衆議院

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第10号 令和5年4月13日(木曜日)

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令和五年四月十三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    坂井  学君

      島尻安伊子君    杉田 水脈君

      田所 嘉徳君    中川 貴元君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    古川 直季君

      務台 俊介君    保岡 宏武君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    中司  宏君

      輿水 恵一君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        尾身 朝子君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局次長)           役田  平君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     平沼正二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     川崎ひでと君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局給与局次長役田平君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、デジタル庁審議官阿部知明君、総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局公務員部長大沢博君、自治行政局選挙部長森源二君及び自治財政局長原邦彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古川直季君。

古川(直)委員 おはようございます。自由民主党の古川直季でございます。

 今日は、貴重な質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 また、統一地方選挙もお疲れさまでございました。

 今日は、こうして、まさに統一地方選挙が行われている最中でございまして、前半が終わったわけでありますけれども、私も長年横浜市会議員を務めてきたということもございまして、改めて地方自治の大切さというものを痛切に感じてきた者の一人でもございます。

 今回の法案の目的は、まさに地方議会の活性化並びに地方公共団体の運営の合理化及び適正化を図るためのものでありますので、私もこうした地方議員の経験を踏まえて質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まさに今申し上げましたように、統一地方選挙、今回は四十一の道府県議選と十七の政令市議選が行われたわけでありますけれども、この道府県議選の立候補者が過去二番目に少なくて、五百六十五人が無投票で当選をされたというふうに報道されております。地方議員のなり手不足が深刻な課題としてマスコミでも取り上げられておりまして、とりわけ、町村部では議会の維持が困難になっているといった事例もございます。

 また、統一地方選の投票率も年々低下しておりまして、国政選挙に比べても低い状況が続いております。地方議会は、二元代表制の一翼として、首長とともに自治体の意思決定を担う大変重要な存在であります。

 そこで、本格的な人口減少社会が到来し、地域社会を取り巻く環境が厳しさを増す中で、地域社会を守っていくために地方議会と議員が果たすべき役割や責任は何か、また、そうした役割を適切に果たす上で、地方議会が抱える課題に対してどのように対応すべきと考えているのか、総務省の見解をお伺いします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、人口減少社会が到来し、地域社会を取り巻く環境が厳しさを増す中にあって、これに伴う資源制約を乗り越えて、持続可能で個性豊かな地域社会を形成していく必要がございます。

 このためには、地域の多様な民意を集約し、広い見地から個々の住民の利害や立場の違いを包摂する地域社会の在り方を議論していく地方議会の役割、責任こそが重要であります。

 一方で、近年、無投票当選の増加や一部の団体における定数割れの発生など、議員のなり手不足が課題になっていると認識しております。とりわけ、女性の議員が少ない議会や議員の平均年齢が高い議会において無投票当選となる割合が高い傾向にあり、多様性を欠いていることが住民の議会に対する関心の低下等を招き、議員のなり手不足の原因の一つにもなっていると考えております。

 このため、なり手不足の解消を図っていく上では、女性や若者、勤労者など、多様な層の住民の議会への参画を促進していくことが重要と認識しております。

 この点に関し、第三十三次地方制度調査会の答申では、多様な人材が参画し住民に開かれた議会の実現に向け、各議会における自主的な取組のほか、議会の位置づけ等の明確化、立候補環境の整備、議会のデジタル化といった対応方策が示されたところでございます。

 ただいま御審議いただいております地方自治法改正案には、本答申を踏まえ、議会の役割や議員の職務等の明確化、また請願書等の提出のオンライン化を盛り込んでおります。

 総務省といたしましては、今後とも、地方議会の活性化につながるよう、多様な人材の議会への参画促進やなり手不足対策に取り組んでまいりたいと考えております。

古川(直)委員 今御答弁いただきましたように、本法案は、議会の位置づけや議員の職務等を地方自治法上に明確化しています。

 現在、全国市議会議長会の会長は、私の横浜市会議員のときの当選同期の清水議長が会長なんですけれども、この三議長会からも、そしてまた地方議会の関係者からのこうしたことというのは、今回この法改正というのは長年の思いでありまして、地方議員のなり手不足対策や多様な人材の参画につなげるために、実現が求められてきました。自民党としても、政府に検討を求めてきた事項であり、大いに評価するものでございます。

 そこで、今回、議会の位置づけや議員の職務等を地方自治法上に明確化する意義について、見解を伺います。また、法律で明文化するだけではなくて、各議会で多様な人材の参画に向けた取組を進めていただくことが大変重要だというふうに考えるわけでございますが、これは大臣の見解をお伺いしたいと思います。

松本国務大臣 住民の多様な声を聞き、広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は大変重要であります。地域課題が多様化する中で、議会がその役割を果たすために、多様な人材が参画し住民に開かれた議会を実現することが重要であります。

 こうした観点から、今委員からも御指摘がございましたが、これまで、三議長会の皆様から、議会の位置づけの明確化について御熱心に要望をいただいておりまして、第三十三次地方制度調査会では、三議長会からの意見聴取も含め、地方議会の在り方に関して審議を行って、答申が取りまとめられました。

 答申では、まず、各議会における多様な人材の参画を前提とした議会運営、住民に開かれた議会のための取組の重要性を指摘した上で、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられると提言しているところでございます。

 各議会においては多様な人材の参画に向けた取組が進むよう、総務省では、女性模擬議会等の優良事例の総務省ウェブサイトでの紹介、地方議会活性化シンポジウムにおける各議会の実践例の共有などに取り組んできたところでございまして、三議長会と連携しつつ、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

 その上で、本答申を踏まえ、本改正案に議会の役割や議員の職務等の明確化等を盛り込んでおり、議会の役割や議員の職務等の重要性が改めて認識されればと思っておりますし、また、各議会における取組と相まって、多様な人材の議会への参画に資することを期待をしているところでございます。

古川(直)委員 大臣、どうもありがとうございます。

 多様な人材が地方議会へ参画していただく上では、地方議員としてはまだまだ少数の女性や若者、勤労者などが地方議員を志し、そして立候補しやすくする環境整備も大切であります。女性の議員の方は今回の選挙で少し増えたようでありますけれども。

 議長会からも、労働法制の見直しなど、会社員等が立候補しやすい環境整備について要請をされております。例えば、立候補休暇制度などの、既に導入されている企業の先進事例に倣い、周囲の理解を後押しすることも踏まえて、法制化を検討することも今後必要になってくるかと思っております。

 私も、周りに地方議員にふさわしい方がたくさんいらっしゃるんですけれども、家族や職場の理解をなかなか得ることができずに地方議員を断念するような方もたくさんおられるものですから、こういったことは大変大事だというふうに思っております。

 今回の法案には立候補環境の整備に関する項目は含まれておりませんけれども、第三十三次地方制度調査会における議論やこれを踏まえた政府の取組状況について、見解をお伺いしたいと思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 地方制度調査会の答申では、会社員が立候補しやすい環境整備について、立候補に伴う休暇制度等の法制化は有効な方策だが、事業主負担や他の選挙との均衡といった課題があるとの指摘がなされました。その上で、まずは、各企業の就業規則等において、立候補に伴う休暇制度を自主的に設けることなどを要請していくことを検討すべきと提言されております。

 また、昨年の臨時国会で議員立法により成立した地方自治法改正の附則においても、政府は、事業主に対し、自主的な取組を促すこととされております。

 本改正案には、御指摘のとおり、立候補に伴う休暇制度等の法制化は盛り込まれておりませんけれども、答申や昨年の改正法附則を踏まえまして、本年の一月と三月に、私から、三議長会の皆様と共同で、経済団体に対して要請を行ってまいりました。

 具体的には、各企業の状況に応じ、就業規則について必要な見直し等を行い、立候補に伴う休暇制度を設けることや、立候補した勤労者に対し、解雇や減給等の不利益な扱いをしないこと、議員との兼業、副業を可能とすることについて御協力をお願いしてきたところでございます。

 各経済団体においては、早速会員企業に周知を行っていただいたと伺っておりまして、今後、各企業における自主的な取組が広がることを期待しております。

古川(直)委員 二〇二二年七月に世界経済フォーラムが発表したグローバルジェンダーギャップリポートでは、日本のジェンダーギャップ指数は百四十六か国中百十六位で、G7の中で最下位だったと。二〇一八年には、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が施行され、衆参両院及び地方議会の選挙において、男女の候補者の数ができる限り均等となることを目指すことを基本原則とし、各政党等が目標数を定めることなどが掲げられました。

 これは内閣府として、我が国の政治分野におけるジェンダーギャップの現状や女性が参画する多様性のある議会を形成していく上でどのようにお考えか、見解を伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 政治分野における男女共同参画の推進は、政治に民意をより一層反映させる観点から極めて重要です。

 平成三十年に制定された政治分野における男女共同参画の推進に関する法律は令和三年六月に改正されまして、内閣府を含む関係行政機関等が適切な役割分担の下でそれぞれ積極的に取り組むこと、国及び地方公共団体は、議員活動や家庭生活の両立支援のための体制整備や、セクハラ、マタハラ等の発生の防止に資する研修の実施等の施策を講ずる旨が規定されました。

 内閣府におきましては、先月、政治分野におけるハラスメントの防止や、議員活動と家庭生活との両立を含め、女性の政治参画の拡大に向けた方策について議論するシンポジウムを開催したところです。

 そのほか、昨年作成した政治分野におけるハラスメント防止研修のための動画教材の活用の推進、地方議会における両立支援に係る会議規則の整備の推進、各政党の取組の見える化、諸外国の取組事例の情報提供などの環境整備を通じて、引き続き、政治分野における男女共同参画の取組を後押ししてまいります。

古川(直)委員 私も、今回の統一地方選挙で女性候補者を擁立させていただいて当選をさせていただいたんですけれども、今後、やはりこうしたことは一層進めていくべきだと思っています。

 次に、会計年度任用職員の役割と勤勉手当の支給を可能とする意義についてお伺いいたします。

 会計年度任用職員に対し勤勉手当の支給を可能とすることは、岸田政権の下で、社会全体の賃上げの要請とも軌を一にするものであると思います。会計年度任用職員が自治体の行政サービス提供に果たしている役割は何か、また、会計年度任用職員への適正な処遇という観点から、今回の改正の意義について見解を伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 各自治体が複雑化、多様化する行政需要に対応しつつ、効率的で質の高い行政の実現を図る上で、一般的な行政事務のほか、教育、子育てなどの様々な分野で、常勤職員に加え、会計年度任用職員が重要な役割を果たしているものと考えております。

 会計年度任用職員の処遇については、令和二年度の制度改正におきまして期末手当の支給を可能とするなど、処遇の改善に取り組んでまいりました。

 一方、勤勉手当でございますが、会計年度任用職員に対する期末手当の支給が定着をしてきましたこと、国の非常勤職員について、令和三年度までの間に、対象となる職員全てに期末手当に加えて勤勉手当が支給されることになったことから、今回の改正法案におきまして勤勉手当の支給を可能としているものでございます。会計年度任用職員の更なる処遇の改善に資するものであると考えております。

古川(直)委員 各自治体において会計年度任用職員に対して適切に勤勉手当を支給するためには、必要となる経費についての財源措置が不可欠であると考えますが、総務省の見解を伺います。

中川大臣政務官 お答えさせていただきます。

 会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、今回の法案が成立した場合には、各地方公共団体において適切に支給されることが必要であると考えているところでございます。

 勤勉手当の支給に関して必要な経費については、支給に向けて、今後地方公共団体に対して調査を行うことを考えておりまして、その結果も踏まえ、地方財政措置についてしっかりと検討してまいりたいと存じます。

古川(直)委員 地方自治体も大変厳しい財政状況でございますので、是非検討をお願いしたいと思っております。

 時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 では、早速質問に入らせていただきます。

 最初に、地方議会の役割及び議員の職務の明確化について伺います。

 本改正案は、第三十三次地方制度調査会からの答申を踏まえ、多様な層の住民の議会への参画を促進する観点から、地方議会の役割や議員の職務等について明確化を図るために提出されたもの、このように承知をいたしております。

 具体的には、これまで法第八十九条において「普通地方公共団体に議会を置く。」とのみ規定されていたものが、今回の改正案では新たに、議会の位置づけの追記や、議会が果たすべき役割、責任の規定、さらには議員の心構えの規定が明記をされました。

 そこで、冒頭、大臣に伺いますが、私は今回の改正は地方議会並びに議員の位置づけにとって大変大きな変革だと感じておりますが、今後地方議会は今回の改正によって具体的にどのように変わると考えるのか、本改正案の効果も含め、大臣の御所見を伺います。

松本国務大臣 住民の多様な声を聞きながら広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は、大変大切でございます。地域課題が多様化する中で、議会がその役割を果たすために、多様な人材が参画し住民に開かれた議会を実現することが重要であると考えております。

 このような観点から、これまで三議長会の皆様から議会の役割や議員の職務等の明確化について御熱心に要望をいただいてまいりまして、第三十三次地方制度調査会では、三議長会からの意見聴取も含め、地方議会の在り方に関して審議を行って、答申が取りまとめられたところでございます。

 委員御指摘のとおり、本改正案に盛り込んでいる議会の役割や議員の職務等の明確化については、調査会答申において、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられると提言されたことを踏まえたものでございます。

 同時に、答申では、各議会における多様な人材の参画を前提とした議会運営、住民に開かれた議会のための取組の重要性が指摘されておりまして、本改正によって議会の役割や議員の職務の重要性が改めて認識されればと思っているところでございます。

 あわせて、各議会における議会運営上の工夫や議会に対する住民の理解を深め、関心を高める取組などと相まって、多様な人材の議会への参画に資することを期待しているところでございます。

中川(康)委員 大変にありがとうございました。

 私も、今回のこの改正案の内容、それが地方議会において生きていくように、それを御期待を申し上げたいなと思っております。

 次に、立候補環境の整備について伺います。

 今回の改正案は、あくまでも議員の役割と職務を明確化したものであり、少しシビアな言い方をすると、立候補環境の整備など、技術的な面で何かが変わったわけではございません。今回の統一選でもそうでありますが、今後も無投票や定数割れの選挙の増加が予想される中、前国会で成立をしました請負禁止の緩和など、有権者が今後更に立候補しやすい環境を整備していくこと、これは、議会や議員の位置づけの明確化とともに大変重要な取組であると考えております。特に、女性や若者、勤労者等が参画しやすい環境の整備は急務な取組でございます。

 そこで伺いますが、総務省としては、今回の地制調の答申や三議長会からの要請も含め、立候補環境の整備について今後どのように考えていくのか、この点、御答弁を願います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方制度調査会の答申では、会社員が立候補しやすい環境整備について、立候補に伴う休暇制度等の一律の法制化は有効な方策であるものの、事業主負担や他の選挙との均衡といった課題について引き続き検討することとしつつ、まずは、各企業の就業規則において立候補に伴う休暇制度を自主的に設けることなどを要請していくことを検討すべきと提言されたところでございます。

 また、昨年の臨時国会で議員立法により成立いたしました地方自治法改正の附則においても、政府は、事業主に対し、立候補に伴う休暇を就業規則に定めることなどの自主的な取組を促すこととされております。

 本改正案には、立候補に伴う休暇制度等の法制化は盛り込まれておりませんが、答申や昨年の改正法附則を踏まえまして、総務省におきましては、尾身副大臣が、三議長会とともに経済団体に対して要請を行いました。

 各経済団体においては、早速会員企業に周知を行っていただいたと伺っており、今後、各企業における自主的な取組が広がることを期待しております。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 今回、環境の整備という部分においては、技術的にはまだ変わった内容はないんですね。だから、今後、そこの改正も含めて是非議論を進めていただきたいと思いますし、また、今後は、特に町村議会とか人口の少ない市議会において、議員報酬の在り方、これについても是非検討をしていくべきではないか、私はこのように考えておりますので、その点も含めて今後議論を深めていただきますよう、よろしくお願いをいたします。

 次に、法第八十九条第三項に新設をされました、議員が職務を行うに当たっての心構えの規定について伺います。

 この八十九条三項には、議会の権限の適切な行使に資するため、議会の議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならないと明記をされております。

 しかし、私は、今回の改正案において、議員の新たな権限や義務を定めるものではなくて、今回の、議員の心構えを明文化したこの項目については、地方議員出身者の一人として、少し違和感を覚えるものでございます。なぜなら、このような内容は、本来、地方自治法で規定するのではなく、議員自らが議論を重ね、議会及び議員の総意として制定する議会基本条例などで定めた方が適切ではないかというふうに考えます。

