衆議院

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第2号 令和5年11月7日(火曜日)

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令和五年十一月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井原  巧君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 根本 幸典君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      石田 真敏君    尾身 朝子君

      勝目  康君    金子 俊平君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      島尻安伊子君    新谷 正義君

      鈴木 英敬君    寺田  稔君

      中川 貴元君    西野 太亮君

      葉梨 康弘君    長谷川淳二君

      古川 直季君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    保岡 宏武君

      おおつき紅葉君    岡本あき子君

      神谷  裕君    重徳 和彦君

      道下 大樹君    湯原 俊二君

      阿部  司君    中嶋 秀樹君

      吉田とも代君    平林  晃君

      西岡 秀子君    宮本 岳志君

    …………………………………

   総務大臣         鈴木 淳司君

   総務副大臣        渡辺 孝一君

   総務副大臣        馬場 成志君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   総務大臣政務官      小森 卓郎君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)          佐々木正士郎君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   榊原  毅君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           湯本 博信君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  菅原  希君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省国際戦略局長)  田原 康生君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (総務省サイバーセキュリティ統括官)       山内 智生君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     鈴木 英敬君

  金子 恭之君     堀内 詔子君

  西野 太亮君     勝目  康君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     西野 太亮君

  鈴木 英敬君     尾身 朝子君

  堀内 詔子君     金子 俊平君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 俊平君     金子 恭之君

    ―――――――――――――

十一月六日

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第六号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 この際、小森総務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。小森総務大臣政務官。

小森大臣政務官 総務大臣政務官を拝命いたしました小森卓郎でございます。

 皆様方の格段の御指導、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

古屋委員長 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進室次長佐々木正士郎さん、デジタル庁審議官阿部知明さん、デジタル庁審議官榊原毅さん、総務省大臣官房総括審議官湯本博信さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、行政評価局長菅原希さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局選挙部長笠置隆範さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、国際戦略局長田原康生さん、総合通信基盤局長今川拓郎さん、サイバーセキュリティ統括官山内智生さん、消防庁次長五味裕一さん、法務省大臣官房審議官松井信憲さん、厚生労働省大臣官房審議官日原知己さん及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田中良生さん。

田中(良)委員 皆様、おはようございます。

 今国会、当委員会の与党筆頭理事を務めます自民党の田中良生です。円滑な委員会運営、そして国会の機能をしっかりと発揮できるように、奥野筆頭理事と協議を重ねて、国民生活に資する総務関連の施策の実現に努めていきたいと思います。どうぞ皆様、よろしくお願いしたいと思います。

 まずは、鈴木淳司総務大臣、御就任おめでとうございます。鈴木大臣とは、十年ほど前になりますでしょうか、大臣が自民党の経済産業部会長だったとき、その後を、部会長を私が引き継ぎまして、経済政策についていろいろと御指導いただいたものであります。

 総務省のキャッチフレーズを調べてきました。「くらしの中に総務省」。国民生活、暮らしが第一、国民生活を支えている役所であるということであります。国を治めて、そして民の苦しみを救う、まさに経世済民と言えるものかと。経済にもしっかりと精通した鈴木大臣、是非総務大臣として、そういう観点からも御活躍を期待するものであります。

 さて、今日は、幅広い所管を持つ総務省に対しまして、まずは物価高騰対策、あるいは地方財政、地方制度調査会、そして生成AI等々、質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 まずは、物価高騰対策についてであります。

 ロシアによるウクライナ侵略、あるいはパレスチナでの戦闘、またコロナ禍によってもたらされました世界的な物価上昇、急速な円安、そしてエネルギー価格の上昇、これは国民生活、住民生活はもとより地方自治体の財政運営にも多大な影響を及ぼす、こういう状況にあります。

 物価高騰によって生じる課題、これは地方自治体によっても様々なものであります。住民や事業者の苦しい状況、あるいは施設管理等によってかかる様々なコスト上昇、各地方自治体は大変苦しい、厳しい状況にあります。

 各自治体は、重点支援地方交付金、これを活用いたしまして、低所得世帯の支援ですとか、あるいは中小企業に対するエネルギー価格支援、公共施設に係る光熱費などの支援、それぞれ、様々な物価高騰対策、これを実施しているところでありますが、特に、燃料価格、これが高止まりしている中にあって、必要に応じて、生活困窮者への灯油の購入支援、あるいは農業、漁業の従事者への燃油の購入費の支援など、継続して実施していく、こういう必要があろうかと考えます。

 このような状況下にあって、総務省として、地方自治体独自の原油価格ですとか物価高騰対策、どのように支援をしていくのか、お考えをお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 おはようございます。

 原油価格、物価高騰対策につきましては、今般の総合経済対策におきまして、内閣府の所管ではありますが、地域の実情に応じて柔軟に活用できる重点支援地方交付金を、五千億でありますが、追加することとされております。

 また、原油価格の高騰によって生じる課題は地域によって様々でありますので、地方自治体がそれぞれの地域の実情に応じて対策を講ずることが重要であります。

 このため、総務省におきましては、生活困窮者に対する灯油購入費の助成など、地方自治体が独自に実施する原油価格高騰対策に対しまして特別交付税措置を講ずることとしております。

 今後とも、地方自治体の状況を丁寧にお伺いしながら、財政運営に支障が生じないように適切に対応してまいります。

 以上です。

田中(良)委員 燃油高騰とかもそうですね、本当に生活困窮者が困っている状況にあります。各自治体、いろいろな燃油対策のアイデアもあろうかと思います。こうした好事例なんかも、どんどん各自治体にも普及、訴求、PRをしていっていただきたいと思います。

 続きまして、地方財政についてお伺いいたします。

 令和六年度に向けては、GXやDX、人口減対策ですとか地方経済の活性化、また子供、子育て支援、防災・減災事業等、地方が地域の実情に沿ったきめ細かい行政サービスを担えるように、やはり地方が自由に使える一般財源の総額確保も大変重要になってくるわけであります。

 そんな中、来年度からは、法改正によりまして、会計年度任用職員の勤勉手当、これを支給することとされております。また、もちろん常勤職員の給与も、人事委員会の勧告に沿って大きく引き上げていかなければなりません。地方公務員の給与の在り方、これ自体は、地域経済にとっても、私は大変重要な指針であろうかと思います。これらの財源もしっかりと確保していく、そうした必要があろうと考えます。

 地方からは、とりわけ、地方交付税の総額確保、それと併せて、臨時財政対策債、臨財債の発行抑制などについて強い要望がなされていると思います。令和六年度の地方財源の充実強化に向けた大臣の所見、これをお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中で、地方自治体は、子供、子育て政策の強化など様々な行政課題に対応していく必要がございます。

 令和六年度の地方財政対策に向けましては、こうした行政サービスを安定的に提供できますように、必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいります。

 その中でも、地方交付税総額を適切に確保し、臨時財政対策債の発行を抑制できますように取り組んでまいります。

 以上です。

田中(良)委員 内閣、そしてまたもちろん岸田総理も、物価の上昇を上回る賃上げということを訴えているわけであります。そんな中で、やはり地方公務員の給与というものも大きな地域の指針になろうかと思います。そういった意味で、しっかりと交付税の総額確保に努めていただきたいとお願いしたいと思います。

 続きまして、第三十三次地方制度調査会の議論についてお伺いしたいと思います。

 地方分権一括法によりまして、国と地方の関係、これは対等、協力の関係へと変わったわけであります。住民に身近な行政はできる限り地方自治体に委ねるということとされました。

 それから約四半世紀がたちました。地方自治体が地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細かく対応できるように地方分権改革が進められてきたわけでありますが、これまでの成果をどのように評価しているのでしょうか。これをお聞きしたい。

 それと併せて、現在、政府の地方制度調査会では、新型コロナウイルスの感染症への対応、例えば、ダイヤモンド・プリンセス号の横浜港、国と地方との管理、所管関係、こうしたもの、いろいろな問題も生じました。また、近年の災害の激甚化などを踏まえて、今後いつ生じるかも分からない、こうした新たな国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応が議論されているところであります。そして、人口減少が急速に進む中、社会全体のDX、これの進展を踏まえて、自治体の定型的な業務、これはできる限りデジタル化をする、そして創意工夫を要するような業務への経営資源のシフト、人材のシフト、そしてまた今後ますます重要となるであろう情報セキュリティー確保について様々な議論が行われているところであります。

 こうした議論に対して、今後、総務省としてどういうふうに対応していくのか、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 平成十一年に地方分権一括法が制定されて以降、国から地方への権限移譲が推進されるなど、自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革は着実に進展してきたものと認識をしております。

 他方で、今般の新型コロナウイルス感染症対応につきましては、個別法の規定では想定されない事態が相次いで発生したことから、国と地方の役割分担等について課題が指摘されたところであります。

 これを踏まえて、第三十三次地方制度調査会では、現行の地方自治法における一般ルールを尊重しつつ、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の役割分担や関係をどのように考えるかについて議論されております。

 また、DXの進展を踏まえた対応におきましては、行政手続においてオンライン手続や書かない場面を増やし、職員等のリソースを相談業務等にシフトすること、情報セキュリティーの確保につきまして自治体における対策の実効性を担保する方法などについて議論されております。

 答申が取りまとめられた後には、総務省としまして、答申の趣旨を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

 以上です。

田中(良)委員 もちろん、自治体の独自性、これを束縛するものではありませんが、緊急事態あるいは不測の事態、こういうときに対応するには、やはり国と地方との役割分担、この辺をしっかり、また、あらゆる場面を想定した政策の策定づくり、これを是非ともお願いしたいと思います。

 次に、生成AIに関する国際的なルール形成の取組についてお伺いしたいと思います。

 昨今、チャットGPTに代表される生成AI、これが登場して、今後の世界に劇的な変化をもたらすという期待が高まっているところであります。しかし、一方で様々な課題も指摘されています。

 今年五月のG7広島サミットにて、岸田総理のリーダーシップによって、広島AIプロセス、これが立ち上げられたところであります。その後も、九月のデジタル・技術閣僚級会議、十月の京都でのIGF、こうした機会を通じて、我が国が積極的に世界に働きかけて、AIに関する国際的なルール形成、これをリードしていく、こういう状況にあると認識しております。また、先月三十日には、広島AIプロセスの成果として、AIの開発者を対象とする国際指針あるいは行動規範、これが公表されて、G7の首脳声明でも歓迎の意が表明されたとお聞きしております。

 たまたま今日の紙面に、生成AIの開発に関して、第三者機関が認証する制度の創設ですとか外部監査の実施、こうしたものを検討する、要は、サービスを提供する際の規制を強化する方向で調整を進める、こんな記事もありました。

 何としても、今後とも我が国がやはりこのAIに関しては国際ルールを主導していくということを期待するところでありますが、総務省として、広島AIプロセスにおけるこれまでの成果、これをどう受け止めて、今後どのように取り組んでいくのか、総務省の見解をお伺いしたいと思います。

小森大臣政務官 御質問にございましたように、今般、広島プロセスの国際指針そして国際行動規範が取りまとめられたところでございます。

 これらにつきましては、我が国が主導してまいりました生成AIの国際的なルール作りをより一層前に進めるものでございまして、大きな成果であるというふうに考えております。

 今後でございますが、首脳声明での指示を踏まえまして、指針をAIの開発者にとどまらず全てのAI関係者を対象としたものに拡充するなど、広島AIプロセス包括的政策枠組みを年内に策定することを目指しております。

 これらの成果を現実のものとしていくためには、G7の政府のみでなく、G7以外の政府を始め、より幅広い関係者と対話することが重要だと考えております。こうした場として、御指摘もございました先月のIGF京都二〇二三、そして先週英国で開催されましたAI安全性サミットといったような場がございます。私も参加させていただきまして、広島AIプロセスを通じた我が国の取組について発信をしてまいりました。

 今後も、日本として、AIに関する国際的なルール作りを主導してまいりたいと考えております。

田中(良)委員 是非とも、生成AIに関しての国際ルール、これはもう日本がやはりリーダーシップを取って、そして進めていく、是非そういう政策をお願いしたいと思います。

 最後に一点、インターネット上の誹謗中傷対策についてお伺いしたいと思います。

 SNSの普及というのは、社会経済活動あるいは日常生活に今大きな役割を果たしております。しかし、一方において、例えば、スポーツ選手がミスをしたりしたときに大量の誹謗中傷投稿が行われたり、また一般人の投稿も炎上する、こういう社会問題化もあります。

 誹謗中傷に関する相談を受ける違法・有害情報相談センター、この相談件数も、令和四年で五千七百四十五件、高止まりしている状況にあります。まさに深刻であります。

 こうしたインターネット上の誹謗中傷対策について、総務省としてどういうふうに対応していくのか、今後どういう対応を取るのか、お伺いをしたいと思います。

古屋委員長 時間が来ております。簡潔にお願いします。

渡辺副大臣 人を傷つけるような誹謗中傷というのは、インターネット上であろうとなかろうと決して許されるものではないと考えております。

 総務省では、インターネット上の誹謗中傷に対しましては、令和二年九月におきまして取りまとめた政策パッケージに基づいて、関係府省や事業者とも連携をしながら取り組んでまいりました。

 具体的には、誹謗中傷を行った発信者の情報開示につきまして、簡易な裁判手続を可能としました。また、プロバイダー責任制限法の改正や、プラットフォームの事業者による具体的な対応の促進、さらにはICTリテラシー向上のための啓発活動や相談体制の強化など、総合的な対策を進めてまいりました。

 一方で、インターネット上の誹謗中傷は依然深刻な状況であります。その拡散を防ぐためには、プラットフォーム事業者による迅速な対応が必要であるという認識が浮き彫りになっております。

 こうした課題に対処をして、総務省といたしましては、昨年十二月、新たにワーキンググループを設け、集中的に議論を行ってまいります。

 本ワーキンググループにおける議論を年内に取りまとめる予定でございます。その取りまとめを踏まえて、インターネット上の誹謗中傷に対して有効な取組を進めてまいります。

田中(良)委員 よろしくお願いいたします。

 時間です。終わります。

古屋委員長 次に、中川康洋さん。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日は、質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 今日は、大臣所信に対する質疑ということで、鈴木大臣、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、早速質問に入ります。

 初めに、令和六年度の地方財政について二点お伺いをいたします。

 最初に、こども未来戦略方針の加速化プランの地方負担分についてお伺いをいたします。

 大臣は、さきに述べた大臣所信の地方財政の項におきまして、令和六年度の地方財政については子供、子育て政策の強化など様々な行政課題に対応しつつと、あえて行政課題のトップの例示に子供、子育て政策を挙げられ、特出しをされております。

 また、総務省が本年八月に示しました令和六年度の地方財政の課題では、子供、子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組むことができるよう、こども戦略方針等を踏まえ、地方財源を適切に確保すると明記をしていただいております。

 これは、本年六月に政府において決定をされましたこども未来戦略方針に示された、今後三か年で集中的に取り組む加速化プランにおいて必要となる財源、具体的には、三兆円半ばのうち、地方負担分として必要となります約三分の一の一兆円余りを指しての表現かと思います。

 そこで、鈴木大臣に伺いますが、こども未来戦略方針の三か年加速化プランで必要となる財源については、これは今後、年末に向け政府において議論されるものと私は承知をしておりますが、新たな地方負担分については、過度に地方に負担を与えず、政府を始め関係省庁が連携を図る中で、国において適切に対応されるべきと考えますが、いかがでしょうか。大臣の決意も含めたお考えをお伺いします。

鈴木(淳)国務大臣 ありがとうございます。

 少子化は、我が国の社会経済全体に関わる先送りできない重要な課題であると認識をしております。

 子供、子育て政策の強化は、委員御指摘のとおり、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきでありまして、六月に閣議決定されましたこども未来戦略方針には、加速化プランの地方財源につきましても検討することが盛り込まれております。

 今後、総務省としましても、地方の意見を十分に踏まえつつ、関係省庁とも連携をし、予算編成過程を通じて地方の財源確保に取り組んでまいりたいと思います。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 具体的にはこれからの議論だと思うんですが、やはり地方はここをすごく注視していると思うんですね。やはり地方負担分、大体一兆円ぐらいと言われていますが、これが地方にそのまま負担として新たにいきますと、現在単費で行っている地方の様々な施策があります、ここに影響する可能性があって、今まで地方でできていたものが今後できなくなる、こういった、逆行するようなこともあるのではないか、私はここを危惧するわけでございますので、地方を担う大臣として、ここは特段のお取組をよろしくお願いしたいということをお願い申し上げます。

 二点目に、所得税の減税による地方交付税への影響、ここについてお伺いをいたします。

 先週二日に閣議決定をされましたデフレ完全脱却のための総合経済対策では、物価高から国民生活を守る新たな支援策として、主に現役世代や中間所得層に対する所得税、住民税の減税と低所得者の方を対象とした給付支援策、これが示されております。また同時に、この減税によって生じる個人住民税の減収額は全額国費で負担することが明記されるのとともに、地方自治体の事務についても配慮する、このように示されているところでございます。

 私は、これら表現について、これから実質的にその事務を担う地方にとっては大変重要な内容であると感じておりまして、この文言を評価する一人であります。

 しかし、今回の経済対策の中には、所得税の減税による、交付税法定率分三三・一%、この地方交付税の減収分については、これは明記をされておりません。確かに、これら税制の議論の詳細については、今後、与党税制調査会、ここで決定されていくもの、こんなふうに私も承知をいたしておりますが、この所得税の減収による地方交付税への影響は、今後の地方の財政運営にとって大変大きい影響があると考えます。この減収分についても、住民税同様、できれば国費で補填するべき、こういった方向性を出すことが重要じゃないか、こんなふうに思うわけでございますが、地方の財政を担う大臣のお考えをお伺いします。

鈴木(淳)国務大臣 今般の総合経済対策では、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、令和六年分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円の減税を行うこととされております。

 税制についての詳細は、今後、与党税制調査会において御議論されるものと承知しております。

 なお、総合経済対策におきましては、個人住民税の減収額は全額国費で補填されることとしております。

 また、所得税の減税を行った場合の地方交付税への影響につきましては、地方の財政運営に支障が生じないよう、年末に向けて財政当局としっかり十分に協議してまいります。

 以上です。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 この件については、既に参議院の予算委員会等でも質問が出ているところでございますし、さらには大臣の閣議後の記者会見でもおっしゃっていただいていまして、今大臣おっしゃっていただいたように、地方の財政運営に支障が生じないようというようなお話をしていただいております。これはやはり、年末に向けて、私は重要な観点だというふうに思います。

 橋本減税のときには地方負担分は地方でみたいな形になったんですが、なかなかやはり今地方の財政状況は厳しい。これはもう大臣が一番御存じだと思いますが、そういった中で、地方に影響を与えない議論を、大臣、先頭に行っていただくこと、これは非常に私は大事だと思っていますし、我が党もここはしっかりと応援をしてまいりたい、獲得をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 では、続きまして、地方議会の在り方について、今日は一点お伺いをさせていただきます。

