衆議院

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第4号 令和6年2月20日(火曜日)

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令和六年二月二十日(火曜日)

    午後二時三十五分開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 国光あやの君 理事 斎藤 洋明君

   理事 田所 嘉徳君 理事 田中 良生君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      東  国幹君    井原  巧君

      石田 真敏君    尾身 朝子君

      金子 恭之君    川崎ひでと君

      木村 次郎君    小森 卓郎君

      坂井  学君    島尻安伊子君

      田畑 裕明君    寺田  稔君

      中川 貴元君    西田 昭二君

      西野 太亮君    根本 幸典君

      葉梨 康弘君    長谷川淳二君

      古川 直季君    本田 太郎君

      保岡 宏武君   おおつき紅葉君

      神津たけし君    福田 昭夫君

      藤岡 隆雄君    道下 大樹君

      吉田はるみ君    阿部  司君

      中嶋 秀樹君    吉田とも代君

      平林  晃君    宮本 岳志君

      西岡 秀子君    吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        馬場 成志君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   財務大臣政務官      進藤金日子君

   政府参考人

   (内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長)   坂本 里和君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上野 有子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (デジタル庁審議官)   藤田清太郎君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           笠置 隆範君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 高橋 秀誠君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 緒方健太郎君

   政府参考人

   (財務省財務総合政策研究所副所長)        鈴木 孝介君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 悦子君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君

   参考人

   (日本銀行理事)     貝塚 正彰君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     木村 次郎君

  川崎ひでと君     東  国幹君

  岡本あき子君     吉田はるみ君

  藤岡 隆雄君     神津たけし君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     小森 卓郎君

  木村 次郎君     尾身 朝子君

  神津たけし君     藤岡 隆雄君

  吉田はるみ君     岡本あき子君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     川崎ひでと君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事貝塚正彰さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房新しい資本主義実現本部事務局次長坂本里和さん、内閣府大臣官房審議官上野有子さん、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人さん、デジタル庁審議官藤田清太郎さん、総務省大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局選挙部長笠置隆範さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、消防庁次長五味裕一さん、財務省大臣官房審議官高橋秀誠さん、財務省大臣官房審議官中村英正さん、財務省大臣官房審議官緒方健太郎さん、財務省財務総合政策研究所副所長鈴木孝介さん、厚生労働省大臣官房審議官宮本悦子さん、中小企業庁事業環境部長山本和徳さん及び国土交通省道路局次長岸川仁和さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。おおつき紅葉さん。

おおつき委員 立憲民主党・無所属のおおつき紅葉です。

 早速、一問目の質問に入りたいと思います。まずは、地方交付税法等の一部改正案について伺います。

 さて、皆さん、今、冬の、もうすぐ春になってしまいますが、随分今日も暖かいです、朝起きて一番にやることは何ですか。私の出身の北海道では、今はまだまだ雪が多くて、やはりみんな雪かきから始めるんです。この大雪についての質問をさせていただきたいと思います。

 北海道では、毎年大量の雪が降ります。大雪が降るたびに、家の前の除雪はそれぞれの家の責任で、道路は毎回毎回除雪はやはりしなくちゃいけない。春に解けてしまう雪のための費用が自治体の財政を圧迫しているんです。今年も北海道の日本海沿岸では、十二月の下旬に平年を超える深い積雪となりまして、一月にもまとまった積雪がありました。そして、除雪費が増加して、自治体によっては補正予算で除雪費を追加しているような状況になっております。

 しかも、今年の特徴というのが、寒いときは雪が固まってそこを除雪して排雪すればいいんですけれども、暖かい日もあるんです。そうしたら、雪が解けちゃって、またその固まっていた雪がざくざくになってしまって、そこをまた除雪しなきゃいけない。つまり、二度手間になってしまって、大きな幹線道路から除雪していくので、小さい道を除排雪するのが遅れてしまっている状況なんですね。

 例えば、私の家の前は狭い道なんですけれども、去年は一月十三日に入っていた除雪が、今年は一か月遅れた除雪が入っております。このぐらい地方にとっては除雪の問題は大変な問題なんです。この一か月遅れた影響で、家の前で止まった車を何度も何度も見ました。それでJAFを呼んで助けてもらうというような、そんな生活の中で北海道民は暮らしているんです。

 さて、暖かくなってざくざくになってしまったときに地域で起こっている問題というのは、普通の乗用車が埋まるだけじゃないんです。

 ごみ収集車、毎日皆さんたちの家の前にも来ると思います。このごみ収集車も、細い道に入っていくと埋まっちゃうんですよ。埋まると、家の前からごみさえもよけられなくなってしまう。又は、そのざくざくの中、ゆっくりゆっくりごみを集めながら進むことによって、ごみ収集車で働く方々、そういった方々に残業代も払って遅くまでごみを収集している、そんな状況なんです。

 だから、道路の除雪というのは、住民にとっても働く人にとっても地域の産業を守るために不可欠なことなんです。除雪費の予算が乏しくなったからといって、自治体が道路の除雪をちゅうちょするなどといったことがあってはならないんです。かつ、もう一つ。人口減少の影響もあって、除排雪の担い手不足、そして技術の継承も、もはや今、深刻な問題なんです。

 そこで、まず伺います。自治体が予算の心配をせずに安心して除雪事業に取り組むことができるように、国交省による除雪費補助等の追加配分や臨時特例措置、そして特別交付税措置の充実などによって自治体を財政的に支援する必要があると考えますが、現在の各省の検討状況を伺います。

岸川政府参考人 お答えいたします。

 国土交通省では、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法、いわゆる雪寒法に基づきまして、地方公共団体が管理する道路の除排雪に要する費用の一部を支援しているところでございます。

 具体的には、年度当初に配分しています防災・安全交付金に加えまして、地域の降雪状況などに応じて、道府県には道路除雪費補助、市町村には防災・安全交付金を年度末に追加配分することとしております。

 この冬は暖冬と言われており、全国的には例年と比べて降雪量は多くはないと見込んでいますが、一方で、先生お話があったとおり、昨年十二月中旬に北日本の日本海側や北陸地方で大荒れの天気となり、特に北海道の日本海側では局地的な大雪によって観測史上最大の二十四時間降雪量を記録するなど、地域の生活に大きく影響を及ぼしました。

 現在、降雪状況や除排雪経費の執行状況などについて地方公共団体から聞き取りを行っているところでありまして、引き続き、地域の状況を丁寧に把握しながら道路除排雪への支援に努めてまいります。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 自治体の除排雪経費につきましては、今ほど答弁のありました国土交通省の所管する補助事業がありますほか、普通交付税の算定におきまして標準的な所要額を措置しております。これに加えまして、実際の所要額が補助金の交付額や普通交付税の措置額を超える場合には、特別交付税により更に対応するという仕組みで行っております。

 現在、特別交付税の三月交付に向けまして算定作業を進めているところですが、自治体の皆様の除排雪経費の実態を丁寧にお伺いいたしまして、しっかりと対応していきたいと考えております。

おおつき委員 是非、自治体における除雪事業の実情をしっかりと把握して、是非声を聞いてください。そして適切に財政支援をしていただくよう、改めてよろしくお願いいたします。

 さて、物価高についてです。

 令和五年度の地方財政計画では、自治体施設の光熱費高騰対策として七百億円が増額され、この増額分は包括算定経費の単位費用に算入して普通交付税の算定に反映されました。この点について私は昨年の二月、ちょうど一年前の総務委員会で、七百億円では足りないのではないですか、包括算定経費は寒冷補正がないため寒冷地に丁寧な配分ができないのではないですかという質問をさせていただきました。

 それで、実際どうだったのかというと、北海道の公共施設では長い冬の期間、感染症対策のために窓を開けたりとかして換気しなくちゃいけないですし、暖房を運転しながら換気している、そういった事情もあって令和五年度の光熱費が大幅に増加しております。

 例えば、選挙区の一部である札幌市では、令和五年度の電気・ガス料金の増加分として補正予算で四十四億円計上したんですけれども、包括算定経費での算定額は六億円にすぎなかったそうです。結果的に七百億円では不足だったんだと思うんですけれども、寒冷地に丁寧な配分ができなかったのではないのかなと思っております。

 そこで、令和五年度の光熱費の高騰分につきましては、寒冷地に丁寧な配分ができなかったことを踏まえて特別交付税でしっかり追加的な措置を講ずべきだと考えますが、見解をお願いいたします。

大沢政府参考人 御指摘のありましたとおり、令和五年度の地方財政計画におきましては、自治体施設の光熱費高騰対応として一般行政経費を七百億円増加いたしまして、普通交付税において措置を講じたところでございます。

 その後でございますが、令和五年度の補正予算におきまして、これは内閣府の所管でございますけれども、〇・五兆円、重点支援地方交付金が追加をされまして、地方自治体が運営する直接住民の用に供する施設においても活用が可能になったというふうに承知をしております。

 さらに、学校等の地方自治体の施設の暖房費の増加分でありますとか消防・救急車両等の燃料油代の増額など、地方自治体が独自に実施する原油価格高騰対策に対しまして特別交付税措置を講じることとしております。

 物価高騰により自治体の財政運営に支障が生じないよう、関係省庁とも連携をしながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

おおつき委員 多少増やしていただいているとは思うんですけれども、それでも寒さには勝てないんですよ、やはり。足りないんです。

 大臣、大臣は兵庫だとは思いますけれども、それでもやはり地域によって電気代、ガス料金、違います、寒さも違います、冬の雪の在り方だって違います。だからこそ、そういった地域の違いを普通交付税だけで算定するのにはやはり限界があると思います。だから、丁寧に措置する必要があると思います。それが特別交付税の本来の役割だと思っております。是非、自治体から地域の事情をよく聞き取って、丁寧な対応をお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に行きます。特別交付税についてもう一つ伺います。

 御存じのとおり、今年の一月一日、能登半島沖の地震が発生いたしました。この地震の被害の大きさを鑑みますと、被害自治体に対して多くの特別交付税を交付する必要があると思います。しかし、特別交付税の総額は決まっておりますので、この総額の中で、被災自治体とそれ以外の自治体で特別交付税を取り合う形になってしまうわけです。

 去年の臨時国会での交付税法の改正によって令和五年度の特別交付税総額が増額されましたが、これは昨年の豪雨災害などを受けたものであると承知しております。

 そこで、大臣に伺います。能登半島地震の被災自治体に対して十分な特別交付税を交付するためには、令和五年度の特別交付税総額を更に増額することを検討すべきと考えますが、見解を伺います。

松本国務大臣 御指摘のありましたように、能登半島地震におきまして、どの災害もそうですが、財政的に支援をすることも大変大事なことだというふうに私も考えております。

 その中で、財政的な支援と申しましても、今お話がありました特別交付税のほか様々な方法がありまして、例えば、今回の能登半島地震によって今年度中に生じる主な財政需要として、災害廃棄物処理事業であるとか、なりわい再建支援事業があると考えておりますが、その地方負担につきましては、被害の大きな自治体におきまして、その全額に地方債を充当可能とし、その元利償還金の九五%に普通交付税措置を講じることとしております。

