衆議院

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第5号 令和6年2月22日(木曜日)

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令和六年二月二十二日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古屋 範子君

   理事 国光あやの君 理事 斎藤 洋明君

   理事 田所 嘉徳君 理事 田中 良生君

   理事 湯原 俊二君 理事 吉川  元君

   理事 中司  宏君 理事 中川 康洋君

      東  国幹君    五十嵐 清君

      井原  巧君    石田 真敏君

      上田 英俊君    尾身 朝子君

      金子 容三君    川崎ひでと君

      岸 信千世君    坂井  学君

      鈴木 英敬君    高木  啓君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      西田 昭二君    西野 太亮君

      根本 幸典君    葉梨 康弘君

      長谷川淳二君    平井 卓也君

      古川 直季君    本田 太郎君

      保岡 宏武君    山口  晋君

      山本 左近君   おおつき紅葉君

      岡本あき子君    馬場 雄基君

      福田 昭夫君    道下 大樹君

      阿部  司君    中嶋 秀樹君

      吉田とも代君    平林  晃君

      宮本 岳志君    西岡 秀子君

      吉川  赳君

    …………………………………

   総務大臣         松本 剛明君

   総務副大臣        馬場 成志君

   内閣府大臣政務官     古賀友一郎君

   総務大臣政務官      西田 昭二君

   総務大臣政務官      長谷川淳二君

   総務大臣政務官      船橋 利実君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上野 有子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           海老原 諭君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           藤野  克君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        山越 伸子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  山野  謙君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  大沢  博君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  池田 達雄君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            小笠原陽一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      五味 裕一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鳥井 陽一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           真鍋 英樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       川野  豊君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       小笠原憲一君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    松原  誠君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥山 祐矢君

   総務委員会専門員     阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十二日

 辞任         補欠選任

  石田 真敏君     金子 容三君

  金子 恭之君     平井 卓也君

  田畑 裕明君     山本 左近君

  古川 直季君     東  国幹君

  本田 太郎君     岸 信千世君

  藤岡 隆雄君     馬場 雄基君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     上田 英俊君

  金子 容三君     石田 真敏君

  岸 信千世君     高木  啓君

  平井 卓也君     金子 恭之君

  山本 左近君     鈴木 英敬君

  馬場 雄基君     藤岡 隆雄君

同日

 辞任         補欠選任

  上田 英俊君     五十嵐 清君

  鈴木 英敬君     山口  晋君

  高木  啓君     本田 太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     古川 直季君

  山口  晋君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

古屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官上野有子さん、こども家庭庁長官官房審議官高橋宏治さん、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人さん、総務省大臣官房総括審議官海老原諭さん、大臣官房総括審議官藤野克さん、大臣官房地域力創造審議官山越伸子さん、自治行政局長山野謙さん、自治行政局公務員部長小池信之さん、自治財政局長大沢博さん、自治税務局長池田達雄さん、情報流通行政局長小笠原陽一さん、消防庁次長五味裕一さん、厚生労働省大臣官房審議官宮本直樹さん、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一さん、経済産業省大臣官房審議官井上誠一郎さん、経済産業省大臣官房審議官真鍋英樹さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長井上博雄さん、中小企業庁事業環境部長山本和徳さん、国土交通省不動産・建設経済局次長川野豊さん、国土交通省水管理・国土保全局次長小笠原憲一さん、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長松原誠さん及び環境省大臣官房審議官奥山祐矢さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。中川康洋さん。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。

 今日は、令和六年度地方財政計画及び地方交付税法、さらには地方税法の改正案ということで、何点か、大臣始め総務省の皆様にも質問をさせていただきます。

 最初に、子供、子育て政策の強化に係る地方財源の確保についてお伺いをいたします。

 この件につきましては、本会議で私どもの平林議員も大臣に対して答弁を求めておりますが、委員会の席で改めてもう少し詳しくお伺いをさせていただきます。

 令和六年度の地方財政計画では、当初その確保が大変危惧をされておりましたけれども、子供、子育て政策の地方財源の確保について、まずは加速化プランの令和六年度の地方負担分〇・二兆円を確保するとともに、地方自治体が子供、子育て政策の単独事業として実施する財源についても来年度の一般行政経費を〇・一兆円増額いたしました。この財源の確保及び増額については、これまで一貫して子供、子育て政策の充実を主張してきた公明党として高く評価するものでございます。

 しかし、この加速化プラン及び地方が今後も独自に行う子供、子育て政策のソフト事業は令和六年度限りではなく、令和七年度以降も引き続き継続さらには充実をさせていくものであり、その安定的な財源の確保は各地方自治体にとっては大変に重要な課題でございます。

 そこで、改めて総務大臣に伺いますが、この政府が主導する加速化プランの地方負担分並びに地方が独自に行う子供、子育て政策の財源については令和七年度以降も国が安定的に確保していくこと、これが地方自治体にとっても重要と考えますが、総務大臣の見解を伺います。

松本国務大臣 ありがとうございます。

 子供、子育て政策の強化は、国と地方が車の両輪となって取り組んでいくべきものと認識をしているところであり、その旨をこども未来戦略加速化プランにも盛り込んでいるというふうに理解いたしております。その趣旨は、今委員からもお話がございましたように、国が進める政策の地方負担分と地方が独自に展開する政策の財源の確保ということ、このいずれもが重要であるということもこの意味の中には含まれていると考えているところでありまして、こども未来戦略におきましても加速化プランの地方財源を確保することが盛り込まれまして、令和六年度の地方負担については全額を地方財政計画の歳出に計上し、必要な財源を確保することができているところでございます。

 また、地方団体がきめ細かに独自の子供、子育て政策を実施できる地方単独のソフト事業について、地方財政計画の一般行政経費を〇・一兆円増額したところでございますが、委員御指摘のとおり、子供、子育てへの応援というのは引き続き重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、令和七年度以降についても、地方の皆様の御意見を十分に踏まえながら、各年度の予算編成過程を通じて適切に地方財源の確保に取り組んでまいる決意でございます。

中川(康)委員 ありがとうございました。大臣の力強い答弁をいただきまして、地方も安心できるんじゃないかと。

 今回の地方財政計画について、地方六団体からも大変に高い評価を得ているんですね。その一つが、やはり子供、子育て政策の財源の確保という、ここにあったのではないかなというふうに思っています。こども未来戦略方針のときに、大変に地方負担分というのが、大体三分の一ぐらい確保するというところがあったんですけれども、非常に危惧されておりました。ここは本当に総務省が頑張っていただいて、財政当局と交渉しながら確保していただいたなというふうに思っています。

 令和七年度以降もしっかりとここを確保していく、そして子供、子育ての政策を充実していく、これは国の政策としても、さらには、それをおやりいただくのは地方でございますので、連携しながらここを充実させていく。大変に大事な課題だと思いますので、大臣、引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 続きまして、賃上げ促進の観点から二点ほどお伺いをさせていただきます。

 一点目に、会計年度職員の手当について伺います。

 近年、食料品や燃油代等の物価上昇が長期化する中、この物価上昇を上回る賃上げを実現することは今や政府の最重要課題の一つでございます。そのような状況の中、令和五年人事委員会勧告に伴う給与改定に要する経費の確保や、昨年の地方自治法改正に伴い可能となった会計年度職員の勤勉手当の支給分を令和六年度の地方財政計画において〇・二兆円確保したことは、地方自治体における職員の給与を確実に引き上げるのとともに、社会全体の賃上げを促進するという意味からも大変重要な取組でございます。

 そこで、総務省に伺いますが、昨年の地方自治法改正によって支給可能となった会計年度職員の勤勉手当については、現在どのくらいの自治体において令和六年度からの支給を予定しているのか、ここをお伺いしたいと思います。また、あわせて、この勤勉手当に先行する形で令和二年度から支給されております期末手当につきまして、既に全ての自治体で支給されているものと思いますが、その支給状況についても併せて御答弁を願います。

小池政府参考人 会計年度任用職員の勤勉手当につきましては、令和五年十二月一日時点において、令和六年度から支給する予定の団体は千六百七十三団体、支給しない予定の団体は百十二団体となっております。

 また、会計年度任用職員の期末手当につきましては、令和五年四月一日時点におきまして、支給している団体は千七百七十七団体、支給していない部門又は職種があると答えた団体は十一団体となってございます。

 総務省としましては、制度の適正な運用について昨年末に改めて助言通知を発出しておりまして、今後とも会計年度任用職員の期末手当及び勤勉手当の支給につきましては、ヒアリングの機会等を活用して適切に対処するよう促してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今聞いた限りにおいては、令和六年度から勤勉手当については支給を準備していただいている、こういった印象を持ったわけでございます。さらには、期末手当についてもまだ何らかの形で支給できていないのが十一団体というお話でございました。

 賃上げ促進の観点からも、公務員の皆さんの人事院勧告による給与の引上げ、さらには会計年度職員の皆さんもしっかりと手元に所得が確保できる、これは大事な要素だと思うんですね。全国でどれだけの割合かというところを考えましても、やはり公務員の皆さんの割合というのは大きいと思います。そこをしっかりとボトムアップしていくことによって社会全体の賃上げの促進が図られる、そういった状況があるかと思いますので、引き続き現場を細かく見ていただきながら、助言通知等になるかと思うんですけれども、各地方において勤勉手当、期末手当がしっかりとあまねく支給できるような状況、そして再来年度以降もその財源をしっかりと地方にお渡しできる、こういった体制をおつくりいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 もう一点、賃上げの促進の観点から、自治体施設管理の委託料についてお伺いをいたします。

 令和六年度の地方財政計画につきましては、自治体施設の光熱費の高騰に対応するのとともに、ごみ収集や学校給食など自治体のサービスや施設管理等の委託料の増加への対応として、今回初めて三百億円を計上しております。

 私は、今回初めて講じられるこの委託料の増額につきましては昨年全国で問題となった学校給食の運営事業者の事業停止の例などからも必要な措置と考えておりますが、これまでの自治体と委託業者との契約はそのほとんどがいわゆる競争入札で決定されていたために、物価高騰や人件費増の中においてもなかなか委託料に反映されない状況が続いていたのではないか、このように感じる一人でございます。また、その結果、委託先で働いている社員の皆様の賃金も上がらない、ないしは最低賃金ぎりぎりという状態が続いていたのではないでしょうか。

 そこで、総務省に伺いますが、各自治体における施設管理などの委託料については、現場において確実な価格転嫁ができているのか、さらには十分な人件費の積算となっているかなど、今後も現場の実態及び契約の状況を見ていくのとともに的確に現場のニーズに対応した額を積算していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。総務省のお考えをお伺いします。

山野政府参考人 施設管理等の委託料の価格転嫁の実態、状況の把握についてのお尋ねですが、最近では、昨年閣議決定されました総合経済対策におきまして、国、地方公共団体等によるサービス等について資材価格の高騰、賃金上昇等の転嫁を進めることとされております。

 総務省としましては、都道府県及び指定都市の資材価格高騰、賃金上昇等を踏まえた契約変更等の対応状況をお聞きしながら適切に対応いただくよう助言通知してきたところでございます。

 また、令和六年度の地財対策を踏まえまして、自治体のサービス、施設管理等の委託料の増加に対しても適切に対応いただくよう助言通知を行っております。

 今後とも、各地方自治体においては、今般の地方財政対策等を踏まえ適切に対応していただくことが重要であると認識しておりまして、引き続き、これらの通知の趣旨を徹底するとともに状況の把握に努めてまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 昨年度は、いわゆる自治体施設の光熱費の高騰ということで七百億円積んでいただいたわけなんですね。本年度は、光熱費の高騰は四百億円、そして委託料の増加で三百億円という、こういった形にしていただいたわけです。

 各自治体施設においていろいろな委託等をしているわけですけれども、委託料は結構、競争入札だったりとか、あと、昨年と同じような流れとかですね、いわゆる人件費の増が全然反映されていない、ないしは、ひどいところになると行財政改革の一端で切られていく、こういった状況もあるわけなんですね。そして、ある団体がもういいとなると、どこでも違うところはあるよみたいな、こんな話にもなる。そうすると、そこで働いている皆さんの賃金が上がっていない、こういった状況があるのではないかなと思っているんです。

 そういった意味においては、今回現場に光を当てて三百億円を計上していただいた、これは私は非常に評価するところであるんですが、これによってしっかりと委託料についても額に反映しているのか、そして、そこで働く社員の給与もしっかりと見られているのか。最賃ぎりぎりというところもいまだにあると思いますので、そういったところも総務省、都道府県を通して目利きをしていただきながら、皆さんが豊かな状況でお仕事ができる、そういった状況をおつくりいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。要望とさせていただきます。

 続きまして、外形標準課税について一点お伺いをいたします。

 外形標準課税につきましては、昨年の税制大綱の中においても一番議論になった内容の一つではないかなというふうにも思っています。外形標準課税、特に適用対象法人の見直しについてお伺いをいたします。

 この外形標準課税については、これまで、資本金が一億円超であった企業が、財務会計上、単に資本金を資本剰余金に振り替え、意図的に課税逃れを行う減資が大変に大きな問題となっておりました。そこで、今回の改正案では、その減資対策として、資本金一億円超の現行基準は今後も維持したまま、今回新たに、これまで外形標準課税の対象であった法人が今回の改正案の施行日以降に資本金一億円以下で、かつ資本金と資本剰余金の合計額が十億円を超えるものについては新たに外形標準課税の対象とするとされたところでございます。

 私は、今回の改正案は、今後意図的な減資を防ぐという意味でその意義は大きいと考えますが、同時に、今回の改正の本来の目的でありました、既に減資を行い外形標準課税の対象から外れた法人が引き続き対象外であることについては、税の公平性の観点から見ても疑問を感じざるを得ない一人でございます。

 また、今回の改正案は、その施行日が令和七年四月一日を予定しているため、それまでに課税逃れのためのいわゆる駆け込み需要が働くことも十分予想されます。

 そこで、総務省に伺いますが、今回の改正案では、その施行日までの駆け込み需要を防ぐために具体的にどのような措置を講じていくのか、ここはしっかりと対策を講じることが大事かと思いますが、その点、総務省のお考えをお伺いします。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 減資への対応につきましては、納税者、都道府県の双方の準備期間が必要であることなどを踏まえまして令和七年四月一日に施行することとしておりますが、委員御指摘のとおり、法施行前に駆け込みで資本金一億円以下に減資する企業が生じ得ることが想定されますことから、その対策を講じることとしております。

 具体的には、公布日前に外形標準課税の対象であった法人が公布日以降に資本金一億円超から一億円以下に減資した場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が十億円を超えるとの新たな補充的な基準に該当すれば外形標準課税の対象とするなどの措置を講ずることとしております。

 これにより、いわゆる駆け込み減資対策にも対応しつつ公平公正な税制を実現してまいります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 やはり税の公平性というのは非常に大事でありまして、そういった意味においては、これまで既に減資をしたところが対象にならないというのは私は個人的にはどうかなというふうに思っておったんですが、今日それを議論しても仕方ないわけですので、ここは議論しませんが。

 それと一点、当初、税制大綱の協議をしていたときに、令和七年四月一日以降だからそれまでに駆け込み需要をするところがいっぱい出てくるじゃないか、こういった問題点があったわけであります。今日の答弁の中では、施行日以降じゃなくて公布日前にその対象であって、公布日以降に減資したところは基本的には対象とすると。そうすると、今もう既に衆議院で審議していまして、この後参議院で審議し成立すると、成立とともに公布ということになるのではないかなと思いますので、そうすると多くの駆け込みを防ぐことができる、有効な判断をしていただいたのじゃないかなというふうにも思います。

 今後も外形標準課税のあるべき姿について議論を重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 最後に、新築住宅に係る固定資産税の減額措置についてお伺いをします。私、固定資産税というのは地方の大事な税財源ですのでよく質問をするんですが、今日は新築住宅について聞きます。

 昨年十二月に決定をいたしました与党税制大綱並びに今回の改正案では、今年度末で適用期限を迎える新築住宅に係る固定資産税の減額措置については引き続きその適用期限を二年延長する、このようになりました。

 しかし、この特例は、高度経済成長時、住宅ストックが不足していた昭和三十九年度において住宅建設の促進を目的に法制化されたものであり、人口減少や空き家の増加等が大きな課題となっておる現在においては既にその使命を終えたのではないかとの指摘もあります。私もそう感じておる一人でございます。

 現に、昨年の与党税制大綱では、その検討事項の中に、新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置については、国として推進すべき住宅政策との整合性を確保する観点から、地方税収の安定的な確保を前提に、その在り方について検討すると明記をされております。

 そこで、総務省に伺いますが、この新築住宅に係る固定資産税の減額措置については、これまでのように一律対象とするのではなく、今後は、例えばその対象を環境性能が高い住宅に重点化していくなど、何らかの角度をつけた見直しを行う必要があるのではないかというふうに思いますが、その点について御答弁を願いたいと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、新築住宅に係る固定資産税の減額措置、これは、全国的に住宅の絶対量が不足する中、住宅の建設を促進する観点から昭和三十九年に創設され、以来、長年にわたり延長等の措置が講じられてきたものですが、住宅をめぐる社会環境またその課題は大きく変化していると認識しております。

 具体的な見直しの在り方については、委員御指摘のような環境性能の高い住宅への重点化以外にも国として推進すべき住宅政策としては様々な視点が考えられますことから、住宅政策を所管する関係府省とも十分に議論しながら検討を進めてまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 昨年の与党税制大綱で二年延長となったわけですので、二年間は基本的には変わらないわけですけれども、この二年間の中でどう議論していくかということが非常に大事だと思うんですね。

 そういった意味においては、今回検討項目の中にそういった一文が入ったということは私は非常に評価する一人でありますし、今、環境性能が高いのは、ZEBとかZEHとか、そういった住宅があるわけです。ですから、いわゆる政策誘導というか、インセンティブが利くような方向性で税の仕組みもつくっていくこと、あわせて、固定資産税というのは地方にとっては基幹税であり大事な財源ですので、そこをしっかりと議論を深めた上で、政策誘導ができるような税制措置、これが大事だと思うんですね。

 先ほども答弁がありましたけれども、これは総務省だけで決める話ではございません、国交省も大きく絡んでまいりますし、ないしは環境省、こういったところも絡んでくるかと思います。関係省庁がしっかりと議論を重ねながら、二年後の税制措置においてどうしていくかという問題だと思うんですが、そこに向かって議論を重ねていく、また、私どももそこに向かって議論を重ねてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 以上申し上げまして、公明党を代表いたしましての質問とさせていただきます。大変にありがとうございました。

