衆議院

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第8号 令和4年12月6日(火曜日)

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令和四年十二月六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    坂井  学君

      島尻安伊子君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      橘 慶一郎君    中川 貴元君

      西野 太亮君    平沼正二郎君

      古川 直季君    務台 俊介君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   デジタル大臣政務官    尾崎 正直君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      杉田 水脈君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局次長)         三原 祥二君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房政策立案総括審議官)       武藤 真郷君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   参考人

   (国立研究開発法人情報通信研究機構理事長)    徳田 英幸君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月六日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     橘 慶一郎君

  新谷 正義君     山口  晋君

  中川 貴元君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  橘 慶一郎君     佐々木 紀君

  平沼正二郎君     中川 貴元君

  山口  晋君     新谷 正義君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件

 地方自治及び地方税財政に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案起草の件

 地方議会における多様な人材の確保及び地方議会のオンライン開催に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として国立研究開発法人情報通信研究機構理事長徳田英幸君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、警察庁長官官房審議官親家和仁君、個人情報保護委員会事務局次長三原祥二君、デジタル庁審議官内山博之君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省大臣官房政策立案総括審議官武藤真郷君、大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局選挙部長森源二君、国際戦略局長田原康生君、総合通信基盤局長竹村晃一君及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今日は、この後、地方自治法の一部改正法案が議員立法で提出される予定になっております。自治体議員の請負規制の緩和についてなんですけれども、これは自治体議員の問題なので、国会審議の前に、立憲民主党には自治体議員ネットワークというものがありまして、その代表の宮城県会議員の遊佐美由紀議員に全国の自治体議員の御意見を取りまとめていただきました。まさに、地域の声を国政へと、我が党が掲げるボトムアップの政治の実践だと考えております。

 今回の地方自治法改正は、請負禁止規定に抵触すると議員は失職となるという規定が議員のなり手不足の原因となっている、これを解消するために、請負の定義を条文上明確化して、議員個人による請負を規制対象から除くこととされる議員立法であるということでありますが、自治体議員ネットワークからは、果たしてこれがなり手不足解消に効果的であるのか、効果的であるとの判断には至らなかったという御意見、あるいは、癒着や、政治倫理としての適切な関係が保たれるのか、疑義が多くあるといった声が寄せられております。

 議員立法なんですけれども、背景などについて総務省に確認をしたいと思います。

 請負規制があるから議員になれないとか、なりたくないという人が実際いて、請負規制が議員のなり手不足の要因なんだというふうに考えられるのでしょうか。また、もう一点、行政と民間との癒着を防止する趣旨の規制を解禁することにより、逆に生じる癒着リスクというものがあり得ると思うんですが、これを避ける方法といったものを、どのように考えられるものかといったことについて、総務省の御見解をお尋ねいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 近年、無投票当選の増加や、一部の団体における定数割れの発生など、地方議員のなり手不足が課題になっていると認識しております。

 議員のなり手不足の要因といたしましては、立候補環境に係る要因、時間的な要因、経済的な要因など様々なものが考えられますが、議員の請負禁止など身分に関する規定に係る要因についても、その一つであると考えております。

 仮に、なり手不足の解消に向けた取組として個人の請負禁止の緩和が行われるとすれば、各地方議会において、地域の実情に応じ、議員個人による請負の状況の透明性を確保するため、適切に対応いただくことが必要と考えております。

重徳委員 こういった問題点、総務省の認識もお伺いしましたので、十分留意した運用も必要なんだと思います。この後、議員立法の提案がありますので、この辺りは我々としても共通認識を持っておく必要があると思います。

 さて、今日は、私からは、平成の市町村合併の検証、個人的には第三回なんですけれども、二年前の令和二年の二月十八日、三月十七日に続きまして、検証といったことを論点にしてみたいと思います。

 前回、この委員会において私は、松本大臣の所信に自治という言葉がないということを指摘をさせていただきました。自治がなければ地域は発展しません。そして、自治体というのは、そのための基礎的な組織だと考えます。

 しかし、市町村合併した旧町村、旧市もあるんでしょうけれども、今日は分かりやすくするために旧町村と言いますが、旧町村の多くは新市の、これも新町もあると思いますが、新市と表現させていただきます。新市の周辺部になってしまったというところが多いと思います。人口も全体の新市の一割未満にしか当たらない、こういった旧町村もあると思います。

 まず、総務省に確認したいんですけれども、旧町村の人口が新市の一割未満であるというケース、これはどのぐらいあるものか把握をされていますでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 令和二年国勢調査における人口等基本集計では、令和二年十月一日現在の市区町村の境域に基づいて、平成十二年十月一日時点の市区町村に組み替えた上での数値が公表されております。

 本調査結果を基に、まず、市町村合併による市町村数の減少率の最も高い長崎県分を集計いたしましたところ、旧市町村の人口が新市町村の一割未満である自治体数は、令和二年十月一日現在でございますが、二十一自治体のうち十一自治体となっております。また、これは、合併した旧自治体ベースでは三十自治体でございます。

 なお、全国集計につきましては、昨日通告をいただきましてから可能な限り確認をさせていただいた数字でございますけれども、旧市町村の人口が新市町村の一割未満である自治体数は、千七百四十一自治体のうち三百自治体程度となります。また、これは、合併した旧自治体ベースでは七百六十自治体程度となっております。

重徳委員 そうですね。

 今回の平成の大合併によりまして、およそ三千三百ぐらいある自治体が千七百程度になったわけですから、千五百ぐらいの自治体がなくなったというか統合されたわけですから、そのうち七百六十が一割未満という、済みません、ちょっとこれはもっと早く通告すれば精緻な数値があったかもしれませんが、ほかの通告はともかく、この通告はちょっと昨日の夕方になってしまったので、おおむねということであります。

 しかし、それにしても、減った分の半分ぐらいは一割未満であるということが今の御答弁で感覚的には明らかになったと思います。このことが地域の自治にもたらす影響というのは、非常に大きいのではないかと思います。

 もう一点確認します。

 旧町村には、当然ながら、かつては町村長が存在したわけなんですけれども、今や議員を出すこともなかなか大変だ、一人出すのも大変だ、こういう旧町村もあるんだと思います。

 これも確認しますが、旧町村の地域から一人の議員も出せていないケース、これはどのぐらいあるかということを把握されていますでしょうか。

吉川政府参考人 お尋ねのケースについて、総務省では把握しておりません。

重徳委員 お聞きのとおりであります。

 研究者によりましては、幾つか抽出的に、抽出というか、要するに悉皆調査ではないと思いますが、これは実態も見ていかないと、その地域から議員が出ていないかどうかなんというのは分からない部分もありますので、これは単なる客観的な統計データからはなかなか把握できないことなんだと思います。

 したがって、旧町村における自治といいましょうか、そこの地域の声を新市に、新しい市に反映していくという機能は恐らくかなり厳しい状態になっていると推察されるんですけれども、こういったことも含めて総務省において把握をしていかないと、これは、市町村合併、果たしてその影響はどうだったのかという検証が成り立たないというふうに思います。

 議員を輩出するというのも重要なところだと思いますが、じゃ、今の状況を把握されていないということなんですけれども、こういった旧町村の実情について、もっと、国勢調査のみならず、様々な形で把握していくべきではないかと思うんですけれども、その辺りの認識についてお尋ねしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど御答弁申し上げたとおり、国勢調査においては、旧市町村単位の人口数は把握できているということでございます。

 先ほどお尋ねいただきました議員の出身地域等につきましては、各自治体に個別に確認することによって把握することは可能だというふうに思われますけれども、それぞれの自治体の協力をいただく必要もございます。これまでもそうでしたが、必要に応じまして、合併特例法の期限などの機会を捉えて、そうしたデータの収集を行っていくことを考えたいと思っております。

重徳委員 是非よろしくお願いします。

 もう一個、議員だけではなくて、首長の在り方というのも重要なところだと思います。

 これは、以前私が質問したときは、三年前の四月現在の数字をお聞きしたんですけれども、合併前に首長だった、つまり合併経緯を知っている首長が今もなお新自治体における首長である人の数、パーセンテージについて御答弁をお願いします。

吉川政府参考人 平成の合併以降に合併をいたしました五百九十市町村につきまして、合併年月日と首長の就任年月日などの情報を基に確認したところでございますが、令和四年四月一日現在の首長のうち、合併時から継続して首長であった方は三十四人で、その比率は五・八%でございます。

重徳委員 三年前の四月は七十九人でありましたが、今年の四月では、三年たって、三十四人ということであります。

 これは、いつかいなくなるのは当然のことでありますが、やはり、合併のときの関係自治体、特に旧町村の方々の思いというものをしっかり受け止めて今なお市政を運営しているという人がいよいよ五%台ということになってまいりましたので、ここの現状もきちっと認識をして、これからの旧町村の自治の在り方について考えていく必要があると思います。

 これは有識者であります坂本誠先生の言葉なんですけれども、自治体には自治体の生存本能というものがあるんだと。すなわち、自治体が存在し、首長や議員から構成される自治体の機能、あるいは役場の職員がいる限り、この町を何としてでも死に物狂いで存続し発展させるんだという生存本能が発揮されるという意味であります。

 しかし、合併して旧町村の体制が消滅をしてしまいますと、地域の個性を生かしたまちづくりといった推進体制、あるいはそれを実現する体制というものが力を失ってしまうと思います。

 現に言われているのが、例えば、最近は、コロナの影響もあって、田園回帰といいましょうか、地方への回帰志向が若者の間でじわじわと広がっていると言われますが、そうした若い人たちのUターン、Iターンといった施策に対しても、自治体が存続している地域と、旧町村という形で、自治体はない、存在しないという、地域によって差が出ているということも指摘をされております。

 これは大臣にお尋ねしたいんですが、この自治体の生存本能という観点からしますと、今質疑で御答弁いただいたとおり、首長も認識が希薄になってきている、そして、まして議員の一人も出せないような状況というのが恐らくあるだろう、全体に占める比率は一割未満というところが非常に多いという中で、地域の自治体制が弱体化して地域活力を衰退させてしまっているという御認識はありますか。

松本国務大臣 いわゆる平成の合併につきましては、人口減少や少子高齢化の進展を背景に、地方分権を推進する上で基礎自治体の規模、能力の充実などが必要であるとの考えの下、自主的な市町村合併を積極的に推進してまいりました。

 市町村合併は、関係市町村において、地域の将来像や地域の今後の在り方を展望し、住民とともに真摯に議論を行い、決断されたものであると認識をいたしております。

 市町村合併後の議員定数については、定数が減少することによるメリット、デメリット、適正な議会の規模の在り方を含め、こうした過程で関係市町村での検討や協議を経て、合併市町村の条例によって適切に定められたものと認識しております。

 このため、総務省としては、合併に伴う議員定数の減少について一概に評価することはできないものと考えております。

 その上で、首長や地方議会議員においては、地域の自治の力を弱体化させたり地域活力を衰退させたりすることのないよう、引き続き、旧町村部の住民の声も含め、住民からの声を幅広くつかんでいただくことが重要と考えております。

 私の地元の姫路市も平成で四町を合併をいたしておりますが、ちょうど人口は一割程度で、今委員御指摘のボーダーラインあたりではないかというふうに思っておりますが、私が知る限り、議員は数名出ているというふうには思っておりますが、姫路市の市政におきましても、旧町村の、姫路の場合は旧町ですね、地域の活力の維持拡大というのは大変重要な政策テーマになっているというふうには認識をいたしております。

 誰も、どこも取り残さないようにすること、こういったことへの思いを大切にしてまいりたいと思っております。

重徳委員 総務省というのは制度官庁でありますので、自治というものを、確かに一義的には自治体の主体的な取組ではありますけれども、それを制度的にどう担保あるいは裏打ちしていくかという観点が重要だと思います。

 そこで出てくるのが、今日資料を配付しておりますが、地域自治組織、これは一般的な用語だと思いますが、とりわけ今日議論したいのは、この資料の一ページ目でいいますと、地域自治区、この中には特例というのと一般というのが二つあります。

 地域自治区の特例というのは、いわゆる合併特例法に基づく設置が認められたものでありまして、合併特例法に基づくものは、中心市など、全部に地域自治区を設置する必要はない、そして期限が設けられている、これが特徴ですね。期限があるというのは、合併建設計画の十年ぐらいの期限とか、そのぐらいが目安だと思います。

 それから、一般というのは地方自治法に規定のあります恒久的な措置でありまして、これは市域全体に隙間なく地域自治区を設置しなければならないということになっていまして、期限も特段ないというところが特徴であります。

 数字だけ見ますと、合併特例法に基づく地域自治区というのは、合併が一通り落ち着いた段階でしょうかね、平成十八年には三十八自治体に百一自治区が設けられていた。ずっと下までいって、令和四年四月を見ますと、五自治体に減っておりまして、十二自治区しか、もはやないということであります。