 大臣はさきの所信の中で、これまで総務大臣政務官、さらには総務副大臣を歴任されるのとともに、平成三年に議席をいただいた瀬戸市議会が自身の政治家としての原点であるというふうに述べられております。この大臣の思いをストレートに述べられた御発言は、まさしく地方行政や地方議会を担う総務省を所管する総務委員会の委員の一人として、また、同じく私も地方議会出身者の一人として、大変うれしいものがあります。

 その地方議会出身者の鈴木大臣に、今回はあえて、その地方議会の在り方についてお伺いをしたいと思います。

 さきの通常国会におきましては、第三十三次地方制度調査会からの答申を踏まえ、多様な層の住民の地方議会への参画を促すとの観点から、地方議会の役割や議員の職務について明確化を図るとの地方自治法の改正がなされております。

 具体的には、これまで法第八十九条において「普通地方公共団体に議会を置く。」とのみ規定されておりましたものが、今回の改正では新たに、議会の位置づけの追記や、議会が果たすべき役割、責任の規定、これが明記をされました。これは、地方議会にとっては大変にうれしい話でございました。

 そこで、大臣に伺いますが、私は、今回のこの改正は地方議会並びに議員の位置づけにとって大変大きな変革であり、改革であり、今後の議会の権能や権限の強化、これにつながっていくものと期待をしておりますが、同じく地方議会出身者である鈴木大臣に、今後の地方議会の役割及び在り方について、その御所見また思いをお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 私もスタートが瀬戸市議会でありましたし、中川先生は四日市市議会、まさに地方議会出身でありますので、その思いを強く持っていると思います。

 地方議会は、住民の多様な声を聞き、広い見地から地域社会の在り方を議論する重要な役割を持っております。

 地域課題が多様化する中で、議会がその重要な役割を果たすためには、多様な人材が参画をして、住民に開かれた議会を実現することが大変重要であります。

 こうした観点から、地方自治法を改正し、議会の役割や議員の職務の明確化を図るなど、全ての議会や議員に共通する一般的な事項を同法に規定することとしたものであります。

 本改正によりまして、議会の役割や議員の職務等の重要性が改めて認識されるとともに、各議会における取組と相まって、多様な人材が議会に参画をし、議会がその重要な役割を果たしていくことを期待するものであります。

中川(康)委員 ありがとうございます。

 私、先般、四年間落選をしていまして、東海ブロックということで、大臣の選挙区、まさしく後援会の皆さんと一緒に御挨拶回りをさせていただいたのがすごく印象に残っています。そのときに大臣におっしゃっていただいた、中川さんも地方議会の出身者なんだ、やはり地方議会出身の方が国政に行くことが大事なんだ、こんなお話を後援会の皆さんにしていただいた。あの一言を本当に私は忘れることができないんですね。

 その大臣が、今回、地方を担う総務大臣におなりになられた。私も、本当に、地方議会の活性化、さらには役割というところの部分で、また大臣の御指導も仰ぎながら、我が党も地方議員三千名おりますので、是非ここの部分を頑張ってまいりたいというふうにも思います。

 次に、少し観点を変えまして、通信障害等、非常時における携帯電話の通信の確保、ここについてお伺いをいたします。

 大臣は、同じく所信の中で、災害時の通信手段の確保、強靱化や、通信基盤の早期復旧に向けた官民連携協力体制の整備等に引き続き取り組みますと述べていただいております。これは、昨年七月に発生をしました携帯電話会社の大規模な通信障害を始め、これまでの幾つかの事例を踏まえての取組と私は認識をいたしております。

 総務省は、現在、これら携帯電話等の通信障害の教訓から、自然災害や通信障害などの非常時においても携帯電話利用者が他の事業者のネットワークを利用する事業者間ローミング、この実現に向け、鋭意検討を進めていただいております。しかし、この事業者間ローミングの実用化及び導入は、今から約二年後の令和七年度末頃の予定と聞いております。

 しかし、今や携帯電話は国民にとって生活の一部であり、日常時におけるその利便性、さらには非常時における緊急的必要性を考えると、この二年後の実用化というのは少し遅いのではないか、私はこのように考える、そして、もう少し早い導入をすべきじゃないか、このように考えるわけでございます。ここの総務省のお考えを伺います。

 また、現在の携帯電話に使用される地上基地局及び地上ネットワークの非常時における限界を考えた場合、将来的にはHAPSの実用化や衛星通信の高度化など非地上系ネットワークの研究開発、実用化にこれまで以上に力を入れていくべき必要があるのではないか、このように考えるわけでございますが、総務省のお考えを伺います。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、国民生活における携帯電話の重要性を踏まえまして、総務省では、災害時への対策として、公衆WiFiのアクセスポイント、これはファイブゼロ・ジャパンと呼ばれておりますが、これを開放することや、災害用伝言ダイヤルの提供などの通信事業者の取組を促進してまいりました。

 これに加えまして、御指摘の昨今通信障害が多発している状況を踏まえまして、昨年九月より、非常時における事業者間ローミング等に関する検討会を開催し、今年六月の第二次報告書において、事業者間ローミングについては令和七年度末頃に開始となる見込みとのスケジュールが示されたところでございます。

 総務省といたしましては、事業者間ローミング実現までの準備期間においても、非常時における通信環境の向上を図るため、複数のSIMを活用し、他社回線への切替えを可能とする通信サービスの提供をすることですとか、先ほど申し上げた災害時に開放される公衆WiFi、ファイブゼロ・ジャパンを通信障害時にも開放すること、こういった通信事業者における各種取組を促進してまいりました。複数SIMの活用につきましては、今年の三月以降に携帯電話事業者各社が順次導入をしておりますし、ファイブゼロ・ジャパンの通信障害時への開放といったことは、今年の九月に発表させていただいております。

 引き続き、多様な手段で非常時における通信環境の向上を図りつつ、事業者間ローミングが早期に導入されるよう、携帯電話事業者に対する働きかけなどに取り組んでいきたいと思っております。

 もう一点、御質問をいただきました非地上系のネットワークでございます。

 御指摘もいただきましたHAPSの実用化ですとか衛星通信などの高度化による非地上系ネットワークの実現は、離島、海上、山間部などの効率的な通信エリアのカバーの実現や、自然災害などに備えた通信手段の確保の観点から、非常に重要であると考えております。

 このため、総務省では、デジタル田園都市国家インフラ整備計画を本年四月に改訂をいたしまして、非地上系ネットワークの早期の国内展開に向けまして、関連する研究開発や制度整備を推進することとしております。

 総務省としましては、この計画を着実に実行し、多様な通信手段を確保することで、利用者の利便性の向上を図るとともに、非常時への備えにつきまして万全を期してまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。様々な手法を用いていただいて、日常生活にはもう必須のアイテムでございますので、そういったところを進めていただきたいと思います。

 例えば今言いました複数のSIMの部分、これはやはり、より低廉化をしていただくと広がるのではないかというふうにも思っていますし、公用WiFiの開放、こういったことも必要かと思います。そういった中で、事業者間ローミング、これも早期に行っていただきたいと思いますし、長期的には非地上系のネットワーク、ここのしっかりとした開発、ここも期待をするところでございます。

 もう一点用意しておりましたが、時間が参りましたので、終わりたいと思います。この部分は、また後ほどの一般質疑等で活用させていただきたいと思います。

 以上をもちまして公明党の質問を終わります。大変にありがとうございました。

古屋委員長 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 この国会も引き続き野党筆頭を務めさせていただきますので、皆さん、よろしくお願いいたします。田中筆頭とともに、闊達な議論が行えるようにやってまいりたいと思っております。

 最初に、今、中川委員からもございましたけれども、定額減税について、自治体の減収分については全額国費で措置するとされています。先月、東京、それから私の地元の千葉県千葉市の市長も入っていますが、九都県市からもこの点について全額国費ということで配慮を求めるということが決まっています。今、二つの面があると言いましたが、地方住民税の減収分と交付税への影響ですね。これを二つ併せて、一切影響が出ないようにきちんと国費で補填するということでよろしいでしょうか。改めて確認したいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 まず、個人住民税の減収額につきましては全額国費が決まっております。

 また、所得税の減税を行った場合の地方交付税への影響でございますけれども、これは、地方の財政運営に影響が生じないよう、年末に向けての財政当局との十分な協議の必要がありますので、一生懸命やってまいります。

奥野(総)委員 交付税の方は年末の通例の折衝の中でということだと思いますが、ここはくれぐれも影響が出ないようにお願いしたいと思います。

 それから、今手元にお配りしているこの図なんですが、非常に分かりにくいといいますか、これに基づいて一つ一つ質問していきたいと思います。上のところに重点支援交付金による対応を中心に検討ということで、住民税均等割のみ課税の方、それから定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の方々、こうなっていますが、これについて今どのような検討が行われているんでしょうか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 令和六年度の税制改正による定額減税と物価高対策のための重点支援地方交付金による住民税非課税世帯に対する支援は、支援の手法、対象となる所得層、実施時期が異なると認識しております。

 また、政府といたしましては、これらの支援の間にいらっしゃる方々への対応についても丁寧な対応が必要と考えております。

 これらの対応につきましては、令和六年度税制改正と併せまして、年末に成案を得られるように、関係省庁と連携しつつ、自治体の実務にも考慮しながら検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 今、年末の税制と言っていますが、一方で、重点支援交付金の総額という意味では、これから出てくるであろう補正の中で決まってくると思うんですね。ですから、非常に複雑な話になっていて、税制の骨格が見えない、決まらないうちにきちんと補正で手当てをしなきゃいけないという意味で、今きちっと検討が進んでいると思うんですが。

 例えば、住民税均等割のみ課税と書いてある方のところに一世帯十万円のところから右に矢印が出ていて、同水準の支援、こう書かれていますね。これは重点支援交付金で同水準の支援ということなんですが、この表を見ると十万円を重点支援交付金で世帯当たりに交付するというふうに読めますが、それでいいんでしょうか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 今般の経済対策におきまして、住民税非課税世帯について、既に一世帯当たり三万円を目安に支援してきました重点支援地方交付金の低所得世帯支援枠を追加的に拡大して、一世帯当たり七万円を追加することで、一世帯当たり合計十万円を目安に支援することとしております。

 委員御質問の住民税均等割のみ課税される世帯につきましては、今申し上げました住民税非課税世帯への支援と同水準を目安に支援を行うこととしております。

 今後、具体案につきまして、年末に成案を得られるように検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 年末というか、補正予算との絡みだと思うんですが、補正予算のときに当然これは問題になりますよね。この表を見ると、みんな十万円もらえると思うんですよ。この表は出回っていますからね、公開されているんですよね。だから、十万円じゃなかったらみんな怒ると思うんですよ。今言えないんですか、十万円って。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 繰り返しになりますが、年末までに、住民税非課税世帯への支援と同水準を目安に支援を行えるよう、成案を得られるように検討を進めてまいりたいと思います。

 金額につきましては、現時点で、これからの検討ということになりますので、これ以上のことは申し上げられませんが、よろしくお願いいたします。

奥野(総)委員 いや、でも、こんな図を世の中に出しておいて、それはないと思いますよ。前回の三万円は、住民税均等割世帯は交付されていないんですよね。今回、なぜ住民税均等割の方に交付することにしたのか。そうすると、七万円なのか十万円なのか、どっちなんですか。何で今、今回、新たに加えるんですか。理由は何ですか。額は幾らですか。もう一度聞きます。

神田大臣政務官 委員がお示しいただいておりますこの図のように、住民税均等割非課税世帯につきましては、既に三万円を交付している者に対し七万円を追加いたしまして十万円とするというところまでは指示が出ております。その先の住民税均等割のみの課税の世帯につきましては、一世帯十万円と同水準になるように、これから検討を進めてまいるということでございます。

奥野(総)委員 この資料は、クレジットは政府与党政策懇談会資料ということで官邸のホームページに出ている。内閣府にも飛んだのかな。出ているわけですよ、ということは政治的にはこういう指示があってしかるべきだと思うんですね。それと、皆さんの判断で違う判断ということはあり得るんですか。皆さんというのは役所ですね、政務ですけれども。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 私どもも、この図によって指示を受け、これから検討を進めてまいります。年末までにしっかり、同水準になるよう検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 同水準の支援というのは、十万円から矢印が出ていますから、十万円と言っていると思うんですね。今の答弁だと、これを指示を受けてやるということだから、十万円ということでよろしいんでしょうね。

 その上で、更に分かりにくいのが、その右側ですね。住民税均等割のみ課税の右側から黒い線でひゅっと右に上がって、定額減税の恩恵を十分に受けられないと見込まれる所得水準の方々と書いて、上のところがぎざぎざになっているんですよ。これだけ見ると住民税均等割の方は十万円と読めるんですが、じゃ、そのはざまの方、定額減税四万円をしっかり受けられる方と住民税均等割のみ課税の方、このはざまの方々は一体幾らもらえるのかというのがよく分からないんですね。

 極端なことを言えば、一番左端、住民税均等割のみ課税より少し所得が多い方というのは、ちょっと所得が少なければ十万円もらえるのに、これだとゼロというふうにも読めるわけですよ。あるいは、四万円にそろえるのか。そうすると、十万円もらえるのか、四万円にそろえるのか、あるいはその中間なのか、全然分からないじゃないですか。すごく公平性の観点から問題だと思うんですよ。所得がちょっと増えただけで十万円が四万円になったり更に少なくなったりするとしたら問題だと思うんですが、こういった公平性の観点から問題ないようにきちんと制度設計されるということでよろしいんでしょうか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のように、この図にあります定額減税の恩恵を十分受けられないと見込まれる所得水準の方々につきましては現在給付水準の目安が示されておりませんが、年末までに、これらの方々に対してもしっかりと支援がされるよう、丁寧に制度設計をしてまいる所存でございます。

奥野(総)委員 これは、でも、この紙が出ていますからね。みんな不安だと思いますよ。自分は一体幾らもらえるのか、さっぱり分からないじゃないですか。均等割の方ですら明言できないと言っていて。じゃ、一番困るのははざまの方々ですよね。四万円なのか十万円なのか、全然もらえないということはないと思うんですけれども、早急に示すべきだと思います。検討中ということでありますから、一刻も早く示していただきたいんですが。

 もう一回伺いますが、じゃ、ちょっと視点を変えて。

 七万円の根拠、もうちょっと言えば十万円、七万円の根拠は何かあるんですか。四万円は根拠があるんですね。三・五兆円の還元ということで、余ったというか、本当に余っているかどうかも怪しいんですが、もっとほかに使うべきだと私は思いますが、総理の言によれば、余っている三・五兆円を還元すると。そこから導き出したのが一人四万円、これは分かるんですが、じゃ、七万円って何ですか、三万円って何ですか、十万円って何ですか。この根拠は一体何なんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 多くの自治体で、この夏以降低所得者世帯に対して一世帯当たり三万円を目安に支援が開始されたところ、今般閣議決定した経済対策におきまして、この重点支援地方交付金を追加的に拡大して、一世帯当たり七万円を追加し、住民税非課税世帯一世帯当たり合計十万円を目安とする支援を行うこととしているところでございます。

 この支援額の目安、十万円につきましては、足下の物価高騰に引き続き十分に対応するとともに、今後の物価上昇にも備えられる水準となっており、物価高に苦しむ低所得者世帯の暮らしをしっかりと下支えすることができるものと考えております。

奥野(総)委員 要するに、具体的な根拠というのはなくて十万円だ、切りがいいということぐらいの話なのかもしれませんが。

 じゃ、もうちょっと言うと、住民税均等割の方は前回三万円をもらっていないんですね。今回、なぜ新たにここに交付することにしたんですか。事情の変更はないと思うんですよ、物価高というのは変わっていないし。なぜここを急に追加したんですか。通告はしていませんが、根拠の範囲だと思っているんですけれども。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 前回の、この夏にお配りいたしましたものは、低所得者世帯当たりに対して三万円を目安に支援するということでございますが、これにつきましても、地方が自由に実情に応じて交付できるという制度でございますので、場合によっては、家計急変世帯につきましても自治体の判断において給付しているという実例もございますところでございます。

奥野(総)委員 でも、自主的にといったって、隣の町が三万円配っているのに、うちは配りませんというわけにいかないですし、こういう絵が出ているわけですから、この間伺ったら、ほぼ、九九%の自治体で交付が始まっている、こういうことですよね。今回つけ加わった分は、もちろん交付すること自体はいいと思うんですよ、だけれども今回新たにやるということがどうもよく分からないんです。取ってつけたように、だったら前に同じように三万円配っていればいいんですけれども、急に、さっきの話だと十万円配るということですよね。何かすごく混乱していると思うんですよ。

 伺いますが、この交付時期ですよね、住民税均等割のみ課税の方。こちらの非課税世帯は年内をめどに交付ということになると答弁されていると思います。住民税均等割のみ課税の方は今の答弁だと十万円に恐らくなるんだと思うんですが、重点支援交付金の交付は、当然、補正が可決されてですから、年内ということでよろしいんでしょうか。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 まず、特に困っていらっしゃる低所得者世帯の方々に対する七万円の支援につきましては急いで行ってまいります。

 御質問の、これ以外の給付につきましても早期に実行に移していくことが重要と考えており、まずは年末に成案を得られるように検討を進めてまいります。

奥野(総)委員 そうすると、今の答弁だと、均等割世帯については遅れるということですね。特に困っているのが住民税非課税世帯、そこは急ぐんだけれども、住民税均等割の方が、特に困っていないと言うと語弊があるのかもしれないですけれども、困っておられるわけですよね。じゃ、年内に間に合わないということなんですかね。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 まず、この図にありますように、一番左の住民税均等割非課税世帯というのが一番、我々としては、特に困っていらっしゃる世帯というふうに認識しており、これにつきましては、できるだけ急いで行っていくということにいたしております。

 これに次ぐ、住民税均等割のみ課税の世帯につきましては、まだ支給の成案が得られておりません。年末までに成案を得られるよう至急検討を進めてまいり、検討の成案が得られ次第、できるだけ早く支給していくということになります。

奥野(総)委員 定額減税とセットで交付する方は、減税が決まって計算をして時間がかかるというのは分かりますよ。これは相当複雑なことになると思うんですね。

 均等割世帯の方については、もう決めですよね、やりますと言って成案を得れば、同じタイミングで交付できるんじゃないですか。やはりスピードなんですよ、物価高で年末はみんな困っているんだから。一番困っているのはと言うけれども、みんな困っているんですよ。だから、そこに差をつけるのはおかしいんじゃないですか。もう一回。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のように、今回の総合経済対策の給付あるいは減税の部分につきましては、物価高騰によって大変お困りの皆様に届けていくという政策になります。

 できるだけ早く皆さんにお届けできるよう、年末に成案をできるだけ早く得て、その後、できるだけ早く支給していく、委員御指摘のように、そのように進めてまいります。

奥野(総)委員 是非お願いしたいんですけれども、年末に成案を得たら年明けになってしまいますよね。

 更に問題なのが、更に問題というか、更に遅くなるのがこのはざまの方々ですよね。減税額が決まって、重点支援交付金の支給額が決まるわけです。これを見ると多分一人一人交付額が変わるようなイメージですよね、戻し額に応じて。だから、物すごく複雑になるんじゃないかと思うんですけれども。

