衆議院

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第3号 平成31年2月26日(火曜日)

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平成三十一年二月二十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂井  学君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 武部  新君 理事 寺田  稔君

   理事 藤丸  敏君 理事 川内 博史君

   理事 緑川 貴士君 理事 竹内  譲君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      池田 佳隆君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    神田 憲次君

      熊田 裕通君    小泉 龍司君

      國場幸之助君    斎藤 洋明君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      土井  亨君    中曽根康隆君

      中山 展宏君    野中  厚君

      福山  守君    細田 健一君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      三ッ矢憲生君    宮澤 博行君

      宗清 皇一君    八木 哲也君

      山田 美樹君    義家 弘介君

      今井 雅人君    末松 義規君

      高木錬太郎君    青山 大人君

      古本伸一郎君    前原 誠司君

      伊佐 進一君    宮本  徹君

      丸山 穂高君    野田 佳彦君

      青山 雅幸君    佐藤 公治君

      鷲尾英一郎君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   総務副大臣        鈴木 淳司君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   文部科学副大臣      浮島 智子君

   厚生労働副大臣      大口 善徳君

   経済産業副大臣      磯崎 仁彦君

   財務大臣政務官      伊佐 進一君

   経済産業大臣政務官    石川 昭政君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 井上 裕之君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        川又 竹男君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   東出 浩一君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局総括審議官)          中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 横山  均君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           大泉 淳一君

   政府参考人

   (総務省統計局統計調査部長)           佐伯 修司君

   政府参考人

   (財務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   神田 眞人君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   宇波 弘貴君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    星野 次彦君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    可部 哲生君

   政府参考人

   (国税庁次長)      並木  稔君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     内藤 敏也君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         土生 栄二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策立案総括審議官)     土田 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           藤原 朋子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           上田 洋二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           成田 達治君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林  靖君

   政府参考人

   (国土交通省航空局次長) 岩崎 俊一君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    雨宮 正佳君

   参考人

   (日本銀行調査統計局長) 関根 敏隆君

   参考人

   (日本銀行システム情報局長)           水野 正幸君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     福山  守君

  石崎  徹君     八木 哲也君

  本田 太郎君     杉田 水脈君

  古本伸一郎君     青山 大人君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     本田 太郎君

  福山  守君     穴見 陽一君

  八木 哲也君     野中  厚君

  青山 大人君     古本伸一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  野中  厚君     宮澤 博行君

同日

 辞任         補欠選任

  宮澤 博行君     中曽根康隆君

同日

 辞任         補欠選任

  中曽根康隆君     熊田 裕通君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     池田 佳隆君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     石崎  徹君

    ―――――――――――――

二月二十五日

 消費税増税の中止に関する請願(宮本徹君紹介)(第一四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇六号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇七号)

 同(本村伸子君紹介)(第一〇八号)

 消費税の増税反対に関する請願(宮本徹君紹介)(第一五号)

 消費税増税の中止、税の集め方の抜本的見直しに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第五一号)

 同(宮本徹君紹介)(第五二号)

 二〇一九年十月からの消費税一〇%中止に関する請願(柚木道義君紹介)(第九六号)

 同(武内則男君紹介)(第一三〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一四六号)

 消費税増税を中止して五%に戻し、生活費非課税・応能負担の税制を求めることに関する請願(矢上雅義君紹介)(第一四五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

坂井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、所得税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君、副総裁雨宮正佳君、調査統計局長関根敏隆君、システム情報局長水野正幸君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官井上裕之君、子ども・子育て本部審議官川又竹男君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長東出浩一君、金融庁総合政策局総括審議官中島淳一君、監督局長栗田照久君、消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、総務省大臣官房審議官横山均君、自治行政局選挙部長大泉淳一君、統計局統計調査部長佐伯修司君、財務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官刀禰俊哉君、主計局次長神田眞人君、主計局次長宇波弘貴君、主税局長星野次彦君、理財局長可部哲生君、国税庁次長並木稔君、文化庁審議官内藤敏也君、厚生労働省大臣官房総括審議官土生栄二君、大臣官房政策立案総括審議官土田浩史君、大臣官房審議官八神敦雄君、大臣官房審議官山田雅彦君、子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長藤原朋子君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、大臣官房審議官上田洋二君、大臣官房審議官成田達治君、大臣官房審議官島田勘資君、国土交通省大臣官房審議官小林靖君、航空局次長岩崎俊一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの今井雅人でございます。

 質問通告を二十五しておりますので、一つずつ簡潔にやらせていただきたいと思います。

 最初に、日銀総裁、きょうはどうもありがとうございます。先月の展望レポートで経済見通しと物価の見通しの修正をされていますが、特に二〇一八年度の成長率が、前回一・四%ということでしたけれども、今回〇・九ということで、かなり下方修正しておられますけれども、その影響というのは、中国の影響もあるんじゃないかなと思うんですね。中国の輸出自体もすごく落ちていますし、日本からの輸出も落ち込んでいますし、企業業績も、日本の中国関連と言われているところの売上げも、第四・四半期ですか、非常に落ちていましたので、私もちょっと今心配しているんですけれども、中国経済について今どういうふうにお感じになっていらっしゃるでしょうか。

黒田参考人 御指摘のとおり、中国経済は昨年の後半以来かなり減速いたしております。この原因といたしましては、一つにはいわゆるデレバレッジングというものが中国の企業に対してかなりの影響を与えたということと、いわゆる米中貿易摩擦ということがやはり中国の企業にも影響を与えているのではないかということであります。

 ただ、恐らくことしの前半はそういうことでやや低迷した状態が続くかもしれませんが、中国当局は既に財政政策あるいは金融政策において拡大策、刺激策をとっておりますので、後半にはそれも持ち直していって、政府当局が示しております六%、六・二とか六・三とか、そういった成長率になるのではないかと、これはIMF、OECDを含めた国際機関の見通しであります。

今井委員 私も実は定期的に中国に行って様子をチェックしてきていますけれども、明らかにちょっと変調しておりまして、詳しくはいろいろとお話しする時間はないんですが。

 確かに、財政政策を今これから打つんですけれども、結局、二〇〇九年に六十兆円ぐらいの大型な経済対策を打ちましたけれども、特にあれは公共事業が、建設がメーンであったと思いますが、そのツケが今回っているという部分もありますので、中国は本当にちょっと心配、よく見ておかなきゃいけないなというふうに今思っております。

 その上で、物価の見通しなんですけれども、特に二〇一九年度の物価見通しが、これは従来一・四だったのが〇・九と大幅に下方修正になっているはずなんですけれども。ことしの十月に消費税の引上げが予定されています。朝日新聞のインタビューを見させていただきましたけれども、消費税の引上げの影響は、いろいろな対策でそれほど影響はないというふうにおっしゃっておられますけれども、ただ、やはり景気は気ですので、どうしても消費税が二桁というふうになると消費マインドに非常に大きな影響を及ぼすんじゃないかということを私は今心配しているんですけれども、そのあたりについての御見解をお伺いしたいと思います。それと、物価に対する影響も含めてです。

黒田参考人 本年十月の消費税率引上げのときの家計へのネットの負担額というもの自体は、飲食料品などへの軽減税率の適用、さらには教育無償化政策等があわせて実施されることもありまして、二〇一四年の前回の引上げ時に比べて小幅なものにとどまるというふうに見られております。このほか、政府は消費税率引上げ前後の需要変動を平準化するための措置も導入しておりまして、これも消費税率引上げの経済への影響を軽減するというふうに見ております。

 ただ、御指摘のとおり、消費税率引上げの影響はその時々の消費者マインドあるいは雇用・所得環境などによって変化し得るものでありますので、日本銀行としても、その動向を注視していく必要があるというふうに考えております。

 なお、こうした景気の動きを通じた影響とは別に、消費税率引上げが直接消費者物価に与える影響を機械的に計算いたしますと、二〇一九年度と二〇二〇年度の物価押し上げ効果はそれぞれプラス〇・五%ポイントとなります。もっとも、あわせて実施されます教育無償化政策は物価の押し下げ要因として作用するため、この二つの制度変更を一つの政策対応として捉えますと、物価への影響は比較的軽微にとどまるというふうに予想しております。

今井委員 ありがとうございました。

 言うまでもなく、消費税の引上げの分のCPIの上昇分は目標の二%に入っていないということでありますので、二〇一九年度が〇・九、二〇二〇年度が一・四ということで、なかなか二%に達しないという状況の中で、消費税の引上げ、しかも、対策も九カ月で終わってしまうものがたくさんありますから、その後の物価への影響というのを私はとても心配していますので、またこの点についてもいろいろと議論させていただきたいと思います。

 総裁、これから御予定があるということですので、これで結構です。ありがとうございました。

坂井委員長 黒田総裁はどうぞ御退席ください。

今井委員 続きまして、資料をちょっとお持ちしておりますけれども、内閣府さん、きょうはいらっしゃっていただいておりますか。今ちょうど中国の話をさせていただきましたが、成長率をこれからどう考えるかということを少し議論させていただきたいと思うんですけれども。

 きょう資料としてお渡ししている「機関別、実質・名目GDP予測」というのを、これは私のところで取りまとめをさせていただきました。名目の方が余り数字がなかったので、ちょっと実質の方で比べていただけるといいと思うんですが、上の二つは内閣府さんが政府経済見通しとして発表しておられる数字で、二〇一八年が〇・九、二〇一九年が一・三、二〇二〇年が一・六ということになっております。

 その下の、世界銀行、OECD、IMFがありますが、これは暦年ですので、一月―十二月ですから全く同じではありませんが、三カ月ずれていますけれども、比べていただきますと、やはり政府の見通しよりはかなり下回っているというのがわかると思います。

 そのほか、民間のシンクタンク等の予測ですけれども、これもたくさんあったんですが、ちょっと重立ったところだけ持ってきましたけれども、押しなべて大体同じような数字です。みずほ総研と三菱総研の数字を持ってきていますが、大体似たような数字だと思います。二〇一八年が〇・五とか〇・六、それから二〇一九年が〇・六とか〇・七、二〇二〇年も〇・五、〇・五。

 このあたりの数字は、一応、政府の経済対策、二・三兆円の消費税の引上げ対策とか、こういうのも加味をされて計算されている数字のはずなんですね。ですから、ベースは、政府が予測しているものと材料は同じはずなんです。ところが、予測をすると、政府の予測だけが飛び抜けて高いという現状になっております。この乖離というのはどういうふうに考えたらよろしいんでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 民間機関の予測もさまざまでございますけれども、おっしゃるような数字、我々も承知をしております。全体として、政府経済見通しと比べまして、主に個人消費の伸びを比較的低く見込んでおられるのではないかと思っております。

 私どもといたしましては、本年十月の消費税率の引上げにつきまして、前回の経験を生かしまして、当初予算の臨時特別の措置、自動車、住宅に係る税制の措置など、経済の回復基調が持続するように、あらゆる施策を総動員することとしております。

 御指摘の民間の数字に関しまして、政府の数字を織り込んでいるのではないかという御指摘をいただきました。我々も承知をしております。

 民間の予測を取りまとめておりますESPフォーキャストというものがございまして、この調査を最近拝見をいたしております。そうしますと、おっしゃるように、教育無償化それから政府の臨時特別の措置等々、いろいろ織り込んでおられるようですけれども、現状、細かいことを申し上げて恐縮ですけれども、このESPフォーキャストを見ておりますと、例えば、幼児教育無償化を織り込んだフォーキャスターの方、回答三十六名中、現状で織り込んでいる方が十七名、あるいは、臨時特別の措置の中で、これもいろいろな措置がございますけれども、例えばプレミアム商品券とかキャッシュレスポイント還元等々、織り込んでいると答えている方が二十名、織り込んでいないと答えておられる方が十四名ございまして、細かいことを申し上げて恐縮でございますけれども、こういった点も引き続き、よく我々もしっかり数字を見ながら、精査をしながら、よく考えていきたいと思います。

 いずれにしましても、こうした政府の消費税の政策効果も相まって、雇用・所得環境の改善が続いて、内需を中心とした堅調な景気回復を我々としては見込んでおります。ただ、先行きのリスクも、御指摘の中国の話等々ございますので、そうしたものにもしっかり目配りをしながら、しっかり対処をしてまいりたいと考えております。

今井委員 今、中国の話が出ましたので、ちょっと確認したいんですが。

 政府の経済見通しは、発表したのは一月ですけれども、恐らく、どこかの時点で切らなきゃいけないんですが、十二月の初旬あたりのところに出ている数字を見て、それをベースに予測を始めているということじゃないかと思うんですけれども、そうなると、大体、統計によっても違いますけれども、一カ月ないし二カ月ぐらいのタイムラグがありますから、出てきている数字は、昨年の秋、九月とか十月とか、そのあたりのところの数字が主にベースになって政府の経済見通しが行われているんじゃないかなと思うんですけれども、統計によって、四半期のものもありますし、いろいろあるので、一概には言えませんが、大体そのあたりのところというふうになるという理解でよろしいですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、年末の段階で織り込める一番新しいものをその段階で織り込んで計算をしておりますので、一番最近までの数字が入っていないのは事実でございますけれども、先ほどOECD、IMFの予測の数字をおっしゃっていただきましたけれども、世界経済に関しましては、こういったOECD、IMFが、中国等々のリスクも含めてつくっております世界経済の成長率の伸びですとか、そういったものを発表されておりまして、それを前提にしまして我々の見通しも立てております。

 ただ、まさに御指摘のとおり、こういった国際機関もさらなる中国等々のリスクもあるということを御指摘をされておられますし、我々としましても、先ほど申し上げましたとおり、この政府経済見通しの数字は可能な限りの数字を織り込んでいますけれども、さらなるリスクがあるということを認識して、対処をしていきたいというふうに考えております。

今井委員 今まさに御認識をいただいたので、もう少しお伺いしたいんですけれども、先ほど総裁と議論している中で、私もずっといろいろな数字をチェックしているんですけれども、やはり、昨年の十月以降、中国のいろいろな数字が非常に悪化してきている、中国関連の数字も非常に悪化してきている。

 国内の企業業績も、恐らく今年度は昨年度よりも下回ってしまうんじゃないかなという予想に今なってきていますけれども、その主たる原因はやはり年後半の中国経済の減速ということがいろいろなところで解説をされているわけでありますが、そのあたりを今どういうふうに考えておられて、そこが大変深刻であるということであれば、政府の経済見通しよりも更に下方に向かうリスクがかなり高いんじゃないかなというふうに思うんですけれども、この辺についてはいかがお考えですか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 中国経済に関しましては、先般、日本経済の十月から十二月のQEの速報を出させていただいております。これを見ましても、全体としては日本経済プラスになっておりますけれども、例えば情報関連財を中心とした中国向けの輸出等々が御指摘のとおり弱含みになっております。外需寄与度が三期連続のマイナスということになっておりまして、こういったことには本当に注意が必要だと思っております。

 そういう意味では、政府経済見通し、何度も申し上げておりますけれども、数字を出させていただいておりますけれども、下振れのリスクがあるということは我々も十分認識をしておりまして、よく注視をしてまいりたいと考えております。

今井委員 ありがとうございます。

 大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、政府の経済見通しというのは、やはり政策効果というのをどうしても楽観的に見がちだと私はちょっと思っているんですね、正直。自分たちが政策をやるんですから、当然効果があるだろうという期待感も込めて見通しをしている部分はあると思いますので、その部分もやはりちょっと上振れしている原因になっているんじゃないかなと思いますし、中国の話も、この予測をした後に特に落ち込みが激しくなっているということも今議論の中であったと思うんですけれども、消費税の引上げをするに当たっては、本当に経済が腰折れをしないようにしなきゃいけませんから、そう考えると、やはり経済の見方も、余り楽観的に考えないで、やや厳し目に見て判断をするということが必要だと思うんですね。

 そのあたりについての大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、今井先生御指摘のとおり、私らは民間で商売しているころ、政府見通しを丸々信用してなんていうのはとてもじゃないけれどもやっておられぬと、商売をしているときはそう思っていました。現実問題として、かなり低目に見積もらないと仕事なんかできない。どこの経営者でも同じようなものだと思いますよ。

 ただ、政府としては、これは当然のこととして、これだけ効果があると思ってやるわけですから、それは高目に出さなきゃ、これは逆におかしいので、それだけやってもこれだけかいということになりますので、それはなかなか難しいところであろうと思いますが。

 今言われました点で、二点。

 中国の話をされましたけれども、これは私らの正直な部分でいきますと、日中ハイレベル財務大臣対話というのを過去六年間申し込んできていましたけれども、全く音沙汰なしだったんですよ。それが、去年になって突如として、やおら向こうからやんやんやんやん言ってきたので、今度はこっちが、じゃ、そんなにうちは必要ありませんからと、今度はうちの方がこう。

 結果的に折り合ったのは去年の十月だったかな、何かやらせていただいたんですが、今までだったら出てくるはずがないような、よく出てくる名前の人が全員登場。ちょっと正直、へえと。会った場所も、へえというような場所でしたから、何となく、向こうの状態がぐあい悪くなってきているんだなと思いましたし、その後も、いろいろな方々のこっちに対しての御面会の申込みは、今までこっちが会いたいと言っても全くお断りをされていた方々が突如、去年からことしにかけていろいろお見えになりますから、今井先生の予想と同じように、かなりぐあいが悪い。

 先ほど井上審議官の話があっておりましたように、輸出額も、絶対量が少し、いろいろな形で中国向け輸出が変わってきているという話もありますので、私どもとしても、その点に関してはちょっと状況が違っておるんじゃないかなという感じが正直な実感です。ただ、あそこはよく数字がわかりませんから、私ども。そういった意味では、ちょっと出ている現象面だけでしかお答えができません。

 それから、今言われましたように、十月の消費税の引上げに向けて我々いろいろ対応させていただいておりますので、臨時の特別な措置とか、また住宅とか自動車に係りますいろいろな税制をやるとか、いろいろなもので、今回、腰折れだけは断固させられぬというところが一番の肝心なところでして、私どもとしては、こういったことが一番の問題点とも思っておりますので、順調な景気回復というものが腰折れしないような形でいかせないかぬというのでおりますので、これがメーンのシナリオということになりましょうけれども。

 そのほか、言われましたように、中国問題、米中の話、ブレグジットも含めましていろいろなものは考えておる、リスク要因としてしっかり目配りをしながら、景気の回復が持続するように、引き続きしっかり見守っていかないかぬところだと思っております。

今井委員 中国に対してそういう御認識を持っていただいているのは大変安心しました。

 私も中国の人といろいろパイプがありまして、いろいろお話ししているんですけれども、最近彼らがよく使うのは、新冷戦という言葉をよく使うんですね。冷戦、新しい冷戦、コールドウオーですね。そこまでの認識なのかと、ちょっとびっくりするときがあるんですけれども、要は米中の貿易摩擦の話を指して言っているんですが、そういう表現もしているということは、かなり深刻に考えています。

 ですから、今かなり、農業作物を入れるとかいろいろ多分提案をしているんだと思うんですね。きのうも大分進歩があったというふうに報道がありましたけれども、それは、基本的には足元の景気もかなり厳しいので、特にこの米中の貿易交渉がうまくいかないと本当に大打撃を受けるという認識を持っているということを非常に感じますので、ぜひその辺を注視していただきたいと思うのと、米中の交渉というのは、直接どれだけ影響があるかわかりませんが、日米の貿易交渉にもある程度影響を及ぼす可能性も、米中が日米にある程度影響を及ぼす可能性もありますので、政府としてもその辺をよくちょっと注視をしていただきたいというふうに思います。これは質問ではなくて、お願いだけです。

 その上で、二〇一六年の六月に消費税の引上げを延期したという判断をされたと思うんですけれども、そのときの経済情勢と現在の経済情勢が一体どうなのかという問題だと思うんです。

 当時を思い出しますと、前年の二〇一五年の秋口ぐらいから原油価格がすごく落ち出しまして、二〇一六年の二月ぐらいにはWTIで二十六ドル台までたしか下落しまして、商品価格も押しなべて下がったので、新興国が非常に景気が落ち込んだ。

 原油価格が落ちるということと実は中国経済が落ち込むというのは表裏一体でありまして、今、一番原油の需要の伸び率の大勢を占めているのは中国ですから、中国の経済が落ちると原油価格も下がるということなので、中国経済も危ないということで非常に懸念されたわけですけれども、実は、その年の五月ぐらいにはWTIも五十ドル台ぐらいに戻っていました。ですから、六月に判断したときは、四十七ドルから五十ドルぐらいだったと思います、記憶によると。現在、きのうのWTIは五十五ドルです。実は、水準としては余り変わっていません。

 当時は確かに中国に心配がありましたけれども、幸いなことに、アメリカの金利がまだ低かったんですね。二〇一五年の十二月から利上げが始まりましたけれども、利上げが始まってまだ数カ月でしたから、FFレートもまだ〇%台でした。

 ところが、現在は、レンジがありますけれども、二・二五から二・五ということで、先進国では一番高くなっているわけです。前回のFOMCでは利上げのペースを一回ちょっと見直そうという緊急の変更がなされましたけれども、金利がかなり高くなっているわけですね。

 金利が高くなると、これは釈迦に説法ですけれども、一番やはり割を食らうのは新興国で、新興国からの、特に債務が非常に多い純債務国で、外からの調達比率が非常に高いところが一番割を食うわけで、アルゼンチンもそうですし、トルコもそうですし、そういうところからお金が流出していくというような状況になって、去年なんかはやはりトルコ・リラもアルゼンチン・ペソも急落するというような動きになって、非常に今、脆弱な状態になっています。

 先ほども御指摘がありましたけれども、ブレグジットの問題がありますね。それから、米中の貿易交渉の問題もあります。中国は、恐らく二〇一六年より今の方が私は深刻だというふうに思っているんです。それはいろいろ主観の問題があると思いますが、私が見ている限り、今の方がかなり深刻だと思っています。

 あのときは、あのときの理屈は私はちょっとそれは強引だなと思って、へ理屈に近いなと思って聞いておりましたけれども、一応、いろいろな世界経済にリスクがあるということで、それに備えてフォワードルッキング的な対応をするんだという説明だったと思うんですけれども、それを言うのであれば、今の方が私は深刻であって、あのとき引き延ばしをしたのであれば、経済情勢ということであれば、今回はよりそういう判断をしなければいけない環境にあるのではないかと私は考えているんですけれども、大臣、このあたり、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 これは、二〇一六年のときの話をされておられましたけれども、おっしゃるように、アジアの新興国、特にやはり原油というか、原油に限りませんが、その他の資源も全部下がりましたので、オーストラリアとか資源輸出国、オーストラリアが新興国と言うかどうかは別にして、そういったところに総じて影響が出てというような事態があって、資源国の経済が急激に減速していったということ等々ありましたので、世界経済というのがさまざまなリスクに直面していたという先ほどの御指摘は全くそのとおりだと思っておりますが、内需が、したがって、こちらも下振れしかねないということを懸念をしたんですけれども。

 現在を見ますと、通商の話とか中国の話とか、御懸念のとおりなんですけれども、少なくとも、アメリカとの関係を見ましても、一応、アメリカとの関係で通商問題に関する話は今のところ、今のところというのは、ちょっとよくころころ変わる性格の大統領でおられますから、なかなか、また変わられるのかもしれませんけれども、一応成果が出たという形の話をきのう等々しておられますから、そういった意味では、そこそこのところで落ちつくという形になってくるんだと思っているんですけれども。

 また、EUの離脱の問題等々、これがハードルになるとかいろいろな話もありますけれども、確かにそういったリスクを留意しなきゃならぬのかなというお話ですけれども、少なくとも、今、世界経済というものを見た場合においては、アメリカの景気等々を見ましても、これはちょっと、土地が少々バブルっぽくなってきているかなと思わないでもないんですけれども、そういったものとして、全体としては緩やかな回復という基調にあろうと思います。

 日本経済も、基本的には、私どもとしては、今のところ内需を中心として緩やかな回復が続いているという状況に思っておりますので、二〇一六年と比べてどうかと言われれば、これはいろいろな資料の比較の仕方によって変わってくるとは思いますけれども、今のところ、二〇一六年に比べて今の方が特に悪いのではないかという意識を持っているわけではございません。

今井委員 そこは見解を私は異にします。今は本当にいろいろなところでほころびが出始めていると思うんです。

 アメリカの経済も、一見、確かに今は好調ですけれども、在庫の積み上がりが今始まっていますし、いろいろな懸念材料も出ています。日本も、特に不動産ですね、東京のマンションの成約率とかも下がってきておりますし、これまで土地が非常にしっかりしていましたけれども、今後、この市場も非常に不安定になってきていて、業界の方たちも、今、大変心配をしておられる方もたくさんおられます。

 ですから、いろいろな不確定要因も多いですし、二〇一六年と同じ環境に立つのであれば、あのときよりも今の方が厳しいですから、その理屈で言うのであれば、今回もやはり延ばさざるを得ないということなんじゃないかなというふうに私は思っておりますので、ここは意見を異にされると思いますが、その指摘だけさせていただいておきたいというふうに思います。

 それで、いろいろ聞きたいんですが、ちょっとこれをどうしても先にやらせていただきたいんです。

 昨日の予算委員会で明らかになりましたけれども、消費税の引上げに対して行われる商品券とそれからポイント還元、これに一体幾らお金がかかるかという問題で、総額、両方合わせて、予算額にすると四千五百二十一億円です。

 これに対して、プレミアム商品券は、きのうの答弁ですと、千七百二十三億円の予算に対して事務コストは四百九十八億円。それから、ポイント還元の方が、二千七百九十八億円に対して六百八十三億円の事務費。合わせて千百八十一億円、一千億円以上が事務費だという御答弁がありました。さらには、ポイント還元の方の端末を導入したりしなきゃいけませんから、この端末の導入費に三百二十五億円かかる、こういう御答弁でした。

 そうすると、事務コストと端末の導入費を合わせると、全部で千五百億円ぐらいあるんですよ。僕は壮大な無駄遣いだと思うんです。では、いわゆる還元をされる利用者の人たちにどれだけお金が落ちるかというと、全体の六六%です、わずか。

 こんな制度を本当にこれだけの事務費をかけてやっていいのかというふうに私はまず思うんですけれども、大臣、このあたりの見解はいかがですか。

麻生国務大臣 これは、きのうちょっと関連質問が出ていたので、その資料しかないので、きょうの御質問のところじゃなかったから、これはきのうの関連質問だったので、ちょっと資料が今私どものところにないんですけれども。

 今、いわゆる商品券等々についての、税率の引上げに伴ういろいろなことをやるに当たっても、事務費が多い割には影響が少ないんじゃないか、与える恩恵が少ないんじゃないかというお話なんだと思っておりますけれども、これは間違いなく、そういった御指摘というのはいろいろ経産省の関係の話でもあるんですけれども、私どもとしましては、消費税率の引上げの影響というものがやはり比較的大きいと言える低所得者対象に限定するということでやりますので、そういった意味では、期間を限ったそういった商品券にすることによって、確実に、給付をするのではなくて、期間を限った商品券というものによって、地域の消費をやるとかそういった形でやらせていただきたいと思っておりますので、そういった意味で、政策目的をかなり絞ってやると、そういった技術的なものとしてやらせていただかないかぬことになる。

 また、レジの効率化等々をやるに当たりましても、そういったものもある程度のものをやらないかぬということになりますので、長期的にはということになろうかと思いますけれども、目先、そういった形の御批判というのがあるというのは、私ども十分に理解をしております。

今井委員 まあ、これも議論をしても平行線だと思いますが、やはり、事務費等で千五百億円も使ってしまうという政策が本当に正しいのかということを、ぜひ皆さん、また考えていただきたいと思います。

 その上で、両方聞きたいんですけれども、ちょっと時間がないのでポイント還元に絞って、経産省さん、いらっしゃっていますね、いろいろお伺いしたいんです。

 まず、無駄遣いだというのもあるんですけれども、中身もいろいろ大丈夫かなというのがたくさんありまして、まず一点目ですが、これはよく言われていますけれども、今回は、中小店舗に五%、コンビニなんかは二%、それから大きなお店はゼロというポイント還元ですね。それぞれのところには、店内で買う、それから外に持ち出すというので、税率が違います。

 そうすると、それを全部掛け合わせていくと、大体、三パー、五パー、六パー、八パー、一〇パーと、五つの段階に税率が分かれると思うんですね。とても複雑で、これは小売の人たちからも、これではやっていけないんじゃないかと大変懸念している声が上がっているんですが、これについてはどういうふうに対応されるんですか。

島田政府参考人 今回の制度につきまして、税率、還元率も含めて複数のパターンが発生する、非常にわかりにくいというふうな御指摘でございますが、今回、ポイント還元制度と軽減税率制度の実施によりまして、事業者の方あるいは消費者の方が混乱することのないよう、関係省庁と連携して、しっかり十分な対策を講じてまいりたいと考えてございます。

 特にポイント還元の実施時におきましては、消費者の方に対しまして事業の内容を丁寧に説明をしていく、さらに、今回の制度による消費者への還元方法あるいは還元率をわかりやすく店頭で掲示をいただくということのために、今回の制度を活用する店舗の皆様に対しまして、例えば還元率の数字を書いた統一的なポスターを準備して配布するといったような対策を講じたいと考えてございます。

今井委員 ポスターだけでは混乱すると思いますよ。ちょっと、とてもやれるとは思えません。

 どんどん聞いていきます。

 では、今度はポイント還元の対象となる店舗なんですけれども、これは資本金とか従業員の人数で決めるというふうに一応伺っているんですけれども、御存じのとおり、資本金というのは、大きな企業でも資本金を低いまま抑えているところとかたくさんありますから、資本金だけでカテゴライズしようと思うと先ほどのような基準にはならないことになってしまうと思うんですが、この辺をどういうふうに区別されるつもりで今いらっしゃいますか。

島田政府参考人 今委員御指摘のとおり、中小企業基本法におきましては、主に、業種ごとの従業員の数、それから資本金という二つの要件で定義をしているものでございます。

 このため、資本金が大きくない、中小企業基本法上の中小企業に該当するものであるものの、極めて大きな売上げを上げている企業も存在することは認識をしておるところでございます。

 こうしたいわゆる過少資本企業につきましては、これまでも、税制等の分野も含めましてさまざまな議論がなされてきていると承知をしているところでございます。

 ポイント還元制度につきましても、そうした議論を踏まえて、制度の実施までに適切な基準を設けるべく、現在検討しているところでございます。

今井委員 まだそこが整理されていないんですよ、決まっていない。

 では、次にポイント還元の対象となる商品ですけれども、これはもう決まっているんですか。特に、たばこはどうされますか。

島田政府参考人 品目についての御質問でございます。

 今回の制度におきましては、なるべく広い取引を対象にしたいと考えてございますが、例えば、郵便切手、印紙、商品券、プリペイドカードといいました、譲渡性の高い、消費税の非課税となっている、物品やサービスの購入などの支払い手段になるものについては、今回、制度の対象外としているところでございます。

 御指摘のたばこにつきましては、現在、対象にするかどうか、検討を進めているところでございます。

今井委員 まだ決まっていないんですよ、これも。まだ検討しているんですよね。これはまだ決まっていないんです。

 では、次、お伺いしますけれども、今度はどの価格に対してポイントを付与するかなんですが、各決済業者のシステムをこれから使うと思うんですけれども、決済業者によっては、税込み価格でやっているところと税抜き価格でやっているところが、二つあります。その価格に対してポイントを付与するということになると、税込みと税抜きの価格でやっているところで不公平が生じますが、この問題に対してはどう対応されますか。

島田政府参考人 税込み、税抜きのお話でございます。

 多くの決済事業者におきましては、税込みの価格に対してポイントを付与しているというのが実態でございます。今回のポイント還元制度におきましても、原則として税込み価格に対する消費者還元を支援するということを考えてございます。

 他方、決済事業者と加盟店が決済のシステムを連携させるなど、一部のポイントシステムにおいては、加盟店において把握できる税抜きの価格、こういったものに対してポイントを付与している事例もあるということは認識をしているところでございます。

 今回の制度は、こうした既存の決済インフラを活用するという観点で全体を構築しているところでございますので、決済事業者がこういった税抜き価格に対してポイント還元を実施すること自体は排除しないというふうに考えているところでございます。

 その際に、仮に税抜きの価格に還元を行う場合につきましては、決済手段を利用する消費者の方にそういった事実をわかりやすく明示することを求めるといったような形で、消費者の皆様にしっかりとお伝えをしてまいるという形にしたいと考えております。

今井委員 ほら、伝えるだけで、この不公平を解消する手段がないわけです。

 皆さん御存じのところでいうと、例えばnanacoなんかそうですよ。税抜きになっていますけれども、こういうところを使う人たちは不公平になるんですよ。損をするんです。そのことの解決はできないと今まさにおっしゃったわけでしょう。そういう不利な状態になることを皆さんに周知するにとどまるわけです。こんな不公平な制度を私はやっていいかと、非常に疑問を持っています。

 それから、今度は、還元に使われなかった、ポイント還元が全て使われるわけじゃないと思うんですね。一部決済業者に残ってしまうリスクがあります。これに対して、これは既に質疑が行われていまして、世耕大臣が決済業者が不当に利益を得ないようにすることは当然だというふうにおっしゃっていましたけれども、これは本当に実務的に対応できますか。

島田政府参考人 先ほどもお答え申し上げたとおり、今回の制度につきましては、消費者の還元に当たって、既存のポイント制度、事業者さんが構築されておられる既存のポイント制度を活用していくということにしているところでございます。このため、換算方法あるいは期限の設定といったようなことについては、各社が現在採用している仕組みを活用したいというふうに考えているところでございます。

 この制度は、決済事業者を支援するという目的ではございませんで、消費税率引上げの際の需要の変動をなるべく平準化をするということ、そして消費を喚起していく、さらには中小・小規模事業者におけるキャッシュレスの普及拡大を図るといったことも推進するためでございまして、決済事業者が今回の制度で不当に利得を得るというふうなことはないようにしたいと考えているものでございます。

 したがいまして、今回、使われないポイント分を含めて、満額を決済事業者に補助するといったようなことにならないように補助額の算定方法というのを定めたいと考えてございます。

 具体的には、各決済事業者のポイント価値の算出方法あるいは失効率といったようなもの、そういったものも参考に算定方法を決定をしていくという形で、決済事業者が不当に利益を得るということのないようにしていきたいと考えてございます。

今井委員 いいかげんですね。みなしでやろうということですよね。みなしでそれを判断して、実額はわからないという中でやるしかない、今、そういう御答弁ですよ。非常に粗いですね、実務が。

 じゃ、もう一点お伺いします。

 これは業者間取引も還元の対象になると思うんですね、今回の場合、個人も企業も区別できませんから。そうすると、業者間取引だと、業者間の中で転売、転売、転売、転売とやると、ポイント、ポイント、ポイントともらって、不当にポイントをたくさんとるということが私はできると思うんです。これは、この不正行為をしっかりとチェックしないと、要するに、意図的に余分にポイントをとろうとするということができてしまうわけですね。

 この不正の取締りはどうやってやりますか。

島田政府参考人 委員御指摘の不正な転売といったようなものにつきましてでございます。

 これまでも、決済事業者の仕組みの中で、利用者の保護に欠ける行為を行う、あるいは不正な利用の防止、それに関する悪いことをした加盟店の情報を共有するといったような、悪質加盟店を排除するといった仕組みは現在存在しているところでございます。

 その上で、事業者間で取引を複数回繰り返すといった、今回の制度を濫用したポイント取得につきましては、こういった事業者に既に構築されております仕組みも参考に、決済事業者ともよく連携をして、防止に万全を期したいと考えてございます。

 具体的に、では、どういうふうな監視の仕方をするのかということにつきましては、これを、詳細を明らかにいたしますことは、新たな不正を誘発するおそれもございますので、具体的なお答えをすることは差し控えさせていただきたいと考えてございます。

 ただ、いずれにせよ、今回の制度を濫用したポイント取得が行われていることが発覚した場合には、決済事業者の補助金返還は当然行いますし、その決済事業者あるいは悪質なことをした加盟店につきましては、今回のこの決済制度を利用を停止するといったような措置等々を講じてまいりたいと考えております。

今井委員 私のきょうの質問の一番の目的はいろいろな問題の洗い出しということでありますから、本当は一つ一つ時間をかけて突っ込みたいんですけれども、それは後の質疑者の人にお任せをするとしまして、どんどん質問していきたいんですけれども、今これだけ伺っても、決まっていないことだらけです。そして、正しくいろいろな手続あるいは対応ができるかどうかも不明確なものだらけです。そして、千五百億円も無駄なお金がかかる。こんな制度を本当にやっていいのか。混乱が起きないのか、効果はあるのか、このことをよく皆さん考えなきゃいけないと思いますよ。

 私は、個人的には、こんな制度はもうやめるべきだ、ほかのことを考えるべきだというふうに指摘をしておきたいというふうに思います。

 もう一つの商品券の方もやりたかったんですけれども、これもやると時間がかかってしまいますので、商品券の方にもかなりいろいろな問題点があります。ですから、今回の対策は本当に、いろいろな、国民の人気をとろうとしたのかよくわかりませんけれども、設計も粗いし、効果もよくわからないし、お金もかかり過ぎるし、そういう問題があるということを指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に、軽減税率のところ、そもそも私たちは軽減税率反対なんですが、中身を見ても、よく議論になっていますが、どうしても私は納得いかないのが新聞なんですよ。

 新聞とそれ以外のものというのがなぜ違うのかということは今までずっと議論してきていますので、哲学論争ですからきょうはやめますが、一点、紙媒体で定期購読している新聞、家に配られるやつですね、これは軽減税率の適用なんですけれども、電子版を購入しているのは軽減税率を適用してもらえないんですよ。

 私は電子版で新聞いっぱいとっているんですけれども、適用除外です。同じものですよ。今、新聞社のアプリですと、紙面と同じような形で、契約していると見れる。全く紙媒体と電子媒体は同じなんですね。にもかかわらず、税率が違うってどういうことですか。こんなおかしなことはありませんよ。まだ週刊誌とかなんとかというなら多少理屈はつけられるかもしれませんが、この二つは全く同じものです。なぜ税率が違うんでしょうか。

麻生国務大臣 これは、定期購読に基づく新聞につきましても、これまでも何回も御説明申し上げたとおりなんですが、電子版の新聞ということの御質問なんだと思いますけれども、これはもう、他のインターネットの情報提供サイトというのはいろいろありますのは御存じのとおりなので、その間で合理的かつ明確な線引きというものが困難であります。

 ということから、定期購読新聞とは性格が異なるということに判断して標準税率を適用させていただくということになったということです。

今井委員 それは全くおかしくて、例えば日経新聞なんかは全く明確に分かれていますよ。有料のものは紙の媒体の新聞と全く同じです。それ以外が無料です。むしろ、明確に分かれていないのは紙と電子版の方であって、電子の中ははっきりと区別されています。同じものなんですよ、紙媒体と。今のは説明になっていないです。もう一度御答弁ください。今のは説明になっていません。

麻生国務大臣 重ねて申し上げるようで恐縮ですけれども、これは、インターネット上の情報提供サイトというのはいろいろありますのはもう御存じのとおりなので、私どもとしては、この点に関しましては、これはほかのインターネットのものとの間の線引きが極めて難しいということから、今回、電子版の新聞に関しましては、定期購読新聞とは異なるという判断をさせていただいたというのがその背景だと御理解いただければと存じます。

今井委員 全く答えになっていないんですけれども、もうこれをやっても哲学論争ですが。まあ、多分大臣もおわかりになっていらっしゃるんですよ。無理があるんです、このこと自体に。

 そもそも軽減税率自体に無理がありますけれども、この新聞の軽減税率は本当に無理がありますよ。どういう理由でこれが対象になったのかは知りませんけれども、同じものなのに税率が違うなんという、こんな税制、あってはいけません。絶対これは是正すべきですよ。そのことを強く要望をしておきたいというふうに思います。

 もう余り時間がありませんので、大臣、ちょっともう一つ重要なことをお伺いしたいんですけれども、今回の消費税の引上げ対策ですが、押しなべて九カ月間ぐらいのものが多いですね。

 その後の、先はどうなんですかという質疑が予算委員会等でもあったと思いますけれども、私はそのときの答弁を伺ってちょっとびっくりしたんですけれども、オリンピックがあるから、オリンピックで消費が喚起されるので、そこまででいいんだというふうにおっしゃっていました。

 オリンピックの問題は、幾つか問題がありますが、まず一点目は、非常に短期間なんですよ。一カ月か二カ月で終わっちゃうんです。それがあるからもうその先をやらなくていいって、理屈になっていませんよね。じゃ、オリンピック終わってからどうするんですかという話です。それが一点目。

 それから、二点目は、オリンピックで来られる方は、それはついでにいろいろ日本で旅行に回るかもしれませんが、メーンに来られるのは首都圏です。首都圏では確かにお金が落ちるかもしれませんが、地方にはお金なんか落ちません。ですから、地方がぽこっと穴があいてしまいます。で、地方経済が落ち込む、こういうことになりかねません。

