衆議院

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第11号 平成31年4月9日(火曜日)

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平成三十一年四月九日(火曜日)

    午後三時二十五分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 あかま二郎君 理事 井上 信治君

   理事 小倉 將信君 理事 小林 史明君

   理事 西銘恒三郎君 理事 高井 崇志君

   理事 奥野総一郎君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      上杉謙太郎君    大西 英男君

      金子万寿夫君    神山 佐市君

      木村 次郎君    佐藤 明男君

      田野瀬太道君    冨樫 博之君

      長坂 康正君    鳩山 二郎君

      百武 公親君    福田 達夫君

      穂坂  泰君    三浦  靖君

      務台 俊介君    宗清 皇一君

      山口 俊一君    伊藤 俊輔君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      岡島 一正君    中谷 一馬君

      長尾 秀樹君    山花 郁夫君

      稲富 修二君    日吉 雄太君

      國重  徹君    本村 伸子君

      足立 康史君    吉川  元君

      井上 一徳君

    …………………………………

   総務大臣         石田 真敏君

   総務大臣政務官      大西 英男君

   総務大臣政務官      國重  徹君

   厚生労働大臣政務官    上野 宏史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       横田 信孝君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  讃岐  建君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  林崎  理君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 北條 憲一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 藤澤 勝博君

   参考人

   (統計委員会委員長)   西村 清彦君

   総務委員会専門員     近藤 博人君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  木村 次郎君     上杉謙太郎君

  長坂 康正君     神山 佐市君

  山口 泰明君     百武 公親君

  伊藤 俊輔君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     木村 次郎君

  神山 佐市君     長坂 康正君

  百武 公親君     山口 泰明君

  逢坂 誠二君     伊藤 俊輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件(統計問題)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、特に統計問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として統計委員会委員長西村清彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房政策立案総括審議官横田信孝君、行政評価局長讃岐建君、自治行政局長北崎秀一君、自治財政局長林崎理君、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官北條憲一君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君及び厚生労働省政策統括官藤澤勝博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、大変お忙しい中、西村統計委員長においでいただきましたので、統計委員長を中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、毎勤統計の不正事案、厚労省の特別監察委員会が二月二十七日に追加報告を発表いたしました。これに対して、三月六日の統計委員会で五人の委員から意見が提出されました。見させていただきますと、大変厳しい言葉がたくさん入っております。再発防止を考える際に必要な情報が著しく不足している、あるいは、学術の世界であったなら間違いなく学界から追放される、そういう事案であるにもかかわらず、重大性に対する認識が不足している、こうした言葉が五人の委員から意見書として提出をされております。

 この意見書をもとに、三月十一日に厚労省に要望が出されて、十八日には厚労省から一部回答が寄せられた形になっております。

 統計委員会から厚労省への要望は技術的、学術的見地からのものと理解しますけれども、調査計画を審査し、公的統計を整備する司令塔の役割を果たすのが統計委員会、技術的、学術的側面にとどまらず、もっと思い切った意見を述べてもいいというよりも、述べるべきだというふうに私自身は思います。

 ところが、この統計委員の意見、そしてそれをもとにした統計委員会からの要望に対し、特別監察委員会の樋口委員長は、監察委員会は事実確認と責任の所在を解明するのが仕事で、技術的、学術的観点から検討を行う場ではない、こういう国会答弁をしております。

 そもそも、その事実確認も責任の所在も明らかにできなかった調査で、よく言えるなというふうに感じるんですが、この答弁、西村委員長はどのように感じていらっしゃいますでしょうか。

西村参考人 お答えさせていただきます。

 統計委員会というのは、これは原則ですけれども、統計の品質確保のために、統計技術的、学術的、以前から統計技術的というのは言っているんですが、もう一点、学術的というのをもう一つ加えさせていただきたいと思いますが、そういう観点から審議を行っておりますし、本件についても審議を行っているというか、まだ行っている最中ですから、行っているということです。

 一方、その特別監察委員会は、毎月勤労統計調査の不適切な事務処理の事実関係を明らかにするために報告書を取りまとめたというふうに伺っておりまして、統計委員会としては、あくまでもそのような位置づけのものと認識しております。

 このことから、特別監察委員会の報告書そのものについては統計委員会としては評価できるものではないというふうに考えておりまして、お答えは差し控えたいと思います。

 三月六日の統計委員会に提出された五名の統計委員会委員の連名の意見書は、毎月勤労統計調査の今後の改善に向けて統計技術的、学術的観点から検討するために必要とされる情報であって、二月二十七日に厚生労働省により公表された、今御案内にありました、毎月勤労統計調査をめぐる不適切な取扱いに関する事実関係とその評価等に関する追加報告書に掲載されていない情報について同省に提供を求めるという内容でありまして、私も統計委員会の場で発言したとおり、追加報告書の内容を云々するということを趣旨としたものではありません。

吉川(元)委員 今、統計委員長、品質確保というお話をされました。まさにその品質が確保できていないといいますか、でたらめな統計処理が行われたということで大きな問題になっているわけです。

 この五人の連名の文書を見させていただきましたけれども、まさに追加報告書に対する意見書でありまして、また、これをもとにして、要望という形で、この要望の中には、ここに出されている五人の方から出された意見書の言葉を端々にちりばめながら、要望という形で出されております。

 そういう意味でいいますと、もうちょっと踏み込んでお話をしていただかないと、これ、結局うやむやになってしまう。技術的、学術的観点ということでいいますと、例えば追加報告の中にも、二〇〇四年一月に東京都の大規模事業所を抽出調査に切りかえたとき、適切な復元がなされていれば、統計としての精度は調査計画の範囲内におさまると考えられるが、してこなかったと指摘するなど、非常に技術的な側面もこの追加報告の中にはされているわけでありまして、そういう意味でいうと、この追加報告について云々できないというのは余りに消極的で、結局、事実をきちんと解明をして、再発防止をしていくためにも、この追加報告書の問題点というのはきちんと、追加報告の問題点についてはやはり統計委員会として問題を指摘すべきだというふうに私は思います。

 厚労省にお聞きします。

 そもそも、統計委員会から意見が出され、委員からは情報提供の要望、これが出されたこと、これ自体、どのように受けとめていらっしゃいますか。

藤澤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今も委員からも御説明ございましたように、ただいまの意見書の提出、統計委員会の五人の委員の方から意見書の提出を受けまして、西村統計委員長の命により取りまとめられ、総務省の担当室から厚生労働省に対して、厚生労働省への情報提供の要望ということで届けをいただきましたものでございます。

 その要望につきましては、私どもで今後とも、統計委員会の検証に当たって、適切にその内容に対して説明を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 昨日、この質問のレクをやった際に、それに多分お答えがありました。私が聞きたいことはそういうことじゃないと何度も言ったはずです。

 要望に対して誠実に応えるとかということではなくて、この追加報告、いわゆる監察委員会というのは、厚労省の中でつくられたわけでありまして、これが用をなしていない。非常に厳しい言葉ですよ。間違いなく学界から追放される、こんな統計不正が行われたら、こういうことが言われている。その重大性に対する認識が不足しているというふうに言われているんですよ。そのことについて、第三者委員会、監察委員会を設置した人間として、どういうふうに考えているのかというのを聞いているんですよ。それを答弁してくれときのう言ってあるんですよ。

土生政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、要望書につきましては、ただいま同僚から御答弁させていただきましたとおり、私どもとして、できる限り丁寧に御説明させていただきたいと思っております。

 それから、御指摘ございました特別監察委員会の報告書につきまして、さまざまな、各方面から厳しい御指摘をいただいているということは私ども真摯に受けとめたいと考えております。

 他方で、厚労省といたしましては、特別監察委員会は、統計の専門家、あるいは法律の専門家、高等裁判所長官経験者等々、民間有識者でまとめていただいたものでございまして、中立的、客観的立場で、今般の事案の事実関係、あるいは関係職員の動機、目的、認識等を明らかにしていただいた、このように考えております。

吉川(元)委員 じゃ、統計委員会、五人の方の意見書、そして、それをもとにしてつくられた要望、これは、中身からすると、この監察委員会というのは全く監察できていないというふうに読める、そういう、こんな追加報告書じゃだめだというふうに言っているんですよ。それについてどういうふうに考えているのか。この監察委員会の第三者性というのは設立当初からいろいろ問題があって、結果的に、それによって追加報告を出さざるを得なくなった。その追加報告に対してもなお、こういう意見が出されている。

 例えば、民間の格付、こういう第三者委員会などの調査結果を格付評価していらっしゃる方々から、今回の案件について、委員全員一致で最低ランクの評価、最低最悪の報告書、こういうふうに位置づけられているんですよ。

 もちろん、学識経験者、非常に高い、いろんな知識を持っておられる方がメンバーとしているということは、それはそれでいいですよ。だけれども、追加報告自体含めて最低最悪だと、報告書というのは、というふうに言われていることについて、どう受けとめているのかというのを聞いているんです。

土生政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになって恐縮でございますけれども、先生御指摘の点を含め、今回の特別監察委員会の報告書につきまして、さまざまな厳しい御指摘をいただいている、このことは私どもとして真摯に受けとめたいと思っております。

 他方におきまして、厚生労働省といたしましては、今回の特別監察委員会は中立的、客観的な立場で事実関係等を明らかにしていただいたということでございまして、統計委員会からの御要望につきましては、統計技術的、学術的な観点からしっかりと対応してまいりたい、そのように考えております。

吉川(元)委員 ちょっともう時間が来てしまいましたので。

 率直に言わせていただいて、この第三者性だとか、監察ができていないという指摘を受けているにもかかわらず、依然として、事実関係が明らかになった、真摯に受けとめると言いながら、この監察委員会が出した報告並びに追加報告書について、それは了としている、いいものができた、そういうふうに考えていらっしゃるとしか思えませんし、仮にそうだとすれば、これは全く事実解明につながっていない監察委員会、お手盛りの監察委員会であるということを指摘して、私の質問を終わります。

江田委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 立憲民主党の逢坂誠二です。

 よろしくお願いします。

 まず最初に、四月の二十七日から始まる十連休への対応についてお伺いをします。

 次の三点についてお伺いしたいんですが、まず一つ、生活保護費、これの支給日は、通常、毎月一日から五日の間、この間に大体全国の自治体で支給されているのではないかと承知しているんですが、この時期はまさに連休に当たるんですが、支給日の前倒しが必要ではないか、この点、一点お伺いしたい。

 それから、二点目。連休中に生活困窮に陥る方々が、これは平時もそういう方々がいるわけですけれども、連休中の生活困窮に陥る方々への対応はどう考えているのか、これも一点お伺いしたい。

