衆議院

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第4号 平成29年2月21日(火曜日)

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平成二十九年二月二十一日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 御法川信英君

   理事 井上 信治君 理事 土井  亨君

   理事 藤丸  敏君 理事 宮下 一郎君

   理事 山田 賢司君 理事 木内 孝胤君

   理事 伴野  豊君 理事 上田  勇君

      石崎  徹君    大岡 敏孝君

      大野敬太郎君    大見  正君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    神田 憲次君

      工藤 彰三君    坂井  学君

      笹川 博義君    助田 重義君

      鈴木 隼人君    田畑 裕明君

      竹本 直一君    武部  新君

      津島  淳君    中山 展宏君

      鳩山 二郎君    宗清 皇一君

      村井 英樹君    八木 哲也君

      山田 美樹君    青柳陽一郎君

      今井 雅人君    神山 洋介君

      重徳 和彦君    初鹿 明博君

      古川 元久君    古本伸一郎君

      前原 誠司君    伊藤  渉君

      浜地 雅一君    宮本 岳志君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      小泉 龍司君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       越智 隆雄君

   財務副大臣        木原  稔君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   総務大臣政務官      冨樫 博之君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        青柳 一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 鈴木 三男君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 池田 憲治君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    佐川 宣寿君

   政府参考人

   (国税庁次長)      飯塚  厚君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           橋本 泰宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           諏訪園健司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           石田  優君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           早川  治君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 平垣内久隆君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     神山 佐市君

  鬼木  誠君     田畑 裕明君

  斎藤 洋明君     鳩山 二郎君

  助田 重義君     八木 哲也君

  福田 達夫君     笹川 博義君

  鷲尾英一郎君     神山 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     大野敬太郎君

  笹川 博義君     武部  新君

  田畑 裕明君     鬼木  誠君

  鳩山 二郎君     工藤 彰三君

  八木 哲也君     助田 重義君

  神山 洋介君     初鹿 明博君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     斎藤 洋明君

  武部  新君     福田 達夫君

  初鹿 明博君     青柳陽一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青柳陽一郎君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

御法川委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣府地方創生推進事務局審議官青柳一郎君、警察庁長官官房審議官鈴木三男君、総務省大臣官房審議官池田憲治君、財務省主計局次長可部哲生君、主税局長星野次彦君、理財局長佐川宣寿君、国税庁次長飯塚厚君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長山下治君、高等教育局私学部長村田善則君、厚生労働省大臣官房審議官橋本泰宏君、大臣官房審議官森和彦君、大臣官房審議官谷内繁君、大臣官房審議官諏訪園健司君、国土交通省大臣官房審議官石田優君、大臣官房審議官早川治君、航空局次長平垣内久隆君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

御法川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

御法川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、税制改正ということで、まず初めに、個人所得税に関して、配偶者控除及び配偶者特別控除見直しについて御質問をさせていただきたいと思います。

 昨今の雇用・所得環境を見ますと、労働需給は着実な改善を続けていまして、雇用者所得も緩やかに増加している状況でございます。日銀の短観によりますと、雇用人員判断DIで見ました人手不足感も一段と強まっておりまして、先行きも、雇用者数は引き続き増加をし、労働需給は一段と引き締まっていくというふうに見られております。

 一般労働者の賃金については、企業収益の改善に加えて、予想物価上昇率の高まりが明確になるに従って伸びを高めていくと予想されております。パートの時間当たり名目賃金も、労働需給の引き締まりの明確化や最低賃金の引き上げに伴って、着実に上昇していくことが予想をされております。

 まさに、こうした雇用者所得増加の牽引役は雇用者数の増加、とりわけ女性雇用者の増加が挙げられるというふうに認識しております。女性の中でも、近年は共働き女性の増加が際立っており、年齢別に見ますと、特に二十五歳から三十四歳の層と四十五歳から五十四歳の層が際立っているということでございます。

 さまざまな複合的な要因があるというふうに思いますけれども、大きく二つに分けると、政府や企業が成長戦略の一環として進めてきた女性の労働参加促進策が奏功し、若年層を中心に働く意欲を持つ女性の労働参加が増加したという前向きな側面と、それから消費増税や年金支給額といった社会保障への不安などを背景に、老後、将来不安を強めた中高年女性たちが新たに労働市場に参入するといった、ある意味、後ろ向きな側面も双方が見られるかというふうに思っております。

 まさに、私の地元、静岡県の沼津、伊豆半島でございますけれども、建設業はもちろんなんですけれども、観光産業が基幹産業でございますので、人手不足が大変顕著になっている状況です。特に、観光産業はホテル、旅館が、近年本当に観光客が内外から大勢お越しいただいておりますので、大変な人手不足になっているんですけれども、ホテル、旅館業というのは女性の短時間パート雇用が大変多いんですね。そういう中で、部屋の余力はあるんですけれども、やはり人手不足のために宿泊をお断りしている、そういった機会損失も見られている、こういう状況でもございます。

 こうした中で、政府は育児・介護休業法を改正しまして、育児や介護を行う労働者が安心して働ける環境整備もしておりますし、子ども・子育て支援法の改正によって、事業所内保育所の整備の支援等も行っているわけでございますけれども、今回の税制改正においては、女性活躍推進の取り組みの一環として、配偶者控除に係る年収要件が百三万円から百五十万円に引き上げられるということでございます。いわゆる百三万円の壁を理由に就労調整を行っていたパート配偶者の労働時間はある程度増加することが期待されており、これは人手不足の解消に寄与できると私は認識しております。

 そこで、見直し案について、一定の効果がある反面、課題も出てくるわけでございまして、例えば社会保険料の負担が生じる百三十万の壁、これをどうしていくのか、それから企業の家族手当の支給基準のあり方をどうしていくのかといった課題をどのように解決していくのか、御所見をお伺いいたします。

馬場大臣政務官 お答えします。

 いわゆる百三十万円の壁の問題につきましては、人手不足が叫ばれる中で、働きたい人が働きやすい環境を整え、同時に、女性を初めとする短時間労働者の年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険の適用拡大を進めていくことが重要であると考えております。

 昨年十月から、大企業で働く短時間労働者を対象に被用者保険の適用拡大が始まって、既に二十万人を超える方に被用者保険が適用されております。さらに、昨年末に成立した年金改革法に基づいて、ことしの四月からは、労使の合意を前提に、中小企業等で働く短時間労働者にも適用拡大の道を開いたところであります。今後、適用拡大の施行状況、個人の就労実態や企業に与える影響等を見ながら、さらなる適用拡大について検討していきたいと存じます。

 また、配偶者の収入制限がある企業の配偶者手当につきましては、就業調整の大きな要因の一つと考えております。先ほど御心配のお話があったと思いますが、このため、一月二十五日の経済財政諮問会議におきまして、安倍総理からも企業の配偶者手当の見直しについて前向きな取り組みをお願いしたところであります。

 厚生労働省としても、企業の実情も踏まえ、労使の真摯な話し合いが行われるよう、全国の労働局を通じて、労使団体等へ働きかけてまいりたいと存じます。

勝俣委員 いずれにしましても、企業への働きかけというのは大変重要になってくると思いますので、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、積立NISAの創設について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 我が国の家計金融資産、個人の金融資産ですね、これが一千七百兆円を超えている、こういう状況でございます。その中で、その半数以上の約九百兆円は現預金で占めるということでございまして、まさに、我が国は間接金融の文化であるということの象徴であるかなというふうに私は思っております。この貯蓄から投資への流れをつくるという意味で、現行のNISAというものができたというふうに認識をしております。

 現状を見ますと、口座数が一千四十九万口座ということでございます。買い付け金額が約八・四兆円。この一千四十九万口座というのは、私は大変これは大きな数字なのかなというふうに認識をしているんですけれども、一方で、口座の稼働率を見ますと、稼働率は、実は半分に満たない状況です。四六・五%ということで、まだまだ十分ではないのかなというふうに感じております。

 欧米と比較して、先ほど申し上げましたように、やはり家計の金融資産に占める投資への割合というのが我が国は大変低い状況であります。その中で、今回の積立NISAの創設によって、やはり貯蓄から投資への流れが本当にできるのかどうか、具体的な方策をお伺いしたいと思います。

越智副大臣 議員御指摘のとおり、日本の家計金融資産の過半は現預金であります。これをバランスのとれたポートフォリオに移行させて、家計の安定的な資産形成を促していくということは重大な課題でございます。

 平成二十六年からNISAは始まったわけでございますが、議員御指摘のとおり、今、一千万口座を超えたということで、着実に普及は進んでいるということであります。ただ、委員御指摘のとおり、一度も買い付けが行われていない口座が半分以上あるということであります。

 アンケートをとってみますと、なぜ使われないかという中で、まとまった資金がないからという答えがかなり多いというのも事実でありまして、投資に踏み出せない利用者が多い、これなどが課題になっているということでございます。

 こうした課題を踏まえて、積立NISAは、主に月々の収入から少額をこつこつと長期間積み立てる投資手法での資産形成を支援する制度として創設されたものであります。

 金融庁としては、家計に向けた実践的な投資教育の取り組みなどとあわせまして、積立NISAの普及、浸透に努めて、貯蓄から資産形成への流れをさらにしっかりと後押ししていきたいというふうに思っております。

 この積立NISAという商品は、時間的な分散投資を図るのにとても有用な制度だというふうに思っておりまして、主に口座引き落としなどを通じて資産形成のお金に振り向けられるわけでありますから、そういった意味でも、安定的な資産形成の実現に向けた一つの有効な手段だというふうに思っているところでございます。

勝俣委員 まさにこの積み立てという部分では、先ほどありましたように、こつこつ積み立てるということは日本人に合っているのかなというふうに思いますので、ぜひ浸透させていただきたいなというふうに思っております。

 次に、研究開発税制の見直しについて御質問をさせていただきます。

 現在、我が国の経済情勢は緩やかな回復基調にあるものの、さらなる国際競争力の強化や、企業の足腰を強めて収益力を高めていくということが、経済の好循環を活発にする原動力になるというふうに考えております。

 そこで、今後、未来への投資ということで、将来を見据えた種を着実につくっていくことが重要であるというふうに認識をしております。特に、IoT、ビッグデータ、人工知能、AI等を活用した第四次産業革命による新たなビジネス開発をしっかりと後押ししていくことで、未来への投資を活発化させていかなければなりません。まさに十年先、二十年先に花を開くシーズ、種を今からしっかりとつくっていくということです。

 研究開発はそのための投資であるというふうに考えております。今でも、この研究開発税制による減税によって、研究開発はある程度効果があったと私は認識しておりますけれども、今回の研究開発税制の見直しにおいて、現行制度と異なる点をお伺いしたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、研究開発税制は、将来の経済成長の種、経済成長の礎となります企業の研究開発投資を後押しするための租税特別措置でございます。

 二十九年度の税制改正におきましては、官民の研究開発投資を二〇二〇年までに対GDP比四%以上とする政策目標、また第四次産業革命による新たなビジネス開発を後押しする観点などを踏まえまして、必要な見直しを行うこととしております。

 具体的には、現行の総額型が企業の研究開発投資の一定割合を単純に減税する仕組みとなっている構造を見直しまして、試験研究費の増減に応じて控除率を変動させる仕組みに改めることによりまして、企業の研究開発投資の増加を強く促す制度となるよう見直すとともに、ビッグデータ等を活用した第四次産業革命型のサービス開発を本税制の対象に追加するといった見直しを行うこととしております。

 今回の改正を受けて、積極的に研究開発投資を増加させていただくことを期待しているところでございます。

勝俣委員 ありがとうございます。

 これも企業関係の税制でございますけれども、所得拡大促進税制について御質問をさせていただきたいと思います。

 各業界、春闘がスタートしまして、今、新聞紙上等々をにぎわせておりますけれども、ベアに注目が集まっております。まさに、経済の好循環実現のための正念場であるというふうに考えております。

 国内産業、地方経済の裾野を支える中小企業への波及がその鍵を握っているのかなというふうに私は認識をしております。中小企業を支える雇用者の所得が増加することで、やはり個人消費の拡大にもつながるわけでございます。

 そのための今回の所得拡大促進税制は、私は大変意味のある政策であるというふうに思いますが、現行からの変更点と、やはり多くの中小企業が赤字企業である中で、その期待できる効果をお伺いいたします。

麻生国務大臣 この所得拡大促進税制というのは、今勝俣先生がおっしゃるように、いわゆる賃金引き上げを後押しするための思い切った税制改革なんだと思っているんですが。

 二十五年度に税制改正を創設して、その後拡充を行ってきたんですが、その結果としては、少なくとも、賃金動向を見ますと、二十一世紀に入ってから最も高い賃金上昇を上げておりまして、それまで一・七ぐらいあったものが、この税制を入れましてからは二・〇七、二・二〇、二・〇と三年連続二%を超えているということになっておるのが、数字としては言えると思っております。

 二十九年度の今度の税制改正においては、企業収益におきます拡大というものがいわゆる雇用の増加とか賃金の上昇にさらにつなげることによって好循環をということで、今、賃上げのいわゆる刺激、最近の言葉ではインセンティブというものを強化するためにさらに見直しを行うこととして、今おっしゃったように、大企業と中小企業と分けました。

 大企業につきましては、前年度から二%以上、昨年が二%でしたから、二%以上の賃金引き上げを行う企業の支援を重点化するということで、税額控除の引き上げ率を一〇%から一二%ということを行うこととしておりますが、いわゆる余力の小さい中小零細企業につきましては、平均給与支給額がまず前年を上回ることにして、その上で現行制度の要件というものを維持して、さらに上乗せして二%以上の賃上げをやってくれるところには、大企業の場合は一〇から一二ですけれども、中小零細につきましては一〇を二二に引き上げるということにいたしておりますので。

 こうした改正を受けまして、いわゆる給料の実質というか可処分所得というものがふえました分だけ、それが消費に回ったりいろいろな形に波及効果が及んでいくというように期待をいたしております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 今回、ポイントは、やはり大企業と中小企業を分けてやるということが大変重要だというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いをいたします。

 最後の質問になりますけれども、酒税の見直しについてでございます。

 本改正案において、ビールの税率を段階的に引き下げていく一方で、いわゆる新ジャンル、第三のビールや発泡酒の税率を段階的に引き上げるということによって、ビール系飲料に係る税率の一本化を図るというふうにされております。

 数年前と比較して、私も家庭に出るんですけれども、新ジャンルのビール系飲料は味も大分よくなってきているというふうに思いますし、糖質などを抑えた健康志向というのが売りになっているわけでございます。そうすると、家庭におけるビールの存在が非常に薄くなっているなというふうにも感じているんです。

 こうした中で、今回の税制改正は、消費者、いわゆる家計に与える影響等もしっかりと考慮して行う必要があるというふうに考えておりますけれども、御見解をお伺いいたします。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の酒税改革では、ビール系飲料に対する酒税の税率につきまして、御指摘のとおり、税率格差を一本化していくということで、三段階かけまして、平成三十八年十月に一本化をするということでございます。

 この改革を通じまして、ビールの値段が下がるとともに、消費者にとって魅力のある商品の開発が進むことで、幅広い消費者にとって、安くておいしい、自分好みのビールを飲めるというメリットが生じるものと考えております。

 ただ、他方、新ジャンル等につきましては税率が引き上がることから、これを飲まれる消費者の負担が急激にふえることとならないように、税率見直しは拙速にスタートをせずに、今から四年後の平成三十二年十月に着手をし、今から十年後の平成三十八年十月までにわたって段階的に見直しを行うこととしているものでございます。

 さらに、各段階の税率見直しにつきまして、消費者への影響等をよく確認しながら進めていく観点から、今回の法律の中に、税率見直しの都度、経済状況を踏まえ、酒税の負担の変動が家計に与える影響等を勘案して検討を加え、必要があれば所要の措置を講ずる旨を明記しておりまして、この検討規定に沿って適切に対応してまいりたいと考えております。

勝俣委員 いずれにしましても、今、経済好循環の実現のための正念場でございますので、スピード感のある政策実行をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

御法川委員長 次に、山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党、東京一区選出の山田美樹でございます。質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 限られた時間ですので、私は、社会保障の観点から、医療と医薬品に係る税制を中心に御質問を申し上げます。

 トランプ政権の発足で日米の貿易収支が再び注目されていますが、物の輸出もさることながら、日本企業が持つ技術やノウハウなど知的財産権の収入、いわゆる知財収支が過去十年で何と五倍も伸びており、昨年は過去最高の二・四兆円の黒字に達したそうです。日本の技術貿易の稼ぎ頭が自動車と医薬品です。

 医薬品研究開発には二十八年度補正予算でも五百五十億円を計上いただいていますが、どうやら、委託費を受ける際に担保の提供を求められたり、研究が失敗しても委託費の一部を返還するなどの制約がつくのを心配する声を伺っています。特に大学や研究機関などアカデミアにとっては、仮に五億円の研究に失敗して五千万円返還するとなりますと、毎年五百万円ずつ十年間かけて返すというのは重過ぎる負担です。ハイリスクな研究にとって現実的に使いやすい制度となることが望まれます。

 新薬開発の支援でもう一つの課題が、オープンイノベーション型の減税です。医薬品企業が行う共同研究や委託研究に係る費用は年間二千億円近くありますが、そのうち、オープンイノベーション型減税の細かい要件をクリアできるのはたった十三億円にすぎないと聞いています。

 今回の改正案で幾つか改善をいただいておりますけれども、積み残しとなった課題が治験業務を外部の企業にアウトソーシングした場合の扱いです。開発のスピードアップやコスト削減の要請から、外部に委託するケースはふえ続けて、今、六百億円を超える規模でございますが、この際、受託する企業が中小企業でなければオープンイノベーション型の減税を受けられません。現実には、治験業務を受託できるのはある程度規模の大きい企業ですから、現行の制度ですと、事実上、一部をアウトソースすると、全てオープンイノベーション減税の対象外になってしまいます。

 こうしたさまざまな現場の声がある中で、厳しい研究環境を踏まえて、実態に即した改善を御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

木原副大臣 山田委員の御指摘に対しましてお答えを申し上げます。

 イノベーションを次々と生み出していくということは、これは研究開発投資の促進の目的であり、極めて重要な課題と認識をしております。そのために、税制面では、研究開発税制によって企業の研究開発投資を支援しているところであります。

 御指摘いただきましたオープンイノベーション型の研究開発は、複数の企業の共同による相乗効果や埋もれた技術の活用など、一企業による研究開発にはない効果が期待されるものであり、税制面でも、特にオープンイノベーション型の研究開発税制というのを設けまして、これまでも、控除限度額の別枠化であったり、また税額控除率の引き上げであったり、対象範囲の拡大などを行ってきたところであります。

 また、今般、税制改正においては、オープンイノベーション型の手続要件について、今御指摘があったように、共同研究等の実態を踏まえて、対象費用の追加、契約変更の柔軟化や手続の簡素化などによって、使い勝手の向上を図ることとしております。

 こうした見直しによって、オープンイノベーション型の研究開発が一層活発化していくことを期待しておるところでございますが、今御指摘がありましたが、改善をいたしましたので、まずはその効果を見きわめてまいりたい、そのように思っております。

山田(美)委員 木原副大臣、ありがとうございます。

 現場の状況を随時見ながら、制度の改善を続けていただければと思います。

 この関連なんですけれども、医薬品の研究開発支援に当たって、減税、補助金と並んで非常に重要なのが薬価政策です。昨年の暮れに、薬価の毎年改定が大きな議論となりました。

 私は、以前、経営コンサルティングで働いていましたときに、大変勉強させていただいたのが製薬企業のプロジェクトでした。関東全域の営業所を回りまして、MRやMSの方の車に乗せていただいて、診療所やクリニックを一軒一軒訪問しました。毎年改定と聞いて一番心配なのが、現場の方々の大変な負担、そして何よりも、新薬開発への投資インセンティブが下がって、日本の医薬品産業の国際競争力が著しく下がってしまうのではないかということです。

 昨年十二月の薬価制度の抜本改革に向けた基本方針の中に、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度をゼロベースで抜本的に見直す」とありますが、未承認薬や適応外薬で医療用の必要性が高いと判断されたものについては、国から企業にお願いして、採算を度外視して開発していただいておりますけれども、企業側の真摯な努力によって、三百三十件の要請のうち、もう八割以上が承認に至っていると聞いております。ドラッグラグ解消を支えてきたこの制度、現行の制度をぜひ維持していただきたいと思っています。

 このようにさまざまな政策手段、減税や補助金、薬価政策などある中で、どのように新薬開発を支援していくお考えでしょうか。麻生大臣にお伺いします。

麻生国務大臣 この新薬開発というのは、山田先生、極めて大きなもので、今、新薬を開発できている国というのはどこがありますかね。アメリカとスイスとイギリスと日本、ちょっとドイツはもうほとんど、ドイツはかなり落ち目になってきていますから、ドイツ、フランスはほとんどだめですな。だから、そういった意味じゃ、その四カ国ぐらいなんだと思うんですね。

 日本としては、今後、新薬開発というのは、いろいろ研究開発投資の促進をして、さらにやっていこうという考え方を基本的に持っております。

 まず、研究開発税制についてですが、研究開発全般については、企業がある程度リスクをとって研究開発投資を行うということを後押しする制度というのを基本的に措置しているんですが、今、いわゆる研究開発税制全体が約六千億ぐらいの中で、化学品も入っていますから医療品だけではありませんけれども、化学品関係でいきますと、一千百億円ですから、約一八%ぐらいのものが広く使われておりまして、相対的に広く使われている分野だと思っております。

 その上で、まず予算面においては、平成二十九年度の予算で、革新的な新薬創出というものに対して、いわゆるAMEDというのは、ジャパン・エージェンシー・フォー・メディカル・リサーチ・アンド・ディベロップメントでしたかね、あれは二年ぐらい前にできた、二十七年度からスタートしていると思いますが、あの日本医療研究開発機構というのを通じて、研究開発補助として二百四億円を手当てしておりますが、これがしっかり新薬創出につながっていくということを大いに期待をしているんですが。

 薬価制度につきましても、今御質問があっておりましたけれども、薬価へ種々の加算などによって医薬品の有効性等を評価する仕組みがありますが、昨年の十二月の二十日でしたか、いわゆる四大臣で合意した、薬価制度の抜本的改革に向けた基本方針というのをやりまして、新薬創出等の加算の抜本的な見直しとあわせて、費用対効果評価を本格的に導入することで、真に有効な医薬品を適切に見きわめるという、イノベーションを評価することとされております。

 これで、二年に一遍と言われたものを一年に四回か、いろいろな形でするんですが、全薬やれなんと言うと、それは、宇津救命丸から何から全部やれなんと言ったって、そんなものはできるわけもありませんから、かえってコストが高くなりますので、そういったものではなくて、新たに新薬といって出されたものに関してだけはというような形でいろいろさせていただいておりますので。

 今後、厚生労働省において具体的な検討が進んでいくんだと承知していますけれども、国民負担の軽減という部分と医療の質の向上という部分と、二点に向けて両方やらないかぬところなので、これは厚生省とよくさらに話を詰めていきたいと思っております。

山田(美)委員 ぜひ、そうした観点から議論を進めていただければと思います。

 続きまして、長年の議論でありますけれども、医療に係る消費税の課税のあり方についてお伺いします。

 二十八年度の税制改正大綱では、二十九年度改正に際して、総合的に検討し、結論を得るとされておりましたが、その後、消費税一〇%、引き上げが延期されて、二十九年度の大綱では、消費税率が一〇%に引き上げられるまでにと改められました。デッドラインが後ろ倒しになったことで議論を進めようという機運が下がってしまうことを心配しております。

 医療現場の方々が一番恐れているのは、時間の余裕があるからといって、ぎりぎりまで問題がたなざらしになってしまって、直前にばたばた決まるというようなことです。

 これまで、解決策として、ゼロ税率や軽減税率、所得税や法人税の特例などさまざまな案が挙がっておりますし、去年の三月には、医師会が、病院団体や歯科医師会、薬剤師会など関連団体の意見を取りまとめて、非課税のまま、診療報酬による上乗せ分を上回った場合に超過額を還付するという、医療界として一体化した案を提示しています。

 一方で、国会における麻生大臣を初め政府側からの御答弁も非常に明確で、税収減の懸念や記帳などの事務負担、それから概算経費率の問題など、論点が明らかです。

 きょうは、この場で中身について議論するつもりはありません。ただ、議論の進め方として、これまでは中医協の分科会や医師会の諮問委員会などでの議論でしたけれども、これは税制の話ですから、税務当局の立場から、制度設計でできること、できないことを明らかにしていただくことが不可欠であります。

 医療現場の方々は議論の成り行きが見えないことを大変心配しておりまして、ぜひ、財務省が中心となって、公の場で議論できる場所が必要だと考えますが、どのように取り組んでいくのか、麻生大臣にお伺いします。

麻生国務大臣 これはもう長年にわたる、消費税ができたときにさかのぼりますけれども、長年にわたって消費税の問題として、いわゆる損税が発生するという話、もう詳しく申し上げませんけれども、そこからどうにかせないかぬという取り組みは、かなり医療関係団体から、多くから希望されて、寄せられておりますのは、私どもとしてもよく認識をいたしております。

 この問題の解決に向けて、日本医師会等々の関係団体からさまざまな要望なり、検討がなされておりますし、また、所管しておられます厚生労働省においては、今、財務省といたしましても、検討会議を両方でさせていただいておるというところでありまして、この問題は、三、四年になりますか、与党の税制調査会において議論が行われてきたという経緯もありますので、昨年末に取りまとめられた与党税制改正大綱においても、消費税率が一〇%に引き上げられるまでに、抜本的な解決に向けて適切な措置を講ずることができるように、実態の正確な把握を行いつつ、医療保険制度における手当てのあり方の検討とあわせて、総合的に検討して結論を得るとされております。

 これは御存じのように、薬のときは税金がないんですけれども、高額な医療機械を買ったときは消費税を払うということになるので、その分はどうしてくれるんだという話なんですけれども、そういった話は、いわゆる薬価でかなり調整されてあるということになる、いや、それよりもっとだといって、これはいろいろ意見の分かれるところでもありますので、御議論に我々としても資するように、財務省としても対応いたしてまいりたいと考えております。

山田(美)委員 ぜひ、財務省としてもしっかりと中心になって議論を進めていただければと思います。

 続きまして、いわゆる賃上げ税制、所得拡大促進税制との関係で、医療関係者の報酬の向上についてお伺いをいたします。

 安倍政権のもとで、産業界では賃上げや働き方改革が進められて、今回の税制改正でも、中小企業の所得拡大促進が図られております。一般の企業では、業績が改善すれば従業員の給与をふやせますけれども、医療関係者の報酬は公的保険の枠内であり、報酬をふやすと患者負担がふえてしまうというジレンマがあります。

 これまで、累次の診療報酬改定の中でも、医師の負担軽減については改善をされてきましたが、報酬そのものについて正面から議論されることは少なかったように思います。

 業界ごとに一人当たりの現金給与総額を見ますと、リーマン・ショック以降、製造業では七ポイント伸びており、全産業ではほぼ横ばいであるのに対し、医療では二・五ポイント減っています。医療機関のコスト構造の中で、人件費の割合は、過去十年で五〇%から四六%へ四ポイントも下がっています。医療機器や医療用消耗品の価格の上昇が人件費を圧迫しているからです。

 特に歯科関連では、同じ総義歯、総入れ歯の治療を行っても、材料費や技工士代を含めて、歯科医師の診療報酬は、日本では二万三千七百円、韓国では十二万円、アメリカではさらに高額だという話を聞きますと、日本の医療や歯科医療がいかに現場の人の努力によって支えられているかを実感します。

 医療機関には全国で三百万人以上が従事していますので、医療従事者の給与が上がれば、特に地方において、大きな消費拡大、雇用開発効果をもたらすはずです。ことしは、次期診療報酬改定の議論も始まりますけれども、今回の税制改正で中小企業の賃上げをこれだけしっかり支援していることとの関係で、医療関係者の報酬の向上についてどのように取り組んでいくお考えでしょうか。木原副大臣にお伺いします。

木原副大臣 医療関係者の報酬の向上に関しましては、前提として、委員がお話ありましたように、まず日本の公的医療保険制度においては、医療機関の報酬というのは税金や保険料が原資となっておりまして、これを負担する国民の負担を考慮するという必要がございますので、他の民間企業で働く方々の給料と全く同じように考えることはできないというのはもう今御理解いただいていることだと思います。

 さらには、医療関係者の報酬とそれ以外の勤労者の給与水準というのをやはり丁寧に見ていく必要もあるのではないかなというふうに思っております。

 その上で、各医療機関が、例えば、地域の医療ニーズを的確に把握してこれに応じた医療を提供するであるとか、また、御努力はいただいておりますが、コスト面でもさらにさまざまな効率化の取り組みを行うといった、そういう経営努力を行っていくことも重要であり、これによって収益が上がれば賃上げに充てることも考えられるわけでございます。

 なお、今般の税制改正において見直しを行いました所得拡大促進税制についても、特に中小企業への賃上げの支援を重点的に行うなど、めり張りをつける見直しを行っておりますが、医療機関も要件を満たすことによって適用が可能でありますので、まずはその御活用も考えていただきたいなと思っております。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、地域の特性や経営改善の観点など、さまざまな観点から医療の関係者の報酬向上をお願いいたします。

 最後に、一つ短い質問をさせていただきます。

 納税実務全般にわたる話ですけれども、個人事業者とマイナンバーについてお伺いします。

 昨年からマイナンバーの本格運用がスタートして、法人番号を持たない個人事業者はマイナンバーによって税務申告をするようになりました。ところが、個人事業者の中には、マイナンバーの提出に抵抗感があるという方が非常に多く、そういう方のお話を伺います。

 個人所有の不動産を賃貸している給与所得者の方はもちろんですし、弁護士やフリーランス業など、一度きりの取引の相手に番号を教えるということに違和感があるようです。作家や芸能人など、プライバシー保護の問題もあります。一月の三十一日までに税務署に提出された支払い調書の中には、番号記載のないものが多数あったという話も伺っております。

 そんな中で、一部には、登録制で個人事業者番号を導入してはどうかといった御意見も聞かれますけれども、今のこうした現状を踏まえて、対応をどのようにお考えでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人事業主に対してマイナンバーとは異なる番号を付与することについては、マイナンバー法の検討時に必要ではないかとの意見もありましたが、マイナンバー制度を活用することとなる社会保障や税の分野での具体的な行政ニーズがなかったことや、登記をしている個人事業者が極めて少数であることから、現状において、個人事業者の実態を把握し、責任を持って交渉できる機関もないこと、また、個人を特定するためのマイナンバーを定める法律の中で、個人に複数の番号を付与することは困難であったことから、マイナンバー制度上の対応は見送られたものと承知しております。

 他方、今後、法人番号は利用制限がございませんので、利活用が広がり、定着していく中で、法人番号を利用できない個人事業主の経済活動への影響の有無につきましては、注視していく必要があるものと考えております。

 個人事業主に対する番号につきましては、政府としては、中長期的に検討していく必要のある課題と認識しておりまして、今後の法人番号の利用状況も踏まえ、具体的なニーズの洗い出しを行うとともに、付番、通知、公表の執行の観点から、実現方法を検討していく必要があるものと考えております。

山田(美)委員 ぜひ、今後もしっかりと検討を続けていただければと思います。

 これにて質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 先日、本会議でも質問させていただきましたけれども、引き続き、所得税法等の改正案につきまして御質問させていただきます。時間に限りもありますので早速内容に入らせていただきますが、まず最初に、今後の配偶者控除等の見直しの方向性についてお伺いをしたいというふうに思います。

 昨年末に決定をいたしました与党税制改正大綱では、個人所得課税のあり方については、今後数年かけて丁寧な議論を行って見直すということとしております。そのうち、配偶者控除の仕組みについては、平成二十六年十一月に、政府税制調査会の論点整理におきまして、いわゆる一次レポートと言われているものでありますけれども、まず第一に配偶者控除の廃止、第二に移転的基礎控除を導入するということ、そして第三に夫婦世帯に対する新たな控除制度、いわゆる夫婦控除と言われているものでありますけれども、創設するということを基本に、五つのパターンの案が提示をされました。

 これを踏まえて、与党の税制調査会でさまざま議論をしました結果、まず第一には、配偶者控除を廃止ということになれば、一定所得以下の配偶者がいることによる納税者の担税力が減殺されるということ、それに対する配慮が全く行われなくなります。これは、応能負担の観点からも公平性に欠けますし、ほかの扶養控除のあり方についてもかかわってくることであります。また、第二には、夫婦控除の制度になると、夫婦ともに一定の所得以上がある、そうなると高所得世帯ということになりますけれども、そこまで負担の軽減が及ぶ、そういったさまざまな問題があるのではないかという判断をいたしました。その前提、すなわち今述べたような問題がない方法で、今後、配偶者控除の方法も含めて、人的控除のあり方について検討していくということにしております。

 こうした所得税改革の方向性について、まず御見解を伺いたいというように思います。

麻生国務大臣 配偶者控除の見直しについては、これは今上田先生いろいろおっしゃいましたように、与党においてさまざまな議論をかなり長い間にわたっていろいろいただいたところであります。

 その議論の結果、今般、就労調整、いわゆる百三万の壁とかいろいろありますので、就労調整をめぐるいわゆる喫緊の課題にまず対応するために、配偶者の収入制限百三万円を引き上げるとの見直しを行うことにいたしておりますが、まずは、今般の配偶者控除の見直しを着実に実施するということが重要だと考えておりますので、現時点で配偶者控除についてさらに見直しを行うというようなことを考えているわけではありません。

 他方、昨年末の与党の税制改正大綱において、現在の基礎控除など人的控除を採用しております所得控除方式は、いわゆる高所得者ほど負担の軽減額が大きいということになりますので、収入にかかわらず税負担の軽減額というものが一定となりますいわゆるゼロ税率方式もしくは税額控除方式を導入するか、または、所得控除方式を維持しつつ、その上で高所得者については税負担の軽減額を逓減させるとか消滅させるとかいう仕組みを導入するとか、外国でもやり方は随分いろいろ違いがありますので、控除方式のあり方について検討を進める旨決められております。

 こうした与党の議論というのを踏まえながら、いわゆる控除全体の見直しというものについて議論をしていく中で丁寧な検討を進めていく必要があろうかと思っておりますので、諸外国のものもこれはいろいろやり方が違っておりますので、それもよくよく参考にさせていただきながら検討させていただきたいと考えております。

上田委員 ありがとうございます。

 これまで、この第一次レポートで示された五つのパターンがあったので、余りにも選択肢の幅が広過ぎた面があったんじゃないかと思います。考え方も全然違うものが並べられていたので、今回、いろいろな議論を通じて少し考え方を整理し、考え方の案を絞っていきました。その意味で、これから論点もより明確になっていくというふうに思いますし、改革の議論が進むのではないかということを期待しております。

 政府税調でも引き続き多分議論を深めることになるんだというふうに思いますし、また与党税調においても議論をしていきたいというふうに考えております。

 次に、サービス産業の生産性向上の税制上の支援についてお伺いしたいというふうに思います。

 この法案にあります税制改正においては、サービス産業の生産性向上を重視していると承知しています。

 第一には、研究開発税制では、サービス開発のための試験研究費を対象に追加した。

 第二には、中小企業投資促進税制では、器具、備品や建物の附属施設を対象に追加している。これは、サービス産業も活用しやすくなるということだというふうに思います。

 そして、第三には、国税ではありませんけれども、償却資産に係る固定資産税の減税措置の対象に工具、器具、備品等も追加をしている。これも、サービス産業に使い勝手がよくなるのではないかというふうに考えています。

 サービス産業は、我が国のGDPそれから雇用の七割を占めています。また、サービス産業の生産性は、主要先進国に比べてかなり低いというふうにもよく言われています。その原因の一つがIT活用のおくれとの意見も多い。また、サービス産業はどうしても小規模の事業者も多いという傾向があります。こうしたサービス産業の生産性向上というのは、日本経済全体の成長力を高めていく上で非常に重要な鍵を握っているのではないかというふうに認識をしています。

 ITなどへの投資を拡大することがサービス産業の生産性向上に役立つものであって、今回、こうした税制措置がそれを後押しするのではないかというふうに考えておりますけれども、サービス産業を重視して支援する意義、そしてまた、これによって期待される効果をどのようにお考えか、伺いたいというふうに思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の税制改正におきましては、まさに先生御指摘のとおり、サービス産業の生産性向上、これが今後の日本経済の成長にとって非常に重要だという観点から、アベノミクスを一層加速していくという観点の中で、一つは、研究開発税制につきまして、ビッグデータ等を活用した第四次産業革命型、このサービス開発を本税制の対象に追加したということが一点。

 また、中小企業投資促進税制につきましては、生産性の高い先進的な設備、生産ライン等の改善に資する設備に係る上乗せ措置につきまして、これまで対象外でありました器具、備品、建物附属設備を対象設備に追加いたしました。

