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第7号 令和5年3月14日(火曜日)

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令和五年三月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      田中 良生君    中川 貴元君

      中西 健治君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      穂坂  泰君    松本  尚君

      務台 俊介君    保岡 宏武君

      渡辺 孝一君    伊藤 俊輔君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      神谷  裕君    重徳 和彦君

      道下 大樹君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    遠藤 良太君

      沢田  良君    輿水 恵一君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 林  理恵君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 伊藤  浩君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           児玉 圭司君

   参考人

   (日本放送協会理事)   安保 華子君

   参考人

   (日本放送協会理事)   山名 啓雄君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     松本  尚君

  坂井  学君     穂坂  泰君

  古川 直季君     中西 健治君

  湯原 俊二君     伊藤 俊輔君

  中司  宏君     遠藤 良太君

  西岡 秀子君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 健治君     古川 直季君

  穂坂  泰君     田中 良生君

  松本  尚君     小森 卓郎君

  伊藤 俊輔君     湯原 俊二君

  遠藤 良太君     沢田  良君

  田中  健君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 良生君     坂井  学君

  沢田  良君     中司  宏君

    ―――――――――――――

三月十三日

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(内閣提出、承認第一号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件審査中、参考人として日本放送協会の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房長今川拓郎君、大臣官房総括審議官鈴木信也君及び情報流通行政局長小笠原陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 まず、趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法第七十条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 日本放送協会の令和五年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この収支予算、事業計画及び資金計画は、放送法第七十条第二項の規定に基づき、総務大臣の意見を付すとともに、中期経営計画を添えて国会に提出するものであります。

 まず、収支予算について、その概要を御説明申し上げます。

 一般勘定事業収支につきましては、事業収入が六千四百四十億円、事業支出が六千七百二十億円となっており、事業収支における不足二百八十億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。

 一般勘定資本収支につきましては、資本収入が千百八十六億円、資本支出が九百六億円となっております。

 次に、事業計画につきましては、受信料の値下げ、衛星波の一波削減、地域情報の発信強化、ユニバーサル放送・サービスの充実、営業経費の抑制、グループ全体での業務の見直しなどによる効率的で持続可能な組織の実現等に取り組むこととなっております。

 総務大臣といたしましては、この収支予算等の執行に当たり、公共放送として提供する放送番組の質を維持しつつ、引き続き、公共放送の役割を果たすために必要な事業規模について不断の見直しを行い、事業経費の一層の合理化、効率化に取り組むとともに、受信料の適正かつ公平な負担の徹底に向けた取組を着実に進めることにより、受信料収入と事業規模との均衡を早期に確保することを求めております。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 次に、補足説明を聴取いたします。日本放送協会会長稲葉延雄君。

稲葉参考人 ただいま議題となっております日本放送協会の令和五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。

 NHK経営計画、二〇二一―二〇二三年度の最終年度となる令和五年度は、経営計画の修正により、スリムで強靱な新しいNHKを目指した構造改革を更に強化します。衛星波の一波削減を着実に実施するとともに、経営努力の成果を視聴者の皆様へ還元するため、受信料の値下げを行います。

 事業運営に当たりましては、受信料で成り立つ公共メディアとして信頼される情報の社会的基盤の役割を果たしていくため、自主自律を堅持し、正確な情報を公平公正に伝え、命と暮らしを守る報道に全力を挙げます。あわせて、多様で質の高いコンテンツを合理的なコストで、最適な媒体でお届けします。衛星波については、番組の質の維持を前提に、令和六年三月末に2Kのうち一波を削減します。また、日本を積極的に世界へ発信し、様々な分野で国際社会との相互理解を促進するとともに、地域の課題や情報を広く発信して地域の発展に貢献します。あわせて、ユニバーサル放送・サービスの充実にも取り組みます。

 インターネット活用業務は、実施基準に示した費用の範囲内で、国内及び国際向けコンテンツを効果的に提供します。

 受信料については、令和五年十月から地上契約、衛星契約共に一割の値下げを実施します。引き続き営業経費の抑制に努めるとともに、共感と納得に基づく営業活動により、公平負担と受信料制度の理解促進に取り組み、事業運営に必要な収入を確保いたします。

 NHKグループ全体で業務の見直しやガバナンスの強化を図るとともに、働く一人一人の創造性を最大化する人事制度改革を加速させるなど、効率的で持続可能な組織の実現に向けた取組を強化します。

 次に、建設計画については、緊急報道設備や番組制作設備の整備を進めるとともに、いかなる災害時等にも安定的に放送・サービスを継続するための設備整備等を実施します。また、老朽化した東京・渋谷の放送センターや地域の放送会館の建て替え事業を着実に推進してまいります。

 以上の事業計画に対応する収支予算は、一般勘定の事業収支におきまして、受信料などの収入六千四百四十億円、国内放送費などの支出六千七百二十億円を計上しております。事業収支における不足二百八十億円につきましては、財政安定のための繰越金の一部をもって充てることとしております。

 また、資本収支は、収入として、減価償却資金など総額千百八十六億円を計上し、支出には建設費九百六億円を計上してございます。

 最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に基づいて、資金の需要及び調達を見込んだものでございます。

 以上、令和五年度収支予算、事業計画及び資金計画につきまして、その概要を申し述べました。事業計画の一つ一つの施策を着実に実行し、公共メディアとして視聴者の皆様の期待に応えてまいりたいと存じます。

 委員各位の御理解と御支援をお願いいたします。あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 自由民主党の務台俊介です。

 今回はトップバッターの質問をさせていただきまして、関係者の皆様に感謝申し上げたいと思います。

 稲葉延雄NHK新会長の体制の下にNHKがスタートしました。私は、三年前に、当時の会長、前田様にも御質問させていただく機会がありました。今回は稲葉会長に質問させていただくということで、大変名誉に感じております。

 私は、テレビは基本的にNHK以外は見ない、そういう偏った環境の中で生きてきましたが、現在も、NHKのニュース、ドキュメンタリー番組、大河ドラマはできるだけ見るようにしております。「映像の世紀バタフライエフェクト」などは本当に勉強になりまして、その都度新たな発見をいただいているということでございます。

 例えば、最近では、ロシアのウクライナ侵略によって二酸化炭素がオランダ一国分、一億トン増えたなんという話もNHKの番組を通じて得ることができました。マッカーサー将軍が、朝鮮戦争時に二十六発の原爆使用権限をトルーマン大統領に当時求めて、それがゆえに解任されたということ、そして、その当時の日本人は、マッカーサー解任の理由を知らずに別れを惜しんだということ。当時、報道統制の下で日本がどういう状況に置かれていたか、これを現代的な目で知るということにもなりました。

 それだけに、現在と過去を問わず、真実に迫る情報を引き続きしっかりとNHKには伝えていただきたい、そんなふうに思っております。

 そんな期待を受けて、稲葉新会長は、日銀、リコーと責任ある立場を経た職歴、経験があると思っておりますが、これまでの前任者との対比も行いつつ、どのような基本姿勢でNHKという屋台骨を引っ張っていかれるのか、まず伺わせてください。

稲葉参考人 私は、日銀時代に日銀法の改正に携わったことがございまして、その際に、放送法に接する機会がございました。その第一条に、放送の目的として、放送の効用を国民にあまねく普及し、表現の自由を確保し、健全な民主主義の発達に資するというふうに書かれていたこと、大変感銘を受けた記憶がございます。

 今回、NHKの会長を引き受けることとなり、不思議な御縁を感じるとともに、こうした志の高い仕事に関わっていけることに、大変名誉に感じているところでございます。

 放送法で定められた公共放送としての役割をしっかり果たしていくために、公平公正で確かな情報を間断なくお届けして、視聴者の皆様の日々の判断のよりどころになりたいというふうにも考えています。

 また、質の高いエンターテインメントを供給することによって、視聴者の皆さんの生活がより豊かで文化的になるように貢献していきたいというふうに思ってございます。

 委員お尋ねの歴代の会長との比較ということでございますが、あえて申し上げれば、私は日銀という公的な組織とそれから民間企業という両方を経験してきたという点で、違いといえば違いがあるのではないかというふうに思っております。会長の職務を遂行するに当たっては、そうした経験を生かしつつ、私なりの視点を大切にして職務に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

務台委員 稲葉会長、ただいま、日銀という公的組織と民間企業の両方をやった、そういう話がありましたが、NHKは受信料で成り立つ公共メディアです。一方で、同じように社会に情報を伝える民間企業としての民放がある。公共放送のNHKと民間放送の役割分担、これが常に問題とされています。

 我々も仲間と議論する際に、仮にNHKが民放化したら何が起こるんだろうなんて、そんな架空の話をして盛り上がることもあるんですが、NHKとして、民放との関係、民放との役割分担について、どういう点に留意して考えていったらいいか、そんな点についてもちょっと伺わせてください。

稲葉参考人 昭和二十五年に制定された放送法の下で、受信料を基本財源とする公共放送のNHKと、それから広告収入を主な財源とする民間放送との二元体制というのが着実に根づき、日本の放送文化の根幹を成してきたというふうに受け止めております。今後も、民放とNHKとの二元体制というのは堅持していく必要があるというふうに考えてございます。

 先ほど申しましたように、NHKとしては、やはり公平公正で確かな情報を間断なく皆様にお届けして、その皆様の日々の判断のよりどころとなりたい、こういうふうに思っておりますし、また、質の高いエンターテインメントを供給することで、豊かで文化的な生活を支える、そういう公共的役割を持っておりますが、それをしっかり果たしてまいりたいということでございますが、放送と通信の融合時代におきましても、その役割分担というのは変わらないのではないかというふうに思います。

 民放とは切磋琢磨しつつ、お互い知恵を出し合い、協力できるところは協力しながら、社会に貢献していきたいというふうに考えてございます。

務台委員 今年は関東大震災からちょうど百年の年です。大震災の際には、公共放送としてのNHKはもとより存在せず、ラジオもテレビもない中で、地震の被害に加えて、流言飛語により不幸な事態が、悲劇が生じたということを、我々も歴史で勉強するところでございます。

 NHKの発足の背景として、災害時の適切な報道の仕方は何かという経緯もあったというふうに理解しておりますが、NHKの公共放送としての使命、そして災害報道との関係、これについてのお考えも伺わせてください。

稲葉参考人 委員御指摘のとおり、今年は関東大震災から百年の年でございます。甚大な被害により通信網がほぼ途絶する中で、被災した人たちに正確な情報が伝わらず、デマなどが広がったとされております。震災から二年後、一九二五年に国内でラジオ放送が誕生した背景には、こうしたことがあったのではないかと思っております。

 いわば、これはNHKの原点と言えるものでございまして、災害放送を公共放送としての重要な使命として位置づけ、いかなる事態が起きても確かな情報をいち早く伝えるよう、取り組んでございます。

 今後も、それぞれの地域に応じた防災・減災にしっかり貢献していくことで、視聴者あるいは国民の信頼や期待に応え、公共放送としての役割を果たしてまいりたいと考えております。

務台委員 ただいま災害放送がNHKの原点だというお話を伺いまして、だからこそ受信料制度でこれを賄っているということも言えると思いますので、是非その原点をしっかりと貫徹していただきたい、そのように思います。

 前田前会長は、NHK改革を大胆に進めてこられたと認識しております。その一環として、受信料の引下げも進められました。その結果は、おおむね国民の支持を受けていると私も認識しています。

 一方で、その受信料引下げは、NHKの意向というよりも、どちらかというと政治の意向を受けて行われたという認識が一般的ではないかというふうに思っております。その中で、厳しい財政制約がこれから課されるということになります。そうなると、現在のNHKの公共放送の水準が果たして保たれるかという懸念の向きもあると思います。

 稲葉会長自身の就任時の記者会見でも、想定どおりに財務の計数が表れてくるのか見極める、綻びやマイナス面が生じれば丁寧に対応したいという発言に接しておりますが、受信料引下げ局面の下で、NHKの経営といったものについてどう行っていくのか、伺いたいと思います。

稲葉参考人 先ほど委員からお話がありましたように、修正された経営計画に基づきまして、この秋に受信料の値下げを実施するわけでございますけれども、その際、想定された財務の計数がきちんと出てくるかどうかを確認しながら、その辺を確認しながら、受信料引下げ、値下げを実施してまいりたいと思います。その下で、これまでの計画は、必要があれば手直しをするということで、その収支均衡への動きをつなげていきたいというふうに思います。

 ただ、そうした中におきましても、コンテンツの質が下がるということがあってはやはりならないんだろうというふうに思います。限られた経営資源を、NHKならではといったコンテンツの取材、制作に集中するということが大事だと思いますし、昨今盛んになってきてございますデジタルテクノロジーをうまく活用して、高品質なコンテンツを効率的に制作していきたいというふうに考えてございます。

 それを実現する上でも、大事なのは人材だというふうに考えてございます。NHKの職員は優れた専門家集団だと感じておりますけれども、職員一人一人が持つ能力を最大限発揮できるよう、多様なキャリアパスを示し、誰もが安心して職務に専念できる環境をつくり、厳しい状況の中でも視聴者・国民から信頼される組織づくりを進めていく、そういうことで質の高いコンテンツを十分に供給していきたいというふうに考えてございます。

務台委員 非常に難しい仕事だと思いますが、期待しております。

 インターネットが飛躍的に進む中で、放送法はインターネット活用を補完的な位置づけにとどめていると認識しております。稲葉会長は、放送法の建前が現実社会とマッチしていないとの認識を会見で述べられておりますが、会長の目から見て、放送法の問題点はどういうところにあるのか、そしてNHKのインターネット活用について今後どうしていったらいいのか、伺いたいと思います。

 先ほど、民放との二元体制の中で切磋琢磨をしていくというお話もありましたが、この点について、実は、民放とか大手新聞の関係者の話を聞くと、受信料を使って無料で情報提供をする、こういうNHKの手法に対して、公平な競争という観点から、ある意味で警戒心を持って見ている向きもあります。この点についてのお考えを伺いたいと思います。

稲葉参考人 御指摘のとおり、現在の放送法では、NHKのインターネット活用業務は放送の補完という位置づけになってございますけれども、放送と通信の融合が進んでいる海外などと比べますと、社会の現状に合わなくなってきているのではないかというふうに考えております。

 インターネットでは、一方で、フェイクニュースなど様々な問題も指摘されておりまして、そうした中では、NHKとしても、インターネット上においても放送と同様の公共的な役割が必要ではないかというふうに考えております。その一方で、同時に、正確で信頼できる情報を発信する担い手として、民放、あるいは新聞、そしてNHKが多元的に役割を果たしていくということも重要ではないかというふうに考えてございます。

 その際の競争条件とか、そういった問題がございますが、これはNHKがインターネット上で果たすべき役割あるいは業務などについて、現在、総務省の有識者会議等で様々な議論が行われていると承知してございますので、その辺、注視していきたいと思います。

 今後とも、民放との二元体制を堅持しながら、インターネットの適切な活用に取り組んでまいりたいというふうに思います。

務台委員 我々も、NHKのインターネットコンテンツは本当に質が高いものと思っております。国民の目から見ると、それに期待するところはあるんですが、民放の立場もあるということで、今後、またこの議論が継続していくというふうに認識しております。

 会長自身も、NHKの報道について、公平公正で確かな情報を伝えていきたいというふうにお述べになっております。日本の社会も、NHKの報道で報道されたということについては格段の信用を置く傾向があります。それだけ信用が高いということですが、信用が高いゆえに、思惑によって逆に悪用される、スピンされてしまう傾向もなきにしもあらずだというふうに思います。

