衆議院

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第5号 令和5年2月21日(火曜日)

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令和五年二月二十一日(火曜日)

    午後二時十分開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      勝目  康君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      中川 貴元君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      務台 俊介君    渡辺 孝一君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      神谷  裕君    重徳 和彦君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      伊東 信久君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  稲山 文男君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官)          吉田健一郎君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  保岡 宏武君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     保岡 宏武君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房長今川拓郎君、大臣官房総括審議官鈴木信也君、大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、行政管理局長稲山文男君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局公務員部長大沢博君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長池田達雄君、消防庁次長澤田史朗君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君及び経済産業省経済産業政策局地域経済産業政策統括調整官吉田健一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今日は地方税の審議でありますので、最初に一問、森林環境税の配分割合について質問させていただきます。

 森林環境税、令和三年度の配分実績を見ますと、全国一多く配分されているのが横浜市、約三億円。森林・林業従事者はほとんどいないけれども、人口割の影響が大きいからですね。三割評価されています、人口割が。私の地元岡崎市におきましては、市域の約六割が森林なんですね。その岡崎市は、人口三十八万人、六千八百万円程度配分されています。同じぐらいの金額が配分されている市区町村をちょっと見ると、森林がゼロの世田谷区、人口だけは九十万人以上あって大きな区であります、ここに七千五百万円ということであります。

 人口割、三〇%も配慮するというのが大き過ぎるんじゃないかと思います。この人口割の引下げ、検討すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 人口割について御指摘をいただいたというふうに理解をいたすところであります。

 御承知のとおり、森林は、地球温暖化防止や災害防止等の公益的機能を有し、広く国民一人一人がその恩恵を受けているものでございまして、このことを踏まえて、御指摘のありました森林環境税及び森林環境譲与税は、納税者の理解を得つつ、森林整備等に必要な財源を確保する観点から、国民の皆様にひとしく負担を分かち合っていただくものとして創設された制度でございます。

 令和六年度からは、森林環境税の課税が開始されます。制度の安定的な発展のためには、全国の地方団体において、譲与税を森林整備や木材利用等に一層有効に活用し、森林のない都市部の住民を含め、全ての納税者の理解を深めていくことが重要であると考えております。

 令和五年度税制改正大綱においては、「各地域における取組みの進展状況や地方公共団体の意見を考慮しつつ、森林整備をはじめとする必要な施策の推進につながる方策を検討する。」とされたことを踏まえて、どのような方策が必要であり適当であるか、丁寧に検討してまいりたいと考えております。

重徳委員 全国民ひとしく負担の理念はもちろん理解をしておりますが、私もこの制度導入時から繰り返し要望しておりますので、引き続き、強く、人口割の引下げといいましょうか、森林割の、面積割の増強ということを要望させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 さて、今日は、消防職員の、特に救急隊員の勤務条件の改善について議論してみたいと思います。

 先日、石川香織委員からも指摘がございました。昨年十二月二十九日未明、一時五十分頃、東京消防庁の救急車が横転し、乗車していた救急隊員三名が負傷されました。患者を搬送した帰りだったので患者さんには影響はありませんでしたが、近年は、コロナ患者が増えて搬送先が見つからないとか、病院がコロナ病床を増やした結果、一般の病床が減ってしまって、一般の救急患者も搬送が困難にというような、大変な悪循環もございます。一件当たりの対応時間が増えているという言い方もできるかと思います。

 そこで、改めて、消防職員、救急というのは消防職員ですから、消防職員の交代制勤務の在り方について見ていきたいと思います。

 お手元に、資料一、配付しております。

 交代制勤務でありますので、三日に一回ぐらい、この図を御覧いただきますように、朝八時半に出勤をし、午前中、三時間半働き、十二時から一時まで休憩時間一時間。その後、夕方五時十五分まで、これはちょっと誤植がありまして、四時間と書いてありますが、四時間十五分ですね。その後、夕食のための休憩時間が一時間。さらに、十八時十五分から二十三時三十分まで五時間十五分、勤務時間があります。その後、六時間半の、休憩時間と書いてありますが、仮眠時間とも言われる時間ですね。そして、翌朝六時に起きて、朝八時半まで二時間半、勤務をする。こういう、出勤した消防署には、あるいは出動先には、合わせて二十四時間いる、これが交代制勤務の例であります。

 ただし、いつでも一一九番が入ってくる可能性があるわけでありまして、休憩時間というのは、これは実際取れているものなんでしょうか、お尋ねをいたします。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、消防職員の大半は二十四時間を一単位とする交代制勤務に服しておりまして、一回の当直二十四時間につきましては、市町村等の条例、規則等によりまして、勤務時間を十五時間三十分、休憩時間を八時間三十分などと区分して定めることとされている、議員御紹介いただいたとおりでございます。

 このうち、休憩時間につきましては、一般には、労働基準法で自由に利用させなければならないこととされておりますが、災害等に即時に対応しなければならないという消防の業務の特殊性から、消防職員についてはその適用が除外されてございます。

 このように、休憩時間においても火災出動等を命ずることができるため、休憩時間の全部又は一部を取得できない場合も生じております。この場合、取得できなかった休憩時間につきましては時間外勤務として扱われるなどといった措置が講じられているところでございます。

重徳委員 ちょっと確認で更問いをしたいんですけれども、仮眠時間の取扱いなんですね。

 さっきちょっと言いましたように、この図でいいますと、二十三時半から翌朝六時までは休憩時間と書いてあります。我々といいましょうか、一般のサラリーマンの、昼間だけ働いている方からすると、この図でいうお昼の一時間の休みは、お昼御飯を食べに行ったりと。この夕方というのは、二十四時間拘束される消防職員特有かもしれませんが、この時間の過ごし方も何となくイメージできます。

 仮眠時間というのは、これは仮眠しないと、つまり睡眠を取らないと徹夜になっちゃうわけでありまして、消防署内で寝る目的でしかないと思うんですよね、基本的には。しかも、通報があれば、今次長が言われたように、勤務時間そのものになるわけであります。ですから、常に指揮命令下にありながら仮眠する、睡眠を取る、この時間が果たして本当に休憩時間に当たるのか。

 ちなみに、休憩時間というのは自由利用の原則というのがありまして、しかし、事実上寝なきゃしようがないという時間を自由利用と言えるのかなど等、様々疑問もあるところなんですけれども、この辺り、分かれば教えていただきたいと思います。

澤田政府参考人 消防職員につきましては、労働基準法に定めます休憩時間の自由利用原則の適用が除外され、火災出動等を命ずることができるとされておりまして、命令のない限り、何らかの役務提供が義務づけられているものではございません。このため、あくまでも休憩時間として取り扱うべきものと考えております。

重徳委員 岡本委員からも、寝なくてもいいのかという御指摘がございました。

 この扱いは、なかなか、どう扱うかというのは議論のあるところだとは思います。ここが勤務時間だというふうにしてしまうと、人繰りがつかなくなるとか、人をもっと増やさなきゃいけない、更なる大きな課題に直面するわけであります。

 私、ここで言いたいのは、今回の東京消防庁の横転事故は、十二月二十八日の朝、この図でいうと、朝八時半に、この事故に遭った隊員の方々は働き始め、九時ぐらいに出動した。その後、七件の救急事案に対応して、お昼の休憩時間も夕方の休憩時間も取ることができなかったということでしょう。そして、その日の夜中、この図でいうと、二十三時三十分も超えるまでずっと働き続けて、日が変わった未明の一時五十分に事故に遭ったということでありますから、これは事故事案でありますが、事故がなく今のような勤務をされている方は、ここまでで十七時間連続勤務と言われておりますが、更に朝方までずっと働けば、前日の朝八時半から翌日の朝八時半まで、二十四時間働き続けることもあり得る制度になっているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 消防庁としましては、救急隊員の職務環境の整備は大変重要と考えておりまして、これまでも、機会を捉えまして、救急隊員の労務管理の、軽減等の取組を全国の消防機関に周知をしてまいりました。

 本年の一月には、新型コロナ感染拡大等の影響もありまして、一部の地域においては、令和四年の救急出動件数の速報値が過去最多を更新するとともに、救急搬送困難事案も高い水準が継続をしておりまして、救急現場の労務負担が増大していることを踏まえまして、改めて、救急隊員の適正な労務管理の徹底について、全国の消防本部に要請する通知を発出したところでございます。

 この中では、例えば、通常三名の救急隊一隊に対しまして、四から五名の隊員を配置をし、交代で乗務する取組ですとか、あるいは、救急需要が増加する日中のみ活動する救急隊を運用する取組など、救急隊の個々の負担や救急隊一隊当たりの活動時間の平準化を図るために実際に消防機関において取り組んでいる効果的な方策につきまして全国の消防本部に周知し、これらを参考に、救急隊員の適正な労務管理に取り組んでいただくよう要請をいたしておるところでございます。

重徳委員 いや、通知によって適切な労務管理をするという要請を行っていただくのは結構なことなんですが、私が問うているのは、制度上、激増する救急の件数や搬送困難事案という中で、二十四時間ずっと働きっ放しということもあり得る状況になっていますよねということを確認したいということであります。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 休憩時間の性格につきまして、先ほど申し上げたとおりでございまして、勤務の命令があれば出動をするという実態にございます。

 そういう意味では、二十四時間働き続けなければならない状態が存在し得るものではございますけれども、ただ一方で、救急隊員の労務管理は大変重要でございますので、先ほどのような取組を参考にしながら、各消防本部において、救急隊員が安全な労務環境の下で救急業務に従事することができるよう、適正な労務管理の徹底に万全を期してまいりたいと存じます。

重徳委員 運用を改善していくというのは当然の努力でありますし、総務省消防庁におかれてもそうした努力はしていただきたいと思うんですが、制度について議論するのが、国会の場の役割の一つだと思っております。

 消防職員の働き方のことでありますので、本来は、国が通知を出すということもさることながら、各職場で労使が話し合って決めていくべきことであると思います。

 普通の職場なら、労使の協議というのは、使用者側と労働組合が話し合うことになるわけですが、消防職員には団結権が付与されておりません。これは世界的にも珍しいことであります。ILO、国際労働機関では、軍隊、警察は別として、それ以外の労働者の基本的権利として、一九七〇年代からずっと、消防職員の団結権を付与すべしといった指摘が行われております。

 我々の命を守るために働いている消防職員が、救急現場の労務負担が増大する中で、二度と事故に遭うようなことがないように、職場環境の改善のための有効な仕組みが、制度が必要であると私は考えます。