 三つ目、業種間ですね。外国人が来ることによって潤う業種もありますが、全く関係ない業種もあります。そういうところでも不公平感が出る。

 ですから、オリンピックがあるからといって九カ月なんだという理由は説明になっていないし、もしそれが本当だとすると非常に危険です。

 このことについてどうお考えですか。

麻生国務大臣 今般の臨時特別な措置というものにつきましては、これは前回の消費税の引上げの経験時、前回の引上げのときの反動減等々を踏まえて私どもとしては対応をさせていただいておるんですけれども、オリンピックの後、終わる時間が一年、三カ月、六カ月、九カ月、いろいろあるんですけれども、終了時期等々は少しずれておりますけれども、私どもとしては、一定の時期に、一律ではないという点でまず第一に御理解をいただいておきたいのが第一点です。

 オリンピック、それからパラリンピックの後の問題はどうかという点については、これはちょっと、少々、予断を持って申し上げられるというようなことは困難ですけれども、今まで同様、時々の経済状況というのがありますので、それに合わせて私どもとしては対応しておかなければならないとは思っておりますが、いわゆる景気の崖みたいなものがいきなり来るのではないかという御心配をいただいているんだと思いますけれども、私どもとしては、そういうことのないように、いろいろな形でやっていかねばならぬと思っております。

 また、地方については、東京はともかくとして、地方はどうだということなんだと思いますけれども、それは全くおっしゃるとおりだと思いますが、事前のキャンプ等々、私どもは、誘致に当たりまして、大会の参加国とか地域とか、いろいろなことで文化交流を図るいわゆるホストタウンを全国各地に広げるので、私ども、福岡やら何やらいろいろさせていただきますけれども、伝統的な芸術からいろいろなものまで、いろいろなものをコンテンツとして、地域というものの豊かなものを創生、活性化、そういったものにつなげていきたいんだと思っておりますので。

 いろいろな意味で、オリンピックはたった一カ月じゃないか、万博だったら半年ぐらい続くけれども、これはたった一カ月の話じゃないかという御指摘はそれなりに正しいと思いますけれども、私どもとしては、そういったものの影響が、前回の冬季オリンピックのときもその後かなり減になったという史実がありますので、そういった意味では、私どもとしては、そういったものには十分に配慮しておかねばならぬということは、そう思っております。

今井委員 今のお話、確かにいろいろなところで誘致していますけれども、それは、来るのは選手だけですから。たくさん来るのはお客様です、オリンピックのときの。それを皆期待しているんですから、そういう選手団を誘致したからといって、それは、全体に比べたらこんなちっちゃい話ですので、ちょっとそれでカバーできるとは思えません。

 もうあと五分しかありませんから、まだ全然できていないんですけれども、少し、あと一、二問。

 今回、ベンチャー企業への税額控除がありますけれども、私も起業をして会社なんかを今も経営していますけれども、大体、ベンチャー企業というのはしばらく赤字なんですね。それで、税額控除というのは、黒字、要するに税金を払っている人しか対象にならないので、この制度はベンチャー企業にとっては全然おいしくないというか、うれしくないと思うんです、税額控除という制度は。

 どうしてこれは税額控除という、ベンチャー企業に対してこういう政策を打たれるんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、研究開発税制の中で、創業間もないベンチャー企業を対象に税額控除率の引上げを行っているわけでございます。

 先生が御指摘になられますように、創業間もないベンチャー企業にありましては、収益が安定しない、そういった中でも、研究開発投資など自社の将来の成長に向けた投資を積極的に行えば繰越欠損金を有する可能性が高くなる、あと、その後、利益が発生した際には、繰越欠損金の控除によって課税所得を圧縮することができるというようなことでございますので、ベンチャー企業について税額控除の効果が小さくなるのではないかというのは、先生御指摘のとおりではございます。

 ただ、今回、一般の企業に比べまして、ベンチャー企業の控除上限を大幅に引き上げることによりまして、所得が小さい中にあっても徐々に課税所得が発生するような業況の好転、そういったものを期待して、ベンチャー企業、まさに研究開発を最前線でやっていくような企業がそういった活動を続けやすいように、今回、税額控除の引上げを行っているということでございます。

今井委員 今まさにその政策効果が低いという御認識をいただきましたけれども、本当に私もそうだと思いますので、これは税制という意味ではないかもしれませんが、ベンチャー企業の支援というのはもっと別の形でやるべきだというふうに思います。

 もう時間がなくなってきましたが、きょう、本当は、公正取引委員会も来ていただいておりまして、経産省さんも来ていただいていますが、ちょっと質問が届きませんので、大変申しわけありません。

 多分、最後の質問になると思うので、大臣、済みません。

 今回の消費税の引上げに当たっては、従来、税と社会保障の一体改革で、総合合算制度ですね、これを導入するということで合意はされたと思うんですが、今回は、これを見送りになっています。大変遺憾なことだと思うんですけれども、この総合合算制度というのは今後どうされていかれるんですか。

麻生国務大臣 御存じのように、これは三党合意を得て成立しております税制抜本改革法において、消費税引上げに伴う低所得者への配慮の観点から、総合合算制度は、給付つき税額控除、軽減税率制度と並ぶ検討課題の一つとして掲げられてきたのは御存じのとおりであります。

 このうち、私どもとしては、軽減税率制度というものを採用させていただいたということにいたしておりますので、これに伴いまして、いわゆる、私どもとしては、消費税率引上げに伴う低所得者対策としての総合合算制度は実施しないということにさせていただいたところでありまして、政府としては、軽減税率の制度の円滑な実施に向けてやらせていただければと思っておるということであります。

今井委員 そちらに野田元総理もおられますけれども、やはり総合合算制度を導入するということでこの合意がなされたというように私は理解しております。そういうものを無視する形で、こういう形で消費税の引上げや、しかも、財源の使い方が途中で変えられるということには大変違和感を覚えておりますので、そのことを申し上げまして質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、高木錬太郎君。

高木(錬)委員 おはようございます。立憲民主党・無所属フォーラムの高木錬太郎です。よろしくお願いいたします。

 ことしも確定申告の時期がやってまいりました。既に全国各地で申告の会場に足を運ばれておられる国民の皆さん、そして税務職員の皆さん、あるいは申告される国民の皆さんをサポートしておられる税理士の先生方始め関係の皆さん、改めて皆さんに敬意を表したいと思っておりますが、この申告納税制度は、税務当局と国民の信頼関係が基礎となっていると思います。納税に対する国民の高い倫理観、あるいは見識、国民性、そういったものばかりに委ねることなく、税務当局の方も信頼関係維持に努めていかなければならないというのは言うまでもないことだと思います。

 昨年七月に、現在の藤井国税庁長官就任記者会見で、税務行政に対する理解と信頼をいただくことが重要だと述べられておりますが、改めて伺うまでもないことかもしれませんが、現在においても当然、国税庁全職員、その長官の思いと同じくして職務に当たられていることだと思いますが、そういう認識、理解でよろしいでしょうか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 財務省設置法第十九条におきまして、国税庁の任務は、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現等を図ることとされておりまして、国税庁といたしましては、この任務を遂行するに当たっては、納税者である国民の理解と信頼を得ることが何よりも重要であるというふうに考えております。

 こうした考え方のもと、藤井国税庁長官は、昨年七月に行いました就任会見において、税務行政においては、納税者の皆様と国税組織との信頼関係が申告納税制度の礎であるとした上で、周知、広報や納税環境整備により納税者サービスを充実すること、悪質な納税者には厳正な姿勢で臨むなど、適正、公平な課税、徴収を行うこと、環境変化に対応し、業務改革等に取り組むことなどが必要であり、国税職員五万六千人とともに、その使命を果たすべく、精いっぱいの努力を積み重ねていく旨を抱負として述べたところでございます。

 国税庁といたしましては、現在も、法令等の規定や、この長官の抱負等に示された考え方に沿いまして、全職員が同じ意識を持って、納税者の皆様の理解と信頼を確保すべく、それぞれの業務に取り組んでいるところでございます。

高木(錬)委員 国民の皆さんの理解、信頼を確保するためという意味では、ちょっと私は首をかしげる話がありまして、昨年の十二月に国税庁が発表されました、今回の法改正の話にもつながりますけれども、住宅ローン減税の過大申告の見落としの件でありますが、記者発表した中身を読みまして、大変違和感を私は感じております。国民の皆さんの一般常識と申しますか普通の感覚からすると、どうなのかなという話です。

 記者発表では、国税庁は、より丁寧な周知、広報を図るとともに、その申告誤りを適時適切に把握し、その是正を行うことができるよう、納税者の皆様より提出された申告書の審査の充実等に努めてまいりますとあります。

 そのとおりでしょう、再発防止ももちろん大切なことだと思いますが、誰かを悪者にするつもりは私もありませんけれども、と同時に、申告を見落としていたということも事実であるわけでありますので、周知、広報を徹底します、審査を充実しますもそうですが、まずは、見落とした事実に対して、こちらも非がありましたと素直におわびするということが、国民の皆さんとの信頼、あるいは国民の皆さんの理解を得るためには必要なことだと思いますが、いかがでしょうか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のございました住宅ローン控除等の適用誤りは、所得税の住宅ローン控除と贈与税の住宅取得資金の贈与の特例のいずれも申告している場合などに関しまして、納税者の申告に誤りがあり、税務署もそれを是正できていなかったために発生したものでございます。

 その原因といたしましては、納税者向けの住宅ローン控除の手引等の説明がわかりにくいものとなっていたこと、国税庁から税務署に対して具体的な申告書の審査方法を指示しておらず、また、審査の際に使用するシステムも申告誤りを検出する仕様になっていないなど、審査方法、体制が必ずしも十分でなかったことなどの要因が重なったことによるものと考えております。

 このように、納税者向けの周知、広報に丁寧さを欠いていたことや税務署の審査体制に不備があったことなどにより今回のような事態を招いたことにつきましては、率直におわび申し上げたいと思います。

 今後につきましては、納税者へのより丁寧な周知、広報、申告書の審査方法の見直しやシステム改修などを行うことによりまして、再発防止を徹底してまいりたいというふうにも考えております。

高木(錬)委員 次長、ありがとうございました。

 そういう姿勢が国民の皆さんとの信頼関係を維持していく、信頼関係を確保することになっていくと思いますので、おわびしていただいて、私は非常に納得するものがあります。ありがとうございました。

 この件、修正申告を国民の皆さんの方からされた場合、延滞税、加算税はかかるんでしょうか。もう一つ、あわせて、申告をできなかったり、しなかったりした場合、その場合の延滞税、加算税というのはどうなっていますでしょうか。

並木政府参考人 お答えいたします。

 今回の事案につきましては、納税者に対して、まずは、御自身で申告内容を見直し、自主的に修正申告を行っていただくことを依頼しておりまして、これに応じていただけない納税者の方に対しましては、税務署が調査を行って、申告誤りを是正していただくということにしております。

 その際、自主的に修正申告を行っていただいた方につきましては、原則として、住宅ローン控除の適用初年分に関しましては、加算税については免除又は軽減となりますが、納税者自身による法令の適用誤りに起因する申告誤りであることから、延滞税につきましては賦課されることとなります。

 また、二年目以降については、先ほども申し上げたんですけれども、税務署の審査が十分でなく、結果的に誤って発行した住宅ローン控除証明書を納税者が用いたことなどによって法令の適用誤りが継続したものであることから、加算税と延滞税は賦課されないということとなります。

 一方で、税務署が調査を行った方につきましては、住宅ローン控除の適用初年分の加算税が免除又は軽減されることはなく、これは賦課されることとなります。また、それ以外の取扱いについては、自主的に修正申告を行っていただいた方と同様になるということになります。

 以上でございます。

高木(錬)委員 もう既に当局から通知、連絡を取り組まれていることと思いますが、お手間をかけさせることにもなりますけれども、修正していただくように、引き続き御努力のほどお願いします。

 申告の件数が伸びています。あるいは滞納とか、税制のそもそもの複雑化もあり、あるいは法人税の実調率の低下、あるいは海外取引の増加なども伴って、税務署の現場は大変忙しい、多忙な毎日だというふうに認識しております。つい先日も、ネット上のサービスを日本国内に配信する海外業者をめぐり、国税当局が消費税の課税に苦戦しているという報道もありました。

 国税庁の定員増と、経済取引の国際化に対応する専門官や適切な税務調査を遂行するための調査官等の創設が毎年のようにこの委員会でも質問等々でありますが、この点につきまして、財務大臣、ぜひ御見解をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは、高木先生、よく言われておりますように、ICT、インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー、ITとかICTとかいうこういったものやら、また国際化というような時代の中にあって、調査とか徴収とかそういう事務が複雑になってきておりますので、そういった税務行政を取り巻く環境というのが御指摘のとおり厳しくなってきているというのは、この数年間、顕著だと思っております。

 したがいまして、適正とか公平な課税とか徴収を実現していくためには、税務の執行体制の強化というものを図っていかないかぬという御指摘なんだと思いますが、私どもも全くその意見には賛成であります。

 とにかく、船が着きますと、今まで飛行機だと三百人、船だと三千人ですから、それが、福岡だけで一年間で三十隻だったものが今三百八十隻ぐらい着くという事態は、これは、とてもではないけれども、頑張ってやれなんというレベルの話は超えておりますので、私どもとしては、平成三十一年度の予算におきまして、国税庁の定員というものをふやさせていただくとか、また、機構では、国際課税に係ります調査等を担当する、いわゆる国際税務の専門官というものを新たに増設させていただくとかいうような形で対応させていただいております。

 いずれにしても、合理化とかいうので対応できる範囲を少々超えているような感じで急増しておりますし、さらに、この問題に関しましては、BEPSの問題とかいろいろな問題を多く抱えておりますので、私どもとしては、御指摘をいただきまして、この面に関して増員をさせていただくという形で今検討させていただいておるというような状況であります。

高木(錬)委員 大臣、ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、本法案の中身に入っていきたいと思います。

 まずは、住宅ローン減税の拡充についてであります。

 前回、消費税率が引上げされました平成二十六年四月にも同様の措置が講じられたと思いますが、そのときの駆け込み需要とその反動について数字でお示しいただきたいんですが、お願いします。

小林政府参考人 お答えします。

 前回の消費税率引上げに伴う駆け込み需要の影響により、二〇一三年度の住宅着工戸数は、二〇一二年度比で一〇・六%増の約九十九万戸となりました。また、その後の反動減の影響により、二〇一四年度は、二〇一三年度比で一〇・八%減の約八十八万戸となりました。

 以上です。

高木(錬)委員 そのような駆け込み需要とその反動、その数字を見て、今回、どのようにその反省を生かしたということですか。

小林政府参考人 前回の消費税率の引上げのときには、住宅ローン減税の借入限度額の引上げやすまい給付金の創設を行ったほか、消費税率引上げ後に、二〇一四年十二月に決定した経済対策において、省エネ住宅に関するポイント制度の創設などの措置を講じました。これらの対策を講じたにもかかわらず反動減が生じたわけですが、これら全ての対策が消費税率引上げ当初から講じられたわけではなく、段階的に講じられたことなどがその要因と考えております。

 今回の対策におきましては、住宅ローン減税の拡充や、すまい給付金の拡充、次世代住宅ポイントの創設などの対策について、前回の反省を踏まえ、これらの対策を消費税率引上げのタイミングで当初から講じることとするとともに、来年度の予算案、税制改正大綱の閣議決定後、予算案と関連税制法案が成立することを前提とする旨を示した上で、直ちに、広報用チラシの作成、配布や新聞での広報を行い、事業者や消費者に対して積極的な周知を行うなどの対応をとっております。

 これらにより、駆け込み需要と反動減を抑制するために十分な対策が講じられているものと認識をしております。

高木(錬)委員 今御答弁でありました、すまい給付金は予算措置として七百八十五億円、次世代住宅ポイントは一千三百億円、それから住宅ローン減税の拡充による減収が一千億円、それぞれこの数字には根拠があると思います。販売戸数をどのくらい見込んでとか、そういうことがあろうかと思いますが、御答弁お願いします。

小林政府参考人 すまい給付金と次世代住宅ポイントについてお答えをさせていただきます。

 すまい給付金につきましては、二〇一四年度以降の給付実績を踏まえ、二〇一九年十月からの拡充措置を加味いたしまして、二〇一九年度末までに必要な給付相当分として七百八十五億円を措置することとしており、戸数といたしましては、平年ベースで、八%時は年間約十八万戸、一〇%時は年間約三十四万戸を見込んでおります。

 次に、次世代住宅ポイント制度でございますが、対象となる住宅の新築やリフォームの戸数、過去の省エネ住宅ポイント制度の実績などを踏まえまして、二〇一九年度末までの申請に対応することが必要となると見込まれる額として一千三百億円を措置することとしており、新築の戸数としては約三十万戸を見込んでいるところでございます。

星野政府参考人 住宅ローン減税について御説明いたします。

 住宅ローン減税は、今回の消費税の引上げに際しまして、需要変動の平準化のために、消費税率一〇%が適用される住宅取得等につきまして、これまでの住宅ローン減税の控除期間、現行十年間から十三年間ということで三年間延長するものでございます。

 今回、拡充措置の適用見込み者数を計算するに当たりまして、直近の実績でございます平成二十九年の新規住宅ローン控除適用実績をもとに一定の推計を行いまして、平年度ベースで適用者数を約三十七万人と見込んでおります。これをもとに、減収額につきましては、国税、地方税合わせて平年度で約千百四十億円と見込んだところでございます。

高木(錬)委員 今数字をお示しいただきましたけれども、そこで伺いますが、今、建設業界は人手不足と言われています。建設資材も不足しており、なかなか現場では御苦労があろうかと思います。そういう中で、今御答弁された販売戸数あるいは予算、果たして消化するのでしょうかというのが一つ。あるいは、逆なんですけれども、想定以上に販売戸数がふえた場合、今見込みをおっしゃられましたけれども、それから更に伸びた場合にはどのような追加の予算措置を講じるのでしょうか。そこら辺、御説明をお願いいたします。

小林政府参考人 住宅着工の最近の状況を見ますと、二〇一五年度以降、年間九十万戸台で推移をしております。今後、消費税率引上げに伴う住宅需要の変動につきましては引き続き注視していくことが必要だと考えておりますが、人手不足などの要因が住宅着工を著しく阻害し、平成三十一年度の予算の執行に大きな影響を与える状況にはないというふうに思っております。

 また、予算規模につきましては、先ほど御答弁させていただきましたとおり、すまい給付金、次世代住宅ポイント制度ともに、来年度末までの必要な額として計上しているところでございます。このように対策実施のために十分と考えられる額を計上しておりますので、いずれにせよ、両制度の実施に当たって、その執行状況をしっかりと注視をしていきたいと考えております。

    〔委員長退席、越智委員長代理着席〕

高木(錬)委員 済みません、すまい給付金も次世代ポイントも非常にいい制度だ、国民の皆さんが、購入するのはこのタイミングだという方が予想以上に伸びた場合、先ほどおっしゃられた販売見込み数を超えた場合は、予算措置は更に追加でなさるおつもりですか。

小林政府参考人 現時点で明らかなことを申し上げる状況にはございませんが、経済情勢などさまざまな状況を踏まえた上で、必要に応じ国土交通省としての検討をしてまいりたいと思っております。

高木(錬)委員 ちょっと質問の趣旨が若干変わるかもしれませんが、私の中では同じ文脈、一つの文脈でしゃべるんですけれども、次に、政府の方で世帯数の将来推計をとっていらっしゃると思うんですけれども、世帯数のピークは何年になって、それは何世帯でしょうか。

山田政府参考人 お答えします。

 国立社会保障・人口問題研究所が平成三十年に公表した日本の世帯数の将来推計によると、一般世帯数のピークは二〇二三年で、五千四百十八万九千世帯と見込んでおります。

高木(錬)委員 では次に、建て売り住宅、新築分譲マンションの、ちょっと、売れ残りという言葉はそこで営業されている皆さんとかに失礼な言い方になるかもしれませんが、成約率と申した方がよいのでしょうか、要は売れずに残った数というのは、政府の方では把握されているんでしょうか。

小林政府参考人 建て売り住宅や新築分譲マンションの全国的な売れ残りの数につきましては、国土交通省としては把握をしておりません。

高木(錬)委員 それでは次に、現在、既存住宅、中古がどれくらいあって、年間、その既存住宅の流通量というのは、数字はどのくらいになっていますでしょうか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 総務省が五年ごとに実施している住宅・土地統計調査の平成二十五年の調査の結果では、平成二十五年十月一日現在の全国の総住宅数は六千六十二万八千六百戸となっています。

 年間の流通量そのものについては総務省では把握しておりませんが、同調査で把握した持家として取得した中古住宅数を見ると、平成二十四年中に十五万四千九百戸の中古住宅が購入されております。

 以上です。

高木(錬)委員 次に、今、空き家問題が全国で大変問題になっていますが、空き家というのは毎年どれくらい我が国ではふえているんでしょうか。それとも、ふえているというのは、私の主観というか思い込みかもしれません、ひょっとしたら減っているんでしょうか。いかがでしょうか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 総務省の住宅・土地統計調査によりますと、平成二十五年十月一日現在で、全国の空き家数は八百十九万五千六百戸となっております。平成二十年の調査結果と比べて空き家数は六十二万七千七百戸増加しており、この五年間は、年平均で十二万五千戸余りの増加となっております。

高木(錬)委員 さらに、空き家率というものは数字をとっていますでしょうか。直近の数字と、十年前、五年前の数字がありましたら教えてください。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年十月一日現在の空き家率は一三・五%となっております。なお、五年前の平成二十年は一三・一%、十年前の平成十五年は一二・二%となっております。

高木(錬)委員 次々済みません、質問させていただきます。次に、既存住宅の流通量、先ほどは一年間の数字をおっしゃっていただきましたが、この五年間でどのくらい、この流通量は伸びていますでしょうか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 住宅・土地統計調査の結果によりますと、平成二十四年に持家として取得された中古住宅数は、先ほど申し上げたとおり十五万四千九百戸でございました。平成二十年の調査で把握しました平成十九年に持家として取得された中古住宅数は十五万五百戸であり、五年間で四千四百戸、二・九%増加しております。

高木(錬)委員 未来投資戦略会議でも、既存住宅の市場を活性化する、規模を倍増するということを安倍政権としては一方でおっしゃられているわけでありまして、今御紹介いただいたように、この五年間では微増と申しますか、そんなにふえていない流通量で、これからは更に伸ばしていこうということが政権の方針なんだと思いますが、今回の住宅ローン減税の拡充によって、今るるお尋ねしましたが、既存住宅の流通市場にどのような影響をもたらすとお考えでしょうか。

小林政府参考人 住宅ローン減税は、住宅ローンを利用して住宅を取得する方について、各年末の住宅ローン残高の一定割合を控除するものですが、本制度は、新築住宅のみならず、一定の条件を満たした既存住宅も対象としております。

 また、今回の住宅ローン減税の拡充でございますが、前回の消費税率の引上げにおいて駆け込み需要と反動減が生じた経験を踏まえまして、需要の平準化を目的として、反動減が特に懸念される時期に限って講じるものでございます。例えば、消費税が課税されます買取り再販などによる既存住宅の売買の場合は、今回の拡充の対象となってまいります。

 今回の拡充が既存住宅流通市場にどのような影響を及ぼすか、具体的な影響について現時点で明らかにすることはできませんが、既存住宅の流通を阻害するものではないと考えております。

高木(錬)委員 阻害するものではないとおっしゃられました。

 空き家がふえている中で、今回の減税の拡充、これは新築住戸建設優遇策であり、これを進めることは、余りにも将来を見据えていない。先ほど来ずっと聞いてきました数字を踏まえて、既存住宅、既存住宅の流通市場、そういうところもあわせて考えていかなければいけないにもかかわらず、余りにも、まあ、あと、世帯数にも触れました。これから人口減少というのはもう皆さん御承知のとおりの話でありまして、そういう中で今回の減税拡充というのは余りにも新築優遇策で場当たり的ではないかという批判もありますけれども、それについて、いかがですか。

うえの副大臣 お答えをいたします。

 国交省からの答弁と一部重なりますが、個人間の中古住宅の売買につきましては、まず、これは消費税の対象ではありませんので、そもそも対策の対象としておりません。

 一方、空き家を含む中古住宅につきまして業者から購入する場合でございますが、これは消費税の負担が生じますので、その際は、新築住宅と同様に、今回拡充をされます住宅ローン減税や、すまい給付金の適用を受けることができるものであります。

 また、個人間で売買したものも含めまして、中古住宅を今度リフォームする場合ですが、消費税の負担が生じますので、これにつきましては一定の要件のもとで住宅ローン減税の適用を受けることができます。また、次世代住宅ポイント制度の適用を受けることもできるということでございます。

 このように、今回の対策につきましては、新築、中古を問わずに、消費税率引上げにより負担が生じるそのような取引につきまして、期限を限定して一時的に消費税負担の増加を緩和することによりまして駆け込み需要、反動減を抑制し、消費の急激な落ち込みというのを防ぐことを目的としていますので、空き家等の中古住宅と比べ新築住宅の購入を過度に優遇する、そういった性格のものではないということを御理解いただきたいと思います。

高木(錬)委員 今回の政策の目的は、今副大臣がおっしゃられたようなことで、経済対策の側面が非常に強うございますけれども、繰り返しになりますが、一方で新築、一方で既存住宅ということがあって、あるいは、住宅というものはそもそも福祉政策の側面もあるんだと思います。今御説明にありましたように、裾野が広いために経済政策として捉えなければいけないという側面もある。都市計画という側面もある。国による政策だけじゃなくて、自治体による公営住宅もあります。住宅供給という意味では、UR、都市再生機構もあります。

 さらに、時間軸でいえば、目の前でやらなきゃいけないこと、目の前の課題もあれば、三十年先、五十年先も視野に入れて政策を打っていかなければいけない、先ほども触れましたが、そもそも、人口減少、世帯数も二〇二三年でピーク、それ以降はずっと減っていくという中で、新築も、既存の住宅の流通も、それは、経済対策として見れば両方うまく循環していくといいでしょう。

 ですが、そもそもこの住宅政策というものを、今私が申し上げたように、いろいろな角度から検討していって、国土全体を見渡した中で、包括的に、総合的に、住宅政策はどうしよう、計画をつくったり住宅政策の立案が必要となってくる。とりわけ、これまでのような右肩上がりの時代ではありませんので、特にそこには力を注ぐべきだというふうに私は思っておるんですが、総合的な、包括的な計画というのは一体誰がやっていくんでしょうか。御答弁お願いします。

小林政府参考人 お答えをします。

 まず、住宅につきましては、住生活基本計画、これは全国的なものと、また都道府県レベルのものとございますが、こういったものに基づき計画的に政策を実行しているところでございます。

 また、人口減少社会における住宅政策の方向性ということでございますけれども、我が国が本格的な人口減少、少子高齢化を迎える中で、空き家の発生を抑制し、利活用を推進するため、また、若者、子育て世帯、高齢者世帯などがそれぞれにふさわしい住まいを適切な負担で確保できるようにするためにも、既存住宅流通市場の整備に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、既存住宅の適切な維持管理、リフォームの実施の促進のための支援、住宅のインスペクションの活用や、消費者が安心して購入できる物件に対して標章付与を行う安心R住宅制度の普及促進などに取り組んでいるところでございます。

 また、本年十月一日に予定されております消費税率の引上げに当たって新たに創設する次世代住宅ポイント制度においても、既存住宅を購入してリフォームを行う場合のポイントの加算や、ポイントの上限の引上げを行うこととしております。

 一方、住宅ストックにつきましては、耐震性を満たさない住宅が約九百万戸ございますし、省エネ性能が不十分な住宅も多数ございます。こういった住宅の建てかえなどによる性能向上も重要な課題であると考えております。

 このような観点から、既存住宅の性能の向上とあわせて、新築住宅への支援につきましても、耐震性の確保や長寿命化、省エネなどの政策目的に重点を置いて支援を行っているところでございます。

 当面は、消費税率引上げに伴う需要の平準化に取り組んでまいりますとともに、中長期的には、新築、既存住宅全体として、国民の住生活に対する多様なニーズに応えつつ、将来世代に継承できる良質な住宅ストックの形成に向けて積極的に取り組んでまいります。

 以上です。

    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕

高木(錬)委員 私はこの住宅政策については非常に強い問題意識を持っていますので、また別途、機会を通じて伺わせていただきたいと思います。

 次に、研究開発税制について伺ってまいります。

 先ほど今井先生から御指摘がありましたベンチャー企業については飛ばさせていただきまして、かつ、伺おうと思っておりました質問につきましては、今井先生は離席されておりますが、今井先生がつくってくださった資料を拝借させていただいて伺っていきたいと思います。

 研究開発税制、適用件数全体で、二十七年が約一万二千件、二十八年度、二十九年度も同様に一万二千件、大法人、中小法人はそのような数字になっており、減税額を見ますと一目瞭然でありまして、全体の額としては、二十七年度が六千百五十八億円、二十八年度が約六千億円、二十九年度が六千六百六十億円でございますが、その下の大法人、中小法人の適用額を見ますと一目瞭然でありまして。つまり、大企業の節税対策ではないかとか、大企業に偏っているのではないかというのが、いろいろな委員会でもこれまで批判を受けているこの研究開発税制であります。

 そこで、ちょっと素人考えかもしれませんけれども、伺いたいのが、思い切ってここは、日本の経済を支えている中小企業、中小法人にこの研究開発税制はもう適用を絞って、中小法人のみの適用ということでこの租特を見直すことというのはできないものなんでしょうか。

星野政府参考人 研究開発税制に対する御指摘でございます。

 まず、見ていただいた数字でございます。

 確かに適用額を見ると大企業の数字が大きいなどの傾向はございますけれども、適用件数で見ますと、全体一万二千件に及ぶ中で中小法人の利用は八千件を超えているということでございまして、中小企業にも利用されているということでございます。

 研究開発税制は、将来の成長の礎となる企業の研究開発投資を後押しするためのものでございまして、この担い手は大企業、中小企業を問わないものと思っております。大企業にとっても非常に重要な政策ツールであると考えております。

 その上で申し上げれば、平成二十九年度税制改正では、総額型の税額控除率を試験研究費の増減に応じて変動させて、研究開発投資の増加を強く促す仕組みとしたところでございますけれども、中小企業につきましては、原則、控除率について一律に一二%という高率が適用でき、一定割合以上増加させた場合に、その増加割合に応じて税額控除率が高くなるようにした上で、税額控除の上限を更に一〇%引き上げるといったような一定の配慮を行ってきているところでございます。

 いずれにいたしましても、研究開発税制を含む租特につきましては不断の見直しを行っていく必要がございまして、適用状況、政策効果を見きわめながら、必要な見直しに今後も取り組んでまいりたいと考えております。

高木(錬)委員 そこで、大臣にお伺いいたしますが、平成二十九年四月三日の衆議院決算行政監視委員会で大臣は、法人税減税や政策減税の結果、ここからが御答弁なんですが、「企業の内部留保にたまっただけというんだったら、何のためにやったんだかわからぬ」と答弁されておられます。

 財務省が昨年九月に発表されました法人企業統計では、平成二十九年末における金融、保険業を除く内部留保が前年度から四十兆円伸びて四百四十六兆四千八百四十四億円という数字になりまして、これは六年連続の過去最高を更新ということになりました。大臣、この数字、この傾向の受けとめをお願いします。

麻生国務大臣 これは、法人企業統計で、企業の人件費とか設備投資とかいうものは、高水準の企業収益というのを背景に前年度比増加するというふうに、まことによい方向へ動いていることは確かですけれども、企業収益の伸びがあるのに比べれば、普通、企業が収益を上げれば、そのほとんどの部分は人件費か設備投資か配当、この三つに回されてしかるべきなんだ、私どもはそう思っております。

 したがいまして、労働分配率を見ましても、これは前年度比で低下、マイナス一・三%ということで、これは近年低下傾向にありまして、私どもが社長をしているころは七十数%あったと思いますが、ちょっと今、最近の平均は知りませんが、六七、八ぐらいまで落ちているような気がしますので、そういった低下傾向に大きな変化が見られていないという一方で、企業の内部留保は、この資料にありますとおりに、この六年間で見ますと大体毎年二十五、六兆ふえていって、そして昨年は四十四、五兆ふえて、トータルで四百四十何兆円ということになっておりますので。

 こういった企業収益が好調で推移している中に、やはり企業が、賃上げとか、今話題になっておりますこういった問題とか、投資の拡大に積極的に取り組んでいただくというようにしてもらうために、賃上げ等々に積極的な企業を税制面から後押しさせていただく税制もありますし、また、政労使会議や経済財政諮問会議等々において、政府から経済界に対して直接、賃上げと。これは連合のかわりに我々が仕事をしているんですよと高木さんにも申し上げたことはありますけれども。さらに、IoTとかAIとかそういったものの活用を通じて生産性の取組というのを支援しながら、働き方改革ということによって長時間労働を是正することなどを通じて、生産性の向上といういろいろな取組をさせていただいているんですが。

 こういったところを見た結果、利益が出て、その利益の大半が内部留保の積み上げだけに回っているという話ではいかがなものかということが、私ども、ずっとこの四、五年申し上げてきているんだと思っておりますので。

 少なくとも、経済界には、好調な企業収益を、賃上げとか、また設備投資とか、そういった将来の生産性の拡大につながっていくようなものにぜひ取り組んでいっていただくようにお願いをさせていただければ、引き続きそういった方向で事を進めていただかねばならぬのではないか、私どもとしてはそう思っております。

高木(錬)委員 もう一点、平成二十九年六月五日、これも衆議院の決算行政監視委員会での議決でありますが、議決の中に、「税制については、租税特別措置における研究開発税制等を適用するに当たり、実態調査等により制度の公平性・中立性等について検証し、特定の業界・法人に偏っている状況を見直すべきである。また、当該制度によって促進された研究開発投資等の効果について検証すべきである。」という内容の議決になっています。

 委員会での議決というのは重いものだと認識しておりますが、そこで、研究開発税制に特化して伺いますけれども、今の御紹介した議決を受けて、どう検証したのか具体的に教えていただきたいと思いますし、今回の税制改正にどう反映されたのか、お答えいただけますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 研究開発税制を始めといたしまして租税特別措置、これは特定の政策目的を実現するため有効な政策手段となる一方で、税負担のゆがみを生じさせる面があることから、必要性、政策効果をよく見きわめることが重要でございます。

 このため、毎年度、税制改正のプロセスにおきまして、各府省が要求の際にその政策効果等について評価を行って、その上で、総務省がその内容を点検し、結果を公表するということになっております。当該評価や、租税特別措置の適用実態調査、この内容なども踏まえまして、財務省として、改正要望についての精査を行っております。

 御指摘の研究開発税制でございますけれども、こうしたプロセスを経まして、三十一年度改正におきまして、対GDP比で二〇二〇年度までに三%以上とするという政府目標を踏まえまして、現行よりも民間の研究開発投資を増加させる必要があるということで、研究開発投資の増加インセンティブを強化する観点から控除率を見直すということとしたほか、質の高い研究を後押しする観点からオープンイノベーション型を拡充するといった、めり張りをつけた見直しを行うこととしているところでございます。

高木(錬)委員 政策効果の見きわめということを何度も答弁されていますが、しかし、そこは、経済情勢全体も見渡した中で、この租特の効果がこうであるということはなかなか申し上げにくいということもこれまでの委員会の中でもおっしゃっておられて、答弁でありまして、なかなかそこが、どのような効果が示されているのかというのが検証しにくいですよね。

 不断の見直しをしていくという中では、先ほど来申し上げているように、特定の業界や法人あるいは大企業に偏ったものにしていかないように、公平性も担保してということでありますけれども、これは毎年、当委員会で厳しくチェックしていかなければいけない。隠れ補助金などという言葉もありますけれども、本来でしたら入ってくるはずの税収でありますので、そこはやはり、経済情勢、さまざまな要因があるとはいえ、本当に役に立っているのかということは、きちっと委員会として、また私個人としてもチェックしていきたいというふうに思います。

 次に、事業承継について伺ってまいります。

 まずは、今回は個人事業者ですけれども、昨年の改正にありました法人向けについてちょっと何点か伺いたいんです。

 趣旨は、その都度御説明がありますけれども、地域経済の活力の維持や雇用の維持、あるいは廃業に伴うGDPへの影響、雇用への影響ということは、もうこれまでも各先生方から御指摘、御質問があったとおりでありますが、その趣旨は大変私も理解しておりますけれども、とはいえ、平成二十九年十一月に提出されました会計検査院の報告書がありまして、これの中には運用面での課題が指摘されています。

 紹介いたしますと、事業承継税制の適用事例の中に、1、多額の資本剰余金を有する企業が適用対象となっていた。2、年十億円を超えるような多額の課税所得のある企業が適用となっていた。3、資産管理会社の性質を強く持つと思われる企業が適用対象となっていた。4、今御紹介しました1から3に該当する事例において、多額の特定資産を有する企業が事業承継税制となっていたというふうな報告書でありますが、この会計検査院の指摘をどのように現時点で受けとめていらっしゃいますでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十九年十一月の会計検査院の報告の件でございます。

 先生御指摘なさいましたように、この会計検査院の報告書は、相続税に関する租特の適用状況に関するものでございます。また、指摘内容は、今御紹介があったようなことでございます。

 この点、見てみますと、例えば、資本剰余金や課税所得金額、また特定資産合計額に係る指摘につきましては、資本剰余金の額、課税所得金額の多い少ない、多寡をもって一概に事業の概況を把握できるというわけではないというふうに考えております。

 また、資産保有会社等に係る指摘につきましては、単に個人の資産を管理する目的で設立された事業実態のない会社が本税制を適用することを排除するために一定の要件を課しているところでございますけれども、事業実態のある会社まで排除するものではないことから、それぞれ御指摘の点はわかりますけれども、制度の改正をしていくかどうかということについては慎重な検討が必要であると考えているところでございます。

高木(錬)委員 先ほども触れましたように、この先、後継者が見つからず事業が承継できない、ゆえに廃業になってしまうということは避けなければいけない、そういうある種の危機感であったり問題意識は私も共有しますし、この税制や経産省さんが取り組まれているさまざまな政策が効果的に働いて、日本経済の屋台骨を揺るがすようなことにならないような、そういう事態に持っていきたいなということは共有するところではありますが、ただ、あえていろいろな指摘を紹介しながら、大丈夫ですかということを伺っていきたいと思います。

 次に、同じく法人向けの話ですが、一部の識者の中には、株式評価が低い企業に課される相続税等の負担は軽く、株式評価の中程度の企業については株式評価の引下げや株式数の減少を図ることによる税負担の軽減が可能であるため、よって、事業承継税制による税負担軽減の効果が有効に機能するのは株式評価の高い優良企業に限られ、経営の順調な企業にとっての節税手段となるという指摘もありますが、このような考え方についてどう思われていますか。

星野政府参考人 昨年、中小法人の事業承継税制、抜本的に拡充を図ったところでございますけれども、この制度は、経営者が非上場株式を後継者に贈与又は相続する際の贈与税、相続税を納税猶予する制度でございます。

 本制度は、非上場株式の価額に応じて猶予税額がふえるということでございますので、そういう意味では、非常に優良な企業であり、株式の評価が高い企業がメリットを受けるということは、それは確かだろうと思います。

 ただ、今申し上げました三十年度の税制改正では、承継時の贈与税、相続税の支払い負担、これをそのときにゼロにする、繰り延べるという拡充でございますので、非上場株式の価額の大小を問わずメリットが及ぶ制度になっているところでございます。

 こうした税制措置に加えまして、マッチング機能の強化ですとか後継者支援の補助金などをあわせた切れ目のない支援により、あまねく中小企業、小規模事業者の事業承継を後押しできるものと考えております。

高木(錬)委員 時間も来ましたので、あと幾つか準備しておったんですが、また、御答弁を準備された皆様には大変恐縮ですが、最後の質問をさせていただきたいと思いますが、私も、ちょっと一点、最後に消費税関連について伺いたいと思います。

 これまで、消費税が創設されたのも年度初めの四月でした。その後の引上げのタイミングも年度初めの四月でありました。今回、初めての十月の引上げということになります。年度途中での引上げは初めてということであります。

 この際、年度途中での税率改定自体を云々することはしませんが、先ほど来出ています需要の平準化という意味では、どうなんでしょうか。駆け込み需要があって、その反動がある、年度単位で見ると、実はもう平準化されるというか、しょせん駆け込み需要も需要の先食いなだけであって、自然と平準化されるのではないか。そこにわざわざ巨額の税金を、先ほど来、今井先生からも御指摘がありました、事務費で一千百八十一億円、端末導入への補助金三百二十五億円、合計一千五百億円という巨額の税金をかけて、いわば季節変動のようなものだったりすると思うんですよね、そこに平準化させなきゃということで巨額の予算を使う意義。あるいは、民間の事業者にも、さまざま煩雑な事務、新しい機器の導入、いろいろな広報、周知徹底、先ほど来ずっと上がっていますが、こういうものをどんと無理強いすると申しますか、これが果たして本当に必要なんだろうか。

 繰り返しますが、年度で見ると自然と、年度で見ると、こうなっていますけれども、平準化されるんじゃないか、そこに巨額の税金を投入してやる意味がどこまであるのだろうかと私は非常に疑問を感じているところであるのですが、最後にこの点を伺いたいと思います。

