衆議院

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第7号 平成28年11月2日(水曜日)

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平成二十八年十一月二日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 井上 信治君 理事 土井  亨君

   理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君

   理事 伴野  豊君 理事 伊藤  渉君

      赤枝 恒雄君    石崎  徹君

      大岡 敏孝君    大野敬太郎君

      大見  正君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    神田 憲次君

      斎藤 洋明君    坂井  学君

      助田 重義君    鈴木 隼人君

      竹本 直一君    津島  淳君

      中山 展宏君    福田 達夫君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      山田 美樹君    青柳陽一郎君

      重徳 和彦君    高井 崇志君

      古川 元久君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    松田 直久君

      鷲尾英一郎君    上田  勇君

      浜地 雅一君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣        木原  稔君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   内閣府大臣政務官     武村 展英君

   財務大臣政務官      三木  亨君

   文部科学大臣政務官    田野瀬太道君

   農林水産大臣政務官    細田 健一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       若生 俊彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         稲山 文男君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 嶋田 裕光君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 籠宮 信雄君

   政府参考人

   (内閣府日本学術会議事務局長)          駒形 健一君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官)    酒巻 哲朗君

   政府参考人

   (財務省国際局次長)   土井 俊範君

   政府参考人

   (国税庁次長)      飯塚  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           板倉 康洋君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       新井  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           竹内 芳明君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小瀬 達之君

   政府参考人

   (防衛装備庁技術戦略部長)            野間 俊人君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     雨宮 正佳君

   参考人

   (日本銀行理事)     櫛田 誠希君

   参考人

   (日本銀行理事)     武田 知久君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     赤枝 恒雄君

  今井 雅人君     高井 崇志君

  前原 誠司君     松田 直久君

  鷲尾英一郎君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     石崎  徹君

  青柳陽一郎君     鷲尾英一郎君

  高井 崇志君     今井 雅人君

  松田 直久君     前原 誠司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 財政及び金融に関する件

 金融に関する件(通貨及び金融の調節に関する報告書)


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、内閣人事局内閣審議官稲山文男君、内閣府大臣官房審議官嶋田裕光君、大臣官房審議官籠宮信雄君、日本学術会議事務局長駒形健一君、経済社会総合研究所総括政策研究官酒巻哲朗君、財務省国際局次長土井俊範君、国税庁次長飯塚厚君、文部科学省大臣官房審議官板倉康洋君、厚生労働省大臣官房審議官諏訪園健司君、農林水産省農村振興局農村政策部長新井毅君、経済産業省大臣官房審議官竹内芳明君、大臣官房審議官小瀬達之君、防衛装備庁技術戦略部長野間俊人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木内孝胤君。

木内(孝)委員 民進党、木内孝胤でございます。おはようございます。

 冒頭、質問通告にはないんですが、昨日、日銀の金融政策決定会合がございました。きょうの午後、黒田総裁に御出席いただいて日銀報告もあろうかと思いますが、その中で、二%の物価目標が、二〇一七年度中という当初の話から二〇一八年ごろということに、五回目ですか、また延期されることになりました。

 物価目標も五回ですけれども、消費税の引き上げも二回延期されているという状況の中で、財政健全化目標その他、あるいは六百兆円のGDP、いろいろな数字がございますけれども、再度延期されたということに関して大臣の御所見をお願いいたします。

麻生国務大臣 日本銀行の金融政策決定ということに関して私どもの財務省がとやかく言う立場にありませんのはよく御存じの上で聞いておられる、感想だけ聞いておるんですか。感想だけをしゃべればいいの。

木内(孝)委員 感想といいますか、いろいろ政府として目標、財政健全化目標等を立てている中でさまざまな影響があろうかと思うんですけれども、それに対する影響等はないのかということでございます。

麻生国務大臣 日本銀行で金融政策を立案しておられる、私どもは財政という立場にいるんですけれども、両方でいろいろなことを共同でやっていく、共同声明の中にも書いてあるとおりで、四年前の四月に出しました共同声明の中に書いてありますとおりの目標に向かって我々は一層努力をしておるということで、国際情勢その他いろいろなものがありますので、いわゆるデフレマインドが払拭されてインフレに少し変わっていくというところまでやっと来たんだとは思っておりますけれども、なかなかいま一つ多くの気持ちが変わっていかないというところは、大きな要素なのかと思っております。

木内(孝)委員 もう明らかに、五回も目標の達成時期が変更になり、消費税の引き上げというのも延期になっております。ぜひ足元の実際の数字に向き合っていただきながら、私は、従来から申し上げているとおり、二年半前の消費税引き上げというタイミングが、そもそもアクセルを踏み続けるべきときにブレーキを踏んだということで、誤った政策だと思っておりまして、成長と歳出削減と増税と、この三つをどういうふうに組み合わせるかというのは非常に難しい問題ではありますけれども、ぜひ、適切な政策運営をお願いしたいと思います。

 本日は、成長戦略とコーポレートガバナンス改革についてお伺いをしたいと思います。

 いわゆる三本目の矢というところの成果が余り出ていないのではないかという指摘もいろいろございますけれども、私は、その中で実はコーポレートガバナンスの強化という点については、現政権、あるいは金融庁も、金融処分庁から金融育成庁ということで積極的にこうしたコーポレートガバナンス改革などにも取り組んでいるということを、なかなか成果が出ていない三本目の中では一番成果が出ている分野ではないかというふうに個人的には評価をしているところでございます。

 その中で、今、コーポレートガバナンス改革の重要性、あるいは日本版スチュワードシップコードについていろいろ成果が出ているように感じますが、ここら辺の成果と取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

武村大臣政務官 お答えいたします。

 成果といたしまして、上場企業の株主還元の結果というものがあろうかと思います。

 上場企業の株主還元につきましては、趨勢的に増加をしておりまして、例えば、民間の調査情報によりますと、東証一部上場企業の一株当たりの配当総額は、平成二十二年の十七・八円から平成二十七年の二十九・一円と、一貫して増加をしているものと承知しております。

木内(孝)委員 具体的な株主還元等々一定の成果が出ていることは評価した上で、一点、ちょっと個別の案件についてお伺いをしたいと思います。

 当然のことながら、個別の案件につきましては、いろいろ情報開示の面あるいはコメントしづらい面があることは重々承知をしておりますが、個別の案件についてお伺いをしたいと思います。

 呉服屋のさが美という会社がございまして、九月に、あるファンドがこの会社に対して株式公開買い付けをいたしました。五十六円という株価で公開買い付けをした。その一方で、別のファンドが、五十六円に対して、何回か価格を変えながら九十円という形で具体的な提案をいたしました。

 一方で、本来であればそのさが美という会社は善管注意義務を負っていて、きちんとその提案について向き合わなければならない。しかしながら、きちっとした説明責任を果たさずに、結局、こうした提案に向き合っていない。

 これは比較的小さな案件でもございますし、国内の報道を見ていても余りニュースにはなっていなかったんですが、例えば十月七日のフィナンシャル・タイムズにも記事になっておりまして、日本の市場は非常に不透明ではないかというようなことが記事となっております。

 せっかくコーポレートガバナンス改革ということでさまざまな取り組み、先ほど申し上げたとおり、私は一定程度評価はしているんですが、ちょっと残念な案件だなというふうに感じているところであります。

 金融庁さんにその案件の途上でいろいろヒアリングをしたところ、当然のことながら、個別の案件に金融庁さんがその時点でいろいろ指導監督することはなかなか難しいということは理解をいたしました。一方で、東証にもヒアリングをかけて、こういう案件はどうなっているんだということを申し上げましたら、TOBがかかっている案件については、現時点でどうもしようがないと。

 結論から言うと、非常に違和感のある取引が起こっている中でも、なかなか具体的な指導監督ができないような状況に置かれている、ある会社が五十六円と言っているものを別の会社が九十円で買いたいと言っているのであれば、普通であれば、誰がどう見ても九十円の方に売るのが至極当たり前。昨今、例えばハゲタカと言われるようなファンドとかであれば、いきなり九十円で買っても、重要な資産を売却してしまったりというようなこともあったりで、中長期的に見たら五十六円の方が企業価値を高める可能性があるという判断もあろうかと思いますけれども、必ずしもハゲタカファンドではないファンドからの提案に対して、きちっとしたマーケットへの説明等々がなかったというふうに私は認識をしております。

 なかなか個別の案件に対して説明がしづらいということは承知の上で、この案件についてそもそも内容をきちっと把握をしているのか。今後こういうイレギュラーな取引があった場合、どのような形で指導監督ができる体制となっているのか。今回みたいに、パーツパーツでは金融庁さんの対応としてはそんなに間違っていないと思いますし、東証さんの現在の対応としては間違っていない。ただ、すぽんと何の対応もされていない、市場にも何らメッセージが発信できていないという状況は、海外から見たら、日本の株式市場に対する信頼性を大きく損ねているんだと思います。

 この異例な形の状況についての、その指導監督体制についてお伺いをいたします。

麻生国務大臣 新聞に出ていた程度のことは知っていますし、これはユニーとファミリーマートの話、あの話だろう、これは多分。

 まず、基本的に個別の案件に関してしゃべることはありませんし、ましてや、ここはどういう場所かよく御存じで、ここは株主総会じゃありませんから、あなた、今の話は株主総会で聞かれるならともかくも、この場で聞かれて個別の案件を私の立場で答えるというのを期待されるのはいかがなものかと思いますので、まずはコメントすることはありません。

 その上で、コーポレートガバナンスのコードについては、取締役会とか経営陣とかいうのが株主に対する受託者責任というのをきちんと認識した上で、その上で会社というものは、株主のいわゆる共同の利益というんですか、共通の利益のために行動すべきだという原則が決められていますので、その上に立って、上場した企業というものは、投資家との間の対話というのをきちんとやっていく。それは、株主総会であってみたり、その他個別の話でやったりしていろいろされていくんだと思いますけれども。

 経営判断というのをきちんとやっていくのをやった上での説明責任というのは、かかって株主に対する説明責任は、これは経営陣が負っておられるというように理解しておりますので、私どもは、そういうような方向に沿ってきちんとした判断がされることを期待しております。

木内(孝)委員 今、株主総会ではないんだからと。個別の案件にコメントしづらいということは先ほども重々承知の上でと申し上げましたけれども、要するに、当局から何らメッセージが発信されていないということに関して外国人の投資家たちは、やはり東京の市場、日本の市場というのは不透明ではないか。海外では、こうした買収競争的な話というのは当然よくあります。そういう敵対的な買収ということではなくて、建設的な提案をしっかりと行っているファンドが二つあって、それが競合するというのは極めて大切な話でございますし、体制として私が非常に懸念しているのは、一般論としてでございますけれども、こういう問題ある事案が発生したときに何ら対応策がとられないという今のこの枠組みというか制度そのもの、これが非常にマーケットに対して不安感を与えていると思うんです。

 個別の案件について語れないというのはそのとおりかもしれませんけれども、五十六円と九十円という二つの買収価格があって、不透明な形で五十六円を選択するということは、一般論として好ましくないと思っているかどうか、この程度の、一般論としてのコメントを私は大臣からお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 内容、表向きに出た幾らだけ以外の要素が、経営をやっていればおわかりのようにいっぱいありますので、二十円が違う、十円安くても、その他のこれまでの経過等々を十分勘案した上でこういった買収は進んでいくんだと思うので、テークオーバービッドをかけて、その上で今言われたような話に仮になったとしても、これは基本的には私どもの立場としては、我々当局が直接指導するとか関与するということにつきましては、これはなかなか慎重を要するんだと思っております。

 基本的には、下手するとこれは、関与という名前のいわゆる介入ということになりかねませんから、これは極めて慎重を要するんだと思いますが、いずれにしても、投資家との間の適切な対話というものは、これは企業側の責任でもあろうと思いますし、みずからの経営判断の上に基づいてガバナンスコードの趣旨を踏まえた対応を行っていただくというのが基本的なものだとは思いますので、こういったものの企業の取り組みのコーポレートガバナンス・コードに従っての実効性というものがきちんと確保されていくというのが一番重要かなというように感じてはおります。

木内(孝)委員 本委員会でこの案件を取り上げましたのは、確かに、個別の案件についてコメントはなかなかしづらいということながら、財務金融委員会として、こうした注目度の高い、コーポレートガバナンスが試されているような案件について、一部の人たちだけでもこうした関心を持っていていろいろ取り組んでいるというのをマーケットに、これで議事録として載せること自体も意味があるということで質問させていただいております。

 コーポレートガバナンスの強化の中で、最近、GPIF、それと日銀のETFの購入、これが非常に株式市場をゆがめているのではないかという懸念を持っている投資家がたくさんおります。

 例えば、一定程度公的資金が買ってしまいますと流動性が減ってしまうというようなマイナス材料になりますし、現時点では年間六兆円という日銀の買い入れ額でございますけれども、これが何年間か続けば当然それなりの規模になるわけですし、GPIFの方も、二五%というポートフォリオを発表している中で、現状、約二一%程度というふうに理解しておりますので、今後まだ買い増す、あるいはふえる可能性というのが当然あるわけでございます。

 こうした中で、公的な資金がマーケットで占める割合というのが比較的大きくなっているというこの現状につきまして、市場の健全性の観点からどういうふうにお考えなのか、お伺いをいたします。

雨宮参考人 まず、私どものETF買い入れの方からお答え申し上げます。

 私どもが保有するETFを構成する株式につきましては、投資信託法に基づきまして、ETFを組成した投資信託委託会社により議決権が行使されるという扱いになっておりますし、また、これらの投資信託委託会社、いずれもスチュワードシップ・コードの受け入れを表明しているところでございます。

 もちろん、このコードでは、機関投資家に、企業価値の向上や企業の成長を促すよう、議決権の行使を含め責任を果たすことを求めておりますので、私どもといたしましても、各投資信託委託会社が、こうしたコードの趣旨を十分踏まえ、機関投資家の責務を適切に果たしていくことが大変重要であるというふうに考えてございます。

木内(孝)委員 もう一つ、GPIFもかなりの金額の株主になっております。多くの会社の筆頭株主がGPIFであるというような報告もございますし、ここら辺の議決権の行使のあり方、ほかの投資信託の委託会社を経由して投資をしているケースが多いかと思いますけれども、GPIFという非常に大口株主が、どのような議決権の行使のあり方あるいはコーポレートガバナンスを行使するのかということは、マーケット全体のコーポレートガバナンスの強化というのにも非常に大きく影響をすると思いますけれども、GPIFさんのコーポレートガバナンスに対する取り組み、お聞かせいただければと思います。

諏訪園政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、GPIFは国内株式を直接保有しておりませんで、御承知のように、運用対象の国内株式の管理は資産管理機関に委託して行っておりますので、株の名義人はそうした資産管理機関ということで、GPIFが名義人となっている株式はないということでございます。

 その前提でお答え申し上げます。

 GPIFの議決権行使あるいはコーポレートガバナンスに関する考え方につきましては、中期目標において、「企業経営に対して過度に影響を及ぼさないよう配慮するとともに、企業経営等に与える影響を考慮しつつ、株主等の長期的な利益の最大化を目指す観点から、株主議決権の行使等の適切な対応を行う」とされております。

 これを踏まえまして、GPIFは、企業経営に直接影響を与えるとの懸念を生じさせないよう、みずから株主議決権を行使することはせず、運用を委託した各民間運用機関に個別の判断を委ねております。

 一方で、御指摘のとおり、GPIFでもコーポレートガバナンスの重要性は十分認識しておりまして、運用受託機関への委託に際しては、議決権行使の目的が長期的な株主利益の最大化を目指すものであることを明示するとともに、運用受託機関における議決権行使の方針や行使状況等について報告を求め、各運用受託機関の議決権行使の取り組みついて評価を行っているという状況でございます。

木内(孝)委員 GPIFもそうですし、日銀もそうですけれども、議決権行使のあり方として、ある程度抑制的にということは理解できますし、そうするべきと思う一方で、議決権行使の方針等について、今おっしゃったように、非常にマーケットは注目していますし、ある意味、コーポレートガバナンスの行方を、最も大きい株主のプレーヤーとしてみんな注目しておりますので、引き続きコーポレートガバナンスの強化につきましては、特にGPIFさんの方、ぜひ取り組みを続けていただければと思います。

 ガバナンスの中で日本のマーケットの不透明さを話す際に、先ほど、さが美の案件は小さな案件でございましたけれども、昨年、東芝の不正会計問題について質問をいたしました。

 アメリカという国は不正会計に対する処罰が極端といいますか、例えばAIGとかエンロンとか、罰金が一・八兆円とか一・五兆円とか、とてつもない規模の罰金。あとその禁錮刑も、二十四年牢屋に入るとか、そういうことになっております。

 アメリカは極端かもしれませんが、例えばヨーロッパ、ベアリング証券の不正会計を担当した者は四年間牢屋に入るとか、いろいろありますし、国ごとによってこういう経済事案に対する量刑というのは大きく異なりますけれども、日本の場合、オリンパス事件とか東芝事件等々ございましたけれども、こうした量刑は、当然これは司法の問題でございますので、なかなかどれぐらいが適当だというのは言いづらい部分はございますけれども、何か非常に軽い印象を持つわけです。

 ここら辺、さまざまな事案、東芝、オリンパス、あるいは一方でライブドアの場合は実刑判決になったりと、これまた何か非常に外国人投資家から見ると、不透明なふうに見えるわけでございます。ここら辺の量刑の問題というか、処分が甘過ぎるというような気もしないわけでもありませんが、ここら辺の処分の甘過ぎることについて御意見をお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 これは御存じのように、金融庁設置法六条によってこれは証券取引監視委員会というのができ上がっておりまして、その調査等の詳細はそちらの方に一任されておりますので、私の方からそれについて細かく話をすることは差し控えさせていただきます。

 その上で一般論として申し上げれば、証券取引等監視委員会が、証券取引の公正性とか投資者保護の確保のために厳正に市場を監視しているところなんですが、法令違反に該当する事実があると疑われる場合には、これは厳正に対処しているんだと私どもは承知をいたしております。

 今言われました話については、平成二十七年の十二月に取引等監視委員会の勧告で、金融庁は約七十四億円の課徴金というものの命令を決定しておりますので、これは過去最大だと記憶をしますけれども、これが安いと思って聞いておられるのか、もっと高くしろと言っておられるのか、アメリカ並みに何兆円にしろと希望しておられるのかよく趣旨がわかりませんので、事実だけお答えしておきます。

木内(孝)委員 一般的に見て、各会社ごとに、こちらの会社の方がひどいのに軽く見えたりと、非常に不透明な形になっておりますので、そこにはぜひ目くばせをお願いしたいということを申し上げておきます。

 こうしたコーポレートガバナンスがうまくいっているのかなと思いつつ、やはり不透明な部分があるということで、対日投資の促進についてということにお伺いをしたいと思います。

 観光客は大きくふえ、インバウンド投資等々は一定の成果を上げておりますけれども、日本に向けた投資資金という流れが、なかなかこれはできておりません。これはもう十年以上前、あるいは二十年ぐらい前から、対日投資をふやすべきだということでさまざまな取り組みがされていますが、今なお、GDP対比で四%程度とか、非常に小さな数字を余儀なくされています。

 ここの対日投資促進に関しての現状、それと課題についてどう認識されているのか、御所見をお願いいたします。

籠宮政府参考人 先生御指摘の対内直接投資でございますけれども、確かに我が国への対内直接投資は、OECD平均ではGDP比で三五%という、他の先進諸国に比べると大きな違いがあるのは事実でございますが、着実にふえております。

 一般的には、対内直接投資につきましては、投資先の市場規模や成長見込み、地理的な近さ、あるいは言語の問題などが影響すると言われていると承知しております。

 また、アンケート調査を外国企業に行いますと、阻害要因として、日本では、行政手続、許認可等の複雑さ、人材確保の難しさ、ビジネスコストの高さといったような課題も指摘されております。

 こうしたことを受けまして、政府といたしましては、世界で一番企業が活躍しやすい国を目指して、例えば法人税改革、規制改革、あるいは、TPPを初めとする経済連携協定などを進めているところでございます。

 さらに、対内直接投資に直接関係する問題につきましても、例えば行政手続の簡素化など、外国企業や外国人のビジネス、生活環境の整備を進める方針を打ち出しているところでございます。

木内(孝)委員 今御説明いただいたような取り組み、比較的地味なものもたくさんあるんですが、こうした取り組みがいつ花開くのかわかりませんけれども、対日の観光客がふえたというのも、かなり長い間、多くの関係者がいろいろな努力を積み重ねておりますので、見ている人は見ているということで、ぜひ引き続き、その点については御努力をいただければというふうに思います。

 一つ、税制の面は、法人税を引き下げたりとか、いろいろなことは取り組みはされていますけれども、やはり、シンガポールとか香港とか、事実上のタックスヘイブンのような国と対抗しなければならない。金融都市センターとしての東京の復活ということをいろいろ言われておりますが、一方の国は二〇%を切るような法人税、所得税も二〇%を切るような状況、一方で日本は、住民税も含めると五〇%を超えるような状況でございまして、この税率を下げるというのは、正直、事実上難しいというか、簡単ではございません。

 その中で一つ今大きく話題になっておりますパナマ文書、BEPSの取り組み、ここの部分が世界的な枠組みがしっかりすれば、こうした国へお金が逃げるというのを非常に避けることができるということでございますので、パナマ文書、そしてBEPSへの取り組み、ここら辺の税制上の問題点についての問題意識を御開示いただければと思います。

麻生国務大臣 私ども、通告というかあれをいただいていないので。

 今、BEPSに関してのお話でしたので、基本的には、四年前のG7の財務大臣・中央銀行総裁会議がイギリスのバーミンガムシャーで行われたときに、これは日本から提案して、これはおかしいという話を私の方からこの提案をして、以来、私どもの方からOECDの租税委員長を選挙で出しておりますので、それを使いまして私どもとしては、いわゆる資金移動、ベーシック・エロージョン、プロフィット・シフティング、通称BEPSというあれを取り上げてからかれこれ四年。昨年十一月のG20の首脳会議でこれは正式に財務大臣・中央銀行総裁から首脳会談に格上げになって、そこで決定されたものを受けて、ことし六月、京都で第一回の会合を開いて、八十五カ国だか四カ国だかが集まって、これを個別にずっと今いろいろやらさせていただいております。

 基本は、アマゾンとかいろいろな話が話題になっていますけれども、少なくとも、日本に送ってきた品物を日本人が買って、そこに配達されるまでの間のインフラ、道路を含みまして全ては全部日本の税金によって賄われたインフラを使ってやっておいて、日本に対して税金は一切払わず、送った本国に行くのかと思ったらそこにも行かず、ケイマンアイライドだ、そういったところでその金が経由して入っていく。一体誰がもうかっているのかという話で、基本的には極めて税の不公平が世界じゅうで起きている。

 簡単に言えば、二重課税が二重非課税になっておるという問題の調査に関して、これは全員がかなりな議論が分かれましたけれども、結果としてきちんと合意を得た上で今スタートをさせていただいてかれこれ半年たっておりますけれども、個別な問題が各ところで動いて、私どもの方としては国際局等々がこれに取り組んでおりますし、主税局、国際局、いずれもこれに対して人を割いていろいろ対応させていただいているのが現状であります。

木内(孝)委員 なかなか税金の高い日本ではありますけれども、税金を下げるということは容易ではございませんので、ぜひ引き続き、BEPSへの取り組みをお願いしたいと思います。

 続きまして、外国為替特別会計の改革についてお伺いをいたします。

 お手元に外為特会のバランスシートをお配りさせていただいております。これは何度か質疑させていただいておりますけれども、外貨資産が、これを見ますと百三十五兆円です。

 一方で、ほかの国の外貨資産がどれくらいなのかというようなことも調べたりしますと、中国だけはかなり突出して高いわけですが、みんなおおむね十五兆円ぐらいとか、G7諸国とかはほとんど二十兆円以内ぐらいの規模なんですが、なぜ日本だけが百三十五兆円というこうした規模なのかということと、これだけの規模の外貨建ての資産を保有する必要があるのか否か、この二点をお伺いいたします。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、外為特会におきまして百三十五兆円の外貨資産を保有している、この必要があるのかというお尋ねでございますけれども、平成二十八年三月末時点の外為特会の外貨資産等は、百五円のレートで計算いたしますと百三十五・二兆円ということでございまして、これは基本的に、過去に行いました円売り・ドル買い等の為替介入の結果等が積み重なったものでございます。

 外貨準備のその適正な規模ということでございますけれども、これにつきましては国際的に必ずしも統一的な見方があるわけではございませんが、一般論といたしまして、市場に急激かつ過大な変動が生じた場合、自国通貨を買い支えるために十分な額の外貨準備を保有しておくことは重要でございまして、私どもとしましては、現在の額が過大というふうには認識してございません。

 他国との比較についてのお話がございましたが、例えば我が国の外準の規模を考えるに際しましても、例えば、お隣の国中国で昨年末からことし初めにかけた動きを勘案いたしますと、二カ月間で約二十兆円の外貨準備が減少しているというようなことが現に直近で起きているわけでございます。

 こういう事実が現にあるということを勘案いたしますと、我々は、そういうことも現に市場では起こるということを考えながらその運営に当たっていく必要があると考えてございます。

 また、他国の規模でございますけれども、ほかのG7諸国は日本ほど外貨準備を持っていないんじゃないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、外貨準備の規模といいますのは、為替介入の結果等の積み重ねで決まっているところもございますので、各国が保有しておりますその外貨準備の規模というのは、それぞれの国のそれぞれの事情を反映した結果、今の水準になっているというふうに認識しておりますが、それにつきましては、為替市場の規模でございますとか、あるいは経常収支がどうなっているのか、こういうさまざまな要因を勘案する必要があるというふうに考えてございます。

 例えばアメリカですけれども、アメリカは基軸通貨国でございますので、そういう意味では、基本的には外貨準備の必要性というのは少ない国というふうに申し上げられるのではないかと思います。

 例えば、これはG7の国ではございませんけれども、スイス、ここは日本と割と似ておりまして、経常収支黒字国でございまして、あとまたリスク回避局面では、いわゆるセーフヘイブンカレンシーとして資金が流入しやすいという特性がございます。このスイスにつきましては、例えば経済規模ということで見ますと日本の約一五%でございますが、その外貨準備につきましては、日本の約半分、六千億ドルを持っているということでございます。

 このように、ほかの国との比較におきましても、日本の外貨準備が過大であるというふうに一概に申し上げることはできないというふうに考えてございます。

木内(孝)委員 外貨建てで運用して、外為特会で運用益が毎年出ております。これが、一般会計に非常に多く繰り入れているケースがあろうかと思いますけれども、過去十年間、大体総額で幾らぐらい一般会計に繰り入れているのか。

 問題意識としてお伺いしていますのは、これが普通のG7諸国より十倍になっているというのは、運用益が出たときにそれに見合う円貨の外貨証券を発行するために、運用益が出るたびにどんどん構造的にこのバランスシートが膨らむ構造になっている。そういう意味で言うと、構造そのものがどんどん膨らませてしまう。ただ、膨らむのが普通であれば問題なわけですけれども、一般会計に繰り入れたりとか、いろいろな形で便利な箱といいますか特別会計になっているということで、私は、仕組みそのものがいろいろ問題あると思っています。

 ちょっときょうは時間もあれですけれども、二枚目に具体的な改革の方向というのをおつけしておりますが、この外為特会というのはいろいろな形で便利に使えてしまうといいますか、以前、リーマン・ショックがあったときも、麻生総理のころ、中川財務大臣と十兆円IMFに拠出して、これは非常にスピード感のあった、国際的にも評価できる動きなんですが、ただ逆に言うと、十兆円を政府が、一定の法律の枠組みの中とはいえ、議院の、国民のチェックを受けずに使えてしまうというこんな便利な特別会計があるということに、逆に非常にショックを受けております。

 私、たまたまことしの二月か三月に外為特会の質問をしましたら、財務省のOBの河上信彦さんという方がその質問を聞いたらしく、こういう非常に分厚い本を贈ってくださいました。彼は、外為特会の担当をしていたときに全くこの問題点が当時はわからなかったんだと。その後、大学の教授なんかをやっている最中にいろいろ研究を重ねて、ことしの五月にこの本が出版されました。これはぜひ全先生方が見ていただいて、この外為特会のあり方をどういうふうにしたらいいのかというのは、いろいろ勉強していただきたいと思うんです。

 先ほどの質問に関して、今の外為特会のあり方等々についての問題点、構造的にふえてしまうという仕組みのあり方、ここについての御所見をお願いいたします。

土井政府参考人 お答えいたします。

 一つは外為特会の剰余金の繰り入れの額でございますが、過去十年間、平成十八年度から平成二十七年度までの十年間で、総額二十・二兆円、これを一般会計に繰り入れてございます。

 もう一つ、剰余金が出た場合に、それに見合いのFBを発行してという構造になっているのではないかという御指摘でございますが、外為特会の外貨建て運用収入のうち一般会計に繰り入れる分につきまして、この一般会計に繰り入れる分だけでございますが、これにつきましては、歳入は我が国の法定通貨である円貨を現金で収納する必要がございますので、その見合いの円貨を現金で調達する必要がございます。

 この円現金を調達する際に、FBを発行せずに手持ちの外貨資産を市場で売却して円貨を調達した場合には、これは実質的なドル売り・円買い介入になってしまい、金融為替市場に不測の影響を及ぼすおそれがございますので、FBの発行により円貨を現金で調達しているという状況でございます。

 ただし、外為特会の剰余金のうち、一般会計に繰り入れる額以外の分につきましては、これにつきましては外為資金に直接繰り入れている。すなわち、見合いのそのFBが積み上がっていくという状況には現在なってございません。

