衆議院

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第9号 令和5年4月6日(木曜日)

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令和五年四月六日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      石橋林太郎君    金子 恭之君

      川崎ひでと君    国光あやの君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      杉田 水脈君    田所 嘉徳君

      土田  慎君    中川 貴元君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      務台 俊介君    山口  晋君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   デジタル副大臣      大串 正樹君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  吉川 徹志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 原  典久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (内閣府地方分権改革推進室長)          加藤 主税君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           黒田 昌義君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大橋 一夫君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  清水 正博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            竹村 晃一君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       山内 智生君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     土田  慎君

  保岡 宏武君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     古川 直季君

  山口  晋君     石橋林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     保岡 宏武君

    ―――――――――――――

四月五日

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官吉川徹志君、内閣府大臣官房審議官原典久君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、内閣府地方分権改革推進室長加藤主税君、内閣府地方創生推進室次長黒田昌義君、警察庁長官官房審議官大橋一夫君、総務省大臣官房総括審議官鈴木信也君、行政評価局長清水正博君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局公務員部長大沢博君、自治行政局選挙部長森源二君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長池田達雄君、国際戦略局長田原康生君、情報流通行政局長小笠原陽一君、総合通信基盤局長竹村晃一君、サイバーセキュリティ統括官山内智生君及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。

佐々木委員 おはようございます。自由民主党の佐々木紀でございます。

 ちょっと花粉症でお聞き苦しい点があろうかと思いますけれども、御容赦いただきたいと思います。

 今日は、情報通信及び電波に関する件について少しお伺いをしたいと思います。

 ドローンについて少し質問をさせていただきたいと思います。私はかねてから、ドローンのようなものが当たり前に飛ばせる国にするべきだということを考えておりまして、日本というのは、割かし規制ががちがち、少なくともそういうイメージがある国ですけれども、やはりドローンが飛び交う社会になれば、何か日本も変わったな、そういうふうになるんではないかなというふうに思うわけです。

 これから日本は、人口減少、少子化で人手不足も顕著になってきますから、こういった社会課題を解決する上でも、こういうドローンのようなテクノロジー、イノベーション、こういったものを社会に実装させて、それに更に規制緩和というのもスピーディーに進めながら社会を変えていく必要があるんではないかな、そういうふうに思います。今日は、そういった観点から御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、電波とか周波数というものは余り詳しくないわけですけれども、全くのど素人と言いたいところではございますけれども、質問を考えながら、高校のとき、アマチュア無線の資格を取ったななんて思い出しながらやっておったわけであります。

 今日、電波のことについて、ちょっと詳しい、何というか、深い質問をさせていただきますけれども、なぜこういうことを質問しようかなと思ったきっかけが実はありまして、昨年末に、私自身のパーティーをしたときに、ちょっとドローンショーを皆さんに披露しようかなと思ってお願いをしたんです。

 ホテルの部屋の中でドローンショーを披露するということで、リハーサルをやったんですよね。リハーサルはもう見事に、きれいに、すぱんと成功したんですよ。これで、来場された皆さんは喜んでくれるなと思って、準備万端進めてきて、いざ会場を開けて、来場者の人もばんばん入ってきて、さあ、これからスタートしますといったときに、混線してしまって、リハーサルでは見事に成功したドローンショーが、結果的には失敗してしまったんですね。

 やはりこんなことってあるんだと。つまり、電波が混線して、思うように動作しなかったということがあったわけなんです。それで、この電波というのはどうなっているのかなということを調べて、今日の質問に至っているということです。

 これからやはり、ドローンというのは、屋内のみならず屋外でも様々飛び交ってくる時代になっていくわけですよね。先日も、新聞の記事なんですけれども、三月の二十四日に、日本郵便がドローンの実証実験に成功したという記事が出ておりました。東京都の奥多摩でやったんですけれども、いわゆるレベル4ですね、操縦者が目視せずに有人地帯を自動飛行する、国内初飛行に成功した、ドローン宅配の幕開けだ、ドローン時代の幕開けだということで新聞の記事になっていたんです。

 ドローンは、やはりこれから物流や農業、インフラや橋梁の点検、あるいは空撮、測量、災害現場での活用、そしてこういうドローンショーなどのエンターテインメント、本当に幅広い分野での活用が期待をされているわけです。

 そこで御質問ですけれども、こういったドローンなどの無線技術、これから広く一般社会で活用されていくことになりますけれども、海外製品を使ったサービス構築も不可欠。なかなか、日本独自で開発した製品を使うのみならず、海外で普及している製品を国内で使うということもやはりあるわけですけれども、このときに日本の規制がガラパゴスな規制であると、海外の製品が日本で使えない。海外で便利に使われているものでも日本で使われないということになると、やはりそれはそれで日本にとっては余りいいことではないということです。一方で、国内でも新しい開発があるんですけれども、それを海外展開できないというようなこともあるわけなんですね。

 国内の新しいデジタル技術の開発やサービス展開、海外での展開が遅れたりということもあるわけですから、やはり日本独自のこういったガラパゴスな規制は是正すべきだ、海外の規格との整合性を取ることが重要なのではないかということを私は考えるんですけれども、総務省としてどのような認識をお持ちか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 無線設備の規格である技術基準につきましては、我が国を含め各国とも、国際的に配分された周波数の範囲で、国内の周波数の利用状況などを踏まえて策定しております。

 その一方、委員御指摘のとおり、技術基準につきましては、海外の新しいサービスの展開が遅れたり、我が国の無線技術などの海外展開が阻害されることがないよう、できる限り国際的な整合性を確保することが重要であると考えており、これまでも必要に応じて柔軟に見直しを行ってきているところでございます。

 一例を申し上げますと、スマートメーターなどに使われている電子タグにつきましては、欧米での割当てを踏まえ、日本独自の割当てとなっていた九百五十メガヘルツから九百二十メガヘルツ帯への周波数移行を実施し、国際的に整合性の取れた周波数割当てとなるように見直しを行いました。

 また、本年三月には、二・四ギガヘルツ帯無線LANなどの技術基準や無線設備の認証試験の方法について、欧米との整合性を図るための見直しの方針を有識者会議において取りまとめ、これを踏まえて、秋頃に必要な制度整備を行うこととしております。

 総務省としては、関係者からの意見や要望を踏まえて、新しいデジタル技術を活用したサービスの迅速な導入、展開に向けて、海外の規格との整合性が確保できるように取り組んでまいります。

佐々木委員 ありがとうございます。そういう方向だということだと思います。

 それで、資料を今日配付させていただいています。それを御覧になりながら、これからちょっと話を進めていきたいというふうに思うんです。

 海外との整合性を取るべきだということなんですけれども、例えば、このドローンの周波数帯はどうなっているかというようなお話なんですが、ドローンを使う場合は、主に電波で使う場合と、電波と言うと変な言い方なんですけれども、携帯電話のような周波数を使う場合と、WiFiですね、無線LANを使うケースと二つあるわけですけれども、まず、携帯の周波数を使う場合について少しお伺いします。

 この資料一の、携帯電話の周波数というのは実はここにはまだ載っていないんです。この二・四の外にあるんですけれども、この図の外側に携帯の周波数はあるのでここには載っていないんですけれども、この表の中でいうと、ISMバンドと書かれているところ、例えば二千四百とか二千五百と書いてあるこの帯域、ISMと書かれています。あるいは、その次に、もう少し右側へ行くと、五千六百五十から五千八百五十と書いてあるところの上に、産業科学医療用、ISMと書かれています。このISMバンドというのは、いわゆるインダストリー、サイエンス、メディカルということで、産業、科学、医療。産業用として、商用として使える帯域なんですね。

 しかし、海外へ行くと、あらゆる製品はこの帯域を使えば世界大体どこでも使えるということで活用されている帯域なんですけれども、実は、この五・八ギガ帯、この部分が日本ではなかなか使われていないということなんです。

 なぜならば、これを見ると分かるんですけれども、同じ帯域にもう幾つも乗っかっているんですね、用途が。DSRCとかアマチュアとか各種レーダーとかがいっぱい乗っかっていて、結局、ISMバンドはドローンのような産業用の製品が使えないような形になっているわけなんです。

 やはりこれは早く是正をした方がいいと思うんですけれども、この辺について御見解をお聞かせください。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 五・八ギガ帯を使っているシステムのうち、特にETCのシステムは高速道路の料金収受などに用いられ、広く国民に普及していることから、仮に五・八ギガヘルツ帯をドローンで使う場合には、ETCシステムに妨害を与えるおそれがあります。

 このため、五・八ギガヘルツ帯をドローンに広く使用させるために既存のETCシステムの周波数移行や再編を行う場合には、多くの利用者に影響を与えることなどから、中長期的に取り組む必要がある課題と認識をしております。

 ただし、一方、現在でも、既存のETCシステムに影響を与えるおそれがない地域や期間において、ドローンについて、実験試験局の免許取得が可能となっております。

 このため、実験試験局での利用状況なども踏まえた上で、ETCシステムの影響を避けながら五・八ギガ帯をドローンで利用するための方策についても併せて検討をしてまいりたいというふうに考えております。

佐々木委員 実験、試験という形なら今でも使えるということですので、個別の相談でもいいですので、是非応じていただいて、なるべく使えるようにしないと、こういうのがまさにガラパゴスな規制と言われていくので、是非前向きに、使えるように検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、資料二枚目を見ていただくと分かるんですけれども、ドローンを、じゃ、上空で無線LANで使おうとすると、もうほとんど使えないんですね。

 二・四ギガ帯以外は全部バツバツバツということになっているんですけれども、是非、この状況を踏まえて、二・四ギガ帯は物すごく混雑しているんですよ、電子レンジとかブルートゥースとかも全部この二・四ギガ帯を使っていて、更にドローンもここでしか使えないということになると、先ほど説明したような混線の状況が起こってしまうということなので、是非ほかの帯域でも使えるようにすべきだと思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

竹村政府参考人 委員御指摘のとおり、二・四ギガヘルツ帯については混雑状況にあり、ドローンの利用が可能な無線LANの周波数の拡張が必要と認識をしております。

 現在、五・二ギガヘルツ帯及び六・五ギガヘルツ帯において、上空利用は、気象レーダーや衛星など他の無線システムとの混信の問題から、認められておりません。

 しかし、上空利用により混信が生じないエリアを調査し、ドローンの利用を可能とすることも考えられるため、今後できるだけ速やかに検討に着手をしたいと考えております。

 なお、六ギガヘルツ帯無線LANにつきましては、現在、周波数幅の更なる拡張について、令和五年度末に結論を出すことを目指して、情報通信審議会において検討を実施しております。この拡張する六ギガヘルツ帯の無線LANの周波数においても上空利用が可能となるよう、検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

 総務省としては、今後とも、ドローンの利用が可能な周波数の拡張に向けて積極的に取り組んでまいります。

佐々木委員 ありがとうございます。

 今、局長が御説明いただいたものは、資料一の周波数拡張に向けた検討対象という、これは六千四百二十五から七千百二十五とあるんですけれども、この帯域のことをおっしゃっているんですね。

 ですから、これを今から開放していくということなので、これを開放するに当たって、二・四ギガ帯の混雑状況を踏まえて、是非柔軟に使えるようにするということと、これは、下を見ると海外の状況がありますけれども、もうどの国も大体これは無線LANで使えるようになっているわけですから、今から拡張する部分に関しては、是非、イコールフッティング、海外と同じような条件で使えるようにしていただきたいというふうに思います。

 ドローンが当たり前に飛ばせる国に是非していきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 時間が来ましたので、質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 おはようございます。公明党の輿水恵一でございます。

 本日は質問の機会をいただきましたことに、心より感謝を申し上げます。

 早速質問に入らせていただきます。

 初めに、革新的情報通信技術の研究開発について伺います。

 国立研究開発法人情報通信研究機構に、昨年なんですけれども、革新的な情報通信技術の研究開発を進めるための恒久的な基金である情報通信研究開発基金が設けられました。

 今日、社会のデジタル化が進む中で、情報通信技術の開発競争は年々熾烈になっております。現在、社会への実装が進められている5Gネットワークの基盤となる通信基地局の整備における日本の企業の市場シェアは、残念ながら一%台と、後塵を拝しております。

 今後、世界のデジタル化が急速に進展する中で、次世代通信インフラである6Gの市場は膨大になることが予想をされます。ここでそのシェアをどの程度獲得するかが、我が国の経済の繁栄と発展を大きく左右すると言っても過言ではないと思います。

 そこで、総務省として、次世代通信インフラである6Gの市場を獲得するために、具体的にどのような狙いで、どのような技術を開発しようとしているのか、当局の考えをお聞かせください。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のビヨンド5Gは、あらゆる産業や社会活動の基盤になると見込まれる次世代の基幹インフラであり、主要各国が研究開発投資計画を公表して世界的に開発競争が進んでいるのは、委員御指摘のとおりでございます。

 また、DXの推進などもあり、我が国の通信トラフィックは大幅に増加傾向にあるところでございまして、このまま技術革新がなければ、通信インフラの消費電力も大幅に増大するものと懸念されております。

 こうした我が国の国際競争力の強化、またICT分野におけるグリーン化の必要性といった課題を踏まえまして、昨年六月の情報通信審議会の答申におきましては、このDXを支える通信インフラの超高速化、低遅延化を図りながら、大幅な省電力化などを実現するオール光ネットワーク技術などを始めとする重点三分野について、技術開発などを強力に推進すべき旨提言されたところでございます。

 総務省といたしましては、先ほども御指摘ありました、昨年秋の臨時国会においてお認めいただきました法律と予算に基づき、必要な手続を進めてきたところでございまして、本年三月、NICTに研究開発基金を造成したところでございます。今後、この基金を活用させていただきまして、先ほど申し上げたオール光ネットワークなどの技術分野を中心として、社会実装、海外展開をきちんと見据えた研究開発を重点的に支援してまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさにこれから情報通信量がますます増えていく、また、データセンターもどんどん増えていく。となると、やはりそこに電力というのが必要になります。その電力に対して、より消費電力の少ない、そういった通信技術として、今御紹介いただいたオール光ネットワーク技術、大事な、本当に大事なものである、このように思っております。

 そこで、当然、5Gの技術開発においても世界をリードすることを前提に様々な取組を進めてきたことと思いますけれども、今回の取組について、5Gの出遅れの原因をどのように分析をして、いよいよ6G、いわゆるビヨンド5Gの技術開発と市場の獲得に向けて基金をどのように運用しようとしているのか、その戦略をお聞かせ願えますでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 5Gで日本が出遅れた原因といたしましては、世界の情報通信産業では、グローバルな市場を前提とした規模の経済を最大限活用した競争というものが進展する中で、我が国企業は、どちらかというと国内市場での対応を重視して、必ずしもグローバルな動向への対応が十分ではなかったのではないかと考えております。

 また、我が国の情報通信産業は、国際的に見て、総じて高い技術力を有していると評価される一方で、必ずしもそれを、こういった事情もあり、大きなグローバルなビジネス、事業につなげていくことができてこなかったというように認識しております。

 一方で、海外のベンダーは、グローバル市場を見据えまして、大規模な研究開発投資を行いまして戦略的に取り組む一方で、そうしたことから、我が国の企業はこの流れに乗り遅れていることと、また、私ども国も、研究開発投資支援も十分ではなかったのではないかと考えているところでございます。

 こうした教訓を踏まえまして、新たな基金では、従来の研究開発を主目的とする発想ですとか国内市場への導入を念頭に置いた発想から脱却しまして、基本的にグローバルな視点に立ち、企業の自己投資も含む思い切った開発投資を行い、社会実装、海外展開を強く意識した開発プロジェクトについて重点的に支援を行うことが重要かと考えております。

 このため、総務省におきましては、本基金事業の実施に当たりまして、市場や経営、ビジネスの視点も踏まえた事業面からの評価の在り方について、情報通信審議会のワーキンググループで御審議いただきまして、その結果も踏まえまして、従来の技術面の審査に加えて、社会実装、海外展開に向けた事業面の計画などについてもきちんと評価する形で進めるよう、NICTに対して通知を行っているところでございます。