うえの副大臣 お答えをいたします。

 駆け込み需要と反動減について、中長期的に見れば平準化されるのではないかという御指摘でございますが、そういった面ももちろんあろうかと思います。

 ただ、その需要と反動減、駆け込み需要と反動減の規模が大きくなる場合には、税率の引上げの前後で企業の設備稼働率が大きく変動して資源の利用が非効率となるなど、経済にとってもマイナスの影響が生じ得るものであろうと思います。

 実際、前回の消費税率引上げの際に景気の回復力が弱まった大きな原因は、耐久消費財を含む個人消費等に大きな駆け込み需要と大きな反動減が生じたことであると考えておりますので、今回は、こうした前回引上げ時の反省を踏まえ、消費税率の引上げによる経済への影響の平準化に万全を期す、そうした観点から予算、税制等を総動員することとしたところであります。

 重点的かつきめ細やかな対策を期間を区切って集中的に講じることによりまして、需要変動をしっかりと乗り越え、景気の回復軌道というものを確かなものにしていきたいと考えています。

高木(錬)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内です。

 大臣、よろしくお願いします。

 まず、先日の財務金融委員会、二月十九日だったんですけれども、そこで、さまざまな統計問題というか、今回の毎月勤労統計をめぐるさまざまな問題について、ある一定の端緒になったのではないかと考えられる平成二十七年十月の麻生大臣の経済財政諮問会議での御発言というものについて取り上げさせていただいて、そのときの大臣の御答弁が、いろいろ御質問があっておりますけれども、いかにも唐突のように見えるのかもということなので、多分、恣意的ではないかというお疑いがあるということはわからぬことではありませんけれども、この会議に、この会議というのは経済財政諮問会議に出る前に、官邸での統計関係の会議に出ていたときに、今申し上げたような、通販と新規着工といろいろな話の中で、統計をちゃんとしてもらわないかぬという話を、その統計会議や何とかという会議に出たときに話をしておりましたので、そのすぐ後にこの諮問会議がありましたので、私どもとしては、その意見を、これに基づいて私が発言をしておりますというふうに御答弁をされて、うわ、経済財政諮問会議に出る前に何かあったんだと思って、すごい答弁だと思っていたら、その委員会の後すぐ財務省の方が私のところにいらっしゃって、ちょっと大臣が勘違いをされたようですということだったので、ちょっと御説明をいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 御指摘のとおり、平成二十七年十月十六日の財政諮問会議の前に、官邸において統計関係の会議に出て、統計について発言したということは、そういった事実はありませんでしたので。

 ただ、私としては、ちょっとそう言った記憶はあったので、俺もちょっとぼけたかなと思って、そんなはずはないがと思って調べさせてみましたら、統計関係の偉い方が座っておられる会議というのを申し上げたと、議事録を調べたらそうなっておりましたが、諮問会議の後の平成二十九年、統計改革推進会議において出席をしておりまして、そこで発言した記録が残っておりましたので、その会議に多くの専門家の方が出席されておられたので、この会議と誤認をしたんだということだと思っておりますので、財金の委員会での発言は撤回させていただき、おわびを申し上げます。

川内委員 そこで大臣に、今、そんなはずはないがな、こう大臣もおっしゃられたわけですが、経済財政諮問会議で、毎月勤労統計を始めとする統計の精度の問題を御発言になられる前に、毎月勤労統計に関して、サンプルがえのときに段差が生じるんだよ、これはいろいろな人に指摘されているんだよということを、どなたかからレクを受けられたんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺の、誰からレクを受けたとか、いつ受けたとか、そういうことに関して教えていただければというふうに思います。

麻生国務大臣 毎月勤労統計のサンプル入れかえの時期に格差が生じるという話につきましては、これは、私が直接諮問会議の方からレクを受けたということではなくて、これはたしか河野龍太郎先生とかBNPパリバでしたかね、とかそういう方々からもよく話を伺いますので、清家先生とかそういった方々からこの種の格差が出るという点は伺ってあって、何で出るんですかと言ったら、全部入れかえると言うから、何でですかと言ったら、いや、そういうことになっておるというお話だったので、それはちょっと随分、三年前まで戻ってノーだということになると、ちょっと私ら、それをもとにしてやっておる我々としてはぐあいが悪いという意識がその当時からありましたのは事実であります。

川内委員 ありがとうございます。

 では、統計についてはまた後ほど聞かせていただくとして、きょうずっと話題になっているポイント還元のことについて、お話をちょっと聞かせていただきたいというか、教えていただきたいんですけれども。

 事務費が大変な額に上るじゃないかということで、ただ、私、予算書をまじまじと見るというのはなかなかないんですけれども、平成三十一年度の予算案の予算書には、消費者行政推進費として二千七百九十八億という数字がただ載っているだけで、経済産業省のウエブサイトにある各目明細書を見ても、消費者行政推進費として二千七百九十八億という数字が出ているだけと。

 この間、事務費が六百八十三億だとポイント還元について話が出ているわけですけれども、予算書を見ても各目明細書を見てもその数字はどこにもないんですけれども、この事務費が六百八十三億、それだけでもすごいなと思うんですけれども、詳細を、何にそんなに使うのか、六百八十三億の内訳をまず教えていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のポイント還元に関する諸経費、事務経費ということで、六百八十三億円ということでございますが、内訳を申し上げますと、一つは、ポスター、チラシ、ウエブや新聞、テレビを通じたいわゆる一般的な広報、説明会という費用でございまして、これが約六十億円。

 さらに、今回の事業に関しましては、これに加えまして、今まで高い手数料を負っている既存の中小加盟店を含めて、幅広く中小・小規模事業者の皆さんに参加してもらうことが重要でありますので、各店舗への制度の周知、勧誘、契約締結や端末入れかえなどの必要な対応のサポート、それからポイント還元開始後のフォローアップといったきめ細かなハンズオン支援を徹底的に行うということが必要だと考えておりまして、このハンズオン支援として約三百億円を計上しております。

 また、今回の事業実施に伴う新たなシステム開発、改修にかかる費用として約百四十億円。

 このほか、制度に関する問合せ対応のためのコールセンター設置、あるいは、加盟店の登録手続、実績報告などに関する事務、その他消費税等も含めまして約百八十億円ということでございます。

 こうした事務経費につきましては可能な限り効率的に執行して、本来のポイント還元の原資にできるだけ多く充てるようにしていきたいというふうに考えております。

川内委員 きょうはこの細目について深く聞くことはなかなかできないんですけれども、ポスター、チラシで六十億、各店舗への支援に三百億、システムの開発とかは、別途予算は計上されていたと思うんですけれども百四十億、コールセンター等を始めとするその他事務費で百八十億、合計すると六百八十億になるわけですけれども。どうやったらこんな何百億というお金が使えるのか、私も大変興味があるので、更に詳しくまた聞いてまいりたいと思うので、詳細な資料を御用意いただいておければというふうに思います。

 続いて、軽減税率についてお伺いをいたします。

 先ほども議論に出たんですが、総合合算制度、これはもう明白に低所得者対策なわけですけれども、総合合算制度を廃して軽減税率を政府として採用した。低所得者対策である、あるいは逆進性対策であるということをおっしゃられて、この軽減税率、合計一兆一千億の減税をされるということでございますけれども。

 昨日、予算委員会で、国民民主党の玉木代表が、この軽減税率の各所得階層別の恩恵額について、国民民主党として試算をしたパネルをお示しになられました。

 はあ、私、なるほどなと思って、これは政府としてしっかりと、この軽減税率が各所得階層にどのくらいの恩恵をもたらすのかということについて、それはいろいろな難しい問題はあるでしょうから、ある一定の仮定を置いたとしても、一兆一千億ですから、それがどういうふうにお金が行くのかということは、政府として、低所得者対策である、逆進性対策であるという以上、説明をする責任が生じているのではないかというふうに思います。

 そこで、この所得税法等の一部を改正する法律案がいつ採決をされるのかはまだわかりませんけれども、これは、先ほど野党各党で相談をして、一致して政府に申し上げたいんですけれども、この法案の審議の中で、この軽減税率の各所得階層への恩恵額については政府として責任ある数字をお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、消費税の軽減税率制度の減収見込み額、これは、今先生から御指摘がありましたとおり、平成三十一年度予算における消費税収をもとに、約一・一兆円ということで見積りを行っております。

 これが各家計ベースでどれだけの負担になっているのかというのが先生の問題意識だと思いますけれども、先生から御要望がありました収入階級別のデータ、これによって割り振っていくということが考えられるんですけれども、これが最も詳細に示されているのは家計調査の二人以上世帯のデータでございます。

 ただ、これ自体、全世帯を網羅しているわけでもございませんので、そういう意味では、ある意味、大胆な仮定というか、この数字をもとに割り振るというような仮定を置いていただければ、それでもって一兆一千億を割り振るということは可能でございますけれども、そこは先生の問題意識も踏まえまして、早急に作業ができるのであれば決めて作業を行うということだと思いますが、ちょっとまたそこは御相談させていただければと思います。申しわけございません。

川内委員 統計そのものが推計になるわけですから、推計を推計すると推計の自乗になっちゃうので、政府として出すのはどうかという思いもおありになろうかと思いますけれども、しかし、その一兆一千億という軽減税率を適用される減税額というものがどのように配分をされるのかということについては、今おっしゃられたように、大胆な仮定、ある一定の仮定を置いたらこうなるということはしっかりお示しをいただく必要があるというふうに思いますので、急ぎ作業をお進めをいただきたいというふうに思いますし、野党各党で一致してお願いをするので、ここはどうすればいいでしょうかみたいな話があれば、またおっしゃっていただければというふうに思います。

 さらに、この前の財務金融委員会で、今、子供の貧困というものが大変問題になっているわけですけれども、相対的貧困の状態にある子供とそれから生活保護世帯の子供を比べたときに、生活保護世帯の子供さんたちというのは相対的貧困ラインよりも上である。ということは、世の中には生活保護世帯の子供たちよりももっと厳しい状況の子供たちがいるということを指し示しているわけですけれども、先日、麻生大臣も、そこは自分たちも、安倍総理大臣も重要なテーマだと思っているよという御答弁をいただいたわけですけれども。

 そこで、ちょっと事実だけ確認をさせていただいておきたいんですけれども、平成三十一年度の予算案、幼保無償化というのが大変に、一方ではたくさんの人々が期待していらっしゃると思います。その幼保無償化の予算額と、そのうちの子供の貧困対策に使われる予算額。

 その幼保無償化の予算のうち子供の貧困対策というのが、予算があるんですか、あったらその額を教えてくださいというのを御答弁いただきたいと思います。

川又政府参考人 お答えいたします。

 幼児教育、保育の無償化につきまして、平成三十一年度予算案といたしましては、国と地方を合わせた公費ベースで三千八百八十二億円、ただし、これは半年分でございますので、平年度ベースで七千七百六十四億円となっております。

 この幼児教育、保育の無償化に係る所得階層ごとの公費負担額を、年末に試算をして公表しております。このうち、例えば、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対してのこれまでの保育料の減免あるいは段階的無償化も含めた全体の公費負担額については、幼稚園、保育所合わせて平年度ベースで四千六百億円ということでなっておりますけれども、このうち今回の無償化に係る追加的な公費は約百億円となっております。

川内委員 三千八百八十二億円のうち百億円が、でも生活保護世帯の、今御答弁いただいたのは誰でしたっけ。

坂井委員長 川又審議官。

川内委員 川又さん、この前、この財務金融委員会でみんなが認識したわけですけれども、生活保護世帯の子供さんたちというのは、相対的貧困よりも上のラインなんですね。

 子供の貧困対策、相対的貧困をなくしていこうというのは、生活保護世帯の子供たちに近づけていくように貧困対策をするということだと思うんですけれども、今お答えになられた百億円という数字は、生活保護世帯の子供たちへの支援というのも入っているわけですから、子供の貧困対策という意味においては、もうちょっと数字が下がるというふうに私は思うんです。

 そこを厳密に政府としてやはり認識して子供の貧困対策というものをやっていくことが、将来の日本の明るい未来につながる、子供たちの未来につながるというふうに思うので、何かがみがみ言うおっさんみたいでちょっと自分もあれなんですけれども、申し上げさせていただいておきたいというふうに思います。

 続いて、きょうはたくさん質問があるものですから、統計問題に参りたいと思いますが、これはもう政府のあらゆる政策の基礎ですから聞かせていただきますが、予算委員会で姉崎元部長が、私はサンプルの部分入れかえに反対じゃなかったんですよ、反対じゃなかったんですよということを盛んにおっしゃるんですけれども、では、その姉崎元部長が部分入れかえに反対ではなかったということを証明できるような文書あるいは打合せメモ等が厚生労働省の中に残っているんでしょうか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨日の元統計情報部長の答弁によりますと、経済企画庁に出向するなど、職業生活におきまして若いころから毎月勤労統計を使う機会が多く、統計ユーザーの一人として、サンプル入れかえに伴う遡及改定についてかねてから問題意識を持っており、統計情報部長に就任して以来、専門家による検討の場を持つなど、改善の方策を考えたいというふうに思っていたとのことでございました。

 しかしながら、そのことを証明する資料については、現在のところ確認できておりません。

川内委員 それでは、次に、根本大臣の御発言なんですけれども、委員以外の関係者とは中江秘書官のことであるというふうに根本大臣が御答弁されているんですけれども、この御答弁は、根本大臣が事務方に確認したところ、その事務方が姉崎部長に連絡をとり、その姉崎部長が、中江秘書官のことであるというふうに事務方から報告を受けたのでそう答弁したのだという、何か非常にわかりにくい御答弁をされるわけですけれども、根本大臣が確認した事務方とは誰なのか、そして、その事務方は姉崎部長に直接確認したのか、それとも誰かを使って確認したのか、そして、その姉崎元部長は何と答えたのかという、ちょっと細かいことをきちんと教えていただきたいと思います。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十日の大臣の答弁は、元統計情報部長が担当補佐が座長に出したメールをまだ見ていない段階のもので、推測に基づく話ということで、伝聞として答弁したということでございます。

 その後、担当補佐が送付したメールが出てきたために、改めてメールを書いた担当補佐に対しまして事務方が確認したところ、昨日の政府参考人答弁にもあるように、委員以外の関係者というのは、担当補佐の認識は、姉崎当時の統計情報部長と、統計関係の有識者、あと元統計情報部長が接触した総理秘書官が念頭に置かれたということがわかったものでございまして、その旨、昨日政府参考人から答弁されたものでございます。

 したがって、これらの答弁はいずれもその時点の関係者の認識をお伝えしたものということでございますが、ただいまの御質問にございました件につきましては、前日に質問通告があったことから、事務方が元統計情報部長に電話で、委員以外の関係者という報道がございましたので、それについて確認したというものでございまして、先ほども申しましたように、メールを見ていない段階での推測として、元統計情報部長からそういう話があったというふうに承知しております。

川内委員 姉崎さんに電話した事務方というのは誰ですか。

土田政府参考人 事務方でございますので、差し控えさせていただきたいと思います。

川内委員 いやいや、名前を言ってくださいというんじゃなくて、役所の皆さんはみんなポストで仕事をされるわけですから、ポストの名前があると思うんですけれども。

土田政府参考人 政策統括官部局に属しておる、企画官クラスの者だったというふうに承知しております。

川内委員 その人が連絡をとって、姉崎さんが中江さんのことだと、委員以外の関係者とは中江さんのことですよというふうにその企画官に答えたんですね、姉崎さんが。

土田政府参考人 そのように承知しております。

川内委員 それでは、きょうお配りした資料をちょっと先生方に見ていただきたいんです。

 これは統計委員会が厚労省に対して出したメールなんですけれども、日付が二〇一八年十二月十日十四時五十六分。このメールが厚労省に対してとどめを刺したわけですね。あなたたち、何か変なことしているんじゃないのということを指摘するメールなんです。

 一枚目、それから、二枚目以降が資料になっていて、済みません、資料にページ数を打たずに来てしまって申しわけないんですが、二枚目、三枚目、四枚目までがこのメールでございまして、毎月勤労統計において全数調査をしていないのではないかということを、このメールの中のどの部分がその核心なのかということを、ちょっと統計委員会というか総務省に御説明いただきたいと思います。

横山政府参考人 お答えします。

 先生御指摘の資料の四枚目のところに「サンプル脱落によるバイアス」というのが参考で書かれていまして、その表の中に、標本入れかえによる賃金、決まって支給する給与の新旧の段差とありまして、五百人以上九百九十人のところと千人以上のところを着目していただきますと、本来、段差が生じないところについて、実は大きな段差が生じている、こういったことでございます。

川内委員 ここに三・五〇ポイント、二・九八ポイントという段差、生じるはずのない段差が生じているということを統計委員会が厚労省にメールで指摘をした。

 厚労省は、その指摘を受けてどう思ったんですかね。ばれたと思ったんですかね。どうですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 特別監察委員会の報告書によりますと、当時の雇用・賃金福祉統計室長は、毎月勤労統計調査の規模五百人以上の事業所の数値につきまして、本来であれば全数調査であるため、ローテーションサンプリング前後で段差が生じることはないにもかかわらず、実際には段差が生じていることについて、総務省から指摘を受けたというふうにされているところでございまして、ただいま総務省の方から御指摘のあった部分につきまして、大きな新旧段差となっていることが指摘されたということが今回の事案のきっかけとなっているというふうに考えております。

川内委員 資料の二枚目に、「毎月勤労統計 調査の改善に向けて」という、厚労省の大変なミスというか不正を指摘した資料をおつくりになられた方の名前が出ています。総務省参与肥後雅博さん、こう出ていますが、この方は、日銀からの総務省統計委員会への出向者ということでよろしいかというのを教えてください。

横山政府参考人 お答えします。

 肥後参与は、平成二十九年四月二十四日に任命されており、日本銀行から来ていただいている方であります。

川内委員 資料の一ページ目にある、肥後さんはCCでこのメールを受け取っているわけですね。その右横にある吉野克文さん、この方も日銀からの出向者でございますね。

横山政府参考人 お答えします。

 吉野政策企画調査官は、平成二十八年四月一日に任命されており、やはり日本銀行から来ていただいている方であります。

川内委員 政府の中の厚労省における毎月勤労統計の不正を日銀からの出向者が見破ったということになるわけですけれども、きょうは日銀の副総裁にもお運びいただいているわけでございますけれども、お忙しい中にありがとうございます。

 この二人を統計委員会へ出向させた経緯を教えていただきたいと思います。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行では、広く金融、経済の実情を職員に経験させるといったことを通じまして、日本銀行の目的達成に資する人材の育成を図る観点から、官公庁などを始めとする外部組織に対し職員を派遣することがございます。

 本件につきましては、まず、肥後次長でございますけれども、総務省から統計委員会の機能強化のために人材を派遣してほしいとの依頼を受けまして、先ほど申し上げたような観点も踏まえ、いわば統計の有識者として出向することになったものでございます。

 もう一人、吉野につきましても、先ほど申し上げたような、日本銀行の目的達成に資する人材の育成を図るといった観点から、外部との人材交流の一環として行っているものでございます。

川内委員 大変優秀な方二人が統計委員会にいたから、この不正が見つかった。この二人がいなかったら、何にもわからないままずっと行くわけですね。今も多分わかっていないわけです。大変なことだなというふうに思うわけです。

 十二月十日のメールがあって、そして、十二月十三日に厚労省は西村統計委員長に、全数調査をしていませんでした、調査計画に反していました、さらに、段差が生じるのは全数調査をしていない三分の一抽出で、それを平成三十年の一月にこっそり復元しているから段差が生じたんですということを白状されたのではないか。

 それを受けて、十二月十四日に、総務省政策統括官付統計審査官名で厚生労働省参事官お二人に宛てて、法に基づく変更申請を行わなかった理由、承認を受けた調査計画との乖離が生じることのないよう留意されたいとか、法の各規定を遵守するとともにと、この十二月十四日の公文書は、厚生労働省が法を守っていませんよ、守っていないですねということを指摘する公文書を発出していらっしゃいます。

 この公文書を受け取った二人の参事官、企画調整担当参事官、雇用・賃金福祉統計室長参事官のうち、企画調整担当の参事官は、毎月勤労統計について、厚労省の統計部局が全数調査をしていない、そして平成三十年の一月にこっそり三倍復元したということを、最初から知っていたんですか、知らなかったんですか。

土田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の総務担当参事官本人に確認したところ、昨年十二月十三日の前政策統括官への報告以降初めて聞いたとのことであり、それ以前は知らなかったということでございます。

川内委員 知らない人がいっぱいいるわけですけれども。

 それでは、十二月十三日の統計委員会委員長と野地室長との打合せ、これは、実は、この資料の二ページ目に、表紙を着目していただきたいんですけれども、二〇一八年十二月十七日という日付がこの資料に書いてあるんですけれども、この日付は何なのかというと、統計委員会が開かれる日なんですね。統計委員会に肥後さんがこの資料を出しちゃうよ、出していいのということを十二月十日にメールで厚生労働省に通告するわけですね。それで、ああばれたということで、十三日に打合せを急遽して、結局、この十二月十七日の日付の肥後さんの資料は、統計委員会あるいは統計委員会懇談会に資料提出をされていませんね。

横山政府参考人 お答えします。

 統計委員会懇談会に提出することを予定しておりましたが、提出はしておりません。

川内委員 ということは、この十二月十三日の西村委員長と野地室長との会合、あるいは、大西さんから電話がもしかして統計委員長にあったのかもしれない。ちょっと十七日の会合にその資料を出すのは勘弁してください、お願いしますよという依頼があったんですか。

横山政府参考人 お答えします。

 そのような依頼はないと承知しております。

川内委員 だけれども、なぜか資料が統計委員会に出なかったと。

 これは最重要資料ですよね、厚生労働省の不適切な統計の取扱いを証する資料。そして、十二月十四日には、総務省から厚生労働省に対して、公文書で、法令を守っていないということを指摘する文書が発出されている。

 しかし、統計委員会は十二月十七日に開かれています。十二月十七日に開かれています。毎月勤労統計について、何事もなかったかのように議論が行われている。関係者はみんな知っているわけですよ。だけれども、何事もなかったかのように議論が行われている。

 この統計委員会議事概要というのはウエブサイトを見れば誰でも引っ張り出せるわけですが、この統計委員会議事概要の中にある出席者の中で、厚生労働省が毎月勤労統計において全数調査をしていないということを、法令に反していることをしていたということを知っていた人は誰でしょうか。

横山政府参考人 お答えします。

 議事概要に記載されている者のうち、十二月十七日の時点で東京都において全数調査を実施していないということを知っていたのは、総務省関係では西村委員長、総務省では、三宅政策統括官、審議官である横山、それから櫻川室長、肥後次長、上田次長であります。

川内委員 ちなみに、この審議協力者のところにある、日本銀行調査統計局参事役というのは誰ですか。

横山政府参考人 お答えします。

 日本銀行の森参事役です。

川内委員 あと、この十二月十四日の厚労省に対して法令を守っていないよということを指摘する統計審査官の公文書、これは決裁はどこまで決裁しているのか、回覧は誰までしているのかということを教えてください。

横山政府参考人 お答えします。

 統計審査官というのは課長級でありまして、この公文書につきましては、総務省の文書管理規則上は、統計審査官までの決裁であります。

 ただし、平成三十年十二月十四日に厚生労働省担当参事官に出した文書につきましては、統計審査官名の公文書でありますが、政策統括官には説明しているというところであります。

川内委員 政策統括官といえば局長級ですよね。厚労省も大西さんは局長級ですよね。もうこの時点、十二月十七日の時点では、法令に反しているということはそれぞれの局長級まで知っていた。しかし、これは政務には全く報告していないわけですね。この前の予算委員会で、きょう来ていただいている鈴木副大臣は、十二月二十一日に知ったというふうに御答弁になられました。

 お互いの局長同士で十二月十七日の統計委員会をやり過ごす、そして肥後さんがつくった資料も出さないというのは、これはちょっと私は看過しがたい事態ではないかと。国家公務員の倫理規程とか、あるいはさまざまな行動規範があると思うんですけれども、法令に反していることがわかっていながら、そのことに口を拭って会議を開く、そしてそこで何も言わないというのは、私は、これは、きょうは官房長に来ていただいていないので、また後日、官房長に来ていただいて確認をしたいというふうに思いますが、それが果たして許されることなのかどうかですね。

 さらに、厚労省は十二月二十日に根本大臣に御報告されるわけですけれども、その根本大臣への報告について文書をつくっていただいたんですけれども、十二月十七日の統計委員会を何事もなかったかのようにやり過ごした後、大西さんは厚労省の中で官房幹部に十九日に説明するわけですね。十八、十九、それで二十日に大臣に報告する。

 その大臣に報告した内容というのは、五百人以上規模の事業所において全数調査とすべきところ、東京都において抽出調査を行っていたこと、抽出調査の結果に必要な統計的処理を加えず、適切な復元処理を行わずに集計していたこと、この二点を報告したと書いています。

 ところが、全数調査をしていないだけでは段差は生じないんですよ。三分の一抽出をして、三十年の一月についてはこっそり復元するから段差を生じるわけであって、そのことは関係者はみんなわかっているわけです。

 なぜなら、十八日、十九日の、大西さんの下にいる参事官が土生官房総括審議官、定塚官房長、宮川厚生労働審議官に報告したときは恐らく、ごめんなさい、これは個別で口頭で報告しているわけですね。十九日に定塚官房長、宮川厚生労働審議官、そして事務次官に報告しているときは、大西さんは資料を用いて報告したとおっしゃっていらっしゃって、その資料もいただきました。平成三十年一月より算定方法を大幅変更、システム変更時に東京都の抽出調査について復元していると。復元しているから大幅な段差が生じるということをちゃんと説明しているわけですよ。しかし、大臣には説明していない。

 全数調査をしていないだけでは段差は生じないです、三分の一抽出同士ですから。三分の一抽出で、こっちは三分の一抽出、こっちは復元したから段差が生じるのであって、そのことをなぜ大臣に報告しないんですか。

土生政府参考人 十二月十九日の官房幹部への報告から大臣へのその翌日の一報に関する経緯でございますけれども、まず、十二月十九日午後には、次官、それから宮川厚生労働審議官、それから定塚官房長へ、先ほど委員から御紹介のありました二点につきまして報告がなされたということでございます。その際に、厚生労働審議官からは、次官に速やかに一報するように、それから次官からは、事案の把握と速やかな大臣への一報について指示があったということでございます。

 この時点では、事案の具体的内容が明らかになっていない段階でございましたけれども、先ほど委員から御紹介のありました二点につきまして、翌日二十日に大臣に御報告をいたしまして、大臣からは、経緯、原因等につきまして速やかに徹底的な調査を行うよう御指示があった、このような経緯でございます。

川内委員 土生さん、全然聞いたことに答えていないんですよね。土生さんは知っていましたか、こっそり三倍復元をしたことを。報告を受けましたか。

土生政府参考人 私のことでございますけれども、十九日には、今申し上げましたとおり、次官、厚生労働審議官、それから官房長に説明があったということで、私は十九日の説明は受けていないということでございます。(川内委員「いや、十八日」と呼ぶ)十八日には説明を受けておりますけれども、十八日の時点では、先ほど委員から御紹介ございましたうちの一点目、五百人以上の規模の事業所において全数調査とすべきところを、東京都において抽出調査を行っていた、その事実につきまして説明を受けたということでございますので、復元処理が行われていたかどうかにつきましては、私は十八日の時点では承知をいたしておりません。

 また、十九日にも、他の業務で多忙であったということで報告を受けていないという事実関係でございます。

川内委員 それで、先ほどの質問に戻るんですけれども、三十年の一月のデータだけ復元しているデータなんですよ、だから段差が生じるんですよということをなぜ大臣に報告しなかったんですかということを聞いているんですけれども。

土生政府参考人 御説明いたします。

 これまで前大西統括官等々が国会で答弁されているところによりますと、十九日の時点では事案の具体的な内容が明らかになっていない段階ということでございましたので、先ほど委員から御紹介のありました二点につきまして、大臣に報告をしたというふうに承知いたしております。

川内委員 全然答弁になっていないですね。

 全数調査をしていないだけでは段差は生じないです。一方だけ復元するから五百人規模以上の事業所について大きな段差になっている、それが肥後さんの指摘ですよ。関係者はみんなわかっているんですよ。だから、十九日の説明資料には、東京都の抽出調査について、三十年の一月からは復元しているということをちゃんと書いているわけですよ。しかし、それを大臣に報告していないというのはおかしなことではないか。

 鈴木副大臣は十二月二十一日に報告を受けていらっしゃるわけですけれども、それまでは全く知らなかったんですよね。この統計委員会に鈴木副大臣は出ていらっしゃいますから。出るときにも、いや、ちょっと実は問題があるんですわ、それはまたわかったらちゃんと報告しますとか、そういうことも全くなかったんですよね。どうですか。

鈴木(淳)副大臣 その時点ではございませんでした。

 と申しますのは、実は、十七日の統計委員会でありますが、我々政務が就任しますと早い段階で挨拶に行くということでございまして、この日も挨拶に行って冒頭で御無礼しておりますので、その日については全く知りませんでした。

川内委員 十二月十七日のこの統計委員会なんですけれども、肥後さんの資料を配付しなかったということですが、これは誰の判断で配付しなかったんですか。

横山政府参考人 お答えします。

 統計基準部局の責任者である政策統括官の判断でございます。

川内委員 だから、ますますこの政策統括官、それから大西さん、これは、問題が発覚して政務への報告まで十日間かかるわけですね。その間、我々の言葉で言えば隠蔽しているわけですよ、事務担当者レベルで。法に反することが明らかであるということは、もう十二月十四日の時点で総務省は断定しているんですよ。

 これはリスク管理として一体どうなんですかというふうに思うんですけれども、きょう日銀の統計局長にも来ていただいているんですが、日銀の統計局長さんは、この事案について、肥後さんから、いや、実はこんなことがあるんですと、日銀の出向者ですから、日銀の立場もありますので、話すことは全然構わないと思うんですけれども、いつごろお知りになられましたか。

関根参考人 お答えいたします。

 統計委員会担当室の肥後次長から私関根に対して、本件について事前に情報共有が行われた事実はございません。毎月勤労統計の不適切調査については、当時の報道を通じて初めて認識したという経緯でございます。

川内委員 副総裁はいかがでしょうか。

雨宮参考人 お答えいたします。

 関根調査統計局長と同様、私も報道で知りました。

川内委員 政府が経済財政諮問会議や統計改革会議などを設けて、一生懸命統計のことについて、それは、統計の精度を上げるとか実態を適切に反映する統計にするとか、それが数字をかさ上げすることにつながっているんだろうとか、それは評価の問題は与野党でいろいろあるにせよ、こういう問題が生じているときに、日本国憲法上、行政権は内閣に存すると書いてあって、行政権がそれぞれの政府の担当官に存するとは書いていないですからね。もちろん、いろんな委任規定で委任はされているにせよ。

 こういうことをしっかりと情報を共有していくということが文化としてないんだな、へえと。私どもがもし与党になって、もし私が役所に入って、何か下で起きているのに、起きていることが十日も二週間もたってから、いや、実はこんなことでしたと言われたら、私、何かすごい寂しい気になると思うんです。すぐ言ってくれればいいのにと思うんですけれども。

 特に私がどうしても解せないのは、十二月二十日の厚生労働大臣報告に、平成三十年の一月のデータからは復元しているんだ、だから段差が出ているんですということをなぜ報告しないのか。これは土生さんの御答弁ではとても納得できる答弁ではないですよ、まだ事案の詳細が明らかではないとか。

 事案の大もとは明らかなんですよ。三分の一抽出、調査計画に反していました、そして平成三十年の一月からそれをこっそり復元していましたと。これも調査計画違反ですからね。特別監察委員会の報告書には、何かもとに戻そうとしたから別にいいんだみたいなことが書いてありますけれども、これは違反ですから、調査計画に反するという意味において。それを大臣にも報告しない、事案の詳細が明らかではないからと。

 ちょっと確認しますが、統計委員会に教えていただきたいんですけれども、段差が生じるのは、五百人規模以上の事業所を三倍に平成三十年から復元したから、段差が生じるんですよね。それも一つの大きな要因ですよね。

横山政府参考人 お答えします。

 ギャップが生じるには、三つの要因があります。一つが、新旧サンプルの入れかえによるギャップが生じるということであります。もう一つは、ベンチマークの更新によるギャップが生じるということであります。三つ目として、委員御指摘のように、東京都分について乗率を前年変えなかったものについて当該年度に倍率を変えたということも段差の影響になっているものと考えております。

川内委員 特に三倍に復元したわけですから、その段差が生じるのは自明なんです。そのことを関係者はみんなわかっていた。しかし、それを、なおかつ十二月二十日に至っても厚労大臣にも報告しない。

 鈴木大臣もそのことの報告は受けていないでしょう。どうですか。要するに三倍に復元したから段差が生じているんですわということは、十二月二十一日に報告を受けていないでしょう。

鈴木(淳)副大臣 二十一日の報告でございますが、厚労省からの詳細な報告が遅々として進まないために、事実関係の一部しかわかっていないものの、その段階での情報としましては、全数の一部を抽出していること、それから、平成二十九年、二〇一七年十二月までは復元を行っておらず、結果が過少となっている可能性があるという報告がございました。

川内委員 統計委員会は割とちゃんと報告しているんですよ。厚生労働省は政務に報告していないんですよ。これは何でですか。何を隠そうとしたんですか。

土生政府参考人 私の立場からは、先ほど申し上げましたとおり、当時の統括官等の認識でお答えするしかないわけでございますけれども、事案の具体的な内容は明らかになっていなかったということの中には、例えば、どの程度の抽出率でどのような復元処理が行われていたかということについては、資料からも必ずしも明らかではないわけでございまして、そういったことで、事案の詳細はまだ明らかになっていない段階でありまして、まずは一報しろという指示を受けまして、先ほど委員から御紹介がありました二点を大臣に報告をした、このように承知をいたしております。

川内委員 私の質疑時間が終わりますので、一言だけ申し上げておきますが、この特別監察委員会報告書によれば、十三ページにこう書いてあります。

 J、Jというのは大西さんですね、大西さんは、「この時初めて今回の問題事案を把握し、当該打ち合わせの前にI」、Iというのは野地さんのことですね、野地さんに対して、「「統計委員会委員長に正直に話すよう指示した」と述べている。」と。要するに、十二月十三日の打合せのときには全部正直に白状してこいよということを、大西さんは野地さんに指示しているわけですね。

 だから、関係者は、全数調査をしていないということのみならず、三分の一抽出を三倍に平成三十年一月から復元しているということを知っている、それが段差の一つの大きな要因であるということもわかっている。しかし、それを政務には報告しなかった。それはなぜなのかというのは今後また教えていただきたいということを申し上げて、終わらせていただきます。

坂井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。緑川貴士君。

緑川委員 皆様、午後の質疑もよろしくお願いいたします。国民民主党・無所属クラブの緑川貴士と申します。

 所得税法等改正案の前に、前回の質疑、また、ちょっと途中でしたので、二〇一五年の十月十六日、経済財政諮問会議での麻生大臣の毎月勤労統計の改善についての御発言について、ちょっと質疑を続けさせていただきたいと思います。

 麻生大臣、この会議で、まず、前もお話ししましたが、このように提案をされています。毎月勤労統計については、企業サンプルの入れかえ時には変動があるということもよく指摘されている、ぜひ具体的な改善方策を早急に検討していただきたいというふうに御発言されております。

 その年のうちに、その年内に、十二月に総務省の統計委員会で毎月勤労統計などの改善について議論が始まっているということを考えますと、やはり、時系列で、経済統計を扱う政府関係者に影響を与える重大な御発言であったというふうに思います。

 翌年、総務省の統計委員会でまた新たに設置している統計の精度の向上及び推計方法改善ワーキンググループでも、二〇一六年の九月三十日にその第一回の会合が開かれておりますが、そのときにも、わざわざ引用して、平成二十七年十月、経済財政諮問会議において麻生議員が、GDP推計のもととなる基礎統計、括弧、毎月勤労統計を含むの充実に努める必要性を指摘とわざわざ記されている文書もこのときに配付をされています。

 その二〇一五年に何が起こっていたかというと、厚労省の検討会も突如活動を停止しています。二〇一五年の六月から行われていた厚労省の毎月勤労統計の改善に関する検討会では、サンプルの入れかえ方法について、そもそも、前から総入れかえ方式が適当との記載を予定していたところ、その総入れかえ方式で最終的な結論を、第六回目、九月の会で出そうとしていたこの旨を、検討会の座長であった阿部正浩教授に厚労省の当時の担当者がメールで送信していることも明らかになりました。

 しかし、中江首相秘書官から問題意識を伝えられた厚労省が、このサンプルの入れかえについて、やはり部分入れかえ方式で行うべきとの意見が出てきましたと、そのメールで阿部座長にあわせて報告されています。その報告が、直前も直前なわけですね。第六回検討会開催の九月十六日の二日前のメールです。結論を出すはずの第六回の毎月勤労統計で、中間的整理として、サンプルの入れかえ方式も含め、引き続き検討するという文言に変わってしまいました。方針変更を迫られたわけです。それ以降、検討会が開催されなくなっています。

 この流れで見ますと、次の月の十月に麻生大臣が御発言で、その統計改善を求める御発言が決定的であるなとやはり感じざるを得ないんです。

 事実関係をここで確認したいんですが、官邸での統計会議に麻生大臣が出席されていたとのお答えが前回ありました。経済財政諮問会議での御発言が役所から言われたのでないということもお答えをされていますが、厚労省と連絡をとっていた中江秘書官から経済統計について話を受けていたり、あるいは二人で話題にしていたことはあったでしょうか。

麻生国務大臣 中江秘書官とその種の話をしたかという御質問ですか。ありません。

緑川委員 官邸での統計の会議の中で、統計に関することを秘書官で話題にすることはないんでしょうか。

麻生国務大臣 総理秘書官と官邸でその話をしたかというさっきの質問とどこが違うんですか。(緑川委員「同じ、話題を、触れたことがあるか。二人で話をしたか」と呼ぶ)ありません。

緑川委員 あくまで、麻生大臣の前回のお答えでは、統計の不確かさについての経済財政諮問会議での御発言であったというふうにお答えですけれども、統計の精度が必ずしも十分でないことについては、これは以前から議論がありました。二〇一五年の以前から指摘されていたこと。二〇〇五年の小泉内閣が進めていた政府統計の構造改革、この内閣のときから議論されていた。前回の麻生大臣のお答えでは、総務大臣でいらっしゃったときからかかわっていらっしゃるというお話でありました。二〇〇五年から十年たっている間、議論があったはずなんです。

 それで、二〇一五年の十月、経済財政諮問会議で、毎月勤労統計だけの指摘にとどまっておりません。総務省の統計局が扱う家計調査、また総務省の消費者物価指数についても、複数、このとき麻生大臣から見直しの指摘があったということです。今までも十分な議論の時間があったはずなんですが、なぜ、堰を切ったようにこのタイミングで複数の御指摘をされたんでしょうか。

麻生国務大臣 堰を切ったようにという形容詞ですけれども、それが何を意味しているのかよくわからないんですけれども、少なくとも私の発言は、この二〇一七年のときの統計というのに関して、統計に関しては誤差が生じるというような問題があるのではないかと言っただけだと思いますが。その後、堰を切って動いたというような話は、ちょっとほかの話であって、私のかかわっているところではございません。

緑川委員 麻生大臣にお尋ねいたしますが、官邸の統計の会議、そして経済財政諮問会議、ほかの会議で統計についての御発言を、覚えている限りで構いません、どういった機会で発言されたことがあるか、教えてください。

麻生国務大臣 どういう発言をしたかということにつきましては、ちょっと待ってください。これはいっぱいありますね。これは全部読むんですか。(緑川委員「ぜひ」と呼ぶ)それでは、多大な時間を使わせていただきますけれども、それはあなたの要求ですからね。

 二〇一七年の十一月の四日、第十七回経済財政諮問会議で、経済統計の改善については、前回申し上げたところを具体化していただくという話になったので結構なことだと思っているが、迅速な統計が出てこないとは、これはいかがなものかと常々思っている、今、いわゆるテレビショッピングといった通信販売は、これだけの人が買って、これだけのシェアを占めているのに、今の経済統計に十分加味されていないというのは、どう考えてもおかしいと思うので、こういった考えを真剣にしてもらわないかぬ。

 二十八年三月二十四日、経済財政諮問会議。通販で十万、二十万の宝石が売れる時代は我々の世代では考えられないが、今では、あっという間に売れる、このような高いものがこのような短期間で売れているので、少しおかしいのではないかと思い、調べたが、本当のところであるから、そういったものが統計に入っているのかということについては疑問があります。

 平成二十八年十月の二十一日。住宅着工の三割がリフォームであるのにリフォームは統計には載らない、通信販売の額も大きくふえているのに十分載っていない、そういったのはおかしいのではないかという話を、昨年の十月、私から申し上げさせていただきました。