木内(孝)委員 もう時間も来ていますけれども、最後、もし麻生財務大臣にコメントいただければと思うんですが、この外為特会のあり方は、私、本当にいろいろ問題があると思っております。もちろん、ドル売り・円買いをしてしまうと円高要因になってしまうということは、私も、外国為替の専門銀行というか、東京三菱銀行にいたこともありますし、そこは重々承知はしていますけれども、この制度そのもの、外為特会のあり方、いろいろ話を聞いていて問題あるというふうに思うかどうか、課題があると思っていらっしゃるかどうか、ここの点、お伺いをしたいと思います。それで最後の質問です。

麻生国務大臣 政府におりましたら、全ての問題については何か問題があるんじゃないかなと思っていなきゃおかしいのであって、それはみんな思っているんですよ。だから、そういった意味で、これが一〇〇%完璧なんて思っているわけではありませんが、少なくとも、この資料を見たら、比較貸借対照表というか、こういったようなバランスシートというのにお詳しいんだと思いますので、仮にこれで百二十兆円とするならば、円が九十五円になったら、こっちのプラス分は全部ゼロになりますからね。その程度のものですよ。

 だから、やたらたまり込んでいるというような感じはいたしません。

木内(孝)委員 ぜひ、外為特会の問題意識を持っていただいて改革に取り組んでいただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

御法川委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。きょうは質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 前回財務金融委員会で質問させていただいたのは、四月二十七日、銀行法等の改正のとき、フィンテックの質問を私は一時間させていただきました。きょうもフィンテックのことを中心にお聞きしたいと思いますが、その前に、日本郵政のことについても一、二問お聞きをしたいと思います。

 ことしの四月に、ゆうちょ銀行それからかんぽ生命のそれぞれ限度額が、ゆうちょについては一千万から一千三百万、それから、かんぽについては一千三百万が二千万、悲願であったわけですけれども、ようやく引き上げられた。しかし、これはまだ一里塚でございまして、自民党でも、ゆうちょについては三千万円まで引き上げるということがまさに公約だったと思います。

 そういった中で、この限度額については当面資金シフトの状況を見よう、民間金融機関からゆうちょ、かんぽにどれだけシフトするかを見てまた第二弾を決めるということになっておりますが、先般、九月二十九日の郵政民営化委員会の岩田委員長の記者会見で、資金シフトについては、貯金は若干ふえているが、過去のトレンドからの影響であって限度額の影響ではない、他の民間銀行も貯金がふえているため、シェアはむしろ低下しているのではないか、マーケットシェアの点から見ても資金シフトは起こっていないのではないか、こういうことを記者会見で述べられております。

 また、先般、自民党の郵政事業に関する特命委員会が十月十二日に開かれ、幹部会合、役員会ですね、開かれて、これは産経新聞の記事なんですが、「ゆうちょ銀行の貯金残高の推移に関して議論し、民間金融機関から大きな資金移転は起こっていないことを確認した。」こういう記事が出ているわけでございます。

 この限度額については、郵政民営化委員会と総務省と金融庁、この三者が決める、なかなかわかりにくい構造で、誰が最終的に責任を持って決めるのかいまいち不明確なんですが、しかし、金融庁、金融担当大臣のお考えというのはかなり大きなウエートを占めると思います。この資金シフトの状況を見て、麻生大臣、現時点でいかがお考えでしょうか。

麻生国務大臣 まだ六カ月ですからね。たしかそんなものでしょう、これが始まってから。六カ月で結論を出すというような問題じゃないと思いますけれどもね、この種の話は。前も随分時間がかかって、いろいろ慎重の上に慎重にやって、やってきたわけですから。答えが出て六カ月間大した動きがないから大丈夫、では次は三千万、そんな話ですかね。

高井委員 そういうお答えかなとも思ったので、少し観点を変えてお聞きしますと、郵政の内部の方というか、郵便局の方が愛読している通信文化新報という新聞があります。ここで自民党の郵政特命委員会の詳細な発言が記事になっております。

 例えば、今回東京選挙区で八十八万票を得票された中川雅治参議院議員は、「特にシフトが著しいわけではないのだから、年末に向けて決着すべきだ。」ということを言われている。それから、全国比例で自民党十九人当選のうちトップ、五十二万票をとられた徳茂議員は、「年末に向けてしっかりした議論を行い、第二段階引き上げも含めて、あらゆる制約を取り除いていく助力を願いたい」。山口俊一先生、元大臣ですけれども、「早急に更なる限度額見直しを委員会で考えていただきたい。」細田委員長は、「金融二社の引き上げが他から文句を言われるような影響が出ていないことも証明されつつある。」委員会再開により、できるだけ早く早期に結論を出したいと。

 それぞれ自民党の先生方はこのことを公約に掲げて戦った方は多いと思います。たしか、自民党の正式な公約にも入っていたと思います。こういったまさに選挙の公約でもある、しかも大きな公約だと思いますので、私は、やはり公約を守っていただきたいと思います。

 まだ時期が早いという大臣の御指摘でしたが、では、今のような資金シフトの状況がこれからも続けば、そうなった場合はこの限度額を引き上げるということでよろしいですか。

麻生国務大臣 これは先生、もう一個考えておかないかぬ問題は、郵便貯金は、これはたしか融資はできないんですよね、私の記憶では。そうすると、たまった金は全て国債を買われるということになりますわね、基本的には。国債の金利はどんどん下がっていますから、そういった意味では、これだけの多くの金を集めて、それで、中の資金運用というものがほとんど今言われたように国債しかできないということになっているんだと記憶しますので、そうすると、それは経営としてはなかなか難しいことになりはしませんかね。何となくそんな感じはしますけれども。

 いずれにしても、まだ今結論を出すような段階には至っていないんだと思っております。

高井委員 融資の問題についても、自民党の特命委員会では、個人や法人向け融資など、新規業務についても議論する見通しだと。まさにこれもお願いをしている項目でありますので、こうしたことを一緒に、セットで、これは繰り返しますけれども、自民党の公約でありますので、これだけ選挙で勝たれたわけですから、ぜひ守っていただきたいということをお願いいたします。

 それともう一つ。実は、郵政事業というのは三事業がそれぞれ三社に分かれたわけでありますが、貯金と保険会社が、窓口の業務を委託をする、郵便を扱っている日本郵便、全国にある小さな郵便局も含めて、そういったところで貯金、保険を扱っている場合に、手数料を払っております。手数料はゆうちょが大体六千億、それから、かんぽが三千八百億日本郵便に払っているんですが、そこに消費税がかかるわけです。これが年間大体九百億払っている。これはもともと一社であれば払わなくてもよかった手数料でありますし、また、ほかの金融機関というのは、窓口というのはそれぞれみんな持っているわけですから、必要ない費用であります。

 そういう意味でいうと、日本郵便に対して貯金・保険会社が払っているのは、これは法律に基づいているんですね。金融のユニバーサルサービスの提供義務が課されたことによってこの窓口手数料というのは払っていて、そこで消費税がかかっている。仕入れ税額控除の特例措置というのがありますが、これはつまり、各取引段階で二重三重に消費税を取らないための制度でありますが、私はこれにまさに合致をすると思います。

 もともと総務省は、ずっと九百億の税制要望をしておりましたが、全く税務当局がうんと言わないので、今回はせめて過疎地の郵便局だけでもこれを減免してほしいということで百七十億、九百億を百七十億という、非常に額を絞って今回要求をしております。

 先般、総務委員会で私は総務大臣に同じことを質問しましたら、総務大臣は、ぜひともこれは実現してほしいということでございました。

 財務大臣にお聞きをいたしますが、この窓口手数料にかかる消費税、これは減免すべきと考えますが、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 御指摘のありました日本郵政グループにおける窓口委託手数料に係る消費税というものにつきましては、これは総務省から要望書が出ておるのは知っております。

 その上で一般論で申し上げますけれども、消費税というのは、もう御存じのように、いろいろな課税の累積というものが生じないようにするために、売り上げにかかります消費税額からいわゆる仕入れにかかる消費税額を控除した額というものを納税する仕組みとなっている。もう御存じのとおりです。

 したがいまして、銀行とか保険会社のように売り上げが消費税非課税になる場合には、仕入れにかかる消費税を考慮するということは、これは認められていないということであります。

 また、銀行や保険会社が他者に業務を委託するということは広く行われておるんですが、それに関して日本郵政グループだけ特例を認めろというものに関しましては、これは競合他社とのイコールフッティングという観点からも問題があるんだと思いますので、こうしたことを踏まえますと、今の御指摘のあった話はなかなか難しい課題があるんだと思っております。

 いずれにしても、この件は、いわゆるユニバーサルサービスというものの確保のあり方の問題なんだと認識していますので、その意味では、総務省において、ユニバーサルサービスというものを維持していくんだというための各論点について、いろいろ検討を深めていかなければならぬところがまだまだあるのかなという感じはします。

高井委員 まさに、ユニバーサルサービスを確保するための義務として貯金・保険会社は払わされているわけでございまして、私は、これは逆にイコールフッティングじゃないんじゃないか、ほかの金融機関はこういったことを払う必要がないわけですから。そういう観点もぜひこれはお考えをいただきたい。

 先ほどの通信文化新報で中川雅治先生は、この件に関しても、「会社間窓口に係る消費税の仕入れ税額控除も実現できるように委員会として頑張る必要がある」、こういうコメントもされておりますので、ぜひこれについても御検討をお願いしたいということで、それでは、この郵政の話は終わりまして、フィンテックの話に移りたいと思います。

 前回、四月二十七日に、私が、フィンテックは日本はおくれている、欧米に比べて、人によっては周回おくれと言う人もいるということを申しましたら、麻生大臣は、「我々は周回おくれになったかといったら、とんでもない、全然先頭を走っている国の一つですから。」こう言われてちょっと私は驚いたのであります、全く箸にも棒にもかからないとは申しませんが。

 しかし、アクセンチュアが毎年フィンテックの投資額というのを発表しています。先日発表された、二〇一五年、去年の投資額は、世界全体では二・三兆円になりました。七五%増、二・三兆円。このうち、北米が一・五兆円。それからアジアが五千億円。アジア太平洋地域は四倍にふえています。そして、このアジアのうち、中国が約二千億、五倍にふえました。それから、インドは一千七百億、十一倍にふえています。ところが、日本は六十六億です。たった一・二、三倍しかふえていません。これはアメリカの投資額の〇・五%です。中国の三十分の一、インドの二十五分の一。

 もちろん投資額が全ての指標ではありませんが、やはり、フィンテックがこれだけ世間でも注目を浴びて、新聞に載らない日はない。それから、銀行などもかなり意識をしていると思いますが、肝心かなめのフィンテックベンチャーというのがなかなか育っていなくて、そこに投資が回っていかないということは、私は、日本がまだまだおくれている、その原因が行政にもあると考えていますが、大臣、金融担当大臣としてこのフィンテックをどのようにお考えですか。

麻生国務大臣 フィンテックの動きというのがいろいろ注目を集めておりますのは最近はっきりしているので、今おっしゃったように、欧米に比べて日本の場合はこのフィンテック企業というものの登場がまだよく見えてきていない、実現している絶対量が少ないのではないかという指摘等々が、これはいろいろ言われておりますのを知らないわけではありませんが、他方、日本におけるITを活用したサービスの状況についていえば、例えば電子マネーの発達とか、また、ATMの高機能のものなど、海外に比べても利便性の高いサービスがいろいろ行われておりますのは、これは間違いなく外国人ひとしく認めているところだと思っております。

 また、フィンテックの動きで、これは世界的な規模の中でいろいろ動いていくんですが、フィンテック企業というものが登場してくる、成長していく、そういったものが進んでいくように、これは環境整備を取り扱っておかないといかぬのだと思っております、少なくとも金融を扱いますので。

 そうした意味においては、銀行などがフィンテクの企業に対して出資をするということができなかった、それが出資ができるように銀行法の改正をさせていただいた、よく御存じのとおりだと思いますが。

 各国のフィンテックの企業が参加するフィンテックサミット、こんなものをやった国は世界じゅうありませんから、そういった意味では、フィンテックのところに私も出ましたけれども、今まで背広とネクタイしか着たことがない銀行員と、それだけは着たことがないという技術屋が一緒になって、珍しい会議でしたよ。使われている言葉が英語で多くしゃべられていたのが非常に印象的ではありましたけれども。とにかく、およそふだんだったら会うことのないような感じががちゃがちゃやっているというところがおもしろいところで。

 少なくとも、金を扱う以上、技術のところで便利だからといって、それがぱかんとどこか抜けたりするようなことになるというのは、いわばこういったものを扱うときには常に信用というものが非常に大きな要素を占めますので、銀行、金融、そういった人たちとそういったものを扱う技術というものを、今いわゆるテクノロジーというのはすごい勢いで進んでいますので、そのファイナンシャルに関するテクノロジーというものがすごい勢いで進んでおるという今の現状に合わせて、その両者がいろいろ意見を交換して、こういったものはできるか、それをすれば手数料が全くかからなくて済むようになる等々いろいろな話がいっぱいありますので、こういった状況を踏まえたときに、こういったものが進んでいくように、私どもとしては、それの障壁になっている部分、また、うまくそういった危険性を除去してやるとか、いろいろ両方考えてやらないかぬところだと思っております。

高井委員 今大臣も、最初のちょっと紙を読んでいるようなときと、後段の方で、御自分でしゃべられると、非常に生き生きといいお話をいただきました。多分、大臣のお得意な分野ではないかと私は拝察しておりますので、ぜひ注目していただいて、やはり大臣からの指示というのが大きく変えてまいります。

 私もいろいろなミートアップという会合に出ますけれども、おっしゃるように、ネクタイ、スーツ姿の銀行マンとか、あと、それを応援する弁護士とか、そういう何かかたい方が多いんです。だけれども、本来ベンチャーというのは、ジーパンとかラフな格好で来るそういう人の数がまだまだ足りないな、ほかの世界はもっと違うと聞いておりますので、ぜひそういう雰囲気から変えていくためにも、これはやはりしかし金融庁がぜひリーダーシップをとっていただきたいということで、きょうも質問させていただきました。

 それともう一つ、大臣にばかり聞いて申しわけないですけれども、もう一問大臣に。

 実はこれも大きな問題で、仮想通貨に消費税が今かかっております。しかし、今はもう非課税化というのが国際的な流れでございまして、これからまさに国際的に戦っていかなきゃならないときに日本だけ仮想通貨に消費税がかかっているというのは、これはもう競争にならない、そういう切実な要望をたくさんいただいております。

 先般、別の委員会で越智副大臣にこの質問をいたしましたら、金融担当の副大臣の立場として、非課税化を含めて税務当局に要望しているという御答弁をいただきましたが、麻生大臣は、要求する側の金融担当大臣と、それを受ける側の財務大臣を両方兼務されているのでなかなか難しいお立場とは思いますが、だからこそ、世間の注目は財務大臣の判断に非常に期待がかかっているわけでございますが、麻生大臣、この件についてはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 いわゆる仮想通貨、ビットコインとよく言われる、渋谷で問題が起きた等々、記憶の新しいところだと思いますが、このビットコインについては、現行法上、消費税の課税の対象というのになっております。この点について、これは国によってまた違ったりしますので、ヨーロッパだとと言われますが、アメリカの場合はそうじゃなかったりしますので、国によっても違うのですが。

 いずれにいたしましても、仮想通貨というものは、それ自体が消費されているわけではありませんから、そういった意味では、事実上、支払い手段として用いられているという面があります。これは間違いない事実だと思います。

 その上で、この前の通常国会のときには、仮想通貨の定義というものを含めて、仮想通貨に関する法の整備というものを内容とする法の改正を行った。もうよく御存じのとおりだと思います。

 したがいまして、EUは非課税になっていることなどもいろいろ考えまして、この消費税については、非課税化を含めた取り扱いの整理というものを要望されておるのはよく知っておるところなので、今後の税制改正のプロセスの中におきまして、この点についての取り扱いについては検討していかねばならぬところだと思っております。

高井委員 金融庁、財務省、それぞれ言い分があると思います。どちらの観点から見ても正しいわけでありますが、まさにそれを判断するのが大臣であろうと思います。

 これは、繰り返しますけれども、本当に世界の流れ、ことしやらなくても絶対、来年、再来年と、いつかそうなるに決まっています。それをやはり早くやることが国際競争に打ちかつ。フィンテックベンチャー、仮想通貨にかかわる人たちは本当にこのことを注目しておりますし、世界が注目しておりますので、ぜひその流れに乗りおくれないようにお願いをしておきます。

 それでは次に、オープンAPIという話があります。

 APIというのは、アプリケーション・プログラミング・インターフェース。フィンテックのさまざまな課題を今金融庁でも検討していますが、大きく二つあると思っていまして、その一つがこのAPIの問題。これは何かというと、銀行が今さまざまなデータベースを持っておりますけれども、これをフィンテックベンチャーも活用できるように開放してあげよう、接続の手続をできるようにしようというものがこのオープンAPIでございます。

 しかし、世界的にオープンAPIの流れにあるんですが、どうも我が国は、銀行が、これは実はフィンテックベンチャーだけじゃなくて銀行側にも大きなメリットがあることなんですが、なかなかそのことを理解せずに、自分のテリトリーを守ろうとしているのか、どうも後ろ向きな印象があります。

 その一つの例は、このAPIを開放するに当たってかかったコストというのを、開発しているのはベンダーなわけですが、ある記事によると、NTTデータや日本IBMは、手数料、接続料を取ろうということを検討している。接続料を取ると、フィンテック企業にそれが転嫁されてきて、さらには、フィンテック企業は利用者、お客さんに転嫁しなきゃいけない。これではせっかくのオープンAPIも進まないという非常に切実な問題が生じておりますが、なかなかほかの国に比べてオープンAPIが進んでいない原因というのはどこにあるのか。何が課題とお考えでしょうか。

越智副大臣 高井委員からオープンAPIのことについて御質問いただきました。

 まず、このオープンAPIについての認識としましては、フィンテックが進展する中で、日本においても、金融機関とIT企業等の連携、共同、オープンイノベーションを推進していくことが重要な課題だというふうに考えている。

 その上で、こうした観点から、金融審議会決済高度化ワーキング・グループにおきましてアクションプランを去年の十二月に取りまとめまして、その中でオープンAPIについて、関係者が参加する検討会を設置して、本年度中に取りまとめを行うということにしております。

 その流れで、全銀協におきまして検討会が先月の二十一日に設置されて、まさにきょう初回の会合が開催されるというところでございます。この検討会には、銀行のみならず、もちろんフィンテック企業や有識者などが参加しておりまして、幅広く検討が行われるということを期待しているところであります。

 金融庁としては、オープンイノベーションに関する取り組みを進めていくことを通じて、国民にとってよりよいサービスの提供が図られる、このことが大事だと考えていて、この観点から、関係者の積極的な取り組みを促してまいりたいというふうに考えております。

 先ほど委員から御指摘ありましたコスト負担のところでございます。

 御指摘のとおり、銀行としては、情報を提供するという立場と、逆に、インターフェースとして組むということも考えられるわけでありますから、そこのところは、民民の中で、関係者の中で議論が行われて結論が得られるものだというふうに考えているところであります。

高井委員 今のは、接続料を取るということも民民でということですかね。ちょっとこれは事務方でも結構ですので、接続料を取るというのは、私、これはもうあり得ないと思うんですけれども、それは行政としてはどう考えていますか。

越智副大臣 今御指摘ございました接続料を誰が負担するかということについては、ここについては、基本的に、金融庁としましては、関係者の間で設置いたしました会議体で幅広く議論していただいて、その中で一定の結論が得られるものだというふうに考えております。

高井委員 このオープンAPIは、我が国はまだほとんど事例がないんです。やはり民間だけに任せていてもなかなか進まないものもありまして、このオープンAPIはぜひ金融庁がリーダーシップをとってほしいとフィンテックベンチャーからも多数要望をいただいておりますので、ぜひこれはリーダーシップを発揮していただきたいと思います。

 それではもう一つ、このフィンテックの制度的課題として大きく問題とされているのが中間的業者という言葉、余りこの言葉がいいかどうかわかりませんけれども、大分そういう使われ方をしています。何かというと、銀行と利用者の間を中間的につなぐ。今まで銀行がやっていた業務を今はフィンテックベンチャーがさまざまやっているわけですが、このフィンテックベンチャーを規制上どう位置づけるかということでございます。

 今、銀行法では銀行代理業というのがあって、銀行の業務を代理で行うという制度があるんですが、これを厳格に運用してしまうと、本来、フィンテック企業のようなものを想定していないと思うんです。私も余り銀行のことを詳しいわけじゃないんですけれども、銀行の業務をそのまま委託するような、だから銀行に準じた規制を課しているわけですが、それをフィンテックベンチャーに適用するというのは、現実的ではないし、フィンテックは育たないと思います。

 この中間的業者の扱いについても、今、金融制度ワーキング・グループで議論が始まったばかりと聞いていますが、フィンテック業界からちょっと懸念があるのは、ヨーロッパ、欧州の制度を導入するつもりなんじゃないかと。

 ヨーロッパは決済サービス指令というのが出ておりまして、先ほどのAPIの開放、オープンAPIはやる、しかし、同時に接続事業者には重い義務を課すというのがヨーロッパなんですが、この方式は、やはりアメリカよりヨーロッパはまだおくれていますから、そのおくれているヨーロッパに日本がさらに追随するというのではフィンテックは育ちませんよ、そういうフィンテック業界からの声があるんですけれども、この中間的業者の制度の課題についてはどのように取り組んでおられますか。

越智副大臣 中間的業者について御質問いただきました。

 まず、認識でございますが、ITの進展等に伴いまして、銀行等と顧客との間で、顧客から委託を受けて決済に関する仲介を行う業者、いわゆる中間的業者が登場して、さまざまな提供をしているという現実があります。

 このような中で、先ほど委員からも御指摘ございましたとおり、金融審におきまして金融制度ワーキング・グループを設置いたしまして、これは七月でありますけれども、これまで十月十八日と二十八日に議論しておるところでございまして、ここで中間業者について議論しているところでございます。

 そして、決済に関する中間的業者の取り扱いについては、利用者保護やオープンイノベーション等の観点から、事業者の声もしっかりと踏まえて議論を進めていかなきゃいけないというふうに考えております。

 今回のこの金融制度ワーキング・グループの中にはフィンテック事業をつかさどる方々にも入っていただいて、そこで意見を反映させていただくという仕掛けと、もう一つは、日常的に金融庁の事務方がフィンテック事業者の方々といろいろな形でコミュニケーションさせていただいて、御意見をいただいているというところでございます。

 あと、先ほど御指摘にありましたEUの決済サービス指令でありますけれども、御指摘のとおり、日本でいいますと、資金移動業、プリペイドカード業、貸金業等を包括的に扱うような法体系になっているということは認識しておりますけれども、それも認識した上で、これからこのワーキング・グループにおいて議論を進めさせていただくということでございます。

高井委員 今御答弁にありましたように、やはり関係者というか、特にフィンテックベンチャー企業の声をぜひ、委員に入っているからいいということではなくて、できればというか、実は、きちんと公的な場でヒアリングをしてほしいという強い要望も受けております。事務方が聞くというよりも、やはり、公明正大に審議会の場でヒアリングを設けられたらどうかなと。ほかの省の審議会なんかはそういうのをよくやっています。きょう経産省来ていますけれども、経産省なんかもそういうやり方でやっていますので、ぜひ金融庁でも検討いただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間が限られてきましたので少し飛ばしまして、今度は、デジタルレシートの問題をさせていただきます。

 今いろいろ、クレジット決済とか、私も最近Suicaとかでタクシーに乗るんですけれども、そうすると、領収書のほかに必ずもう一枚明細が紙で出てまいりますけれども、こういった紙を、そもそも交付するのではなくて、もうデジタルで済ませればいいじゃないかということを、今、経産省の方でも、割賦販売法の改正でそこのところも検討されているようですけれども、このデジタルレシート、非常にメリットが多いと思います。

 まずは、紙、手書きより改ざんができないというメリットがあります。それから、税務調査も容易になる。そして何より、データとして活用するということでフィンテックが大いに進むということで、このデジタルレシートをぜひ強力に推進すべきだと考えますが、どのような政策を考えておられるのか。

 私は、一つの案として、かつてe―Taxでもやったと思うんですけれども、税務上のインセンティブを付与するということもあり得ると思うんですが、このデジタルレシートについてどのように進めるお考えでしょうか。

小瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 レシートのデジタル化は、家計簿管理が容易になることによる消費者の利便性の向上のみならず、事業者にとっては、データ分析の精緻化により、製品開発力の高度化やより正確な消費者理解につながるため、重要な課題だというふうに認識しております。

 このため、経済産業省では、昨年度開催しました流通・物流分野における情報の利活用に関する研究会におきまして議論を進め、本年五月に報告書を取りまとめたところでございます。

 本研究会では、デジタルレシートの推進には、どの小売店で商品を購入したとしても、統一されたフォーマットでデジタルレシートが提供される環境の整備が必要であるという指摘がなされたところでありまして、これを踏まえて、標準フォーマットの作成を行ったところでございます。

 また、デジタルレシートを通じた消費者の購買動向データの利活用を促すには、消費者本人が自身のデータを管理、提供することができる仕組みを構築していくことが必要だというふうに考えてございまして、現在、そのための検討を進めているところでございます。

 今後とも、デジタルレシートの推進に必要な環境整備を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

高井委員 関連してお聞きしますけれども、割賦販売法の改正案、今はもう閣議決定されて、経済産業委員会で間もなく審議入りしますけれども、この改正案で、今言った三十条の二の三の第四項で、書面交付義務をなくして情報を提供するだけでいい、これは大きな進歩だと思うんですが、そのかわりに、第五項というのが新たに入って、「求められたときは、」「書面を交付しなければならない。」これは、一見緩和されたように見えますけれども、しかし、求められたらそれをいつでも出さなきゃならないとなると、結局、タクシーに乗っても思いますけれども、カードリーダーでかざしてそこから紙が出てくる、そこに非常にコストがかかっているというふうに業界の皆さんから聞いています。

 私は、この第五項を入れてしまったら余り効果がないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

小瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 割賦販売法の改正案におきましては、求めがあったときは書面を交付しなければならないという例外規定を設けさせていただいておるところでございますが、この趣旨は、スマートフォンやパソコンを持たない高齢者の方々に配慮しまして、消費者の保護に欠けることがないようにするためのものでございます。

 本改正案でこうした例外規定を設けておりますけれども、ネット取引におきましては、消費者から書面交付を常時求められるとは想定しておらず、業務が大幅に効率化される効果が見込まれているところでございます。

 また、対面取引におきましては、求めがあった場合の書面交付義務が残る限り、完全に、例えばプリンターなど、こういうものを使用しない環境を実現することは困難でありますけれども、書面交付しなければならない場面は減少し、人件費も含めたオペレーションコストの削減が期待できるところでございます。

高井委員 紙を下さいと言う人は少ないと思うんですが、確かに、人件費とか手間は減ると思いますけれども、さっき言ったように、カードリーダーとか印刷とかそのコストは余り減らないので、中途半端かなというふうに私は思います。消費者保護の観点もあるという説明も聞いておりますが、また割賦販売法の審議の中で議論していけたらと思います。

 それでは、もう多分最後の質問になるかもしれませんが、法人向けオンラインバンキングの普及について聞かせていただきます。

 今、五名以下の中小零細企業は、このオンラインバンキング利用率は二三%にすぎません。それから、銀行百三十行にアンケートをとりましたら、明細データの閲覧期間が一年未満であるという銀行が八割以上でございます。これはやはり、オンラインバンキングが進んでいないと言わざるを得ません。

 そもそも、オンラインにデータがなければフィンテックという業そのものが成り立たないわけでございますから、フィンテックをこれから推進するためにも、この法人向けのオンラインバンキング、ここをやはりもっともっと普及させる、金融庁としても金融機関に投資を促すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

越智副大臣 法人向けのオンラインサービスについて御質問いただきました。

 金融庁の方でも調べてみました。そうしたところ、インターネットバンキングによる資金決済の活用状況は、従業員数が一人から四人の企業では一四・六%、五人から九人では二九・六%ということでございまして、小さければ小さいほど活用状況は低い。これは信金中央金庫の調査でございました。

 金融機関がいかなるサービスを提供するかについては、まさに各行の経営判断であると考えておりますけれども、一般論としては、各金融機関において、利用者のニーズ等に応じた、多様で良質なサービスが提供されることが重要であると思っております。

 金融庁としては、引き続き、金融機関の自主的な創意工夫によって利用者の利便性の向上が図られるということを期待しているというところでございます。

高井委員 先ほども申しましたけれども、民間のことは民間でと言うとなかなか進まないので、ぜひ金融庁のリーダーシップをお願いします。

 ではもう一問、経済産業省に。

 ブロックチェーンの技術、これは非常に将来性が高いわけですけれども、この国際標準化、これは先日、ISOで専門委員会が設立されましたけれども、このブロックチェーンの国際標準化についてどのように我が国として参画するのか、お聞かせください。

竹内政府参考人 お答え申し上げます。

 ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨に用いられており、取引記録の改ざんや多重支払いを防止する技術でございます。取引を認証する第三者機関が介在せずとも、低コストで不正な処理を防止できるという特徴を有しております。今後、仮想通貨だけではなく、例えば、登記簿、地域通貨、ポイントのような、所有権の証明や移転など、さまざまな場面において利用可能性があると期待されております。

 経済産業省としても、先進的な事例や、世界に通用するベンチャー企業が創出されるように、環境整備に努めているところでございます。

 委員御指摘のございましたブロックチェーンの国際標準化につきましては、本年九月、国際標準化機構、ISOに、国際標準化の検討を行う専門委員会が設置されたところであり、今後、具体的な活動が開始される予定でございます。我が国におきましては、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が中核となり、ISOでの検討に対して、日本からの規格提案、規格審議などに対応していくこととしております。

 経済産業省におきましては、産業界、学界の専門家や関係省庁とも密接に連携した上で、我が国発の技術や必要な機能などが最大限に反映された国際標準が策定されるよう、戦略的に対応してまいりたいと考えております。

高井委員 ありがとうございました。

 麻生大臣、ぜひこのフィンテック、大変期待が高い分野ですので、大臣のリーダーシップをよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、大岡敏孝君。