 まず、特例の方を見ていきたいんですけれども、具体的には四ページ目を御覧いただきますと、この五団体が、今でも地域自治区が合併特例法に基づいて設置されている地域であります。

 そこで、質問なんですけれども、特例である以上、これはさっき言いましたように期限があるはずなんですけれども、合併から十五年ほどたっておりますが、いまだこの五自治体、四ページ目の五自治体においては地域自治区が残っています。これは、残している理由というものは把握されていますでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の五つの市と町に現在も存続させている理由を確認いたしましたところ、市町村建設計画などの各種計画や構想に対する旧町村の住民意見を行政に反映し、その連携を引き続き推進するためといった回答や、地域自治区の名称として使用されている旧町村の名称が住所表示に用いられていることに鑑み、地域自治区を引き続き残すこととしたためといった回答がございました。

重徳委員 ありがとうございます。

 それでは、逆に、元々、平成十八年では特例に基づく地域自治区が三十八自治体あったんですが、今は五しかないということは、差引き三十三自治体においては廃止をしたと。廃止をした後の姿、もう何の組織もないのか、何らか引き継ぐ後継組織があるのかといった実態については把握されていますでしょうか。

吉川政府参考人 御指摘のとおり、合併特例法による地域自治区は、合併関係市町村の協議で定めた期間が終了すれば廃止となるわけでございますけれども、福島県南相馬市など四つの市では、地方自治法による地域自治区に移行し、現在まで存続をしております。

 また、地方自治法による地域自治区に移行しなかった団体にその後の状況を聞き取れる範囲で確認いたしましたところ、まず、滋賀県近江八幡市や宮崎県延岡市などの十四の市と町では、条例や要綱等に基づき、まちづくり協議会や地域活性化協議会などの名称で自治体独自の組織を設置していることが確認できました。

 このほか、青森県八戸市や岩手県一関市などでは、条例等に基づく組織は設置しておりませんけれども、地域住民の意見を把握、集約するための取組として、地域と行政のつなぎ役を担う地域担当職員の配置のほか、移動市長室やまちづくり懇談会といった名称で、市長等と旧町村の住民との対話の機会を定期的に設け、引き続き住民自治の充実に取り組んでいるということが確認できたところでございます。

重徳委員 ありがとうございます。

 続いてお聞きしますが、逆に、この資料一ページ目でいうと、地域自治区、一般ですね、地方自治法に基づくものが、平成十八年に十五自治体、百自治区、それが、今なお、令和四年も十三自治体で百二十八、むしろ増えている、自治区の数でいうと増えている、こういう状況にあります。この現時点の詳細が二ページ目、三ページ目にあります。

 これらの自治体において、恐らく合併をしたときに設置をしたのではないかと思われるこの地域自治区でありますが、あえて、合併特例法に基づく地域自治区でなく、一般の地域自治区を選択した理由については把握されていますでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 合併特例法による地域自治区の仕組みを活用せずに、合併時から地方自治法による地域自治区を設置して現在も存続させている、御指摘の十の市と町にその理由を確認いたしましたところ、秋田県大仙市など五つの市、町からは、設置期間の定めのない永続的なものとしたかったためとの回答がございました。また、長野県飯田市など五つの市からは、旧町村部のみでなく、市域の全域にわたって設置したかったためという回答がございました。

重徳委員 今、それぞれ、任意の自治組織を置いたり、それから一般の地域自治区を設置したり、それぞれの自治体の考え方で、こうした旧町村における自治体制というものを何らかの形でつくろうという努力も見られます。

 しかしながら、この法定の地域自治区というのが意外と選ばれていないなという感じがします。これは何でなんでしょうね。

 ちょっと大臣にお聞きしたいと思います。

 やはり地域自治区は、一つの考えでありますけれども、法律上の位置づけはありますけれども、その機能が十分ではないのかもしれませんね。旧町村のいわば住民自治の機能というものを強化していかないと、これは私、平成の大合併というものは、もう旗を振ってさんざんやったけれども、結局、周辺部は寂れるばかりだという失敗の烙印すら押されかねないと私は思っております。強い危機感を、危機感といいましょうか、非常に国全体が不幸なことになりかねないと思っております。

 そこで、大臣、地域自治区を含め、法律で、より地域のきめ細かい自治体制を保障するべく、権限とか財源とかそういったものを保障するような制度設計を何らか検討する余地がないかなと思うんですけれども、大臣の御認識をお尋ねします。

松本国務大臣 委員御指摘のとおり、地域自治区が仕組みとして法律上設けられていることは申し上げるまでもないかというふうに思います。

 この地域自治区は、住民自治の充実や、行政と住民との連携による協働活動の推進を目的としてその区域の事務を分掌し、市町村が住民の意思を反映させることができる仕組みというこの制度の趣旨に鑑みて、地域自治区を始めとした地域自治組織は、市町村があくまで自らの判断で設置するか否か、どのような区域に設置するかを含めて柔軟に対応することができる、このような仕組みとなっているところでございます。

 その点では、地方自治体の裁量を狭めるということは適当ではないと考えるところでございますが、今、地域自治区の制度そのものについての問題提起の御議論を今日ここでいただいたということは、私も、お話、御議論を伺わせていただいたというふうに申し上げたいと思います。

重徳委員 更に深掘りはしていきたいと思いますので、是非受け止めていただきたいと思います。

 さて、合併によってよく市町村の行財政基盤が強化されたと言われるんですけれども、ここで一つお聞きしたいと思います。

 合併して、逆に、旧町村における選挙のときの投票所が減らされちゃっているということをしばしば聞きます。私の地元でも聞きます。効率化はいいんですけれども、やはり自治体というのは民主主義の基礎でありますので、投票所を減らしてしまうというのはいかがなものかと思います。投票率が下がっているんじゃないかという指摘も耳にします。

 この点、どのように把握され、認識されていますか。

森政府参考人 お答えいたします。

 市町村合併の投票所数への影響については、平成十六年から令和元年の参議院選挙の投票所数の減少理由について調査をいたしましたところ、利用者数の減少に伴う見直しと回答した市区町村が三八%と最も多く、合併に伴う投票区の見直しと回答した市区町村が次に多く、二七%となっておりました。

 次に、投票率については、例えば、天候や選挙の争点など、様々な事情が総合的に影響するため、その要因を一概に申し上げることは困難ですが、投票所が遠くなったなど、投票所へ行くコストも投票率に影響を及ぼす要因の一つになり得るものと考えております。

 令和三年の衆議院総選挙に関して、明るい選挙推進協会が実施した選挙に関する意識調査の結果によりますと、投票に行かなかった理由は、選挙に余り関心がなかったからが約三〇%と最も多いところですが、投票所が遠かったからという理由は約四%あったところでございます。

 総務省としては、投票所の増設、維持に加えまして、投票所までの距離が遠い方などのための投票所への移動支援、かつて投票所があった地域での期日前投票所の設置や、移動期日前投票所の取組、投票日当日、市区町村の区域内のいずれの投票区の選挙人も投票できる共通投票所の設置など、有権者の投票機会確保について地域の実情に応じて積極的に取り組むよう、引き続き、各選挙管理委員会に対し促してまいりたいと存じます。

重徳委員 最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、これは自治総研の今井先生の言葉なんですけれども、自治体組織というものを統合型地方自治観というんですかね、要するに、合併を進めたときは、自治体の規模が大きくなれば、それだけ統治機能が充実する、強化される、先ほど言った行財政基盤が強化されるんだ、これが一つの道だということで、ぐいぐいと広域化を進めていったと認識をしておりますが、しかし、今言ったように、非常に周辺部が希薄化されてしまうと、これは本来の自治の姿ではない、こういったことも含めて、本来の自治の姿を国が保障するというのが、国としての、総務省としての責務ではないかというふうに思います。

 そして、このことについての大臣の認識と、あわせて、私が再三言っているこの平成の市町村合併について検証を、これは、総務省だけの検証ではなんなので、総務省、地制調に検証を求めるとともに、私も地制調の委員として申し上げますが、地制調で議論するということとともに、国会、これは我々側のことですが、国会に第三者機関を設ける、あるいは各党の取組でもいいと思いますが、そういった、国会と政府と、両者つくって検証し、比較し、評価していく、こんなことが必要なんじゃないかと思いますが、大臣の御認識をお尋ねします。

松本国務大臣 まず、この合併の検証の在り方でございますが、御案内のとおり、私の今の立場からは、国会における第三者委員会の設置、検証等についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 地方制度調査会は、御案内のとおり、内閣総理大臣の諮問機関で、国会議員、地方公共団体の議会の議員、地方公共団体の長などのほか、学識経験者の参画もいただいて構成されているものでございまして、平成の合併の効果などの評価、検証についてはしっかりと御議論をいただいているものというふうに承知をいたしているところでございます。

 総務省といたしても、これらの評価、検証につきましては、将来の基礎自治体の在り方の検討に際しても重要なことであると認識をしており、今後とも課題の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、統合型地方自治観を引かれてお話がありました。自治体の存立の認識ということでございますが、これも御承知のとおり、直近の合併の答申がまとめられました第三十二次の地制調の答申におきましても、自主的な市町村合併のほかにも、市町村間の広域連携、都道府県による補完などの多様な手法の中から最も適したものを自ら選択できるようにすることが適当であるとされているところでございまして、御指摘のように、国の統治機構に自治体を従属させようとの発想に基づいて地方行政体制の在り方を追求しているものではございません。

 今後とも、地方自治体の置かれている状況を踏まえつつ、地方自治の本旨に照らして、地方行政の体制の在り方を模索してまいりたいと考えております。

 先ほども申しましたように、私も身近に合併の例がございますが、私どもは、政治に携わる者としては、最終的には、国民、住民の皆さんに一つ一つ届くような形がつくれるようにという思いを持って取り組んでまいりたいと思っております。

重徳委員 引き続き、私自身も検証に取り組んでまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、「NoHeartNoSNS」の取組について、内閣と警察の方に先に質問をさせてください。

 SNS上の誹謗中傷は絶対あってはならないと認識をしています。これは、総務省、法務省含めて、共有の認識だと思っています。

 今現在、特に性暴力を受けた若い女性を支えている、あるいは性被害者を支援している団体にネットでの誹謗中傷がやまない事例が出ています。団体への誹謗中傷、事実と異なる情報を流したり、支援スタッフの写真を無断掲載したり、ネットでの攻撃がエスカレートして、ストーカー行為や器物破損、ネットを超えた嫌がらせなど、より深刻な行為が行われているという状況です。

 SNSの誹謗中傷はもちろん、特に性被害者を支援している団体という対象への性差別や誹謗中傷は、性被害者の命にも直結することであり、絶対にあってはならないと認識していますが、事業をつかさどっている内閣府として、これらの行為への対応はされているのか、お伺いします。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 性犯罪、性暴力の被害に遭われた方や支援団体等の声は、性犯罪、性暴力の根絶に向けた社会的機運の醸成に大きな役割を果たしてきたものと認識をしております。

 一般論として、SNS等のインターネット上での誹謗中傷は、その内容が先鋭化しやすく、誹謗中傷を受けた方の社会的評価を大きく低下させる事態を招き得るものでございます。

 そうした誹謗中傷が性犯罪、性暴力の被害者支援に従事する方々に行われることにより、それらの方々の尊厳が損なわれたり、性犯罪、性暴力の根絶に向けた歩みが妨げられるようなことがあってはならないと考えております。

岡本(あ)委員 警察には、この事例、把握されているのか、伺いたいと思います。

 侮辱や名誉毀損などの行為はもちろんなんですが、器物破損や業務妨害なども起きているようです。毅然と取り締まる対応が必要ではないでしょうか。お答えください。

親家政府参考人 警察におきましては、インターネット上の誹謗中傷に関し、相談あるいは被害の届出がなされた場合には、被害者の心情に寄り添って被害届を受理するなど、適切に対応しているところであります。また、告訴がなされた場合には、要件が整っていればこれを受理し、被害者の立場に立って誠実に対応することとしております。

 その上で、必要な捜査を行いまして、その結果、刑罰法令に触れる行為が認められるのであれば、個々の事案の具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づいて適切に対処することとしております。こういった対応につきましては、インターネット上の誹謗中傷に限らず、その他様々な刑罰法令に違反する行為についても同様でございます。

 いずれにいたしましても、警察におきましては、引き続き、被害者の心情に配意した適切な対応に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

岡本(あ)委員 この団体からは警察への被害届も出されているということですし、先ほど、内閣府の御答弁で、やはりネットでの誹謗中傷が先鋭化していくと被害が大きくなっていく、そして、命にも関わる場合もあり得ますので、是非、この点は十分踏まえて、適切な対応をしていただければと思います。