 三年前にも質問しましたが、長崎県軍艦島を取り上げた「緑なき島」の短編映画の画像の一部が韓国側の歴史認識の材料に切り取られ、釜山にある日帝強制動員博物館で、NHKの意図とは全く異なる形で使用されている現実があります。

 私は、二月六日に同僚議員八名と長崎県の軍艦島を訪問し、当時の島民の皆様と話をしてまいりました。日本人の炭鉱夫と朝鮮半島から働きに来ていた炭鉱夫が平等な待遇の下で和気あいあいと暮らしていた実体験と比較し、朝鮮半島からの労働者が虐待され、虐殺された地獄島として位置づけられることに対して、島民の皆様はやるせない思いが募り、何とか是正してほしい、そして、韓国側のそうしたプロパガンダの材料として公共放送のNHKの画像が使われていることを正してほしいという切実な要求を承りました。

 NHKとしても、「緑なき島」が六十年以上前の映像記録であり、事実関係を究明することは困難があると推察します。旧島民の皆様への調査結果の報告書も出されていますが、より真摯な対応を是非ともお願いしたいというふうに思います。

 受信料を活用した公共放送が、事もあろうに反日プロパガンダの材料として使われているとしたら、受信料制度に対する国民の信頼を崩すことにもなりかねません。

 私としては、NHKとしても、韓国側に対して不当な映像利用はやめるように是非とも求めていただきたいと考えますが、この点についての稲葉会長のお考えを伺いたいと思います。

稲葉参考人 「緑なき島」の映像の一部が、番組の趣旨とは関係なく韓国の施設で展示されていることについて、元島民の方々が名誉を傷つけられたとお感じになっていることは大変遺憾だと思っております。

 御質問の施設に対してNHKが映像を提供した事実はございませんし、展示されている映像には、韓国KBSで放送された番組の映像が使われていると受け取られる表示があったことは承知してございます。映像を提供した韓国KBSに対しては、これまでも、目的外使用や外部提供をしないよう申し入れてきてございます。

 NHKの番組は様々な形で大きな影響を及ぼしますので、本当に心して制作していかなければいけないというふうに思ってございます。会長として、今後しっかりと現場を指揮してまいりたいと思っております。

務台委員 この問題は、NHKの問題でもあると同時に、日本の政府、外務省の問題でもあるというふうに思っております。過日は、予算委員会の分科会で外務省にもこの点についてお伺いした経緯があります。是非、NHKが外務省とも連携して、対応していきたい、そして、場合によってはNHKが、これまでの経緯も踏まえて、改めて、軍艦島が世界遺産に登録されたという観点からドキュメンタリー番組を新たに作るというようなこともあってもいいというふうに私は思っております。

 以上申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速でございますが、日本放送協会、NHKの令和五年度収支予算並びに事業計画及び資金計画につきまして質問をさせていただきます。

 先ほど稲葉会長より、「スリムで強靱な新しいNHKを目指した構造改革を更に強化します。」と力強い御決意を伺いました。このNHKの収入は、受信料の値下げや奨学金受給学生への免除に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で減収が続いています。このような状況の中で、構造改革を断行して約五百五十億円の支出削減を行いながら受信料の値下げに踏み込むNHKの姿勢を高く評価をさせていただきます。

 ここで、令和五年度の受信料の支払い率は八〇%前後になると見込んでいると伺っておりますが、この受信料につきましては、適正かつ公平な徴収に向けて、より効果的かつ効率的な取組への対策も必要であると考えます。

 そのためには、未契約者及び未支払い者について、その原因や理由について丁寧な調査と分析が大切であると思います。

 そこで、NHKでは、未契約者及び未支払い者についてどのような分析の下、どのような対策が打たれたのか、また、今後はどのような取組を進めようとしているのか、お聞かせください。

稲葉参考人 現在、NHKでは、戸別の御家庭への訪問中心の営業活動から、訪問だけに頼らない営業活動への転換を進めているところでございます。

 未契約世帯の多い大都市圏では、NHKのコンテンツへの接触とか受信料制度の理解が十分には進んでいないということや、世帯の移動が頻繁であるということが課題になっているというふうに認識しております。

 このため、新生活を始められる方々や若年層向けには、デジタル広告などを通じてNHKの公共的価値や受信料制度の御案内を行うとともに、特別あて所配達郵便を送るなどして契約手続をお願いしているということでございます。

 また、受信料のお支払いが滞っている方に向けては、支払い用紙を繰り返しお送りするとともに、受信料に関するウェブページに御案内する、お客様それぞれの状況に合ったアプローチに取り組んでございます。

 今後とも、NHKの公共的価値を理解していただくというのが大事なことでございますので、この辺を納得していただき、受信料をお支払いいただけるよう取り組んでいきたいというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 お一人お一人の事情とか状況を丁寧に確認していただきながら、適切な対応をお願いできればと思います。

 続きまして、令和五年度の放送センターの建て替えや放送設備の整備などの建設予算、これが約九百六億円と伺っております。ここで、NHKでは、受信料の価値を最大化するためのマネジメント施策の一つとして、効率的な業務体制の確立と保有設備の削減を掲げる中で、中期経営計画で示された新放送センターの建設計画の抜本的な見直しを進めようとしています。具体的には、設備のシンプル化、集約化、クラウド化などで徹底的な建設経費の圧縮に取り組むとしておりますが、この新センター建て替え計画の抜本的な見直しの一環として、放送センター建て替えに伴いドラマなどの大型スタジオがなくなる間の代替機能を確保することを目的として二〇二〇年六月に計画決定した川口の施設についても、計画を変更すると聞いています。

 そこで、具体的に、どのような考えの下でどのような変更がなされるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

板野参考人 お答えいたします。

 二〇二〇年、令和二年に経営決定いたしました川口施設、これは仮称でございますけれども、この基本計画案では、埼玉県川口市に四つのスタジオなどを備えた施設を整備しまして、放送センター建て替えでドラマ制作などの大型スタジオがなくなる間の代替施設、代替機能を確保することを主な目的としてまいりました。

 今回、放送センター建て替え計画を抜本的に見直すに当たりまして、川口施設に本部で行うドラマ制作を集約をいたしまして効率のよい姿に改めるべきと考えまして、二〇二二年に、当初の基本計画の見直しを経営決定いたしました次第でございます。

 具体的には、従来の計画から設備を拡充し、新たにスタジオを二つ追加整備することといたしました。これによりまして、新しい放送センターにはドラマ用のスタジオは整備をせず、渋谷と川口で機能分担を明確にしてまいりたいというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 仮設ではなくて、しっかりと恒久的なそういったスタジオが川口の方でということでお聞きをいたしました。

 この川口の施設の建設予定地であるSKIPシティは、二〇〇三年に埼玉県川口市にオープンしたさいたま新産業拠点で、SKIPというのは、サイタマ・カワグチ・インテリジェント・パークの略でございまして、ここは、映像制作の環境を整え、さらに、映像関連産業の集積地として計画をされているところでございます。

 このSKIPシティには、映像の歴史や仕組み、映画の作り方等を学べる体験型イベントや、映像について新しい発見ができる企画展やワークショップを開催をしている映像ミュージアムや、埼玉県が収集し保存している画像や写真、また、NHKの懐かしい番組など、それらを無料で楽しめる埼玉県の彩の国ビジュアルプラザとNHKアーカイブスがあります。

 そこで、今回のNHKの川口の施設へのドラマ撮影拠点の移転整備を契機に、NHKが開発を進めている最先端の4Kや8K画像の制作や配信の技術や、AR、VRを始め、視聴環境に応じた多様なコンテンツの表現を可能とする映像、音声世界を実体験できる空間など、SKIPシティの映像ミュージアムやNHKアーカイブスなどと連携し、NHKの最先端の映像技術を体験できる環境などを整備することも大変有意義ではないかと考えますが、お考えをお聞かせ願えますでしょうか。

板野参考人 お答えいたします。

 川口施設は、ドラマスタジオなどを集めた制作拠点とする予定でございます。スタジオ内に設置した高精細なLEDパネルのCG映像を背景にして出演者が演技をする、バーチャルとリアルを融合した新たな映像表現など、様々な新しい手法を取り入れていきたいと考えている次第でございます。

 こうしたスタジオ整備と併せまして、NHKのコンテンツに親しんでいただいたり、理解を深めていただいたりするための施策につきましても、SKIPシティにあるNHKアーカイブスなどの施設と連携して、取組を含めて検討していきたいというふうに考えております。

輿水委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 それでは、続きまして、NHKの放送映像技術等の開発に要する令和五年度の予算は約六十億と伺っております。ここで、民間企業では、研究開発の成果は新たな収益を生み出す大事な経営資源となりますが、NHKの放送技術研究所、そこが研究の中心なんですけれども、ここは、一九三〇年の六月に開所し、テレビを中心に放送技術の研究を進めてきたところであると伺っております。このNHK放送技術研究所の研究成果について、放送分野だけではなく幅広い分野への活用を進める中で、新たなサービスや製品の創出に貢献することも必要であると考えます。

 このNHKの放送技術研究所、まさに、一九六〇年のカラーテレビ放送、さらに、一九八七年の衛星放送、そして、二〇〇〇年のハイビジョンBSデジタル放送、さらに、二〇〇三年の地上デジタル放送などの実用化に貢献してきました。

 最近では、ハイビジョンの十六倍の画素数を持つ8K、スーパーハイビジョンの研究開発を進め、二〇一八年に新4K、8K衛星放送としてサービスを開始するなど、NHK放送技術研究所は常に新しい放送サービスの実用化を先導してきたと思っております。

 直近では、今まで有線カメラでしかできなかった高精細画像に対して、ミリ波帯を活用した無線伝送装置と、映像の超高速の符号化技術を組み合わせた4K画像を高画質、低遅延で伝送するワイヤレスカメラシステムを開発をし、紅白歌合戦で臨場感あふれる高画質放送を実現したと伺っております。

 このように、九十三年前から放送技術の研究開発に取り組んできたNHKの技術は、我が国の貴重な技術資産であると考えます。そして、この開発された技術を、放送という分野だけではなく医療、教育、あるいは、文化、芸術の分野にも積極的に活用を進め、新たなサービスや製品の創出に貢献することは大変に有意義である。

 そこで、例えば、ハイビジョンの十六倍の画素数を持つ8Kスーパーハイビジョン技術の、拡大鏡等が必要な手術や遠隔での病理診断など、医療現場での活用、また、先ほどの4Kワイヤレスカメラシステムの舞台装置としての活用など、NHK放送技術研究所で開発された技術を生かしての新たなサービスや製品の創出に取り組む、その考えについてお聞かせください。

 あわせて、こういったものを世の中にしっかりつなげていくための、そういった商品やサービスを企画するための組織体制の強化も私は必要と考えますが、お聞かせ願えますでしょうか。

児玉参考人 お答えいたします。

 放送技術研究所で開発した8K技術は、究極の二次元映像を表現する高精細、広色域の特徴を利用して、放送以外の分野でも活用されることが期待されております。

 これまでに、関連団体などとも連携をして、遠隔手術支援システムなどの医療分野での開発や、重要文化財の映像保存などで8K技術の活用が進められております。

 NHKが研究開発した技術が新たなサービスや製品の創出に寄与していくためには、メーカーや様々な関連業界と連携して、標準規格の策定や技術協力の取組も重要であると考えております。

 今後も、メディア産業、医療、芸術、教育など、幅広い分野に貢献していけるよう取り組んでまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。是非よろしくお願いをいたします。

 続きまして、NHKでは、いつでも、どこでも、誰もが必要とするサービスを届けるために、ユニバーサルサービスを提供する研究開発にも取り組んでいると伺っております。視覚、聴覚障害者や、高齢者、外国人を含むあらゆる人々に対して、字幕や解説、手話などの情報でコンテンツを補完する情報発信技術の研究開発は大変に重要であります。

 そこで、今日までにどのような技術を開発し、実用化してきたのか、また、今後はどのような技術の開発に取り組もうとしているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

児玉参考人 お答えいたします。

 放送技術研究所では、人間の視覚や聴覚に関する長年にわたる研究成果と最新の技術を組み合わせて、高齢者や障害者など、誰もが身近に放送・サービスを楽しめるよう、ユニバーサルサービスの研究開発を進めております。

 これまでに、音声認識による字幕制作、高齢者や障害のある方が音声を聞きやすくなる話速変換技術などを実用してまいりました。また、二〇二一年の東京オリンピック・パラリンピックでは、手話CGによる実況サービスをインターネット配信で実施しました。

 今後は、更なるユニバーサルサービスの充実に向けて、ニュース速報など、定型化されていない文章を手話CGで伝えるための技術や、放送の内容を合成音声で補足解説する自動解説音声技術などの研究開発に取り組んでまいりたいと考えております。

輿水委員 是非よろしくお願いを申し上げます。

 最後に伺います。

 NHKでは、ユーザーの生活や環境の多様性、災害時などの緊急性に対応して、必要なコンテンツを適切なタイミングで届けるために、放送に加えて、インターネット、ウェブなどのプラットフォームを活用した研究開発も進めていると伺っております。

 具体的には、放送、通信の伝送路や視聴デバイスの違いを意識せず、簡単にコンテンツを享受できる配信、掲示技術、また、様々な機能を持つIoT機器を活用して最適なコンテンツを提供する技術などの研究開発を進めております。

 そこで、具体的に、首都直下型地震や南海トラフ地震等の大規模災害が発生した際に、どのような視聴デバイスで、どのような技術を生かして、どのようなタイミングで、どのような情報伝達を実現しようとしているのか、最後にお聞かせ願えますでしょうか。

稲葉参考人 御指摘のように、大規模災害が発生した場合には、国民の生命や財産を守るために、テレビやラジオだけではなくて、様々なデバイスに確かな情報を伝達するということが大変大事だというふうに思っております。

 放送技術研究所では、スマートフォンに加え、インターネットに接続された例えば生活家電などにも、映像と音声、テキストなどが緊急情報として届けられるように、研究開発を進めております。

 それから、この面では大変大事な問題、課題なんですけれども、一般的に、インターネットを使った配信は放送よりもデータが届くのが遅れるというふうにされております。この面で、より低遅延あるいは遅延をなくすための情報配信技術の研究というのは非常に大事な分野だと思って、推進してございます。

 今後も、こういった研究開発を通じて、視聴者の皆様の安全、安心に貢献していきたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 もう本当にいつ来るか分からない、そういった震災にもしっかり備えていただき、国民の命を守っていただく、そんな取組、是非実現をしていただけると思います。

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

浮島委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 本日は、先輩方に格段の御配慮をいただきまして、令和五年度のNHK予算に係る質問に立たせていただくことになりました。改めて感謝を申し上げます。

 さて、NHKを始めとする各放送機関は、政治上の諸問題、意見が対立している公共の問題に関して、特に基準を定めて、つまり政治的公平を確保することを心がけているわけですが、しかし、今まさにこの各放送機関の政治的公平を揺るがせるような事態が放送法をめぐる行政文書で浮かび上がってきております。

 今回、私自身もこの文書を見てまいりました。総務省の役人の皆さんたち、法解釈を変えてはいけないと、報道の自由を守るため、そして官邸の圧力と闘っている、この形跡をたくさん拝見いたしました。時の権力によって報道が萎縮するようなことはあってはならず、もちろん、総務省が捏造するはずもないと私は信じております。

 そこで、まずは総務省に伺います。最新情報を確認させてください。

 先週十日公表の「政治的公平」に関する行政文書の正確性に係る精査について、四十八ファイル中二十六ファイルの作成者が確認できていない、又は発信者に対する内容の確認が行われたことが確認できたものはなかったということでしたが、今日時点、現時点での精査状況を簡潔にお答えください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今御指摘のとおり、文書の正確性について、文書に示された関係者に対し、総務省職員が聞き取りを行うなどしまして、文書の作成者、発信者の確認の有無、作成経緯等を精査し、段階的ではございますが、確認できたこと、御報告、御説明できることについて三月十日に公表したところです。

