衆議院

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第12号 令和5年4月27日(木曜日)

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令和五年四月二十七日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 市村浩一郎君 理事 守島  正君

   理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    坂井  学君

      島尻安伊子君    杉田 水脈君

      田所 嘉徳君    高木 宏壽君

      中川 貴元君    西野 太亮君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      務台 俊介君    保岡 宏武君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    伊東 信久君

      中司  宏君    輿水 恵一君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   総務大臣政務官      国光あやの君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  小柳 誠二君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  内藤 茂雄君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 畠山 貴晃君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   内山 博之君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   菅原  希君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           鈴木 信也君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       山内 智生君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  渡辺 孝一君     高木 宏壽君

同日

 辞任         補欠選任

  高木 宏壽君     渡辺 孝一君

同日

 理事市村浩一郎君同日理事辞任につき、その補欠として守島正君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月二十六日

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事市村浩一郎君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に守島正君を指名いたします。

     ――――◇―――――

浮島委員長 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官小柳誠二君、内閣官房内閣審議官内藤茂雄君、内閣府大臣官房審議官畠山貴晃君、デジタル庁審議官内山博之君、デジタル庁審議官菅原希君、総務省大臣官房長今川拓郎君、大臣官房総括審議官山越伸子さん、大臣官房総括審議官鈴木信也君、大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局公務員部長大沢博君、自治行政局選挙部長森源二君、自治財政局長原邦彰君、自治税務局長池田達雄君、国際戦略局長田原康生君、サイバーセキュリティ統括官山内智生君及び消防庁次長澤田史朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。渡辺孝一君。

渡辺(孝)委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の渡辺孝一でございます。

 今日は、本当に、質問の時間をいただきましてありがとうございます。三十分ぐらい欲しかったんですけれども、十五分で我慢せいということで、是非まとめた質問をしたいと思っております。

 朝から、前金子大臣が、平の私の委員に格調高い質問をせいというプレッシャーをかけるものですから、私は素直な質問をさせていただきたいというふうに思います。

 さて、今回、統一地方選挙がございました。各委員におかれましては、この国会開会中の中でも、同志の選挙応援等々で、地元あるいは東京と、大変忙しい日程の中で過ごしたのではないかというふうに思います。私も、地元に帰りまして、いろいろと選挙区の事情を聞くケースが多かったように思います。

 私も、前総務省の政務官として情報通信を担当しておりましたので、地方版のDXに関しては非常に興味を持っておりますし、どういうふうに推進していっているのかというのが非常に気になって、市町村長の関係の方々とはお話しする機会が多うございます。

 そこで、まず一番目の質問として、国の方として、この地方版のDX、国としてのデジタル田園都市国家構想の計画方針というのはもう立てられているかと思いますけれども、都道府県あるいは市町村に対して、これに関してはどのような取組をしているか、今の現状をまずお聞かせ願いたいと思います。

大村政府参考人 お答えをいたします。

 総務省として、各地方公共団体が重点的に取り組むべき事項や、国による支援策等を取りまとめました自治体DX推進計画を策定しておりますが、その中において、各地方公共団体がDX推進のビジョンやスケジュール等から構成される全体方針を策定することが望ましい旨をお示しをいたしております。

 このため、令和三年七月、DXを推進するに当たって想定をされます一連の手順等を示した自治体DX推進手順書を作成いたしまして、これを参考に、各団体において着実に取組を進めていただいているところでございます。

 昨年の令和四年四月一日時点では、都道府県が四十四団体、市町村が五百六十五団体において全体方針を策定済みでございまして、その後も多くの団体において策定が進められているものと承知をいたしております。

 引き続き、地方公共団体に対して全体方針の策定を促すとともに、具体的な取組を推進してまいります。

 以上です。

渡辺(孝)委員 令和三年から手がけていただいているということで、まずは感謝を申し上げたいというふうに思いますけれども、これは努力目標なんでしょうかね。私も国会議員になる前には市長を十年ほど経験しておりましたけれども、地方自治体にとって総務省というのは特別ないわゆる組織でございます。

 というのも、私は民間の出だったので余り各省庁を意識したことはないんですけれども、市の職員のほとんどというか大体の方々は、総務省の通達というのはかなり重く受け取っていたような気がします。

 そんな中で、令和三年から計画策定で地方自治体にもDXの推進計画を徐々に作っていただいているという今報告がございましたけれども、もしこれが努力目標なら、一言総務省に、アドバイスというのはおかしいですけれども、努力目標という形でうたわれますと、正直言って、目標を作ることだけに汗をかきまして、その目標ができた後、その後どうするかという実際の展開については少し緩みます。

 ですから、私の言いたいのは、目標を作ることは当然大事ですし、それに沿って、各自治体も担当部署あるいは町全体でいろいろな民間の方々とも協力し合いながら進めていっているところも多くあろうかと思いますけれども、温度差があったり、なかなかうまく歯車がかみ合わないというような現状もあるものですから、是非その辺のところのチェックもお願いし、是非、空回りしているようなところは後押ししていただけるようなことをお願いしたいなというふうに思います。

 なぜこんなことを言うかというと、統一地方選挙におきまして、今、衆議院の選挙区は大体、おおむね四十万人に一人という選挙区割りをされておりますけれども、私の選挙区のところは小さい町ばかりで、三十二の市町村がございます。その市町村長には、この自治体DXにつきましては、かなり政務官当時も口うるさく言ったつもりで、特に統一地方選挙で選挙を迎える首長さんに対しては、是非、選挙公約にしっかりとうたって町全体で進んでいただきたいというようなことを、かなりの頻度で言ったような記憶がございます。

 ところが、選挙で回ってみますと、各立候補者のリーフレットやチラシを見ますと、DXのディの字も載っていないケースが多くて。それで当人に聞きますと、市民に言っても、町民に言ってもなかなか理解されない、また、選挙公約に上げると、このことだけで説明に、あるいは演説に時間が取られてしまうという本音の話を聞かされまして、選挙公約のときに上げないでどうするんだという気持ちもありましたけれども、実態としては、そういうことを市長、町長候補の方々が思っているんだなということで、やはり、国民の皆さんにもう一度このDXの意味を理解をしていただく、そんな形も総務省では是非考えていただきたいなというような思いでもございます。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、そんな中で、例えばマイナンバーカード。非常に各自治体もハッパをかけ、非常にカードの保有率がどんどん数字がよくなってきているというふうに伺っております。それはそれでいいことだと思いますし、引き金はやはり、保険証とマイナンバーカードが融合されるというのが大いにその動機づけになったんではないかというふうに思いますが、このDXを推進する上で、もう一つの、やはりスマホというのも必須アイテムだというふうに私は思っております。

 それで、ちょっと総務省の方にお聞きしたいのは、スマホの保有率というんですか、使用率というんですか、そういうような統計あるいは調査等々、何かありますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省の通信利用動向調査によりますと、令和三年八月時点での国民全体のスマートフォンの保有率は七四・三%となっております。

 年齢階層別に見ますと、六十代以降、年代が上がるにつれて保有率は低くなる傾向にございまして、七十から七十九歳では五三・一%、八十歳以上では一九・二%となっております。

渡辺(孝)委員 今の報告を聞いて皆様お分かりになるように、やはり高齢者の方々がどうしても保有率が低くなる。

 デジタル田園都市国家構想で総理がうたったのは、誰一人取り残さない、あるいは取りこぼさない、こういうことを総理は明言したわけでございます。個別に総理と話したこともありますけれども、やはり、東京と地方の格差、また若者と年配の方々の格差、この格差をどんどん埋めていかないとなかなか国全体が盛り上がらないんだというような話を総理が、茶飲み話でしたけれども、そんな話をしたのを覚えております。

 私も同感でございまして、スマホとマイナンバーカード、これについては、やはりしっかりと基礎自治体を中心に保有率を増やしていく、また使用率というんでしょうか、この中身の方もしっかりとしていかなければいけないのかなというふうに思います。

 一つ実例を挙げます。

 この小さな、先ほど三十二市町村と言いましたけれども、小さな町々では、例えばスマホの教室なんというのも、実はちょぼちょぼといろいろな自治体でやっております。たまたま土曜日にスマホ教室をやるからということで、私もそこの町に行って、会館でやっているというので参加させていただきました。

 若い職員が汗をかきながら高齢者の方々にスマホの使い方から丁寧に教えておりまして、教えている職員の顔を見ると、非常に大変な作業をやっているなと思いまして、その一時間ぐらいの講習の後、私の知り合いが受けていたものですから、何々さん、どうだい、今日、分かったかいと言ったら、いや、全然分からぬと。その一言を聞いたときに、じゃ、今日の一時間は何だったんだろうなと。

 何が分からないんですかと言っていると、要は、若い人のペースで教えていただくのはいいんだけれども、どうも速過ぎると。ですから、次から次と、次の段階へ進むに当たって、やはり、間隔が短過ぎるために、どうしても前の作業を忘れてしまうと。だから、一つ一つ、もうちょっと確実に教えていただければいいのになと。今度、教える側に聞きました。私は精いっぱいやっています、ただ、私もプロじゃないので、なかなか教え方が下手で申し訳ありませんと。これは非常に大きな問題を抱えているんです。

 何かというと、まず一つは、役所側に今、人材が不足しております。総務省では、このDXの推進のために、職員派遣等々、支援していただいているのは知っておりますけれども、千七百四十一の市区町村があって、全てが総務省にお願いすると言っているかどうか分かりませんけれども、少なくとも、小さな町村では、職員の数も足りない、そのノウハウも足りない。そういうことでは、そういうところにターゲットを絞って総務省では応援していただいていると思います。ただ、それだけではなかなか足りない。

 ですから、大手四社、情報通信の四社にもいろいろ調査して聞きましたら、民間でもそういう職員を派遣しているというような話を聞いておりますが、果たしてどこまでカバーできているのかというのは、私も詳細な報告は受けておりません。ですから、ここは、大手四社以外にも、DXあるいはスマホの活用に対して、扱う企業というのはたくさんまだまだあるかと思います。

 ここで私、一つ提案なんですけれども、先ほど言ったように、まず、人材不足に関しましては、是非、総務省が民間の方々とも協力し合って、人材バンクとは言いませんけれども、何とか指導できる方々に協力していただくのをもうちょっときめ細かくお願いしたいなと。

 そうしないと、なかなか小さな自治体では、職員も、採用してもままならないという状況ですし、ましてや、そういうIT等々に造詣の深い職員を育てるとなると、これはもうかなりの年月がかかるということもありますので、是非、そんなところにも目配りをした中で、民間と協力して、人材派遣の事業に少しハッパをかけていただきたいなというお願い。また、民間と行政の職員交流というのも是非考えていただきたいなと思います。

 もう時間が終了しましたか、済みません。

 最後の質問になりますけれども、私の話したのはごく一部の話でございます。是非……

浮島委員長 渡辺委員に申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、質問をおまとめください。

渡辺(孝)委員 そうですか、済みません。演説したらこんなになりましたけれども。

 では、今後の取組については個別に総務省にお聞きしたいと思いますので、是非、くれぐれも総務省に頑張っていただくことをお願い申し上げまして、質問に代えたいと思います。

 今日はどうもありがとうございました。

浮島委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございます。

 最初に、G7のデジタル・技術大臣会合について、大臣にお伺いをしたいと思います。

 まさしく今週末の二十九日より、二日間の日程で開催されますG7群馬高崎デジタル・技術大臣会合につきましては、総務省、デジタル庁、また経産省が一体となって議長国を務めるのとともに、関係国を始め国際機関、さらには産業界など、多様な主体が一堂に会し、今後の先端技術やデジタル分野におけるG7の結束した対応を示す大変重要なイベントでございます。

 また、このデジタルや新興技術の分野においては、昨今、対話型AIサービスでありますチャットGPTの社会的影響や、深刻化するインターネット上のフェイクニュースの氾濫など、参加国が一致して取り組み、早急にその対応と方向性を示さねばならないタイムリーな課題も山積をしております。

 そこで冒頭、大臣に伺いますが、大臣は、今回のデジタル・技術大臣会合において議論される主なテーマ、また議長国として期待する成果についてどのように考えるのか、大臣の意気込みも含めた御所見を伺います。

松本国務大臣 委員からも御指摘のとおり、G7群馬高崎デジタル・技術大臣会合は、二十九日から、河野デジタル大臣、西村経産大臣と共同して議長国の役割を果たしてまいることとなっております。

 今回のテーマは六つのテーマがございますが、安全で強靱なネットワークインフラ構築、自由でオープンなインターネットの維持、推進、責任あるAIとAIガバナンスの推進、信頼性のある自由なデータ流通、DFFTの推進、経済社会のイノベーションと新興技術の推進、デジタル競争、デジタル市場の規制改革、以上の六テーマについて議論をすることとなっておりまして、EUを含むG7に加えて、G20議長国のインドやASEAN議長国のインドネシア、そしてウクライナ、また国連などの国際機関にも参加をいただき、グローバルサウスとの連携も視野に入れつつ、しっかりと議論をしてまいりたいと思っております。

 情報通信を含むデジタル分野において大変重要な国際会議を我が国で開催する貴重な機会を活用して、信頼できるAIの普及促進など、我が国がデジタル分野における国際的な議論を主導してまいりたいと考えているところでございます。

 議長国として、しっかりリーダーシップを発揮して、本会合を成功に導くべく尽力してまいりたいと思っております。

中川(康)委員 もう二日後ということで、本当に、大臣の頭の中はそれでいっぱいかというふうに思います。

 私も、六つのテーマの中で、例えば、具体的に、次世代通信でありますビヨンド5G、これについては、是非、日本が世界を牽引するような、先導するような流れをおつくりいただきたいと思いますし、さらには、チャットGPTに代表される生成AI、本当に今、いろいろな議論がされておりますが、この活用と規制の議論を、是非今回のデジタル大臣会合でおつくりいただきたい、こういった部分でございます。

 このデジタル・技術大臣会合は、松本大臣が参加する唯一の大臣会合でございますので、大臣のリーダーシップ、これは私も本当に大いに期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、書かないワンストップ窓口についてお伺いをいたします。

 書かないワンストップ窓口につきましては、私も二月三日の予算委員会で紹介をしたとおり、行政の窓口における利便性の向上と職員の業務の効率化、これを目的に導入が進んでいるのとともに、この事業はデジタル田園都市国家構想交付金のメニューの一つでもあるため、現在、全国の自治体において広がりを見せております。

 そこで、まず伺いますが、この書かない窓口については、現在まで、各自治体においてどれぐらいの導入状況になっているのか、ここのところを御答弁ください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 人口減少下においても持続可能な行政サービスの提供体制を確立するべく、現在、地方自治体においては、住民サービスの利便性向上や行政事務の効率化の観点から、住民との接点である窓口の改革に向けて様々な取組が進められております。

 このうち、御質問のように、各種申請書等への記入についてデジタル技術を用いて簡便化する取組、いわゆる書かない窓口に関しましては、実際、その手法はいろいろでございまして、例えば、本人がネットで事前に記入をする、あるいはマイナンバーカードを用いて読み込む、職員が聞き取って端末に入力するといった手法もございますが、総務省におきまして、本年二月時点の状況を照会いたしましたところ、現段階で回答をいただきました千四百十四団体中二百七十六団体がこうした取組を導入していると回答しております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 二月段階で二百七十六団体と。私は、この二か月でも相当広がっているんじゃないか、こんなふうにも感じているところでございます。

 そこで一点、この書かない窓口で確認をしたいと思うんですが、書かない窓口につきましては、デジタル庁による窓口DXSaaSの提供も含め、今後更に各自治体には広がっていくと予想されます。

 しかし、ここで確認したいのは、この書かない窓口は、システムの導入そのものが目的ではなく、重要なのは、その導入に至るまでの職員間による課題解決に向けての議論の積み重ねと、その業務改革の内容に沿った、また合ったシステムの導入、これが大事だということでございます。

 そこで、確認的に伺いますが、総務省としては、今後、この書かない窓口を全国の自治体に推進する中、ただシステムの導入を図るのではなく、そこに至るまでの関係者による議論を大切にし、課題解決型による業務改革及びその目的に合ったシステムを導入していくこと、ここが重要だと思いますが、この点について御答弁いただきたいと思います。

吉川政府参考人 地方自治体における窓口業務改革の検討に当たりましては、御指摘のとおり、単にシステムを導入すればよいということではなく、より住民に寄り添ったサービスが提供できますよう、住民が、書かない、待たない、迷わない、そして行かない窓口を目指して、住民ニーズや現場の課題を十分に踏まえ、必要な業務改革を行うことが重要と考えております。

 総務省といたしましては、まずは、現場の職員が地域の実情を踏まえて業務改革を進める一助となるよう、希望する地方自治体に対して、書かないワンストップ窓口などの業務改革に取り組んだ経験を有する自治体の担当者を説明者として派遣することや、毎年、業務改革の事例を紹介することなどにより、地方自治体の業務改革の支援を行ってまいりました。

 今後とも、関係省庁と連携しつつ、自治体関係者の実情を丁寧にお伺いしながら、自治体の窓口業務改革について、実効性ある取組を推進してまいります。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 これは窓口における大きな改革になってまいりますので、やはり、非常に丁寧に大事に進めていくことが重要だと思っています。