 総務大臣に、これも関連して伺いたいと思います。

 デジタル化が進む中で、ネットの活用というのがどんどん増えていく中で、私は、この性差別、性暴力から命を守ることにも、このSNSでの誹謗中傷、支障を来すことがあると思います。また、犯罪になり得るということも、もっと私は強く啓発をするべきなんじゃないかと思っています。「NoHeartNoSNS」では、犯罪になる場合もありますとは書いてくださっているんですが、やはり先鋭化していく可能性が高いということは是非強調していただきたいと思います。

 この点と含めて、総務大臣として、SNS上の誹謗中傷、絶対あってはならないということ、自身の投稿のみならず、再投稿あるいはいいねなどの共感の姿勢の反応も含めてですが、大臣のお考えを改めて伺います。

松本国務大臣 今御議論をいただいているところでございますが、申し上げるまでもないことですが、表現の自由の下、主張は自由に行われるべきものでありますが、主張の是非にかかわらず、人を傷つけるような誹謗中傷は許されないと考えております。

 既に委員御案内のとおり、総務省では、インターネット上の誹謗中傷などに対し、被害者の救済をより円滑にするため、誹謗中傷などを行った発信者の情報開示について簡易な裁判手続などを可能としたプロバイダー責任制限法の改正、プラットフォーム事業者による削除等の取組の促進、ICTリテラシー向上のための啓発活動、相談体制の強化など、総合的に対策を進めてきたところでございます。

 総務省としては、引き続き、こうした取組を関係府省、機関と連携して行ってまいりたいと考えているところでございます。

 また、これも御案内をいただきましたが、「#NoHeartNoSNS」のページでは、損害賠償や名誉毀損罪による罰金等、民事上や刑事上の責任を問われる可能性があることには言及をしているところでございますが、SNSの書き込みが安易に人を傷つけてしまう可能性がある行動であるということに鑑みて、今後も引き続き、ネット上の誹謗中傷を抑制するための周知啓発の内容、方法について検討を行って実施をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 是非強く、リスクもあるんだということをきちんと伝えていただきたいと思いますし、今ほど紹介した事例でいきますと、動画に関しては短期間に百万を超える視聴になっている、それからデマの部分の拡散でも十七万に及んでいる。短期間であっという間に広がるというのがこのSNSのリスクでもあります。効果の部分もありますが、それ以上にリスクもあるということも、是非、総務省としては啓発に取り組んでいただきたいと思います。

 また松本大臣に伺いたいと思います。

 先日、十二月二日の参議院の予算委員会でですが、杉田水脈政務官に対して、杉田水脈政務官がSNSで発信された過去の内容について指示をされて、謝罪、撤回をするという御説明がありました。

 どこの部分、どれどれについて、どのように謝罪、撤回の対応をなされたのか、大臣は確認していらっしゃいますか。お聞きします。

松本国務大臣 予算委員会で既にお話をさせていただいたところでございますが、その前の議論でも、杉田水脈総務大臣政務官御自身で、人を傷つけた、拙い表現であったことを重く受け止めて、その点を反省をしている、このように政務官自身が話していたことを受けて、私から、重く受け止めて反省をしているということを踏まえれば、やはり関係先にしっかりとおわびをし、発言は取り消すということを考えていくべきではないかということで話をさせていただき、杉田政務官からも、今の職責上、私が一応立場が上になっておりますし、私の方が年長者でもございますので、御理解をいただいたというふうに考えているところでございます。

 その上で、どの部分にということでございましたが、私としては、まずは国会等の議論で御指摘をされたことで、私自身がやはり不適切ではないかと考えたものについておわびと発言の取消しをお願いをさせていただきました。ここには、アイヌの方々の民族衣装などに関わる発言であるとか、また、LGBTに関わる、生産性に関する雑誌での発言などについてお話をさせていただいて、その部分については委員会でそのように答弁をさせていただいたところでございます。

 発表の場などそれぞれある中で、また、それぞれ編集権をお持ちの第三者の発表の場などである中で、どのような形で更にあれをするべきかということは、今進んでいるところは私どもも報告を聞いているところでございますが、まずは、先日の予算委員会で御報告をさせていただいたことが広く皆さんには伝わっているところではないかというふうに理解をしているところでございます。

岡本(あ)委員 今大臣から御説明がありましたけれども、アイヌの方、それからチマチョゴリのことについては、今ほど大臣、民族衣装のこととおっしゃいましたが、これ、資料二のオレンジで引いているラインの一番下を見てください。「彼らは、存在だけで日本国の恥晒しです。」と。衣装の問題だけじゃなくて、存在自体をやゆしている表現です。

 衣装が問題だったという認識ですか、大臣。ここはちょっときちんと事実を把握していただきたいと思いますし、あと、LGBTには生産性がないという点、この二つは御紹介いただきましたが、それ以外にも、今後精査をしていくと二日の日の時点では御答弁されていると思います。精査の結果をこの総務委員会にもきちんと御報告をいただきたいと思います。

 それから、傷つけた人に謝罪をする大臣の指示、先ほどお願いとおっしゃいましたが、指示だと思います。これ、人を傷つけた方に向けてというのはとても大事な点だと思います。

 残念ながら、杉田水脈政務官のSNSを私も拝見をしましたが、御自身のSNSには何一つ、謝罪の意思や、撤回の意思とか、実際の削除とか、そういう行為は行われていないんじゃないかと思いますので、この点も含めてお答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 まず一つ目の部分については、やはり、先ほど申しましたように、民族衣装そのもののところからの流れということで、この一連の部分、大変問題があるということで、指示というか、申し渡したと言うべきなのか、ちょっと表現は様々ありますが、私の方としては、このようにしてくださいというふうに申しましたことは確かでありますので、それを指示という形で取るかはあれですが、これまでも私も指示という形で申し上げていますので、指示というふうな形で取っていただいて結構かというふうに思います。

 それから、全体の中で他にも不適切な表現があるというふうな御指摘であったかというふうに思いますが、まず、国連の場での発言そのものについては、民族衣装のことで今申しましたが、全体として拙い表現、不適切な発言等についてはおわびをし、取消しをさせていただいているというふうに私は理解をさせていただいているところでございます。

 その上で、今後の精査の方針でありますが、これまでも国会の中で御指摘を、先日の議論で御指摘をいただいたことを踏まえまして、多くの方を傷つけている可能性のあるものや内閣の方針に反しているものなど、しっかりと順次精査を行ってまいりたいと思っております。

 発言には様々な過去の背景、経緯もあることではあるというふうに思っておりますが、不適切と認められる発言等については、適切に対応してまいりたいと思っております。

 そして、今、杉田政務官自身のSNS等でのということでございました。私自身は個別には確認をいたしておりませんけれども、予算委員会という大変公の場で発信をさせていただいたことで、先ほども申しましたように、多くの方に伝わりはするのではないかと思いますが、その余の対応については、また政務官とも相談をした上で、適切に対応するようにしてまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 杉田政務官にもお伺いしたいと思います。

 御自身の発言、発信の中で、今ほど二つ、それから、保育の洗脳教育、洗脳保育だと言っていた部分はその前に触れていたと思います。それ以外も含めて、どこの部分が人を傷つけて、また、御自身のSNSできちんと謝罪、撤回される、それをきちんと報告をすることは行う予定でしょうか。お聞かせください。

杉田大臣政務官 過去の私の発言等に関する厳しい御指摘について、非常に重く受け止め、配慮を欠いた表現を反省しております。

 国会においても様々な厳しい御指摘をいただいており、松本総務大臣と、重く受け止め、反省しているというふうにいろいろお話をさせていただく中で、大臣から私に対し、このチマチョゴリやアイヌの民族衣装をやゆしたもの、そしてLGBTには生産性がないという表現について、傷つかれた方々に謝罪をし、そうした表現を取り消すようにという指示がありまして、私も内閣の一員として、それに従い、傷つかれた方々に謝罪をし、そうした表現を取消しをさせていただきました。あわせて、十二月二日の参議院予算委員会において、その旨を答弁させていただいたところでございます。

 他の発言等についても、傷ついている方々がいらっしゃる可能性があるものや明らかに内閣の方針に反しているものなど、私の過去の発言等について、松本大臣の御指導も仰ぎながら、できるだけしっかりと精査を行い、適切に対応していきたいと考えております。

 また、先ほどございました保育所のコミンテルンの件につきましては、これは記事をウェブ上に掲載する会社に対して、その記事の削除を依頼したところであります。

 そして、先ほどありました、アイヌの民族衣装、アイヌやチマチョゴリなどをやゆしたような書き込みのブログにつきましては、これは私自身のブログでございましたので、すぐに削除をしております。

岡本(あ)委員 もう一点、杉田政務官に伺いたいと思います。

 九月なんですが、これは別な方のツイートなんですが、国会議員のある方を名指しで書きまして、この方がLGBT以上に気持ちが悪いですとツイートしているものに対して、杉田政務官、これは政務官になってからだと思いますが、いいねを押していらっしゃると思うんですが、これは事実でしょうか。

杉田大臣政務官 済みません、私は、裁判になって以降、もう何年もいいねは押していないんです。全く記憶にございません。

 もしも、でも、いいねになっているという事実があるのであれば、ちょっと私自身、今ここでも確認をしておりませんので、全く、私、今までもいいねボタンというのを使っておりませんので、もしもいいねになっているというのであれば、確認をして、すぐにそのいいねは取消しをしたいと思います。

岡本(あ)委員 このツイート、議員の名指しをしていること、それからLGBTの方を再び傷つけたような表現になっていて、これは事実を速やかに確認していただきたいと思います。

 この点も、一応、政務官ですので、松本大臣にもこの事実は確認するということ、しっかりとお答えいただければと思います。

松本国務大臣 対応につきましては、これまでも杉田大臣政務官とはよく話をしてまいりましたが、今後もしっかりと話をしてまいりたいと思いますし、内容としてはもう政務官の方から御答弁申し上げたとおりでございますので、御答弁申し上げたように、事実を確認をした上で適切に対応するようにいたしたいと思います。

岡本(あ)委員 やはり、SNSでの誹謗中傷というのは総務省としては絶対あってはならない行為だと思います。その責任を負う立場として、しっかりと仕事としてもきちんとした対応をしていただきたいと思いますし、結果についてはこの総務委員会に御報告をいただきたいと思います。

 続きまして、NICTの関係について伺いたいと思います。

 先日、改正法が成立しました。ビヨンド5G、サイバーセキュリティーなど最も重視しなければならない分野であり、世界と戦える潤沢な予算と研究人材も必要だと、応援する意味で伺いたいと思います。

 先日、参議院の委員会でもありますが、NICTの代表する成果として、翻訳ソフト、VoiceTraというものがあると思います。ウクライナ語の対応もしてくださったということで、この研究成果を代表するアプリではないかと思います。

 このソフトの開発した意義、それから評価、普及状況をお答えください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 NICTが開発している多言語翻訳技術、いわゆるVoiceTraでございますが、海外の翻訳サービスと比較して、特に日本語と外国語との翻訳を中心に高い精度を実現しております。在留外国人の方々ですとかインバウンド対応を始めといたしまして、広く御利用いただいているものと承知しております。

 また、海外の翻訳サービスを利用した場合、翻訳に関する情報が海外のサーバーに記録されるおそれがあり、特に機微な情報を扱う官公庁などにおきましては、翻訳情報を安全に管理可能な国産の技術が不可欠となります。

 このことから、各省におきましても本技術の導入が進められておりまして、経済安全保障の観点からも本技術の開発は非常に重要なものとなっていると承知しております。

 普及状況でございますが、VoiceTraアプリは、アンドロイド版、iOS版を合わせて、これまで八百五十万回以上ダウンロードされております。また、VoiceTraを使った民間の製品、サービスにつきましても、既に三十以上が市場に投入されておりまして、様々な現場で利用が進んでいるものと承知しております。

 今後は、NICTや関係事業者とも連携しながら、更なる翻訳精度の向上や対応言語の追加、同時通訳の実現などにより、適用可能な場面ですとか分野の拡大、利便性の向上を図りながら、多言語翻訳技術の一層の利用促進に努めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 これ、重要な点は、やはり経済安全保障上、多分、国家の機微に触れるようなものでの交渉事とか海外とのやり取りとか、そういうのがある場合の通訳の中身というものが、日本の国産の技術でできたソフトであれば、それが海外のメーカーを経由して出ていっちゃうとか、そういうこともありませんので、こういう視点、国産にこだわるという点での最先端の技術の醸成、是非これからも努めていただきたいと思います。

 今のソフトは資料三に紹介しているんですが、同じところで、資料四を御覧ください。

 こういう分野の研究というのは人が本当に大事だと思います。NICTさん、非常に多くの研究員を雇用してくださっておりますが、ちょっと公募の情報を見まして、有期の研究員のお話をさせてください。

