衆議院

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第10号 平成31年3月19日(火曜日)

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平成三十一年三月十九日(火曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    岡下 昌平君

      川崎 二郎君    木村 次郎君

      佐藤 明男君    田野瀬太道君

      冨樫 博之君    長坂 康正君

      鳩山 二郎君    百武 公親君

      福田 達夫君    穂坂  泰君

      三浦  靖君    宮崎 政久君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    伊藤 俊輔君

      小川 淳也君    岡島 一正君

      中谷 一馬君    長尾 秀樹君

      山花 郁夫君    稲富 修二君

      日吉 雄太君    國重  徹君

      本村 伸子君    足立 康史君

      吉川  元君    井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務副大臣        佐藤ゆかり君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            山田真貴子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          小出 邦夫君

   政府参考人

   (防衛装備庁プロジェクト管理部長)        斉藤 和重君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         石原  進君

   参考人

   (日本放送協会会長)   上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 木田 幸紀君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 坂本 忠宣君

   参考人

   (日本放送協会専務理事・技師長)         児野 昭彦君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松原 洋一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   松坂 千尋君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     宮崎 政久君

  金子万寿夫君     宮路 拓馬君

  佐藤 明男君     百武 公親君

  鳩山 二郎君     岡下 昌平君

同日

 辞任         補欠選任

  岡下 昌平君     鳩山 二郎君

  百武 公親君     佐藤 明男君

  宮崎 政久君     池田 道孝君

  宮路 拓馬君     金子万寿夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長大泉淳一君、情報流通行政局長山田真貴子君、法務省大臣官房司法法制部長小出邦夫君及び防衛装備庁プロジェクト管理部長斉藤和重君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 国民民主党・無所属クラブの奥野総一郎でございます。

 きょうは二十分しかありませんので、早速始めたいと思います。よろしくお願いをいたします。

 大河ドラマ、去年は「西郷どん」で非常によかったです。私も、忙しいんですが、ビデオに撮って全回見ました。ことしは、実は、テーマになじみがなくてずっと見ていなかったんですね。ずっとビデオの中にたまっていたんですが、久々に見て、きのう、おとといと見てみました。

 これがなかなかおもしろくて、宮藤官九郎さんの脚本なんですよね。ドラマとしても非常によくできていておもしろいなと思いましたので、視聴率八%だそうですから、皆さん、ぜひごらんいただきたいと思いますが、残念なことに、出演者の方が逮捕されてしまったということが起きてしまいました。

 これは非常に残念でありまして、NHKさんも御苦心をされている。オンデマンドでも何か視聴ができなくなっているようでありますし、土曜日の再放送も出演場面がカットされている。やむを得ないと思いますが、ちょっとワイドショーなんかで言われているのは、これは三カ月分ぐらい撮ってあるという話でありますから、これから放送の分についても撮り直さなきゃいけないし、二次利用の話があるので、あるいはオンデマンドなんかもそうなんですが、さかのぼって撮り直さなきゃいけないんだ、こういう話も出ています。

 これは事実なのかということと、その場合に、お金がこれはかかるわけですよね。新たにお金が発生するわけですが、そのコストは一体誰が負担するのか。受信料だとするとちょっと筋が違うのかなという気もしますし、誰が負担するのかということを、せっかくいいドラマですから、水を差さないように、ちょっと伺ってみたいと思います。どうぞ。

木田参考人 お答えいたします。

 御指摘の出演者の逮捕に伴う対応に関しましては、大河ドラマ「いだてん」については、当面、三月中は出演シーンを除いて放送します。四月以降につきましては、ある程度収録を終えていますので、出演シーンがある回の取扱いを現在、検討、調整中であります。

 なお、「いだてん」とは別に、BS放送では、出演シーンがある三つの番組の放送を見合わせました。また、NHKオンデマンドの配信につきましては、出演シーンが含まれる番組の配信を一旦見合わせる措置をとりました。

 今後につきましては、出演者の捜査が進んでいる段階でもあり、状況を見ながら判断したいと思っております。また、DVDなどの二次利用につきましても、関連団体などと随時検討してまいります。

 損害賠償につきましては、番組が皆様の受信料で成り立っていることを踏まえ、今後検討していくことになりますが、今は当面の放送番組の対応を進めている状況でありますので、まだお答えできる状況にないことを御理解いただきたいと思います。

奥野(総)委員 残念な事件でありますが、受信料でできているということも考えて対応いただきたいというふうに思います。

 それで、受信料の話に移っていくんですが、総務大臣の意見書というのがございまして、その中で、最後のページのところですかね、受信料について、「受信料額の適正な水準を含めた受信料の在り方について、引き続き検討を行うこと。」ということで、NHKに大臣が求めているというふうに理解されますが、これはどういう意味か。

 普通に読むと、適正な水準を含めて検討しろというと、じゃ、今は適正かどうかという、適正ではないんじゃないかというふうにも読めますし、もうちょっと言えば、これはその前のところで、繰越金が一千億もある、こう書いてあるわけですね。

 今回、受信料の据置き、引下げについては一定の評価はあると思いますが、更に、こういう書き方を見ると、引下げの余地があるんじゃないか、引下げを求めているんじゃないかともこの大臣意見が読めるわけですが、この適正な水準を含めた受信料のあり方について検討というのは、一体何を求めているんでしょうか。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 受信料につきましては、やはり国民・視聴者にとって納得感のあるものということが大事だというふうに思っておりまして、これまでも、NHK予算に対する総務大臣意見におきましては、受信料の引下げについて検討を求めてきたところでございます。

 そういう中で、今回NHKが受信料の引下げを決めたことは評価できるわけでありますけれども、一方、今後の繰越金の状況、あるいは当面見込まれる事業収入の増加等を踏まえまして、受信料額の適正な水準を含めた受信料のあり方については、引き続き検討を行うことが適当であると考えまして、その旨の指摘をしたところでございます。

 なお、具体的な受信料額の適正水準については、まずはNHKにおいて御検討いただくものと考えております。

奥野(総)委員 だから、現時点では適正かどうかも総務省は判断し切れないということですかね。

 ということで、NHKに伺いたいんですが、経営委員会の議事録、この間も答弁を会長はされていますが、二〇三〇年度には支払い率を八七%まで引き上げていくと。三十一年度予算では八三%を予算上は想定しているわけですが、更に四ポイント上げていくということを述べられておられますが、もう少し詳しく知りたいんですよね。

 例えば、いつ受信料収入がピークになるのか。この間、ワンセグの確定判決もありましたし、受信料については、もうワンセグについても取れる。昨年の確定判決もありますから、支払い率はどんどん伸びる環境にはあるんですが、一方で、世帯数であったり受信機の設置状況であったり、視聴形態も変わってきますから、じゃ、一体、受信料のピークはいつ幾らぐらいになるのか。

 あるいは、いつも公表になっているんですが、衛星契約数の割合というのは出ているんです。衛星契約の方が受信料は高いんですね、当然、高いんですが、だから、受信料収入をふやそうとすると、衛星契約数の契約割合をふやしていくということになろうかと思うんですが、これは今、半分ちょっとぐらいですよね。これはどのぐらい今後推移していくのか、その辺をやはり明らかにしていただきたいんです。

 もうちょっと言うと、全体の契約数の推移が今後どう伸びていくのか、あるいは、そのうち衛星契約数についてどのぐらい伸びていくのか。それがわかると、自動的に受信料の額というのが、掛け算すれば、もちろん免除とかはありますけれども、ある程度は計算できると思うんですね。そういうのがきちんと明らかになった上で、どこまで引下げの余力があるのか、あるいはもう下げられないのかという判断がなされると思うんですね。

 だから、大臣がおっしゃっているのも恐らくそういうことだと思うんですが、そのあたりはどうなんですかね。受信料収入のピークというのは一体いつごろであって、今後、あるいは衛星契約をどのぐらいふやしていくのかといったことについて、ぜひここで説明していただきたいんですが。

松原参考人 お答えいたします。

 受信料の値下げの検討に当たっては、社会環境や視聴者環境などのデータや予測に基づいて議論を重ねてきました。具体的には、世帯数は、国立社会保障・人口問題研究所が二〇二三年の五千四百十九万世帯をピークに減少に転じると推計していること、テレビの保有率については、内閣府の調査で、総世帯で、十年前、九八・九%から九五・一%に減少していることなどを踏まえて、今後の受信料収入の見通しを予測をしました。

 四・五%の受信料の値下げを実施した場合、受信料収入は、二〇二六年度、七千四十億余りをピークとして減少に転じるというふうに予測をしています。また、支払い率についても、今までのような伸び率で推移することは厳しいという考えでシミュレーションを行いました。

 二〇二一年度、次の経営計画以降の受信料収入やその際の支払い率、契約数、それから衛星の割合についての見通しは、次期経営計画を策定する時点の社会状況、経済環境等を見きわめた上で改めて精査をしてお示ししていくことになるため、現時点での具体的な説明は控えさせていただきたいというふうに思います。

奥野(総)委員 大臣がおっしゃっている、納得感のあるものとするためといったときに、いや、努力されているのはわかるんですが、消費税分は上げないと言われても、実際は下がるわけじゃないわけですね。前もこの議論をしました、下がるわけじゃないわけですよ。幾ら下がったんですかというと、絶対額からすると、確かに努力はされていると思いますが、国民にとって本当にそれが納得感があるものかどうかというのは、なかなか難しいところがあると思うんですね。

 だから、こういう理由でこれ以上下げられませんと言うならわかるんですが、その上で、やはり、そこを説明するに際して、最低限、将来修正があるにしても、現時点での将来の推計、衛星契約数とか見通し、受信料の推移については、私はセットで公表すべきものだと思うんですね。そういうことがなされていないからああいう大臣意見もつくんだろうし、我々としてもなかなか、これで打ちどめだというふうには言えないと思うんですよ。

 どうですかね、会長、この辺、きっちり納得感のあるものにするために明らかにしていただきたいんですけれども。

上田参考人 お答えいたします。

 中長期の事業計画や収支の見通しなどについて検討を重ね、受信料の値下げを実施すべきと判断いたしました。値下げを含む還元を全て実施した場合の規模は、単年度で四百二十二億円、二〇一八年度の受信料収入見込みの六%に当たります。

 今後、世帯数が減少に転じ、テレビ保有率も減少傾向となるなど経営環境は厳しさを増す中で、NHKが公共の役割を果たし続けるため、中長期の事業計画や収支の見通しを検討した上で、収支相償の原則にのっとり、経営として今できる最大限の値下げを決めたということを御理解いただきたいと思います。

 今後の契約数の見通しなど具体的な数字につきましては、次期経営計画策定時に改めてお示ししたいと考えており、この場では控えたいと思います。

奥野(総)委員 開かれたNHKというんだったら、そこはやはり明らかにしていただきたいと重ねてお願いしておきます。

 ワンセグ携帯の確定判決も出たわけですね。これはまた、どのぐらい収入増に寄与するのか、あるいは、本当に公平性の観点から大丈夫なのかという気もするわけですよ。スマホだって、ワンセグの受信チューナーがついているものとついていないものがあったりしますし、じゃ、誰がスマホでワンセグを視聴しているかなんて、なかなか把握しづらいと思うんですね。しかし一方で、払う人も出てくるわけです。公平性の観点から、これは私はなかなか難しい問題だと思いますが、どのように把握をして、どのように徴収をしていくのか。