 平成二十九年二月三日、第一回統計改革推進会議。二〇一五年の十月に諮問会議で、最近の統計はおかしいのではないか、少なくとも、通信販売がこれだけ盛んになっているのに通販などは全然統計に載っていないではないか、今の時代とか社会情勢に合うように整備されたらどうですかというのがそもそもの話のスタートだったのですけれども、やはり諮問会議で話がいろいろ進んでいったので、最終的にはこういった話が出てきたんだと思います、EBPMの話が出たので、大変意義深いと思ったところです。

 平成二十九年五月の十九日、第三回統計改革推進会議。この統計の基本というのは、何たって正確な統計を早いところ公表できる体制をつくる、統計改革というのは絶えず努力していかなきゃならないものだと、技術が進歩すればするほどそうなってくるんだと思いますので、ぜひ、ニーズ、必要性に常に対応できるような人材の確保が大事だというのは全くそうだと思いますので、この統計改革の会議で起こった改革の機運というものを失わないようにしていかなければならないと思っています。

 平成三十年一月二十六日、第四回統計改革推進会議。二年ぐらい前の経済財政諮問会議で、最近の統計の中に通販が正確に反映されておらず、時代おくれとなっていると言ったので、最初のスタートだったと思い出しますが、等々であります。

緑川委員 つまり、二〇一五年以前は、やはり統計の会議の開催の中での御発言は非常に少なかったというふうに、今お答えを聞くとそういうふうに伺いました。

 統計分野を扱う政府機関に対して、同じ一員である財務省が、麻生大臣、そして財務省に今戻られていますが当時の中江首相秘書官が、統計精度の見直しを盛んにこのタイミングで求める動きというのは、やはりとても異例なことであったというふうに思います。

 その前の月で、二〇一五年の九月、厚労省の検討会が閉じたタイミングで、二〇一五年九月二十四日の記者会見で安倍総理が新三本の矢、アベノミクスの新たな政策を発表して、二〇二〇年にGDPを六百兆円にする目標を掲げた直後に、この経済財政諮問会議での御発言ということになりました。

 なぜ、アベノミクスの新たな政策発表直後のタイミングで、複数統計に早急な改善策を求められたんでしょうか。

麻生国務大臣 少なくとも、私どもは、これはたびたび川内先生やら何やらの御質問にもお答えしていると思うんですけれども、経済財政を運営させていただく私どもの立場からいったら、政策判断の基礎となります統計というものは、精度の向上というのは常に求められてしかるべき問題なんだと思っていますよ。

 そういった意味で、私の問題意識のもとに、経済情勢を的確に把握していくためには、基礎統計と言われる、いろいろありますけれども、そういったものの充実に努めるのが必要なんだということをずっと言っていますから、そういった中で、私どもはその一例として毎月勤労統計についても、サンプル入れかえのときの変動がえらく大きく、経済情勢の的確な把握が難しかった、三年前にさかのぼって全部否定されたりしますので。そうすると、現状を私ども考えるときに、先ほどお話ししましたBNPの河野さんとか清家先生とかいろいろいらっしゃるんですけれども、そういった先生とはよく話をさせていただきますので、エコノミストたちの指摘というのも踏まえつつ、統計の精度向上に向けた取組というものを促していかないかぬということを背景に発言をさせていただいたということです。

緑川委員 私が伺いたいのは、複数の経済統計の見直しについて、なぜ、アベノミクス、新三本の矢の発表の前に複数の見直しの指摘があったのか。つまり、アベノミクスの新三本の矢の発表と、そして前の月の、統計に対する見直しの経済財政諮問会議との関連性というのはないと考えていいんでしょうか。

麻生国務大臣 特になかったと思います。

緑川委員 ないというふうにおっしゃいますけれども、家計調査については、例えば、十月に麻生大臣が御発言した中では、経産省が扱う商業動態統計の小売業の販売額が堅調に推移している、それに比べて家計調査が異なった動きをしているというふうに指摘をしたり、消費者物価指数については、インターネット通販が物すごい勢いでふえているが統計に入っていない、このような御批判も、お答えはされていますけれども、そうした指摘や批判をすることで、アベノミクスの実績とは関係ないというふうにおっしゃいますが、家計調査が見直されるとなれば、個人消費も変わりますよ。そうすれば、数字が改善されます。個人消費が変われば、連動してGDPも大きくなるんですよ。数字が変わるということは、それほど大きいことなんですよ。

 前回の質疑でも、統計の数字が少々信用できないものではないかというお答えがありますけれども、当時の統計から導かれる物価やGDPの数字は低いものであることへの不満があったということは間違いありませんね。

麻生国務大臣 統計が不備だということで不満です。

緑川委員 あくまで、経済の統計精度についての見直し、アベノミクスのこれからの成果、実績についての関連した御発言ではなかったというふうにお答えをされています。

 これまで、二〇一五年当時は、この指摘があったにもかかわらず、消費増税後、二〇一四年です、その後の翌年なわけです。消費がなかなか戻ってこない、こういうタイミングで統計の精度の見直しの声が強まっていった、このように考えるのが、やはり私は自然な流れであるというふうに思います。

 統計の見直しが結局行われなくて、数字上の景気が足踏みが続いていくようであれば、その年、補正予算の編成に向けての歳出の圧力が強まっていく、こうしたような懸念も出てきたというふうに思いますが、麻生大臣、その当時を思い出されて、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 消費が伸びている、いろんなものが売れている、テレビなんかを見ていれば、通販やらテレビショッピングなんかの売上げなんかがうわっと上がったりなんかする、にもかかわらず消費が伸びていないということに関して、何となく違和感があったというぐらいの記憶です。

緑川委員 この統計の見直しによって、結果として、麻生大臣の御発言の意図した御自身の思いと、そして周りに伝わった感触というのは、明らかにやはり違っています。これらの数字が上がることが今の政権をどれだけ前に進めることになるのか、数字として上がっていくことがどれほど大きいことか、政権側にいる人間とすれば察するわけです。指示がなくても暗黙のうちに果たさなければならないことである、このように考えるのが役所の方々の思いではないでしょうか。

 こうした二〇一五年の六月から行われていた厚労省の毎勤統計の検討会、これが、九月を最後にストップする前に、厚労省の検討会の開催されていた期間には、厚労省の関係者と官邸の関係者が、この検討会の開催状況についてはさんざん連絡をしているわけです。知らないはずがないんです。

 この官邸の圧力、総理の指示があるかなかったか明確ではなかったとしても、安倍総理を議長としている経済財政諮問会議、そして政権の中枢にいらっしゃる麻生大臣が、統計の不備と思われる点について指摘をする、そうした発言自体が影響を及ぼすということについてはお考えにならなかったんでしょうか。

麻生国務大臣 不備を指摘するのはよくないと言いたいんですか。どういう意味で言っておられるのかよく理解できないんですけれども。統計に不備があると思えば、いかがなものかというのを申し上げるのは、内閣の一員としてこれは当然のことなのではないかと思っておりますが。別に閣僚じゃなくてもいいですけれども。

 少なくとも、統計というものは、常にきちんとした統計が早く、正確なものがオープンになるというのが大事だということは御理解いただいているんだと思いますが。

 その上で、私どもとしては、今の時代というものが猛烈な勢いでいろんなもので変わってきておりますので、少なくとも、テレビショッピングとか通販とかいうものがえらく出てきたり、新規着工の住宅よりリフォームの方が多かったりしているというのは事実ですから、そういったものを、少なくとも経済の、消費とかそういったところにきちんと反映していただくということは、我々、経済なり財政なりそういったものを運営する立場にとっては、そういった正確な統計が早く出てくるというのは極めて重要なことだと思っております。

緑川委員 精度の見直し、精度の向上について影響を及ぼすということではないんです。麻生大臣が、私、今申し上げましたけれども、政権の中枢にいる幹部としての御発言が影響を及ぼさないかと聞いているんです。いかがでしょう。

麻生国務大臣 私の発言がどういうふうにとられるかにつきましては私の関知するところではないのであって、それをどう受けとめるかは、あなたの受けとめ方、お役人の受けとめ方、一般の受けとめ方、それぞれ違うものだと思いますが。

緑川委員 やはり、統計というのはエビデンスです。このエビデンスに基づいた政策議論、その政策の大前提である統計が、今回、大変問題になっているわけです。

 政府機関が扱うといっても、政治的には中立でなければならない政府統計、経済統計について時の権力が口を出す、精度向上についてといいますけれども、影響を及ぼすということについて、麻生大臣、どのようにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 今の現状をはっきり示していない統計が私の発言によってきちんとした統計に直るということは、喜ばしいことだと思っております。

緑川委員 この議論はまた進めてまいりたいと思いますけれども、所得税法の改正についてですので、やはり、この重要な政策の土台、しっかりこれが担保される、そうした政治でなければ、私はいつまでたっても同じような問題が繰り返されるような気がしてなりません。

 次の議題に進んでいきたいと思います。

 所得税法改正案についてですけれども、税の仕組みはあくまで、前も質疑でお話ししましたけれども、その仕組みは公正であり公平であり中立、簡素というのが大原則であります。物を売る側、そして物を買う側双方にとっても、やはり税という仕組みは理解しやすいものでなければならない、これがこの原則の要請であります。

 それが、あれもこれもと今回の所得税法の改正によって盛り込まれている結果、やはり、住宅も、そして車も、以前も質疑をいたしましたが、需要変動対策としての、平準化対策としての軽減税率の対象となる商品の極めて複雑な線引き、また、ポイント還元の還元率が店によって三通りにもなってしまっているこの制度、現場にとって一段とわかりにくい仕組みになってしまいました。

 前回の増税時の反省を踏まえた今回の増税、景気が腰折れすることは絶対に避けたい、きょうも大臣からお話がありました。持続的に消費を喚起していきたい、この熱は伝わりますけれども、複雑さが一層増している税の仕組みに対して、国民の理解、そして現場の理解がやはり置き去りになってしまっている。二兆円という景気対策の規模に見合う効果があるのかどうか、改めて伺います。

麻生国務大臣 先生御指摘の施策につきましては、これは基本的に消費税というものの逆進性の緩和ということで、前回の消費税が五から八に上がったときの反動減とか駆け込み需要等々によって、いろいろ大きく景気の落ち込みというか腰折れとかそういったようなことが指摘されておりますので、いわゆる需要とかいうものが平準化されるために、軽減税率とか、いろいろ異なる政策目的を持っておりますけれども、消費税率の引上げに伴う対応という形で、私どもとしてはこれをやらせていただいた。もう少しわかりやすいとか、いろいろ国民の理解を得やすくすべきだとか、まことにそうだと思いますので、そういったことは十分に認識をさせていただいております。

 したがいまして、私どもとしては、一〇%と八%の二段階で税率を設定しておりますが、酒類、外食等々を除く通常の食料品全てを対象品にすることなどで可能な限り簡素にさせていただいて、食料品の中ではもっと高級なものは避けるべきだとかいろいろ御意見がありましたけれども、少なくとも食料品は全て一律ということにさせていただいたり、我々としては、これまで五万回を超えるいろいろな説明会等々も実施する等々の取組を行わせていただいているところであります。

 住宅、自動車の需要の平準化につきましては、これは、住宅ローン減税の効果が得られにくいという所得層につきましては、これはすまい給付金を用意するなどして、複雑と言われるかもしれませんけれども、複数の支援の仕組みを組み合わせることで広い世帯に恩恵がというような形を考えておるところであります。それらにつきまして、一体的に周知、広報は引き続き行っていかねばならぬところだと思っております。

 ポイント還元についても、誰でも利用できるプリペイドカードなどの多様な選択肢も用意させていただいておるとともに、経産省において、消費者への還元方法それから還元率等々をわかりやすくするために、店頭でも表示し、掲示してもらうなどの取組を実施していくと承知しておりますので、こうした取組を実施することで、今回の消費税率引上げ関連の各施策の周知徹底を図っていきたいと思っております。

 引上げ前後で事業者に混乱が生じないように、また、消費者が安心して購買ができるように、引き続き、きめ細かな対応を関係省庁等といろいろ連携してやっていかねばならぬところだと考えております。

緑川委員 やはり、二兆円という規模、それに見合うものということを考えますと、増税の意義が問われるほどの対策をしているわけです、相当なお金を突っ込むわけでありますから、安心して消費に確実につなげられるようなものにしていかなければならない、こういうふうに思っております。

 自動車重量税のまずエコカー減税についてですけれども、やはり、自動車税、いろいろな仕組みがある中で、損をする人、得をする人、これはよくよく考えると出てきてしまうんです。

 ことしの五月一日に見直される自動車重量税のエコカー減税については、対象を絞って燃費基準を引き上げて、基準を高くして減税される、一方で、それよりも下の基準の人たちは増税をされてしまう。一方で、自動車税の減税については、消費税の増税に合わせて十月の一日に行われます。つまり、五月一日から九月三十日の五カ月間の間には、例えば排気量千cc以下の小型車を十月以降、増税以降に買えば、年間で四千五百円の減税になります。それが毎年、自動車税の減税になるわけですから、恒久減税です。それよりも前、今言った五月一日から九月三十日、この五カ月間の間に新車の小型のエコカーを買った場合には、この四千五百円の自動車税の減税がありません。毎年なくなるわけです。燃費基準が条件を満たせなければもっと高いわけですから、重量税が増税となります。

 買った時期が少しずれているだけで、少なくとも毎年四千五百円以上の支出の差が生まれてしまう。過度な公平性が生じるとは考えておりませんと本会議でお答えされましたが、結局、過度でなくて、公平性は欠いているわけですね。

 こういう説明をすること自体、今私もお話ししましたけれども、煩雑だと思いませんか。

 同じように、本会議で、税負担軽減の効果について麻生大臣は、個別の車種ごとの価格、そして排気量や保有期間などによっても異なり、全てのケースを示すことは困難でありますと、ちょっとお手上げのようなお答えをされていますけれども、そんな困難な減税の仕組みを隅々把握しなければならないというのが現場の対応なんです。それだけ現場が求められている複雑な税のあり方です。

 購入時期によって消費者が割を食わないようにということも含めて、買う時期によって損をしないように、また、明らかな得にならないように、せめて販売店は、個々のケースに応じて、いつ買ったら負担がどうなるのか、客観的に、しかもわかりやすく説明しなければ、麻生大臣がお答えされた安心した消費につながっていかないと思います。現場任せにならないような対策がやはり必要であると思いますが、政府の御答弁を求めます。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 車の税制を中心としたお尋ねでございますけれども、今般、消費税率一〇%への引上げ前後に係ります自動車の需要、これを平準化する観点を踏まえまして、本年十月以降に購入する新車から自動車税の恒久措置で減税を行っているということでございます。

 他方、自動車重量税等のエコカー関係の減税につきましては、環境性能にすぐれた自動車の購入を促す観点から行っているものでございまして、これは従来より四月末のタイミングで制度の転換を図っているところでございまして、本年四月末の現行のエコカー減税の期限到来に合わせまして軽減割合等の見直しを行うこととしております。

 こうしたそれぞれの政策目的に沿って車の関係の税制は手当てをしている関係で、先生今御指摘になったような変更が行われるわけでございますけれども、いずれにしても、消費税率引上げの効果ですとか、駆け込み需要、反動減などを抑制する観点、そういったことを総合的に勘案しながら措置を行っているわけでございます。

 こういった制度変更については、もちろん、十分説明をし、周知を図っていく必要があると考えておりまして、その辺につきましては、自動車の関連の業界などにも、また関連の省庁でございます経産省等ともよく連携しながら対応を図ってまいりたいと考えております。

緑川委員 エコカー減税が四月いっぱいで切れる、これは政府の政策の都合です。消費者にとっては、常に一定の消費活動があるわけですね。生活とやはり政策というのは都合が違います。消費者目線で政策を行っていない。この五カ月間の間の新車を買った場合の損というものを、やはり重く受けとめていかなければならないというふうに思いますよ。

 財務省のホームページで、昨年六月に発行しています「もっと知りたい税のこと」というパンフレットを、私、拝見しました。本当に税の三大原則がしっかり書いてあるんですね、丁寧に。この中立、その一つ、原則として、個人や企業の経済活動における選択をゆがめてはならない。これは、個人も企業も消費活動をする、その活動を政策でゆがめることがあってはならない、これを財務省がパンフレットで説明しているわけですね。その書いてあることとやっていることをしっかり一致させていただきたい。

 改めて参考人に伺いますが、どのような形で具体的に現場に周知をしていくんでしょうか。今考えていること、検討されていることでお願いいたします。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 毎年、税制改正が成立をいたしますと、もちろんこれは、国会での御審議でございますので、通常は三月末でございます。それで、改正法が通りますと、その前後で、当然のことながら、関係の執行を担当している省庁等もございますので、そこと連携をして、関係業界には、こういうことで制度の変更がなされましたといったようなことについてはさまざまな形で広報また周知を図っているということでございまして、ことしについても、こういった車の関係については、そういうことを経産省等とも連携しながら図っていくということになると考えております。

緑川委員 やはり、広報と配布物等では十分にその意図を伝えることが難しいんじゃないでしょうか。現場での指導、現場感覚をしっかり持って、しっかり説明をしていただきたいというふうに思います。

 住宅ローン減税の拡充についても、今大臣からお話がありましたけれども、最大でこれは消費増税で負担がふえた分までしか、つまり、増税前に住宅を買った方が、減税だけを考えれば得なんですね。住宅ローン減税の拡充、結局これは増税後に家屋を買っても得をしません。

 しかし、予算措置として、消費税率が一〇%になった後の住宅購入については、大臣からお話がありました、給付がもらえる対象の収入の上限、これが七百七十五万円までふえて、最大で五十万円の給付を受けられるすまい給付金の拡充であったり、また、新しいポイント制度としての、省エネ性能、耐震性能を考えた、国の基準を満たした住宅の新築、また、例えば二重窓にしたり廊下に手すりをつけたり、システムキッチン、食器洗浄機つきのものを入れたりといったリフォーム、こうしたことで莫大な、また二千億円以上の予算措置も組み合わせることで手厚いという側面はもちろんございます。

 でも、買う側も売る側も、こういう三つの制度の組合せ、政府の対策に振り回されっ放し。これは、本来の税の中立性というものが実質的に損なわれてしまっているんじゃないかということも考えてしまいます。

 本当に、気に入った住宅や車があるのか、自分にとっていつが買いどきであるのか、誰にもわかりやすく検討できるような税の仕組みであるべきです。そういうわかりやすさが納得につながり、安心した消費につながっていくのではないかというふうに思います。

 ここで、前回、八%の引上げ時の景気対策の延長策を含めた継ぎはぎの多い予算措置、税制も含めて、一旦総括していかなければならないときに来ていると思います。麻生大臣、御所感を伺います。

麻生国務大臣 前回の反省に基づいて我々はこういった形をさせていただいたということであって、それに対していろいろまた御意見があるんだと思いますので、参考にさせていただければと存じます。

緑川委員 増税に増税を重ねる、しかも、以前、昨年の質疑でもお話をしましたが、増税と必ずセットで減税がついてくる、こうした増税の痛みを緩和するが余り消費が喚起されてこない、こうした歴史が繰り返されてきました。ぜひ、これまでの税制のあり方、予算措置のあり方、一回まとめでおさらいをしながら、反省を踏まえた政策議論をしっかり進めていただければというふうに思います。

 公平で、とにかく税制はシンプルでなければなりません。何よりその目的は、所得の再分配機能、これをしっかり担保して、それを消費活動につなげていく、消費者にもたらしていく、これが一番の重要な役割ではないかというふうに思います。

 デフレではないという状況の中で、今、一人当たりの購買力が上がっていきません。購買力が上がっているかどうかを見る重要な指標である実質賃金、これがやはり伸びていない、横ばいであることは以前触れました。GDPの六割を占める個人消費が喚起されてこない、家計が元気にならない、こういうことです。家計を支える、そのために地域の持続性を維持し、財政の再建、安定を図るには、やはり一定の経済成長が欠かせないということは申し上げてきました。

 それに向けては、生産性を高めていくことが今後鍵を握っていく中で、技術革新への対応というのは当然でありますが、今後の経済成長が想定以上に伸び悩んでしまう、制約しかねないというのが、今後の、AIとかあるいはロボットの普及というのもありますけれども、雇用の流動化であったり不安定化、労働力の省力化、また中間所得層においての将来世代に連鎖し得るような貧困、また格差の拡大、こうしたものが経済成長をやはり鈍らせてしまう、そうした潜在的な要因が多々あります。

 その中で、今回私が申し上げたいのは、やはり四十代の半ば、いわゆる団塊ジュニア世代が、失われた二十年と言われているこの平成の時代に、不況の中で就職氷河期となって、これが重なって、新卒入社後も、人件費の安い海外の国々と価格競争を展開していかなければならない中で、安い労働力として働かざるを得なくなった、非正規労働者が急激にふえてきたのがこの世代であります。

 この団塊ジュニア世代を含んで三十五歳から四十四歳、いわゆる親と同居するという未婚の方々は、今、二百八十八万人、この年代の、三十五歳から四十四歳の年代の六人に一人という数になります。結婚をしたい、子供を持ちたい、このように願っても、未婚のまま不安定な働き方がふえていった世代。この世代が正社員の場合でも、三十代の家族形成期にリーマン・ショックがありました。リーマン・ショックに見舞われて、子供を持つことに消極的になってしまった家庭は、やはり少なくありません。これは、非正規、正規関係なく、団塊ジュニア世代を中心としたこの世代、三十代半ばから四十代半ば、大変に苦労してきた世代です。

 やはり、経済でも支え手、ボリュームゾーンでもあるこの世代が、確かな収入と、そして働きがいを持って能力を十分に発揮できるようにすることが極めて重要であると思います。

 麻生大臣に伺いたいと思いますが、この世代がしっかり所得を確保できるように、十分に教育訓練あるいは能力開発の機会を確保できるようにすることが、やはり日本の経済の活力を生み出す上では大変重要であるというふうに考えておりますが、御所感を伺います。

麻生国務大臣 これは、緑川先生御指摘のとおりで、団塊ジュニアの世代というんですか、就業するタイミングがいわゆる一九九三年から二〇〇五年ぐらいですかと重なっているんですけれども、この世代は、これはもう間違いなく、非正規率は他の世代に比べて、明確に高くはありませんけれども、非正規雇用者数というのが多くなっている、これは間違いない事実です。

 その上で、団塊ジュニア世代が今、アバウト四十代の半ばというところでしょうか、そういったときになって、生産性の向上というものは経済成長のためには鍵になるんですが、今御指摘のありましたとおり、この世代を含めまして、非正規雇用や不安定就労の方々を中心にして、教育訓練や能力開発の機会を確保するとともに、安定雇用の機会を提供するということは重要な課題、これははっきりしています。

 そうした点から、平成三十一年度の予算におきましては、例えば、事業主が非正規雇用労働者に対して正規雇用化を目的とした訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する人材開発支援助成金、特別育成訓練コースとか、正社員経験がない又は少ない等々、キャリア形成の機会がなかったことなどから正社員就職が長続きしないと言われた者や、非正規雇用を繰り返すというような社員というのを正社員として雇い入れた事業主に対して、一定期間の定着後に助成金を支給する特定求職者雇用開発助成金、特定雇用実現コース等々を計上させていただいているんですが、経済成長をしていくためにも、間違いなく、こうした方々の就労、自立、そういったものの実現というものが極めて大事なんだと思っておりますので、これはしっかり取り組んでいかねばならぬと思っております。

緑川委員 同じ思いを共有させていただいて、ただ、企業の中での取組に対する税制面での応援ということでありました。

 雇用面でのというよりは、今回は、絡んでいくのが、やはり、教育訓練も含めた、能力開発も含めた教育資金の、親からの、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんからの一括贈与、これについての絡みについて私は質問をさせていただきたいというふうに思います。

 教育資金の一括贈与に係る贈与税、これが非課税措置になる、これが見直されるということであります。親又は祖父母が子や孫に対して教育資金をまとめて贈与した場合に、一人当たり一千五百万円までの分について贈与税を非課税にするという措置、それを受けられる子や孫の年齢要件が今回見直されています。三十歳を過ぎても学校に通っている場合、あるいは教育訓練を受けている場合で最長四十歳まで非課税措置が受けられるようになった。私は、これは前進だと思うんです。非常に前向きな取組として評価をさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、今のお話です。働き盛りの、今言った団塊ジュニア世代を含む三十五歳、半ばから四十代半ば、この世代に対して、これは三十代で終わりじゃありませんから。四十歳を過ぎてから教育訓練、学び直しを受け続けたい、こうしたニーズがあります。企業に対する税制面での人材開発の応援だけでなくて、今回、教育資金についてもぜひ御検討いただきたいというのが今回の思いであります。

 高齢化が進む、特に都市部では、四十代といったらもしかしたら、もう、定義に置いているように、中年とか壮年というふうに政府のお言葉にもなりますけれども、地方とか高齢化が進んでいる業界、今考えれば、やはりこの四十代というのはホープです、若手であります。若い世代、そうした認識を持っていただきたい。

 そういう中で、子や孫が働く現場では、やはり将来の技術革新の影響。今後十年は人手不足かもしれません。しかし、長期的な視点で考えたときに、やはりAI、ロボットの進化が急速に進んでいく。ホワイトカラーを中心とした、最大で七百三十五万人が職を追われるという時代、そういう試算も出ております。この数百万が失われる雇用に対して、今のうちからできる対策を取り組むべきだと思う。それの一つがこの教育資金の一括贈与に、私は関係があるというふうに思います。

 さまざまな情報が今データ化されたり、ネットワーク化されるような、そういう物と物がインターネットで結ばれるようなIoTの普及であったり、また、ビッグデータの活用、AIの導入、ロボットの発展、こうしたビッグデータまたICTの活用、こうしたものを含めた技能習得や能力開発が、やはり将来の雇用の不安定化に対して対処していける鍵であると思います。

 今後大きく変わっていくような労働市場の需給バランス、これにしっかり対応できるのがやはり学び直しの訓練だと私は思うんです。これからの経済成長を牽引していく、主力として活躍していく世代、本会議での麻生大臣の御答弁にありました、日本経済の活性化に寄与する観点での教育資金の一括贈与、こういう観点から見ても、こうした学び直しが幾つになってもできるような仕組みがやはり有意義であり、何より不可欠であるというふうに思います。

 四十歳を超えた子や孫に対して、教育訓練また能力開発の費用も含まれる教育資金の一括贈与をした場合に、ぜひ、非課税措置の検討について、どうか改めて検討していただきたいと思いますが、麻生大臣、いかがでしょうか。

麻生国務大臣 来年度の税制改正の中において、この措置が今、いわゆる教育資金の一括贈与の件ですけれども、これは終了する年齢の話なんだと思うんですが、大学院に在学中の受贈者等への配慮などを踏まえて、現行の三十歳というものから、就学等の継続を条件にして四十歳まで引き上げるということに今回させていただいているんですが。

 この措置というのは、制度をつくらせていただく最初、五、六年前ですけれども、最初から格差の固定化につながらないようにしてもらわないかぬという指摘がされております。また、与党の議論の中でも、機会の平等とか世代間、世代内の公平の実現とか、簡素な制度の構築といった考え方のもとで、これは不断の見直しが行われなければならぬのだ、そういうふうに考えておりますところなんですが。

 そもそも、この措置というのは、祖父母とか両親とか、そういった資産を早期に若年世代に移転させるということによって経済活性化に寄与するということを目的に導入された面もありますから、そういった意味で、本改正における配慮の対象である大学院課程を含めた就学を支援するなどを踏まえると、私どもとしては、四十歳の上限を更に引き上げるということはちょっといかがなものかというのが率直な実感ですけれども。

 今言われましたように、更に平均寿命が延びてくるとか、いろんな時代がまた変わってくるんだとは思います。しかし、今の段階で三十歳から四十というところまで引き上げさせていただいたというところなのであって、これを今すぐ直ちに五十歳までというようなことを考えているわけではありません。

緑川委員 就学に必要な資金、もちろんであります。若年世代、そうです。しかし、やはり、四十代という年齢で就学をしたい、そういう方もいます。そして、やはり、就学と並列して、教育訓練という言葉が明確に政府の資料には書かれているわけです。企業での能力開発のことが難しい企業もあるわけです。税制が適用しにくい、そんな従業員、中小企業もやはり存在する。そういう中では、やはり、経営が苦しい中でも個人として自分をスキルアップさせたい、磨いていきたい、こうした思いをぜひ受けとめて、今後の議論を進めていただきたいというふうに思います。

 済みません、最後に一つだけなんですが、消費増税に伴って、やはり家賃の引上げということが心配されます。非課税であるはずの本来の家賃の値上げが、修繕費をオーナーが値上げすることによって便乗値上げということが生じていくのではないかということも心配されます。賃料にも消費税の影響が結果として及ぶとなれば、これはやはり、家賃補助を基本として、消費増税後も、借りて、賃貸で暮らしている人たちの支援も考えていくべきであると思いますが、御答弁を伺います。

星野政府参考人 消費税の関連で、家賃に関する御質問でございますけれども、消費税は幅広く負担を求める税でございますので、非課税取引の対象は限定をしているところでございます。土地とか金融などの税の性格から課税することがなじまない取引のほか、社会政策的配慮が特に必要な取引、例えば医療、福祉、教育、あと、今御指摘のあった家賃などが非課税とされております。

 御指摘の家賃につきましては、そのサービスを提供する事業者が生み出す付加価値部分に対しては税負担を求めないことにより、できる限り低価格でサービスを提供するという理由によって消費税非課税としているところでございますけれども、仕入れに係る消費税の負担相当分につきましては、サービスの価格、要するに家賃に転嫁されることが基本的な考え方でございまして、これは、他の非課税取引、例えば教育ですとか社会福祉事業においても同様のものになっているところでございます。

 したがいまして、便乗値上げに該当するのではないかといった御指摘に関しましては、そもそも、コストや需要の変化等の合理的な理由によって、事業者の経営判断に基づく価格設定は何ら妨げられていないところでございまして、仕入れに係る消費税の負担相当分について非課税取引の価格に転嫁すること自体は、便乗値上げには当たらないということで、適正な行為だというふうに考えているところでございます。

緑川委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、青山大人君。

青山(大)委員 国民民主党の青山大人でございます。

 緑川議員の方の関連質疑ということで、消費税に関することで、日本銀行の黒田総裁へまずは質問させていただきます。

 日本銀行さんが、年四回、最近ですと一月に公表されました経済・物価情勢の展望というレポート、私も毎回、議員会館にお届けいただきまして、注意深く拝見させていただいております。

 そこで、その経済・物価情勢の展望の中で、毎回、政策委員の大勢見通しというものが掲載をされております。その表の中で、これまでは、消費者物価指数(除く生鮮食品)と消費税率引上げの影響を除くケースの数値が併記されておりました。特に、これは、二〇一二年に可決された社会保障と税の一体改革関連法案が可決された以降はそういった形で併記されておりましたが、直近の一月二十四日に発表されたものは、消費税引上げ影響を除く数値が、なぜか括弧で参考値として書かれておりました。

 まずは総裁にお尋ねいたします。なぜ、今回の経済・物価情勢の展望の中で、消費増税を除いた見通しを参考としたのはどういった理由だったのでしょうか。

黒田参考人 日本銀行といたしましては、物価の見通しを示すに当たりまして、物価の基調をわかりやすく説明することを心がけております。こうした観点から、過去の展望レポートでは、消費者物価に与える影響の大きさと、これが一時的、制度的要因であることを踏まえまして、消費税率引上げといった制度変更の影響を除いた物価見通しを中心に説明してまいりました。

 もっとも、本年十月に予定されている消費税率の引上げについては、これを教育無償化政策という制度変更とあわせて一つの政策対応として捉えると、物価への影響は比較的軽微にとどまると予想されます。

 日本銀行では、御指摘のように、一月の展望レポートから新たに教育無償化政策の影響を物価の見通しに織り込むことといたしましたが、その際に、こうした物価への影響度合いや特定の要因を見通しから除外する扱いは限定的とすることが望ましいと考えられることなどを踏まえまして、基本的には、両方の影響を織り込んだ見通し計数を中心に説明していくことが適当と考えたところであります。

 その上で、御指摘のように、これまでの取扱いとの関係にも配慮して、消費税率引上げと教育無償化政策の影響を除いた見通し計数も参考系列として記載することといたしたわけでございます。

青山(大)委員 では、今、総裁の方から御答弁があったように、今回に関しては、教育の無償化等幅広い影響があるということで、これまでは消費増税などの外的な要因を特殊な要因だとみなして、むしろこれまでは除いてきたんだけれども、今後は逆に方針転換したというような認識でよろしいでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたように、物価の見通しについては、基調をわかりやすく説明するということが重要であると同時に、いろいろな要因を除外するという扱いはなるべく限定的にすることが望ましいといったことも踏まえまして、先ほど申し上げたように、基本的には両方の影響を織り込んだ、つまり、消費増税と教育無償化と両方の影響を織り込んだ見通し計数を中心に説明していくことが適当というふうに考えたわけでありまして、その点では、説明の仕方というか、表示の仕方を変えたということは事実であります。

 ただ、その上で、これまでの取扱いとの関係にも配慮しまして、消費税率引上げと教育無償化の影響を除いた見通し計数も参考系列として記載することとしたわけでございます。

青山(大)委員 確かに、今回の消費増税、引上げは幅広く影響、私も同様に認識をしております、中身の賛否は別としまして。ただ、せっかくこれまで二つ丁寧に併記してこられた、直近の、一月の前ですか、昨年十月のを見ますと、本当に、注意書きにも、まだ教育無償化政策の影響については詳細未定ということで除いてありますとか、過去も、ずっと私ども二〇一二年の十月のレポートから見てきて、本当に、過去二回の消費増税の延期等も考慮する中で、見通しの外的要因が変わっている中で、非常に御苦労をされてこういったレポートをつくってこられた、私もそのように思っておりますが。

 ただ、おっしゃるとおり、今回は、幅広く影響する中で、僕は、わざわざ参考とか書かずに、これまで同様の表記で私はいいんじゃなかったのか、逆に、こうやってわざわざ括弧書きでこれまでと違う表記をすることで、例えば、まるで日銀が、もう物価目標二%も達成できない、そういったことができないために、わざわざ、ちょっとこれは適切な表現じゃないかもしれませんけれども、毎月勤労統計の疑惑のように、あえてこれまでとは違った枠組みに変えて、そういうふうな見せかけをやったんじゃないか、そういったような市場に対して間違ったメッセージを与えてしまうおそれがあるんじゃないか、私はそのように認識をしておりますが、どうでしょうか。

黒田参考人 その点につきましては先ほど申し上げたとおりでございますし、また、今回の展望レポートの注でもかなり詳しく、消費税率が本年十月に一〇%に引き上げられることによる消費者物価への直接的な影響は、二〇一九年度と二〇二〇年度でそれぞれプラス〇・五%ポイントとなる、さらに、この時点での情報をもとに教育無償化政策の二〇一九年度と二〇二〇年度の消費者物価への直接的な影響を一定の仮定に基づいて計算すると、それぞれマイナス〇・三%ポイント、マイナス〇・四%ポイントとなるということも注記しておりまして、全体としてその状況はクリアに示されているというふうに考えております。

 ただ、一方で、委員の御指摘の点も十分踏まえまして、今後ともよく検討してまいりたいと思います。

青山(大)委員 ということは、次回の二〇一九年四月のレポートは、これまでどおり両方併記したものを記載していくというような感じの認識でよろしいでしょうか。

黒田参考人 次期展望レポートでどのように表記をするかということは、その際の政策委員会での議論を踏まえて行われることであります。

 なお、先ほど来申し上げておりますとおり、こういった形で表記すること自体、先ほど来申し上げておりますように、物価の見通しを示す場合に、基調をわかりやすく説明するという一方で、いろいろな要因を見通しから除外しますと、いわばヘッドラインインフレーションといいますか、通常、消費者物価指数として示される数字あるいは消費者の実感と余りに異なったものになってしまってもまた好ましくないわけでして、そういった両面を考えつつ今回のような表記にしたわけでして、誤解の生まれないようにきちっとした注はいたしましたが、基本的な考え方としては、こういった方向で表示していくことが最も望ましいのではないかと。その上で、委員が御指摘のような、誤解を生むことのないように、きちっとした表示を、注も含めて行っていきたいと思っております。

青山(大)委員 済みません、話をちょっと次の質問に移らせていただきます。

 ちょっとこれは黒田総裁の範疇じゃないかもしれませんけれども、ちょっとぜひ御見解を伺いたいというふうに思っております。

 今回、消費増税を想定して、いわゆるポイント還元策という新たな政策が導入されようと今検討されておりますが、連日の予算委員会におきましても、各党からさまざまな、このポイント還元策について、問題点とかおかしな点が指摘をされております。

 今総裁もおっしゃったように、いろいろな消費税含む外的な要因、あとは、また、国外の事情による外的な要因等でなかなか思ったような物価目標が達成できない中で、その中でいろいろな厳しいかじ取りを行っている中で、今回のポイント還元策、非常に政策効果以上にデフレを促進させるものではないかというような私は危機感を持っております。予算規模以上に、流通、小売の体力をいわゆる値下げ競争で奪ったりですとか、一番は、消費者のマインドへ大きな影響を与えるんじゃないか、そういった危惧をしております。まさに日銀が目標とする二%物価安定の目標の実現に向けて強力な金融緩和を推進する中で、非常に、そういった、政府との整合性、政策との乖離とも見られます。

 総裁の、このポイント還元策についてどういった御見解を持っているか、お聞かせ願えないでしょうか。

黒田参考人 消費税率の引上げ自体、あるいはそれに伴う個々の施策については、あくまでも政府、国会の責任において行われるものであると認識しておりまして、具体的にコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で、消費税率引上げの全体としての影響について申し上げますと、日本銀行では、本年十月の消費税率引上げ時の家計のネット負担額は、飲食料品などへの軽減税率、あるいは教育無償化政策などがあわせて実施されることもありまして、二〇一四年の前回の引上げ時に比べて小幅なものにとどまると見ております。

 このほか、政府は、委員御指摘のポイント還元支援を含めまして、消費税率引上げ前後の需要変動を平準化するための措置を導入しておりまして、これも消費税率引上げの影響を軽減するものと考えております。

 ただ、消費税率の引上げあるいはそれに伴って実施されるさまざまな施策の影響は、その時々の消費者マインドあるいは企業の経営判断によっても変化し得るものでありますので、日本銀行としても、その動向は極めて注視していく必要があるというふうに考えております。

青山(大)委員 時間がもうすぐなので、次はうえの副大臣に質問させていただきます。

 昨年もこの財務委員会で、うえの副大臣とはいろいろな議論をさせていただきました。

 改めて、確認も踏まえてなんですけれども、いわゆる今回の消費増税の中で複数税率が導入されるため、当初の税収見込みよりも約一兆円、安定的な恒久財源の確保が必要だと思うんですけれども、その約一兆円の恒久財源の確保、どういったところで考えているんでしょうか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 消費税の軽減税率制度の導入に当たりましては、平成二十八年度税制改正法の附則におきまして、平成三十年度末までに法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保することとされております。このため、税制の見直しなどにより、減収見込み額に対応する一・一兆円程度の恒久財源を確保する制度的な対応等を行ったところでございます。

 具体的には、歳入面において、個人所得課税、たばこ税の見直し、インボイス制度の導入により〇・六兆円程度、歳出面におきましては、総合合算制度の見送り、これまでの社会保障の見直しの効果の一部の活用により〇・五兆円程度、合わせて一・一兆円程度を確保することとしております。

青山(大)委員 今御答弁いただきましたように、昨年、この場で議論されたいわゆる個人所得税法の改正、特にサラリーマンの皆様たちに対する給与所得控除ですね。上限の減額だけ見れば、約一千二十億円の増税になったわけです。

 私、この場で、昨年、このサラリーマンの皆様だけを狙い撃ちにした一千二十億円規模の所得増税がまさか消費税率を一〇%に上げるときの軽減税率の導入時の穴埋めに充てるんじゃ、まさかないですねと、私、聞いたら、うえの大臣が、それは全くない、明確に否定されたんですけれども、全く言っていることが違うじゃないですか。

 一年間でこんなに変わるんですか。

うえの副大臣 平成三十年度税制改正における個人所得課税の見直しにつきましては、働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しする観点から、特定の収入のみに適用される給与所得控除等からどのような所得にでも適用される基礎控除に控除額の一部を振りかえる、さらに、給与所得控除が給与所得者の勤務関連支出や主要国の控除額と比べても過大となっていることを踏まえまして、給与所得控除の上限を引き下げるなどの見直しを行ったものでございます。

 この個人所得課税の見直しにより生ずる税収の増加を消費税の軽減税率制度の導入に当たっての安定的な恒久財源の一つとしておりますが、見直しの目的は、先ほど申し上げましたとおり、働き方改革を後押しする、その観点から実施をしたものでございます。

青山(大)委員 これ以上言ってもあれですけれども、まさにこれから、今、春闘とか始まるわけですけれども、厳しい交渉をする中でかち得た果実も、こういった政治の、例えば、軽減税率を導入する財源のためにサラリーマンの皆様だけをターゲットにした増税が行われて、そこに補填される。

