衆議院

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第8号 平成31年3月12日(火曜日)

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平成三十一年三月十二日(火曜日)

    午前八時三十二分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      青山 周平君    井林 辰憲君

      池田 道孝君    大西 英男君

      岡下 昌平君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    木村 次郎君

      佐藤 明男君    田野瀬太道君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      野中  厚君    鳩山 二郎君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    御法川信英君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    伊藤 俊輔君

      小川 淳也君    岡島 一正君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      畑野 君枝君    本村 伸子君

      足立 康史君    吉川  元君

      井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   総務大臣政務官      古賀友一郎君

   国土交通大臣政務官    田中 英之君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (消防庁次長)      横田 真二君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 船越 健裕君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         横井  績君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省航空局交通管制部長)         飯嶋 康弘君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 森田 治男君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  長坂 康正君     青山 周平君

  鳩山 二郎君     宮路 拓馬君

  宗清 皇一君     岡下 昌平君

  山口 俊一君     御法川信英君

  山口 泰明君     野中  厚君

  本村 伸子君     畑野 君枝君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     長坂 康正君

  岡下 昌平君     宗清 皇一君

  野中  厚君     山口 泰明君

  御法川信英君     山口 俊一君

  宮路 拓馬君     鳩山 二郎君

  畑野 君枝君     本村 伸子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省行政評価局長讃岐建君、自治行政局長北崎秀一君、自治財政局長林崎理君、消防庁次長横田真二君、外務省大臣官房参事官船越健裕君、農林水産省農村振興局整備部長横井績君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長久保田雅晴君、国土交通省航空局交通管制部長飯嶋康弘君及び防衛省大臣官房審議官森田治男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡島一正君。

岡島委員 おはようございます。

 けさは八時半からということで早い時間からですが時間は短いという中で、質問させていただきます。今の成田財特法の一部を改正する法律案について、私も千葉県からの議員でありますので、そういった思いも込めて質問させていただきたいと思います。

 成田国際空港始め、日本には、羽田ですね、東京国際空港や中部国際空港、さらには関西国際空港、大阪空港など、いわゆる空港法の第一種で定められた国際空港があるわけでありますが、それぞれ各国際空港、それ以外にも地方の空港はたくさんあります。いずれにしても、その国際空港の周辺整備の中で、総務省など始め、国が周辺整備の補助率をかさ上げするという形で特に周辺整備に取り組んでいるということでいうならば、成田空港周辺整備ということだけになるんだろうと思います。

 そこで、この国の予算の負担割合の補助率をかさ上げしているという成田の国際空港周辺整備、成田空港ならではの、ならではというか、私、子供のときから千葉だったのでいろんな歴史も見てきましたけれども、そういった意味で、成田空港だけのかさ上げの措置ということに対して、一度おさらいとして、なぜそうなっているのかということをお伺いしたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生の方からも御紹介ありましたとおり、成田空港以外の主要な国際空港につきましては、東京国際空港、羽田でございますけれども、あるいは関西国際空港、中部国際空港、いずれも海上空港でございますので、成田空港につきましては、一方で、整備を計画した当時、国として必要な国際空港ということで検討されたわけでありますけれども、その立地が、農業地域である内陸に設置せざるを得ない、こういう状況でございましたので、空港周辺地域に存する地方公共団体が行う、空港の設置に伴いまして必要となる公共施設等の整備に対しまして財政上の特別措置を講ずることとしたところでございます。

岡島委員 成田空港だけ内陸ということであります。それゆえに、さまざまに、いろいろな歴史的にも記憶に残る経緯をたどってきたという中でのかさ上げによる整備の充実ということだと理解いたします。

 今回の成田国際空港周辺整備のための特別措置に関する法律の一部改正案ということですけれども、一般というか通称というか、いわゆる成田財特法については、昭和四十五年の制定以来、これまでに七回延長をされてこられました。最初が十年と聞いておりますが、その後は五年ごとに六回ということです。

 これまでに七回やられて、今回、成田空港周辺だけの特例措置のこの成田財特法を振り返ると半世紀過ぎるわけでありまして、この五十年にわたる延長を振り返って、実際五十年間かけて整備してきたこの成田財特法のあり方も含めて、この五十年の結果あるいはその中の成果、どのように振り返っておられるかを、総務省、お聞きしたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 これまで昭和四十五年の法施行以降、空港周辺地域整備計画に基づきまして、道路などの交通網や下水道などの生活環境施設、さらには河川、教育施設、消防施設などの整備が進められてきたところでございまして、平成二十九年度末までに実施された総事業費は五千六百二十五億円、補助率かさ上げ額は二百五十三億円となっているところでございます。

 このように、本法によりまして、成田空港の周辺地域に存する地方公共団体の財政負担が軽減し、公共施設等の計画的な整備が図られたところでございまして、さらに、その公共施設等の整備が進んだことによりまして、関連企業が進出をいたしまして、具体的な数字は省略いたしますけれども、雇用機会も拡大するなど、成田空港の周辺地域の発展に極めて大きな役割を果たしてきたものと考えているところでございます。

岡島委員 この半世紀にわたる成田財特法による整備事業ということで延長を繰り返したということは、手厚くというか、ずっとケアを続けたというふうにもとれますけれども、延長する中で、事業が期間内におさまらなかった、やり残した事業を継続しなきゃならなかったといったようなことを含めて、何か、反省点といったもの、あるいは問題点といったもの、成田の周辺整備なるがゆえに取り組まなきゃいけなかったこと、課題、そういったものをどのようにお考えか、この辺、大臣がもし何かあれば、どうぞ。

石田国務大臣 先ほど議員から御指摘がありましたように、成田財特法は昭和四十五年に法律が制定されまして、その後計七回延長されてきているわけであります。二回目からは、七回目まで五年ずつ延長されてきたということがございます。

 これは、今も御指摘ありましたけれども、延長に当たっては、期限内に完了しない見込みである事業や新たに実施する事業が完成するのに要する期間を踏まえて延長期間を設定してきたところでございます。

 それで、今回の成田空港のさらなる機能強化につきましては、現在の敷地面積千百七十二ヘクタールと同程度の約一千ヘクタールの敷地拡張を伴いますことから、営農者や交通環境等に及ぶ影響は極めて大きいものと見込まれるところでございます。

 これらの影響を緩和するために新たな整備が必要となります成田用水施設、また、道路などの公共施設等の多くが事業の完了に平成四十年度まで要する予定でございまして、そういう意味合いで延長期間を十年間とさせていただく必要があると判断したところであります。

岡島委員 やはり、半世紀ということにわたってかさ上げによる周辺整備事業が行われてきて、これからも継続するという中では、半世紀というのは一世紀の半分ですから相当長いわけでありまして、その間、同じ法体系の中で予算のかさ上げをしてきたという意味において、その五十年を振り返って、総務大臣として、この成田整備事業の課題なり難しかった点、あるいは反省点があれば、一言お願いできますか。

石田国務大臣 私も、幾つぐらいのころだったかちょっと思い出せませんけれども、やはり成田の成り立ちから始まって、大変なこの事業展開であったわけで、地域の皆さん方にも大変御迷惑をおかけしてきたわけであります。

 そういう中で、先ほども申し上げましたけれども、成田財特法成立以来、その都度、地域の皆様方のやはり御納得をいただけるような御要望を受けて、この事業の実施、そのための財特法の延長が重ねられてきたんだというふうに思っております。

 そういう中で、今回は、先ほども申し上げましたけれども、現在の敷地と同程度の新たな大きな展開、これは、外国人の皆さん方がたくさん来ていただくような新たな状況も生まれているわけでございまして、それに対応するという意味合いもあるわけでございますけれども、そういう中で新たな展開をするということで、やはりそれに伴う皆様方の御負担を解消するための事業を実施していかなければならない。そういう中で、今回、事業を計画し、皆さん方の同意をいただいた、それを実施するためには十年の期間を要するということでございますので、御理解をいただきたいというふうに思います。