大岡委員 滋賀県第一区選出の衆議院議員、大岡敏孝でございます。

 きょうは、余り法案がなくて答弁の機会の少ない国税庁を中心に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、麻生大臣のリーダーシップのもと、国際的にBEPS対策、非常にこの重要性が共有されまして、対策が強化されつつあります。このことは、多くの国民を含めまして、海外を含めた専門家が高く評価をしているところだというふうに思います。

 一方で、国内に目を向けますと、税が本当に正しく課税され徴収されているかというと、まだまだ課題も多いというのが実態だと思います。

 まず、税の実地調査率、これは年々低下しているということですね。実地調査率が低下をすると、当然のことながら、国民から見たときに、公平な税がちゃんと執行されているかという信頼を失う結果になりかねないわけでございますが、まず、この実調率、現在どのようになっていて、その原因が何だと考えるか、課題がどこにあると考えるか、三木政務官にお答えをいただきたいと思います。

三木大臣政務官 大岡委員の方から御質問いただきました。

 平成二十六事務年度におけます個人及び法人の実地調査率の割合は、それぞれ、一・一%、法人の方は三・二%となっております。

 税務行政を取り巻く環境につきましては、申告件数の増加等による業務量の大幅な増加、また、経済活動の国際化、ICT化の進展による調査事務の複雑化、また、平成二十五年一月の改正国税通則法施行に伴います税務調査手続の法定化、こういったことを含めまして大きく変化しております。

 こうした中で、国税庁の定員は、近年、これは平成二十四年以降でございますけれども、毎年減少しておる状況でございまして、こういった状況が実地調査割合の低下につながっているものというふうに認識しております。

 委員がただいま御指摘いただきましたように、実地調査の割合が低下の傾向にある一方で、国税庁の定員事情が厳しい状況にあるということ、これを踏まえますと、例えば、簡易な誤りであれば、電話や書面により納税者の自主的な見直しを要請するなど、実地調査以外の手法も用いまして納税者との接触を図ることにより、税務コンプライアンスの維持向上に努めているところでございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 定員が減らされて実地調査率を下げざるを得ないということでございまして、それは非常によくわかる話です。

 では、なぜ定員が減らされているのかということでございますが、普通、一般的に考えると、定員が減らされるということは、働きが悪いか成果を出していないかという判断じゃないかなというふうに思うんですが、なぜ定員を減らしているのか、御答弁をお願いします。

若生政府参考人 お答えいたします。

 厳しい定員事情のもとで、国税庁を含む定員管理におきましては、政府全体で計画的に合理化に取り組んでいるところでございます。

 これは、ICTの活用等によりまして業務の見直し等をやっていただきまして、定員の合理化を計画的に進める。一方で、それを原資として新たな行政課題に対して必要な増員を行いまして、政府全体としてスリム化を図りつつ、行政需要に対応した体制をつくる。こういった取り組みを推し進めているということでございます。いわば、定員の再配分をこういう取り組みの中でやっているということでございまして、国税庁の定員管理につきましても、その一環としてやっているということでございます。

 国税庁におかれても、ICTの活用等によりまして、従来業務の定員の合理化、これに取り組んでいただいております。一方で、経済取引の国際化等新たな行政需要に対応いたしまして、新規の増員、これも措置を行ってきているところではありますけれども、時々の状況の中で、結果として若干純減になっているということでございます。

大岡委員 ちょっとわかったようなわからないような説明でございましたが、だとすると、国税庁もコストだと捉えているということではないかと思うんですが、いや、本当にこれはコストなんですか。

 例えば、国税庁職員一人当たり、ちゃんと正しく税執行することによって、当然、ふえて取ってくる分がありますよね。これで差し引きするとどうなんですか。プラスなのかマイナスなのか。わかる人がいれば答えてください。

三木大臣政務官 済みません、お待たせいたしました。一人当たりの増差税額ということで御質問いただきました。

 全体におきましては、一人当たりの増差税額が一千百九十四万四千円ということになっております。一人当たりの人件費ということでいいますと、九百十三万一千円ということになっております。

大岡委員 政務官、適切な御答弁、ありがとうございました。

 つまり、国税庁というのは歳入を担当している部門ですから、しっかり人件費をかければ、正しい納税が行われ歳入がふえるということなんです。まして、これから特に私たちが税の公平性を保つ上でしっかりと対応していかなければならない高額分野に置くと、恐らくその何倍もの効果が出てくるものというふうに思います。

 このように、国税庁の特性というものを本来捉えて定数管理をしなければならないところを、残念ながら現在では、財務省の内数としてこの定数を管理しています。これは簡単に言うと、民間でいえば、お金を稼いでくる営業部門とコストのかかる間接部門、これを一緒くたに捉えて定員管理をしていることと全く同じことでございまして、やはり、このあり方というのは今後見直していかなければならないんじゃないかというふうに私は思います。

 霞が関で思うのは、普通、民間だと、お金を稼いでくる部門が威張っていて、お金を使うところは申しわけありませんという感じなんですが、霞が関だけは、お金を使う方が威張っていて、稼いでくる方は小さくなっている。これではやはり、国家の財政もそうだし、国民から見た税の公平も保たれないというふうに考えております。

 そこで私は、国税庁の定員につきましては、歳入確保の視点、そしてそれ以上に、国民の税の信頼を確立するという視点から、別管理とすべきだと思いますが、特に今までの議論につきまして、民間の経営感覚ということをすごく大切にされている麻生大臣から総括、感想をいただければありがたいと思います。

麻生国務大臣 御指摘のように、国税庁のやっております仕事はいわゆる税収というものですから、当然のこととして、会社用語で言えば売上高ということになるんだと思いますが、そういったものがきちんとされないと税収が減になるということは、その分だけ行政サービスが必然的に落ちるということになっていきますので、やはり、適正とか公平とかいろいろな意味でこういった税というものの徴収というものをきちっと実現していくためには、これはある程度人数がかかるということは、これはもう絶対必要なものだと思っております。

 加えて、近年、経済取引というものに関して見ていると、これは、ICTの影響もありましたり、また、いろいろな意味で国際的に事がなってきておりますので、全ての処分に、理由の付記も求められたりいろいろなことになってきておりますので、事務量というのは必然的にこれは増大するということになりますので実態調査率が低下しているということではないのかということで、二十三、二十四、二十五と見ますと、四・三、三・一、三・〇と下がってきておりましたので、これはおかしいということで、昨年で、三・二まで逆にやっと上がるところまでは来たんです。

 それに加えて、御存じのようにBEPSというものが新たに入ってくることになりますので、いわゆるパナマ文書等々の公表を踏まえて、これは国際課税の取り組みというものの、今までの二重課税の防止という意味で取り過ぎという話から、取らな過ぎ、二重非課税の防止という話に事がもう全く状況が変わってきておりますので、いろいろな意味で、また、調査をするためのマンパワーがただですら足りないところへもって、そこに外国語が加わってきて、しかも、物すごい勢いでプロフィット・シフト、利益の移動が国際的に動くということになってきております。

 こういった状況の中でありますので、歳入確保のためにこれは人員を確保したいということで、加えてこれに急激に外国人がふえて、先月でたしか二千万人を超えておりますので、そういった意味では、これに対しまして、カスタム・インスペクション・アンド・クアランティーンというんですかね、CIQの人数は、期の途中ではありますけれども急激に増加して、対応しない限りは入り口の税関のところでとまっちゃうということになっておるのが現状ですので、入管がしてから入るのに、通過するまで三時間待ちとかいうのは、これは日本の印象も悪くなるということになります。

 これを、顔の認証をする機械というものが今はできておりますので、大岡さんの顔は一回見たら、どこへ逃げていても世界じゅう全部見つけられるような機械が今はできておるわけですから、そういったものを税関に置くことによって税関の手間が省けることになるんですけれども、その分だけ人は減らせることにもなる。いろいろなことを機械化することによって、人員の不足をそれで賄える部分は賄えるということにしたりなどいろいろなことを今やらせてはおりますけれども、いずれにしても人数の絶対量の確保というものは、今後とも努めてまいらねばならぬところだと思っております。

大岡委員 大臣、ありがとうございました。

 日本の最先端のICT技術、そしてマンパワー、両面でこの対策を進めていただければありがたい。日本らしい、日本が今後海外にも売り得るようなICTの技術も含めて磨いていただきたいというふうに思います。

 大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。

 大臣も退席されましたので、ちょっと気楽に続きの質問をさせていただきたいというふうに思います。

 続きまして、OBの活躍、活用にも目を向けてみたいというふうに思います。

 先日、小泉委員長代行を中心にしまして、本日お見えの村井委員にも大活躍をいただきまして、「人生百年時代の社会保障へ」というタイトルで、年金支給開始年齢の柔軟運用、この狙いとしては、心身ともに健康を維持して、働けるうちはしっかりと働いて、そして、できるだけ支給開始年齢をおくらせてもいいんじゃないか、その方が豊かな人生なんじゃないかというメッセージを込めさせていただきました。

 となると、当然、年金を受給するまでできる限り長く働くためにはどうすればいいのか、この環境整備が必要となってまいります。

 では、そうしたときに、当然、公務の部分でも何らかの対応を打たないといけないということになりますと、定年延長するのか、再任用するのかということになってまいります。

 そこで、まず政府としましては、これらの要請に、年金の支給開始年齢、現在も徐々に後ろ倒しをしておりますが、それにどう対応するのか。さらには、一億総活躍の要請にどう応えていくのか。現在考えていることを教えていただきたいと思います。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 国家公務員につきましては、平成二十五年三月の閣議決定に基づきまして、「雇用と年金の接続を図るとともに、人事の新陳代謝を図り組織活力を維持しつつ職員の能力を十分活用していくため、」「定年退職する職員が公的年金の支給開始年齢に達するまでの間、再任用を希望する職員については再任用する」こととしているところでございます。

 この閣議決定におきましては、年金支給開始年齢の段階的な引き上げの時期ごとに、公務の運営状況ですとか民間企業における状況を勘案しまして、定年の引き上げを含め、雇用と年金の接続のあり方について改めて検討するというふうにされているところでございます。

 この閣議決定に沿いまして適切に対応していきたいと考えているところでございます。

大岡委員 ありがとうございます。

 現在は再任用、今後もう一回検討ということなんですが、一方で、ちょっと答弁を聞いていて気になったんですけれども、総理、あるいは加藤大臣は、民間に対しては定年延長を求めているわけです。これはもう総理所信でも言っているし、加藤大臣はいろいろなところで、定年延長してくれと。一方で、肝心かなめのお膝元の公務は再任用。それは矛盾していないですか、大丈夫ですか。答弁を。

稲山政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省の調査によりましては、平成二十八年、民間企業において高年齢者雇用安定法のもとでどういった対応をしているかということで、六十五歳以上への定年引き上げをしている企業が一六・一%、継続雇用措置を講じているところが八一・三%、定年の廃止が二・七%ということで、継続雇用をしている企業が八割を超えているという状況でございます。

 政府といたしましては、先ほど申し上げました閣議決定の中で、年金の支給開始年齢の段階的な引き上げの時期ごとに、公務の運営状況ですとか民間の状況を勘案して、定年の引き上げも含めて改めて検討するということにしておりますので、その閣議決定に沿って対応していきたいということでただいま考えております。

大岡委員 ありがとうございます。

 そういういろいろな御判断のもと、そのようにしているということですね。公務員というのは若干民間企業と人事の特性が違いますから、実は私自身も、再任用で対応するべきではないかというふうに考えております。再任用によって熟練の勘や経験や知識を後輩のために使うというのが私も公務のあり方だというふうに思っておりますので、その方針で進めていただければありがたいというふうに思っております。

 一方で、では国税庁のOBは今どうなっているかということでございます。国税庁のOBなんですけれども、もちろん、多くのOBの方は、国税庁の経験を生かして適切な税務指導に当たっておられる方、これはたくさんいらっしゃると思いますが、ただ、一部、例えばインターネットで元国税調査官、税理士と検索するとどういうのが出てくるかといいますと、私は国税の要は調査スキル、調査ノウハウを熟知している、その立場から節税指導をいたしますということが書かれているわけです。その手のものがもういっぱいいっぱい出てくる。

 つまり、国税庁の経験を生かして、国税の調査員は一体どういう行動パターン、どこを見てくるか私は熟知している、したがって、その対策をあなたに教えますという税理士の方もいらっしゃるわけです。それは全部とは言いません。もちろん一部です。

 これは若干国民に対して誤ったメッセージを送りかねない。今若干話題になっているテーマになぞらえて言えば、まるで厚生労働省の麻薬取締官が、退職した後、大麻栽培のコンサルティングをやっているかのような誤解を与えかねないということですが、まずこのことについて三木政務官、どのように捉えておられるのか教えていただきたいと思います。

三木大臣政務官 大岡委員の御質問にお答えしたいと思います。

 御指摘いただいた個別の事例についてはちょっと直接お答えすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般論として申し上げますと、税理士法上、税理士の業務の広告を規制する規定は設けられておりませんで、税務職員出身であることを顧客獲得に利用すること自体は、直ちに税理士法上問題があるというふうには考えておりません。

 しかしながら、あたかも税務職員出身の税理士であれば税務調査等で不当な便宜が図られるかのような誤った期待を納税者に抱かせる、そういった広告がもしあるとするならば、それは、税理士制度や税務行政に対する国民の疑惑や不信を招きかねないということから、好ましいことではないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、国税当局においては、国税OBを含め、相手方がどのような者であるかを問わず、課税上または税理士法上問題があると認められれば、税務調査や指導監督を行うなどして、国民の税務行政に対する信頼を確保するように努めていきたいと思っております。

大岡委員 ありがとうございます。

 あわせて、問題になっているのは、国税職員のOBに自動的に税理士資格を付与していることではないかなというふうに思っております。やめればいいんじゃないかと思っておりますが、どうでしょうか。もう自動的に税理士にさせない、せめて人格、識見を見る面接ぐらいはやる。三木政務官。

三木大臣政務官 国税職員に対する税理士の試験免除制度についてお問い合わせがございました。

 税務行政にかかわる実務経験を通じて得られる知識等を尊重いたしまして、所定の要件を満たした税務職員については、税理士となるために必要な学識及び応用能力を有しているということを認める趣旨でこれは設けられているものでございます。

 具体的には、国税職員が試験免除を受けるための条件としまして、二十三年以上の実務経験、そして、監督的地位への五年以上の在職、及び、国税審議会の指定した研修を受けていただいてこれを修了させる、この要件の全てを満たす必要がございます。

 このように、行政の専門実務家に対して、その実務を通じて得られる知識等を尊重しまして、一定の要件のもとで当該分野における資格取得に必要な試験の免除を認める制度というのは、他の士業、例えば弁理士さんであるとか行政書士さん等でもございますけれども、あるいは、主要国の税務専門家制度においても設けられておるものでございまして、この制度自体は十分合理的な制度というふうに考えております。

 なお、税理士法上、国税職員が非行により懲戒免職等の処分を受けた場合には、一定期間、税理士となることができませんで、また、一定期間経過後においても税理士としての適格性を欠く者については、税理士の登録を受けることができないというふうにされておるところでございます。

大岡委員 ぜひ適切な運用をしていただきたいというふうに思っております。

 先ほどから議論しておりますとおり、国税庁の場合は、OBが定年を迎えられて退職をされて税理士になられてしまうと、背反の関係になってしまいます。例えば警察のOBが警備会社に就職をした場合には、これは補完の関係になると思うんですが、残念ながら背反の関係になってしまう。

 一方で、再任用をしますと、先ほどのお話にありましたけれども、まず、かかった人件費以上の税の適正収入をしっかり確保することもできるし、それ以上に、国民から見たときの税の公平性を担保するということができるようになるわけです。

 民間企業でいってみれば、自社に置いておけば当然人件費以上の働きをする人を、定員だの公務員定数削減だのというこのお題目の枠の中に入れてしまうことによって、それで結局手放さざるを得ない、手放したら当然ライバル企業に行って、そのまま今度は自社を攻撃してくるという状況を放置しているのとこれは全く同じことなんです。

 公務員の定数削減、これも大事なことだし、特に公務員の定数削減に強い思いを持っておられる日本維新の会の皆さんも、むしろそれ以上に民間の経営感覚というのを大切にされているはずですから、当然のこととしてコストである公務員は減らさなければならないが、歳入を確保し、また、税の公平性を守るための公務員というのは、これは当然定数削減の対象外だということにつきましては恐らく御理解をいただける、恐らくこれについては、合理的な判断だというふうに積極的に賛同いただけるんじゃないかなというふうに思っております。

 全体からやりにくいとすれば、まず国税庁から、まず再任用から、この定員管理の面を別枠化あるいは外枠化をして、そうすることによって積極的に再任用を進めて、収入の確保、そして税の公平な運用ということを進めるべきだというふうに思いますが、内閣人事局、答弁をお願いします。

若生政府参考人 お答えいたします。

 国家公務員の定員、これは業務量に基づき厳格に管理を行う、これが基本でございまして、フルタイムの再任用につきましても、通常の職員と同じ働き方で同じ業務を行っている常勤の恒常職であるということには変わりありませんので、ポスト上は区別して定員管理を行う、これは困難であるということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 退職者が長年培った能力、経験を活用するということは大変重要なことだと思っておりますので、既往の方針のもとで再任用をぜひ推進していただきたいというふうに考えてございます。

 なお、短時間勤務の再任用、こういう仕組みもございまして、これは、通常の定員管理とは別枠として既に活用しております。国税庁におきましても二千人以上のその短時間の再任用の職員がございまして、これはフルタイム職員に換算しますと千数百人分ぐらいということでございまして、さまざまな現場で御活躍をいただいているというところでございます。

 こうした形で活用、工夫をしていただければというふうに考えているところでございます。

大岡委員 そんな頭のかたいことを言っているから全く合理的な判断ができないということになるわけです。

 確かに、国税庁はたくさんのOBが使われています。しかし、五万人、六万人いるわけですよ。毎年毎年退職者が何千人も出ているわけです。その一部が税理士になって、場合によっては、先ほど申し上げたように、これまでの知識、経験を生かしてあなたの節税をサポートするというような話になってしまうわけです。

 一方で、実調率もお聞きいただいたとおりで、法人だったら三十年に一回しか税務調査は来ないです。個人は百年に一回しか来ない。これで本当に税の公平な運用と言えるのか。皆さん税の専門家じゃないかもしれないけれども、簡単に言うと、全ての公務員をコストと捉えて判断するからそういうことになるわけです。

 その判断を今後も続けるお考えなんですか。正しいと思っておられるのか。もう一度答弁をお願いします。

若生政府参考人 必要なところに体制を整備していく、これは非常に重要なことだと思っておりまして、国税庁の業務の重要性、これは十分認識をしているところでございます。

 一方で、政府全体として合理化を推進していくということも、これは非常に重要な課題でございまして、その両方の兼ね合いの中できちっと対応していきたい。

 国税庁につきましても、国際租税回避対応等の体制整備の要求等、来てございますので、これからの審査におきまして、十分丁寧にお話を聞きまして、適正な対応ができますように努めてまいりたいというふうに思ってございます。

大岡委員 ちょっと納得できない答弁ですけれども、いずれにしても合理的な判断をしていただきたいと思います。誰でもここまでちゃんと議論すればわかる話でございまして、合理的な判断によって歳出を減らすこと、もちろん、公務員定数をきっちり確保していく、あるいは安定的に削減していくとか、大事なことなんだけれども、歳入を確保する公務員も要るということ、これをよく認識していただいて、合理的な判断をしていただきたいと思います。

 時間もなくなりましたので、最後はちょっとせっかくなので、滋賀県出身でございますから滋賀県らしい話をさせていただきますと、先ほど申し上げましたとおり、国税の職員のあり方の定義づけを変えていく、そしてここに改革を入れていくということは、近江の三方よしに例えて言えば、まず国民の信頼によし。ほとんど調査が入らず、正しい税執行がされているかどうか今わからないと思っている人も多いわけです。その国民の信頼によし。

 あわせて、国家の収入によし。国家だって適切な課税をすることによって収入がふえてくるわけでございますから、これが財源になって、さまざまな福祉サービスを初めとするいろいろな仕事ができるようになる。国家の収入によし。

 そして御本人も、特に国税の場合は特徴的なのが、本人の経験や勘や知恵や、そういったものが六十過ぎても、場合によっては七十過ぎても十分生かせる職場だということです。つまり、本人の活躍によしということで、この三方よしができる政策なんです。

 それを踏まえて総括的に三木政務官の御答弁をお願いしたいと思います。

三木大臣政務官 本日は、税務行政に深い造詣と、また、愛情を注いでいただいております大岡政務官から質問をいただきました。

 国税庁といたしましては、適正公平な課税、徴収の実現を任務とする執行機関であります。これを強化することで、国民の税に対する信頼や国の収入を確保することが大変重要だというふうに私ども考えております。

 例えば、国民の信頼と国の収入を確保する取り組みとしては、いわゆるパナマ文書の公開やBEPSプロジェクトの進展などにより、富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に対する国民の関心が大きく高まっております状況を踏まえまして、先般、国税庁における国際課税の取り組みの現状と今後の方向を取りまとめました国際戦略トータルプランを公表したところでございます。

 いずれにいたしましても、こうした取り組みを進めていくためにも、必要な人員の確保も含め、国税庁の執行体制の強化を進めていくことが大変重要と考えております。

 大岡委員の期待に応えられるようしっかり頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

大岡委員 終わります。

御法川委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時二十四分開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうはまず初めに、春に続きまして、都市農業を守るための税制の改善について質問いたします。

 昨年制定されました都市農業振興基本法に基づいて、ことし五月、都市農業振興基本計画が閣議決定されました。都市農業の安定的な継続、都市農地の保全が掲げられました。そして、税制改正要望についても、都市農業振興基本計画に基づいて、農水省、国交省等から出ております。

 前回もお話ししましたけれども、この十年で東京の農地は一千ヘクタール以上失われました。市街化区域内の農地ということで見れば、十年で二割近い農地が減少いたしました。その一番の原因は、相続税の高さということにあります。

 そして、きょうは大臣にまずお伺いしたいのは、都市農業の継続と都市の農地の保全のためには、やはり相続税などの税制改正は緊急性のある課題ではないか、この認識はあるでしょうか。

麻生国務大臣 この法律の制定の以前より、都市農業というのは、新鮮な農作物の提供、そんなに、それほどたくさん来ているわけではありませんけれども、それに加えて、緑とか、また、農業体験の経験をさせるという場の提供とか、また、いわゆる防災とか、そういったものに避難するときの空間の確保などなど、これは多様な機能というのを有しておりますので、この振興というのは極めて重要な問題であるんだと認識をしております。

 そのような状況で、都市農業の重要性というものも踏まえて、ことしの五月の閣議決定で都市農業振興基本計画というのが出されて、いわゆる生産緑地が貸借されたという場合の相続税の納税猶予制度というものにつきましては、これは、それ相応の政策的意義や公益性を有していること、また、土地の利用規制とのバランスなどなどを考慮した上で、税制措置が適切に講じられるようにすることが重要というようにされておりますのは御存じのとおりです。

 したがいまして、現在、生産緑地におきます土地利用規制等につきましては、これは関係省庁の間で、農林省等々いろいろ検討が進められている段階だと承知をいたしておりますので、いずれ具体的な要望が出されてくるんだと思いますので、その段階で財務省としてはその問題につきましては検討させていただきたいと考えております。

宮本(徹)委員 今検討中ということですが、都内の農家の平均年齢も六十四歳になっておりまして、七十代以上もたくさんいます。相続税の単位というのは、東京の場合は大体億の単位ということになっております。

 きょうは、都市農業にかかわって、東京都が新たな振興プランに向けてまとめました「都市と共存し、都民生活に貢献する力強い東京農業の新たな展開」という東京の農林・漁業振興対策審議会の答申を、抜粋も持ってまいりましたが、この中でも、今、都市農地の保全に踏み出さなければ、農業、農地を生かした町づくりの機会は永遠に失われてしまうと、大変切迫感を持って書かれております。

 先ほど麻生大臣から御紹介がありました税制改正要望、今出されているものの一つが、農水省から出ております、相続税の納税猶予の対象に生産緑地を貸借した場合も適用するということがありますが、これが都市農業の振興にとってどういう意義を持つのか、農水省、説明していただけるでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 先ほど財務大臣からお話がありましたとおり、都市農業は、新鮮な農産物の提供、緑や農業体験の場の提供、防災空間の確保等の多様な機能を発揮していると考えております。このような機能を適切かつ十分に発揮するためには、都市における限られた資源である農地を有効に活用するということが大変重要であると私どもは考えております。

 昨年、議員立法によりまして、都市農業振興基本法を国会で全会一致で成立をさせていただきました。そして、本年五月に、この基本法に基づいて都市農業振興基本計画を閣議決定したところでございます。

 この基本計画の中に、生産緑地等を貸借する場合における相続税の納税猶予の適用などが盛り込まれておりまして、私どもといたしましては、来年度から実施される税制改正にこれらの要望を財務当局にお願いをしているところでございます。

 私どもとしては、これらの措置が実施されることによって、意欲ある都市農業者などによる農地の活用を促進するとともに、都市における公共財である農地が維持保全されるものである、こういうふうに考えております。

宮本(徹)委員 意欲ある都市農業者によって活用され、さらに、都市の農地を保全される上でもこれは非常に大事な意義があるというお話でした。麻生大臣も同じ認識だと思われますので、ぜひ来年度の税制改正の中で実現をお願いしたいと思います。

 そして、もう一つお伺いしたいのは、これは農水省にお伺いしたいんですけれども、今回、この相続税の納税猶予の対象の拡大、あるいは総務省宛てには、市街化区域内の農地の固定資産税の引き下げなどを要望として出されておりますが、果たしてこれだけの措置で都市農業、都市農地は守られる、そういう認識なんでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 今回の税制改正要望の実現は、市街化区域内の都市農地について円滑に貸借できる環境を整えるものでありまして、都市農地の荒廃や減少を防ぎ、ひいては都市農業を守ることにも寄与するものであるというふうに私どもは考えております。

 これ以外に、先ほど申し上げたとおり、本年の五月に都市農業振興基本計画を閣議決定いたしました。この振興基本計画の中には、先生十分御存じだと思いますが、農産物を供給する機能の向上及び担い手の育成及び確保、農産物の地元での消費の促進、農作業を体験することができる環境の整備、あるいは、学校教育における農作業の体験の機会の充実などの各般の施策が記載されているところでございます。

 これらの施策を関係省庁が一体となって推進することとしているところでございまして、これにより都市農業の一層の振興を図っていくことが重要であるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 いや、私がお伺いしたかったのは、税制について、今回出した税制改正要望だけで都市農業保全に向けて大事な対策となっているのか、税制要望としてもこれだけでは不十分じゃないかということをお伺いしているんですけれども、その点どうですか。

細田大臣政務官 私どもといたしましては、先ほど申し上げたとおり、基本計画に基づいて各般の施策を実施することとしているところでございまして、この基本計画の中におきまして、先ほど申し上げたような措置を講ずべきところとされているところでございまして、この基本計画の考え方に沿って税制改正要望を財務当局にお願いしているということをぜひ御理解いただければというふうに考えております。

宮本(徹)委員 私の聞いたことに答えていないんですけれども。その基本計画に沿って出しているのはわかるわけですけれども、この基本計画に盛り込まれなかった点でも、現場の農業者の皆さんが、都市の高い地価の中で農業を続けていくためにはもっと支えてほしいと言っていることがたくさん聞こえていると思うんです、農水省には。

 私は春のときにも質問いたしましたけれども、納屋だとか農業用施設用地あるいは屋敷林だとか、そういったものにかかわる相続税や固定資産税の問題についても対策をとってほしいという話がたくさん寄せられていると思うんですよ。

 なぜ相続税が億になるのかといったら、やはり農家は、野菜を収穫して出荷していくためには、農作業をする場所も必要なわけですよ。納屋も必要ですし、一定の広さを持った庭も必要ですし、機械を収納する場所も必要ですよね。そういうものがあって初めて農業は成り立っているわけですよ。そういうところにかかわる相続税が高い。

 生産緑地のところは納税猶予の制度があったとしても、生産緑地だけで農業が成り立つわけじゃないですから、そういうところまで含めて対策をとってもらわないと、幾ら都市農業を守ろうといっても、三代たったら相続税で全部なくなっちゃうんじゃないか、こういうことが言われているわけであります。

 そして、前回質問した際にこういう答弁がありました。農地と比べて権利移転等にかかわる厳しい規制が存在しないので、課税の公平性という観点から問題があるのではないか、こういう答弁があったわけですね。

 きょう資料でお配りしております、先ほど紹介した東京都の審議会の答申では、こういうことを言っております。

 都市農業の経営承継を円滑にするためには、農地の定義を耕すための土地だけではなく、もう少し広い範囲の活動も対象にして、例えば、直売所や市民農園に附属する倉庫や休憩所やトイレなどについても、広義の解釈として農地の定義に含めることを検討すべきである。また、農地に限られていた納税猶予制度の適用を、一定の土地利用制限のもと、農業経営に必要な畜舎や農業施設用地等にも拡大が必要だというふうにしております。

 この答申は、JAの東京の組合長さん初め関係者がたくさん集まって、有識者も集まってまとめたものですが、本気で都市農業を守ろうと思ったら、相続税、固定資産税を含めてこういった部分を本当に真剣に検討する必要があると思うんですが、その点、どうでしょうか。

細田大臣政務官 ありがとうございます。

 今先生御指摘になった点については一つの問題提起をしていただいたというふうに受けとめておりますが、一方で、今お話があったとおり、現在のところ、畜舎あるいは農業用施設用地は宅地扱いということになっておりまして、農地と比べて権利移転あるいは転用行為に係る厳しい規制が存在するということではございません。

 現在のこのような制度を前提といたしますと、相続税の納税猶予等々の税制上の優遇措置を講じるということは、課税の公平性の観点から問題があるのではないかというふうに私どもとしては考えているということでございます。

