衆議院

メインへスキップ



第4号 令和5年11月24日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年十一月二十四日(金曜日)

    午後零時五十五分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井原  巧君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 根本 幸典君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      石田 真敏君    上田 英俊君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      島尻安伊子君    新谷 正義君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      西野 太亮君    葉梨 康弘君

      長谷川淳二君    古川 直季君

      本田 太郎君    宗清 皇一君

      保岡 宏武君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    池畑浩太朗君

      中嶋 秀樹君    吉田とも代君

      平林  晃君    西岡 秀子君

      田村 貴昭君    宮本 岳志君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         鈴木 淳司君

   デジタル副大臣      石川 昭政君

   総務副大臣        馬場 成志君

   総務大臣政務官      小森 卓郎君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 和田  薫君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   藤田清太郎君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十四日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     宗清 皇一君

  古川 直季君     上田 英俊君

  阿部  司君     池畑浩太朗君

  宮本 岳志君     田村 貴昭君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     古川 直季君

  宗清 皇一君     尾身 朝子君

  池畑浩太朗君     阿部  司君

  田村 貴昭君     宮本 岳志君

    ―――――――――――――

十一月二十二日

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。鈴木総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木(淳)国務大臣 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 今回の補正予算により令和五年度分の地方交付税の額が八千五百八十四億円増加することとなりますほか、地方財政の状況等に鑑み、同年度に行うこととしていた交付税及び譲与税配付金特別会計借入金の償還について、三千億円の償還を繰り延べることとしております。

 本年度におきましては、これらのうち五千七百四十一億円を交付することとし、これに対応して、経済対策の事業等の円滑な実施に必要となる財源を措置するために、令和五年度に限り、臨時経済対策費を設けるとともに、臨時財政対策債の償還に要する経費の財源を措置するため、同年度に限り、臨時財政対策債償還基金費を設けるほか、同年度に発生した災害等に対応するため、同年度分の特別交付税の総額を増額することとしております。

 また、令和五年度に活用することとしていた地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金一千億円について、その活用を取りやめるほか、残余の額四千八百四十三億円を令和六年度分の地方交付税の総額に加算して、同年度に交付することができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。

古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房審議官和田薫さん、デジタル庁審議官阿部知明さん、デジタル庁審議官藤田清太郎さん、総務省自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、消防庁次長五味裕一さん、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行さん及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。新谷正義さん。

新谷委員 自由民主党の新谷正義です。

 本日は、質問時間をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案の法案審議ということで、本法案に対する質問をさせていただきます。

 現在、世界情勢の劇的な変化によりまして、物価の高騰が国民の生活に深刻な影響を及ぼしております。経済社会の変化に対応するために、施策を的確に展開していく必要があります。この臨時国会で審議されている補正予算による対策も含めて、取組を加速していく必要があると考えております。

 一方で、我が国の少子高齢化が進む中におきましては、今現在必要不可欠な予算措置を取りつつも、将来まで展望した負担の在り方について、今からしっかりと対応していく必要があると考えております。

 特に、地方自治体におきましては、非常に厳しい財政事情に苦しんでいるところも多くございまして、こうした自治体財政の在り方について、中長期の視点を持ちながら必要な措置を取っていく、それが重要であると思っております。

 そこで、今回の法案の趣旨についてお伺いをさせていただきます。

 今回の補正予算によりまして、地方交付税の法定率分が〇・九兆円増加することに伴い、補正交付税法案においては、今年度に普通交付税を追加交付することや、特別交付税の増額、あるいは交付税特別会計借入金の償還繰延べ、翌年度の地方交付税への加算など、様々な取扱いをすることと承知をいたしております。

 特に、今年度における地方交付税〇・六兆円の交付につきましては、どのような考え方の下、行うこととしておりますのか、また、この措置に対する地方自治体の受け止めに関しましてどのように認識しておられるか、総務省に伺いたいと存じます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方からは、経済対策の着実な実施のために令和五年度の地方交付税を増額してほしいということ、また、臨時財政対策債の縮減、抑制に努めてほしいということなどの要望をいただいております。

 こうした要望も踏まえまして、今回の補正予算におきましては、地方交付税について、地方団体が今般の経済対策の事業等を円滑に実施するために必要な財源として〇・三兆円、また、臨時財政対策債の縮減のためにその償還基金費として〇・三兆円、合わせて〇・六兆円を交付することといたしました。

 地方からは、この補正予算において地方交付税の増額を盛り込んだことについて一定の評価をいただいているところでございます。

新谷委員 ありがとうございます。答弁にありましたように、現下の情勢から将来負担までしっかりと地方に配慮した、バランスを取った対応をお願いできればと思います。

 次に、地方負担が増加する中、今回の補正予算でどのように対応していくのか、伺いたいと思います。

 先般閣議決定されました総合経済対策を実行するための補正予算については、今国会で迅速に成立させ、その施策を少しでも早く実施し、国民の皆様に届けていかなければならない、そのように考えております。

 補正予算の項目につきましては、物価高対策や所得の向上の実現といった対策に加えまして、成長力の強化、国内投資の促進、人口減少における社会変革のための予算、こういったものが計上されております。

 少子化対策におきましては、やはり若い世代が結婚、子育てに前向きになれるような体制を強化していかなければならない、そのように思っております。また、子育て分野においても、母子保健や保育所、子育て政策といった分野でDX化の推進も重要な要素となっております。

 同じくDXでいいましたら、介護、福祉領域のデジタル化、これも重要な視点だと思っております。私も、厚生労働分野の取組に関しましては、介護のデジタル化、ICT化、これを強く進めてきたところではありますけれども、今後は、単純にロボットやICT機器の購入を進めるだけではなくて、しっかりと、効率化していく分、介護現場のオペレーションの変革まで踏み込んだ支援をして、さらに、厳しい人手不足の状況、これをしっかりと乗り越えていかなければならない、そのように思っておるところであります。今回の補正に関しては、こういった課題を踏まえた対策として三百五十一億円の予算も盛り込んでいただいたところであります。

 一方、こういったすばらしい補正予算事業の推進に当たっては、国の予算増に伴い地方自治体の財政負担も増加するという側面がありまして、これは注意をする必要があります。経済対策を迅速に実行するためにも、こうした自治体への負担を軽減するための対応、これをしっかりと実施していかなければなりません。

 また、補正予算に伴う地方交付税の取扱いのうち、経済対策の事業等への対応として、今年度に交付税を〇・三兆円追加交付することになっていると承知をしております。

 このうち、経済対策によります地方負担の増加に伴い必要となる財源を措置するため、今回、普通交付税の費目に臨時経済対策費を創設することとされております。昨年度、一昨年度も補正予算に伴って同じ名称の費目を創設されておりましたが、今回はどのように算定する予定なのか、総務省に伺いたいと存じます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方団体が経済対策の事業等を円滑に実施するために必要な経費を算定するために、普通交付税の基準財政需要額に臨時費目として臨時経済対策費を創設することとしております。

 算定に当たりましては、人口を基本として算定するということでございますけれども、今般の経済対策におきまして、地方の成長を実現するであるとか、人口減少を乗り越えるといったような柱立てがございます。こうした柱立てに沿った事業の内容等に対応いたしまして、地域経済活性化あるいは子供、子育て支援等に関する客観的な指標を用いまして、補正措置を講じて、各地方団体における必要経費の算定を行うという方向で検討していきたいと考えております。

新谷委員 ありがとうございます。是非円滑に実施して、少しでも国民に早く届ける、そういったオペレーションをお願いしたいと思います。そして、補正交付税法案そして補正予算案が成立した暁には、速やかに交付を決定して、地方自治体に交付するようお願いを申し上げたいと存じます。

 それで、最後に、馬場副大臣に令和六年度の地方財政対策についてお伺いしたいと存じます。

 現在、内閣官房のデジタル行財政改革会議では、教育や介護、子育て、防災、観光、インバウンドといった分野のデジタル化が急ピッチで議論されているところであります。こうした議論に加えて、いかにこういったことを地域で実装して展開していくかということがとても重要であります。また、地域への支援も必要だと考えております。

 今後、こうしたデジタル田園都市国家構想の取組の下に、地域の独自のチャレンジを支援して、これを日本全体へ意義のある波及をさせていくためにも、自治体の取組に対しての予算措置について、各自治体で確保する財源に加えて、必要な交付税をきちんと措置していくことが重要であると考えております。

 また、このためには、今回繰り越す〇・五兆円も活用しつつ、令和六年度において、臨時財政対策債の発行をしっかりと抑制して、地方交付税総額を確保していくことが重要であると考えております。

 こうした点につきまして、令和六年度の地方財政対策について総務省は今後どのような姿勢で取り組んでいくのか、馬場副大臣にお伺いしたいと存じます。

馬場副大臣 社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中で、地方自治体は、地域DXの推進や子供、子育て政策の強化など、様々な行政課題に対応していく必要があります。

 令和六年度の地方財政対策に向けては、こうした行政サービスを安定的に提供できるよう、必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいります。

 あわせて、現在御審議いただいている法案に基づき、令和六年度の交付税の財源として繰り越すこととなっている〇・五兆円も活用し、地方交付税総額を適切に確保しつつ、臨時財政対策債の発行を抑制できるよう取り組んでまいります。

新谷委員 副大臣、ありがとうございます。

 是非とも、各地域に寄り添って、地域力の強化を共に実現できる施策を引き続き進めていただけますようお願い申し上げて、私の質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今年八月八日に政府が発表したマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会の最終取りまとめでは、健康保険証情報を一度ひもづけしたマイナンバーカードの保険証利用登録の解除を可能とするといたしました。

 先日の当委員会の所信質疑でこれをいつ行うのかと聞いた際、厚生労働省の日原審議官は、必要なシステム改修のための費用を確保いたしました上で必要な検討を行って、来年秋の保険証の廃止までには解除を希望される方が任意に解除の手続を行っていただけるよう進めてまいりたいと答弁されました。

 そこで、厚労省に聞きます。今回の補正予算にマイナンバーカードの健康保険証利用の登録を解除するシステム改修予算が含まれていると聞いておりますが、その額は幾らですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の補正予算案では、マイナ保険証の利用登録解除を可能とするシステム改修を含めまして、保険証の廃止に向けた準備のため、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に向けた各保険者や実施機関のシステム改修経費として、資格確認書や資格情報のお知らせを交付する機能などの改修に必要な経費としまして、二百四十九億円を計上しているところでございます。

宮本(岳)委員 その中で切り分けてくれと言ったんですが、切り分けられないという答弁ですから、二百四十九億円がかかるという前提で話を進めさせていただきます。

 その二百四十九億円は資料一につけておりますから、見ていただいたら、この赤で囲ったところがこの額なんですね。

 それでは、最初にマイナンバーカードの保険証利用登録のシステムを作ったときの額は一体幾らだったのか。これも厚労省からペーパーを出していただきましたけれども、平成二十九年度から令和三年度までの合計で、日原審議官、答えていただけますか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 制度設計当初のオンライン資格確認等システムなどの開発につきましては、今お話のございました平成二十九年度から令和三年度にかけて実施してございまして、その総額は四百六十八億円でございます。

宮本(岳)委員 四百六十八億円です。内訳は資料二につけておきました。

 先日の当委員会で、日原審議官は、マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除は任意の手続であるということを踏まえてそうする、こうおっしゃいましたね。

 そこで、聞くんですけれども、では、最初にマイナンバーカードの保険証利用登録のシステムを作った時点で既に任意の制度ではなかったですか。このときは任意じゃなかったんですか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今お話のございましたマイナンバーカードの健康保険証としての利用登録でございますが、これは当初より任意の手続として設けられてございます。