岡島委員 地元、地域の声を大切にするということの五十年であり、これからもそういった姿勢の中での十年というふうに受けとめたいと思いますが。

 今回、現行の整備計画の中にかさ上げされた事業が十五あるというふうに伺っていますが、そのうちの四つの事業、県道が二つに市道が一つですか、そしてさらに町道もある。この四つについては、今回の法期限内に事業がおさまらなかったということで継続になるという案になっておりますが、この四つについてはなぜ事業が継続となってしまったのか、未完のままになったのかということについて、用地取得などの問題などもあれば含めて、総務省、お答えいただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただきましたように、現在、補助率かさ上げの対象となっており、法延長後においても引き続き事業を実施するものといたしましては、県道が二カ所、市町道二カ所の計四カ所を予定しているところでございまして、これらの事業が今年度中に完了しない理由といたしましては、ここに至るまで一部住民から協力を得られない等の時期があったということで、そういった理由から用地取得に時間を要したこと等によるものということでございます。

 なお、これらの事業につきましては、本法案による改正後の法律の有効期限である平成四十年度末までには完了する見込みと伺っているところでございます。

岡島委員 成田の整備というのは用地の取得が一つの大きなテーマだということは今の話からもわかりますが、今回、八回目を迎えるというその延長の十年ですね、この四つの事業の継続に加えて新たにまた十七ですか、新規事業が予定されているというふうにこの案では見受けられますけれども、その中でもとりわけ大きいのが成田用水路の改築事業。老朽化しているので、それを整備したり、あるいは、新滑走路ができるので、それに伴ってといった話でありますけれども、三千ヘクタールを超える広大な土地でありますが、その成田用水路の改築なり、あるいは、広げるなりを含めた事業というのは、新たに土地を取得しなければならないという状況があるんだろうと思います。

 それは一体、用水路全体の何%が新たな土地、最終的な形からしたら、これから取得しなきゃならない土地は全体の何%ぐらいで、どのぐらいの広さなのか、もしおわかりになれば教えていただきたいと思います。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ありました成田用水の施設でございますけれども、これは、今般、非常に対象エリアとしては広うございますが、事業そのものは改築事業ということでございまして、その改築事業に要して新たに取得しなければならない用地、こういったものはないというふうに伺っているところでございます。

岡島委員 新たな用地取得がないということは、この成田用水路については、成田の整備で一番大きな問題であった住民からの協力を得て用地を取得していくという作業が今回は全くないというふうに考えてよろしいんでしょうか。

林崎政府参考人 そのように考えていただいて結構でございます。

岡島委員 実際、そうすると、十年間で成田用水路の老朽化なりを改築していくということが、では、それを阻害するような要因というのは何か考えられますか。それが更に未完になってしまうんじゃないかとかいう要因というのは何かあるんでしょうか。計画どおりに運べるのでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 現時点におきまして、今回の法改正でお願いしている平成四十年度までには当該事業につきまして完了する見込みということでございまして、私どもとしてはそのように考えているところでございます。

岡島委員 わかりました。ぜひ、それは、じゃ、進めて、十年という期日の中でやっていただきたいと思います。

 この周辺整備の中で、老朽化という言葉が、文言がこの法律案の中に何カ所か出てきていました。

 この老朽化という点については、当然、成田用水の設備以外にも、これまでの成田財特法で整備してきた道路だったり河川だったり、あるいは教育施設、さまざまなものがあると思います。そういった施設、この用水路以外にも、今回は学校の改築ですかね、耐震を含めたことも行われると聞いていますけれども、最初の整備から考えていくともう半世紀たっているような、そういうインフラがたくさんあるわけでありまして、今後更に十年の延長をしているうちには、成田用水路は老朽化の改善を進めますけれども、そのほかの施設について、これからの十年間の間も含めれば六十年にまたがるところもあるかもしれない、何十年にまたがるところもあるかもしれないといった意味で、成田用水施設以外の施設で起こり得る今後の十年間を含めた老朽化というもので懸念されるところはあるんでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今回、成田財特法を改正した場合の補助率かさ上げ対象予定事業のうち、老朽化に伴います耐震化工事が必要になる、そういった災害対応を行う主な事業といたしましては、横芝小学校危険改築事業、それから今お話があった成田用水の施設改築事業の二カ所を予定しているところでございまして、横芝小学校におきましては、老朽化した校舎の建てかえを行うことで災害時も含めた修学環境の改善を図る、こういったことを予定しているというふうに聞いているところでございます。

岡島委員 今回の予定にそういった小学校だとか施設が幾つかありましたけれども、これから延長される十年間のうちに、この時点で老朽化対策を施すという申出がないものでも、その間に大きな地震なり事故なり、何があるかわかりませんが、そういったことも含めると、修理だったり改築だったり老朽化対策だったりということが新たに起こる可能性も否定できないと思います。

 そういったものをどう見込んでいて、この十年間の財特法の延長でそういったものへの対応も同じような法的な措置をするのかどうか。つまり、この今載っている十七の事業以外に老朽化対策なり何らかの対策をしなければいけない場合が起きるといったことについてはこの法律ではどういうふうに対応されるのかということをお聞きしたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 私どもといたしましては、まず、今回お願いしております平成四十年度末まで、これを現時点で予定している事業を着実に実行していただくことが重要というふうに考えているところでございますけれども、今御指摘ありましたような事情の変更等があった場合、これは空港周辺整備計画の見直し等、それは可能性としては十分あり得るというふうに考えております。

岡島委員 大災害ということもわかりません。首都直下型の地震だけでなく、海洋プレートの地震なども、千葉県はその真ん中にありますから、成田は内陸部だからといって大丈夫だとは、この前の北海道の地震でも内陸部で大きな被害が出た、熊本も内陸部だった、大阪もそうでした、そういったことを考えたときに、そういったことも想定されます。

 私としては、この十年の期間の中で何かあったときにはそういったことの対応も考えていただきたいし、十年でできない場合、さらなる延長ということも含めて、成田の整備、空港と周辺整備に取り組んでいただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げたように、四十年度末までに、まず現時点で予定している事業を着実に実行していただくことが重要と考えているところでございますけれども、その間の事情の変更等につきまして先ほど申し上げました。

 さらに、今回の法期限の延長後の取扱いも今御指摘あったと思いますが、その時点におきまして、新たな公共施設等の整備の必要性等も含めた空港整備の動向等を見ながら判断をしていく、こういう必要があると考えているところでございます。

岡島委員 成田空港の整備というのは、ぜひ、国として、何よりも周辺住民、自治体あるいは航空関係企業などを含めた皆さんの理解を得ながら、日本の空の玄関である成田国際空港、そして周辺整備、これの両立を常に意識しながら国家の責任として取り組み続けていただきたいし、我々もそういった思いで取り組んでいきたいと考えております。その先にオリンピック、パラリンピック、日本が空港、玄関、周辺施設、それこそ地域に思いやりを持って取り組んでいる姿勢を示すことがそういったオリンピックなどの成功にもつながると思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎でございます。

 まず、成田財特法、たしか五年前も地元千葉ということで質問に立った記憶がございます。私の選挙区に隣接していまして、私の選挙区は空港周辺自治体ではないんですけれども、すぐ隣ということで非常に関心を持って見ているところであります。

 前回は五年前ということなんですけれども、今回は十年間の延長ということなんですね。最初は十年間だったという、立ち上げのときは十年というのはそれはわかるんですが、今回、新たに五年ではなくて十年に延長した、その理由をまず伺いたいと思います。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 成田財特法は、今御指摘ありましたように、法律を制定した昭和四十五年、十年、そして、その後七回延長されておりますけれども、初回の延長のときに十年間延長されたほか、二回目から七回目までの延長時には五年間延長されてきたところでございます。

 延長に当たりましては、期限内に完了しない見込みである事業や新たに実施する事業が完了するのに要する期間も踏まえて延長期間を設定してきたところでございまして、今回につきましては、先ほど大臣からも御紹介ありましたけれども、非常に大きな内容でございますので、当然それに伴う影響も大きいということで、これらの影響を緩和するために事業の完了に要する期間が長くかかるということで、平成四十年度までにお願いをしているところでございます。