 そこで伺いますが、総務省は、今回の改正案のメインであるこの第八十九条、地方議会の役割及び議員の職務等の明確化の中になぜこの心構えの規定を入れたのか、その意味及び背景について御答弁を願います。

吉川政府参考人 地方制度調査会では、多様な人材の議会への参画を促進する観点から、三議長会の皆様から議員の職務の明確化について要望があったことを踏まえ、議論が行われました。

 議会の果たすべき役割や議員の活動の在り方等を含め、議会の目指すべき姿について、住民との議論も重ねながら、議会基本条例などの形で定めている取組も、御指摘のように多くの地域で見られるところでございます。

 調査会では、こうした取組が議会の活性化に向けて意義があるとした上で、他方、議会が求められる役割を果たしていないような事例や住民の信頼を損ないかねない議員の行為の事例も一部に見られる中で、議会、議員がその重要な役割、責任を自覚することが重要であるという指摘がなされたところでございます。

 こうした議論を踏まえまして、調査会の答申では、議員の職務等について、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられるという提言がなされたところでございます。

 八十九条三項につきましては、答申を踏まえ、議員の職務等について、あくまで全ての議員に共通する一般的な事項を確認的に規定するものでございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 答申に、例えば、住民の負託を受けという表記はあると思うんですが、誠実にその職務をというのはあったのかなというのは、私、またしっかりと見たいなというふうに思うんですけれども。

 こういった内容というのは、本来、議員自らが議論を重ねて、議会とか議員で、例えば議会基本条例で自ら表記していく、明記していく、この方がやはり大事なんじゃないかなというのを、私、感想ベースでちょっと感じておった一人でございます。

 けれども、誠実にその職務をという部分、これは国会においても地方議会においても当然大事なことでありますので、その意識をしっかりと持ちながら、我々も今後職務に精励してまいりたいというふうに思っています。

 次に、議会の権能及び権限の強化について、二点伺います。

 初めに、通年議会について伺います。

 近年、地方議会では、議会の権能及び権限を強化する観点から、通年議会や通年会期を採用しているところがあります。私は、地方議会における通年議会は、実質的に議長が招集権を持つことができる、長の専決処分がなくなる、また、緊急の案件に迅速に対応できる、さらには、十分な審議時間が確保され、議会としての監視機能や政策立案機能が強化されるなど、議会の活性化及び機能強化について大変メリットが大きいというふうに考えております。

 そこで伺いますが、現在までに通年議会及び通年会期を採用している議会の数、及び、所管省庁として考える、地方議会が通年議会を採用することの効果について、総務省の答弁を願いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 令和三年四月一日時点で、地方自治法百二条の二による通年会期制を採用している団体は、一つの県と十四市三十一町村、定例会を条例で年一回と定めて、事実上の通年会期制に近い運用がされている団体が、二つの県と三十二の市区三十一町村あると承知しております。

 御指摘のとおり、通年会期制の導入は、導入前よりも柔軟に会議日程の設定や十分な審議時間の確保がしやすくなること、また、議会の活動能力が常時担保されるため、長の専決処分が減少し、議会で審議できる事件、案件が多くなること、議員間の討議、議会からの条例等の政策立案、積極的な政策提言の機会が確保できるなどの効果があると考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私は、やはり、議会の権限とか権能を上げる意味においては、通年議会とか通年会期、これはもっと進んでもいいんじゃないかなというふうに思っています。

 もう一点お伺いします。

 同じ意味合いで、二〇〇六年五月の栗山町や同十二月の三重県での制定を皮切りに、議会基本条例を制定している議会も多くございます。私は、議会自身による議会基本条例の制定及び行使は、議会の活性化とか改革、検証を進める上において大変大きな意味があったと考えますが、議会基本条例について、現在までの制定数、及び地方議会がこの条例を持つ意味について総務省はどのように考えるのか、この点も御答弁ください。

吉川政府参考人 議会基本条例を制定している議会数でございますが、総務省及び議長会における調査によりますと、三十二道府県、五百五十五の市と区、そして三百八十町村となっております。

 こうした取組の中には、例えば、定例会期中に全員協議会を開催し、議員間討議を促進するなどの議会運営上の工夫や、住民が議場で議員に対し市政に関して自由に発言することができるといった住民の参画を促す取組なども見られまして、議会の活性化に向けて、住民とともに持続的な取組を行っていく観点から意義があるものと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今回、位置づけを明確にしたという地方自治法、これは大変大事なんですけれども、地方議会を活性化するとか改革を図るとか、また議会報告会を開くという意味においては、通年議会とか通年会期、さらには議会基本条例、こういったところもやはりしっかり視点を持って、まあ、議会基本条例はもう相当制定していますけれども、という視点も大事じゃないかというところを感じましたので、その点において確認的に伺わせていただきました。

 最後に、会計年度職員に対しての件について伺います。

 最初に、期末手当の支給について伺います。

 総務省は、平成二十九年の地方自治法等の改正により、これまでの非常勤職員を新たに会計年度職員に移行させるのとともに、条例によるできる規定として、新たに期末手当の支給を可能としております。

 そこで、まず確認的に伺いますが、期末手当の支給については令和二年四月から実施をされており、制度開始から既に三年が経過しておりますが、全国の自治体においては、いまだ支給していない自治体があるのかどうか伺います。また、あるのであれば、その理由、また支給に向けての方向性についても答弁ください。

 また、あわせて、今回の改正案では、地方の会計年度職員について、国の非常勤職員の取扱いとの均衡を図る観点から、新たに勤勉手当の支給、これを可能としております。

 そこで伺いますが、今回の会計年度職員への勤勉手当の支給に要する新たな額についてはどのくらいと見ているのか、答弁いただきたい。また、あわせて、今回の改正はあくまでできる規定のため、仮に令和六年度の支給開始時期に未支給の自治体が出た場合、総務省としてはどのような対応を図っていくのか、お考えを伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 まず、期末手当の支給状況でございますが、令和四年度の調査におきまして、一部事務組合等を含めました二千九百三十七団体のうち、期末手当を支給しない部門、職種がある団体は十四団体でございます。

 その理由としては、常勤職員との職責に違いがあるであるとか、給料月額に期末手当相当額を含めているためといった団体があるほか、令和六年度に向けて見直しを検討しているという団体もございます。

 総務省としては、制度の適切な運用について昨年末にも通知を発出をしておりますけれども、今後とも、期末手当を支給しない、そういった部門、職種がある団体については、ヒアリングの機会等を活用しまして、適切な対応をするよう促してまいります。

 次に、勤勉手当の支給見込額でございます。

 令和三年度の決算統計などをベースに機械的に試算をいたしますと、総額で約千五百億円と見込まれますが、地方財政措置の検討に向けて、今後、地方公共団体に対し調査を行うことを考えておりまして、支給見込額については、その中で更に精査をしてまいりたいと考えております。

 また、法案が成立した際には、各地方公共団体において勤勉手当を適切に支給することが必要であると考えておりまして、その旨助言を行うとともに、仮に未支給の団体がある、あるいは生じそうだという場合には、ヒアリングの機会等を活用して、適切な対応を行うよう促してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 是非、今後、適切な対応をお願いをしたいというふうに思います。

 今回の地方自治法の改正、これによりまして、多様ななり手が増えて、地方議会の活性化、さらには改革が進むこと、これを切に願いまして、公明党を代表しての質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 統一地方選挙の第一陣が終わりまして、今週末から第二陣が始まりますが、私の出身の大阪府議会では、過去二回の選挙を通じて三〇%近く議席の削減を行いました。また、各議員の三〇%の月額報酬のカットもずっと続けています。こうした改革を我々は身を切る改革と言いまして、政治姿勢の原点に置いております。

 我が党の井上議員が、先日の本会議での質問で、二〇一二年十一月に安倍元総理が約束された二〇一三年通常国会までの衆議院定数の大幅削減、また、昨年の通常国会で、旧文通費、これは今は調査研究広報滞在費でありますけれども、この使途公開の改革について結論を得るとの自民党の約束、こうした約束がほごになっている、このことを指摘いたしました。

 そうした中で、今、岸田政権は、防衛費の増額に伴う増税に続き、少子化対策として公的医療保険の保険料の引上げの検討に入りました。これはすなわち国民負担を上げることですけれども、国民負担率は、昭和四十五年に二四・三%でしたが、令和三年には約二倍の四八%となり、増え続けています。この厳しい時代に更なる国民負担を求めることは、とても容認することができません。

 我々は、国民に負担を強いる前に、まずそれを決める国会議員から、まず隗より始めよのごとく、国会議員の身を切る取組から始めるべきと考えます。それは、財源が必要になったら取りやすいところから取って、自分たちの既得権は守る、そういう姿勢は国民に受け入れられないからであります。

 旧文通費の使途公開などは、維新の会は自主的に実施しておりますが、すぐにでもできることで、既に案がまとまって、与野党で協議も重ねております。

 そこで、松本大臣に一自民党議員としてのお考えをお聞きしたい。国民負担増の路線についてどう考えるのか、また、旧文通費の使途公開についてどう考えられるのか、政治家個人として、この二点について考えをお聞きいたします。

松本国務大臣 恐れ入りますが、私は政府の一員としてここで御答弁申し上げる立場でございますので、そのような立場から御答弁申し上げたいと思います。

 御指摘の点については、総理が、税制措置は政府においてあらゆる行財政改革の努力を尽くすことが大前提と内閣の方針を答弁されているように、政府としては、国民の負担増ありきの議論を行っているということではございません。行財政改革は、時代の要請に応じ、不断に取り組んでいくべきものと考えております。

 調査研究広報滞在費の使途公開等については、議員活動の在り方に関わる重要な課題でございますが、国会でお決めいただくことであると承知をいたしております。

中司委員 行革は不断の取組であるということでございますので、しっかりと取り組んでいただきますようによろしくお願いいたします。また、旧文通費のことにつきましても、各党で議論できるような環境づくり、それについては御協力いただきますようにお願いいたします。

 さて、今回の地方自治法の改正案については、第三十三次地方制度調査会の答申を受けて、地方議会の役割及び議員の職務の明確化に関する規定が盛り込まれています。

 今回の法改正の背景には地方議員のなり手不足の解消ということがありまして、この選挙でも、第一陣で約二五%が無投票当選でありました。こうしたことを解消するためにも地方議会の役割や議員の職務等の明確化が必要とのことで、一定理解をいたしますが、ただし、これは、地方制度調査会における論点の一つ、多様な人材の参画による地方議会の活性化、そういう視点を踏まえた改正でなければならないと思います。

 しかしながら、今回の改正案を見ると、普通地方公共団体の議会について、議事機関として、住民が選挙した議員で組織されるということを新たにつけ加えた上で、重要な意思決定に関する議決と調査その他の権限であるとか、議員は、住民の負託を受け、誠実に職務を行わなければならないというような極めて理念的な意味合いの規定が盛り込まれているだけで、多様な層の住民の地方議会への参画につながる具体的かつ効果的な方策が定められているとはとても思えません。

 この点について、大臣の見解をお聞きいたします。

松本国務大臣 住民の多様な声を聞き、広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は大変重要でございます。地域課題が多様化する中で議会がその役割を果たすために、多様な人材が参画し、住民に開かれた議会を実現することが重要でございます。

 第三十三次地方制度調査会答申では、まず、各議会における多様な人材の参画を前提とした議会運営、住民に開かれた議会のための取組の重要性を指摘した上で、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられると提言しておりまして、各議会においては、多様な人材の参画に向けた取組が進むよう、総務省では、女性模擬議会等の各議会の実践例の紹介、共有などに取り組んできたところでありまして、三議長会とも連携をしつつ、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

 その上で、答申を踏まえ、今改正案に議会の役割や議員の職務等の明確化等を盛り込んでおりまして、議会の役割や議員の職務等の重要性が改めて認識されればと思っております。

 各議会における取組と相まって、多様な人材の議会への参画に資することを期待をしているところでございます。

中司委員 具体的に効果的な方策というのはちょっと見えないところがありますので、またその辺につきまして前向きに御検討いただきますようによろしくお願いしたいと思います。

 次に、議員の処遇改善についてお聞きします。

 答申で触れられた議員の処遇改善につきまして、今回の法改正には入っていないんですけれども、全国都道府県議長会などから要望が出されています。身を切る改革を信条とする我々にとって、議員のなり手不足への対策と議員の厚遇、優遇に対する改革とは、きちんと切り分けて議論する必要があるのではないかと考えます。

 同議長会等からは、いわゆる議員年金の復活についての要望も上がっております。地方議会に多様な人材の参画を求め、真の活性化を目指すのであれば、お手盛りの厚遇、優遇によるのではなくて、議員に立候補し又は議員として活動しやすい環境整備を行うことこそが大事であって、このための地方自治法の改正を始め、公職選挙法や地方公務員法など関連すべき法律に関して幅広く議論をして、そして必要な改正を行うべきであると私は考えます。

 そこで質問いたしますが、今回の議会あるいは議員の位置づけの明確化のその先に、議員年金の復活を含めた議員の処遇改善への考えがあるのかどうか、お聞かせください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 議会の位置づけ等の明確化につきましては、三十三次地方制度調査会の答申において、議会や議員がその重い責任、役割を自覚することが重要であり、全ての議会に共通する一般的な事項について地方自治法に規定を設けることも考えられると提言されたことを踏まえて行うものでありまして、議員年金の議論とは関係ございません。

 議員年金につきましては、地方議員の身分の根幹に関わることであり、各党各会派において議論がなされる必要があるものと考えております。

中司委員 考え方はよく分かりました。よろしくお願いいたします。

 そこで、オンラインによる議会への参画については、多様な人材を確保するための重要なテーマであると思います。地方公共団体のデジタル化の推進の一環であるとも言えると思います。

 この問題については、大阪では府と市で早くから取り組んで、この委員会でも繰り返し質問してきておりますが、現在、地方議会の委員会へのオンラインの参加については各自治体の条例で定めることができますが、一方、本会議については、地方自治法においてオンラインによる開催は認められておらず、法改正が必要であることから、我が党は既に法案を提出しております。

 出産や育児、介護で、あるいは障害のある人など議会活動を行うことに困難性を感じている多様な人材が、オンライン化によって参画しやすくなることは明白であります。また、コロナ禍で現実の問題となりましたが、パンデミックや大規模災害など非常事態に直面したときに、いかにして議会の機能を維持するのか、そういう観点も極めて重要だと思います。地方制度調査会の答申でも、本会議のオンライン開催について、丁寧な検討を進めるべきとされております。

 今回の改正で、請願あるいは意見書の手続のオンライン化については一定の前進と思いますが、ゴールはまだまだ先だと考えます。議決を伴う本会議の開催がオンラインで可能になるよう早期に取り組むべきで、というより、これだけオンライン化が進む中で、なぜ踏み出せないのか、できないならどういう道筋でできるようにしていくのか、大臣の見解を求めます。

松本国務大臣 総務省におきまして、地方制度調査会における議論を踏まえ、現在の法律の規定の範囲内において、オンラインの活用により議会運営を柔軟化させる方策の一つとして、本年二月に、いわゆる一般質問については、その形式について法律の定めがないことから、定足数を満たし本会議が成立している場合に、会議規則等で定めるところにより、出席が困難な事情を抱える欠席議員がオンラインで行うことも可能であること等について助言を行ったところでございます。

 地方議会の本会議において団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要がございます。本会議へのオンライン出席については、地方制度調査会の答申では、国会における対応も参考としつつ、一部の団体で取組が始まっている委員会へのオンライン出席の検証も行い、丁寧に検討を進めていくべき課題とされております。

 答申を踏まえまして、総務省としては、各議会の運用状況を伺いながら、丁寧に検討しなければならない、このように考えているところでございます。

中司委員 今御答弁にありましたように、先般の総務省の通知では、本会議での一般質問のオンライン参加は認められたということです。ただし、質疑はできても、これは出席とはカウントされないということであります。なぜ出席にできないのか、できる方法はないのか、この点、考えをお聞きいたします。

 一方、現在認められている委員会のオンライン開催についても、開催できるような条件整備を行った団体、これは委員会のオンライン開催が認められているわけですけれども、開催できるよう条件整備を行った団体は今年の一月の時点で全自治体の一七%と、まだまだ低い状況です。

