衆議院

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第7号 平成31年3月7日(木曜日)

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平成三十一年三月七日(木曜日)

    午前九時十六分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      金子万寿夫君    木村 次郎君

      木村 哲也君    高村 正大君

      佐藤 明男君    田野瀬太道君

      高木  啓君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    伊藤 俊輔君

      小川 淳也君    岡島 一正君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      本村 伸子君    足立 康史君

      吉川  元君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   法務副大臣        平口  洋君

   農林水産副大臣      高鳥 修一君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣情報調査室次長)          森 美樹夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  櫻澤 健一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田中愛智朗君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    長谷川秀司君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 高田 陽介君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            佐藤 則夫君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     末宗 徹郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   武田 博之君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           宮地  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           安藤 英作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        佐々木 浩君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 相馬 清貴君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 多田健一郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  内藤 尚志君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    千野 雅人君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       竹内 芳明君

   政府参考人

   (消防庁次長)      横田 真二君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 保坂 和人君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 石岡 邦章君

   政府参考人

   (公安調査庁総務部長)  横尾 洋一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           本多 則惠君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         光吉  一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       菱沼 義久君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       高橋 孝雄君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         横井  績君

   政府参考人

   (農林水産技術会議事務局研究総務官)       青山 豊久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)          風木  淳君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)           平岡 成哲君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     高木  啓君

  務台 俊介君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     務台 俊介君

  高木  啓君     高村 正大君

同日

 辞任         補欠選任

  高村 正大君     木村 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     木村 次郎君

    ―――――――――――――

三月六日

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣情報調査室次長森美樹夫君、内閣官房内閣審議官櫻澤健一君、内閣府大臣官房審議官田中愛智朗君、内閣府子ども・子育て本部審議官川又竹男君、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官長谷川秀司君、警察庁長官官房審議官高田陽介君、金融庁総合政策局参事官佐藤則夫君、復興庁統括官末宗徹郎君、総務省大臣官房長武田博之君、大臣官房総括審議官宮地毅君、大臣官房総括審議官安藤英作君、大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、大臣官房地域力創造審議官佐々木浩君、大臣官房審議官相馬清貴君、大臣官房審議官多田健一郎君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長北崎秀一君、自治行政局公務員部長大村慎一君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、自治税務局長内藤尚志君、統計局長千野雅人君、サイバーセキュリティ統括官竹内芳明君、消防庁次長横田真二君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、法務省大臣官房審議官保坂和人君、法務省大臣官房審議官石岡邦章君、公安調査庁総務部長横尾洋一君、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二君、厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官本多則惠君、農林水産省大臣官房総括審議官光吉一君、農林水産省大臣官房生産振興審議官菱沼義久君、農林水産省農村振興局農村政策部長高橋孝雄君、農林水産省農村振興局整備部長横井績君、農林水産技術会議事務局研究総務官青山豊久君、経済産業省大臣官房審議官風木淳君及び観光庁観光地域振興部長平岡成哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中谷一馬君。

中谷(一)委員 立憲民主党の中谷一馬でございます。

 本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私からは、まず、ブロックチェーンの技術についてお伺いをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 まず一問目は、私、大臣の方に伺わせていただきたいと思っているんですが、アメリカのIT市場の調査会社なんですけれども、インターナショナルデーターコーポレイションという会社が、二〇一八年七月に世界のブロックチェーン市場に対する支出予測を立てました。二〇一八年の市場は、ソフトウエア、国際送金、決済、経路追跡などを中心に十五億ドル、一千六百五十億円程度の規模が見込まれております。また、世界のブロックチェーン市場は、二〇一七年から二〇二二年にかけて、五年間で年平均七三・二%のペースで成長をし、二〇二二年には百十七億ドル、一兆二千八百七十億円程度に達するということが予測をされております。

 そうした中、経産省においても、ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査についてという資料が公表をされておりまして、ブロックチェーンが、効率的なサプライチェーンやシェアリング、プロセスの全自動化などへの応用が期待されており、潜在的な国内市場規模は六十七兆円になるということが予測をされております。

 インターネットは情報の交換、共有をすることに革命を起こしました。そして、このブロックチェーンは、価値の交換、共有をすることに革命を起こすものであり、インターネットの登場に匹敵をする大きなインパクトを社会に与えると私は考えております。

 ブロックチェーンは、ゼロダウンタイムのシステムで、分散型管理ができ、改ざんができないなど、技術面のメリットを言えば切りがありませんが、まず、このブロックチェーン技術について大臣はどのように捉えていらっしゃるのか、御所見を伺いたいと思います。

石田国務大臣 おはようございます。

 お答えいたします。

 ブロックチェーン技術は、取引記録などを多数のコンピューターのネットワークで管理するための技術でありまして、特徴といたしましては、ネットワーク上でデータを分散管理するため、障害が起きにくく、データの改ざんも困難であり、取引当事者のみで管理でき、第三者が介在する必要がないことから、安全かつ効率的な取引を実現できる技術であると認識をいたしております。

 情報通信審議会が平成二十九年の七月に取りまとめたブロックチェーン技術に関する報告書では、現在利用されている仮想通貨などの金融分野以外にも、透明性が求められる政府調達手続、サプライチェーンの製造元などの確認などで幅広く活用される可能性が高いものとされているところであります。

 一方で、ブロックチェーンは発展途上の技術であることから、実際の導入に当たっては、セキュリティーあるいは運用方法などの検証が必要なものと認識いたしております。

中谷(一)委員 お答えをいただきました。

 さまざまな検証を重ねてこれから発展をしていく技術だという認識を私も持っているんですけれども、そうした中で、世界各国ではこうした導入事例というものが進んでおりまして、例えばエストニアでは、各省庁や民間のデータベースをインターネット経由で相互参照可能とするプラットフォーム、X―Roadにおいてブロックチェーン技術を採用をしております。そして、このプラットフォームとIDカードを用いた電子認証とを組み合わせることで世界最先端レベルの電子政府を実現をしています。

 また、イギリスでは、政府がブロックチェーン技術を公共分野で活用するユースケースとして、社会保障給付、国際援助といった金銭給付を始め、知的財産、特許等の登録データベースへの活用やソフトウエア改ざん検知による重要インフラの防御など、行政全般にわたってブロックチェーン技術の活用が提案をされています。

 その他にも、例えば、スウェーデン、アメリカ、オランダ、スイスのクリプトバレーなど欧米諸国を始め、ジョージアやホンジュラス、ガーナといった途上国でも不動産登記や取引記録のブロックチェーン技術活用が検討をされています。

 そして、日本においても、石川県の加賀市がブロックチェーン都市宣言を行い、茨城県つくば市では、ブロックチェーン技術を使った国内初のインターネット投票システムの実証実験が行われました。

 そして、韓国やオーストラリアでも投票システムについてのブロックチェーン技術の活用、これの検討が進んでおります。

 そうした中、このような地域や世界のブロックチェーンの活用事例について、日本政府としてはどのように捉えていらっしゃるのか、御所見を伺いたいと思います。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 先ほど石田大臣からも御答弁にございましたけれども、政府といたしましては、情報通信審議会のブロックチェーン技術に関する報告書がございますが、この報告書におきまして、海外の状況について、委員御指摘のエストニアですとかイギリスなどの先進的な事例を取りまとめております。

 この報告書でございますが、特に、公的サービスや政府系システムに対するブロックチェーン技術に関する取組状況といたしましては、実際のところ、我が国に比べまして諸外国がより進んでいるという報告、評価がされているところでございます。

 実際、私自身も、ブロックチェーン技術の先進的な取組を進めておられますスイスのツーク市というところを昨年十月に視察に訪問してまいりました。このツーク市では、地元のIT関連の大学と連携した人材教育によりまして、ブロックチェーン技術に関する研究を進める環境というものをトータルに整備をいたしておりまして、この結果、周辺のチューリヒ市を含めましてブロックチェーン関連企業が集積をして、さまざまな研究開発や実証が盛んに行われている町でございます。

 そこで、私も、現地の政府関係者などとブロックチェーン技術の活用の必要性や解決すべき点などについて意見交換を行ってまいりましたけれども、ブロックチェーン技術を推進することの有効性というものをこういった意見交換で改めて認識をして帰ってまいったところでございます。

 総務省といたしましては、今後も引き続き、国内外の動向について情報収集の取組を進める中で、こうした先駆的取組の事例をしっかりと政府内で共有をいたしまして、関係省庁や民間企業とも連携をしながら、我が国におけるブロックチェーン技術の普及を推進してまいりたいというふうに考えております。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 スイスのツーク市のクリプトバレーを訪問されたということで、政府として知見を深めていただいていることはすばらしいことだなというふうに思います。

 その中で、おととしぐらいまでは、日本が実は、ブロックチェーン技術については、仮想通貨の発展のこともあって、先進的なところがあったんじゃないかなと思っているんですけれども、今は、おっしゃったとおり、世界と比べると少し見劣りをするような状況があるんじゃないかなということを思っています。

 総務省の予算を見ても、IoTだったりAIだったりとか、そういったものと予算規模を比べますと、残念ながら、やはりブロックチェーンに対する熱量というのは少し低いのかなという評価をしておりますので、やはり、中長期的な目線でこのブロックチェーン技術をしっかりと育てていただきたいということを思っております。

 そこで、細かいところも何点か伺っていきたいんですけれども、先ほど来お話をいただいているこの情報通信審議会のブロックチェーン活用検討サブワーキンググループ、これの取りまとめにおいて、「世界に先駆けてブロックチェーン技術の社会実装を推進するため、まず、処理の自動化等による業務プロセスの改善や多数当事者間での共有などにより、具体的にどのような課題が解決されるのかを明確にした上で、ブロックチェーン技術のメリットがより発揮されうるユースケースとして、」「政府情報システム(特に、多数の行政機関・事業者が関わり自動処理や情報共有のメリットが見込まれる政府調達システム)への適用や、」「異なる業態の組織・団体間の生産性向上に向け、実証実験に早期に着手する。」とされているんですけれども、これは具体的にどのような実験を進められているのか、政府の所見を教えてください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、行政サービスや公共性の高い分野でのブロックチェーン技術の活用につきまして、平成三十年度から実証等に着手をしているところでございます。

 平成三十年度におきましては、四つの地域実証で行っておりますけれども、自治体が発行する地域商品券の偽造、二重発行の防止対策、それから、一つの地域実証でございますが、災害時におけるドローンの飛行管理、それから、机上検討にとどまっておりますけれども、政府調達における落札情報や入札参加資格等の管理、こういったことにつきまして、ブロックチェーン技術活用の可能性の検証を実施しているところでございます。

 平成三十一年度も引き続き実証を行い、これらの結果を踏まえつつ、ブロックチェーン技術の社会実装に向けて取り組んでいきたいと考えてございます。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 災害時にドローンを飛ばして、そういった取組をしたり、又は商品券の偽造に関する真正性の確保、そういったことをやられているのかなということを思うんですけれども、これらの実験において、電子委任状に係る制度やブロックチェーンに記録されるデータの真正性の確保、そしてアクセス権の確認のための公的個人認証の活用の実現等に向け、運用面、ルール面の課題についても検討し、結果を踏まえ、ブロックチェーンなど新たな技術も盛り込んだ業務改革により、効率性や利便性の向上に資する革新的な電子行政の実現に向けた計画が策定されるということが書いてあるんですけれども、こちらの計画策定については具体的にどのような取組が進められているのか、こちらも教えてください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度につきましては、委員の御指摘の報告書も踏まえまして、現在行っております実証等も参考としながら、ブロックチェーンに記録されているデータの真正性の確保のあり方、電子委任状に対応したシステムにおけるブロックチェーンの活用可能性、あるいはブロックチェーンを導入したシステムにおける公的個人認証の活用可能性などにつきまして、運用面やルール面の課題整理を行いたいと考えてございます。

 また、これらの課題を検証した上で、来年度に行います実証事業に具体的に反映できるものにつきましては順次取り入れていきたいというふうに考えてございます。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 具体的なことについてまだまだ取組が少し甘いんじゃないかなということを御答弁を聞いていて思ったんですけれども、更にこんなことも記載がしてあるんですね。

 民間分野での活用を後押しするため、具体的な検証等を通じて、開発のノウハウや技術的な課題のフィードバックとともに、ブロックチェーン上のデータの取扱いなどに関する運用面、ルール面での課題を抽出し、具体的な対応方策を検討するとされ、特にスマートコントラクトに関しては、契約の成立、履行等に関する法解釈の整理や、プログラムにバグがあった場合やバグが生じた場合の紛争解決ルールの検討にも取り組むとされているんですけれども、私、この論点、非常に重要だと思っているんですが、こちらの件についてはどのような議論が進んでいるのか、こちらも教えてください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、行政分野でございますとか、あるいは公共性の高い分野におけるブロックチェーン技術の活用の可能性につきまして実証を行っているというところでございます。

 この中には、先ほど申し上げました地域商品券の関係のように、スマートコントラクト的な要素を盛り込んだものもございますが、民間分野の活用が中心となりますスマートコントラクトの実現に向けた課題整理につきましては、これから取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 ブロックチェーンにつきましては、来年度も引き続き実証を行っていくことといたしておりますので、委員の御指摘のスマートコントラクトに関します検討につきましても、この実証を通じて進めてまいりたいと考えてございます。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 スマートコントラクトは、多分、民間だけじゃなくて、特に行政の電子自治体を構築するときにおいては一番かなめになる技術の一つじゃないかなと思っておりますので、こちらもしっかり検討を進めていただきますことを要請をさせていただきます。

 最後に、ブロックチェーンに関して大臣に総括的な意見を伺いたいんですけれども、サブワーキンググループの取りまとめにおいて、技術のユースケースとして電子自治体が挙げられております。安定的かつセキュアな環境下で、多数当事者間でのデータ共有等が必要となる住民向けサービスをブロックチェーン上でリーズナブルに提供することにより、効率的な電子自治体を構築するということが記載をされています。

 私、この方向性に関してはよいと思っているんですけれども、国家組織である以上はさまざま考慮しなければならないものがあるのはよくわかっていますが、今の日本政府やGAFAの問題などを見てもわかるとおり、過度な中央集権は、その権力側にいない者にとって弊害があります。それをよりよい形で、地方自治体、民間、市民に権限を移譲しながら、きちんとした組織運営を行うことができるなら、それが理想だと思います。そして、それを実現することができる本質的な性質を持っているのがブロックチェーン技術だと私は考えています。

 非中央集権と信用する第三者を必要としないトラストレスな性質を活用し、公共のシステムを自動的、機械的、暗号学的に構築することができれば、将来的に効率的で信頼性の高い行政事業を再構築することが可能となります。

 そして、その結果として、より地域、市民に近いユーザー目線での電子政府、電子行政の発展と地方分権を進めていくことができると私は考えておりまして、こうした観点から、ブロックチェーンを活用した効率的な電子政府、電子自治体の構築及び地方分権の促進をより進めていくべきであると考えますが、いかがでしょうか。大臣の考える将来展望について伺いたいと思います。

石田国務大臣 平成二十九年七月に取りまとめられました情報通信審議会の報告書では、行政手続等でのブロックチェーン技術の活用につきまして、手続の負担、コスト軽減と迅速化を実現できる可能性を指摘されているところであります。

 報告書を受けまして、総務省では、今年度及び来年度に行政分野や公共性の高い分野を対象とした実証を行い、ルール、技術面の課題や対応策等につきまして整理をすることといたしております。

 昨年六月に決定されました未来投資戦略二〇一八におきましても、ブロックチェーンなどの新たな技術の積極導入を加速することとされているわけでございます。

 総務省といたしましては、実証の結果を踏まえ、導入効果の高い分野におけるブロックチェーン技術の社会実装について、関係各省と連携し、推進してまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 御答弁をいただきました。

 私は、本当にこのブロックチェーン技術、可能性があると思っているんですね。

 アラブ首長国連邦の首相が二〇二一年に向けてブロックチェーン戦略というものを打ち出されまして、その中で、三千三百億円程度の毎年の紙幣の流通に関する費用が削減ができたり、何百万時間という労働時間が節約できたり、政府文書も四億枚削減ができて、一・六億キロメートルの自動車走行が節約できるだろうということを言われておりまして、やはりこの技術革新、ブロックチェーンとIoT、ブロックチェーンと人工知能、さまざまな分野において連携が可能となりまして、やはり効率化が進んでいくものであると考えておりますので、ぜひ、総務省におかれましても、電子自治体、電子政府、そういったところへの活用というものを展望していただきながら、研究を進めていただくことを要望させていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 次は、暗号資産を活用した地方創生と自治体ICOについてということで伺わせていただきます。

 ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーン技術を活用した暗号資産、仮想通貨における市場全体が、時価総額が一時百兆円に近づき、世間をにぎわせた中、暗号資産を成長分野とみなし、競争力を高め、経済成長、地方創生のエンジンとするべく戦略的に取り組んでいる国や地域があります。

 例えば、ベラルーシにおいては、暗号資産、ICO、イニシャル・コイン・オファリングの発展を目指した法令が採択され、暗号資産の発行、取得、採掘などによって得た所得を二〇二三年まで非課税にして、国家レベルでブロックチェーン技術を成長させる狙いがあると言われております。

 また、アメリカ・カリフォルニア州のバークレー市においても、暗号資産に用いられる技術で地方債を販売する試験プログラムの検討を行政担当官に求める決議が全会一致で可決されました。

 そして、日本においても、自治体などが暗号資産の技術を使って資金調達を行うことを目的とした自治体ICOの発行を構想している自治体があります。しかしながら、政府は、消費者保護の観点から、ICOの規制、これを検討中でありまして、自治体のICOの発行にも規制がかかる可能性が否定できないという論調の意見があります。

 自治体ICOについて、経済学者である一橋大学の野口悠紀雄名誉教授は、成功すれば地方財政の構造を大きく転換させるだろうが、国の動向がはっきりせず、実現は容易ではないというコメントをされております。

 そこで何点か伺ってまいりますが、まず、資金決済法上、自治体がICOを発行することは可能であるのか政府の見解を伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 資金決済法におきましては、暗号資産の販売、交換、それに伴う暗号資産の管理を行うことに着目し、そうしたことを行ういわゆる交換業者を規制対象としております。この交換業者につきましては株式会社である等の要件がございますが、暗号資産を発行する主体につきまして特段の規制はないということでございます。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 ICOを自治体が発行することに関しての規制はないということを確認をさせていただきました。

 その次に伺っていきたいんですけれども、ICOに関して、私は、マネーロンダリングの対策だったり、消費者保護、これはもちろん重要でありまして、その対策はしっかりと講じていくべきだと思っているんですが、その一方で、地方が独自財源を世界じゅうから獲得することのできる新たな手法を活用できなくなることは将来の国益に反すると考えます。

 そこで、もう一点確認をさせていただきますが、地方自治法上、自治体がICOを発行することは可能であるのか、政府の見解を伺いたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体が暗号資産を発行し資金調達を行うことについて、自治法上の問題があるかというお尋ねでございます。

 地方自治法においては、地方公共団体が歳入の徴収及び収納の行為を行うには、その前提要件として必ず法令又は契約等に基づくなど、合法的に収入し得る権利がなければならないものとされておりますことから、当該行為がこれに当たるのかの整理が必要であると考えております。

 また、暗号資産の発行により入手することが想定されております資金提供者からの暗号資産について、これが地方公共団体の歳入として整理できるものなのか、あるいは公有財産として扱うべきものなのかという論点がありますほか、発行した暗号資産の状況によってはさまざまな問題がありますので、慎重な議論が必要であると考えております。

 以上であります。

中谷(一)委員 御答弁いただきました、地方自治法上のさまざまな論点があると思うんです。それをぜひ明確化していただいて整理をしていただくことが、私、必要なんじゃないかなと思っているんです。

 これをやはり活用したいと思っている自治体があったときに、政府の方針としてそれをやっていいのか悪いのかという整理をやはり政府自体が示すことによって、その可否というもの、自治体の労力も変わっていくものですから、そのあたりをできるだけ早い時期に明確化していただきたいということを思っております。

 そこで、具体的な事例の話に入らせていただきたいと思うんですけれども、自治体自身がICOを発行するという話ではなく、外郭団体を介したモデルの導入検討が進んでおります。

 皆様のお手元にパワーポイントの資料を配付をさせていただいたんですけれども、岡山県西粟倉村と長崎県平戸市のモデルについての見解を大臣に問いたいと思っているんですが、自治体で事業を行いたいと思ったときに、国庫補助金で申請に一、二年かかるような状態ではなく、フレキシブルでスピーディーに自治体が地域で投資ができる資金を国内外から広く募る自治体ICOという手法は、地方創生にも大きく寄与をするものじゃないかなと私は考えています。

 例を挙げれば、岡山県西粟倉村の構想によると、村内の民間企業などが西粟倉トークンエコノミー協会を設立し、西粟倉コインと言われるトークンの発行を検討しております。

 また、平戸市では、民間のフィランドコイン協会が市と連携しながらICOを進める計画であり、世界遺産の保護や観光の資源化、特産品の開発、訪日外国人観光客の誘致の促進、起業支援などの事業を想定して、持続可能な地域づくりを進めようとしているとのことであります。

 そこで大臣に伺いますが、このような地方創生を目的とした日本における自治体ICOの構想について、大臣としてはどのように考えているのか、御所見を伺いたいと思います。

石田国務大臣 長崎県平戸市や岡山県西粟倉村の取組は、持続可能な地域社会を実現していくため、税収以外の新たな財源を確保する手段として検討されているものと伺っております。

 調達された資金を用いて、長崎県平戸市では、世界遺産の保護や観光の資源化など、観光を中心とした持続可能な地域づくりを、また、岡山県西粟倉村では、村で事業を立ち上げようとするローカルベンチャー事業の支援をそれぞれ検討されているとも伺っているわけでありまして、持続可能な地域社会の実現を目指して、それぞれの自治体が創意工夫を凝らすことは重要なことと考えております。

