衆議院

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第5号 令和5年12月7日(木曜日)

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令和五年十二月七日(木曜日)

    午後一時三十二分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 井原  巧君 理事 田所 嘉徳君

   理事 田中 良生君 理事 根本 幸典君

   理事 石川 香織君 理事 奥野総一郎君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      尾身 朝子君    金子 恭之君

      金子 容三君    川崎ひでと君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      島尻安伊子君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    寺田  稔君

      中川 貴元君    中曽根康隆君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      葉梨 康弘君    長谷川淳二君

      古川 直季君    柳本  顕君

      山口  晋君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    神谷  裕君

      重徳 和彦君    道下 大樹君

      湯原 俊二君    阿部  司君

      中嶋 秀樹君    吉田とも代君

      平林  晃君    西岡 秀子君

      宮本 岳志君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         鈴木 淳司君

   総務副大臣        渡辺 孝一君

   総務副大臣        馬場 成志君

   内閣府大臣政務官     神田 潤一君

   内閣府大臣政務官     石井  拓君

   デジタル大臣政務官    土田  慎君

   総務大臣政務官      小森 卓郎君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長)     井上  学君

   政府参考人

   (内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長)       坂本  基君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田辺 康彦君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           渡辺 公徳君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        中村 広樹君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局審議官)        大槻 大輔君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   阿部 知明君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   藤田清太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤野  克君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            今川 拓郎君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   参考人

   (日本放送協会会長)   稲葉 延雄君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 山名 啓雄君

   参考人

   (日本放送協会理事・技師長)           寺田 健二君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月五日

 辞任         補欠選任

  西岡 秀子君     田中  健君

同日

 辞任         補欠選任

  田中  健君     西岡 秀子君

同月七日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     金子 容三君

  斎藤 洋明君     柳本  顕君

  本田 太郎君     杉田 水脈君

  保岡 宏武君     山口  晋君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 容三君     西田 昭二君

  杉田 水脈君     中曽根康隆君

  柳本  顕君     斎藤 洋明君

  山口  晋君     保岡 宏武君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     本田 太郎君

  西田 昭二君     石田 真敏君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長稲葉延雄さん、日本放送協会専務理事山名啓雄さん及び日本放送協会理事・技師長寺田健二さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学さん、内閣官房令和5年経済対策物価高対応支援、令和4年物価・賃金・生活総合対策世帯給付金及び令和3年経済対策世帯給付金等事業企画室次長坂本基さん、内閣府大臣官房審議官田辺康彦さん、内閣府規制改革推進室次長渡辺公徳さん、内閣府地方創生推進事務局審議官中村広樹さん、個人情報保護委員会事務局審議官大槻大輔さん、デジタル庁審議官阿部知明さん、デジタル庁審議官藤田清太郎さん、総務省大臣官房総括審議官藤野克さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、大臣官房審議官三橋一彦さん、自治行政局長山野謙さん、情報流通行政局長小笠原陽一さん、総合通信基盤局長今川拓郎さん、消防庁次長五味裕一さん、厚生労働省大臣官房審議官宮本直樹さん及び厚生労働省大臣官房審議官日原知己さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。大臣を始め、御答弁をよろしくお願いいたします。

 まず最初に、残念なことを聞かなければなりません。

 自民党派閥の政治団体におけるパーティー券の売上げの一部をキックバックして、適正に処理をせずに裏金になっているのではないか、あるいはキックバックのキックすらなく議員やスタッフの懐に入っているのではないかなど、疑念が持たれております。

 総務省は、政治資金規正法をつかさどっている省庁でもございます。まず、大臣、副大臣、政務官の皆さん、それぞれ御自身が各派閥のパーティー券の売上げでノルマあるいは達成すべき目標があったのか、それを超える分の売上げがあった場合はキックバックがあったのか、あるいはその際の処理というのはどういう状況だったのか、それぞれお答えください。

鈴木(淳)国務大臣 お答えします。

 個々の政治団体に関するお尋ねについては、政府にある立場としてはお答えすることは差し控えるべきだと考えておりますけれども、あえて私の所属する清和政策研究会に関して申し上げれば、今回の報道に関する取材に対し、塩谷座長は、これから事実関係を精査するとコメントしていると承知しております。今後、事実確認の上、適切に対応するものと認識しております。

 私に関しましては、十二月一日の閣議後記者会見におきましても、キックバックを受け取ったことはないということかという御質問に対し、ありませんとお答えしたところでありますが、先ほど申し上げたとおり、派閥において事実確認の上、対応するものと認識いたしております。

渡辺副大臣 個々の政治団体に関するお尋ねにつきまして、政府にある立場としてお答えすることは差し控えたいとは思っておりますが、今議員の御指摘のことにつきましては、いずれ、派閥の方でしっかりと適切に調査をしていると認識しておりますので、お知らせする形になると思います。

馬場副大臣 それぞれお話がありましたように、政府にある立場としてお答えすることは控えたいというふうに思いますが、その上で、政治資金規正法にのっとり適切に処理しております。

船橋大臣政務官 個々の政治団体に関するお尋ねにつきましては、政府にある立場としてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、あえて私自身に関して申し上げますと、志公会から寄附をいただいておりますが、全て政治資金規正法にのっとり適切に処理しております。

長谷川大臣政務官 個々の政治団体に関するお尋ねについて、政府にある立場としてお答えすることは差し控えるべきと考えております。

 その上で、私に関して申し上げれば、私は派閥に所属しておりませんので、お答えし得る立場にはございません。

小森大臣政務官 政府の立場から個々の政治団体に対するお尋ねへのお答えは差し控えるべきだと考えておりますが、あえて清和政策研究会について申し上げれば、事実関係を精査し、今後、慎重に事実確認の上、適切に対応するものと認識をしているところでございます。

岡本(あ)委員 ただいま御答弁いただきまして、渡辺副大臣は、いずれということ、馬場副大臣は、適切に処理をしているという御回答、船橋政務官は、寄附はもらっているということ、小森政務官については、事実関係ということなんですが、ここは総務省の政治資金規正法を担当するまさにトップの三役なんです。御自身が所管する法律を率先してしっかり遵守すべき立場にあると思うんですね。

 今申し上げました副大臣お二方、それから船橋政務官、小森政務官、もう一度お答えいただきたいんですが、御自身のことについてということで。

 渡辺副大臣は、いずれとおっしゃっていましたが、今時点で御自身のことについて分かるものをお示しいただきたいと思います。

 馬場副大臣に関しては、適切にということは、キックバックはあったけれども適切に処理をしているということなのかについてお答えください。

 船橋政務官は、寄附をもらっているということは、キックバックとしてもらっている可能性があるということでよろしいのか。

 小森政務官についても、御自身のことについて、派閥の話というよりは御自身がどうだったのか。

 この点、もう一度お答えください。

渡辺副大臣 自分自身のことでということでお答えさせていただきますけれども、まず、議員の言われるとおり、所管の総務副大臣でございますので、十二分に理解し、襟を正さなければいけないということは理解しております。

 そこで、私個人のことだけで申し上げますと、私も還付は受けております。しかし、それはしっかりと政治資金規正法にのっとって適切な処理をして戻していただいておりますし、疑われるようなことは一切ないというふうな報告も受けておりますので、御理解いただきたいと思います。

馬場副大臣 先ほど、適切に処理しておりますということでお答えしましたが、私の場合は宏池政策研究会から寄附をいただいておりますけれども、政治資金規正法にのっとり適切に処理しております。

船橋大臣政務官 お答えいたします。

 先ほどもお答えしているとおりでございますけれども、私が所属する志公会の方から寄附金等を受けておりますが、全てそれは適切に処理しております。

小森大臣政務官 先ほど申し上げたとおりでありますけれども、政治団体におきまして事実関係を精査し、慎重に事実確認の上、適切に対応するものというふうに認識をしているところでございます。

 団体において告発を受けているものでございますので、これに対して私からつけ加えることはございません。

岡本(あ)委員 疑念が払拭できたとは言い切れない部分が残るというのは非常に残念に思っておりますし、各派閥において今それぞれ事実確認をしていると。ただ、事実確認をすると言ってから数日たっているのに御答弁が一向に変わらないというのも、国民に対して透明性をしっかり示すのも政治資金規正法の法の趣旨だと思うと非常に残念だということをお伝えしたいと思います。

 これからもしっかり調査の結果ということを注視していきますとともに、また、国民にしっかり透明性を確保するための政治資金規正法だという、このことについては政務三役の皆さんは是非心に留めて総務省の仕事をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。

渡辺副大臣 済みません、先ほど答弁の際に還付という言葉を使いましたけれども、正しくは寄附でございます。訂正をよろしくお願い申し上げます。

岡本(あ)委員 今の点も含めて事実関係がいずれ明らかになると思いますので、この点はしっかり注視していくということを申し添えたいと思います。

 マイナンバーカードとマイナ保険証について伺わせていただきます。

 マイナンバーカードのひもづけミスの総点検は、途中から原則となったようですが、十一月末までということになっていたかと思います。十二月上旬には報告するとおっしゃっていましたが、上旬といいますと平日でいくと明日までということになりますが、結果はどのようになっていますでしょうか。お答えください。

土田大臣政務官 お答え申し上げます。

 マイナンバー情報総点検における個別データの点検作業につきましては、各々の機関の事情に配慮しながら原則十一月末までを期限として進めてまいりました。

 また、点検作業につきましては、期限ありきではなく、丁寧に行うことが重要との認識の下、進めてきたところでございます。

 現在、点検対象の自治体から点検状況について報告を受け、その集計作業をまさに行っているところでございます。

 結果がまとまり次第、総点検本部を開催し、点検結果を報告させていただくところでございます。

岡本(あ)委員 資料一を御覧ください。これは、先月、十月末時点でこういう状況ですということをまさに十一月九日に公表しております。報道ですけれども、確認終了という部分もありますので、残っている部分になるのかなと思うんですが。

 十一月末時点の速報という形でいくと、少なくとも先月を例にすれば九日あればできるのではないかと思うんです。しかも、河野大臣は点検作業は順調に進んでいるともおっしゃっているので、上旬に間に合わないということはなぜなんだろうと思わざるを得ません。まさか、国会を閉じるまで公表しないということはないでしょうね。せめて国会会期中には御報告できる状況なんじゃないかと思うので、もう一度お答えいただきたい。

 もう一つ、今回、千七百自治体プラス都道府県が入っておりますが、調査をした対象は三百三十二自治体かと思います。残りの自治体でもやはり誤登録とかがあったのではないかと思います。是非、まずは総点検の対象になっていることを速やかに報告し、それ以外の自治体の情報についても引き続き、私は予算委員会でも申し上げましたが、総点検するべきだと思います。