 ぜひ、この点について御理解をいただければと思います。

宮本(徹)委員 ですから、先ほどのこの東京都の答申も、権利移転の規制がないという前回の答弁に対して、一定の土地利用制限をかけた上で新たな制度を検討すべきじゃないか、そういうふうに言っているわけですよね。そういう点については検討すべきじゃないですか。

細田大臣政務官 一つの問題提起として受けとめさせていただきますが、ただ、先生御指摘になったようないわゆる規制の強化については、恐らくさまざまな意見が農家の方にもあるのではないかというふうに考えておるところでございます。また、こういう点も含めて、私どもとしていろいろと考えさせていただければ、こういうふうに思います。

宮本(徹)委員 次の代にわたって、都市農業の中でも、農家の皆さんにも後継者が育って、やはり継ぎたいということで頑張っている方もたくさんいらっしゃるわけです。そういう方がしっかりと都市農業を継いでいけるような税制になるように、一つの問題提起ということで済ますのではなくて、真剣な検討を重ねて求めておきたいというふうに思います。

 そしてもう一点、この要望の中で、「新たな物納制度の創設」ということも東京都の審議会の中では提案されております。

 相続税を納めるために売却されたら、農地は大体、宅地になったり、住宅が建ったり、マンションが建ったり、商店になったりというふうになっていくわけですよ。そして、仮に物納されたとしても、国は、当然農地として持っておくわけじゃなくて、売却してしまう。ですから、農地として保存されることはないわけですよ。

 そこで、この提案の中でも、次善の策として、市街化区域内の農地について物納を積極的に認める、そして、物納された農地を自治体に貸与し、農業者や、市民農園として活用する新たな制度を検討すべきではないかという提言もされていますが、こういう提案についても真剣に検討する必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。これは財務省です。

麻生国務大臣 基本的に租税というものは、これは国の歳出を賄うために徴収するものでありますから、金銭による納付というのが原則ということになろうかと存じます。

 ただ、今話題になっております相続税につきましては、これは財産課税であります。したがって、これは、金銭による納付が困難ということになった場合に、税務署長の許可というものがあったときに限り、一定の財産をもって物納するということが認められているというのが現状であろうと思っております。

 こういった物納制度の趣旨というものを踏まえると、これは、農地につきましても金銭納付ができるのかとかいうことを考えるんですが、金銭納付ができるにもかかわらず物納を積極的に認めるというのは、これはちょっと不適当なのではないかと考えております。

 なお、実際に物納された土地については、公的な目的のために自治体からの利用の要望というものがあった場合は、個々のケースに応じていろいろ検討させていただくというのが現実でありまして、今はたしか五百件だか五百二、三十件、そういったものがあると記憶をします。

 いずれにしても、都市農業の振興につきましては、今回の都市農業振興基本計画などを踏まえて、これは関係省庁、今、細田政務官からも答弁があっておりましたけれども、農林省に限らず、いろいろ検討が行われるものと承知をしておりますので、財務省といたしましても、いわゆる具体的な要望というものが提出された段階で検討させていただくということになろうかと存じます。

宮本(徹)委員 具体的な要望が出たら検討するということですが、とにかく、まず金銭で納めてくれという前提のところから出発すると、売っ払ってマンションになってしまうというのが現実なわけです。これだとやはり都市農業は守れないということになりますので、この点は、都市農業は守るべきものなんだ、都市の農地はあるべきものなんだと、閣議決定されたわけですから、その点に立ってこの制度も見直しをお願いしたいというふうに思います。

 次のテーマに入りますので、農水省はここで退席していただいて結構です。どうもありがとうございました。

 次に、大学の研究予算について伺います。

 先日ノーベル賞を受賞されました大隅さんは、このままでは日本の科学が空洞化すると告発されて、基礎研究予算の増額を訴えられておられます。この間、研究者が個人の研究に自由に使える研究予算というのは大きく減少してまいりました。

 この夏に文科省が大学の個人研究費についての調査を行っていますが、調査結果について、文科省、簡単に説明していただけるでしょうか。

板倉政府参考人 お答えいたします。

 本年七月、文部科学省におきまして、科研費採択上位二百の大学などに所属する研究者を対象といたしまして、個人研究費等の実態に関するアンケートを実施したところでございます。

 本調査におきましては、所属機関から研究者に対して自由な研究活動の実施等のために支給される資金でありまして、外部資金を除いたものを個人研究費と定義をいたしまして、配分形態、方法、現在の規模、十年前との比較についてアンケートを行ったところでございます。

 アンケートに対しまして三千六百四十六名から回答を得まして、年間の個人研究費が五十万円未満の者が約六割、百万円未満の者が約八割であるほか、十年前との比較で、個人研究費が減少した者は四割を超えるなどの結果が得られたところでございます。

宮本(徹)委員 六割の方が年間の個人研究費は五十万円未満、減った方が四割、十年前と比べてふえた方は一割ということです。この間、国立大の運営交付金を毎年一%削減してきた影響というのが深刻にあらわれております。

 今週月曜日に、国立大学法人理学部長会議が声明を出しました。きょう資料でお配りをしております。この声明の中では、役立つ研究推進の大合唱が好奇心を基礎とした基礎研究を萎縮させていますと訴え、大学の運営費交付金が継続的に削減されている現状を告発しております。運営費交付金の削減が基礎研究の体力を奪っているんだと。多くの国立大学で大幅な教員削減が提案され、若手教育者、研究者が多くの大学で採用できない状況になろうとしているということも告発をされております。そして、そういう中で基礎科学を目指す若手の急激な減少をもたらしているということも訴えた上で、「大隅先生や梶田先生の研究で見られた、若手研究者が生き生きと未知のものに挑むためのポストも場所も資金も失われつつあります。」と言っております。

 こういう声明も出されたわけですけれども、麻生大臣はこの理学部長会議の声明をどう受けとめられるでしょうか。大学現場の危機感というのを共有されているでしょうか。

麻生国務大臣 国立大学法人理学部長会議声明、これは十月三十一日に出されておりまして、運営交付金の削減が基礎研究の体力を奪っていると主張されておられるということは私どもとしては承知いたしております。

 財務省といたしましては、国立大学におけます基礎研究の推進というのは極めて重要なものであると認識をしております。運営費交付金を初めとします基礎研究のいわゆる二十九年度予算等々につきましては、これは引き続き、文部科学省を初めとして、関係省庁と議論をしてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 基礎研究は重要だと考えているということですので、これはぜひ増額をしていただきたいと思いますが、去年は運営交付金の額は総額は変わらなかったんです。ずっと削減が続いてきたのが、去年は変わりませんでした。

 しかし、その中身が少し変わったんです。機能強化経費という部分が膨らんだわけです。これは、各国立大学に評価に応じて差をつけて再配分する。そして、この機能強化経費の部分は、いわゆる基盤的な経費としては使えない。人件費だとか、そういうところに回せないということになりました。

 そういう中で何が起きているのかということですけれども、例えば新潟大学では、今年度から二年間、新規採用は凍結する。そして、ゼミがなくなるという影響も出ております。北海道大学では、二〇二一年度までに教授二百五人分に相当する人件費の削減案も出ている。東北大学では、非正規の職員三千二百人を雇いどめという問題も起きております。

 そして、国立大学協会の予算要望を見ますと、筆頭に掲げられておりますのは、国立大学運営費交付金の総額の増額ということになっております。この間、十一年間で一千四百七十億円削減されてきて、決算ベースで見ると、国立大学法人の経常収益に占める運営交付金の割合は、平成十六年度の四八%から平成二十六年度の三五%まで低下というふうに予算要望の中では紹介されております。

 これは財務省にお伺いしますが、そもそも、ここまで国立大学の運営費交付金を削減してきた理由というのは何なんでしょうか。

木原副大臣 宮本委員にお答えいたします。

 国立大学法人の経常収益に占める運営費交付金収益の割合が、今委員御指摘のとおり、平成十六年度は四八%から平成二十六年度に三五%に低下をしている、年々低下をしているということは事実でありまして、ちなみに、おっしゃったように、この平成二十八年度はその前年度とは同額になっているということも承知をしております。

 その要因といたしましては、この経常収益に占める運営費交付金収益は低下をし、また、学生納付金収益、これも学生数の低下によって低下をしているということと、加えて、診療報酬等による附属病院収益は増加をしているということ、また、競争的資金等も増加をしているということで、国立大学法人全体の経常収益というものは伸びている中で運営費交付金の割合も金額も減少している、そういう状況にあるというふうに認識しております。

宮本(徹)委員 いやいや、だから、その一千四百七十億円削減したのは、なぜそれだけ削減してきたんですかということをお伺いしたわけです。

木原副大臣 この運営費交付金につきましては、先ほど申し上げましたけれども、これまでの、国立大学法人化以降、一千四百七十億円の削減でありますけれども、これをマクロ的に見てみますと、先ほど申し上げた、国立大学附属病院の赤字解消によってマイナス五百八十四億円、それから、退職手当の支払い額の減によりマイナス五百四億円の合計が一千四十七億円といった、いわゆる研究活動等に直接影響のない減が大宗を占めて、これを除くとマイナス三百八十二億円、これはパーセントにすると三・一%の減ということになっております。

 この間でございますけれども、国立大学への入学者数が三・三%減になっておりまして、そういうことを踏まえると、マクロ的にはですが、イコールとは言えませんけれども、そのようなプラスマイナスということになっております。

宮本(徹)委員 この一千四百七十億円削られたことによって、先ほど出た個人研究費の大幅な減額がもたらされているわけですよ。競争的資金はかなりふやしてきましたが、基本の運営交付金を減らすことで、やはり自由な研究ができなくなっている。

 そのことを大隅先生も訴えられて、報道を見ましたら自民党本部でも大隅先生は講演をされて、国立大の運営交付金が減って政府の助成対象としている産業への応用研究が重視されている現状についてとても危惧している、こう訴えられたというふうになっているわけですよ。

 受賞後の大隅先生の会見を見ますと、研究費を獲得しやすい分野の研究者を採用する傾向が強まり、未知の課題に挑戦することが難しい雰囲気を助長している。すぐ企業化できることが役に立つと同義語のように扱われる風潮がある。何が将来人類に役立つかは歴史で検証されると。

 私、こういう言葉はやはり真摯に受けとめなきゃいけないというふうに思います。自由に使える基礎的な予算をしっかりふやす方向にかじを切るべきだというふうに思います。来年度予算についてはこれから相談するということですから、しっかりふやしていただきたいというふうに思います。

 それで最後に、防衛省にもきょう来ていただきました。安全保障技術研究推進制度についてお伺いします。

 この制度は、防衛省が、兵器の開発に役立つ基礎研究のテーマを設定して、大学や研究機関から公募を募る制度です。そして、その研究者のアイデアを吸収して、研究成果で使えそうなものがあれば防衛省での兵器研究の開発につなげていくというものになっております。これは二〇一五年にスタートしました。予算規模は、二〇一五年に三億円、二〇一六年に六億円。そして来年度の概算要求を見ますと、一気に二十倍近い百十億円というふうになっております。

 百十億円といったら、平均的な国立大学の運営費交付金に匹敵する額です。ちなみに、横浜国立大学は七十八億円でした。埼玉大は六十億円でした。先ほど紹介しましたけれども、研究費が減っているわけですよ、大学の先生の皆さん。喉から手が出るぐらい研究費が欲しい状況を利用して、軍事研究に誘導しようというのがこの安全保障技術研究推進制度だということだと思います。

 これに対して、今、大きな批判が研究者の皆さんから上がっております。科学者の国会と言われる日本学術会議は、戦後二回にわたって、戦争を目的とする科学の研究は行わない、こういう声明を出してきましたが、なぜこういう声明を出してきたのか、紹介していただけるでしょうか。

駒形政府参考人 お答え申し上げます。

 日本学術会議の一九五〇年、六七年の声明についてのお尋ねです。

 日本学術会議は、一九四九年の創立に当たって、これまで日本の科学者がとりきたった態度について強く反省するとともに、科学文化国家、世界平和の礎たらしめようとするかたい決意を内外に表明しております。このことを背景に、一九五〇年の声明は、戦争を目的とする科学の研究には今後絶対に従わないというかたい決意を表明したものでございます。

 もう一つの一九六七年の声明は、当時の米国陸軍極東研究開発局よりの半導体国際会議やその他の個別研究者に対する研究費の援助等の諸問題を契機として、改めて、日本学術会議発足以来の精神を振り返って、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明したというものでございます。

宮本(徹)委員 戦前、大学が侵略戦争に加担していった反省に立って、こういう声明が二度にわたって出されてきたわけです。

 今、今回の防衛省の安全保障技術制度をめぐって、日本学術会議でも議論されております。各大学でも議論がされております。例えば新潟大学では、昨年十月、科学者の行動指針を改定して、「軍事への寄与を目的とする研究は行わない。」という文言を追加しました。

 こうした動きが各大学で広がっておりますが、これを文科省はどう受けとめていますか。

田野瀬大臣政務官 お答え申し上げます。

 新潟大学では、平成二十七年十月、委員御指摘のとおり、科学者の行動指針を一部改正いたしまして、「軍事への寄与を目的とする研究は行わない。」ということを定めたということは、私ども承知をさせていただいているところでございます。

 大学における研究のあり方につきましては、各大学の自主的な判断によるものでございまして、我々文部科学省といたしましては、各大学の判断を尊重したい、そのように認識をいたしておるところでございます。

宮本(徹)委員 この制度は、応募総数、二〇一五年度は百九件だったのが二〇一六年度は四十四件に減りました。応募が減った理由についてはどう総括されているんでしょうか。防衛省。

若宮副大臣 今委員が御指摘になりました応募数でございますけれども、この安全保障技術研究推進制度に応募するか否かということにつきましては、これは応募者御自身の御判断によるところでございまして、私ども防衛省としてはそれについてはコメントは差し控えさせていただきたいと思っておるところでございますが、この二十八年度の応募につきましては、採択するに十分な件数があったものというふうに考えているところでございます。

 引き続き、本制度の周知に努めてまいりたいというふうに思っております。

宮本(徹)委員 喉から手が出るほどお金が欲しい状況があっても、やはり兵器の開発の基礎研究には手を染めたくないという多くの研究者の意思のあらわれではないかというふうに思います。

 昨年の国会審議の際に、政府は、この制度の今後の予算規模については、本年度の本制度の応募状況などを踏まえて検討してまいりたいと考えておりますと。

 普通に考えたら、応募が半減したら予算は減らすものだと思いますが、何で応募が半減したのに予算の規模が二十倍近くになっているんですか。整合性がないんじゃないですか。

若宮副大臣 この安全保障技術研究推進制度、これに応募するか否かというのは、先ほど申しましたように応募者御自身の御判断によるところでございますが、平成二十九年度の概算要求におきましても、二十八年度も、採択するに十分な応募件数があったというふうに考えております。

 実際のところ、委員多分御存じのところだと思いますけれども、全てが採択されるわけではございませんので、その中で精査をいたしまして採択をすることになってございますので、過去の答弁と何か矛盾するあるいは異なるということはないというふうに承知いたしているところでございます。

宮本(徹)委員 その答弁は苦しいです。だって、応募状況を踏まえて検討すると言っておきながら、応募が減ったのに予算をふやすというのは全く説明になっていないですよ。

 結局、金額をふやしたのは、できれば軍事研究にはかかわりたくないという研究者に対しても、札束を見せびらかして、軍事研究の基礎研究をやらせよう、こういう話じゃないんですか。

 それで、ちょっとこの制度について確認したいんですけれども、防衛省のペーパーを見ますと、研究成果は「将来装備に向けた研究開発で活用」というふうにあります。ということは、将来この制度の研究成果に基づいて開発された兵器が武器輸出だとか国際共同開発につながる、これも排除されていない。よろしいですね。

野間政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のところでございますけれども、基本的に、この安全保障技術研究推進制度といいますものは、基礎的な研究分野におきまして、防衛省が外部の研究機関あるいは企業を対象に研究を公募いたしまして、先進的、独創的な研究を推進するものでございます。

 したがいまして、こういうところで出てきました成果につきまして、その成果を踏まえて検討させていただきたいということでございます。

宮本(徹)委員 成果を踏まえて検討ということは、武器輸出や国際共同開発も排除されていないという答弁なわけですよね。今、イスラエルと無人機を共同開発しようという動きがある。これは新聞でも報道されましたが、こういう紛争当事国との共同開発にまで大学の先生方の研究が巻き込まれていくということに道を開くのが今回のこの制度じゃないかというふうに思います。

 この制度にかかわってもう一点聞きたいと思いますが、防衛省は、研究成果の公開について、研究者が望めば原則一〇〇%公開と説明されますが、契約書を見るとそうなっていないんですよ。「乙は、得られた成果について外部へ発表及び公開することができる。ただし、発表及び公開にあたっては、その内容についてあらかじめ甲に確認するものとする。」つまり、契約書の文言を見ると、防衛省が確認した範囲でしか公開できないように読める。

 この契約書の文言では、防衛省の都合で非公開にすることが可能になるんじゃないですか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になられた部分、同じく装備庁のホームページにも掲載がございます。これはQアンドAの形になっておりますが、ちょっとそのまま読み上げさせていただきますと、クエスチョンの方が「研究成果を外部に公開できますか。」ということで、アンサーの方が、「本制度では、得られた成果は公開することを原則としております。なお、知的財産権の取扱いについてお互いに確認するため、公開前にご連絡いただくこととしております。」という文がございます。

 安全保障技術研究推進制度、今委員が御指摘になったのは委託契約書の三十五条の一項かと思いますけれども、研究者は「得られた成果について外部へ発表及び公開することができる。」と規定をされているところでございます。これは、研究成果を自由に発表、公開していただくことを前提といたしているところでございます。

 あわせまして、発表とその公開に当たりましては、その内容をあらかじめ防衛省に「確認するものとする。」というふうに規定をしてございますが、これは、先ほどのQアンドAにもございましたように、研究者の成果としての知的財産権の取り扱いということにつきまして、事前に防衛省とその研究者との間で遺漏なく確認をするための規定となってございます。

 本制度におきましては、研究成果の発表、公開が防衛省から制限をされるというようなことは一切ないということで、引き続き明確に周知を図ってまいりたいと思っておりますので、そういったことで御理解をいただければと思っております。

宮本(徹)委員 いや、一切ないんだったら、一切なく読める契約書にすればいいわけですよ。ところが、契約書はそうなっていないわけですよ。ですから、日本学術会議の検討会でもこの点についてこう言っているわけです。各府省の契約書と比較して、「制約が特に大きいというものではない。ただし、事前の内容確認の運用によっては、実態としての制約が変わる可能性はある。」というふうに指摘されているわけですよ。

 ですから、今、ホームページにこう載っていますという説明がありましたけれども、これがその次には変わっていく可能性だってあるわけです。契約書の文言上はそういうことが排除されないことになっているわけですよ、今言った説明は契約書には書かれていないわけですから。

 時間になりましたからこれで質問を終わりますけれども、今やはり、防衛省のひもつきの予算を受け取らないという大学もそして研究者もたくさんいらっしゃいます。そういう中で、軍事研究に大学を巻き込む制度はやめるべきだ、百十億円こういうところに出すお金があるんだったら、それこそ全国の大学が自由に研究する予算に回すべきだ、そうしてこそ人類にとっても社会にとっても大きく役立つことになるということを申し上げまして、質問を終わります。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、一般質疑ということで、財政及び金融に関する件、お伺いしていきたいというふうに思います。

 さきの消費税の増税延期法案に関連して、大臣と何度か世界的な経済の見通し、そして日本経済の見通しについて議論させていただいた中で、大臣が、世界的危機は続いているんだという認識、見解を示されました。そして、しかもそれは今はナローパスを通っているような状況だという表現もされましたけれども、逆に言えば、それが一歩踏み外せば落ちてしまう、そんな危機的状況が続いているという御発言なんですけれども、そうすると、今は落ちていないけれども、ちょっとした気を抜けば落ちる可能性があるということだと思うんです。

 喫緊の経済統計、新しい最新のものが出そろいましたけれども、国内の景気動向、GDPや個人消費、特に大臣は個人消費をかなり気にされている部分だと思うんですけれども、この辺についていま一度、大臣、見解についてお伺いできますでしょうか。

麻生国務大臣 政権交代以降かれこれ四年近くなるんですけれども、少なくとも、名目GDPは三十三兆円ふえているんですかね。そして、実質GDPが十四兆円増加しております等々、経済の循環が拡大しつつあるということはもうこれははっきりしているんだと思いますが、ただ、個人消費についても、力強さは欠いておりますけれども、足元の、今回出された二四半期のは連続プラス成長となっているなど、総じて見ますと底がたい動きになっているんだと思っております。それから、先行きも、雇用・所得環境が改善する中で、これは間違いなく持ち直しに向かうことが期待されるものだと思っております。

 また、余り外には出ませんでしたけれども、子供の貧困率というのはよく国会でも話題になって、予算委員会の中で出ていましたし、五年ごとに出るんですか、あれはどんどん上がっているやないか、何やという話がやたら出ていましたけれども、二〇〇九年と今回出されました二〇一四年と比べますと、これは五年ごとに〇・二ずつ貧困率は上がっておるという話でして、よく言われていたんですが、今回出されたものを見ますと、九・九から七・九に、〇・二ではなくて二・〇下がっておりますから、子供の貧困率はよくなっておる、下がっておるという数字も、これは全然外に出てきませんけれども、これは総務省が発表された公式の数字だと思っております。

 また、二〇一六年から二〇一七年の実質GDPの成長率というのは、景気回復というのは見込まれておりますが、その中でも、内閣府において〇・九%、それから二〇一七年が一・二と試算をしておられますのは承知しておりますので、今後とも、経済が、民需主導というのの比率が高くなってこなきゃならぬのであって、政府としていろいろな意味で、民需が景気として気の部分が上に向くような方向で、いわゆる規制とかそういったようなものを、また、いろいろな意味での財政出動とかそういったようなものを含めましてきちんとしてやるべき方向というのは、少なくとも、民需の活躍、活動というものがしやすくなる方向で事を進めていくというのを基本に置いてやっていかなきゃいかぬところがいわゆる生産性を上げるということになりますけれども、そこらが一番の基本だと思って考えております。

丸山委員 確かに、民主党政権時よりは、特にこの安倍政権前半、第二次安倍内閣の前半はかなりいい感じで、株価を筆頭に上がっています。いわゆる円安の影響もあると思いますけれども。

 ただ、後半、正直言うと厳しい状況も続いているのは事実だと思います。大臣もお認めになりましたけれども、物価、消費の部分だと思います。

 家計支出を見ますと、七カ月連続でマイナスになっていまして、今回、最新が二・一%減、消費者物価指数も生鮮食品を除いたものは今回〇・五パー減、エネルギーももうマイナス寸前にまで落ち込んでいまして、そういった意味では非常に予断を許さないし、データ上も出ていますし、私自身も若い世代の一人なので思うんですけれども、結局、将来に対する見通しというのは何ら変わっていなくて、今、年金の議論も国会でやっていますけれども、年金だって、では若い世代は本当にもらえるのかなということ自体から、もらえる額が少なくなる、ならないじゃなくて、それよりもっと根本的な意味の、もらえるのというところからみんな不安になっている。政府も、これから景気がよくなりますよと宣伝しても宣伝しても、日銀が期待インフレに働きかけて、それによって今後は物価が上がりますよというふうに言うことで早目に投資や消費をしようという動きが広がって、それによって経済が活性化して賃金が上がるという期待インフレに働きかけてやると言っているにもかかわらず上がっていない状況というのは、正直、笛吹けど踊らずじゃないですけれども、残念ながら、国民の皆さんから信用されていない可能性がある。

 そこのところは非常に残念ですし、でも、私は国会議員の一人としてやはり思うのは、いわゆる三本目の矢の抜本的な改革の部分というのは全く進んでいないように見えていて、特に、年金も今回法案を出されますけれども、ある意味対処療法で、では、今後の見通しも含めて国民の皆さんの不安を払拭できるものかといったら、正直、できていないと思います。

 私はこの後日銀の総裁にも少し厳しいお話もさせていただきますけれども、しかし、頑張っていらっしゃるところもあるというふうに率直に思っております。ただ、籠城戦じゃないですけれども、三本目の矢の政府の側の援軍を待っている状況で、待っている状況なのに援軍がない籠城戦というのは、正直、孫子やマキャベリに言われなくても、もう古今の歴史が証明したように、ほぼ負けてしまうのが籠城戦です。

 そういった今厳しい状況に金融政策もあるし、財政も、この間お話しさせていただいたように、健全化計画がある中で厳しい中にあって、やはりこの三本目の規制緩和の部分、期待に働きかける、日本がよくなっていくんじゃないか、変わっていくんじゃないか、成長するんじゃないかという部分に働きかけるような政策を、ぜひ大臣に率先してやっていただきたいというふうに思います。

 日銀総裁、きょうは来ていただきましてありがとうございます。

 GDPの伸び率、展望レポートでも日銀は予想されています。結構日銀は渋目にされていまして、一六年度一・〇%、一七年度一・三%、一八年度は〇・九と予想されております。物価も予想されておりますが、総裁、決定会合も経られまして、二〇一八年度中という形で、また今回五度目の延期をされておりますけれども、まずこのあたり、経済見通しについてどのようにお考えなのか、総裁にもお伺いできますでしょうか。

黒田参考人 今回の展望レポートでも示しておりますけれども、我が国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出、生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けているということであろうと思います。

 委員御指摘のとおり、展望レポートでも、政策委員の見通しの中央値を示しておりますけれども、二〇一六年度の成長率が一・〇%、二〇一七年度が一・三%、二〇一八年度は〇・九%ということで、一%前後の成長が続く、来年は少し加速するという見通しでありますけれども、確かにこの一%前後というのはそれほど高い成長ではありませんが、御案内のとおり、現時点での日本の潜在成長率というのは、恐らく〇・五とか、あるいはそれ以下かもしれません。そういったことですので、一%前後の成長が着実に続くもとで、需給ギャップはさらに縮小し、失業率はさらに低下していくということが見込まれております。

 したがいまして、景気については、先ほど申し上げたように、緩やかな回復を続けており、今後さらに改善していくだろうというふうに見ているわけであります。

 ただ、これも展望レポートで示しておりますけれども、成長率についても、リスクは上方と下方とどちらが厚いかというと、やはり下方リスクの方が厚いのではないか。

 これは、新興国経済の動向とか、その他、いわゆる英国のブレグジットというか、それの影響は今のところ限られたものですけれども、実際にどのような形になるかによって、英国のみならず欧州経済にも影響が出てくるだろうと思いますので、そういったことも含めて十分注視していく必要があるというふうに考えております。

丸山委員 総裁から下方リスクの方が分厚いという話がありました。後ほどこの話はさせていただきたいんですけれども、きょうは内閣府の方にも来ていただいております。

 先ほど、総裁のお話でもあったように、潜在成長率から考えれば、どう考えてもこの国の成長率の見通しというのはおのずとある程度予想が立つということで、日銀は現に、一六年度一・〇、一七年度一・三、一八年度〇・九で出されております。

 しかし、政府としては内閣府の試算を使われておりまして、内閣府では、先ほどお話しありましたけれども、一六年度〇・九、日銀は一・〇ですね。一七年度は、日銀は一・三なのに二だというふうに先ほど御発言ありました。

 まず内閣府にきちんとお伺いしておきたいんですけれども、このGDP、今後の予測の推移、二年とその先は担当課が違うとおっしゃっていますけれども、しかし、二年で国民の皆さんが予測を切っているわけじゃないし日銀も切っていませんので、政府として、この後のGDPの予測、どうなると考えられているのか、予測されているのか、お答えいただけますでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 二〇一六年の七月に公表しました内閣府の年央試算におきましては、「雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が更に進展する中で、堅調な民需に支えられた景気回復が見込まれる。」ということで、実質GDP成長率は、二〇一六年度が〇・九%、それから、二〇一七年度は一・二%というふうに見込んでおります。

 他方、一八年度につきましては、我々の中長期試算の方でお示しをしているところでございまして、これは内閣府の計量モデルに基づいて、経済と財政が整合的な姿として一定の仮定をもとに試算を行ったものでございますが、その中における経済再生シナリオ、経済再生ケースで一・九%程度、それから、ベースラインケースで一・二%、かように試算をしているところでございます。

丸山委員 失礼しました、二%は一八以降ですね。この一八以降というのは、内閣府さん、かなり楽観的に試算し過ぎていませんか。日銀は〇・九だと言っている中で今の数字だと、どう考えても楽観的。

 つまり何を言っているかというと、前回の議論でも、この内閣府の試算をもとに経済成長すると言って財政健全化シナリオを描いているわけですよ。この数字が違うんだったら、その財政健全化のシナリオだって崩れかねないし、現に私は、ちょっと甘く経済成長を見積もり過ぎていると思っているんですけれども、なぜこんな違いが出るのか。甘くないですか。どうでしょうか。

嶋田政府参考人 お答えいたします。

 中長期試算、先ほど申しましたように、経済再生ケースとそれからベースラインケースの二つのケースを示しているところでございまして、この経済再生ケースというのは、安倍内閣の経済財政政策の効果が着実に発現するということで生産性が非常に高くなっていくというようなことで、デフレ前の日本経済のパフォーマンスを取り戻していく、そういうような姿として、政府が目標として掲げております実質二%、名目三%以上の経済成長が実現するケースということで描き出しているものでございます。

 このために何をするのかということでございましたが、先ほど先生が言われた構造改革、規制改革、そういったことは非常に重要だというふうに考えておりまして、例えばアベノミクスにおきましては、第四次産業革命におきまして未来への投資を喚起して、働き方の改革を推進をすることを通じまして、二十年近く続きましたデフレから脱却いたしまして、バブル崩壊以降の長期停滞トレンドを断ち切るような経済構造の変化を起こすことを目指しているということでございますので、まさに経済再生ケースとして我々が描いておりますのは、こういった成長が実現する姿、そういうことをお示ししたものでございます。