 また、固定資産税につきましては、課税標準の特例措置につきまして、地域、業種を限定した上で、その対象に器具、備品、建物附属設備等を追加するといったことを行っておりまして、まさにサービス産業にとって利用しやすく、生産性向上に資する見直しを複数行うことといたしております。

 これらの措置は、企業が付加価値の高い財・サービスを生み出すことを促すとともに、我が国のGDPの約七割を占め、地域経済を支えているサービス産業の生産性向上を図っていくということに資すると考えておりまして、日本経済にとって極めて重要な政策課題であるという認識から、今回の措置をとるものでございます。

 今回行われます措置を、中小企業等を中心にサービス産業が利用することによりまして、より高い生産性の向上に効果が出ることを期待しているところでございます。

上田委員 ありがとうございます。

 もちろん、従来のような物づくり、製造業の生産性を高めるということも重要であります。一方で、産業がサービス化している中で、これからやはりサービス産業のそういった生産性向上を図っていくことが、日本経済全体の成長力につながっていくものだというふうに考えておりますので、今回の措置は、まだ必ずしも全てのニーズに合わない部分、満たしていない部分もあるかというふうに思いますので、引き続きそうした観点からの検討をしていきたいというふうに思っております。

 次に、酒税改正についてお伺いしたいというふうに思います。先般、ビール系飲料についてはお伺いしましたので、きょうはちょっとワインへの影響についてお伺いしたいというふうに思います。

 酒税の改正で、約十年間かけて、清酒とワインの税率をキロリットル当たり十万円に統一する。清酒は減税でありますけれども、ワインは増税になるということになります。

 清酒の減税は、これは国酒と言われているものでありますので、その振興あるいは日本食の普及にも結びつくものでありますので、歓迎したいというふうに思います。

 一方、ワインの多くは輸入をされております。輸出国側から今回の措置についてクレームみたいなものはないのか、また、国産ワインもかなり今盛んになってきておりますので、国産ワインに今回、その税制改正において影響は出ないのか、また、そういったことが出た場合には何らかの支援策も考える必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その辺、まとめてお伺いしたいというふうに思います。

木原副大臣 上田委員におかれましては、ワインの税率について御心配をいただいているものと思います。

 今回の改革では、醸造酒類に対する酒税の税率につきまして、現行では、一キロリットル当たり清酒は十二万円、ワインは八万円であるものを、段階的に税率格差を解消して、平成三十五年十月に十万円に一本化するといったものでございます。

 クレームという問い合わせがございましたけれども、酒税は、国産か輸入かを問わず、同様に課税されるものでありますから、今回ワインに対する税率を引き上げることについて、御指摘のようなワイン輸出国からのクレームについては、現時点では特段承知していないという状況でございますが、今後ともそれはしっかりと聞いてまいりたいと思っております。

 他方、国内の、特に小規模ワイナリーにつきましては、一定の影響が生じ得るということは間違いなく考えられるところでありますので、昨年末の与党税制改正大綱においても、小規模ワイナリーに対する措置を検討するとの方針が示されたものと承知しておりますので、こういった与党の方針を踏まえて、財務省といたしましても、今後必要な検討を行ってまいりたいと思っております。

上田委員 よろしくお願いいたしたいと思います。国内のワイナリーも、さまざまな製品開発、努力をしています。これは、地方の観光振興や地域活性化にも貢献しておりますので、そうした努力が税制改正によって支障が生じることがないように、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、若干これは細かい話でありますけれども、海外からの旅行者が購入する物品の消費税免税制度について、一部事業者から意見を伺いましたので、それについて確認をしたいというふうに思います。

 百貨店等では、各売り場で品物を一旦消費税含みの値段で売って、免税手続を行うカウンターで一括して消費税相当額を、多くの場合は現金で払い戻しているというふうに承知をしております。

 そうなると、多額の現金を用意しておかなければならない、しかも、消費税は端数が出ますので、それに対応すると一円玉などの少額貨幣を多量に準備をしなければならない、事務が非常に煩雑になっているというような意見も聞いております。現金で払い戻すのではなくて、クレジットカードに還付するような形にすれば、カウンターで現金を扱う必要がなくなって、事務は非常に簡素化になるということであります。

 一部事業者に誤解もあるので確認するんですけれども、現行の制度として現金で払い戻すこと、それが条件になっているのではない、それを求めているものではないというふうに承知をしておりますけれども、その辺の御見解を伺いたいというふうに思います。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 輸出物品販売場制度におきますいわゆる免税店での一般的な手続に関してでございますけれども、各店舗において免税販売手続を行い免税価格で販売する場合のほか、各店舗の売り場では税込み価格で販売いたしますが、その後、別のカウンターで手続を行い消費税相当額の払い戻しを行うことで、結果として免税価格での販売を行う場合がございます。

 お尋ねの別のカウンターにおきます消費税相当額の払い戻し手続についてでございますが、現行制度上、現金で行うといった義務づけはなされていないところでございます。

上田委員 ありがとうございます。

 制度としてそういうことを条件としているのではないことがよくわかりました。

 やはり、特に百貨店などでは、実際に売り場の経営体と百貨店全体の経営体が異なるということがあるので、今の仕組みではなかなか、その辺がカード会社の方の処理で制約があるというふうにも伺っております。そういう意味では、小売事業者やカード会社の方で工夫をすれば必ずしも現金で払い戻すことが必要ではなくなる、そういったこともこれから工夫の余地があるということだろうというふうに受けとめました。

 最後に、個人事業主報酬制度についてお伺いしたいというふうに思います。

 個人事業主が法人化して、経営者が給与を受け取るという形、これは、事業形態としては非常に似ているんですけれども、税制上は異なる扱いになっております。税負担にも不均衡があって、そういう事業者、特に個人事業者の事業主の団体からはそういった不均衡を是正してほしいという要望がこれまでも出されておりまして、その一つの方法として、事業主報酬制度、これは個人事業主でも事業主の報酬の一部を控除できるような制度を考えられないのかというような御提案がございます。

 もちろん、個人事業、これは個人所得になりますので、それと法人とは異なるというのはそのとおりだというふうに思いますけれども、その一方で、こういった主張に対しても理解できる点もあるので、今後こういったことも検討していく必要があるというふうに考えますけれども、お考えを伺えればというふうに思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 事業主報酬制度の御提案、今委員から御指摘いただきましたように、個人事業主と法人の間の税負担のバランスをどのように考えていくか検討していく、そういう問題であると認識をしております。

 この点につきましては、与党でおまとめいただきました平成二十九年度税制改正大綱の検討事項の中におきまして、「小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、」また、「今後の個人所得課税改革において給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。」とされているところでございます。

 こうした与党での検討も踏まえながら、引き続き、個人所得課税の改革において、この問題につきましても検討してまいりたいと考えております。

上田委員 ありがとうございました。引き続き検討すべき課題も数多くあるというふうに考えております。

 もうこれで時間となりましたので質問を終わらせていただきますが、今回、かなり大きな、いろいろな面での改正も行われますけれども、積み残しになっている課題も多いのも事実でありますので、引き続き政府・与党でしっかりと議論をしていきたいというふうに思っておりますので、どうかこれからもよろしくお願いいたします。

 きょうはどうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 おはようございます。民進党の古川元久です。

 きょうは、税制改正について御質問したいと思います。

 毎年、税制改正大綱が決まると、概要の紙を役所の方でつくって、もらうんですけれども、ことし、ぱっと私、去年もらったときより、何か字がえらい大きいなと。大臣がちょっと、見えなくなったから大きくしたのかなと思ったら、そういうわけじゃなくて、もともと今回は中身が薄い、かすかすだから、どうも字が大きくなっているんですね。多分、大臣もわかっていらっしゃると思いますが。

 本当は今回は、昨年の夏ぐらいの話ですと、所得税の抜本改革に踏み出すという話が、しかし、あけてみますと、中身がないどころか、抜本改革と逆方向に進んでいる。さっきちょっとビールの話も出ました、ビールはこれは間接税ですから、所得税のところでいきますと、唯一、今回の目玉と言っていいのが、この委員会でもこの間議論されております配偶者控除の拡充の話ですけれども、これも、昨年の夏ぐらいまでの議論からいったら、全く真逆の方向に行っているんじゃないかなというふうに思っております。その点を少し、まず最初にお伺いしたいと思うんです。

 今回、これはとにかく就業調整問題を解消するためなんだというふうに言っているんですが、本当にこれ、ここで何回も、先ほどもちょっと出ていましたけれども、もともと百三万円の税の壁というのはないわけですよね。ないと言っているのに、それでこういうことをやって、この就業調整問題の解消に本当につながるんですか。どういうふうにつながるんですか、大臣。

麻生国務大臣 法律的に百三万円の壁がないというのは、詳しい方はみんな知っているんですけれども、現実問題として、今、例えば、十一月後半から十二月ぐらいになると、大体ゴルフ場のキャディーが激減する。これははっきりしていますのは、自分でやっていますからよくわかります、ぼんと減りますから。それから、スーパー等々、コンビニ等々に勤めている従業員も減る。というのは、これはスーパーもやっていますので、よく同じように問題が起きますので、毎年それは話題になる話なので。

 労働時間を減らすいわゆる就業調整を行っているという現状はもう間違いなくありますのは、人繰りが大変だという話をよく聞くので、最低賃金の引き上げに伴ってこうした問題がさらに強まる可能性が出てくる、私どもはそう思っております。

 このような就業調整をめぐって、これは何といっても喫緊の課題なものですから、配偶者の控除等について、配偶者の収入制限というものを百三万円から百五十万円に引き上げるというようなことをさせていただいたんですが、この見直しによって、少なくとも、働きたいけれども、就業調整というのを意識せず、意識ですよ、意識せずに働くことができる環境づくりに寄与する、そう思っております。

古川(元)委員 就業調整があるのは事実です。それこそ、うちの事務所で働いてくれているパートの女性も年末になると、ちょっと来るのをやめると言われる。でも、これは税じゃないんですよ。

 これは大臣もわかっていらっしゃると思いますけれども、本当にちゃんと就業調整の理由が、わかっていないからじゃなくて、この微妙なところというのはみんなよくわかっていますよ。それは雇う側も、雇われる側も。むしろこれは、この中にも書かれていますけれども、やはり社会保険料の百三十万とか、特に去年十月からは大手のところは百六万円に下がった。やはりこの壁の方が非常に大きいんじゃないかと思うんですね、現実的に言えば。

 また、さらに、百三万円というのは、配偶者の控除、普通は旦那さん、旦那さんの方が控除を受けられるかどうかという視点から見たら、この配偶者控除は問題があるんですけれども、働いている配偶者自身が所得税の納税をするかどうか。実は、これは、給与所得控除と基礎控除で百三万円を超えれば、自分自身も所得税を払わなきゃいけないわけですよね。そうなってくると、これは源泉徴収とか、いろいろ雇う方も厄介になってくる。

 だから、もし税のところで壁があるとしたら、やはり働いている人自身の課税最低限がこの百三万で来るという、こちらの方がむしろ壁となっているというふうに考えられるんじゃないか。だから、今回拡充する配偶者控除が、心理的なものだと言うんですけれども、そこまで何もわからなくて、ただこの百三万、百三万というので、自分で勝手にやめるんじゃなくて、うちのパートさんを見ても、ぎりぎり見てちゃんとやりますよ、そこは社会保険料とか考えて。

 だから、そういった意味で、そもそも配偶者自身もやはり納税者になるという、この辺も、もしそういう心理的な壁と言うんだったら、壁になっていると言えるんじゃないですか。どうですか。

麻生国務大臣 御存じのように、これは例の給与所得控除の六十五万円というのにプラスの基礎的税額控除が三十八万か、それで百三万ですかね、そういったことになっているんだと思うんですが、いわゆる御指摘のありました給与収入の百三万円を超えると、配偶者自身に所得税が発生するというのが就業調整になっている原因になっているのではないかということなんだと思うんです。

 確かに、配偶者自身に所得税が発生するということを意識する、そういった方がおられるであろうことも、これはわからなくはないんですが、こうした課税最低限の水準というのは、配偶者でありましても、単身者を含めた納税者本人であっても同様に適用されるものなのであって、手取りの収入の逆転現象を引き起こしていいものじゃないということを踏まえれば、簡単に言えば、就業調整問題を解消する観点から、課税最低限の見直しを行うというのが必要じゃないかと考えているんです。

 いわゆる課税最低限の水準というのを、どのような人に対して、どの程度に税負担を求めるべきかといった観点からは、これは検討すべき事項が多々あることは確かだと、私どももそう思います。

古川(元)委員 そもそもこの配偶者控除自身が、大臣も、そして政府の方も心理的な壁だと言っているんだったら、であれば、それはほかの人も普通に、単身者はみんなそうだと言いますけれども、自分自身が課税されるかされないかというのも、これもやはり十分心理的な壁になると思うんですけれども、どうですか。自分自身にとっても、やはりそれは心理的な壁でしょう、課税されるかされないかということは。

麻生国務大臣 それはあり得ると思います。

古川(元)委員 だから、大臣、心理的な壁と言うんだったら、この配偶者控除を拡充するだけで壁がなくなるわけじゃないと思うんですね、もしそういう言い方で拡充するんだったら。そういった意味でも、私は、このことをやることに一体何の意味があるのかと。

 むしろ、今後の所得税改革、これは今回拡充しましたけれども、どうするんですか、近い将来。もうこれはこのままにするんですか。あるいは、この配偶者控除というもの自体は、去年の夏は、これを廃止してというぐらい言っていたわけですよね。そういう抜本的な見直しを近い将来やるつもりなのか、それはやらないのか、どっちですか。

麻生国務大臣 今御指摘のありました配偶者控除そのものの見直しについては、今回実施することにいたしました配偶者の収入制限の引き上げのほかには、配偶者控除そのものの廃止とか、いわゆる夫婦控除を導入するとかといったさまざまな案が議論をされたことは事実です。

 先ほど上田先生が質問になっていました、与党での議論の結果、配偶者控除というのを廃止するということについては、配偶者控除というもの自体はいわゆる扶養控除と一緒のもので、一定の収入以下の配偶者がいる方の税負担能力に配慮する仕組みになっていますので、そういった意味では、外国を見ましても、配偶者の存在というものを考えた上でのいろいろな仕組みが設けられております。アメリカの場合は、夫婦の単位課税とか二分二乗方式とか、いろいろな表現がありますけれども。そういったものを踏まえると、廃止しても何らの配慮を行わないということには問題があるんじゃないかというように思っております。

 また、いわゆる夫婦控除につきましても、高所得の夫婦世帯にまで配慮を行えば、多額の財源を必要とすることになりますし、また、国民の理解がそんなに深まっていないと思っておりますので、いろいろな問題があると考えております。

 こうした中で、就業調整というものをめぐるものは、これは喫緊の課題なんだと思っておりますので、今回、百三万から百五十万にさせていただく見直しを行うことにしたんですが、今回の見直しを着実に実施することが重要なんだと思っていますが、現時点で、配偶者控除についてさらに見直しを行うかということについて考えているわけではありません。

古川(元)委員 では、これからやろうとしている個人所得税のかなり大きな改革の中で、配偶者控除は、当面、そういう見直しの対象には入れないということですか。そういうことでいいですか。

麻生国務大臣 おっしゃるとおりです。私が今申し上げたとおり、そのとおりです。

古川(元)委員 そうなると、就業調整の問題、税制という観点から、働き方に中立的な税制という意味で本当にいいのかどうか。もちろんさまざまな問題はありますよ、廃止すれば。だから、私たちも、先日出しました対案の中では、配偶者控除は廃止するけれども、扶養控除も廃止して、新たに世帯控除を税額控除という形で設けるように提案しています。

 やはり所得税制の抜本改革をするというんだったら、そういう配偶者控除のあり方そのものに、去年の夏、ちょっと議論を政府の方でもされたようですけれども、やはり踏み込まないといけないと思うんですが、踏み込まないで、本当に所得税の抜本改革がこれからやれるのかな、私は大いに疑問を感じているということを申し上げたいと思います。

 次に、個人所得税改革、これからやろうとしていることについて少しお伺いしたいと思います。

 今、日本の所得税、一つの大きな問題は、所得再分配機能がかつてに比べると、かつては、余りにもあり過ぎだと思いますけれども、しかし、それにしても、やはり低下してきているんじゃないか。かつ、これだけグローバルに格差の拡大という問題が大きな課題になっている中で、所得税の所得再分配機能を強化していくということは、これから行うつもりであろう所得税改革においては、大きな目的の一つにならなければいけないと思いますが、この点は大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

麻生国務大臣 所得税につきましては、所得再分配機能については、これは重要な役割を担っておるんですが、政府の税制調査会においても、昭和六十年代以降、少なくとも税率構造について大幅な累進緩和というのが行われた結果として、所得再分配機能が低下したということは否めない事実だと思いますね。そういった点が指摘をされているところであります。

 こうした中で、平成二十九年度の与党税制改正大綱の中においても、所得再分配機能の回復の観点から、基礎控除などの人的控除等についての控除方式の見直し、また、多様な働き方を踏まえた、所得の種類に応じた控除と人的控除のあり方の見直しなどの個人所得課税方式の方向性が示されているというところであります。

 今、御指摘のありました所得再配分機能の回復の観点からは、基礎控除を初めとする人的控除について、基礎控除などの人的控除が採用している所得控除方式は高所得者ほど税負担の軽減額が大きいことから、諸外国における負担調整の仕組みも踏まえつつ、控除方式のあり方について検討を進めることというふうにされております。

 こうした与党の議論を踏まえて、今、控除全体の見直しをする議論の中で、今から丁寧に議論なり検討を進めていくということであろうかと存じます。

古川(元)委員 これはぜひ、やはりしっかりやっていただきたいと思っているんですね。

 今ちょっと大臣もお話ありましたけれども、人的控除のあり方、これは、所得控除というものは、きょう、今ちょっと資料を一枚お配りさせていただきましたけれども、やはり高所得者ほど減税額が大きいんですね。ですから、我々は、これを所得控除から税額控除にという形に変えるべきではないかと。今回の対案の中でも、基礎控除から、所得控除を税額控除に変えるという案を出させていただいております。

 これだけグローバル化が進んだ中で、かつてのように最高税率、それこそ八〇%を超えるようなとか、やはりそういうものは現実的ではない。ですから、税率を上げるという形よりも、やはりこの控除の仕方を所得控除から税額控除に変えることによって、これは減税額は所得にかかわらず一定になりますから、高所得の人たちにとっては負担増となるわけでありまして、これを、所得控除を税額控除に変えるだけで、かなり所得の再分配機能は回復されるんだと思うんですね。

 そういった意味では、さまざまな案が、所得制限をかけるとか、そういう考え方もあるようですけれども、我々は、やはりここは一律に税額控除という形で控除というものは設けていく。特に、これまでの所得控除というのは、基本的に、これは別に所得にかかわらず、みんな公平に、一律に受けていたわけですよね。これを抜本的に見直すときに、高所得の人だけが控除なしですよというのは、やはりこれは納税をする立場の人たちに対していかがなものかと。

 もちろん、私は、格差の是正というものはしていかなきゃいけない、そのためには、負担能力のある人たち、担税力の高い人にはその担税力に応じた負担をしてもらう形にすべきだと思いますが、だからといって、そういう控除を所得が高いからというだけで一切なくしてしまうというような方向というのは、これは所得の高い人も含めてみんな国民なんですから、みんなで助け合っていくという意味では、それこそ税額控除のような形で、額は同じだけれども、低所得の人も高所得の人もみんな一律にその分の控除はありますよという方が、そういう高所得の人たちが負担増を受け入れるに当たっても受け入れやすいんだと思うんですね。

 私は、税というのは、余り北風政策では、やはり隠そうとか外に出ていこうとか、そういう租税回避や脱税的な行為をむしろ助長してしまうと。麻生大臣のようなお金持ちの方が、喜んで税金を払おう、日本で税金を払いたい、もっともっと払わせてくれと思うような税の方がやはりいいんだと思います。

 ですから、私は、税制というのは、そういった意味では、ぎりぎり北風のように金持ちから取れみたいな、そういうものじゃなくて、負担能力のある人がこの社会のために、では出しましょうと。もちろんそれは、使い方、使われ方は大事ですけれども、それだけじゃなくて、税制の仕組みそのものが、みんなが納得して納めようというふうになる。そういった意味では、私は、これから見直そうとする控除のあり方としては、税額控除にしていくということが最も好ましいと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

麻生国務大臣 今の税額控除の話ですけれども、これは、昨年末の与党の税制改正の大綱の中において、現在、基礎控除の人的控除というものが採用しております所得控除方式は、高所得者ほどいわゆる税負担の軽減額が大きい、おっしゃるとおりなので、いわゆる収入にかかわらず税負担の軽減額が一定となるゼロ税率方式とか、今言われた税額控除方式の導入、もう一点は、所得控除方式はそのまま維持しつつも、少なくとも、高所得者については税負担の軽減額を逓減させるとか消失させるとか、仕組みはいろいろあるんだと思いますが、そういったものを、諸外国の例も参考にしながら、控除方式のあり方について検討するという旨が示されております。

 そういった意味では、今後、今言われたような議論も踏まえつつ、いわゆる控除全体の見直しを行うという議論の中で、今言われましたように、北風、南風、物すごくいい表現だと思いますけれども、喜んで払いたくなる人というのは、よほど人間ができていないとそんな人はおらぬと思っているんですが、丁寧に話を進めていく必要があろうと考えておりますので、基本的に、今からいろいろ議論がなされるとは思います。

古川(元)委員 北風と南風ではなくて、北風と太陽ですね。ですけれども、大臣のような方であれば、喜んで、お国のためであれば払おうというふうに思われると思っていますけれども、やはり、大臣のような、そういうお金持ちの人たちが、この税制であればきちんとひとつしっかり納めよう、負担しようと思うような社会に私はしていきたいと思っていますし、税制もそういうあり方であるべきじゃないかなと思います。

 そういった意味では、私は、税額控除というものを私たちも提案をしています、ぜひそういう方向に改革を進めていただきたいと思っていますが、何かこの所得控除を税額控除に変える場合の問題点というのはありますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 税額控除方式に変えていく場合の問題点という御質問でございます。

 これは、具体的な制度設計をどうしていくかということによっても変わり得ると思いますけれども、個人所得税改革につきましては、税収中立を基本的な考え方として進めていこうと考えております。仮にそうした場合に、具体的な税額控除の金額をどの程度の水準に設定をするのかといったこととか、また、個々の納税者に生ずることとなる負担の増減をどのように考えるかといったさまざまな課題があるものと考えております。

古川(元)委員 それは、税制改正をすれば、当然、負担増になる人、減になる人とかいろいろあるわけで、それ以外に制度的に何か問題があるということは、では、今の主税局長の答弁を聞くと、特にないということですね。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 伝統的には、所得税の控除は、御案内のとおり、所得控除になっております。これ自体は、所得の中から課税されるにふさわしい所得をえり出すという考え方の中で、担税力の減殺の部分について控除するということで所得控除の考え方がとられておりますので、そういった考え方との整合性の上で、最終的に出てくるその税額を控除するということをどう考えるのかといったその整理の問題が根本的にはあろうかと思いますけれども、控除のあり方として一つの考え方であるということは理解をしております。

 そういうことも含めて鋭意検討していくということだと思います。

古川(元)委員 この問題は、憲法二十五条の最低生活の保障みたいなところともかかわるという話もありますけれども、最低生活に係る所得には課税しないという考え方と、税額控除という形で、最低生活部分の所得は結果的に、ある意味で確保されるということであれば、私は、そういう講学的な問題というのもクリアできるんじゃないかと思いますから、制度設計上は、そこは考えれば問題はないという局長の話でもありましたから、ぜひこれは税額控除の導入、所得控除を税額控除に変えるという方向で議論を進めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 次に、国税関係帳簿書類の保存についてちょっとお伺いしたいと思います。

 昨年の十二月二十日に、国税庁の方から税務システム連絡協議会宛てに、国税関係帳簿書類の電子保存に関する周知の依頼について、そういう依頼がなされているんです。

 これは、平成二十八年度税制改正によって、電帳法のスキャナー保存に関する要件が緩和されて、電子保存が開始される。今、クラウド会計を初めとして、簡易に会計処理や税務申告が行える会計ソフトが増加し、普及している。ただ、その中には電帳法の要件を満たさない会計ソフトがあって、これが普及して、それを利用者が誤解して、電帳法に定める税務署長の承認を受けることなく、保存義務がある帳簿及び書類を紙での保存を行わずに、電子データで保存を行う、そういう場合には、これは誤解に基づくものであっても、青色申告とかそういういわば特典を受けられなくなる、不利益が生じる。こういう誤解が生じることがないように、電帳法の要件を満たしていない会計ソフトにはその旨を表示し、そして、ちゃんと紙での保存が必要な旨の注意喚起をしてくれ、そういう周知の依頼文が出ているんです。

 もちろん、こういう税務システム連絡協議会、ベンダーとかそういうところに言うのは大事だと思うんですけれども、ちょっと、中には、そもそも電帳法に未対応のクラウドの会計ソフト、こういうものを一部経産省が推奨しているじゃないか、そんなような話も小耳に挟みました。

 これは、経産省とか金融庁等に、ちゃんと電帳法の承認要件を満たした会計ソフトにするように、こういうものを国税庁の方から関係省庁に対しても要請すべきではないかなと思いますが、いかがですか。

麻生国務大臣 これは、結構、ちょっとした誤解というか、ソフトによって違うというのは明らかに不慮の間違いというか、意図的な間違いじゃなくて、そのソフトを使ったことによって、不良品とは言いませんけれども、そういうのになりかねぬと思いますので、これは税法上の保存義務があります帳簿というものについて、電子帳簿保存法、通称電帳法に定めておりますので、訂正、加除履歴の確保等々の一定の要件を満たしたシステムというものを利用すれば電子データの保存が可能ということになっております。

 他方で、その要件を満たしていない会計ソフトというのが今やあるじゃないかというお話なので、これは電子データで保存するのが可能であるということは誤解しないようにさせておかないかぬということで、ホームページでその旨は周知をさせておりますが、税務システム連絡協議会を含む各業界団体への注意を行うよう要請しておりますし、また、各業界団体へ要請事項というもので、経済産業省にもこれはかなり関係するだろうという話は聞いております。

 国税当局としては、全てのクラウド会計ソフトというものについて電帳法の要件を満たしたものとするように要請するという立場にはちょっとありませんものですから、会計ソフトの利用者が誤解というものを生じないようにするために引き続きいろいろ対応していかないかぬということで、これは経産省やら何やらともいろいろさらに話を詰めていってもらわないかぬところだと思っております。

古川(元)委員 私も、国税庁が直接やるということじゃなくて、そういうものを所管している、あるいは、銀行なんかも、中小企業に対してもこういうものを使えとかいって推奨しているときに、例えば金融庁とか何かから銀行とかに対して、電帳法の要件をちゃんと満たしたソフトを使うように指導しなさいよとか、関係省庁に対してきちんと言う必要があるんじゃないかというところ、そこのところはいいですね。

麻生国務大臣 これはきちんと、善意の間違い、その満たしていないソフトを使ったためにそういうことになるというのは甚だ不幸な話になりますので、そういうことのないように、これは御存じのように要請する立場にはありませんけれども、それが基本だということは各省庁にも話をしております。

古川(元)委員 ぜひよろしくお願いします。

 これは今、電子データの話なんですけれども、帳簿に訂正、加除履歴をきちんと残すということの必要性は、これは別に電帳法に基づかない帳簿であっても必要じゃないかと思うんですね。

 これは前にも大臣にもちょっと御質問させていただいていますけれども、これは規則の改正でできるわけですから、今の法人税法の施行規則五十三条の帳簿の記帳要件に、訂正、加除履歴の確保、こういうものをやはりこの機会にきちんと追加していくべきじゃないか。もう中小でも、電子データで、今使っているわけですよ。これは、そこの部分、ちゃんと加除履歴を残すようなソフトをここでも使うんだ、そういうことをすれば、私は先ほどの問題みたいなものは起きてこないと思います。

 ですから、これは、電帳法に基づくものだけじゃなくて、一般的に、やはり訂正、加除履歴をきちんと残すようにというふうに規則改正すべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘になっておられます、まず、電子帳簿保存法に基づく電子記帳の作成、保存に当たりましては、訂正、加除履歴の確保を要件の一つとして求めておりますけれども、この要件は、電磁的に帳簿を作成、保存する場合に大規模な訂正、加除を容易に遡及して行うことが可能であることを踏まえて設けているものでございます。

 他方、今御指摘になられました法人税法施行規則五十三条の規定でございますけれども、これは青色申告の関連で設けられているものでございまして、電子帳簿保存をするか否かにかかわらず、全ての法人に義務づけるべきではないか、そういう御趣旨と理解をしております。

 ただ、訂正、加除履歴の確保を、電子帳簿保存法の適用の有無にかかわらず、中小法人を含む全ての法人に対して一律に求めるということになりますと、新たな負担を課すことになりかねないということでございまして、その必要性についてはやはり慎重な検討が必要と考えているところでございます。

古川(元)委員 新たな負担というふうにおっしゃるんですけれども、中小企業でもこういうソフトを活用しているようなところはもう六割を超えているとも言われているんですね。

 ですから、こういうちゃんと訂正、加除履歴が確保される、ちゃんと残るソフトを使えば、別に新たな何か事務負担がふえるわけでもありませんし、手書きやエクセルなんかを使って帳簿を作成する場合には見え消しで残せばいいわけですから、そういった意味では、それほど、そんな大きな負担にならないと思いますし、むしろ、そういうところの負担をちゃんと何かカバーするような仕組みというものをしてやって、これは、それこそ中小零細企業の効率化とかそういった意味でもこういうものを使うようにといって推奨しているわけですから、やはりそこは、いつ聞いても同じ答弁なんですけれども、もうちょっと前向きにちゃんと検討していくということをすべきときに来ているんじゃないか。どうですか、局長。

星野政府参考人 先生の御指摘は十分理解をしておるつもりでございますけれども、記帳の、要するに適時性も含めまして、どのように考えるかということであろうかと思います。

 適時性に関しまして、商法では、適時、正確な記録を求めるということになっておるわけでございますけれども、税法上は、帳簿の記録が、例えば欠損金の繰越控除制度ですとか青色申告の承認要件になっているとか、そういったいろいろな要件と絡んでいることでございまして、適時性まで求めて、今おっしゃるようなソフトを使ってというようなことまで義務づけをするということになりますと、事業者にとっては、負担を課すということになりかねませんので、やはり慎重な検討が必要だというふうに考えているところでございます。

古川(元)委員 本当に負担なのかどうか、関係者にもしっかりヒアリングして、調査もした上で、もう何回、何年たっても同じ話で、世の中は変わっているんですから、やはり時代に合わせてそこはちゃんと、もちろん必要な記録はとりつつ、効率化を進めるということは大事だと思いますから、ぜひそこは検討していただきたいと思います。

 次に、ちょっと国税の執行体制についてお伺いしたいと思います。

 最近、国際取引というものが裾野が広がっていって、大企業とか、海外で子会社を有する法人だけじゃなくて、個人なんかにも広がっている、中小企業はもちろん、個人まで広がっているわけであります。そういうところが、昨年話題になりましたパナマ文書、これに対応するものとして、BEPSの行動とか、今回の法案でも対応がありますけれども、とられているわけであります。

 こういう状況を考えますと、国税庁は国際取引に対してかなり体制を強化していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、今ちょっと調べてみますと、こういう国際取引にどう対応するかということでいいますと、国税局には統括国税実査官というのがあったり、またあと国際税務専門官というのがいるようなんですけれども、全国に十二の国税局及び五百二十四の税務署が存在する中で、この国際税務専門官は三百五十九人しかいないんですよね。

 地方に行ったらそういう人とかいないだろうというと、地方の方にお金持ちというのは結構いまして、そういうところもやはり調査をする対象に必要だと思うんですけれども、税務署の数の六割ぐらいしかまだこの国際税務専門官がいないという状況で、この中で本当に、さまざま今問題になっております不公正な租税回避措置、こういうものに対応できるのか、やはり今の執行体制では全く不十分なのではないかというふうに思うんですが、いかがですか。

飯塚政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の、いわゆるパナマ文書でございますとかBEPSプロジェクトの進展などを契機といたしまして、富裕層や海外取引のある企業による海外への資産隠しや国際的な租税回避行為に対しまして、国民の関心が大きく高まっている状況にあると認識をしております。

 国税庁といたしましては、こうした国際的な動きも十分視野に入れて、適正、公平な課税を実現していくことが国民からの信頼の確保につながるものと考えてございます。したがいまして、国外送金等調書などや租税条約等に基づく情報交換等による有効な資料情報の収集に努めまして、課税上問題があると認められる場合には積極的に調査を実施しているところでございます。

 お尋ねの執行体制でございますけれども、国際課税に係る調査等を専門的に担当します、御指摘もございました国際税務専門官、これが、二十八年度におきましては、全国の国税局、税務署に三百六十三設置してございます。また、二十九年度予算では、国税庁の本庁に国際課税の司令塔として国際課税企画官の新設、あるいは国税局に国際担当の統括国税実査官の増設、また今申し上げました国際税務専門官をさらに九増設する、こういったような内容を盛り込むなど、所要の体制整備を順次図っているところでございます。

 今後とも、こうした取り組みをさらに進めていくことにより、必要な人員を確保し、国税庁の執行体制の充実を図っていくことが大変重要であると認識をしてございます。

古川(元)委員 認識だけじゃなくて、しっかり体制を強化していただきたいと思います。

 また、国際取引だけじゃなくて、国税をめぐるさまざまな対応をしなきゃいけないという状況は、仕事はふえているにもかかわらず定員は毎年減らされて、まあ、二十九年度はやっと一人の増になりましたけれども、こういう状況はいわゆる実調率にもあらわれておりまして、平成元年には法人で八・五%だった実調率が平成二十六年には三・一%。個人だと、平成元年には二・三%だった実調率が平成二十六年には一・一%、半分以下に落ちているんですね。これだけ実調率が落ちてしまっている、そういう状況について国税庁としてどのように考えていらっしゃるんですか。

    〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十七事務年度における個人と法人の実地調査割合でございますが、それぞれ一・一%と三・一%となってございまして、御指摘のように、平成元年と比べて半分以下の実調率となっているところでございます。

 この実調率の低下の要因でございますけれども、税務行政を取り巻く環境がさまざま変化をしてきておることが関係しておると思います。例えば、申告件数の増加等による業務量の大幅な増加、あるいは経済活動の国際化やICT化による調査事務の複雑化、あるいは平成二十五年の改正国税通則法に伴います税務調査手続の法定化、こういったような要因が関係しているというふうに考えております。

 こうした状況にございますので、国税庁といたしましては、税務コンプライアンスの維持向上が重要な課題であるというふうに認識をしております。

 このことに対応いたしますために、例えば、簡易な誤りであれば、電話や書面により納税者の自主的な見直しを要請するなど、実地調査以外の手法を用いた納税者との接触手段の多様化を図るといった工夫なども行っておりますが、他方、やはり実地調査は税務コンプライアンスを確保するための最も重要な手段の一つであるというふうに考えてございまして、実地調査を行うために必要となる人員を今後とも確保していくことが大事であるというふうに考えてございます。

古川(元)委員 しっかり人員を確保していただきたいと思います。

 最後に、昨年、酒類に関しまして、過度な価格競争の防止等を目的とした酒税法等の一部改正法が、これは委員長提案で全会一致で成立して、ことし六月一日に施行されることになっておりますが、国税庁において、この法施行に向けた準備の取り組み、特に、新たな公正な取引の基準策定、この進捗状況及びその内容はどのようなものになっているか教えていただけますか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 酒税法等の一部改正法でございますけれども、昨年六月三日に議員立法によって成立して公布されまして、公布後一年以内に施行することとされております。この法律におきましては、財務大臣の委任を受けて、国税庁長官が公正な取引基準を告示として定めるとともに、この基準を遵守しない酒類業者に対しましては、指示、公表、命令、免許取り消しといったことができることとされております。

 この基準案策定の状況でございますけれども、法定手続として、まず、国税審議会を昨年十二月二十一日に開催して、有識者による議論を行っております。また、その後、十二月二十七日からことしの二月三日までの間、パブリックコメントを実施し、現在、その結果の取りまとめを行っているところでございます。

 この基準案の内容についてのお尋ねもございましたが、まず議員立法の趣旨を踏まえた目的を明記いたしまして、その上で、酒類業者が遵守すべき公正な取引の基準として、正当な理由なく酒類を総販売原価を下回る価格で継続して販売してはならないということ、かつ、自己または他の酒類業者の酒類事業に相当程度の影響を及ぼすおそれがある取引を行ってはならない、こういった旨を定めることとしております。また、あわせて、売上原価の算定方法や費用配賦の方法、あるいは公正取引委員会との連携等についても定めることといたしております。

 いずれにいたしましても、パブリックコメントの結果等も踏まえながら、改正法の施行、ことしの六月でございますけれども、ここに向けて適切に対応してまいりたいと考えております。

    〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕

古川(元)委員 ぜひ、しっかりその基準をつくっていただきたいと思いますが、この基準ができても、これまでもそうなんですけれども、やはりなかなか守られていない。ですから、どう実効性を担保するかということが大事だと思うんですけれども、この法実効性の担保のためにどのような取り組みをするつもりか、見解を教えていただけますか。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 今般の改正法によりまして、先ほど申し上げましたように、酒類業者に対して指示、公表、命令、免許取り消しができるようになりましたが、このほか、質問検査権の拡充ですとか、公正取引委員会との双方向の報告制度が設けられるなど、公正な取引環境の整備に向けた体制が強化されたところでございます。国税庁としては、こうした制度を活用しながら実効性のある運用を行ってまいりたいと考えております。

 また、改正法の趣旨や考え方等につきましては、各国税局、税務署の担当者に対する部内研修を充実させますとともに、全酒類業者に対するパンフレットの送付や、各国税局、税務署による説明会の開催など、しっかり周知を図ってまいりたいと考えております。

古川(元)委員 仏つくって魂入れずにならないように、しっかり我々もチェックしていきたいと思いますが、庁の方でもしっかりやっていただきたいと思います。

 最後に、義務化された酒類販売管理研修制度についてお伺いしたいと思うんですけれども、その講師を務める人のレベルというのは現在まちまちだというふうに伺っているんですが、義務化された研修となる以上、今後、講師資格の真正性の確保などきちんとした措置をとる必要があると思いますが、その点についてはどのように考えていらっしゃいますか。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 酒類販売管理研修についてでございますけれども、法令遵守の状況や申請団体の公益性、研修実施能力といった法令上の要件を満たすものとして国税庁長官が指定した研修実施団体が実施するということとされているところでございます。国税庁では、指定した研修実施団体に対しまして、研修用のモデルテキストでございますとかDVDを作成して提供するなど、適切な研修を実施するための支援を行っているところでございます。

 今般の研修義務化を踏まえまして、研修講師の質の向上を図ることはこれまで以上に重要な課題であると認識をしておりまして、今後は、研修実施団体に対しまして、研修講師向けの講習会ですとか、関係法令に関する改正事項の周知といったことをしっかり行うよう指導させていただきたいと考えております。

古川(元)委員 義務化された以上、講師の質の確保をしっかりやっていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、質問を終わります。どうもありがとうございました。

御法川委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 民進党の今井雅人でございます。

 今予算委員会の方で大変議論になっております、豊中市の国有財産を森友学園に売却した件でありますが、マスコミで今取り上げられておりますけれども、管轄が近畿財務局ということでございますので、きょうは財務金融委員会の方でこの話をいろいろと伺っていこうと思います。

 私も予算委員会のメンバーでずっと聞いておりますが、もう不可解なことだらけでありまして、きょうは我が党で現地の方に調査チームを送って、関係者にヒアリングと、それから現地確認ということで行かせていただいておりますけれども、またそれを受けて各委員会で質疑を行いたいと思いますが、きょうはわかっている範囲の中で私の方からお伺いをしたいというふうに思います。

 まず、経緯もちょっとよく御存じない方がいらっしゃるかもしれませんので、簡単に私の方から、手元に資料をお渡ししていますので、それをもとにお話をしたいと思うんですけれども、もともと、平成二十五年の四月に大阪航空局がこの土地を売りたいということで近畿財務局に対して売却を依頼したというのがスタートなんですが、その売却の依頼を受けて、その年の九月に森友学園が近畿財務局に取得の要望書を出したというところがスタートであります。

 ここに小学校を建てるということで、これは認可をおろすのは大阪府でありますから、大阪府の私立学校審議会というところでこれが協議をされていきました。そして、翌年の平成二十六年の十二月の審議会では、内容が余りに曖昧過ぎるということで答申が保留になりました。二十六年の十二月です。そして、翌月の二十七年の一月に突然、これは異例らしいですけれども、臨時会が開かれまして、そこで、条件を付した上で、許可適当、許可じゃありません、認可適当ですね、認可適当という判断が出たということです。ですから、条件が今はまだ整っていないんだけれども、整ったら認可をしましょうということで、認可適当ということが始まったわけです。

 そのことも受けまして、今度は国の方ですけれども、その翌月の二月の二十日に、国有財産近畿地方審議会、百二十三回目のところですけれども、そこで議論がされて、そして、個々にいろいろな議論があったそうです、反対意見もいろいろあったそうですけれども、一応、条件を付して、認可適当ということに大阪府が判断をしたので、まあいいんじゃないだろうかということで、その場では決まったということであります。

 それを受けて、その年の五月二十九日に、ここに資料がありますけれども、近畿財務局において、買い受け特約を付した有償貸付契約、これは具体的には平成二十七年から三十七年の十年間の定期借地契約です。そういうのを結んだんですけれども、これを結んだときに、既に土壌汚染とか廃材とかが少しあるということがわかっていまして、それを森友学園の方が自分たちで除去しますということで除去しまして、平成二十八年四月六日、その金額が一億三千百万円、これだけかかりましたということで、国がその分を森友学園に払ってやったということ。ここまではよかったんです、ここまでは。

 問題はここからであります。問題はここからで、平成二十八年の三月の十一日に、工事をしている間に、もっと掘っていったら、新しいところに地下埋設物があるということがわかって、森友学園が近畿財務局に連絡をしました。

 それで、三日後には、三月十四日に、近畿財務局と大阪航空局と現場関係者が現地の確認に行きました。

 そして、その十日後に、これは後で伺いますが、非常に不可思議なんですが、それまで定期借地契約、買い受け特約をつけてはいましたけれども、借りると言っていたのが、突然、森友学園はこの土地を買いたいと言っています。それまでは、買い戻し特約を付した定期借地契約、これは事務方の最初の説明のときは、審議会をやっているときですね、事務方の方で、八年間ぐらい借りたら買いたいという意向だそうですということを説明しています。つまり、十年間のうちの八年間たったら買うとしていたのが、突然ここで、いや、今すぐ買いますというふうに変更になりました。非常に不可思議です。

 それを見て、その後、見積もりをしましょうということで国が見積もりをして、八億一千九百万ぐらいですねということを大阪航空局が見積もりをしています。買うという判断をしたのは、実はこの見積もり金額が出る前ですね。ここが非常に不思議なんですけれども。

 まず最初に、ちょっとお伺いしたいんですが、埋設物が見つかったら、国がこれを除去して、その除去した状態で森友学園に渡すという方法があったと思うんですね。それは考えられたというふうに予算委員会でも答弁しておられましたけれども、なぜその方法をとられなかったんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今、日にちを追っての事実関係は、委員のおっしゃったとおりでございます。

 それで、三月十一日、二十八年でございますが、森友学園、この時点で、まさに森友学園は、借地契約中に学校の建設工事をやっている真っ最中でございます。その中に、森友学園から、今委員がおっしゃった、最初の埋設物とは別に、新たに深いところから埋設物が見つかりましたという報告を三月十一日に受けたところでございます。十四日の前ですけれども、見つかりましたと。したがって、これをどうしてほしいかと。近畿財務局あるいは大阪航空局に対して、開校予定時期もほぼ一年後でございますので、そういう切迫した状況の中で、対応を検討してほしいというようなお話がございました。それを受けて、今おっしゃいましたように、三月十四日に、財務局や航空局で現場の確認を実施しているところでございます。

 そういう意味では、まさに一年後に開校しなくちゃいけない、まさに学校建設を遅滞なく進めたいというところに新たな埋設物がたくさん出てきそうだということでございまして、そういう意味では、みずからこの埋設物を撤去して建設工事を進める方が非常に速やかにできるのではないかという学校側の判断もあったと承知しております。

 我々としては、もちろん、今委員おっしゃっていましたように、もう一つの方法としては、借地契約中に、国として、その新たに見つかった埋設物を撤去して、それで売却するということもあり得たと思いますが、先方は一年後に開校ということでございまして、これを我々国として撤去しますと、これは入札にかけねばいけません。それが相当時間もかかりますし、仮にいろいろなものが見つかって、まさに上の建設工事の認可に変更が出るような可能性もございますので、その場合にはさらに時間もかかります。

 いろいろな意味で、国がやりますと、国が所有したまま工事をしますと時間がかかりますので、そういう意味では、速やかにみずから土地を取得して撤去して工事を進めたい、こういう御意向だったと承知しております。

今井委員 ちょっと今不思議なことをおっしゃいましたけれども、国がやって何か新しいものが発見されると認可に変更が出るからやらなかったと今おっしゃいましたね。その答弁はおかしくないですか。国がやったら認可できなくなるかもしれないからやらないと今おっしゃったんですよ。それはおかしいですよ。

佐川政府参考人 今申しましたのは、まず、国が工事をするときに、入札の手続で時間がかかるということは当然ございます。

 それから、二点目に申し上げたのは、仮にと申し上げたんですけれども、仮に国がそれをずっと掘っていった場合に、貸付契約の中で、仮に何か大きなものが見つかって、それで、その地下埋設物の撤去に伴って、上の土地の利用計画というのが当然ございますので、それの変更が仮に起こるようなこともある可能性もあるということでございまして、別に特段のことではございませんけれども、いずれにしても、そういう可能性も含めて、入札手続も含めて相当時間がかかるというようなことでございます。

今井委員 御自分で言っておられることがわかるかどうかわかりませんが、もっと掘っていったらいろいろなものが出てきて認可できなくなるかもしれませんから、そこのところはもうさわらないようにしましょうと今おっしゃっているんですよ。そういうことでしょう、今おっしゃっているのは。そういう意味じゃないですか。そんなことでいいんですか。

佐川政府参考人 今申し上げましたように、学校建設を今している真っ最中でございまして、この学校を遅滞なく建設するということでございますので、この貸付契約の中に、そもそも今結んでおります貸付契約の中に、仮に地下埋設物の撤去に伴いまして土地利用の計画の変更等が必要となれば、国の承認手続で時間がかかる、そういう契約になっておる、こういうことでございます。

今井委員 それは順序がちょっと逆だと僕は思いますよ。

 だって、この学校はまだ認可もおりていないんです。それで、もっと掘ったらいろいろなものが出てきて変更しなきゃいけないんだったら、開校を延ばせばいいじゃないですか。開校しなきゃいけないからそういうところはさわらないでおこうという考え方は、逆じゃないですか。

佐川政府参考人 開校は開校で学校法人側が急いでいるという話ではございますけれども、今委員の御指摘でありますれば、今私が説明申し上げましたのは、貸付契約の中でそういうことになっているということでございます。

今井委員 いや、貸付契約ではなくて、もっと新しいものを掘ったら変更になるかもしれないとおっしゃったじゃないですか。それはちょっと答弁が苦しいですけれども、もう一回話されますか。どうぞどうぞ。

佐川政府参考人 恐縮ですが、同じ答弁になりますが、ゆっくりやらせていただきます。

 貸付契約の中で、仮に地下埋設物の撤去に伴い土地の利用計画の変更等が必要となれば、国の承認手続等で時間がかかる可能性がある、こういうことでございます。

今井委員 ですから、別に、それは変更になったら開校をおくらせればいいだけの話なので、それに合わせなきゃいけないということではないと思いますよ。

 それで、ちょっとこれは単純な質問ですけれども、今回は、見積もりをして、向こうの見積もりをした金額を時価から差っ引いて、それで売却金額を決めていますね。例えば、前の、既に明らかになっていたものは、土壌改良して、実際かかったお金を返還していますね、こういうやり方はできなかったんですか。

佐川政府参考人 最初の話は有益費でお払いした話でございますけれども、それは、最初に貸付契約を結ぶ段階でそこにあることがもう存在しておりましたので、それがわかった上で有益費を支払うという貸付契約でございました。

 今回は、先ほど御説明したように、途中、建設工事の真っ最中、一年後に開校が迫る中で見つかったということでございますので、こういう判断になったということでございます。

今井委員 そういうことは実務的に可能か可能じゃないか。可能じゃないならいいんです。それをちょっと確認したいんです。このケースでもそういうことが法律上できるかどうかということです。

佐川政府参考人 前にも御答弁申し上げましたが、それは個別に法人との間で貸付契約と売買予約契約を同時に結んでおりますので、そういう契約の中で両者で話し合いをして、もちろん、先ほど申しましたように、国が撤去をしてそれで売り渡すということも可能だと思いますが、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、一年後に迫っているという中での判断でございます。

今井委員 ちょっと質問の意図が間違っています。

 学校側が工事をして、その分、実費、かかった分をお返しするということは実務的にはできなかったんでしょうかということです。

佐川政府参考人 一般的には、国が埋設物を撤去して更地として売却する、あるいは、地下埋設物の撤去費用を見積もり、更地価格からその撤去費用を差し引いて売却するというのが一般的でございます。

今井委員 では、一般的じゃない方法もあるわけですね。そういうこともできるということですか。できるかできないか、教えてください。理論的にできるかできないか。

佐川政府参考人 理論的に両者の契約の間でできる可能性はあると思いますが、そのときの時点では、先ほど申し上げたその二点の中での選択をしたということでございます。

今井委員 できる可能性はあるということを今御答弁いただきました。大事な答弁だと思います。

 それで、次にお伺いしたいのは、先ほどちょっと触れましたけれども、三月の十一日にごみが見つかりました、三日後にみんなで見に行きました、その十日後に、突然、森友学園さんは、この金額が幾らになるかもわからないんですが、私、買いますと、これまでは借りますと言っていたのが買いますというふうに突然変わっています。

 この十日間の間に恐らく何かが起きているんですね。何が一体あったんでしょうか。

佐川政府参考人 何度も申し上げて恐縮ですが、まさにその建設工事をやっている真っ最中で、一年後に開校するという状況の中で見つかっているわけでございまして、十日というふうに先生おっしゃいますが、いずれにしても、それは我々も、こういう埋設物が見つかったということで財務局も航空局も検討はしますが、先方としても早期にこの埋設物を撤去して開校に間に合わせたいということを考えたということでございます。

今井委員 私がお伺いしているのは、もともとこれは、八年ぐらいたってから買い受け特約を行使しようという、大体そういうめどで十年間の定期借地契約をしてスタートしているんです。ところが、この三月二十四日に、突然、この買い受け特約を今行使して私は買いますと、今までと全く違う判断をしておられるんです。突然変えられたんです、このわずか十日間の間に。

 しかも、この撤去の費用が幾らかかるかもこの時点では全くわかりません。それなのに、なぜここで買うというふうに突然おっしゃったのかが私はとても理解できないんですね。だから、お伺いしているんです。なぜこうなったんでしょうか。

佐川政府参考人 委員おっしゃいましたように、十年間の定期借地契約ということで、当初、八年程度をめどにというようなお話だったと思います。

 その上で、先ほどから何遍も申し上げていますが、一番大きな要素は、とにかく開校を間に合わせたいというのが一番大きな要素であったと思います。

 それから、そもそも定期借地契約にしたのには、もちろん資金面でのいろいろ事情もあったと思われますけれども、この時点で、買いたいというときにこれだけの埋設物があった場合には、一つ、その撤去費用を控除した上での土地を買い取るという御判断も先方にはあったかと思います。

 ただ、いずれにしても、先ほど先生がおっしゃいましたけれども、私どもとしては、その撤去費用について、一切先方にお伝えするようなことはしてございません。

今井委員 では、ちょっと次にお伺いしますけれども、これは、もともとは二十七年二月十日の国有財産近畿地方審議会で了承していますね。これだけの新しい、言ってみれば九億円が一億円になってしまうぐらい時価が下がるわけですね、これほどの大きな事案なのに、この以降、国有財産近畿地方審議会でこのことは議論していないんでしょうか。

佐川政府参考人 お答えします。

 今先生がおっしゃいました二十七年二月の十日の百二十三回国有財産近畿地方審議会でございますが、ここにおける審議は、この土地をこの法人にこういう処分をする、こういう方法で処分をする、こういう方法というのは定期借地プラス買い戻し特約つきでございますけれども、ということで、そこで了解を得ておるわけでございまして、売却価格については時価で売るということで、そこも了解を得ているわけでございますので、そういう意味では、時価で売るということにつきましてその場で了解を得ておりますので、改めてそこの審議の必要はないというふうに考えておりました。

今井委員 しかし、九億円で売れるものが一億円でしか売れないという状況になって、それを審議会で報告もしないなんということはあり得るんですか。

佐川政府参考人 時価で売却をするということでございますので、不動産鑑定評価額から国土交通省が見積もった撤去費用を差し引いた金額が適正な時価でございますので、その金額で売却をしたということでございます。

今井委員 いや、ちょっと皆さん、聞いていて不思議だと思わない方が不思議だと思うんですけれども、九億円のものが一億円になっちゃったことを何も報告しない、そんなことが本当にあり得るのかということなんですけれども、平成二十八年の六月二十日に売買契約していますけれども、その四日前にも百二十六回の国有財産近畿地方審議会、まさに売買契約する四日前に審議会が行われていますが、私が承知しておる、ここでも何もこのことが議論になっていないと思うんですが、これは事実ですか。

佐川政府参考人 そういう公共随契等で売り払ったものについて、しばらくたってから御報告をするということは当然あり得ますけれども、その時点で売却もしておりませんし、また、先ほど申し上げましたように、売却そのものについての了解も得ているところでございますので、その審議会では報告してございません。

今井委員 水かけ論になりますからもうこの話はこれでやめますけれども、これだけ金額が変わったのに審議会にも報告もしない、もう諮らなくていいというのはわかりますよ、時価でというのを認められているからということは、そこまではわかりますが、しかし、これだけの価格の変化があったのに審議会に報告もしないというのは、これはちょっと問題があると思いますよ。いかがです、何か答弁はありますか。

佐川政府参考人 個別の土地の随契の売却について、それぞれ各財務局の地方審議会で報告をしているというふうに承知しておりますけれども、本件についても、売却しておりますので、どこかのタイミングで報告されることはあろうかと思いますけれども、現時点ではしていないということでございます。

今井委員 大分後になってから言います、今は言いたくありません、そういうことをおっしゃっているようですけれども、いや、売却する前にそれはやはり報告するべきですよ。当然だと思いますね。

 ちょっとそのことを指摘しておいて、もう一個お伺いしたいんですけれども、最初の買い取り特約つきの定期借地権のところで、最終的には国有財産売買予約契約書というのをつくっていますね。これは、要は買い取り特約を行使した場合にどういう手続をするかということが書いてあります。そこを読みますと、売買契約書の中では、森友学園が、要するに買った場合は、売買代金を本契約と同時に払わなきゃいけないと書いてあります。つまり、一括全額払えというのがもともとの売買契約書の内容です。ところが、最後、これを一括で買いますという契約をしたときの条件ががらっと変わっていまして、分割払いになっています。二千八百万円だったと思いますけれども、これは、何年間だったかな、ちょっと金額は正確には忘れましたけれども、分割で払うというふうに突然契約が変わっています。

 それまで何年後かに買って一括で払うという契約だったのが、すぐ買うけれども分割にしてくださいという契約に変わっているんですね。こんな変更は、これは許されるんですか。

佐川政府参考人 今委員がおっしゃいましたのは平成二十七年五月のいわゆる買い受け特約つきの貸付契約のときの話でございまして、その後、先ほどから何遍も出ております新たな埋設物の発見という状況の変更もありまして、とにかく急がなくちゃいかぬ、買いますということになりました。

 そういう意味では、いわゆる分割の方法、分割納付というのは、国有財産特別措置法において、買い受け人が売り払い代金を一括して支払うことが困難で、確実な担保を徴求し、利息を付した上で分割払いということで、法令上認められている措置でございますので、先方と議論した上でそうしたということでございます。

今井委員 法令で認められているのはわかっていますが、今の御説明ですと、お金がないから分割にしてくださいという場合はオーケーということですね。そういうことですね。だから、それぐらい財務内容が不安定な学校であるということをおっしゃっているわけですね。

佐川政府参考人 私の答弁で、学校の経営が不安定などということは一言も言っておりません。

 国有地の売り払い代金を一括して納付することが困難でという申し出があって、法令に基づいて分割払いを認めるということでございます。

今井委員 つまり、では、経営が不安定という言い方は変えますけれども、資金的余裕のない学校である、だから分割にしたということですね。

佐川政府参考人 先方の申し出があって、先方の事業計画を確認して、きちんと分割で払っていただけるということを確認した上で認めたということでございます。

今井委員 ちょっといろいろおっしゃっていますけれども、御自分で認めていらっしゃいますから。

 一括で払うのは困難だという向こうからの申し出があった。それだけ資金的に余裕がないところであるということを判断して分割にされたということですよね。それで間違いないですね。

佐川政府参考人 法令上の規則に従って、そういう扱いをしたということでございます。

今井委員 それもちょっと問題だと私は思っています。

 それと、きょうは文科省さんもいらっしゃっていただいていますか。まず、事実確認ですけれども、この四月にこの学校は開校予定ですが、今認可はおりていますか、おりていませんか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府に確認をいたしましたところ、本年三月に、開校に向けた準備状況につきまして最終的な確認を行った後に、大阪府知事による認可についての判断が行われることになるというふうに伺っているところでございます。

今井委員 ということは、まだ条件を全部満たしているかを確認していないということですから、条件を満たさなければ四月までに認可がおりないという可能性もあるということですね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 付された認可適当の答申が出され、その条件につきまして確認を逐次その後の私学審議会でしております。その確認状況も踏まえた上で、先ほど申し上げました、三月に最終的な確認を得た上で認可の判断をする、そういうことで伺っております。

今井委員 僕の質問にもっとイエス、ノーで答えてください。

 今、条件を付して認可適当という状態です。ですから、条件を一つ一つチェックしていらっしゃるというのは、そのとおりだと思います。ですから、チェックを一つ一つしていって、条件が整わなければ認可はできないということですね。

村田政府参考人 これは、最終的に認可権を持つ大阪府が判断をされることでございますけれども、そういった条件を確認の上で認可の可否について判断をされる、そういうことで伺っております。

今井委員 それでは、国の場合はどうですか。例えば私立大学とかを認可するときに、もし条件をつけてやっていた場合は、条件を全部満たさなければ認可できないですよね、文科省さんは。どうですか。

村田政府参考人 これは、大学の場合はまた小中学校の場合とは違うわけでございます。文科大臣が直接認可をする、そして文部科学省の基準に基づいて認可をするという定めになっておりますので、小学校、中学校、私立の場合とは違うわけでございますけれども、大学の場合につきましては、そういう直接認可にかかわるような条件につきましては、満たされることを確認した上で認可をするという形になってございます。

今井委員 裏返して答えていただくのをちょっとやめてほしいんですけれども。

 つまり、今おっしゃっていることは、裏を返せば、条件を満たさなければ認可をおろすことはできないということですね。

村田政府参考人 これは大阪府の判断でございますけれども、考え方の整理としては、当然、これから認可をするということですので、条件、必要な要件を具備しているかどうか、そういうことが確認されなければ認可されない、確認されれば認可される、そういうことで考えております。

今井委員 それで、きのう、大阪府の方に確認したところ、大阪府ではしばしばこういうことがあるということを答弁されておられましたけれども、きのうもちょっとヒアリングをやりましたが、現実にほかにそういうところはありますか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 大阪府に確認をいたしましたところ、大阪府では、私学審において条件つきで認可適当とされたか否かにかかわらず、通常、三月に最終的な設置認可を行っているというところでございます。

 例えば、直近の例を申し上げますと、平成二十八年四月に開校した大阪学芸高等学校附属中学校につきましては、平成二十八年の三月三十一日に認可がおりているということでございます。ほかの例でも、三月二十二日あるいは三月二十四日に認可がなされているという直近の事例がございます。

今井委員 はい、その点はわかりました。

 ただ、やはり、この時点でまだ認可もおりていませんし、先ほどありましたように、一括でお金が払えなくて分割でしか払えないぐらいの財務体質であるという学校だということは確認をさせていただきました。

 そして、きょうは国交省さん、いらっしゃっていますか。確認したいんですけれども、これは見積もりで八億円ということで、積算のものも見ましたけれども、そもそももう少し狭い範囲だけを除去するということは検討できなかったんですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 本件土地の地下埋設物の撤去、処分費用につきましては、近畿財務局から御依頼を受け、大阪航空局において見積もりを行ったところでございます。

 大阪航空局は、近畿財務局と協議、調整を行いながら、本件土地が小学校用地であることも勘案いたしまして、工事積算基準に基づき、学校を前提として瑕疵のないものとするために必要となると考えられる地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを行ったところでございます。

 大阪航空局は、地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを近畿財務局に御報告いたしまして、その後、近畿財務局は、この見積もりを踏まえて、不動産鑑定評価等に基づきまして売却価格を決定し、売却したというふうに承知しております。

今井委員 今の答弁をもう一度確認しますけれども、つまり、国交省さんが見積もりをされた工事、これをしっかりやっていなかったら学校は建てちゃいけない、建てられない、そういうことでよろしいですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 先ほど御答弁申し上げたとおりでございまして、大阪航空局は、見積もりの算定に当たりましては、近畿財務局と協議、調整を行いながら、本件土地が小学校用地であることを勘案して、工事積算基準等に基づいて、学校を前提として瑕疵のないものとするために必要となると考えられる地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりを行ってございます。

今井委員 学校をつくるのに瑕疵がないような積算をしたということは、この工事をしていなければ学校をつくるのに瑕疵があるということですね。そうですね。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 本件の見積もりは、あくまで土地の価値を評価する、財務省さんは時価を算定するとおっしゃっていますけれども、その価値を評価する上において、小学校用地であることを勘案したということを申し上げている次第でございます。

今井委員 いや、もう既に答弁は残っていますから、学校をつくるのに瑕疵がないように見積もりをしたということですから、それは、裏を返せば、その工事をしていなければ瑕疵があるということだと思いますね。

 それで、ちょっと技術的なことをお伺いしたいんですけれども、見積もりの八億円のところを、全部ばさっと取って土を埋める、その運搬して埋めるまでの費用が全部積算で入っていたのは積算根拠で拝見しました。これは技術的な話ですけれども、この工事をしなくても、つまり、ごみを全部取らなくても、技術的に学校を建てることは可能ですね。どうですか。学校を建てることが可能かどうかです、技術的に。要するに、これを全部取らないと基礎がぐらぐらでつくれないとか、そういうことではないですよねという確認です。どうでしょうか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 学校をつくるに当たっては、学校の基準、これは文科省さんでございますでしょうし、あるいは建築基準法、これは自治体さんでございましょうし、そういう方のお考えということになりまして、済みません、私の方では承知しておりません。

今井委員 きのうの予算委員会で、我が党の逢坂委員が財務省さんに、八億円の工事、本当にしたかどうか確認しましたかということをお伺いしましたけれども、確認はしていませんとおっしゃっていました。これをちょっと確認したいんです。それでよろしいですか。

佐川政府参考人 きのう御答弁申し上げましたのは、きちんと時価で適正な価格で売却しておりまして、近畿財務局としましては、地下埋設物につきまして、売却後、相手方において適切に撤去したというふうに聞いておるところでございます。

今井委員 皆さん、もう一度確認したいんですけれども、もともとの不動産鑑定評価額は九億三千二百万円でした。これに実際の工事費が八億一千九百万円かかるということで、それを差っ引いて時価というふうにおっしゃっていますけれども、これは、この工事が行われるから、その分を差っ引くということで時価というふうに評価しているということだと思うんですね。

 我々の取材では、まだ確認しなきゃいけませんけれども、このごみを撤去する工事、どうやら行われていない可能性が高いんです。やられていない可能性が高いんです。だから、今現地に調査しに行っているんです。私は、ここで今断定はできません。情報をいただいているだけですから、まだ私も確認していませんので断定はできません。しかし、そういう情報は入ってきています。

 そして、メディアに対して、この当事者の方も、一億円ぐらいしかかけていないかなというふうに取材で応じられたそうです。私が聞いているのは、施工している側から聞いていますけれども、これは大問題じゃないですか、もし本当に事実だったら。

佐川政府参考人 お答えします。

 今の二点でございますけれども、まずは、先ほど申しましたように、地下埋設物につきましては、売却後、法人において適切に撤去したというふうに近畿財務局として確認してございます。

 それからもう一点、一億円の話でございますが、メディアとおっしゃいましたが、この間もここで答弁させていただきましたが、あの記事については、学校法人側から、事実誤認だと明確に指摘して記事の訂正を求めているというふうに聞いてございます。

今井委員 適切に処理しているという適切にという言葉の定義は何でしょうか。

佐川政府参考人 学校を建設するために適切な撤去工事だと思います。

今井委員 先ほど国交省の方が、あの見積もりは学校をつくるのに瑕疵のない見積もりをしたというふうにおっしゃっています。今、財務省の方も、学校を建てるために適切に処理をしたということでありますね。

 これは同じ意味ですよね。適切に処理をしたというのは、皆さんが見積もりをした工事が行われて全部取られたということが適切に処理されたということでよろしいですか。

佐川政府参考人 売却後に学校法人において適切に撤去したと聞いてございますが、見積価格と同額かどうかということについてまでは把握してございません。

今井委員 これは本来、九億円以上のお金が、これは空港特会に入るんですかね、特会、国の収入として入るはずだった案件だと思いますよ。それが、一億円。実はこれは、その前の先に払っている部分と差し引きすると、有益費と差し引きすると、きのう明らかになりましたけれども、二百万円しか国に入ってきていないんですが、その金額が幾らだか、正確にはこれから議論すればいいですけれども、大ざっぱに言えば、九億以上入ってくるはずだったお金がずっと減ってしまったわけです、一億なのか二百万なのかわかりませんが。

 それなのに、それは皆さんが見積もった工事費をもとに時価をつくっているわけでしょう。でも、その工事が行われていなかったら、その分だけ取りっぱぐれているということじゃないんですか。国の税収を、収入を減らしていることになりませんか。

佐川政府参考人 お答えします。

 何度も申し上げますが、法令に基づいて時価をはじいて適正に売却しておりますので、そこは適正な売却だったということでございます。

 それから、委員、ちょっと先ほどもおっしゃいました、最初に有益費で払った金額との間で二百万というようなお話もありましたが、最初に見積もったこの有益費の話、これは実際に森友で実施された除去費について後ほど国が払ったということで、まさに先方が肩がわりした、その支払ったものを国が精算したということでございまして、正式な売却価格は不動産鑑定価格から除却費を消去したものでございますので、その最初の一億三千万の有益費の話と売却価格について、全く内容が異なるものでございますので、その売却価格に直接有益費を加減算するような議論というのは余り適切ではないというふうに思います。

今井委員 いやいや、勘定科目はともかく、お金の出入りはあるわけですから、お金に色はありませんので、それは、ネットとして、それだけしか入っていないということは事実です。

 それよりも私は問題だと思うのは、国が見積もってこれぐらい工事しなきゃ学校をつくれませんよ、瑕疵がありますよというのを出していて、その工事をやっていなかったら、財務省さんはだまされていることになるんじゃないですか。だから、それをちゃんとチェックする責務があるんじゃないですかと申し上げているんです。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 だまされているとかそういう話ではございませんで、不動産鑑定評価額から国土交通省が見積もった適正な撤去費を引いた時価を算出したということでございます。

今井委員 いやいや、皆さんが見積もったものがちゃんと適切に行われているかどうかをチェックする必要はあると思いますよ。それは、その必要はないとおっしゃるんですか。

佐川政府参考人 時価で売却するということは、不動産鑑定価格から撤去費用を差し引いて売却して契約が成立するということでございます。

今井委員 それはちょっとひどい答弁ですね。

 だって、時価の算定をしたのに当たっては、皆さんが、これぐらい工事が必要だからその分は差っ引きましょうというので計算したんでしょう。その工事が行われていなかったら、本当はもっと価格が高いはずじゃないですか。そこは、実際にそのお金がかかったのかどうかということを確認するべきなんだと思いますよ。してくださいよ。

佐川政府参考人 今申し上げましたように、小学校ができるということもありまして、きちんと、先ほど国交省が答弁しましたように、瑕疵のないようにということで撤去費用を見積もりまして、不動産鑑定価格から引いて売却したということでございまして、その後、売却先においてその撤去費用についてどういう処理をしたかということについては、もちろん、正確に見積もった費用そのものにならずに、多少上振れたり下振れたりするということもあろうかと思います。

今井委員 多少の上振れや下振れぐらいならいいんです。そうじゃなくて、ほとんどそれが行われていなかったら問題でしょうと申し上げているんですね。

 そういう場合は問題ではないですか。それでもしようがないですか。

佐川政府参考人 何遍も申しますが、学校法人において適切に埋設物を撤去したというふうに聞いてございます。

今井委員 国の収入が減るかもしれないということに対しての財務省の意識の希薄さがもうあらわれてしまったなということで、私はあきれました。

 先ほど申しましたけれども、もう時間が来ましたからやめますが、私が聞いている話も事実に基づいて話しているわけじゃありませんので、そういう話を今聞いていますから調査したらいかがですかと言っていることですから、そこは誤解のないようにしていただきたいですけれども、今我が党の仲間もこの点については調査をしていますので、事実関係が明らかになったら、またこの点は皆さんと議論したいと思いますので、引き続き、この件についてはこの委員会でもやってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、本日の私の質問を終わります。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 民進党の重徳和彦です。よろしくお願いいたします。

 所得税法等の一部改正案についての関連する質疑をさせていただきたいと思います。

 きょう、朝から配偶者控除について議論がありました。昨年の九月、安倍総理を筆頭として、政府税調で、配偶者控除、配偶者特別控除の見直しについて、多様な働き方に中立的な仕組みをつくる必要があるという認識に基づいて議論が行われてきたはずでありますし、随分、これまでの所得控除という考え方から、場合によっては税額控除というところまで踏み込まれるのかというような期待感もいろいろあったんですが、御承知のとおり、議論は結局、控除対象配偶者の年収要件を百三万円から百五十万円というふうに少し広げる、こういうところに落ちついたということでございます。

 安倍総理も、先般、先週の本会議で鷲尾英一郎議員の代表質問に対しまして、所得控除から税額控除への見直しについて幾分前向きとも受けとめられるような答弁がありました。現在、所得控除方式をとっている基礎控除などの人的控除等における控除方式のあり方については、所得再分配機能を回復する観点から、御指摘の税額控除方式も含め、幅広く検討を行ってまいります、このように本会議場において総理が述べておられます。

 今回の法案における結論はもちろんわかっているわけでありますが、単に所得控除という仕組みのまま百五十万円に広げるというところから、さらに、所得控除を税額控除という形に改める、こういうところまで今後踏み込んでいくおつもりがあるかどうか、麻生財務大臣にお尋ねします。

麻生国務大臣 先日の鷲尾議員の、あれは代表質問でしたか、質問において、総理から、人的控除等における控除方式のあり方については、所得再分配機能を回復するという観点から、鷲尾議員から御指摘のあった税額控除方式も含め、幅広く検討を行うという旨を申し上げられたんだと思っております。

 この問題は、昨年末の与党の税制改正大綱の中においても、現在、基礎控除など人的控除が採用しております所得控除方式は、高所得者ほど税負担の軽減額が大きいということから、収入にかかわらず税負担の軽減額が一定となるいわゆるゼロ税率方式とかあるいは税額控除方式、また、所得控除方式を維持しつつ、高所得者については税負担の軽減額の逓減、消失させる仕組みと。

 今三つ申し上げましたけれども、ゼロ税率をやっておりますのは、ドイツとかフランスがゼロ税率方式をやっておりますでしょう。それから、税額控除方式というのは、これはカナダが多分やっているんだと記憶します。そして、今の税負担の軽減額の逓減を最終的にやっていくというやり方、これはアメリカとかイギリスがやっている方式なんですが、これはいろいろなものがありますので、与党の議論というのをいろいろ踏まえながら、控除全体の見直しに関する議論の中でこの問題については丁寧に検討を進める必要があるんだろうと考えております。

重徳委員 与党のということでありますが、我々野党もこれについては議論をさせていただいておりますので、ぜひこの国会の場において議論をさせていただきたいと思います。

 そして、配偶者控除、今回、同じ本会議におきます、これは麻生大臣の答弁の中でも少し気になる発言がありまして、配偶者控除の今回の見直しは、まさにこうした課題に対応するために行うものであり、働き方に中立的な仕組みの構築に寄与するものと考えております、そういう御答弁がありました。

 今回の百三万円から百五十万円へというのは、働き方に中立的な仕組みをつくるための議論には相当足りていないんじゃないか、こういう意見が多い中で、大臣から、働き方に中立的な仕組みの構築に寄与するものという御見解が述べられたわけなんですけれども、これはどういう趣旨で述べられたんでしょうか。

麻生国務大臣 女性を含める、いわゆるパートの方々の話で、よく、年収百三万円以下となるように労働時間そのものを減らす、いわゆる就業調整を行っているというまさに現状があります。法律としては関係ないんですよ。なくても、先ほどのどなたかの質問にもお答えしましたけれども、現状があります。しかし、現場からは、年末になるとパートの方がいなくなる、これは間違いなく現状がそこにありますので、人繰りが大変だという声も御地元でも聞かれるんだと思いますが。

