衆議院

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第10号 令和4年4月7日(木曜日)

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令和四年四月七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 新谷 正義君 理事 田所 嘉徳君

   理事 岡本あき子君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 輿水 恵一君

      井野 俊郎君    井林 辰憲君

      井原  巧君    石井  拓君

      石田 真敏君    上田 英俊君

      大串 正樹君    加藤 竜祥君

      川崎ひでと君    杉田 水脈君

      鈴木 英敬君    田中 良生君

      武村 展英君    長谷川淳二君

      鳩山 二郎君    古川 直季君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      山口  晋君    渡辺 孝一君

      荒井  優君    石川 香織君

      おおつき紅葉君    鈴木 庸介君

      道下 大樹君    山岸 一生君

      湯原 俊二君    阿部 弘樹君

      沢田  良君    守島  正君

      日下 正喜君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         金子 恭之君

   総務副大臣        田畑 裕明君

   総務大臣政務官      鳩山 二郎君

   総務大臣政務官      渡辺 孝一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         滝澤 依子君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         荻野  剛君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          山越 伸子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           熊谷 法夫君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     石井  拓君

  坂井  学君     田中 良生君

  西野 太亮君     長谷川淳二君

  古川  康君     上田 英俊君

  奥野総一郎君     山岸 一生君

  道下 大樹君     荒井  優君

  福重 隆浩君     日下 正喜君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     山口  晋君

  上田 英俊君     古川  康君

  田中 良生君     坂井  学君

  長谷川淳二君     西野 太亮君

  荒井  優君     道下 大樹君

  山岸 一生君     奥野総一郎君

  日下 正喜君     福重 隆浩君

同日

 辞任         補欠選任

  山口  晋君     小森 卓郎君

    ―――――――――――――

四月七日

 情報通信行政の改革の推進に関する法律案(中司宏君外二名提出、衆法第二六号)

 電波法及び放送法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官滝澤依子さん、人事院事務総局職員福祉局次長荻野剛さん、総務省大臣官房長原邦彰さん、自治行政局公務員部長山越伸子さん及び農林水産省大臣官房審議官熊谷法夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。おおつき紅葉さん。

おおつき委員 おはようございます。立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、地方公務員育休法及び改正民間育児・介護休業法の一部改正案に係る法案質疑の機会をいただくことになりました。改めて感謝申し上げるとともに、新年度を迎え、一部地域のリバウンドも懸念されるコロナ感染拡大に、お見舞いと、変わらず最前線で対策に当たる全ての関係者に感謝と敬意を申し上げます。

 さて、一足先に民間の育児・介護休業法の改正案が昨年の通常国会で成立し、今月一日から段階的に施行されています。出生時育児休業、いわゆる産後パパ休暇などの取得促進、制限緩和に更に対応する形で、今国会に国家公務員と地方公務員の育児休業法の改正案が提出されました。

 人々のライフスタイルと働き方の多様性が高まる中、親としての役割を、男女が対等に、子供の最善に適する取組を行う必要があると考えますので、民間の労働者と同じく、本年十月施行予定の公務員についても新たな育休制度が確実にスタートし、少子化対策、ひいては人口問題対策にも資することができるよう、まず冒頭お願いをいたしまして、質問に入りたいと思います。

 私自身、民間の企業ではございますが、子供が二人おりまして、二度育休を経験しました。そして、その後会社に復帰するということを経験した自分自身の経験も踏まえて、本日は質問をさせていただきたいと思います。

 さて、現行の地方公務員の育児休業制度においては、子供が三歳になるまで取得可能な通常の育児休業を原則一回、これに加えて、主に男性職員を対象として、子供の出生後八週間以内の育児休業を一回取得できることと承知しています。

 今回の改正案では、通常の育児休業を原則二回まで取得可能とするとともに、これに加えて、子供の出生後八週間以内の育児休業を二回目まで取得可能とすることとしてあります。これにより、主に男性職員について、合計四回の育児休業が取得可能となるわけです。

 そこで、まず、通常の育児休業についてお伺いいたします。

 最長で子供が三歳に達するまで取得可能な通常の育児休業の取得回数を原則二回までとした本改正案の趣旨を教えてください。また、この原則二回という回数が、今後、育児と仕事の両立を図るに当たり、政府は十分なものと考えているのでしょうか。見解をお伺いいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 現在、地方公務員の育児休業につきましては、その取得回数が原則一回までとされておりまして、配偶者の疾病等により子の養育に著しい支障が生じる場合などの特別の事情がない限り、再度の取得ができない仕組みとなっております。

 今回の改正は、育児休業を原則二回まで取得することができるようにすることで、夫婦交代などで柔軟な取得を可能とし、男性職員の育児休業取得促進や女性職員の活躍促進を更に進めることを意図しているものでございます。

 原則二回という回数につきましては、国家公務員及び民間企業に係る育児休業法において、育児休業の取得回数の制限が原則一回から二回に緩和されることを踏まえ、同様の措置を講ずるものでございます。

 地方公務員の育児休業については、国家公務員と同様、子が三歳に達する日までの期間において、期間の制約なく取得可能であり、これに加えまして、今回の改正により、子の出生後八週間以内の育児休業を含めて計四回の取得が可能となるものでございます。

 このような今回の育児休業の制度的な対応に加えまして、育児参加のための休暇など、様々な両立支援のための制度が用意されております。こうした制度をしっかりと活用できる環境整備を各地方公共団体において進めていただくことによりまして、育児と仕事の両立を図っていただくことが重要であると考えております。

 総務省といたしましても、各団体における取組がしっかり進んでいくよう、必要な助言、情報提供にしっかり取り組んでまいります。

おおつき委員 続いて、主に男性職員を対象とした、子の出生後八週間以内の育休についてお伺いします。

 総務省の令和二年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果によりますと、男性職員の育児休暇取得率は一三・二%と、前年度から五・二ポイント上昇しております。しかし、女性職員の育児休業取得率は九九・七%となっており、女性に関してはほぼ全員が育児休業を取得しているという状況と比べると、依然として大変低い水準にあると言わざるを得ません。

 現行の男性職員の育児休業については、通常の育児休業を原則一回、これに加えて、子の出生後八週間以内の育児休業を一回の、合計二回の育児休業が取得可能となっております。しかし、育児休業を取得できるはずの多くの男性職員の方々が、このうち一回も育児休業を取得していないという状況にあり、現状は、女性が孤独に育児を行うワンオペ育児が頻発しております。

 育児休業を一回も取得していない男性職員の方が多くいらっしゃる中で、取得可能な回数を増やすという今回の法改正は、果たして男性職員の育児休業の取得率にどの程度の効果をもたらすのでしょうか。

 そこで、子供の出生後八週間以内の育児休業の取得回数を一回から二回に緩和する趣旨をお伺いしたいと思います。特に、八週間までにどのようなケアが必要だから二回に緩和したかということをお伺いできればと思います。

 また、この緩和によって男性職員の育児休業取得率の向上にどの程度の効果があると見込んでいるのでしょうか。政府の見解をお伺いいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 現在、育児休業の取得は原則一回までとなっておりますが、子の出生後八週間以内については、これとは別に、一回まで育児休業が取得可能な仕組みとなっております。

 今回、子の出生後八週間以内の育児休業の取得を二回までとしましたのは、主に男性職員が対象となるこの時期の休業を利用いたしまして、配偶者の退院後やいわゆる里帰り出産から戻った時期など、特に配偶者への支援が必要となる子の出生直後の複数の時期において男性職員が育児を担いやすくするためでございまして、より柔軟な対応が可能となりますことから、男性職員の育児休業の取得が容易になると考えております。

 具体的な成果の数値というものをお示しすることは難しい状況にございますが、今般の法改正によりまして、特に男性職員の育児休業について、取得率の増加や総取得期間の長期化、これによる職業生活と家庭生活の両立や女性の活躍促進といった効果を見込んでおりまして、男性地方公務員の育児休業取得率三〇%という、第五次男女共同参画基本計画に定められました目標、この達成に寄与することを期待しているところでございます。

おおつき委員 ありがとうございます。

 やはり八週間までというのは、言葉も通じない赤ちゃんが生まれた後、母親の心身の安定にも、父親がいることによって、かなりつながってくる点が多いと思うんです。また、もし上の子がいる場合は、上の子自体も、新しい赤ちゃんを迎えるに当たり、不安定な気持ちになる期間だと思いますので、そのときに父親がいるとやはり全然違ってくると思うんですよね。この制度、必要となりますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 さて、本改正案の施行日は、民間の育児・介護休業法の改正の施行日と合わせて、今年十月一日になる予定と伺っております。

 そこで、施行日前後の育児休業の取得回数の考え方、つまり、施行日より前に育児休業を取得していた場合の施行日後の取得回数の取扱いは一体どのようになるのか、確認させてください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正案では、施行日前に既に育児休業をしたことがあった場合であっても、施行日後は再度、二回目となる育児休業をすることができるものでございます。

 また、施行日前に子の出生後八週間以内の育児休業をしたことがあっても、施行日後は、子の出生後八週間以内の育児休業を再度取得することができるほか、通常の育児休業を二回することができるものでございます。

おおつき委員 確認できましたことは、今までも一回取っていたとしても、この施行後、もう一度取れるということを改めて確認させていただきました。

 次に、今回の育児休業の取得回数制限の緩和によって、育児と仕事の両立支援制度のより柔軟な利用が可能となりますが、こうした制度の運用に当たりましては、実際に制度を利用する職員がその内容を十分に理解できるようにすることが重要であると考えております。

 近年、男性の育児休業の取得促進が焦点となる中で、総務省においては、リーフレットやパンフレット、ハンドブックなど、これまでも取得促進に向けた通知の発出や各自治体における好事例の周知、そして広報などの取組を行ってきたことは承知しております。

 こうした取組により、男性職員の育児休業取得率は、近年増加傾向にはあるものの、先ほど、令和二年度の調査では、地方公務員の男性職員の育児休業取得率は一三・二%と、国家公務員の取得率二九・〇%に比べるとまだまだ低い水準にあるというのが現状です。今回の法改正を機に取得が一層進むよう、例えば金子大臣の世代の方々も含めて、職場の理解が必要となってきます。

 職場復帰の際は、経験に見合った職場に戻ることができ、不利がないよう、育休を取得したからといっても差別されることがないよう、職場環境の整備を含め、改めて総務省からの助言、そして各地方団体での取組を求めたいと思いますが、育休制度がより多くの職員に利用されるように、制度内容の周知も含めて、更なる積極的な取組を行っていただきたいと考えておりますが、金子大臣の普及啓発に向けた姿勢、そして決意、御自身の経験ももしありましたら、よろしくお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 おおつき委員には、御自身の経験に基づき御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 育児又は介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立は、官民共通の重要な課題となっております。今般の地方公務員育児休業法の改正は、育児休業の取得回数の制限を緩和することによって、夫婦交代での育児休業の取得や、男性職員の育児休業の取得をしやすくするものでございます。

 仕事と家庭の両立支援施策を職員がしっかりと活用できるよう、今般の制度改正もきっかけとして、各自治体において更に環境整備などを進めていただく必要があると考えております。

 法案が成立した暁には、各自治体の首長宛てに男性育休の取得促進について書簡を発出をし、直接働きかけをしたいと考えております。

 総務省として、各自治体における取組が進んでいくよう、必要な助言、情報提供をしっかりと行ってまいります。

おおつき委員 首長宛てに書簡ということですが、なかなか送るだけだと、またその下の課長、そしてそのまた下の方々につながっていく、そして、そうした方々が、現場の、取りたい、そして子供がこれから生まれるという方々に対して直接働きかけをするということが本当に大切なことになってきますので、是非十分な対応をお願いいたします。

 さて、今申し上げたとおり、育休制度の普及啓発を行うに当たっては、男性職員の育児休業の取得を促進するには、取得しやすい職場環境づくりをすることが大変重要になってくると考えております。

 民間労働者を対象とした調査ですが、厚生労働省の令和二年度仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業、仕事と育児等の両立支援に関するアンケート調査報告書によりますと、男性が育児休業制度を利用しなかった理由として、職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったから、また、会社や上司、職場の育児休業取得への理解がなかったからといった声が挙げられています。

 育児休業を取得しやすい職場環境づくりに向けて、地方公共団体であれば、知事、市長そして職場の上司、国の行政機関では、まず政務三役の方々が、子供が生まれた全ての男性職員に対して積極的に育児休業を取得するよう働きかけを行うべきだと考えております。いわゆる育児を応援する上司、イクボスの育成が更に求められている時代に来ていると思います。

 そこで、是非、総務省の政務三役の皆さん、総務省の職員そして地方公共団体の職員に対して、育児休業の積極的な取得に向けた働きかけを行っていただけないでしょうか。子育て世代である田畑副大臣から、こうした働きかけを含めて、男性の育児休業の取得促進に向けた取組について、総務省そして地方公共団体で育児と仕事の両立に取り組もうとしている職員に対して、こうしていけば改善できると強いメッセージをお願いいたします。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 事前には、今、アンケートも御紹介をいただきまして、その御回答においても心当たりがあるなと感じる部分もあるというふうに思います。社会全体として子育てしやすい機運をしっかり醸成することは大変大事だと思います。