 総務大臣、まず一つは、こういった国の経済政策の観点から地方税を使うというのは、地方自治の観点から見てどうなのかと私はかねがね思っています。むしろ地方独自で減税するんならいいんですけれども、一律にこうやってやるのはどうかと思っています。

 さらに、今言ったように、重点支援交付金とセットでやらなきゃいけない。総理も、財務省と調整を行う、四万円がと。総理は四万円と言っていますから、多分この人たちは四万円になるんですかね。四万円が減税できるように総務省とで調整を行っている、こう言っていますが、膨大な事務作業になるんじゃないですか、自治体は。自治体業務に支障は出ないんでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 まず、今回の措置につきましては、デフレ脱却に向けて、足下の税収増を所得税、住民税の形で分かりやすく国民にお返しするものと承知いたしております。

 個人住民税のみを負担されている方もおられることから、減税の効果を広くお届けするために住民税におきましても減税を行うとされておりますけれども、それによる減収額は、御案内のとおり、全額国費で補填されるものであります。

 今後、税制につきましての詳細な制度設計は与党税制調査会におきまして、また、給付の内容につきましては関係省庁におきまして検討されるものと承知いたしております。

 総務省としましては、地方が事務を円滑に実施できますよう、過度な事務負担が生じないように留意しつつ、関係省庁と連携し、適切に対応してまいります。

奥野(総)委員 済みません、神田政務官は次があるので、もうちょっと聞きたいんですけれども、退出いただいて結構です。済みません、十時に他委員会、ごめんなさい、引っ張っちゃって。

古屋委員長 政務官、退出されて結構です。

奥野(総)委員 大臣、もう一回ですけれども、結局、違う制度にブリッジを架けているからおかしくなるんですよね。減税は三・五兆の還元の話だったんです。こっちは、所得が少なくて困っておられる方に物価対策としてやろうという話だったんですね。そこにブリッジを架けると、あたかも同じように支給するかのように言うから、じゃ、ここはどうなんですかと。

 一番困るのは、一番こちら側の人ですね。住民税均等割より少し所得の多い方は四万円なんですか、ちょっと少なければ十万円なんですかというところが非常に不公平で分かりにくいし、問題だと思うんですね。こんなことだったら、一律に定額で支給した方がよかったんじゃないですか。我々は三万円とか提案をしていますが、三万円でも五万円でも十万円でも財政上めどが立てばいいと思うんですけれども、わざわざ地方に負担をかけてこういうことをやることについて、私はおかしいと思うんです。

 大臣、もう一回確認しますが、減税に、しかも単年度、単年度とはまだはっきり言っていませんが、恐らく一回限りであろう減税にこういう政策手法を使うことについて大臣はどう思われますか。

鈴木(淳)国務大臣 これにつきましては、総理の非常に強い意向もありましてこういう方向になりましたし、実際の制度設計は内閣府でございますので、我々総務省としては、それをしっかりとサポートしながら、地方に迷惑がかからないようにするということが前提でございます。

奥野(総)委員 時間を使ってしまいましたが、この質問についてはこれで終わりたいと思います。

 ちょっと順序が変わってきますが、マイナンバーカードの総点検の進捗状況です。自治体については十一月末には終わるということですが、終わりそうなんでしょうか。私は、問題意識は、終わらせると言い切ってしまって無理やり終わらせて、後でまたひもづけミスが出たら結局国民が被害を受けますから丁寧にやっていくべきだと思うんですが、その辺、進捗状況はいかがでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 点検でございますが、各自治体におきましてこの作業を原則十一月末までに行うこととされている中で、総務省としましても現場の声を丁寧に伺っております。

 自治体の点検作業につきましては、事務ごとに件数などが異なることから進捗に差異はあるものの、おおむね順調に進んでいるものと考えております。

 データの抽出作業に必要なシステム改修の経費につきましては、障害者手帳に関する事務に関する国費措置に加えて、それ以外の事務につきまして特別交付税措置を講ずることとしました。また、データの照合に当たりましては、デジタル庁において点検支援ツールを提供し、作業の省力化を図ってまいります。

 引き続き、自治体の点検作業に当たり課題がある場合につきましては、必要に応じて関係省庁と連携して個別に状況を伺うなど、点検作業が円滑に進められますように取り組んでまいります。

奥野(総)委員 また終わった後に出てくると、本当に、この制度、仕組み自体に国民が疑義を持って使いたくなくなるのを私は心配しているんです。くれぐれも丁寧にお願いしたいと思います。

 ちょっと時間がなくなってきて、質問しませんが、保険証の廃止について今やっていますが、義務じゃないとはいえ、保険証を廃止するよというのは、事実上義務づけに等しいような印象を国民は持つと思うんですよね。

 そんなことをするんだったら、一・八兆も予算をつけてマイナポイントをやったのはどうだったのかというふうに思います。結局、利便性を感じて国民が自ら使ってもらうようにというのが大事でありまして、実際、五千億余ったとかというふうにおっしゃっていましたけれども、一兆円以上のお金をかけたのがどうだったのかなと。いや、もらう方はうれしいですけれども、この財政難のときにこういう政策はどうだったのかなということだけは指摘しておきたい。詐欺の話は、被害は判明していないということでありますけれども、そういった話が出るようなことまでわざわざやる必要はあったのかなということだけ申し上げておきたいと思います。

 それから、NTT法について伺いたいと思います。先日、島田社長が、これは新聞に出ていましたが、NTT法の役割はおおむね完遂した、結果として廃止につながると発言したと報道されています。大臣、NTT法が果たしてきた役割、意義についてどのようにお考えでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 NTT法は、電電公社の民営化に当たりまして、その資産を承継したNTTを特殊会社として規律し、業務範囲や責務についての構造的な規制を定めている法律であります。

 このNTT法と電気通信事業者が守るべき一般的なルールを定める電気通信事業法が両輪となりまして、公正な競争環境やユニバーサルサービスが確保されまして、電気通信事業全体の発展に貢献してきたものと考えております。

 また、NTT法に基づくNTTの研究開発の責務や外資規制などの規律は、国際競争力の向上や安定的なサービス提供にも寄与してきたものと考えております。

 こうした制度的な枠組みの中で、二万四千を超える事業者が通信事業に新たに参入して、競争の活性化を通じて料金の低廉化やサービスの多様化、高度化が進展するなど、国民に大きな利益をもたらしてきたと考えております。

奥野(総)委員 ユニバーサルサービスに今ブロードバンドは入っていないんですが、ブロードバンドのユニバーサルサービスも含めた展開を考えたときに、まだまだNTT法の意義は終わっていないという意見もありますが、大臣はいかがお考えでしょうか。お答えしにくいかもしれませんが。

鈴木(淳)国務大臣 公正な競争環境の確保やユニバーサルサービスの確保など、NTT法が果たしてきた役割は極めて大きいものでありまして、引き続き重要であると考えております。

 一方で、急速な技術革新により情報通信を取り巻く環境は大きく変化しておりまして、法制度の具体的内容につきましては、時代に即して見直すことが必要だと考えております。

 このため、現在、情報通信審議会におきまして、関係事業者、団体等の様々な意見を伺いながら精力的に議論を進めていただいておりまして、今後、国民、利用者の立場に立って適切に対処していきたいと考えております。

奥野(総)委員 くれぐれもバランスの取れた議論をしていただいて、日本の国益に資するような仕組みにしていただきたいと思います。

 それから、自治会の話をちょっとさせていただきたいんですが、今年の夏、私は自分のところの自治会を回りました。全部で六百幾つあるんですが、いろいろ聞いて回って、全部は回り切れませんでしたけれども、話を自治会長さんから伺ったりしたんです。

 一つは、高齢化で自治会の担い手が減ってきていると。六十五まで皆さん働くのが普通になってきていますから、七十代、八十代の方が自治会長、自治会の役員をやっている、大変だということですね。お祭りなんかも大変でできないといって、だんだん数も減ってきています。

 また、加入率もだんだん下がってきてですね。不景気なせいなのかもしれないですけれども、自治会費を払いたくないという方が増えてきていまして、地域によっては四割ぐらい、大体、普通でも七割、八割がいいところですね。

 ということで、自治会の存続というか、持続可能性がどうなのというふうに私は感じました。

 自治会って結構いろいろなことをやっていて、防犯灯の維持管理とか、あるいは地域のいろいろな要望ですね、道路が壊れていますとか。最近聞いていてよかったのは、空き家の問題なんかもありました。木が道路にかかっていると。私、陳情を聞いて、市に言って切ってもらったりしたんですけれども、そういう問題。

 自治会として、地域の情報が一番集まってくるところですから大事な機能があるんですけれども、今後どうやって自治会の機能を維持していくのか。自治会の今後の在り方についてどのようにお考えでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 今委員御指摘のとおり、自治会等は、地域における共助の担い手としまして重要な役割を担っていただいております。一方で、加入率の低下や担い手不足等の課題があると認識をしております。

 このような課題に対応するために、総務省では、令和三年度から地域コミュニティに関する研究会を開催しまして、自治会を始めNPOや地域コミュニティーなどの多様な主体が連携、協働して地域課題の解決に取り組んでいくことの必要性とか、自治会等の負担軽減のための行政からの依頼業務の見直し等につきまして、令和四年四月に御提言を賜っております。

 また、第三十三次地方制度調査会におきましても、これらにつきましての議論が行われております。

 総務省としましては、自治会等が持続可能な形で活動を行うことができますように、地方制度調査会の議論を踏まえつつ、適切に対応してまいります。

奥野(総)委員 自治会の機能は極めて大事であります。民生委員さんとかNPOさんとかいろいろな方が連携して、できるだけ地域のよさが損なわれないように考えていただく、なかなか答えは出ないと思うんですよ、考えていただきたいと思います。

 最後に、一問だけ。異次元の子育て支援で地方負担分というのが恐らく出てくると思うんですが、この点について、きちんと国から補填されるのか。幾らぐらいかかって、きちんと国から補填されるのか。今どういうふうになっているんでしょうか。これで最後の質問にしたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 金額につきましてはこれから検討ということになりますので、地方負担分については、当然、児童手当等についての三分の一の負担等がございますので、地方負担はあることは間違いありませんが、詳細な金額については、今後、年末までに検討していくということになります。

 地方財源につきましても、大臣がこれまでお答えしてきているように、年末にかけて地方財源の確保についてしっかりと検討してまいりたいと考えております。

奥野(総)委員 これで終わりたいと思いますが、さっきの定額減税、それから重点支援交付金にしてもそうなんですが、何にも決まっていないんですよね。全然スピード感もないし、これは本当に国民が困る一方ですので、是非議論を進めていただきたいと思います。

 以上です。

古屋委員長 次に、重徳和彦さん。

重徳委員 重徳和彦でございます。

 今、奥野委員からの質問の中でも定額減税及び低所得者支援等のイメージの紙を、これは本当に、分かりにくいというのはもちろんなんですが、やはり私は地方自治を損ねているなと非常に思います。

 そもそも、これまで住民税均等割非課税世帯に多くの自治体で三万円支給したというけれども、これは自由なわけですから、支給していない自治体も、それは自治ですから、いいわけですよね。そのうち多くの自治体で、三万円配ったことを前提に残り七万円を配るとか、配っていなかった均等割のみ課税世帯には十万円ぐらい払われるということでしょう。そうなると、三万円給付していなかった自治体は立場がなくなるというか、いろいろ苦情も殺到することでしょう。そして、そこから所得が上の方々も、減税が四万円に満たない方々はどうなるのか分からない。

 そして、減税はそもそも国がやることなんですから国税中心にやるべきなんですが、毎回つき合わされるのが地方税なんですよ。つき合わされるものだから、それは補填されるのかという次の心配があり、また、交付税に跳ね返る部分は補填されるのかという不安が生じるという、地方自治の観点からも非常に問題のある、分かりにくい制度だということを指摘させていただきたいと思います。

 さて、本日は、鈴木淳司大臣の所信質疑でございます。同じ愛知県から総務大臣、地方行政、財政を担当する大臣が誕生したということで、心から歓迎を申し上げます。私も先日、立憲民主党の愛知県連代表に就任いたしました。これからいろいろと要望事項もありますし、意見交換させていただきたいこともありますので、どうぞ受け止めていただきたいと思います。お願いします、一言。

鈴木(淳)国務大臣 しっかり受け止めて、頑張ります。

重徳委員 今のお言葉を基にいろいろな活動をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、鈴木大臣、先ほど来各委員から引用されておりますけれども、平成三年から瀬戸市議会の議員を務めておられまして、そこが政治家としての原点であると。この所信演説の中で、続いて、我が国は大都市だけでなく離島、山村など様々な地域から成り立っていますと。要するに地方あっての国である、地方自治あっての国家である、こういうような観点というか視点で地方行政を担われていく、こんな宣言だというふうに私は受け止めさせていただきました。

 そういう意味で、私も平成六年に旧自治省という役所に入省しまして、折しもその頃、瀬戸市議会議員で淳司先生はいらっしゃったわけなんですけれども、まさに地方分権の時代が大きくうねりとなって始まった時期でございます。この自治というものへの強い思いというのは、恐らく、この中には市長経験者、知事経験者、地方議会議員の経験者、そして地方公務員出身の方もおみえだと思いますが、自治の現場に携わった方でなければなかなか分からない部分もあると思います。

 二〇〇〇年に地方分権一括法が施行されました。ここに至るまでも大変大きな議論がありました。そして、そこから先も、二〇〇〇年当時は、まだベースキャンプ、登山に例えるとベースキャンプを築いたにすぎないなんという言葉もありました。それから二十三年たっているわけなんですけれども、この間、当時の分権一括法に携わった様々な有識者の先輩方も、お亡くなりになっている方々も出てきております。そういった方々の思いも踏まえて、その思いを忘れることなく、地方自治というものを大切にしていかなきゃいけないのが、特にこの総務委員会、そして総務省の変わらぬ使命だと思います。

 分権改革の成果とか近年の状況についての鈴木大臣の所見をお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 平成十一年に地方分権一括法が制定されて以来、義務づけ、枠づけの見直しや、国から地方への権限移譲など、地方分権改革は着実に進展をしておりました。

 私も、瀬戸市議会議員として、地方自治の最前線で地方自治体の行政に関わってまいりました。自治体は、保健、福祉、教育、消防など幅広い身近な行政サービスを担っておりまして、日頃から住民の福祉の増進のために力を尽くすなど、大変重要な役割を担っております。

 このような地方自治体の機能を最大限に発揮して、地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で、地方分権の推進は極めて重要であります。

 様々な地域の声を十分に伺いつつ、関係省庁と連携して、地方の自主性、自立性の向上に向け、取り組んでまいります。

重徳委員 若干抽象的だったと思いますが、私、地方分権改革の、第一次分権改革というんですかね、二〇〇〇年に行われた分権改革の基軸というのは、それまでの機関委任事務と言われるものが廃止され、自治事務と法定受託事務という二つの事務に整理された、ここが肝だと思います。

 すなわち、もう二十三年前の話ですから、多分、議員さんの中でも若い方々は、余り知らないという方々もいるんじゃないかと思います。国と地方は上下関係であって、国の言うことを聞くのが地方だ、だから、機関委任事務と言われる、国の指示や命令に従って事務を執行するのが自治体の仕事である、これが二〇〇〇年以前だったわけですよね。この機関委任事務の世界においては、包括的な指揮監督権というのがありました。国から地方への指示はもちろんのこと、職務執行命令とか、そういったものが一般的に認められていた。

 そうはいっても、国の広い意味での監督下における地方自治の事務執行というものについては、法定受託事務として、今でも場合によっては国が強い権限を持って地方に指示するという場面も想定されておりますが、一方で自治事務というものが幅広く認められ、自治事務の世界では基本は助言と勧告しかできない、国と地方の権限争いみたいなことになったら、国、地方の係争処理制度というものまであって、それを調整する仕組みまでできたわけで、まさに国と地方が対等の関係になったというのが二〇〇〇年であります。

 それから二十年以上たちまして、実は、今、第三十三次地方制度調査会におきまして久しぶりに、国と地方の役割とか権限の在り方の見直しが必要なんじゃないか、こういう議論が始まっております。

 これは大臣も大体お聞きになっていると思いますが、まだ地制調において議論中でありますので詳細な内容までお聞きになっているか分かりませんが、いずれお聞きになると思いますし、地制調の答申が出ちゃうと基本的には法案にしなきゃいけないし、法案になると、政府は与党を何としてでも通して、この総務委員会を中心に野党議員のいろいろな意見も何とかかわしながら成立させなきゃいけない、こういう段階に入っちゃうものですから、今のうちに少し頭出しということで、現在の議論の状況と、これから先、結論が出るまでどういうふうになっていくのか、少し予見するような形で課題を幾つか指摘してみたいと思います。

 何より、今回の地制調は、コロナが起こりました、コロナで国と地方の関係がぎくしゃくしたり、うまく調整できなかったりいろいろなことがあったので、法改正もその都度行われたけれども、しかしこれから何が起こるか分からない、だから、国が一般的に平時とは言えない状況になったときに地方に対して指示ができる、こういう権限を付与するべきじゃないか、ざくっと言えばこういう議論なんですね。久しぶりに国と地方の権限の話なんですよ。

 ですが、我々が忘れてはならないのは、二〇〇〇年の、もう国と地方の関係は主従関係じゃなくて対等の関係である、ここがやはり基軸であることをいま一度再認識した上で、この議論に臨まなきゃいけないと思います。地制調の中の議論なので、まだ委員の皆さんもちゃんとお聞きになっていない方もおみえになるかもしれません。

 ポイントは二つあると思っていまして、一つは、非平時、つまり平時じゃない状況において国が指示できるというんですから、非平時とは一体どういう場面なのかというのが一つ。もう一つは、その際に指示ができる、指示というのは非常に強い権限です、これを国と地方の対等な関係においてどのように行使するのか。この二点だと思います。

 まず、これは山野自治行政局長にお尋ねしたいと思いますが、いわゆる非平時というのはどういう場面なのかということをお尋ねいたします。

山野政府参考人 第三十三次地方制度調査会では、新型コロナウイルス感染症対応で直面した課題等を踏まえた地方制度の在り方について、総理の諮問を受け、調査審議が進められております。

 具体的には、新型コロナウイルス感染症の蔓延のほか、近年、広域かつ甚大な風水害が頻発し、大規模地震が相次ぐなど、これまでの経験に基づく備えでは対応ができない事態が見られるようになっていることを受けまして、このような事態を平時ではない、御指摘がございましたすなわち非平時と捉えまして、大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応として現在議論が行われているところでございます。

重徳委員 資料をお配りしております。第三十三次地制調の答申素案の概要という資料でございます。

 今まで地制調の議論では非平時という言葉で議論が行われていたんですが、この答申素案には非平時という言葉は出てこないですね。これはちょっと、私、ちゃんと説明を事務方の皆さんからも聞いていなかったんですけれども、非平時はもう使わないんですか、言葉として。

山野政府参考人 答申素案の概要におきます表現でございますけれども、もちろん調査会、専門小委員会の議論においては非平時の言葉は使われておりますし、また、これは答申素案を基に議論されておりますけれども、その素案の中では非平時という言葉を使って議論がなされているところでございます。この概要には出てございませんけれども、小委員会の議論では非平時という言葉が使われているところでございます。