 それで、今、経験を有する方々の派遣制度等をやっていただいておる。これは非常に大事な取組だと思いますし、ともすると、やはり地方自治体でシステムの導入ありきになってしまうところもあるんじゃないかなと思っています。それであれば本末転倒でございますので、やはり住民のニーズに合ったサービス、さらには、職員の皆さんが、課題解決型によった議論によって、このような業務改革をしたい、それに合ったシステムの導入、この流れの中で、書かないワンストップ窓口を広げていくという方向性、そこは総務省、デジタル庁が連携を図りながら進めていただきたい、このことを要望申し上げて、この項を終わりたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。

 三点目に、地方公務員の定年延長による新規採用職員への影響、ここについてお伺いをいたします。

 地方公務員の定年延長につきましては、令和三年六月に成立をいたしました地方公務員法の一部を改正する法律により、今年度より段階的に進められることになっております。

 しかし、この定年延長に伴い、定年引上げ期間中の令和五年度から十四年度までの間は、原則として定年退職者が二年に一度しか生じず、また、職員数も全体として増加することが予想されるため、この間は、新規採用職員数が年度により大幅に変動したり、場合によっては縮小するなど、適材を安定的に確保することが困難になるおそれがございます。

 私は、昨今の平均寿命の伸長や少子高齢化の進展の中、地方公務員の定年延長、これそのものについては理解する一人でございます。しかし、その影響により、仮にも新規職員の採用が大幅に変動したり縮小することは、役所内において、職員の経験年数や年齢構成に隔たりが生じること、さらには、専門的な知見の世代間の継承や計画的な人事配置、これが困難になるおそれから、断じて避けるべきであると考えます。

 そこで伺いますが、地方自治体における新規職員の採用については、今年度から始まる定年延長の影響を受けることなく、今後も中長期的な視点に立って計画的かつ安定的に進めていくこと、これが重要と考えますが、いかがでしょうか。

 また、あわせて、特に消防本部の職員については、加齢に伴う身体機能の低下が職務遂行に支障を来す職種であることから、高齢期職員の適材適所の配置に併せ、今後も必要な消防力を維持するために、定員の見直しを含めた新規職員の確実な採用を進めていくこと、ここが必要と考えますが、いかがでしょうか。消防庁の見解も伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、総務省といたしましても、必要な行政サービスを将来にわたり安定的に提供をするためには、定年引上げ期間中も、地方公共団体において一定の新規採用職員を継続的に確保することが必要であると考えております。

 昨年六月には、定年引上げに伴う定員管理についての基本的な考え方を自治体にお示しをしておりまして、年度ごとに必要な新規採用職員数につきましては、専門的な知見が円滑に継承できるよう、職員の年齢構成や退職者数等の見通しを踏まえた中長期的な観点から検討する必要があるということを助言しております。

 さらに、昨年の十二月は、もっと詳細な中身を自治体に助言しておりまして、国家公務員の考え方も参考に、二年間での平準化を基本としつつ、各団体において、現在の年齢構成等を考慮した上で、二年間に限らない柔軟な平準化を検討するなど、地域の実情に応じて新規採用職員数の検討に取り組むことについて助言をしております。

 引き続き、必要な行政サービスを将来にわたり安定的に提供できる体制を確保していただくべく、必要な助言を行ってまいります。

澤田政府参考人 御指摘のとおり、消防は加齢に伴う身体機能の低下が職務遂行に支障を来す職種でございます。定年引上げに伴う消防本部の課題に関する研究会を立ち上げまして、令和四年十一月に報告書を取りまとめたところでございます。

 この報告書を踏まえまして、各消防本部に対しまして、消防力の維持、確保を図っていくため、軽量資機材の導入や適材適所の人事配置など、高齢期職員の職場での活躍を促す取組を求めております。

 このような高齢期職員の活躍促進や人事配置上の工夫などの取り得る方策を実施した上でなお、災害活動に適切に対応できる体制が確保できない場合には、必要最小限の定員の見直しを検討する必要があることを、各消防本部に対しまして助言をいたしました。

 また、将来にわたる年齢構成の平準化や安定的な人材確保のため、定年引上げ期間中においても、一定の新規採用者を継続的に確保することが必要と考えております。二年ごとの新規採用者数の平準化を基本としながら、各消防本部の現状及び課題に応じて柔軟に検討するよう、併せて助言をいたしました。

 消防庁といたしましても、引き続き助言や支援を行い、国民の生命、身体、財産の保護等という消防業務の任務の遂行をするために必要となる職員体制の確保にしっかりと努めてまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 組織といえども、やはり人の流れでありますし、人材の流れであります。ゆえに、凸凹があってはございません。今がよくても、やはり十年後、二十年後、影響が出てくる可能性がありますので、そこを見据えながらこれはお進めいただきたいと思いますし、今後は、定員の見直し等による地財措置の検討、ここも必要になってくるんじゃないか、このように思いますので、総務省にはそこも御要望したいと思います。

 最後、消防本部におけるドローンの利活用について伺います。

 近年、災害が激甚化、頻発化する中、ドローンの活用によりまして、災害発生初期に俯瞰的な視点から情報を収集すること、これは、被害状況や災害推移の把握などにおいて、被害の軽減に非常に効果的であると言われております。

 消防庁としては、令和四年三月に改定した消防防災分野におけるドローン活用の手引きにおいて、標準的に備える必要のある機能を有する災害対応ドローンを各消防本部に複数台整備することを目指しており、その調達費用についても、令和四年度から新たに緊急防災・減災事業債の対象としております。

 そこで伺いますが、現在までの各消防本部における災害対応ドローンの導入状況、これはどうなっているのか伺います。さらには、私は、この災害対応ドローンの整備を更に進めるためには、調達費用の支援に加えて、今後は、そのドローンを操縦する操縦士の育成と研修の充実、さらにはその育成や充実に必要な予算のこれまで以上の確保、これが必要と考えますが、その点、消防庁としてどう考えるか、併せて御答弁ください。

澤田政府参考人 令和四年四月一日現在で、ドローンを導入済みの消防本部は、全体が七百二十三の中で四百二十九でございます。その本部におきまして操縦できる消防の職員数は五千七百四十五名に上っておりますので、一本部当たり十名強に相当する数でございます。

 御指摘のとおり、これらの職員の操縦技術の更なる向上や、今後導入を目指す消防本部におけます操縦士の確保は極めて重要でございます。引き続き人材育成の取組が必要だと強く認識をしております。

 このため、消防庁では、令和元年度から、全国の消防職員の中から、ドローンに必要な知識や操縦技術等に習熟しましたドローン運用アドバイザーを育成しまして、消防学校や各消防本部において、ドローン導入に向けた普及啓発や操縦技術の指導等に取り組んでいただいております。

 今後とも、全国の消防本部において、地域の実情に応じたドローンの導入や高度な操縦技術の習得をより一層推進していくため、引き続き、整備に当たっては、緊急防災・減災事業債の対象とするとともに、各地域の育成に関する先進事例の紹介、ドローン運用アドバイザーの育成と派遣に必要な予算の確保にしっかり努めてまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。大変にありがとうございました。

浮島委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 おはようございます。立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日もお時間を頂戴しまして、ありがとうございます。

 早速でございます。昨日通告させていただいた順番を若干変えまして、先に天下りの問題について、若干何点か確認をさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、先般、国土交通省のOBによる天下りポストの要求などについて報道がなされております。こういったことはやはり問題があると思うんですが、総務省においても、こういった不適切な天下りの有無について点検すべきではないかと思いますが、大臣の所感を伺います。

松本国務大臣 国家公務員の再就職に関しましては、公務の公正性と、それに対する国民の信頼を確保することが重要でありまして、国家公務員法に基づき、再就職情報を届け出させ、これを公表するとともに、第三者機関である再就職等監視委員会が再就職等規制の遵守状況を監視しているものと承知をしております。

 他方、職員OBは、既に公務を離れ、予算や権限を有していない民間人でございまして、その活動に関して調査を実施することは予定をいたしておりません。

 総務省といたしましては、再就職等規制の遵守の徹底を図ることによりまして適切に対応いたしたいと考えております。

神谷委員 今ほどお話しいただいたように、再就職そのものというのは悪いことではないと私も思っています。当然、若い方だったら必要でしょうし、子育て世代の方もいらっしゃると思いますから。また、役所で培ったスキルを活用するということも、人材の有効活用、また、本人の専門性を生かした再就職と評価できないこともありません。

 しかし、問題のあるものもあると考えております。今ほど大臣もおっしゃっていただきましたけれども、再就職を受け入れた企業、団体に対して免許や許認可あるいは補助金等が伴うなど不公正な優遇を伴う再就職であったり、あるいは、わたりと言っておりましたけれども、複数の再就職を短期間に繰り返して高額な退職金を繰り返し受け取っていた事例など、これまでも問題になっていたところでございます。

 もちろん、もう今は民間人だという理屈はあるかもしれませんが、公務員としてこういった権限をこれまで行使される立場にあった皆さんにとっての再就職については、相当程度注意を払って行うというか、見ていくという必要があると思うんですけれども、こういったことについて、大臣のお考えをもう一回伺いたいと思います。

松本国務大臣 委員からも御指摘がありましたように、公務員が法令に反することなく再就職をし、公務部門で培ってきた能力や経験を活用して社会に貢献をすることは意味があると考えられるかと思います。

 その上で、国家公務員の再就職に関しては、公務の公正性と、それに対する国民の信頼を確保することが重要であると申し上げてまいりましたが、このような観点から、現行の国家公務員法は、予算や権限を背景とした再就職のあっせん等を禁止する、営利企業等に再就職している職員OBからの働きかけや口利き等を禁止しております。第三者機関である再就職等監視委員会がこれらの規制の遵守状況を監視しているものと承知をしております。

 加えて、国家公務員の再就職の状況について再就職情報を届け出させ、これを公表することにより、透明性の確保を図ることとされているものと承知をしております。

 公務員として権限を行使する立場にあった者については、このような一連の再就職等規制の遵守が求められており、これにより、公務の公正性と、それに対する国民の信頼を確保することとされているものと認識をしております。

 総務省といたしましては、第三者機関である再就職等監視委員会による厳格な監視の下、再就職等規制の遵守の徹底を図ることにより対応いたしたいと考えております。

神谷委員 大臣、今お話を伺っていると、再就職等監視委員会の方でしっかり見ているから総務省の方では見る必要がないんだというような答弁に聞こえてくるわけでございますけれども、果たしてそれで本当によろしいんでしょうか。現実に、国交省の事案ではそれを見逃しているわけでございます。その上で、国交省も再度調査をされているというようなことでございます。

 総務省においても、多くの権限や、あるいは補助金等の事業なんかもあるわけでございまして、そういったことについて果たして大丈夫と言い切れるのかどうか。まあ、言い切れるのであればそれはまたあるのかもしれませんが。

 率直に、大臣、この辺、本当に、そのままお任せをしたから、第三者委員会の方で見ているから総務省はもういいんだということになるんでしょうか。もう一度、その辺についてお考えをお聞かせいただけませんか。

松本国務大臣 今申し上げたように、基本的に、この規制については、再就職等監視委員会が所管をし、また監視をしているという認識でこのように御答弁を申し上げましたが、総務省といたしましても、総務省に所属する職員が、国家公務員としての自覚と、そして法令を遵守しなければいけないという国家公務員としての責務をしっかりと果たしていけるように、これまでも職員に対する研修等も通じて進めてきていると考えておりますが、改めてこのような認識を共有することの重要性を御指摘いただいたものと受け止めたいと思っております。

神谷委員 大臣は、立法府というか、国民の皆さんを代表して総務省に行かれている。そして、総務省をいわば見ておられるわけでございますから、当然、一方では、総務省の職員を信じる、あるいはそのトップとしての職責もありますが、もう一方でいえば、ある意味、行政機関の監視の最前線に立たれているという意味合いも私はあると思っています。

 そういった意味において、もちろん、職員を信じていただく、これは大変大切なことです。ただ、もう一方で、全く、だからこそ手放しでもういいんだということにはならないのではないかと私は思います。そういった意味において、やはりしっかり、調査するというか、一回確認をするという作業は必要なんじゃないかと私自身は思うんですけれども。

 その上で、この国土交通省の事案があって、我が党では予備的調査なども使ったり、あるいは点検等を今行っておりますけれども、内閣人事局が公表している国家公務員法第百六条の二十五第二項の規定に基づく国家公務員の再就職状況の公表結果を拝見すると、やはり総務省にあっても、一人の方が複数の企業や団体に再就職されている事案だったり、指定席のように多くのOBを連続して受け入れている団体があったり、あるいは、かつて人事院の承認が必要だったときに禁止されていた密接な関係に該当する企業、団体に再就職されていると思われるような事案が私には見て取れました。

 これらの再就職について、適切なのか不適切なのか、そこは確認の必要はないのか、改めて大臣に伺いますが、いかがですか。

松本国務大臣 今も委員からもお話がございましたけれども、総務省退職者の再就職においては、国家公務員法に基づいて、再就職者の氏名、再就職先名称、ポスト等を届け出させ、内閣人事局において公表することにより、透明性の確保が図られているものと認識をいたしております。

 退職した公務員は、法令を遵守した上で再就職をしていかなければいけないことは申し上げるまでもないことかと思っております。

 総務省といたしましては、現行制度におけるルールを適切に運用し、公務の公正性、それに対する国民の信頼を確保できるように努めてまいりたいと考えております。

神谷委員 その上で、大臣、今申し上げたように、これは大丈夫かなと思う、まあ、透明性というのは非常に大事ですから、透明性を高めていただく、これを、そしてまた、どう評価していくかという話があると思います。

 実際に見てみますと、これは大丈夫かというのがあったというようなお話をあえてさせていただきました。名誉もありますから、あえて名前や団体等は公表するつもりは今はありませんが、ただ、こういったところについて、私でさえそう思ったわけでございますから、大臣あるいは総務省の方が見れば、これは大丈夫かなと思うような事案があると思います。

 そういったところについてまで、今、大丈夫なんだというようなことは当然言えないと私は思いますので、大臣、ここはしっかり確認をされておくべきだと思いますが、もう一度、いかがでございましょう。

松本国務大臣 申し上げてまいりましたように、法令に反することなく再就職を行ってきているものというふうに考えているところでございますが、今お話がありました点、職員のOBということで申し上げれば、既に公務を離れ、予算、権限を有していない民間人、知人への仕事の紹介や採用活動などについて調査を実施するということは、今、予定をいたしていないところでございます。

 委員から御指摘をいただいたことは、私もよく承ってまいりたいと考えております。

神谷委員 調査を予定をしていないということは、やはりそれはいけないんじゃないでしょうか。先ほど申し上げたように、大臣は、立法府から送られている国民の皆さんの代表で、総務省を監視して、監視というか見ておられるわけでございますから、そういった立場の方が、もう最初からやらなくていいというような、やらなくていいとまでは言っていませんけれども、今のところ予定がないということで済ませていいのか。

 実際に、国土交通省の事案がありました。だから総務省を見なければいけないとまでは言い切らないかもしれませんが、実際に、今まで、今申し上げたように、出されたものを拝見しても、やはりちょっと大丈夫かというのが率直なところだと思います。

 それは、恐らく、かつてこの場に立って、松本議員も当時の大臣に対してやり取りをやっていた、そういった経過も私は見てまいりました。そういったことからいえば、今ここですぐにやるということは言えないかもしれませんが、検討ぐらいはできるんじゃないですか。大臣、いかがですか。

松本国務大臣 職員のOBについては、先ほど御答弁申し上げたとおりでございますが、総務省をお預かりする者として、総務省の信頼確保に努めることは大変重要な責務であると考えております。

神谷委員 是非調査を行っていただきたいと思います。

 その上で大丈夫ならなおさらいいんじゃないですか。駄目だったときのこともあるんです。ただ、大丈夫な可能性も当然あるんです。ただ、大丈夫なこともしっかり確認すべきじゃないですか。そういったことがこの確認の意義でございますから。しっかり表に出していただいている部分、透明化が図られている部分はあります。これは、だから評価したいんですよ。

 その上で、実際に中身がどうなのかというのは、我々、外形的に見た部分だけでは分からないから、そこはしっかりと確認をしていただいて、大丈夫でしたと。大臣、大丈夫だというならば、高らかにそれを宣言されたらいかがですか。

 ただ、やらない前から、大丈夫か大丈夫じゃないのか分からない状況の中でやらないというのは、これは職責を全うしているとは私には思えないので、大臣、そこは、少なくとも、今予定にないとしても、そのための検討ぐらいはされてはいかがですか。

 もう一回、何度も申し訳ありませんが。

松本国務大臣 職員のOBについての調査につきましては、先ほども御答弁を申し上げたとおりでございまして、既に公務を離れ、予算や権限を有していない民間人の方に対して、その活動に関して調査を実施することは予定をしていないところでございます。

 その上で、委員からは、総務省自身の、また行政、政府の信頼に関わる問題ではないかということで御指摘をいただいたというふうに受け止めておりまして、総務省として、信頼確保について必要なことについてはしっかりとやっていくことが私の責務であるというふうには考えております。