 そして、何よりも、総務省職員を含めた国家公務員ですとか各地方自治体、率先して男性職員の育児休業を進めていくことは、もちろん大変必要だというふうに認識をしてございます。

 まず、総務省としては、男性の総務省職員が育児休業を取得しやすい環境を整備していきますとともに、今ほど大臣も述べましたが、各自治体向けに書簡をしっかり発出させていただいて、取得率の向上に向けた取組が進むよう、必要な助言をしっかりもちろん行ってまいりたいというふうに思います。

 そして、政務からということでございますが、私も今、四歳、二歳の子供を抱えて、できる限りは家庭と仕事の両立を取り組むように行ってございます。自分自身も実践を含めて、職員の皆さん方が取得しやすい雰囲気づくり、そしてまた、私の経験をいろいろな場面を通じても発出をしながら、それぞれの皆さん方が生き生きと子育てできる環境をしっかり応援をしてまいりたいというふうに思ってございます。

 以上です。

おおつき委員 是非、地方の皆さん、特に町村の皆さんに向けても、副大臣のその言葉を伝えていただければと思います。

 さて、国家公務員については、令和二年度から、子供が生まれた全ての男性職員が一か月以上をめどに育児に伴う休暇、休業を取得できることを目指し、令和元年十二月、国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関わる方針を決定しています。

 この方針に基づき、一、幹部職員による、育休等の一か月以上の取得を目指す方針や目標の明確化、二、管理職員による、育休等の合計一か月以上の取得推奨及び取得計画の作成、三、育休等の取得促進に係る取組についての幹部職員、管理職員等の人事評価への反映などの取組が進められているものと承知しております。

 そこで、この方針を踏まえて、総務省は、令和元年十二月、各地方公共団体に対し、地方公務員についても、男性職員の育休等の取得促進に向けた環境整備に積極的に取り組むよう通知を発出しています。

 そこで、まず、国家公務員における管理職員が行った取組の人事評価への反映状況について、内閣人事局に伺います。

滝澤政府参考人 お答えいたします。

 政府では、管理職員の人事評価において、男性職員の育児休業などの取得を促進するための取組を適切に反映すること、また、対象職員の休業、休暇中に業務の円滑な遂行に貢献した同僚職員について適切な人事評価を行うことなどにより、育児休業などを取得しやすい雰囲気、環境の整備に努めています。

 内閣人事局は、これに係る考え方、方法、目標設定例などについて各府省等に通知をしております。

 それらを踏まえ、各府省において適切に人事評価を行っていただいているところです。

おおつき委員 人事評価への反映というのはすごく大切なんですね。そうすることによって、やはり自分たちが部下に対してそういった環境を整えられたということが評価されることによって、職場環境の整備が整えられると私は考えております。

 例えば、出産休暇から育児休暇を取り入れた世界初の国であるスウェーデンの元大使館勤務である男性の方の体験談の記事を見つけました。

 職場復帰の際は、経験に見合った職位そして職場に戻ることができて、公的セクターで不利なことが全くなかったということです。育児休暇を取得したからといって、差別することができなかったという環境が、スウェーデンにおいて育休を取る男性職員の方が増えたという事例があるということです。

 次に、地方公共団体における国家公務員の取組と同等の取組の状況について、地方公共団体全体での実施状況、あわせて、都道府県、指定都市及び市区町村ごとの実施状況について、総務省にお伺いいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体に対しましては、国家公務員の取組と同様の取組を是非行っていただきたいという助言をしているところでございます。

 国家公務員の様々な取組のうち、例えば男性職員の確実な把握をきちんとするということに関しましては、全体で六五・四%が取り組んでおられ、都道府県は九五・七%、指定都市では八五%、市区町村では六四・四%という状況でございます。

 ただ一方で、管理職員への人事評価に反映しているかどうかということでいいますと、地方公共団体全体で五・六%という水準でございまして、うち都道府県が七四・五%、指定都市が六〇%、市区町村が三・一%という状況でございます。

おおつき委員 市区町村三・一%。やはり、こうした取組が市区町村ほど進んでいないという実情が明らかになりました。

 こうした状況を踏まえて、今後、地方公共団体における男性職員の育児休業取組の促進に向けて、どのような効果的な働きかけや支援を行っていくのか、総務省の見解をお願いいたします。

山越政府参考人 御指摘のとおり、令和二年度の地方公務員の男性職員の育児休業の取得率、これは増加傾向には近年あるんですが、一三・二%と、国家公務員の取得率に比べ低水準になっておりまして、この取組は一層努力が必要だというふうに認識をしています。

 取得率が高い団体における取得促進に向けた取組内容というのも私どもお聞きをしておりまして、先ほど国家公務員の取組で紹介をされました、組織として取得方針とか目標を明確化していること、あるいは、管理職が対象職員の意向に基づき取得計画を作成する主体になることといったような取組があることに加え、知事や市町村長といった首長主導での取組が進められているところ、こういったところが高水準の取得率につながっているものという状況でございます。

 総務省としては、引き続き、制度周知など必要な助言、情報提供を行うとともに、地方公共団体の男性職員の育児休業の取得の促進が図られるよう、様々な支援をしてまいりたいというふうに思っています。

おおつき委員 次に、いわゆるマミートラックについて質問いたします。

 まず、金子大臣にお伺いいたします。マミートラックという言葉を御存じでしたでしょうか。

金子(恭)国務大臣 私は、党の保育関係の幹事長をやっております。また、大臣になって、総務省が出しております「地方公務員におけるダイバーシティ・働き方改革推進のためのガイドブック」、これにも実はマミートラックというのは出てくるんですね。

 子育てをしながら働く女性が、様々な制約のある働き方をせざるを得ないことを理由として、本人の能力や意思にかかわらず、仕事における役割や業務内容まで限定されてしまい、従来のキャリアコースから外れてしまうことを指すものということで承知をしております。

おおつき委員 そのとおりです。育児だけではなく仕事もばりばり頑張りたい、上を目指していきたいと考えている女性が、出産を機に出世コースから外されてしまう、いわゆるマミートラックというのがやはり問題になっております。

 政府は女性活躍推進を掲げて取り組んでおられますが、仕事を頑張りたいと考えている女性職員が出産したからといってそのような状況になってしまっては、仕事のやりがいを奪うことになり、離職にもつながりかねません。

 そこで、まず、国家公務員のマミートラックの改善に向けた取組についてお尋ねいたします。

 平成二十六年十月に策定された「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」においては、育児休業復帰支援やキャリア形成支援等を行うことにより、マミートラックの改善を図ることが明記されております。

 これまでの、国家公務員におけるマミートラックの改善に向けた政府の具体的な取組と、その効果をお伺いいたします。また、現在のマミートラックに対して政府が認識している課題と今後の対応策について、見解をお聞かせください。

滝澤政府参考人 お答えをいたします。

 女性職員については、育児等の時間制約が大きいと認識をしており、重要な仕事が経験できずにキャリア形成ができない状況の改善、長時間労働等で仕事と家庭の両立ができない職場環境の改善といった課題があると認識をしております。

 このため、政府全体の取組指針に基づき、各府省等において、本人の意向を考慮して、ライフイベントを踏まえた職務経験の機会を付与するなどの計画的な育成に加え、男女共に働きやすい職場環境の整備に取り組んでもらっています。

 こうした取組もあり、登用状況の調査結果を見ても、将来的に管理職等に登用される女性の層は着実に育ちつつあるものと評価しております。

おおつき委員 子供がいるからといって、勝手にこれはできないと決めつけて、なかなか出世できないとされると、やはり目標を失っちゃうんです。そういった方々にきちんと機会を与えるような職場環境が必要だと思っております。

 だからこそ、次に、地方公務員のマミートラックの改善について取組をお伺いしたいと思います。

 平成三十年三月に策定された「地方公務員における女性活躍・働き方改革推進のためのガイドブック」においては、女性職員の就労継続の在り方として、いわゆるマミートラックが定着し、そのことに疑問を抱かない地方公共団体もあるとされています。その上で、今後、マミートラックなどの問題を抱えたままでは、限られた定員の中で、組織として機能を維持していくことは困難であるとも述べられています。

 そこで、政府は、こうした地方公共団体に関して、これまでどのような働きかけを行ってきたのでしょうか。また、マミートラックを始め、現在の地方公共団体における女性活躍の推進を図る上での課題及びその解決に向けた取組支援について確認をさせてください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 マミートラック等の課題を含め、女性活躍推進を図るためには、育児を行いながらも活躍できる人事管理面での変革、あるいは、男性職員も含めた働き方改革に関する取組が必要と考えております。

 実際、地方公共団体からは、子育てなどの期間に軽易な業務のみを担当していたことから、経験や能力が不足しており不安であるとか、あるいは、両立して活躍しているロールモデルが身近にいないことなどを理由として、管理職になりたいと思う女性が少ないというような話もお伺いをしています。

 こうした声も踏まえまして、総務省におきましては、御紹介をいただきました「地方公務員におけるダイバーシティ・働き方改革推進のためのガイドブック」や、あるいは、ロールモデルとなる女性職員を紹介した、女性地方公務員のワークスタイル事例集などの作成をし、各地方公共団体に提供しているところでございます。

 このガイドブックの中では、マミートラックの課題も示した上で、各地方公共団体の参考となる取組として、円滑な職場復帰や復帰後の両立、能力発揮を支援することを目的とした研修プログラムの例とか、子育てなどで時間的制約のある職員と人事担当局が、今後のキャリア形成の意向や求めたい配慮などを調整する、仕事と子育て両立支援シートの導入例なども示しているところでございます。

 また、ロールモデル職員を紹介する事例集におきましては、キャリア形成と育児の両立に不安を抱える女性職員の参考となるよう、育児休業等を経てキャリアを積んでいる女性職員の事例も紹介しているところでございます。

 総務省としましては、引き続き、マミートラックも含めまして、地方公共団体における女性活躍の推進を図る上で様々な工夫に取り組んでいる地方公共団体の事例なども紹介をしながら、支援をしてまいりたいと思います。

おおつき委員 まさにロールモデルなんです。地方において、公務員こそ、その地域の社会モデルとなっていく必要があると考えておりますので、是非よろしくお願いいたします。

 今回の法改正によって、夫婦交代での取得など、より柔軟な育児休業の取得が可能となることから、男性の育児休業の取得促進が期待されております。

 その一方で、マミートラックが定着し、かつ改善されていない現状においては、男性についても育児休業の取得によりキャリア形成ができないといった問題が生じる可能性も否定できません。一部では、育児に携わる男性の増加により、マミートラックならぬパピートラックが生まれているといった声もあります。もはや、母親だけの問題ではないんです。父親も、子供を育てる全ての人々に関する働き方や社会全体の意識の転換期が来ていると思います。

 連合の調査等によれば、男性が育児休業を取得しなかった理由にキャリアのブランクと挙げる声や、取得の上での心配事に昇進、昇給への影響を挙げる声があります。マミートラックの改善が図られないことは、女性の活躍促進のみならず、男性の育児休業取得や取得期間の長期化が進まない要因になりはしないでしょうか。

 そこで、総務省として、男性の育児休業の取得促進を図る上で、男性における育児休業の取得によりキャリア形成ができないといった問題をどのように受け止めていますか。また、育児と仕事の両立支援だけではなく、育児とキャリアアップの両立も支援する必要性について、総務省の見解をお聞かせください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 先ほどマミートラックについて申し上げたことと同様に、男性職員に対しましても、育児休業後の円滑な職場復帰や復帰後の両立支援を行うことは、安心して育児休業を取得していただくためにも必要であるというふうに考えております。

 総務省としては、育児と仕事の両立支援だけでなく、育児とキャリアアップの両立支援につきましても、男女を問わず重要な課題であると考えておりまして、各地方公共団体における制度の運用や取組状況を把握しながら、必要な支援を行ってまいりたいと思います。

おおつき委員 ありがとうございます。

 通告はありませんが、金子大臣、この件に関して、マミートラックのことを事前に御存じだったということで、育児とキャリアアップの支援について、もし御見解がありましたらお願いいたします。

金子(恭)国務大臣 今、部長からもるる総務省の取組等々をお話をしましたけれども、非常に重要なことだと思っております。ここをしっかりと解決をすることが重要なことだと思っております。しっかり取り組んでまいります。

おおつき委員 是非お願いしたいと思います。

 次に、新型コロナの感染拡大により、全国で保育所が休園となる事態が相次いでいます。こうした事態を受け、総務省は、令和二年三月、新型コロナウイルスの感染症対策に伴う小学校や保育園の休園等により、急に家庭で子供の世話をすることとなった場合や、職員又はその親族に発熱等の風邪症状が見られる場合には、いわゆる出勤困難休暇制度を利用し、有給の休暇を取得することができる旨の通知を各地方公共団体に発出したものと承知しております。これは、常勤職員、非常勤職員を問わず有給の取扱いとされる休暇であり、総務省は、適切な対応を呼びかけるとともに、休暇の取得について格段の御配慮をいただきたいとしています。