 また、総務省といたしましても、この研究開発プロジェクトの進捗状況を今後しっかりとフォローしながら、円滑な海外展開に向けた国際標準化や国際的なコンセンサスづくり、ルール形成など、グローバル市場で競争していく我が国企業を後押しするための環境整備に努めてまいりたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに基金の運用については、技術面の評価に加えて、社会実装や海外展開を見据えた、経営やビジネス面での取組や計画を重視すること、大変重要であると思います。

 ここで、具体的なプロジェクトの評価やモニタリングなどを実施するための人材や体制の確保は非常に大事だと思います。どのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。また、事業者においても、技術面に加えて、ビジネス面での戦略を強化してもらう必要もあると思います。どのように事業者の取組を促していくのかについてもお聞かせ願えますでしょうか。

田原政府参考人 お答え申し上げます。

 新たな基金におきまして、特に事業面についての評価やモニタリングを適切に実施していくため、主として経営ですとかビジネスを専門とする外部有識者により構成されるワーキンググループを、先ほど御答弁させていただいた情報通信審議会に設置したところでございまして、こちらのワーキンググループにおいて、プロジェクトの採択評価における事業面からの評価項目ですとか、プロジェクト採択後のモニタリングに当たって留意すべき事項などについて御議論いただいて、本年三月にその取りまとめを公表させていただいたところでございます。

 基金事業の実施に当たりましては、このワーキンググループの取りまとめを踏まえまして、NICTにおける研究開発プロジェクトの採択時には、このワーキンググループの構成員も採択評価に参画して事業面の審査を行っていただくということのほか、プロジェクトの採択後も、プロジェクトの主要な実施企業などの経営者からワーキンググループにおいて取組状況を説明していただくなどして、事業面からのモニタリングを定期的に実施するなどして、この基金事業を適切に実施する体制を整備したいと考えているところでございます。

 また、NICTに対しても、これまで以上に基金の適正な管理、運用を行うための体制を整備するよう、中長期目標の変更を指示したところでございます。

 各事業者におきましては、こうした今回の基金による新たな取組を一つのきっかけとしていただきまして、研究開発部門と事業部門の間の連携を強化して、出口をより強く意識した戦略的な取組を推進、展開いただくことを強く期待しているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 まさに研究開発に向けて、出口をしっかりと意識した、そういった取組を進めていただければと思います。

 まさに、日本発の技術を活用したビヨンド5G、6Gのインフラ市場における日本のシェアの獲得に向けて、諸外国との連携や協力は不可欠であると思います。そして、日本発のオール光ネットワークインフラによるDXとGXを両立させる未来像を世界の人々と共有する上で、今回のG7は絶好の機会であると思います。

 GXとDXの両立の必要性、重要性といった日本が目指すビジョンについて、まずは先進諸国から理解、賛同を得て、世界に発信をし、また、海外展開への道を大きく開くべきと考えますけれども、松本大臣の意気込みをお聞かせ願えますでしょうか。

松本国務大臣 今御議論もございましたように、ビヨンド5Gの技術開発に当たっては、局長からも御答弁申し上げたところですが、社会実装、海外展開の視点を持って進めてきているところでございます。特に、海外展開を見据えた場合には、我が国が開発する技術が広く国際的に受け入れられるよう、環境整備を図ることが大切であると考えております。

 このため、我が国が目指すビヨンド5Gのビジョンについて広く国際社会の理解、賛同を得られるよう、米国、EU、ドイツ、シンガポールといった国々との政府間対話を通じて発信に努めてきたところでございます。

 特に、今委員からも御指摘がございました、DXに加えてGXの実現にも資する極めてエネルギー効率の高い光電融合技術や、オープンで相互運用可能なネットワーク構成の推進といった分野で、我が国が世界で主導的な立場を確保することを目指しております。

 今月下旬に開催されるG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合は大変貴重な機会であるというふうに私も考えております。このG7大臣会合では、安全で強靱なネットワークインフラ構築について議題の一つに挙げておりまして、その中で、我が国が目指すビヨンド5Gのビジョンを踏まえた形で、無線のみならず有線も含めた次世代ネットワークの将来ビジョンについて合意が得られるよう、各国と議論を進めておるところでございます。

 各国の理解、賛同を得て、G7として一致したメッセージを世界に発信できるよう、議長国として各国との調整を鋭意進めてまいりたいと思っております。

輿水委員 是非よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。

 最後に、自治会等のデジタル化への支援について伺います。

 現在、人口減少と高齢化により、自治会等の地域住民の支え合いによる組織が弱体化し、地域コミュニティーを維持することが難しくなっているように思います。

 そこで、総務省として、そういった自治会等にデジタル化をしっかり進めて、デジタル技術を活用して、持ち回りの回覧板だとか、それをデジタル回覧板に移行したり、いろいろな会議をリモートでできるようにというふうな形で、デジタル技術を活用しての地域コミュニティーの再構築が必要だと思いますが、具体的にどのようなことを考えているのか、また、今どのようなことを進めようとしているのかにつきまして、お聞かせ願えますでしょうか。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 多くの自治会等におきまして、加入率の低下や担い手不足等の課題があるというふうに認識をしております。

 こうした認識の下で、総務省では、令和三年度に地域コミュニティーに関する有識者会議を開催いたしまして、昨年四月に公表されましたこの有識者会議の報告書の中では、市区町村が自治会等の地域活動のデジタル化に向け積極的に取り組むことが有効であるという御提言をいただいたところでございます。

 これを踏まえまして、昨年度は、自治体職員との意見交換会、説明会を実施したところでございますが、今年度につきましては、電子回覧板等の機能を有する地域交流アプリを約五十の自治会に活用していただき、その効果を検証する実証事業を行うこととしております。

 今後とも、地域活動のデジタル化を含め、自治会等の活動の持続可能性の向上に向けた市町村等による支援が進むこととなるよう、しっかり取り組んでまいります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 私も、二期四年間、千三百世帯の自治会の自治会長もやらせていただいて、現場の苦労がよく分かっておりまして、一方で、その大切さもよく分かっておりまして、しっかりとしたデジタルを活用した支援も是非進めていただければと思います。

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

浮島委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。よろしくお願いします。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、総務省の行政相談委員制度についてであります。

 行政相談は、委嘱された行政相談委員が、地域で、身近な場所で行政機関への苦情や意見、要望を受け付け、担当行政機関へ伝え、行政制度の運営や改善に生かす制度であります。

 行政相談委員は、総務大臣の委嘱によるものです。任期は二年。全国に五千人おられます。行政相談委員が相談所を開設した場合、実費弁償として一日に千百円が支給され、月に一、二回開かれております。年間で数万円の実費弁償であります。いわゆるボランティアであります。残念ながら、全国的には欠員が生じている現状であります。

 この行政相談委員の方が都道府県ごとに協議会をつくっておられますけれども、その会費は年間で五千円であります。年間の合計で数万円の実費弁償から年間五千円の参加費を協議会へ支払っていらっしゃる、こういう状況であります。

 行政相談委員の活動は実費弁償で、ボランティアですので、協議会ぐらいは、ぐらいはと言ったら失礼ですね、協議会の参加費は総務省が支出すべきと考えますけれども、この点、地域の相談委員の方からもお声をいただいておりますけれども、御答弁いただきたいと思います。

清水政府参考人 お答え申し上げます。

 行政相談委員は、国民の身近なところで相談を受け付けていただくために、総務大臣が委嘱している無報酬の民間有識者でございまして、全国で約五千人に御活動いただいているところでございます。

 御指摘いただきましたように、行政相談委員がその業務を遂行するために要する費用につきましては、行政相談委員法に基づき、国が実費弁償金として支給をしてございます。

 一方、御指摘の行政相談委員協議会でございますけれども、主に行政相談委員相互の親睦や連携などを図るために委員が自主的に運営されている任意団体ということでございまして、その会費に国費を充てることは難しいのではないかというふうに考えてございます。

 総務省といたしましては、引き続き、行政相談委員が開設する相談所の応援、委員活動に資する様々な情報の提供など、委員の皆様の現場での活動をしっかり支援してまいりたいと考えてございます。

 以上でございます。

湯原委員 御答弁では、法律に基づいて実費弁償をしているということで、自主的に運営されているので協議会への参加費は難しいのではないか、こういう御答弁だったと思います。

 総務大臣、私がどうして国会の総務委員会でこの行政相談委員制度の、それも会費についての質問をしたかというと、私は思っておりまして、これは省庁は違いますけれども、民生・児童委員、民生委員もありますね、こういったものが厚労省関係で、あるいは人権擁護委員、保護司、これらもあるわけですが、ほとんどがボランティアに近い状況なんです。あと、総務委員会でいつも議論になるのは、消防団員の皆さん方がやはりなり手不足。今、統一地方選挙、前半戦が今度ですけれども、後半戦もあるんですけれども、地方議会議員も今非常に不足している、こういう状況が全国的にあると考えております。

 ちなみにでありますけれども、行政相談委員の充足率は九六・五%、民生委員の充足率は九三・七%、人権擁護委員の充足率は八七・七%、保護司の充足率は八九・四%。九割を超えているからいいと捉えるのか、やはり充足していないと捉えるのか、これはいろいろ捉え方もあると思います。

 私は、ここで申し上げたいのは、やはり、地域において、行政相談委員の皆さんや民生委員さん、様々な委員の方が、崇高な精神、気持ちで、ボランティアで地域のこういったことを、役職をやっておられる、こういう状況であるわけでありますけれども、残念ながら、以前はそれで通用してなり手があったんですけれども、だんだんそういう状況ではなくなってきたのではないか。社会全般的にも、国民一人一人の意識にとっても、そこまでの思いを、なかなかなってきていないんじゃないかなというふうに思うんです。

 一方で、社会はどうなったかというと、まさにこうした行政相談、地方分権が進めば進むほど地域で相談も増えてくるでしょうし、あるいは、格差が拡大する中で、民生委員さんとかあるいは人権擁護委員さん、もしかしたら保護司さんの出番が増えてくる、こういう状況が反比例するかのように出てきているんじゃないか、こういうことであります。

 今回、行政相談委員の方を取って質問をさせていただいたわけでありますけれども、ボランティア精神にのっとって委嘱をするのは、もちろん是とはしますけれども、負担を感じさせるような状況の中ですれば、結果的に充足率がどんどん下がっていって、制度そのものが厳しくなる、こういう認識を私は持っております。

 改めて、先ほど、自主的な運営であるので協議会の参加費までは難しいとおっしゃったわけでありますけれども、実費弁償千百円についても、法律で決まったからって、法律を変えればいい話でありまして、一日千百円ですよ、月に二回出て二千二百円。年間で数万円で、行政相談を受けて、地域の役場にそれを伝えて苦情を処理したりされているという。

 ほかの人権擁護委員、民生委員さんもそうであると思いますけれども、改めてこの点について、今の地域状況、社会の状況を考えたときに、あるいは国民の意識を考えたときに、こうした実費弁償の部分の在り方も見直すべきではないかと思いますけれども、総務大臣の御答弁をいただきたいと思います。

松本国務大臣 委員からお話がございましたように、ボランティア精神に基づく役職、大変崇高な使命感に基づいて御貢献をいただいていること、私どもとしても、社会の一員として深く感謝をしなければいけないというふうに思っておりますが、その中で私どもが担当しております行政相談委員の皆様は、国民に身近な相談窓口として、お困り事のある方々に寄り添い、その解決に向けて活動していただいており、国民と行政の懸け橋となる大事な存在であるというふうに認識をいたしております。

 行政相談委員の皆様に少しでも報いることができるようにと思って考えているところでございますが、これまで、各種研修の実施や総務大臣から地方公共団体の首長への協力要請など、行政相談委員の皆様が活動しやすいよう支援に取り組むとともに、長年の功労のあった方々に対し、内閣総理大臣からの感謝状や総務大臣表彰、感謝状をお渡しするなど、顕彰を行ってきたところでございます。

 費用負担について、実費弁償としておりまして、先ほど御答弁申し上げたように、親睦等を図るための会費に国費を充てることは難しいところがございますが、更に負担軽減の観点からできることがないかについて、委員の皆様の活動をサポートする観点から検討してまいりたいと考えております。

 今後とも、行政相談委員の皆様の御意見をよく伺いながら、各委員がやりがいを持って活動できるよう、総務省としてしっかり支援してまいりたいと思っております。

湯原委員 ありがとうございます。

 大臣から、研修もやっています、感謝状を渡して顕彰もしていますということで、それで報いたというと、なかなか。以前は、簡単に言うと、昔、昭和の時代だったらそれで皆さん喜んでいらっしゃったかもしれません。まあ、顕彰は必要なものだと思いますけれども。

 検討していくということでありますので、是非検討していただいて、今の時代に、私も、実費弁償、例えば何十万も何百万も出してください、そういう話ではないんですけれども、負担感を感じてまでやらなきゃいけないのかと思われたときに、若干、それは制度そのものが崩壊に近づいていくんじゃないかという懸念を持っておりますので、御検討いただきたいと思います。

 次に、遺留金の問題であります。

 総務省は、先日発表しておりますけれども、引取り者のいない亡くなられた方の遺留金等に関する実態調査を初めて行いまして、結果をまとめました。私も、これを取り寄せてみましたし、勧告を見ましたし、新聞報道でも知ったときにびっくりしたのでありますけれども、改めて驚いたんです。今日まで、無縁、縁がない遺骨は全国で六万柱、六万人の方ですね。そのうち、身元が分からない御遺骨が六千柱、六千人の方、この御遺骨はどうなっているかというと、新聞報道によりますと、市町村の執務室のキャビネットや倉庫、納骨堂、遺品整理業者の倉庫に保管されている、こういう状況であります。

 これは、今日まで六万柱、身元が分からないのが六千と申し上げましたけれども、今回、二〇一八年から二〇二一年十月までの三か年、たった三か年で、これを調べた結果、引取り者のいない亡くなられた方は十万六千人、身元が全く分からない方は六千人という数字であります。三年間でです。つまりは、先ほどの六万柱と六千は今まで、累積でありますけれども、三年間取っただけでも十万六千と六千人の方という、こういう状況で増えているわけであります。

 亡くなられた方の葬祭費用は、第一義的には、その亡くなられた方御本人の所持金、遺留金で賄われます。二〇二一年、今から二年ほど前に、厚生労働省と法務省は、地方公共団体における遺留金の取扱事務を円滑化する観点から、身寄りのない方が亡くなられた場合の遺留金等の取扱手引を作成しています。

 しかし、今回、総務省がそれを調べて、もう一回勧告をしたんですけれども、勧告であるように、金融機関が、遺留金の払出し、亡くなられておりますので御本人は当然引き出しできないのでありますけれども、この取扱いについて、なかなか金融機関でスムーズに対応できていないケースが見受けられるということで、総務省も行政評価の一環として勧告を出されたと承知しております。

 遺骨の取扱いや、あるいは自治体の事務では、亡くなられた方の引取り者がいるかどうか、簡単に言うと、今でいうと全国で探し求めなければいけない状況でありまして、引取り者を探したり相続人を探す事務、あるいは葬祭費用など、自治体には大変な負担が増えていっているんじゃないかと推察するわけであります。

 超高齢社会を迎え、ますます増加する身寄りがなく亡くなられた方、引取り者のない亡くなられた方への対応について、これは市町村といった自治体任せではなく、各省庁が連携して対応スキームをもう一度抜本的に検討すべきではないかと考えますけれども、御答弁いただきたいと思います。

松本国務大臣 委員からも御指摘がございましたけれども、超高齢社会の到来に加え、家族のつながりの希薄化などにより、今後も引取り者のない死亡人の増加が見込まれる中で、葬祭等に係る市区町村等の事務が円滑に進められることが重要であるというふうに考えております。

 今回、総務省において、引取り者のない死亡人の葬祭等を行う市区町村等の状況について調査を行ったところでございますが、先ほどもお話がありましたように、平成三十年四月から令和三年十月までの間に引取り者のない死亡人の件数が約十万件あること、市区町村等が死亡人の預貯金を引き出して葬祭費用に充てようとしても、相続人に優先する法的根拠が不明などとして金融機関から断られるなどの実態や課題が明らかになりました。