 いろんな意見があって、そんな、学生さんからそういうのを取るべきじゃ、まあ、学生さんが多いんでしょうから、取るべきじゃないという意見も一方でありますし、一方で、公平性の観点からは、全部徹底的に調べ上げて取るべきだという意見もあるわけなんですが、具体的に、これからどのように把握をして、どのように対応されるのかというのを伺います。

松原参考人 お答えいたします。

 平成三十一年、ことしの三月十二日、最高裁は、ワンセグ機能つき携帯電話についても受信契約の締結義務があるという東京高裁の判決を不服とした上告を退け、高裁判決を維持するという判断を示しました。

 今、受信契約の締結を行う際に、訪問要員が受信設備の確認を行っています。平成二十九年の六月以降、契約書の書式を変更し、訪問により契約をいただいたときに、設置された受信機の種類についてお届けをいただくというふうに変えております。

 ワンセグ機能つきの携帯電話からの契約取次数については、現状、約月千四百件程度となっています。

奥野(総)委員 これは逆に言うと、千四百件も払っているのかというのは少しびっくりしますし、じゃ、本当に千四百件だけかというと、恐らくそうじゃない方もいっぱいいると思うんですね。だから、公平性の観点からいって、こういうやり方が本当にいいのかというのは非常に疑問なわけであります。払っていない方もいっぱいいらっしゃるでしょうし、払っている方は正直に払っておられるということで、公平性の観点から問題があると思うんですね。

 これは、僕は、やはり受信料制度の問題だと思うんですよ。最高裁でも、受信機を設置する、携帯電話というのは設置されているかどうかという、受信機を設置した場合に受信契約を結んでいるというわけですから、設置の有無が問われたんですね。そこが、携帯電話を携帯していても設置に含まれるんだという判決が出て、確定したわけです。そもそも、テレビがどんと床の間に置いてあって、それを前提とした受信料制度というのが崩れてきたんじゃないかと。

 ちょっと時間がなくなってきたので質問はしませんが、今度、常時同時配信が始まりますが、実は、パソコンだけで見ている人というのは見られないんですね。受信料契約をしている方は見ることができる、パソコンでもスマホでも見ることができるんだけれども、テレビも何も置いていなくて、パソコンだけあるいは受信機のついていないスマホだけで見る人は契約ができないわけです。それは、受信機を設置していないから契約対象にならないので、契約ができなくて見られないと。非常にこれはおかしなことになると思うんですね。だから、従前のテレビ受信機を前提としたやり方というのは私は見直すべきだと思うんですね。

 例えばドイツなんかは、大臣と一緒に視察に行きましたけれども、世帯ごとに課金をしているというやり方もあるんですね。その方がむしろ公平じゃないかと。そうすると、多分、広く薄くで受信料の額も下がるでしょうし、広く薄く取るドイツ型の制度を私は検討すべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

石田国務大臣 お答えさせていただきます。

 御一緒にドイツに視察に行かせていただきました。イギリスのこともありますし、フランスのこともありますし、ドイツのこともあるわけで、いろいろな形態についてはこれからも検討していくべきことだと思っております。

奥野(総)委員 これで、値下げで終わりじゃなくて、もう少し全体として時代に合った形で受信料制度自体も御検討いただければと思います。

 最後になりますが、いつも取り上げている、お手元の資料ですが、放送法四条の政治的な公平性。放送法四条では、番組の編集について、放送番組の編集に当たっては、次の各号によると書いてあって、その中で、意見が対立している問題については、なるだけ多くの角度から論点を明らかにすることであったり、事実を曲げないこと、あるいは政治的に公平であること、これが定められてあります。

 去年、この撤廃の議論も出たんですが、安倍総理が音頭をとって撤廃の議論も出たんですが、結局、残しておくべきだというメディア側からの意見があって残っているというふうに理解していますが、じゃ、この解釈が毎回問題になるんですが、お手元にお配りしている資料に書いてあります。

 従来は、一番左側の箱ですが、政治的に公平であるとの解釈は、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するとしてきた。要するに、NHKであればNHKの番組、一日の番組の中で、全体として、野党と与党、あるいはさまざまな意見がバランスがとれていればいいんだというのが従来の解釈だったはずなんですね。

 ところが、これは私は何度かやったんですが、高市大臣のときに真ん中の箱がつけ加わって、国論を二分するような政治課題については、放送事業者が、一方の政治的、2のところですね、政治的見解を取り上げず、殊さらに、他の政治的見解のみを取り上げて、それを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合については、一般論としては政治的に公平であることを確保しているとは認められないということで、従来と変えて、一つの番組についても政治的な公平については見なきゃいけないんだ、こういう解釈が入ってきました。

 それが、政府統一見解ですね、これは予算委員会で出された統一見解ですが、一番右、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然だ。要するに、全体でバランスがとれていればいいと言ったものについて、場合によっては、一つの番組、例えば、「ニュースウオッチ9」だったり、七時のニュースだったり、お昼のニュースだったり、朝の六時のニュースだったり、個別のニュースの枠の中あるいはドキュメンタリーの枠の中でも政治的公平性が認められる場合があるんだ、こう解釈が変わったわけですよね。

 この解釈、高市大臣のときにつけ加わった解釈なんですが、大臣、今でも、一つ一つの番組を見て政治的公平性を判断する場合がある、されるものなんでしょうか。

石田国務大臣 御指摘の政府統一見解につきましては、放送法第四条が規定する政治的公平性について、従来の解釈を変更するものではなく、補充的に説明し、より明確にしたものでありまして、現在もその見解に変わりはございません。

奥野(総)委員 時間が来てしまいました。

 最後、会長、この政治的公平性について、NHKとして、一つの番組についてどのように配慮しているかを伺って、終わりたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKでは、放送ガイドラインにおきまして、「意見が対立する問題を取り扱う場合には、原則として個々のニュースや番組の中で双方の意見を伝える。仮に双方の意見を紹介できないときでも、異なる意見があることを伝え、同一のシリーズ内で紹介するなど、放送全体で公平性を確保するように努める。」というふうに明記いたしております。

 「ニュース7」とか「ニュースウオッチ9」におきましても、この方針にのっとって、自主的な編集判断に基づいて放送いたしております。

奥野(総)委員 個別の場合にもよくよく判断するということが大臣の方からあったわけです。今の答弁は必ずしもそことかみ合っていませんが、そこも含めてしっかりお願いしたいと思います。

 以上です。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 NHKは、二〇一九年度予算、事業計画の重点事項の第一に、公共メディアへの進化を掲げております。これは事業収支を見ても明らかでございます。

 インターネット実施基準で受信料収入の二・五%を上限としているインターネット予算は二・四%におさめられているものの、4K・8Kスーパーハイビジョンの強化は前年度に対し四十五・一億円増の百八十六・三億円を計上しております。

 国内放送のチャンネル別予算でも、総合、教育、BS1、BSプレミアムの予算が前年より減る中で、4K、8Kだけが増額をしている。

 まず確認をさせていただきたいんですけれども、4K・8Kスーパーハイビジョンの強化、これは総額幾らかかり、毎年毎年の維持管理に幾らかかるのか、4K、8Kでないときと比べてコストアップになるのか、お伺いをしたいと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 4K、8Kに係る来年度、平成三十一年度の予算は、設備投資で百六十七億円、番組制作などの事業費で、先生今御発言がありましたように百八十六億円であります。

 4K、8Kにつきましては、平成三十年度と三十一年度の二カ年で、設備投資三百七十億円、番組制作などの事業費で三百二十七億円、この二カ年で合わせて六百九十八億円を集中的に投資しております。

 設備投資についてはおおむね投資のめどが立ったことから、維持管理費用についても今後は一定の水準で推移すると想定しております。

本村委員 費用対効果の前提の数字がわからないと受信料を払ってみえる方も判断ができないと思いますので、また今後も情報を随時出していただきたいと思います。

 政府は、4K、8Kの普及について、日本再興戦略二〇一六の中で、二〇二〇年には全世帯の五〇%が視聴することを目標としております。一方で、放送サービス高度化推進協会の調べなんですけれども、4K、8Kを受信しているのは、二〇一八年十二月末の、これは少し古い数字ですけれども、約五十万世帯ということで全世帯の一%弱にとどまっております。

 NHKは、インターネット活用ですとか4K、8Kの強化について、政府の成長戦略に追随するということには慎重であるべきだというふうに思います。何よりも大切にしなければいけないのは、視聴者や国民の皆さんの声をしっかりと聞いて進めるということであり、何よりも、視聴者・国民の皆さんの理解と納得が必要だと考えますけれども、会長の御見解をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKは、放送と通信の融合時代にあっても、放送を太い幹としつつ、インターネットも積極的に活用して、より多くの人々に多様な伝送路で公共性の高い情報や番組を届けることで、信頼される情報の社会的基盤の役割を果たしていきたいと考えております。

 また、ハイビジョンを超える超高精細映像システムは、一九九五年、平成七年からの地道な研究が実を結んだものであります。放送は、最先端技術が支える文化であり、放送法で求められている先導的な役割を果たすことが公共放送の使命と考えております。

 NHKは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックで最高水準の放送サービスを実施するため、4K、8Kの超高精細映像と立体感のある音響による放送や、インターネット活用業務の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

 視聴者の皆様の理解を得ながら、公共メディアとして、インターネットや最先端技術を積極的に活用して、皆様の期待にしっかりと応えられる魅力的な放送サービスを積極的に創造、開発してまいりたいと考えております。

本村委員 ぜひ、視聴者・国民の皆様の声を何よりも大切にしていただきたいというふうに思います。

 先ほど、インターネット予算は受信料収入の二・五%を上限としていると申し上げましたけれども、総務省の放送を巡る諸課題に関する検討会のNHKの考えの資料を見てみましても、二・五%の上限を維持するということは明確になっておりません。

 日本民間放送連盟は、昨年十月に、「NHK常時同時配信の実施に関する考え方について」という中で、民間事業と競合しないよう節度を持って抑制的に事業を運営する必要があるとして、インターネット活用業務の受信料収入二・五%上限の維持を要望していますけれども、これはどうなっているんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKが受信料によって放送を実施する目的で運営されていることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る経費に上限を設けて適正に運用するという視点は重要だと認識しております。

 NHKとしては、インターネット活用業務の費用については、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、昨年十一月の諸課題検討会の場で総務省から説明のありました厳格な区分経理など、会計上の透明性確保の新たな考え方に従って、十分な説明を尽くしてまいりたいと考えております。

 放送法の改正が行われました場合には、それを踏まえてNHKのインターネット実施基準を新たに策定し、総務大臣の認可を得ることになります。その中で適切に実施してまいりたいと考えております。

本村委員 NHK自身が、インターネット常時同時配信を放送の補完というふうに認めております。

 放送政策に関する研究、検討会の第一次取りまとめでは、NHKが放送を行うことを目的として設立された特殊法人ということを踏まえ、インターネット活用業務については、三つの基準と。一つは公共性が認められるということ、二つは放送の補完の範囲にとどまるものであること、三つは市場への影響の程度の三つの基準に従って判断することが適正であると言及をしております。

 健全な民主主義の育成のためには、NHKだけが肥大化するというあり方ではだめでございますので、視聴者・国民の皆さん、あるいは民放連の皆様を始め、御意見をしっかりとお聞きをしながら反映するということが何よりも大事であるということも改めて強調させていただきたいというふうに思います。