 そこで、この出勤困難休暇が全ての地方公共団体において整備されているのか、また、各団体において感染症対策としての休暇の適切な対応が取られているかどうか、伺います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 出勤困難休暇は、地震、水害、火災その他の災害又は交通機関の事故等により出勤することが困難である場合に取得することができる有給の休暇でございます。

 コロナ禍におきまして、感染拡大を防止する観点から、必要な職員が確実に休暇を取得できる環境を整備することが重要であることを踏まえ、職員又はその親族に発熱等の風邪症状が見られる場合や、学校が臨時休校となった場合に職員が子の世話を行う必要が生じたときに取得できることにつきまして、各地方公共団体に周知をするとともに、制度整備を行うよう助言をしているところでございます。

 総務省として把握しております昨年一月一日時点の状況でございますが、全体の九九・二%と、おおむねほとんどの地方公共団体において制度が措置されていることを確認をしています。

 引き続き、出勤困難休暇について、必要とする職員が適切に制度を利用できるよう、総務省として、引き続き地方公共団体に対ししっかり助言してまいります。

おおつき委員 こちらは有給であることが大切ですので、是非周知徹底をお願いいたします。

 さて、保育所の休園が増える中、男女の育児の負担の偏りが浮き彫りになってきたという報道もあり、子供の対応に追われるのは男性よりも女性の方が多いというのが現状です。

 そこで、総務省から改めて、出勤困難休暇制度を利用して有給の休暇を取得することができる旨の通知を発出するとともに、この制度は女性職員のみならず男性職員も取得可能なことを明確にして、男性も積極的に育児参加していただくよう働きかけを行うべきだと考えますが、総務省の見解をお伺いしたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 出勤困難休暇は、当然、性別を問わず取得することが可能な制度でありまして、例えば、コロナ禍での学校の臨時休校等の場合に、男性職員、女性職員を問わず、必要な職員に活用いただける制度でございます。

 総務省から地方公共団体に対しては、出勤困難休暇の取得事由等について、庁内イントラネットへの掲示など適切な方法により職員に広く周知していただいた旨助言をしているところでございまして、各団体において、男女問わず、必要な職員がしっかりと活用できるよう、引き続き、必要な助言を行ってまいります。

おおつき委員 それでは次に、近年、公務員の志望者が減少する一方で、若年層の職員の離職は増加している傾向にあって、人材の確保が課題となっています。

 国家公務員では、令和三年春の総合職試験の申込者数は、前年と比べて一四・五%減少し、五年連続の減少となっています。また、地方公務員の受験者数についても、この十年間は減少傾向にあると言えます。一方、二十代以下の若年層職員の離職率については、民間企業の水準よりは低いものの、国家公務員及び地方公務員は共に、近年増加傾向にあります。

 そこで、このような状況下においても、公務員の世界に優秀な人材を確保し、また、若年層職員の離職をどのように防止していくつもりなのか、政府の取組を確認させてください。

滝澤政府参考人 お答えいたします。

 近年、国家公務員試験の申込者数は減少傾向にあり、また、自己都合退職者数も増加傾向にあることから、危機感を持っております。

 その要因は一概には申し上げられませんが、特に、若手職員の長時間労働、仕事のやりがいが感じられないことなどが挙げられております。そのため、若手職員の意欲と能力を最大限に発揮できる職場づくりをすることが重要であります。

 このため、政府におきましては、国家公務員の働き方改革の指針に基づき、管理職一人一人による、意義が乏しくなったルーティンワークの廃止や効率化、部下の成長を促すための日々の業務を通じた助言指導の徹底などを通じて、若手職員が意欲と能力を遺憾なく発揮できる環境の整備を進めているところであります。

おおつき委員 まさに、働く職場環境の整備、これをこの時代に合ったものにしていくことが課題だと思っております。

 最後に、質問通告したものが全部終わらずに失礼いたしました。

 常勤、非常勤を問わず、公務員の産前産後休暇の有給化など、非常勤職員の処遇改善が行われたことについては一定の評価をしておりますが、育児、介護に関する休暇については、いまだに常勤職員と非常勤職員とで格差が生じています。

 具体的には、育児時間、子供の看護休暇、介護休暇については、常勤職員については有給にされているにもかかわらず、非常勤職員は無給扱いとなっています。

 地方公共団体においても、多くの非常勤職員の方が常勤職員とともに御活躍いただいている中で、こうした処遇格差は、均等、均衡、同一の観点からも問題があると考えておりますので、政府におかれましては、処遇格差の是正を是非ともお願いしたいと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 石川香織です。今日もよろしくお願いいたします。

 早速質問させていただきます。

 昨年生まれた赤ちゃんは八十四万人ということで、過去最少となりました。コロナ禍であるということも影響していると言われていますが、六年連続で減少しているということは、日本の社会の在り方、それから家族の在り方、様々な課題が大きく直結している問題だと思いますし、今最も日本が力を入れなくてはいけない課題の一つだと私自身感じています。少子高齢化社会は、社会や地域、そして国の構造に大きく影響するということで、しっかり取り組んでいかなきゃいけない。

 そして、女性の社会進出が進むことと、育児と仕事をどう両立させていくかということは、これまた課題があるということです。待機児童の問題であったり、それから、将来的な不安から二人目、三人目の計画をためらってしまうとか、仕事とのバランスが非常に重要だということです。

 そんな課題がたくさんある中で、男性の家事、育児の時間をしっかり確保するということは、この少子化を食い止めて、女性の社会進出もしっかり後押しするということですので、大変重要なことだと思っております。

 厚生労働省の令和元年度雇用均等基本調査では、国民全体としてのアンケートですけれども、二〇一九年度の男性の育児休業取得率は七・四八%ということで、これを政府は二〇二五年までに三〇%に引き上げたいという目標を掲げております。

 女性の育児休業取得率はどうなっているかというと、同じく厚労省の雇用均等基本調査では、二〇〇六年以後、八〇%から九〇%程度で推移しているということで、一見、女性の育児休業は十分に普及しているように見えるんですが、これはあくまで職場の在籍中に出産をした女性に占める育児休業取得率ということで、出産前に職場を離れるという方もいらっしゃるということで、こうした課題も含めてしっかりとした現状分析というのが必要だと思いますが、でも、女性に関しては大分、育児休業を取るという選択が当たり前になりつつあると思います。

 私自身も、女性が育休を取るんだと言ったら、ああ、そうなんだですけれども、男性が育休を取るというふうに聞きますと、へえ、偉いねと思わず言ってしまいそうになるということが、まだまだ、やはり男性の育休取得が当たり前になっていないのかなと思います。

 内閣府の「「第一子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について」、二〇一八年の調査があるんですが、全体の数字にはなりますが、二〇一〇年から二〇一四年に第一子を産んだ女性のうち育児休業を取得して就業を継続した人の割合は、正規職員の方では五九%でしたが、パートでは一〇・六%にとどまっていたことが示されています。

 男性の育児休業率を高めることももちろん必要なんですが、実は、正規か非正規かということで、女性の育休取得率も差が出てしまっているということもありますので、女性に関して、本当に育休を取りたい人が取れているか、これもしっかり分析していかなきゃいけないと思います。

 そういった観点も含めて、改めて現状を分析することも必要でありますが、同時に、出産前後の就業を継続する支援も継続してやっていかなきゃいけないと思います。地方公務員については、この辺りはいかがでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 女性の育児休業取得や出産前後の就業継続支援につきましては、仕事と育児の両立支援による女性の活躍促進、ひいては少子化対策の観点からも極めて重要であるというふうに認識をしております。

 地方公務員における女性職員の育児休業取得率は令和二年度で九九・七%でございまして、過去十年程度を遡ってもおおむね一〇〇%に近い取得率となっており、ほとんどの方が育児休業を取得しており、定着をしている状況であると考えております。

 総務省では、地方公共団体における女性活躍に資する取組を支援するために、女性活躍や働き方改革の推進に係るガイドブックの作成、提供による地方公共団体における先進的な取組事例の情報提供、ロールモデルの職員を紹介する事例集の作成などを行っているところでございまして、特に、ロールモデルを紹介する事例集におきましては、仕事と育児の両立に不安を抱える女性職員の参考となるよう、育児休業等を経ても働き続け、キャリアを積んでいる女性の職員の事例を紹介しているところでございます。

 総務省として、引き続き、女性職員が出産前後を通じて活躍できる職場環境の整備が図られるよう、取組を支援してまいります。

石川(香)委員 男性が育児に参加してもらうためには、やはり長時間労働を是正していかなければいけないということも非常に重要です。

 国立成育医療研究センターというところの分析では、六歳未満の子供がいる家庭の父親が家事、育児に十分な時間を確保するためには、一日の仕事の時間を九時間半以内にするということが必要だという結果を発表しています。

 共働き世帯が増えていますので、父親も育児を担うことが一層求められるわけなんですが、父親の意識啓発のためには、家庭でというよりも、企業とか社会の環境づくりということがやはり不可欠なのかなと思っています。

 この内容なんですが、六歳未満の子供がいる男性の一日の家事、育児時間を令和二年に一日二時間半にするという目標を内閣府が上げているそうですが、この調査の平成二十八年のデータでは、六歳未満の子供がいる男性の一日の家事、育児時間は一時間二十三分となっているということで、目標とした二時間半には、平均で一時間以上足りていないということになります。

 これはどうやって算出したかというと、二十四時間のうちに睡眠や食事などに必要なのは十時間、休息などは二時間と設定すると、家事や育児に二時間半確保するためには、仕事と通勤の時間を九時間以内にしなきゃいけないということです。これは職場と住居の距離ですとか、それから仕事の内容とか働き方によりますので、一概に仕事と通勤を九時間以内に収めなきゃ家事、育児ができないのかというわけではないと思うんですけれども、あくまで一つの基準として出しているということでした。

 平成二十八年のデータでは、父親の仕事と通勤の時間は、十二時間以上かかると回答した人が最多で三六%を占めて、十時間以上かかると答えた人が六九%だったということです。十二時間以上仕事と通勤に時間がかかってしまう父親の場合の家事と育児時間は、十分しか取れないということでした。

 十分と聞くと、ちょっとこれはさすがに母親の負担が大き過ぎるのかなと思うんですが、このようないろいろな状況の中で、とにかく長時間労働を是正していかなきゃいけないという努力は必要だと思います。

 地方公務員の状況をお伺いしますけれども、長時間労働を是正することに向けて、総務省としてどのような取組を行っているのか、お伺いをします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の長時間労働を是正することは、多様な人材の確保や質の高い行政サービスの提供のためにも重要な課題となっております。また、委員御指摘のとおり、男性職員も含め、育児時間の確保を促進するといったことにも資すると考えております。

 そのため、地方公務員についても、平成三十年の働き方改革推進法とこれに対応する国の人事院規則の改正を踏まえまして、地方公務員の時間外勤務の上限規制や健康確保措置につきまして、各地方公共団体において制度の整備に取り組んでいただくよう、総務省として助言してきたところでございます。

 また、長時間労働を是正するための制度は、各地方公共団体において実効的に運用していただく必要ということが特に考えられますので、本年一月及び二月には、この取組に当たっての留意点についても改めて自治体に通知をしたところでございます。

 引き続き、各地方公共団体において長時間労働是正のための取組がしっかりと行われていくよう、総務省として、引き続き必要な支援を行ってまいります。

石川(香)委員 今、健康確保措置ということで、答弁にも触れられておりましたが、やはり時間外勤務の縮減に向けた対策というものも各自治体から要請されていると思うんですが、長時間労働はメンタルヘルスの影響も大きくあるということで、地方公務員の休職者が増加傾向にあるということで、多くが精神疾患だと言われております。

 地方公務員安全衛生推進協会によりますと、一九年度にメンタルの不調で一か月以上休んだ職員は十万人当たり千六百四十三人に上るということで、これは十五年前に比べて二・三倍になったということでした。

 自治体では、一定時間以上の超過勤務をした職員について、健康状態を把握するために、お医者さんの面接を受けることを人事委員会の規則などで決めているそうなんですが、昨年の四月から六月に、全ての市区町村で面接指導が必要とされた職員がまず延べ四万六千七百二十五人いたそうなんですが、そのうちのおよそ半数の、五三・九%に当たる二万五千百八十一人の面接が行われなかったということでした。

 なぜ健康のチェックをする上で大事な面接が行われなかったかというと、やはり業務多忙で時間を確保することができなかったという回答が非常に多かったそうです。この間、ワクチンの接種ですとか給付金ですとか、関連部署の業務に従事していた方の割合が半数に上っていたということで、つまり、忙しかったということですね。

 総務省は、各自治体に対して、超過勤務した職員への医師の面接指導を工夫して効果的に実施するようにということで、通知も出されているそうですけれども、地方公務員の半数以上の方が面接指導を受けられなかった、忙しかったということが判明したことで、医師の直接訪問ですとかリモートでの実施の取組も検討するように呼びかけたということです。しかし、依然コロナ禍、それから人が少ない中で業務が膨らみ続けるという中で、長時間労働の是正、それから心のケアも併せて対応していかなきゃいけないと思います。