 しかしながら、自治体がどのように仮想通貨に関与するのか、その場合の法的責任はどのようなものなのか、さまざまな問題があるため、慎重な議論が必要と考えております。

中谷(一)委員 御答弁いただきました。

 私も石田総務大臣と近い見解を持っておりまして、そもそもそういった法的な論点の整理が進んでいないものですから、どういうふうにこれを位置づけるのかということをやはり政府の方で検討していただきたいと思っているんですね。

 現在、ICOの取引を行うに当たっては仮想通貨交換業の登録が必要となり、自治体はその対象になっていないので、仮想通貨交換業に登録をしている事業者に業務を委託する必要があります。また、自治体が自主努力をして集めた資金が歳入として扱われた際には交付税が減額される可能性があり、努力するモチベーションが上がらないので寄附としての取扱いにしてほしいという声もありました。さらには、自治体によって、ユーティリティーのトークンなのか、セキュリティーのトークンなのか、どういう形で発行して運用をしたいのか、違いがあると思いますので、それらを踏まえた制度設計が明確化される必要があると考えます。

 こうした自治体ICOにおける論点整理を行っていただいて、メリット、デメリット、これをしっかりと考察をした上で、政府として、推奨の有無なども含めてどのように取り扱っていくのかを考えていただくこと、これが非常に重要でありますので、まずはしっかりとした研究、検討を進めていただきたいと思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 ICOに関する明確な定義はないわけですが、一般にICOとは、企業等が電子的にトークンと呼ばれる証票を発行して、公衆から法定通貨や仮想通貨の調達を行う行為を総称するものとされているところでございます。

 また、トークンにはさまざまな性格のものが存在しております。例えば、イベント参加権等を表象するもの、人気投票の印のように、トークン自体は何の権利も表象しないが実態として流通しているもの、利益の分配を受ける権利を表象するものなどが存在しているという研究会の報告書が取りまとめられております。

 トークン発行に関し、自治体が関与する場合には、利用者保護という観点も含め、自治体がどのような法的責任を負うのかなど、さまざまな問題があるため、ICOについては、引き続き、金融関係省庁等も含めた議論、検討が必要と考えているところでございます。

中谷(一)委員 委員長、私、済みません、大臣に最後にこの話を伺わせていただきたいと思ったんですけれども。

 やはり総務大臣として、メリット、デメリットを考察をしていただいた上で、先ほど来、今、政府参考人の方からいただいたような議論ももちろんあると思っているんですけれども、大臣としては、この研究、検討を進めていただくことに関してはいかがでしょうか、御所見を伺います。

石田国務大臣 さまざまな課題については、総務省、そして金融庁からも御指摘がありました。そういう点を踏まえて、ただ一方で、平戸市とかあるいは西粟倉村で動きがあるわけですから、検討を進めることは重要だと考えております。

中谷(一)委員 メリット、デメリット、双方あると思うんですけれども、やはりこれを進めて、地方財源に大きな影響を及ぼす可能性があり、それはひいては地方の創生につながる可能性があるということを考えておりますので、ぜひ、総務省としても、これをやっていくのか、やっていかないのか、その有無も含めて、研究、検討を進めていただきたいということを思っております。

 最後に、IoT機器へのNICTによるセキュリティー調査について一問伺わせていただきたいということを思っております。

 今NOTICEが開始をされまして、国による不正アクセスとの批判の声が上がり、憲法で保障された通信の秘密に抵触するおそれがあるということが言われているんですけれども、一般人が同じことをすれば不正アクセス禁止法に問われる可能性がある事案であり、国が特例的にこうした調査を行うことは問題がないのかという声を上げる専門家がおりますが、国による不正アクセスとの批判や、憲法で保障された通信の秘密に抵触するのではないかという意見について、大臣としてはどのように考えているのか、最後に一問伺います。

石田国務大臣 昨年に改正されましたNICT法におきまして、NICTが一定の条件のもとパスワード設定に不備のある機器を特定するために行う行為は、不正アクセス行為から除外されているところであります。

 調査の結果、注意喚起の対象となるのは、サイバー攻撃などに悪用されるおそれの極めて高い機器であり、これに早急に対処しなければ、利用者にとっても、社会経済にとっても悪影響を及ぼすものであるため、本件調査の意義につきましては国民の御理解をいただきたいと考えております。

 一方で、不安の声もあることは承知をいたしておりまして、NICTにおきまして、厳格な安全管理措置をとるほか、不備のある機器を操作することや通信の秘密を侵害することはない旨、ホームページなどでもわかりやすく説明し、不安の解消に努めたいと考えております。

中谷(一)委員 時間が参りましたので、終了させていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、伊藤俊輔君。

伊藤(俊)委員 立憲民主党・無所属フォーラムの伊藤俊輔でございます。

 引き続き、質問させていただきたいと思います。

 質問させていただく前に一言、冒頭、総務大臣にお伺いしたいと思いますが、きのうの参議院予算委員会で、立憲民主党会派小西議員に対して、横畠内閣法制局長官が、声を荒げて発言するようなことまでとは考えていないと答弁をされたことに対してどのように認識を持たれたか。

 そしてまた、内閣法制局長官という重要な役職にあって、極めて中立的立場に位置をしなければならない方だと思います。極めて政治的な発言をしたのは国会を余りにも軽視をした言動ではないか、辞任にも値をする、そんな言動ではないかと危機感を持っておりますけれども、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 その場で撤回をされたと認識しております。

伊藤(俊)委員 大臣もその場におられたと思いますので、ぜひ、発言者は常に国民を代表して立っているわけでありますから、内閣ももっと緊張感を持って対応していただきたいと求めていきたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 ふるさと納税について一問だけお伺いしたいと思います。

 多くの委員から指摘もありますし、問題意識、私も同様なんですけれども、ふるさと納税は、今や地方間で競争するものであるということを認識をしなきゃいけない。そして、返礼品がない自治体においては相変わらず不利になっていくのではないかということ、そしてまた、地方で赤字になるところは少なくないのではないか、いわゆる勝ち組、負け組という格差に、自治体としてふるさと納税を通じて格差になっていくこと、可能性があるということも認識をしなきゃいけない制度であるということ。

 そしてまた、地方の競争を求めるのなら、返礼品に頼る、そんなウエートが重たくなってくるのではないか。そしてまた、三割ということで、今回、認めたとは言わないかもしれませんが、事実上認めた制度の現状において、あるいは、地場産品に限るということで、地域経済につなげることを目的とすることに事実上なっているのではないかと思っています。今のままでは抜け道が多い、不安定な制度と言わざるを得ない状況かと思います。

 もともと、この制度、求めていたものはクラウドファンディングに近いイメージだと思います。何の事業のために幾ら必要なのか、そして、そのために寄附を集める、そしてまた節度を持った返礼品で返しているという、このクラウドファンディングというあり方。よっぽど、それぞれの事業の内容を明確にして寄附を求めるクラウドファンディングを支援した方が明確でいいと思いますけれども、大臣の所見をお伺いしたいと思います。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝える制度であるとともに、税の使い道を自分の意思で決めることができる制度でございます。

 その中で、使い道をできる限り明確化して、その趣旨に賛同してくださった方から寄附を募るクラウドファンディング型のふるさと納税の取組は、制度の趣旨に沿った、大変いい取組ではないかと考えております。

 総務省としても、こうしたふるさと納税本来の趣旨にのっとった優良事例を横展開する等、地方団体の取組を後押ししていきたいと考えております。

 もう少し申し上げますと、都市部の団体が返礼品競争に参加した場合とのお尋ねもありますけれども、現在のふるさと納税制度においても、都市部の団体と地方団体とで制度上の相違はございません。総体として見れば、ふるさとへの思いというようなことで申し上げますと、都市部の団体の住民が地方の団体に多くの寄附を行っている状況が見受けられるわけでございます。

 今回、過度な返礼品を送付する一部の団体に寄附が集中する状況を是正するために制度の見直しを行うことといたしておりまして、各地方団体は、一定のルールのもとにおいて、より一層創意工夫を凝らした取組を行っていただくことが求められることとなるわけであります。

 地方の団体におきましては、都市部住民から応援の気持ちを届けてもらえるよう、制度の趣旨を踏まえながら、ふるさと納税を通じて得られた資金を有効に活用して、地場産業の振興や雇用の創出、地域課題を解決するためのプロジェクト等に取り組み、地域経済の活性化を図り、地方創生に貢献してもらうことが重要であると考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 地方間の一定の競争があるということはいいことだと思いますが、格差が広がるということも想定をしなきゃいけないという中においては、クラウドファンディングみたいな形は、より努力した者が報われて、そしてまた、やらなくても大きなマイナスにならないという意味では、こういう制度の推進とかバックアップをする方がよっぽど、制度上、最初に求めたものに近いんだろうと思っておりますので、ふるさと納税のあり方についても、いま一度検討していただきたいと思いますけれども。

 そしてまた、今大臣からも、首都圏、私も東京ですが、東京が返礼品三割ということで参画をすることは問題ないということで、そして、これは、収支が例えば東京が黒字になるようなことがあったときに、競争に参加をして、それでも今のまま制度を維持されるおつもりなのか、一言だけ答弁をいただきたいと思います。

石田国務大臣 今の時点でそういう状況にはございませんので、今の段階でコメントすることではないと思いますけれども、私は、ふるさと納税の趣旨というのは、先ほども申し上げましたけれども、やはり、出身のふるさとへの思いとか、お世話になった地域への感謝の気持ちをあらわすとか、そういうことが主でありますし、また、税の使い道という問題もありますけれども、そういうことからいいますと、都市部の自治体の御理解を得られる中でこういう制度が健全に発展していけるのではないか、そのように考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、制度上不安定だと言わざるを得ないと思いますので、いずれ制度上の見直しを要することになるのではないか、こういう指摘もさせていただいて、次の質問をさせていただきたいと思います。

 次に、救急業務、いわゆる救急車の要請等々の状況についてお伺いをしたいと思います。

 平成二十九年、救急車による全国の救急出動は六百三十四万二千百四十七件、対前年比でいうと十三万二千百八十三件増、二・一増となっています。これはずっと増加傾向にあると思います。そしてまた、救急出動件数、一日平均約一万七千三百七十六件、約五秒に一回出動したということになっております。

 搬送人数も、もちろんですが、並行して増加をしております。五百七十三万六千八十六人、二%増、国民の二十二人に一人が搬送された、こういう数字であります。

 現場の到着所要時間というものも平均して八・六分と、十年前と比較して一・六分延びている、二十年前と比べたら二・五分延びているということであります。

 この状況に何らかの対応をされているかどうか、現状をお聞きしたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたように、平成二十九年中の救急車の現場到着時間でございますが、全国平均で八・六分ということでございまして、十年前に比べると一・六分延伸をいたしております。

 それから、現場到着時間が延伸している主な要因でございますが、高齢化の進行などを背景とする救急出動台数の増加であると考えております。

 この現場到着時間を短縮するということは、大きな救急における課題でございまして、現場の意見をよくお聞きしながら、消防庁としても、さまざまな方策を講じて可能な限り短縮したいと取り組んでいるところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 また、病院の収容時間、いわゆる救急車が来て、そしてお医者さんに患者さんをお渡しをするまでの間が三十分以上六十分未満という、アンケートでも最も多いということでした。三百五十八万六千三百七十六人、六二・五%が三十分以上六十分未満ということになっております。これも、平均で三十九・三分、十年前と比べて五・九分延びております。二十年前に比べて十三・三分延伸をしているということです。

 また、四カ所以上病院を、言い方はあれですが、たらい回しになった、あるいは四カ所以上断られたという最も多い理由は、救命救急センターへの搬送という回答だったということも聞いておりますが、時間が延伸している理由について現状をお聞きをしたいのと、あわせて、このうち百二十分以上かかったという事例が二万件を超えているということになっております。百二十分、命にかかわるケースもあったのではないかな、このようにも想像するわけでありますが、その件数や事例などを把握しているか、お聞きをしたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年中の救急車の病院収容時間でございますが、今委員御指摘がございましたように、全国平均三十九・三分ということでございまして、十年前に比べると五・九分延伸をいたしております。

 病院収容時間が延伸をしている主な要因でございますが、先ほどお答えをしました現場到着時間が延伸しているという要因のほかに、救急救命処置の拡大に伴いまして、現場で救急救命処置を行う活動時間、これが延びているということ、それから、高齢者の独居世帯がふえておりまして、独居世帯等におけます、家族等に連絡をする、その連絡先でありますとか、既往症等の情報収集、これをやる必要がございますが、それにかかる時間が延びているなどが考えられるところでございます。

 また、病院収容時間が百二十分以上のものということでございます。救急自動車により搬送した約五百七十四万件のうち約二万件、率にしまして〇・四%と承知をいたしておりますが、個別の事例の詳細については把握をしていないところでございます。

伊藤(俊)委員 百二十分以上の事例に関しての詳しい内容はありませんでしたけれども、本当に、百二十分ですから、脳や心臓を含めて影響があった方も多いと思いますし、命にかかわる事案もあったんではないかと想像します。重要なことだと思いますので、ぜひ検討をしていただきたい、検証していただくことを求めていきたいと思います。

 ふだん私の地元でも、救急車が来て、救急車はかなり早く来ていただくことが多いんですが、受入先がないというケース、よく目にすることがあります。私たち、地元の東京は町田市というところですが、四十三万人の都市、町ですけれども、救命救急病院やあるいは大学病院が一つもないという町であります。市民が周知をしていればいいんですが、多くの方は余り知られていないという中において、脳や心臓、救急の患者が他県に搬送されるときの初動の三十分、四十分、命取りになるケースがあるという中において、あるいは他県に積極的に受入れをしていただけない現状ももちろんあります。

 その連携もしていかなきゃいけないと思いますけれども、引き続き大学病院並みの医療を求めているんですが、そのためには、どれだけ他県に救急車が搬送されているか、あるいはどんな症状の方々が地元で受入れができなくて他県に搬送されているかということが重要だと思いますし、また、その理由が、救命救急病院が地元にないから外に出ている件数がどのくらいあるのかとか、あるいは病院の体制、人員不足の問題なのか、キャパの問題なのか、あるいは医者の特異性の問題、専門分野、あるいは、例えば交通事故とかで脳なのかおなかなのか、手術が必要なのか必要じゃないのか、そういったことの状況がわからないとお医者さんも、受け入れる受け入れない、こういう判断があるのだろうか、こういういろいろな理由があるんだと思いますけれども。

 そういった統計が、病院の収容時間の延伸の原因の対処をするためにも、そしてまた地域医療を考える際にも重要なことだと思いますので、ぜひ、こういう統計を地域自治体が理解をし、地域医療につなげていただきたいという意味も含めて、現状、見解をお伺いしたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、病院の収容時間の延伸の原因といたしましては、現場活動におきます救急救命処置の拡大とか高齢者独居世帯への対応などの要因のほか、各地域の実情によりまして遠方の医療機関への搬送が必要となる場合、その際の道路状況など、地域ごとのさまざまな要因が考えられるところでございます。

 消防庁におきましては、自分の消防本部の管轄外に搬送した人数というものは把握しておりますが、その管轄外が県内か県外かで区別はいたしておらないのが今の実情でございます。

 いずれにいたしましても、収容時間延伸への対策というものにつきましては、各消防本部におきまして具体的な実情に応じて必要な調査などを行いながら対応を検討していただくことが必要であるというふうに考えております。

伊藤(俊)委員 ぜひ、重要なことですので、対応を求めたいと思いますが、個別、統計を検証されていないだろうと思っております。恐らく件数として調べればわかることもあるんだろうと思いますが、個別に出されていないということですので、これは事前に東京消防庁にも確認をして、具体的な細かいものはこうすぐに出せないという話もありました。

 引き続き求めて、これは、地域医療でどのくらいの人数が他県のどの病院に行っているかということとかがわかると、そこの交通網が改善されたり、高齢化になるにつれて我が町もバスがなくて病院に行くルートがないとかというケースもありますので、そういった細かいことがわかれば改善できるところもあろうかと思います。引き続き求めていきたいと思います。ありがとうございます。

 また、関連して、救急車の要請回数の頻度において、依然としてタクシーがわりに使っているなんという報道、意見があったり、同じ人が十回以上救急要請を行ったものが二千七百九十六人いらっしゃる、延べ回数にして五万二千七百九十九回要請があった。さらに、このうち、一人の人が五十回以上要請した人というのが二百三十一人いらっしゃった、回数にして一万一千七百八十回。

 悪質なものには罰則や有料化などの検討も一部言われるところもありますけれども、これは、五十回以上呼んだからといって必ずしも悪質だとはわかりません。一つ一つの事案があるかと思います。地元の所管で対応していることと思いますけれども。

 これは、二〇一七年一月四日では朝日新聞が、そして二〇一七年十二月の三日に読売新聞が報道しておりますが、総務省消防庁が、タクシーがわりに出動要請するなどの必要性が低い利用実態を調べる方針を固めた、あるいは実態把握に乗り出す方針だと書かれております。その後の調査、現状、わかれば教えていただきたいと思います。

横田(真)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の、救急搬送の必要性が低かった事案それから不搬送事案などにつきましては、昨年度、有識者で構成されます救急業務のあり方に関する検討会におきまして、その調査方法とか集計項目などについてどうすればいいかという点について検討をさせていただいたところでございます。

 現在、それに基づきましてシステム改修などの集計に必要な諸準備を進めているところでございまして、準備が整い次第、調査、集計を行う予定としておるところでございます。

 なお、悪質な頻回利用者につきましては、救急活動時間の延伸につながっているということで、救急車の適正利用を推進する上で重要な課題だと認識をいたしております。

 このため、平成二十七年度から二十八年度にかけまして救急業務のあり方に関する検討会でこの対応について検討いたしまして、一つには、家族とか親族への説明と協力を要請すること、それから二つ目には、保健福祉部局や医師による説得を試みること、三つ目には、関係機関との対策会議や情報共有を図ることといった、特に効果のあった具体的な取組をまとめまして、全国の消防本部等にお示しをしてきたところでございます。

 これらの事例を参考にいたしまして、各消防本部におきまして事案の性質に応じてきめ細かく対応することが必要と考えているところでございます。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 悪質かどうかとかということの検証というのは極めて難しいと思いますけれども、ぜひ吸い上げていただいて、負担になっているところが大きいと思いますので、ぜひ対応を検討していただきたいと思っています。

 関連をして、ちょっとあれですけれども、これはできれば大臣にお聞きをしたいと思いますが、外国人の年間どれだけ救急車を要請されているかということは、実態は、件数もあるいは統計もとっていないということで事前にお聞きをしました。

 詳細、これは、外国の、救急車というのは有料なところが多いということもあって、悪質に使われることは必ずしもない、少ないのではないかとも言われておりますけれども、医療の問題でいえば、外国の方が日本に来て三カ月間いれば住民登録ができる、住民登録ができれば三割で医療が受けられる、日本に来れば、高度な医療とかあるいは高額な医療とか、あるいは長期間の治療が必要なものとかというのは日本に行った方がいいという、一部、外国でこういったレクチャーが常識的に行われているということも聞かれているわけでありますが。

 これから、外国人の増加、あるいはオリンピック、パラリンピックなど多くの外国人の方が来られる中において、救急車の要請件数が外国の方がどれだけ要請件数があるのかということを把握する必要性が高まってくるのではないかなという思いはありますけれども、こういったことについての見識を、大臣にもしできましたらお聞きしたいと思います。

石田国務大臣 訪日外国人の増加に伴いまして、救急隊が外国人傷病者と接する機会も多くなっていることが考えられるわけであります。

 このため、総務省では、救急現場における外国人傷病者との円滑なコミュニケーションを支援するため、多言語音声翻訳アプリ、救急ボイストラを開発いたしまして、平成二十九年四月から全国の消防本部に対して提供しているところでございます。

 昨年十二月三十一日現在で、全国七百二十八消防本部中、三百七十六本部が導入をしているところでございます。

 一方、議員御指摘のように、外国人の救急車の利用あるいは外国人の医療機関の活用、そういうことについてその実態を把握するということは必要ではないかという御指摘でございまして、非常に重要な御指摘だと考えております。現場の声を聞きながら、慎重に検討してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 救急業務における訪日外国人への言語のコミュニケーションの問題も言われておりますので、求められておりますので、ぜひあわせて対応を求めていきたいと思います。

 関連で、もう一つだけ。

 訪日外国人が国内で病気など、治療を受けた際、費用を支払わないケースが急増しているというニュース、報道もあります。対策が求められていると思いますけれども、訪日の際、一つの原因として、保険に未加入の方が多いのではないかという指摘も一部あります。

 未加入の方がどれだけ今いらっしゃるのか把握をされているのか、あるいはまた、医療を受けて未払いの方がどれだけいるのかという現状をお聞きしたいと思いますが、一つのアンケートでは、外国人の医療費未収となったことがあると答えた医療機関が三五・三%、これはかなり大きいですが、いろんな統計のいろんなアンケートのとり方があるかと思います。一つの問題になっていると思いますので、所見を聞きたいと思います。

平岡政府参考人 まず、私の方から、外国人旅行者の未加入割合についてお答えをさせていただきたいと思います。

 観光庁が平成二十九年度に実施した調査によりますと、旅行中にけがや病気になった際の医療費をカバーする旅行保険への外国人旅行者の未加入割合は二七%ということでございます。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 訪日外国人診療に係る未収金の実態でございますが、厚生労働省が平成二十九年度の委託事業におきまして、平成二十六年度から二十八年度の各年度末に貸借対照表に計上されております未収金のうち、それぞれの病院が回収可能性に問題があるというふうに認識をしたものについて調査をいたしております。

 その結果でございますけれども、調査に回答いたしました千百七十四病院のうち、訪日外国人の診療による未収金が計上されていた病院における入院、外来合計の未収金の総件数及び総額でございますが、平成二十六年度末、千二百二十二件、一億五千二百九十二万円、二十七年度は千百九十二件、一億五千六百七十二万円、二十八年度につきましては千百八十八件、一億六千三百七十二万円でございました。

