去年の臨時国会で入管法を改正しても、結局、山下大臣はやらない。ここでこれだけ与党の皆さんもそうだと声をかけてくださるぐらい当たり前の議論をやっても、結局、国会ではスルーして、いわゆる役人答弁で時間切れ、採決。僕はほかの野党みたいに暴れたりはしませんが。しかし、政権を争う別のグループ、チームA自民党に対して、チームB維新の会がやはりしっかりしないといけないなということを、この六年の政治活動の中で、政治生活の中で、この通常国会のこの二月ほど感じたことはありません。

 改めて、これを見ていただいている国民の皆様に、自民党に対抗できるチームB、プランBを用意して、また御審判をいただくことをお誓い申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 私からも、まず、先ほどの予算委員会の採決の強行、そして当委員会が委員長の職権で立てられたことに強く抗議をしたいというふうに思います。

 私からも、余り時間はありませんが、法案について幾つか質問をさせていただければと思います。

 消費税についてですが、消費税が五%から八%への引上げの際に、三%の増収分の配分は、交付税分も含めますと、国と地方の間でおおむね七対三でした。これに対応する社会保障制度の充実に係る国と地方の負担割合はおおむね五対五ということで、実はここにギャップが生じます。そして、その補填策が講じられてきました。

 十月以降、一〇%へと二ポイント税率がアップをするわけですが、この二%分の国と地方の増収分の配分割合と、社会保障制度充実分の国と地方の負担割合はどういうふうになっているでしょうか。

林崎政府参考人 二%分の収入割合と、それから社会……(吉川(元)委員「充実分の」と呼ぶ)社会保障の充実分の金額……(吉川(元)委員「国と地方の負担割合」と呼ぶ)負担割合でございますか。

 社会保障の充実と人づくり革命を合わせまして、消費税充当合計額の負担割合を、充当されるものの負担割合を比較しますと、国の方が六二・九%、地方の方が三七・一%、こういう割合になっているところでございます。

吉川(元)委員 今のは、新たな社会保障制度の充実のための負担割合ですよね。それと、もう一点は、今回消費税が二ポイント上がるわけですけれども、その増収分の配分割合というのはどのぐらいになっているんでしょう。

 これは通告をしているんですけれども。

林崎政府参考人 失礼いたしました。お答えいたします。

 増収分につきましては、先ほども御指摘ありましたように、国と地方で七対三、おおむね七対三ということになってくるわけでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、やはりこういうギャップが生まれるわけです。

 八%への増税時の配分と負担のギャップ、これは二千四百四億円。これはこれまで臨時財政対策特別加算で補填をしてきたものと承知をしておりますが、来年度はこれがなくなるということで、交付金で補填をするというようなことを事前のお話で伺いました。

 一〇%への増税時、このギャップの額はどの程度の額になるというふうに見込まれ、またどういう形で補填をしていくように考えていらっしゃるんでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 ことしの十月から増税ということになるわけでございますけれども、この三十一年度におきましては、地方の増収分、これはわずかでございますので、先ほど御指摘にありましたけれども、幼児教育の無償化に係る地方負担分二千三百四十九億円につきましては、これは全額国費で対応するために子ども・子育て支援臨時交付金を創設する、こういうことでございます。

 それから、三十二年度以降という問題があろうかと思いますけれども、三十二年度以降におきましては、社会保障の充実あるいは人づくり革命に係る施策の実施に当たりまして、それらに係ります地方負担、これにつきましては、地方財政計画の歳出に全額計上し、そして、歳入の方でいいますと、地方消費税の増収分、これはもちろん全額計上することにしまして、その上で一般財源総額を増額確保するということになります。

 そして、個別団体の地方交付税の算定に当たりましても、それぞれ、基準財政需要額、収入額に全額を算入することで、地方団体の運営に支障が生じないように対応していく、こういう方針でございます。