 この点、二つお答えいただきたいと思います。

土田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、一点目につきましてでございますけれども、先ほど申し上げたとおり、期限ありきではなく丁寧に行うことが重要との認識の下で、今まさに集計作業をしているところでございます。また、この結果がまとまり次第、総点検本部を開催し、点検結果について報告をさせていただきます。

 二点目の点検の範囲についての話でございますけれども、マイナンバー情報総点検については、マイナポータルで閲覧可能となっている全てのデータについて総点検を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、適切にデータ登録されているものまでデータ点検の対象にならないようにしまして、点検作業を効果的に行えるようにするために、先行して点検した事務を除く全てのひもづけ実施機関に対し、各制度の現場におけるマイナンバーのひもづけ作業の実態把握の調査を行ったところでございます。この調査の結果、マイナンバーのひもづけが適切な方法で行われているものを除いた三百三十二自治体と労働基準監督署一署において個別データの点検が必要なものと判断したところでございます。

 個別データの点検の対象外となったものは、適切な方法でひもづけが行われていることを確認したものではございますけれども、住基システムと自動連携しておらず、人手を介してひもづけをしている場合には誤入力などの人為的ミスによるひもづけ誤りが全くないとは言えないと考えております。そのため、今後、住基システムと自動連携していない自治体事務において、人為的ミスに対応する観点から、認定の更新など本人の状況を確認する機会に合わせて、定期的かつ体系的に入力誤りを発見し、これを是正する取組を行っているところでございます。

岡本(あ)委員 マイナンバーカードは、国民から信頼が置かれるものじゃなければならないと思っているんですね。

 そのためには、カードにひもづけされているデータが本人にとっては一〇〇かゼロかの話なんです、全体のデータでいくと、確かに、人が入力をする、誤入力もあるだろう、一定程度ミスはあり得るんですが、今回、これを機会にやはり総点検するべきなんじゃないか。更新の時期が例えば二年後かもしれない、三年後かもしれない、そのときに気がついたら過去三年間ずっと間違った情報だったということもあり得るので、データの総点検は三百三十二自治体だけではならないと私は思っていますし、報道ではぽろぽろミスが出ているというのを考えると、総点検を一区切りした先には更に点検していくということを表明するべきだと思います。

 もう一度お答えください。

土田大臣政務官 お答え申し上げます。

 リソースが限られている中で、できる限り国民の皆様に信頼していただけるような集計そして公表ができるようにこれからも努めてまいります。

岡本(あ)委員 私も、デジタル化は推進する側の立場におります。ただ、いろいろなシステムを統合したりデータ化したりするときというのは必ずミスは起こり得るんです。起こり得るからこそ防止策も講じます一方で、起こり得ることにどう備えるか、あるいは発覚をなるべく早く見つけ出す、この努力がデジタル化だからこそ必要なんだと思いますので、この点は是非心に留めていただければと思います。

 続きまして、マイナポイント事業について伺います。

 予算委員会でもお伝えをさせていただきましたけれども、令和三年の補正予算で一・八兆円の予算を組みましてマイナポイント事業第二弾を行ったということです。令和四年度、令和五年度と二年間、繰越し、繰越しということを行っています。予算委員会では、少なくとも一・八兆円のうち五千億円が不用となる見込みだということ、予算委員会で御答弁をいただいたと思います。もう一度伺いますが、二年とも繰り越す際に五千億も余るような、特に今年度の繰越しについては精査が甘いんじゃないか、お金があったらもっとほかに使えるんじゃないかと私は思っています。

 資料二でいきますと、防衛費の予算のあれですけれども、小中学校の給食無償化、四千三百億円余ですけれども、私たちは法案も出している中では四千七百億円と試算をしています。五千億円あったら、まずはこの学校給食の無償化ができるぐらいの規模なんです。やるべきことに使えるお金を不用としてこれだけ残すということについて、精査が甘いのではないか、この指摘についてお答えいただきたいと思います。大臣、お答えいただけますでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 マイナンバーカードにつきましては、令和四年度末までにほぼ全国民に行き渡ることを目指すとされておりました。これを念頭に、マイナポイント事業は九千五百万人にポイントを付与できる予算を確保したものでございました。

 これに対して、ポイント付与対象となるカードの申請件数は九千四百万を超え、予算上の想定水準まで達しました。

 実際にポイントを申し込むかどうかは個人の意思によるものでありますことから、ポイント申込者数はおよそ七千五百万人であったために、結果として不用が生ずる見込みとなっているところでございます。

岡本(あ)委員 実は、ちょっと遡ってマイナンバーカードの交付率を見ていたんですが、一・八兆円の補正予算を組む段階ではマイナンバーカードの交付率はたしか五千万件いっていたと思うんですね。第二弾で保険証と公金ひもづけはあったと思うので、九千五百万人が全員カードを持って公金ひもづけ、保険証もひもづけ、ゼロからだったらその見込みというのはあり得るのかなと思うんですが、一つは、既に五千円の第一弾が終わった後の予算だというところと、もう一つは、その間の動きを見ていても、残念ながら、公金のひもづけですとかあるいはマイナ保険証というところはカードを持った方が一〇〇%持てる自信があったかと言われると、状況としては非常に苦しかったのではないのかなと思います。

 結果として五千億円、例えば数億余ったとか数十億というんだったらまだ分からないでもないんですが、五千億円ということについて、不用額を出す見込みだということについて、大臣としての責任をどのように考えていますでしょうか。

鈴木(淳)国務大臣 おっしゃることは分かりますけれども、九千五百万人にポイントを付与できる予算というのは、ほぼ全国民に行き渡ること、つまり申請の方々がもし全部申請されたらそれでいっぱいなので、そういった面では、これはある面でやむを得ぬところもあるのかなと思います。

岡本(あ)委員 私的には、今年度の予算を組むに当たっての精査の見込みとすると、非常に甘い見込みをしてしまったんじゃないかというところは指摘させていただきます。

 そんな中、昨今、マイナンバーカードの偽造事件が発生いたしました。最高峰の身分証になり得るということで、だからこそ紙の保険証よりもマイナ保険証にした方が安全、あるいは免許証も載せた方がいい、そういうような形でマイナンバーカードは普及されていたかと思うんですが、偽造事件が発生したことについてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。大臣、お答えください。

鈴木(淳)国務大臣 まず、御指摘の事案でありますが、捜査中の事案でありますので、お答えは差し控えさせていただきます。

 一般的に申し上げれば、マイナンバーカードは、特殊な印刷技術により券面の偽造防止措置が取られております。また、内部の情報を読み取ろうとすると内容が消去される機能を有するICチップを活用しているなど、様々なセキュリティー対策が講じられております。

 さらに、カードの利用の場面では、カードの中のICチップに記録されている正しい券面情報を確認することにより、券面の真贋性を確認することができ、不正利用を防ぐ対策も講じられております。

 今後とも安心してカードを御利用いただけますように、カードのセキュリティーにつきましては引き続き周知を図ってまいりたいと思います。

岡本(あ)委員 捜査中ということで、原因はこれから分かるかと思います。

 ただ、非常に残念なのが、最高の身分証になり得るといってマイナンバーカードを普及している中で、安易なのか、精巧なのかはこれから分かるかもしれませんが、偽造が行われて使われているかもしれない、使われる可能性もあったということは重たく受け止めていただきたいと思っています。そういう意味でいくと、私は、全ての身分証を一個に集めるということもリスクがあるんじゃないかと。デジタル化はもちろん進めるべきだと思いますが、身分証はマイナンバーカード一個だけが理想だということは、事件が起きたことも受けて改めて考えるべきだということを指摘します。

 質問を飛ばさせていただいて、マイナ保険証のよりよい医療というところについて伺わせていただきます。厚労省になるかと思いますが。

 資料三を御覧ください。十月時点で、一番上のピンクの棒グラフでいきますと、保険証全体に対して青の七百七十八万件というのがマイナンバーカードの保険証になるのかと思います。これが五%を切っている状況だということです。

 一方で、私は、よりよい医療ということは、マイナ保険証を受付で資格確認でぽっと置いただけではよりよい医療とは言えないんだと思っています。患者さんがマイナ保険証のデータを診療に使われて、それを例えば診察の際に、あるいは治療方針の際に参考にされた、それが有効に機能して初めてよりよい医療になるのではないかと思うんですね。

 その中でいろいろとデータを探したんですが、資料三で赤で囲んでいるところがあります。

 簡単に、病院もですが、まず身近なところで医科診療所、いわゆるクリニック、ここで、マイナンバーカードの保険証、それから既存の保険証、合わせて七千五百五十六万件余が一か月で使われております。

 そして、右下の赤で囲んだところは、クリニックで診療情報を少なくとも閲覧した件数、これが百九十二万三千五百六十三件となっています。マイナ保険証でピッと置くのは五%弱かもしれませんが、実際、診察でドクターが見たかもしれない、見ていないかもしれないですよ、少なくとも閲覧の記録があるというところで見ると三%弱なんですね。だから、全く医療にマイナ保険証のデータが使われていないんじゃないかという疑念があります。

 ずっと、よりよい医療の提供、よりよい医療の提供と、あらゆる場面で厚労省はマイナ保険証で提供するとおっしゃっていたんですが、実際はまだまだ全然よりよい医療につながっていないんじゃないかと思います。この点、厚労省でお答えください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました患者の方の健康医療情報でございますけれども、今、閲覧の対象になっておりますものはレセプトデータから抽出したものでございます。それでございましても、例えば、服薬されている医薬品の内容の記憶が曖昧な高齢者の方などの場合は問診によらずに正確に服薬情報の把握などが行えるなどの利点がございますけれども、さらに今後は、電子処方箋などの普及、これもマイナンバーカードによる受診を基盤として普及を図っていくということでございますので、今後はそういった普及によりましてリアルタイムで薬剤情報を共有することができるようになるというものでございまして、こうした取組を進めていくことによりまして、よりメリットを感じていただけるというふうに考えてございます。

 引き続き、マイナ保険証を基盤とした医療DXの取組を推進してまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 これから整えていく、それは是非やっていただきたいです。これが整って初めてマイナ保険証を持っているメリットを享受できるんじゃないかと思うんです。

 今まずマイナ保険証にして、来年秋には既存の保険証をなくす、マイナ保険証にしなければならない、しかも、資格確認書を出したり、あるいは顔認証カードを出したり、複雑な、医療現場でも混乱するような手法を取ってでも既存の保険証の期限を区切るというところの意味が私は理解できません。日弁連も意見書を出しております、あくまでもマイナンバーカードは任意であるということ。マイナ保険証については、まず享受できるメニューが整って、だからどんどん移行してください、結果として廃止してもいいですよね、そういう形にするべきだと思います。