神谷委員 OBについても、今もう、要は公務を離れた立場だから、私人だからというような整理なのかもしれませんが、逆に言うと、その私人たる方々が現職の方に何らかの作用を及ぼすこと、これもやはり大きな問題であるわけでありますから、そういった意味において、退職されたから、それで、もう私人だから、あるいは民間人だからということで、そのまま一概に整理をつけていいものなんでしょうか。

 やはり、今回の天下り、国土交通省の事案は、むしろOBの間での問題だったというふうに理解をしております。そういった意味では、既に退職されたんだから、もうそれは知らない、関係ないという話でもないんではないかと思います。そこでまた一律に線を引いてしまうことについても私は問題があると思うんですけれども、やはり、OBの方についても、もう一回ちゃんと確認する必要はありませんか。いかがですか。

松本国務大臣 営利企業等に再就職している職員のOBの方については、これらの方々からの働きかけや口利き等は現行の国家公務員法において禁止しているというふうに承知をいたしております。

神谷委員 当然です。禁止されて当然です。まして、海外では、それに対して罰則をもって当たっている、あるいは様々なペナルティーを科している例もたくさんございます。

 ですから、禁止されている行為が行われていなかったかどうかを確認をしてほしいということを申し上げています。禁止されているからやっていないんだということにはならないのではないかと申し上げています。

 大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 働きかけの規制としては、何点かありますが、元職員からそのようなケースに該当する働きかけを受けた場合は、再就職等監察官への届出の義務がございまして、届け出ない場合には懲戒処分の対象ともなるということでございまして、このような制度にのっとって、しっかり対応してまいりたいと考えております。

神谷委員 禁止されているから、あるいは届け出なきゃいけないからないんだということではないということを先ほど申し上げたつもりでございました。ですので、やはりしっかりチェックをしてほしいということを申し上げたつもりでございます。

 こういう規制があるから大丈夫なんだということでやはり言い切ってはいけないと思いますので、それが総務省を預かる松本大臣のお立場ではないかとあえて申し上げさせていただいて、これ以上言っても多分同じようなことになると思いますので、次の話題、もうあと十分しかありませんので、進めさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。

 では、次の問題に移らせていただきたいと思います。

 統一地方選挙について、少しお話をさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、先般、統一地方選挙、前半戦、後半戦が終わりました。ただ、見ておりますと、残念ながら、定数に満たない自治体や、定数は満たしても無投票での当選など、定数を何とか埋めようというような地域もございました。

 先般は地方自治法の改正も行われましたけれども、改めて、今回の統一自治体選挙を見た上での大臣の所感をお聞かせをいただきたいと思います。

松本国務大臣 委員からも御指摘がございましたけれども、今回の統一選では、市区町村議会において、無投票当選者割合が前回の九・四%から一一・九%に、定数割れ団体が前回の八団体から二十一団体となっておりまして、議員のなり手不足は大変重要な課題となっていると認識をしております。

 過去の統一選では、女性議員が少ない議会や議員の平均年齢が高い議会において無投票当選の割合が高い傾向にありまして、なり手不足解消のため、多様な層の議会への参画を促進していくことが重要であると考えております。

 今回の統一選では、市区町村議会において、立候補者及び当選人に占める女性の割合はそれぞれ上昇傾向にございました。

 第三十三次地方制度調査会の答申で、多様な人材が参画し住民に開かれた議会の実現に向けた対応方策が示され、答申を踏まえて提出した地方自治法改正案が昨日成立をいたしました。

 総務省としても、地方議会の活性化につながるよう、多様な人材の議会への参画や、なり手不足対策に取り組んでまいりたいと考えております。

神谷委員 ありがとうございます。

 なり手不足の問題ですけれども、今に始まった問題ではございません。これまでも、様々な自治体で様々な工夫をされ、総務省の御指導もいただいたと思いますけれども、議論も行われて、何とかなり手不足を解消しようじゃないかということで努力をされていると思います。

 例えば、報酬や待遇面での議論などもございますけれども、例えば専業化の道を選べばいいんじゃないか、一方で、パートタイムというわけではないんですけれども、日曜や夜間や休日、そういったところを使っての、両極端なとは言いませんけれども、様々な試みがなされています。

 本来、自治でありますから、自治体の皆さん、あるいは、自治の世界ですから、議会の皆さんが住民と決めていけばいいという話でもございますが、やはり、地方の議員の皆さん、あるいはなり手になりそうな皆さんの、当事者の皆さんからすれば、例えば、自分たちの待遇を変えてほしい、もっといいものにしてほしい、あるいは、報酬がもっと上がらないと例えば若手が来ないよねということを、なかなか住民、自治体の皆さんの前では言えないんじゃないかなというふうに考えております。

 そういった意味で、総務省から、手を差し伸べるというわけではないんですけれども、そういった報酬面や待遇面について一定の方針を出してほしいというようなところもあるのではないかと思いますけれども、この辺についての所感を伺いたいと思います。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 議員報酬の額は各団体の条例で定められるものでございますが、第三十三次地方制度調査会の議論では、特に小規模団体において、議員報酬が低水準であることが議員のなり手不足の一因であるとの指摘もあったところでございます。

 答申では、議員の活動量と長の活動量を比較し、議会、議員が活動内容を明確に示すことを通じて、適正な報酬水準について議論を行っている取組もあり、こうした取組を参考に、住民の理解を得ながら、報酬水準の在り方を検討することが考えられるとされております。

 各議会におきましては、住民の十分な理解と納得を得るため、第三者機関である特別職報酬等審議会の意見を聞くことなどを通じて、地域の状況を踏まえて十分な審議を尽くしていただき、適正な議員報酬の額を定めていただくことが重要と考えております。

 総務省といたしましても、議長会と連携しながら、地方自治法改正の際の附帯決議も踏まえ、様々な取組事例の紹介など、情報提供を行ってまいりたいと考えております。

神谷委員 地方自治法改正のときにも議論になったと思いますけれども、やはりきちっとした形で出ていただくための様々な議論、試みというのは必要だと思いますので、引き続き、総務省におかれましても、そういった御努力、御尽力のほど、お願いを申し上げたいと思います。

 また、次の問題なんですけれども、統一自治体選挙の時期についてちょっと伺いたいと思います。

 御案内のとおり、我が国では四月というのは、年度初めに合わせて、例えば、人事の異動や卒業、入学など、人の移動の多い時期に当たります。もちろん、投票する権利というのは非常に重要でございますから、そういう観点から見て、人の移動の多いときにあえて行うことが適当と言えるのか。あるいは、実際に今回の統一選挙で私自身回ってみまして、農繁期に当たるので、ここは是非考えていただけないかみたいな話も様々聞いているところでございます。

 もちろん、理由なく、故なく投票というか選挙を延ばすとかいうことはなかなか難しいと思いますし、それはなかなか、よほどの事情がないと難しいんだろうなというふうに思うんですけれども、戦後始まった統一選でございますけれども、様々な事情でこの時期を外されている自治体もかなり出てきているところでございます。

 もちろん、同じ時期にやるということの意義というのも大きいと思うんですけれども、やはり、こういったことも含めて、統一地方選挙そのものの時期であるとか在り方であるとか、そろそろいろいろと考えるべきではないかなとも思ったのですが、この辺について大臣の所感を伺いたいと思います。

松本国務大臣 委員御指摘のとおり、四月は年度初めで、人の移動なども多い時期であるということはおっしゃるとおりかというふうに思います。農繁期につきましては、地域、作物等によってちょっと異なりがあろうかというふうに思いますが。

 今お話がありましたとおり、戦後最初の地方選挙が昭和二十二年四月に行われて、その後、任期を迎えることとなる四年ごとに、地方選挙の期日を四月に統一することで統一地方選挙として行われてきたところでありまして、統一の対象となる選挙については、昭和三十八年以降、基本的に、三月から五月までの間に任期が満了する議会の議員及び長の選挙とされ、こうした方式が定着してきていると考えているところでございます。

 地方選挙の時期につきましては、これまでも議論が行われたことがあるとは承知をいたしております。長年定着してきた地方選挙の仕組みを変えることとなれば、各方面に大きな影響を与えることでもありますので、統一地方選挙の在り方については、やはり各党各派において幅広い観点からの御議論をいただければ、このようなことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。

神谷委員 もう大臣の言うとおりで、民主主義の根幹でございますから、選挙制度というのは、なかなか、いじるときはしっかりと考えなきゃいけないと思います。ただ、もう一方では、実際に回ってみまして様々お声をいただいたというところも事実でございますので、そういったことはどうか頭の片隅に残しておいていただけたらと思う次第でございます。

 次の問題に移りたいと思います。公務員のなり手不足について伺いたいと思っています。

 公務員のなり手不足が言われています。国だけでなく、地方自治経営の根本を支える人材の確保というのは、これは非常に重要な問題だと思いますけれども、このなり手不足の問題について、大臣の所感を伺いたいと思います。

松本国務大臣 自治体が、複雑化、多様化する行政課題に的確に応えつつ、効率的で質の高い行政の実現を図る上で、自治体を支える人材の確保は大変重要でございますが、人口減少、高齢化が進み、若年労働人口が減少する中、地方公務員の競争試験の受験者数は減少傾向で、公務を担う人材の確保は大変重要な課題になってきております。

 総務省としては、こうした中、研究会を開催しまして、デジタル人材を含めた人材の育成、確保等に関して、地方の先進的な取組も踏まえ、自治体が取り組む際の参考となる指針の検討を進めているところでありまして、秋頃までに研究会の取りまとめを行い、これを基に地方向けの指針をお示しをいたしたいと考えております。

 各自治体において有為な人材が確保されるよう、今後とも、必要な情報提供や助言などを行ってまいりたいと考えております。

神谷委員 全くそのとおりで、しっかりやっていただきたいと思うんですけれども、ただ、今度、次に、せっかく採用した人材も数年で退職するような事例も聞いているところでございます。ただ、残念ながら、これは公務員のことだけではないのかなと思っていまして、社会一般がそういうふうな傾向があるんじゃないかと思っています。

 だとするならば、逆に言うと、公務特有の問題ではなく、公務職場そのものがこういった一般的な事例をどうやって克服していくかというようなことになっていくんだろうと思うんですけれども、逆に、公務職場において、中途採用、キャリア採用、あるいは一度退職された方の再度の受入れみたいなことを、これからしっかりやっていかなきゃいけないんじゃないか。逆に言うと、新卒者だけの人員の確保の在り方では、やはりちょっと問題なんだろうと思います。

 そういったことを含めて、要は、新卒者以外の採用の在り方を一般化していくことについてどう考えているのか、伺いたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のありました中途採用試験でございますが、実施する自治体の数は年々増加をしておりまして、令和三年度におきましては、都道府県、政令市は全団体、市町村では半数以上の団体が、経験者採用を含む中途採用試験を実施しております。

 例えば、デジタル人材や児童福祉人材を確保するための試験区分を新たに設けるであるとか、育児や介護などを理由に離職した職員を対象として採用する、いわゆるキャリアリターン制度、こういったものを創設する団体も出てきております。

 総務省としても、自治体に対して、経験者採用を含めた中途採用、これを推進していただきたいことでありますとか、地域の実情に応じた職員採用試験の実施に取り組んでいただきたいといった内容について、助言をしております。

 これに加えまして、現在開催している研究会におきましても、多様な人材の採用でありますとか試験方式の工夫などについてヒアリングを行っているところでございまして、秋頃までに予定している研究会の取りまとめの内容も踏まえながら、引き続き情報提供等を行ってまいりたいと考えております。

神谷委員 社会がだんだんだんだん変わってきて、新卒でそのままその会社で全うするということがなかなか難しくなっている状況だと思います。公務職場においても、残念ながら、残念というか、社会がそうなっている以上、そうなっていくんだろうと思います。

 そういった中で、いかにして有為な人材を確保していくかというときには、やはり新卒ばかりに頼っていくわけにはいかないと思いますし、様々なキャリアの方あるいは優秀な方をどう取り込むかということを本格的に考えていく、ギアチェンジしていく必要もあるのかなというふうに思います。

 これまでも様々な方法で御指導とか御尽力をいただいているようでございますけれども、もっと、もっとというか、社会が変容していくときに、どういうふうに公務職場も含めて自治体そのものが変わっていくかということが、今そういうターニングポイントに立ちつつあるんだろうというふうに思っています。少子高齢化もあるかもしれませんが。

 そういったことも含めて、このキャリア、新しい人材の採用の在り方であるとか、活用の仕方であるとか、こういうことは、やはりこれからもしっかり考えていただきたいというふうに、御要望だけ申し上げさせていただきたいと思います。

 先般、学校教職員の多忙化の話も出ておりましたけれども、公務職場も総じてそういった状況になっているのではないでしょうか。

 もちろん、公務職場の長時間労働というのは是正していかなければいけないんですけれども、もしも人員に対して業務量が過大であるならば、人的な手当てをしていくことが根本的な解決策となるわけでございますが、地方、国共に、人員の配置、在り方が適切と言えるのか。特に、地方自治体の公務員の数というのは世界的に見ても少ないというふうに言われておりますけれども、この辺が適切と言えるのか、大臣の所感を伺いたいと思います。

松本国務大臣 委員お話がございましたように、時間外勤務、長時間労働は是正していかなければならないというお話でございましたが、時間外勤務については、必要最小限にとどめるべく、業務の効率化、人員の適正な配置などの時間外勤務縮減の対策に取り組んでいただくことが必要であると考えております。

 その上で、自治体の定員については、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要であると考えております。

 各自治体においては、行政需要の変化に対応しためり張りのある人員配置を行っていただいているものと承知をしており、近年では、一般行政部門の職員数は、平成二十六年を境に八年連続で増加し、令和四年四月までの間で約二・九万人増加となっているところでございます。

 総務省としては、令和五年度地方財政計画においても職員数全体で二千六百十八人の増としており、今後とも、地方自治体の実態などを十分に踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

神谷委員 時間が参りましたのでそろそろ終わりにしますけれども、やはり、ここら辺のところ、多少増加に転じたというところでございますが、これは、我慢に我慢を重ねて、ようやく、これではまずいと思って戻しているんじゃないかなと私自身には見えます。そういったところも含めて、地方の役所で人が増えるということは地方の活性化にもつながりますので、引き続きそういった御指導もいただきますようお願いを申し上げさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、湯原俊二君。

湯原委員 おはようございます。立憲民主党の湯原俊二です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。先ほど公明党の議員の方からもありましたけれども、生成AI、チャットGPT等についてであります。

 私は、生成AI、チャットGPTのメリットは認めております。認めておりますが、政治や行政というのは、特にデメリット、副作用、この影の部分に対してやはり対応がちゃんとしていかなければならない、私はそう考えております。

 今回のものを見ますと、やはり、一つが、ヨーロッパ等で問題になっておりますけれども、個人情報の問題あるいは著作権の問題。これは、アメリカ、イタリア、ドイツ、フランス等では、慎重な対応、あるいは規制の動き、訴訟等も起きてきております。生成AI、チャットGPTの学習データのアルゴリズムが透明性を欠いておりまして、偏りがあり、差別や偏見を助長しかねない点、フェイクニュースが拡散され、世論操作等に使われる懸念があるということも言われております。

 二つ目として私が懸念するのは、教育現場では、やはり、試験や宿題に対話型生成AI、チャットGPT等を使うことで、問題解決能力の育成を妨げるのではないか、論文の不正や盗作につながる懸念があるということで、私は、そういう、メリットは認めますけれども、デメリット、副作用、影の部分に対しては、やはり政治、行政というのはちゃんとすべきではないか、こういうことを考えております。

 民間企業のサービスでありますけれども、その影響が計り知れないがゆえに、生成AI、チャットGPT等の利活用の在り方と懸念について議論をして、国民に情報提供すべきと考えております。

 私は、この質問をするに当たって、先週の金曜日に質問通告をさせていただきましたけれども、この金曜日から今日までの間でも政府の中でいろいろな動きがあり、あるいは報道等も見受けられました。例えば、生成AIに対して戦略チームが政府内にできたという報道にも触れておりますし、また、先ほどもありましたけれども、G7の群馬高崎においてのデジタル・技術担当会議についてでも、責任あるAI、G7連携というような報道も触れております。

 先ほど申し上げたように、私自身は、個人情報の保護の観点、著作権の観点、教育の観点から、やはり一定程度、メリットは認めながらも、負の部分、副作用の部分に対してはルールの下に規制というものもある程度考えるべきではないかと思いますけれども、この点について御答弁願いたいと思います。

松本国務大臣 チャットGPTを始めとする生成AIが急速に普及をして、開発や規制の在り方が議論になっているというふうに私どもも受け止めているところでございますが、AIにとどまらず、一般的に、新しい技術につきましては、開発の振興、利活用の推進、適切な規制という三つの観点がいずれも重要であるというふうに認識をしております。

 もちろん、今委員が御指摘ありましたように、個人情報、著作権、知的財産権など、法令に反することがあってはならないことは当然のことであるというふうに認識をしております。その上で、今も、これも委員から御指摘がございましたが、政府としては、利活用するとすれば考えられる多種多様な課題に対応するため、先日、関係省庁による検討体制、AI戦略チームを立ち上げたところでございまして、これには総務省も参画をいたしております。