吉川(元)委員 ちょっと質問の趣旨がうまく伝わっていないのかもわかりませんけれども。

 ギャップが生まれる、国と地方、それぞれ消費税を増税したときに、七対三と五対五、以前は五対五、今度は六対四程度の割合で、実際には七対三ではないと。その間のギャップを、これまで、今年度以前は臨時財政対策特例加算で埋めてきたわけですよね。これが次年度はないということもあって交付金で対応したと。

 そうしますと、次年度はそれで対応しているということなので、それはそれでよしととりあえずしますけれども、その次の年度以降の補填のあり方というのは、今、総務省としては検討されているんですか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘ありましたように、三十一年度について、まだ制度が熟していく途中ということもございます中で、あるいは地方消費税収がまだ余り入らないという状況の中で、交付金で対応しますけれども、三十二年度以降につきましてどうするか。

 当然、その地方団体の財政運営に必要な一般財源総額を確保していくわけですが、今、委員御指摘の点につきましては今後検討していくということになります。

吉川(元)委員 実際に、交付税も含めて地方が受け取る金額と、そして、国の政策もあってのいわゆる社会保障の充実分、これが同じ比率であればまだわかるんですけれども、入ってくるのは少ないけれども出るのは地方の方が多いと。そのギャップをずっと今まで埋めてきたわけで、これをきちんと再来年度以降もしっかり確保していただかないと地方自治体は大変困るという状況でありますので、今検討中ということでありましたので、しっかりこれは対応していただきたいというふうに思います。

 次に、幼児教育の無償化について若干質問させていただきます。

 先ほど同僚委員からも質問がありました。地方負担の全額を基準財政需要額に算入するというようなお話でした。

 二%の増税ということですけれども、地方配分は〇・五ですから、額にすると大体一兆一千五百億円程度。無償化の費用だけで約四千七百億円。加えて、認可外を除き、事務費もいずれ地方負担になるということを考えますと、非常に、増税による地方消費税の財源のうち四割を超える部分が政府の決めた幼児教育、保育の無償化に費やされるということになります。

 事前のレクでは、この部分については、実際には自治体のいわゆる行政のサービスにはかかわらないんだ、要は、借金をその分たくさん返さなくていいからそれほど変わらないんだというお話でしたけれども、結果的にはそれは、借金をどのように返していくのかを含めて各自治体が考えながらこれまで財政運営をやってきたわけで、やはりこれは自治体に何らかの影響が出るのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 若干先ほどの答弁にも関係してまいりますけれども、地方財政計画の歳出歳入に、それぞれ、必要な経費、それから入ってくる地方消費税収、これをまず全額計上して、全体としての一般財源総額をしっかり確保する、まずこれがあります。

 その上で、個別の地方団体の地方交付税の算定に当たりましても、地方負担の全額を基準財政需要額に算入し、そして地方消費税の増収分の全額も基準財政収入額に算入しますので、その結果として、必要な経費につきましては交付税で担保される、こういうふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 私が聞きたかったのは、地方が自分たちの裁量で使える、そういう財源がやはりこれによって削られているのではないかという中身であります。

 この問題についてはまた別の機会に質問したいというふうに思います。

 時間が来ましたので、終わります。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 最後に質問をさせていただきます。希望の党の井上一徳です。

 よくこの場でも議論はありましたけれども、統計というのは、政策の土台というか、政策を築くための土台ですので、その統計の正確性に疑義が生じている現状というのは非常に残念に思います。

 私は、こういった事態をもう二度と招かないための再発防止、これについて徹底してほしいという観点から質問させていただきます。

 今、基幹統計五十六のうち二十三で不適切な取扱いがあるということで、現在、これの問題点の深掘りを行って、夏ごろまでに人員それから予算の手当て等について検討するというふうに聞いておりますけれども、現在の取組状況、今後の予定も含めて教えていただきたいと思います。

 それから、一般統計、二百二十三ありますが、これについてはどのように検討していくのか、教えていただきたいと思います。

横田政府参考人 統計の信頼回復に向けまして、統計委員会に新たに設置されました点検検証部会におきまして、基幹統計や一般統計調査について徹底した検証を進めていくこととしておるところでございます。