 そして、平成二十七年二月の高市大臣レク結果の文書につきましては、作成者によれば、約八年前でもあり記憶は定かではないが、日頃確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクは行われたのではないかと認識しているとのことでした。

 一方、当該文書に記載された同席者間では、作成者と同様に記憶する者、同時期はNHK予算国会提出前の時期であり、高市大臣に対し放送部局のレクが行われたことはあったかもしれないが、個々のレクの日付や内容まで覚えていないとする者があり、必ずしも一致していない部分があります。

 以上を勘案をいたしますと、二月十三日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高いというふうに考えております。

 なお、作成者及び同席者のいずれにも、この時期に放送部局から高市大臣に対して放送法の解釈を変更するという説明を行ったとの認識を示す者はいませんでした。

 また、この文書に記載されている内容については、発言者等の確認を取らないまま作成されたものであること、約八年前のことであり、作成者及び同席者のいずれも個々の内容までは覚えていないとしていることから、総務省として、この文書に記載されている内容が正確であるか否かを現時点でお答えすることは困難です。

 総務省といたしましては、引き続き精査を続けてまいります。

おおつき委員 済みません、確認なんですが、じゃ、まだ二十六ファイルの中でも確認できているものは増えていないということでよろしいんでしょうか。

小笠原政府参考人 今御答弁申し上げましたとおり、総務省としては引き続き精査を続けている状況でございます。

おおつき委員 それでは、我が党の小西議員が公開した文書を総務省が全て行政文書であると確認し、認められた、七日に公表された政治的公平に関する文書の公開について、個別の文書に対して伺わせていただきます。

 まず、確認ですが、平成二十七年二月十三日の高市大臣レク結果、この政治的公平性についてなんですけれども、この行政文書の作成者は、この「(記)」と記されている放送政策課の方なんでしょうか。確認させてください。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 今、文書で「(記)」とされている放送政策課の者かというお尋ねでございました。

 聞き取り調査を進めておりますが、その結果の開示につきましては、相手方の了解を得る必要があるほか、また、関係者への聞き取りを続けている状況であり、今後の調査に支障が出る可能性も考慮し、差し控えさせていただきたいと存じます。御理解を賜ればと思います。

おおつき委員 個人名ではなくてもいいので、放送政策課の方かどうかだけでも確認させていただけないでしょうか。

小笠原政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいまの点につきまして、文書の書面からは放送政策課の職員ではないかと思われるところはございますが、再三御答弁申し上げておりますとおり、文書の正確性というところについては種々認識が一致しておりませんところがありますので、更に精査をしていく必要があるかというふうに考えているところでございます。

おおつき委員 さて、昨日も参議院の予算委員会で議論が行われているんですけれども、総務省、先ほども申し上げておりました、この大臣レクがあった可能性は高い、あった、行われたと思われるということでした。これに対して、高市大臣は、昨日の予算委員会で、レクが何月何日何時に行われたかは確認できないとしつつも、紙に書かれていることは不正確と答弁されています。

 正確かどうかは分からないという総務省の答弁に対して、高市大臣は不正確と確実に言い切っているわけです。果たして、この文書の内容、正確なのか否か、今は、じゃ、確認はできていないということなんです。

 だとしたら、私は、これまで熱心に法の解釈と闘ってきた総務省の官僚の方々、行政文書を捏造されるなんてこと、なかったレクを実在したかのように行政文書を捏造するなんてこと、これはあり得ないと思うんです。

 大臣、総務省の官僚が高市大臣レクの文書を捏造した可能性があると大臣は思いますか。

松本国務大臣 私は、昨年の秋に就任をして以来、見ている限り、職員は真面目に仕事をしてくれているというふうに思っております。

 その上で、二月十三日付の文書についての御照会でありましたが、これについて、作成者は、八年前であり記憶が定かではないが、日頃から確実な仕事を心がけているので、上司の関与を経てこのような文書が残っているのであれば、同時期に放送法に関する大臣レクは行われたのではないかというふうに承知をしております。

 一方で、当該文書に記載された同席者の間では、作成者と同様に記憶する者、同時期はNHK予算国会提出前の時期であり、高市大臣に対し放送部局のレクが行われたことはあったかもしれないが、個々のレクの日付や内容までは覚えていないとする者、なお、文書上は高市大臣も発言者でございますが、高市大臣の認識は既に御案内のとおりであり、同席者の間でも必ずしも一致していない部分があるというふうに認識をしております。

 その上で、先ほど局長からも御答弁を申し上げたとおりでありますけれども、作成者と同様に記憶する者と、同時期は放送部局のレクが行われたことはあったかもしれないとする者もいることを考えると、二月十三日に放送関係の大臣レクがあった可能性が高いというふうに総務省からお話をさせていただきました。

 一方で、内容につきましては認識が必ずしも一致をしていないというふうに考えているということでございます。

おおつき委員 大臣、やはり総務省は捏造した可能性はないと考えておられるということですか。

松本国務大臣 その意味では、先ほど、内容についてはまだ確認中でございますので、内容について必ずしも認識が一致をしていないということでございますので、この文書、捏造であるかどうかということについて私が今申し上げることはできないというふうに考えております。

おおつき委員 捏造をしていないと部下を信じてあげても私はいいんじゃないかなと思います。

 高市大臣がおっしゃるように、もし不正確であるのなら、不正確だとしたらですよ、これは責任を取るのは当時の高市大臣なのか、又は今の総務大臣である松本大臣であるのか、はたまた、先ほどおっしゃっていた、記録を残した、トカゲの尻尾切りになっちゃいますよね、記録を残した総務省の役人の方になるのか。これはどなたが責任を取ることになるんでしょうか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から、行政文書の内容が不正確な場合ということでお尋ねでございます。

 行政文書につきましては正確性の確保を期することが期待されますが、今回公開した文書につきましては、作成者が確認できていないものがあるほか、個々の発言の内容が正確であるとの認識が示されておらず、その点において正確性が十分と言えないと考えております。

 また、この文書に記載されている内容の中には、正確性を確保することがルール化される前の文書で、発言者等の確認を取らないまま作成されたものであること、約八年前のことであり、作成者及び同席者のいずれも個々の内容まで覚えていないとしていることから、正確であるか否かをお答えすることは困難なものがあると考えております。

 正確性につきましてはこのような状況でございますので、総務省では引き続き精査をしておりますことから、現時点におきまして責任についてコメントすることは差し控えさせていただきたいと存じます。御理解を賜ればと思います。

おおつき委員 ルール化される前か後かということは国民には余り関係なくて、やはり正しい情報、放送が萎縮されないような状況で提供される情報、これを信じているのが国民目線なんですよ。どうか、不正確な内容の行政文書が省内で作成されて、それが日常茶飯事で起きている、そのこと自体が私は結果責任が問われることなのではないかなと思っております。

 さて、結局のところ、今から八年前の平成二十七年五月十二日の参議院の総務委員会において、自民党の藤川議員の質問に答える形で、一つの番組のみでも、不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合においては、一般論として政治的に公平性であることを確保していることは認められないという高市大臣の答弁に行き着いております。そして、政府は翌年に統一見解をまとめて、極端な場合と例示した上で、一つの番組のみでも公平性を判断できるとする解釈を、これは元々の一九六四年の見解に補充的な見解として放送法に加えた形になっているんです。

 この一連の流れを見れば、政府は、藤川議員を使って、直接的には停波には至っておりませんけれども、放送への露骨な介入で過剰な萎縮を招き、結果的には、ある番組ではキャスターの降板まで判断されてしまうという流れができてしまっている。これ自体が結果ではありませんか。この結果責任をどう感じておられるんでしょうか。

 最終的には、藤川議員の質問を使った自作自演とも言えるこの政府と自民党の間のやり取りによって、放送法の政治的公平の確保に関する従来の解釈に、官邸からの要請で補充的な見解が一方的に加えられ、ゆがめられたのではないかと私は考えておりますが、総務省の見解をお伺いいたします。

小笠原政府参考人 お尋ねの件でございます。

 今回の一連の件につきましては、総務省の本来の業務の一環として放送法の解釈に関する問合せに対応したものであり、総務省として、放送法を所管する立場から適切に対応したものというふうに理解をしております。

 政府統一見解は、政治的に公平であることについて、番組全体で見て判断するという従来の解釈を補充的に説明し、より明確にしたものであり、放送法の解釈がゆがめられたというふうには考えておりません。

 この点につきまして、平成二十八年三月三十一日の参議院総務委員会におきまして、高市総務大臣から、「放送法第四条第一項の政治的公平に関する解釈は、従来のもの、現在発売されている平成二十四年版逐条解説集と変わりはございません。」というふうに答弁しているところでございます。

おおつき委員 この今回の事態なんですけれども、当時の高市大臣までもがラインから外されていて残念だと発言しているような、問題のあるプロセスにより作成されたこの放送法の解釈を、今後見直すつもりはないんでしょうか。一切見直さないのか。

 これは、最終的には、岸田総理又は現職の総務大臣の松本大臣自らの手で、この二〇一六年、平成二十八年です、二〇一六年二月十二日の「政治的公平の解釈について」、この政府の統一見解を無効化する新たな政府統一見解を発出する必要があると考えております。松本大臣の御認識をお伺いいたします。

松本国務大臣 おおつき委員におかれましては、放送にも携わっておられたので、よく御案内ではないかというふうに思っておりますが、改めて御質問いただきました。

 平成二十七年の総務委員会における高市大臣の答弁、平成二十八年の政府統一見解、質問をされた方の経緯については、文書等が出されているということでありますが、その正確性が確認できておりませんのでありますが、五月の答弁そして統一見解につきましては、当時の総務省として、法の解釈を精査をした上、従来と解釈を変えず補充的な説明を行ったものだというふうに、総務省の責任において行われたものだというふうに認識をしております。

 その上で、今局長からも答弁を申し上げましたけれども、放送法の解釈がゆがめられたとは考えておらず、新たな政府統一見解が必要だというふうに私は考えておりません。

おおつき委員 私は新たな統一見解を出すべきだと考えます。

 そして、皆さんに問いたいと思います。放送の自由、放送の公平とは一体何なんでしょうか。視聴者目線、国民目線であるならば、国家権力を監視する役割を持つ放送局を、今こそ、国家権力が監督するという矛盾を解消して、放送に対する恣意的な介入を取り除かないといけないと思います。

 今も、記者は寒空の下、物すごい時間をかけて、寝る間も惜しんで、そこにある真実を取るために取材しているんです。それは、ここにいる国民や視聴者のためなんじゃないでしょうか。

 私たちは、時の権力の報道への圧力に毅然とした態度で臨んでいこうと思っています。だからこそ、放送の規制機関の政府からの真の独立性の確保と放送の自由の観点から、通信・放送行政を総務省から切り離して、放送免許の付与、更新や番組規制などを行う規制監督部門を独立性の高い独立行政委員会として設置する通信・放送委員会、日本版FCCに移すことを我が党は提案しております。アメリカでもイギリスでもフランスでもドイツでも台湾でも韓国でも、こうした独立の規制機関があります。日本にも、戦後の一時期だけありました、存在しておりました。ただ、一九五二年に吉田内閣の下で廃止されてしまいました。

 そこで、松本大臣、改めて独立した規制機関をつくる考えはありませんか。

松本国務大臣 御提案でございますが、我が国は議院内閣制を採用しており、内閣の一員である各省大臣が責任を持って行政を執行することが原則であると認識をしております。

 放送を含む情報通信分野は、技術革新や国際競争が激しく、国家戦略的対応が求められる分野でありまして、機動的、総合的な判断が可能となるよう、内閣の構成員である大臣の責任の下において規制と振興を共に迅速に取り組んでいく体制が有益であり、適当であると考えております。

おおつき委員 私はやはり、先ほど申し上げたように、新たな統一見解を出し、そして独立した規制機関をつくるべきだと考えております。

 次に、NHKに伺います。

 これまで、組織内で、時の政権による政治的圧力を感じたことの有無を調査したことはございますか。そして、高市大臣の答弁にあった平成二十七年以降に限ってでも実態を調査すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

林参考人 お答えいたします。

 NHKには、日々、様々な御意見が寄せられておりますけれども、NHKとしては、不偏不党の立場を守り、公平公正、自主自律を貫いて放送に当たっております。これからもこの姿勢に変わりはございません。

おおつき委員 たとえ様々な政治的圧力、時の政権の圧力を受けたとしても、報道機関として毅然とした態度で臨むべきだと私は考えております。皆さんも考えていると思います。

 新たに就任された稲葉会長、御見解を伺います。

稲葉参考人 会長としての決意をというお尋ねでございます。

 政治的公平性について、NHKは、自律的な取組の中で確保してきてございます。不偏不党の立場を守りながら、公平公正、自主自律を貫いて放送に当たっております。今後もこの姿勢に変わりなく、視聴者の声に耳を傾けながら、よりよい放送の実現に努め、視聴者・国民の判断のよりどころになるという情報を提供してまいりたいと思っております。

おおつき委員 稲葉会長、時の政権の圧力があったとしても、報道機関として、是非、毅然とした態度で臨んでいただきたいと思います。

 それでは、前田前会長による人事制度改革について伺いたいと思います。

 前任のNHK会長であった前田氏が打ち出した一連の改革において、特に人事制度改革、縦割り、年功序列の打破は、若年層を中心としたNHK職員に共感を集めるとともに、NHK職員の労働組合である日本放送労働組合も、不可欠な改革であると受け止め、向き合ってきたと伺っております。

 その内容は、管理職の割合の引下げ、地域放送局長の局内公募制度、早期退職や転職を後押しする施策であり、NHK職員にとってメリットばかりではない改革でしたが、現在の環境を踏まえると必要な改革であると肯定的な意見も少なくはありません。

 しかしながら、この人事制度改革については、早期退職や転職を後押しする施策の対象となる中堅、ベテラン層のNHK職員の一部から不満の声が上がっていることも事実であり、人事制度改革の揺り戻しが懸念されております。

 また、日放労は、人事制度改革について、よりよい形に見直すことがあっても、縦割り、年功序列に戻すなど、決して後戻りするようなことはあってはならないとしております。

 そこで、前田前会長が推進した一連の人事制度改革についての所感、NHK職員の意見を踏まえ今後の人事制度をどうしていくのか、NHKと同様に法律に基づく特殊法人の一つである日本銀行出身の稲葉会長に伺いたいと思います。

稲葉参考人 就任会見でも申し上げましたけれども、私に課された役割は改革の検証と発展だと考えております。その言葉どおり、これまでの改革を否定するつもりはないということでございます。ただ、かなり大胆な改革でございましたので、若干の綻びとかが生じている部分があるかもしれないと考えております。もしそうであれば、しっかり検証した上で、丁寧に手当てをして、ベストな姿に持っていきたいというふうに思っています。

 人事制度改革につきましては、職員一人一人が能力を最大限発揮できるようにすることが本来の目的でございます。多様なキャリアパスを示して、若い人でもシニアな方でも全ての職員が安心して職務に専念できる温かみのある人事制度になるよう、まずはこれまでの取組の検証を進めていくことにいたしました。

 人事制度改革だけでなく、改革全般に関して、これまでの取組を検証するチームを今月、この三月に発足させ、検証作業を開始したところでございます。なるべく早く一定の方向性を出していきたいと考えております。