 それから、三点目。日々雇われている労働者の方々というのは全国にいるわけですが、連休になりますと、こうした労働者の方々、まあ、人によっては収入がふえる方がいるかもしれませんけれども、場合によっては収入が減る方、そういう方々もいることが想定されるんですが、これへの対応はどうなっているのか。

 厚生労働省、担当が来ていると思いますので、それぞれ簡潔にお答えください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方から最初の二点、生活保護の関係でございます。

 一点目、支給日の話でございます。

 五月分の保護費の支給日につきましては、四月の二十六日を念頭に、連休直前の休日ではない日へ繰り上げるよう、本年三月五日に開催をいたしました社会・援護局関係主管課長会議、それから本年四月一日に発出をしました事務連絡で各自治体に対して周知をしておるところでございます。引き続き、各自治体において適切に御対応いただくよう周知をしてまいりたい、これ、一点目でございます。

 二点目、十連休の間の生活困窮の方への対応ということでございます。

 生活に困窮する方に対しましては、これまでも、年末年始、それから連休も含めて適切な支援が行われるように自治体に周知をしてまいりました。今般の十連休についても、適切な対応が必要だと考えてございます。

 このため、今月一日付で、本年四月二十七日から五月六日までの十連休における生活困窮者支援等に関する協力依頼についてという事務連絡を都道府県等宛てに発出をし、生活困窮者自立支援制度においても、十連休中は閉庁期間が長いことも踏まえ、支援を必要とする方が一人でも多く支援につながるよう特段の配慮をいただきたい。

 それから、ホームレス支援につきましては、各地域における巡回相談等の実施、緊急一時的な宿泊場所の確保のための一時生活支援事業の実施等について適切に対応いただきたいという協力依頼を行ったところでございます。

 この事務連絡を受けまして、各自治体において、地域の実情も踏まえながら適切な対応が図られるものと考えてございますが、例えば、自治体の宿直の職員等が把握した情報につきまして、各制度の担当に随時連絡をする体制の整備ですとか、一時生活支援事業による宿泊場所の確保ですとか、巡回相談等による対象者への周知、こういった自治体の取組例も示すなどいたしまして、十連休においても住民の生活に支障が生じないよう、厚生労働省としても自治体に対し周知徹底を図ってまいりたい、このように考えてございます。

北條政府参考人 先生御指摘の三点目の問題について、お答え申し上げます。

 この問題につきましては、参議院の内閣委員会における即位日等休日法の附帯決議におきまして、「休日の増加が時給制や日給制によって雇用されている労働者の収入減少を招くことのないよう、」「各事業主等において適切な対応がとられること。」とされているところでございます。

 このことを踏まえまして、先般、経済団体を通じまして、業務の状況に応じ、各企業が適切な配慮をしていただくよう要請を行ったところでございます。

 この企業の配慮の方法につきましては、さまざまなものがあると考えられますけれども、日雇労働者につきましては、安定的な収入を得られるように雇用する日に配慮することなどもあり得るものと考えております。

 休日の増加が、こうした不安定な雇用の労働者の収入減少を招くことのないよう、事業主に対して一定の配慮について検討するよう、更に周知や働きかけを図るように努めてまいりたいと考えております。

逢坂委員 厚労省お二人から答弁いただきましたけれども、単に通知を出すということだけではなくて、その通知がちゃんと実効性あるものになるように、それぞれの自治体や企業とも連携をとって、漏れのないようにしていただきたい、そのことをお願い申し上げます。

 次に、総務省ですが、総務省は今回のこの十連休に対して郵政行政以外で何らかの対応を自治体に対してする予定があるのかどうか、あるいは行っているのかどうか、この点、いかがでしょうか。

石田国務大臣 総務省では、昨年十二月十四日に天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律が施行されたことを踏まえまして、この法律により休日となる日は地方公共団体の休日及び職員の休日となることを地方公共団体に通知をしたところでございます。

逢坂委員 大臣、その通知は単に休みになりますよという通知だけですよね。休みで何らか支障があるとかないとか、そういうときにきちんと対応してくださいとか何とか、そういうことはないんですか。

石田国務大臣 御指摘の件につきましては、国民生活に支障が生ずることがないよう、関係省庁連絡会議を開催をし、実施をしているところでございまして、必要な対応については、関係省庁において、自治体も含め関係団体等に周知等を行っていると承知をいたしておりまして、総務省におきましては、関係省庁連絡会議等も活用しながら、自治体の行う業務に支障があれば、必要に応じて関係省庁とも調整をしてまいりたいと考えております。

逢坂委員 きょうはこの問題をこれ以上やりませんけれども、総務大臣、全国の自治体の皆さんは、総務省は自治体の応援団だと思っているし、頼りになる相談役だと思っている、私はそう思うんですよ。だから、ほかの役所でやろうがどうしようが、総務省ががっちりやるんだ、俺が先頭に立つんだ、そういうぐらいの気持ちで、大臣、この問題に限らず頑張っていただきたい、そう思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、まず十連休に関する質問はこれで終わりにしたいと思いますので、北條さんと八神さん、退室なさって構いません。

江田委員長 はい、結構でございます。

逢坂委員 それでは、きょうのテーマであります統計の問題についてお伺いをしますが。

 きょうは、西村統計委員長、ありがとうございます。多分、自分の人生の中でも、思いもかけぬ忙しさの中で、さまざまな対応をされている、自分の人生の中でこんなことはなかったんではないかというふうに思うわけですが、きょうは、落ちついて、共通事業所のことについてお伺いをしたいと思います。

 毎月勤労統計に関して、本系列だけではなくて、継続的にサンプリングをしている事業所、いわゆる共通事業所、これのデータをもとにした指標、これを参考提供するということにされたわけですけれども、この理由というのは、なぜ共通事業所を扱うというふうにしたのか、まず、そこの、出発点のところを教えてください。

西村参考人 景気指標という点が重要でありまして、景気指標を考えるときには、人々の賃金の変化というのの実態を見るときに、やはり同一事業所、本来ならば同一の労働者の賃金を見たいんですが、なかなかそれが難しいので、同一事業所という形で、同一事業所の変化を見るという形が実感に一番近いだろう、そしてそれが、その実感に近いということが、景気がどういう状況になっているのかということを判断するときに、非常に重要な情報を、政策当局、日銀とか、その他必要な政策を考えなきゃいけない当局に重要な提供を、与えるということから、共通事業所というもののその重要性というものを強調して、それを入れるような形にしたということがもともとの発端であります。

逢坂委員 景気判断指標として非常に重要である、しかも、その景気の変化、委員長の言葉から理解すると、景気が上向いているのか下向いているのかとか、そういったことを判断する上でも、共通事業所というのは非常に大事なんだ、できれば、個々人に着目をして同じ人のデータをとりたいけれども、それがなかなかうまくいかないので共通事業所を使っているんだ、こういう説明、こういう理解で、うなずいていただいていますけれども、よろしいですね。はい。ああ、どうぞ。

西村参考人 基本的な考え方はそうです。

逢坂委員 ということになりますと、国民のその実感に近いのは共通事業所系列ということになるんだと思うんですが、これもあえて聞くまでもないことだとは思うんですが、実質賃金と名目賃金、これもさまざまな考え方がありますけれども、国民の実感に近いのは、これはどちらというふうに判断されますでしょうか。当たり前の話かもしれません。

西村参考人 当たり前の話ではないところが難しいところでありまして、経済学的に考えれば、実質賃金というのは、賃金、もらった賃金の実質購買力、実質購買力とは何かというと、その賃金をもらって、どれだけの財やサービスを買えるかということになるわけですね。だから、それが本来ならば実感になるんですが。よく言われていることは、実質購買力というのはなかなかわかりにくいということで、特にインフレがないような状況のときというのは、どちらかというと名目賃金の方が景気の実感に近いということも言われていることも事実であります。

 だから、経済学的に考えれば、これは実質賃金という形になりますが、エコノミストの方々の中には、より目で見える、名目値を重視する方もたくさんいらっしゃるということであります。

逢坂委員 わかりました。どっちも意味があるという説明だというふうに理解をいたしました。うなずいておられるので、そのように理解をいたしました。

 そこでなんですけれども、景気判断としてよりふさわしい指標にするんだという観点、これが統計委員会の中でも随分議論されていたかと思うんですが、そういう意味においていうと、先ほどお話をいただきました共通事業所について、これ、名目も実質も賃金指数というのは出すべきではないか。そのことが景気判断をする上で国民の大きなプラスになる、有益なものになるのではないかと思うんですけれども、この点は、西村委員長、いかがですか。

西村参考人 この点に関しましては、基本的には、誰が何に使うかということに依存しますので、その利用者の用途に応じていろいろな実質賃金の系列があるということは、私は望ましいことだというふうに考えております。

 したがいまして、これは原則的なことですが、原則的に言えば、やはりデータというのはたくさんあった方が総合的に物事を判断することができます。残念ながら、これだけを見ていればいいという指数とか系列というのは、そういうのはありません。

 どうしてかといいますと、どんなデータもいろいろな誤差を含み、統計的な誤差も含みますし、それから非統計的な誤差、これは非標本誤差といいますけれども、そういった、回答しない人がいたり、それからうそを書いたりした人がいたり、そういうことがありますから、そういったものを含めた形で、いろいろな形でぶれますので、そのぶれの中で適切なものを利用者が判断する、この場合、利用者というのは、エコノミストであったり、それから政策当局がある、ということが私は重要だと思っています。

 もっと重要なのは、どうしてそういう判断をしたかということを明確に説明できる。これは、単に説明しているというんじゃなくて、説明できる、説明を納得してもらう、そういうきちんとしたフレームワークを示すということが私は非常に大切なことだと思っています。

 以上です。

逢坂委員 西村委員長の話を聞いていて、私も全く同感であります。

 やはり、一つの統計データや一つの数値だけで物事を説明できるか、判断できるということはなかなかないというふうに私も考えておりますし、だから、多様な、さまざまな指標が出ることが私も望ましいというふうに思っています。私も、もともとは理科系の出身で、データ解析とか一生懸命やっていた方ですので、その観点から見ても、今の話は非常に納得できることだったと思います。

 そこでなんですが、西村委員長、今問題になっているのは、共通事業所の標本で実質化指数を出すこと、これができるのかできないのかみたいなことが言われているわけですが、もちろん、私は、共通事業所のこの実質化について幾つか課題はあるというふうには思っています。

 例えば、本系列に比べてサンプルが偏っているのではないかとか、本系列よりは当然、そこから抽出しているわけですから、サンプル数が少ないのではないかとか、いろいろな課題はあるとは思うんですけれども、その課題を明記した上で、その共通事業所の標本で実質化指数を出す、こういう課題があるけれども、こういう考え方に基づいて実質化したらこんな数値になりましたよと出すことというのは、私は可能だと思うんですが、それはできないことなんでしょうか。