古屋委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただいて、ありがとうございます。

 私からは、地方税、地方交付税、それの基となる地方財政計画に関連して質疑をさせていただきます。

 地方財政計画上、大きな項目として、今回、所得税、地方税の減税、こども子育て費の創設がございます。まず、所得税及び地方税減税について伺いたいと思います。

 先日の質疑で、同僚の道下委員から資料請求がありました。地方税については今年の六月分は徴収せず、七月から来年の五月までの間、十一か月で割って徴収するというやり方が採用されています、七月以降。実は六月はゼロだけれども七月以降は割高になっちゃう、そういう人がいるんじゃないかという指摘がありましたが、どのくらいいるか、把握はされていますでしょうか。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 給与所得者につきまして、世帯構成や各種控除の状況によりますが、七月以降の各月の徴収額が定額減税を行わない場合の各月の徴収額を超える場合があるとは承知しておりますが、実際はそれぞれの納税義務者ごとに例えば医療費控除でありますとか住宅ローン控除とか様々な控除が存在いたしますため、具体的な人数をお示しすることは困難でございますので、御理解賜りたいと存じます。

岡本(あ)委員 御理解賜りたいと言われても、やはり痛税感が残る方が現実に存在するというのは非常に、この趣旨からすると残念なことだと言わざるを得ません。

 控除できる部分が少ない人ほど対象になる可能性があります。特に、現役で、しかも扶養家族が少ない、独身で頑張っていらっしゃる方、あるいは子供がいない方など、ちょっと失礼ながら、なかなか控除できるものがない人ほど対象になる可能性があります。

 理事会に提出された資料によると、引けるだけ引いていって、残りは例年どおり引くこともできるんじゃないか、それはベンダーさんとかを含めるとなかなか、前にもやったことがあるやり方だから前のとおりという説明だったというのが資料の中に書かれておりました。ただ、今申し上げたとおり、減税の効果を享受することが目的なはずであって、システム改修や、前例がそうだからという理由では、痛税感が大きくなるとしたら、減税目的としては真逆なのではないかと指摘をさせていただきます。

 これと併せて是非大臣に伺いたいんですが、そもそも地方税が所得税減税につき合う必要はあるんでしょうかというものです。

 確かに、所得税が非課税で地方税だけでもということも今までありましたけれども、今申し上げたとおり、逆に痛税感が発生する人がいる、自治体のシステム改修、制度設計にコストがかかる、自治体の職員の負担も非常に大きいです。国民の関心も、地方税が安くなるよねという話題は余り聞かず、所得税減税という言葉ばかり飛び交っていることを考えると、地方税の減税への期待自体が薄いと思えます。

 総務大臣としては、地方税がつき合う必要があるのか、地方税の減税のやり方というところも含めて御答弁いただけると助かります。

松本国務大臣 今般の定額減税は、コロナ禍や、デフレの後に物価高騰がやってきたという大変厳しい状況の中で、所得の上昇をより強く実感していただくことを目指して減税という方法が取られたと理解しているところでございます。個人住民税のみを負担されている方もいらっしゃることから、減税の効果を広くお届けするため、住民税においても減税を行うこととしたと理解しております。

 申しましたように、今回の減税はデフレマインドの払拭につなげることを目的としたものでありますが、在り方、方法等について、既に当委員会でも御答弁も申し上げてきているように、方法としては、自治体や事業者の負担にも配慮した制度設計としたところでございまして、是非、年額を通して減税になっているということ、御通知も申し上げる中でございますが、その点に御理解いただくようにお願いをしたいと思っております。

岡本(あ)委員 立憲民主党も、やはり減税よりも給付の方が現実的じゃないかということは再三指摘をさせていただきました。過去にも一九八九年とか、二年連続で減税をした過去があると思うんですが、あのとき二年連続で減税があったよねということ自体、覚えている方は少ないんじゃないかと思います。

 地方自治体の負担はやはり大きいです。少なくとも二種類の税に触る、しかも地方税に触るとしたら、全国の自治体でシステム改修、データのチェック、加えて事業者、給与計算にも関わりますので、民間事業者の給与担当の方も、社員の給与から所得税、地方税の源泉徴収を計算して、一人一人の給与明細を作らなければならない、しかも、毎年ですが、今年四月から六月は健康保険料の負担額の算出の計算もしなければならない、給与担当者の事務負担も、民間の事業所、特に中小零細企業の事業者も負担が大きいです。

 本来は、やはり減税ではなく、国からの給付でやるべきだと考えます。残念ながら防衛増税に始まった増税隠しのための減税ではないかと、立憲民主党としては再三言わせていただいております。やはり給付の方がかかるコストが、マイナンバーカード、次の給付のためには口座をひもづけすると便利ですよとあれだけ言って、カードの普及あるいは口座ひもづけとかも奨励した政府の一貫性を考えると、非常にこれはアンマッチングだと思います。

 改めて、総務大臣、減税ではなく給付の方が本来だったら効率的かつ効果的ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

松本国務大臣 申し上げましたように、減税という方法を取ることで所得の上昇をより強く実感していただくことが大切だということで判断させていただいたというふうに理解いたしているところでございます。減税という方法、分かりやすい方法ではないかと。デフレマインドの払拭にもつなげていきたいと思っているところでございます。

 その中で、事業者や自治体の御負担ということについても御指摘がありました。

 先ほども御答弁申し上げましたように、事務に携わる方々の負担にも配慮した制度設計とさせていただいたところが、今回、十一か月でならす方法を取らせていただいたものでもあり、繰り返しになりますが、年額で減税となっていることを是非この場をおかりしてお伝えさせていただきたいと思っております。

岡本(あ)委員 私からすると、やはり給付の方が現実的、効率的、効果的ではないかということは重ねて指摘をさせていただきます。

 続きまして、こども子育て費について伺わせていただきます。

 今回の通常国会の冒頭、岸田総理の所信表明演説の中で、子供一人当たりの関係支出は対GDP比において、今回の三・六兆円の加速化プランで増額をするとスウェーデン並みになりますと、非常に声高におっしゃいました。一人当たり家族関係支出がスウェーデン並みになるというのは本当でしょうか。こども家庭庁、お答えください。

古賀大臣政務官 岡本委員の御質問にお答えをいたします。

 今先生がおっしゃった子供一人当たりの家族関係支出の対GDP比についてでございますけれども、これは、我が国の加速化プランを実施していけば二〇一九年度の国際比較においての一六%というレベルになるということでございまして、欧米のスウェーデンなどトップクラスに比肩する、こういった状況になるということを見込んでおります。

 以上です。

岡本(あ)委員 済みません、古賀政務官、少しやり取りさせていただければと思います。

 そうすると、資料一を御覧ください、スウェーデンが一五・四%、日本は一一%が加速化プラン実施後に一六%になるということなんですね。一六%になれば満足ということなんでしょうか。この点もお答えください。

古賀大臣政務官 我々が目指しているのは、あくまでも少子化対策、我が国の将来を考えての少子化対策を実効あらしめるということで取り組んでおりますので、あくまで国際比較は一つの参考でございますが、我が国が子供、子育て予算にどれだけ注力しているかという参考資料としてはこういった指標も有効ではないか、こういうふうに考えております。

岡本(あ)委員 重ねて伺いますが、この指標は今まで国際比較で使われたことはありますか。御当局の方でも結構なんですが。この指標を暦年で、例えば資料一に参考とありますよね、スウェーデンが三・四%、日本が今現在一・七%、加速化プランで二・四%、これは家族関係支出の対GDP比なんですが、上の指標を国際比較として今まで政府で使われたということはございますでしょうか。担当の方で結構です。

熊木政府参考人 御説明申し上げます。

 先生御指摘のとおり、資料一の下側の図につきまして、家族関係社会支出というのがございます。これにつきましては、国際的に使用されている指標であるというふうに認識をしてございます。

 これにつきまして、この度は人口の構成による影響というものを考えた方がいいだろうということでございまして、子供一人当たりでどうなのかということを見ましたのが上の側の一六%という指標でございます。

 したがいまして、これは国際的に使用されているものを分かりやすくお示ししたというものでございます。分かりやすく、今回の加速化プランでどうなるのかということをお示ししたということでございます。

岡本(あ)委員 今まで例えば暦年とかでこの数値を使って国際比較したことがありますかという質問をさせていただきました。

 レクのときにやり取りをさせていただいたら、この計算式はこども家庭庁が、今回なのか去年なのか分かりませんが、ちょっと初めて使ったかのような印象を受けたものですから、過去にも国際比較としてこの数値でスウェーデンとどうだったのか、あるいはフランスとかの出生率を頑張っている諸外国と比べてどうだったのかというのを比較された実績があるのか、この点、もう一度お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回お示ししている比較の仕方ということは、これまで特にお示ししたことはなくて、今回初めて使わせていただいたというものでございます。

岡本(あ)委員 非常に重要な発言だと思うんです。今回初めて使われています。

 私もちょっと、国際比較がないか、いろいろと調べたんですが、余り見当たらないんです。資料二の棒グラフ、これはしょっちゅう出るんです、OECDのファミリーデータベース。元々OECDで公表している数値を使っていますので、日本の一・七が三年後、頑張れば、加速すれば二・四を目指せるよというのは分かります。ただ、資料一の式を分析してみたんですが、実は少子化が厳しいほど数値が上がる計算式になっちゃうんです。

 日本のところを御覧ください。割る分母のところに一億二千六百万分の五百五十三兆円とありますが、これは分母なので、掛けるにするとひっくり返りますよね。そうすると、五百五十三兆円分の一億二千六百万が分子に行きます。一方で、約二千万人、子供の数ですね、これが分母になるんですね。そうすると、子供の数が少なければ少ないほど子供に対する人口が高くなります。なので、別に三・六兆円を頑張らなくても、今までどおりの予算でも、少子化が進めば進むほど今お示しいただいた数値は上がることになりませんか。この指標、もう一度お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のような点も確かにあろうかというふうに思いますけれども、この件につきましては一概に、そう単純に言えるというものではございませんでして、例えば子供の割合が大きい、つまり働き手の割合が小さいということになりますと、当然GDPは小さくなり、逆に家族関係支出は大きくなるというようなことでございますので、その比率は比較的大きなものになる。また、その逆もしかりということになってくるわけでございます。

 また、子供の数が少なくなりますと、当然、子供一人一人に決まった額が給付される、例えば児童手当とかが予算額としては減少するということになりますので、家族関係支出自体が減少するということになるということで、子供が少なくなると数値が必ずしも高くなるということではないというふうに考えておるところでございます。

岡本(あ)委員 私にはそうは思えないんです。

 次のページにイギリスが例えば二・四とか数値がありますが、この指標で見ると、出生率もイギリスは結構頑張っているんですけれども、数値でいくと日本の方が高く出てしまう。これは国会図書館に調べていただいたので、やり取りなので資料がなくて申し訳ないんですけれども、頑張っているものが数字として表れにくいということは指摘をさせていただきます。

 私からすると、要は、三・六兆円をつければ頑張っている諸外国並みにできる数値はないかということで、何とかつくり出したように思えてならないんですね。なので、偽装指標ではないかということは指摘をさせていただきます。例としてはこれまで、この指標を使って国際的に比較されたものというのが全然ないということが、やはり一つの証拠ではないかと思います。

 重ねて申し上げます。

 三・六兆円を追加しなくても、少子化が進めば進むほど日本のこの数値は上がっていってしまいます。さっきスウェーデン並みということを比較されましたけれども、スウェーデン並みになったということを喜ぶ話にも全くならないということは強く指摘させていただきますし、スウェーデン並みに並びました、じゃ、スウェーデン並みの頑張っている国として当事者の方、子供や若い人たちが実感を持てますかというと、まだまだ足りない部分はある、その点は私としてもこれからも指摘をさせていただきます。

 残念ながら、やったふり詐欺のような、単なる数字のごまかしのようにこの指標を使うというのは私としては看過できないですし、ましてや総理が所信表明演説でこの指標を使うということ自体、私としては、再三申し上げますが、偽装指標にもなり得るんじゃないかと。この点は厳しく指摘をさせていただきたいと思います。

 今度は、こども・子育て支援金のことをお伺いさせていただきます。

 結局、これは国民負担増でしかないのではないかと思います。二〇二八年の支援金の保険料が五百円弱になるということは総理もお答えをされました。年間六千円弱と言っていますけれども、加入者一人当たりという計算をされていらっしゃいます。

 私たち立憲民主党は再三、保険料を払う人が一体どのぐらい負担するのか、保険料を支払う人一人当たりで示すのが本来ではないかと指摘させていただいております。これは医療保険の加入している仕組みによっても変わりますけれども、この点をなかなかお示しなされないのはなぜなのかということが一点。それから、結局は、三百円弱から負担して二〇二八年は五百円弱という言葉が出ておりますが、支援金とか社会保険料とかは実質負担なしという表現を使っていますけれども、私からすると、やはりこれは子育て増税なんだと、言葉としては増税隠しではないかと思われます。この点について、お考えをお示しください。

熊木政府参考人 なぜ支援金の金額がまだ示されていないのかというお問合せがございましたが、少し細かい点でございますので、私の方から申し上げます。

 確かに、五百円弱ですとか、あるいは令和八年度ですと平均すると三百円弱というものをお示ししております。これは加入者一人当たりの金額でございます。なお、医療保険制度ごとにいろいろ仕組みが違いますので、一般的には医療保険制度全体で数字を申し上げるときには加入者一人当たりで申し上げているというふうに承知してございます。

 この金額は、制度ごとということだと思いますけれども、今、成案とさせていただきまして、法案を閣議決定させていただきまして、今後審議に向かっていくという状況でございます、令和八年度なり令和十年度の数字としてお示しする必要があろうと思っておりますので、そのときの加入者の数ですとかあるいは報酬の状況ですとか、そういったものを試算した上で、しっかりと精査させていただいた上でお示しさせていただきたいというふうに考えてございます。

 それから、実質負担なしにつきましては、先生御案内のとおりでございますけれども、まず徹底した歳出改革等で財源を確保するということでございまして、歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険の負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金を構築する、こう申し上げてございます。したがいまして実質的な負担が生じないということでありまして、それから、子育てにしっかりと充てるということも踏まえまして、子育て増税といったものではないというふうに私どもとしては御説明申し上げているところでございます。

岡本(あ)委員 ちょっと、この点、もう一度確認をさせてください。

 一人当たり月額五百円弱ということは、総理も言葉として使われています。一人当たり五百円弱だと年間六千円弱で、私たちは、例えば健康保険組合だったら年間一万七千円が今の現行でいくとかかりますよね、保険料を支払う人にとっては一万七千円ですよねということを指摘させていただいていますし、多分、成案を作るに当たってはやはり試算されているんだと思います。試算もない中で令和八年度から、これから積み上げますということは理屈に立っていないと思うので、この点は指摘をします。

 一点、確認なんです。この五百円弱という表現はイコール、国民の皆さんは保険料を払う人が五百円弱なんだなと誤解されると思うんですが、逆に、五百円弱ということは、五百円弱掛ける家族の人数を負担すると思っていればよろしいのかを一つ。

 それから、先ほど歳出削減努力ということで実質負担なしとおっしゃいましたけれども、歳出削減の中で、例えば、これから医療の高齢者の窓口負担を高めますよという話が出ています。あるいは、この先質問しますけれども、病院を統廃合といいますか、病院を少なくして患者さんにとってアクセスが不便になっても、医療費が減ったらその分が削減努力になりますよと。あるいは、高校生の年少扶養控除を廃止しようとしています。

 結局、お金の自己負担なしという表現は、こうやって行政サービスを、特に福祉、医療の分野を切り捨てることで、結果、自己責任の、行ってこいで負担なしということにもなりかねません。実質負担なしという表現は全く理解できないので、御指摘をさせていただきます。この点もお答えください。

 先ほど申し上げました五百円掛ける家族の人数分の負担だという理解でよろしいのか、お答えください。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 医療保険制度はいろいろ、国民健康保険制度ですとか健康保険制度と分立しておりまして、制度が分かれてございます。それによってもかなり違うと思いますが、少なくとも家族の数を単純に掛けるというものではございません。

 例えば、健康保険で考えていただきますと、所得に応じて保険料設定がされておりますので、御家族が何人かいるということで保険料が上がるという仕組みにはなってございません。国民健康保険制度はやや複雑でございまして、所得に応じる部分ですとか家族の構成に応じる部分がございます。

 しかしながら、今回の支援金につきましては少なくとも子供さんの数が増えても支援金の金額は上がらないという措置を講じようとしておりますので、少なくとも子供につきましては数が多いということで支援金の金額が上がるということはございません。先生がおっしゃられました一万七千円の健康保険というのは恐らく事業主の負担分を加味した数字だと思いますので、御本人が支払う分についてはその点は御勘案いただければというふうに思います。

 それから、歳出削減につきましては、窓口負担を求めたりだとか病院が少なくなるといった御指摘が今ございました。年少扶養控除につきましては、恐らく歳出改革の問題ではなくて、歳入のものだと思います。

 歳出改革につきましては、そもそも、社会保障の改革というものを全世代型の社会保障として構築するという、そういう基本的な考え方の下で今改革を進めているところでございます。内容につきましては多岐にわたりますが、改革工程という形で検討課題として年末にお示しをさせていただいておりますが、これを実際に進めるに当たっては、毎年度毎年度しっかりと予算編成の中で検討していくということでございますので、今の時点で窓口負担がどうするといったことが決まっているというものではございません。それぞれ丁寧に検討していく課題であると認識をしてございます。

岡本(あ)委員 ただ、歳出抑制のリストの中には入っておりますよね。結論がまだとはいいつつも検討事項には入っているということは強く指摘をしますし、あと、よく分からないんですけれども、マイナ保険証を使った方が窓口支払いが増えるという診療報酬改定の答えも出ているのも全く、患者さんがどんどん不利益を生じて、自己負担をしていかないと社会保険料の実質負担なしということは実現できない、納得がいかないということは指摘をしますし、別な場でもこれからも議論させていただきたいと思います。

 続きまして、能登半島地震への対応について伺いたいと思います。

 災害時の職員の支援、技術職員確保、これは本当に喫緊の課題ですし、全国の自治体にとっても必須のテーマです。マンパワーが全然不足して疲弊をしている、ボランティアも限られている情報が連日SNSや報道で飛び交っています。自治体の職員、専門職の方、業界や団体から派遣されている方も、寝泊まりする場所も限られ、長時間にわたってゆっくり休むこともできず、交代の人がいないため、使命感で頑張っている方が大きな災害のときには必ず発生します。東日本大震災でも私も身近で経験をしました。過労や精神的疲労などから二次被害に至らないよう注意が必要です。この点、どう支援されるのか、伺いたいと思います。