 先週初会合が開催されました点検検証部会におきましては、再発防止それから統計の品質向上、この二つの観点から、基幹統計については、書面調査により実態把握を行った上で、二つのワーキンググループで審議を行い、さらに、一般統計調査につきましては、基幹統計に準じて、各府省で自己点検を進めていただいた後に、点検検証部会へ報告がなされる予定ということになってございます。

 これによりまして、春までをめどに、全ての基幹統計及び一般統計調査について統一的な審査を行うということになってございます。

 その結果を踏まえまして、深掘りすべき課題、これが恐らく出てくると思いますので、それにつきまして重点的な審査を行い、六月から七月までに第一次の再発防止策等の提案を取りまとめる予定ということになっていると承知してございます。

井上(一)委員 その取りまとめというのは公表されるというふうに理解しておりますけれども、よろしいでしょうか。

横田政府参考人 今おっしゃったとおり、公表する予定でございますので、それでまたいろいろ御議論をいただければというふうに思います。

井上(一)委員 それで、今そういった検討のために事務局の体制も強化されているというふうに聞いておりますけれども、具体的に、これまでどういう、何名体制でやってきたのを今何名体制でやっているのか、それから、統計の専門知識を有した人というのがその事務局の中にどの程度入っているのか、教えてください。

横田政府参考人 まず、二つ御質問をいただきましたけれども、総務省におきましては、この統計委員会の庶務を処理するということとされております。

 この統計委員会の点検、検証につきましては、対象が多いということで、かなりこれは作業が膨大となるということが見込まれることでございます。更に、スピード感を持って取り組むという必要がございますので、この点検検証部会につきましては、特別に、統計委員会の点検、検証事務のあくまでサポートを行うということでございますけれども、政府統計検証チームを三十名の体制で二月一日に立ち上げたということになってございます。

 先週初会合が開催された点検検証部会におきましては、春までをめどに全ての基幹統計及び一般統計調査について統一的な審査を行い、更に重点的な審査を行って、六月から七月までに提案を取りまとめるということは先ほど申し上げたとおりでございます。こちらにつきましては、短期間で集中的な作業が見込まれるということで、今申し上げたような体制をとったところでございます。

 そもそも、この統計委員会の事務局がどうなっているかという御質問が二点目でございました。

 これは、大体、今全体、統計委員会の事務局としてのスタッフは四十人ほどでございます。

 その中に専門知識を持った人間がどれぐらいいるかということでございますが、この専門知識の水準自体がちょっといろいろでございますので、なかなか一概に人数は申し上げにくいところではございますけれども、例えば、国家公務員の総合職の数理系の職員、それから各府省や日本銀行の統計部局の経験者、それからあと専門知識を有する任期つきの職員といったところを数えますと、大体二十人以上というところになってございます。

井上(一)委員 じゃ、最後に大臣に質問して終わりたいと思いますけれども、これから、そういった深掘りとか、今後こういうことは二度と行わないような再発防止策、これを検討していくためには、この統計委員会は非常に重要になってくると思います。

 いろいろ議論は出ていましたけれども、この統計委員会について、委員の常勤化とかそういうことも含めて、この統計委員会の体制を強化していくということは非常に重要だと思うんですけれども、その点について大臣の御所見を聞いて終わりたいと思います。

石田国務大臣 今御議論いただいていましたように、各般にわたって今調査、検討を行っているところです。

 具体的に申し上げますと、毎月勤労統計については厚労省の特別監察委員会が報告書を出されて、賃金構造基本統計については今総務省の行政評価局がやっておりますし、今議論がありましたように、統計委員会自身も点検検証部会でやっております。

 そしてまた、今回のこの一連の委員会等での議論も、さまざまな御提言もいただきました。また、各界からもいただいているようでございますので、ある一定の調査等が整った段階で、やはり総合的に統計のいかにあるべきかということを考えていくべきだというふうに考えております。

井上(一)委員 二度とこういう事態が生じないように徹底的に検証していただいて、予算、それから人員、これについても十分手当てをしていただきたいと思います。

 じゃ、以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより各案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。