宮本(岳)委員 そうなんですよね。最初から任意の制度なんですよ。ですから、当然、最初から利用登録をすることも解除することもできるようなシステムでなければおかしいですね。今明らかにしたように、四百七十億円近いお金をかけておきながら、最初から解除の仕組みを設けていなかったがために、今回、新たに、切り分けようがないんですから、二百五十億円の経費をかけてシステム改修をしなければならない。これは私は二重投資だと。

 だから、一番最初にどういう発注をしたのかというものを明らかにしてくれということを求めてありますから、まだ出てきていませんから、必ず、最初にどういう発注がされたのか、なぜ登録はできても解除はできないというシステムをまずは四百七十億円もかけて作ったのかということは、説明責任を負って果たしていただきたい、これは申し上げておきたいと思います。

 交付税法改正案には、地方公務員の給与改定に対応するための財源も含まれております。鈴木大臣は、十一月九日の参議院総務委員会で、我が党の伊藤岳参議院議員が、日本自治体労働組合総連合の調査で会計年度任用職員の約六割が年収二百万円未満となっている実態を示すと、大変な事実だ、しっかりと踏まえたい、こう御答弁されました。

 資料三を見ていただきたいと思うんです。総務省は五月二日には給与能率推進室長の通知を出して、常勤職員の給与が改定された場合における会計年度任用職員の給与については、改定の実施時期を含め、当該常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することを基本とするようお願いしますと、会計年度任用職員の給与の今年四月までの遡及改定の実施も強調しております。

 大臣は、参議院でも、会計年度任用職員の給与の遡及改定は今後とも基本とすると答弁されましたけれども、会計年度任用職員について、現在、まだ給与改定実施をしていない、示していない自治体にも、引き続き改定を基本として進めてくださいと促していく、そういうことで、大臣、よろしいですね。

鈴木(淳)国務大臣 会計年度任用職員の給与水準につきましては、地方公務員法に定める職務給の原則や均衡の原則等の給与決定原則にのっとり、類似する職務に従事する常勤職員の給料表を基礎とするなど、適切に決定する必要がございます。

 給与改定につきましても、改定の実施時期を含め、常勤職員の給与の改定に係る取扱いに準じて改定することが基本であると考えておりまして、令和五年十月に改めて地方公共団体に要請したところでございます。

 今後とも、地方公共団体におきまして適切に対応いただきますように促してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 当然のことでありますけれども、私は、総務省のこの姿勢を率直に評価したいと思っております。

 そこで、今度は、会計年度任用職員へのボーナスの支給、特に期末手当の支給について聞くんですけれども、資料四につけたのは、総務省からいただいた令和四年度会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査の結果の抜粋なんですね。

 それぞれ総務省に数字を確認するんですけれども、この二〇二二年度の調査で、会計年度任用職員への期末手当の支給の有無は、教育部門の教員、講師では、支給する団体は何%で、期末手当を支給しない団体は何%になっておりますか、公務員部。

小池政府参考人 地方公共団体に対し、昨年五月に、会計年度任用職員に関して昨年四月一日現在で期末手当を支給するための規定が整備されているかどうかを調査したところ、資料にございますように、九九・五%の団体において、会計年度任用職員である教員、講師に対し期末手当を支給するための規定を整備しているとの回答があったところでございます。

宮本(岳)委員 九九・五%という数字が出ていますね。

 支給九九・五%、支給しない〇・五%と聞かされれば、会計年度任用職員として教壇に立っておられるほとんどの教員、講師の先生方にも、当然、期末手当、ボーナスが支給されているのだろう、支給されない人は〇・五%、百人に一人もいないのだろうと思います。しかし、事実は全く逆なんです。

 資料五を見ていただきたい。今年七月一日付の京都新聞の記事です。傍線一、「滋賀県が三十日に支給した夏のボーナス(期末手当・勤勉手当)で、公立学校の非常勤講師で支給対象になった人は一%未満にとどまったことが分かった。」とあります。記事では、知事部局で働く会計年度任用職員九百十二人のうち九割強の八百三十六人にボーナスが支給されたが、非常勤講師で支給されたのは僅か六人だけで一%未満だった、こうなっていますね。

 私も驚いて、この記事の内容を改めて文部科学省に調べていただきました。

 文部科学省に来ていただいております。滋賀県教育委員会からの聞き取りによると、滋賀県における会計年度任用職員の公立学校の非常勤講師のうち、令和五年六月期の期末手当の支給実績は小学校と中学校それぞれ何人で、六月一日現在の非常勤講師数はそれぞれ何人ですか。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 今先生御指摘いただいた令和五年六月期の期末手当の支給実績は、小学校で四人、これは六月一日現在の非常勤講師数で四百四十一人中四人、中学校におきましては六月一日現在の非常勤講師数二百六十八人のうち二人となっております。

宮本(岳)委員 記事どおり、六人なんですね。四百四十一人中四人なら一%未満です。中学校も、二百六十八人中二人なら、これも一%未満ですよ。

 鈴木総務大臣は、十一月九日の伊藤岳議員の質問に対して、会計年度任用職員の六割近くが年収二百万円以下という実態を突きつけられて、年収二百万以下の方が半数以上かと思いまして、ある面では愕然としたと語っていただきました。ここには鈴木大臣の率直なお人柄が示されていると、私も議事録を読みました。

 そこで、大臣に聞きたいんです。学校現場の会計年度任用職員にも九九・五%にはボーナスが出ていると思っていたら、支給されているのは一%未満で、九九%の人にはボーナスが出ていない、これについて、大臣、どう思われますか。

鈴木(淳)国務大臣 改めてその事実を承りましたので、しっかりとこれについては検討を促していきたいと思います。

宮本(岳)委員 御存じなかったと思うんですね。お恥ずかしながら、この記事を読むまで私も知りませんでした。総務省も知らなかったし、県教委に問い合わせていただくまでは文部科学省さえ知りませんでした。

 記事では、学校には夏休みなど長期休暇があり、出勤する日が週二、三日だけ、勤務時間は任用期間全体で平均を出すため、授業がない夏休みなどの長期休暇がある非常勤講師は要件を下回ってしまうケースがあると、教育現場の特殊性についても触れられております。

 最後の傍線二を見ていただきたいんですね。赤い傍線二を見ていただきたい。県教委によると、他府県では複数校での勤務時間を合算してボーナスを支給しているなどの事例があるといい、滋賀県も検討を約束しております。

 そこで、文科省に再度聞くんですが、教員の特殊性を踏まえて待遇が確保されているのか。文部科学省は、今回は滋賀県教委に聞いていただいたんですが、全国の状況をつかんで改善を図るための手だてを取るべきではないかと思いますが、文部科学省の御答弁をいただきたい。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 会計年度任用職員も含め、地方公務員の給与については、地方公務員法に定める給与決定原則を踏まえ、各地方公共団体において適切に決定することが必要であります。その上で、公立学校の非常勤講師に対する期末手当の支給については、全ての都道府県、政令市において制度化されているものの、御指摘いただいた滋賀県においては支給実績はほとんどないという状況であると承知しております。

 文部科学省としては、まずは各地方公共団体の非常勤講師に対する期末手当の支給状況や制度の運用状況を把握した上で、関係省庁とも連携しながら必要な対応を検討してまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 我が党は、先日、非正規ワーカー待遇改善法の提案を発表いたしました。そこでも、会計年度任用職員制度は期末手当を支給するなど非正規の待遇改善を名目として二〇二〇年四月から導入されたものですが、実際には待遇改善につながっておらず、公務労働の多くを非正規公務員が担うことを固定化する役割を果たしていますと述べました。

 恒常的な仕事は正規公務員が担うことを原則に、今こそ公共の役割を取り戻し、必要な正規公務員を増やすとともに、国、自治体が率先して非正規雇用の待遇改善を進めることを強く求めまして、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、石川香織さん。

石川(香)委員 石川香織です。

 質問させていただきたいと思います。鈴木大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 これまで、たくさん地方自治体の現場の声を聞いてきまして、この総務委員会で質問させていただいてまいりました。公務労働者と一言で言っても本当にいろいろな現場がありまして、住民の生活には本当に必要不可欠な存在であるんだなと、改めて感謝の気持ちが湧いてきます。

 例えば、コロナ禍の対応も振り返ってみますと、公立病院ですとか保健所が必死にオペレーションしてくださったとか、その役割も際立ちましたけれども、緊急事態宣言とか一斉休校とか様々ありました。経験したことがないことを成し遂げなきゃいけないというのは相当なプレッシャーだったと思います。

 選挙も、解散風が吹くとどきっとするのは我々議員だけではなくて、やはり自治体も、投票日と思われる日、投票所に使うような体育館とか日程とかを確認したりだとか、いろいろなシミュレーションをしなければいけないということで、大変な御苦労をおかけしている。

 最近は、住民税、所得税の減税という方向性、これについても、もう既に、いつもらえるのかとか、うちはどれぐらいもらえるんでしょうかといった問合せが役場に今の段階でかなり来ているという話も伺いました。

 最近は、熊の駆除についてのいわゆるちょっと過剰なクレーム、これも話題になりました。ちなみに、十一月の十二日に野生生物と社会という学会がありまして、こうやって自治体にちょっとしつこく電話をかけるようなことはかえって共存を妨げるとして緊急声明を出しているんですね。何事も、余りにも一方的過ぎることは当然いけないと思います。マイナンバーもそうですけれども、とにかくいろいろなことに振り回されてきたのかなということを感じています。

 現場に負荷がかかっている中で、物価高騰の影響も当然自治体も受けているということで、財政措置は非常に重要だと思いますので、まず、令和五年度の地方財政計画を踏まえた物価高騰の対応について、一問目、お伺いしたいと思います。

 令和五年度の地方財政計画の中で、学校ですとか福祉施設、図書館などの地方団体の施設の光熱費の高騰を踏まえた物価高騰の対策として、一般行政経費が七百億円増額をされました。

 この算定の根拠として、政府は、自治体の光熱費の令和三年度決算額をベースにして、令和四年度の消費者物価指数の伸び、令和五年四月の電力・ガス料金の引上げ見込みなどを踏まえつつ、国による価格激変緩和対策事業の影響を考慮したということでありますけれども、今年の十月に全国知事会が、今の時点で一定の措置が講じられているところではあるが、追加的な対策が必要であるという提言をされております。

 令和五年度の物価高騰の地方公共団体への影響をどのように捉えているかという点と、この知事会の提言を受けて追加的な措置を行う考えがあるかどうか、まず大臣にお伺いさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 近年の物価高は、地方自治体を含め、事業活動に大きな影響を与えておりまして、引き続きその対策に万全を期す必要があるものと認識いたしております。

 令和五年度の地方財政計画におきましては、自治体施設の光熱費高騰対応として、一般行政経費を七百億円増額して計上するとともに、普通交付税におきまして適切に措置を講じたところでございます。

 その上で、今般の補正予算案では、地方自治体が経済対策の事業等を円滑に実施できますように、令和五年度の地方交付税を〇・三兆円増額することとしております。

 また、学校等の地方自治体の施設の暖房費増加分や消防・救急車両等の燃料油代の増額など、地方自治体が独自に実施する原油価格高騰対策に対しましても特別交付税措置を講じることとしております。

 さらに、内閣府の所管でございますけれども、今般の補正予算案で〇・五兆円追加することとされております重点支援地方交付金は、地方自治体が運営する直接住民の用に供する施設においても活用が可能と承知いたしております。