 この就業調整問題というのは、これは、働きたくても労働時間を減らさざるを得ないという点で、働き方の選択をゆがめているという問題でもありますので、働き方に中立的な仕組みを構築するという観点からも、こうした問題を解消する必要は考えているということであります。

 先日の鷲尾議員の代表質問に対して私から申し上げたのは、今回の配偶者控除等の見直し、まさにこの問題を解決するという観点から行う一つの答えなんだと思っております。

 なお、税制とか社会保障制度の見直し、それだけではなくて、これは、民間企業側においてもこの配偶者手当のあり方を検討していただかないと、民間会社の方も百三万円のところになると、いわゆる給与等々において、それまでにしておくのを前提にいろいろな仕組みをやっておられるのは御存じのとおりだと思いますので、そういったことを含めて、多角的な取り組みを通じて今後こうした問題をやっていくには少々時間がかかるだろうと思っております。

重徳委員 ちょっと十分理解できない御答弁だったんですが、働き方に中立的ということよりも、今回は、壁の距離が、すぐ間近に来ている壁をちょっと遠くに遠のける、こういう改革、改正のようにしか受けとめられないんですが、中立というのはさすがにちょっと言い過ぎかなと私は受けとめておりますが、この点について、大臣、もう一度御答弁お願いします。

麻生国務大臣 パートの方々などが一定の年収以下になるように労働時間を減らす、いわゆる就業時間というものの調整問題というのは、これは働きたくても働けないという、働きたくても労働時間を減らさざるを得ないという点で、働き方の選択というのをゆがめておる問題であることはもうはっきりしていますよね。その解消には、働き方に中立的な仕組みというのに寄与するものなんだ、今回の点では間違いなくそうなっていると思います。

 こうした就業調整問題と配偶者控除の問題の関係については、配偶者特別控除によって税制上の百三万円の壁というのは解消しているんですよ。解消しているんですが、他方で、配偶者控除の百三万円という水準が、いわゆる企業の配偶者手当の支給基準として適用されているでしょう、多くの企業で。あなたのおられる豊田の辺なんかはみんなそうでしょうが。こっちは全部知っていて言っているんだから。

 そういったことが全部援用されていますから、そういったことで、これまた心理的な壁にもなっていますでしょう。したがって、就業調整問題の一因となっているのではないかという指摘がよくなされているところです。

 したがいまして、こういった点を踏まえて今般の見直しを行っておるところですが、見直しにおける百五十万円という水準は、時給が千円で、一日六時間で、週五日勤務した場合の年収を上回るわけです。パートで働く女性の方々の八割以上をカバーする水準になっているんだ、私はそう思っておりますので、パートで働く女性にとりましては、就業調整を意識せずに働くことができる仕組みの構築に寄与するのではないかということを申し上げております。

重徳委員 いろいろな議論の中で見解の相違もあると思うんですが、今大臣の答弁の中で、パートの八割以上の方々にとっては事実上中立的だと言えるのではないか、こういう御見解だというふうに一応受けとめましたけれども、ただ、それだけでは足りないんじゃないか、こういう意見も当然強いわけですので、これからさらに踏み込んだ議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、社会保険料についても、百三十万の壁とか百六万の壁というのもあります。先ほど大臣は民間企業の家族手当について言及されましたが、当然、社会保険の方も大きな壁として立ちはだかっています。これについては厚生労働省の所管だということになるのかもしれませんが、しかし、ここは、今回、税制を一つの切り口として民間企業にも働きかける以上、やはりぜひ財務省、厚労省の壁も越えて、厚労省とともに社会保険に関する壁も乗り越えていただきたいと思うんですが、大臣、その辺の御決意を述べていただければと思います。

麻生国務大臣 これは所管が違いますので、それを財務省に越権行為でやれと言っておられるんですか。正直言って、これは財務省の所管じゃありませんから、厚生労働省の保険の話になりますので、基本的には、だと思いますので、ちょっと今の話を、おっしゃっている意味がよくわからないので、それもぴりっと越えてやり切れという意味の定義がよくわからないんですけれども。

重徳委員 縦割りの壁というのは、私も役所にいたときから、常に、どこかの役所に所属していても、お互いに越えていかなくちゃいけないという壁でございましたので、今、財務大臣にも厚生労働省との壁を乗り越えていただきたい、こういう趣旨で申し上げた次第です。これはもう答弁求めません。

 さて次に、今回の法案、ちょっと各論に入っていきますけれども、特に中小企業対策として、愛知県は全国の中では、大企業もあるということもありますけれども、比較的経済がうまく順調に回りつつあるなんということも言われますが、それでもなお、やはり中小企業の皆さんは相当な悩みを抱え、なかなか浮上することのできない、そういう苦悩の中で日々の経営をされているという声をよく聞いております。

 きょうお配りしました資料一、これは、中小企業投資促進税制等の拡充でありますけれども、サービス産業においても設備投資をしたときに即時償却を認めるという内容であります。

 ただ、これは制度として、今までよりは拡充されたということですから、それ自体はもちろんいいことなんですけれども、やはり、本当の現場において聞こえてくるのは、この計画の認定をするということ、あるいは、いろいろ聞けば、先進的なものでなきゃいけないとか、生産性を高めるんだとか、付加価値を高めるんだとか、こういういろいろな、これも心理面も含めたハードルがあるわけなんですね、この計画認定を受けるためには。こうした税制上の優遇というものは、私はもっともっとハードルを下げていいんじゃないか、このように思います。

 ただでさえ、高齢化が進んで後継ぎがなかなか見込めない、こういう企業も特に中小はあるわけですから、この計画の認定などの要件とかあるいはその手続面とか、こういったものをさらに緩和させていくということができないのか、簡素化させていくことができないのか、こういう中小企業の立場から質問させていただきます。いかがでしょうか。

木原副大臣 中小企業、とりわけサービス産業を含めた、そういった中小企業の設備投資を促進するという観点から、器具、備品であるとか建物の附属設備等を対象とする、商業、サービス業等を営む中小企業等の経営改善のための設備投資を支援する税制というものを設けさせていただいているところでありますが、私どもの評価といたしましては、平成二十七年度においては約五千の企業が適用を受けているというところであって、一定の効果があったものというふうに考えております。

 中小企業は、地域の経済、雇用を支える重要な存在であって、重徳委員の言うとおり、非常に重要なウエートを占めているものでございます。アベノミクスを一層加速していく上でも、中小企業の攻めの投資を促進していくことが極めて重要であるというふうに思っております。

 今般の税制改正においては、この中小企業投資促進税制の上乗せ措置を改組し、中小企業経営強化税制を創設した上で、対象に、器具、備品、建物附属設備等を追加することとしております。これによって、サービス業を含めた中小企業による一層の設備投資を期待しておりまして、政府としても、それをやはり使っていただくための周知を徹底するなど、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。

 なお、本税制については、生産性の向上等につながる設備投資を目的としたものであることから、一定の要件を満たすものに適用を限定しているところでありますが、委員の御指摘にもありました要件の緩和等、そういったことにつきましては、まず今般の改正の効果をしっかりと見きわめてまいりたい、そのように思っております。

重徳委員 今まで、サービス産業以外の、従来の中では五千社がこの制度を活用したということでありますが、これはまだ始まって一、二年しかたっていないという状況でありましょうから、ここはもちろん、効果をよく見ていくというのは、今副大臣が言われたとおりだと思います。

 その上で、やはり中小企業の現場において、なかなか、生産性を高めるんだなんて言ったって、ぴんとこないわけですよね。そういうところに、現場にもっと思いをいたしながら、この税制の仕組みがちゃんと活用できるように改善を重ねていく必要があるということを御指摘申し上げたいと思います。

 それから、同じように中小企業の問題の一つとして最近よく聞こえてきますのは、やはり社会保険料が随分重荷だということなんですね。

 本当に小さな、三人とか五人でやっている、それでも一応法人としてやっている、こういうところが法人としてやっていると、社会保険料は当然事業主側の負担もあるわけでありまして、そういった負担に耐えられないということで法人を解散して、そして個人事業者へと、個人成りというんですかね、個人成りをするような事業者も少なくない状況であります。

 こういう状況の中で、結局、法人か個人か、どっちをとるかによって事業主負担があるなしという、大きくこれは違いが出てくるわけでありまして、その他のもちろんメリット、デメリットもあるわけなんですけれども、背に腹はかえられないということで、やむを得ない選択として個人成りをする、こういう事業者も出てきております。

 ぜひ、社会保険のあり方も、法人だったらどんなにちっちゃくても健保、厚生年金じゃないとだめなんだ、こういう画一的な取り扱いじゃなくて、この辺は選択できるような、そういう仕組みとか、何か、こういった苦しんでいる事業者にもとり得る選択というものを示していくべきではなかろうかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 社会保険料につきましては事業主負担を求めておりますけれども、これは、年金や医療の給付を保障して、働く方々が安心して就労できる基盤を整備することが働く方々を雇用することに伴う事業主の責任であるという観点、また、働く方々の健康の保持及び労働生産性の増進が図られることが事業主の利益にも資するという観点から、事業主に求められているものでございます。

 こうした考え方のもと、就労実態の管理等を踏まえまして、一定規模の個人事業者を除く事業者に対しまして、広く健康保険と厚生年金保険を適用することとしております。

 今議員御提案ありましたけれども、小規模の法人につきまして、事業主の負担軽減の観点から、任意に国保、国民年金に切りかえられるようにすべきではないかという御提案でしたけれども、これにつきましては、先ほど述べました社会保険制度のあり方の根本にかかわる問題であること、また、事業主に雇われる方の加入する保険を事業主の都合で健康保険や厚生年金から国保、国民年金に変更させることとなりまして、不利益を生ずるおそれがあることから、厚生労働省といたしましては望ましくないというふうに考えているところでございます。

重徳委員 制度のたてつけはそのとおりであることは、それはもちろん重々承知の上でありますし、個人成りを選択する事業主さんも、それは法人の方が、例えば従業員だって、社員も集めやすいし、それから事業承継の対策といいましょうかね、そういう制度だってあるわけでありますし、株式会社何々というのと個人事業主、看板がそもそも違いますから、社会的な信用力なんかも大きく違うわけでありますが、それでもなお、そういった個人成りを選ぶ、選ばざるを得ない、こういう実情があるわけでありますから、建前と言ったらいけないですけれども、事業者としての責任とか社員に対する健康、おっしゃるとおりだと思います、しかし、それでも本当に背に腹はかえられない、このままでは立ち行かない、こういう思いが現場にはあるんだということを認識していただきたいんですが、真逆の聞き方をします。

 こういう個人成りをするという事業者は、どういう事情、どういう理由でそれを選んでいるんだというふうにお考えでしょうか。ちょっと審議官の言葉で語っていただけませんでしょうか。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 今議員御指摘になりました、小さな法人の方がさまざま事情を勘案して個人成りになられる例があるという御指摘がありましたけれども、個々の会社にとってはいろいろな事情があると思いますので、自分自身は事業経営をした経験が余りございませんので、こういった事情にあるからということは、この場で申し上げることはなかなか難しいと思います。

 例えば、社会保険の場合でも、小さな事業所の場合は協会けんぽに加入することになる会社が多いと思いますけれども、そういった協会けんぽにつきましては、財政基盤が脆弱でありますことから給付に国庫補助を行っておりまして、保険料負担の軽減を図っておりますので、そういったところも活用していただければというふうに思っております。

重徳委員 正直な感覚で今述べていただいたと思いますが、ぜひ、国の所管省庁としても、より現場に近いところの声も酌み取りながら、いろいろな制度の可能性を検討していただきたいと思うわけでございます。

 次に、法人の役員の給与についてなんですけれども、これは法人税法で定めがあります。法人税法三十四条の役員給与の規定があるんですが、給与の額というのは一旦決めると、その年は一年間金額を変えちゃいかぬというか、金額を変えない限り損金として算入できる、よっぽど理由がない限り、その給与の額を変えちゃいけない、変えた場合には損金算入できなくなる、こういう仕組みがあるわけであります。

 今、この法人税法に基づく政令では、当該法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由によりされた定期給与の額の改定、つまり、経営が著しく悪化した場合には、この定期給与の額を改定しても損金算入できる、こういう仕組みになっているということなんですが、これも、細かいことを言うように聞こえるかもしれませんが、経営が悪化したら、役員の給与は当然下げざるを得ないと思います。そのときに、そういう理由があるから損金算入だ、ないから算入じゃないんだというような、理由を公式に求められるほど、法律や政令に定めるような規定じゃないんじゃないか、こういう声があるわけです。

 つまり、経営の状況に応じて役員の給与は変動する、下げざるを得ないときは特にそうですね、下げざるを得ないんだ、これはもう当然のことでありまして、そういった理由をきちんと明らかにしない限り損金算入ができない、これはちょっとおかたい仕組みになっていること自体どうか、こういう声があります。

 若干、細かい質問のように聞こえるかもしれませんが、このあたり、政令、法令に定めることなく自由に、もっと自由度を持った、つまり、この辺の規制をなくすという考えがないでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる法人税法三十四条に規定しております役員定期同額給与についての御質問でございます。

 先生御案内のとおり、役員報酬につきましては、恣意的な税負担の調整のために利用される懸念もあるということで、法人税法三十四条で、一定の基準を満たさない役員報酬について、損金不算入ということをきちんと明定しているところでございます。

 定期同額給与につきましては、毎月といった、定期に同額を支給する役員報酬の損金算入を可能としているものでございますけれども、政令に委任することで、例えば毎年所定の時期に行う改定ですとか、役員の職制上の地位の変更に伴う臨時改定ですとか、また、御指摘がございましたとおり、経営の状況が著しく悪化したことなど、業績悪化に伴う改定などによりまして役員報酬を改定する場合には、改定前後を通じて定期同額給与として取り扱い、損金算入を可能とするという旨が定められておりまして、冒頭申し上げましたとおり、恣意的な税負担の調整のために利用される懸念との均衡を図っているということでございます。

重徳委員 午前中の時間が来ましたので、ここまでとしたいと思います。

 ありがとうございました。

御法川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

御法川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 議事に先立ちまして、ホアキン・カストロ米国下院議員外日米国会議員会議米国議員団御一行が当委員会の傍聴にお見えになっております。御紹介を申し上げます。

    〔起立、拍手〕

    ―――――――――――――

御法川委員長 質疑を続行いたします。重徳和彦君。

重徳委員 午前中に引き続きまして、質疑に立たせていただきます。民進党の重徳和彦です。

 ちょうどアメリカの議員団の皆さんが来られておりますので、先日、財務長官に任命を承認されたばかりのムニューシン財務長官と麻生財務大臣、ちょうど就任早々の十六日に電話会談をされたと伺っております。

 電話会談の内容について、どんな内容だったのか、教えていただければと思います。

麻生国務大臣 私どもが訪米をいたしたときには、まだ上院の承認を得ておられませんでしたので、上院の承認が得られた後、日本にこっちが帰国した後承認が終わったので、お祝いの電話を申し上げて、次に会うときには、バーデンバーデンでG20の会議がありますので、そのときにいろいろな話をという話をした、そういったところまでです。

重徳委員 これから、強固な関係を築きながら、日米の経済、財政について、信頼関係をもとに日米関係を進めていただければと思っております。

 今度、四月にも行われるという見通しであります日米経済対話でありますが、現時点において、麻生大臣がどのような御認識でトランプ政権と向き合っていくのか、何点かお伺いしたいと思います。

 まず、トランプ大統領、何といっても、レーガン政権以来三十年ぶりとまで言われる大型税制改革案を、早ければ月内にも発表するという日程感だと思いますが、これから発表すると言われております。

 特に、我が国としてしっかりと見きわめなきゃいけないのが、いわゆる法人税の国境調整とか、いろいろな言われ方をしますが、アメリカから輸出で利益を得た企業に対しては課税を免除して、海外からアメリカに仕入れた製品とか部品については費用の控除を認めないとか、これは議会の方がむしろ提案する話でありますので、二〇%課税するとか、いろいろなことが言われております。

 そして、報道によれば、多くの米国内の製造業の企業は賛意を、賛成の意思を表明していると言われておりますし、当然ながら、小売業を初めとした輸入に大きく頼っている業界は否定的、反対の意見を持っているとも言われております。

 日本として、国境税といいましょうか法人税の国境調整について、現時点で麻生大臣としてどのような御見解を持っておられるか、お願いします。

麻生国務大臣 トランプ大統領が会見等で、ボーダータックス、いわゆる国境税というものの導入に言及しておられますことやら、また、下院の共和党で、いわゆる法人税の改革等々によって、国境調整措置の導入というものを提案されておられるということは承知をしておりますが、これはまだ、御存じのように、発足したばかりの大統領で、やっと財務長官が決まって、その下の次官も局長も全く決まっていない今の状況では、その具体的な内容が全然わかりませんので、私どもの方としてはコメントしようがないというところだと思っております。

 いずれにしても、今後、どういった方向でやられるのかをよく見きわめた上で、どの道、スティーブン・ムニューシンという方が今度新しく財務長官になっておられますので、そちらと交渉をすることになるんだと思っておりますし、また、ペンス副大統領との間の日米経済対話をスタートさせることになりましたので、そちらのところで話をするなり、いろいろなところで話をさせていただく。具体的な話は今からだと思っております。

重徳委員 それから、これもまだトランプ政権のまとまった方針というのがきちんと体系的に示されていない中ではありますが、やはり、トランプ大統領からはドル高に対する懸念が選挙中から一貫して示されているように受けとめられます。

 しかしながら、一方で、大型減税をするとか、財政出動を思い切ってやるんだという政策に対しては、これは当然ドルを高くする方向になるわけですし、先般のFRBのイエレン議長からも利上げをしていくというような示唆があったわけで、現状、確かに、トランプ大統領の円が安過ぎるという言葉としての見解はたびたび示されておりますけれども、今時点で政策を見ると、円が上がる要素がむしろ少ないんじゃないかとも見受けられるんですが、しかしながら、トランプ大統領は一貫して円をもっと上げよというようなことをおっしゃっている。

 こういういわゆる円高圧力について、現時点で麻生大臣はどのようにごらんになっているでしょうか。

麻生国務大臣 イエレンFRBの議長の話を聞いていれば、ことし、何ベーシスという感じでもなかったんですけれども、とにかく三回ぐらいは利上げをしたいというような感じのニュアンスの話をしておられます。金利を上げるということは、基本的にはドルが高くなるということを意味しますので、我々から見れば、FRBの言っておられる話とドルを安くする話は明らかに乖離をしております。

 先ほど申し上げましたように、まだトランプ新政権とFRBとの間でどういう話が煮詰まっているのかよくわかりませんので、まだしばらく時間がかかるんだと思っておりますので、それを見きわめた上でないと何とも申し上げられないんだと思います。

 金利を上げないと、アメリカの場合は土地の値段がかなり上がってきておりますので、そういった意味では、地方、連邦銀行ではなくて各地方のところからいきますと、もう十分に上がっているので金利は上げろという説が多いというのはよく知っていますけれども、国全体として見た場合は、ドルが高くなるということは、アジアから通貨が、キャピタルフライトが起きるということを意味しますので、それはなかなか簡単に話はいかないので、そこはよくよく調整をした上でしなきゃいかぬというのが別の意味から出てくるんだと思いますので、なかなか、まだそこらのところの統一見解が出されているという段階ではない、そういうぐあいに理解しております。

重徳委員 ありがとうございます。

 きょうは日銀の黒田総裁にもお越しいただいておりますので、今の金融政策についてお尋ねしたいんです。

 今、麻生大臣おっしゃったように、イエレン議長がことし三回程度利上げをするのではないかという観測があります。ただ、その時期がいつになるかというのはいろいろな見立てがあって、早ければ三月だという見立てもあれば、いや六月だと。しかし、きのうかきょうの報道によりますと、六月という見立てをしていた金融機関も、六月を前倒して五月になるんじゃないかとか、比較的早い段階での利上げが予想されるというようなことが米国内外においても見立てがあるわけであります。

 アメリカで利上げということになりますと、一般的には、日本においても利上げ圧力というものも出てこようかと思います。そういう中で、これまでどおり、まあ、先ほどからのトランプ大統領の円高圧力というものもあわせ持って、やはり日銀の金融緩和政策というものについても、かなり、何というか、ハードルが上がるといいましょうか、これまで以上に国債を大量購入しなきゃいけないとか、先般の指し値オペのようなさらなる新しい武器を発動せざるを得ないとか、いろいろと、ある意味選択肢が狭まるというんですか、きつい状況になってくることも予想されるんですが、今後、日銀の金融緩和という政策を、どのように今の状況の中で乗り切っていくというか、この政策を乗り切っていこうとお考えなのか、御見解をお尋ねいたします。

黒田参考人 御案内のとおり、日本銀行の金融政策は、あくまでも二%の物価安定の目標をできるだけ早期に実現するということで行っておりまして、為替相場は目的となっておりません。また、各国の金融政策につきましても、御案内のとおり、G7あるいはG20で何度も確認されておりますけれども、物価安定という国内目的のために適切に運営すべきであり、運営されているという認識、これは広く共有されていると思います。

 日本銀行は、この長短金利操作つき量的・質的金融緩和というもとで、経済、物価、金融情勢を踏まえつつ、この二%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するために、最も適切なイールドカーブを形成させようということで行っているわけであります。現状では、御案内のとおり、二%の物価安定の目標までにはなお距離がありまして、これをできるだけ早期に実現するためには、現在の金融市場調節方針のもとで強力な金融緩和を推進していくことが適当であると考えております。

 したがいまして、確かに国際的に金利水準は若干上がってきておりますけれども、あくまでも私どもの金融政策は日本の金融政策でありますので、先ほど申し上げた、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するために適切なイールドカーブを促すということでやっておりますので、海外の金利が上がったからといって、日本の長短金利操作目標を上げていくということは時期尚早であるというふうに考えております。

重徳委員 従来どおり、ぶれずにやっていくという決意表明のような御答弁だったと思います。

 どんな状況でも今の一貫した姿勢を変えない、政策を変えないということでございますが、マイナス金利を一年前から導入してから、まさに一年たつわけなんですけれども、最近ちょっと気になる報道も登場してきておりまして、特に地方の金融機関、マイナス金利になったものの、そのお金をどこにやっていいのか、なかなか見当たらない中で、最近は、相続税対策ということで、更地だった土地に個人の方がアパートを建てて、そしてそれを賃貸として貸す、こういうところに資金需要が出ていると。

 マイナス金利ですから、当然金利も安いし、それから更地よりも建物を建てた方が相続税が安くなる、評価が下がるという意味でですね。それから、借金をこさえておくこと自体が相続税対策になるとか、それから建設業界にすればもちろん仕事になる、そして金融機関は資金を貸す先ができるということで、その限りにおいては需要と供給がマッチしているように見えるんですが、しかしながら、当然ながら、日本の人口減少局面にあって、よっぽど局所的な大都市部以外は、アパートをつくってもすぐ、アパートというのかマンションというのか、つくっても空室がちになって、家賃も下がって、結局その融資も焦げつくんじゃないか、こういうこともあるわけであります。

 何か、弾みがつくととまらないというのが割と、これをバブルとは申し上げませんが、そういう傾向がある中で、ここについては、そういった資金の流れについて懸念する声も上がり始めているんですが、日銀としてどのように捉えておられますでしょうか。

黒田参考人 最近の金融機関の貸し出し態度は引き続き積極的でありまして、銀行貸出残高は前年比二%台の半ばで推移しております。こういった銀行貸し出しの伸びはいろいろな分野に及んでおりまして、不動産業だけでなくて幅広い産業について、また、設備投資向けの資金も、それから運転資金も含めて、さまざまな形で増加しておりまして、特に中小企業への貸し出しもかなり増加しているというのが現状であります。

 御指摘の、地域金融機関を中心に貸し家業向け貸し出しが伸びていることは事実でございます。こうした動きにつきましては、一方で、郊外から市街地への人口移動などがありまして、貸し家需要が増加しているという面と、御指摘のような資産運用あるいは節税ニーズといった供給側の動機がありまして、両方相まって、貸し家の着工が増加しているということが背景にあるというふうに思います。

 現時点では、郊外の物件など一部に空室率の上昇などが見られますけれども、マクロ的に見た貸し家の需給バランス、あるいは金融機関のリスク管理などの点で大きな問題が生じているとは見ておりません。

 もっとも、貸し家業向け貸し出しというのは、当然のことながら、長期にわたりますので、金融機関に対しては、実行段階における物件ごとの収支見通しの検証のみならず、実行後における物件の状況変化の早期把握などの点で適切なリスク管理を促しておりますし、今後とも促してまいりたいというふうに思っております。

重徳委員 これで終わりますけれども、アパートも十年過ぎるともう古いアパートになってしまいますし、いろいろな心配の声も上がってくると思います。やはり、もうけになると思うと一遍にその方向に動くという傾向は当然ありますので、これは、私自身も含めて、この動向をしっかり見守りながら、警鐘を鳴らすべきときは警鐘を鳴らしていきたいと思っております。

 また、引き続きよろしくお願いします。ありがとうございました。

御法川委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民進党の古本伸一郎でございます。

 税法について、政府にお尋ねしてまいりたいと思います。

 委員長、ところで、下院議員閣下御一行はいつまでいらっしゃるんですか。まだ当分、いらっしゃるんですか、傍聴は。

御法川委員長 何時までとは私は聞いておりません。

古本委員 そうですか。ちょっと、若干、気を使いまして。

 大臣、私は、政治の師匠は藤井裕久元財務大臣でいらっしゃるんですけれども、かつて藤井先生が大臣のときに、ガイトナー長官が訪日されて、夜、紀尾井のあそこで懇談をするということがあったとき、当時、副大臣の野田さんと私たちジュニアは出席予定じゃなかったんです。ところが、朝、政務三役会議で、大臣室で藤井先生が、何だ、君らは来ないのか、勉強になるから来いと言って、急遽呼んでいただいたんです。

 外交ですから、マルチになるように配席もやり直して、ルース大使もいらっしゃって、私たちジュニア、私の対面も三、三になるように。

 そのとき、藤井先生が、とにかく広島の賀茂鶴をすごい勢いでガイトナー長官におつぎしたら、藤井先生が飲み勝ちまして、ガイトナー長官が最後、コップに手をやったんです。私は、西洋の方がああいう社交の場でもう飲みたくないというのは初めて見ました。飲み勝ったと。

 いよいよペンス副大統領閣下と経済対話の枠組みができたと承知しておりますけれども、ケミストリー、相性という意味では、既にお会いされたかと承知していますけれども、相性はいかがですか。

麻生国務大臣 酒は一滴も飲まない、トランプという人もたしか酒は飲みませんね、両方とも。だから、全く飲まないというので、すごく真面目なところが合うんじゃないかなと思っていますけれども。

古本委員 大臣、同時通訳も入っているようですから、虚偽答弁にならない程度で。

 同時に、為替のことが話題になっている、あるいはなる予感がするわけであります。これも同じく藤井先生から薫陶を受けましたけれども、財政当局者は水準については言わない、なぜならば、高いか安いかは人々によって受けとめが違うから、ただひたすら、行き過ぎた円・ドルのレートが乱高下することが非常に困るのであって、為替の安定をひたすら求める、こういう薫陶を受けたわけでございます。

 実は、あの二〇一一年、一二年のリーマン・ショック直後の大変急激な経済の悪化の中で、まさにキャピタルフライト、安全通貨である円に世界じゅうの資本が動く中で、あらがうことができない中で、円・ドルが見る見るうちに百円を割り、九十円、八十円、七十円台となったわけであります。

 あのときに、私は、自国の通貨を守るために当時の民主党政権が七年ぶりに為替介入をしたことはまことにもって正解だったと思っていますけれども、大臣の印象があればお聞かせください。

麻生国務大臣 二〇〇八年にリーマン・ブラザーズという会社がバンクラプシー、倒産をいたしましたときに、世界じゅうから、いわゆるキャッシュという現金がマーケットからなくなった。したがって、あちらこちらで騒ぎになったときに、日本はIMFにいわゆる十兆円の金、約一千億ドルでしたけれども、当時一千億ドルを融資して、結果としていわゆるクレジットクランチと言われるような金融破綻というのを避けた。

 しかし、そのときに条件をつけて、金は貸すけれども条件があると。通貨安競争はしない、関税引き上げ交渉はしない、そしてブロック経済はやらない、その三つを条件にして、G7はあのとき合意しました。総理大臣をしていたので、これが条件と言って、みんなで言って、みんな約束した。

 しかし、現実はどうしたかといえば、アメリカとイギリスはほぼ先頭を切って通貨の大量発行に踏み切った。結果として、通貨安です。日本は、そのときはほとんどそれに対応せず、一緒に対応していったら、一九三〇年代のあれの二の舞になりますから、我々はじっと耐えて、その二〇〇九年以降もずっと頑張っていた、日本銀行も頑張ったというのが、長い歴史で、それが非常に大きな意味を持ったんだと思いますが。

 結果として、日本の通貨は極めて高い七十円という話にまでなりましたので、リーマン・ブラザーズのころは百二十円でしたから、それはちょっと正直な話、日本としても通貨というものをもう少し早目に、円安にするのではなくて、我々は今、通貨というものに関しましては、間違いなく、いわゆるデフレというものから脱却せんがために円を緩めるという方式をとって、今は結果として円安、どこまで円安かというのは藤井先生と同じところですけれども、百二十円でスタートしているんですから、まだうちは円高、きょう百十三円何十銭でしょうから、今、通貨が安いか高いかと言われると、それはアメリカは安いと言うかもしらぬが、我々に言わせたら、リーマン・ブラザーズのところにまだいっていないじゃないかというのも理屈なので、これはやはりマーケットが判断するというのにやっておかないとなかなか難しいんですが、今おっしゃるように、最近はボラティリティーとかいろいろな表現がありますけれども、乱高下するというのは、これは経済のためによろしくないので、上がるにしても下がるにしても、なるべく安定したものが望ましいという方向でいきますと、今のところ、百十円から百十何円のところで、一応、このところ安定しているというところに来ているところは間違いないとは思いますが。

 これから先どうなってくるかは、ちょっとこれは我々はよりよく監視しておかないかぬところだと思っております。

古本委員 そのリーマンのときには百二十円という、具体的な水準を決して大臣は示唆をされたわけじゃありませんので、この瞬間も、マーケット参加者はごらんになっているでしょうから、聞きようによれば、大臣は百二十円までは円安ではないというふうに理解をされているように私は感じかかりましたけれども、これをごらんになっている人に、決してそうじゃないということを補足しておきたいと思いますが、念のため。非常に心強く感じました。

 自国の通貨を守り、その付加価値を生み出しているのは何かということに立てば、やはり我が国で申し上げれば、物づくりであり、そこに働く人々の労働による付加価値の生み出しであり、そのことによって得られる自由主義経済というのは何があっても揺るぎのない世界の基本原則だ、このように思うわけでありまして、ペンス副大統領閣下とそういった経済対話の枠組みができたということは高く評価したいと思いますので、毅然と、かつ論理的、かつ世界の常識の中で大臣には向き合っていただきたいというふうに思いますけれども、再度、何か趣味が一つぐらい副大統領と合いそうですか。決意をあわせてお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 私は、インディアナというところの州知事をやっている人だそうですけれども、昔のインディ五〇〇という車のレースの試合に、昔、学生のころ見に行ったことがある以来、あんな田舎に行ったことはないんだと思っていますけれども、カンザス、オハイオ、インディアナとかイリノイ、あの辺の五大湖の周辺のところというのは余り日本の閣僚が行ったことはないそうなので、この間会ったときには、立ち話でしたけれども、大統領たちはゴルフをしに行くんだ、俺たちは今から仕事をさせられるんだ、やっていられないからゴルフをしようやと言って、ゴルフをするかと言ったら、すると言うから、インディアナにゴルフ場なんてあるのかと聞いたら、かなりむっとした顔をして、すごくいいゴルフ場があると言ったから、では、呼べ、そうしたら俺がそこに行くからという話程度はしましたので、ゴルフはするそうです。

 ですから、それぐらいですかね。とにかくきちんとした人で、全くこう、という感じで、大統領の前で全く動かないで、じっとしていましたので、反応の見ようもないような感じだったので、私は、大統領よりそっちの方に興味があったのでずっと見ていたんですけれども、ずっとノートをとっているような感じの人でしたので。ちょっと今から趣味を見つけるのはなかなか難しいので、酒を飲まないことだけは知っていましたので、ボーン・アゲイン・クリスチャン、生まれてくるならクリスチャンという宗派に属しているんだから、かなり真面目、ちょっとウルトラ真面目な人なんだなという感じはしましたけれども。

古本委員 ありがとうございます。

 退席されたのでもう気を使わなくていいかなと思いますけれども、結構大事なやりとりを期せずしてできましたので、大臣、ちょっとおさらいしてほしいんですけれども、自国の通貨はやはり守るというポジションですねという確認と、それから、来る米国との経済対話で向き合うときには、日本の付加価値を生み出しているのは何かという基本に立脚して、きちっと世界経済の、自由経済の基本を貫いていただけるということを今お約束していただけますか。

麻生国務大臣 アメリカ・ファーストでしたかアメリカン・ファースト、それは、どこの人でも自国の国益を代表している立場になれば自国ファーストになるのは当たり前な話で、こちらもそう。それでどの程度折り合いをつけるかということなんだと思いますけれども。

 私どもは、前にも話を申し上げたことがあるんですが、日本という国は物づくりと言われたんですけれども、やはり最大の我々の強さはそこなんだと思うんですけれどもね。

 したがって、かつてのイギリス、最近のアメリカ、かつてはみんな物をつくっていたんですけれども、ある日、突然に、みんな金に走ったわけですよね。イギリスの場合はシティーに行き、アメリカの場合はウォールストリートに行き、金を全部集めて、そして結果はどうなったかといえば、サブプライムローンなる怪しげな金融派生商品を売り倒して、多くの国々がえらいことになったんですけれども。

 やはり、日本はその点、きちっとそういうのにひっかからずやってこられたというのは、銀行がしっかりしていたか、英語ができなかったから買わなかったかどうかは別にして、結果として、ひっかかる量は極めて少なかったというのは、何となく怪しげだなと思って手を出さなかったんですよ、あれに。その結果として、日本は一番そういったものの傷が少なく済んで、今、金を貸しましょうと言えるところがあのときできた、最大の理由はこれだと思っていますけれども。

 ぜひ、そういった意味で、日本の強みで勝負しないと、何となくみんなで平均点なんというのは、そんな世界の中で生き延びていくためには、やはり自国の、自分の強いところで勝負をしないといかぬのだと思いますので、やはり勤勉さと、長く伝わった勤勉という精神と、そして物づくりという才能、この二つは日本の最も得意とすべきものなんだと思っています。

古本委員 ありがとうございました。

 では、続きまして、委員長のお許しをいただいて資料を配付してございます。資料をちょっとごらんいただきたいと思うんです。

 実は、これは今からもう六年前、平成二十四年十一月十三日の三党覚書であります。社保・税一体改革の三党覚書とは別に、特例公債について覚書をしたものでございます。サインが入っている原本は、それぞれの自民党、公明党、そして私どもの政調の金庫に保管しているんでしょうけれども、当時の自民党幹事長は石破さん、政調会長は甘利さん、公明党は井上さん、政調会長は石井さん、石井大臣であったわけであります。私どもは、輿石さん、そして細野さんがそれぞれ幹事長、政調会長でした。

 これを結ぶに至った背景は何だったかといえば、その年の一月、二月、通常の特例公債法を閣議決定し国会にお諮りしたところ、当時の野党の皆様に御理解いただけず、ずっと半年間、ほったらかしといいますか通らなかったわけであります。

 実は、この翌日の十四日付で議員提案いたしました。自公民、民自公三党提案で、この三党合意に基づく特例公債法の修正提案をいたしました。

 十一月十四日は何があったかといえば、実は、安倍総裁と野田当時総理との党首討論によって、明くる十六日には解散しようじゃないかという約束をした、あの党首討論のまさに前日、十三日に合意し、十四日に党首討論をし、そして明後日に解散するという、劇的な、激動の三日間、四日間だったんです。

 その十四日の日に議員修正提案を出した提案者です、私は。向こう四年間、特例公債法がずっと自動発行できる。あえて言います、自動ではないんですけれども、その年の予算総則の範囲内で発行できるということであります。毎年、時の与党に対し、時の野党が国会戦術あるいは抵抗戦術、肉弾戦、あらゆるものを駆使してこの発行をとめてやるというようなことはもうやめようじゃないかという画期的な提案ではなかろうかと思ったんですけれども、当時、提出者として答弁にも立っていますから鮮明に覚えていますけれども、条件は一つあったんです。二つ三つあったんですけれども、大きな条件は、やはり歳出を抑えていく、これをせずして野方図な特例公債発行を認めてはならないということをやっていたわけでございます。

 なぜこの話を振り返るかというと、実は、二〇一二年選挙、二〇一四年選挙で御当選されている諸先生方には、この経緯を御存じないわけでありまして、折に触れてこのことを言う責任が私にはあると思っていまして、きょう、歳入委員会たる当財務金融委員会で申し上げているわけでございます。