 次に、ちょっと受信料の問題についてお話をしたいというふうに思いますけれども。

 私どもは、消費税の増税については、暮らしや営業を壊すということで反対の立場でございます。NHKは、この消費税率引上げが行われようとしていることしの十月に消費税、上がる予定、政府はしているんですけれども、受信料に消費税の増税分を上乗せせずに据置きということになっております。

 これは評価できるものだというふうに思いますし、また、受信料の負担軽減策、今までの軽減策にプラスをして、二〇一八年から二〇二〇年の三カ年計画で百七十億円規模の軽減策を新たにプラスするということになっております。

 その内容なんですけれども、昨年四月からは社会福祉施設の免除の拡大、そして、ことし二月からは奨学金受給対象などの学生さんへの免除、そして、ことし四月からは多数支払いにおける割引、ことし十月からは設置した月の受信料は無料ということで進められておられます。

 ここで確認をしたいんですけれども、奨学金を受け取っている学生さんは免除を二月からスタートしておりますけれども、対象の学生さんは何人で、免除されている学生さんは今何人になっていますでしょうか。

松原参考人 お答えいたします。

 経営計画に掲げた受信料の負担軽減策である奨学金受給対象等の別住居の学生への免除については、昨年の十二月から免除申請の事前受け付けを開始し、ことし二月から施行をしているところであります。

 今年度の免除適用件数の見込みは約十九万件であり、今、三月十五日現在、約八万件の免除申請を受け付けています。

本村委員 ありがとうございます。

 まだ全員に免除の知らせや申請が行き届いていないというふうに思われますので、ぜひ周知徹底を一層強化をしていただきたいと思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料免除につきましては、その対象となる方に対して周知を徹底することが重要であると認識いたしております。

 特に、今回の奨学金受給対象等の学生への免除につきましては、新しい制度であるため、テレビやラジオ等で周知を行い、学生やその親元に対してダイレクトメールを複数回送付いたしました。また、奨学金実施団体や大学の協力を得ながら周知を行ってきております。

 なお、今回の学生の免除につきましては、開始後一年間はさかのぼって適用することといたしております。

本村委員 ぜひ周知徹底を強めていただきたいというふうに思います。

 視聴者の方からは、入院で留守をする間の受信料を免除の対象にしてほしい、入退院を繰り返す人も多く、少ない年金から払っていて困るというお声も伺っております。こうした視聴者や国民の皆さんの声をしっかりと把握し、きめ細かに対応をするべきだということを求めておきたいと思います。

 また、奨学金を受け取ってみえる学生さんだけではなくて、全ての学生さんを免除の対象にすることや、あるいは、低所得の方の免除制度というのは、今は生活保護を利用されている方あるいは市町村民税の非課税の障害者の方なんですけれども、視覚障害者の方や聴覚障害者の方や重度障害者の方や重度戦傷病者の方々は半額免除ということになっておりますけれども、こうしたところを更に拡大をして、負担軽減ということをもっと進めていくべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料の免除につきましては、外部の有識者から成ります受信料制度等検討委員会の答申、これは平成二十九年九月にいただいておりますが、これにおきまして、真に免除が必要な経済弱者を対象に限定することが重要と指摘されております。

 こうした指摘を踏まえまして、今回の免除においては、経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している学生などを対象とすることといたしました。

 受信料の免除につきましては、一般視聴者の負担により成り立つものであることから、限定的に運用することが必要であり、中長期的な事業計画や収支の見通しをしっかりと踏まえた上で、慎重に検討することが必要であると考えております。

本村委員 ぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 この受信料についてなんですけれども、昨年のNHK予算の承認の質疑の際に、最高裁判決を振りかざして、生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならないということを私は指摘をさせていただきました。そのときに、上田会長からは、最高裁判決について言及することがないよう文書を発出し、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していく、そのことに努めてまいりたいと御答弁をいただきました。

 しかし、その後も、最高裁判決に言及した契約取次ぎ、徴収があるというお声が寄せられております。

 例えば、東京都にお住まいの七十代の女性は、ことし一月に、委託法人の契約社員と名乗る男性が自宅に訪れ、契約書を広げて受信料の支払いを迫ったと。地デジ移行以後、テレビは置いていないということで説明をしますと、テレビがなくても、携帯を持っていれば月々受信料を払わないといけない、携帯を見せてくれないかと要求をされ、携帯は見せられないと拒否すると、昨年十二月の最高裁の判決が出ている、ワンセグの機能があれば払わないといけないとしつこく言われたそうです。その七十代の女性の方は、ワンセグ機能のことも知らないし、使ったこともないという方でございます。

 また、千葉県の女性からは、昨年秋ごろ、ひとり暮らしをしている大学生の娘のアパートに、夜遅い時間に、NHKの男性職員、これはNHKの職員なのかほかの委託事業者なのかがわかりませんけれども、が受信料を支払うように訪ねてきたと。テレビは持っていないと言うと、家の中を確認させてほしい、携帯電話を見せてほしい、裁判所で払わないといけないという判決が出ていると言われたそうです。娘さんは夜遅いという時間もございまして恐怖を感じたとお話をいただいております。

 上田会長が公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していくということとは全くかけ離れた対応であり、最高裁判決に言及するようにというマニュアルがあるのではないかと勘ぐるような状況だというふうに思います。

 最高裁判決を振りかざして、無理な契約取次ぎですとか徴収ですとか、絶対にやってはならないというこの認識は今も維持されていますねという確認と、法人委託を含め、こうした考えを、認識をどう徹底するのかということをお伺いをしたいと思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

上田参考人 お答えいたします。

 受信料のお支払いや受信契約をいただく際には、受信料制度の趣旨をよく説明し、御理解をいただくことが大切であると考えております。

 最高裁判決においても、受信契約の締結について視聴者の理解を得られるように努め、これに応じて受信契約を締結した方に支えられて運営されていくことが望ましいとされております。

 訪問員に対しましては、法人委託の社員が採用されて初めて実施する初期講習会や、その後の定期的な研修等で、お客様とのやりとりの中で最高裁判決について言及することがないよう指導の徹底を図っております。

 今後も、これまでどおり、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していくことに努めてまいりたいと考えております。

本村委員 公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明し、よい番組をつくって、皆様が受信料を払おうと思えるような取組こそ必要だということを強く求めておきたいと思います。

 次に、地域スタッフの方々の問題なんですけれども、丁寧な対応の鍵を握るのが、契約取次ぎですとか受信料徴収に当たるスタッフの方々でございます。

 NHKは、昨年の予算承認の審議の際でも、契約取次ぎに係るクレームについて、法人委託に伴っての増加も一部あるというふうに言われまして、長く業務に従事し、お客様対応に習熟した要員をふやすということが大切だとお答えになりました。そうであるならば、法人委託化以前から視聴者の皆様と向き合ってきた個人委託の方々、地域スタッフの方々は、NHKにとって極めて重要な存在だというふうに思います。

 NHKが法人委託化の方針を打ち出すもとで、地域スタッフの方々は大変厳しい状況の中業務に当たっておられます。当事者のお声をお伺いをしました。法人委託の進出で効率が悪い不利地域を押しつけられたり、あるいは、法人の少ない地域では数少ない地域スタッフが広いエリアを苦労して担当されているという実態がございます。

 地域スタッフは、労働者並みの管理を受けて働いているにもかかわらず、労働者であれば受けられる保障も何もない状況のもとで、契約取次ぎとか受信料徴収といったNHKにとって欠かせない役割を果たしておられます。

 昨年十月、大阪の堺の不当労働行為事件の裁判で、最高裁がNHKの上告を棄却し、地域スタッフの労働組合法上の労働者としての地位を認めた高裁判決が確定をいたしました。契約の形式にかかわらず、NHKが地域スタッフを欠かせない存在として位置づけ、一定の管理のもとでその役割を担わせているということが判断をされました。

 この最高裁の判断を重く受けとめ、地域スタッフの方々と真摯に向き合うべきだと思います。当事者の方の声を聞き、そして、労働安全衛生や業務上の事故等への補償、休業補償など、実態に即した待遇改善、行うべきだと思いますけれども、会長、御答弁をお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 地域スタッフの処遇につきましては社会情勢等を勘案しながら実施いたしておりまして、その業務内容に配慮した相応の水準と考えております。また、業務に起因するけがや病気等に関しましては、地域スタッフが安心して業務に取り組めるよう、独自の給付制度を整備いたしております。

 職員に対して、地域スタッフとの対応に当たっては、十分なコミュニケーションをとり、ハラスメントを行わないよう指導、研修も行っております。

 地域スタッフは受信料の契約収納業務に携わる重要なパートナーと認識いたしておりまして、今後も適切に処遇してまいる所存であります。

本村委員 契約形式ではなく、労働の実態に即した処遇改善を行うことは今や避けて通れない課題だというふうに思います。フリーランスでも、個々の働き方や契約の相手の方との関係性などの実態に着目した保護が必要という議論が高まっております。これ以上、地域スタッフの実態から目を背けるというのであれば、法人委託の拡大は、結局、NHKが果たすべき責任から逃れる手段としてしか言えなくなってしまうというふうに思います。ぜひとも地域スタッフの方々の処遇改善を強く求めておきたいというふうに思います。

 NHKの、信頼を得る習熟した対応力を身につけるためには、安心して働き続けられる処遇をNHKが責任を持って保障する必要があるというふうに思います。地域スタッフの増員、直接雇用への移行も含め、抜本的な改善を検討することを強く求めたいと思います。

 先ほども最高裁判決を振りかざした強引な対応の是正を求めましたけれども、視聴者の皆さんが強引と感じるような対応、深夜帯の訪問ですとか携帯を見せてくれとプライバシーを無視したような対応が後を絶たない背景には、やはり契約件数などの数の実績のみで収入とかあるいは契約の更新とかが決まるというプレッシャーがあるというふうに思います。

 個人の場合も法人委託の場合も、評価の基準は、契約数ですとか未収納の方の削減数の実績のみであり、視聴者の方々に丁寧な対応をした、その対応の質に関する評価はなされておりません。丁寧に話を聞く中で、福祉事務所などへつないで適切な免除の対応をとるということをしたとしても、現在のNHKの基準では業績の評価上の何のプラスにもならない。

 契約数のみではなくて、視聴者の方々、学生さんに対して、免除制度がありますよ、そして免除につなげた場合に、こうした丁寧な対応についてしっかりと評価をするという、その対応の質についても評価の対象にするべきだと思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 評価の仕方につきましては、地域スタッフや法人委託の委託手数料については、受信契約の取次ぎや受信料の収納を基本として支払うことといたしております。受信料の免除手続はお客様が自治体等を通じて行うものであり、手数料の支払い対象とはなっておりません。

 受信料免除につきましては、いろいろな種類と要件があり、免除の対象となる方にお知らせをして、手続をいただけるように努めることはNHKの責務と認識いたしております。

 このため、受信料の免除については、NHKホームページにおける免除基準等の掲載、訪問員がお客様にお渡しする説明資料への記載、自治体窓口での案内等の機会を通じまして周知を行っております。

 訪問員がお客様と対応した際に免除の要件に該当する可能性があることがわかった場合には、手続の御案内を行うよう指導いたしており、今後とも丁寧に御説明を行ってまいりたいと考えております。