 そこで、そうILOがずっと言い続けているものだからということで、資料の二、消防職員委員会というものが平成八年から制度として施行されております。ちょっと若干見づらいかもしれませんが、真ん中に書いてあります消防職員委員会というところで委員長と委員が話し合って、それを、矢印、下に行きます、消防長に意見を述べる、こういう仕組みであります。

 御覧いただけますように、消防職員委員会というのは、労働組合と違う点がたくさんあります。分かりやすいところからいうと、消防職員委員会の委員長は、説明書きにあるとおり、消防長に準ずる職のうち、消防長が指名するということでありまして、大抵、消防本部の総務課長さんあたりが就任されている、管理職ですね。それから、委員についても、消防長が指名する、ただし、職員の推薦に基づき指名などということが書かれております。委員の数は、書いておりませんが、基本的に、十万人ぐらいの都市で八人で構成されるということになっております。

 では、平成八年に取り入れられたこの消防職員委員会、全ての消防本部に設置されているはずでありますが、これの運用状況がどうなのかということが、改めて去年の四月に調査が行われまして、年末に、十二月二十三日に結果が取りまとめられ、公表されました。

 制度発足から二十五年ぐらいたっておりますが、その実情がどうかということを、私、ちょっと通知を拝見しまして、幾つか気になったところを指摘したいと思います。

 まず一つは、ここの委員ですね、この図に書いてありますように、職員の推薦に基づき指名と書いてあります。それから、左上の意見取りまとめ者というものは、これは消防職員委員会に意見を職場から取りまとめて提出する役割なんですが、意見取りまとめ者、これも職員の推薦に基づいて指名されるというのが望ましいと総務省消防庁は考えているようであります。しかし、委員も、それから意見取りまとめ者も、いずれも話合い等によらず指名されたという消防本部が約三割ずつ存在するということであります。この点についてどのようにお考えでしょうか、消防庁にお尋ねします。

澤田政府参考人 消防職員の意見の適切な反映を図る仕組みといたしまして消防職員委員会制度を設けた趣旨を踏まえますと、委員や意見取りまとめ者の推薦については、職員の意見を尊重する観点から、職員の話合いにより行われることが望ましいと考えておりまして、委員会制度の運営をより一層円滑にするために、令和四年十二月に、各消防本部に対しまして、委員等の推薦については改めて通知を発出しまして、周知徹底を図ったところでございます。

 引き続き、消防庁といたしましても、各消防本部における取組状況を調査するなどして、適切な運用がなされるよう取り組んでまいりたいと存じます。

重徳委員 もう一点、指摘します。

 この資料二におきますと、左のちょっと下に書いてあるんですけれども、消防職員からの意見提出期間を十分に確保することと書かれております。しかし、今回の調査におきまして、意見提出の受付期間が三十日未満、要するに短いという消防本部が四二・八%存在するという結果でありました。この点につきまして、消防庁はどのようにお考えでしょうか。

澤田政府参考人 委員会の会議の開催に当たりましては、消防庁が定める基準において、消防職員の意見の提出のための期間を十分に確保するものといたしております。

 そして、このための期間は、消防本部の規模等にもよりますが、一つの目安としまして、少なくとも一か月程度確保することが望ましいと考えておりまして、平成三十年の消防職員委員会に係る基準の改正に合わせまして、各消防本部に対しまして通知をしたところでございます。

 また、消防職員委員会制度の運営をより円滑にするために、改めて令和四年十二月にも同様の通知を発出し、周知徹底を図ったところでございます。

 引き続き、消防庁といたしましても、各消防本部における取組状況を調査するなど、適切な運用がなされるように取り組んでまいります。

重徳委員 このほかにも、消防長さんとか意見取りまとめ者が、意見の提出の前の段階で、意見提出の段階で既に、事前に審議対象外と判断するケースもあるなど、いろいろと指摘をされております。

 これらの点が直ちに職場環境向上を阻害しているとは限りませんし、私も、この質問をするに当たりまして、地元の岡崎市、西尾市の消防本部、消防長にも話をし、また消防職員の一部の方にも話をしましたが、意識を持ってしっかり取り組んでいる職場も、現に、少なくとも聞く限りでは、地元ではしっかりと取り組んでいると聞いております。

 しかし、国会では、繰り返しになりますが、法制度について議論しなければなりませんので、果たしてこうした総務省消防庁からの四半世紀にわたる様々な指導助言を通知で行うことを通じて本当に個々の職場が改善されているのかどうかというところは、やはり疑問なしとしません。

 そこで、消防職員の団結権、すなわち労働組合の結成についてお尋ねしたいと思うんですが、まず、今御説明もいただきました消防職員委員会と、労働組合の違いというものを御説明いただけますでしょうか。

澤田政府参考人 職員団体につきましては、地方公務員が結成し又は加入するものでございますが、地方公務員法に規定をされておりまして、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的としまして、その交渉に当たっては、職員団体がその役員の中から指名する者と地方公共団体の当局の指名する者との間において行わなければならないこととされております。

 一方で、消防職員委員会につきましては、消防組織法に規定をされておりまして、消防職員から提出された意見を審議させ、その結果に基づき消防長に対して意見を述べさせ、もって消防事務の円滑な運用に資することを目的とし、消防長に準ずる職にある職員から消防長が指名した委員長、及び、消防職員の推薦等に基づきまして消防長により指名された委員により組織することとされております。

 このように、消防職員委員会の制度につきましては、職員団体とは異なる制度ではございますが、消防職員の意見の適切な反映を図る仕組みとして導入をされております。

重徳委員 大臣にお聞きします。

 今の御説明もお聞きになったと思いますが、消防職員の団結権に対する代償措置としてこの消防職員委員会が機能していると思われますか。いかがでしょうか。

松本国務大臣 先ほどから御説明申し上げているように、消防職員委員会の制度は、長年議論されてきた団結権問題への対応として、平成七年、当時の自治大臣と自治労委員長との合意に基づき、消防組織法を改正し、消防職員間の意思疎通を図るとともに、職員の意見の反映を図る仕組みとして導入されたものでありまして、今、代償措置としてどのようなものと捉えるかという議論があろうかというふうに思いますが、まずは、先ほど消防庁次長からも御答弁申し上げたように、御指摘をいただいたことも踏まえて、この消防職員委員会の運営、運用に当たって改善すべき点は改善をしていくことが、まず私どもの役割ではないかというふうに考えております。

重徳委員 今、大臣、まずはというふうにくしくもおっしゃいました。過去に片山虎之助総務大臣も、消防職員委員会が最終的な解決だとは思っていないと、平成十五年の御答弁があった経緯もございます。

 松本大臣は、消防職員委員会が最終的な解決だと思われないという点では、片山元大臣と同じでしょうか。

松本国務大臣 委員に申し上げるまでもないかと思いますが、消防職員委員会の制度は団結権を付与するものではないというふうに理解をいたしております。

 その上で、消防職員の団結権については、国家公務員制度改革基本法附則第二条において、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」と規定されているところでございます。

 国家公務員の労働基本権の在り方については、先ほど申しました国家公務員制度改革基本法において、国民の理解が大切であるとの趣旨が述べられておりまして、多岐にわたる課題があることから、これまでの経緯なども踏まえまして、引き続き慎重に検討する必要があると政府としては認識しているところでございます。

 消防職員の団結権を含む地方公務員の労働基本権の在り方については、国家公務員についての動向をしっかり踏まえつつ、関係者の御意見をよく伺いながら対応してまいりたいと考えております。

重徳委員 この消防職員の団結権につきましては、他国の状況としては、韓国も昨年団結権が付与された経緯もございます。あとは、軍隊が消防をやっているブラジルとか、ILO八十七号を批准していないタイとか、本当に限られたところしか、団結権を認めていない国はございません。

 日本政府としても、なぜ付与しないのかというと、警察みたいなものだからだということを言い続けているだけであります。

 現に、民主党政権のときに、最後にこの法案、消防職員の団結権を付与する法案、消防職員委員会制度を廃止する法案、提出をされましたよね。当時、私はただの浪人生でありましたけれども、やはり、政権交代によって光を当てられた部分がある。消防職員に団結権を付与するという決断を民主党政権は行ったわけでありまして、私はそのところは高く評価はしたいと思います。

 そして、民主党政権のときに光が当たった部分も、今の政権になってまた暗闇になってしまったという状況でありますが、ほかならぬ松本大臣、当時民主党政権にも所属をされておりました。そうした光の部分を、今担当の総務大臣として力を発揮していただいて、消防職員の勤務条件、今回事故に遭ったような方々、このような事案が起こらないようにしていくのが松本大臣に期待される役割ではないかと私は勝手に思っておりますが、いかが思われますか。

松本国務大臣 まず、先ほども、救急隊員の過酷な状況で残念ながら事故が発生をしたことに言及がございましたが、私どもとしても、そのようなことが起こらないようにしっかりと対策を取っていかなければいけないという認識は持って進めてまいりたいと思っております。

 その上で、消防職員の団結権については、平成二十二年十二月に、総務大臣政務官を座長とする消防職員の団結権のあり方に関する検討会において報告書を取りまとめておりまして、この報告書では、日本の消防と警察の関係について、公共の秩序の維持という同様の目的があるなどの共通点がある一方で、具体的な活動内容等に異なる部分もあるとされて、委員間で意見の一致を見たわけではない形になっております。

 その後、国家公務員法改正案等の関連法案が国会に提出されたことを踏まえて、消防職員の団結権については、平成二十四年五月十一日に総務省が公表した「地方公務員制度改革について(素案)」において、消防職員について、一般職員と同様、団結権及び協約締結権を付与することとされたところでございます。

 この素案を土台として、総務省において、地方自治体の労使の関係者と協議を行ったものの、地方六団体、全国消防長会を始めとする関係者の理解を得られることはなかったわけでありますが、今、法案の提出というお話がありましたが、平成二十四年十一月十四日、当時の野田総理が党首討論において十六日の解散を明示する環境下で、翌十五日に関連法案が提出をされ、その後、衆議院解散により、審議未了、廃案となったというふうに承知をしております。

重徳委員 事実関係を述べられただけでありますが、大臣、これは民主党政権だろうと自公政権だろうと取り組むべき課題だと思いますが、もう一度、政治家として御答弁をお願いします。

松本国務大臣 やはり、制度の議論をするのが国会だというお話でございました。

 私ども行政府としては、定められた制度の下で活動することも大きな役割だと思っておりますが、その上であえて申し上げれば、当時も、申しましたように、消防職員の団結権のあり方に関する検討会においては、委員間で意見の一致を見たわけではありませんでした。また、先ほど申しましたように、消防職員について一般職員と同様、団結権及び協約締結権を付与することについて、地方自治体の労使の関係者と協議を行ったものの、関係者の理解を得られることがなかったということも事実でありまして、制度を新たにつくるに当たっては、関係者の方々ともしっかり十分に議論をした上で行うことが必要ではないかというふうに考えております。