 国においてこれに特化した支援策を行うことなど、総務省として積極的に取り組むべきだと思いますけれども、見解をどうかとお伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 まず、地方議会の本会議においてオンラインの出席を認めるという点についてでございますが、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、地方議会の本会議において団体意思を最終的に確定させる上で、議員本人による自由な意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要がございます。このことから、地方自治法上、表決や定足数の要件として、出席と規定されております。

 本年二月に発出した通知は、この出席の解釈を変更するものではございませんで、地方制度調査会における議論を踏まえ、現在の法律の規定の範囲内において、オンラインの活用により議会運営を柔軟化させる方策の一つとしてお示しをしたものでございます。

 なお、団体の事務全般について執行機関の見解をただす趣旨での質問につきましては、現行、文書質問の制度がある団体もございまして、必ずしも本会議に出席して行わなければならないというものではないことを踏まえますと、欠席議員がこのような趣旨で質問をすることも可能であると考えているところでございます。

 次に、オンラインによる委員会の出席の件でございます。

 御指摘のとおり、地方自治法上、条例改正等の措置を講ずれば、委員会にオンラインで出席することも可能となりますが、実際にオンライン出席を可能とするかどうかは各議会において判断されるものでございます。

 その上で、総務省といたしましては、各議会における検討に資するよう、必要に応じて、委員会のオンライン出席の方法に関するQアンドAを発出しておりますほか、委員会のオンライン出席の状況に関する調査を実施し、結果を公表しているところでございます。

 今後も引き続き、必要な助言などを行ってまいります。

中司委員 必要に応じた助言とおっしゃいましたけれども、特化した支援策ですね、具体的に。その辺については、重ねて聞きますけれども、どうなんでしょうか。

吉川政府参考人 先ほど委員からも御紹介をいただきましたが、今年の一月一日現在で、委員会のオンライン出席が可能となるよう条例等の改正をした団体が三百四団体、全団体の一七%でございます。また、実際に議員が委員会にオンライン出席をした団体が百七団体、全団体の六%という状況でございますが、こうした団体からは、実際に委員会にオンライン出席を認めたことによってどのような課題が生じてきたかということを我々も聞かせていただいておりまして、それについて一つ一つ、このようにしたらどうでしょうかということをQアンドAといった形でお示しをしているところでございます。

 こうした取組で、昨年から今年にかけても、オンラインによる出席が可能となるように手当てをした団体も増えてきているのではないか、このように考えているところでございます。

中司委員 この問題につきましては、もう少し私は総務省の方が積極的に、前向きに姿勢を示していただいた方が取り組みやすいのではないかというふうに思っておりますので、繰り返し、今後も重ねて指摘してまいりますので、前向きに検討していただきますようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 早速、質問に入ります。

 今回の地方自治法改正案は、昨年末に出された地方制度調査会の答申に基づいて提出されているものと認識しているんですが、立候補休暇制度などの立候補環境の整備や、先ほど中司議員の質問にもあったようなオンラインの活用において、まだまだ踏み込み不足かなというふうな感じがしています。

 今後の地制調などで、地方議会への多様な人材参画の実現に向けてどのように詰められていくのか、スケジュール感も含めて、教えてほしいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 三十三次の地方制度調査会の答申では、多様な人材が参画し、住民に開かれた議会の実現に向け、各議会における自主的な取組のほか、議会の位置づけ等の明確化、立候補環境の整備、議会のデジタル化といった対応方策が示されたところでございます。

 答申を踏まえ、立候補環境の整備につきましては、先日、尾身副大臣が経済団体に対して立候補休暇等の自主的な取組の要請を行ったところでありまして、今後、各企業における取組が広がることを期待しております。

 また、本会議へのオンライン出席につきましては、答申を踏まえ、議員本人による自由な意思表明に関し、議場と同様な環境が確保できるかといった課題について、委員会へのオンライン出席の課題等の検証を行い、国会における対応も参考としつつ、丁寧に検討しなければならないと考えているところでございます。

 加えて、各議会において多様な人材の参画に向けた取組が進むよう、総務省におきましては、女性模擬議会などの優良事例の紹介、また、地方議会活性化シンポジウムにおける各議会の実践例の共有などに取り組んできたところでございまして、議長会と連携し、必要な取組を今後も行ってまいります。

 議員のなり手不足につきましては、重要な課題であると認識しておりまして、総務省として、今後も、地方議会の活性化につながるよう、多様な人材の議会への参画促進に取り組んでまいりたいと考えております。

守島委員 地制調内外の活発な議論を期待したいというふうに思っている次第ですが、そもそも今回の答申は、令和二年六月の安倍政権時に提出されました、二〇四〇年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方に関する答申が議論のベースになっているというふうに思っているんですが、その中で、地方議会への多様な住民参加の検討は一項目にすぎず、人口減少が深刻化し、高齢者人口がピークを迎えるであろう二〇四〇年頃の目指すべき地方行政の姿として、第一に挙げられているのは地方行政のデジタル化であり、第二に挙げられているのは公共私の連携と地方公共団体の広域連携であります。

 まず、地方のデジタル化に関してですが、今後、人口減少が進み、自治体においても職員の減少や一層のコスト削減が求められるため、デジタル化を進めることにより自治体の負担をできる限り軽減する必要があると思っているんですけれども、自治体システムの統一、標準化について、現在の取組はどのようになっているのか、デジ庁さんに聞きたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化は、住民記録、地方税、介護や福祉といいました地方自治体の二十の基幹業務につきまして、ガバメントクラウド上で提供されます標準準拠システムへ移行できる環境を整備する取組でございます。

 昨年十月に閣議決定しました地方公共団体情報システム標準化基本方針では、地方公共団体の基幹業務システムにつきまして、二〇二五年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すこととされてございまして、現在、この方針に沿い、取組を進めてございます。

 具体的には、昨年八月末までに標準化対象二十業務の標準仕様書を策定するとともに、令和五年三月末にそれらの改定版を策定、公表いたしました。

 今回、改定されました標準仕様書を踏まえまして、自治体や事業者におきまして、標準準拠システムの開発や移行への準備を本格的に進めていただくことになってございます。

 引き続き、各事業者や地方自治体の意見を丁寧に聞きながら、二〇二五年度までの移行を目指しまして、着実に取組を進めてまいります。

守島委員 是非しっかり、二〇二五年度を目指して、基幹システムの統一化、標準化に向けて動いていただきたいというふうに思っているんですけれども。

 世界を見ると、自治体仕様の標準化とか統一化にとどまらず、国家全体での情報化とか情報の共同利用など、DXの進展が目覚ましい国があります。

 例えば、現在ではIT先進国となっている隣国韓国の状況を紹介しますが、韓国では、一九九七年に通貨危機が起きて以降、ゼロベースでのIT立国を目指し、国家情報化を推進し、二〇一〇年から二〇二〇年の十年間、国連の経済社会局調べによる世界の電子政府ランキング、毎年三位に入るなど、その成果を出しています。ちなみに、日本は二〇二〇年の電子政府ランキングは十四位です。

 その韓国では、日本のデジタル庁に相当する知能情報社会振興院というのを置いていて、ここが国家情報化の全体戦略である国家情報化マスタープランというのを策定し、このマスタープランの下に、単に行政分野のデジタル化や標準化にとどまらない、国家単位の情報化や業務プロセスのゼロベースの見直しを行っています。

 また、自治体のデジタル化に関しても、日本の総務省に相当する行政安全省の傘下に広域自治体によって出資された地域情報開発院というのを置いていまして、そこで、韓国の全ての基礎自治体と広域自治体の基幹行政システムや自治体の内部事務システムの開発、運営などを自治体が共同利用できるようにつくっていて、多くのプラットフォームを取り扱っているという状況です。ほかにも、行政情報共同利用センターや調達庁など、あらゆる情報の共有化や共同利用が進められているため、効率的で、ベンダーロックや不正が起きないような仕組みが構築されているんですね。

 なので、日本においても、事務の標準化を進めることは重要なので進めていただきたいんですけれども、更なるデジタルイノベーションを目指して、デジタル先進国の取組をベンチマークとしてしっかりとウォッチしていただきたいというふうに思っております。

 次に、地方公共団体の広域連携に関してですが、地制調でも、地方公共団体がそれぞれの強みを生かして、情報を共有して、資源を融通し合い、地域の枠を超えて連携するのが重要というふうに言っており、その点を否定するつもりは全くないので、しっかりこれも進めてほしいんですが、それと同時に、であれば、そもそも市町村合併を行って同じ指揮系統、同じ組織の下で事業運営をしていく方が、やはり効率的、効果的ではないかというふうに感じています。

 この点に関しても、地制調の市町村合併についての今後の対応方策に関する答申で報告されているとおり、市町村合併は、多くの団体において、専門職員の配置、組織の充実、行財政の効率化等の成果が既に表れている一方で、周辺部の旧市町村の活力が失われているなどの課題も指摘されているとあります。

 しかし、この課題に関して言うと、これから人口減少社会を想定すると、コンパクトシティーであったり地方の拠点都市地域の整備といった、地方の自立的な成長を牽引する、地方の定住の核をつくるという国交省の方針とかを踏まえると、無理やり、のべつくまないエリアの活性化という困難な目標を持つ必要性自体疑問に思いますし、少なくとも、それが課題だから合併を否定するというのは僕は違うかなというふうに思っています。

 よって、個人的には、市町村合併は、広域連携よりも合理的な組織づくりであり、有用な選択肢であると考えますが、大臣はどう思うでしょうか。

松本国務大臣 市町村合併は、関係市町村におきまして、合併後の市町村の一体性の確立や均衡ある発展のため、地域の将来像や地域の今後の在り方を展望し、住民とともに真摯に議論を行って自ら決断がなされてきたものであるというふうに認識しております。

 各自治体におきましては、地域の状況の変化に対応し、きめ細かく御対応いただくものと考えておりますが、私の地元姫路市におきましても、合併した旧町の地域の活力の維持拡大は大変重要な政策課題になっていると認識をしております。

 総務省としては、各自治体が直面する課題などを丁寧に伺いながら、適切に対応していくことが必要と考えております。将来の人口減少や高齢化を見据えると、市町村の行財政基盤の維持強化を図ることは重要な課題であります。各市町村が、地域の実情に応じて、市町村間の広域連携、都道府県による補完、自主的な市町村合併などの多様な手法の中から最も適したものを自ら選択し、持続可能な行政サービスの提供体制を構築していくことが重要であると考えております。

守島委員 大臣、選択肢の一つとして、あとは地方が決めるということで、大臣の選択肢としては、広域連携とか府県の補完とか、その選択肢と同様に並列に考えられているというふうに思っているんですが、それは最終、地方自らが決断するという答えだったんですが、僕自身は合理的な組織はしっかりとつくっていくべきだというふうにも思っていまして、地方に任せるといっても、やはり、平成二十二年の合併特例法で国とか都道府県による積極的な関与等の合併推進を廃止して以降、合併円滑化の措置というのは現在まで期間延長されているんですけれども、実際、七件の市町村でしか合併はそれから行われていないんです。

 結局、各公共団体に任せても、財政基盤の整備にプラスになるとか分かっていても、地方単独で決断というのはなかなかできていないのが現実です。

 とはいえ、今日、参考資料を用意しているんですが、この添付資料のように、自治体数が余りもう変わっていないのに、一万人未満の自治体だけはこれは如実に五十件ぐらい増えていまして、消滅自治体という言葉も生まれる中で、これは放置するわけにはいかないんじゃないかなと僕自身は思っています。

 大阪府でも、府内を中核市レベルの基礎自治体に再編するような目標を掲げましたが、結局、都道府県による積極関与ができず、自治体の自主性に任せるしかない状況、こうした取組は全然進んでいません。

 少なくても、将来的な自治体の在り方に関して国や都道府県がもう少し関与できるようにするべきだと思いますが、どうでしょうか。

松本国務大臣 平成の合併は、平成十一年から進められて、平成二十一年六月の第二十九次地方制度調査会の答申において、「従来と同様の手法を続けていくことには限界がある」とされたことを踏まえまして、平成二十一年度をもって一区切りとなっております。

 このため、現行の合併特例法においては、国や都道府県の積極的な関与の規定は廃止をされ、国や都道府県は市町村の求めに応じた助言や情報提供等を行うとされているところでございます。

 今後、市町村において、自主的な合併に加え、広域連携など、多様な手法の中から最も適したものを自ら選択し、持続可能な行政サービスを提供していくことが重要であると考えております。

 総務省といたしましては、各自治体の行財政基盤を支えることは大切な役割の一つであると考えておりますので、住民に必要な行政サービスが持続可能な形で提供されていくように努めてまいりたいと考えております。

守島委員 ここは大臣と平行線なんですが。

 もちろん広域連携も手段の一つだと思っているんですけれども、僕自身は、抜本的な統合の方が、二重の組織というのはなくなるので、効率的な行政運営、これができると思います、一つの指揮系統で。

 けれども、市町村の自主性に任せるといっても、政治家は、住民にノスタルジー的なマイナスイメージを与えてしまうこととか嫌がると思いますし、自身の身分を失ってしまう可能性なども踏まえて能動的に動こうとしないという理由もあると思います。総務省も、だから、それを強いることができないので、トーンは落ちたのかなというふうに思っているんですが。

 効果が表れているのであれば、市町村合併に関して真正面からもっと捉えていくべきだというふうに思っていますが、総務省が、選択肢の一つで、あとは自主性に任せるというトーンが変わらないのであれば、少なくとも都道府県が旗を振ることぐらい許可していただきたいというふうに思っていまして、この点はまた今後も話をしていきたいと思っております。

 次に、昨今の地方議員のなり手不足議論に関して、地方議員は全国に、都道府県議が約二千五百人、市町村議が三万人弱と、そもそもかなり多く、この母数を見直せば、なり手不足も一定解消できるんじゃないかと思っています。

 通信や移動手段、SNSなど、住民の声を聞くツールが発達した現代においても現状の議員定数が必ずしも必要とは思えませんし、大阪府議会も、十一万人に一人の議員定数まで削減したんですが、何ら問題なく機能しています。

 地方議会の定数に関しては、地方自治法の平成十一年改正により、法定定数制度から法定上限制度に改正されまして、その後、平成二十三年改正により、法定上限制度が廃止され、条例に完全に委任されましたが、それ以降、各地方議会に任せても、なかなか、自らの身分を損ないかねない議員定数の抜本的な削減というのには至っていません。

 実際に、参考資料にもあるように、市町村合併が落ち着いてからは議員定数の削減は進まなくなり、平成二十二年の合併特例法改正以降は更にその削減率が鈍化しています。

 現実的に、議員削減によるマイナス的な評価が少ないことを踏まえると、僕自身は、国がもっと裁量を持って、議員定数や上限に対する設定であったり、また議会の適正規模に関してしっかり指導助言していくということも検討するべきと思うんですが、地方自治担当の尾身副大臣にその考えを聞きます。

尾身副大臣 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地方議会の議員定数につきましては、かつては原則として人口区分に応じて法律で定数を定める法定定数制度でございましたが、地方分権を進める中で、平成十一年の地方分権一括法による改正により、人口区分に応じて上限を法定し、その数を超えない範囲内で条例で定数を定める条例定数制度に改められ、さらに、平成二十三年度の地方自治法改正により、上限の規定が廃止されたところでございます。

 住民の多様な声を聞き、広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は大変重要なものであり、地方議会の定数の在り方につきましては、このような議会の役割や地域の実情を踏まえ、各地方公共団体において自主的に御判断いただくべきものと考えております。

守島委員 副大臣、これも、地方に任せると言っていて、ある種、僕は責任放棄だなというふうに思っていて、役所答弁の域を出ないかなと思っているので政治家に聞いたんですけれども。

 おっしゃっている理由は、先ほど来、地方分権という流れの中で地方に任せるというふうに言っているということは理解もするんですが、結局、地方任せにして変わらないから問題提起しているんです。今のように、結局、国会議員も地方とか地方議会に気を遣って問題を先送りしているので、こうした国主導の地方議会改革というのもやはり難しいかなというふうに思っています。

 けれども、地方分権、地方分権と言うんですけれども、地方に権限とか財源を与えるだけが地方分権じゃなくて、やはり責任も与えていかないといけないと思っていて、ただ裁量を与えてあとは自由というものでは、僕自身はないと思っています。

 結局、国が、地方議員定数の縮減によるなり手不足解消であったり議会改革というのができないのであれば、やはり市町村合併は、地方行政の合理化であったり議員のなり手不足の大きな解消手段になると思いますし、結果としては将来的な自治体の持続可能性にもつながる話なので、この問題に関しては避けずに取り組んでいただきたいと思いますし、今後もるる提案させていただこうというふうに思っております。