本村委員 ですから、その丁寧な対応を評価するようにしていただきたいというのが私の質問の趣旨なんですけれども、会長、お願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 丁寧な説明は行ってまいりますが、受信料免除等につきましては、いろんな種類と要件がありまして、免除の対象となる方に関するお知らせ、手続に関しましては、一義的にNHKの責務と認識いたしております。

 いずれにいたしましても、今後とも丁寧に御説明を行っていきたいと考えております。

本村委員 契約数のみで地域スタッフの方々や法人委託の方々を評価するのではなく、やはり、福祉的な対応をした、そういう公共放送として当たり前の対応を行うことに対してしっかりと評価をしていただきたいというふうに思います。

 次に、障害者の方々の雇用についてお伺いをしたいというふうに思います。

 NHKにおける障害者雇用について、どのような障害をお持ちの方がどのような仕事をされているのかということをお伺いしたいのと、法定雇用率、達成状況は、まだ未達成だというふうに聞いておりますけれども、その点、なぜ法定雇用率を達成できないのか、数値も含めてお答えをいただきたいと思います。

松坂参考人 お答えいたします。

 NHKでの業務内容や処遇に障害のある方、ない方の違いはなく、現在、障害のある方については、放送、技術、管理、営業など幅広い業務で活躍しています。

 障害者の雇用率ですけれども、去年の六月一日時点で二・一%となっています。これは、前の年と比べると〇・一ポイント増加しておりますが、法定雇用率二・二%をわずかに下回っております。法定雇用率を下回っている状況であることは認識しており、引き続き、採用ですとか雇用などの環境の改善などに向けて取組を強化してまいりたいと思っております。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

本村委員 なぜ達成できないのかということを後であわせてお答えをいただきたいんですけれども、会長に二つ御提案をしたいというふうに思います。

 一つ目が、障害者団体の方々や障害を持った方々から直接御意見を聞く場をつくり、障害者雇用の法定雇用率の早期達成を図り、そして、障害者雇用を進めていただくということ。そして二つ目が、決算審議でも言わせていただきましたけれども、イギリスの公共放送BBCでは障害者雇用が一〇%以上となっております。BBCの障害者雇用の実態を調査研究をし、NHKにも、そして世の中にも生かしていただくということ。

 NHKが障害者雇用の分野で世の中を牽引するリーディングカンパニーになるようにぜひ進めていただきたいと思いますけれども、会長、お答えをお願いしたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKの障害者雇用率が法定雇用率を下回っていることにつきましては、重く受けとめております。引き続き、採用活動を強化するとともに、障害のある方がより働きやすい環境整備を進めてまいります。

 また、障害のある方の採用や雇用の動向についても、幅広く情報を集めるなど状況の把握に努め、障害者の雇用をふやす努力をしてまいりたいと考えております。

 BBCの障害者雇用の取組につきましては必ずしも承知いたしておりませんけれども、採用や雇用について参考にできるものがあれば取り入れてまいりたいと考えております。

本村委員 働く人も一人一人、命と健康、尊厳が大事にされて、よりよい番組をつくっていただくことを強く求め、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうはNHK予算の審議ということで、大変国民の関心も高い。きょうのこの審議は、きょうの深夜、NHKでも放映をされるということで、できるだけ、国民の皆様にわかりやすい、何が課題で、何が大事かということをしっかりと明らかにしていく質問をさせていただきたいと思います。

 さて、まず、このNHKの予算、毎年この総務委員会で採決をして承認をしているわけでありますが、本会議でもね。私は、ことしの予算は、例年の、毎年の予算、予算というのはインクリメンタリズムといいますね、インクリメンタル。インクリメンタルに毎年ちょっとずつ変わっていくわけです。そういう意味では、私たちも、昨年の予算は賛成をしましたから、毎年賛成をしていく、これは全会一致で大体賛成をしていく、これが慣例になっているわけでありますが、ことしの予算はちょっと特別です。

 私が尊敬をしている立憲民主党の高井野党筆頭も、先日の十四日のこの質疑で、こうおっしゃっています。今回のNHK予算というのは、私は本当に重要な、NHKにとっての大きな転換点となる予算だと思っていると。全く同感でありまして、しっかりきょう、三十分足らずでございますが、質問させていただいた内容、NHK、総務大臣からの御答弁をよく吟味をさせていただいて、賛否を、まだ党として決めておりません、この質疑で判断をさせていただいて、賛否を決めていきたい、こう思っております。

 さて、まず、NHK予算の中身に入る前に、先日、まさにきょうの前半戦の十四日の質疑で、これも尊敬する、敬愛する、立憲民主党、党籍はまだありませんが、立憲民主党会派に属されておられます小川淳也衆議院議員、質問されました。そのときの小川さんの、これは小川さんの言葉なんですけれども、私は、これは明らかに過度な政治介入である、こう私は思います。総務大臣、どうですか。

石田国務大臣 総務省としてコメントさせていただく立場にございませんので、控えさせていただきます。

足立委員 じゃ、NHK会長は、何か感じるところありますか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKのニュースや番組は、報道機関として自主的な編集判断で放送いたしております。

 個別の編集判断や取材、制作の過程に関することはお答えできませんが、お答えできる範囲で誠実にお答えするよう努めてまいります。

足立委員 この内容は、私、小川委員のことは、もう尊敬してますからね。よく電車で会いますものね。まあいいや、それは。

 小川淳也委員、こうおっしゃっています。野党側の主張、本会議での野党側の主張、俺は野党の代表としてあそこに立ったんだと。野党側の主張をちゃんと報道しろ。ナレーションの付され方がおかしい。視聴者を惑わした可能性がある。編集の現場でつくられた原稿と最終的に承認された原稿とはどう違うのか、資料を出せ。報道局長を国会に呼ぶぞ。

 いや、僕は、こんなことを政府・与党、与党の先生方がこれを言ったら、もう一年間ぐらい大問題になりますよ。森友どころではありません。ねえ、先生。これは与党の議員がやったら、もう国会はしっちゃかめっちゃかでとまりますよ。なぜ野党がやっていいんですか。

 いや、僕は別に、僕も野党ですから。小川先生は僕は大好きですから、もう将来、一緒にやりたいぐらいですよ。しかし、さすがにこれはやり過ぎだと。先ほど総務大臣もNHK会長も、それはなかなか言えないですよ、はっきりと。

 でも、私は、申しわけないけれども、委員長の差配がやはり悪かったと思いますよ。

 委員長、これね、NHKは、当たり前ですよ、小川さんがそうやって詰め寄ったときに、自主的な編集判断に基づいて放送を行っております、編集につきましては自主的な編集判断で行わせていただきました、報道は自主的な編集判断で行わせていただきました、自主的な編集判断に基づいて行いました、五回答弁しているにもかかわらず、委員長は速記をとめてまで木田参考人に答弁を求め、最後は木田参考人が、真摯に受けとめると言っちゃいました。

 問題でしょう、これ。まあ、いいですよ、民主主義というのはよこしまな圧力をかける人はいるんです。いるんです。でも、NHKがそれを受けちゃあかんでしょう。

 木田さん、きょういらっしゃる。木田さん、きょういないか。呼んでない。ああ、木田さん。これ、真摯に受けとめちゃだめでしょう。ちょっと、通告ちゃんとしてないかもしれないけれども、そういう政治圧力、政治介入には屈しないと、ちょっと言ってください。

木田参考人 お答えいたします。

 小川淳也委員の質問に対する答弁では、私は、多様な御意見があることは承知しており、結果としてこのような御指摘をいただいたことを真摯に受けとめ、引き続き、正確、公平公正、不偏不党、自主自律を堅持して報道に当たってまいりたいとお答えいたしました。

 御指摘も踏まえて、引き続き、正確で、公平公正、不偏不党、自主自律を堅持して報道に当たってまいりたいというふうに考えております。

足立委員 大丈夫、木田さん、真摯に受けとめたって、何を真摯に受けとめたんですか。小川さんの質疑を受けて、真摯に受けとめたと言いましたよ。ちょっと訂正してください。

木田参考人 お答えいたします。

 我々は、正確で、公平公正、不偏不党、自主自律を堅持して報道に当たっておりますけれども、ニュースや番組につきましてはさまざまな御意見をいただきます。この問題だけではなくて、さまざまな御意見をいただく場合がございます。そのような多様な御意見があることは、まあ、今回の場合もそうでありますが、承知しておりまして、そのようなものについてはやはり真摯に受けとめて、引き続き今後の放送に生かしてまいりたい、そういう考えであります。

足立委員 会長、私は、視聴者の意見を聞く、これは当たり前ですよね、視聴者によってつくられているNHKなんだから。しかし、政治介入は許したらあかんでしょう。視聴者の意見は真摯に受けとめる、でも、政治介入には断固として抵抗する、会長としての御決意をお願いします。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKといたしましては、引き続き、正確、公平公正、不偏不党、自主自律を堅持して報道に当たってまいりたいと考えております。

足立委員 いや、会長、ごめん。座ってください、一回。

 政治介入について……(発言する者あり)いやいや、じゃ、一般論でいいですよ。一般論、高井先生、僕は、一般論、一般論。

 NHK会長、一般論で結構です。政治介入には断固として、政治介入には断固として抵抗していく、自主自律でやる、政治介入、政治介入には左右されないんだと、そう言えないですか。政治介入には左右されない、お願いしますよ。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKといたしましては、放送法にのっとり、公平公正、不偏不党、自主自律を貫き、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えておりまして、これをしっかりと守って放送を行ってまいりたいし、行っているというふうに認識しております。

 国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持することが重要と考えており、これからもこの認識を常に持ち、業務の執行に当たってまいりたいと思います。

 何をどのように伝えるかはまさに編集権にかかわることであり、コメントを差し控えますが、分掌された権限のもとで現場が自主的に判断していると認識しておりまして、政治的公平性につきましてもこうした自律的な取組の中できちんと確保してまいりたいと考えております。

足立委員 不十分ですが、気持ちは伝わりますから、まあ、いいとしましょう。しっかりお願いしますよ。

 それから、委員長、先ほど申し上げたように、私はこれは問題だと思っています。これは問題だと思っています。もしこれが問題でないんであったら、私、やりまくりますよ、これ、これから、国会で、本会議場で。しっかり、これ、放送を所管している総務委員会として、あるいは総務委員会の理事会として、一体これはどうなんだと。こういう政治介入だと私が思う内容、いや、違うなら違うでいいですよ、やはり総務委員会、理事会としてしっかりとこれは判断をしていく、そして国民の皆様に国会のあるべき姿をしっかりと示していくことは、これは当然だと思いますので、御検討をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

江田委員長 先ほども申しましたように、個々の質問に私も答える立場にはございませんが、今、足立君の御意見に対しては既に理事会で協議を続けたいということで申し上げたとおりでございますので、理事会で協議していきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 それでは次、政治的な公正公平、これはもうNHKの命綱みたいなものです。ところが、これを見てください。ちょっと白黒で申しわけありませんが、お配りしているのは。これはNHKの、「NHKスペシャル」をつくられた今理織さんというディレクターが、「NHKスペシャル」と同じ題名、「沖縄と核」というテーマでの講演会に参加をされて講演をされているものであります。この記事は二〇一七年十二月三日の沖縄タイムスの記事でございます。

 これは今ディレクターの業務ですか、業務外ですか。まず、それだけ答えてください。

松坂参考人 お答えいたします。

 NHKでは、個人情報のうち経歴などを公開している経営幹部を除いて、職員個人に関する情報についてはお答えしていませんけれども、当該講演会への参加に当たりましてNHK職員であることを明らかにしておりますので、お答えいたします。