 質問に一旦戻りますけれども、今回の法改正によって、地方公務員の男性職員の育休の取得率の向上にどれぐらい効果があると見込んでいるんでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度の取得率、女性職員が九九・七%、ほぼ一〇〇%となっている一方で、男性職員は一三・二%といまだ目標に比べて低い水準にとどまっている状況でございまして、職業生活と家庭生活の両立支援のため、制度面、運用面の双方でより一層の取組を進めていく必要があると思っています。

 こうした中、今般の法改正は、育児休業の取得回数の制限を緩和することによって、夫婦交代での取得や、配偶者への支援が特に必要となる出生後の早い段階で男性職員が育児を担いやすくするなど、より柔軟な取得を容易にするものでございまして、具体的な数値目標を示すことは難しいものの、特に男性職員の育児休業につきまして、取得率の増加に加え、総取得期間の長期化、これらによります職業生活と家庭生活の両立や女性の活躍促進といった効果を見込んでおりまして、男性地方公務員の育児休業取得率三〇%という、第五次男女共同参画基本計画に定められた目標の達成に寄与することを期待しているものでございます。

石川(香)委員 年々高くはなっているんですが、現在の地方公務員の男性の育休取得率が一三・二%で、目標としては、令和七年で三〇%を目指していきたいということでした。

 この取得率なんですけれども、市区町村ほど育休の取得推進に向けた取組が進んでいないのではないかなと思いますので、このことについても伺います。

 総務省の調査でも、地方公共団体ではまだまだ育休制度の取組が浸透しているとは言えない状況で、団体や部門によっても大きな差が出ている、部門では消防や警察が特に低い水準になっているということでした。

 令和二年度の地方公務員の男性職員の育休取得率は、前年度で比べると五・二ポイント高くなったということなんですが、国家公務員と比べると、国家公務員は二九・〇%ということですので、やはり低い水準になってしまっているということで、市区町村に向けて、国が、しっかり育休を取りましょうということで、一層の働きかけとか支援が必要ではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

田畑副大臣 お答え申し上げます。

 石川先生の問題意識は、本当に共有するものでございます。

 御紹介ありましたが、国家公務員の取得率は二九%でありますが、地方公務員の方においては令和二年度において一三・二%でありまして、その差が実は拡大をしているということもございます。特に国家公務員の方は、令和二年度から、全ての男性職員が一か月以上の育休を取得しようということで、政府を挙げて一丸となって取り組んで伸びたということもあるのではないかというふうに認識をしております。

 このため、総務省といたしましては、昨年十二月の二十四日に各自治体に対しまして通知を発出いたしまして、国家公務員の取組を参考に、一つには、組織として男性職員の育児休業等の取得促進に係る数値目標を設定し、全ての職員に当該目標を周知すること、二つに、自治体の長を始め幹部職員が休暇、休業の取得方針、目標の明確化を行うことや、管理職員が対象職員の意向に基づく取得計画を作成すること等の男性育児休業の取得促進の取組について、積極的に検討するよう助言を行っているところでございます。

 このような取組の実施状況について、市区町村はまだまだ、都道府県や指定都市と比較いたしましても、国家公務員と同様の取組が進んでいない状況が見受けられているところでございます。

 御指摘がありましたが、消防ですとか警察も含めてでございますが、職務によっては、まだまだ取得しづらいですとか、ノウハウが蓄積されていないということもあるのではないかというふうに思いますので、我々としても、各自治体における取組状況をしっかり把握し、各自治体における取得率の向上に向けまして、男性育児休業の取得促進のための機運の醸成など、あらゆる必要な助言を行ってまいりたいというふうに思います。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 数値目標を設定したり、目標の明確化ということで通知を出されているということなんですが、そもそも、何で男性職員が育児休業に前向きになりにくいというか、その理由として、やはり育児休業を取得すると収入に大きく影響が出てしまうのではないかという、経済的要因が大きいということも分析をされています。

 実際、育休を取ったことでどれぐらい収入が差が出るのかというのは、確かに見えにくいところなんですが、この点を考慮して、鳥取県の取組として、男性職員の育児休業などの取得推進に向けた取組の一つとして、実際に育児休業を取得した際の給与などの影響試算シートというものを作っているそうなんです。こうした取組もあってか、鳥取県は育児休業取得率が二六・一%ということで、都道府県別で全国第一位になっているそうです。

 また、茨城県の龍ケ崎市というところでも、一か月以下の育児休業では大きな収入減にならないということで、収入への影響をしっかり数字に示すことで、男性職員の育児休業の取得率は平成二十七年、二十八年、二年連続で一〇〇%になったことがあるということで、やはり、例えば国がこういう仕組みのベースを作成したり、それから、例として示すだけでも違ってくるのではないかなと思います。

 育児や家事に積極的にならないということではなくて、やはり収入面を気にしているんだということであれば、どこが男性が気になっているところなのかというところを考えていくというのが、取得率アップにつながるのかなと思いました。

 ここで、ちょっと世界の男性育休率というものを比べてみたいと思います。

 まず、お隣の韓国ですけれども、二〇〇〇年の初頭は女性の育休取得率が二〇%を切る状況だったそうなんですが、やはり法改正ですとか給付金の給付率を上げるなどして、女性はほぼ一〇〇%になって、男性も一三%、まだまだ低いといえば低いですけれども、日本の倍の取得率になった。

 ドイツですが、ドイツは男性の育休取得率が三四・二%で、余り取得率が高いわけではないんですけれども、制度に非常にユニークなところもありまして、復職後には両親とも短時間勤務をすると別途手当がつくということで、単に育休を取るだけではなくて、ある程度まで子供を育てながら働くという計画が立てやすくなるような仕組みになるということでした。

 ポルトガルですけれども、ポルトガルも日本とともに世界での出生率の下位を争う国の一つなんですけれども、二〇〇九年に産後十日間の父親限定の休業を義務化しました。義務化期間を除いた取得率は二三・八%だそうなんですけれども、やはり義務化の対象になる産後十日間の取得率は大きく伸びたということでした。

 いろいろ調べていて、すごいなと思ったのはノルウェーなんですが、かつては男性の育休取得率が四%と低かったそうなんですが、一九九三年にパパクオータ制、父親割当て制度というのを導入して、現在の取得率は九〇%になった。

 このパパクオータ制というのは、子供が八歳になるまで両親合わせて四百八十日間の育休を取れるそうなんですが、そのうち父親には九十日間割り当てられているそうです。ちなみに、女性も同じ割当て日数です。このクオータ制が導入されたときの日数は三十日だったそうなんですが、二〇〇二年には六十日になって、二〇一六年には九十日に延長された。父親が取得しなければ、その部分の給付金を受ける権利を失ってしまうということで、つまり、男性が育休を取らないと損をしてしまうような仕組みになったということで、これで取得率が非常に伸びたということでした。

 フランスでも、男性の育休率、元々全体で七割と高かったそうなんですけれども、フランスの場合は雇用形態で取得率が違って、公務員なんかはほぼ九割取っているそうなんですが、派遣やアルバイトで働く方々は半分以下ということもあって、マクロン大統領も、男女の賃金であったり雇用形態で差がつかないようにということで政策を進めているということで、理念だけを求めてもなかなか難しいということで、やはりこういう仕組みづくりが必要だということも感じました。

 いろいろ世界の取組を話しますと、日本はまだまだなのかなと思ってしまう方もいるかもしれないんですが、ちょっと意外なのは、実は、男性の育休可能週数というのは世界で第一位だそうです。制度としては、そのものは世界一位ということだそうです。ユニセフの子育て支援に関する報告書というところでは、男性が育休を取れる日数は、三十週で日本が第一位、韓国が二位、ポルトガルが三位ということでした。

 実は、男性に向けた育休制度そのものは日本は手厚かった。問題は、それが取得しやすい環境かどうかということになるのかなと思います。

 まずは長時間労働の是正、それから、育休を取っても、例えば収入に大きな影響がないですよといったような仕組みにして、それをしっかりデータで示していく。そういった環境づくり、仕組みづくりをつくることで、地方公務員においても育休取得のムードが高まるのかもしれないなということも感じました。

 では、続いて、会計年度任用職員についてちょっとお伺いをしていきます。

 この制度が始まりまして二年たちました。総務省の調査では、二〇二〇年四月の段階ですけれども、会計年度任用職員の方々は約六十二万人いまして、そのうちの八割が女性です。会計年度任用職員には、女性相談員、それから消費生活相談員、ケースワーカー、保育士など、非常に専門性が高い仕事をしている方も多いんですが、こういった方々も含めて、仕事がきちんと評価されているのか、この制度が現場ではどういう受け止め方をされているのかといったことなどを質問していきたいと思います。

 この制度は、各種の休暇制度の確立、それから期末手当がついたことで、処遇は一定程度改善されたということで、収入が高くなった方もいらっしゃいますが、悪くなったと感じる方も現状いるようです。

 自治労の調査では、会計年度任用職員制度開始前と比べた給与、それから福利厚生などを含めた労働条件を短時間職員で見ると、半分の方がよくなったと回答しているんですが、例えば学校の指導員の方、それから図書館の職員などの中では、よくなったと回答した人が三割にとどまって、非常に低いということでした。さらには、どちらかというと悪くなった、悪くなったという方も全体で三割いるということでした。

 期末手当がつくようになったわけですけれども、逆に、期末手当はついたんですけれども月収が下がって、全体が変わらない収入だという方もいらっしゃいます。会計年度任用職員として働く方々の年間賃金収入は、このアンケートの回答者の八割が百万円から二百万円に集中しています。全体としては、二百万円台がおよそ半数になります。

 もちろん、様々な働き方がありますので、育児や介護など、家庭の事情であえてフルタイムで働かないという方もいらっしゃるでしょうから、全ての方が納得していないかということではないかもしれませんが、やはり専門性、それから職務内容に応じた評価になっているかどうかというところに納得していない方も多くいらっしゃいます。こういった現状についてはいかがでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 会計年度任用職員制度につきましては、臨時、非常勤職員の適正な任用と適正な処遇を確保する観点から導入したものでございまして、各地方公共団体において、その制度の趣旨に沿った運用が図られることが重要と認識しております。

 会計年度任用職員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとりまして、当該会計年度任用職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号給の給料月額を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等を考慮すること、また、地域の民間企業における同一又は類似の職種の労働者の給与水準の状況等にも十分留意すること、また、単に財政上の制約のみを理由として、新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬を削減することがないよう適切に決定する必要があるというふうに思っています。

 この点、これまで重ねて地方公共団体に対して助言をしてきておりますが、まだ一部に、制度の趣旨に沿わない運用をしている可能性がある団体もいまだに見られるところでございます。

 総務省といたしましては、今後も実態を丁寧に把握しつつ、ヒアリングの機会などを活用して、任用と処遇の適正化が図られるよう取り組んでまいります。

石川(香)委員 今、制度の趣旨に沿わない団体がいるということもありましたが、この後、またそのことについても伺っていきます。

 今回の制度の移行によって、財政上の理由から、例えばフルタイムより十五分働くのを少なくして、こうすることで退職金が支払われなくなるといったような、人件費を削るために犠牲になってしまうという、パート化圧力というものが高まっているという指摘があります。

 非正規職員に占めるフルタイムの割合が、二〇一六年四月は二割だったのが二〇年の四月には一割に減っているということで、このことについて、受け止めをお伺いします。

鳩山大臣政務官 御質問にお答えをさせていただきます。

 会計年度任用職員制度については、臨時、非常勤職員の適正な任用と処遇を確保する観点から導入したものであり、各地方公共団体において、その制度の趣旨に沿って運用されることが重要と考えております。

 会計年度任用職員の勤務時間は、その職務の内容や標準的な職務の量に応じて各地方公共団体が適切に判断すべきものでありますが、財政上の制約を理由として、合理的な理由なく短い勤務時間を設定することは制度の趣旨に沿わないものと考えており、この点、各地方公共団体に対して重ねて助言をさせていただいております。

 また、本年一月に発出した通知では、フルタイムより僅かに短い勤務時間を設定することについて、一般的に理解を得られる相当の合理的な理由があるのか改めて検証の上、慎重に判断する必要があること、パートタイム会計年度任用職員の勤務時間については、具体的な業務内容や時間外勤務の有無など勤務の実態を把握した上で、必要に応じ、フルタイムでの任用を含め、見直しの検討を行う必要があることについて助言を行いました。

 総務省としては、今後も実態を丁寧に把握しつつ、ヒアリングの機会等を活用して、任用と処遇の適正化が図られるよう取り組んでまいります。

石川(香)委員 本来の制度の趣旨に合った取組がしっかりなされているのかということを、しっかり目を光らせていただきたいと思います。

 全国の自治体職員の三割が非常勤職員で占められているということで、職場によっても偏りがあります。例えば、保育士、学校の指導員、司書、それから学芸員など、専門性や経験、知識が必要とされる職種であっても、会計年度任用職員の一年間の任用という方の割合が高いということがあります。非常に専門性が高い職種でありながら、きちんと働きぶりの対価である給与が満足できているかどうかといえば、これが余り満足できていない方もいらっしゃるし、雇用そのものが不安定であるということは、現場からも非常に声が聞こえてきます。