 先日、宮本議員も少し触れましたが、十年で雇い止め問題というのがあり、無期転換ルールの円滑な運用の確認がありました。今回の有期研究員の募集も実質三年間の募集なのかなと。最長で令和八年までとなっておりまして、こういうどんどんアップデートしたり先端に届くような技術に改良していかなきゃいけないような分野でも、こういう短期の契約というのが非常に多くなっているんじゃないかという心配があります。

 一瞬、本給を見ると、四十六万から六十万、月給となっていて、あっ、結構いけるかなと思いましたが、これは実は賞与がつかない職種だということを伺いました。当然、退職金もないのかなと思いますと、一般の給与で、計算でいきますと、三十五万から四十万台ぐらいになっちゃうのかなと思います。

 日本の最先端の技術を開発するような、研究するような研究員というところの採用条件、それから余りにも短い形での雇用、もちろんパーマネントもいらっしゃるのも分かりますけれども、こういう研究員の方が多いということについては、とても、研究が続くのかどうか、その点も心配しておりますので、その点、お答えいただければと思います。

徳田参考人 お答えいたします。

 NICTでは、第五期中長期計画、中長期目標を踏まえまして、職員の給与については、国家公務員の給与水準も参考にしながら、職務内容や責任の度合いなどに応じて処遇しております。

 この中で、NICTの有期職員、有期雇用の研究者の給与は、同じ職責のパーマネント職員の給与と比べて遜色ない設定としております。

 有期雇用職員は、パーマネント職員と同様に、職責手当等や、重要プロジェクトの構成員になった場合には研究者特別手当の支給が用意されております。

 有期雇用研究員の契約期間につきましては一事業年度内とし、雇用契約の更新限度については、中長期計画を基に設定されています研究プロジェクト実施期間を超えない範囲内、すなわち原則五年としておりますが、通算の契約期間につきましては、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第十五条の二に定める特例を適用して、十年としております。

 また、若手人材を含む多様で優秀な人材の確保のため、おおむね五年の研究期間の後、審査を経てパーマネント職員に移行できるテニュアトラック研究員制度を推進しております。

 なお、有期雇用職員に対し、期間の定めのない職員の採用への門戸はいつでも開いており、雇用年数にかかわらず、職員採用審査にいつでも御応募いただけるようにしております。

 以上のことから、有期雇用研究職員に対しましては適切な処遇をしているものと考えますが、世界のトップクラスの研究を遂行できるよりよい研究環境を整えるよう努力してまいります。

岡本(あ)委員 是非、研究員の処遇、やはり人材ありきだということを念頭に置いていただければと思います。

 あと、大変申し訳ありませんでした、和田副大臣、ここで御退席いただいて結構です。申し訳ありませんでした。

 最後に、マイナンバーカードに保険証を搭載する件についてお伺いします。

 ちょっと時間がないのでまとめて伺いたいと思いますが、紙の保険証を廃止すると厚労大臣が答弁していますけれども、システムエラーが結構起きていますよというのが資料七にあります。四割で不具合があって、この際、紙の保険証で確認して対応しているという状況が起きております。

 紙の保険証が廃止になってしまったら、エラーが起きたらどういう対応になってしまうのかという確認と、あと、自治体から小児医療の無料の資格証なども搭載してほしいという要望が出ていますが、これは今現在できないというお答えをいただいております。

 この二点について、どういう対応になるのか、お答えいただければと思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問をいただきました一点目でございますけれども、カードリーダー等の機器が使用できない、そうした場合につきましては、医療機関におきまして、患者の方のマイナンバーカードの券面から氏名、性別、生年月日、住所の四情報を記録するとともに、機器などの復旧後にオンライン資格確認等コールセンターに電話をしていただきまして、システム障害モードを起動した上でこうした情報を入力していただくことで資格確認を行うことができることとしてございます。

 それから、二点目のお尋ねをいただきました小児医療証等の件でございますけれども、令和六年秋を目指して行いますのはマイナンバーカードと医療保険の被保険者証との一体化、こちらを念頭に置いたものでございまして、現在、丁寧に検討を進めているところでございます。

 御指摘の地方自治体が単独で実施される医療給付事業の医療証等につきましては、自治体それぞれで実施されているものでございまして、直ちに一体化することは難しい側面がございますけれども、まずはどのような課題があるかを整理してまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 このマイナンバー保険証については、また次の機会があれば更にお聞きをしたいと思います。

 今答弁があった中で……

浮島委員長 申合せの時間が経過しておりますので、おまとめください。

岡本(あ)委員 はい。

 今御答弁いただいた中で、カルテがなかった場合は本人に十割、医療費を負担させるというような話もちょっと打合せのときに出ておりまして、マイナ保険証、マイナンバーカードの保険証になった結果、本人が不利益を得るようなことは絶対あってはならない、その前提だということを確認を今後させていただきたいと思いますし、資料五にありますとおり、総務省の幹部が……

浮島委員長 岡本さんに再び申し上げます。

 申合せの時間が経過をいたしておりますので、質問をおまとめください。

岡本(あ)委員 はい。

 総務省の幹部が交付率が低い自治体に圧をかけているような表現が資料五にはありますので、こういうような行為は絶対やめていただきたいということを申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 令和四年度の補正予算が可決されまして、総務委員会でも、NICT法及び電波法の一部を改正する法律案が可決されました。

 前回の質疑でも申し上げましたように、ビヨンド5Gを国策として推し進めることについては理解はするところでありますけれども、十一月二十九日、前回の質疑なんですけれども、その運用法については疑問があるということは、その部分については指摘させていただきました。

 前回、5G、インフラに関連する部分、その次に回しますと申し上げさせていただきましたので、まずは冒頭、その部分を質問させていただきたいと思っているんですけれども、経済安全保障法におきまして、基盤インフラの事前審査の考え方については、読み上げますと、基本指針に明記するが、事前審査の処分基準や処分理由については、経済安全保障上、機微な情報となるために開示しないとなっています。

 一定は理解できるんですけれども、これでは、経済団体からの話もあるんですけれども、事前審査の処分基準や判断基準の客観性や予見性の担保が不十分であるので、やはり、経済団体などの企業では、この予見可能性が十分確保されているとは言えないという状況とされています。法の完全な施行までにはまだ時間がありますので、事前にこの点については質問しておきたいと思っております。

 正直、この法律自体は内閣府所管でありますけれども、5Gを始めとした電気通信、放送、郵便の部分の主たる主務大臣は総務大臣になっていますので、この分野の状況について伺いたいと思っているんですけれども。

 総務大臣は、特定社会事業者を指定することができるとしておりますけれども、その基準は主務省令で定めるとしていますけれども、この現時点で、どういった企業を特定社会事業者とすることが検討されていますでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 経済安全保障推進法の施行に向けては、先ほど御指摘もございましたが、政府全体で基本指針を閣議決定して、その基本的な考え方を示した上で、事業ごと、規制対象となる特定社会基盤事業者の指定基準ですとか、特定重要設備を省令で定めるという形になってございます。

 現在、内閣府が中心になって基本指針の策定に向けた検討を進めているところでございますので、私ども総務省といたしましては、この基本指針の内容を踏まえて、所管事業の指定基準の制定と特定社会基盤事業者の指定を適切に進めていきたいと考えております。

伊東(信)委員 現時点でのお答えはそういった感じになるとは予見しております。

 5Gにおいてなんですけれども、令和四年度の情報通信白書では、ファーウェイが世界市場シェア一位となっておりまして、アメリカ、ヨーロッパにおいては、安全保障を理由にこのファーウェイを排除する動きがあります。

 特に、5Gにおいても、我が国にとっては重要なインフラであるんです。現時点では、総務省として、この5Gの基地局を特定重要設備に含めることは、大臣、検討されているのでしょうか。

松本国務大臣 先ほども委員からもございましたように、経済安全保障推進法におきましては、規制対象となる特定社会基盤事業として、電気通信、放送、郵便を含む十四事業となっているということで、私ども所管の事業が含まれていることに対してしっかりと検討を進めていかなければいけないというふうに考えております。

 ただいま申し上げましたように、当省が所管をいたします通信、放送、郵便のサービスは国民生活、経済活動に不可欠な重要なインフラであり、経済安全保障の重要性が高まる中、それらの役務の安定的な提供を確保することは極めて重要であるというふうに考えているところでございます。

 その上で、同法における規制対象となる特定重要設備は、それぞれの事業において役務の安定的な提供を確保する上で重要なものを適切に定めていく必要がございます。

 今後の検討に当たっては、政府全体で定める基本方針の内容を踏まえるとともに、携帯電話が国民生活、経済活動に不可欠な重要なインフラとなっていることに十分留意をしてまいりたいと思っております。

 今は、以上です、申し上げられるのは。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 その上で、現在、デジタル田園都市国家構想を掲げられていまして、5Gの推進を掲げていくという趣旨の答弁をされたと思うんですけれども、やはり、事前審査に関して通信事業者に対して必要以上に負担を強いてしまうと、整備率の遅れを招くことも考えられておるんですね。

 先ほど経済団体の話をしましたけれども、経団連が今年の二月九日に経済安全保障法制に対する意見を出しまして、基幹インフラの事前審査については、やはり、審査を行う際の考え方、考慮要素をできる限り明確に定めておくべき、そういった有識者の会議の提言に加えて、変更、中止などの措置を取ることを勧告する事態を可能な限り回避すべきだということを、私のこの資料一に書いておりますけれども、指摘しております。

 また、二枚目の資料にお示ししていますけれども、今年のまた二月十六日に、今度は、経済三団体のもう一つでもあります経済同友会が提言いたしました経済安全保障法制に対する意見書の中の基幹インフラの安全性、信頼性の確保において、社会活動に欠かせない基幹インフラは、新たに設備を導入する際、国の事前審査を受けることとされていた、これはやはりちょっと事業者にとって新たな規制となるために、対象の明確化とともに予見可能性を高めることが欠かせない、こう意見が述べられているわけなんですけれども。

 やはり、こういった経済団体からの御指摘のように、事前審査の体制や処分基準については十分配慮していただきたいし、十分配慮する必要性があると考えていますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 経済安全保障推進法の趣旨も含めて、委員からの御案内も、また、先ほども答弁で申し上げてきたとおりでございますが、この施行に当たりましては、政府全体で基本方針を閣議決定いたしまして、基本的な考え方を示す。

 そして、この審査につきましては、基本方針などにおいて基本的な考え方や手続などを可能な限り明確に示すこと、審査に先立って事業者から事前相談を受けることなどを通じて、事業者の予見性確保を図ってまいりたいと考えているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本当に透明性を持ってしっかりと進めていきたいということと、やはり、規制も大事ですけれども、そういった透明化も大事であると思っております。

 そもそも論なんですけれども、5Gというのは5ジェネレーションで、5という数字がついている以上、一があって二があって、私は医師ですので、薬の第一世代、第二世代とかいうのと同じようなイメージなのかなと思うんですけれども、薬の場合だと割と明確な基準があるんですね。ところが、5ジェネレーションに関しては、国民の皆さんも何となく、速くなるんだな、何となく、容量がでっかくなるんだな、動画が止まらないんだなというところで、やはり、その点、期待はあるものの明確さがない。それを扱う経済界の中でのやはり混乱を避けたいと思うので、国益を含めて十分と検討していただければと思うところで、この点に関しては御答弁いただかなくて結構ですので、次に進んでいきたいと思っております。

 さて、次にお聞きしたいのは、地方議会のオンライン化についての政府方針に伴う地方自治法からの観点からの解釈をお聞きしたいと思っております。

 地方議会での委員会のオンライン化は、一般的な政策選択でなく、例外的制度として、総務省の通知における見解によって可能になったというのは、今までの議論もされていましたけれども、そのとおりなんですけれども、本会議では、他方、オンライン化が可能ではなくて、物理的出席のみ限定される、こういった見解も同じく総務省で通知されております。

 さて、そこで、本会議の出席が対面での物理的出席に限定されている、この解釈の対象となる条文は、地方自治法百十三条及び百十六条の一項ですね。この条文における出席という文言の解釈は、改めて確認させていただきますと、現に議場にいることとされています。他方、委員会においてオンライン化を可能とする場合、百五条の出席の解釈に関わってくるのではないかと思っています。

 つまり、この百五条においてどういうような表現がされているかというと、「議長は、委員会に出席し、発言することができる。」との文言が存在していまして、出席は委員会を対象としており、オンライン参加を含むと理解せざるを得ないんですけれども、こういった、地方自治法において出席という文言の解釈、二つの解釈になってしまうんですけれども、この点について政府の見解をお聞かせください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法第百十三条及び第百十六条では、「議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。」などとされておりまして、地方議会の本会議の定足数や表決の要件として出席と規定されております。この出席は現に議場にいることと解されており、憲法あるいは国会法に言う出席と同様の意義と解されております。