 また、避難所運営などに係る災害救助費につきましては、国庫補助率が最大九割までかさ上げされておりまして、地方負担の縮減を図っております。

 公共土木施設の災害復旧事業につきましても、激甚災害指定に伴って国の補助率のかさ上げが行われまして、地方負担の全額に地方債が充当可能で、その元利償還金の九五%に普通交付税措置を講じることとしておりまして、財政需要の大きなものは、国庫補助のかさ上げ、地方債と普通交付税により措置することといたしております。

 これに加えまして、今年度の特別交付税ということで、私も、総額の中に様々な需要があることにしっかり応える必要があるということで見てきておるところでございますが、今お話がありましたように、補正予算によって総額を三百五億円増額したということでございますが、特別交付税に充てるべきものというところで、現在のところ、これも先ほど御質問もありましたが、原油価格の高騰分に対して算定している項目については原油価格の上昇が昨年度よりも穏やかであること、これも大変大きいのですが、鳥インフルエンザによる陽性確認件数などが昨シーズンよりも少ないことなどから、これらに係る算定対象経費の減少が見込まれておりまして、総合的に勘案すると、今年度については特別交付税の更なる増額は必要ではないと考えているところでございます。

 引き続き、被災自治体の実情をしっかりお伺いするとともに、今お話がありましたように、全国の自治体、特別交付税のニーズがあるという御指摘だったかと思います、その財政運営に支障が生じないようにすることで、適切な住民サービスが届けられるように支えてまいりたいと思っております。

おおつき委員 ほかのところからの予算で間に合うならいいんですけれども、能登半島の地震や豪雨災害などの被災自治体、除雪費や光熱費が増加している団体もあります。その他の特別な財政措置が生じている団体に対して必要な特別交付税がきちんと措置されるように適切な対応を是非よろしくお願いしたいのと、やはり現地に赴くというのはすごく大事だ、足を運ぶというのが大事だと思っております。本部長もいらっしゃるとは思いますけれども、やはり、この二月の状況又は三月の状況、どういう状況であるか肌で感じることはすごく大事だと思うので、是非幹部の皆さんたちも耳を傾けていただきたいと思っております。

 それでは、次の質問に行きます。子供、子育て政策の強化について伺います。

 今回の地方財政計画では、政府が昨年策定したこども未来戦略に掲げるこども・子育て支援加速化プランにおける地方負担の増加分二千二百五十一億円について、歳出に全額計上して、必要な財源が確保されました。加えて、こども未来戦略の取組に合わせて、地方団体が地域の実情に応じて独自の子供、子育て政策を実施するために、ソフト事業分が一千億円、そしてハード事業分が五百億円、新たに計上されています。

 このうち、ソフト事業について、施策例として、子育てしやすい環境の整備、就労要件等を問わず子供を預けられる取組、幼稚園、保育所の独自の処遇改善、配置改善等、そして放課後児童クラブに対する独自の支援等を挙げた上で、主に地域の事情に応じて実施する現物給付事業を想定しているとされています。

 一方で、自治体が行っている独自のソフト事業では、子育て世帯への給付金支給や給食費の無償化といった取組が話題になることが多いんですけれども、今回のソフト事業においてそのような事業は想定されていないと考えます。

 そこで、子供、子育て施策に係る地方独自のソフト事業について、給付金の支給や給食費の無償化といった取組に対する政府の評価を伺いたいと思います。また、今回の地方財政計画において、なぜ現物給付事業を想定することとしたのですか。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方団体では、様々な独自の子供、子育て政策が実施されているものと承知をしております。

 子供、子育て政策の強化に向けましては、昨年、地方団体からこのような要望がなされております。一つは、子供、子育て政策は、児童手当の拡充など国が一律で行う施策と、地方がその実情に応じてきめ細かに行う地方単独事業が組み合わさることで効果的になること、もう一点は、地方が実情に応じてきめ細かに行うサービス提供等については地方の創意工夫が生かせるよう長期的、安定的な財源確保を図ること、こういった意見が示されていたところでございます。

 こうした地方団体からの意見も踏まえまして、子供、子育て施策に係る地方単独事業については、こども未来戦略に基づく全国一律の取組に合わせて、各地方団体が現物給付事業を拡充することを見込みまして、一般行政経費を一千億増額して計上することとしたところでございます。

おおつき委員 まさに、今回の現物支給の事業が想定されていても、地方交付税は一般財源なので、地方自治体としては増額された財源をどのように使おうが自由だと思います。しかし、子供、子育て政策に関しては、今後も取組を続けて、更に充実させていかなければならないと考えております。こういうことを踏まえれば、各自治体ごとにどんな取組が必要なのか、そしてどんな取組が効果的なのかといった観点で事業を実施してもらいたいなと思っております。

 そこで、今回の地方財政措置によって各自治体において地域の実情に応じた取組が実施されるよう、政府として自治体の取組をどのように促して支援していくことを考えているのか、伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 今般、地方財政計画の一般行政経費の単独分を充実して計上したことにつきましては、本年の一月に、各地方団体に対して事務連絡を発出するとともに、全国の都道府県の財政課長、市町村担当課長を対象とした会議を開催いたしまして、その内容を周知し、各地方団体において地域の実情に応じた子供、子育て政策に取り組んでいただきたい旨の要請をしたところでございます。

 今後とも、こども家庭庁などとも連携をしながら、必要な周知を行うとともに、子供、子育て政策の強化に必要な地方財源の確保に努めてまいりたいと考えております。

おおつき委員 是非その連携を強化して、地方自治体独自の取組が効果的に実施されるように、政府としても支援をお願いしたいと思います。

 さて、次の質問に行きます。

 今回の地方財政対策では、こども未来戦略に基づく地方自治体の財政需要と、既存の算定費目のうち子供、子育て政策に係る部分を統合して、普通交付税の基準財政需要額に、測定単位を十八歳以下人口とする新たな算定費目、こども子育て費を創設するとしています。

 このこども子育て費の創設は、普通交付税の算定に当たって、自治体が実施する子供、子育て政策の全体像を示して、子供、子育てに係る基準財政需要額の算定をより明確なものにするためとしております。国においては、子供、子育て政策の全体像と費用負担の見える化を進めるために、既存の事業を統合しつつ、新たな特別会計、いわゆるこども金庫を創設するとしておりまして、今回のこども子育て費の創設は、国の見える化の動きと歩調を合わせた、いわば子供、子育て政策に係る地方財政の見える化を図るものであると言えるのかと思います。

 そこで、子供、子育て政策に係る地方単独事業については一般行政経費の内数とされておりますが、地方にとって今後とも重要な財源でありますので、令和七年度以降も更に継続、拡充すべきと思いますが、総務省の見解をお願いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方団体におきましては、国が実施するこども未来戦略に基づく取組に合わせて、地域の実情に応じてきめ細かに独自の子供、子育て政策を実施することが重要との観点で、令和六年度地方財政計画において今し方御指摘のありましたように一般行政経費を一千億増額したところでありまして、普通交付税の算定におきましても、先ほど御指摘のあったこども子育て費に計上をして算定することとしております。

 令和七年度以降も、地方団体が引き続きこうした取組を実施できるように、地方の実情を十分に踏まえまして、必要な財源を確保してまいりたいというふうに考えております。

おおつき委員 総務省におかれましては、引き続き、子供、子育て政策の強化に係る地方財源の確保を是非ともお願いしたいと思います。

 次は、消防関連の質問をさせていただきます。消防関係、特に若手消防職員へのパワハラ問題について質問したいと思います。

 さて、消防においては、危険な現場における活動が求められることから、階級制度に基づいた指揮命令系統が確立されておりまして、安全管理のため、厳しい指導、訓練が日々行われております。これは、消防が人の命に関わる職務である以上、必要なことであると言えると思います。

 ただ、一方で、近年、各地の消防本部、消防署において、二十代、三十代の若手消防職員を中心として、パワハラによって退職してしまうという事例が発生しております。とある消防本部では、若手消防職員の退職が重なって、全職員のうちの五%超が退職してしまったほか、別の消防本部では、若手職員の早期退職の増加によって、定員を割り込んで欠員が生じる事態となっております。

 いずれの消防本部でも、退職の理由が上司のパワハラなどのハラスメント行為によるものであるとされておりまして、対策は喫緊の課題であります。言うまでもありませんが、安全管理のための厳しい指導を履き違えたパワハラはあってはならないことだと考えております。

 消防庁においては、平成二十九年に消防本部におけるハラスメント等の対応策に関するワーキンググループが開催されまして、その後、平成二十九年から令和四年度にかけて、ハラスメント等の通報制度を整備した割合は六三・一%から九七・八%に増加する、又はハラスメント相談窓口の設置を行った割合は六二・四%から九八・三%になるなど、働く環境の改善は大きく進展しているとは伺っております。ただ、こういった進んだものはありますが、各消防本部においてのハラスメントの対策が行われてきたものの、報道でもあるように、まだ根絶には至っていないというのが現状です。

 私は、通報制度や相談窓口が幾ら整備されても、それが有効に機能しない限りは、これからも若手消防職員の早期退職は続いてしまうのではないかと懸念をしております。そこで、パワハラなど消防におけるハラスメント問題をいまだ根絶するに至っていない原因について、消防庁の見解と今後の取組の方向性について教えてください。

五味政府参考人 パワーハラスメントは、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景とした暴力行為や、相手の尊厳、人格を侵害する断じて許されない行為で、決してあってはならないと認識しております。

 消防の職場においてパワーハラスメントが発生してしまう要因といたしましては、平成二十九年に実施した消防職員に対するアンケートによりますと、上下関係が他の職場より厳しく閉鎖的な職場環境にあること、パワーハラスメントをしている職員本人にその自覚が乏しく指導の範疇という認識でいることなどが挙げられております。

 このため、消防庁では、平成二十九年に消防の職場におけるハラスメントへの対応策を取りまとめ、各種施策を講じてきたところでございます。

 御指摘のとおりでございますが、例えば、ハラスメントを撲滅するというトップの意思の明確化につきましては、令和五年一月現在で、約九九%の消防本部で実施されております。また、御指摘がございました、ハラスメントが発生した際に備えた通報制度や相談窓口につきましても約九八%の消防本部において設けられておりまして、消防庁といたしましては、これまで、説明会の開催、消防本部幹部に対する直接要請等を通じて、こうした取組の徹底を図ってまいりました。

 また、消防庁自体におきましてもハラスメント等の相談窓口を設置して、相談者からの相談を受け付けているところでございます。

 さらに、加えまして、各消防本部のハラスメント相談員の対応能力の向上を図るために研修会を開催いたしますとともに、新たに、相談対応時に聞き取るべき内容や配慮すべき事項等を具体的に盛り込んだハンドブックを作成するなど、ハラスメント対策の更なる強化に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、消防の職場のハラスメント撲滅に向けまして、これらの取組をしっかりと行ってまいります。

おおつき委員 五味次長、一つ、うなずくだけでいいんですけれども、今、テレビドラマで、四十代、五十代から共感の嵐と言われている「不適切にもほどがある!」というドラマを御存じですか。大臣も御存じですか。うなずくだけでもいいです。