 今後とも、物価高騰によりまして地方自治体の財政運営に支障が生じないように、関係省庁と連携しまして適切に対応してまいります。

石川(香)委員 今御答弁いただきました内閣府の重点支援地方交付金などの活用も含めて、今後の見通しはなかなか不透明ですけれども、その状況に合ったレベルの高騰対策、追加対策も是非行っていただきたいと思います。

 次に、喫緊の課題である自治体のシステム標準化についてお伺いをしたいと思います。

 二〇二五年度末までに全国一千七百四十一地方自治体の業務システムを標準システムに移行させる標準化でありますけれども、短期間で全自治体が一斉に移行するということで、二〇二五年度末までに間に合わない、そして当初の予定よりも予算が大幅にオーバーしてしまっているといった声が地方自治体から噴出したということを受けまして、移行の難易度が極めて高い場合は二六年度以降に期限を延ばすことができるということになりました。

 今の段階でのシステム標準化に向けた地方自治体の準備の状況をお伺いしたいと思いますけれども、今日はデジタル庁の石川副大臣にお越しいただいていますので、千七百四十一地方自治体のうち、どのぐらいが二五年度末、本来の目標までに移行できる見込みなんでしょうか。

石川副大臣 石川委員にお答えいたします。

 本年九月に改定いたしました地方公共団体情報システム標準化基本方針における、移行の困難度が極めて高いと考えられるシステムはその状況を十分把握した上で適切な移行期限を設定するとの記載に基づきまして、移行困難システムの把握調査を実施しております。

 自治体から申出があったものに関しまして、都道府県、総務省と連携しながら、今、申出の詳細内容についてヒアリングを行うなど、状況の把握を進めているところです。そのため、二〇二五年度までに移行が間に合う自治体の割合について、現段階ではお答えできない状況となっております。

石川(香)委員 令和四年度もこうした調査を取っていましたので、恐らくかなりの数の自治体が間に合わないということが明らかになって目安というのを変更されたのではないかなと想像するところなんですが、この後も湯原委員からも質問があるということですので、石川副大臣、一旦退席していただいて結構です、済みません。ありがとうございます。

古屋委員長 御退席くださって結構です。

石川(香)委員 移行が極めて困難という自治体に限って二六年度以降にということですけれども、この二年間の準備期間、結構やはり厳しいですね。そもそも、やはり原因がありまして、一つは人材の不足です。移行期間が重なりますので、一斉に行うというと、ただでさえ少ない技術者の人材を確保することが困難である。これは容易に想像できることです。

 その中で、今年度からアドバイザーの人を自治体に派遣するという仕組みを取っていますけれども、このアドバイザーという方は、どんな人が来て、どんなことをやってくださるんでしょうか。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省といたしましては、今年度より、御指摘のように、地方公共団体金融機構というところでございますけれども、ここと連携しまして、自治体におけるDXの取組を支援するための専門アドバイザー制度を創設しまして、各団体の取組を支援しております。

 具体的には、どのような人がということでございましたけれども、自治体情報システム関係の有識者、あるいは自治体の情報システム担当部署の経験者、さらには自治体向けシステムに係る開発、導入等の経験者など、多様な人材でございますけれども、令和五年十一月現在で九十四名ほど登録されております。

 どのような支援を行うかということでございますけれども、これらのアドバイザーの方々が各自治体に派遣されまして、現行システムの概要調査、それから標準仕様との比較分析、さらにベンダーの提案も含めた移行計画の作成の支援など、標準準拠システムへの移行に向けて各自治体が抱える課題やニーズに合わせて助言等を行うこととしております。

 また、登録された専門アドバイザーの方々ですが、全国どの地域でも活動可能となっておりますので、各自治体は、その抱える課題等に応じて適した人材を無償で活用することが可能となっております。

 総務省といたしましては、標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行を実現できますよう、引き続き、自治体の意見を丁寧に聞きながら必要な対応を行ってまいります。

石川(香)委員 今御答弁があったように、九十名ほどの登録がありまして、行政DXという分野の中で登録があるということで、一つの自治体にずっといるわけではなくて、一回三時間以上、年間五回というような目安があって、基本的には自治体の持ち出しはなしということですけれども、自治体の数は千七百四十一、システムの数は三万二千あります。これはすぐに来てくれるのかどうなのかという声がやはり地方自治体からは聞かれております。そもそも、デジタル人材を外部から登用しているのは総務省の調査によりますと千七百四十一自治体中百六十三自治体で、かなり少ないということですので、そもそもデジタル人材が圧倒的に不足しているという問題があります。

 そして、もう一つの懸念ポイントは費用です。

 システム会社の選定を前倒しして進められるように政府が自治体を支援するということも既にあるそうですけれども、物価高騰、人件費の高騰、業者のシステム導入費用も、はっきり言って何が適正の価格であるかということが基準がないので、各自治体によって今の段階でかなり違いがある。とにかくお願いしますと泣きつくような状況が今の実情です。当初の予定からかなり予算も膨れ上がりまして、かかり増し経費が発生しています。二倍から四倍の予算になるといったケースもあるそうです。また、既存システムの契約解除をすることによって違約金も発生するということで、非常に心配されています。

 そんな中、十一月の九日、全国市議会議長会の理事会・評議員会合同会議というのがありまして、ここで河野太郎デジタル担当大臣がシステムの標準化について、移行経費は国が全部持つという発言をされました。大臣がちょっと思わず苦笑いをされておりますけれども。さらに、標準化の経費が国から示されている補助金の何倍にもなると言ってややびびっている自治体があるかと思うとおっしゃった上で、移行経費は国が全部持つので、総務大臣と財務大臣と話をさせてもらって、大船に乗ってほしい、そんなに心配なくしっかりやってほしいと発言をされました。

 総務省も同じ認識でいいのでしょうか。また、心配しなくていいと言っても、予算が二倍も四倍も膨れ上がっているという中で、相当な金額になると思います。どのぐらいの金額を想定しているのかということも含めまして、具体的に河野大臣から何かお話はありましたでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 まず、各自治体が標準準拠システムへ移行するための経費に対するデジタル基盤改革支援補助金でありますけれども、移行経費に係る調査結果を精査しまして、これまでの千八百二十五億円に対して今回の補正予算案で五千百六十三億円を追加計上しております。補正後の総額は六千九百八十八億円、約七千億であります。

 私自身、多くの要望を実際に自治体から直接受けましたが、総務省としましては、全国の自治体からの要望にしっかりと応えられる額を補正予算案に計上することができたものと考えております。

 なお、河野大臣の発言でございますけれども、補正予算案の計上に当たりまして事務的に総務省及びデジタル庁の間で共有した情報を踏まえての発言だと理解していまして、私は直接承っておりませんけれども、そういう理解だと思います。

石川(香)委員 システム標準化に関しては法律で義務づけられていて、大臣が御答弁いただいたように、その予算を五千百六十三億円、補正で計上していて、財政措置を総務省が行うということなんですね。つまり、河野大臣ははっきり言って予算に関しては関係ない場所にいるにもかかわらず、大勢の地方議会の議長の前でお金は出すと発言してしまった。総務大臣もかなり気を遣って御発言していただいたかもしれませんけれども、はっきり言って総務省はちょっと不快感を感じてしまったのではないかなと思いますけれども、政府の発言としては当然重いと思います。

 システム標準化は大変という質問をしてきましたけれども、今、自治体でも様々な建物とか関連施設の改修とか建て替えというのが多く行われていまして、システム改修と重なると自治体はいろいろな意味で負担が大きくなるんですね。ある程度長いスパンで目標設定をしていただく、そしてシステムの移行を完了するという設定の方が自治体も計画を立てやすいのではないかなと思います。

 また、システム標準化を自治体の中で、ここは終わったとか、あそこはまだだというような状況はよくないでしょうし、当然、自治体の規模とか業者の数とか、地方か都市部かでも前提条件がそもそも違うということで、この辺の配慮は重要だと思います。

 これから年度末にかけて窓口業務も忙しくなるということで、感染症も増える時期、あらゆる現場で働く自治体職員にこれ以上なるべく負担をかけないようにするという配慮を、改めてシステム標準化についてもお願い申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に参りたいと思います。

 次は、ポストコロナの経済社会に対応する地方制度の在り方に関する答申、第三十三次地制調について伺います。

 この中で、非常時であれば国が自治体に指示権を発動できる新ルールの法制化が必要という論点が出されたということを報道で聞いております。現在、国と地方は対等、協力関係にあって、コロナに関しての個別法は別として、基本的には自治体への指示や要求というのは違法性があるときのみになっているはずです。

 議論の中では、大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応ということが想定されるそうですけれども、気になるのは「等」という部分です。「等」の部分をしっかり明確にするべきだと思いますけれども、どのような議論が行われているんでしょうか。

山野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の新型コロナウイルス感染症対応におきましては、個別法の規定では想定されない事態が相次いで生じたことで、国と地方の役割分担等について課題が指摘されたところでございます。

 これを踏まえまして、第三十三次地方制度調査会では、現行の地方自治法における一般ルールを尊重しつつ、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の役割分担や関係をどのように考えるかについて議論されております。

 地方制度調査会におきましては、災害や感染症といった個別行政分野に限定せず、個別法では想定されない事態において国と地方を通じた的確な対応が可能となるよう万全を期す必要がある、こうした観点から、大規模な災害、感染症の蔓延等の国民の安全に重大な影響を及ぼす事態への対応が議論されているというふうに承知しております。

石川(香)委員 当初、この部分に関しては、大規模な災害、感染症の蔓延等というところは非平時という表現をされていたと聞きました。非平時という表現はかなり分かりにくいですし、今だって平時ではないという認識がある方は多いと思います。

 繰り返しますけれども、国と地方は対等関係にあるということが大前提ですけれども、その上で、冒頭少し触れました緊急事態宣言とか一斉休校とかいろいろありましたが、国の方針に沿いつつ混乱の中で対応して乗り越えてこられたのは、地方がそれぞれの地域の実情に合ったやり方で知恵を出し、工夫をしてきたからこそクリアできたと思うんですね。このことを取っても、やはり地方自治は非常に重要であると改めて認識をします。「等」という言葉で曖昧にすることなく、国が地方に指示や要求をできるのはあくまで特例だということを、厳密に、よりしっかり規定するべきだと思います。

 この議論を見ますと、国がより地方に対して強い権限を持つような方向性であるというような印象を持ってしまうわけですけれども、その点について大臣に最後にお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 まず、新型コロナウイルス感染症対応におきましては、全国の自治体で、現場の状況や地域の実情を踏まえて様々な対策に御尽力を賜りました。本当にありがとうございました。

 そのような中、個別法の規定では想定できない事態が相次ぎまして、国と地方の役割分担等について課題が指摘されました。これを踏まえて、第三十三次地方制度調査会におきましては、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態における国と地方の役割分担や関係について議論されたところであります。

 同調査会の議論におきましては、現行の地方自治法上の一般ルールを尊重し、このような事態における特例として設けられるべき、国が役割を果たすべき場面においても国と地方自治体との間で迅速で柔軟な情報共有、コミュニケーションの確保をする必要があるといったことが指摘されておりまして、私としましても、いずれも重要な点だと思っております。

 答申が取りまとめられました後には、総務省としまして、答申の趣旨を踏まえて適切に対応してまいります。

石川(香)委員 あくまで特例であるということを強調されておりました。ここは是非重く考えていただきたいということをお伝えしたいと思います。

 今まで、一斉休校、緊急事態宣言、そのほかにもたくさんありましたけれども、検証もまだなんですね。いい面、悪い面があったと思いますので、地方の声をしっかり聞いて、こういうパンデミックとか災害時にどうすれば負担や被害を最小限に食い止めることができるのか、今も決して平時とは言えないかもしれませんけれども、振り返るときに振り返っておかないと、また次から次にいろいろなことが起きてしまいます。その際の地方の声をしっかりすくい取って音頭を取っていただくのは総務省だと思っておりますので、引き続き総務省に是非リーダーシップを発揮していただきたいということを申し上げて、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、神谷裕さん。