 この点、マイナ保険証の来年秋の廃止というのは延期をするべきだと思います。もう一度お答えください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどは、薬剤情報や診療情報に基づくよりよい医療を受けることができるという点について御答弁を申し上げましたけれども、マイナ保険証には、それ以外にも、限度額認定証を持参されておられなくても限度額を超える支払いの免除が確実に受けられる、成り済まし防止、医療機関あるいは保険者の方の事務負担の軽減などの様々なメリットがございますし、それから、先ほどお話しさせていただいたとおり、今後の医療DXを進める基盤となるものでございます。

 マイナ保険証を保有されていない方に対しましては資格確認書を円滑に交付させていただくといったような準備、マイナ保険証の一層の利用促進など、適切に対応していくことが重要と考えておりまして、こうした取組を進めまして、医療現場における課題、こちらも一つ一つ解決をして、国民の皆様に安心してマイナ保険証を御利用いただける環境の整備、こちらを進めてまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 今でもとおっしゃいましたけれども、先ほどの資料三でいくと、赤で囲んでいるところでもせいぜい二・五%しか利用されていない、あるいは薬局も含める総計で比較すると僅か一・六%しか利用されていないという事実をしっかり受け止めてください。これが例えば半分ぐらい、あるいは七割、八割利用されて、患者さんにとってもマイナ保険証を利用してくれる方が自分の治療に役立っているという実感が伴えばどんどんマイナ保険証は増えますし、結果として既存の保険証は要らないよねということにもなり得るんだと思います。

 成り済まし防止でいきますと、先ほどの、偽造事件が起きたということです。顔認証を取れなければ目視でいいよという指示まで、わざわざマニュアルを変えてまで目視でもいいよとやっていますよね。偽造のところの写真が本人そっくりだったら、目視で通ってしまうんです。こういう点もしっかり踏まえていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、地方公共団体のデジタル化のことについて伺います。

 資料四で、政府クラウドの話があります。国産のさくらインターネットが、条件付ですけれども、ガバメントクラウドに認定をされました。今まで外資系にしかできなかったサービスに国産が参入できる、それだけ実力を伴ってきたというのは私としては非常に歓迎したいと思います。デジタル主権という言葉も出てきている中で、ガバメントクラウドは、国産の力を是非評価し、公正な競争でというのは重々分かりつつも国産クラウドが成長してきているということを評価するべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 ガバメントクラウドは、クラウドサービスの利点を最大限に活用することで、迅速、柔軟、セキュアなシステムを構築し、利用者にとって利便性の高いサービスを提供するため、デジタル庁が複数のクラウドサービスの利用環境として整備を進めているところでございます。

 先生がおっしゃいましたように、この度のガバメントクラウドのサービス提供事業者の新規調達において、さくらインターネット株式会社のさくらのクラウドを条件付で採用することと決定したところです。

 さくらインターネット株式会社においては、その求められる基準を現時点では満たしていないものの、二〇二五年末までにデジタル庁が求める基準に到達できる事業者として期待しているところでございます。

 ガバメントクラウドの調達をもって国産クラウド全体の評価を申し上げることは困難ではございますが、その上で申し上げますと、新たに国内企業の参入を通じまして、クラウド分野等の先端的な重要技術の人材の育成など産業基盤の確保に貢献がなされること、ガバメントクラウドに採用されている各クラウドサービス間の競争が促され、クラウドサービスとしての機能の拡充や魅力的なサービスの提供が進むこと、こういったことを期待しているところでございます。

岡本(あ)委員 行政サービスを担う上では、経済安全保障上、国家機密というレベルじゃないにしても、国民一人一人の最高のプライバシーを扱う行政サービスのクラウドということでは、国民の信頼という意味では、国産のガバメントクラウドが、さくらインターネットさんだけじゃなく、どんどん成長してくれることを期待したいと思っています。

 最後に、ネットの誹謗中傷を、時間が来ましたので、申し上げるだけにします。

 先日、プラットフォーマーに対する規律の有識者からの報告がありました。この後、多分、取りまとめという形になると思います。誹謗中傷の案件が上がったらおおむね一週間程度で削除する、あるいは削除しないその理由を明確にすることが期待されていますし、そのための基準というのがしっかりと明示されるべきだと思っています。この点が非常に重要になりますので、この点は是非、報告書が出て、パブリックコメントも受けた後、実効が上がる制度になることを期待申し上げ、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、奥野総一郎さん。

奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。

 今国会も大変お世話になりました。恐らくこれで私の最後の質問になろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 NHK会長がお見えでございますので、まず一点目、NHKの問題ですが、取材メモの流出問題がありました。取材源の秘匿というのは極めて重大でありまして、安心してしゃべれなくなるわけですね。取材を受けたことが外に漏れるようだと安心して取材を受けられない、真実を語れなくなるということで、極めて民主主義にとって大事な問題が取材源の秘匿ということだと思うんですが、今回は、それがネットのインフルエンサー的な人に渡ってしまって誹謗中傷を受けるということにつながった、報道機関としてあってはならない事態だと思います。受け止めと再発防止策について伺いたいと思います。

稲葉参考人 今回の問題は、取材対象者との信頼関係を損なうだけでなく、NHKに対する視聴者の皆様からの信頼を損なう、あってはならないことでございまして、深くおわび申し上げる次第でございます。

 流出させた派遣スタッフには、契約先のNHKの子会社が業務上の情報が記録された書類などを許可なく社外に持ち出さないことなどを定めた誓約書を提出させておりました。しかし、派遣スタッフは、ニュースの取材、制作の専用端末に登録されていた文書を自らのアクセス権限の範囲内で閲覧、印刷し、相手のアカウントに送っていたというものでございます。業務の必要性を踏まえまして限定的なアクセス権限を与えておりましたけれども、今回の事態を重く見まして、権限付与の在り方など管理体制を見直し強化するということにしてございます。

 派遣スタッフが流出を認めた今月一日には、子会社で同じような業務に当たっている派遣スタッフなど約百二十人のアクセス権限を更に限定いたしました。

 また、全国の職員とスタッフを対象に、業務内容に対しまして必要以上のアクセス権限を与えていないかなどの緊急点検を行っておりまして、年内をめどに抜本的な見直しを実施し、今後このような事態が二度と起こらないよう再発防止を徹底していくという方針でございます。

 取材源の秘匿に関しまして、現時点で取材先の個人情報が特定されるという状況にはなっていないというふうに考えてございますが、取材に協力していただいた方には御心配と御迷惑をおかけしたということについておわび申し上げます。

奥野(総)委員 直接取材に当たられる方は取材源の秘匿というのは当然分かっておられるはずなんですけれども、いろいろな方が番組制作には携わられるということであります。取材源の秘匿はイロハのイですよね、ということは局として当然やっておられるんでしょうけれども、全ての関わられる方には徹底していただきたいと思います。

 それからもう一点、今のは記者さん以外の話なんですが、今度は取材に関わる事項として、昨日、「ニュースウオッチ9」報道へのBPO意見というのが出されました。これの概要と受け止め、そして再発防止策をまた会長から伺いたいと思います。

稲葉参考人 今月五日、NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」の新型コロナ関連動画につきまして、BPOの放送倫理検証委員会から、放送倫理違反があったとする意見がNHKに通知されました。事実を正確に伝えるというニュース、報道番組としての基本を逸脱し、視聴者の信頼を裏切り、遺族の心情を大きく傷つける結果を招いたという指摘を真摯に受け止めてございます。

 NHKでは、この問題が発覚して以降、チェック機能の強化だけでなく、ジャーナリズム教育の強化、あるいは責任ある取材、制作体制の構築、さらには放送ガイドラインの基本姿勢の再徹底など、様々な角度から再発防止に取り組んでございます。

 取材先に真摯に向き合い、議論を尽くし、事実に基づき正確に報道するという放送の基本的な姿勢を再確認し、視聴者の信頼に応える番組を取材、制作してまいりたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 記者さんというよりはスタッフの方が取材したということなんですけれども、ワクチン接種を受けて亡くなられた方に取材したら当然ワクチン接種の問題について報道されるであろうと思うはずなんですが、ところが、蓋を開ければコロナで亡くなった方ということで他の方と一緒になって放送されてしまったということです。

 ここにも書いてありますけれども、NHKの放送ガイドラインの中では取材に当たっては放送及び取材の意図を事前に十分説明し理解を得るということでありますから、その初歩的なことができていなかったんじゃないか。もし途中で方針が変わったのであれば、そのことをちゃんと取材対象者には伝えなきゃいけないと思うんです。初歩的なことがなされていないのは非常に問題だと私は思います。以前に問題になった、東京五輪の記録映画の取材のところで曲解したような報道のされ方をした件があったと思います。

 会長、年が明けると一年になるんですけれども、NHK全体のガバナンスですね、私のところにも日々資料が回ってきますけれども、いろいろな問題が起きていると思いますが、どのようにお考えで、ガバナンスをしっかり取らなきゃいけないと思うんですが、その辺りはいかにお考えでしょうか。

稲葉参考人 NHKの本来の強みというのは、一人一人の職員がNHKの公共的役割を深く認識し、高い専門性を発揮して情報空間全体に多様な価値と信頼できる情報を提供する、そういう現場力の強さだというふうに認識してございます。

 御指摘のように、少なからず不祥事が発生しております。これには幾つかの要因が複雑に絡み合っているんだろうと思います。一概にガバナンスだけが要因ということではないとは思うんですけれども、やはり現場力の発揮を支えるマネジメント、管理する能力が弱いということが御指摘のような不祥事が起こる一因となっているのではないかというふうに考えます。職場のマネジメント層一人一人が自らの責任を認識し、様々なリスクをチェックし、改善していくため、再発防止に向けては職員の意識や組織風土にまで落とし込んだ施策を着実に実行していくということが重要ではないかというふうに思ってございます。

 また、経営としても、意思決定のプロセスをより一層明確にし、透明性の向上を図っていくということが必要であるというふうに認識してございまして、アカウンタブルな経営を徹底していくというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 やはりNHKというのは、私は報道機関としてしっかりやってもらわなきゃいけないと思っています。そこを誤ると国民の信頼を失って、また受信料の、以前に不払いなんということもありましたけれども、僕は受信料は民主主義の対価としてしっかり皆が納めるべきだと思っていますから、その期待に応えられるようにしっかりかじ取りをしていただきたいと思います。

 NHKの皆さんはこれで御退席ください。

古屋委員長 お二人の参考人は御退席くださって結構でございます。

奥野(総)委員 済みません、通告していないんですが、大臣に一点だけ。

 先ほどの岡本委員のところで、政府にいる立場として特定の政治団体のことには答えられないと一般論をおっしゃったんですが、そこがよく分からなかったんですけれども、大臣自体はこれで自分のことはお答えになりました、そういうことはないという話だったんですが。全然自分に関係ない政治団体について大臣として知り得ることをしゃべるというのは駄目だということですね、守秘義務とかですね。