高井委員 立憲民主党・無所属フォーラムを代表して討論をいたします。

 昨年末に発覚した厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題に端を発し、五十六の基幹統計のうち四割に当たる二十三統計に問題があることが発覚しました。統計の司令塔役である総務省が所管する四統計においても不適切な処理が見つかったことは、言語道断であります。

 統計は、国の基本であり、かつ国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であって、議案となっている四法案の審議においても極めて大きな影響を及ぼします。このため、統計委員長も出席しての十分な審議を求めてきましたが、審議は甚だ不十分であり、行政監視を任務とする立法府の役割を十分果たせなかったことは極めて残念です。

 加えて、本日、委員長の職権でこの委員会がセットされました。今国会始まって一月足らずの間に二度目の委員長職権立てであり、厳重に抗議を申し上げるとともに、今後このような運営が二度とないよう要請いたします。

 地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案の三法案につきましては、さまざまな論点がありますが、三案は、いずれも消費税の引上げを前提とする法律案です。現在、政府が提案する消費税引上げ及びそれに関連する施策は、到底容認することはできず、この三法案には反対いたします。

 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案は、譲与基準の人口案分などは今後見直す必要がありますが、放置人工林の天然林化を始め森林整備等に資する観点から、賛成いたします。

 最後に、質疑でも申し上げましたが、昨年は、西日本豪雨災害や北海道胆振東部地震を始め大きな災害に見舞われた年でした。被災自治体は、厳しい財政状況の中、基金を取り崩すなどして災害対応に当たっています。被災自治体に対して十分な特別交付税を措置することをお願いし、私の討論といたします。(拍手)

江田委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 国民民主党・無所属クラブの日吉雄太です。

 私は、会派を代表し、ただいま議題となりました地方税法等改正案、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案、地方交付税法等改正案に対し、反対の立場から、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。

 まず、地方税法改正案については、消費税率引上げ時における軽減税率制度の導入を前提としている点で反対です。

 逆進性対策は、給付つき税額控除制度の導入によるべきです。

 ふるさと納税制度については、改正法で、返礼品を地場産品に限るとしています。しかし、地場産品か否かの境界は曖昧で、総務大臣が基準を定めて判断するのでは、上意下達の中央集権に逆戻りです。

 また、返礼品について定めたために、返礼品目当ての制度であることを法が認めてしまいました。ふるさと等に寄附をして感謝の気持ちを伝えるという当初の理念に沿った制度にしていくために、抜本改革が必要です。

 自動車関連諸税についても、私たちは従来から、九種類もの不条理で過重な税の抜本改革を求めてきました。

 しかし、今回、与党の税制改正大綱に、「車体課税の見直しについては、今般の措置をもって最終的な結論とする。」と明記された点は、到底納得できません。私たちは、ユーザー負担軽減と家計支援のための抜本改革を引き続き求めてまいります。

 次に、特別法人事業税、特別法人事業譲与税です。

 近年、地域間の財政力格差が拡大していることからすれば、税源の偏在の是正は必要です。しかし、今回の改正は、暫定的な措置だったはずの地方法人特別税と同様の制度を定めたにすぎず、抜本改革にはほど遠い状況です。

 我々は、地域主権改革により、国の権限、財源を大胆に地方に移譲することで、中央と地方の格差の問題を根本的に解決する所存です。

 以上、いずれの問題も、安倍内閣は、抜本改革ではなくびほう策で切り抜けようとしています。私たちは、地方税財政の抜本改革を誠実に実行し、皆様が将来にわたって安心できる地方税財政基盤を確立していくことをお約束申し上げ、私の討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

江田委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 私は、日本共産党を代表して、地方税法改定案ほか三法案に対する反対の討論を一括して行います。

 以下、反対の理由を申し述べます。

 地方交付税法では、交付税算定へのトップランナー方式を拡大しています。自治体業務の民間委託などによって削減した経費水準を地方交付税の単位費用に反映するトップランナー方式を、来年度、学校用務員などで更に段階的に拡大するとしています。地方交付税を削り、自治体に一層のアウトソーシングを押しつけることは許されません。