神谷委員 立憲民主党・無所属の神谷裕でございます。

 今日も質問の時間をいただきました。改めて感謝し、御礼を申し上げたいと思います。

 また、鈴木大臣におかれましては、御就任おめでとうございます。しっかりと総務行政を、もう十分に御経験があると思いますが、これからも遺憾なくその手腕を発揮されるように期待を申し上げさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。

 さて、本日は、地方交付税についての議論でございます。

 まず最初に私がお伺いをしたいのは、大事な地方財政。特にここで言われているのは、やはり地方財政は相当厳しいという現状だと思います。そういう中において、これまで、いかにして交付税を確保していくのか、地方財政を確保していくのか、そのために皆さん方は本当に議論をしていただいたし、腐心をしていただいている、このように思うわけでございます。例えば過疎にしてもそうでございますけれども、本来、過疎になるのは誰も望んでおりません。しかしながら過疎から外れるということが大変だ、これはひとえに地方財政の厳しさの裏返しだろうと思うわけでございます。

 その中において、私は、これまでの大臣にもお伺いをしてきたわけでございますが、地方財政をしっかりと支えていくために、地方交付税も含めてでございますけれども、この確保というか、いかにして増やしていくのか、この辺について、まずは、大臣の決意というのか所感というのか、これをお伺いできればと思います。

鈴木(淳)国務大臣 どうもありがとうございます。

 地方財政につきましては、近年、巨額の財源不足が生じておりまして、令和六年度におきましても、概算要求時点におきまして一・八兆円もの財源不足、これはフローでありますが、が見込まれております。

 また、財源不足を補填するためにこれまで臨時財政対策債を発行してきたところでありまして、地方の借入金残高は約八十兆円、これはストックでありますが、を超える規模となっております。

 このように、地方財政は極めて厳しい状況にあるものと認識をいたしております。

 一方で、社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中で、地方自治体は、子供、子育て政策の強化など、様々な行政課題に直面をしております。

 令和六年度の地方財政対策に向けましては、こうした行政サービスを安定的に提供できますよう、必要な一般財源総額をしっかりと確保してまいりたいと思います。

 あわせて、現在御審議を賜っております法案に基づきまして、令和六年度の交付税の財源として繰り越すこととしております〇・五兆円も活用し、地方交付税総額を適切に確保しつつ、臨時財政対策債の発行を抑制するなど、地方財政の健全化に取り組んでまいりたいと思います。

神谷委員 本当に、地方財政は極めて重要でございます。これからも是非御努力をいただきたいと思うわけでございますけれども。

 今回の地方交付税の増額については、まず、税収の上振れの部分があるというような御説明でございます。これも昨年に引き続いてということでございますので、本来であればこの予測はどうなのかというような話もしなければいけないのでございますが、上振れした分については実際には交付税法が既に措置を決めておりまして、交付税法六条の三第一項に規定された措置を本来であれば取るべきと思います。あえてこの方法ではない方法を取る、これについての所感を伺いたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地方交付税法六条の三第一項におきまして、年度途中に交付税総額が増加した場合には特別交付税の総額に加算をするというふうに法律上はなっております。

 しかしながら、近年では地方財政に巨額の財源不足が生じております。こうしたことから、補正におきまして追加的に発生する財政需要等への対応などに必要な財源をしっかりと確保した上で、残余については翌年度に繰り越すといったことを基本としておりまして、そのために必要な法律改正を行ってきております。

 今後とも、地方財政の状況を踏まえつつ、様々な要素を総合的に勘案して、その都度適切に対応してまいりたい、このように考えております。

神谷委員 地方交付税法というのは極めてよくできた法律だなと実は私は思っています。足りなければ、例えば法定五税の税率を変えなさいであるとか、あるいは上振れしたときはどういうふうにしてください、基準財政需要額の単位の算定をしっかりとやっていただいて財源が足りない地域にしっかりと配っていくというような、本当に大事な制度だと思います。そういう意味においては非常によくできていると思いますし、逆に言うと、この原則をなかなか変えるということにはならないんじゃないかなと私は思います。

 というのは、あくまで地方自治体の大変大事な財源、しかも一般財源というか、地方が本来自由に使えるお金を我々が決めるというのは在り方としてはどうかなという部分もありますので、そういう意味において、余り国の意思というものを反映させるような会計というか部分は極力やはり抑えた方がいいんだろうと思います。

 そういった意味において、今回、交付税法六条の三第一項に規定された措置とはまた別の措置というか態度で臨むわけでございますけれども、そうだとすると、この六条の三第一項の規定というのがどうなのかというような、法改正も含めて考えていかなきゃいけないのかなと思ったりもするわけです。

 この点について再度、もし所感があれば、お伺いできますでしょうか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 我々としても、交付税法の原則に沿って対応するというためにも、しっかりと財源不足をなくしていく、交付税総額を法定率分でしっかり賄えるような形で財源不足を縮小するということが極めて大事だろうと思っておりまして、現時点では巨額の財源不足があるわけですけれども、今後ともしっかりと財源不足の縮小に努めてまいりたいというふうに考えております。

神谷委員 財源不足ということでございます。いかにして地方財政というものを潤していくか、この点については多分思いは一緒だと思います。

 ただ、そういった意味においての地方交付税法は本当に大事な法律だと私は思っていますし、最近になって思うのは、基準財政需要額ではないんですけれども、国の方で決めてしまうというか、実際には措置したよという形で、本来は一般財源ですから自由に使っていただかなきゃいけないお金なんですけれども、それについて、ひもつきとは言わないですけれども、余りにもそういった状況が多くなっているんじゃないかという一種の問題意識がございまして、そういった意味において、できる限りやはり法律に従ってやっていくべきなんじゃないかなということで申し上げさせていただきました。

 当初に戻りますけれども、やはり地方財源というのをしっかり確保していただかなきゃいけないと思っているわけでございます。そういった意味において、先ほど鈴木大臣からも御決意をいただいたと思っておりますので、これで終わりではありません、これからもしっかり地方財政を確立というか確保していただくために是非御尽力いただきたい、そのことを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、これまでもこの委員会あるいは予算委員会でも様々議論がされていた地方税減税について、私からも幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。

 政府の御方針によれば、国税三兆、住民税一兆の減税方針となっています。なぜ全額国税ではなく、今回は住民税とのセットで行われたのか、そのことをお伺いしたいと思っています。これについては、同じ北海道でございまして、北海道の厳しさ、大変さをよく知る船橋政務官にお願いしたいと思います。いかがでございましょう。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 今回の措置に関しましては、デフレ脱却に向けて、足下の税収増を所得税、住民税の形で分かりやすく国民にお返しするものと承知いたしております。

 個人住民税のみを負担されている方もおられることから、減税の効果を広くお届けするため、住民税においても減税を行うこととされているものと認識いたしております。

神谷委員 そういった選択なのかもしれませんが、住民税減税となりますと、自治体における事務上の課題、事務費等の問題、措置をしっかり考えていかなければいけないと思うのですが、例えば所得を確定させてからの税額の決定通知は本当に時間的な余裕がないと私は思っています。

 実際に、例えば確定申告の期限を見ていますと、御案内のとおり、三月十五日までです。その上で、六月にはもう第一回の引き去りが行われてまいります。三月十五日が確定申告の期限だからといって、所得の確定は当然ながらその後に実際に行われるわけでございますし、実際には、普通徴収、特別徴収がありますけれども、会社さんに引き去っていただくという場合においては、五月にはいわば通知を出しておかなきゃいけない。

 年末調整あるいは確定申告を経て実際に所得の確定が行われるのは二月、三月、四月と大体承知しておりますが、だとすると、その後すぐに五月には通知を発送する、これはかなり事務的にも大変なんじゃないかなと思うわけでございますが、この点についてどう考えているのかを伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の地方団体の事務負担への影響についてでございますけれども、税制については具体的な制度設計が今後与党税制調査会において御議論されることから、その中で決まっていくものと認識しております。

 総務省といたしましては、地方団体が事務を円滑に実施できるよう、過度な事務負担が生じないよう十分留意いたしまして、地方団体の意見も伺いながら丁寧に対応してまいります。

神谷委員 局長、今お話をしたように、確かにいろいろなお話は地方の代弁者でございます総務省に集まると思うんです。そういった意味において、今申し上げたように、かなり時間的にはタイトだと私は思います。

 先ほどもシステムの話がありましたけれども、所得を確定した、そこから減税の手続をやっていく、その上でシステムを突っ込んでいかなきゃいけない、そうなりますと、短期間に一気に、事務、あるいはシステムもそうですけれども、業者さんに一気に行くことになると思うんです。一気に行くとなると、当然ながら、まあ業者さんですから期限には間に合わせるようにするかもしれませんが、当然その分、お金というかコストが多額になってくると私は思うんです。とすると、そもそも時間のない中で必死にやってください、かつそういったお金も高額につきますという中で、いかにして円滑にやっていくかというのは結構大変な課題じゃないかなと思ったりするわけですけれども、いかがでしょう、局長、その辺の感度は。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 定額減税そのものにつきましては、平成十年の際に定額減税の経験がございます。今後、今回の定額減税のやり方自体はこれから与党の税制調査会で決まってくるわけでございますけれども、我々は、地方団体向けの講演会とかの機会があれば、平成十年の定額減税のときのやり方、こういったことをよく勉強しておいていただければ、あらかじめ心の準備といいますか仕事の準備ができるのではないか、このようなことも申し上げてございます。

神谷委員 平成十年の定額減税の例を出されました。なかなか、あの当時と現在ではシステムが大分変わっているんじゃないかなと正直思います。当然いろいろな、それこそDX化された部分もあると思うんです。そういった意味では、実は、平成十年の経験、もちろん生きる部分もあると思いますが、結構これは苦しいんじゃないかなと思います。そういった意味において、やはり相当大変なんじゃないかなと思っています。

 先ほど申し上げましたとおり、多分負担も大きい、負担だけでなく当然事務費もかかってくるということになってまいります、ということであるならば、ここをやはりしっかり考えてあげなきゃいけないんじゃないかと思うわけです。そういった意味において、例えば減税についての様々な事務費負担、一兆円の部分もそうですけれども、本体の部分もそうですけれども、しっかり迷惑がかからないようにしてあげなきゃいけないんじゃないかと思います。最低限、財源の部分だけはしっかり見てあげなきゃいけないと思うんですが、これについて大臣のお言葉を頂戴したいと思います。いかがでしょう。

鈴木(淳)国務大臣 しっかりとその辺の関係を踏まえた上で議論したいと思います。

神谷委員 是非、これだけはしっかりやっていただかなきゃいけないと思います。

 その上で言うと、実は、一兆円ですと、住民税の一人当たりの減税幅はそんなに大きくないんじゃないかなと実は思っています。恐らく、一人一万円戻ってきたとして、それが、例えば四回に分ける、あるいは十二回に分けると非常に少ない金額になるんじゃないか。ひょっとすると、今年は皆さん所得が上がっていますから、受け取って気づいてみたら減税というよりは住民税はむしろかかっている金額が増えているかもしれない、そんなふうにも見えたりするわけです。そうすると、先ほどの政務官の、もちろん減税はないよりあった方がいい、それは誰もがそう思うんだと思うんですけれども、実際に、じゃ、そういったことで実感を得られるかというと、これはなかなか難しいんじゃないかなと私自身は思います。