 一方、地方自治法第百五条では、地方議会の「議長は、委員会に出席し、発言することができる。」とされております。

 これは、定足数や表決の要件としての出席とは性質が異なりまして、議長の判断により必要に応じて委員会に出席する権限を認める規定でありますことから、議長の判断によりオンラインにより委員会に出席することを否定する趣旨のものではないと考えております。

伊東(信)委員 事前通告のときにもそういったお答えをいただきまして、それはそのとおりだと思うんですけれども、ただ、やはり、地方自治法において、条文解釈において、言語における出席という解釈に不整合がやはりあるのではないかと指摘させていただけたらと思います。

 一般的に、同一法令の同一用語を条項によって異なる意味で解釈するというのは、そうではなくて、やはり統一的に解釈するのが原則ではないかと考えられます。

 この部分にのみ着目すれば、条文における不整合性のみに着目した場合、これの解消のために一般論としてはどのような解決策がありますでしょうか。政府のお考えをお聞かせください。

吉川政府参考人 一般論として申し上げますと、法令に定められた制度の取扱いの変更につきましては、法令の改正が必要になるものと考えております。

伊東(信)委員 そうですよね。法令の改正がやはり一般論としては必要となってきます。

 現状においては、解釈を柔軟にという考え方を容認しているという状態が残っております。このこと自体が、前向きに検討するのであれば、地方自治法百十三条及び百十六条一項における出席概念についての解釈を変更をする蓋然性が残ってくるのではないかなと思っております。

 先ほども説明がありましたけれども、これまでの政府の説明では、地方議会におけるオンライン化による委員会の開催状況と、例えば、国会に注目すると、国会対応や憲法解釈が地方議会本会議のオンライン化をめぐる議論において参照されるということです。

 総務省の通知は、我が党の守島議員が指摘したように、地方議会委員会はコロナ禍に関する特殊な要因が存在する場合のみオンラインで開催可能であったということに読み取られる可能性が高い文面になっており、周知活動の面では、そういったところで、この例外的なところに関して問題はやはり提起されるわけなんですね。

 そこで、この特殊な要因のところを考えますと、周知活動の促進に伴って、今度、育児、介護という、社会的なことというよりも議員個人の特別な事情を含めて地方議会委員会のオンライン化が広まっていく形で、その実績が積み上がって実情が変容していくとしたら、百十三条及び百十六条一項における出席の解釈の再検討を始めるに足る合理的な理由が生まれるのではないか。今までそういった議論がなかったので、実績が積み上がっていったら出席解釈の再検討を始めるに足る合理的な理由が生まれてくるのではないかなと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 委員に恐縮でございますが、先ほどの私の発言で一点訂正をさせてください。

 経済安全保障推進法の施行に向けては政府全体で基本指針を閣議決定しと言うべきところ、私、基本方針を閣議決定しと申してしまいましたので、この点は基本指針を閣議決定と訂正をさせていただきたいと思います。

 その上で、ただいま御質問をいただきましたこと、現在は、先ほど局長から答弁しましたように、地方議会の本会議は、地方自治法上、定足数、表決の要件としての出席は現に現場にいることと解されていることは、御案内のとおりでございます。

 地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場で、議員本人による自由な意思表明が疑義の生じる余地のない形で行われる必要がある、これは国会における議論でも同様の論点になっているかというふうに思っているところでございますが、そういった論点を踏まえながら、法改正によりオンラインの出席を可能とするということについては、地方議会におけるオンラインによる委員会の開催状況や、そこに生じている課題、運用状況なども踏まえて、十分検討してまいらなければならない、慎重に検討していかなければならないというふうに考えているところでございます。

 幾つか国会においても同様な課題がありますので、このような議論、対応も私どもも参考にしながら進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 先ほどの質問に対しても丁寧に訂正していただき、ありがとうございます。私自身も指摘するべきところを失念いたしておりまして、失礼をいたしました。ありがとうございます。

 それで、先ほどのオンラインの実績に関して、慎重に、その実績について丁寧に議論をしていく余地があるということで答弁いただいたと思うんですね。

 国会においてもという話がございましたけれども、政府答弁では、もちろん、国会における取扱いも参考にするという旨が示されておりまして、憲法において出席とする概念として、憲法審査会における議論を、今、もう少しだけちょっと時間を取らせていただいて、その部分を参照、整理させていただきます。

 国会におけるオンラインの出席を参照しますと、憲法審査会では、例えば、高橋参考人が、違憲説のような、条文の文言を原理と対比されると、このルールを結構極めて厳格に解釈する捉え方もされました。物理的出席を制度的な前提の上に、例外的にオンライン化を許容するという捉え方が、とはいえども、やはり憲法審査会での議論の趣旨であったとも思うんですね。参議院でも同じような議論も見られました。

 本当に議論の余地があるんですけれども、どの程度、厳格な例外的制度説を採用するかという次元の検討が、憲法五十六条一項の出席という概念をめぐっての憲法審査会での議論の核心であったと思います。厳格性でいうと、その審査会で、長谷部教授の発言ではかなり厳格であったと思いますし、東京大学の宍戸教授はかなり許容的でありまして、かなり差異があったんですね。

 ちなみに、長谷部参考人の発言では、出席概念と物理的現前性の、原理的、有機的機関を特に強調するもの、これを物理的出席説というんですけれども、例外的に成立する中でもかなり厳しい、厳格という見解を示しておりまして、これは国家法人説の議論に当てはめると、代表を法的代表として概念とした上で、主権権力主体という観点から、極論を言うと、君主制の国王と民主制の国民を等置しているかのように思われるような独自説だと思います。侵害留保説に基づく、やはり実務との隔たりが指摘されているというのは、御自身のところでも述べておるというところです。

 他方では、やはり、再現前原理に基づくものであって、無条件で今の我が国の文脈において、手放しで肯定されるものではないと思うんですね。

 だから、本当に、両委員の参考人意見や、これを受けたこの憲法審査会の報告書だけでなく、多様な議論が展開されているということについて、やはりこの例外的制度説というのを考察せねばならないと考えております。

 それを踏まえて、そういったこの国での議論、憲法審査会の議論を踏まえて、ここで地方議会について議論を立ち返りますと、国会と地方議会は、やはり、必ずしも同一前提を共有する制度に基づいていると思わないんですね。その例としては、地方議会には、直接請求のような代表の捉え方については、やはり国会とは大きな差異がある制度がありますね。

 だから、そこで、オンライン本会議についても、取扱いを国会と無理やり合致させる必要もなく、地方議員において先行して、地方議会の方を先行して審議を認めるということも、先ほどの大臣の答弁に重なってくるんですけれども、地方議会について先行して審議を認めることも、国会に先立って考えるべきではないかと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

松本国務大臣 今ほど委員からも御案内がございましたが、国会と地方議会が同じ制度ではない、これはおっしゃるとおりであろうかというふうに思います。

 国会は、国権の最高機関とされており、行政権や司法権からの独立の観点から、憲法上広範な議院自律権が保障されているなど、地方議会とは異なった面がございます。

 そもそも、いわゆる議院内閣制なのか、大統領制なのかということで、選挙によって誰が選ばれているのかという仕組みも地方と国では違うことはもう御案内申し上げるまでもないことでありますが、先ほども私も申し上げましたように、地方議会は、住民代表機能を有し、団体の重要な意思決定を行う機関であるという点で、この点では国会と同じというか、課題が同じであるというふうに考えております。

 団体意思を最終的に確定させる場である本会議において、議員本人による自由な意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要がある。

 すなわち、オンラインであった場合に、そのオンラインの、言うなれば先というのでしょうか、それがどのような環境下での意思表明であるかどうかといったようなことがこれまでも議論されてきたかというふうに思っておりまして、少なくとも、議場ないしは現場にいれば、どのような環境であるかということは、本人のみならず議論に参加をしている全員が共有をすることができるわけでありますが、オンラインであった場合には、その意思の表明の環境といったものも含めて、どう整備をするか。

 その意味では、先ほど申しましたように、自由な意思表明が疑義の生じる余地のない形ということをどう確認をしていくか。この辺りは、ネットも含めて、様々時代が変わってくる中で、一つ乗り越えるべき課題であるというふうには思っておりますけれども、そういった意味からも、今後、本会議のオンライン開催は、地方議会におけるオンラインによる委員会の開催状況や、そこで生じている課題、運用状況等、技術的な問題の克服ももちろんあるわけでありますが、以上、今申し上げたようなことをしっかりと踏まえて、慎重に検討していきたいというふうに思っているところでございます。

 国会についても、この点は問題、課題は同じではないかということで申し上げさせていただいたと御理解いただけたらと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 何となく、言葉と言葉の間、行間を読むというわけじゃないですけれども、そのニュアンスとして、ちょっと大臣の人柄が伝わってくるような答弁であったと、私はそのように解釈しております。

 これが非言語的意思伝達ということですよね。つまりは、ニュアンスとか場の雰囲気とかというところで、私も昭和三十九年のばりばりの昭和生まれなので、やはり人と会って話をすることの重要性というのはよく分かっているつもりですし、ちょっと話はあれですけれども、医者で診察をします、それで、オンラインでの遠隔診療も今やっているんですけれども、これはやはり便利なツールとして捉えているわけで、対面をやはり原則とするというのはよく理解のできるところなんです。

 現在、議会に話を戻すと、やはりオンライン化は事実上、先ほど申し上げました、ニュアンスとかを含めた非言語的意思伝達を含めた討論充実性を一定程度犠牲にするという形になるんですね。ただ、それで、議員個々の参加を容認するという、やはりトレードオフの関係にあると思います。

 それで、やはりこれを前提にすると、物理的出席、機能的出席を考察すると、物理的出席はやはり自由委任を受けた議員の熟議の高度性に、機能的出席は議員の表決権や意思表明の機会それ自体の確保ということを、大臣、述べられたと思います。

 地方議会は、直接請求権に示されるように、国会の代表者と被代表者との間の政治的意思を事実上合わせるという方向性が著しく強いということで、国会よりもやはりその辺りは強いということで、国会での扱いを参照とした上でも、やはり例外的制度説という枠組みで機能的出席を重視し、地方議員におけるオンライン化を許容的に論じる妥当性は、一次的にやはり存在すると思います。

 これが多分、先ほどの大臣の答弁でも述べられたように、私の考え方、我が党の考え方も一致することだと理解させていただいております。

 国会においても、慎重なというところで、最後に、国会そのものについて考えますと、制度上、やはり参議院の方は、衆議院と比べて参議院は、昨今の合区解消に関する議論で、都道府県の代表としての側面がやはり指摘されております。地域単位での有権者と政治的意思の事実上の合致がより重視されている傾向であるので、もし、国会の中での我が党の党是である国会改革というのを考えるに当たり、やはり参議院の方が衆議院よりも例外としてオンライン出席がより広く許容され得ると捉えることができるのではないかとは、そういった考え方もあるということで、これは一つの説なんですけれども、国会としてもまた検討するということで理解して、大臣、よろしいでしょうか。

浮島委員長 松本大臣、申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に願います。

松本国務大臣 御質問、国会においてというお話であるとすれば、私も国会議員であったときは憲法審査会の委員でもありましたので議論に参画しておりましたが、現在は総務大臣の職を拝命しておりますので、国会における議論について言及は差し控えさせていただきたいと思います。

伊東(信)委員 はい、ありがとうございました。承知いたしました。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、地方議会におけるなり手不足への取組についてお尋ねをさせていただきます。

 地方議員のなり手不足の問題は、特に町村議会を中心に、大変今深刻な状況であると認識をいたしております。また、選挙を取り巻く情勢といたしましても、住民の皆さんの関心の低下、無投票当選の増加、また、議員構成における多様性の欠如、また、住民が求める地域課題の多様化、複雑化といった現実にも直面をいたしております。

 平成三十一年の統一地方選挙におきましては、無投票当選者の割合が、町村議会選挙では二三・三%、都道府県議会議員では二六・九%、指定都市においては三・四%、市においては二・七%、また、定員に満たなかった町村が八町村あるという状況となっております。

 そのような中で、第三十二次地方制度調査会の答申においては、地方議員のなり手不足の問題につきまして、議会における多様性の確保、また、住民と議会との意思疎通の充実を図る必要性が指摘をされました。また、議員の法的な位置づけ、適正な議員報酬の在り方、また、立候補環境の整備、議員の身分に関する請負禁止の緩和という内容の答申が示されております。

 請負禁止の緩和につきましては、町村議会におきましては、地域の事業者が法人ではなく個人事業主が多いという地域の事情から、現状では、法人と異なりまして、個人請負につきましては立候補が全面禁止をされているということが立候補のハードルとなっているという議論がこれまでなされてまいりました。

 そもそも、地方自治法第九十二条二の規制について、成立当初からこの条項はあったものではなく、途中で追加された規定であると認識をいたしておりますけれども、個人請負につきまして規制をされましたこの経緯について、総務省にお尋ねをいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方議員の請負禁止について規定しております地方自治法第九十二条の二の規定は、昭和三十一年の改正において追加されたものです。

