衆議院

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第14号 令和5年6月8日(木曜日)

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令和五年六月八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 浮島 智子君

   理事 あかま二郎君 理事 斎藤 洋明君

   理事 武村 展英君 理事 鳩山 二郎君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 守島  正君 理事 中川 康洋君

      井林 辰憲君    井原  巧君

      石原 正敬君    岩田 和親君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      神田 潤一君    小森 卓郎君

      佐々木 紀君    坂井  学君

      島尻安伊子君    杉田 水脈君

      田所 嘉徳君    中川 貴元君

      西野 太亮君    長谷川淳二君

      古川 直季君    務台 俊介君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      渡辺 孝一君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      山崎  誠君    伊東 信久君

      市村浩一郎君    漆間 譲司君

      中司  宏君    輿水 恵一君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務大臣政務官      中川 貴元君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 友井 昌宏君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 早川 智之君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   湯本 博信君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   犬童 周作君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        大村 慎一君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  吉川 浩民君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           森  源二君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  原  邦彰君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      澤田 史朗君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         森下 俊三君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          大草  透君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本放送協会副会長)  井上 樹彦君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 竹村 範之君

   参考人

   (日本放送協会理事)   根本 拓也君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           寺田 健二君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月八日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     石原 正敬君

  国光あやの君     神田 潤一君

  島尻安伊子君     山口  晋君

  渡辺 孝一君     岩田 和親君

  湯原 俊二君     山崎  誠君

  中司  宏君     漆間 譲司君

  西岡 秀子君     長友 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  石原 正敬君     川崎ひでと君

  岩田 和親君     渡辺 孝一君

  神田 潤一君     国光あやの君

  山口  晋君     島尻安伊子君

  山崎  誠君     湯原 俊二君

  漆間 譲司君     中司  宏君

  長友 慎治君     西岡 秀子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

浮島委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長森下俊三君、日本放送協会監査委員会委員大草透君、日本放送協会会長稲葉延雄君、日本放送協会副会長井上樹彦君、日本放送協会専務理事竹村範之君、日本放送協会理事根本拓也君及び日本放送協会理事・技師長寺田健二君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官友井昌宏君、警察庁長官官房審議官早川智之君、デジタル庁審議官湯本博信君、デジタル庁審議官阿部知明君、デジタル庁審議官犬童周作君、総務省大臣官房地域力創造審議官大村慎一君、自治行政局長吉川浩民君、自治行政局選挙部長森源二君、自治財政局長原邦彰君、情報流通行政局長小笠原陽一君、消防庁次長澤田史朗君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己さん及び資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官山田仁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

浮島委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

浮島委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 持ち時間が少ないので早速議事に入っていきたいと思いますが、まず、会長にお越しいただいていますけれども、今回の件、組織として、ここは、委員会は恐らく初めてなので、おわびをしていただきたいと思うんですけれども、お願いします。

稲葉参考人 今回の事案につきまして、公共放送のガバナンス上あってはならないことだと思っておりまして、大変深刻に受け止めてございます。業務を総理する会長として、改めておわびを申し上げるとともに、再発防止に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

 誠に申し訳ございませんでした。

奥野(総)委員 組織として謝罪ということでありました。

 これはコンプライアンスの問題なんですけれども、なぜこういうことが起こったかよく分からないという話でもあったんですが、従前、NHKプラスを導入したときに、事前に設備の導入なんかもあったように私は伺っているんですが、そのときできたから今回も、そういう安易な気持ちがあったのではないでしょうか。NHK、いかがですか。

稲葉参考人 お答え申し上げます。

 二〇二〇年四月から本格的に始めたNHKプラスについてでございますが、事前に同時配信業務の開始に向けた制度の整備を行うとともに、二〇一五年度から二〇一八年度まで試験的提供の試行を行ってまいりました。また、各年度の予算には、インターネットサービス基盤強化として計上してございました。設備については、試験的提供の際に整備したものを改修して対応しているということでございます。

 一方、今回の事案につきましては、予算に計上しておらず、事前に何らかの意思表示も行われておりませんでした。

 繰り返しでございますけれども、今回の事態を踏まえまして、協会の意思決定の在り方、組織風土の在り方、ガバナンスに問題がなかったか検証し、二度とこういった事態を起こさないよう、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 これは総務省に確認したいんですが、これは違法じゃないと。今回の件、放送法違反ではない。疑いがあると思うんですが、総務省の見解、放送法違反に当たるかどうか。

松本国務大臣 今回の件でございますが、NHKのインターネット活用業務に係る設備調達に関する内部手続が適切でなかったものの、違法性が疑われる支出が認められず、また、NHKの執行部が新体制になった本年四月に、稲葉会長の下で、問題の所在にNHK自らが気づき、支出前に、過去の稟議についてNHK内部の規程に基づいて是正を行い、目的を明確化し、今後とも違法な支出が行われないよう対応したと承知しており、放送法にのっとったものになるよう処理が行われたと承知をしております。

 放送法に基づいて、引き続き、業務、予算の執行をお願いをしていきたいと思っております。

奥野(総)委員 総務省は支出がないから放送法違反じゃないとおっしゃっているんですけれども、これは体制が替わって気がついて執行を止めたからなんですが、少なくとも国会審議中は、そういうことが後ろにあって、そういうことを含んだ予算が、我々は知らずに質疑していたわけですよね。今回、悪く言えば、はっきり言えば未遂ですよ、未遂。気がついたから止めましたけれども、そのままの体制であれば執行されていた可能性が高いわけですから。国会の立場からすると、そういう違法性を含んだものを審議するというのは国会軽視だと思うので、強く申し上げておきたいというふうに思います。そんなことが二度とないように申し上げておきたいと思います。

 さらに、いろいろな新聞記事が出てきて、内部の資料とおぼしきものがどんどんNHKから出てきているんですね。六月五日の朝日なんかも、特命監査、これは内部監査だそうですね、会長が命じた内部監査。監査はいろいろあって、監査委員会の監査もあれば、また、これは、会長がやられているような、社外、協会外の人を入れてやるような、いろいろな形の監査があると思うんですけれども、これは内部監査、特命監査という内部監査なんですが、その内容とされるものが新聞紙上に出てきて、これは、朝日の記事によると、特命監査の結果、稟議が前田氏の意思決定を受けた伊藤氏主導で実行され、役員らが稟議書の記載を精査せず承認し、会長決裁に至ったと認定されると書かれているわけですよ。

 これは、今日は僕、前田前会長をお呼びしたんですが、なかなか、民間になられたということで、与党側から受け入れていただけませんでした。前田会長に来ていただくのが一番早いんですが。この監査の中でも、前田会長に聞き取りをした中で、先行投資は必要であり、関係役員に説明するように指示した、こういうのがあるわけです。

 だから、前田会長に来ていただきたいという話と、この監査資料それから稟議書について、是非理事会の方に提出いただきたいんですが、いかがでしょうか。

根本参考人 お答えいたします。

 稟議書は、事業内容などが記載されている内部の決定のための文書でありまして、公表を差し控えたいというふうに考えてございます。

 また、特命監査の結果につきましては、個人情報保護の面もございますので、公表は差し控えたいと考えております。

奥野(総)委員 理事会ですから、黒塗りで出していただいてもいいと思うんです。

 理事会でのお取り計らいをお願いします。

浮島委員長 後刻、理事会で協議いたします。

奥野(総)委員 それで、こっちは読売の記事だったんですが、その前に、理事懇の場でも話がありましたけれども、あるいは経営委員会の場でも議事録に出ていますが、役員の服務準則、忠実義務違反に該当する、こういう話でありました。

 同時に、その報道の中で、関係者三人の再就職が白紙に戻されたと。記事によれば、正籬副会長、それから伊藤前専務理事ほかということになっていますが、忠実義務違反というのは非常に重いんですね。法令違反。これを見ると、「放送法その他の法令、定款および協会の諸規定を遵守し、」と。遵守義務を怠ったということで、非常に重い。先ほど違法性がないとおっしゃっていましたが、これは、服務準則違反に該当するとすれば、違法のおそれも、さっきの記事にあるように、協会は認定しているんじゃないかというふうに思うんです。

 伺いたいのは、この三人の再就職が白紙に戻されたというのは事実ですか。その理由は何ですか。ほかに稟議に関係した役員、これは朝日の記事だと九人と言っています。昨日の部門では、六人ないし会長を入れて七人だったかな、という話がありましたが、何人ですか。差し支えない範囲で具体的なお名前を伺いたい。そして、さっきの三名のほかに関係者について処分があるのか。ちょっと盛りだくさんになりましたけれども、まとめて伺いたいと思います。

井上参考人 答弁申し上げます。

 先ほどの御質問にありました三名の再就職先につきましては、決まっていないというふうに承知しております。

 個別の、このほかの人事につきましてはお答えを控えさせていただきますけれども、適材適所で行われるものと承知しております。

 稟議に関与した役員につきましては、正籬前副会長、林専務理事、伊藤前専務理事、児玉前理事・技師長、熊埜御堂理事、山内理事の六名でございます。

奥野(総)委員 重ねてになりますが、たしか、明確に、忠実義務違反ということも議事録に出てきていますし、それが役員に認定されたとすれば、普通は懲戒処分ということになるんですが、どうも役員は懲戒とかはないようなんですが、何らかの処分があり得るということなんですか。

井上参考人 答弁申し上げます。

 個別の人事につきましてはお答えを控えさせていただきたい。今後も適材適所で行われていくというふうに承知しております。

奥野(総)委員 普通は、認定されれば、何事もなしというわけには恐らくいかないんだと思います。ここで、組織内の話ですから、これ以上詰めませんけれども、決まった際には、きちんと理由も含めて国会の方にも御答弁いただきたいというふうに思います。

 そこで問題になるのが、最終決定権者は前会長なんですね。忠実義務違反が問われる文書に最終意思決定権者である会長が署名をしたということになると、当然、前会長の責任も問われるということになると思います。

 これは、現執行部というよりは、経営委員会だと思うんですよ。経営委員会は、以前も上田会長に注意をしたり、監督権限をしっかり行使されてこられたと思うんですね。今回の件について、前田前会長の責任について、経営委員会として、どう考えられているんでしょうか。

森下参考人 お答えいたします。

 本件は、令和五年度のNHK予算あるいはインターネット活用業務実施基準、実施計画の審議の際には全く説明がありませんでしたし、資料にもそういう記載がありませんでしたので、経営委員会としては、全くそれについて議論もチェックすることもできませんでした。そういった意味では、経営委員会としては、このような事案は極めて遺憾であります。

 そういった意味では、事後対応として、執行部や監査委員会から報告を受けて、きちんとガバナンスを利かせていきたいと考えております。

 なお、先ほどの処分等については、基本的には、現執行部でまず検討していただいて経営委員会に報告していただくというのが普通でございます。

 以上、お答えしました。

奥野(総)委員 ちょっと違うと思うんですよね。できる範囲、再就職をストップするとか退職金を支払わないとか、そういうことは現執行部の判断たり得ると思うんですが、それとは別に、経営委員会の監督責任というのはあると思うんですよ。当時の業務執行体制が正しかったかどうかということは、きちんと経営委員会で検証の上、防止策を講じられるのが筋だと思うんですね。

 経営委員会の議事録を読むと、会長は、経営委員会の側でしっかり防止策を講じてくれと盛んにおっしゃっているんです。これはそのとおりだと思うんですね。執行部側でできることは限界がありますから、監督機関としての経営委員会がきちんと主導して、再発防止策も含めて正していく。監査委員がきちんと調べ上げて、それを報告をし、経営委員会としてきちんと答えを出していく。その中には、前会長の責任問題も含めて、しっかり議論をして答えを出すということだと思うんですが、その責任を果たさないということですか。

森下参考人 お答えをいたします。

 まずは、本件のような案件につきましては、執行部の、執行段階の段階でございますので、五月十六日の経営委員会では、再発防止策の検討をめぐって執行部と経営委員会で議論いたしました。

 その結果、再発防止策は、契約の手続あるいは稟議の在り方、予算執行の意思決定の仕組み、リスク管理、こういったものは業務の執行に関わる内容でございますので、実効的な再発防止策を検討し、実行する観点から、執行部がまず案を作っていただいて、再発防止策を作っていただいて、経営委員会に報告していただく。その上で、監査委員会が監査をして、経営委員会としての判断をするということでございます。

 いずれにしましても、先ほどお話ししましたように、事前に説明のない、あるいは全く資料にも載せられていない案件について、事前に予見して経営委員会でやることは困難でございますので、そういったことについては、事後対応として、執行部あるいは監査委員会から報告を受けた後にきちんとガバナンスを利かせていきたいという趣旨でございます。

奥野(総)委員 事後的にきちんと検証してやられるのが筋だと思いますよ。

 会長のところで個別に機関をつくると言っていますが、私は、それは、必要ないとまでは言いませんが、本来経営委員会がやるべき仕事であって、監査委員会から、監査委員からきちんと報告を受けた後、経営委員会がきちんと再発防止策を積極的に講じるべきだと思うんですね。盛んに報告がないから知らぬとおっしゃっていますが、そもそも報告がないような経営委員会の在り方が私は問題だと思うんです。