奥野(総)委員 成田空港の拡張、千ヘクタール拡張ということで、B滑走路の延伸と、新たにC滑走路を新設するという大事業があります。地元もこれを望んで、昔と違って地元も望んでいますし、私もこれは早くやるべきだと思っています。

 改めて質問させていただきたいと思うんですが、この拡張工事、十年という声も空港会社の方から上がっていますが、どのぐらいの見通しでB滑走路延伸、C滑走路の完成を見込んでおられるんでしょうか。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 成田空港のさらなる機能強化については、昨年の三月、四者協議会において、第三滑走路の建設及びB滑走路の延伸、夜間飛行制限緩和、そして年間発着回数を三十万回から五十万回に拡大することについて最終合意に至ったところであり、現在、関係者において、合意に基づき、さらなる機能強化の実現に向けた取組が着実に進められております。

 第三滑走路の建設及びB滑走路の延伸については、現在、成田空港会社において、新滑走路建設に向けた環境アセスメントの手続、用地取得に向けた同意書の取得を進めているところであります。

 滑走路の供用までには、航空法に基づく変更許可などの必要な行政手続を経て、用地の取得、滑走路建設を実施する必要があり、現時点で具体的なスケジュールをお答えすることはできませんが、二〇三〇年に訪日外国人旅行者を六千万人とする政府目標の達成に向け、丁寧にかつスピード感を持ってさらなる機能強化の実現に向けた取組を進めてまいります。

 以上でございます。

奥野(総)委員 成田空港会社の社長なんかは、十年後をめどにみたいな話は会見でたしかされているんですよね。

 ただ、これは、資料が手元にありますが、アジアの主要ハブ空港、仁川とかチャンギとか上海とかとありますが、こぞって二〇二〇年代前半までに拡張工事が終わるということで、どんどん拡張されているんですね。それに照らしてちょっと日本はスピード感が遅いんじゃないかと思うわけです。これは、オリンピックが終わって万博があって、それまでに急いで受入れを進めていかないと間に合わない。もうアジアに、これはもうずっと昔から言われていたんですよね、通信にしても、私が役所にいたころ、通信のハブを奪われるなんて話もありましたし、空港のハブが奪われるんじゃないかとずっと言ってきたんですが、ようやくこのオリンピックを機に動き出したんですが、それでもまだ遅い。とられちゃって人が来なくなったらそれは終わりですから、もっと加速していただきたいとは思うんです。

 ただ、御指摘のように、用地買収の問題なんかもなかなかあって、千葉県は強制収用をかけないとか、いろいろな問題があるんですね。現時点で地権者の八割の同意がとれている、こういうふうに発表されていますが、残り二割ですよね。とりやすいところからどんどん同意をとっているんでしょうから、今後の同意の取得についてどういう見通しなんでしょうか。難航している地区とかはあるんでしょうか。伺いたいと思います。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 第三滑走路建設を始めとします成田空港のさらなる機能強化の実現に向けましては、委員御指摘のように、約千ヘクタールに及ぶ空港敷地の拡張を予定しておるところでございまして、そのための用地取得を進める必要がございます。

 特に、第三滑走路予定地につきましては、既に、予定地内に所在する五地区全てから、空港機能強化が町や地域の発展につながることを理解し協力する旨の文書が空港会社に対しまして提出されていると承知しておるところでございます。

 現在、成田空港会社におきましては、空港拡張予定地の地権者の方々から用地の取得に関する同意をいただく取組を行っているところでございます。委員御指摘のように、空港拡張予定地の約八割について見通しが立っている状況と承知しておるところでございます。

 いずれにしましても、必要な用地の確保に向けましては、地権者の方々に御理解をいただく努力を丁寧に行う必要が重要であると考えておりまして、こういった点を踏まえながら、引き続き空港会社におきまして取組を進めていただきたいというふうに、かように考えておる次第でございます。

奥野(総)委員 僕は進めるべきだという立場なんですが、ただ、今の答弁だとちょっと突っ込みたくなって、C滑走路については協力的だけれども、B滑走路について言及がなかったんですが、どちらかというとそっちがおくれているということなんでしょうかね。

久保田政府参考人 B滑走路につきましておくれているわけではございませんで、C滑走路については全く新たに設けるものですから、五地区から同意をいただいているということを特にコメントをさせていただいた次第でございます。

 空港会社からは、例えば、登記簿に基づいて所有者の特定作業を行った際に、相続登記がなされていないなどの理由によりまして同意書の取得に時間を要しているケースがあるというふうに聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、地権者の方々に理解をいただく努力を丁寧に行うことが重要と考えておりますので、御理解賜りたいと考えております。

奥野(総)委員 丁寧に、しかし迅速にお願いしたいと思います。

 この時限の話とも絡んでくるんですが、基本はやはり十年がお尻というふうに拡張工事についてはすべきだと思いますし、それに合わせて周辺道路の整備等が考えられていると思うんですが、改めて、これは十年以内にちゃんと、今回の成田財特法の対象、新規事業ですよね、空港へのアクセスの道路、先ほど岡島委員の方からもありましたけれども、この工事は十年以内で終わる、こういうことでよろしいんでしょうかね。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来やりとりがありましたけれども、成田空港のさらなる機能強化のための新滑走路の整備等の完了時期につきましては、現時点で明確にいついつまでというお答えはなかったわけではありますけれども、一応、その新滑走路の整備等の内容につきましては、平成三十年三月に成田空港に関する四者協議会で最終合意が得られておりまして、その新滑走路の整備等に伴いまして拡張する区域、影響、これらを踏まえて新たに整備が必要となる公共施設等の多くの事業内容は明確となっているということでございます。

 そして、その公共施設等の多くの事業内容は明確になっているというふうに申し上げましたけれども、これらの事業の完了時期、これを踏まえて、延長期間は今回十年間ということでお願いをしているところでございまして、地元の地方公共団体からも御理解を得ているところでございます。

奥野(総)委員 五十年にわたって続いてきているんですが、毎回毎回未完の事業があるということが主な延長の理由。これはやむを得ない面もあるんですけれども、やはり、半世紀だらだら続けるよりは、一区切りやって、また必要があればこういう法律を立てればいいと思うんですけれども、大臣、これは再延長の可能性についてはいかがお考えですか。

石田国務大臣 今回、成田財特法を改正した場合に補助率かさ上げ対象となり得る二十一事業につきましては、全て法改正後の期限である平成四十年度末までに完了する予定でありまして、まずはこれらの事業を着実に実行していくことが重要と考えております。

 その上で、今回お願いしている十年の法期限の延長後の取扱いにつきましては、その時点におきまして、空港整備の動向等を見ながら判断する必要があると考えております。

奥野(総)委員 なかなか難しくはあると思いますが、国土交通省さんにお願いしたいんですが、なるべく前倒しで、早く滑走路ができるようにお願いしたいと思います。

 政務官、もうここで結構ですので。

 以上で、成田財特の質問については終わりにしたいと思います。

 そこで、もう一つ通告をしていますが、例の賃金構造基本統計に関する緊急報告書というのが、先日、金曜日、私もいつ出るんですかと申し上げていたんですが、金曜日に出ました。

 ということなんですが、時間もないのでさくさくっと入っていきますが、ちょっと気になるのは、冒頭の「はじめに」のところで、関係当事者延べ二十三名、幹部職員八名、管理職員六名、補佐以下職員九名にヒアリングを行い、こう書いてあるんですね。ちょっと少ないんじゃないかと思うんです。

 というのは、これはずっといろいろ検証しているんですが、例えば十九ページのところに、なぜ郵送に切りかわったか、いつから切りかわったのかということを仮説を立てて、「いつ始まったのか」ということで仮説を立てて書いているんですが、平成三年には郵送調査を行っていなかった記憶があるという証言があって、そこから導き出して、実際に、実態が郵送調査に変わったとすれば、それは平成三年以降だろう、平成三年から十六年までの間とする説が成り立つと。これは、十七年、十八年には既に郵送に変わっていたという証言があるから、その間に変わったんだろう。中でも、五年から七年の間、十一年から十三年の間に回収率の低下が見られるが、ここに可能性があるのではないか、こう仮説を立てているんですが、ここはなぜ仮説で終わっているのかわからなくて、きちんと聞き取ればいいんですよね。