 実は、このドラマ、コンプライアンスという概念がかなり薄かった昭和時代の価値観を令和の視点で見て、描かれているドラマになっておりまして、非常に今、四十代、五十代、またそれ以上の方から共感を得ているドラマで、昭和の当たり前が今では不適切ということがたくさんあるということをドラマからもよく見られるんだなと私自身も実感しております。

 だからこそ、先ほど次長もおっしゃっておりました、例えば上下関係において自覚が乏しかったりとかというのは、やはり世代間の格差が今かなり大きい時代に入っているんだなと私自身は感じております。

 ですから、これからも消防職員が安心して職務に専念できる環境を整備するということは、災害の多いこの日本という国において、消防力の維持強化のために欠かせないことだと思っております。消防庁におかれましても、これからもハラスメント対策に引き続き目を光らせて、次長のような方が目を光らせて尽力していただきたいなと思っております。

 続きまして、公立病院について伺います。

 今回の地方財政対策におきましては、令和三年度から実施している不採算地区の病院に関する特別交付税の基準額の三〇%引上げ措置の継続が決まりました。この措置は、本来コロナ禍での措置だったわけですが、その後も、患者数の減少による収益減、職員給与費そして材料費等の費用の増加などで不採算地区病院において厳しい経営が続いているため継続することになったと伺っております。

 確かに、不採算地区、地域では厳しい経営が続いております。例えば、私の選挙区の中で石狩市の浜益地区というところがあります。ここは、夜間の緊急対応と病床を三月末で廃止することを決定するとされておりまして、この決定が決まった段階で、地域の住民からかなりの反発が出ております。ここは、医者の確保もそもそもすごく大変で、自治医科大学にお願いをして来てもらっている状況なんです。

 過疎地域における診療所の制度自体が崩壊し始めているんじゃないかなと思っております。地域では何とか医師二人体制にできないものかなどと市役所の方にも陳情が上がっている現状ではございます。だからこそ、こういった職員の確保のための費用の増大、特に近年の物価上昇において経営難が一層深刻化している自治体、繰入金が増加しているんです、そのため、特別交付税の基準額の引上げがあっても繰入金の増加分を埋めることができず、自治体の財政を圧迫しているという現状があります。

 こういった現状を鑑みれば、不採算地区病院に対する財政措置を更に拡充すべきなのではないかと考えますが、総務省の見解を伺います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、公立病院が不採算医療や特殊医療などの地域医療にとって重要な役割を担っていることを踏まえまして、これまでも必要な財政措置を講じてきております。

 特に、不採算地区病院につきましては、令和三年度に、コロナ禍においてもその機能を維持するために、特別交付税措置の基準額を三割引き上げる措置を講じました。この引上げ措置については、コロナ禍の影響が縮小して以降であっても、患者数の減少による収益減、職員給与費、材料費等の費用増により厳しい経営が続いていること、医師の働き方改革が経営に与える影響が懸念されることなどを踏まえまして、この措置を令和六年度においても継続することとしたところでございます。

 今後とも、持続可能な地域医療提供体制の確保につながりますように、公立病院の実情などを踏まえつつ、必要な財政措置を講じてまいりたいと考えております。

おおつき委員 まさに、医師不足、看護師不足、これに財政措置が必要なときなんです。

 総務省では、医師、看護師不足への対応として、医師、看護師の派遣等に係る地方財政措置などの措置を講じておると伺っております。この医師、看護師の不足の解消に、ただ、今は至っていないというのが現状なんです。

 そういう中、令和六年度には医師の働き方改革がスタートします。これによって、公立病院、特に過疎地の公立病院には、ますます医師の確保が困難になると懸念されております。

 そこで、伺います。過疎地での医療提供体制を維持していくためには、過疎地の公立病院の医師、看護師不足について、総務省と厚労省がしっかりとタッグを組んで思い切った対策を講じていかなければならないと思いますが、大臣の見解をお願いいたします。

松本国務大臣 おっしゃったように、住民が安心して暮らしていくために安定的に医療が提供されるということは大変大切なことである一方で、過疎地域において特にかと思いますけれども、各方面で提供が大事だということですけれども、提供する医師、看護師など医療従事者が不足しているという課題があるということも認識をしております。

 大変厳しい状況にある中での医療提供体制の確保となるということで、私ども総務省としても、限られた医療資源を最大限効率的に活用するという視点を重視していくということで、病院間の機能分化や連携強化、医師派遣など、今言及もございましたけれども、取組を支援していくという形を取らせていただいております。

 過疎地域など採算が取れない地域でも必要な医療が提供されるように、今申し上げたような機能分化、連携強化に伴う地方財政措置を拡充する、医師、看護師などの派遣に要する経費や、不採算地区の病院の運営に要する経費にも財政措置を講じるということで進めてきております。

 これからも必要な財政措置を講ずるとともに、厚生労働省ともよく連携をし、医師、看護師の育成、地域偏在の解消など、医療従事者の確保にしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

 自治体の皆さんがそれぞれ御尽力、御努力をいただくことに対しても、また私どもも様々な形で御支援をしていけるようにしてまいりたいと思いますし、住民の皆様の御理解をいただきながら進めるということも大事だと思います。

 他方で、医師、看護師もそれぞれ御自身がいわば職場の選択の自由をお持ちですので、それぞれが魅力的な意義のある職場であるということの理解をしていただきながら進めていけるように、自治体とも連携し、厚生労働省とも連携してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

おおつき委員 大臣のおっしゃる、まさに安定的な医療ということを是非重点に置いて対策を練っていただきたいと思います。近所の診療所から病床がなくなる、ベッドがなくなる、すぐ入院ができなくなるということはどれだけ不安なことかということを肝に銘じて、厚労省と連携して、適切な対応をお願いしたいと思います。

 次に、地方税法等の一部改正案について伺いたいと思います。

 昨年十一月、政府は、デフレ完全脱却のための総合経済対策を閣議決定いたしました。この経済対策では、賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和して、デフレを脱却するための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えする定額減税を実施するとしました。

 これを踏まえて、地方税法の改正案では、給与所得者に対する定額減税の実施方法として、個人住民税の場合、六月分の特別徴収は行われず、納めるべきである年税額である所得割額から定額減税分を差し引いた額、例えば納税義務者本人のみの場合は、一万円を差し引いた残額を六月を除いた残りの十一か月で、除いた金額が月々に特別徴収されることとされています。

 つまり、六月は徴収されないため、給与所得者から見れば減税のインパクトは大きい。ただ、実際の納税額は年額で一万円、月々でいえば八百円強でありまして、一度特別徴収しないことで減税額を大きく見せるというこのような手法は、悪い言い方なんですけれども、ちょっとせこいんじゃないかなと私は感じました。

 さて、このような世帯に該当する場合は定額減税の実感が薄れるとも考えられますが、定額減税が経済対策、特にデフレ脱却の一環で実施されるという観点から、政府の見解を伺います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 今般の定額減税のそもそもの趣旨は、今委員が御紹介になられたとおり、デフレマインドの払拭につなげることを目的としているものでございます。

 令和六年六月分の個人住民税で減税を行うことといたしましたのは、そもそも個人住民税においては六月からその年度分の徴収が始まること、それと、賃上げが実現するタイミングに合わせて税負担を軽減することで国民の皆様に所得の向上を実感していただくこと、こういったことから、令和六年六月以降、実務上速やかに実施するとされたことを踏まえたものでございます。その上で、委員御指摘のとおり、地方団体や特別徴収義務者の事務負担に配慮をいたしまして、六月分は徴収せず、十一か月でならす方式を採用したものでございます。

 納税義務者の所得でございますとか扶養家族の構成、こういったものによりましては委員御指摘のとおり七月分以降の月々の徴収額が若干増加するケースも生じ得ますが、納税義務者に送付いたしております特別徴収税額通知、五、六月ぐらいに長細い通知が送られてくるわけでございますが、それを御覧になっていただければ、年間を通じた税額では税負担が軽減されていることは明らかでございますので、御理解をいただけるよう、丁寧な説明に努めてまいります。

おおつき委員 是非、実感ではなく、効果のある制度設計にしていただきたいなと私自身は感じております。

 さて、最後の質問に行きます。

 森林環境税についてです。森林環境税、なぜ一人千円に設定されているのか、その理由を改めて確認させていただきたいです。

 また、森林環境譲与税の使途に乏しい都市部の地方団体において、森林環境譲与税が活用されていない実態があると思うんです。活用されていない実態がある中、譲与基準を含めた更なる見直しの必要について見解を求めます。

 もう一つ質問します。今回の改正案について、森林環境譲与税の人口の譲与割合を三〇%から二五%に引き下げ、また、私有林の人工林面積の譲与割合を五〇%から五五%に引き上げることとしておりますが、この割合は一体どのように決めたのか、その根拠について併せて政府に確認したいと思います。

池田政府参考人 三問御質問いただきました。

 まず最初に、森林環境税の税率を千円としている理由でございますが、この税率につきましては、創設当初、我が国の温室効果ガス排出削減目標を達成するために追加的に必要となる間伐等の森林整備やそれに伴う費用等について、林野庁から六百億円程度との試算が示されたこと、国民の皆様に広く一定の負担を求める観点から、個人住民税均等割の枠組みを活用することとされ、その納税義務者数が六千万人強と見込まれていることと併せて、国民の負担感なども総合的に勘案いたしまして、一人当たり年額千円とされたところでございます。

 次に、森林環境税について、譲与の使われ方でございますが、森林環境譲与税については、その譲与が令和元年度から始まっておりますけれども、各年度の譲与額に対する活用率は年々高まっております。令和五年度、これは予算ベースでございますが、五百億円の譲与額に対して活用率は一〇七%ということになってございます。

 森林整備を進めていくためには、川上における間伐、造林等の森林整備はもとより、川下、都市部におけます木材利用の促進等を一体的に進めていくことが重要と理解しております。

 続きまして、今回の譲与基準の見直しの理由でございます。森林環境譲与税の譲与基準については、法律上の使途でございます森林整備、人材の育成、木材利用の促進等と相関が高い指標といたしまして、私有林人工林面積を五割、林業就業者数を二割、人口を三割として譲与しているところでございます。

 令和六年度の税制改正において、これまでの譲与税の累積の活用実績を見てまいりますと、おおむね、森林整備が五五%、人材育成が二〇%、木材利用、普及啓発が二五%となっていることなどを踏まえまして、森林整備と相関が高い指標である私有林人工林面積を五・五割、木材利用等と相関が高い指標である人口を二・五割と見直すこととしたものでございます。

おおつき委員 時間が来たので終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 次に、福田昭夫さん。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫です。

 私は、今年の取り組むべきテーマを、この国を立て直すといたしました。大きな柱は、脱政治と金、脱非正規雇用、脱不公平な税制、この三つであります。以上の観点から政府の考えをただしてまいりますので、是非、松本大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。

 まず、我が国が喫緊に取り組むべき三つの大きな課題と解決の方向性についてであります。

 一つ目は、政治の信頼を取り戻すこと、そのためには、企業・団体献金、パーティー券を含めて全て禁止すること。金が政治をゆがめてきた歴史を、是非、この際、終わらせるということが必要じゃないかと思っております。