 また、これも御指摘がありましたところですが、AIへの関わり方を分かりやすく情報提供することが大切であるというふうに考えております。その上で、国民の皆様に、適切にAIの利活用スキル、いわゆるリテラシーを身につけていただくことが重要でありまして、総務省としては、これまでもICTリテラシー向上のための取組を行ってきておりますので、この知見を生かして、AIを適切に使うためのリテラシーを身につけるコンテンツの開発にも取り組んでまいりたいと考えております。

湯原委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃっているのは、新しい技術というものは、開発の段階からある程度、私が申し上げる副作用、影の部分でも規制というものもあるのかな、その先にはリテラシー、こういうことを国民が、いかに利用者が使いこなしていくかということだと思います。

 私は、見ておりますと、ヨーロッパの方が主でありますけれども、アメリカも、バイデン大統領、民主党政権になって、やはり個人情報等規制の方にちょっと以前の政権よりも前向きになってきたのかなと思いますけれども、ヨーロッパなどではやはり、インターネット上の個人情報の扱い方については、厳格に、厳しくやっているということを見受けられると思っています。

 ですから、先ほどもちょっとありましたけれども、G7のデジタル技術担当会議ですか、ここにおいては、バランスもあると思いますけれども、やはりG7、アメリカもあるし日本もあるしヨーロッパもあるわけでありますけれども、是非この規制の部分は、先手先手でやはり対応していくべきだというふうに思っています。

 卑近な例でいえば、例えば人類の中に車が開発されて出てきたときには、非常に便利だと思う反面、やはりその後、公害、環境も対応していかなきゃいけないし、スピード違反も対応していき、道路の設計とか、こういったことも出てくるわけであります。

 まさにインターネットにおいても、非常に便利ですけれども、影の部分、副作用の部分があるわけでありまして、是非、政治、行政においては、そこの部分、G7においても国際的なルールをちゃんと作っていって、今、IT大企業などは特にそうでありますけれども、国境をまたいで世界で活動、事業展開しておりますので、国によってルールがまちまちであれば、これも逆に言うと不都合な部分も出るわけでありまして、せっかくのG7の機会でありますので、一定程度、バランスもありますけれども、規制、ルール作りに対しても対応していただきたいな、これは要望にさせていただきます、申し上げておきたいと思います。

 次に、前回の総務委員会の私の質疑のときに、時間がなくてできなくて申し訳なかったんですけれども、サイバー防御の問題を、続いて質問させていただきたいと思っております。

 現在の日本のサイバー防御体制は、官房長官を本部長とするサイバーセキュリティ本部があり、その事務局として内閣サイバーセキュリティセンター、いわゆるNISCがあります。このNISCが、通信、金融、重油、運輸、電力など、いわゆる重要インフラの所管省庁、機関と連携することとなっております。サイバー攻撃の事案が発覚すればNISCに情報が入り、他の重要インフラに注意喚起を促す、こういうシステムで日本は行っております。

 一方、昨年の末に出された防衛三文書では、自衛隊が、サイバー防御の体制として、コア要員八百九十名を五年間で四千名に増やす、サイバー関連業務要員を約二万人にするとしております。しかし、これは、あくまでも自衛隊と自衛隊関連産業だけに対象がとどまっております。防御の対象がとどまっております。ですから、この防衛三文書の最初の五年間では、一般の民間の重要インフラを対象にしていないということであります。

 民間の重要インフラの防御の体制を民間の事業者任せにする、あるいは、インシデント事案が起きたときには、所管省庁に上げて、NISCに上がってきて、NISCがお触れを出して注意喚起を促す、こういう体制で果たしていいのかどうなのか。NISCの機能が調整部分だけでいいのかどうか。これで日本のサイバー防御、先般の委員会でも伺いましたけれども、年々増加してきている、ランサムウェアのように身の代金型のものも出てきている、これに対応できるのかどうかということであります。

 私は、サイバー防御の質問をするに当たって、国立国会図書館から、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イスラエル等のサイバー防御の体制の文献を取り寄せて拝見しました。読ませていただきましたし、あと、日本のものにおいても、お手元に資料で配付しておりますけれども、資料1が、2もそうでありますけれども、笹川平和財団が作った資料でありますけれども、これが二〇一八年。ですから、今から五年ほど前の時点での各国比較であります。

 御案内のように、体制のところでは、日本だけが一元化されていない。つまりは、重要インフラの所管省庁が縦割りの中で受けているということでありますが、一元化されていない等々、一から九の比較がこれはなされておりますし、二枚目は、先ほど申し上げているように、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス等の体制は、一元化をして、インシデント事案が起きたときには攻撃対処等も一元化されている。こういうのに比べて、日本はそこに、各省庁で、縦割りの下、一回集めて対応している、こういう状況になっております。

 やはり、私は一元化すべきだとは思いますが、その上で、先日、本会議で、防衛三文書に関する質疑で、岸田総理は、サイバー防御体制について、サイバー安全保障体制整備準備室をこの一月に設置したので、スピード感を持って対応する、こういうことをおっしゃっているわけでありますけれども、この準備室の今の進捗状況、三か月ほどたったわけですけれども、御答弁願いたいと思います。

小柳政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府といたしましては、昨年十二月に閣議決定をしました国家安全保障戦略を踏まえ、能動的サイバー防御を含む各種取組を実現、促進し、サイバー安全保障分野での対処能力の向上のため、内閣サイバーセキュリティセンターの発展的改組とサイバー安全保障分野の政策を一元的に総合調整する新たな組織の設置、及び、サイバー安全保障分野における新たな取組の実現のための法制度の整備等の体制整備を行うことといたしております。

 こうした検討を着実に行うため、委員御指摘のとおり、本年一月三十一日付で、内閣官房にサイバー安全保障体制整備準備室を設置したところであります。

 近年のサイバー空間における厳しい情勢を踏まえれば、我が国のサイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させることは喫緊の課題であり、サイバー安全保障分野における情報収集、分析能力の強化や能動的サイバー防御の実施のための体制整備等について議論を進めております。

 国家安全保障戦略の着実な実施が図られるよう、スピード感を持って検討を進めてまいります。

湯原委員 ありがとうございます。

 発展的に改組するということで了としますし、一元的に対応するということで、是非、おっしゃったようにスピード感を持って、総理もそう答弁されておりますし、先ほどの答弁でもスピード感を持ってとありますけれども、先ほどの笹川平和財団のを見ると、二〇一八年のときの比較でありますので、これからスピード感を持ってやっていっても、二、三年かかれば、欧米諸国とは十年遅れぐらいのところだということを認識いただいて、是非スピード感を持っていただきたいと思います。

 その上で、具体的に、先ほどの資料でもありますけれども、やはりドイツは、サイバーの防衛研究所を、二〇一五年に、セキュリティー戦略をつくり、サイバー防衛研究所が中心的な役割を担う。これは、軍が中心になってやっております。当初から、ドイツの場合は産業界と一緒になって、事業者任せではなく、技術協力も当初から一緒になってやっているということで、一つ提案は、やはり官民一体となったサイバー防御体制をつくるべきだと思いますし、レベルアップのためには人材育成が必要だということを申し上げておきたいと思います。

 それから二つ目には、アメリカでは、政府、公が民間の重要インフラを無料でサイバー防御のレベルをチェックする、無料でチェックをして、民間と、官民併せてレベルアップを図ってきている、こういうことをやっておりますので、参考にされたらいいと思います。

 それから、この人材育成、研修機関では、国立研究開発法人情報通信研究機構、NICTが今行っておりますけれども、先日も、新聞報道等では、横浜市を始め九十以上の市議会等の自治体がサイバー攻撃を受けた、こういう報道に触れました。マイナンバーの問題を通じてもそうでありますけれども、地方の過疎地域の診療所でも、オンラインで結ぶ時代にこれからなってまいります。つまりは、重要インフラだけでなく、オンラインで結ばれたところ全てが、早い話がサイバー攻撃を受ける可能性が出てくるということでありますので、特に小規模の事業所あるいは小規模の自治体、こういったところにおいて人材育成、サイバー防御の体制整備を図らなきゃいけないと思いますけれども、この点について答弁願います。

国光大臣政務官 お答えさせていただきます。

 自治体や事業者のサイバーセキュリティー能力の強化は重要でございまして、特に小規模な組織では、委員御指摘のとおり、人材育成が課題となっております。

 そのため、総務省では、御指摘のNICTにおきまして、自治体や事業者を対象にして、実践的サイバー防御演習、CYDERを実施しており、全国の会場に加えまして、小規模な組織が参加しやすいようにオンラインでも実施をしております。

 また、都道府県等が市町村支援のために確保するデジタル人材に対する経費につきましても、本年度、新たに特別交付税措置を講じたところでございまして、サイバーセキュリティー分野においても広域的な人材確保に取り組んでまいります。

 総務省といたしましては、このような取組を通しまして、自治体や事業者のサイバーセキュリティー能力の強化に取り組んでまいりたいと思っております。

湯原委員 現在やっているということでありますけれども、実際やはり、見ると、小規模の自治体はなかなか、そこの人材育成といっても、研修を受ける、総務省としてはNICTでやっているんですけれども、実際、そこに手を挙げて小規模自治体がやっているかというと、以前、計画作りのことで質問しましたけれども、小規模自治体は、人材、人手不足、先ほどもお話がありましたけれども、計画を作るのにも手いっぱいみたいなところがあって、サイバー防御の体制をつくる意味では、研修はやっているけれども、自治体の規模がちっちゃいところほどなかなか参加していないという実態もありますので、是非促していただきたいと思っております。

 そして、先ほど能動的サイバー防御のことを室長は話されましたけれども、これは憲法の通信の秘密とも関連しますので、私は、ここのところを、通信の秘密をクリアするためには、やはり、有識者による検討会を早急に立ち上げて、その議論を公開して、先手先手でやるんだったら、通信の秘密、こういうことを整理してやっていきますよということをしなければいけないと思いますけれども、この点について答弁願いたいと思います。

小柳政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府としては、昨年十二月に閣議決定した国家安全保障戦略において、サイバー安全保障分野での対応能力の向上のため、同分野における情報収集、分析能力を強化するとともに、御指摘の能動的サイバー防御の実施のための体制整備等を進めることといたしております。

 具体的な取組内容につきましては、安全保障上の必要性のほか、御指摘の通信の秘密を含む憲法その他の現行法令との関係を整理しつつ、有識者の御意見も必要に応じて伺いながら、丁寧に検討を進めていく必要があると考えております。

湯原委員 有識者の意見を聞いて丁寧に進めるということで、これは、検討を、あわせて、国民の皆さん方にこの議論の中身を公開していく、このことが非常に重要だということを申し上げておきたいと思います。

 この能動的サイバー防御は、御案内のように、我々がふだんインターネットを使っているのを、本人が知らない間かどうかは別にしてでも、中でパトロールしていくわけでありますので、一般の国民に対する影響は非常に大きいということでありますので、中での検討はもちろんでありますけれども、この議論の過程そのものを一般インターネット利用者である国民に対して知らしめていく、公開していく、このことが大切だということを申し上げておきたいと思います。

 あわせて、これに関連しますけれども、アメリカで、スノーデンさんの話とか、先般も、アメリカの州兵の方が、ロシア、ウクライナの問題を始めとしていろいろな、ネットで拡散して、犯罪ということで議論になったわけでありますけれども、実際、政府の機関が、サイバー防御として、能動的サイバー防御でパトロールしていく、それはどういうことをやっているかというのを併せてチェックをしなければいけないんじゃないかなというふうに思っています。

 先ほどの資料1で、七番ですね、政府によるプライバシー侵害を監視する機関があるかどうかということで、欧米諸国、防御体制をしている、サイバー防御をやっている国々は、能動的サイバー防御、あるいはサイバー防御をしている政府機関が何をやっているかというのをチェックする機関を持って、活動をある意味で監視する、こういうことをしているわけでありまして、日本においても、能動的サイバー防御を準備室から発展的に改組していって一元化するときには、是非このチェックする機関も必要ではないかというふうに思っております。

 例えば、国会への報告とか、あるいは国会が関与していく、何かしらの方策でチェックするということ、監視するということが必要ではないかと思いますけれども、この点について御答弁願います。

小柳政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、我が国のサイバー安全保障分野での対応能力の向上は喫緊の課題と認識しており、国家安全保障戦略の着実な実施のため、スピード感を持って、必要となる法制度の整備等の具体化を進めてまいります。

 能動的サイバー防御を含め、サイバー安全保障分野での対応能力の向上のための具体的な取組内容につきましては、安全保障上の必要性や憲法その他の現行法令との関係を整理しているところでございますが、その際、御指摘のプライバシーの保護につきましても考慮しつつ、検討を進めてまいります。

湯原委員 スピード感を持ってやって、最後のところで、プライバシー保護のこともちゃんと検討するということの答弁でありましたけれども、これを改めてちょっと聞きます。

 さっき申し上げたように、政府がこれからやろうとしている能動的サイバー防御について何をやっているかというのを、第三者、例えば国会とかそういったところがチェックできるという認識でいいんですか。この最後のところのプライバシー保護のことも考慮、検討するという答弁ですけれども、確認させてやってください。

小柳政府参考人 お答えいたします。

 プライバシー保護への考慮の在り方を含め、具体的な取組内容につきましては、幅広い現行法令との関係を整理しつつ丁寧に検討を進めていく必要はございますが、現時点で具体的な取組内容が決定しているわけではございません。

 いずれにいたしましても、サイバー安全保障分野での対応能力の向上のための具体的な取組内容につきましては、安全保障上の必要性を踏まえるとともに、国民の権利や自由が不当に侵害されることのない取組内容となるように検討を進めてまいりたいと考えております。

湯原委員 これからスピード感を持ってやられるということで、具体的にはこれからという答弁だったと思いますけれども、では、スピード感を持ってやられるときに、要望として、諸外国のように、こうした政府の能動的サイバー防御をやるんだったら、その機関が何をやっているのか、パトロールにしろ何にしろ、何をやっているのかということを、プライバシー保護の観点から、第三者、国会なり第三者機関がチェックできる体制を確実に明確にしなければならないということを要望しておきます。

 最後に、三点目でありますけれども、私は、ずっと総務委員会で質問する機会あるごとに、シチズンシップ教育、私が最初に当選した二〇〇九年のときも、ずっとシチズンシップ教育のことを毎回質問しておりまして、その後、九年間ブランクがあったんですけれども、一昨年返り咲いてからも、毎回シチズンシップ教育のことを一問は何かしら質問させていただきたいなということで、させていただいております。

 今回は、一つだけ挙げさせていただきたいのは、山形県であります。昨年の七月の参議院選挙の投票率、全国平均は五二%でありましたけれども、山形県は六一・八七%、一〇%近く高い。二〇一七年の衆議院選挙でも、全国平均が五三・六八%であったのが、当時は山形県は六四・〇七%、ここでも全国平均より山形県は一〇%ぐらい高い。二〇一七年の数字だと、山形県は、十八歳、十九歳に限っても四七・二四%という非常に高い投票率を持っています。都道府県議選も、すごいなと思ったのは、第一回から第十九回まで全て全国平均以上。これが山形県の状況であります。

 これは、県民性とかいろいろあるかどうか分かりませんけれども、やはり、プラスの要因があって、一〇%も高いというのは、何かしら原因、原因じゃなくて要因ですね、プラスの方のことがあると思うんですけれども、この辺について、分析されているかどうか分かりませんけれども、どのような御所見、御所感を持っていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

松本国務大臣 投票率につきましては、個々の選挙ごとに異なる選挙の争点など、様々な事情が総合的に影響するといったことがございますので、その要因は一概になかなか申し上げにくいところではありますが、今委員から御指摘がありましたように、国政選挙における山形県の投票率は、継続的に全国でも上位にあるということは私も報告を受けているところでございます。

 山形県では、家族ぐるみの投票や子連れ投票の呼びかけなどに取り組まれているということでございまして、さきの参議院選挙後に実施された高校三年生向けアンケートでは、投票に行った方の九割が家族と行ったと回答しているというふうにお聞きをしました。

 親子一緒に投票所に行くことは、子供の将来の投票参加につながっていくことが考えられ、他には得られない貴重な学習の機会となることから、総務省では、子供を持つ世代に対して、子供を連れての投票の推進に取り組んでいるところでございます。

 また、山形県の中で投票率の高い団体では、高校で、生徒が候補者となって全校生徒を前に立会演説を行う模擬選挙や模擬議会といった取組を行っていると聞いております。

 政治意識の向上を図る観点からは、このような国や社会の問題を自分たちの問題として捉え、考え、行動していく主権者を育てる、いわゆる主権者教育の取組が重要と考えており、今もお話し申し上げたように、この山形県でも、投票率が高い団体と、今申し上げたような取組があるということからも、一層この効果が期待できるところがあるのではないかと思われるところでありますが、文部科学省などとも連携し、好事例の横展開も含めて、その取組の充実を図ってまいりたいと考えております。

湯原委員 大臣から最初に、山形県は家族ぐるみという。私も、山形県はなぜ高いんだと、いろいろなものを取り寄せて読んだんですけれども、やはり、家族ぐるみで、ちっちゃいときから投票所に連れていって、家族ぐるみでありますし、非常に敷居が低い。模擬投票という話もありましたけれども、他の都道府県でもやっていらっしゃるところはたくさんありますけれども、実際の投票箱を持ち込む、あるいは記載台を持ち込んで、実際に開票していると。