 例えば、地方の職員、これは労働基準監督署の担当課長とか係長さんがいらっしゃるんでしょうから、そういうところに全部悉皆で聞き取りをすれば、いつからそうなったのか、あるいは文書が回っていたのかというのはわかるはずですし、あるいは、歴代の担当の係長さん、係員さんに全部悉皆でヒアリングをすれば、こんな話は特定できるはずだと思うんですよ。

 しかし、二十三人というのはいかにも少ない。じゃ、本当に全部聞いているんですか。全部聞かないでこういう結論、結論というか推論で終わっているとしたら、ちょっと中途半端、ずさんじゃないかという気がするんですが、まず、こういった、今回、この二十三人、聞き取りの対象というのは、どういう基準で、どういう範囲で行ったんでしょうか。

讃岐政府参考人 お答えいたします。

 行政評価局における今回の検証は、平成三十一年一月の基幹統計の点検の際の賃金構造基本統計の事案をめぐる仕事のやり方の問題点を明らかにすることを目的として行ったものでありまして、その目的に照らして、必要かつ効果的、効率的と考えられる範囲でヒアリングの対象者を選定したものであります。

 なお、ヒアリングの対象者の中には、労働局等の現場での勤務経験を持つ職員や、過去に労働統計部局に在籍した職員も含まれているものでございます。

奥野(総)委員 もう一度尋ねますが、じゃ、ここで言っている平成三年から十六年までの現場にいた職員、あるいは担当の係長、かかわった人全員にヒアリングをしたのかどうか、それが二十三人なんですかという問いに切りかえたいと思います。

讃岐政府参考人 二十三人、誰にヒアリングをしたのかということでございますけれども、具体的に申し上げますと、まず……(奥野(総)委員「いや、具体的にじゃなくて、悉皆でやったかどうか」と呼ぶ)誰にヒアリングをしたのかという基準を更に具体的に申し上げますと……(奥野(総)委員「いや、そうじゃなくて、悉皆でやったんですか」と呼ぶ)はい。悉皆ではございませんで、平成三十一年一月の基幹統計の点検や追加点検、三十一年一月の統計委員会の諮問に向けた準備、三十年六月に実施した試験調査、二十九年一月の統計調査等一斉点検の際の関係当事者にヒアリングをいたしました。

奥野(総)委員 だから、これはすごいいいかげんなんですよ。現場の職員全部に聞けば、いつからってわかると思うんですよね。それは、行政評価局でいきなりやれと言われて人手が足りないというのはわかると思いますけれども、第三者でやってわざわざ引き取っているんだから、こういう報告は私はないと思うんですね。

 もう一つ気になるのが、七ページのところに、賃金福祉統計室長は、総務省の一斉点検ですよね、この間の毎勤統計を受けて一斉点検があったんですが、そのときに、郵送に切りかえているということは回答しないようにしようとの方針を、統括官、これは大西統括官なんでしょうが、説明しようとしたが、その機会が得られなかった、こう証言しているんですね。結果として、平成三十一年一月二十四日に、総務省へこの点を含まない一斉点検の回答に関する報告がなされた、こうなっているんですよ。

 ところが、十ページには、一月二十三日、報告する前、前日に政策統括官室で説明があったと。要するに、総務省政策統括官室への報告内容についての説明が行われたと書いているんですよね。

 私も役所にいましたけれども、ちゃんと、これで出しますよというときに、担当の室長が出て、普通は説明をするはずなんですよね、あるいは担当者が出て。そのときに、その機会を捉えて、なぜその方針を仰がなかったのか。要するに、相談する時間がなかったと言っていますが、いや、今回この点は伏せておきましょうという、これは悪いことですよ、悪いことだけれども、相談する機会はあったんじゃないですか。仮にあったとすれば、そこで統括官は気がついて、ちゃんと二十四日には報告できたんじゃないかと思うんですよ。

 気になるのは、この点について、賃金福祉統計室長から理由を聞いたんですか。二十三日のヒアリングになぜ出席をして相談しなかったのかということを本人からきちんとヒアリングをしていますかという問いです。どうですか。

讃岐政府参考人 御指摘の点、行政評価局のヒアリングにおいても、政策統括官に説明する機会がつくれていない理由やその状況について聴取をしておりまして、その背景として、組織内のコミュニケーションが不足しているという問題があったとの認識に至ったところであります。(奥野(総)委員「いやいや、普通の人、普通の常識だったら、ヒアリングの機会……」と呼ぶ)

江田委員長 奥野君、発言は委員長の指名を受けてからにしてください。

 奥野君。

奥野(総)委員 はい、済みません。わかりました。

 申しわけないんですが、もう一度。

 普通の常識なら、その二十三日になぜ説明しなかったのかというのは重ねて聞くはずなんですが、そこは聞きましたか。

讃岐政府参考人 まさに、政策統括官に説明をする機会がつくれていない理由やその状況について聴取をさせていただいております。

奥野(総)委員 いや、だから、聞いていないんですよね、これ。だからこういう書き方になって、要は、統括官がぼうっとしていたと統括官のせいにしているんですけれども、そうじゃないと思いますね。きちんとここは明らかにすべきだと思います。

 もう時間がないです。二つ重ねて。

 「悪影響は何か」といって、書いてあるんですけれども、例えば、バー、キャバレー、ナイトクラブが外れた悪影響は何かという項目があるんだけれども、統計上どういう悪影響が出ているか書いていないんですよね。そういう検証はしたんですかというのが一点。

 それから、もう時間がないので、最後、重ねて大臣に伺いますが、これは緊急報告となっていますよね。役所でこんな緊急報告なんて、余り私は見たことがないんですよ。これは位置づけは何なんですか。緊急に報告して終わりなんですか。更に続きがあって、きちんと検証していくんですか。

 もっと言えば、これは「遵法意識の欠如」とか「事なかれ主義の蔓延」という漠然とした言葉で漫然と厚労省を責めているんですが、具体的にどういう措置を求めるのか、何を求めているのかということで……(発言する者あり)ちょっと静かにしてください。

 大臣に伺いたい。二問ですね、悪影響が書いていないのはなぜか、それから、この報告書の位置づけ。

江田委員長 申合せの時間が既に経過しておりますので、答弁も簡潔にお願いいたします。

讃岐政府参考人 まず、郵送調査、報告期限の前倒し、バー、キャバレー等の調査対象からの除外の問題の統計的な悪影響については、統計委員会において統計の専門的な見地から検証されるべきものというふうに考えております。

石田国務大臣 今回の問題は、国民の関心も高いことから、行政評価局におきまして、スピード感を持って検証を進めつつも、精力的にヒアリングや資料の検証を行ってきたものでございます。

 また、毎年作成する必要がある賃金構造基本統計のための調査を実施すべき時期が迫っていること等も踏まえまして、計画と実態の乖離を早急に適正化するためにも、今回、報告書を緊急にまとめ公表したものでございます。

 今後、厚労省において、この調査結果を踏まえて、問題の解決、改善に取り組んでいただきたいと考えておりまして、行政評価局といたしましては、通常の業務と同様、フォローアップを今後は行っていくというふうに考えております。

奥野(総)委員 時間が来てしまいましたけれども、統計については、これは扱っていないんですよ。

江田委員長 時間が経過しています。

奥野(総)委員 これは、ぽてんヒットになっちゃうと思うんですよ。随分ずさんな報告書だと思います。

 再度やり直しをお願いして、終わりたいと思います。

江田委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 成田国際空港周辺整備のための財政上の特別措置法一部改正案について、石田真敏総務大臣を始め、政府に伺います。

 成田空港の機能強化の提案がされて、ことし十月から成田空港の飛行時間を一時間延長することが、国交省、千葉県、九つの地元自治体の長、成田国際空港株式会社の四者で合意したとされています。しかし、住民の皆さんは納得しておりません。