 だとするならば、住民税と国税と分けるのではなく、むしろ一本でやった方が手間もかからない。先ほど申し上げたように、結構地方も大変だ、しかも、減税の効果として、受け取った側というか、それぞれの皆さん方の感覚、感じ方もそんなにそんなにどうかというような状況だとするならば、あえて何で住民税の方で一兆円ということにしたのかというようなこともすごく気になるわけでございます。

 ちなみに、減税によって、交付税の減少額、先ほどの交付税の話ではないんですけれども、減少額をどれくらいと見込むのか、また、この減少額について国による補填は実施されるのか、それについて確認をしたいと思います。いかがでございましょう。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 所得税の減税を行った場合の地方交付税への影響については、現在、影響額や補填方法も含めまして検討しておる最中でございます。

 いずれにしても、地方の財政運営に支障が生じないよう、年末に向けて財政当局と十分議論してまいりたいと考えております。

神谷委員 局長、ここは国で決めた減税でございますから、地方がそれによってあおりを食うということは、これはあってはいけないことだと思いますので、検討中ということでございますが、大丈夫だということを是非言っていただきたいと思いますし、検討中だから今はそういうふうに言えないのかもしれませんが、是非そういう方向で進めていただかなきゃいかぬと思いますので、お願いをしたいと思います。

 本来であれば、ここで大臣にもそういう決意を聞きたいところでございますが、いかがでしょう。こういった意味で、先ほどの話ではないですが、地方には迷惑をかけないよ、お金の苦労はさせないよと是非言っていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

鈴木(淳)国務大臣 ありがとうございます。

 まず、答弁の前に、冒頭の御質問について、地方の借入金残高でありますが、私は百八十兆と言ったつもりでありますが、八十と聞こえたぞと言われたので、正確に、百八十兆でございますので、おわびして訂正します。(神谷委員「百八十」と呼ぶ)百八十です、ストックです。

 今の答弁でありますが、先般閣議決定されました総合経済対策におきまして、個人住民税の減収額は、御案内のとおり、全額国費で補填するとされております。

 税制についての詳細は、まさに今、与党の税制調査会において議論されておりますけれども、総務省としましては、地方団体が事務を円滑に実施できますように、地方の財政運営への支障や過度な事務負担が生じないよう留意しつつ適切に対応してまいりますが、覚悟を持って進めてまいります。

神谷委員 もちろん覚悟を持って臨んでいただくというところで地方の財政には迷惑をかけないという意味が入ってくる、大きくうなずいていただいたので、そういう意味に取らせていただきますが。

 それでいいますと、住民税が減ることによって要は私はふるさと納税にも影響が出るんじゃないかと思うんです。というのは、住民税の減税に資する部分もありますので。ふるさと納税は御案内のとおり地方にとって歳入を得る努力をしている重要な部分だと思うので、ここに影響が出るか出ないか、ここについて最後にお話しいただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えを申し上げます。

 減税に係る制度設計の詳細が今後である現段階におきまして、ふるさと納税等への影響について確たることは申しかねますが、そうした影響なども考慮しつつ、税制の詳細について今後与党税制調査会において御議論されるものと考えております。

神谷委員 これで終わりにしますが、地方の自治体の皆さんにとって重要な御関心事、そして来年の懐に係る部分でございますので、そういったメッセージは極力早く出していただけるように、そして安心のメッセージを出していただけるように最後にお願いさせていただいて、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、湯原俊二さん。

湯原委員 立憲民主党の湯原俊二です。

 先ほど同僚議員の神谷議員が訴えたように、国の様々な施策によって地方の自治体が負担をかぶるということがないようにしなければいけないという思いは共通であります。

 私のまず一本目の質問は、自治体情報システムの共通化とガバメントクラウドの質問をしたいと思いますが、私は片一方で、地・こ・デジの特別委員会がさっき同時並行でありましたので、同僚議員の石川議員の質問を聞いておりませんので、ダブって質問したときはお許しいただいて、お答えいただければなというふうに思います。

 それでは、早速でありますけれども、質問をさせていただきます。

 システムの標準化とガバメントクラウドについてでありますけれども、まず、現状をどのように認識されているのか。二〇二五年度までに移行する、こういうことでいっていたわけでありますけれども、現状のところはどうなのか、全体の状況をお聞かせ願いたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体情報システム標準化でございますけれども、現在、基本方針におきまして移行スケジュール及び移行に当たっての課題を把握するとされたところから、移行スケジュールに関する調査を実施しました。二〇二五年度に標準準拠システムへの移行作業が集中することや、二〇二五年度までの移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムが存在しているということが明らかになりました。

 これを踏まえまして、九月に基本方針を改定し、標準準拠システムへの移行期限につきまして、原則二〇二五年度を目指すことは維持しつつも、システムの移行作業をできる限り前倒しすることによる移行時期の分散が可能となるよう国が集中的に支援するとともに、移行の難易度が極めて高いと考えられるシステムについてはシステムの状況を十分把握した上で適切な移行期限を設定することを規定いたしております。

 現在、システムの詳細を把握するため、都道府県や総務省と連携しながら、移行の難易度が極めて高いシステムについて自治体から申出があったものに関してヒアリングを行うなど、状況の確認を進めているところでございます。

湯原委員 阿部審議官からお答えいただきまして、ありがとうございます。

 現状を言えば、調査をしているんだと。二〇二五年で大分あちこちの自治体がやるのでなかなかそこまで難しいところもあるし、そもそも困難システムがあって難しい。九月にも出されたということでありますけれども、二〇二五年を目指すことを維持しつつ分散化していって、困難なものに対しては、今おっしゃったのは適切な時期という言葉でおっしゃったと思います。

 そこで、私、お手元に資料を配付させていただいておりますが、資金面、財政面のことでちょっとお伺いしたいと思います。

 一枚目が、鳥取市と書いてありますが、鳥取県下の自治体のシステム移行に一〇〇%に対してどの程度補助金が出ているか、今般の補正で五千百六十三億円ついておりますけれども、この前の段階まででどの程度国からの資金でそれが充足していたかというのが一枚目であります。これは鳥取県下です、大体二割ぐらいであります。調査中ということでありますので、全国のところはまだまだ分からないんですけれども。二枚目をめくってもらうと、これが、いろいろ調べておりましたら、全国市長会行政委員会というところが所属の五十一団体に調査したものであります、これが二枚目です。これも、おおむね、御覧いただくと、大体二割から三割ぐらいのところが多いのかなというふうに見るわけであります。

 つまりは、移行費用のうち二割から三割ぐらいしかまだまだお金が足りていないんじゃないか、こういうアンケート結果、これは共通しているんじゃないかなと思います。

 この点を踏まえて、政令指定都市の標準化の要件はこれから設定が確定していくという状況でありますけれども、この費用について、一つは、総務省のところでは基金を設けて今そこから出しているんですけれども、この年限が二〇二五という年限になっているわけでありまして、本当にこのままでいいのか。先ほど答弁でありましたけれども、分散化をして適切な時期という言葉があるので、基金の期限の在り方。そして、先ほど質問がもしかしたらあったかもしれませんけれども、資金面で今二割か三割しか充足していないというところを、大体全国的に同じ状況かなと思いますので、この点について大丈夫ですかということをお伺いしたいと思います。

山野政府参考人 お答えいたします。

 二点についてお尋ねがございました。

 まず、後半の資金面の話でございますが、デジタル基盤改革支援補助金でございますけれども、これは、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律を踏まえまして、各自治体の基幹業務システムを標準準拠システムへ移行させるために、これまで合計で千八百二十五億を予算計上し、財政支援を行ってまいりました。

 こうした中で、昨年度末までに、各自治体の意見や要望を踏まえ、各業務の標準仕様書がおおむね作成されまして、標準準拠システムの開発環境が整備されてまいりました。

 このため、全国の自治体に対して、データ移行等、標準準拠システムへの移行経費を調査し、その結果を精査した上で、今回の補正予算ではデジタル基盤改革支援補助金として五千百六十三億円を追加計上したものでございます。

 それから、もう一つの設置期限の話でございますが、設置期限につきましては、地方公共団体情報システム機構法におきまして令和七年度末とされております。各自治体においては、現在、移行作業に鋭意取り組んでいただいているところでございます。

 一方、一部のシステムにつきましては、現行システムがメインフレームによって構成され、標準準拠システムへの移行に時間を要するシステムがある、あるいは、現行の事業者が撤退し、代替事業者が見当たらないシステムがある、こういったものもございますので、標準化基本方針におきましては、こうしたものにつきまして当該システムの状況を十分に把握した上で所要の移行完了期限を設定するということとされております。

 現在、デジタル庁とともにその状況を調査しているところでございまして、その内容を踏まえて適切に対応してまいりたいと考えております。

湯原委員 山野局長、ありがとうございます。

 一つは、今まで千八百億円余の支援をしてきて、今回の補正で五千百六十三億円をするということで、メインフレームもいろいろ困難な事例等々があって、所要のところは適切に対応していくという言葉でありますが、結果として、改めて聞きますけれども、基金の延長というものも当然、適切に対応ということは含まれるということで、こういうことでよろしいですか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたとおり、当該システムの状況、各自治体の状況を十分に把握して所要の移行完了期限を設定することとされておりますので、お尋ねの件につきましても、移行困難システムの調査結果を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

湯原委員 調査結果を踏まえてということですから、結果として期限の延長も当然出てくるんじゃないかなというふうに思います。

 先ほど神谷さんも減税の話に絡めておっしゃっておりましたが、ここで私が申し上げたいのは、調査結果を踏まえて期限の延長があるということは、支援の在り方も、充足率二、三割を一〇〇%に近づけていく、こういうことでありましょうけれども、実際の方から見れば、当初からやはり不安が大分あったわけですね。二〇二五年にまず間に合うかどうかということ。私も以前、総務委員会で質問したこともあります。そして、財政的に、お金の面で本当に支援してもらえるかどうか、こういう不安があったわけであります。

 基金の期限の延長はこれからだということでありますけれども、是非、先ほどの減税の話もそうですけれども、自治体の皆さん方に前広に方向性を示さないと、その都度その都度不安がっている、お金は本当に来るんだろうか、どうなんだろうか、こういうことを私は懸念しているわけでありまして、そうじゃないと二の足を踏むということになると思いますので、国が目指しているところとは違ってくる、こういう懸念が出てまいりますけれども、この点について前広に自治体に説明していく、こういう姿勢についてお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 先ほど来答弁がございますけれども、標準準拠システムにつきましては、これまで、各自治体の御意見や御要望を丁寧に伺いながら標準仕様書の検討を行ってまいりました。

 昨年度末までに、各業務の標準仕様書がおおむね作成されまして、全国の自治体における標準準拠システムへの移行経費に係る調査を行っております。

 今回の補正予算案では、御案内のとおり、千八百二十五億円に対して五千百六十三億円を追加計上しておりますので、総額で六千九百八十八億円でございます。

 また、私自身も、これまで各自治体の首長から多くの要望を受けました。総務省としましても、全国の自治体からの御要望にしっかりと応え得る額だと思っております。

 いずれにしましても、今後とも、各自治体の御意見、御要望をしっかり承りながら、各自治体が不安を感ずることなく、円滑かつ安全に標準化の取組を行えますように取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

湯原委員 鈴木総務大臣、ありがとうございます。不安を感じないようにというのを是非。先ほど申し上げたように、以前から自治体が不安がって、先ほど資料一で出したように、鳥取県下の自治体も不安がって、大丈夫だろうかということで要望活動に出てきているということは不安の裏返しでありますので、そういうことがないようにしていただきたいと思います。