 私、山形県でいろいろなことをやっているのを見て、一つびっくりしたのは、高校生が、県議選や各種選挙のときに、ボランティアで期日前投票の事務も手伝っている。これが、非常に補助をやっているということで、早い話が、中身も、政権をあるいは公約を吟味して投票するというのを実践をやられるというのもそうですし、投票所あるいは投票そのものの敷居を低くしていくことによって、非常に投票率が高くなっていっているのかなというふうに思っております。

 横展開をするとおっしゃいましたので、是非文部科学省と一緒になって、やはり、全国平均よりも一〇%高いというのは、それなりの要因があって非常にいいことだと思いますので、是非横展開をしていただきますようにお願い申し上げて、時間となりましたので、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 私からは、マイナンバーカードあるいは行政サービスのデジタル化について伺っていきたいと思います。

 マイナンバー及びマイナンバーカード、私は、デジタル化にとっては、本当に大きな一つの価値ある存在だと思っていますし、これをしっかり重要な価値を持って活用していく、このことには賛同しております。

 ただ、これは、やはり大前提として、国民の信頼がなければ成り立たないセンシティブなことでもあるということを重々受け止めた上で取り扱っていくということを、本日確認させていただきたいと思います。

 マイナンバーカードは取得を強制しないという答弁、何度もお聞きをしております。しかし、紙の保険証を廃止してマイナ保険証にという、一見矛盾した状態が依然として続いています。先日も、ほかの委員会でも指摘しましたが、やはり高齢者の介護施設、入居系で、今まで紙の状態の保険証を施設として預かっている介護施設は非常に多くあります。これを、マイナ保険証になったら、マイナンバーカードとして保管をしなければいけない、そういう不安の声があります。

 総務省として、マイナンバーカードを集めて、第三者といいますか、他人が集めて保管できる環境、これは推奨する立場なんでしょうか。大臣、お答えください。

松本国務大臣 令和六年秋の健康保険証の廃止を見据えまして、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会のワーキンググループにおいて、全国老人福祉施設協議会等の関係団体から、施設等が本人に代わって入所者のマイナンバーカードを管理することについて御意見を伺ったところでございます。

 これを受けて、同検討会の中間取りまとめにおきましては、暗証番号の設定に困難を抱える申請者がおられることを踏まえ、今後、暗証番号の取扱いについて検討するとともに、施設入所者のマイナンバーカードの管理の在り方などについて、取扱いの留意点を整理した上で周知し、安心して管理することができる環境づくりを推進することとしているところでございます。

 今後、総務省におきましては、関係省庁と連携しつつ、関係団体の御意見も伺いながら検討を進め、中間取りまとめに記載された事項について対応して、施設等の入所者の方が安心してマイナンバーカードをお持ちいただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 入所者の方、希望する方がマイナンバーカードを持つこと、それから保険証を載せること、このことは止めるものではありません。ただ、やはり第三者である施設がマイナンバーカードを、保険証を預かるという形でマイナンバーカードを集めて保管をするということについては、私は慎重を期すべきだと思います。

 総務省としても、これからいろいろと情報収集をしたり、デジタル庁としては安心して管理ができる環境を整えると言っていますが、具体的なところは何も示されておりません。この点は、やはり総務省としては、マイナンバーカードを集めるという前提に立つというよりは、個々人の意思をしっかり尊重できること。私は、少なくとも施設において、例えば、マイナ保険証に、本人が載せていたとしても、医療機関に持ち合わせずに保険証番号が分かること、それから、本人が確実に本人だということが分かることをもって、医療を受けたり、あるいは自己負担割合で適切に医療が受けられる、この権利を保障することで、必ずしもマイナンバーカードを施設が預かることを奨励する必要はないんだと思います。

 多分ちょっと同じ答弁になると思いますので、この点は、是非、総務大臣として受け止めていただきたいということをお伝えさせていただきます。

 それから、マイナンバーカードの交付に際してですが、私のところにもやはり御相談がありました。政府としては、やっていないという答弁なんですが、実は、マイナンバーカードを申請する際に写真をつけなければいけない。パスポートとか、もちろん障害者手帳も同じ条件ではあるんですが、視覚障害をお持ちの方から、目が開けられていない写真なので使えない、使えないと、三回も写真の撮り直しを言われた、でも、視覚障害があって開きたくても開けないんだ、この心情をなぜ傷つけてまで、写真の規格をした上で、カードを持たせる形で、圧力になってしまうのか、この点の質問をいただきました。

 個人のプライバシーや尊厳を傷つけてまで強制をするものではないと思いますし、写真の在り方については、多分デジタル庁あるいは総務省でも、かなり写真の在り方は周知をしてくれているはずなんですが、現場ではそうなっていないということについて、是非、総務省の対応をお答えいただきたいですし、やはり、先ほどの介護もそうですけれども、個人のプライバシーや尊厳を傷つけてまで、あるいは他人にパスワードを設定させてまでマイナンバーカードを取ることを強く強く強く奨励するということには、いかがかと思います。この点、大臣、お答えいただきたいと思います。

松本国務大臣 個人の尊厳やプライバシーが尊重されなければならないことは、おっしゃるとおりかというふうに思います。

 顔写真につきましては、委員はよく御承知かというふうに思いますが、障害のある方など、やむを得ない理由により規格に合った写真を撮影できない場合には、申請書の氏名欄に理由を記載し送付していただくか、コールセンターに連絡していただくことでカードを発行することとしておりまして、自治体に対して具体的な例も示して改めて周知を行ったところでございます。

 また、暗証番号につきましては、暗証番号の設定が困難であると認められる場合は、介助者や市町村職員が必要な補助を行うこととして差し支えないことなど、留意事項を自治体に周知しているところでございますが、さらに、この度の検討会の中間取りまとめを踏まえて、暗証番号の取扱いにつきましては検討することといたしているところでございます。

 関係省庁と連携して、カードを円滑に取得いただくための課題にしっかりと取り組んで環境整備をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 希望する方が取りやすくする、その環境を整えるということは、更に御努力をいただきたいと思います。

 一方で、やはり個人の尊厳を傷つけるようなこと、御本人が最終的に判断をして、マイナンバーカード取得の是非、それからマイナ保険証を載せる是非、あくまでもやはり個人の意思を尊重していただきたいということをお伝えします。

 それから、ちょっとこれも当事者から御相談をいただきました。パスワードを忘れたり、暗証番号、在り方という話もありましたが、ロックがかかった場合、もう一回、パスワード再設定のために市役所等へ向かわなければいけないんですが、マイナンバーカードのほかに本人確認書類が必要だということでした。

 今だったらまだ、保険証があります、あるいは免許証がありますになると思うんですが、今後、マイナ保険証にして、それから、免許証もマイナンバーカードに一体化できますよという話の流れがある中で、マイナンバーカードに一体化した場合、何が本人確認書類になるんでしょうか。

 ちょっと資料一に書いておりますが、「マイナンバーカードのほかにもう一点本人確認書類をご持参ください。」というものがございますが、この点、総務省、お答えください。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードの電子証明書の暗証番号を忘れた場合や、複数回入力を間違えたことでロックがかかった場合には、市町村窓口において必要な本人確認を行った上で、暗証番号の初期化、再設定の手続を行っております。

 マイナンバーカードをお持ちいただければ、市町村窓口に設置された端末で、マイナンバーカードのICチップに格納された券面の情報と、カードの券面そのものに記載された情報を照合することで本人確認が可能となっておりまして、他の本人確認書類は不要でございます。

 一方で、こうした方法のほか、マイナンバーカードに加えて免許証などの別の本人確認書類を提示をいただき、双方の券面の情報を確認することで本人確認を行う方法もございまして、そうした方法により本人確認を実施している自治体もあると承知しております。

 これらの取扱いにつきましては、事務処理要領において自治体にお示しをしているところであり、自治体においては、事務負担なども考慮して本人確認の方法を案内しているものと考えております。

岡本(あ)委員 そうしますと、資料一、これはAIに答えていただいているんですが、この返答は正しくはないということになるということなのが一点、まず、そこをお答えください。

吉川政府参考人 自治体によりまして、お示しいただいたその資料のような形で住民の皆さんに御案内している自治体もあるということでございます。

岡本(あ)委員 ここはちょっと、ばらばらというのも非常に不安があります。私、幾つか自治体を見たんですが、ほとんどがこの資料一と同じ状況です。これは総務大臣の御地元の姫路市の情報なんですが、多くの自治体がこういう状況です。

 パスポートを持っている人は確かに、顔写真つきの本人、一発でできますけれども、それ以外、免許証、それから保険証も、今二点確認となっておりますけれども、マイナンバーカード以外に個人を証明するものが逆になくなっていくとすると、非常にマイナンバーカード自体を紛失したらという恐怖も出てくることになりますので、逆に、そのためにも保険証とか免許証を手元に置いておいた方がいいんじゃないかということにもなりかねないということを御指摘させていただきます。

 時間がないので、ちょっと最後になりますが、資料二を御覧ください。

 今回、マイナポータルのぴったりサービスで不在者投票をオンラインで申し込みましたら、職員の方が見落としていて、結果、不在者投票できないという状況です。

 一番最後の質問になりますが、オンラインで、申請する側は楽にはなっていく、これは非常に進めるべきだと思いますが、一方で、行政側の職員にとっては非常に負荷がかかっている、今、特に過渡期なので負荷がかかっている状況です。窓口の対応もしなきゃいけない、郵送での受付もしなきゃいけない、加えて、手が空いているときに、二回なり三回、こういうオンラインのチェックもしなきゃいけない、こういう状況になっています。職員のスキルが必要だったり、手間が増えたりする可能性があります。

 これも含めて、十分な体制と財政的支援、自治体に対して支援するべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

松本国務大臣 地方自治体におきましては、人口減少に伴う人的、財政的資源の制約といった課題もある中で、デジタル技術を活用して持続可能な行政サービスの提供体制を確保することは重要な課題であると認識をいたしております。

 マイナンバーカードの申請件数が九千六百万件となるなど、整備を進めてきたデジタル技術の基盤も活用して、地方自治体と住民との接点である窓口の改革を更に進めていくべきと考えております。

 具体的には、対面の紙申請から非対面のオンライン申請にシフトすること、対面でもシステムを利用して書かない申請にすることで、住民の利便性向上とともに、職員にとっても、申請をデータで扱うことにより業務の削減につなげ、職員が、様々な困難を抱え、より手を差し伸べるべき方へ自ら出向いて相談を行うなど、人でしかできない業務により力を注いでいくべきものと考えております。

 デジタルを活用して窓口業務改革を行う上では、デジタル人材の育成が急務でありまして、DXの取組の中核を担う職員のスキル向上等の研修に係る経費などに対し、新たに特別交付税措置を講じることとしております。

 先進事例の横展開を図りながら、関係省庁と連携し、地方自治体の取組の支援を行ってまいりたいと思っております。

 地方DX、自治体のDXの推進は大変重要なテーマでありますし、総務省としては、地方自治体の行財政基盤を確保することは大切な役割であると考えておりますので、必要な対応ができるようにしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 ありがとうございます。

 スキルを上げていただくのはもちろん重要です。ただ、窓口の仕事量として、やはり過渡期の部分は、単純に作業量が、楽になるのではなくて負荷がかかるんだということについても目を配っていただきたいと思います。

 時間になりましたので質問できませんでしたが、デジタル庁にもお越しいただいております。今、デジタル庁で……

浮島委員長 岡本さんに申し上げます。

 申合せの時間が経過しておりますので、質問をおまとめください。

岡本(あ)委員 はい。

 死亡・相続ワンストップサービスというのを検討していただいております。身内が亡くなったときこそ、こういう行政の証明書がたくさん必要になったり、五月雨式に後々必要になりますが、亡くなった本人のマイナンバーは失効してしまいます。そうなると、使えないものが出てきますので、是非、デジ庁で検討しているこのワンストップサービス、更に検討が進むことを御期待申し上げ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 日本維新の会、守島です。

 まず、地方自治体の公営企業に関して聞きたいと思います。

 恐らく各都市で、水道管の老朽化率が高く、更新できていない話なんかはよく聞くと思いますが、水道事業会計に限らず、人口減少に伴う需要減少等で公営企業を取り巻く経営環境の厳しさというのが増しておりまして、持続可能な経営を行うには、抜本的な改革や経営形態の変更といった必要性が重要となっています。加えて、公営企業会計に普通会計から繰入れをしたり貸出しをしているような事例も多く、普通会計からも多くの償還負担が必要となっている現状、自治体運営へも影響を及ぼしかねないのが現状になっています。

 特に、大阪を含めた大都市は都市需要が大きいことから、こうした公営企業の負担が大きくて、あと、財政的に厳しかったということもありまして、この十年の間、大阪市では、例を挙げると切りがないんですけれども、例えば、地下鉄やバスの民営化、大学や研究所、病院、博物館群、動物園などの独法化、水道、下水道事業のPFIやコンセッション、市営住宅の指定管理制度化、その他港湾事業の事務を始め、様々な府と市との事業統合を進めるなど、数多くの経営形態の変更を行ってきたことで、財政が大きく改善し、サービス水準を維持しながら、持続可能性というのを高めてきました。

 総務省も、公営企業に対し、経営戦略の策定であったり、広域化の推進、民間活用の推進などを促してはいるんですが、どちらかというと、経営形態の変更に対する情報提供というのは少なく見えます。事実、総務省公営企業課の資料を見ても、例えば、水道や下水道なども、広域化とか共同化ばかりが推進されていて、経営形態の変更に対する旗振りというのが余りありません。

 改めて、公営企業の経営形態変更の重要性をどう認識しているのか、教えてください。大臣にお願いします。

松本国務大臣 公営企業の経営に当たりましては、事業そのものの意義、提供しているサービス自体の必要性、事業としての持続可能性について検証するとともに、住民にとって必要なサービスを安定的に継続していくために、経営形態の在り方について検討することは重要なことであるというふうに考えております。

 その上で、経営改革の手法としては、広域化、民間活用、民営化なども考えられるところでありますが、具体的な取組につきましては、サービスをいかに効果的、効率的に実施するかといった観点から、住民のニーズや民間の担い手の有無など、事業ごとの特性や地域の実情に応じて、各地方公共団体において判断されることが大切であると考えております。

 総務省としましても、これまでも、この旨を地方公共団体に助言するとともに、専門アドバイザーの派遣事業や広域化等に係る地方財政措置などを講じてきたところでございます。

 公営企業の経営改革の取組は、引き続き支援してまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 今、参考資料を配付しているので、これを見ていただきたいんですけれども、これは、昨年の実績で、累計ベースのデータがなかったので、けれどもトレンドは近いということで、こういうふうな公営企業改革がなされているという中で、やはり、各地方公共団体でと今大臣はおっしゃってくれましたが、地方主導では、広域連携などは着手されやすいものの、民営化などの、経営形態を自治体以外に委ねるという手段は取られづらいのが実態となっています。

 ちなみに、広域化は、あくまで官が運営するもので、広域化による規模のメリットというのは享受できるのは分かっていますが、効果というのは限定的と思っておりまして、例えば、独法や民が運営すると何が違うのかというと、自治体の単年度の予算の縛りなんかがなくなって中長期の経営計画が立てやすいことであったり、年度を越えた大量調達などのコスト大幅削減が可能になることであったり、人材の採用に流動性が保てるなど需給ギャップに合わせた組織運営ができるなど、多くの利点があるんですね。

 経営主体が変われば利用料金が上がるんじゃないかというような不安を聞くことも、僕もたくさんありましたが、サービス料に関しては議会で縛る方法なども十分にあるので、今後、積極的にこうした民営化などの経営形態変更が進められていくべきと考えますが、地方政府に任せるだけでは、結論として、どちらかというと協業化という形になりやすいので、効率的な経営形態の事例はしっかりと展開するべきと考えていますが、総務省はどう考えますでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 公営企業の経営改革につきましては、広域化、民間活用、そして今御指摘がありました民営化、それから、今はGX、DX、いろいろな必要な取組がございますので、取組類型ごとに事例集をこの三月に公表したところでございます。

 御指摘の民営化の取組につきましても、この事例集の中に、例えば、公営バスを民間事業者に譲渡して、一体的な運営とすることで、利用者の利便性が向上した取組などを掲載してございます。

 ただ、具体的にどういう経営形態がいいかというのは、あくまでも、やはり地域の実情で、地方団体にしっかり考えていただくことが必要だと思っております。

 そのため、総務省としては、現在、令和七年度までに、十年の投資見込みなどを含めた経営戦略、これをしっかり改定してくださいということをお願いしておりまして、引き続き、こうした優良事例の横展開、あるいはアドバイザーを国のお金で派遣をする、こういったこともやっておりまして、公営企業改革が適切に進展するように支援してまいりたいと存じております。

守島委員 ありがとうございます。

 是非、本当にアドバイズ機能を強化してほしいと思うんですね。やはり、選択肢の中で、自治体経営から離れるということを選ばない自治体というのは非常に多いので、しっかり事例を展開する中で、こういう道もあるということを選択肢として伝えてほしい、そういう役割を担ってほしいというふうに思っています。