 御指摘の講演会につきましては、職員が勤務時間外に番組の内容などについて講演をしたというふうに理解しております。講演への参加は、就業規則で定められた手続にのっとり、事前に上司の許可を得て行われたものであります。内容は番組に即したものであったと聞いております。

足立委員 すると、業務の外だけれどもNHKとしては承知をしていた。ちょっと結論を急ぐと、NHKは、申請を、今さん自身かどうかわかりませんが、申請を受けて、NHKは許可を出していますね。まず、許可を出しているかどうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 職員の勤務時間外の私的な活動については、個人の自由で、業務としてとりなすことはありません。しかし、私的な活動でありましても、業務で通じて得た知識や技能を発揮して社会に還元、奉仕するようなケースはあります。

 このような活動の際に、NHKの職員であることを明らかにして行う場合は、協会として一定の関与が必要であり、上司の許可を得ることとしております。協会の業務を遂行する上で支障がないかや、協会の職員として適当かつふさわしいものであるかなどを総合的に判断して、許可するかどうかを決めております。

足立委員 これは許可しているんです。

 申請は、東京法律事務所、先ほどのこの記事、沖縄タイムスの記事にもありますが、この講演の主催者は東京法律事務所九条の会が主催したと報道されています。申請に当たって、この九条の会が主催のイベントであるということをNHKは承知していましたか。

松坂参考人 お答えいたします。

 依頼を受けた際には、東京の法律事務所の主催としか聞いておりません。九条の会については承知しておりません。

 講演の依頼は、沖縄と核に代表される日本とアメリカとの関係などについて取り上げたいというもので、制作にかかわった職員が番組内容に即して話してほしいというものでした。NHKの番組に対する理解促進につながるという観点から許可をしております。

足立委員 今話に出ている東京法律事務所あるいは九条の会、九条の会というのは東京法律事務所がつくっているもので、東京法律事務所のホームページにも書いてあります。

 このパネル、資料三、左側の「憲法を守り活かす」というところが、これが東京法律事務所のホームページからの抜粋でございます。これを見ていただくと、要すれば、時の政府によって違憲の法律が制定されようとしているのに対して、さまざまな団体と共同してそれを阻止するために事務所を挙げて尽力してきた、九条の会を立ち上げ、街頭宣伝などをやっていますと。

 この九条の会というのは、ブログというかホームページがありますから、そこにはさまざまな政治活動の様子が全部上がっています。

 それから、産経新聞の二〇一五年の八月六日の記事では、まさにこの東京法律事務所の弁護士が共産党から、まあ、共産党がその事務所の弁護士を擁立するという報道がございます。

 これは端的に言うと、共産党系の政治団体であると私は、まあ普通はそう思いますが、総務省、選挙部ですね、これは政治団体ですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのありました東京法律事務所あるいはその九条の会という名称の……(足立委員「声小さいよ」と呼ぶ)その団体の届出につきましては、総務大臣に対し、けさまでのことで確認いたしましたが、政治資金規正法に基づく政治団体の届出は提出されてございません。また、東京都の選挙管理委員会に確認しましたが、同様に、政治団体の届出は提出されていないということでございました。

 お尋ねの、個別の団体が政治団体に当たるか否かということにつきましては、総務省としては、具体的な事実関係を承知する立場にございませんので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、政治団体ということでしたので、一般論として申し上げます。

 政治資金規正法第三条第一項において、政治団体とは、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること、特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することのいずれかを本来の目的とする団体、あるいは、これらの活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体とされておりまして、これに当たりますと政治団体の設立の届出をしなければならないというふうに規定されております。

 なお、特定の政治団体が政治団体に該当するか否かにつきましては、一義的には、当該団体において判断される。政治団体に該当するものであれば、政治資金規正法に基づきまして、政治団体の届出をしていただくということとなっております。

足立委員 東京法律事務所は、これは弁護士事務所でありますから、百歩譲って、まあ、いいとしましょう。九条の会は、まさにこの東京法律事務所が政治活動をするためにつくった団体で、継続的に政治活動をしています。

 これは一般論で結構です。このような政治的な活動を継続的にそれを目的としてやっている憲法九条の会、九条の会、これが政治団体登録をしていないと、まあ、いいですよ、一般論で、政治団体が登録をしていない、これは違法ですね。違法かどうかだけ。

大泉政府参考人 先ほど申しましたとおり、政治資金規正法第六条におきまして、政治団体は、組織の日又は政治団体になった日から七日以内に、総務大臣又は都道府県選挙管理委員会に届け出なければいけないということでございますから、そういう規定があるということでございます。

 なお、届出自体に罰則というものはございませんが、直接の罰則はございませんが、政治資金規正法第八条におきまして、政治団体は、その届出がなされた後でなければ、政治活動のために、いかなる名義をもってするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができないという罰則も規定されているところでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、これ、国会の場ですから、これ、いいでしょう、憲法九条の会というのはどう考えてもこれは政治団体ですよ。それを登録していない。違法です。今あったとおりです。そして、先ほどNHKからも御答弁あったように、彼らは、九条の会というのを隠して弁護士事務所の名前で申請をしてきた。NHKは、九条の会であることを知らずに許可を出した。

 私の整理では、違法な政治団体が、名前を偽って、NHKのディレクターに、「NHKスペシャル」と同じ名前の講演会を主催した。その団体は共産党の、共産党というのはあれですからね、破防法の調査対象団体ですからね。そういうことも御理解いただいた上で、こういうところに今ディレクターが行って講演している、私は不適切だと思う。少なくとも、NHKの番組の公正公平さについて視聴者に疑念を抱かせる活動であった、要は業務外活動であったと断じざるを得ませんが、NHK会長、どうですか。誰でもいいよ。

松坂参考人 お答えいたします。

 この講演への参加は、就業規則で定められた手続にのっとり、上司の許可を得て行われたものでありますし、内容も番組に即したものであったと聞いております。

 職員が業務に関して講演などを行う場合、それを許可するかどうかに当たりましては、協会の不偏不党や公正性、信頼性などに疑念を持たれることがないように留意して運用に当たってまいりたいと考えております。

足立委員 えっ、これからもこういうことをやるんですか。もうNHK、終わりますよ、こんなことをやっていたら。

 いや、だって、共産党と一体じゃないですか、一体のように見える。だって、共産党系の政治団体、それも、違法である疑いが高い団体と連携しながら、政治活動をしているんですよ。(発言する者あり)

江田委員長 発言には御注意願います。

足立委員 委員長、どこに注意する必要がありますか、ちょっと言ってください。(発言する者あり)

江田委員長 誤解のない発言を引き続きお願いをいたします。(足立委員「いや、どこがおかしい」と呼ぶ)どうぞ。

足立委員 いや、だって、普通にやっているじゃないですか。共産党系でしょう。だって、共産党の候補者を支援しているんだから。共産党系の……(発言する者あり)

江田委員長 はい、続けてください。

足立委員 いや、委員長、問題あるかどうか言ってくださいよ。この人たち、何ですか、これ。ちょっととめてください、一回。とめてください、とめてください、一回。(発言する者あり)

江田委員長 注意しています。

 適切な、適切な表現でもって発言してください。

足立委員 いやいや、理事の皆さん、ちょっと座っていただけませんか。落ちついて質問できませんから座ってくださいよ。問題があるなら、問題だってちゃんと委員長に言ってくださいよ。(発言する者あり)

江田委員長 適切な発言で、誤解のないように発言はお願いをいたします。

足立委員 皆さん、これ、共産党系じゃないですか、これ。(発言する者あり)これ、共産党系じゃないですか、これ。これ、共産党系の、共産党系じゃないんですか。共産党の候補者を擁立しているんですよ。(発言する者あり)

江田委員長 事実に即して、発言は、注意してください。

足立委員 いやいや、新聞記事じゃない。ちょっと、与党の人、しっかりしてくれよ、しっかり。(発言する者あり)

江田委員長 はい、足立君、よろしくお願いいたします。はい。

足立委員 いや、だから、共産党系、共産党系の政治団体、政治団体登録していないんだから違法である疑いも高い、そういう団体と連携して、NHKのディレクターが、それも「NHKスペシャル」の題名と講演会の題名が同じ。これは、外形的に見れば……(発言する者あり)同じじゃないですか。

江田委員長 足立委員に申し上げます。

 事実に即して、誤解を招くような表現は控えてください。

足立委員 与党筆頭、どうですか、これ。与党筆頭、ちょっと一回立ってくださいよ。一回立ってください。(発言する者あり)いや、一回とめてください、一回。

江田委員長 はい、質疑を続けてください。質疑を続けてください。正確に。(足立委員「協議しましょう、協議しましょう、これのどこが問題か協議しましょう」と呼ぶ)

 じゃ、帰られましたので、どうぞ、はい、質疑を続けてください。はい、続けてください。

足立委員 いや、委員長、だって、これだけ大騒ぎしたら、何か私が悪いことをしているみたいじゃないですか。

 これ、きょう、NHKで放映されますよ。また足立さんが何か暴れているなで終わるんですよ。それは困りますから。野党の異議は何で、それは与党は賛同するのかどうか、委員長、決してくださいよ。ちょっとお願いします。時間をとめてください。(発言する者あり)いや、名誉回復です。時間をとめてください。

江田委員長 足立委員に申し上げます。

 総務行政と関係がある発言、そしてまた、本日はNHKのこの予算の委員会の質疑でございますので、できる限りそれにのっとって質問を続けていただきますようにお願いをいたします。議題に沿った質疑をしていただきますように、よろしくお願いいたします。

足立委員 いや、もう本当にあれですね。私は、きょう、私が事実に即してした質問のどこが問題なのか、わからないですね。

 もう国会ってこんなことばかりやってきているんですよ。本当のことを言えないんです、国会は。本当のことを言うと、みんなが騒ぐ。与党も悪いんですよ。与党もちゃんと議論して、ちゃんとした国会をつくろうよ。

 それを、もうとにかく、NHK予算は全会一致だから波静かに波静かに、波静かで国の運営を任せられるんですか、自民党。井上筆頭が一番ですよ。しっかりと今回のNHK予算の審議、理事会で総括をしていただくことをお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 来年度のNHK予算案について質問をいたします。

 予算案を見ますと、マイナス三十億円、赤字予算であります。決算で結果として赤字になるということは、これはあり得るだろうと思いますけれども、予算段階から赤字を想定をする事態というのは余り尋常ではないのではないかというふうに思います。

 もちろん、受信料の値下げをすることがだめだと言うつもりはございませんが、しかし、値下げをするにしても、通期で四百二十二億円、受信料の六%相当分を還元するのではなくて、事業収支差金が均衡する状態で受信料の値下げ幅をとどめ、経過を見ながら段階的に値下げをしていく方法もあったのではないかというふうに思います。

 会長に伺いますが、あえて赤字予算とした理由を聞かせてください。

上田参考人 お答えいたします。

 受信料収入が堅調に推移し、事業収支差金や財政安定のための繰越金が計画を上回って増加していく見通しとなりましたことから、中長期の収支見通しを踏まえ、できるだけ速やかに値下げを実施する必要があると考えました。そのため、ことし十月の消費税率引上げの際に料額を改定せずに、実質二%の値下げを行うことといたしました。