丸山委員 つまり、今、政府の経済見通しも、それをもとに、政府の規制緩和の改革、いわゆる三本目の矢の改革、成長戦略をもとに試算をしているし、財務省の財政健全化計画も内閣府のその数字をもとにやっているわけですから、財政健全化もそれに基づいているわけですよ。

 やはり、先ほどお話ししたような本当に根本の部分の、この国が成長していくんだと期待に訴えかけられるような成長戦略の改革と、何より、年金も含めた、あらゆる、これまでの既得権を含めたいろいろな改革を進めていかないと、日銀の物価目標も厳しい、内閣府の試算だってずれてくる、財政健全化だってずれてくる、本当に今厳しい状況に、瀬戸際に本当にあると思います。

 私、そういう意味で、大臣のおっしゃるナローパスを今は歩いているというのは、世界経済もそうなんですが、日本も実はそのナローパス、しかもそれは、政府の動向次第だと言えるというふうに思っております。

 このGDPの統計、いろいろな数字が出ていて、これがいろいろなところで言われてきていると思うんですけれども、日銀の研究、試算で、所得税や法人税などの納付データを使って試算したら、二〇一四年度の名目GDPが内閣府が出された数値より三十兆円多かったというような研究結果が、これは日銀の一研究員の方だという話もありますが、出ております。

 とはいえ、先日の経済財政諮問会議でこの話題が出たというふうに仄聞しているんですけれども、このGDPの出し方、ずっと過去から問題が言われていて、例えば消費者物価指数もそうなんですけれども、インターネットでの通販の動きというのが十分に反映されていないんじゃないかとか、家計調査の結果もこの間出ましたけれども、調査対象が高齢者の方や専業主婦に偏っているんじゃないかとか、GDPを筆頭に、いろいろな経済状況を示すこの数字に対する違和感というか、景気の状況を正しく反映していないんじゃないかという指摘が上がっていると思うんですけれども、内閣府、これをどうお考えになりますか。

酒巻政府参考人 お答えいたします。

 GDP統計は、国際連合が定めます国際基準に従いまして、一国経済の動向を総合的、多面的かつ国際比較可能な形で示す統計でございまして、内閣府といたしましては、その改善に不断に取り組みを続けているところでございます。

 例えば、本年末に公表予定の平成二十三年基準改定におきまして、最新の国際基準であります二〇〇八SNAへの移行を行うことにより、研究開発費を投資として計上することなど、GDP統計のさまざまな分野で改善を行う予定でございます。

 GDP統計につきましては、各省庁などが作成いたします各種の一次統計を活用して作成する加工統計であるという特性がございまして、精度向上のためには、基礎となる各省等の一次統計自体の改善と内閣府によります推計方法の改善、双方が重要ということでございます。

 現在、経済財政諮問会議におきまして、GDP統計の改善を軸といたしまして、経済統計の改善に向けまして議論が行われておるところでございまして、先日の総理の御指示も踏まえまして、年内を目途としまして、政府としての基本方針の取りまとめに向けまして最大限の努力をしてまいりたいと考えております。

丸山委員 大臣、GDPを筆頭に、日銀の統計のずれ、政府の統計のずれ、どのようにお考えになられますか。

麻生国務大臣 政府として、日銀の研究員の方がまとめられた論文について私の立場でコメントするということは、これはありませんので。

 とにかく、GDPを初めとする統計についても、これは、足元の経済情勢を的確に把握をしていきませんと経済政策はなかなか問題が起きますので、統計の充実とか整備とかというのを的確に努める必要があると考えておりまして、例えば、昨年の十月の諮問会議だったと記憶しますけれども、今、GDPの中に通販というのが載っかっているのか、これだけ通販で何十万円の物がばんばん完売されている、それが実態じゃないの、それで何で通販がGDPには載っていないの。やってないですな。

 また、住宅というのは、高齢者の関係でリフォームは各地、多分選挙区でもそうだと思う、えらいふえているんだと思いますが、そのリフォームもこれは載っかってないんじゃない、新築住宅だけでやって、リフォームは載っかってない。しかし、リフォームはどれぐらいになっているんですかと聞いてみたら、リフォームの率がうちは高いとかというところはいっぱいありますから。

 そういったものは今の時代には適切ではないんじゃないかという問題提起をして、先日でしたか、十月二十一日の諮問会議で、内閣府、日銀、関係省庁が連携して議論を進めるということになっておりますので、二〇一六年において、経済統計の改善に向けて、これは政府の取り組み方針も年内にまとめるということも決定しておりますけれども、いずれにしても、時代とともにいろいろなものが変わってきて、お店がなくても商売ができるというような時代になってきているのは、機械の発達のおかげなんだと思いますけれども、そういったものが逆に使いやすくなる、やりやすくなるというようにすることによって、規制があるからできないというところが規制を外すことによってしやすくなる。

 また、規制を緩和し過ぎると、さっきどなたかフィンテックの話をしておられた方がおられましたけれども、ああいったものも、規制が緩和されていろいろ便利になるんだけれども、その分だけ、安全かよ、それはだまし取られることはないんだろうねというお話になりますので、そこらのところとのバランスというのは常にちょっと注意をしておかないかぬところだと思っております。

丸山委員 日銀総裁、日銀と協力して取り組みたい、経済再生担当大臣、石原大臣はそのように記者会見で答弁されているということなんですけれども、総裁も、これはその検討に向けて協力されていくということでよろしいんですか。

黒田参考人 本年の夏に公表した日本銀行のワーキングペーパー、これは個人としての研究成果を取りまとめたものですけれども、米国の例を参考にしながら、税務データを用いて、分配面からGDPの推計を試みております。

 御案内のとおり、三面等価というのがありまして、GDPについては、生産面、それから支出面、そして分配面と三面が等価になるはずなんですけれども、それぞれは、先ほど御説明がありましたように、各種の原データから加工してできてくるものでありまして、三者が常に一致するわけではないわけです。そういう意味で、これは一つの参考ということであろうかと思います。

 これは、内外の研究機関あるいは研究者から幅広くコメントを頂戴するということを意図したものでありまして、こうした点も含めて幅広い観点から議論が行われて、統計の改善につながっていくということは大変意義があることと考えております。

 先ほど麻生副総理からもお話がありましたように、今般、諮問会議の有識者議員からも提案があったとおり、関係者がその方向に向けて努力を続けられるというふうに認識しておりまして、日本銀行としても、統計の改善に向けて前向きに協力してまいりたいというふうに思っております。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 一方で、統計データは経年の変化を見るのも重要ですので、変更されるにしてもしばらくは併用いただけますように、やっていただけると思いますけれども、よろしくお願い申し上げます。

 さて、ここ残りは日銀総裁へお伺いしていきたいと思います。

 決定会合で、これまで一七年度中であったインフレターゲットの目標の達成時期を一八年ごろに先送りされております。この間の委員会でもそのことを示唆されておりまして、実際に決定会合でもそうされたということなんですけれども、これは五度目ですね。さっきの、笛吹けど踊らずというのはあれですけれども、しかし、やればやるほど、国民の期待インフレに対する日銀の言っていることがまたかになってしまう。非常に私は危惧しているんです。

 二年で二%の目標達成が最初だったんですが、ついに五年、御自身の任期を超えてのものまで要は言及せざるを得なくなっていますけれども、この延長に次ぐ延長についてまずどのようにお考えになっているのか、その理由。もう展望レポートを拝見しているのでわかっているんですね。理由というよりは、どのようにお考えになっているのか。また、リーダーが旗を上げれば、期間が延長されるんであったらその責任も生じてくると思いますけれども、総裁、率直にどうお考えになっていますか。

黒田参考人 今回の物価安定目標の達成時期予測について、従来は二〇一七年度中というふうに考えていたわけですけれども、これを二〇一八年度ころというふうに修正をいたしました。

 その最も大きな理由は、足元で、生鮮食品を除く消費者物価の前年比が小幅のマイナスとなっておりまして、また、予想物価上昇率も弱含みの局面が続いているということから、このような修正を行ったわけであります。

 日本銀行は、二〇一三年の一月に、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということを決定いたしまして、政府と日本銀行の共同声明でもそれをはっきりとうたっているわけであります。そういったコミットメントに基づいて二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入いたしまして、二%の物価安定目標をできるだけ早期に、二年程度を念頭に置いて実現するために、必要かつ十分な措置ということで導入をいたしました。

 先日公表いたしました総括的検証でも明らかになっておりますとおり、その後、二〇一四年の夏にかけて、実際に消費者物価上昇率はマイナスからプラスに転じて、一・五%程度まで上昇いたしました。その中で、予想物価上昇率自体も一%を超えるところまで上昇していたわけでございますが、これも委員御案内のとおり、二〇一四年の夏ごろからエネルギー価格が下落し始めまして、それが非常に大きく下落し、足元の物価上昇率自体が下落する中で、予想物価上昇率もこれに引きずられる形で低下していった。ただ、当面は、二〇一四年の夏から二〇一五年の夏ごろまでは、予想物価上昇率自体は一応ある程度安定をしておりました。

 これは、一つには、足元で引きずられるとはいえ、石油価格がいつまでも下落するというふうには思われていなかったということもあったと思いますし、二〇一四年の十月に量的・質的金融緩和をかなり大幅に拡大して、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという日本銀行のコミットメントを再確認したということもあったと思いますが、一年程度は、実際の物価上昇率が下がったもとでも予想物価上昇率がある程度維持されてきたわけですけれども、昨年の夏から、新興国の経済の減速と、それが国際資本市場、金融市場に与えた、混乱とまでは言いませんけれども、変動ということの中で、予想物価上昇率自体も実際の物価上昇率の方に合わせるような形で下落してしまったということもありまして、現在のような状況に至っているということであろうと思います。

 したがいまして、今回発表しました展望レポートに沿って申し上げますと、先行きの消費者物価の上昇率につきましては三つのことを言っておりまして、一つは、エネルギー価格の下落の影響から当面は確かに小幅のマイナスないしゼロ%で推移しますけれども、それは、御承知のように、ことしの初めごろには二十ドル台まで落ちていたものが現在四十ドル台の後半まで来ていますので、その影響が剥落していく。それからさらには、先ほど来申し上げているとおり、一%ないし一・三%という成長率は潜在成長率をかなり上回っておりますので、マクロ的な需給バランスがさらに改善していく。三番目には、そういうこともあって実際の物価上昇率が少しずつ上がっていくと予想物価上昇率も上がっていくということで、この三つの効果から、二%に向けて上昇率を高めていくだろうというふうに考えております。

 そうしたもとでの政策委員の見通しの中央値が、二%程度に達する時期が二〇一八年度ころになる可能性が高いということであります。

 ただ、成長率についても下方リスクは残っているわけですし、消費者物価の上昇率についても下方リスクは残っておりますので、あくまでも、必要に応じて追加的な措置もとる用意があるということははっきり申し上げております。

丸山委員 外的要因が原因だということなんですけれども、それはわかっております。そういう状況があるというのは、経済は生き物ですのであるんですけれども、今お伺いしているのは、五回延期されているわけで、それに対して、リーダーでいらっしゃる日銀総裁の責任をどう感じていらっしゃるのか。それをお伺いしていたんですけれども。

黒田参考人 確かに、二年程度を念頭に置いてできるだけ早期に実現しようということで量的・質的金融緩和を始めたわけでございまして、先ほど申し上げたように、一定の効果があったということは言えると思いますし、現在に至るまで経済自体はかなり改善していることは御案内のとおりであります。これは、失業率にしても、企業収益にしても、あるいは需給ギャップにしてもですね。

 しかし、二%が実現できていないということは確かでありまして、その点は大変残念に思っておりますが、一つだけ申し上げますと、御案内のとおり、欧米の中央銀行も全て二%の物価安定目標を掲げて、それに向けて努力をし、毎回、大体年に四回程度、ほかの国もそうですけれども見通しを出しておりまして、その中では二%の目標に達成する時期の予想というのも出しているわけですけれども、それもずっとやはり後ずれしてきておりまして、これはある意味でいうと、石油価格にせよ、新興国の減速にせよ、それを起点にした国際金融市場の変動にせよ、やはりグローバルな現象であって、それが物価安定目標の達成をこれまで後ずれさせてきたということは事実であろうというふうに思っております。

丸山委員 国際的な環境の話をされました。

 時間がありませんので、前半の質疑はこれで終わらせていただきます。細かい部分はこの後の午後の質疑でお話しさせていただきます。

 ありがとうございます。

御法川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、理事雨宮正佳君、理事櫛田誠希君、理事武田知久君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 去る平成二十八年六月十四日、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づき、国会に提出されました通貨及び金融の調節に関する報告書につきまして、概要の説明を求めます。日本銀行総裁黒田東彦君。

黒田参考人 日本銀行は、毎年六月と十二月に、通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出しております。本日、我が国経済の動向と日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。

 日本銀行は、昨日の金融政策決定会合において、二〇一八年度までの経済、物価の見通しを展望レポートとして取りまとめました。これを踏まえ、まず、我が国の経済金融情勢について御説明申し上げます。

 我が国の景気は、新興国経済の減速の影響などから輸出、生産面に鈍さが見られるものの、基調としては緩やかな回復を続けています。先行きについては、海外経済の回復に加えて、極めて緩和的な金融環境と政府の大型経済対策の効果を背景に、企業、家計の両部門において所得から支出への前向きの循環メカニズムが持続するもとで、二〇一八年度までの見通し期間を通じて、潜在成長率を上回る成長を続けると見ています。

 物価面を見ると、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、エネルギー価格下落の影響から、小幅のマイナスとなっています。先行きは、当面、小幅のマイナスないしゼロ%程度で推移すると見られますが、マクロ的な需給バランスが改善し、中長期的な予想物価上昇率も高まるにつれて、見通し期間の後半には、物価安定の目標である二%に向けて上昇率を高めていくと考えています。二%程度に達する時期は、見通し期間の終盤、すなわち二〇一八年度ころになる可能性が高いと予想しています。このように、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムは維持されていると見ております。もっとも、前回七月の展望レポートと比べると幾分弱まっており、今後、注意深く点検していく必要があると考えています。

 日本銀行は、九月の金融政策決定会合において、量的・質的金融緩和導入以降の経済、物価動向と政策効果について総括的な検証を行い、その結果を踏まえ、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するため、金融緩和強化のための新しい枠組みである、長短金利操作つき量的・質的金融緩和を導入しました。新しい枠組みは二つの要素から成り立っています。

 第一に、長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールです。二〇一三年四月に導入しました量的・質的金融緩和は、主として実質金利の低下の効果により、経済、物価の好転をもたらし、日本経済は、物価の持続的な下落という意味でのデフレではなくなりました。イールドカーブ・コントロールは、この実質金利の低下の効果を、長短金利の操作によって追求するものです。日本銀行は、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため最も適切なイールドカーブ形成を促していきます。具体的には、毎回の金融政策決定会合で決定、公表する金融市場調節方針において、日本銀行当座預金に適用する短期政策金利及び十年物国債金利の操作目標の二つの金利水準を示します。国債買い入れは、買い入れ額のめどを示しつつ、長期金利の操作方針を実現するように運営します。

 第二に、オーバーシュート型コミットメントです。二%の物価安定の目標を実現するためには、人々のデフレマインドを抜本的に転換し、予想物価上昇率を引き上げる必要があります。この点、我が国における予想物価上昇率の期待形成は、依然としてかなりの程度適合的であり、足元の物価上昇率に強く引きずられる傾向があります。こうしたことを踏まえ、日本銀行は、生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率の実績値が安定的に二%を超えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続するという、極めて強力なコミットメントを導入しました。物価安定の目標の実現に向けた日本銀行の強い姿勢を示すことで、二%の実現に対する人々の信認を高め、予想物価上昇率をより強力に高めていくこととしました。

 昨日の金融政策決定会合では、短期政策金利をマイナス〇・一%、十年物国債金利の操作目標をゼロ%程度とする金融市場調節方針の維持を決定しました。

 日本銀行は、今後とも、経済、物価、金融情勢を踏まえ、物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため、必要な政策の調整を行います。

 ありがとうございました。

御法川委員長 これにて概要の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鬼木誠君。

鬼木委員 福岡二区選出の、自由民主党、鬼木誠でございます。

 本日は、黒田総裁にお越しいただきまして質問の機会をいただきましたこと、ありがとうございます。

 先ほど、通貨及び金融の調節に関する報告書の説明をいただきましたが、昨日、金融政策決定会合におきまして、物価上昇率二%の目標達成時期について発表がありまして、そこで、新聞各紙も一面で取り上げているという状況でございますので、そのことについてまず話を進めたいと思います。

 昨日の発表では、物価上昇率二%の目標達成時期を、二〇一八年度ごろになる可能性が高いという発表をなさいました。きょうの新聞各紙を見ますと、私が見たところで、一面で取り上げている新聞が四紙。その見出しのつけ方や、また、総裁のコメントをどういうふうに切り取るかという切り取り方が各紙それぞれ特徴がありまして、同じ会見、同じ発表でもいろいろな見方があるんだな、おもしろいなと思いましたので、まず四紙、取り上げたいと思います。

 まず読売新聞の見出し、「物価二%「一八年度頃」」、日銀先送りと書いてありまして、その中で総裁のコメントを切り取った部分が、「大規模な金融緩和について「二%に達しても続ける」と述べ、かなり長期化するとの見通しを示した。」また、「「二年で実現できなかったのは残念だ。原油価格の下落や新興国経済の減速などが国際金融市場に大きな波乱をもたらした」と理由を説明した。」ということで、割と事実や原因を的確に捉えているかなというふうな印象の記事でした。

 次に朝日新聞は、「物価二%目標 任期中断念 黒田日銀「一八年度ごろ」」という見出しになりまして、総裁のコメントについては、「「物価がどうなるかということと私自身の任期に特別な関係はない」と言及を避けた。」そして、「早期実現に適切な政策を決定し実行することに尽きる」というコメントを取り上げられております。つまり、任期中の目標達成を断念されたということが中心の記事となっております。

 次に毎日新聞ですが、「日銀総裁 物価目標五回先送り」、かぎ括弧で「何をもって責任 難しい」と書いてありまして、「「物価見通しが後ずれしているのは欧米の中央銀行も同じ。石油の動向は予測が難しいし、新興国の減速も予測しがたい。何をもって責任とするかは難しい問題だ」と述べた。」ということで、見出しにおいては五回先送ったということを強調した上で、責任については、「何をもって責任とするかは難しい」という部分のコメントを取り上げられております。

 そして、私が見た限りで四紙が一面で扱いました最後に、日経新聞です。見出しは、「デフレ払拭「相当な時間」 日銀総裁、「物価二%」先送り」、そしてコメントとしては、「「デフレマインドは相当強く、払拭に相当な時間を要している」と語った。」ということで、同じことを同じように書いているようですが、それぞれ捉え方も取り上げる部分のコメントも違って、非常に興味深いなと思いながら読みました。

 中でも私がはっと思ったのは、日経新聞が取り上げた「デフレマインドは相当強く、払拭に相当な時間を要している」という部分でございまして、これだけ金融のさまざまな技術を駆使して経済というものと闘っている、挑戦している、技術的な、テクニカルなものの中で、最後に、デフレマインドという、国民の心理というところに届かなくちゃ難しいんだなというような感想を述べられたところを日経新聞が拾ったというところが、なるほど、おもしろいなと思ったんです。

 私たちは、この日銀の政策を、何のために何をやっているのかということを、国民に対してわかりやすい議論、そして日銀からのメッセージを正しく届けていくということが、経済の上でも大事なことなんじゃないかなというふうに思っております。

 そういう中で、まず、物価上昇の必要性について御質問したいと思います。

 日銀は二%の物価上昇を目指すと言って久しいのですが、しかし、三年半が経過してもまだ実現ができておりません。そもそも、物価上昇に対して幅広い国民から十分な理解が得られていないという印象もございます。すなわち、一般国民の中には、物価が上がると聞くと、みずからの生活が苦しくなるのではないかと不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

 改めて、二%の物価上昇がなぜ経済によいことなのか、できるだけわかりやすい御説明をいただきたいと思います。

黒田参考人 もとより、日本銀行が二%の物価安定の目標を掲げているわけですけれども、これは、物価だけが上がればよいと考えているわけではありません。あくまでも、企業収益の増加や雇用の拡大、賃金の上昇を伴いながら物価が緩やかに上がるという好循環を目指しているわけであります。実際、過去のデータを見ますと、賃金上昇率と物価上昇率はおおむねパラレルに動いております。

 いわゆるデフレとは、幅広い物やサービスの価格が下落し続ける状況を言うわけでございまして、デフレのもとではどうしても、企業の売り上げ収益が低下するために、賃金が抑制され、これが、消費の低迷、さらに物価の下落につながるという、いわゆる悪循環が生ずるわけであります。また、デフレのもとでは、現金や預金を保有することが相対的に有利になるということで、企業が設備投資や人材投資に消極的になって、経済の活力が次第に奪われるということにもなりかねません。

 こうした認識を踏まえて、多くの先進国では、デフレに陥らないようにするために二%程度の緩やかな物価上昇を目指しておりまして、これがいわばグローバルスタンダードとなっているわけであります。

 日本銀行も、二〇一三年一月に二%の物価安定の目標を導入いたしまして、これをできるだけ早期に実現するため、量的・質的金融緩和を初めとする積極的な金融緩和を推進してきております。それから約三年半が経過しましたが、企業収益の改善、失業率の低下など、経済は大きく好転し、過度の円高は修正され、株価は上昇しました。消費者物価は、生鮮食品とエネルギーを除くベースでは、三年間にわたってプラスで推移しております。

 このように、日本経済は物価が持続的に下落するという意味でのデフレではなくなったという意味では、金融緩和政策は着実に効果をもたらしたというふうに思っております。

 ただ、二%の目標が実現できていないということは事実でありますので、今後とも、物価安定の目標の早期実現を目指し、先般導入された長短金利操作つき量的・質的金融緩和をしっかり推進してまいりたいと思っております。

 今申し上げたような考え方も含めて、二%の物価安定目標の実現というのが経済にとっても国民生活にとっても重要であるという点はよく説明してまいりたいと思っております。

鬼木委員 市場との対話をしっかり行うべきとか専門家とのコミュニケーションといったことについての意見はよく聞きますが、それ以上に大切なことは、広く一般の国民から日銀の金融政策への共感を得ることだと思います。デフレのスパイラルの悪循環から逆回りの、経済の好循環に持っていきたいということだと思います。

 そうした中で、二%の物価上昇のもとでの成長を実現するための鍵となる、企業の収益や投資、家計の所得や消費の動向、こういったものはどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 企業や家計の動向という御質問、お尋ねでございますけれども、まず企業動向から見ますと、企業収益は、新興国経済の減速や昨年夏以降の円高が製造業の収益の下押し要因として働いてございますけれども、非製造業も含めて見ますと、原油安に伴う交易条件の改善などもありまして、企業収益全体としては、過去最高に近い水準で推移してございます。

 こうしたもとで、極めて緩和的な金融環境もございまして、企業は前向きの設備投資スタンスを維持してございまして、私どもの九月短観を見ましても、製造業、大企業を含めまして、総じてしっかりした設備投資計画が維持されております。

 こうした企業部門の好調は家計の雇用や所得の環境にもプラスの影響を及ぼしてございまして、御案内のとおり、労働需給、これは引き締まり傾向が一層明確になっておりまして、有効求人倍率は、一九九一年、二十五年ぶりの高水準となっているほか、失業率も三%程度ということで、ほぼ完全雇用の状態にあるわけでございます。

 こうしたもとで賃金も、振れを伴いつつも緩やかに増加しておりまして、三年連続でベアが行われましたほか、夏のボーナスも、昨年度後半の好調な企業業績を反映しまして、非製造業を中心にはっきりと増加してございます。また、パートの時間当たり賃金の前年比は、最近では一%台後半から二%程度という高目の伸びとなっております。

 このため、個人消費でありますけれども、こちらはやはり年初からの株価下落によるマイナスの資産効果がございましたので、ことしの前半は弱目の動きとなりましたけれども、最近では、台風などの天候要因の影響はございましたが、やはり、雇用者所得の改善ということを背景に持ち直しつつあるというふうに判断してございまして、これから緩やかな増加に向かっていくのではないかというふうに見てございます。

鬼木委員 今聞いていますと非常に経済はよいというような印象を持つ答弁なんですが、企業収益は過去最高に近い、また、投資スタンスも前向きであり、非常に計画が出てきているということなんですが、やはり、それが物価上昇目標に達していないこととの乖離をどう考えるかということは必要だと思います。やはり国民生活というのは、もうまさに自分の実感ですから、それがどう実感になっていくか。

 例えば住宅・不動産業界とお話をしますと、これだけ低金利でも住宅が売れない、では実需がないのという話をすると、いや、展示場にはお客さんは見に来るんです、いっぱい来て、買おうと思っているんです、しかも低金利、なのに買わないというのは、やはり、企業が前向きな投資スタンスを持っているし計画もしているけれども設備投資が進まないという話とよく似ていまして、では何で買わないのかなと思うと、これだけ長く低金利が続くと、もっと金利は下がるんじゃないかとか、もうちょっともうちょっとというふうになっているような気がするんです。

 住宅団体がくしくも言ったのは、先高感があるときに購入するんですと。これから高くなる、なら今買わなきゃ、これから金利が上がる、ならもう今ローンを申し込まなきゃということになりますので、あとは、金利上昇局面、景気がよくなって資金需要がふえて、よい金利上昇が起こるというところにあと一歩つなげるところまで来ている、今の御発表は、景気がよくなっているんだというところまで来ているというお話でしたので、ぜひそこを、よい金利上昇につなげていくように持っていっていただきたいと思います。

 続いて、企業投資や家計の支出、こういうものが活発になるためには何が必要なのか、家計の給与や支出がふえるためには何が必要なのか。金融政策だけでは難しいとの指摘もありますが、日銀としてできることは何でしょうか。

黒田参考人 先ほど雨宮理事から御説明いたしましたように、確かに、企業は過去最高水準の収益を維持しておりますし、金融緩和に伴う実質金利の低下効果もあって、前向きな投資姿勢は維持していることは事実であります。

 その上で、御指摘のように、設備投資が実際にさらに活発になるというためには、金融面からのサポートに加えて、企業の成長期待が高まっていくということが重要であろうと思います。

 この点、政府による規制・制度改革などの成長戦略の推進が非常に重要であると思いますし、その推進を期待しているところであります。

 次に家計部門ですけれども、賃金は確かに上昇はしているわけですけれども、企業収益が過去最高水準で推移するとともに、失業率が三%程度まで低下して、ほとんど完全雇用と言ってよいような労働需給の引き締まりが続いている割には賃金への波及が鈍いということも事実ではないかと思います。

 今後、家計支出がしっかりと増加していくためには、所得環境が一段と改善していくことが重要でありまして、この点、来春の賃金改定交渉に向けた動きに注目をしているわけでございます。

鬼木委員 日銀だけでは難しいと言うとおりでございまして、政府に期待することは何か、お答えいただきたいと思います。

 総裁は、大胆な金融緩和と機動的な財政運営とのポリシーミックスの重要性を指摘しておられますが、先般の政府の経済対策、第二次補正予算はどのような効果を発揮されることが期待されますでしょうか。

黒田参考人 二〇一三年一月の政府、日本銀行の共同声明では、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のために、それぞれが果たすべき役割を明確にしております。

 すなわち、日本銀行は、金融緩和を推進し、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現することを目指す。一方、政府は、成長力の強化に向けた構造政策を進めるとともに、機動的な財政運営を行いつつ、持続可能な財政構造を確立するための取り組みを着実に推進するということにしております。

 先般の政府の経済対策は、未来への投資を掲げるなど、こうした共同声明の趣旨に沿ったものと考えております。

 また、日本銀行が物価安定の目標の実現のために極めて緩和的な金融環境を整えることは、こうした政府の財政運営や成長力強化の取り組みといわば相乗的な効果を発揮するものというふうに考えております。

 昨日発表いたしました政策委員会の成長見通しの中央値も、今年度が一%で、来年度が一・三%ということで、来年度、加速するという見通しになっておりますが、この背後には、当然、こういった政府の経済対策の効果というものも含まれているわけでございます。

鬼木委員 まさに、日銀の金融政策と政府との一体となった取り組みの中で経済というものは動いていきますので、しっかり政府としても、私、政府の立場で物を言っていいのかわかりませんけれども、頑張っていきたいと思っております。済みません。

 では政府に聞きます。木原副大臣にお越しいただいておりますので、政府サイドとしての認識、企業投資や家計の給与、支出がふえる、景気をよくするために日銀が行うそうした大胆な金融緩和のもとで政府はどのような財政運営を行っていく方針か、お答えください。

木原副大臣 政府のまず認識ということでありますけれども、企業収益は過去最高と言いながら、もう少し詳しく経済指標、あらゆるものを見てみると、やはり日本経済は、雇用・所得環境を中心に改善しているものの、消費、投資が力強さを欠いた状況にあるというところは日銀とも共通していることかと思いますが、今回政府が決定した経済対策は、こうした状況を踏まえて作成をしたものであって、当面の需要喚起にとどまらず、民需主導の持続的な経済成長と一億総活躍社会の着実な実現につながる施策を中心としておりまして、その経済対策の実行を通じて、力強さを欠く消費、投資の背景にある潜在成長力の低迷等の構造要因を克服して、民需主導の好循環を確かなものとしていきたい。

 具体的にどのようなものかという御質問もございましたけれども、幾つか申し上げますと、一つは、保育所等の整備の前倒しや保育士の人材確保策の拡充等、子育ての環境整備を行う。また、外国人観光客四千万人時代に向けて、大型クルーズ船の受け入れ環境改善や羽田空港の機能強化等によって、外国人観光客の受け入れ能力を高める。また、現下の低金利状況を生かしまして、財政投融資を活用することでリニア中央新幹線の全線開業を前倒しするというように、未来への投資を実現するものとなっております。