 昨年も同じように言いましたけれども、この給与所得控除については、二〇一三年から段階的に縮小されている。線引きが昨年の段階で八百五十万になったんですけれども、またこんなことをやっていったら、この八百五十万という線引きが五百万になったりとか、下がってきたり。結局、そういうような場当たり的な施策が、なかなか消費が伸びない、さっき黒田総裁もおっしゃっていました、そういうふうにつながっていくんじゃないんですか。

 私は、副大臣、きちんとそういった整合性のあるような政策をとっていきたい。そういったことを改めて主張させていただきます。

 まだ時間がありそうなので。あと、今回の所得税法等の改正において、一言だけ。事業承継税制の個人主の拡大については、私は賛成という立場でございますので、そのことだけ議事録にあえて残させていただきます。

 以上で質問を終わりにします。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、前原誠司君。

前原委員 国民民主党の前原でございます。

 まず、消費税の引上げにつきまして、さまざまな観点から議論をさせていただきたいと思います。

 まず、麻生大臣にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。麻生大臣には大きな政策的なことを伺い、そして、技術的なことにつきましては星野主税局長から御答弁をいただければ、こう思っております。

 まず、平成三十一年度の予算を見ておりますと、防災・減災、国土強靱化のための三カ年緊急対策なども含めて、三年間でおおむね七兆円程度、国費は半分だということでありますが、こういった対策をとるということとあわせて、いわゆる駆け込み需要平準化対策というものを行う、こういうことであります。

 まず、麻生大臣に伺いたいんですけれども、この対策で、つまりはこの予算で、平準化ができるというふうにお考えかどうか、まずその点をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 全体としてこの予算で平準化等々の、景気が腰折れしないような自信があるかという、簡単にはそういう御質問なんだと思いますけれども。

 つくった以上、これがいけるという思いでやらせていただいておりますので、自信があるかと言われれば、ないと言ったら、何だおまえということになるでしょうし、あるかと言われれば、おまえ、あると言ったじゃないかと。なかなか難しいところではあるとは思いますけれども、基本的には、ばらまき等々いろんな御指摘はあろうかと思いますけれども、景気の腰折れにならないというような形になれるのではないか、そのように思っております。

前原委員 おっしゃるとおりで、結果が出ますので、この場合、本当に平準化されたかどうかということについては、そのときの状況を見なくてはいけないわけでありますが、政府がやったことについてしっかりとチェックをする、注文をつけるというのが我々野党の仕事だというふうに思いますので、その観点で少し質問を続けさせていただきたいと思うんでありますが。

 お配りをしている資料の一をごらんいただけますでしょうか。宇南山先生という一橋大学の先生のつくられたチャートでありますけれども、これについて、私もこのチャートに賛同する立場から資料としてつけさせていただいているわけでありますけれども、消費税を上げるタイミング、引上げ実施と書いてあるところの左側のピンクのところが、いわゆる駆け込み需要。Aですね。そして、右側のBのところがいわゆる反動減と言われるもので、これをどう平準化、ならしていくか、こういうことだと思います。

 この資料に基づいてまず一点伺いたいのは、平成三十一年でさまざまな、例えばポイント還元とか、プレミアム商品券とか、すまいの給付金とか、住宅ポイント、こういうものをやりますね。つまりは、一年は反動減対策にはなるけれども、その後の年は反動減は生まれないというふうに言い切れるかどうか、その点についても、大臣、御答弁をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 私どもとしては、いわゆる前回のような大きな駆け込み需要、また、その後の反動減によって景気回復の腰が折れたという事実は間違いない、私どもとしては反省せないかぬ大事なところなんだと思っておりますので。

 そういったことから考えまして、我々としては、今回いろいろな対策を私たちなりにやらせていただいたと思っておりますが、これが、対策が切れた後、例えばオリンピックの後どうなる等々いろいろな御指摘のあることはよくわかりますけれども、その段階でちょっとどのようなことになるか、例えば前回のオリンピックのときは、間違いなく昭和四十年からかなり不景気になったというのが歴史的な事実でもありますので。

 私どもは、ロンドンを見ましても、北京を見ましても、同じようにオリンピックの後にはかなり景気が落ち込んだというのが、他国を見ましてもそういったことになりますんで、その点は十分に注意を払っていかねばならぬところだと思っております。

前原委員 私がお伺いしたのは、オリンピック、もちろん二〇二〇年という、エポックメーキングなイベントがあるわけでありますが、それもあわせてお考えになるということは当然かもしれませんが、この一年、平成三十一年度の予算でかなり手厚く反動減対策をされていますね、そうしたら、その次の年にまた反動減が来るのではないかということを私は伺っているわけです。

麻生国務大臣 御指摘、よくわかるところですけれども、私どもとしては、この対策を、同じときに始まって同じときに終えるという形ではなくて、少しずつずらさせていただいて、六カ月から一年九カ月か、いろいろな形でずらさせていただいておりますので、そういったものが少なくとも一斉に、いわゆる財政の崖とかいろいろな表現がありますけれども、景気の崖が来ることがないようなことを我々としては期待をしております。

 それがどういった形で出てくるか、私どもはその時点でもう一回考えねばいかぬということになるという可能性は否定はしません。否定はしませんけれども、景気が少しずつということになるんであれば、それはそれなりにいけるのかなというのが、期待もありますし、そういう効果を期待をいたしております。

前原委員 この平準化対策というものが行われたということでありますけれども、日本が今直面しているのは、長らく言われ続けていることでありますけれども、二〇一〇年ぐらいから人口が減ってきて、そして今、国の借金だけで一千百兆円ぐらいですか。働く人、若い人たちが減ってきて、これはいいことでありますけれども、平均寿命が延びているということで、医療、年金、介護、福祉、こういったものに言ってみればお世話になる方々の割合がふえていくということでありまして、これを財政的にどうサステーナブルにしていくかということについては、毎年毎年、恐らく大変な予算編成をされているのではないかというふうに思います。

 その上で、今後のことについて少しお話をさせていただきたいというふうに思いますけれども、私は、きょうおられますけれども、野田総理のときに政調会長として三党合意をまとめさせていただいた立場で、社会保障と税の一体改革というのはいいモデルだと思うんですね。

 つまりは、何にお金がかかります、したがって、その分国民に負担をお願いしますというわかりやすい形で、一対一の形で国民に対してしっかりと受益と負担をお願いをする、こういう仕組みというものは私は極めてわかりやすいものだというふうに思います。

 ただ、あのときの反省が一つあるとすれば、二段階に分けて、五%、五から一〇に上げたわけですね、五から八、八から今度一〇に、五%合計で上げるということを決めたわけでありますが、財政再建部分に四%充てた、機能充実、機能強化は一%しかなかった。ということは、三%、あるいはこれから更に二%上がって一〇%上がるのに、受益感のない人たちがたくさんいるわけですね。

 例えば、一%部分というのは、公的年金の国庫負担、三分の一から二分の一に引き上げるということでありまして、これは、借金で埋めたものを安定財源で埋めるということで、大事な一%なんですけれども、国民にとっては受益感はないわけですね。

 そして、残りの三%にしても、子ども・子育て七千億円という一つの柱が立ったということはよかったと思いますが、例えば、低所得者の、リタイアされた方々の高齢者対策というものが多いですよね。

 ということは、国民全体に、じゃあ、五%上がって、そして受益が実感できるかというと、実感できなかったと思うんです。

 この間の衆議院選挙のときに組みかえられましたね、中身を。そして、一対四から一対一にされた。半々にされたわけです。その分を、後から質問いたしますが、教育、保育の無償化などを入れるという形で一対一になったわけであります。

 これだけ、一千百兆円も借金があると、上げた分を全て受益に回すということはできないわけです。財政再建にも回さなきゃいけませんが、これから消費税を、消費税というか税を上げていく中で、どのように国民に対して負担と受益を感じてもらうかということが、これからの大きなポイントだというふうに思います。

 その意味においては、一対一でもまだまだ受益感は足りないんだろうという思いを私は持っているんですね。

 私の目の子でいうと、七対三ぐらい。つまりは、七ぐらい受益がある、三は財政再建に回すということを繰り返していけば、税を上げるということについての、いわゆる国民負担率を上げるということについての国民の理解というのは、私は得られていくんではないかというふうに思いますが。

 初めは四対一であった。これはまさに民主党政権の前の自民党政権でこの法律が書かれていて、我々はそれを実行した。そして、今回、四対一から一対一に変えられた。私は、この一対一でもなかなか受益感というのは国民にないというふうに思うわけでありますが。

 これから国民負担を上げていく中で、別に厳格な数字ということを大臣にお聞きをしようというんじゃなくて、私の問題意識を聞いていただいて、やはり受益がある程度多くないと、なかなか国民負担増というものは理解が得られないと思うんですが、大臣の御所見を伺います。

    〔委員長退席、藤丸委員長代理着席〕

麻生国務大臣 これは、前原先生、物すごく大きな観点なんだと思うんですけれども、少なくとも、前回、一対四の比率でというお話でしたけれども、間違いなく景気を中折れさせた最大の理由は、これまで、三のとき、五のときに比べまして、それによって減税した部分が明らかに少ないというのが前回の、まあ数字でいえばそういうことになりますから、結果として景気は中折れさせた。

 したがって、今回は、消費税をもう一回上げて、また中折れということだけは断固避けねばならぬという感じから、私どもとしては、二度延期をさせていただきました上で、今回増税させていただいた分によって、中折れしないまでも、少なくとも、今の景気回復のあれを持続させていくということを優先順位の一番に置いた場合に、いわゆる消費が伸びない等々のことを考えたときには、どこが一番かといえば、これは間違いなく三十代、四十代、若手の世代のところが、一番、生活するに当たってお金が、支出のふえる世代、そこらのところに対する支援、補助というのを一番に置かない限りは、この国の少子高齢化対策であってみたり、景気対策であってみたり、消費増につながる話であってみたり、いろいろなことを考えて一対一ということにさせていただいたというのが、その背景であります。

 ただ、今、全体として見て、今後、我々としては、政府の借金として約一千数百兆とよく言われますけれども、その問題に関して、今後とも我々はそれをきちんとして返済していくんだという意思をきちんと示しておかないと、これは国際社会の中で、インターナショナルなマーケットの中で、これは何だ、日本は財政再建を放棄したのかと言われると、これはとてもじゃないけれどももちませんので、そういったものはきちんとやりますということを言いながら、財政再建を目指しつつやるに当たってのスピードが、今言われたように、七対三ぐらいにしないと国民の理解が得にくいのではないかという点は、間違いない、私どもとしては十分に考えておかないかぬ大事なところだと思っております。

 ただ、いずれにいたしましても、日本の場合は、アメリカのように低負担・低福祉でやるのか、北欧のように高福祉・高負担でやるのかと言われれば、我々は今のところ中福祉・中負担というのを大体の目安としてやってきているんだと思っておりますので。

 私どもとしては、今後、その問題につきましては、少子高齢化が今後とも続いていく前提に立ちますと、私どもとしては、社会福祉関係が年率大体五千億前後ぐらい伸びてきておりますので、全体に占める社会福祉費の総額は、約百兆円の全額の中で約三分の一が社会福祉関係という現実。それが、とにかく年齢が高齢化する以上に福祉を伸ばすと、とてもじゃないと。国家予算の三分の一というような状況ですら問題なのにということになりかねませんので、私どもとしては、その点も十分に注意しながら、この三年間の間は年間五千億以内にとめたいということで、それをとめさせていただいて予算編成はさせていただきましたし、今回もその範囲内でとどめているというところだとは思っておりますけれども。

 いろいろなことを御理解いただきながら、少子高齢化がもたらしておりますいろいろな影響について、これは福祉を受けられる方々にも御理解いただかないかぬところが一番大きいんだと思いますが、そういったところを含めて、これは丁寧な対応が必要なんだと思っております。

前原委員 今御答弁をいただいたことで、二つ、まず私の意見を申し上げた上で、更に質問したいんですが、やはり現役世代に対する支援、支援というお言葉を大臣は使われましたけれども、私からすると分配ですね、これが極めて少ないのが日本の特徴だと思います。

 やはり年金にしたって、賦課方式ですね。ということは、今の現役世代の方々が年金受給者の財源を保険料で払っていただいている。これは自分の積立てではないわけですね。賦課方式ということで財源になっているということは、簡単に言うと、所得移転が、今、非常に生活が苦しい若い人たち、ストックのない人たちから、言ってみればストックの多い人たちにむしろ移転されているというのが状況だと思います。

 医療にしたって介護にしたって、例えば介護保険でも、四十歳以上は保険料を払っていますけれども、四十歳代、五十歳代で介護保険を受けられる方というのはほとんどおられないと思います、数的に。そうすると、若い方々が保険料を払い、その方々が本当に介護の必要になった御高齢の方々に対する所得移転を行って保険としての言ってみれば支えをしているということですね。

 したがって、若い世代に対する分配を厚くするということは、少子化対策も含めて絶対に私必要だというふうに思っています。

 そして、その上で、先ほど、中福祉・中負担とおっしゃいましたけれども、私は違う認識なんですね。低負担・中福祉だと思うんですよ、日本は。

 国民負担率、OECD三十六カ国の中で、重い方から数えて二十八番目ですよ、四二・五%。これは下から数えた方が早いんですね。これだけ高齢化が進み、少子化が喫緊の課題であるというのにもかかわらず、むしろ国民負担率は低いんです、四二・五ということで。ということは、低負担の中で借金で中負担にしているというモデルが日本のモデルで、このままだとどんどんどんどん日本の借金はふえていくということになると思うんですね。

 他方で、高福祉・高負担という北欧の話をされましたけれども、北欧というのは大体国民負担率は六〇%以上ですよ、六割以上。フランスという国は、我が国の大体人口半分ぐらい、六千万人台でありますけれども、恐らく六八・二%ぐらいの国民負担率だというふうに思います。

 五〇%に仮に国民負担率を上げたとしても、OECDの中では真ん中ぐらいの負担、中負担ぐらいの、五〇%に上げるということになった場合でも大体中負担ですけれども、五〇%を全て消費税に換算するということになると、消費税は二〇%以上になりますね。全て消費税でやるということになった場合ですね、仮に。

 それでも五〇%ですから、大体三十兆円ぐらいですので、そういう意味においては、日本は、低負担・中福祉で来ていて、それで借金で穴埋めをしているということは、私はサステーナブルではないと思います。

 その上では、将来、先ほど申し上げた社会保障と税の一体改革のようなものを言ってみれば更にバージョンアップさせて、生活保障と税の一体改革のようなものを国民負担を見直す中でやり切って、少子化対策、そして高齢者が安心して老後を過ごせるような社会というものを私はやる必要があると思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思います。

    〔藤丸委員長代理退席、委員長着席〕

麻生国務大臣 おっしゃるように、国民のいわゆる負担率四二%は、間違いなくOECDの中で、下から六番目だったかな、何かそれぐらい低かったと記憶しますけれども、そういった状況にありまして、低負担・中福祉ではないかという御指摘は決して否定しません。私は、そういう御意見があって当然かと思っております。

 その上で、私どもとしては、今後これをどうやっていくかというのが一番大事なところなんだと思いますが、少なくとも、幸いにしてこの国の場合は、平均でいきますと、健康寿命が結構長いというのが私どもにとって大いなるアドバンテージ、優位なところだと思いますし、もう一個は、ちょっと、こういった大きな話なので言わせていただければ、旧約聖書の影響を受けなかったんだと思いますが。

 我々は、少なくとも、働くということに関して、神との契約を破ったアダムに対して神が与えたもうし罰が労働でありますから、元カトリックで、元カトリックというか今でもカトリックですけれども、一応聖書ぐらい読んだことはありますので、労働は罰であります。

 しかし、私どもの、いわゆる古事記等々を読めば、少なくとも、アマテラスオオミカミという女性の神様が、機織り小屋から出でたまえ、神々はいかにしておわすぞと天の岩戸をあけたまい、高天原を眺むれば、神々は野に出て働いていたと古事記に書いてあります。少なくとも、女の神様が機織り小屋から出てくれば、一番偉いアマテラスオオミカミも機を織って働いていた。野を見渡せば、神々、これは神が一人じゃなくて複数なところが違うところなんですが、神々は野に出て働いていた。神々が働くんですから、労働は善行に決まっております。労働は罰ではありません。

 そういった意識の違いというのが、我々は、働くということに関して、極めて勤勉に働く者をもってよしとするという文化というものが定着しているというのは、我々は今後とも大事に持っておかねばならぬところだと思っておりますし、働いている方は健康、健康だから働ける、両々相まっているんだと思いますが。

 今後とも、やはりいろいろな意味で、働ける方はぜひ働けるように、年齢でばさっと切っちゃうとかいうような単純な、昔の、人が余っている時代ならともかく、もう今はそうじゃないんですから。そういった意味では、真面目に働く意欲のある方は、ちょっと明るくしてもらうとか、字を大きくしてもらうとか、ベルトコンベヤーをゆっくりにしてもらうとか、いろいろな方法で十分にということを思いますので。

 そういった方々が気持ちよく、まあ八時間とは言いませんから、四時間とか何時間、時間割りはいろいろあろうと思いますけれども、そういった中で働いていただける、働いてもらうと、その人たちはむしろ元気に働く、そしてしかるべき収入も得る、その分だけ、社会福祉、また介護等々、あるいは必要としない等々、いろいろなものが両々相まってうまく回っていくようにせないかぬ。

 長期的にはそういうことなんだと思いますけれども、なかなかそういったような環境に、少しずつ少しずつ今なってきていると思っておりますし、女性の労働市場への参画とか、いろいろな表現もありますけれども、高齢者というのをどこで切るかといえば、少なくとも、前原先生、私が生まれた昭和十五年の日本人の平均寿命というのは四十七歳なんですよ。もう全部終わっていますよ、ここはもう、はっきり言って。ところが、今は八十歳。

 となると、これはもう全然考え方が違って、昭和二十三年の統計を見ますと、平均で見れば五十三・二か何かなんです。戦後の最初の統計なんですけれども。それが、だから定年が五十五で、そこそこ合っていたんだと思いますが、今は八十ということになりますと、それは全然、ちょっと考え方を変えないかぬ。

 だから、副業を認めてもらうとか、労働市場においてもいろいろなことを考えて対応していかないと、急に今すぐ、どれか答えがあるかと言われると、それを複合的に全部組み合わせてやっていかないかぬというようなことになるんじゃないかなと。

 これはまた私の個人的な見解で恐縮ですけれども、そういったことを考えておるというのが正直なところです。

前原委員 長く御答弁をいただき、しかも旧約聖書やら古事記やら、非常に高尚なお話をされましたけれども、私の質問は、四二・五という国民負担でやっていけますかということが質問だったわけです。

 それは、長寿社会になっているということはいいことです。大臣とは私は世代が一世代か二世代ぐらい若くて、失礼ながら、私の小さいころは「サザエさん」が漫画で有名で、波平さんの年というのは五十四歳なんですね。五十五歳定年で、一年前ですから。大物感漂う石原裕次郎さんとか美空ひばりさんとか、亡くなられた年は五十二歳ですから、私はもうそれを超えていると思うと、びっくりするぐらい大物感漂う雰囲気を持っておられて、だから、それだけ日本人というのは若くて長寿化しているということはいいことだというふうに思います。

 そして、今の結論を聞いたら、働いて、税金払って、国民負担率、そちらで何か稼げみたいな話になってしまいがちでありますが、私が申し上げているのは、元気に長生きをされて、そして働きたい方は働かれてという社会は、それは一番いいと思いますけれども、これだけ課題の多い、人口減少、そして長寿化ということの中で、今の国民負担率でいけますかというのが、もう一度お尋ねしますが、私の問題意識で、そして、低福祉・中負担というのは、まさに借金において中福祉・中負担のようなものがなされているということから考えると、先ほどの七対三の話じゃありませんが、ある程度の国民負担率を上げていくという前提でなければ、この社会はサステーナブルでないんじゃないかというのが質問です。

麻生国務大臣 私の意見というか、余計なことを申し上げましたけれども、少なくとも、今の四二%の状況で今の福祉がやれるかというと、私は極めて難しいと思います。

 その部分は、今まで借金でそれを賄ってきたわけですけれども、それを三分の一や二分の一にさせていただいたり、いろいろなことをさせていただいているとはいえ、私どもとしての考えとしては、四二でいくのであれば、福祉の方を落とすか、若しくは負担の方を上げるか、どちらかにしないと、これはなかなか、今の状況を、そのままいけるか、サステーナブルかと言われれば、極めて疑問であります。

前原委員 こういった話については追って、社会像のあり方というのは、今も大事ですけれども、やはり借金というのは将来の世代に対するツケを回している、今の世代がツケ回しをしているということですから、行革も大事、しかしやはり、歳出改革も大事でありますが歳入改革も大事ということの中で、追ってまたこれは議論をさせていただきたいと思います。

 消費税のことで、一点だけちょっと実務的な話で伺いたいんですが、主税局長に伺いますけれども、免税業者がインボイスを発行できない理由ですね。

 これは、財務省のホームページでは、消費税法の規定に基づき適用税率を判断し、当該適用税率や消費税額等を記載した適格請求書又は適格簡易請求書の交付を義務づける以上、その義務づけの対象となる事業者に消費税を納める義務が免除される事業者を含めることは適当でないと書いてあるんですね。つまりは、納める義務が免除される人が書くというのはいかがなものかと。

 麻生大臣が、今月二十二日に予算委員会でこう答弁されているんですね。複数税率のもとで免税事業者にインボイスの発行を認めるということにすれば、消費者の納税とか申告という、これは多分消費税だと思います、消費税の納税とか申告というものを行わない免税事業者が、取引相手の都合のよい税率をインボイスの上に記載するといったことが可能になるということになってしまいますので、適正な課税を確保するという観点から問題があるのではないかと答弁されているんですね。

 ということは、これは、免税事業者は、インボイスにうそを書く、適正なことを書かないという前提、書く可能性が高いという前提で、免税事業者はインボイスが発行できない、登録できないということになっているんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税は、前段階での課税の累積を排除するために、売上げに係る税額から仕入れに係る税額を控除して納税額を計算する仕組みとなっております。その際、控除の対象となる仕入れに係る税額は、前段階の事業者の売上げに係る税額と同額となります。要するに、売上げに係る税を次の段階で控除することによって課税の累積を排除しているという、そういう仕組みだということでございます。

 免税事業者につきましては、そもそも消費税を納税する義務が免除されており、その売上げに消費税に相当する額は含まれないことから、免税事業者から仕入れを行う買い手は、その取引について仕入れ税額控除を行うことは想定されません。これは、欧州諸国を含め、諸外国の付加価値税制度の中で幅広く採用されている考え方でございます。

 その上で、インボイスは、買い手が仕入れ税額控除を適切に行うことができるよう、売り手が買い手に対して、課税されている事業者であること、また、税額等を正確に伝えるためのものであって、したがって、納税義務が免除され、納税する税額がない免税事業者は、税額を記載したインボイスを交付することができないということでございます。

 大臣がおっしゃった話なのは、その一例としてこういうことが起こり得るということで御紹介をされたということでございます。

前原委員 このインボイスが導入されるのはまだ先ですので、また、この当委員会でも議論をさせていただきたいと思います。

 ほかの省庁の方も来られていますので、質問を先に進めさせていただきたいと思います。

 次は、幼児教育の無償化、高等教育の無償化について少し質問をさせていただきたいと思いますが、まず、ゼロ歳から二歳までにおいては、基本的に住民税非課税世帯を対象として無償化をするということであります。三歳から五歳は、所得に関係なく無償化をするということであります。

 まず、お伺いしますけれども、ゼロ歳から二歳までの推計未就園児、いますね。私がいただいた資料では、平成三十年では、ゼロ歳が八十一・三万人、それから一歳が五十八・四万人、そして二歳が四十六・六万人、これだけ推計未就園児がいるわけでありますが、これに対して、いわゆる住民税非課税世帯にサービスを提供するということになるわけでありますが、いわゆる今申し上げた数の中でどのぐらいが住民税非課税世帯に当たるんですか。

左藤副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 無償化の中で、住民非課税というのは、大体十五万人ぐらいと見ております。

前原委員 次に、三歳から五歳までの推計未就園児、これは平成三十年は三歳、四歳、五歳合わせて九万五千人なんですね。今おっしゃったのが十五万人。それから、三歳から五歳が、これは全世帯、所得に関係なく無償化しますよということですね、九万五千人。単純に計算すると、大体二十四万五千人が今受けていなくて受ける可能性が出てくるわけですね。それだけの受皿というのは、全国にあるんですか。そして、保育士というものについては、無償化をしたときにしっかりと対応できるんですか。

左藤副大臣 今おっしゃったことでございますけれども、我々は三十二万人を目指してやっておりますので、これは対応できるようになると思います。

前原委員 三十二万人の目標で対応できるという今御答弁でしたけれども、韓国の例、副大臣は御存じですよね。韓国は無償化を先行させて、そして受皿が足りなくて大問題になっているということは、御承知のとおりであります。

 つまりは、無償化を先行させて、施設そして保育士に対する待遇改善をやらなかった場合においては、制度だけあって受入先がない、こういうことになるわけですね。この心配は全くないと言い切れますか。

左藤副大臣 今、そのために我々は、認可保育所、また認可外保育所、企業の関係の保育所等にお願いをして、その対応をさせていただいているところでございます。

前原委員 ですから、韓国の前例があるわけですね。今おっしゃったことも、それは一つでしょうけれども、しっかりと他国の、今私は韓国の前例を申し上げましたけれども、無償化を先行させて、私は無償化については賛成なんです、賛成ですけれども、順序というものが大事だと思うんですね。

 つまりは、体制整備、受入れ施設、そして、保育士の待遇改善による潜在的な保育士の、免許を持っておられてもやらない方がいっぱいいますよ、給与が低いから。そういう方々がそういう場に来られるような対応策をちゃんととって、そして万全の体制がとれる、つまりは待機児童はその点で生まれないということは、本当に、大丈夫ですということを言い切れますかという質問です。

大口副大臣 前原委員にお答えをさせていただきます。

 今委員からお話がありました、ゼロ歳から二歳については住民税非課税世帯だということでございますので、共働きになりますと所得が上がって無償化の対象外になる可能性が高い。それから、三歳から五歳につきましては、九割が既に幼稚園、保育園、認定こども園を利用しているということが一つ。

 それから、市町村が毎年度、計画を見直して、そして、計画の潜在的なニーズを具体化して計画の数を積み重ねているんですね。それで、二〇一八年九月時点で受皿の拡大の見込みが約二十九万三千人ということでございます。これは毎年四月一日の時点で、それで公表が毎年九月ということでございまして、しっかりここはウオッチをしていかなければなりませんが、三十二万人の受皿を確保することによってクリアできると今考えております。

前原委員 預けられることによって収入があるということですけれども、それによっていわゆる非課税世帯がなくなるから減るという話は、ちょっと私は御答弁としてはいかがかというふうに思います。

 そこは問題点として指摘させていただき、とにかく、順序が大事。施設、受皿、そして保育士の待遇改善。これをきっちりやった上で、本当のいわゆる無償化が行われて、そして、結果として女性も働きたい方は働ける、男女共同参画というものが実現をするということでありますので、ぜひこれは遺漏なくやっていただきたい、また、これについてもしっかりとフォローをさせてもらいたいと思います。

 あともう一問、高等教育の無償化についてでありますが、これも必要だというふうには思いますし、やるべきだというふうに思いますが、かなり所得制限が厳しいんですね、これにつきましては。

 もう時間も迫ってまいりましたので、一問だけ。

 七千六百億かかるということでございますね。全体の財源が七千六百億かかるということですけれども、これを拡大されるおつもりはありますか。まずは、もちろんこれでスタートをされてということですが、恐らく同僚議員も、地元に帰られて、選挙区に帰られて、私学の子ほど奨学金をもらっている子が多いですね。三百万から五百万、卒業時に借金を持っているという話はざらにありますし、ある私学の学長と話をしたときには、半分ぐらいが三百万から五百万の借金を抱えて卒業します、こういうお話もございました。

 そういう意味においては、この制度は必要だし、第一歩としては評価をいたしますが、拡充するという考え方があるか、必要性を感じておられるかどうか、その点について御答弁ください。

浮島副大臣 前原委員にお答え申し上げます。

 家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられることは大変重要なことでございます。

 一方で、我が国の高等教育費に占める私費の負担の割合はとても大きく、二〇一五年のOECDデータによれば、OECD平均の約三割に対して日本は七割となっているところでございます。

 このため、文科省といたしましては、奨学金や授業料減免の充実により高等教育の経済的負担の軽減に取り組んできたところでございますけれども、今回更に、国民負担の原資として、真に支援が必要な低所得者に限って、授業料減免と給付型奨学金、これの拡充を行うこととしたところでございます。

 所得制限を設けず、一律に高等教育の無償化を行うこと、これにつきましては、卒業後の進路が多様であることもあり、進学せずに働く者との公平性等も十分に踏まえながら慎重に検討する必要があると考えているところでございます。

前原委員 少子化の問題というのは、いろいろな複合的な要因があると思います。その際、私が皮膚感覚で思うのは、大学を卒業するときに、例えばある私学で、それは学長がおっしゃっていたことですから事実でありましょう、それは全体に、それこそ普遍化できるかどうかわかりませんが、半分の学生が三百万から五百万の借金を抱えて出ていっている。そんな子供が、すぐ結婚とかできませんよね。

 私の知り合いの会社は、大卒の、借金を持って入ってきた子たちの借金を肩がわりするんですよ。肩がわりして、何年か何十年かかけて、分割でいわゆる給与から天引きをするということをやって、負担を軽減してあげるということをやっているんですね。それは、ある意味でその企業に優秀な人材を抱え込むことにもなるわけです、そういう形態をして。

 ですから、今の副大臣の御答弁は今の文科省の公式答弁なんでしょうけれども、政府全体の中でやはり問題を考えたときに、少子化対策というものは本当に喫緊の課題です。一番私は今危機感を持っているのは、やはり人口減少の問題ですね。働く人もいなくなるし、特に地域はこれから本当に若い人が少なくなって、そして、先ほどの話じゃないですけれども、長寿化が進んでいきますから。増田レポートだと、二〇四〇年、一番人口が減る県は秋田県ですね、今のままいったら。秋田県は二十年後には人口が三分の一減ります。三分の二になって、しかも、その三分の二の三分の一は七十五歳以上です。これが、このままいった場合の日本の将来像ですね。

 そういうことを考えたときには、やはりさまざまな観点で、どうしたら、先ほど麻生大臣からも御答弁がありましたけれども、現役世代に対しての再分配をどう拡充していきながら日本の課題を解決していくかという視点は物すごく必要だというふうに思うことをまず伝えて、さらなる努力を求めたいと思います。

 さて、日銀総裁にお越しをいただいておりますが、この間の財務委員会で、予算委員会ではなくて財務委員会で質問したことについて、改めて伺いたいというふうに思います。

 それは、ETFの買い増しというものはやはり問題があるんじゃないかというのが私の問題意識であります。

 ニッセイ基礎研究所というところが、これは日銀に会社の保有比率を出してくれと言っても出してくれないんですね、株価に対する影響があるということで。まあ、それだけ、影響があるだけ買っているということですよ、要は。

 これはあくまでもニッセイ基礎研究所の推計でありますけれども、例えば、皆様方がよく知っておられる会社でいいますと、京セラ、二〇一六年七月末の日銀の保有比率は五・六、二〇一八年九月末は一二・五ということで、二年余りで倍以上のいわゆる比率になっているということであります。ファーストリテイリング、これは、一六年七月末が九・〇、これが二〇一八年の九月末で一七・九。アドバンテストという会社は九・八が二〇・〇ということになっていて、これだけ日銀が大株主になっているわけですね。

 さて、ここで日銀総裁にお伺いしますけれども、株をずっと買い増しをしているわけです。国債は期限が来たら償還して減っていきますけれども、株は減らないんですね。そして、株が上がるにつれて簿価も上がりますね。そうすると、損失の可能性というのも出てくるということで、ETFを買い続けるということについてはやはり、もちろん、経済に効果があるということでやっておられるということはわかりますけれども、副作用も大きい。先ほど申し上げた数字は、総裁からは明確にお答えできないと思いますけれども、でも、これだけの名立たる企業の二割前後の株主に日銀がなっているということ、そして、それがまさに株の下支えをし、そして株式市場の公平さをゆがめている、こういう認識はございませんか。

黒田参考人 御案内のとおり、ETFを構成する株式の議決権は、ETFを組成した投資信託委託会社が信託銀行を通じて行使することになっておりまして、現在のETFの買入れの枠組みのもとで、日本銀行がETFを構成する株式の株主になっているわけではございません。ただ、御指摘のように、間接的にETFを通じて株を持っているではないかと言われますと、間接的にはそうですけれども、あくまでも株主になっているわけではないということが第一点でございます。

 第二に、確かにETFを年六兆円程度の規模で買い入れておりますので、現時点でのETFの保有額は二十兆円を簿価でも上回っているわけですけれども、ETFを通じた株式の状況は、株式市場全体の規模からいいますと四%程度でありまして、株式市場全体の株価に大きな影響を与えるというものではないと思いますが、確かに、リスクプレミアムを圧縮するという意味では株価に一定のプラスの影響も与えているでしょうし、特に、昨年末からことしにかけて株価が大きく変動しました際には、六兆円程度という中でかなり大きく毎月の買入れ額が変動しておりますので、その意味で、リスクプレミアムの拡大を防ぎ、株価の大きな変動を少し和らげたという効果はあると思います。

 先ほど申し上げたとおり、直接株式を保有しているわけではありませんし、また、株価総額全体の中では四%程度ということでありますので、御懸念の点については私どもも十分考慮しつつ、例えば、株式市場全体を代表するような、TOPIXをベースにしたようなETFにシフトするとか、そういう形で、なるべく個別の株価に影響を及ぼさないように、マーケット全体のリスクプレミアムを圧縮するように努力をしているということでありまして、御懸念の点は十分考慮しつつ、現時点ではやはり必要な対策、政策の一環であるというふうに認識をしております。

前原委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、やはり今後、世界の経済の循環というものを考えたときには、なかなか厳しい局面になってくる。そうすると、この間、答弁で、追加緩和というものも必要だということでありますけれども、やはり金融機関への影響、株式への影響ということを考えた場合に、日銀のとれる政策というのはかなりナローだと私は思いますよ。

 今おっしゃったように、やはりマイナス点もしっかり認識をされながら、こういうものからは徐々に、うまく量的に、国債を買われるのをイールドカーブコントロールに変えられたじゃないですか。私は、あれは非常にうまいやり方だったと思いますね。ああいうような形で、このETFのリスクも何らかの形で変えていかれるように私は望んでおりますし、また議論させていただきたいと思います。

 終わります。

坂井委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 きょうは、消費税の増税、複数税率化に伴って導入されるインボイスの問題から、まず質問させていただきたいと思います。

 免税事業者は、インボイスが発行できないということになっております。取引から排除されかねないということで、多くの免税事業者が新たに課税事業者になることが強いられることになってまいります。

 まず初めにお伺いしたいのは、消費税は、そもそも小規模事業者に免税制度を設けているわけですよね。その理由は何ですか。

うえの副大臣 お答えいたします。

 消費税の事業者免税点制度は、前々年又は前々事業年度の課税売上高が一千万円以下の小規模な事業者につきまして、消費税の納税義務を免除する制度でございます。

 これは、制度の公平性や透明性を著しく損なわない範囲内で、中小事業者の事務負担に配慮し、実務の簡素化のために設けた特例措置でございます。

宮本(徹)委員 事務負担に配慮してということですけれども、税務大学校の教科書の本を見ますと、小規模事業者の納税事務負担にも配慮する必要があるから、事務負担を軽減する措置を設けることには合理性があると。合理性があるとまで書いているんですね。ですから、この合理性のある制度を事実上適用させないという話になっていくわけですから、極めて不合理な制度にしていくという問題だと思います。

 財務省の資料を見ましたら、軽減税率の財源として、インボイス制度の導入により二千四百八十億円程度の増収を見込んでいるということになっております。

 この試算の根拠をまずお伺いしたいんですが、免税事業者のうちどれだけの業者が課税業者になると見ているのか、試算の根拠も含めて、教えていただけますか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度の導入による増収を見込むに当たりまして、免税事業者の数、約四百八十八万者、これは平成二十七年の国勢調査をもとに出している数字でございますけれども、ここから、農協等に出荷する農林水産業、非課税売上げが主たる事業の事業者を除いた免税事業者三百七十二万者程度に対しまして、BツーB取引の割合でございます四割程度を乗じた百六十一万者程度が課税事業者に転換する計算となっているところでございます。

宮本(徹)委員 BツーBが四割程度だからというお話がありましたけれども、実際は、BツーB中心の業者以外、BツーC中心の業者でも、取引の中ではBツーBが入ってくるわけですよね。

 例えばスナックなどの飲食業は、一般に飲みに来るお客さんもいれば、会社の交際費で使われるというお客さんもいらっしゃるわけですよね。そうすると、その社用の客を引きとめようと思ったら、BツーC中心の業者であっても、これは当然、課税業者になって、インボイスを発行できるようにならきゃいけないという話になると思うんですが。

 ですから、実際は、百六十一万者よりも、BツーC中心の業者も含めて、もっと多くの方が課税業者にならざるを得なくなる、こういうふうに思うんですが、違いますかね。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度導入後、免税事業者が実際にどの程度課税事業者に転換するかにつきましては、免税事業者が置かれる状況はさまざまでございますので、なかなか一概に申し上げることは難しいのかと思います。

 確かに、顧客が消費者である小売業者、BツーCの中にも転換される方もいらっしゃると思いますけれども、基本的には、小売業者相手の場合ですと、インボイスの発行を求められることがなく、取引から排除されることはないと考えられます。

 また、納入先事業者が簡易課税を適用している場合、納入先事業者はインボイスなしで仕入れ税額控除を行うことができるため、取引から排除されることはございません。

 そういったさまざまなケースがございますので、一定の仮定として、BツーBの比率、約四割を乗じて計算したところでございます。

宮本(徹)委員 BツーCからも課税業者にならざるを得ない方がいるというのはお認めになりました。

 それで、とりあえずきょうは財務省の試算に基づいてお伺いしたいと思うんですが、今、百六十一万業者が課税業者になるというふうに推計しているというお話でした。

 麻生大臣、そうすると、財務省の試算では、インボイス制度の導入で、これまで免税業者で、新たに課税業者になった場合、平均すると一事業者当たりどれくらいの消費税を負担することになるんですか。

麻生国務大臣 これは、今言われております増収見込み額の総額、二千四百八十億円程度というものを、先ほど星野主税局長がお答えをさせていただいた、課税事業者に転換する事業者数の見込み数で割ります。すなわち、二千四百八十万割る百六十一万ということになりますと、十五万四千円程度ということになろうかと思われますけれども。

 この価格への転嫁を通じて最終的に消費者に負担をいただくということになりますので、消費税というものは。これは、事業者が十五万円ふえるというように勘違いされている方が多いですけれども、払うのは消費者が払うわけですから、その点につきましては、価格に転嫁できるというのが極めてこの際重要なところだと思っております。

宮本(徹)委員 価格に転嫁できるかどうかというのは後で議論させていただきたいと思いますが、十五万四千円、税負担が生じるということであります。

 それで、その十五万四千円、消費税が新たに課税されるという場合の、その試算の根拠も確認したいんですが、これは、一体全体、平均的に見て、一事業者当たりです、一事業者といいますかね、この十五万四千円の根拠となっている仕入れ率ですね、あるいは粗利、そして課税売上高はどれぐらいだというふうに見て、この試算を出されたんでしょうか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 インボイス制度の導入による増収額の見込みに当たりましては、まず、課税売上高ですけれども、所得税や法人税等の申告実績をもとに、免税事業者の課税売上高の平均額五百五十万円程度、それから消費税の申告実績をもとに、いわゆる付加価値率でございますが、これを約三割弱、二八%程度と見込んで試算をしているところでございます。

宮本(徹)委員 そうすると、粗利は、利益はおよそどれぐらいですかね。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、付加価値率二八%でございますので、その率が残るというふうに考えていただければいいかと思います。

宮本(徹)委員 済みません。ちょっと、私、今計算機がないので、ぱっと暗算すると幾らですか。

星野政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、売上高五百五十万程度でございますので、約三割、百五十万程度かと思います。

宮本(徹)委員 つまり、課税売上高五百五十万程度、粗利、利益は百五十万程度、それで消費税の負担は十五万四千円新たにやってくる。私、これは、消費税を価格に転嫁できなかったら大変大変重い負担だと言わなければいけないというふうに思います。

 先ほど大臣からは、これは全部、消費税、価格に転嫁していただくんだというお話がありましたが、実際問題は、消費税は価格に転嫁できるのかという重大問題がずっとこの消費税はあるわけですよね。

 経産省の直近の調査でも、消費税を全て転嫁できている、こうお答えになったのは、BツーBで八七・三%、BツーCで七五・四%、残りは、一部転嫁か全部転嫁か、あるいはみずから経営戦略の関係で転嫁していないかという答えになっているわけですね。さらに、BツーCのサービス業でいえば、全て転嫁できていると答えたのは六三%。消費税増税からもう五年近くたつのに、これが政府の調べた状況なわけですよね。