 自分に関係のない政治団体については、おっしゃるとおり、政府にある立場としては話すことはできないと思うんですが、まさに自分の所属している政治団体について、そのことについて政府に属するから答えられないというのは私はちょっと違和感を覚えたんです。ほかの委員の方もおっしゃっていましたけれども。政府にいる立場として自分の所属する政治団体についてなぜ答えられないのか、そこはどういう理屈でしたっけ。

鈴木(淳)国務大臣 私自身、清和政策研究会のメンバーではありますが、全容は存じ上げておりません。また、総務省としても、調査権限を持っていませんから立ち入ることはできません。

奥野(総)委員 でも、少なくとも自分の知り得ること、個人の範囲で知り得ること、自分が受け取っているかどうかとか、どういう処理をなされていたかということについては答える権限はあると思うんですが、いかがですか。

鈴木(淳)国務大臣 それも含めて、私は閥務をやったことがありませんので、どういう処理をしているか分かりません。

奥野(総)委員 余りやると時間がなくなるんですが、でも、御自分に対してどういうノルマが課されたとか、どういう手順だったかというのは恐らく分かると思うんですね。それについてまで答えないというのは私は不誠実だというふうに思います。時間がなくなっているので、済みません、これで。大臣は御自分のことはお答えいただいたんですけれども、一般論のところが少しひっかかったのでお尋ねした次第です。

 それで、交付金の話です。今日は神田政務官がお見えですね。この前、来ていただいて、均等割世帯について検討中だという話をされました。私からは、ほぼ十万円になるんじゃないですかと。それも検討中だという話でした。

 しかし、一つだけおっしゃったのは、なるべく早くお届けしたい、こうおっしゃっていたわけですが、それについて予備費で措置をするというような報道がなされています。なるほど、非課税世帯については補正予算が成立したので、恐らく各自治体で十二月議会で補正が通れば給付が始まると思うんですけれども、政務官がおっしゃるように均等割世帯に一刻も早く届けようとすると、予備費を使って出せば早く届くことになると思うんですが、その辺りはいかがですか。

 それからもう一点、通告していませんが、今日の新聞に低所得の子育て世帯にも追加で一人五万円という報道があったんですが、これも予備費でという報道だったと思いますけれども、事実関係はいかがでしょうか。

神田大臣政務官 奥野委員の御質問にお答えいたします。

 今御指摘のありました新聞報道につきましては、私どもも承知はいたしております。

 御質問の住民税均等割のみ課税される世帯につきまして、給付水準につきましては、住民税非課税世帯への支援と同等又は同水準を目安として現在検討中ということは先日お答えさせていただいたとおりです。

 また、給付時期につきましても、真っ先に給付を行う住民税非課税世帯に引き続き迅速に支援していくということも我々としても重要だというふうに認識しております。自治体の事務負担を踏まえつつ、できるだけ早期に支援していきたいというふうに考えております。

 令和六年度の税制改正と併せまして本年末に成案を得るべく、今、引き続き検討を進めているという状況です。

 なお、その財源につきましては、成案の内容を踏まえまして政府内で検討されるということになると承知しておりまして、現在、政府として何か方針を決定しているものではありません。

 また、御質問の一人当たり五万円の給付があるのではないかという報道につきましても、現在成案を得るべく検討しているということで、このタイミングで申し述べることはございません。

奥野(総)委員 五万円については検討している事実があるというふうにお認めいただけましたが、結構ややこしくて、今言ったように、補正で成立した部分、非課税世帯についてはこれから自治体で処理が始まる、一方、減税部分については税法の改正が必要でしょうから、どう急いだって来年の六月以降ということになります。追加で新たに令和五年に非課税世帯になる方あるいは均等割世帯になる方についても給付をするというふうにされているようですが、それについても年度明け、恐らく六月になるということですね。それから、減税し切れない方、今日の新聞だと一万円刻みで交付すると出ていますが、その方々についても恐らく、減税とセットですから、六月以降になるということになりますね。

 そうすると、早ければ年内に七万円の給付が始まる非課税世帯の方、減税に絡む方と今年新たに非課税世帯になる方、均等割世帯になる方は六月、その間に今申し上げた令和四年の均等割世帯の方々について急ぐとおっしゃれば、恐らく予備費しかないと思うんですよね。ですから申し上げたんです。

 予備費で使うことが私はいいとは思いませんが、もう一回確認ですが、急ぐということは予備費を使うしかないと思うんですが、違うんでしょうか。

神田大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 先日もお答えさせていただきましたように、お困りの皆様に迅速に届けていくということが非常に重要だと、委員御指摘のとおり、私どもも考えております。

 そのため、できるだけ早く予備費で出せるところは出すというふうに決めておりますが、はざまに落ちる方々という部分につきましては現在税制改正と併せて検討中ということですので、できるだけ早くという中で、ただ、財源などについてはまだ検討の途中ということでお願いいたします。

奥野(総)委員 ようやく予備費という話が出てきましたけれども。

 予備費を使うことは私はいいと思いませんが、急ぐという意味ではそれしかないと思うんですね。

 もっと遡って言えば、結構ばらばらばらばら思いつきのように出てくるわけですよ、所得の低い方のお子様一人当たり五万円というのが急に出てきたり、後づけで均等割世帯の十万円が出てきたりですね。最初にきちんと計画を立てて一括で給付すれば終わっていたんですね。補正で処理をして一括ですれば、年内あるいは年明けに各自治体で全員の給付が始まっていたはずなんです。やり方がどうも後手後手のような気がします。物価対策ということであれば、最初にきちんと対象の方を決めて補正予算でやるべきだったと思います。

 この件については以上です。

神田大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘の定額減税と住民税の非課税世帯に対する支援の間の方々に対する支援につきましては、重点支援地方交付金による自治体の対応を中心に検討を進めさせていただいております。

 今般の措置につきまして制度設計をしっかり行ってから進めるべきではないかという御指摘でありますが、まず、経済対策におきまして定額減税と低所得者支援等の支援の全体像をお示ししたということでございます。これを踏まえまして、自治体の事務の実態や御意見をよく把握しながら現在検討を深めているというところでございます。

 また、制度設計に当たりましては、分かりやすく事務負担が少なく簡素であること、特に低所得の方々への支援を迅速に行うこと、できるだけ公平で適切に行う、この三つの観点のバランスの取れた仕組みとなるよう現在検討しており、その際委員御指摘の自治体の過度な事務負担を避けるということも重要であるということで知恵を絞っております。

 年末までに成案を得るべく検討を進めているところでございます。

奥野(総)委員 ありがとうございました。これでこの質問は終わりですので、神田政務官、お帰りいただいて大丈夫です。

古屋委員長 御退席くださって結構です。

奥野(総)委員 次、ガバメントクラウドですけれども、今、岡本委員からもありましたが、標準化とセットということなんですが、どういうメリットがあるのか。自治体によっては二重投資になるところもあるわけです。既に自前でやっているところもあります。レガシーといって古いものは更改すべきですけれども、二重投資になる部分が出てきますよね。二重投資をしてでもというか、あえて許容してでもこれをやるメリットというのは何なんでしょうか。

 一つは、長い目で見たときにランニングコストが下がって元が取れるというのが一つあるでしょう。それから、セキュリティーがより向上するというのがあると思うんですが、標準化するガバメントクラウドの、今回、かじを切るメリットは何でしょうか。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化でございます。住民記録、地方税、介護、福祉といった地方自治体の二十の基幹業務につきまして標準準拠システムへ移行できる環境を整備する取組でございます。

 御質問がございました統一、標準化の取組を進めるメリットでございます。幾つかございますけれども、例えば、サーバー、OS、アプリを共同で利用することによるコスト削減、それから、アプリ移行の際のデータ移行が容易になるのでベンダーロックインを回避するということが可能になります。また、庁内外のデータ連携が容易となるということで申請時に一度記入した事項を何度も記入しなくても済むワンスオンリーのサービスを提供しやすくなる、ガバメントクラウドを利用することによりまして地方公共団体の情報システムに高水準で統一的なセキュリティー対策が実装可能になるということで、様々なメリットがあると考えてございます。

 これらによりまして、地方自治体の人的、財政的負担が軽減し、地域の実情に即した住民サービスの向上に注力できるようにしたいというふうに考えてございます。

奥野(総)委員 読売新聞の記事で、二五年までの移行が間に合わない自治体が三割あるということがありました。伺ったら、これは悉皆調査ではないので三割がどうかというのはあるけれども、間に合わないところがあるのは事実だということのようなんですね。

 初期投資については国が全部面倒を見なきゃいけないはずなんですよ、強制的に移行するわけですから。二五年を超えた場合に基金が使えなくなるというようなことがあるようですが、二五年を超えてもきちんと自治体のコストについては国が責任持って面倒を見るということを大臣に言っていただきたいんですけれども。

鈴木(淳)国務大臣 デジタル基盤改革支援基金の設置期限につきましては、地方公共団体情報システム機構法におきまして令和七年度末とされておりまして、各自治体においては、現在、移行作業に取り組んでいただいていると承知しております。

 標準準拠システムへの移行の経費を支援するデジタル基盤改革支援補助金でありますが、さきにお述べいただきました今回の補正予算で五千百六十三億円を追加計上し、総額六千九百八十八億円を確保したところでありまして、各自治体の取組の加速化を図ってまいります。

 他方で、一部のシステムにつきましては、移行作業に多くの時間を要する場合や、事業者が撤退するなどの事情もあります。現在、令和七年度末までの移行が困難と考えられるシステムを保有する自治体につきましては調査を行っておりまして、その内容も踏まえて、移行困難システムに係る対応を検討してまいります。

奥野(総)委員 済みません、マイナンバー総点検を質問の予定でしたけれども、先ほどの岡本先生とかぶってしまって、準備していただいて申し訳なかったんですが、これで終わりたいと思います。ありがとうございました。

神田大臣政務官 済みません、失礼しました、先ほどの私の答弁で、住民税均等割非課税の世帯について予備費でというふうに申し上げましたが、補正予算での間違いでした。訂正させていただきます。

奥野(総)委員 補正の費目で埋めるということですか。

神田大臣政務官 住民税非課税世帯に対する給付につきまして、補正予算で手当てするということになっております。

奥野(総)委員 もう一回確認です。均等割世帯について予備費というのはいいんですね。(神田政務官「ではないです」と呼ぶ)言っていないと。

神田大臣政務官 均等割のみ課税の世帯につきましては、現在検討中というところでございます。

古屋委員長 時間が来ております。

奥野(総)委員 そこのところは、さっき予備費とおっしゃっていたと思うんですよ。後で議事録を精査しますけれども。それで、予備費と言ってくださったんですねと、随分踏み込んだなと思って喜んだんですけれども。