 移行についての話を今までしましたけれども、この先の運用について、ちょっと一点だけ質問させていただきたい。

 めくってもらって三枚目ですね、これはデジ庁が出している資料でありますが、先行自治体といいますか、どのぐらいかかるだろうか。国は三割カットということを言っておりましたけれども、先行自治体をここに書いております。

 棒グラフで、下の方にマイナスになっているのがコストカットが進んでいるということでありますけれども、神戸市さん、神戸市役所、幾つかがやったときにはいい具合にマイナスの方に棒グラフが振れているんですけれども、右側の方を見ると、瀬戸内三市、美里町、あるいは笠置町等を見ると逆に今までよりコストがかかってしまっている、こういうことがありまして、運用面についても大丈夫だということを前広に説明していただかないと、先ほど申し上げたように、ここでも運用のことで逆に負担が増になるんだったらやはり二の足を踏む、こういうことへつながっていくと思いますけれども、この点について御答弁いただけたらと思います。

石川副大臣 湯原委員にお答えいたします。

 標準化対応かつガバメントクラウド移行後の運用経費は業務アプリケーション最適化対応などで費用削減が可能と考えておりますけれども、先行事業における検証等を通じまして、二〇二五年までに最適化対応が難しい事業者があること、また、既にシステムの共同化等によって最適化されたものであることから移行後すぐに運用経費の削減効果が見込まれない自治体があることが明らかとなりました。

 そこで、そのような自治体におきましても現行システムの運用経費レベルまで経費削減ができますよう、費用説明や改善協力を行うよう事業者に対する働きかけを行うとともに経費削減事例を共有するなど、デジタル庁として様々な支援をしてまいりたいと考えております。

 また、ガバメントクラウドの利用料につきましては、大口割引や長期継続割引を導入するなど、クラウド利用料の低廉化を図る取組を継続して行ってまいります。

 デジタル庁としては、自治体からの声を真摯に受け止めながら、ガバメントクラウド移行後に伴います課題の解決に向けて丁寧に対応を取ってまいります。

湯原委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がもうなくて、あと一問だけ、違った質問をします。

 認知症の行方不明者への対応ということで、全く畑が違うんじゃないかとお思いかもしれませんけれども、私は、地方交付税の基準財政需要額の行政需要という中身がだんだん変わってきたんじゃないか、こういうふうに思っておりまして、実際、認知症の方で行方不明になっているのは年間一万八千人、この十年間で倍増しております。私の地元の鳥取県米子市でも、若年性の方で三か月半も行方が分からない人もおられるし、大体、一年間で百人近い人が行方不明のそのままだということでありまして、そういう意味では行政需要の中身は少子高齢化に合わせていかなきゃいけない、こういう思いを持っております。

 こうした認知症の行方不明者への対応について、やはり改めて国が前面に出ていって対応していかなきゃいけないんじゃないか、そして、地方に対しては地方交付税の行政需要の一つの項目みたいなものを入れていって、社会が変わっていく変化への対応をしていくべきではないかと思いますけれども、御答弁をいただけたらと。

古屋委員長 時間が参っておりますので、簡潔にお願いいたします。

和田政府参考人 警察においては、行方不明者届を受理した際は、届出人から行方不明時の状況を詳細に聴取し、事案の緊急性、切迫性等を判断するとともに、警察庁を介して各都道府県警察において情報共有を図るなど、緊密に連携しつつ、行方不明者の生命身体の保護を最優先に発見活動を行っているところです。

 また、行方不明者の早期発見に資するよう、自治体等が配付するQRコードシールやGPS機器を活用した捜索や、ドローンによる上空からの捜索など、技術を活用した発見活動も実施しているところです。

 警察では、引き続き、先進的な取組を都道府県警察で共有するなど、様々な技術を活用しつつ、効率的に行方不明者の発見活動を推進してまいりたいと考えております。

湯原委員 警察にとっては大変な負担になっておりまして、改めて、地方交付税の在り方、社会の変化に対応すべきものに変えていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、吉田とも代さん。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田と申します。

 それでは、限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 国と地方の債務残高は、財務省の二〇二三年の予算ベースでの資料によりますと、国が一千九十七兆円、地方が百八十三兆円と合わせて約一千二百八十兆円で、全体では年々増加傾向にあります。このうち地方分については減少傾向にあり、こちらについては評価できるものの、それでも百八十三兆円もあります。日本の政府債務総額の大きさ対GDP比は先進国でも突出しています。この債務残高は、長期にわたって国民の税金で返していくしかなくなります。次世代への負担を極力減らしていくことが必要です。

 そこで、鈴木総務大臣にお伺いします。地方の財政状況の現状の認識と、地方財政の健全化に向けどのように取り組む方針か、見解をお伺いします。

鈴木(淳)国務大臣 ありがとうございます。ゆっくりと話します。

 地方財政につきましては、近年、巨額の財源不足が生じておりまして、令和六年度におきましても概算要求時点で一・八兆円もの財源不足が見込まれております。

 また、財源不足を補填するためにこれまで臨時財政対策債を発行してきたところでありまして、地方の借入金残高は約百八十兆円を超える規模となっております。

 このように、地方財政は大変厳しい状況にあるものと認識をいたしております。

 一方で、社会保障関係費や人件費の増加が見込まれる中で、地方自治体は、子供、子育て政策の強化など、様々な行政課題に対応していく必要がございます。

 令和六年度の地方財政対策に向けては、こうした行政サービスを安定的に提供できますよう、必要な一般財源総額をしっかり確保してまいりたいと思います。

 あわせて、現在御審議を賜っております法案に基づきまして、令和六年度の交付税の財源として繰り越すこととしております〇・五兆円も活用し、地方交付税総額を適切に確保しつつ、臨時財政対策債の発行を抑制するなど、地方財政の健全化に取り組んでまいりたいと思います。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 翌年度のことも重要ですが、債務残高はイコール借金です。今後の我が国の社会構造を考えた場合、将来を担う若者への負担が余りにも大きくなるのではないでしょうか。債務である限り、元本だけでなく、年々の利払いも発生します。少子高齢化が加速する中で、社会保障費の負担も大きくなっています。将来に対して悲観一辺倒にならないように道筋を示すことが我々の責任ではないかと考えます。引き続き、財政の健全化に向けた対応をよろしくお願いいたします。

 さて、今般の交付税法の改正案ですが、交付税特別会計借入金を〇・三兆円繰延べしています。税収が上振れし、交付税の法定率分が増加しているにもかかわらず、償還金を増やしていくならまだしも、繰延べするということは、将来にツケを回すことになります。

 そこで、お尋ねします。交付税特会借入金の償還繰延べについて、〇・三兆円繰り延べた理由の御説明をお願いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の補正予算案におきましては、地方団体から臨時財政対策債の縮減について強い要望があることなどを踏まえまして、その償還のための基金の積立てに要する経費〇・三兆円を措置することといたしました。

 これと併せて、交付税特別会計借入金の償還〇・三兆円の繰延べ措置を講ずることとしているわけでございますが、これは、一つには、翌年度の税収動向が現時点では不透明でございまして、できる限り令和六年度の地方交付税の財源として繰越額を確保する必要があること、また、交付税特別会計借入金の償還については償還計画におきまして毎年度、今後ですけれども、〇・五から一兆円の償還を行うことにしております、令和五年度当初予算においては予定していた〇・五兆円を大幅に上回る一・三兆円を償還することとしておりましたので、今回〇・三兆円を繰り延べたといたしましても、これまで取り組んできた償還の取組が大きく後退するものではないということでございます。

 また、今回の交付税特別会計借入金の繰延べ額は臨時財政対策債償還基金費に活用しておりまして、今回の措置により、全体として見ますれば財政健全化が後退するものではないと考えております。

 いずれにいたしましても、今後とも交付税特別会計借入金の償還や臨時財政対策債の発行抑制など、地方財政の健全化に努めてまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 交付税特会借入金の償還を繰り延べたり、来年度の交付税へ繰り越したり、このような取扱いは地方にとっても非常に大きな関心事だと思います。

 昨年度のような単純な地方交付税の増額と翌年度繰越しであれば、賛否はともかく意図を理解しやすいです。それに比べて今年度の取扱いは、公庫債権金利変動準備金を今回使わず翌年度以降の活用に先送りしたり、臨時財政対策債の償還財源を地方に配分したり、今の議論のように交付税特会借入金の償還を繰延べしたり、足したり引いたりとテクニカルな扱いも多く、それぞれに理由があることとは思いますが、しっかり説明をされる必要があるものだと考えます。そこに誤解や疑念が生まれないような適切な対応をお願いいたします。

 では、次に、地方交付税の取扱いについて、誰がどのような考えで決めていらっしゃるのでしょうか。その際地方や審議会などの意見を聞く機会があるのかを教えていただきたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方からは、経済対策の着実な実施のために令和五年度の地方交付税を増額してほしいということ、臨時財政対策債の縮減、抑制に努めてほしいということ、来年度、令和六年度に向けて安定的に交付税総額の確保を図ってほしいということなどの要望をいただいておるところでございます。

 また、交付税の交付に関する命令の制定又は改廃の立案をしようとする場合は地方財政審議会の意見を聞かなければならないこととされておりまして、今回の法律案につきましても同審議会の意見を聴取しているところでございます。

 年度途中に地方交付税が増加する場合の取扱いにつきましては、こうした地方からの要望でございますとか地方財政審議会の意見なども踏まえまして、その都度、取扱いを検討し、法改正を行って対応してきているものでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。もちろん、地方税の取扱いについては最終的に国会の地方交付税法案の審議を通じて決定することになると思いますが、原案プロセスについてはできる限りオープンにしていただきたいと思います。

 そのような中で、これからの地方交付税、本来の地方の財源であり、国がその配分や取扱いを決めてしまって果たしてよいのかという問題意識がございます。

 そこで、質問ですが、現在の地方交付税制度は、国が総需要額を算定し、配分決定を行っています。地方団体は国の方針に従わざるを得ず、地方の独立性が損なわれるのではないかと危惧します。地方から総務省へ要望や陳情に行かなければならない流れ、構造を生み出しています。我々日本維新の会が提唱するように、地方が合議の下、地方交付税を決定する仕組みにすべきと思いますが、鈴木総務大臣の見解をお伺いします。

鈴木(淳)国務大臣 自治体間でいわゆる水平的な財源調整を行うことにつきましては、他の地域の行政サービスに充てるために地方税を徴収することについてどのように考えるか、他の地域に税を拠出する側の住民の理解が得られるかという課題がございます。

 また、我が国では、多くの行政分野におきまして国と地方の役割分担を法令等により定めておりまして、自治体間の財政力格差がある中で、どのような地域でも一定水準の行政サービスを提供できますように財源を保障することは国の責務でありまして、これを自治体相互間の調整に委ねることは課題が多いものと認識いたしております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 やはり地方のお金は地方で取扱いを決めるべきだと考えます。

 地方分権の意義は、国の持っている権限や財源を市町村や県など地方自治体に移すことで町づくりや暮らしづくりに地域で暮らす人々の声を直接に反映し、実現していくことです。地方分権を進めるには財政的に独立することなしには実現できないわけですが、我々日本維新の会の維新八策では、国が総需要額を算定して交付する地方交付税制度は廃止し、新たな財政調整制度として調整財源の配分を地方が合議で決める地方共有税を創出と政策提案しています。地方のことは地方で決めていくというのが真の地方自治につながります。