 そこで、伺います。

 成田空港の飛行時間は、開港時の約束で、午前六時から午後十一時と確認されています。この約束は、県知事及び関係市町村長とも交わされ、同時に、一九七二年四月十五日に、三里塚平和塔奉賛会会長・日本山妙法寺三里塚道場主任及び運輸大臣、千葉県知事職務代理者、新東京国際空港公団総裁の四者で締結した取決め書にも記されています。

 この取決め書の附属文書として、一九七二年九月二十日に、新東京国際空港公団総裁と三里塚空港から郷土とくらしを守る会、現在の成田空港から郷土とくらしを守る会事務局長が結んだ航空公害に関する交渉覚書があります。この覚書は、当時の航空局長が立会いのもとで締結されたものです。

 この文書が存在することについて伺います。間違いありませんか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の航空公害に関する交渉覚書につきましては承知をしておるところでございます。

畑野委員 存在するということで確認しました。

 そこで、この締結された覚書の飛行時間に関する部分について説明してください。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 航空公害に関する交渉覚書の飛行時間に関する部分につきましては、住民側の主張といたしまして、夜間二十一時から七時まで、飛行機の発着を禁止するというふうにございます。

 これに対します公団側の回答といたしまして、夜間の迷惑をかけないよう努力するが、日本の主要国際空港であり、世界一周航路等も乗り入れる関係上、要求どおりの制限を実施することは、困難である。また成田空港については、夜間の飛行禁止時間の決定はされていないが、羽田空港並みの禁止を厳重に実施することは可能と考えられる。なお、夜間飛行の制限は、民家の防音工事や、民家の移転補償等の対策を十分に行うことにより、ある程度までは解決される問題と考えられるので、騒音地域の拡大や土地利用計画の策定等を十分に行って住民の被害をできるだけ解消したい。さらに、飛行ダイヤ等についても検討を加え、夜間の飛行便を減少するようにしたい。このような対策の一つとして、主張されている空港周辺の騒音調査、住民の睡眠調査等も実施するとございます。

畑野委員 説明していただきました。そのとおりです。

 この交渉覚書の冒頭では、新東京国際空港の開港に伴う航空機公害防止の諸施策に関して、住民側の、三里塚空港から郷土とくらしを守る会、平和塔奉賛会、三里塚農民組合と、政府側の運輸省及び設置管理に当たる新東京国際空港公団は、千葉県知事のあっせんにより二回の交渉と十数回の事務レベルの折衝を積み重ねた。諸課題のうち、かなりの部分が未解決であるため、残された課題については、住民側の要求の都度誠意をもって交渉することを前提として、ここに双方は、現在までの交渉を記録にとどめ、合意点、問題点、並びにこれに関する双方の主張を確認するとあります。

 ことしの十月からの成田空港の飛行時間延長について、交渉覚書の住民側、成田空港から郷土とくらしを守る会との交渉はされましたか。

久保田政府参考人 今委員御指摘のことしの十月からというよりも、成田空港のさらなる機能強化ということにつきましては、平成二十八年九月に、四者協議会におきまして具体的な方策の提案といったものを行った次第でありまして、それ以降、二回のフェーズで計二百回以上の住民説明会などを開催しまして、延べ一万人近くの地域の皆様に御参加をいただくなど、機能強化の必要性や環境対策について丁寧に説明をしてまいったところでございます。

 地域の皆様の御理解、御協力が得られるよう、関係者とともにできる限りの努力を重ねてきたところでありまして、その結果、昨年三月に開催されました四者協議会におきまして最終的な結論を得たところでございます。

 加えて、ことし十月からの夜間飛行制限の緩和につきましては、ことしの二月四日に、四者協議会におきまして、A滑走路の夜間飛行制限の変更の実施時期を二〇一九年冬ダイヤからとすることを確認したというところでございまして、これに基づいて対策をとろうと考えているところでございます。

畑野委員 質問したことにちゃんと答えてください。つまり、会とはやっていないということでしょう、四者協議というのは違いますから。そういう会とこういう覚書があるんだから、きちっとやってください、航空局長も当時立ち会ったんだからということですよ。そのことだけ答えてください。やってください。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省としましては、成田空港のさらなる機能強化を進めるに当たりましては、引き続き関係者とともに丁寧な説明を行っていくこととしております。より多くの住民の理解と協力が得られるよう、最大限の努力をしてまいりたいというふうに考えてございます。

畑野委員 じゃ、関係者、この会の皆さん、入っているということでいいですね。確認です。確認です。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 より多くの住民の理解と協力が得られるように、最大限の努力をしてまいりたいと考えております。御理解賜りたいと思います。

畑野委員 会が入っているというふうに私は受けとめたいと思いますが、曖昧です。引き続きこれはやっていきます。

 しっかりと、約束、覚書をとっているんですから、そういうところと一つ一つやらないとだめですよ、曖昧では。しっかりとした会への対応を求めて、次に進みます。

 法案についてですが、今回の改正では、成田用水の改築に財特法の適用が認められました。地元の皆さんの、長年の農家の皆さんの要望です。我が党にも寄せられてまいりました。

 この成田用水の改築に関する農家の個人負担はどうなるのでしょうか。

横井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の成田用水施設改築事業につきましては、既存の成田用水の改修及び耐震化を行うということを目的に、平成三十一年度に事業着手を予定しておりまして、独立行政法人水資源機構が行うという予定でございますが、これによりまして、地域の農業の、農業用水の安定供給、農業振興を図ろうというものでございます。

 本事業の費用負担につきましては、水資源機構、千葉県、関係市町及び成田用水土地改良区といった関係機関の事前合意におきまして、今般の成田財特法の改正による補助率かさ上げにより、かさ上げ後の国庫補助率を除いた残額について千葉県と関係市町が全額負担をし、農家負担は求めないこととされているところでございます。

畑野委員 農家の個別の負担はないということを確認させていただきました。

 次に、横芝小学校の改築も急ぐ必要があると要望を受けてきました。今回、横芝小学校改築も補助率かさ上げの対象になっております。ところが、この横芝小学校は、機能強化により新設されるという予定のC滑走路の飛行予定コースの直下にあるんです。本当に心配の声があるんですが、これはどのようになりますか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 今回、成田財特法を改正した場合に補助率かさ上げ対象となり得る事業といたしまして、横芝小学校の校舎の建てかえを予定しているところでございます。

 今、直下といったようなお話がございましたけれども、現行、校舎の建てかえによりまして整備をするということでございまして、仮に、今後、千葉県からまた別の具体の要望がございますれば、個々の事業を所管する主務大臣、この場合は文科大臣になりますけれども、文部科学省とも協議をしながら適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

畑野委員 成田空港の機能強化をめぐっては、地元住民の皆さんのお話を私も伺ってまいりました。

 飛行時間の延長で睡眠時間が削られるのは我慢できない、開港時の約束を守ってほしいという声です。また、別の方は、B滑走路の延長によって移転した集落がまた機能強化で移転地域になるんじゃないか、そういう問題も生まれていると。さらに、成田用水の改築の補助はいいのだけれども、そもそも騒音が激しくて、ここでは農業が続けられないと離農する人や後継者不足が深刻になっているという訴えも聞いてまいりました。空港ができて四十年、飛行コースの下の住民は、騒音に悩まされ、落下物の不安を抱えながら暮らしています。

 成田財特法の第一条は、法の趣旨として、「成田国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の計画的な整備を促進するために必要な国の財政上の特別措置について規定するもの」と定めております。例えば、成田市と合併した旧大栄町の道路の整備がおくれているという問題がありまして、デマンドバスが住民の希望するところまで入れない、こういう取り残されていた地域もまだあるわけです。空港と共生する住民のためでなく、成田空港にとって利便性があるということであってはならないという声も上がっているわけです。

 周辺地域の整備を進めるに当たっては、石田大臣、理解と合意を得るために、住民や地方議員の要望を聞く場をつくることがぜひとも必要だと思いますが、いかがでしょうか。

石田国務大臣 成田財特法第二条におきましては、千葉県知事は、成田国際空港周辺地域整備計画の案を作成し、総務大臣に提出する、この場合において、千葉県知事は、あらかじめ、関係市町村の長の意見を聞かなければならないこととされているところでありまして、千葉県や関係市町村によるこれらの手続におきまして、御指摘の趣旨については適切に対応されているものと考えております。