西村参考人 この件については、いろいろな微妙な議論がなされていますので、もう少し原点にさかのぼった形のところでちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 もう既に逢坂先生がおっしゃったことと絡むんですが、毎月勤労統計は、調査対象になる事業所が一定期間ごとに入れかわるという標本調査であるという特徴があるわけです。そのため、本系列と共通事業所の系列というのは、どれも標本調査でありますから、それに付随する標本誤差というのもありますし、それから、いわゆるサンプル脱落、いわゆるサバイバルバイアスというのがあるわけですが、そういったことによる非標本誤差もありますし、それから、それぞれの標本の、例えばこの場合、大規模事業所であれば大規模事業所が、本来ならば全数だったんですが、それがサンプルにしてあるために、その大規模事業所のサンプルが変わるというのは非常に大きな影響を与えることもあるわけですね。

 だから、そういったものを含めて問題点がある、誤差という問題点がある。これは、本系列も、それから共通事業所系列についても同じようにある。もちろん程度の差はありますけれども、同じようにあるということになります。

 この誤差の差というのを定量的に分析してどこまで考慮するかというのは、これは、私が統計をつくっているわけじゃありませんので、統計作成者の判断という形になりますが、それは厚生労働省の判断という形になると思います。

 その際に重要なのは、定量的であるということが重要で、やはり、こうすればこういうような差が出てくる、例えば共通事業所の系列から得られる誤差の大きさ、それから本系列から出てくる誤差の大きさ、この誤差というのは何に対する誤差かということが重要ですね。この場合の誤差というのが重要だというのは、先ほど申し上げました、それぞれの個人、本来ならば個人の賃金がどう変化したか、その変化をしたということをいわば推計しているわけですから、その推計に関しての誤差の大きさ、それを比較するということが重要になるわけです。

 だから、サンプルが例えば小さいから誤差が大きくなるというのは原則的にはそうですが、この場合には、単純にサンプルの小ささというよりも、例えば、変化ですので、同じものを共通でとっているかどうか、その間の、同じものをとっている間の、逢坂先生ならおわかりになると思いますが、いわば相関係数が、時間相関が非常に重要な役割を果たすんですね。そういったものを含めた形で、きちんと定量的な評価をしていただきたい。

 そういうことによって初めて、どっちが本当にいいのかとか、それから、もっとよくするためにはこの二つを組み合わせた方がいいじゃないか、私自身は組み合わせた方がいいと思っておりますけれども、そういったものが判断ができるようになるわけです。

 それを厚生労働省側の方できちんとしていただいて、その際に、先ほど申し上げましたように、透明性を確保するためにきちんとした十分な情報提供がされるということが重要だというふうに思っております。

 以上です。

逢坂委員 ありがとうございました。丁寧に御説明いただきました。

 西村委員長のおっしゃることは非常に私もよくわかります。そういう丁寧な議論をちゃんと厚生労働省でやっているのかどうか私には非常に疑問なんですが。

 それでは、今度、厚生労働省にお伺いします。

 毎月勤労統計の「共通事業所」の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会でありますけれども、この検討会って何を検討する場なんですか。これは、賃金の実質化の是非とか可否、実質化がいいよ悪いよを検討する場なんでしょうか。そうではない、何を検討する場なんですか、ここは。

藤澤政府参考人 毎月勤労統計の共通事業所の実質化をめぐる論点に係る検討会でございますが、ことしの二月から開催してございますけれども、主にこれまで三つの論点を中心に御議論をいただいてきております。

 一点目が、共通事業所の賃金の実質化を検討するに当たり、本系列と共通事業所の集計値の特性をどう考えるか。

 二点目が、共通事業所の集計値については、その比較のもととなる賃金額が一つの年の一つの月で二種類存在をしますけれども、こうした共通事業所の基本的性格に照らして、共通事業所の集計値の実質賃金指数の作成についてどう考えるか。

 仮に、共通事業所の集計値の前年同月比から消費者物価指数を用いて共通事業所の集計値の前年同月比を実質化した値を算出したとすると、実質化の本来的な意味に照らしてこの数値はどのような意味を持つのかといったような三点についてこれまで御議論をいただいてきたところでございます。

逢坂委員 ということは、それは、藤澤統括官、賃金の実質化の具体的な議論をしているわけではない、実質化に当たっての論点の整理をしているんだ、実質化をどうするか、実質化の是非、実質化をするかしないか、それを決めるのはまた別の場である、そしてさらに、その実質化するということが決まれば、また別の場で実質化の作業をする、そういう理解でよろしいですか。今の検討会で実質化の可否が決まるというわけではないという理解でよろしいですか。

藤澤政府参考人 御指摘の検討会で検討しておりますのは、今申し上げた事項でございまして、その上ででございますけれども、共通事業所の実質賃金をめぐる検討会における課題の整理等を踏まえまして、その実質化、実質賃金の作成や公表について、私どもの方で適切に対応してまいりたいと考えております。

逢坂委員 これ、今までの説明、多分、そういう説明はされていないんだと思うんですけれども、多くの人が受けている印象は、この検討会で実質化の可否も決まって、あたかも検討会から実質化された数値が出てくるような印象を持っているんですが、そういう検討会ではないという理解でよろしいですね。

藤澤政府参考人 今申し上げましたような論点について、これまで、この検討会で御検討いただきました。

 それで、あくまでまだ検討の途上のものでございますけれども、三月の二十九日には、中間的整理として一定の整理をしていただいたところでございます。

 それで、今後でございますけれども、最終報告については、その中間的整理の中で更に検討すべきとされる課題について、例えば、毎月勤労統計の個票データを使用して、本系列と共通事業所のサンプルの分布の相違や、あるいは、継続的に回答している事業所に限られることによる生き残りの事業所の特性が本系列よりも色濃くあらわれている可能性などを除去可能かどうか、除去できる場合に実質化等が可能かどうか分析をする、そういった作業を今後この検討会で行っていただきたいというふうに考えておりまして、それにつきまして一定の時間を要することになろうかと思いますが、できるだけ早期に最終的な結論を出していただきたいというふうに考えております。

 その上で、先ほども申し上げましたが、この検討会における課題の整理等を踏まえまして、実質化、実質賃金の作成や公表について、適切に対応してまいりたいと考えております。

逢坂委員 質問に簡単に答えてもらいたいんですけれども、今の検討会では、だから実質化の指数が出るというわけではないという理解でよろしいですよね。それとも、出るんですか。出るか出ないかもわからないんですか。それはどうなんですか。

藤澤政府参考人 検討に一定の時間を要すると思いますが、なるだけ早期に最終的な結論を出していただきたいと思いますが、その結論がどうなるかについては、現時点ではわからないものと考えております。

逢坂委員 実質化できるかできないか、実質化の数字を出すために検討会をやっているかのような答弁がこれまで繰り返されているわけですが、今回の検討会は全くそうではない、まだその結論がどうなるかも、どういう結論を出すかすらもまだわからない、そういう検討会をつくったということなんですね。

 それじゃ、別のことを聞きますけれども、この検討会の最終報告というのは、いつまでに出してほしいということでお願いをしているんですか。

藤澤政府参考人 検討の期限を区切っているのかどうかというお尋ねではないかと思いますが、先ほども申し上げましたように、今後、こういう課題があるということで、それに御検討いただきたいと思います。

 一定の時間を要することになると思いますが、できるだけ早期に最終的な結論を出していただきたいというふうに考えているところでございます。

逢坂委員 できるだけ早期っていうのは、どのぐらいを想定して、この検討会を立ち上げたんですか。

藤澤政府参考人 現時点では、その最終的な結論の時期について申し上げることはできかねるところでございます。

逢坂委員 すなわち、国会であれほど問題になっていて、大臣も最初は、実質化の指数を早目に出すんだといったような答弁をしていた。そのうち専門家の意見を聞くと言っていた。そして、検討会をつくると言っていた。

 結局、検討会をつくったら、いつまでに結論を出すか、何を議論してもらうか、それも曖昧なまま検討会をやっているということなんじゃないですか。

 それじゃ、藤澤さんにお伺いしますが、この検討会の状況というのは政務三役には報告されていますか。

藤澤政府参考人 御指摘の検討会の検討の状況につきましては、大臣を始め政務には適宜報告を行っているところでございます。

逢坂委員 じゃ、きょうはお越しいただいたのは、上野政務官にお越しいただいておりますけれども、これまでの国会の議論を上野政務官は十分御承知だと思います。特に予算審議の中でこの問題が出てきて、特に秋には消費増税がある、それから、景気を判断するために今回の共通事業所の実質指数というのは非常に大事なものである。先ほど、それは統計委員長からも説明がありました。

 予算審議の間になるべく早く出してくれということを言っていて、大臣はそれに最初応えるかのような答弁を繰り返していた。でも結果的に、検討会を開いて、今のような状況になっている。結果的に、いつ、何が出てくるかもわからない検討会を今やっているわけですよ、先ほどの答弁からすれば。何を検討して、どんな結論を出すのかわからない、論点だけはいっぱい出てくる。こんなことで誠実な対応だと思われますか。

 政務三役の一角を占める者として、こんなことはおかしい、もっと早くやるべきだ、そういう思いはお持ちになりませんか。あるいは、もっと具体的な指示をするということはお持ちになりませんか。

上野大臣政務官 今委員お尋ねの点については、検討会において丁寧な議論がなされているというふうに承知をしております。最終報告に向けて、更に検討すべきとされる課題についてしっかりと議論をして、一定の時間を要することになりますけれども、できるだけ早期に最終的な結論を出すという方針で政務も一体として臨んでまいります。

逢坂委員 役所の答弁と一緒じゃないですか。だって、先ほどの答弁を聞いていただければわかるとおり、今回の検討会というのは、この検討会の結果が出たからといって、何が出てくるかわからないで検討しているんですよ。実質化の数値が出るのかどうかもわからない。どんな課題がこれから出されるのかもわからない。

 でも、国会の議論としてはそうじゃない。共通事業所の実質化の数値というのは非常に大事だ、早く出すべきだ。

 それから、先ほど統計委員長からも説明があったとおり、さまざまな課題はあるけれども、その条件を付した上で、いろんな条件がある、必ずしも全部、統計というのは一〇〇%正しいものではない、誤差もあれば、いろんな判断の範囲というのはあると思う、そういうことも示した上で出すというのが当たり前の姿なんじゃないですか。検討会で検討している、丁寧にやってもらう、それをただ待っているだけでいいんですか、政治家として、この間の国会の議論を見て。予算委員会の審議が終わったからもういいなどという問題ではないんですよ。いかがですか。