 経営委員会制度がなぜ設けられているかというと、国が直接NHKに監督権をなるべく行使しないようにという、先人の知恵ですよね。ボードをつくって報道機関へ政府の介入を防ぐという意味で経営委員会があるわけですよ。だから、経営委員会は、そういうことも含めてきちんと日頃から監督しなきゃいけないんですね。

 盛んに業務執行とおっしゃいますが、放送法上は、業務執行をしちゃいかぬとは書いてありますが、執行についての意思決定、そこの監督機能は明確に経営委員会はあると思うんですね。そもそも、報告がないということ自体、今の経営委員会が機能していないということを私は示していると思うんですよ。

 監査委員、今日来ていただいていますが、監査委員としてこの問題をどう捉えているか、違法性の問題。それから、私はもっと経営委員会は積極的にガバナンスに関与すべきだと思いますが、監査委員はいかがですか。

大草参考人 お答えいたします。

 監査委員会としての認識についてでございますけれども、協会自ら問題に気づいて違法のおそれがある状態を早期に是正したというのは確かでございますけれども、重要な経営判断を適正な手続なく進めたことは大変遺憾でございます。

 協会内の各種手続や、予算、事業計画との関係における説明など、いろいろと確認ポイントがあったはずですが、各段階で責任を持ってチェックする必要があったというふうに認識しております。また、そもそも重要な案件を持ち回りで決めていたということのリスクを強く懸念しております。

 稟議規程につきましても、確かに、回覧されていないわけですけれども、経営の意思決定プロセスが稟議規程も含めて適切なものであるか等、この機会に見直すとともに、役員間のオープンな議論や経営層と職員の意思疎通など、風通しのよい組織風土への改善が必要であると監査委員としては考えております。

 そういうことで、引き続き、ガバナンスの内容を高度化してまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 だから、ちゃんと監査委員はしっかり仕事をしているわけですよね。だから、やはり経営委員会はそれを受けてきっちりまとめるべきじゃないですか。

 ちょっと、会派の持ち時間の範囲内でやります。

 会長、外部の人間を入れて会長直属の、検討をするとおっしゃっていますが、これをわざわざする理由は何なんですか。今、ちゃんと監査委員も機能していて、経営委員会がきちんと、私はこういうことを基に再発防止策をまとめればいいと思うんですよ。別に経営委員会で外部の意見を聞いちゃいけないという話はないでしょうから、きちんと外部から弁護士とか入れて必要があればやればいいと思うんです。これこそまさに経営委員会の仕事だと思うんですが、なぜ、会長、わざわざ別の機関をつくるんですか。

稲葉参考人 お答えいたします。

 再発防止策につきまして、経営委員会に今回の案件を報告した際に、再発防止策をまずは執行部側で考え、それを経営委員会に諮るということになった次第でございます。このため、私の直下に弁護士などから成る検討会を設置して、ガバナンスの在り方を改めてチェックするということにいたした次第でございます。

奥野(総)委員 まとまったらしっかり国会に報告していただきたいんですが、いつ頃まとまるか。

 今の話だと、議事録に明らかなんですが、会長は経営委員会でやってくれと言っているのに経営委員長がそれをかたくなに拒んでこういうことになった、こういうことのようですが、そういうことですよね、委員長。

森下参考人 お答えいたします。

 五月十六日の議事録をよく読んでいただきたいと思いますが、先ほどありましたように、会長と経営委員会では真摯に議論いたしました。その結果、基本的には、さっきお話ししましたように、これは契約の手続とか稟議書の在り方とか、あるいはどこでどうやって意思決定されたのか、そういったことは業務の執行の範囲内ということですね。先生御承知のとおり、経営委員は、協会の業務の執行に対して、それはできないというふうに指定されておりますので、ですから、先ほど来お話ししておりますように、この十六日の議論のときでも、私どもが言ったのは、業務の執行に関わることは執行部の方でまず検討してください、それを経営委員会に上げていただいて、経営委員会では意見は言いますと。

 ですけれども、執行のやり方を、経営委員会が、このやり方はまずいよ、この稟議書のやり方はおかしいんじゃないかというのは、これは明らかに執行の中身に関する話ですから、ですから、そういった意味で、そこではしっかりと執行の範囲とそれから監督の範囲を分けてお話をしているつもりです。

 そういった意味で、十六日の議論、真摯な議論を行った結果、執行部の方で、会長以下でまず実効的な案を作る、それを経営委員会に上げていただいて、経営委員会で全体的な再発防止策を検討します、そういう結論に至ったということでございます。

 以上です。

奥野(総)委員 ちょっと経営委員長は誤解されておられるのですが、業務の執行を監督しているわけだから、執行のやり方に口を出さないというのはおかしいと思うんですよね。放送番組の中身に口を出してはいけないというのはそうだと思うんですけれども、執行の中身に口を出すのは経営委員会の役目だと私は思うんです、むしろ。経営委員会が自ら執行に乗り出してはいけないとは書いてあるんだけれども、執行の監督で執行に口を出してはいけないとは書いていないんですよ。それが証拠に、上田会長に注意されたじゃないですか、内容について。あれは執行の内容について口を出していますよね、経営委員会。そことの違いを伺いたいのが一つ。

 それから、最後に、経営委員長と会長ですけれども、再発防止策を取りまとめられるとおっしゃっているんですが、いつまでに取りまとめて、それをきちんと、取りまとめられたら公表し、その上で国会に提出いただきたいということをお願いしたいと思います。

森下参考人 お答えいたします。

 先ほどお話ししましたように、放送法に協会の業務を執行することはできないと規定されておりますが、その範囲では、例えば、執行のやり方の中には、契約のやり方とか稟議書のやり方とか会議のやり方とか、そういったことはまさに業務の執行の方法でありますので、それを指示するという、こういうやり方でやりなさい、こういう稟議をやりなさいというと、それは執行の中に関与したことになるというような解釈を私どもはしております。

 そういった意味で、先ほどもお話ししましたように、やはり実効的な再発防止策を検討するのは、予算を執行する執行部が案を作っていただくのが一番適切である。その上で、私どもは役員の職務の執行の監督という義務がございますので、それを提出していただいて、監督をする立場からきちんと意見を述べる、そういう趣旨で整理をしておるのでございまして、そういった意味では、しっかりと法の趣旨にのっとって対応しているという考えでございます。

稲葉参考人 今回の問題では、稟議の在り方など、経営の意思決定の仕組みやその在り方に関して曖昧な点があったために、誤った形での意思決定がなされそうになったというのが最大の問題点だと考えてございます。

 こうした協会のガバナンスの不備を是正することがまず重要だというふうに考えてございまして、先ほど申しましたように、私の直下に弁護士などから成る検討会を設置して、ガバナンスの在り方を改めてチェックするということにしてございますが、一応七月末には一定の方向性をまとめてもらいたいというふうに考えてございまして、再発防止策を含む検討結果につきましては、国会など関係する方々には、結果がまとまり次第、御報告させていただきたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 まだまだ経営委員長とやりたいところですが、後の方もいらっしゃるので、私はこれで終わりたいと思います。

浮島委員長 次に、おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 まず初めに、マイナンバーカード関係についてお伺いします。

 冒頭、ちょっとここは通告していないんですけれども、昨日の夕方、公金の受取口座をめぐって、本人ではない家族名義と見られる口座が登録されたケースが、およそ十三万件確認されたというニュースが入ってきました。

 河野大臣も会見をされていたようなんですけれども、政府の一員として、大臣、受け止めを一言お伺いできますか。

松本国務大臣 マイナンバーカードに係る事案で、様々な形で皆様に御心配をいただくような事態になっていることは大変遺憾であり、私どもとしては、修正すべき点をしっかり修正すると同時に、再発防止に努めることが私どもの役割であると思っておりますが、河野大臣からも御報告を申し上げておりますように、判明した事案については適切に公表をし、その後の対応について政府においてもしっかり説明をさせていただきたいと考えております。

おおつき委員 是非、再発防止というか、まず透明性をしっかりと確保していただきたいと思っております。

 まさに混乱が続くマイナンバーカードの問題なんですけれども、特にマイナポイントの事業に関する部分についてまずは伺いたいと思います。

 先月の二十五日、総務省は、誤って他人にマイナポイントが付与されたという事案が九十の自治体で合わせて百十三件確認されたと発表いたしました。この原因は、自治体のマイナポイント申込支援窓口において、前の人がログインしたままの画面で次の人が申込みをしたためだとされております。

 この発表の後も事案は追加で報告されておりまして、六月一日時点で、九十七自治体百二十一件となっております。こういった事案を受けて、大臣自身も会見で謝罪をされているということなんです。

 一方で、個別の事例ともなりますが、地元の北海道札幌市においても、委託事業者の端末操作のミスによって、ある男性に付与されるはずのマイナポイントが別の女性に付与されるという事例が発生されたと報道されております。

 この事例では、発生の翌日、国の緊急時相談窓口に連絡をして手続の中止を求めたため、実際には別の方にポイントが付与されることはなかったということなんですけれども、国の窓口からは、元の申請者の方についてはポイントの権利が消失してしまった、これは復活できないと回答されたようなんです。この方は、委託事業者からの弁償の申出も断っております。

 この札幌市の事例は昨年十二月に発生したものなんですけれども、このような少し前の事例も含めて、ポイントが付与されなかった方々を精査して、きちんとこれを付与していくという約束をしていただけないでしょうか、大臣。

松本国務大臣 将来受け取るべきポイントが別の方に付与されてしまう事案が発生したことは、誠に申し訳なく、遺憾に思っております。

 このような事案によって申込みができなくなった方々については、これまでも順次対応をしてきたというふうに報告を聞いておりますが、デジタル庁とも連携し、ただいま御指摘いただいた事案も含め、このような方々が速やかに申込みが可能となるように、そしてポイントが取得いただけるように取り組んでいるところでございます。

おおつき委員 是非、こういった方々が増えないよう、再発防止も含めてしっかりとポイントが付与されるように手続をお願いしたいと思います。

 このマイナポイントに関しては、これまでも何度も申し上げております、二兆円以上かけているんです。だからこそ、しっかりと徹底して、国の責務として、やるのならちゃんとやるというように、しっかりと運営をしていただきたいと思います。

 続きまして、この件について、ほかの報道では、データ上では決済手段の二重登録が存在しないため、システムデータの機械的な点検では誤りの検出が難しくて、住民が自らポイント付与状況を確認して自治体に相談するなどの自発的な確認が必要との総務省の見解も報じられております。

 加えて、総務省には、自治体から報告や相談が昨年八月から来ていましたが、公表は自治体任せで、公金受取口座やマイナ保険証の登録ミスの公表が相次いだため、先月二十五日に慌てて公表に転じたとも報道されております。

 そこで伺いますが、自治体からの当初の報告を受けた際、このような問題がその後も生じる可能性やその解決策についてきちんと検証、検討してきたのでしょうか。また、問題の発覚に本人の自発的な確認が必要ならば、少しでも早く、広く国民に事態を公表すべきだったんじゃないでしょうか。政府の考えをお伺いいたします。

大村政府参考人 お答えいたします。

 これまで、自治体において散発的に発生した事案を確認してまいります中で、総務省としては、まず、通知によって注意を促して、デジタル庁としてもシステム改修を行うなど、自治体と連携して対応してきているところでございまして、個別の事案の公表に関しましては各自治体の判断に委ねていたところでございます。

 マイナンバーカードを利用したシステムにおいて様々な事案が発生していることを受けまして、総務省としても、今般公表させていただいているところでございます。

 また、申込みができなくなった方々につきましては、先ほど大臣から申し上げましたとおり、順次対応してきたところでございますが、デジタル庁とも連携して、速やかに申込みが可能となりポイントを取得いただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

おおつき委員 自治体任せだけには是非しないでいただきたいと思います。運用をしっかりと見守ってください。

 春以降に判明したマイナ絡みの問題に関して、改めて私から申し上げさせていただきたいと思います。

 コンビニで、別の人の住民票が発行された事例がありました。マイナ保険証をめぐって、別の人の情報がひもづけられて医療費などが他人に閲覧されたことがありました。そして、カードにひもづける公金受取口座で別の人の口座が登録されるトラブルも判明しておりました。

 そして、こういった相談は全て自治体へ来ているんです。もちろん、デジタル庁の相談窓口の電話番号もあります。でも、やはり、地域そして地方なんかは特に、自治体に相談するんですよ。だからこそ、自治体任せだけにはしないでいただきたいと思います。

 そして、マイナンバーカードが二〇二六年から新しくなるという報道もありました。

 これまでかかった経費、先ほども申し上げましたが、ポイントの付与だけでも二兆円、そして、デジタル庁に伺いましたら、マイナンバーカード制度関連の費用、総額一・九兆円となっております。つまり、全部でおよそ四兆円かかっているんです。