畑野委員 地元の農民の方に聞きますと、いや、何にも知らない、この法律が自分たちの知らないところで進んでいるんですねというふうに驚かれたんです。

 ぜひ、こういう一つ一つの法律を、地域の皆さん、また地方議員の皆さんが全体、理解をして、また要望も上げられるようにしていただきたい、そのことを、更に大臣にも御尽力いただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 まず、きょうは財特法の審議でございますが、まず、この総務委員会で幾つか、二月二十一日の私の共産党に関する発言、それから、前回、三月七日に破防法の話をさせていただいた件について、共産党さんからいろいろ御意見があるようですが、実は、私の方からしっかり委員長に、こういう整理でやらせていただいているので何ら問題ないということで申し上げていますが、共産党からはしっかりした意見が出てきません。

 ただ、これは委員長にもうお預けをしていることですので、今後とも委員長にお預けをさせていただきますが、共産党からしかるべき回答というか意見というかが来ていないことを一言この場でも申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)これがいかぬかな。

江田委員長 はい、どうぞ。

足立委員 さて、きょうは成田財特法の審議でございますが、もう事前のレクで疑問は氷解しましたので、きょう通告させていただいていますが、成田財特法に関する通告はちょっと割愛をさせていただいて、ちょっと関連ということで、大都市法について質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)えっ、何。

江田委員長 不規則発言はおやめください。

足立委員 ちょっと、不規則発言はやめた方がいいよ。(発言する者あり)

江田委員長 反応しないでください。

足立委員 反応しない方がいいよ、本当。

 これが大都市法ですね。

 まず、大都市法で、今、大阪都構想、この前かな、大阪都構想という議論を今させていただいていますが、大阪都と言うと、いや、都は一つだろうという議論があります。総務省から、都区制度に係る都というのはどういう意味かということをちょっと御紹介ください。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法第二百八十一条の二第一項において、都は、特別区の存する区域において、特別区を包括する広域の地方公共団体として、道府県が処理するものとされている事務及び特別区に関する連絡調整に関する事務、このほか、市町村が処理するものとされている事務のうち、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保の観点から当該区域を通じて都が一体的に処理することが必要であると認められる事務、以上を処理するものとされているところであります。

 以上であります。

足立委員 今御答弁あったように、都(と)というのは別に都(みやこ)ではありません、首都ではありません。首都のことを都と言うんじゃないんですね。あるいは、天皇陛下がおわしますところを都と言うわけでもありません。日本の法令上、日本の国の法律の法体系上、都というのは、特別区を包含する地域のことを都と言うんです。

 したがって、そういう意味で、この大都市地域特別区設置法、これは、八年前に橋下市長、松井知事のダブル選挙で勝利をさせていただいた後、その翌年に成立をした大都市法においては、全国の政令市が、政令市をなくして特別区を置く、東京都みたいに、東京都みたいな行政機構を置くことができるように、住民投票を経て、そういう法律をつくっていただいた。これで、住民が、そうだ、政令市をなくして特別区を置こうということで決まれば、その行政の枠組みは「都とみなす。」と法律に書いています。「都とみなす。」と書いています。都とみなすということは、東京都と同じような行政形態をとるということが、首都である東京以外でもできるという法律ですね。

 これは、総務省から、事務方で結構ですが、この法律、誰が提案をし、どの会派が賛成をしたのかを中心に、簡単に制定経緯を御紹介ください。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 大都市地域特別区設置法は、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続等について定めることにより、地域の実情に応じた大都市制度の特例を設けることを目的とするものとして制定されております。

 これは、第百八十回国会におきまして、当時の七会派共同提案、すなわち、一つには民主党・無所属クラブ、二つには自由民主党・無所属の会、三つには国民の生活が第一・きづな、四つには公明党、五つにはみんなの党、六つには国民新党・無所属会、それから七つ目に改革無所属の会、以上の七会派共同提案によりまして、平成二十七年七月三十日に衆議院に提出され、同年八月二十九日に参議院本会議で賛成多数により可決、成立し、九月五日に平成二十四年法律第八十号として公布されたものと承知をしてございます。

 参議院本会議での賛否の状況を申し上げますと、賛成二百二十五、反対十一、共産党、社会民主党、それから無所属の方の御反対があったと承知をしております。

足立委員 ありがとうございます。

 したがって、この法案は、共産党と社民党以外皆さん御賛同いただいているんですね。だから、しっかり、そういう提案があれば住民の意見を聞く、住民投票をやる、これは当たり前のことですよ。

 憲法改正と一緒で、自民党の皆さん、そうでしょう。憲法改正だって、自民党の皆さんは、国民の手に憲法を取り戻そうと言っているんでしょう。国民の手に憲法を取り戻す。だから、内容のいかんにかかわらず、意見を聞くことを重視してきたわけですよ。そうですよね、自民党の皆さんも。ところが、大阪では、自民党が率先して住民の意見を聞くなと言っている。

 先ほど御紹介した法案には、社民党と共産党以外みんな賛成しているんですよ、まあ、ありがとうございますですけれども。そのとき日本維新の会はまだなかった。

 そして、大都市地域特別区設置法が、政令市をなくして特別区を設置して東京都みたいにしてもいいよと言っている都市は、この政令市二十都市のうち十ぐらいに上ります、二百万人以上ということでね。だから、この二十都市のうち十都市は、場合によっては、そういう住民投票に勝負、チャレンジしていいんですよ。

 なぜ、政令市を東京都みたいに、東京都、昔は東京市でした。東京都知事と東京市長がけんかばかりしていた。だから、東京市をなくして特別区にして、広域行政を担うリーダーは一人にしたんですよ。

 総務省に伺います。

 この政令指定都市というのは何のためにあって、どういう権限ですか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 その前に、先ほどの私の答弁の中で、大都市地域特別区設置法を提出された年月日につきまして誤りがございました。訂正させていただきたいと思います。平成二十四年の七月三十日に衆議院に提出されたというのが正しい答弁かと存じます。

 ただいまの御質問にお答えをさせていただきます。

 指定都市制度は、保健衛生それから土木行政等、市民生活に直結した事務について、都道府県の事務を指定都市に行わせることによりまして、大都市特有の課題を一元的に処理し、大都市の行政運営の合理化に寄与するとともに、その規模、能力に応じて住民に身近なところで事務権限を行使できるようにするものでございます。

 また、大都市としての自主的、一元的な行政執行を図るために市が事務を処理するに当たって知事の承認、許可、認可等の関与を要している事務について、その関与の必要をなくして、また、知事の関与にかえて直接各大臣の関与を要する等の特例も設けられているところでございます。

足立委員 今、皆さん、実は、総務委員の皆様にとっては当たり前ですが、国民の皆様はよく御理解されていない方も多いです。政令市というのは、今ここにお示しした政令市というのは、都道府県知事の関与をなくすんですよ。都道府県知事の関与をなくして直接国とやりとりするという、自立した一体的な都市運営ができる、そういう制度ですね。

 これは、実は全国の都市の、通勤圏を中心とした都市雇用圏の地図です。これは手元にあるので、詳細は見ていただいたらいいと思いますが、これが都市なんですよ。

 例えば、新潟県の中に新潟市という都市があります。長岡市という都市があります。新潟市は、もう新潟県にわあわあ言われなくて直接やりたい、そういうことで政令市というのがあるので、郡部の都道府県において政令市があるのはよくわかるんです。都道府県の関与を外して、それぞれの地域で市街化されている地域だけを特出しして、そこが知事の関与をなくして直接各大臣の関与のもとに仕事をしていく、都市の発展をしていく、これが政令市なんですよ。だから、結構合理的な制度なんですよ。