 地方税法では、消費税一〇%への増税強行を前提にしています。上下水道や給食費など公共サービス料金のさらなる引上げ、地域の医療機関の経営圧迫など、消費税増税は住民生活に大打撃となります。自動車保有税の恒久的な引下げと環境性能割の一%減税は、業界団体の要望に応え、消費税増税による駆け込み需要と反動減への対策を行うものです。一部にしか恩恵の及ばない対策ではなく、消費税増税そのものを中止するべきです。

 さらに、消費税増税で自治体間の財政格差を拡大させながら、その格差是正の責任を一部の自治体に押しつけるやり方も問題です。特別法人事業税は、地方税を国が取り上げ、ほかの自治体に回すやり方を恒久化するものです。地方自治体の課税自主権を侵害するもので、地方税制にゆがみを持ち込むものです。自治体間の財政格差は、地方交付税の財政調整機能を回復させ、国の責任で是正するべきです。

 また、森林環境税は、二〇二三年度で終了とされていた個人住民税均等割への上乗せ千円を、看板をかえて継続するものです。個人住民税の均等割は、所得割が非課税の人にも課税となる逆進性の高い税です。国民生活を圧迫するやり方はやめるべきです。森林整備の財源は、国の一般会計での森林予算や地方交付税で保障するべきです。

 以上を申し述べ、討論といたします。(拍手)

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史です。

 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案及び特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案については反対、その他二案については賛成の立場から討論します。

 今の国会で、本当に真っ当であると胸を張れる政治グループは、六十年余りの歴史を有するチームA自民党と、そして、結党から六年余りとはいえ、新しいチームB維新の会との二つしかないと私は考えています。そして、チームAのプランAとチームBのプランBとの違いが最も先鋭的な形であらわれるのが、今議題となっている税制を始めとする地方制度なのであります。

 一九五五年の結党以来、国と地方との役割分担をあえて明確にせず、いわゆる融合型の行政システムを全国に張りめぐらしてきた自民党にとっては、ふるさと納税に係る総務省の上から目線の制度改正にも、場当たり的な地方法人課税の偏在是正措置にも違和感を感じないのかもしれませんが、私たちは絶対に許せません。特に、石田総務大臣と千代松泉佐野市長との応酬を見て、そうした地方税制のあり方に関する自民党の考え方と維新の考え方との決定的な違いを痛感しました。

 私たち日本維新の会が目指す社会は、国、広域行政そして基礎自治体の三つが、それぞれの有する権限と責任を明確にしながら、都市間競争、地域間競争に臨んでいく、その切磋琢磨の中で国の繁栄を築いていく、そうした公正公平で透明な社会なのであります。

 税のあり方は国の骨格であります。平成から新しい時代を迎えるに当たり、地方から生まれた唯一の国政政党の責任として、国と地方との新しい関係の構築に最優先で取り組んでいくことをお誓いし、反対討論といたします。(拍手)

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 地方税法改正案、交付税法改正案及び特別法人事業税、特別法人事業譲与税に関する法律案に反対、森林環境税、森林環境譲与税に関する法律案には賛成する立場で討論を行います。

 来年度の地方財政計画は、一般財源総額、地方交付税額ともに増加しています。総務省関係者の努力は評価したいと思います。しかしながら、まち・ひと・しごと創生事業費での成果配分重視の傾向に顕著なように、交付税法の趣旨をゆがめかねない内容が依然として盛り込まれており、また、消費税率の引上げに際し、交付税法定率が引き下げられている点など、交付税法改正案には賛成できません。

 ふるさと納税に関する法改正は、返礼品競争対策だけに特化し、寄附控除制度全体の均衡を勘案した抜本改正になっていないなど、地方税法改正案にも反対をします。

 偏在是正を理由にして創設される特別法人事業税、特別法人事業譲与税については、そもそも偏在の定義が不明確で、法改正の合理的根拠に欠けています。財源調整、財源保障は、本来、交付税が果たすべき機能です。国の法人税率を引き上げて交付税原資を確保し、あるいは法定率を引き上げて財源調整をするのが筋のところ、地方固有の財源である地方法人税を国が召し上げて地方に譲与するという仕組みは、地方分権に反するものとして、賛成できません。