 でも、JNNの世論調査で、マイナンバー自体の活用に不安を感じるという方が今、七二%に達しているんです。本当に多くの方がこの混乱に不安を感じているんです。

 是非、私自身は今からでも見直しは遅くないと思いますが、現時点では、まずトラブルの原因を解明して、再発防止に努めていただきたいと思います。これが先決です。そして、トラブルを表に出して原因を共有して、国民の理解を是非深めていただきたいと思います。

 続きまして、次のJ―LISに関する質問に移ります。

 マイナンバーカードの発行業務などを担う地方公共団体情報システム機構、すなわちJ―LIS、まず、このJ―LISというのは、現在、総務省が所管して、国及び地方公共団体が共同して運営する法人ということなんですけれども、これはほかにどのような業務をしている法人なのか、お伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 J―LISは、地方公共団体情報システム機構法に基づきまして、国及び地方公共団体が共同して運営する組織として、住民基本台帳法、公的個人認証法、マイナンバー法の規定による事務や、その他の地方公共団体の情報システムに関する事務を地方公共団体に代わって行うこと等を目的とした法人でございます。現在、総務省とデジタル庁の共管になってございます。

 J―LISの具体的な業務といたしましては、住民基本台帳ネットワークシステムや地方公共団体間の通信ネットワークでありますLGWANの運用、公的個人認証サービスの運営、マイナンバーカードの発行のほか、地方公共団体の情報システムに関する情報の提供や自治体職員の教育研修事業などを行っております。

おおつき委員 このJ―LIS、まさにおっしゃったように、カードの発行や各種関連システムの整備や運用を担っている法人ということです。

 さて、マイナンバーカードの交付枚数から話しますが、五月二十一日の時点で、今、八千九百九十七万枚と伺っております。これまで、政府の強引とも言えるマイナンバーカードの普及策については、多くのひずみを生じさせておりまして、この点は先ほど指摘させていただきましたが、この交付枚数なんですけれども、令和三年四月時点の三千五百九十七万枚、そして、令和四年四月時点では五千四百八十七万枚から見て、まさに急激な増加と言っていいものではないかと思っております。

 このように、マイナンバーカードの交付枚数が急増すれば、必然的にカード関連業務も急激に増加していくものになります。そして、このJ―LISの公表資料から予算規模を確認してみますと、カード発行等の業務については、令和元年度の決算で百三十億円程度だったんですけれども、令和五年度の予算では七百八十億円と、約六倍に膨らんでおりまして、住基ネットや公的個人認証サービスなどを含めた全体の予算規模では、令和元年度の決算で四百七十二億円程度だったものが、令和五年度予算で一千八百八十億円と、約四倍に膨れ上がっております。

 そこで、これだけ予算規模が拡大しているので、国や自治体からも、補助金、交付金、負担金、手数料などの名目でたくさんのお金が流れているものと思いますが、令和五年度のJ―LISの予算ベースで、国や自治体からそれぞれ幾らJ―LISに入る予定なのか、お伺いいたします。

吉川政府参考人 J―LISは、住民基本台帳ネットワークシステムなど、地方公共団体共同のシステムのほか、マイナンバー関係システムなど、国の施策に対応した様々なシステム改修や運用を行っておりまして、御指摘のとおり、令和五年度予算は約千八百八十二億円と承知しております。

 収入の主な内訳でございますが、国からの補助金及び委託費が約千八十六億円、システムの標準化、共通化のために設置いたしました基金の取崩しが約四百五十八億円、地方公共団体からの負担金が約百四億円となっております。

おおつき委員 まさに、そういう非常に大きな額が入っているということだと思います。

 今御答弁いただいたとおり、J―LISには、国や各自治体から補助金や負担金などの名目で多額のお金が投入されていますが、その原資は当然税金であります。だからこそ、J―LISの事業運営に当たっては、経済性や透明性、公正性を確保するのは非常に重要な視点だと考えております。

 さて、このJ―LISなんですけれども、元々、地方自治情報センターという団体を衣替えして設立されたものなんですけれども、この団体は、平成二十二年の十一月に事業仕分の対象になっております。その際の評価結果では、省庁のOBの再就職の自粛、そして役員報酬の見直し、また調達の改善、この三点が指摘されておりました。

 J―LISと地方自治情報センターでは事業内容、組織形態が大きく異なりますが、前身団体の時代の評価結果は参考になると思いますので、この評価結果に沿って、現在のJ―LISがどのように運営されているのかを確認していきたいと思います。

 まず、省庁OBの再就職自粛と役員報酬の見直しについてです。

 当時の自治情報センターの役員十三名のうち、省庁OBは四名でした。また、常勤の役員は四名でしたが、そのうち三名が省庁OBでした。このため、事業仕分では、省庁OBの再就職の自粛という評価結果となっておりました。

 役員報酬の月額については、理事長が九十五・六万円程度、そして理事が八十一万円程度となっておりました。これが高いということで、事業仕分では役員報酬の見直しという評価結果となっておりました。

 そこで伺います。

 現在のJ―LISにおいて、省庁OBの再就職と役員報酬はどのような状況なんでしょうか、お伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 J―LISの役員は、常勤六名、非常勤五名の計十一名でございますが、国家公務員の再就職者はおりません。また、役員のうち、現役の国家公務員の出向者は二名となっております。

 役員報酬についてでございますが、機構法第九条第一項の規定に基づき、意思決定機関である代表者会議の議決を経て定めることとされておりまして、月額で申し上げますと、理事長は百十七万五千円、副理事長は九十六万五千円、理事は八十一万八千円とされております。これは、他の地方共同法人等と同様の水準となっております。

おおつき委員 今、現役の方が二名いらっしゃって、役員報酬については多少上がっているということで理解いたしました。

 この現役の方なんですけれども、そのまま就職することとかというのはあるんでしょうか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 役員につきましては、理事長が代表者会議の同意を得て任命するというふうにされております。

 なお、いわゆる現役出向の役員がそのまま就職したケースはこれまでないと認識しております。

おおつき委員 もしそのまま就職することとなったら、天下りとそんなに変わらないんじゃないかなと思ったので、伺わせていただきました。

 次に、三点目の調達の改善について伺います。

 事業仕分に関しては、随意契約が多いなどの問題が指摘されておりまして、調達を改善してコストの削減を図ることとされておりました。

 そこで、J―LISの調達について調べてみますと、今年二月十九日の共同通信の記事によれば、J―LISが発注したマイナンバー関連事業のうち、競争入札を実施せず任意の業者を選ぶ随意契約か、又は、一事業者しか入札に参加しない一者応札の割合が八四%に上るほか、予定価格に対する契約額の割合が高水準の事業が多数あるとの報道がされています。

 J―LISの調達については、マイナンバーカード関係事務に係る長期目標に基づいて、調達の透明化そしてコストの削減の取組が進められているものと認識しておりますが、前の団体から続く課題があるものとも考えられます。

 そこで、このようなJ―LISの調達の状況についてどのように評価いたしているのでしょうか、お伺いいたします。

吉川政府参考人 J―LISの契約は、会計法や地方自治法等と同様のJ―LISの会計規程に基づき行われているところでございます。一般競争入札の原則の下、一定の場合には随意契約によることができるとされております。

 J―LISは、住民基本台帳ネットワークシステムやマイナンバー関連システムといった住民生活に影響の大きいシステムを所管しておりまして、稼働中のシステムの保守作業に当たり、新規の事業者ではシステム構造の理解に時間を要し、運用に支障が生じるおそれがある場合や、サーバーの機能強化等のシステム改修に当たり、現行の仕様等を十分に理解していないとサービス停止のおそれがあり、住民生活への影響が甚大となる場合など、一定程度、随意契約によらざるを得ない場合があるものと承知しております。

 一方で、J―LISにおきましては、契約の透明性、競争性を確保するため、外部有識者により構成される契約監視委員会において、契約の点検、見直しを行う取組、また、システムへの影響の少ない案件を切り分けて発注するなど、より多くの事業者の参加に資するための取組、また、毎月の契約実績の公表などを行っているものと承知しております。

 これらの取組を通じて、更なる契約の透明性や競争性の確保に取り組んでいただきたいと考えております。

おおつき委員 まさに透明性や改善が必要であるということは、これは共有されていると思います。

 先ほどの報道記事でありますのは、J―LISの契約において、一部の国内の大手企業に契約相手が偏っているという報道もされております。

 また、令和三年五月四日の東京新聞では、平成二十六年度から令和二年度上半期にJ―LISが発注したマイナンバー関連事業を分析したところ、少なくとも七二%を、J―LISに社員を出向させている企業が受注しており、その契約額は全体の八三%に上ると報道されています。

 そこで、これらの報道内容についての事実関係を確認させていただくとともに、このような状況に対して、所管する総務省、デジタル庁はどういった対応をしているのか、伺います。

吉川政府参考人 J―LISにおきましては、運用するシステムの安定稼働や専門的な技術等を活用する観点から、事業を受注した民間企業等からの出向者を受け入れ、システムの運用、保守等に従事させているものと承知しております。

 このため、マイナンバー関連事業を受注している企業の受注額とJ―LISへ職員を出向させている企業の受注額を比較いたしますと、おおむね御指摘の報道のような状況となっておりますが、これは、先ほど申し上げたとおり、専門的な技術等を活用する観点から、事業を受注した民間企業等からの出向者を受け入れた結果によるものと認識しております。

 また、その受入れに当たりましては、出向元企業との間で秘密保持を含めた契約を締結し、出向者個人とも誓約書を交わしまして、秘密保持義務を課すとともに、個別の仕様書の作成のほか、入札、契約等の決裁業務や予定価格設定などの意思決定プロセスには、一切関与させていないというふうに聞いております。

 J―LISにおきましては、こうした対応を通じて適正な契約手続が行われているものと考えておりまして、総務省といたしましては、今後も、J―LISにおける業務運営の透明性、公平性の確保を図るとともに、プロパー人材の育成や採用など、組織の専門性の充実確保のための必要な連携支援等を行ってまいりたいと考えております。

おおつき委員 J―LISの運営については、是非、経済性や透明性、そして公正性を徹底して確保していただくようにお願いを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、神谷裕君。

神谷委員 立憲民主党の神谷裕でございます。

 本日も質問の時間を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。

 それでは、私も、若干NHKの問題について触れさせていただきたい、このように思います。

 率直に申し上げまして、NHKの予算、この委員会でも審議をいたしました。私自身も賛成をさせていただきました。もしこのNHKの予算について問題があるのであれば、我々も率直に反省をしなければいけない、このように思うわけでもございますし、また、総務省におかれても、これを、我々自身、やはりしっかり見抜けなかった、そのことについても反省をしなければいけないなということも含めて質問させていただけたらと思う次第でございます。

 まず率直に、NHKさん、やはり国民に対する説明責任、この件ではしっかり果たしていただかなきゃいけないなと思うんですが、今回のNHKの問題について、内部のガバナンスの問題も含めて、率直に、なぜこのような事案が発生したのかをまず伺いたいと思います。会長、お願いします。

稲葉参考人 お答え申し上げます。

 今回の問題では、稟議を承認した当時の役員が稟議書の記載内容を十分に精査せず、インターネット活用業務実施基準との整理や対外的な説明などのリスクに関する認識が不足していたというふうに思っております。

 また、稟議の在り方など、経営の意思決定の仕組みやその在り方において曖昧な点があったために、誤った形での意思決定がなされそうになったことが大きな問題だというふうに思っております。

 こうした協会のガバナンスの不備を是正することがまず重要だというふうに考えておりまして、私の直下に弁護士などから成る検討会を設置して、ガバナンスの在り方を改めてチェックするということにしてございます。

 七月には一定の方向性をまとめてもらいたいというふうに考えてございまして、再発防止策を含む検討結果につきましては、国会など関係する方々には、結果がまとまり次第、御報告させていただきたいというふうに考えております。

神谷委員 今お話を伺っていて、認識の欠如であるとか、いろいろとおっしゃるんですけれども、それはそうなのかなとは思うんですが、何でこの問題が起こったのかなというのが、いまいちちょっとすっきりしないんです。

 元々、この業務というか、やろうとしたことがどうして、こういう形でまた、覚知されたというような展開になっているんですが、元々、局内で起こったことで、皆さん方の意思決定の問題があったんでしょうけれども、そのことが後になって分かったみたいな話になっているんですが、元々、中で起こっていることですので、当然引き継がれていたんじゃないかなと思うんです。

 ただ、その中で、いつの時点で本当に明確になったのか、これが問題となったのか、その辺のところがどうもよく分からないんです。元々、これは違法性を感じていなかった、何が問題でこうなったんでしょうか。要は、法律が分からなかったのか、それともこういう業務はやっちゃいけないという話が分からなかったのか。その辺は、率直に、どうなんでしょう。

稲葉参考人 本件に関する引継ぎについては、私、一月に着任して以来、前執行部からのお話は全くありませんでした。

 対外的に申し上げていますように、その点、私どもが気がついたのは四月に入ってからということでございますが、いずれにしても、今回の事案は、国会で承認された予算とかインターネット活用業務実施基準に基づいたものではない、その関連性が確かでない形で稟議が行われ、そこから支出が行われそうになったというところが大きな問題だというふうに認識しております。