 ところが、問題は、その都市の大きさが都道府県を超えている地域が日本に二カ所だけあるんですよ。わかります。都市圏の規模が都道府県をのみ込んじゃっているところがあるんですよ。新潟市は新潟県をのみ込んでいないですよね。だけれども、例えば東京、これね。東京都市圏というのは東京都をのみ込んでいます。それから、大阪都市圏。大阪都市圏も、大阪の都市圏は大阪府をのみ込んでいます。

 東京都はいいですよ。東京都の中に政令市はないですよね、特別区があるだけです。だから、東京は東京都知事が東京都市圏のリーダーですよ。東京都知事が左へ行くか右へ行くか、それによって関東の大きな流れはつくられる。別に、先ほどお示ししたように、関東の中で東京都知事に対抗して、東京都知事が右へ行っているのに千葉県は左だという知事はなかなかいません。それは、東京都知事が十人分の力があるからですよ。

 ところが、大阪は、一つの都市圏の中に同じぐらいの力を持っている大阪府知事と大阪市長がけんかばかりしている。堺市はもうちょっと小さいので、まだいいんですけれども。だから、広域行政、大都市政策を担うリーダーは一人でいいだろうということを言っているんですよ。

 このように、見ていただいたらわかるように、大都市地域特別区設置法というのは一般法ですから、大阪以外のところも、東京都と同じような都区制度を入れようという議論は僕はあっていいと思いますよ。あっていいと思うけれども、都市圏の大きさが都道府県の大きさをのみ込んでいる地域は、日本には東京以外に大阪しかないんですよ。だから、大阪がこの法律を使って今やろうとしている。

 ところが、不思議なことに、自民党と公明党、大阪では猛反対ですよ。住民の意見を聞くなと言っているんですよ、特に公明党。以前は住民の意見を聞くのはいいと言っていたのに、聞かない。まあ、桝屋さんはいい人ですけれどもね。自民党もそうですよ。憲法を改正しようと言っているんだったら、これ、賛成しないとおかしいじゃないですかということを申し上げて、時間が来ましたので、終わります。

 しっかり大阪は頑張ってまいりますので、国民の皆様の御理解をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございます。

江田委員長 この際、休憩いたします。

    午前九時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時五十三分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 法案について質問いたしたいと思います。

 成田財特法、一九七九年三月末までを期限とした時限立法として制定され、これは今回の改正で八回目の期限延長となっております。最初の法改正時には十八事業が期間内に終了しなかったことから十年間期限が延長になった、そういうふうに聞いております。

 以後の期間延長は五年間であったわけですけれども、今回、延長期限を十年間に延ばしたということになりますが、現行の整備計画、全部で四十一事業と聞いています。今年度末まで事業の進捗率は九八・四%、かなり高い数字になっております。にもかかわらず、延長期限を五年ではなく十年とする特別な事情がまずあったのかどうか、大臣に質問します。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 現行の空港周辺地域整備計画につきましては、成田空港の年間発着枠が二十七万回から三十万回に拡大されること等を踏まえて改定されたものでございまして、公共施設等の整備についてはほぼ完了しているところでございます。

 前回の改定後、訪日外国人旅行者数を二〇三〇年までに六千万人とする政府目標が掲げられました。これを実現するためには、新滑走路の整備等を内容とする成田空港のさらなる機能強化が必要となり、平成三十年の三月に成田空港に関する四者協議会で最終合意を得られたところでございます。これに伴い、成田用水施設、道路などの新たな公共施設等の整備が必要となっていることから、法律の有効期限を延長する必要が生じたところでございます。

 なお、当該公共施設等の整備の多くは事業の完了に平成四十年度まで要する予定であり、延長期間は十年とする必要があると判断したところでございます。

吉川(元)委員 今大臣の答弁にもありましたとおり、今回、機能強化、これは改正案の概要にも、第三滑走路の増設などのさらなる機能強化の影響を緩和という文言があるということは承知をしております。これが四者の間で昨年三月にも合意をされた。ほかの委員も質問されておりましたけれども、結果として、それによって約二倍、現在の敷地面積とほぼ同じ面積の一千ヘクタールの拡張が行われる。非常に大規模な事業になるというふうに予想されております。

 成田国際空港株式会社法の第三条では、「航空保安施設の設置及び管理は、国土交通大臣が定める基本計画に適合するものでなければならない。」こういうふうになっているわけです。そういたしますと、成田国際空港株式会社が今後進めるであろう機能強化というのは、これは国の基本計画に合致していることが必要だというふうにも思います。

 聞くところでは、まだこの基本計画というものができていないということで、その時点で、機能強化、どんなふうにするのかはわからないのに機能強化ということを前提にした新規事業、これを追加できるのかどうか、この点、いかがでしょうか。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、成田空港のさらなる機能強化に際しましては、成田国際空港株式会社法に基づく基本計画を変更する必要があり、今後検討されることとなるというふうに聞いているところでございます。

 一方で、新滑走路の整備等の内容につきましては、平成三十年三月に成田空港に関する四者協議会で既に最終合意が得られているところでございまして、新滑走路の整備等に伴い拡張する区域及び影響、これらを踏まえて新たに整備が必要となる公共施設等の多くの事業内容は既に明確となっているところでございまして、地元の地方公共団体からも御理解を得ているものでございます。

吉川(元)委員 ちょっと、わからないではないんですが、やはり、法律やあるいは計画ができた後にやるのであれば、それはそうだろうと思うんですけれども、もととなるものがまだできていないにもかかわらず、しかも、今回、十年延長、それを見越した上での十年延長というのは少し先走りし過ぎているのではないかというふうなことを感じざるを得ません。

 ちょっと、時間が余りありませんので、少し質問を飛ばして、次に、夜間飛行制限について伺います。

 これも他の委員が少し質問されておられましたけれども、現行は七時間、夜の七時間、二十三時から六時までが夜間飛行制限の対象になっております。これを当面、運用時間を一時間延長するということで、六時間に制限時間が減少する。そして、さらに、第三滑走路ができたときには、これが二十四時三十分から五時までの四時間半に短縮される計画というふうに聞いております。

 周辺住民が爆音訴訟をしております厚木基地、これは軍用機と民間機では騒音のレベルが違うとは思いますけれども、こちらの方は二十二時から六時までの八時間が制限を、禁止をされている。そうしますと、成田空港の機能強化が具体化されると、米軍基地周辺での飛行制限時間の半分程度まで規制が緩和されてしまうことになるのではないか。それでも住民生活に支障を来さない、そう考えたから国も合意したんだというふうに思いますけれども、その根拠というのは一体どこにあるんでしょうか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 成田空港のさらなる機能強化、これは夜間飛行制限緩和を含むものでございますが、これにつきましては、我が国の国際競争力の強化、そして持続的な成長につながるものと考えてございます。

 この中で、夜間飛行制限緩和につきまして意義をちょっと申し上げますと、深夜、早朝便の設定によりまして訪日外国人旅行者の滞在時間が拡大すること、そして、運用時間の拡大によりまして航空会社の機材の稼働率が向上すること、そして、貨物につきましては、集荷時間の延長によりまして更に航空貨物需要が取り込めるなど、こういった観点から大変意義のあるものと考えてございます。

 その一方で、夜間飛行制限の緩和に伴いまして、周辺地域への負担というものも増加することから、それを可能な限り軽減することが重要と考えておるところでございまして、具体的には、深夜、早朝時間帯の運航は低騒音機に限定すること、夜間の安眠を確保するために寝室への内窓設置工事等の実施をすること、そして、飛行経路下におきます静穏時間を確保するために、第三滑走路供用後は、滑走路別に異なる運用時間を採用するスライド運用を導入することによって現在と同じ時間の静穏時間を確保する、そういった対策を実施することとしておるところでございます。

 国土交通省といたしましては、引き続き、成田空港の国際競争力の確保と地域住民の生活環境の保全の両立が図られるように、必要な取組を進めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 いろんな対策をとるということでありますけれども、ただ、やはり、飛行制限の緩和によって騒音が、被害が出るのではないか、そういう懸念をする声も聞こえてまいります。