小池政府参考人 大規模な災害では、大量の災害対応業務が短期間に発生いたしますので、被災自治体単独での対応は困難であり、また、被災自治体の職員の負担を軽減するためにも、多くの応援職員が被災自治体に入ることが必要となります。

 総務省では、大規模災害発生時に他の自治体から応援職員を派遣する仕組みとして、地方三団体等と連携し、平成三十年に応急対策職員派遣制度を構築し、制度開始以降、これまで九つの災害において応援職員を派遣しており、今回の能登半島地震においても避難所運営等を支援するために職員派遣を行っております。

 また、大規模災害からの復旧復興に対応するため、自治体における技術職員の確保も重要な課題と認識をしております。

 このため、都道府県等が技術職員を確保し、平時に技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害時の中長期派遣要員を確保する復旧・復興支援技術職員派遣制度を令和二年度に創設し、登録された職員に係る人件費に対して地方交付税措置を講じています。

 さらに、この取組を強化するために、今年度から定年引上げが始まることも踏まえ、地方交付税措置を拡充するとともに、技術職員の確保に計画的に取り組むよう要請しているところです。

 関係省庁とも連携しながら、自治体の技術職員の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 是非強化をお願いしたいと思います。

 続きまして、自治体間の災害時相互応援協定と対口支援、カウンターパート方式の効果的な組合せが必要じゃないかということについて伺いたいと思います。

 各自治体の地域防災計画には、災害時相互応援協定を結んでいる例が増えてまいりました。

 私の地元仙台市は、四十年以上前に宮城県沖地震を発端に自治体と民間団体とも協定を結んで、十三年前の東日本大震災を経験して更に強化して、直近では二百四十三事項、そのうち五十項目は自治体と協定を結んでいます。現在、東北六県の県庁所在地や全国の政令指定都市のほか、災害がかぶりにくい西日本側、遠くは九州や北海道の自治体とも協定を結び、いざ、どちらかに大規模な災害が起きたときには要請に応じる、あるいは要請を待たずともいち早く駆けつける用意があるんです。残念ながら、今回の能登半島地震を見て、仙台だけがこんなにすごい数と結んでいるんだなということを逆に思ったんですが。相手の自治体を身内と感じてもらう仕組みというのは、いざというときには必要だと思います。

 あわせて、対口支援、これは、総務省、地方自治体が協力して、速やかに調整してマッチングをしてくださっていると思います。今回の能登半島で相互応援協定の部分と対口支援というのがどういうふうに機能しているのかお答えいただきたいことと、あわせて、組合せ、協定を結んでいるところと対口支援、効果的に連携することを求めたいと思います。まとめてお答えください。

五味政府参考人 令和四年四月に行った調査によりますと、能登半島地域の全ての自治体において他の自治体と災害時の応援協定を締結していると承知しております。

 自治体職員の応援派遣につきましては、災害マネジメントを支援する総括支援チームに迅速に現地に入っていただくとともに、マンパワーとしての自治体職員の派遣をスムーズに行うため、被災市町に対してそれぞれの担当となる都道府県や政令市を決めて、現地のニーズを伺いながら、現在は千百名程度の応援職員に避難所運営や罹災証明書の交付に向けた住家被害認定調査などの業務を支援していただいております。

 また、自治体間の災害時における協定につきましては、委員御指摘の仙台市の事例のほかに、福井県越前市は七尾市に対する災害廃棄物仮置場運営業務のための職員派遣を、また、島根県松江市は珠洲市に対する罹災証明書発行業務のための職員派遣を行うなど、各自治体間の災害時の応援協定に基づく支援が行われているところでございます。

 こうした自治体間の災害時の応援協定、さらにまた大規模災害などの発生も想定いたしまして、応急対策職員派遣制度、こういったものにつきましてはしっかりと両者相まって機能するように対応してまいりたいと存じます。

岡本(あ)委員 レクのときはそれぞれが別に動いているという話をお聞きしたので、ここは連携して効果的に組み合わせていただきたいということを、是非大臣も頭に置いておいてください。

 時間の関係で、最後の質問に移ります。

 宮城県で、公立病院、公的病院の統合再編問題が起きております。先ほどの歳出削減の中にも医療構想を促進する項目が入っておりましたけれども、公立病院の経営強化ガイドラインは再編・ネットワーク化という言葉がなくなっているんですね。その意図はどういうことなのでしょうか。それから、資料三を御覧いただきたいんですが、統合ありきという言葉は否定をされていますので、この点も含めて、再編・ネットワーク化という言葉を使わなくなった理由をお答えください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 公立病院が医師不足等により厳しい経営に直面する中で、地域に必要な医療提供体制を確保するためには、医師、看護師等の確保を進めながら、限られた医師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用することが重要でございます。

 そのために、持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドラインにおきましては、病院間の役割分担と医師派遣等による連携強化に主眼を置きまして機能分化、連携強化を推進することにしております。

 新たなガイドラインは公立病院の統廃合を前提とするものではございませんけれども、再編等を含む公立病院の在り方につきましては、新たなガイドラインに基づく検討を行っていただいた上で、持続可能な地域医療提供体制を確保するために、各自治体が地域の実情を踏まえて、自主的な判断により行われているものと承知をしております。

岡本(あ)委員 最後に、厚労省に伺います。

 資料四を御覧ください。地域医療構想の実現へ向けた重点支援区域、ここに、先ほど申し上げました宮城県の仙台構想区域ということで、四病院の統合、合築のうちの二つの病院があります。ただ、異例の条件付指定となっております。自治体の了解が全く得られていない状態での申請でしたので、条件をつけた意図、それから、この条件をクリアするというチェックをどうしていくのか、この点を厚労省にお伺いします。

塩崎大臣政務官 岡本委員の御質問にお答えいたします。

 宮城県の仙台構想区域のうち、仙台赤十字病院と宮城県立がんセンターの統合については、宮城県から申請があり、一月十六日に選定を行ったところでございます。

 その際、宮城県の地域医療構想調整会議において構成員から、議論や検証に必要な情報が示されないままプロセスが進められているとの発言があったこと等を踏まえて、選定に当たっては理解を得ることの条件を付したところでございます。

 今後につきましてですけれども、宮城県における仙台市の理解を得るための取組状況等について、機会を捉えて宮城県、仙台市の双方に対し電話や面談等により確認を行いながら、総合的に判断をしてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 今、御発言の中に仙台市の理解を得るという表現がありましたので、この点をしっかり注視していきたいと思います。

 異例の、選定に当たっての条件がついた初めての例ですので、あくまでも、関係自治体に丁寧に説明を行って理解を得られたと思いますという県の主張だけで了解ではなく、客観的事実あるいは厚生労働省としての確認をしっかりして条件をクリアする、そのための調整機能を果たす、必ずしも進めることありきではないということも含めて、これからも注視していくということを発言させていただき、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、阿部司さん。

阿部(司)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の阿部司でございます。

 本日は、地方税法、地方交付税法、そして地方財政計画に関連して質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、能登半島地震、防災関連の質問から入りたいと思います。

 さきの能登半島地震におきましては、自衛隊はもとより、消防、警察といった実動部隊の方々が昼夜を分かたず対応していただいたと認識しております。

 また、今回の災害では、通常の市町村内で完結する避難所対応とは異なって、一・五次避難、二次避難と、市町村域を越える避難も必要となりまして、かなり難しい対応だったのではないかなと思います。

 まず、今回の地震における消防の対応ぶり、消防職員、団員の貢献につきまして、避難所対応にも触れていただきながら御紹介をお願い申し上げます。

五味政府参考人 能登半島地震における消防の対応についてでございますが、消防庁長官の指示により、発災当初から、約二千名規模の緊急消防援助隊が出動するとともに、地元消防本部が消防団と協力し、総力を挙げて災害対応に当たったところでございます。

 地元の消防本部と緊急消防援助隊とを合わせ、連日二千三百名規模の人員が活動いたしまして、消火、警戒活動や、倒壊家屋からの救助、捜索活動のほかに、避難所からの救急搬送、ヘリによる孤立集落からの救助や物資搬送、病院や高齢者施設からの転院搬送など、御指摘の被災者の避難支援も含めまして被災地で求められる様々な活動に取り組み、昨日までに四百三十四名を救助、三千二百九十七名を救急搬送いたしました。

 また、地元消防団も、発災直後から、住民への避難の呼びかけ、消火、救助活動や傷病者の搬送などを行うとともに、避難所での支援物資の整理、搬送など、避難所の運営支援にも従事いたしました。

 このように、地元消防本部、消防団、緊急消防援助隊が連携して懸命な活動を行いまして、避難所への対応も含め、災害応急対応について重要な役割を果たしたものと考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 まさに、消防の皆様、緊急消防援助隊の皆様、そして消防団の皆様は防災の要だと感じております。心から命懸けの働きに感謝を申し上げたいと思います。

 今お伺いしたように、避難所の運営関連の支援というところで御答弁が今ありましたけれども、大きな役割を消防団員も果たしていると思いますけれども、内閣府で避難所運営ガイドラインというものがあると聞いておりまして、これらの周知について消防庁はどのように御対応されているのか。また、今回のように広域的な災害があった場合において、消防の観点から、現状のガイドラインで対応し切れていない部分がもしありましたら御紹介をお願いします。

五味政府参考人 災害時において、避難所における良好な生活環境を確保し、適切な運営を行うことは極めて重要であると認識しております。

 このため、消防庁では、内閣府が令和四年四月に改定いたしました避難所運営ガイドラインにつきまして、内閣府と連名で各都道府県を通じて市町村や関係機関に周知しております。

 また、指定避難所におけるトイレや空調設備の設置など、生活環境改善に係る整備につきましては緊急防災・減災事業債の対象とするとともに、暖房器具や非常用発電機などの資機材等の整備につきましては特別交付税措置を講じているところでございます。

 なお、避難所運営ガイドラインでございますが、消防団員を含む地域住民が避難所運営業務のために連携、協働すべきものといたしまして、食料・物資管理、衛生的な環境の維持等が掲げられておりまして、今回の消防団による避難所運営支援の事例はこのような方向に沿ったものであると認識しております。

 ガイドラインによる対応につきましてお尋ねがございましたが、今後、能登半島地震の被災地域の消防団から避難所運営を含めまして今回の災害対応に関して御意見をお聞きするなどいたしまして、避難所の生活環境の改善が図られるように取り組んでまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 なぜこの質問をしたかといいますと、私、珠洲で友人が事業を営んでおりまして、実際、被災をしたということで、避難所の状況がひどかったという話だったんですね、かなり劣悪であった。そもそもそういう大きな災害が起こる想定をされていなかったのかもしれないですけれども、避難所自体のキャパシティーも全く足りていない。それで、一・五次避難所、二次避難所、三次避難所と、様々な宿泊施設を開放してというような対応になったと思うんですけれども。

 過去にも大きな地震、災害があったわけです。そこでは様々な教訓、ノウハウが蓄積されていると思うんですね。ただ、それが蓄積されていても、しっかり共有をされていない、徹底されていないということは非常にもったいないことだと思います。ですので、ドキュメントを作って配布するということにとどまらず、しっかりと、自治体ですとか自主防災組織の方々が前もって準備できるように徹底していくことが大事だと思いますので、その点、是非よろしくお願い申し上げます。

 私は先日、この前の土日ですかね、私は東京都の北区と板橋区が地元なんですけれども、地元の避難所開設訓練に参加をいたしました。その際、地元の方から聞きましたところ、課題の一つとしてインターネット環境の整備があると聞いたんですね。WiFiの整備を検討する際、イニシャルコストは何とか予算で賄うことができる、だけれどもランニングコストを考慮すると予算が足りなくなってしまう、結果的に諦めている、このようなお話だったんです。DXの観点からランニングコストまで含めた財政措置が必要だと思いますけれども、現状、どのように御対応されていらっしゃるのか、御見解をお伺いいたします。

五味政府参考人 避難所における良好な生活環境を確保していく上で、被災者への情報提供や被災者相互の安否確認、また被災者による情報入手ができる手段を提供することは極めて重要であると認識しております。

 このため、自治体が指定避難所における生活環境改善のためにWiFi整備を行う場合のイニシャルコストにつきましては、緊急防災・減災事業債の対象とされているところでございます。

 また、ランニングコストについてでございますが、例えば小中学校等におけるインターネット接続費につきましては、学校教育での利用の観点から普通交付税で措置されているところでございます。

 WiFiの確保につきましては、令和四年四月に、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針及び避難所運営ガイドラインに盛り込まれておりまして、内閣府と連名で各都道府県を通じまして市町村や関係機関に周知しているところでございます。

 今後とも、関係省庁や自治体等とも連携しながら、WiFi整備を含めまして、避難所における良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今のお話ですと、例えば避難所になり得る小中学校の体育館ですとか、これは普通交付税で措置をされている。ただ、それでも不足をしているというのが現状ですので。

 もちろん、発災したときに、ポケットWiFiとかを持っていって、それを使ってくださいというような対応を取って、それは一応予算として確保しているというお話もお伺いしたんですけれども、学校教育でのWiFi環境の利用というのは、念頭に置くのはそうなんですけれども、災害時にポケットWiFiを持ってきて使えるようにしてという、やはりタイムラグが生じると思うんですね。ふだんから使えるようにしておくことが迅速なインターネット環境の整備につながると思いますので、是非しっかりこの点は予算を確保して御対応いただきたいと思います。

 次に、避難所の避難の在り方に関してなんですけれども、DX関連ですね、高齢者の方ですとか障害を持っている方ですとか、被災者の状況に応じたニーズに対応していく必要があると思います。また、自治体をまたぐ場合などは、特に行政の方々と避難者の双方からコミュニケーションがしっかり取れるシステムを整備する必要があると考えます。防災DXを自治体のDX計画に必須項目として盛り込むことが不可欠だと思いますけれども、総務省としての御見解をお伺いいたします。

海老原政府参考人 お答えいたします。

 地方自治体におきまして、防災も含め、様々な分野で計画的にDXの取組を進めていくことは大変重要であると考えております。

 総務省としても、自治体におけるDXの取組を着実に進めますため、防災も含めまして、様々な分野における自治体の取組を地域社会のデジタル化に係る参考事例集という形で取りまとめて周知しているところでございます。

 今後とも必要に応じて、防災を所管する省庁とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 防災DXを自治体のDX計画の必須項目として盛り込むことについて、実際に要請をしていくことは重要だと思いますので、この点、是非お願い申し上げます。

 それでは、コロナ禍を経た地方財政の現状についてお伺いしてまいりたいと思います。

 感染症対策及び地方創生対策として国から地方公共団体に交付される新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金、こちらは令和二年四月に創設をされまして、令和五年三月までのおよそ三年間で十八兆円に上る予算措置がなされました。幅広い使途が認められた地方単独事業分については、問題のある使い方が散見されたほか、イカのオブジェとかがありましたけれども、地方公共団体の基金の積み増しにつながったとの指摘もあります。

 地方創生臨時交付金を始め、コロナ期の緊急措置が地方財政に与えた影響についてどのように評価をされているのか、政府参考人の御見解をお伺いいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方創生臨時交付金は、地域の実情に応じてきめ細かに対策を講じられるよう自由度の高い財源として措置されたものと承知しておりまして、所管する内閣府において地方公共団体に対し、その使途や効果の公表について要請がなされているものと承知をしております。

 こうしたコロナ期の緊急措置によりまして、令和二年度以降の地方団体の決算を見てみますと、歳入歳出は共に大幅に増加をしております。

 なお、基金についても御指摘がございましたが、直近の四年度決算では前年度から一・八兆円増加をしております。これは、法人関係の二税とか固定資産税等の地方税が当初見込みから増加していたということを踏まえまして、各自治体におきまして、交付税の減額の精算であるとかコロナ関係の国庫支出金の返還への備えとか、災害や公共施設の老朽化対策など将来的に歳出増大が見込まれる行政課題への対応であるとか、将来を見据えた財政運営として積立てを行ったことによるものと考えております。

 地方の借入金残高は依然として巨額でございまして、今後の税収動向とか様々な行政課題への対応を考慮しますと、地方財政は現在も依然として厳しい状況にあるというふうに考えております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。ポイントは二つかなと思っていまして、まず、一時的に大きく歳入歳出が増えた、そして二つ目に、中長期的な視点で見るとやはりまだまだ地方財政は厳しい。この二つがポイントかなと思いました。

 続きまして、現状の地方財政はコロナ期の有事モードから平時モードに移行しているタイミングだと考えられますが、今回の地方財政対策の中でこうした平時モードへの移行として考慮した点について、引き続き御説明をお願い申し上げます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 これまで、新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、地方自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただけるよう、国の補正予算や予備費の使用により実質的に全額国費により措置をされてまいりました。

 このため、令和五年度までの地方財政計画におきましては新型コロナウイルス感染症のための特別な財政需要は計上しておらず、その観点からは平時モードへの移行という要素はございません。

 ただ、新型コロナの蔓延防止上、緊急の必要があると認められる状況にはないと考えられることを踏まえまして、令和六年度からワクチン接種については全額国費の特例臨時接種から定期接種へと移行されることになりまして、令和六年度の地方財政計画においては、新型コロナワクチンの定期接種に要する費用として四百五十億円を計上しているということでございます。

阿部(司)委員 平時モードへの移行という要素はないという趣旨の御答弁だったかと思いますけれども、やはりコロナ禍で交付金が出ていた時期とコロナ禍が落ち着いてきた今とでは明らかにフェーズが異なると思います。

 ここで一つ指摘をしておきたいのが、臨時交付金を原資とした事業、こちらの継続性、ばんとお金が出て、そのお金を原資にして事業を行う、でも、それって継続できるんでしたっけというものが各地で散見されるというふうに指摘をされておりますが、こちらは十分に気をつけていく必要があると思います。

 次は大臣にお伺いしてまいりたいんですけれども、今回の定額減税においても、総務省と財務省が調整をした結果、地方負担が生じない形でまとめられました。このように承知をしております。これ自体は地方にとっては利益だと思いますけれども、一方、さきに申し上げた地方創生臨時交付金について地方側から繰り返しの要望があったり、国家全体の政策判断に当たって地方負担ばかり気にしたり、地方側の財政に関するある種の、モラルハザードとまでは言いませんけれども、そういった状況があるのではないかなと懸念をしておりますが、この点、大臣の御見解をお伺いいたします。