 したがって、今回の問題は、ガバナンス上あってはならないことでございますので、深刻に受け止めるとともに、再発防止に全力で取り組んでいきたいというふうに考えている次第でございます。

神谷委員 稟議の問題をおっしゃるんですが、こういう稟議の回し方というのは通常ではないんですか。理事会、こういったお金の、金額にもよるんでしょうけれども、こういう持ち回りの稟議で決めるということは普通にあることなんでしょうか。

稲葉参考人 稟議と申しますのは、実際、予算とか、あるいは理事会、役員会決定でされた支出項目を実際に支出する段階で、五億円以上のものを役員の間で承認し、最終的に会長がそれを決裁するということになってございます。

 したがって、当然のことながら、その裏づけとして予算があるわけですけれども、今回の場合、そこの予算に計上されていない項目が稟議の中でうたわれ、その支出が行われそうになったということでありまして、その点に気がついて是正の策を講じた、こういうことでございます。

神谷委員 予算の項目にこれはなかったんですか。それとも、あったけれども、不適切だからこれを止めようという話になったんですか。そこはどっちなんですか。

稲葉参考人 予算書には全く計上されてございません。

神谷委員 ということは、この起案で初めてそういったことが行われることになったということなんでしょうか。

 NHKさんの説明、最初のところを聞いていたところ、二〇二二年十月上旬に、一部役員が前会長から衛星放送番組同時配信の了解を得たというような書きぶり、説明があって、それが何か発端になっているような書きぶりもあるんですが、そこの時点で、これをスタートしよう、やらなきゃいけない、やってもいいんだという認識がもう既にあったんじゃないかなとも思ったんですが、そういうことではなくて、その稟議が初めてなんですか。

稲葉参考人 確かなことは、現執行部でこのような稟議に書かれているような支出をしようとかしたいとか、そういう決定をしたことは一切ございません。

 それが、四月になって、稟議の中でそういうふうにうたわれているということに気がついて是正の策を取ったということでございます。

神谷委員 それで、様々やっていただいているんでしょうけれども、その上で、総務省さんもNHK予算については総務大臣の意見を付すなど一定の関与をしていただいていると思いますが、今回の事案について、率直に総務省としてどうお考えなのか、所感を伺わせていただけますでしょうか。

松本国務大臣 この委員会でも既に御議論をいただいているところでございますけれども、今御指摘のありましたNHKのインターネット活用業務に係る設備調達について、内部手続が適切でなかったものの、違法性が疑われる支出は認められず、NHKの執行部が新体制になった本年四月に、稲葉会長の下で、問題の所在にNHK自らが気づき、支出前に、過去の稟議についてNHK内部の規程に基づいて是正を行って、目的を明確化し、今後とも違法な支出が行われないよう対応したと承知しており、放送法にのっとったものとなるよう処理が行われたというふうに承知をいたしているところでございます。

 なお、先ほど予算のお話もございましたが、NHKの収支予算は、法令に規定された項の枠の予算額が記載され、承認をされるものでございます。この承認された収支予算、事業計画に記載されて、説明されたように執行されていれば放送法に反することはないと考えられ、予算に従って執行をいただくものと認識をいたしております。

神谷委員 そういう意味では、放送法には触れていないけれども、ガバナンス上の問題があったというところに尽きるという御説明なのかなと思います。

 その上で、NHKさんは、当然のことながら、国民共有の財産でございますし、国民に対して責任を負っているわけでございますので、ここのところはやはりよくよく御注意をいただきたいと思いますし、また、七月には様々報告もいただけるようでございますので、その報告を待たなければいけないなと思うんですけれども、私自身は、現在認められていない業務かもしれないんですけれども、例えばBSを、特にテレビ離れと言われている中で、しっかりやっていかなきゃいけない、NHKを何とかしていかなきゃいけないという思いそのものは理解をできるなというところも正直ございます。

 その上で、様々な試みをやっていかなきゃいけないけれども、放送法なり様々な制約があるのも事実なんでしょうが、その上で、新しい試みを様々やっていこうというときに、どういうような形で、例えば予算化であるのか、あるいは、いろいろな手段は、考え方はあると思うんですけれども、どういう形でNHKさんはやればよかったのか、今回の事案ですね、というか、前向きにいろいろやっていこうとしたときに、どういう形が一番よかったのか、この辺のところをNHKさんと総務省さんからお話を伺えればと思います。いかがでしょう。

稲葉参考人 委員のおっしゃっていることの裏返しにはなるんですけれども、やはり、今回の事案というのは、国会で承認した予算あるいはインターネット活用業務実施基準に基づくものではないということが大きな問題でございます。先行きのことを考え、いろいろやっていく上においても、こういった原則を念頭に置きながら努めていくというのが大事だと思います。

 こういうことが起こらないよう、ガバナンス上、再発防止に全力で取り組んでまいりたいと思っているということでございます。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 過去の例で申し上げますと、例えば、NHKプラスでは、平成二十七年度から平成三十年度にかけまして同時配信の試験的提供のための基盤整備を行い、さらに、令和二年四月からの本格サービス開始を前に、令和元年度収支予算の提出時、NHKから、改正放送法の成立及びインターネット活用業務実施基準の認可を前提といたしまして、設備の改修に要する支出に関する記載が盛り込まれ、内容の説明を受けていたというふうに聞いているところでございます。

 なお、インターネット活用業務実施基準は、令和二年一月に認可を受け、同年三月、改正放送法の施行日に同改正法附則の規定によって認可を受けたものとみなされ、サービスが開始されているところでございます。

 いずれにしましても、NHKにおかれては、自らの収支予算等の内容について、国会ひいては国民・視聴者に対して十分説明を尽くすことが重要であるというふうに考えております。

神谷委員 今お話しいただいたとおりだと思うんです。

 私自身は、NHKさんが前向きな仕事をしようとするとき、それは大変大切なことだと思うので、きちんと説明と、あと、根回しと言ったらいけないのかもしれませんが、この国会もそうでしょうし、総務省さんもそうでしょうし、あるいは、様々なところで、こういうことをやりたいという御説明もいただいて、あるいは、時には法の改正も含めてやらなければいけないかもしれませんが、そういった努力が今回若干欠けていたのかもしれません。

 そこのところについては率直に反省をしていただいて、様々やっていただかなきゃいけないんですけれども、ただ、それはそれとしても、前向きなことは是非前向きに進めていただきたい、これは思うものですから、反省すべきは反省してください、ただ、前に進めるべきは進めていただきたい、そのことだけは改めて申し添えさせていただきたい、このように思いますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 それでは、次に、マイナカードのことを聞こうと思ったんですが、ちょっと順番を変えさせていただいて、消防の話を先にさせていただけたらと思います。

 御案内のとおり、コロナの感染症法上の取扱いが変わりました。この変更に伴って、救急搬送の状況や現場の救急隊員の状況等はどのようになったのか、この辺をお聞かせをいただきたいと思います。

澤田政府参考人 新型コロナ、五類感染症への移行前は、新型コロナ患者からの救急要請があった場合につきましては、基本的には保健所等が医療機関の選定を行っておりましたが、五類移行に伴いまして、医療機関への受入れ照会も救急隊などが行うこととなっております。

 消防庁では、本年の三月、全国の消防機関に対しましてこの点を周知するとともに、都道府県等の関係者との連携を一層図り、五類移行後の救急搬送体制の確保に万全を期すようお願いをいたしました。

 五類移行後、消防本部におきましては、今後、救急搬送困難事案が多数発生したときに、都道府県の調整本部や保健所と連携するなどの取組を行うことになっておりますが、加えて、搬送が困難な事案が発生した際には、都道府県の調整本部が並行して搬送先を探す、あるいは、あらかじめ当番病院を指定しておき、その病院が、搬送が困難な患者の受入れを行うといった取組がなされている消防本部もあるものと承知をしております。

 こうした中、救急搬送困難事案の発生件数は、五類移行後も特段増加することなく、ほぼ横ばいで推移するなど現在は落ち着いておりますが、今後も、消防本部の実態をつぶさに把握し、厚生労働省とも引き続き連携を密にして、円滑な救急搬送が実施できるよう取り組んでまいります。

神谷委員 基本的には、五類に変わったとしても、消防の体制、救急の体制はそのまま維持をすべきだと私は思っていまして、確かにコロナは非常事態だったかもしれませんが、当然、まだ流行の可能性は残っているわけですし、平時のことばかり考えて非常時のことを忘れてしまうということはとてもいけないことだと思いますので、是非そういったところからもお願いをしたいんです。

 要は、コロナがこういう形になって普通の病気に変わっていくときに、だから、体制はもう普通の、平時の体制に戻すよというか、消防の人員とか装備等、救急体制がまたレベルを落とすみたいなことがあってはならないと思うんですが、この点について再度確認をさせてください。

澤田政府参考人 これまで、新型コロナの感染拡大期には、各消防本部におきまして、予備の救急車を活用しまして、救急需要の急増期に活動をする臨時的な救急隊を増隊しますですとか、また、救急需要がより多い日中に活動する、いわゆる日勤救急隊の増隊、また、都道府県調整本部や保健所に職員を派遣することによって搬送先調整体制を強化するなどの必要な体制を確保するとともに、救急隊員は、感染予防策を徹底した上で救急活動を行ってまいりました。

 こうした対応についてでございますが、議員御指摘のとおり、新型コロナの再流行を見据えれば引き続き必要でございまして、消防庁といたしましても、このような取組を全国の消防本部に共有するとともに、必要なときに必要な対応が今後ともしっかり取れるように全国の消防本部に働きかけるほか、先ほど申し上げました感染防止資器材の備蓄の確保に対する支援も引き続き行っているところでございます。

 消防庁といたしましては、引き続き、消防本部の実態把握に努めまして、必要な対応を丁寧に行ってまいりたいと存じます。

神谷委員 是非頑張っていただかなければいけないのですけれども、そういった上で、やはり大臣、しっかり、この救急の予算、消防の予算、つけていかなければいけないと思うんですが、現場が困らないように、更に予算をしっかり取っていただきたいと思うんですけれども、御意見等をお願いします。

松本国務大臣 委員も御案内のとおりかと思いますが、救急の出動件数は、高齢化等により年々増加傾向にございました。そして、コロナ禍においては、救急搬送困難事案数が大きく増加いたしたところで、全国の救急隊員の皆様には日夜献身的に御尽力いただいているものと認識しており、感謝をしなければいけないと考えております。

 増加する救急需要に対応するため、各消防本部において救急隊の計画的な整備に取り組んでいただいておりまして、総務省といたしましては、救急業務に当たる消防職員に係る普通交付税措置を拡充してまいりました。

 また、救急隊員の負担軽減を進めることは重要な課題であると考えておりまして、これまでも、救急安心センター事業、シャープ七一一九に係る地方財政措置を拡充し、救急車の適時適切な利用を促進してきたところでございます。

 加えて、タブレット端末を活用した活動報告書の作成などを始め、事務処理の負担軽減に資する救急業務のDX化を積極的に推進しております。今後、救急隊員の負担軽減にもつながるマイナンバーカードを活用した救急業務の迅速化、円滑化について、必要な予算を確保してまいりたいと思っております。

 現場の声にしっかり耳を傾けながら、救急体制の強化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

神谷委員 大臣、コロナは一服したように見えるかもしれませんが、救急体制は本当に重要だと思いますので、是非お願いをさせていただいて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただいて、ありがとうございます。また、私が他の委員会の質疑と重なっている関係で質疑の順番を早めていただきまして、御協力いただきました日本維新の会を始めとして各党に、心から感謝を申し上げたいと思います。本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 私、質問は予定をいたしておりませんけれども、先ほど、NHK稲葉会長、神谷委員からの質問がございましたけれども、私も、先日、総務委員会理事会におきまして、稲葉会長ほか役員の方に御出席をいただきまして御説明をいただきました。

 今回の事例につきましては、是正をしたから放送法に抵触しなかったというような、そういう事案ではなくて、大変信じ難い重要な事案であると考えております。

 総務大臣からも、放送法にのっとり運営するように注意が促されたとのことでございますけれども、どうしてこのような事態が起こったのか、その原因を徹底的に解明して、再発防止へ向けた取組を早急に国民にお示しいただくように、NHKには、組織風土も含めて、このようなことが二度と起こらないよう、ガバナンス改革を行っていただくことを強く要請をし、総務大臣にも、しっかりと注視をしていただくことをお願い申し上げて、私の質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、私からは、自治体情報システムの標準化、共通化について質問させていただきます。

 新型コロナウイルス感染症への対応の中で、我が国が抱えていた様々な課題が明確になったわけでございますけれども、特に、特別定額給付金の支給が後手後手になるなど、デジタル化の遅れ、また、これまでばらばらであった国や地方公共団体の基幹業務システムの効率的な運用体制構築の必要性や、これまで地方自治体が個別に機能のカスタマイズを行い、個別対応に対する負担が重いこと等から、約千七百の地方自治体の業務システムを標準準拠システムに移行させる自治体システムの標準化が、法律に基づき現在進められております。