 このため、市区町村等が相続人に優先して死亡人の預貯金を引き出し、葬祭費用に充てることができる法的根拠を明示し、市区町村等や金融機関に周知することなど、関係省庁と連携して必要な措置を講じることを厚生労働省と法務省に勧告したところでございます。

 市区町村等の事務や費用の負担軽減のため、総務省として、関係省庁の取組をしっかりフォローアップしてまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 フォローアップするということで、二〇二一年に厚労省と法務省が手引を作ったけれども、三年たった今ではなかなかということで、総務省の行政評価ということで動いて実態調査をして、もう一度勧告を出されたという状況ですので、是としますし、私は、総務省自らというわけにはいかないかもしれませんけれども、これは法律がいろいろありますので、生活保護法に絡んだり、行旅法とか、絡む法律が三法ありますので、総務省だけでは難しいとは思いますが、ただ、やはり、先ほど大臣もおっしゃったように、超高齢社会、社会の希薄化ということをおっしゃいました。私は、先ほど行政相談委員の問題も申し上げましたけれども、以前と社会のありようが変わってきた中で、行政がどう対応しなきゃいけないということを、やはりこの問題においても考えなきゃいけないんじゃないかなというふうに思うわけであります。

 是非この点について、勧告が出されて、厚労省と法務省がどういう対応をされるのかを拝見しておりますし、第一義的には遺留金で葬祭費用を賄って、それでも足りないお金は市町村から県の方に、お願いしますということで、弁償というんですか、お金をもらうというシステムがあるようでありますけれども、いずれにしてもこれは、私は、憲法の必要最低限の生活とまでは言いませんけれども、亡くなられた方に対しても、最低限の、国民であった方に対する公としての気持ちを持つために、役場の事務用のキャビネットの中に遺骨があってとか、遺品整理業者の倉庫にそのまま置いてあるというのが果たして本当にいいのかなということを改めて思いますので、この辺も踏まえて、是非、今後の厚労省と法務省の動きを注視していただいて、必要であればまた再度勧告していただきたいなというふうに思っております。

 次に、サイバー防御の問題についてであります。

 先日も本会議で、安保三文書に絡めて岸田総理も御答弁、そして各党からもサイバー防御体制、能動的サイバー防御についても質問しておりましたけれども、この問題について質問したいと思います。残り時間が十分弱でありますので、途中で残余の質問は別な機会になるかもしれませんけれども、質問させていただきます。

 まず冒頭に、警察庁に、サイバー攻撃、サイバー犯罪の実態、件数を、簡潔に、具体的にお願いしたいと思います。

大橋政府参考人 お答えいたします。

 令和四年におけるサイバー空間をめぐる脅威については、まず、サイバー犯罪の検挙件数が一万二千三百六十九件と過去最多となったほか、ランサムウェアによる被害件数が二百三十件と増加傾向にあり、製造業、医療などの様々な分野において、事業活動の停止、遅延により社会経済活動に多大な影響が及ぶなど、深刻な被害が確認されております。

 また、政府機関や国内企業などのウェブサイトが一時閲覧不能になる事案が発生しているほか、我が国の暗号資産関係事業者が北朝鮮のラザルスと呼ばれるサイバー攻撃グループの標的になっていると強く推認される状況が明らかになっております。

 これらを踏まえ、警察庁としては、サイバー空間をめぐる脅威の情勢は引き続き極めて深刻であると認識しているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 令和四年で検挙件数一万二千件という数字をおっしゃいましたね。それから、これはランサムウェアという身の代金型のネットのウイルスでありますけれども、二百三十件。これは、警察庁の資料を見ると前年度比五七・五%増という数字でありまして、急激に増えている。それから、北朝鮮のラザルスという、北朝鮮の、国を挙げてラザルスという組織から暗号資産を取りにいっているという、いろいろな資料を見ますと、これが暗号資産で取った原資でミサイルが飛んでいるんじゃないかという、北朝鮮も以前は密輸とか麻薬でやっていたのを今はこういったネット上でお金を、暗号資産を集めてミサイルの原資にしているんじゃないかなという、こういうことであります。

 あと、警察庁で、簡潔にと言いましたけれども、おっしゃらなかったんですけれども、資料をいろいろ見ますと、アドレスのチェック数、ターミナルのチェック、IPのところを見ると、探索でこういった、悪いことをしているんじゃないかというのが一日に七千七百件という数字を見ました。ですから、一年間三百六十五日だと大体三百万件弱、インターネット上のサイバー攻撃、犯罪が出てきているんじゃないか。これは氷山の一角であると思います。

 先ほどのランサムウェア二百三十件も、あくまでも表に出てきた数字でありますので、実際は身の代金を払っていらっしゃる人は何も言わないわけでありまして、この辺の件数を見ると、非常に増えてきているんだということであると思います。

 サイバー防御に関係してですけれども、重要インフラという言葉が出てくるんでありますけれども、基礎的なところであると思いますが、改めて、重要インフラというのはどういったものを指しているのか、お答え願いたいと思います。

吉川(徹)政府参考人 お答え申し上げます。

 重要インフラ事業者は、サイバーセキュリティ基本法において、「国民生活及び経済活動の基盤であって、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業を行う者」と定義をされているところでございます。

 また、重要インフラのサイバーセキュリティーを確保し、強靱性を高めるため、同法に基づき、重要インフラ防御に係る基本的な枠組みとして、重要インフラのサイバーセキュリティに係る行動計画を策定し、重点的に防御する分野を重要インフラ分野として定めているところでございます。

 具体的には、情報通信、金融、航空、空港、鉄道、電力、ガス、政府・行政サービス、医療、水道、物流、化学、クレジット及び石油の十四分野を定めているところでございます。

湯原委員 ありがとうございます。

 重要分野、非常に大きな影響を及ぼすものと思われるところであります。昨年も大阪で、ランサムウェアとおぼしき、医療機関が止まってしまった。この数日間のうちでも、大きい会社の通信障害があったり、あるいはシステム障害で飛行機が飛ばなかったりとか、これはサイバー上の攻撃かどうかは別として、システムが止まること自体、我々国民に対しては非常に多大なる影響が出るということで、重要インフラを守らなきゃいけないということで、重要分野が設定されているわけであると思います。

 そこで、日本のサイバー防御体制は、官房長官を本部長としてサイバーセキュリティ本部がありまして、その事務局として内閣サイバーセキュリティセンター、NISCがあることであります。このNISCが重要インフラと関係省庁、機関と連携、あくまでも連携でありますけれども、連携することになっています。

 防衛三文書では、自衛隊がサイバー防御の体制としてコア要員八百九十人を五年間で四千人とする、サイバー関連業務要員を五年間で二万人にする、こう安保三文書では上がっています。しかし、二万人にしたとしても、これはあくまでも自衛隊及び防衛産業が対象のサイバー防御であります。先ほどおっしゃった重要インフラのところまではかかっていないということであります。防衛三文書では、おおむね十年後までに自衛隊以外のサイバーセキュリティー支援態勢を強化するというふうにしているわけであります。

 そこで、私が申し上げているのは、この法律、今ある法律によると、第一義的には、先ほどの重要インフラ、各事業者が独自でサイバー防御してください、こういうたてつけになっています。政府はというと、所管する省庁が第二次的にやってください、先ほど申し上げたNISCはそれを調整します、こういうたてつけになっています。サイバー攻撃を受けたときに、インシデントというか、事案が起きたときには報告してくださいよね。NISCは何をやるかというと、報告してもらって、こういった悪いことの事案が出ていますよと皆さんにお触れを出すという、これが今の国の体制です。

 つまりは、政府を挙げて防御というよりも、民間任せにしている、こういう状況ではないかと思いますけれども、本当にこれでいいのでしょうか。改めて答弁を求めたいと思います。

吉川(徹)政府参考人 お答え申し上げます。

 政府といたしましては、重要インフラ事業者等の自主的な取組の促進のため、政府と重要インフラ事業者等との共通の行動計画を策定をしておりまして、重要インフラ十四分野が参加する分野横断的演習の実施、官民の情報共有体制の構築などの取組を進めているところでございます。

 また、重要分野に共通する基本的な取組に加えまして、各分野の特性を踏まえ、必要に応じ、個別法令において重要インフラ事業者に対する義務を課しているところでございます。例えば、情報通信、電力等の分野においては、サイバーセキュリティーの確保のために必要な措置を講じることが義務づけられているところでございます。

 政府といたしましては、こうした取組を推進することにより、重要インフラ事業者等におけるサイバーセキュリティーの確保を促進してまいりたいと考えております。

湯原委員 一つだけ意見を申し上げて、質問を終わりたいと思います。残余の質問はまた別の機会にしたいと思います。

 お手元に資料を、せっかくですから配付したのを、これは、二〇一八年に笹川財団が出した、ですから、五年前に出した提言書でありますし、私もサイバー防御の質問をするに当たって、国立国会図書館から各国のサイバー防御の在り方、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イスラエル等々、資料を取り寄せてみました。簡単に言うと、やはり、二〇一五年前後には、各国は、民間任せではなく、軍を挙げて全体の事業者を守るんだという意思の下で対応してきている、これが各国の対応の仕方であります。

 二〇一五年、つまりは、岸田総理はこれからスピード感を持って体制の準備室をやっていくとおっしゃいましたけれども、簡単に言うと十年ぐらい遅れているんじゃないかなというふうに思っています。各国の資料を見ると、やはり民間任せでは限界がある、どこの国もそういう認識を持って対応方を考えていっているということであります。

 スピード感をと岸田総理もおっしゃったので、私もまた別の機会にこの後の質問もさせていただきますけれども、是非、民間任せではもう対応ができない状況になってきているという認識の下で、急いでいただきたいということを申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 最初に、今、湯原委員からありました行政相談委員、私も前に、大変活躍をしてくださっているということを申し伝えさせていただきました。専門的知識も生かしながら活躍をしておりますので、是非、無報酬ボランティアというところについてはいかがなのか、会場費だけじゃなくて、いろいろな行動をしている、移動しながら交渉している、そういう行為に対しての実費というところも含めて御検討いただきたいということを申し伝えたいと思います。

 まず、私から、指定管理者制度について伺わせていただきます。

 前回質問の機会をいただいたときに、ちょっと時間がなかったので、冒頭一問だけで終わったんですが、当時、尾身副大臣からは、指定管理者制度は、公共サービスの水準の確保、これが本来の目的で、価格競争入札とは異なると明確に御答弁をいただきました。

 ちょっと更に伺いたいと思いますが、そうはいっても、指定を受けるための価格の評価というのも選定の一部になっていて、経費削減が至上命題になってしまっている指定管理者という例が相次いでおります。

 今年二月に、報道で官製ワーキングプアというのが話題になりまして、低賃金の背景に指定管理者制度という報道がありました。その中では、政令市の児童館の館長を十年近く務めているベテランで基本給が十一万五千円、十年間一円も上がっていない、指定管理を続けるために、この所属している民間企業では更に一〇%以上管理料が削減される予定だという悲鳴が報道に載っておりました。専門性を生かして頑張ってくださっていることが、実は行政側にとってコスト削減という発想に立っているとすると、非常に残念でなりません。

 受けた団体が経費削減ありきで運営している実態があった場合など、更に実態調査を進めて、直営だとコストがかかるという理由で指定管理を安易に選ぶことがないよう、行政に対して発注の在り方の改善に結びつけてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 指定管理者が労働法令を遵守することは当然でありまして、これまで総務省といたしまして、地方自治体に対し、指定管理者の選定に当たっても、指定管理者において労働法令の遵守や雇用、労働条件への適切な配慮を行うことを、選定の際や協定等の締結時に提示するよう助言をしてまいりました。

 令和三年四月現在で、都道府県及び指定都市においては、自治会等を除く指定管理者の九割以上、また、指定都市を除く市区町村においては、同様に七割近くが提示をしているということでございます。

 また、総務省におきましては、地方公共団体に対し、指定管理者の選定に当たっては、施設の態様に応じた指定管理者の適切な評価が重要であること、また、指定管理者制度を導入している施設も含め、その管理の在り方について検証を行い、より効果的な運営に努めることについても助言通知をしてまいりました。

 これまでの通知等を踏まえまして、総務省では、指定管理者制度の導入状況調査におきまして、地方公共団体による指定管理者に対する評価、検証の実施状況などの把握に努めてきたところでございますが、今後、同様の調査を行う際には、御指摘の点に関する評価、検証の取組について、改めて調査項目等の検討を行ってまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 今御答弁いただいたのは、資料一をつけておりますけれども、七割が、選定するときに協定で労働条件等を明記しているという御答弁がありましたが、私からしますと、逆に、マークをつけさせていただきました三割が、労働条件等を協定書等に記載もしていないし、示してもいない、こういう実態があるというところは重く受け止めていただきたいと思います。今御答弁いただいて、更にということでしたので、期待をさせていただきます。

 資料二の方でいきますと、指定管理者を返上した団体、マーカーをつけておりますが、市町村でいくと二百四十一件。全部を私が把握しているわけではないですが、NPOとか、比較的良心的に頑張ってきたけれども、残念ながら、人材が確保できない、あるいはちょっと燃え尽き症候群に近い、そういうような状態で指定管理を諦める、こういう実態もあると思います。

 この前提にやはり雇用条件とか労働条件があるとしたら、やはりここは官製ワーキングプアというものの一つになり得るということも踏まえて、是非、助言なり通知なりを強化して、更に実態を、その調査をした後どうなったのか、この点をしっかり把握していただきたいと思います。

 局長、もしお答えいただければ、再度御答弁いただければと思います。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 この調査につきましては、定期的に三年に一度行っている調査でございます。

 御指摘いただきました提示がされていない団体などにつきまして、その理由といったことも含めて、調査項目について、次回検討させていただきたいと思っております。

岡本(あ)委員 是非よろしくお願いします。

 実態を把握した上で、さらに、どういう取組がいいのか、この点に結びつけていただきたいと思いますし、私の地元でも、指定管理に移行をする際に、職員も、公的なところから移行する際の身分の不利益ですとか解雇など、そういうような問題も出ているところもありますので、是非、指定管理者は質を向上させるんだ、行政サービスを向上させるんだという点、本来の目的を失うことのないよう取り組んでいただきたいと思います。

 次に、マイナンバーカードの交付に関して伺いたいと思います。

 資料でいきますと資料四になりますけれども、新聞報道がございました。三月二十八日に発生した、コンビニでの証明交付サービスで他人の住民票の写しが誤って交付されたという事件が起こりました。

 経緯と原因、再発防止について伺います。これは大臣にまずお答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 御指摘の事案の発生については承知をいたしております。

 本事案は、横浜市が管理する証明書発行サーバーにアクセスが集中した際に、誤ったプログラム処理が生じ、証明書データの取り違えが発生したものと報告を受けております。既に、誤ったプログラム処理を修正し、再発しないよう必要なシステム上の対応を行った上でサービスが再開されたと報告を受けているところでございます。

 今回の事案はマイナンバーカード自体に起因したものではないと承知をしておりますが、別人の証明書が交付される事案が発生したことは重く受け止めております。

 横浜市においては、個人情報の漏えいについて、当事者である住民への説明を含め、対応を進めていただいているものと聞いておりますが、適切に対応を行っていただきたいと考えております。

 総務省としても、関係者からよく原因について確認させていただき、再発防止が適切に講じられ、証明書交付サービスの安定的な運用が図られるよう、各自治体や事業者と連携して必要な対応を行ってまいる所存でございます。

岡本(あ)委員 住民票に記載されている内容は、大変重要な個人のプライバシーの情報です。これが他人に渡るということは、本来、やはりあってはならないことです。

 これに対して、まずは他人に渡されてしまった方へのフォローというのをしっかり行っていただきたいし、今、御答弁では今行っているということでしたので、そこの状況、結果ということも把握をしていただきたいと思います。