重徳委員 今のは確認でございました。

 さて、資料を御覧いただきますと、真ん中のところですね、(二)番、役割分担、その中の1番、個別法が想定しない事態における国の役割とされています。個別法が想定しない事態、確かにコロナのときに、思い起こせば、ここに書いてあります、ダイヤモンド・プリンセス号対応では患者の移送について広域的な対応を要する事態が生じ、国が調整の役割を果たしたが、個別法上は想定されていなかったということがあるんですね。

 だから任意の形で国が調整の役割を果たした、したがって、地制調においては、もう少し想定しない場面もあるかもしれないから補充的な指示を可能にしようじゃないか、こういう話なんです。確かにダイヤモンド・プリンセス号ではこういう場面が生じたのかもしれませんが、今後、この補充的な指示が必要な場面というのはどういう場面を想定しておられるのかを教えていただければと思います。

山野政府参考人 補充的な指示ができる場合ということでございます。

 調査会の専門小委員会におきましては、大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態であって、その事態の規模、態様について全国規模である場合や、局所的であっても被害が甚大である等の場合において、国民の生命、身体又は財産の保護のための措置を的確かつ迅速に実施することが特に必要であるけれども、個別法の規定では想定されていない事態が生じたため、個別法に基づく指示を行うことができない、こういった場合に、地方自治法の規定を根拠として国が地方公共団体に対して指示を行うことができるようにする必要があるのではないか、こういった議論がなされております。

 済みません、それともう一点、先ほど私は非平時という言葉につきまして素案の中で使われているということを言いましたけれども、これまでの議論の中では使われておりますが、素案の中では、先ほど申しました大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態ということで言い換えてございます。これまでの議論の経過を踏まえまして非平時という言葉を使っているということでございます。御理解いただきたいと思います。(重徳委員「ふさわしくない言葉ということですか」と呼ぶ)より分かりやすく、より具体的なイメージを抱けるというようなことで、こういう形で表現したところでございます。

重徳委員 非平時という言葉を使うかどうかは、また別途議論したいと思います。表現の仕方の問題だと思いますが。

 今、補充的な指示はどういう場面でという質問に対しまして、例示としては大規模災害あるいは感染症の蔓延ということなんですが、ここはもう既に想定されているものですよね。それ以外に想定されない場面というのが一体何なのかというのは、例えば法案化されてこの委員会に提出されましたら必ず議論になると思うんですよ。具体的にどういう場面なのかということは、多少空想のような話であっても想定されないんでしょうか。

山野政府参考人 補充的な指示が行使できる事態というのは具体的にどのようなものかというお尋ねでございます。

 地方制度調査会におきましてこれまで議論されておりますのは、一つは個別法、これは、これまで発生した災害、感染症の蔓延等の事態、あるいはその対応に当たり生じた課題等を踏まえて見直しを重ね、必要な規定を設けてきた、これが基本にあるわけでございます。一方で、今般の新型コロナウイルス感染症対応等では、個別法において想定されなかった事態、これが生じまして、こうした事態であっても国と地方が連携し、総力を挙げて取り組む必要があることを改めて認識させるものであったのではないかという、こういった問題意識で議論されているところでございます。

 現在想定されていない事態ということになりますと、これを具体的にお示しするのはなかなか困難でございますけれども、調査会の議論の中では、先ほど言及のございました令和二年二月のダイヤモンド・プリンセス号対応におきまして、入院する患者の移送について都道府県の区域を越えた対応が必要になって、国が役割を果たしたものの、個別法上想定されていなかった場面、あるいは、その後でございます令和二年四月でございましたけれども、緊急事態宣言発出の前の段階におきまして、新型インフル特措法に基づく施設使用制限の要請の対象について国と都道府県の間で調整が難航したものの、このような段階での国の指示が必要になり得ることが個別法上想定されていなかった場面、こうしたこれまでのケースを踏まえて議論が行われているところでございます。

重徳委員 つまり、コロナに関して言うと、コロナというものが想定されていたかどうかという、いわば大きい次元の、第一レベルと仮に称しますけれども、コロナが想定されていなかった、こういうレベルの、第一レベルの事態の想定。空想レベルですけれども、宇宙戦争が始まりましたとか、あるいは、日本では想定しづらいですが、内乱が発生しましたとか、これも想定外とまで言えるかどうか分かりません、そういう第一レベルの、思いもよらない事態が始まったということも含まれるのか。あるいは、今局長が言われたように、コロナはコロナなんだけれども、ただ、ダイヤモンド・プリンセス号からの広域移送、そこにおける権限というのは想定されなかったとか、保健所とか医療資源をどうするかというところまでは想定できなかったとか、多少各論というか個別の、第二レベルと一応言っておきますけれども。

 第一レベルの想定外と第二レベルの想定外があると思うんですが、これはどちらのことですか、あるいは両方を含むというようなイメージなんでしょうか。

山野政府参考人 補充的な指示の適用の場合についてのお尋ねかと思います。

 調査会の専門小委員会でも議論されておるところでございますが、まず、当時の新型インフル特措法の新型インフルエンザ等の定義にそもそも新型コロナウイルスが含まれていない、そういったケース、今委員からは第一とおっしゃいましたけれども、こういった想定されていない事態であるため、そもそも個別法の適用がない場合、それから、個別法は適用されているんだけれども、そういう事態があるんだけれども、想定されていない事態が生じたために必要な指示を行うことができない、こういった場合、これは第二とおっしゃいましたけれども、小委員会におきましては、いずれであっても個別法では想定されていない事態として国、地方を通じた的確な対応を可能とする観点から、地方自治法の規定を根拠として指示を行うことができるようにする必要があるのではないか、こういった議論がなされているところでございます。

重徳委員 あとは、更なる要件をどう絞るかということなんでしょうが、基本的には、どういうことが起こってもという、割と広く適用されるようなことを想定されている感があると思います。

 ちなみに、自治事務であっても補充的な指示の対象となるんだという理解でよろしいでしょうか。

山野政府参考人 委員会におきましては、これも同様に非平時における対象になるというふうに理解しているというところでございます。

重徳委員 そこで、ポイントが二つと申し上げましたが、二つ目の地方自治の原則との関係なんですが、今の自治事務に関しましては、現在の地方自治法においては、二百四十五条とか二百四十五条の三というところで国の関与ルールが定められているんですね。自治事務への指示は要するにしないようにしなければならないという規定が自治法上あります。先ほど、かなり究極的な場面なんだというようなお話もございましたけれども、二百四十五条とか二百四十五条の三、自治事務への指示はしないようにしなきゃいけない、この規定との兼ね合いをどのようにお考えになりますか。

山野政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、自治法におきましては、国と地方の役割分担について、国は、全国的な規模、視点に立って行わなければならない施策、事業その他国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体に委ねることを基本とするとされておるところでございます。

 また、規定にございますが、関与につきましても、この基本原則におきましては、国は、地方公共団体が国等の関与を要することとする場合には、その目的を達成するために最小限度のものとする、又は、国は、地方公共団体の自治事務の処理に関し、国民の生命、身体又は財産の保護のために緊急に自治事務の的確な処理を確保する必要がある場合等特に必要と認められる場合を除き、指示に従わなければならないこととすることのないようにしなければならないというふうにされておるところでございます。

 今、専門小委員会で議論されております国の補充的な指示でありますけれども、先ほどもお答えしましたが、自治事務の処理に関するものも含め、地方自治法の関与の基本原則を十分に踏まえた上で、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態といったいわば特例として議論が行われているものというふうに認識しているところでございます。

重徳委員 それでは、このペーパーで言うところの、基本原則を十分に踏まえて特例としてということをどう手続的に担保するかということなんですが、この資料によりますと、手続は閣議決定と書いてあるのみであります。これはやはり、国会へのできれば事前の、もしこの法制を認めるとしても、国会の関与というのがなしというのは幾ら何でも特例としても認め難いのではないかという議論が当然出てくると思うんですね。国会に対して事前あるいは最悪事後の報告というものを考えないのか、それから、国と地方の協議の場というものもあります、そういうところでの議論をしないのかということについてのお考えをお願いします。

山野政府参考人 補充的な指示を行使する際の手続についてのお尋ねでございました。

 調査会の専門小委員会におきまして、補充的な指示を行う際の手続につきましては、国と地方公共団体の間において、必要に応じて十分な協議、調整が行われることを含め、迅速で柔軟な情報共有、コミュニケーションが確保されることが前提となるのではないかという観点から議論がされているところでございます。

 その上で、個別法上の指示の要件に該当せず指示が行使できない想定外の事態であることについて広く関係し得る個別法の所管大臣の判断を得る必要があること、また、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態において国と地方公共団体の関係の特例として行使されるものであることを踏まえて、各大臣が内閣の意思決定として閣議決定を経て行うものとすることが適当ではないか、こういった議論がされているところでございます。

 他方、補充的な指示につきましては、地方公共団体に対する個別の権限行使であることから、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態においてその都度国会に対する報告を政府に義務づけることまでは機動性に欠けるのではないか、こういった議論もされているところでございます。

重徳委員 この点はもっと議論しなきゃいけないという受け止めであります。

 さて、大臣、ここまでお聞きになっていただきました。こういう一般的な規定を設けるというのは、やはり国と地方の関係の基本原則に対する重大な例外を成すということになると思います。そして、その前提として、地方がばらばらのときは国が言うことが正しいんだから国が指示するべきだよねというところが内在されている感があります。

 でも、コロナのとき、思い起こせば、当時の安倍総理が学校を一斉休校すべしという判断をされました。あれは正しい判断だったでしょうか。大臣、いかが思われますか。

鈴木(淳)国務大臣 今御指摘の新型コロナウイルス感染症対応につきまして、令和二年春に全国一斉の学校の臨時休業の要請がなされました。

 これは、専門家の意見も踏まえて、多くの児童生徒や教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクをあらかじめ抑える観点から行われたものと承知いたしております。

 個別の施策の効果等の検証は、これは所管官庁が、文科省でありますが、実施されているところでありまして、総務大臣としては答弁を差し控えたいと思います。

重徳委員 あえて事務方じゃなくて大臣にお尋ねしたのは、もう少し柔軟な御答弁をいただけないかなと半分期待していたんですが。

 それにしても、想定されない事態というのは世の中には存在しないとは言いませんが、こうした国と地方の関係を大きく変える場面を想定するような規定というのは、やはり基本的には個別法にきちんと想定して、想定外がないようにしながら、きめ細かく国会でも議論して、そして地方の理解を得ながら定めるというのが原則だというふうに思います。

 地方自治を誰よりも深く理解される鈴木大臣におかれましては、広く一般に、確かに想定外がないとは言いませんが、そういうことまで拾っていくような法制がいいのかどうか、より個別に議論するべきじゃないかという意見に対してはどのようにお考えですか。

鈴木(淳)国務大臣 基本的に私も重徳委員と共有するところはありまして、ただ、想定外のことが現に起こったこともありまして、そういうときにやはりこうした規定もないことでは問題がありますので、今まさに議論されているところでありますが、極めて抑制的にでもありながらも法制度は必要だろうと思いますので、この議論を見守りたいと思っております。

重徳委員 私自身、地制調の委員でもありますので、地制調の議論をしっかりとやっていきたいと思いますが、どうか大臣におかれてもよろしく監督をしていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、道下大樹さん。

道下委員 立憲民主党の道下大樹でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 総務大臣に就任されました鈴木淳司先生、地方議員出身ということで、私も地方議員出身でございますので、地方自治だとかいろいろなことに関しては、お互いに理解させていただきながら質問、答弁できるかなというふうに思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、政務三役おそろいでいらっしゃいますので伺いたいと思いますが、いわゆる旧統一教会と政務三役の皆様が何らかの接点がおありだったかどうか。旧統一教会主催の会合出席、関連団体の会合出席、それらへの祝電、メッセージの発出、会費類の支出、寄附の受領、パーティー収入があったかどうか、選挙のボランティア支援を受けたかどうか、選挙支援の依頼をしたかどうか、その動員を受け入れたかどうか、秘書の派遣を受け入れたかどうか、また、旧統一教会や関連団体からの選挙時の推薦確認書の署名を求められたか、求められた場合に署名したのかなど、接点があったかどうかについて、その具体的な内容についてもそれぞれお答えいただきたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 本件につきましては、既に自民党の調査に回答して、また、これまでの閣議後会見とか十月二十七日の衆議院予算委員会等で御説明しているところでありまして、関連団体の会合に私が一回、秘書が三回出席をしております。

 また、私も秘書も会合にあえて出席せずに済ませるために祝電を打ったことが三回ございます。

 また、関連団体に対する会費等の支出でありますが、四件回答しておりまして、三件は秘書が出た会合の会費でありました。もう一点は、いわゆる機関誌の購読等であります。

 私自身は非常に警戒しておりましたので、一部の支援者から強い御要請を繰り返しいただいた場合にやむを得ず対応を行ったことはありますが、私の方から積極的に関係を持ったことはありません。

 以上でございます。

渡辺副大臣 お尋ねにつきましては、既に自民党の調査に回答したとおり、当該団体及び関係団体とは関係がございません。

 今後とも当該団体及び関連団体との関係を絶つことを徹底してまいりたいと思っています。

馬場副大臣 まず、現在のことを申し上げますと、旧統一教会及び関連団体との関係は絶っております。今後とも当該団体及び関連団体との関係を絶つことを徹底したいというふうに思います。

 その上で、過去の接点についてですが、党の調査等にも関係がある旨の回答はしておりません。

船橋大臣政務官 お尋ねにつきましては、いずれも確認できる範囲で党の調査に回答した内容となります。

 関連団体の会合に私が一回出席したと回答しております。

 会合への祝電を二回打ったと回答しております。

 当該団体及び関連団体に対する会費類の支出として、一件回答しております。

 当該団体及び関連団体からの寄附やパーティー収入として、一件回答しております。

 私が初挑戦いたしました二〇一二年の衆議院選挙から直近の二〇二二年の参議院議員選挙まで、計五回の各級選挙におきまして、ボランティア支援として電話がけを手伝ってもらっていた方の中に関係団体の関係者がいた旨、回答いたしております。

 旧統一教会と政治との関係が問題になって以降、当該団体及び関連団体との関係は絶っており、今後も徹底いたします。

長谷川大臣政務官 お尋ねのございました当該団体につきましては、関連団体も含めまして関係は持っていないところでございます。

 引き続き、当該団体及び関連団体との関係は持たないよう徹底してまいりたいと思います。

小森大臣政務官 昨年の自民党の調査に回答しているとおりでございますけれども、当該団体の関係団体の会合にメッセージを送付しているということがございました。

 既に当該団体及び関連団体との関係は絶っておるところでございまして、これを徹底しているところでございます。

道下委員 ありがとうございます。

 自民党が実施したアンケートに答えられたということもありますけれども、回答がありましたけれども、いろいろとその中でも、答えていても名前が公表されなかった方々もいらっしゃるわけなので、自民党のアンケート調査が全て正確かというと、他の世論、マスコミ等からの調査と比較して結構いろいろ違いがあるものですから、全て具体的に表明されているかどうかということはちょっとなかなか分かりづらいんですね。

 鈴木大臣に伺いたいと思いますが、先ほど、機関誌の購読をされていたということですけれども、これらはどこかで公表されたことはありますでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 これは党の調査で答えております。

道下委員 党の調査の結果では、私が把握したところによると、そういったものは記載がなかったですし、自民党が公表した、実名も公表された中には鈴木大臣の名前が元々なかったので、これらは、この点についても、自民党の結果の公表については、ちょっと甚だ私としては疑問のところがあるところでございます。

 それから、元々、今も鈴木大臣は、自民党によるアンケート調査ではちゃんと報告したということでありますが、その後、大臣に就任されてからの記者会見で、今日も答弁いただきましたけれども、本人が出席したということ、また、会費を支払っていたということですけれども、自民党のアンケート調査の結果では、これは私が知るところによりますと鈴木大臣の名前はないんですけれども、この点について、私の名前がないよということを自民党に報告して、ちゃんと記載するようにということは連絡されたんでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 事実関係が違っておりまして、秘書が参加をした会の会費が三回と、そして機関誌が一回でありまして、あと、私が出席した会が一回あるのは報告してあります。

 これはどんな会というかというと、参議院選挙のときの候補者の応援をするから来てくれと言われて行って、そのときも非常に警戒していましたので、つまり、いわゆる演壇でしゃべることはありません。回ってきたマイクでしゃべったことはありますが、その程度のことであります。それが一回でありまして。

 あとは、党がこれをどう評価したかは別でありまして、党の恐らく判断の中で、関与の度合いによって公表、非公表があったので、それは私の関知するところではありません。

道下委員 選挙で応援する集会ということであったり、その度合いということは、我々国民は十分に分かりません。

 その点については、やはり政治に対する信頼というものを国民の皆様に持っていただくためにも、我々政治家は、どのような状況であっても、詳細に、そして透明性を持って公表しなければならないというふうに思っております。私はそれは十分に、自分自身もまだまだ足りないところはあるかもしれませんが、そういった思いで活動していますので、疑われないように、やはりそういったものは自ら公表することが我々政治家としては重要ではないかなというふうに思っております。

 続いて、船橋政務官に伺いたいと思います。

 いろいろと旧統一教会との関係性について御答弁いただきましたけれども、朝日新聞の二〇二二年十月十八日付の調査によりますと、船橋議員はこうした教団との接点について、先輩議員の紹介というふうに回答されていました。これは事実でしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 事実でございます。

道下委員 この先輩議員というのは現職の議員の方でしょうか、若しくは引退された方でしょうか。その個人名、もしプライバシーの問題がありましたら答えられないかもしれませんけれども、現職なのかどうか、伺いたいと思います。

船橋大臣政務官 お尋ねの中にはございませんでしたので、私が以前マスコミにお答えをしている先輩議員の方に関しましては、その方に了解を得ているわけではございませんので、この場でお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

道下委員 個人名は、そうしたら公表されなくて結構ですので、現職国会議員か、国会議員に限らず、先輩議員というわけですから何か地方の議員もいるかもしれません。現職の議員がどうかということだけお答えいただけますでしょうか。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 現職の議員の方ではありません。(道下委員「ないと」と呼ぶ)

古屋委員長 船橋政務官、もう一度、はっきりお願いいたします。

船橋大臣政務官 現職の議員の方ではありません。

道下委員 ありがとうございます。

 旧統一教会との関係があった方々は、やはり、旧統一教会側から直接応援をしたいだとか、いろいろとそういう接点があったかもしれませんが、今回、船橋政務官の場合には、先輩議員からの紹介ということでございました。

 そうすると、紹介されたら他の方々に、若しくはまた旧統一教会を紹介することもあったのかということをちょっとお伺いしたいんですけれども、今回、鈴木大臣と船橋政務官、それと小森政務官、誰かに旧統一教会について紹介したことはありますでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 私自身は極めて警戒感を持って接していましたので、そんなことは一切ありません。