 昨年八月に、対象となる二十業務の標準仕様書が出そろい、基本方針が閣議決定をされました。各事業者は、標準仕様に準拠して開発したシステムをガバナンスクラウド上に構築し、標準仕様に適合したシステムに移行することとなっております。

 そこで、移行時期につきましては、令和七年度末までに移行するということが義務づけられておりますけれども、自治体の現場からの声は、自治体における作業負担が大変重いことや専門人材の不足、また、各地で、特に地方においては、システム提供事業者の作業者が限られていることによって業務が集中している状況もありまして、移行時期について柔軟な対応を強く求める要望がございますけれども、このことに対して、松本総務大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

松本国務大臣 昨年十月に閣議決定された標準化基本方針では、地方自治体の基幹業務システムについて、令和七年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへの移行を目指すこととし、国が必要な支援を積極的に行うとされたところでございます。

 全ての自治体において標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行を実現できるよう、財政的な支援も含め、具体的な移行工程などをまとめた手順書の提示や、PMOツールを通じた情報共有や進捗管理、都道府県と連携した移行支援を実施するなど、様々な手段を通じて支援をいたしてきているところでございます。

 ただ、委員御指摘のとおり、自治体の作業負担やシステム提供事業者の作業が集中しているという声があることも承知をいたしております。

 標準化基本方針で、全ての自治体における移行スケジュールを把握することとされたところでありまして、全自治体に対しまして、移行スケジュールなどに係る調査を実施しております。

 今後、調査の結果を精査するとともに、自治体の実情や御意見も丁寧に伺いながら、関係省庁と連携いたしまして、二〇二五年度の移行期限に向け、自治体に必要な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 今大臣からは、今自治体の状況を調査をしているというお話がございました。特に地方においては大変厳しい状況もございますので、この令和七年度末という期限につきましては、是非、調査結果を基にということになるというふうに思いますけれども、柔軟な対応を強く大臣に御要望申し上げたいと思います。

 続きまして、標準化された後は、各事業者がシステムをクラウド上に構築をいたしまして、標準仕様に基づくシステムを地方公共団体が自由に選択することが可能となりますけれども、地方財政状況が厳しい中にあって、標準化とともに、ガバメントクラウド構築の推進も求められている状況の中で、自治体からは、ガバメントクラウドに接続するときに使用するネットワークについても、その整備に必要な費用及び運用経費等の経費を国の全額負担とするべきだという要請も出されております。

 このことについて、デジタル庁の御見解をお伺いいたします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 自治体情報システムの統一、標準化に向けましては、デジタル庁におきまして、地方公共団体の協力の下、ガバメントクラウドの利用について検証する先行事業を実施しておりまして、この検証を進める中で、御指摘の通信回線費用も含めまして、ガバメントクラウド上での最適なシステムの在り方について検討してございます。

 具体的には、デジタル社会の実現に向けた重点計画におきまして、将来的な国、地方を通じたネットワークの在り方を見据えつつ、標準準拠システムへの本格移行における当面の接続の方法の選択肢としては、LGWANを活用した接続等を想定し、引き続き具体化を進めるとされてございまして、この方針に従いまして、経費負担の在り方も含めまして、着実に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

西岡委員 大変厳しい地方財政状況も踏まえて、この経費につきましては、財政措置も含めて、しっかりと検討していただくことを強くお願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、標準化に係る整備費用につきまして、標準化対象事務と密接に連携するシステムの移行に必要となる費用も含めて財政措置を講じる必要があるというふうに思いますけれども、このことに対する総務省の御見解をお伺いいたします。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体情報システムの標準化に関する法律を踏まえまして、原則として、ガバメントクラウド上の標準準拠システムへ各自治体のシステムを移行させるために、デジタル基盤改革支援補助金をこれまで合計千八百二十五億円計上いたしまして、国費による財政支援を行っております。

 具体的には、移行計画策定などの準備経費やシステム移行に要する経費を補助対象としております。

 また、委員御指摘の、関連システムとの円滑な連携に要する経費につきましても補助対象としており、具体的には、連携プログラム等の修正やガバメントクラウド等への接続設定等に要する経費がこれに当たるわけでございます。

 今後とも、自治体の実情や御意見も丁寧に伺いながら、総務省として必要な支援を実施してまいります。

西岡委員 是非、自治体の状況、また要望につきまして、そこにもしっかり財政措置を講じていただく方向で進めていただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、先ほどから議論があっておりますマイナンバーカード関連の質問をさせていただきます。

 これまでの質疑の中でもありましたように、マイナンバーカードに係る様々なトラブルが生じておりまして、総務省におきましては、コンビニにおける誤交付、また、マイナポイントの誤ったひもづけ等の事案が発生をいたしております。このマイナンバーカードを活用するという強い思いを持っている国民の中にも、マイナンバー制度に対する不安ですとか疑念が生じて、信頼が大変揺らいでいる、そういう状況があるというふうに思います。

 今のこの状況について、松本総務大臣の御見解を改めてお伺いをまずいたします。

 また、総務省が現在、これまで発表されております以外に新たなトラブル事案を今把握しているものがあるのかどうかの有無についてお伺いをさせていただきます。

 また、六日のデジタル社会推進会議で、マイナンバーカードの刷新ですとか重点計画の改定案が取りまとめられたと承知をいたしておりますけれども、これは、大変、このカードの刷新というのが今のタイミングであるかどうかですとか、経費の問題等、いろいろな懸念もございますけれども、今後の取組について、松本総務大臣に併せてお伺いをさせていただきます。

松本国務大臣 まず、御指摘のありましたマイナンバーカードに関する様々な事案でございますが、マイナンバーカードの本人確認は正常に行われていたところでございますが、個人情報の漏えい事案なども含まれておりまして、誠に遺憾で、重く受け止めているところでございます。

 新たな事案の把握ということでお話がございましたが、コンビニ交付において別人の証明書が交付されたケース、住民記録システム等のデータがコンビニ交付システムに反映されず、本人の古いデータなどに基づく誤った証明書が発行されたケースが判明しておりますが、これらのケースにつきまして、現時点で把握している事案は全て公表をいたしているところでございます。

 直近では、鳥取県境港市において、コンビニ交付システムへのデータを反映する際に不具合があり、本人の印鑑登録証明書の印影の一部が拡大されて印刷されたという事案について報告を受けており、昨日、境港市において公表されているところでございます。

 なお、一件、本人の証明書であるが、その内容に誤りのある証明書が交付されたとの報告を受けている事案があり、詳細を確認をしているところでございます。

 マイナポイントにつきましては、現在、申込者本人のマイナンバーカードに別人の決済サービスがひもづき、本人が将来受け取るべきポイントが別人に付与される事案がなかったか、全自治体の調査を行い、その内容を精査しているところでございます。

 今後の取組ということでございますが、コンビニ交付の事案につきましては、総務省において、事件判明後、直ちに自治体から事情をよく聞き取るとともに、デジタル庁やJ―LISと連携して、事業者からも直接、原因や再発防止策について確認をさせていただいております。

 また、マイナポイントについては、本人が将来受け取るべきポイントが別人に付与される事案に対して、通知によって自治体に注意を促し、デジタル庁においてシステム改修を行うとともに、申込みができなくなった方々について、自治体と連携して、速やかに申込みが可能となり、ポイントを取得いただけるよう取り組んでいるところでございます。

 なお、先ほどもございましたが、令和六年秋の健康保険証廃止を見据え、マイナンバーカードへの理解の促進と利活用の拡大を図りつつ、希望する全ての国民が取得できるよう、円滑にカードを取得していただくための申請環境、交付体制の整備を更に促進をしているところでございます。

 また、マイナンバーカードに関しまして、現在発行しているカードが、今後、順次有効期限を迎えるところでございまして、今後のカードの設計に当たっては、総務省として、デジタル庁と協力して、様々な関係者の意見も丁寧に伺いつつ、検討を進めてまいりたいと考えております。

 国民の皆様がマイナンバーカードを安心して利用できるように、デジタル庁、関係省庁と連携して、必要な対応を進めてまいりたいと考えております。

西岡委員 大臣から御丁寧な御説明がありましたけれども、今、総務省として、新たな事案は把握をしていないということでございますけれども、たとえ一件であっても、情報漏えいの可能性があるということ、また、その方にとっては大変大きなことであるということも踏まえて、様々な事案が分かった時点で、しっかり、やはり、それを発表して説明をしていく、そして、そのことに対する再発防止をすぐに対応していくということの積み重ねが、信頼を取り戻す一番の近道ではないかというふうに思いますので、しっかりと総務省としてもお取組をお願いを申し上げたいと思います。

 また、マイナンバーフリーダイヤル、ございますけれども、〇一二〇―九五―〇一七八、これがフリーダイヤルでございますけれども、様々な御意見を基にQアンドAを作っておられるというふうに思いますが、新しい事案への適切な対応ですとか、様々な問題に対して、たらい回し等、その担当部署が明確でない事案もあるというふうに思いますので、担当部署を速やかに決定をして、しっかり不安の声に応えていただく体制を関係省庁と連携をした中で構築をしていただくことをお願い申し上げたいと思いますし、また、一体となった情報発信も大変重要だと思いますので、このことも、しっかり、引き続き取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、公金受取口座が、本人ではない家族名義の口座が登録されていた件について質問させていただきます。

 家族など、本人以外の受取口座を登録していた件については、全数調査によって約十三万件が確認されたとの報道がございました。この事案については、二月に国税庁が把握をして、デジタル庁と共有をしていたということですけれども、大臣には報告をされておらず、デジタル庁の従来の説明によると、五月下旬の総点検で明確になったというような御説明があったことは極めて問題であると思います。

 ただ、この家族による口座登録については、小さな子供さんについては口座を持っていないということが当初から想定されることであったというふうに私は思います。そういう小さな子供さんが口座を持っていないという中で、本人名義の登録をさせるということを考えていくときに、普通であれば、このことを、仮定のこととして、どういう体制、制度、システムにしていくかということを、当然事前に考えた上で行っていく必要があったというふうに思います。想定外という言葉はありますけれども、このことは想定外のことではなくて、当然運用に当たって想定されるべき事柄であったというふうに私は思います。

 そういう意味では、制度設計ですとか、口座登録に当たって、子供さんを持っている御家庭への説明や広報も不十分であったというふうに思いますし、また、このことから、家族名義ではない他人名義の口座登録も、マイナンバーが手元にあるなどの一定の条件がそろえば可能であるということ、これも大変問題であるというふうに考えますけれども、このことに対するデジタル庁の御見解と、今後どのようにこの再発防止策を取っていかれるのかということについて、御説明をお伺いいたします。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 今御紹介ございましたけれども、公金受取口座の総点検というのをやってございます。その結果としまして、本人とは別人にひもづけられている可能性が高いものが七百四十八件確認されてございます。これらの方々につきましては、登録されました口座情報を変更するよう、今月中にも郵送で御案内するなど、丁寧な対応を取ってまいりたいと考えてございます。

 それから、誤登録ではないんだけれども、家族名義の口座が登録されている方々でございます。この方々に対しましても、迅速な給付金の支給のため、登録口座を御本人の口座に変更するよう、マイナポータルに通知を送り、九月末までの対応をお願いしていきたいというふうに考えてございます。

 そもそもの制度設計という御指摘でございましたけれども、今般の事案でございますが、マイナンバーカードの記載の漢字氏名と口座名義の仮名氏名を自動で照合できないことが根本的な課題であったというふうに考えてございます。

 今般の法改正によりまして振り仮名が公証されるようになりますので、そのタイミングに合わせましてシステム改修を行い、口座名義人の自動照合を実現していきたいと考えてございます。

 また、振り仮名公証化までに時間がありますので、それまでの実施可能な対策としまして、漢字氏名と仮名氏名とを照合可能な検知モデルの開発を年内をめどに行いまして、検知モデルの精度を確認した上で、登録データへの適用について検討したいと考えてございます。

 デジタル庁としましては、国民の皆様に安心して公金受取口座の登録をいただき、迅速かつ確実な給付ができるよう取り組んでまいりたいと考えてございます。

西岡委員 今御説明ありました振り仮名の法改正の問題と私が質問させていただいた件は、全くちょっと次元の違う話だというふうに思います。

 やはり、しっかりと様々な場面を想定しなかった、拙速にカードを持っていただくことが目的化をしていたということに大きな原因があるということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。

 ちょっと質問時間も短いので、進めたいと思います。

 さきのG7サミット、無事に行程を終わられて閉幕に至りましたけれども、警備体制についての政府の取組に関して、ちょっと検証する必要があるものに関して今日質問させていただきます。

 まず、海外というか、G7でしたので、他国に比較した場合、我が国が不足しているものを指摘しますと、放送事業者が自主的な規制を行うに当たって、ガイドラインがやはり他国ではしっかりしております。