 というのも、地方で決めると今、原さんも大臣もおっしゃったんですけれども、役所は首長が旗を振れば前向きにやってくれることがあるんですけれども、議会も通さないといけないところがたくさんありまして、議会の同意というのは非常に困難ということは、僕自身も十年半、市議を務めたので重々分かっていまして、地方の議員というのは、特に自身が公営企業に対する裁量を持つということに対する思いもありますので、公や自治体が運営をするということに縛られてしまう傾向にあるんじゃないかなというふうに思っています。

 しかし、公営企業経営に議会が影響力を持つというのは、長期的なサービスを維持向上させることに対して僕は必ずしもプラスに働くわけではないと思っていますし、経営に関しては不健全になることもあり得ます。

 こうした状況をブレークスルーしていくには、国がしっかりとアドバイザー機能を果たすということがキーポイントになると思いますので、地方裁量は大事ですが、よりよい改革案を示していただきたいというふうに思っております。

 次に、ふるさと納税について聞きたいと思います。

 ふるさと納税なんですが、過度な返礼品競争を防ぐため、総務省は、経費を寄附の五割以下と定めて報告をさせて、公表された二〇二一年の平均経費率は四六・四%だったものの、公表していない隠れ経費が存在していて、結果として多くの自治体で五〇%を超える経費がかかっていたということが昨今の新聞報道でありました。

 募集経費にワンストップ特例制度の経費などが含まれていなかったことや、ふるさと納税にかかる経費が、トータル、多くの自治体で五〇%を超えているという実態は、総務省は認識していたんでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の報道ですけれども、ふるさと納税につきまして、寄附金額の五割以下とすべき募集に要する経費以外にも、今、委員が御指摘ございましたワンストップ特例に関する事務や、寄附金に係る受領証の発行事務などに経費がかかっていることを指摘されたものと承知しております。

 こうした経費については、寄附が行われる場合に必要となる税務手続に関するものであることから、現行、ふるさと納税の募集に要する経費の対象外として取り扱っておりまして、その旨、ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQアンドAにおいて地方団体にもお示ししてきたところでございます。

守島委員 説明は分かりました。

 必須の税務手続なので募集経費とは別に捉えているということで、募集経費の枠組みでないんですけれども、募集経費の枠組みじゃなければ経費を積んでいいのかというと、結局、過度な返礼競争によって自治体に入る実入りというのがなくなっているという問題は解消されないので、募集経費以外の積み上げを許容するというのは違うと思うんですけれども、この点に関して、経費のキャップをかけることとかコストマネジメント等を行うことの必要性をどう考えますか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げた税務手続に必要な経費でございますけれども、総務省といたしましても、ワンストップ特例関係の手続については、平成三十一年から、寄附先の団体が住所地団体に対して行う通知を、一つ一つ通知するのではなくてeLTAXで一斉に通知できるように電子化いたしましたほか、寄附者から寄附団体に対して申し込む際のワンストップ特例の申請書、これもマイナンバーカードを利用したオンラインサービスが民間事業者で始まっておりますので、そうした活用を呼びかけるなど、税務手続のデジタル化を進めているところでございます。

 こうしたデジタル化の進展により、事務の効率化が図られることが期待されるところでございます。

 できるだけ多くの寄附金が地方団体に残り、各団体の施策に活用されることは、ふるさと納税の趣旨から大切なポイントだというふうに認識しておりますので、今後、現行、募集費用に含まれない経費の動向につきましても、地方団体の実情を伺いながら、よく見てまいりたい、このように考えております。

守島委員 結局、募集経費とはいえ、それ以外と、経費であるという枠組みでは変わらないと思うので、歳入を圧縮するという状況に関してはしっかり改善していかなければならないと思っています。

 政府も、ふるさと納税、促しつつも、頑張っている自治体ほど経費がかかって、上限も定められているという状況で、政策目標が非常に分かりにくい制度になっているんじゃないかなというふうに思っているんです。基本的に、この制度、どの自治体が頑張ろうがトータルの住民税は変わらないので、ゼロサムゲームというか、それどころか、返礼品であったり、先ほど来言っている経費がかかる分だけ税の実入りが少なくなってしまいますし、結局、多くの地方自治体で財政的にプラスになっていません。

 その上、国が交付税で減収額の四分の三を補填するという状況にあっては、結局、制度上、政府支出の増を招くものとなっていまして、厳しい国家財政に対してマイナスの影響を与えていると思うんですが、この点に対してどう考えるでしょうか。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 ふるさと納税につきましては、委員も御承知のとおり、地方団体を国が指定する制度を導入いたしまして、返礼品は寄附金額の三割以下かつ地場産品とするなどの基準を定めまして、各地方団体においてはこの基準の下で取組が進められているところでございます。また、ふるさと納税による特例控除額は、個人住民税所得割の額の二割を上限としております。

 また、地方財政についてのお尋ねもございましたが、地方財政計画においては、ふるさと納税に係る寄附金税額控除や寄附金収入を踏まえて、歳入を適切に計上した上で、地方が安定的な財政運営を行うために必要な一般財源総額を確保しているところでございます。

 私どもといたしましては、今後とも、ふるさと納税制度が適正に運用されるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。

守島委員 今の点は、地方財政計画で地方の財政は担保されているということは理解しつつ、結局、交付税の枠が、国が分担する部分が減収分だけ増えてしまいかねないので、国家財政が逆に負担が重くなっているんじゃないかという指摘をさせてもらったので、その点はまた、時間がないので、話をさせていただきたいと思うんですが。

 ふるさと納税の制度趣旨は、説明は何度も受けていますので、その意図というか、目的は分かる次第なんですが、実質的には、先ほど来の話のように、自治体の経費を増やして国の財政支出も増やしてしまっている点でデメリットの多い制度であると私は考えています。

 そもそも住民税を別の自治体に払えば、住居地の住民サービスにはただ乗りすることになり、住民税の応益負担という原則には反してしまいます。総務省がフリーライドを助長する制度を推進していることに根本的に違和感を持っていますし、日本全体の財政にマイナスな影響を与えているということも踏まえれば、僕はこれをやめることも選択肢に含めた上で制度の抜本改正を検討するべきと思いますが、どう考えるでしょうか。

松本国務大臣 委員から今幾つか御指摘があったかというふうに思いますが、様々な観点を総合的に勘案した上で、ふるさと納税は、ふるさとやお世話になった地方団体への感謝の気持ちを伝え、税の使い道を自分の意思で決めることを可能とするものとして創設された制度だというふうに理解をしております。

 この制度を活用して寄せられた寄附金は、子供食堂などの子育て支援や、遠距離通学支援など教育に関する取組、災害時の被災者支援など、様々な地域の課題解決のためにも使われているというふうに承知をしております。

 返礼品として地場産品を提供することで、新たな地域資源の発掘を促し、雇用の創出や地域経済の活性化につながっている面もございますが、制度が普及する過程で過度な返礼品競争が行われることなどを背景に、令和元年度に対象となる地方団体を国が指定する制度を導入し、本年もこの指定基準の運用を厳格化する改正を行ったところでございます。地方団体におかれましては、指定制度におけるルールの遵守を徹底していただくとともに、制度の趣旨を踏まえ、節度ある取組を行っていただくことが大切であると考えております。

 委員からのただいまの御指摘も含め、様々あるところでございますけれども、今後とも、指定制度の下、各地方団体と納税者の皆様からの御理解をいただきながら、ふるさと納税制度が本来の趣旨に沿って適正に運用されるように取り組んでまいりたいと考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 大臣がおっしゃったように、本来の趣旨としては、ふるさとやお世話になったところに税を支払うということなんですけれども、実態としてそうなっていないからこそ、応益負担の原則と乖離してしまうということです。応益負担の原則と思い切り乖離しているような状況であれば、撤退も含めて見直しを根本的に図らなければいけないんじゃないかということで、そういう意見をさせていただきました。

 時間が来たのでまとめますが、僕も中小企業診断士や企業人の一員としてこれまで会社をるる見てきたんですが、持続可能な組織をつくるという経営者というのは、やはりいざというときに撤退戦略を取れる人だと僕は確信しています。過去の成功体験から抜け出せずに、事業継続が目的となってしまっては、これは後々に取り返しのつかないことになり得ますので、しっかり状況に応じた、制度本来の趣旨の方向にちゃんと進むのか撤退するのかという経営の方針変更も含めて、しっかり大臣に考えていただきたいと思います。

 インターネット投票のこともありましたが、それは次回に回したいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、中司宏君。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、選挙制度について質問させていただきます。

 統一地方選挙が終わりましたが、今回の選挙で、投票率の低下とともに、議員のなり手不足、また要人の警護などの課題が更に顕著になったわけでありまして、これらは小手先の改革ではなかなか解決できないものだと考えます。

 投票率の低下に歯止めをかけるために、期日前投票制度の充実や移動投票所などの取組も進んでおります。以前の不在者投票に比べて更に便利になりまして、その結果、投票数に占める割合が過去四回の国政選挙で三〇%を超え、自治体によっては五〇%を超えるところもあります。

 場所によっては大勢が投票所に列をなす状況であって、投票率のアップにはつながっていると思うんですけれども、反面、本人確認がきちんとできているかという疑問もあります。

 今回、大阪府知事選及び府議選において、他人に成り済まして投票しようとした男の人二人が公選法違反の容疑で摘発されています。これは期日前投票での事案ではないんですけれども、同様の成り済まし投票の摘発は過去に何件も例がありまして、こうしたことが横行すれば、選挙結果がゆがめられて、公平な選挙は保てなくなると思います。

 期日前投票は、投票所の入場券、入場の整理券がなくても、また本人確認ができる身分証明書などの提示がなくても投票できると聞きますが、その場合、どうやって本人確認をしているのか、また、二重投票などのミスは起こっていないのか、その点についてまず伺います。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 選挙の投票においては、選挙の公正を確保するために、本人確認を確実に行うことが重要であるというふうに考えているところでございます。

 公職選挙法第四十四条の規定において、選挙人は選挙人名簿との対照を経なければ投票することができないとされておりまして、具体的には、選挙人が投票所入場券を持参した場合には、投票所入場券の情報を選挙人名簿と対照することにより本人確認を実施をしているものというふうに承知をしているところでございます。

 投票所入場券を持参しない場合などには、身分証明書の提示を求めることや、氏名、住所等を確認することなどにより本人確認を実施しているものと承知をしております。

 また、他人に投票所入場券を譲渡する等により成り済ましによる投票を行うことにつきましては、公職選挙法第二百三十七条に規定する詐偽投票罪に当たるものでございまして、例えば、投票所入場券等に本人以外は使用できない旨の注意喚起の文面を記載するなど、違法行為の防止を図るように要請をしております。

 直近の国政選挙での詐偽投票の検挙の件数ということでいきますと、令和四年の参議院選挙では五件七人、令和三年衆議院では六件六人、こういったものがございます。

 引き続き、投票所等における適切な本人確認の徹底について、各選挙管理委員会に対し要請をしてまいりたいというふうに考えております。

中司委員 本人確認の徹底と言われますけれども、果たして今のその在り方で徹底されているかどうかということは疑問があります。

 投票所のスタッフの方とか立会人とかが、しっかりとたとえ役割を果たしておられたとしても、仮に意図的に成り済まし投票を行うとすれば、未然に防ぐことはなかなか難しいのではないかなと思っております。

 投票率を上げるために利便性だけ追求すれば、厳格な本人確認がおろそかになってしまって、結果、公正な選挙が阻害されることになれば、これは本末転倒であり、選挙の信頼性が揺らいでしまいます。

 現状の本人確認の方法で、果たして成り済まし投票を防止できるのか。これは民主主義の根幹に関わる問題であると考えますが、大臣にこの点についてお伺いします。

松本国務大臣 委員からも御指摘がございましたように、投票率の向上も大切なテーマでありますが、本人確認は、申し上げるまでもなく、ある意味、必ず行わなければならない大切なことであろうというふうに思っております。おっしゃったように、選挙の投票において、選挙の公正の確保となる本人確認を確実に行うことは、極めて重要であるというふうに考えております。

 投票所におきましては、本人宛てに直接郵送されている投票所入場券を持参いただいて、選挙人名簿の氏名、生年月日等の情報に基づいて本人確認が実施されているというふうに承知をしております。入場券を持参しない場合などにおいては、マイナンバーカードなどの本人確認書類の提示を求めることなどにより、本人確認を実施しているところでございます。

 他人に成り済まして投票を行う詐偽投票については、罰則を設け、これを処罰することとしておりますけれども、これを防ぐ上でも、各投票所等において適切に本人確認を実施していただければ、このように考えているところでございます。

中司委員 大臣の思いはよく理解をさせていただきます。認識を持っていただいているということです。

 ただいまマイナンバーのことがありましたが、私としては、マイナンバーカードを投票所の入場券の代わりに活用すれば、本人確認が確実にできるものと考えます。新潟県の三条市では、既に独自の取組を行っておられます。

 成り済ましとかミスをなくすために、マイナンバーカードを活用して、投票における本人確認を確実にすべきと考えますけれども、この点、改めて、大臣、これを推進していただきたいんですけれども、よろしくお願いします。

松本国務大臣 今お話がありましたマイナンバーカードは、投票所入場券を持参しない場合など、本人確認書類として活用されているところでございます。

 マイナンバーカードの空き領域を活用して、期日前投票の宣誓書へ自動入力することで、期日前投票所における待ち時間の解消に取り組んでいる団体もあると承知しております。こうした取組については、横展開を図ってまいりたいと考えております。

 投票所における本人確認をマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書で行うこととする場合は、マイナンバーカードを保有していない又は利用者証明用電子証明書を発行していない有権者の取扱いをどうするか、投票所で有権者が四桁の暗証番号を忘れたり誤って入力した場合に円滑な対応ができるかといった論点もあろうかというふうに考えております。

 こうした点も踏まえながら、投票所におけるマイナンバーカードの活用の在り方については、投票環境向上の観点から、どのような活用ができるか、検討してまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 今おっしゃったように、二重の事務が発生するので、持っておられる人と持っていない人で。だから、非常に対応も混乱する場合もあるかもしれませんが、これは、できるだけ、このマイナンバーを普及するということも併せて考えていただいて、横展開をしていかれて、支援策も考えていかれるように、要望させていただきます。

 私は、こうしたマイナンバーカードの活用の先に、インターネット投票、これがあるかなというふうに考えておりますので、是非検討をお願いいたします。

 次に、地域自治についてお聞きします。

 地域の身近な公共であり、共助を担う自治会の加入率、組織率の減少が、地域社会に深刻な影を落としていると思います。しかも、この間のコロナ禍で、地域での各種行事とか防災訓練なども中止となって、地域のきずながますます希薄になってきている現状があります。

 本委員会で何度も指摘されていますけれども、その対応策として、昨年四月に地域コミュニティに関する研究会の報告がまとめられたと聞いております。

 その後、一年が経過しましたが、この間にどのように取組が進んで、どんな成果があったのかをお聞きいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 御紹介いただきましたように、総務省では、令和三年度に地域コミュニティに関する研究会を開催し、地域活動のデジタル化、自治会等の活動の持続可能性の向上、地域コミュニティーの様々な主体間の連携という三つの視点から御議論いただき、昨年四月に報告書を取りまとめていただきました。

 これを受け、総務省といたしましては、昨年度、自治体職員等との意見交換や説明会を実施し、機運の醸成を図ってまいりました。

 また、令和四年度からは、自治会等への加入促進や自治会等の活動内容の周知に対し市町村が支援する経費について、新たに地方交付税措置を講じているところでございます。

 こうした中、令和四年度に実施いたしました地域コミュニティーに関する市区町村の取組状況の調査によれば、例えば、地域活動のデジタル化や自治会等の加入促進に関する予算措置を検討する自治体の数に増加傾向が見られるほか、広報物の住民への配付などを自治会に依頼するいわゆる行政協力業務の見直しを実施し、又は検討している自治体も徐々に増えているところでございます。

 また、今年度は、地域活動のデジタル化の促進に向け、電子回覧板等の地域交流アプリを約五十の自治会に活用していただき、その成果を全国の自治体に共有することとしております。

 総務省といたしましては、本研究会の成果が各自治体における施策の実施及び自治会等での実践につながることとなるよう取り組んでまいります。

中司委員 一定これは理解をさせていただくんですけれども、効果的な取組が進むように更にお願いしたいと思っています。

 そうした中で、早急に取り組むべきことですが、これは、防災とか福祉とか子育て、こうした地域活動の様々な分野で主体間の連携とか協働、この推進を強化しなきゃならないと思っています。それをつなぐコーディネーター、それから人材の育成、これをどう進めていくのか。コロナ禍で大変厳しい中で、地域力が下がっている中ですけれども、これを回復するためにも必要だと思いますので、その点、どうでしょうか。

吉川政府参考人 研究会の報告書におきましては、地域コミュニティーにおける自治会やNPO等の様々な主体間の連携を強化する方策の一つとして、市区町村が連携のコーディネーターを活用することについて提言がなされております。

 総務省といたしましては、こういう提言が各自治体における施策の実施等につながることとなりますよう、自治体職員等との意見交換などを通じて機運の醸成を引き続き図ってまいりたいと考えております。