 時間がもうないので最後の質問は飛ばしますが、最後に、この度の改正案に関しては、これまでの質問にあったように、地方議会の肥大化につながらず、人口減少社会を見据えて、議会改革を進める必要性の認識をしっかりと保持してくれることが賛成の、維新としての前提となってきます。よって、議員の職務等の明確化はいいんですが、しっかり議会の適正化、地方行政の適正化に関しては不断に努めていくことを求めまして、私からの質疑とします。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 立憲民主党の石川香織です。よろしくお願いいたします。

 まず、法案の審議に入る前に、本日の新聞などでも報じられておりましたが、昨日総務省が公表しました二〇二二年十月一日の人口推計ということですけれども、日本の人口が十二年連続で減少をして、一億二千四百九十四万七千人になったということでした。生まれた子供の数が亡くなった人を下回る自然減は、過去最大の七十三万千人ということになって、少子化、人口減少に歯止めがかからない状態になっています。

 通告はしていないんですけれども、総務大臣、この日本の人口推計の結果を見ての受け止めを、まずちょっとお伺いできればなと思います。

松本国務大臣 やはり、人口減少が我が国社会に与える影響は大変大きいということで、政権としても、少子化対策を始め様々な政策に取り組んでいるところでございます。

 もちろん、それぞれの方が子供を産む、つくるかどうかというのもそれぞれの御判断でありますけれども、私どもとしても、子供を持とう、つくりたいという方々が是非その希望がかなえられるような環境整備に努めていくことが今最も大切なことではないかと思って、政策を推進してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 大臣、ありがとうございました。

 この都道府県別で見ますと、沖縄県は、一九七二年以来、日本に復帰して以降初めての人口減になったということで、増加したのは東京都のみだったということです。文字どおり、東京一極集中という構図になってしまっているということと、あと、市町村別で見ますと、独自の対策で人口を増やしているというところもありますので、そうした取組もお手本にしつつ、様々な検証をして、何とか人口減少を食い止められるように、また総務委員会でも質疑の中で取り上げられていくかと思いますが、ちょっと冒頭、触れさせていただきました。

 それでは、法案に入っていきたいと思います。

 会計年度任用職員の処遇に関しては、これまでも総務委員会で度々質問してまいりました。

 改めて、この会計年度任用職員の方々がどれぐらい貢献をしてくださっているかといいますと、二〇二〇年の総務省の調査によりますと、自治体で働く会計年度任用職員の方々は、全国で約七十万人ほどいると言われております。実に、行政に関わる仕事をする人の四人に一人が会計年度任用職員だということになります。

 職種別で見ますと、消費生活相談員、学童指導員が九割以上、図書館の職員が七割以上、学校給食関係職員や保育士も、非常にこの会計年度任用職員の方の割合が高くなっています。専門的な知識や経験を有する職員の方も多く、多種多様な人材が、地方行政の重要な担い手としてそれぞれの現場を支えているということです。

 常勤の職員と同様、地方行政の場にはなくてはならない存在にもかかわらず、これまで、同一労働同一賃金からはほど遠い実態であった。こうした現状を変えるために、これまで様々な要請活動もされてこられた。今日は、当事者の皆さんも朝から傍聴していただいておりますけれども、そういった意味で、今回の法改正は非常に意義深いものになると思いますが、順次質問させていただきたいと思います。

 まず、国の非常勤職員については既に勤勉手当が支給されていると思いますが、現在の支給状況について確認をさせていただきます。

役田政府参考人 お答え申し上げます。

 国の非常勤職員のうち、委員、顧問、参与等以外の非常勤職員の給与については、給与法第二十二条第二項におきまして、各庁の長は、常勤職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給することとされております。

 期末手当及び勤勉手当に相当する給与につきましては、人事院が発出している非常勤職員の給与に関する指針におきまして、任期が相当長期にわたる非常勤職員のうち、常勤職員と職務、勤務形態等が類似する非常勤職員には、常勤職員に支給する期末手当及び勤勉手当に係る支給月数を基礎として、勤務期間、勤務実績等を考慮の上、支給するよう努めることとしております。

 昨年、人事院において、この指針の取組状況の確認を行いましたところ、各府省における勤勉手当に相当する給与の支給については、おおむね適切に実施されていたところでございます。

石川(香)委員 おおむね順調にということでしたが、会計年度任用職員のことについてお聞きしていきますが、済みません、人事院の役田次長、退席いただいて結構です。ありがとうございます。

 会計年度任用職員の期末手当などの経費について、これまでは、新年度の施行に伴う費用を含めて、地方財政計画において計上されて、この措置が講じられてきたと思います。令和二年度には千七百三十八億円、令和三年度には二千四百二億円、令和四年度からは、一般行政経費の枠の中で制度の運用に必要となる財源を確保しているということをされております。

 そして、今回の会計年度任用職員への勤勉手当の支給について、必要な経費でありますけれども、先ほども少し似たような質問があって大変重なるところもあるかもしれませんが、当然、しっかり適切に財政措置がなされるべきだと考えております。

 総務大臣にお伺いいたしますが、経費をどの程度見積もっているのかということ、それから、今後のスケジュールも含めて、もうしっかり財政措置をしていただくという決意も含めて、是非御答弁いただければと思います。

松本国務大臣 会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、法案が成立した際に、各自治体において適切に支給される必要があると考えております。

 勤勉手当の支給見込額ということでございますが、令和三年度決算統計における会計年度任用職員の期末手当支給額をベースに機械的に試算をすると、総額で約千五百円と見込まれる、先ほど答弁を申し上げたところでございます。

 勤勉手当の支給につきましては、必要な経費について、支給に向けまして、今後各自治体に対して調査を行うことを考えておりまして、その結果も踏まえて、地方財政措置についてしっかりと検討してまいりたいと思っております。

石川(香)委員 機械的に計算ということで千五百億円という御答弁でしたが、これから調査が始まるというわけですので、しっかり実態に即した財政措置をしていただけるように、これもお願いをしたいと思います。

 令和二年度の会計年度任用職員制度の施行状況などに関する調査というものがあったと思いますが、会計年度任用職員制度の導入に伴って、給与水準が、制度導入前の報酬の水準に比べて減額になってしまった職種があるというふうに答えた団体が七百三団体、これは全体の二三%になりますが、ありました。

 中には、期末手当を含めた年収ベースで比較をして、制度導入前の報酬水準と同じぐらいになるように給料を減額したという事例も実際に見受けられたということで、こうしたことは、当然、趣旨と制度に合っていないということで、まさに本末転倒であると思いますし、是正すべきだと、これまでも委員会で指摘をしてまいりました。

 今回の勤勉手当の支給に当たっては、こうした給料や期末手当などの減額がなされず、勤勉手当の適切な支給による処遇の改善が進むように、団体等にもしっかり念を押していかなければいけないのではないかと思いますが、そのことについて国からどのような対策が取られているか、大臣にもう一度確認させていただければと思います。

松本国務大臣 まず、先ほどの質問につきまして、大変申し訳ございませんが、勤勉手当の支給見込額について、総額で約千五百億円と見込まれると申し上げたつもりでございますが、億が抜けていたようでございますので、改めて、総額で約千五百億円と申し上げたいと思います。

 ただいまの御質問でございますが、会計年度任用職員の処遇については、令和二年度の制度導入により期末手当の支給を可能とするなど、処遇の改善に取り組んできたところでございまして、私どもが目指す方向は処遇の改善でありますので、制度施行時から、単に財政上の制約のみを理由として、新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬を削減することがないよう、これまでも重ねて助言してきたところでございます。

 総務省としては、法案が成立した際には、先ほど申し上げましたように、地方財政措置についてしっかりと検討を行うとともに、各自治体に対しては、制度の趣旨に沿った運用となるように改めて助言などを行い、会計年度任用職員の処遇の改善が図られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

石川(香)委員 もう目的は処遇改善、今大臣もはっきりと言っていただきました。この新たな制度によって、財政上の理由でこれを減らされるとか左右されるということはあってはならないということを、改めて御確認していただきました。

 引き続き、実態を見ながら、助言を必要に応じてしっかり行っていただきたいと思います。

 今回の法改正では、これまでの期末手当に加えて、短時間の会計年度任用職員にもこの勤勉手当を支給することが可能になると思いますが、施行後には、全ての会計年度任用職員に対して常勤職員と同じ月数の勤勉手当を支給すべきと考えますけれども、この点について総務省の見解をお伺いします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 会計年度任用職員のまず期末手当については、国の非常勤職員の取扱いを踏まえまして、継続して六か月、週十五・五時間以上勤務する者を支給対象とするというのが基本でございまして、法案が成立した場合は、勤勉手当の支給も同じ考え方になります。

 その上で、会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、常勤職員との権衡を踏まえまして、その支給月数を基礎として、勤務実績等を考慮の上、支給することが適当であるというふうに考えております。

石川(香)委員 これまで、同一労働同一賃金、そして公平であるべき制度ということで求めてまいりましたけれども、総務省の調査によりますと、パートタイムの会計年度任用職員の勤務時間の設定について、勤務時間が三十七時間三十分以上の、フルタイムより一日に十五分だけ短い職の任用団体の数というのが千百六十一団体、前回の調査よりも十二団体減少したということになっておりますが、いまだに千百六十一団体あるということで、任用件数は五万六千五百七十三件、これは九百十一件、前の調査よりも増加してしまったということで、つまり、今もなお五万六千人以上こういう方がいらっしゃるということです。

 勤務時間の設定につきましては、業務内容に応じて勤務時間を積み上げた結果だというふうに答えた団体が最も多くなっていまして、シフトであったり、勤務体制、それから施設とか窓口の運用時間なども考慮して設定しましたと回答している団体が多いとの調査結果が出ております。

 勤務時間の設定について、総務省は、フルタイム勤務とすべき標準的な仕事の量があるにもかかわらず、こうしたパートタイムの会計年度任用職員として位置づけること自体を目的として、勤務時間をフルタイムより僅かに、ちょっとだけ短くする、こういう設定は適切ではないということはそもそも通知をしております。

 しかし、実際にはこういうことがまだまだ五万六千人以上あるということで、これも明らかに不適切な運用ではないかということで是正する必要があるのではないかと感じております。

 こういった不適切な運用に関して、総務省からどのような助言などを行ってきたのかお伺いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 会計年度任用職員の勤務時間は、その職務の内容や標準的な職務の量に応じて適切に設定することが必要であると考えております。

 御指摘のとおり、一日当たりフルタイム勤務との勤務時間の差が十五分以内というふうになっているパートタイム職員の状況については毎年度調査を行っておりまして、該当する自治体からは、その理由として、勤務時間の積み上げであるとか、施設の運営時間等を考慮しているなどの理由が挙げられているところでございます。

 総務省としては、この点、先ほど委員からも御紹介がありましたように、フルタイム勤務とすべき標準的な職務の量がある職については、パートタイム会計年度任用職員として位置づけること自体を目的として、勤務時間をフルタイムより僅かに短く設定するといったことは適切ではないこと、また、フルタイムより僅かに短い勤務時間を設定することについては、一般的に理解を得られる相当の合理的な理由があるのかを改めて検証の上、慎重に判断する必要があることなどについて、昨年十二月に発出した通知も含め、重ねて助言をしてきております。

 我々といたしましても、今後も引き続き調査を行いながら、実態を丁寧に把握をして、ヒアリングの機会などもございますので、そういった場を活用して、適正な任用が確保されるよう取り組んでいきたいと考えております。

石川(香)委員 今後も是非、団体とか勤務実態の把握も含めて、こうした不公平な運用にならないようにチェックを引き続きしていただきたいと思います。

 会計年度任用職員の皆さんは、本当に行政サービスにおいてなくてはならない重要な存在であるということは、誰もが認めるところだと思います。その上で、社会での多大な貢献であったり、職場の頑張りとか、これがきちんと評価をされて、働き続けられる制度の実現というものを目指していかなければいけないと思いますので、そういうことについても心からお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、続いて、地方議会の課題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどからもほかの委員からも質問がございますが、地方議員のなり手不足、これは非常に課題です。まず、立候補したいと考える熱意のある方が感じるハードルを少しでも下げるということは重要だと思いますので、立候補環境の整備ということについて聞いてまいりたいと思います。

 答申の中で、様々なやり取りがあったかと思いますが、今年の一月及び三月に尾身副大臣は、経済団体の担当者の方と面会をいたしまして、勤労者の地方議会議員への立候補のための環境整備について要請を行ったというふうに聞いております。

 まず、経済団体の反応はどのような反応だったのか、それから、この要請を受けて経済団体では何らかの対応が行われているのかなど、お伺いさせていただきたいと思います。

尾身副大臣 お答えいたします。

 地方制度調査会の答申では、会社員が立候補しやすい環境整備について、立候補に伴う休暇制度などの法制化は有効な方策だが、事業主負担や他の選挙との均衡といった課題があるとの指摘がなされました。その上で、まずは、各企業の就業規則において立候補に伴う休暇制度を自主的に設けることなどを要請していくことを検討すべきと提言されました。

 また、昨年の臨時国会で議員立法により成立した地方自治法改正の附則においても、政府は、事業主に対して、自主的な取組を促すこととされております。

 これらを踏まえまして、今委員御指摘のとおり、私自身が本年の一月と三月に、三議長会の皆様と御一緒に経済団体を訪問させていただきまして、直接要請を行ってまいりました。

 具体的には、各企業の状況に応じて、就業規則について必要な見直しなどを行い、立候補に伴う休暇制度を設けることや、立候補した勤労者に対して解雇や減給などの不利益な扱いをしないこと、議員との兼業、副業を可能とすることについての御協力をそれぞれお願いしたところでございます。

 経済団体の皆様方からは、中小企業では立候補休暇を認める場合に人繰りや社会保険料の事業主負担などに懸念があるということ、休日、夜間議会の活用など議会側の取組も重要ではないか、また、その中でも女性の活躍というのは大変重要であるというような御意見も直接伺ってまいりました。議員のなり手不足に対しての対応の重要性につきましては、皆様方には御理解をいただけたというふうに私自身も受け止めております。

 その上で、各経済団体におかれましては、早速会員企業の皆様に周知を行っていただいたと伺っておりまして、今後、各企業における自主的な取組が広がることを期待しております。

石川(香)委員 ありがとうございます。詳しく答弁いただきました。

 確かに、人手不足もありますのは、人員の確保であったり、あとは社会保険料の負担など、こうした懸念は当然企業側にはあるだろうと思います。選挙では、よく、退路を断ってという言葉が使われますけれども、退路を断って挑戦するというのは、並々ならぬ熱意とか決意を感じる一方で、現実的には、後ろ盾がない、非常に不安定な立場であるということも言えると思います。幅広い人材を集めるためにも、様々な方の挑戦を後押しできるような、会社に籍を置きながら立候補することができる、議員として活動することができるということを当たり前の流れにしていくのかどうなのかというのは今後のテーマになるかなと思います。

 一方で、企業側に理解を求めるということも分かるんですが、確かに、議会でももっと何かできないかという御指摘も、そのとおりなのではないかなと思います。オンラインの委員会ですね。まだ始まったばかりということでもありますけれども、今後もいろいろ検証しながら模索していく必要があるのかなと思います。

 済みません、時間がなくなってまいりましたので、次の質問、議員報酬についてですね。

 これもやはり、議員報酬、なかなか議員だけでは生計を立てられないほど低収入、低水準の地域もあるということで、人口規模が小さい自治体ほど少ない傾向があるということで、この議員報酬が十分に得られていないと感じられることが、なり手不足の一因になっているのではないかということも、当然考えられるかと思います。

 地方議員は、議員専業でやる方、それから、ほかの仕事もやって兼業でやる方もいらっしゃいますので、それぞれの働き方によって議員も異なるということで、いわゆる相場というものを設定するのも難しいのかなと思います。また、いわゆる都会の議員と、それから車がなければ移動できないような地方の議員でも、活動にかかるお金も異なるわけでありまして、地域の事情などもあるかと思います。

 地方議員も、議会の出席それから行事の出席など、きちんとやり通すとすごく大変な仕事だと私は思うんですが、今、物価高などもあり、皆さんの生活が大変な中で議員報酬を上げるということも、いろいろな意見が出るのは当然だと思います。一番重要なのは、住民の理解を得た形で報酬改善を実現するため、国は具体的にどういうことができるかということだと思うんですが、このことについて御質問いたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 議員報酬の額は条例で定められるというものでございますが、三十三次の地方制度調査会の答申において、特に小規模団体で議員報酬が低水準であることが議員のなり手不足の要因になっていることが指摘をされております。