 それから、一病院当たりの入院、外来合計の未収金の件数それから金額の平均でございますが、二十六年度末、二十九・一件で三百六十四万円、それから二十七年度末は二十九・八件で三百九十二万円、二十八年度末、二十九・七件、四百九万円でございました。

伊藤(俊)委員 どんな調査の仕方をしたか、あるいは対象にしたかによって大きく数字は変わるかと思いますけれども、引き続き、恐らく問題としては大きくなるケースがあり得ると思いますので、慎重に検証していただきたいとお願い申し上げたいと思います。

 そして、最後に、最近の駐車違反の現状について一つお伺いしたいと思っています。

 今、地域、自治体、町内会でも、ひとり身の高齢者の方の見回りなど地域で支えなければならない高齢化時代になっている中において、皆さんの中でも駐車禁止を経験をされた方がいらっしゃるかもしれませんけれども、昔は、タイヤに線を引かれたり、一周回って駐車禁止をされるなど、少し猶予があった時代がありました。そんなことを記憶しておりますけれども、今は、早ければものの一分で駐禁を切られてしまう。いささかちょっとやり過ぎじゃないかという意見も地域ではありまして、まるでノルマやインセンティブがあるかのように駐禁を取り締まるような印象もあるかと思いますが。

 最近では、特に問題になっているのは、ケアマネジャーあるいはホームヘルパーという方々から、訪問医療あるいは介護、看護の分野で駐禁を切られることが物すごく多いという相談です。

 事前に届出をすれば五日以内に許可をしている、あるいは、緊急な場合は電話で当日連絡をして後で届出を出せばいいということになっている。改善をされているとは聞いておりますけれども、それが周知されていないということと、現実的に駐禁を切られているという方がかなり多いという現実と、そしてまた、けさも地元ヘルパーさんから連絡があり、これは、日々数十件も訪問するところが変わるので事前に届出を出すのはかなり厳しい、そしてまた、多くのそういう方々が電話連絡で対応していたらこの先対応に追われるのではないかという懸念がありまして、仕事に影響があるという声でした。

 これは、時代とともに、医療にかかわる方々とか、ヘルパーさんやあるいはケアマネジャーさんなどといった方々は、その都度の報告や届出ではなくて、制度上何らかの改善を求めることが必要ではないか、御所見を聞きたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 無秩序な路上駐車は、交通事故の原因や円滑な交通の妨げとなり得るなど、社会経済活動における大きな損失の発生や地域住民の生活環境の侵害につながり得るものでございますので、一定の駐車規制は必要不可欠であると考えております。

 他方、御指摘の、訪問診療や訪問介護等に使用する車両が、訪問先に駐車場所がないために駐車禁止場所に駐車せざるを得ない場合があることは承知しております。このような場合には、御指摘のとおり、状況に応じて警察署長の駐車許可を受けるということは可能でございます。

 こうした業務の実情に鑑みまして、私どもといたしまして、手続の簡素化、柔軟化を図り、申請者の負担軽減に努めているところでございます。例えば、当日に訪問する場所が変わったなどの緊急やむを得ない場合は電話等により対応をしているところでございます。さらに、こうした制度につきまして厚生労働省とも連携し、駐車許可制度やこうした対応の周知を積極的に実施しているところでございます。

 駐車禁止規制についてお答えいたしますと、そもそも、駐車禁止規制、駐車規制は、交通参加者や地域住民の要望、意見に十分配慮しつつ、交通の安全と円滑を図る観点から適切に判断し、その実施又は緩和を行うべきものと考えております。

 警察といたしましては、もし地域からの御要望があれば、交通実態を踏まえつつ、駐車規制の見直しについて積極的に検討してまいりたいと考えております。

伊藤(俊)委員 ありがとうございます。

 重ねて申し上げますが、ヘルパーさんなど、これから特に件数がふえていく中で、時代のニーズに合うように一々届出をしなくてもできるような対応を求めていくことが必要だと思いますので、お願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、稲富修二君。

稲富委員 国民民主党の稲富修二でございます。

 本日も質問の機会をいただきましてありがとうございます。

 きょうは、ひとり暮らし世帯がふえている現状と、それに対応する行政の課題について御質問をさせていただきたい。最後のところで少し統計の問題を触れさせていただければと思います。

 まず、総務省さんが、自治体戦略二〇四〇構想研究会第一次報告というのを出されております。二〇四〇年というものを想定をして、そこから翻って、今何が課題があるかということをさまざま検討されているわけでございます。

 こういった記述があります。

 二〇四〇年には一億一千九十二万人に人口がなるということ、そのころには毎年九十万人程度減少すると見込まれていると。出生数も、ついに百万人を下回っておりますが、二〇四〇年には七十四万人程度になると。そして、団塊ジュニア世代、ちょうど私どもでございますが、全て高齢者となる二〇四二年には三千九百三十五万人、高齢化率三六・一%でピークを迎えるということでありますが、二〇四〇年あるいは二〇四〇年代というのは、高齢化がピークを迎え、そして、ある一定程度、高齢者の割合と現役世代の割合が一つのピークを迎えて、そこから先は、大体、高齢者そして現役世代が定常化していくといいますか、ほぼその割合が変わらず、人口だけが減っていくという形になるということかと思います。

 もちろん、高齢者、六十五歳以上の方の中の七十五歳以上の方がふえるというものの、現役世代と高齢者の割合がそこで、二〇四〇年代にほぼ日本としては大きく割合が定まっていって、あとは徐々に人口が減っていくということを考えると、確かに、二〇四〇年の姿、その社会における暮らしや行政や、あるいは社会保障やさまざまな形を考えるということは、これから迎える中で最も大きな、あるいは共感できる問題設定かと思います。

 その中で、十四ページの中に、課題がさまざま掲げてあるんですけれども、最も私にとって、これはそうだなと思ったところが、六十五歳以上のひとり暮らしの高齢者が増加をしているということ、そして女性のひとり暮らし高齢者が二〇三五年に五百万人を超えるということで、地域包括ケアシステムの中でこれが書かれている。

 ひとり暮らしがふえているということは、私も地元を歩く中で非常に強く最近感じていることでございます。かつては御夫婦でお暮らしになっていた御家庭が今は単身世帯になっているということ。

 私、福岡市が、地元として活動させていただいていますけれども、人口がふえて活気のある町というイメージが恐らくあると思うんですけれども、例えば、都心部の一部では、特にマンション群がある中でいうと、ひとり暮らしのお年寄りというのがたくさん住んでいらっしゃいます。特に公団等には、ひとり暮らし、かつて高度成長期にそちらに住まれて、今ひとりでお暮らしになっている方がたくさんいらっしゃいます。

 限界集落という言葉がありますが、ある地域のお世話をされている方が、ここは都会の限界集落だなんということを私は言われたこともあります。限界集落は、人口五〇%以上が六十五歳以上の高齢者というのが定義だそうですが、福岡市という、本当に、人口がふえ、明るい町ではございますが、中心部においては同じような現象が起こっております。

 高齢者が圧倒的に多く、自治会活動もほとんど高齢者、一旦自治会活動を受けると次の世代がいないのでやめるにやめられない、道路を挟んだところに高級マンションがあるけれども、自治会活動には参加しない、そういうことが嫌だからこそ、そういう高級マンションに住んでいらっしゃる、誰がどれだけ住んでいるかわからないという中において、例えば、本当にあってはならないですけれども、孤独死が起こっているようなこともある。地域行事などを通じて、地域のつながりの再生などの取組は行われていますが、やはりこれから大きな課題になるかと思います。

 ひとり暮らしという世帯のあり方がこれからふえるということでございますが、これまでに至る、全世帯に占める、単身、ひとり暮らし世帯、二人世帯、三人から四人世帯など、世帯の割合がずっと変わってきております。そこの変化について、現状をお伺いをいたします。

千野政府参考人 お答えいたします。

 国勢調査の結果から、一九九五年から二〇一五年までの二十年間の世帯構造の変化を見ますと、全世帯に占める単身世帯の割合は二五・六%から三四・五%に上昇しております。また、二人世帯の割合も同様に二三・〇%から二七・九%に上昇しております。一方で、三人から四人の世帯、この割合は三七・四%から三〇・八%に、また五人以上世帯の割合も一四・一%から六・八%にいずれも低下しております。

 このように、この二十年間では、単身世帯の割合が大きく上昇していることが世帯構造の変化の特徴でございます。

稲富委員 御説明ありがとうございます。

 単身世帯が、今御説明ありました二〇一五年の統計でいうと最も多い世帯となったということ、三人から四人の世帯が三〇・八%で、単身が三四・五%でございますので、単身が一番多い世帯になっているというのが日本の現状だということ。二〇一〇年は、約十年前は、それでも三人から四人、いわゆるファミリーの世帯の方が若干単身よりも多かったですけれども、二〇一〇年から二〇一五年の間に単身世帯の方が逆転をし、今や最大の世帯になっている。

 そこで、二人世帯も今言及をいただきましたけれども、二人世帯も微増しております。二人世帯は、要するにこれは単身世帯の予備軍といいますか、先々単身世帯になる可能性が非常に高いということでございます。

 それで、もう一つは、いわゆる家族、お父さん、お母さん、そして子供が二人、四人、私もそうでしたけれども、いわゆるモデルとされてきた四人の世帯というのが、わずか今一三・三%。先ほど何度も申し上げましたが、単身が三四・五%ということで、圧倒的に、実はそのモデルとされてきた世帯は少数になっているということでございます。

 そこで、お手元の資料をごらんいただければと思います。一枚目ですね。これが現状なんですけれども、この先どうなるのかということなんですけれども、これは読売新聞の昨年の記事ですけれども、単身世帯が二〇四〇年には四割になるということで、これから更に単身がふえていって、これが四割になるということが書かれております。

 そこで、子供と夫婦の世帯というのは、今は三〇・八%でありますのが二〇四〇年には二三%になるということで、四世帯に一つしかないということ、あるいは、単身世帯で目立つのは六十五歳以上の高齢者であるということがここに記載をされております。衝撃的な数字だなと私は思います。

 先ほども申し上げましたように、両親子供、四人、そういう家庭が今やもう少数派であり、将来的にもそれが圧倒的な少数世帯になる、一人世帯が四割になるというのが二〇四〇年の姿でございます。その中で、男性高齢者の五人に一人、女性高齢者の四人に一人がひとり暮らしになるということでございます。

 そこで、お伺いします。

 なぜこれほど単身の世帯がふえているのか、その原因についてお伺いをいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 昨年四月に取りまとめられました自治体戦略二〇四〇構想研究会の第一次報告の中では、医療、介護に関する議論の中で、ひとり暮らし高齢者の増加要因につきましては、生涯未婚率の上昇、それから寿命の延び、そして三世代世帯の減少が指摘されているところでございます。

 以上であります。

稲富委員 ありがとうございます。

 未婚率が上昇しておるという御指摘もいただきました。二〇三五年には、男性が約三人に一人、女性が五人に一人が結婚しない社会が来るということで、これが大きな要因になっているということでございます。

 今は、ひとり暮らしは、そうはいっても二十代が最多です。しかし、二〇四〇年には、ひとり暮らしというのは八十五歳以上が最多になって、次が六十代、その次が七十代、その次が二十代ということになるということ。すなわち、我々がひとり暮らしといえば、私が学生のころは、田舎から東京に出てきてひとり暮らし、あるいは結婚する前にひとり暮らし、ひとり暮らしといえば若い人の暮らし方だったという認識だったです。今もそれが多い。しかし、将来は、ひとり暮らしは若い人の暮らし方ではなく、より高齢者の暮らし方になるということであるという現状でございます。

 先ほど原因から御説明いただきましたけれども、これからさまざまな課題があります。そこで、単身世帯がふえるということからくる課題についてお伺いをいたします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げました二〇四〇構想研究会の第一次報告では、高齢者の医療、介護を支えます地域包括ケアシステムが機能するためには、住まいの存在が前提になるという指摘がなされているところでございます。

 また、住まいにおける高齢者の生活を支える上では、地域や家族がセーフティーネットとして機能することが重要であると考えられますが、ひとり暮らし高齢者の増加については、地域や家族がセーフティーネットとして機能しにくい状況につながり得るという懸念が示されているところでございます。

稲富委員 ありがとうございます。

 そのとおりで、やはり、家族が担ってきた生活上のさまざまな困難やリスク、一人になるとそのリスクが顕在化してくる、こういった御指摘があります。貧困、孤立、あるいは介護、そういった生活上のリスクが出てくるのではないかという御指摘をされている方もいらっしゃいます。

 今御説明いただいたように、介護の需要が、当然ながら、お二人暮らしよりもひとり暮らしであるとふえるであろう。そのことによって、慢性的に介護士が不足をしているということでございますので、家族が担ってきたものが、もう全く、施設あるいはサービスに頼らざるを得ないということ。

 あるいは孤立ですけれども、これは、内閣府の調査によると、ひとり暮らしの高齢者の方の会話の頻度という調査がございまして、平成二十六年度ですけれども、毎日されている方は五五・三%、一週間に一回から三回が三二・二%、一カ月に一回から二回が六・三%、ほとんど話をしない方が六%ということで、やはり、お一人で暮らされている方は話す機会も少なくなっていくということがあると思います。

 あともう一つ、やはり貧困、要するに、経済的な問題が出てくるかと思います。

 そこで、これらの課題に対してどういうふうに対処をするのかということをお伺いをいたしたいと思います。

石田国務大臣 昨年七月に取りまとめられました自治体戦略二〇四〇構想研究会の第二次報告では、高齢者の課題も含めた諸課題に対応するため、地域を基盤とした暮らしを支えるための仕組みの必要性や、自治体が新しい公共私相互間の協力関係を構築する必要についても指摘されたところでございました。

 また、その後、昨年七月から、内閣総理大臣の諮問機関である第三十二次地方制度調査会におきまして、高齢者がピークとなる二〇四〇年ごろから逆算して顕在化する諸課題とその対応策について議論が行われているところでございます。

 私は、最近の若い人たちの意識の変化ということをこの場でもたびたび申し上げました。そういうようなことも、この長い、二〇四〇年を見越して、大きな変化の中で、高齢者の方がお一人で暮らされるよりも、同居ではなくても近隣に御家族なりが住まわれる、そういう変化が起こってくればまた状況も少し変わるんではないかなということを思っておりまして、さまざまな課題があるというふうに思っております。

 このさまざまな課題につきまして、関係府省にも協力をいただきながら、同調査会においてしっかりと議論が行われることを期待したいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。

 資料の二枚目をごらんいただきますと、先ほど申し上げた内閣府の平成二十六年度一人暮らし高齢者に関する意識調査というものがございまして、この二枚目、その調査対象は約千五百人の方ですけれども、その方々の住宅の種類あるいは収入等がここに出ております。

 そこで、持家の方は七一・七%、それ以外の方、要するに賃貸という方が約三割ということが書かれております。そして、その下、毎月の収入というところなんですけれども、十万円未満が二八・九%、十万円から二十万円が四九・七%と。約千五百人の方々の生活ですので、これが全てとは申せないかもしれませんが、大まかな傾向があるかと思います。まず、住宅については、賃貸の方が約三割いらっしゃる。収入に関しては、十万円未満の方が約三割いらっしゃる、恐らく国民年金の方。厚生年金の方でよりいい方が、その十万から二十万のところに行っているのかと思います。

 先ほど貧困という経済的なお話をさせていただきましたけれども、この衣食住を考えた場合に、やはり住の問題が、これは極めて大きいなというふうに思うわけです。七割の方は持家がある、しかし三割の方は賃貸である。収入が、あるいは国民年金がその主たる収入であるといった場合に、この住をどう確保するかというのがこれから大きな課題になるのかなと思うわけです。

 前回、税のときに、この総務委員会でも私も指摘をさせていただきましたけれども、家を買うときには、国はさまざまな、住宅ローン減税をすごく、今回も消費税対策として拡大はします。しかし、賃貸、今持っている家に対する住宅政策というのはほとんどないということでございます。

 こう言うと、これは国交だろうということかもしれません。しかし、きょうここでこういう話をさせていただいているのは、先ほど大臣がおっしゃっていただいたように、高齢者のひとり暮らしの生活は、どこどこ省庁というこの縦割りを何とか取り除かないと、これは解決できないんじゃないかという私の問題意識です。

 それと、もう一つは、高齢者の問題、私は、自分の親を思ってもそうですけれども、両親が二人いるとまだ安心です。ただ、一人、例えば母親が一人で住んでいるという姿を想像すると、やはりこれは家族としてもすごく心配で、どうやって、まあ言うと、私家族と両親を、健康に過ごしていくのかというのは、これは本当に大切なことだと思うんですね。

 ただ、そういった視点で考えると、実は高齢者の問題というのは、このひとり暮らしの世帯をどうするかという問題だと言っても私はいいぐらいだと思うんです。経済的にも、あるいは介護の面でも、そして孤立という面においてもですね。

 という意味で、これをぜひ、大臣、先ほど前向きにいろいろ答弁をしていただきました。やはり、首長経験もされている大臣にとって、本当に切実な問題として感じていただけるものと思います。これはやはり、そういう縦割りを超えて、より実態を調査をする、あるいは何らかの手を考えるということが実に大切なことではないかというふうに思うわけですけれども、もう一度、大臣、ぜひこの問題についての御認識、そして対処についてお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

石田国務大臣 先ほども答弁申し上げましたけれども、議員御指摘のように、本当に、非常に重要な、深刻な課題だというふうに考えております。

 例えば、第三十二次の地方制度調査会においても御議論をいただいておりますし、我々総務省としても、前にも申し上げましたけれども、今、世の中の大きな変化の中で、どういう形でこの問題に対応していくか、そのことも含めながらしっかり考えていかなければならないと思っておりまして、当然、関係府省の皆さん方とも協力しながら、この問題にしっかり取り組めるように頑張っていきたいと思っております。

稲富委員 ありがとうございます。お取り組みのほどをよろしくお願いします。

 最後、済みません、時間が限られてまいりましたので、GDPの統計についてお伺いします。

 お配りした三枚目の中で、これはもう各委員会でも、あるいは本会議でも御議論がございました。

 まず、一番下段の一番右の方の二〇一五年。GDPの統計の改定がされて、二〇一五年の、平成二十三年基準だと五百三十二・二兆円、そして平成十七年基準だと五百・六兆円ということで、その改定によって、二〇一五年は三十一・六兆円の改定幅が生まれた。そのうちの二〇〇八年SNA対応が二十四・一兆円に対して、その他が七・五兆円だと。このその他が多いのではないか、あるいは、さまざまな委員が御指摘あったように、これが非常に大きいのではないかということでございますが、改めて伺います。

 私も事務方の皆さんから御説明をいただいたんですけれども、このその他というのは何ですかね。お伺いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のその他要因でございますが、五年ごとに行われます国勢調査や産業連関表等の基礎資料の反映や最新の知見に基づく推計手法の反映によるものでございます。

稲富委員 これを見ていただいて、横系列で見ると、二〇一二年、二〇一三年、二〇一四、二〇一五から、プラスにその他がなっております。特に、二〇一三、一四、一五が四・〇、五・三、七・五と、その他が急激にふえている。

 これについても、なぜこうなっているのか、お伺いします。

長谷川政府参考人 お答え申し上げます。

 その他要因の増加に寄与した大きなものといたしましては、建設部門の推計方法の改善がございます。これは、旧基準では、建設資材等建設工事にかかった費用、いわゆるインプットから建設投資額を推計したのに対しまして、新基準では、建設工事の実際の生産額、いわゆるアウトプットを用いることによりまして、GDPの概念により適した推計方法に改善されたところでございます。この結果、復興関係を始めとします公共事業の増加とともにその他要因が増加した可能性があると考えております。

 この建設工事に関しますGDP改定額でございますが、二〇一二年度がマイナスの一・一兆円、二〇一三年度がプラスの二・四兆円となっておりまして、両年で三・五兆円程度の差が生じている。これが、二〇一二年度から二〇一三年度にかけてその他要因が大きくなった要因と承知しております。

 また、二〇一五年度につきましては、今回の基準改定の直近年度でありますため、基準改定による影響に加えまして、速報値、いわゆるQEでございますが、そこから確報値への改定が含まれます。このため、二〇一四年度以前の年よりも改定要因が多く、改定の幅も大きくなったと承知しております。

稲富委員 御説明ありがとうございます。

 ただ、私はなかなか理解が難しいです。と申しますのは、こういう手続をやったからこういうふうになったというのは、それは一定程度あると思うんです。ただ、なぜそれが起こったのかということなんですよね。経済事象として、手法はこう変わったからこう数字が変わったというのは、それはそうなんでしょう。ただ、問題は、なぜそういうふうな事象が起こったかという説明がないとわからない。

 これは、事務方の方に伺ったら、それは民間エコノミストはこう言った、こういうふうに分析をしているとおっしゃっていますけれども、では、国としてどう分析しているのか、なぜ国としてこれがふえたのかという分析を聞きたいんですよね。

 改めてこの点は委員会でも追っていきたいと思います。ありがとうございました。

桝屋委員長代理 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 最初に、公文書、自治体の公文書の管理について先に伺ってしまいます。

 資料二というところに新聞記事をつけているかと思いますけれども、「被災の記録 残らぬ恐れ」ということで、東日本大震災被災の四十二市町村の過半数が、既に公文書について廃棄した可能性がある。あると答えているのが六自治体、左側に円グラフが描いてありますが、可能性があると答えているのは十六自治体ということであります。これはやはり、記録としてきちんと後世のために残しておくべきだと私は思うんです。

 まず伺いたいんですが、そもそも自治体の公文書管理、これは公文書管理条例をおのおの定めることになっていると思いますが、その制定状況、とりわけ被災地の自治体について、きちんと全部、条例ができているんでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 公文書管理条例等を制定しております地方自治体は、平成二十九年十月現在で、都道府県四十七団体、一〇〇%でございます。指定都市二十団体、一〇〇%。指定都市以外の市区町村千六百五団体、九三・三%となってございます。