 理由の一つとして、アクセスが集中したということを理由に挙げていらっしゃったかと報道では見受けられました。この間、マイナンバーカードの交付率、私はやり過ぎの部分もあると指摘はしていますが、この間、皆さんが努力をなされてカードを普及されてきました。繁忙期、引っ越しの時期にはやはり住民票の異動というのは非常に多くなる、このことも十分分かり得るじゃないかと思います。そうなると、当然、アクセスが集中するということも予想されたのではないかと思います。

 システム上十分対応し切れなかったという点は反省をしっかりしていただきたいと思いますし、多分この後も、マイナンバーカードの交付率を見ると、カードを使って行うような行為というのがどんどん出てくる可能性があります。

 こういう意味でいきますと、カードを持つことが結果として残念な、要は、不利益になったり、他人の情報が漏れてしまうということになったりするということは残念ですので、この点はしっかり受け止めて、速やかな改善と、二度とないようにこの点を求めたいと指摘をさせていただきます。

 それから、前回、私がマイナンバーカードで指摘をいたしました岡山県備前市の学校給食問題。昨日、備前市長がようやく撤回をいたしました。私は当然のことだと思っております。

 マイナンバーカードを世帯全員が取得しないと給食費を有料化するという、前回、私は子供を人質に取ったような強制のような行為だと指摘をさせていただきました。文科省や総務省も、自治体の判断だと、残念ながら強い態度には臨んでもらえませんでしたが、私からすると、本来はそこまでは求めていないよというメッセージを出すべきだったんじゃないかと思います。

 資料三を御覧ください。

 昨年、政府が、都道府県教育委員会に対して、マイナンバーカードの申請などに関する情報を学校で児童生徒に提供すること、これを総務省が、デジタル庁と連名ですけれども、総務省も求めたということについても私はいかがかと思っております。

 学校現場を通じてマイナンバーカードの交付を上げていこうという行為については、残念ながら、給食費に結びつく一つの原因にもなったのではないかと思わずにはいられません。

 児童生徒に直接関係のない事項について、政府の意向を受けて教育の場という学校を利用すること、それから、児童生徒を通じて保護者への働きかけにつながるということ、コロナ禍対応で激務と言われている教職員に負担をかけていること、これらの視点から見ても、全庁挙げてなりふり構わずの行為がこういう結果を起こしたのではないかと私は考えています。

 コロナの一斉休校以来、政府の方針に翻弄されている教育現場ですけれども、決して教育現場は行政の下請機関ではありません。文科省が学校現場と子供を守るために本来は盾となるべきところですが、一緒になって、学校への、GIGAスクールの点も、交付金も指摘をさせていただきましたが、文科省が、学校への交付金、交付率を参考にするなど圧をかけるかのような行為、これに総務省も関わっていたということも問題だと指摘をさせていただきます。

 この点に関して、総務省としてはいかがお考えなんでしょうか。伺います。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの普及促進に当たっては、その申請方法、安全性、メリット等について国民の皆様に分かりやすくお伝えすることが重要と考えております。

 御指摘のとおり、総務省では、昨年七月、マイナンバーカードに関する周知広報の一環として、デジタル庁とともに、文部科学省に対し、都道府県の教育委員会等を通じて、学校から児童生徒や保護者の方に、カードの申請方法、安全性、メリット等が記載されたリーフレットを情報提供いただくことについて協力をお願いしたところでございます。

 教育分野の手続におきましてもマイナンバーカードの活用は広がってきておりまして、例えば、高等学校等就学支援金の申請手続では、カードを使うことでオンライン申請の審査期間の短縮が可能となっております。

 総務省といたしましては、国民の皆様にデジタルのメリットを享受していただけるよう、関係省庁とも連携して、適切に周知広報に取り組んでまいります。

岡本(あ)委員 これは、学校に教育委員会を通じてお知らせをしたのは適切だったという御答弁ということなんでしょうか。

吉川(浩)政府参考人 マイナンバーカードはデジタル社会の基盤となるツールでありまして、政府全体でその普及促進に取り組んでいるところでございます。

 国民の皆様に、その安全性、メリット等について分かりやすくお伝えすることが重要であると考えておりまして、その一環として、昨年の七月にそのような取組をさせていただいたところでございます。

岡本(あ)委員 政府として重要だと思うことは、じゃ、ほかのことも全部、学校現場を通じてお知らせをすることが可能ということになってしまいかねません。

 私は、マイナンバーカードで、例えば就学支援金を利用するためにマイナンバーカードが使えるよとか、そういうことを学校で教えることが駄目だとは言っておりません。ただ、先ほども指摘をしましたが、学校現場が、政府の意向を受けて、教育の場という場所を利用しての、下請機関というか周知の機関になるということは避けていただきたいと思います。

 学校現場の混乱という視点、それから、これはたまたまマイナンバーカード一つだったから大したことないだろうとなりかねないですが、じゃ、あれもこれも、どれもこれも、学校現場を通じて保護者に周知をしよう、子供たちにも理解してもらおうという話にもなりかねないので、やはり、教育の現場を周知の場として使うということについては慎重にあるべきだということを指摘させていただきたいと思います。

 そして、私は、マイナンバーカード、メリットはどんどんつくって、それを、国民の皆さんが利益を得るということは大賛成なんです。カードを持たないからということで不利益を被るということについては反対をさせていただいております。元々マイナンバーカードは申請主義だという法の趣旨、これは絶対揺るがせてはならないと思いますし、加えて、誰も取り残さないという発想が必要だと思っています。

 前回も指摘をしましたけれども、DV被害者がマイナンバーカードを持つことで、住民票の閲覧ですとか、あるいはマイナ保険証を載せることでのリスクもあるということ、この点もきちんと御理解いただいて、その上で、マイナンバーカードを持つ持たない、マイナ保険証を載せる載せない、個々人の判断というところをしっかり求めていただきたいと思っています。持たない自由ということも認めるべきです。

 加えて、先日、子供のマイナンバーカードの取得について、離婚をしている場合、子供は一方が監護をしているんですが、親権はその人になくて、別れた相手方に親権がある場合、カードの交付は監護者には認められないという問題も発生しています。

 カードを取得したいという方が交付を受けられないなど、こういう不利益こそなくすべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

吉川(浩)政府参考人 まず、DVやストーカー行為などの被害者の方につきましては、避難先情報の特定につながる各種情報を加害者に入手されることがないよう、これまでも、住民票の写し等について、加害者からの請求を拒否することに加え、本人からの請求につきましても、成り済まし等による請求に対する交付を防ぐため、代理人又は郵送による請求を認めないなどの対応をしてきたところでございます。

 また、十五歳未満の方につきましては、法定代理人である親権者が、市町村の庁舎等に出向いてマイナンバーカードの交付を受けることができることとしております。

 現状におきましては、いわゆる監護権のみを有する親御さんがいる場合につきましても、法定代理人である親権者が交付を受けることが基本となるということでございます。

岡本(あ)委員 こういうところを是非改善するような努力を総務省はするべきなんじゃないかと私は考えています。

 安易に誰にでも渡していいよというものではないということは重々承知ですけれども、やはり、カードが欲しいと思っていて、実際にそのお子さんもいらっしゃって、監護者という地位も持っている方に対して、あなたには出せないとなっていることも問題だと言わせていただきます。

 あと、自治体で、マイナンバーカードを持つと、いろいろなオンラインとかワンストップ、様々できますよということがデジタル化の強みにはなっていますが、ちょっとマイナンバーカードとは離れますけれども、自治体の行政サービス申請のオンライン化とセットで必要なのがキャッシュレス化だと思います。

 実は、ちょっと昨年、私も、手続を取る必要があって、オンライン申請は残念ながらそこの自治体ではできなかったんですけれども、遠隔にいても郵送で受け付けますよという御案内をいただきました。ところが、手数料は、郵便局に行って小為替を買ってきて、それを封筒に入れて郵送で送ってくれというものでした。ちょっとびっくりしまして、政令指定都市を全部見ましたら、全ての政令指定都市が、やはり、郵便局に行って小為替を入手してこいという案内になっておりました。

 せめて、ペイジーですとか、あるいはATMを使うとか、今はネットバンキングもできる時代になっております。自治体の行政サービスの推進ということ、ここについても、カードだけじゃなくて、自治体のオンラインあるいはキャッシュレス化、これも是非進めていく取組を強化するべきだと思いますが、お答えいただけますか。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 自治体の行政手続のオンライン化は、住民の利便性向上の観点から大変重要でありますとともに、職員の方々にとっては業務の削減にもつながるなど、地方のDXに資する取組と考えております。

 自治体の歳入の納付に関するキャッシュレス手段につきましては、指定納付受託者制度によるクレジットカード決済やスマートフォンアプリ等を利用した決済の活用が進められておりますほか、御指摘いただきましたATMやインターネットバンキングにつきましても、地方自治法上の現金納付又は口座振替として、現行制度において導入可能となっております。

 総務省といたしましては、自治体に対して、指定納付受託者制度を周知するとともに、その積極的な活用を促しているところでございますが、住民の公金納付に係る利便性の向上に資するよう、今後とも、自治体に必要な助言をしてまいります。

岡本(あ)委員 是非こういう助言こそ活発に行っていただきたいと思います。

 最後に一問だけ、大臣に伺いたいと思います。

 四月一日からこども家庭庁が発足いたしました。全庁挙げてという意気込みで発表されておりました。地方自治体で行政サービスを担っている、総務省としても、やはり積極的に、こどもまんなか社会の実現のために、自治体に対する支援あるいは総務省としての取組を行っていただきたいと期待をするところですが、こども家庭庁発足に伴っての総務省の役割と期待、この点、大臣から御答弁いただけますでしょうか。

松本国務大臣 政府全体にとりましても、子供、若者政策、大変重要である中で、総務省としても、この政策の推進は重要かつ緊急を要する取組であると認識をしているところでございます。

 実際に、子供、若者政策の多くは住民に身近な地方自治体を通じて提供されておりまして、地方が現場として果たす役割は極めて大きいため、その推進に当たっては国と地方が協力して取り組んでいかなければならないと考えております。

 総務省としては、これまで開催されてきた、こども政策の強化に関する関係府省会議の構成員を務めてきておりまして、これからも、地方の意見や実情を十分に踏まえて連携するとともに、こども家庭庁など関係省庁と連携しながらしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

岡本(あ)委員 是非、地方自治体でこどもまんなか社会を実現するためにも、総務省としてできる限りのことを行っていただきたいと思いますし、デジタルやあるいは自治体のDXを進める上でも大きな力を発揮していただきたいと思います。

 時間がなくなりましたので質問できませんでしたが、子供医療費の無償化の交付金の減額、このペナルティーが撤回される方向だということが試案で出てまいりました。地方自治体から長く長く求めていたものです。子供医療費を行うと交付金を減らすという逆行するようなことに対して、自治体からの声が大きかったです。こういうような声を反映させることこそ総務省の役割だと期待をさせていただき、質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、道下大樹君。

道下委員 立憲民主党・無所属の道下大樹でございます。

 質問の機会をいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 質問いたしますが、ちょっと順番を入れ替えまして、最初に、先日発生いたしました国内通信会社による通信障害について総務大臣に一問伺いたいと思います。

 今月三日に発生したNTT東日本、西日本の通信障害について、総務省は、同日、両社に対して原因究明を指示したと承知しています。総務大臣は、四日の記者会見で、両社から受けた報告を踏まえれば、重大な事故に該当する可能性が高いと考えていると答えています。

 まず、今回の通信障害の事実確認と、これまでNTT東日本と西日本両社から報告を受けている通信障害の原因、並びに、今総務省が求めている詳細な原因究明報告の時期の見通しについて伺いたいと思います。

松本国務大臣 御指摘の今回の事故は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の通信サービスの一部で約三時間、十六都道府県において障害が発生し、利用者の方々への影響は最大で四十四・六万回線であったと報告を受けております。

 国民生活及び社会経済活動の重要なインフラとなっている通信サービスにおいて大規模な通信障害が発生したことは、大変遺憾であります。

 本件の原因について、現時点で両社からは、特定のサービスを提供するサーバーからの通信の受信に起因し、同社設備が再起動を繰り返したことによるものと聞いておりますが、原因の詳細は両社において調査中のところでございます。

 なお、今回の事故では、約三時間にわたり音声通話サービスについても障害がありまして、両社からは、一部の利用者において緊急通報が利用できない状況であったと聞いているところでございますが、消防庁、警察庁、海上保安庁によりますと、緊急通報に具体的な支障が生じたとの報告は受けていないと聞いているところでございます。

 本件について、これまで両社から受けた報告を踏まえれば、両社の事故とも重大な事故に該当すると考えております。

 今後の対応については、更に原因等に関する詳細な情報提供を求めているところでありまして、重大な事故が発生した日から三十日以内に、それらを含む電気通信事業法に基づく報告が行われることとなります。これを踏まえ、関係法令などに基づき、しかるべき対応を行ってまいりたいと考えております。

道下委員 今は、固定電話のみならず、携帯電話とかを持っていますので、そういう時代ではありますけれども、やはり、デジタル社会の基盤である通信が使えないというのはあってはならないことであると思います。原因究明をしっかりと行って、再発防止に努めるよう求めたいと思います。また、総務省の対応も含めて今後も注視し、必要であれば委員会で質疑してまいりたいと思います。

 質問の順番を戻しまして、地方自治体の固定資産税の誤徴収、いわゆる課税誤りについて伺いたいと思います。

 この一年間だけを見てみますと、それだけでも、例えば、岡山県のある自治体では、二百十二人分、合計二百五十二万円余りの誤徴収、栃木県のある自治体では、十七年間にわたって十万円余りの誤徴収、北海道のある自治体では、同じ姓の別人から四十一年間にわたり誤徴収、新潟県のある自治体では、課税免除手続をせず最長五十年程度も誤徴収、また、神奈川県や京都府など、全国の自治体で固定資産税の誤徴収が相次いでいます。

 もちろん、自治体の職員の皆さんは、こういう誤徴収、課税誤りのないように、日々こういう課税業務に当たっていらっしゃるというふうに思っています。それには本当に心から敬意と感謝を申し上げたいというふうに思いますが、残念ながら誤徴収はなくなっていないのが現状です。額はそれぞれ小さいかもしれませんが、誤徴収された住民にとっては大きな問題ではないでしょうか。

 そこで、総務省にお伺いいたしますが、総務省においては、固定資産税の誤徴収、課税誤りについて、これまでどのような調査をし、どのような結果が出ているのか、伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 固定資産税の誤徴収、課税誤りにつきましては、平成二十四年度及び平成二十八年度に、土地、家屋に係る固定資産税及び都市計画税について、税額修正した団体数、納税義務者総数に占める修正者数の割合、増額修正及び減額修正の割合、税額修正の要因を把握したところでございます。

 直近の平成二十八年度の調査結果について申し上げますと、調査対象期間でございます平成二十四年度から平成二十七年度までの四年間の平均で、税額修正が生じた団体数の割合については九四・二%、納税義務者総数に占める修正者数の割合については土地、家屋共に〇・二%、増額修正及び減額修正の割合については、土地については、増額修正が二三・七%、減額修正が七六・三%、家屋については、増額修正が四三・八%、減額修正が五六・二%。

 税額修正の要因につきましては、土地については評価額の修正というのが最も多く、家屋については家屋滅失の未反映というものが最も多い、このような結果でございました。

道下委員 ありがとうございます。

 今回の調査について、平成二十四年度では三年分、それから平成二十八年は四年分ということであります。

 それで、税額修正の要因というものも今御説明ありましたけれども、やはり、そういう人為的ミスもあるとともに、私は、税制度の改正だとか様々な変更ということで十分に対応できていないということもあるのではないかと思います。

 また、今回の税額修正の状況調査については、平成二十四年度実施は三年分、それから平成二十八年度は過去四年分でございます。このような不定期で調査している理由を伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度でございますけれども、これは、当時、報道で固定資産税に関する課税誤りの事例が多く取り上げられた、こういうことを踏まえまして調査を実施したものと承知しております。

 その後、この調査結果を踏まえまして、平成二十五年には、税額修正の主な原因や代表的な防止策に係る具体的な事例などを取りまとめまして、地方団体に周知しますとともに、翌年、平成二十六年には、納税者の信頼を確保するため、各市町村において、課税事務の検証、固定資産評価員等の専門知識の向上、納税者への情報開示の推進等を行うよう通知、助言を行いました。