船橋大臣政務官 特にございません。

小森大臣政務官 ございません。

道下委員 ありがとうございます。

 次に、馬場副大臣に伺いたいと思います。

 先ほど御答弁では、旧統一教会との接点はないというふうに答弁されたと思いますけれども、これも、二〇二二年八月三日の朝日新聞の記事を拝見いたしますと、ここでは、二〇二〇年頃から旧統一教会の関連イベントの実行委員を務められていたというふうに書いてあるんですけれども、これは事実でしょうか。

 また、関連イベントの実行委員会、務めていたということと、旧統一教会と接点を持っていないという、どのような考え方で先ほど答弁されたんでしょうか。

馬場副大臣 お答えします。

 今御指摘のピースロードにつきましては、実行委員会のメンバーから打診を受けたことがきっかけで、二〇二〇年頃から名義を貸していました。当時は、自治体やマスコミ、各種団体なども後援していたイベント、スポーツイベントと承知しており、判断したものであります。なお、当時は、旧統一教会関係団体によるものとは認識しておりませんでした。いずれにしても、認識した上でのおつき合いをした団体はありません。

 既に当該団体及び関連団体との関係は絶っており、今後とも徹底したいと存じます。

道下委員 先ほど、私の質問は、何らかの接点がなかったのかということで質問させていただきました。

 今の馬場副大臣の御答弁では、当時は、旧統一教会とそのイベントを開催した団体は、関係性は知らなかったということでございますが、その後分かったわけでございますので、旧統一教会と関係する団体のイベントの実行委員のメンバーとして名を連ねていたということでありますので、私は旧統一教会と接点があったというふうに捉えますし、最初の答弁ではその点についても御回答いただければありがたかったなというふうに思っております。なぜ答弁で最初から、ないと答弁されたのか。私は、先ほども申し上げましたけれども、やはり疑われないように自ら情報を公開することが我々政治家に課せられた責務ではないかなというふうに思っていますので、よろしくお願いいたします。

 次に、大臣所信に関する質問に移らせていただきたいと思います。

 先日の大臣所信でいろいろと、総務省所管に関する鈴木大臣のお考え等お聞きいたしました。

 まず一つ目なんですけれども、行政相談について伺いたいと思います。

 鈴木大臣の前の松本大臣や、その前の寺田大臣の所信表明のときには、この行政相談の項目において、「旧統一教会問題に関して、相談集中強化期間が設けられたことを受けて、行政相談としても、その役割を適切に果たしてまいります。」、これは寺田大臣のときでした。また、松本大臣は、「旧統一教会問題をめぐる相談にも引き続き丁寧に対応する」、そのほかにもまた、違うときにも、大臣所信で、行政相談においては、旧統一教会問題にしっかりと対応していくという所信表明がありました。

 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の一員である総務省は、これまでも行政相談における対応や地方公共団体との連絡調整に当たってこられたことは承知をしております。

 文部科学省は十月十三日に、旧統一教会に対する解散命令を東京地方裁判所に請求しました。この請求結果が出た後も旧統一教会問題に関する行政相談が寄せられてくるのではないかと私は推察いたしますし、最近になって、旧統一教会側が百億円の資金を国に供託するということで、被害者に対する救済に充てるかのような動きを見せております。そうしたことに関しても、様々な相談というものは、法テラスや弁護士団体やこういう行政相談というものに寄せられてくるのではないかというふうに思っています。

 ただ、一方で、先日、十一月二日の本委員会においては、鈴木大臣は、所信の行政相談の項目において、旧統一教会問題には触れられませんでした。

 「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の一員である総務省は、行政相談で、旧統一教会問題、今後、何かちょっと手を緩めるのか。全く対応しないということはないと思いますけれども、何かちょっと総務省の旧統一教会問題に関する取組が薄まってしまうんじゃないかというふうに私は思ってしまうんですけれども、その点について伺いたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 まず、旧統一教会に関する問題につきましては、法務省を中心に、関係省庁が連携をしまして、被害者の救済に向けた相談体制を整備しております。総務省としましても、全国五十か所の行政相談センターにおきまして、その寄せられた相談につきまして丁寧に内容を聞き取った上で、法テラスなどの関係機関を案内しております。

 十月三十一日に関係省庁連絡会議が開催されまして、関係省庁におきましても引き続き対応を推進することを確認したと承知いたしております。総務省としましても、当然、これを踏まえまして、引き続き丁寧に対応してまいります。

 なお、今回の所信の中で、行政相談に関して、郵便局との連携やデジタルを活用したアクセスの多様化など、特に最近の取組について触れさせていただきました。

 旧統一教会に関する相談につきましては、当然のことながら、引き続き相談者の立場に立ってよく話を伺いまして、丁寧に対応してまいります。

 なお、旧統一教会に関する行政相談でありますが、昨年秋には毎月寄せられる件数が百件を超えることもありましたが、今年度に入って毎月二件から十件程度でございまして、そういう推移ではございますが、我々としても、決してこれを緩めることはありませんので、引き続きそういうヒアリングはしっかりしようと思っています。

道下委員 是非、総務省としても、旧統一教会問題に関してはしっかりと国民の様々な相談を受け止めて丁寧に対応するという姿勢を今後も引き続き貫いていただきたいというふうに思っております。

 次に、二つ目に、先ほど奥野議員などもお話がありました、所得税、住民税減税と給付金、物価高対策について伺いたいと思います。

 給付金については、補正予算案成立後速やかに給付を行うという考えでありますが、定額減税については、来年夏のボーナス時期に実施したい考えというか、そうじゃないとできないということなんですよね。

 岸田首相は、今月一日の参議院予算委員会で、所得税、住民税減税や低所得世帯への給付に関して、地方の財政運営への支障や過度の事務負担につながらないよう留意すると答弁されました。

 しかしながら、先ほども先輩議員が質問、指摘したとおり、給付金制度単独と、所得税、住民税減税単独と、それとそれがミックスされたものが混在しておりまして、給付金と所得税、住民税減税が、総務省として、地方の財政運営への支障、事務負担についてどれだけ影響が出ると想定しているのか。加えて、地方の事務作業が、もしこれが実行された場合に事務作業が最長でいつ頃まで続くと想定しているのか。これは政府参考人に伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の地方団体の財政運営や事務負担への具体的な影響についてでございますけれども、減税については今後の与党税制調査会での御議論で、また、給付金については関係省庁において具体的な制度設計を行う中で決まっていくものと認識しております。したがって、現時点で確たることをお示しすることは困難でございます。

 総務省といたしましては、地方団体が事務を円滑に実施できるよう、地方の財政運営への支障や過度な事務負担、これらが生じないよう留意しつつ、関係省庁と連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。

道下委員 この後に質問するマイナンバーのひもづけの総点検も、本当に、自治体はこういう国からどんどんどんどん下ろされてくる事務作業の指示に悲鳴を上げているんですよ。職員がどんどん削られていく、予算も自由な財源がない中で、自治体は本当に大変な思いをしているわけですね。

 一つ伺いたいと思います。事務負担について、事務負担が発生した場合に、この事務負担に関する経費は交付税で下ろされるんでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 事務負担について、どのような形で制度設計するのかについては今後の検討ということですので、この点については決まっていないということでございます。

道下委員 もう一つ伺います。

 先ほど奥野議員が示した資料の中にある、定額減税の恩恵を十分受けられないと見込まれる所得水準の方々など、重点支援地方交付金というのがあります。

 重点支援地方交付金と今の事務負担というのは、下ろされるとすれば交付税だと思いますが、これはちゃんと、これに係る費用だからこの金額でということは、ちゃんと金額が固定されて交付されるんでしょうか。それとも、いろいろな、例えば今後の特別交付税だったら三月に、除雪経費もいろいろなものも含めて、まとめて、合算して、はい、交付税と、特別交付税とか地方交付税とかが下ろされると思うんですけれども、混ざって、何に幾らか分からないまま交付されるんでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 重点支援交付金については、内閣府が制度を所管しておりまして、そちらの方で今後、この給付についてどのように制度設計するかということが決まっておりませんので、その中でどのようにするかを検討し、答えを出していく、こういうことになろうかと思います。

道下委員 是非、内閣府所管かもしれませんが、こうしたことは、これも地方交付金ですから、どのように下ろすかを、総務省として地方自治体の意見というか思いをちゃんと受け止めて、それを内閣府に要求していただきたいというふうに思います。

 国から何々の交付金ですよ、何々の交付金ですよといっても全部合算されて、何がどの金額なのか分からないまま、もしかしたら削られてくるかもしれませんので、そうした場合には、そういうふうにならないようにしっかりと、これに幾らと分かるように、透明性を持って交付していただきたいというふうに思っています。

古屋委員長 道下議員、当該資料は奥野議員の資料ですので、御注意ください。

道下委員 済みません、見せられませんね。次、自分の資料を見せます。済みません、委員長、申し訳ないです。

 次に、地方税制についてお伺いいたします。

 地方税制について大臣は、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向け取り組みますと述べられました。私も同様の考えです。

 今日お配りした資料、総務省の令和五年版地方財政白書によりますと、令和三年度の国税と地方税の状況は、国税が六二・九、地方税が三七・一で、前年度と比べると国税割合が金額としては増えております。

 国税と地方税の税源の割合は、必ずしも単純比較はできませんけれども、これまでは六対四ということで推移していますけれども、金額として見れば、どんどん国税が増えてきて、地方税も増えてきていますけれども、国税が更に増えてきているということを考えますと、今後、国と地方の役割分担に応じた税の配分となるように、偏在性、安定性に配慮しつつ、税源移譲を行って、地方税の配分割合を更に私は引き上げるべきだと考えます。

 総務大臣の見解を伺います。

鈴木(淳)国務大臣 これまで、地方税の充実につきましては、個人住民税において三兆円の税源移譲を行い、消費税率引上げに際して地方消費税を拡充するなど、取組を進めているところであります。

 国から地方への税源移譲につきましては、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、地方団体間の財政力格差への影響に配慮する必要があることなども踏まえまして検討することが必要であります。

 総務省としましても、今後も、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいります。

道下委員 質問を終わりますが、残りの質問、また後で、今後の一般質問でさせていただきたいと思います。来ていただきました政府参考人の皆様、申し訳ございません。

 また、地方は本当に疲弊しています。国からの予算、そして人、国に縛られていますから、地方の自主性というか独自性がなかなかないんですよ。そうした点を是非、鈴木大臣には、もちろん御理解いただいていると思いますが、それを更に御理解いただいた上で、総務大臣として職務を全うしていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

古屋委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 鈴木総務大臣の所信をお聞きしましたが、地方の行財政を所管する大臣として、また、地方議会出身の大臣として、きめ細かく地方の声に耳を傾け、そして、地方の声を丁寧に受け止めていただいて職務に当たっていただけるものと期待をしております。

 先ほどから分権改革への思いも述べていただいておりますが、通告に沿って、大臣の基本的な考え方をまずはお聞きいたしたいと思います。

 我々日本維新の会は、地方分権改革を推進することを基本とし、国と地方との役割を明確にしていく、そして、それぞれが自立した役割を果たす、そうした統治機構改革を目標としております。しかし、残念ながら、一定進んできた我が国の分権改革が、地方分権改革推進法が失効して以来、足踏み状態と言わざるを得ないと思います。

 大臣所信では、地方税制について、地方分権推進の基盤となる地方税収の充実確保ということと、税源の偏在性が小さくて税収が安定的な地方税体系の構築ということを述べられています。

 私は、真に地方分権改革を推進するためには、全国知事会など地方団体から毎年要望が出ていますように、地方の財政支出に見合うように抜本的な税源移譲が必要だ、行うべきだと思っております。これは先ほど道下議員からの質問にもありましたが。この点についての大臣の現状の認識と、そして見解を伺います。

鈴木(淳)国務大臣 先ほども答弁しましたけれども、地方税の充実につきましては、これまで、個人住民税におきまして三兆円の税源移譲を行い、消費税率引上げに際して地方消費税を拡充するなど、取組を進めてきたところであります。

 国から地方への税源移譲につきましては、国、地方共に大変厳しい財政状況にあることや、地方団体間の財政力格差への影響に配慮する必要があることなども踏まえて検討する必要があります。

 総務省としましては、今後も、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいりたいと思います。

中司委員 大臣の思いを聞かせていただきましたけれども、しっかりとこれからも、まずは私は、言いましたように、抜本的な税源移譲ということが非常に必要だと思っておりますので、そうした方向に向けて踏み出していただきたいと思っております。

 次に、コロナ禍での国と地方の役割分担や財源措置について伺います。

 第三十三次地方制度調査会の答申が年内に取りまとめられるわけですけれども、諮問の際に岸田総理から、コロナ後を見据えたあるべき基本的な国と地方との関係を議論する時期に来ている、こういう認識が示されております。したがって、コロナ禍における国と地方との役割分担の在り方は、調査会の重要テーマの一つとして様々な議論がされてきたわけでございます。

 そうした中で、コロナ禍といういわゆる非常事態の対策においては、感染症法など個別法の想定外の状況もあったということですが、国による調整等、一律的な対策も大事でありますが、しかしながら、一方で、非常時だからこそ、地方の現場の状況とか医療機関の実情に即した対応、対策、これを現場で判断して、創意工夫をして、そのことによってより適切に対応できるケースも多かったのではないかというふうに受け止めております。

 ところが、地方への税源移譲が十分ではなかったり、それから、交付金などの財政措置の基準が一定、画一的であったりして、地方の実情に見合った対策に必要な財源が必要なときに確保できなかった、こんな状況も生まれたと思っております。したがって、こうした非平時、このときの国と地方との役割分担においては、国による一律的な対策も必要ですけれども、それと同時に、地方が状況に即してより自立した対応ができる役割分担の在り方、これも検討していくべきだと思っております。

 地方団体の声も十分に尊重していただかなければなりませんし、決して、今まで進んできている地方分権が、地方分権に逆行すること、分権改革に逆行することがないようにお願いしたいと思うんですけれども、この点の大臣の認識と、今後どのように対応していかれるのか、お聞かせいただければと思います。

鈴木(淳)国務大臣 第三十三次地方制度調査会におきましては、現行の地方自治法における一般ルールを尊重しつつ、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の役割分担や関係をどのように考えるかについて議論されております。

 大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態におきまして、自治体が自らの責任において現場の状況や地域の実情を踏まえた対策を講じることが重要であることは、これは言をまたないことであります。

 地方制度調査会におきましても、地方六団体から自治体の現場が重要であるとの御意見をいただいておりまして、地方の意見を踏まえた検討が行われております。

 その上で、このような事態に際し、国が役割を果たすべき場面におきまして、国と地方自治体との間で必要に応じて協議、調整を行うことなどによりまして、迅速で柔軟な情報共有、コミュニケーションを確保する必要があることなどが議論されていると承知しております。

 答申が取りまとめられました後には、総務省としましては、こうした議論を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

    〔委員長退席、中川(康)委員長代理着席〕

中司委員 ありがとうございます。地方の声を十分に聞いていただけるということですので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、マイナンバーに関して伺います。

 マイナンバー制度に対する国民の信頼回復に向けて、十一月をめどに各自治体で総点検が進められています。この問題に対しては、国としての調整機能はデジタル庁が担う、これは当然のことですが、国民と最も近い市町村を管轄する総務省の役割と責任は極めて大きいと思っております。

 大臣所信では、総点検に際して、地方団体に寄り添った取組を進める、円滑に進むように地方の声をよく伺う、こういうことで総務省の姿勢が示されておりますが、マイナンバーのひもづけ点検、これに際しても、例えば、マイナポータルをもっと活用することによって、利用者自らが自分自身の登録状況とか情報の正確さをチェックすることができるわけですから、マイナポータルの利便性を広く周知する、こうした取組をまず行っていたら効果も上がっていたのではないかと私は思いますけれども、こうしたマイナポータルの周知とか奨励に力を入れる考えはあるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーカードを保有している方について、お持ちのスマートフォンなどでマイナポータルにログインしまして、「わたしの情報」のマイナンバーとひもづけて管理されている二十九項目につきまして、御自身の情報を確認することができるようになってございます。

 マイナポータルの「わたしの情報」から自身の情報を確認する方法につきましては、分かりやすい動画をデジタル庁ウェブサイトにおいて掲載したほか、政府広報と連携して広く情報発信を行うなどしてございまして、引き続き分かりやすい広報に努めてまいりたいと考えております。

 また、確認の結果、誤った情報があった場合には、マイナンバー総合フリーダイヤルにお電話いただきたい、その旨も広報してございまして、引き続き周知に努めてまいりたいと考えてございます。

中司委員 よろしくお願いしたいと思います。

 総点検に際しまして、先ほどもお話がありましたが、財政支援を行うということが、地方は本当に大変な作業をしているわけですので、財政支援を行うとされていますけれども、どれくらいの規模、どういった形で措置されるのか、これについてお伺いいたします。

    〔中川(康)委員長代理退席、委員長着席〕

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 各自治体で総点検の作業が進む中におきまして、総務省としては現場の声を丁寧に伺ってまいりました。

 こうした中で、今般の総点検に特有の経費として、業務システム等からマイナンバーと基本四情報データを抽出するためのシステム改修の経費を要する場合があるものと認識しております。

 障害者手帳に関する事務に対する国費措置に加えまして、それ以外の事務につきましても、自治体の財政負担に十分配慮するため、システム改修の経費に対して特別交付税措置を講ずることといたしたところでございます。

 また、特別交付税措置の全体の規模でございますが、現在総点検が行われているところでございまして、システム改修の費用を必要とするかどうか、あるいは改修が必要な場合にどの程度の経費を要するか、これは個別の自治体によって異なることからお答えすることは困難ですが、総点検の状況を踏まえ、適切に対応することといたしております。

中司委員 ありがとうございます。地方にしわ寄せが来ないように、それともう一つは、やはり透明性を持ってこれをやっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 この間に全国で起こった事案を振り返りますと、やはり私は、地方におけるデジタル人材の確保とか、それから育成不足、そういうところに行き着くのだと思います。

 自治体にデジタル人材が足りていないから、問題が起こるとベンダーに頼らざるを得ない、結果として、本来なら自治体内部で検証して対策を講じることが、そんな普通のプロセスを踏むことができていないのではないか、そのように感じざるを得ないわけであります。デジタルデバイドへの対策も含めて、今後ますます自治体や地域のデジタル力が問われてくると思います。

 大臣所信では、地域におけるDXの前提として、地方団体のデジタル人材の確保、育成、それから都道府県と連携した推進体制の構築を掲げておられます。

 この問題は、今回の地方制度調査会の答申素案でも、国が指針を策定し、職員の育成、外部人材の確保、都道府県等による市町村支援を促進するとされまして、早急に手を打つべき課題に挙げておられます。

 具体的にどういう仕組みをつくっていくのか。地方のデジタル力をアップする人材確保、育成についての考えについてお伺いいたします。

山越政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地方のDXを着実に推進するためには、地方自治体におけるデジタル人材の確保、育成が極めて重要だと考えております。

 このため、総務省では、今年度より、地方自治体におけるデジタル人材の確保、育成を推進する取組を大幅に強化いたしました。

 具体的には、都道府県などにおきまして、市町村支援のためにデジタル人材を確保する経費について新たに地方財政措置を講じるとともに、地方自治体の取組を支援するためのDXの専門アドバイザー制度を創設し、取組を充実強化したところでございます。