 このうち、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島各県の四十二市町村に限れば、公文書管理条例等を制定している地方自治体は三十七団体、八八・一%となってございます。

 以上であります。

奥野(総)委員 これは、ちょっと驚いたというか、五自治体が制定されていないんですね。制定されていないと、極端なことを言うと、すぐ廃棄しても全然問題にならないということになってしまうんですね。

 だから、まずお願いしたいのは、これはきちんと全自治体に制定するように促していく。強制的には難しいでしょうから、例えば公表していく、毎年きちんと公表して新聞報道していくというふうなことが必要だと思います。

 しかし、制定したからといって、被災の記録が全部永久保存されるとは限らないわけですよね。文書管理上どうするか、永久保存の指定をするかどうかというのは、ひとえにそれぞれの自治体の条例に基づく判断ですから、全て残るとは限らない。

 だから、廃棄したからといって、必ずしもそれが直ちに条例違反とか違法になるという話ではないというのは私も承知をしていますが、その上で、東日本大震災の記録については幅広く国も自治体も永久保存をすべきだと考えますが、具体的には、これは政府として何らかの方策をとっておられるんでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 国の行政機関におきましては、東日本大震災に関する行政文書ファイル等については特段の措置をとることとしておりまして、具体的には、平成二十四年に通知を出しまして、内容を明らかにするとともに、平成二十九年には、ガイドラインを改正した際に、震災関連の行政文書ファイル等については原則として国立公文書館等に移管することを明記したというところでございます。

 他方、地方公共団体における文書管理につきましては、公文書管理法第三十四条において、「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」と規定されているところでございます。

 御指摘の震災関連の文書についても、各地方公共団体の判断及び責任において、公文書管理法の趣旨を踏まえ適正な文書管理を実施していただきたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 国はやっているが、地方は自治体任せということになる。先ほど申し上げましたけれども、そもそも、公文書管理条例が制定されていない被災自治体が五自治体もあるということでありますし、永久保存の指定をしていなければ、どんどん廃棄されてしまうということだと思うんですね。

 これは、私は非常にゆゆしきことだと思います。現場ですから、現場の一次資料ですよね、自治体の文書というのは。こういう震災についての文書について、政府としてアーカイブの構築、あるいは政府が声をかけて保存をしていくというような取組は、されてはいかがかと思いますが、どうでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体における公文書管理に対しまして国が指導等を行う法的権限は与えられていないというところでございます。地方自治の本旨にのっとりまして、各地方公共団体の判断及び責任において、公文書管理法の趣旨を踏まえて適切に運用するべきものというところでございます。

 ただし、その上で申し上げれば、従来から、地方公共団体の文書主管課の職員等に対しまして国立公文書館において研修を行うなど、適正な公文書管理がなされるよう支援を行ってきたところでもございます。御指摘の点に関しましては、国立公文書館において、被災文書の修復等の支援を行ったということもあったところでございます。

 今後とも、地方公共団体から具体的な相談があれば応じてまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 私も、いつも地方分権、地域主権と申し上げて、なるべく自治に任せるべきだという立場をとっていますが、この件については、ちょっとどうかなと。やはり後世にきちんと保存していくべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

石田国務大臣 災害関係の公文書を含め、行政の諸活動や歴史的事実の記録である公文書は、健全な民主主義の根幹を支える知的資源であり、これを適正に管理することは重要であると考えております。

 地方自治体においては、公文書等の管理に関する法律の趣旨にのっとり、公文書の適切な管理に努めていただきたいと考えております。

奥野(総)委員 なかなか難しいんでしょうけれども、これは多分、議員立法とか立法措置で東日本の震災のアーカイブをつくる、こういう、立法をして資料を保存していくというやり方もあると思うんですね。ぜひ御検討をいただきたいと思います。

 それでは、統計の話に移ります。

 きのう統計委員会が開かれ、きょうは、残念ながら、統計委員長をお呼びしたんですが、御多忙につきということでお越しいただけていません。できれば御本人の口から伺いたかったんですけれども、昨日、毎勤統計追加報告書に対する議論が統計委員会で行われました。詳細は私も存じていないんですね。これはまだホームページにもアップされていませんし、報道ベースなんですが、一応、意見書なるものをいただきました。

 これは、統計委員会の委員の先生方が意見書を出した、こう報道されているものですけれども、これを読むと、三点問題点を挙げている。統計技術上適切な復元であるのか、不適切処理の経緯、黙ってこっそり復元の経緯は明確か、再発防止策は適切かということで、主として三つの論点を挙げていて、その三点については十分な説明がなされず、またその評価の根拠が明らかにされていないことを受けて、となって、統計委員会として、厚生労働省に対して説明を求めたいんだというのが冒頭のところなんですけれども、これを受けて厚生労働省はどういう対応を考えているんでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の統計委員会におきまして、五名の委員から、特別監察委員会の追加報告書に関連いたしまして意見書が提出されたということは承知しております。これは、統計委員会が今後厚生労働省に説明を求めたい事項を示されたものであるというふうに受けとめているところでございます。

 今後、厚生労働省といたしましては、統計委員会での点検検証部会等におきます検証につきましても、お求めに対して適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 まあ、当然ですね。統計を所管している統計委員会に対してきちんと疑問の点に答えていただくというのは当然のことだと思います。

 報告書、それから追加報告書をずっと拝見していたんですが、やはり変なことが、あれっと思うようなことが散見されるんですよね。素人目に見ても、あれっと思うところが散見されるんですけれども。

 一つは、いわゆるこっそり復元の経緯のところなんですけれども、資料をお配りしています。

 資料一の1、2ということでありまして、1が先日の追加報告書、2が一月の報告書ということなんですが、最初の報告書のところ、2の方なんですけれども、なぜこのタイミングで三倍復元をしたのかということに対して、室長Fはとあって、下線を引いてありますが、東京都の分も適切に復元処理を行わなければローテーションサンプリングがうまく機能しなくなると考えてこのタイミングで復元したんだと書いてあるんですけれども、これはどう考えてもおかしくて、復元しない方がばれないんですよね。五百事業所でずっと継続的にやっていれば、段差が生じないわけですよ。いきなり三倍するから、大きな段差が出て、目につくわけです。

 実際、これは統計委員長もおっしゃっていますが、なぜこの件が発覚したかといえば、全数調査のところの段差が、生じないはずの段差が生じたと。だから、急に三倍にしたから当然段差が生じますよね。むしろ復元することでわかってしまったわけです。

 じゃ、なぜこんなことをしたのか。ローテーションサンプリングがうまく機能しなくなるから、これはそうじゃないと思うんですよ。三倍しなくても、これまでどおりやっていれば影響なく統計としてできたはずなんですね。これはどういう意味なんでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 ローテーションサンプリングにつきましては、毎月勤労統計に即して申しますと、抽出年、毎年になるわけでございますけれども、それによりまして産業別、規模別の抽出率を見直すということになりますると、同一規模、同一産業の事業所群でございましても抽出年によって抽出率が異なるということになります。

 このため、東京都の五百人以上の事業所につきましては、本来全数調査でございますが抽出調査ということになっているところでございまして、これにつきまして適切に復元処理を行わなければこのローテーションサンプリングが産業別、規模別という観点の整合性などからうまく機能しなくなり、適切な集計結果にならなくなるという意味でそういう言い方をしたのではないかというふうに承知しております。

奥野(総)委員 いや、今のは答えになっていないんです。たしか統計委員長も、これは関係ないとおっしゃっているんですね、答弁で。関係ないんですよ、この話は、全然。

 なぜここでこう入ってきたか。うがった見方をすると、かさ上げをするために必要だ、こう言っているようにも読めるんですよね。せっかくローテーションサンプリングまでしてかさ上げをしているのに、それをもっとよく見せるために三倍戻しをすればいいんじゃないかというふうにも読めなくはないんです。それを知ってか知らずか、次の追加報告のところでは、このくだりは落ちているんですよね。

 じゃ、なぜこの時点で復元をしたのかということに対しては、1の下線のところ、上の下線ですけれども、統計として本来あるべき適切な復元を処理し、正確な統計を公表、提供するためと。要するに、良心に基づいてと。ここはちゃんと戻しておかなきゃいけない、統計として本来あるべき適切な復元をしなきゃいけないんだと、急に良心に目覚めた、こういうことだと思うんですけれどもね。

 とすれば、ここできょうのまた意見書のところなんですが、意見書で、適切な復元であるのかということを指摘しています。要するに、抽出調査では標本誤差が発生する上に、無回答、標本の摩耗などの影響が生じるので、より適切な推計を行うには、これらのことを考慮に入れて推計する必要があるんだと。単に三倍戻しすればいいというものじゃないということなんですよ。

 ここまで言っているわけですから、正確な統計を公表、提供するためだと言っているんですから、じゃ、この三倍戻しについて、意見書が指摘するような統計技術上適切な復元を考えて行ったのかということについてはどうですか。

 これは通告してあります。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 三十年一月からのローテーションサンプリングの導入でございますけれども、これに伴いまして一定の調査対象事業所を毎年入れかえる必要が生じることというふうになっております。

 総入れかえ方式からローテーションサンプリングへの移行によりまして、同一規模、同一産業の事業所であっても……(奥野(総)委員「そこはいいですから、今の問いに答えてください」と呼ぶ)はい、抽出率、抽出年によって異なり得ることとなるため、東京都の五百人以上の事業所について適切に復元処理を行わなければローテーションサンプリングの産業別、規模別の整合性などの観点から機能しなくなるということから、適切な集計結果が得られなくなるということで……(奥野(総)委員「前振りはいいですよ、答え、要するに、ここで求めているような」と呼ぶ)

桝屋委員長代理 奥野君、挙手の上、御発言を。

 奥野総一郎君。

奥野(総)委員 今私が求めているのは、統計委員会が指摘しているような、統計の専門家の精査に耐え得るような復元をしていますか、適切な復元をするということに本人が気がついた、だから復元をしたんだと言うからには、統計の専門家として、きちんとした復元処理、ここで指摘されているような、統計委員会が意見書で述べているような、誤差をきちんと修正をした復元をしていますかということなんですね。

土田政府参考人 統計専門的、学術的な見地からこの復元措置が行われたかどうかという観点につきましては、そういった観点からのことは聞いて、承知していないところでございます。

奥野(総)委員 もう一度確認しますが、この意見書で述べているように、監査委員会ではきちんとヒアリングをしていないんですね。

 どういう復元をしたかということは非常に大事なんですよ。急に良心に目覚めて、ここに書いてあるように、正確な統計を公表、提供するためというのであれば、統計の専門家として、当然のことながら、きちんと、ここに書かれているような、無回答、標本の摩耗等の影響、これはちょっと私は専門でないのでわからないんですが、こういったことを考慮に入れた復元をしたかどうかということについては、調べていない、ヒアリングをしていない、これから調べるということでいいんですね。

土生政府参考人 お答えいたします。

 特別監察委員会の追加報告でございますけれども、これは、事実関係と責任の所在の解明の観点ということから検証をお願いしたということでございます。したがいまして、その復元の統計学的、学術的な評価、そこまでは必ずしも含まれていないものと承知をいたしております。

 先ほど私の同僚の審議官が答弁いたしましたように、今後、統計委員会の求めに応じまして、私どもとしてきちんと説明をしてまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 いや、これはやはり全然だめですよ。理由がちゃんと、なぜこのタイミングでと。いや、なぜこのタイミングでと言われると、僕らは疑っているわけですよ、秘書官が言ったと。官邸の意向というか、関心を受けて、何とかして、厚労省が、かさ上げしなきゃいけないと考えて、考えた結果、ちょうどいいじゃないか、ここで三倍戻しをすれば更にかさ上げできるねというふうに思って、苦し紛れにやったんじゃないか、こういうふうにもとれるんですね。

 ところが、この追加報告書では、そうじゃなくて、正確な統計を公表、提供するためと言うんだったら、そこまで考えて本当に戻したんですかということは重要なポイントなんですよね。ここを全然ヒアリングしていないというのは、ずさんじゃないですか、ヒアリングの仕方として。

 ちょっとこれは、またあわせて聞きますけれども、今度は、ベンチマークのギャップ補正なんですけれどもね。

 間もなく次のセンサス、これはことし、経済センサスの基礎調査が行われます。前は二十六年調査ですから、今度は三十一年調査が行われるんですよ。このときにまた同じ問題が起きるんですね。段差の問題が発生します。三角補正をするかどうか、なだらかに接続するかどうかという問題が起きるわけですよ、同じ話が、今回。

 三十一年の基礎調査であれば、恐らく三十二年に結果が出て、すぐにそれを合わせようとすれば、遅くとも三十三年の調査からは、新しいベンチマークに応じて更新されるわけですよね。このときにまた段差の問題が出てくるわけですが、これはもう一度検討し直す、このギャップ補正について、これだけ今問題になっているわけですね。これだけ段差が一番大きいわけですよ、今回の中で。見直すおつもりはおありですかという問いが一つ。

 それから、これも追加ですが、復元についても、適切に復元されているかどうか、ここはもう一度きちんと検証して、やらなきゃいけないんですが、そこの改善についても求めていくつもりかどうか。要するに、ここの統計の処理方法についてもう一度改善を求めていくつもりがあるかどうか、総務省。

横田(信)政府参考人 二点御質問をいただきました。

 まず、一点目、このベンチマーク更新に伴う、由来のギャップについてということでございますけれども、これにつきましては、統計委員会の方でも、こういうギャップ、断層が大きいという認識はございます。これに対しまして、やはり、ウエート更新が六年ぶりであり、ウエート更新に起因する断層が相対的に大きいということ、かつ情報提供がおくれたということもありまして、ユーザーの利便性を損なった可能性もあるのではないのかという認識はございます。

 これに伴いまして、統計委員会での議論といたしましては、このウエートの更新による断層、これを縮小するということが必要であろうということで、経済センサスの結果とか事業所母集団データベースの活用によってウエート更新を早期化するということ、あるいは、その他のデータを用いてウエートの統計精度を向上するということが必要であろうというような認識をしておりまして、この辺は、統計委員会としても、厚生労働省に対しても取組をお願いしているというところでございます。

 二点目、復元の関係につきましては、まだ統計委員会の方でそういう議論があるということではございません。

奥野(総)委員 いずれにしても、統計の精度を上げるということは大事なことでありますから、今明らかになったのは、このウエート更新についてはもう一度きちんと見直しをしていくというふうに理解をしましたし、これからの議論次第ですけれども、三倍の復元方法についてもきっちり御議論いただけるものというふうに理解をしました。

 ということになると、また大臣、これは結構、きょうは本当、統計委員長に来ていただけなくて残念だったんですが、いい意見だと思うんですよ。これはやはり、統計のプロとして看過できないことだと委員長も思われたと思うんですね。「間違いなく学界から追放される」、ここまできつい言葉で言っておられるわけですから、統計委員長自身も統計の専門家として看過できなかったということだと思います。

 その統計委員会が、この追加報告書については、内容が不十分だ、もっと検証すべきことがいっぱいある、こう言っているわけですよ。これを踏まえて、私はもう一度、予算委員会でも申し上げましたけれども、報告書を出し直すべきじゃないか。私は、きょうは時間がありませんでしたから余り指摘できませんでしたけれども、追加報告書にはおかしな記載がいっぱいあるわけですよ。これは、もっと精緻に、きちんとヒアリングをした上で出し直す必要があるんじゃないか、再発防止策についてもそうですよね、と思います。

 総務大臣に伺いたいんですが、きのうのこの意見書を受けて、再発防止策も含め、報告のやり直しを求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。また、この意見書を受けて、厚労省に対してきちんと説明を求めるということでよろしいでしょうか。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

石田国務大臣 昨日、三月六日に開催された統計委員会では、統計委員会の五名の委員から連名の意見書が提出をされたわけでありまして、意見書は、統計委員会が毎月勤労統計調査の今後の改善に向けて統計技術的観点から検討するために必要とされる情報であって、二月二十七日に公表されました毎月勤労統計調査を巡る不適切な取扱いに係る事実関係とその評価等に関する追加報告書に掲載されていない情報について、厚生労働省に情報提供を求める内容であったと承知いたしております。

 三月六日の統計委員会では、意見書の三点の情報提供要請について合意が得られたことから、西村委員長が一旦引き取り、今後の厚生労働省への実際の情報提供の依頼について事務局に指示を出すと取りまとめたものと承知いたしておりまして、統計委員会の事務局を担う総務省としては、西村委員長の指示を受け、今回要請された情報について統計委員会に提供するよう厚生労働省に依頼する予定であります。

奥野(総)委員 時間が来ましたけれども、報告書の出し直しについてはネガティブということなんですね。いや、監査委員会報告書についてお答えがなかったんですが、私は出し直すべきだと申し上げたんですが、出し直しを求めるべきだと。

石田国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、今回の意見書は、厚生労働省に対して情報提供を求める内容であったというふうに理解しております。

奥野(総)委員 いや、私が申し上げているのは、ちょっと時間が来ていますが、先日発表された厚労省の第三者委員会、監査委員会の追加報告書について、これは記載漏れがあると言っているわけですから、そもそも、その報告書に、樋口委員長のつくられた報告書について、もう一度精査をして出し直すべきじゃないかという質問です。

石田国務大臣 先ほど答弁申し上げましたように、意見書は、毎月勤労統計調査の今後の改善に向けて統計技術的観点から検討するために必要とされる情報、これについて厚生労働省に情報提供を求めた内容ということであって、それを受けて西村委員長が、事務局に対して指示を出すと取りまとめられたわけでございまして、その推移を見守りたいと思っております。

奥野(総)委員 時間が来ましたけれども、総務大臣としては、あの監査報告書は受け入れるということですよね、今の答弁ね。(発言する者あり)樋口委員長がまとめられた監察報告書、追加報告書……(発言する者あり)

江田委員長 時間が来ております。申合せの時間が来ております。

奥野(総)委員 いや、でも、答えてもらっていないですから。(発言する者あり)

江田委員長 時間が来ておりますので。

奥野(総)委員 時間が来ましたので、これで終わりたいと思いますが、明確にお答えいただけていないと思っています。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 本日、私も統計委員長への質問通告を昨日させていただきましたけれども、昨日、通告が終わってから、夜になって、共同論文研究打合せのために終日都合が悪いということで御出席いただけませんでした。おとついから野党としては要求をしておりましたけれども、返事は昨日の夜になってからということでは、余りにも不誠実な対応だというふうに思います。返答がどこでこういうふうにずれ込んでいったのかが、後で明らかにしていただきたいんですけれども。

 ぜひ、委員長には、統計委員長が出席できる日を事前に把握していただきまして、そして与野党協議をしていただきまして、その日に合わせて委員会を開いて、統計不正の真相究明あるいは再発防止の策を集中審議していただきたいということを切にお願いを申し上げたいと思いますけれども、御検討をお願いします。

江田委員長 理事会で協議します。

本村委員 きょうは、資料も出させていただきましたけれども、「統計委員会西村委員長に係る文書の詳細経緯」と題する文書が二月二十六日の理事会に提出をされました。その問題で質問をさせていただきます。

 まず、官房長に確認をいたしますけれども、この文書は官房長の責任で提出をされたんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今、本村先生御指摘の「統計委員会西村委員長に係る文書の詳細経緯」でございます。各先生のお手元にもあるかと思いますが、本件につきましては、事実として認識された経過を整理したものでございまして、去る二月二十六日、総務委員会理事会の場におきまして、総務省における国会業務を担当している私の責任において提出し、説明させていただいた次第でございます。

本村委員 タイトルは「詳細経緯」なんですけれども、詳細な説明がなされていないというふうに感じております。

 特に、なぜ官房長が西村委員長に確認もとらずにこの委員会の理事にこの文書を渡したのかという肝心な部分が全く説明をされていないというふうに思います。

 統計委員長のお気持ちを酌み取ったと考えたメモ、文書一ですけれども、このメモについては、予算委員会でも公文書偽造に当たるのではないかというふうに追及をされておりますし、総務省が国会の追及を避けるために文書を偽造したのではないかというふうなことが、疑義がある問題でございます。

 他方、当事者である西村統計委員長からは、非常にみっともない、私の確認もなく提出されたのは大きな問題、極めて遺憾だと、総務省の対応に対して強い憤りが述べられております。

 官房長自身が説明する責任があるというふうに思っております。

 そもそも、なぜ西村統計委員長のお気持ちを酌み取ったと考えたメモ、文書一を渡す必要があったと考えたのか、お示しをいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 本件、経過を御説明いたしますが、西村委員長に対しましては、これまでも総務省といたしまして、国会出席について御相談してまいりました。去る二月二十六日の衆議院総務委員会の御出席をお願いするということでお聞きしておったんですが、二十一日午前中に、その日は海外の研究者の会議があって御都合がつかないという回答を午前中にいただきました。二十一の午前中でございます。

 そこで、私から西村委員長に対しまして、二十六日の出席について、これまでの経緯も含めて重ねて説明してお願いしようということで、統計委員会担当室の室長を通じまして面会の申込みをしたところでございます。

 ただ、西村委員長からは、その面会に対しまして御都合がつかない、お会いできないという御連絡でございまして、また、その委員長と窓口をされている室長から、それまでの西村委員長とのやりとりの中で、そのお気持ちを酌み取ったと考えたメモをその担当室長はつくりまして、これが西村委員長からの御指示であるということで、国会に伝えるようということで私に報告があった次第でございます。

 そのときに、私自身、今振り返れば、しっかりと確認をして先生方にお示しすればいいところだったんですが、そのときには委員会の日程との関係で気も焦っておりまして、私からこのメモを衆議院総務委員会の理事の先生方にお渡しした次第でございます。そういった状況でございます。