 消費税を価格に転嫁できずに、お客さんから、相手から預かっていない場合は、これはどうやって消費税を納めるんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 消費税、価格への転嫁を通じて最終的には消費者に御負担いただくことが予定されている税でございまして、事業者の方々が消費税を価格に転嫁できることは極めて重要と考えております。

 政府といたしましても、消費税率の引上げに際しまして、転嫁対策特別措置法に基づいて、買いたたき等に対して公正取引委員会などが指導、勧告を適切に実施する、社会保障と税の一体改革の趣旨等を国民の皆様に御理解いただけるよう広報を行うなど、省庁横断的な取組を行っているところでございます。

 現在の状況について、先ほど先生からも御紹介ありましたけれども、昨年十二月に中小企業庁が実施した最新の消費税の転嫁状況に関するアンケート調査によりますと、全て転嫁できていると回答した事業者、事業者間取引では八七・三%、消費者向け取引では七五・四%であった一方で、全く転嫁できていないと回答した事業者は、事業者間取引で二・四%、消費者向け取引では四・二%という状況でございまして。

 こういう状況を踏まえて、いずれにいたしましても、引き続き、事業者の方々が消費税を価格に転嫁できるよう、消費税転嫁対策特別措置法に基づいてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 私は、転嫁対策をどう進めるのかという質問をしたわけじゃないですよ。転嫁が実際できていない現状があるわけですよね。消費税を価格に転嫁できていなかったらどうやって消費税を納めるんですかというふうにお伺いしているわけです。大臣、どうですか。

星野政府参考人 繰り返しになりますけれども、消費税は価格に転嫁していただくということを予定している税でございまして、事業者の方々が消費税を価格に転嫁できるように政府としては取り組んでいきたいということでございまして、先ほど数字を御紹介したとおり、適切に転嫁がなされている比率はかなりの程度高いというふうに認識をしております。

宮本(徹)委員 ちゃんと通告しているんですから、答えてくださいよ。転嫁対策について聞いているわけじゃありません。実際に、転嫁できていない状況が経産省の調査でも明らかになっているわけですよね。消費税が価格転嫁できていない場合は、どうやって消費税を、これは業者は納めるんですか。大臣、経営者ですからおわかりだと思いますが。

麻生国務大臣 これはもう、事業が、かれこれ二十年たちますからね、五年の話じゃありませんから、最初の話からですから。たった、ついこの間みたいなことを言っておられますけれども、消費税が始まってもう三十年ですから、よく御理解の上で言っておられるんだと思いますけれども。滞納が発生する原因というのは、これは、個々の納税者の、事業者の状況とか資金繰りなど、さまざまな事情によるというのは、いろいろなことがありますから、確たるこれだということを申し上げるわけではありませんよ。

 ただ、消費税の滞納につきましては、これは、適正かつ公平な、いわゆる賦課というもの及び徴収というものを実現せないけませんので、期限内納付に関する広報、周知等々滞納の未然防止策を徹底する。当然のことだと思いますし、滞納となった場合、個々の事情に即しつつも、法令に基づき適切に滞納処分を行わさせていただくということになろうかと思いますので、消費税滞納の未然防止というものと整理促進というものに対しては、引き続き、進めていかねばならぬと思っております。

宮本(徹)委員 ですから、滞納した場合は滞納処分ということで納めていただくんでしょうけれども、滞納に至って延滞税が発生したら大変だからということで、消費税を価格に転嫁できなくても、業者の皆さんは納めるんじゃないですかね。納めている方はたくさんいらっしゃると思うんですけれども、消費税が価格に転嫁できていない場合は、どこからその原資を持ってくるんですか、業者の皆さんは。

星野政府参考人 消費税につきましては、仕入れをして、それで売上げが立ちまして、その差額について消費税を納めていただくということになりますので、そこは御商売をされている中で、適切に転嫁をしていただいて、適切に納税をしていただくということが、それがその制度の予定しているところだというふうに申し上げたいと思います。

宮本(徹)委員 さっきから同じことしか答えられないわけですけれども、転嫁対策を聞いている話ではないんですよ。価格に転嫁できなくても、皆さんは消費税を納めろというわけでしょう。その場合は、利益があれば利益を削るということですし、利益が出ていなければ、いろんなものを削って削って削って納めるということをやるしかないんじゃないですか。

 私は、本当にこの消費税の問題というのは根本的な欠陥があると思っていますよ。先ほど大臣は、五年じゃなくて三十年だという話もされましたが、三十年たっても価格に転嫁できないというのが、事業者が残され続けているわけですから、価格に転嫁できない事業者は身銭を切って消費税を納めなさい、これは税のあり方としては根本的に間違っているというふうに思います。

 日本商工会議所が昨年秋にアンケート調査をやっていますが、消費税が転嫁できる見込みと答えたのは、小規模な事業者ほど少なく、一千万円以下の事業者では約五割。増税されたら価格転嫁できるかと聞かれて、五割ですよ。価格に転嫁できなければ、身銭を切って業者が払わなければならないということになるわけですよね。

 ですから、インボイス制度を導入して、零細業者がいろんな事情から価格に転嫁できないケース、たくさんあるわけですよ。小規模な事業者ほど多い、BツーCほど多い、あるわけですよね。その際に、価格に転嫁できなくても、身銭を切って納めよという話になっていくわけですよね。これは、先ほどありましたけれども、利益は百六十五万程度の事業者に十五万円、価格に転嫁できなくても納めよという話になるわけですよ。これは余りにもむごい税制じゃないですかね、大臣、そう思われませんか。

麻生国務大臣 これは、見解が全然違うんだと思いますので。では、納めない人たちばっかりになったときには、消費税は全然入ってこないという前提になった場合、では、きちんと納められている人に対しては公平さを欠くということになる。

 いろいろなことが言えると思いますので、やはりこれはいただく、きちんとして、そういったルールで決まっておりますので、そういったものをいただかれるように努力をされねばいかぬということで、二%分いただくという、いただけないのであれば売らないとか、それはいろいろな形でその商売をやっておられる方々、商売をなさったことがおありなのかどうか知らぬけれども、そういうものだと私どもは思っております。

宮本(徹)委員 今まで、一千万円までの事業者については法律として免税制度を消費税については設けてきたわけじゃないですか。それが、今度のインボイス制度導入によって、今まで免税だ、事務負担はかけないよと言っていた事業者まで課税転換せざるを得ないということになるわけですよね。ですから、そういう方々に、消費税が上乗せできなくても身銭を切って納めなさい、こういうことをやって、本当に零細業者の皆さんの生活をやっていく権利を踏みにじるようなことをやるのは、私は絶対間違っていると思いますよ。だって本当に、麻生大臣の周りにも零細業者の方、たくさんいらっしゃると思いますが、頭に思い浮かべていただいたら、本当に全部消費税を価格に上乗せできるのか、上乗せできない方々に、こんな少ない利益から消費税を納めろと言うのか。私は、やっちゃいけない道だと思いますよ。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者免税点制度とインボイス制度の関係についてのお尋ねでございますけれども、まず、事業者免税点制度は、冒頭も申し上げましたとおり、制度の公平性や透明性を著しく損なわない範囲内で、中小事業者の事務負担に配慮し、実務の簡素化のために設けた制度でございますけれども、欧州諸国を始めインボイス制度を導入している諸外国におきましても、日本の事業者免税点制度と同様の制度が設けられているところでございます。

 インボイス制度は、売り手が買い手に対して正確な適用税率、税額を伝える仕組みとして導入するものでございます。今般、複数税率のもとにおきましても、例えば、売り手が軽減税率で申告し、買い手は標準税率で仕入れ税額控除をするといった食い違いを防ぐことができる仕組みであると考えております。

 また、インボイス制度によりまして税額が明確になることから、中小事業者にとっても価格転嫁が行いやすくなるといった指摘もございます。

 他方、インボイス制度を導入すると、免税事業者が取引から排除されるのではないかなどと懸念する声があることは承知をしておりますけれども、先ほども申しましたとおり、例えばBツーC取引を行う小売事業者は、顧客である消費者からインボイスの発行を求められることがありませんので、取引から排除されることはないなど、個々の免税事業者への影響はさまざまであると考えております。

 政府としては、従来の免税事業者が課税事業者への転換の要否を見きわめながら円滑に対応を決められるように、インボイス制度の導入まで四年間の準備期間を設けることに加えまして、そこから六年間、さらに免税事業者からの仕入れについて一定の仕入れ税額控除を認めることといたしておりますし、また、課税転換をする事業者の事務負担につきましては、レジ補助金を拡充し、インボイスにも対応できるための機能改修に対する支援を行うといったこと、また、簡易課税制度を活用すれば事務負担が大きく軽減されるものと考えておりまして、課税転換する事業者に対してしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

 引き続きインボイス制度の周知広報に努めまして、万全の対応を行ってまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 長々いろいろなことを、聞いていないことも含めて答弁されましたけれども、導入まで四年ある、それから六年間も経過措置をとるという話ですけれども、時間をかけたらこの問題は解決するという話じゃないじゃないですか。どれだけ時間をかけても、消費税の価格転嫁の問題、あるいはインボイスが発行できなければ取引から排除されるという問題、これは解決しないわけですよ。それから、よその国ではやっているという話をされましたけれども、別によその国がやっているからといって、日本までやる必要はないわけですよ。

 そもそも、こういう、本当に少ない少ない利益の中でも地域経済を支え、町の人たちの暮らしを支えている業者の皆さんを本当に苦しめるような制度を導入しなきゃいけないような複数税率そのものを私は見直す必要があると思いますよ。このことを強く申し上げておきたいと思います。

 二つ目、ポイント還元について質問させていただきたいと思います。

 来年度の予算で、キャッシュレス・消費者還元事業に二千七百九十八億円の予算が計上をされております。この目的は、中小企業対策なのか、景気対策なのか、それともキャッシュレス化推進対策なのか。目的は何なんでしょうか。

石川大臣政務官 お答えいたします。

 今回実施する予定のポイント還元措置の目的の問いでございますけれども、消費税率の引上げの影響を受ける中小・小規模事業者の支援と、それに伴う引上げ前後の需要の平準化、及び、他の先進国に比べ我が国が立ちおくれているキャッシュレス取引を加速し、生産性向上や消費者利便の向上を図ることとしております。

 このため、消費税率の引上げ分を単にカバーするだけでなく、更に消費を喚起する観点から、期間を限定して、五%という需要標準化策として十分と考えられる還元率で、キャッシュレス決済で行ったポイント制度を行うとしております。

 導入に当たってのさまざまな中小企業の皆様への支援に対しましては、後ほどの問いがございましたらお答えいたします。

宮本(徹)委員 まず、キャッシュレス化推進の効果についてお伺いしたいと思うんですが、今回のこの対策で中小・小規模事業者のうち何%の人が新たにキャッシュレス決済を導入すると見積もっているのか。全体として中小・小規模事業者の何%にまでキャッシュレス決済が普及するというふうにごらんになっているんですか。

石川大臣政務官 今後何%のキャッシュレスが普及されるのかということでございますけれども、まず、今回のキャッシュレス・消費者還元制度につきましては、消費者への還元に係る費用として千七百八十六億円、端末導入手数料の補助など中小零細企業の皆様へのキャッシュレス対策支援については三百二十九億円、支援策の広報、システム改修費等として六百八十三億円計上しているところでございます。

 そこで、消費者への還元に係る費用一千七百八十六億円につきましては、対象となる中小・小規模事業者の売上高に対しまして、主要な決済事業者などに対する聞き取り調査も踏まえまして、足元のキャッシュレス比率の伸びなどを乗じて試算しているところでございます。

 したがいまして、予算額を今回試算するに当たりましては、新規に参加する中小・小規模事業者の数などについて積み上げていないため、お答えしかねるところでございます。

 いずれにいたしましても、より多くの中小・小規模事業者の皆様に御参加いただけるように、制度の周知を徹底してまいりたいと考えているところです。

宮本(徹)委員 よくわからないんですけれども、積み上げもせずにどうやってこの予算額が出てきたのか、さっぱり理解できないですね。ポイント還元の額にしろ、さらにはお店が導入を新たにするのに対しても補助の予算をつけているわけでしょう。何の根拠もなく予算額を見積もったんですか。

藤木政府参考人 お答えを申し上げます。

 政府として、二〇二〇年代半ばまでにキャッシュレス決済の比率を四割程度という目標を立てているわけでございます。これは未来投資戦略二〇一七等で書いているわけでございますが。したがって、政府の目標としては、取引に占めるキャッシュレス決済の比率ということで掲げてございます。

 今回の対策につきましても、そういった考え方から、売上高に対してどれくらいのキャッシュレスの取引が行われるかという比率に基づいて試算をしているというところでございまして、具体的な店舗数ということについて今回積み上げているということではないということでございます。

宮本(徹)委員 いや、驚きですね。キャッシュレス決済の店舗に導入する補助の予算を組んだけれども、その店舗の数は見積りもしていないと。めちゃめちゃじゃないですか。どうやって出てきた数なのかというのが全く説明になっていないと思いますので、後で試算の根拠を出していただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、先ほど話した、政府の目標は四割だから、それに相当するぐらいのものだという話ですから、その程度ということになれば、逆に言えば、初めからキャッシュレス決済に参加できない小規模事業者、零細業者がたくさん残される、そういうことを想定しているという理解でいいわけですね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げました、二〇二〇年代半ばまでにキャッシュレス決済比率四割程度というのは、小売売上高に対する四割程度のキャッシュレスが行われるということでございます。

 当然のことながら、キャッシュレスの対応をしているお店でも、全てがキャッシュレスで支払われるわけではないということでございますので、今の御指摘でおっしゃるように、四割が対応して、残りの六割が対応していないということではないというふうに思っております。

宮本(徹)委員 では、零細業者にあまねく普及されるんですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど政務官から御答弁申し上げましたように、今回の事業を含めて、なるべく多くの事業者の方にキャッシュレス対応を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 全く何の数の根拠も出てこなくて、議論にならないわけですけれども、恐らく、キャッシュレス決済に参加しない零細業者はたくさん残るというふうに思いますよ。

 結局、キャッシュレス決済を導入したのも、これも私、昨年の国会でも言いましたけれども、手数料はかかるわけですよね。その手数料を補うだけの売上げの増だとか利益の増がない限り、やはり現金商売を続ける方というのはたくさんいらっしゃるというふうに思いますよ。

 しかし、今回、こういう制度を、ポイント還元というのを政府が旗を振ることによって、現金商売を続けようとしたら、お客が奪われるわけですよ。ポイント還元制度によって消費者がお店を選別する、その選別から、今まで選ばれたのに漏れるという業者も出てくるわけですよ。そういう中で廃業に追い込まれるところだって出かねないんですよ。

 そういう、本当に、一つ一つのお店のなりわいがかかった問題だという自覚があるのかというのを私は伺いたいというふうに思いますが、いかがですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、キャッシュレス決済を導入することのメリットという観点から申し上げますと、一つは、これはコストの面でございますけれども、例えばレジ締めに必要な手間でございますとか、こういった現金の取扱いに関する直接間接のコストを減らして、店舗の生産性を高めることができるという面もあるというふうに考えておりますし、また、昨今、海外で急速にキャッシュレス決済が普及しているという中で、日本を訪れる外国人観光客の約七割の方が、キャッシュレスがあればもうちょっとお金を使ったというような回答をなさっているというアンケートもございまして、こういった消費拡大というような効果も見込まれるというふうに考えてございます。

 もちろん、キャッシュレス決済を導入するに当たって、手数料というものが必要になってくるわけでございます。それも、水準に関しては、さまざまな水準があるわけでございますが、そういうものと見比べた上で、それぞれメリットがあるというふうにお考えの事業者の方については、今回の事業においてぜひ導入を進めていただきたいというふうに思っているところでございます。

宮本(徹)委員 メリットがないところは導入しないという判断をすると。そういう判断をしたら、お客は奪われるということなんですよ。

 本当に、こういうことを政府がやっていいのかということですよ。ポイント還元制度で、ある意味業者の淘汰を進めるようなことになりかねない、そういう話をたくさん、町を歩いていても聞きますので、警告しておきたいと思いますし、私は撤回を求めたいと思います。

 そして、先ほど、キャッシュレス化したらいいことがいっぱいあるんだというお話を経産省はやられるわけですが、バラ色な道では決してないですよ。導入コストは政府が補助をするという話です。だけれども、手数料は発生します。さらに、手数料だけじゃないですよね。通信費用なんかもかかるということになるわけですよね。

 ちょっとお伺いしたいんですけれども、キャッシュレスの決済を導入した場合、今度の制度で、売上げというのは平均的にどれぐらい伸びるとか、そういう計算というのはやられているんですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたように、キャッシュレス導入によってもたらされるメリットというのは、それぞれのお店の状況によって違う。コスト削減にきくという場合もございますし、売上げに期待されるという面もあるわけでございますので、それぞれ、どの程度伸びるかということについて一概に申し上げることは困難であるということでございます。

宮本(徹)委員 つまり、導入したって売上げがふえるって保証はありませんよということですよね。確認しておきます。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、御商売のことでございますから、キャッシュレスというツールを導入したから必ずふえるというようなことを保証できるという話ではないと思っております。

宮本(徹)委員 つまり、売上げがふえるわけでもない、そのような保証もできませんと。ただキャッシュレスをやみくもに推進して、お店からすれば、手数料と維持負担だけがやってくるという話じゃないですか。

 本当に私は無責任な政策だというふうに思いますよ。日本人の中では、やはり現金商売というのは根づいてきているんですから、そこはやはりちゃんと私は見なきゃいけないと思いますよ。結局、中小企業対策といいながら、売上げがふえる保証もありません。どこが中小企業対策なのかという話であります。

 それから、私が本会議で質問したとき、総理からの答弁でこういうのがありました。QRコードを一枚置くだけで導入でき、事業者の維持コストがほとんどかからないQR決済、こういう話があったんですね。

 QRコードの決済を導入したら、維持コストは確かにかからない方法もあるようですが、しかし、消費者の側はスマホかタブレットが大体必要になるんじゃないですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 QRのコードをお店の方に張っておいて、それを消費者の方に読み取っていただいて決済するという方法のことだと思いますけれども、それは、最近のまさにスマホであったりタブレットであったりの普及を受けて、そういうものが便利であるという消費者の方がふえてきているということに伴って普及しているというふうに考えているところでございます。

宮本(徹)委員 つまり、事業者の維持コストが安いというふうに言ったQRコード決済の場合は、消費者の側にスマホかタブレットが必要になるわけですよね。これは、持っていない高齢者はたくさんいらっしゃいますよ。そして、高齢者が多い地域、東京なんかでも、昔、大規模に開発された団地なんというのは、もう本当に高齢者が中心という地域もたくさんふえてきているわけですけれども、そういうところの周りにあるお店なんかは、QRコード決済の仕組みを設けたからといって、じゃお客さんがほいほいやってくるかといったら、やってこないわけですよね。ですから、事業者に維持コストがかからない仕組みというのは、地域によっては、お客さんがやってくる道ではないということなんですよね。

 そして、スマホを持たない高齢者の場合は、Suicaだとかnanacoだとかという形の、現金をチャージして使う決済というのがキャッシュレス決済と考えられると思いますが、こっちは、お店の方の維持コストは、QR決済のようにほとんどかからないというわけにいかないわけですよね。決済手数料以外に、お店の側にアイパッドやタブレットが要ったり、通信施設というのが必要になるわけですよね。それに見合う売上高の増が見込めるかといったら、それは保証できないというのがさっきの話だったわけですよ。

 麻生大臣、ですから、いろんな決済の仕組みもありますよ。ですけれども、実際一つ一つの決済の仕組みを見ても、手数料がかかる、維持費がかかる、あるいは高齢者には向いていない、こういうどれもこれもいろんな弱点があるというふうに、私もいろいろ話を聞いて思っているんですよね。そうすると、本当にこのキャッシュレス化を推進して、実際は、いろんな施設に導入したけれども、売上げが伸びずに利益が減っちゃった、こうなった場合は、誰が一体今度の制度で責任をとられるんですか。

 これは大臣が答えてください。

麻生国務大臣 高齢者は、今までどおり現金でやられたらどうです。何か高齢者が全て除外されるような感じに思っておられるように聞こえますけれども、今までどおり現金でなさったらよろしいということだと思いますが。

 それから、QRコード等々を利用するお客さんというものが、今までは使えないところが、QRコードが使える、クレジットカードが使えるんだったら、そこの店で買おうという人も来るかもしれぬということだと思いますので。それは、店を商売される方の判断だと思いますが。

宮本(徹)委員 高齢者は、現金を使われる方がたくさんいらっしゃると思いますよ。大臣のおっしゃるとおりですよ。

 ですけれども、同時に、キャッシュレスの決済の仕組みを入れたら、手数料そして維持コストがかかるわけですよ。それにふさわしい売上げの増の保証はできないと経産省からも答弁がありました。ですから、利益が減るということが大いにあり得るんじゃないですか、大臣。

麻生国務大臣 私らは自由主義経済の中で商売をしてきましたのでね。統制経済でもなければ、自由主義経済でやっている、私らは。

 したがって、そういったもののコストを、かかるということを計算して、それによって利益が、別の売上げがふえるであろうと思って、その設備を入れる入れない、それはその店が判断をされるということだと思いますが。

 これが私どものやってきた、今までの商売はそういうものだと思います。

宮本(徹)委員 だから、私は、本当に自由主義経済だというんだったら、自由にした方がいいと思うんですよ。今回みたいに、上から、五%ポイント還元、税金を投入してこういう仕組みを設けるから、大きな問題が私は起きているんだと思いますよ。

 キャッシュレス決済を導入しなければお客はとられてしまう、キャッシュレス決済を導入したら手数料や維持費がかかって、もしかしたら利益は減るかもわからない。自由主義経済だというんだったら、無理やり税金を投入して、こういう、業者に選びようのない地獄の二択を突きつけるようなことは私はやめるべきだというふうに思います。

 更にお伺いしますけれども、このポイント還元、政府が税金を注いでやるのは九カ月間ということですが、その九カ月後にどうなるのかという問題もお店にとってあります。

 キャッシュレス決済を導入して、お客さんが、高齢者は現金で続けているかもわからないですけれども、お客さんがキャッシュレスにかなり、政府の見通しでは変わるということですから、一定のお客さんがキャッシュレスになっています。そうすると、九カ月後にやめようと思ってもやめられないという事態が起きるわけですよね。

 そうすると、政府のこの補助の期間が終わったら、決済手数料は決済業者と自営業者の間で決まるということになってまいります。現在は、クレジットカードの利用手数料が五%だったり七%だったり、こういう高い負担を強いられている自営業者もいらっしゃいます。飲み屋さんなんかは、結構、七%とかというのも、お話を聞いたりもします。

 そうすると、この政府の九カ月間のポイント還元の期間が終わった後に、決済業者から手数料の引上げを求められたら業者は大変困ることになるんじゃないかと思いますが、いかがですか。

石川大臣政務官 お答えいたします。

 キャッシュレスの手数料の負担について、やはりそういうお声が、重いという指摘があるのは私どもも承知しているところです。

 このため、今回の制度におきましては、実施期間中に手数料が三・二五%以下である場合に消費者還元の支援を行うという条件でございまして、実施期間終了後の手数料率の取扱いについても、事前に提示することを求めております。

 今回の制度を通じまして、手数料の比較的安価な決済手段も含めた多様な決済事業者が参加すること、また中小・小規模事業者にその参加決済事業者の情報を丁寧に提供することで、決済事業者間の市場競争が促進をされて、制度終了後も加盟店にとって利用しやすい手数料水準が提供されていることを期待しているところでございます。

宮本(徹)委員 期待、願望だけ語られるわけですけれども、初めの九カ月間は三・二五以下のところだけですよ、そのうち一ポイントは政府が補助しますよ、だから手数料は二%程度ですよという話ですけれども、九カ月間が終わった途端にこれは少なくとも三・二五までは上がるわけですよね。あるいは、場合によっては、今キャンペーン期間で決済手数料ゼロ%ですと一定期間やっているところもありますよ。そういうところは、そんなゼロ%でビジネスモデルが成り立つはずないですからね、今設備投資だとかいろいろなことをやって赤字を出しているところもありますけれども、一定期間たったら引き上がるわけですよね。いつまでも安い保証というのは、これは私はないというふうに思います。

 いずれにしても、今回のキャッシュレスの場合のポイント還元という仕組みは、私はどう考えても中小企業対策という名には値しないと思いますよ、大臣。これは、中小企業対策じゃなくて、決済業者支援策であって、キャッシュレス決済の販売促進策にすぎないんじゃないですか。違いますかね。

うえの副大臣 お答えいたします。

 ポイント還元事業は、中小・小規模事業者の店舗において、キャッシュレスで決済を行った事業者に対し、ポイント還元を実施することで中小小売店における消費の喚起を後押しすることを目的としています。

 キャッシュレス取引を普及させることで、中小加盟店にとって、レジ締めの手間の削減等によりまして生産性向上というメリットがあると承知をしております。

 中小・小規模事業者対策としての性格を有することについて、疑いはないと考えています。

宮本(徹)委員 それは本当に、ぜひ町の商店の声を聞いていただきたいと思いますよ。本当に、戸惑いの声、憤りの声、私はたくさん聞いていますので、これは見直していただきたいと思います。

 それからあと、同じキャッシュレス、ポイント還元ですけれども、ちょっと話題をかえますけれども、キャッシュレスのポイント還元の仕組みを設けたことによって、かなりのお店がキャッシュレスを導入するということになると思いますが、今後懸念される問題があります。

 先週、アマゾンが、アマゾンポイントの還元について、出店している店舗の負担で一律一%のアマゾンポイントの負担を求めるというのを一方的に出店業者に通知をしました。私は、そのメールも、業者の人からこういうのが来たんだというので持っていますけれども、出品者様各位というので、一方的にメールで通知がやってきたわけですよ。

 けさの閣議後の記者会見で、経産大臣が、これは公取に対して調査をしなきゃいけないという話もされたということも伺いましたが、きょうは公正取引委員会にも来ていただきましたけれども、こういう一方的に出店者の側に対して、出店者側の負担でポイントを負担せよ、そしてアマゾン側が勝手に全部一ポイントつけちゃうわけですよね。こういうのは優越的地位の濫用そのものじゃないんですかね。

東出政府参考人 委員の御指摘のようなことにつきましては、私ども報道等で承知をしておりますけれども、個別の事案のことでございますのでお答えは差し控えますが、ただ、一般論として申し上げますと、自己の取引上の地位が出店者に優越しているオンラインモール運営事業者、これが、オンラインモール利用の拡大を図るために取引の相手方に対しまして不当に不利益を与えるような仕方で取引条件を変更するというような場合には、優越的地位の濫用ということで独占禁止法上問題が生じるおそれがあるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 一方的にメールで通知をしているわけですよ、取引条件。重要なお知らせ、お客様のよりよいお買物体験に向けたアマゾンポイントプログラムの変更について、二〇一九年五月二十三日木曜(予定)より、amazon.co.jpにおける全ての出品商品の販売価格に対して最低一%のアマゾンポイントを付与するようアマゾンポイントプログラムを変更いたします、出品者様にはこの変更を御考慮の上価格を設定いただけますようお願い申し上げますと。

 これは、相談して何かやってという話じゃないですからね。文字どおり一方的に一片のメールの通知で出店者側に負担を求める、こういうやり方は極めて問題だと思いますが、その点どうですか。

東出政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、個別の問題、個社に対することにつきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、優越的地位にある者が取引の相手方に対しまして不当に不利益を与えるような仕方で取引条件を変更するということは、優越的地位の濫用ということで独禁法上問題が生じるおそれがあるというふうに考えております。

宮本(徹)委員 同じ答弁しか返ってきませんが、けさの会見で世耕大臣がおっしゃったとおり、これはもう調査は開始されるということでいいわけですね。

東出政府参考人 世耕大臣の発言につきましては、私ども報道等で承知をしておりますけれども、個別の会社に対する対応につきましてはお答えを差し控えさせていただきます。

宮本(徹)委員 大臣が個別の会社の名前を出してやっているのに、どうしてそれも言えないのかなというふうに思いますが。私、実は、今回のアマゾンのことを見て、今回のキャッシュレス、ポイント還元の問題とこれはつながってくる問題だなと思ったんですよね。

 実は、今、コンビニも独自のポイント還元、やっているところが結構あります。コンビニによっては、ポイント還元のポイント分の負担はコンビニ本部がやっているところもあるわけですよね。一方で、コンビニ本部が負担せずに、フランチャイズ店に対して、付与するポイント分のお金はオーナー負担にしているところもあるわけですよ。

 ですから、今回、たくさんの中小業者も含めて、キャッシュレスのいろいろな決済の仕組みのところに加盟店として入っていくということになります。そして、今政府が先頭に立ってポイント還元をやる、負けじといろいろなところがポイント還元をどんどんどんどん打っていく。政府のポイント還元に合わせて、更に、お客の獲得競争のために、独自のポイント還元をキャッシュレスの業者あるいは取引先が、ポイントを付与する側が、ポイントの大もとのところが、加盟店に対して、あるいは出店側に対して求めていくということも大いに起き得るんじゃないか。そういう懸念はあるんじゃないですかね。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 さまざまな小売店あるいはチェーン店において、ポイント還元といったような方法で販売促進が図られるということは一般的なこととしてあり得ることでございまして、そういったことをやって消費を喚起していくということ自身は、それぞれの御商売の判断であるというふうに思っております。

 ただ、それに当たって、先ほど来公取から御答弁ありますように、優越的地位の濫用等、こういった問題が生じないようにやっていただくということが重要ではないかと思っております。

宮本(徹)委員 優越的地位の濫用にならないようにやれという話ですけれども、現にもう優越的地位の濫用でどんどんやられているわけですね。コンビニ業界でもやられている、アマゾンでもやられている、それ以外のところでもどんどんどんどんやられているわけですよね。ただ、それが是正されたという話、私は聞いたことがないわけですよ。

 そういう中でポイント還元競争というのがどんどんどんどん広がるということになったら、これは、結局、体力の小さいところから倒れていくということをもたらす懸念もあるんじゃないですかね。

藤木政府参考人 先ほど申し上げましたように、いろいろな御商売の競争の中で、販売促進の一つの方法としてポイント還元を行う。売上げ全体にわたって還元を行うという場合もございますし、商品を限って、あるいは期間を限って、さまざまなやり方もあろうかと思っております。

 また、ポイント還元以外の方法でのさまざまな競争の態様というのもあるように考えておりまして、必ずしもそれが直ちに競争環境をゆがめるということではないというふうに考えております。

宮本(徹)委員 競争環境は、この五%ポイント還元を政府がやっている時点で大きくゆがめているというふうに思いますが、本当に小売業界は、今回の制度をきっかけに、過剰なポイント還元競争、値引き競争が起きるんじゃないかと大変懸念されています。その際に本当に一番割を食うのは中小零細業者になっていくということだと思います。本当にこの制度は問題だと重ねて言っておきたいと思います。

 残り時間が少なくなってまいりました。

 ポイント還元は、大変消費者の中でも不公平だということが指摘されております。低所得者ほど負担が重い消費税を増税して、その対策として、多額のカード決済が多い人ほど還元されるポイント還元ということになっております。

 麻生大臣にも一つお伺いしたいんですけれども、麻生大臣の政治団体の報告書を見ますと、飲食店での会合の費用というのも大変見受けられるわけですね。百何万円とかという支出なんかも一晩であったりもしますが、こうした支出は現金で払っているんでしょうか、それともクレジットカードだとか、キャッシュレスでお払いなんでしょうか。

麻生国務大臣 政治資金団体としてではなくて、個人としての支払いにつきましては、これは現金を使う場合と、クレジットカードを使う場合と、両方あろうと思いますが。

宮本(徹)委員 個人として支払っているんじゃないと思います。素淮会ですかね、素淮会の政治資金の届出のやつを見させていただきましたけれども、有限会社オフィス雀部だとかにいろいろ書いてありますけれども、多分、あれは個人としての支払いじゃないですよね。政治資金として、政治資金団体として支払っているから載っていると思うんですけれども、それは現金でお支払いなのか、キャッシュレスでお支払いなのか。

麻生国務大臣 銀行振り込みなんじゃないですかね。

宮本(徹)委員 そうですか。銀行振り込みでいろいろなものをやられているということですか。わかりました。

 いずれにしても、いろいろなところに銀行振り込みで払うというやり方は、私は余り食べるときにやったことがないものですから驚きましたけれども。

 いずれにしても、消費税を増税しながら、高額所得者の方がたくさんの飲食に使う、あるいは高額の宝石を買う、ブランドバッグを買う、これをキャッシュレスでやれば多額の還元が行く。それで、先ほど麻生大臣は高齢者の方は現金でやればいいというお話をされましたけれども、麻生大臣が現金でやればいいという方々に対しては何の還元もない、消費税増税だけがやってくる。格差を広げるものだと言わざるを得ないというふうに思います。

 もう一問聞こうと思いましたけれども、時間になりましたので、これで終わります。続きはまたあしたやらせていただきます。

坂井委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも各種伺っていきたいんですが、最後の話、たしか以前、麻生大臣と、私じゃなかったと思うんですけれども、ほかの方がやりとりしているときに、大臣、大体ツケでしょう、そんな、現金や、まあカードももちろんお使いになるとは思いますけれども、大体ツケでお支払いになると思いますしという話をたしかされて、おお、さすが麻生さんだなというのを、去年かおととしか、そんな話をした覚えが、今思い出したんですけれども。逆に、我々若い世代からしたら、麻生大臣ほどの方が、小銭入れを取り出して小銭入れでじゃりじゃりされていたら、それはそれでびっくりしますので、当然の話だと思いますし。

 さっきのお話を聞いていても、そういったツケ払い若しくはカード払い以外にも、キャッシュレスに関しては、私は、今の宮本委員の意見とは逆で、どんどん推進したらいいと思うんですよ。

 現にすごく便利です。私も、ほとんどキャッシュレスで払える部分はできる限りキャッシュレスで払いますし、ポイントを見ても、今いろいろな各種ポイントがあるので、民間企業がそれぞれ、例えばポイントに優劣をつけてやっていく、それを消費者が見ていく中で、最後、競争で淘汰が起きていく、これは自然な話だと思いまして、これは工夫すればするほど安くなります。

 例えば、今、FeliCaだけじゃなくて、QRコードの話で、いっぱいいろいろな種類が出てきていますけれども、FeliCaに比べてQRコードがおくれたということもあって、今、必死にこれらの企業はポイント還元なり、若しくは安くするというのをやっています。最大、大体今だと二〇%ぐらい、前後安くなるわけですから、逆に言えば、これはアプリを入れれば、振り込みで誰でもできるわけですよ。そうしたら、やはり調べれば調べるほどやろうという人がふえていくでしょうし、逆に言えば、お金のない方も、カード決済だと、高くても二%とか、すごいところは五%とかありますけれども、大体それぐらいのものが、キャッシュレスであれば二〇%引きなわけですから、非常に賢く消費いただく方にとってはいいことだと思いますし、どんどんどんどんやったらいいと思います。

 ただ、FeliCaの方が進んでいたのになぜQRだというのはあるとは思いますが、しかし、FeliCaはあの端末が要りますので、あの端末を、例えば個人同士であれを持つべきかというとちょっと違うと思いますし、例えばフリーマーケットのところで一々用意するというのは変なので、個人間決済に対してQRが出てくるのも非常にありかなというふうに私は市場を見ています。

 そういった意味では少し、宮本委員とはその点は違うんですが、しかし、税に関して、税の部分が複雑になるというのはちょっと違うかなというふうに思います。

 民間企業の方で何かのサービスに対してポイントをつける、これは自由ですし、消費者の中で確認していって競争が起きる、これは自然なことで、どんどんやっていただきたいですが、税が複雑になっていくというのは非常におかしくなりますし、簡素で国民にわかりやすい、これが非常に大事な点ですが、その点では今回の税制はおかしい。この点では、宮本委員、ちょっといらっしゃいませんが、この点は私も思います。

 そういった意味で、今回の税制、非常に、見ていてこれでいいのかなと正直思うところでございます。ずっと、新聞の、なぜ軽減税率を適用されるのかという点はやってきましたので、これ以上は言っても同じ繰り返しになるので言いませんが、おかしいと本当に思う部分も多いですし、何より、消費税は、財政が足らないと言っているので、そのお金がないから上げさせてくれと言っているのに、その対策のために多額のお金を出すというのは非常に、逆に本末転倒だというふうに思うんですが、まず、このあたりについて、大きな枠の議論を聞いていきたいんです。

 まず、消費税増税に対して、今回、予算でも税制でも、消費冷え込みに対していろんな政策を打つんだという形でパッケージにされています。これらについて、いろんなことをやられていると思うんですけれども、一体、総額で幾ら減収することになるのか。そして、逆に言えば、予算を組むわけですから、それに対して支出をしなければいけません、支出をすることになるのか。このあたりについて、具体的な数字をお答えいただきたいんですけれども。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の消費税率の引上げに当たりましては、税率引上げに伴う経済への影響を平準化するために、まず予算面でございますけれども、予算面については、平成三十一年度の当初予算において、臨時特別の措置として二・〇兆円程度の歳出措置を講じることとしております。それから、税制面におきましては、恒久的な措置それから臨時的な措置を合わせまして、平年度ベースで〇・三兆円程度の減税措置を講ずることとしております。

 今申し上げました両者の金額を単純に合計をいたしますと、全体の規模は二・三兆円程度と見込まれるところでございます。

丸山委員 お伺いしたいんですけれども、先ほどの二兆円の予算の方は単年度ですよね。今後、来年以降も、もちろん、同額とはいわないまでも、何かしらの予算を組む可能性は大いにあるという認識でいいでしょうか。いかがですか。

宇波政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおりでございます。

 二〇二〇年度、二年目になりますけれども、二〇二〇年度は、消費税率の引上げによる経済への影響が平年度化することになります、半年ではなくて一年ということでございますので。二〇一八年の骨太の方針におきまして、この臨時特別の措置、消費税の影響を平準化するための臨時特別の措置は、二〇一九年度と二〇二〇年度において講ずることとされておりますので、二〇二〇年度においても何らかの臨時特別の措置を講じてまいります。

 具体的な内容につきましては、またそのときの状況を見ながら、予算編成過程で検討していくことになろうかと思います。

丸山委員 つまり、今のところわかっているのは二・三兆円という数字が出てきましたが、恐らく更に積み増していくだろうというのが、予算で支出若しくは減収も含めてかかるコストですよね。そういった中で、じゃ、その分を税金取らなきゃいいじゃないですか。若しくは、その分を段階的に引き上げることで、ショックを和らげるのがいいんじゃないですか。

 単純でわかりやすいし、例えば、新たな施策をするためのコストはかかりません。先ほどのポイントのものだって、導入するのに、広報するのに、さまざまな面ですごい支出がかかる。無駄な、本来、段階的に上げれば必要ない部分の予算もかかってくる。非常に無駄な予算もかかりがちな中で、段階的に上げた方がよっぽど平準化できますし、何かしらの施策をしても、先ほどの宮本委員の御指摘のポイントの還元の話だって、結局、オリンピック前に切れるわけですよ。そこで壁ができますよね。

 結局壁ができる同じ中で、どうしてもっと単純に、消費税をバランスよく、少しずつ上げていくなり、そういった発想ができなかったのかな、単純にいろんなところの方から聞かれますし、私自身もすごく思うんですが、これについてどういうふうにお考えか。複雑じゃないですかね、大臣。いかがでしょうか。こうした部分、どのようにお考えですか。

麻生国務大臣 これは、消費税につきましては、段階的に引き上げる方が、単純化とか平準化とかいろんな表現があるんだろうと思いますけれども、そういったことが平準化できる、一%ずつとか〇・五とかいろんなことが考えられるんだと思いますが。確かに、一%ずつというような小刻みな引上げであれば経済に与える影響というのは緩やかなものになるという効果は期待できるということは確かだと思いますが、一方、小刻みで段階的に引き上げるということは、その分、引上げの回数がふえますから、その意味では、これは、業者を中心にしては、事務負担がその分だけ、たびたび商品は書きかえないかぬとかいろんな話になりますので、そういった面もありますので。これはドン・キホーテを例にとって、あれを全部、毎回書きかえるとなったら大変な作業だと思いますけれども。

 そういった意味でいきますと、やはり、社会保障と税の一体改革ということで、五%ということで、五%から一〇%という引上げにつきまして、社会保障の充実とか安定化というものを考える財源として、これらの面も勘案しながら、三%と二%という二段階で引き上げるということになったものだと理解をしております。

 今申し上げましたように、消費税率一〇%に引上げというのは、これは、全世代型への社会保障制度というものに向けて、私どもとしては、必要な財源というものを確保するためにどうしても必要なものだと思っておるんですが、今申し上げたとおり、こういったものを少しずつ少しずつというのは私どもも考えないわけじゃなかったんですけれども、手間がかかるという意味におきましては、これは毎年、そのときになって、また引き上げる、また引き上げるという話がまた出てきますし、そういった意味では、回数がふえるということに関するデメリット、また、業者の人たちの非常に手間がかかるという御意見等々も勘案せねばならぬところだと思っております。