 また、地方自治体におけますDXの取組の中核を担う職員の育成に要する経費につきましても新たに地方財政措置を講ずることとしましたとともに、自治大学校や関係研修機関における地方公務員向けの研修の充実にも取り組んでいるところでございます。

 加えまして、先進地域におきましては、都道府県と市町村の連携によるDX推進体制の構築に際しまして、デジタル人材の確保、育成に共同で取り組む事例が広がっているところでございまして、今後はこうした取組への支援、横展開にも取り組んでまいります。

 引き続き、デジタル人材の確保、育成が着実に進むよう、地方自治体を支援してまいります。

中司委員 ありがとうございます。是非とも力を入れていただきたいと思っております。

 さて、次に、選挙制度について伺いますが、大臣は所信で、国を支える社会基盤の一つとして選挙の充実を挙げておられますし、投票環境の整備に努めるとされています。ただ、現実に選挙制度を改革するに当たっては、先日の予算委員会で我が党の一谷委員が取り上げましたように、倫理選挙制度特別委員会でまとめた改正案を各党に持ち帰っても結局法案提出ができなかったという次第でありまして、実際にはなかなか国会での議論がまとまらない、こう思っております。

 我々日本維新の会としても、進まない国会の実態に風穴を空けていこうということで、民意を適切に反映する、制度の合理化を図って信頼性を高める、そういう観点から、インターネット投票の導入とか、政治団体における親族への代表異動や寄附の制限、こうしたことを盛り込んだ選挙等改革推進法案、これを本日改めて提出することにしております。

 インターネット投票については、投票率向上の点から、大臣も予算委員会で有権者の利便性に資すると答えておられます。同時に、導入に当たって様々な課題があるということも述べておられます。

 そこで、総務省としては、インターネット投票について、まず、現在、郵便による投票が認められています在外選挙人の利便性の向上のために、在外選挙においてインターネット投票を導入することが検討されている、こういうことですね。私は、できない理由を挙げるのではなくて、例えば次の参議院選挙に目標を定めて、期限を切って、課題を解決して進めるべきと考えます。

 どうですか、大臣。結果を出すことが政治なんですね。いつからやるんでしょうか、お答えください。

鈴木(淳)国務大臣 総務省では、インターネット投票の導入に関しては、現在、在外選挙人の利便性向上の観点から、御案内のとおり、郵便投票等が広く認められている在外選挙において調査研究を実施しております。

 導入に当たりましては、システムのセキュリティー対策のほか、確実な本人確認や投票の秘密保持、選挙人の自由意思によって投票できる環境の確保といった選挙特有の課題に対応する必要がございます。

 また、限られた選挙期間で投開票が適切に行われる必要があるほか、仮に不具合があってもやり直しはできないために、システムやトラブル時の対応などにつきましても十分な検討が必要であります。

 総務省としましては、在外選挙インターネット投票につきまして引き続き検討し、課題の整理、対応など調査研究を進めてまいりますが、インターネット投票という新たな投票方法を導入することは、選挙制度の根幹に関わることでありますから、各党各会派で十分御議論を賜りたいと思います。

 以上です。

中司委員 同じような答弁なんですけれども、是非スピード感を持って進めていただきますようにお願いをしておきます。

 最後に、小規模消防の消防力を高めるための広域化について伺います。

 大臣所信にもありますように、近年の災害の激甚化あるいは頻発化を踏まえますと最前線で国民の生命財産を守る消防の果たす役割は本当に増大していると思いまして、まずは常備消防の充実強化を図ることは喫緊の課題であると受け止めております。

 そうした中、とりわけ小規模自治体における消防力には限界があって、消防庁では、平成十八年以降、これまで三期にわたって、管轄人口十万人未満の小規模消防本部などを対象に、広域化に関する指針に基づいて、消防力の強化に向けて、消防組織の統合とか連携による広域化の取組を進めてこられました。大変熱心に進めていただいてきたと思います。それは理解をしております。来年度からの第四次の新たな取組に向けて、検討会を立ち上げて、報告書をまとめ、そして今後の在り方を検討されているとも聞いております。

 私の地元の交野市も小規模消防本部の範疇に入りますけれども、隣接エリアの枚方寝屋川消防組合と通信指令業務では連携しているんですけれども、いざ実際に広域化を実現するためには様々な課題があるわけであります。

 そこで、小規模本部が消防全体の六割をまだ占めているという状況ですけれども、広域化がなかなか進まない現状を踏まえて、これまでの取組で見えてきた課題、それから、とりわけ進まない状況を打開するために、例えば、関係する自治体が広域化のメリットをお互いに享受できるような方策、そんなことも含めて、今後の広域化を促進する取組についてお伺いしたいと思います。

五味政府参考人 消防庁におきましては、近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえまして、消防の広域化や一部事務の連携協力の推進が極めて重要であると認識しております。

 これまでも、広域化等の取組に対する地方財政措置、消防広域化推進アドバイザーの派遣、優良事例の横展開等により各地域の取組を支援してきておりまして、現時点で、五十八地域において広域化が、五十一地域において指令センターの共同運用が実現しております。

 その一方、例えば、広域化に伴う新たな事務負担などの負担増加、消防本部ごとに異なる給与体系、部隊運用等に関する調整、周辺市町村への消防力の流出のおそれといった懸念や課題により広域化にちゅうちょするという事例もあると聞いております。

 こうした中、消防庁では、現行の広域化の推進期限が来年四月であることを踏まえまして、学識経験者や消防本部等から成る検討会を設置し、本年六月、地域の核として検討を主導する中心消防本部の重要性を示すなど、広域化の推進方策等について報告書を取りまとめたところでございます。

 消防庁といたしましては、この報告書を踏まえ、今年度末までに広域化の基本指針を改正することとしておりまして、消防本部の取組に対する各種支援の充実を図りながら、広域化の推進にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

中司委員 ありがとうございます。

 やはり消防力の強化、待ったなしの状況だと思いますので、しっかりと取り組んでいただけますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代と申します。

 この臨時国会から総務委員会の所属となりました。古屋委員長を始め与野党の先生方、また鈴木大臣、総務省の皆様、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 DXの推進は、国を挙げて取り組むべき重点課題でございます。そのような中、いち早く世の中の出来事や動きを知るために最も利用するメディアとして、今やインターネットは現代生活の必需品、インフラとなった一方で、問題視されるのはインターネットトラブルでございます。インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損などに関する被害相談は増えています。

 そのような背景を踏まえまして、令和四年七月から、誹謗中傷全般に対する非難が高まると同時に、誹謗中傷を抑止すべきとの観点から、刑法等の一部を改正する法律が成立し、侮辱罪の法定刑が引き上げられました。

 総務大臣は、所信表明の中で、インターネット上の誹謗中傷等の被害者救済をより円滑にするため、プロバイダー責任制限法の着実な運用や、プラットフォーム事業者の迅速な対応の促進、相談体制の強化等、総合的な対策を進めていくと述べられています。

 サイバー空間における誹謗中傷対策について、現状と総務省の取組について、鈴木大臣、御説明をお願いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 人を傷つけるような誹謗中傷は絶対に許されず、特にインターネット上で行われた場合には、匿名性が高く加害者が特定されにくいことや、拡散による被害の拡大という問題があると考えております。

 総務省では、インターネット上の誹謗中傷等の被害者救済をより円滑にするために、プロバイダー責任制限法の着実な運用や、プラットフォーム事業者による迅速な対応の促進、相談体制の強化など、総合的な対策を進めてまいりました。

 とりわけ、プロバイダー責任制限法につきましては、誹謗中傷等を行った発信者の情報開示につきまして簡易な裁判手続を可能とする改正法が昨年十月から施行されまして、被害者救済のための新制度の利用が着実に進んでいるものと考えているところでございます。

 一方で、インターネット上の誹謗中傷は依然深刻な状況でございまして、総務省におきましては、昨年十二月から有識者会議を開催し、SNS等のプラットフォーム事業者が裁判手続によらずに迅速に投稿を削除するための方策を検討してきているところでございます。

 今後、年内に取りまとめられる予定の有識者会議におきましての議論の結果を踏まえて、更なる対策を進めてまいりたいと思っております。

吉田(と)委員 例えば、大手インターネットプロバイダー、ビッグローブが、インターネット上の誹謗中傷に対する意識調査を千人を対象に実施し、二〇二三年九月七日に公表しています。その結果を見ますと、インターネット上に誹謗中傷や悪質なコメントを書き込まれたことがある方は一〇・九%、書き込んだことがある方は六・三%となっています。サイバー空間での誹謗中傷は身近で常に発生をしています。

 また、総務省の違法・有害情報相談センターに寄せられました相談は、昨年度、令和四年度は五千七百四十五件で、十二年前と比べると四倍以上となっています。センターに寄せられた相談内容の六七%が、削除方法を教えてほしいとなっています。

 誹謗中傷の書き込みをされた場合、迅速に削除をしていただく必要がございますが、その上で、被害救済のためには、書き込んだ方を特定し、損害賠償請求を行うことが考えられます。

 令和四年十月に施行されましたプロバイダー責任制限法の改正で、円滑な被害者救済を図るため、非訟手続を導入しましたが、利用件数はどの程度でしょうか。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の件数については正確には承知できておりませんが、東京地方裁判所においては、昨年十月の改正プロバイダー責任制限法の施行により創設された新たな裁判手続に基づく発信者情報開示請求の件数、これは発信者情報開示命令の申立ての件数になりますけれども、令和四年十月から令和五年九月までの十二か月間の速報値で三千十九件であると承知しております。

 これに対しまして、プロバイダー責任制限法改正前の令和元年における発信者情報開示請求のうち、仮処分の申立ての件数は年間で六百三十件であったと承知しております。これは、改正法施行後の請求の件数、先ほど申し上げた三千十九件という実績と比較すると、新しい制度は十分に活用されているものと考えているところでございます。

吉田(と)委員 法改正によって利用件数が増えている、つまり法改正の意味があったということでございますが、この非訟手続によって従来の訴訟手続よりも迅速に対応できていると言えるかと思います。

 従来の制度では、被害者が発信者宛てに損害賠償裁判を起こす場合、時間と費用がかかり、被害者救済を諦めざるを得なかったケースが多かったといいます。少なくとも、いち早く発信者情報を入手できるようになったという点はメリットだと思います。

 しかし、一方で、プラットフォーム事業者の誹謗中傷等の削除についても法的な位置づけがなく、また、削除の判断基準も明確でないため、現状はプロバイダー事業者の自主性に任せており、プラットフォーム事業者に対する負担に配慮も必要です。

 新制度で事業者側に人員、経済的負担が増しているとの声もあり、改善策の検討が必要かと思いますが、第三者機関の設置も御検討いただきたく、御見解をお聞かせください。

今川政府参考人 お答え申し上げます。

 プラットフォーム事業者が違法性の判断に迷った場合にその判断を支援したり、公平中立な立場からの削除要請を行ったりするような御指摘の第三者機関の設置につきましては、被害者及びプラットフォーム事業者の負担軽減の観点から有益ではないかという議論があるということは承知しております。

 一方で、こうした第三者機関の設置につきましては、機関の公平性、中立性の確保や表現の自由との関係などの課題があると考えており、慎重な検討が必要であると認識しております。

 現在、総務省の有識者会議において第三者機関の論点を含めて様々な議論を行っておりますけれども、こうした課題を踏まえ、今後の検討の方向性として、第三者機関を法的に整備することについては慎重であるべきとされているところでございます。

 この有識者会議における議論は年内に取りまとめられる予定でございまして、その結果を踏まえ、インターネット上の誹謗中傷などに対して更なる取組を進めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 我々日本維新の会では、昨年五月にインターネット誹謗中傷対策推進法案を提出いたしました。様々な検討事項を盛り込んでおりますが、事業者の取組促進等の施策が必要であると考えます。

 例えば、先ほどの第三者機関を設立して、相談体制の整備、関係機関の要請に応じた場合のプロバイダーの免責、中立的な立場での相談、調査、被害の救済、予防に関する事務をつかさどる、透明性を維持した行政組織の設置でございます。また、通信ログ、通信履歴ですが、これに関しても規定がなく、通信ログを保存するかはプロバイダーの判断に委ねているため、何も残っていないというケースもあります。これらの観点も踏まえて、是非前向きに御検討いただきたいと思います。

 さて、このように、インターネットによる誹謗中傷などの名誉毀損罪や侮辱罪の罪で損害賠償請求となると、時間もお金もかかり、ようやく勝訴をかち取っても費用倒れになってしまうという場合もあります。この観点から、我が党の岩谷議員が令和四年一月の予算委員会で、アメリカでは懲罰的損害賠償制度があり、日本でも導入すべきではないかと質問をされました。ネット中傷開示請求は、手続簡略化から一年がたちました。開示請求が急増しているという背景を踏まえますと、改めて導入の検討の余地があるのではないかと思いますが、見解をお聞かせください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の損害賠償制度は、一般には、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補填することを目的とするものであり、加害者に対する制裁や、将来における同様の行為の抑止そのものを目的とするものではないとされております。

 このため、御指摘の懲罰的損害賠償制度を導入することについては、我が国の制度の基本原理との整合性や刑事上の制裁との役割分担などの多面的な検討が必要でございます。

 また、特定の分野についてのみ懲罰的損害賠償制度を導入することについては、その分野についてのみ異なる制度を導入する必要性のほか、制度の対象となる被害者についてのみその保護が強化されることに合理性があるかといった点などについて慎重な検討を要するものと考えております。

 いずれにいたしましても、懲罰的損害賠償制度の導入については、今後とも、関係各方面における議論の進展をも注視しながら適切に対処してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 世界のインターネット利用者は、先月、二〇二三年の十月時点で五十三億人です。聞くところによりますと、民事の慰謝料は通常十万円から百万円程度と言われています。多くの方の目に触れる可能性がある誹謗中傷、名誉毀損は、現状に即した対応が必要ではないでしょうか。

 つい先日も、岸田文雄首相の声や画像を使った偽の動画がネット交流サービス、SNS上で拡散していることについて、拡散している偽動画は首相の声を生成AIに学習させて作られたと見られているとのニュースを見ました。サイバー空間では、事実ではない情報や、あえて間違った内容を広めようとすることや、あたかも本物と見間違う巧妙な画像なども存在します。サイバー空間の偽情報対策についてどのような取組をしているのか、教えていただきたいと思います。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル空間を活用した様々なサービスが社会に普及し、AIといった新たな技術が進展する中で、委員御指摘のとおり、偽・誤情報の拡散といった新しい課題も顕在化し、社会に与える影響もますます拡大しているものと認識しているところでございます。

 インターネット上のいわゆる偽・誤情報への対応につきましては、幅広い関係者による自主的取組を総合的に推進することが重要であり、また、偽・誤情報をうのみにしないような利用者のICTリテラシーの向上も大切な事項であると考えているところでございます。

 こうした認識の下、総務省におきましては、これまでも、偽・誤情報を含む投稿の削除やアカウント停止といったプラットフォーム事業者が自主的に講じている取組に対しまして、透明性やアカウンタビリティー確保の観点から、モニタリングを実施することや偽・誤情報に関する啓発教育教材の開発などに取り組んできたところでございまして、今後も引き続き、関係省庁とも連携しつつ、偽・誤情報対策に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

吉田(と)委員 偽情報に基づいて、誤解したまま他者を攻撃、誹謗中傷する事案がインターネット上では大変多く発生しております。偽情報に対処することも、誹謗中傷を抑えるためには必要なことです。

 サイバー空間を公共空間として当たり前に使用する今、誹謗中傷対策や偽情報対策、利用に当たっての注意すべき点など、被害者や加害者とはならないようなサイバー空間のリテラシー向上策が重要となります。どのような取組を行っていらっしゃるのか、御教示ください。

湯本政府参考人 ICTの利活用が当たり前になる中、偽・誤情報を信じてインターネット利用者が誹謗中傷等をすることにより、結果として加害者側になるといったことも避ける意味でも、インターネット上の情報をうのみにしないような利用者のリテラシー向上が大変重要でございます。

 総務省におきましては、幅広い世代を対象とした今後のデジタル社会に必要なリテラシーの向上方策を検討する有識者会議を開催し、本年六月に、関係省庁や関係団体と連携した今後の取組を整理したロードマップを公表したところでございます。今後、このロードマップに基づきまして必要な取組を推進してまいります。

 具体的には、例えば、青少年、保護者、教職員向けに、インターネットトラブル事例集の公表や、学校等に対するいわゆる出前講座であるe―ネットキャラバンの実施などを通じまして、インターネットの安心、安全な利用に係る普及啓発を今後とも進めてまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、総務省といたしましては、これらの取組を通じまして、国民が安心、安全にインターネットを利活用できるよう、幅広い世代のリテラシーの向上を進めてまいります。

吉田(と)委員 大阪府では、昨年四月にネット中傷防止条例が成立をし、また、国に対してもインターネット上の人権侵害事象に対する提案をしています。被害者支援に加え、中傷を抑止する取組を府の責任として、加害行為に及ばないための相談体制を整備するとしています。制定目的として、誹謗中傷などの人権侵害を防止し、府民の誰もが加害者にも被害者にもならないようにするとしています。

 先ほど審議官からも御紹介いただきましたけれども、学校教育や研修会、こういったものを通じてインターネットリテラシーの向上に更に取り組んでいただくことを、是非総務省でも引き続きお願いしたいと思います。

 そして、令和五年八月、SecHack365を修了した人物が、全国の大学や高校などで殺害を予告するファクスを大量に送りつけられた事件に関わっていたという容疑で逮捕されたとの報道がありました。この際、ネット経由でファクスを送信するサービスが使われましたけれども、発信元を匿名化する特殊なシステム、トーアが使用されていたとしています。

 サイバーセキュリティーを学ぶことは攻撃の手法も学ぶことにつながるとも言えますが、知識の悪用への対策についてお伺いいたします。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、今般、NICTが実施をしている若手向けのサイバー人材育成プログラム、SecHack365、この修了生が大学への威力業務妨害等の容疑で逮捕、起訴されたということは大変遺憾に思っております。

 サイバーセキュリティーの知識や技術は、サイバーセキュリティーの向上に役に立つのと同時に、悪用されるおそれもございます。したがいまして、知識や技術について教育をする際には、併せて倫理面についても教育をするということが大変重要でございます。

 従来より、SecHack365の中でも倫理教育を実施しており、修了生の多くは、起業若しくはプログラムの成果を学会発表するなど、サイバーセキュリティー分野の第一線で活躍をしております。

 今般の事案を踏まえて、総務省としては、NICTと連携をいたしまして、プログラム内での倫理教育や講義内容それから講義の時間数を今年度から拡充するなど、サイバーセキュリティーに関する倫理教育に一層力を入れることとしております。

 総務省として、このような取組を通じて、サイバーセキュリティーの知識や技術を適切に活用できる人材の育成に今後も取り組んでまいります。

吉田(と)委員 インターネットやプログラムについて余り知識がない方もいれば、精通した方もいらっしゃいます。しかし、どちらもネット社会では加害者になり得る状況にあります。詳しくないから人を傷つけないわけでもなく、また、詳しいから傷つけることをしないというわけでもないかと思います。