おおつき委員 記者を始めとした現場の職員の皆さんが希望を持って働けるような環境を是非整えていただきたいと思います。

 人事というのは、少し間違うとすぐにやる気は損なわれてしまいます。だからこそ、希望を持って働けるような制度改革、是非引き続き進めていただきたいとお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 今、放送法四条における政治的公平、大変大きな話題になっております。今おおつき委員からも質疑がありましたが、私からも、違う観点で一点、まず初めに松本総務大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 この政治的公平とは一体どんなものかということが今問われているわけでありますが、この放送法四条の中の政治的公平というのはテレビでの話であります。しかし今、放送をするのはテレビだけではなくて、ネット番組ですとか、放送法の枠に入り切れないメディアもたくさんあるということもまた事実であります。

 テレビ以外で情報を得る人の割合は年々増えておりまして、大きなニュースなどが起きると、そのニュースの中でネット上のコメントが使われたり、それから、ユーチューバーですとかインフルエンサーの言動そのものがニュースになったりとか、こういうことも多くなってきました。こうした人たちの存在は、時には社会に非常に大きな影響を与えるということもあるということでありますが、ネット上を見ますと、政治的な思想が前面に出ている番組も多く存在する。

 こうしたネットも含めて、政治的公平性をどう捉えていくのか、どういう姿勢が総務省に求められていくのかというところについて、まず総務大臣にお伺いをさせてください。

松本国務大臣 御質問いただきましたテレビ番組を始めとした放送については、放送が有する電波の有限希少性や社会的影響力といった基本的性格を踏まえ、政治的公平を含む放送法第四条の適用を受けることとされているところでございますが、先ほどからの御議論でも触れられているように、表現の自由、国民の知る権利といった基本的に関わることでありますので、私ども総務省としても、今、国会で議論に付されていることに関しましても、放送法の従来の解釈を変えたりということをしたものではなく、放送行政を変えず、放送法につきまして、放送行政は、慎重かつ適切に、法にのっとって行わなければならないとこれまでも考えており、また、これからもそのようにしてまいる決意でございます。

 その上で、御指摘のネット番組については、その配信の主体や配信の方式に様々な種類がありますが、いずれにせよ、インターネット上の映像配信サービスは放送法の適用を受けないサービスであり、四条の規律を受けることはございません。

 このようなサービスに放送法第四条と同様の規律を設けることについては、表現の自由や政治活動の自由を保障する観点から慎重を期すべきであるというふうに考えておりまして、今、現時点において、委員御指摘のような新たな規律を導入することは考えておりません。

 なお、一般論として、インターネット上には様々な情報が流通しておりますので、利用者が主体的に情報を評価、活用することが重要でございまして、総務省では、このような認識の下、リテラシーに関する取組は推進してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 大臣おっしゃるように、ネット上にはたくさんの番組がありまして、これを一つ一つチェックするということは不可能ですし、第一に表現の自由がある。そして、ネット上においての表現の自由、国民の知る権利といったことと政治的公平という観点は、バランスを取るのは非常に今の段階では難しい課題だと私も思っております。

 テレビ番組に関しては、なぜ放送法四条でその公平性が書かれているかといいますと、電波を使って放送しているということと、また、テレビは社会的影響力が大きいからというふうにされていると思います。

 放送上の政治的介入はもちろんあってはなりませんが、しかし、ネット上で活躍する人物それから番組も、今や非常に社会的な大きな影響があるということで、時にはテレビ以上に影響力があるものではないかなとも感じております。子供も、規制をかけなければ自由に検索することができる。非常に難しい問題でありますけれども、今後社会が考えていかなきゃいけない課題の一つとして、今日は問題提起をさせていただきました。

 続いて、NHK予算について質問させていただきます。

 現在、連続テレビ小説「舞いあがれ!」、放送されておりますが、航空大学校の帯広分校が舞台となっておりまして、とかち帯広空港でも「舞いあがれ!」のパネルが貼ってあったり、「舞いあがれ!」一色になっております。二〇一九年に放送されました「なつぞら」というドラマも北海道十勝が舞台になりまして、その後、地元の音更町というところで道の駅がオープンしましたが、この道の駅の名前もなつぞらのふる里という名前になりまして、地元では、大変大きな、観光面も含めて、追い風となりました。

 NHKの作る作品も含めて、それぞれの地域に非常に思いが詰まった作品が世に出てくるわけでありますが、全国に拠点があって、そして地域に根づいたNHKだからこそ、あのクオリティーが出せるのだと私は思っています。そして、私は、NHKの最大の強みの一つは、長年蓄積されてきたアーカイブスだと思っております。

 私自身は、二〇〇七年に開局したBSのテレビ局、BS11というところで開局メンバーとして働いておりました。一から作り上げる楽しさというものももちろんあるのでありますが、報道番組などではアーカイブスの蓄積がないということで、非常に、ニュースを作り上げるのに、工夫を凝らして苦労したという経験もありまして、やはり、アーカイブスがあるということは非常に強みになるということを実感をいたしました。

 その後も、テレビ局、ネットも含めて、多数の後発のメディアが誕生したわけでありますが、様々な情報発信をし、それなりの影響力があるわけでありますが、こういったところは長年蓄積されてきたアーカイブスを持っておらず、これを活用することはできません。

 そこで、NHK社内でも、もっとこのアーカイブスを活用するべきではないかという機運が高まっているということはお聞きをしましたが、国内でも同様にその関心は高まっていると思います。今、NHKでは、このアーカイブス、どのような活用をされているのかということについて、まずお伺いさせていただきます。

稲葉参考人 NHKが保有していますアーカイブスの活用の現状についてでございますが、NHKが保有している豊富な映像資産は国民全体の財産でございまして、有効に活用することは公共放送の大切な役割の一つと認識してございます。

 アーカイブスには、およそ百十一万本の番組や番組関連映像がございます。また、およそ九百万項目のニュース映像、さらに、放送台本などが保存されてございます。このうち、フィルムで残されている過去番組の一部は、最新の技術で4Kに高画質化して放送しておりますし、白黒映像のカラー化というものにも取り組んでございます。

 インターネット上でも、戦争アーカイブスや東日本震災アーカイブスといったような形で配信を行ってございます。

 全国の放送局など五十七か所の施設では、およそ一万一千本の番組を無料で公開してございます。

 今後も、アーカイブスに残された映像に新たな付加価値をつける取組を進めて、視聴者・国民の皆様に還元していきたいと考えております。

石川(香)委員 ありがとうございます。例を挙げながら御紹介いただきました。

 過去の番組が百十一万本余り、ニュース項目も九百万項目あるということで、非常に、これは長年積み重ねてきた財産だと思います。

 今いろいろ例を挙げていただきましたが、例えば、今月十一日に十二年を迎えました東日本大震災においても、この記録を後世に残していく、教訓として残していく取組として、二〇一九年に気仙沼市と岩手県で伝承館が開館したそうですが、これらの施設でも、使用する映像として、このアーカイブを活用されているということもお聞きしました。

 また、学校の中でも、この番組を活用して、防災教育として活用していると。学校側からは、東日本大震災の番組に関しては、津波や地震に関わる映像が出てくるということもありますので、災害の恐ろしさを伝えるとともに、生徒の心理面にも配慮を心がけて活用されているといった、こんな話もありました。

 では、このアーカイブスですけれども、活用するにおいて課題もあると思います。この課題は何でしょうか。

林参考人 お答えいたします。

 過去の番組を放送した当時と今とでは、人権やプライバシーに対する考え方あるいは視聴者の皆様の意識が変化しておりまして、当時の映像や音声をそのまま再放送したり配信したりして問題がないかどうか、一本一本内容を確認する必要がございます。

 また、著作権者あるいは出演者と連絡が取れないケースも多く、著作権がクリアできないことや、著作権の処理に時間がかかることがあるのも課題だと認識しております。

石川(香)委員 権利の問題をクリアするのに膨大な時間がかかるということ、作業が非常に困難であるということ、ここが課題だということでありました。

 番組の著作権自体はNHKが持っておりますけれども、例えばテレビとネットで流す際の著作権は別であったりして、そうすると別の契約になりますので、再度交渉しなきゃいけない、都度交渉しなければいけないということが大変だということで、タレントの方が映っていたりする場合は、もう一度著作料を、これは追加で幾らかかるだとか、そういう交渉もしなきゃいけないということで、非常に大変だということでした。

 海外でも、このアーカイブス、いろいろな目的で使われておりまして、例えばテレビに対する研究活動とか批評活動の材料として活発にこれを使っていこうということが進んでいるということで、図書館で見ることができたりだとか、有料で特定の施設で見られるとか、いろいろな取組がされているそうであります。

 現在、文化庁の審議会でも、このアーカイブスの活用について、もっとこれを簡素化できないかということも含めて審議をされているという話もありましたので、ここの職員の方の非常に負担にもなってしまうところでもありますので、今後、どのようになっていくかということ、工夫はますます必要になってくるのかなと感じております。

 このアーカイブスでありますけれども、歴史的、文化的価値があるものということをもっと幅広く認識してもらう必要が、NHKの受信料への理解にもつながるのではないかと私も考えております。

 先ほど、防災教育ですとかあらゆるところでこれを活用されているという話がありましたが、例えば、歌番組などで歌手の方の過去の映像なんかを流したり織り交ぜたりしますと、世代関係なく家族で楽しむことができるという番組に変わるとか、非常に後世への財産として引き続き活用する必要があるのかなと思っています。

 この価値をもっと一般的に広く認識してもらえば、アーカイブスというものそのものの扱いもやはり社会で変わってくるのかなと思っておりますが、先ほど言った教育現場ですとか勉強会とか、一般の方に幅広く知ってもらって活用してもらうということでその価値を改めて実感してもらう必要があるかと思いますが、NHKの強みを強調できるという点においても、価値を深めていく、一般の方に幅広く知っていただくためには何が必要だと思いますか。

林参考人 お答えいたします。

 今御指摘いただいたように、NHKが保有する貴重な映像資産、この歴史的、文化的価値を高めるためには、将来にわたって有効に活用できるよう、まず、私どもが、公開を前提に適切に整理しておくことが必要だと考えます。また、多くの人々にこの存在を知っていただくということもとても大事なことだと思います。

 およそ三万本動画を配信するアーカイブスポータルサイトというものがございます。ここには、先ほど稲葉会長からも申し上げました、戦争体験者の証言を記録する戦争証言アーカイブス、あるいは、東日本大震災など各種の災害を記録する災害アーカイブスなど、映像資産をテーマ別に分類をしております。

 また、教育現場のニーズに合わせた取組も行っております。小中高、大学向けに平和、キャリア、共に生きる、防災などに関する番組をDVDで貸し出すティーチャーズライブラリーを実施しております。児童生徒の表現力や考える力を養う授業に生かしていただいております。新型コロナウイルスの感染拡大時には、修学旅行や課外学習に影響が出る中、平和学習やキャリア学習に関するコンテンツを中心に、貸出しの御要望が数多く寄せられました。

 映像資産の活用については大きな可能性があり、今後も、新たな付加価値をつけて様々な形で御提供することで、視聴者の皆様、国民の皆様に還元をしていきたいと考えております。

石川(香)委員 既に行われている取組も含めて、より幅広くアーカイブスを一般の方にも活用できる機会が増えていくことをこれからも私も期待したいと思います。

 続いては、NHKオンデマンドについてお伺いしますが、NHKオンデマンド、NHKが保有する番組アーカイブスのブロードバンド配信が行われておりまして、地上波、衛星波で放送されている番組の中から月々約五百の番組、またNHKの番組アーカイブスから約一万の番組をPCとかスマートフォンで、配信しているのでそこで見ることができるということであります。既に配信をしているものでありますが、受信料が元で作成をされているにもかかわらず、なぜオンデマンドで有料になるのかという点について御答弁をお願いいたします。

伊藤参考人 お答え申し上げます。

 NHKオンデマンド、委員御指摘のとおり、NHKが放送した番組をインターネットを通じて有料で配信するビデオ・オン・デマンド・サービスでございますけれども、過去の放送番組を配信する場合には、番組で使用した著作物の権利者や出演者などから別途許諾を得て使用料を支払うことなどが必要になってまいります。新たなコストが発生するということでございます。このため、NHKオンデマンドでは、視聴者の求めに応じて有料で提供するサービスとさせていただいてございます。

石川(香)委員 いろいろと、先ほど言った権利関係のことも含めてかかるということだったんですが、NHKオンデマンドは、コロナ禍で多くの人に利用される機会が増えたということで、契約数も非常に順調だと聞いております。安定して黒字化していけば、このNHKオンデマンドも無料で運営することができるのではないかという期待も高まるわけですが、この点についてお伺いします。

伊藤参考人 お答え申し上げます。

 NHKオンデマンドは、一時は多額の繰越欠損金を抱えてございましたけれども、ここのところ順調に収支は推移しておりまして、来年度予算で事業収支差金が発生し、繰越欠損金が解消する見込みとなってございます。

 NHKのインターネット活用業務実施基準におきましては、繰越欠損金が解消したときには、サービスのその後の利用料金の考え方について改めて検討し、必要な措置を講じると定めてございます。

 NHKのインターネット活用業務の在り方につきましては、現在、総務省の有識者会議で議論が行われております。その内容も踏まえながら、社会環境の変化に応じた適切なサービスの在り方を検討してまいりたいというふうに考えてございます。

石川(香)委員 今後の契約の状況ですとか、今まさに議論されているということですので、ここの展開にも期待をしたいところであります。

 PCやスマートフォンで見るNHKオンデマンドの利用が増えているという中で、スマホを持っているだけで受信契約の対象になるのではと懸念されている方もいるように感じます。その一方で、テレビは持っていないけれどもスマホやパソコンでNHKを見たいという方もいらっしゃると思います。今後、こういった人たちのニーズに対してはどのように対応されるでしょうか。

伊藤参考人 お答え申し上げます。

 まず、御質問のような、インターネットに接続できるというだけでスマートフォンやパソコンといった端末から受信料をいただくということは、現時点で考えてございません。インターネットによる情報発信の重要性は年々増しておりますけれども、現在の放送法では、NHKのインターネット活用業務は放送の補完という位置づけになっておりまして、海外と比べると、社会の現状に合わなくなってきていると感じております。

 テレビを持っていない方への対応を含めまして、NHKのインターネット活用業務の在り方につきましては、先ほど申し上げたとおり、総務省の有識者会議で様々な議論が進められているものと承知してございまして、その推移を注視してまいりたいというふうに考えてございます。

石川(香)委員 今、様々テレビ業界にも厳しい状況もありまして、特にNHKはこの受信料が減少する見込みだということで、これからいろいろな工夫が求められると思います。

 現役のNHK職員の方にも話を聞きましたが、制作に携わる方は、特に、番組の数が少なくなっていて、新しい企画書が通りづらくなっているように感じている、新しい番組が作りにくくなっているような気がするという話がありました。

 NHKのよさは、やはり公共放送としてのコンテンツの幅の広さだと私は思っています。今後、ネットのテレビ局なども含めて相変わらず群雄割拠の時代が続くかと思いますが、まさにコンテンツ勝負になる。いいコンテンツを生み出すためには、職員の方のモチベーションが下がることなく、制作意欲をかき立てる職場でなければならないと思いますし、限られた予算でコンテンツの幅の広さを保ちつつ良質な番組を作って公共放送としての存在を全国の人に認めてもらうということに関しては、今後どのような工夫、努力が必要となるでしょうか。

稲葉参考人 委員御指摘のとおり、受信料の値下げによりまして、名目上の事業収入は下がってまいります。しかし、放送局であるNHKにとりましては、多様で質の高いコンテンツを作り続けていくということが生命線だというふうに思っております。

 それを実現していくための一つの方策でございますけれども、私は、デジタルテクノロジーを一層活用して、コンテンツの質、量共に豊富に提供していくということがまず考えられるというふうに思っております。