 正規職員と変わらない職務内容であっても給与に差がつくというのは、非常に現場のモチベーションも下がるということで、会計年度任用職員の方々のスキルや専門性をきちんと評価した、そして見合った対価を支払うべきだと思いますけれども、この現状をどうやって分析されているでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の任用につきましては、任期の定めのない常勤職員や臨時、非常勤職員などの中から、各地方公共団体が、職務の内容などに対応して、適切な制度を活用し、平等取扱いや成績主義などの原則を踏まえ行われるべきものである状況でございます。

 各地方公共団体におかれましては、多様化する行政需要に対応するため、常勤職員に加えて会計年度任用職員を活用しておりまして、地方行政の重要な担い手となっているものと承知をしております。

 ただ、一方で、先ほど申し上げましたとおり、給与水準につきましては、職務給の原則などにのっとり、当該会計年度職員の職務と類似する常勤職員の給料月額を基礎としつつ、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術、職務経験等を考慮するということを助言しているところでございまして、このような適切な運用がなされるよう、引き続き助言をしてまいります。

石川(香)委員 是非よろしくお願い申し上げたいと思います。

 会計年度任用職員に限っての育児休業の取得状況についてもお伺いしますけれども、総務省が実施をしている調査では、育児休業の取得状況について調査をされていますが、この調査の対象職員の中に会計年度任用職員などの非常勤職員が含まれていないのではと思うんですが、会計年度任用職員の育児休業の取得状況について、把握をしていれば教えてください。

山越政府参考人 会計年度任用職員の育児休業の取得状況につきましては、地方公共団体の勤務条件等に関する調査において、取得した人数のみを把握しております。令和二年度では、三千十二人が育児休業を取得しているという状況でございます。

 その分母に当たります会計年度任用職員の、その対象となる要件を満たした職員数というのを正確に把握するのが、地方公共団体の業務負担上少し困難であろうということで、その人数については把握していないため、取得率は算出しておりません。

石川(香)委員 会計年度任用職員の方々の実態というものをしっかり把握するためにも、是非こういった方々も含めた調査を検討していただきたいと思います。

 では、四月一日からの育児休業の取得要件の緩和に係る条例の整備状況についてお伺いしますけれども、各自治体における取得要件の緩和などに関する条例の整備状況はどのようになっているでしょうか。

山越政府参考人 非常勤職員の育児休業や介護休暇等に関して、国家公務員との均衡を図る観点から、雇用期間に係る取得要件の緩和等について、本年四月一日に適用すべく条例の改正など所要の措置を講ずるよう、総務省から地方公共団体に対し、二月時点で助言通知を発出したところでございます。

 地方公共団体の規定の整備状況につきましては、現時点では総務省として把握に至っておりませんが、地方公共団体の勤務条件等に関する調査において把握することを予定しているところでございます。その状況を踏まえて、必要な助言、情報提供を行ってまいります。

石川(香)委員 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 ちょっと質問の順番を飛ばしまして、十二番になりますけれども、育休を取ること自体は国で推進しつつも、ただ、その現場では深刻な人材不足になっているということですので、育児休業の際の代替職員というのは、確保するのは簡単ではありません。

 このことについてもセットで対策を考えて、国としてもサポートや支援が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

山越政府参考人 職員の育児休業につきましては、各地方公共団体の任命権者が業務分担の見直しや配置換え等の部内の人員面での措置などを検討するほか、育児休業法にも規定をしておりますが、これらの対応のみにより当該職員の業務を処理することが困難なときは、外部からの任期付採用や臨時的任用を行うこととされております。こうした対応によりまして、当該職員が従事していた業務を処理し、公務の適切な運用を確保することとなります。

 各地方公共団体の実態といたしましては、このような任期付採用や臨時的任用による代替に加えまして、育児休業を請求する職員が毎年度一定数見込まれる場合には、その分、任期の定めのない常勤職員を確保した上で、代替職員として配置している団体もあるというふうに承知をしております。

 各地方公共団体におかれては、地域の実情を踏まえ、育児に伴う休暇、休業の取得促進及び業務に支障の生じない体制の確保に取り組んでいただきたいと考えております。

石川(香)委員 会計年度任用職員の方々の専門性を評価してほしいということを質問してまいりましたが、大臣にお伺いします。

 非常に高い専門性を持って、正規の職員の方と変わらないような業務、それから責任感を持ってこなしてくださっているということで、現場には欠かせない方々であります。会計年度任用職員制度のスタートによって、働く環境が改善したと感じる方もいらっしゃれば、その一方で、なかなか待遇面に納得できていない方もいらっしゃるということで、実際に給与が下がってしまったということを聞きますと、この制度そのものがよい制度かということは言い切れない状況だと思います。

 これを少しでも皆さんの納得できるようなところに持っていくためには、今、期末手当がついていますけれども、勤勉手当も必要だと思います。それを実現するためには法改正が必要だということですので、是非、法改正に向けた金子大臣の意気込みをお伺いします。

金子(恭)国務大臣 今、本当に石川委員から様々な観点から御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 御質問の会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、会計年度任用職員制度の開始時には、今後の検討課題としていたところでございます。

 検討に当たっては、各自治体における期末手当の定着状況や国の非常勤職員に対する支給の運用状況なども踏まえる必要がありますが、制度創設に当たり、自治体と意見交換を行った経緯も考慮いたしますと、まずは自治体の御意見を改めて伺うことなどにより取り組みたいと考えております。

石川(香)委員 国家公務員の非常勤職員の方々には勤勉手当がほぼ支給されていますので、やはりこのバランスというものも大事だと思いますし、一部、令和三年度の調査では、期末手当を支給していない団体もあったということですので、こういった差があってはならないということで、是非前向きに検討していただきたいと思います。

 済みません、時間がなくなってしまいました。最後の質問になります。

 人材が不足している地方公務員ですけれども、特に専門職の確保が難しいと言われています。その中でも特に足りていないと言われている獣医師の方々ということですけれども、最後に、農水省に来ていただいていますので、お伺いします。

 近年、豚熱であったり、鳥インフルエンザ、口蹄疫などの大規模な家畜の病気が猛威を振るっている中で、その最前線で働く家畜衛生公務員である獣医師が非常に不足をしていると言われております。この家畜衛生公務員の確保にどう取り組んでいくか、お伺いします。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 豚熱などの家畜伝染病の防疫業務等に携わる家畜衛生公務員獣医師は、我が国畜産業の発展のために必要不可欠ですが、地域によってはその確保が困難となっています。

 農林水産省では、家畜衛生公務員獣医師の確保に向け、地域で家畜衛生公務員などの産業動物獣医師として就職することを条件に、獣医学生等に対して修学資金を給付する取組、獣医学生に対する体験実習の実施等、産業動物分野への関心を高める取組、結婚や育児を理由に離職した女性獣医師等が職場復帰や再就職するに当たっての研修の実施などに対する支援を行っているところです。

 引き続き、家畜衛生公務員を含めた産業動物獣医師の確保に努めてまいります。

石川(香)委員 若い方が経験を積んで、いつまでも働いていただけるような環境であり続けるためには、育休制度、それから処遇改善、働き方改革を含めて、国の役割が非常に重要ですので、その役割についてもしっかりこなしていただけるように強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、阿部弘樹さん。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。

 時間も押しておりますので、早速質問させていただきます。

 この育児休業等の法律、その他の法律について、非常にいい改正だと思われますが、まず大臣の所見、意気込みをお聞かせください。よろしくお願いします。

金子(恭)国務大臣 阿部委員には、こういう機会を設けていただきまして、ありがとうございます。

 育児又は介護を行う職員の職業生活と家庭生活の両立は、官民共通の重要な課題となっております。

 今般の地方公務員育児休業法の改正は、育児休業の取得回数の制限を緩和することによって、夫婦交代での育児休業の取得や男性職員の育児休業の取得をしやすくするものでございます。

 特に、男性職員の育児休業については、取得率の増加やトータルの取得期間の長期化、職業生活と家庭生活の両立や女性活躍の促進といった効果が見込めるものと考えております。

 総務省としては、各自治体において男性職員の育児休業取得促進などの取組がしっかりと進んでいくよう、今後とも、必要な助言、情報提供を行ってまいります。

阿部(弘)委員 今、大臣の意気込み、この法改正の意義については説明がありました。

 その中でもありましたように、この育児休業取得率というのは男女差が非常にあります。女性は、出産から、その後の育休ということで、取得率も高いわけでございます。しかし、男性の取得率が非常に低い。回数制限緩和ということで、二回に増やして、取得率アップを目指すわけでございますが、その方策について、男性がなぜ低いのかということは、ほかの議員も質問がありましたが、そのことについて部長にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度の地方公務員の取得率について、男性職員の取得率は、近年増加傾向にはあるものの、一三・二%と、ほぼ一〇〇%の女性職員に比べ低水準となっている状況でございまして、男性職員の育児休業取得促進に向け、より一層努力が必要な状況にございます。

 この理由でございますが、公務員に限ったことではございませんが、男性職員が取得をためらう要因といたしましては、収入面での懸念のほか、業務の多忙さや職場の雰囲気を挙げる意見も多いと承知しておりまして、職場全体としての環境の整備を進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 このため、総務省といたしましては、昨年十二月二十四日に、地方公共団体に対しまして、国家公務員の取組を参考に、数値目標の設定であるとか、幹部職員、管理職員による取組の推進をしていただくよう助言を行っているところでございます。

 また、同通知におきましては、令和二年度に取得率が大きく上昇した地方公共団体の取組事例や、取得促進の機運醸成を図るためのポスター等を提供し、各地方公共団体において積極的に活用いただくよう周知を行ったところでございます。

 総務省としては、引き続き、地方公共団体における取組状況を把握し、必要な助言を行ってまいります。

阿部(弘)委員 千葉市のことは御存じと思いますが、千葉市では、育児休業取得率が九二・三%、すごい取得率でございます。このことをよく参考にされて、市町村が、地方公共団体が取得できるように、答弁はよく分かりますけれども、今後とも努力していただきたいなと思いつつ、次の質問に進ませていただきます。

 私は以前、旧厚生省の役人をしておりました。また、自分の出身の町の町長もしておりました。なかなか休みが取りにくいかなと思いつつも、職員と話しながら、取りやすいような取組を試みたことを思い出します。

 二十五年前、WHOは、それまでの健康の定義を、精神的、肉体的、社会的に健康であるという定義に加えて、スピリチュアルな、意欲を持った生活ということ。質問しないから安心してください。

 やはり、そういう、健康であって、なおかつ社会生活において意気込みを、意欲を持って暮らしていくというのが大切だということを定義づけております。また、厚生労働省も、運動や栄養や、そして休養も大切だということもうたっているわけでございます。私は精神科医でもありますが、そういったことが精神疾患を減らすことにつながっていくんだと思います。

 子供の誕生というのは本当にすばらしいことで、周りの人たちを幸せにすることだと思っております。

 ここにおられる議員の先生方は今日まで様々な努力をされてきて、私も日曜日に子供の結婚式がありまして、子供が、小さい頃はお父さんがいつも働いていて、家庭サービスが少なかったんでしょうね、寂しかったということを話しておりました。

 できるだけそういう、子供と接する機会が多くなるような社会というものを目指すというのは本当に大切なことだと、私自身思っております。

 では、次の質問に移ります。

 男性の休業取得率が特に低いわけでございますが、警察や消防、なかなかこれは、前年に比べて取得率が伸びないわけでございます。皆さん御承知のとおり、社会にとっては欠くことができない警察業務や消防業務であるわけですが、そこのところをどのようにしていくのか、部長、ちょっとお答えをお願いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 男性地方公務員の育児休業取得率の部門別実績でございますが、首長部局等において二四・七%となっているものの、警察部門において四・九%、消防部門において四・二%ということになっておりまして、これらの部門における取得率の向上が課題であるということでございます。

 これらの部門において取得率が低水準となっている理由は、様々考えられるところでございますが、各部門の現場における勤務形態や人員の配置基準であるとか、周囲の理解が課題となっている場合が多いと考えております。

 例えば消防部門では、配置基準のある交代制の業務で、人員配置への影響を気にしてしまうことなどがあるとお聞きをしているところでございます。消防庁におきましては、今後、育児休業取得率の高い消防本部の先進的な取組事例を他の地方公共団体に周知をし、各消防本部における男性の育児休業の取得の促進について、積極的な取組を促していく予定であると伺っているところでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携し、男性育児休業の取得率の向上に向けて取り組んでまいります。

阿部(弘)委員 でも、部長、驚くような数字もあるんですよ。

 鳥取県、警察部門の令和元年の取得率が五六・五%、ここは群を抜いております。恐らく、ほかの議員の質問とも同じようなお答えになるかと思いますが、影響試算シート、こういうものも提供しているということになっておりますが、大体、千葉市の一〇〇%に近い数字、ああ、あの方が市長だったんだな、鳥取県においても、ああ、あの方が知事だからだなという、その人の顔が浮かんでくるわけでございますが、ちょっと、特に鳥取県の警察、五六・数%、すばらしい数字ですので、もし御承知なら、そのことの具体例を御披露願えないでしょうか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の中でも取得率が特に高い団体、幾つかございまして、その取組状況をお聞きをしているところでございます。