 最後に、地方財政の健全化の取組について、債務が減少していることについては評価をしつつ、財政健全化の取組を更に進めていただきたいと申し上げたいと思います。

 そして、あと残り一分なんですが、恐らくまだ検討中としかお答えできないかと思うんですが、今回は答弁を求めませんけれども、定額減税についても言及をさせていただきます。

 現行、ふるさと納税、住宅ローン控除、医療費控除など、所得税、個人住民税の減税に係る制度があります。これらの適用を受けているものが来年から実施される定額減税によりどのような影響を受けるのか、不安感を持つのも当然です。制度設計など詳細は今後与党税制調査会で検討するということですけれども、本当に定額減税を実施するのであれば、政府としても、少しでも適正な制度、意味のある制度になるよう、鈴木総務大臣におかれましても制度設計を注視していただきたいと思います。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。地方交付税の改正について、これまでの質問と重複する点がありますけれども、地方の財源の確保という観点から、重ねて質問をさせていただきます。

 今回の法改正の内容はここでは繰り返しませんけれども、ここ三年、規模の大小はありますけれども、同じような増額が行われています。地方への財源の措置、あるいは、財政健全化のために充当される、こういう点では一定評価するものですけれども、例えば、臨時財政対策債の償還について言えば、前回は、三年度、一兆五千億円が措置されましたけれども、四年度は償還分はゼロでした。そして、今回は三千億円ということで、このように、増額分の取扱い、つまり処理の仕方が年度によって違いがある、対応に一貫性がありません。増額分の取扱いに一定のルールとか計画性が見えない。どうも増額分の行き先が行き当たりばったりと思えて仕方がない、こう思います。

 先ほども、吉田とも代議員からの質問にもありましたが、次年度以降、交付税の増加額の取扱いに関する新たなルールとか、そうした地方にも分かりやすい形にしていただきたいんですけれども、お答えください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 国の補正予算に伴いまして年度途中に地方交付税が増加した場合の対応につきましては、その時々の地方財政の状況等を踏まえて適切に対応することが重要と考えております。

 近年では、地方財政に巨額の財源不足が生じておりますので、追加的に発生する財政需要等への対応などに必要な財源を確保した上で残余を翌年度に繰り越す、これが基本であろうと思います。その上で、その時々の状況に応じて必要な対応を行うこととしております。

 先ほど委員がおっしゃられました令和三年度においては、当初の段階でかなり臨時財政対策債の増額発行等が行われたり、交付税特別会計の借入金の償還繰延べ等を当初の段階でかなり行っておりましたので、それを踏まえて、年度途中で償還繰延べをむしろ前倒しして償還を早めるといったような対応を取らせていただいたわけであります。

 今回の場合には、そういったことではございませんで、給与費等が増加をして、来年度以降も社会保障関係費等が増加を続ける中で地方財政が大変厳しい状況にありますので、臨時財政対策債の縮減のための償還基金費をつくることで翌年度以降の公債費を縮減させて、これによって地方財政の安定化を図ろうという観点で生じたものでございまして、その時々の状況において必要な法改正を行ってまいりたいと考えております。

中司委員 その時々の状況によってということですけれども、ちょっと分かりにくい状況だと思いますので、その辺、もう少しきちっとしたルール化といいますか、計画性を持ってやっていただきたいと思っております。

 もう少し具体的に聞きますと、三年度の補正時の臨時財政対策債の償還分、これは三年度に発行した臨財債の将来の償還に充てるということになっていますけれども、今回は過去に発行した臨財債の令和六年度、七年度分の償還に使うということをされていまして、年度によってはそういう細かな扱いも違っているということで、これはなぜなのか。これは地方に分かりにくいので、説明いただけますか。

大沢政府参考人 臨時財政対策債償還基金費の関係だったと思います。

 こちらにつきましては、令和三年度につきましては、当初予算で臨時財政対策債の発行額が大幅に増加をしていたということで、当該年度の臨時財政対策債を対象にいたしまして償還基金費を措置したという趣旨でございます。

 一方で、令和五年度の補正予算におきましては、臨時財政対策債の償還基金の積立て〇・三兆円を措置しておりますけれども、これは、令和六年度、七年度の償還について措置をしておるわけでございます。

 これは、先ほども若干申し上げましたが、臨時財政対策債の償還そのものについて地方団体から強い要望がございますこと、また、社会保障関係費や給与費が今後増加をしていくということの中で地方財政は大変厳しい状況にございますので、償還基金費の措置を行うことにより来年度以降の公債費負担の抑制につなげようということでございまして、これが安定的な地方財政の運営に資することなどを踏まえた、そういう趣旨でございます。

中司委員 ちょっと納得できない部分もありますけれども。

 次に、交付税特別会計の償還を繰り延べた財源三千億円についてですけれども、約三十兆円あります交付税特別会計の借入金の返還について、償還計画を作成しておられますけれども、計画によると元々今年度の償還額は五千億円とされていた、それを当初予算で八千億円上積みして一兆三千億にした、それを今度は逆に三千億円繰り延べるという、こんな一貫性のない扱いになっていますけれども、それはどうしてですか、お答えください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 令和五年度の地方財政計画におきましては、地方税や地方交付税法定率分が増加する中で、新型コロナウイルス感染症の影響により生じていた交付税特別会計借入金の償還繰延べをできるだけ解消するという観点から、御指摘のとおり、予定していた〇・五兆円の償還に加えまして、〇・八兆円を前倒しして一・三兆円の償還を行うということにさせていただきました。

 その後、今年度の給与の増額改定の影響もあり、また、会計年度任用職員の処遇改善の法律案が改正をされるなど、歳出の増加が大きくなってくることが見込まれるようになりました。今回の補正予算におきましては、地方から縮減の要望の強い臨時財政対策債の償還基金費を抑制することによって、来年度以降の地方公共団体の公債費が抑制をされて、地方団体の安定的な財政運営に資することになると考えております。

 一方で、翌年度の税収動向が現時点では不透明であり、できる限り令和六年度の地方交付税の財源として繰越額を確保することも必要であったことから、交付税特別会計借入金の償還を〇・三兆円繰り延べまして、先ほど申し上げた臨時財政対策債償還基金費に活用することとしたものでございます。

 なお、交付税特別会計借入金の繰延べ額は臨時財政対策債償還基金費に活用しておりまして、今回の措置により財政健全化が後退するものではないと考えております。

中司委員 後退するものではないと言われますけれども、ちょっと理解できないのは、地方からの要望は、一貫して、臨時財政対策債の発行を抑制するということだと思うんですね。

 今年度発行した臨時財政対策債は一兆円ですから、当初予算で交付税特別会計の償還額を八千億円積み上げせずに、計画どおりに五千億に抑えておいて、上積みした八千億円を臨時財政対策債の発行抑制の財源に充てていれば、結果として、今年度発行した一兆円のうち、八千億円分の臨時財政対策債の発行は必要がなかったのではないでしょうか。そういうふうに思いますけれども。必要のない借金を地方にさせた、その結果、後年度の負担がまた増えることになった、こういうふうに受け取れるんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

 地方の借金である交付税特別会計の借入金と臨時財政対策債の累積残高、これは合わせておよそ八十兆円ありますね。地方の借金なので、総務省にとっては、特別会計に返すか、それとも臨時財政対策債を償還するか、これはどちらも同じことと言えるんでしょうけれども、地方にとっては違うんですよね。

 地方の声を聞くというのであれば、明らかに、地方自治体に肩代わりさせている臨財債、つまり自治体の借金である臨財債を新たに発行させるよりも、地方の立場に立っていえば、まず優先すべきは臨財債の発行抑制であって、そのための償還、これを優先すべきだと思うんですけれども、この点、大臣、どうでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 交付税特別会計借入金の償還の考え方は先ほど自治財政局長から答弁させていただきましたけれども、交付税特別会計借入金も臨時財政対策債も極めて巨額の債務残高でございます。また、交付税特別会計借入金は地方の負担において償還するものでありますから、どちらを優先するということではなくて、その時々の状況を踏まえつつ、できる限り償還を進めて、地方財政の健全化を図ってまいりたいと思います。

中司委員 ちょっとかみ合わないのは、臨財債をもう一回借換えして発行するということは、更に地方の負債を増やすということになりますので、そこは僕は違うと思うんですね。ですから、できるだけ臨財債の発行抑制とその償還を優先するべきだ、私は地方の立場に立ったらそうすべきだと思うんですけれども、それはまた議論させていただきます。

 最後に、もう時間がありませんので、子供、子育て政策の強化のための地方独自の事業に充てる地方財源の確保についてですけれども、総務省としては、地方財源の確保について十分な配慮が必要だということであります。財務省は、自治体の既存の経費を整理して充てるということであります。つまり、これは、財務省からいえば、地方への新たな財源確保はしないということに等しいと思うんですけれども。これは、いわば財務省と総務省の綱引きであって、あるいは国と地方との綱引きのようにも見えるわけでございます。

 大臣におかれましては、子供、子育て政策の強化に当たって、地方の立場に立って、地方独自の事業展開のための一般財源を拡充すべきだ、こういう立場に立っていただきたいんですけれども、どうでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 少子化は、我が国の社会全体に関わる先送りできない重要な課題であると認識をいたしております。

 子供、子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべき課題でありまして、六月に閣議決定されましたこども未来戦略方針には、加速化プランの地方財源につきましても検討することが盛り込まれております。

 今後、総務省としましても、地方の意見を十分に踏まえつつ、関係省庁とも連携し、予算編成過程を通じて地方の財源確保にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

大沢政府参考人 先ほど、答弁の中で、臨時財政対策債の償還基金費を抑制と申し上げましたが、臨時財政対策債の償還基金費を措置の間違いでございます。謹んで訂正させていただきます、失礼しました。

中司委員 ありがとうございます。

 先ほどの質問にもありましたが、地方の立場に立っていただくということは、もちろん大臣のおっしゃっているとおりでございます。

 総合経済対策に含まれる所得税の減税、六年度の交付税の財源の減少分の補填をしなければならないわけですけれども、これは検討中ということですけれども、地方にしわ寄せが来ないようにお願いしたいということで、もう一度、大臣、お願いします。

鈴木(淳)国務大臣 当然ながら、地方の立場に立って、財務省と折衝してまいります。

中司委員 ありがとうございます。

 これで質問を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 本日は、令和五年度補正予算関連といたしまして、地方交付税及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案についての質疑ということで、最後の質疑者となります。同じような質問をさせていただくことがあろうかと思いますけれども、改めて、大変大切な課題でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、地方財政の在り方について質問させていただきます。

 従来より、全国知事会や全国市長会におきまして、歳出の状況に合わせて国と地方の税源の配分を見直すべきであるとの主張があり、有識者からも、地方における歳入と歳出の状況を見ますと国税から地方税への財源移譲がまだまだ不十分であって、歳入に関する地方自治が機能していないのではないかという指摘があります。

 我が国における国と地方の歳出比率はおよそ四対六となっていますが、国税と地方税の税収比率はおよそ六対四です。地方における歳出不足分は、地方交付税等を通じた国から地方への財政移転によって賄われている状況です。抜本的な税源移譲が必要であると考えますけれども、現状を鈴木総務大臣がどのように受け止められているのか、また、国と地方の税の在り方につきまして鈴木総務大臣の御見解をお伺いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 国と地方の税源配分の割合につきましては、近年、国税が六割、地方税が四割前後で推移いたしております。

 この割合に大きな変化が見られないのは、消費税率の引上げによる増収効果が国税の方が大きかったことなどによるものと考えておりますが、地方税収については着実に充実が図られてきたものと認識いたしております。