 例えば、番組の制作から発信までの制作プロセスをデジタルテクノロジーで見直すということによりまして、これまで以上に高品質なコンテンツをより効率的なコストで生み出していくことが可能になるというふうに考えます。このデジタルテクノロジーの活用にはまだまだ大きな可能性があると感じておりまして、私としては、経営改革の第二弾、本丸と位置づけて、具体的な道筋を探っていきたいと思っております。

 同時に、委員御指摘のように、コンテンツ制作を担うのは人材でございます。NHKの職員は優れた専門家集団だと感じておりますが、それでも、職員一人一人が持つ能力を最大限発揮できるような多様なキャリアパスを示して、誰もが安心して職務に専念できるような環境をつくり、国民から信頼されるようなコンテンツを作っていくということが大事だなというふうに思っております。

 こういうテクノロジーの面と、それから人事的な手当ての面と、両方から良質なコンテンツの供給に心がけていきたいと思っております。

石川(香)委員 会長に熱い思いを語っていただきました。

 デジタルテクノロジーの活用、それから、今後民間の事業者との連携ということ、それから、視聴する環境や人々のニーズの多様化などもあるので、変化の中で時代に合った工夫をしていかなきゃいけないということは、非常に大事な観点だと思いますし、大変ですけれども重要なことだと思っております。

 今、国内でも災害も頻発をしておりますし、NHKは、そのネットワーク網を生かして、速報ですとか現地の状況を正しく伝えていくということ、それを国民の皆さんから信頼されて、期待をされているところだと思います。

 その一方で、そのブランドゆえ、責任ある職員の方が仕事を抱え込んでしまって過労死されるという事案もありました。昭和五十五年以降、六千人以上の要員を削減をしており、令和五年度の要員数は昭和五十五年度の約六割になっているということで、業務が増える一方で働き方改革もしていかなきゃいけないという課題もあると思いますが、今後も期待をしております。

 質問は以上になります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党・無所属の神谷裕でございます。

 本日も質問の時間をいただきましたことを感謝を申し上げたい、このように思います。

 まず、NHK予算について率直に伺いたいと思います。

 稲葉新会長、就任、誠におめでとうございます。一月に就任ですから、この時期でも構わないかなと思いますが。その就任に当たって、この委員会でNHK予算、審議をしなければいけませんが、それに当たって、稲葉会長の前任の前田会長、非常に、大変優秀な方でございました。その後を受けての会長ということで、大変な重責だということは御自身も分かっていたと思いますが、改めて、この委員会の開催に当たって、稲葉会長から、抱負というのか、どういうNHKにしたいというような思いを率直に述べていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

稲葉参考人 繰り返しになって大変恐縮なんでございますけれども、私は放送法の第一条に掲げられていることが大変大事であると思ってございます。

 第一条には、放送の目的として、放送の効用を国民にあまねく普及し、表現の自由を確保し、健全な民主主義の発達に資するということがうたわれてございます。こうした公共放送としての役割をしっかり果たすこと、公正公平で確かな情報を間断なくお届けすること、そして視聴者の皆様の日々の判断のよりどころになるということ、これが大事なことではないかなというふうに思ってございます。

 また、同時に、質の高いエンターテインメントを提供することで、視聴者の皆さんの生活がより豊かで文化的になるように貢献することも大事なことだと思ってございます。

 そういう意味で、前田前会長が取り組まれてきた改革は大胆で、業務の効率化を進める上で、あるいは受信料値下げに伴う収入の減少を収支均衡に持っていく、そういう道筋をつけたものとして受け止めてございます。

 その上で、私に課せられた役割は、その改革の検証と更なる発展ということだと思ってございます。これまでの改革が当初の狙いどおり進むように、会長としてしっかり対応してまいりたいというふうに思っております。

神谷委員 会長、ありがとうございます。

 大変、NHKの重要性ということを御認識なさっていると思いますが、できますれば、もう少し易しいというか、NHKの職員あるいは国民の皆さんに私はどういうNHKをつくりたいんだというようなことを語りかけるような、そんなようなお話もあったら私はもっとありがたいなと思うので、その辺は、この委員会を通じて、様々な質問を通じて実質的には稲葉会長の思いというのは伝わるんだろうとは思いますが、是非そういうことにも御留意をいただけたらと思う次第でございます。

 その上で、先ほど同僚議員からもありました、NHKはやはり、政治的な中立性、これが本当に重要な機関であると私は思っています。特に、NHKの成り立ちというか、なぜ受信料を取っているのかと言われれば、やはり時の政権からも、あるいは政治からも、与党であれ野党であれ、そこから一定の距離を置きなさい、そして国民の側に立ってしっかりと、代わりに、公共放送として見る力というのか情報を届けるというようなところだと思います。

 これまでもいろいろな、NHKに対しての政治介入みたいなことも、うわさ話としてはあったのも覚えているところでございます。

 改めて、この政治的な中立性というのか独立性というのか、これについて、稲葉会長の思いというか決意というか、そういったものをお聞かせをいただきたいと思います。

稲葉参考人 NHKは、放送法にのっとり、事実に基づいて、公平公正、不偏不党、何人からも規律されることなく、自らを律して放送に当たるということだと思っています。

 ニュースや番組が外からの圧力や働きかけで左右されるということはあってはならず、放送の自主自律を堅持すること、それが公共放送として信頼されるかどうかの生命線だというふうに思ってございます。

神谷委員 是非よろしくお願いいたします。

 また、今、放送をめぐる環境、先ほどまた石川議員からもありましたけれども、ネットというものが非常に世の中的には若い方を中心にそちらの方が中心になってきて、テレビというか放送というものがなかなか見られなくなっているというところでございます。

 しかしながら、NHKの公共放送としての役割というのは変わることはないというふうに思います。国民の耳になり目になり、そして重要な情報をお届けをしていく、そして国民の皆さんに判断をいただく、その大事な、大切な役割を担わなければいけません。ネットに社会が変わっていったからといって、役割そのものは変わらないわけでございますから、逆に言うと、NHKが対応していかなきゃいけないんだというふうに思うわけでございます。

 そのための、こういった重要な役割をこれからも発揮していくために、NHKはどうしていくべきなのか、そのお考えを伺いたいと思います。

稲葉参考人 今の御指摘のとおりだと思います。

 放送をめぐる環境が大きく変化をしておりますけれども、NHKとしては、インターネット上においても、安全、安心を支える情報の発信、あるいは、あまねく伝えること、そして健全な民主主義の発達に資すること、そういう放送と同様の公共的役割はやはり必要ではないかというふうに思っております。

 現在の放送法では、インターネット活用業務は放送の補完、そういう位置づけになってございますけれども、やはり放送と通信の融合が進んでいる海外と比べると、社会の現状に合わなくなっているのではないかというふうに思っております。

 インターネット活用業務の在り方については、今、総務省の有識者会議で様々な議論が行われておりますので、その推移を注視してまいりたいと思います。

神谷委員 先ほどおっしゃっていただいたとおり、NHKの公共放送としての役割は、たとえネット社会になろうと変わることはありません。総務省の方というか役所の方でも様々な議論をいただいているようでございますが、むしろ、現場に近いNHKの方が様々な発想が出るんじゃないかなと私自身は思っています。NHKというか、放送機関、ここはNHKですけれども、NHKの皆さん方がどういうふうにしていくんだという思いをむしろ現場から吸い上げていただき、それを会長が実践をしていただく、これが正しいような気が私はいたしておりますので、その点にも是非御配慮をいただけたらと思います。

 次の質問なんですが、今回、赤字予算を組んでいます。様々な構造改革を行っておられるということも結構でございますが、ただ、構造改革も含めて様々な見直しは非常にいいんですけれども、ただ収支を合わせるというか、経費節減だけをやってしまって現場にしわ寄せがあるということでは、これは全然、本末転倒になってしまいます。やはりこういうときにはめり張りというものが必要なんじゃないかなと私は思いますし、むしろ、経費節減というか、全体にこういった構造改革をするときには、特にNHK職員の皆さん方が一番納得をする必要があるんじゃないかと私は思います。

 その上で、全職員一丸となってその目標に向かっていくんだというようなことが大変重要だと思うわけですけれども、この点についての所感を伺いたいと思います。いかがでございましょう。

稲葉参考人 私の問題意識もまさに委員御指摘のとおりでございます。受信料の値下げによって名目上の事業収入は下がってまいりますが、そうだとしても、公共放送としてのNHKは多様で質の高いコンテンツを作り続けることが生命線だというふうに思っております。縮小再生産になっては意味がないというふうに思ってございます。

 それを実現するための一つの方策としては、先ほどもお答え申し上げましたけれども、昨今のデジタルテクノロジーを一層活用して、質、量共に豊富にコンテンツを、番組を提供していくということだろうというふうに思います。この面ではまだまだ大きな可能性がございますので、経営改革の第二弾、本丸と位置づけて、具体的な道筋を探っていきたいと思います。

 それから、この場でも御議論がありましたけれども、NHKとしては、豊富な映像資産あるいはアーカイブなどを持っておりまして、その活用などもまだまだNHKに課せられた責務あるいは可能性であろうというふうに思います。これをどうやって生かして業務を進めていくか、役職員一丸となって前向きに取り組んでいきたいというふうに考えております。

神谷委員 是非お願いをいたします。ここも実は現場に答えがあるように私には思えます。そこは稲葉会長、現場の皆さん、特に若い職員もそうでしょう、そういった方々の声を是非聞いていただいて、何に不便を持っているのか、あるいはどうやったらより改善するのか、これはもう釈迦に説法でございますが、是非取り組んでいただきたいと思うわけでございます。

 その上で心配なのが、NHKの経営基盤でございます。訪問によらない営業というようなことで、今般変わったようでございますけれども、だとするならば、以降どうやって、お客様というのか、アプローチしていくのかと、そこがやはり気になって仕方がありません。何より、独立した経営基盤を持たなければいけないNHKですから、先ほども申し上げたように、政治的な独立、これをかち得るためにはしっかりと独立した経営基盤が必要でございます。

 その辺について、まだ新しい手法というのが私には聞こえてこないものですから、いささか心配でございまして、特に受信料を含めたそういった顧客へのアプローチ、これについてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

山名参考人 お答えいたします。

 NHKとしましては、視聴者との接点づくりは大変重要だと考えております。これまでは、およそ二割の未契約者や未払い者に対しまして巡回型で何度も訪問するという営業を展開してまいりました。ですが、これは営業経費の高止まりや訪問員へのクレーム等の課題が指摘されておりました。

 そこで、訪問だけに頼らない営業活動に転換しまして、およそ八割の契約者も含めた視聴者全体との接点を設け、NHKならではの放送・サービスを通じて公共的価値に共感していただき、継続して受信料をお支払いいただくための取組を進めているところでございます。

 こうした新しい取組を定着させていくには一定の時間がかかると考えております。まずは、予算、事業計画で策定いたしました支払い率七九%の達成と受信料収入の確保に努めてまいりたいと考えております。

神谷委員 是非ここは迅速に手法を考えていただき、手法というか、やり方というのか、どういう方策で顧客に対してアプローチするかというのはやっていただきたいと思います。余り間を置かない方が私はいいと思いますので、またこれも現場に答えがあるように思いますので、是非お願いをしたいと思います。

 さて、私も少し放送法についてお伺いをしたいと思います。

 先ほどおおつき議員から様々質問がありました。それを聞いていて、私自身、あれっというか、いささか不安になったのが、これは大臣、率直にお伺いします。公文書というか行政文書というのは、こんなに信用できないものなんでしょうか。

 先ほどから聞いておりますと、まだ確認ができていないとか、当時の作成者に聞いたとか言っておりますが、行政文書というのは、本来、そんなに信頼できないものなんでしょうか。本来、そのままでいいんじゃないですか。なぜ確認をあえてしなければいけない、その正確性を今もう一度問わなければいけないのか。行政文書ですから、当然、公文書を、間違ってとは言わない、間違っているんだったらいいでしょうけれども、意図的に改ざん、あるいはそういうことをしたら、これは法に問われる話になるんじゃないかと私自身は思うんですが、こんなに総務大臣は、大臣は行政文書というものを信用できないとお考えなのでしょうか。まず、ここをお聞かせください。

松本国務大臣 行政文書は正確性を期することが望まれているというふうには考えておりますが、既に御説明を申し上げているように、行政文書、公文書等の管理に関する法律第二条四項において「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているもの」と規定をしておりまして、この定義に該当すれば行政文書となります。

 一方で、平成二十九年にガイドラインが改正されたというふうに皆様にお話し申し上げていますが、このガイドラインの改正も踏まえて、総務省におきましても総務省行政文書管理規則というのを定めておりますが、この中に、例えば「外部の者との打合せ等の記録の作成に当たっては、省内の出席者による確認を経るとともに、可能な限り、当該打合せ等の相手方の発言部分等についても、相手方による確認等により、正確性の確保を期するものとする。ただし、相手方の発言部分等について記録を確定し難い場合は、その旨を判別できるように記載するものとする。」ということで、正確性を必ずしも期する手順が踏まれなくても、行政文書としないのではなく、その旨を記載して行政文書とするという考え方だというふうに私は理解をいたしております。

 行政文書の定義をどのように置くかということで、厳格にするかですが、これまでも御答弁申し上げているように、行政文書の定義と正確性については必ずしも概念が一致をしていないというふうに考えております。

 ただ、冒頭に申し上げましたように、公文書については正確性を期することが望まれることは当然でありまして、今回、私も申し上げたように、精査、確認が必要であることは遺憾であるというふうに申し上げてきております。

神谷委員 大臣、それは、自分が見聞きしたことをそのまま書いた、だから真実かどうか分からない、そういうことじゃないですか。

 だから、見聞きしたことをそのまま書いたらそれでいいんですよ。ガイドラインが変わったからといって、公文書の性質が変わるわけではないんじゃないでしょうか。だとするならば、ここに記載されていることというのは、普通に考えれば、その当時の職員がしっかり見聞きして記録した、そう判断するのが妥当だと思います。

 今になって確認をされています。八年前の記憶を今から問いただせ、これはなかなか難しいです。八年前の記憶を今思い返すのと、当時の見聞きしたことを記録した文書、どちらが正しいと思うのか。普通の考えだと、私は当時見聞きしたことを記録したものだと思います。大臣はそう思いませんか。

松本国務大臣 今回の文書について、八年前のことであり、おっしゃるとおり、記憶が定かではありませんけれども、作成者は、日頃から正確性を期して文書を作成しているので、このような文書が残っているとすれば、そのように作成したものと認識するというふうに申しております。

 他方で、見聞きしたことを記載をするに当たって、先ほどの規則でも申し上げましたように、相手方の確認を取るといったように、総務省の人間は大変優秀だというふうには考えておりますが、私自身も、自分の認識と相手方の発言というのは、やはり記録としては、議事録などもそうですけれども、できる限り確認を取るといったことがあるように、見聞きしたことを記載したもの、これがその時点でどのように受け止めるべきか。少なくとも今回は、関係者の聞き取りをしたところ、認識が異なる、記憶をしていない、様々なことがあって認識が必ずしも一致していないと私どもは考えていることから、精査、確認が必要なものであるというふうに申し上げているところでございます。

神谷委員 大臣、それは違いませんか。確かに、今確認して当時の記憶を探るよりも、当時の記録はこうでございます、だったらどういうふうに考えますかというのが、論拠を置くところが逆なんじゃないでしょうか。むしろ、当時の記録に重きを置くべきなんじゃないでしょうか。今の記憶に重きを置いて、当時の記録を違うんじゃないかというのは、これは何か間違っていませんでしょうか。

