衆議院

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第12号 平成31年4月17日(水曜日)

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平成三十一年四月十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 坂井  学君

   理事 井林 辰憲君 理事 越智 隆雄君

   理事 武部  新君 理事 寺田  稔君

   理事 藤丸  敏君 理事 川内 博史君

   理事 緑川 貴士君 理事 竹内  譲君

      あかま二郎君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    大西 宏幸君

      神田 憲次君    小泉 龍司君

      斎藤 洋明君    武井 俊輔君

      津島  淳君    土井  亨君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      福山  守君    古田 圭一君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      牧島かれん君    三ッ矢憲生君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      山田 美樹君    義家 弘介君

      鷲尾英一郎君    今井 雅人君

      櫻井  周君    末松 義規君

      高木錬太郎君    佐藤 公治君

      階   猛君    西岡 秀子君

      古本伸一郎君    伊佐 進一君

      宮本  徹君    丸山 穂高君

      野田 佳彦君    青山 雅幸君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   財務副大臣       うえの賢一郎君

   内閣府大臣政務官     長尾  敬君

   財務大臣政務官      伊佐 進一君

   会計検査院事務総局第一局長            三田  啓君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   参考人

   (日本銀行副総裁)    雨宮 正佳君

   参考人

   (日本銀行理事)     衛藤 公洋君

   財務金融委員会専門員   駒田 秀樹君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十七日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     務台 俊介君

  井上 貴博君     あかま二郎君

  石崎  徹君     中谷 真一君

  國場幸之助君     宮路 拓馬君

  鈴木 隼人君     大西 宏幸君

  武井 俊輔君     堀内 詔子君

  宗清 皇一君     古田 圭一君

  今井 雅人君     櫻井  周君

  古本伸一郎君     階   猛君

  前原 誠司君     西岡 秀子君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     井上 貴博君

  大西 宏幸君     鈴木 隼人君

  中谷 真一君     石崎  徹君

  古田 圭一君     宗清 皇一君

  堀内 詔子君     武井 俊輔君

  宮路 拓馬君     國場幸之助君

  務台 俊介君     福山  守君

  櫻井  周君     今井 雅人君

  階   猛君     古本伸一郎君

  西岡 秀子君     前原 誠司君

同日

 辞任         補欠選任

  福山  守君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

坂井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行副総裁雨宮正佳君、理事衛藤公洋君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁総合政策局長佐々木清隆君、企画市場局長三井秀範君、監督局長栗田照久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、会計検査院事務総局第一局長三田啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主党・無所属フォーラムの櫻井周です。

 財務金融委員会におきましては、初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、法案の質疑に入らせていただきます。

 金融機能早期健全化法という法律なわけでございますが、そもそも、金融機能の健全化とはどういうことなのか、改めて、その定義について大臣に御説明をお願いします。

麻生国務大臣 金融機能がいわゆる健全か否かということを一概に申し上げるということはなかなか困難なんですが、先生御指摘のところは、多分、資金を必要とする主体、企業ですな、主に企業とか個人に対しまして円滑な資金提供がなされるというような意味では、金融機能というものが、いわゆる仲介をするという機能というものが正常に機能しているというのは大事なところだと思いますが。加えて、その前提として、貸し出す方の金融機関自体が、財務状況が債務超過に陥っているとかそういうことではなくて、きちんとした財務状況が、健全である、貸せるような体質であるということ、そして、その結果として、全体としての金融システムというものが健全に機能しているということ等をもって、金融機能がきちんとして健全であると言える状況にあるんだというように考えております。

櫻井委員 御答弁ありがとうございます。

 大臣おっしゃられるとおり、金融機能の健全化というものを定量的に決める、数字でばしっと決めるというのはなかなか難しいところはあろうかと思いますが、おっしゃられるとおり、考え方としましては、まず狭い意味においては、自己資本比率などBIS規制を充足している、財務状況は健全であるというのがその大前提であって、さらに、本来意味するところは、事業会社への資金融通が的確に行われるということが、本来といいますか、広い意味での健全化ということかと思います。

 今回のこの金融機能健全化法、これは二十年前にできたわけでございますが、この法律の目指したことは、狭い意味での、自己資本が不足しているとかそういった危機はあったわけでございまして、こうしたところをまずしっかりと手当てをして、大前提を整えるということだったろうというふうに考えます。そういった意味で、その部分については、現状、達成できたということで、今回、この法律についても、ある種フェードアウトしていくようなステージに入っている、したがって、八千億円、一般会計へ繰り出しをするということになったんだというふうに考えます。

 ただ、大臣に先ほど御説明いただいたとおり、広い意味での金融機能が健全化しているかどうかということについては、いまだ、今の日本の現状を見ますと、特に地方において、なかなかそうではないんじゃないかというふうな心配もするところですが、大臣の御認識をお聞かせください。

麻生国務大臣 ただいまこの時点においての話なんだと思いますね。

 現行の資本基盤というものは安定していると思いますし、日本の金融システムというものは、総体としては間違いなく安定しているんだと思いますが。

 その上で、平成元年から約三十年なんですが、貸出残高の推移というのを例えば確認をしてみますと、全国の銀行ベースでいきますと、平成八年というころ、あのころは、五百六十兆円をピークにしておったと記憶しますけれども、その後、御存じのように、バブルだ何だいろいろなものがはじけたような形になりまして、一時期どんと貸出しが落ちていって、絶対額で四百十五兆ぐらいのところまで、金融、ぼんと貸出しが減っております。そういったんですけれども、また近年は、おかげさまで、このところ、この七、八年を見ましても増加傾向が戻ってきて、平成二十九年度末では、ピークのときの五百六十兆近く、五百五十八兆円のところまで戻ってきておりますので、こうした実態を踏まえますと、金融仲介機能というものは、一定程度健全に機能していると評価できるんだと思っております。