 また、議員の活動量と長の活動量を比較し、議会、議員が活動内容を明確に示すことを通じて、適正な報酬水準について議論を行っている取組もございまして、こうした取組を参考に、住民の理解を得ながら報酬水準の在り方を検討することが考えられること、これも地制調の答申で指摘をされているところでございます。

 総務省といたしましても、各議会において、住民の十分な理解と納得を得るため、地域の状況を踏まえ、十分な審議を尽くしていただき、適正な議員報酬の額を定めていただくことが重要と考えておりまして、様々な取組事例の紹介など情報提供を今後とも行ってまいりたいと考えております。

石川(香)委員 この議員報酬についてですが、議員報酬に関しての交付税単価というのは下がっていた時期もあったんですが、令和二年度から実態を踏まえて上がっていると。

 今、今後、地方議員のなり手を確保していくためにも地方財政措置はこれからもしっかり行われるべきだと思いますが、この点についてお伺いさせていただきます。

原政府参考人 お答えいたします。

 普通交付税の単位費用の積算に用いている議員報酬単価は、地方公務員給与実態調査結果等を踏まえて設定しております。

 委員御指摘のありましたとおり、議員報酬の実態を踏まえまして、近年では議員報酬単価も増額しておりまして、令和五年度においても、前年度から増額しております。

 先ほど自治行政局長からお答えしましたとおり、議員報酬については、各議会において、地域の状況を踏まえて十分な審議を尽くしていただいて適切な額を定めていくことが重要と考えておりまして、これから自治行政局の方で議長会と連携しながら、様々な取組の紹介など情報提供を行ってまいるということでございます。

 したがいまして、議員報酬に対する交付税措置につきましても、こうした動きや議員報酬の実態を踏まえて適切に対応してまいりたいと存じます。

石川(香)委員 ありがとうございます。

 議会についてお伺いしてきましたが、最後に、投票の在り方についてもちょっとお伺いしていきたいと思います。

 今、統一地方選挙が始まっておりますが、四月の六日、統一地方選挙の前半戦の期日前投票で、北海道の士幌町というところで、投票所に行けない高齢者の方々たちのために家の前まで来てくれる移動投票所というのを北海道で初めて運行しました。道内では間違いなく初めてなんですが、全国でもかなり珍しい取組だそうです。今まで、移動投票所は既にやっていましたけれども、家の前まで来てくれるというところがすばらしいなと思っております。

 これで、高齢の方、足が不自由な方も含めて、後部座席に設けられた記載台で投票用紙を記入して、車内で一票を投じたということで、九世帯十五人が投票したそうです。ケアマネジャーの方も同乗したりしまして、介助もしながら無事に投票が行われたということですが、こうした取組をどのように評価しているか、最後に松本大臣にお伺いします。

松本国務大臣 士幌町の移動期日前投票所の取組については、高齢、障害等の理由により投票所までの移動が困難である等の一定の要件に該当する方の申込みにより、申込者の個人宅前を巡回箇所に決定するという取組を実施されたものと承知しております。これは、地域の事情を踏まえた自主的な取組と承知をしております。

 このような取組についてでございますが、一般論で議論をいたしますと、巡回を希望する有権者が多数になることも想定されること、必要な人員を確保し、限られた期間内に確実に巡回できるのかなど、確実性や公平性の観点から難しい課題もあると考えております。

 一方で、移動期日前投票所の取組は、有権者の投票機会の確保の観点からは有効な取組であると考えておりまして、総務省では、各選挙管理委員会の取組事例をまとめた事例集を作成、周知し、横展開を図るとともに、財政面では、国政選挙については全額国費で措置し、地方選挙については特別交付税措置を講じております。

 移動期日前投票所の取組が着実に増加するよう、各選挙管理委員会の積極的な取組を促してまいりたいと考えております。

石川(香)委員 投票率を高める取組の一つとして、様々な問題をクリアしながら、いろいろ広がっていけばいいのかなと感じております。

 質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 今回の地方自治法の改正、特に議会、地方議会の在り方について質問したいと思います。

 今回の法改正は、実は別に、新たな地方議会の権限、役割を付与したりするものではなくて、地方議会の役割及び議員の職務等の明確化というふうに説明されております。だから、議会が議事機関である、立法機関じゃないですね、議事機関であることが明確化されました。それから、議会は、重要な意思決定に関する事件を議決する、その他の権限を行使するというふうに書かれております。それから、議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならないといった規定が盛り込まれています。

 これは何のための規定ですかというふうに総務省に問うたところ、いわば心構えだという話を聞きました。それはそれで結構ですが、心構えを規定するとして、実質的に、その後何を目指すのか、これを大臣にお尋ねしたいと思います。

松本国務大臣 今回は、議会の位置づけなど、また、議員の職務などを明確化したものでありますが、重徳委員には申し上げるまでもないかと思いますが、住民の多様な声を聞き、広い見地から地域社会の在り方を議論する地方議会の役割は大変大切でありまして、地域課題が多様化する中で議会がその役割を果たすために、多様な人材が参画し住民に開かれた議会を実現することが重要であると考えております。

 このような観点から、これまで三議長会の皆様から議会の位置づけの明確化について御要望をいただいており、第三十三次地方制度調査会で、三議長会からの意見聴取を含め、地方議会の在り方に関して審議を行って答申が取りまとめられ、答申では、まず、各議会における多様な人材の参画を前提とした議会運営、住民に開かれた議会のための取組の重要性を指摘した上で、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられると提言をしておりまして、答申を踏まえ、本改正案に議会の役割や議員の職務等の明確化等を盛り込んだところでございます。議会の役割や議員の職務等の重要性が改めて認識されればと思っております。

 あわせて、各議会における議会運営上の工夫や、議会に対する住民の理解を含め、関心を高める取組と相まって、多様な人材の議会への参画に資することを期待をしております。

重徳委員 具体的じゃないですね。

 ちょっと具体的に問いますと、今回の心構え規定を設けるに当たって、重要な目的として、なり手不足を解消する、解決するという目的があったはずであります。これは確かに、法律で全国一律にどうこうしろということは書きづらいと思いますし、総務省が決めることではないかもしれないですね。各自治体議会における取組を喚起するという意義があるはず、あってしかるべきだと思うんですけれども、議員のなり手不足が解決される、その道筋というのは具体的に見通せますか、今回の規定によって。

松本国務大臣 先ほども御答弁申し上げたように、第三十三次地方制度調査会の答申では、多様な人材が参画し住民に開かれた議会の実現に向け、各議会における自主的な取組のほか、議会の位置づけ等の明確化、立候補環境の整備といった対応方針が示されました。

 答申を踏まえ、本改正案に議会の役割や議員の職務等の明確化等を盛り込んだところでございます。

 議員のなり手不足の要因としては、立候補環境に係る要因、時間的な要因など、様々なものが考えられます。

 とりわけ、女性の議員が少ない議会や、議員の平均年齢が高い議会において、無投票当選となる割合が高い傾向にありまして、多様性を欠いていることが住民の議会に対する関心の低下等を招き、議員のなり手不足の原因の一つにもなっていると考えております。

 なり手不足の解消を図っていく上では、女性や若者、勤労者など、多様な層の住民の議会への参画を促進していくことが重要と認識しておりまして、先ほども御答弁申し上げたように、先日、尾身総務副大臣が経済団体に対して立候補休暇等の自主的な取組の要請を行ったところで、今後、各企業における取組が広がることを期待しております。

 議会自身による取組としても、会議規則に育児、介護等の取扱いを明確化する取組や、ハラスメント相談窓口の設置、女性の視点から住民の意見を反映させること等を目的とする女性模擬議会の取組、夜間、休日等の議会開催や通年会期制の活用等により、柔軟に会議日程を設定する取組などが行われております。

 このような取組が進むよう、総務省としては、総務省ウェブサイトで各議会の実践例の紹介などを行ってきておりますが、三議長会と連携しつつ、引き続き必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

 議員のなり手不足は重要な課題でありまして、総務省としても、今後も、地方議会の活性化につながるよう、多様な人材の議会への参画促進に取り組んでまいりたいと考えております。

重徳委員 是非、様々な取組を促すということは、総務省の役割としてしっかりと果たしていっていただきたいと思います。

 ところで、議員のなり手不足が問題だというふうに言われるんですけれども、何が問題なのかということを論じてみたいと思います。

 つまり、議員になりたい人がいません、住民からも議員って何のためにいるのと言われているうちは、別になり手がいなくたって問題ないじゃないか、こういうことになっちゃいますね。

 この間、雑誌に、「地方議会ってホントにいるの?」、こういうキャッチーな表紙が飾られましたけれども、そこで、私、市町村合併の検証ということを、この間まで第四回でしたが、図らずも今日は第五回市町村合併の検証ということをやっていきたいと思います。

 資料を御覧ください。

 これは、三月二十五日、読売新聞の記事です。「大合併で議員ゼロ 百二十二区域」という記事であります。

 総務省に、これを調べてくださいよと言っていたんです。つまり、合併して旧町村部で議員が出せなくなった、そういう地域というのはどのぐらいあるんですか、立候補の届出の住所を調べれば分かるじゃないですかと。

 こういうことを申し上げておりましたが、こういうことを委員会で言っていたら、それは確かにそうだなということで、読売新聞さんが調べてくださいました。こういうパターンもあるんだなと思いまして、これからもいろいろと、総務省でやってくれようとくれまいと、こういうことをやってほしいということは言い続けたいと思います。

 地方自治総合研究所も、二〇一四年、調査をして、たしか六十九区域で議員がゼロだという数字が出ていたと思います。もちろん、総務省がやるほど精緻な調査じゃないかもしれませんけれどもね。だから、いずれ総務省にもやっていただきたいと思います。

 読売新聞さんは、今年三月一日時点で、八十一自治体百二十二区域におきまして議員を出せていない、こういう調査結果となっております。

 これは、私が申し上げました、なり手不足の何が問題なんだということを提起していると思います。よく言われるのは、今の大臣の御答弁もそうですけれども、なりたいなと思っている人が潜在的にいるはずなのに、なれない、なりやすい環境がない、そういう問題意識が多いんですけれども、別に、なりたい人をならせてあげるのが問題なのじゃなくて、この地域からは議員を出したいんだ、この地域の発展のために声を届けたい、そのために議員を出したいと、これは強く思っている地域は絶対あるんですよ。その典型的な例がこの百二十二区域であろうと思いますね。

 だから、この委員会におられる委員の皆さんの地元もそうだと思いますけれども、過疎地域であればあるほど人口の割に議員を出しているじゃないですか。そうですよね。出している、それから投票率も高い、こういう傾向はあると思いますよ。だけれども、過疎地域も、過疎が進み過ぎると、さすがにもう出すだけの票がないということで、結局ゼロ区域になっちゃう、こういうことなんだと思います。

 したがって、議員のなり手不足問題というのは、なり手不足という問題でもあるけれども、出す側の出し手不足の問題というものももう一方ではらんでいるということだと私は思っております。

 そこで、まず、せっかく読売新聞さんが調べてくれたので、この資料の二枚目に、これはうちの事務所の優秀なスタッフが、読売新聞をそのままプリントアウトすると何ページにもわたるものですから、一ページにまとめてくれたんですけれども、百二十二区域、全部ここに載っております。

 よく見ると、例えば、私が以前赴任しておりました広島県では、九区域から議員が出せておりません。広島県というのは物すごく平成の合併が進んだところでありまして、自治体数でいうと、八十六市町村が、今は二十三になっております。もう三割を切っていますね、四分の一ぐらいになっちゃっています。

 一方で、これも私も若い頃に赴任しておりました山形県を見ると、山形県は、鶴岡市の朝日村一か所だけです。山形県は、平成の合併は一応やりました。四十四市町村が三十五になりました。九市町村減ったわけですが、これは、庄内地方といいまして、日本海側の地域が中心でありまして、全体的にはそんなに減っているわけではない。逆に、昭和の合併で大変合併が進んだ、そういう県であります。

 こういうこともあってか分かりませんが、西高東低ですね、議員ゼロ、どっちが高いか低いかというのは評価がありますが、西日本の方が議員ゼロ区域が多く見受けられます。東日本はどっちかというと少ない。こういう意味での西高東低という傾向がありますが、実は、平成の合併そのものも西高東低といいましょうか、西日本の方が合併がうんと進んだという傾向があると思います。こうした背景からすると、もしかしたら、合併が進んだから、調べればですよ、ゼロ区域だって多いのが道理だよね、こういう見方もあるかもしれません。

 いずれにしても、私が言いたいのは、やはりこういう、調べてみると何かが分かる、調べてみないと何にも分からないということだと思うんですね。市町村というのは、大体、一般市町村は選挙区が分かれていませんよね。政令市は区ごとに分かれていますけれども、一般の市町村は、オール、全市が一つの選挙区でありますので、どこから議員がどのぐらい出ているかというのが極めて見えづらいんですよ。

 国会議員なんか、分かりやすいじゃないですか。参議院では、人口が減って、鳥取、島根は合区になっちゃいました、それから徳島、高知も合区になっちゃいました、こんなことがあっていいのかという声が沸き立ちますよね。衆議院も、今回、数が見直されて、都市部はむしろ議席が増えて、区割りも細かくなっちゃって、線引きも難しい、このような新たな課題もあるんですが、過疎の多い県は減っている、こういうことは如実に分かります。

 このように、出し手不足の問題というのは極めて市町村においては見えづらくなってしまっているわけです。それを見える化しようというのが私の、合併の検証をするべし、こういう話でありまして、読売新聞さんがよく反応してくれたと思っておりますが、総務省として、この調査結果をどのように評価されているか、どのように分析できるのかについてお尋ねしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 読売新聞のこの調査につきましては、詳細は承知しておりませんが、紙面の情報を基に、また、先ほど委員からお示しいただいた一覧表、これも私ども見ておりまして、それなりに分析をさせていただきました。

 旧市町村区域に住所を置く議員が一人も選出されていない区域が少ない県でありましても、合併による市町村の減少数が多い場合も一定ございます。また、合併による市町村の減少数が多い県であっても、委員御指摘の区域の数がゼロとなっている場合もあります。こうしたことから、一概に市町村合併の件数が多いほど御指摘の区域の数が多いとは言い切れないのではないかというのが率直な感想でございます。

 また、西高東低につきましては、まさに、お示しいただきました一覧表を見ますと、左側が大体東日本で、右側が西日本というようになっているのではないかというふうに見えます。そこで、分析をしてみましたが、当該区域の数、先ほどの議員選出がゼロという区域の数の上位二十県について見ますと、東日本が十県、西日本が十県となっておりまして、必ずしも西高東低という傾向があるとはこれまた一概には言えないというふうに考えております。

重徳委員 吉川局長から感想を述べていただきました。感想ですから、大臣もちょっと感想を述べていただけたら幸いです。

松本国務大臣 市町村の合併の意義は委員もよく御案内のとおりであろうかというふうに思いますが、関係する市町村で、合併後の市町村の一体性の確立、均衡ある発展のため、地域の将来像や地域の今後の在り方を展望し、住民とともに真摯に議論を行って、自ら決断されたものであろうというふうに思っております。

 合併をした後に、首長や地方議員においては、やはり、地域の自治の力を弱体化させたり地域の活力を衰退させたりすることのないように、旧町村部の声を幅広くつかんでいただくことは私も大切であるというふうに考えております。

 各自治体において、地域の状況の変化に対しきめ細かく御対応をいただくものと考えているところでございます。

 今委員がお示しいただいた資料でも、私の地元の姫路市においても旧安富町から議員が出ていないというふうにございました。私自身のことに関わりますが、実は、私の選挙区は合併前の姫路市でございまして、合併した旧四町は私の選挙区ではないという状況なんですが、この旧安富町も、長らく市議会議員をお務めになった方がおられたんですが、少し前に勇退をされているというふうに思っておりますが、改めて、今、出し手というお話がございましたが、地域の声を受けて候補者が出るという話もあるやに、最近ちょっと地元に帰れていませんのでその後の推移は確認していませんが、出ておりませんので、やはり地域からそういう声もあるというふうには認識をしております。