 重ねて、今回のこの文書につきましては、西村委員長にも大変御心労、御迷惑をおかけしましたし、先生方にもこういった文書をお示ししたということで、大変御迷惑をおかけしました。混乱を招きました。大変申しわけなく思っております。

 以上でございます。

本村委員 西村委員長のお気持ちを酌み取ったと考えたメモとありますけれども、中身は、「これ以上本務に支障をきたす形では協力出来ません。」とあるように、国会出席を拒否するような中身になっております。クレジットなどもない違和感がある文書だと思いますけれども、改めてもう一度お伺いしますけれども、なぜ統計委員長の確認をとらなかったんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今申し上げたとおりなんですが、西村委員長とそもそも私自身直接やりとりできなかったということは本当に反省をいたしております。

 担当室長は、日ごろ委員長とは密に連絡窓口としてやりとりされているということも承知しておりましたので、そういう中で、そのお二人の関係の、信頼関係の中でこういったメモがつくられたものというふうに思い込みがありまして、また、時間との関係もございまして、速やかにという気持ちが先行いたしまして、お渡しした次第でございます。

本村委員 官房長としては、これは公文書という認識を持っておられますでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 国会関係の業務ということで、その中での職務上必要なものとして作成された資料でございますので、公文書ということで認識をしておる次第でございます。

本村委員 石田大臣にお伺いをしたいと思います。

 大臣は、予算委員会で、これは事務的なミスということで言われておりますけれども、事務的なミスでは片づけられない問題でもございます。国会に提出する文書については正確なものでなければならないというルールがないんでしょうか。

石田国務大臣 国会に提出する文書は正確なもの、それはもう当然のことでございます。そういう点では、今回大変御迷惑をおかけしたわけでありますけれども。

 御指摘の文書につきましては、総務省が西村統計委員長とやりとりをする中で作成したメモでございます。そして、国会への西村委員長の御指摘をめぐる事務的な調整の中で、西村委員長の確認を得ないまま、結果として国会の先生方の目に触れる状況になってしまったものでありますけれども、二月二十八日の衆議院予算委員会で、西村統計委員長みずから、総務省から出席の要請があるという厳しい状況のときに、担当室長に対してこれに近いようなことを、やや直截的な言い方で電話なりで伝えたということはあるかもしれませんとおっしゃっておられるわけでございまして、以上のことから、我々としては、事務的なミスにより発生した事案であるというふうに考えているところでございます。

本村委員 総務省が国会追及を避けるために文書が偽造されたのではないかという疑念を持たれることが絶対にあってはならないというふうに思います。

 今後、総務省として、基幹統計、一般統計全般にわたる点検、検証が進められていくことにもなるわけですけれども、この委員会で西村統計委員長の出席は更に重要だということを痛感しております。

 統計委員長に限らず、総務省の所管業務に係る各種の参考人の方々を国会の要請に応えて招致し、十分な審議をしていくということが求められているというふうに思いますけれども、今回の反省を教訓にしっかりと、この点、やっていただきたいんですけれども、総務大臣、お答えをいただきたいと思います。

石田国務大臣 西村委員長につきましては、研究教育等の仕事で非常にお忙しい中、非常勤の業務として統計委員会の運営にも御尽力いただいております。そのような状況の中、これまでに国会に六回出席をいただきまして意見を述べていただいており、誠実に対応していただいていると考えております。

 また、西村委員長御自身が、研究教育等の本務に支障のない限りにおいて国会には協力するとのお考えを示されているわけでございます。

 いずれにいたしましても、参考人については、国会の要請があれば総務省としてできる限りお願いをしてまいりたいと考えております。

本村委員 真相究明や再発防止のために統計委員長への質疑というのは必要だというふうに思いますので、ぜひ、統計委員長が来れる日にこの委員会を開いていただきたいというふうに思います。

 二〇一九年、ことしの点検、検証についてお伺いをしたいんですけれども、春までをめどに統一的な審査を行い、その結果をもとに重点的に検証を行うべき統計や項目を絞り込んだ検証を行い、夏の時点で一旦結論を得るということを念頭に進めているということを御答弁いただいておりますけれども、二〇一七年の繊維流通統計の不正のときに一斉点検をやったわけですが、そのときには不正を見抜けなかったわけでございます。その二〇一七年の一斉点検のようにならないためにも、地方の現場を含め実地調査を行う一斉点検をやらなければならない、二度と不正が起こらないような一斉点検をしてもらわなければいけないというふうに思いますけれども。

 五十六の基幹統計と二百三十三の一般統計、書類だけではなく、点検、検証をしっかりとやるということであれば、しかも、春までといったら、もう春ですから、こういうタイトなスケジュールですから、一統計五人ぐらいは職員の方が要るんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、そうすると千人以上ということになるんですけれども、三十人体制で事務局としてはやるということですけれども、この体制で本当に、以前は厚生労働省にだまされたわけですけれども、不正を見抜けなかったわけですけれども、そういう点検にならない、しっかりとした体制だと大臣はお考えになっているんでしょうか。もっと体制が必要なんじゃないでしょうか。

石田国務大臣 二〇一七年の調査の際とは異なりまして、今般、統計の信頼回復に向けまして、統計委員会に新たに設置をされました点検検証部会におきまして、基幹統計や一般統計調査について徹底した検証を進めていくこととしているわけでございます。

 基幹統計につきましては、主に統計技術的な観点から、再発防止、不適切事案の発生時対応、品質向上の三種類の視点に即して、作成プロセスの各段階におけるチェック、審査、委託事業者、地方公共団体の履行確認、調査票情報等の保存、人員、体制など、合計で数十項目にわたり、書面調査による詳細な実態の報告を各府省に行っていただいた上で、二つのワーキンググループで個別の統計ごとにヒアリングを行っていくこととされています。

 また、一般統計調査につきましては、基幹統計に準じ、各府省で自己点検を進めていただいた後に点検検証部会へ報告される予定と承知をいたしております。

 これによりまして、春までをめどに、全ての基幹統計及び一般統計調査について、統一的な審査、予備審査を行うこととされております。

 これらの統一的な審査の結果を踏まえまして、深掘りすべき課題について重点的な審査を行い、六月から七月までに第一次の再発防止策等の提案を取りまとめる予定と承知をいたしております。

 また、実地調査についてということでございますけれども、統計への信頼回復に向けました検証を進める上では、各府省の誠実な対応が前提として不可欠でございます。

 各府省に対しましては、閣僚懇談会等におきまして協力を要請をいたしておりまして、誠実に対応していただけるものと認識をいたしております。

 なお、統計委員会及び総務省には、統計法第五十条、五十五条、第五十六条に基づきまして、各府省に資料の提出等を求める権限も与えられているところでございます。

 このような観点から、具体的な検証や調査の進め方については、今後、点検検証部会の構成員の審議によって定められることとなると考えております。

本村委員 春までをめどにの統一的な審査ですけれども、書類審査が前提だというふうに思いますけれども、それで、前回、だまされた、不正が見抜けなかったわけでございます。そういうことが絶対にないような確実な、二度と統計不正が起こせないような審査にしていただきたいと思いますけれども、大臣、もう一度、答弁をお願いしたいと思います。

石田国務大臣 今回のこの重要な事案を受けまして、統計委員会に設置されたのが点検検証部会でございまして、ここで、議員御指摘のような点を踏まえて、しっかり対応していただけるものと考えております。

本村委員 二度と統計不正がない点検、検証にしていただきたいということを強く改めて求めておきたいと思います。

 次に、地方公務員のセクハラ防止についてお伺いをしたいというふうに思います。

 厚生労働省の方にも来ていただいているんですけれども、男女雇用機会均等法第十一条では、セクシュアルハラスメントの防止の措置義務は地方自治体にも適用されるというふうに思いますけれども、地方自治体にはどのようなことが求められているのか、まずお示しをいただきたいと思います。

本多政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地方公共団体には民間企業と同様に、男女雇用機会均等法第十一条に基づくセクシュアルハラスメント防止措置が義務づけられております。

 具体的には、セクシュアルハラスメントにより不利益等を受けた労働者の就業環境が害されることのないよう、事業主の方針の明確化及びその周知啓発、相談や苦情に応じ、適切に対応するための窓口や、そのほか必要な体制の整備、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応などの措置を講ずることが義務づけられております。

本村委員 ありがとうございます。

 民間企業については、厚生労働省は雇用均等基本調査などで措置義務の履行状況を調べているというふうに思いますけれども、これは、自治体は入っているのかいないのかということと、どういうことを調べ、どういう結果だったのかというのをお示しいただきたいと思います。

本多政府参考人 答弁いたします。

 まず、私ども厚生労働省では、民間企業におけるセクシュアルハラスメント防止の取組の状況について調査をしております。委員から御指摘のあった雇用均等基本調査やそのほかの調査でも、地方自治体の地方公務員の状況については把握をいたしておりません。

 民間企業におけるセクハラ防止の取組の状況についてですが、平成二十八年度に、労働政策研究・研修機構が実施したアンケート調査などによって把握をいたしております。

 本調査によりますと、民間企業に対して対策として取り組んでいる事項の内容のほか、相談窓口の担当者の性別、企業が把握した事案の内容、把握した事案への対応の内容などについて調査を行っております。

 結果の一部を御紹介いたしますと、相談窓口に配置している方の性別を見ますと、男女双方を配置しているが五三・五%、男性のみを配置しているが三五・一%、女性のみを配置しているが一一・四%でございました。

 また、企業が把握した事案を態様別に見ますと、不必要に体にさわられた、性的な話や質問をされた、執拗に二人きりでの食事に誘われたり、交際を求められたりしたといった回答が比較的多いという結果でございました。

 さらに、そういった事案に対する企業の対応について見ますと、事実関係の確認を行った、発言者、行為者に対する注意を行った、職場全体に注意喚起を行ったなどの回答が比較的多いという結果でございました。

本村委員 ありがとうございます。

 法の限界がいろいろ、先日も指摘を総理にさせていただきましたけれども、法の限界があるということは踏まえてなんですけれども、今度は総務省にお伺いをしたいというふうに思います。

 民間企業については、厚生労働省は、就業規則に明記をしたり、労働協約等でセクハラ防止の方針の明確化をしているかどうか、あるいは、セクハラ防止のための相談、苦情窓口を設置しているかどうか、セクハラ防止のための相談、苦情対応窓口の担当者の性別、先ほども答弁ありました、あるいは、相談事案の対応の状況などを調べております。

 とりわけ、規模の小さい事業所でなかなか対策がとれていない、措置義務が履行されていないということはございますけれども、地方公共団体でセクハラ防止措置の義務の履行状況はどうなっているかという点と、財務省の事務次官のセクハラ事件を受けて、外部の者からのセクハラ事案の通報窓口の整備ですとか、プライバシー保護を始めとする被害者への配慮ですとか、セクハラ行為者への事業主の厳正な対処、研修等の実施による法令等の周知、相談窓口の整備等の対策を徹底するということを政府は決めておりまして、女性活躍加速のための重点方針二〇一八に、地方公共団体においても、国の取組を参考にしながら必要な措置を講じるようにというふうに書かれております。

 この分野でも、各地方公共団体の履行状況、どうなっていますでしょうか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 セクシュアルハラスメントに関する防止対策につきましては、いわゆる男女雇用機会均等法に基づきまして、各地方公共団体が対策を講じることとなっております。

 総務省といたしましても、セクシュアルハラスメントに関して、昨年六月に各地方公共団体に向けて通知を発出いたしまして、国の取扱いを参考にしながら必要な措置を講じていただくよう助言をいたしましたほか、これまでも、セクシュアルハラスメント等に関する国の対策を各地方公共団体に周知し、適切に対応するように助言をいたしております。

 また、昨年十二月から、全国の都道府県及び指定都市に対しまして、ハラスメント対策の取組状況について当面の調査を実施したところでございます。

 本調査では、セクシュアルハラスメントに関する通報、相談窓口の設置状況や指針等の策定状況等について調査をしておりまして、都道府県及び指定都市におきましては、多くの団体で適切な方向で進められているというふうに認識をいたしております。

 例えば、セクシュアルハラスメントの相談窓口につきましては、全ての都道府県及び指定都市において設置をされております。指針等につきましては、現在策定中の団体が一部、二つございますが、おおむね策定をされております。また、啓発関係資料、制度周知等につきましては、策定中の団体もございますが、ほぼ全ての団体で実施しておると認識しております。また、研修等につきましては、明らかな研修としては、四十四都道府県、十九指定都市で実施をされていると認識をいたしております。

 なお、指定都市を除く全国の市町村に対しましても、現在、同様の調査を実施し、また、取りまとめをしているという最中でございます。

本村委員 全ての市町村に対しても履行状況を今調査しているということでよろしいでしょうか。うなずいていただきましたので、そういうことだということだと思いますけれども、内閣府の男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会でも、地方自治体の措置義務履行状況がどうフォローされているのか、どう監視されているのかということが議論になっております。やはり、総務省がしっかりと把握をして対応していただかなければならないというふうに思います。

 日本自治体労働組合総連合の皆様の二〇一八年自治体病院に働く職員の労働実態アンケートの中間報告が出ておりますけれども、このアンケートの調査の結果では、セクハラを受けたことがある人が一八%、パワハラを受けたことがある人が三九・五%、約四割というふうになっております。

 この点でお伺いしたいんですけれども、全ての職員が利用できるハラスメント相談窓口が必要だというふうに思いますけれども、自治体の設置状況、どうなっているのかということをお示しをいただきたいと思います。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 セクシュアルハラスメントにつきましては、常勤、非常勤職員にかかわらず、全都道府県、政令指定都市において相談窓口が設置されているものと認識いたしております。

 そもそも、厚労省が示しておりますセクハラに関する事業主に対する指針におきましても、対象が、いわゆる正規、非正規を問わずということが明記されておりまして、そういったことも含めて、各地方公共団体に対しては助言をいたしております。

 また、パワーハラスメント等につきましても、一部、法改正のタイミング等に合わせた設置予定の団体もございますけれども、ほとんどの都道府県、政令指定都市において相談体制が構築されているものと承知をいたしております。

 なお、市町村においては、先ほども申しましたように、ハラスメントの相談窓口の設置状況について、現在、調査を行っているというところでございます。

本村委員 ぜひ全体像を調べていただき、御報告いただきたいと思います。

 ハラスメント対策は全ての職員を対象として行われるべきだというふうに思いますし、臨時、非常勤を含む職員への窓口の周知徹底というのが必要だというふうに思います。臨時、非常勤の方々は任期があり、デスクワーク以外の職員の方々もいらっしゃいます。周知というのが課題になっているというふうに思います。

 例えば、労働条件の通知書面とともに案内をする、紙ベースでしっかりと周知をするという必要があるというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 まず、窓口自体につきましては、先ほども御答弁申しましたように、都道府県、指定都市ではほとんどの団体で設置をされているということでございますけれども、今後、市区町村については、調査結果を踏まえて、また、今後の法改正の状況なども踏まえて、必要に応じた助言をしてまいりたいと考えておりますが、今御指摘のハラスメントの相談窓口について、臨時、非常勤職員の方に対してもどう周知するかという点でございますが、これまでも、確認している中では、庁内広報やホームページ、庁内イントラ、こういったところで周知をしておりますが、御指摘のように、臨時、非常勤職員を任用する際に、あわせて書面により周知する、こういった多様な手段を用いて伝達をすることは大変重要であると考えております。

 今後とも、職場におけるハラスメントに関する方針の周知啓発に努めるように、地方公共団体に対して必要な助言などを行ってまいりたいと考えております。

本村委員 今の、自治体病院で働く方々のお話も伺ったんですけれども、相談してもなかなか機能しないということで諦めてしまうというケースもあるというふうに聞いております。相談機関の第三者性ということも必要だというふうに思いますけれども、それはどうなっているのかということと、相談状況、取りまとめはあるのかということを確認させていただきたい。これは参考人の方にお願いしたいんですけれども。

 最後に、大臣に答弁をお願いしたいという点が、このハラスメント対策、防止あるいは事後の対応、ともにしっかりとやっていかなければいけないと。民間では、夜間、休日も相談できるようにですとか、あるいは相談者の研修ですとか、メンタルヘルスを保健師の方々に相談することができるようにしていこうという方向があるそうですけれども、この公務の分野でも、セクハラの被害者に理解のある弁護士さんに相談できる仕組みづくりですとか、そういうことが必要だというふうに思います。

 住民の皆さんの生活に欠かせない地方行政の担い手である地方公務員の皆さんが安心して働けるように、全ての自治体が対応できるように、必要な財政措置を含め、厚生労働省などとも連携しながら総務省として支援を行うべきだと思いますけれども、最後に大臣の答弁をお願いしたいと思います。

大村政府参考人 まず、第三者性のある相談機関ということでございますけれども、人事委員会又は公平委員会、都道府県、市町村、ございますけれども、こちらは、中立的かつ専門的な人事機関として、地方公務員法等に基づきまして、職員の苦情処理を行い、その事務に関しましては、相談内容の秘密の保持や苦情相談を起因とした不利益扱いの禁止が適切に行われているような、そういった機関でございますけれども。

 この人事委員会、公平委員会において、平成二十八年度におけるハラスメントに関する苦情相談、この件数は、まず、セクシュアルハラスメントが三十二件、パワハラ、いじめ、嫌がらせが三百七十六件というふうになっているものと承知をいたしております。

石田国務大臣 現在、厚生労働省におきまして、セクシュアルハラスメントを含めた各種ハラスメントの防止対策を強化するための法案を検討し、今国会の提出を目指しているところでございますが、この規定は地方公務員にも適用されることとなります。

 地方公共団体においては、既存の防止対策に加えて、この改正内容も踏まえた適切な対応がなされる必要があり、総務省としては、今後とも必要に応じて、対応状況の調査を行ってまいりたいと思っております。

 また、ハラスメントの相談体制の構築につきましては、法令等に基づきまして、各地方公共団体において必要な措置が講じられるべきものと考えております。その上で、総務省としては、今後とも必要に応じ、地方公共団体の実情を伺ってまいりたいと考えております。

本村委員 ありがとうございました。終わります。

江田委員長 次に、宗清皇一君。

宗清委員 自由民主党の宗清皇一でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。本来であれば石田大臣にいろいろ御質問したかったんですけれども、よろしくお願いいたします。

 きょうは、空き家の固定資産税情報についてお尋ねをしたいと思いますが、空き家というのは全国的に今深刻な問題になっているのはもう御案内のとおりでございますが、きょうは、総務省が所管している固定資産税情報の法解釈についてお尋ねをしたいと思います。

 多くの自治体は、長屋というのは居住者が一軒、一人でも住んでいれば空き家法の空き家に当たらないという解釈になるので、空き家法に基づいて所有者を特定する上で最も有効な手がかりであります固定資産税情報を活用できないと思っている自治体が多いと思うんですね。

 一方で、京都市だとか尼崎市が条例を根拠として固定資産税情報を活用している事例もありますから、問題はないと思われているかもしれませんけれども、多くの自治体が、条例を根拠とした税情報の活用というのは地方税法の二十二条が定める守秘義務に抵触するおそれがあって、固定資産税情報を活用できないと思っております。事実、自治体は、万が一の訴訟のリスクというのもあると思いますし、私の住む自治体もそういう解釈をしています。

 こういった問題が、長屋の空き家の住居の所有者の特定が進まず、大きな支障になっているんじゃないかというように思います。

 そこで、総務省に、これははっきりと御答弁をいただきたいと思うんですが、地方税法第二十二条が定める守秘義務に抵触しないという明快な御答弁をいただければ、市町村も固定資産税情報の活用が更に進むと思うんですが、見解を聞かせていただきたいと思います。

内藤政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家法の対象外でございます長屋、共同住宅につきましては、空き家法と同一の目的のもとに、措置の対象とする条例を定めることが可能とされております。

 この条例に基づきまして、地方税法の守秘義務に抵触せず情報提供を行うことができるかどうかにつきましては、当該情報を得ることで実施が可能となる施策の公益性が地方税法第二十二条が定める守秘義務による保護法益を上回ると判断される場合、この条例に、空き家法の場合と同様に、条例の施行のために必要な限度において固定資産税の所有者の情報を市町村の内部で利用することができる旨の条文を規定することにより、可能と考えております。

宗清委員 今の御答弁を、今でもちゅうちょしておられる自治体にぜひ周知徹底をしていただきたいと思います。

 次に、ふるさと納税について申し上げたいと思います。

 この国会でも、しばしば、この制度改正について見直しの議論がございました。しかし、そもそもこの制度というのは、納税ではなくて寄附なんですよね。だから、制度は本当は全然違うんですけれども、しかし、いつの間にか多額の寄附を集める返礼品の競争になってきたと思います、これが問題視をされてきたんですけれども。

 この無秩序な返礼品の競争というのは、寄附ということの意義が薄れるだけでなくて、税の根幹をゆがめると思いますし、寄附文化の醸成どころか、反対に、得がなかったら寄附をしない、そういうような意識を醸成する、寄附の文化をゆがめるというように私は思います。

 これはもともと寄附ですけれども、寄附だからこそこれは税金と違うんですけれども、税金を払って物をもらうというのは本来はおかしい考え方だと思います。

 そして、今回の改正は、返礼品については寄附額の三〇%以下で地場産品としていますし、基準を守らない自治体は指定から外して、六月一日以降に寄附をしても税の優遇を受けられないような仕組みにしているということは大いに評価したいと思いますが、そもそも寄附に返礼品というのはおかしいと思いますから、本来は全面的に禁止すべきだと私は思います。

 多くの自治体が、大臣のこの通知は二回していますから守っていただいているんですが、これだけ問題視されている中にあっても、寄附を、ことしの年度末というんでしょうか、駆け込みで荒稼ぎをしている自治体があるというのは極めて残念で、これは批判をすべきだと思います。三百六十億円も集めた自治体があると聞いていますから、これだけ多額のお金を集めたら、当然ほかの自治体への影響というのはあるんだろうというふうに思います。これは地方財政法第二条に抵触するおそれがあると思うので、総務省の見解を聞かせていただきたいと思います。