 松本総務大臣は、公職選挙法や政治資金規正法などを担当する大臣として、今回のパーティー券による裏金づくりに始まった、あるいは国民政治協会からの多額な政治献金が自民党へ送られておりますけれども、そんなことを踏まえて、何か感想でも、あるいは意見がありましたら是非お話しください。

松本国務大臣 各御答弁でも申し上げてまいりましたが、御指摘のとおり、公職選挙法、政治資金規正法担当の大臣でございますけれども、行政府と政治の関係で、行政がどこまで政治に干渉するのかというところから、制度の在り方などについて行政府の長として申し上げることは抑制的でなければならないというふうに考えているところでございます。

 その上で、議員として申し上げれば、政治資金規正法が求める透明性の確保は政治の信頼には大変大切なことだというふうに考えますし、残念ながら法律が守られていないことによって大きく信頼が損なわれたことは、甚だ残念であると言わざるを得ないと思います。

 その上で、やはり信頼をいただくことで政治を前に進めることは大変重要なことでありますので、私もそのように考えているところでございます。

 既にこれも申し上げてまいりましたことですが、政治活動に一定の費用が活動を拡大すればするほどあることは確かでございまして、それをどのように御負担いただくのか、社会的な存在である個人や企業、団体にどのようにしていただくのかという制度の在り方については、先ほど申しましたように、政党間の御議論でお願いをいたしたいと思っております。

 一言だけ申し上げれば、政治がゆがめられているのではないかという御懸念をいただいているようでございますが、私も党において、政府において意思決定に関わってきておりますが、そもそもの課題を確認するに当たり、また、課題解決の政策を策定するに当たって様々な方々の御意見やお声を聞かせていただきますが、これは、政治資金に対する財政的な協力の多寡にかかわらず、しっかり幅広く聞かせていただいた上で政策を決めさせていただいているもので、政策判断はこうした献金に左右されるものではないと認識していることを申し上げたいと思います。

福田(昭)委員 大臣、そんな長い答弁は要りません。

 実は、皆さんのお手元に、資料の二の一と書いてありますが、一の一ですけれども、国民政治協会から自由民主党への寄附金の動向、二〇〇〇年から二〇二二年まで、一覧表にしてみました。二〇〇〇年は何と五十三億円を上回っております。

 実は、ちょうど民主党政権になったときの二〇一〇年から一二年までの三年間は政治献金が半減されております。それからまた二十億円台になって、二〇二二年も二十四億円を超えているという状況であります。

 こうした多額の政治献金がたくさんの政治をゆがめてきました。その代表的なものを二つ申し上げます。一つは消費税です。もう一つは非正規雇用です。この二つは、経団連からの大変な要望によって政治が受け入れてきた。その結果、日本が失われた三十年までつくってしまった、少子化もつくった、格差社会もつくってしまった、そういう姿を生み出しているわけであります。

 ですから、ここは大臣も、政治に金がかかるという話がありましたけれども、そうした政治をゆがめさせるようなお金はきれいにする、そして、その代わり、もしかすると日本の国会議員は相当厳しい環境に置かれています、年金は国民年金、医療保険は国民健康保険、そういうことで、地方の首長には退職金があるけれども退職金もない、こういう状況ですから、そういう意味では、もう少し国会議員を大事にして、ちゃんと仕事に専念する、そういうような改革も必要だと思っておりますが、しかしながら、お金の力で政治をゆがめてきたこの歴史、ここで改めるべきだと思っています。

 イギリスは、政治と金の問題をきれいにするのに百年かかったそうです。日本も戦後七十八年、ちょうどあと二年、八十年目ぐらいできれいにするという決意が今回は必要なんじゃないでしょうか。それが今回、パーティー券による裏金づくりも含めてそれをきれいにする決意が必要だということを申し上げたいと思います。

 二つ目は、非正規雇用をたくさんつくったことによって生じてきた、あるいは消費税によって生じてきた少子化を食い止めること、これがやはり日本にとって喫緊の解決すべき大きな課題であります。

 最近、岸田総理も最後のチャンスだと言っておりますが、ちょっとそれは取組が遅過ぎる。平成元年ですよ、一・五七ショックというのが起きたのは。一・五七ショックが起きたのが、まさに消費税をつくった平成元年です。そのときから何にもやってこなかったからこうなったということでありますよ。ですから、そんな中でやはり男女とも正規雇用で働ける労働環境をつくるということが大事だと思っています。

 物の調査によりますと、日本でフルタイムで働いている人がたった四五%しかいないというんですよ。四五%ですよ。ですから、働ける人は男性も女性もきちっと働いていただく、そういう労働環境をつくるということが私は大切だと思っています。

 今回、これも、厚労省の社人研が発表したところによると、全国の市区町村、二〇五〇年には四割で働き手が半減しちゃうというんです。これは資料の二でありますけれども。

 働き手がいなくなったらどうなるんでしょう。日本の経済力は、皆さんも御存じのとおり、GDPも五百兆円を超えて、今六百兆円に届こうとしているようなGDPに。これも物価高で上がってきたわけですけれども、そんな中で働き手がいなくなったら、これだけのでかい経済力、支えることができなくなりますよ。ですから、真剣に本当に、今回も岸田さんは子供、子育ての予算を二〇二八年以降に倍にすると言っていますけれども、この三年間では三・六兆円しか増やさないわけですけれども、これでは実は足りないわけであります。そのことだけ申し上げておきたいと思っております。

 三つ目ですけれども、三つ目は財政危機を食い止めること。財務省がいつも財政赤字だ赤字だ大変だということを一生懸命言っておりますけれども、しかし、これは国民だましも甚だしい話でありまして、今すぐ財政破綻しないことを明らかにして、過度な円安と不公平な税制を改めることが必要だ、こう考えております。

 そんな中で、まず基本的な数字を政府から教えていただきたいと思っています。第一点と第二点、続いて数字だけお答えください。

 まず、令和五年度末、国と地方の債務残高は幾らになる見込みなのか。資料の三として政府の公債残高の累増の表を出しておりますけれども、これの残高は国と地方で幾らになる見込みなのか。

 それから、2の日本の保有資金ですね、日本全体の保有資金でありますが、日銀と財務省にこれはお伺いいたします。個人、家計の金融資産は、令和五年九月末、幾らになるのか。令和五年九月末の国全体の金融資産は幾らになるのか。(ウ)、令和四年度は企業の内部留保資金は幾らになるのか、これは金融業、保険業を加えた数字を言ってください。(エ)、令和四年末は対外純資産は幾らになるのか、世界一の金持ちの国なんですが、幾らになるか。(オ)、令和四年度は外貨準備金は幾らになるか。簡潔に数字だけお答えください。お願いします。

進藤大臣政務官 お答えいたします。

 国及び地方の長期債務残高につきましては、令和五年度末に一千二百八十五兆円となる見込みであります。

貝塚参考人 金融資産の残高についてお答えします。

 まず、家計の金融資産残高でございますけれども、直近の令和五年九月末の数字として、二千百二十一兆円になっております。

 国全体でございますけれども、今の家計に加えまして、非金融法人が千五百八兆円、一般政府が八百十四兆円、それに、民間、非営利団体が七十一兆円で、これを全部合わせると四千五百十三兆円になります。

 このほかに金融機関があるんですけれども、金融機関の場合には預り金を運用しているということがあるので、その点を留意した上で単純に数字だけを加えますと、全体で九千五百八十九兆円、こういう数字になっております。

鈴木政府参考人 企業の内部留保についてお尋ねがございましたので、お答えいたします。

 令和四年度の法人企業統計における利益剰余金、いわゆる内部留保の金額は、金融業、保険業を含む全産業で約六百二十七・五兆円となっております。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 対外純資産でございますけれども、昨年五月に公表した国際収支統計によりますと、令和四年末の対外純資産残高は約四百十九兆円となってございます。

 それから、外貨準備ですけれども、外為特会の残高ですが、令和四年度末の残高は約百六十九・七兆円となっております。

福田(昭)委員 皆さんもお聞きになったかと思いますが、日本の国はこれだけの大金の金融資産を持っているということであります。ですから、これはもはや金融大国と言ってもいいのかなと私は思っておりますが。

 そこで、次、第三点ですけれども、国際収支、経常収支はいつから黒字なのか、デジタル収支の赤字は心配の種だと思いますけれども、この点について御意見を伺いたいと思っています。

 元麻生財務大臣に私は質問いたしました。経常収支が黒字の国で、発行している国債が全て自国通貨建ての国で財政破綻をした国はない、こう思われるがいかがかと尋ねたところ、当時の麻生財務大臣はそのとおりだというふうに答えました。しかしながら、私が大変心配しているのはデジタル収支の赤字。これがどんどんどんどんこれから拡大していくと、それこそ経常収支を赤字にしてしまうおそれが出てくるんじゃないかと思って、大変心配をいたしております。

 その辺を踏まえてお答えいただければと思います。

緒方政府参考人 お答えいたします。

 比較可能な一九八〇年以降で見ますと、我が国の経常収支は一貫して黒字を維持しているところでございます。

 また、委員御指摘のいわゆるデジタル収支についてでございますが、明確な定義はございませんけれども、サービス収支のうちのデジタル関連取引を多く含む項目でありますコンピューターサービス、それから著作権等使用料、専門、経営コンサルティングサービス、これらの収支について申し上げますと、近年、海外事業者へのウェブサイトの広告掲載料やコンテンツ配信料等の支払いが増加しておりまして、赤字が拡大しているところでございます。

 政府としましては、引き続き、デジタル収支も含めまして、こうした国際収支の動向やその背景についてしっかりと注視してまいるとともに、様々な政策に取り組んでいくことが重要であると考えてございます。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 私は、そういった意味では、今政府が進めておるデジタル化、これを大変心配いたしております。経産省などは、経済安全保障という考え方から、自前のデジタル業者を育てようという考え方が出てきておりますが。また、総務省も是非、NTTなど、中心とする自前のデジタル業者をちゃんと育てるということを是非考えていただきたいと思っています。

 日本の国も自由貿易を旨としておりますから、商売上の仕事からGAFAなどを排除するということは今更難しいと思いますけれども、しかし、今政府がやっている国と地方公共団体のガバメントクラウド、これをみんなアメリカの四社に頼んじゃいました。しかし、これは非常に危険なことだと私は思っています。

 ですから、私は常に、河野大臣と会うと議論しているんですが、商売上のことを今更排除できないけれども政府や地方公共団体の行政の情報はくれるなと言っています、幾らお金が安いからといってもですよ。幾ら安いからといってもくれるな、くれたら終わりですからね。だんだんだんだん寡占化が進めば、どんどん料金は当然上げてくることになりますから。