重徳委員 若干意地悪な質問だったかもしれませんが、真面目に考えておりますので、しっかりと御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

浮島委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 お疲れさまです。立憲民主党の湯原俊二です。

 では、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、大臣、よろしいでしょうか。いいですか。入らせていただきます。

 地方税法、地方交付税の一部改正についてでありますけれども、大きく広くちょっと見てもらいたいと思いますが、私も、鳥取県出身でありますけれども、今の地方の疲弊した状況を歩いております。国政に出る前から、県議会議員も十四年間しておりますので、ずっと歩いてまいりましたが、現在思うと、やはり、中山間地域、過疎地域では米価が下がって、よく言われるのは、年金をつぎ込んでまで稲作をしなければならないか、こうおっしゃる方もおられますし、御案内のように、円安で資材が高騰して、畜産、酪農、もう廃業の危機に立たされている、こういう方々の切実な声も聞いております。

 マイナス金利政策で、地方銀行が体力を消耗して支店の統廃合を進めていく。年金を引き出すのにもままならない状況も見えてきています。これは農協の統廃合も一緒であります。こういう状況もあります。

 地域の小売店も、もはやスーパーもなくなっていって、移動販売に頼っていらっしゃる。一日一回来るか、あるいは二、三日に一回来るかの移動販売で、御高齢の方が年金で食べ物を買っている、あとは半ば自給自足に近い状況で生活していらっしゃる、こういう状況であります。

 先日、一般質疑しました医療の問題、医師不足の問題も、過疎地域においては医師に、お医者さんにかかることがままならない状況、これも一緒だと思っております。

 こうした状況を見ると、確かに市町村といったところの自治体が第一義的には責任があるかと思いますが、こうした疲弊した状況が全国どこでも見受けられるということは、やはり、これはもはや自治体の責任ではなく国の責任ではないかというふうに思いますけれども、大臣の、今の疲弊する地域の実態、あるいはこの責任について御所見をいただきたいと思います。

松本国務大臣 湯原委員からもお話がございましたが、御案内のとおり、私の地元といたしております兵庫県の西播磨も、鳥取県とはいわば隣接している地域でございまして、多くの人の行き来もございますので、そのことも含めて、全国の実情は私もしっかり認識を更に深めて務めさせていただきたいと思っております。

 御指摘のように、中山間地域を始めとした過疎地域においては、農業、産業、医療などいろいろな面で、また、買物を含む生活というお話もありましたが、こういった様々な面で課題が生じていると承知をいたしております。そのような地域における現場の声を踏まえて、国民の皆様の声にしっかりと耳を傾けて、地方を元気にすることが総務大臣の使命であると認識をしております。誰も取り残さないというお話がよくありますが、私ども総務省としては、どこも取り残さないということで頑張らなければいけないのではないかというふうに思っております。

 過疎地域については、昭和四十五年以来、五次にわたって議員立法として過疎対策法を制定いただいたことを踏まえ、政府としましては、様々な支援措置により、中山間地域を始めとする過疎地域の活力ある地域づくりを進めてきたところでございます。

 この結果、過疎地域においても、産業の振興、交通、生活環境、福祉等の施設整備、情報通信環境の確保など、多くの分野について一定の成果は上がっているものと考えております。しかしながら、過疎地域では人口の減少や少子高齢化はなお著しく、地域の担い手不足、移動手段の確保、集落の存続といった多くの課題に直面していることも承知をしております。

 岸田内閣といたしましても、デジタルを活用して地域を元気にするデジタル田園都市国家構想を最重要施策に位置づけ、総務省としても、その実現に向けて取り組んでいるところでございます。

 過疎法に基づく様々な支援のほか、過疎地域におけるデジタル技術を活用した課題の解決に向けた取組を支援することに加えて、地方移住への関心が高まる中、地方への人の流れの創出、拡大に向けた地域おこし協力隊の充実強化や地域でのスタートアップ強化を始め、多様な施策を積極的に展開して活力ある地域社会を実現してまいりたいと考えているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 昨年の臨時国会でも同じような答弁があったと認識しておりますが、私は、実情を認識しているということは、御出身が兵庫県でありますので了としますが、地方を元気にすること、誰も取り残さない。

 過疎法は、昭和四十五年、佐藤内閣のとき。私が昨年の臨時国会でも同じことを申し上げたのは、過疎法で、佐藤内閣のときの過疎地域に指定されたのは全国で二七%。三割を切る状況であったのが、今の岸田政権では六割を超える地域まで過疎が拡大をしていっている。

 大臣がおっしゃるように、一定の成果があるのではないか、まあ、デジタルの構想も分かりますけれども、成果があるのではないかとおっしゃいますけれども、実態は逆の方向に過疎が拡大していっている、地方がどんどん疲弊していっているのではないかというふうに私は思っておりまして、地方交付税制度が全てではないとは思いますけれども、あくまでこれは行政に対する、役所に対する支援でありますけれども、やはり地方交付税制度が今日まで機能していなかったのではないか、私はこう考えますけれども、御答弁願いたいと思います。

原政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税は、標準的な行政サービスを住民に提供するために必要な財源を、条件不利地域にある地方自治体を含む全国の地方自治体に保障する役割を有しております。このため、過疎地域を始めとする条件不利地域などの厳しい状況に置かれている自治体に対しては、その財政需要を的確に捕捉するために各種の補正措置を講じております。

 具体的には、例えば、地域の元気創造事業費や人口減少等特別対策事業費の算定においては、過疎地域などの条件不利地域の自治体の割増しを講じております。また、条件不利地域を含む小規模団体の人口一人当たりの行政経費が標準団体に比べ割高になることを踏まえた段階補正、こうした割増しも講じております。そのほか、数値急減補正、あるいは隔遠地補正、様々な工夫を行っているところでございます。

 今後とも、地方交付税の持つ財源保障機能それから財源調整機能が適切に発揮されますよう、まずは地財対策で総額をしっかりと確保して、その上で、地方自治体の意見も伺いながら、この財政調整機能、条件不利地域の安定ということにもしっかり配意して、適切な算定に努めてまいりたいと存じます。

湯原委員 原局長からありました。総じて言うと、総務省も頑張っているよということと、地方財政の財源を確保することが前提ですよねということだったと思います。条件不利地域に割増しをしているんだからと。

 ただ、私が申し上げたいのは、冒頭大臣にも申し上げたのは、されているのは分かっているんです、結果として今の状況がどうなっていますかということなんですね、危機意識を持っているのは。様々な制度をやっていても、頑張っていらっしゃるのは認めますが、今、日本の地方をずっと歩けば、これは一つの自治体どころではありません、どこの中山間地域、過疎地域もどんどんと疲弊していっている。消費弱者にもなるし、第一次産業でも大変厳しい状況に置かれている。金融弱者にもなっている。先日申し上げた医療弱者にもなっている。人口が流出していって地方がどんどんと疲弊していっている現実があるわけでありまして、御努力いただいているのは分かりますけれども、本当にこのまま、今のままで、そういう方向でいいのかどうかということを私は申し上げたいと思います。

 確かに、原局長おっしゃったように、頑張っていらっしゃる部分は認めますが、私も昨年の臨時国会で地方財政のことを申し上げました。臨時財政対策債、できるだけ早くということと、地方交付税特別会計借入金の返済をということで、今回の、多分胸を張っていらっしゃると思いますけれども、臨財債は一兆円になり、借入金の返済も前倒しということで、大変評価をしております。しかし、結果は先ほど申し上げたとおりということであります。

 そこで、もう一つ懸念することを申し上げたいと思います。やはり税収に影響を受ける、国全体の税収に影響を受けるということがあるかと思いますが、これから先の日本の経済の動向、今の、アベノミクス、異次元の金融緩和の出口戦略、万々が一にもソフトランディングを失敗したときに、景気が大変どんと落ちる、あるいは、アメリカ、中国の影響を日本の景気が受けて税収が下がる場合も懸念しております。

 地方交付税制度はやはり地方の活性化、固有の財源と言われておりますので、是非こうした経済の動向に悪影響を受けないで、まず大臣には、どういう状況であっても地方固有の財源と言われる地方交付税はちゃんと守りますよ、地方財政は守りますよということを御明言いただきたいと思います。

松本国務大臣 委員から御指摘をいただいているところでございます。

 私ども総務省の取組も努力を一定認めていただいたということでありますが、他方で、現状が厳しいということ。これは先ほどの答弁でも、一定の成果は上がっているもの、しかしながら多くの課題に直面しているというふうに承知をしていると申し上げ、現状をしっかりと私どもも直視をしてまいりたいと思っておりますし、東京の一極集中是正というのも私どもの大きな役割であろうというふうに思っております。

 その上で、特に、昨今、地方移住への関心が高まる中で、地方への人の流れの創出や拡大に向けた様々な施策の展開も大変大切だと思っておるところでございますが、委員がおっしゃったように、この地方交付税、財源調整機能と財源保障機能という重要な役割を持っていますので、極めて重要であるというのは御指摘のとおりであろうかというふうに思っております。

 私どもとしては、今後とも地方自治体の財政運営に支障が生じないよう努めてまいらなければならないと思っているところでございまして、今、これも委員からもお話をいただきましたが、そのために、毎年度、地方財政対策において地方交付税総額を確保するとともに、将来の地方交付税を安定的に確保するために財政の健全化に取り組むことが必要だと考えておりまして、令和五年度の地方財政計画においては、地方が重要課題に対応するために必要な経費を充実した上で、一般財源総額と交付税総額について前年度を上回る額を確保しつつ、臨時財政対策債の発行の大幅な抑制や交付税特別会計の借入金の償還の前倒しなど、地方財政の健全化にも最大限取り組んだところでございます。

 経済あっての財政という側面がありますので、今後とも、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努めるとともに、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことにより、財源不足を縮小して、臨時財政対策債の発行抑制などにも努めてまいりたいと思っておりますが、おっしゃったように、所要の地方交付税総額の確保、このことにはしっかりと留意をしてまいらなければならないと考えております。このためにも、交付税特別会計借入金の着実な償還も進めてまいりたいと考えているところでございます。

湯原委員 留意という言葉でありますから、今後また議論をしていかなきゃいけませんけれども、やはり地方財政をしっかり守っていただくということで御明言いただきたいと思います。

 次のテーマに行きますけれども、ロビーイング活動についての透明化を図る、これは地方交付税と関係ないのではないかと言われるかもしれませんけれども、国もそうでありますけれども、地方自治体に対してもロビーイング活動は行われておりまして、政策意思形成過程で関係しているのかなというふうに思っています。