 そして、こういった自治体がいるからこそ制度の見直しがなったわけでございますから、私は、この六月一日の施行に合わせて、そういった団体を指定から五年間外すというような措置をとっていただきたいと思いますけれども、総務省の見解を聞かせてください。

鈴木(淳)副大臣 全国の多くの団体が、財源確保に苦しみながらも、ふるさと納税については良識のある対応をとっていただいているところでございますけれども、残念ながら、一部の団体が、制度のすき間を狙って、趣旨に反するような返礼品によって多額の寄附を集めようとする振る舞いというのは、他の地方団体の理解を得ることは到底できないと思います。

 一般論として申し上げますれば、地方団体がふるさと納税制度の趣旨に反して過度な返礼品を送付することにより、著しく多額の寄附を集め、他の地方団体の税収を大きく減少させるような場合は、地方財政法第二条第一項の規定との関係が問われる可能性があると考えております。

 指定基準の具体的な内容につきましては今後検討することとなりますけれども、募集の適正な実施に係る基準に適合する自治体、地方団体として認められるかどうか、できる限り客観的な情報をもとに判断した上で、ふるさと納税の対象となる地方団体の指定を行う必要があるものと考えております。

宗清委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 私は、地方財政法違反かどうか、総務省がその内容をちゃんと調べていただきたいと思いますし、そして、認定できたら、財政法違反で交付税の減額というのは制度的にできます。そして、寄附ということになりますと、税の収入ということは当たりませんから、多額の寄附を集めても自治体の基準財政収入額とみなされませんから、交付税はそのまま行くということになります。

 これも真面目にしてきた団体と比べたら非常に不公平じゃないかというように思いますから、例えば、これは法改正も含めて視野に入れて検討いただきたいと思いますが、そういうのは基準財政収入額にみなして来年度の交付税を例えば減額するとか、そういう制度もしっかり御検討いただきたいということを要望しておきたいと思います。

 次に、幼児教育の無償化についてお尋ねをしたいと思います。

 全世代型の社会保障制度の転換ということは画期的な転換だというように思いますけれども、これはさまざま御批判があるのも承知をしております。

 そこで、この幼児教育の無償化という目的と、通年ベースで、ことしは半年ということになりますが、一年間でどれぐらいお金がかかるのか、お尋ねをしたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 今般の幼児教育、保育の無償化は、一つとして、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るといった少子化対策、それから二つ目に、生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性といった観点から、本年十月より実施するものです。

 来年度の予算案としては、国と地方合わせて三千八百八十二億円、これを一年間の平年度ベースに直しますと、七千七百六十四億円となります。

宗清委員 一年間で約七千八百億円の多額の税を投入する事業ということになりますし、大きな政策転換だと思うんですね。

 まず、保護者が今まで支払っていたお金が使わずに済むということになりますから、これは、今まで出ていた七千八百億円が家計から出ないということになると思うんです。そうしますと、この七千八百億円の効果が二人目や三人目の出生につながっていくのか、この政策をした前と、した後、出生率等にどういう変化があったのか、そして幼稚園や保育所に通う子供さんたちがどれぐらいふえたのかとかということをきちっと検証しなければならないと思います。それか、この七千八百億円が単に貯蓄に回ったのか、消費に回ったのか、これはしっかり後追いをしていただきたいと思います。

 そうでないと、今後の拡充だとか国民の皆様方の理解というのを得られないと思いますが、その効果検証をしっかりやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

川又政府参考人 御指摘のとおり、政策効果の検証ということは重要であると考えております。

 今般の幼児教育、保育の無償化は、先ほど申し上げましたように、子育てや教育に係る費用負担の軽減を図るという少子化対策の観点、それから生涯にわたる人格形成の基礎を培う幼児教育の重要性といった観点から実施するものでありますが、これらの政策効果の把握をどのようにしていくのか、把握、検証していくかにつきましては、その具体的な方法も含めて検討してまいりたいと考えております。

宗清委員 ぜひ、さまざまな角度から検証いただきたいなというように思います。

 内閣府にお尋ねをしましたら、少子化対策の予算というのは、三十一年度の、ことしですね、当初予算ベースで、これは恐らく先ほど聞いた七千八百億円が入っているんだと思いますが、五兆一千二百億円なんですね、少子化対策予算は。昨年は四兆五千七百億円、一昨年は四兆三千三百億円ですから、少子化対策予算というのは年々大きくなってきております。

 恐らく、国の予算で五兆を超える予算ですから、自治体のそれぞれの予算も合わせたら、もっと、倍とは言いませんけれども、すごい予算を少子化対策等の予算に使っていると思うんです。

 一方で、我が国の出生率といいますのは、二〇一五年が一・四五、二〇一六年は一・四四、二〇一七年は一・四三と下がり続けているわけでございます。

 私は、この機会に全ての少子化対策予算の費用対効果というのをしっかり検証すべきだというように思っています。お願いもしたいと思います。

 この多額のお金をつぎ込んだから下げどまりになっているのか、これがなかったらもっと下がっていたのか、それはわかりませんけれども、いろんな物差し、角度からはかっていただきたいと思いますし、まずは、この制度をすることによって、一年間で七千八百億円という大きな税を投入するわけでございます。

 この幼児教育の無償化という政策によって、本来、先ほど申し上げたような家計から出ていくべきお金、一世帯当たりだったら二万円とか三万円になるかもしれませんが、これが出ていかないことを保護者の皆様方にもきちんとお伝えすることによって、二人目や三人目を産んでいただく動機にも私はつなげていかなければならないと思いますし、そのためには、各自治体で徹底したコストの見える化、多額のコストが子育てやこの少子化対策に使われているわけですから、見える化をしっかりしてもらって、政策的に保護者の負担軽減ができているんだということを周知をして効果を高めていただきたい。

 ぜひ内閣府と総務省と連携をして万全を期していただきたいと思いますが、最後に御見解をお聞きしたいと思います。

多田政府参考人 お答えをいたします。

 今般の、公費で七千八百億円を負担するという幼児教育無償化の政策効果の検証につきましては、先ほど内閣府から答弁がございましたように、今後検討されるものと考えてございます。

 今般の幼児教育、保育の無償化につきましては、少子化対策、幼児教育の重要性の観点から極めて重要な政策でございまして、内閣府における検証も踏まえまして、連携をし、その趣旨、目的をしっかりと周知を図ってまいりたいと考えてございます。

宗清委員 ぜひ、よろしくお願いしたいと思います。

 恐らく、幼稚園や保育所で年間に六十万とか七十万円ぐらい、本来だったらかかるコストが、無償化によって保護者の皆様方の御負担ではなくなるということだろうと思いますし、恐らく、教育の予算であったり福祉の予算は、それなりに、受益を受ける方々が、一体、一月、一年間でどれぐらいのコストの恩恵を受けているのか、はかりやすいと思います。

 今自治体の会計も統一的な基準になりましたから、かなり細かいコストの見える化というのはできるんだろうと思いますし、国民の皆様方とも税の使い道について共有することについて、ぜひ自治体の皆様方の率先の努力によってコストの見える化を図っていろんな共有をしていきたいと思いますので、総務省の御努力をよろしくお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

江田委員長 この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十二分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として総務省大臣官房審議官横山均君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑を続行いたします。桝屋敬悟君。

桝屋委員 お疲れでございます。

 再開されました総務委員会、私も、限られた時間でありますが、統計問題、同僚議員が議論されておられましたので、与党としても確認を幾つかしておきたいというふうに思います。

 最初に、賃金構造基本統計の調査、これは行政評価局、総務省の方で検証作業をするというふうに理解をしておりますけれども、二月の六日に設置されて、スピード感を持って取り組むということであったのでありますが、そろそろ結果が出るのかな、こう思っておりますが、きょうは、何を検証しようとしているのか、これだけを確認しておきたいと思います。

 一月の二十四日、総務省が点検結果を発表した翌日、二十五日に、点検漏れがあったということで賃金構造基本統計調査にも不適切な調査があったとされたわけでありまして、昨年十一月にも、実態を隠したまま、郵送の調査に変えたいという相談があったというような報道もなされておるわけであります。こうした内容を点検するのか。

 あるいは、三つの統計上の問題があると言われておりますが、調査員調査から郵送調査、あるいは報告を求める期間、あるいは調査対象について、何ゆえ不適切な状況になったのか、そこまで深掘りをするのか、その作業、点検の作業を確認をさせていただきたいと思います。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 行政評価局における委員御指摘の検証ですけれども、その検証の目的は、賃金構造基本統計の事案をめぐる仕事のやり方の問題点を明らかにすることであるというふうに考えています。

 現在、委員御指摘の統計委員会への諮問準備の際の総務省への相談の件を含めて、本年一月の基幹統計の点検と報告漏れ等への対処、調査計画が実態と乖離していたとされる三つの問題、すなわち郵送調査、報告期限の前倒し、バー、キャバレー等の調査対象からの除外の問題に関する関係職員の認識と行動や仕事のやり方の問題点について検証作業を進めているところであります。

桝屋委員 厚生労働省の方は、特別監察委員会で追加報告書まで出たわけで、今度は省をかえて、総務省行政評価局が取り組んだらどういうことになるのか、ある意味注目されているわけでありまして、私たちもしっかり注目をしていきたいというふうに思っておる次第であります。

 それから、二つ目の確認なんですけれども、先ほど同僚議員も議論されていましたが、三月六日、昨日、第百三十三回の統計委員会が行われたというふうに理解をしております。まだ議事録がオープンになっておりませんが、議題の中に毎月勤労統計調査と三番目に入っております。そこまで確認をいたしました。

 そこで、確認したいのでありますが、厚生労働省から特別監察委員会の追加報告書が出ているわけでありますが、この内容についてこの統計委員会で報告を受けたのかどうなのかという事実確認をしたいというふうに思います。

横山政府参考人 お答えします。

 一昨日の統計委員会の部会におきまして、この特別監察委員会の追加報告書について提出がなされたところであります。

 この追加報告書に対して、昨日、五名の統計委員会の委員から連名の意見書が提出されたところであります。

 その中身につきまして申し上げますと、統計委員会が毎月勤労統計調査の今後の改善に向けて統計技術的また学術的な観点から検討するために必要とされる情報であって、その特別監察委員会の追加報告書に記載されていない情報について、厚生労働省に対して追加して情報の提供を求める、そういったものであります。

 この三月六日の統計委員会では、この意見書における情報提供につきまして合意が得られたということで、西村委員長が一旦引き取りまして、今後、厚生労働省へ実際の情報提供の依頼につきまして事務局に指示を出す、こういう形で取りまとめたものでございます。

 統計委員会の事務局を担う総務省としましては、西村委員長の指示を受けまして、今回要請された情報について統計委員会に提供するよう厚生労働省に依頼をする、こういう予定になっております。

桝屋委員 そうしますと、そこまでお答えいただいたので、私が聞きたかったのは、きのうの統計委員会で毎勤統計が議題に上がって、厚生労働省、恐らく、誰が出席されたかですが、統計幹事たる統括官が出たのかなと思っておりますが、誰が出たのか、そして、特別監察委員会の報告が大臣に出されたわけでありますが、その具体的な中身の報告があったのかどうか、それを統計委員会が受けとめたのかどうなのか、そこを確認したいのであります。もう一回お答えいただきたい。

横山政府参考人 お答えします。

 毎月勤労統計調査につきましては、ことし三回、統計委員会が開かれていまして、それで毎月勤労統計調査について統計委員会がこういった課題とか、また情報提供を常に求めておりまして、それについて回答もいただいている、そういう形で、常に委員会におきまして情報提供を求めて、厚生労働省からも回答をいただいているという状況で、そういう形で、その時点で最新の情報を厚生労働省からいただいている、そういう状況でございます。

桝屋委員 そうすると、きのう三月六日の第百三十三回の統計委員会で、厚生労働省に置かれている特別監察委員会の毎勤統計に係る追加報告書、この報告を受けたという理解でよろしいですね。はっきり明確にお答えいただきたいと思います。

横山政府参考人 追加報告書については、一昨日の部会で資料として配付されております。

桝屋委員 だから、報告を受けたんでしょう。

江田委員長 横山大臣官房審議官、はっきりと答えてください。

横山政府参考人 お答えします。

 そういった意味で、配付されたという意味で報告を受けております。

桝屋委員 統計委員会の議論のやり方というのは僕はいまだによくわからぬのでありますが、奥野先生のようにずっと追っかけているわけではないのでよくわかりませんが。だから、きのうの統計委員会には、特別監察委員会の追加報告書も資料として添付され、報告されたと。

 その上で、先ほど、聞いてもいないのに、きのうの統計委員会では、五名の委員から意見書、奥野先生も取り上げておられましたけれども、出されたということで、もう一回確認ですが、その五名の委員の連名の意見書、これはペーパーで提出されたんだろうと思いますが、それを、今の御説明では、多くの委員が賛意を示されて、賛成をされて、統計委員会の委員長としては、それを引き取って、その内容を受けて、足らざる資料については厚生労働省に追加の調査なり資料を求めるということになったという理解でいいんですか。

横山政府参考人 委員御指摘のとおりです。

桝屋委員 何でここまでしつこく聞くかといいますと、私は厚生労働委員会と総務委員会と両方にいるものですから、厚労委員会でも議論をしなきゃならぬので、今ボールがどちらにあるかということだけ確認しておきたかったわけでありまして、それで、厚生労働省にはまだボールは飛んでいない、球は投げられていない、これから投げ方も検討、こういう状況ですか。

横山政府参考人 委員の御指摘のとおりです。

 ただ、この議論のやりとりについては、厚生労働省の方も同席されて議論も聞いておりますが、一旦委員長が預かりまして、それについて事務局からどのような形で厚生労働省にボールを投げるかということについてはこれからの話でありますので、まさに委員御指摘のとおりでございます。

桝屋委員 いつ投げられるか、早くしなきゃならぬと思うんですが、ちなみに、次の統計委員会というのは日程は決まっているんでしょうか。

横山政府参考人 確たることはまだ決まっておりません。

桝屋委員 月二回程度いつも行われていると思いますが、今月中にもう一回あるんでしょうか。

横山政府参考人 議事の最後では、日程については追って連絡ということでありますが、月内を目指しているということは確かであります。

 日程については追って連絡しますということで今回のきのうの会議は締めていますが、月内を目標にできないだろうかということは考えているところであります。

桝屋委員 じゃ、月内にそうした作業が行われるということでありますから、厚労省、厚労委員会ですぐ議論しても、まだ球は飛んでいないということかな、こう思っております。

 もう一点だけ、時間がもうなくなりましたが確認したいのでありますが、昨日の統計委員会でも議論されたかもしれません、統計委員会の点検検証部会の取組です。

 それで、これからターゲットを絞り込んで点検検証作業を行うということだろうと思うんですが、私は、特に書面による予備調査が極めて重要だというふうに思っておりまして、きょう、繊維統計の話もこの委員会で出ましたけれども、ああいうことがあってはならぬわけでありまして、そういう意味では、うみを出し切るために、適切なスクリーニングによって点検が必要な統計調査を把握できるよう十分工夫をしなきゃならぬだろうというふうに思います。

 その中では、コンプライアンスとかガバナンスの体制がどのようにできているかというようなこともしっかり把握しなきゃならぬ、こう思っていますが、この書面調査、最初のスクリーニングの作業についてどういう取組をされるのか、統計委員会で議論があったと思いますが、確認をさせていただきたいと思います。

横山政府参考人 お答えします。

 統計の信頼回復に向けまして統計委員会に新たに設置された点検検証部会におきましては、基幹統計や一般統計調査について徹底した検証を進めていくこととしております。

 基幹統計につきましては、まず、書面調査によりまして実態把握を行った上で、二つのワーキンググループで個別の統計ごとにヒアリングを行っていくこととしております。

 そして、書面調査におきましては、主に統計技術的な観点から、再発防止、不適切事案の発生時の対応、品質の向上、この三種類の視点に即しまして、作成プロセスの各段階におけるチェックや審査、委託事業者や地方公共団体の履行確認、調査票情報の保存、人員、体制など、コンプライアンスやガバナンスにも関連する項目を含め、合計で数十項目にわたり詳細に実態を把握する予定であります。

 また、一般統計調査については、基幹統計に準じ、各府省で自己点検を進めていただいた後に、点検検証部会で報告がなされる予定と承知しております。

 これによりまして、春までをめどに、全ての基幹統計及び一般統計調査について予備審査を行うこととしております。

 これらの予備審査の結果を踏まえまして、深掘りすべき課題について重点的な審査を行い、六月から七月までに第一次の再発防止策等の提案を取りまとめたいと考えております。

桝屋委員 これで終わりますが、私も、厚労省の特別監察委員会、八項目の再発防止策を見ましたけれども、何とまあ、全く、項目だけの、中身を見ると、調査内容の正確性かつ迅速な公表とか、誤りを発見した場合の速やかな報告とか迅速な対応とか、もっとびっくりしたのは、国と地方の風通しのよいものにするとか、まあ、当たり前じゃないかと思うような具体性のない再発防止策でありますから、こうした一連の作業はまだまだこれから続くなと。

 きょうは大臣いらっしゃいませんが、副大臣、ごめんなさい、時間がなくなりました。

 私は、改めて、何度も言いますけれども、ずっと言い続けます、我が国の統計行政機構、このあり方について、舞台を変えて検討しなきゃいかぬときが必ず来るというふうに思っておりますので、引き続き議論させていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 きょうは、日本の将来において特にこれから重要となってくる食料問題について質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の人口は、もう御承知のとおり、減少傾向にありまして、二〇五〇年には一億人を切るのではないかというような推計もあります。他方で、今世界の人口は七十五億人ですけれども、二〇五〇年には九十億人を超えるというふうに試算されております。

 それで、今、中国やインド、これが経済発展して、今、農産物、畜産物の需要が大変ふえておりますけれども、今後更に、いろんな途上国が発展し、そして所得水準が上がっていくということになれば、更に農産物、畜産物の需要が格段にふえていくということになります。そうすると、日本の相対的な経済力はもう落ちていますので、今までのように食料を安定的に調達するというのが将来的にはかなり難しくなっていく、そういう時代に入ってくるのではないかという問題意識です。

 以前も紹介したんですけれども、この「奇跡の集落」というのを書いた元地域おこし隊の多田さんもこの本の中で言っているんですけれども、やはり、そういう中で、持続可能な社会をつくっていくためには、日本社会で、国内で必要な食料を確保できる、そういった国全体の仕組みをつくっておく必要があるのではないかと。私もそのとおりだと思っています。

 食料自給率を調べてみますと、これは長期的にずっと低下傾向になっていまして、平成二十九年度ではカロリーベースで三八%ということになっています。今申し上げたように、中長期的視点に立って、我が国の食料の安定的確保、これを図っておくべきだと思いますけれども、副大臣、いかがお考えでしょうか。

高鳥副大臣 井上委員にお答えをいたします。

 食料の安定供給を将来にわたって確保していくことは、国家の国民に対する最も基本的な責務の一つでございます。

 世界人口の増加、途上国の経済発展による食料需要の増大、気象変動など、世界の食料需給及び貿易における不安定要因が増す中で、食料の安定供給を確保するためには、食料自給率の向上が重要であるというのは委員御指摘のとおりだと思います。

 政府といたしましては、平成三十七年度までに食料自給率をカロリーベースで四五%まで引き上げる目標を設定しており、国内外での国産農産物の消費拡大や食育の推進、消費者ニーズに対応した麦、大豆の生産拡大や飼料用米の推進、付加価値の高い農産物の生産、販売や輸出の促進、優良農地の確保や担い手の育成の推進といった各般の施策を講ずることとしております。

 引き続き、食料自給率の向上に向けた取組を進め、食料の安定供給の確保を図ってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 いろいろ勉強してみると、食料自給率という指標のほかに、食料自給力というような指標もあるというふうに聞いておりますけれども、この食料自給力とは何か、そして、今その食料自給力はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 世界の食料需給、これが不安定要素を持っている中、平素から、我が国農林水産業が持っております食料の潜在生産能力を評価しておく、これが重要と考えております。

 食料自給率につきましては、花などの非食用作物が栽培されている農地が有する能力は反映されないなど、潜在生産能力を評価する指標としては限界があるところでございます。

 このため、我が国農林水産業が有します潜在生産能力、これをフル活用することにより得られる食料の供給熱量を示す指標といたしまして、委員御指摘の食料自給力指標を試算をいたしまして、平成二十七年より公表してきているところでございます。

 平成二十九年度の食料自給力指標につきましては、米、麦、大豆中心の試算を行った場合には、日本人の平均的な推定エネルギー必要量、これを下回るものの、芋類中心の試算ではこれを上回る結果となっております。

 一方、御指摘の食料自給力指標の推移を見ますと、国内の潜在生産能力が徐々に低下してきているところでございます。このため、担い手への農地の集積、集約化、あるいは新品種の開発導入による単収の向上、新技術の導入による生産性の向上等の施策によりまして、自給力の維持向上を図ってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 やはり、食料の安定的確保というのは、これは国家百年の計でぜひ進めていっていただきたいと思います。

 私自身としても、やはり、この潜在的な食料自給力を上げていくためには、まず耕作地、これを維持拡充していく、それから農業に従事する人をできるだけ多く確保しておく、それから効率的な農業を行っていく、こういったことを進めていく必要があると思うんですけれども、順次、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、耕作地の維持確保の観点から、荒廃農地、これを再利用していくということが考えられますけれども、今、荒廃農地のうち再生利用可能な農地はどの程度あるのか、それから、それをふやすためにはどのような取組を行っているのか、教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 荒廃農地のうち再生利用可能なものは、直近の平成二十九年度時点で九万二千ヘクタールとなっておりまして、近年のトレンドとしては、調査を開始した平成二十年時点の十四万九千ヘクタールに対し減少傾向となっております。