中司委員 ありがとうございます。

 民間の研修機関等も活用するということも有効だと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、地域コミュニティーの組織力の低下、これは今お話ししましたが、そういう中で、地域力が落ちているという状況ですが、地域の安心、安全の担い手として大きな力を発揮するのが消防団だと思います。しかしながら、昨年、消防団員数が初めて八十万人を割り込むなど、団員のなり手不足も深刻な問題となっています。

 これまで本委員会で様々な指摘もありまして、活性化への取組が進んでいますけれども、古い体質から脱皮するための課題もたくさんあると思っています。団員の報酬の改善とか、いわゆる報酬のプール金の解消とか、それから機能別団員制度の促進とか、消防団の協力事業所制度の活用、また過度な操法訓練の負担の軽減、そうした課題もあるわけでして、これまで指摘された課題の解決に向けてどういう取組がなされているのか、お示しください。

澤田政府参考人 お答えいたします。

 消防団が初めて八十万人を下回る危機的な状況であるということは、委員御指摘のとおりでございます。

 こうしたことを踏まえまして、消防庁といたしましては様々な取組をしております。

 その一つとしまして、処遇改善を引き続き求めているところでございますが、令和四年当初から、消防団員の報酬等の基準を定めまして、全国の市町村に強く働きかけをしてまいったところであります。

 令和四年四月一日時点で、基準を満たす市町村が七割となりました。さらに、令和四年中に対応した団体も多くございますので、消防団員の処遇改善は一定大きく前進したものと考えております。

 昨年末にも、改めて処遇改善の速やかな実施を依頼したところでございまして、今後も、都道府県と連携しながら、消防団員の報酬に係る地方財政措置の見直しを丁寧に説明するなど、様々な機会を捉えまして、速やかな対応をお願いしてまいりたいところでございます。

 操法大会の見直しにつきましても、令和三年八月の検討会最終報告書におきましては、操法大会を前提とした訓練が大きな負担となっていることから、大会主催者において随時の見直しを行っていくことが重要であると示されたところでございます。

 こうした指摘を踏まえまして、総務省消防庁では、日本消防協会の全国消防操法大会の操法実技に関する検討会に加わり、全国操法大会の実施要領につきまして、災害現場における実際の動作とは異なる、いわゆるパフォーマンス的、セレモニー的な動作の見直しを行うとともに、そのような動作の一斉化は審査対象としないという旨、明確化したところでございます。

 全国消防操法大会につきましては、従前から様々な御議論がございます。参加した消防団、そして関係者の御意見をよくお伺いしながら、共催でございます日本消防協会とも連携しつつ、今後とも引き続き検討を行ってまいりたいと存じます。

中司委員 よろしくお願いします。

 もう時間が間もなく来るので、最後の質問になりますが、今年の二月の本委員会で、消防の広域化、広域連携について、取組を、これは常備消防ですが、伺ったんですけれども、管内人口が十万人以下の小規模消防本部、これは、消防庁では広域化に関する基本指針に基づいて広域化を進めておられます。その広域化の推進の期限が令和六年四月となっていますが、小規模消防本部の割合はまだ全体の六割ほどありますので、成果が出ているとは言えません。

浮島委員長 中司君に申し上げます。

 申合せの時間が経過いたしておりますので、質問をおまとめください。

中司委員 分かりました。

 この取組について、よろしくお願いしたいと思います。

澤田政府参考人 御指摘のとおり、大規模災害が頻発している現状、それから人口減少が進むという現状を踏まえますと、消防本部の更なる体制強化は重要でございまして、消防の広域化、連携協力をこれまで以上に推進していく必要があるというふうに存じております。

 議員御指摘のとおり、令和六年四月で広域化推進期限が参りますことを踏まえまして、現在、検討会を設置し、検討を行っております。本年夏頃をめどに検討会報告書を取りまとめる予定でございますが、その報告書を踏まえまして、消防力の維持強化に向けまして、令和六年四月一日以降の消防庁の取組、消防本部に対する支援の在り方について、検討をしっかりと具体化してまいりたいと存じます。

中司委員 質問を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

 先ほどから各委員からも質問があっておりますけれども、対話型AI、チャットGPTについて質問させていただきます。

 今、世界中で活用が急速に広がっておりまして、その生みの親であるオープンAI社のCEO、アルトマン氏が先日来日をして、岸田総理と会談をされました。アルトマン氏は、AI技術の長所と、欠点をどう軽減していくかということについて岸田総理と話し合ったというふうに述べられております。

 デジタル大臣、また経産大臣も活用していく方針を示されておりますし、官房長官も、情報漏えいのリスクなどの懸念がクリアされれば、国家公務員の働き方改革のために活用したいと述べられております。松本総務大臣も記者会見で、新しい技術は使ってみなければ分からない、まずは試みとして利用してみたいという旨の御発言をされております。

 一方では、欧州では厳格な個人データ保護法制がありますし、米国では規制に向けた動きが出ております。

 AI技術については、我が国の研究開発の整備などの推進と規制、これをどのように考えていくかという大変重要な局面にあると考えております。松本総務大臣の御見解をお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 新しい技術についての考え方は、既に今お話し申し上げているところですが、一般論として、使ってみなければ分からないところがあるということに加えて、やはり、開発、そして利活用、適切な規制といった三つの側面、いずれもが重要であるとの考え方で取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 行政分野でのAIの利活用につきましては、要機密情報の取扱いや個人情報の保護といった課題に関しては、政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準といったルールがございます。生成AIについては、更に著作権や知的財産権などの課題も指摘されているところでありまして、その利活用の仕方によりまして、更に対応が必要な場合に適切なルールを検討することが大切であると考え、政府におきましても検討する体制を設けたことは報道などで御案内のところかと思いますが、総務省といたしましても、省内で検討体制をつくりまして、外部の知見もおかりをしながら、業務にAIがどう活用可能なのか、検討を始めたところでございます。総務省としては、政府全体での取組の在り方を共有しつつ、試みとして利用してみたいと申し上げてきているところでございます。

 規制と推進ということでお話がございましたが、特に利活用の在り方によってはということでございますし、先ほど御質問もありましたが、国民の皆様にも、私どもも情報をしっかり提供することで、しっかりAIそのものについての御理解を広げていただけるような形で進めてまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣からも、著作権や知的財産権に課題があるということが、お話がございましたけれども、技術革新による計り知れないメリットとともに計り知れないデメリットがあるという言葉に報道で私は接したんですけれども、まさにそのとおりなのではないかというふうに私自身は考えます。

 先ほど挙げられました著作権、知的財産権を含めて、プライバシーや人権、そしてまた教育、また雇用についても、また安全保障についても様々な懸念があるというふうに思いますので、人類がAIとどう向き合うかという大変大きなテーマになるというふうに思いますけれども、先ほどからあっております二十九日から始まるG7デジタル・技術相会合におかれましては、是非、松本総務大臣、リーダーシップを持って、テーマとして、責任あるAIとAIガバナンスの推進というテーマも含まれておりますので、我が国が主導して、どのように向き合っていくかという国際ルール作り、是非先導していただくことを御期待を申し上げたいと思います。

 続きまして、さきの委員会で質問させていただきました質問について、再質問させていただきます。

 マイナンバーカードの取得に課題がある方々の環境整備について、このことは大変重要だというふうに捉えております。病気や障害、認知症によりまして御本人の意思を明確に示すことができない場合に、マイナンバーカードを取得できない事態が想定をされます。

 一例としては、マイナンバーカードと保険証の一体化を考えたときに、保険証が廃止をされ、マイナ保険証への移行が図られる中で、マイナ保険証を取得しない場合は資格確認書が発行されますが、これも自らの申請によって発行されるものでございます。マイナンバーカード、資格確認書、いずれの取得にも自らの意思を表明できない方々に対しまして、医療アクセスを含めて、様々な行政サービスにおいて、サービスを受けられないことですとか財政的な負担などの不利益が生じることがないということについて、再度確認をさせていただきます。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードは、デジタル社会を実現していくための基盤となるツールであり、国民の皆様にはデジタル化のメリットを享受していただけるものでございます。

 その上で、マイナンバーカードを保有されている方にどのようなサービスを提供するか、また、保有されていない方への対応をどうするかについては、当該サービスを提供しようとする各省庁や自治体において適切に判断されるものと考えております。

 御指摘の、健康保険証について、何らかの事情でマイナンバーカードを取得できていない方が保険診療を円滑に受けられるようにするために、資格確認書を交付するなどの対応策も講じられることとなっております。

 なお、資格確認書も申請主義であるという御指摘でございますけれども、現在国会で御審議いただいております改正マイナンバー法の中では、仮に本人の申請により資格確認書を受け取ることがなかなか難しいといったケースに対応するため、当分の間、保険者が必要と認めているときに、本人からの申請によらずに資格確認書を交付することができる旨の経過措置も設けられていると承知しております。

西岡委員 今御答弁がありましたように、地・こ・デジ特別委員会におきまして、審議の中で私も同様の質問を河野大臣にさせていただきまして、今御説明があった経過措置についてはお聞きをいたしました。

 ただ、これは保険証との一体化の局面でございますので、マイナンバーを取得できない方について、意思を表明できない方々について、どういうふうに政府が明確に、不利益を生じることがないということをやはり政府としてしっかりと表明されることこそが、誰一人取り残されないということにつながるのではないかというふうに思います。

 今、このマイナ保険証への移行、資格確認書のところで御答弁がございましたけれども、やはり、マイナンバーカードを取得できない、表明できない方々へのしっかりした方針というものを示すべきだというふうに思いますけれども、このことについての御見解を再度お伺いしたいと思います。

吉川政府参考人 御本人の意思を明確に示すことが困難な方がマイナンバーカードを取得できないといったことが想定されるというのは、そのとおりであろうかと思います。

 その上で、現在、やはり、不利益がないようにという点に関しましては、健康保険証がマイナンバーカードと一体化する部分についての御懸念が語られているということであろうかと認識しております。その点については、具体的に、先ほど申し上げたような対応が取られているということでございます。

 繰り返しになりますけれども、マイナンバーカードを保有されている方にどのようなサービスを提供するか、保有されていない方への対応をどうするかについては、サービスを提供しようとする各省あるいは自治体において適切に判断されるものと考えております。

西岡委員 やはり、誰一人取り残さないデジタル社会の実現という中でマイナンバーカードを推進されているという中では、しっかり、こういう表明できない方々に対する政府としてのメッセージといいますか、不利益はないということを明確にされることが私は必要だということを申し述べまして、次の質問に移りたいと思います。

 先ほど言及がございましたけれども、今国会に提出をされておりますマイナンバー法改正案におきまして、郵便局において、マイナンバーカード交付に関する事務、またオンラインでの厳格な本人確認の実施などの業務を行うということがこの法案に盛り込まれております。

 地域住民にとっては、郵便局での業務が可能となることは、利便性が高まると同時に、地域に根づいた郵便局で行うことができることは大変有効な施策であると考えますけれども、局員の方が少ない過疎地ですとか、離島、半島におきましては、通常業務もある中で、負担となることが想定をされます。

 政府として、また総務省としてどのように支援していく方針であるかということについて、お伺いをさせていただきます。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 今回の郵便局事務取扱法の改正案は、市町村が指定する郵便局と市町村とをビデオ会議システムを用いてオンラインでつなぐことにより、郵便局においても本人確認が可能となる交付申請受付等を行えるようにいたしまして、もって交付申請者の利便性の向上等に資するものと考えております。

 実際に郵便局を活用したカードの交付申請の受付などを行うためには、その意向を有する市町村があらかじめ日本郵便株式会社と協議し、議会の議決を経て郵便局を指定する仕組みとなっておりまして、過疎地域や離島、半島地域などを含め、郵便局や市町村の意向と関係なしに郵便局で事務を行うようになるというものではございません。

 総務省といたしましては、市町村と郵便局がマイナンバーカードを交付するための標準的な業務フローをお示しすることなどによりまして、市町村と日本郵便株式会社との協議を円滑に進めることができるようにするとともに、この仕組みを導入することとした市町村や郵便局における事例や工夫を共有するなど、市町村と郵便局が事務を円滑に行えるような環境を整備してまいります。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きまして、マイナンバーカードの普及促進に向けまして、今後、国民の利便性を高めるためには、各自治体においてマイナンバーカードの利活用の拡大に積極的に取り組むことが大変重要でございます。

 先般、総務省からも通達が発出をされておりますけれども、総務省の取組と自治体の先進事例、横展開の取組についてお伺いをいたします。

吉川政府参考人 マイナンバーカードの普及と利活用促進を図り、地方のDXを推進していくことは、住民の方々の利便性向上や地域の活性化に資するものでありますとともに、自治体職員の事務負担を軽減し、職員が、地域の実情を踏まえた企画立案など、創意工夫をより発揮すべき業務に注力できる環境の整備にもつながるものでございます。

 例えば、幾つかの自治体が取り入れております書かないワンストップ窓口は、マイナンバーカードの活用やデータの連携により、住民の皆様には早い、易しい、サインするだけで行政手続を行うことができ、一方、職員の方々にとっては業務の削減にもつながっております。また、保育所の登園、降園を子供たちのマイナンバーカードを活用することで、登降園の状況を家族が共有できるようなシステムを進めている事例や、地域の各医療機関と連携し、マイナンバーカードを活用して診察券を共通化するといった取組を進めている事例もございます。

 総務省といたしましては、こうした自治体の好事例を全国に紹介し、横展開に努めてまいります。

 さらに、来月からはマイナンバーカードの機能がスマートフォンへ搭載されるなど、カードの更なる利活用の拡大や利便性向上の取組を進めておりまして、今後とも、関係省庁と協力し、マイナンバーカードの普及と利活用促進にしっかりと取り組んでまいります。

西岡委員 しっかり、国民の利便性を高めるために、また、行政手続の簡略化も含めて、様々な、今、自治体で好事例とも言えるお取組が進んでおりますので、その横展開を含めて、お取組を引き続きお願いをしたいと思います。

 一問、後に回させていただきまして、地域公共交通の在り方について質問させていただきます。

 昨日、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、二〇七〇年までの人口推計を発表いたしました。七〇年には、人口が三割減少し、人口八千七百万人、そして外国人が一割超となるというデータが示されております。

 地域においては、人口減少が急速に進展をして、少子高齢化の中、コロナ禍が重なりまして、JRも含めたあらゆる公共交通機関が大幅赤字となり、厳しい経営状況が今も続いております。地域公共交通の維持、確保は地方にとって大変重要な喫緊の課題であります。特に、中山間地、過疎地、離島、半島地域において、こういう条件不利地域におきましては、あらゆる人が移動サービスを享受できる地域社会を形成することが大変重要だと考えております。

 今般、地域公共交通の活性化及び再生に関する改正法案が成立をいたしましたけれども、通学の足の確保、高齢者の皆様、住民の皆様の移動の確保、維持、これは大変重要であります。事業者や地方自治体任せではなくて、国がもっとしっかり支えていく体制が私は必要だと思います。財政的な支援が不可欠だと思います。

 これは、国民民主党としては、地域公共交通維持のための基金を創設することが有効であるという提案も、党としてはさせていただいております。今のこの地域公共交通の在り方についての松本総務大臣の御見解をお伺いをいたします。

松本国務大臣 地域公共交通は、地域住民の暮らしを支える重要な役割を担っていると認識をしております。

 地域公共交通の確保、維持に要する経費については、国土交通省による支援に加え、総務省としても、補助事業の地方負担及び単独事業について、地域の実情に応じて地方財政措置を講じております。今国会で成立した地域公共交通活性化再生法の一部改正を踏まえ、国土交通省が創設するローカル鉄道の再構築に係る補助事業の地方負担についても、新たに地方財政措置を講じることとしております。

 地域公共交通の確保、維持のための国の財政支援については、まずは所管である国土交通省において検討していただく必要があるかと考えますが、総務省としても、国土交通省と連携しながら適切に対応してまいりたいと考えております。

西岡委員 松本総務大臣も地域の状況を本当によく御存じだと思いますので、総務省も積極的なお取組を是非お願いをしたいというふうに思います。

 それでは、時間も少なくなりましたけれども、孤独・孤立対策について質問させていただきます。

 国民民主党は、二〇一九年に、他党に先駆けまして、孤独・孤立対策を国として取り組む必要性、また担当大臣の新設というものを提案をしてまいりました。法案も提出をさせていただいております。コロナ禍で孤独・孤立対策の必要性が広く認知をされまして、担当大臣も新設され、国としての取組もスタートいたしております。

 国による初の実態調査で、全世代の四割が孤独であると回答して、特に、二十代から二十九歳の若者で、失業されている方や男性の単身者、また公営住宅の居住者の方も大変孤独感が高いというデータが明らかになりました。

 孤独、孤立は生活困窮や児童虐待、DVなどの増加という、そして自殺に対しても大変大きな影響があります。この孤独・孤立対策は、重要な課題であると認識をいたしております。

 今国会には、孤独・孤立推進法が提出をされております。対策に向けた官民の地域協議会の設置が努力義務とされておりまして、NPO法人などの民間の力が不可欠でございます。

 問題は、いかに地域における孤立されている当事者と行政や社会との接点を多くつくり出すか、これが大変重要だと思います。相談や支援につながるタッチポイントを増やすことや、地域におけるつながる場所を増やすこと、大変重要だと考えております。