 一方で、政府としては、市場に財政ファイナンスとの疑念を抱かれることがないように、政府、日銀の共同声明に沿って、財政健全化に向けた取り組みを着実に進めていくことが重要であると考えております。

鬼木委員 ありがとうございました。

 財務省に聞きますのであえて財政運営と聞きましたけれども、その財政運営の中には、もうさまざまな施策、私たちが今やるべきもの、また、未来への投資といった形で、お答えを幅広くいただきました。まさに、日銀の金融を後押しする実行の部分を政府一体となって後押しをしたいと思います。

 木原副大臣におかれましては、こちらで結構です。御退出ください。

 やはり、一般国民が漠然と持ち続けている将来への不安感、これがまたデフレマインドの一因だとも思います。そうした中で、日銀や政府の政策が全体として経済の好循環をどのように生んでいくのか、わかりやすく丁寧な説明を続けることが私たちに必要だと思っております。

 あるときふと耳にした言葉で私がはっと思いましたのは、マイナス金利は円高、株安を抑える金融緩和スキームであるという短い言葉だったんですけれども、はっと、これはわかりやすいなと。ある時期、私たちは円高、株安で大変苦しんだわけです。これをどうするかという円高、株安対策をするときに、金融緩和のスキームであるマイナス金利を導入してこの目的を達成しようとしているというのがまさに今なんだということで、ある方がおっしゃった短い言葉だったんですけれども、ああなるほどなと。

 もともと、そういえばそうだな、私たちは円高で苦しんでいたな、株安で苦しんでいたな、そういうときに金融緩和を求めたなと。そういう金融緩和していく中で出てきた量と質、そしてマイナス金利と来ている、今そこにあるということ。私はこれはわかりやすいと思ったんですけれども、世の中の人に話してわかりやすいと思っていただけるかどうかわからないんですけれども、だけれども、できるだけ、どういう状況に対応するためにどういうことをやっているんだよ、そして、今こういう段階で、これからこうしようとしているんだよということを伝えていきたいと思います。

 ですが、またちょっと別の視点からいいますと、大胆な金融緩和というのは、やはり副作用が心配されている側面もあります。きょうの新聞の中にもさまざまな副作用を心配する声も上がっておりました。

 私、地方銀行の出身でして、今の金融政策の副作用として、マイナス金利が金融機関の収益を圧迫するという点もやはり聞こえてまいります。地方の銀行なんかは、勘弁してくれよとふうふう言っているということもございます。

 日銀は、先月の総括的な検証で、その点にも配慮して、政策の枠組みを変え、イールドカーブ・コントロールを導入いたしましたが、日銀として金融機関経営への負担と金融政策の効果の関係をどのように考えておられるのか、お伺いします。

黒田参考人 御案内のとおり、マイナス金利の導入後、国債金利は大幅に低下しておりまして、こうした国債金利の低下は貸出金利の低下にしっかりとつながっております。

 こうした緩和的な金融環境の効果は実体経済に次第に波及してきております。すなわち、企業の設備投資は、海外経済の不確実性が高い中にあっても極めて緩和的な金融環境に下支えされて緩やかな増加基調を続けているほか、住宅投資も持ち直しを続けております。

 一方、貸出金利の低下幅に比べて預金金利の低下幅は小さいということですので、貸出金利の低下は金融機関の利ざやを縮小することで実現していることになります。したがって、マイナス金利が金融機関の収益を過度に圧迫する場合には、金融機関の貸し出し姿勢が消極化したり、マイナス金利に伴うコストを転嫁するために貸出金利が上昇してしまうということなどを通じて、金融仲介機能に悪影響を与える可能性があります。

 もっとも、これまでのところ、短観など各種の調査によりますと、金融機関の貸し出し態度は引き続き積極的であるほか、貸出金利も低下するなど、金融環境自体は一段と改善しておりまして、金融仲介機能の悪化というようなことはうかがわれておりません。

 長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとでは、物価安定の目標の実現のために最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促していくことになりますけれども、その際には、貸出金利への波及あるいは経済への影響のみならず、金融機能への影響といった、幅広く経済、物価、金融情勢を踏まえて判断していくことが適当であるというふうに考えております。

鬼木委員 やはり、利ざやが縮小して厳しいというところがありますので、そうしたところもどうしてもしわ寄せが金融機関に来ているという感じもございます。これは政策でやっているところですのでいたし方ない部分がありますが、御配慮いただければと思います。

 あとは副作用の面ですが、日銀が長期金利をコントロールすることについて市場には懐疑的な見方もあるようですが、この一カ月間の実績はどうなっているでしょうか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで日本銀行は、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため最も適切と考えられるイールドカーブの形成を促しているわけでございますが、御質問のこの一カ月間、この政策を導入以降の長短金利の動向を見ますと、日本銀行の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブが円滑かつ安定的に形成されているというふうに認識してございます。

鬼木委員 このほかにも今の金融政策の副作用として、大量の国債買い入れにより国債市場の流動性が低下するのではないかといった点や、日銀のバランスシートの拡大により、将来の財務が悪化するリスクが高まっているのではないかといった点が指摘されております。

 日銀として、これらの点への対応をどのように考えておられますでしょうか。

黒田参考人 ただいま雨宮理事から御報告いたしましたとおり、長短金利操作つき量的・質的金融緩和のもとで国債市場は安定した動きをしておりますが、一方で、値動きの変動幅が縮小しておりまして、国債の売買高は低下をしております。

 もっとも、現時点において、過去の水準等を踏まえてみますと、国債市場の流動性や機能度が一段と低下したとは見られません。

 日本銀行としては、新しい政策枠組みのもとでの国債市場の動向について、注意深く点検しながら国債の買い入れを進めてまいりたいというふうに思っております。

 さらに、日本銀行の財務の点に関しましては、バランスシートの拡大に伴いまして収益の振れが大きくなるわけでございますが、現在はバランスシートが拡大しているもとで収益が大きくなるとしても、将来、収益が下振れするという可能性もありますので、そういった振れを平準化する観点から、収益が上振れる局面でその一部を積み立て、将来、収益が下振れる局面で取り崩すことができるように、昨年、引当金制度を拡充するなど、財務の健全性の確保に努めております。

 その上で、日本銀行による強力な金融緩和は物価安定のために必要な政策でありまして、今後とも、市場への影響あるいは財務の健全性に十分留意しつつ、二%の物価安定の目標の早期実現に向けて金融緩和を推進していく方針でございます。

鬼木委員 冒頭の新聞記事、「物価がどうなるかということと私自身の任期に特別な関係はない」というコメントで、今も笑いが出ました、先ほども笑いが出ました。だけれども、総裁は決して自分のせいじゃないとか言っているわけでは全くなくて、これは、日銀として果たすべきことをしっかり今やっているわけであって、それは私自身の任期の時間とは全く関係がないことだ、これからもしっかりやっていくんだということをおっしゃっているんだと思います。その目標達成も大事ですし、また、よい出口を見つけていくことも大事でありますので、総裁に任期はあっても、この挑戦に終わりはないわけです。

 ですから、黒田総裁初め日銀の終わりのない挑戦はこれからも続いてまいりますので、ぜひ勇気を振り絞って頑張っていただきたいと思います。政府も、景気をよくしたい、その思いは一緒でございますので、また頑張っていきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

御法川委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民進党の伴野豊でございます。

 私も、一時期、外務副大臣や外交防衛を専門にやっていた時期がございまして、黒田東彦総裁におかれましては、アジア開発銀行のときに多分お目にかかっているんじゃないかと思いますが、日銀総裁としては初めてでございますし、また、公の場で質問させていただくのも初めてでございますので、どうぞよろしくお願いしたいかと思います。長幼の序はわきまえておるつもりでおりますが、浅学非才ゆえ失礼な質問をするかもしれませんが、その点はお許しいただきたいと思います。

 まず最初ですが、一般論としてお聞きいただきたいんですが、政策をつくっているのはやはり人だと思うんです、これは当たり前。ですから、やはりどの方がベースをつくられたかということによって政策に人柄が出てくる、また、人柄が出てこないとおかしいだろうと私は思っているんです。ですから、今回も、黒田総裁になられてからの日銀のさまざまな政策を私なりに勉強させていただきましたし、分析もさせていただきました。その中で、黒田総裁という方がどういうお人柄なのかというのをやはり知りたいと思って、いろいろひもとかせていただきました。

 いろいろな評がある中で、キーワードというほどではないんですが、やはりどなたもおっしゃる言葉が、上司を務めていらしたある方は、これ以上の部下を持ったことはないという評価をされていたり、いや、本当にあるんですよ、そういうコメント。頭のいい人、そういうキーワードといいますか、そういう評が確かに多いんですよ。

 改めてちょっとお聞きしたいんですが、総裁も総裁で、多分お子さんのときから神童と言われて、神童の中の神童と言われて、大蔵省に入られてからも、十年に一人、あるいはというぐらい逸材だというようなお話の中で、今、頭のいい人というのはどういう人だと思いますか。

黒田参考人 大変難しい、哲学的なお話でありますけれども、恐らく、いろいろな知識を持っているとか、理論を駆使できるとか、そういうことも重要だと思いますけれども、私は、一番重要なことは、状況の変化に応じて弾力的に物事を考えて対応していくということが、社会の中で、あるいは政策を行う上で重要ではないかというふうに思っております。

伴野委員 おっしゃるとおりだと思いますし、総裁はそれをやってこられたんだと思うんですが、あえて生意気な言い方をすると、やはり、その結果を見届けてその結果責任をとるというところまで、特に金融政策というのは必要じゃないかと私は思うんです。

 これは総裁に言うまでもなく、まさに金融は信用ですよ。信用をどう構築していくかというのがまさに肝でございまして、だから、ある面、頭のいい人というのは、さまざまな知識や経験を使って御自身が言っていらっしゃることを相手にきちっと伝えて、そしてそれを信用させて、信頼させて、これできちっとやっていきましょうと言い、そして、その結果に対してコミットし、かつ結果責任を問う。そこに信頼が出てくるから、多分、いろいろ駆使されておっしゃることについて頭のいい人というふうに言われるのではないか。イコール信頼できる人、イコール最終的に結果責任をとる人ということをできる人なんだろうと思います。

 そうした中で、いろいろ言葉が巧みですよね。バズーカという言葉もあったり、御自身で言っていらっしゃったんじゃないかもしれませんが、黒田ショックとか、デフレファイターという評もあってみたり、異次元金融緩和、特にエコノミストの方が好まれる、マスコミの方がヒットしそうな言葉を非常にうまくお使いになっているなと。これはなぜだろうなと思っていろいろ読ませていただいた中で、日銀の雑誌の中にその答えが一つあったんです。

 宮部みゆきさんと御対談を、多分これは総裁が選ばれて、小説好きだと聞いています、フィクション。現実はノンフィクションですよね。小説が好きな方というのは、私は、非常に想像力にたけているんだと思うんです。行間をお読みになる。言葉にどうヒットされるかということに対しても、言葉に対して非常に敏感なんだろうというふうに勝手に推察をさせていただく中で、済みません、これもちょっと財務金融委員会になじまない質問かもしれませんが、吉田修一さんという小説家を御存じか、あるいは作品を読まれたことはありますか。

黒田参考人 名前はよく承知しておりますけれども、残念ながら、本は読んでおりません。

伴野委員 宮部みゆきさんに負けないぐらいおもしろい作品で、最近は「怒り」というのが映画で大ヒットしていますし、以前は「悪人」というのが、これも大ヒットしました。

 作品の中に流れるモチーフがあるんです。「悪人」というときには、本当の悪人は誰かとずっとその作品の中で問われる。最終的に罪を犯してしまう人間が悪人なのか、そこへ引き込んだ人間の方が大悪人じゃないかということや、あるいは、今ヒットしている「怒り」の中では、理不尽なものに対する怒りというものをどこかへぶつけたいという今の風潮がある。それがいろいろなところで人間不信に陥ってしまって、その人間不信が新たな怒りを生んでまた誰かを傷つけたり罪を犯していくというような、そんなのが私なりのモチーフです。だから、非常に深い作品だなと思って私は読ませてもらったんですが、ぜひ機会があったら読んでいただければありがたいかな。

 ここから少し財務金融委員会らしい質問に入っていきたいと思いますが、これも改めての質問で恐縮ですが、ここからはできるだけ国民目線の質問をしていきたいと思いますので、改めて、総裁は景気というものをどういうもので認識されるか、あるいは日常生活の中でどういうもので景気というものを感じ取っていらっしゃるか、教えていただけませんか。

黒田参考人 景気といいますと、恐らく、一方では、さまざまな経済指標によって経済活動がどのように進んでいるか、あるいは金融も含めてさまざまな活動が全体としてどのように動いているかということを知った上で、それが基本的に上向きであるというか拡張的であるというときに景気がよいと言い、下方に向いているあるいは縮小方向に向いているという場合に景気が悪化しているというふうに言うんだと思います。他方で、私も含めて全ての人は、そういう統計データだけではなくて、自分の身の回り、生活、そういったことから景気に関する実感というものもあるのではないかと思うんですね。

 ですから、景気の判断というときには、恐らくその両者が必要であるし、使われると思うんですけれども、一方で、実感というか、生活実感というのは景気というものを考える場合に非常に重要であることは事実なんですけれども、それは、それぞれの人、あるいは各地域、産業、企業ごとに相当違いますので、やはりその実感だけでなくて、実感とともにさまざまな統計とか分析を通じて、総合的に景気というものを把握していく必要があるのではないかというふうに思っております。

伴野委員 日常生活の中で、例えば商店街へ行かれてみたりとか、私なんかは地元で定点観測としてある駅前の商店街へ行ってみたりとか、あるいは、場合によっては、上京したときなんかは銀座周辺のデパートや銀座のホコ天なんかも見せていただいて、日常生活の活気というんですかね、最近、やはり外国の方が多いです。そこで実際に物を買ったり食べたり、それから、夜の時間帯であれば、飲み食いされている赤ちょうちん的なところものぞかせていただいたりして、私なりにそれは体で得ているところもあるんです。

 やはりちょっとここへ来て、先ほどのいろいろな質疑の中に、あるいはこの財金の最近の質疑の中に、いわゆる消費ということがやはり冷え込んでいる、あるいはなかなかそこに結果がついてこないというような印象を持たれている政府の方もいらっしゃるようですし、私自身もやはりそこが、個人消費というのが本当につらい状況なんだろうと。まさにデフレマインドがある。それをデフレファイターとしていろいろおやりいただいていたんだと思います。

 当初は量から質ということで、それが量・質、マイナス金利といって、最近ではさらにそこに長期金利の導入ということとあわせ持って今後どうしていくかということなんですが、まさに先ほど、頭のいい方らしい、さまざまなお知恵と技術を使っておやりいただいているんだと思います。そういった中で、期待値を少し高めていただいたことは私は素直に評価させていただきたいと思っているんです。

 ただ、やはり何でもそうですが、期待値ばかり上げて、最後どうなるのか。物語、小説の起承転結、最後ミステリーになってしまったり、フィクションの世界はいいんですが、ノンフィクションの世界はそれは本当につらいことになるんですね。

 政策決定者というお立場で、大変失礼な言い方を顧みず申し上げれば、策を弄して策に溺れるところはなかったかどうか、あるいは、政策の一貫性を本来求めるときに柔軟性がマイナスに作用したときはなかったか、今の段階で申し上げていただけるようなことがあればお気持ちを御開陳いただけませんか。

黒田参考人 二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入いたしました。そして、二〇一四年の十月にこれを拡大いたしました。さらに、最近では、二〇一六年の初めにマイナス金利を導入し、そして、つい九月の政策決定会合において長短金利操作つき量的・質的金融緩和というふうになってきたわけであります。

 それぞれについて、やはりそのときの経済状況、それから、先行きの経済、物価、金融状況を踏まえて最適と思われる政策をとってきたというふうに私自身思っておりますし、これは私が一人で決めるわけではなくて、九人の政策委員会のメンバーの議論を踏まえて、そして多数決で決めてきているわけですが、振り返ってみて、これほど石油価格が大きく下落するということは確かに予期していなかったわけですし、それから、新興国の経済が減速してそれが世界的な金融市場の変動につながるということも予想していなかった。そういう意味では、予想が外れたという意味では、もう少しそういったことも想定しておく必要があったかもしれないという点は考えております。

 他方で、そうかといって、石油価格が下落するかもしれないということで、石油価格について特別な知見があるわけでないわけですので、そういうふうにするわけにもいかないわけですし、それから、新興国がこれほど、特に中国を含めて減速して、それが世界の金融市場にこれほどの影響を与えるということもなかなか予想しがたかったということはあるとは思います。

 ですから、全て完璧であったというふうには思いませんが、そのときそのときの状況を最大限点検して、その時点で適切と思われる政策を、合議体の中でですが、とってきたというふうには思っております。

伴野委員 率直な御開陳、ありがとうございました。

 平成二十五年の一月二十二日、忘れもしませんが、政府と日銀さんの共同声明、正直言って、日銀の独立性というのは中学のときで習いましたので、そのときからするとどうなのかなと。ただ、いろいろお聞きしてみると、手段の独立性と目的の独立性があるんだと。今回は目的が一致しているだけで、手段は違うからいいんだという理屈があったそうでございますが、はっきり言って、政府一体で目標を達成しようとしていらっしゃる。

 特に、デフレマインドを払拭できなかったということはきのうもおっしゃっているようでございますが、私は、デフレマインドの国民における正体というのは、やはり生活の将来不安じゃないかと思うんです。ですから、そこにやはりメスを入れていかないと、金融政策だけでは幾ら黒田総裁でもなかなか限界があるのではないかな、そんなふうに思うわけでございます。

 先ほども限りなくというようなお話があったかもしれないんですが、先ほどちょっと言葉が巧みだという、オーバーシュートと最初聞いたとき私、バスケットかサッカーかと思いました。このオーバーシュート型コミットメントの必要性ということについて、この委員会でもるるお話しされていますが、これは、国民の皆さん方にわかりやすく言うと、二%になるまでどんどんやり続けちゃうというふうに解釈しちゃっていいんでしょうか。いかがでしょうか。

黒田参考人 二%を実現すべく、量的・質的金融緩和以来、現在の政策に至るまで、金融緩和を続けてきていることは変わりませんが、今回のオーバーシュート型コミットメントというのは、二%の物価目標というのは、先ほど来申し上げていますように一種のグローバルスタンダードになっているわけですけれども、当然、きっちり二%ずっとというのは、経済は生き物ですから無理ですので、各国とも平均二%で推移するということですから、あるときは二%を超え、あるときは二%以下ということがあって、平均二%という目標だというふうに理解しております。

 そういう意味では、ある時期に二%を超えるという局面があること自体は、もともと、二%の物価安定目標、あるいは欧米でいいますとインフレーションターゲットの中に入っているわけですけれども、今回改めて強くコミットいたしましたのは、これまで非常に二%以下のところでずっと来ている。それを、デフレマインドを払拭して、予想物価上昇率の形成についてよりフォワードルッキングな形にするためには、日本銀行として、二%を超えて、いわば上から、二%を超えたところから二%の方に向かってソフトランドするということをはっきりコミットすることによって、より物価上昇期待、予想物価上昇率に影響を与えることができるのではないかということで行ったわけであります。

 これ自体は、恐らく各国の中央銀行として明示的にやった中央銀行はまだないと思いますけれども、そういう意味では新しいと言えば新しいんですが、それから、強いコミットメントである、実績が二%を超えて上から着地するということを明確にコミットしたという意味では新しいとは思いますが、二%の目標自体に、ある意味でいうと潜在的に含まれていたものでもあるというふうに思っております。

伴野委員 ありがとうございます。

 デフレマインドの正体ということからちょっと議論させていただきたいと思いますが、先ほど、生活の中の将来不安というのがあると申し上げましたし、国あるいは地域ごとにも人口減というのは、相当デフレマインドがあると思います。自分の家族や地域の人、それから市、町の人、それは当然ふえていく方がやはりいろいろな面で活気も出てまいりますし、人一人の力というのは、一人で二倍も三倍もできるよりも、やはり数がふえていく。新興国がかつて力を持っていたときというのは、やはり人口増であり、人口がある程度あるからマーケットがふえていくということに最高の経済対策というのがあったんだろうと私は思うんです。

 最近の地方、地域、商店街なんかを見ましても、その衰退ということを考えますと、国債を買うというのも一つの手かもしれませんが、一つの金融政策、新たな金融政策として、やはり地方債を買うということも発想としてあっていいのではないか。JRのことを引き合いに出して恐縮ですが、あれはやはり地方を競争させたということもあるんだと思うんです。それなりの経営能力のある人材を競争させた。

 だから、自治体の首長さんなんかも、一定の基準を満たせば日銀が直接助けてくれる地方債、きちっとした標準を持つならばそういう政策があってもいいとは思うんですが、このアイデアに関してはいかがでしょうか。

黒田参考人 これまで具体的に考えたことがございませんので、一般的、抽象的なお答えになるかもしれませんが、まず、金融政策として、国債は非常に大きなマーケットでありますし、現在これだけ日本銀行が国債を買い入れてきてもまだ三分の一ぐらいであって、三分の二ぐらいはマーケットにまだあるわけで、膨大な国債の取引がある中で、日本銀行が国債を買い入れることによって金利を下げ、それが市場全体に波及していくということを狙っているわけであります。

 そうした意味では、地方債は、地方債全体としては相応の規模だと思いますけれども、地方債自体はそれぞれの地方団体が発行しているものでありまして、それぞれの銘柄ごとのいわばマーケットになっているという面もありますので、なかなか金融政策としてそれを購入するというのは考えにくい面はありますけれども、御示唆は十分検討してみたいと思っております。

 なお、ちなみに、たしか米国では連銀は地方債は買えないということになっている。これはよくわかりませんが、恐らく連邦制とかそういうこととの関連であろうと思います。

伴野委員 日本は連邦制ではありませんので。ぜひ御検討をいただけるということでございます。これは非常にありがたいお答えかなと思わせていただきます。

 先ほどもちょっと任期のお話が出ておりましたが、報道もいろいろお書きになる。きのうはおつらい記者会見だったのかなという気もしないでもないんですけれども、我々衆議院も一緒でして、最近は任期は二年みたいなもので、常在戦場というような状態に関しては、まだ任期が一年五カ月ぐらいある中で、皆さん勝手なことを言うなと思われるかもしれませんが、先ほどの小説じゃないですが、やはり小説は、起承転結、結、最後はどんでん返しということもあったり、終わりよければ全てよしということもあるわけでして、個人的には、私はやはりハッピーエンドで終わっていただけるのがいいだろうと。

 出口論の話も出て、どうするのかというのもあるんだと思いますが、総裁の任期は御案内のように五年で、再任を妨げない。過去はどうでしょう。戦前はいろいろ長きにわたってやっていらっしゃる方もいらっしゃるし、それから、これは昭和三十一年から昭和三十九年の間ですけれども、山際正道さんというのは戦後でも連続してやっていらっしゃるから、再任というのは別に過去は幾らでもあったわけでして、先ほど、頭のいい人から連想ゲームのように、最終的にはやはり結果責任をとっていただけることが信用につながって、金融はまさに信用、これだということからすると、一七年度から一八年度ごろに先送りをされたということは、逆に総裁は意欲がおありになる、一八年度までやって、その終わりをちゃんと見届ける、間違っても、いろいろやってそれを後輩にぶち投げて終わるというようなことは逆にないんじゃないかなと。

 しかも、解散しなければ、今の安倍政権は衆議院でも参議院でも三分の二をお持ちになっているわけで、国会の同意人事も、まあ普通にいけば、その意欲を示されれば十分考えられないことでもないのかなと思うんですが、そのあたり、結果を見届けるという今の点からどんなお考えをお持ちか、教えていただけませんでしょうか。

黒田参考人 私の任期はたしか二〇一八年の四月ということになっておりますので、そこまで全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 総裁の任命は、国会の同意を得て内閣で任命するということでありますので、その件について私から何か申し上げることは全くできないということを御理解いただきたいと思います。

伴野委員 大好きな小説も最後が大事でございまして、最後で何が起きるかが、悲劇にもなり、幸運のハッピーエンドにもなるということでございます。私は、個人的にはハッピーエンドを願っている一人でございますが、間違ってもこれが不安を助長させることにならないことを、日銀の黒田総裁物語がハッピーエンドで終わることを陰ながら願っている一人でございます。

 どうもきょうはありがとうございました。

御法川委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 民進党の古川元久でございます。

 総裁、お疲れさまでございます。

 きのうの会見、今はネットで中継しているんです。中継で私も見させていただきました。一時間以上を超える記者会見、先ほど伴野さんからもお話がありましたけれども、なかなかきのうの会見は大変だったんじゃないかなと思います。私も大臣のとき、記者会見でいいことを言うときはいいんですけれども、いろいろ責められるだろうなと思うときはやはり覚悟して行かなきゃいけない。

 そういう意味では、きのうも見ていて総裁も大変だなというふうに思った次第でございますが、そういう中で、私は、きのうの会見を見ながら感じたことも含めてきょうは御質問させていただきたいというふうに思います。

 まず、会見の中で総裁は、今回、要するに五度目の二%目標実現後ずれということについて、金融政策だけじゃなかなか物価目標の達成はできないんじゃないか、そういう質問に対しては、やはり財政政策とか構造改革も必要なんだと。あと、来年の賃金の動向とか、そういうことを言われた。

 そういった意味では、金融政策では物価目標というのは達成できないんだという認識を持っておられるかなという一方で、たしか、私がきのう見ていた中でこんなことも言われたんじゃないかと思うんです。

 岩田副総裁なんかはもう就任前から、とにかくインフレもデフレも貨幣現象だ、だから金融政策で物価は変えられるんだ、そういうふうに断言しておられたわけですよ。ですから、金融政策で物価目標は達成できると。そういう考え方については、たしかきのう、考え方は基本的には正しいと思うけれどもみたいなことをおっしゃっていました。しかし一方で、先ほど申し上げたように、金融政策だけではやはり難しい、これは財政政策とか構造改革とか、そういうものが大事なんだというお話もされていた。

 そもそも、物価は貨幣現象だという考え方、これはどうですか、理論としてはあるかもしれませんけれども、現実としてはやはりそういうものではない、そういう認識だというふうに考えてよろしいですか、総裁の考えとして。

    〔委員長退席、土井委員長代理着席〕

黒田参考人 御案内のとおり、物価の動向というのはさまざまな要因で影響されます。例えば、石油価格が下落するあるいは上昇するということによっても影響されますし、御指摘のような財政政策、あるいはその他のことによっても、例えば為替レートなどは非常に海外の影響を受けるわけですけれども、為替レートが動けば為替の影響が物価にも出てくるということで、さまざまな影響があるということは事実ですので、貨幣だけで全ての物価現象を説明するということはできないという意味では、物価上昇に対する影響というのはいろいろなものがあるということはそのとおりだと思います。

 ただ、他方で、いろいろな政策のうち金融政策が比較優位がある面というのは、やはり物価でありまして、長い目で見ると、物価というのは金融政策によって相当程度左右されるということも事実で、これはほとんどの経済学者が認めるところでありまして、そういったことに沿って、財政政策がやるべきことはこちらの方にある、あるいは、規制とか構造政策でやるべきことはこちらにある。金融政策が何をやるべきかといえば、やはり物価安定。これが、日本銀行法にも書いてあるわけですけれども、物価安定というのがやはり中央銀行が行う責務があるというか、中央銀行が最も重要な物価安定への戦力というか、そういうものになるということではないかと思っております。

古川(元)委員 確認ですけれども、要は、結果的に、過去のも見れば、確かに金融政策が物価に大きな影響を与える。しかし、物価は貨幣現象だという経済理論、そんな簡単なものじゃない。そういうことですよね。それでいいんですね。

黒田参考人 インフレはいつでもどこでも貨幣的現象だと言ったのは、御案内のとおりミルトン・フリードマンでありまして、マネタリストの旗手である彼が言ったセリフでありますけれども、彼自身の研究でも、戦前とか戦後のいろいろなところの物価の動きを分析したものでも、かなりの長期の期間をとって見ると、貨幣的な現象、彼流に言うと、マネーサプライによって物価というのは動いているということを言っていまして、それぞれの局面でいろいろな要素が入ってきて物価に影響するということは彼自身も認めているわけですので、そういう意味では、貨幣的現象と言うときに、貨幣の数量とか金融だけで全て物価はいつでもどこでも決まるということは、ミルトン・フリードマン先生も言っておられないのではないか。そういう意味では委員の言われるとおりであるというふうに思います。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 フリードマンさんはそうだと思うんですけれども、岩田副総裁は昔そんなようなことを、本を読むとそう書いてあるように私は認識をしたものですから。そこのところは、総裁は少しフリードマン的な、もうちょっと幅広く考えていらっしゃるというふうに認識をさせていただきます。

 次に、二%物価目標についてなんですが、総裁が、三年半前のときには、物価目標達成のためにあらゆる手段をとるという言い回しをしていらっしゃったんですけれども、このところの言い回しを見ますと、二%実現に向けたモメンタムを維持するために必要な手段をとる。ちょっと表現ぶりが変わってきているんですよ、最初のころと。最初のころは、とにかく二%物価目標達成、これをするためにあらゆる手段をとる。今は、二%実現に向けたモメンタムを維持する、モメンタムがあるからそれを維持する、そのためにあらゆる手段をとるという言い方になってきているんです。

 私は今の言い方の方がいいと思うんですけれども、そう考えると、そもそも、最初に二年で二%達成すると言って、期限まで区切って言っちゃった。最初の記者会見のころは、きのうとは違って黒田さんも元気満々で、余裕しゃくしゃくで、自信満々という感じでしたよ。ちょっとやはりあのときの言い方が、というか設定の仕方、それが、今のように、本来は二%実現に向けたまずモメンタムをつくっていくんだ、そういう状況にするためにあらゆる手段をとる、そういうような形で私はするべきだったんじゃないかなと。そういうふうにしていれば、今のように、何か後退したんじゃないかとか、そういうふうに思われなかったんじゃないかと思うんですけれども、その点についてはどう思われますか。