 その上で、こうした再発防止策の周知を行った後、平成二十八年に、いわばフォローアップ的な意味合いも込めまして、再度調査を行ったものと考えております。

 調査への回答にかかる市町村の事務負担にもこれは配慮する必要がございますので、調査が必要と判断したタイミングにおいて、以上申し上げましたような調査を実施したところと承知しております。

道下委員 私も後で申し上げますけれども、事務負担の軽減というのが重要だというふうに思っております。

 今御答弁あったとおり、平成二十五年度は、事務連絡で、「地方税における資産課税のあり方に関する調査研究について」、これが通知されました。もう一つが、平成二十六年九月十六日付で、これも、「固定資産税の課税事務に対する納税者の信頼確保について」ということで、固定資産税課長通知が出されました。

 それを受けてのこの平成二十八年度は、平成二十六年度と二十七年度分は調査できたと思いますが、その調査結果を見ても、その前の、例えば平成二十四年度とか、そのときの調査の結果と、ほぼこの修正団体数や割合、それから増額修正、減額修正等、余り変わらないんですよね。

 だから、この平成二十五年と二十六年に通知したもののフォローアップというものは、もうちょっと期間をかけて確認しなきゃいけないんじゃないかというふうに思いますが、平成二十八年度以降、調査はしていますでしょうか。

池田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今後の調査計画についてのお尋ねかと存じます。

 固定資産税の課税誤りについては、先ほど申し上げましたとおり、課税庁である市町村、関係団体と連携し、その防止に向けた取組を進めてまいりました。

 特に、最近におきましては、毎年度、年度の当初に各市町村に対して大臣通知を発出いたしまして、先ほど申し上げましたように、納税者の信頼を確保するため、事務処理体制の整備や課税客体等の的確な把握を行い、課税誤りが生じることがないよう通知、助言を行っているところでございます。

 課税誤りを防止するためには、課税誤りの件数を把握するというのはもちろん大事でございますけれども、人為的なミスについては市町村に強く注意喚起を促すこと、それから、社会情勢の変化に伴い課税誤りを誘発するような共通的な要因、後ほど御議論されますような、死亡者課税とかそういったものがある場合にはそうしたものへの対応を行うこと、こういうことが重要と考えてございますので、委員御指摘の調査の実施も含め、現場である市町村の声も伺いながら、今後も必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

 その上で、まずは、すぐできることといたしまして、機会を捉えて、様々な会議や研修の場での注意喚起や通知による助言に努め、各市町村の取組を支援してまいりたい、このように考えております。

道下委員 後でも大臣に質問いたしますけれども、今お話があった総務省から各自治体への注意喚起、これをやっているということですけれども、私は、注意喚起だけじゃなくて、やはり今の自治体の人員不足も大きな問題であるというふうに思っておりますので、これは後で時間があったら質問させていただきたいと思います。

 今回、これまでの状況調査に関して、先ほど質問項目を伺いました。その中で、なかったんですけれども、誤徴収による追徴課税と還付加算金だとか、税額修正金額は幾らになっているのか、それは把握されていますでしょうか。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 過去の調査におきましては、先ほど申し上げましたとおり、税額修正の件数及び税額修正が生じた要因等について調査を実施しております。

 御質問のございました追徴課税及び還付加算金の合計額等については調査項目としていなかったため、把握をしておりません。

道下委員 こうした調査も結構自治体の事務負担になるので、要らないものはできるだけスリムにした方がいいと思いますが、今回、せっかくやるんだったら、どれぐらいの課税誤りがあるのかということの金額も調査すべきではなかったのかというふうに私は思います。

 これについて、このように、追徴課税だとか、課税し過ぎたとか、あとは課税漏れだとか、いろいろあります。税額修正が発生した場合、地方交付税交付金にはどのような影響が出るのか、伺いたいと思います。

原(邦)政府参考人 お答えいたします。

 普通交付税の額の算定に用いた基礎数値に錯誤が生じ、基準財政収入額が増加したり減少したりした場合には、最大五年間遡りまして、当該年度又はその翌年度の交付税の算定に反映されることになります。

 なお、この錯誤措置は、今御議論いただいています自治税務局の調査を必ずしも前提としておりませんで、交付税検査あるいは自治体の自己申告で確定させるということで対応しているものでございます。

道下委員 今御答弁がありました、過去五年に遡ってできるということでありますし、この誤徴収も、取り過ぎたら原則五年にまで遡って還付するだとか、課税漏れがあったら過去五年に遡って納税をお願いするということであります。

 一部自治体では、返さなきゃいけない税金は、原則五年なんですけれども、いろいろと努力をして、本当に例えば十年とか二十年前に取り過ぎたものも還付するという自治体があるということを承知しているんですけれども、この過去に遡って五年以上に還付した、つまり税収が減ったわけですね、結局は。そうした自治体に対して、原則五年以上の部分はどうなるのか。これは事前通告していないんですけれども、もしお答えいただけるのであれば、ちょっとお聞きしたいと思います。

原(邦)政府参考人 自治体の対応はいろいろ、様々だと思いますけれども、自治体の交付税の算定上でいいますと、課税台帳を変えて、それで私どものところで確定して、それを、今、十年分どうするかというのは、整理して、しっかり整理されていれば五年度以内には交付税に反映されるということで、具体的にどうかというのは、個々、いろいろなケースであり得るんだと思います。

道下委員 ありがとうございます。

 もう一つ、固定資産税の誤徴収に関連して、亡くなった方に固定資産税を課税する死亡者課税について伺います。

 福岡県のある自治体では、土地、建物を所有していた女性が亡くなり、親戚から死亡届が出されたにもかかわらず、昨年度までの十八年間にわたり約百数十万円が女性名義の口座から引き落とされていました。これを受けて、その自治体が調査したところ、ほかに十九件の死亡者課税があったことが判明しました。その自治体の担当部長は、死亡届を受けて、担当部署による相続人の確認が十分にできていなかったと思われると事実関係を認めました。

 こうした事案は少なくないと思います。総務省として、原因は何だとお考えになりますか。あわせて、全国の自治体における死亡者課税についての把握状況についても伺います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村は、現に所有する者を把握するため、住民票や戸籍等の調査を行い、相続人の把握に懸命に取り組んでいただいておるわけでございますけれども、固定資産税の納税義務者は必ずしもその課税団体、当該市町村内に住所を有する者であるとは限りませんので、なかなか、死亡届を出されたらすぐ固定資産税の方に反映されるということが限らないわけでございまして、結果として死亡の事実を把握する手段が限られる場合というのがございます。

 いわゆる委員御指摘の死亡者課税は、死亡者を名宛て人とした納税通知書が送付され、それが返戻、要は返ってきて初めて死亡の事実を知ることとなるといったケースや、新たな納税義務者となる相続人の探索が困難なケース、こういったものがあるものと承知しております。

 お尋ねの全国の自治体におけるいわゆる死亡者課税の状況についてでございますけれども、総務省においては把握しておりません。

道下委員 いろいろと御説明いただきましたけれども、私も、死亡者課税が起きてしまう背景には、急速に進む高齢化と先ほどのお話があった内容、もう一つは、行政による相続人の調査や不動産の登記が追いついていない現実があると思います。

 政府は、不動産登記法を改正し、所有者を明確化するための相続登記の義務化と、所有権の登記名義人の死亡情報を不動産登記に符号表示する制度を新設し、今後施行されますが、すぐに問題解決できるか不明ですし、その施行によって更なる誤徴収が判明することも想定されます。

 前段に質問しました固定資産税における誤徴収、課税誤りも含めて、これらの問題を解消するため総務省としてどのような取組を進めているのか、伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、課税誤り全般につきましてお答えを申し上げますと、総務省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、市町村、関係団体と連携し、課税誤りの防止策に係る具体的な事例を取りまとめ、毎年度、注意喚起の通知を行うなど、課税誤りの防止に向けた取組を進めてきております。

 また、今後、総務省において、固定資産税を含めまして自治体の税務システムの標準化などを通じた地方税務手続のデジタル化を推進いたしまして、徴税義務の効率化、適正化に取り組むこととしておりまして、こうした取組も課税誤りの防止につながるものと考えております。

 その上で、委員御指摘のいわゆる死亡者課税について申し上げますと、納税者が死亡した場合における固定資産税の適正な課税のためには、市町村において死亡情報や相続人等の真の納税義務者を適切に把握することが重要でございます。

 このため、令和二年度税制改正におきまして、登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がなされていない場合、条例で定めるところによりまして、相続人など現に所有している者から氏名、住所などを申告させることができる制度を創設いたしましたほか、納税義務者の死亡の事実を早期に把握するため、固定資産課税台帳とマイナンバーのひもづけを推進するための通知を発出するなどの取組を進めております。

 これらに加えまして、委員御指摘の、相続登記の義務化や、所有権の登記名義人の死亡情報を不動産登記に表示する制度の導入によりまして、死亡の事実や相続人の把握が行いやすくなる、こういったことが期待されると考えております。

 今後とも、迅速かつ適正な課税の実現に向けまして、市町村、関係機関と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

道下委員 今の御答弁の直近の取組、法改正、そしてマイナンバーカードやシステム、こうしたものの更新によってこうした誤徴収も減っていくのではないかという御説明でございます。私もそのように思いますが、先ほど岡本委員が、お話がありましたとおり、マイナンバーカードやシステムは絶対安全だとか完全だという、これは私はそういう神話を持つべきではないというふうに思っております。

 今御答弁あったことも私は重要だとは考えますけれども、そもそも自治体の職員数が実際の業務量と比較して不足していることが問題なのではないかというふうに思います。そうした人員不足による徴税、課税業務に当たる職員数が少なかったり、行政機関の特徴である人事異動、二、三年ほどで人事異動して他の部署に移ってしまうということによって、経験や知識、能力が生かされない状況も課題というふうに考えます。

 自治体の事務負担軽減や行政のデジタル化も効果的とは考えますが、自治体の職員数を増やすべきではないでしょうか。総務大臣の認識を伺います。

松本国務大臣 自治体の定員につきましては、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要と考えております。

 各自治体におきましては、社会情勢の変化に対応して必要な人員配置に努めていただいており、近年では、一般行政部門の職員数は、地方創生や子育て支援などへの対応もあり、平成二十六年を境に八年連続で増加しまして、令和四年四月までの間で約二・九万人の増となっているところでございます。

 総務省としましても、令和五年度地方財政計画において、職員数全体で二千六百十八人の増としておりまして、今後とも、自治体の実態などを十分に踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

 なお、税務行政のデジタル化に関連して申し上げれば、固定資産税を含む自治体の税務システムの標準化を進めておりまして、各自治体が個別にシステムを開発する負担が軽減されるとともに、標準仕様書の中で、課税誤りを防止するため、エラーアラート機能の実装を必須としているところでございます。

 また、今月からは、固定資産税などについて、地方税統一QRコードを活用した電子納付が可能となりまして、自治体における納付状況の管理が効率化されると考えております。

 このように、地方税務手続のデジタル化を進めることによりましても、業務の効率化、適正化に取り組んでまいりたいと考えております。

道下委員 時間が参りましたので、この後、固定資産税の外国人課税についてはまた次回に回したいというふうに思いますが、今大臣がおっしゃったとおり、八年連続で人員は増えたと言いますが、その前に減らし過ぎているんですよ。コロナ禍でどれだけ保健所が大変になったのか。それで、その後、コロナ禍で保健所の職員数を増やしたりしましたでしょう。元々の地方自治体の職員の数を減らし過ぎてきた、それは国が減らしてきたんですよ。

 これを、ちゃんと事実、根本的なことをしっかり遡って考えた上で、どれだけ今の地方に、住民サービスを提供するための地方自治体にどれだけの職員が必要なのか、そういったことを考えて、もっともっと増やしていただきたい。お願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 本日の委員会では、委員長からもお話があったように、本日の案件の二つ目、地方自治及び地方税財政に関する件について御質問させていただきたいと思います。

 そんな中で、地方分権改革というのがございまして、それによって地方自治体に権限が移譲されたということで、地方議会の重要性が増大してきたと思います。そんな中で、住民自治を推進するための環境が整備されたという側面が注目されているんですけれども、果たしてそうかということなんですね。

 昨年、令和四年十二月一日の、これは参議院ですけれども、参議院の総務委員会で我が党の柳ヶ瀬議員が指摘しているんです。提案募集方式というのがありまして、それで、地方自治から提案されているんですけれども、まだちょっと小さな課題に限られて、この方式自体は重要であるという認識はあるんですけれども、十分であるとは言えないと。

 こういった中で、提案募集方式の中で、やはり、自治体の行政計画に対する国の関与として、自治体に計画策定を義務づけるという事例があるわけなんですけれども、こういったところに対する指摘が提案募集方式でもあるわけなんです。

 そういった中で、じゃ、次に、今年、令和五年三月三十一日に計画策定等に関する閣議決定というのがなされました。その中で、計画に関しての、できれば努力義務を前提とするというような閣議決定がされたんですけれども、地方自治を担う総務大臣といたしましては、こういった閣議決定がなされたことについてどのように捉えられていますでしょうか。

松本国務大臣 三月三十一日の、計画策定等における地方分権改革の推進について閣議決定したことについての御質問というふうに理解をいたします。

 自治体の計画策定等につきましては、先般、国、地方を通じた効率的、効果的な計画行政の進め方を示したナビゲーションガイドが閣議決定をされたということでございまして、これは、自治体が策定主体とされる計画策定等に関する法律の条項数がこの十年間で約一・五倍に増加してきておりまして、地方からも、過重な事務負担から見直しを求める強い要望が寄せられてきたことなどを踏まえたものと承知をしております。

 各府省におきまして、ナビゲーションガイドに沿って新規の計画策定等の抑制を図るとともに、自治体の計画策定等に係る事務負担の軽減を図り、職員が現場に赴くことができる時間を増やすことなどにより、地域の実情を踏まえた企画立案など、創意工夫をより発揮すべき業務に注力できる環境の整備を図っていくことが重要と考えておりまして、総務省としても、国と地方を通じた効率的、効果的な計画行政の実現を期してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 総務省としても、必要以上に地方自治に、先ほど大臣が御答弁いただいたように、事務負担を与えたりとか、地方の自治を損なわれるようなことは本意ではないとは思います。ただ、いわゆる従うべき基準というのがございまして、新たな義務づけ、枠づけの中でも従うべき基準というのが多用されると、今度は地方の自由度が阻害されるのではないかなと思います。

 令和三年の九月一日の全国知事会の中でも、やはり地方の自主性が、国が著しく制限し、制度の細かな運用の部分まで関与する側面があるんやないかという指摘もありましたし、二〇〇八年度の地方分権改革推進委員会でも、メルクマールが制定されて、該当しない場合は廃止又は条例委任されることになるということなんですけれども。

 やはりこの中で、従うべき基準というのと参酌すべき基準というところがあるんですけれども、これは法律が決まってから条例に今、下ろされてくるわけなんですけれども、条例の中で従うべき基準を新設していいのか、それとも参酌すべき基準とすべきなのかというところを地方自治で考えている、自治体で考えている形になるんですけれども、こういったのを条例委任ではなくて、中央で一律の指標というのをある程度決めて、新たな法律を作るようなやり方。

 一見、今の私の提案というのは逆にそれで地方を縛るんではないかということなんですけれども、それでかなり事務的なこととか、条例を作る上で地方自治が混乱しているのも事実なんですけれども、今のところ、本当に提案募集方式とかの、地方からの提案のみで個別に対応するしか方法はないんですけれども、この閣議決定でいわゆる努力義務にすべきというところもございますので、こういった状況の脱却で、ある程度、国で一律の方針を決めてはどうかということに関して、総務大臣、どう思われますか。

松本国務大臣 御質問いただきましたもの、従うべき基準、参酌すべき基準に係る御質問だというふうに理解をいたします。

 自治体が地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、条例で国の基準と異なる内容を定めることが許容されない従うべき基準を参酌すべき基準などに見直していくという考え方は、地方分権改革の観点から重要であるというふうに考えております。