 デジタルタトゥーという言葉がありますように、一度行った誹謗中傷そして犯した罪というのはデジタル世界でも消すことができません。世界中の人が瞬時に情報に触れられる、こういった環境ですので、すばらしくもありますが、怖いものもあるかと思います。

 総務省におかれましては、是非、様々な方に広く周知をしていただき、正しい倫理観、ネットマナーについて普及啓発に努めていただきたいと思います。

 それでは、少し質問を残してしまいましたが、また次回、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 鈴木大臣には、この度の総務大臣御就任、誠におめでとうございます。

 本日は、所信に対する質疑ということでございますので、鈴木大臣を中心に質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、所信にも述べられておりますとおり、総務省は、国の根幹でありますし、国民生活の基盤となる重要な制度を幅広く所管する省庁でございまして、多岐にわたる課題が山積をいたしております。

 この所信の中で大臣が述べていただいている全ての事柄が大変重要だとは思っておりますけれども、その中で特に鈴木大臣が在任中にこれだけは何としても実現をしたい、また、注力をして取り組みたいという課題は何でしょうか、このことをまずお聞きさせていただきたいということと、含めて、大臣の職務を遂行していくに当たって大臣が何を一番大切に基本に総務大臣をお務めになるのかということ、このことをまず冒頭お尋ねさせていただきたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 御質問ありがとうございます。

 委員御指摘のとおり、総務省は、地方行財政、選挙、消防、情報通信、放送、郵便、行政評価、統計など、国民生活に密接な関わりのある幅広い行政分野を所掌しております。

 就任からまだ二か月も経過しておりませんけれども、大臣室には様々な案件が実は持ち込まれておりまして、日々、所掌の幅広さを実感しているところでございます。

 地方行財政基盤の確立、地域におけるDXの推進、デジタルインフラの整備、統計の品質管理の徹底など、様々な課題がありますけれども、どの政策も極めて重要でありまして、おろそかにできないものばかりであります。

 これらの重要な政策を進める上で私が最も大事にしたいのは、国民の声をしっかりと受け止める姿勢であります。

 所信でも申し述べましたとおり、私の政治家としての信条、原点は、住民に最も近い基礎自治体の議員としての経験でございます。

 総務省の政策は住民に身近なものから世界の最先端を相手にするものまでありますけれども、どの政策におきましても、それを担い、その影響を受ける人々のことを考えながら進めたいと考えております。

 あわせて、重要な政策を進めていくに当たりましては、総務委員会の委員の皆様とも真摯に議論をさせていただきたいと思いますので、そうした中で諸課題に取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。地方議員の御経験、これが原点だということも述べられております。国民の声を、特に今は国民生活は大変厳しい状況もありますので、また、地方のことも十分御承知の大臣だというふうに思います。

 日本も、地方と一口に言っても、それぞれの地域に事情がございます。私の地元長崎県は離島、半島を含めて大変いろいろな、地理的に不利な条件を抱えている地域が多く日本にもございますので、しっかり声を聞いていただき、大臣として御活躍いただきますことをまず冒頭申し上げさせていただきたいと思います。

 続きまして、まさに今、岸田政権においても最重要課題となっております賃上げについて、特に賃上げができる環境づくりについてお伺いをさせていただきます。

 厚生労働省が公表いたしました八月の毎勤統計によりますと、労働者一人当たりの平均賃金を示す現金給与総額は、前年同月比一・一%増の二十八万二千七百円となり、二十か月連続で前年同月を上回りました。しかし、一方で、労働者が実際に受け取った名目賃金から消費者物価指数に基づく物価変動の影響を差し引いた実質賃金につきましては、前年同月比二・五%マイナスとなり、十七か月連続のマイナスとなっております。今春闘におきまして賃上げで名目賃金は増加をいたしておりますけれども、それを上回る物価高騰が深刻であるということが改めて浮き彫りとなっております。

 先日発表されました岸田政権によるデフレ完全脱却のための総合経済対策の中でも、岸田総理は、足下の最大の課題は賃上げが物価上昇に追いついていないことであると述べられております。

 現実の問題としては、地方の中小・小規模事業者については賃上げをしたくてもできないという状況がございまして、賃上げ効果が中小・小規模事業者や非正規で働く方にはなかなか波及をしていないという現実もあると思っております。物価高騰対策とともに、賃上げができる環境づくり、これが大変重要だと考えております。賃上げ税制の拡充等のメニューも示されているわけでございますけれども、鈴木大臣の現下の状況認識とともに、総務大臣としてどのようにこの問題に取り組んでいかれるかということをお伺いさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 岸田総理は、来年の夏の段階で国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実につくりたいと御発言でございまして、総務省としましても、地方を含む賃上げの実現のためにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、地方税制上の対応として、法人住民税などにおいて賃上げを行った法人の税負担を軽減する措置、固定資産税において中小事業者等が取得した生産性向上や賃上げに資する償却資産に係る特例措置を講じております。

 また、賃上げに資する中小企業のための価格転嫁対策の強化につきましても、通信、放送、郵便等の所管事業分野における取組や、地方公共団体の契約に係る価格転嫁について、関係団体や地方公共団体へ要請等を行いました。

 さらに、地方公共団体の会計年度任用職員につきましては、制度創設時から期末手当の支給を可能とし、勤勉手当につきましても令和六年度から支給できるように法改正を行うなど、適正な処遇の確保、改善に取り組んできたところであります。

 これらに加えまして地域の活性化にも取り組み、政府一体となった賃上げのできる環境づくりに向けてしっかりと役割を果たしてまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。我が国民民主党も賃上げというのを最重要課題としてこれまでも取り組んできたわけでございますけれども、特に地方において賃上げができる環境整備、今大臣からも様々な施策が述べられましたけれども、しっかりと効果が発揮できる環境づくりに是非御尽力いただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、関連する内容になりますけれども、現下の長期化する物価高騰によって、地方公共団体の財政に与える影響も大変深刻なものがあると考えております。

 自治体独自の施策が適切なタイミングで行われるような対策がなされてきたところではございますけれども、令和五年の地方財政計画におきましては、学校、福祉施設、図書館、文化施設など地方公共団体の施設の光熱費の高騰を踏まえまして、一般行政経費七百億円を増額するとともに、資材価格等の高騰による建設事業費の上昇を踏まえまして、緊急防災・減災事業債の津波浸水区域からの庁舎移転事業と、病院事業債の公立病院等の新設、建て替え等事業における建設単価の引上げの取組がなされました。

 今後も物価高騰という状況が長期化することを踏まえまして、地方公共団体の財政に与える影響というものも長期化して深刻な状況がこれからも続いていくという今の状況をどのように認識されまして、今後どのような対策を取っていかれるのか、このことについてお伺いをさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 物価高は国民生活や事業活動に大きな影響を与えておりまして、引き続き、その対策に万全を期す必要があるものと認識しております。

 そのため、今般の総合経済対策におきましては、内閣府の所管ではありますけれども、地域の実情に応じて柔軟に活用できる重点支援地方交付金を追加することとされております。

 また、総務省におきましては、生活困窮者への灯油購入の助成など、地方公共団体が独自に実施する原油価格高騰対策に対して特別交付税措置を講ずることとしております。

 今後とも、物価高騰により自治体の財政運営に支障が生じないよう、関係省庁とも連携し、適切に対応してまいります。

西岡委員 しっかりと、影響を与えないような、先手先手のお取組を是非お願い申し上げたいと思います。

 次の質問は、先ほどからも質問があっておりましてちょっとダブる内容となっておりますけれども、十一月までに行うとされておりますマイナンバーの総点検につきましては、総務省の総点検の今の進捗状況を含めて、自治体に対する財政措置も行っていただいているというふうに認識をいたしておりますけれども、この総点検、しっかり国民が納得する結果を出していただくということが信頼回復につながる大変重要な総点検、この結果をどのような形で公表していくかも含めて大変重要な取組だというふうに思います。鈴木大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 総点検の重要性の御指摘、ありがとうございました。

 各自治体におきまして、総点検の作業を原則十一月末までに行うこととされている中で、総務省としましては現場の声を丁寧に伺ってまいりました。

 自治体の点検作業につきましては、事務ごとに件数などが異なることから進捗に差異はあるものの、おおむね順調に進んでいるものと考えております。

 データの抽出作業に必要なシステム改修の経費につきましては、障害者手帳に関する事務に対する国費措置に加えまして、それ以外の事務につきましても特別交付税措置を講ずることといたしております。

 引き続き、自治体の点検作業に当たりまして課題がある場合は、必要に応じて関係省庁と連携して個別に状況を伺うなど、点検作業が円滑に進められるように取り組んでまいりたいと思います。

 以上です。

西岡委員 ありがとうございます。

 次の質問も先ほどから質問があっておりますこととダブる内容となっておりますけれども、国民民主党としても、昨今の物価高騰に加えまして、賃金上昇を上回る所得税の負担増が国民生活に深刻な影響を及ぼしているという事態に対処するために、我が党は、物価上昇率、名目賃金上昇率を考慮いたしまして、基礎控除、給与所得控除等の額を引き上げるなど、所得税に講ずべき措置を定めた法律案を先般提出させていただいたところでございます。

 岸田政権におかれましては、来年六月のボーナスのタイミングでということで、所得税、住民税の定額減税を実施するということを打ち出されました。先ほどからの議論の中でもあっております個人住民税減収の補填につきましては、全額国費が明記をされました。

 所得税減税についての地方交付税への影響など、地方財政への影響について一点お尋ねをさせていただくとともに、また、少子化対策、子供政策の加速化プランの実施など、今後、安定財源の確保や、地方自治体に多くの新しい業務が追加されることになり、自治体の負担も大変また重くなってくるというふうに思います。財政支援も含めた負担軽減等、重要課題が山積をいたしております。鈴木大臣の御見解、今後の取組についてお伺いをさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 今般の総合経済対策におきましては、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、令和六年分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円の減税を行うこととされております。

 税制についての詳細は、今後、与党税制調査会において御議論されるものと承知をいたしております。

 なお、総合経済対策におきましては、個人住民税の減収額は全額国費で補填するとされております。

 また、所得税の減税を行った場合の地方交付税への影響につきましては、地方の財政運営に支障が生じないよう、年末に向けて財政当局と十分協議してまいります。

 子供、子育て政策の強化につきましては、国と地方が車の両輪となって取り組むべき課題と考えておりまして、関係省庁とも連携しまして、地方財源を適切に確保してまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。しっかり、財政確保を含めまして、お願いを申し上げたいと思います。

 続きまして、第三十三次地方制度調査会の答申等につきましてお尋ねをさせていただきます。

 令和五年一月から、非平時に着目した地方制度の在り方、地方行政のデジタル化、地方公共団体相互の連携協力等の在り方についての議論が進められまして、九月に総合的な論点整理が行われました。十月二十三日には、ポストコロナの経済社会に対応する地方制度の在り方に関する答申の素案が示され、年内に答申が出されるとお聞きをいたしております。

 骨太の方針二〇二三におきましては、地制調の議論を通じて、国、地方間、地方公共団体間の役割分担の明確化、その実効性を高めるためには法整備も視野に進めると明記されております。

 今後総務省としてどのように取り組んでいかれる方針かということにつきまして、お伺いをさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 第三十三次地方制度調査会におきましては、社会全体のデジタル化の進展や感染症対応で直面した課題等を踏まえ、ポストコロナの経済社会に的確に対応する観点から、必要となる地方制度の在り方について議論が行われております。

 具体的には、DXの進展を踏まえた対応、地方公共団体相互間の連携協力及び公共私の連携、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応について御議論を賜っております。

 答申が取りまとめられた後には、総務省としまして、答申の趣旨を踏まえ、適切に対応してまいりたいと思います。

西岡委員 ありがとうございます。

 ちょっと遡るんですけれども、昨年は、第三十三次地方制度調査会の地方議会に関する答申が出まして、多様な人材が参画し住民に開かれた地方議会の実現に向けた対応方策に関する答申というものが出されております。答申では、議会の位置づけ等の明確化、立候補環境の整備、議会のデジタル化が提言をされました。

 答申内容につきましては通常国会における法改正によって一定措置がなされたわけでございますけれども、この二番目の立候補環境の整備につきましては、企業の就業規則に立候補に伴う休暇制度を設けることや、立候補による不利益が生じないよう法整備を行うことを一つの方策としながらも、まだ課題が多いとして引き続きの検討課題とされ、まずは議員との副業、兼業を可能とすることも併せて各企業に要請すべきということが提言されました。

 今年一月には、当時の尾身副大臣が、都道府県議長会や全国市議会議長会、全国町村議会議長会の皆様とともに、経済団体に対し協力要請を行われました。

 様々な課題はあると認識をいたしておりますけれども、私は、地方議会の現状を踏まえると、答申の趣旨でもありますし、要請にとどまらず、やはり法制化が必要ではないかと考えますけれども、このことについての総務省の御見解をお伺いしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 昨年末の地方制度調査会の答申では、立候補休暇制度等の法制化については、会社員等の立候補の促進に有効な方策だが、事業主負担や他の選挙との均衡といった課題があり、引き続き検討が必要とされております。

 一方で、会社員等が立候補しやすい環境整備について、まずは各企業の就業規則において立候補休暇制度を自主的に設けること等を要請していくことを検討すべきとされておるところでございます。

 この答申や、昨年の臨時国会で議員立法により成立した地方自治法改正の附則を踏まえ、総務省では、本年一月と三月に、三議長会の皆様と共同で経済団体に対して要請を行ったところでございます。

 総務省といたしましては、要請内容の周知等に努めるとともに、議会に対しても立候補しやすい環境の整備に向けて取組を促してまいります。

西岡委員 今現在なかなか難しいということでございましたけれども、今の議員のなり手不足を含めた地方議会の状況を考えますと、この要請も是非引き続き取り組んでいただくと同時に、やはり法改正も含めた検討を今後是非していただきますようにお願い申し上げたいというふうに思っております。

 関連しまして、議会のデジタル化、オンライン本会議についてお伺いをさせていただきます。

 これまでも、歴代の総務大臣に質問させていただいて見解をお伺いし、実現へ向けたお取組を要望してきたわけでございますけれども、先般、地制調の答申を受けまして、本会議における一般質問について、出席が困難な欠席議員がオンラインによって質問することが可能となったことは一歩前進であると評価するものでございます。

 オンライン本会議につきましては、大規模災害や今般の感染症や有事など、現に議場にいることが困難な事象が起きた場合に、どのような状況にあっても地域住民の生活や命を守るために議会機能を維持するということは極めて重要な課題であると思います。これは地方議会、国会共にそうだというふうに思いますけれども、こういう意味からも、是非このオンライン本会議というものをしっかり、様々な課題はありますけれども、議会機能をしっかり維持するということの側面からしっかりやはり考えていかなければいけない、大変重要な課題だと思っております。

 また一方で、多様な議員を増やしていくという意味からも、育児や介護中や障害をお持ちの方や妊産婦など、議場に来ることが困難な方が議会に広く参画することが可能になるという大きなメリットも含めて、出席を認める方向で検討に入るべきではないかというふうに私自身は考えますけれども、鈴木大臣の御見解をお伺いさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 地方議会の本会議というものは、団体意思を最終的に確定させる場所であります。このため、議員本人の自由な意思表明は疑義の生じる余地のない形で行われる必要があります。

 昨年末の地方制度調査会の答申におきましては、本会議のオンライン出席につきまして、国会の対応も参考にしつつ、委員会のオンライン出席の取組状況等をよく踏まえて丁寧に検討を進めるべきとされておりまして、これを踏まえた対応が必要であると考えております。

 一方、総務省におきましては、委員会のオンライン出席の方法等につきまして助言を行うとともに、その状況等を調査し、結果を公表しております。今後とも引き続き必要な助言等を行ってまいります。

西岡委員 是非前向きなお取組をお願いしたいというふうに思いますし、地方議会における実現のためには国会での取組がやはり大変重要だと思います。このことも各党各会派の先生方の活発な議論を是非お願いさせていただきたいというふうに思います。

 オンライン本会議、議会のデジタル化と関連いたします、私、これまでも質問はさせていただいてきたんですけれども、在外邦人の方の投票環境の整備、この改善、大変急がれる喫緊の課題であると考えております。

 現在、全世界に百三十五万人の日本人が海外で生活しており、うち百万人が選挙権を有する在外邦人と言われております。さきの参議院選挙におきましては、投票率が僅か二%であったという結果も出ております。投票したくてもできないという状況がありまして、まずは、選挙の資格を得るハードル、選挙人となるべきハードル、次に、投票する環境がなかなか海外では整いにくいということもございまして、当事者からもインターネット投票を求める要望がこれまでも上がっているという状況がございます。

 総務省におきましても、有識者研究会で、課題もクリア可能で、在外邦人のインターネット投票については実施が可能であるということで、これまで実証実験にも取組を続けていただいておりますけれども、なかなか実現に結びつかない状況が続いております。このことについての総務省の現状のお取組について、御説明をお願いいたします。

笠置政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、先ほどお話がございました研究会の報告を受けまして、郵便投票が広く認められております在外選挙におけるインターネット投票について調査研究を実施いたしております。

 これまで、研究会のシステムモデルが稼働するかどうかといった実証用のシステム、プロトタイプを用いた検証といったものを行うとともに、マイナンバーカードを利用した確実な本人確認、二重投票の防止、選挙人情報と投票内容の切り離しといったような投票の秘密の保持、またシステムのセキュリティー対策、あるいは選挙人の自由意思によって投票できる環境の確保といった選挙特有の課題や論点について調査研究を実施してきておりまして、制度面、運用面の方向性について整理を進めているところでございます。

西岡委員 もう時間となりました。

 最後に、鈴木総務大臣、是非在外邦人インターネット投票実現へ向けた大臣の御見解を最後にお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 在外選挙におけるインターネット投票の導入に当たりましては、先ほど選挙部長が答弁したとおりでありますけれども、システムのセキュリティー対策のほか、確実な本人確認や投票の秘密保持、選挙人の自由意思によって投票できる環境の確保といった選挙特有の課題に対応する必要がございます。

 また、限られた選挙期間で投開票が適切に行われる必要がありますが、仮に不具合があってもやり直しはできないために、システムやトラブル時の対応につきましても十分な検討が必要となります。

 総務省としましては、在外選挙人の利便性向上の観点から、在外選挙インターネット投票につきまして引き続き検討し、課題の整理、対応など調査研究を進めてまいりますけれども、インターネット投票という新たな投票方法を導入することは、選挙制度の根幹に関わることでありますので、各党会派で十分な御議論を賜りたいと思います。

西岡委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣は、所信で、引き続き地方団体や関係省庁と連携してカードの一層の普及促進と利便性の向上に取り組むと述べられ、政府一丸となってマイナンバーのひもづけに関する総点検を進める立場を表明されました。まず、それについてお伺いしたい。