 森林環境税、森林環境譲与税は、税制のスキームとしては手放しで賛同できるものではありませんが、公共財としての森林整備を促進する観点から、賛成するものとします。

 いずれ、来年度も四兆円を超える財源不足が生じる地方財政の充実に向けて、総務省の一層の努力を求めます。

 同時に、統計不正問題で、統計全体を所管する省庁として責任ある対応を求め、討論といたします。(拍手)

江田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより各案について順次採決に入ります。

 まず、地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、あかま二郎君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び希望の党の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切に措置すべきである。

 一 森林環境譲与税の使途を適正かつ明確にしつつ、市町村が主体となった森林整備を促進するために、国は責任をもって、市町村の業務を支援していくこと。

 二 市町村の体制強化に向けた支援策として、森林所有者の確定や境界の明確化、森林の巡視など、市町村の負担を軽減するため、更なる施策の拡充を図ること。

 三 林業経営者の健全な育成を図るため、森林に関する高度の知識、技術、経営に関する研修計画を企画し、実施すること。また、林業経営者を評価するに当たっては、生産性(生産量)の基準だけでなく、作業の質、持続性、定着性、地域経済への貢献、労働安全条件などの評価基準も重視すること。

 四 森林の育成には、林業労働力の確保・育成は不可欠であり、林業就業者の所得の向上、労働安全対策をはじめとする就業条件改善に向けた対策の強化を図ること。

 五 市町村が、森林環境譲与税の使途を適正かつ明確にしつつ、これまでの森林施策では対応出来なかった奥地等の森林の整備等を円滑に実施することができるよう、市町村の林業部門担当職員の確保・育成を図る仕組みを確立するとともに、林業技術者等の活用の充実、必要な支援及び体制整備を図ること。

 六 路網は、木材を安定的に供給し、森林の有する多面的機能を持続的に発揮していくために必要な造林、保育、間伐等の施業を効率的に行うために不可欠な生産基盤であることから、路網整備に対する支援を行うこと。

 七 森林資源の循環利用を図るため、新たな木材需要を創出するとともに、これらの需要に対応した川上から川下までの安定的、効率的な供給体制を構築し、木材の利用拡大を図ること。

 八 森林整備の推進に向けて、その大きな支障の一つである鳥獣被害に係る対策を含め、主伐後の植栽による再造林、保育が確実に実施されるよう、必要な支援を行うこと。

 九 山村振興に向け、都市と山村自治体の連携強化を図るため、森林整備協定に基づく森林整備等を一層推進すること。

 十 森林の有する公益的機能の維持増進の重要性に鑑み、森林環境譲与税による措置も含め、我が国全体で必要な森林整備が着実に進められるよう、所要の予算を確保すること。

 十一 森林環境税を活用した森林整備等への国民の理解と協力が一層得られるよう努めること。

 十二 私有人工林において、荒廃し、保水力低下、土砂災害の発生、野生鳥獣の生息地の破壊、花粉症り患者の急増など深刻な問題が生じていることが我が国の森林における重要な課題であることに鑑み、豊かな水源の森再生のために、森林環境譲与税で、地域の自然条件等に応じて放置人工林の広葉樹林化を進めること。

 十三 広葉樹林化の施業は、実践例が乏しく、森林環境譲与税の交付を受ける自治体にその技術がなく、人材も不足していることから、森林環境譲与税で放置人工林の広葉樹林化が進むように、具体的な指針を示し、必要な支援を行うこと。

 十四 既存の森林整備に係る補助金等は、放置人工林の広葉樹林化に利用が難しく、自治体独自の補助事業もほとんどないことに鑑み、放置人工林の広葉樹林化が各地で進むよう、必要な取組を行うこと。