丸山委員 上げることが決まれば、基本的に、システム的には、最初に組めばいい話なので。現に、今、八%に上げて、次、一〇%に上がるわけですから、ここの部分はみんな想定して、ある程度、最初のシステムで組みますので、恐らく、大臣がおっしゃっているほどコストはかからないと私は思っています。

 同時に、それ以上に、今財務省さんが、恐らく本意というよりはいろいろな政治的な理由で、いろいろなパワーバランスの中でお決めになっている今回のポイントにしろ、その他の税額の控除にしろ、そうした部分の事務的な変更の方が非常に複雑で、なおかつ、定期的に変わらずに、ばらばらな時期でずれるわけで、私は実は、大臣が、事務コストが大変だともしおっしゃるなら、今出されている政策の事務コストも同じように大変ですし、むしろ、定期的に変えるともうわかっている段階で、とめるかは別ですよ、景気でとまるかもしれませんが、最初から、例えば、五%から変えるときに、次は六になる、七になる、八になる、九になる、一〇になるというふうにわかっているシステムを組む方がよっぽど事務コストはかからないというふうに私は思うので、正直、大臣がおっしゃったのは少し違うかなというふうに思うんです。

 ただ、大事な御答弁があって、実は、検討しないでもなかったというお話も、考えないでもなかったという話があったんですけれども、これは事務方の方で構わないんですけれども、そういった考え方もあったんでしょうかね。検討された上で、今大臣のおっしゃった、こちらの方がいいという話になったということでいいんですか。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、五%から一〇%に上げるという局面におきましては、社会保障と税の一体改革の議論の中で、社会保障の財源を確保するということと財政の安定化に充てるということで議論が行われて、五%、上げる局面の中では、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたとおり、事務コスト等々の議論もあって、三%と二%の二段階で引上げを行うこととしたということでございまして、その過程で、一%ずつという議論よりは、むしろ、五%を前提として、それをどう上げるかという議論だったというふうに記憶をしております。

丸山委員 済みません、お名前を聞いたら星野さんですね。去年なりおととし大変だったなと思いながら見ていたんですけれども、御答弁いただいて、気づかず失礼いたしました。別な話で申しわけないんですけれども。

 何を言いたいかというと、この点、非常に大事だと思うのは、この後議論をしたい軽減税率の話なんですけれども、政府は、要は、段階的に上げるのは非常に事務的にコストがかかるからやらなかったという御答弁ですけれども、じゃ、軽減税率を見てみたら、非常にこちらも、むしろこちらの方が事務的コストがかかるんじゃないかなと考えるのが普通だと思います。

 現場の方のお話を聞いても、例えば小売の皆さんもそうです。税理士の皆さんの話を聞いてもそうです。インボイスの制度一つとってもそうですけれども、非常に複雑過ぎると。全部の割合を、今、パーセントを一個ずつ上げていく事務が大変だとおっしゃいましたけれども、これが品目ごとに変わる。しかも、今後、軽減税率、枠が広がるか狭まるか、変わる可能性だってある。こちらの方が、どう考えても複雑ですよね。非常に、そういった意味で、私は、今の御答弁というのは、詭弁とまでは言いませんが、偏っているんじゃないかなというふうに思います。

 ちょっと軽減税率について聞きたいのは、逆進性のお話。これは至極言われて当然だと思うんですけれども、一応、念のため、もう一度確認しておきたいんです。

 軽減税率、高所得の方であるほど当然、消費額は多いですよね。もちろん、その方々ほど、食品にしても何らかにしても、基本的には多く使われている。その額ですね、割合ではなく額から考えれば、当然、高所得者の方の方がたくさん減税をされて、低所得の方の方が額としては少ない額になるんじゃないかというふうに考えるのが通常の考えだと思うんですけれども、こうした逆進性の部分は、何かしらデータをとられて、これに対して反論ができるものなのか。このあたり、どのようにお答えになりますか。

麻生国務大臣 これは、今先生言われた、消費税率制度の実施によって、基本的に、消費税負担の軽減度合いというものは消費税負担の軽減額、額で見るべきとの御意見、簡単に言えばそういうことを言っておられるんだと思いますので。

 消費税の逆進性というものに関して、所得の低い家計、収入の低い家計ほど消費支出が収入に占める比率が高いということになりますので、収入に対します消費税負担の割合も必然的に高くなるというこの比率の話が一番肝心なところだと思っております。したがって、軽減税率制度というものの実施によりまして消費税負担の軽減度合いというものは、収入に対する税負担の割合で見ることの方が適当なのであって、額ではなくて。そういったことではないかというのは基本的に思っております。

 また、軽減税率の対象品目について、低所得者の方が収入に占めます消費支出の割合が高い中で、食品なんかがよく出るんですが、酒類とか外食とかいうのを除く食料品ということになっております。これによって、収入に対する消費税負担の割合につきましては、低所得者の方が高所得者より大きく引き下げることができるというので、消費税の逆進性の緩和につながる、これは割合の話です、というように考えております。

 加えて、消費税負担、比率の負担による増収分につきましては、これは全額、社会保障の充実とか安定化に充てることにしておりますので、所得の低い方に対しての社会保障というものの充実の一環として、国民医療とか保険料とかいろいろ、年金生活者支援とかそういったような形をやらせていただくと思っておりますので、こうした分とあわせて、受益というものをあわせて評価されてしかるべきなのではないかというように考えておるということであります。

    〔委員長退席、武部委員長代理着席〕

丸山委員 簡単に言うと、お金を持っていらっしゃる方が例えば五万円返ってくるのよりも、お金がない方が三万円返ってくる方が、それはプラスになるんじゃないの、よく考えるんじゃないの、そういうことでよろしいですか。

麻生国務大臣 額で見れば、五十万円とか五万円とか三万円とかいろいろあろうかと思いますけれども、少なくとも、普通、生活をしていく上において、所得の低い方ほど影響が大きい。所得の大きい方が、少なくとも、少々の消費税というのはおよそ負担にもならないということだと思いますので。少なくとも、額でいえば確かに五十万対三万かもしれませんけれども、その中の比率からいきますと、その三万の比率は、比率でいえば極めて高いということになるので、そこのところをちょっと考えておかないかぬのではないかというのが我々の考え方であります。

丸山委員 麻生大臣ぐらいお金があれば、恐らく百万も五十万も違うとは思われないかもしれませんけれども、例えば五万、三万でも、額として非常に、もらう側からすれば全然違うと思うんですよ。

 今、割合が大事だとおっしゃったんですけれども、私は逆だと思っていて、額が非常に大事だと思うんです。というのは、予算ですから、予算は割合云々よりも額、どなたにどういう給付をするのか、その部分に、どういった方にどういった額を充てるのか議論をするのが普通、基本的に予算の話、税の配分の話だと思うんですけれども、なぜかこの議論だけ割合のところを出してこられるんです。

 今の大臣の御答弁だと、お金を持っていらっしゃる方にはたくさんお金を配りますよ、返しますよ、お金を持っていらっしゃらない方には少なくしかお金は返しませんよと。おかしいんじゃないですかと言われても仕方ないと思うんですけれども、大臣、ちょっともう少し皆さんにわかりやすい御説明をいただきたいです。割合で本当にいいんですか。額として、皆さん、聞いていて、おかしいと思われるんじゃないでしょうか。

麻生国務大臣 今、額と率の話ですけれども、酒とか外食を除きますいわゆる飲食料品というものを、消費の支出に占める割合の話になりますけれども、年収千五百万円ぐらいの世帯というのを引きますと約二一%ぐらいなものなんですが、年収二百万未満の世帯では食料品等々の支出は三九%ということになっております。

 したがいまして、私どもとしては、消費税負担の収入に対する割合というものは低所得者の方が高所得者よりもはるかに高くなって、二一対三九%ということになっておりますので、こういったことから、軽減税率の実施によって所得税負担の、いわゆる軽減の度合いが私どもから見て低所得者の方が大きくなっているので、その意味では消費税の逆進性というものの緩和につながっているのではないかというのが基本的な考え方であります。

丸山委員 平行線なのでこれ以上は伺いませんけれども、私としては、お聞きになる方は本当にそれでいいのかなと思われる方もいると思いますので、ここはもっと丁寧に御説明していっていただきたいというふうに思うんです。

 そういう意味では、もっとわかりやすいのは本当は、うちはずっと言っていますけれども、給付つき税額控除の方だと思います。つまり、本当に所得を勘案した上でその方々に、必要な方に渡る。非常にわかりやすいです。

 例えば、今のお話だと、高所得のお金持ちの方でも、今の割合は平均ですから、麻生大臣が仮に大量に食料品をふだん使っていらっしゃる、でもお金を持っていらっしゃるから、そこに対して別に負担感は少ないと思うんですよ。しかし、そこは多額の税が返ってくる、若しくは税負担が免除される制度です。

 本当はそんな平均をとったり割合で見るような制度じゃなくて、それぞれのマイナンバーでの捕捉もそうですけれども、将来的な給付つき税額控除、額で基本的に見ていく、こうしたシンプルな税制に変えていかないと、私、この間、週末ですね、陛下の御在位三十年の式典に出て、昭和末期に生まれて平成で育った世代として本当に自然に涙が出ました、平成が終わるんだなと思いましたけれども、でも、こんな変な税制をこのまま次の時代に引き継いでいくことは少し悲しいですし、税はシンプルでなきゃいけないと思います。

 後世に対してやはり、こういう税制は確かに公正だなと思ってもらえるような税制にしていきたいなとすごく思うんですけれども、大臣、このあたり、給付つき税額控除も含めてどのようにお考えか、お気持ちも含めてお伺いできますでしょうか。

麻生国務大臣 給付つき税額控除というものにつきましては、これは三党合意のときにさかのぼっていろいろ御意見があったのは御存じのとおりなんですけれども、間違いなく所得の低い方に絞ってやれるという点に関しましては、これは利点があります。これははっきりしておるなと思います。

 ところが、問題は、消費税そのものが直接軽減されるという形ではありません、いわゆる、よく買物の都度に起きる痛税感というものの減少にはならないということと、もう一点が、やはり、マイカードとかいろいろな形で随分いろいろなものがなっていくんだと期待していますけれども、現実問題として、退職した方々の資産とかそういった方々の所得とか、いろいろなものについての把握は極めて難しいという問題点がある。ここが一番の、今回の給付つき税額控除に対して我々がもう一つということでいけなかった最大の理由がここであります。

 したがいまして、軽減税率の導入につきましていろいろ問題がある、これは確かだと思いますけれども、ヨーロッパ等々でこれが現実に行われておりますので、そういった意味では、私どもとしては、これを低所得者対策として実施するということを決めさせていただいたという背景であります。

丸山委員 法人は、基本的に、全て把握していって税を課しているのが基本だというふうに思います。個人も、基本的に、そういった不公平感がないように把握していくというのが時代の流れだと私は思いますし、何より、やはり、税の複雑さをとめていくのは、このマイナンバーなり、所得把握によって、本当に困っている方に給付が行くというような形に持っていく方法だと思いますので。

 私が危惧していますのは、このまま次の時代を迎えても、また次は、軽減税率の内容で、恐らく各業界団体さんが、ヨーロッパなんかまさしくいろいろな複雑な税制になっていますけれども、そこで、うちのものを入れてくれと。それこそ、私がずっと詰めている、まあ、あれは新聞がおかしいだろうという意味で詰めていたんですけれども、新聞に有害の云々があるけれども図書もあるよね、図書は省けない、でも新聞は残す、そうしたら、書籍の方も、カテゴライズでやってくれとか、若しくは、有害の指定の云々の部分でつかれて、逆効果で書籍も入ってきますね。私が望んでいる方ではないんですが、新聞がおかしいだろう、そもそも入れるのがおかしいという話なんですが、書籍が入っていくだけじゃなくて、あらゆるものが、恐らく、ヨーロッパでもやっているからとかいう話で入っていくんじゃないかなというふうに危惧しています。

 大臣は恐らくそうなることを望んでいらっしゃるわけじゃないと思いますので、必ず、若い次代の皆さんのために、ぜひ、シンプルで公正な税を前に少しでも進めていただきたいというふうに思います。いかがですか。お願いいたします。

麻生国務大臣 税の公平、会議、いわゆる開かれているいろいろなもの、これは基本的に皆、税というものを施行する立場に立ちますと、これは物すごく肝心なところでありますので、そういった点をなるべく簡素に、公平にということを常に考えながら、税制調査会とかいろいろなところで運営をされているのは、基本はそれなのだと思いますけれども、何となく、みんな、頭のいい人がいろいろやるとどんどんどんどん話が難しくなっていくんだなというのは、毎年、税制調査会に出るたびにずっとそう思っていましたけれども、少なくとも、今言われましたように、そこが基本であるということに関しては間違いないと思いますので。

 私どもは、税というものは、一番いいのは、みんな誰でも、もらったら一割払え、黙って一割だ、あとは一切払わなくていい、それだけでいいんだというのを言われた有名なイギリスの学者がいらっしゃるんですけれども。その人の話を読んで、ふうんと思って、これでいくと税理士という商売は成り立たなくなるなと思いながらあれを読んだ記憶がありますけれども。それできれいに足りるはずだ、もし足りなければ、それは歳出が多過ぎるんだという発想で切りかえた方がいいという有名な本がありますけれども、私どもも、それが一番単純、これにまさる単純なものはないんですけれども。それで全部賄えるはずだ、どんな貧しい人でも同じだと。百万円もらったら十万、十万円だったら一万円、そういう一割納税というのを、イギリスで学生でいるとき、そんな本を読んで記憶にあるんですけれども。

 いずれにいたしましても、そういったような単純に、クリーンに、きれいにというような形にいくべきものだというのは基本だとは思いますけれども、なかなか現実問題としては難しいというのが実態だと思っております。

丸山委員 麻生大臣ほどの方が、麻生大臣ですら難しいのであれば、恐らく後世の財務大臣も非常に難しいし、後世の総理も難しいと思いますので、ぜひ、私が進めるんだぐらいの思いで、できる限り前に進めていただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、やはりこの国が、まだまだ少し、昔ながらの感じというか、税調のお話をされましたけれども、そういったものが残っているものが幾つもあるなと、私自身も、一番若い議員の一人、やっていて思うんです。

 例えば土地所有なんかまさしくそうで、土地を誰が持っているかわからない、先ほどの、税を、誰が幾らもうけているかわからないという話がありましたけれども、土地も今、誰が持っているかわからない状態がずっと続いていて、これをできる限り把握していこうというふうにやっていますが、まだ遅々として進みません。

 最近、これもちょっとおくれてきているなと思っているのが、政府のコンピューター部分というか、ソフトウエアというか、そうした部分のところで、えっ、ちょっと今のこの御時世でこんなソフトウエアをという感じのものが幾つかあるので、少しその関連でお伺いしていきたいんです。

 何の件かといえば、幾つかあるんですけれども、まず一つお伺いしたいのは、日銀さんはきょう来ていただいているんですけれども、日銀の話ですね。日銀ネットという、銀行とかがつないでいけるシステムがあるんですけれども、この日銀ネットの利用の条件みたいなものをホームページ等々で見ていますと、非常にびっくりしました。この利用のために、この御時世に、まず、何の機器でつないでくれと決まっているとか、OSはウィンドウズじゃないとだめだとか、しかも、今のこの時代に、ブラウザーがIEじゃなきゃだめだとか、非常に機械を限定しているんです。

 それは、一昔前の時代だったらよくありました。もう二十年ぐらい前かもしれません、十五年ぐらい前かもしれませんが、基本的にみんなウィンドウズで、ほとんどがウィンドウズで、IEでという時代ですが、もはや、ブラウザーですらIEの割合は非常に下がっています。正直、私も、個人的にも、IEを使わなくなってもう何年たっただろうぐらいの、十年以上使った覚えが余りないですぐらいの、多分、割合を見ても、統計を見てもそうなんですが、使っていない方も多いですね。

 ハードウエア、OSだっていろいろなものが出ています。マックを使っている方もいっぱいいらっしゃれば、OSが違ってきますし、大体、スマートフォンで見る人がほとんど、多いわけですよ。そうしたら、必然的に、OSがウィンドウズの人なんてほとんどいないですね。アンドロイドかiOSかです。機器だって、昔のDOS/V互換だとかPC98シリーズだとかいっている時代だったらよかったですけれども、今、あまた機器がある中で、何でこんな限定をしているんだというところを聞きたいんです。

 つまり、公のところが限定しちゃうと、そこにつなぐために必ず、大手の企業、日銀ネットにつなぎたいのは銀行さんですよね、銀行はそのシステムを入れます。そうすると、そのシステムを使っているのに関係している、どんどんどんどん川下のずっと下の方も、同じようなシステムを使い続けるわけですよ。みんな、おかしいなと思っているけれども、川上が変わらなければ基本的に変わっていかないんです。ここの部分に予算をつけるかとか方針を立てるかというのは、ほかのシステムをよくしていくのに非常に大事なんです。

 特にIEなんかは、今、つくったマイクロソフト自体が、もう脆弱なので、危険なのでやめてくれと言っているぐらいのブラウザーです。エッジというほかのブラウザーをつくっていまして。なので、そういったものをいまだに国の機関であるというのは非常に変えていかなきゃいけない大事な点だというふうに思っているんです。

 まず、日銀に来ていただいているので、これはどうしてなんですか。何でこの時代に限定されているのか。このあたりを含めて、言いわけと言ったら怒られますけれども、どういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えいただけますでしょうか。

    〔武部委員長代理退席、委員長着席〕

水野参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃられたとおり、日銀ネットは金融機関との間の基幹的な決済インフラでございまして、我々としては、信頼性の高いシステムを構築し、安定的な運行を確保することが必要だと考えております。こうした観点から、日銀ネットで使用するOSとブラウザーについては、御指摘のとおり、広範な利用実績があり、他のハードウエアやソフトウエアとの互換性が高い製品を選定しております。

 また、今先生おっしゃられましたけれども、この点、マイクロソフト社が最新のブラウザーであるエッジを推奨しているということには私どもも十分注意を払っておりますけれども、他方で、同社はインターネットエクスプローラーのサポートも継続をしておりまして、現時点において、日銀ネットでの使用に支障を来すようなセキュリティー上の脆弱性は生じていないと判断しております。

 もとより、御指摘のとおり、私どもとしましても、今後も、最新のIT技術やセキュリティー動向をしっかりと見きわめながら、セキュリティー対策には万全を期してまいりたいと存じます。

丸山委員 非常に役所的答弁をありがとうございます。

 いきなり変えるのは難しいのはわかっていますけれども、でも、やはり今から検討して、システムを組むのに時間がかかるので、数年はかかっちゃうんですよ、今からやっても数年後に導入できるか。テストもしなきゃいけない。これは民間企業にも負担を強いなきゃいけなくなっていくので、その辺の検討も必要ですが、ぜひ、本当にそれでいいと思っていらっしゃらないと思うので、思っていらっしゃるのかな、その辺も含めて伺いたいんです。

 今、この時代にIEに限定しているなんて、本当にないですよ、あり得ない。IEは脆弱性すら言われているのに、逆に言えば、日銀が脆弱性のあるやつを推奨しているようなものになっちゃいますよ。そう言われても仕方ないと思いますので、検討いただくでいいです、今すぐやりますとは言えないと思いますけれども、ぜひ前向きに、このあり方について御行の中で御検討いただきたいんですけれども、いかがですか。

水野参考人 お答え申し上げます。

 しっかりとしたシステムをつくっていく、そのために安全性をしっかりと、最新のIT技術、セキュリティー動向をしっかりと見きわめながら、万全を期してまいりたい、日銀ネットの信頼性を確保していきたいということで、御指摘を頂戴いたしました。

丸山委員 私はしつこいといつも言われるんですけれども、済みません、性格があれなので。検討もあり得る、前向きに、そういったことも含めて、指摘を受けて、省内に持ち帰って、考えるのは考えていただけるということでいいですか。

水野参考人 お答え申し上げます。

 日銀ネットについては、セキュリティー対策を講じておりますけれども、いずれにせよ、今後も、最新のIT技術やセキュリティー動向に関する情報収集に努めまして、マイクロソフト社が公表する脆弱性に関する情報についても注意深くフォローし、日銀ネットのセキュリティー対策については万全を期してまいりたいと存じます。

丸山委員 同じ御答弁なので、これは続けば聞きますし、最後、黒田総裁にあした来ていただかなきゃいけなくなると思いますので、御回答いただきたいんですけれども、持ち帰って、それはできないこともあると思います。コスト面や何かしら問題が生じるかもしれません。ただ、御検討もないというのはちょっと変だと思いますし、この現状を御認識いただいて、そういう声が上がっているんだというのを受けとめていただいて、持ち帰って検討いただければいいと思うんですけれども、いかがですか。

水野参考人 申し上げましたとおり、最新の情報収集に努め、マイクロソフト社が公表する情報についても十分フォローし、検討しつつ、セキュリティー対策については万全を期してまいりたいと存じます。

丸山委員 なかなか、今、強情だねという話がありましたけれども、まあ、来られているのが情報局長で、でも、一応情報のトップですからね。ですよね。これで、あした、黒田総裁、このためだけというのは、ちょっとお時間もあれだと思うのでお呼びしませんが。

 ただ、別に、何かしら恥をかかせたいとか、若しくは何かしら困らせたいというわけじゃ全くありません。むしろ、丸山というやつがいて、ぎゃあぎゃあ言うから少し検討しなきゃいけないなと少し御行の中でも思っていただくだけでもいいと思いますし、またどこかで必ず伺いたいと思いますので、そのときに変わらない動きであれば、それはそれで少し、総裁なり上の方に来ていただかなきゃいけないなと思います。今は、状況をわかっていただいたと思いますので、ぜひ前向きに、これは必ず前向きにやっていただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 これは日銀さんだけじゃないんですよね。例えば総務省も、これは私、見ていてびっくりしたんですけれども、我々政治家に一番、一番というか、関係する政党交付金の収支報告書、これはホームページで総務省は公開されております。実は、政党交付金だけじゃなくて、各政治団体の、先ほど宮本委員も麻生大臣の話がありましたけれども、麻生大臣だけじゃなくて、国会議員ならみんな大体、自分の政治資金管理団体のがホームページ上にアップされています。こちらの政治資金管理団体の方は、ちゃんと、PDFという、余りハードやOSに依存しない、ブラウザーに依存しないPDFという拡張子で見れるようになっています。これは当然だと、今の時代、PDFがだめだとかPDFがよくないと言う人は余りいないと思いますけれども、なぜか、そっちじゃなくて交付金の方、政党交付金の使途報告書のところだけ、今私が申し上げた、IEに依存しております。

 インターネットエクスプローラーしか見れませんので、それにしてくれと言われて困っちゃいまして、私、いろいろ見てみようと思って見たら、そもそもIEがない、そこからダウンロードしなきゃいけないとか、非常に、なぜ今の時代に、しかも、ほかの並びではそうじゃないのに、この交付金の部分だけ、同じホームページの中ですよ、上の方はPDFなのに、そこだけIE限定なんですけれども、これはどうしてこうなっているんですか。そして、何でそうせざるを得ない状況になっているのか。このあたりを含めて、次は総務省、済みませんが、よろしくお願いします。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、政治資金収支報告書、それから政党交付金の使途等報告書のインターネット公表につきまして、平成十六年からやっております。

 ただ、政党助成法の三十二条第四項、第五項におきましては、政党交付金使途等報告書の閲覧のみが規定されておりまして、写しの交付というものが規定されておりません。したがって、インターネットで印刷することはできない扱いとなっておりまして、そのために必要な処理を行っているということでございます。

 この処理を行ったPDFの閲覧が可能なブラウザーは、私どもが把握している限りでは、インターネットエクスプローラーであるというふうに承知しているところでございます。

 この点、委員の方から御指摘がありましたけれども、写しの交付と閲覧というものにつきましては、平成七年の最高裁判決でございますが、政治資金規正法の条文について判決が出されておりまして、平成六年の改正前の第二十一条、現行では政治資金規正法第二十条の二の第二項でございますけれども、これに言う収支報告書の閲覧には、写しの交付は含まれないというふうに判決がございました。政党助成も同様な構造の条文になっております。

 そのため、平成十六年から、先ほど申しました政治資金収支報告書と政党交付金の使途等報告書のインターネット公表をそれぞれやっておりましたけれども、電子的閲覧のみを可能としておりました。

 その後、平成十九年に、各党各会派の御議論によりまして、政治資金収支報告書につきましては、写しの交付についても、閲覧に加えてできるというふうに条文が変わりまして、そのことを受けまして、平成二十一年四月から、インターネット上で政治資金の方は印刷を可能にしております。

 一方、政党交付金の使途等報告書につきましては、その平成十九年の十二月の各党協議の中では合意に至らなくて、現在に至っているということでございます。

 政党交付金の使途等報告書の公開のあり方につきましては、政党の政治活動の自由と密接に関連しますことから、各党各会派において御議論いただくべきことと考えております。

丸山委員 大臣、今の御説明、わかりましたか。大臣、よくわからないなというお顔をされておりますが、恐らく、ちょっと、間違っていたら指摘していただきたいんですけれども、何が違うかといったら、写しができるかどうかというので、交付金の部分と、そして政治資金の方が違うというカテゴライズだと。

 つまり、今の御指摘だと、IEで、インターネットエクスプローラーでPDFを見たら印刷ができないんだという趣旨なんですか。そういう趣旨でよろしいんでしょうか。

大泉政府参考人 法律上認められているのは閲覧のみですので、写しの交付でしたら印刷をできるような仕組みにしておりますが、閲覧のみというふうな判決などもございました関係で、出力できないというふうにしております。

丸山委員 でも、ダウンロードできると思うんですけれども。ダウンロードできないんですか。そんな仕様になっていますか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 アドビの提供している追加機能を使用して暗号化して、ダウンロードできないようにしておりますので、インターネットエクスプローラーでしたらPDFを見ることが可能ですけれども、その他のブラウザーでは、ダウンロードができない加工をしているため、閲覧ができないというふうになっております。

丸山委員 つまり、御指摘の感じだと、IEでしかそのものができないので、しかも、写しができないようにしたいがために、この使用をせざるを得ない、だからIEでしか見れないということなんですか。ほかのブラウザーも確認をされましたか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが把握している限りは、インターネットエクスプローラーのみが対応しているというふうに存じております。

丸山委員 今の論点、非常にあれですけれども、ちょっと、ダウンロードができたかどうかが。確かに、ほかので見ると、暗号化されているので表示されないんです。例えば、私の携帯でも見ましたし、ふだん使っているクロームという別のブラウザーがあるんですけれども、そのブラウザーで見ても表示されなかったんですね。恐らく、暗号化されていたので、そういうことだというふうには思ったんですけれども。

 今の論点としては、写しの部分を規制がされているために、要は、写しができないようにしなさいよということじゃなくて、写しもオーケーに政治資金の方はなっているんですけれども、こちらは、今までその議論がないというか、だめだという議論だったんですか。その辺がちょっと知りたいんです。

 つまり、簡単に言うと、交付金の方、これは、政治的に議論したときに、これに対して、写しはだめよという議論になったということですか。それとも、議論されなかっただけですか。どうですか。

大泉政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年に政治資金規正法等の改正について六党協議が行われましたのですけれども、政治資金規正法の方は決着を見たのでございますけれども、その中のまとめでは、政党助成法の改正については、今国会中という意見もあったが、次回国会以降検討することとなったというふうになっておりまして、合意が得られなかったという事実があったと思います。

丸山委員 何となく見えてきました。政党助成法に関してはいろいろな御意見が各党あったりして、恐らくまとまりにくかったのかなというふうに思います。ちょっとこの点は私も調べてみますが、またぜひいろいろ教えていただいて、これは政治が動かなきゃいけないのであれば動いた方がいいと思いますし、なぜか交付金だけ、まず、閲覧はできるのに写しはできないという意味がわからないという状況だと思いますので、これは議論が私は必要だと思います。詳細を伺いながら、各党各会派にもしかしたらお願いに上がるかもしれません。

 いずれにしても、IEだけに依存しているというのは非常に気持ちが悪いというか、ほかが見れるのに、上はPDFで依存していないのに、ここだけIEというのは非常に気になりましたので今少し伺いましたが、時間がなくなってきますので、また引き続きこの部分は伺っていきたいと思います。

 ちなみに、こういったコンテンツは、ブラウザー指定で見れるか見れないかみたいなのは各省あるのかなと思ってお聞きしたいんですけれども、ちなみに、財務省さんが持っていらっしゃるシステムの中で、こうしたブラウザーに依存するような何かしら、国税も、昔は何かIEでしか見れなかったような気がしますが、確定申告もたしかIEでしか見れなかった気がしますが、何か最近、関係なく見られるようになっているような気がして、改善が進んでいると思うんですが、財務省が持っている中ではいかがでしょうか。お願いします。

刀禰政府参考人 お答え申し上げます。

 財務省の所管するシステムのうち、特定のブラウザーからの利用に限られているシステムとしましては、確定申告書等作成コーナーなど三つのシステムがあり、また、推奨環境をお示ししているシステムにつきましては、これら三つのシステムを含めて二十のシステムが存在しております。

丸山委員 随時改善していく、要は利便性を高めるというのは非常に大事な観点だと思うんですけれども、何かしら、ここに関してはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。つまり、必要があれば改善をしていく、要は、利便性に不備があれば、御要望が多ければもちろん検討していかれるということでよろしいんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれのシステムにつきまして、それぞれユーザーの方がおられるわけでございますけれども、そういった点につきまして、技術の動向も踏まえながら、またユーザーの方々の利便性、そしていろいろな予算の制約もございますけれども、そういったものを総合的に勘案しながら、どのようなブラウザーを使うかということは不断に検討していくということだと思っております。

丸山委員 ちなみに、金融庁さんも来ていただきまして、金融庁さんの持っていらっしゃるシステムでは、このあたりはどうなっていらっしゃいますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁が提供するコンテンツには、金融機関から決算状況表等の報告を受けるシステムなど、IEでの利用を想定しているものがあるほか、その利用者に対して推奨するブラウザーや動作確認をしたブラウザーとして、IEのほか、グーグルクロームなどの複数のブラウザーを示しているものもございます。

丸山委員 ちなみに、日銀さん、もう一回、何かしら、日銀ネット以外で、こうした依存しているものというのはありますか。

水野参考人 お答え申し上げます。

 日銀ネット以外では、広く一般の国民の皆様向けに日銀の情報を提供するホームページを運営しております。ホームページにつきましては、不特定多数の利用者がアクセスするということから、特定のブラウザーの指定は行っておりません。

 それから、先ほどは失礼いたしました。日銀ネットの御質問ですけれども、誤解を招いて恐縮でございましたけれども、最新の情報技術を勘案して、万全なセキュリティー体制を構築すべく検討してまいります。

丸山委員 すばらしい御回答をありがとうございました。そのお言葉一つで、やはり全然違うと思いますし、見ていますので、ぜひともすばらしいシステムに変えていっていただきたいというふうに思います。

 黒田総裁に来ていただくのに、これだけだとちょっとあれだから、ほかとまぜてと思っていたんですけれども、あしたはお呼びする必要はないなと今は思っています。今の段階ですよ。まだ何か、この後通告せざるを得ないので、決まった後ということですけれども、やりたいと思いますが。

 そういった意味で、大臣、いろいろ聞いていただいていて、あれっと思われる部分もあったかなというふうに思います。

 というのは、総務省さんが今確かに暗号化の話をされたんですけれども、そもそも、この暗号化のものがIEしかないという限定だとしても、インターネットエクスプローラー、IEも、数年先には恐らくサービスの提供すら終わるんじゃないかと言われているわけです。それに依存していること自体が非常に役所としては問題ですし、その暗号化の、若しくは、何かしら印刷ができないようにするという特殊技術ではなければ、そもそも、ほかの部分で限定しているのは意味がわかりませんし、そういった意味で、数年後、技術的にもおかしくなっていく。それ以外も、そもそもこれでいいのかなという話なんです。

 作成元ですら、この脆弱性について、もう使わないでくださいね、新しい方を使ってくださいねと言っているものに依存していて、そして、最初に日銀ネットの話をしましたけれども、結局、それがそうなっているがゆえに、その下の銀行がそのシステムと同様になって、そして更にその先に川下の企業がいまだにそれを使っているみたいなことが起きているんです。

 なので、ぜひ、先ほど役所から、予算をつけなきゃいけないという話があったんですが、予算もやはり必要ですし、調査も必要だと思います、どういう状況になっているか。これは政治がやはり前向きに、今、ICT化を進めるとおっしゃっているので、こういった部分に、ちょっとかゆいところというか、テクニカルですけれども、非常に政治力を発揮いただかなきゃいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、この辺、予算も含めて、財務大臣としてどのようにお考えか、お答えいただけますか。

麻生国務大臣 これは、今御指摘のありましたように、政府機関がいわゆるソフトウエアというものを利用するに当たって、いわゆる政府機関の情報のセキュリティーというものを統一するという基準というものに沿って、これは各省庁においてソフトウエアの脆弱性についての対策を実施するということにされております、今、既に。

 その上で、特定のソフトウエアの利用というものを含めて、技術はどんどん変化していきますので、そういったものを含めて、今、内閣官房を中心にその対応方針等の検討が進められているんだと承知していますけれども。

 御指摘の、各省庁が所管するシステム関連の予算というものがないからできなかったと。役人が一番よく使うセリフなんですけれども、そういったもので各省庁からセキュリティー対策を含めて十分な検討というもの、予算要求というものがあれば、我々としては、今は、サイバーとか、いわゆる安全保障という意味において、この部分というのは新たに我々としては考えないかぬ、防衛政策としても考えないかぬ大事なところでもありますし、一番肝心なところがぱしゃっと乗っ取られたりするとえらいことになりますので、そういったことを考えてきちんとした対応をせねばならぬと思っておりますので、予算編成の中できちんと対応してまいりますので、そういった意味に関しましては、予算がないからできなかったということのないようにしておかねばならぬと思っております。

丸山委員 大臣の御発言で、非常に珍しいなと。まあ、麻生大臣だからできるんだと思うんですけれども、予算要求してこいよ、してきたら、もちろんそれを考えて前向きにというようなニュアンスだと思いますけれども。

 各省としても、今の大臣のお言葉を受けてぜひ省内で御検討いただきたいですし、きょうたまたま来ていただいたのは、関係のところと、済みません、総務省さんだけ、少し目がついてしまったので来ていただきましたけれども、ほかの省庁でも、まとめてチェックされているというのもあると思いますけれども、私も全部が見れるわけじゃないので、各省御担当の方は、ここぞと、ぜひ、今おかしいなと思っていらっしゃる担当の方は、前向きに、予算の要求も含めて言っていただければと思いますし、この委員会の議事録を見られるわけじゃないと思いますけれども、何かありましたら私に持ってきていただければ、ここでまた議事録に載せていくことでそういった予算をつけやすくしていきたいというふうに思いますので。

 今、総務省の方で、去年の国会で、民間のICTの活力が弱い、だからこそ、サーバーのセキュリティーだとか、そうしたもののためにチェックをしていく予算をつける、そういう権限を機構に与えるみたいな法律を通しましたけれども、実は、政府の方もまだまだ旧態依然なものを使っているものが結構ありまして、だからこそ、こうした部分、少しテクニカルな細かい話でしたけれどもお話しさせていただきました。ぜひ、前向きによろしくお願い申し上げたいというふうに思います。

 少し時間がなくなってまいりましたが、実はあしたも三十分いただいておりますので、残った場合にはそこでもお聞きしていきたいというふうに思いますが、きょうは文科省さんにも来ていただいて、同じようにIT関連で、続けてなので、最後にお伺いしていきたいというふうに思うんですけれども、今話題になっています、静止画のダウンロード、これを違法化するという話です。非常に危惧するお声も多いんですけれども、このあたりを少しお伺いしていきたいんです。

 実は、TPPのあのときに、結局その年にはなりませんが、後ほど成立しました。そのときに著作権法を、例の非親告罪化のときにいろいろ議論させていただいて、非常に前向きに、なるべく無実の方が非親告罪化によって無実の罪でならないように、若しくは悪意の少ない方が捕まることのないようにということで、限定の要件を幾つもかけていただきました。例えば、アップロードするときには、若しくはダウンロードするときには原作のままのものしか捕まらないですよとか、若しくは、相手の著作権者がこれによって利益を損失するような状況だとか、幾つか条件をつけていただいたんです。

 今回、音楽や動画については今、現行法でも親告罪としての処罰の対象ですが、静止画を、漫画の全部か一部かを上げるか、若しくはアニメの画像、動画ではなくて画像で上げる、こうした部分が違法化することで、実は、いろいろな楽しみ方があって、もちろん原作者がだめだと言えばだめなんですけれども、でも、大概黙認されているところもあって、例えば、ネット上だと、ツイッターなんかのアイコンにアニメの好きなキャラクターの画像を使っていらっしゃる方はたくさんいらっしゃいます。そうした、悪意とまでは言えないようなところまで司法の手が及ぶんじゃないかという懸念の声もあって、大臣は、そこまでないだろうとお思いの顔をされていますが、そういう声もあるわけですよ。

 しっかりこれに対して、不安がなくなるように答弁していただかないと、つくる場合に、そういった変な方向にならないようにしていただきたいと思いますけれども、このあたりについて政府としてどういうふうに考えているのか。お話しできる範囲、現時点もこの後もタイミングがいろいろあるとは思いますが、ぜひ不安を払拭いただきたいんですけれども、いかがですか。

内藤政府参考人 お答えいたします。

 インターネット上の海賊版対策につきましては、実効的な措置を講じつつ、過剰規制による国民の萎縮を招かないよう最大限の注意を払うことが重要であると考えております。

 御指摘の侵害コンテンツのダウンロード違法化の対象範囲の見直しにつきましては、二月十三日に取りまとめられました文化審議会著作権分科会の報告書におきまして、民事措置を含め、主観要件を極めて厳格に設定するとともに、刑事罰については、録音、録画と同様に、有償で提供されている著作物等に限定することに加え、さらに、必要性の高い行為に厳格に絞り込むことなどが示されております。

 これを受け、現在、政府・与党内で法案の内容を検討しているところでございますので、具体的な制度設計についてはお答えを差し控えたいと思いますが、いずれにいたしましても、文部科学省といたしましては、海賊版対策としての効果を確保しつつ、国民の正当な情報収集等に萎縮が生じないよう、しっかりと検討を進めてまいります。

丸山委員 いろいろな不安の声がある中で、仄聞するに、もう法制局もほぼほぼ、与党の審査も通っているということで、いろいろなところからいろいろ仄聞するに、まず、御懸念の二次創作に関しては、これを対象としないとか、そもそも親告罪は親告罪ですし、さらには、意図性だとか、意図的に、あと、常習的に何度も何度もこれをやった場合、特に悪質にやった場合に限定する、非常に限定の要素を入れてくださっているというふうに聞いています。

 これは法文が出てこないと。条文をしっかりチェックするのが非常に大事だと思いますので、条文が出てきたらまたチェックいたしますが、しっかりこの点の不安の声が大きくならないようにしていただきたいと思いますし。

 でも、恐らく、今やろうとされているのは、同時に音楽とか動画の部分にも影響を与え得るんじゃないかな、その可能性もあるということでよろしいですか。静止画の話をされましたが、今現状である動画の部分や若しくはその他の、ほかの、今の現行法では違法化の部分があるんですけれども、これはうまくやれば、実はここの部分の表現の自由が広げられるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがですか。

内藤政府参考人 御指摘のように、既に、録音、録画、音楽、映像については、このダウンロード違法化の対象範囲となっているところでございます。今回、この対象範囲の拡大、見直しというようなことで、これについてもさまざまな御意見が審議会等で出ているところでございますので、そういった意見を十分踏まえながら、海賊版対策としての効果を踏まえつつ、過剰規制による国民の萎縮を招かないように、しっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

丸山委員 これは、実は同じカテゴライズにしないと変になってくるので、そういった意味で、静止画とかだけじゃなくて、音楽だとか動画の部分も同じカテゴライズにしていただかなきゃいけないし、もしそうなってくるのであれば、ここの部分に関しては現行法よりも表現の自由が広がることになってくると思いますので、実は、私はそうしたいい部分もあるんじゃないかなというふうに思っています。一方で、本当に困っている著作権者の方の権利の侵害、これを防いでいかなきゃいけない。大事な論点ですので、また条文が出てきたらいろいろ議論させていただきたいと思いますが、本日は、お答えをいただきまして、ありがとうございました。

 時間が来ましたので、これで終了します。ありがとうございます。

坂井委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 最後の一時間、よろしくお願いいたします。

 もう既に八人の方が質問をされましたので、私が用意していた項目も既に質疑が終わって、それなりの答弁もあったようでございますが、私なりの観点から、確認も含めて質問を続けさせていただきたいというふうに思います。