 この理由といたしましては、地方議会は、国会とは異なり、重要な契約や財産の取得等についても議決事項としており、その意味で、当該団体に対して直接請負をする行為をやめて、議員としての活動の信用を高め、又は執行への疑いをなくすこととしたものと説明されておりまして、議会運営の公正を保障するとともに、事務執行の適正を確保することを趣旨として設けられたものと承知しております。

西岡委員 今御説明がありましたように、議会活動の、特に契約についての透明性の確保という観点でこの条項が追加をされたという経緯がございまして、現在におきましても、立候補に当たっては、この請負の状況については地方自治法の定める基準に合致しているかどうかを事前にチェックするということは想定をされておらず、事後に例えばそういう事実が判明した場合に、禁止規定に抵触する場合に失職ということが成るということが今の実態でございます。

 先ほど総務省から御説明をいただきましたように、従来、議員個人については請負が全面禁止とされていた経緯も踏まえまして、特に町村議会において大きな課題となっている個人請負全面禁止が一定の条件の下で緩和された場合に、住民に疑義を生じさせることがないよう、請負状況の透明性を確保し、議員の職務上の公平性をいかに担保をしていくかということが大変重要になると考えますけれども、松本総務大臣の御見解をお伺いをいたします。

松本国務大臣 先ほど局長からも御答弁申し上げたとおり、この地方自治法第九十二条の二の規定は、議会運営の公正を保障するとともに、事務執行の適正を確保することを趣旨として設けられたものというふうに承知をいたしております。

 この地方議員の請負禁止については、これも委員から御指摘がありましたが、第三十二次地方制度調査会の答申において、今年六月に取りまとめられた答申でございますが、議員のなり手不足への対応として、個人の請負に関する規制の緩和について検討する必要があるとされたところでございます。

 本答申におきましては、個人請負の規制の緩和に際して、透明性の確保についても指摘をされております。現段階ではですが、もし、この後、法改正が行われて個人請負の規制の緩和が行われるとすれば、地域の実情に応じて、各地方議会において、議員個人による請負の状況の透明性を確保するため、適切に対応いただくことが必要だと考えており、総務省といたしましても、そのことを踏まえて、しっかりと対応していけるようにしてまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 やはり、そのような緩和が行われた場合は、しっかり、総務省様としても、そのチェック体制についての様々な助言も含めた対応というものを是非お願いをさせていただきたいと思います。

 続きまして、先日、第三十三次地方制度調査会の小委員会におきまして、多様な人材が議会に参画し住民に開かれた議会の実現に向けた対応方策に関する答申案がまとめられました。

 多様な人材の参画を前提とした議会運営として、勤労者等の議会参画を容易にする夜間や休日の議会の開催など、また、女性や若者、育児、介護に関わる者の議会参画が容易になる会議規則等における育児、介護等の明確化など、また、小規模市町村における議員の処遇改善としての議員報酬の水準の在り方についての議論、また、議会の位置づけの明確化、並びに、立候補環境の整備として、企業に対して、選挙に立候補するための休暇制度や、兼業を可能とする勤務制度の創設を要請することを検討すべきとする内容がございました。また、加えまして、国会における取扱いも含めて、オンライン本会議の開催の丁寧な検討を進めることが内容に盛り込まれております。

 それぞれの課題についてはこれまでも議論が続けられてきたところでございますけれども、特に、オンライン本会議の開催の検討について、また、企業に対する休暇制度の要請や、兼業を可能とする新たな勤務制度の創設を企業に要請するというこの答申内容について、松本総務大臣の御見解をお伺いをいたします。

松本国務大臣 大変申し訳ありません。一点訂正を申し上げなければと思っております。

 先ほどの第三十二次地方制度調査会の答申の取りまとめの時期でございますが、私、今年度六月と申し上げたようですけれども、令和二年六月の誤りでございますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 その上で、今の御質問への御答弁でございますが、住民の多様な声を聞きながら、広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は大変重要であるというふうに考えております。

 第三十三次地方制度調査会では、多様な人材が参画し、住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応策について調査審議が進められており、今委員からも御案内があったかと思いますが、十一月二十八日の専門小委員会では、答申案について審議がなされていると承知をいたしております。

 この中で、御指摘がございました地方議会の本会議へのオンラインによる出席について、どのような場合に可能とするか、本人確認の方法や第三者の関与がないことの担保などをどのように行うか、また、委員会へのオンライン出席の課題などを検証して丁寧に検討を進めるべきではないか、また、立候補環境の整備につきましては、まずは、各企業の自主的な取組として、就業規則において立候補に伴う休暇制度を設けることや、議員との兼業、副業を可能とすることなどを要請してはどうかといった議論がなされております。

 地方議会の本会議における議論は、先ほど伊東委員との質疑でも行わせていただきました。国会とも共通の課題もあるわけでございますが、そういった議論も踏まえながら丁寧に検討を進めるべきだという地方制度調査会の意見を私どももお聞きをしなければ、御趣旨を踏まえていかなければというふうに考えているところでございます。

 最終的に調査会の答申が取りまとめられた後には、答申の御趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

西岡委員 大臣から御答弁がございましたけれども、オンライン本会議については、様々まだクリアすべき課題、本人確認の方法ですとかセキュリティーの確保、また議事の公開方法など様々な課題はあるものの、今般のコロナ禍、新型コロナウイルス感染症が感染蔓延をいたしましたけれども、今後、新たな感染症の蔓延のリスクもございますし、まだコロナ禍も続いております。また、いつ大規模な自然災害がどの地域で起こるか分からないという状況もございますし、緊急的な事態がいつ発生するかも分からない中で、国会はもとより、住民にとって一番身近な地方議会の機能をいかなるときも保っていくということが極めて重要な課題だと思っておりますので、国会議論も踏まえたという中ではございますけれども、早急なお取組というものを是非お願いをさせていただきたいと思います。

 また、企業の休暇制度の取組については、企業の御協力の下という中でございますけれども、議員の立候補の環境整備という中では大変有効な施策ではないかと思っておりますので、このことも、答申がしっかり出ました暁には、お取組をお願いをしたいと思います。

 続きまして、関連いたしますけれども、政治分野における男女共同参画推進法の実効性のある取組についてお尋ねをいたします。

 二月の第二百八通常国会におきましても質問をさせていただいておりますけれども、先ほどから議論をさせていただいてきた地方議員のなり手不足の問題についても、これは大変多様な人材の参画というものを後押しする意味でも、女性また若い方のその障壁を除去していくということは大変重要な課題であると認識をいたしております。

 昨年、政治分野における男女共同参画推進法の改正によりまして、立候補や議員活動等をしやすい環境整備における国、地方公共団体の施策の強化というものが規定をされ、総務省、内閣府その他の関係行政機関が適切な役割分担の下でそれぞれに積極的に取り組むことということが明記をされております。

 家庭生活との両立支援のための体制整備の明記ですとか、セクハラ、マタハラへの対応というものが新設をされ、新たな法改正の下にその法律が施行されておりますけれども、御承知のように、我が国は諸外国に比べまして女性の政治参画が著しく遅れている状況がございますし、ジェンダーギャップ指数も、二〇二二年、百四十六か国中百十六位、政治分野に至っては百三十九位という大変先進国でも最低レベル、アジアでも韓国、中国よりも低い結果となっております。このような状況の中で、やはり推進法の実効性のある取組というものが大変必要だと考えております。

 令和三年十二月時点で、女性が全くいない議会というのが市区町村議会において二百七十五議会存在をしているこの現状について、松本総務大臣の御見解と、解消へ向けた総務大臣としての今後のお取組についてお伺いをいたします。

松本国務大臣 地方議会の議員の構成については、例えば女性や六十歳未満の割合が極めて低いなど、住民の構成と比較して、多様性を欠く状況が続いているというふうに考えているところでございます。

 女性の議員が少ない議会や議員の平均年齢が高い議会において無投票当選となる割合が高い傾向にあり、このように多様性を欠いていることが住民の議会に対する関心の低下などを招き、議員のなり手不足の原因の一つにもなっているというふうに考えております。

 このため、先ほども申し上げたところでございますが、第三十三次地方制度調査会においては、女性や若者、勤労者等が議会に参加しやすくなるような環境整備が必要との観点から、各議会において多様な人材の参画を前提とした議会運営を行っていくことのほか、議会の位置づけ等の明確化、立候補環境の整備、議会のデジタル化などの内容を含む地方議会に関する答申の取りまとめに向けた議論が行われているものと承知をいたしております。

 総務省といたしましても、各議会における取組の状況の共有など、優良事例の横展開などに取り組むとともに、答申が取りまとめられた後には、答申の趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

 委員も御指摘をされましたように、男女共同参画推進法改正がございまして、私どももその役割を与えられているというふうに承知をしておりまして、様々な活動に取り組んできたところでございます。

 個別、幾つか具体的な例もございますけれども、また機会をいただいてそういったことは触れさせていただきたいと思います。

西岡委員 それでは、私、二月に質問させていただいたわけでございますけれども、総務省、内閣府のお取組として、その後、新たにお取組があったことというものがございましたら御説明をお願いしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 二月以降ということでございますけれども、本年十一月には、女性を含む多様な人材の地方議会への参画の実現に向け、三議長会との共催によりまして、地方議会活性化シンポジウム二〇二二を開催し、各地方議会の実践例を御紹介いただき、取組の課題を共有するなど、様々な議論を行っていただきました。

 また、第三十三次地制調におきましても、本年八月以降、地方議会の在り方について調査審議が行われておりまして、先ほど申し上げましたシンポジウムでも御紹介をいただいたところですが、ハラスメント防止に向けた取組を始め、女性や若者、勤労者等がより議会に参画しやすくするための取組が取り上げられたところでございます。国においても、政治分野男女共同参画推進法に基づく取組を引き続き行っていくことが重要ではないかといった審議が行われているところでございます。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府における本年二月以降の取組としては、本年四月に、政府における初の取組として、政治分野におけるハラスメント防止のための研修教材を動画で作成しました。全国の地方議会から寄せられました千三百二十四件の実例を基に作成しておりまして、ハラスメントが発生する動機や人間関係等の背景についても描いた上で問題点を解説するという工夫をしております。

 本教材につきましては、国会を始め、都道府県、市区町村の議会、地方三議長会、地方公共団体の所管部局等に対して通知を発出し、情報提供等を行い、それぞれ活用いただいているところです。

 このほか、本年三月には、女性議員の割合や出産、育児等に関する欠席規定の有無等の女性の政治への参画に係る状況について、市区町村別に見える化したマップの充実を図っております。これとともに、各政党における取組状況の見える化、地方議会、地方公共団体における取組事例集の作成等を行っているところでありまして、引き続き、これらの取組を通じて政治分野における男女共同参画の取組を後押ししてまいります。

 以上でございます。

西岡委員 上智大学の三浦まり教授でございますけれども、女性参画について様々な御活動をいただいておりますが、地域、都道府県別のジェンダーギャップ指数というものを先般取りまとめていただいております。この都道府県別のジェンダーギャップ指数というものも有効に活用しながら、是非、地方議会においてもこの政治分野における男女共同参画推進法の実効ある取組が進みますように、総務大臣のお取組をお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、杉田政務官の問題について質問したいと思います。

 杉田水脈総務大臣政務官は、先日二日の参議院予算委員会で、過去に、LGBTQなどの性的少数者を生産性がないなどと月刊誌に寄稿したことや、チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんなどとブログに投稿したことについて、傷つかれた方々に謝罪し、そうした表現を取り消すと答弁をいたしました。また、差別的だと指摘されている他の発言に関しても、できるだけ時間をかけずに精査し、適正に対応したいと述べ、松本大臣からも、この件について、精査して適切に対応する旨の答弁がありました。

 そこで杉田さんに聞くんですが、精査は終わりましたか。杉田政務官の他の発言のどれについて新たに謝罪し、撤回することになったのか、お答えいただけますか。

松本国務大臣 恐れ入りますが、私が指示をいたしましたので、私から先に御答弁をさせていただけたらと思っております。

 委員からもございましたが、私自身、国会の審議をずっとお聞きをさせていただく中で、やはり、御指摘をいただいたものの中で、人を傷つけているものなどについて対応が必要だと考えましたところでございます。

 杉田政務官本人も、人を傷つけるような拙い表現について、これは、人を傷つけたことを重く受け止め、反省をする、こう申しておりましたので、そのことを踏まえて、政務官と私でも話をし、人を傷つけていることを重く受け止め、反省をしている、そういった拙い表現についてはやはりおわびをして取り消すようにということで、私から指示をさせていただいたところでございます。