 是非、そういった意味では、政府のクラウドも総務省とデジタル庁が一緒になって今進めておりますけれども、地方公共団体のガバメントクラウド、これを、いつまでもというよりは二〇二五年、来年度、ある程度システムができて、地方自治体にどうぞ使ってください、こう進めるという話なんですが、ここは私は踏みとどまった方がいいと考えておりますので、是非御検討いただきたい、こう思っております。これまでやっていくと、デジタル収支の赤字はどんどんどんどん跳ね上がっていきます。ですから、是非そこはしっかり、日本の国を守るために、国民を守るために是非考えてほしいと思っております。

 次に、第四点でありますけれども、これだけの金融大国がどのような状態になったら財政破綻するというのか、是非それを教えてほしいと思っております。

 それこそ国外向け、国外には、日本の国債の格付が引き下げられると、いやいや、日本の財政は健全ですよ、大丈夫ですよ、国債買ってくださいと国外向けには財務省は言っているわけです。しかし、国内向けには、いや、財政赤字で大変だ、早くプライマリーバランス黒字化しなきゃならないと。しかし、プライマリーバランス黒字化は、小泉政権のときから目標にして一度も達成したことがない、そういう目標です。国内向けにそう言っているのは、財務省が増税したいがために言っているというふうにしか考えられない、増税したいからってね。

 ですから、そういう二枚舌はやめるべきだと思っています。やはりちゃんとした数字を国会はもちろん国民にお知らせする、真実や事実に基づいてしっかり議論する国会にする、国民にもお知らせする、そういうふうに是非してほしいと思っていますが、いかがですか。

進藤大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの財政破綻につきましては、一般的に申し上げますと、財政状況が著しく悪化し、その運営が極めて困難となる状況をいうものと承知いたしております。

 その具体的な状況を網羅的に申し上げることは困難でありますが、例えば、IMFのワーキングペーパーでは、財政危機の事例として、債務返済の不履行、それから二点目は、IMFなどからの例外的に大規模な公的財政支援、三点目は、市場からの信認喪失等による資金調達の困難化といった事態が発生している場合が挙げられるものと承知いたしております。

 次に、民間格付会社による格付の動向につきましては、これは逐一コメントすることはしておりませんけれども、国内あるいは国外のいずれに向けても、国債を安定的に発行していく観点から、財政規律が維持され、国債の利払い及び償還が確実に行われていることへの信頼を確保することの重要性を発信して、市場関係者との丁寧な対話に努めてまいったところでございます。

 今後とも、極めて厳しい財政状況の中、財政規律を確保して、責任ある経済財政運営を通じて、市場の信認確保に努めてまいりたいと考えているところであります。

福田(昭)委員 政務官、それは、外国向けだけじゃなくて国内向けにもしっかり、市場の信頼だけじゃなくて、国民の信頼を得なくちゃ駄目じゃないですか。市場の信頼だけじゃなくて、国民の信頼を得る方が大事じゃないですか、もっとですね。

 今IMFの基準を言ってくれましたけれども、これは財政破綻してしまったという状態じゃないですか。財政破綻しちゃったら本当にいろいろなことをやらなくちゃならない。

 太平洋戦争に負けたとき、当時、政府が何をやったかというのを御存じだと思いますが、私から申し上げると、あのとき、まず預金封鎖をしたんですよ。預金封鎖をして、お金が下ろせなくなった。そして二つ目は、新円切替えをやったんですよ。当時の一円札が一円の価値で使えなくなった。三つ目は何をやったかというと、財産税をつくったんです。財産税をつくって、昭和二十一年から二十五年まで五年間、金持ちの人から税金を集めたんですよ。そういうことをやって、財政の健全化を図って、太平洋戦争で国債を増発して戦争をやってきましたから、それを清算して実は今があるんですよ。

 ですから、また同じ過ちを繰り返さないようにするためには、やはり日本は太平洋戦争に負けてから民主主義国家になったんですからね、民主主義国家、少なくとも。だから、真実や事実はちゃんと国民に明らかにしなくちゃいけない。国会はもちろんですよ、真実を明らかにして、事実や真実に基づいて議論する国会にする。そういうふうにしなければ、政治と金の問題だけ解決しても駄目ですよ。そういう政府をつくっていくというのがこれからの日本の繁栄につながっていく、私はそのように考えております。

 次、第五点ですけれども、そういうことからいうと、現在の大企業、富裕層優遇の不公平な税制を抜本的に改革して、担税力に応じた公平、簡素、納得の税制をつくる、そのためには消費税、法人税、所得税、金融所得課税を含むなどの一体改革が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。是非、まず財務省の方からお答えください。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃるとおり、税は国民の皆様への行政サービスの費用を賄うための重要なものでございまして、国民一人一人に税金を納めていただく際に納得感を持っていただくこと、これは大変重要な視点だと思っております。

 そのためには、公平、中立、簡素という租税原則や経済社会の構造変化などを踏まえつつ、所得税、法人税、消費税などを適切に組み合わせながら、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を築いていく必要がある、このように考えております。

福田(昭)委員 審議官、恐縮ですけれども、公平、中立じゃ駄目なんですよ。公平、中立という言葉の中で消費税がつくられてきた、だから中立じゃ駄目なの。

 担税力に応じて個人も法人も税金を納めてもらうということを考えると、累進税率を入れるのが一番なんですよ。消費税は比例税率で一本化でしょう。これではやはり不公平がどんどんどんどん、逆進性が高いとよく言われていますが、不公平な税制なんですよ、消費税ってね。封建時代の人頭税と一緒ですから、本質は。一人頭幾らよこせという税金ですからね。こういう税金を、財務省は今この消費税一本やりじゃないですか。今既に一〇%と八%で、国税三税で断トツ一位は消費税ですよ。これは異常な税制ですよ。ですから、税制をバランスよくといったって、バランスどころじゃないですよ。

 財務省は更に、一〇%じゃ足りないから早く一五にしろ二〇にしろという議論を経団連とやっているじゃないですか。経団連とね、しかもIMFまで使ってですよ。IMFが、日本は消費税率が低いから早く一五%にしろ、二〇三〇年までにしろと勧告に来るじゃないですか、日本の政府に。しかも、その文書を書いているのは、財務省からIMFへ出向している事務局次長じゃないですか。財務省の職員がIMFへ出向していて、事務局次長をやっていて、それが文書を書いて、それを専務が持ってきて日本政府に提言するという、とんでもないことをやっているじゃないですか。これこそやらせですよ。こういうことはよしましょうよ。そういうことをやって消費税を上げる。

 消費税が一五%だの二〇%になった世界は想像できないですよ、日本人は。今一〇%で、みんな苦しんでいますから。しかも、円安と物価高をつくったのも消費税ですからね、それこそ。消費税、税率を上げれば上げるほど物価は必ず上がって、それで景気を停滞させてきたというのが消費税の歴史でありますから。そういった意味では、考え方を是非財務省には改めてほしい、こう思っております。

 時間がありますので次に行きたいと思いますが、今日の本題であります地方税や地方交付税の方に行きたいと思います。

 二番目、所得税、住民税の定額減税についてであります。

 一つ目は、定額減税は何のために実施するのかということであります。総務省だけにまず聞きますかね、定額減税は何のために実施するのか、ちょっと教えてください。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 今回の定額減税でございますが、物価高による国民の負担感を緩和するとともに、賃金上昇と相まって、国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくり、デフレマインドの払拭につなげることを目的といたしまして、物価高騰を始め苦しい中において納税していただいた方々に所得の上昇をより強く実感していただくことが重要と考え、所得税、個人住民税の減税という分かりやすい方式が望ましいと判断されたものでございます。

福田(昭)委員 総務省としてはそう答えざるを得ないんだと思いますけれども、これの発案者はどっちかというと岸田総理だというので、財務省も総務省も何とか理由をくっつけたんだと思いますけれどもね。

 我が国の経済を成長させる二つの要因は何か、個人消費と設備投資ではないのかというのを内閣府の政府参考人にお聞きする予定でありましたけれども、時間の関係で、これは自分で言って、先に進みたいと思います。

 今御案内のとおり、昨年の二〇二三年の実質賃金はマイナス、個人消費もマイナスでした。そして、今回、GDPなどが発表されましたけれども、やはり設備投資もマイナスでありました。そんな中で、物価高がGDPを押し上げて、名目GDPが五・七%も増えたという報告があります。そういう意味では、個人消費と設備投資が経済を成長させるための大きな要因です。昔から言われておりましたのは、個人消費が最大六割、設備投資が最大二割、こう言われていたんですが、これが二つとも落ち込んできているというのが現在の日本の経済状態だと思います。

 そんな中で、(三)と(四)をまとめてお伺いいたします、物価高対策としては所得税、住民税減税よりも消費税減税の方が効果が大きい、こうされておりますが、そう思うかという話であります。消費税を下げると物価は下がる、先日、私の質問に対して鈴木財務大臣は嫌々ながら物価は下がると答えましたけれども、それも踏まえて是非答えてください。

高橋政府参考人 まず、消費税率と物価の関係についてお答えいたします。

 一般論として申し上げますと、消費税率を引き下げますと広く物価を押し下げる効果がございますことは否定できませんが、ただ、もう少し長いスパンで見た場合には、物価の引下げに伴う購買力の増加によりまして物価が一定程度押し戻されることも否定できません。特に、需要が逼迫している品目に関してはその傾向が強いというふうに考えてございます。

福田(昭)委員 そういう言い訳はよした方がいいと思いますよ。数字がちゃんと示していますからね、数字はうそをつきませんから。そういう言い訳をしているから、おかしなことになっちゃうんですね。言い訳はよした方がいいと思います。

 それでは、次に行きますが、賃上げ促進税制についてであります。

 一つ目の質問は、経団連の会長は賃上げは企業の責務だと、賃上げに前向きな考えでありますけれども、なぜだと思いますか。答えられる範囲で答えてください。

坂本政府参考人 お答えいたします。

 経団連会長から、先般、政労使の意見交換の場におきまして、今年の春季労使交渉協議における経営側の基本スタンスとして、物価上昇が続くこの機を捉え、社会性の視座に立って、賃金引上げのモメンタムを維持強化し、構造的な賃金引上げの実現に貢献していくことが経団連、企業の社会的責務であるという御発言があったことは承知しておりますけれども、こうした御発言の理由について、政府の立場から、御発言された内容を超えて、推測でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

福田(昭)委員 経団連の関係から答えられないんでしょうけれども、私が想像するに、実は、東京商工リサーチが昨年の企業倒産件数、そして今年の倒産件数を予測いたしましたけれども、昨年、何と八千件を超える企業が倒産しました、廃業しました。それは四年ぶりだそうでありますが、その大きな理由をリサーチが言っておりますけれども、一つはゼロゼロ融資がおもしとなって、資材等の高騰、それから人件費の高騰、この三つを大きな理由としてリサーチは発表しております。今年はそれが更に増えて一万件を超えるだろうと言っています。ですから、こういう状況であると、本当にこんな状況だからこそ消費税を下げる意味があるんです、実は、基本的に。

 先ほども申し上げましたが、実質賃金も下がって、物価高を上回る賃上げなんてなかなか難しい状況の中で、また、価格転嫁も、それこそ一生懸命政府も音頭を取っていますけれども、なかなか簡単に進まない、そういう中で消費税を下げれば必ず物価は下がるんです。何か、後で戻るんだなんという話をさっき答えたようでありますが。