 加えて、今お話があったんですが、どこの出身かというのも、どういうふうに定義をするかということも、実は私の地元でも議論はされておりました。元々の出身はA地区であるけれども今はB地区に住んでいる、どちらが中心なのかとか、そういったこともあったり、また、その方は、自分自身はA地区もB地区もしっかりと地元の声を聞いていきたいとおっしゃったりということですので、この読売新聞さんも幾つかの恐らく前提と定義を置かれてのことであろうというふうに思います。

 繰り返しになりますが、先ほど申しましたように、やはり旧町村の地域の自治の力、地域の活力というのはしっかりと維持拡大をしていくことが大切なことであろうというふうに思いますし、総務省としては、委員からもお話がございましたが、地域の課題に取り組む自治体をしっかりとお支えをし、また、必要な事例を紹介して促していくのが使命ではないかというふうに考えております。

重徳委員 政治家的な感想をありがとうございます。

 議員ゼロ区域こそ議員を必要としているんじゃないか。つまり、なり手不足は、半分はなり手の問題なんだけれども、もう半分は出し手側の問題なんじゃないかという問題意識は共有していただけますか。御答弁、どなたでも。

松本国務大臣 先ほど申しましたように、私の地元で考えた場合も、実は、おおむねでありますが、合併することによって人口は一割増えましたが、面積は十割増えたというふうに言われております。

 他方で、その十割増えた中には、大切な山林であったり、様々な水源だったりというものも含まれていることを考えると、我が国の国民、住民が生活をしていく中で、それぞれ、そういったことを維持することも大切なテーマであるということを考えると、やはり、今お話がありましたように、旧町村を含めて、広く声が届くような仕組みというのは大変重要である中で、地方議会の役割について今回も問われているということを考えますと、広くそういったことが重要であろうかというふうに思います。

 ただ、先ほども申しましたように、では、それを誰が担うのかといったようなことは、やはり議会の中の意見を通して。出し手不足というお話がございましたけれども、このこと自身は、その地域にお住まいをされている方にとどまらず、広くそういった地域の課題に取り組むことが必要であるということを市民全体の皆様が理解いただけるようにしていただけたらというふうに思っておりますし、私もそのようなことをこれまでも申し上げたことはあったかというふうに考えております。

重徳委員 大臣から、過疎地域の問題は誰が担うのかという御指摘がありました。

 そこで、最後に、ちょっとまとめて二点、質問したいと思います。

 一つは、地域自治区の問題であります。

 地域自治区というのは、合併特例法上設けられた特例的なものと、それから地方自治法に位置づけられている一般のものがあります。特例の方は時限的なものでありますので、一般の方について論じますが、今、十三市町百二十八自治区でしか一般の地域自治区は設けられておりません。なぜなら、市全域に地域自治区を置かなきゃいけない、こういうルールだからということなんですね。

 だけれども、これはちょっと融通が利かなさ過ぎるんじゃないかと前回吉川局長に尋ねましたところ、必要性の高まりには差異があるケースもあるので、環境が整った地域から段階的に設置することもあり得るという解釈をしているというふうに聞きました。これはもうちょっと正面から、解釈じゃなくて、正面から制度として一般化、つまり、旧町村だけに設けることもいいよという制度にするべきじゃないかというのが一点。

 もう一つは、複数選挙区制、これは難しいですよね。ですけれども、昭和の合併では多くの事例があったと聞いておりますが、平成の合併では北海道伊達市で事例があると聞いております。この趣旨と、どういうことで伊達市の場合は設けられたのか、そして、複数選挙区制についてどう考えているかについて御答弁をお願いします。

吉川政府参考人 まず、私から、地域自治区について御答弁をさせていただきます。

 地域自治区は、住民自治の充実や行政と住民との連携による協働活動の推進を目的とし、区域内の住民の意思を反映させつつ、市町村長から分掌された事務を処理する地方自治法上の制度でございます。

 地域自治区には、住民の意見を取りまとめる地域協議会を置くこととされ、法律上、市町村長は、条例で定める区域内の重要事項等について、地域協議会の意見を聴取し、勘案する義務を負うこととなります。

 このような仕組みでありますことから、地域自治区を設ける場合は、当該市町村の全域にわたって設置することが想定をされておりまして、旧町村の区域にのみ置くことを可能とすることについては慎重な検討が必要と考えているところでございます。

森政府参考人 複数選挙区の設置についてお答えをいたします。

 指定都市以外の市及び町村の議会議員の選挙については、原則としては、選挙区を設けずに、その区域の全部を一つの区域として、すなわち市町村の区域で選挙を行うものでございますが、公職選挙法第十五条第六項において、市町村は、特に必要があるときは、条例で選挙区を設けることができるとされております。

 この、特に必要があるときについては、各市町村の実情に応じて判断すべきものでありますが、選挙区を設ける場合においては、行政区画、地勢、交通などの事情を総合的に考慮して合理的に行うこととされております。

 お尋ねの北海道伊達市については、平成十八年三月に旧伊達市と旧大滝村が合併し、当該公職選挙法の規定に基づき、飛び地合併であることも考慮し、旧大滝村の住民の意見を行政に反映させることなどを理由として、それぞれの区域を選挙区としておりました。ただ、平成二十九年に、市の一体的な運営の推進などの理由から選挙区を廃止したものと承知をしております。

 また、平成二十四年十月時点での調査では、議会議員選挙で、公職選挙法に基づき選挙区を設けている市町村として、今の伊達市の例もございましたが、計十三団体を確認しておりましたが、令和四年四月時点では、いずれもなくなり、選挙区を設けている市町村はないと承知をしております。

 いずれにいたしましても、各市町村の実情に応じて判断すべきものと承知をしております。

重徳委員 ありがとうございます。

 調査をするといろいろなことが見えてくるということを最後に強調しまして、しっかりこれからも取り組んでいただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉と申します。

 まず冒頭に、現在行われている補欠選挙と、今国会で審議予定の水道行政に関わる所管の法律案について、それぞれ現場である各地方公共団体にもこれは多大な影響を及ぼす案件でありますので、触れさせていただきたいと思います。

 現在、衆参合わせて五つの補欠選挙が実施されておりますが、その中でも、千葉五区の選挙の理由については、当該選出議員であった薗浦健太郎前議員が、御自身の都合によって昨年末に議員を辞職したことによるものと承知しております。

 そこで、総務省にお伺いしますが、この度の千葉五区補欠選挙に係る必要諸経費は予算予備費によって事後措置されますというように伺っているんですけれども、現時点の概算見込みで結構ですので、教えていただければと思います。

森政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねの選挙に係る経費については、現在調整中ではございますが、有権者数が近い衆議院小選挙区の過去の補欠選挙の執行実績額で見ますと、二億円台となっております。

おおつき委員 二億もかかるんですね。伺っていた話だと、去年の静岡での補選が二億一千九百万円で、おととしの北海道の選挙が二億四千八百万円ぐらいだったと伺っております。

 では、大臣、本来、選出議員自身の政治と金による、不祥事による辞職がなければ実施されなかったこの千葉五区の補欠選挙について、これだけ、二億円程度かかっておりますが、大臣の受け止め、お伺いしたいと思います。

松本国務大臣 国会議員の補欠選挙につきましては、公職選挙法の規定に基づいて、国会議員の欠員が生じた場合に行われることとなるものでございますが、各議員が辞職された個別の事情につきまして、総務大臣としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

おおつき委員 一人の議員の不祥事による補欠選挙で二億円以上のお金がかかる。これは、ちゃんと有権者の皆さんたちには理解していただきながら、今回の補欠選挙に向かっていただきたいなと思うんですね。

 今、物価高で、まさに選挙公報の印刷や配布のための費用も上昇しているんですよ。パーティーの収支を政治資金収支報告書に約四千万円少なく記載した疑惑をめぐって、何に流用したのかも説明もないままなんですよね。税金の無駄遣いを生じさせた反省もなく、そして、公募までして今二億円以上かかる選挙が行われているわけです。私たち立憲民主党は、政治と金の問題、これからも徹底的に闘っていきたいと思います。

 次の質問に行かせていただきます。

 先月閣議決定して今国会に提出された生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案の審議について、現在、これは厚生労働委員会で予定されているものなんですけれども、松本大臣も御存じのとおり、水道は、各地域における共有財産、各自治体運営の中で、これまで市民の生活と安全をも守ってきたものでございます。

 今回の政府案をそのまま受け止めれば、国交省における上下水道の行政運営が一体所掌となることによって、機能が強化されるものであるという認識に立っております。水道や下水道、両事業の機能強化は、何よりも人員増と適正配置に直ちに取り組むべきということが、これまでのコロナ禍の中で水道事業を支えてきた現場の各地方自治体の声でもあろうかと思っております。

 そこで、今回の移管による機能強化につきましては、現場の各地方自治体を所管し、支える総務省として、しっかりと注目していただいて、またしっかりと地方自治体の水道、下水道現場をサポートする観点で、引き続きお取り計らいをお願いしたいと思っておりますが、総務省の見解、副大臣、いかがでしょうか。

尾身副大臣 お答えいたします。

 水道事業については、人口減少や老朽化により経営環境が厳しさを増していることを踏まえ、水道法等を所管する厚生労働省等とも連携し、経営基盤の強化に資するよう、経営戦略の策定や広域化の取組などの支援を行っております。

 水道行政が移管されたといたしましても、引き続き、水道事業の持続的な経営を確保していくため、関係省庁と連携し、しっかりと取り組んでまいります。

おおつき委員 しっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 さて、今回の地方自治法の一部改正案について伺います。

 これは、大きく分けて、地方議会関係と会計年度任用職員関係、そして公金の私人委託制度関係の三つの項目があります。その上で、まず、公金の私人委託制度の見直しについて伺います。

 今改正案の私人委託制度の見直しは、令和二年の地方分権改革に関する提案募集において、中核市市長会などから、自治体の全ての歳入においてコンビニ収納を可能とすると求める提案があったことを受けまして、原則として全ての歳入等の収納事務について、自治体の長の判断で私人への委託を可能とするものであります。

 これによって何ができるかといいますと、コンビニで支払いができる公金の範囲が拡大されることになるんですよね。自治体にとっては、収入の確保や事務の効率化が図られることとなりますし、日中は仕事があって金融機関に行けないとか、あとは、近くの金融機関が統廃合によってなくなってしまったという方にとっては、公金支払いの利便性が向上することにつながると思っております。

 ただ、この改正については、若干気になる点、分かりにくい点がありますので、順次ちょっと確認をさせていただけたらと思います。

 まず、収納の事務をコンビニなどに委託することができない歳入等の範囲についてお伺いします。

 政府は、原則として全ての歳入等の収納事務について、自治体の長の判断で私人への委託を可能とするとしていますが、原則としてという言葉が入っておりますので、これは必ず例外もあると考えられます。

 そこで、実際の規定を確認してみますと、改正案では、収納事務を委託することが適当でない歳入等を総務省令で定めることとして、それ以外のものについては自治体の長の判断で委託できることとしております。つまり、例外として委託できないものを総務省令で定めるとしておりますので、総務省令で何ができないものとして定められているのか、これが重要になってきます。この点について総務省は、地方交付税、国庫補助金など、国から自治体に交付されるものを定める旨の説明をしておりますが、本当にそれだけなのかというのが分かりません。

 そこで伺いますが、国から自治体に交付されるもののほか、どのようなものを省令で定める予定なのか、教えていただければと思います。これは特に、住民や法人が自治体に支払う公金のうち、その収納事務をコンビニ等に委託できないこととするものもあるのかどうか、確認させてください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正で、御指摘のように様々な歳入、原則としてコンビニなどでの収納が可能になるということでございまして、その例外として定めるものにつきましては、御指摘のありました地方交付税や国庫支出金などの国から自治体に交付される歳入に加えまして、繰入金といった自治体の会計間の歳入などを念頭に置いておりまして、これを総務省令で規定することを予定しております。

 したがって、住民の皆さんあるいは法人の皆さんがコンビニで収納することが想定されるような歳入は対象になるということでございます。

おおつき委員 分かりやすく、ありがとうございます。

 地方からの提案を踏まえれば、住民や法人が自治体に支払う公金については、これは全てコンビニでの支払いを可能とするのが前提だと思います、やはり便利になった方がいいと思いますので。総務省令を定める際にはその点をしっかりと踏まえていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 次に、コンビニで新たに支払いが可能になる公金の種類について具体的に確認をさせていただきたいと思います。

 現行の制度では、収納事務を委託することができる歳入の範囲は政令で限定列挙されております。しかし、実際には、政令で限定的に挙げられている歳入の範囲はこれまで順次拡大されておりますので、現在でも、地方税、使用料、手数料、賃貸料、寄附金、負担金、過料、そして損害賠償金など、主要なものはほとんどコンビニで支払いができるようになっております。このため、住民の方々にとっては、今回の改正によってどのようなものがコンビニで支払うことができるようになるのか、これはなかなかイメージできないんですよね。

 そこで、少し調べてみました。現在、公立保育所などの保育料はコンビニで支払いができます。しかし、この公立保育所の食事提供費、これはコンビニでの支払いが今はできていないんです。また、公営住宅の家賃はコンビニで支払いができるんですけれども、公営住宅の敷金はコンビニで支払いができないそうです。今回の改正では、このような今までコンビニで支払いができなかったものについても、自治体の長が判断すれば全てコンビニで支払いができるようになるわけです。

 そこで伺いますが、公立保育所の食事提供費、そして公営住宅の敷金のほか、住民生活に身近なもので新たにコンビニで支払いができるようになるものがあれば教えていただければと思います。加えて、それらはなぜ今までコンビニでの支払いができなかったのか、できないこととされていたのか、その理由についてもお願いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、本改正案の以前に累次にわたって地方自治法施行令などの改正を行ってまいりまして、この収納事務を私人に委託することのできる公金の範囲は相当に拡大をしてきたという状況でございます。

 今回、令和二年の分権提案に基づきまして改正を行うこととしておりますが、先ほど御指摘いただきました歳入に加えまして、例えば自治体が提供する研修講座の教材費といった、いわゆる雑入と呼ばれる歳計現金の類いでございます。また、災害見舞金といった歳入歳出外現金についても収納委託をすることが可能となるということでございます。

 以上でございます。

おおつき委員 市でやるイベントの教材費などもコンビニで支払えるようになる、そのようなものが拡大されるということですね。

 ただ、今回の改正を受けて、実際にコンビニで支払いができるものが増えるかどうか、これは結局、各自治体の長の判断次第ということになります。

 そこで、このため、総務省には、今回の改正が住民の利便性の向上につながるよう、便利になるよう、各自治体に改正の趣旨と内容をしっかりと周知していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 委員からも御指摘がございましたように、今回の改正により、原則として全ての公金の収納事務について、長の判断により、指定公金事務取扱者へ委託ができるようになります。御指摘のありました公営住宅の敷金、保育所における食事提供費なども含めて、様々な公金がコンビニなどで納付可能となります。

 これによりまして、住民の利便性向上及び自治体の収入確保が図られると考えておりまして、本制度の積極的な活用が進むように、先駆的な団体における取組状況を含め、本制度の活用についてしっかりと自治体に周知してまいりたいと思います。

 なお、加えて、もう一つだけ申し上げれば、現在、eLTAXを活用した地方税の電子納付が可能となっておりますが、総務省では、デジタル庁と連携して、地方税以外の公金の納付にeLTAXを活用できるようにするための取組を進めていくこととしておりまして、今後も住民の利便性向上や公金収納事務の効率化、合理化に取り組んでまいりたいと考えております。

おおつき委員 是非、住民の皆さんたちが便利だな、よかったなと感じるような、そんな丁寧な周知徹底を各自治体にもお願いしたいと思います。

 次に、自治体のチェック機能の強化について伺います。

 改正案では、公金事務の委託を受けた指定公金事務取扱者、これは決済の代行会社やコンビニなどが指定されるものなんですけれども、この指定公金事務取扱者について、自治体による事前、事後のチェックの規定を整備することとしております。具体的には、公金事務を受託することができる者の指定、会計管理者による定期、臨時の検査、帳簿の保存義務、自治体長による報告徴収、立入検査、指定の取消しなどの規定が新設されることとなります。

 今回は、収納事務について委託できる歳入等の範囲を拡大しますので、公金の適正な取扱いを確保する観点から自治体によるチェック機能を強化する必要があるというのは、これは何となく理解はできます。しかし、委託できる歳入等を拡大することによって、具体的に自治体や住民にとってどのようなリスクが高まるのか、これがはっきりと分かっていないところであります。