 一方、事業支出では、本放送が始まった4K、8K番組制作の強化や防災・減災報道の充実、国際放送のさらなる充実等に取り組むために必要な予算を計上いたしました。

 これらの理由により、事業収支差金は三十億円のマイナスとなっております。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、別に値下げをするなと言っているんじゃないんです。収支とんとんのレベルでやるべきなのではないか、それが公共放送としてやるべきことなのではないか。結果として、それが赤字になる場合もあるし、黒字になる場合もある。これは、いろんな事情があって、そういうことは起こり得るだろうと思いますけれども、最初から赤字の予算を組むというのはちょっと普通ではないというふうに私は思います。

 そこで、ちょっと関連してお聞きしますけれども、事前の説明では、二〇二二年度まで収支差金の赤字が続き、二三年度から黒字に転化をする見通しだというようなお話を伺いました。

 昨年十一月十三日の経営委員会での坂本専務理事の説明だと、二〇二二年度までは繰越金の減少が続くとしております。二〇二二年度末、予想される繰越金の残高はどの程度になるのでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 財政安定のための繰越金は、二〇二〇年度末で六百二十二億円と見込んでおります。これは、この三カ年の収支計画を修正したことで盛り込んでおります。

 その後も一定期間赤字が想定されますため、更に一部を取り崩す見込みでありますけれども、受信料の増収を図るとともに、事業規模、支出を一定の水準におさめるよう厳正に管理していくことで赤字の圧縮を図り、適正な水準の繰越金の確保に努めていく考えであります。

 二〇二一年度以降の具体的な収支や繰越金については、次期経営計画で改めて具体的に検討し、お示ししたいと考えております。

吉川(元)委員 つまり、二二年度末の予想される繰越金の額というのは今の段階ではわからないという答弁ということでよろしいんでしょうか。

 石原経営委員長に伺いますが、昨年十一月の本委員会で、NHK決算の審議の際にも経営委員長に質問した経緯があります。

 改めて伺いますが、籾井前会長時代の二〇一六年にも値下げの提案がされました。その際には、事業計画と収支見通し、それから通信との融合時代の受信料制度、この二点について見通しが不十分であったために継続審議とされております。

 昨年十一月十三日の経営委員会に執行部から提出された経営委員の主な意見への回答でも、この点について触れられております。この回答を見ますと、収支見通しについて言えば、端的に言えば、受信料収入は安定的に推移しているし、繰越金もふえていることを理由に挙げています。一方、受信料制度については、インターネットの常時同時配信の実現に向けた取組を進めつつ、引き続き検討していく課題だとしており、受信料制度の変更を提起できる状況にはないということでありました。

 そういたしますと、籾井前会長時代も黒字が続き、繰越金もふえておりましたし、その意味では余り変わらない。そしてさらに、通信との融合の時代の受信料制度のあり方についてもまだはっきりとした見通しが立っていないように感じます。そして、今お話があった、二〇二二年度末の繰越金は一体幾らになるのか、これは次になってみないとわからないと言う。そういう意味でいうと、見通しが十分に私は立っているというふうには思えないんですが、二〇一六年の値下げ提案と何が異なっているというふうに経営委員会として判断されたのか、教えていただけますか。

石原参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃいました二点でございますが、まず、二年前、籾井さんのころ、事業計画と収支見通し、これが明確にありませんでした。値下げというのは中長期的に考えるべきものであって、収支見通しがある程度中期的にできていないと値下げというのはすべきではないという判断が一つ。

 それからもう一つは、放送と通信の融合時代の公共放送と受信料制度、これは全く検討されていなかった。放送・通信の融合、これをやりたいということをNHKは申し上げているわけでございまして、そういう中で、じゃ、受信料制度をどうするんだということは大きな問題になっておりました。

 その後、最高裁の判決なり営業努力、こういったものがありまして、受信料収入が大変堅調に推移しております。予定を上回る収入になっているわけでございますが、それから、同時に、支出についても、中長期的に、例えば、4K、8Kの経費はこのぐらいかかりますよとか、インターネットの活用業務についてこのぐらいお金がかかるとか、そういったことが明らかになってきたわけでございまして、そういった中での中長期的な収支を見ながら、値下げというものを判断しても、これなら大丈夫じゃないかということで判断したわけでございます。

 したがって、籾井さんのころと比べると、今申し上げた二つの点でございまして、それが明らかになったということで判断を申し上げました。

 我々としても、収支差金、これは先生おっしゃるように、できたら黒字、黒字が望ましいわけでございますが、場合によっては変動することもあるわけでございまして、そういった中で、できる限り安定した経営をしていくために収支差金を少しでも確保したいということでございますが、場合によっては、単年度的には、予算の段階でわずかながら赤字になるということもあろうかと思っているわけでございます。

吉川(元)委員 ちょっと最後の方がよく聞きとれなかったんですが、時間がありませんので、これ以上これはやりませんけれども、中長期的な視点が必要だ、私もまさにそうだと思います。だとするならば、二〇二二年度は、次の計画に入るけれども、そこまで見通した上で計画、値下げの幅を決めないと、二二年度については二一年度以降の経営計画に丸投げをするということでは、これは責任ある経営と言えるのか、私は非常に疑問に思わざるを得ません。

 そして、これは先ほど他の委員からも質問があったと思いますけれども、二〇二三年度に世帯数はピークアウトするというお話でありますし、それから、テレビの保有率も毎年〇・三%ずつ低下をして、受信料収入というのは恐らくその先どこかでピークアウトしていく、そして減少に転じていく。今の受信料のあり方だとすれば、これはもう明らかだというふうに思います。

 それから、4K、8Kについても、確かに本格的な実施が行われておりますけれども、まだその普及率というのは全世帯で一%弱ということで、そういう意味でいうと、客観的に見ても不安定な要素、不透明な要素が多々残っておりますし、実際に、先ほどの答弁で、二二年度、これだけ残りますと言われれば、なるほど、そういうふうに計画が立っているんだなというふうに思うんですけれども、それもまだよくわからないということでいうと、これは非常に私自身は不安を感じざるを得ません。

 少し質問を飛ばしますが、会長にちょっと伺いたいんですけれども、値下げ案を了承した十一月二十七日の経営委員会で、冒頭、上田会長の挨拶がございました。会長は、世帯数の減少など、経営環境が厳しくなる中での値下げは平たんな道ではないとした上で、だからこそ、改革の好機と捉え、変える勇気と覚悟を持って取り組んでいく決意を示しておられます。

 会長の決意がしっかりと協会全体そして執行部に響いていくのかどうか、私自身は注視をしていきたいと思いますが、まずはこの会長の、改革の好機、変える勇気と覚悟、この意味するところをもう少し具体的に教えていただければと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 御指摘の発言は、昨年十一月二十七日、経営委員会で、受信料の値下げを含む還元策を盛り込んだ三カ年経営計画の修正を議決していただく際に、先生言ってくださいましたように述べたものであります。

 この中で、改革の好機と表現いたしました趣旨は、厳しい経営環境のもと、将来にわたって持続可能なNHKに再構築していくという目的と危機感を全ての役職員がきちんと共有し、抜本的な業務改革に取り組んでいくことが今何より必要であると考えたためであります。

 公共放送、公共メディアとして、信頼される情報の社会的基盤の役割を今後もしっかりと果たしていくために必要な放送サービスに引き続ききちんと取り組んでまいりたいと考えております。

 一方で、最高水準の放送サービスを提供する東京オリンピック・パラリンピックが終了した二〇二一年度以降は、NHKグループ一体で既存業務を見直す抜本的な改革を更に進め、変える勇気と覚悟を持って、事業規模、事業支出を一定の適正な水準におさめてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 次に、総務大臣の意見について尋ねますが、通常、これまで例年、NHKの予算案について、総務大臣意見として、おおむね妥当、こういう判断がされておりますけれども、今回の総務大臣意見では、それに該当する部分が見当たりません。

 これだと、総務大臣としての来年度予算に対しての態度、了なのかあるいは了とはできないのか、これがよくわからないんですが、なぜこうした判断を避けた形になっているのか、教えてください。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 NHK平成三十一年度予算に付する総務大臣意見におきましては、赤字を見込んでいる点につきまして、本年十月の消費税率引上げ時に受信料額を据え置くなどを考慮しますと、やむを得ないとの判断を行いまして、その旨の意見を付したところでございます。

 なお、これまでの大臣意見におきましても、やむを得ないとする意見を付したところもあるところでございます。

 結論として、総務省としては、平成三十一年度予算につきまして、変更すべきといった旨の意見は付しておりませんで、おおむね容認しているということでございます。

吉川(元)委員 私は、やはり赤字予算というのは余り正常な状態じゃないということだけ言っておきたいと思います。

 ちょっと飛ばしまして、大臣に伺いますけれども、関連して、昨年の大臣意見では、働き方改革の次の項目で、職員数の削減も視野に入れた業務の合理化という表現が使われておりました。私自身、その時点では、これは働き方改革と逆行するのではないか、そうしたことを指摘させていただきました。

 ことしの大臣意見では、この部分が、適正な給与水準、人員の配置というふうになっております。この点について、なぜこうなったのか、教えてください。

石田国務大臣 NHK平成三十年度の予算に付した大臣意見におきましては、NHKは、国民・視聴者の受信料によって支えられていることを踏まえまして、時代に合わせて不要となった業務の要員を削減することも視野に入れた要員数の適正化を図っていただきたいという趣旨であったわけであります。

 他方、本年四月から働き方改革の推進のための改正労働基準法等が施行されることを踏まえまして、今回の総務大臣意見におきましては、NHKに働き方改革の一層の推進を図っていただく観点から、業務の合理化、効率化とともに、業務の見直しに合わせた適正な人員配置等の確保に重点を置いて指摘したものでございます。

吉川(元)委員 私自身は、これは真っ当なことだろうと。たしか、経営委員会の中でも石原委員長の方から、働き方改革をする際には、やはり人員の確保ということが、当然、普通の会社であれば必要になってくるがというふうな御意見もございましたし、そういう意味でいうと、働き方改革をしっかり進めていくためにも、この人員の配置の確保、NHKに努力をしていただきたいというふうに思います。

 NHKに伺います。

 今回、値下げを行うということで赤字の予算というふうになりましたが、この赤字の予算、当然、収入が減るわけですけれども、これが職員の雇用あるいは賃金を含めた処遇、これにどのように関係してくるのか。私は、これは関係をさせてはならないというふうに考えますが、その点、いかがでしょうか。

松坂参考人 お答えいたします。

 公共放送、公共メディアとして視聴者の期待に応える放送サービスを実施していくことは何よりも重要でありまして、そのために必要となる要員の確保については大切であるというふうに考えております。職員に効率的かつモチベーション高く働いてもらうことも重要であり、処遇については、財政状況や社会状況を踏まえて適正な水準を維持していくことが必要だと考えております。

 受信料で成り立つNHKは、適正かつ効率的な業務運営が強く求められており、今回の受信料の値下げもそうした点を踏まえて行うものでありますけれども、職員の雇用、処遇の確保についても、同様に適正な水準を維持するように努めていきたいと考えております。

吉川(元)委員 ぜひそういうふうに、赤字の予算を組んで、そして、それを黒字にするために、それが職員の雇用やあるいは賃金、労働条件を悪くするようなことがないように、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。

 仕事量は変わらず、しかも超勤はだめ、そうしますと、これは、ほかの職場でもそうだと思いますけれども、こういう無理なことを現場に押しつけますと、結局いろんな意味で労働強化が行われていく、そういうことになっていくというふうに思います。