 農林水産省といたしましては、食料自給率向上のためには、限られた資源であります農地を有効利用することが重要であると認識しておりまして、今後とも、地域、集落の共同活動を支援する多面的機能支払交付金及び中山間地域等直接支払交付金や、担い手への農地の利用集積に向けて荒廃農地を含めた対策が可能な農地耕作条件改善事業等を始めとする基盤整備などを活用しながら、荒廃農地の発生防止と再生利用を支援してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 次に、人の観点から御質問をしたいと思いますけれども、先日、地域おこし協力隊について質問をさせていただきましたけれども、総務省で、これまで、平成二十九年三月三十一日までに任期終了した地域おこし協力隊の定住状況、これについて調査を行っております。

 二千二百三十名の方に調査をしたところ、活動地と同一市町村内に定住した方、それから活動地の近隣市町村、隣の市町村に定住した方、これを合わせると六割以上の方が活動地付近で定住するという結果になったというふうに承知しておりますけれども、そのうち農業につかれた方、就農された方はどの程度おられるか、教えてください。

佐々木政府参考人 平成二十九年度に実施した調査では、平成二十九年三月末までに任期を終了した隊員は累計で二千二百三十人、その六割である千三百九十六人の隊員が任期終了後も同じ地域に住み続けているということになっております。

 その中で就農等の状況を把握できるのは活動地と同じ市町村内に定住した方についてでありますが、千七十五人のうち、約一五%に当たる百五十二人の方が就農等をしております。また、これに加えて、農業法人等に四十三人の方が就業しており、引き続きこれらの方々が地域農業の担い手として活躍している状況でございます。

井上(一)委員 調べてみますと、基幹的農業従事者、ずっと農業に従事されている方、これが平成二十九年は前年に比べて七万九千人減少したというような調査結果が出ております。そういう意味からいうと、この数をふやしていくのは相当大変だと思いますけれども、先ほど言われた方々、地域おこし協力隊の方々が農業につかれるというのは、一つの明るい兆しでもあるのではないかなと思います。

 そういった方々を更にふやしていく努力が必要なわけですが、やはり市町村にでも、そういった農林水産業に従事されている方、こういう人たちが手助けになると思うんですが、これも調べてみると、市町村における部門別職員数の比較では、他の部門と比べても農林水産関係の職員が大きく減少しているというふうな結果になっています。

 私は、これは、やはり農林水産関係の職員はできる限りふやしていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、農水省としてはこの点についてはどのように認識されていますでしょうか。

光吉政府参考人 お答え申し上げます。

 住民にとって最も身近な行政機関であります市町村、これは、農林漁業者の方がいろんな取組を行おうとされるときに大いに頼りにされる存在であると考えられます。

 しかしながら、委員御指摘のように、市町村においては事務事業の見直しや組織の合理化などにより職員数が減少しておりまして、特に農林水産関係で減少の程度が大きくなっているところでございます。

 農林水産省におきましては、地域や現場の農業者に直接施策情報を提供したり、あるいはまた、地域の課題や農業者の生の声を聞き取り、それを施策に生かすため、地方支分部局であります地方農政局のもとに、全国の都道府県庁所在地などに五十名の地方参事官とそのスタッフを配置をしております。

 この地方参事官につきましては、地域の農業者と日々意見交換を行ったりしております。その際に、市町村関係者や農業委員会、県庁の出先機関の方などとも連携をしているところであり、このような取組を通じまして、市町村による農林水産施策の推進をサポートしてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 ありがとうございました。

 農政に携わるその町村の職員の方、これは研修をするということで、全国町村会でもその研修の機会を設けておりまして、地域農政未来塾というのがあります。

 私の地元の与謝野町の方もこの塾に一期生として参加しまして、ICT、インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー、最新の技術を活用した効率的な農作物の集荷システムを構築したという話を聞きました。こうした取組は非常に重要だと思います。

 それで、この方、井上さんというんですけれども、聞きましたところ、最先端の技術を活用したスマート農業、これを進める中で課題も見えてきたということで、栽培に関するデータが与謝野町一つの町だけではなかなか集まらず、将来を予測するためには膨大なデータの蓄積が必要となるということで、できる限りその範囲を広げてデータを収集していきたいということでした。

 こういった、いわゆるビッグデータについては農業についても大変重要だと思うんですけれども、農作物の栽培に関するビッグデータの収集それから分析、これについての現状それから今後の取組についてお聞かせいただきたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 我が国の農業競争力の強化を図っていくためには、委員御指摘のように、生産者がさまざまなデータを活用して、生産性の向上や経営の改善に挑戦できる環境を整備していくことが重要と認識しております。

 このため、農林水産省では、関係府省と連携して、さまざまな農業関係のデータの連携、共有、提供を可能とする農業データ連携基盤の構築を進めており、本年四月から、国の研究開発法人であります農研機構を母体として本格稼働する予定でございます。

 栽培データを始めとするデータの収集につきましては、三十年度補正予算及び御審議いただいております三十一年度予算で所要の額を計上しておりますスマート農業関連実証事業において、農研機構に事業対象の農家の営農データを送っていただき、これを分析、検証した上で、農業データ連携基盤上で提供することを考えております。

 今後、農業データ連携基盤におけますデータの範囲を、生産段階のみならず、加工、流通、消費に至るバリューチェーン全体に拡大していきますとともに、こうした農業データ連携基盤を活用いただくことによりまして、民間企業による新たな農業サービスが創出され、例えば、土壌の状態、作物の生育や気象の状況に応じた精密な栽培管理が可能となるなど、生産管理の効率化や収量、品質の向上が図られることを期待しております。

 以上でございます。

井上(一)委員 総務大臣からも、近年は、若い世代を中心に田園回帰の意識が高まっているという話もありました。

 総務省が実施した調査でも、二十歳代、三十歳代の四割が農山漁村地域への移住について前向きな回答を行っているということであります。

 我が国は、平野の面積が少ない分、中山間地域において農業をしている人も大変多いということであります。この中山間地域は当然農業をするには不利な状況ということで、ここの地域を支援していくことは非常に重要になってくると思いますけれども、いろんな支援制度があると思いますが、この中山間地域を支援する制度として、どういう制度があって、どういう効果が出ているか、教えていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 中山間地域におきましては、地域の活力の維持や多面的機能の発揮の観点から、特色ある地域資源を活用した所得向上や地域活性化に向けた取組への支援が必要と認識しております。

 そのため、中山間地域等直接支払いを始めとした日本型直接支払いによって地域を下支えしつつ、中山間地農業ルネッサンス事業や中山間地域所得向上支援対策による地域の特色を生かした多様な取組への総合的かつ優先的な支援、鳥獣被害対策とともに有害鳥獣を地域の所得にかえていくジビエの利活用の推進、障害者等の働く場を確保する農福連携や、農泊を含む観光、教育と連携した都市農村交流の支援など多様な施策を講じ、中山間地の農業の振興を図っているところでございます。

 引き続き、これらの施策を通じまして、中山間地域の農業の振興と、美しく活力のある農村の実現に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

井上(一)委員 時間ですので最後にしますけれども、ほかにも、中山間地域支援以外にも、例えば、農村地域が持つ多面的な機能、これを維持する支援、それから自然環境の保全に役立つ農業生産活動を支援する制度、こういうような制度も使っていろんな支援をしていると聞いておりますけれども、同じように、こういった制度の内容、それから効果について教えてください。

横井政府参考人 お答えいたします。

 まず、多面的機能支払交付金でございますが、これは平成二十六年度に創設された制度でございます。これは、地域の共同活動によります水路、農道、ため池等、地域資源の保全活動に対して支援を行いまして、農業、農村の有する多面的機能の適切な維持、発揮を促進するものでございます。

 この制度につきましては、創設から五年目ということで、本年度、この交付金による取組状況ですとか効果について、学識経験者や有識者で構成される第三者委員会の指導助言を得ながら評価の取りまとめを進めておりますが、この中で、具体的な効果としましては、遊休農地の発生防止や農業施設の機能の維持、農村の景観や生活環境の保全向上、さらには、地域住民も含めた多様な主体が参画した共同活動を通じまして、地域コミュニティー機能の強化ですとか、農地集積を始め、農村振興に向けた話合いの促進といった効果が出ているという評価がなされているところでございます。

 農林水産省といたしましては、この交付金によりまして、地域資源の保全活動が持続的に取り組まれ、農業、農村の有する多面的機能が適切に維持、発揮されるように、引き続き地域の取組を支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。

井上(一)委員 副大臣からもありましたけれども、やはり食料問題というのは、国家の本当に基本的な、大事な問題だと思います。自分たちの子供、孫の世代がしっかり食料が安定的に調達できるように、ぜひ国家百年の計でよろしくお願いしたいと思います。

 じゃ、以上で終わります。

江田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後三時二十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時一分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、最初に、総務省が所管して取りまとめてきた全国戦災史実調査報告書について尋ねたいと思います。

 この報告書は、さきの大戦の惨禍の記憶を風化させないためにと、総務省が日本戦災遺族会に委託をして、一九七七年から二〇〇九年まで、毎年テーマを決めて報告書を取りまとめてきました。

 二〇〇九年まで戦災の史実を調査してきた報告書、これは冊子になって全国の図書館などに配布をされていると承知をしております。

 ところが、この報告書、沖縄県についてはごくごくわずかな記述があるだけで、学童疎開で大きな被害の対馬丸の沈没や、あるいは一〇・一〇空襲、これは那覇を中心とした空襲被害ですけれども、こうしたことがこの報告書にはほとんど触れられておりません。

 言うまでもなく、沖縄戦というのは、唯一の地上戦ということで、大変多くの方が亡くなられる、そういう凄惨なものでありました。この沖縄戦についてほぼ記述がない報告書は、果たしてさきの大戦の惨禍を後世に伝えるものなのか、甚だ疑問であります。

 そこで、まずお聞きしたいんですが、報告書とは別に、総務省のホームページでは、「国内各都市の戦災の状況」として、沖縄県や沖縄の各都市の戦災の状況を掲載をしております。

 この掲載は、いつから始まったんでしょうか。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、一般戦災死没者に対し追悼の意をあらわす観点から、各戦災都市から御提供いただいた戦災の状況につきましてホームページに掲載しております。沖縄県内における戦災の状況につきましては、現時点で沖縄県及び同県内の十市町村について掲載してございます。

 掲載時期でございます。

 三市町、名護市、宮古島市、嘉手納町につきましては、平成十八年のホームページ開設に伴い掲載を開始しております。

 残りの沖縄県及び七市町村、具体的には、那覇市、うるま市、金武町、読谷村、渡嘉敷村、北谷町、竹富町でございますが、これらにつきましては、平成二十七年十一月の翁長雄志沖縄県知事からの国による沖縄県などの戦災の記録に係る要請がございまして、沖縄県に対して改めて戦災の状況に関する情報の提供をお願いしたところでございます。これに応じて御提供いただいたものでございまして、平成三十年一月から掲載してございます。

 今後も、新たに戦災の状況に関する情報を御提供いただければ、速やかにホームページに掲載してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 このホームページに掲載されている沖縄戦についての記述、今答弁ございましたけれども、これは沖縄県が公表している数字や資料をアップをしたという認識でよろしいんでしょうか。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省ホームページの「国内各都市の戦災の状況」につきましては、各戦災都市から御提供いただいた戦災の状況に関する情報を、内容を加工することなく掲載することとしておりまして、沖縄県及び同県内の十市町村の分についても、御提供いただいた情報をそのまま掲載してございます。

吉川(元)委員 ということは、つまり、国の方で調べて載せているということではないということを確認をさせていただきたいと思います。

 戦後七十年、二〇一五年に、我が党の照屋寛徳議員が、戦後七十年の節目に当たって、悲惨な沖縄戦などの被災実態を明らかにしておくことは、将来の平和創造を見据えて今日を生きる者の責務であるとして、最初に述べました報告書、沖縄が除かれている報告書について質問主意書を提出をしております。

 その中の一つの質問として、照屋議員は、沖縄戦や一〇・一〇空襲、対馬丸沈没などの被害について政府が確たる資料を持ち合わせていないのであれば、沖縄県等が行った調査結果を検証、補正するなどして記録に残すべきではないか、こういう指摘をしているわけです。

 ところが、答弁書では、「「沖縄県等が行った調査結果」の意味するところが必ずしも明らかでないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。」非常に、木で鼻をくくったような、やる気のない、そういう答弁が返ってきました。

 しかし、今答弁がありましたとおり、ホームページに掲載されたその沖縄県の戦災状況、例えば、沖縄戦の戦没者の推計状況一つとっても、これは沖縄県の生活福祉部が編集した「沖縄の援護のあゆみ」、これを恐らく使っているんだろうと思います。

 二〇一五年のこの主意書を出した段階では、沖縄県等が行った調査結果の意味するところが不明だというふうな答弁書が出されているわけですけれども、その後、ホームページに、まさに沖縄県等が行った調査結果が掲載をされている。つまり、主意書に対する答弁とは、政府としては考え方を変えた、沖縄県が使っている数字や資料も利用することに転換をした、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県内の戦災都市から御提供いただいた戦災の状況に関する状況を掲載してございます。

 今後も、新たに戦災の状況に関する情報を御提供いただければ、速やかにホームページに載っけてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 いや、私が聞いたのは、二〇一五年の答弁書では、沖縄県等が行った調査結果の意味するところが必ずしも明らかでない、こういう答弁をされているんですよ、政府として。だから、これは明らかになったということでよろしいんですね。

相馬政府参考人 重ねてのお答えで恐縮でございます。

 沖縄県内の戦災都市からいろいろと戦災の状況に関する情報を御提供いただきました。これをホームページに載っけたところでございます。

 これは、二〇一五年の照屋先生からの質問主意書の後に起きたことだということで御理解いただければと思います。

吉川(元)委員 いやいや、まあ、もうこれ以上時間がないのでいいですけれども、二〇一五年段階で、沖縄県等が行った調査結果、これはよくわからない、何を言っている、何のことを指しているのかよくわからないというふうに、政府はそういうふうに答弁書をつくっているわけですよ。その後、うちの照屋あるいは翁長知事等々から要請があって、そういう意味で言うと、この沖縄県等が行った調査結果、これをもとにホームページにそれを掲載をしているということは、やはり、その当時出された答弁書から私は方針を転換をしたというふうに、方針といいますか、沖縄県等が行った調査結果の意味するところがようやく政府もわかったというふうに理解をしたいと思います。

 それで、先ほど来、冊子になった報告書ということをお話をしてきました。この報告書では、沖縄戦を始めとした沖縄の戦災状況はほぼ取り上げられておりません。

 一つ例を挙げますと、一九八一年の報告書は学童疎開についての記録を収集していますが、巻頭で、今回は、四十六都道府県における戦災により犠牲となった児童に関する記録を対象に調査をしたと、沖縄を除いた調査であることをわざわざ記載をしております。

 改めて尋ねますけれども、沖縄県はこの戦災史実調査報告書の調査の対象外だったという理解でいいんでしょうか。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の全国戦災史実調査報告書は、旧社団法人日本戦災遺族会に委託して作成されたものでございます。

 沖縄県に係る戦災の状況に関する記載がなされていない理由につきましては、当時の行政文書が残っていないため明らかではございませんけれども、沖縄戦が行われたことに鑑み、沖縄県は対象とされなかったものではないかと考えているところでございます。

吉川(元)委員 意味がよくわからないんですけれども。沖縄戦が行われたから戦災史実からは外すというのはどういう意味なんでしょう。

相馬政府参考人 私ども、一般戦災の追悼という仕事を中心に行っておりますけれども、沖縄の場合は、これは戦場になったということでございまして、そういう意味では他の都市と違うというような意味でございます。

吉川(元)委員 確かに、唯一の地上戦が戦われ、まさに戦場になった。その戦場になったところで一般市民もたくさん亡くなられているわけです。

 そしてさらに、先ほどから何度か例を挙げておりますけれども、対馬丸の事件、それから一〇・一〇空襲、これはまさに地上戦が始まる前に発生をした問題であって、なおかつ、両方とも、これは空襲と学童疎開にかかわるものであるのに、それを、戦地になったから、戦場になったから外すんだというのは、私はちょっと理解に苦しみます。

 先ほど、当時の文書が残っていなかった。確かに、同僚の照屋議員の質問主意書に対しても、当時の行政文書が残っていなかったから不明だという答弁が今から約四年前になされているわけですけれども、はっきり言って、非常に不誠実だというふうに私は思いますよ。

 もう三年半、四年近くたとうとしているわけで、その間、先ほどの答弁書、沖縄県等が行った調査結果の意味するところをようやく政府は理解したわけですから、なぜ沖縄が外れていたのか、外したのか、そのことについて、これは外部に委託したからとかいうことは言いわけにならないと思います。これは総務省が所管することでありますから、例えば、そこに沖縄県もちゃんと調べてくださいと言えば、それはそれで終わるわけでありまして、なぜ外したのかということを、その原因をきちんと調査すべきだと考えますが、いかがですか。

相馬政府参考人 お答え申し上げます。

 本当に、行政として考えるべきところはいろいろとあったのかなというふうには思っております。

 ただ、繰り返しになりますけれども、非常に古い話でございまして、今となってその理由について詳細に明らかにすることは難しいのかなというふうに考えております。

吉川(元)委員 古い話って、一九七七年ですよ。戦前の話とかそういう話じゃなくて、昭和の終わりごろの話であって、それがなぜわからないのか。これはもう、私、非常に困惑しました。

 それは、きちんと調査をしたんですか。行政文書が、どうやら、経済安定本部の文書は内閣府が管理をしているけれどもその中には何を書いてあるかは知りませんという状況だそうですけれども、それもしっかり改善をして、なぜこういうことが起こったのか、しっかりと調査をしていただきたいというふうに思います。

 大臣に尋ねるんですけれども、政府として、先ほども言いましたとおり、報告書で、それを冊子にしたもの、これは全国の図書館に配布をされておりますから、当然、例えば子供たちが全国の戦争被害の状況について調べようと思って、その報告書、冊子を開くことはあるというふうに思います。そのときに沖縄のことがほとんど何も、年表に少し書いてあるぐらいというのは、これはやはりおかしいんじゃないか。

 そういう意味でいいますと、これは沖縄県についてもしっかりと調査を、国の責任で、今、沖縄県から上げられたものをホームページにアップをしているということでありますけれども、国として主体的に調査すべきだというふうに考えますけれども、所管の大臣としての見解を尋ねます。

石田国務大臣 総務省は、さきの大戦に関する事務のうち、一般戦災死没者、いわゆる今次の大戦による本邦における空襲等のため死亡した者に対して追悼の意をあらわす事務のみを所掌しているわけであります。

 住民を巻き込んだ地上戦が行われた沖縄県においては、空襲等のみならず、戦闘により亡くなられた方も多数おられるものと承知をいたしておりまして、総務省として、御指摘のような包括的な調査を行うことは考えておりません。

吉川(元)委員 非常に不誠実だと思いますね、それは。

 何度も言いますけれども、沖縄は唯一の地上戦、本当に筆舌に尽くしがたいような被害の中で多くの方が命を失ったわけで、そのことについて国がきちんと調査を実はしていないんですよね、そもそも、総務省のみならず。だとするならば、きちんとそういう調査を国がすべきだというふうに思います。

 そして、あわせてもう一点だけ大臣に質問いたしますけれども、先ほど言ったとおり、全国の図書館に冊子が配られております。そこには、今言ったように、沖縄が欠けているわけであります。そういうことも含めまして、これは同じ事業になるのかどうかわかりませんけれども、沖縄戦についても、例えば、今、沖縄からの、自治体の集めた資料やそうしたものをホームページにアップをしているのであれば、それを冊子にまとめて、追加として各図書館の方に送ることが必要なんじゃないかと考えますけれども、この点についての大臣の考えをお聞かせください。

石田国務大臣 先ほど審議官から御答弁させていただいたと思いますけれども、戦災史実調査報告書と、今現在開設しております総務省のホームページの「国内各都市の戦災の状況」、これは、やはり両者別々に実施したものでございます。その点は御理解をいただきたいというふうに思っております。

 ただ、このホームページにつきましては、適宜最新の情報に更新して提供することができるメリットがございますので、今後とも、こうした取組を継続し、沖縄県における戦災の状況に関する情報を広く的確に国民に提供してまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 私は、ホームページでやるのも結構ですけれども、紙として、例えば別冊とか追補とか、いろいろなやり方があると思います。それをきちんと紙として後世に残していく。

 恐らく、今から何十年先の人が見たときに、この報告書を見て冊子を見たときに、沖縄戦のことは何も書いていないということになるわけです、その冊子を見た人は。それに別冊あるいは補遺等々があれば、それは、ああ、後で追加でこれを入れたんだなというのがわかるわけですけれども、今の段階でこのまま五十年、百年たった後に、沖縄戦が何だったのか、あるいは、そこでどういう苦しみがあったのか、被害が発生したのかというのは、これは、ホームページに載るのはいいんですけれども、それを紙の形にして、きちんと報告書の形でまとめるべきだ、これはイロハのイだというふうに私は思います。そのことをしっかり対応、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 きょうは平口法務副大臣にも来ていただいております。もう時間が余りないので、入管法の改正について少し尋ねたいと思います。

 これは、法案の審議の際、いろいろ議論になったときに、外国人労働者が都市部に集中する懸念があるというふうにも言われておりました。それを、都市部への過度な集中をどのように是正をしていくのか、あるいは、そうならないようにしていくのか、どのように考えていらっしゃるでしょうか。

平口副大臣 新たな外国人材の受入れが大都市圏等に過度に集中しないようにすることにつきましては、さきの国会において法案修正がなされた経緯がありまして、法務省としても極めて重要なことと受けとめております。

 大都市圏等への集中を防止するためには、地方における外国人の受入れ体制の整備が重要でございます。

 そのため、昨年末に関係閣僚会議で了承された総合的対応策においても、暮らしやすい地域社会づくりのための施策というものが掲げられておりまして、具体的には、外国人が理解できる言語で必要な情報をワンストップで受け取れる、地方公共団体における一元的相談窓口の整備の支援とか、新たな制度に基づく外国人の受入れ支援や共生支援を行う受皿機関の立ち上げなどといった地方公共団体が行う先導的な取組に対する地方推進交付金による支援などを行っていくということにしております。