 そこでお伺いしますが、委託できる歳入等の範囲を拡大することによって、コンビニ支払いが可能になって、自治体や住民にどのようなリスクが生じるのでしょうか。また、これまで、公金事務の受託者の不適切な行為によって、住民や自治体が損害を被ったという事例はあったのでしょうか。もしあったならば、それはどのような事件だったのか、具体的に教えていただければと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 まず、先ほどの御質問で、なぜ公金収納の委託ができない歳入が残っていたかという理由について、御答弁申し上げられませんでした。失礼いたしました。

 先ほども、今回の改正が令和二年の分権提案に基づくものだというふうに御答弁申し上げましたけれども、まさに、これまで累次の改正は地方公共団体等からの要望を踏まえて逐次行ってきたということでございまして、今回、個別に政令で改正をしていくというやり方ではなくて、原則と例外を逆転させるべきだという提案にお応えをしたということでございます。

 その上で、自治体のチェック機能の強化の件でございますけれども、まず、現行の私人委託制度における不適切な事例について、総務省として把握しているものはございません。

 他方で、決済手段が多様化する中、いわゆるコンビニ収納の実施に当たって行われております収納代行会社からコンビニエンスストアへの事実上の再委託が、現行制度において想定されていないといった課題があることも踏まえまして、本改正により、収納事務を委託することができる公金の範囲の拡大に併せて、公金取扱いの適正性を確保する観点から、再委託についての事前の長の承認ですとか受託者に対する長の検査などの規定を整備することとしたものでございます。

おおつき委員 今後、指定公金事務取扱者の不適切な行為によって住民や自治体が損害を被る事態は絶対にあってはならないので、引き続きしっかりとこの事前、事後のチェック機能をしていただければと思います。

 質問を飛ばしまして、済みません、最後の質問にします。

 会計年度任用職員に関連して、地方公務員給与の男女の差異の公表について伺います。

 昨年六月、すべての女性が輝く社会づくり本部等が決定した女性活躍・男女共同参画の重点方針二〇二二において、男女間の賃金の差異について自治体についても開示を行うこととされました。これを受け、十二月に内閣府令等が改正されるとともに、差異の算出及び公表の方法が通知されて、令和四年度の実績は令和五年六月末までに公表することとされました。

 この公表に当たって、任期の定めのない常勤職員、そして任期の定めのない常勤職員以外の職員、及び全職員の、この三区分ごとに、それぞれ男性の年間平均給与と比較した女性の年間平均給与の割合を公表することとされております。会計年度任用職員については、独立した区分が設けられることはなくて、任期の定めのない常勤職員以外の職員と全職員に含まれる形となっております。

 会計年度任用職員は、令和二年度の総務省の調査によれば約四分の三が女性でありますが、このような男女の雇用形態の差による賃金格差などは、今回のような区分ごとの割合の公表だけでは正確に把握することができないように思います。

 まず六月末までの公表状況を確認してということになってしまうかと思いますが、より詳細な課題把握のため、今後公表する情報の見直しを行う考えはありますでしょうか。お伺いします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方公務員における男女の給与差異の公表でございますが、民間部門における公表区分を踏まえまして、御指摘のような三つの区分、任期の定めのない常勤職員、任期の定めのない常勤職員以外の職員、全職員、この三つの区分で公表いたしますとともに、任期の定めのない常勤職員については、役職段階別と勤続年数別による給与差異を公表することになっております。

 これは、内閣官房、内閣府、総務省、厚生労働省の告示により定めておりまして、これは国家公務員にも同様に適用されるものでございます。

 初回の公表は、四年度実績について本年六月末までに公表するよう各自治体に通知を発出しておりますけれども、この通知の中で、各自治体は、男女の給与差異について、より詳細な情報や補足的な情報を任意に公表することができるとしておりまして、各団体の実態を適切に説明する観点から、例えば、職種、任用形態、勤務形態等により更に詳細に区分した職員のまとまりごとに公表することが考えられるということを示しております。

 男女の給与差異の公表は、女性の職業選択に資するために求職者等に対して情報提供することを目的としておりますので、各自治体においては、この目的に沿った情報公表となるよう適切に御対応いただきたいと考えておるところでございます。

おおつき委員 総務省は、去年の十二月の通知で、職員の給与の男女の差異を公表するとともに、課題の把握、分析を行って、女性の職業選択における活躍の推進のための取組を進めることが必要であるとしております。

 是非、今後とも、積極的な課題の把握と分析に努めて、女性活躍の取組を進めていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 法案質疑に入る前に、国民民主党として最重要課題であると認識をいたしております賃上げに関連をして、質問させていただきます。

 厚労省から公表されました二月の毎月勤労統計調査によりますと、労働者一人当たりの平均賃金を示す現金給与総額、名目賃金は、前年同月比一・一%増の二十七万千八百五十一円となり、十四か月連続で前年同月を上回った一方で、物価の変動を反映させた実質賃金につきましては、前年同月比二・六%減となり、十一か月連続でマイナスとなりました。名目賃金の伸びを物価高が上回っている状況が続いております。

 一方、これまでの春闘の妥結額を見ますと、地方、地域においても賃上げの流れが確実に進んでおりますけれども、これから本番を迎える中小、地場産業の賃上げが極めて重要だと認識をいたしております。

 また、現状では、非正規労働者においては八割の方が賃上げの予定がないというアンケート結果も出ております。

 非正規労働者も含めて、中小・小規模事業者、地域の地場産業の賃上げの流れを確実にする環境整備が大変重要だと考えますけれども、松本総務大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 御指摘のとおり、名目賃金は上昇しておりますが、物価上昇分をカバーできるだけの状況には至っていないと認識をしております。

 このため、政府としても、一層の賃上げができる環境をつくり出すことが重要な政策課題であると考えておりまして、先月末に行われた物価・賃金・生活総合対策本部におきましても、賃上げの流れが今後中小企業や小規模事業者に波及するよう、政策を総動員して環境整備に取り組むこととしております。

 総務省といたしましても、賃上げに関連して、中小企業のための価格転嫁対策の強化についても、所管の分野において取り組んでいるところでございます。

 なお、ただいま御審議をいただいております地方自治法の改正案に関連してでありますが、会計年度任用職員については、これまで、期末手当の支給を可能とする法改正を行うなど処遇改善を図ってきたところでありまして、今般の改正案におきまして、勤勉手当の支給を可能とすることとしたところでございます。

 これらに加えて、地域の活性化を通して地域の民間賃金水準を上昇させる取組が大事であるというふうに考えておりまして、地方創生にも取り組み、地域の賃金の底上げに政府一体となってしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

西岡委員 大臣から大変心強い御答弁をいただいたと思っておりますけれども、やはり、その環境整備が大変重要でありますし、これが一年限りの賃上げにとどまらず、しっかりと構造的な賃上げに結びつけていくということが重要だと思っておりますので、引き続きのお取組をお願い申し上げたいと思います。

 それでは、地方自治法の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 先ほどからの質疑であっておりますように、今回の統一選挙、四月九日に投開票を迎えたわけでございます。近年の各種選挙においては、投票率が大変低下をして深刻な数字であるとともに、議員のなり手不足から無投票当選の増加の傾向が顕著であると認識をいたしておりますけれども、今回の結果について、総務省より御説明をいただきたいと思います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の統一地方選挙における投票率は、知事選挙は四六・七八%、道府県議会議員選挙は四一・八五%、指定市長選挙は四六・六一%、指定都市市議会議員選挙は四一・七七%ということで、前回からいずれも下がっているところではございます。

 他方、無投票当選者数の割合は、道府県議会議員選挙は二五・〇%、指定都市市議会議員選挙は〇・五%となっておりまして、また、知事選挙と指定都市市長選挙においては無投票当選はありませんでした。道府県議会議員選挙、指定都市市議会議員選挙の無投票当選者数の割合は、前回よりは下がっておるというところでございます。

西岡委員 今御説明をいただきましたように、投票率については深刻な数字が続いておりまして、今回の前半戦においても各地域で過去最低を記録したということをニュース報道で私も聞いておりますけれども、五〇%を割り込むという事態が常態化をしているという今の現状は、選挙自体の正統性ですとか、選ばれた議員の正統性に関わる、民主主義の危機とも言える状況だと考えます。

 この数字の受け止めと、この前半戦の投票率を踏まえて、後半戦に向けて、投票行動の啓発等も含めた投票率向上に向けた総務省の方針について、お伺いをさせていただきます。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 投票率については、選挙の争点など様々な事情が総合的に影響するものと考えられ、その要因を一概に申し上げることは困難ではありますが、選挙は民主主義の根幹でありまして、できるだけ多くの有権者の皆様に投票に参画していただくことが重要であると考えております。

 総務省としては、有権者が投票しやすい環境の整備が重要と考えており、ショッピングセンターなど利便性の高い場所への期日前投票所の設置に積極的に取り組んでいただくため、会場の借り上げ費用等に対して新たに特別交付税措置を講ずることとし、地域の実情に応じた取組の積極的な実施を要請をしておるところでございます。

 また、政治意識の向上を図る観点からは、国や社会の問題を自分たちの問題として捉え、考え、行動していく主権者を育てる、いわゆる主権者教育の取組も重要と考えており、文部科学省などとも連携し、その取組の充実、周知を図ってまいりたいと存じます。

西岡委員 今の御答弁の中でございましたけれども、各地域、選挙管理委員会においては様々なお取組をしていただいておりますので、しっかりその取組を財政的に支えていただくということを引き続きお願いをしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 ここ三年余りの新型コロナウイルス感染症の拡大ですとか、人口減少、少子高齢化社会への対応、防災・減災対策、またデジタル化、脱炭素化の推進など、地方公共団体また地方議会の果たす役割がこれまで以上にますます重要となっております。

 そういう中で、第三十三次地制調の答申ですとか三議長会の要請を受けまして、今般、多様な住民の地方議会への参画を推進するという観点から、今回の法改正がなされているというふうに認識をいたしております。

 地制調の答申内容や専門小委員会においては、今回の改正が、地方議会の役割、また議員の職務等を法律上明確化するものでございますけれども、このことが課題解決にどのように資するものであるかどうか、また、議会基本条例等で定めている自治体もある中で、地方議会の在り方や役割を法律で一律に定めることの是非についても、会議の議論の中で指摘があったものと認識をいたしております。

 多様な住民の地方議会への参画等にどのように寄与するのか、今回の法改正の趣旨について松本総務大臣にお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 既にこの委員会でも御議論いただいておりますけれども、地方議会の役割は大変大切でありまして、多様な人材が参画して住民に開かれた議会を実現することが大変重要であることも、申し上げるまでもないかというふうに思います。

 今もお取上げをいただきました第三十三次地方制度調査会答申では、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられると提言をされておられるところでございます。

 各議会においては多様な人材の参画に向けた取組が進むよう、総務省では、女性模擬議会等の各議会の実践例の紹介、共有などに取り組んできたところでございまして、三議長会とも連携しつつ、必要な取組を行ってまいりたいと考えております。

 その上で、答申を踏まえて、本改正案に議会の役割や議員の職務等の明確化等を盛り込んでおりまして、議会の役割や議員の職務等の重要性が改めて認識されればと思っているところでございます。

 先ほど申し上げました各議会における取組と相まって、多様な人材の議会への参画に資することを期待をしているところでございます。

西岡委員 地方議会においては、自らが決定をして今後改革を進めていくことが大変重要であるということは言うまでもございません。この多様な住民の議会への参画の推進は本当に待ったなしの課題でありますし、実効性のある環境整備が求められております。

 続きまして、議員のなり手不足対策について質問させていただきます。

 現状の議員の構成につきましては、地域住民の人口構成と比較をして、やはり女性や若い世代、現役世代の割合が低く、性別や年齢構成で多様性を欠いているという現実がございます。

 これまでの統一地方選挙の結果を見ていくと、無投票となった議会においては、特徴として、女性が少ない、平均年齢が高いという傾向があるということが指摘をされております。

 多様な住民の地方議会への参画を推進するためには、立候補環境の整備や、議員活動と家庭生活の両立のための体制整備の必要性というものは言うまでもないというふうに思いますけれども、この第三十三次地制調の議会改革の答申の中には、夜間、休日議会、適正な議員報酬水準の検討、ハラスメント対策、オンライン審議、立候補環境の整備として、立候補に伴う休暇制度を企業に要請するなどの答申がなされております。

 勤労者の政治参画につきましては、立候補休暇制度については企業への要請にとどまっている今の状況でございます。将来的には法制化が必要ではないかと考えますけれども、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方制度調査会の答申では、会社員等が立候補しやすい環境整備について、まずは、各企業の就業規則において立候補に伴う休暇制度を自主的に設けることなどを要請していくことを検討すべきとされております。

 御指摘のとおり、この答申や、昨年の臨時国会で議員立法により成立をいたしました地方自治法改正の附則を踏まえまして、総務省では、本年一月と三月に、三議長会の皆様と共同で、経済団体に対して要請を行いました。

 各経済団体におきましては、早速会員企業に周知を行っていただいたと伺っており、今後、各企業における自主的な取組が広がることを期待しております。

 他方、答申では、立候補に伴う休暇制度等の法制化につきましては、会社員等の立候補の促進に有効な方策ではあるものの、事業主負担や他の選挙との均衡といった課題があり、引き続き検討が必要であるとされたところでございます。このため、本改正案には、立候補に伴う休暇制度等の法制化は盛り込まれていないところでございます。

西岡委員 続きまして、更なる質問になりますけれども、地方議会におけるオンライン開催への取組につきましては、今年二月には、総務省が、本会議の一般質問においては、出席とは認めないものの、オンライン出席が可能との助言通知を出されました。

 平時におきましては、議員の出産、育児、介護など、議員活動と家庭生活の両立に資するものでありますし、多様な住民の議会への参画を後押しするものでございます。

 一方で、自然災害や今般のコロナウイルス感染症などの非常事態において、地方議会の機能を維持、担保することが私は大変重要だと考えております。更なる具体的な取組を進めていくことが必要であると考えますけれども、中川政務官の御見解をお伺いいたします。

中川大臣政務官 地方議会の本会議において、団体意思を最終的に確定する上で、議員本人による自由な意思表明は、疑義の生じる余地のない形で行われる必要がございます。

 本会議へのオンライン出席については、地方制度調査会の答申では、国会における対応も参考としつつ、一部の団体で取組が始まっている委員会へのオンライン出席の検証を行い、丁寧に検討を進めていくべき課題とされているところでございます。

 答申を踏まえ、総務省といたしましても、各議会の運用状況を伺いながら丁寧に検討をしなければならないと考えているところでございます。

西岡委員 引き続き、実現するために何が課題であるのか、どういうことでこの課題を乗り越えていくことができるのか、更なるお取組をお願いしたいと思います。

 一問飛ばさせていただきまして、会計年度任用職員について質問させていただきます。

 今回の改正によりまして、会計年度任用職員に対しまして、勤勉手当を支給することが盛り込まれました。これは他の委員からも質問があって、大変重複する質問ではございますけれども、大事な質問でございますので、確認の意味で質問させていただきます。

 勤勉手当の支給の経費については、その裏づけとなる財源についてはしっかりと財政措置を講じられなければならないと考えておりますけれども、このことについての方針について、確認の意味で再質問をさせていただきます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、法案が成立した際には、各地方公共団体において適切に支給されることが必要であると考えております。

 勤勉手当の支給に関して必要な経費につきましては、支給に向けて、今後、各地方公共団体に対し調査を行うことを考えており、その結果も踏まえ、地方財政措置についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

西岡委員 しっかりと財源措置をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、今日お配りしております資料を見ていただきますと明確に分かるんですけれども、会計年度任用職員の中でも、常勤職員と同一の業務に従事している、例えば保育士、図書館司書、学校給食調理員などの職種の会計年度任用職員の給与水準については、同一労働同一賃金の観点からも、正規職員との賃金格差を是正をして、給与水準、待遇改善が大変重要であり必要であると考えますけれども、総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 総務省としては、会計年度任用職員の給与水準について、地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとりまして、一つには、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎とすること、また、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術、職務経験等を考慮していただくこと、さらに、地域の民間企業における同一又は類似の労働者の給与水準の状況等にも十分留意することなどが必要であると考えておりまして、これまでも自治体に丁寧に助言してまいりました。

 多くの地方公共団体においては、これらの助言を踏まえて、おおむね制度の趣旨に沿った給与設定がなされており、例えば、約九割の団体では、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎とした給与決定がなされております。