神田大臣政務官 予備費も含めて検討中というふうに申し上げたつもりでございました、失礼いたしました。

奥野(総)委員 余りやってもあれですから、後で議事録をちょっと精査してみます。

古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。

中嶋(秀)委員 日本維新の会の中嶋秀樹です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 消防の広域化、そして救急搬送に関しての質問をさせていただきます。

 四月の統一選挙におきまして我が選挙区の首長選挙があったんですけれども、そちらの方でも争点として消防の広域化というものを取り上げた中、選挙が行われて、やはり国民の関心が大変高い問題だと思っていますので、本日はよろしくお願い申し上げます。

 我が国の消防は、昭和二十三年に地域に密着した市町村消防として発足し、その間、関係者の努力の積み重ねにより、その充実強化が図られ、火災の予防、消火はもとより、救急、救助から地震、風水害等への対応など、広範囲にわたり国民の安全、安心の確保に大きな役割を果たしてきました。また、国際的に見ても、我が国の消防は、技術、施設設備等の面におきましても、人命を救うという姿勢や練度においても海外から高い評価を受けていると思います。

 しかしながら、我が国の消防本部は小規模なものが多く、こうした小規模消防本部の中には、要員の確保や資機材の整備に限界があるため、災害発生時を始め、高齢化等に伴い増加する救急需要に対する適切な対応や、予防査察、違反処理、火災原因の調査、危険物施設の防火安全対策等、より一層専門化する予防業務への対応などについて、なお不十分なところが少なくないのが現状だと思います。

 そのような中で、特に規模の小さな市町村では隣接する市町村で消防事務を共同で行ういわゆる消防の広域化をどんどん進めていくべきかとは思うのですが、現状についていろいろと確認させていただければと思います。市町村の消防の広域化の現状と広域化のメリットについて、まず教えていただきたいと思います。

五味政府参考人 平成十八年に消防の広域化が消防組織法に位置づけられて以降、広域化等により全国の消防本部の数は八百十一本部から七百二十二本部に減少しているところでございますが、近年その進捗が鈍化してきております。

 しかしながら、災害の大規模化、激甚化、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などの昨今の社会環境の変化を踏まえますと、消防の広域化をこれまで以上に推進していくことが重要であると認識しております。

 また、広域化のメリットについてのお尋ねがございました。

 これにつきましては、消防が小規模本部を含めまして広域化することによりまして、共通の事務などが効率化することによりまして人員の最適な配置などもできるようになりますし、効率的な機器整備などによりまして消防力の強化が図られるということで、効率化しつつ消防力を高めていくことができるということがメリットであると存じます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 総務省としては、御説明していただいた消防の広域化の現状をどのように評価しておられますでしょうか。鈍化されていますというような御発言が今ありましたけれども、想定どおり進んでいるのかどうか、また、何か進みにくい原因があるのかどうかなどについてお伺いいたします。

五味政府参考人 ただいま御答弁申し上げましたが、鈍化してきているということでございますが、やはり状況としては、災害の大規模化、激甚化等を踏まえますと、より一層の進捗が必要であるというふうに考えているところでございます。

 そうした中で、なかなか広域化が思うように進まないところがある要因といたしましては、広域化に伴う新たな事務負担の増加、消防本部ごとに異なる給与体系、部隊運用等に関する調整、また周辺市町村への消防力の流出のおそれといった懸念や課題によりまして広域化にちゅうちょするという消防本部がありまして、消防本部間の調整が進みにくくなる事例が見受けられるというふうに認識しております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 広域化の狙いは、統一的な指揮の下での効果的な部隊運用、本部機能統合により本部の人員は集約し現場の人員を増強できる、高度な機材を共有できたり計画的に整備できる等ありますが、まとめるスケールメリットを生かして効果的に人材、機材などリソースを配置しようとすることで、人口三十万人を目安としていると思われます。

 一方で、広域化の狙いには、災害発生時における初動体制の強化、消防署の配置や管轄区域の適正化による現場到着時間の短縮があると思います。人口目安のスケールメリットで広域化を進めると、面積目安で考えたときには初動や到着時間の短縮において無理がある地域も多数あると思いますが、それについてはどう解決する意図でございますでしょうか。

五味政府参考人 広域化後の消防本部の管轄人口でございますが、御指摘のとおり、おおむね三十万人以上を一つの目標とすることが適当ではございますが、規模の目標には必ずしもとらわれず、管轄面積の広さなどの地理的条件など、地域の事情を十分に考慮する必要があると認識しております。

 お尋ねの現場到着時間の短縮でございますが、広域化によりまして消防本部の管轄する区域面積は広がることになりますが、従来の管轄区域を越えて消防活動を行うことができるため、災害地点に近い消防署所からの出動によりまして迅速な対応が可能になるという面がございます。

 さらに、従来の管轄区域の境界付近にある近隣の消防署等を効率的に統合、再配置することが可能になりますので、そうした体制が整備されることによりまして、より迅速に災害に対応できるようになることが期待されます。

 なお、こうした広域化に伴う消防署所の再配置等に係る整備費についてでございますが、有利な財源措置である緊急防災・減災事業債の活用が可能となっております。

 各消防本部におきましては、こうした広域化の効果を踏まえた上で、地方財政措置も活用しながら、広域化後の管轄区域全体を俯瞰した適正な体制の構築をしていただきたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 特に、広域化の好事例についてお伺いしたいと思います。人口、面積、予算等、各要素を検討し、ここは広域化がうまく進んでいるなというような事例はございますでしょうか。

五味政府参考人 私どもの承知している例でいきますと、管轄人口が約三十三万人で面積が一万平方キロメートルを超える大規模な広域化を行ったとかち広域消防局ですとか、地域の中心となる市が近隣の町村から消防事務を受託して広域化した熊本市消防局では、広域化によりまして、災害が発生した際に直ちに出動できる部隊数の増強による対応の迅速化、従来の管轄区域を越えた消防活動の実施等による現場到着時間の短縮、またデジタル無線の整備費や運営経費等の予算の削減など、様々な効果が生まれているという事例がございます。

 このほかの地域におきましても、広域化による規模の拡大や効率化によりまして、消防部隊において高度資機材を導入するなどの機能強化や、機能が重複した特殊車両の代わりに別の有用な機能を有する車両を導入した、あるいはまた火災予防の専任担当者を配置できたといった好事例があるものと把握しておりまして、今後ともこういった優良事例を各消防本部と共有してまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 次に、消防の広域化に関して、消防指令センターの共同運用についてお伺いいたします。

 私の地元の京都府八幡市を含む京都府南部九消防本部、構成十六市町村では消防指令センターの共同運用を検討しております。消防指令センターを共同運用することにより、今まで以上に地域の住民の皆様に安心、安全を実感していただき、サービスが低下することのないようにしていかなければならないと考えております。

 例えば、先ほど申しました京都府南部では随分前から指令センターの問題が上がっておりますが、なかなか進まず、やっと二〇二七年に向けて具体的に動き出しました。計画どおりに進めばと思っておりますが、なかなか進まずに来ている原因は何だとお考えでしょうか。

五味政府参考人 広域化や指令センターの共同運用の開始までに時間を要する理由といたしましては、現行の指令システムの更新時期が異なることや、構成市町村間における負担金の調整に時間がかかること、広域化に伴う新たな事務負担等が増加することなどといった懸念や課題によりまして広域化、共同運用にちゅうちょする消防本部があり、消防本部間の調整が進みにくくなる事例があるというふうに考えております。

 消防庁といたしましては、今年度から、指令センターの共同運用に参画する消防本部が現行の指令システムの更新時期を共同運用に参画する他の消防本部と合わせるために必要となる割増し経費につきまして特別交付税の対象としたところでございます。

 また、各消防本部の抱える課題等に対しましては、地域ブロックごとの説明会の開催、広域化推進アドバイザーの派遣、通知等による情報提供などを通じまして広域化等の効果も併せてしっかりと助言、周知していくことによりまして、消防本部の広域化等を後押ししてまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。既に進んでいる全国の指令センターもそうですけれども、京都府南部消防本部の指令センターの共同運用の検討において、自治体から相談があれば、是非必要な支援をしていただきたいと思います。

 それでは、少子高齢化そして人口減少が続く我が国において地域の消防力を維持向上していくためにも消防の広域化を進めていくべきだと思いますけれども、総務大臣の御見解をお伺いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 お答えの前に、まずは、中嶋委員、消防に対する熱い思いと期待を寄せていただき、本当にありがとうございます。

 近年の災害の激甚化、頻発化を踏まえますと、最前線で国民の生命財産を守る消防の果たす役割はますます増大いたしております。

 そのため、消防庁としましては、消防の広域化などによる常備消防の充実強化、DXの推進や車両、資機材の充実など緊急消防援助隊の充実強化、消防団を中核とした地域防災力の向上に取り組んでいるところでございます。

 先日成立しました令和五年度補正予算におきましても、DX資機材や消防庁ヘリコプターなど緊急消防援助隊の車両、資機材の充実や、消防団への多機能消防車の無償貸与や消防団員に対するドローンの講習などを盛り込んでおりまして、これらにより消防防災力の更なる充実強化を図っております。その一環も消防の広域化であります。

 国民の生命財産を守るという消防の使命を果たすために、我々は全力を尽くしてまいる覚悟であります。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。消防の広域化等により地域の消防力が向上し、今まで以上に地域の方々へ安心、安全をお届けできるよう、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 本日は、消防と救急について御質問させていただく予定で厚労省の御担当の皆様にお越しいただいておりましたが、時間が来てしまいましたので、是非またの機会にお願いしたいと思います。

 質問は以上で終わりとさせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、阿部司さん。

阿部(司)委員 日本維新の会、阿部司です。

 今日は、大阪・関西万博をテーマに質問してまいりたいと思います。

 万博は、世界の英知が集まって、近畿圏のみならず全国の地域を元気にする絶好の機会だと考えております。この好機を生かすためにオール・ジャパンで何ができるのか、何をすべきなのか、この点について御議論させていただきたいと思います。

 まず、総務大臣は法に基づく国際博覧会推進本部員でありますが、行政管理、テレコム、地方といった総務省の所管業務に鑑みてどのような役割を期待されているとお考えでしょうか。大臣、お願いします。

鈴木(淳)国務大臣 令和二年に閣議決定されました基本方針におきましては、大阪・関西万博を新たな技術やシステムを実証する場と位置づけまして、国内外の多様なプレーヤーによるイノベーションを促進し、それらを社会実装していく未来社会の実験場とするとされております。

 総務省としましては、基本方針等に基づき、AIを用いた多言語同時通訳による言葉の壁から解放された万博体験の実現や、二〇三〇年頃に実現予定の新しい通信環境を先行的に体感できるビヨンド5Gレディーショーケース等の準備を進めております。