 総務省では、これまで、個人住民税において三兆円の税源移譲を行い、消費税率引上げに際して地方消費税を拡充するなど、地方税の充実確保に向けた取組を進めてきたところでございます。

 一方、国から地方への税源移譲につきましては、国、地方とも厳しい財政状況にあることや、地方団体間の財政力格差への影響に配慮する必要があることなども踏まえて検討することが必要でございます。

 今後も、総務省としましては、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に取り組むとともに、地方税の充実確保に努めてまいりたいと思います。

西岡委員 今大臣から御答弁いただきましたけれども、抜本的な税源移譲を是非今後も進めていっていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、今回の総合経済対策によりまして、個人住民税につきましては定額減税が盛り込まれたところですが、個人住民税については、前年の所得に応じて課税される仕組みとなっております。かねてから議論のあるところですが、前年より大幅に所得が減収となった特にコロナ禍におきましては、この問題点が明確に浮き彫りになったというふうに認識をいたしております。

 その担税力が発生した年に課税するのが本来の姿ではないかというふうに考えますけれども、例えば外国人の方についても、所得の発生と課税にタイムロスが生じることによって、国外転出をして課税できないケースも指摘をされております。現年課税化について、総務省の御見解をお伺いいたします。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 個人住民税の現年課税化につきましては、これまでの国会における議論などを踏まえまして、学識経験者、企業、地方団体等を構成員とする検討会において議論、検討を行ってきております。

 その中で、制度移行時の課題として、納税者の方や地方団体における事務負担に加えまして、企業におきまして、業務が多忙な年末に所得税に加えて個人住民税の年末調整事務が生じること、また、個々の従業員の年初時点、一月一日時点の住所を企業におかれて正確に把握するための事務が生じることなどが指摘されているところでございます。

 現年課税化の実現に当たりましては、納税者である住民、特別徴収義務者である企業、そして課税事務を行う地方団体、それぞれに過重な事務負担が生じないようにすることが極めて重要だと考えておりまして、今後とも関係者の意見を十分に伺いながら検討を深めてまいります。

西岡委員 今総務省としても、様々な今ある課題についてお取組を続けていただいているということでございます。引き続き、是非、現年課税化へ向けたお取組を続けていただきたいというふうに思います。

 続きまして、本改正におきましては、令和五年度補正予算によって増額されました地方交付税〇・九兆円と交付税特別会計借入金の償還の一部を繰り延べることによる財源〇・三兆円については、〇・六兆円を交付した上で、〇・一兆円公庫債権金利変動準備金の活用を取りやめて、残余の〇・五兆円を令和六年度分として地方交付税に加算するものとしている法改正でございます。

 今回の補正予算で増額された交付税につきまして、増加額のうち、調整額の復活や追加的に発生する財政需要等に対応した上で、残高を翌年度の交付税の財源とするという特別な措置が近年繰り返されています。このような判断をするに当たって、事前に地方の意見というものを十分に反映された上で決定をされているのか、この決定過程につきまして、鈴木総務大臣にお伺いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 地方の意見が十分反映されているかという質問でありますけれども、地方からは、経済対策の着実な実施のために令和五年度の地方交付税を増額すること、臨時財政対策債の縮減、抑制に努めること、令和六年度に向けて一般財源総額を確保、充実するとともに安定的に交付税総額の確保を図ることなどの要望をいただいております。

 令和五年度補正予算におきましては、地方の要望も踏まえて、地方交付税について、地方団体が今般の経済対策の事業等を円滑に実施するために必要な財源として〇・三兆円、臨時財政対策債の縮減のためにその償還基金費として〇・三兆円、合わせて〇・六兆円を交付することとしました。

 また、依然として巨額の財源不足があると試算されている令和六年度の地方交付税の財源として〇・五兆円を繰り越すこととしました。

 なお、地方からは、今回の補正予算につきましては、地方交付税の増額を盛り込んだことにつきまして一定の評価をいただいていると思っております。

西岡委員 交付税増額については一定の評価をというお話がございましたけれども、このような場合に政府がその使途を決定していくということをその都度やっていくということよりは、地方交付税法に交付税増加額の取扱いについての新しいルールを作成するということも一つの選択肢ではないかというふうに思います。このことについて鈴木総務大臣の御見解をお伺いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 地方の意見も一定しっかりと認識しながら進めていきたいと思っています。

西岡委員 是非、ルール化につきましても引き続き御検討をお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きましての質問でございますけれども、今回の総合経済対策には所得税、個人住民税を定額で減税する措置が盛り込まれておりまして、私も、前回の鈴木大臣への質問の中で、所得税減税による交付税への影響についてお尋ねをいたしました。そのときの大臣の御答弁は、地方の財政運営に支障がないよう年末へ向けて財政当局と十分に協議するという御答弁でございました。

 現時点で所得税の定額減税による交付税の減額をどの程度見込んでおられるのか、また、今後どのように補填していく方針であるか、もし今大臣からお話しいただけることがありましたら、御見解をお伺いさせていただきます。

鈴木(淳)国務大臣 今般の総合経済対策におきましては、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき、令和六年分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円の減税を行うこととされております。

 税制についての詳細は、与党税制調査会におきまして御議論を賜っておるものと承知いたしております。

 所得税の減税を行った場合の地方交付税への影響につきましては、影響額や補填方法を含め、現在検討しているところでございます。

 いずれにせよ、地方の財政運営に支障が生じないように、年末に向けて財政当局と十分協議してまいります。

西岡委員 年末へ向けて今検討中ということで御答弁がありましたけれども、今大臣からもございました、やはり、地方の財政運営に支障がないようにという、これが大変重要だというふうに思いますので、年末へ向けた議論を注視してまいりたいというふうに思います。

 続きまして、こども未来戦略方針における子供、子育て政策の強化を実施していく中で、長期的、安定的な地方財源の確保というものが大変重要です。また同時に、様々な業務が発生することによりまして、地方自治体の負担軽減、これも大変重要だと考えております。今後の方針について総務省にお伺いをいたします。

 また、あわせまして、既に自治体で行われている自治体独自の事業推進のための財源確保も大変重要であるというふうに思いますけれども、このことも併せて総務省の御見解をお伺いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 子供、子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきでございまして、六月に閣議決定されたこども未来戦略方針には、加速化プランの地方財源についても検討することが盛り込まれております。

 また、地方団体が地域の実情に応じて自らの創意工夫により行う独自の取組につきましても、補助事業とともに実施されることによりまして、少子化対策に更なる効果を発揮するものであると考えております。

 今後、総務省といたしましても、地方の意見を十分に踏まえつつ、関係省庁とも連携し、予算編成過程を通じて地方の財源確保に取り組んでまいります。

西岡委員 今御答弁がございましたけれども、やはり地方の、しっかり現場の声というものを反映していただく中で、今後の方針を決定していただきたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。

 続きましての質問でございます。

 物価高騰対策につきましては、全国知事会による物価高等に対応する総合経済対策に向けた提言というものが出されました。この提言の中にもあるんですけれども、地方自治体の公共施設の光熱水費の高騰により地方財政に影響が大変及んでいること、先般から光熱費の高騰によりまして補正予算を組む自治体が続出いたしました。令和五年度当初予算に関連して、地方自治体の施設の光熱費の高騰を踏まえて一般行政経費七百億円を増額することが盛り込まれました。主要都市の市区の六割で来年度の光熱費が今年度を上回るという調査結果もあるところでございますけれども、追加的な対策を講じるお考えがあるのかどうか、鈴木総務大臣の御見解をお伺いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 御指摘のように、近年の物価高は、地方自治体を含めて、事業活動に大きな影響を与えておりまして、引き続きその対策に万全を期す必要があるものと認識をいたしております。

 令和五年度の地方財政計画におきましては、自治体施設の光熱費高騰対応として、一般行政経費を七百億円増額して計上するとともに、普通交付税におきまして適切に措置を講じたところでございます。

 その上で、今般の補正予算案では、地方自治体が経済対策の事業等を円滑に実施できますように、令和五年度の地方交付税を〇・三兆円増額いたしております。

 また、学校等の地方自治体の施設の暖房費増加分や消防・救急車両等の燃料油代の増加など、地方自治体が独自に実施する原油価格高騰対策に対して特別交付税措置を講じることといたしております。

 さらに、内閣府の所管ではありますけれども、今般の補正予算案で〇・五兆円追加することとされております重点支援地方交付金は、地方自治体が運営する直接住民の用に供する施設においても活用が可能と承知いたしております。

 今後とも、物価高騰によりまして地方自治体の財政運営に支障が生じないように、関係省庁とも連携してしっかりと適切に対応してまいりたいと思います。

西岡委員 引き続き、状況を踏まえたお取組をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、公立学校施設への空調導入につきましてお伺いいたします。

 現状、特に体育館については設置が遅れている現状があります。今夏の異常気象による熱中症の対策を含めて、児童生徒の安心、安全な学校生活のためにも、また、災害発生時の避難所としての防災拠点という機能も含めて、公立学校の体育館への早急な設置に向けた取組が急がれます。

 文科省とも取組を一緒にしていただいておりますけれども、総務省においては指定避難所生活環境改善事業の中でお取組を進めていただいているというふうに思いますけれども、早急な設置へ向けた総務省のお取組をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

五味政府参考人 災害時におきまして被災者の良好な生活環境を確保するために、避難所の環境整備を進めることは極めて重要であると認識しております。

 このため、消防庁では、公立中学校の体育館など、指定避難所における空調設備の設置やバリアフリー化等の生活環境改善に係る整備については緊急防災・減災事業債の対象としております。

 また、指定避難所におけるスポットクーラーなどの資機材等の整備を行う場合、当該整備に要する経費については特別交付税措置を講じております。

 引き続き、関係省庁と連携いたしまして、指定避難所の生活環境の改善が早急に図られますよう取り組んでまいります。

西岡委員 早急に取り組んでいただきたい課題でございます。やはり財政的な問題が地方自治体にとっては大きなネックとなっておりますので、設置へ向けたお取組を強くお願い申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

古屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。田村貴昭さん。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法及び特別会計法の改正案に対する反対討論を行います。

 本法案は、補正予算で年度途中に増額となる一兆一千五百八十四億円の地方交付税について、二〇二三年度の地方交付税分として五千七百四十一億円を増額交付し、残りの四千八百四十三億円は交付せず、二〇二四年度の地方交付税総額に繰り越す措置を取るものです。

 地方交付税法は、年度途中に増額となった地方交付税は、その全額を地方自治体に特別交付税として交付すると定めています。今、深刻な物価高騰から住民の暮らし、営業を守るために、地方自治体の役割が問われています。地方の固有財源であり、貴重な一般財源である地方交付税は、現行法に基づき、その全額を地方自治体に交付すべきです。

 しかも、今回の繰越しは、今年度当初に予定していた交付税特別会計借入金の償還分一兆三千億円から三千億円を引き剥がして、四千八百四十三億円を二〇二四年度の地方交付税の総額に加算するものです。翌年度の地方交付税総額への繰越しを優先するやり方であり、反対です。

 また、二〇二三年度の地方交付税分として五千七百四十一億円を増額交付するとしていますが、臨時財政対策債の元利償還のために充てる基金分を除けば、調整額の復活分を合わせても二千七百億円程度にすぎません。しかも、増額交付は、総合経済対策事業による地方負担分と地方公務員の給与改定分、災害対応分に限られており、地方単独事業に充てる交付税は算定されていません。

 これでは、地域の実情に基づく自治体独自の施策の拡充、会計年度任用職員給与の遡及改定の徹底など、地方が必要とする財源確保に応えるものになっているとは言えません。

 以上で反対討論とします。

古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより採決に入ります。

 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

古屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.