 その内容といたしましては、国と同様の取組になりますが、まずは目標をきちんと設定をするということを、男性の対象となる職員にとにかく一〇〇%取るという目標を示すといったような取組と、幹部職員や管理職員によります取得計画を具体的に立てていただくといったような取組が挙げられます。

 ただ、もう一つありますのは、やはり知事や市町村長といった方が率先して取組を推進するという姿勢を取っていただいているところ、そんなところが特に高いという状況でございます。

 そのような状況も踏まえまして、地方公共団体でも参考に取り組んでいただけるように、助言をしてまいります。

阿部(弘)委員 ちょっと、もう少し資料を読み込んでいただくとありがたかったですね。

 鳥取県においては、実際に育児休業を取得した際の給与等への影響試算シートを提供している。休んだらどのぐらい給料に影響があるか。影響がないと分かれば、安心して休みを取得しているというところじゃないですかね。

 また、茨城県の龍ケ崎市。一か月以下の休業取得で大きな収入減にならないことなど、収入への影響が数字的に見える化したことで、非常に取得が高まったというところがあるやに聞いておりますので、是非とも、部長さんはなかなかお忙しいでしょうけれども、そういう先進事例をしっかり集めていただいて、大臣が言ったように、この制度はすばらしい制度ですから、この制度が特に男性の職員の方に広がっていけば、もっともっと取得率は全体に上がっていくんじゃないかなと。そうすれば、もっともっと、その御家族にとってすばらしい、ひいては、社会にとっては、すばらしい社会になっていくんではないかなと思います。

 今後の方策についても、部長さん、是非とも、僕も、もう時間がなくなってきましたので、お答えいただくと幸いでございますが、よろしくお願いします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 総務省としても、これまで地方公共団体に対しましては、国家公務員の取組を参考に、男性職員の育児休業等の取得促進に向けた取組を一層推進するよう助言を行っております。

 具体的には、組織として男性職員の育児休業等の取得促進に係る数値目標を設定し、全ての職員に対して当該目標を周知すること、地方公共団体の長を始め幹部職員が、休暇、休業の取得方針、目標の明確化を行うことや、管理職員が対象職員の意向に基づく取得計画を作成することなどについて、積極的に検討していただくよう助言をしているところでございます。

 先ほど申し上げたとおり、令和二年度に取得率が大きく上昇した地方公共団体の取組事例や、取得促進の機運の醸成を図るためのポスターを提供し、各地方公共団体において積極的に御活用いただくよう周知を行ったところでございます。

 先生から御指摘の収入減への心配という観点もございますので、先ほど御紹介いただきました鳥取県の事例などについても引き続き周知を図りたいというふうに思っております。

 総務省としては、各地方公共団体における取組状況をきちんと把握をし、取得率の向上に向けて支援をしてまいります。

阿部(弘)委員 これで終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 私も、地方公務員の育休法等に関する改正案に関して聞きます。

 育休の二回取得に関しては、民間においても規定されて、国家公務員においても議論が進められているところなんですが、改めて、今回、地方公務員の育児・介護休業法を改定する目的を教えてほしいことと、加えて、この法律が制定されないと、地方公務員は自治体がどのような定めをしても二度の育休取得はできないんでしょうか。お答えください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、育児を行う職員の職業生活と家庭生活の両立を一層容易にする観点から、地方公務員の育児休業について、国家公務員に係る改正に準じ、改正を行うものでございます。

 具体的には、職員の同一の子について育児休業をすることができる回数を、現行の原則一回までを二回までとし、子の出生の日から一定期間の育児休業について、現行の最初の育児休業に加えて二回目の育児休業についても認めるといったことによりまして、柔軟な取得を可能とし、男性職員の育児休業取得促進や女性職員の活躍促進を更に進めることを目的としているものでございます。

 地方公務員の育児休業制度につきましては、地方公務員育児休業法におきましてその基本的な制度内容を規定しておりまして、この法律の規定上、既に育児休業をしたことがある場合には再度の取得はできないということが規定をされているところでございます。

 そのため、育児休業の取得回数制限を緩和する、増やすに当たっては、この法律の規定を改正する必要がございます。

守島委員 法改正は必要ということで、取得率向上を目指してほしいと思うんですが。

 ちなみに、余談なんですけれども、僕、今日、息子が小学校の入学式でして、今まさに式の最中ということもあるんですが、私、委員会に立っておりまして、この機に、国会議員の休業に関してもちょっと考えてほしいなというふうに思っている次第なんですが。

 それはさておいて、法案自体は必要なものと思っております。しかし、賛意を持っている前提で、少し疑問もあるので質問したいと思うんですけれども、憲法九十二条におきましては、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とありますが、この法案は地方の本旨に基づいて定められているものなんでしょうか。

 というのも、国と地方は対等であり、そもそも地方公務員の身分関係を法律で全て規定する必要はあるのかという疑問がありまして、現にこの法律を運用するに当たっては、当該自治体ごとの条例制定を待たないといけません。それは地方の自主性を重んじる意図というふうに思っているんですが、とはいえ、国は画一的に育休の在り方を全国一律に決めています。

 もちろん、国が画一的に決めて育休の促進を図るというのは大事なんですけれども、一方、地方の裁量、自主性というのも大事だというふうに思っています。こうした論点は対立しないんでしょうか。どういう整理をしているのか、教えてください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員制度に関しましては、法律でその根本基準を定める一方で、その他の事項は条例等により各地方公共団体が定めることとされております。

 このような制度の枠組みを通じまして、地方行政の民主的かつ能率的な運営を図り、もって地方自治の本旨の実現に資するべきこととされているところでございます。

 そのため、今般、地方公務員制度の一部であります育児休業制度を改正するに当たっても、これまでと同様の考え方によりまして、その基本的事項については法律で定めることとしているものでございます。

守島委員 地方の裁量は認めつつも、基本的なことは法律で定めるということですが、ちなみに、この改正が成ったとしても、実運用に当たっては、先ほど言ったように自治体ごとの施行条例が必要でして、この条例が制定されない限りは、一時的にはダブルスタンダードになる可能性があると思うんですけれども、その場合、どうするんでしょうか。また、総務省が条例改正を要請したとしても自治体が思うように動かない場合のサポートというのはどういうふうに考えているのか。また、条例制定はいつまでというようなめどがあるのなら、教えてほしいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今回の法案の施行等に当たりましては条例改正が必要になりまして、法案成立後、地方公共団体におきましては、改正法の施行日までに条例の改正等の所要の措置を講じていただく必要がございます。

 総務省としては、これまで、各地方公共団体において必要な準備がなされるよう、人事院の意見の申出の内容について情報提供を図りますとともに、法案の閣議決定後には改正法案の周知も行ってきたところでございます。

 法案が成立した暁には、速やかに条例例を作成し地方公共団体にお示しするなど、地方公共団体における円滑な施行に向けて、必要な助言、情報提供を行ってまいります。

守島委員 ちょっとスケジュール感は聞けなかったんですが、取りこぼれる自治体がないようにサポートをしてほしい。

 今の回答では、条例例みたいなものを作るということなんですが、逆に、そこまでするのであれば、地方ごとに条例制定するという必要性がちょっとよく分からないんですね。ある意味、コピペ条例みたいなものが多くのところで制定されることになるのであれば、国が一律に地方公務員の休暇に関して法で定めればよくて、地方の条例は必要ないんじゃないかと思ったり、疑問とか矛盾を感じてしまう次第でして、地方裁量に関して思うところもあるんですけれども。

 ちなみに、例えば、日本維新の会であれば、国と地方の役割分担に関しては、国は外交、防衛に集中して、できる限りの権限は地方に移譲するという理念があるんですが、大臣としては、国、地方、政府、地方行政に関しての在り方に対する思いとか理念があったら教えてください。

金子(恭)国務大臣 国と地方の役割分担は非常に重要な問題だと思います。

 地方自治法におきましては、国は、国際社会における国家としての存立に関わる事務や、地方自治に関する基本的な準則に関する事務の実施など、国が本来果たすべき役割を重点的に担うこととしつつ、住民に身近な行政はできる限り自治体に委ねることが基本とされております。

 こうした国と地方の役割分担の原則を踏まえ、必要な法律や条例の整備、運用が適切に行われるべきものと考えております。

 このような観点を踏まえ、今般御審議いただいております法案におきましても、育児休業の期間や取得可能回数など、制度の基本的事項については法律で定めることとする一方、制度の対象とする範囲の一部を、地域の実情に応じて条例で定めることを可能とするなどの仕組みとさせていただいているところでございます。

守島委員 大臣、ありがとうございます。地域の裁量、権限についても触れていただいて感謝します。

 抜本的な国と地方の在り方の議論になると、この法に限った話ではないので、それは広義の意味でこれからも議論していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、ちょっと具体論を確認したいんですけれども、この法の中で、定義で、当該職員の子と書いているんですが、例えば特別養子縁組の場合とか事実婚に当たっては、その取扱いはどうなるのか教えてください。

山越政府参考人 お答えいたします。

 特別養子縁組を行った子につきましては、法律上、その者の子になることから、制度の対象となります。

 同じように、事実婚に関しましては、認知をした場合においては、法律上、その者の子として位置づけられることから、育児休業制度の対象となるものでございます。

守島委員 ありがとうございます。確認できてよかったです。

 今回の法改正に関しては、目標としている育休の、皆さんも言っていたように、取得率を向上していこうという大きな方針があると思うんですけれども、本質的には、やはり、働き方改革を行うことで地方公務員の職場環境を改善して、就職希望者の数とか質、これを維持向上させていくということが大事だというふうに思っています。

 先ほどおおつき委員からも指摘がありましたが、こうした見解も踏まえて、昨今の地方公務員の募集状況というかトレンドを教えていただいたらありがたいです。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の競争試験の受験者数や競争率につきましては、令和元年度まで長らく減少が続いておりましたが、直近の令和二年度の調査結果では増加に転じ、受験者数は約四十七万人、競争率は五・九倍となっているところでございます。

守島委員 今あったように、やはり、長期的には低落傾向というか、そういう現象が見られているわけなので、この法改正も含めて、地方公務員という仕事が選ばれる仕事になるよう後押ししていってほしいと思います。

 ちなみに、働き方改革というと、時間外労働の在り方、先ほどからもありましたが、そうしたものとか、昨今求められている、ライフステージに合わせた多様な働き方といった観点もこれは重要で、コロナ禍を経てそうしたニーズというのは加速度的に高まっているのかなと思うんですけれども。

 先日、私もオンライン議会の質問をさせていただきましたが、やはりテレワークのしやすさなんかも、職場環境のよしあしの判断に影響があると思うんですが、地方公共団体におけるテレワークの実態を把握されていたら教えていただきたいのと、また、テレワークの指針みたいなものを総務省から出されているのであれば、お聞きしたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体におけるテレワークにつきましては、民間企業と同様、多様な働き方の実現と多様な人材の確保、また、業務の効率化を通じた生産性向上に加えまして、今次のような重大な感染症や災害の発生時における業務継続などに資するものと考えております。

 このため、総務省におきましては、今般の新型ウイルス感染症の流行に際し、感染拡大の未然防止、行政機能の維持といった効果を示した上で、テレワークの積極的な導入を要請するなど、地方公共団体に対する働きかけを継続的に行ってまいりました。

 テレワークの導入状況につきましては、令和三年十月一日時点において、都道府県、政令市では全団体が導入済みでありますが、市区町村においては、約半数の四九・三%の団体が導入済みであります。令和二年十月一日時点で行った前回調査よりは相当増えてきているという状況でございます。

 一方、比較的小規模の市区町村におきましては、未導入団体が多く見受けられることから、これらの団体に対して導入を進めることが課題となっております。

 総務省では、これまで、テレワークの導入を進めるための支援策として、導入に係る経費について特別交付税措置を講ずるとともに、専門家が導入方法やセキュリティー対策に関して相談に応じるテレワークマネージャー事業の体制の拡充、テレワーク導入の先進事例や活用のノウハウを取りまとめました「地方公共団体におけるテレワーク推進のための手引き」の作成、提供など、支援を行ってきたところでございます。

守島委員 ありがとうございます。

 コロナ禍において、政府が民間同様にテレワークを推進してきたということで、地方公共団体に対しても後押ししてほしいんですが、やはり、オンライン委員会のときもそうですけれども、コロナ禍というお題目がついてしまっているので、これからはやはり、働き方という概念でもそういう多様なニーズがあるので、そうした意味でも着手してほしいなというふうに思っています。

 かつ、これも、先ほど来、育休の取得でもあったんですけれども、都市部より地方部になるほど導入が遅れているということで、規模的な問題とかもあると思うんですけれども、そうした状況に対してもしっかりと課題を解消していただきたいなというふうに思っていますので、よろしくお願いします。

 こうした地方公共団体への後押しをしっかりと総務省には行っていただきたいんですが、ちなみに、地方自治体へアプローチする前に、総務省自体のテレワークの推進状況とか指針があれば、教えてほしいと思います。