 政府におきましては、地方からの声を踏まえつつ、個別の法令の内容や性質等に応じて精査の上、累次の一括法により、従うべき基準を参酌すべき基準などに見直しを行ってきたところでございます。

 地方分権改革推進委員会第三次勧告におきましても、従うべき基準を国が設定するのは真に必要な場合に限定すべきものとされているところでございまして、総務省といたしましても、従うべき基準の新設等、自治体に対する新たな義務づけ、枠づけに対しては必要最小限となるよう、法令協議等を通じて、関係省庁に対して必要な確認をしてまいりました。

 引き続き、自治体の自主性、自立性の向上に向け、内閣府と連携しながら、適切に対応いたしたいと考えております。

伊東(信)委員 総務大臣としても、国と連携して、そういうところはしっかりとチェックしていただけるということなんですけれども、先ほど大臣の答弁にも、その前の前の答弁にもありましたように、やはり地方に事務負担を強いることになると。やはり、地方自治体の規模や予算によって開きがあるというのも事実なんですね。

 そう考えていきますと、そういったところの各自治体へのフォローはあるのか。政策法務能力を向上させるという意図があったのか。実際に町村において提案した実績のある自治体は二八・四%と、やはりこれは少ない数字じゃないかと思うんですけれども、こういったところの自治体への支援というのはいかがなものでしょうか。これは内閣府から答えていただきたい。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 令和四年度までに提案を行ったことのある地方公共団体の数は、全体の四一%に当たる七百三十五団体であり、都道府県は四十七全ての団体に御提案をいただいておりますが、ただいま議員から御指摘のありましたとおり、町村につきましては全体の二八%の団体にとどまっているのが現状でございます。

 このような状況を踏まえまして、市町村が提案の検討に取り組みやすくなるように、例えば、提案に先立って行う事前相談の中で、地方の現場での支障や問題意識を丁寧に酌み取るとともに、地域の課題発見や解決能力の向上に結びつくよう、都道府県等と連携した市町村向け研修会の実施をやっております。この研修会は、例えば令和三年三十六回、コロナ禍だったので三十六回にとどまっているんですけれども、令和四年度は八十八回実施をしております。

 また、提案募集方式について、実例を含め、分かりやすく解説したハンドブック、こちらも平成二十九年から作ってお出しをしておりますし、更に分かりやすくするように動画なんかも作っております。成功事例動画等々、これも令和二年から作ってございます。こういったツールの拡充等々、様々な地方支援の取組を実施しているところでございます。

 地方の現場にはまだ課題が山積しておりまして、多くの提案に結びつく支障事例があると考えております。今後は、これまで提案を行ったことのない市町村からも多くの提案が寄せられることを期待しております。

 内閣府としても、これらの課題を具体的な提案に結びつけられるよう支援を行い、地方分権改革のより一層の前進に向けて、提案募集方式による成果の充実を図ってまいります。

伊東(信)委員 副大臣、ありがとうございます。

 でも、そうであるのならば、この制度を息の長い制度設計にすると思ったら、やはり法的根拠がないと思うんですよね。地方分権改革推進委員会とかは法的根拠を示しているんですけれども、資料の一枚目にある地方分権改革有識者会議の権限は大臣決定のみなんですね。こういったところで、提案型募集、地方分権改革を永続的なものにした上で、法律の条文による根拠というのをできないものでしょうか。続けて内閣府からお願いいたします。

和田副大臣 お答え申し上げます。

 提案募集方式は、総理を本部長とし、全閣僚を構成員とする地方分権改革推進本部において決定された、地方分権改革に関する提案募集の実施方針に基づいて実施をしてございます。当該実施方針の中で、提案募集方式の理念や対象、募集の方法及び時期、提案を受けた政府の対応、提案に関する調整過程の公表等の提案に関する手続についても規定してございます。

 また、こうした提案募集方式の進め方については、これまでの九年間の取組の中で、地方公共団体の意見も踏まえ、募集期間の延長等の運用改善を柔軟に図りながら、各府省及び地方公共団体の間に定着しているものと認識をしております。

 今後とも、地方分権改革推進本部及び閣議における決定を通じ、地方からの提案をいかに実現するかという基本姿勢に立って、政府全体として地方分権改革を着実かつ強力に推進してまいりたいと思います。

伊東(信)委員 政府としては地方分権改革を進めていくという意図はあるというのは分かったんですけれども、やはり、今、町村のレベルだったら規模が少ないと。そういったところで、やはり広域的な連携というのが必要だと思うんですけれども、その辺りに関しては、総務省としてはどのように、大臣、考えておられますか。

松本国務大臣 人口減少、高齢化等の人口構造の変化が進んできておりまして、人材の不足など、地域社会の様々な課題が顕在化する中で、住民に最も身近な市町村が持続可能な形で行政サービスを提供していくためには、地域や組織の枠を超えた連携というのは大変大切だというふうに考えております。

 総務省としては、各市町村が地域の実情に応じて、市町村間の広域連携や都道府県による補完など、多様な手法の中から最も適したものを選択し、取り組むことが適当であると考えておりまして、総務省では、これまで、定住自立圏や連携中枢都市圏などの広域連携施策を推進するとともに、従来からの事務の委託等に加えて、連携協約や事務の代替執行などの制度を設けまして、広域連携に係る多様な手法の中から市町村が最も適したものを自ら選択できる環境を整えてきております。

伊東(信)委員 しっかりと地域の連携も考えておられるということです。

 そうなんですけれども、最初に私が冒頭申し上げた、地方自治から住民自治の推進のための環境が整備されたということなんですけれども、そういったところでやはり大事なのは議会なわけなんですね。つまり、日本は、我が国は、直接の制度ではございませんので、あくまでも間接的な制度でございます。直接民主制というのではなくて、やはり日本の人口規模であれば間接的な民主制というところで。

 そんな中で、住民投票というのがございます。大阪でも、大都市地域における特別区の設置に関する法律の七条、八条というところで、この法律に基づいて、法的拘束力に基づいて住民投票がなされたんですけれども、現在、地方の条例に関して、総務省としては、条例による住民投票が法的拘束力を持つのでしょうか。条例による拘束力を持つ住民投票は存在しないという認識でよろしいのでしょうか。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 自治体における一般的な住民投票についての法律の規定はございませんが、御指摘のとおり、条例に基づいて住民投票が行われている例があると認識しております。

 このような条例による住民投票について、投票結果がその団体意思、議会又は長その他の執行機関の行動を法的に拘束するものとすることはできないと考えております。

伊東(信)委員 そうですよね。特別区に関してはそういった法律が実際に存在するけれども、条例による拘束力を持つ住民投票が存在しないということでございます。

 資料の、これは産経新聞に出ていたやつなんですけれども、広報板に、統合型リゾートは住民投票で決めようというところのあれがあるんですけれども、大阪府議会で二〇二二年三月二十四日、大阪市議会で二〇二二年三月二十九日に統合型リゾートに関する関連議案は可決しておるわけなんですね。でも、これを見ると、あたかも住民投票が終局的な決定をするかのようにやはり掲げているんです。

 選挙の公約なので仕方ないというような感じで捉えていいのかどうかも含めまして、直接民主主義ではないというところのモーメントを考えまして、総務大臣としてはどのようにお考えでしょうか。

松本国務大臣 我が国の自治制度は、住民の意思の反映については、住民の直接選挙を通じて選ばれた長や議会が中心的な役割を果たすことを基本としており、条例による住民投票は、住民の意思を把握する手法の一つとして活用されていると認識をいたしているところでございます。

 今おっしゃった御質問についての私の考え方は、今申し上げたようなことでございます。

 住民投票の活用については、各自治体において適切に判断をされておられるというふうに考えております。

伊東(信)委員 実際には、大阪にはUSJもございまして、そことかに、次の、ほかのリゾートは入れないという、そういった取決めもあるので、本来は不可能な話をこういったところで、議会軽視というのはやはりよくないと思いますので、やはり地方議会を充実させるというところで、自立する地域のために今後とも我が党は頑張ってまいります。

 以上です。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会の市村でございます。質疑をさせていただきます。

 本年は、本年度と言っていいと思いますが、二〇二三年度は、小選挙区比例代表並立制が制定されてから三十年目という年に当たっていますので、ちょっと今日はお時間をいただいて、選挙制度について少し議論をさせていただけたらなというふうに思っております。

 選挙制度というのは、代議制民主主義をならしめる根幹的なことだと思います。この選挙制度がやはりおかしいと、国民の思いをできる限り正確に反映しなければならないわけでありますけれども、なかなかそうならないということでありまして、九三年のときでございますけれども、細川政権のとき、私も政策担当として日本新党におりましたが、大変大議論をした結果、小選挙区比例代表並立制に落ち着いた。併用制を取ったりとか、又は、あのときは、二人区や三人区もどうだろう、検討したらどうかという話もあったように記憶をしております。

 選挙というのは大体、Nプラス一分の一ということで、理論上そうなりますので、小選挙区だと二分の一で五〇%の戦い、二人区だと三三・三%の戦い、三人区だと二五%の戦い、こういうことで、どういうものが一番国民の声を正確に反映するんだろうかという議論があった上で今の制度に落ち着いたというところでございまして、三十年たちました。

 ただ、根本的にもうちょっと考えた方がいいというような思いもありまして、そもそも民主制というのがどうなのかというのも、二千四百年前にプラトンとかが「国家」というところでいろいろ議論しているわけであります。プラトンに言わせると、民主制というのは独裁制よりましな制度であって、大していい制度じゃないということを二千四百年ぐらい前にプラトンは言っております。

 なぜならば、プラトンのお師匠さんであるソクラテスは、市民によって、当時は奴隷制もありましたから、市民というのが今の市民とは全然違いますけれども、市民によって石を投げられ殺された、裁判にかけられ、不当な有罪判決を受けて自殺に追い込まれた、自害に追い込まれた、こういう思いがありますので、余りプラトンとしては、民主制というのはどうかなというのもあっております、そういうのもあって。

 現代的には、マックス・ウェーバーも、いろいろな支配があるが、合法的支配が今はあるだろうということで、カリスマ的支配や伝統的支配の中で、今のは合法的支配であると。日本は大体そこに今いるんだろうと思います。

 ならば、そこで行われている代議制民主制を成り立たせるためには、やはり選挙制度というのが大変重要であるというところでございまして、その思いの中で、少し具体的な質疑をさせていただきたいと思います。

 今、現代はデジタル化の時代、またDX、DXということで今話がされておりますが、デジタル化の時代。この時代に合わせたやはり選挙制度というものも考えていかなければならないんじゃないかなというふうには思っています。

 そのためには、選挙の在り方について、投票をやりやすくする、しなければならないということがあります。後ほどそれを具体的に話もしたいと思いますが。

 今実は、資料がありますが、ちょっと皆さんにお渡ししていませんけれども、手持ちの資料として、今、ちょうど統一地方選挙が行われておりますけれども、この統一地方選挙の投票率が平均、現在では五割を割っているというところでございます。

 昭和二十二年、二十六年当時になりますと、例えば市町村議会議員選挙の投票率が九二・六六%あったのが、今は四六・七四%ということであります。また、指定都市の市議の投票率も、元々これは七二・九二%と昭和二十六年でも低かったわけでありますが、今や四三・二八%。都道府県議会議員選挙、今行われていますが、当時昭和二十六年頃は八二・九九%が、今四四・〇二%ということでありまして、恐らく今回の、今、統一地方選挙の都道府県会議員選挙、若しくは、政令指定都市の市長、市議選挙等行われておりますけれども、恐らく五〇%を割るだろう、こういうふうなことが予測されるわけであります。残念ながらでありますが。

 そのときに、私は、投票率五〇%以上でない選挙は無効にもうした方がいいんじゃないかと。それぐらいの覚悟で我々が、立法府が示す、若しくは自治体が示すということで、投票をしてくださいというようなことを、私はやはり、投票率を上げるためにも必要ではないかと思いますが、御見解をいただきたいと思います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 公職選挙法においては、御指摘のような最低投票率制度というようなものは設けられておりませんけれども、極端に少ない得票の候補者を当選人と定めることは、選挙人の代表たるにふさわしくないこと等を考慮して、いわゆる法定得票数の仕組みが設けられているところでございます。

 最低投票率制度の方につきましては、その率の設定によって長期にわたり議員や首長が選出されないこととなる可能性があることや、いわゆるボイコット運動を誘発するのではないかといった論点があるものと考えております。

 最低投票率制度を設けるといったことにつきましては、選挙制度の根幹に関わる事柄でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えております。

市村委員 もちろん、いろいろ議論があるわけでありますから、それをいま一度、三十年目にして大議論した方がいいという思いでお話をさせていただいております。

 そうすると、やはり、できるだけ投票をやりやすくするということも重要かと思うんですね。今、期日前投票というのも簡易にできるようになってはおりますけれども、やはりどこかに行かなくちゃいけない。自治体によっては、たくさん設けるところもあれば、そうではないところもあるというところであります。

 ならば、今このまさにデジタル化の時代、DXの時代と言われているのであれば、手元にあります我々のいわゆるスマートフォンから投票ができるような仕組みというものも、今日はデジタル庁にも来ていただいていますけれども、できるんじゃないかな、技術的にはもう可能なのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか、デジタル庁さん。

大串副大臣 現在、在外選挙におけるインターネット投票については、総務省において技術面を含む課題について検討が行われているということは承知しております。

 また、インターネット投票を導入するかどうかにつきましては、各党各会派で御議論いただく必要があると認識しておりますが、デジタル庁としては、総務省の議論なども踏まえながら、技術的な面については必要な協力を行ってまいりたいというふうに考えております。

市村委員 いわゆる在外投票でやろうということで、国境を越えたところでもできるということを前提に、恐らく、在外投票の、いわゆるネット投票というかデジタル投票ということを考えておられるわけですよね。だから、海外、今はもう通信の世界は国境なんかないわけでありまして、しかも距離もない。地球なんというのは、狭い範囲で考えなくても、宇宙で考えているわけですから、そういう技術はもう十分にあるのかなと思います。

 また、かつ、私は、マイナンバーについては、ここでも何度も申し上げておりますが、おぎゃあと生まれた瞬間に付番するのはいかがなものかという思いはありますが、しかし、マイナンバーをせっかく作ってあるのであれば活用をするということで、十分に技術的な準備は整っているのではないかな、こう思っておりますが、いかがでございますでしょうか。いま一度お願いいたします。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 国内のインターネット投票についてのお尋ねと承知をしました。

 国内のインターネット投票につきましては、在外選挙における様々な現在している検討課題のほかに、投票管理者や立会人の下で行うことが原則の投票を、特段の要件なくこれらの者が不在の中で認めることの是非だとか、有権者の規模が大きいため、一斉アクセスなどに対応できる大容量のシステム整備といった課題があるところでございます。

 インターネット投票という新たな投票方法を導入することは選挙制度の根幹にも関わることでございまして、各党各会派で十分御議論いただく必要がございますが、総務省としては、在外選挙インターネット投票について、引き続き課題の整理、対応などの検討を進めてまいりたいと思います。

市村委員 恐らく、在外投票に今お考えになられているのは、どこかの大使館、領事館に行ってもらってそこから投票していただくということで、いわゆる電子投票に近いものを考えておられるのかもしれませんね。

 でも、いろいろ今、電子認証ということもこれありでありますし、それこそ目の虹彩の認証とかいうのも今、いわゆる金融の世界では当たり前のようにやっている、指紋認証とかというのも当たり前のようにやっているわけでありまして、そういうところも含めて、技術的な背景は、私は、例えば民間の銀行ですらそういうことでやっているわけでありますから、是非とも、投票しやすくするということがやはり投票率を上げるということでありますし、それこそが国民の声をより反映した選挙結果が出てくるということにつながると思いますので、在外投票ということで、今議論されているものをもっと普遍化させて、ネット投票という議論もまたしていかなければならないと思います。

 それからもう一つ、今日は、ちょっと具体的なのは、いわゆる選挙掲示板というものがありまして、ここにいらっしゃる皆さんは、選挙初日の掲示板ポスター貼りについては、大変皆さんいろいろな御苦労をされている、御苦心をされているのではないかと思います。