 総務省としてのお取組や今後の方針についてお伺いをしたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 孤独、孤立の問題につきましては、今後、単身世帯や単身高齢世帯の増加によりまして更なる深刻化が懸念されておりまして、この問題に対して継続的、長期的な政策対応を行うため、国や地方における推進体制の整備などについて定める法律案が今国会に提出されているものと承知しております。

 総務省では、孤独・孤立対策に資する取組として、例えば、孤独、孤立の問題を抱える方々にも寄り添い、社会のセーフティーネットとして機能しております行政相談を利用していただけるよう、SNSなども活用した広報活動に取り組みますほか、インターネット上の誹謗中傷などに悩まされている方に的確にアドバイスできる相談体制の充実などの取組を行っております。

 また、地域において孤立しがちな高齢者や児童、子育て世代の交流の場、居場所づくりなどを行います地域運営組織の取組に対する地方財政措置など、市町村に対する支援などを行っているところでございます。

 総務省といたしましては、今後とも、関係省庁と連携しながら、孤独・孤立対策に資する取組を進めてまいりたいと思います。

西岡委員 相談支援につながるタッチポイントを大変増やしていくという中で、地方自治体の役割は大変重要でございますので、総務省としてしっかりと支援をしていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、冒頭に聞きたいと思います。

 資料一を見ていただきたい。四月二十二日付毎日の記事です。

 四月十六日告示、二十三日投票で行われた北海道旭川市議選に女性として立候補されたトランスジェンダーの候補をめぐり、道選挙管理委員会は二十日、総務省から戸籍の性別で集計するよう指示があり、扱いを男性に変更したという記事であります。

 道選管によると、市選管から十六日、届出状況の報告があり、総務省に市が受理した女性として報告したが、翌十七日、LGBTなど性的少数者の候補者の性別取扱いを確認したところ、総務省から戸籍に基づき報告するよう指示があったというものです。

 まず、これは事実ですか、選挙部長。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省では、統一地方選挙に際し、各種統計の取りまとめを行っており、この中で、党派別立候補者数とそのうちの女性の数について、各都道府県の選挙管理委員会からの報告を受け、都道府県別の合計数値を公表しております。

 都道府県別の集計を行うに当たっては、立候補届に添付されている本人を公証する書類である戸籍謄本等に基づき、性別の報告をいただいております。

 北海道選挙管理委員会から、数値を報告するに当たっての考え方についての問合せを受け、総務省よりこの考えを説明し、同委員会より数値の訂正報告があったことは、報道されているとおりでございます。

宮本(岳)委員 事実なんですね。

 資料二の三月三十日付東京の記事では、総務省選挙部の担当者は、客観的な事実として性別を確認できる資料は立候補届に添付される戸籍に限られるため、そうしていると説明したといいます。

 これは、つまり、戸籍と性自認が食い違っているトランスジェンダーの場合、性自認は客観的な事実とは認められず、戸籍だけが客観的な事実だということですか、選挙部長。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御答弁したとおり、都道府県別に党派別立候補者数の集計を行うに当たっては、立候補届に添付されている本人を公証する書類である戸籍謄本等に基づき、性別報告をいただいております。

 お尋ねの報道における説明については、トランスジェンダーの方の客観的な性別が戸籍上の性別に限られる旨を述べたものではなく、都道府県別の集計を行うに当たっては、立候補届に添付されている本人を公証する書類である戸籍謄本等に基づき、性別の報告をいただいている旨を説明したものでございます。

宮本(岳)委員 先日、四月二十一日に国会内で、超党派議員でつくるLGBTに関する課題を考える議員連盟役員会が開催され、私も参加をいたしました。参加された与党議員からも、五月のG7広島サミットまでにLGBT理解増進法の成立を目指す考えが示されました。

 日本は、この課題で、なお世界から大きく後れを取っております。あくまで戸籍上の性別が客観的事実で、本人の性自認は二の次だなどという議論は、二〇〇三年に、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律、いわゆるGID特例法が成立したときに決着のついた議論です。戸籍ではなく御本人の性自認こそ客観的な現実であって、そちらに戸籍の方を合わせようと。

 したがって、この扱いについては直ちに改善を検討すべきではありませんか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 自認する性を記載をした立候補届出を基に男女別の統計を集計するということに関しては、各種統計における男女別について、どのような定義で取りまとめるかという議論を踏まえる必要があると考えております。

 第五次男女共同参画基本計画においても、ジェンダー統計における多様な性への配慮について、現状を把握し、課題を検討することとされておりますので、総務省としても、内閣府と連携し、どのような定義の統計を取っていくか、必要な検討を行ってまいりたいと考えております。

宮本(岳)委員 検討は当然だと思うんですね。

 GID特例法以前は、戸籍上の性別と本人の性自認が一致しない場合には、戸籍上の性別を動かし難いものとして、意識の方を変えさせようと、治療とか指導といったことをしようとしてまいりました。しかし、GID特例法の立法趣旨は、それを百八十度ひっくり返して、性自認こそ客観的な現実であることを認め、戸籍上の性別を性自認に合わせることを認めるものでありました。総務省の言うような、客観的な事実として性別を確認できる資料は戸籍に限られるという考えそのものを改めたのが、この法律だと思います。

 是非、早くこれは改めていただくように求めて、マイナンバーカードに移りたいと思います。

 三月二十七日昼頃、横浜市内のコンビニエンスストアで、マイナンバーカードを使って住民票の交付を受けようとした市民に、他人の住民票が発行されるという考えられないトラブルが発生いたしました。磯子市役所に入った住民からの一本の電話から始まり、青葉区役所や横浜市のマイナンバー専用コールセンターなどにも同様に誤発行の連絡が相次いだわけです。

 資料三は、この誤交付を起こした富士通Japanの記者発表資料に添付されていた、「発生した事象の流れと原因」と題された図表であります。

 自治行政局長、何が起こったのか、事象の流れと原因を簡潔に説明していただけますか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 三月二十七日の横浜市の事案でございますが、コンビニエンスストアでの証明書交付サービスで別人の証明書が交付される事案が発生し、横浜市は同日中にサービスを停止するとともに、再発しないよう必要なシステム上の対応を行い、二十九日にサービスを再開したものと承知しております。

 本件は、横浜市が管理する証明書発行サーバーのアプリケーションに起因するものと聞いております。

 具体的には、証明書の交付申請件数が増加し、受付の上限値に継続的に到達した結果、処理遅延により一部の申請のキャンセルが発生しましたが、このキャンセルの処理の際にプログラムに誤りがあったため、強制的に印刷処理中の証明書データが後続の交付申請に係る証明書データに置き換わったものと聞いております。

宮本(岳)委員 分かりにくい説明なんですけれどもね。まあ、バグがあったということなんですが。

 報道によると、市民からの連絡を受けた横浜市は、システムに何かしらのトラブルが発生していると判断し、富士通Japanの担当者にすぐさま連絡し、同日午後二時にコンビニでの証明書交付サービスを停止したと報じられております。

 事実を確認しますが、横浜市から連絡を受けた時点で、富士通Japanは、トラブルの発生を認識していたのか、それとも言われるまで気づかなかったのか、どちらですか。

吉川政府参考人 富士通Japanは、横浜市からの連絡により事案の発生を認識したと聞いております。

宮本(岳)委員 サーバー管理者であった富士通Japanが、住民票の誤交付というような深刻なトラブルを横浜市からの連絡を受けるまで知りもしなかったとすれば、事態は一層深刻であります。つまり、富士通Japan自身には、アラート機能が働いていなかったということを示すわけですね。

 ところが、河野太郎デジタル担当大臣も、松本剛明総務大臣も、横浜市の証明書発行のサービスを担っているベンダーのアプリケーションの問題であり、マイナンバーカード自体やカードを使った情報連携の仕組みに問題があるわけではないと言い放ち、マイナンバーカードの信頼性に影響するものではない、こうおっしゃっています。

 松本総務大臣に確認しますけれども、全く問題はないというお考えですか。

松本国務大臣 横浜市において発生したコンビニエンスストアでの証明書交付サービスに係る御指摘の事案については、横浜市が管理する証明書発行サーバーにおける誤ったプログラム処理が原因であるということで、このプログラム処理が誤っていること自身、そして個人情報の漏えい事案が発生したことは重く受け止めているところでございますが、マイナンバーカード自体に起因したものではないと承知をしているということを申し上げているところでございます。

宮本(岳)委員 資料四を見ていただきたい。

 地方公共団体情報システム機構、J―LISが今年三月三十一日付で発出した事業者向けの事務連絡であります。

 この事務連絡には、マイナンバーカードの交付枚数が八千万枚を超えて急速に拡大を続け、令和四年度のコンビニ交付サービスの利用数も年間二千万通を超える想定で急増、利用数急増に伴い証明発行サーバーも負荷がかかることが想定されます、利用数急増にも十分対応可能なリソースや流通確保を図っていただき、引き続き安定運用が行えるようシステムの点検、万一障害が発生した場合も迅速に対応できるよう体制の確保などと書かれております。

 三月二十七日に個人情報の漏えいが起こってから、慌てて、万一障害が発生した場合も迅速に対応できる体制の確保などを叫んでみても、既に後の祭りであります。

 自治行政局長に聞きますけれども、これのどこが安心、安全と言えるんですか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案の発生を受けまして、総務省またJ―LISそれぞれに、関係の各方面にチェック体制の強化あるいは監視の強化などを要請をしたところでございます。その一環として、御紹介いただきましたこのJ―LISからの要請もあるということでございまして、それぞれ、ベンダーに対して十分な監視を行うように要請したものでございます。

宮本(岳)委員 横浜市では、コンビニ交付を始めた時期はいつなのか、ベンダーと契約した時期のマイナンバーカードの交付枚数は何枚で、今の交付枚数は何枚になっているか、これは数字をお答えいただけますか。

吉川政府参考人 横浜市がコンビニ交付サービスを導入したのは平成二十九年の一月です。

 また、横浜市におけるマイナンバーカードの累計交付枚数でございますが、平成二十九年三月八日時点で人口に対する割合が一〇・五%、令和五年三月三十一日時点で六七・三%となっております。

宮本(岳)委員 今お答えのあった二〇一七年三月八日時点で枚数で三十九万五百六十枚、そして今年三月末時点で二百五十二万九千五十枚、まさに六・五倍になっているんですね。

 識者は、技術としてやや稚拙な設計ではないか、この富士通のシステムですね、本来はファイル名と送信処理をIDでひもづけるなどして申請者に正確にファイルを送信するのが一般的だ、こう語っております。

 にもかかわらず、富士通Japanは、今回の事象の原因となった、一時的に交付申請が集中した際の強制的な印刷処理に関するプログラムは既に修正したというものの、メディアの取材にも、逐次処理を行っている点やファイル名が同一だった点は特段問題があったとは考えていないなどと開き直っております。

 先ほど、監視をお願いしていると言うんですけれども、結局総務省は、全て地方自治体と富士通Japanなど事業者に任せて、安全に責任は持たない、こういうことですか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 本事案を受けて、総務省では関係者の聞き取りを行い、横浜市における対応状況や詳細な原因の把握等を進めるとともに、自治体に対し、運用監視の徹底等について要請を行ったところでございます。

 その上で、事業者に対しましては、今回の事案の直接の原因となったプログラム処理への対応のみならず、先ほど、冒頭に御説明いたしましたが、発行される証明書が交付リクエストどおりかどうか、これを確認する仕組みなどについての検討を依頼したところでございます。

宮本(岳)委員 まさにそれが、送信処理をIDでひもづけるという、そのことがされなければやはり駄目なんですよね。ただ、特段問題なかったと言っているわけですけれども、特段問題なかったと言っている富士通Japanに対して、問題ありだ、変えろと言えるんですか。

吉川政府参考人 富士通Japanに対して、先ほど申し上げましたような依頼をしているところでございまして、真摯に御対応、御検討いただけるものと認識しております。

宮本(岳)委員 これは事前に確認しても、お願いベースなんですね。

 大臣は、この間の私との論戦でも、マイナンバーカードをデジタル社会のパスポートなどと言い放ってまいりました。デジタル社会の安全、安心に国が責任を持つから大丈夫というのであれば、今回のような情報漏えいが起こったときには、お願いにとどまらず、事業者に厳しく改善を求め、国が責任を持って二度と起こらない対策まで取り組むべきだと思います。

 結局、それができないということであれば、デジタル社会をバラ色にのみ描くのではなく、こうした個人情報漏えいのリスクもあるということを市町村の現場や国民にきちんと伝えるのがあなた方の役割ではないか。そうでなければ無責任ではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

松本国務大臣 まず、本事案につきましては、当該横浜市の対応などについても適切に行っていただいたものということで、この辺りも確認をさせていただいているところでございますが、今お話があった点について申し上げれば、自治体とベンダーなどの契約につきましては、自治体の皆様が契約者として御対応いただくことになろうかと思いますが、総務省としても、自治体に対して運用監視の徹底等について要請は行わせていただいたと先ほども答弁申し上げたところでございます。

 また、デジタル庁やJ―LIS、地方公共団体情報システム機構とともに、関係事業者に対して改めてシステムの点検を図るように要請をさせていただいておりまして、デジタル社会を進めていくに当たって適切に対応させていただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 いや、本当に事業者に対して厳しく当たれるのかということなんですね。

 一つ聞きますけれども、これは局長でいいですけれども、二〇二〇年から二〇二二年の三年間に、地方公共団体情報システム機構、J―LISは、富士通とどれだけの契約実績があるか、件数と額でお答えいただけますか。

吉川政府参考人 過去三年間におけるJ―LISが富士通を単独の相手方とする契約でございますが、予定価格が一定金額以下でありますいわゆる少額随契契約を除き、令和二年度は十件、合計一億四千百十万円余、令和三年度は十七件、合計九千三十四万円余、令和四年度は十四件、合計五億一千五百二十三万円余となっております。

宮本(岳)委員 つまり、三年間の合計で四十一件、総額七億五千万近くに上っております。

 では、資料五を見ていただきたい。

 昨年十一月二十五日に公表された、自民党の政治資金団体、国民政治協会の二〇二一年分の政治資金収支報告書の写しであります。下線部、富士通株式会社、一千五百万円とあります。

 大臣、自民党の政治資金団体に富士通からこのような献金を受け取っていて、富士通にきちっと厳しく迫れるんですか。

松本国務大臣 先ほども御答弁を局長からも申し上げたように、地方公共団体情報システム機構、J―LISは、適切に、手続にのっとって調達をさせていただいているというふうに理解をしております。

 そして、今、政党への寄附について御指摘がございましたけれども、個別の企業や政治団体の活動についてコメントすることは差し控えさせていただきます。

 なお、総務省としては、先ほども申しましたように、総務省として必要なことについてはしっかりと対応はさせていただきたいと考えております。

宮本(岳)委員 あなた方は、閣議決定で、今年三月末までにほぼ全国民に普及などということを決めて、マイナポイントで誘導するばかりか、地方交付税の算定にまでマイナンバーカードの普及率を反映させることによって、カードの普及を無理やり促してきました。

 しかし、横浜市など自治体が、国の言うがままにカードを普及し、その利活用を進めたら、証明書発行サーバーに莫大な負荷がかかって、個人情報の漏えい事件さえ起こったわけです。これは、はっきり言って、政府自身の政策が招いたトラブルだと言わなければなりません。

浮島委員長 宮本君に申し上げます。

 申合せの時間が経過いたしておりますので、質問をおまとめください。

宮本(岳)委員 デジタル社会の安全神話を振りまき、リスクを語らず、カードの普及のみを自己目的化させるようなあなた方の政策は、やがて国民にとって重大な損失をもたらしかねないということを厳しく警告して、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

浮島委員長 次に、内閣提出、放送法及び電波法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。松本総務大臣。

    ―――――――――――――

 放送法及び電波法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

松本国務大臣 放送法及び電波法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 基幹放送事業者は、これまで、公共放送と民間放送との二元体制の下で、国民生活及び経済活動に欠かせない情報の基盤として、地域情報や災害情報等を住民に届ける重要な役割を果たし、健全な民主主義の発達に貢献してまいりました。放送を取り巻く環境が大きく変化する中においても、基幹放送事業者が各地域においてその重要な役割を引き続き果たすことができるよう、複数の地上基幹放送事業者による中継局の共同利用、複数の放送対象地域における放送番組の同一化等の柔軟な事業運営を可能とする必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、複数の地上基幹放送事業者が中継局を共同で利用するための規定の整備として、現在の地上基幹放送事業者が、総務大臣による確認を受けた上で、他者の中継局を用いて地上基幹放送を行うことを可能とすることとしております。また、日本放送協会については、その子会社が中継局を保有することを条件として、中継局を共同で利用し地上基幹放送を行うことを可能とすることとしております。

 第二に、基幹放送の安定性が確保されるための規定の整備として、基幹放送事業者に対し、委託等の外部利用先も含め、放送設備の運用のための業務管理体制について基準適合維持義務を課し、その履行を担保するための監督規定等を設けることとしております。

 第三に、複数の放送対象地域における放送番組の同一化を可能とするための規定の整備として、異なる放送対象地域の基幹放送事業者が、地域性確保のための措置を講ずる等の一定の条件の下で、同一の放送番組の放送を同時に行うことができることとする認定制度を設けることとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

浮島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る五月十六日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十三分散会


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