 大阪・関西万博は国を挙げた一大イベントでありまして、二〇二五年の開催に向けて、関係府省と連携し、着実に取り組んでまいります。

阿部(司)委員 万博のアクションプランにおいて、今大臣がおっしゃられたように、総務省の役割として、主にテレコム、テクノロジー関連の取組が記載をされております。しかし、総務省は地方の取組を人的、財政的に支援し活性化する役割も担っておりますので、万博というチャンスを最大限に生かして、全国の自治体のバックアップに一定の役割を果たしていくことが重要であると考えております。

 その上で、まず、万博のもたらす効果について改めて確認をしたいと思います。大阪・関西万博の経済効果というのが二兆円以上、来場者が二千八百二十万人を超えると試算されております。万博の基本方針ではオール・ジャパンの取組を進めることとされておりますが、近畿圏以外の地域にもたらす効果に関する御見解、こちらは、本日、内閣府政務官にお越しいただいているので、お願いします。

石井大臣政務官 阿部委員にお答えいたします。

 大阪・関西万博は、国内外から先ほど委員がおっしゃられましたとおり二千八百二十万人、うち海外から三百五十万人の来場を見込み、大きな人流が生まれ、世界から注目が集まるとともに、世界中から様々なアイデアが集まる、そのような場となります。国を越えた交流や、会場を起点とした日本全国への観光、会場での魅力発信など、様々な取組の契機となっていきます。

 こうした万博の特徴を踏まえて、全国の交流人口の拡大を目指す万博交流イニシアチブを打ち出し、万博を契機に全国の地域の活性化につなげていく取組を進めているところであります。

 例えば、被災地復興の情報発信に向けては、関係省庁と被災地の自治体が連携して、万博会場内での被災地の復興状況や最先端技術などの発信や、会場と福島をつなぐツアーの実施などの検討を進めております。

 大阪、関西のみならず、万博がもたらすメリットを全国が享受できるよう、全国の自治体で万博を契機とした地域活性化の取組が進むように引き続き取り組んでまいりたい、そう思っています。

阿部(司)委員 万博は今建設費のコスト増ばかりがクローズアップされておりますが、経済効果は二兆円以上、最も高く出るシナリオですと二兆九千億円と言われております。本来、投資を批判するのであれば、コスト増ではなくて、投資効果、投資効率、こちらを論点とすべきと思います。

 今の御答弁では、万博の効果は近畿圏だけでなく全国で、人流も出て、インバウンド、交流人口拡大の効果がもたらされるという趣旨でありました。地域活性化の絶好の機会であると思います。

 そこで、次の質問です。大阪・関西万博は、近畿圏だけでなくオール・ジャパンで盛り上げていかなければならないと思います。一方、万博の担い手である全国の地方自治体で機運が醸成されていると言えるのか、こちらは内閣官房にお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 全国の自治体における万博関連の取組につきましては、例えば、全国知事会に昨年七月に大阪・関西万博推進本部というのが設置されまして、全国都道府県への情報提供等を行うとともに、各都道府県庁ではカウントダウンボードというのも設置されております。そういう意味で、機運醸成の取組も実施していただいてございます。

 また、全国六百五十を超える市町村が参加する万博首長連合というのもございまして、万博会場内での催事の実施の検討、あとは万博弁当とかそういうものを作成したり販売を行ったり、様々な機運醸成や地域活性化につながる取組を進めてございます。

 さらに、福岡市、千葉県、あと大阪府の三自治体は、自主的に、今年九月から新たに連携して、万博の機運醸成に向けたイベントの開催とか、そういう取組をしていると承知してございます。

 このように、自治体で様々な取組が行われているところでございますので、引き続き、こうした取組とも密に連携して、より多くの自治体の機運が盛り上がるように、機運醸成に努めてまいりたいと考えてございます。

阿部(司)委員 是非、様々な取組を進めておられるということですので、一層頑張っていただきたいと思うんですけれども。

 次の質問に参りたいんですけれども、今の取組にとどまらず、万博の本部員たる各閣僚がその所掌の中で最大限取り組んでいくことが大事だと思っているんですけれども、先日の予算委員会では岸田総理は、大阪・関西万博は地方創生にも寄与するという趣旨の御答弁をされております。

 地方における万博関連事業の現状について、また、大阪・関西万博への積極的な取組を自治体に促していく上での課題、どのように認識をされているのか、内閣官房、お願いします。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 課題の認識につきましては、以前、自治体と万博関連の取組につきまして様々な意見交換を行った際には、自治体からは万博についてどのように絡めばいいかよく分からないというようなお声をいろいろ伺ってきたところでございまして、こうした自治体の声も踏まえまして、自治体に万博との連携のイメージを持っていただけるように、万博が持つ特徴、あと万博開催後のレガシーというもの、様々な観点から、そういうものにつながる取組を、昨年十二月に、国際交流、文化交流、観光、あと教育などの取組を取りまとめた万博交流イニシアチブというものを打ち出して、全国の取組を促してきているところでございます。

 現在実施している取組の現状という御質問もありました。

 万博交流イニシアチブを通じて、例えば、万博参加国と自治体の国際交流の取組については、全国二十九の自治体がモデル事業に取り組んでおります。また、万博会場内で催事というのも実施できることになってございますので、都道府県のうちの四十自治体が実施に向けた検討を進めてございます。また、万博を通じた文化発信というものを文化庁が支援してございまして、全国で四十八事業が日本博二・〇というところで採択されて、実施しているところでございます。

 そういう意味で、全体的に、北は北海道から南は沖縄まで、ほとんどの都道府県エリアで取組を進めているという状況でございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 まず、国際交流事業、こちらは二十九。あとは、様々なお取組を始めている自治体、幾つか数字が出ましたけれども、全国に自治体は幾つあるかというと、千七百以上あるわけですね。例えば、国際交流事業に参加をする二十九自治体、これでいうと二%に満たない数字ということで、全国の地域活性化につなげていくという観点からすると、まだまだ少ないと言わざるを得ないと思います。正直言って、全体的に腰が引けている印象を受けております。今、どう絡んでいいか各自治体も分からないといった課題認識がございましたけれども、更に積極的な後押しが必要だと思います。

 そこで、お伺いします。自治体向け万博推進支援の取組としてデジタル田園都市国家構想交付金の活用があると思いますけれども、こちらの活用状況はいかがでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 デジタル田園都市国家構想交付金は、地方公共団体の地方創生に資する自主的、主体的で先導的な取組を支援するものです。

 本交付金においては、これまでも、万博を契機として実施される各地の地方創生に資する事業などの支援を行ってきております。

 例えば、万博と連携した周遊ツアーの造成、観光コンテンツの発掘、プロモーション、ビジネスマッチングの機会創出、インバウンド客誘致に向けた多言語対応のポータルサイト構築などの取組に活用されていると承知しております。

阿部(司)委員 今、こちらは様々に事業に活用されているという御答弁だったんですけれども。

 二〇二五年日本国際博覧会に関連して実施される地方創生に資する事業等についてデジタル田園都市国家構想交付金により支援することを検討として、交付金に関する資料で四つほど事業がピックアップされておるんですけれども、京都府、関西広域連合、和歌山県有田市、奈良県。

 万博というチャンスを十分に生かしているかというと、まだまだ数が少ないのではないかと思っております。先ほど御答弁にもあった二十九自治体の話もそうですけれども、要は、オール・ジャパンで盛り上げなければいけないという割に政府の取組が不十分なのではないか、更に言うと、もっと総務省からも側面支援、バックアップをしていくべきなのではないかなと考えております。

 例えば、兵庫県では、各地をパビリオンに見立てたフィールドパビリオンを推進していると聞きます。デジタルによる新しい博覧会の形というのは基本方針にも明記されておりますし、ここは、デジタル田園都市国家構想交付金に万博枠を設けて、集中的に地方団体、特に市町村の後押しを行って機運醸成につなげるべきではないかと思いますが、政務官、御見解をお伺いいたします。

石井大臣政務官 おっしゃるとおり、万博のチケットが十一月三十日から販売も開始されたところであって、また、一つ一つですけれども、まあ一歩一歩と言っていいかもしれません、全国での機運醸成をしっかりと一層進めていくことが必要である、そう感じております。

 今般成立した令和五年度補正予算においても、各府省との施策と連携して、全国的な機運醸成に向けて合計三十億円の予算を確保させていただいたところでございます。

 具体的には、先ほどからの説明もありましたとおり、例えば、全国の子供たちに万博を学習の機会として活用してもらえるような出前授業や、先ほど話がありましたとおり、自治体と万博参加国の交流を深めていく促進事業、あるいは自治体が万博の機運醸成のために実施する文化芸術事業、これは自治体が文化芸術事業をやる際に万博というテーマも何らかの形で加えていただけないかというような趣旨でもございますし、そういったことを行うこととしております。加えて、御指摘のデジタル田園都市国家構想の交付金についても、万博を契機として新たに実施する地方創生に資する取組を支援するための枠組みを新たに設けさせていただいたところであります。

 これらの取組も通じて、デジタルを活用した取組を含めて、全国の自治体における万博を契機とした地域活性化の取組を進めて機運醸成につなげてまいりたい、そう思っております。

阿部(司)委員 念のため確認なんですけれども、デジタル田園都市国家構想交付金に実質的に万博枠を設けるという理解でよろしいでしょうか。政務官、お願いします。

石井大臣政務官 交付金に万博枠という形を設けて、万博の機運醸成、今の段階では機運醸成ですけれども、それに資するものということで、デジタルを使って進めていっていただきたいという考え方であります。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 万博事務局もデジ田事務局もそれぞれの立場で万博の機運醸成と自治体のバックアップを頑張っているということで、是非お願い申し上げます。

 最後に、総務省には、テレコムの先端技術実装の観点だけではなく、地方団体との連携の観点からの期待も大きいと思うんですけれども、内閣府、内閣官房と連携して、地方を元気にする観点で、人的、財政的に総務省としてより積極的な役割を果たすべきではないかと思うんです。大臣、御見解をお願いいたします。

鈴木(淳)国務大臣 まさに総務省は各自治体との連絡の手段を持っていますので、それは進めていきたいと思っています。

 私の地域で実は二〇〇五年に愛・地球博をやりまして、最初は随分心配されました。ところが、結局、終わりましたら、本当によかったという感動が随分広がったんですね。当初はなかなか分かりません。ただ、やっていく中で育っていきますので是非期待をしますし、我々総務省も各自治体と連絡を取りながら応援体制をつくっていきたいと思っております。