 やはり、特に今、衆議院の場合は、火曜日という平日が初日でありますから、土日だったら仕事も休みだし、手伝ってもいいよという方もいらっしゃるんですが、平日はなかなか、仕事を休んで、ちょっと手伝えないねということで、できるだけ平日にお手伝いいただいている方にお願いをする、若しくは、人によっては業者に頼んで貼ったりとかしています。

 ただ、元々なぜこういうことになっているかというと、お金を持った人が有利な制度じゃいけないんじゃないかということで、できる限り共通した部分は、いわゆる候補者の負担がかからないようにして、ここは公平にしましょうということでスタートしているんでしょうけれども、掲示板を業者を使うとなると、結局多量のお金がかかる。私はもちろん使っていませんが、そういう人もたくさん最近出てきているということになってきますと、お金を持った人間が、資金がたくさんある人間が有利であるんじゃないかというところの疑問も出てきますので。

 私は、まさにデジタル化の時代に、公営掲示板についての在り方をまた根本的に見直すべきだと思いますし、掲示板というものを持つのであれば、まさにデジタルサイネージというものもありますが、そうしたいわゆる今有機ELというようなものだと、折り畳みもできたりとか、丸めたりもできるようなものがいわゆるモニターとして使える時代になっています。ですから、雨にぬれても大丈夫ということでありますし、そうしたデジタルサイネージという技術をこうした公営掲示板に用いるべきじゃないかというふうな思いを持っていますが、いかがでございますでしょうか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 選挙運動のために電光表示などを用いることにつきましては、従来全て禁止をされておりましたが、平成二十五年の、これは議員立法によりまして、屋内の演説会場内において、その演説会の開催中に使用する映写等の類いに限って解禁されたものと承知をしております。

 御指摘のデジタルサイネージの点につきましては、選挙運動のために電光表示などを用いることをどのような範囲で認めることとするのか、また、金のかからない選挙の観点から、設置に係る経費負担などをどのように考えるかといった論点があるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、選挙運動の在り方に関わる問題でございますので、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えているところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 もちろん各党各会派の議論が必要なんだとは思いますが、そういう根幹に関わるところはそれでいいんですけれども、技術的な背景で、もうできると思われることは、できる限り検証を進めてやっていくべきだ。

 それは、各党各会派の議論はもっと根本的なところで、さっき申し上げたような、本当にこの民主制というのがいいのかどうか等を含めて、そこは大々議論になりますけれども、そういうのはもちろん各党各会派の議論が必要だろうと思いますが、技術的にもうできているもの、しかも、私も諸外国の選挙も見てきていますけれども、もう十数年以上前から、私の記憶ではたしか台湾だったと思いますけれども、ヨーロッパだったかな、もうデジタルサイネージを当たり前のようにやっていました、十数年も前に行ったときに。

 だから、もう技術的には十分できるし、しかも、諸外国でそんなセキュリティー上問題があることをやらないはずでありますので、是非とも日本でも、技術大国日本ということであれば、先ほど、6Gで日本が先導すべきだという議論もしている中で、技術的に可能なものはできる限り総務省さんの方で御議論いただいて、やれるものはやっていこうということで、さっきおっしゃっていたようなお金のかからない選挙をするためにも、是非とも御検討いただきたいと思います。

 これを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず最初に、四月三日に起こりましたNTT東日本、西日本の通信障害につきまして質問させていただきます。

 光回線を使ったインターネット接続サービスフレッツ光と電話サービスひかり電話で通信障害が起こりまして、多くの利用者が影響を受けました。昨年七月にも発生をいたしましたKDDI及び沖縄セルラー電話の通信障害におきましては、緊急通報を含む音声通話、データ通信が長時間にわたって大規模に不通となりまして、国民生活に深刻な影響を及ぼしました。重大事故と認定をされ、総務大臣から行政指導が行われましたけれども、その後も、八月にはNTT西日本、九月には楽天モバイル、立て続けに通信障害が発生をいたしております。

 相次ぐ大規模通信障害、重大事故が度重なる現状について、松本総務大臣の御見解と、今後、再発防止に向けた取組の方針について、お伺いさせていただきます。

松本国務大臣 通信サービスは、国民生活及び社会経済活動の重要なインフラでございまして、その確実かつ安定的な提供の確保が大変重要であるということは、委員からも御指摘があったところかというふうに考えます。

 御指摘の、本年四月三日の東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社の通信サービスの一部に通信障害が発生したことは、私といたしましても大変遺憾に感じているところでございます。今後の対応については、両社に対し、原因等に関する詳細な情報提供を求めているところでありまして、それらを含む電気通信事業法に基づく報告を踏まえ、関係法令などに基づき、しかるべき対応を行ってまいりたいと考えております。

 総務省では、今回のような設備故障による事故の再発防止にも資するリスク管理や保守運用の体制などの業界に共通する構造的問題について、電気通信事故検証会議において検証を進め、本年三月二十七日に報告書を取りまとめたところでございます。

 総務省としては、当該検証の結果を踏まえ、技術基準のほか、保守管理体制について定める管理規程の見直しなどを行うことにより、情報通信ネットワークの安全性、信頼性の更なる向上を図ってまいりたいと考えております。

 さらに、総務省では、本年三月に、電気通信サービスにおける障害発生時の周知・広報に関するガイドラインを策定をいたしまして、通信障害の発生時に利用者への適時適切な情報提供が行われるよう通信事業者に求めているところでございます。

 通信事業者各社におきましては、国民生活において重要なインフラとなっております通信サービスを提供している責任を十分に認識し、通信サービスの確実かつ安定的な提供の確保について、改めてしっかりと取り組んでいただきたいと考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 昨年七月に発生いたしましたKDDIの事案によりますと、一一九番につきましては、通報件数が六三%減少して、それ以外の携帯電話会社からの通報が二〇%以上増加をいたしました。また、一一〇番通報につきましては、KDDIからの通報が四五%減少した一方で、それ以外の携帯会社からの通報が各社約二%から七%増加をし、公衆電話からの通報も二一%増加したと伺っております。

 今回、緊急通報についてどの程度影響があったのかどうかということを御説明をいただきまして、また、今後の原因究明につきましてどのような取組をしていかれるのかということについて、併せてお伺いをしたいと思います。

竹村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事故は、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の通信サービスの一部で約三時間、十六都道府県において障害が発生し、利用者の方々への影響は最大で四十四・六万回線であったと報告を受けております。

 事故の原因でございますが、現時点で両社からは、特定のサービスを提供するサーバーからの通信の受信に起因し、同社設備が再起動を繰り返したことによるものと聞いておりますが、原因の詳細は両社において調査中です。

 今後の対応については、重大な事故が発生した日から三十日以内に、事故の原因を含めて電気通信事業法に基づく報告を受ける予定であり、これを踏まえ、関連法令などに基づき、しかるべき対応を行ってまいります。

 なお、お尋ねがあった緊急通報への影響でございますけれども、今回の事故では、約三時間にわたり最大二十三・三万回線の音声通話についても障害があり、両社からは緊急通報が利用できない状況であったというふうに聞いてございますが、消防庁、警察庁及び海上保安庁によりますと、緊急通報に具体的な支障が生じたとの報告は受けていないということでございます。

西岡委員 緊急通報に対する影響というのは、利用者の方の命にも直結するということの立場から考えますと、大変今回の事態についても深刻な事態であると受け止めております。また、早急な体制整備、対応が必要だというふうに認識をいたしております。

 その中で、昨年からの様々な通信障害を受けまして、非常時における事業者間のローミングですとか、それ以外の非常時の通信手段の確保について、このことについては検討が進められていると認識をいたしておりますけれども、その検討状況と、また具体的なお取組について御説明をお伺いをいたします。

竹村政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、自然災害や通信障害などの発生により携帯電話が長時間利用できなくなるような事態が生じないよう、事業者間ローミングの実現に向けて取り組んでおります。

 総務省の有識者検討会において本年六月頃までに事業者間ローミングの具体的な導入スケジュールを策定いただく予定であり、並行して、技術基準の改正等、必要な制度整備を進めてまいります。

 また、通信障害の内容によりましては事業者間ローミングが実施できない場合がありますことから、複数SIMや公衆WiFi、衛星通信など、ローミング以外の通信手段の利用を含め、総合的に対応を進めてまいります。

西岡委員 今ありましたように、複線的な対応というのが大変重要だと思いますので、今年六月には導入スケジュールをということでございましたので、是非早急なお取組をお願いを申し上げたいと思います。

 次の質問に移ります。

 続きまして、マイナンバーカード取得に際して課題がある方の環境整備についてお尋ねをさせていただきます。

 マイナンバーカードの取得は、原則、本人の申請によって、まず本人自ら取得の意思があるところから始まるというふうに思いますけれども、意思を確認することが困難な方ですとか、取得の意思があっても様々な事情で取得に関し課題がある方々の環境整備は極めて重要であると考えております。

 中でも、障害をお持ちの方については、お持ちの障害の種類ですとか状況によってそれぞれ置かれている状況が全く異なるために、寄り添った伴走的な支援、きめ細やかな支援が必要であると考えますけれども、障害を持った方々への、現状、その方々への対応、お取組について御説明をお願いいたします。

吉川(浩)政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは安全、安心で利便性の高いデジタル社会を実現していくための基盤となるツールでありまして、国民の皆様にデジタルのメリットを享受していただけるよう、取得に課題がある方についても円滑にカードを取得していただけますように、環境整備にしっかり取り組んでいくことが重要と考えております。

 デジタル庁、総務省、厚労省の三省庁で進めてまいりました検討会の中間取りまとめにおきましては、カードの取得に課題がある方に向けた環境整備について方向性が示されたところでありまして、その具体化に今取り組んでいるところでございます。

 例えば、申請の際に必要となる顔写真につきまして、障害のある方や寝たきりの方など、やむを得ない理由により規格に合った写真を撮影できない場合であっても、申請書に理由を記載し送付していただくか、あるいはコールセンターに連絡をしていただくことで使用可能としていることにつきまして、自治体に対し、具体的な例も示しつつ、改めて周知を行いました。

 また、やむを得ない理由により庁舎等に出向くことが困難な場合に代理人への交付を可能とする代理交付の仕組みにつきまして、幅広く活用しやすくなるよう、活用できるケースの拡充、明確化などを盛り込んだ自治体向けの事務処理要領の改定を行ったところでございます。

 今後も、一人でも多くの方の取得を目指し、関係省庁とも連携して、環境整備をしっかり進めてまいります。

西岡委員 今御説明がございましたように、病気ですとか身体の障害その他のやむを得ない理由によりまして交付申請者の出頭が困難であると認められるときの代理交付というものが認められておりますけれども、それについては、例えば、今日お配りをいたしております、マイナンバーカード代理交付についてというところの中では、事務処理要領で明記されているやむを得ない理由の例というのが、例えば病気、身体の障害、四つ書いてあるんですけれども、身体の障害という記述しかございません。

 今御説明がありましたように、検討会の中で、今後の見直し案という中で、ここにはしっかり対象となる方を明記をしていくということが方向性として出されました。このことは大変重要だと思います。このやむを得ない理由というものをしっかりと明確化すること、また、要件の緩和、見直しが早急に必要だというふうに考えております。

 また、困難であることを疎明する、証明する本人確認の資料の提示というものを認められるということもありますけれども、例えば知的障害、発達障害のある方など、そういう方々についても、やむを得ない理由ということの中の更なる明確化というものが必要だと思います。

 今御答弁いただいたことと重複をいたしますけれども、総務省として今後どのように取り組んでいかれるかということを再度お尋ねをさせていただきます。

吉川(浩)政府参考人 御指摘のとおり、申請者が市町村の庁舎等に出向くことが困難であると認められるときには、その困難であることを疎明する資料などの必要書類をお持ちいただくことで代理人に対して交付することができるということになっております。

 この代理交付につきましては、中間取りまとめにおきまして、活用できるケースを従来より幅広く拡充、明確化するとともに、疎明資料の緩和、実質不要化を図ることで、代理交付を幅広く活用できるようにすることとされております。

 総務省では、この中間取りまとめを踏まえまして、代理交付の活用ができるケースについて、身体以外の障害がある方についても認められることを明確にいたしますとともに、疎明資料として、従来から明示しておりました障害者手帳に加え、障害福祉サービス受給者証、あるいは自立支援医療受給者証についても可能とすることなどを盛り込んだ事務処理要領の改定を行いまして、三月三十一日に自治体に対して発出をしたところでございます。

西岡委員 お取組をしていただいていることを確認をさせていただきました。

 続きまして、申請手続の窓口における対応につきまして、先ほど申し上げたように、申請者ですとか代理人の方には寄り添ったきめ細やかな対応が必要である一方で、対応する職員の、現場の方々にとっても、それぞれの方々の事情が異なるために、どのように判断し対応したらよいか、大変苦慮される局面も出てきております。

 その対応について、例えばマニュアルの作成、周知徹底が重要であると考えますが、そのお取組についてお尋ねをいたします。また、代理人も含めた御家族に対する御説明や周知も大変重要かと考えますけれども、そのお取組についても併せてお尋ねをさせていただきます。

吉川(浩)政府参考人 総務省では、これまで、課題を抱えている方への交付時の対応につきまして、交付通知書への氏名等の記入については点字によることも可能であること、また、暗証番号の設定が困難であると認められる場合は、介助者や市町村職員が必要な補助を行うこととして差し支えないことなど、留意事項を自治体にお示しし、周知を図ってきたところでございます。

 カードの取得に課題を抱えている方が円滑にカードを取得していただくためには、市町村ごとに窓口の対応にばらつきがないようにしていくことが必要と考えておりまして、総務省としては、中間取りまとめを踏まえ、これまで周知してきた対応を整理した上で、改めて周知していくこととしております。

 また、カードの取得に課題を抱える方への環境整備といたしまして、今後、施設等による申請サポートや市町村による施設等への出張申請受付を推進することとしておりますが、施設及び市町村向けのマニュアルを作成いたしまして、このマニュアルの中でも障害のある方などへの対応について明記し、徹底を図るとともに、市町村等とも連携して住民の方々への周知に努めてまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。是非進めていただきたいと思います。

 次に、質問させていただきますけれども、例えば代理人となるべき方がいない場合、このような場合にはどのような対応になるのかということについてお伺いをさせていただきます。

吉川(浩)政府参考人 代理人を頼める方がいないといった場合でありましても、マイナンバーカードを円滑に取得していただけますよう、中間取りまとめでは、市町村による施設や希望する個人宅への出張申請受付を推進することとされております。

 総務省といたしましては、この中間取りまとめを踏まえ、市町村による出張申請受付に要する費用について国費による支援を行いますほか、市町村が出張申請受付を行う際の事務的な準備や周知などについて、これにつきましてもマニュアルを作成して施設等に協力を依頼するなど、関係省庁とも連携して、市町村による出張申請受付の推進に取り組んでまいります。

西岡委員 続きまして、申請手続に当たっては、例えばでございますけれども、手話通訳者ですとか聾唖相談員等の専門職の方々の力が欠かせないと思います。この専門職の方々を含めた関係団体との連携強化についてお伺いをさせていただきます。

吉川(浩)政府参考人 聴覚障害のある方々への支援につきましては、厚生労働省において、聴覚障害のある方々が日常生活や社会生活を送るために、自治体と連携して、意思疎通を支援する手話通訳者などの養成や派遣といった取組が行われていると承知しております。

 中間取りまとめでは、手話通訳者や聾唖者相談員の活用の推進を検討することとされております。

 総務省といたしましても、障害をお持ちの方々が円滑にマイナンバーカードの交付を受けられますよう、厚労省とも連携して検討をしてまいります。

西岡委員 それでは、確認をさせていただきたいんですけれども、病気ですとか障害、認知症等によりまして御本人の意思を明確に示すことが困難な場合に、マイナンバーカードを取得できないということも実際にあるというふうに思います。この取得できないことによってその方に不利益が生じることがあっては絶対にいけないと考えます。特に、健康保険証の廃止、マイナ保険証への切替えなど、直接大きな影響を受けるということが現実にございますので、絶対に不利益が生じないということについて、この場で確認をさせていただきたいと思います。