 一方で、必ずしも制度の趣旨に沿った運用がなされていない団体もいまだ一定数存在をしておりまして、総務省としては、実態を丁寧に把握しつつ、ヒアリングの機会等を活用して、処遇の適正化が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 また、あわせて、法案が成立した際には、勤勉手当の支給についても丁寧に助言を行いまして、処遇の改善が更に進むよう努めてまいります。

西岡委員 引き続きの待遇改善、処遇改善に是非御尽力いただきたいと思います。

 最後の質問になるかと思いますけれども、地方公務員は、定例業務のほかに、コロナ対策、災害対策、デジタル化、脱炭素化など、業務が大変多様化をしております。長時間労働を余儀なくされている現実があり、明らかに人員が不足している状況だと認識をいたしております。

 その大切な、重要な業務を担っている職員の四割が不安定な雇用環境にある非正規雇用という今の現実は、大変憂慮される状況であると考えております。

 地方公務員の職務は、多様な業務を遂行して、様々な専門的な知識が求められる中で、時間をかけて住民との人間関係を構築し、専門性を高めるという状況がございますけれども、なかなか継続的に雇用されない状況というのは大変深刻な状況でございます。

 会計年度任用職員の待遇改善はもとより、一方で、根本的な問題として、地方公務員の正規職員を増員することが根本的に必要だと考えますけれども、このことに対する総務大臣の御認識をお伺いをして、私の質問を終わります。

松本国務大臣 まず、御指摘の長時間労働についてですけれども、時間外勤務については必要最小限にとどめるべく、業務の効率化、人員の適正な配置などの時間外勤務の縮減の対策に取り組んでいただくことが必要であると考えております。

 その上で、自治体の定員につきましては、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要であると考えております。

 各自治体においては、これも今委員から御指摘がございましたが、社会情勢の変化に対応して必要な人員配置に努めていただいているところでございまして、近年では、一般行政部門の職員数は、地方創生や子育て支援などへの対応もあり、平成二十六年を境に八年連続で増加し、令和四年四月までの間で約二・九万人の増となっているところでございます。

 総務省といたしましても、令和五年度地方財政計画において、職員数全体で二千六百十八人の増としておりまして、今後とも、自治体の実態などを踏まえて必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 冒頭に一言申し上げたい。

 今回の地方自治法改正案は、ざっと読み流しただけでは見落としてしまうような重大な問題点が存在いたします。慎重な審議が必要ですが、統一地方選挙のさなかでは、地方議会関係者や地方自治体関係者等の御意見を聞くことさえままなりません。本来ならば、選挙が終わってから、地方議会関係者や地方自治体関係者を招いての参考人質疑なども行って、丁寧に議論すべき法案だと考えます。たった一回、僅か三時間の審議では全く不十分であり、幸い本日の採決は見送られたわけですから、この後、質疑終局をせずに、引き続き審議を続行することを強く要求して、質問に入りたいと思います。

 法案第八十九条は、地方議会の役割及び議員の職務等について法律上明確化するということでありますけれども、第三十三次地方制度調査会第三回専門小委員会に提出された全国都道府県議会議長会の提出資料とは違うものとなっております。

 資料一を見ていただきたい。

 議長会からの提出資料は、「地方議会は、地方公共団体の意思決定を行うこと」というものでありますが、今回の法案八十九条二項は、「普通地方公共団体の議会は、この法律の定めるところにより当該普通地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決し、」となっております。

 ここで言う「この法律」とは何か、自治行政局長、お答えいただけますか。

吉川政府参考人 地方自治法のことでございます。

宮本(岳)委員 そうすると、議会の議決も、検査や調査も、地方自治法の定めによるということになります。

 地方自治法一条の二には、国と地方の役割分担等が定められております。そうなりますと、「この法律の定めるところにより」の内容には、もちろんこの地方自治法一条の二も含まれるのではありませんか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 改正後の地方自治法八十九条の二項は、議会の役割や責任について、地方自治法に定められた議会の権限に係るものを網羅的に規定しているものでございます。具体的には、この法律の定めるところにより当該普通地方公共団体の重要な意思決定に関する事件を議決し、並びにこの法律の定める検査及び調査その他の権限を行使するとしております。

 御指摘の地方自治法一条の二は、国と地方の役割分担の在り方の原則を規定しているものであり、議会の議決等の権限に関連する規定ではございません。このため、改正後の八十九条の二項の「この法律の定めるところにより」という部分には含まれないということでございます。

宮本(岳)委員 この八十九条の二項には、九十六条に定めるところによりとは書いてありません。「この法律の定めるところにより」となっており、この法律とは、言うまでもなく地方自治法全文ですね。

 ならば、確認しますけれども、はっきり答えていただきたいんですが、この八十九条二項の「この法律の定めるところにより」の内容は、九十六条のみに限定される、あるいは一条二項は完全に排除される、明言していただけますか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法一条の二は、国と地方の役割分担の在り方の原則を規定しているものでございまして、議会の議決等の権限に関する規定ではございません。このため、八十九条二項の「この法律の定めるところにより」には含まれないということでございます。

宮本(岳)委員 八十九条二項のこの規定には、一条二項は含まれないと。一条二項以外の地方自治法の条文は含まれるんですね。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 「この法律の定めるところにより」という部分で、念頭に置いておりますのは、御指摘のとおり九十六条でございまして、基本的には、地方自治法の中の議会に関する権限の部分ということでございます。

宮本(岳)委員 実は、今でも、地方議会で、子供医療費の助成制度や学校給食の無償化を国の責任でやってくれ、あるいは憲法九条を守ってくれとか、核兵器禁止条約の加入、批准、こういうことを求めますと、それは国の制度の問題なので地方議会での議論になじまないとか、国と地方の役割分担に反するなどの言い分で拒否されることがあると聞いております。

 今回の改正が、そのような傾向を一層助長されるおそれはないのかということについては大変危惧をしておりますが、これは、きっぱり先ほど関係ないとおっしゃいましたので、そういうおそれはないということでよろしいですね、局長。

吉川政府参考人 地方自治法第九十九条の規定により、地方議会は、自治体に関係のある事柄について意見書を国会や関係行政庁に提出することができるとされているわけでございます。

 繰り返しになりますが、改正後の八十九条二項の「この法律の定めるところにより」ということにつきましては、自治法の一条の二は含まれないということでございますので、議会の役割をより限定的に解釈するといったようなことにはならないということでございます。

宮本(岳)委員 しかも、改正案は、その後の八十九条三項で、議員の職務について、「議会の議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない。」としております。

 総務省はこれを一般的な規定と言うわけですけれども、他の法律に、議会の議員についてこのような規定は見当たりません。議会の議員についてこのような定めのある法律がほかにあるならば、自治行政局長、挙げてください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のような規定につきましては、議会あるいは議員についてはございません。

宮本(岳)委員 ないんですね。

 もう一度、資料一を見ていただきたい。

 議長会の提出資料の三項目めは、「地方議会議員は、住民の負託に応え、自らの判断と責任において、その職務を行うとともに、調査研究その他の活動を行うこと」となっております。そもそもこの三項目めも法案と大きく異なるわけですが、この法案八十九条三項というのは、一体誰が書いたんですか、局長。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方制度調査会の答申を踏まえて、立案したものでございます。

宮本(岳)委員 確かに、地方制度調査会の最終答申にそのように書いてあるんですが、そもそも都道府県議会議長会の資料、提案には、全然文言が違って、「地方議会議員は、住民の負託に応え、自らの判断と責任において、その職務を行うとともに、」、こうなっていたものが、今回のような文面になったのは一体なぜなのか。それは、総務省が作文をしたということだと思います。

 資料二を見ていただきたい。

 二〇二〇年五月二十七日に全国都道府県議会議長会が行った今後の地方議会・議員のあり方に関する決議であります。確かに、下線部、「議員の位置付け、職務等を明確化すること【地方自治法改正事項】」とありますけれども、それに続けて、「議会の役割が増す中、議員は専業的な公選職としての役割を果たすことが求められており、議員を職業として位置付け、併せて職務に応じた処遇とすることが必要である。」となっております。つまり、議員の処遇改善によるなり手不足の解消を要望したのであって、決してこんな心構えを書いてくれと言ったわけではないんですね。

 だからこそ、資料三にありますように、第三十三次地方制度調査会第七回専門小委員会でも、東京大学の宍戸委員は、「懲罰の根拠になり得るような位置付けなのか。」と疑問を投げかけております。

 確認しますけれども、宍戸委員の危惧のとおり、この八十九条三項の規定が地方議員の懲罰の判断基準に入れられるのではありませんか、局長。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 今回改正を提案させていただいております八十九条三項につきましては、地方制度調査会の答申におきまして、議会の役割や責任、議員の職務等の重要性が改めて認識されるよう、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を地方自治法に規定することも考えられると提言されたことを踏まえたものでございます。あくまでも、議員が職務を行う上での心構えを示すものということでございます。

 一方で、懲罰の理由になりますのは議員の具体的な行為でございますので、こうした心構えが懲罰の理由になるということは考えておりません。

宮本(岳)委員 地方制度調査会の中の議論、小委員会の中の議論でも、今おっしゃったような形で、直ちに変わることはないと答弁されているんですね。

 ただ、この規定ができれば、それに基づく条例あるいは規則が制定されたり改められたりすることが想定されます。懲罰の判断基準にこの規定が影響を与えることになるのは私は明瞭だと思うんですね。これは過大な危惧ではないんです。

 資料四を見ていただきたい。

 今年三月十九日の朝日の記事でありますけれども、見出し、「荒れる地方 懲罰動議八十三議会」とあります。この朝日のアンケートによると、この四年間で懲罰動議が提出された地方議会が、少なくとも三十八都道府県、八十三議会もありました。中には、「非公開の会議の運営方法に疑問を投げかけた議員が、秘密を漏らしたとして処分されるなど、多数派によって乱用されているとの指摘もある。」と報じております。

 これは大臣に確認したいんですけれども、この八十九条の三項の規定の挿入が、物言う議員への圧力としての懲罰動議に悪用されることは絶対にないと言い切れるのかどうか。絶対にないと言い切っていただいたらありがたいんですが、大臣、いかがでございましょうか。

吉川政府参考人 地方自治法第百三十四条につきまして御説明をさせていただきます。

 議会は、法律や会議規則、委員会条例に違反する議員の行為に対し、懲罰を科することができます。議会の懲罰権は、会議体としての議会の規律と品位を保つために認められているものでありまして、懲罰事犯の対象となるのは、自治法や会議規則、委員会条例に違反する議会内における議員の行為に限られております。あくまで心構えを示す改正後の八十九条三項が懲罰の対象になるものとは考えておりません。

宮本(岳)委員 八十九条三項が懲罰の対象になることは考えていないのは分かっているんですよ。

 この八十九条三項が、今あなたがるるおっしゃった条例とか規則とか様々なものに影響を与えて、間接的に懲罰事案が増えるということがあり得るし、現に今、荒れる地方、懲罰動議が増えている、物言う議員への圧力かというふうに報じられているわけですから、くれぐれもそういう利用のされ方がないようにこれはしていただきたいので、そういうことはないとおっしゃるんだったら、大臣、それはないと大臣の方からもお答えいただけますか。

松本国務大臣 今回の改正法の八十九条三項が懲罰の対象になるものとは考えていないということは御答弁申し上げたとおりでありますが、住民の負託を受けた議員によって構成される議会が制定される条例について、私ども総務省として個別に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。

宮本(岳)委員 という答弁になるから、この規定は問題だと申し上げているわけですね。私たちは、この点については徹底的に検証する必要がある、こういうふうに思っております。引き続き議論を求めたい。

 次に、会計年度任用職員について聞きます。

 会計年度任用職員制度が創設された二〇一七年四月十三日の参議院総務委員会で、我が党の山下芳生議員は、月々の報酬を引き下げて、その分を期末手当に回そうとする自治体があり、法改定しても、臨時、非常勤職員の処遇が改善されず、後退することもあり得ると指摘をいたしました。

 資料五を見ていただきたい。

 当時の高原総務省自治行政局公務員部長は、「本改正法案を成立させていただいた暁には、今夏をめどに発出する予定のマニュアルなどにその旨を盛り込み、地方公共団体に対してしっかりと助言を行ってまいります。」と述べております。

 制度移行後、我が党に一通の手紙が届きました。東北のある県の非正規職員の方であります。会計年度任用になり、勤務時間が短縮され、日給は減額になりました。減額された分を手当としてもらいましたが、年収で見れば減りました。私は、以前の手取り十二万円、年収百四十四万円でした。会計年度になり、月手取り十万円、六月と十二月の手当の合計十七万円でした。七万円減りました。暮らしていけません。家賃、光熱費、車のローン、ガソリン代、保険に車検、御飯代、生活は苦しいです。新しい長靴も買えずにテープを貼って市役所に出勤し、笑われました。惨めで悔しくて悲しいですという、胸が詰まりそうな訴えであります。

 総務省は、二〇二〇年の会計年度任用職員制度の施行状況等に対する調査を通じて、減額となった職種のある団体が五百三十八団体あるという実態もつかんでおります。このうち、財政上の制約のみを理由として期末手当の支給について抑制を図ったり、新たに期末手当を支給する一方で給料や報酬について抑制を図る団体はどれだけあったのか、お答えいただけますか、公務員部長。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘のありました、令和二年度に実施した施行状況等調査によりますと、給料、報酬の水準が制度導入前と比べて減額となった団体は五百三十八団体ということですが、その理由につきましては、幾つか分類を設けておりまして、給与決定原則を踏まえて適正化したこと、職員の入れ替わりや職務内容の変更があったことによるものというものが多くはなっております。

 ただ、この中に、その他という項目がありまして、七十一団体がそこに該当しておるわけですけれども、そういった団体の中に、これは明確に財政上の理由というふうにおっしゃっているわけではないんですけれども、我々が聞く範囲では、制度の趣旨に沿わない理由にあるというふうに考えられるものも見られますので、総務省としても、適正な運用について通知を発出するとともに、ヒアリング等の機会を通じて、適切な対応を行うように、繰り返し促しているところでございます。

宮本(岳)委員 累次にわたる通知を発出して、財政的理由によるそういった減額をしてはならないということをおっしゃっていることは重々分かっているんですけれども、それが一体、やられているかやられていないかをちゃんとつかんで指導していただかなくては、今回の勤勉手当でも同じことが起こらないとは限らないです。

 同時に、山下議員は、「財政措置がなければできない。」と指摘をし、地方財政措置を求めました。当時の高市大臣は、これも資料五にあるように、「地方公共団体の実態なども踏まえながら、地方財政措置についてもしっかりと検討してまいります。」と答弁をいたしました。これは、地方財政措置の規模が分からなければ、自治体は対応が難しいのが実態です。高市大臣と同じく松本大臣も、ちゃんと財政措置の規模感を示して進めていただけるかどうか。

 そして、最後に、日本自治体労働組合総連合、自治労連の調査でも、会計年度任用職員の六割が年収二百万円以下という深刻な実態が浮き彫りとなっております。

 二〇二二年十月に最賃の改定があり、茨城や大阪で最賃割れすることが明らかになって、年度内に解消したことが報じられております。

 均等待遇の確保、更なる処遇改善が必要だと考えますが、大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。二つ、お答えください。

松本国務大臣 会計年度任用職員に対する勤勉手当につきましては、法案が成立した際に、各自治体において適切に支給されることが必要であると考えております。

 目指す方向は、処遇の改善でございます。勤勉手当の支給に関して必要な経費については、支給に向けて今後各自治体に対し調査を行うことを考えておりまして、その結果を踏まえ、地方財政措置についてしっかり検討してまいりたいと考えております。

 そして、処遇改善についての二つ目の御質問でございますが、御案内のとおり、私ども、会計年度任用職員については、令和二年度に制度を導入し、期末手当の支給を可能とするなど、制度、運用の改善に取り組んできたところでございます。

 会計年度任用職員の給与水準については、地方公務員法に定める職務給の原則等の給与決定原則にのっとり、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎とするなど、適切に決定する必要がある旨、これまでも助言してきたところであり、今後も丁寧に取り組んでまいりたいと考えております。

 ただいま御審議いただいております地方自治法の改正案において勤勉手当の支給を可能としているものでございまして、会計年度任用職員の更なる処遇の改善に資するものと考えており、引き続き、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 時間ですので、今日はこれで終わります。

浮島委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明十四日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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