 私、先日、先ほど申し上げたように、医師の偏在、地方の医師不足、このことを申し上げたときに、いろいろずっと調べていくと、最終的に何が当たるかというと、医師会の皆さん方の、医師の所在地は自由にしてもらいたい、変に偏在を抑制するようなことはしてもらいたくないという、こういう医師会の意向もあったと推察をしております。

 あるいは、私も総務委員会にずっと所属しておりますけれども、昨年に、電気通信事業法で総務省が、それまで積み上げてきた検討会の意見、特に、個人情報と言われる本人の情報を第三者に渡す、そこについて本人の同意が必要かどうかという問題を、学識経験者で検討会をされてまいりました。

 昨年、ずっと来て、それは本人同意が必要だというところまで来たんですけれども、昨年の末に、関係者の皆さん方の強いロビーイング活動、大きな声があって、やはりそこまで日本においては必要ないというような法整備、たてつけになったのではないか、こう私は推察しております。欧米諸国と若干日本のトーンが違ってきた、こういうことであります。

 そしてその後、私はガバメントクラウドの質問をさせていただきました。御案内のように、ガバメントクラウド、今、落札というか、受けているのが外資の四社だけ、こういう状況でもあるわけであります。

 私は、こうした海外の巨大事業者が、やはりこういったところに、日本に入ってきている、ここにおいては、本来であれば国民にとってよりよい政策システムでなければならないのに、もしかしたら、大きな声、大きな力によって国民にとってはそうではない状況にゆがめられているのではないかというふうに推察しております。

 本来、国民の一番いいシステムが政治の場で決定されていくべき、特定の大きな声を持つ利害関係者よりも国民にとっていいシステムができるべき、こう考えております。

 そういう意味で、ロビーイング活動について、国内のロビーイング活動については把握をし、そして透明化を図るべき、こう考えるわけでありますけれども、御所見を賜りたいと思います。

松本国務大臣 今、湯原委員から、ロビーイングということでお話がありました。

 ロビーイングの定義をどう考えるかということもございますが、政策を形成し決定する過程においては様々な御意見等があるということでは、委員も恐らく様々な御意見や御要望を受けられる機会があろうかというふうに思います。政策を形成し決定する過程においては、国会議員や行政機関に対し、関係者や団体から様々な声が寄せられているものと承知をしております。

 政策を形成し決定するに当たっては、様々な声をお聞きをすることは大変大事だというふうに思いますが、今お話があったように、形成から決定の過程が透明であること、そしてその目的は、今おっしゃったように国民のためであるべきというのは国政の在り方としておっしゃるとおりではないかというふうに考えるところでございますが、ロビーイングそのものをどう捉えるかという意味では、政治家の方々へのロビーイングも含めた、ロビーイングというよりは、定義があれですから、様々な意見などを、御要望を聞くということも含めて、そのような活動の全容を私どもとしては把握をするということはいたしておりません。

湯原委員 ありがとうございます。

 ロビーイングの定義をどう考えるかということと、様々な意見があると。

 意思形成過程、大臣は透明性を持つということはいいことじゃないかということをおっしゃいましたけれども、私は、諸外国の状況、透明性、規制の状況を見ました。勉強させていただきました。

 アメリカでは、ロビイストとして一万二千人が登録されています。登録です。そして、二〇二〇年には四千億円をロビー活動に使ったということで、報告、公開になっています、アメリカでは。二〇二一年、GAFAM、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトがロビー活動に使った費用は七十五億円と、明確に明らかになっています。これはアメリカの状況であります。

 欧州の市民団体がまとめたものでは、欧州ではこのGAFAMがロビー活動に三十億円使ったと。これも、透明性を持って公開されています。

 これらの実態が明らかになるのは、先ほど大臣、定義づけとおっしゃいましたけれども、ロビー団体の登録制度、その前に定義づけをして、ロビー団体の登録制度があって、資金提供も含めた活動内容の開示があって、こういうことで透明性を高めている、こういうことであります。

 カナダでも、ロビイストの登録をし、活動や報酬の報告を義務づけております。公職者には引退後も五年間ロビー活動を禁止している、こういう状況であります。

 改めてでありますけれども、こうした欧米が普通にしていることを日本でも導入すべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

松本国務大臣 先ほども申しましたけれども、ロビーイングというのを、御意見や御要望を関係の方々からお聞きをするといったようなものであるといたしますと、やはり、政策を形成、決定をする政治の場において、どのような形で御要望、御意見を聞くかということについて、私ども行政の立場から、コメントするなり、このような形にすべきであるということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っておりますが、政策決定過程の透明性というのは大変重要であろうかというふうに考えておりまして、法律案や政府案を決定する過程においては、国会審議や審議会など様々な過程において議論がなされておりまして、特定の企業や団体の意見のみが政策決定に影響を及ぼすものではないと考えておりますし、議論の多くは議事録などの形で公開することとされており、その透明性の確保も図るべく努めているものと理解をしております。

 私の所管の中では、行政手続法で、パブリックコメントの実施など行政運営における公正の確保と透明性の向上を図るための手続を定めているほか、情報公開法において、公正で民主的な行政の推進に資するため、行政機関の保有する行政文書の開示を請求する権利を定めているところでございますが、政策の形成、決定の透明性の確保がなされるよう、これからも、これらの制度の適正な運用に所管の省としてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

湯原委員 大臣から御答弁いただきましたが、先ほど来、ロビーイング活動は様々な意見ということでおっしゃっておりますが、政策の意思決定過程は透明性を図るということはおっしゃっていると思いますが、私は、議事録を開示すればそれで全てかというと、違うと思っています。その前の段階もあるし、その取り巻くいろいろなところを欧米諸国はできるだけ透明性を持ってやろうということで、先ほど申し上げた、GAFAMが幾ら使ったかということまで登録制をもって分かっている、こういうことであります。

 お手元に、資料一、これは、OECDの各国におけるロビー活動の規制と書いてありますが、私は透明性でいいと思っていますけれども、法令等の有無です。二〇二一年、一昨年になると思います。星印はG7であります。ロビー活動の透明性、あるいは規制を設けている国は左側であります。G7中六か国は、何らかの透明性を持つ、あるいは規制を持っている、ロビー活動に対して。そういう状況であります。

 G7では日本だけが何も持っていない。言葉では、様々な意見があって、政策決定過程は透明性がいいよねとおっしゃっているけれども、実際、システムを持っていないのはG7では日本だけということであります。

 同様に、これは二〇二一年のものであります、この前の段階があります。OECDでは、二〇一〇年、今から十三年前に、ロビー活動における透明性に関する勧告を各国に出しております。

 ロビー活動における透明性と信頼性原則では、先ほど定義づけのありました、ロビーイングの定義を明確化し、ロビイストを登録化し、活動報告をしてもらう、そして公開する。ここまで、十三年前に既にOECDは各国に勧告を出している、こういうことであります。

 私は、先ほど来申し上げておりますけれども、民主主義の国にあって、本来、有権者の支持によって政策が、政治が決まっていくべきというふうに思っておりまして、大臣は様々な意見ということをおっしゃっていますけれども、豊富な資金力を持った者が大きな声を上げて、利害関係者が政策を左右していく、国民にとってはゆがめていきかねない、こういう状況に対しては、やはり変えていく、透明性を図っていく。

 特に、ガバメントクラウドのことを申し上げましたけれども、やはり既に日本のこの意思形成過程、政策決定過程においても、外資のグローバルカンパニーといいますか、入ってきている状況であります。そういう意味では、やはり、こういう透明性はグローバルスタンダードとOECDが言っているわけでありますので、改めて日本においても透明化すべきと考えますけれども、しつこいかもしれませんけれども、大臣の答弁をお願いします。

松本国務大臣 私ども政府の立場としては、繰り返しになりますが、政策を形成、決定する過程を、しっかりと透明性を確保して、皆さんに御理解をいただくことが務めではないかというふうに考えております。

 その上で、ロビー活動に関する何らかの枠組みの設置ということのお話であったかというふうに理解をいたしますが、先ほども申しましたように、政治に携わる方々にどのような団体や企業の方々が御要望や意見を述べられるか、そういった枠組みを設けることは、私ども行政をお預かりしている政府の方から申し上げることなのかどうかということを私も少し考えながら、今御答弁を申し上げているところでございます。

 その上で申し上げれば、ちょうど先ほど資料の一というのを拝見をさせていただきましたけれども、個々の国について私の何らかの評価を申し上げる立場にはないと思いますが、規制を設けていると書かれている左側も、設けていないと書かれている右側も、いずれにも民主的で国民のための施策が展開されているのではないかと考えられる国があろうかというふうに思いますので、私どもとしては、しっかり国民に資する政策を展開することで、国民の皆様に御理解いただけるよう努めてまいりたいと考えております。

湯原委員 左の枠も右の枠も国民のための政策をやっているんじゃないかと。それは私もその部分は、でも分からないわけですよ。

 私は、ロビー活動で政策の中身、意見、そのことを公開しろと言っているんじゃないです。諸外国が、OECDが言ったように、ロビーイング活動を定義づけして、ロビイストを登録して、大体どの程度政治資金を使ってどうしていますかという、この大枠の透明化を図っていく。一々ロビイストが何をどういう政治家に言った、それとは別に、全体像を透明化すべきではないかということを申し上げておきたいと思います。

 時間がないので、次の、最後のシチズンシップ教育。

 これは、昨年の補正予算でもデジタルシチズンシップありましたけれども、やはりその中でも新聞を利活用した教育のことを挙げたいと思います。

 御案内の新聞は、社会への興味、関心を喚起し、社会に主体的に関わろうとする態度を育てていると思います。学習指導要領でも新聞を使った教育が推奨されております。

 その新聞でありますけれども、私も調べて愕然としたんですけれども、日本新聞協会によりますと、一般紙の発行部数、二〇一二年、今から十年ほど前が、一般紙は四千七百七十二万部、十年たって二〇二二年が二千八百六十九万部、十年間で千五百万部減少しているという、これが日本の実態で、新聞離れの状況です。十年間で四千三百七十二万部から二千八百六十九万部であります。

 資料二を御覧いただきたい。これを年代別に表したものであります。

 若い方々は、一番下の黒線、黒のポチの、丸いのが三十代、その上の点々で四角が二十代です。三割強しか新聞を御覧になっていらっしゃらない、こういう状況であります。

 私は、若い方がどこから情報を得ているか、これはやはりインターネットからの、ネットニュースが多いんじゃないかと思いますけれども、やはり私は、ネットニュースはアルゴリズムで、偏ったといいますか、興味がある情報がひたすらずっと深掘りをされていく、この結果が、ともすると分断につながっていっているのではないか、こう考えるわけであります。