 昨年十一月十三日の経営委員会の議事録を見ますと、経営委員からは、今お話あったとおりですけれども、働く時間が短くなったから給与が下がってしまうというと、モチベーションが下がってしまう。給与においても優秀な若い人たちを引きつけるということで、削減すればいいというわけではない、こういう指摘もされております。受信料値下げ、そして働き方改革宣言、大きなエポックの中で、職員がモチベーションを持って働くことのできる処遇をしっかりと検討していただきたいというふうに思います。

 関連して、会長に最後に一点お聞きをしたいんですけれども、業務の見直しについてお聞きをしたいと思います。

 私個人の受けとめになるかもしれませんけれども、NHKの三カ年計画、公共メディアへの進化、これがうたわれておりますが、その中で、やはり、業務の見直しというのは、これは最も重要な柱だろうと。十年が一日のごとしのあり方ではなくて、まさに今大変な時期にNHKは差しかかろうとしている。それは、世帯数も減少するし、テレビの保有率も下がっていく。そういう中で、しっかりと公共メディアに進化していく上で、この業務の見直しというのは大変重要な課題だと思いますし、それを打ち出すことによって、NHKはこう変わっていくんだ、そういうメッセージを視聴者の皆さんに伝えていくことが私は必要だろうというふうに思います。

 そこで、どのような見直しを今年度既に行われたのか、そして、来年度以降どのような見直しを行われるのか、御説明をお願いします。

上田参考人 お答えいたします。

 予算と要員が限られる中で、働き方改革を推進しながら、新たな業務にチャレンジし、公共放送、公共メディアとしての役割を果たし続けてまいりたいと考えております。

 そのためにも、グループ一体となって既存業務を見直す抜本的な業務改革を進め、将来にわたって、効率的、効果的で持続可能な業務体制を構築してまいりたいと考えております。

 二〇一八年四月に全役員から成る業務改革推進会議を設置いたしました。この業務改革推進会議を改革のエンジンとして、NHKグループ一体で業務改革に取り組み、既存業務を見直し、経営資源を有効に活用していく所存です。

 例えば、放送サービスでは、4K、8K本放送が始まったことを踏まえまして、視聴者保護の観点を堅持した上で、その普及状況を見つつ、衛星波を整理、削減する方向で、本放送開始後、一年後をめどに、一定の考え方を示したいと考えております。

吉川(元)委員 しっかり取り組んでいただくことをお願いして、私の質問を終わります。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 よろしくお願いします。

 きょうはNHKの予算について質問したいと思いますけれども、通告はしていないんですが、きょうの議論を聞いていて、やはり、NHKの不偏不党について、本当、大丈夫なのかというふうに、この質疑を聞いていて思っておられる国民の方はおられるんじゃないかと思うんです。私は、やはりNHKは絶対に不偏不党であるべきだ、これはもう絶対に守っていただきたい。これはもう強く求めたいと思います。

 会長には、これは通告していないんですけれども、不偏不党、これについて、やはり職員を徹底的に指導してもらいたいと思います。会長、この点について、どう思われますか。

上田参考人 お答えいたします。

 NHKといたしましては、放送法にのっとり、番組編集の自由を確保して、公平公正、不偏不党、自主自律を貫くことが、視聴者から信頼されるかどうかの生命線であると考えております。

 国民の知る権利に応え、特定の利害に左右されることなく、意見が対立している問題は多角的に取り扱うなど、基本的な姿勢を堅持することが重要と考えており、これからも、この認識を常に持ち、業務の執行に当たってまいりたいと考えております。

井上(一)委員 職員の指導をぜひ徹底していただきたいと思います。

 それでは、予算に関連いたしまして、受信料の引下げに伴いまして、来年度予算、事業収支が三十億円の赤字、これはもう議論で出ております。二〇二〇年度予算でも二百十五億円の赤字、そして収支見通しでは、二〇二一年、二〇二二年と赤字が続いて、ようやく二〇二三年度では黒字を確保する、こういう見通しだというふうに聞いておりますけれども、具体的にこの黒字を達成するためにどういうような計画をお持ちでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 事業収支につきましては、受信料値下げ等により減収となりますけれども、公平負担の徹底などにより、増収の確保に努めてまいります。

 事業支出は、一層の業務改革の推進などにより経費の削減を行い、一定の適正な水準におさめるよう厳正に管理してまいります。

 これにより、事業収支差金は、二〇二二年度までの間マイナスが続く見込みでありますけれども、二〇二三年度には黒字に転換すると見ております。

井上(一)委員 これから徹底的な経費削減に努めるということになろうかと思いますけれども、総務大臣からも、聖域なく徹底的に経費節減に取り組むことを強く求めるということで、これからいろんな検討が行われてくると思いますけれども、私は、ぜひお願いしたいのは、地域の放送局、これにしわ寄せが来ることがないように検討していただきたいと思います。この点については以前も質問させていただいて、職員の半数以上が地域の放送局に勤務しているということで、これはしっかり配慮してやっていくんだというふうに聞いておりますけれども、改めて、地域の放送局にしわ寄せが行かないように、そういう検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 地域放送サービスの充実は、多様な地域社会への貢献として経営計画の重点方針の一つに掲げ、地域改革に積極的に取り組んでおります。NHKの全国ネットワークを生かしながら、地域の魅力や課題を広く発信し、地域に寄り添う放送サービスの強化を図っていくことが重要であると考えております。

 三十一年度の地域放送サービスの予算は、地域改革を更に進めるため、ブロック経営の推進に取り組むことなどによりまして、三十年度から十二億円の予算を増加させております。

 以上です。

井上(一)委員 地方にしわ寄せが行かないように、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、続きまして、NHKの大変重要な使命であります大災害時を始めとする緊急時の対応について質問をしたいと思います。

 NHKの京都放送局では、東日本大震災に当たる三月十一日、これに京都府内のコミュニティー放送局加盟の放送五局、これと、大規模な災害が発生した場合にNHKの非常災害ニュースの情報を利用できる覚書を締結したということで、非常にいい取組だというふうに思っております。

 大規模な災害が発生した際の情報提供、これはもうNHKとして本当に極めて重要であると、これは会長もいつもおっしゃっておりますけれども、特に高齢者、それから視聴覚障害者、特にこれからは外国人、こういう方々を含めて、あらゆる人々に迅速かつ正確な災害情報が届くということが必要であると思います。

 現在、NHKとして、まず、どのような取組を行われているか、聞かせていただきたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 外国人や障害者、高齢者などの方々への災害時の情報提供は、公共メディアとして極めて重大な課題だと受けとめております。さまざまな取組を進めております。

 例えば、テレビのL字画面に、台風などへの注意を英文で表示したり、NHKワールドの英語サイトに誘導するQRコード、これを表示したりしております。

 昨年九月の北海道胆振東部地震の際には、総合テレビの映像に英語の同時通訳をつけて、NHKワールドの英語サイトなどを通じて情報を伝えました。

 また、総合テレビでも副音声での二カ国語放送の充実強化に努めております。

 聴覚障害者の方々のためには、特設ニュース等にすぐ字幕を出せる体制を午前七時から深夜零時まで組んでおります。字幕付与ができない時間帯には、文字スーパーやL字放送で情報を伝えております。

 今後も、さまざまな伝送路を活用して、災害時の情報提供を充実させていきたいというふうに思っております。

井上(一)委員 私は、先日、NHKの放送技術研究所に伺いまして、いろいろお話を伺いました。

 その中でも、AIを活用して、災害時の情報提供、いろいろなことを取組をしているのを聞きましたけれども、今後、どういう点に力を入れてそういった技術研究をやっていくのか、教えていただきたいと思います。

児野参考人 お答えいたします。

 NHKでは、人に優しい放送技術の研究に取り組んでおり、高齢者や障害者、外国人も含め、誰もが災害時に生命を守るための放送サービスを受けられるようにするなど、情報のバリアフリーに向けた研究開発を進めています。

 現在は、より多くの番組に字幕を付与するための音声認識技術、CGによる手話アニメーションの自動生成技術、外国語での情報発信に向けた自動翻訳などの研究に取り組んでいます。

井上(一)委員 引き続きそういった面での技術研究を進めていっていただきたいと思います。

 その際に、研究所に伺った際に、議論でもありました4K、8Kについても説明していただき、私も、この4K、8Kテレビ、実際に視聴をさせていただきまして、本当に、臨場感あふれ、まさに、今までの映像、音響とは違う、異次元の体験をさせていただきました。

 それで、昨年十二月一日からこの4K、8Kの衛星放送が始まったばかりですけれども、正直、まだ余り知られていないのではないかと思います。今後、この4K、8Kの普及に向けてどのような取組を行っていかれるか、お聞かせいただきたいと思います。

坂本参考人 お答え申し上げます。

 4K、8Kの本放送、去年の十二月から始まりましたけれども、電子情報技術産業協会、JEITAによりますと、受信機出荷台数の予測として、東京オリンピック・パラリンピックが開催されます二〇二〇年には、4Kテレビ、4K対応テレビの累計が千三百万台を超えるというふうに見込んでおります。また、8Kは二〇二二年までにおよそ五十万台が普及するとしております。

 NHKでは、より多くの視聴者の皆様に4K、8Kの新しい価値を提供できますよう、魅力的なコンテンツを充実させるとともに、総合テレビを始めとする放送やホームページなどを通じまして、視聴方法を丁寧に説明し、放送の普及に努めてまいりたいと考えております。

 新たなサービスの魅力に触れていただくために、大画面によりますパブリックビューイングなどについても効果的に実施をしてまいりたいと考えております。8K放送を受信するには、衛星の左旋の波に対応した受信設備が必要であります。普及に向けた取組は、総務省の4K・8K推進のためのロードマップに沿いまして、関係者オール・ジャパン体制で取り組んでいるところです。

 今後とも放送サービス高度化推進協会、BS民放、ケーブルテレビ事業者、受信機メーカー等と連携をとりながら、放送番組の周知広報、受信環境の整備のお問合せなどにきちんと対応してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 4K、8Kを普及させようとすると、私は、衛星放送のみならず、やはり地上放送をやっていく必要があるのではないかと思いますけれども、やはりいろいろな技術的課題もたくさんあるとは聞いていますけれども、どういう課題があるのか、教えていただきたいと思います。

児野参考人 お答えいたします。

 NHKでは、総務省の委託研究の一部を受託しまして、平成二十八年度から三十年度にかけて、4K、8K映像を地上波で放送するための技術に関する研究開発に取り組んでまいりました。この委託研究では、現行の地デジ方式の特徴を継承しつつ、映像データを圧縮する技術の改善や、現状よりも大容量データを伝送する無線伝送技術の研究開発を行ってきました。

 この成果を実証するため、東京と名古屋において実験試験局を整備し、野外における伝送実験を実施して、一定の成果を得ることができました。

 今後の課題としましては、情報量の多い4K、8K映像を地上波で放送するためのさらなる映像圧縮技術の開発や、さまざまな地形において電波を安定して送信、受信する、そのための技術などの研究開発を進めていく必要があろうかと思っております。

井上(一)委員 今、いろいろ技術的な課題がありましたけれども、総務省としても、4K、8K、これを普及させていくということは考えておられると思うんですけれども、総務省として、この4K、8Kの普及に向けてどういうような取組をされているか、お聞かせいただきたいと思います。