 株式会社法の第六条では、周辺住民の理解と協力を得ることが不可欠ということで、生活環境の改善に配慮すべき規定が設けられております。騒音対策あるいは健康確保の責任、これは株式会社の方が一義的にあると思いますけれども、きちんとした調査を含めまして、これは国や自治体が、現在と、それから機能強化後も、きちんと調査を国の責任あるいは自治体の責任でやっていくことが最低限の責務ではないかと考えますが、この点はいかがでしょうか。

久保田政府参考人 お答え申し上げます。

 成田空港におきましては、周辺地域における航空機騒音の影響を測定するために、周辺自治体と連携をいたしまして、百二カ所におきまして常時の騒音観測局を設置するとともに、騒音対策を進める上で特に騒音に注意を要する地点におきましては騒音測定を実施するなど、きめ細かい騒音監視を行っておるところでございます。

 この測定結果につきましては、インターネットを通じてリアルタイムで公表するとともに、年間を通じた調査を行って、騒防法に基づく区域指定の基準を満たしていることを確認もしているところでございます。

 こうした取組に加えまして、平成二十四年から二十五年にかけましては、周辺住民を対象とした航空機騒音による健康影響調査を実施し、感覚的影響、睡眠影響、精神的、身体的影響について分析を行いまして、航空機騒音と健康影響の関係の関連の有無につきましても検証したところでございます。

 今般、成田空港のさらなる機能強化の実施に当たりましても、昨年三月の合意に基づきまして、成田空港会社が健康影響調査を含む生活環境への影響調査を実施することとしておりますが、その具体的な手順等々、今後検討してまいりますが、国土交通省としましても、必要な調査が実施されるよう、しっかりと指導してまいりたいと考えておるところでございます。

吉川(元)委員 成田国際空港株式会社に丸投げするのではなくて、しっかりと国、自治体がチェックをしていただきたいということを要望して、質問を終わります。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 まず、成田財特法に関連する質問をさせていただきたいと思います。

 政府として、訪日外国人、この旅行者を二〇三〇年までに六千万人とするという目標を立てて、成田国際空港を機能強化するということは理解できるんですけれども、他方で、羽田国際空港にも五本目の滑走路をつくることも検討されたというふうにも聞いております。

 羽田国際空港、それから成田国際空港、この基本的な役割分担、これについて教えてください。

飯嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 急増する訪日外国人旅行者の受入れ、我が国の国際競争力の強化等のために、羽田、成田両空港の特性を最大限生かし、首都圏空港としての機能を更に高めていくことが重要でございます。

 羽田空港については、国内線の基幹空港としての機能を持ちつつ、国際線については、国内線、国際線の乗り継ぎを含む日本発着の直行需要を中心に対応することとしております。

 成田空港につきましては、国際線の基幹空港としての機能を持ちつつ、国際航空ネットワークの強化を図りながら、国際、国内のLCC需要や貨物需要に対応することとしております。

井上(一)委員 それでは、資料で配らせていただいているんですけれども、「横田空域通過 米と合意」ということがあります。この横田空域、いわゆる横田ラプコンとも言われておりますけれども、日米地位協定第六条と合同委員会合意に基づいて米軍が管制業務を行っている空域ということであります。この空域に関して、この記事では、横田空域を一部通過する新たな飛行ルートについて米側と基本合意したということですけれども、この事実関係について教えてください。

飯嶋政府参考人 お答えを申し上げます。

 羽田新経路の横田空域の通過について、米側と従来から必要な調整を行っておりましたが、一月二十九日に米側と基本合意に至ったところでございます。

 基本合意の内容は、羽田新経路が横田空域を通過すること、通過空域においても日本側が管制を行うことについてであり、それ以外の詳細な手続等につきましては、引き続き調整を進めているところでございます。

井上(一)委員 次のページに資料二というものをつけておりますけれども、これは、横田空域、削減された後も広大な空域を米軍が管制しているということで、そもそも横田空域、これは日本の空ですから、当然、日本政府が管制を行うべきで、米軍が管制を行うということは極めて特異であります。

 日本政府としても全面返還に向けて全力で取り組んでいるというふうに私は認識しているんですが、それで、全面返還に向けた取組の一環として、平成十九年、二〇〇七年五月十八日からこの横田ラプコンに自衛官が併置されているというふうに承知しておりますけれども、その目的、それから配置人数、現在の状況、それについて教えてください。

森田政府参考人 お答えいたします。

 横田ラプコンにおける航空自衛隊管制官の併置につきましては、これによりまして、自衛隊管制官の管制技術の向上が図られ、日米間の円滑な調整の強化や航空交通管制の安全性、効率性の向上に寄与するとともに、米軍航空機の自衛隊基地への訓練移転など平成十八年五月の再編ロードマップに記された施策の円滑な実施にも資するというふうに考えられることから、教育訓練及び調査研究を目的として、平成十八年十月の日米合同委員会で承認を得て、翌十九年五月から開始されました。

 この管制官の併置につきましては、当初四名の併置から始まりまして、ちょっと時期によって増減はありますけれども、最終的に十七名配置されまして、平成二十六年に、一定の管制技術の向上等が図られたということで終了したところでございます。

井上(一)委員 そこで、自衛官を併置して、いろいろな教訓が得られたと思うんですけれども、その教訓内容は、外務省、国土交通省に伝えられたということでよろしいでしょうか。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年の再編実施のためのロードマップにおきまして、在日米軍と日本の管制官の併置の経験から得られる教訓につきまして考慮するということにされておりまして、これまで一定の経験を得たところでございますけれども、その内容の詳細あるいは取扱いにつきましては、米軍との関係もありますので、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

井上(一)委員 いや、教訓の内容というのは、国土交通省、外務省に伝えられたということでよろしいですか。

森田政府参考人 先ほどお答えしたとおりになりますけれども、その内容の詳細あるいは取扱いにつきましては、米軍との関係もありますので、お答えを差し控えさせていただきたいというふうに考えております。

井上(一)委員 正直、やはり伝えたか伝えていないかぐらいは言ってもいいんじゃないかと思いますけれども。

 いずれにしても、ここで、横田ラプコンの全面返還に関しては、自衛官の併置の経験などから得られる教訓などを踏まえた検討が行われて、ここの資料にもありますけれども、平成二十一年、二〇〇九年度に完了したというふうになっておりますが、どのような内容でしょうか。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、平成十八年のロードマップに基づきまして、横田空域全体のあり得べき返還に関する条件に関する日米間の検討につきましては、しかるべく完了しているところでございます。

 当該検討の結果につきましては、まさに民間及び軍事上の所要の将来のあり方を満たすような、関連空域の再編成や航空管制手続の変更のための選択肢に関する包括的な検討の中の一環として位置づけられているものでございまして、また、そのような観点から、軍事上の所要にもかかわることでございますことから、現時点で当該検討の結果をお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

井上(一)委員 やはり、少なくとも、これは横田空域の全面返還に関する条件なので、軍事上の秘密になっているところは当然別として、やはり概要なり等は公表すべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。

船越政府参考人 先ほど、繰り返しで恐縮でございますが、当該検討の結果につきましては、関連空域の再編成や航空管制手続の変更のための選択肢に関する包括的な検討の中の一環として位置づけられているものでございまして、そのような中で、日米間で協議した内容でございますことから、現時点で当該検討の結果をお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。

井上(一)委員 やはり、日本政府として、これは全面返還に向けて努力している、それは、そういう理解でよろしいんですよね。

船越政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国における航空管制業務は、戦後しばらくの間、全て米軍によって行われておりましたが、その後の日米間の協議を通じ、八回にわたり空域の削減を行うなど、順次日本側に移管されてきてございます。

 同時に、横田空域や横田飛行場の問題については、我が国の安全保障や日米同盟の抑止力の維持という観点も踏まえて取り組んでいく必要があると考えております。

 横田進入管制空域の返還につきましては、こうした点や我が国の空域を一元的に管制する観点から、引き続き、関係省庁と協力しながら米軍と調整してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、やはり我が国の空ですから、日本が主体的に管制するというのが基本だと思います。全面返還に向けて努力してください。

 以上です。

江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 成田国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十六分散会


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