 これで本当にいいのかどうかということを、シチズンシップに関連する大臣にちょっと御所見をいただきたいと思います。

 あと、時間がないので併せて、文科省の方になると思いますけれども、学校教育において新聞を使った教育の実施実態はどのように把握しているのか。学習指導要領で上がっておりますけれども、実態把握について。

 私は、新聞の購読率が下がっている状況、片一方で、ネットニュースから影響を受けて、ともすれば分断の状況につながる状況を考えると、やはり危機意識を持っておりまして、この点について最後に質問をして終わりたいと思います。どうぞ。

松本国務大臣 湯原委員御指摘の、ネットニュースを始めとするインターネットやSNSには利用者の好みの情報を提供する仕組みがあって、利便性が向上する一方で、負の側面として、社会の分断を加速させるとの指摘があることは承知をしております。

 こうしたインターネットやSNS上の情報を選別する仕組みはいわばツールでありまして、利用者は、こうした仕組みを理解した上で上手に利用することが重要であると考えております。

 総務省としては、これまでも、小中学校、高校の生徒やその保護者を中心に、インターネット活用のリテラシー向上に向けた啓発を行ってきたところですが、昨今、幅広い世代においてインターネットやSNSの利用が日常的に浸透していることから、適切な利用を促すための取組を更に強化することが必要だと考えております。

 このため、こうしたインターネットの仕組みの理解を含め、これからのデジタル社会に必要なリテラシーの在り方やその向上方策を検討する有識者会議を開催しているところで、本年夏を目途に取組の柱を整理したロードマップを策定する予定であり、当該ロードマップに基づく取組を推進いたしたいと考えております。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 児童生徒が、情報活用能力の育成、こういったことを図るために、小中高等学校の学習指導要領におきまして、新聞の活用についても盛り込まれているところでございます。

 具体的には、小学校、中学校、高校のそれぞれの教育課程の全体の実施に当たって新聞などを適切に活用する、また、中学校の国語科、また、高校の地理歴史科、公民科、こういったところで新聞の活用について記載されているところでございます。

 こうした各学校の実態でございますけれども、学習指導要領の記載を踏まえて、学校の実態に応じまして、新聞を活用した教育活動、こちらの方は全て行われているものと認識しております。

 ちょっと具体的な実態までは把握しておりませんけれども、今後、選挙年齢の引下げ、こういったもの、主権者教育の重要性が高まってまいる中で、新聞というのは非常に、子供たちの主体的な社会参加、こういった力を養う上で大変重要でございますので、引き続き、学習指導要領の実施に努めてまいりたいと思っております。

湯原委員 終わります。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日は、地方分権における地方税制の構築の関係をお尋ねしたいと思っております。

 地方に活力ということで、地方に自主性、自立性を涵養できるような地方税制の構築というのは、本当に地方財政の安定化を実現するには不可欠ということは、我々維新の会だけでもなく、総務省として、共通認識であると思います。

 そんな中で、地方公共団体は本当に創意工夫をして提案したり、土台となる環境を用意していこうとしているんですけれども、それは果たして可能かどうかということですね。

 そんな中で、二月十六日の質疑で、我が党の守島議員からも、ふるさと納税をめぐっての質問がありまして、その制度の改善の必要性が論じられたように、ただいま本当に様々な問題提起がありまして、この制度は、地方公共団体の主体的な取組をどのように地方財政の安定化へとつなげていけるかということは、本当に、試行錯誤の、まだ道半ばというか途上にあるというように思われます。

 地方公共団体が新たな取組をする活力を損なうことなく、この試行錯誤を経た制度の改善を健全に追求する土台をつくるためには、やはり、挑戦しようとする個々の地方公共団体が不当な取扱いをされるということがあってはならない。そうなると、地方公共団体は萎縮したり、結果的に総務省の目指すところとは逆行するのではないか、そういった結果を招くことになりかねないと思っているんです。

 そのためにこの地方分権改革があったと思うんですけれども、まずは、総務大臣、松本大臣に、地方分権改革の意義とか沿革についてお尋ねしたいと思います。

松本国務大臣 今、地方分権改革についてということで、御質問をいただいたと理解をいたすところでございます。

 地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものでありまして、今おっしゃったような地方の挑戦というものをしっかりと進めていくための仕組みであるというふうにも私も理解をいたしております。国民がゆとりと豊かさを実感できる社会の実現を目指すことになると思っております。

 国と自治体は、国民福祉の増進という共通の目的に向かって、適切な役割分担の下で相互に協力する関係にあると理解をいたしております。自治体は、保健、福祉、教育、消防など広く住民生活に身近な行政サービスを担って、日頃から住民の福祉の増進のために力を尽くすなど、大変重要な役割を果たしていただいております。

 このような自治体の機能を最大限に発揮して、地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は極めて重要だと考えております。

 平成十一年の地方分権一括法の制定を始めとして、累次の一括法による義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲の推進などが進められてきました。平成二十六年以降は、地方からの提案による提案募集方式が導入されるなど、先ほど申し上げた改革の意義に沿って、自治体の自主性、自立性を高めるための取組が着実に進められているものと理解をいたしております。

 今後とも、地方の声を十分に伺いながら、関係省庁と連携して、地方の自主性、自立性の向上に向けて取り組んで、地方が元気になるようにしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 大臣から、地方を元気にしていきたいと思いますとおっしゃっていただいたんですけれども、くだんのふるさと納税に関しまして、私の地元の泉佐野市と総務省が、このふるさと納税において係争がありました。

 これは大きく分けると二つに大別されていまして、一つは、新たなこのふるさと納税の制度の不指定を総務省から受けた。これは、司法の場に行きまして、最高裁で泉佐野市が勝利をいたしまして、この不指定は取り消されました。

 ただ、二つ目に、泉佐野市は、その後というかそれと同時に、特別交付税の減額というところに至りました。二〇一九年の十二月、総務大臣から第一回目の特別交付税の減額決定を受けまして、十二月に交付すべき特別交付税の額が七百十万二千円でした。平成三十年度の十二月が四億三千五百二万円だったことで、四億と七百万なので、これは本当に、ちょっと聞いただけでむちゃくちゃな感じがするんですね。三月に交付されたものが四千六百十六万七千円で、合わせて五千三百二十六万九千円。もう一度申し上げますけれども、その前年度が四億三千五百二万円でしたので、八七・八%の減となります。

 泉佐野市の主張というのは、特別交付税に関する省令附則五条第二十一項及び同附則第七条十五項に、いわゆるふるさと納税として多額の寄附金を集めたことをもって特別交付税の額を減額するものであって、地方交付税の委任の範囲を超えるものである、本件各特例規定に基づいて泉佐野市に対する特別交付税の額を算定した本件各決定は違法であるというものが、泉佐野の主張でありました。

 これも、大阪地裁では、このふるさと納税の収入額に係る本件特例規定及びそれに基づく本件各決定を違法と判断して、泉佐野が勝利をいたしました。

 実は、その後も、泉佐野だけではなく、判決後も、福井県敦賀市、宮崎県でも、二〇二一年度の特別交付税額を減額するなどの、従来の見解のままの特別交付税の算定等の運用を行われております。

 この大阪地裁の判決を受けて、千代松市長は、特別交付税行政を正す意義があって、国は控訴せずに速やかに減額決定を取り消し、違法な総務省令を取り下げることを望むと話しました。

 一度目の係争でも二度目の係争でも、総務省の対応に対する、地方分権改革による国と地方公共団体の関係変化に基づく、やはりそれが反映できなかった、反映していないのではないかとやはり思ってしまいます。

 やはり国と地方というのは対等でありまして、二十年前の地方分権改革であるんですけれども、中央、公共団体の新たな関係というのは、やはり、近年の個々の地方に対する規制緩和とか、事務や権限の国から地方への移譲の積み重ねとか、地方の提案に基づくボトムアップとか、そういったところの一連一体なものであるべきであるんですけれども、そうではないと思うんですけれども、先ほどの大臣の御答弁がありましたけれども、改めて、この地方分権改革の意義というのは反映されているのかどうか、お尋ねしたいと思います。

松本国務大臣 私自身は、先ほど申しましたように、地方分権改革は着実に進められているというふうに考えておるところでございますが、また、地方と国は対等の関係であるというのもおっしゃるとおりであるというふうに考えているところでございますが、先ほどの泉佐野市と国の関係の、意見が異なった部分についてのお話があったのかというふうに思いますが、私どもも、司法の判断は、しっかりそれは受け止めてまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 日本はやはり法治国家でありますし、ただ、本当に、司法まで行ったというのはやはりちょっといかがなものかというところであります。

 ふるさと納税そのものに関しては、二月十三日の予算委員会で私が質問させていただいたので、特別交付税の話にさせていただきたいんですけれども、そのときに、ただ、ちょっと確認なんですけれども、国地方係争処理委員会というのが入りまして、そこでの実効性に関して、法的な拘束力というのがこの国地方係争処理委員会にあるかなというところで、分担管理原則というところを総務省からの答弁でもらいました。国の行政事務というのは各大臣が分担管理するということが原則とされており、国地方係争委員会が法的拘束力を持つことは、この原則に対する重大な例外ということで捉えられていました。

 本当に、この分担管理原則の法的なこと、法的な位置づけとか憲法上の根拠というのはなかなかちょっと不明瞭なものであるということを指摘されている中で、この重大な例外ということについて、制度設計された当時の議論というのがあるんですけれども、改めて総務省の見解をお聞きしたいとともに、やはり、近年の状況を踏まえると、当時の見方を見直す、考え方を見直す時期に来ていると思うんですけれども、総務省、いかがでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 国地方係争処理委員会の制度は、平成十一年の地方分権一括法による地方自治法改正により設けられたものでございますが、これは、地方分権推進委員会における議論を経てなされた勧告を踏まえ、立案されたものでございます。

 分権委員会におきましては、制度創設時の考え方ということでございますけれども、国地方係争処理委員会に裁定の権限を与えるという試案も含め、議論が行われたわけでございますけれども、最終的には、裁定ではなく勧告制度とする内容の分権委の勧告が行われたということでございます。

 これにつきましては、先日も大臣から御答弁がありましたが、内閣法第三条や国家行政組織法第五条において、国の行政事務は各大臣が分担管理することが原則とされており、各大臣の行った関与の効果を覆すような拘束性のある権限を国地方係争処理委員会に与えることについては、この原則に対する重大な例外になることから、裁定ではなく勧告制度とされたものでございます。