 まず、住民票等の誤交付でありますけれども、これまで、役所の窓口で自治体職員が交付して発生した誤交付件数は、住民票、戸籍の付票、印鑑登録証明書を合計した数で、二〇二二年度、二三年度、それぞれ何件か。また、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付で発生した誤交付件数は、今の三つに加えて戸籍謄本、納税証明書も合わせて、二〇二二年度、二三年度、それぞれ何件か。自治行政局、答えていただけますか。

山野政府参考人 住民票の写し等の証明書の誤交付に関し、二〇二二年度、それから二〇二三年度、それぞれの件数についてのお尋ねでございます。

 これは、令和五年十月二十七日時点ということでございます。本人のものではありますが誤った内容の証明書を交付したものも含め、自治体からの報告等により把握している総数としては、まず窓口交付については、二〇二二年度に二十六件、二〇二三年度に十九件、コンビニ交付につきましては、二〇二二年度に十件、二〇二三年度に五十六件でございます。

宮本(岳)委員 これら書類の誤交付は、他人のものを見てしまえば、個人情報の漏えいになります。とりわけ、コンビニエンスストアという役所の職員がいない場所で誤交付が起これば、職員がその場で対応することはできません。年度の途中でありますけれども、今年度は既に五十六件も起きているわけですね。

 個人情報の保護は、利便性の向上とてんびんにかけることは許されないと思います。利便性のためならば多少の情報漏えいはやむを得ないというような立場で行政が個人情報を扱うことは許されないと私は思いますが、大臣もよろしいですね。

鈴木(淳)国務大臣 もちろん同じ思いでありますが、まず、マイナンバーカードは地方のDXの基盤となりますツールでありまして、住民の方々の利便性向上や地域の活性化等に資することから、カードの利便性向上を図りつつ、その普及促進に取り組んでまいりました。

 一方で、総務省としましても、コンビニ交付におけるトラブル事案の発生につきましては、誠に残念で、重く受け止めております。

 事案発生以降、自治体や事業者からも直接、原因や再発防止等につきまして確認してきたところでありますけれども、再発防止等の実施状況につきまして引き続き助言、確認を行ってまいります。

 今後も、住民の皆様がマイナンバーカードを安心して利用できますように、必要な対応に取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 いや、聞いたことに答えていただいていないんですが。

 もう一回聞きます。よもや、利便性のためならば多少の情報漏えいはやむを得ない、こういう立場は取られませんね。

鈴木(淳)国務大臣 それはもっともなことであります。

宮本(岳)委員 ところが、この間、私は松本前大臣と何度も議論してきましたが、誤交付は、総務省がマイナンバーカードの普及を急がせる中で起こってきました。総務省は富士通Japanや自治体の責任と言いますが、しかし、総務省は、このコンビニ交付のシステムが、複数箇所から証明書交付の要求が集中した際には、自治体サーバーの処理能力から、正しく本人に交付処理できないシステムだったことすら把握せずに、マイナンバーカードの普及を自治体に迫ってきたわけであります。その総務省の責任、これが問われている。

 これは、大臣、そういう自覚はお持ちですか。

鈴木(淳)国務大臣 しっかりと確認して進めたいと思います。

宮本(岳)委員 そうなんですね。しっかり受け止めていただきたいんですね。

 六月二十一日の第一回総点検本部の会議で、岸田首相は、総点検作業を実施する地方自治体の円滑な作業に資するよう地方自治体と連絡調整するとともに、高齢者や障害をお持ちの方などのカードの取得環境を整備するよう指示をいたしました。そして、大臣は、先日の所信で、総点検を進めると同時に引き続き地方団体や関係省庁と連携してカードの一層の普及促進と利便性の向上に取り組んでまいりますとお述べになりました。

 総点検をしながらカードの一層の普及促進をあおる政府の認識では、再発防止は果たせないと私は思います。個人情報漏えいに直結する住民票等の誤交付が発生し、今総点検をやっているというのであれば、ひとまずマイナンバーカードの運用を止めて、きちっと全て点検が終わるまで点検をするというのが責任ある行政の当然の態度だと思いますが、これはデジタル庁が答えたがっておりますので、お答えいただけますか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーの利用によりまして、現在、児童手当の申請など、約二千五百の社会保障制度、税制、災害対策といった事務におきまして、行政機関等の間での情報連携により、住民票の写しや課税証明書等の添付書類を省略可能としてございまして、行政の効率化と国民の利便性向上を実現しております。

 一方で、各種情報とマイナンバーが正しくひもづけられていることは必要でございまして、マイナポータルで閲覧可能となっている全ての情報につきまして、ひもづけが正確に行われているか、点検を進めてございます。

 現在、ひもづけ作業の実態把握調査の結果を踏まえまして、三百三十二の自治体で個別データの点検を行っております。情報漏えいが生じないよう、間違った、不一致だったデータにつきましては、マイナポータルで閲覧不可となるよう設定するといった対応を行ってございます。

 ひもづけ誤りが判明した場合には、これを修正するといった対応を実施してございまして、総点検を通じまして、ひもづけ誤りが可能な限りゼロに近づくよう調査を進めてまいりたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 つまりは、利便性のためならば多少の情報漏えいは構わないというようなことをおっしゃったように聞きました。私は、その了見が間違っていると思います。個人情報保護をないがしろにしたそのような利便性論こそ、今日の間違いと混乱の最大の要因ではないかと思うんですね。

 そこで、全ての都道府県が対象となり、現場に大きな負担を押しつける結果となっている障害者手帳の点検について今日は聞きたいと思います。

 今回の総点検では、当初のマイナンバーとのひもづけの際に四情報で正しく行った場合は対象外としております。一方で、障害者手帳のひもづけ誤りの点検では、四情報での確認を正しく行った場合でも全ての都道府県が点検の対象になっておりますが、それはなぜですか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバー情報総点検につきましては、マイナポータルで閲覧可能となっている全てのデータについて総点検を行ってございます。

 七月に各制度の現場におけるマイナンバーのひもづけ作業の実態把握の調査を行いまして、八月中旬より自治体との間で回答内容の確認作業を行いました。その結果を踏まえまして、点検対象となる事務、機関を確定しております。

 障害者手帳関係事務につきましては、住基ネットでの照会等を行う際に完全な住所情報を用いずに、その後も適切な方法で個人を特定していない自治体が他の事務と比較しても多くあったこと、それから、一部の自治体で、住基ネット照会の場面では適切な方法でひもづけを行っているにもかかわらず、マイナンバーにひもづける障害者手帳情報ファイルを作成するときに誤りが発生している事案が複数の自治体で判明したことから、ひもづけの正確性が強く懸念されるため、障害者手帳関係事務については全ての自治体を個別データの点検の対象としているところでございます。

宮本(岳)委員 自治体に十一月末と期限を切って点検を求める以上、国の点検本部は、特に総務省は、地方自治体の事務負担がどれぐらいの規模のものになるかをあらかじめ見ておく必要があると思います。どれほどの作業になるかを考えもせず、とにかくやれというのでは、お話になりません。

 今回の点検対象になっているのは、九月の六日に公表された総点検本部の資料によれば、それぞれの手帳業務を担っている自治体が対象で、身体障害者手帳情報は二百八自治体、約二百五十万件、精神障害者保健福祉手帳情報が百二十九自治体、約百十万件、療育手帳が六十九自治体、約七十三万件となっております。

 それぞれの自治体で、特に都道府県で点検対象データの件数が最低でどれぐらいなのか、また最大ではどれぐらいになるのか。当初、各自治体から示された数字を基にしたものでよいので、示していただけますか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 各自治体からの報告は、公表を前提としておらず、また、あくまで暫定値かつ精査中の数値でございますから、都道府県ごとの点検対象の件数については公表しておりませんけれども、九月末時点では、都道府県の障害者手帳関係事務の点検におきまして、最も点検対象者数が多い都道府県におきまして、身体障害者手帳情報、精神障害者保健福祉手帳情報、療育手帳情報に係る事務の三手帳の合計で約五十三万件、最も点検対象者数が少ない都道府県で三手帳の合計で約二万四千件との報告を受けてございます。

宮本(岳)委員 障害者手帳の問題について言うと、発行数は秘密でも何でもないんです、厚労省が毎年、福祉行政報告例の概況で、障害者手帳の交付台帳登載数を県別、政令市別に出しております。

 厚労省に聞きますけれども、直近、令和三年の概況の十一ページには身体障害者手帳交付台帳登載数が載っておりますけれども、一番上段の全国を見ると、身体障害者手帳は総数で何万枚発行されておりますか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度の福祉行政報告例の数字でございますが、身体障害者手帳の手帳交付台帳登載数は四百九十一万件でございます。

宮本(岳)委員 四百九十一万件、およそ五百万枚発行されているわけですね。

 厚労省に重ねて聞きますけれども、先ほどの総点検本部資料の二百八自治体、約二百五十万件と比べれば、今の五百万枚というのは約二倍でありますけれども、この数の差は何を意味しておりますか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 一義的には、個別の自治体によって状況が異なると思いますので、理由を申し上げることは難しいところでございますけれども、適切に事務を行っているところ、若しくは、ひもづけに至っていないところなどがあると認識しております。

宮本(岳)委員 そうですね。ひもづけに至っていないところがあるんですね。

 都道府県でどれだけの作業が十一月末までに求められており、どういう体制でやろうとしているのか、分からなければ伴走型支援というものもやりようがないんですね。

 それで、お伺いしますと、全ての都道府県を対象にした障害者手帳点検の独自部分について、先ほどマックスとミニマムが紹介されました。一番少ない県でも二万四千件ですよ。これをちゃんとチェックするための支援ツールというものが作られているとデジタル庁に聞きました。このツールは全ての自治体で使えるんですか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 個別データの点検におけます抽出データの照合作業を省力化するために、一部自治体の協力を得まして、デジタル庁において点検支援ツールを開発し、九月下旬より提供を開始してございます。

 この点検支援ツールは、一般的な動作環境で利用できることから、必要とする全ての都道府県で利用可能と考えてございます。

 点検支援ツールにつきましては、業務システムと住基ネットから抽出したマイナンバーと基本四情報で照合する点検対象の事務への利用で可能でございまして、実際に各自治体がツールを使用するかにつきましては、自治体によっては目検等による確認の方法の方が効果的な場合も想定されるため、点検支援ツールの利用を前提とすることなく、各団体において適切な手法を選択していただいております。

 点検支援ツールの利用につきましては、自治体への説明会を実施したほか、随時、自治体からの質問や要望を受けておりまして、点検支援ツールが円滑に利用できるように、デジタル庁としても支援を行ってまいります。

宮本(岳)委員 最低でも二万四千の話をやっているんです。マックスなら五十三万です。目でやった方が簡単だという話はないんですね。本当に現場の状況をつかんでいただいているのか。

 私は、滋賀の自治労連に行って話を聞いてきました。現在の作業は、点検のために、統合宛名システムと中間サーバーから必要な情報を抽出中だと言っておられました。確かに、思うように情報が抽出できれば計算ソフトで自動処理を組んで処理できるが、うまく抽出できなければ一件一件目で見て確認する必要があると聞きました。

 仮にそういうことになったらどれぐらいの職員の方が当たるんですかと聞きましたら、個人情報を取り扱うため、課内の、それも係レベルのメンバー四人程度で行うしかないとのことでありました。四人程度で、滋賀県の場合は八万件をチェックすると。気の遠くなる作業であります。

 総点検に当たり総務省は、都道府県等と直接連絡を取る担当者をマンツーマンで配置をして進めていると聞いておりますけれども、実際の業務量やそれを担う体制も把握せずに、ただただマンツーマンで点検の進捗を聞くだけなら、何の救いにもなりません。

 資料二を見ていただきたい。行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、いわゆるマイナンバー法ですね。下に掲げられている別表第一に障害者手帳も並んでおります。しかし、赤線部を見ていただきたい。必要な限度で個人番号を利用することができるとなっております。

 厚生労働省に確認いたしますが、障害者手帳の情報をマイナンバーにひもづけることは番号法上の義務になっておりますか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 個別の事務におきますマイナンバーの利用につきましては、マイナンバー法第九条におきまして、法に規定する事務の処理に関して保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、管理するために必要な限度で個人番号を利用することができると定められてございます。

 その上で、マイナンバーを利用した情報連携というものもございまして、これはマイナンバー法の第二十二条でございます、情報提供者は、特定個人情報の提供を求められた場合において、情報照会者に対し当該特定個人情報を提供しなければならないとされておりまして、迅速に情報連携を行うためには、マイナンバーと本人情報をひもづけて、あらかじめ情報連携の準備をした上で中間サーバーに特定個人情報を副本登録する必要があるものと考えてございます。

宮本(岳)委員 それはすり替えなんですよ。役所の処理や連携の問題、それと個々の障害者手帳の問題とは別なんです。

 そもそも、マイナンバー制度導入に当たって、手帳情報の副本登録のひもづけ作業を一括して行ったんです。四情報での確認が基本だということですけれども、住民基本台帳を持たない都道府県ではJ―LIS照会が必要になります。しかし、住所の番地などを始めとした表記揺れという現象がありまして、住所が照会できなければ四情報での確認でも判別できない場合があるんです。

 判別できなければ、ひもづけはできません。むしろ、ひもづけしない方が正しい処理なんです。現場では、ひもづけしていない手帳情報は相当数あると聞きました。

 ところで、厚労省に聞きますが、マイナンバーとひもづけしていない手帳情報は、今回点検する必要があるんですか。マニュアルどおり答えてくださいよ。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 マニュアルどおりということでございますので、マニュアルの記載についてお答え申し上げますが、障害者手帳のひもづけ誤りの点検につきましては、厚生労働省作成のQアンドAにおいて、ひもづけ実績がないなど点検するデータがない自治体の点検作業は不要である旨をお示ししているところでございます。

宮本(岳)委員 資料三は、そのマニュアルです。QアンドAですけれどもね。

 元々ひもづけていなければ、ひもづけ誤りが起こるはずがないというのは、誰が考えても当たり前の話でありまして、今、自治体に重大な負担をかけて点検させているわけですが、結局は、マイナンバーとひもづけていなければこのような点検の必要もないわけです。つまりは、マイナンバーとひもづけなければよかったということになりますね。

 ですから、今そのことについても、ひもづけをやはり外してくれという声が広がるのは当然でありまして、最後に、健康保険証のひもづけ解除を聞きたいと思います。

 私が最初に滋賀県栗東市の事例を示して健康保険証のひもづけ解除について質問したのは、昨年十二月六日の当委員会でありました。住民の希望に反して、自治体職員のミスによってマイナンバーカードの健康保険証の利用登録が行われた場合には解除できるのか、こう聞きましたら、厚労省の日原審議官は、一旦利用登録された後の取消し処理はできない、システムの仕組み上もできないと答弁いたしました。

 その後、自治体のミスで登録されたものに限って例外的に、個別に利用登録を解除する対応をすることは可能であるという旨を、今年二月一日付、自治体宛て事務連絡で出していたことが分かり、六月八日の当委員会で、日原氏は私に詫びられました。

 そして、ついに、今年八月八日に政府が発表したマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめでは、一度登録した後もマイナ保険証の利用登録の解除を可能とし、資格確認書を交付することが打ち出されました。

 まず確認するんですが、一度登録した後もマイナ保険証の利用登録の解除を可能とする理由は、厚生労働省、何ですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバーカードの健康保険証としての利用登録につきましては、ただいまお話ございましたとおり、現在、システム上、一度登録した後の解除ができない仕組みとなってございますけれども、国会での御指摘をいただいたことなども踏まえて検討いたしまして、本年八月のマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめにおきまして、マイナンバーカードの健康保険証利用登録は任意の手続であるということを踏まえまして、利用登録の解除を希望する方については任意に解除の手続を行うことができるようシステム改修を行うこととされたものでございます。

宮本(岳)委員 任意だから当たり前ですね。

 いつから解除できるんですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お答え申し上げましたとおり、この検討会の最終取りまとめを踏まえて、現在、必要な検討を進めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、これから必要なシステム改修のための費用を確保いたしました上で、必要な検討を行って、来年秋の保険証の廃止までには、解除を希望される方が任意に解除の手続を行っていただけるよう進めてまいりたいというふうに考えてございます。

宮本(岳)委員 それを聞いてなお私は不審に思うわけですよね。任意の制度だから、解除できるのは当たり前です。

 ならば、聞きたいけれども、なぜ最初に解除できないようなシステムを作ったのか。それには予算も使っているでしょう。そして、解除しようと思ったら新たなシステム開発が必要で、新たな予算も必要だ、こういうお答えなんですね。

 一番最初にそういうシステムを発注したのはどこなのか。そして、そのときの決裁文書、そういう政策決定をやった決裁文書を出していただきたいんですけれども、お答えいただけますか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございました当時の関係資料でございますけれども、具体的に、お求めの内容を見させていただきまして、適切に対応させていただきたいと考えてございます。

宮本(岳)委員 今の文書、委員長、ひとつ必ず当委員会に出させていただきたい。

古屋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

宮本(岳)委員 時間が来ましたので、終わりますけれども、なぜ解除に時間がかかるのか。様々説明がありますけれども、問題の本質は、現行の健康保険証が廃止される、全て健康保険証を廃止して資格確認書に移行させるために起きている問題なんです。現行の保険証を廃止しなければ利用登録の解除は直ちにできる、私はそう思います。

 現行の保険証廃止をきっぱり中止することを求めて、私の質問を終わります。

     ――――◇―――――

古屋委員長 次に、内閣提出、国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。鈴木総務大臣。

    ―――――――――――――

 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木(淳)国務大臣 国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 デジタル社会の形成に向けて、我が国のデジタル化の基盤となる情報通信ネットワークのサイバーセキュリティーを確保するため、国立研究開発法人情報通信研究機構がサイバーセキュリティー対策を十分に講じていない電気通信設備の管理者等に対して助言等を行うための規定を整備するとともに、サイバー攻撃手法の変化に応じた特定アクセス行為等の機動的な実施を可能とするための規定を整備し、あわせて、同機構の業務範囲の見直しの一環として、特定通信・放送開発事業実施円滑化法の廃止等を行う必要があります。

 次に、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国立研究開発法人情報通信研究機構の業務の範囲に、その研究等の成果の普及として、サイバーセキュリティーの確保のための措置を十分に講じていないと認められる電気通信設備の管理者等に対して助言等を行う業務を追加することとしております。また、総務大臣が機構の当該業務に関する中長期的目標の設定、変更等をしようとする際に、サイバーセキュリティ戦略本部の意見を聞かなければならないこととしております。

 第二に、機構が令和五年度末までに限り行うこととされていますID、パスワードに脆弱性がある電気通信設備の調査を行う特定アクセス行為の実施等に係る業務について、令和六年度以降もサイバー攻撃手法の変化に応じて機動的に実施できるようにするため、当該業務を総務大臣があらかじめ認可した実施計画に定められた期間等において実施できる等の規定を整備することとしております。

 第三に、デジタル社会の形成に向けた機構の業務範囲の見直しの一環として、機構の業務の特則等を定めた特定通信・放送開発事業実施円滑化法を廃止し、同法に規定する機構の業務を実施するための機構の信用基金及び債務保証勘定を清算、廃止することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、令和六年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る九日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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