阿部(司)委員 是非オール・ジャパンで頑張っていきましょう。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 先日、国民民主党として、特定失踪者問題調査会、特定失踪者家族会の皆様と意見交換をさせていただきました。これまでも総務委員会で各委員から質問されてこられた課題でございますけれども、北朝鮮向けラジオ放送「しおかぜ」使用通信機老朽化問題につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 今年も五月、十一月には全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会が開催されました。昨年の集会においては岸田総理大臣から、拉致問題を時間的制約のある人権問題として捉え、核・ミサイル問題と別次元で扱うという、これまでからはかなり踏み込んだ発言が昨年はございました。五月にも、首脳会談を早期に実現すべく私直轄のハイレベルで協議を行っていくと述べておられます。

 こういう問題ですので、表には出てこない水面下での協議が続いていると期待をするものでございますけれども、この一年間、進展のないままに月日が過ぎ、膠着状態が続いていることに、一刻の猶予もない御家族を始めとした御関係の皆様の御心痛は計り知れないものだと考えております。親の世代が存命中の解決、これは当然のこととして、拉致被害者や拉致失踪者御本人の三〇%も八十歳を超えているという現実も直視しなければなりません。改めて、一日も早い被害者の救出へ向けた我が国挙げての取組を改めて強くここで確認したいというふうに思っております。

 政府は、被害者の救出は国家の最重要課題として位置づけられております。その上で、拉致被害者と御家族をつなぐ唯一の手段であり、救出を待つ被害者の皆様にとって希望の光とも言える「しおかぜ」につきまして、これは特定失踪者問題調査会が行っております放送であるわけでございますけれども、この「しおかぜ」が果たしている役割について鈴木総務大臣の御見解、御認識をまずお伺いしたいと思います。

鈴木(淳)国務大臣 まさに時間的猶予がない課題でありますから全力で取り組みたいと思いますが、北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権及び国民の生命と安全に関わる重要な問題でありまして、国の責任において解決すべき喫緊の重要課題であると認識いたしております。

 その上で、短波放送「しおかぜ」は、北朝鮮内への情報伝達手段が限られている中で、拉致被害者等に向けた情報発信という極めて重要な役割を果たしているものと認識いたしております。

西岡委員 大臣から、極めて重要な役割を果たしているという御言及がございました。

 次に、NHKに、今日は参考人の方にお越しをいただいておりますけれども、お伺いをさせていただきたいと思います。実際にラジオ放送が行われておりますKDDI八俣送信所における国際放送用に包括的使用権を有しているのがNHKということでございまして、今日はお越しをいただいております。ありがとうございます、よろしくお願いいたします。

 NHKの経営計画に基づきまして、二〇二四年以降、KDDI八俣送信所において、老朽化した百キロワット送信機二機を破棄して三百キロワット送信機四機体制に移行する方針というふうにお伺いをいたしております。特定失踪者問題調査会として、これまでも破棄ではなく更新していただくことを要望されてきており、この委員会でも先ほど申し上げたように質疑があっている状況でございますけれども、今回、十月十一日に調査会として、NHK稲葉会長宛てにKDDI八俣送信所短波施設維持に関する要請書が出されまして、文書で要請が出されたのは初めてであるというふうに聞いておりますけれども、二機の破棄ではなく新たな同出力の送信機の更新が希望されたところでございます。現状につきましてNHKにお伺いをさせていただきます。

寺田参考人 お答えします。

 「しおかぜ」に対し、NHKは人道上の見地から可能な範囲で協力しております。NHKの業務に支障がないことなどを条件に、NHKが短波による国際放送の発信に使用しております送信機の一部を、調査会、KDDI、NHKの三者による覚書に基づき「しおかぜ」には使用しております。

 送信設備移行作業は、二〇二四年度後半から最大十か月間の想定で実施する予定です。この作業中は一定期間「しおかぜ」は一波での送信となる見通しですが、この作業は今後も「しおかぜ」を安定的に継続していくために必要な作業と考えております。

西岡委員 今、NHKの方から、工事期間中に十か月は一波放送になるという御言及がございましたけれども、「しおかぜ」の放送に対しては二〇〇六年から止まることのない北朝鮮からの妨害電波が出されておりまして、その北朝鮮からの妨害電波を避けるために二波同時送信を行っているとお聞きいたしております。

 現在の百キロワット送信機二機体制から先ほど申し上げました三百キロワット四機体制に移行した場合に十か月の期間は二波同時放送が一時的とはいえできなくなるという事態が生じることに対して、政府としてどのように受け止め、これに対してどのような支援をしていく方針であるかということを、まず総務省にお聞きした後、鈴木総務大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのありました送信機の移行工事、一時的に一波での送信とはなりますが、移行後も「しおかぜ」を二波体制で安定的に継続していくために必要な作業であるというふうに認識しているところでございます。

 総務省といたしましても、短波放送施設を所有、管理するKDDI、「しおかぜ」の免許人であり設備を賃借しております特定失踪者問題調査会、そして同じ設備を賃借して国際放送を行っておりますNHK、この三者間での取決めに基づきまして運用されており、現在、これら関係の三者間で設備の移行に向けた協議が行われているものというふうに伺っているところでございます。

 引き続き、関係の三者間で協議を尽くしていただき、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう適切に対応してまいる所存でございます。

鈴木(淳)国務大臣 ただいま情報流通行政局長が答弁したところでありますが、送信設備の関係は、必要な工事を経た上で、設備移行後も残る送信機二機を活用して「しおかぜ」を継続して運用することができますように検討すると聞いております。

 総務省としましては、関係者間で協議を尽くしていただき、「しおかぜ」の担う重要な役割等を踏まえ、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、関係府省と協力して適切に対応してまいりたいと思います。

西岡委員 今、この工事も含めてしっかり二波体制を維持していくために必要なことであるという御言及がございましたし、総務大臣からもあったわけでございますけれども、一刻の猶予もない状況で、岸田総理大臣もこれまでにない踏み込んだ御発言をしている中で、北朝鮮からの妨害電波というものは引き続き続くというふうに想定されますので、その中で「しおかぜ」が届く意味というものがこれまで以上に大変重要な役割を担っているというふうに思います。十か月間は一波放送であるということの意味、与える影響というものをやはりしっかり受け止めていただきたいというふうに考えるわけでございます。

 NHKにお尋ねをいたします。今後三百キロワット送信へ移行した場合に、二波同時放送の安定的な確保のための工事ということを今おっしゃいましたけれども、しっかりこれが工事後に確保されるのかどうか。放送時間の編成、今編成をしているものと変わらない範囲での編成が可能なのか。また、通信障害が起こったときの代替送信の問題や、三百キロワットとなることによって電気代金の増加というものも想定をされるわけでございます、現在の送信環境を維持できるのかどうか。様々な懸念の声が出されているわけでございますけれども、十月に調査会から出されたNHKに対する要請に対して今後NHKとしてどのように対応していかれるのかということも含めて、御見解をお伺いしたいというふうに思います。

寺田参考人 お答えします。

 ここまでもありましたように、移行作業中は一定期間「しおかぜ」は一波での送信となる見通しでありますが、作業終了後は、業務に支障がないことなどを条件に、二波同時放送の確保の御懸念も踏まえまして安定的な継続を検討してまいります。

 今後につきましても、調査会、KDDI、NHKの三者による協議の場におきまして調査会から御要望をいただいた際には、三者で結んでいる覚書を踏まえまして検討してまいります。

西岡委員 今NHKから御答弁があったわけでございますけれども、通信機器の更新という問題であって、NHKの予算とも連動する問題でございまして、二〇〇七年から人道的な見地でということでNHKの業務に支障のない中で御協力をいただいているわけでございますけれども、先ほど申し上げたように、国家として最重要課題である拉致被害者に対して大変重要な役割を担っている放送であるということを含めて、NHKにおかれましても、この要請に対して真摯なお取組そして引き続きの御検討をお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、「しおかぜ」の果たしております重要な役割、そして先ほども申し上げました我が国の救出へ向けた意思を明確に示す意味でも、また、日本唯一の海外向けの短波放送を担っているのがKDDI八俣送信所であり、北朝鮮問題を始めとして、有事における短波送信、アナログ通信の優位性や重要性は昨今の国際情勢からも明確となっております。ウクライナ侵略においても、まずインターネット環境が遮断をされるという事態が起きております。NHKや民間における維持が困難な状況であるならば、国が主体的に関わって設備の維持管理を支援すべきであるというふうに考えますけれども、このことに対して総務省に御見解をいただいた後、鈴木総務大臣に御見解、御認識をお伺いいたしたいというふうに思います。

小笠原政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のありましたとおり、また先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、御指摘の拉致問題につきましては、国の責任において解決すべき喫緊の重要な課題であるというふうに認識しており、そのために「しおかぜ」を継続して運用することができるようになるということが極めて重要であるというふうに認識しているところでございます。

 繰り返しになって恐縮でございますが、そうした「しおかぜ」の設備の使用関係につきましては、設備の所有者でありますKDDI、免許人である特定失踪者問題調査会、そして施設の賃借人でありますNHK、この三者間での取決めに基づいて定められており、これら関係の三者間で現在運用調整が行われているというふうに伺っております。

 現在、送信機の移行工事が行われているということでございますが、その工事を行う計画につきましては、これは、「しおかぜ」を継続して運用することができるようにするため、そのための検討であるというふうにお聞きしているところでございます。

 総務省といたしましては、こうした関係の三者間での協議を尽くしていただき、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(淳)国務大臣 北朝鮮内への情報伝達手段が極めて限られている中で、「しおかぜ」というものはまさに拉致被害者等に向けた情報発信に極めて重要な役割を担っておりますので、我々総務省としましてもしっかり多角的な観点から応援をしたいと思っています。

西岡委員 安定的な運用を図るための更新というか工事であるということでございますけれども、十か月間は一波放送せざるを得ない、こういう状況に対しては、やはりそこはしっかり二波放送が確保される体制を維持するということも私は大変重要な我が国としてのメッセージにつながることであるというふうに思いますけれども、このことに対して、総務省でも結構ですけれども、一波放送が十か月続くということ、このことについてもっと真摯に国として関与をした中で是非御検討いただきたいと思いますけれども、再度御見解をいただけませんでしょうか。

小笠原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、一波の送信という状態がしばらく続くということは御指摘のとおりであります。

 ただ、この工事の目的が、送信機二台を活用して、その後、安定的、継続的に運用することができるような、このための計画であるということ、これは申し上げているとおりでございますが、こうした計画をきちんと果たし、送信機二台で安定的に継続して運用していくことが非常に重要なことではないかというふうに考えております。

 関係者、KDDI、拉致失踪問題調査会あるいはNHKの三者間の協議を尽くしていただき、拉致被害者等に向けた情報発信に支障がないよう適切に対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 是非、引き続き、「しおかぜ」放送の持つ大変重要な役割を鑑みていただきまして、国としてしっかり支援していただくことをお願いして、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 今日は、NTT西日本の子会社二社から九百万件の個人情報が流出した問題を取り上げたいと思います。