 また、外国人に地方で就労することの魅力を感じていただくことも必要であると考えておりまして、そのために、地方の企業等に対して、既に外国人を受け入れている企業における生活、就労環境の整備に係る優良事例を紹介すること、また大都市に比べ家賃や生活費がかからないことなど、外国人が地方で就労を希望し、また定着が進むような取組を推進していく予定でございます。

 さらに、法務省においては、分野別、地域別の受入れ数を把握の上、定期的に公表することを予定しております。

 各分野の所管省庁が設置し、受入れ機関等が参加する分野別の協議会においては、地域の人手不足の状況等を把握し、これを踏まえ、地域ごとに偏りのない受入れに向けた取組が行われることが期待できるものでございます。

 これらの各種取組を通じまして、大都市圏等への過度の集中を防止してまいりたいと考えてございます。

吉川(元)委員 丁寧に答弁いただくのは結構なんですけれども、時間がないので、そうなると、結局もう一回来てもらわなきゃいけなくなる。

 もう一点、どうしても確認したいことがありましたので、これについては別の機会にまた質問させていただきたいと思います。

 以上で終わります。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、通告では一番最後に申し上げていた大阪の話を一問だけ先にさせていただいて、本論に入っていきたいと思います。

 きのうの参議院の予算委員会で、太田房江元大阪府知事、参議院議員が、ちょっと意味不明なことをおっしゃいました。

 チベットという話は、これはもう論外でありますが、要すれば、万博とIRと都構想と三つやるのは、巨大な三大事業を同時期に手がけると財政面への影響など懸念があるんじゃないか、そういう指摘をされました。

 それに対して大臣の方から、それら三つについては、大阪府、大阪市への財政運営に与える影響も含めて、地元において十分に議論されるものと認識していると。当たり前ですよね。これは、だって、地域の話なんだから地域で議論する。私は、大臣の御答弁、全く至極もっともであると思いましたが、その後にまた太田さんは重ねて、必要なときには御助言等をお願い申し上げたい。

 今の時点で、そういう助言せなあかん何か、国として、総務大臣として見ていただいていて、大阪のことを、万博、IR、そして都構想にチャレンジをしていく大阪府市、何か太田さんがおっしゃるような懸念はありますでしょうか。

石田国務大臣 昨日の参議院予算委員会において、太田房江委員から、大阪は関西万博の開催、IR誘致、更に大阪都構想の三つを同時期に手がけることになれば、特に財政面への影響などを含めて懸念があるのではないかとの御質問をいただいたわけでありまして、私からは、大阪は関西万博の成功に向けオールジャパンで準備を進めることとしていること、大阪府、大阪市において、IR誘致実現に向けて取り組んでいると承知していることを申し上げ、なお、いわゆる大阪都構想については、万博開催やIR誘致とあわせて推進する場合には、大阪府、大阪市への財政運営に与える影響も含めて、地元において十分に議論されるものと認識していると答弁をしたところでございまして、この大阪府、大阪市への財政運営に与える影響も含めまして、地元において十分議論されるものとの認識を示したところであり、太田委員から御指摘の発言がありましたけれども、現時点で助言を行うことは考えておりません。

足立委員 ありがとうございます。

 もう当然でありまして、まあ、一言付言すれば、大体、IRというのは民間がやるわけですね、民間が。一部の野党が推進している公営のそういうギャンブルではありません。民間がやります。

 国もそうですけれども、大阪府市に税収が入ってきます。一部、ある試算では、年間数百億、七百か八百億か失念しましたが、大変な収入にも、税収にもなっていくわけでありまして、私は、逆に、一つ、二つでは成功しないが、三つやる、大阪万博、IR、そして大阪都構想の住民投票、この三つともチャレンジすることが、むしろ、三兎を追うことによって三兎とも獲得することができる。大阪が、かつての太田府政での大幅な基金の取崩し等、財政破綻寸前まで行った太田府政に対して、松井、吉村の連携の中で、初めて大阪の再生、そして、まあ、もう再生は果たしましたが、さらなる大阪の成長につながっていく、こう考えているわけでありまして、きのうの太田さんの予算委員会での質疑は本当にナンセンスだなということを申し上げておきたいと思います。大臣からも、懸念はないということですので、しっかり大阪でやっていただきたい、こう思っています。

 さて、共産党について議論したいと思います。

 この委員会で私が二月の二十一日に申し上げたいろんな発言について、共産党がいろいろおっしゃっています。

 二つあって、一つは、全くの誤解に基づく苦情でありまして、その苦情が委員会を飛び越えていろんなところに飛び火してますが、全くの、本村先生はそんなに悪い人じゃないんですけれども、ちょっと理解力がね、本件についての理解力が乏しいので残念でありますが、誤解に基づいていろんなところにはねてますので、これについては改めて共産党に謝罪を求めておきたいと思います。

 もう一つ、共産党と選挙協力する政党が真っ当なわけがない、こう申し上げました。そうしたら、共産党は、これもいろいろ問題があるということなので、よくわからないんです、何が問題あるか。

 まず、政党を真っ当な政党と真っ当でない政党に線引きをして相争う、これは別に私がやっているだけではありません。大体、高井先生がいらっしゃる立憲民主党はポスターに「まっとうな政治。」と大書きして、立憲民主党こそ真っ当な政治、それ以外は真っ当じゃないと言っているわけですよね。

 いや、僕は、高井先生は真っ当だと思いますよ。(発言する者あり)あっ、違うの。ちょっとまた高井筆頭とはゆっくりやりたいと思いますが、僕は、この総務委員会にお越しの立憲民主党の先生方は皆さんすばらしい先生方なので、これからは立憲民主党上げでいきたいと思っていますが。

 その立憲民主党も、真っ当な政治ということを標榜して、本会議場でも各種委員会でも枝野代表が率先して、俺たちこそ真っ当な政治とおっしゃっている。だから、私が真っ当な政治というものと真っ当じゃない政治というものがあると言うのは、そんなに怒られることではないと思うんですね。

 じゃ、共産党と連携する云々というのは、要は、共産党が真っ当じゃないと言っているのはそのとおりです。じゃ、私がなぜ共産党が真っ当じゃないと言っているかというと、こういう、これは公安調査庁の「内外情勢の回顧と展望」、ここに、オウム真理教と過激派と並んで共産党が特記をされています。

江田委員長 足立委員、総務行政と関係のない発言に対しましては御注意願います。

足立委員 いやいや、関係ありますので、ちょっと全部聞いてください。委員長、ちゃんと関係あるということを今から説明しますから。

 さて、きょうは公安調査庁にお越しをいただいています。

 私は、大変問題だと思うのは、私がそういうことを申し上げたことについて、要すれば、真っ当かどうかを議論してたらいろいろ議論が来たので、いや、じゃ、はっきり言うよということで、先般も本会議場で、共産党は破防法の調査対象団体であるということを本会議場でも申し上げました。だから、この総務委員会でも同じことを申し上げます。これは調査対象団体ですね。私が言うと怒られるので、公安調査庁、お願いします。

横尾政府参考人 日本共産党は、破壊活動防止法に基づく調査対象団体でございます。

足立委員 こうやって、私は、政府の刊行物、あるいは閣議決定、あるいは公安調査庁のホームページ等を拝見し、そう信じてるわけです。そういう事実があるということを、私は、信じるに足る、だって閣議決定しているんですよ。だから私は、信じるのは、僕は当たり前だと思うんですが……

江田委員長 足立委員、申し上げます。

 総務行政と関係のない発言に対しましては、御遠慮願います。

 また、理事会で協議中の案件であることでございますので、これもまた御遠慮願いたいと思います。

足立委員 なぜ私が今共産党について議論をしているかというと、この後、公職選挙法について議論をします。それとの関連で必要ですので、よろしいですか、続けて。続けていいですか。

江田委員長 また不適切な発言があったら、とめます。

足立委員 もちろんです。

 ここまでで、不適切な発言、理事会のことについて若干付言したことは確かですので、今後、理事会の内容あるいは議運委の内容については触れません。

 その上で、私がそういうことを申し上げた、表でですね、本会議場で申し上げたことについては、今、公安調査庁からあったように、これは事実です。それに対して小池晃書記局長がツイッターで、これはデマだとはっきりと書かれています。これ、デマじゃないということですが、ちょっと、共産党の指定、破防法の指定の経緯を簡単に御紹介ください。

横尾政府参考人 日本共産党は、昭和二十六年から同二十八年ごろにかけまして、団体の活動として革命の正当性、必要性を主張いたしまして、その実行として各地の党組織、党員が、殺人や騒擾など、いわゆる暴力主義的破壊活動を行った疑いがある団体でございまして、現在も、革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは、敵、すなわち、支配階級や反動勢力の出方によるとする、まあ、いわゆる敵の出方論に立脚しているものと認識しておることで、破壊活動防止法上の調査対象団体となっておるということでございます。

足立委員 それから、共産党のいろんな御主張を聞くと、五一年綱領は、あれは違うんだ、こうおっしゃっていますけれども、政府の五一年綱領に関する認識をお聞かせください。

横尾政府参考人 日本共産党が昭和二十六年十月の第五回全国協議会で採択いたしました五一年綱領には、日本の解放と民主的変革を平和の手段等によって達成し得ると考えるのは間違いであるなどと記載しているものと承知いたしているところでございます。

 また、同綱領に対する認識につきましては、調査の具体的な内容にかかわるものでございますので、今後の業務遂行に支障を来すおそれがありますことから、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

江田委員長 足立君、総務行政と関係がない話でもあろうかと思います。話をかえてください。

足立委員 いやいや、委員長、総務行政と関係あるんですよ。だって、この後に……(発言する者あり)誰。(発言する者あり)はい。

江田委員長 足立君、話をまとめてください。(足立委員「まとめます」と呼ぶ)そして、総務行政と特に、とにかく関係のないことは、これは慎んでください、厳に。

足立委員 はい。

 本村委員はそんな悪い人じゃないと思うので、僕はこれを解除してあげたいと思うんですよ、解除。

 それで……(発言する者あり)面倒くさいな。わかった、わかった。じゃ、次に行きましょう。

 次、外国のスパイについて……(発言する者あり)続きますよ。

江田委員長 別の話ですか。

足立委員 はい、はい、はい。(発言する者あり)

 ちょっと、じゃ、時間とめてくださいよ、マイク、とめてくださいよ。(発言する者あり)

江田委員長 だから、今から別の話ですか。(発言する者あり)じゃ、別の話、別の話で。話をかえてください。

足立委員 いや、しかし、本当にダブルスタンダードはよくないですよ、野党の皆さん。僕は委員長の差配には従いますが、よく、これを総務行政と関係ないと言ったら、皆さんがやっていることだって関係ないじゃない。

 さて……(発言する者あり)他党批判じゃなくて、国会に議席を得ている政党について議論するのはおかしくない。だって、選挙で選ばれているんでしょう、みんな。選挙で選ばれているんでしょう。

 さて、総務行政。選挙部、きょう来てもらっていますね、選挙部。

 私は、公職選挙法に、選挙に立候補するときに届け出るべき事項として法律に明記をしてあることが幾つかありますね。これは、例えば、氏名、本籍、住所、生年月日。私は、本籍要らないと思うんですよ。本籍要ります、皆さん。本籍って何で要るんですか、立候補するときに。わかります、皆さん。与党の皆さん、わかりますか、何で本籍要るんですか。偉そうに言いやがって、ほんま。(発言する者あり)いや、だってね、あのね、皆さんね……(発言する者あり)いや、もうわかった、わかった。いや、だからね……(発言する者あり)だって、先ほど私が議論しているのは、総務行政に関係あるんですよ。だから、今から聞いておけよ、これをちゃんと。

 はい、それから、私は、公職選挙法に……

江田委員長 発言には注意してください。品位を持った発言をなさるよう御注意を願います。

足立委員 はい、委員長。

 本籍は要らないと思うんですよ。逆に、外国籍の得喪の履歴は要ると思うんですよ。選挙部、どうですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法におきましては、届出書において候補者の本籍を記載していただくということとなっております。また、戸籍の謄本又は抄本を添付書類として出していただくということとなっております。

 これは、氏名は、まず、本人を特定するために戸籍に載っている氏名で届出をしていただく、それから、戸籍によりまして、国籍あるいは生年月日などで年齢要件を見るということでございます。(足立委員「本籍、本籍」と呼ぶ)本籍は、日本国民、国籍も含めて、あるわけでございますので、そういう意味で、届け出ていただいております。

 一方、外国籍につきましては、公職選挙法上、記載事項というようなことにはなっておりません。

足立委員 今、部長がおっしゃったのは現状ですね。でも、本籍要らないと思いますよ。逆に、国民が知りたいのは、立候補している、例えば、国会議員に立候補している候補者がいつ日本に帰化したのか、その前はどこの国だったのか、そういうことを知りたいという声があります、僕の周りには。まあ、僕の周りだけじゃないと思うんだけれどもな。

 維新の会としては、外国籍の得喪の履歴については、やはりしっかり届けてもらった方がいいということで、議員立法を出させていただいています。これは我々は必要だと思っているわけですけれども、本籍がね、だってこれ、本籍要らないでしょう。だって、戸籍謄本を添付しているんでしょう。なぜ要るんですか。

大泉政府参考人 戸籍謄本あるいは抄本を添付していただいているということになっておりますけれども、記載事項として、やはり、先ほど氏名等も、証拠書類によって見るために、本籍も記載していただく、記載事項になっているということでございます。

足立委員 ちょっと部長、申しわけない、全然言っていること、わからないですよ。

 事前にレクを受けた中では、結局、本籍地に犯罪人名簿があるので、本籍地にいろいろ問合せをしているんだ、毎回、そういう話がありました。でも、本籍地にアプローチするためには、本籍だけじゃだめです。筆頭者がわからないとだめです。だから、もし総務省が、選挙部が言っているとおりであれば、公職選挙法には、氏名、本籍地だけじゃなくて、氏名、本籍地、筆頭者、これを書くべきなんです。そうでなければ、本籍地も落とすべきなんです。どうですか。

大泉政府参考人 本籍地を落とすべきであるということでございますけれども、やはり欠格条項、それから、本籍を書いたことによって、その市町村ではチェックしやすくなるということもございますので、今のところ、本籍を必要としております。

足立委員 本籍だけでチェックできますか。部長、どうですか。

大泉政府参考人 現行の取扱いでも、私どもは、各議員に立候補された方につきましては、本籍地照会という形で、その人の欠格条項等を調べているところでございますけれども、現行では、筆頭者など、わからなくて、その人の戸籍、本籍地照会をしましても、きちっと返ってくるということになっております。

足立委員 もしそうであれば、本籍地でプロファイリングしているんですよ、プロファイリング。それぞれの戸籍に、関係、例えば、戸籍に犯罪人名簿がずっとついて回っているわけですよ。本籍地を変えると、全部、犯罪人名簿も全部ついて回るようになっているとしか考えられないですね、それでわかるということは。

 すると、日本人は本籍地でプロファイリングされている。そのプロファイリングされている一つの情報が犯罪人名簿だということでいいですね。これは、選挙部を越えるなら、別の人でも。

大泉政府参考人 プロファイリング自体がちょっと理解はできませんですけれども、公選法上につきましては、犯罪にかかわる情報について、検察官から本籍地市区町村に対して通知が来るということでございまして、これにつきまして、被選挙権の有無を調べるために、昭和三十八年に、市区町村長が所有するその情報につきまして、通知を出しております。

 それにおきましては、その本籍地市区町村が処理すべき事項としまして、当該者の住所地の市区町村選挙管理委員会に対する通知を行うこと、それから、選挙関係失権者名簿の整備及び補正を行うこと、それから、当該市区町村に本籍を有する者が他の市町村に転籍をした場合につきましては、その者に関する選挙関係失権名簿等の関係資料を送付すること等がその通知で示されておりまして、その後、地方分権一括法によりまして、自治事務になりましたけれども、このような事項を参考にして、事務は適切に行われていると考えております。

足立委員 ちょっと時間なくなるんで、これ、もう一回またやりますが、今、結局、さまざまなプロファイリング、これが本籍地で行われるんですよ。ただ、私、犯罪人名簿を置いておくんだったら、普通は、選挙人名簿をつくるのは住所地ですから、本当は住所地でプロファイリングしているのが正しいと思うんですけれども、なぜか今の運用では本籍地にこだわっていて、本籍地に犯罪人名簿も集約されているんですね。

 この辺の理屈、あるいはそれの合理性、これは更にやっていきますが、きょうは左藤副大臣もおいでなので、ちょっと話を先に進めます。

 外国人の方が帰化した場合、本籍地はどこになりますか。

筒井政府参考人 お答えいたします。

 帰化者が希望したところになると思います。

足立委員 帰化しているんだから、どこでもいいんですね。霞が関一の一の一でもいいし、皇居でもいいですよね。皇居って住所が、よくわからないけれども。だから、帰化すると本籍地どこでも選べるんですよ。だって、帰化しているんだから、どこでも選べる。僕らだってどこでも選べる。そこにプロファイリングされているんです。そういうことがだんだん、私もよく知らなかったので、わかってきました。

 帰化するときに審査があります。その方が外国のスパイかどうかを帰化審査でチェックしてますか。

筒井政府参考人 お尋ねがありました帰化許可の申請につきましては、国籍法第五条第一項に列挙されている要件に加えて、日本国籍を与えることが適切か否かという観点も含め、厳格な審査を行っているところでございます。

足立委員 いや、だから、スパイかどうかというチェックをしてますか、してませんか。

筒井政府参考人 そういったことも含めて審査を行っているということでございます。

足立委員 含めてで、もうそれ以上言えないと。

 そういう中で、やはり私は、これだけ、この四月から、外国人が、五年、十年というふうに在留される中で、やはりしっかりと、日本の国のために一緒に生きていける、一緒に生活できる、一緒に頑張っていける、そういう方々をしっかりと受け入れていく。これ、大事なことだと思ってますが、そのためにもマイナンバーは必要なんですが、マイナンバーカードが。

 一方で、スパイもいてもおかしくないわけでありまして、スパイ防止法というのが国会で議論をされたことがありますが、今ある、もう時間なくなっちゃったんですが、左藤副大臣、ちょっとせっかく来ていただいているので、特定秘密保護法というのは、スパイについても規定があると思います。簡単に紹介いただけますか。

左藤副大臣 御質問にお答えさせていただきたいと思います。

 我が国を取り巻く非常に厳しい安全保障環境を踏まえて制定された特定秘密保護法は、我が国の安全保障に関する情報の中で、特に秘匿とすることが必要なものを保護するため、特定秘密の指定や解除、特定秘密の漏えいを防止するための適性評価や罰則等定めております。

 この法律の第三条一項では、行政機関の長は、防衛、外交、特定有害活動防止及びテロリズムの防止に該当する公になっていない情報で、特に秘匿を要するものを特定秘密として指定することとしております。これにより、我が国の安全保障にとって重要な情報が、有益な情報が確実に守られると思っております。

 先生のおっしゃっているスパイの問題でございますが、この有害特定活動の防止等にこのスパイの防止に関する情報については該当すると思っております。

足立委員 もう時間ないんですが、本当は経産省にもお越しをいただいて、風木審議官、済みません、もう、ちょっと時間がないので割愛しますが、経産省に不競法という法律があります。不競法で産業スパイを取り締まっています。その産業スパイの外延に、国家に係る、要は、営業秘密の中に国家機密も入り得ると私は聞いていまして、この議論はまた経済産業委員会でしっかりとさせていただきたいと思いますが、きょう、内閣官房、お越しですか。

 最後に内閣官房に聞きたいのは、私が調べた限り、特定秘密保護法と不競法、それ以外にスパイの取締りを主たる法益にした法律が余り見当たりません。今の法体系で、国益を守るために十分な法制度を整えているとお考えでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 いわゆるスパイ防止法の必要性につきましてはさまざまな議論があるということは承知しております。政府といたしましては、委員ただいま御指摘ございましたとおり、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要であるというふうに認識しておりまして、このためにさまざまな施策を講じておるところでございます。

足立委員 これは全く不十分ですよ。

 もう時間が来ましたので終わりますが、委員長、一つ委員長にお願いがあります。

 きょう、私が共産党に係る質疑をしました。これは国会で何十回もされている議論ですよ。普通にされていますよ。それは、共産党と破防法の調査対象団体という議論をするんですよ。そのことと外国スパイの話を一緒にするのが、そんなにおかしなこととは私は思えないんですよ。

 なぜ、きょうの私の質疑が総務委員会にふさわしくないのかについて、私は理解できませんので、理事会で改めてなぜなのかという点について御議論をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江田委員長 時間が来ております。(足立委員「いや、委員長、いかがですかと言っているんです」と呼ぶ)

 理事会で協議します。

足立委員 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

江田委員長 次に、内閣提出、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。石田総務大臣。

    ―――――――――――――

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石田国務大臣 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律は、成田国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置を講ずることを目的として昭和四十五年三月に制定されたものでありますが、本年三月三十一日限りでその効力を失うこととなっております。

 訪日外国人旅行者数を二〇三〇年までに六千万人とする政府目標を実現するため実施される第三滑走路の増設などの成田国際空港のさらなる機能強化の影響を緩和するためには、水資源開発施設の改築、道路の改築などの新たな公共施設等の整備が必要となります。

 このような状況に鑑み、空港周辺地域における公共施設等の計画的な整備を促進するため、引き続き、国の財政上の特別措置を講じていく必要があると考えております。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を十年間延長し、平成四十一年三月三十一日までとすることとしております。

 その二は、水資源開発施設の改築を国の負担割合の特例等の対象となる事業に追加することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

江田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十二日火曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十五分散会


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