 そういう意味では、今減税して一番役立つのは消費税なんですよ。ほかの税金を下げたって余り効果はありません。そういう考え方に基づいて、(二)、二つ目でありますが、中小企業の中には賃上げが難しい企業もあると思いますが、どういう対応をするのか、是非お聞かせください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 多くの中小企業が深刻な人手不足に直面し、厳しい環境の中で賃上げを迫られている、こういう状況が起きていると認識しております。我が国の雇用の約七割を占める中小企業が収益、売上げを拡大することが、持続的な賃上げを実現していくためにも重要でございます。

 賃上げの原資を確保するためには、価格転嫁の促進が不可欠でございます。そのため、毎年三月、九月を価格交渉促進月間とし、発注企業ごとの個別交渉、転嫁の状況を公表してございます。本年一月にも二百二十社の社名を公表したほか、状況の芳しくない約二十社の発注企業の経営トップへの指導助言も実施しているところでございます。また、昨年十一月に内閣官房と公正取引委員会が労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針を策定し、公表してございます。この指針が遵守されるよう、経済産業省が所管する約九百の業界団体への周知、また、自主行動計画への反映についても要請を行う、こういった取組を行っております。

 さらに、中小企業向けの賃上げ促進税制についてでございます。前例のない長期となります五年間の繰越し措置の創設によりまして、赤字であったとしても人材確保のために賃上げに挑戦する中小企業の後押しとなるよう、抜本強化いたします。加えまして、中小企業が構造的な人手不足を乗り越え、生産性を向上し、収益、売上げを拡大するため、カタログから選ぶような簡易で即効性のある省力化投資や、新商品、サービスの開発に向けた設備投資等も支援してまいります。

 これらの取組により、中小企業の賃上げをしっかり後押ししてまいる所存でございます。

福田(昭)委員 回答をありがとうございます。

 それこそ賃上げ税制、そんなことよりも中小企業の皆さんにとってはもしかすると社会保険料を下げてもらった方が、あるいはゼロゼロ融資を少し下げてもらった方がきっと元気が出てくるんだと思いますよ。

 私がおつき合いをしている、それこそ大企業を定年退職して退職者ばかり集めて工場をやっている人が私にこういうふうに言いました。いや、福田先生、大変なんですよ、大企業はと。要するに、消費税が八%に上がりました、一〇%に上がりました、払ってやるよ、でも原価で何とか勉強できないか、こう言うんだそうです。分かりますか。そうなると、中小企業は今まで一生懸命それこそ本当に絞って絞って絞ってきちゃったから原価をそれ以上下げるということはなかなか難しくなっている、そういう状況だということも是非皆さんも御承知おきいただきたいと思っております。

 そこで、実は、賃上げ税制ですが、財務省が賃上げ促進税制の検証をいたしました。法人税のEBPMに関する勉強会というのを設置して、検証してみたら結果はこうでした。賃上げは企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、現状、税制の効果だけを取り出して賃上げ判断への影響を定量的に測ることは非常に困難だ、今後、必要なデータの整備、蓄積や更なる分析手法精査の取組が必要。財務省はこういう検証をして、それでも今回この賃上げ税制を、誰からの指示か分かりませんが、やっているというところでございます。

 そこで、三つ目は、中小企業が経済活動を活発にして賃上げに取り組むためには、先ほどもちょっと言いましたけれども、消費税を下げて、やはりこれを下げると価格転嫁もやりやすくなるし、賃上げもやりやすくなるわけなんですけれども。さらに、法人税に累進税率を入れると、私が税理士の方々に二回ほど試算をしてもらいましたけれども、大企業はだんだん増税になる、中小企業はだんだん減税になるんですよ。大企業は税金が増えても、担税力に応じた税負担ならどうということはありませんから。中小企業は税が浮けば必ず、お金が、税金が浮いた、ではいい社員を雇うために給与を上げようとか、あるいは設備投資しようと思いますよ。大企業の経営者もそうだと思いますよ。あれ、何だ、そんなに税金を持っていっちゃうのか、ではこれを社員に還元しようとか、あるいは設備投資しようとか、こういうふうに思うと思いますよ。

 やはり経営者の立場に立って考えることが大事だと思いますが、いかがですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 政策には様々オプションがあるということは承知しておりますけれども、その上でお答え申し上げますと、消費税につきましては、急速な高齢化などに伴いまして社会保障給付費が年々増加してまいります、その財源確保が課題となっております中で全世代型社会保障制度を支える重要な財源として位置づけられておりまして、これは従来から申し上げておりますことでありますけれども、政府としては、その引下げを行うことは適当ではないというふうに考えております。

 法人税につきましても御提言いただきましたけれども、これは、御案内のとおり、自然人である個人とは異なりまして、租税負担を回避するため会社分割を行う等々も考えられますことから累進税率ではなくて単一税率を採用しておりまして、法人に対する累進税率を適用することには課題があるというふうに我々は承知しております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 審議官、消費税を福祉目的税にしている国は、ヨーロッパも含めて日本以外にないんだからね。財務省があくまでも法律に定めて、子育て、年金、医療、介護、四経費に充てますと決めただけの話なの。実際に、消費税を本当に充てていくかどうかという証明はできない。しかも、財務省は、ヨーロッパの付加価値税は平均二〇%じゃないですか、そこまで上げられるというのが経団連との相談じゃないですか。こんなうそっぱちをやっちゃ駄目ですよ。国を滅ぼすことになっちゃう。

 それから、法人税に累進税率を入れることですけれども、隣の韓国は四段階入れています。アメリカも、トランプ大統領以前は四段階入れていました。トランプ大統領は自分が企業経営陣ですから、一律二一%にした。アメリカはコロナで税金が足りなくなって、今のバイデン大統領になって上げることをやっていますけれども。あのイギリスでさえですよ、イギリスでさえ実は累進税率を法人税に入れています、今は。あそこも今、保守党政権ですよ。

 日本は特に、人口がどんどん減ってくるじゃないですか。先ほど申し上げたけれども、百年たっても人口が増えない、そうしたら生まれたばかりの赤ん坊から寝たきりの老人まで消費税を二〇%取るというんですか。そうじゃないでしょう。法人企業から負担してもらわなくちゃ、税財源なんかなくなっちゃうんじゃないですか。しかも、子供たちがちゃんと働けるように、成人してというか卒業してというか、働けるような人材に育ったら、それはどこで働くんですか。大体は、外国の企業で働く人もいるかもしれないけれども、日本の企業にみんなはどっちかというと就職するんじゃないですか。そうしたら、その恩恵を受けるのは日本の法人企業じゃないですか、違いますか。

 だったら、日本の法人企業は、先ほども申し上げたけれども、内部留保資金を、金融業、保険業も加えると六百二十七兆円もため込んでいる。それは、株主配当を増やして、経営者の報酬を増やして、働く人への賃金を抑えてきた、お金をどんどんため込んできた。富裕層もそうです、富裕層も家計の金融資産を二倍以上にしちゃった、二千兆円もある。だから、今回は大企業や富裕層は担税力に応じて、今度はこの国のために、お金をたくさんため込んだんだから、恩返しをする番ですよ、国民の皆さんや国に。恩返しをする番ですよ。

 ため込んだものに課税しろと私は言いません。これからその人たちは毎年毎年稼ぐんですよ。それは、御案内のとおり、株主・金融資本主義になっているから。お金でお金を稼ぐ経済になっているんですよ、毎年毎年稼ぐんですよ。ですから、その人たちが今度は国民の皆さんや国のために恩返しをする番ですよ。そこを、財務省もしっかり考え方を変えてもらわないと駄目だというふうに私は思っております。

 そんなことで、時間がだんだんなくなってきましたので、終わりに行きますが。

 次、外形標準課税はいいでしょう。

 それから、森林環境譲与税に係る譲与基準の見直しについては、今回、一つ前進かなと思っておりますが、私は、国土を守っている地域としては、私有林人工林面積がプラス〇・五、それから人口割がマイナス〇・五でしたね。林業就業者数、これもプラス〇・五にしていただいて、人口割は二割にする、今後のあれとして。それは、やはり林業従事者が少ない、担い手が少ないんですよ。ですから、そういう意味では、担い手にもちゃんと恩恵が行くように、この次の改正ではそういうふうにしてほしいなと思います。今回は修正できないでしょうから、そうお願いしておきたいと思っています。

 それから、六の軽油引取税の課税免除の特例措置ですけれども、これももうそろそろいいかげん、三年延長を四回やるそうですが、是非、そろそろこれは恒久化してもいいんじゃないかなと私は思っています。

 それはなぜかというと、皆さんのお手元に資料四として出しましたけれども、この表を見ていただきますと、自衛隊や海上保安庁などの公用であったり交通、あるいは農林漁業とか、その他の産業を見ても日本にとっては貴重な企業群であって、こういう人たちがいなくなっても日本の経済が下支えできなくなっちゃう、そういうことを考えるとこれは私は恒久化しちゃっていいんじゃないかと。その代わりプレジャーボートだけは適用対象外ということで、恒久化してもいいんじゃないかと私は思っていますので、是非御検討いただきたいと思っています。

 次に、少子化対策であります。

 先ほど、おおつき議員がしっかり質問しましたが、私も次の地・こ・デジで質問する機会がありますので具体的な話は聞きませんが、一つだけ、なぜ医療保険からの支援金制度をつくるのかということであります。それは、保険料に税の役割ができるのかという話であります。そういう意見がたくさんある中で、私が先ほどから言っていますが、法人税に累進税率を入れれば税額は増えますのでね。税額は増えますので、そういう税額を、将来自分の会社に入ってくる子供たちを育てる、そういう観点から、私は、子育ての費用は法人が出して全く悪くないし、合理的だと逆に思っておりますので、是非そんなことも指摘をしたいと思っています。

 そろそろ多分時間が終わりになりますので、最後に一言申し上げたいと思います。

 税は国家なりと申します。それは、税は、皆さん御承知のとおり、国民の生活や経済活動に大きな影響を与えるからです。また、昔からお金は天下の回りものと言われております。我が国は今や、貿易立国から投資立国へ変わって多額の金融資産を持つ金融大国になっております、先ほどからお聞きしたように。したがって、アベノミクスの過度な円安で失敗しかけてもおりますけれども、それでも簡単に財政破綻するような状態にはないということであります。

 ですから、これをよく知っていた黒田前総裁は十年間も異次元の金融緩和を続けちゃったんじゃないですかね。今度、植田さんがマイナス金利あたりをやめるような話もありますけれども、黒田前総裁はまさにこの多額の金融資産を知っていたので、アベノミクスとんでもないと言われながらかたくなに十年続けてきたのかなと私は想像しております。