松本国務大臣 今回の定額減税については、地方の自主財源である地方税が減収となることを踏まえて、地方財政に配慮する観点から、地方税の減収については全額国費で補填をし、所得税の減税に伴う地方交付税の減収については前年度からの繰越金などにより対応することとしたところでございます。

 先ほど御指摘があったところでありますが、新型コロナウイルス感染症への対応については、地方自治体が財政面での心配なく積極的に取り組んでいただくことが国民の命に関わるものとして必要であるとの考えから、国の補正予算や予備費を使用し、地方創生臨時交付金などにより実質的に全額国費で措置されてきたというふうに承知をしております。

 国、地方が直面する課題に応じて、国として地方への支援の在り方を決定し、地方自治体においては、この国の措置を踏まえて、地域の実情に応じて必要となる施策を実施しているというふうに理解しております。モラルハザードとまではとおっしゃったところでありますが、私どもとしては、モラルハザードになっているというふうな御指摘は当たらないものというふうに考えているところでございます。

 地方が自治を確立していくためには、地方財政の健全化というのも大変重要でございます。是非、経済を立て直し、地方税などの歳入の増加に努め、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うことによって、臨時財政対策債の発行を抑制するなど、地方財政の健全化に努めてまいりたいと思っております。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 臨時交付金で多くの自治体が助けられた、これは事実だと思います。一方で、国にも大きな財政負担が生じております。結局は、将来世代がそのツケを払っていかなければならないと思うんですよね。

 先ほども触れましたけれども、自治体が交付金によって始めた事業について、交付金に頼り続けないと継続できなくて更に頼り続ける、こうして自立を阻害するような構造が生まれ、悪循環に陥っていく。全部が全部そうではないとは思いますけれども。このような構造があることにしっかりと問題意識を持って、総務省さん、そして大臣にもその思いで所管のお仕事に当たっていただきたいと思う次第であります。

 関連して、この流れで、地方の自立は非常に重要であると思います。ただ、やはり護送船団方式的な在り方になっている側面は否めないと思います。本質的な財政健全化、そして自立を図っていくべきというのが私ども日本維新の会のスタンスでもあります。そのために、地方において、歳入の確保、この努力とともに、地方から成長産業を生み出していく取組が必要不可欠であります。その観点から、地方におけるGX、そしてベンチャー育成は大いに進めていくべきであると思います。

 まず、地方自治体におけるGXの推進に関する現状、そして課題認識についてお伺いをいたしたいと思います。

山越政府参考人 お答えいたします。

 令和三年六月九日に策定されました地域脱炭素ロードマップを踏まえまして、地方自治体においては、脱炭素先行地域の取組を始め、太陽光発電、住宅・建築物の省エネ等の重点対策など、地域主導の脱炭素の取組が進められているものと承知をしております。

 地方自治体がこれらの取組を進めるに当たっては、専門人材の不足であるとか財政負担といった課題があると認識をしているところでございます。

 このため、総務省といたしましては、地域資源を活用した分散型エネルギーのマスタープランの策定支援や、再生可能エネルギーの導入や省エネルギー化の施設改修等を計画的に実施するための脱炭素化推進事業債などの取組を進めているほか、令和六年度からは新たにGXアドバイザーの派遣に取り組むこととしております。

 引き続き、関係省庁とも連携しながら、地域主導の脱炭素の取組をしっかりと後押ししてまいります。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 今の答弁を受けまして、GXについて各省庁からもお伺いをしてまいりたいと思うんですけれども、まず環境省さんからお伺いをしたいと思います。

 地域脱炭素ロードマップが策定され、二〇三〇年までに少なくとも百か所の脱炭素先行地域をつくるという目標を掲げておられますけれども、現時点までの進捗状況を教えてください。

奥山政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御質問の脱炭素先行地域でございますけれども、地域資源を活用しつつ脱炭素と地方創生を同時に実現する地域脱炭素の全国のモデルとなる地域でございまして、学識経験者で構成する評価委員会の評価を踏まえまして、二〇二五年までに百か所を選定していくこととしております。

 これまで、計四回の募集を行いまして、全国で七十四提案を選定してきております。これらの地域では、二〇三〇年までに民生部門での二酸化炭素排出実質ゼロを実現いたします取組、そういったものを中心に、地域課題に対応しつつ、地域脱炭素に向けた取組が進められているところでございます。

阿部(司)委員 百という目標の中で七十四、あとちょっとというところで、頑張っていただきたいと思うんですけれども。

 続きまして、脱炭素の取組で特に意欲的な取組があるのか、事例を御紹介いただきたいんですが、ちょっと時間が少なくなってきましたので、一つだけお願いします。

奥山政府参考人 お答えいたします。

 これまで選定いたしました脱炭素先行地域におきまして、委員御指摘の意欲的な取組の例でございますけれども、例えば、北海道の石狩市におきましては、電力多消費産業であるデータセンター群を含む企業の誘致を行うとともに、その供給電源といたしまして、産業拠点である新港湾地域に地元の林地残材を利活用する新たなバイオマス発電等の再エネ設備を整備することとしておりまして、脱炭素とデジタルを通じた地域の成長を目指しているところでございます。

阿部(司)委員 ありがとうございます。

 地域の脱炭素の取組が全国に広がっていくには、地域の課題解決ですとか成長にも貢献するものが必ず必要になってくると考えております。大臣、先ほど政府参考人からもありましたけれども、自治体だけではなく地元産業界ですとか専門家の、しっかり、人材の不足ですとかノウハウの不足というのが課題として指摘をされていたと思いますので、この点、是非、体制強化をお願いできればと思います。

 続きまして、脱炭素と成長を結びつける技術としてペロブスカイト太陽電池があります。この太陽電池は、二〇五〇年カーボンニュートラルの達成に向けて、再生可能エネルギー拡大の切り札として注目を集めております。この導入について、現状と課題認識について経産省にお伺いをしたいと思います。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のペロブスカイト太陽電池でございますけれども、軽量で柔軟という特徴を持っていますのでいろいろなところに張れるということ、それから、主な原材料がヨウ素ということで、日本が世界第二位の産出量である、こういったメリットがあると考えてございますが、現状の課題は、やはり耐久性であるとか変換効率といったようなところがまだ各国で技術開発中だというところでございます。こうしたところを更に向上していきまして、コストを低減させていくということで普及を拡大していく必要があるというふうに考えてございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 続きまして、国内における社会実装、地域GXにおいて技術を普及させる上での課題認識をお伺いしたいと思います。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 今申し上げたような課題がございますので、導入拡大を実現するには、国内の様々な地域あるいは環境におきまして、それに応じた実証プロジェクトをスピーディーに後押ししていくこと、これが非常に重要だと考えております。

 経産省といたしましては、来月中にグリーンイノベーション基金において大規模実証を想定した公募を行ってまいります。また、固定資産税の課税標準の特例措置の対象としていただけるのであれば、これは需要サイドにおける取組の加速化にもつながっていくのではないか。

 技術開発をしっかり進めながら、環境に即した入れ方をしっかりと実証で見ていく、そして、導入側においてもしっかりインセンティブを持たせながら、関係省庁が連携して様々なところに、公共建築物の壁であるとか鉄道ののり面であるとか様々なところに試していって実装していくことが地域の活性化につながると考えてございます。

阿部(司)委員 ありがとうございました。

 大臣、今回、ペロブスカイト太陽電池を念頭に置いた再エネ発電設備に係る課税標準の特例措置の拡充及び適用期限の延長が行われると聞いておりますけれども、どの程度の適用件数、そして効果を見込んでいるのか。また、日本の国際競争力強化、地域GXの観点から、現状維持ではなく、今も強力にインセンティブが必要だという話が経産省からもありましたけれども、より踏み込んだ大胆な措置を取るべきではないかと思いますが、御見解をお伺いいたします。

松本国務大臣 御指摘のGX、地域脱炭素化の推進は大変大切なテーマでありまして、令和六年度税制改正において、再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例措置の対象に、社会実装に向けて今後実証プロジェクトが本格化していく状況にあるペロブスカイト太陽電池を使用した一定の発電設備を追加することとしたところでございます。これについては、特例措置の二年間で約二十件の適用を見込んでいるというふうに承知しております。

 この特例措置によりまして、ペロブスカイト太陽電池の国際競争力の強化や社会実装の実現に資することを期待いたしたいと思っているところでございます。

 今後の政策的な支援については、また関係省庁とも議論してまいりたいと考えております。

阿部(司)委員 このペロブスカイト太陽電池、非常に日本にとっても大きなチャンスだと思います。これはスピードが勝負だと思いますので、いち早く日本での市場を立ち上げるためにも、更なる税制措置をよろしくお願い申し上げまして、私の質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、中嶋秀樹さん。

中嶋(秀)委員 おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会の中嶋秀樹です。

 本日は、地方税法等の一部を改正する法律案、地方交付税法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 主な質問に先立ちまして、NHKラジオ短波「しおかぜ」について確認させていただきたいことがございます。

 私どもの会派からこれまでも要望させていただいております。「しおかぜ」の放送に対して、北朝鮮から妨害電波が発信されているので、対抗手段として常に複数の周波数によって二重放送を行っているのが現状だと思います。KDDI八俣送信所において、現状、三百キロワット送信機五台、そして百キロワット送信機二台のうち、百キロワット送信機二台を老朽化に伴い本年度中に廃棄することとなっており、期間は十か月を要し、その間二重放送ができない状態であるということは本当でしょうか。確認させていただきます。

小笠原(陽)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の拉致問題に関する問題、大変重大な問題であり、総務省といたしましても、拉致被害者等に向けた情報発信は非常に重要であるというふうに考えております。

 御指摘のありましたラジオ短波「しおかぜ」の送信設備についてでございますが、送信設備の老朽化に伴い、設備の移行工事を経た上で、設備移行後も残る送信機二台を活用して「しおかぜ」を安定的に継続して運用することができるよう検討するというふうに聞いております。

 設備の移行工事につきましては、来年度後半から開始される見込みであり、移行工事期間中は一時的に一波での送信になると聞いてはおりますが、この作業は、今後とも「しおかぜ」が二波体制で安定的に継続して運用できるようにするための必要な作業であるというふうに認識しているところでございます。

 「しおかぜ」の送信設備につきましては、短波放送施設を所有、管理するKDDI、施設の賃借人であり免許人でもある特定失踪者問題調査会、同様に施設の賃借人であるNHK、この三者間の取決めに基づいて運用されているものと承知しております。

 この三者間で協議を尽くしていただいた上で、「しおかぜ」の担う重要な役割等を踏まえ、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、関係府省と協力して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

中嶋(秀)委員 それでしたら、廃棄工事後の送信機を更新する予定はありますでしょうか。更新しないとしたなら、三百キロワット送信機五台で安定した二重放送は可能なのでしょうか。改めてお伺いいたします。

小笠原(陽)政府参考人 お答え申し上げます。ちょっと一部重なりますけれども。

 今申し上げましたとおり、現在行っております工事は、設備移行後も残る送信機二台を活用して「しおかぜ」を安定的に継続して運用することができるよう、それを目的とした工事でございます。引き続きそういった安定的な情報供給ということを行い、拉致被害者等に向けた情報発信に支障が生じないよう、関係府省とも協力して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 時代が進んで、デジタル社会であっても、有事の際には在外邦人の保護などにおいても短波放送はやはり貴重な情報の伝達手段となると思います。我が国の安全保障上の観点から、また、国益を損なわないためにも、有事に備えて、必要に応じて国が送信施設を維持管理し、そして送信技術も継承して周波数を確保していくべきだと、大事だと思っております。

 政府は、二波体制による安定した運用に向けた検討を促す方針だと聞いております。時間との勝負でもある拉致問題解決のためにも、妨害電波対策の要である二重放送を何とか廃棄工事中もできるだけ安定して運用していただきますよう強く要望いたします。ありがとうございました。

 続きまして、ここから本題に入ってまいりたいと思います。前半は震災への対応について、後半は子供、子育て政策に関連して質問させていただきます。

 まず、令和六年能登半島地震の被災自治体への特別交付税措置に関し、被災自治体及び職員を派遣している自治体に対して十分な特別交付税を交付する予定でしょうか。また、能登半島地震関連の交付額が増加することにより、他の自治体への交付額に影響は及ばないのでしょうか。能登半島地震以降、令和五年度の特別交付税額は増額されないと思いますが、これからも能登半島地震に関連して多くの支援が必要と思われますが、どう手当てしていく予定でしょうか。補正予算時に想定されていた豪雨災害の被害を受けた自治体への交付額に影響が及ぶといったこともないのでしょうか。

 被災自治体に関連する措置についてお答えください。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回の地震では、全国の自治体から多くの方が応援職員として派遣をされておりますが、この応援職員の派遣に要する経費については、八割を今年度の特別交付税で措置してまいります。

 また、今回の地震の被災自治体についても、実情を丁寧に把握して、しっかりと特別交付税措置を講じてまいります。

 なお、能登半島の被災地域におきましては多くの財政需要が生じると見込まれますが、この中でも、例えば災害廃棄物処理事業であるとか、なりわい再建支援事業につきましては、被害の大きな自治体は特別交付税ではなくて地方債と普通交付税により措置をすることとしております。

 その上でも、被災地域の特別交付税の増加は見込まれるところではございますが、今年度の特別交付税については、補正予算により、その総額を三百五億円増額したことに加えまして、現在のところ鳥インフルエンザ関連などの算定経費の減少も見込まれておりますので、これらを総合的に勘案いたしますと、能登半島地震の被災自治体以外の自治体、先ほど委員から御指摘のありました昨年の豪雨災害を受けた自治体も含めまして、その財政需要にも対応可能と考えております。

 現在、特別交付税の適切な算定に向けて、全国の自治体の財政需要を丁寧に把握しているところでございまして、その財政運営に支障が生じないようしっかりと対応してまいります。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 能登半島地震の被災自治体のみならず、豪雨災害等による被災自治体にも手厚い措置が必要かと思われます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

 次に、令和六年能登半島地震における復興基金の創設のための特別交付税の措置の有無についてお尋ねいたします。

 東日本大震災、熊本地震の際には、被災自治体が地域の実情に応じて、住民生活の安定、生活再建支援、産業や教育、文化の振興等の様々な事業について、単年度予算の枠に縛られずに弾力的に対処できる資金として復興基金を創設し、基金を造成するための経費については特別交付税が措置されたと記憶していますが、能登半島地震に関してはその予定があるのか、お尋ねいたします。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 復興基金に対する財政措置については、これまで、極めて大きな災害が発生をし、復興に相当の期間を要すると見込まれ、毎年度の措置では対応が難しい場合の例外的な措置として実施してきていると承知をしております。

 この基金は、個別の国庫補助を補い、国の制度の隙間の事業について対応するものであるため、まずは各省庁の支援策がスピード感を持って実施されることが重要であると認識しておりまして、その実施状況等を踏まえて、復興基金の必要性について適切に判断をしてまいります。

 いずれにいたしましても、被災自治体の財政運営については、全体として支障が生じないよう、引き続き、丁寧に実情を把握し、地方交付税や地方債による地方財政措置をしっかりと講じてまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。復興に向けて柔軟に使える財源があることが被災自治体や被災者の安心につながると思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、一年前倒しの特例については、今回は能登半島地震という大きな災害であったため実施されたものと思われますが、例えば局地的な豪雨災害などにより被害を受けた場合、損失金額の控除制度を受けることは可能か。今回のように一月一日発災で、翌年三月の確定申告を待たずに同年度三月の確定申告でという特例は、基本的には発災時期により可能な措置と想定しておいていいのかどうか、教えていただきたいと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 今般の能登半島地震に係る雑損控除の特例措置は、先般の委員会質疑でも御説明いたしましたとおり、能登半島地震の規模、発災日が一月一日と、令和五年分所得税、住民税でいいますと令和六年度分の個人住民税ということになりますが、その課税期間に極めて近接していることを総合的に勘案して講じることとしたものでございます。

 その他の災害が発生した場合でございますが、その災害の規模、発災時期、こういったもの等を勘案しつつ、特例措置の必要性について与党税制調査会において御議論していただくことになろうと考えてございます。

 また、今般の雑損控除の特例を常設化すべき、常設化を検討すべきとの御指摘があろうかと思いますが、これにつきましては、所得税制における暦年課税の原則との関係性等も踏まえ、引き続き関係府省とともに議論を行うことが必要と考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。災害の規模にもよりますけれども、被災者の立場に立ち、柔軟に対応していく方向性で、今後とも対応をよろしくお願いしたいと思っております。

 ここからは、令和六年度地方財政計画の中でも、子供、子育て政策の強化に関する地方財源の確保について尋ねていきたいと思います。

 地方自治体が独自に実施する子供、子育て政策のソフト事業のための一千億円と、子供、子育て支援機能強化に係る施設整備等のハード事業のための五百億円について、それぞれ措置することにした意味合いや戦略、そして算出根拠について教えていただきたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 子供、子育て政策の強化を国を挙げて進めるためには、国が全国的な制度として進める事業と地方独自の事業の双方に相まって取り組むことが効果的であると考えております。

 そのため、地方単独のソフト事業につきまして、こども未来戦略に基づく全国一律の取組に合わせて、各地方団体が地域の実情を踏まえてきめ細かく現物給付事業を実施することを見込んで、地方財政計画の一般行政経費を一千億増額させていただきました。

 また、地域における子供の居場所づくりなどを推進するため、地方単独のハード事業として、公共施設及び公用施設における子供、子育て支援機能強化に係る施設整備や、児童館、保育所などの児童福祉施設、障害児施設、幼稚園等の子育て関連施設の環境改善を速やかに実施できるよう、地方財政計画の投資的経費を五百億円増額し、こども・子育て支援事業債を創設させていただきました。

 これらの事業費につきましては、地方団体の事業費等を調査の上で来年度の経費を見込んだところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 先ほどの加速化プランについて、地方公共団体において既に行われている子供、子育て関連の施策と加速化プランとで重複があると思われますけれども、その辺りの整理はできているでしょうか。

大沢政府参考人 重複の件でございますけれども、令和六年度につきましては、子供、子育て政策に係る地方単独事業のうち、二百四十五億円分が加速化プランに掲げられた国庫補助事業として実施されるというふうに見込んでおりまして、地方財政計画上は、この分について一般行政経費の単独分から一般行政経費の補助に移し替えられて計上するという取扱いを取っているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。その辺、重複している施策についてはしっかりと整理していただき、進めていただきたいと思います。