 大臣は、当時の記録、これは総務省の役所の方は真面目だったと思います、しっかりしていたと思います。そういった中でこういったものを作られた、これは信じていいと思うんです。というか、これは間違っていない、間違っていないというか、きっちりした文書じゃないですか。これについての評価は、これはもう真正なものなんだ、間違いのないものだ、それは思いませんか。いかがでしょう。

松本国務大臣 内容についてまだ精査、確認をしており、確認が取れていないというふうに御報告申し上げているところでございます。

神谷委員 大臣、精査、確認、今やっているということですが、いつまでに終わりますか。それだけ教えてください。

浮島委員長 松本大臣、時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

松本国務大臣 国会の議論に付されているところでもございますので、できる限りのことをしてまいりたいと考えております。

神谷委員 是非、国会の議論に間に合う時間に提出をお願いをいたします。

 これで神谷の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党・無所属の道下大樹です。

 今日は、令和五年度のNHK予算案について質問をさせていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 それでは、私からも、NHK予算案、その前に、先ほど来同僚議員が質問しております放送法と政治的公平性について質問をさせていただきたいと思います。

 放送法をめぐりまして、我が立憲民主党の小西洋之参議院議員が参議院予算委員会で取り上げました、安倍政権時における解釈変更の圧力が総務省にあったとされる問題に関連して質問いたします。

 放送法第一条には、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」とあります。放送法ができたのは、さきの太平洋戦争でメディアが大本営発表をそのまま垂れ流し、国民に真実を伝えなかった反省からであります。

 一九四八年に、当時の逓信省が国会での法案審議のために作成した想定問答集にはこう書かれてあります。憲法は表現の自由を保障しており、また放送番組に政府が干渉すると放送が政府の御用機関になり国民の思想の自由な発展を阻害し戦争中のような恐るべき結果を生ずる。健全な民主主義の発展のためにはどうしても放送番組を自由にしなければならない。

 つまり、不偏不党とは、いかなる政党や団体からも放送は干渉されないということではないでしょうか。政党や政治家、ましてや時の政権が、個別の番組について、けしからぬだとか、気に食わないから放送内容の一部を削除しろとか、編集しろだとか、やり直せだとか、電波法第七十六条の電波停止をちらつかせるなど、それこそ放送法の政治的公平性をゆがめることではないでしょうか。

 先ほど、大臣や総務省の政府参考人が、今回のこの放送法について、あくまで補完的な説明というふうに答弁されていますけれども、私は、これは補完的説明ではないと思います。また、ぎりぎりのラインの中の説明ではなくて、一線を越えてしまった総務省の説明ではないでしょうか。

 元々、放送法の中のこのことについては、個別の番組について何か過度な偏ったことがあったら、これは、電波停止もあり得るというようなことは、そういうことはやりませんよとは書いていなかったけれども、今回このような形でそれを含めてしまっている。拡大解釈以上の逸脱した解釈だと私は思います。

 政治的公平性は、放送局の自律によって判断されるべきであり、このように政治において議論することはあっても政治が判断するものではないと考えます。放送法と政治的公平性について、稲葉会長はどのようにお考えか、伺いたいと思います。

稲葉参考人 NHKは、放送法にのっとり、事実に基づいて、公平公正、不偏不党、何人からも規律されることなく、自らを律して放送に当たっているということでございます。政治的公平性についても、こうした自律的な取組の中でしっかり確保していくという方針でございます。

 NHKは、原則として、個々のニュースや番組において、対立する意見の双方を伝えるように努めております。また、企画や番組の演出によりニュースや番組が複数回にわたる場合には、同一のシリーズの中などで公平に扱うというように努め、NHKの放送全体としての公平性を確保するようにしてございます。

 今後も、こうした姿勢に変わりはなく、視聴者の声に耳を傾けながら、よりよい放送の実現に向け、視聴者・国民の判断のよりどころになる情報を提供していきたいというふうに思っております。

道下委員 私は、NHKも含めて放送、マスメディアとかジャーナリズムとかそういったことは、野党以上に政府に対して厳しく追及しなければならないというふうに思います。そうしたジャーナリズム精神だとか、そういったことを踏まえつつ、政府の、又は政治からの圧力に屈せず、是非放送を続けていただきたいというふうに思います。

 次に、人事制度改革について伺います。

 先ほど石川議員も質問をされました。昨年のこの総務委員会でも、私は令和四年度の予算案について前田会長にちょっと質問させていただいたんですが、NHKでは会長が替わるたびに改革が打ち出されまして、その改革の検証をせずに次から次へと改革がまた打ち出されて、PDCAサイクルがなされていないように思います。成功したのか失敗したのか検証がなされないまま次の改革になっている。

 今回のこの人事制度改革について、先ほどの稲葉会長からの説明の中では、「働く一人一人の創造性を最大化する人事制度改革を加速させる」というふうにおっしゃいました。これから検証を進めていくということなんですが、これは検証によって加速させていくのか、前田前会長が進めてきた人事制度改革を加速するのか、又は見直すのか。そして、加速や見直し、その検証結果はいつ頃出して、いつ頃それを加速若しくは見直ししていくのか、その時期的なものも伺いたいと思います。

稲葉参考人 就任会見でも申し上げましたけれども、私に課せられた役割は、改革の検証と発展だと考えています。その言葉どおり、これまでの改革を否定するつもりは全くないということをここで強調しておきたいというふうに思います。

 ただ、かなり大胆な改革でございましたので、若干の綻びなどが生じている可能性があると考えてございまして、もしそうであれば、その辺をしっかり検証した上で丁寧に手当てをして、ベストな姿に持っていきたい。検証するのかとか、後戻りするのかとか、見直しするのかとか、ちょっと言葉遊びで申し訳ないんですけれども、ベストな形に持っていきたいというふうに本当に思っております。

 人事制度改革につきましては、やはり職員一人一人が能力を最大限発揮できるということが本来の目的だと思いますので、そこに立ち返って、今の制度改革見直しが、それとコンシステントかどうか、十分検証したいというふうに思います。

 具体的には、職員の今後の多様なキャリアパスを示しつつ、若い人でも、あるいはシニアの人でも安心して職務に専念できるような、そういう温かみのある人事制度というのを目指してつくっていきたいというふうに思います。したがって、前田改革の延長線上にあるようなこともあるし、つけ加えることもあるし、変えることもある、こういうことだと思います。

 そうした人事制度改革だけじゃなく、改革全般に関して、これまでの取組を検証するチームを今月、三月に立ち上げました。早速、検証作業を開始してございます。なるべく早く一定の方向性を出して、基本的にはこの次の中期経営計画に反映させる、そういうようなスケジュールで進めていきたいと思っています。

道下委員 この人事制度改革については、若手の方のみならず、中堅やベテラン、そして職種によってもいろいろと受け止め方は違うと思いますし、これは、東京や大阪など大きな局で勤めている方々と、地域職ということで、地域で記者もディレクターもいろいろなことをやるというような方々、それぞればらばらな受け止め方だと思いますので、丁寧に働く皆様の御意見を伺った上でこの検証を進めて、そしてこの改革を進めていただきたいというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 次に、地域放送体制について伺います。

 地域放送経費予算について、二〇二二年度は約六億円増額でしたけれども、二〇二三年度は〇・一億円の小幅増の二百五十六・三億円となっています。

 私の地元北海道でもそうですが、ここ数年のNHK改革において、特に人口が減っている地域のNHKの放送局の縮小傾向に心配と不安の声が広がっています。合理化、効率化を進めるとともに、地域に根差した情報発信は強化するという方針であることは十分承知しておりますけれども、地域放送に係る経費が今年度と来年度でほぼ変わらないという数字に私は心配をしております。

 地域からの情報の収集と発信、そのための地方局の人材確保と人材育成が重要であると考えます。地域放送経費予算と地方局における放送体制の強化について、稲葉会長の見解を伺います。

稲葉参考人 若干数字の御説明で恐縮でございますけれども、二〇二三年度は、事業支出全体では前年度に対して百七十億円の削減を行っておりますけれども、地域放送に係る経費についてはほぼ同額を確保する、そういう考え方でやってきてございますので、地域放送に係る経費が変わらないということの御心配ももっともだと思いますけれども、全体の中の割り振りということで、最大限配慮した形になっていると思います。

 実際、土日や祝日の夕方のニュースを充実させているほかに、新たな地域情報番組も立ち上げるというような形で、放送の充実というのを進めてございます。また、インターネットでの配信も強化しておりまして、夕方六時台の地域の各放送局で撮影したニュース番組をNHKプラスで配信する取組を進めてございます。来年度には、放送を出している全ての地域放送局のニュースが御覧いただける、そういう予定になってございます。

 さらに、地域の魅力をじっくり掘り下げて、課題に向き合うため、地域とのつながりの深い人材の採用を増やすなど、取材、制作体制の強化も図りたいというふうに思っております。

 今後とも、全ての都道府県に放送局を置くNHKならではのネットワークの強みを生かして、地域情報の発信を強化していきたいというふうに考えております。

道下委員 地域の情報の発信ということは、非常に取り組んでおられるということは、私も様々な番組を拝見させていただいてそれは感じるんですけれども、特に地方の、そこで定住というか勤務して、そこでじっくり根を張った情報収集だとかコミュニケーション、地域の方々とコミュニケーションを取って信頼を深めていくということが私はもっと重要ではないかなというふうに思っております。そういった意味では、北海道の中で散見されるような、ちょっと、一部、局の体制が縮小されるということを私は心配して、このような質問をさせていただきました。是非御理解をいただきたいと思います。

 では、稲葉会長には最後の質問をさせていただきます。これからのNHKについて伺いたいと思います。

 私は、視聴者・国民に信頼されるとともに、必要とされ、また、なくてはならない存在と認識されるNHKを目指して、是非とも頑張っていただきたいというふうに考えております。そのためには、NHKが基本と考える公共的価値の五つの中の、不偏不党、自主自律を堅持、正確で公平公正な情報を発信し、知る権利を充足して、健全な民主主義の発展に貢献するということが最重要だと思っております。

 今後のNHKについて、稲葉会長のお考えを伺いたいと思います。

稲葉参考人 まさに委員御指摘のとおりだというふうに思います。

 不偏不党、自主自律、正確で公平公正、いずれもNHKにとって極めて重要なことだというふうに思っております。

 NHKがよって立つ放送法第一条には、放送の目的として、放送の効用を国民にあまねく普及し、表現の自由を確保し、健全な民主主義の発達に資するということがうたわれておりまして、こうしたNHKの役割、これは、メディアを取り巻く環境が激しい変化を続けている中でも、こうした放送法に定められた目的というのは変わらない、視聴者・国民の信頼や期待に応えていく普遍的な役割であるというふうに思ってございます。

 今後とも、NHKがこの役割をしっかり果たしていけるよう、会長として先頭に立って頑張ってまいりたいというふうに思います。

道下委員 是非その御答弁の実践をしていただきたいと思います。

 先ほど来、同僚議員から、不偏不党ということが踏みにじられているのではないかということが、例えば受信料の値下げや放送への介入だとかそういったものが見受けられる、一般的にはそのような思いもというか、そういったことも広がっているわけでありますので、不偏不党だということを体現をしていただきたいというふうに心からお願いを申し上げます。

 次に、総務大臣に伺いたいと思います。

 先ほど御説明いただいたNHK令和五年度収支予算、事業計画及び資金計画に付する総務大臣の意見に関して、放送番組のインターネット配信や放送ネットワークの維持管理といった課題について、民間放送事業者と連携協力しつつ、その解決に向けて取り組むこととされておりますけれども、昨年の臨時国会でしたか、中継局の共同運用だとかそういったことも、民放とNHKとですね、そうしたことの法律改正がありました。

 よくよく考えてみれば、受信料によって成り立っているNHKが、スポンサーからの収入によって成り立っている民間放送事業者と連携協力すること、いろいろと放送技術とかはあるかもしれませんけれども、例えば、難視聴地域だけじゃない、普通の地域の中継局を共同にしてアンテナを更新するだとか、又は、番組のインターネット配信を、共同のプラットフォームをつくって、そしてNHKの番組も民間の番組も一緒に放送するという、この民間放送との連携協力ということは、私は、ちょっとこれは違和感を感じます。

 NHKは受信料によって成り立っているということでありますので、今、民間の放送局が、スポンサーからの収入が減っているから、この中継局の更新の費用がなかなか負担が大変だ。地上デジタル放送に切り替えるときには国からの補助金がありました。だから、それぞれの民間放送局は何とか変更できた。でも、地デジが終わってからのまた次の更新時期を迎えるに当たって、民間の収入が減っているからNHKの方も協力して一緒にアンテナを立てようとか、そういったことは私は、これはそれぞれの放送の自主性とか独立性にも影響するものだというふうに思っております。

 そうした考えに基づくと、例えば、中継局の更新に関しては、やはりこの点については総務省が、国が補助金を出すだとかそうしたことをやって、NHKと民放との区分けをする。さらには、一緒にもし中継局を作ると、もし大きな災害が起きたときに、一本しかない中継局が倒れたときに、その地域に重要な災害情報などが発信されないということ。もし、二本とか三本、複数あれば、どれかが故障してもどれかが残っている場合もあると思います。

 そういった意味では、このようなNHKと民間放送事業者との連携協力というのは、しっかりと区分けもしなきゃいけないというふうに思いますけれども、総務大臣の見解を伺いたいと思います。

松本国務大臣 委員御案内のとおりかと存じますが、放送法は、NHKと民間事業者の二元体制の下で放送の効用の最大化を図るという考え方を採用しております。NHKと民放は基本的には切磋琢磨し合う関係にありますが、現行の放送法でも、放送界全体の発展を図る観点から、インターネット配信や放送ネットワークの維持管理について、民間放送事業者等がこれらの業務を行う際には必要な協力をするよう公共放送であるNHKに努力義務を課していると承知をいたしております。

 令和五年度NHK予算に付した総務大臣の意見においては、こうした放送法の規定を踏まえまして、NHKに対してその業務の円滑な遂行に支障のない範囲内で協力を求めているもので、受信料の支出の面からも、そして、委員からもお話がありました放送事業者の自主独立性、大変大切であると私どもも考えておりますが、その面からも問題はなく、これからの放送界全体の発展のために必要なことだと考えているところでございます。

 この国会にもまた法案、改正案を今提出させていただいているところでございます。

道下委員 質問を終わりますけれども、今の点は、放送法の日本放送協会に課された努力義務が余りにもちょっと曖昧なんですよね。そういった点をどんどんどんどん、それがどんどん広がっていくと、NHKが、民間との連携協力が広がってしまうのではないかと、私はその点を危惧しております。是非、今後とも質問をさせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦でございます。

 我が党の北海道選出の議員が四人質問を続けさせていただきました後で、私は愛知県の岡崎市、西尾市というところの選出の議員であります。

 岡崎市といえば、今年は大河ドラマ「どうする家康」でNHKさんに大変お世話になっておりまして、三月になってもいまだに岡崎城が舞台になっているという大河ドラマの運びもなかなかなかったんじゃないかな。生まれ故郷である岡崎の市民の皆さん方、大変盛り上がっているところであります。

 家康館、岡崎城のお城下に、今の岡崎城の城下に家康館という観光の資料館があったんですが、そこを全面改修していただきまして、大河ドラマ館という形で、今、NHKさんの御協力もいただきまして、たくさんの、昨日市長に聞いたら、間もなく十万人達成するんじゃないかというぐらいたくさんの方々に来ていただいているようであります。

 その分、岡崎市にしては珍しく駐車場に止まっている車が県外ナンバーばかりだったり、それから、渋滞も多く市内で発生しているという課題もありますが、基本的には皆さん、そして地元市長も、今日は、NHKの審議に当たっては、NHKの関係者の皆さん方に御礼を申し上げておいていただきたいという話でございました。また、これからもよろしくと申しておりましたので、お伝えさせていただきます。