上野大臣政務官 繰り返しになりますけれども、検討会において統計的な議論をしっかりとやっていただいた上で、政務も含めてしっかり判断をしていくということでございます。

逢坂委員 たまたま政務官になられてこういう質問を受けて、大変私は気の毒だとは思っておりますけれども。

 それじゃ、こういう厚生労働省の姿勢を見て、こんなものは議論の引き延ばしだろう、結局は、実質化をしないための、先延ばしのために検討会をつくって、もうしなくてもいい議論を、課題をいっぱいつくって時間を引き延ばして、あとはもうみんなが忘れるのを待っているんだ、そういうような批判もあるんですけれども、こういう批判については、今の答弁の中でどうやって答えるんですか。単なる引き延ばしだろう、出さないための方便だろう、こういう批判があるんですが、どう答えますか。

上野大臣政務官 さまざまな議論があるというところだと思いますけれども、しっかりと統計的な議論をした上で、その結論を踏まえて判断をしていくということだと思います。

逢坂委員 じゃ、それはどれぐらいかかるんですか、統計的な議論というのは。どれぐらい精緻な議論をするんですか。

 統計には、先ほど西村委員長からも話がありましたけれども、ある一定程度の数字のぶれ、これを誤差と言ってもいい、いろいろなものがあるでしょう。それはどの程度精度の高いものを求めるんですか。

 精度の高いものを求めれば求めるほど確かに議論は精緻になって、時間はかかるかもしれません。でも、ある一定程度のところでデータを作成する側はこの程度で割り切るというふうにしなければ、この類いの問題は結論が出ないんですよ。その割り切りを決めるのは政治の判断だと思いますよ。いつまで議論するんですか。

上野大臣政務官 中間的取りまとめにおいては、「さらに検討すべき課題」というものが示されました。

 その課題について、例えば、毎月勤労統計調査の個票データを使用して、本系列と共通事業所のサンプルの分布の相違や、継続的に回答している事業所に限られることによる生き残り事業所の特性が本系列より色濃くあらわれている可能性などを除去可能かどうか、除去できる場合に実質化等が可能かどうかを分析するといった作業が発生をすることから一定の時間を要するわけでありますけれども、そういった作業をした上で、できる限り早期に判断をしてまいりたいと思います。

逢坂委員 それじゃ、きょうの段階では、政務官の判断としては、いつ出せるかわからないということでよろしいですね。

上野大臣政務官 現在、検討会において議論されているということですので、その結果を踏まえて判断をしてまいります。

逢坂委員 実質化については、政府は単に出さないための方便をやっている、そのことを指摘して、終わりたいと思います。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 西村統計委員長、きょうは本当にお忙しい中、ありがとうございました。予算委員会で一回質問させていただいて以来でありますけれども、よろしくお願いをいたします。

 今の逢坂委員のおさらいを少しさせていただきながら議論したいんですが、先ほどの委員長の御発言によれば、景気の判断には同一事業所を、できれば同じ労働者の個人の賃金の変化を見るのがいいんだけれども、それが難しいので同一事業所、共通事業所系列を見ていくということがよいのではないか、しかし、その共通事業所系列も、実質なのか名目なのかといろいろ議論はあるけれども、いろいろな視点から見るために、実質賃金についても共通事業所系列のデータがあった方がいいんじゃないか、こうおっしゃっていたと思われますが、それでよろしいでしょうか。

西村参考人 それで結構です。

奥野(総)委員 ここで確認をしたいんですが、共通事業所系列に基づく実質賃金、名目の実質賃金化というデータを、統計委員長として厚生労働省に求めているんでしょうか、あるいは個人的な意見をおっしゃっているだけなんでしょうか。

 実質賃金の、共通事業所系列の名目賃金の実質化、実質データを、厚生労働省に統計委員長として作成を求めていらっしゃるのか、それとも個人的な意見なのか、どちらでしょうか。

西村参考人 今の私のお話は、個人的な意見です。

奥野(総)委員 しかし、これが議論になっていて、国会でも問題になっているんですが、検討会ですね、長いので、共通事業所の賃金の実質化をめぐる論点に係る検討会、以下、検討会と言わせていただきますが、検討会の議論に当たって、厚生労働省は西村委員長に相談をしているのでしょうか。

 そもそもの発端が、統計委員長の御疑念、御懸念から始まっているところでありますので、専門家の意見を聞くということで、厚生労働省として、中間取りまとめについて、途中でも終わってからでもいいんですが、報告ないし相談をしたことはあるでしょうか。

江田委員長 藤澤政策統括官。

 急いでください。(奥野(総)委員「ちょっと時間をとめていただいて、筆頭がいませんから、時計をとめてください」と呼ぶ)

 じゃ、ちょっと時間をとめて。時間をとめてください。

    〔速記中止〕

江田委員長 じゃ、速記を起こしてください。

 奥野君。

奥野(総)委員 委員長はこれの報告を受けられましたか、公式に。西村委員長。

江田委員長 もう一度質問を。明確に。

奥野(総)委員 西村委員長に伺った方が早いので伺いますが、相談ないし説明を受けられていますか。

西村参考人 相談というような形かどうかわかりませんが、そういうことについて、いろんな打合せの会議が幾つかありますから、その打合せの会議でお話を受けたことはあります。

奥野(総)委員 もう少し伺うと、この取りまとめの結果、中身について、きちんと説明を受けて、承知をされていますかと、こういう質問です。

西村参考人 それは、まだありません。

奥野(総)委員 事前に、今、恐らくこういう検討会をやるんだということは知っていたということだと思いますが、具体的に中身については説明を受けていないし、それについて何かおっしゃったこと、コメントしたこともないということでよろしいですよね。

西村参考人 打合せの場というのが公式の場かどうかというのは、ちょっと問題がありますので。それから、統計委員長としてという形であれば、それはありません。しかし、個人的な形の意見というのは、抽象的な形ですけれども、それについて申し上げたことはあります。

奥野(総)委員 ちょっと、後ほどまたこの話を続けていくんですが。

 今、きょうお手元に、厚生労働省の、予算委員会に出していたのかな、「共通事業所に係る実質賃金について」、こういう二枚紙をお配りしています。別紙の方に、これは明石先生、明石弁護士が提示した紙、明石先生は必ずしも統計の専門家というわけじゃないんでしょうが、学校で習う、私は法学部なんで余り詳しくはないんですが、学校で習う経済学でいえば、実質化というのは、名目値から消費者物価指数、物価の伸びを引いたもの、引き算すれば近似値で出るよというのを習いますよね。それから、もうちょっとちゃんとやろうとすると、ここで書いてあるように、名目賃金指数を消費者物価指数で割れば出てくるということになると思うんですが、共通事業所系列で、消費者物価指数を使って割り算をする、こういうやり方は乱暴なやり方なんでしょうか。そこはどうですか。

西村参考人 乱暴かどうかというのは、そういう言い方は余り学術的ではないので。

 申し上げました、例えばGDPをやるときに前年同月比というのは当然出しますし、前年同月比の変化がどういうふうに動いていったかというのは、当然ながらごく自然に使われているものであります。

 したがって、そういうもので、それは、さっき言いましたように、同期比ではないのでつながっていくものではありませんが、景気の状況、要するに、前年からどれくらい変化したか、その景気の状況を見ていくときには非常に重要な見方であるということは言えると思います。

奥野(総)委員 今のお話をすると、消費者物価指数をこうやって使うことは、共通事業所系列でも特段問題ないということでよろしいんですかね。

西村参考人 きちんとした説明があれば、そういう意味で、何か、これを、例えば、私の大学の授業のときにそういったものを、きちんとしたレポートとしてそういうのを出したということがあったとしたときには、当然ながらそれが問題になるということはありません。

 ただし、重要な点というのは、データのきちんとした説明というところが非常に難しいということですね。例えば、GDPの前年同月比というのは非常に自然に使われます。それと同じようにこの系列が使えるかどうか、同じ意味で使えるかどうかというのは、きちんと考えなきゃいけないという形になります。

 というのは、GDPの場合は、前年同月比のものであったとしても同じGDPですけれども、この共通系列というのは、実はベースが少しずつ変わっていくわけですよね。したがって、GDPなんかと同じような形で扱うことは、それはできませんが、それに対して、どういう形で何を示しているのか。

 もともと共通系列の変化というのは、いわば一人一人の個人の変化、賃金の変化のいわばサロゲートといいますか、代理変数として使っているわけですから、その代理変数として使っているということをきちんとわかるような形、若しくはそれをきちんとわかるような形で加工するなりなんなりして使うということであれば、それは十分に意味のあるやり方だと思います。

奥野(総)委員 ですから、もう一度確認させていただきますけれども、消費者物価指数を使ってこういうふうにやれば実質化ができる、学術的に、批判に、もちろん前提を説明した上で、使用に耐え得る名目賃金の実質化ができる、共通事業所系列についても実質化ができるという理解でよろしいですか。

西村参考人 できる、できないというのは、基本的には誤差の大きさに依存します。したがって、例えば、本系列の実質化で得られる本系列を使った同一の事業所の変化の推計と、それから共通事業所を使った同一事業所の系列の変化の推計とでどのくらい誤差が違ってくるのかということをきちんと定量的に把握して、そしてそれが十分に説得できるくらいの大きさであるという形であるならば、それは使えるという形になりますが、やってみないとわからないので、それはきちんとやってくださいというふうに私は個人的にはお願いしたいというふうに思っています。

奥野(総)委員 よくわかりましたけれども、やってみることは、だから、できるわけですよね、もとのデータもあるし。だから、やってみるとわかるから、今明確におっしゃいましたけれども、やってみることを求めたい、こうおっしゃっていました。

 厚労省は、そもそもこれをやってみることもしていない。いろいろ言っていて、やってみることもしていないということだと思うんですが、これは何でやられないんですかね。

 ちょっと、僕も素人なのでわからないんですが、報告書を読んだら、共通事業所の特性に合った物価指数、デフレーターをつくらなきゃいけないんだ、だからやってみられないんだというようなことが書いてあるんですが、共通事業所に合ったデフレーターって一体どういうものなのか、ちょっとよくわからなくてですね。

 素人考えで言えば、物価って、バスケット、買物のバスケットがあって、そのバスケットでごそっとやるってことですけれども、じゃ、共通事業所の人たちが、特別なバスケットは必要なのか、違う購買の仕方をしているのか。共通事業所に必要な、特別なバスケットが必要だというふうに読めるんですが、これはどういう意味なんですか。

藤澤政府参考人 共通事業所の実質化についてでございますけれども、まず初めに、統計数値に責任を持ちます統計所管、統計メーカーの立場からは、その共通事業所に係る実質賃金を、統計的な分析や検討を加えることなく、一定の仮定のもとで算出をし、公表することは、統計のユーザーに対する責任ある態度とは言えないというふうに考えております。