 次に、令和七年度以降、地方独自の子供、子育て政策に係る地方財源の更なる充実の必要性についてお尋ねします。

 地方六団体から長期的、安定的な地方財源の確保、充実を求められていること、こども未来戦略において加速化プランの実施以降も子供、子育て政策の更なる充実を図ることを踏まえ、将来にわたっても地方財源について更に充実させていくことを検討しておられるでしょうか。教えていただきたいと思います。

大沢政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、地方公共団体においては、国が実施する取組に合わせて、地域の実情に応じてきめ細かく独自の子供、子育て政策を実施することが重要という観点で、地方単独事業のソフト分として一千億円、ハード分として五百億円をそれぞれ計上しておるところでございます。

 令和七年度以降、今後の見込みについて詳細に申し上げることは困難でございますけれども、令和七年度以降も、地方団体が引き続きこうした取組を実施できるように、地域の実情を十分に踏まえまして、必要な財源の確保に努めてまいりたいと考えております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 次に、自治体が行っている子供、子育て政策に関する現金給付事業に対する評価と、令和六年度地方財政対策において現物給付事業を想定した理由を伺いたいと思います。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 地方団体では、様々な独自の子供、子育て政策が実施されていると承知をしております。

 子供、子育て政策の強化に向けては、昨年、地方団体から次のような意見がございました。子供、子育て政策は児童手当の拡充など国が一律で行う施策と地方がその実情に応じてきめ細かに行う地方単独事業が組み合わさることで効果的であること、また、地方が実情に応じてきめ細かに行うサービス提供などについては地方の創意工夫が生かせるよう長期的、安定的な財源確保を図ってほしいということ、こういった意見が示されていたところでございます。

 こうした意見も踏まえまして、子供、子育て施策に係る地方単独事業については、こども未来戦略に基づく全国一律の取組に合わせて、各地方団体が現物給付事業を拡充することを見込みまして、一般行政経費を一千億増額して計上することとしたところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 次に、政府は、こども子育て費の算定に当たり、人口に占める十八歳以下人口の割合の小さい団体に配慮した補正措置を講ずるとしていますけれども、その目的と補正の内容をどう想定しているのでしょうか。よろしくお願い申し上げます。

大沢政府参考人 お答えいたします。

 こども子育て費につきましては、子供、子育て政策に係る基準財政需要額の算定をより的確なものとする観点から、測定単位を十八歳以下人口として算定することと考えております。

 その上で、各地方団体が子供、子育て政策に係る取組を着実に実施することができるよう、人口に占める十八歳以下人口の割合が小さい団体に配慮した補正措置を講ずることとしているところでございます。

 今申し上げた具体的な補正措置の在り方については、各地方団体から提供される基礎数値情報も踏まえながら検討を進めまして、各地方団体が子供、子育て政策に係る取組を着実に実施することができるようなものにしたいと考えているところでございます。

中嶋(秀)委員 ありがとうございます。

 次に、地方財政計画における子供、子育て政策に係る経費について、一般行政経費の中で別枠を設けて計上することは想定していないのでしょうか。子供、子育て政策に係る地方財政の見える化を図る方向性で進めているにもかかわらず、地方財政計画において子供、子育て政策に係るソフト事業の経費が一般行政経費に含まれると、各年度の経費や増減が把握しにくくなるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

 また、少子高齢化社会の問題に鑑み、子供、子育て施策に必要な財源をこれからも十分に確保していくおつもりがあるか、最後にその辺りを、大臣のお考えや決意を聞かせていただきたいと思います。

松本国務大臣 地方財政計画における一般行政経費のうち国庫補助負担金を伴わないものについては幅広い経費を計上する一方、これとは別枠で、デジタル田園都市国家構想事業費、地域社会再生事業費を計上しているところでございます。

 これらは、事業の目的、内容、財源、期間などを踏まえて別枠で計上しているものでございます。

 少子化対策、子供、子育てへの支援は、我が国の社会経済全体に関わる大切な政策課題でありまして、社会保障の一環として実施していくものであることから、別枠で計上することはしていないところでございます。

 令和七年度以降につきましては、地方自治体が子供、子育て施策を実施できるよう、地域の実情を十分に踏まえ、必要な財源をしっかりと確保してまいりたいと思っております。

中嶋(秀)委員 ありがとうございました。やはり、地方が元気になって初めて国全体も元気になると思います。これからも地方の実情に合わせた税の使い方についてベストミックスを目指して試行錯誤していただきたいと思いますし、私もそういったことに取り組んでまいりたいと申し上げて、本日の質問を終えさせていただきます。

 ありがとうございました。

古屋委員長 次に、宮本岳志さん。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 水道法第二条は、国及び地方公共団体は、水道が国民の日常生活に直結し、その健康を守るために欠くことのできないものであり、かつ、水が貴重な資源であることに鑑み、水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならないと、責務を規定しております。

 水道については、もちろん、上水道は厚生労働省、下水道は国土交通省と、それぞれ所管がまたがることを前提とした上で、自治体を所管する総務大臣に聞くわけでありますけれども、この第二条、責務は地方公共団体にもかかっている、当然のことだと思うんですが、よろしいでしょうか、大臣。

松本国務大臣 今委員が御指摘になられたように、国及び地方公共団体は必要な施策を講じなければならないとなっていることは承知いたしているところでございます。

宮本(岳)委員 当然のことだと思うんですね。水源及び水道施設並びにこれらの周辺の清潔保持並びに水の適正かつ合理的な使用に関し必要な施策を講じなければならないという、その責務は自治体にもかかっております。

 能登半島地震は大きな被害をもたらしましたけれども、発災から間もなく二か月、とりわけ重大なのは水道の復旧の遅れであります。水道法を引くまでもなく、水は人間の暮らしにとって不可欠で、既に給水車等で水の供給がなされていることは分かっているんですけれども、やはり水道の蛇口をひねればじゃっと水が出るという上水道の復旧が切実に求められております。

 そこで、今日は厚生労働省に来ていただいておりますので聞くんですけれども、能登半島地震の被災地での上水道被害の状況、復旧の進捗、また、復旧していないところはいつ頃水道が復旧することになっているのか、答えていただけますか、厚労省。

鳥井政府参考人 水道の復旧状況でございますけれども、最大断水戸数が約十一万千六百二十戸あったものでございますけれども、二月二十一日時点で石川県内の約八割が断水を解消しておりまして、断水中が約二千二百八百八十戸となってございます。(宮本(岳)委員「二万二千」と呼ぶ)二万二千八百八十戸となっております。今後、三月末までには約九割強が断水解消する見込みでございまして、引き続き早期復旧に全力で取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 頼みますよ、数ぐらい、間違わないでくださいね。

 地方自治体や日本水道協会による相互支援を含めて、全力を挙げて取り組んでいただいていると聞いております。やはり輪島市や珠洲市の被害が深刻で、見ておりましてもほとんど、この二つの自治体は断水戸数が減っていかないんですね。こういう地域ではなかなか三月末までとはいかないと思うんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか、厚労省。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 一部、条件が悪いところ、珠洲市の一部でありますとかは三月までに解消が見込まれないところもございますが、全体としては九割強というところで見込んでいたところでございます。

宮本(岳)委員 いや、頑張っていることは分かっているんです。でも、九割強ということは、残るということですよね。

 そして、たとえ上水道が復旧しても、下水道の本復旧が終わらないことには、被災地の方々が水を気兼ねなく安心して利用することはできません。

 資料一を見ていただきたい。国土交通省から提出を受けた「下水道施設の被災・復旧状況について」という資料であります。輪島市では、最初の写真のように、液状化でマンホールが大きく浮き上がるなど、下水道は壊滅的な打撃を受けております。

 下水道は国土交通省の所管でありますけれども、今度は、下水道の方の本復旧の時期は一体いつ頃になるのかお答えいただけますか、国土交通省。

松原政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、水道が復旧しても、下水道が使えなければ水道は使えないということでございますので、上下水道一体となった一刻も早い応急復旧が重要と認識をしております。

 そうした中で、今回、災害対応に当たりましては、水道の復旧に遅れることなく下水道の応急復旧ができるよう、例えば、水道と下水道の復旧工程を共有し、効率的な進捗を図るなどの、上下水道一体となった取組を行っております。

 一方、本復旧でございますけれども、現在被災状況の実態調査に着手した段階でございますので、現時点では本復旧の完了のめどを示すことは困難でございます。

 なお、過去の事例におきましては、平成二十八年熊本地震における熊本県益城町の下水道施設の本復旧は、完了までに約四年半を要しているところでございます。

 国土交通省としては、引き続き、全国の自治体や関係団体と協力をし、一日も早い下水道の応急復旧による機能確保とその後の本復旧に向けまして、全力を挙げて被災自治体を支援してまいります。

宮本(岳)委員 そうなんですね、下水道の方はやはり相当時間がかかるわけですよね。益城町で四年半と今御答弁がありました。

 先日、二月十六日のテレビ朝日、報道ステーションを見ておりましたら、七尾市の土木課の方が出ておられまして、まだ破損箇所の全体把握ができておらず、完全復旧までは最低五年ほどかかる、こう言っておられましたから、やはりそういうスパンでかかるわけですよね。

 被害がひどければひどいほど、本復旧までに時間がかかります。上水でも、早急に水を通すためには、まずは仮復旧を行い、その後、本復旧ももう一回行う必要があるんですけれども、規模の小さな自治体ほど財政負担は大きいわけですね。

 私は、現に能登の被災地に復旧支援に入り頑張ってこられた、自治労連の公営企業評議会の皆さんから直接話を伺ってまいりました。水道事業者の応援の皆さんは、発災直後から現地に支援に入っております。先遣隊から始まり、応急給水を行う給水隊、調査隊、復旧隊と、順次現地に入り支援を行っているとお伺いいたしました。

 珠洲市、七尾市に入った名古屋市水道局の皆さんは、延べ千人を超える職員が支援に入っていると聞いております。支援に入った職員の方々の給料とかあるいは手当の負担、これは一応どういうふうな仕分になっているのか、厚生労働省、お答えいただけますか。

鳥井政府参考人 水道の災害派遣における費用負担についてでございますけれども、公益社団法人日本水道協会の地震等緊急時対応の手引きに基本的な考え方が示されております。

 具体的に申し上げますと、応援の有無にかかわらず平常時から支給されている給料等については応援水道事業体の負担ということでございますが、応援水道事業体の応援活動により発生する超過勤務手当、材料費等につきましては被災水道事業体の負担といたしております。

 なお、これらにつきましては、応急給水、応急復旧共に国庫補助制度等がございます。

宮本(岳)委員 能登半島の今回の事例ではないですけれども、財政規模の小さな自治体では勢い込んで派遣されてきた応援職員の残業代や手当の負担がなかなかできないということで、泣く泣く帰ってもらったことさえあったというふうにも聞きました。

 自治体の財政規模によって災害復旧が遅れるような事態があってはなりません。被災地への応援職員の給与や手当はこの際やはり基本的に国庫負担とすべきではないのかと私は思うんですけれども、この点、厚生労働省、お答えいただけますか。

鳥井政府参考人 ただいま答弁申し上げましたけれども、応急給水に係る国庫補助につきましては、内閣府の災害救助法に基づく国庫負担がございますし、交付税措置もございます。応急復旧に関しましては、厚生労働省の災害復旧費補助金に基づく国庫補助金制度ですとか、あるいは総務省における地方財政措置もございますので、それによりまして財政支援をさせていただいているところでございます。

宮本(岳)委員 全く何の制度もないとは言っていないんですけれどもね。ただ、現場で聞きますと、やはり財政問題が一つ懸念になっているということは聞くんですね。

 公営企業会計である上下水道の災害復旧は、仮復旧も本復旧も国庫補助の対象になります。国庫負担は三分の二、残りの起債分は三分の一のうち半分までが交付税措置の対象で、残りは自治体の負担となるというのが通常スキームですよね。激甚になっても、国庫負担率は更にそこから増えるんですけれども、残りはまずは借金。こうなれば、自治体が一旦負担する分は残るわけですよ。

 だから、極端な場合は、自治体負担分の増大を恐れて仮復旧をちゅうちょする事例さえあると聞いたんですね。つまり、仮復旧をやろうとしたら、ちょっと待ってくれ、仮復旧して本復旧する二回の分の財政負担がきついから、やるんなら本復旧からやってくれ、仮復旧はちょっと待ってくれというふうに言われることさえあるというふうに、これは現場で聞きました。今回じゃないですよ、今回じゃなくてこれまであった、こういうことですね。

 被災した自治体が下水道等の災害復旧をちゅうちょなく進めていくためには、災害復旧事業の地元負担割合は早期に示すことができるようにすべきだと私は思いますけれども、国土交通省の見解はどういうことでございましょうか。

小笠原(憲)政府参考人 お答え申し上げます。

 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法に基づく災害復旧事業では、地方公共団体の施設被害の規模と財政力に応じた国庫負担を行っております。具体的には、年間の災害復旧事業費の総額と標準税収入を比較しまして国庫負担率を算定することとしておりまして、この手法につきましては、毎年、地方公共団体にも周知をしております。

 年間の災害復旧事業費を算定することから、確定数値は年度末となりますが、国庫負担額が確定する前であっても、地方公共団体の要望に応じまして、一般的な国庫負担率三分の二で暫定的に必要な措置を行い、年度末には確定した負担額による差額の国庫負担を行っております。

 引き続き、地方公共団体からの個別の国庫負担率の問合せ等に関しましては丁寧に対応し、下水道等の災害復旧事業が円滑に進むように取り組んでまいります。

宮本(岳)委員 いやいや、三分の二でひとまず計算するとかいうのも分かっているんですけれども、更に被害額が標準税収の二倍を超えることになると、かさ上げがあるわけですよね。目いっぱい上がると一〇〇%国費で進められるということがあるらしいんですけれども、どうなるかは年度末になってみないと。後で算定してくれるにしても、ならない場合もあるわけで。つまり、地方負担というものがなくなるのか、あるのか、どれだけ残るのかというのはなかなか分からないわけですね。

 脆弱な財政の自治体でいうと、仮復旧をした上に本復旧というのはやはり二重にお金がかかる、懸念が残ることがあると聞くわけです。だから仮復旧はちょっと待ってくれと言われることが本当に現にあるというふうに聞くんですね。

 これはもちろん、誤解しないでくださいよ、給水車を止めたりはしませんよ。水がないと命に関わることはみんな分かっているんですけれども、給水車で水の確保はした上で、さあ、いよいよ水道の復旧というときに、仮復旧で一旦、ホースみたいなものでやった上で、もう一遍掘ってやるというふうに二回するか、給水でやっている間に掘る分だけで一回でと。ここはやはりお金の計算に関わってくると私は思うんですね。

 そこで、総務大臣に問うわけですけれども、地方自治体が上下水道の復旧事業に取り組むに当たって、国庫負担率が定まるのに時間がかかり、財政負担の見通しがつかないことを懸念して復旧への取組に支障が生じることがないようにすべきと私は思うんですけれども、総務大臣はどのようにお考えになりますか。

松本国務大臣 御指摘の上下水道は住民の生活に極めて大事なものであるということは認識しているところでありますし、また、復旧に当たって自治体の財政をしっかりと支援することの重要性も認識させていただいているところでありまして、上下水道の復旧に係る地方負担は、今ありましたように、国庫補助があったとしても一定の地方負担があるということで、この地方負担については、全額に災害復旧事業債を充当し、元利償還金に対する一般会計からの繰り出しにも地方財政措置を講じていることは委員も御案内のとおりでございます。

 私どもとしても、財政的な支援を、これまでも、特別交付税を繰り上げるなど、地方自身の財政に一定の負担がかかることに対して支援をしてきたところでございますけれども、是非、早期の復旧ができて、住民の生活が早く元へ戻れるようにすることは大切なことだというふうに思いますので、財政運営を支えられるように、関係省庁、国交省や厚労省とも連携して適切に対応したいと考えております。

宮本(岳)委員 資料二を見ていただきたい。国土交通省からいただいた、能登半島地震被災自治体から提出された令和六年能登半島地震に関する緊急要望であります。日常生活に不可欠な上下水道を始めとしたライフラインについて、早期の全面復旧に向けて最大限の支援を求めておられます。後でも触れますけれども、是非、総力を挙げてこの要望に応えていただきたいと思います。

 さて、次に、今回のような大規模で深刻な災害が起こるたびにいつも問題になるのは、自治体や公営企業体の体制と職員の配置なんですね。厚生労働省に数を確認しますけれども、上水道事業に係る職員数は、阪神・淡路大震災時の平成七年、一九九五年と、令和三年、二〇二一年でどのように推移しているか、人数を示していただけますか。

鳥井政府参考人 日本水道協会発行の水道統計によりますと、簡易水道を除く水道事業に従事する職員数は、阪神・淡路大震災が発災した一九九五年、平成七年には六万一千七百七十五人であり、令和三年、二〇二二年には三万八千五百十六人となっております。

宮本(岳)委員 六万一千七百七十五人から三万八千五百十六人へ、二万三千百九十九人の減なんですね、六二・三%に。事実上、職員は減っているわけですね。

 災害復旧の現場では予期せぬ事態に直面するということも聞きました。先日も報道で、破損している水道管の掘削を行っていると、想定していなかった使用されなくなった管路などが出てくると。通常だと各所に確認を取って撤去するなどし、掘削を進めることになるんですけれども、そのこともままならないのが災害の現場なんですね。結局は現場の判断が非常に大事になる。

 災害のときほど、さらには被災地への派遣といった緊急時になればなるほど、技術を持ち、経験を重ねた水道職員が非常に大事になるというふうに私は思うんですけれども、これも厚生労働省、いかがでございましょう。

鳥井政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省といたしましても、水道の基盤強化は非常に大事な課題だと考えておりまして、平成三十年の水道法改正に基づきまして、地方自治体と密接に連携しながら水道の広域運営ですとか官民連携等の推進に取り組んでいるところでございます。

宮本(岳)委員 ちょっと問うたことと違うことをおっしゃったんですが。

 問題は、技術を持った職員が減少しているということですね。技術や技能を持った職員の養成には時間がかかります。一年や二年で身につくものではありません。ところが、国は、今おっしゃったような広域化、あるいはコンセッションを始めとする業務のアウトソーシング化も進めてきた。結局、実際、水道職員の技術力と経験の蓄積の低下といった事態を招いている、現場からはそういう声が届いております。