 改めて、きょう、主税局長ほか来ていただいておりますけれども、国の歳入の根幹は何ですか。主税局長。

星野政府参考人 国の各般の歳出を賄うための根幹は、税、税収だと考えております。

古本委員 では、きょうは主計からも来ていただいていますけれども、歳入の根幹は税であるとするならば、特例公債というのは何ですか。

可部政府参考人 お答えいたします。

 財政法四条では、国の歳出は租税等をもって賄うべきという原則を述べた上で、建設公債以外の公債の発行については認めていないところでございます。

 そうした中で、現行の特例公債法におきましては、前回の四年間の枠組みを引き継ぎまして、プライマリーバランス黒字化目標に向けた財政健全化に取り組んでいくことを踏まえて、安定的な財政運営を確保する観点から、御指摘の特例公債の発行を五年間行うこととしております。

古本委員 お配りをしております資料の二ページ目に、これは財務省のホームページでございますけれども、今、主計局、可部次長にお答えいただいた趣旨、要旨がここに書いてございますね。

 つまり、国の歳出は、財政法四条でありますけれども、原則は租税で賄うことと書いてあるんです。例外的に建設国債という概念が許されている。そのまた例外に、建設国債で賄えない場合に、その賄えない分について特例公債となっております。

 建設国債は今年度で幾ら計上されていますか。あわせて、特例公債は幾らですか。

可部政府参考人 二十九年度予算案におきましては、建設公債の発行額は六兆九百七十億円、特例公債の発行額は二十八兆二千七百二十八億円でございます。

古本委員 つまり、今お答えいただいたように、主客転倒といいますか、主従が転倒しておりまして、かつて、自由民主党の大平先生が、まさに、特例公債を出すときは、痛恨のきわみである、国民に申しわけないと言って法律を提出された。議論された国会答弁も残っております、臨時、異例のことであるとまで言われておりますけれども。今や建設公債の方が小さくて、特例公債の方がずっと大きい状況で毎年の予算を編成しているわけでございます。

 今、与党の中の、自民党の中の部会の話については申し上げる立場にはありませんけれども、教育国債なるものの議論もあるやに承知しております。実は、手前どもも、同僚議員の中には、子供国債と称して、そういったこともありじゃないかという御意見があるんですけれども、借金に色はついておりませんで、かつ、利払い費に、建設国債だからおまけしておいてやろうとか、子供国債だったら利払い費は勘弁してやろうなんという、世の中、マーケットは甘くないわけでございまして、借金は借金ですね。

 やはり身の丈に合った財政を組むという大原則からいえば、特例公債と合わせた分、今年度で申し上げれば約三十四兆円ぐらいでしょうか、さすがに建設国債は、ダムという形が残ったり、トンネルという形が残ったり、高速道路インフラであったり、インフラということで将来世代に、ある意味では、そのストック管理の費用を将来世代はそんなものを先に送ってくれるなと思っておられる、まだこの世に生まれていない将来世代もいるかもしれませんが、まだましですよね、物があるだけ。

 つまり、この二十八兆円になんなんとする特例公債分については本来租税で賄うべきであるというふうに思うんですけれども、仮にこれを租税で賄うとしたら、税収は、ざっくり、単純でいけば二十八兆円、消費税、今一ポイントで幾らの税収がありますか。主税局長。

星野政府参考人 消費税収一%当たりの税収は、約二・七兆円ということになります。

古本委員 つまり、今我が国の消費税は八%。一〇%に引き上げるかどうかでさえ、あえて言います、一〇%に引き上げるかどうかでさえ三十一年の十月まで先送ったのが政治の現実であります。何たることかと思いますね。

 仮に、あと一〇ポイント上げたら特例公債を発行しなくていい。一八ポイントですよ、消費税。これは頭の体操じゃないです。現実の話として向き合わなきゃならない。

 なぜならば、今年度予算で、公債費は、元本、利払いでそれぞれ幾ら使うんですか。

可部政府参考人 お答えいたします。

 二十九年度予算案における国債費は二十三兆五千二百八十五億円となっておりますが、このうち償還費十四兆三千六百八十億円、利払い費九兆一千三百二十八億円となっております。

古本委員 ありがとうございました。

 つまり、元本と利払い合わせたら、もう二十数兆円、二十四兆ですか。だから、もうざっくり言えば消費税一〇ポイント分が借金の返済に回っているんです。これを世の中では自転車操業というんですね。もうやめた方がいいと思いますね。

 それで、例えばインフラなら、ことしやりたいのを来年に回そうかというのもあり得るかもしれませんが、子供たちの教育費、あるいは義務教育の予算、あるいはF35の戦闘機調達費用、こんなものは先送れませんよ。何があっても、むしろもっとたくさん買うべきだ、F35なんて、安くですよ。何か一夜にして下がった話はまた今度やりますけれども。

 つまり、租税の話をやる当委員会で、実は個々の各論の租税特別措置、あるいはマル配控除、もう山と議論したいんですけれども、根本に、我が国における基幹三税というのは何なんだという話をまずしなきゃならない。だって財政法四条には、身の丈に合った財政を組みなさいと書いてある。身の丈に合った財政とは、租税歳入の範囲内で歳出を決めなさいと書いてあるんですから。

 基幹三税というのは何ですか。主税局長。

星野政府参考人 所得税、法人税、消費税でございます。

古本委員 では、続いてお尋ねしますけれども、所得、法人、消費というのは、税収はどのくらいですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 二十九年度予算で申し上げますと、所得税が十七・九兆円、法人税十二・三兆円、消費税十七・一兆円が国税における収入でございます。

    〔委員長退席、土井委員長代理着席〕

古本委員 この所得、法人、消費で見たら、先ほど大臣のお話にあった、どうぞ。

星野政府参考人 済みません。法人税は、十二・四兆円でございます。申しわけございません。

古本委員 さっきの大臣の話で、さらに加えると、法人税のいたずらな引き下げ競争はもうやめようじゃないかという話を一方で言う国もありますね。日本は今後どうしていくかというのはありますけれども、法人税は十二兆ですよ。所得が十七兆。先ほど同僚の古川委員からもありましたけれども、正直、お金持ちに負担してもらえばいいといったって、お金持ちの定義もこれは難しいですよ。

 今回の政府原案ですと、マル配控除、これは実に千二百万以上の人は大体増税になるという理解でいいですか。よく聞いておいてくださいよ。お願いします。

星野政府参考人 はい。結構でございます。

古本委員 財務省の皆さんも、本当に自虐的だなと思いますね。

 例えば、大臣、後ろにいらっしゃる秘書官の給料は幾らぐらいですか。固有名詞はあれなんですよ。多分課長級ぐらいでいらっしゃるとお見受けすると、それは一千万は超えていますよ、一般的に。企業でいけば、みんな超えていますよ。でも、この一千万を超えている人というのは何%ですか。

星野政府参考人 およそ五%ぐらいだと思います。

古本委員 細かな数字は、いきなり聞いて申しわけないですけれども、こんなの常識ですよ、五%ですよ。たった五%の人に担税力を求めるのか。やはり、年収四百万の人も、五百万の人も、六百万の人も、もっと言えば、ここはボリュームゾーンですよ。この皆様もあまねく負担していただくことにより、社会保障も、教育も、F35も、みんな支えるということでなければ、一千万の人だけ負担してもらって何とかなろうという話ではこれはないと思いますね。

 そこで、基幹三税の中で、年金を受け取っておられるシニアも、子育て中の世帯も、そして小学生の皆さんも、みんながひとしく負担する税というのはたった一つだけありますよ。極めて公平な税です。どうぞ。

星野政府参考人 消費税ぐらいだと思います。

古本委員 そうです。消費税だと思いますよ。

 だって、課税逃れをしようとして所得を過少申告しようと、節税と称してさまざまな経費を計上しようと、あの手この手で国税当局も頑張っていただきますけれども、これは限りがあるとすれば、消費税は極めて公平な税でありますね。

 この基幹三税のうち、今後、さらに担税力を求めて、かつ租税の柱になるべきなのは何税だと思いますか、大臣。これは大臣です。

麻生国務大臣 基幹三税の中だったら、伸び率、日本のGDPの七〇%が消費によっておりますので、消費税が一番大きいと思います。

古本委員 全く同感だと思います。

 やはり所得税は、年収四百万の人が五百万になり、六百万になり、きょうよりあすがよくなると頑張って、皆さん所得をふやしていますね。そして、やっと俺も課長になったかという人は一千万を超える人もいるかもしれない。その人が高所得者だといって負担してもらおうというのは世知辛い。秘書官は苦笑いされていますけれども、御自身のことですよ、本当に。こういう、マル配控除を、引き倒したように見えて、実は百五十万まで拡充し、これは減税ですから、その分の財源は年収一千二百万の人が負担すればいいんだというのは、ピンポイント過ぎて、これはもう税としていかがなものかなということを申し上げるわけでございます。

 ぜひ、消費税を上げていく上で、あと二年半あるわけでありますけれども、課題が幾つかありました。これも、同じく三党合意、抜本改革法の中で示された中なんですけれども、先ほども出ていました。医療の損税の話もありました、それから住宅もありますね、あるいは車体課税の問題もあります。

 さまざまな課題を解決していく必要があるわけですけれども、その中の一つに低所得者対策というのがございました。これは、軽減税率を入れるということで、もう既に与党合意で、二党で、自公でお決めになり、大綱が出され、立法化されていることでありますので、既定路線なんだろうと思いますけれども、きょうは国税庁にも来ていただいていますけれども、これは軽減が入る大前提に、軽減には反対です。反対ですけれども、インボイスを入れると言っていることにはやむを得ないかなと思いますが、執行の現場として、これは中小事業者、青色法人等々ありますけれども、すし屋のおやじが、大将がすしを握ったその手で伝票をつけているのが実態だとしたら、このインボイスというのは大変負荷がかかる。これは何とか税理士の皆さんにもやっていただくんでしょうけれども、インボイスは反対している人もおられますね。

 これを執行の現場でやっていく上で、体制の強化あるいは教育、今どういう状況になっていますか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税の軽減税率制度等の実施に当たりましては、混乱が生じないよう万全の準備を進めることとされておりまして、関係府省庁が連携して、政府全体として取り組んでいるところでございます。

 まず、その取り組み内容でございますけれども、具体的には、二十八年の四月に軽減税率の適用対象品目等につきましてQアンドAを公表するとともに、ことしの一月に新たな事例を追加する等の改定を行っております。また、事業者向けの説明会を関係民間団体等と連携しながら積極的に開催し、また、関係省庁や各種の事業者団体が行う説明会にも講師を派遣するなどしております。また、全国の税務署の専用相談窓口において個別相談に対応するとともに、専用ガイダンスを設けて、電話相談に集中的に対応する体制を整備するなどの取り組みを行ってきております。

 また、体制でございますが、こうした事務への対応のために、まず平成二十八年度に、執行体制の整備として百三十二人、定員措置等がなされております。また、国税庁本庁に消費税軽減税率制度対応室を新たに設置する等の体制整備を行ってきております。

 引き続き、先生御指摘のように、軽減税率制度やインボイス制度に関する事業者の方の理解や準備が円滑に進むよう、これらの制度が円滑に執行されることが重要と考えておりまして、国税庁本庁、国税局、税務署の関係部署が一体となって取り組むとともに、平成三十一年十月の軽減税率制度の実施を踏まえて、今後、必要に応じて、執行体制の整備を図っていきたいと考えております。

古本委員 国税の執行現場は大変な御苦労の中で実務をされていると思いますので、もうあと二年半ですから、私は絶対に消費税は予定どおり、予定じゃないんですよ、予定が先送られ、もう一度先送られて、三度目の正直で三十一年の十月には一〇ポイントになると信じている一人ですけれども、国税庁も信じている一人であれば、これはインボイスに向けて、やはり体制もしっかり、要員も含め、ぜひ準備を遺漏なきよう当たっていただきたいなというふうに思います。軽減には反対ですけれども、もう法律で書かれたものについては甘んじて受けるしかないので、体制をしっかりやってほしいということでございます。

 幾つか、その課題の中で、きょうは国交省にも来ていただいていますので、他委員会から来ていただいていますから、最後にそれを触れたいなと思いますが、資料の三ページ目、四ページ目。

 まず、三ページ目をごらんいただきたいんですが、先日の税法の本会議で、各会派の諸先生方の演説を拝聴するに、なるほどな、大変皆さんいいところをついておられるなと思って、これは与野党ともに伺っていたくだりが車の車体課税のくだりなんです。これは、非常に我が国の根幹である、GDPを支えている物づくり、わけても自動車産業への影響が大きいという趣旨で、車体課税についてはできる限り軽減してほしいという趣旨のことを御発言されていたかに承ったんですけれども、実はそんなものじゃないんです、この問題は。

 実は、ここに答えがあるんですね。今、自家用車の世帯当たり普及台数ということで、都道府県別のデータをここに配付しているんですけれども、登録業務は国交省運輸局がやっておられますので、国交省、今一番普及している県はどこで何台ですか。一番普及していない、保有されていないところは何県で何台ですか。

    〔土井委員長代理退席、委員長着席〕

早川政府参考人 お答え申し上げます。

 一般財団法人自動車検査登録情報協会の資料によります平成二十八年三月末現在の都道府県別の自家用乗用車の世帯当たり普及台数を見た場合に、普及台数が一番多いのは福井県で一・七四九台でございます。世帯当たり普及台数が一番低いのは東京都で〇・四五〇台となっております。

古本委員 つまり、都会は地下鉄が通っていますしタクシーもたくさん走っているので、交通弱者と呼ばれる人の移動手段は非常に恵まれています。地方都市に行けば、車がないと移動ができないんです。生活の糧なんですね。なくてはならないもの。

 めくっていただいた四ページに、今度は都道府県別の年間収入ですね。世帯収入ですので、これをごらんいただくと、若干、私が申し上げたいこととちょっとずれるように聞こえるかもしれませんが、福井県、石川県、富山県の日本海側のこの三県は同居率が高いというので非常に有名ですよね。選出の先生方はよく御案内。福井県は世帯収入が六百二十万とぬきんでているのをちょっと割り引いてごらんいただくと、一般的に、例えば中四国、九州、世帯収入が大体四百万円台です、年間、まさに四百万円台で暮らしておられる。委員長の御地元もそうですね、四百万円台です。

 片や、普及の少ない東京を見れば、世帯収入が六百万円を超えています。年間で百万の格差があるわけなんですね。

 これは、主税局長、例えば国税分でいうところの自動車重量税、あるいは地方税もあわせてお答えできるのであれば、自動車税、排気量で決まっているこういった税というのは、地方によって税率は変わるんでしょうか。

星野政府参考人 変わりません。

古本委員 非常に重要なポイントなんですよ。四国や九州や東北に行ったら税率を少し軽減してくれる、つまり地方加減があるかといったら、ないんです。一トン一万二千六百円という定価は定価ですから。今、若干下げていただいていますけれども。ということは、この世帯収入から見たら、可処分所得、つまり担税力が弱い世帯に限って保有が多いのが自動車関係税なんです。

 だから、産業のさまざまな応援の観点から言っていただくというのは、一つの日本の経済産業政策として極めて炯眼ではあるんですけれども、家計、暮らしという観点からいけば、車体課税を軽減しなきゃならないというのは家計支援なんですね。

 実は御党、自民党の諸先輩方というのは、もう何十年も前に消費税を入れた平成元年、あるいは平成九年の税率を三ポイントから五ポイントに上げたときには、非常に炯眼であったと思いますよ。消費税を上げた分家計負担が上がるだろうということで、所得税減税をやっていますね。だから、ある意味でのレベニュー・ニュートラル、税収中立だった。

 私どもが消費税を上げたときは、車体減税を思い切っていたしましたけれども、所得税はもはや減税はできないだろうという中から、何とか家計に戻してさしあげたい。とりわけ、地方都市ほど、これは東京に比べたら約四倍持っておられますから、四倍の税負担ですよ。大体、東京と比べたら百万から二百万、年間収入が違うのに。

 だから、これはぜひ、車体課税の問題の本質がそこにあるんだということを申し上げておきたいと思いますので、何か感想があれば、大臣。よし、下げてやるというのであれば、今ここで約束していただければありがたいんですけれども。

麻生国務大臣 愛知県と違って、ほかのところへ行くと、もっと田舎へ行くといいと思いますけれども、軽自動車ですよ。これまた税率が違うんですね。だから、そこのところもちょっと、もう少し正確に出てくるんだということだけは思いますけれども、今言っておられることは間違いありませんよ、間違いなく。

 ついでにこれも言わせてください。

 東京というところは、これだけ、ヒンターラントに三千万ぐらいいるわけですよね、地方に、千葉、埼玉、神奈川を足しますと三千万少々になるんですけれども、車がこれだけすいすい走れて、排気ガスがこれだけなくて、北京と比べるとちょっと比較するのもばかばかしいですけれども、ちょっとニューヨークやら何やらに比べても、何が違うかといったら、鉄道、公共交通網。バスじゃないですよ、レールを使ったもの、公共鉄道網。鉄道は七十何%いっていますからね、地下鉄を入れて。一番発達しているロンドンで八%いっていないでしょう。それぐらいですから。

 だから、この鉄道というようなものが普及しているから、やはり、今言われたように、車を買わないんですよ。もう要らないからとみんな言うんですけれども、しかも最近レンタルなんというものがえらい発達しているから、さらにそうなって、私の娘でも買いませんものね、車。びっくりしました。私らの世代では考えられない。

 だから、それぐらい、最新、興味を持ってそれを調べて、今の数字が出ました。

古本委員 大臣も私が申し上げたかった、いわゆる車体課税の問題、政策的に狙いがどこにあるかということは御理解いただけたものと承知しております。ぜひ、当委員会で今後とも議論を深めたいなというふうに思います。

 最後に、特例公債の話ですけれども、三十二年に、今回の延長した自動成立法案、あえてそう言いますけれども、期限が到来しますけれども、財政当局としてはこれをさらに延長する予定はあるんですか。

可部政府参考人 お答えいたします。

 現行の特例公債法は、二〇二〇年度のプライマリーバランス黒字化目標に向けて財政健全化に取り組んでいくことを踏まえて、安定的な財政運営を確保する観点から、二〇二〇年度、すなわち平成三十二年度までの特例公債の発行を認めたものでございます。

 現時点では、三十二年度以降の特例公債法については何ら決まっておりません。

古本委員 まさに、三十二年が到来したときに、三たび延長するかどうかの議論に直面するんですね。そのときに、この歳入委員会たる当財務金融委員会の真価が問われると思います。

 一回目の延期をする議員立法を出した、私は張本人です。本当にあれは正しかったのかと、今思いは呻吟しておりますので、ぜひ当委員会で、租税が基本ですよ、その租税を何としてでも安定的に確保した上で、その補助的なものにすぎない特例公債であるということをまた議論させていただきたいなと思います。

 きょうはありがとうございました。

 以上です。

御法川委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 民進党の初鹿明博です。

 きょうは、こちらの財務金融委員会で質問をする機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず最初に、きょうは配偶者控除について質問をさせていただきます。

 私も、国会議員になりまして、最初二〇〇九年、民主党政権のときでしたので、そのときから、やはり働き方に中立な税制であるべきだ、制度によって働き方が変わるようなものであってはならないと考えておりまして、当時から、配偶者控除は廃止をする必要があるという主張をずっと続けてまいりました。

 そういう点では、与党の中で配偶者控除の見直しの議論が始まったということで非常に期待をしていたんですけれども、出てきた案を見ると、正直なところ、ちょっとがっかりをしたというか、結局、配偶者控除自体は残ったまま対象が拡大をしていって、なくすという方向ではなく、むしろ対象者を拡大しただけで、これで果たして本当に就業調整がなくなっていくのかということに非常に疑問を覚えているんですね。

 まずお伺いしたいんですけれども、今回、配偶者控除の見直しを図る理由は、就業調整、就業時間の調整をすることを、制度によって今起こっている、これをできる限りなくしていこうということだと思うんですが、今回の改正によって一体どれくらいの方が、今までの百三万という壁があって、これは財務省は百三万の壁というのは制度上なくなっているということを主張されていますが、こちらの税制大綱でも書いてあるとおり、心理的な壁等になっていて、やはり百三万で就業調整をしている人が実際にいる、そういう人たちがどのくらいの人数、働く時間をふやしていくということを想定しているのか、まずはお答えをいただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 就業調整の問題につきましては、本日いろいろ議論が既にありますとおり、税制や社会保障制度のみならず、例えば民間企業の配偶者手当の支給基準ですとか、そもそも女性が直面している家事や育児に時間を要するといった問題など、複合的な要因が存在すると考えております。

 このため、配偶者控除等の見直しで就業調整問題がどれだけ解消されるか、また、その効果を定量的に見積もるということは難しいというふうに考えております。

 ただ、今回の配偶者控除等の見直しを契機といたしまして、民間企業の配偶者手当についても見直しが検討され始めている等を考えますと、配偶者控除の見直しには一定の効果があるものと考えております。

初鹿委員 民間企業で配偶者手当があって、それで今回の改正によってその見直しが進む、確かにそういうこともあるとは思いますけれども、配偶者手当があるような民間企業というのはやはりある程度の規模の会社であって、多くの日本国民が働いている中小企業は、そもそもそういうものもないだろうと思うんですね。そういうことを考えると、やはり効果は非常に限定的であるのではないかというふうに言わざるを得ません。

 そして、今答弁の中でもありましたけれども、家事とか育児とか、そういうことも要因だとは思いますけれども、やはりもう一つ考えなければいけないのは社会保障の方の問題だというふうに思うんですね。

 もともと、民主党政権の最後の方に、自公と一緒に、自民、公明党と一緒に、税と社会保障の一体改革ということで、税制だけではなくて社会保障制度もあわせてこれは考えていかなければならないということで今に至っていると思うんですが、残念ながら、今回は配偶者控除という税制だけでとどまってしまっていることが、私は、就業時間の調整を解消することにならない最大の理由ではないかというふうに思うんです。

 つまり、社会保険に加入をするこの金額が、昨年の十月からですか、百六万円に引き下がっているというふうに思います。やはりこの百六万円の新たな壁を変えない限り、取らない限り、私は、就業調整はここのところでとまってしまうんじゃないかというふうに思うんです。

 では、百六万の壁を解消するためにはどうすればいいかといったら、働いている人が社会保険に加入をすることが進むことは私はいいことだと思います。でも、進まない理由としては、やはり、社会保険に入らないでもいい状態にある人がいるからです。それは、専業主婦の中で、第三号被保険者ということで、年金の保険料を払わないでも年金に加入していることになっている、ここが私は一番のネックじゃないかと思うんですね。

 ですので、配偶者控除の見直しと三号被保険者の見直し、どちらも私は廃止をした方がいいと思っているんですが、これをあわせてやらないと、恐らく、今働いている女性の方で、これ以上収入をふやすと手取りが減る、世帯収入が減るということで時間の調整をしている方々が、より働こうということにはつながらないのではないかというふうに思うんです。

 ここで、きょうは橋本副大臣にお越しいただいておりますけれども、そろそろこの三号被保険者の問題もきちんと検討をして、私はなくす方向に進めていく必要があると思いますが、副大臣、いかがでしょうか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 まず、大前提といたしまして、先ほど委員からも、ここは賛同と言っていただきましたが、働きたい方が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者の方等について年金などの保障を厚くするという観点から、厚生年金や健康保険などといった被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要だというふうに、それは私たちも考えておりますし、委員もそこは御賛同いただいているというふうに思っております。

 その上で、三号被保険者のことについてですけれども、三号被保険者と一概にくくられている方々の中も、今九百万人ほどおられますが、いろいろなタイプの方がまだおられるだろうというふうに私たちは思っています。例えば、短時間で働いている方で二号になっていない方、出産や育児のために離職をした方、あるいは、ちょっとイメージされているかと思いますが、配偶者が高所得でみずから働く必要がない方、そんな方もおられると思います。

 そういうような多種多様な属性を持つ方がおられるということが、社会保障審議会年金部会でも議論された中で出てきておりまして、そうした中で、三号被保険者制度というものを縮小、見直しをするというような方向に向けた、その段階を踏んでいくということがまず大事なのではないかというようなことで整理をされているというのが現状でございます。

 そういう意味で、三号被保険者について、廃止をすべきだという御質問をいただきましたが、整理縮小すべきだという方向性については私たちも共有をいたしますが、さらなる適用拡大というのを進めていくのだということも片方でこれあり、そうしたこととあわせて、引き続き議論してまいりたい、こう考えているところでございます。

初鹿委員 今いろいろ御説明いただいた中で、配偶者が高所得な場合だとか、出産とかで一時的に離職しているとか、短時間で働いているけれども対象になっていない、二号になっていない、つまり、今回その人たちは、百六万までの方は入ってくるようになるわけですよね、二号になってくる。

 そういう理由があるのもわかるんですけれども、私がこれは廃止をした方がいいという理由の最大の理由は、厚生年金の場合、世帯単位になっているから三号被保険者というものが存在するわけですよね。そうですよね。国民年金は、一人一人が加入していて、個人単位なわけですよ。

 制度ができたときに、恐らく最初に働いた働き方がずっと続いていく、また、結婚をして離婚をすることが少ない時代だったのかもしれませんが、今は、やはり転職もするし結婚も離婚も何度もする方も多いわけですから、例えば三回転職して三回離婚をしたら、一号になったり、二号になったり、三号になったり、行ったり来たり行ったり来たりするようになって、一体自分は今は何号なのかなとわからなくなってしまうような状態で、年金の計算も非常に煩雑になると思うんですよね。

 ですので、三号被保険者というのはなくして、専業主婦の人は自分で国民年金に入って一号になる。保険料を払えるような世帯だったら払えばいいし、払えない場合は免除にするとか、やり方はいろいろあると思うんですが、一人一人がやはりきちんと年金制度に入るということを進めていく上で、私は三号被保険者というのは見直した方がいいんじゃないかというふうに思いますので、その点も含めて御検討いただきたいというふうに思います。

 今のお話を聞いていても思うんですけれども、今回の改正案によって、百六万円から百五十万ぐらいまで働いている人たちは、今回、厚生年金に入るような形、新たに入るようになるわけですね、百三十万までの間の方ですか、新たに入るようになるわけです。そうするとその方々は、保険料の負担がふえるわけですから、可処分所得という面でいえば減るわけですよね。手取りは減るんです。主にその方々は女性です。

 一方で、こちらの新たな控除の見直しにすると、今まで配偶者控除の対象じゃなかった百五十万までの方は満額で、二百一万までが対象になっているわけですが、配偶者がそういう働き方をしている男性側の方の税金が配偶者控除で引き下がって、減額される。

 つまり、女性はこれから保険に入って手取りが減る、でも男性は減税になる。何か、女性が仕事をふやすと収入が減って、男性は減税になるというのは、まあ、世帯全体で見ればみんなが減税になると考えられるのかもしれませんけれども、やはり今、共働きの場合、財布は別よと言っているような御家庭もたくさんあると思うので、私は違和感があるんですよね、女性は負担がふえて、男性は減る。こういう状況になるというのは、それは事実でいいんですよね。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の配偶者控除の見直しに関連をして、旦那さんの方の負担が減り、奥様の方の例えば保険の負担がふえるというのは、先生御指摘のとおりではあります。

 ただ、今回議論をした就業調整の要因になっているという局面におきましては、奥さんが旦那さんが受ける配偶者控除の金額が変わるということを勘案し、ある意味、夫と妻の手取り収入を合算した収入、これが今の仕組みによって影響を受けているということが就業調整の背景として考えられるということを受けて見直しを行っているわけでございますので、別々に、どちらがふえて減るということよりは、全体として今回の見直しを考えるということをしたということを御理解いただきたいと思います。

橋本副大臣 少し補足をさせていただきたいと思うんですが。

 確かに、適用拡大を進めて、百六万円以上の方は入っていただくということにしました。そのときに手取りが減るよねと言われれば、保険料負担的にはそうだということになりますが、ただ、こちらの方は保険の話でございますので、当然、反対給付があるということもそこは御認識をいただいて、ですから、社会保険に入っていただくと、当然、厚生年金加入ですから、将来の年金額がふえるとか、あるいは、健康保険等についても、例えば出産等のときの一時金みたいな給付が、出産手当金だとか傷病手当金だとかそういうのが充実をするだとか、そういう面もあるわけですから、単に手取りがどうこうというところだけではなくて、私たちとしても、そういうメリットもあって、きちんと適用拡大をさせていただきたいんだということはしっかり広報させていただく、それが今回の就業調整につながるかどうかということの議論にも資するのではないかと私たちは思っております。

初鹿委員 そうなんでしょうけれども、何となく印象としては、余り女性はおもしろく思わないんじゃないかなということだけは指摘をさせていただきたいと思います。

 次に、もう一つお伺いしたいのは、今この就業調整によって困っている業種の筆頭はどういう業種だと認識をしていますか。橋本副大臣にお伺いしたいんですが、関係する分野で。

橋本副大臣 要するに、短期の労働者の方に頼っている方が多い業種ということなんだと思います。

 今正確に持っているわけではございませんが、私の持っている知識の範囲でいえば、例えば飲食業でありますとか小売業でありますとか、そういうところが当たりやすいのではないかなと思います。

初鹿委員 飲食業や小売業。私は、もう一つ、やはり一番困っている、そもそも人材不足で困っているんだけれども、毎年十一月ぐらいから就業調整をする人が多くなって困っている業界の筆頭は、介護事業所だと思うんですよ、介護の業界。

 ヘルパーの派遣をしているようなところは、多分、先生方も地元の事業者からよく聞いていると思いますが、十一月ぐらいになると、そろそろ働き方を考えないと控除の対象を超えてしまうからといって、働き方を調整するようになるんですよね。これは、ほかの業種もそうなんでしょうけれども、時間単位で動いているわけなんですね。

 例えば、今回、百三万円だったところが、とりあえず百六万円を超えなければ社会保険に入らないでいいから、この範囲で働き方をふやそうといったときに、三万円分働けるということになるんですが、実は、全国どこでも同じぐらいの時間をふやせるわけじゃないんですよ。

 というのは、最低賃金が全国違うので、例えば私の住んでいる東京都は今九百三十二円ということなので、三万円多く働けるようになったとなると三十二時間ぐらいなんですね。ところが、一番最低の沖縄だと七百十四円で、二百円も違うので、四十二時間、十時間も働く時間が変わってくるんです。

 私は江戸川区ですので川を渡ると千葉県なんですが、千葉県と東京でも大体百円ぐらい違うんですね、千葉県は八百四十二円で、そうすると三時間ぐらい変わるというように。事業主の立場からすると、配偶者控除で一定の金額で、働いてもらえる時間で差があるというのはちょっと違和感があるんじゃないかというふうに思うんです。だからといって、控除の金額を地域によって差をつけるというのは非常に難しいと思うので、私は、最低賃金は全国同じ水準にする必要があるんじゃないかと思います。

 確かに、土地の値段だとか、さまざま物価で違う面もあるかもしれません。しかし、今、ファストフードやコンビニや、またファミリーレストランとか全国のチェーン店は、全国どこに行っても定価は一緒だと思います。先ほど古本議員から車体課税のお話がありましたけれども、車体課税も全国どこでも一緒だということを考えると、私は、最低賃金は全国統一をする方向に進めていく必要があると思いますが、御見解を伺います。

橋本副大臣 委員御案内のとおり、最低賃金というものは、使用者は労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないものというものになっておりますが、今の御議論というのでかかわってくるのは、実際に支払われている賃金、受け取っている賃金がどうなのかということが直接にかかわってくるんだろうというふうに思っております。

 そういう意味で、配偶者控除の範囲が広がった場合に、最低賃金が地域で今異なっておりますそのことによって、延ばすことのでき得る労働時間が地域で異なっているのではないかという御指摘について言えば、必ずしもそう断定できるものでもないのだろう。

 要するに、実質的に支払われている賃金が地域によってどうばらついているのかということと直接にはリンクをすることなのであって、もちろん、最低賃金がその下支えになっているという御指摘はありますから、そうした御指摘も当たり得るとは思いますけれども、直接つながっているものではないということは申し上げさせていただきたいと思います。

 その上で、最低賃金は、その決定に当たり、労働者の生計費や賃金、企業の賃金支払い能力を考慮すること、これが最低賃金法によってなっておりまして、こうした地域差などの地域の実情を考慮して都道府県ごとに定められているわけでございまして、最低賃金額を全国一律にするという御指摘については、地域によって経済状況が異なる中、まさに今お話をいただいたように、同じ物価で売っているものもあるけれども、もちろん違う物価のところもあるわけでございまして、そうした地域ごとの賃金や物価水準の差が反映されないことから、適切ではないと考えております。

 一方で、これは厚生労働省としての答弁をやや超えるところがあるかと思いますが、もし地方の方が賃金が低いということについて、そこが問題だということであれば、それは地方創生なりなんなりということで、いかにしてその地域がもうける仕組みをつくるかということも、それは政府全体とすれば考えなければならないことなんだろうと思います。

初鹿委員 恐らく、これは卵が先か鶏が先かみたいな話にもつながっていくと思うんですが、最低賃金が低いからその地域の全体の物価も上がらずに全体的に所得も低くて経済的に厳しい状況になっているのか、それとも、賃金が上がればそれが解消できるのか、どっちが先かみたいな話だと思いますので、そこはちょっと慎重に検討はしていただきたいというふうに思います。

 次に、せっかく厚労省と財務省が並んでいるので、私が以前から疑問に思っていることを一つ伺わせていただきます。

 それは、税で言う課税所得と社会保障で言うところの所得に一つ大きな差があるんですね。それは何かといったら、交通費を入れているか入れていないかということです。課税所得は交通費が入っておりませんが、なぜ入っていないんでしょうか、理由をお答えください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 給与所得者に支給される通勤手当についての御質問だと思います。

 通勤手当に関しましては、通勤費用の実費弁償的な性格を有していることを勘案いたしまして、一定額、月十五万円を限度として非課税とする措置を講じているところでございます。

初鹿委員 課税所得だと実費の弁償だから、つまり、可処分所得にならないから所得にしませんよということなんですが、社会保険料だと、交通費も含めて総所得として見て、それで保険料を考えているわけですよ。

 全く同じ会社で、同じ期間ずっと働いて、そして同じ給料で定年まで迎えた人が、将来、年金をもらうときになると、遠くから通って交通費をたくさんかけてきた人の方が受け取る年金が多くなるんですよ。何か変だと思いませんか。そして、実費の弁償ですから、所得といっても可処分所得になっていないわけですよ。

 確かに、一律、通勤手当何万円と決めている場合は、それは所得と見てもいいかもしれません。しかし、定期代として支給しているときは、私は、所得から外して、課税所得と同じように考える必要があるのではないかと思うんですが、橋本大臣、いかがですか。

橋本副大臣 まず、まだ大臣にはなっておりませんので、副大臣でございますが。(初鹿委員「済みません、副大臣」と呼ぶ)

 社会保険における、所得という言い方をしません、こちらは報酬という言い方、言葉を使いますが、これは法律上、賃金、給料、俸給、手当、賞与、いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものであるということにされております。

 通勤手当についてですけれども、これは、まず、使用者が支給することについて法律上の義務づけがあるものではございません。また、現実にも、通勤手当の支給がある事業所もありますが、ない事業所もある。そこは、その事業所と働く方の間の雇用契約による、あるいは、そこの就業規則等によるということになっているわけで、現状、いろいろなケースがあるわけでございます。

 そうした中で、被保険者間の負担の公平性という観点からすると、通勤手当は、労働者がその雇用契約でいろいろ保障されている労働の対償、対価というものに含まれるというふうに考えられるわけでございまして、それが社会保険における報酬に含まれるべきものというふうに考えているわけでございます。

 先ほどおっしゃったように、社会保険というのは反対給付があるわけでございますから、当然、保険料が多くなる分、年金額もふえるとか、例えばそういう形にはねていくということは御指摘のとおりでございますけれども、要するに、そこも含めて、雇用契約上の労働の対価というものについてどう考えるのかという話にかかわってくるということだというふうに理解しております。

初鹿委員 これは、事業主によっては、交通費という形で給料と一緒に払わないで、実費弁償という形で支払うと、実際には報酬から外せるんですよね、営業経費だということにしたりしてね。そう考えると、私は、やはり交通費で実費弁償みたいなものは報酬の中に含むべきではないと思うので、一回検討を始めてもらいたいというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、次の質問に移りますが、今問題となっている森友学園の国有地の売却の問題について御質問させていただきます。

 皆さんのお手元に、一番最初に報じられた二月九日の朝日新聞の記事を用意いたしましたが、今回、なぜこの問題が新聞で報道されて、そして、今国会でもこのように取り上げられるようになったのかという原点がなかなか質問の中で出てきていないんですね。

 日曜日に、私、大阪の現地に行ってきました。そこで、この問題を報道がされる前から取り組んできた豊中の市議会議員の木村さんという方にお会いをして、話を聞いてきました。何で木村豊中市議がこの土地に関心を持って調べるようになったのかということが余り議論されていないので、ここで取り上げさせていただきます。