吉川(浩)政府参考人 マイナンバーカードはデジタル社会を実現していくための基盤となるツールでありまして、国民の皆様にはデジタルのメリットを享受していただけるものでございます。

 今、病気あるいは障害をお持ちの方、例示をされましたけれども、総務省といたしましては、こうした取得に課題がある方についても円滑にカードを取得していただけるよう、環境整備をしっかり進めてまいりたいと考えております。

 なお、マイナンバーカードを保有されている方にどのようなサービスを提供するかについては、当該サービスを提供しようとする各省庁や自治体において適切に判断されるものと考えております。

西岡委員 私が今質問させていただきましたのは、病気ですとか障害、認知症等によって御本人が意思を明確に示すことができない場合にマイナンバーカードを取得できないということがあった場合に、その方に不利益を生じることはないということを御確認をさせていただきたい趣旨でございますので、もう一度御答弁をお願いいたします。

吉川(浩)政府参考人 御指摘のとおり、意思を確認できないという方につきまして、マイナンバーカードが取得できないという事態は想定されるところでございます。その上で、中間取りまとめにおきましても、健康保険証廃止後の資格確認の取扱いについて、資格確認書により被保険者資格を確認することとするといった対応が明記をされているところでございます。

 繰り返しになりますが、カードを保有されている方にどのようなサービスを提供するかについては、当該サービスを提供しようとする各省庁や自治体において適切に判断されるものと考えております。

西岡委員 時間となりましたけれども、今の御答弁は私の質問にお答えになっていないというふうに思いますので、また改めて質問させていただきます。

 私の質問をこれで終わります。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 私は、三月十六日の当委員会でも、小西洋之参議院議員が明らかにし、その後、総務省も行政文書であることを認めた政治的公平に関する放送法の解釈についての七十八ページに及ぶこの文書を取り上げました。その際に、私が、この文書が行政文書ファイル管理簿に記載されていたのかどうかを問うたところ、小笠原陽一情報流通行政局長は、確認した結果、行政文書ファイル管理簿への記載が行われていなかったと答弁をいたしました。この答弁を受けて、様々な場で、行政文書ファイル管理簿に記載がないから公文書ではないのだとか、やはり捏造文書だったのだなどという意見さえ散見されます。

 まず、公文書管理法を所管する内閣府大臣官房公文書監理官に確認をいたします。

 今回の放送法の解釈に関わるこの一連の文書は、行政文書ファイル管理簿に記載がないから公文書ではないということにはならないと考えますが、これを御確認をいただきたい。

原(典)政府参考人 お答えいたします。

 行政文書の定義につきましては、公文書管理法におきまして、「行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。」と定められております。行政文書管理簿への記載がないことをもって行政文書に該当しないことにはならないと考えております。

宮本(岳)委員 当然のことなんですね。

 小笠原局長は、私への答弁で、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったことを認めた後、続けて、このような行政文書の管理が適切に行われていなかったことは大変申し訳なく思っておりますと謝罪をいたしました。

 どこをどう読んでも、管理簿に記載されていなかったから行政文書ではないとか、管理簿に記載されていなかったことをもって文書の信憑性に疑いがあるというような結論は出てきようがないことをまずはっきりさせておきたいと思います。

 更に内閣府に確認をしたいんです。

 行政文書ファイル管理簿に記載がなければ、国民が情報公開を求めようにも、その存在すら知ることもできず、情報の開示を求めることができないのではないかと思いますが、そうじゃないでしょうか。

原(典)政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の所管ではございませんけれども、情報公開法第二十二条第一項におきまして、開示請求をしようとする者が容易かつ的確に開示請求をすることができるよう、行政文書ファイル管理簿を公表しなければならないとされているものと承知しております。

宮本(岳)委員 それもそのとおりだと思うんですね。

 松本大臣は三月二十三日の参議院総務委員会で、管理簿に記載がなかったことは公文書管理法第七条違反と認めつつも、この時期の担当課の文書管理者に確認したら、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば、記載の必要性の認識が十分ではなかったかもしれないとのことでございました、こう答弁をされました。

 そこで聞くんですけれども、この時期の文書管理者が言うところの、記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないというのは、この文書が行政文書に当たるという認識が十分でなかったという意味か、それとも、この文書は行政文書だけれども、それをファイル管理簿に記載すべきかどうかの認識が十分ではなかったということか、どちらですか。

松本国務大臣 論理的には委員のおっしゃるいずれかということになろうかというふうに思いますけれども、私どもの聞き取りの結果では今申し上げたようなところでございまして、どちらかであるかについてまで今断定できる情報を持ち合わせていないというところでございます。

宮本(岳)委員 手を挙げましたけれども、同じですか、局長も。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございますが、この時期の担当課の文書管理者に確認しましたところ、行政文書ファイル管理簿に記載されていなかったとすれば、記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないということでございました。

 このようなことで、特段の意図があったというふうに承知しているところではございませんが、本件行政文書が管理簿に記載されていなかったことにつきましては、先ほど委員から御指摘もございましたが、大変遺憾に思っているところでございます。

宮本(岳)委員 その答弁じゃ駄目なんですね。

 私は、認識が十分でなかった、そうおっしゃるから、それは、この文書は行政文書だという認識がなかったのか、それとも、この文書は行政文書だが、それをファイル管理簿に記載すべきかどうかという認識があやふやだったのか、どちらだと言っているんですかと聞いたんです。聞き取ったんでしょう。どちらですか。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいまの御質問ですと、今大臣がちょっと御答弁申し上げたとおりでございますが、論理的には今委員が御指摘になったようなところということだと思います。

 ただ、今のところ、行政文書という認識という点についてなのか、あるいは、行政文書ファイル管理簿に記載すべきであった、その記載の必要性ということの認識であったのか、そこのところについての情報ということについて、十分ちょっと持っていないということでございます。

宮本(岳)委員 それはおかしいんですよ。おかしいんです。

 行政文書だという認識がなかったというならともかく、行政文書だという認識がありながら、行政文書ファイル管理簿に記載すべきかどうかの認識があやふやだったということは、公文書管理法七条を破っていいという認識を持っていたということですか。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど申し上げた、ちょっと一部繰り返しになって恐縮でございますが、記載の必要性の認識が十分でなかったかもしれないということでございますので、ただいま、ちょっと委員が御指摘のような、そういった法律ということについて、それはちょっと違反ということを意図したものではなかった、そのところを先ほど、特段の意図があったとは承知しておりませんというふうに申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、続けて意図としたものではなかったと言うから、一層不審に思うんですけれどもね。

 内閣府、答えていただけますか。行政文書だと認識しながら行政文書ファイル管理簿に記載しないということが許されますか。

原(典)政府参考人 お答えを申し上げます。

 公文書管理法に基づきまして、行政文書につきまして、行政文書ファイル管理簿に記載することが適切であると考えております。

宮本(岳)委員 だから、これを行政文書だと認識していたとしたら、違法な状況を容認したということになるんですね。

 これが、特段意図がなかった、こういうふうに大臣も答弁されているわけです。これは、特段の意図がなかったということを、ないということを何か証拠や根拠で確認されたんですか、大臣。

松本国務大臣 今の御議論でありますが、おっしゃるとおり、行政文書であると認識をしていながら管理簿に記載をしないとすれば、所要の手続が取られていなかったということになりますし、今回、私どもも、経緯を確認をする限り、行政文書であるということで判断をさせていただいたものが、行政文書であるかの認識がきちっとなされていないとしたら、これもあれであるので、いずれにせよ、私どもとして、不適切な取扱いがあったことは甚だ遺憾であるというふうに申し上げてきたところでございます。

 その上で、聞き取りを聞く限り、記載されていないとすれば、記載簿への認識がなかったのではないかという聞き取りの結果の報告が上がってきたことを踏まえまして、何らかの意図を持って、記載をしたものではないということで、そのように御報告をした次第でございます。

宮本(岳)委員 この文書がファイルの中に共有されているということについて、あなた方は、二〇一五年五月以来現在まで、総務省はこの行政文書の存在を、現在までというよりも、国会で問題となった三月上旬まで存在を知らなかったんですか、知っていたんですか、局長。

小笠原政府参考人 今のお尋ねのその行政文書について、そういった保存ということについてのお尋ねというふうにちょっと理解をいたしました。

 お尋ねの行政文書、電子的に保存されていることに関する状況ということでございますが、政府における行政文書の電子的な管理についての方針に沿って、順次、行政文書ファイル管理簿上の分類に沿った、新たなフォルダの体系ということに移動させることとしておりました。

 ただ、本件行政文書は、作成後、参照されること等がなかったため、新たなフォルダ体系への移動が行われないまま、古いフォルダ体系の下に保存されていたということでございます。

宮本(岳)委員 いや、参照されることがなかったというのはちょっとにわかに信じ難いんですね。

 資料一を見ていただきたい。

 実は、うちの事務所で、二〇一五年五月十二日から二〇二三年四月五日、昨日まで、国会で、この放送法四条あるいは番組準則ということが議論された、オアでくくって検索した結果がこれなんですね。九十九ヒットしておりまして、放送法四条について答弁を作るとき、あるいは番組準則について国会で議論するときに、当然、今回のこの文書というのは参照されて、答弁の前提として共有するために共有フォルダに入っていたと思うんですね。

 あれですか、全くこれを気づかずに、ひもづけていないどころか、気づきもせずに持っていたということですか。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 今委員、本日、資料でお配りになりました検索にかかった案件について、それぞれについて、そのときの質問に応じたお答えということでございます。

 例えば、放送法第四条ということのお尋ねでございますと、放送法四条の意義といった、あるいはその法的な意義といったように、その辺で御質問にお答えした場合、あるいは、政治的な公平ということについての、その当時の大臣の認識ということを御質問になった場合、そういった御質問ということであったというふうに承知をしております。

 そのような場合、先ほど御答弁申し上げましたとおり、この文書、御指摘の文書について、参照するということはなかったということであったというふうに御答弁申し上げたところでございます。

宮本(岳)委員 いや、参照することのない文書をなぜ共有フォルダに入れていたんですか。見ることができたんでしょう、担当部局、課は。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げたことと一部重なって大変恐縮でございますが、先ほど申し上げた新たなフォルダ体系というところに移動するということを、その文書を参照する必要がなかったということで、そのままちょっと古いフォルダ体系のところに残っていた、これが、今申し上げられることでございます。

宮本(岳)委員 じゃ、聞きましょう。

 この七十八ページのこの行政文書は、行政ファイル管理簿に記載するとすれば、公文書として分類するための時系列のどこに記載すべきものなのか、また、保存期間は何年のものなのか、お答えいただけますか。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 行政文書ファイル管理簿に関するお問合せでございました。

 御指摘の行政文書につきましては、法令にのっとり、担当課の保存期間表の分類、あるいは、文書であることを踏まえまして、国会への御報告とともに、今国会審議文書の分類に記載する手続を行ったところでございます。

 本件行政文書が今国会で御議論のあった文書であることを踏まえまして、国会への御報告とともに、こういった取扱いをさせていただいたところでございます。

 それから、保存期間というところでございますが、今の担当課の保存期間表ということでありますと、今、国会審議文書ということになりますと、保存期間が二十年ということになっております。

宮本(岳)委員 二〇一五年の文書ですから、二十年、二〇三五年まで保存すべき文書、それがすっぽり抜けていた。

 私は、共有フォルダに入っていながら、これがファイル管理簿に記載されていなかったのは、まさに国民に見せたくなかったからではないのか、情報公開請求されたくなかったからではないのかと疑わざるを得ないと思います。そこは、国民の間にやはりそういう疑念が生じるのは当然のことだと思うんですね。

 大臣は、これまでとにかく、放送法四条に関する解釈の変更はしていない、これを繰り返してこられました。高市さんをめぐったり礒崎さんをめぐる様々な議論とは関係なく、総務省の解釈の変更はしていないのだという答弁なんですね。

 そこで、今日は、この前、議事録を示しましたが、昭和三十九年、一九六四年の九月八日に臨時放送関係法制調査会の答申が出された。資料二の左側はその資料編の表紙、右側は「放送関係法制に関する検討上の問題点とその分析」と題された、一九六四年一月に当時の郵政省が提出した政府の資料なんですね。

 その郵政省提出資料には、資料三につけたくだりがあるんです。赤線部。個々の放送内容について、前記の四原則が守られていないことを挙証することは極めて困難であり、結局は、最終的には訴訟によらなければどうにもならない問題であろう、したがって、法に規定されるべき放送番組編集上の遵守すべき事項、言葉を換えて言うならば、法が事業者に期待すべき放送番組編集上の準則は、現実問題としては、一つの目標であって、法の実際的効果としては多分に精神的規定の域を出ないものと考える、要は、事業者の自律にまつほかない。

 変更はしていないと言うのであれば、まずはこの方針、この郵政省の見解は現在も維持されているということでいいんですね。

松本国務大臣 御指摘の、調査会の答申書の資料編に記載されている文言というふうに理解をしておりますが、私ども、これまでの議論を、私もこの機会に改めて過去の国会での議論等もずっと読ませていただきましたが、まず一つは、平成二十二年の例えば十一月二十六日の参議院総務委員会で、当時の平岡副大臣が、この放送法第四条一項のいわゆる番組準則について、従来から法規範性を有するものと考えていると答弁をさせていただいているとおりで、この放送法四条一項のいわゆる番組準則は、総務省としては従来から法規範性を有するものと考えているところでございます。

 その上で、放送法第四条に定める番組準則に適合しているかどうかについては、個別具体的な事案に即して判断されるものでありまして、政治的に公平であることを含む放送法四条の規定は、まずは放送事業者が自主的、自律的に遵守をいただくものというふうに理解をしているところでございます。

宮本(岳)委員 そんなことは聞いていないんですよ。法的規範性があるかどうかなんてことを議論するつもりはないんです。

 確認したいのは、変えていないと言うんだったら、今読み上げたこの文書、これも変えていないんですね。変えたんですか。どっちですか。

松本国務大臣 申しましたように、これは当時の郵政省が調査会へ提出する答申書の資料として出したものと承知をしておりますので、この文書自身につきまして、私も拝見をさせていただきましたが、これについて今私の方から、この考え方そのものについてはよく読ませていただいて、私もまた学んでいきたいというふうに考えておりますが、これ自身が郵政省の中における位置づけについてはまた改めて確認させていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 時間が来ましたから、また改めてやるしかないんですけれどもね。そんないいかげんな答弁で済みません。やはり、変えたかどうかは重大な問題ですし、変えていないと言いながら、徐々に徐々に変わっている面があるからみんな心配しているわけで。改めてやりましょう。

 以上で終わります。

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方自治法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 地方自治法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方制度調査会の答申等を踏まえ、地方議会の活性化並びに地方公共団体の運営の合理化及び適正化を図るため、所要の措置を講ずるものです。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一は、地方議会の役割及び議員の職務等の明確化等に関する事項であります。

 まず、地方議会の役割及び議員の職務等に関し、議事機関として住民が選挙した議員をもって組織されるという議会の位置づけのほか、議会は、地方自治法の定めるところにより、地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決する等の権限を行使すること、また、議員は、議会の権限の適切な行使に資するため、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならないことを法律上明確化することとしております。

 また、住民から議会への請願書の提出や議会から国会への意見書の提出等、議会が関わる法令上の手続で書面により行うことが求められているものについて、オンラインにより行うことができることとしております。

 第二は、会計年度任用職員に対する勤勉手当の支給に関する事項であります。

 地方公共団体は、会計年度任用職員に対し、国の非常勤職員の取扱いとの均衡及び適正な処遇の確保の観点から、勤勉手当を支給することができることとしております。

 第三は、公金事務の私人への委託に関する制度の見直しに関する事項であります。

 原則として全ての歳入等の収納事務について、地方公共団体の長の判断により、私人への委託を可能とするとともに、適正な公金の取扱いを確保するため、地方公共団体から公金事務の委託を受けた者に対する監督、再委託の場合のルール等に係る規定を整備することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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