 先ほど述べたんですけれども、退職者補充の問題や新規採用の際にも応募がないという状況から、名古屋など中核の自治体でも危機感は非常に強いです。公営企業評議会の皆さんも、いずれ、応援派遣もままならない、南海トラフの大災害が起きたときには周辺自治体からの支援も期待できない状況になるのではないかと危機感を持っておられました。

 直ちに技能や技術を持った職員を養成し、確保する手だてを取る必要があると思うんです。せめて名古屋や大阪など、現に政令市は真っ先に駆けつけて本当に大奮闘してくれているわけですけれども、せめて名古屋や大阪など、中核になる都市部の職員の配置は、頻発する災害を見越して支援の役割も織り込んだ体制、つまり、ぎりぎりにせずに、いざとなったときには真っ先に行ってもらう、頼りになる町の水道職員だから、その町の水道の管理だけではなくて、いざというときの応援部隊も織り込んだ体制を整えるべきだと私は思うんですね。

 技術的助言と必要な財政措置を行うべきだと思うんですが、総務大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

松本国務大臣 政令市におかれては、この度の能登半島地震においても当初から応援職員を出していただいておりますし、私の方からも技術職員の派遣についてお願いをさせていただいたところ、派遣に向けてお話を進めていただいているというふうに承知いたしております。

 その上で、一般論で申し上げれば、自治体は何よりも住民の方々に行政サービスを適切に十分に届けることが必要で、そのために必要な定員を確保すべきところでありますが、公務員の人件費を含め、行政サービスを提供するに係るコストが住民の負担でもあることから、各自治体において適切に定員管理をされているというふうに理解いたしております。

 そうした中で、大規模災害時に中長期の派遣要員を確保することも必要ではないかという考え方から、復旧・復興支援技術職員派遣制度を令和二年度に創設し、登録された職員に係る人件費に対して地方交付税措置を講じてきたところでございます。この取組を強化するため、今年度から定年引上げが始まることも踏まえて、地方交付税措置を拡充するとともに、技術職員の確保に計画的に取り組むよう要請しているところでございます。

 関係の省庁とも連携しながら地方公共団体の人材確保に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。

宮本(岳)委員 しっかり検討していただきたいんですね。

 そこで、私の地元、大阪府市であります。

 大阪市水道局は、二〇二四年一月十一日付でウェブページにも、大阪市水道局は公益社団法人日本水道協会からの派遣要請を受けて、石川県能登地方を震源とする地震で被害を受けた石川県金沢市へ次のとおり応援隊を派遣しました、こう書いておりまして、大いに奮闘していただいている様子が分かります。

 せっかく被災地に対するこういった貢献を行いながら、一方で、残念なことに、被災地の復興に全く逆行するような動きもまた止まっていないんですね。資料四を見ていただきたい。これは昨年十月四日の大阪市会令和四年度決算特別委員会の会議録であります。

 坂井はじめ議員は淀川区選出の大阪維新の会市会議員でありますけれども、万博開催期間中は夢洲の会場に一日最大二十二万九千人が来場するとした上で、この期間中の下水処理は適切に行えるのかと問い、大阪市の建設局下水道部調整課長が、万博会場から排出される想定汚水量を一日当たり最大一万一千立方メートル程度と見積もった上で一日最大汚水量一万九千立方メートルの下水道整備を行うと答弁しております。

 経済産業省に来ていただいておりますが、この事実に間違いないですね。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 万博の下水道の対応でございますけれども、大阪市からは、今先生御指摘のとおり、万博から排出される想定汚水量として一日最大一万一千立方メートル、これに対して夢洲地区の計画汚水量として一日最大一万九千立方メートルの下水道の整備を行うと聞いております。

宮本(岳)委員 来年の四月十三日が開幕であれば、あと四百日余りであります。経済産業省に重ねて聞きますけれども、この下水道整備工事は既に終わっておりますか。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 先生お尋ねの万博の下水道の関係でございますが、まず、会場内の設備につきましては、博覧会協会におきまして本館工事がおおむね完了していると聞いております。

 それから、会場外でございますけれども、大阪市におきまして、此花下水処理場の施設の増強、抽水所の工事などを進めているということで、二〇二四年十二月末に完成予定というふうに伺っているところでございます。

宮本(岳)委員 まだ終わっていないですね。

真鍋政府参考人 先生御指摘のとおり、今工事中と聞いております。

宮本(岳)委員 最後の資料五を見ていただきたい。大阪市が私に提出してきた資料であります。

 夢洲の下水処理能力を一日一万九千立方メートルに高めるには、夢洲で発生した汚水を赤下線を引いた夢洲抽水所で吸い上げて舞洲に送水する。夢洲抽水所の送水能力が一万九千立方メートルであります。さらに、それを舞洲抽水所の処理能力の強化で此花の処理場に送り、此花下水処理場の処理能力も現状では駄目なので強化する必要がある。ということは、今の瞬間、夢洲の下水を此花処理場で処理している量は幾らになりますか。

真鍋政府参考人 お答えいたします。

 万博の会場と公共の下水は今つながっておりませんので、そういう意味では万博から出ている下水の処理は行われていないということになります。

宮本(岳)委員 ゼロなのです、ゼロです。ですから、一万九千という能力のものを造るための工事もまだ終わっていない、今年いっぱいやるというんですね。今年いっぱい、その工事が続くことになります。

 先ほど、被災地は四年も五年もかかるという話なんですよね、下水の問題では特に。そのときに、これを本当にやるのかと。下水処理施設というものは土木工事であります。何か、被災地で必要なのは土木工事だが、夢洲の万博で必要なのはパビリオンなどの建設工事であって、だからバッティングしないなどと言う人がいるんですけれども、残念ながら下水処理能力の整備はバッティングするんですよ。強引に推し進めれば復興の障害になる、とりわけ上下水一体の復旧の障害となりかねません。

 被災地の下水道復興のためにきっぱり万博を中止して、四月十二日までに中止の決断をすればキャンセル料は三百四十九億円で済みます。四月十三日を超えてしまえば八百三十六億円に跳ね上がるんです。直ちに大阪・関西万博中止を決断することを強く求めて、私の質問を終わります。

古屋委員長 次に、西岡秀子さん。

西岡委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問に入る前に、松本総務大臣に重ねてのお願いとなります。

 松本総務大臣、また総務省としても、被災地を支える方をしっかり支えるという中で早急な御対応を交付税措置を含めて取っていただいているというふうに認識いたしておりますけれども、現在、石川県のボランティア、事前登録が二万六千二百名おられる中で、十九日現在で、実際に石川県でボランティア活動に入った方の人数が延べ二千七百三十九人にとどまっているという現実がございます。

 被災者の方の中では、様々な荷物の搬送を含めてボランティアに大変期待されているところも多い中で、馳石川県知事が仮設の宿泊所を造るという方針も示されておりますので、引き続きしっかりと財政支援を含めて、総務省、松本大臣としても引き続きお支えいただきますように重ねてお願いを申し上げて、質問に入らせていただきたいというふうに思います。

 令和六年度地方財政計画におきましては、消防防災力の一層の強化というものが示されております。その取組についてまずお伺いをさせていただきます。

 今般の能登半島地震におきましても、消防庁の職員の皆様、そして緊急消防隊、また地域の消防団の皆様が、発災時より、本当に昼夜を問わず、救命、救出、また避難所支援を含めて幅広い分野で御活動いただいております。まず、心から敬意を表させていただきたいと思います。

 また、全国各地で災害が大変激甚化、頻発化していることを踏まえまして、消防の広域化また連携協力の体制をしっかり強化していくことも喫緊の課題であるというふうに認識いたしておりますけれども、同時に大変重要なのが地域における消防団による地域防災力の強化、これが大変重要だと認識をいたしております。

 一方で、消防団のなり手不足も深刻でございまして、年々消防団員が減少しております。令和五年消防白書によりますと、令和五年四月現在で前年に比べ消防団員が二万九百八名減少して、二年連続で二万人規模で減少しているという現実がございます。特に若年層の入団数が減少している現状がございますけれども、一方で女性消防団員が増加をして、現在二万七千九百五十四名の女性の消防団員が御活躍をいただいております。また、高齢化ということも大変深刻な問題でございまして、五十歳以上の消防団員の占める割合も年々高くなっております。

 そういう中で、団員確保に向けた取組、今、消防庁としてもしっかり取り組んでいただいているというふうに思いますけれども、そのことを確保していくための大前提としては、やはり若者や女性が活動しやすい環境づくりや、特に消防団員が活動していく上での安全を確保するということも大変重要だと思います。また、先ほど申し上げた高齢化の中で、定年延長や定年を撤廃した自治体というものもございます。消防庁として、団員確保に向けた現在のお取組についてまずお伺いをさせていただきます。

    〔委員長退席、中川(康)委員長代理着席〕

五味政府参考人 消防団員数が年々減少する中で、担い手の確保対策は不可欠であると認識しております。

 消防団における定年制についてでございますが、各地方公共団体の条例等で定められておりますが、令和五年四月現在で四百七団体が定年制を設けておりまして、その内容は地域の実情に応じて様々なものとなっております。

 消防庁では、高齢化が進展している社会情勢や定年制の運用による消防団員数の減少に鑑み、定年制の撤廃や定年年齢の引上げについて条例改正その他必要な措置を検討するよう助言してきているところでございます。

 また、若年層を始めとする団員の確保に向けましては、やりがいを持って活動できる環境づくりや、機能別団員制度の活用等による負担軽減などの取組を盛り込んだ優良事例集を作成いたしましたので、その周知を図っていくほか、団員の安全確保については、安全管理上の留意すべき事項をまとめました安全管理マニュアルを策定しているところでございます。

 引き続き、こうした様々な取組を通じて、消防団員の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

西岡委員 様々なお取組をしていただいておりますし、団員確保については、各自治体も工夫してPR活動も行っておられると承知をいたしております。高齢化に伴う定年延長については、大変個人差のあることだというふうに思いますけれども、まだまだ定年を迎えても引き続いて活動したいという団員の方もおられる中で、条例については定年延長を含めたお取組がより進んでいくように、是非、消防庁からの御助言やいろいろなPRも続けていただきたいというふうに思っております。

 団員の安全確保という面でも大変関連するというふうに私は認識をいたしておりますけれども、消防団における消防設備の充実強化、これも大変重要だと認識をいたしております。その中でも、近年活用が進むドローンでございますけれども、なかなか人が入っていけないような状況の中で、現地の状況を把握するという意味でも大変重要なものだというふうに認識いたしておりますけれども、このドローンが今消防団にどれぐらい配置をされているのかということについて、まずお聞きしたいというふうに思います。

    〔中川(康)委員長代理退席、委員長着席〕

五味政府参考人 消防団へのドローンの配備状況につきましては、令和五年四月現在で七十六市町村に百三十七機が配備されておりまして、配備数は前年比で約二倍となるなど、ドローンの活用が年々進んでいるところでございます。

 御指摘のとおり、災害時においてドローンを活用することで、危険な場所に立ち入ることなく現場の状況を把握することが可能となることから、消防団員の安全確保と災害対応能力の向上に資するものと考えております。また、若年層に消防団への関心を持っていただくためにも、ドローンの活用は重要な取組であると認識しております。

 こうした認識の下で、消防団へのドローン配備を緊急防災・減災事業債の対象としているほか、消防団設備整備費補助金の補助対象にドローンを追加し、消防団におけるドローンの活用を促進しているところでございます。

 また、ドローンの操縦技術の向上を図るため、消防学校において消防団員を対象とした実践的なドローン講習を実施しているほか、消防団の力向上モデル事業により、ドローンの操縦技術の習得等の地方公共団体の取組を支援しております。

 こうした取組を通じまして、消防団におけるドローンの活用を推進することにより、消防団員の安全確保や消防団の災害対応能力の向上を図ってまいります。

西岡委員 御説明ありがとうございます。

 まず、災害対応能力という意味でも、中山間地を含めまして様々な地形の問題等もありますし、住宅密集地を含めていろいろなことが発生したときにドローンが配備されているということは、やはり災害対応としても大変重要なことだと思います。

 また、今ございましたように、安全確保という意味でも、これまでの大規模な災害の中で、消防団の方が避難誘導に自ら出向かれて命を落とされたということが大変多く大規模災害の中ではございます。避難誘導の意味でもドローンというものが活用できるのではないかというふうに思っております、呼びかけということもドローンを通じてできるというふうに思っておりますので。

 前年比二倍で増やしていただいているということでございますけれども、ドローンの配置ということは、先ほどおっしゃった若年層の消防団への関心という意味でも、既に操縦技術を会得されている若い方も多くおられますので、即戦力としても活躍していただけるというふうに思います。引き続きのお取組をお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、同じく地財計画の中で、消防防災力の一層の強化という中で、災害応急対策を継続するための設備ということで、車両資機材、トイレカーの整備というものが緊急防災・減災事業債の対象として拡充されるということが記載をされております。

 今回の能登半島地震におきましても、全国のトイレカーを保有している自治体が発災後速やかに被災地にその車両を持っていっていただいて、避難所等で御活動いただいているという状況がございます。

 事前にお聞きしましたところ、消防庁としても現在自治体でどれぐらいの保有台数があるかということはまだ把握をされていないということでございますけれども、是非把握をしていただいて、いざというときに、どれぐらい全国でこういうトイレカーが保有されているのかということをしっかり把握していくことは大切だと思います。このことをお願い申し上げたいと思います。

 各地でトイレカーを保有している自治体は多くございますけれども、例えば私の地元長崎県で島原市、特に雲仙・普賢岳で災害を経験した市でございますけれども、九州で初めて二〇二〇年にトイレカーを導入いたしております。

 その後、三市で協定を結びまして、愛媛県の宇和島市、そして兵庫県の南あわじ市。三市で協定を結びまして、自治体トイレカー災害時相互派遣に関する協定というものを既に締結されているという状況がございますけれども、トイレカーを保有している三市からは、昨年、総務省に実際にトイレカーを運んできていただいて、実車を含めて要請活動がなされておりまして、総務省に対して、事業債を含む恒久的な財政措置の一層の充実強化、また、災害時相互派遣協定の全国ネット構築に対して是非支援をしてほしいという要請がなされております。

 大変有効な、必要な資機材だというふうに思っておりますけれども、保有自治体を増やすためのお取組についてお伺いさせていただきます。

五味政府参考人 災害時に、避難所の避難者の生活環境を確保するとともに、ボランティアを含む災害応急対策に従事する者が継続的に活動する上でトイレの確保は極めて重要であると認識しております。

 今回の能登半島地震におきましては、全国各地の自治体がトイレカーを避難所等へ派遣し、被災地において有効に活用され、避難者等のトイレ環境の改善に大きな効果があったものと承知しております。

 このため、御指摘のとおり、令和六年度から、避難者の生活環境の改善に加え、災害応急対策の継続性の確保を図るためのトイレカーの整備につきましても緊急防災・減災事業債の対象とすることとしております。

 消防庁といたしましては、地方公共団体に対し、こうした財政措置や御指摘の三市による相互派遣の取組を含めまして、トイレカーを被災地に派遣した事例について研修、説明会等を通じて周知することにより、トイレカーの整備、活用を始め、災害時におけるトイレの確保が積極的に推進されるように支援をしてまいります。

西岡委員 県内で災害が発生したときももちろん活用する中で、応援という全国的な、災害が起こった自治体をしっかり支えるという意味でも必要でございますし、通常では様々なイベントでも活用されておりますし、貸出しということも平時は行っているということも聞いておりますので、先ほど答弁いただいたように、しっかり引き続いてのお取組をお願いしたいというふうに思います。今後も、事業債を含めてやはり財政的な支援がないとなかなか導入に至らないということもございますので、保有のための財政措置、しっかり今後も確保していただくということをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、令和四年度消防庁長官によります通知におきまして、各地方団体に対し、学生等への入団の検討について要請を通知によって行っておられます。想定されているのは大学生や大学院生、専門学生だというふうに思いますけれども、その方々に加えて、高校生にも機能別消防団への呼びかけがなされたというふうに承知をいたしております。特に、学生消防団の活動状況、このことについてまずお伺いをさせていただきたいと思います。

五味政府参考人 学生消防団員につきましては、年々増加をしておりまして、令和五年四月時点で六千五百六十二人ということで、前年度比で一五%の増加となっております。

 また、消防団員として活動した学生に対しまして、市町村がその実績を認証し、就職活動を支援する学生消防団活動認証制度については、三百八十二団体で導入されております。

 消防庁といたしましては、消防団員の確保に向けては学生を始めとする若年層の入団促進が重要であると考えておりまして、若者や女性などの入団促進に向けた広報の充実、機能別団員制度等の活用などに取り組んでいるところでございます。

 また、今般、消防団の充実強化に向けた優良事例集を新たに作成したところでございますが、この中で、広報活動等を行う消防団サポーターとして大学を登録いたしまして学生の入団につなげる取組や、高校の防災教育や大学の学園祭などにおいて消防団に関する説明を行う取組など、具体的な事例を取り上げて御紹介しているところでございます。

 今後とも、このような取組を消防団の力向上モデル事業などにより横展開を図ることで、学生を始めとする幅広い住民の入団促進を図り、消防団員の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。

西岡委員 ありがとうございます。好事例の横展開は大変重要だと思います。特に、機能別消防団という制度があることもなかなか一般には知られておりませんので、消防団に入団するということの、いろいろなやり方というか参加の仕方があるということもしっかり周知をしていただきたいというふうに思います。

 先ほど御紹介がありました学生消防団活動認証制度でございますけれども、これは、真摯かつ継続的に消防活動に取り組んで、顕著な実績を収め、地域社会へ多大な貢献をした学生に対して市町村がその実績を認証して、例えば就職活動をしていく場合にこの認証というものを応募先に提出したりということも可能となる制度でございますけれども、この制度についても是非学生の皆さんに、まだまだ周知されていないところもあるというふうに思いますので、しっかり若い方々が消防団として活躍をしていただける、また、常時でなくても機能別消防団員として活動に参加をしていただけるということについても、引き続きのお取組をお願いしたいというふうに思います。

 また、高校生についても、先ほど御紹介があったように、防災教育の中でというお話もございました。大体年齢的には十八歳以上を消防団にということになっているというふうにお聞きいたしておりますけれども、高校生、もっと、中学生のうちから消防団を知る、消防団に触れるという機会が大変必要でございます。