 具体的には、民族衣装をやゆするような表現であるとか、LGBTの方に関わるところで生産性がないといった表現を使ったことであることは既に申し上げたとおりでございますが、その他の発言についても、既に御議論の先日の予算委員会でも俎上にのせていただいたものも含めて、政務官ともよく話をし、できるだけしっかりと、順次精査を行ってまいりたいと思っております。

 発言などは様々過去の背景や経緯もあるかというふうに思います。ただいま私がその全てを承知しているわけではございませんが、不適切と認められる発言などについては適切に対応してまいらねばならぬ、このように考えており、政務官本人ともよく話をしてまいりたいと思っております。

杉田大臣政務官 過去の私の発言等に関する厳しい御指摘について重く受け止め、そして、配慮を欠いた表現を反省しております。

 他の発言等につきましても、人々を傷つけている可能性のあるものや、明らかに内閣の方針に反しているものなど、私の過去の発言等について、松本大臣の御指導も仰ぎながら、できるだけしっかり精査を行い、適切に対応したいと考えております。

宮本(岳)委員 まだ精査は終わっていないんですね。

 先ほど質疑がありましたから私も改めて気づいたんですけれども、チマチョゴリやアイヌの民族衣装について述べられたこのブログですけれども、最後のところは、「左翼の気持ち悪さ、恐ろしさを再確認した」「彼らは、存在だけで日本国の恥晒しです。」と、こうお書きになったわけですね。政務官には「なぜ私は左翼と戦うのか」という著書もおありになる。

 左翼と、それは、論戦していただくのは結構ですけれども、さしずめ私は左翼でしょうけれども、これは杉田政務官に率直に聞きますが、私は気持ち悪いですか、それから、日本国の恥さらしですか。

杉田大臣政務官 個別に、どなたが左翼であるとか、そのようなことはこの場ではコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 こういう話なんですね。

 私はずっと聞いておりまして、大臣も、拙い表現であるということをおっしゃる。それから、政務官も、私自身の表現がまずかったことを重く受け止めていると。表現じゃないんですよ。おっしゃっている中身が差別発言なんですよ。そういう自覚はありますか。

松本国務大臣 まず、委員御自身のことにつきましては、私ども、こちらで各委員の方からの御質疑を受ける立場でございますので、委員のことについてそれぞれ申し上げるのは差し控えることは御容赦いただきたいと思います。

 その上で、私ども自身が、表現で、拙い表現であること、人を傷つけるような発言を取り消すようにと申しましたのも、私どもは、言葉、表現を通して皆さんにお伝えをさせていただいているということで、そのように申し上げさせていただきました。

 表現そのものが不適切であるということを申し上げていることで、発言の是非、内容についての理解をいただけたらというふうに思っております。

宮本(岳)委員 二日の予算委員会でも、これは福島さんとのやり取りでしょうが、まさに差別と認めて撤回、謝罪するということでよろしいですかというのに対して、杉田政務官は、それも含め、しっかり精査して対応してまいりたいと思いますと御答弁であります。精査しましたか。どう対応するんですか。

杉田大臣政務官 繰り返しになりますが、過去の私の発言等に対する厳しい御指摘について重く受け止め、配慮を欠いた表現を反省をしております。

 ただ、そのブログの中におきましても、例えば、在日の方々であるとか、アイヌの方々であるとか、また、生産性がないの論文の中におきましてのLGBTの方々において、差別はあってはならないというふうに、私自身、その当時からも、今もずっと思っておりますし、そういった差別はなくしていかなければならないというふうに思って、今もこの職責に当たっておるところでございます。

 また、国会においても様々な厳しい御指摘をいただいておりまして、先ほども申し上げたとおり、松本大臣の指示を仰ぎながら、一つ一つ精査をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

宮本(岳)委員 これは反省そのものが疑問ですね。

 表現について、拙い表現についてはお認めなんだろうけれども、そして、指摘をされていることはお認めなんだろうけれども、自ら反省するという態度に欠ける。だから、大臣がわざわざ先に立って露払いのような御発言をしなきゃならないという状況で来ている。私は、こういう方に政務官は務まらないと、これははっきり申し上げておきたいと思います。

 それで、改めて岸田内閣の任命責任は極めて重いということを申し上げなければなりません。今日は、これまた、こればっかりやっているわけにいきませんので、次のテーマに移りたい。

 資料一、東京新聞十二月一日付の記事を御覧いただきたい。

 保団連の調査、マイナ保険証、四割で不具合という記事であります。

 十一月二十八日の当委員会においても紹介をした保団連の調査を基に書かれた報道記事でありますけれども、同調査では、二六%の診療所、病院でオンライン資格確認が導入されているわけですけれども、ところが、オンライン資格確認システムが稼働後、導入が済んだ病院、診療所の約四割で不具合が起きたというものであります。

 この記事の冒頭では、去る十一月十四日に、オンライン資格確認をする医療機関向けのサイトで、現在、顔認証つきカードリーダーを導入されている医療機関、薬局において、カードリーダーが起動しない事象が発生されていることを確認していますというお知らせが掲載されております。

 厚生労働省に聞きますけれども、この一部のメーカーのパソコンで基本ソフトの更新を実施すると、マイナ保険証を読み取る顔認証つきカードリーダーがエラーを起こすという不具合の原因は分かりましたか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 本年十一月に、ウィンドウズのアップデート用の更新プログラムが原因でオンライン資格確認用の端末のアプリケーションが開けず、これと連動している顔認証つきカードリーダーが使用できない医療機関等があったという報告を支払基金及び国保中央会から受けてございます。

 これらの事象がありました医療機関等につきましては、ウィンドウズのアップデート用の更新プログラムを削除するということによりまして、現在、既に顔認証つきカードリーダーが使用可能となってございます。

 この事象とこの方法につきましては、十一月十四日に医療機関等向けポータルサイト及びオンライン資格確認専用サイトにおいて周知をしているところでございます。

宮本(岳)委員 今言ったじゃないですか、周知しているって。だから、原因は分かったかと聞いているんです。

日原政府参考人 先ほどお答え申し上げましたが、ウィンドウズのアップデート用の更新プログラムが原因だったというふうに承知をいたしております。

宮本(岳)委員 よく分からぬ話ですね。

 では、聞きましょう。オンライン資格確認で不具合が起きている間、現行の保険証があれば本人確認は現行保険証でやれるわけですが、これ、マイナ保険証しか持っていない人、あるいは、やがての想定ですが、現行の保険証がなくなった場合はどう対応するんですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 カードリーダー等の機器が使用できなくなりました場合につきましては、患者の方のマイナンバーカードの券面から氏名、性別、生年月日、住所の四情報を記録していただきまして、機器などの復旧後にオンライン資格確認等コールセンターに電話をいただきまして、システム障害モードを起動した上で情報を入力することで資格確認は行うことができることとしているところでございます。

宮本(岳)委員 わざわざこれを記録して控えて対応するということになるんですね。健康保険証がなければ、一たびトラブルが起こったら、結局、医療機関側の資格確認も従来以上の手間を要するということになります。

 九月二十三日付京都新聞には、これは資料はありませんけれども、住民のマイナカードに誤って保険証機能を登録、想定外、解除できずという滋賀県栗東市の報道がありました。

 住民が希望していないのにマイナンバーカードと保険証を誤ってひもづけたが、一旦登録されたマイナ保険証の登録は削除できる仕組みがないというものであります。記事によると、厚生労働省は、マイナ保険証の削除手順を整備していない、ひもづけによる不利益がなく、こうした削除要望が出ると想定していなかったと語ったというんです。これは事実ですか、厚労省。

日原政府参考人 マイナンバーカードと健康保険証の利用登録につきましては、一旦利用登録をいただいた後の取消し処理はできない取扱いとなってございます。

 なお、登録されたことによりまして、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用が強制されるというものではございません。また、医療機関等における薬剤情報などの閲覧につきましても、御本人の同意があった場合に限られるものでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、不利益がないというこの言いぐさは、そもそも、全然事実と違うと思うんですよね。

 御本人は明確に、保険証の登録はしないでほしい、こういう御意向だった。任意の制度であるにもかかわらず、誤って登録してしまった。これは市役所も認めているわけですね。そのときに、元に戻す仕方がない、整備する予定もない、不利益はないはずだ、そう言われたって、御本人はそれは嫌なんだと言っている場合に、これはそのまま放置するわけにいかぬでしょう。いかがですか。

日原政府参考人 一旦利用登録された後の取消し処理、これはできない取扱いとなってございまして、システムの仕組み上もできないこととなってございます。

 繰り返しになりますけれども、登録されたことによりまして、マイナンバーカードによるオンライン資格確認の利用は強制されるものではないということでございまして、取消し処理ができないことによる不利益は生じないものと考えてございます。

宮本(岳)委員 全然言いぐさがおかしいですよ。本人は登録しないでほしいと言っているんですから、不利益は生じています。

 それで、資料二を見ていただきたい。これは、デジタル庁のホームページに掲載されている、業種別のマイナンバーカードの未取得理由の調査結果なんです。

 赤い下線部、未取得理由のトップは、情報流出が怖いから三五・二%、次が、申請方法が面倒だから三一・四%、三番目に、マイナンバーカードにメリットを感じない三一・三%となっております。

 既に六割から八割が取得したり申請中の上位五業種、トップはさすがに国家公務員でありますけれども、マイナンバーカード未取得理由のトップが、情報流出が怖いから。その下の、郵便局員や地方公務員の未取得理由のトップが、マイナンバーカードにメリットを感じない。笑い話みたいな話でありますけれども、これが国民の本音なんですね。

 大臣、そうだと思いませんか。やはり、個人情報の流出が不安だという声が高い。お認めになりますか、大臣。

松本国務大臣 個人情報が流出してはならないのは既に御案内のとおりであります。

 ただ、このマイナンバーカードの仕組みにおいての個人情報の流出のリスクについては、しっかりと対応していただかなければなりませんし、既に様々な対応がなされていると思いますので、十分にマイナンバーカードを安心して使っていただけるように、この安全性などについても、メリットも含めて、多くの皆さんに御理解をいただけるように、我々も努力を重ねたいと思っております。

宮本(岳)委員 そうおっしゃるんですね。

 しかし、資料三を見てください。共同通信の十二月三日の配信記事であります。

 個人情報保護委員会は年次報告で、二〇一七年度から二一年度の五年間で、少なくとも約三万五千人分のマイナンバーに関連する情報が紛失、漏えいしたとの報告を公表いたしました。

 今日は個人情報保護委員会に来ていただいておりますけれども、二〇一七年から二〇二一年の五年間で、マイナンバーに関する情報の紛失が何人分で、漏えいは何人分となっているか、その合計も含めてお答えいただけますか。

三原政府参考人 お答え申し上げます。

 個人情報保護委員会では、過去五年間で二十九件の重大な事態に該当する紛失及び漏えい等について報告を受けてございます。

 このうち、紛失の本人数につきましては約三万五千二百六十人分、誤送付等を含めました漏えいの本人数につきましては約二万一千二百八十一人分、合計約五万六千五百四十一人分となってございます。

宮本(岳)委員 マイナンバーとマイナンバーカードって別の話なんですけれども、しかし、そのマイナンバーですら、今、こういう形で、五万六千人以上分の漏えい、流出が報告されている。

 マイナンバーカードの取得はあくまでも任意であります。二〇一六年一月の交付開始から七年近くたつのに、普及率はようやく半分。先ほどのアンケートでも明らかなように、まさに個人情報漏えいの危惧も強いので普及が進まないんですね。任意だというのであれば、正確な情報提供を行って、国民が正しく判断できるようにするのは当然のことだと思います。

 前回、私、厚生労働省とやり取りをいたしました。保険証が廃止されれば医者にかかれなくなるのではないかとみんなが心配していると、保険証廃止に伴って、マイナンバーカードを作らなければ医者にかかれなくなるんですかという議論をやったら、これは、とことんぎりぎりとやれば、御答弁は、保険料を納めていれば保険診療を受けられるのは当然という答弁が出ておりますから、それはそうなんでしょう。

 しかし、世間はそのことを知らされていないんですね。私は、これはちゃんと、そういう誤解があるとすれば、この誤解については、いやいや、それはマイナンバーカードを作ってくださいということは政府は言うているけれども、何も医療が受けられなくなるということはないんですよということを、もちろん私たちは言っていますよ。しかし、ちゃんと、厚生労働省を始め、国も説明すべきじゃないですか、もっとこの誤解を解くべきじゃないですか。いかがですか、厚労省。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 マイナンバーカードと健康保険証、この一体化を進める中におきましても、国民の皆様が必要な保険診療等を受けられる環境の整備、これに取り組んでいるということ、また、そういう環境整備をしていくということ、こちらにつきまして、国民や医療関係者の皆様の理解を得られるように、きめ細かく、そうした周知も図りながら丁寧に進めてまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 これは当然のことなんですね。