 例えば、アメリカにおいては、テロに関する報道の保護において、膨大な報道が、ガイドラインが全てにおいて構築されております。これは、公共ラジオ放送のナショナル・パブリック・ラジオのような組織が個別の事例に関して発した指針や注意喚起が蓄積されてという歴史的な背景もありますけれども、我が国においても、政治的中立性を損なわない範囲内で、放送事業者が自ら定めるガイドラインの一層の充実したものが必要ではないか。また、一方で、イギリスにおきましては、ディフェンス・アドバイザリー・ノーティス、DAノーティスという制度が存在して、メディアが国防省等の政府機関とともに安全保障に関する報道内容を検討して調整されていることが指摘されます。

 では、アメリカやイギリスのテロ等の事態における政府とのメディアの関係が日本にはちょっと足らないのではないか、将来的には日本では検討する必要があるのではないかなというところで、政府としては、G7サミットのような重要な局面での警備体制についてテレビ局が詳細な報道を行うことについてどのように捉えているんでしょうか。まずはそれを教えてください。

早川政府参考人 お答えいたします。

 G7広島サミットや関係閣僚会議等におきまして、国内外の要人の身辺の安全と行事の円滑な進行を確保するため、警察におきましては、警備に支障がないよう、警備計画などの関連情報の保全に配意しつつ、警備諸対策を実施しているところであります。

 一方で、交通対策を含みまして警備諸対策を実施するためには、住民や民間企業の方々の理解と協力が不可欠であり、適切な警備状況の報道はこうした方々の理解と協力に資するものであると認識しております。

 警察といたしましては、引き続き、警備に支障のないよう、関連情報の保全に留意しつつ、諸情勢に応じた的確な警備を実施してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 御答弁のとおり、見せる警備に近い、抑止力を生むという、つまりテロ行為などをそれによって思いとどまらせる効果もあるのではないかというところもあるんですけれども、例えば、岸田首相が三月にウクライナを電撃訪問した際に、我が党の浅田参議院議員が三月二十三日の予算委員会で、質疑で指摘したように、テレビ局が首相の列車に乗り込む姿を撮影するなど、ちょっと懸念事項が指摘されました。

 これまで、政府としては、こうした観点から一定の協力や配慮を報道機関へ要請したことがあったのでしょうか、総務大臣、教えてください。

松本国務大臣 放送は、有限希少な電波を用いて不特定多数に同時に同じ情報を提供する手段として大きな社会的影響力を有しており、放送事業者は、放送法の規定に基づいて、災害情報など公共性の高い情報をあまねく伝えるとともに、「報道は事実をまげないですること。」などの番組準則という規範にのっとって、いわば質の担保された情報を提供する責務を有していると考えております。

 今お話がありました警備体制などの報道に関しては、警備に支障がないよう、関連情報の保全について警備当局において適切に取り扱われるものと認識をしております。

 その上で、放送事業者が警備体制などを報道することは、社会的影響力を踏まえれば、地元住民や民間企業の方々の理解と協力を得られるといった効果があると認識をしております。

 要請についてということでございましたけれども、放送法は、一条の目的規定において、次に掲げる原則に従って、放送を公共の福祉に適合するよう規律し、その健全な発達を図ることを目的とするとし、放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすることといった原則を規定いたしております。

 こうした原則を踏まえて、放送法第百八条は、基幹放送事業者に対して、災害の発生を予防し、また、その被害を軽減するために役立つ放送をすることを義務づけているなど、放送事業者には、その社会的役割を踏まえ、国民の生命、身体、財産の安全の確保を図ることが求められると考えております。

 その上で、総務省といたしましては、放送における表現の自由を確保するために放送法が定められていること、放送法が放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっていることを踏まえ、放送事業者におかれては、放送法にのっとって、放送の公共的な使命を踏まえた上で、自ら考えて判断いただき、要請についても適切に対応をいただくものと考えているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございました。

 加えて放送法四条もありますし、具体的な要請というような事例というのは、しっかりとした要請はなかったというところで捉えられるんですけれども、では、問題になった事例を幾つか指摘したいんです。

 昨年七月の安倍元総理襲撃事件の後に事態が明らかになっていく中で、例えば、いわゆる犯人が凶器をどのようにして手にするに至ったという経緯が、やはりテレビ局を始めとした報道機関に盛んに論じられました。あくまでも仮の話ですけれども、これが視聴率を得るために安易な私益性を追求した結果であれば、極めて不適切で、公益性を目指した結果であるという説明も成り立たないと思います。

 今年四月に岸田総理が襲撃された事件が発生した際も、用いられた凶器に対して、殺傷能力を高める仕組みまで含め、製造なんかを報道されている例がやはり見受けられました。報道機関において、必ずしも模倣犯の出現の抑止という意義が徹底されていないと思うんですね。

 そういった中で、政府としては、極端な表現をすれば、テロの助長を招きかねないような犯行の詳細などが報道される状況については、どのように捉えられているでしょうか。

松本国務大臣 個別の放送番組についてコメントを申し上げることは差し控えたいと思いますが、報道機関による報道は、国民の知る権利に奉仕するものであると認識をしているところでございます。

 今、委員からの御指摘は、テロ行為や犯罪行為を助長しかねない報道もあるのではないかというお話かというふうに理解をいたします。放送番組の編集は、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっておりまして、放送法四条一項において、放送事業者は、放送番組の編集に当たっては、公安及び善良な風俗を害しないことなどを確保しなければならないこととされております。

 また、放送法第五条の定めるところにより、放送事業者は、放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組を編集をすることとなっておりまして、放送法の規定を踏まえて各放送事業者において番組基準を定めているところでございますが、例えば、NHKの番組基準では、「犯罪の手段や経過などについては、必要以上に詳細な描写をしない。」といったことが定められていると承知をしております。

 総務省といたしましては、放送事業者におかれて、放送法の自主自律の枠組みの下、法にのっとって番組の編集に当たっていただきたいと考えております。

伊東(信)委員 本当に、大臣のおっしゃることは一方ではもっともなことなんですけれども、要は本当にバランスの問題でありまして、こんなことを言うのもなんですけれども、解散もささやかれている中で、我々が街頭演説をするときも含めて、安全性というのもやはり大事だと思います。

 そんな中で、冒頭で申し上げましたように、アメリカやイギリスにおける政府とのメディアの関係、我が国における安全保障や重要な警備体制、そしてテロ等に関する報道について、やはり、そういった観点で我が国は不足していると指摘したいと思います。イギリスにおいての、ディフェンス・アドバイザリー・ノーティスという制度が存在して、拘束力を持たない形でメディアが国防省等の政府機関とともに安全保障に関する報道内容を検討して調整している、そういった事例もありますので、安全保障、重要な警備体制、テロといった緊急的、例外的な性質を持つものに限っては、我が国においても政府と放送事業者の間で調整を行う枠組みを持つ余地があるのでしょうかどうか、その辺りを、大臣、やはり大臣の安全も大事だと思いますので、お答えいただければ幸いです。

松本国務大臣 先ほど御答弁申し上げたところと一部重複をするかもしれませんが、放送法は、放送事業者の自主自律を基本とする枠組みとなっているところでございまして、放送番組は放送法に沿って放送事業者が自らの責任において編集するものとなっております。

 今申し上げましたように、自主自律の枠組みとして、放送事業者においては、放送法に基づいて、番組、放送の基準を定めて運用していただいていると思いますが、さらに、放送法に基づいて、放送番組審議機関を設置していただいております。加えて、放送番組の質の確保、向上に関する自律的取組の一環として、放送事業者が共同で放送倫理・番組向上機構、BPOを設立し、これを通じて事件の報道の在り方について議論をしていただいているところでございます。

 総務省としては、放送事業者には、今後とも、放送法の自主自律の枠組みを基本として、番組の質の確保、向上に努めていただくように期待をしたいと考えております。

伊東(信)委員 私のこれまでの今国会での総務委員会での質問も含めて、いわゆる放送の中立性について、本当に政府に対していろいろな指摘があったと思いますけれども、本当に要はバランスの問題ですので、もし検討いただければ幸いでございます。

 質問を終わります。

浮島委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 まず、NHKからですが、確かに、今回、放送法上、認可を受けなかったという問題はあったとはいえ、そこでやろうとしていた衛星波の同時・見逃し配信、これはやはり、私は常に申し上げておりますが、やるべきことだと思っております。ですので、今回のことはあったとはいえ、是非ともこれを前向きに進めるべき、ここで、しばらくちょっとこれは、衛星波の同時・見逃し配信はちょっと、こんなことがあったからしばらく待てということではなく、どんどん進めていただくべきことだと思いますが、総務大臣、いかがお考えでしょうか。

松本国務大臣 委員御案内のとおりかと思いますが、NHKのインターネット活用業務は、放送法第二十条第二項のいわゆる任意業務として規定されておりまして、同条第十項の規定に基づき、総務大臣の認可を受けたインターネット活用業務実施基準に沿って実施していただくことが必要になっております。

 現在のインターネット活用業務実施基準では、BS放送のインターネット同時配信、見逃し配信は業務範囲に含まれていないところでございます。

 NHKにおかれては、近年、インターネットを通じたコンテンツ視聴の拡大などにより、国民・視聴者の視聴スタイルが急速に変化している中で、公共放送として時代の要請に応えることが求められると考えております。

 総務省といたしましては、昨年九月から開催している有識者会議におきまして、こうした新しい時代における公共放送の役割を含め、NHKのインターネット活用業務の在り方全般について検討を進めていただいておりまして、今年の夏をめどに一定の取りまとめをいただきたいと考えて進めていただいておるところでございます。

市村委員 ありがとうございます。

 それでは、稲葉会長、私は、稲葉会長の経営大改革プランを、ビジョンを待っておるということで、お待ちしておりますので、最後にちょっと、まず、今後のNHKについては、一言また御決意をいただきたいと思います。

稲葉参考人 NHKといたしましても、インターネット上においても正確で信頼できる情報を発信し、視聴者・国民の安全、安心を支え、あまねく伝える、そういうことで健全な民主主義の発達に資するという、放送と同様の公共的な役割をインターネット上においても果たしていくことが必要ではないかと強く考えてございます。

 現時点で、衛星放送の番組をNHKプラスで同時・見逃し配信することは考えてございませんが、インターネット活用業務については、現在、総務省の検討会や作業部会で様々な検討が進められているものと承知しておりまして、そうした議論の推移を注視するとともに、民放との二元体制を堅持し、公共性と市場競争への影響に留意しながら、インターネットの適切な活用に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

市村委員 いつも申し上げておりますが、放送と通信の大融合時代でありますので、二元体制ということよりも、私は、NHKがこれまで、民放も含めてすばらしいコンテンツがあるわけでありますから、インターネットを通じてそういうものを世界にどんどん配信していく、そういう体制を早急に整えていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 次に、今日はちょっと深刻な話をさせていただきたいんですが、ここで、総務委員会でこの話を取り上げますのは、いわゆる支援措置ということがありますが、この支援措置が悪用、濫用されていまして、子供連れ去りを容易にする。そして、それを指南する弁護士さんたちもいるようでありますが、その結果、自死に追い込まれている人がいる。これは男性が八割ぐらいだと思いますが、女性もいらっしゃいます。男女関係なく、そうやって子供を連れ去られて、絶望の中で自死に追い込まれている人がいるという実態があるということがあります。そこに支援措置が悪用、濫用されているという実態だろうと私は思っておりまして、そのことにつきまして少し質疑をさせていただきたいと思っています。

 これは、この支援措置には相談機関等の意見というのを付さなくちゃいけないんですが、この意見があると、これは、自治体の窓口の方からすれば、この意見があって、そこに、ペーパーが調ってしまいますと、もうこれは支援措置になるんですね。

 では、そういうときに、大きな問題は何かというと、警察がここにサインをする場合は、警察はさすがに双方の意見を聞くわけですね。これは、今では、要するに、相談した人は被害者、相談された人は、でっち上げDV、これは偽装DVと私は呼んでいますが、それにより加害者になるんですね。一旦加害者となると、加害者のレッテルを貼られ続けまして、何を言っても聞いてくれない。あなたは加害者なんだと。その前に、ちゃんと警察がやっておられるように、しっかりと双方の意見を聞いた上でこの意見を付すべき、署名をすべきなんです。

 相談員という方がおられます。ここにですね。配偶者暴力相談支援センターというのが、これはDV法上に基づいてつくられているわけでありまして、都道府県には必ずある。市町村は、つくっても義務ではない、設置義務はないということですが。この配偶者暴力相談支援センターの相談員の方、この方たちもかわいそうなんですね。結局、相談されたら、それは一方の相談業務をやるわけであって、相談を受けたら、やはりそれはかわいそうに思いますよね。来た方に、あなた、それはちょっと違うんじゃないのなんて、なかなか言えないと思います。そうすると、どうなるかといいますと、サインをするわけです。そうすると、そのサインをした途端に、相談者の方は被害者、相談された方は、これは夫の場合もあれば妻の場合もあるんですが、これは加害者になるんですね。