 さて、この「どうする家康」に少しひっかけながら、NHKの今後の経営について質問をさせていただきたいと思います。

 まず一つは、この大河ドラマを御覧いただいた方々は気がつくと思うんですが、コンピューターグラフィック、CGが大変多く使われております。通常は、どこか、恐らく、大河ドラマだったら現地に大勢のスタッフと一緒に出向いて、天気のことも気にしながら、あるいは、どこかに電線が映っちゃっていないかとか今どきの建物とか人が映り込んでいないかということも気にしながら、かなり手間暇をかけながらロケをするところだと思いますが、それがCGになっている。

 このCGも、もちろんよしあしがあると思うんですね。もちろん、見る人が、ぱっと見、いかにも作り物だなという感想を言っている方も現にお見えになります。一方で、時代考証からして非常に精緻な、現物では再現し得ないような精緻な再現をコンピューターグラフィックスで実現できているという面もあるとは思います。

 こういったことについてのNHKとしての成果と課題をどのようにお考えかということ、例えば映像のクオリティーとか視聴者の皆さんの実際の反応、満足度、あるいは今後、更に作り物じゃなく見えるような更なるCGの技術力が、更に発展する見通しがあるのか、そして制作に要する時間、手間暇、そしてコストといった観点から御答弁いただければと思います。

林参考人 大河ドラマ「どうする家康」を御覧いただきまして、ありがとうございます。

 視聴者の皆様により豊かな番組をお届けするために、今、様々な最新の技術を活用しております。例えば、三次元CGの映像を背景に利用することで屋外のような広い空間をスタジオ撮影でも表現することができます。委員御指摘のとおり、天候などに左右されることなく大規模な合戦シーンなどを収録することができております。これによりまして、制作時間、そしてコストの抑制にもつながっております。

 CG映像のクオリティーにつきましては、視聴者の皆様から様々な御意見をいただいております。更に魅力的な映像表現となりますよう、技術力の向上も図ってまいりたいと思います。

重徳委員 ちょっと、十分な見通しまではまだ見通せないのかな、技術面は。

 ちょっと時間の制約もありますので進ませていただきますが、このCGを活用した、今、時間やコストも軽減されているという話がございました。一方で、クオリティー、コンテンツとしての質についても追求しなきゃいけないというのがNHKの使命だと思います。

 この今のCGというものを、ちょっと大げさかもしれませんが、NHK改革との関係でどのように位置づけておられるのか、御答弁をお願いします。

稲葉参考人 私自身は、こういったCGを含めたデジタルテクノロジーの活用について、これは非常にNHKの経営にとっても大事なことではないかなというふうに思ってございます。

 御説明いたしましたとおり、これまで以上に高品質なコンテンツをより効率的なコストで生み出していくということに対しては、CGだけでなくて、例えばデジタルな先進的な画像技術あるいは映像技術、これは日々発達してございますので、これを遺憾なく活用することで、それこそ高品質なコンテンツを効率的なコストで生み出していけるというふうに考えてございます。

 したがいまして、デジタルテクノロジーの活用にはまだまだ大きな可能性がありますので、これを中心に、経営改革の言ってみれば本丸と位置づけながら、具体的な活用の道筋を探っていきたいというふうに考えております。

重徳委員 この「どうする家康」なんですけれども、残念ながら、少し視聴率が低いという話もございます。それは、純粋に見ている人が少ないのであれば、視聴率が低いということをそのまま受け止めなきゃいけないことなのかもしれませんが、ただ、視聴率というのは、よくよく考えてみると、古典的な視聴率というのは、要するに、テレビをつけているか消しているかで判断して、つけている世帯がどのぐらいいるかということによって視聴率を評価するというのが元々の仕組みだったと思うんですが、よく考えてみると、最近は、世帯視聴率じゃなくて、世帯の中の誰が見ているかということも調査対象になっているということも聞きますし、それから、テレビの中に、要するに、毎週日曜日の夜八時から八時四十五分は録画だというふうに設定すれば、リアルタイムで見る誘因がかえって減る分、必ず毎週見てはいる、遅れてはいるけれども見てはいるという方が逆に増えているのかなと。

 さらに、BSのチャンネルも増えていますし、先ほど来お話しになっているネット番組、NHKプラスとかNHKオンデマンドとか、こういったものも増えている。

 こういった、今まで必ずしも測れていない視聴者というものがあるから、古典的な視聴率と言われるものが下がっている要因があるんじゃないかなとか、ちょっとこの辺は明確に説明をいただかないと、正しく視聴率が判断できないんじゃないかな、一般の方々が。ちょっと御説明いただけますか。

林参考人 お答えいたします。

 大河ドラマにつきましては、視聴者の皆様の生活スタイルの多様化もございまして、委員御指摘のとおり、総合テレビだけではなく、NHKの場合、BSプレミアムやBS4Kなどでも多くの方にお楽しみいただいております。

 このため、総合テレビの本放送のリアルタイム視聴率、一般的に言われますリアルタイム視聴率だけを見るのは、視聴スタイルの変化に即していないと考えております。

重徳委員 もうちょっと詳しく説明していただきたいんですけれどもね。

 要するに、私が何が言いたいかというと、リアルタイム視聴率というのがいわゆる古典的な視聴率の測り方だと思うんですね、今おっしゃった。じゃ、例えば、従来だったらリアルタイムで視聴するしかなかったから、その視聴率が一〇%だったと、仮に。だけれども、最近は同じだけ人が見ているのに例えば五%だと、リアルタイム視聴率が。そうすると、その見えないもう五%の方々というのが実はどこで見ているのかということと、それを具体的に何か測る方法がないのかということなんです。

 リアルタイム五%プラス、リアルタイムじゃない視聴率が実はもう五%。足して一〇%、変わりませんとか、こういうことが技術的な面も含めて可能なのかとか、どう考えればいいのか。そうじゃないと、何か、「どうする家康」、全然みんな見ていないねというだけの話になってしまうので、そこをちょっと、まあ別に「どうする家康」をフォローしていただかなくてもいいんですけれども、どう考えたらいいのか、そこを教えてください。

林参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、視聴スタイルの多様化で、番組をリアルタイム以外で御覧になる方が増えています。

 このため、視聴率につきましても、三種類のデータが使われております。一つは、いわゆるリアルタイム視聴率。それからもう一つは、番組放送日から七日以内の、いわゆる録画再生視聴データを示すタイムシフト視聴率と申します。このリアルタイム視聴とタイム視聴を足して、重複分を抜いた総合視聴率というのがございます。この三種類です。

 委員御関心お持ちいただいております「どうする家康」につきましては、初回放送につきましては、個人総合視聴率で、関東で一五・九%、これは前作「鎌倉殿の十三人」の初回の数字を上回っております。特に、物語の舞台となっている名古屋、静岡地区では、大きな関心を寄せていただいております。さらに、インターネット配信でございますNHKプラスでも、これまで配信したドラマの初回としては最高の視聴数を記録いたしました。

 総合テレビのリアル視聴率がどうしても注目されますけれども、実際には、放送、インターネットでより多くの方々に「どうする家康」を御覧いただいていると考えております。

重徳委員 今のお話で少しまた興味が湧いたんですけれども。

 リアルタイム視聴率とタイムシフト視聴率というのは、テレビで見るやつですよね。このほかに、ネット、すなわちNHKプラスなどがある。実際に、ちまたで言われている視聴率が下がっている、下がっているというのは「どうする家康」の話ですけれども、低い。だけれども、ネットの方はむしろ盛り上がっている。

 これを合わせて評価するという仕組みはないんですか。それはちょっと難しいんですか。

稲葉参考人 大変難しい課題を提示されていると思っております。

 これまでの御議論でもお分かりいただけるように、視聴率という数字が実際に御覧いただいている実相を示しているものかどうかというのは、なかなか判断が難しいものだというふうに思っております。しかも、例えば、放送は視聴率、インターネットは視聴端末数で番組の見られ方を測定していまして、そもそも、これは足したり引いたりできるというようなものでは実はないわけですね。

 結局、数字だけ見て、その番組が好まれているかどうか、受け入れられているかどうかというのを判断するのは難しいので、番組の見られ方として、例えば、視聴者からの様々な意見とかアンケート結果みたいなものを踏まえて総合的に判断するしかないのではないかなというふうに思ってございます。

 御視聴スタイルの多様化が進む中で、放送とインターネットを合わせた視聴の全体像を把握するために、そういう総合的な方法はどんなものがあるか、引き続き検討はしていきたいというふうに思っております。

重徳委員 ありがとうございます。

 視聴率至上主義を取らないのがNHKだと思いますので、ただ、測定はできるだけ精緻にできるにこしたことはないという問題意識でございます。

 その流れでいきますと、ネット配信の分野を少しNHKも充実させていこうという話がございますが、一方で、余りその分野にどんどんどんどん出ていくと、ほかの民業が圧迫されるという関係にあると思いますし、警戒されている面があるんだと思います。

 そこで、NHKの公共的な使命とそれからネット配信の意義、すなわち、特に若い世代はテレビを見なくなっているわけだから、テレビ中継だけでは伝えられないものがあるという、それを両立させる一つのコンテンツとして、国会中継があるのではないかと思います。

 アメリカでは、ケーブルテレビ、C―SPANという、一日中国会中継をやっている、退屈なチャンネルと言われておりますが、そういうチャンネルもございます。しかしながら、魅力的なコンテンツになるかどうかは、ここにいらっしゃる議員の皆さん方の努力でいかようにも魅力的になると思いますし、ネットで伝えるべき分野なのではないかと思いますが、このように、国会中継を充実させる、ネットを使って充実させる、このようなお考えがあるかどうか、お聞きします。

稲葉参考人 国会中継によりまして、国民の生活に深く関わる予算とか重要法案の議論を伝えることというのは、公共メディアとして非常に大切な役割だと強く考えてございます。

 国会中継でございますけれども、NHKの編集判断に基づき、昨年、二〇二二年は、延べで四十四回、時間にして二百二十五時間五十分を放映いたしました。特設ニュースで、新型コロナウイルスなどに関する衆参両院の議院運営委員会の質疑も中継で伝えました。いずれも、NHKプラスでは同時配信と見逃し配信を行ってございます。

 そうした国会中継でございますけれども、委員のように、あるいはほかの視聴者もそうですが、中継放送をもう少し充実したらどうかというふうに求める声があることも事実、承知してございます。その一方で、やはりニュースとか、あるいは生活情報とか、あるいは大相撲のようなものとか、そういった放送を求める、幅広い要望がございます。

 こうしたことを総合的に判断して、国会中継の放送やインターネット配信を実施しているということを御理解いただければありがたいと思います。

重徳委員 今、この質問も、今晩の深夜二時過ぎぐらいに放映されるんじゃないかと思いますが、もう少し見ていただけるような内容を、我々も努力していきたいというふうに思っております。

 最後に、先ほど道下委員からも指摘がございました、地方のNHKの報道体制というものを決して軽んじてはならないという問題を指摘をさせていただきます。

 ある指摘によりますと、二〇二一年二月十三日、福島県沖地震が発生をしてから、夜十一時七分に発生した地震なんですが、それから四十分以上たって初めて福島市からのNHKの中継があった、現場中継があったという話がございまして、これは民放より遅いという指摘がございます。あるいは、NHKのローカルニュースは民放よりも視聴率が低いという指摘もございます。

 この点を含め、地方を重視していただきたいと思いますが、最後に御答弁をお願いします。

稲葉参考人 災害報道は公共放送の重大な使命と位置づけてございまして、いかなる事態が起きましても確かな情報をいち早く伝えるよう取り組んでおります。

 地域放送局の宿泊勤務の体制などの検討、見直しに当たっては、災害報道や緊急報道などの、機動的に対応できる体制を確保するということを前提に進めてございます。特に、災害報道については、検証と改善を不断に行いながら、災害が発生した地域から速やかな情報発信ができるよう取組を強化していきたいと思っております。

 また、本部と地域の各放送局が連携を密にして、地域の皆様が必要とする情報を放送とインターネットを連動させて正確、迅速に、よりきめ細かく伝えていくことが重要だと考えておりまして、今後も地域住民の方々に寄り添った防災・減災報道に努めてまいりたいと考えております。

重徳委員 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村でございます。

 十五分いただきまして、質疑をさせていただきたいと存じます。

 今から三十年ほど前、まさにインターネットが日本にも導入されてきた頃ですけれども、これから時代は一人一放送局時代になるという話をしていました。もうそれから三十年ほどたちます。そして、今まさに、放送と通信の垣根がなくなる、放送と通信の大融合時代だという状況になってきているということを前提に、日本放送協会たるNHKさんが一体自らどのようなビジョンを持って将来像を描いてこれから経営をしていかれるのか、そのことについてまず議論をさせていただきたいと存じます。

 冒頭に、稲葉会長の方から、これから、NHKが自ら考える、一体どうしたいのか、NHKはどうあるべきなのか、どういう役割を果たすべきなのか。放送法第一条のくだりはもう何度もお聞きしていますので、そこはなく、稲葉会長のお言葉で聞かせていただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。

稲葉参考人 やはり、前提として、NHKがよって立つ放送法第一条に定められています内容について思いを致すわけですけれども、ここでは、放送の目的として、放送の効用を国民にあまねく普及し、表現の自由を確保して、健全な民主主義の発達に資するということがうたわれてございます。この目的の達成は、放送と通信の垣根がなくなってきている中にあっても、NHKが果たすべき普遍的な役割だというふうに思ってございます。

 したがって、この役割がしっかり果たせるよう、先頭に立っていきたいと思っているわけですけれども、基本的には、インターネット配信を通じて、こういった役割をどうやって具体的に果たすことができるのか。現状でもそういう取組はやり始めてはおりますけれども、現状、インターネット配信は放送の補助的なものだという位置づけでございまして、ちょっとこれは、社会のニーズ等々から考えると、ずれているのではないか。

 もう少し、社会のニーズに見合って、かつ、NHKが公共的な役割を果たせるような、そういうインターネット配信事業を展開できるといいというふうに思ってございますが、この辺のところは、例の総務省の有識者会議で現在鋭意検討中でございますけれども、その議論の推移を注視しながら対応していきたいと考えております。

市村委員 もちろん有識者の皆さんの御意見も大切でありますが、先ほど議論にもありましたように、やはり、NHKの職員の方、現場の声というのも大切であり、かつ、そういう声をまとめて、NHK自らが一体何をしたいのか。まさに自主自律ということをおっしゃっておられますし、これから新しいNHKのために大きな構造改革を行うとおっしゃっているわけでありますから、じゃ、どう構造改革を行うのか。

 しかし、その前に、一体、NHKが、この通信と放送の大融合時代に、垣根がない時代に、放送協会という、私からしたら、失礼かもしれませんが、放送というのはもう終わったコンテンツ、いわゆるオワコンだと思っておりますので、もうそういう発想ではなくて、先ほど実は、今日の冒頭に稲葉会長の方から、やはり二元体制は堅持するんだというお言葉があったので、ちょっと残念に思っているんですね。

 そうじゃなくて、二元体制を堅持じゃなくて、もうそれを突破するというところでの、大構造改革による新しいNHKの構築といいますか、再生が必要なのではないかと思うんですが、会長、いかがでしょうか。