 今回の税法改正は、去年は給与所得控除見直しなどを中心とした、主に所得税の改革が中心だったですよね。いつも、法人税であったり所得税中心で、さまざまな大きな改革が行われることはありますけれども、今回は、やはり柱になるのは、十月一日の消費税の一〇%への引上げに伴い、消費需要の平準化をどう図っていくかというところに心を砕いているというか、苦労しながら何かやろうとしている、そういう内容だというふうに思いますので、きょうは、消費税を中心とした質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず最初の質問は、これはもう既に、軽減税率、何人かの委員の方が触れられておりますけれども、私自身も、消費税については逆進性があるということは事実でありますし、その対策は講じなければいけないという認識は共有をしますが、三党合意にもありますとおり、軽減税率も検討項目で一番最後に入ってきましたけれども、その前には給付つき税額控除が位置づけられており、やはり基本的には、今の丸山さんの議論じゃありませんが、低所得者に絞って、的を当てた対策を講じるならば、マイナンバー制度の定着を待って給付つき税額控除を導入するというのが、私は一番効果があるというふうに思うんですね。

 あえて言うならば、個人的な意見を言うならば、一〇%までだったら、私は、それもまだ早くて、簡素な給付措置で拡充をするという対応が本来は望ましい。その間に、軽減税率論者の方もいらっしゃいますので、給付つき税額控除とどっちがいいのかをよく時間をかけて検証した方がいいという立場なんですけれども、この際、もう軽減税率ありきで進んでいますので、その軽減税率について、これは百歩、二百歩、千歩ぐらい譲りながら、どうするのかという観点で、まず質問をしたいというふうに思います。

 本来は、やはり税制改正というのは、税額控除に入る前に、まず所得控除、これは今現状ですけれども、税額控除に持っていって、そして給付つき税額控除に持っていくのが基本だと私は思います。今もそれが理想だと思っていますけれども、今回は軽減税率で対応しようということですが、問題は、きょうの、これは青山さんだったかな、軽減税率の財源の話がありましたね、財源をどうするか。これを改めて確認をしたいと思います。

 歳出の部分と歳入の部分で一・一兆円を充てていく、ざくっとしたお話がありましたけれども、その内訳をちょっと正確に御説明をいただきたいというふうに思います。

星野政府参考人 数字の話でございます。私から答弁させていただきます。

 軽減税率の減税見込み額に対応する財源でございますけれども、減収見込み額は一兆八百九十億円程度と見込んでおります。この財源確保の見込み額に対しまして、それぞれ、個人所得課税の見直しで九百億円程度、たばこ税の見直し二千三百六十億円程度、インボイス制度の導入二千四百八十億円程度、これまでの社会保障の見直しの効果の一部の活用千七十億円程度、総合合算制度の見送り四千億円程度でありまして、これらを合計すると一兆八百十億円程度であるということでございます。

野田(佳)委員 どうもありがとうございました。

 まず、この財源の中に、これはもう何回もこの委員会で取り上げましたけれども、総合合算制度が見送りになったということは、まことに私は残念だと思っています。どなたでも、事故に遭ったり、病気になったり、突然そうなったときに、医療もかかる、介護もかかるときに、一定の自己負担がそれぞれありますけれども、そこで全部合わせると低所得者にとっては大変な額になるからキャップをつけていこうというのは、まさに私はあるべき社会保障制度だと思うんですが、それを四千億円見送ってしまったということは残念ですね。

 これに加えて、今度、社会保障の見直しで一部活用して、また一千億円程度加えている。五千億ですね、大体これで。今、お話の中では、所得課税の見直し、たばこ税の見直し、これは、平成三十年度の税制改正での項目だというふうに思いますが、そこにインボイスで二千四百八十億円が加わってきているということでございましたけれども、このインボイスについて、これは、先ほど、インボイスについての質問もたくさん出ていましたけれども、インボイスで、これは全く同じ数字が出てくるかもしれませんが、免税業者から課税事業者にどれくらい変わるのかというお話なんです。

 大議論が、本当はインボイスの導入についてはありましたですよね。消費税は益税が出てくるとか、あるいは転嫁の不透明性がある、それを解消するにはインボイスがいいという意見もあった。私もどちらかというとそういう方向なんですけれども、でも、商工会議所であるとか税理士会であるとか、それは免税事業者いじめになって、これもよく考えなければいけない、そういう議論があった中で、平成二十八年度改正でインボイス導入に踏み切ったわけです。

 そのインボイス導入によってどれだけ免税事業者から課税事業者になるのか、これは改めてもう一回数字をお示しいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは、インボイス制度を導入しました後、いわゆる免税事業者だった人たちが、実際にどの程度課税業者に転換するかということにつきましては、これは、免税業者の置かれている状況はいろいろだと思いますので、一概に申し上げることは困難なんですけれども、インボイス制度の導入により増収を見込むときに当たりまして、平成二十七年度の国勢調査というものを使わせていただいて、免税事業者数が約四百八十八万者ございますので、そこから、農協等に出荷しておられる農林水産業者、また非課税売上げが主たる事業の事業者等々を除かせていただいて、免税事業者は三百七十二万者程度に対しまして、BツーBの取引の割合でありますが、大体四割程度というのを乗じて、百六十一万者程度が課税事業者に転換をしていかれるのではないかという計算になっております。

野田(佳)委員 私は、その計算の妥当性もですね。インボイスの導入は平成三十五年の十月じゃないですか。その間までは、どれぐらい課税事業者になるかなども含めて、よく調べた上で数字をはじいた方が私はいいと思います。軽減税率の財源がないから、私、慌てて今回は入れ込んでいるような気がしてならないんですよね。

 これは、大臣に通告していませんから、せっかく主税局長がいるからお聞きしたいんですけれども、先ほど、軽減税率の財源、一・一兆円の内訳をお話しいただきました。個人の所得課税の見直し、これは、国税ベースだと平成三十二年度から入るんでしたっけ、かかってくるんでしたっけ。地方税もそうですね。先ですよね。しかも、このインボイスで二千四百八十億円財源にしているけれども、これは平成三十五年からじゃないですか。ということは、財源なくして政策なしだと私は思いますけれども、財源になっていないじゃないですか、軽減税率の。

 軽減税率というのはこの十月一日からスタートでしょう。少なくとも、インボイスの二千四百八十億、それから、加えて個人所得税の見直しにかかわるもの、これが数百億円出てきますね。一兆円のうちの三千数百億円は先のことであって、タイムラグがあるわけじゃないですか。では、その間、社会保障に穴が出るんですか。財政の健全化はおくれるんですか。どうなるんですか。私は、この財源の手当てというのは責任ある態度ではないと思いますけれども、局長にお尋ねしたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、軽減税率の導入に当たりまして、その財源を確保するということで、消費税法の附則で要求されておりますのは、社会保障制度の安定化、また財政の健全化、こういったことを考えた上で、安定的な恒久財源を確保するために、法制上の措置を講ずることによって、安定的な恒久財源を確保するということが要請されているところでございます。したがいまして、この法律の条文の趣旨にのっとりまして、今般、今年度末、三十年度末までの対応として、制度的な措置をとることによりまして、恒久的な財源を確保したということでございます。

 御指摘のとおり、この中に含まれております各項目、例えば、個人所得課税の見直しは平成三十二年の一月からでございますし、インボイス制度、これは最後に実施されますけれども、平成三十五年十月ということでございまして、確かに、制度的な対応等の効果が全て実現するまでには一定の期間を要しますけれども、制度的な、恒久的な対応をするという法律の趣旨自体にはかなっているのかなというふうに考えております。

 この間の財源につきましては、これは、歳出等々、毎年の予算の中で努力をしていくということでございますけれども、制度的に軽減税率制度を導入することによって必要となる一・一兆円の財源、これを制度的に対応するということが法律の眼目だということで対応しているということでございます。

野田(佳)委員 もともと、軽減税率は再考すべきであるという立場でありますけれども、今の財源の話を聞いていても、すとんと納得のできる話では、私はないということでございます。

 次に、その軽減税率。

 軽減税率というけれども、要は八%に据え置くということですね、酒類と外食を除く飲食料品とそして定期購読の新聞代については。一〇パーと八パー。それに加えて、二ポイントの還元と五ポイントの還元という、チェーン店を使ってカードで買う場合と、いわゆる個人経営のような中小の小売店でカードを使って買う場合、二ポイント、五ポイントという還元が出てくると、結果的に、これは本会議でも申し上げましたけれども、実態として、実質の消費税率は、一〇パーと八パーと六パーと五パーと三%というふうになる。まさにそれが併存するんですよ。

 突然にこんなにわけのわからない複数税率が登場する。事業者も大変だと思うけれども、消費者も、私は大変だというふうに思います。この混乱をどう回避するのか。

 この間、本会議の質問では、総理は、何かポスター張ったり何とかと言っていましたけれども、きょうも何かそういう答弁が出ていましたよね。ポスターぐらいでこの五段階の複数税率の混乱を避けることは、私はできないというふうに思いますが、改めて、この五段階の税率が併存することによって店頭が混乱する可能性について、どういう御認識を持っていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、御指摘のとおり、軽減税率とポイント還元制度というのは、いわゆる消費税の逆進性の緩和と需要の平準化という異なった政策目的なんですけれども、その政策目的を持つものであるというのはもうはっきりしておりますが、消費税率引上げに伴います対応という点で、両者はともに、わかりやすく、国民に理解を得ながら実施していくというのが重要、これは全く野田先生と私も同じ意見であります。

 そのため、軽減税率制度につきましては、税率を、御存じのように一〇%と八%と、二段階に設定させていただいたんですが、そのほかに、酒、外食等々を除きます通常の食料品全て、これも、食料品の中でもキャビアとあれと一緒にするのかとかいろいろ御意見はいっぱいありましたけれども、そういったものを全部捨象して、とにかく二種類、とにかく一〇と八、そして酒と外食を除くというような、可能な限り簡素な取組にさせていただいたということでもあります。

 また、具体的な事例を紹介したQアンドAをいろいろつくらせていただき、これまで全国で五万回ぐらいの事業者向けの説明会を実施するなどの取組も行わせていただいておるところでもあります。それで全てが全部理解できたかと言われれば、事業者が全て理解できているというようなほど自信があるわけではありませんけれども、引き続き事業者への説明を実施していくという必要があろうと思います。

 ポイント還元につきましても、これは、誰でも利用できますプリペイドカードというものなど多様な選択肢でやって、クレジットカード以外にもいろいろありますので、そういった多様な選択肢を用意させていただくと同時に、経済産業省において、いわゆる消費者への還元方法とか還元率とかいうのを、これをわかりやすく、店頭で表示してもらう、掲示してもらうなどの取組を実施していくと思いますが、これで全てわかるか、そんな小さな店でそんなことができるかという点は、いろいろ私も、疑問は決してないわけではございませんから、そういったものを引き続き丁寧に実施していくということだと思っております。

 それで、こうした取組を実施することで、今回の消費税率引上げ関連の各施策の周知とか徹底というものを図らせていただいて、引上げをさせていただく前後で、事業者とかの間で、言われましたように、混乱が生じないように、消費者が安心して購買、また売っている人の方も安心してということが起きないといかぬところなので、そういったところはきめ細かく関係省庁と連携をとって引き続きやっていかないかぬところだと思っていますが。

 いずれにしても、いろいろなところでいろいろな細かいことがいろいろ起きるんだということは決して想像にかたくないところではありますけれども、それが大混乱になるような形は断固避けないかぬと思いますし、ヨーロッパ各地で一応それなりの、何年間かにわたって実施した結果、それなりに定着した制度でもありますので、私どもとしても、この制度が実施できればと思っておるところであります。

野田(佳)委員 冒頭の大臣の、異なる目的が云々という、いろいろ入っているというお話から入ったでしょう、御説明が。私、そこに全て尽きると思うんですね。

 軽減税率は低所得者対策、逆進性対策じゃないですか。それに加えて、キャッシュレスの推進、それからいわゆる需要の平準化、中小企業対策、いろいろな政策目的が一つのいわゆるポイント還元という政策の中に盛り込まれ過ぎちゃっているから、こんなに複雑で、混乱を呼びかねないような状況を生み出しているんだと思うんです。

 私は、キャッシュレスだったら推進で、あるいは中小企業対策は中小企業対策で、別建てで予算を組んで政策をつくるべきであるのに、消費税に絡めてやってしまうから、こんなに混乱を招きかねないような、大臣も御心配の様子でございましたけれども、五段階の複数税率が併存するという状況を惹起してしまうと思うんです。だから、私はこれは愚策だと思うんですね。そういうことは、多分、本音の部分では共有できるのではないのかと思います、恐らく。ですから、本当に、混乱回避のためには相当な努力をしないと困るなというふうに思います。

 このポイント還元で、私はこれは本会議でも申し上げましたけれども、逆進性を助長するだろうということを申し上げました。

 というのは、子供や年金暮らしのお年寄りは、普通、カードを持っていないですよ。持っていない人たちが、学用品を子供が買いに行く、お年寄りが介護用品とか日用品を買いに行く。税率は一〇%じゃないですか、現金ですから。一方で、例えば、カードをふだん使いなれているお金持ちが、個人営業のお店、個人のお店でキャビアを買う、高級和牛を買う、高級マグロを買う。軽減税率八%とポイント還元五ポイントだから、三%じゃないですか。この不公平は何だろうかと思いますね。ひどい不公平じゃないですか。逆進性を助長すると思いますよ。

 私は、五段階の複数税率で、もう税制の簡素という理念が壊れている、加えて、公平公正というその理念も、税制であるべき姿を壊していると私は思いますけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、今回のインボイスの、還元事業ということで、いろいろな形で、与信審査がなくて誰でも簡単に購入ができるプリペイドカードなど、多様な選択肢というものを用意させていただくということで、確かにおっしゃるように、複雑な点という点に関しまして、また、クレジットカードを持たないという方々も含めて、幅広い消費者がメリットを受けられるようにするというものだと私どもはそれなりに理解をしているんですが。

 ポイント還元によって、中小・小規模事業者にとりまして、少なくとも、今いろんな形で、中小、まあ、私どものところでもいっぱいありますけれども、そういったところに外国人やら何もいっぱいふえてきているのは事実なので、そういったところでカードを出して何となくというのは、よくそういう現場を見ないわけではありませんけれども、いろんな形で、私どもとしては、中小・小規模事業者というものが、こういったシステムやら何やらを、それらを受け入れられるような形になっていくのであれば、なれるのに時間がかかると思いますけれども、そういったもので売上げが伸びるとか、また従業員の人々のいわゆる時間等々が削減されますので、そういった意味では、いわゆる所得が拡大するというような波及効果というのがそこそこあるんじゃないかというふうに思っておるんですけれども。

 いずれにいたしましても、消費税率の引上げに際して、この軽減税率制度の実施とか、生活年金給付金の支給とか、介護保険料の軽減とか、いろんな拡充のほか、私どもとしては、特別臨時の措置として、プレミアム発行券というのが複雑過ぎるというのは、おっしゃるところがよくわからぬわけではありませんけれども、少なくとも、低所得者などの引上げの影響を受けやすい方々、低所得の方々から、逆進性という意味で、受けるということになっていますので、それに対応するためにということをいろいろ考えた結果が今回のことになって、結果としてえらく複雑になっておるじゃないかという御指摘は、全くそれは、そんなことはないと否定するほど私もその意味を理解していないわけではありませんけれども、そういった複雑なことになっておるという一面、確かであろうと思いますけれども、低所得者等々に対応するためにいろいろ考えさせていただいた結果だという面も御理解いただければと思っております。

野田(佳)委員 物すごく苦しい答弁をされていますけれども、私が聞いたのは、逆進性を助長するということでした。それに対して、何かプリペイドカードとかを用意して、希望すればそういうカードを持てるという政策を推進するということですよね。誰でもそのプリペイドカードを持てるんですか。子供だろうが、いろんな要件関係なく。

 だとすると、逆に言うと、経産省に聞きたくなっちゃうんだけれども、キャッシュレスというのは、どれぐらいのキャッシュレス化を目標にしているんですか。さっき、私の前の誰かの答弁のときに、十年後ぐらいの、二〇二七年ぐらいですか、キャッシュレス化四〇パーぐらいを目指していると言ったでしょう。今回のポイント還元は、オリンピックの前までですね。オリンピックの前までの二〇二〇年までのキャッシュレス化というのは、どれぐらい目指しているんですか。

 今、プリペイドカードをどんどん発行したら、これは理論の話だからわかりませんよ、みんながキャッシュレスをやったらどうなるんですか。プリペイドカードをみんな欲しいと。あなたはだめなんて言えないんでしょう。みんなプリペイドカードでどんどん買物すると、増税じゃなくて、みんな減税になりますよ。何をやっているんだというふうに思いますよね。

 プリペイドカードの制度設計の話をよく聞かせてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、後払いのクレジットカードというものに関しましては、例えば、その方の所得でございますとか職業でございますとか、そういったいわゆる信用をチェックした上で発行するという手続が行われておりますが、プリペイドカードに関しましては、これは種類にもよりますけれども、基本的には消費者の方が先にチャージをしてそれを使うということでございますので、いわゆる信用調査がないという意味においては、低所得者の方であっても、あるいは高齢者、あるいは今、野田先生御指摘ございました若年者の方であっても、発行がより幅広く可能なものであるというふうに理解してございます。

 それから、もう一点、キャッシュレスに関しましての目標ということでございます。これは、未来投資戦略二〇一七の中で、今後十年、二〇二〇年代半ばということを指しておりますけれども、までに、現在、足元、約二〇%程度のキャッシュレス決済比率ということになっておりますが、これを四〇%程度に引き上げるということを目指して施策を行っているところでございます。

 済みません、その途中段階の数字に関しましては、私ども、定量的な目標を持っているというわけではございません。

野田(佳)委員 でも、子供だろうが若者だろうがお年寄りだろうが、プリペイドカードが欲しいと言ったら、それは用意するわけでしょう。それがどんどん使われるようになったら、キャッシュレス化は進むんじゃないですか。そうすると、これは後で聞こうと思ったけれども、予算が足りなくなるんじゃないですか。その辺、よく考えているんですか。

 安易に、何か困ったことを突きつけられると答弁するけれども、全体としての整合性は全くないじゃないですか。キャッシュレスと消費税は絡めるべきじゃないと思いますよ。

藤木政府参考人 ただいま御答弁申し上げましたが、プリペイドカードに関しましては、その意味では、発行時点のバリアが低いといいますか、ということで、活用される方がふえるということはあり得るというふうに思っております。

 ただ、一方で、足元、残念ながら、プリペイド、クレジット、全てを含めて約二〇%程度のキャッシュレス決済比率ということでございますので、これがそう簡単に一〇〇%になるということはなかなか想定しがたいのではないかというふうに思ってございます。

 その上で、予算ということでございます。もちろん、予算の計上に当たりましては、こういった現状のキャッシュレス決済の動向ということも踏まえながら、また、いろいろ事業者の方からのヒアリングといったようなこともしながら、事業をするに当たって十分と考えられる予算を措置したというふうに考えております。

 ただ、おっしゃるように、これは、今後消費者の方がどれくらい使われるのかとか、あるいは中小の方がどれくらいこのポイント還元の事業に参加されるかといったような不確定要素もあるわけでございまして、当然のことながら、実際の実施に当たって、上振れの場合もあれば下振れの場合もあるということでありますが、我々としては、せっかくやる以上は、広報、周知に努めまして、しっかりと御利用いただきたいというふうに思っております。

 仮に、予算が上振れした場合というようなことでございますが、その点に関しましては、予算の執行状況等をよく分析した上で、適切な対応を検討していきたいというふうに考えております。

野田(佳)委員 とても矛盾することになるんです。私は、逆進性を助長するんではないかと。逆進性を助長しないというんだったら、キャッシュレスを思い切って進めるしかないんですよ。子供もお年寄りもカードを持って買物できるようになるということにするということですよ、カードを持っているお金持ちと同じように。それが逆進性の解消ですよね。

 だけれども、そこまでいかない話でしたね。それ以上いくことはないみたいな話を、一〇〇パーはないと。まあ、一〇〇パーはないでしょう。そこまではいかないということを言っているということは、逆進性は残るということじゃないですか、逆に言うと。だから、その意味で、中途半端な施策を織り込んでいるから本当にわけのわからないことになってくると私は思います。

 大臣が来られたので次の質問に入りますけれども、これも本会議で安倍総理に聞いた話です。

 今回、九カ月間ですよね、ポイント還元の実施期間が。オリンピックの前までということでした。オリンピックの後には必ず、残念ながら不景気になるというのが世界どこでもあるし、昭和三十九年の後も、山陽特殊鋼とか山一証券の経営破綻が起こったり、全体としては高度経済成長だったんだけれども、我が国も不況に陥りましたですよね。オリンピックの崖というのは、残念ながら避けて通れないというふうに思うんです。やはり、景気を先食いして先行投資をいっぱいする分、崖が生じるんですね。

 今回は、五ポイント還元もその前に廃止するということは、今までの消費税というのは、ゼロから三、三から五、五から八、最大で三%の引上げなんですよね。今回は、五ポイント還元の恩恵を受けている人がいっぱいいるとするならば、事実上五%増税じゃないですか、そのポイント還元策をやめると。ということは、オリンピックの崖の上に、更にポイント還元を外すことによって相当傾斜の激しい崖ができるんではないのかと私は思うんです。それについて、ぜひ説得力のある御説明をいただきたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは、御指摘のありましたように、東京オリンピックに限らず、私の知っているので、ロンドン・オリンピックの後、それから北京オリンピックの後、いずれも、中国、イギリス、不況、かなり景気が落ち込んだという事実がありますので、私どもとして、今言われますように、この二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックというものの後どうなるかという点は、おっしゃるとおり、我々としては、ちょっとその点でもう一回考えないかぬということになるのかもしれぬし、それなりにどうにかいくのか、今の段階で申し上げる段階にはありませんけれども。

 いずれにしても、今回の、キャッシュレスの需要の拡大等々を見込んではおりますけれども、私どもとしては、今回のポイント還元事業というのはオリンピック前までの九カ月間、十月から九カ月間というふうにさせていただいておりましたり、その他のものは一年六カ月にしたり、ちょっといろいろ終わる時期を、一斉にぱっと終わるというので崖みたいな形にならないように、少しずらしてやるというのは、そういうことを考えて我々なりの対応をさせていただいてはおりますけれども。

 いずれにしても、そういった点を私どもとしては十分に考えていかないけないので、景気の崖とかいう点につきましては、私どもとしては、終了の時期を一律にしないということで、それだけでできるというわけではないかもしれませんけれども、我々としては、いろいろなその状況を考えた上で、その時点でしかるべき対応をとらねばならぬという時期、事態というものもある程度考えておかねばならぬとは思っております。

野田(佳)委員 結局のところ、臨時特別枠として、このポイント決済についても二千七百九十八億円予算計上したわけですよね。でも、その臨時特別枠というのは、私は、どんどんどんどん延ばしていくことになるんではないのかなと思うんです。

 きょうは取り上げる時間はないかもしれませんけれども、住宅についても車についてもいろんな優遇措置がありますけれども、これも、オリンピックの崖と同じように、いろんな崖が、消費の崖ができますね。一度そういう優遇策をやると、やめるとき大変なんですよね。結局は、それがどんどんどんどん延びていって、財政が厳しくなっていくということが起こり得るということを強く思っていますし、特に、今回のポイント還元の、オリンピックの前までというやり方は、間違いなく先延ばししていくという流れに私はなりかねないという強い懸念を持っているということは申し上げさせていただきたいというふうに思います。

 それで、ポイント還元は引き続きやりますけれども、今度は経産省の方で答弁をお願いしたいと思いますけれども、ポイント還元の対象となる中小・小規模事業者の要件、これも少しきょう出ておりましたけれども、現段階で言えること、明確に、よろしく御説明をいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のポイント還元事業につきまして、中小・小規模事業者ということを対象にするわけでございますが、私ども、その対象としては、基本的には、中小企業基本法で定めます中小企業、この定義を用いて律しようというふうに考えているところでございます。

 例えば、小売業に関しましては、資本金が五千万円以下又は従業員が五十人以下の企業を中小企業ということで中小企業基本法に規定されているところでございまして、基本的にはこの定義を用いて、今回適用したいと思っております。

 一方で、これまで予算委員会あるいはこの委員会での御議論でもございましたが、資本金が小さいまま、売上げが非常に大きな企業があるということもまた事実でございます。いわゆる過少資本金という問題でございますが、この問題に関しましてはこれまでもさまざまな議論がなされているところでございまして、こういった議論も踏まえて、適切な基準を設けていきたいというふうに思っているところでございます。

野田(佳)委員 今、中小企業基本法の考え方をベースに置くようなお話でございました。だから、資本金であるとか従業員数。

 でも、今言ったように、大手の子会社みたいなところで過少資本のところもあるというところをどうするか。これは検討するということですね、引き続き。では、売上げなんかも入ってくるということですね、当然。というか、その要件というのはいつぐらいまでにはっきりするんですか。

藤木政府参考人 先ほど申し上げました基準ということに関しましては、この予算が成立いたしまして来年度の十月からポイント還元制度を施行するということになるわけでございますので、そのためには、中小・小規模事業者の方に、あなたが対象になるのかならないのかということをあらかじめ早い段階でお伝えしなければならないというふうに思っておりますので、できるだけ早い段階で決めていきたいというふうに思っておりまして、できれば年度明け早々くらいには対外的に申し上げられるようにできないかということで今検討しているところでございます。

野田(佳)委員 年度明けぐらいにということですね。

 もしかすると、だって、複数税率の混乱を避けるためにポスターを張ったりとかいろいろやるわけですから、これは早目に特定していかなきゃいけないというふうに思いますね。

 では、これも既に先般、委員の質問でありましたけれども、期限が切れてしまったような場合、有効期限などが切れてしまってポイントが使えなかったというときは、これは決済事業者の懐に入るのではないかという懸念がありますね。それに対しての基本的な考え方は先ほども答弁で述べられていたというふうに思いますけれども、要は、みなしでやるという話があったじゃないですか。そのみなしというのは、相当厳格にやらないといけないというふうに思いますよ。今、例えば、まあ業者によって違うかもしれないけれども、どれぐらい余っちゃうのかとか、よくよく見た判断をしなければいけないというふうに思いますが、そのみなしを、いつごろそれもまた決めるんですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 使われないポイント分も含めて補助するということにならないように、補助額の算定方法についてはしっかり決めていきたいと思っております。

 具体的には、各決済事業者のポイントの価値の算出方法、それから失効率の実績というものを参考に算定方式を決定していきたいというふうに考えてございます。

 この失効率の実績というものについては、それぞれ各社に今、情報提供を求めているところでございまして、これも、ことし十月からの実施ということを考えますと、なるべく早く決めることが必要だというふうに思っておりまして、今、具体的な情報提供を受けて、なるべく可及的速やかに決めていきたいというふうに思っております。

野田(佳)委員 十月一日からは実施するわけじゃないですか。まさに、その中小の要件であるとか、今言ったような、決済事業者の利益になりかねないことに対しての対策だとか、要は、それまでに間に合うように検討するということでありますけれども、本当は、そういう不安をなくすためにこの国会で物を言わなけりゃいけないはずじゃないですか。私は、残念ながら、このポイント還元というのは、いろいろな意味で詰め切れていないということが本当にわかってきたというふうに思います。

 これも問題として指摘されておりましたけれども、これは業者間でもポイント還元が認められるわけでありますので、転売を繰り返してポイントを稼ぐという不正も起こり得るという指摘がございました。

 これは、先ほどの答弁で、共産党さんの答弁では明確に答えていなかったですね。万全を期すという抽象的な気合いは言っていましたけれども、具体的に何をするかということは、手のうちを知られたくないという意味合いで言えないという答弁だったように思いますけれども、本当に手のうちはあるんですか。私は、逆に、何も言えないことの方に便乗する人たちが出てくるような気がしますよ。

 もうちょっと明快に言わないと、気合いだけじゃなくて、万全を期すだけではなくて、具体的にどういうことをやるかということも一定程度お話をされないと、甘く見られるんじゃないですか。私は、その辺、物すごい心配に思いましたので、もう一回答弁をしていただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでも、決済事業者においては、例えば利用者保護に欠ける行為を行ったり、あるいは不正な利用を行っているといったようなことで、そういった問題のある加盟店の情報を共有したり、あるいはこれを排除したりする、あるいは、こういった不正利用の情報についてモニタリングをして適切に対応するといったようなことを、それぞれ各決済事業者の方で行われているというふうに承知しているところでございます。

 今回の制度も、これを悪用して、例えば事業者間で複数回、循環的な取引を行うといったような不正ということも、こうしたモニタリングの仕組みを参考にして防止することができるというふうに考えているところでございまして、今、決済事業者から、それぞれ、その監視のあり方やそういった連携のあり方といったようなことについて具体的な仕組みを検討しているところでございます。

 恐縮でございますが、その具体的な内容については、不正防止という観点でお答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、今既にあるモニタリングのシステムをつなぎ合わせることで、万全な防止体制を構築していきたいというふうに考えているところでございます。

 加えて、今回、このポイント事業、参加するに当たっては、当然のことながら、各決済事業者に対して、こうしたしっかりしたモニタリング措置をとっていただくということを条件にするとともに、あわせて、万が一こういった不正があった場合には、補助金の返還でありますとか、あるいはその上での決済手段の停止、それから決済事業者の参加自体の見直し、さらには捜査当局との連携した刑事法令の適用といったようなことも含めて対応してまいりたいということでございまして、こういった厳しい対応によって不正防止に万全を期してまいりたいと考えております。

野田(佳)委員 五ポイント還元というのは、物すごい、私は、不心得者にとっては大きなビジネスチャンスになるというふうに思いますので、今るる御説明ございましたけれども、本当にしっかりと不正を検知する工夫を凝らし、それに対して、もしあった場合にはペナルティーもしっかり科していくという、その全体としての告知を強く打ち出していかなければいけないだろうというふうに思います。

 さっきちょっと既に触れましたけれども、ポイント還元の利用者が急増して予算が足りなくなる可能性、これは二月五日の衆議院予算委員会で世耕経産大臣がちょっと示唆をしているんですよね。予定より早く予算が尽きるという見込みになったときは、財政当局と相談して対応を検討すると。見通しが甘い中でやっているから、このポイント還元がどんどん、予算、膨張してくる可能性を示唆していると思います。この点、どうなんですか、経産省。

藤木政府参考人 予算額に関しましては、現状のキャッシュレス決済の動向などを踏まえまして、事業実施に当たって十分と考えられる額を措置しているというふうに考えてございます。

 ただ、積算の一般論として申し上げれば、上振れのケースもあれば下振れのケースもあるということでございまして、仮に上振れが起こって不足するような事態になった場合には、執行状況などをよく分析して、適切な対応を検討していきたいというふうに考えております。

野田(佳)委員 上振れの可能性が私は十分あると思うのは、さっき言ったように、どなたでも利用しようと思えば利用できるように新たにカードをつくるようなお話もあったり、加えて、これは、企業がコスト削減のために一挙に中小の小売店にいろいろと取引をするような動きをしたりとか、いろいろなことが起こり得ると思って、上振れの可能性というのは十分あるというふうに思います。そのときに、麻生大臣、その予算、追加予算みたいなのは認めるんですか。

麻生国務大臣 これは、今言われたように、少なくとも、いろいろなアンケート調査の結果を踏まえて経産省は計上しておられると思っているので、当然のこととして。本事業を実施するに当たってそれぞれ十分なものをやっておられるんだと、期待と思いと両方ありますけれども、何となく、話を聞いていると、いいかげんそんな話になってくると、大丈夫かよという感じは正直しないわけじゃ、正直、野田先生、私も今の話を聞いていて、大丈夫かいなというのが、そういう感じの答弁でしたから、何となく、ちょっといろいろ考えないわけではありませんけれども。

 仮に執行額が上振れして予算が不足ということになることも考えておかないかぬという場合には、これは、執行状況などをよく分析して、私どもとしては、特定の善意の第三者が被害に遭うというようなことのないように対応せねばならぬだろうと思っております。

野田(佳)委員 聞いていて大臣がだんだん心配になってくるということは、やはり私は愚策だと思いますよ、これは。再考した方がいいですよ。一回踏み出しちゃったら本当にえらいことになるんじゃないかなと思います。本当に強く思いますね。ましてや、だらだらだらだら追加予算が必要になっていくなんということは、私は許されることではないと思っていますね。

 そもそも、消費税を引き上げることによって上がってくる税収増よりも、平準化と称する対策の方がお金がかかっていくという、十二分の対策をやってきている中ですよ。その十二分の対策の中に更にまだ追加予算が必要になるかもしれない項目が盛り込まれているということは、私は許されることではないというふうに思いますね。ということを強く強く申し上げたいというふうに思います。

 でありますが、そもそも、要は、だから、大臣も、変なの認めちゃったなと本当は思っているんだと思います、このポイント還元については。もともと二ポイント還元では出ていましたね、話が。二ポイント還元は長らく。五ポイントというのは突然出てきたように思うんですよ、突然、びっくりするように。どういう政策決定プロセスの中でこの五ポイント還元というのが出てきたのか。その他の平準化策も、どこかの政党から上がってきたなとか、そのほかの政策も、どこかの役所から上がってきたなというのはありますよ。でも、二から五と上げたのは一体どういう政策決定プロセスだったのか、これをお尋ねをしたいというふうに思います。

麻生国務大臣 これは、消費税率の引上げに当たってということでちょっと申し上げますけれども、駆け込み需要とか反動減といった対策というのの平準化が重要というところからもともとスタートしたんですが、いわゆる大企業はみずから価格の引下げを含む消費喚起を行えるという一方、中小企業はみずから対応することに限界がある、そうしたことから、ポイント還元事業の実施というのが、昨年の六月の骨太の二〇一八において消費税率引上げに伴う施策として、八月には、経済産業省の方から事業要求の形で概算要求がなされたというのが昨年の八月だったと記憶します。

 その後、経済産業省による検討が行われて、昨年十一月に、未来投資会議、財政諮問会議等々の経済政策の方向性に関する中間整理において、期間を集中し十分な還元率を確保する等、ポイント発行のための補助金が中小・小規模事業者に十分に還元される仕組みとする、また、対象店舗や対象品目については可能な限り幅広く対象とするといった事業の方向性が示されたというのが経緯であります。

 私ども財務省に対しましては、昨年の十二月の七日に経済産業省から具体的な予算要求がなされて、その後、事業の対象範囲等々、不正対策、所要額などについて議論を行わせていただいた結果、経済産業省の提言を十分踏まえた形で予算案を策定させていただいたというのがこれまでの経緯です。

 二%、五%と、この段階で二から五に変わったという、私どもの記憶では、この十二月の七日のときに、たしか予算要求がなされたときに出てきた話だと記憶をします。ちょっと正確な記憶じゃありませんで、ちょっと一日、二日ずれがあるかもしれませんけれども。

野田(佳)委員 十二月七日という、本当にもう年も押し迫った大詰めのときに突然出てきたんですよね。

 二ポイントというのはそれまでの間に話としては流布していましたから、そういうことを考えているんだなと。二ポイント還元だったら、要は、オリンピックが始まるまでの間は消費税を据え置くということじゃないですか、二ポイント。だけれども、五ポイントというのは減税するということになるわけですよね、実質。大きく減税をする。全くこれは意味合いが違うと思うんです。だから、減税から、次、増税だったら、さっき言ったように崖も大きくなって、影響が大きくなるんです。いろいろな意味で、二から五へと上げる意味というのが本当にわかりにくいんです。わけがわからないことの一番混乱要因だと思うんです。

 そんなものが、なぜ政府内でも与党内でも簡単にスルーしちゃったのか。ここが、まあそれは想像がつきますけれども、それはやっちゃいけないだろうと思いますね。やはり国民の負担にかかわることです。多くの皆さんがきちっと理解をするというものじゃなければいけないので、これだけいろいろな複雑な悪影響を及ぼすようなものがすとんと決まってしまうところに対して、私は今物すごい違和感を感じています。大臣もいろいろ思いがあるんでしょうけれども、そこは武士の情けで聞きませんけれども、ここが一番私は問題だと思うんです。

 その結果がどうなるかというと、いろいろポイント還元の弊害についてはるる申し上げてきましたけれども、私は、社会保障と税の一体改革、今も重要であり、必要であると思うんです。そのことについて理解をされる方も一定程度はふえてきたと思っていましたし、そう信じていますけれども、そうやって社会保障の充実、安定や財政健全化のための増税ならやむを得ないなと思っていた人たちを、私は裏切ることにならないかと心配をしています。過剰なばらまきにお金が使われる、税収よりもばらまき対策の方がお金が使われる、それに対して、心ある、これまでの理解者が不信を持つんじゃないでしょうか。根源的な政策不信に陥るのではないか、ここが私は一番懸念しているポイントなんです。

 仮に、これからも、社会保障の充実のために、財政健全化のために次の段階で消費税を引き上げますよと言っても、またこれだけ過剰なばらまきをやらなければいけない。癖もついてしまいますね。ここは、苦しくても、何のために国民の皆さんに負担をしていただかなければいけないかということをきちっと丁寧に説明する政府でなくてはいけないはずなのに、私は、そこから残念ながら逃げる余りこういう政策に陥ってしまって、さっき申し上げたように、良識的な、本来は理解をしている人たちを裏切ることになりかねない、これが一番大きなマイナスだと思います。大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これはまことにごもっともな指摘なんだ、基本的にそう思います。

 その上で、やはり、野田先生、今回、消費税というのを考えました場合に、これまで、御自分のお気持ちはともかくとして、消費税を上げた人というのは全て内閣が倒れております。竹下、橋本、いずれも倒れておる。今回は二回上げようというんですからね。

 そういった意味では、今回、デフレからの脱却というのを考えたときに、やはり基本的には、私どもとしては、少なくとも、さきの戦争が終わってこの方、デフレーションによる不況というのをやった国は世界じゅうに日本以外ありませんので、そういった意味では、私ども、最初の対応を間違え、デフレ対策をすべきところをインフレ不況対策みたいなことをやって、結果として今回の不況が長引く結果を招いた。否めない事実でありますから、そういったものから断固脱却ということを目指してこの七年間いろいろやらせていただいているんですけれども。

 少なくとも、その中で消費税というものは、これはもう我々としては避けて通れぬ、少子高齢化というこの日本の中にあって、これは避けて通れない一つの選択なんだと思っていますので。ただ、これを上げたときには、必ず不況とか、必ず景気が悪くなるとかいうことになってきた過去の歴史なものですから、断固、今回上げて、もし腰折れでもしたらいよいよ終わりという恐怖感があったことは事実です。これは間違いなくそういった意識がすごくありましたので、何としても、これは上げた以上はというのがありましたので。

 私どもは、前回、二年前に上げるべきだという説を、私というか財務大臣としてさせていただきましたし、その前もそう思っておりましたけれども、いずれも残念ながらそういうぐあいにできませんでしたので、今回はということで、今、二回延ばして、今回消費税ということをやらせていただこうとしているんですけれども、これがもし不況ということに仮になったとして、もう一回腰折れみたいなことになると、前回、五から八に上げたときのあの感じというものをもう一回というようなことだけは、これは断固避けないかぬという気持ちが非常に強いというのが正直なところです。

 したがいまして、今、二だったはずが五になったじゃないかとか、いろいろなものを言われているのはよくわかりますし、私どもとして、心ある方々に、おまえ、ここは耐えて頑張るべきところじゃないか、俺たちの気持ちをおまえは踏みにじりやがってとかいうお気持ちがあろうという御心配をいただいているのはまことに的を得ている御意見だと存じますし、私どもとしても心して対応せねばならぬと思っておりますけれども、今申し上げたように、私どもとしては、景気が中折れする、腰折れするということだけは断固避けたいというために、いろいろなことを考えに考えて今回やらせていただいているというように御理解いただければと存じます。

野田(佳)委員 去年の財政審の建議で、平成の税財政運営を振り返って厳しい総括をしていました。受益の拡大と負担の軽減、先送りを求めるフリーライダーの圧力に抗し切れなかった税財政運営の時代だった、二度と同じ過ちを犯してはならないという厳しい総括だったんですね。

 私はあれを見ていて、一方で思い浮かんだのは、やはり消費税との戦いなんです。その厳しい総括をせざるを得なかったというのは、消費税の呪縛との戦い、これがまだ断ち切れなかった。平成元年の一月八日じゃないですか。三%に、消費税導入されたのは、竹下内閣で。そこから平成はスタートしているんです。三から五も大変だった。その前に、国民福祉税は頓挫をする。そして、やっと三党の合意でこの呪縛を断ち切るための枠組みをつくりましたけれども、残念ながらまたこの呪縛に陥っていると思います。新しい時代もこの消費税の呪縛との戦いなんだなということを思います。極めて私は残念に思うんですね。

 これは質問じゃありません。私の個人的な思いでございますが、この新しい時代もしっかり財政と向き合って、消費税からもやはり逃げないで、真っ正面から向き合った、そういう議論をこれからもやっていきたいというふうに思います。

 ほぼ六時になりました。あしたも私は三十分あるんですね、質問が。この後やっていっちゃうと、あしたやることがなくなっちゃうかなというふうに思いますので、若干早いですが、質問を終わりたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次回は、明二十七日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十八分散会


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