 この考え方については、現在も変わるものではないと考えております。

 なお、委員会の勧告を受けた国の行政庁は、勧告に即して必要な措置を講じる義務を負うこととされており、勧告一般における尊重義務よりも強い義務が課せられているものでございます。

 さらに、国の行政庁が講じた措置に不服があるときは、国の関与の取消しを求める訴えを提起できることとされており、係争処理手続全体として実効性は確保されているものと考えております。

伊東(信)委員 そうはおっしゃるものの、やはり、地方自治体の立場でいいますと、持って行き場がないというのが原則でございまして、地方に活力をとおっしゃるのであれば、分担管理原則も本当に古いものであると思いますし、もう答弁は結構でございます。この話を突き詰めていくと、やはり、法律論とか学術論にもなりかねませんので、今のお考えは分かりましたけれども、ちょっと御考慮をいただきたいなということで、質問を進めていきたいと思います。

 地方交付税法で定められた行政内部の解決手段、地方公共団体の救済手段の話をさせていただいているんですけれども、今、行政内部というお話をさせていただいたのは、総務省のお考えというか、元々は法務省のお考えでもあったわけなんですけれども、裁判所の判決によれば、地方交付税の額の決定について抗告訴訟の問題提起を認めないとする明確な規定は存在せず、これを許容しない趣旨を含むものと解することはできないと。国と地方公共団体の訴訟というのは、これもちょっと学説的な話になっちゃいますけれども、主観訴訟としてどうなのかということは論じませんけれども、行政内部の解決というのが地方交付税の額の決定の目的や性質にふさわしいかどうかをお聞きしたいんですけれども。

 この地方交付税の額の決定を受けた地方公共団体が、果たして、審査申立て、異議を申し立てることができるのかということなんですけれども、これは、地方交付税法十八条一項と十九条七項のみにしか規定されていないんですね。

 この二つの異議申立て、申出というのは、いずれも算定の基礎についてなんですね。算定方法とは書かれていないんですけれども、算定の基礎についてと書いていますけれども、これは算定方法とはどのように異なるのか確認したいので、総務省、お願いいたします。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございました地方交付税、十八条や十九条に規定している算定の基礎とは、個々の地方団体について交付税の額を計算する際に用いる数値等をいうものとされております。

 例えば測定単位、要するに人口ですとか高齢者人口とか面積とか、それからまた、基準財政収入額算出の際の基礎数値、税収の額とか、こういったものが該当するものと考えております。

 一方、地方交付税法十七条の四の規定には算定方法という規定がございますが、この算定方法というのは、交付税法あるいは基づく省令等に定められました基準財政需要額、あるいは基準財政収入額の算定方法、また特別交付税の算定方法をいうものでございます。

 そのような違いがございます。

伊東(信)委員 本当に、この算定基礎についてというのは、数字の取り違えとか、形式的な誤りであるということだと思うんですよ。であれば、地方交付税額の決定を受ける地方公共団体にとっては、やはり、実効的な、そして十分な行政内部、行政内部という言い方をしていますけれども、国と地方が行政内部というとらわれ方をしたので、そう申し上げていますけれども、これで行政内部の係争処理手続が本当に確保されているとはやはり言えないんではないか。地方公共団体の救済手段とはなり得ないということなんですけれども。

 もう一つ確認なんですけれども、本当に行政内部の審査申立て手続に対しては、地方交付税法の二十条二項、これは中間判決でも言及をされたんですけれども、これは、もう一度改めてお聞きしますけれども、算定の基礎に関わるものとなっているのでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございました地方交付税法第二十条の二項でございますが、これは普通交付税や特別交付税の額の決定、それから審査の申立てに対する決定、あるいは錯誤による是正措置などがあった場合に、これらの決定や処分について地方団体側が十分な証拠を添えて当該決定が公平又は公正を欠くものがある旨申し出たときに、公開による意見の聴取を行わなければならないというふうにしてございます。

 この意見の聴取の申出の制度は、地方交付税が地方財政に及ぼす影響の重要性に鑑みまして、その公平と公正の確保が制度の本質を成す点、考慮して設けられたものでございます。

 したがいまして、審査申出の場合のように算定の基礎に限られるものではございませんが、単に当該自治体の実績が交付税算定上の基準財政需要額と異なる、額が違う、それから実際の必要額がこれじゃ足りないといったような、そういったものではなかなか、公平又は公正を欠くと言えないものではないのかというふうに考えております。

伊東(信)委員 減額されているのは本当に地方公共団体でありまして、地方公共団体としては、まずはどういったことで算定方法がなされたかということがまずは聞きたいわけで。

 総務省の見解は、訴訟手続も審理制度も存在しないと。地方交付税法十七条四で言うような意見申出制度、又は二十三条で定められている地方財政審議会の意見聴取の制度が設けられているのみということですよね。

 意見申出制度の下では、例えば令和二年の特別交付税三月算定分において、十七条の四に基づく意見が都道府県から十六件、泉佐野市を含めて市町村から九件。泉佐野市以外は教育やインフラ等を中心に出されておりまして、同様の意見はというと一件だったんですね。だから、十八項目あったんですけれども、その中で、特別交付税の算定方法の改正などが行われたのは僅か二項目だったわけなんです。

 こうした現状を、係争の中で、司法の場において、総務省は、機関訴訟であるから法律上の争訟に当たらないとおっしゃっていたわけなんですけれども、この主張と併せて鑑みますと、地方公共団体における地方交付税の額の決定をめぐる救済手段としてはやはり十分ではないのではないかなと思うんです。本当にこの救済手段というのは今や著しく限定されていると思うんですけれども、総務省の見解を求めます。

原政府参考人 お答えいたします。

 訴訟については現在係争中でございますので、その点はコメントを差し控えたいと思います。

 その上で、今、救済手段のお話がございました。

 現在、交付税法については、累次の分権改革の中で、先ほど御指摘がありました、現在、地方交付税法十七条四第二項ということで、交付税の算定方法については、地方団体から意見の申出があるという規定がございます。この申出があった場合には、これを法律上、誠実に処理するとともに、その処理の結果を地方財政審議会に報告しなければならないというふうに規定されてございます。

 総務省では、これまでも、地方団体から意見申出があった場合は、意見の内容を丁寧にお伺いして検討を行い、その結果を地方財政審議会に報告してございます。

 特別交付税は総額が限られておりますので、算定方法の見直しは、例えばこちらを増やすとなればほかの自治体が減るという面もございまして、ほかの自治体への影響も生じ得ることから、慎重に検討する必要がありますが、採用すべきと考えられる意見については、これまでも算定方法を定める省令の改正等を行っており、適切に運用しているものと考えております。

 加えまして、地方財政審議会の議事要旨、これは全て公表してございます。また、地方団体から意見があった意見処理、どのような理由でどのように対応したのか、これも全て公表しておりますので、引き続きこの意見申出制度をしっかりと大切にしながら、しっかりと適切な運用に努めてまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 総務省からの御答弁で、しっかりと公表されているということなんですけれども、この質問の意義としましては、やはり、国と地方との関係性を本当に何十年も前の地方分権改革に戻ってそこから、立ち返りなさいと言っている趣旨ではなくて、やはり、現政権も、地方に活力をということで、地方分権をということを進めていることに関しては共通認識だと思います。財源が限られているというのも、よく分かる話です。

 もちろん、我々は維新の会ですから、徹底した行政改革を、身を切る改革をして財源を生み出しましょう、増税せずにというような主張もありますけれども、今回はちょっと、趣旨としましては、いかに地方に活力をというようなことですので、そういったところでやはりリーダーシップを大臣に取っていただきたいので、もうそろそろ時間が五分ぐらいになってきましたので、丁寧に質問させていただきたいと思うんです。

 いわゆる係争があった場合、紛争処理手続というよりも、救済手段ということ自体が、我々は、地方政党からできたのが、大阪維新の会からでき上がったのが、生まれたのが日本維新の会ですので、やはり、地方公共団体の立場からすると、公開ということに関して申し上げますと、算定方法の関連で、地方交付税法二十三条において定められた地方財政審議会での意見聴取制度、これについてなんですけれども、どのような趣旨、内容だったかは、やはり詳細には示されていないんですね。そこで用いられた資料の公開も、やはり一部なんです。

 そうなりますと、やはり、秘密保護も、個人の保護も、個人情報も、いろいろあるとは思うんですけれども、外部からの地方財政審議会での意見聴取の制度の実効性を客観的に判断すると思うと、ちょっと困難であるというように示されておると思います。

 ですので、こうした観点から、総務省が主張する、訴訟によらない紛争処理手続は、やはり、実効性という面ではまだまだ十分なものとは思えません。そう断じることはできないのではないかと思います。

 やはり、訴訟によらない紛争処理手続を総務省は、私の立場で、我々の立場でいうと、構築していない一方で、かつ、訴訟さえも認めないということなので、地方公共団体の救済手段というのが現状はほとんどないように感じてしまうんですけれども、今後、行政内部、この行政内部というのは、もう一度申し上げますけれども、国と地方、そういう用語として捉えられていました。この行政内部での手続を充実させていく現状の議論があったり、これからの決意というのがあれば、総務大臣にお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 御質問の趣旨は、国と地方との関係の救済措置ということですけれども、それぞれの申立ての処理などをどのようにしていくかということかというふうに理解をいたします。

 先日、国地方係争処理委員会につきましては、委員の第三者性、独立性などを担保する形でしっかりと対応できる形を取らせていただいているというふうに申し上げたところでございますが、今もお話が出た地方財政審議会につきましては、御案内のとおり、地方自治に関する優れた見識を持つ方の中から両議院の同意を得て任命をされておりまして、また、委員五名のうち三名は、地方の立場に立つ全国知事会や市長会などの推薦者とされているところで、それぞれの組織が適切に運営をされることで、しっかりと地方の皆様の御意見を伺えて、いい形になるように我々も運用をサポートしていきたい、このように考えているところでございます。

伊東(信)委員 大臣もいろいろなお立場もあるとは思うんですけれども、国と自治の新しい関係を保障するために設けられました制度というのは、国地方処理委員会というところもあるんですけれども、やはり、問題としたいのは実効性です。分担管理原則については本当に時間を取ってまた御質問させていただく機会があればと思うんですけれども、今日質問させていただいた地方交付税の意見申出制度の公開性とか、それが十分であるかということは、地方分権改革という尺度においてはやはり同等と私は捉えております。