黒田参考人 まず、日本銀行としては一貫して、二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するために積極的な金融緩和を推進すると言い、それをしてきているわけで、この方針自体は全く変わっておりません。

 そうした中で、御指摘のように、二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するという言い方は、確かに、二〇一三年の四月に量的・質的金融緩和を導入した際にはそういう言い方をしておりませんでしたけれども、二〇一四年の十月に量的・質的金融緩和を拡大した際とか、あるいはことしの一月にマイナス金利を導入した際には、政策変更の理由として公表文にそういう言い方をしております。

 ニュアンスが違うじゃないかと言われると、受け取り方によってはそうなのかもしれませんが、先ほど申し上げたように、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現する、そのために積極的に、大胆に金融緩和を進めるという点は一貫しているというふうに考えております。

    〔土井委員長代理退席、委員長着席〕

古川(元)委員 総裁の頭の中では同じだと思っているかもしれませんけれども、やはり世間の受けとめ方は違うんですよ。

 総裁は最初に何とおっしゃったか。期待に働きかけなきゃいけないというふうに言われましたでしょう。期待というのは、いい期待もあるけれども、逆に、期待、エクスペクテーションというのは、別にこれはいいだけじゃなくて悪い方の期待もあるわけで、そういう意味でいうと、この表現の変更は明らかに、市場を含め、少しちょっと弱まっているんじゃないのかなと。

 最初は、二%達成のためにはとにかくあらゆる手段をやると言っていたのが、二%実現に向けたモメンタムを維持するためにはあらゆることをやりますよと言うのは、普通に読めば、まあ、黒田さんの頭の中では同じだと言うかもしれませんけれども、普通の人が読めば、やはりこれはちょっと変わったなと。変わったなというのは、期待に働きかけるという意味でいえば、とにかく二%達成のためなら何でもどんどんとやっていくんだというところから、モメンタムを維持するためにやっている。では、維持がされているのであればそれは当面この政策は変わらないねという。

 そういう意味でいうと、きのうも追加の金融緩和ありませんでしたけれども、二%達成できていない状況だったら、最初の言いぶりだったら、達成できていないんですから、後ずれしたんだから、当然、きのうの政策決定会合で追加緩和か何か打たれないと、最初の言い方だったらそれが出ておかしくないんですけれども、今の言い方だったら、モメンタムは維持されているんだから追加緩和はしませんでしたということは、それはなるほどなとなるんです。

 そういった意味では、これは、そういう意味での市場への期待の働きかけという意味では、やはり違った形でとられているんじゃないかと思うんです。

 その上で、きのうの会見なんかでも、この二%目標について、諸外国どこも大体二%を置いていると。それはそうです、アメリカなんかもそうですよ。

 ただ、では、その実現のためには何でもやるというようなところでほかの中央銀行は動いてくるかといったら、例えばアメリカ、去年の物価上昇率は〇・一二%ですよ。でも、今テーパリングしているんですよ。日銀と同じように、この二%を実現しなきゃいけないという目標だったら、これはテーパリングするどころか、逆にもっと緩和しなきゃいけないんじゃないかと思うんです。

 しかし、多分、黒田総裁はわかっていらっしゃると思いますけれども、日銀の物価目標を達成する目的というのは何かといったら、その物価目標を達成すること自体が最終的な目的じゃないですよね。それは、その物価であることが、経済が回復して安定的に運営されるというその大体の水準、そういう状況の物価が二%程度だからその二%に置いている。

 そういった意味では、物価のこの二%という目標を実現するということは、そういう経済の安定的な運営という状況の中にはこの二%が好ましい、だからそこを目指しているのであって、何が何でもこの二%が経済にとって絶対的なもの、そういうわけじゃないですよね。

黒田参考人 現在、物価安定目標につきましては、世界的にもいろいろな議論がありますけれども、今多くある議論は、二%でなくて三%とか四%とか、物価安定目標をもっと引き上げた方が将来的に好ましいという議論が多いわけであります。

 日本銀行としては、やはり二%の物価安定目標というものが、先ほど来申し上げていますように、物価が二%上がれば何でもいいんだということではなくて、企業収益もふえ、雇用もふえ、賃金も上がって経済が好循環を遂げる中で二%を実現していくということを目的としていることは事実でありますけれども、他方で、現在の目標として、やはり二%という物価安定の目標は、経済全体を見渡してみて適切なものであると考えておりますし、欧米の中央銀行もやはり二%の物価安定目標を目指しているわけであります。

 今、米国の例を挙げられましたけれども、御案内のとおり米国では、足元の物価上昇率がかなり上がったり下がったりしましても、物価上昇期待が二%台で非常によくアンカーされておりますので、このままいけば必ずや二%に達するという確信があって恐らく、今、拡大したポートフォリオ自体は減らしていませんけれども、短期金利を昨年の十二月に上げ、今後も徐々に上げていくという方向にあるということであると思いますが、我が国の場合はなかなかそういうわけにまいりませんので、先ほど申し上げたようなオーバーシュート型コミットメントをし、二%の目標達成に向けて、インフレ期待自体、物価上昇期待自身が二%にアンカーされていくことを必要としているというところが、米国の場合とやや違うところではないかというふうに思っております。

古川(元)委員 それではお伺いしますが、もし、日本の方の期待物価上昇率がずっと上がっていって二%を安定的に超えてくるような状況になったら、実際の物価上昇は二%に届かなくても、やはりそのときには政策変更というのはあり得るということですか。

黒田参考人 恐らく、米国と同じような状況になればそういう議論も十分あると思います。米国の場合は、御案内のとおり、物価上昇期待というのは非常に安定しているわけです。二%台で一貫しているわけです。

 ですから、そういうふうにきっちり二%にアンカーされれば、まだ二%に現実の物価上昇率が達していなくても、現在の米国のように、ほとんど完全雇用であって賃金も上がり始めている。そうしたもとで物価上昇率は二%に向けて確実に上昇していくという確信があるわけですから、その背後には、やはり二%台でずっとアンカーされているということがあることは間違いないと思います。

古川(元)委員 そうすると、確認ですけれども、日銀が出している二%の物価目標というのは、もっと後ろを突き詰めていきますと、要は、期待物価上昇率、それが二%以上にアンカーされるような状況、そういうことの意味で認識として理解していいということですね。

黒田参考人 これは従来の展望レポートでも強調しておりましたけれども、二%の物価安定目標を実現し、そういう際に、期待物価上昇率とか予想物価上昇率も二%にコンバージしていくというか、収れんしていくということを目標にしているということははっきりと述べております。

古川(元)委員 でも、仮に、実際に物価は二%にはまだいかないけれども、先に期待物価上昇率が上がる可能性はありますよね。それはないとは言えませんよね。そういう場合は、これは確認ですけれども、総裁はさっき、そういう状況になればそれはアメリカみたいにテーパリング等があり得ると。そういうことの確認をさせていただきたい。

黒田参考人 先ほど来申し上げているように、アメリカのように、何十年にもわたって景気変動が大きくある、あるいは、物価上昇率が大きく変動する中でも二%台でしっかりとアンカーされているという状況になれば、当然アメリカのようなことが言えると思いますけれども、残念ながら、我が国の期待物価上昇率、予想物価上昇率というのはそういうふうにアンカーされていません。

 そうしたもとでしっかりと二%にアンカーするためにも、実際の物価上昇率が二%を超えて、そして上から二%の目標にソフトランドしていくという形を通じて、これは、物価上昇期待がしっかりと二%にアンカーされるというためには、米国の例を見てもかなりの時間がかかると思いますけれども、そういうことを期待しているということでありまして、一時的に期待物価上昇率が上がったからといって、それで実際の物価上昇率が上がっていなくても緩和をやめるとか、そういうことにはならないと思います。あくまでも、米国のように二%台でしっかりとアンカーされた暁には、米国のように足元の物価上昇率が二%をかなり超えていたりかなり下回っていても、比較的スムースな金融政策を続けていくということが可能だと思います。

 ただ、そのアメリカでも、やはりリーマン・ショック後は相当大規模な金融緩和をして、そうした中でいわば二%へのアンカーというものを続けてこられたという面もあると思います。

古川(元)委員 私は、この二%、目標として掲げることはいいと思うんですけれども、先ほどお話ししていらっしゃいますように、物価を上げること自体が最終的な目的ではなくて、やはり経済を安定した状況にするということ、それが金融政策の目的でもあると思うんです。その一つの指標として、まさに物価水準というのもあると思います。そこの最終的な目的のところと手段のところが混同しないようにしていただきたいということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。

 次に、今、日銀は長短金利を操作するということになってきたわけですけれども、長期金利については、従来日銀は、長期金利の操作は困難であって、むしろこれは市場メカニズムに任せた方がいい、そして、そこから市場参加者の予想等に関する情報を読み取れるようにすることがとても重要だと。今もまだホームページには、QアンドAでそう載っているんです。

 でも、その考え方はもう変わって、今、日銀は、長期金利はコントロールできる、イールドカーブは日銀が決めることができる、そういうふうに考え方が、今のホームページとはごろっと百八十度変わったんです。

 皆さん方にも資料をお配りさせていただいていると思いますけれども、今、日銀の持っている国債の保有が、もう三分の一を日銀が保有している、これはどんどん割合がふえていっているわけです。

 こういう状況というのは、次の、市場の流動性とか機能度のデータをちょっと見ていただくとわかりますけれども、これは、投資家の国債取引高と回転率というのもどんどん取引がずっと低調に、日銀が大規模な買い入れするようになってから低調になってきていますし、債券市場に関する市場関係者の見方というところで見ると、機能していない、機能が低下していると考える人たちがどんどんとやはりふえてきているんですよ。

 こういういわば債券市場が事実上機能していない状況に陥っているがために、今コントロールできている、コントロールできるという立場に立った、考え方に変わったというふうに私は思っているんですけれども、そういう認識でよろしいですか。

黒田参考人 中央銀行は、伝統的に短期金利の操作を通じて金融政策を行ってきたということは事実でありまして、その場合も、例えばオーバーナイトのFF金利をコントロールすることによって、それ自体が米国の経済に大きな影響を与えるとか、あるいは、かつての日銀が公定歩合を操作することによってそれ自体が投資とか消費に大きな影響を与えるというよりも、そういった短期金利の動きが中長期金利に波及していって、それが設備投資とか消費にも影響を与える、あるいは住宅投資にも影響を与えるということであったわけです。

 リーマン・ショック後は、御案内のように、主要中央銀行は皆、長期国債、長期の債券を購入して、直接長期金利に影響を与えるということをやってきました。これは、短期金利がほとんどゼロに張りついているもとで、短期金利を大きくマイナスにするということは難しいということもあって、ほとんど全ての先進国の中央銀行が、長期国債などを大量に買い入れて長期金利に直接影響を与えるということをやってきて、それ自体は成功して、影響を与えて、それが経済の回復にプラスの影響をもたらしてきたということは事実だと思います。

 そういう意味では、特に一月のマイナス金利導入後、イールドカーブはかなり大きく下がったわけですが、そういう経験も通じて、量的・質的金融緩和とマイナス金利の組み合わせというのはイールドカーブに非常に大きな影響を与え得るということで、こういったイールドカーブ・コントロールといったものを打ち出したわけであります。

 そういう意味では、確かに従来の中央銀行の考え方とは違うことは事実ですが、二つの点、一つは、従来の中央銀行の短期金利操作も、あくまでも中長期の金利に影響を及ぼす、そういう意味では市場の動きに介入していたわけです。そういうことを通じて経済にプラスの影響を及ぼそうとしていた。

 現在、二〇〇八年のリーマン・ショック以降の中央銀行は、ゼロ金利制約のもとで、短期金利操作だけでは不十分だということで、大量の長期国債を購入することによって長期金利に直接的な影響を与えるということをしてきたということで、そういうことを踏まえてこういうことをやっているわけです。

 もちろん、政策金利のマイナス〇・一%のように、日本銀行がそこで決めればそうなるというものとは違いますので、十年物国債の金利をゼロ%程度ということをターゲットにして、長期国債の買い入れをしていくということでございます。

古川(元)委員 従前も長期金利に影響を与えていたと言いますけれども、日銀は今までなるだけ市場の自主性を尊重した方がいい、そして市場からの情報をやはり大事にするべきだ、重要だというふうに言っていたわけです。

 そういった意味では、今、マーケットが、債券市場がほとんど機能していないと言う人は多いんです、プロで。そういう中で、この長期金利のコントロールが、イールドカーブ・コントロールが行われて、こういうことが将来的な財政とか、本来はマーケットからいろいろなシグナルが来なければいけないのに、それが来ないがために財政がおかしくなるとか、そういうことにもやはりつながる、そういうリスクがあるということを指摘して、次の質問に行きたいと思っています。

 きのうレクに来たときに、日銀の方に、先日、財務省の方の出した資料の中に、国債金利が一%変動すると対GDP比で国債は一三・五%の変動が起きる、そういう資料がありましたのでお示しさせていただきました。

 では、日銀の場合だとどれだけの含み損というか、時価が減少することになるんだということを計算してもらいましたら、九月末時点で長期国債の保有残高は三百四十・九兆円、金利が一%上昇したときには二十三・八兆円時価が減少する、そういう御回答をいただきました。

 先ほどの質問の中でもあったようですけれども、日銀の一五年度決算で引当金を四千五百億円計上して、将来の損失に備えた引当金が今二兆七千億円余りになっています。これに法定準備金等も含めた日銀の自己資本は、ことしの三月末で七兆四千三百四十六億円ということだそうでありますけれども、金利が一%上昇しただけで二十三・八兆円も含み損を抱える、そういう現実を見ますと、引き当てをこれくらいしていても全く足りないんじゃないですか。

 実際にはそれは評価損はわかっていますよ。日銀はそもそもそういう意味で別に見直しをしなくてもいいとわかっていますが、しかし、マーケットは当然見るんですから、そういう金利が上がったら、これだけしか引き当てしていなければ、これはもう事実上日銀は債務超過の状況だというふうに見られて、これは円に対する信頼、そういうものが失われる、そういうリスクがあるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

黒田参考人 まず、日本銀行では国債の評価法については償却原価法を採用しておりまして、金利が上昇したとしても、決算上の期間損益において評価損失が計上されることはありません。それから、そもそも、こういった評価損失云々によって中央銀行の信認が損なわれるというようなことはないと思います。

 基本的に、通貨の信認が失われるときというのは、ハイパーインフレになったときなんですね。ハイパーインフレになりますと、通貨、現金を持ちたくなくなるわけですので、その結果、中央銀行の信認も失われますし、通貨の信認も失われるということになりかねないわけですけれども、私どもは二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということであって、これは、ハイパーインフレなどということを容認するというものでは全くありません。

 したがいまして、日本銀行の債務について、当然のことながら、十分留意するということは必要であると思いますし、引当金制度も拡充したということも、収益の平準化を図っているわけでありますけれども、基本的に、御指摘のような一%のパラレルシフト、これ自体が、そういうものが一気に起こってという事態、一種の仮定的な計算だと思いますけれども、その上に、そもそも評価方法について償却原価法をとっているということ、それから、中央銀行には継続的に通貨発行益が発生するということで、信認が毀損されることはないと思っております。

 通貨の信認が毀損されるのは、あくまでもやはりハイパーインフレになったとき、それは決して容認しないということであります。

古川(元)委員 ハイパーインフレというのは、別に容認しなくたって、起きてしまうときは起きてしまうんだと思うんです。そういう問題だと思うんです。

 時間がなくなりましたから最後の御質問にしますけれども、総裁、今やっていることは、さっき、オーバーシュートコミットメントもほかの国はやったことがないと。今日銀がやっていることは、多分、世界じゅうの経済学者やあるいは中央銀行も、日本のような巨大な経済規模のところがこんな壮大な社会実験をやっているというのは、興味津々で見ていると思いますよ。

 私も、伴野さんがおっしゃったように、これはハッピーエンド、いい話で終わればいいですけれども、しかし、万々が一、うまくない方向に行ってしまったら、当初は黒田さんも、最初、こういう状況というのは想定を余りしていなかったというふうにおっしゃいましたけれども、二年で二%と言っていたときは短期決戦で終わらせるつもりでいらっしゃったと思うんです。最初から、自分の任期を超えてまでずっとやる、そしてまた、最初の異次元の金融緩和からマイナス金利とかどんどん次々に進むなんてことは想定をしていなかった。こういう持久戦になってしまったということは多分図らずもだと思いますが、しかし、そういう状況をつくっているわけです。

 将来、万が一、本当にハッピーエンドでない状況になったときには、この責任は一体誰がとるのかというか、そのときの場合の責任はどういうふうに黒田さん自身考えていますか。よくなればそれはいいですよ。もちろんそれは功績です。しかし、万が一、この壮大な社会実験が失敗に終わるようなことが来てしまった場合には、そのときの責任はどのように考えていますか。

黒田参考人 私どもは、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するということに向かって、積極的な金融緩和を進めております。

 現状で、最新の展望レポートでは、二%に達する時期として、二〇一八年度ころというふうに見通しを立てているわけですが、もちろん経済の動向いかんによっては、さらなる追加緩和が必要になるかもしれませんし、逆に、もっと早く実現するということであれば、そちらの方向に金融政策を調整するかもしれません。

 いずれにいたしましても、量的・質的金融緩和にしてもマイナス金利にしても、実は量的緩和は、御承知のように日本銀行がたしか二〇〇〇年代の初めに最初にやって、QEという言葉自体が、日本の量的緩和をまねした欧米がいわば使っている言葉であります。マイナス金利は欧州の中央銀行が先に始めたことであります。

 したがいまして、日本銀行がやっていることは、常に世界の中央銀行がやっていないことをやっているということではないと思いますけれども、いずれにせよ、経済、物価、金融情勢に応じて最適な政策をとるということでありまして、それによって、先ほど申し上げたような、通貨の信認が失われるとかハイパーインフレになるということは全くないというふうに確信をいたしております。

古川(元)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、また別の機会に議論させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず最初に、昨日の金融政策決定会合に関して質問をいたします。

 物価上昇率二%の目標達成時期の見通しを、二〇一七年度中から一八年度ごろに先送りをいたしました。これまで、原油価格の下落とか消費税増税の影響など外的要因に責任を求めてまいりましたけれども、これは、そもそも日本銀行が物価上昇率というものを目標にしたことに問題があったのではないかと私は思いますけれども、総裁はいかがでございましょうか。

黒田参考人 これは、日本銀行を含めて世界の中央銀行は全て物価の安定ということを最大の目標、目的にしておりまして、具体的には、先進国の中央銀行はほとんど、二%という物価安定目標を掲げて金融政策を運営しております。

 日本銀行の場合も、日本銀行法自体で、物価の安定ということを金融の安定と並んで重要な目的、目標というふうにしておりまして、そのもとで物価安定目標を具体的に二%に定め、それをできるだけ早期に実現するということを決定し、それを実行しているということでありまして、物価上昇率を政策目標に掲げたこと自体に問題があるということはないと思っております。

宮本(岳)委員 物価や金融の安定、それは大事なことでしょう。しかし、物価上昇率二%というものを掲げて異次元緩和方針を進める、私は、そのこと自身の失敗が明らかになったと思うんです。しかも、その失敗は、今現在の日本銀行は、財政ファイナンスをしているのではないかと言われても仕方がないところまで事態を深刻化させていると思います。

 黒田総裁は就任直後に、量的・質的金融緩和、いわゆる異次元緩和を決定してから、常に、財政ファイナンスではないと説明をされてまいりました。

 そこで改めて聞くんですけれども、黒田総裁が言う財政ファイナンスというのはどういう事態のことを意味し、何が判断基準となるのか、日銀の金融緩和が財政ファイナンスではないと言い切るその理由を説明していただけますか。

黒田参考人 この財政ファイナンスという言葉はさまざまな文脈で使われておりますけれども、通常は、中央銀行が通貨発行権を利用して、政府の資金調達を助ける目的で国債の引き受けなどを行うということを意味していると理解しております。

 このような財政ファイナンスを行わないということは、日本銀行を含めて、世界の中央銀行で一致した考えであるというふうに思います。

宮本(岳)委員 総裁は読売国際経済懇話会の講演で、二〇一三年四月十二日、今のお話にもあるような、金融政策上の目的で日本銀行自身の判断で行うものだから財政ファイナンスではない、こうおっしゃっているわけですけれども、改めて、つまりそれは、一つは、自身の判断で行っているかどうか、二つは、金融政策上の目的として購入しているかどうか、これが重要な判断基準である、こう受けとめてよろしいでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおりでありまして、中央銀行が通貨発行権を利用して、政府の資金調達を助ける目的で国債の引き受けなどを行うことが財政ファイナンスということでありますので、当然のことながら、日本銀行があくまでも二%の物価安定の目標の実現という金融政策上の目的のために実施している国債の買い入れといった政策は、財政ファイナンスには当たらないというふうに思っております。

宮本(岳)委員 日本銀行自身の判断かどうか、これは極めて主観的な問題なんです。なぜなら、他の審議委員同様に日本銀行総裁は国会の同意人事でありまして、提案するのは時の政権であります。政権の意を酌む方が総裁となり、あうんの呼吸で国債買い入れをふやした場合に、自身の判断かどうかは余り意味を持ちません。このようなケースでは、決定会合の議事録を見たところで、日銀自身の判断かどうかを確認するすべはないんです。

 日本銀行が自身の判断で決めたと幾ら主張しても、内外の投資家が日本銀行自身の判断ではないと判断し、一たび財政ファイナンスだとみなせば、大変な事態が起こることになります。

 つまり、内外の投資家にどう見られるかが大事なのではありませんか。

黒田参考人 諸外国の中央銀行も含めまして中央銀行が財政ファイナンスはしないというのは、先ほど来申し上げているようなことでありまして、日本銀行が現在行っている長期国債の買い入れというものも、金融政策上の目的のために行っているわけでありまして、財政ファイナンスではないということであります。

 他方で、マーケットでどういうふうに思われるかという話はまた別な話でありますけれども、この点につきましては、各国の中央銀行は常に、金融政策の目的のために行っているということを明確にしております。

 他方で、我が国においてそういった懸念を惹起させないためにも、政府が中長期的な財政健全化について市場の信認をしっかりと確保するということは確かに重要だと思いますが、我が国において日本銀行が何か財政ファイナンスをしているということは全くございません。

宮本(岳)委員 外国の例も含めて、財政ファイナンスをしない、それは大原則で、そう中央銀行自身が述べていることはわかっているんです。しかし、その基準、それがどう見られるかということがまさに問題だと。

 一般に財政ファイナンスの基準として、中央銀行が国債を政府から直接購入しているかどうか、市場を通じて購入しているか、あるいは、日銀が保有する国債の量や保有割合等々が客観的な基準というふうに私は思うんですけれども、総裁は余りそういうことは関係ないとお考えですか。

黒田参考人 日本銀行も含めまして中央銀行が政府の国債を直接引き受けるといったことは、財政ファイナンスと見られますので、そういうことは行わないということであります。

 他方で、各国の中央銀行も、日本銀行もそうでございますけれども、市場から長期国債を買い入れて保有しているということについて、その保有割合とか金額について制限があるわけではありませんし、また、そういったもの自体が財政ファイナンスかどうかを判断するものになるとは思っておりません。

宮本(岳)委員 否定をされましたね。制限もないというふうに今お話がございました。

 改めて、少しその財政ファイナンスの原点を確認したいんですが、日銀のホームページに「教えて!にちぎん」というQアンドAが掲載されております。日本銀行が国債の引き受け、つまり、財政ファイナンスを行わないのはなぜですかという質問に対して、これは理事でいいですけれども、どう回答しておりますか。

雨宮参考人 御指摘のございました私どものホームページの中の「日本銀行が国債の引受けを行わないのはなぜですか?」という問いに対する答えでございますけれども、読み上げますと、

 これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央銀行通貨の増発に歯止めが掛からなくなり、悪性のインフレーションを引き起こすおそれがあるからです。そうなると、その国の通貨や経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているのもこのためです。

以上でございます。

宮本(岳)委員 つまり、財政ファイナンスで政府の財政節度が失われ、悪性のインフレーションを引き起こすことを防ぐというのが目的なんです。

 財政ファイナンスを防ぐとの視点で見れば、中央銀行の金融政策により政府の財政規律を失わせていないかどうか、これが非常に重要なポイントになるのではありませんか。

黒田参考人 中央銀行が政府の財政運営を助ける目的で国債引き受けなどを行うようになりますと、財政節度を失わせて、インフレ率の上昇にも歯どめがかからなくなるリスクがあるわけであります。

 それに対して日本銀行の国債買い入れは、二%の物価安定の目標の実現という金融政策上の目的のために実施しているものでありまして、こうした状況とは全く性格が異なるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 安倍首相はさきの参議院選挙の自民党の選挙公約において、ゼロ金利を活用し、財投により、今後五年間で三十兆円を目途に事業規模を確保すると公約をいたしました。その結果、二次補正では、リニア中央新幹線を初めとする公共事業に対して財投の活用を決め、約三兆円の財投債が追加発行されることになりました。

 黒田総裁は、この政府の対策について、政府の財政節度が緩んだと思いませんか。

黒田参考人 財政政策は、もちろん、政府、国会の責任において行われるものであります。

 その上で申し上げますと、日本銀行が二%の物価安定の目標の実現のために、緩和的な金融環境を整えるもとで政府が積極的な財政支出を実施すれば、両者がいわば相乗的な効果をもたらすことになるということで、これは通常ポリシーミックスと呼ばれておりまして、企業や家計の経済活動を刺激し、雇用・所得環境を改善する上で有効なマクロ経済政策であるというふうに考えられております。

 いずれにいたしましても、財政政策は政府、国会の責任において行われるものであるというふうに考えております。

宮本(岳)委員 先ほどの公約では、このゼロ金利を活用した財投での投資というものを、超低金利活用型財政投融資と名前までつけているんです。

 二〇一三年四月に異次元の金融緩和を導入して以来、国債全体の利回りが低下しております。日本銀行は先月の金融政策決定会合で検討された総括的な検証の中で、異次元の金融緩和政策やマイナス金利政策の効果により国債金利及び貸出・社債金利の低下が起こったと述べておられます。

 つまり、安倍政権、自民党が掲げるこの超低金利活用型財政投融資というものの前提となる低金利環境は、アベノミクスの第一の矢である日銀の金融政策によってもたらされたというのが政府及び日銀の見解ではありませんか。

黒田参考人 金利を引き下げて、これによって経済を刺激するというのが金融緩和の本質でありまして、そういう意味では、もちろん、名目金利を引き下げ、そして、物価上昇期待を引き上げて実質金利を引き下げる、これが経済に対するプラスの効果をもたらすということが、まさに、日本のみならず、全世界の金融緩和政策の本質であるというふうに思っております。

宮本(岳)委員 アベノミクスの第一の矢で異次元の金融緩和を日本銀行が行う、国債の金利全体を引き下げる、超長期の財投債という国債を大量に発行し、その財源で公共事業を三十兆円もふやす。決して日銀の金融政策がそれを意図したものではない、そうおっしゃるでしょうけれども、日本銀行の金融政策なしにはこれはやれなかったことであります。

 こういうことをやっていると、内外の投資家からいずれ、財政節度を失っているのではないか、こう見られて、日銀引き受け、つまり財政ファイナンスとみなされても仕方がなくなるのではありませんか。

黒田参考人 この点につきましては、先ほど来繰り返して申し上げておりますとおり、現在の日本銀行の金融緩和政策の一環として、二%の物価目標をできるだけ早期に実現するために国債を市場から買い入れているというのは、これはあくまでも物価安定目標を実現するための金融政策として行っているわけであります。

 そうしたもとで、金利が低下しているということは事実ですから、そのもとで財政政策を行って、それが相乗効果を持つということは、これはポリシーミックスとして通常知られていることであります。

 その上で、先ほど来申し上げておりますとおり、国債の信認を確保するということは政府自身にとって重要なことでありまして、その意味で、政府は中期的な財政の健全化の目標というのを掲げておられまして、二〇一五年度で、ちょうど中間の目標、プライマリーバランスの赤字を半減するということをほぼ達成しておるわけでありまして、次の目標は二〇二〇年度までにプライマリーバランスの赤字を解消するということでありまして、それは、現在、政府の課題となっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、財政政策については、まさに、政府、国会において議論をされ、それに基づいて政府が実施していく。その際には、当然のことながら、財政の持続可能性、これを確保することは、国債の信認を確保する上でも非常に重要であるというふうに思っております。

宮本(岳)委員 相乗効果ということもおっしゃるわけでありますけれども、実際、金利低下のもと、ゼロ金利環境のもとで今やられようとしていることはどのようなものか。

 私、昨日も委員会で取り上げましたけれども、財投の活用第一弾でもあるリニア中央新幹線は、事業そのものの収益性や将来需要などをとても精査したとは言いがたい事業であります。政府の財政が厳しい中で、長期国債残高の対象から外れる財投債を追加発行して財源を集め、鉄道・運輸機構を通じてJR東海のリニア中央新幹線事業に三兆円もの財投資金を、厳密な精査もなしに、超長期、低利、固定の超優遇条件で貸し付ける、こういうことなんです。これをまさに参議院選挙政策では、三十兆円まで膨らまそうという話になってきているわけです。

 一例でありますけれども、東京都下のモノレール建設の促進協議会の総会で、ある与党衆議院議員は、政府は二十八兆円の景気対策を立ち上げた、そこではリニアに財投を投入することになっている、モノレールは銀行借り入れで利子がばか高い、財投は格段に安い、モノレールにこそ財投が使えないかと発言した、そういうふうにも聞いております。

 このように、どんどんスキームを緩めて拡大させていったら、またぞろ、財投改革で否定した第二の予算が復活し、国の財政が悪化し、再度、国民に莫大な借金を肩がわりさせ、ひいては悪性インフレーションを引き起こす懸念さえ高まるというふうに私は思いますけれども、これはゆゆしき事態だと総裁はお感じになりませんか。