 そこで、巨額の金融資産をため込んだ、先ほども申し上げましたが、大企業と富裕層はこれからも稼ぐでしょう、毎年毎年。ですから、稼がせていただいた国民の皆さんや国に恩返しをしてもらうために、担税力に応じて税金を納めてもらう、こういう税制の抜本改革が必要だ、私はそう思います。そして、政府が本来の仕事である税による所得の再分配をやる。お金をしっかり回す、国内にしっかりお金を回す、そういう役割を政府がやらなかったら、政府の存在意義はありません。その結果として、経済も財政も賃金もよくなって、経済の好循環が起きると私は思います。そうなれば持続可能な経済成長が実現できると私は考えておりますが、財務省の皆さんには是非御検討いただいて、地方にもちゃんと地方交付税などがたくさん回るようにお願いして、私の質問を終わります。

 以上です。

古屋委員長 次に、中司宏さん。

中司委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の中司宏です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された多くの皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 一日も早い復旧復興を願い、力を尽くしていかなければなりません。自衛隊、警察とともに、消防関係の皆様、総務省の皆様、大変厳しい環境の中で本当に大きな力を発揮していただいたと敬意と感謝を申し上げます。

 大変御苦労いただいた、詳細につきましては、改めて会派の同僚議員から質問させていただきますが、少し順序を変えますが、私の方からは災害対応について二点伺います。

 まず、今後の消防防災力の強化を考えますと、消防団を始め地域が連携して防災力を強化する取組が重要ですが、しかし、一方で、近年、消防団員の数は減少が続いている。特に直近の二年間では単年度の減少の人数は二万人を超えている、今年度当初の時点で七十六万人となっている、このように聞いております。

 そこで、団員の処遇の改善を講じる一方で、被雇用者や女性団員など、多様な立場の方々の加入促進に向けて様々な取組を実施されていることはお聞きしております。より一層の促進策についてお願いしたいと思っております。そして、例えばGPSと連携して活動ができるシステムの導入など、DXにより負担を軽減するということも大事だと思っております。一方で、自治会の加入率、この十年で六%以上低下をしている、こんな状況でございます。その中で、地域住民と消防団員とが連携を強化していく、そうした対策を講じることが必要と考えますが、その見解を伺います。

五味政府参考人 消防団員の処遇改善につきましては、令和三年四月に消防団員の報酬等の基準を策定しまして、全国の市町村に働きかけてきたところ、処遇改善に一定の進捗が見られたところでございます。

 一方、消防団員の更なる確保に向けましては、消防団活動の負担軽減に向けた対策を講じていくことも必要であることから、去る二月六日に発出いたしました総務大臣書簡において、デジタル技術の活用等による業務効率化や、機能別団員、機能別分団制度の活用などによる負担軽減の重要性について、地方公共団体にお伝えしたところでございます。

 また、書簡と併せてお送りした優良事例集におきましても、消防団アプリの導入による活動報告書の作成等の事務負担の軽減、事務所近隣で発生した災害に限って出動する機能別団員の導入などの具体的な取組を取り上げまして、御紹介しているところでございます。

 今後とも、こうした負担軽減を図る取組について、消防団の力向上モデル事業等によりまして、地方公共団体間でノウハウを共有して横展開を図ることによりまして、消防団活動へ参加しやすい環境づくりを進め、入団促進につなげてまいりたいと存じます。

中司委員 関連して、もう一点ですが、国民保護の観点から、Jアラートが発出された場合を想定した訓練についても、これは行っていくことが必要だと考えますが、見解をお願いします。

五味政府参考人 弾道ミサイル落下時にどのような行動を取るべきか、住民の皆様に理解を深めていただくことは大変重要であると認識しております。

 消防庁におきましては、内閣官房と連携して、国と地方公共団体と共同で、ミサイル発射事案を想定して模擬のJアラート情報を使用する住民避難訓練を実施しておりまして、令和五年度は二十八都道府県で四十三回の訓練を実施することとしております。

 訓練実施の際は、消防本部はもとより消防団にも避難誘導に当たっていただくなど、地域と連携して行っているところでございます。

 令和六年度におきましては、地方公共団体への支援の充実を図るために、住民避難訓練の優良事例集を新たに作成するとともに、訓練の企画、実施に当たって助言等の支援を行う国民保護訓練パートナー制度を創設することとしております。

 今後とも、地方公共団体に対して実践的な訓練の実施を働きかけることによりまして、国民保護の取組の実効性の向上を図ってまいります。

中司委員 ありがとうございます。

 消防庁におかれましては、国民を守る、そして地域住民を守る要としてしっかりと働いていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 さて、続いて、総務大臣の地方自治に対する姿勢について少し伺います。

 地方自治に理解の深い松本総務大臣の再登板に期待をしているところですけれども、先日の本会議における大臣の答弁が、失礼ながら、理解できないほど早口でとても聞き取りづらく、大事な本会議の議論の場で果たして地方自治に対して真摯に向き合っていただいているんだろうか、この疑問を感じたほどでございました。そう感じたのは私だけではなかったのか、SNSでも取り上げられていたことは残念でございます。

 私はある意味総務大臣は地方の代弁者であると思っておりますが、ここで改めて松本総務大臣の地方自治、地方分権に対する思いを確認しておきます。

松本国務大臣 国と自治体は、国民福祉の増進という共通の目的に向かって、対等な立場で、適切な役割分担の下で、相互に協力する関係にあると理解をしております。

 国は、国家としての存立に関わる事務や全国的な規模、視点に立って行う施策について重点的に役割を果たしておりまして、自治体の皆様には、保健、福祉、教育、消防など、広く住民生活に身近な行政サービスを担っていただいておりまして、住民の福祉の増進のために大変大切な役割を果たしていただいているというふうに認識いたしております。

 市長としての役目を務めてこられた中司委員にも、先ほど御質問いただいた福田委員も知事として、自治体の長としてこれまでも大変な貢献をされてきたことに改めて敬意を表したいと存じます。

 このような自治体の役割を最大限に発揮して、地域の実情に応じて住民ニーズにきめ細やかに対応していく上で地方分権を推進していくことも大切であると考えておりまして、義務づけ、枠づけの見直し、国から地方への権限移譲の推進によって自治体の自主性、自立性を高める地方分権改革を進めてきたところでございますが、まさに住民の生活に直結する自治体を支える立場、また国との連絡調整を担う立場として、総務省におきましても、地方の声を十分に伺い、関係省庁と連携をして、地方の自主性、自立性の向上に向けて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

中司委員 ありがとうございます。せっかくの再登板の機会、十分に応えていただいて、地方自治の進展のために頑張っていただきたいと思っております。

 それでは、さきの本会議の質疑での延長で何点かお聞きいたしますが、まず、偏在性が小さくて税収が安定的な地方財源としての消費税の地方税化についてです。消費税が国、地方それぞれの社会保障の財源となっているということを理由に、消費税を地方税化することは慎重な検討が必要ということでありました。では、より偏在性が小さく税収が安定的な地方税として今後どのような税体系を構築されるのか、大臣に伺います。

松本国務大臣 地方税の充実確保というのは大切でございまして、税源に偏在があれば、地方税を充実すると地域間の財政力格差が拡大することになります。このため、地方税の充実確保を図る前提として、地方税源の偏在是正が必要で、両者を車の両輪として常に考えていかなければならないというふうに認識しております。

 地方税については、これまで、地方税の充実と税源の偏在性が小さい地方税体系を構築する観点から、個人住民税の税源移譲と一〇%比例税率化、地方消費税の創設、拡充などに取り組んできたところでございまして、今後とも、社会経済情勢の変化などに的確に対応しつつ、地方税の充実確保を図っていくと同時に、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築を目標としてまいりたいと思っております。

中司委員 ありがとうございます。

 消費税が地方税化できないのであれば、消費税と地方消費税の割合も含めて在り方を検討され、地方税の充実確保に努めていただくように要望をさせていただきます。

 次に、特別法人事業譲与税について伺います。

 特別法人事業譲与税による大阪府の令和四年度減収額については、百五十億円の減収になるということで、その七五%は交付税で補填されていると示されました。

 大臣、あたかも実質的な減収額は大したことがないというようなニュアンスに聞こえたわけなんですけれども、しかし、二五%ですね、三十八億円。実質的な減収であって、毎年続くわけなんですから、大阪府にとっては大きな財源の消失であると考えます。

 特別法人事業譲与税は、大都市と地方との税源の格差を緩和する、そのための調整機能として位置づけられておりますけれども、地方間の財政調整は、こうした小手先の措置ではなくて、地方税の抜本的な改革によって実現すべきであると考えます。例えば、自治体がより積極的に産業の育成等に取り組むことにつながるような、そんなインセンティブのある地方税の体系を検討すべきと考えますが、お考えを伺います。

松本国務大臣 地方法人課税は、地方の行政サービスを支える基幹税として重要な役割を担っておりますが、その税源については、地域間での偏在があるとかねてから指摘されてきたところで、平成三十年七月に全国知事会が取りまとめた提言において、特に偏在が大きくなっている地方法人課税について、新たな偏在是正措置を講じることで偏在性が小さい地方税体系を構築すべきであるとされたところだと承知しております。

 経済社会構造の変化に伴って、大都市部への企業の本店などの集中やインターネット取引の拡大などを背景として、大都市部では企業の事業活動の実態以上に税収が集中する状況が見受けられるというふうに認識をしております。

 特別法人事業税・譲与税制度は、知事会提言も踏まえ、大都市部に税収が集中する構造的な課題に対処するため創設したものであり、偏在性が小さい地方税体系を構築する上で必要な措置だというふうに考えているところであります。

 インセンティブというお話でございましたけれども、地方法人課税については、地方団体にとって産業育成、企業誘致などに取り組むインセンティブとなるなど、地方団体の税源涵養において大切な役割を果たしている、このように認識をしております。

 特別法人事業税・譲与税制度における減収額についての評価を申し上げる立場にはないかというふうに思いますが、これ自身の意義は今申し上げたとおりで、地方法人課税の税収の大半は企業が立地する地方団体に残るところであります。

 加えて、地域の産業育成などによりまして、税源涵養ということでは、固定資産税などもあること、そして地域産業活性化による効果は雇用、給与所得や消費拡大を通じて個人住民税や地方消費税などにも波及すると考えられることから、これらも含めた税体系全体として捉えていただければというふうに考えているところでございます。

 よろしくお願いをいたします。

中司委員 それでは、次の質問に移ります。

 令和六年度は、これまで地方の安定した財源を保障してきた一般財源総額実質同水準ルールの最終年となりますが、平成二十三年度以降に実施されてきたこのルールの役割をどう考えるのか、まず大臣に伺います。

松本国務大臣 委員がおっしゃっておられる一般財源総額実質同水準ルールでございますが、骨太の方針におきまして、地方の一般財源総額について、令和四年度から令和六年度までの三年間、令和三年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保することとされているところでございます。

 これは、地方の歳出水準について、国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、社会保障関係費や公債費の動向などの増減要素を総合的に考慮し、地方の安定的な財政運営に必要な一般財源を確保していくという趣旨だというふうに考えております。

 一般財源総額実質同水準ルールにより、地方自治体が予見可能性を持ちながら、必要な行政サービスを提供しつつ、安定的な財政運営を行っていけるものとなり、必要な一般財源総額の確保ができたものというふうに考えているところでございます。