 したがって、現在、これまでも御指摘をいただいておりますが、検討会で専門的な立場から、統計的な視点から課題を整理していただいてということで、検討会を開催をしていただいているところでございます。

 また、今ほど西村統計委員長からも、誤差や、あるいはサバイバルバイアスについて、先ほども、本系列も共通事業所も両方あるので定量的な把握や分析が必要だというふうな貴重な御示唆もいただきましたので、そういったこともこれから踏まえて考えていかないといけないというふうに考えております。

 なお、御指摘の物価の指数でございますけれども、中間的整理までの議論で、専門家からのヒアリングなどを通じて議論を行っておりますけれども、これらの、これまで申し上げておりますような共通事業所の集計値の特性に合ったような物価指数を作成することは、中間的整理では困難というふうな整理が行われているところでございます。

奥野(総)委員 今はっきり、貴重な御示唆をいただいたのでやりますとおっしゃいましたが、ということは、一応試算、今言った消費者物価指数を使った形での試算、こういったものを、先ほどできるんじゃないかと委員長からありましたけれども、それはやってみて議論をされるということでよろしいんですね。

藤澤政府参考人 失礼いたしました。

 先ほど西村統計委員長が強調されたのは、誤差についてちゃんと把握をして分析するようにというふうなことを個人的な意見としておっしゃったというふうに、済みません、私、そう聞き取れましたので、そのあたりについてもこれから我々はよく踏まえていきたいというふうに答弁を申し上げたつもりでございます。

奥野(総)委員 いや、その誤差がどうなるかというのはやってみなきゃわからないんですよね。それは、だから、やってみて誤差がどうなるか、一定の手順でやってみて誤差がどうなるかということを言っておられると思うんですが、すなわち、やるということですね。誤差の検討から入るというのは、まずやってみるということじゃないですか。

藤澤政府参考人 検討会で三月の末に中間的整理を取りまとめをいただいて、その場でさまざまな課題をお示しをいただいて、それについて更に今後引き続き検討が必要だということを申し上げておりますが、それに加えて、先ほど西村統計委員長も個人的な見解としておっしゃった、本系列も共通事業所系列もどちらも誤差があるので、それについても把握をしていくべきだというふうなことを先ほど西村統計委員長がおっしゃったというふうに思いましたが、それについても我々として受けとめて考えていきたいというふうに答弁を申し上げております。

奥野(総)委員 いや、委員長がおっしゃられたのは、実質化についてもきちんと手順を示して、誤差がこうだということを示しながら議論していく必要があるんじゃないか、その上で公表すれば世間の批判に耐え得るんじゃないか、こういうふうにおっしゃっていたと思いますが、そういうことはする気はあるんですかと私は聞いているんですけれども。

藤澤政府参考人 これは、繰り返しになりますけれども、三月の検討会の中間的整理では、共通事業所については、継続している事業所という全体の部分集団であることであったり、あるいは事業所規模別、産業別等を見た場合に本系列と共通事業所のサンプルの分布に相違が見られること、また、継続的に回答している事業所に限られることによる生き残り企業の特性が本系列より色濃くあらわれている可能性などの特性があることから、引き続き検討会では作業を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 本当に、じゃ、もうちょっと言えば、これは議事録が全然明らかになっていないんですよね、ホームページを見ましたけれども。一切明らかになっていないんですよ。だから、議論の経過がたどれないんですね。

 これから議論をする、まあ、信じましょう、それは議論をされるんでしょう、ここまで言っているんだから。きちんと、じゃ、実質化に向けて、どのぐらいそれぞれ誤差があるのかも含めて議論されるということなんだけれども、それが議論がたどれるように、きちんと議事録を公表すべきだと思うんですが。

 じゃ、少なくとも今までの分について、いつまでに公表するかというのを教えてください。

藤澤政府参考人 御指摘の検討会の議事録の公開がおくれておりますことは御指摘のとおりで、大変申しわけないことだというふうに思っております。

 第一回につきましては、もう公表したか、あるいは、もう速やかに公表できる状況まで来ておりますが、現在、七回目まで既に検討会が開催されておりますので、いずれにつきましても、速やかに公表して、ごらんいただけるように努力をしていきたいと考えております。

奥野(総)委員 こればかりやっても時間があれなんですけれども。

 普通は、一回やったら、その次の回で議事録を配付をして、委員の確認をしてもらって、三回目でフィックスをして載っける。だから、二回分あくのはわかるんですけれども、今、七回目まで来て全然載っていないんですよね。この間あれだけ、毎勤統計の検討会で、出さないと世間に言われていて、しかも、その続きでこれをやっているのに、それを出さないというのは一体どういうことなのか、どういう感覚でやっておられるのか。

 今も、引き続き検討するとおっしゃっておられるけれども、じゃ、本当に、藤澤さんは統計委員長の御意見を受けたとおっしゃっているわけだから、それはきちんと議論の経過をたどれるように、きちんと間を置かずに公表すべきだと思いますよ。

 だから、すぐ出してくださいよ。七回目があるんだったら、少なくとも五回目ぐらいまではすぐ出してもいいはずなんですよ。

藤澤政府参考人 委員の御指摘はもっともだと思いますので、検討会の議事録が速やかに公表できるよう努力してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 じゃ、一回目についてはもうすぐ出るんですね。可及的速やかに七回目まできちんとアップしてください。見ていますから、これはまた次やりますから、きちんと、この一週間ぐらいで、出せるところまで全部出していただきたいと思います。

 できますか、この一週間で。

藤澤政府参考人 御出席いただいて御議論いただいた委員の方々の御確認も必要でございますので、いつまでというお約束はちょっとできかねますけれども、なるべく速やかに公表できるよう努力していきたいと考えております。

奥野(総)委員 よろしくお願いします。

 済みません、せっかく委員長に来ていただいています。次に移ります。

 賃金構造基本統計調査についてなんですが、これについて、十八日の統計委員会で、再発防止策につながらないと西村委員長が述べた、こう記事になっています。この間質問したんですが、確かに全然ヒアリングがなされていなくて、いつから郵送に変わったのかわからない、誰が決裁したのかもわからない、ヒアリングの範囲も非常に限定的だったというふうにこの前の質疑で明らかになっています。

 委員長に伺いたいんですが、郵送にしたことの影響とか、それから、対象からバー、キャバレー、ナイトクラブが外れていたことということで、統計に何らかの影響が、まあ、それは出るんでしょうね、出ると思われますか。じゃ、それについてその是正をすべきだと思うんですが、これは誰がどこでするんですかということを伺いたいと思います。

西村参考人 郵送がいつから始まったかということがわからないということは非常に残念なことであるということは、申し上げたとおりであります。

 それと同時に、かなり詳細な回答率の推移というのを見ておりますので、それを見ている限りにおいては、調査結果に負の影響は見られません。これは非常に間接的で、直接的じゃないので、我々としては何とも、いかんとも言えないんですが、少なくとも、非常に大きな悪影響を与えているとは言いにくいだろうということで、どうしてもこういう話というのは、おおむねとかそういう話になってしまうんですが、その意味で、結果数値はおおむね妥当ではないかという可能性は高いということをまず申し上げたわけです。

 そのときは、郵送調査の導入時期の十分な情報提供ということはあったんですが、それがないということで、限られた情報の中で、少なくとも、その回収率の推移を見ている限りにおいては悪影響はなかったと言えるのではないかという、その程度にしか言えないんですが、申しわけないですが、そのとおりです。これに関しては、これ以上の分析というのはなかなか、なかなかというか、もう過去のことですので、できないというのが現状です。

 それから、バー、キャバレー、ナイトクラブについても、これはシェアが小さいということもありますので、大きな影響は余りないであろうというのは、分析結果は妥当だと思いますが、これもまだきちんとした形で、検証までいっていません。これは現在部会の方で審議しております。

奥野(総)委員 再発防止策について不十分だとおっしゃったところ、記事に出ていましたが、これは、再発防止策について何らかの求めを厚労省にするのか、あるいは、もう一度総務省にそこについてきちんと検討を求めるのか、そこはどうですか。

西村参考人 これは、だから、二つのところで今、統計委員会では審議しておりまして、一つは人口・社会統計部会、人社部会と言われているものですが、そこで統計技術的なところで審議をしております。これはもう六月には、すぐ始めなきゃいけないことですので、いわば非常に絞った形で審議をするという形にしております。

 もう一つの、再発防止策を含めての形は、点検検証部会というところで、まずは、きちんとした形のものが、形としてちゃんとなされていたかどうかというのをきちんとしながら、そして、再発の防止のための幾つかの担保すべきところがありますから、それを含めて現在精力的に検討しているという形であります。

奥野(総)委員 統計委員長のリーダーシップで、しっかり、再発防止策まで含めて統計委員会の方で結論を出していくということですね。

 ちょっと済みません、時間がなくなってきたので、最後に、次の質問に行きます。

 ベンチマークのギャップ補正についてですけれども、統計委員長は、三十年一月の時点ではそれをやめてしまったことは知らなかった、事後的に、秋かな、統計委員会の中で追認をした、こう理解をしていますが。

 ここで、実はベンチマークのギャップが結構大きな影響を与えているということで議論になってきましたね。この程度の段差は本当に問題ないのかという話と、それから、次回の経済センサスが、経済センサスの基礎調査が恐らくことし行われるんだと思うんですが、これに合わせてベンチマークの補正が行われる、まあ、近々行われるんでしょう、その際に、厚生労働省にギャップ補正について求めるのか。統計委員長としてどうお考えですか。

西村参考人 このギャップの問題というのは、実は、母集団がどういうふうに、母集団のリストがどういうふうに動いていくかということにこれも依存してきますので、それのやり方が今かなり大きな形で変革が進んでいる状況なんですね。それに合わせた形でベンチマークについても考えていかなきゃいけないという形になります。基本的には、一番望ましいのは、ベンチマーク補正をしなくても済むという形にするのが望ましいので、そういう方向に向かって現在進んでおります。

奥野(総)委員 ちょっと時間が来てしまいました。ぜひ、リーダーシップを持っていただいて、日本の統計が国際的に何かおかしいと言われないようにしっかり頑張っていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

江田委員長 次に、本村伸子君。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 統計不正についてお伺いをいたします。

 二〇一六年、経済産業省の繊維流通統計調査の不正が明らかになりました。西村統計委員長はこの不正について、大変遺憾というか、怒りを覚えている、はっきり申し上げまして、これは捏造です、実態とは何なんですか、調べていないのに実態がわかるわけがないでしょう、だから、実態に近づけるのではなくて、これは統計調査をいかにつじつまを合わせるかということだけでつくった、つまり捏造です、しかも組織ぐるみでそれが行われていたということがわかってしまったということは非常に大きな問題と述べておられます。