黒田参考人 財投政策も含めまして、財政政策につきまして具体的に私から申し上げることは適切でないと思いますが、これは、いずれにせよ、あくまでも政府、国会の責任において行われるものであるというふうに認識をしております。

 その上で、先ほど来申し上げているとおり、国債に対する信認を引き続き確保していくためにも、財政の持続可能性を確保する、健全性を高めるということは非常に重要である。それに沿ってこれまでのところ、政府は財政の健全化を進めてきているわけですけれども、二〇二〇年の目標はまだ先でありますので、引き続き、そういった目標に向けてしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思っております。

宮本(岳)委員 では次に、ETFの購入についてお伺いしたいと思うんです。

 二〇一三年四月に量的・質的金融緩和を導入するときに、ETF、指数連動型上場投資信託と、J―REIT、不動産投資信託の保有残高をそれぞれ、年間約一兆円、年間約三百億円のペースで増加するよう買い入れを行うことを決定いたしました。その理由について、資産価格のプレミアムに働きかける観点と日銀は説明をしておられます。

 基本的なことを聞きたいんですけれども、この資産価格のプレミアムに働きかける観点というのはどういう意味ですか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 プレミアムとは何かという御質問でございますが、ETFあるいはJ―REIT、こうした株価、資産価格の価格は、基本的には、株であれば先行きの企業収益、あるいは一般的な資産であれば、その資産を利用することによって将来得られる収益や経済に対する見方によって決まる部分が基本にあるわけでございますが、それ以外に、そうした経済や企業収益の先行きに対する不確実性ですとかリスクにも影響されるわけでございます。こういう不確実性ですとかリスクが強く意識されると、その分価格は低下するということになるわけでございまして、これが一般的にリスクプレミアムと呼ばれている部分でございます。

 日本銀行がETFやJ―REITを買い入れることによって、市場に言ってみれば安心感を与えるということを通じて、こうしたリスクに対応する部分、リスクプレミアムが拡大するのを食いとめる、あるいは縮小することを狙っているということでございます。

宮本(岳)委員 なかなか一般の人にわかりにくい話なんですけれども、黒田総裁は、二〇一三年の四月十二日、読売国際経済懇話会、先ほどの話でありますけれども、そこで、「長期国債やETFやJ―REITの買入れは、長めの金利の低下を促し、資産価格のプレミアムに働きかける効果を持ちます。これが、資金調達コストの低下を通じて、企業などの資金需要を喚起すると考えられます。」と説明をされました。

 つまり、ETFで考えた場合、これは、日銀の買い入れにより株価が上がり、企業の資金調達コストが低下する、こういう意味でございますか。

黒田参考人 先ほど雨宮理事から御説明しましたように、ETFの買い入れによって資産価格のプレミアムに働きかけるということであります。具体的に何か特定の株価水準を念頭に置いたり、そうした水準を実現するために実施しているわけではありません。

 もちろん、リスクプレミアムの拡大を防ぐ、あるいはリスクプレミアムを縮小させるということを通じて株価にも影響があるとは思いますけれども、全体としてリスクプレミアムが縮小すれば、企業の株式による資金調達も容易になるということでありまして、あくまでも、資産価格のリスクプレミアム、これに働きかけるということが政策の狙い、それを通じて企業の資金調達をより容易にするということであります。

宮本(岳)委員 私、幾らその説明を聞いても、どう考えても、株価を引き上げる、あるいは、株の下げ圧力を買い入れで緩和するというふうにしか聞こえないわけです。

 また、日銀の中曽副総裁はこの間の講演で、年間約六兆円というETF購入の規模について、「この規模は、アベノミクス開始から最初の三年間で、外国の投資家が株を買い越した金額が約十六兆円であったことを考えても、きわめて大きなもの」と述べておられます。これはどういう意味ですか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 この間、外国の投資家の買い越し額は、この中曽副総裁の講演で申し上げているとおり、三年間で約十六兆円だったわけでございまして、これに対しまして日本銀行の一年間で約六兆円という買い入れペースは、かなり大きなものであるという評価を申し上げたものというふうに理解してございます。

宮本(岳)委員 現在の実は日銀のETFの保有額、十兆円なんです。そこに六兆円買い足しますとちょうど十六兆円になりまして、先ほどの三年間の十六兆円とほとんど同じ規模になるんです。

 ですから、実は今はもう外国の投資家は、株を買い越してきたのが引いていっているわけでありまして、その点では、どう考えてもその分を日銀が買い支えるというふうにしか私は考えられません。

 このETFの買い入れを行う、六兆円に引き上げる本年七月の政策決定会合で、二名の審議委員がこれに反対を表明されました。その理由です、御紹介いただけますか。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 このとき、佐藤委員、木内委員の二名の委員が反対をいたしました。反対理由でございますが、佐藤委員は、「約六兆円の買入れは、市場の価格形成や日本銀行の財務健全性に及ぼす悪影響などを踏まえると過大である」として反対いたしました。木内委員は、「財務健全性への影響のほか、株式市場のボラティリティを高める、株価を目標にしているとの誤ったメッセージになる等」として反対いたしました。

宮本(岳)委員 佐藤委員もその意見の中で、市場の価格形成をゆがめる、また木内委員も、市場をゆがめ、ボラティリティーの上昇につながる、こういう指摘をされておられます。つまり、反対理由の一つが、市場の価格形成機能をゆがめるというものでありました。

 黒田総裁は、ETFの買い入れは市場の価格形成機能に影響を与えない、こう考えておられますか。また、そう考えておられるならば、その理由を説明していただけますか。

黒田参考人 日本銀行によるETFの買い入れ、これは、先ほど申し上げたとおり、特定の株価水準を念頭に置いて、そうした水準を実現するために実施しているわけではありません。もとより、日本銀行によるETFの買い入れが株価の上昇に寄与することにはなろうかと思いますけれども、これはあくまでも資産価格のプレミアムに働きかけるということを通じてでありまして、私を含む多くの政策委員会メンバーは、これが市場の価格形成に悪影響を及ぼすというふうには考えておりません。

 なお、日本のみならず、欧米もそうでございますけれども、金融を大幅に緩和するという中では、貸出金利が低下するということもありましょうし、それだけでなく、いわゆるポートフォリオリバランスという形で、投資家が確定利付の金融資産から株式あるいはREITその他にシフトしていくというポートフォリオリバランスもあり得るわけでありまして、そういうことを通じて資産価格が上昇しますと、企業にとっては資金調達がより容易になる、あるいはビジネスチャンスが生まれるということがありまして、金融政策全体として、そもそも、金利の低下を促し、資産価格の上昇を通じて、金利の低下のみならず、資産価格の上昇ということも金融緩和の一つの経路である。それはポートフォリオリバランスという形で起こっている。

 ETFの買い入れについては、リスクプレミアム自身が不確実性とかリスクによって大きくなり過ぎているものを縮小する、そこに働きかけるということであります。

宮本(岳)委員 一般論ですけれども、株式市場の中でETFの比重が高まれば、市場の価格形成機能が低下すると私は思います。

 例えば、日経二二五の銘柄に選ばれた企業であっても、全ての企業が一律に営業実績を改善させたり悪化させたりするわけではありません。企業個々の事情が反映されてこそ、市場の株価が形成されるんだと思うんです。しかし、ETFの比重が高まり、買い入れだけが行われれば、日経二二五の銘柄企業は、業績が悪化した企業も株式の買い取引が行われ、上昇圧力がかかってきます。

 このようなメカニズムで市場の価格形成機能を低下させるということになるのではありませんか。

黒田参考人 そもそもこのETFというのは、個々の株式を中央銀行がいわば評価して買うということは市場に対して過度な介入になるということを踏まえまして、ETFという形で、市場全体を代表するようなものを通じてリスクプレミアムを全般的に引き下げていくというような政策であります。

 したがいまして、リスクプレミアムの縮小ということが最も重要な政策効果でありまして、先ほど申し上げたように、ETFという形で個別の株式には介入しないということになっているわけです。

 その上にさらに、日本の株式市場の代表的な指標でありますTOPIX、あるいは日経二二五、JPX日経四〇〇といったものに連動するETFを買い入れているわけですが、九月の決定会合においてさらに、日本の株式市場全体を対象にしておりますTOPIXに連動するETFの買い入れのウエートを高めるなどしまして、市場への影響については十分点検しながら買い入れを行っております。

宮本(岳)委員 投資信託協会の統計を見ますと、本年九月末のETF総資産額は約十七兆円であります。同じ九月末の日銀のETF保有残高は九・八兆円、約十兆円ですから、発行総額に対して日銀は約六割のETFを保有しているということになります。私は、こういう買い入れが市場価格形成機能をゆがめる、明瞭だと言わなければならないと思います。

 昨日の記者会見でこのETFの買い増しについて、市場がゆがめられていることはないと総裁は否定をされました。本日の日経には「いつまで続く日銀相場」という記事が掲載されております。ある証券トレーダーによると、「日銀がETFを買う日中時間帯に日本株が上昇しやすい傾向を利用したもので、午前の早い時間帯に買って、午後の取引終了間際に決済してしまう。」という取引が注目されているというんです。試算では、「日本株を夜間帯まで持ち続けるより高い収益が得られる」そうであります。「日本株全体の売買が低調な中で、一度に七百億円程度を買う日銀の存在感が増している」との指摘であります。ニッセイ基礎研究所のアナリストは、「個別銘柄の価格形成にはゆがみが出ている」と指摘しております。総裁が幾ら否定しても、市場関係者は既に、ゆがみが出ている、こういう認識が広がっている証左だと思うんです。「日経平均は日銀の買いによって一〇〇〇〜二〇〇〇円程度押し上げられている」と記事には書かれてありました。

 ゆがみがないと言うのであれば、具体的な検証をして、市場関係者や国民に説明するべきではありませんか。

黒田参考人 御案内のとおり、このETFといいますのは、運用の対象となる株式が存在すれば、新規に幾らでも組成することが可能なものであります。この点、例えばTOPIXに連動するETFは東証一部上場株式を運用の対象としておりますけれども、東証一部上場株式の時価総額は五百兆円程度であります。その意味では、今後日本銀行が買い入れを進めても、ETF市場における日本銀行のプレゼンスが大き過ぎるということはないと考えております。

 なお、個別の銘柄に対する介入は避けるために、ETFという形で、いわば市場全体を対象とした形で資産価格のプレミアムに働きかけているわけでありまして、そういう意味では、市場の価格形成をゆがめているということはないと思います。

 ただ、金融政策自体がそもそも、金融緩和によって金利を下げる、あるいは、そういうもとでポートフォリオリバランスが起こって資産価格が変わるということは、全世界どの国の金融政策であっても全く同じでありまして、それは、まさに経済にプラスの影響を与えるために実質金利を下げ、金融資産の価格を上げるということを通じて経済にプラスの影響を及ぼそうとしているわけでありまして、そういう意味では、中央銀行がなくて金融政策がないときと違うではないかということはそのとおりなんですけれども、まさにそういう形で経済にプラスの影響を及ぼそうとしている。

 その中で、個別の銘柄であるとか個別の株式に介入しないような形で、市場にゆがみを生じないような形で金融緩和を行っているということはぜひ御理解いただきたいと思います。

宮本(岳)委員 現在、日銀の所有するETF総額は約十兆円です。このまま買い入れが続けば、一年後には十六兆円、総裁の任期が切れるころには約二十兆円に膨らむことになります。それは、間接的な企業支配を強化することになり、企業の実績とは関係なく大株主が株式を購入し続けて、株価を高めることになるでしょう。

 市場の価格形成機能を崩壊させかねないETFの大量買い入れはやめるべきだとはっきり指摘をして、私の質問を終わります。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 昼過ぎぐらいも見たなと思われる方もいらっしゃるかもしませんが、同一人物でございまして、申しわけございません。我が会派はこの委員会では一人でございますので、私からも引き続き総裁に質問させていただきたいというふうに思います。

 その同一の私丸山が先ほど最後に質問させていただいたのは、総裁は今回五回目のインフレターゲット目標の達成時期を延期されたということです。それについて理由をお伺いしました。

 重ねて、これはやはり五回も延期しちゃうと、どうしても、インフレ期待を今呼びかけようとしているのに、笛吹けど踊らずという例えをしましたけれども、どんどん日銀総裁が言うことが、もしくは日銀が発表することが、ああまた言っているよになってしまえば、インフレ期待を高めていこうという意味でもすごくマイナスだと思うんです。そういった意味で、御説明をきっちりしていただきたいというのは思うところです。

 実は総裁は、決定会合の前のこの財務金融委員会でも延期の話を示唆されていまして、ここのところ、市場との対話だとか、我々議員側も含めて、非常に丁寧に御説明をしていただく方向になっているなと思いまして、それは大変すばらしい方向だと思うのでしっかりお願いしたいと思いますが、そういった意味で、責任といってもどういうことだというのを言いたいのではなくて、きちんと御説明をしていただきたいということです。

 そういった意味で、今回、総裁が二〇一八年度中に先送りされていますけれども、この理由を今回の展望レポートも含めまして述べられております。一つは、先ほどもおっしゃいました、今後の油価の上昇が見込めるだろうということ。そして、政府の経済対策の後押しがあるだろうという点。これも先ほどの質疑で言いましたけれども、私は、いや、もっとやっていただかないと無理なんじゃないですかという立場ですが、それも挙げられていました。三番目に、人材不足による賃金の上昇等、今後賃金の上昇を見込める。

 その三点から、この目標の達成に向けて一八年中までにいけるという認識でおっしゃっているというふうに理解しているんですが、主にその三点が、この一八年に達成できるという理由でよろしいんですか。

黒田参考人 御指摘のようなことを通じて実際の物価上昇率が徐々に上昇していく中で、物価上昇期待自身も二%に向けて上昇していくだろう、それらが相まって、二%の物価安定目標に向けて物価上昇率が上昇していくというふうに考えております。

丸山委員 インフレ期待に応えるためにも、それぞれ細かくお伺いしていきたいんですけれども、まず一つ目の油価の上昇の話です。この委員会でも、先ほど来、総裁が何度かこの油価については言及されております。今、一バレル五十ドルぐらいまで確かに上昇しておりまして、一時期、夏ぐらいに下がったんですが、また戻している感があります。上昇傾向にあるのは確かだと思います。

 特に、十一月に産油国の会議があるということなので、そこをにらんで油価というのはいくと思うんですけれども、総裁に何をお伺いしたいかというと、油価がOPECの会議も含めてどういう推移でいくのかということを、上がっていくだろうではさすがにあれなので、もう少し、どれぐらいまでの見込み、難しいんですけれども、具体的に、少し詳し目にお聞きしたくて。

 というのは、何を心配しているかといいますと、今、アメリカの景気が悪くないので、そういった意味では利上げの観測も上がっています、年内にあるんじゃないかと言われていて、原油のコモディティーはドル建てですので、そういった意味では、利上げがされてドルが上がれば、直、割高感につながっていくと思うんです。

 そういった意味で、原油に対してもいろいろな価格の下降圧力は存在すると思っていて、そういった意味で、一概に上がっていくだろうと楽観的には言えないなと思っているんですけれども、聞き方が難しいので逆にお聞きしたいのは、逆に下降リスクも存在すると思うんですが、それについてどのような認識をされているのか、お伺いできますでしょうか。

黒田参考人 原油価格、ドバイの指数でいいますと、一昨年の夏まではたしか一バレル百ドル超あったわけですが、そこから落ちまして、本年初には二十ドル台前半まで大きく下落したわけですけれども、御指摘のように、足元にかけては持ち直してきておりまして、このところ四十ドル台の半ばで推移をしております。

 先行きにつきましては、IMFも同様でありますけれども、独自の石油価格あるいは原油価格の見通しをつくるというよりも、原油の先物市場の価格を見まして、それを活用して見通しの前提にするという形になっております。

 具体的に申し上げますと、今回の展望レポートで経済、物価の先行き見通しを作成するに当たっては、作業の前提としてこういった先物市場の価格を使っておりまして、二〇一八年度には五十ドル台後半に達するということを見通しの前提にしております。

 ただ、御案内のとおり、原油価格はさまざまな要因によって変動するものでありまして、御指摘のようなOPECの減産合意、その国別の割り当て等について今議論がされていると思いますけれども、そういったことも影響するでしょうし、あるいは、御指摘のようなドルの相場というものも、石油、原油がドル建てで取引されているということもありまして影響するかもしれませんし、その他、米国等におけるシェールオイルの動向というのも影響するかもしれません。

 さまざまなものが影響すると思いますけれども、私どもとしては、そういったものをいわばマーケットで反映している原油の先物市場の価格を使用して、先ほど申し上げたような前提のもとに経済、物価の見通しをつくっているということでございます。

丸山委員 今のお言葉でしたら、一八年度中に五十ドル台後半というのが一つの目安であって、それより低ければこの目標も低くなるかもしれないというのが一つの外部要因として考えられるということでございます。

 次に、二つ目に挙げられた、政府の経済対策を非常に、ことしの中ごろぐらいは総裁が積極的に政府の経済政策について、言及まではいかないまでもいろいろ話をされて、言及ですかね、言及されているということでございますが、これは総裁としてはどういう、もちろん、役割が違いますので、最終決定はもちろん、財政政策であれば財務大臣や総務大臣、総理大臣、そして全体の経済政策は総理大臣でしょうけれども、しかして、一方で、金融政策を担当されている日銀としての期待だとかいうものもあると思うんですけれども、今、目標達成に向けた要因の一つとして挙げられている政府の経済対策というのはどういったものを期待されているのか、お伺いできますか。

黒田参考人 昨日公表いたしました展望レポートの成長率の見通しにつきましては、二〇一六年度が一%、二〇一七年度が一・三%、そして二〇一八年度が〇・九%という見通しになっておりますが、これは一定の仮定を置いているわけでして、まず、先日国会において承認されました第二次補正、あるいはその前の第一次補正も含めて、この補正の歳出等の効果が今年度の後半から特に来年度において大きく影響してくると思います。

 それから、来年度の予算というのは私どもわかりませんので、一定の前提を、仮定を置いて、先ほど申し上げたような成長率見通しをしているわけですが、明らかにことしから来年にかけて成長率が加速するということの背景には、特に大きな二次補正の効果が来年度を中心に大きく出てくるということは織り込んで、見通しをつくっております。

 なお、内閣府が年央見通しとして出された来年度の見通しが一・二%というのは、たしかあれはこの二次補正の効果を含んでいないと思いますので、それを含んだところでの見通しというのは、恐らく年末に来年の経済見通しをつくられるときに、この補正も、それから来年度の財政も含めたところで見通しをつくられるんだと思いますが、そうなると、あるいは私どもの考えている一・三よりも高いかもしれません。

 いずれにいたしましても、私どもとしては、既に決まった二次補正は考慮しておりますし、来年の財政についても一定の機械的な前提を置いて計算をしております。その結果として、先ほど申し上げたような形になっておりますが、実際の来年度予算等々はまだわかりませんので、あるいは動くかもしれませんが、少なくとも二次補正については、私どものわかる限りは考慮しているということであります。

丸山委員 今回の二次補正についてはかなり影響を考慮しているということで、予想では一・三と書かれていると。内閣府は一・二だから、これが入っていないのは低いんじゃないかという話でしたけれども、でも、今の御言及だと、一・三より上もあり得るかもしれないという予測です。政府に期待しているのは、財政政策という意味で予算を触れましたので、財政政策をもう少し、要はブレーキではなくて、きっちり前に出してほしいということだと思います。

 そして、三点目に人手不足による賃金の上昇というのを挙げられていると思うんですけれども、この賃金上昇が、私、見通しが甘いんじゃないかなというのが率直に、これを見たときに最初思ったんです。

 というのは、今の企業の業績を見ていますと、円高傾向で、結構下向き、下降している、業績が悪化している企業さんもふえている中で、では、来年の春闘を中心に、果たして賃上げが総裁が思っていらっしゃるほど上がるかな、そんな物価の影響に直結するぐらい上がるような要因なのかなというのは非常に懸念をしておりまして、これは民進党さんも国会で何度も触れられていますように、総裁はいつも強調される。総理も強調されるんですけれども、失業率は確かに改善しているんですが、非正規雇用とかそういった部分での吸収を大きくされていまして、では実際に賃金が上がっているかといったら、残念ながら上がっていないわけですよ。

 昨今のそういう今申し上げたような企業業績を見ますと、決して明るいとは思えないんですけれども、それに伴って総裁が思われているほど上がるとは思えないんですが、これはどれぐらい、どういうイメージをしてこの賃金上昇と述べられているのか。そして、その見通しも含めてお伺いできますでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたような経済成長、あるいは物価に対する見通し、これは各政策委員会のメンバーがそれぞれ前提を置いてやっているわけであります。

 したがいまして、特に賃金について、どのような前提を置いてそれぞれの委員が経済見通しを出されているのかというのはつまびらかにはいたしませんけれども、御指摘のように、労働需給の引き締まり状況がずっと続いております。それから、企業収益も、ことしの前半の円高を反映して製造業等で若干下押し圧力があるようですけれども、依然として過去最高水準で推移していることは事実であります。

 そういった意味では、労働需給の引き締まり、それから企業収益の高さということからいいますと、もっと賃金が上がってもいいのではないかというふうに思われるわけであります。

 その場合に、御指摘のように、非正規の人の賃金は、最近の状況を見ますと、一%台後半から二%という上昇をしているわけですが、正規の人の賃金は、御承知のように春闘で、年一回の交渉で決まりますので、この点からいって、特に来春の賃金改定交渉に向けた動きというのに私どもとしては注目をしております。

 企業収益の状況、あるいは労働需給の引き締まりからいって、賃金はしっかり上昇していっておかしくない環境は整っているのではないかというふうに思っております。

丸山委員 来年の春闘に注目されているということですが、正直、どれも外部要因、三つとも非常に厳しいなというのが正直なところだと思います。

 そして、私は何も総裁が何もやっていないと申し上げているわけじゃなくて、かなり最大限できることをやられている。だからこそ、この第二次安倍内閣での前半の円安誘導と、そしてそれによる株価の上昇というのは、非常に経済にインパクトがあったし、意味のあったことだと思います。

 ただ、ではこれをどこまで続けるのかという部分と、そしてもう一つ、大事な目標を置かれているインフレターゲット二%を達成するのかという点の部分においては、正直総裁は、言い始めた手前、失敗でした、撤退ですというのは言いづらいかもしれませんが、失敗とは言いませんけれども、撤廃時期というのはすごく難しい、言及しづらいところだと思うんですけれども、私、これは前半の効果に比べて、今の苦しい見通しもお聞きしていて、春闘に期待する、まあ、期待するとまでは言っていないですね、春闘を注視しているということですけれども、そういう御発言も聞いていて、また先送りされないかなというのが正直心配になっています。

 そうした中で、いろいろなリスク、今総裁自身もおっしゃいました。そういった中で、海外に比べてもかなりリスクも上がっているとさらに思います。市場への資金投入量の議論も先ほどありましたけれども、GDP比でいったらもう日本は八割になっていまして、欧米を見ていますと二割程度ですから、はるかに資金を投入しているわけです。

 出口を考えていつも言われるのが、必ず金利が急上昇する可能性がある、それに備えてソフトランディングもしていかなければならないとも言われまして、どういうタイミングで出口戦略を考えていくのか、非常に市場も見ていますし、総裁としても、言い出しっぺというか、旗を上げたリーダーですから、この旗をどうやっておろすか、開戦したら終戦の戦略も立てた上でやっていかなきゃいけないので、それに今非常に苦慮されているというのは、横から見ていまして感じます。

 そういった意味で、この出口戦略、非常に大事になってくると思いますけれども、二%を達成するのが今回延期されたということは、一八年度中に二%に達成する。しかし、今までのお話では、達成したからといって直ちにこの二%のあれを解除するわけじゃないですよね。でも、二〇一九年にはすぐに、消費税の延期の話が今出ていて、この委員会でも先日、まだ参院は通っていませんが、衆議院は通りまして、一九年に上げるんだという話が出ています。また景気の波がやってきます。そして、二〇年、オリンピック景気でそこまで伸びていくというのを予想していますけれども、そして日銀も期待をされていると思いますが、しかし、オリンピックの後にはオリンピック後の不況というのがよくあることで、すごく波のある時期だと思うんです。

 一八年度中までに延期したがゆえに、出口戦略がすごく見えづらいし、非常に大事になってくると思うんですけれども、一八年度中というふうに達成して、その後の出口戦略についてどれぐらいの幅で考えられたのか。総裁、お答えいただけますか。

黒田参考人 二%に達する時期につきましては、委員の見通しを踏まえて、展望レポートにおいて二〇一八年度ころというふうに述べているわけであります。それとともに、いわゆるオーバーシュート型コミットメントのもとでは、二%を超えてもマネタリーベースの拡大は続くということでありまして、二%の上から物価安定目標にソフトランドしていくということを考えておりますので、当然、金融政策というのは緩和的な状況が続くということであります。

 具体的な出口戦略となりますと、御案内のとおり、米国の場合も欧州の場合も同じでございますけれども、拡大したバランスシートをどのように扱うかということと、政策金利をどのように動かしていくかということのこの二つに尽きるわけでありますが、それをどのように行っていくかということは、やはりそのときの経済、物価、そして金融情勢によって最も適切な方策をとっていくということになると思いますので、まだ二%に達していない時期に具体的なイメージとして出口戦略を申し上げるのは、やはり時期尚早であろうというふうに思っております。

 ただ、いわば頭の体操として我々の中でいろいろな議論をしていることは事実でありますが、それを申し上げるというのは、やはり、かえってマーケットに余計な変動を呼んでしまう。御案内のとおり、FRB自体も、出口戦略をかなり早くに説明して、そのもとでは、バランスシートを減らしていって、その後に金利を上げると言っていたわけですけれども、実際にやっていることは、バランスシートは減らさないで先に金利を上げていまして、前に言っていた出口戦略と全く逆になっているわけです。

 したがいまして、やはり、あくまでも出口に近づいたときに、出口戦略について具体的に市場の動向なども見ながらやっていくということになると思いますし、当然のことながら、長期金利がはねたりするようなことは避けなければならないし、避ける手だても十分あるというふうに思っております。

丸山委員 ということは、もちろん、いきなりやめましたではなくて、いわゆるソフトランディング的、段階的に、ある程度時間軸を持って、これはゼロ金利も含めて量的緩和は解除していくということでよろしいんですね。

黒田参考人 それも含めて、当然、そのときの経済、物価、金融情勢によると思いますけれども、御案内のとおり、米国は拡大したバランスシートを維持しておりますので、償還期の来た国債については、償還金をまた再投資して、ずっとバランスシートを維持しています。

 短期金利を上げるといいましても、これは、昨年の十二月にたしか二五ベーシスポイント上げただけでして、まだその二弾目の引き上げはしていなくて、仮に引き上げるとしても、非常に緩やかに徐々にやっていきますということは、はっきりFRBの議長も言われているわけです。

 それから、ECBにつきましても、ECBの場合は、かつての米国のQE1とかQE2と似て、一応スケジュールのタイムリミットは決まっているわけですけれども、当然のことながら、そこでいきなりやめるというようなことは全く考えていないということも言っておられますので、どういう形になるかはあくまでもそのときの経済、物価、金融情勢によりますけれども、通常考えて、いきなりぱっと打ち切るとか、何かマーケットに大きなショックを与えるようなことをわざわざするという必要はそもそもないのではないかと思います。

 ただ、そのときの経済、物価、金融情勢を見つつ、適切な出口を探っていくということになろうと思います。

丸山委員 今ECBと、また、アメリカの中央銀行のお話をされて、それを参考に見ながら、そのときの経済状況を慎重に見ながら判断されるけれども、徐々に、緩やかにという方向だということでお話しいただきました。

 最後に、時間になりましたのでお伺いしたいのは、となると、まだまだ達成までも長期化して、そしてその後も、ソフトランニングを狙うとある程度かかるわけで、すごく長期化するんですね。その中で、決定会合でもある委員が御指摘されたということですけれども、金融、銀行を含めて金融業界に対して、金融仲介機能に対してかなり悪影響があるんじゃないかという指摘、ごもっともだと思います。長期化すればするほど、余計になると思います。

 最後、これについて、対策も打たれていると思います、打たれているんですけれども、重ねて、長期化することに対してもどのようにお考えになるのかを含めてお聞きして、終わりたいと思います。

黒田参考人 これも先ほど少し申し上げましたけれども、金融仲介機能の動向というのは私どもとして常に把握をしております。これは、金融政策というものが金融市場を通じて実体経済に影響を与えるということですので、金融市場、金融機関がどのような金融仲介機能を果たすかということによりますので、当然、金融仲介機能への影響というのは十分考慮しながら金融緩和を進めていく。あるいは、出口においても当然、そういったことを考慮しながら、先ほど申し上げたように、経済、物価、金融状況を踏まえて、最も適切な出口を探っていくということになろうと思います。

丸山委員 しっかりやってください。

 時間が来ましたのでこれで終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

御法川委員長 次に、内閣提出、金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。金融担当大臣麻生太郎君。

    ―――――――――――――

 金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

麻生国務大臣 ただいま議題となりました金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するための金融機能の強化のための特別措置に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明させていただきます。

 金融資本市場をめぐる情勢の変化に対応して金融の機能の安定を確保するため、その目的に重要な役割を有する時限措置の延長を行うことが喫緊の課題となっております。このような状況を踏まえ、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明させていただきます。

 いずれも今年度末までの時限措置とされている以下の措置について、期限を五年間延長することといたしております。

 具体的には、第一に、金融機能強化法に基づく、金融機関等の資本の増強に関する措置、第二に、株式保有制限法に基づく、銀行等保有株式取得機構による銀行等からの株式等の買い取りに関する措置、第三に、保険業法に基づく、生命保険契約者保護機構に対する政府補助に関する措置などであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

御法川委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十四分散会


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