 もともと、この森友学園が買った土地、豊中市は公園にしたかったんです。隣に豊中市が買った土地がありますね、こちらは公園になっているんですが、こちらの森友学園が購入をした土地も含めて、この角、豊中市の土地もありますけれども、全体を公園にしたいという計画を持っていたということなんです。

 ところが、あるとき急に、財務局なのか航空局なのか、どちらかわかりませんけれども、国の方が売却をするということで方向転換があり、突然、何月何日までにどうするのかを判断しろということで、結局、財政的に豊中市はすぐに買えないという事情もあったので、なかなか買うと答えられなかったら、売却をされてしまった。

 一体どんなところが買ったんだろうということで調べていったら、森友学園という学校法人であって、教育勅語を園児に読ませるような幼稚園をやっているところだと。そして、工事が進んでいるので、登記簿をとってみたら、買ったと思ったら、まだ運輸省が所有者になっていて、売却されていなかった。

 おかしいなと思って調べていって、最終的に情報公開請求をする。それが非開示になって、そして、訴訟をするということで記事になった、そういうお話だったんです。

 お伺いするんですけれども、きょう、国交省航空局、来られていますよね。まず、国交省航空局が保有しているときに換地がされるわけですけれども、その段階で、相当豊中市との間でやりとりがあって換地をしていっていると思うんですが、この土地も含めて公園にしたいという意向を豊中市が持っていたということは御存じでしたよね。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 本御指摘の土地につきましては、大阪国際空港周辺の騒音対策の一環として、法律に基づき、騒音対策区域内の住民の求めに応じまして、大阪航空局が昭和四十九年より順次買い入れを行ってございます。その後、平成元年に、航空機の低騒音化の進展によりまして、当該土地が属する騒音対策区域が解除されたということの中で、平成八年に御指摘の土地区画整理事業の事業決定がなされまして、平成十七年に換地処分をされたと承知しております。

 その中で、豊中市さんは、この土地区画整理事業の北側について、公園にされたいという御意向を持っていたというふうにお伺いしております。

初鹿委員 知っていたんですよね、航空局は。

 では、財務省は知っていたかどうかということなんですが、財務省、知っていましたよね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 国有財産地方審議会の平成二十二年二月でございまして、この豊中市の公園の話をしているときの審議会の中で、「豊中市の要望としてはできる限り公園用地としてほしいということでしたが、財政的な問題もありまして、」云々というような説明をしているところでございます。

 ただ、いずれにしましても、本件、大阪航空局から平成二十五年に処分依頼を受けたときには、改めて豊中市に確認をしておるところでございます。

初鹿委員 今、皆さんのところに資料をつけているんですけれども、二十二年のときの、豊中市が買った土地に関する財政審の議事録なんですね。

 その議事録の中で、ある委員の方が、「この西側の普通財産について、今は議題に上がっていませんけれども、今後ここはどのような方針をお持ちなのかというのをお聞かせください。」という質問をしておりまして、それに対して、「豊中市の要望としてはできる限り公園用地としてほしいということでしたが、財政的な問題も」云々と、先ほど答弁されたとおりのお答えを管財部長さんが答えているんです。

 それを踏まえてお伺いしていきたいんですけれども、まず、豊中市はどういう意向を持っていたかというと、無償で貸してもらえないかというように考えていたようでございます。ちなみに、自治体等に公園用地などで国有地を無償で貸し付けしている、貸与している件数というのはどれぐらいあるんですか。

佐川政府参考人 地方公共団体に対しまして公園用地として無償で国有地を貸し付けている例は、平成二十八年十一月時点でございますけれども、約二千四百五十件でございます。

初鹿委員 まあ二千件ぐらいあるので、決して珍しいケースではないわけです。しかし、ここは無償での貸与ではなくて、時価での売却を前提としていたということですね。

 またお伺いするんですけれども、森友学園が買いたいという意向を示して、今回のような売り払い特約つきの賃貸契約、そういうかなり特殊な契約を結びました。これは、もし同じようなやり方で土地を貸与することも可能ですよということを豊中市が知っていたら、場合によっては判断が変わっていたかもしれないと思うんですけれども、こういう契約のやり方がありますよということを豊中市にお伝えしたことというのは、財務省、ありますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 国有財産の売却の規定につきましては、通達でオープンになってございまして、基本的には見ることができることになってございます。

 今委員がおっしゃいました豊中市に個別にこちらから説明したかという点においては、この時点で説明してございませんが、一般論で申し上げますれば、そういう要望が来た場合には個別にきちんと対応しているところでございます。

初鹿委員 そもそも、公園用地として欲しいという意向があるとわかっているんだったら、こういうやり方もあるよとか、丁寧に説明してもいいんじゃないかと思うんですよね。ホームページで公表しているからそれを見て考えてくれ、自分で気がついてくれというのはちょっと冷たいんじゃないかというふうに思いますよ。

 そして、では、先に借りたいと言ってきた学校法人に対してはいかがですか。

佐川政府参考人 先に借りたいと言った別の法人の話でございますけれども、その点につきましても、この売り払い前提の貸し付け及び売買代金の分割払いについては、一般論としては相手方から申し出があれば対応しているところですが、この法人に対してはこちらから積極的には説明していないところでございます。

初鹿委員 だから、財務省もなぜかこの前の二つのところにはそういうやり方があるよというのは伝えていなくて、今回の森友学園は自分で考えてきたのか、本当は誰か指南する人がいたのではないかと私は推測をするんですけれども、こういう非常に特別な例で契約をしている。ここが非常に私は違和感があるんですね。

 資料につけていますけれども、豊中市は、これは大阪府の都市整備推進センターというところのホームページ、かなり古いホームページですけれども、豊中市庄内再開発課の主幹の方がインタビューに答えていて、そのインタビューの中にある資料の中でもこうやって、もう公園というのを図にまでして出していたぐらいに、公園にしようという意向が強かったんだと思うんですよ。こういうことを知っていたのに、豊中市にいろいろな方法があるよということを言わないで、簡単に森友学園に、簡単にかどうかわかりませんけれども、森友学園に非常に特別な契約の方式で契約をしたということには私は違和感があります。

 そして、予算委員会等でも何度も指摘がされていると思いますが、最初は貸し付けで借りていた、そして、工事をしている段階で埋設物が見つかった、埋設物が見つかって、そして、最初の土壌汚染の対策はやりました、さらに対策が必要になったということがわかってから、買いたいと言っているわけですよね。もともと、お金がないから賃貸にしたいと言っていたのに、その間にお金がふえるわけはないと思うので、そこで買いたいと言ったということは、買える金額になるんじゃないかと思ったから買いたいと言ったとしか思えないんですよ。

 そこで、まず伺いますけれども、では、買いたいと言いました、でも、金額が思ったよりも高くて買えないということになった場合に、今回の契約で買わないということというのはできるんですか。

佐川政府参考人 二十七年に貸付契約を結んでおりますときに同時に売買予約契約も結んでございまして、その両方の契約の中に、いわゆる十年間の定期借地契約でございますので、先方は、十年間たてばそれは買うようになりますけれども、その間であれば、買わないことも可能でございます。

初鹿委員 売買の申し込みをした時点で契約成立するんじゃないんですか。

佐川政府参考人 この両方の契約書を見ていただいていると思いますけれども、それは、借りている方が買い受けの意思表示をするというと、次に売買契約に移っていく、そういう契約になってございます。

初鹿委員 これは金額を見てから判断するということになるんでしょうかね。

 私が疑問に思っているのは、やはり買える金額になると思ったから買ったというよりも、むしろ、買える金額になるように金額が設定をされていったんじゃないかと疑わしいなと思っているわけですよ。

 八億円の撤去費用の根拠というのは一体何なのかなということなんですけれども、では、最後に、ちょっと資料をつけ忘れていますけれども、この埋設物があって撤去の対象となる面積を決めたときに、校舎の部分だけなら校舎の部分だけでわかるし、土地全体だったら土地全体でわかるんですけれども、校舎の部分以外のところが少し、この下の部分、グラウンドの部分がはみ出て対象となっていますよね。

 この設定自体、森友学園が支払うことのできる金額に合うようにするために設定をしたように思えてならないんですけれども、この埋設物が発見をされてから、どの部分を対象とするかということについて、これは航空局が判断したと思うんですけれども、森友学園との間でやりとりをしておりますか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘の地下埋設物の撤去、処分費用の見積もりにつきましては、平成二十八年三月三十日に近畿財務局から大阪航空局へ依頼を受けて、同年四月十四日に御報告をしております。

 その間に、学校法人との間におきます購入価格のやりとりは行ってございません。

初鹿委員 でも、普通、これは冷静に考えると、今までお金がないから買えなかったと言っているのが、急に買いますと言い出しました。それで、買える金額になるかどうか、埋設物の撤去費用がどれぐらいになるかわからないと幾ら減額になるかわからないんだから、もともとの九億円に近い範囲のお金で来たら買えないはずだったわけですから、買える金額になるのかどうかわからないから、買おうなんて、金額が出る前に言わないような気がするんですよ。それを買うと言っていることは、買える金額になると思ったから言ったんじゃないかと思うのが普通だと思いますよ。違いますか。

 何か、手を挙げていますけれども。では、答えてください。

佐川政府参考人 三月十一日に新たな埋設物が出てきまして、その時点で一年後に迫った開校ということで、工事を急がなくちゃいけない、埋設物を早く撤去しなければいけないということで、この処理について一生懸命やろうというのが学校法人の判断でございまして、ただ、その点で、ここの契約そのものも分割払いになっているというのは先ほど委員の御指摘のとおりでございますが、その時点では、国有財産特別措置法に基づきまして、売り払い代金を一括して納付することは困難であるということから、分割払いを認めるということになったわけでございます。

初鹿委員 手を挙げて答えるような答えじゃなかったような気がするんですけれども。私の質問には全然関係ないことだったと思うんですが。

 いずれにしても、やはり不透明なことが多いと思いますよ。何でごみが見つかってから急に買うと言い出したのか。その時点で法人の財務状況が急に変わるわけないじゃないですか、学校も、経営も始まっていないわけですし、新たに事業を始めたわけでもないし。ただ総理の名前を使って寄附を集めて、その寄附がたくさん集まったのかもしれないけれども、それ以外に財務状況が変わるような理由はないわけで、そこで買うという判断をして、買えるような金額が出てきているということには誰もが違和感を持つと思いますので。

 もう時間になりましたのでこの辺で終わらせていただきますが、まだまだ実態の解明が必要だということを指摘させていただいて、質問を終わらせていただきます。

御法川委員長 次に、宮本岳志君。

宮本(岳)委員 日本共産党の宮本岳志です。

 先日に続いて質問いたします。

 前回、二月十五日の当委員会で、私は、今問題になっている豊中市の国有地の森友学園への貸し付けや売却をめぐって、二〇一五年二月十日の第百二十三回国有財産近畿地方審議会の審議よりも三カ月以上も前の二〇一四年十月三十一日に、森友学園が大阪府に小学校設置の認可申請を行っているということを指摘いたしました。

 文部科学省にまず確認をいたします。

 大阪府の私立小中学校設置認可の審査基準、これによりますと、校地、校舎その他の施設は自己所有を原則としつつも、教育上支障がなく、次の基準を満たす場合に限り借地も可能とし、その基準として、当該借地の上に校舎がないことと定められております。

 森友学園は、大阪府私学審議会が設置認可に関する審議を行った時点で、借地の上に校舎を建てる計画だったと思いますけれども、なぜ審査基準に反する申請が認められたんですか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの件でございますけれども、大阪府に確認をいたしましたところ、本件校地の取り扱いにつきましては、森友学園から国に対して公的取得要望を提出していること、森友学園以外のその他の者から取得要望は提出されておらず競争性がない状態にあること、及び、森友学園より今後購入することを念頭に置いた定期借地による国有地の借用を目指していると聞いていたこと等から、これを自己所有と同等とみなして認可適当の答申を行ったということでございます。

宮本(岳)委員 十年間の借地、十年以内に買い取る、こういうことが想定されていた。たとえ十年以内に買い取るとしても問題であります。買い取るまでは当該借地の上に校舎がないことという審査基準には明確に反しております。

 森友学園は、二〇一四年十月三十一日にこの設置認可申請を提出いたしました。そうすると、森友学園は、二〇一五年五月二十九日に、まさにこの国有財産有償貸し付け合意書、国有財産売買予約契約書が取り結ばれる七カ月も前に、既に十年契約で土地を借り、十年以内に買い取るという、この契約を前提に設置の認可申請を行ったということになりますけれども、間違いないですね。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、設置認可申請が出されておりますけれども、その点につきましては、大阪府に確認をしたところ、先ほど申し上げたような随意契約であり、かつ、他との競争性がない状況であること、それから、借地が国有地であり、しっかりと国に対して取得要望が出されていること等を確認するとともに、関係の必要な情報の収集を行って、その結果を踏まえて申請を出したということで伺っております。

宮本(岳)委員 安定した校地が確保されているという点では、これは十年間の借地契約がほぼ確実である、そしてそのうち、それを買い取るということがなければ考えられないと思うんですね。

 前回の質疑での理財局長の答弁、私に対して、十年貸し付け、十年以内に売買ということを、第百二十三回国有財産近畿地方審議会の前に予断を与えるような話を森友学園にしていたのではないかと申し上げましたが、これは否定されましたけれども、実は、十年貸し付け、十年以内に売買というこの貸し付けの話はその前から進んでいたのではありませんか、それから、年二千七百三十万円という貸付料まで既に取り決めていたのではありませんか。

佐川政府参考人 今御指摘のありましたような府私立学校審議会の前に、財務省、近畿財務局から森友学園に対して、予断を持って国有地売却等の是非について申し上げた事実はございません。

宮本(岳)委員 おかしいですよね。土地が借りられる、こういう話がなければ申請できないはずなんですけれども、なぜできているんですか。

佐川政府参考人 土地の点につきましては、先ほど文部科学省が答弁したとおりだというふうに思っております。

 我々の方も、先方から取得要望が参りますと、それについて、担当の権限を持っています大阪府の方に、地方の計画等との整合性とかいうことで連絡をいたしますので、取得要望が来ていたということについては大阪府が承知していたというふうに思います。

宮本(岳)委員 いや、ちょっと話にならぬですね。

 実は、昨夜のTBSラジオに森友学園の籠池理事長が電話で出演をし、そして単独インタビューに答えた、その全文がここにございます。

 籠池さんは、確かに、近畿財務局の方に、その国有地の件で話を持っていった。誰がそれを進めたかというと、不動産会社の方が、国有地がありますけれども、これは国の土地なので、財務局の方に行かれたらどうですかというアドバイスがあって行った、こう述べております。

 一体幾らぐらいかという見積もりが向こうから示されたかと聞いたら、それに対して、全然聞いていない、こう答えているんですね。何ぼですよということは言ってくれませんでしたと。

 でも、借地だったらどうでしょうというようなことで私がお聞きをしたんだと。先方の財務局はどうでした、反応はどうでしたと聞いたら、借りたいというなら借りたいでその土地の金額から借地料を換算してこられるんでしょうね、で、金額的なところからいいますと、やはり高いと思いました、これは高いなと、こう出ているんですよ。

 額を示したんじゃないですか。

佐川政府参考人 近畿財務局に確認しても、額を示した事実はございません。

宮本(岳)委員 では、これは事実でないとおっしゃるんですか。この籠池さんのお話は事実でないと否定されるんですね。

佐川政府参考人 大変恐縮ですが、そのラジオのお話は私は存じませんけれども、いずれにしても、近畿財務局の方から額について申し上げたことはございません。

宮本(岳)委員 これは完全に食い違います。

 この方はラジオでこうして語っておられるわけでありますから、ここに来ていただいて、この問題について事実を語っていただく、あるいは、理財局長とさまざま交えていただく必要があると思います。

 委員長、私はこの森友学園理事長の籠池氏の当委員会への参考人招致を求めたいと思いますが、御検討いただけますか。

御法川委員長 後ほど理事会で協議いたします。

宮本(岳)委員 では、私はその次のことを指摘したいと思うんです。

 きょうは資料をおつけいたしましたから、ぜひ資料を見ていただきたいと思うんですね。

 これは、我が党大阪府会議員団に対して、大阪府の私学課が開示した大阪府私学審議会の議事録であります。全部はこれだけありますが、そのうちの二ページだけをつけておきました。

 私学審議会でも、委員から、この学校の経営は本当に大丈夫かとの危惧や懸念が続出しております。資料一は、二〇一四年十二月十八日、森友学園が継続審議とされた審議会のものであります。資金の収支計画等の関係書類が不十分だと指摘する委員に対して、事務局である大阪府私学課はこう発言しております。下線部。

 資金の収支の計画としては、向こう十年先のところまで家賃がどのぐらいかかる予定である、そして何年先に土地を購入するのにこの時点で幾らかかるということについて、平成三十七年、二〇二五年までの収支計画が提出されていると述べていますね。

 理財局に聞きますけれども、校地の貸付料もわからずにどうやって十年先までの収支計画が出せるのか。事前に貸付料の目安は示していたんでしょう。

佐川政府参考人 今委員が御提出いただいておりますこの下線部分につきまして、どういう中身の計画なのかよくわかりませんが、いずれにしても、当方から示したことはございません。

宮本(岳)委員 これは大阪府私学審議会の議事録でありますから、別に籠池氏の証言等々ではないわけですね。

 ならば、もう一つ、動かぬ証拠を示したい。

 資料二を見ていただきたい。これは二〇一五年一月二十七日の臨時審議会、附帯条件つきで認可相当との答申を出した大阪府私学審議会の議事録であります。これも、下線部、事務局である大阪府私学課はこう述べております。

 国有地の方は、国が優先的に売却する相手先としては公益法人となっており、今回、森友学園が学校教育法の一条校である小学校をつくるということで認められるということになっています。本審議会での認可の条件は土地が所有できるということであり、国の土地売却に関する審議会では、一条校ができるということが条件になっています。双方で認可がおりるということを前提で話を進めてまいりましたので、二月七日に国の審議会がございますので、これは二月十日の間違いでありますけれども、審議会がございますので、例えば十二月の審議会でオーケーとなっておりましたら、その契約条件の細部の詰めに入って契約に移るということでしたが、一月に臨時会ということになりましたので、条件つきで認可しかるべしとなりますと、国は契約に走ると、そういう手はずになっています。

 手はずが整っているとあけすけに述べているじゃありませんか。

 理財局長、近畿財務局は、大阪府私学課とともに、ここに述べられているような手はずを事前に整えていたということですね。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 この事務局の発言の一つ一つの単語がどういうふうに意味づけされているのかというのはわかりませんが、近畿財務局に大阪府のやりとりというのを確認しましたところ、当然のことながら、事務局同士で、土地の公的取得要望や、あるいは学校設置の認可申請についての内容、審議会の手続、あるいは、先ほど申しましたが、我が方としましては、地方公共団体以外の者から取得等の要望の審査をするに当たっては、事業の許認可の可能性につきまして、その権限を有します地方公共団体から文書によって意見を徴収して確認するということをいつもしてございます。

 それは、私学審の開催前でございます二十五年の十月三十一日でございますが、近畿財務局の方から大阪府に対しまして、森友学園から近畿財務局に対し、小学校敷地として公的取得等要望がなされたが、大阪府の整備計画等との整合性に関して参考となる事項について意見を照会したいというような文書も発出しておりまして、先方については、そういうものも踏まえているということだろうと思いまして、いずれにしても、両方の、大阪府の私学審議会での認可適当の答申、それを受けての国有審での土地の処分方法の了承という順番で手続が進められたということでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、そんな手順じゃなくて、その前に手はずは整っているわけですよ。

 その先を見ていただきたいんです。

 十年間の定期借地契約を行った上で、その契約期間内に購入予約をするという内容で締結すると聞いておりますと説明をし、委員から、計画が頓挫した場合は土地が国に戻るのかと問われて、私学課が、国に戻りますねと答え、それが確実ならば懸念は払拭されますね。相手が国ですので、そういった点は国できちんとされると思います。その点、国はしっかりしていますから。この国というのは、理財局、あなた方のことですよ。

 これは、つまり、前回私が指摘した第百二十三回国有財産近畿地方審議会の議事録では、中野会長が、学校法人として存続していけるのかは、私学審議会でチェックしているということなので、我々はそれを信用するしかないと了承させる。では、私学審は財務内容についてさぞかし厳重なチェックをしたのかと思いきや、議事録をこうして読めば、大阪府私学課は、既に国と話がついている、いろいろあっても国はしっかりしているから大丈夫だとなだめている。

 これは一体なんですか。まさに、循環論、もたれ合いの構造そのものではないか。理財局長、こんないいかげんなことでいいんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員がお読みになった部分につきましては、もちろん、それぞれ審議会で了承をとったことを前提にした議論をされているということだろうと思っておりますので、いずれにしましても、私ども、私学審での条件つきの認可相当というものを受けて、国有審できちんとああいう議論をして、その上で土地の処分方法について決定をしたということでございます。

宮本(岳)委員 いや、だから、そこに矛盾があると言っているんですよ。私学審は、国がしっかりしているから大丈夫だという議論をやっている。そして、国有財産地方審議会の方は、私学審がしっかりしているから大丈夫だという議論をやっている。これは、一体誰がどう責任を持つのかということになっている。どちらも危惧と不安、懸念が続出しているというのがこの議事録の特徴じゃありませんか。何か言い分があるんですか。

佐川政府参考人 いずれにしても、文科省からも御答弁ありますように、この私学審の中身は大阪府の判断でございまして、大阪府において、こういう私学審での議論があったということを踏まえた上で、我々、国有審として議論しているということでございます。

宮本(岳)委員 いやいや、私学審の判断は、それは大阪府私学審でしょう。国有財産地方審議会は、あなた方が直接行っている行政でしょう。だから、ここで問題にしているんじゃないですか。

 では、今議論になった、計画が頓挫した場合は土地は国に戻るのか、このやりとりについてもう少し聞きたい。

 第百二十三回近畿地方審議会でも、近畿財務局の立川管財部次長は、まず入り口できちんと期日までに小学校ができなければ、事業予定者とはいえ、その時点でできないならもう打ち切りますよ、土地を更地にして返してくださいよということを義務づけていると述べております。

 前回、その期日は、二〇一六年、昨年の三月三十日であることが確認をされました。しかし、御承知のとおり、昨年三月末に学校などでき上がってはおりません。なぜかと聞いたら、理財局長は、北部の川から土砂物が流れた、あるいは資材が高騰しているということで、一年間延ばしてほしいという申し込みがあり、昨年三月十日に変更合意書を締結したと答弁をいたしました。

 別に北部の川から土砂物が流れようが流れまいが、資材価格が高かろうが安かろうが、立川次長が三月末までに学校ができ上がらなければ土地を更地にして返してもらうことを義務づけているとまで説明したその学校が、三月末までにできるかどうか。三月十日まで待たなくとも、秋までに建設工事が始まらなければ、もうとても無理なことは一目瞭然であります。

 大体、一昨年の十二月十五日まで土壌改良やコンクリート殻などの撤去工事をやっていたんですから、一昨年の年末になっても校舎など影も形もなかったはずであります。なぜ近畿財務局は、第百二十三回近畿地方審議会での説明どおり、秋、遅くとも年末までには、これはもう無理だと判断して、まさに説明どおり、更地にして返しなさいと森友学園に義務づけた義務を果たさせなかったんですか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員おっしゃられました、その指定期日の話は、まさにそこまでにできればということで、秋の段階で何か近畿財務局として判断ができるということではないだろうというふうに思ってございます。

 それで、本件の土地の処分については、そもそも国有財産法で用途指定の場合については、運用上、契約締結から二年間という基準で定めてございまして、そういう意味では、二十七年五月の貸付契約から二十九年五月まで、この二年間の間で定めるわけでございますが、当初、先方の事業計画か何かがありまして、二十八年三月としたわけでございますが、先ほど申し上げたような雨水の話やら資材高騰の話で、なかなか、その二十八年三月までに用途指定ができないというような事情がありまして、これは法令上ですが、やむを得ない事情がある場合には、一年を超えない範囲においてその延期を認めることができるというふうにルール上しております。

 したがいまして、森友学園からの理由が、そうしたやむを得ない事由というふうに判断しまして、三月十日に一年間の期日延長を行ったところでございます。

宮本(岳)委員 では、入り口で義務づけている、こういうふうに語った立川管財部次長の説明は、これは誤りだったということですか。

佐川政府参考人 当時のその管財の説明は、法令に従って、当時の資料で法令上の説明をして、用途指定の日までにできない場合はというふうな御説明をしたんだというふうに思います。

宮本(岳)委員 まず入り口でと語ったと、その日付を確認したじゃないですか、この前の委員会で。それまでにできなかったら戻すことを義務づけているというから、私は問題にしているんですよ。

 これはまさにこの人に、立川さんに聞かなければ事実は明らかにならないと思うんですね。この立川敏章管財部次長は、この第百二十三回近畿地方審議会の直後、三月三十日付で本省に異動になり、現在も財務省理財局国有財産調整課の国有財産監査室長という役職にございます。

 事前に私は説明を求めました。そうしたら、理財局総務課長から、現在の職務以外のことは答えさせられないと断る電話が私にありました。これだけ大問題になっているのに、真相を解明しようという気もない態度だと言わなければなりません。

 理財局長、この間の経緯について、立川敏章現国有財産監査室長を当委員会に出席させ、答弁させるのは当然ではありませんか。

佐川政府参考人 本件国有地処分につきましては、財務省あるいは財務局、組織として行っているものでございます。当時、次長であった者が既にその担当を離れておりますので、現在本件とは関係のない部署に在籍しておりますので、責任を持って答弁を行うことはできません。

 したがいまして、もし百二十三回のその国有財産近畿地方審議会の議事について説明をということであれば、現在の担当者のところから説明をさせていただきたいというふうに思います。

宮本(岳)委員 いや、理財局長の説明ではつじつまが合わないから言っているんじゃないですか。

 そうであれば、もう仕方がありません。

 委員長、私はこの問題の調査のため、財務省理財局財産調整課の立川敏章国有財産監査室長の当委員会への参考人招致を求めたいと思います。

御法川委員長 理事会で協議いたします。

宮本(岳)委員 では、実際に森友学園は八億二千万を使って工事を行ったのか、こういう問題であります。

 前回の質疑で理財局長は私に、森友学園が朝日の「ごみ撤去一億円」という記事に抗議し、記事の訂正を求めたと答弁いたしました。ならば、森友学園は間違いなく八億一千九百万円を使ったと言っておりますか。

佐川政府参考人 埋設物につきましては、学校建設に必要な適切な除去を行ったと近畿財務局の方で聞いております。

宮本(岳)委員 いやいや、一億円でないなら、八億二千万かかったと言っておりますか。

佐川政府参考人 金額については承知しておりません。

宮本(岳)委員 いやいや、あなたが森友学園に成りかわって私に食ってかかったものだから、それは、その額ぐらいは御存じでそういう答弁をされるんだろうと思って聞いているんですよ。

 近畿財務局及び理財局は、現に森友学園が大阪航空局の八億一千九百万円という見積もりどおり、ダンプカー四千台分、一万九千五百トンもの埋設物を運び出し、処理をしたということを確認いたしましたか。

佐川政府参考人 何度も申し上げてございますが、国有財産は、不動産鑑定価格から撤去費用を引いた適切な時価で売却しておりまして、売却が終わった後につきましては、そこについて、我々は詳しいその撤去の中身については把握してございません。

宮本(岳)委員 先ほどから出ているように、確認していないんですね。

 では、この八億一千九百万円の値引きという根拠になっているこの大阪航空局の見積もりが妥当かどうかという問題であります。

 先ほど国交省は、小学校建設を前提として瑕疵のないような積算を行ったと答弁をいたしました。

 そこで、文部科学省に来ていただいております。

 大阪航空局が見積もったように、廃材や靴、タイヤといった生活ごみが地下に埋まっている場所では、基礎くい部分は九・九メートル、その他のところは三・八メートル、全部土を取って、それらの埋設物を全てふるい分け、一万九千五百トンの埋設物を取り除かなければ、学校の校地として認められないんですか、文科省。

山下政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、小学校を設置するのに必要な最低の基準として小学校設置基準を定めてございますが、この省令の中で学校予定地の土壌汚染や地下埋設物についての具体的な定めは設けてございません。

 なお、法的な拘束力はございませんが、文部科学省としては、学校施設の計画、設計上の留意事項を示したガイドラインである小学校施設整備指針を定め、建物、屋外運動施設等を安全に設定できる地質、地盤であるとともに、危険な埋設物や汚染のない土壌であることが重要である旨記載し、学校設置者等に周知しておりますが、いずれにしても、法的な拘束力はないというものでございます。

宮本(岳)委員 法的な拘束力はないんですね。ガイドラインがあるけれども、そういう状況になっている。

 この土地にあった鉛や砒素等の土壌汚染は、前回取り上げた、昨年四月六日に既に大阪航空局から森友学園に支払われた一億三千二百万円で処理済みであります。この費用は八億一千九百万円には一切入っておりません。そして、別に大阪航空局が見積もったような一万九千五百トンもの埋設物を処理などしなくても、学校は十分建てられるわけであります。

 資料三を見ていただきたい。

 去る二月十五日、まさにこの前の委員会をこちらで、ここで当委員会が開かれていた日、地元の喜久山弁護士がみずから現地で撮影してきた画像であります。まだ土壌にはごみがいっぱい埋まっております。一万九千五百トンもの埋設物の処理など、全然終わっておりません。

 それどころか、昨夜のTBSラジオの単独インタビューで、籠池理事長は、運動場の下は取り出さなくていいんですから、さわっていないんだから、そこにお金がかかることはありません、はっきりそう語っております。

 理財局、つまり、これは国民の財産である国有地を、多大に控除額を見積もって、まさにただただ八億二千万円の値引きで売ってやった、こういうことじゃありませんか。

佐川政府参考人 その運動場の地下が国交省が対象面積としたところに入っているかどうか、ちょっと今あれですが……(宮本(岳)委員「入っていますよ」と呼ぶ)はい。一部入っているかどうかわかりませんが、いずれにしましても、売却後、本件土地に小学校が建設されるということでございますので、まさにその学校建設に瑕疵がないようにということで、地下埋設物の撤去を行うということでございます。

宮本(岳)委員 大阪航空局、来ていますね。

 運動場部分、埋設物の撤去、入っているんじゃないですか。

平垣内政府参考人 お答えさせていただきます。

 見積もりに当たりまして対象とした面積は、全体の約五九%の五千百九十平米でございます。

 校舎の部分は全て入っておりますけれども、敷地のうちは、一部入っております。どの部分が運動場に該当するかは詳細を承知しておりませんが、先ほど申しましたように、全体の敷地の六〇%でございますので、全ての部分が入っていることは多分なかろうかと思います。

宮本(岳)委員 全ての部分が入っていることはなかろうかと思うが、運動場の部分は入っているでしょう。

平垣内政府参考人 お答えいたします。

 私が持っている図面は、先ほど申しましたように、対象の範囲であります五千百九十平米の位置はわかるのでございますが、どこまで運動場があるのかというのがわからないので、申しわけございませんが、今お答えはしかねます。

宮本(岳)委員 こんな話では議論になりませんよ。

 大体、校舎以外の土地がきちっとその対象面積に入っていることぐらい、それは手元の資料でわかるでしょう。運動場が入っていることは明瞭なんです。

 そもそも、物が建っているところ以外は取っていないと本人が言っているわけですから、この点でも、籠池さん、この委員会に来ていただいて、この八億二千万がどうだったのかということは徹底的に明らかにする必要があるというふうに思っております。

 大臣、大臣は二月の十五日、私に対して、地方審議会において十分な審議をしていただいたものと承知していると答弁をいたしました。

 しかし、審議したのは、十年間の貸し付けと十年以内の買い取りという方針を審議した二〇一五年二月十日の第百二十三回近畿地方審議会一回きりであって、このとき想定されていた金額などよりはるかに安い一億三千四百万円で売却を行った昨年六月前後には、審議はおろか、報告すらされていないんですね。

 もう答弁は、まずは要りません、する必要がないと理財局は答弁するんですから。しかし、そんな答弁を、大臣、させたらだめですよ。法的に問題がないからと言うんだけれども、法的に問題があればえらいことですよ。地方審議会で議論するどころか、警察や検察の出番です。法的に問題がなければ、どんなに国民から不信の目で見られている売却でも審議会に報告すらしなくていいのか。別に、法的に問題がない限り報告してはならない、そんなことは決まっていないんですね。そんなことを言っていたら、ますます国民からこれは疑念の目で見られることになります。

 地方審議会の委員の方々だって、これだけ大問題になったら、決して心穏やかではないでしょう。ましてや、この六月二十日の売買契約は、一昨年二月十日、第百二十三回地方審議会で議論したときとは金額も内容もさま変わりしたものになっているわけです。

 今からでも直ちに臨時地方審議会を開いて委員の皆さんに正しい情報をお伝えし、議論することぐらいは、大臣、当然ではないですか。

麻生国務大臣 答弁を先にしていただきましたので、ありがとうございました。

 その点につきましては過日のときに申し上げたとおりなので、定期借地契約を結ぶ等の処分方法については御了承いただいておりますので、その後、森友学園からの買い受け要望に基づいて本件土地を売却しておりますが、森友学園に対して売却を行うという処分方法につきましては既に地方審議会から御了承いただいている範囲内のものということが答えになりますが、ただ、本件土地については、その後の状況について、今後の地方審議会において報告はさせたいと思います。

宮本(岳)委員 引き続き徹底追及するということを申し上げて、私の質問を終わります。

御法川委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 税制改正法案について質問いたします。

 まず、今回の法案がなぜ税収中立での改正なのかというのが大変疑問であります。一月に発表された二〇一六年度のプライマリーバランスは二十兆円の赤字と、昨年七月のときよりもさらに大きく悪化するということになりました。未来世代にツケ回しをしていかないということを考えた場合、やはりしっかり税収を確保していく必要があると思います。消費税増税をやらないというのは当然のことなわけでありますけれども、だったら、やはりそれにかわる税収確保策を考えるというのが、未来に対する政府の責任だというふうに思います。

 なぜ税収中立の改正になっているんですか、大臣。

麻生国務大臣 平成二十九年度の税制改正では、いわゆる一億総活躍社会の実現を目指して、日本の成長力を底上げするための見直しを行うというのを大前提にいたしております。

 こうした中で、例えば配偶者控除の見直しについては、就業調整問題を解決するという観点から、配偶者の収入制限を引き上げる一方、所得再配分機能の回復などの観点から、納税者本人に所得制限を設けるということにいたしたところでもあります。

 また、法人税制に関しては、研究開発税制や所得拡大税制につきましては、大企業は、投資や賃上げに積極的な企業への支援を重点化しますけれども、中小企業につきましては、これらの税制による支援を充実させるとともに、設備投資促進税制等々の拡充を行うことといたしております。

 このように、今般の改正では、就業調整問題、投資や賃上げの促進といった政策課題に答えを出しつつ、財政への影響も考えながら、めり張りのついた手直しを行う。配偶者控除の見直しや法人税の見直しは、おおむね税収中立となっておりますが、負担を求めるべきところには負担を求めつつ、中小企業などに対しては配慮を行っているところだと考えております。

宮本(徹)委員 ですから、なぜ全体として税収中立なのか。負担を求めるところにもっと求めるということが本来やらなければいけないことだったのではないかというふうに思います。

 本法案では、私が何度も取り上げてきました研究開発減税、この問題で、今年度で適用期限を迎える租税特別措置の延長が盛り込まれております。なぜ、本来ならば、このままやめてしまえば一千億円の財源が生まれるところ、これを、高水準型はそのまま延長、増加型はそのまま総額型に組み込んでしまうということになってしまったのか。研究開発減税の減税規模六千億円はほぼ維持されるということになっております。

 それで、改めて租税特別措置の考え方について聞いていきたいと思いますが、租税特別措置の見直しについては、二〇一四年の政府税調で基準が確認されております。その基準三について紹介していただけるでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員が御指摘されましたのは、政府税制調査会における平成二十六年度の法人税の改革に係る取りまとめにおける記述をおっしゃっておられるんだと思います。

 この中で、租税特別措置について、「利用実態が特定の企業に集中している政策税制や、適用者数が極端に少ない政策税制は、廃止を含めた抜本的な見直しを行う」「例えば、不特定多数の適用を想定しながら、上位十社の適用が八割超の場合や適用が十件未満の場合は、必要性や効果の検証を徹底する。」とされているところでございます。

宮本(徹)委員 今紹介がありましたように、利用実態が特定の企業に集中している政策税制、上位十社の適用が八割超の場合、これは廃止を含めた抜本的な見直しを行うというふうにされているわけであります。