 それで、本当にもう間もなく一分ぐらいの時間だと思うんですけれども、国地方係争委員会の実効性の推進を図っていく上で、地方交付税についての公平性、透明性を高める議論を活発化させるのは、一九九九年の地方分権改革以来の、やはり地方公共団体の位置づけ自体が変化している、こういったことをまずは御理解いただきたい。そして、本当によりよい制度を総務省と地方公共団体とともに、一緒につくり上げていくのが大事です。そこで、大臣のやはり対等なる立場で地方のことを考えていただければ幸いだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 時間になりました。終わります。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 まず初めに、地方交付税等の一部を改正する法律案に関連をして質問させていただきます。

 先般の本会議における質問では、中小企業における賃上げ環境の整備ということに関連をいたしまして、企業に対するリスキリング支援につきまして西村経産大臣に質問させていただきましたけれども、本日は、地域におけるリスキリングの推進について、松本総務大臣に質問をさせていただきます。

 リスキリングとは、DXなどの技術革新による業務上の変化に伴い必要となる知識やスキルを従業員や働く者が学ぶこと、又は企業が学ばせることでございます。主に、デジタル分野であることが多く、テクノロジーによる自動化がもたらす雇用創出というものが背景にあると言われております。実施主体は企業又は行政主導の場合が多く、期間としては一年間程度というものが多くなっております。

 リスキリングにも、新しいスキルを身につけることによって新しい業務や職業に就く場合と、アップスキリングと呼ばれる、現在の職務の専門性を向上させ、新しいスキルを獲得するというチャレンジもございます。

 先般、シンガポールで政府のキャリアサポート制度として今推進をされておりますスキルズフューチャー・シンガポールについて専門家から党内でお話を聞く機会がございましたけれども、シンガポールの場合は、政府主導で、教育省の傘下でスタートをして、省庁の壁を越えて連携をして、教育界、産業界一体となって推進する、いわゆる国民的な運動と位置づけられております。

 特に、地域におけるデジタル、そしてグリーン等の成長分野におけるリスキリングの推進は極めて重要な課題です。その推進に要する経費に対しまして特別交付税措置というものが盛り込まれておりますけれども、企業のリスキリングの取組を推進するためには、自治体の果たす役割というものが大変重要であるというふうに考えております。

 また一方で、国の推進力も極めて重要です。総務省として、今後どのように支援していかれる方針であるのか、松本大臣のお考えも含めて、また一方で、既に先進的な取組を実践している先進事例を横展開していくことも大変必要であると考えますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

松本国務大臣 西岡委員に御答弁申し上げたいと思います。

 御承知のとおり、新しい資本主義の実現に向けて、人への投資は重要な課題でありまして、政府においては、人への投資パッケージを五年間で一兆円へ拡充をするなど、リスキリングに関する公的支援を強化をしているところでございます。

 地方団体においても、こうした政府の方針等も踏まえ、地域の実情に応じて、地域に必要な人材確保のための独自の取組が広がりつつあると認識をいたしております。様々、好事例と言える取組、例示をしておりますとちょっと時間がかかりますので割愛をさせていただきますが、こういった様々な取組が広がりつつあるという状況を認識をして、私どもとしても、地方団体が実施する、デジタル、グリーン等成長分野に関するリスキリングの推進に関する経営者等の意識改革、理解促進、中小企業等へのリスキリングの推進サポート、従業員の理解促進、リスキリング支援などの事業に要する経費について新たに特別交付税措置を講じることとしたところでございます。

 国と地方団体との連携の観点から、各労働局と都道府県が共催する職業能力開発に関する協議会で策定する計画に位置づけられる地方単独事業を対象としておりまして、総務省としても、関係府省と連携し、優良事例の周知に取り組んで、横展開につながるようなものに取り組んでいくなど、適切に対処をしてまいりたいと考えております。

西岡委員 今大臣から御答弁がありましたように、自治体の果たす役割、特に中小企業、小規模事業者のリスキリングの推進という面で大変重要ではないかと思っておりますので、しっかりサポートをしていただくこと、また、国としても力強い推進力、これも大変重要だと思っておりますので、総務大臣としてのリーダーシップを持ったお取組を是非お願いをしたいと思います。

 続きまして、前回に引き続きまして、物価高騰対策、自治体における物価高騰対策について質問させていただきます。

 これまでの質疑の中でもありましたように、本改正によっては、地方団体施設の光熱費や建設事業費の高騰を踏まえて、津波浸水想定区域からの庁舎移転事業や公立病院の建て替え事業について設計単価の上限引上げが盛り込まれたところです。

 ただ、現下の資材、原材料の高騰に加えて、人件費の高騰によって事業者が採算確保が見込めないために、例えば、観光施設ですとか校舎などの教育施設などの自治体の入札が調わないという事態も発生をしております。

 また、今、春の統一地方選挙に向けまして様々自治体では準備が進められておりますけれども、その選挙に関わる例えばポスター掲示板や選挙公報の印刷、人件費、これも大変高騰している中で、選挙の経費も増大しているという事情もございます。様々、地域住民に大変大きな影響が及ぶ事態となっております。

 今のこの高騰の状況が大変長期化していくということが予想されております。今後、どのような形で、また総務省としてしっかり対応していかれるのか、改めてお尋ねをさせていただきます。

原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、津波浸水想定区域からの庁舎移転、それから公立病院の新設、建て替えの事業においては、建築単価について適正な水準とする観点から上限が定められております。これは、令和五年度の地方財政対策におきまして、四年度に遡って、この資材価格の高騰を踏まえまして、地方債の建築単価の上限を二割弱引き上げることとしております。

 それ以外の事業でございますけれども、こうした建築単価については上限を設けておりませんので、資材価格等の高騰に伴い建設事業費が増加した場合でも、それに応じて地方債の発行額を増やすことにより必要な資金を確保することは可能であります。

 また、地方債の元利償還金については、地方交付税により財源措置される場合には、当該地方債の発行額に応じて交付税措置も増加いたします。

 これらによりまして、投資的経費の資材価格等の高騰については、基本的には適切に対応することができるものと考えておりますが、いずれにしても、今後とも物価の動向等はよく注視してまいりたいと存じます。

西岡委員 今局長から御答弁がありました。

 これからまだまだ長期化していくことも予想されておりますので、しっかり地域の事情を踏まえた中での御対応を引き続きお願いをさせていただきます。

 続きまして、自治体における機械、装置等の償却資産に係る課税免除に伴う財政需要の増大につきまして質問させていただきます。

 大規模工場が立地をしております自治体におきましては、従来、農村地域工業等導入促進法によりまして、例えば、機械、装置の償却資産が地方税の減収補填の対象であった頃から土地、家屋、償却資産の課税免除を行ってきたところでございますけれども、現在、地域未来投資促進法を適用している場合には、固定資産税等の地方税の課税免除に伴う補填措置の対象となる資産としては、土地、建物、そして償却資産としては建造物に限定をされております。そのために、機械、装置等はその対象となっておりません。

 特に、高度なクリーンルーム等を必要とする半導体工場等につきましては、大規模な設備投資が行われるために課税免除が多額となり、自治体にとっては深刻な財政不足となり大きな負担となっております。

 御承知のように、コロナ禍を経ましてサプライチェーンの強靱化が大変重要な課題となり、例えば半導体につきましては、先般成立した経済安全保障推進法におきまして安全保障上重要な物資として指定をされております。

 経済的また総合的な安全保障の観点からも、この現状に対してどのように認識しておられるのか、経済産業省の御見解をお伺いさせていただきます。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 地域未来投資促進法は、地域の特性を生かして地域経済の活性化を図る地域経済牽引事業の促進を目的としております。例えば、委員御地元の長崎県は、半導体を含む電子部品、デバイス、電子回路製造分野などを支援対象とする基本計画を策定し、現時点で二十八件の地域経済牽引事業計画を承認していると承知しております。

 承認を受けた地域経済牽引事業を行う事業者については、一定の要件を満たす場合、設備投資税制の対象となるほか、地方公共団体が土地、家屋、構築物に係る固定資産税を課税免除等した際に減収補填措置が講じられておりますが、機械、装置等については、御指摘のとおりでございますが、当該措置の対象とはされておりません。

 地域未来投資促進法における減収補填措置の在り方につきましては、地域経済牽引事業の促進に必要な事業環境整備の観点等を踏まえまして、引き続き関係省庁とも調整をしてまいりたいと考えております。

西岡委員 重要性については十分認識をしていただいているというふうに思いますので、しっかり今後御検討いただきたいというふうに要望をさせていただきます。

 最後の質問となるかと思います。

 前回に続きまして、地方公務員、自治体職員について質問させていただきます。

 技術職員の確保についてでございますけれども、これは官民共に大変深刻な状況が続いておりまして、様々な施策が講じられてきたところでございますけれども、現在の人材不足の深刻化に鑑みまして、令和二年地方財政対策において財政措置が講じられ、人件費については地方社会再生事業で算定されることとなっております。

 当時の総務委員会においても、技術職員の不足そして確保については私も質問させていただきましたけれども、今回の方針として、令和五年度から、技術職員の増員に係る要件を廃止をした上で、市町村支援業務に従事する技術職員数又は中長期的派遣可能な技術職員数のいずれか小さい方の職員数に係る人件費に措置を講ずるものとされております。

 これまでの財政措置について、どのように評価をされておられるのか。また、今回このように制度設計を変更した理由、また、目標としている千人程度の人材確保というものをどのように進めていかれる方針かにつきまして、総務省にお尋ねをさせていただきます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、令和二年度に創設をいたしました復旧・復興支援技術職員派遣制度につきまして地方交付税措置を行っていますが、これは、都道府県等におきまして技術職員の増員を行った範囲で、市町村支援業務に従事する技術職員数と中長期派遣可能な技術職員数の小さい方の人数の人件費、これを措置してきたわけでございます。

 しかしながら、全国的に技術職員の採用が困難になっておりまして、なかなか増員にまで至らないことや、大規模事業等が終了して技術職員数が減少せざるを得ない団体、こういったこともあることから、結果として交付税措置の要件である増員の要件を満たさず、交付税措置の対象とならない団体も多く見られる、そういった状況があったところでございます。

 こうした状況に加えまして、増員要件がもしも廃止されて交付税措置の対象となれば、中長期派遣登録を検討したいという団体の声も多く寄せられていましたことから、今回、技術職員の増員に係る要件を廃止をいたしまして、災害時の中長期派遣の登録者の増加につなげていこう、そういう判断をしたところでございます。

 一方で、技術職員の充実確保も極めて重要でございますので、その実効性を高めるために、各都道府県に対しまして、令和十年度までの技術職員確保の具体的な数値目標、これを盛り込んだ技術職員確保計画の策定を要請をしております。