 配付資料を見ていただきたい。朝日、十月十八日付の記事であります。

 NTTマーケティングアクトProCXがコールセンター業務を請け負った企業や自治体など、五十九の顧客が持つ個人情報が二〇一三年七月頃から今年一月頃にかけて約十年間にわたって流出していって、気づかず見逃していたという事件であります。流出させた元派遣社員は名簿業者に情報を渡したと説明していると報じられております。

 今日は個人情報保護委員会に来ていただいております。個人情報保護委員会に事件の全容を御説明いただきたい。

大槻政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの事案については、NTTマーケティングアクトProCXが、民間企業、地方公共団体等からテレマーケティング等に係る業務委託を受けてコールセンター業務を実施していますところ、同社が利用するコールセンターシステムの運用保守業務を担うNTTビジネスソリューションズにおいて、同システムの運用保守業務従事者が顧客情報約九百万件を不正に持ち出し、第三者に流出させていた事案であると承知をしております。

 個人情報保護委員会におきましては、関係する事業者等から漏えい等報告を受理し、必要な調査を開始しているところでありますが、その内容につきましては、現在調査中の段階であるため、詳細を申し上げることは差し控えさせていただきます。

宮本(岳)委員 どういう状況の下でこれが流出したのかということについては説明しないという立場なんですね。これが個人情報保護委員会の答弁で、大変難渋しているわけです。この間、ずっとこの調子なんですね。この新聞記事は十月十八日付でありまして、今日は十二月七日でありますから、報道から既に一か月以上、もう二か月弱たっているわけですね。ですから、刻一刻と情報流出させられた方々については深刻な事態が進んでいるわけですよね。

 個人情報保護委員会に重ねて聞くんですけれども、個人情報を漏えいされた被害者本人から問合せがあった場合でも調査等の状況は明らかにしないんですか。

大槻政府参考人 個人情報保護委員会におきましては、相談する電話、ダイヤル等を設置しておりまして、様々な事案や身近な相談事につきまして、被害者本人につきまして問合せを受ける体制は整備しております。

 その際、本人の御質問に応じて個人情報保護法の解釈等の説明を行っておりますが、個別の事案の調査等の状況につきましては、先ほどお答えしたように、お答えはしてございません。調査結果が公表されました場合には、当該公表結果を説明することになるかと思います。

宮本(岳)委員 個人情報保護委員会は何も語らないばかりか、被害者本人の問合せにも実は詳しくは答えないんです。全く、個人情報の流出事案や事故から国民のプライバシーの権利を守る上では、はっきり申し上げてほとんど役に立たない組織だと言わなければなりません。二〇二一年九月に個人情報三法の一元化をしてかえってブラックボックスになっている、これは指摘をしておきたいと思います。

 仕方がないので、総務省に聞きたい。総務省は、自治体の保有する個人情報をも含む個人情報の流出事件について、局長でいいんですけれども、全容を説明できますか。

山野政府参考人 株式会社NTTマーケティングアクトProCXへコールセンター業務を委託し、不正に個人情報が持ち出された又は持ち出された可能性があるということで公表されている団体がございますので、その数は三十三団体ということは把握してございます。

宮本(岳)委員 今のは情報流出した自治体の数についてお答えになったんですね、そうですよね。どのような状況の下でこれが流出したかということについての説明は、個人情報保護委員会もやりません。総務省に聞くと、個人情報保護委員会の所管であり、総務省からは説明できないという答弁を繰り返しいただくわけですね。

 ただ、おっしゃるとおり、自治体の情報が出ているわけですから、知らないでは済みません。住民からお預かりしている大切な個人情報の大規模流出事件についてどういうふうに受け止めるか。

 この記事を見れば、福岡県の自動車税関連の個人情報が最大十四万人分流出した、大阪府河内長野市では市税納付が遅れていた人の個人情報が最大四千四百件漏れたおそれがある、同じく岸和田市ではメタボ健診の未受診者約一万五千人分の個人情報が流出、東京都足立区でも最大七千人分の個人情報が流出したとされております。

 そこで、大臣にこれは聞かざるを得ないんですが、自治体の保有するこれら住民の個人情報が流出したことについて大臣はどう受け止めておられますか。

鈴木(淳)国務大臣 先ほど来答弁がありますが、今まさに個人情報保護委員会で調査中とは認識しておりますが、こうした違法行為によりまして住民の個人情報の漏えいが発生したことについては極めて遺憾でございます。

 自治体業務が複雑化、高度化する中で、住民サービスを向上させる観点からも、住民の個人情報を扱う業務についても委託が行われているものと承知いたしております。

 総務省では、地方公共団体の情報セキュリティーに関して、地方公共団体の情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインを示して、業務委託の際の契約項目に業務上知り得た情報の守秘義務を明記し規定するなど、必要な対策を求めてまいりました。

 引き続き、地方公共団体が個人情報を扱う業務を委託する際に情報セキュリティー対策の徹底を図れますように取り組んでまいりたいと思います。

宮本(岳)委員 私は当然の立場だと思うんですね。

 そこで、三十三自治体で実は情報流出しているという御答弁でございました。自治行政局長にその自治体名を全て答えていただけますか。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 公表している自治体として総務省が把握しているところでございますけれども、県では三重県、福岡県、沖縄県。市町では千葉市、町田市、足立区、射水市、黒部市、砺波市、氷見市、上市町、立山町、加賀市、能美市、鯖江市、福井市、浜松市、富士市、焼津市、稲沢市、小牧市、瀬戸市、豊橋市、半田市、みよし市、津市、河内長野市、岸和田市、堺市、豊中市、松原市、橿原市、鳴門市。以上でございます。

宮本(岳)委員 そのとおりですね。この三十三自治体は全て一応公表されております。個人情報の漏えいの規模の大きさ、事態の深刻さが伝わってきます。

 しかし、資料配付した記事の赤線部を読んでいただくと、NTTマーケティングアクトProCXと自治体が委託契約をしたにもかかわらず、自治体の保有する住民の個人情報が元派遣社員の勤務先であるNTTビジネスソリューションズのサーバーに保管されており、ビジネスソリューションズ社では、サーバーにアクセスできるIDを複数の従業員で共有、外部から持ち込んだ記憶媒体、USBに直接ダウンロードして持ち出せる状況だった、自宅など社外からアクセスすることもできたとありますね。

 もちろん、この元社員による不正流出は犯罪行為でありますけれども、自治体がその業務を外部委託した、その委託先で住民の個人情報を扱っていた会社の個人情報管理が全くでたらめだったという事案なんですよね。

 総務省は、先ほど大臣もお触れになったガイドラインを始め自治体の業務を外部に委託する際の情報セキュリティーについて様々定めていると思うんですけれども、その中身について改めて自治行政局長から御説明いただけますか。

山野政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省がお示ししております地方公共団体の情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインでは、業務委託の際の契約項目として、業務上知り得た情報の守秘義務、再委託に関する制限事項の遵守、委託業務終了時の情報資産の返還、廃棄等を明記することについて規定しているところでございます。

宮本(岳)委員 私は、今挙がった自治体の一つ、大阪府岸和田市の出身なんですけれども、メタボ健診、特定健診の電話勧奨業務に絡む未受診者約一万五千人分の個人情報流出については、既に市長名のおわびが一斉に届いている事実を確認しております。

 今回の岸和田市の情報流出事案は、平成二十八年度、すなわち二〇一六年度に実施した電話勧奨業務について発生したものであります。

 局長に聞きますけれども、平成二十八年、すなわち二〇一六年当時も地方公共団体における情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインは定められていたのか、そして、そこには今と同じく、先ほど御答弁いただいた、業務上知り得た情報の守秘義務、あるいは再委託に関する制限事項の遵守、委託業務終了時の情報資産の返還、廃棄等は明記されていたのか。事実をお答えいただけますか。

山野政府参考人 平成二十八年度当時でございますけれども、例えば御指摘がございました情報の守秘義務、制限事項の遵守、情報資産の返還、廃棄、これらの項目についてはガイドラインに規定されております。総務省としては、各地方公共団体に対し、業務委託を行う際の情報の取扱いについて適切に助言を行っているところでございます。

宮本(岳)委員 では、それを確認するために、二〇一六年度に実施した岸和田市の特定健康診査受診電話勧奨業務について、岸和田市と株式会社NTTマーケティングアクトProCXとの契約書を確認することは可能ですか。

山野政府参考人 個別の問題について、特段、我々の方から岸和田市に個別でお聞きしているわけではございません。

宮本(岳)委員 分からないんですか。確認できるかできないかも分からないまま、今いるということでいいんですね。

山野政府参考人 御指摘の点につきましては、これは個人情報保護委員会で今調査中でございますが、私ども、ProCX社と岸和田市の契約内容について事務担当から確認はいたしております。

 その内容につきまして、岸和田市からは、平成二十八年度に株式会社NTTマーケティングアクトProCXとの間で特定健康診査受診電話勧奨業務について交わした契約書は文書保存期間の超過のため廃棄されており、存在しないとの回答をいただいているところでございます。

宮本(岳)委員 確認できないんですね、廃棄されておって確認できないという現状なんです。

 個人情報保護委員会に聞くんですけれども、漏えいした人数、関係する機関の多さから社会的な影響の大きな事案であると認識していると私の方にはお答えになりました。審査等が終了し、指導等をした段階では当然その結果を公表すべきだと思うが、いかがですか。

大槻政府参考人 お答えいたします。

 当委員会におきます事案の公表につきましては、事案の重要性と社会的な影響の大きさを踏まえて個別に判断することとしております。

 本件事案につきましては、漏えい等した本人の数、関係する機関の多さ等から社会的な影響の大きな事案であると認識をしておりまして、引き続き必要な調査を進めてまいりたいと思っております。

宮本(岳)委員 漏えいした人数、関係する機関の多さから社会的な影響の大きな事案であると認識しているというのであるから、当然公表されるべきものであります。

 個人情報保護委員会の調査の中では、それぞれの自治体が今回個人情報を流出させた企業と契約した際に本当に総務省の定めた地方公共団体における情報セキュリティーポリシーに関するガイドラインを守っていたかどうかが問われる、こうなると思いますが、個人情報保護委員会、それでいいですね。

大槻政府参考人 現在調査中でございますので、調査の詳細はお答えを差し控えますけれども、事案の全体の解明に向けて調査を進めていきたいと思っております。

宮本(岳)委員 この調査に当たって、契約書が廃棄されており、もはやないというような話が通るかどうか、私は引き続き注視をしていきたい。この問題は引き続き追及することを申し上げて、時間ですので、質問は終わります。

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十七分散会


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