 そこでお伺いしますが、研究開発減税の今度延長されることが法案に書かれております高水準型、これは、減税額のうち上位十社が占める比率について、この五年間はどうなっていますか、紹介してください。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発税制の高水準型につきまして適用額上位十社の占める割合、これは、直近租特の適用実態調査によりますと、平成二十三年度から二十七年度までの五年間の比率を申し上げますと、九四・五%が二十三年度、以下、九四・六%、九六%、九三・二%、そして二十七年度が九三・六%となっております。

 ただ、研究開発税制の高水準型、これは、先生も御案内のとおり、企業の研究開発投資を後押しするための研究開発税制の一つのメニューでございまして、研究開発税制全体として見ますと、適用額上位の十社で占める割合は、平成二十七年度、直近におきましては三一・九%になっているということでございます。

宮本(徹)委員 私が今、きょう聞いているのは、高水準型についてなんですね。今お話あったとおり、八割どころか、上位十社で九十数%、この五年間、毎年毎年占めているというのがこの高水準型ということになっております。ですから、政府税調の基準からいけば、廃止を含めた抜本的な見直しを行うということが求められていたはずなんですね。

 昨年の臨時国会でも指摘しましたが、総務省の行政評価局がこの研究開発減税の高水準型の延長を求めた税制改正要望に対して、想定外に特定の者に偏っていないことについて十分な説明がされていないというふうに指摘していたわけですね。その前の年は、会計検査院も、適用額から見た業種や企業の偏り状況等について国民に対する説明責任を的確に果たしていくことが望まれるというふうに指摘もされていたわけであります。政府部内の役所からも国民に対する説明責任が果たせていない、こう批判されていたものを、政府税調の基準も無視して延長するというのは、私はもってのほかの話だというふうに思います。一体いかなる力が働いてこんなことになったのかというのが問題だと思うんですね。

 この高水準型の恒久化を求める要望を政府や与党に出してきた業界団体がありますね。どこですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発税制の高水準型に係る要望を行った業界団体といたしましては、財務省で把握しているものについて申し上げますと、まず、恒久化を要望したのは、日本化学繊維協会、中部、関西、中国地方の経済連合会、日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会、日本製薬団体連合会でございました。

 このほか、延長等を要望したのは、日本経済団体連合会、日本産業機械工業会、日本工作機械工業会、日本ロボット工業会、石油連盟、日本自動車部品工業会でございます。

宮本(徹)委員 この税制を利用しているのは、二〇一五年で百四十社ですよね。ということになっております。

 先ほど、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会というお話もありましたが、この研究開発減税の高水準型の適用総額の上位十社で多い業界、これは製薬業界ですよね。

星野政府参考人 租特の適用実態調査の報告書で分類されている分類で見られる範囲で申し上げますと、租税特別措置の適用実態調査において公表されている情報を踏まえれば、平成二十七年度において高水準型の適用上位十社のうち多いのは、化学工業に属する企業と考えられます。

宮本(徹)委員 化学工業の中には製薬業は当然入りますよね。

星野政府参考人 入ります。

宮本(徹)委員 過去の報道を振り返ってみますと、いろいろ出ています。日刊薬業という業界紙がありますが、昨年十月六日の報道では、自民党の製薬産業政策に関する勉強会で、製薬企業側は年末の税制改正に向け、今年度までの時限措置となる研究開発税制の上乗せ措置のうち、製薬業界の利用率が高い高水準型の恒久化を求めたというふうに報じられております。

 いろいろな団体、先ほど述べられましたけれども、その中でもとりわけ、日本製薬団体連合会、日薬連と、日本製薬工業協会、製薬協、ここは、繰り返し繰り返し、歴史的にも、政府や自民党に対して、この研究開発減税の高水準型の維持、恒久化というのを求めてきております。そして、今、日薬連の会長は大日本住友製薬の社長さん、製薬協の会長はアステラス製薬の社長さんとなっておりますが、この二社はいずれも、高水準型による減税額上位十社の中に入っていますよね。

星野政府参考人 租税特別措置適用実態調査の中身として個別の企業名が入っているかどうかということについては、お答えを差し控えさせていただいております。

宮本(徹)委員 いつも企業名を聞いたら答えないんですけれども、これは普通に有価証券報告書だとかそういうのを見れば、誰でもすぐにわかる話なわけですよね。

 昨年十月七日付の薬事ニュースでのインタビューに答えて、日薬連の会長さんは、上乗せ措置が二〇一六年度に期限を迎える、総額型とオープンイノベーション型上乗せ措置を合わせた計四〇%の控除上限は何とか守っていただきたい、日薬連としても、引き続き製薬協とともに国会議員や行政に働きかけていきたいというふうに述べられております。

 お伺いしますが、今度の法案で、研究開発税制の控除の上限、これは税額の何%になりますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 本年度の税制改正案におきましては、研究開発税制税額控除額の上限を維持及び引き上げをしているわけでございますけれども、増加型の廃止に伴いまして、高水準型が適用できない、当期を含めた四年間の平均売上高に対する試験研究費の割合が一〇%未満の企業につきましては、特別試験研究費に係るものを含め、法人税額の三〇%となります。

 また、高水準型が適用できる企業につきましては、高水準型の一〇%と総額型の三〇%を合わせて、引き続き法人税額の四〇%となります。

宮本(徹)委員 つまり、これまでと違い、これまでは研究開発費をふやすと、増加型を利用すれば、あらゆる企業に対して四〇%税額控除上限という選択肢があったわけですけれども、今度は増加型を総額型に組み込みましたので、この高水準型を使っている百数十社、この百数十社だけが最大法人税の四割引き、こういう制度が今度の法案の改正では続いていくということになります。私たち、研究開発減税全体が大企業を優遇する制度だと批判してきましたが、その中でも、この高水準型を利用する企業、業界でいえば製薬業界等を極めて大きく優遇する税制という形に今度の法案ではなるわけですよね。

 先ほど、研究開発費用が多いところを応援するんだとお話がありましたけれども、製薬業界の利益率というのは他の製造業と比べて高いというのが国民的な常識だと思いますが、そうじゃないんですか。

星野政府参考人 利益率を何で見るかという議論はあると思いますけれども、仮に、例えば、政策投資銀行が出している調査がございますけれども、それによりますと、売上高に占める税引き後利益の割合は、平成二十七年度におきまして、医薬品等の主要企業におきましては一〇・一%となっておりまして、製造業全体の主要企業三・九%より高くなっております。

宮本(徹)委員 今紹介がありましたように、製薬業界の利益率が高いというのは、これはもう国民誰もが知っているような話なわけでありますよね。そこに対して、なぜ減税額を最大税引き四割という優遇税制を残していくのか、大変疑問であります。

 製薬メーカーの売上高上位二十社の内部留保、利益剰余金と資本剰余金、この三年間を見てみましたけれども、二十社合計で三千百七十億円もふえているんですよね。ですから、こういう減税をやらなくても、十分に研究開発に投資するだけのお金を製薬メーカーは持っています。逆に、こうした減税分というのは、全部内部留保に回ってきているというのが算数上の説明ということになるというふうに私は思うんですよね。

 こういう、利益も高く、そして内部留保も積み増している製薬業界等のために、一体なぜ、政府税調で確認された見直しの基準も無視して、そして総務省行政評価局の指摘も無視して、この高水準型の延長を行ったんですか、大臣。おかしいでしょう。

麻生国務大臣 御指摘になっているのは、高水準型を延長しても、企業が研究開発投資をふやさないで、内部留保をため込むだけじゃないかという話を言っておられるんだと思いますけれども、平成二十九年度の税制改正において、研究開発税制の適用額の大宗を占めるいわゆる総額型につきましては、これはもう単純に試験研究費の一定の割合を税額控除する仕組みになっている、この点を見直して、試験研究費の増減に応じていわゆる控除額を変動させるということで、試験研究費の増加を強く促す仕組みに改めることといたしております。

 一定の税額あるいは比率を、今までのものでいくと、一定の税額で八から一〇だったものを、今回、幅を広めて、六から一四というような形、パーセントへということで、変動するような制度へと見直しております。一方で、売上高に比して、既に高い水準で研究開発投資を行っている企業もあります。そうでない企業に比べて、試験研究費を増加させることが難しいという点にも一定の配慮が必要であると考えられます。

 こうした企業が引き続き高い水準で研究開発投資を行っていくということを促すために、高水準型を二年間延長することとしておりますが、このように、研究開発税制の改正案を全体として見れば、研究開発投資の増加を強く促す仕組みへとある程度なっておりまして、内部留保というものも、これをしっかり活用してもらうべく工夫を講じたところだと思っておるんです。

 いずれにしても、取り組みの効果を見きわめてまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 取り組みの効果を見きわめたいというふうにおっしゃいますけれども、これまでの取り組みの効果が結局どうだったのか。内部留保をどんどんどんどん製薬メーカーもふやしてきたというのが実態だったということだと思いますよ。

 先ほど、この措置を続けることによって研究開発投資の増加を促すんだというお話がありましたけれども、こんなことをやらなくても、製薬メーカーは世界各地で競争していますから、必死で研究開発の投資はやると思いますよ。内部留保をどんどんどんどん積み増す、そんなお金があったら、そのための減税をするようなお金があったら、私は、よほど暮らしのために使うべきだというふうに思います。

 なぜ、こんな、政府部内でも説明がつかないと総務省からも会計検査院からも指摘されている租税特別措置が延長されていくのか。

 私、調べてみましたら、自民党への製薬メーカーさんからの献金というのは非常に多いんですね。直近の政治資金収支報告書を見ましても、年間約九千万円ぐらい自民党に渡っております。それだけじゃありません。製薬業界の政治団体である製薬産業政治連盟は、毎年政治家のパーティー券を買っております。二〇一五年、約百二十人の国会議員の方のパーティー券を買っております。四千七百万円分あります。

 結局、こういう製薬業界から流れてきているお金に応えて、こういう租税特別措置の延長をしたということなんじゃないですか、大臣。

麻生国務大臣 いろいろ御意見はあるんだと思いますが、基本的に、薬というものの開発というのは、今、世界で新薬を開発している国は既に、世界百九十三カ国で四カ国か五カ国だけになっておりますので、日本としては、そのうちの一角を占めるという地位をきちんと維持していくというのは大切なことだと思っております。

 その上で、平成二十六年度の政府税制調査会の取りまとめとか総務省の政策評価の点検の結果において、上位十社の適用割合が八割を超える租税措置については、しっかりと必要性等の検証を、見直すべきであるとの指摘を私どもはいただいておるところであります。

 他方、高水準型の対象となります企業は、将来の発展に向けてリスクをとって多額の研究開発投資を行う企業であって、日本の経済成長の礎となり得る新薬、こうしたものに対して、企業の研究開発を支援していくということは極めて重要だ、我々はそう思っております。

 加えて、高水準型は、高い水準で研究開発投資を行う企業に限定して支援を行うものでありますので、結果として適用企業数が限られることになって、上位十社の割合が高くなっている面もあると考えられます。

 また、平成二十九年度の改正において、研究開発税制については、研究開発投資を積極的に増加させる企業に支援を重点化するという見直しを行っておりますが、高水準型の対象というものは既に多額の研究開発投資を行っておりますので、さらに研究開発投資を増加させることが難しい面もあります。

 こうした状況を総合的に勘案して、日本の民間企業の研究開発投資を全体として増加させつつ、加えて、高い水準で研究開発投資を行う企業における研究開発の維持、充実を図るためには、今回の税制改正において、高水準型の期限を延長することといたしたところでもあります。

 いずれにしても、この研究開発税制のあり方については、政府税制調査会の御指摘もしっかりと受けとめ、研究開発をめぐる企業を取り巻く環境や今般の改正の効果などをさらに踏まえながら、引き続き不断の見直しを行っていく必要があろう、先ほど申し上げたとおりであります。

宮本(徹)委員 製薬業界は支援が必要だというお話をされますけれども、先ほど数字も出して説明しましたが、内部留保をふやすだけに、結果としては高水準型もつながっているんではないかということであります。

 そして、製薬産業政治連盟の政治資金収支報告書を私、見ていましたら、麻生大臣のパーティー券も購入していただいているんですよね。麻生太郎政経セミナー、二〇一五年二月三日二十万円、二月二十六日二十万円ということで書かれておりました。

 報道では、製薬メーカー献金額二位のアステラス製薬の担当者は、なぜ献金するのかということでこう言っています。産業界全体の動向を踏まえ、製薬業界の要望を伝える意味においても献金していると。一般的な社会貢献で献金すると言っているわけじゃないんですよ。業界の要望を実現してもらうために献金している、パーティー券も買っている、こういう話なわけですよね。

 文字どおり、企業がお金の力で税制をゆがめているということになるんじゃないですか。なぜ、総務省の行政評価局や会計検査院が説明責任を果たせていないと批判したのか、ここをやはりしっかり受けとめなければいけないと思います。政界と製薬業界のお金を通じた関係があるのではないかというふうに、国民が疑念を持つのは当然ということを言わざるを得ないと思います。研究開発減税の高水準型の延長は撤回すべきだと強く申し上げておきたいと思います。

 それからあと、研究開発減税、もう一点だけお伺いしますが、増加型も形を変えて総額型に組み入れられることになりました。二〇一五年度の租税特別措置の実態調査を見ますと、研究開発減税の一位はトヨタ、会社名は書いていないですけれども、九百三十九億円ということになっています。トヨタは、二〇一三年度も一千二百億円、二〇一四年度も一千八十億円、多額の研究開発減税を三年連続受けているということになります。

 一方で、トヨタの内部留保を見ましたら、二〇一四年度十七兆百九十三億円、二〇一五年度は十八兆二千四百七十三億円と、この一年間の間に一兆二千二百八十億円もふやしているわけですよね。トヨタを見ても、減税をしなくても研究開発する体力はおよそ十分あるということははっきりしていると思います。

 やはり大企業向けの部分に関しては、内部留保の積み増しだけにつながっているという面をしっかり見て、研究開発減税そのものを抜本的に見直して、縮小、廃止に向けてしっかり検討していく必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 研究開発税制というのは、これは大企業を優遇するというためのものではなくて、経済成長の礎となる、いわゆる企業の研究開発投資を後押しするための制度であるのが基本的なところです。

 減税額を見ますと大企業の数字が大きくなっていますが、適用件数を見れば、大体全体で一万二千件ぐらいだと思いますけれども、中小法人の利用が三分の二ぐらいあったように思います。八千件を超えると思いますので、幅広い企業に適用されていると思っております。

 今般の平成二十九年度の税制改正において、この制度について、特に大企業については、研究開発投資を増加させる場合には高い税額控除率を適用する等々の一方、減少させる場合には従来よりも低い税額を適用する制度など、これは研究開発投資の増加という政策目標にかなった制度とするように、めり張りをつけた見直しを行ったところでもあります。

 いずれにしましても、研究開発税制を含みますこの租税特別措置というものにつきましては、これは不断の見直しを行っていくべきものだとは思っておりますけれども、今後とも、こうした改正の成果、結果というものを見詰めてまいりたいと思っております。

宮本(徹)委員 私は、中小企業向けのものを見直せと言ったわけじゃないんですね。大企業向けの部分については見直して、縮小、廃止に向かうべきではないかというふうに申し上げたわけです。

 この研究開発減税、十年ぐらい前は税額控除の上限は二〇%だったわけですよ。それがどんどんどんどん引き上げられてくるということになっているわけであります。この研究開発減税に回っている六千億円のお金があれば、給付制奨学金、どれぐらいつくれるのか。今度の給付制奨学金の財源規模、二百二十億円ですからね、三十倍できるということですよ。やはり、どちらに投資する方が日本の未来の力になっていくのかということを真剣に考える必要があると思います。

 続いて、法人税引き下げ競争の問題について伺います。

 トランプ大統領は、選挙中から、法人税を一五%に引き下げるんだということを言ってまいりました。新たな法人税引き下げ競争が始まるのではないかということが大変懸念されているわけですが、麻生大臣にお伺いしますが、日米首脳会談では、この法人税引き下げ競争の問題点、これは指摘されたんでしょうか。

麻生国務大臣 先般の日米首脳会談では、この法人税改革については議論は行っていないと記憶します。

宮本(徹)委員 議論を行っていないということですが、有害な税の競争というのは、もうずっとこの間、OECDでも議論になってきたわけですよね。アメリカが法人税の大幅な引き下げに走るということになれば、世界への影響は大変大きなものがあるというふうに思います。

 日本は、この法人税引き下げ競争を食いとめるための役割を率先して果たしていかなければならないと思いますが、今後の日米の対話の中で、麻生大臣はこの問題についてどう臨まれるでしょうか。

麻生国務大臣 御存じのように、トランプ政権というのはまだ発足したばかりでして、私は誰と交渉するか相手もよくわからぬようなぐらい相手はまだ決まっていないんですよ。それは御存じのとおりじゃないでしょうか。ムニューシンという人だって、先週だか今週の初めに決まったばかりですから。まだ、下の人、我々が直接交渉するアンダーデピュティー、デピュティー、全く決まっていないんですよ。それが今の現状。新聞を見られて、御存じなんでしょう。

 したがいまして、そういった意味で、今の段階で具体的なコメントをするということはとてもできる段階にありませんが、いずれにしても、私どもとしては、エコノミックダイアログというのを立ち上げておりますので、今から日米間でいろいろ交渉を調整していくことになろうかと存じます。

宮本(徹)委員 ですから、これから話すテーマだとか、いろいろなことはそういうことになっていくんでしょうけれども、問題は、日本の政府の姿勢として、法人税引き下げ競争の問題点というのをアメリカに提起するかということですよ。それは麻生大臣も、この委員会で、法人税引き下げ競争は問題だという発言を繰り返されてきたと思うんですね。そして、その危険が今迫ってきているわけですから、麻生大臣の姿勢として、今後どういう構えで臨まれるのかというのをお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは今までもずっとやってきた話で、この四年間アメリカと同じ話をやってきておりますので、今回そういった話がまた出てくれば、その段階で同じようなことを申し上げることになろうと存じます。

宮本(徹)委員 同じような話というのは、法人税引き下げ競争はよくないということでよろしいんですね。

麻生国務大臣 今そう言ったように思っていたんですけれども、そう聞こえませんでしたか。済みません。

宮本(徹)委員 ちゃんと確認をしておきたかったわけであります。

 次に参ります。次に、国際課税について伺います。

 まず、外国子会社合算税制、いわゆるタックスヘイブン税制についてです。

 現行の税制では、税率二〇%未満の国に対しては子会社の所得も合算する、だけれども、二〇%以上の国の子会社は合算をしない、経済実体を伴わない所得であっても合算されないということになっていて、税逃れの大穴があいていたわけであります。

 この穴を塞ごうということで、今回の法案では、ペーパーカンパニーなどについては所得の全額を合算するようにした。一方で、能動的所得と受動的所得を分ける事務作業が大変だ、こういう理由で、税負担率二〇%以上の会社は制度の適用が免除されるということになっております。これでは、全部の穴を塞いだということにはならないのではないかと思います。

 お伺いしますけれども、他の国を見れば、制度の適用が免除される税負担率が日本の二〇%よりも高い税率を設定している国というのがあるんじゃないですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 外国子会社合算税制につきましては、諸外国におきましても、今般の日本の改正と同様、外国子会社の所得の内容に応じて合算対象を決定した上で、外国子会社の税負担率が一定の水準を下回る場合に限り合算するアプローチをとっているところが主要なところであると認識をしております。

 具体的なその際の税負担率でございますけれども、これはまちまちでございまして、先生御指摘のように、日本よりも高い国といたしましては、例えばアメリカ三一・五%以下、これはアメリカの最高税率三五%の九〇%以下、あとドイツが二五%未満ということでございますけれども、逆に低い国としては、イギリス一五%未満、フランス一六・七%未満ということで、さまざまでございまして、また、本国の法人税率の水準によって変動し得るものと認識をしております。

 なお、今般の改正におきましては、一見して明らかに受動的所得しか得ていないと考えられるペーパーカンパニー等につきましては、その税負担率が二〇%以上であっても合算の対象とすることとしております。

宮本(徹)委員 つまり、日本より高い税率で設定している国もあるわけですね。制度の適用が免除される税負担率を、例えば二五%だとか、今回の法案にある二〇%より高く引き上げることになれば、より効果的に租税回避に対応できるし、税収としてもさらに確保できるということになるんじゃないでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の外国子会社合算税制の見直しに当たりましては、国際的な租税回避への効果的な対応と企業の事務負担への配慮のバランスをとる観点から、所要の措置を講じたものでございます。

 二〇%、これは制度適用免除基準というものを設けたわけでございますけれども、制度見直しによって過度な事務負担が企業に発生しないように、現行制度との継続性等を踏まえて設定をしたものでございます。

 一方、租税回避にこれまで以上に有効に対応する観点からは、一見して明らかに受動的所得しか得ていないと考えられるペーパーカンパニー等が得る所得につきましては、その税負担率が二〇%以上であっても合算対象とすることとしておりまして、そういう意味では、両者のバランスをとった合理的な改正内容だと考えております。

宮本(徹)委員 バランスをとったという説明なんですが、私が聞いたのは、例えば二五%に引き上げれば、より効果的に租税回避に対応できるんじゃないのかということと、税収としてもさらに確保できるんじゃないですかということを聞いたんです。どうですか、その点は。

星野政府参考人 繰り返しになりますけれども、今般の改正は、国際的な租税回避への効果的な対応が一方の要請にあり、他方、企業の事務負担への配慮、これも考える必要がありまして、そこのバランスをとったということでございます。

宮本(徹)委員 日本の財政状況というのは、ほかの国と比べても深刻なわけですよね。ですから、租税回避を許さずに、税収をしっかり確保するという点でいえば、他国でできているようなことは日本でもしっかりやっていくべきだというふうに私は思います。

 さらに言えば、今回、先ほど今までの制度との継続性というお話を言いましたけれども、現行の適用免除基準のトリガー税率の二〇%、これは、歴史的に言えば、法人税引き下げ競争の中でどんどんどんどん下がってきたわけですよね。ですから、私としては、これを引き上げていくということで、法人税引き下げ競争は許さない、こういうメッセージを日本が世界に発信していくことにもつながるというふうに思いますので、この点はさらに検討していっていただきたいというふうに思います。

 次に、CRSについてお伺いします。

 各国の税務当局間で口座情報を自動交換する仕組みが二〇一八年に始まります。タックスヘイブンとされるケイマン諸島なども参加するということになっております。富裕層の海外資産を把握する上で、大きな効果が期待をされております。

 一方で、このCRSに参加しない国もあります。とりわけ、日本とも関係の深いアメリカが不参加、こういう事態が続きますと、大きな抜け穴になっていく危険もあります。

 麻生大臣、やはりアメリカに対しても、CRSに対して参加を強力に呼びかける必要があるのではないでしょうか。

麻生国務大臣 これは、BEPSのスタートからやり始めさせていただいて、OECDが正式にやりましたCRS、コモン・リポーティング・スタンダードでしたっけ、いわゆる非居住者の金融口座情報の自動的情報交換というものをするという制度なんですけれども、海外の資産隠しといったような道を、脱税とかそういった回避に極めて有効な手段であるのだ、私どもはそう認識しているんですが、日本としても、二〇一八年でしたかに、国際的な情報交換が実施できるようにということで、平成二十七年度の改正でこの制度を創設させていただいたところです。

 この制度を我々はスタートさせておりますので、可能な限り多くの国々の足並みをそろえて実施するということでその効果が発揮されるというのは当然のことなんですが、アメリカを初め本制度の実施にコミットしていない国、アジアでは例えばタイなんというのはそうですが、そういったところを初め、本制度の実施にコミットしていない国々に対して、これはG20や多国間の場とか、ビジネスダイアログ等々、多国間の協議の場等々で積極的に働きかけを続けていかないかぬところだと思っております。

 拡大に向けて、さらにいろいろ取り組んでいかなきゃいかぬところだと思いますが、これは、なかなか意識が変わらないので、政府は賛成しても議会が通らないというのが一番面倒くさいところですね、民主主義国家の場合は。

宮本(徹)委員 引き続き頑張っていっていただきたいというふうに思います。アメリカのFATCAというのは、一方的に情報は寄せろという話でありまして、自分のところの口座情報は提供しない、こういうのでは全くだめだと思いますので、麻生大臣の頑張りに私も期待したいというふうに思います。

 さらに伺います。

 この間、超有名大企業の、多国籍企業の税逃れのスキームがたくさんあることが国民の前に明らかになってきております。国民がこうした外資も含めた多国籍企業の税逃れの実態を知ることが国民の納税意識にどのような悪影響を与えているのか、これはどう政府として認識しているのか。また、国際課税でこういう税逃れのスキームはだめだという事例集を政府が積極的に示していく、こういうことになれば、私は、税逃れを牽制する上でも非常に大きな力になっていくと思いますが、その必要性について政府はどうお考えでしょうか。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 いわゆるパナマ文書の公表ですとかBEPSプロジェクトの進展などを契機としまして、富裕層や海外取引のある企業による国際的な租税回避行為等に対しまして、国民の関心が大きく高まっている状況にあると認識をしております。

 国税当局としては、こうした国際的な動きも十分視野に入れながら適正、公平な課税を実現していくことが、国民からの税に対する信頼の確保につながるものと考えております。

 こうした国税当局の取り組みにつきましては、定期的な記者発表により調査事績を公表しておりますが、さらに、昨年の十月でございますけれども、国際的な租税回避行為に対する取り組みの現状と今後の方向を取りまとめました、国際戦略トータルプランというものを公表しております。その中で、いわゆるタックスヘイブンにおけるペーパーカンパニーを介して行った租税回避の事例でございますとか、あるいは富裕層や海外取引を行う法人の国際的な租税回避といった事例などについて公表しております。

 今後とも、国税当局といたしましては、調査等により把握した一般的な租税回避事例などにつきまして、守秘義務との関係も十分考慮しながら、必要に応じて公表してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 ネットでそのプランを探す人も少ないと思いますので、いろいろな形で、国民に対して、こういうスキームはだめなんだということをさらに広く知らせていっていただきたいというふうに思います。

 残り時間が短くなってきたんですけれども、ここからはアップル社の税逃れを例にして聞いていきたいと思います。

 二〇一三年にアメリカの上院常設調査委員会で、アイルランドを使ったアップルの税逃れが指摘されました。きょう資料も配っておりますが、グラフを見ていただければと思いますが、アップルのアメリカ以外の税引き前利益というのは、アイフォンの販売開始以来急増しているわけですね。その一方で、税負担率は極めて低い状況になっております。二〇一〇年度でいえば一・二%。その後、批判が高まる中、税負担率は若干高まりましたが、それでも六・二%。

 アップルの税逃れの仕組みには幾つかのポイントがあります。

 一つは、アイルランドに海外の利益を集めていく。アップル本社と、あとアイルランドにつくった子会社との間で知的財産の研究開発コストを分担する、そのことによって、アイルランドの子会社がより多く知的財産についての経済的な権利を持つようにする、このことによって、アメリカ以外の海外での売り上げの利益がアイルランドの子会社に計上されるようにしております。

 それで、二つ目に、このアップルのアイルランドの子会社が元卸業者になって、この子会社からヨーロッパやアジアなどの他国の子会社に製品を売っていくわけですが、その際に、グループ内の取引価格を高く設定して、アイルランドの子会社に利益をため込む、ほかの海外の子会社はほとんど利益がなくなるという仕掛けになっております。

 そして、三つ目に、このアイルランドの子会社は税制上の居住地を持たないようになっております。アイルランドの税制の特殊性から、管理支配基準でやっていましたので、アイルランドではアップルの子会社は非居住法人として扱われ、アメリカでも非居住法人とされ、どちらでも課税権を持たないという状態になっていたわけですね。

 このアップルの税逃れによって、アメリカが税収を失っただけではなくて、アップルが販売活動などを行っている国も税収を失っているということになります。アメリカの上院報告書でも、アップルの日本での納税が僅少であるというふうに指摘しております。国税庁も、当然、このアメリカの上院報告書は認識されているというふうに思います。

 我が党のしんぶん赤旗が、アップルの年次報告書とこのアメリカの上院調査委員会の調査結果を突き合わせたら、二〇一一年度で見ると、アメリカ以外の諸外国が二百億ドル前後の税源を失ったという試算になります。それで、日本はどうか。二〇一一年度でいえば、アップル社の営業利益のうち二十一億ドルが日本での販売で発生しております。ところが、日本の子会社が得た税引き前利益は一億五千万ドル。九割以上の利益がアイルランドに流出しているという計算になります。

 確認しますけれども、BEPS対策の基本原則からいけば、企業は、販売活動という実質的な経済活動を行った、利益を上げた国でもきちんと課税をされなければならない、そうなっていると思います。

 そしてまた、一般論として聞きますけれども、今回の例のように、多国籍企業の税逃れが他国の税当局や議会調査局の調査で判明した場合、日本の国税もきちんと課税を追徴する、そういう対応が求められると思いますが、これは国税庁、しっかり対応されているんでしょうか。

飯塚政府参考人 お答えを申し上げます。

 個別の事例に関するお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても、近年、多国籍企業による、各国の税制や租税条約の違いを巧みに利用した国際的な租税回避が世界的な問題になっております。BEPSプロジェクトによって、その対策がさまざま講じられているところでございます。

 こうした問題に対しまして、国税庁としましても、主要な国税局に国際課税を専門に担当する部署を設置するなど体制整備を図った上で、申告書に添付された別表ですとか、あるいは国外送金等調書等、あらゆる資料情報を収集、分析、検討し、海外取引について重点的に調査を行うこととしております。

 また、必要に応じまして、外国税務当局と連携して、租税条約等に基づく情報交換を積極的に実施するなどによりまして、問題取引の実態解明を行い、個別の事案に応じて、法令にのっとり、租税回避に適切に対応しているところでございます。

 さらに、今後でございますけれども、BEPSプロジェクトの勧告を踏まえまして、新たに導入された、国別報告書を初めとする多国籍企業情報が提供されることになります。国税当局としましては、今申し上げましたようなさまざまな資料情報を活用しながら、適正かつ公平な課税に努めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 時間が来ましたけれども、これで終わりにしますが、昨年九月、東京国税局がアップルの子会社のアイチューンズに対して百二十億円の追徴課税をしたというふうに報じられましたけれども、これは、アップルジャパンに対してどうやっているのかとかというのは、何も情報は国民的には知らされていないわけですよね。適正な課税がやられているかどうかというのもわからないわけであります。しっかり対応をしているんだという話ですけれども、それが今の税制の枠組みで本当に対応できているのかということもあると思います。

 続きは、まだ質問ありますので、あしたもあるんですよね、あした続きはやらせていただきます。これで終わります。

御法川委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、所得税法の改正につきまして、税法を質疑させていただきたいと思いますが、あと五十五分、私の持ち時間がありますので、おつき合いいただきたいと思います。そして、あしたも六十分あるので、非常に丸山穂高タイムがきょう、あすと長うございますけれども、おつき合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

 毎年、私は所得税の質疑に立たせていただいておるんですが、きょうは、今まで一度も触れたことのないたばこ税とたばこの話を中心にさせていただこうというふうに考えております。

 なぜこの話題をしたいかというと、最近、町中、もしくは御同僚の議員の皆様方、秘書さん等を含めて、アイコスとかプルームといった形の電子たばこがすごく普及し始めている、爆発的に普及しているのを皆さんもお感じになっていると思うんですが、この電子たばこについての税法上の扱い、もしくは、財務省としてこのたばこをどう整理しているのか。非常にまだまだ新しい技術ですから、確立されている途中だと思いますので、そういった点も踏まえて、きちんとこの議論もこの委員会でやっていく必要があると思いますので、そうした流れで聞いていきたいんです。

 大臣、まず初めに、たばこといえば大臣かなと。葉巻をお吸いになるということで、葉巻をのまれるということですけれども、電子たばこ、もちろん存在は御存じだと思うんですけれども、電子たばこを利用されたことはございますでしょうか。もしされたことがあるのなら、どんな御感想か、もしくは、電子たばこに対する印象がありましたら、お伺いできたらと思います。

麻生国務大臣 福岡限定で売っているのがプルーム・テックかな、たしかそうですね、よく買ってきてくれと頼まれますから。福岡でしか売っていないんですよ。よくもあんなことをやれるなと思って、何で福岡なのかなと。考えてみてくださいよ。あそこだけ税金が安いとか、そんなことはないでしょうが。何だか福岡なんですよ、あれは。福岡限定、しかも、結構高い。

 おいしいですよ、感想を言わせてもらえば。結構うまい。ほかのは、フィリップ・モリスとかいろいろやっているのは、全部来ましたから知っていますけれども、中ではこれが一番味がするかな、ちゃんとその感じが出ているかなというのが私の正直な実感です。

丸山委員 今、意外なお言葉が返ってきて、びっくりしておるんですが。

 私も実は葉巻もたしなむんですけれども、葉巻を吸ったときのあのがつんとした感じに比べたら、どうしても電子たばこはちょっとインパクトが弱いかなと。ただ、紙巻きに比べると、似たような、同じような感覚は、近いのは出ているなとは思います。ただ、ふだん葉巻をお吸いになる方はそういった感想をお持ちになるのかなというふうに思ったんですけれども、意外な大臣のお話がありまして、びっくりしました。

 今お話があったように、プルームという方は福岡だけで、限定で売られております。これは、工場が近くにあるからとかいう話も聞いたことがあるんですけれども、今後、たしか夏ぐらいには全国的にこれは販売所を出していくというふうに聞いております。

 同時に、今、日本で普及しているもののもう一つ大きいのはアイコスというものでございまして、多少違うんですけれども、プルームの方は、カートリッジと呼ばれるものの中にたばこ葉が入っている、これもたばこ葉が入っているんですね。もう一つ、このアイコスの方も、実はたばこ葉を利用して、それを加熱できる機械に差し込んで吸うんですが、ただ、煙は出ない、水蒸気が出る。それによってニコチンも含めた内容物を吸収するというものでございます。

 そういった意味で、こうした、今申し上げたのは、実は加熱式の電子たばこというものでございます。

 実は、ややこしいのは、電子たばこは、もう一つカテゴライズ、種類がありまして、そうしたたばこ葉を直接使うものじゃなくて、ニコチンの溶液を差し込んで、具体例を挙げるとわかりやすいんですけれども、ベイパーという、イギリスの会社だそうですが、そうした製品は、ニコチン溶液をカートリッジで入れることで電子たばことしてその溶液を吸うというものが、少し、加熱式の電子たばこと、ニコチン溶液をつけるような、いわゆる別の意味の電子たばこは違うんですが、これはどちらも今議論されています受動喫煙防止法案の対象内なのか、それとも対象外なのか、非常に愛煙家だけじゃなくて国民の皆さんが注目しているところだと思います。

 一部報道で、厚労大臣が記者会見で、これは対象外だみたいなことを述べたという記事が出ているんですけれども、これは対象外ということで、その方向性でいいのかどうかということを厚労省にお伺いしたいんです。ただ、聞いていると、どうもそうじゃないんじゃないかなと。

 そして、今、厚労省の受動喫煙防止の対策、法案、予算も含めてやっていらっしゃると思うんですけれども、これに今申し上げたような二種類の電子たばこというものが入っているのかどうか。このあたり、厚労省の見解を伺えますでしょうか。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 受動喫煙は他人の健康に影響を及ぼす煙を生じるたばこによって起こりますので、受動喫煙防止対策を強化するために現在検討を進めております健康増進法の改正法案につきましては、これを防ぐために規制を課そうというものでございます。

 厚生労働省といたしましては、先ほどおっしゃっていただきましたアイコス、プルーム・テック等の電気加熱式たばこも含めまして、受動喫煙の健康影響がある場合には規制しなければならないというふうに考えております。

 製造たばこは喫煙用、かみ用、嗅ぎ用というふうに区分されております。煙が発生しないかみ用あるいは嗅ぎ用の製造たばこは規制対象の外というふうに整理をさせていただきたいというふうに思っておりますが、喫煙用の燃焼により使用する製造たばこ、これが一般的なたばこでございますけれども、これは明らかに健康影響がございますので、規制対象にしていきたいというふうに考えております。

 お尋ねの電気加熱式たばこ等の燃焼以外の方法により使用する製造たばこにつきましては、現時点では受動喫煙による健康影響についての知見が十分ではございませんので、対象にする、しないの判断は現時点では行っておりませんし、電気加熱式たばこについて法案の対象外というふうにしたわけではございません。

丸山委員 つまり、今明確に厚労省は答弁しましたけれども、今検討されている法案の対象外とは言ってへんでということで、今からこの法案が出てくるんですけれども、この施行までの間にこれが入るのか入らないのか、非常に判断をしっかりしていかなきゃいけない重要な局面に今来ているんだというふうに思うんです。

 では、どのようにしてこれが入るのか、入らないのかという判断の中で、今の御答弁だと、健康への影響、これが非常に重要なファクターだということでございますけれども、健康への影響はどうなんですかというのは、私も調べましたら、非常に難しいなと感じています。