 というのは、私も、今消防団として活動している方のお子さんが、多く消防団員として引き続き活動されております、身近に消防団で活動していたというお父様の影響というものが大変大きいというふうに日頃から認識をいたしますので、しっかりこのところも、将来に向けた団員確保という面でも大変重要だということも申し添えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 引き続きまして、地方にとって今大きな課題になっております公共インフラの老朽化の問題についてお尋ねをいたします。

 これは直接所管となるのは国交省ということでございますけれども、特に地方における公共インフラの老朽化というものが、点検や改修も含めてなかなか手がつけられない、未着手のままのインフラが多数存在をしております。これは様々な分野にわたっているんですけれども、高度成長期以降に造られました道路、橋、トンネル、河川、下水道施設や港湾施設など、大変多岐にわたるインフラで老朽化が進んでおりまして、平時においても崩落などの事故のおそれがあることと同時に、自然災害による被害によって被害がより甚大なものになるという危険性をはらんでおります。

 御承知のように、自然災害の大規模化、頻発化の中で、予防保全を取り入れた中のインフラの改修ということも大変重要視されているというふうに認識しているわけでございますけれども、その多くを管理している地方自治体におきましては、財源やマンパワー、特に、私も前回議論させていただきましたけれども、技術職員の不足によりましてなかなか点検、改修が進んでいかないという状況がございます。このことについて、地方の実態を所管する総務大臣としての松本総務大臣の御見解というものをお伺いさせていただきます。

松本国務大臣 委員がおっしゃるとおり、予防保全を含めたインフラの老朽化対策を計画的に実施することは大変重要であるというふうに考えております。

 総務省としては、地方公共団体に対しまして、インフラの長寿命化の実施方針等を盛り込んだ公共施設等総合管理計画を策定し、適時適切に見直すとともに、計画的な老朽化対策の実施をお願いしております。

 それらの取組につきましては、公共施設等適正管理推進事業債により地方公共団体の財政力に応じ地方財政措置を講じておりまして、地方公共団体の取組が前へ進むように支援してまいりたいと考えております。

 また、人材のお話もございました。先ほどの質疑でも申し上げましたように、技術職員の確保のため、都道府県等が技術職員を確保し、技術職員不足の市町村を支援するとともに、大規模災害時の中長期派遣要員を確保する復旧・復興支援技術職員派遣制度を令和二年度に創設したところでございまして、登録された職員に係る人件費に対しては地方交付税措置を講じておりますが、この取組を強化するため、今年度から定年引上げが始まることも踏まえ、地方交付税措置を拡充するとともに、技術職員の確保に計画的に取り組むようお願いしているところでございます。

 インフラの維持管理が計画的に実施されるよう、財源、人員の課題も含め、各地方公共団体の実情をよく伺いながら、関係省庁と連携して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 是非、松本総務大臣、インフラの老朽化問題というのは大変深刻な、急務の課題であると思いますので、総務大臣のリーダーシップを持ったお取組に期待申し上げたいと思いますので、引き続きのお取組をお願い申し上げます。

 続きまして、子供、子育て関連につきましてお尋ねをさせていただきます。

 こども未来戦略におきましては、先ほど岡本委員からもございましたスウェーデン並みの水準とするということや、子供一人当たりの国の予算倍増というものが示されております。こども未来戦略の中で、出生率についての目標設定値というのはございますでしょうか。お尋ねをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 出生率につきましては、結婚でありますとか、妊娠、出産そのものでありますとか、あるいは子育て、こうしたことが大きく影響してくるわけでございますけれども、こうしたことは個人の自由な意思決定に基づくものということでございますので、個人の決定に対しまして特定の価値観を押しつけたり、あるいはプレッシャーを与えたりすることは決してあってはならないというふうに考えておるところでございます。

 このため、昨年閣議決定されましたこども大綱におきましては、多様な価値観、考え方を尊重するということを大前提とした上で、若い世代の意見に真摯に耳を傾け、その視点に立って、若い世代が自らの主体的な選択により、結婚し、子供を産み、育てたいと望んだ場合に、それぞれの希望に応じて社会全体で若い世代を支えていくということを少子化対策の基本としているということでございまして、直接的に出生率についての目標を掲げておるというところではございません。

西岡委員 個人の自由な意思を尊重する、大変重要なことだと思っております。出生率については、そういうことも含めて、あえて目標設定値にはされていないということでございます。

 先般、二〇二三年の出生率が発表されたわけでございますけれども、前年に比べて四万人以上減少になっておりまして、七十二万六千人ということでございまして、昨年も大変ショッキングな数字であったわけでございますけれども、今年も五・八%減少しているという状況もございます。

 その中で、今回、異次元の少子化対策ということで岸田総理が様々な施策を講じられているわけでございますけれども、こども・子育て支援金制度でございます。総理は実質負担ゼロという御説明に終始をされているわけですけれども、なかなか国民の理解としては、実質負担ゼロということについては理解が全く広がっていない中で、逆に負担増という認識が広まっているのが状況だというふうに思います。

 一人当たり五百円の政府の試算というものがございますけれども、働く方々にとっては、協会けんぽであったり組合健保であったり、加入しているところによって負担が変わるということもございまして、逆に現役世代の負担が増える結果となるのではないかという指摘もございます。

 こども未来戦略の基本理念、一つは、若い世代の所得増、また、社会全体の構造、意識の変革、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援するという三つの理念が掲げられているわけでございますけれども、若い世代の所得を増やすということについて大変逆行するような側面があるのではないかというふうに思います。そもそも、支援金というものを医療保険料に上乗せするということについての合理的な理由があるのかどうか、このことについてお尋ねをさせていただきます。

熊木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、支援金制度につきましては、いつも申し上げていることではございますが、歳出改革と賃上げによって社会保障負担率の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築するということで、全体として実質的な負担が生じないということを申し上げております。この趣旨、しっかりと御説明申し上げていきたいというふうに考えます。

 その上で、支援金制度につきましては、事業主も含め、全世代を含め、広く拠出をいただいて、公費と合わせて子育て世帯に大きな給付拡充を行う、そういうためのものでございますので、子育て世帯にとっては大きな給付拡充になるということ、これも御説明申し上げていきたいと思います。

 御質問の点でございますが、医療保険制度を活用する理由ということでございました。医療保険制度というものは、社会保険制度全般がそうでございますが、少子化による影響を非常に大きく受けることになります。そこで、少子化対策を行うということは、医療保険制度の持続可能性、そういうものにも関わる大きな、重大な、重要な課題でございます。

 その上で、今般、全ての世代ですとか全ての経済主体が皆で子育て世帯を支える、こういう新しい連帯の仕組みというものを提案してございます。これは、医療保険制度、社会保険制度はいずれも連帯、助け合いの仕組みでございますので、そういった意味で社会保険制度を活用するということを検討したものでございます。

 その上で、医療保険制度につきましては、全世代が加入しているということ、それから出産に関する給付を持ちつつ幅広い給付や事業に充てられているということ、こうしたことに鑑みまして、医療保険制度を活用した支援金というものを構想したということでございます。

 よろしくお願いいたします。

西岡委員 時間となりましたので質疑を終えさせていただきますけれども、やはり実質負担ゼロという総理の説明がなかなか国民の皆様には理解されていないということも含めて、この支援金制度については引き続き議論していきたいというふうに思います。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

古屋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西野太亮さん。

西野委員 皆様、こんにちは。熊本二区選出、衆議院議員、自由民主党の西野太亮でございます。

 今日は、私にとりまして今年初めての質問となりますので、冒頭、令和六年能登半島地震で犠牲になられた皆様の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 私、復興庁の経験もございますし、熊本地震では、役所を辞めたばかりで被災して、ボランティアをさせていただきました。さらには、私の選挙区ではありませんけれども、熊本の南部を襲いました令和二年七月豪雨でも、何度も足を運んで、泥かきあるいは水にぬれた畳の搬送とか、そういったボランティアをさせていただきましたので、そうした経験を生かして、一議員ではありますけれども、復興に貢献していきたいというふうに思っております。

 それでは、本日の議題でございますけれども、地方税法の改正案について質問させていただきたいと思います。

 まず、岸田政権でございますけれども、デフレ脱却、これを政権の最重要課題の一つと位置づけて、全ての政策を総動員して取り組む、実現するということを明言されております。もっと言えば、その前の菅政権さらには安倍政権もデフレ脱却を一つの重要なテーマとしてしっかり取り組んできたところでございます。

 私は個人的にも、やはりデフレ脱却、日本経済は三十年近くにわたって苦しんでまいりましたけれども、これを脱却することは日本経済にとって非常に重要なことだというふうに考えておりますけれども、政府の一員として、総務省としてどういうふうにお考えなのかを聞かせていただきたいと思います。地元の大先輩でございます馬場副大臣、お願いします。

馬場副大臣 西野委員から、デフレ脱却という重要な課題についての考え方について御質問いただきました。

 岸田総理の施政方針演説にもありますように、今、日本は、デフレから完全脱却し、熱量あふれる新たな成長型経済に移行していくチャンスの時機にあります。

 総務省としましても、昨年十一月に閣議決定されました総合経済対策を着実に進めているところであり、日本経済を立て直すとの強い決意を持って諸施策を強力に推進してまいります。

西野委員 副大臣、ありがとうございます。

 総務省というのは、地方自治さらには放送・通信というものを所管しておられますので、日本経済全体に一義的に責任を持つ役所ではないということは重々承知しておりますけれども、このデフレ脱却というのは政権全体の課題でございますので、そういった意味では避けることはできない課題だというふうに思います。

 それから、今回の地方税法改正もそうですけれども、総務省が取り組んでおられる取組を見ますと、デフレ脱却に向けて様々な取組をされているということが分かりますので、そうした観点で、地方税法改正案をデフレ脱却という切り口で今日は議論を進めていきたいというふうに思います。

 それでは、まず最初に、デフレ脱却に向けて、今、日本経済がどの辺りにいるのか、日本経済の現状について内閣府の方にお伺いできればと思います。

上野政府参考人 お答えいたします。

 我が国経済は、三十年ぶりの春闘賃上げ率や株価など、前向きな動きが見られ、デフレ脱却の千載一遇のチャンスを迎えております。一方、個人消費は、賃金上昇が物価上昇に追いついていない中、持ち直しにも足踏みが見られており、設備投資も、企業の堅調な投資意欲が実際の投資には結びついておらず、持ち直しに足踏みが見られますなど、内需は力強さを欠いております。

 こうした中、政府としては、物価高に最も切実に苦しむ低所得の方々の可処分所得を下支えし、その負担の緩和を図るための住民税非課税世帯一世帯当たり約十万円の給付や、本年夏に可処分所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実につくり出すための所得税、個人住民税の定額減税を行うこととしております。

西野委員 ありがとうございます。

 今、今般の経済対策で決まった定額減税、定額給付についてもお話がありましたけれども、私なりにもう一度整理して申し上げると、まず、物価については、例えば二〇二二年には物価上昇率が三%、四%で推移していました。それに対して、輸入物価の水準がピーク時には約五〇%にまでなったわけです。言ってみれば、輸入物価の水準が上がることによって全体の物価が押し上げられていた。それが、二〇二三年、昨年になって少し様相が変わってきたというふうに思います。

 物価水準全体としては同じく三%程度の水準を維持してきたわけですけれども、輸入物価の水準はマイナス一五%にまで多少落ち着いてきたところがありますし、物価水準全体の中でもエネルギー、このエネルギーが物価水準全体を押し上げてきたんですけれども、そのエネルギーを除いた物価水準でもプラス四%でございましたので、ようやく国内でお金が流れ始めているのではないかと。なかなか精緻な分析は難しいんですけれども、二〇二二年は物価が上がった分が全て海外に流れていた、だけれども二〇二三年に入ってようやく国内でお金が回り始めた、そういうような見方もできるんじゃないかというふうに思います。

 それを反映して、例えば今日なんかも日経平均株価が史上最高値を更新しました。さらには、設備投資が史上初めて百兆円を超える見込みでございます。

 一方で、先ほど内閣府からもありましたとおり、個人消費がコロナ前に戻っていない、そしてまた設備投資も好調とはいえ足下でいえば少し鈍り始めている、こうした状況の中にあって個人消費をしっかり後押ししてデフレ脱却を確実なものにする、そのために、私は、今般の定額減税を、これは住民税も含めてでございますけれども、実施するんだというふうに思っておりますが、総務省として今回の定額減税、定額給付についてどういう趣旨で取り組むのか、お答えいただければと思います。

池田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、今般の定額減税でございますが、賃金上昇が物価高に追いついていないことによる国民の御負担を緩和するとともに、賃金上昇と相まって国民所得の伸びが物価上昇を上回る状況をつくり、デフレマインドの払拭と経済の好循環の実現につなげることを目的とするものでございます。

西野委員 ありがとうございます。

 こうしたことを考えますと、私は、今般の定額減税、定額給付というのは日本経済に対する的確な分析の下に適切な政策を行うものだというふうに考えるわけですけれども、なかなかそれが国民の皆様方に伝わっていないというのが現状だと思います。地元を回っていても、今回の減税は何だ、何か唐突過ぎるんじゃないか、あるいは、岸田総理の人気取りじゃないか、もっと言えば、増税眼鏡というとばそがん気にしちょらすとね、そういうような御意見もあるわけでございます。

 しっかり我々の政策の趣旨を広めていくことができれば、もっともっとデフレマインドの脱却に向けてより前進できるのではないかというふうに思いますけれども、そうした趣旨を国民の皆様方にどう伝えていくかという観点について総務省としてどういうふうにお考えなのか、聞かせていただければと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 今申し上げました定額減税の趣旨につきまして、国民の皆様はもとより、納税者である国民の皆様と直接接し税務事務を行っていただく地方団体や事業者に対し分かりやすくお伝えする必要があると考えておりまして、累次の地方団体向けの説明会、先月作成し地方団体にお示ししたQアンドAにおいても、定額減税の趣旨も含め説明を行ってきたところでございます。

 引き続き、地方団体及び関係省庁と連携しながら、機会を捉え、丁寧に周知、広報を行ってまいります。

西野委員 ありがとうございます。是非国民の皆様方に伝わるように、我々政治家一人一人も伝えていかなくちゃいけませんけれども、政府としてのお取組も是非お願いしたいと思います。

 先ほどから申し上げておりますとおり、定額減税、定額給付、これは私は適切な政策だというふうに思っておりますので、これを着実に円滑に実行していく必要があると思いますが、一方で、自治体の皆さん方とお話をさせていただいていると、定額減税、定額給付のやり方によって地方の事務負担が増えるんじゃないかというような懸念もあるようでございます。実際にどのような事務負担が増えるというふうにお考えなのか、さらにはそうした事務負担が増えることについて総務省としてはどういうふうにお考えなのかということについても少しお話を聞かせていただければと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の定額減税それから給付金につきましては、納税者それぞれの減税額を算出し、控除をいただくという税務上の事務のほか、減税し切れなかった方に対する給付金支給事務との連携、これらが必要になってくると考えております。

 このため、地方団体の意見をお伺いしながら、定額減税については、課税実務やシステム対応等に配慮し、給与所得者について、令和六年六月分は特別徴収を行わず、残りの十一か月にならして徴収を行う方式を取るとともに、減税し切れなかった方に対する給付金の支給につきましても、活用可能な税務情報を基に一万円単位で支給するなど、地方団体の事務負担に配慮した制度設計や執行上の工夫を行っております。

 その上で、地方団体が早期に準備に着手できるよう、説明会の開催や、先ほど申し上げましたQアンドAの策定などを行ってきたところでございます。

西野委員 ありがとうございます。非常に重要な政策だというふうに思いますので、現場が混乱のないように、円滑に進むように、総務省としても引き続き御配慮いただければというふうに思います。

 それでは、続きまして、違う税制、法人事業税の見直しについて少しお話を聞かせていただければというふうに思います。

 デフレ脱却のためにはやはり賃上げというものが非常に重要になってくるわけでございますけれども、では地方税としてこの賃上げについてどういう後押しをしているのかということをお伺いしたいというふうに思います。

 デフレ脱却、すなわち安定して物価上昇していくということを導くためには、安定した賃金上昇が私は必要不可欠だと思います。物価だけ上がって賃金が上がらなければ、結局消費が抑え込まれてデフレに逆戻りしてしまう可能性がありますので、本当の意味でデフレ脱却を導くためには、賃金上昇と物価上昇、この好循環を生み出していくということが必要になるわけでございます。そのために法人税でも賃上げ促進税制を導入しているところでございますし、今回の税制改正で、赤字企業でも賃上げに取り組みやすいように赤字の繰越しを認める、そういった法改正がなされるというふうに承知しています。

 法人税の賃上げ促進税制と歩調を合わせて導入されているのが、法人事業税の外形標準課税の付加価値割について給与総額の増加分を控除する、そういう措置を導入しているというふうに認識しておりますので、その外形標準課税の付加価値割について少しお話を伺いたいと思います。

 まず、そもそもの前提といたしまして、法人事業税の外形標準課税の付加価値割については、算定基準の一部に給与総額が含まれておりますので、そういったことをもって、外形標準課税自体が賃上げ税制に逆行するのではないか、こういった指摘があるというふうに承知しておりますけれども、その点について総務省はどういうふうにお考えなのかということを伺いたいと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 外形標準課税の付加価値割の課税標準でございますが、御指摘の報酬給与額に加え、単年度損益なども含めて付加価値額とされているところでございます。

 したがいまして、報酬給与額が増加した場合には、他の条件が同じであれば単年度損益が同額減少することになりますから、法人が賃上げをしても税額は変動しない、こういった仕組みになっております。

 その上で、雇用への配慮として、報酬給与額の比率が高い法人については、付加価値額から一定額を控除する雇用安定控除の仕組みを設けているほか、国税における措置と併せて、御紹介いただきました雇用促進税制を講じてきたところでございます。

 このように、外形標準課税は、賃上げを行った企業に対しては税負担が軽減される仕組みとなっており、賃上げに逆行する税制とは考えておりません。

西野委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたとおり、そもそも賃上げ税制を導入しなくても、付加価値割の算定基準自体が賃上げに中立、賃上げにニュートラルであるということだと思いますし、それに加えて賃上げ税制を導入しているわけですから、私は法人事業税の外形標準課税というのは賃上げ促進税制の一つだというふうに考えております。