佐藤(ゆ)副大臣 お答えいたします。

 まず、昨年十二月一日に新4K8K衛星放送が開始されたわけでございますが、4K、8Kは、超高精細で立体感、臨場感あふれる映像によりまして、国民・視聴者に対してこれまでとは全く別の次元の視聴体験を提供するというものでございます。

 新4K8K衛星放送の普及に向けてでございますが、対応受信機等の受信環境整備と、そして、4K、8K放送ならではのコンテンツの提供という、いわばハードとソフト両面での取組の一体的な推進が必要であるというふうに考えております。

 まず、対応受信機についてでございますが、昨年の秋以降、各メーカーからチューナー内蔵テレビ等が順次発売されておりまして、商品ラインナップが充実しつつございます。今後、こちらの方の普及が加速することをまず期待したいというところでございますし、また、コンテンツにつきましては、既存のコンテンツのリメークも可能ではございますが、やはり撮影、編集等、全ての制作プロセスを4K、8K対応機材で行うことで一層高精細映像が実現できる、いわゆるピュア制作コンテンツですとか、あるいは4K、8Kチャンネルでしか視聴できないオリジナルコンテンツの拡充が大きな鍵を握るというふうに考えております。

 なお、高精細な4K、8Kの映像でございますが、実は放送以外でも、例えば医療分野での内視鏡やセキュリティー分野での防犯カメラなどを通じた診断や認証にも有効でございまして、さまざまな産業活用を通じた市場の拡大によって、まず、4K、8K関連製品の今後の低廉化が期待される。

 そして、総務省といたしましては、こうした産業面での4K、8K技術のICT活用の普及拡大にも取組をしつつ、放送におきましては、引き続き関係者と連携をしながら、新4K8K衛星放送の魅力や視聴方法に関する周知広報活動を強化してまいりたいと存じます。

井上(一)委員 この4K、8K、先ほど言いましたように非常に情報量も多いですので、私、災害が起こった場合の映像伝送とか、ああいうのに使うと非常にいいんじゃないかなと思っておりまして、ちょっと時間があれば、その技術的課題とか、防衛省もきょう来てもらっているんですけれども、そういったヘリの映像伝送装置に、4K、8K、こういった技術を応用してもらうことはどうかというような質問をしようと思ったんですけれども、ちょっと時間が押していますので、その質問は飛ばします。

 それから、先ほどの地方を大事にしてほしいという観点から、幾つかちょっと質問させていただきたいと思います。

 平成三十一年度の総務大臣意見の中でも、地方の創生の観点から、地域の関係者と連携することにより、多様な自然、歴史、文化、人々の暮らしなどそれぞれの地域ならではの魅力の紹介、地域経済の活性化に寄与するコンテンツについて、その充実や国内外に向けた積極的発信に一層努めることとあります。

 総務委員会でも、私、地域おこし協力隊について質問をしたんですけれども、こういった地域おこし協力隊の皆さんの意見とかを聞きながら、連携をとって、地域の魅力をぜひ発信していただきたいと思うんですけれども、この点についてNHKの御意見を聞かせていただきたいと思います。

木田参考人 お答えいたします。

 NHKの経営計画では、NHKが追求する六つの公共的価値の一つとして、地域社会への貢献を位置づけており、三カ年の重点方針でも多様な地域社会への貢献を掲げ、地域の魅力や課題を広く発信し、多様な地域社会に貢献することを目指しております。

 二〇一九年度の国内放送番組編集の基本計画でも、編集の重点事項の一つに、「全国の放送局と本部がしっかりと連携して、地域社会に貢献」ということを明記して、地域社会では、地域に暮らす人の視点から、役立つ情報、関心の高いテーマ、固有の課題などを積極的に取り上げ、全国放送では、豊かな自然、文化、人々の営みなど、地域の魅力を広く発信することとしております。

 地域おこし協力隊については、地域をテーマにしたニュースや番組でたびたび取り上げており、今後も取材していくことになるものというふうに考えております。地元に根づいて地域の活性化に貢献している人たちとも広く連携して、情報をいただきながら、地域の放送サービスの充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 大河ドラマもありましたけれども、次、来年は「麒麟がくる」ということで、京都の北部の皆様、大変楽しみにして、期待しております。

 これは何回も会長にはお願いしているんですけれども、京都北部、いろいろ、明智光秀とか細川ガラシャ、細川幽斎、これに関連する、非常に、史跡、名勝がたくさんありますので、ぜひ地域を盛り上げるためにもロケーションを多くのところでやっていただきたいというお願いを何回かしているんですけれども、これについて改めて会長のお話を聞かせていただきたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 「麒麟がくる」、この大河ドラマの撮影はまだ始まっておりませんけれども、ドラマのロケ地は、企画内容や予算規模、場面や設定にふさわしい風景、交通の便、地域からの要望など、さまざまな要素を総合的に勘案し、番組制作部門が決定いたしております。

 いろいろな地域からさまざまな御要望をいただきますが、今挙げましたような観点から、引き続き総合的に検討してまいりたいと考えております。

井上(一)委員 時間が来たので終わりますけれども、あと、京都北部に綾部市というのがありまして、そこはグンゼの発祥地なんですけれども、波多野鶴吉さん、はなさん、それが創業者なんですが、そこでも、綾部で朝ドラの誘致活動も行っておりますので、その点についてもぜひ伝えておきたいと思います。

 じゃ、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について採決いたします。

 本件を承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 この際、ただいま議決いたしました本件に対し、あかま二郎君外六名から、自由民主党、立憲民主党・無所属フォーラム、国民民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び希望の党の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。高井崇志君。

高井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)

  政府及び日本放送協会は、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 協会は、平成三十一年度予算において事業収支差金の赤字を見込んでいることについて、放送法に定められた目的に即し、業務の大胆な見直しなどの改革を進めることにより、早期の黒字化等安定的な業務運営の体制確保に努めること。

 二 協会は、平成二十五年に首都圏放送センターの記者が過労で亡くなられた事実を重く受け止め、しっかりと検証し、協会の業務に携わる者の命と健康を最優先とし、適正な業務運営と労働環境確保に努め、長時間労働による被害を二度と起こさないよう、全力で取り組むこと。

 三 協会は、協会本体及びグループの職員による一連の不祥事に対し、国民・視聴者から厳しい批判が寄せられていることを踏まえ、協会一体となって綱紀を粛正しコンプライアンスを徹底した運営を行うことで、信頼回復に努めること。また、子会社を含むグループ全体としての経営改革に組織を挙げて迅速かつ確実に取り組むこと。

 四 協会は、放送番組の編集に当たっては、受信料を財源とする公共放送の性格を定めた放送法の趣旨を十分踏まえ、事実に基づく放送に強い責任を自覚し、かつ政治的公平性を保ち、我が国の公共放送としての社会的使命を果たすこと。また、寄せられる様々な意見に対し、必要に応じ自律的に調査し、その結果を速やかに公表し、国民・視聴者に開かれた公共放送として信任を得られるよう努めること。

 五 政府は、日本国憲法で保障された表現の自由、放送法に定める放送の自律性に鑑み、協会を含めた放送事業者の番組編集について、引き続き自主・自律性を尊重すること。また、経営委員の任命に当たっては、社会に対する重大な職務の公共性を認識し、公正な判断をすることができる経験と見識を有する者を、教育、文化等の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して幅広く選任するよう努めること。

 六 経営委員会は、協会の経営に関する重要事項を決定する権限と責任を有する最高意思決定機関であることを深く認識し、協会が放送法に定められた役割を的確に果たせるよう、監督権限を行使すること。役員に不適切な行為がある場合、又は、公共放送の倫理観にもとる行為がある場合には、監査委員会と十分連携しながら再発防止の観点から厳格に対処すること。

 七 協会は、その運営が受信料を財源としていることを踏まえ、国民・視聴者に対し、情報を十分に開示し、説明を尽くすこと。また、そのために、経営委員会及び理事会等における意思決定過程や、財政運営上の規律、不祥事に伴う処分、子会社等の運営の状況、調達に係る取引等を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、議事録の適切な作成・管理に努めること。

 八 協会は、放送センターの建替えに際し、受信料を財源としていることを踏まえ、透明性を確保するとともに、建設費の大幅な増大が生じないよう万全を期すこと。

 九 協会は、平成二十九年十二月の最高裁判決にも鑑み、公共放送の存在意義及び受信料制度に対する国民・視聴者の理解の促進や信頼感の醸成に協会一体となって、一層努めること。また、受信契約の締結に際しては、視聴者の理解を得ながら適正に行われるべきことを、職員及び業務委託先に指導し、周知徹底すること。なお、受信料については、繰越金や今後の事業収支の状況を踏まえ、公共放送の役割を持続的に果たしつつ、国民・視聴者の十分な理解を得られるよう、減免対象の拡大など受信料体系・水準の在り方を含めて、業務やガバナンスの在り方と併せて検討すること。

 十 協会は、インターネット常時同時配信等通信分野での業務について、民間放送事業者の見解に十分留意しつつ、国民・視聴者のニーズや動向を的確に把握し、国民・視聴者に対する情報提供や関係者間での情報共有及び連携を図り、通信分野での協会の在り方について、できるだけ明確にその姿勢を示すよう努めること。

 十一 協会は、国際放送については、我が国の経済・社会・文化等の動向を正しく伝え、我が国に対する理解を促進するよう努めること。また、番組内容の充実、国内外における国際放送の認知度の向上等に努めること。

 十二 協会は、自然災害が相次いでいる現状に鑑み、地震災害、風水害、雪害等、いかなる災害時にも放送・サービスが継続され、正しい情報が国民に伝達されるよう、地方局と連携し、放送設備と体制の強化を図ること。

 十三 協会は、4K・8Kの放送設備については、過剰投資、多重投資とならないよう十分な計画性を持って実施すること。また、4K・8K放送普及後の衛星放送の在り方についても、検討すること。

 十四 協会は、サイバーセキュリティ基本法に定める重要社会基盤事業者であること及び2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてサイバー攻撃の脅威が高まっていることに鑑み、関係機関と緊密な連携を図り、サイバーセキュリティの確保に取り組むこと。

 十五 協会は、地域の魅力を生かした活性化と発展の観点から、地域の様々な分野の関係者と連携を強化し、それぞれの地域ならではの魅力の紹介及び地域の発展に寄与するコンテンツの充実並びに国内外に向けた積極的発信に努めること。

 十六 協会は、早急に障害者の法定雇用率を達成し、職場での差別禁止や合理的配慮を徹底し、障害者の働く環境改善を進めること。

 十七 協会は、女性の採用・登用について、より高い数値目標を設定し、性別に関係なく仕事と家庭が両立できる職場の環境改善を進めること。

 十八 協会は、放送と通信の融合が進む中で、公共放送の在り方について、不断の検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

江田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

江田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、石田総務大臣及び日本放送協会会長上田良一君から発言を求められておりますので、これを許します。石田総務大臣。

石田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

江田委員長 次に、日本放送協会会長上田良一君。

上田参考人 日本放送協会の平成三十一年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして御承認を賜り、厚くお礼申し上げます。

 本予算を執行するに当たりまして、御審議の過程でいただきました御意見並びに総務大臣意見の御趣旨を十分生かしてまいります。

 また、ただいまの附帯決議は、協会運営の根幹をなすものでございますので、十分踏まえて、業務執行に万全を期したいと考えております。

 本日は、ありがとうございました。

    ―――――――――――――

江田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十九分散会


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