 というのは、例えば、発売元の、アイコスなんかはフィリップ・モリスさん。フィリップ・モリスは、基本的に、公式ホームページでは有害成分の九割を抑えられるみたいな記述をしているんですね。ただ、一方で、例えば公式なところはどうかというと、英国保健省は、何か最大で九五%健康被害が低下するみたいな言い方で、非常に、どこも、では何が健康に悪い成分なのか、そして何がどれだけ抑えられるのかというものが明確に出ているようなデータが今の紙巻きたばこほど全然なくて、非常にこれは判断に迷うだろうなというのが正直なところなんです。

 しかし、厚労省さん、結構前に、既にこれをきちんと確認するんだというのを言っていまして、具体的には、平成二十六年六月十一日、厚生労働委員会質疑で、電子たばこの規制やルールについて関係省庁と検討すると大臣がおっしゃっています。そして、同じ六月二十四日、主意書の答弁でも、健康影響について有識者による調査と検証を行うとともに、関係省庁、もちろん財務省も入りますが、これと連携して今後の規制のあり方について検討してまいりたいと明確に答弁されているんですが、これはもう既に二年たっていますし、そのあたりの検討状況はどうなっているのかということ。

 そして、電子たばこを二種類挙げましたけれども、つまり、こうしたものが対象に入るのか入らないのかを判断しなきゃ、法施行のためには必要だと思うんですけれども、この辺の判断のスケジュール感も含めて、どのように厚労省は考えているのか、お答えいただけますでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 まず、電気加熱式たばこの方についてでございますが、これまでに国立保健医療科学院が行いましたアイコス等の電気加熱式たばこの主流煙あるいは副流煙の成分分析では、従来の紙巻きたばこに比べて低減は見られるもののタール等の発がん性物質等の有害物質が検出され、それから、発がん性はないけれども依存性のあるニコチンの含有量は、電気加熱式たばこと従来のたばこと同程度であるということが判明いたしております。

 一方で、その煙を浴びることによるいわゆる受動喫煙の健康影響については、現時点では科学的な知見が明らかではございませんので、私どもとしては、速やかに研究を進めて、改正法が成立した暁には、施行の時点までに規制の対象とするかどうかということを判断させていただきたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、先生がおっしゃいました、ベイパー等の電子たばこの方でございますが、こちらにつきましては、平成二十六年に実施されました厚生労働科学研究委託費での研究成果、それから有識者による調査や検証による知見、そしてWHO等における現在の科学的知見では、ニコチンを含有しているか否かにかかわらず、紙巻きたばこの喫煙に比べて疾患リスクは低いものの、無害である可能性は低く、長期の使用により喫煙と同様の疾患リスクを生じさせる可能性があるというふうにされております。

 一方で、電子たばこの使用が他人の健康に影響を及ぼすか否かについては明らかになっておりません。

 こうしたことから、現時点では、法案の中でベイパー等の電子たばこを制度の対象とする、しないの判断を行っておりませんで、厚生労働省としては、電子たばこの使用が他人の健康に影響を及ぼすことが今後明らかになれば、その段階で何らかの対応を検討すべきというふうに考えておりまして、今後とも科学的知見の収集に努めてまいりたいと考えております。

丸山委員 丁寧に答えていただいた上に長かったので整理したいんですけれども、つまり、アイコスとか加熱式電子たばこの対応と、もう一つのベイパー等のいわゆるニコチン溶液を使った電子たばこの対応は、ちょっと異なってくるという認識でいいんですか。

 前半の加熱式電子たばこについては、法の通った暁には、その施行までにしっかりと、これがどういった健康被害があるのかどうかを判断する。しかし、後者の方のベイパー等の溶液を使った方に関しては、今のところまだわからないので、施行には間に合わないけれども、何かそれが明らかになった段階で規制を考えるという理解でよろしいんでしょうか。

橋本政府参考人 今先生がおっしゃっていただいたとおりでございます。

丸山委員 私は、どちらかというと愛煙家の方ですので、余り過度な規制は、やはりたばこ税の状況も考えて、ただ、たばこ税の状況を考えると、やはり高額納税者の方が愛煙家の方だと思っていますので、そういった意味で、ルールを守った上で、そしてほかの方に迷惑がかからないような状況で、きちんとしたすみ分けを考えていくというのが非常に大事なところだというふうに思っています。

 たばこは体に悪いと言われていますけれども、しかし、たばこを吸っているときと、あとは居合いをしているときぐらいは、死に対する意識みたいな、自分はなぜ生きているのかみたいなものを逆説的に、この健康に対する被害を考えるときにすごく感じる、私の大事な時間でもありますので、そういった意味では、その観点は非常に持ち続けたいなというふうに思います。

 一方で、電子たばこというのは、今皆さん、非常に注目しているものでございますし、健康被害もまだ明らかでないという点で、規制するときは規制しなきゃいけないなともちろん思っておりますので、そのあたりも含めてしっかりと、厚労省さん、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 次に、財務省の見解を重ねて聞いていきたいんです。

 今申し上げたアイコスやプルームといった加熱式の電子たばこの方ですけれども、これはいわゆるたばこ事業法による製造たばこに入るという認識でいいんですよね。そして、これはもちろんたばこ税もかかっているという認識でいいんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

佐川政府参考人 お答えします。

 今の御指摘は、国内で販売されております三種類の加熱式たばこは、アイコス、プルーム・テック、グローとありますが、いずれもたばこ事業法上の製造たばことして販売の認可を行っているところでございます。

丸山委員 つまり、たばこ税もかかっているということでいいですね。

星野政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、たばこ税法では、たばこ税の課税物件をたばこ事業法に定める製造たばこと規定しておりますので、これに当たるということで、たばこ税が課税されるということでございます。

丸山委員 つまり、たばこ税法上は、まず、加熱式電子たばこの方、プルームやアイコスといった方は、たばこ葉を使っているものは、しっかりこれは事業法の範囲内であって、税もしっかりかかっているということで、もしこれがどんどんどんどん、さらに爆発的にふえても、たばこ税を取りっぱぐれるということはないというのが今の状況です。

 一方で、私も、電子たばこを見てみますと、ほかのたばことちょっと違うなという点に気づきました。それは何かといいますと、普通、紙巻きのたばこにおいては、ニコチンの量とタールの量が書かれています。何ミリというので書かれていますね。しかし、書かれていないたばこもあって、それは外国のたばことか、麻生大臣が御愛飲だという葉巻ももちろん書かれていません。それはルールがありまして、省令で、たばこ事業法施行規則で、財務大臣の定める方法により測定したたばこ煙中に含まれるタール量とニコチン量を表示しなければならないと書いてあるんですが、ただしで除いている規定がありまして、「品質のばらつきが大きいこと等によりタール量及びニコチン量の測定が著しく困難であるとして財務大臣が定める紙巻等たばこに係るものを除く。」という形で、著しく測定が困難なものは書かなくていいですよというのが現状のルールなんです。

 しかし、通常考えたら、葉巻とか、もしくはパイプ、シャーロック・ホームズのパイプなんかもそうなんですけれども、あれは自分で詰めるので、どれぐらいの量がそこにあるか測定しづらいというのは非常にわかりやすいので、それに対して書けというのはやらないという現状の整理はわかりやすいんですけれども、今の電子たばこを見たら、プルームも一回当たりのたばこ葉のカートリッジはもう定量で入っていますし、同時に、アイコスの方も紙巻きされたところに入っているのは定量ですから、明らかにニコチンやタール量というのは書けるというふうに思うんですが、どうしてこれはないのかどうか、財務省、お答えいただけますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員おっしゃいましたとおり、国内で販売される製造たばこにつきましては、たばこ事業法に基づきまして、ニコチン、タールの表示義務が課せられております。今施行規則を言っていただきましたので、そこは省かせていただきますが、この表示義務の除外につきましては、品質のばらつきが大きい場合、あるいはその標準的な測定方法が確立していない場合などを想定してございます。

 それで、今、紙巻きたばこについては大臣告示がありますとおっしゃいましたが、紙巻きたばこにつきましては、国際標準化機構、いわゆるISOでございますが、ISOにおいて標準的な測定方法が定められておりまして、実は我が国はそれを事実上そのまま採用して測定してございます。それは国際的に流通するということもございましょう。

 しかしながら、この加熱式たばこ、まだ新しい製品でもございまして、いまだその標準的な測定方法が確立していないということでございますので、現在、表示義務から除外をされているということでございます。

丸山委員 事前のレクチャーでお話を聞いた形では、パイプたばこの一種に一応分類しているというふうに聞いたんですけれども、それは正しいんでしょうか。

佐川政府参考人 お答えします。

 加熱式たばこにつきましては、製品特性として中に詰めて吸うということで、現在、パイプたばこというふうに分類してございます。

丸山委員 非常に明確な御答弁でございまして、やはりこういう答えやすい質問を重ねていくことが整理につながるなと今思ったところでございます。やはり答えにくい質問をすると答えも返ってこないので、できれば建設的な議論を進めていきたいというふうに考えております。

 話が横に飛びましたが、何がパイプに当たってという意味で、今の御説明だと、要は加熱する方がパイプの吸い口の方になって、差し込む方がパイプで言う葉っぱになるからパイプの認識で、そしてそれは技術的に測定方法がまだ確立されていなくて、ISOの基準があるんですけれども、確立されていないがゆえに、それによってタールやニコチン量を書けないというのが現状の財務省の認識だというふうに今お聞きしました。

 一方で、このタールやニコチン量を書いている趣旨というのは、財務省ももちろん重要だと考えていらっしゃると思います。それは、一つはたばこ事業法上の問題もあるし、何より、やはりあれを見て、健康上の懸念だとか、どういったものを自分が吸うのかという嗜好の選択の一つの大事な観点になっているというふうに思うんですけれども、一方でこの電子たばこ、現実にこの技術がまだ定まっていないがゆえに、残念ながら書かれていないわけですね。でも、今すごく爆発的に急激に普及していて、その急激に爆発的に普及しているものが、一番、多分、今後主流になっていくという論説も多数あります。そうした中で、これに対してタールとかミリ数が表示されていないというのは多分に問題が生じてくるんじゃないかなというふうに思うんです。

 早急に技術方法を確定させていくというのは非常に大事な観点だと思うんですけれども、その技術の確定とか、もしくは省令の改正も必要なのかもしれません。その辺の、表示させていくということに対してどのようにお考えなのか、今後しっかりやっていただきたいんですけれども、どうでしょうか。

佐川政府参考人 表示義務の趣旨については、委員おっしゃるとおりでございます。

 今申しましたように、測定方法が確立されておらずということでございますが、今後、加熱式たばこに関する測定方法につきましては、国際的な動向もございますので、あるいはその流通の状況等もございますので、そうしたものを踏まえまして、測定可能となったような段階で表示義務を課すように検討してまいりたいというふうに思います。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。恐らく、思ったより速いスピードで普及ぐあいがさらに上がっていくんじゃないかなというふうに正直感じますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次に、もう一つ財務省に確認しておかなければならないのが、先ほど来、加熱式電子たばこ、つまりアイコスやプルームといったものについてお伺いをしてきましたが、次は、二つあるといった後者の、ニコチン溶液を利用した電子たばこについて伺っていきたいんですけれども、これも実は二種類あるんです。

 それは、たばこ葉由来のニコチンを使って、ニコチンをたばこ葉から精製して、それを液にして容器に入れるような、ニコチンの電子たばこ、そしてもう一つは、最近、ノンたばこニコチンという製品が、省略してNTNという名前の製品が出てきている。既に発売済みということなんですけれども、それは、たばこ葉由来ではない、化学合成でニコチンをつくってリキッドにしている。それを加熱するような機器に入れて吸うというのがあるんです。

 最初に、これはちょっとややこしいので現状を御説明すると、日本国内では、そもそもこれは製造販売の許可が今一切ゼロなので、ないんです。ないんですが、問題は、ニコチンが入っていない、例えばバニラのフレーバーとかコーヒーのフレーバーだとか、いろいろなものがあるんですけれども、そういったものを、わかりやすく言えばベイパーという製品が有名ですけれども、そういう機器に差し込んで疑似喫煙を楽しむみたいなものを日本でも合法的に買うことができるんです。

 でも一方で、ニコチン入りのものは、実は製造がされていないんですが、海外で製造されているものを個人輸入する分には、業でやると、これは薬事法違反になるということですけれども、個人輸入する分には、ある程度の量規制はあるんですけれども、基本的には禁止されていないんですね。

 つまり、ちょっとこの後につながっていくんですけれども、未成年ですら普通に、赤坂にも実はベイパーを売っている、機械を売っているので、そこで買うことができる。ただ、ニコチンのものは海外のを個人輸入すれば買える。それはお店で、私も行ってみて、調査で確認したんですけれども、ニコチン入りのは売っていないんですかと言ったら、それはもちろん違反なので売っていません、でも、何か個人輸入をされている方もいるようですよみたいな、ただ、それはもちろん店からは言えませんというのが、違法行為はしていないということなんですけれども、何かパチンコの三店方式を思わせるような、非常にううんというような状況かなというのは正直思いました。

 現に今、未成年でも、個人輸入して、ニコチンの液を、たばこ葉由来だろうが由来じゃなかろうが買ってきて、それにやれば、実はたばこと同じニコチン摂取ができるというのが今の法の状態なんです。これがまず前提としての、現状のお話を、ちょっと特殊なので先にお話しさせていただきました。

 そして、財務省にお聞きしたいのは、これがたばこ事業法における製造たばこに当たるのかどうかですね。もう一つ、たばこ事業法は、実は同三十八条で製造たばこ代用品というのを書いています。これは、製造たばこ以外のものであって、喫煙用に供されるものというふうな書き方をしているんです。製造たばこは、非常に明確に、葉たばこを原料に云々とか明確なきちんとした定義をしているんですけれども、一方で代用品はふわっとしているので、こちらに入れてしまえば規制もしやすいし、今後の普及ぐあいを考えたら、これもしっかりと法の適用と課税を考えていけるんだというふうに理解しているんですけれども、ちょっと財務省の見解は違うみたいで、そのあたり、財務省、伺えますでしょうか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、ニコチン溶液が含まれる液体を吸収する、いわゆる電子たばこでございますが、実は委員が御指摘のとおりでございまして、流通実態が事実上個人輸入だけということでございまして、その流通数量の総量につきましても、厚労省においても全体としては把握されていないというふうに承知しております。

 また、その使用実態についても私ども十分に把握していないということでございますので、こうした状況から、現時点におきましては、喫煙用等に供し得ると判断できるような段階でないというふうに我々は思っておりまして、現段階では、たばこ事業法の製造たばこあるいは製造たばこ代用品、いずれにも該当しないということとしてございます。

丸山委員 最近、把握していないという答弁をいただくのが多くて心苦しいんですけれども、この間も、パチンコの話を予算委員会でしたら、第三国を経由しているのを把握しているかとお聞きしたら、把握していないというお答えがあって、把握していないなら把握してほしいんですけれども、これは財務省、把握していくという考えもあるのかどうか、どうでしょうか。

佐川政府参考人 今後この製品の我が国における流通実態あるいは使用実態等が明らかになっていく段階で、これらを勘案しまして、たばこ事業法の製造たばこ、あるいは先ほどの代用品の該当性について、検討していきたいというふうに思います。

丸山委員 しっかり把握はいただきたいんですけれども。

 ちょっと整理したいんですけれども、一般的に言って、今申し上げたような、液体を詰める、ニコチンの溶液を詰めるたばこというのは製造たばこにも製造たばこ代用品にも当たらない、一般的に言って当たらないという認識でいらっしゃるということでいいんですよね。確認したいんですけれども。

佐川政府参考人 いわゆる電子たばこは、両方に該当しないということでございます。

丸山委員 今、具体的な製品が出てきているんです。今お話をしたようなハイリック製品のNTN、ノンたばこニコチンというリキッドが、具体的なものがあるんですけれども、一般的ではなくてこの具体的なものも、例えば、輸入品なので輸入してくるわけですよ。輸入してくると、関税の現場で、税関で、これが税がかかるのかどうかという話になるというふうに思うんです。

 事前に関税の担当局にも聞いたら、実は、今のカートリッジのタイプについては三・四%の関税が一律にかかるという話なんですけれども、一方で、たばこ税はかからないんだということをおっしゃっていました。

 ただ、一方で、ちょっと答えを先に言っちゃうと、たばこの関税というのはすごく分けていらっしゃって、紙巻きたばことさっき言ったパイプの税率が実は違うんです。

 紙巻きの方は、今、暫定税率でゼロに、ほぼないんですけれども、一方でパイプの方は二〇%台から三〇%台の税金をかけているんですけれども、今の財務省の理財局の見解では、これはパイプの一種なんです。たばこ事業法のカテゴライズはパイプの一種なんですけれども、一方で、関税上のデマケーションは、実はパイプの一種ではなくて、その他の、別のカテゴリーで三・四%の税がかかっているんですよ。

 非常にこれは財務省の方も、これは私は不作為だとは言いません。というのは、新しくできたものなので、ないのはしようがないんですけれども、しかし、そろそろ整理を始めないと、恐らく現場でもどうなっているんだみたいな混乱も起きるし、なおかつ、今、厚労省の受動喫煙防止の話も出てきている中で、しっかりこの点はやっていただかなきゃいけないなというふうに思いますので、検討いただけるという話もありましたから重ねては聞きませんけれども、よろしくお願いをしたいというふうに思います。

 そして、厚労省はこれをどう考えているのかというのを伺いたいんですけれども、これは、ニコチンを含有するものであれば、コーヒーのフレーバーとかバニラとかはもちろんかからないんですけれども、ニコチンを含有すれば、いわゆる薬機法、昔の薬事法ですね、医薬品医療機器等法で規制されていて、さっき申し上げたように、国内では生産をされていないわけですよ。

 でも、個人輸入はあるんじゃないかというのが現状だと思うんですけれども、この現状認識を財務省はしていないという話を、しっかりしてほしいということで、検討するというお話をされましたが、厚労省は現状を認識されているのかどうか、そして、輸入によってどれぐらいの量が入ってきているのか把握しているのかどうか、お伺いできますでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘の個人輸入での状況でございますが、輸入される方御自身が個人的に使用されるために輸入する電子たばこにつきましては、一カ月分を超える数量の場合におきましては、医師の処方箋または指示書というのを示していただいて、厚生労働省の確認を受けるように求めております。

 また、医師の方が、ニコチン依存症の患者さんに禁煙をさせる補助ということなど疾病の治療に使用する目的で輸入される場合におきましては、数量にかかわらず厚生労働省の確認を求めているところでございます。

 このような確認の記録がございまして、厚生労働省として把握をしているニコチンを含有する電子たばこ、これが平成二十七年度に輸入をされた件数でございますが、個人が二件、それから医師が一件、合計三件ということで把握をしてございます。

丸山委員 これは、業としてやるものというカテゴリーでいいのか、今個人というお話があったんですけれども、個人の業ではない使用もそれに入っているということでいいですか。

森政府参考人 はい。これは業としてということではなく、個人がお使いになる、あるいは患者さんにその都度お使いになるということに関しての輸入の確認をしているという、その件数でございます。

丸山委員 つまり、インターネット上に、今この書いてあるNTNみたいなものを、ノンたばこニコチンなどを輸入したら、そこの数字に出るはずなんですけれども、今は出ていないと。

 というのは、NTNが発売されたのが年末でございまして、恐らく来年以降の数字にこれが反映されていくのかなと、今率直に数字を聞いてお伺いしたので、まずこれはしっかり把握いただくというのが非常に大事で、その輸入した人が、私はここがもう一つの肝だと思っているんですけれども、未成年かどうかというのは、非常に私は大事だというふうに厚労省の観点でも思うんです。

 大人の人が個人の輸入の範囲で自分の健康に対するリスクをとりながら吸うという分には、今の法律上問題ないと思いますし、それはそういうことだと思うんです。

 一方で、実際の紙巻きたばこ等は未成年は禁止されているのに、こうした形で、今容易に未成年でもスマホ、パソコンを使ってインターネットを使える時代。そして、荷物だって、買ったものがなかなか親の目が届きにくい状況も、非常に社会状況として生まれていますので、そうした流れの中で、未成年がこれを使って吸引しているような事例が生じるというのは非常に抜け穴として問題だというふうに考えているんです。

 そういった意味で、私は未成年者の喫煙禁止法、これを改めて調べてみたんですけれども、実は最初にできたのは帝国議会なんですね。明治三十二年に出てきた法律で、それが最初の幼者喫煙禁止法案という、幼い人が喫煙するのを禁止するという法案を議員立法で出しておりまして、そこからの流れで今の未成年者喫煙禁止法があるんですけれども、そのときの法目的がすごく興味深くて、なぜこの法案を出したのかという答弁が、幼年の子供が喫しますれば、日本帝国人民の元気を消滅するに至るとか、読んでいくと、中国やインドにおけるアヘンの普及に対する懸念とか、非常にアヘン戦争の時代を感じるようなものなんですね。また、国力増強上の問題とか、非常に帝国議会らしい、こういう提案理由が並んでいるんですけれども、そういったものをそのまま引き継いでいるわけではもちろんなくて、今の趣旨を進化させた上で今の未成年者喫煙禁止法につながっているということですね。

 そういった意味で、さらに調べると、一応、厚労省の見解では、なぜこの未成年者喫煙禁止法があるのかというと、少年の健全育成を図り、その福祉を守ることを目的とするものというふうに答えられておりました。

 そう考えると、この未成年者喫煙禁止法の趣旨にのっとれば、このニコチンを有しない電子たばこのカートリッジとその吸う装置は、容易に日本でも、さっき言ったような繁華街で買える状況で、一方で、このカートリッジが輸入できるような状況というのは、未成年者喫煙禁止法の趣旨から考えても問題だというふうに考えるところなんですけれども、この未成年者喫煙禁止法のたばこの定義が非常に曖昧なんです、これもまた。

 なので、では、これが入るのかどうかというと、非常にややこしい。入るのかどうかと聞くと、また非常にややこしいんですけれども、厚労省は、これは言ったら怒られるかもしれませんけれども、定義を逃げていまして、何かというと、今申し上げた財務省のたばこ事業法の定義を適用しているわけです。

 つまり、私が今申し上げたのは、ちょっとややこしく言ってしまいましたけれども、ニコチンを含有する、輸入できるこのカートリッジは、財務省の見解では製造たばこにもたばこ代用品にも当たらないので、つまり未成年者喫煙禁止法でも、これはたばこに当たらないから、禁止されていないんですよ。

 だから、個人輸入したニコチンだろうが、これを未成年者が路上で吸っているというときに、では補導できるんですかといったら、指導はできるけれども、いや、これは別に法律で禁止されていませんよと言われたときには、もうそれ以上何も言えないというような、非常にちょっとずれている問題が生じかねないような、ねじれの状態が起きているのが実はこの電子たばこの問題なんです。

 その辺について、見解、どのように考えているのか、警察に来てもらっていますから、その辺をお伺いしたいのと、これは法改正が要ると思うんですけれども、実は役所もつらくて、これ自体が議員立法の趣旨だということと、かなり前にある、しかも条文が数条しかないんですよ。すごくいじりにくい条文だというふうには理解しているんですが、しかし、明治以降、もうすごく時間がたっていて、今の技術力に合わせた電子たばこというのが新しく出てきている中で、この問題、未成年者喫煙禁止法をこのまま置いておくと非常に問題が生じるんじゃないかというふうに強く思うんですけれども、警察、どう考えていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のございましたように、未成年者喫煙禁止法のたばことは、たばこ事業法第二条三号に規定する製造たばこと同義でございます。「葉たばこを原料の全部又は一部とし、喫煙用、かみ用又はかぎ用に供し得る状態に製造されたものをいう。」と解しておるところでございます。

 したがいまして、いわゆる電子たばこ等がたばこ事業法に規定する製造たばこに該当する場合には未成年者喫煙禁止法の禁止対象となりますが、該当しない場合には対象とならないという状況でございます。

 御質問の、未成年者喫煙禁止法の禁止対象とならない、いわゆる電子たばこにつきまして未成年者が喫煙することの規制につきましては、関係省庁とも連携して、その実態や未成年者の健康に与える影響の有無等を踏まえつつ、その必要性等について検討していくべきものと考えております。

 なお、未成年者喫煙禁止法におけるたばこに該当しない、いわゆる電子たばこ等でございましても、医薬品医療機器法による規制対象となり得るものと考えるところでございまして、未成年者の健全育成を図る観点から好ましくないという場合には、指導等の必要な措置をとっているところでございます。

丸山委員 今できる範囲でやってくださっているのは非常にわかります。

 ただ、今申し上げたように、個人輸入は薬機法上かからなくて、非常に誰でも手に入る、未成年者もオーケーな状況で、それに対して、言うことはできるけれども、強くそれが法令違反だとも言えないし、違法ではないと言われてしまったらそこでストップだと。

 そして、今いみじくもお話しされたように、さらには、財務省の中の縦割り、関税とたばこの理財の縦割りだけじゃなくて、警察と厚労の、それぞれの定義の押しつけ合いとまでは言いませんけれども、今の警察の答弁だったら、財務省がたばこの定義をしてくれたらそこに入るので、未成年者の喫煙禁止法できちんとこれはカットできますよという答弁でもあるというふうに思うんですけれども、そういった縦割りも非常に出てきやすい、この新しい電子たばこという分野かなというふうに強く思うんですが、この定義の変更みたいなことに対して、少し戻りますけれども、これは検討していただくということはないんですか。

 財務省の方がこれはたばこの代用品に入れてしまえば、逆にこの問題も一発でクリアするんですけれども、そうした新しく出てきたこの電子たばこのあり方、どういう定義をするかというのをもう一度政府全体、特に財務省が私は音頭をとるべきだというふうに思っているんですけれども、その辺の改正についてどう思われますか。

佐川政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申しましたとおり、まだまだちょっと、その使用実態、流通実態が明らかでございませんので、それを見定めて、先生がおっしゃったように、各省と連携をとりながら検討してまいりたいと思います。

丸山委員 よろしくお願いします。

 麻生大臣も意外においしかったという電子たばこですから、しっかりこれは把握していく、そして、必要な規制をきっちりかけていって、楽しんでもらう分には楽しんでもらうというのが、非常にこの国の未来にとって大事なことだと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 最後の時間、少したばこから離れるんですが、未成年者の購入とかいう点でもう一つ気になる点があったので、きょうは総務省さんに来ていただいて、お伺いしたいというふうに思います。

 やんちゃといえば、たばこを未成年が吸ってどういうことやというのはよくありますけれども、もう一つは、さっき話がありましたけれども、パチンコとか競馬とか、あとは競艇もそうですし、そういったギャンブル関係というのはよく不良の代名詞のような話ですけれども、一方で、これはきちんと未成年者が買えないように規制をしているんです。競馬も、競馬法もそうですし、モーターボートもそうですし、パチンコなんかも一応十八歳未満は入れないと風営法でなっていますね。そういった意味で法規制をしているんですが、一つだけ法規制がないものがあるんです。それは何かというと、宝くじなんです。びっくらぽんですよ。

 何でこれは宝くじはないんだというふうに聞いていきたいんですけれども、宝くじの法律は当せん金付証票法ですね、による宝くじは、どうして未成年者の購入を禁止していないんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

池田政府参考人 お答えいたします。

 宝くじは、法律上、くじ引きにより当せん金品を支払う証票と定義されておりまして、完全に偶然性に基づき当せんが決定されるものであることから、未成年者の購入について、法律上は年齢制限が設けられていないものでございます。

 ただし、発売団体であります都道府県及び指定都市並びに宝くじの発売等の委託を受けた金融機関におきましては、未成年者への販売の自粛を行っているところでございます。

丸山委員 聞いていただいた皆さん、一律首をかしげると思いますけれども、完全に偶然性であるから宝くじは未成年は買えるという見解なんですけれども、もうちょっと逆に解説をつけ加えると、競馬とかは選べるじゃないですか、どの馬が勝つか選べるけれども、宝くじは選べないから未成年者でも買えるんだ、偶然性だからということなんですけれども、逆に言えば、最近、BIGというのがありまして、試合の予想が自動的に出るようなものがあるわけですよ。これは、実はtoto法で未成年者の禁止をしているんです、完全偶然性なのに。では、なぜ宝くじだけ未成年者が買えるんだというのがまずおかしいというのが一つ。

 もう一つ、今お話があったように、ただ、現場では未成年者が買えないようにしているんですよ。実は、都道府県が委託したみずほ銀行の宝くじ部ですけれども、それが、現場の販売店において、明らかに未成年者だという場合には一応宝くじは売れませんと自粛をしているんですけれども、でも、これは結局、さっきの未成年者喫煙禁止法と一緒で、いやいや、法律で禁止されていませんよ、何で売ってくれないんですかと言われたときに、答えに窮するわけですよ。では、逆に返せば、何で法律で認められているものを売ってくれないんだ、おかしいじゃないかと未成年者に言われかねない事例だと思うんです。

 ちょっと意地悪な質問かもしれませんが、このみずほ銀行宝くじ部のやり方というのは、法の趣旨を逸脱しているのではないですか。ほかの法律では、明確に、未成年者は買ってはならない、売ってはならないと書いてあるわけですよ。しかし、これだけ書いていないということは、法の目的、趣旨に照らせば、未成年者も買っていいと言っているんですよ。そういうことですよね、法のたてつけの並びを考えたら。

 しかし、現場では売っていないということは、法の趣旨に逸脱する行為じゃないか。そして、未成年者の購入はそもそも禁止されていないということでいいんですよね。逆説的に聞いていますけれども、総務省、どうですか。

池田政府参考人 宝くじの未成年者の購入につきましては、法律上は年齢制限が設けられていないところでございますが、先ほど申しましたように、発売団体並びに受託金融機関では、未成年者に販売することを自粛しているところでございます。

 この自粛でございますけれども、これは、未成年者が親の了解を得ずに多額の宝くじを購入すること等によるトラブルの発生を未然に防止するという観点から行っているものというふうに承知しておりまして、総務省といたしましても、こうした対応というものは基本的に適切だというふうに考えております。

丸山委員 もう一回伺いますけれども、未成年者の購入は禁止されていないということでいいんですよね。そして、その未成年者を現場で規制している理由について、多額な量を買うからというふうに言いましたが、もう一回ちょっと。禁止されているのかどうか、まず明確に。そして、今、禁止されていないというふうに私は理解しているんですけれども、なぜか現場では勝手にとめているんですけれども、この理由についてもう一回聞けますか。

池田政府参考人 未成年者による宝くじの購入については、法律上は年齢制限というものは設けられていないところでございます。

 そして、現場で自粛が行われているということでございますけれども、それは、今申し上げましたのは、親の了解を得ずに多額の宝くじを購入すること等によるトラブル、そのお金をどこから得ているのか、あるいは宝くじのために使っていいものかといったようなことですとか、仮に高額の当せん金を得た場合には適切な判断ができるのかといった懸念があるものと承知しております。

 こうしたことにつきましては、発売団体であります都道府県及び指定都市、そして受託金融機関におきまして、当せん金付証票法に基づいて事務を執行しているわけですけれども、適切に事務を執行するためにさまざまな事情を考慮して自主的に判断しているものというふうに理解をしております。

丸山委員 問題だということは、今の話だと、総務省も認識されているということでいいですね。未成年者が買うことは問題だから、では、現場でやっていることはそれは是なんですね。それでよろしいんですか。

 では、未成年が買うことが、今お話ししたように、多額の当せん金を得たときの使用の問題だとか幾つか挙げられていましたけれども、それによって未成年によくない影響があるから現場では売らないという判断をしていることは是、正しい、けれども、法律では違反していないんだったら、普通の考えだと、法律を変えましょうよというのが普通の話だと思うんです。どう考えても、宝くじだけ未成年者が買える状況を放置しているということ自体が不健全で、逆に、今総務省も未成年が買うことは問題だという認識は持っていらっしゃるということなんですから、これは変えたらいいと思うんですけれども、どうしてこれは変えないんでしょうか。

 現場の話を聞いていますと、要はたばこと一緒で、親に頼まれて買いに来たとか、あと、未成年かどうかの判断が非常に微妙な場合とか、本当に曖昧な状況が続いているという現場の話を数多く聞きました。

 たばこなんかは、最近はタスポみたいな形とか、コンビニでも二十歳以上かというのをしっかりと確認していると思うんですけれども、宝くじもそもそもきちんと禁止をして、今みたいな現場の判断に任せて、いやいや、法律では認めていますよという答弁なのに、しかし現場ではそういうのは売らないようにしているので勘弁してくださいなんて曖昧なことをするんじゃなくて、きちんとこれは、おかしい、売れないんだ、売ると問題があるんだと総務省も言っているんですから、法律を改正して未成年者については禁止すべきじゃないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

冨樫大臣政務官 先ほど審議官が答弁したとおり、宝くじは、法律上、くじ引きにより当せん金品を支払う証票と定義され、完全に偶然性に基づき当せんが決定される性格であることから、未成年者の購入について法律上の規制までは行っていないが、発売団体及び受託金融機関では、未成年者への販売の自粛を行っているところであります。

 ですから、このような宝くじの性格及び現に未成年者への販売の自粛が行われている実情を踏まえると、未成年者に対して宝くじの購入を改めて法律で規制する必要まではないものと考えております。

 以上でございます。

丸山委員 冨樫先生、先ほどは廊下でありがとうございました、お声がけいただきまして。

 今読んでいただいて、ここからが私は本番だというふうに思っていますので。

 冨樫政務官、お聞きになって、矛盾しているなというふうにはお感じになりませんか。いや、変えてしまえばいいと思うんですけれども、確かに、私も役所にいましたので、法律を変えるのはすごく面倒くさいと言ったら怒られますけれども、条文の策定から、法制局の審査から、与党審査から、国会でこういうふうにまた、私みたいにうるさい議員がぎゃあぎゃあ言ったり、非常に大変なのはわかるんですが、しかしどう見ても、論理的に、並びから見て、この宝くじだけ浮いているんですよ。

 現場だけ、現場でやっているといっても、では、現場で、私みたいな小理屈こねるような未成年が来て、いや、未成年には売ったらだめだと書いてないとかと言われたときに、やはり対応できるようにしておかないと、これはやはり大人の責任だというふうに私は思うんです。

 重ねて、お読みにならないと思いますけれども、政治家として、冨樫政務官、どういうふうにお感じになったかで構いません、今の議論を聞いてどういうふうにお感じになったのか、その辺をお伺いできますでしょうか。

冨樫大臣政務官 繰り返しになりますけれども、性格と実情を踏まえると、やはり法律で規制する必要まではないということで、御理解をお願いしたいと思います。

丸山委員 政務官を何かここで追い詰めるということは考えていませんが、私のこの趣旨は、おかしいなというのを皆さんにまずは共有していただくことから始まるなというふうに思いましたので、大いにあの議論のときは意味があったかなというふうに感じました。

 麻生大臣、済みません、時間がなくてこの残りの部分を聞けなかったので、残りの部分は、次の委員会、またあした六十分お時間をいただいていますので、やらせていただきたいと思いますが、きょうのたばこの話、電子たばこを聞かれてどのようにお感じになったか、最後、お話を聞いて終わりたいというふうに思います。

麻生国務大臣 私どもが当選したとき、成人男子の七八%がたばこを吸い、三千億本だったんだと思うんですけれども、その後、税収として、今、地方税で一兆七百億ぐらいだったかな、国税を足して二兆一千何百億になっていると思うんですが、これだけ減っても余り税収は減らないんだよね。がんは間違いなく三倍ふえましたからね、肺がんは。たばこってそんな関係あるのといって、証明できる人というのを、俺はぜひ聞いてみたいと思って、いろいろな人に聞くんです。

 日本人なんか、全然こういうのは、みんな誰かが言った論文を読んでいるに違いないと思って、これをやっているアメリカのメイヨーとかああいったところが絶対正しいと思って聞いたんですが、おもしろいことを教えてもらったんです。

 アルツハイマー、九五%が非喫煙者という数字で、女房に、俺がアルツハイマーになってほしいか、肺がんがいいか選べというのが今アメリカで最もはやるジョークなんですって。すごい話を聞いたなと思って、本当だろうな、おまえといって聞いたら、ミスター麻生、間違いないと言うから、その話を聞いて大分使いましたけれども。

 いずれにしても、電子たばこというものは新しい分野なんですよね。私は、まだたばこと決められていないというんだったら、ここで吸わせてくれますか、国会でという話を議員案として提案されてみたらどうかね、そうすると、いらいらが随分おさまって、激論もちっとは減るんじゃないかなと、それぐらい、ちょっと一瞬思いながら今話を聞いていたんですけれども。

 いずれにしても、こういった新しいものに対して、どう対応するかというのを潰しちゃうんじゃなくて、間違いなくふえていきますよ、これは間違いなく。それはいろいろなところで顕著ですから、いろいろな人、吸っている人は随分ふえてきていますから、何となくパイポとは違って、全然違った意味で、ストレスがおさまっているというのは間違いなく効果があることは確かだと思いますので、ちょっとこれは、ただただ潰しちゃうとか何とかじゃなくて、ちょっと建設的に検討する必要があるんじゃないかなと思って聞いていました。

丸山委員 時間が来ましたので終わります。

 大変すばらしい麻生節、ありがとうございました。

御法川委員長 次回は、明二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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