金子(恭)国務大臣 先ほどまで部長からテレワークについてのお話があったわけでありますが、テレワークは、職員の柔軟な働き方を可能とし、働き方改革や新型コロナウイルス感染症対策だけではなくて、災害時等の業務継続のためにも有効な働き方でございます。

 総務省では、全職員がテレワークできる環境を整えており、多い月では、九割を超える職員が一日以上のテレワークを行っております。

 これからテレワークが当たり前の働き方として更に定着していくように、テレワーク勤務の質の向上を目指し、コミュニケーションの手法や業務の進め方を常に改善、工夫しながら、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

守島委員 ありがとうございます。

 大臣がそうおっしゃっていただいて、トップマネジメントでやるしか、なかなか、職場にテレワークという新しい価値観なので、それを醸成するというのは難しいと思いますので、是非トップマネジメントでやっていただきたいんですけれども。

 加えて、先ほどの質問で、総務省内でもしっかりやってほしいと思っていますし、特に今は、地方公務員の中でも地方部でテレワークが推進されていないという状況や、あと、特に、常勤じゃなくて非常勤の職員ではなかなかテレワークというのが推進されていないようですので、こういう今見えている課題に対してのアプローチというか、解決方法があれば、省の方に答えてほしいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 国の、総務省の取組について、まず私の方から申し上げます。

 先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、テレワーク、大変重要な、定着に向けて、総務省は一生懸命今取り組んでおります。

 省内でも、私をヘッドとして、働き方改革推進委員会というのを設置しておりまして、そこで、職員からいろいろアンケートも取りまして、例えば、まだまだ幹部の上司が意識が低い、テレワークというと何か嫌な顔をされるとか。それから、あるいはいろいろ、今、テレビ会議もあります、システムを増やすとか通信環境を増やすとか。

 いろいろな職員の声を聞いて、私が委員長になって、各主管課長を集めて、こういう声があるから、これをしっかり改善しろということで、大臣から御指示いただきまして、省内でも一生懸命今取り組んでいる、こういう状況でございます。

山越政府参考人 地方公共団体におけるテレワークの導入につきましては、特に小規模の市区町村において導入を進めることが課題になっております。

 そのことから、先ほど触れました手引の中で、団体規模によらず、まずできるところからやってもらうスモールスタートというのを推奨しているところでございます。

 また、専門的知見のあるテレワークマネージャーによる支援も有効と考えられますので、その体制強化にも努めているところでございます。

 また、非常勤職員を含むより多くの職員がテレワークを実施できるよう、環境の整備を行うことも必要だと思っております。

 本年二月に、感染症対策としての業務継続の観点のみならず、今後の働き方改革や業務の効率化に資することも見据えまして、テレワーク推進の意義について改めて周知をいたすとともに、総務省が実施している各種支援策を活用し、テレワーク推進に積極的に取り組むよう要請する通知を発出しております。

 引き続き、このような取組を推進してまいりたいと思います。

守島委員 是非、省内そして地方公共団体共に、制度の構築もしかりなんですが、今答弁にあったように、アンケートを取って、実際に取りやすい職場環境をつくっていただくのを、しかも大臣のトップマネジメントでやっていくという方向であれば、職員さんも手が挙げやすいと思いますので、よろしくお願いします。

 今回、育休法に関する改正の議論ですが、これにとどまらず働き方改革全般で、公務員の皆さんに働きやすい職場環境を是非省を挙げてつくっていただくことをお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 今回の法改正によりまして、国家公務員の男性育児休業法等の改正に準じて、地方公務員にも同様の措置が講じられ、現在二回までの育児休業の取得を、それぞれ二回に分けて、分割して取得できることとなりました。

 今日配付をさせていただいております地方公務員の男性育児休業等の取得状況を見ますと、先ほどからの議論でもございましたように、令和二年度の調査で一三・二%。一方で、国家公務員の取得率は二九%、それに比べて大変低い状況となっておりますし、伸び率についても、国家公務員は四年間で三六・九ポイント上昇した一方で、地方公務員は九・六ポイントと、まだその取得の伸び率も大変弱い状況となっております。

 これまでの議論でもあったように、団体間ですとか部門間でも大変格差が生じておりますし、都道府県がほかに比べて低い状況、また、部門別では、先ほどから議論があっておりますように、消防、警察において低水準となっております。

 育児休業の取得のみならず、有給休暇の取得率も依然として低い状況がございます。働き方改革を一層進めていかなければいけないというふうに思いますけれども、大臣として、このなかなか取得率が進まない原因というものを、何が原因であると分析をされているのか。

 また、取得が進むように、職場の環境整備を含めて、総務省の後押しや支援の強化が大変不可欠であると思いますけれども、各自治体の取組を一層加速していただきたいと思っておりますが、今後の取組についても、大臣の御見解をいただきたいと思います。

金子(恭)国務大臣 西岡委員には、様々な御指摘をいただきました。

 地方公務員の男性の育児休業の取得率は、近年増加傾向にあるものの、令和二年度においても一三・二%となっており、国家公務員の二九・〇%と比べ低水準で、その差が拡大しております。

 国家公務員の取得率が高く、伸び率も大きい要因としては、全ての男性職員が一か月以上を目途に育児休業を取得する目標を明確化する、管理職員が職員の意向に基づき取得計画を作成するなどの取組を進めていることが挙げられます。

 また、御指摘のとおり、自治体別や部門別の取得率には、地域の実情や各部門の現場における勤務形態や働き方、人員の配置の在り方などから、大きな差がございます。一方で、首長主導の下で取得目標の明確化や取得計画の作成などが進められている団体では、高水準の取得率につながっているという実態もございます。

 地方公務員の男性職員の育児休業については、第五次男女共同参画基本計画において、取得率三〇%という成果目標が掲げられております。

 総務省としては、国家公務員の取組を含め、自治体に対し必要な情報提供や助言を行いながら、引き続き、関係省庁とも連携をし、目標達成に向け、男性育児休業の取得率の向上に取り組んでまいります。

西岡委員 大臣から今後のお取組についての決意も含めて今述べていただきましたけれども、国家公務員の取得率、特に令和元年度から二年度に急激に取得率が上昇をしております。今大臣からもありました国家公務員の取組例を参考にしていくということも、大変、今後、取得率を上げていくところで有効な取組だと思います。

 また、資料で今日お配りをさせていただきました。例えば、福岡市におきましては、令和元年度の二〇・二%から令和二年度においては三三・五%まで、様々な取組の中で取得率を伸ばしております。また一方、つくば市においては、令和元年度五一・六%だったものが、令和二年度、八〇・九%まで取得率を伸ばしております。様々な地方の先進的な取組についても周知をしながら横展開をしていくということも、大変有効な政策の対応だというふうに思いますので、このことも是非大臣にお願いをさせていただきたいと思います。

 先ほどからもあっておりますように、やはりトップも含めて一体となってこの取組を進めていくことや、実際に体験された方の声というものをしっかり伝えていくということも大変取得率向上に役立っているというふうに思いますので、優良事例の横展開、是非大臣にお願いをしたいと思います。

 続きまして、男性職員が育児休業を取得する意向はあっても、それをちゅうちょする一つの大きな原因として、私は、先ほど石川委員からもございました休業中の収入の減少への不安というものが大変大きな一因であると考えております。自治体によっては、育休を取得した場合の収入の状況を見える化して、シミュレーションする取組も行われ、一定の成果を上げております。

 そもそも、男女共に仕事と育児を両立し、男性職員がより積極的に育児に取り組むことにより、女性職員の活躍推進にもつながることになります。現在も一定の経済支援は行われているものの、これは今後の課題となりますし、民間に先駆けるということは大変難しい現実もあるというふうに思いますけれども、不安なく取得してもらうためには、これは民間も含めてでございますけれども、育児休業前の給与と同水準というふうにすることが私は必要ではないかと考えておりますけれども、総務省の見解をお尋ねいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員につきましても、育児休業を取得した職員の経済的援助を行うため、民間や国家公務員と同様に、原則、子が一歳に達する日まで、さらには、保育所に入れない場合などに限り、子が最長二歳に達する日まで、育児休業手当金を支給することとされております。

 この育児休業手当金の具体的な支給額は、民間や国家公務員と同様、一日当たり、育児休業開始から百八十日までの間については標準報酬日額の六七%に相当する額、育児休業開始から百八十一日以降については標準報酬日額の五〇%に相当する額とされているところでございます。

 民間の育児休業給付金の給付率につきましては、令和三年六月に成立いたしました民間の改正法においても支給水準の引上げが行われなかったところでございまして、これは、育児休業給付の給付率が国際的に見て高水準にあること、また、その更なる充実は、育児休業の取得促進等の総合的な取組の実施状況や、中長期的な観点から財源の確保と併せて慎重に検討する必要があることなどを理由としたものと承知をしております。

 また、昨日成立いたしました国家公務員の育児休業等に関する法律の改正案においても支給水準の引上げは行われていないところでございますので、本法案におきましては、これらを踏まえまして、地方公務員の育児休業手当金の支給水準の引上げは行わないこととしているものでございます。

 今後とも、民間と国家公務員の動向を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。

西岡委員 民間も含めて議論が進んでいくということを、またこれからも私どもも後押しをしていきたいと思っております。

 続きまして、これまで、女性が育児休業制度を利用することによって、子育てと仕事の両立を図る中でのキャリア形成が大変難しいということが、依然として現実も続いている状況がございます。

 これまでの女性の地方公務員における育児とキャリア形成の両立支援の取組、そして今般、男性も育児休業制度を利用していく中で、これから改めて男性の育児とキャリアの両立支援という問題、課題も、大きな課題として解決をしていかなければいけない課題だと考えております。

 このことについての今後の取組について、総務省にお尋ねをいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員の育児休業制度は平成三年に制定をされたわけでございますが、その後、順次制度の拡充が図られてきておりまして、こうした両立支援の制度を活用いただくことで、女性職員については、育児のために退職することなく仕事を続けられる環境は整ってきていると考えております。

 ただ、地方公務員におきましても、管理職における女性比率はまだ目標が達成されていない状況にもありますことから分かるとおり、キャリアを十分に築いて活躍するという観点まで十分に対応できているかという点につきましては、現時点でも更なる取組が必要な課題というふうに認識をしております。

 こうした課題認識から、総務省では、地方公務員におけるダイバーシティーや働き方改革推進のためのガイドブックや、ロールモデルとなる女性職員を紹介した、女性地方公務員のワークスタイル事例集等を作成し、各地方公共団体へ提供しているところでございます。

 あとまた、ガイドブックの中では、各地方公共団体の参考となる取組として、育児休業後、円滑な職場復帰や、復帰後の両立、能力発揮を支援することを目的とした研修プログラムの事例であるとか、子育てなどで時間的制約のある職員と人事当局が、今後のキャリア形成の意向や求めたい配慮などを調整します、仕事と子育て両立支援シートの導入例なども示しているところでございます。

 今後、育児に参加する男性職員が増加することが見込まれる中、これらの取組は、育児とキャリアを両立する男性職員にも資するものだと考えております。

 総務省といたしましては、育児とキャリアの両立支援につきまして、男女を問わず重要であると考えておりますので、全ての職員が仕事と育児の両立を図ることができるよう、地方公共団体の取組を支援してまいります。

西岡委員 今部長から御答弁ありましたように、男女を問わず大変重要な課題でございますので、今後とも取組をお願いしたいと思います。

 それでは、一問飛ばさせていただいて質問させていただきます。最後の質問となります。

 地方公共団体における不妊治療のための休暇新設、そして有給化についてお尋ねをいたします。

 総務省は、昨年十二月、不妊治療のための休暇の新設に対しまして、一月一日より適用できるよう所要の措置を講ずることを依頼する通知を発出いたしております。現状の整備状況と、不妊治療と仕事の両立ができる環境整備に向けた自治体の取組を支援する総務省の体制についてお伺いをして、私の質問といたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 不妊治療を受けやすい職場環境の整備は社会全体の要請でありまして、不妊治療と仕事の両立を支援する観点から、国家公務員において不妊治療のための有給休暇が新設されたことを踏まえまして、各地方公共団体においても、不妊治療のための休暇の新設及び有給化等について、令和四年一月一日の適用に向けて人事委員会規則等の改正など所要の措置を講じていただくよう、総務省としても助言を行っているところでございます。

 また、不妊治療を受けやすい職場環境の醸成に向け、厚生労働省作成のマニュアルやハンドブックなど、地方公共団体の人事担当課に対して情報提供をし、活用を促しているところでございます。

 各地方公共団体における不妊治療のための休暇の整備状況については、現段階では把握に至っておりませんが、今後実施する地方公共団体の勤務条件等に関する調査の中で把握することを予定しておりますので、その状況を踏まえ、総務省として、地方公共団体においてこの休暇が適切に措置されるよう、引き続き必要な助言、情報提供を行ってまいります。

西岡委員 よろしくお取組をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 本法案は、地方公務員の育児休業を取得しやすくするものであり、賛成でございます。