稲葉参考人 私、日銀に勤めておりまして、そのときも、中央銀行とそれから民間の商業銀行と、二元体制で発展すべきが金融システムだというふうに認識しておりました。

 二元体制というのは割と考え抜かれたシステムでして、ある種公共的な役割をする、中心となる組織と、それから、その外側と言っては失礼ですけれども、周りにいる、イノベーティブな、民間の発想を自由に事業に展開できる民間事業者、その組合せというのは、市場経済の中にあって、なかなか意味のある組合せであるからこそそうなっているんだろうと思いますので、放送あるいは通信の分野にも同じようなことが言えるのだろうと思います。公共的な役割を果たすNHKと、いろいろなイノベーティブな事業を展開できる民間放送と、それが相まって、放送というものをあまねく国民に供給できる、効率的に供給できるということではないかと思います。

 インターネット配信についても全く同様のことが言えるのではないかというふうに思っております。

市村委員 ですから、私も、今おっしゃった、いわゆる公共の役割というのは大切だと思っていますし、まさにそこがNHKがこれからも担うべき分野だと思います。

 ただ、通信と放送というものの二元体制の維持ではなくて、いわゆる公共性をより重視した役割、NHKが、例えば公共メディアという言葉も使っておられます。ですから、その公共メディアというものの役割をNHKが私はもっと担ってほしい、これからも担ってほしい。そうすれば、いわゆる受信料の議論も後でちょっとしたいんですけれども、まだ受信料を払う意義もあるかなと思うんです。

 もはや、だから、何の情報をインターネットに載っけるのか。それこそ、インターネットだって、これは無線、有線、いろいろありますし、元々インターネットというのはウェブですから、どこかが途切れても絶対情報が伝わるということが元々の発想でありますので、むしろ、何か一方的にぱんと情報を出すよりも、さっきも議論がありましたけれども、その基地が潰れてしまったらもう終わりなんですね。そうじゃなくて、インターネットはどこが潰れてもどこかで情報が伝わるという役割なわけでありますから、だから、どこに情報を載っけるかということよりも、通信とか放送とかじゃなくて、公共メディア、公共の情報をどうあまねく伝えていくかということにNHKの役割はこれからもあるのかなと思っておるのですが、会長、いかがですかね。

 だから、私は、通信と放送の二元体制の維持ということじゃなくて、つまり、インターネットを補助的、補完的に使うということじゃなくて、何に載っけるかはおいておいて、NHKが果たす役割、ビジョンというのはどういうものかというのをちょっとお聞きしておきたいところでございますが、いかがでしょうか。

稲葉参考人 なかなか哲学論争みたいな感じになって、よく分からない面があるんですけれども、放送法の規定にもございますように、やはりNHKとしては、公共メディアでございますので、正確で公平公正な情報を発信し、豊かで良質な番組を幅広く提供し、それで健全な民主主義の発展と文化の向上に貢献するという役割があって、ここはゆるがせにできないところだというふうに思ってございます。

市村委員 今、まさに御指摘があったことは、つまり、放送法とか、いわゆる電波法とか、通信関係の法律とか、そこをやはり国会がしっかり議論しなくちゃいけないということを今御提案いただいたと私は思っております。

 そこで、ちょっと話が変わりますが、BBCが、あと五年後をめどに、今の受信料体制を見直すというふうに今考えておるようでございますが、NHKとして、次期の経営計画で、受信料による経営維持というものを見直すというお考えは全くありませんでしょうか。

稲葉参考人 今の受信料体制は、基本的には、放送法に定めてあるNHKの業務全体の経費を賄っていただくためにいただいているものでございます。

 結局、一つの放送に対して料金をいただくとかいうのとは違って、番組を配信する、あるいは国際放送を配信する、様々な業務をNHKがやってございますけれども、その業務全体を賄うための財源として受信料をいただいているということなので、個別の番組を切り出して例えば受信料をいただくとか、そういうやり方とは放送法上もなじまないのではないかというふうに考えてございます。

市村委員 また放送法については大議論が必要だと思います。

 BBCさんも、受信料を見直して、税金によるとか、又はペイ・パー・ビューでいくとか、いろいろ議論されると思います。是非とも、受信料ありきではなくて、そこも踏まえた上で今後の経営計画を立てられる、また、通信と放送の大融合時代に次の経営計画を立てられるべきだと私は思います。ただ、そのときは、やはりNHKさんが自主自律でお考えになるということが大切ではないかと思います。

 最後にですけれども、NHKさんは、これからはちょっとおいておくとして、これまでの役割は、戦前からラジオ、戦後のテレビ、本当にこれまでの御貢献、公共メディアのみならず、メディア一般に関する御貢献は多とします。

 そのときに、優れたコンテンツを今NHKさんはお持ちで、蓄積をされています。その一部を、白黒をカラー化したり、デジタル化したりして、今、それこそインターネットを通じて配信できるような状況になっていると思いますが、その優れたコンテンツを、NHKオンデマンドで月々九百八十円を取るのではなくて、二千円近く払っている、受信料を払っている皆さんに、私はこれはもう開放する、公開するということをすべきだというふうに考えておりますが、会長、いかがお考えでしょうか。

稲葉参考人 国民共有の財産である番組を広く国民に還元するということは大変大事なことで、特に公益上の意義の高い番組については、インターネットを活用して無料で公開してございます。例えば、NHKアーカイブスのポータルサイトでは、これまで制作してきた番組からテーマ別に再編集した、戦争証言アーカイブスや東日本大震災アーカイブスなど、およそ三万本のダイジェスト動画を公開してございます。

 一方で、この委員会でも御議論が出ていますが、過去の放送番組を配信する場合は、番組で使用した著作物の権利者や出演者などから別途許諾を得て使用料を支払うということなどが本当に必要で、これが大変煩瑣な作業になってございますし、コストがかかるということでもございます。そういうことであるので、NHKオンデマンドでは、視聴者の求めに応じて有料で提供するサービスとしているということでございます。

 貴重な映像資産である放送番組を広く還元していくということは本当に公共メディアの大きな役割と考えていますけれども、その提供方法については、やはり社会環境の変化に応じて適切な在り方を検討してまいりたいと思います。

市村委員 稲葉ビジョンにより新しいNHKが生まれることを期待して、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 地元関西空港のお膝元の泉州地区から参りました。

 本日は、稲葉会長並びにNHKの皆さん、お越しいただきましてありがとうございます。私が本日の最後のバッターとなりますので、よろしくお願い申し上げます。

 さて、稲葉会長は、ネット事業への進出を従来よりも更に推し進めていく、そういった方針を打ち出していただきました。先ほどの市村議員の質問に対する回答でも、社会のニーズ、そして時流に応じたものというお考えは理解ができます。

 そうであれば、他方で本来業務との関係というのも大事になってきまして、NHKというのは、日本の公共放送としまして、公平性、中立性、そして信頼性、事実を曲げずに報道するという観点がやはり強く期待されます。このような観点で、NHKの番組作成についてお聞きした上で、今日のインターネットの在り方の下でNHKが果たす役割について本日はお聞きしたいと思っております。

 さて、信頼性におきまして、残念ながら幾つかの事案、問題もありました。平成二十六年の五月の「クローズアップ現代」のやらせ疑惑であったり、平成三十年四月の「クローズアップ現代+」の不適切契約に関する放送であったり、令和三年のBS1スペシャルの不適切字幕問題といった形で問題点が指摘がされまして、その対策が講じられるわけなんですけれども、その不適切字幕問題への対応策として、全国での勉強会の実施と研修、人材育成の強化が盛り込まれましたけれども、これはどの程度具体的に今進められているか、若しくは、具体化の上でそこに関わる予算はどうなのか、また、新たな会長の下で検証の動向を含めて教えていただきたいと思います。

林参考人 今般、BPOからは、重大な放送倫理違反があったという御意見を真摯に私ども受け止めております。この問題を受けまして、本部や地域の各部局にコンテンツ品質管理責任者というものを配置し、番組などの内容の正確さやリスクについてチェックを強化しておるところでございます。

 また、放送前の試写には、その番組の制作を直接担当していない管理職などを参加させて、第三者の目線から内容をチェックする複眼的試写も行っております。去年四月からの半年間に全国で千百回近く実施し、現在もこの仕組みを継続しておるところでございます。

 また、今回明らかになった課題を放送現場の職員に共有しまして、再発防止を徹底するため、全国で合わせて二百四十回の勉強会を実施をいたしました。

 さらに、今回問題が発生したBS1スペシャルにつきましては、番組の提案、採択から放送までトータルでチェック機能を働かせるための事務局を本部に設置をいたしました。全てのBS1スペシャルにつきまして、匿名インタビューの必要性や内容の真実性をチェックするシートの提出を義務づけております。

 こうした直接的な対策に加えまして、新人層、中堅層、幹部登用など様々な段階で行う研修を通じて、放送ガイドラインの原点に立ち返る人材育成の取組を徹底してまいります。

 再発防止策に係る経費につきましては、番組の取材、制作や研修など、従来の予算の中で対応してまいります。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 しっかりと対応していっていただきたいと思いますし、公平性、中立性に加えて、やはり信頼性なるものを非常に大事なものだと捉えております。

 そういったところで、本日も、ちょっとお話がありますけれども、放送法第四条に基づいてということでして、これからインターネット事業に関して、放送でも、本来は気をつけていただいていてもこういった事案も出てくる、その対策を練る。そこで、インターネットに進出した場合、その辺りの、この放送法第四条に基づく、公平性であったり、中立性であったり、信頼性であったりがしっかりと担保できるのかどうかということをお聞きしたいと思います。

 テレビ放送とインターネットのこれまでの関係性について申し上げますと、インターネットにもテレビ放送に求められる編集基準を当てはめようという議論もかつては存在しました。一方で、放送法第四条を撤廃するという形で、テレビ放送を逆にインターネットに近づけるというような議論もされてきました。いずれの議論も現実化することなく、テレビ放送、インターネットと、これは別としてされている状況と言えます。

 現代のインターネットの方の情報を俯瞰して見るに当たり、残念ながら、SNSなどを見てみますと、やはりフェイクニュースも含めて情報が非常に氾濫していると思います。情報伝達環境の発展や社会環境の発展によって、番組を作る基準について改めて再考する必要があるんじゃないかなと思います。

 先ほど伺いましたNHKにおける正確かつ公正報道をめぐる問題が昨今の情報空間の変化に対応していくためにも、この放送法第四条の番組編集準則について考えていく意義はやはり大きいと思いますので、まずは総務省にお聞きしたいと思います。

 この放送法第四条は法規範性を有するものなのでしょうか。つまり、法規範性が認められるとき、違反にはやはり制裁が科される場合もあり得るということなんですね。

 政治的公平の適合性について補充的説明、すなわち、放送局の各番組全体を見て判断するのではなく、一つの番組でも、国論を二分する課題について、他の見解のみを取り上げて相当の時間繰り返す番組などは四条違反に当たる解釈というのも総務省の見解がありましたけれども、そのことも含めて確認を、総務大臣、お願いいたします。

松本国務大臣 まず、法規範性についての御質問ということで御答弁を申し上げたいと思いますが、放送法第四条一項に定められているいわゆる番組準則は、昭和二十五年の放送法の制定当初から、放送事業者が放送番組を編集するに当たり守るべき規律として規定をされておるというふうに理解をいたしております。

 総務省としては、例えば、平成二十二年十一月二十六日、参議院総務委員会において当時の平岡大臣も答弁をされておられるとおりで、従来から、法規範性を有するものというふうに考えております。

 平成二十八年三月の放送法第四条に関する質問主意書に対しても、政府として、放送法第四条は、文理上も法規範性を有することは明らかと答弁をさせていただいております。

 なお、二十八年の政府統一見解については、既に申し上げているとおり、解釈を変更したものではなく補充的に説明をしたものというふうに申し上げていますが、二十八年の政府統一見解におきましては、その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するとしてきたもので、この従来からの解釈の変更については、何ら変更はないというふうに申し上げた上で、その際、番組全体を見て判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体であり、一つ一つの番組を見て、全体を判断することは当然のことであるというふうに申し上げてきたところでございます。

 この放送番組全体を見て判断するという考えの下、一つの番組でも極端な場合においてはということで、一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないことがあることは、昭和三十九年四月二十八日の参議院逓信委員会において政府が答弁をしているところでございまして、私どもとしては、これまでの解釈を変更したものとは考えておらず、放送行政を変えたとも認識していないところでありますが、やはり適切に、慎重かつ適切に法にのっとって放送行政を行うことが大切である、これまでの姿勢をこれからも引き続き進めてまいりたいと考えているところでございます。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 答弁でもおっしゃっていただいたことは、それはそのとおり受け止めるとしても、政府は、平成五年の椿発言というのがありましたけれども、それ以降、番組編集準則に法規範とする解釈を、今の答弁もありましたけれども、明確に打ち出しているのは理解しております。

 一方で、放送倫理検証委員会や放送人権委員会等は、あくまでも倫理規定であるとしているんですね。こういった学説も優勢であるのも事実です。

 政府見解がちょっと、そういった意味で食い違う状況が三十年ほどあったところも混乱の原因ではないかなと思うんですけれども、それでは、この放送法四条の番組編集準則について、NHKの認識としては倫理規定であるのか、それとも法規定であるのか、教えてください。

稲葉参考人 放送法第四条の規定、法規範性を有するか否かに関しては見解が分かれているのではないかというふうに思っておりますが、この四条の書かれている内容につきましては、放送番組の編集に当たって政治的に公平であることなど、放送事業者が遵守すべき事項を定めたものというふうに考えております。

 NHKとしては、そうした放送法にのっとり、事実に基づいて、公平公正、不偏不党、何人からも規律されることなく、自らを律して放送に当たっていて、今後ともその姿勢に変わりはないということでございます。

 政治的公平性についても、こうした自律的な取組の中でしっかり確保していくということでございます。

伊東(信)委員 しっかりと、法規範でありますという単純なお答えが欲しかったわけなんですけれども。

 しっかりとこの放送法四条に基づくのであれば、インターネットの話を聞きたいわけなので、最後、インターネットの、新しいNHKにおける情報空間におけるファクトチェックをしっかりとNHKには主導していただきたいという思いがありまして、今回の質問をさせていただいております。

 時間も少なくなってきましたので、NHKがファクトチェックをリードするような立場の姿勢を示す前提として、今、日本ファクトチェックセンターというのがあります。このファクトチェックセンターについて、やはり検証対象にテレビや新聞が外れている、そして、運営体制が、一つの新聞社に主要編集者が含まれているところもございますけれども、こういったところで、ファクトチェックについて、NHKは、今、ファクトチェックセンターについての御感想、御意見があればそれもお答えいただきたいんですけれども、ファクトチェックについて、第三者的なあるいは国際的な枠組みを主導、構築する今検討があるのかどうかを最後にお尋ねしたいと思います。

林参考人 お答えいたします。

 偽情報、誤情報対策の取組は、国内の様々な報道機関や組織、団体などが、それぞれの御判断で進めているものと承知しております。

 NHKとして、偽情報、誤情報への対策の重要性は認識しておりまして、放送、デジタルを問わず、正確で多角的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。

 国際的な枠組みにつきましては、NHKは去年十一月から、日本のメディアとしては最初に、偽情報の拡散を防ぐための国際パートナーシップでありますトラステッド・ニュース・イニシアチブ、TNIに加わっております。日本のメディアとして、日本に関する偽情報、誤情報をTNIのほかのメンバーに伝えるなど、具体的な事例の共有を図っております。

 また、今後、NHKとしても、取材などで蓄積してきた知見を各国のメディアなどとも共有することも検討しております。

 インターネットなどで様々な情報が拡散する中、繰り返しになりますけれども、正確で多角的な報道を行うための努力を不断に進めてまいります。情報の社会的基盤としての役割を果たしていきたいと考えております。

伊東(信)委員 期待と注視をさせていただきますので、しっかりとよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次回は、来る十六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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