中司委員 現在、急激な物価高、それに伴う賃上げによりまして、調達のコストと人件費が急騰することが見込まれています。たとえ税収増で一般財源の総額が実質的に増加しましても、物価高、コスト高で財源が逼迫するわけですから、仮に来年以降このルールを延長しても有名無実化になってしまうということが考えられます。物価上昇を織り込んで地方の財源を維持するためにどのような対策を講じていかれるか、大臣に伺います。

松本国務大臣 私どもも、経済の好循環を目指すということで、今後の人件費の増加そして物価高騰への対策なども必要であるというふうに考えているところでございまして、この対応として地方の財源の確保は大変重要であるというふうに思っております。

 令和六年度地方財政計画におきまして、一般財源総額実質同水準ルールの下で、財政当局としっかりと協議をさせていただきまして、子供、子育て政策の強化などに対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、民間の賃上げなどを踏まえた人件費の増加、自治体施設の光熱費や施設管理等の委託料の増加を適切に反映した上で、一般財源総額について、前年度を交付団体ベースで〇・六兆円上回る六十二・七兆円を確保したところでございます。

 令和七年度以降の地方の一般財源総額の在り方について、これから議論をしていくことになりますが、地方自治体が予見可能性を持ちながら、必要な行政サービスを提供しつつ、安定的な財政運営を行っていけるように、必要な一般財源総額の確保に力を尽くしてまいりたいと考えております。

中司委員 物価高騰などに左右されず、地方が安定した財源を確保できるように是非ともお願いしたいと思います。

 次に、市町村合併について伺います。

 大臣は先般、平成の大合併によって多くの市町村で行財政基盤が強化されたということ、現在は人口減少、高齢化で自治体の専門人材の確保が重要である、そういう認識を示されました。一方で、多様な手法の中から最も適したものを選択する環境を整えることが大事である、このことも述べられています。

 私は、自治体の機能を強化するためには、複数の自治体の連携よりも、むしろ市町村合併の方が合理的な組織づくりにはふさわしいと考えております。現行の合併特例法では国や都道府県の積極的な関与の規定が廃止されていますが、自治体の行財政基盤の確立に向けて、改めて国や都道府県が旗振り役として合併が進む環境づくりを行うべきと考えております。大臣の認識を伺います。

松本国務大臣 平成の合併については、先ほど答弁も御引用いただいたところでございますけれども、平成二十一年六月の第二十九次地方制度調査会の答申におきまして、従来と同様の手法を続けていくことには限界があるとされたことなどを踏まえ、平成の合併につきまして、平成二十一年度をもって一区切りとなっていると認識しているところでございます。

 現行の合併特例法においては、国や都道府県の積極的な関与の規定は廃止をされておりまして、国や都道府県は市町村の求めに応じた助言や情報提供等を行うとされているところでございます。

 おっしゃったように、人口も減少していく中で、持続可能な形で地域に必要な行政サービスを提供するためには、自治体の行財政基盤の維持強化は重要なことでございます。

 そのような意味で、地域の実情や行政課題に応じて、広域連携や都道府県による支援、自主的な市町村合併などの多様な手法の中から最も適したものを自ら選択していただけるように環境を整えるべく進めてきているところでございます。

 また、それぞれの行政課題につきまして、例えば技術職員やDX推進のための人材などで都道府県から市町村への連携を進めるなど、様々な形で行財政基盤を維持強化していくことに私どもとしては努めていきたいと考えております。

中司委員 確かに、当該自治体が最も適したやり方を選択するということも必要だと思っておりますが、しかしながら、国、都道府県の後押しがあってこその合併という、やはり深刻な課題だと思いますけれども、これを乗り越えることができるわけでありますので、人口減少で、あるいは財政難で手遅れにならない間にその方策というものを検討していただきたい、こう思っておりますので、要望しておきます。

 次に、森林環境譲与税の活用について伺います。

 森林環境税の課税が令和六年度からスタートするわけですが、先行して地方に配分されている譲与税の財源、有効に活用されていないケースも見られますが、基金に積まれたままで活用の方策が決まっていない自治体もあると聞いております。

 森林環境の保全とか、林業とそれを支える人材の育成という課題は、やはり我が国の持続可能な発展にとっても重要な課題と考えております。

 まず、全国の自治体に先行して配分されている財源の活用状況について伺います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 森林環境譲与税については、委員御指摘のとおり、令和五年度から譲与が始まりまして、今年度で五年となるところでございます。各年度の譲与額に対する活用率、これは年々高まっておりまして、令和五年度における活用予定は、令和五年度の譲与額を上回る見込みと承知しております。

 令和四年度の取組状況でございますが、森林整備関係の取組を実施した市町村は約八〇%、人材育成では市町村は三五%、木材利用関係の取組を実施した市町村は約五〇%、全て前年度より増加しているところでございます。

 また、具体的な活用といたしましては、間伐等の森林整備の実施、都市部と山間部の市町村とで連携した森林整備、木材利用の実施、さらには人材育成面では新規就業者確保のための林業研修の実施、こうしたものに取り組む自治体があると承知をしております。

中司委員 ありがとうございます。

 そうした中で、この度の能登半島地震におきましては、広範囲にわたる土砂崩れ等による道路の寸断などで森林環境についても大きなダメージを受けていると認識しております。

 森林の保全、再生のために、特例として、被災自治体が森林環境譲与税の財源を活用できるよう、譲与分を上乗せすることはできないか検討していただきたいと思いますが、見解を伺います。

池田政府参考人 お答えの前に、先ほど答弁で、譲与が令和五年度から始まりと間違ってお答えをいたしました。令和元年度から始まりました。おわびして訂正させていただきます。

 次に、今ほどの御質問にお答えをいたします。

 地方譲与税であります森林環境譲与税は、事業費に対して交付される補助金などと異なりまして、客観的な指標に基づき譲与を行うものでございます。

 具体的には、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、私有林人工林面積、林業就業者数、人口等を用いているところでございます。

 このように、森林環境譲与税は森林整備等に充てられる財源のうちの一つではございますが、客観的な指標に基づいて譲与されるものでございまして、個別の財政需要に対応して譲与額を増額するといったことはなじまないというふうに考えてございます。

中司委員 その件はレクでも受けておりますけれども、大臣、どうですか。何か、そういうことに対する措置というのはできないんでしょうか。

松本国務大臣 先ほど委員会でも御答弁申し上げたように、被災地への支援という中で、財政的な支援も大変重要であるというふうに考えております。国からの様々な支援の形も含めて、総合的にしっかりと支援をしてまいりたいと思います。

 森林環境譲与税につきましては、先ほど局長から御答弁を申し上げたとおりで、個別の財政需要に対応して譲与額を増額することはなじまないのではないかというふうに考えているところでございます。改めて、でも、被災地にはしっかり支援をしてまいりたいと思います。

中司委員 改めてですが、被災地にしっかりと支援をしていただくということですので、よろしくお願いいたします。

 最後に、自治体システムのガバメントクラウドへの移行について伺います。

 自治体システムの移行期限が令和七年度末に迫っていますけれども、どれぐらいの自治体で対応が遅れているのか、今現在調査中ということでございます。システムの移行に対する補助金についてですが、正当な理由で移行が遅れたケースでは、他の自治体と同様に移行完了まで政府の責任で財政措置をしていただきたいと思いますが、その点、どうでしょうか。

山野政府参考人 お答えいたします。

 国において取り組んでおります標準準拠システムへの移行期限につきましては、原則として令和七年度末とされておりまして、現在、各自治体において移行作業に取り組んでいただいております。

 御指摘のように、一部のシステムについて、移行作業に多くの時間を要するなどの事情もありまして、現在、デジタル庁とともに調査を行っているところでございます。

 その内容や自治体の意見も踏まえながら、補助金に係る対応を検討してまいりたいと考えております。

中司委員 対応していただきますようにお願いいたします。

 それから、イニシャルの負担、これについてできるだけ低減していただくということでありますが、ランニングコストなんですけれども、これについても、本来、ガバメントクラウドへの移行については、ランニングコストの削減、軽減につながるものだというふうに理解しておりますけれども、なかなか移行するだけではコスト削減効果が出ない場合もあるということで、デジタル大臣もおっしゃっておられます。

 国が音頭を取って移行を進めていくからには、ランニングコストが移行前より低減するまで例えば使用料を国が一定肩代わりするなど、コスト削減に向けた支援、これを構築するべきであると思いますが、考えを伺います。

藤田政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体の情報システムをガバメントクラウドへ移行した後の運用コストの削減効果につきましては、現行のシステムの運用形態の違いによって様々でございます。複数自治体でクラウド上のシステムを共同利用するなど、既にコスト削減を進めている場合には、単純に標準化対応のみを行ってガバメントクラウドへ移行するだけではコスト削減効果を見込みにくい場合も考えられるところでございます。

 デジタル庁としましては、ガバメントクラウドにおけるクラウドサービスの利用料の低廉化を実現できるよう、大口割引や長期継続割引を提供するほか、システムのクラウド最適化や、クラウドサービス事業者が提供するセキュリティーやバックアップ等の管理自動化サービスの利用に関し技術的支援を行うなど、地方自治体におけるガバメントクラウド移行後の情報システムの運用コスト削減に向けた取組を最大限支援していきたいと思っております。

中司委員 最大限の支援をよろしくお願いしたいと思います。

 一方で、こうした自治体がデジタル化を進めていく中で、デジタル人材の確保、これはまだ十分とは言い難いと思っています。都道府県で採用して市町村に派遣するという取組もあると聞いておりますが、それでも予定人数に満たない場合があると聞いております。

 自治体DX推進のためにデジタル人材の確保は不可欠でありますけれども、この状況について、課題はどうなのかということ、どう対応しているのか、このことについてお伺いいたします。

山越政府参考人 委員御指摘のとおり、自治体DXを進めるためには、地方自治体のデジタル人材の確保、育成が極めて重要だと考えております。

 そのため、まず今年度は、都道府県等が実施する市町村支援のためのデジタル人材の確保に要する経費や、自治体におけるDXの取組の中核を担う職員を育成するために要する経費につきまして、新たに特別交付税措置を講ずるとともに、専門アドバイザーの派遣や地方公務員向けの研修の充実など大幅に取組を強化したところでございます。

 加えまして、小規模市町村を中心に、取組を進める体制が十分に確保できていない団体もあることを踏まえまして、本年一月、松本総務大臣からの書簡を発出いたしまして、都道府県知事と市町村長に対し、デジタル人材の確保、育成を始めとした、都道府県と市町村が連携した推進体制の構築に取り組んでいただくようお願いしたところでございます。

 現在、各都道府県に対しまして、市町村と連携した推進体制構築の取組状況についてヒアリングを実施しているところでございまして、その結果も踏まえつつ、デジタル人材の確保、育成が着実に進むよう、引き続き支援してまいります。

中司委員 ありがとうございます。

 地方自治推進の立場から、ただいま質問、指摘、そして要望を申し述べました。

 冒頭、大臣から、地方分権の推進は大切であるということ、そして地方の声を十分に聞いていきますよという話がありましたので、しっかり対応していただきますようにお願い申し上げまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。

古屋委員長 次回は、来る二十二日木曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十九分散会


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