 これを、一方の意見だけで物事が進んでしまう。一方の意見だけで物事が進んで、その後、一旦そうなると、先ほどから申し上げているように、それはもう拭い去れない状況になって、子供が連れ去られ、突然いなくなる、子供と会えなくなる、そして心を病み、自死に追い込まれているという実態があります。

 これについて、まず、総務大臣、こういう実態があるということは御存じでいらっしゃいますでしょうか。

松本国務大臣 もう委員も御案内のとおりかと思いますけれども、DVなどの被害者の保護というのも大変重要なことであるというふうに思っておりますし、時には緊急性を要するものもある中でございます。

 同時に、今お話がありましたように、制度は適切に運用されなければならないこともおっしゃるとおりかというふうに思っておりまして、今委員からいただいたような、必ずしも制度が適切に運用されていないのではないかというお声を私どもの方にもいただいていることは承知をしております。

市村委員 是非とも、これはもう、この支援措置の問題が、だけじゃないんです、支援措置も悪用されている、濫用されているという状況でありまして。

 もう時間がないので、そのときに警察はちゃんと双方の意見を聞いていただいていると私は信じておりますので、今日は警察庁から政府参考人もいらっしゃいますが、これについては濫用、悪用があるという実態について把握されているかどうか、それについて、また、警察はしっかりと対応していただいているかどうか、一言お願いいたします。

友井政府参考人 お答えをいたします。

 警察におきましては、申出者から被害の状況等を聴取するほか、必要に応じて加害者を含む関係者に対する事情聴取を行うことなどによりまして、配偶者からの暴力の事実の有無等を慎重に確認しているところでございます。

 こうして把握した事実関係に基づきまして、支援措置が悪用されることを防ぐため、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 それでは、あと、法務省さん、これは裁判所の問題なんですが、結局、裁判所の保護命令が出るまでの措置ということでこの支援措置があるということなんですが、これが一年とかになって、また、ないがしろに、延長されるということもあります。

 しかし、結局、いわゆる家庭裁判所で、こうしたことが、いや、もう支援措置が取られているんだというようなことをもってして、これを悪用している弁護士さんたちが、それをうまく代理人として使って民事裁判にかけていくということで、そうなると、その相手方は、加害者であるレッテルを貼られた上に、今度は被告というレッテルを貼られていくことになります。これはもう本当に、気持ちを考えると、死にたくなるという気持ちもよく分かるんですね。

 そういうことにならないように、裁判の過程でも、こういうのはしっかりと見た上で裁判が行われるということが必要だと思いますが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 離婚などの裁判手続において、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でDVを受けたかのように偽装して主張する場合もあるとして、そのような当事者や弁護士等の対応を批判する意見があることは承知しております。

 裁判手続における当事者の主張の当否や弁護士の活動の当否については、それぞれの担当の裁判所において証拠に基づいて判断されるべきものであるため、法務省としてコメントすることは差し控えたいと存じます。

 一般論として申し上げますと、我が国の民事裁判実務においては、裁判所は、当事者の一方の主張のみに依拠して判断しているのではなく、個別具体的な事案における当事者双方の主張、反論を聞いて、当事者間に争いがあれば、証拠に照らして判断をしているというものと承知をしております。

市村委員 ありがとうございます。

 今の話、しっかりと皆さん受け止めてくれていると思いますので、裁判所がそういう、ちゃんと双方の話を聞いて裁判が行われるということが進んでいくことを心から願って、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

浮島委員長 次に、守島正君。

守島委員 維新の会、守島です。

 NHKの不適正な稟議の問題に関してですが、先日、私は、理事懇の場で、そもそも予算、事業計画と実際の行動の乖離、これは意図的か、誰の指示かという質問をさせていただいたところ、その実態が明確ではないという回答があったため、事態の解明と稟議書など関係書類の公開を求めてきましたが、おとといの読売新聞さんの記事では、こうした予算問題を認識しながら調達を図ろうとしていたとありまして、そして、追い記事というか、昨日の記事では、減少傾向にある衛星契約の解約阻止が目的と書かれていました。

 つまり、やはり初めから意図した計画だったと推測されるんですけれども、これは誰の指示だったのか、今分かっている事実関係を教えてほしいと思います。ちょっと時間がないので、簡潔にお願いします。

稲葉参考人 最初にお断り申し上げますが、衛星放送の同時配信等の計画について現経営体制で決定したということは全然ございません。問題は、今回の事案が令和五年度予算、事業計画との関係が明確でない、そういう稟議に基づく手続の問題であるというふうに考えてございます。

 その辺、誰の指示によるものかということでございますが、なかなか分かりにくいところなんでございますけれども、現在のところ、前経営企画担当役員は昨年十月に前会長から衛星放送番組同時配信の了解を得たと説明しており、このことを踏まえて、衛星放送の同時配信を名目とする設備が含まれた設備投資を行う稟議が起案されたというふうに承知してございます。

守島委員 もちろん、現体制、今年、稲葉会長は任命された、稟議が回ったのも去年ということも含めて、認識はしています。発信した元が誰かということも含めて、これはしっかり明らかにしてほしいなというふうに思っているので、引き続き、稟議書であったり監査報告などの関係書類の公開とともに、事の実態を把握して国会に報告してほしいなというふうに思っております。

 理事懇の場でも、ネット事業の必須化とかBSの本格配信を二四年度に進めるために、大臣承認などの具体的な手続を経る前にこれは見切りでやったんじゃないかということを聞いたんですけれども、そこも定かではありませんという回答を受けました。しかし、直近の報道を見るに、意図的に、前体制であれ、先行してやったんじゃないかなというふうに思っています。

 この点、何が問題かというと、我々に提示されるNHKの予算案というのは、項目ごとの予算で、細かい調達品の内容まで記載されていませんが、予算審査に当たり個々の費目まで精査されないのは、ある種、予算、事業計画どおりに予算が執行されるということが我々委員会のメンバーとNHKさん相互の前提となっているからで、この関係、信頼関係が壊れてしまっては、予算審査の在り方自体、見直していかなきゃならないという話になってきます。

 そもそも、五億円を超えていなければ今回稟議書も回っていなくて、本件は判明していなかったことを考えると、従来の審査では国会のチェック機能は果たせていなかったということになるので、一応確認なんですが、そもそも事前準備であれば予算、事業計画から乖離したものでも調達可能というのがNHKの認識なのか、もしそうじゃないんであれば、壊れたというか、この信頼関係をどう回復していくのか、会長の見解があれば教えてください。

稲葉参考人 まさに、予算、事業計画と乖離し、関係が明確でない事案の調達を事前準備として行われるということは許されないというふうに思っております。今回の事案は、まさに、予算、事業計画との関係が明確でない稟議に基づく手続が実際に行われたということが問題だと認識してございます。

 予算、事業計画との関連性が明確な事案について、開始に向けた事前準備を行うということは可能ではないかというふうに思っておりますが、その際、関係する各所への説明等、必要な手続があって初めて成り立つものだというふうにも考えてございます。

 いずれにしても、こういうことでございますので、今回の問題は公共放送としてガバナンス上あってはならないことだということで、大変深刻に受け止めるべきものだと思っておりまして、第三者の視点を入れて、決定プロセス、規程等の検証、見直しを行い、ガバナンスを再構築し、信頼回復に努めてまいりたいというふうに考えております。

守島委員 ありがとうございます。

 相互の信頼とか、連絡ありきのものだというふうに私たちも思っています。

 というのも、今年度の予算に我々維新も賛成しましたが、信頼の回復なしでは、次年度以降、細微にわたる積算根拠を出さないとそもそも審査に応じられないよという話にもなりかねないので、その点、今後のガバナンス改革を注視していきたいというふうに思っています。

 そして、今回、特に残念なのが、市村委員の話でもあったんですけれども、維新としては、総務省に対し、NHKのインターネット活用事業の二百億円キャップとかもなくして、通信の世界でもNHKのポテンシャルを生かしてほしいとさんざん訴えてきました。だからこそ、ある種、厳しいけれども、民業の部分で規制なく経営ができるようにNHKの分割民営化法案なども作ってきましたし、抜本的な経営形態の変更は見込めないものの、新しいNHKを目指す改革姿勢というのを一定評価してきたので、昨年度反対した予算に今回賛成したという経緯があります。

 また、民放各社など、NHKが業務を拡大することを懸念している人たちもいる中、NHKのネット業務の必須化に向けては、NHK自身がしっかりと説明を果たしていかないといけないという状況下なのに、結局、NHK内部のガバナンスのせいで信頼が損なわれて、自分で自分の首を絞めて、経営の自由度とか裁量を失いかねない事態となっています。

 NHK自らの問題でネット事業の進展が進まず、ひいては、受益者が得られるであろう受益を享受できない可能性を踏まえると、これはユーザーにとっても大きな問題というふうに思っているんですが、これから実施基準の変更など、ネット活用事業の展開をどのように進めていこうと思うのか、会長の考えを聞かせてください。

稲葉参考人 今回の事態は本当に会長として深刻に受け止めておりまして、再発防止に全力で取り組んで、信頼回復に努めたいというふうに思っております。

 その上で、NHKとしては、インターネット上におきましても、正確で信頼できる情報を発信し、視聴者・国民の安全、安心を支え、あまねく伝えることで健全な民主主義の発達に資するという放送と同様の公共的な役割を果たしていくことがやはり大事、必要ではないかというふうに考えてございます。

 今後、総務省の有識者会議での議論の推移を注視するとともに、民放との二元体制を堅持し、公共性と市場競争への影響に留意しながら、インターネットの適切な活用に取り組んでまいりたいというふうに思っています。

守島委員 是非、NHKさん、ステークホルダーもたくさんいるので、各所に理解を求めるために頑張ってほしいと思います。

 これでネット事業の必須化に影響が出るのであれば、今、会長はあまねく公共放送の大事さをおっしゃってくれましたけれども、やはり公共の部分というものを再定義して、抜本的に組織の在り方も見直さないといけないんじゃないかという議論にもなりますので、この件に関しては注視していきたいというふうに思っております。

 今日は、この後、昨日、立憲民主党さんと、インターネット投票法案というのを維新と共同で出させていただいて、その話をしようと思ったのですが、時間がないので今日は終わらせていただきますが、引き続き、それは次の課題ということにしまして、ネットの分野でもしっかり総務省に頑張っていただきたいというふうに思っております。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

浮島委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、NHKの不適切調達問題でありますけれども、稟議書から事が発覚したにもかかわらず、それが提出できないというのでは、先ほども稲葉会長は、大変深刻に受け止めている、こうおっしゃいましたけれども、果たして真面目に説明責任を果たそうとしているのかが問われると思うんですね。

 では、先ほど来の議論を受けてずばり聞きたいんですけれども、稲葉会長、今回の件を総務省に報告したのは何月何日ですか、会長。

根本参考人 お答えいたします。

 五月二十九日にNHKから総務省に報告いたしました。

宮本(岳)委員 五月二十九日、えらく遅いんですね。

 大臣、遅いと思いませんか、大臣。遅いと思いませんか、五月二十九日。

松本国務大臣 これまでも、NHKは、放送法に基づいてしかるべき御対応をいただき、適切に報告をいただいているものというふうに認識をしております。

宮本(岳)委員 そもそも、来年、二〇二四年四月からのBS全放送番組の同時・見逃し配信を本格実施する、こういうふうに実は書かれた四月四日付の文書というものも新聞に報道されておりますね。稲葉さんの体制になるまでに、NHKの内部ではもはや公然の秘密になっていたのではないかと私は思っています。

 資料一を見ていただきたい。自民党の、放送法の改正に関する小委員会の第三次提言であります。

 昨年の八月の二十四日、NHKのインターネット活用業務を本来業務化すべきかどうか、本来業務とする場合にはその範囲をどう設定するかの検討を総務省に対して促しております。これを受けて、総務省の有識者会議、公共放送ワーキンググループ等で、NHKのインターネット活用業務が議論されてまいりました。

 これは、総務大臣、間違いないですね、そういう動きは。

松本国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、NHKにおかれては、昨今のインターネットを通じたコンテンツ視聴の拡大などにより、国民・視聴者の視聴スタイルが急速に変化している中で、公共放送として時代の要請に応えることが求められているところでありまして、総務省としては、昨年九月から開催している有識者会議において、こうした新しい時代における公共放送の役割を含め、NHKのインターネット活用業務の在り方全般について検討を進めていただいているところでございまして、今年夏をめどに一定の取りまとめをいただきたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 はい、確認されました。

 このワーキンググループですけれども、五月の二十六日にも開催をされております。第八回会議では、NHKの井上樹彦副会長が、必須業務化に際しては、放送と同様の効用をもたらす範囲に限って実施していくのが適切と考えるなどと述べたと報じられております。この第八回会議は五月二十六日に開催されているんですけれども、既にこんなことを論じている場合ではなかったはずなんですね。

 NHK自身が提出した経緯には、五月十七日には、理事会で五月十五日に提示した対応の報告を受け、会長が再開を判断とされておりまして、五月十六日には経営委員会も開かれております。そして五月二十九日に初めて総務省に報告したというんですが、五月二十六日に井上樹彦副会長は総務省に行ってこういう報告をしている、先ほど紹介したような、今日資料二につけたような報告をしているわけですよね。