 その上で、今般、外形標準課税の対象を見直すことになりました。そのことを踏まえて、賃上げ促進の動きと逆行しないように、先ほどから御説明いただいておりますけれども、給与総額の増加分を付加価値額から控除する措置についても見直しを行うこととしております。つまり、今回、新たに外形標準課税の対象になる法人であってもしっかり賃上げ促進税制を受けることができるように対象を拡大したというふうに理解しておりますけれども、今般の外形標準課税の賃上げ促進税制の見直しの趣旨、目的について聞かせていただければと思います。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 今般の外形標準課税の適用対象法人の見直しによりまして、資本金一億円以下の法人であっても、例えば一定規模以上の法人の一〇〇%子会社である場合などには外形標準課税の対象となることとなります。

 このため、賃上げ促進税制については、その適用期限の延長と併せ、こうした法人についても特例措置の適用を受けられるよう所要の見直しを行うこととしております。

 従来の措置に加えまして、今回の見直しにより外形標準課税の対象となる資本金一億円以下の法人については、雇用者全体の給与総額を一定割合以上増加した場合にも税負担を軽減する措置を講じることとしております。

西野委員 ありがとうございました。

 では、次に、デフレ脱却のために、いろいろな方法があると思いますけれども、一つ、投資を促進するということもデフレ脱却につながるんだろうというふうに思いますので、その観点から地方税としてどういうインセンティブづけをしているのかということについて質問させていただきたいと思います。

 そもそも、固定資産税、不動産取得税といった地方自治体にとっての基幹税あるいはそれに準じた税というのは、いたずらに特別措置を講じて安易に自治体の財政に影響を与えるべきじゃない、そういう基本的な考え方があるというのは理解しておりますけれども、それでも今回は、デフレ脱却に向けて政府全体として取り組んでいる、様々な政策ツールを総動員して取り組んでいる、そういう中でございますので、例えば政府として投資を促進すべきだと考えているような事業資産については地方税としてもインセンティブを与えるべきだというふうに思いますけれども、総務省としてはどういうお考えなのか。

 さらには、そういった観点から、今回の固定資産税の見直しについて、私は適切な見直しがされているというふうに思いますけれども、総務省としての今回の固定資産税の見直しについての考えを聞かせてください。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 固定資産税においては、政府として投資を促進すべき事業用資産について、様々な特例措置を講じてきているところでございます。

 例えば、今御提案の令和六年度税制改正では、午前中の質疑でもございました、再生可能エネルギー発電設備に係る固定資産税の特例措置の対象にペロブスカイト太陽電池を使用した一定の発電設備を追加することとしております。

 また、物流倉庫に附属する設備に係る固定資産税の特例措置の対象に、物流の二〇二四年問題に対応するため、荷待ち時間の削減に資するナンバープレート解析AIカメラ等を追加することとしておりますなど、新たな技術を活用した設備に対する投資を促進するための固定資産税の特例措置を講じることとしております。

 今後とも、市町村の基幹税である固定資産税の安定的な確保、これには十分配慮しながら、地域経済への波及等の観点からも、必要な特例措置については関係省庁とも議論しながら検討を進めてまいりたいと考えております。

西野委員 ありがとうございました。

 今見てきたとおり、個人消費を後押しする、賃上げを促進する、さらには投資を後押しする、様々な観点から地方税としてもインセンティブづけをいただいております。大変ありがたいことだと思いますが、それ以外にも、転嫁対策であったり、リスキリング対策であったり、さらには、物価高であっても地方自治体がデフレマインドに戻らないような、そういった支援が必要だというふうに思います。

 総務省としてデフレ脱却に向けてどういうふうに取り組んでいくのか、最後になりますけれども、馬場副大臣から意気込みをお聞かせいただければと思います。

馬場副大臣 お答えします。

 政府としては、足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向けて令和六年度の予算編成を行いました。

 総務省としては、先ほど自治税務局長からも答弁があったとおり、様々な措置を講じることとしております。

 また、令和六年度地方財政計画においては、民間の賃上げなどを踏まえた人件費の増加などを適切に反映した上で、一般財源総額について、交付団体ベースで前年度を〇・六兆円上回る六十二・七兆円を確保いたしました。

 その中で、人件費の増や物価高騰の影響による施設管理等の委託料の増加を踏まえ、一般行政経費に三百億円計上するとともに、委託料の増加に対して適切に対応するよう、自治体への助言通知を発出しております。

 財政にも経済にも明るい西野委員には、今後ともまた御意見等を賜りますようによろしくお願い申し上げます。

 今後とも、総務省としてデフレ脱却に向けて適切に対応してまいります。

西野委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

古屋委員長 次に、保岡宏武さん。

保岡委員 自由民主党の保岡宏武です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず冒頭に、私も、本年元旦に起こった能登半島地震で被災された皆様にお見舞いを申し上げますとともに、お亡くなりになった皆様に哀悼の誠をささげます。また、今日まで被災地で献身的に救援、救助、復旧に当たられている多くの皆様に感謝と敬意を表します。

 多くの悲しみと不安を抱えながらも懸命に今を生きておられる被災者の皆様を見るにつけ、行政や政治は全面的にこうした皆様に寄り添い、お支えをしていくものだと強く思うと同時に、今我々がなすべきことを我々も全力で取り組む責務があると決意をしております。

 今回審議中の地方税法等の一部改正、地方交付税法等の一部改正については、震災復興支援に加えて、子供、子育て関連法案に係る地方の財政負担への支援、定額減税の地方負担の補填などが盛り込まれております。改めて、今回の地方税及び地方交付税の改正法律案について、改正法案の趣旨や意義のポイントをそれぞれ明確にお伺いしたいと思います。お願いいたします。

池田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の地方税法等の一部を改正する法律案につきましては、その具体的な中身といたしましては、個人住民税における定額減税の実施、法人事業税について減資等の問題に対応するため外形標準課税の適用対象法人の見直し、さらには、令和六年度の評価替えに当たりまして現行の土地に係る固定資産税の負担調整措置を継続すること、森林環境譲与税の譲与基準の見直しを行うことなどを内容とするものでございます。

 総体といたしましては、現下の経済情勢等を踏まえ、デフレマインドの払拭と経済の好循環につなげるため、定額減税や各種特例措置を講じますとともに、地方税の充実や地方税収の安定性の確保、こういったものに資するよう努めたところでございます。

保岡委員 ありがとうございます。

 今お答えにありましたように、今回の法改正、森林譲与税の基準の見直しであったり、また、レジャー船などを除く軽油引取税の課税免除特例措置の延長、そして、先ほど西野議員の質問の答弁にもありましたように、再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置の延長など、地方の声をしっかりと反映した内容になっているというふうに私も大変安堵しております。様々な折衝も含めて、当局の御努力に敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。

 そして、震災復興についても、岸田総理が、政府、地元が一丸となって被災者に寄り添い、生活となりわいをしっかり支えていく息の長い取組を続けていくと所信表明でおっしゃっておいでです。災害は誰が悪いわけでもありません。被災を受けた方がいっときも早く平穏な生活に戻れるように、今後も政府一丸となって所信表明を具現していただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 以上、前置きした上で、地方の視点から幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、賃上げ促進税制について質問です。

 原料の高騰と円安による物価高を吸収して生活を成り立たせるためには企業の賃上げは必須であることは論をまたないことであり、地方の中小企業経営者も賃上げの必要性は十分に認識をしています。

 しかしながら、認識はしているものの、したくとも原資がない、原資の捻出が難しいとの声を私も地元鹿児島に戻って多く聞いているところです。そのような地元の中小企業、零細企業においても賃上げを進めるために、今回どのような見直しが行われたか。今回の賃上げ促進税制、今私が申し上げたような地方の声を反映した、中小企業にとっても賃上げの後押しとなるようなものであるのか、その意義をお示しください。お願いいたします。

井上(誠)政府参考人 お答え申し上げます。

 三十年ぶりの高い水準の賃上げを一過性のものとせず、構造的、持続的な賃上げを実現することが重要と考えております。

 そのため、今回の賃上げ促進税制の改正におきましては、大企業向けについては、より高い賃上げへのインセンティブ強化に向け、更に高い賃上げ率の要件を創設するものとし、中小企業向けにつきましては、前例のない、長期となる五年間の繰越控除措置の創設により、これまで本税制を活用できなかった赤字の中小企業でも賃上げに挑戦できるようにするものとする、さらに、地域において賃上げと経済の好循環の担い手として期待されております中堅企業につきましても、新たな枠を創設するなどの強化を行うものとしているところでございます。

保岡委員 ありがとうございます。御答弁にありますように、様々な見直しがされていることは分かりました。

 その上で、質問をいたします。

 地方の中小企業といっても、状況は様々です。従業員は少数ではあるけれども、毎年着実に賃上げをしているような優良企業もございます。例えば、そのような企業で急に従業員が退職をして人員補填ができないといった場合、この制度の中だと、他の従業員の賃金が上がっていても、一人分が減ると全体額が減少という事態も起こるというふうに考えます。

 今回の促進税制に該当しない場合、このような該当しない場合が出てくるというふうに推察されますが、そのような場合、イレギュラーではありますが、適用できるような措置があるのか、また、そのような措置を想定した議論がなされたのか、お示しください。

山本政府参考人 お答えいたします。

 今御説明のありました賃上げ促進税制、中小企業については、委員御指摘のとおり、全従業員の賃金で算出をいたします。これは、簡便性とともに、やはり中小企業は今人手不足でございますので、雇用者の雇用を維持する、また更に拡大していくというインセンティブを重視して、このような設計としている次第でございます。

 他方、今委員が御指摘になったような事例、事案も想定され得るものと考えております。この場合には、私ども、賃上げに向けては、賃上げ促進税制以外にも様々施策を講じております。例えば、賃上げの原資を確保するためには価格転嫁の促進がやはり重要でございます。この価格転嫁の促進に向けまして、中小企業庁から交渉と転嫁の状況についての企業リストを公表して、状況の芳しくない発注企業への指導助言を実施するというような施策を講じております。

 また、一般的に転嫁が難しいとされております労務費でありますけれども、こちらについては、昨年十一月に内閣官房と公正取引委員会が労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表しております。こちらの指針につきまして、公表の翌日、早速、経済産業省所管の業界団体へも周知をし、自主行動計画への反映についても計画策定団体に要請をしております。

 加えまして、中小企業が構造的な人手不足を乗り越え生産性を向上するためには省力化投資も重要でございます。これは昨年の経済対策にも盛り込ませていただいておりまして、カタログから選ぶような簡易で即効性のある省力化投資、新商品、サービスの開発に向けた設備投資等を支援するものでございます。

 これらの取組によりまして、中小企業の賃上げをしっかりと後押ししてまいりたいと存じます。

保岡委員 ありがとうございます。今るるお話をいただきました。ただ、私の地元の税理士からは、先ほど私がお話ししたような事例報告が、そんなに少なくない数が上がってきております。

 今、企業の七割が赤字の中で、三割の黒字企業が日本経済を牽引している状況です。例えるなら、十頭の馬がいれば、七頭は荷車に乗って、三頭が一生懸命その荷車を引っ張っている状況だというふうにも言えると思います。このように、地方にも、規模は大きくなくとも、厳しい経済環境下でも努力して黒字を出して雇用を守っているという優良企業があります。困っている中小企業にスポットを当てるだけではなくて、孤軍奮闘しているような地元の優良中小企業にも、きめ細かな対応で、よりやる気を引き出すような税制であってほしいというふうに願います。

 最近、地方では採用が特に難しくなっている状況もありますし、引き続き状況を注視して議論を続けてもらいたいというふうに思います。これは要望です。

 さて、次に、固定資産関連で、地価の評価について質問させていただきます。

 固定資産税は、言うまでもなく地方の税収において基幹となる税です。しかしながら、毎年この固定資産税評価基準の元となる路線価、地価が地方において下落をしている傾向が見られます。この傾向に何とか歯止めをかけることができないものかと、毎年の路線価発表の記事を見るたびに思うのは私だけではないというふうに思います。令和二年には、人口減少と土地を持つことが重荷になる時代を反映して土地基本法の一部改正もありました。本日は国交省にお越しいただいていますが、そんな状況において地方でも地価が上昇している地域はどのようなところがあるか、具体的な事例を伺いたいと思います。そして、地方における地価上昇の傾向などに関する分析等があれば、示していただければというふうに思います。お願いします。

川野政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年都道府県地価調査によりますと、昨年七月一日時点の地方圏の地価は平均で〇・三%の上昇となっております。人口減少の進展などにより地価の弱含みが続く地域がある一方で、地価が上昇した地域も見られたところでございます。

 地価が上昇している地域につきましては、例えば熊本県大津町などでは、大手半導体メーカーの進出が決定したことにより関連企業等の用地需要が高まったことから、地価の高い上昇が見られました。また、北海道札幌市などでは、再開発事業等の進展により利便性やにぎわいの向上が期待されていることから、商業地を中心に地価の上昇傾向が見られました。さらに、岐阜県高山市などでは、インバウンドを含めた観光客が回復傾向にあることから、コロナで落ち込んだ地価の回復傾向が見られました。

 国土交通省としましては、地方圏の地価動向につきまして今後とも注視してまいります。

保岡委員 ありがとうございます。人口減少時代においてもまだまだやれることが我々にあるというふうに勇気づけられるような答弁、ありがとうございました。

 一方、東京などの大都市では、民間ディベロッパーや鉄道会社などが大がかりな投資をして町の価値を上げる役割を果たしていますが、なかなかそのような開発は地方において皆無だというような状況もございます。しかしながら、近年、行政の持つ土地や建物に地元の民間が手を加え、そのエリアの価値を上げるという例、例えば岩手県紫波町のオガールプロジェクトや大阪府大東市の株式会社コーミンによる町づくりなど、全国に少しずつですが広がりつつある状況もございます。是非このような機運というのも逃していただきたくないというふうに思っております。

 人口が増えていく昭和の時代と違って、これからは人口が減っていく時代です。特に地方においてはその傾向は顕著です。アメリカでは、官民挙げてエリアの価値を高めて、土地、不動産の価値を上げていくことは当たり前というふうに聞いております。日本においても、特に地方でどのようにしてエリアの価値を上げて地価評価を上げ、地方の税収において大事な固定資産税税収を減らすことなく増やしていくことができるか、新たな発想や努力を地方自治体とともに政府にも進めていってもらいたいというふうに要望いたします。

 続いての質問です。

 固定資産税しかり、地方税やふるさと納税など、地方が独自に税収を上げ、地方で自由に使えるお金が増えることは、多角的に見て、地方創生において大事なことだというふうに考えます。地方自治体が稼ぐ力という言葉を最近よく使いますが、その場合、民間の稼ぐ力を支援するという意味だけではなく、住民の収入が上がり住民税を多くいただく、エリアの価値を高め土地の価値を上げて固定資産税を多くいただくということが地方自治体のいう稼ぐ力の目標だという視点も持つことが大事だというふうに私は考えております。

 人口減少時代における東京一極集中を緩和する意味でも、国として地方にどのようなインセンティブとチャンスを与えるのか。地方の自主財源について、本日はせっかく船橋政務官がお越しでいらっしゃいますので、政治家として、今後の展望、見通しなど、お考え、意思を明確に示していただけたらありがたく存じます。お願いいたします。

船橋大臣政務官 保岡委員にお答えいたします。

 地方団体が地域の実情に即した地方の行政サービスを提供するためには、地方団体が自らの財源である地方税によって財政運営を行うことが理想でございまして、地方税の充実確保、これが最重要というふうに考えてございます。

 これまでも、個人住民税の三兆円の税源移譲、地方消費税の創設、拡充など、地方税の充実確保に向けた取組を進めてきたところでございます。

 今回の税制改正におきましても、外形標準課税の適用対象法人の見直しや固定資産税等における負担調整措置の継続などを行うこととしてございます。

 今後とも、社会経済情勢の変化等に的確に対応しつつ、地方税の充実確保を図るとともに、大切なことは、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組んでいかなければいけないと考えております。

保岡委員 船橋大臣政務官、ありがとうございました。今おっしゃられたように、地方において偏在性がないようにということで、非常に大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

 一方で、地方においてやはり稼ぐ民間というのを育てていかなければならないということも私はあるかというふうに思っております。

 是非、総務省も今、地域おこし協力隊であったり様々なプロジェクトをしておりますが、そのような方々が地元に残って、私の地元の小さな喜界島という島ではそのような方々が残って地元の特産品を生かした商品作りなどをして、新たな雇用だったり収入を上げ、また、島の魅力を発信することによって島への来島も増えている、そのような事例もございますので、是非そのような機運は逃していただかないようにお願いをできればというふうに思っております。

 最後に、少し時間がありますので、大事な地方財源の一つとなっているたばこ税に関して質問をさせていただきたいというふうに思います。

 望まない受動喫煙対策の推進や継続的かつ安定的な地方たばこ税の確保の観点からも、駅前や公園などの場所における屋外分煙施設の整備は大事な課題だというふうに考えています。地方公共団体がその重要性を意識して、地方たばこ税の一部を活用して屋外分煙施設の整備を進めていってほしいとの要望も多いということを自民党たばこ議連でも伺っています。

 現状の地方自治体が取り組む屋外分煙施設整備の促進や設置状況等、総務省の方で把握をしているものがあればお示しいただきたいと思います。お願いいたします。

池田政府参考人 お答えをいたします。

 屋外分煙施設等の整備促進に関しましては、累次の与党税制改正大綱におきまして、望まない受動喫煙対策の推進や、今後の地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保の観点から、地方たばこ税の活用を含め、地方公共団体がより一層の整備を図るよう促すとされていること等を踏まえまして、総務省から地方団体に対しまして、屋外分煙施設等の整備について積極的な取組を要請する通知を発出しているところでございます。

 地方団体における取組状況について御質問がございましたが、総務省において昨年実施した調査では、平成三十年度、この段階ではこの取組を行っている団体は百十九団体でございましたが、令和五年度においては全市区町村の約四割に当たる六百六十五団体が分煙施設の整備に取り組んでおりまして、整備箇所数も累計で約二千か所と増加しているところでございます。

 引き続き、望まない受動喫煙の防止と地方たばこ税の継続的かつ安定的な確保のため、屋外分煙施設等の整備が一層進むよう、全国市長会などとも連携しながら、様々な機会を通じて地方団体に対して働きかけを行ってまいります。

保岡委員 ありがとうございました。

 私はたばこを吸いませんが、たばこを吸う人も吸わない人も、分煙という状況をつくって、お互いが気持ちよく生活ができる、そんな状況を地方自治体にも取り組んでいただきたいというふうに思いますし、またそれが安定した地方の税収、財源にもつながってまいるというふうに思っております。

 質問の機会をいただきまして、本日はありがとうございました。終わります。

古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時四十分散会


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