 今日は、男性職員の育休取得のために必要な対策について議論をしたいと思います。

 総務省は、昨年十二月二十四日、男性職員の育児休業等の取得促進に向けた取組の一層の推進についてと題した通知を発出いたしました。

 総務省、直近の調査結果で、男性職員の育休の取得率は何%でございましょうか。

 また、今日は人事院にも来ていただいております。人事院に、国家公務員全体の男性職員の取得率をお答えいただきたい。

山越政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度の地方公務員の育児休業取得率は、女性職員が九九・七%、男性職員は一三・二%となっております。

荻野政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度におきます、一般職でございますが、一般職国家公務員の育児休業取得率は、女性は九九・六%、男性は五一・四%となっております。

宮本(岳)委員 一般職の五〇%を答えられましたね。全体では、先ほどから出ている二九%だというふうに思います。

 第五次男女共同参画基本計画で、二〇二五年までに地方公務員の男性の育児休業取得率を三〇%にするという目標を掲げております。それに比べて、男性地方公務員の育児休業取得率は半分以下ということでありますけれども、これはまた総務省に改めて聞きます。本当に二〇二五年度、三割、達成できますか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、第五次男女共同参画基本計画において、取得率三〇%という地方公務員の男性職員の育児休業の取得率の目標が掲げられておりまして、取得促進に係る取組を一層加速しなければいけないというふうに考えております。

 先ほど御紹介いただいたとおり、昨年十二月二十四日に各地方公共団体に対しまして通知を発出し、まずは国家公務員の取組を参考に、男性職員の育児休業等の取得促進に向けた取組を一層推進するように助言を行いました。

 具体的には、組織としてまず男性職員の育児休業等の取得促進に係る数値目標を設定し、全ての職員に対し当該目標を周知していただくこと、地方公共団体の首長を始め幹部職員が休暇、休業の取得方針、目標の明確化を行うこと、また、管理職員が対象職員の意向に基づく取得計画を作成する主体となること等について積極的に検討するように助言を行ったところでございます。

 加えまして、取得率が近年大きく上昇いたしました地方公共団体の取組事例を紹介し、また、取組促進の機運醸成が必要だという観点から、総務省としてポスターを作成いたしまして地方公共団体に提供し、積極的に活用いただくよう周知をしたところでございます。

 今改正案の成立した暁には、その内容も踏まえて、地方公共団体に更に積極的な取組を促してまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 なるほど、国家公務員の方も三割にほぼ達しておりますし、先ほど一般職が五割という話もございました。意識改革の旗を振り続けたら三割ぐらいは達成できるのではないかという話も聞きました。

 そこで、この中身を見たいと思うんですね。

 資料一を見てください。

 育児休業等の取得状況、令和二年度には、詳細な内訳の数字が示されております。男性の育休取得状況を見ると、一か月以下が、赤いアンダーライン、五四・六%を占めております。ちなみに、女性の場合、一か月以下は〇・五%で、九か月以上が八九%であります。男性の育休一月以下の内訳も下に更に公表されておりまして、五日未満という男性職員が一割以上もいることになっております。

 聞きますけれども、女性の場合には一か月以下などという育児休業は一%にも満たないのに、男性職員の場合は過半数が一か月以下となり、五日未満というようなものまでこのようにあるのはなぜだと総務省は考えておりますか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、男性育児休業の取得の期間につきましては、女性職員に比べて極めて短い状況にございます。

 これは様々な事情があると思われますが、民間と公務員と共通して言えることとしては、男性の職員が収入面で心配になるとか、あるいは、今後自分の職、復帰したときの職場環境がどういう感じになるのかという御心配があるというような御意見もあるところでございます。

 いずれにしろ、この取得期間を少しでも長くするということは、私ども、ちゃんと取り組んでいかなきゃいけない課題と思っておりまして、今回の改正案の中で、取得回数を増やすという形でより柔軟に取得しやすいような仕組みも取り入れているところでございまして、回数もさることながら、期間も長くできるような取組を推進してまいりたいと思っています。

宮本(岳)委員 三割はおろか、五割を一般職では超えている、国はよくやっていると思ってしまいましたけれども。

 人事院にも同じように聞こうと思います。

 資料二を見ていただきたい。

 育児休業期間の状況を示す円グラフ、男性と女性で、一か月以下、つまり五日未満三・五%と、五日以上二週間未満一八・四%と、二週間以上一か月以下五〇・六%の合計七二・五%、男性は。これも大きな違いなんですね。

 人事院の次長に聞きます。この違いはどこにあるんですか。

荻野政府参考人 お答えいたします。

 育児につきましては男女が協力して行うべきものというふうに思いますけれども、我が国におきましては、育児の負担は依然として女性に偏っている実態がございます。

 男性職員の育児休業取得率は着実に増加してきておりますけれども、女性職員と比べまして低い水準にありまして、また、御指摘のとおり、休業期間も短い状況にあります。

 育児休業取得の更なる向上を目指すに当たっては、制度をより柔軟に利用できるものとする必要があります。また、職員が一層制度を利用しやすい職場環境を整備していくことも重要であろうというふうに考えてございます。

 こうした課題に対応するために、昨年八月、人事院におきましては、育児休業の取得回数制限を緩和する育児休業法改正についての意見の申出を行いまして、先般、法改正について可決していただいたところでございます。

 これに基づく今回の法改正によりまして、カップルが交代して取得するなど、柔軟な育児休業の取得が可能となり、男性職員の育児休業の取得の促進が期待されるというふうに考えてございます。

 以上でございます。

宮本(岳)委員 育児休業五日未満というのが、男性では国家公務員でも地方公務員でも一定数出てまいります。五日未満ということは最大四日でありますから、土日を加えても丸々一週間も休んでいないということを意味するわけですね。

 現場から聞いた話では、男性地方公務員の中には、育児休業一日という例さえあるというふうに聞きます。

 大臣、私も二人の子供を育て終え、今では孫も二人いるわけでありますが、一日や一週間で子供が育つかといえば、一日分は育つんでしょうが、休業して育てたという話にはならぬわけですね。これを、これまで一回だったものを仮に二回にしたところで、ほとんど意味がないということになると思うんですけれども、金子大臣、そう思われませんか。

金子(恭)国務大臣 先ほど来、育児休業の取得率等々についての数字を出しましたけれども、今先生からこういう細かい数値を見せていただくと、やはり男性の取得の仕方に、大変、今後、課題を残しているなと思います。

 もちろん、回数もそうでありますが、一回の時間をいかに取ってもらうか、そのための環境をどう整えていくのか、これはしっかりと我々も検討していかなければいけないというふうに思っております。

宮本(岳)委員 本当に子供を育てようと思えば、女性職員の結果に出ているように、九か月以上、九割というのが普通、当たり前なんですね。一か月以下などというのは、私はないと思います。

 男性職員の育児休業というのは、実は、育児のためというのはあるんでしょうけれども、それよりも、男性職員の育児休業取得率の三割とか五割とかをクリアするためにやっているのではないかと言わざるを得ないような数字の出方をしております。

 配付資料三を見ていただきたい。

 これは滋賀県が行った職員アンケートの結果です。滋賀県のクレジットが入っておりますから、これは県がやったものですね。

 子供が生まれた男性職員のうち、育休取得希望は四一・五%、実際に取得できたのはそのうち六三・〇%で、四割は育休を取得できておりません。取得できなかった理由のトップは「仕事を引き継げる人がいない等、職場に迷惑が掛かると思ったから」が六二・六%、取得の際の不安が「仕事の引き継ぎ」で七五・五%、育休取得に効果的な取組が「育児休業中の代替職員の確保、仕事を引き継ぐ相手の明示」七四・一%となっております。

 仕事を任せられる体制がなければ取得をためらうのは当然でありまして、公務員部長は職場の雰囲気と言うんですけれども、まさに雰囲気の中でも大事なのは、あの人が後を受け継いでくれるから大丈夫だ、こういう安心感だと思います。

 確認しますが、育休取得を進めるためには代替職員の配置と仕事を引き継ぐ体制づくりが鍵だと私はこの資料から読み取るんですけれども、そうは思われませんか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 男性育児休業の取得のアンケートにもありますとおり、一つは、やはり周囲の理解というものが必要であるということと、また、特に管理職など上司がどういう立場で、きちんと育児休業取得促進に向け動いてもらえるかということが鍵になると思います。

 加えまして、代替職員をきちんと確保するということによりまして、安心して育児休業を取得する環境を整備すること、これも重要なポイントだというふうに思っています。

宮本(岳)委員 上司の意識改革ということもあるんですけれども、やはり代替職員の確保、ゆとりある人員体制が大事だと思います。

 資料の四、五を見ていただきたいんです。

 これは「コロナ対応最前線 仕方ないからあきらめないへ」と題した大阪府の職員団体が出版された本の中の、大阪の保健師の方々のリアルな声ですね。生の声をここに挙げておきました。

 見ていただいたら分かるように、資料四の赤い印、十九番。

 あちこちの保健所で、二十一時までしか残業しないよう工夫しろ、タクシー代ないから使わない時間に帰るようにと言われている。上からの指示で言ってるのでしょうが、現場の気持ちを少しでも酌んでほしいし、保健師を追い込む行為はやめてほしい。

 それから、資料五。もう一枚めくっていただいた資料五の二十六番になると思います。

 子育て中や家族の介護をしている人も、少しでも他の職員の負担を減らしたいと無理して土日祝出勤している中、土日祝出勤しない上司から、残業減らせ、夏季休暇を消化しろと言われる等々が出されております。

 大阪の保健所の現状は、この間、私が当委員会で取り上げてきたとおりであります。私の手元に届いた、ある保健師さんの三月のある一週間の勤務実態、これは間違いなくそういう方がいらっしゃるということで、私、聞きましたけれども、日曜日は朝八時五十分に出勤して、退勤時間は午前零時十分。月曜日は午前九時出勤で、午前一時四十五分退勤。火曜日はやっと午後十二時三十分出勤で、午前零時二十分退勤。水曜日、午前九時十分出勤で、午前一時二十分に退勤。木曜日、九時十五分出勤で、二十三時五十分退勤。そして金曜日は、午前九時十五分出勤ですが、退勤時間は何と午前三時二十分。

 こんな勤務実態の保健所で、残業を減らせ、こう言うわけですね。もちろん、休暇を取れ、残業を減らせ、これは上司としても言わなきゃならないから、言っておかなければならぬからおっしゃっているのは分かるけれども、減るわけないんですね。

 ですから、育休もそうですよ。そういう方向で頑張る、頑張らねばと、意識改革と、管理職がとおっしゃるけれども、それは、こんな状況の下でこんなことを言わなきゃならぬ管理職もつらい。言われて誰もなるほどと思っていないわけですよね。

 こういう本当に情けない実態が現場で起こっているということを、公務員部長は御存じですか。

山越政府参考人 お答えいたします。

 今回のコロナ禍におきましては、保健所などにおきましての地方公共団体の役割は非常に大きなものでございます。

 総務省におきましても、この実態を把握する必要があるということで、昨年四月から六月までの間の勤務状況について特別に調査をいたしております。上限超えの実態等を中心に特別に調査をしたところでございます。

 その結果も見ますと、やはり上限を超える時間外勤務を余儀なくされる職員が多く生じるなど、非常に対応が困難であった自治体が見られたというところは認識をしておりまして、私どもとしては、各団体に対しましては、こういった上限超えの個々の職員の勤務実態をきちんと把握、また検証していただいて、必要な体制を確保していただくことが重要であるということをお伝えしているところでございます。

宮本(岳)委員 要するに、育児休業を取得するように何度口を酸っぱくして触れ回っても、駄目なんです。

 五日未満どころか、中には一日育休というような、アリバイ工作みたいな育休取得ではなくて、安心して育休を取るためには、代替要員がいて、安心して任せられるようにすることが決定的であります。

 結局、人員配置と財政支援がないと、かけ声倒れで進まないことになります。男性も育児休業を取れというなら、その代替の職員が確保されていなければなりません。そして、代替のための地方公務員を増やそうと思えば、財政措置は欠かせません。定数管理をやはり抜本的に見直す必要があると私は思うんですね。

 最後に、この問題での総務大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。

金子(恭)国務大臣 宮本委員には、これまでも、この委員会で現場の生の声をお聞かせいただきました。不十分だとお叱りを受けるわけでありますが、保健師さんの増員もやってまいりました。しっかりやはり現場の実態を知ることが一番重要なことだと思っております。

 その上で、今回、育児を行う職員の仕事と家庭の両立というのは官民共通の重要な課題であり、また、地方公務員においても、職員が育児休業を取得しやすい職場環境を整備することが重要というふうに認識をしております。

 自治体の現場においては、職員が育児休業を取得するに際して、代替の任期付職員を採用する、あるいは、育児休業を取得する職員が毎年度一定の数見込まれる場合には、その分、常勤職員を確保しておくなどの対応を行っている自治体もあると承知をしております。

 これらの取組例は、育児休業などの取得促進と業務に支障の生じない体制の確保の両立を図るものでありますが、総務省としても、各自治体の取組事例を周知し、横展開することで、自治体の更なる取組を後押ししてまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 しっかり頑張ってください。

 以上で終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がございませんので、直ちに採決に入ります。

 地方公務員の育児休業等に関する法律及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤羽委員長 次回は、来る十二日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十三分散会


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