 この繊維流通統計調査の不正が発端となりまして、総務省は二〇一七年に一斉点検を行いました。このときに、毎月勤労統計調査あるいは賃金構造基本統計調査について、今日明らかとなっている不正について明らかにすることはできませんでした。この一斉点検は、いわば書類調査のみで、形ばかりのものでございました。統計委員会にもこのことは報告をされ、再発防止策についても統計委員会に報告をされておりますけれども、この問題について統計委員長にお伺いをいたします。

 二〇一七年の総務省の一斉点検の評価についてお伺いをしたいと思います。

西村参考人 この一斉調査についての性格をちょっと明確にしておきたいんですが、これは、承認された調査計画と実際の調査内容の相違について、各府省がみずから点検してその報告を求めたというものですね。そのときに、統計委員会で結果の報告を受けて、私からは特に、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤であるということを改めて認識していただき、今後とも、統計の作成、提供に努めていただきたいという旨のコメントを出しております。それがこの時点での私の評価です。

本村委員 二月にも質問をしているんですけれども、発端となった繊維流通統計調査の不正の原因分析を踏まえまして、四つの点でチェックが必要だったということで申し上げました。一つが、十分な人材育成がなされ、統計の職員体制があるのかということ。二点目が、管理者の統計の重要性の深い認識に基づくチェックがなされているかという点。三点目が、十分な遵法意識、適切な行政文書の管理がなされているか。四点目が、踏み込んだ外部からのチェックがなされているか。こうしたことをなぜ二〇一七年の一斉点検ではチェックする点検にならなかったのか。

 この二〇一七年の一斉点検では厚生労働省にだまされてしまったわけですから、今回はだまされることがないようにということで、今言った四点、しっかりとチェックをするべきだというふうに考えております。

 この問題について総務大臣に質問をした際に、統計委員会点検検証部会でちゃんとやるという御趣旨の答弁がございました。私が指摘をした点を含めて検証が行われるものと思っているというふうに大臣は答弁をされております。

 統計委員長にお伺いをいたしますけれども、既に走り出している点検検証部会では、こうした点についてはどのようにチェックをしていくのでしょうか。

    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕

西村参考人 二〇一七年でああいうことが起こったにもかかわらず、それが全くその後にプラスの影響を持ってこなかったというのは非常に遺憾でありますし、私としてもじくじたる思いであります。

 そこで、点検検証部会を立ち上げるときに、極めて明確な形で、中立性の確保とか、それからもう一点は、そういうふうに明確に書いたものがあるかどうか、ちょっと私、記憶にありませんが、少なくとも私は、例えば、要するに、全てを事務局任せにするのではなくて、基本的には点検検証部会の委員が率先して何をするかということもやりますし、それから事務局に対して指示を出す、そういう形でやってくれという形で指示を出しております。

 これは、こういう問題が起きたときに、どうも事務局任せにするとなかなかうまくいかないということがあるということは事務局自体もわかっていますので、そういうことをあわせて、きちんとした、調査の質の向上ということを担保するためにこういう形の仕組みにしたわけです。

 それからもう一つは、前のものは、いわば、自分たちで勝手にというか、自分たちで自己評価して考えなさいということですが、今回の場合はそうではなくて、非常に詳しく、先ほど委員が、議員がおっしゃったように、非常に詳しくアイテマイズして調査をするという形になっています。

 その中には、例えば、人員、体制、職員の統計研修受講状況とか、それから、統計作成の各段階における審査を実際にどうやっているのか。レンジのチェックとか時系列のチェックとか、当たり前なんですと思うんですが、実際上それがなされていないケースというのがあるということがあるわけですね。それから、調査票情報等の保存です。この保存なんというのは当たり前だと思うんですが、ついこの間まで当たり前ではなかった。それから、委託業者や地方公共団体の履行の確認、過去の調査結果の訂正、公表の状況、こういったものを数十項目に分けて、これを書面で詳細な情報の報告を各府省から受けた上で、二つのワーキンググループで精力的にヒアリングをするという形で行っています。

 これはどういうことかというと、やはり、どういうものでも、妙なことをしていると、幾つかの非常に詳しいものを提出させると相互にそごが出てきますから、それを使って我々としてはきちんとしたものができる、調査ができる。その調査の質というのは、この点検検証部会をなさっている委員の方々、それから専門委員の方々、そういう方々のいわばエクスパティーズというか、能力に依存しているという形になります。

 今回の場合は、そういう意味で、我々としてはほぼベストと思われる方をお願いすることができたと思っていますので、これをきちんとやっていくというのが、このようなことを二度と起こさないための一つのものだと思います。

 でも、重要なのは、最終的にそういったものをきちんと正確に、うそではなくて、本当のことを正直に報告してもらうということが前提になります。だから、そういう意味で、考え方としては性善説にあくまでも立っていますので、これをきちんと各統計部局は考えていただきたいということです。

 性悪説に立った検査、つまり、我々が検察官のようになるということもあるんですが、そのためには、人員と時間というのが恐ろしくかかりますので、それはやはり、ちょっと基本的には無理だろう。我々がやれるのは、我々のこの範囲の中で最善のことをやっていくという形になると思います。

 それから、これは、基幹統計ではなくて、一般統計についても基幹統計に準じて各府省で自己点検を進めており、基幹統計のヒアリングを終えた後で点検検証部会で報告がなされて、またここで一応きちんとした審査をするという形になっております。

 以上です。

本村委員 二〇一七年の一斉点検、再発防止策は形ばかりでちゃんとできていなかったということですけれども、今回は、その反省を踏まえて、一つ一つの基幹統計、一般統計について、統計専任職員がおられる地方統計機構の現場ですとか、あるいは労働局始め地方事務所の現場など、実地調査をして詳細なチェックをする体制が必要だというふうに私は思っております。

 また、統計委員会、点検検証部会の議事録も今滞っておりまして、これも速やかに出せる体制が必要だというふうに思っております。

 五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計、今の点検検証部会の人数あるいは政府統計の検証チーム三十一人体制で本当にできるかという点、統計委員長としてどうお考えでしょうか。

    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕

西村参考人 できるかと言われて、これはやるしかないと言うことしかないと思います。

 人員が足らないということは、そういう意味で、検察のような形で人員をやるわけにいきませんし、それから、実地の調査といってもなかなか、委員の方々も非常勤の先生方ですし、そういった形でやるというのは非常に難しいのですが、ただ、基本的には、いろんなものは、統計というのは、そういうものもそうですが、ある種のロジックでつくられていますから、そのロジックをきちんと踏んでいったときに、妙なことをやっているとそのロジックに合わないところが出てくるわけですね。そこから破綻を来すので、その破綻を見つけることによってどこが本当におかしいのかというのがわかるというのが一つです。

 それからもう一つは、統計というのは一人でつくっているわけではなくて、非常にたくさんの人たちが関与しているわけですね。したがって、その人たちからのいろいろな情報提供というのがあれば、そういったことに対して対処できますし、そういったものも我々としては重要に考えて、少なくとも私は重要だと考えておりますし、そういったものに関して、そういったものがあれば、それに対して対応していくという形になると思います。

 以上です。

本村委員 統計委員長から、限られた人員の中でやるしかない、やれる範囲でというふうなお答えもあったんですけれども、それではやはり困るわけでございます。これは政府に対して申し上げなければならないことだというふうに思いますので、次回に質問をさせていただきたいと思います。

 毎月勤労統計調査の不正に話を移りますけれども、以前、日本経済学会の理事会、日本統計学会、歴代の国民経済計算部会長の声明なども御紹介をしましたけれども、その後、二月二十一日、経済統計学会の声明が出されております。きょうお配りをしておりますけれども、「今回の労働統計を中心とする統計不正は、単なる調査技術上の問題にとどまるような性格のものではない。それは、統計の真実性の確保という、統計再建にあたって掲げた所期の目的を達成すべく設計された法制度の仕組みそれ自体の存立基盤を覆すものであり、わが国の公的統計、ひいては日本という国の有り方そのものを根底から揺るがしかねない問題に他ならない。」と深い懸念を表明をしております。

 あわせて、「今回の統計不正が、二〇〇〇年代初頭のいわゆる「三位一体改革」以来の統計職員並びに統計予算の削減をその一因としていることは想像に難くない。また、調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬も影響しているのではないかと考える。これらの問題を含めて、文字通りの第三者の立場が確保された組織による、徹底した原因究明が行われることを求める次第である。」というふうにしております。

 統計委員長として、声明が指摘をしている「統計職員並びに統計予算の削減」「調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬」という問題の究明を、どのように追求していくというお考えでしょうか。

西村参考人 経済統計学会の声明というのは非常に重い声明でありますし、統計委員会の委員長という場を離れて、一学者として共鳴する部分は非常に多いわけですね。

 それと同時に、統計委員会は、組織として日本の統計のシステムというものに対して責任を負っているという形になります。その組織というのは、過去のいろいろなしがらみとか、それから経緯とかいう形でつくられているものになりますから、その中で、どういう形で最善な形のものができていくか。つまり、白地に何か物を書くというのであればかなりきれいな形に出るんですが、残念ながらそういう形ではなくて、こういう形の問題が生じてしまったという形になりますので、その中でやれる範囲のことをやっていきたい。

 やれる範囲のことをやっていきたいとすると後ろ向きにとられますが、やれる範囲を拡大していきたいというふうに考えています。統計改革そのものは、そういうことから始まったわけですね。

 もともと、統計委員会というのは、言われたことしかやるなと言われていたところが言われていないことをやり始めて、そうすると妙なものが出てくる、いろいろ出てくるという形になってきたわけですね。だから、これは、我々の責任の範囲を広げていく。その責任の範囲を広げるというのが統計改革で、政府からのマンデートという形になってきていますから。それから、国会でのいろいろな御議論を踏まえた形でこれからもやっていきたい。

 そのときには、原因究明のことなんですが、当然、原因究明も必要なんですが、この場合に重要なのは、原因究明というのは、我々は警察官ではないので、我々に必要なのは、将来の再発の防止、再発の防止以上に、将来よりよく、クオリティーをよりよくしていくためにどういうことが可能であるのかということを考えていくというのが、我々の基本的な立場になります。

 したがって、そういう面から、いろいろ、国会の先生方の御支援も得て、システムとして、日本の統計システムがよりよい方向に向かっていくという形に持っていきたいというふうに考えています。

 以上です。

本村委員 今質問を申し上げました、「統計職員並びに統計予算の削減」「調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬」という問題についての究明はどうなんでしょうか。

西村参考人 これは全くそのとおりなので、それに対して、これからまた六月にかけてのいろいろな、予算の問題もありますので、そういう中で、統計委員会として積極的にお話ししていきたいというふうに考えています。