 デジタル庁の尾崎大臣政務官に最後にお伺いいたします。

 あなた方はこの誤解を正そうとしているように私からは見えないんですね。それどころか、あわよくば、医者にかかれなくなるという誤解が広がったままで、国民が諦めて、仕方がなくでもマイナンバーカードを作ってくれればもうけものだなどというこそくな考えを持っているんじゃないかと見えてしまう場面があるんですね。よもやそんなことをお考えじゃないと思うんですが、否定していただけますか。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 マイナンバーカードと保険証の一体化によって様々なメリットがある、そのように考えております。ただ、マイナンバーカードと保険証の一体化に向けましては、やはり、きめ細かい環境整備とともに、何といっても国民の皆様の御理解を得ることが不可欠だ、そのように考えております。

 こうした観点から、デジタル庁におきましては、ホームページなどにおきまして、マイナンバーカードと保険証の一体化について、メリットのみならず、国民の皆様の御不安、すなわちデメリットと感じられ得る点についてもお答えを掲載することなどを通じまして、国民の皆様の御理解を深めていただこうと努めているところでありますし、また、こうした御説明にとどまらず、一時的になくした場合はどうするかといった、そのような課題につきましても、その対処策などを検討するため、関係省庁による検討会を設けて検討を進めることといたしているところです。

 広く国民の皆様方の声を踏まえまして、令和六年秋に向けて、円滑に移行できるよう努めてまいりたい、そのように考えております。

宮本(岳)委員 時間ですので終わりますが、任意というのであれば、くれぐれも強制と取られることのないように強く申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局長吉川浩民君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 地方自治法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、各党間の協議の結果、あかま二郎君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの地方自治法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。あかま二郎君。

あかま委員 提出者を代表して、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 地方議会は、住民の代表機関として重要な役割を果たしており、地方自治に欠かすことのできない存在であります。さらに、地方分権改革の進展に伴い、地方議会及びその構成員である議員の役割はますます重要となっております。

 一方で、近年、地方議会議員選挙において、投票率の低下や無投票当選の増加の傾向が強まっており、議員のなり手不足への対応が喫緊の課題となっております。議員のなり手不足については、地方議会議員に係る規制の対象となる請負の範囲が不明確であること、地方公共団体と取引がある個人が、取引額の多寡にかかわらず一律に議員となることを禁じられていること、立候補に伴う休暇制度等が整備されていないことなどがその要因として指摘をされております。

 また、地方議会に関しては、大規模自然災害の頻発、新型コロナウイルス感染症の流行等により、議会の招集の告示後、開会の日に議員の応招が困難な事例が生じているにもかかわらず、法令上取るべき対応が不明確であることが課題となっております。

 このような状況を踏まえ、地方議会議員に係る請負に関する規制について、請負の定義を明確化するとともに、議員個人による請負に関する規制を緩和するほか、災害等の場合における地方議会の開会の日の変更に関する規定を整備するため、本起草案を得た次第であります。

 次に、本起草案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、地方議会議員に係る規制の対象となる請負の定義を明確化するとともに、各会計年度において支払いを受ける請負の対価の総額が地方議会の適正な運営の確保のための環境の整備を図る観点から政令で定める額を超えない者を、議員個人による請負に関する規制の対象から除くこととしております。

 第二に、地方議会の招集の告示をした後に当該招集に係る開会の日に会議を開くことが災害その他やむを得ない事由により困難であると認めるときは、当該告示をした者は、当該招集に係る開会の日の変更をすることができることとし、この場合においては、変更後の開会の日及び変更の理由を告示しなければならないこととしております。

 第三に、政府は、事業主に対し、地方議会議員選挙においてその雇用する労働者が容易に立候補をすることができるよう、立候補に伴う休暇等に関する事項を就業規則に定めることその他の自主的な取組を促すものとしております。また、地方議会議員選挙における労働者の立候補に伴う休暇等に関する法制度については、事業主の負担に配慮しつつ、かつ、他の公職の選挙についての検討の状況も踏まえ、この法律による改正後の規定の施行の状況、事業主の自主的な取組の状況等を勘案して、引き続き検討が加えられるものとしております。

 第四に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本(岳)委員 本法案で改正を予定する請負禁止の規定について聞きます。

 請負禁止の規定は、一九五六年の地方自治法改正で規定をされております。自治行政局長に、この改正理由について、御答弁いただけますか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 昭和三十一年の地方自治法改正におきまして請負禁止の規定を設けた際の提案理由によりますと、改正の趣旨は、地方議会は、国会とは異なり、重要な契約や財産の取得等についても議決事項としており、その意味で、当該団体に対して直接請負をする行為をやめて、議員としての活動の信用を高め、又は執行への疑いをなくすこととしたものとされております。

宮本(岳)委員 そうなんですね。まさに執行への疑いをなくす、議員としての活動の信頼を高めるというものなんです。

 そこで、今日の、これは資料は今日は配っていないですが、東京新聞でありますが、東京都江東区の指名競争入札をめぐる区議のあっせん収賄事件を受けて、区が議員らの要望や働きかけがあったことを記録する口利き記録制度の導入を検討しているという記事が載っておりました。

 ただ、これを読んでおりますと、あらゆる働きかけを記録する自治体でも不祥事は防ぎ切れないと。岐阜市は、一八年度から、市に寄せられる要望を毎年八千件以上も記録した。それでも、一九年に、市発注工事の入札情報を職員が業者に漏らした贈収賄事件が起きたと。これはなかなか、根絶なんてできていないわけですよね。

 もしもこの状況の下で議員の請負を解禁し、また、請負事業者が地方議員になれることになれば、本来、行政による契約や取引行為を監視しチェックする役割を持つ議会の場において、請負事業者たる議員による地位利用や談合が横行することさえ懸念されると思うんですが、これは、法案提案者、いかがですか。

あかま委員 今、宮本委員の方から、各地方議会にあってそのような事案というものがある中で、今回の自治法改正がそれを誘発するのではないかという御懸念が質問されたんだと思っております。

 今回の、議員個人のいわゆる請負緩和というものでございますけれども、このことは、まず、喫緊の課題である議員のなり手不足に対応するものであり、いわゆるそうした議員、宮本先生、利権という言葉がどうか、それらを増やすということとなっていないこと、また、この後の議論にもあるかもしれませんが、緩和する個人の請負の上限額というものは十分低廉なものというふうになっておるものと考えております。

 以上です。

宮本(岳)委員 今回の改正の出発点が地方選挙での立候補者を増やしたい、こういうお話から始まっていることは分かっているんですよ。ただ、そこを変えれば、一九五六年の国会が改正をして今回の規定を入れた、その立法趣旨に照らしてどうなのかということを見極めないと、全然別の問題ですから、全然別の、請負の禁止ということと立候補者を増やしたいということとは。幾らこちらの思いがあったとしても、五六年の改正のこの趣旨がないがしろになっていいというものじゃないんですよね。

 ですから、請負禁止の規定を緩和しても大丈夫だと、この規定が守られる担保があるのか、これはどのように法案提案者は考えておられますか。

奥野(総)委員 議員お尋ねの件でございますけれども、まず、この法案の目的は、多様な人材の確保と、それから、議会運営の公正、事務執行の適正の確保の両面で見て、ふさわしい額を定めることが必要であるというふうに上限額については考えているところであります。

 具体的には政令で定めることとしていますが、個人の企業は、年間売上高の全国平均の二割程度の水準である三百万円と規定することがひとまず適当であると考えておるところでございます。これは、請負関係への関与が間接的な議員が取締役等に就いている法人については全業務量の五割までの請負が認められていることを踏まえ、関与が直接的な個人にあってはそれよりも十分に低い水準に抑えようとするものであります。

 また、この後御審議をいただく委員会決議案においては、議員の職務執行の公正、適正を損なうこととならないよう、各地方公共団体において議員個人による請負の状況の透明性を確保するための対応について、政府が必要に応じて適切な助言を行うことを明記する予定でございます。

 各自治体において、必要に応じ、議員個人の請負状況について公表等の措置が講じられるものというふうに理解しているところでございます。

 さらに、問題が疑われる事案が起きた場合には、地方自治法百二十七条に基づきまして、議会が違反の有無を決定し、違反する旨が決定された場合には議員が失職するという厳しい措置もあるところでございます。

 以上により、一定の歯止めがあるというふうに考えているところでございます。

 最後に、本法案は、このほかに、多様な人材の確保のために、立候補休暇制度についても、政府が、雇用する労働者が容易に立候補することができるよう就業規則に定めることを促すこと、そして、さらには法制化、国政等も含めて法制化について検討を加えることとしているところでございます。

 以上です。

あかま委員 今、奥野委員の方から御説明、担保措置ということがございましたけれども、宮本先生の方、恐らく五六年改正の、議員としての活動の信頼性を高め、また執行への疑いはなくすという重要な条文についてのコメントが欲しいんだろうというふうに思っております。

 地方自治法第九十二条の二の規定は、議会運営の公正を保障するとともに、事務執行の適正を確保することを趣旨とするものであると認識をしており、本法案の改正というものが、その趣旨を変えようとするものでないことを御理解いただきたいというふうに思います。

宮本(岳)委員 いや、なかなかそんな説明はつかぬだろうと僕は思いながら聞いているんですけれどもね。

 それは、五六年の改正時の、先ほどの説明、そのとおりですよ。地方議会は、重要な契約や財産の取得等も議決事項なんですね。だから、議決する議員とその請負業者とがこれは一緒だと、それは様々な問題が生じるというのは当然のことであって、先ほど申し上げたように、請負事業者たる議員による地位利用や談合が議会の内部で横行するというおそれがある、私たちはそのことはどうしても拭えないと思っております。

 総務省に聞きますけれども、議員の兼業禁止規定の該当した事例、ございますか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 総務省の調査では、地方自治法第九十二条の二に該当するとして、議決により失職した近年の事例といたしまして、平成二十九年度に二件、平成二十八年度に三件となっております。

宮本(岳)委員 やはりあるんですね、それは。

 三百万円以内という話も聞いておりますけれども、総務省のサンプル調査によりますと、小規模団体の請負の業務委託工事のうち八割が三百万円超、物品、役務調達の八割が年間発注三百万円以下というふうに聞いております。

 つまり、物品、役務調達の大半が除外されることになります。八割方は除外されて議員として議会に出られることになると。これは、議員としての活動の信頼を高め、また、執行への疑いをなくすという点では、懸念が生まれることは明瞭だと言わなければなりません。そうじゃないですかね、法案提案者。

あかま委員 宮本委員の御懸念というものに対して、先ほど動議者、奥野委員の方からも一定の担保というもの、これをしつらえ、また、政令で規定する予定である請負の上限額三百万、個人事業主の総売上げの二割という話でございますけれども、この水準というものは非常に低廉であるということ。三百万というふうに契約金額だけ聞くとでございますが、経費であるとかその他を引くと、いわゆる利益という部分は更に少ないものになる中にあって、そのことが議員が何かということのインセンティブにはならないものというふうに考えております。

 以上です。

宮本(岳)委員 時間が来ましたけれども、三百万以下が物品や役務調達では八割を占めるわけですから、地方議員のなり手不足などを理由に、不正、腐敗防止のための規定を緩和することは断じて許されないということを申し上げて、私の質問を終わります。

浮島委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 地方自治法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 この際、あかま二郎君外四名から、自由民主党、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党及び国民民主党・無所属クラブの五派共同提案による地方議会における多様な人材の確保及び地方議会のオンライン開催に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。守島正君。

守島委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    地方議会における多様な人材の確保及び地方議会のオンライン開催に関する件(案)

  政府は、「地方自治法の一部を改正する法律」の施行に当たり、次の事項に十分配慮すべきである。

 一 地方議会の議員個人による請負に関する規制の緩和については、議員の職務執行の公正、適正を損なうこととならないよう、改正趣旨の周知徹底と併せ、各地方公共団体において議員個人による請負の状況の透明性を確保するための対応について、必要に応じて適切な助言を行うようにすること。

 二 地方公共団体の議会の議員の選挙について、多様な人材の議会への参画につながるよう、地方制度調査会の答申や政治分野における男女共同参画の推進に関する法律の趣旨等を踏まえ、引き続き立候補環境の整備に取り組むこと。

 三 地方議会におけるオンラインによる委員会の開催状況や開催上の課題等を踏まえ、オンラインによる委員会の円滑な開催に資するよう、各地方公共団体に対して必要な助言を行うよう努めること。

 四 地方議会におけるオンラインによる本会議の開催について、国会における今後の取扱いのほか、オンラインによる委員会の開催状況や開催上の課題等を踏まえ、丁寧に検討を進めること。

  右決議する。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

浮島委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

浮島委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、地方議会における多様な人材の確保及び地方議会のオンライン開催に関する件を本委員会の決議とすることに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。松本総務大臣。

松本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

浮島委員長 お諮りいたします。

 ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


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