 十五 森林環境税及び森林環境譲与税制度について、各自治体における使途及び豊かな森林の公益的機能増進への効果を検証しつつ、必要がある場合には、豊かな森林環境の再生のために、森林環境譲与税の使途や譲与基準をはじめ、所要の見直しを行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田総務大臣。

石田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

江田委員長 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、あかま二郎君外五名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本維新の会及び希望の党の六派共同提案による持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。高井崇志君。

高井委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件(案)

  厳しい地方財政の現状を踏まえ、地方公共団体が必要な行政サービスを安定的かつ効果的に提供していくためには、持続可能な地方税財政基盤の確立が不可欠であることに鑑み、政府は、次の諸点について措置すべきである。

 一 地方公共団体が、人口減少の克服、地域経済の活性化、公共施設等の老朽化対策等の重要課題に取り組んでいくためには、地域の実情に応じた自主的かつ主体的な取組を長期間にわたって実施していく必要があることに鑑み、平成三十二年度以降も地方公共団体の安定的な財政運営に必要な一般財源総額が、予見可能性を持って安定的に確保されるよう、全力を尽くすこと。

 二 地方交付税については、本来の役割である財源調整機能と財源保障機能が十分発揮できるよう、引き続き、地方税等と併せ必要な総額の充実確保を図るとともに、法定率の引上げを含めた抜本的な見直しを検討し、臨時財政対策債等の特例措置に依存しない持続的な制度の確立を目指すこと。また、基準財政需要額の算定については、地域の実情に十分配慮するとともに、地方交付税の財源保障機能を適切に確保すること。

 三 地方公共団体の基金については、それぞれの団体が、将来の歳入減少や歳出増加への備えとして積立てを行っており、その財源は行政改革や経費削減等により捻出されているものであることに鑑み、その残高が増加していることをもって、地方交付税等の財源を一方的に減額しないこと。

 四 地方税については、地方財政の自主性・自立性を確立するとともに、安定的で充実した財源の確保を可能とする地方税制の構築を図ること。また、減収が生ずる地方税制の見直しを行う場合には、代替の税源の確保等の措置を講ずるほか、税負担軽減措置等の創設や拡充に当たっては、真に地域経済や住民生活に寄与するものに限られるよう、慎重な対処を行うこと。

 五 個人住民税における控除の在り方については、住民が公平感を持って納税することができるような税体系の構築を目指して不断の見直しを進めること。

 六 地域の実情に応じた行政サービスを地方公共団体が将来にわたり提供することができるよう、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築のために、抜本的な改革に向けた検討を進めること。

 七 ふるさと納税制度に関しては、制度の趣旨と実態が乖離していることを踏まえ、適正化に向けた取組を進めること。

 八 巨額の借入金に係る元利償還が地方公共団体の財政運営を圧迫し、諸施策の実施を制約しかねない状況にあることも踏まえ、臨時財政対策債を始め、累積する地方債の元利償還については、将来において地方公共団体の財政運営に支障が生ずることのないよう、万全の財源措置を講ずること。また、引き続き、臨時財政対策債の発行の抑制に努め、地方財政の健全化を進めること。

 九 地方債については、財政力の弱い市町村が円滑に資金を調達できるよう、地方公共団体金融機構の機動的な活用を含め、公的資金の確保と適切な配分に最大限の配慮を行うなど円滑な起債と流通、保有の安全性の確保を図ること。また、地方債の発行に関する国等の関与の在り方については、協議不要基準の緩和等による地方財政の健全性への影響に留意しつつ、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、運用を含め、更なる検討を進めること。

 十 東日本大震災の被災地方公共団体に対しては、その復旧・復興事業の更なる加速化を図るため、引き続き、所要の震災復興特別交付税額を確保する等万全の支援措置を講ずること。また、近年、住民生活の安全・安心を脅かす自然災害が多発している状況を踏まえ、消防・防災体制の充実・強化及び被災地の復旧・復興のための十分な財源を確保すること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、持続可能な地方税財政基盤の確立及び東日本大震災等への対応に関する件を本委員会の決議とするに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石田総務大臣。

石田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後十時九分散会


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