 これは、井上さんは五月の二十六日に総務省に報告しなかったんですか、会長。

稲葉参考人 先ほどの御説明のとおり、総務省に対しては五月二十九日に御報告いたしました。

 それは、内部的な所要の検討、確かめるような作業がありましたし、経営委員会に報告し、そして再発防止策などをどういうふうに作るか、どういう体制で作るかというような議論を要しましたので、そこまで時間がかかってしまったということでございます。

 副会長の井上が総務省のヒアリングの際に報告した、今後のインターネット活用のNHKの基本的スタンスは、この問題とは全く関係がありませんので……(宮本(岳)委員「えっ、関係ない」と呼ぶ)問題の性格としては違うものでございますので、それはそれとして、これまでNHKが考えてきたことを井上はヒアリングの際に申し述べたということでございます。

宮本(岳)委員 資料二に、そのとき井上さんがワーキンググループで配った資料をつけたんですよね。

 見ていただいたら分かるとおり、右側に赤字で書いたところ、「インターネット活用業務(必須業務化した場合追加)」と。着々と必須業務化の議論が進んでいて、これは基本的には必須業務化を希望しているという方向での、ワーキンググループではですよ、お話だったと思います。

 井上さんは、五月十六日の経営委員会にも出席をされております、副会長は。御発言もございます。今日は、井上さんも別の委員の方の質疑に参考人登録されておりましたから、急遽、私も直接御本人にと思いましたけれども、様々な事情で入れられておりません。会長はこの経営委員会におられましたから、井上さんが発言したのも横で聞いておられたと思いますね。

 十六日の経営委員会で既に明らかになっていたものを、二十六日の日に、総務省のワーキンググループに行きながら、そこでは、ここに示したように、インターネット活用業務を必須業務化するという議論をやっておりながら、NHKが総務省に報告しなかったのは、やはりこれは隠したと言われても仕方がないんじゃないですか、会長。

稲葉参考人 御指摘のとおり、事案の重要性から鑑みましても、皆様に迅速に報告すべきものだというふうに思います。時間を要してしまったことは大変申し訳なく思ってございます。

 実態を覚知して以降、内部調査を実施しまして、それから速やかに関連業務等の停止などを行いました。放送法の規定に基づき、監査委員にも報告いたしました。他方、支出に違法性がないことの確認、内部手続の是正による業務の停止で業者に損害が発生する可能性があるかどうかの確認などで時間がかかりました。

 そして、ガバナンス、内部統制上の問題に対処する再発防止策の検討体制も併せて経営委員会に報告し、その上で公表したいというふうに考えましたので、時間を要することになったということでございます。御理解をいただきたいと思います。

宮本(岳)委員 いやいや、そういうことも、十六日の経営委員会の段階で全て報告もされているわけですね。だからこそ、先ほど来、稟議書も出してもらいたい、監査の結果を提出してもらいたい、十五日の理事会にて報告された調査結果も出してもらいたいと国会の側は求めているわけでありまして、そういうものをしっかり開示していただきたい。私の方からも、強く求めておきたいと思います。

 それで、結局、対応として出されたものも私はおかしいと思うんです。稟議に付された衛星波の同時・見逃し配信から、地上波配信の局内設備障害時のバックアップに変更して発注して対応した、こうなるんですね。そして、衛星波の同時・見逃し配信のみに必要な設備整備は契約せず中止した、こういう説明になっていますね。

 そうであれば、同じ額であるのはおかしいんですね。一体幾ら止めましたか。

寺田参考人 お答えいたします。

 国会で承認いただいた二〇二三年度予算、事業計画において建設費の放送番組設備の整備に二百三十八億円計上しておりますが、その中に、当該、今回の設備整備にかける八億円を含んでおりました。

宮本(岳)委員 八億円を含んでいた。

 一・五億円止めたんですか。もう一度、寺田さん。

寺田参考人 お答えします。

 是正された稟議書に書かれていた九・五億ですが、この中には設備整備のための建設費と、そのほか事業費が含まれております。このうち、設備整備にかかるところは八・八億になっていました。

宮本(岳)委員 だから、幾ら止めたか分かりますか。

寺田参考人 お答えします。

 八・八億のうち、衛星放送の同時、見逃しのために必要な設備〇・八億、八千万を止めております。

宮本(岳)委員 〇・八なんですね。全然、僅か止めただけなんです。

 つまり、このBS番組のインターネットの周知広報配信と地上波配信の局内設備故障時のバックアップという最終的に落ち着いた対処ですけれども、これを整備すれば、時期が至れば衛星波の同時・見逃し配信にも転用できる、汎用性のあるものなんじゃないですか、技師長。

寺田参考人 お答えします。

 既に発注した設備につきましては、地上波の配信のバックアップ設備として利用可能な、汎用性のあるものです。

 ただ、仮に、今、バックアップとして整備していますが、衛星同時配信を行うためには、追加の機能を配備、新たな設備改修等が必要になると考えております。

宮本(岳)委員 それは追加の技術的な対応は要るでしょうけれども、汎用性はあるんですね。

 結局、NHKは、最初から、衛星波の同時・見逃し配信を始めインターネット配信を必須業務化することを見切り発車的に進めてきたわけです。

 何が間違いだったかを聞けば、稟議書に地上波配信の局内設備障害時のバックアップの整備と書くべきところを、正直に、衛星波の同時・見逃し配信などと書いたのがまずかった、こういうことであって、元の表現に戻しただけであって、発注はほぼ丸々同じものを発注していますから、違約金など生じるはずがないんですよ。

 本当に、改めて、この全容解明のためには、野党が要求しているその書類を提出していただきたい。また、前田前会長についても、是非国会に出てきていただきたいというふうに思います。

 次に、マイナンバーカードについて聞きたいと思います。

 四月末の総務委員会で、マイナンバーカードのメリットとして総務省が喧伝してきたコンビニ交付で誤交付が起こっている問題を取り上げました。その後、更に広がっています。

 資料三を見ていただきたい。

 徳島県のさる自治体で、コンビニにある多機能コピー機の端末でマイナンバーカードを使って住民票や印鑑登録証明書を申請したら、転居前の住所が書かれた住民票や印鑑証明が印刷された。これは、システムの更新の際に、データ更新の設定を、管理者がログインしている間のみのデータ更新という設定に変更して、元の五分ごとの更新に戻すのを忘れていたということでありますけれども、三月末に発生したその間違いに五月になって気づいたという事例であります。

 これは自治行政局長に聞きたいんですけれども、なぜこれほど気づかないんですか。分からないんですか。分からなくていいんですか。いかがですか。

吉川政府参考人 お答えいたします。

 三月以降のコンビニ交付に係る一連の誤り事案を受けまして、総務省とJ―LISにおきましては、全国の自治体や事業者に対し、運用監視の徹底やシステムの総点検等を要請してきたところでございます。

 御指摘の徳島県板野町における事案でございますけれども、今御指摘のとおり、板野町で誤った証明書が交付された原因は、板野町の住民記録システムの管理委託事業者が実施した住民記録等システムサーバーの更新作業におきまして、設定ミスをしたことにより、データの連携に遅延が発生したということであると聞いております。

 今回の事案では、サーバーの更新作業後、しばらくの間、正常に動作しているか監視はしていたわけでございますけれども、先ほど御指摘のとおり、ログイン中はデータの連携が行われる設定となっていたものの、ログアウトすると連携がされない、そういう事情でございます。そういうことで、設定ミスを認識できなかったと聞いております。

 今、各自治体あるいは事業者におきまして総点検を実施していただいております。その結果もお聞きをしながら、総務省としても必要な対応を引き続き取ってまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 マイナンバーカードの銀行口座へのひもづけでも、誤登録が起こっております。

 市役所の登録支援では、同一端末で行っているわけですけれども、役所の端末を使った方の手続で、ログイン、ログアウトがきちんとなされていなかった、したがって、前の人がログインしたままで帰ったら、後から来た人がそのパソコンを使うと、前の人のマイナンバーカードに次の人のカードが登録されるという事態が起こった、こういう本当に笑ってしまうようなことなんですね。

 それは、しかし、特別の端末で、特別の対策を取ってやっていればそうじゃないんでしょうけれども、あちこちで、ばあっとパソコンを集めてきて、やいやいやいとやったから、ログアウトしていなければ、そのまま次の人がログインしちゃっているということになるわけですよ。

 資料四を見ていただきたい。「マイナポイント(第二弾)申込件数の推移」のグラフであります。

 昨年六月二十九日までは、青いグラフ、つまり、カードを作れば五千円ということでありましたけれども、まさに六月三十日に、保険証や口座とのひもづけで総額二万ポイントとなりました。

 最初は、このシステムは、前後二回でチェックする、つまり、ログイン時もログアウト時もマイナンバーカードでちゃんとチェックするということになっていたようですけれども、この六月の三十日に、マイナンバーカードを二回かざす二回目を外して取りやめた。最後に、終了時にかざすのを取りやめた。これは事実ですね、デジタル庁。

犬童政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の、カードの読み取り回数を減らした時期でございますけれども、令和四年六月三十日のマイナポイント第二弾開始時からでございます。

宮本(岳)委員 六月三十日に外したんですよ、どっと増やすために。そうしたら、ログアウト時のチェックができなくなったものですから、今回のようなことが起こったんですよ。

 これは、大臣、急ぎに急いでやった結果起こった、これは認めざるを得ないんじゃないですか。

松本国務大臣 マイナンバーカードは、地方のDXの基盤となるツールで、住民の方々の利便性向上、地域の活性化に資するものであると同時に、自治体職員の事務負担の軽減にもつながるものでありますので、普及促進、そしてカードの利便性の向上に取り組んできたところで、意義あるものというふうに考えております。

 そういった中で、進めるに当たっては、総務省としては、自治体に対して、それぞれの自治体における現状や課題をよく伺った上で丁寧に助言するなど、自治体の取組を後押ししてきたところでございます。

 先ほどのマイナンバーカードを使ったログイン、ログアウトに際しても、やはり手続を速やかに行うためにといったようなお声もいただく中で、システムについて変更したようでありますが、結果として様々な課題が起きたことは、我々も、また個人情報の漏えい事案もありましたので、重く受け止めているところでございます。

 総務省としては、申請者数の増加に対応するに当たって、自治体の作業負担の軽減を目指して、自治体からの要望もいただき、補充的業務の民間委託の推進、交付体制の拡充に要する経費の国費支援などを行ってまいりました。

 しかし、残念ながら、マイナンバーカード関連の一連の誤り事案が発生しておりまして、先ほども申しましたけれども、誠に遺憾であって、重く受け止めているところで、総務省におきましては、事案発生以降、自治体からよく事情を伺って、デジタル庁、J―LISとも連携して、事業者からも直接、原因や再発防止策について確認をさせていただいているところでございます。全国の自治体、事業者に対しても、システムの総点検や点検の参考となるよう、一連の事案について速やかに情報提供をしてまいりました。

 また、マイナポイントについては、申込みができなくなった方々について、自治体とも連携して、速やかに申込みが可能となりポイントを取得いただけるように取り組んでいるところでございます。

 国民の皆様がマイナンバーカードを安心して利用できるように、必要な対応に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

宮本(岳)委員 今日は答弁の訂正をしていただかなくてはなりません。最後に、厚生労働省、それだけしていただけますか。

日原政府参考人 昨年十二月六日の総務委員会におきましての私の御答弁について、今御指摘の点、御答弁させていただきます。

 この日につきましては、委員から、住民の方が希望されていなかったにもかかわらずマイナンバーカードの健康保険証の利用登録が行われた自治体の報道について、御質問をいただきました。

 その際、私からは、一旦利用登録を行った後の解除処理についてはシステムの仕組み上もできないこととなっているということ、それから、利用登録後も、マイナンバーカードにより医療機関を受診されるかどうか、また御自身の薬剤情報などの閲覧を認めるかどうかについては、御本人の選択に委ねられているということを踏まえれば、取消し処理ができないとしても制度上の不利益は生じないものと考えている旨を御答弁したところでございます。

 その後、ほかの自治体からも同様の照会等をいただきまして、また、委員からの御指摘を踏まえまして、こうした事案が、健康保険証としての利用登録に関する自治体等の支援の中で、御本人が利用登録を希望されていなかったにもかかわらず利用登録がされてしまったという、同意なく行われた手続であること等から、再度、どういった対応ができるかについて検討を重ね、このような事案につきましては、御本人からの解除希望に基づいて自治体から厚生労働省にお申出がありました場合には、例外的に、個別に利用登録を解除する対応を行うことは可能であるという旨につきまして、本年二月一日に自治体宛てに事務連絡を出させていただいたところでございます。

 この点につきましては、その時点におきまして御報告すべきであったところ、それを怠っていたということでございまして、この点について大変申し訳なく思っているところでございます。

 以上でございます。

宮本(岳)委員 終わります。ちゃんとやってください。

浮島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十八分散会


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