 統計改革において、初めて予算の配分とか人員の配分について、部分的ではありますが、統計委員会が明確に物を言えるような状況になりましたので、そういった新しい統計委員会の力を使って、そして、国会の先生方、それから政府内の統計改革の力を合わせてこの部分をやっていきたいというふうに思っています。

 それから、調査計画の企画・実施者の制度的な意思疎通のそご、これはまさにそのとおりなんですが、これに対しては、やはり各統計部局がきちんとした対応をしていく、その対応をしていくというものを我々がチェックしていくという形でやっていくという形になると思います。

本村委員 用意した質問、残念ながら半分以上できなかったわけですけれども、引き続き、統計委員長を呼んで、あるいは学会の皆様も呼んで集中審議をしていただきたいということを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、統計集中ということで委員会を立てていただいていますが、まだ検証結果が出ていないわけですよね。だから、ちょっと、検証結果が出ないと議論できないんですが。

 委員長、これ、統計集中ですけれども、統計の質問なしでもよろしいでしょうか。

江田委員長 統計問題に関しての集中でございますので、それにできるだけ即してやってください。

足立委員 ぜひこれは、検証が終わったら、また改めて、統計の集中、集中というか、一般質疑でも質問できますので、またしっかりやりたいと。

 ただ、少しはやれということですから、大臣、どうですか、きょう、この質疑を聞いていただいていて、何か得るところはありましたでしょうか。

石田国務大臣 西村委員長には、本当に丁寧に、きちっと御答弁いただいたなと思って、感謝をいたしております。

足立委員 本当に、西村委員長には御足労をいただいて、感謝を私からも申し上げたいと思いますが、とにかく検証が終わって、しっかりやりたいと思いますので、統計問題は以上とさせていただきたいと思います。

 通告の順番をちょっと変えまして、一番最後のふるさと納税からやりたいんですが、ふるさと納税について、るるこの委員会でも議論してきました。その中で、総務省が、大阪府泉佐野市を始めとする四つの地方公共団体について、特別交付税を減額する、事実上、災害分以外は全部なしという大変な措置をとられました。

 新聞等、報道、マスコミ等も、懲罰的じゃないかとかペナルティーとか、そういう議論が若干出ていますが、局長、済みません、ちょっと通告、細かくしていないんですが、ちょっと議論に入る前提として、今回の措置は省令改正ですよね。省令改正の日付というか、いつ省令改正したかって、ごめんなさいね、すぐわかる。すぐわかるよね、それぐらい。通告、ちゃんと、ちょっと統一地方選挙で忙しくて、ああ、済みません。

 じゃ、省令改正をいつしたかということと、そういうふうに、三月分の特別交付税の配分を、その直前に省令改正して変えたわけですよね、多分。そういうことというのは毎年よくあることなのでしょうかというその二点、日付と、よくあることかどうか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特別交付税に係ります省令改正は、三月の二十日に公布、施行をさせていただいております。

 それから、よくあることかというお尋ねでございましたので、申し上げますと、特別交付税、これは御承知のとおりで、普通交付税の画一的な算定方法によっては捕捉できない特別の財政需要など、各地方団体のさまざまな財政事情を考慮して算定をし、また、普通交付税と異なりまして、災害も含めて、年度途中に生じた事情を考慮する必要があるということもございまして、地方交付税法第十五条によりまして、その詳細な算定方法等につきまして総務省令に委任されているものでございまして、例年、今回のような形で、省令改正で決定をしているところでございます。

足立委員 私もいろいろ事前に聞いていまして、いろんな、豚コレラですかの関係とか、いろんな年度途中に起こったことについて、省令改正で特別交付税について措置をするということがあるそうであります。

 その上で、じゃ、今回のふるさと納税に係る省令改正はどうなんだということですが、局長、要は、例えば豚コレラとか、あるいは、例えば、もともとある規定では公営事業の収入がどうとか、退職手当がどうとか、いろんな事案が特別交付税に係る規定には含まれているということでありますが、今回のように、不交付団体並びで、要すれば、今回は非常に特殊な形をとっていて、ふるさと納税収入の二分の一を基準財政収入額に加えた場合の、それぞれの地方公共団体の財政力を不交付団体の平均と比べて云々と。

 こういう制度というのは、例があるんですか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 特別交付税、先ほど申し上げたような特別の事情があることによりまして、普通交付税の額が過少となってしまうという地方団体に対して、総務省令で定めるところによりまして、当該事情を考慮して交付をする、こうされているところでございます。

 今委員から御紹介あったような特殊な財政需要についても、これまで算定してきております。

 また、今回の、このそのものの同じ形というのは、今回初めてでございまして、普通交付税の算定におきまして財源超過額があることというのも特別交付税の算定における減額項目としてございまして、いわばこれ類似の考え方ということで、今回の決定をさせていただいたところでございます。

足立委員 今、皆さん、聞かれましたか、これ。与党の皆さん、これ、初めてですよ、初めて。

 要すれば、もちろん不交付団体というのは不交付団体ですから、だから、どれぐらいあるのかな、全国に何十かある、千七百ある地方公共団体の中で、幾つかの、何十かの豊かな地方公共団体については、これは特別交付税は、まあ、災害分、災害については対応せなあかぬということでこれは配られますが、災害分を除けば、これは特別交付税は配られないわけです。

 それとの比較において、いや、寄附が、要は、ふるさと納税の寄附がたくさんあったんだから君たちは不交付団体と一緒だと、ばっさりというような措置が、今回総務省は省令を改正してやったんですよ、与党の皆さん。いいんですか、こんな、初めてですよ、初めて。

 だから私は、今までと同じように、今までの、公営企業の収入が特別にことしはふえたとか、いろんなことがあったらちょっと減額するとか、そういう規定は、それだったら、ふるさと納税が一定額以上というか、ふるさと納税がとにかく大き過ぎるところはみんなそれをやったらいいじゃないですか。普通にやったらいいんですよ、普通に。今までの総務省の特別交付税に係る省令の規定のほかの類型と同じように、並べてやったらいいんですよ。まあ、やったらいいって、僕はやったらいいと思わないですよ。でも、やるんだったらそうするのが普通なんです。

 ところが、今回、総務省は、あの手この手でこの四団体だけ、大阪府泉佐野市と、静岡県小山町というんですか、これ、小山町、読み方がわからないけれども、和歌山県高野町、タカノマチかタカノチョウか、佐賀県みやき町、この四つだけがピックアップされるような無理無理の計算方法を編み出して、今までやったことないような省令規定を新しくつくり出して、大臣、これはやはり懲罰的、ペナルティーでしょう。

石田国務大臣 今委員御指摘の点で、あれは和歌山県コウヤチョウでございます、高野山のある。私の選挙区でございますので、お間違えのないようにお願いしたいと思います。

 懲罰的であるかどうかということでありますけれども、これは前のときにもお話しさせていただいたかもわかりませんけれども、四団体に多額のふるさと納税収入があることによりまして、地方税収にふるさと納税収入を加えた場合、二つの指標があります、財政力指数とそれから財源超過額、このいずれもが不交付団体の平均を上回った。これは四団体だけでございまして、そうなりますと、財政配分の均衡、こういうことを図る観点からも、やはり今回は特別交付税を減額させていただくのは妥当ではないかという判断をしたところであります。

足立委員 局長、これ、このルールというのは一般ルールじゃないんでしょう。ふるさと納税だけなんですよね。言っていることわかりますか。

 だから、地方公共団体の財政力が、今大臣がおっしゃったような二つの観点の両方に引っかかった場合は不交付団体と同じような扱いをするわけですね、今回。それは一般ルールなんですか、それともふるさと納税だけなんですか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 今大臣の方からも答弁ございましたけれども、今回、平成三十年度がふるさと納税の金額に着目して算定を行うのは初めてということでありますけれども、今大臣の方から紹介をいたしました算定によりまして、ふるさと納税収入によって平均的な不交付団体を、不交付団体じゃなくて、不交付団体の平均的なものをさえ上回る、そういう財政力となる地方団体というのは、これもまた今回初めてあらわれてきた団体でございまして、そういった、特に平成三十年度になりまして、特定の地方団体に極めて多額のふるさと納税が集中をしてきている、平均的な不交付団体を上回る財政力となる地方団体が生じてきているといったことを踏まえて、今回の措置を講じたものでございます。

 そういった意味で、先ほどもお話がありましたように、今回、これが初めてということではありますけれども、ふるさと納税に着目したという点に関して、これは、いわば一般的に寄附金というのは、普通交付税の方の算定でいえば基準財政収入額には入れないんです。ですから、普通交付税にはこれは今までは反映されてきていないわけでありまして、そういった中で、財源を均衡するという観点から、特別交付税のところで今回この部分をカウントさせていただいた、こういうことでございます。(石田国務大臣「ちょっと補足いいですか」と呼ぶ)

江田委員長 はい、補足で。

石田国務大臣 今回、ふるさと納税を交付税のあれに入れたということでありますけれども、過去の特別交付税の算定の際には、ふるさと納税収入によって、先ほど申し上げましたような、平均的な不交付団体を上回る財政力になる地方団体は生じておりませんでした。

足立委員 すると、ふるさと納税で初めて今回こういうルール、基準に該当するものが生じた、えっ、生じたんじゃないんですか。局長はうんうんと言っているよ。

石田国務大臣 ふるさと納税はもう十年続いているわけでありますけれども、過去のふるさと納税の状況では、先ほど申し上げましたような、不交付団体の平均を上回る団体、まあ両方ですね、財政力指数と財源の超過額、これを上回る団体はなかったということであります。

足立委員 ふるさと納税以外の要因で同じような状況に陥ったような地方公共団体もこれまではないんですか。

林崎政府参考人 ふるさと納税以外の要因で、例えば今お話があったような、財源超過額があるいは財政力が不交付団体の平均を上回るといったような事象というのは、私ども承知しておりません。

足立委員 すると、これはふるさと納税に関する省令改正なんだけれども、これからもしふるさと納税以外の案件であっても、いや、私がきょう聞きたい、伺いたいことは、このルールは一般論かどうかなんですよ。

 だから、例えば、ふるさと納税以外のアイテムにおいてこの同じような事態が起こったときは、不交付団体と同様に災害分以外はもう減額するということになると考えていいんですね。

林崎政府参考人 お答えいたします。

 特別交付税、先ほど来申し上げているようなものでございまして、各地方公共団体の特殊な財政需要につきまして、これを、普通交付税の画一的な算定では把握し切れないものにつきまして、事情を考慮して交付をするということになっているものでございますので、そういった基本にのっとって、今後、何か起きた場合には考えていくということになると思います。