 また、あわせて、こういった技術職員の採用強化策、こういったことも含めた具体的な取組をやってほしい、こういうことも要請をしているところでございます。

 総務省としては、ただいま申し上げたことによりまして、中長期派遣要員、これは千名という目標を立てておりますので、この目標に向けて取組を進めてまいりたいと考えてございます。

西岡委員 大変、技術職員の確保、重要な課題でございますので、引き続きお取組を続けていただくことを心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、二月十六日の当委員会で、カード交付率が上位三分の一に達している市町村について、更にカード交付率が高い市町村ほど高い割増し率に算定する理由について、自治財政局長が適切と述べられた中身についてお尋ねをいたしました。

 自治財政局長は、私ども、いろいろと調査の中で分析をしましたところ、カードの交付率が高いところほど財政需要が大きくなるというような傾向も見られる、こう述べて、例として、各種証明書のコンビニ交付サービスの軽減措置を挙げられました。

 では、資料一を見ていただきたい。

 地方公共団体情報システム機構、J―LISのホームページであります。「導入のメリット」にはコストの低減と書いてございます。

 大体、政府は、マイナンバーカードの普及により行政を効率化すると言ってきたのではありませんか。コストを度外視した割引支援をする、こういうことですかね。

原政府参考人 お答えいたします。

 私ども、デジタル化、マイナンバーカードを進めてコストの縮減につながるという面がございましたが、それは、そこのデジタルの分野だけではなくて、それによって効率化した部分はほかに、地方団体は防災ですとか福祉ですとかいろいろな財政需要が生じておりますので、そちらの方に振り向けるということでございまして、その話と、このデジタル自身に住民サービスの向上のために財政需要がかかる、これは別物だというふうに理解しております。

宮本(岳)委員 そこで聞くんですけれども、交付率が多くなればなるほど、各種証明書のコンビニでの交付が増え、財政需要が増えるというのは一体どういう理屈なのか。利便性ではなく、割り引くことで誘導する、利活用してもらうための策以外、何物でもないんじゃないんですか。

原政府参考人 お答えいたします。

 コンビニ交付は、住民の方が市役所とか役場に来なくても、身近な、コンビニですとか、あるいは今度郵便局にも広げますけれども、そういうところで身近にいろいろな証明書が取れるということで、住民の暮らしを便利にするということで取り組んでいるものでございます。

宮本(岳)委員 じゃ、聞きますけれども、このマイナンバーカードの取得率の向上策とそれに伴う財政需要の積み増しは、マイナンバーカードの普及が進めば進むほど財政需要が膨れ上がるということを示しています。

 つまり、利活用を促す財政需要が際限なく膨れ上がっても構わない、こういうことですね、趣旨は。

原政府参考人 お答えいたします。

 私どもは、今、マイナンバーカードの普及を前提としていろいろなデジタル経費、財政需要を把握しようとしておりますが、今後については、それぞれまた、それぞれの地方団体の取組状況やいろいろな財政需要をまた見ながら対応してまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 今後のことは分からない、こういうことですね。今はやっているけれども、今後はどうなるか分からない。

 この間の様々な政策の推移、この間、議論してまいりましたけれども、インセンティブという形で最初入るんですけれども、やがては、それが当たり前になったときには、財政需要というふうにみなされなくなるというのはこの間の常でありますから、私たちは、こういうやり方、とりわけカードを持つ者と持たない者で受益に差をつけるというのが今の国の推進策なんですね。

 そこで次に聞くんですけれども、先日、二月中に申請があったマイナンバーカードのマイナポイントの申込みを五月まで延長するという報道がありました。

 マイナポイントに使った費用を、ポイントの原資、事務費などの経費に分けて御答弁いただけますか。

大村政府参考人 お答えいたします。

 マイナポイント第一弾の予算額については、約二千九百七十九億円でございます。また、マイナポイント第二弾の予算額につきましては、総額で約一兆八千百三十四億円ということで総務省の予算はなっております。

 このマイナポイント第二弾の事業の予算でございますが、ポイント原資といたしましては一兆七千七百二十五億円、そして、国のシステム改修費が三十六億円、キャッシュレス決済事業者のシステム改修等で約七十億円、自治体によるID設定支援事業等で約九十三億円、事業者によるID設定支援等で約百七十一億円、国の広報費で約七十五億円というふうになっているところでございます。

宮本(岳)委員 それを全部一つずつ読んでいただかなくても、資料二で配付してありますから、確かにそのとおりの数字でありました。総務省から提出を受けたものでありますけれども、総額で二兆一千百三十三億円に上る予算がこれに費やされてまいりました。

 マイナンバーカードの申請件数と交付枚数、J―LISから自治体に発送された枚数、そして交付取りやめ件数は、二月十九日時点、直近の数字でどうなっておりますか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの有効申請受付件数は、二月十九日時点で約八千七百八十四万件、交付枚数は、同日時点で約七千八百五十一万枚となっております。

 また、J―LISから自治体への累計の発送件数は、同日時点で約八千八百五十四万件、累計の交付の取りやめ件数につきましては、二月十七日時点で約二百六十九万件となっております。

宮本(岳)委員 これも資料三につけてございます。見ていただきたい。

 まず聞きたいんですけれども、有効申請受付枚数と交付枚数の間に一千万近い差があるのはどういうわけですか。

吉川政府参考人 有効申請受付件数と交付済枚数の差は、有効に申請を受け付けておりますものの、J―LISから市町村に対して、未発送である、又は、発送済みですが住民に対して未交付のものがあるということによるものでございます。

宮本(岳)委員 これは、この開きというのは、今言ったように、申請したものの結局渡っていないものですね。

 総務省は、この中に亡くなった方も入っていると言うんですけれども、あるいは、この最後の交付の取りやめ件数二百七十万枚というのがあるんですけれども、亡くなった方ばかりではありませんね。

 予算を使って取得をあおってきたんですけれども、今の時点で人口に対する交付率を出しますと、ようやく六三%、六割ちょっとなんです。十人に四人は取得もしていないんですね。

 そのときに、自治体にはカードの交付率で地方交付税の配分を差別する。結果、この間議論してきたように、岡山県備前市のように、世帯全員のマイナンバーカードの取得を条件に、外れた家庭からは無償化を取り上げるという罰のような政策が導入されようとしております。

 これは、結局、義務でもなく任意のカードをほぼ全国民に強要するような政策に根本原因があると思うんです。私は直ちにやめるべきだと思いますが、総務大臣、そう思われませんか。

松本国務大臣 我が国が発展をしていくために必要だと考えておりますので、全くそう思いません。

 これまでも申し上げてきたように、マイナンバーカードは、デジタル社会の基盤となるツールでございます。

 その上で、先ほども局長から御答弁申し上げましたが、有効申請受付件数と交付枚数は、いわば時間差の問題でございますので、順次、有効申請受付件数に近いところまで交付をさせていただくことになろうかというふうに思っております。

 その上で、先ほどもお話をいただきましたが、この機会に改めて申し上げれば、マイナポイントについては、二月中に御申請いただいた方が、その後交付を受けて、マイナポイントの御申請をいただくのは五月末まで、これまでは、申請受付とマイナポイントの申請までの間が二月取っておりましたのですが、今回は最後ということで、三か月取らせていただいたということを御説明をさせていただいたところでございます。

 また、マイナンバーカードの交付率を交付税の算定に反映させることについてお話がございましたが、先ほど局長からも御説明申し上げましたように、コンビニなどの証明書の交付などですと、やはり手数料もありますので、こういった件数が伸びれば財政需要が伸びる部分があるということは御理解をいただきたいと思います。

 また、当然コストの削減のお話も申し上げておりますが、マイナンバーカードによって、いわばコンビニ交付などが進むことは、住民の方に、利便性の向上によって、いわばメリットを享受をしていただく部分があるということになろうかというふうに思っておりますので、行政自身が効率化する部分と、住民の皆様にお届けするサービスの質が向上する部分と、全体としてのコストはトータルとしては効率的になるのではないかと私どもは考えております。

 その上で、様々な形でデジタル社会を推進していくことが必要だということで、この基盤となるツールとしてのマイナンバーカードの普及は、国民、住民の皆様に資するものであると同時に、また、様々な将来の発展にもつながるものだということで、普及促進は先につながるものの一つのステップとして皆さんにお願いをしていますが、その理解を深めていただく意味でも、マイナポイントなども必要な経費としてお願いをさせていただいているところですので、是非、御活用も含めて、御理解をいただきたいと思っております。

宮本(岳)委員 全く意見が違うんですね。それは、あなたと私で意見が違うのは当たり前ですけれども。

 じゃ、この政策がどうなっていくかは検証しなきゃなりません。例えば、マイナンバーカードはデジタル社会のパスポートだというふうに語られるわけですけれども、パスポートはなければいけないわけですね。じゃ、行政が、任意の制度ですよ、パスポートだと言って、それで住民サービスになるはずだ、相手にとってもよいはずだとおっしゃった。おっしゃったけれども、それはあなたがそう思っただけであって、また政府がそう思っているだけであって、一人一人の国民は、それでハッピーかどうか決めてもらう必要はないんですよ。それが任意の制度というものの趣旨なんですよ。

 それを、任意のままであるにもかかわらず、全国民を目標に、押しつけるから、全ての矛盾の根本がここにあるということを私は申し上げたわけでございます。

 あなたがるる答弁されましたので、次のテーマに行く時間がなくなってしまいました。私は、次に、公務員の過労死の問題、前回に続いてもう少しきちっとやろうと思ったんですけれども、時間がありません。

 今日、でも、せっかく公務員部長に来ていただいていますから、私の方からお願いしていたメンタル疾患による長期病休者の問題、とりわけ過労死白書の百六十九ページに何を書いているかというところだけ、読んでいただけますか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの該当ページには、

  職種別の主な業務負荷状況については、義務教育学校職員では「住民等との関係」、義務教育学校職員以外の教育職員では「仕事の量」、警察職員では「仕事の量」及び「対人関係等」、消防職員では「異常な出来事への遭遇」及び「対人関係等」、その他の職員(一般職員等)では「仕事の量」がそれぞれ最も多くなっている。

というふうに記載をされております。

宮本(岳)委員 公務員部長は、前回、職員の数を減らしたことと精神疾患、メンタル疾患の増大とに相関関係が認められないかのような答弁をしましたが、過労死白書にはそのように書かれているわけですね。

 今日はもう時間がありません、今、終了というのが来ましたので。次回、今後、必ずこの問題をやりますからね。私は、公務員を減らし過ぎたという認識がなければこの問題の解決には当たれないということを強く申し上げて、質問を終わりたいと思います。

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十四分散会


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