足立委員 いやいや、だから、大臣、これ、もし、いや、これはもうもともと総務省としては、今まで想定していなかったけれども、今までは想定していなかったけれども、こういうふるさと納税という制度の結果、今まで想定外の事態が起こった、それについては、今ある財政力指数、財源超過額の二つの項目に沿って、不交付団体の平均と比べてそれが上回っているときは特別交付税は減額するんだ、災害以外はなしにするんだというルールは、これはもう一般ルールとして、局長は、いやいや、それはまた起こったときに考えるんだということですけれども、もし起こったときに考えるんだったら、これは、繰り返しになるけれども、ひどいじゃないか、この話はと。ふるさと納税についてはこれをやるけれども、ほかについては適用するかわからないんでしょう。

 大臣、どっちですか。ふるさと納税だけか、それ以外を含むかどうか。

石田国務大臣 これは、法令によりますと、「当該事情を考慮して交付する。」というふうになっておりまして、その意味するところは、逐条解釈によりますと、当該地方団体の特別の財政需要、減額すべき額の多寡、財政事情の内容等を総合勘案して交付すべき額を決定することとされているところでございまして、今回は、先ほど申し上げましたような点があった点から、財源配分の均衡を図る観点から行ったものであります。

足立委員 結局よくわからない答弁ですが、時間が来ましたが、要すれば、ぜひ与党の皆様にも御理解いただきたいのは、今回の措置は、できた省令改正のルール自体が本邦初ですよ。新しいものを編み出したんですよ。その編み出したものは、一般化するのではなくて、ふるさと納税のためだけにつくった、編み出した制裁ルールなんです。それはやはり、私はどう考えても、これは懲罰的でありペナルティーであるとしか解せないということを指摘をし、総務省の措置について批判的に指摘をし、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、井上一徳君。

井上(一)委員 希望の党の井上一徳です。

 公的統計、これはもう国民共通の財産ですので、二度とこういうことが起こらないというように、再発防止策をしっかりしてほしいという観点から、幾つか質問をしたいと思います。

 まず、前の三月一日の総務委員会で、基幹統計が五十六、それから一般統計二百二十三、これについて問題点の深掘りを今やっているというふうに聞いておりましたので、これの予定について質問をさせていただいたところ、春までをめどに統一的な審査を行う予定であるというふうに答弁がありましたけれども、現在の進捗状況について教えていただきたいと思います。

横田政府参考人 御質問の点検検証部会におきましては、五十六の基幹統計につきまして、再発防止、それから不適切事案の発生時対応、品質向上、この三点の視点に即しまして、合計で数十項目にわたる書面調査による実態報告を今各府省に求めたというところでございます。

 これを各府省にいただいた上で、現在、週二回のペースでワーキンググループを開催しているところで、これまで計六回、約二十時間のヒアリングを行うなど、精力的に審議を行っていただいているところでございます。

 また、二百を超える一般統計調査、これにつきましても、基幹統計に準じまして、各府省で自己点検を進めておりまして、基幹統計のヒアリングを終えた後に、点検検証部会へ報告がなされる予定ということになってございます。

 これらの統一的な審査、予備審査ということでございますけれども、この結果を踏まえまして、深掘りすべき課題につきまして重点的な審査を行いました上で、六月又は七月までに第一次の再発防止策等の提案を取りまとめる予定ということで承知しておるところでございます。

井上(一)委員 この統一的な審査とか、あと再発防止のための取りまとめ、これについては、統計委員会はどういう絡み方をするんでしょうか。

横田政府参考人 ただいま、先ほど私の方から御答弁申し上げましたのは、点検検証部会での作業が主になっております。

 この部会におきましてまた議論を行いまして、その上で統計委員会でまた議論が行われるということでございまして、先ほど、第一次の再発防止策というふうに申し上げましたけれども、これは当然、統計委員会で議論なされた結果ということになるということでございます。

井上(一)委員 続きまして、やはり統計に従事する人材というか、人の確保が非常に重要だと思うんですけれども、これも総務委員会で質問したところ、平成三十年度には、統計に関する定員として、各府省全体で百三人の増員をしたということでありました。

 百三人の増員は非常にいいことなんですけれども、やはり質の高い人材を確保するということが非常に重要だと思うんですけれども、この質の高い人材がきちんと確保されたというふうに理解しておいてよろしいでしょうか。

横田政府参考人 今委員御指摘のとおり、平成三十年度は、統計改革全体で百三人という増員が行われたところでございます。そのうち純粋に統計分といたしましては各府省で六十七人ということでございまして、うち総務省で四十人の増員が行われたということでございます。

 実際にどういう人材かというところでございますけれども、今申しました総務省の方での例になりますけれども、民間調査会社の経験者であるとかといった外部人材の活用、それからあと、経験豊富なOBを登用するといったようなことで、専門性を有する人材の確保を進めているところでございます。

 また現在、点検検証部会におきましても、いろいろと各府省に対しまして、統計の業務の経験や研修の受講状況といったところで、統計業務に携わる職員の専門性についても調査しているというところでございます。

 これで具体的に検証結果が出てまいりますので、これを踏まえまして、統計人材の確保・育成方針、これをどういうふうに行っていったらいいのかということをまた更に詰めていきたいというふうに考えておるところでございます。

井上(一)委員 あと加えて、採用のほか、研修、これを通じた能力の強化ということが重要だと思いますけれども、統計人材の育成のために、研修の強化、具体的にどのような取組をされているのか、お聞きしたいと思います。

横田政府参考人 今委員御指摘のとおり、この研修ということにつきましては、公的統計の信頼を確保し、品質確保、向上を図るためには非常に重要なことだというふうに考えております。

 これはやはり、各府省の職員が能力向上を行うというインセンティブを付与するということもあわせてまた考えていかなければいけないというふうに思っております。

 このような観点から、政府では、昨年四月に、政府全体を通じた統計人材の確保・育成方針を策定いたしました。

 各府省においては、これに基づいて研修やOJTを通じた能力開発や人事交流などに取り組むということになっておるところでございます。

 具体的には、政府職員全体の統計研修、これは総務省の統計研究研修所が行っておるところでございますけれども、こちらの方で、EBPMやビッグデータなどに関する研修の充実、あるいは職場から参加できるオンライン研修の拡大などに取り組んでおるところでございます。

 さらに、研修期間が三カ月となりますこの本科の研修におきまして優秀な成績をおさめた方には昇給などの処遇改善を行うといったような形で、研修受講のインセンティブにも配慮しているといったようなことを行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、このような取組を通じまして、研修効果の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

井上(一)委員 続きまして、調査員の確保について伺いたいと思います。

 統計調査員の高齢化が進んでおりまして、平成二十七年度においては、登録調査員十五・六万人のうち六〇%を超える約十万人が六十歳以上ということで、将来にわたって安定した調査実施の体制を整えることが大事だと思うんですけれども、この調査員の確保について、それから育成について、やはり処遇が非常に、七千六十円程度だったという報道もありましたけれども、処遇もやはり確保しなければならないと思いますが、この調査員の確保についてどのように取り組んでいくのか、教えていただきたいと思います。

横田政府参考人 今御指摘ございましたように、統計調査を取り巻く環境は非常に厳しさを増しているという中で、この重要な役割を担っている統計調査員の確保、育成ということもかなりな困難を伴っているということでございます。

 このため、育成とそれから確保という観点でございますけれども、総務省では、従来から、統計調査員となることを希望する方をあらかじめ登録し、必要な事前研修を行うということを行っております。さらに、統計調査員として活動している方への研修につきましても、具体的には、調査が困難なオートロックマンションへの対応等のノウハウの共有であるとか、あるいは個人情報保護の扱い、この重要性の徹底といったこと、それからオンライン調査の実習といったようなことで、内容を充実し、統計調査員のスキルアップを図るということを行っておるところでございます。

 また、御指摘ございましたように、高齢化が進んでいる調査員、このなり手の裾野を広げるということも非常に重要なことでございますので、学生や生涯学習の受講者等の任用に向けた取組を進めているということもございます。

 さらには、統計調査員の処遇ということもございます。従来から、公務員給与のベースの改定に合わせて改善を行ってきたということでございますけれども、統計調査員として長きにわたって活動していただいた方にはまた表彰を行うということも行っておるところでございます。

 この統計のあり方について、今後、総合的に検討していくというふうにこれまでも申してきたところでございますけれども、その中で、統計調査員の処遇といったことについてもまた検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

井上(一)委員 それでは、時間ですので、最後の質問にしたいと思いますけれども、やはり西村委員長の奮闘によりこうやっていろいろ問題点も見つかったりして、統計委員会の役割は非常に重要だと思います。

 やはりこの統計委員会を更に強化していくということが非常に重要じゃないかと思っておりまして、私自身は、この統計委員会の委員に一部委員の常勤化を行うこともして、統計委員会を強化していくということが非常に大事じゃないかなと思っているんですけれども、この点については、石田総務大臣にお聞きしたところ、これはやはりある一定の調査等が整った段階で総合的に考えていくべきという答弁がございました。

 西村統計委員長に、この統計委員会の強化、これをぜひやっていただければと思うんですけれども、統計委員会の強化について西村統計委員長にお尋ねして、最後の質問にしたいと思います。

西村参考人 統計委員会の強化というのは、もうほとんどこれは待ったなしの状況だというふうに考えております。

 どういう形でやっていくのかというのは、なかなか難しいことがあります。そのためにこそ、政府の後押し、それから国会の後押しというのがどうしても必要だというふうに考えております。

 やはり基本は、統計委員会が司令塔という立場、つまり各府省から独立した第三者機関、これは正確には第三者機関とは言えないんですが、一応第三者機関という形、位置づけにはなっていますので、そういった意味での第三者機関として統計委員会が設置されて、これが、中立それから公正かつ専門的な見地ということから各府省が行う統計調査に対するチェック機能を果たす、さらに、それから、各府省がやるべき統計というのは一体何なのか、そういうことについてもきちんとしたことが言える、そして、各府省の実際の運営体制、それに対して何か物が言えるという形になるのが、これはどうしても必要だというふうに思っています。

 それは、昨年六月の統計法改正では、そういった形で、総務大臣の諮問によることなく自律的、機動的に意見を述べる、つまり、建議ができるという形になったことで所要の規定が整備されたわけですが、これだけでは十分じゃなかったというのが今回の問題の裏にあるわけです。

 したがって、問題、特に再発防止ということを考えれば、現在進んでいる点検検証部会における徹底した検証というものを踏まえて、こういった取組の中で、統計委員会のさらなる機能強化の必要性というのは考えていくべきであろうというふうに思っております。

 以上です。

井上(一)委員 二度とこういう事態が起こらないように再発防止策をしっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次回は、来る十一日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十分散会


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