 ただ、貸出残高だけで見て判断するのではなくて、よく言われる、担保とか保証とかこういったものに過度に銀行が依存していないのか。貸出しで担保をとってやっているんじゃ質屋と変わらないじゃないか、何だそれはという御意見が世の中に昔からあるわけで、それを、したがって、過度に依存しない体制とか体質かな、融資をどのように促進するのかとか、例えば最近では事業承継等々の問題がよく出てきますけれども、借りている側のさまざまな必要性、ニーズですかな、そういった金融のニーズに対して、しかるべきサービス、アドバイスとかファイナンスとかそういったサービスが提供できているかといった金融の仲介機能というものがありますので、仲介機能の質の向上というのは改善の余地があるのではないかと、今。

 そういった意味で、引き続き金融仲介機能を発揮できる体制というものをきちんとやっていくように取組を促していかないと、ただただ資金があって金利を安くすれば必ず借り手があるといったような資金の絶対量が不足していた時代と、今のように金利が幾ら安くても金を借りに来ないという状況とでは、金融の、いわゆる銀行の経営としては、黙っていれば金を借りに来るものという前提での金融稼業、金融業というものがなかなか成り立ちにくくなってきているという現状を踏まえないと、いわゆるこういった金融というものの事業をなしがたい状況にあるというのが、今、日本の置かれている状況だと思います。

 これに加えて、地方は人口減少やらいろいろございますので、そういったものも含めて考えないかぬところだと思っております。

櫻井委員 大臣、丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございます。

 おおむね健全と言える状況だろうというのが大臣の御答弁で、ただ、いろいろな今日的な課題もたくさんあるよ、こういう御説明だったかと思います。

 ちょっと本会議の質問に移らせていただいて、本会議の質問のときには、金融再生勘定の保有株式の処理について、上場株式の処分の再開につきましては、今後適切に判断してまいりたいと考えております、こういう御答弁をいただきました。

 これは、今から十年前、麻生総理大臣のときに御指示されて、リーマン・ショック直後ということもあってこの株式の売却を一時凍結するということだったわけですが、一時凍結がもう十年たっちゃっている。おおむね金融も健全だというふうにおっしゃるのであれば、やはりこれはさっさと売却しておくべきではないのか、次の金融危機が来る前に処分しておくべきだというふうにも考えるんですが、大臣、改めて御答弁をお願いいたします。

麻生国務大臣 これは、いわゆる預金保険機構というものに関してですけれども、これは、金融再生勘定において長銀とか日債銀とかいうものから買い取った株式について、平成十八年でしたか、あのときから、いわゆる国民負担の最小化とか市場への影響の極小化の原則のもとで、おおむね十年というのをめどに処分を開始したんですが、あのときは、いわゆる、二十年の九月でしたか、リーマン・ブラザーズの破綻というものが起きまして急激に株価が暴落して、あのときは、三万八千九百円までつけていた株が、どんと下がって、一時期、七千円台まで落ちるというような騒ぎになったんですが、そういった意味では、この年の十月からいわゆる上場株式の処分というのは、これだけ急激に下がっているときに処分するというのはさらなる株価の下落になりますし、そういった意味では、原則としてそれを停止させていただいたということがそのときの背景であります。

 その上で、その含み損益の状況に加えて、多額の株式というものを一挙に処分しますと更に市場が混乱することになりかねませんから、そういったことで、金融市場の動向を踏まえつつ処分を開始していかねばならぬところだと思っておりますので、少しずつ少しずつしないと、一挙にやるとマーケットに対しての不測の事態を招きかねぬということになりますので、そういった意味では、この株式の処分につきましては、その損益、含み損、含み益等々を十分に考えた上で処分をしていかねばならぬところだと思っております。

櫻井委員 これは麻生総理大臣のときに一時凍結したものですので、おっしゃるとおり、一気に売っちゃうとマーケットが混乱しちゃうということですから、少しずつ売っていかなきゃいけない、少しずつ売るためには早く始めないと少しずつ売れないわけですので、なるべく早く進めていただくようお願いいたします。

 そして、次の質問に移らせていただきます。

 今回のこの金融機能早期健全化法というものは、昭和の末期に起きたバブル、これの後始末ということでやっていたわけでございます。

 本会議での質問のときにも御答弁いただいております。バブル崩壊後、株価などの資産価格の大幅な下落や大手金融機関の破綻などから実体経済が大きな影響を受けた、このように答弁をいただいております。

 実体経済に本当に多大なる悪影響がありまして、国民生活に大きなダメージを与えたわけでございまして、同じような間違いを繰り返してはならないというふうに考えております。バブル発生、バブルができ上がって膨らんでいく時期、それから崩壊した後、それぞれの時期において、やはり政策当局の判断に誤りがあったのではないのか、こういう研究がいろいろなされているところでございます。何をどうすればよかったのかということを今しっかりと振り返って、同じような失敗をしないようにちゃんと教訓として生かしていかなければならないというふうに考えます。

 金融政策の面で申し上げますと、バブル発生期においては、金融引締め政策への転換がおくれた、利上げのタイミングが遅かったのではないのか、その結果バブルが大きくなってしまった、こういった指摘もございます。また、バブル崩壊後においては、引締め政策を継続してソフトランディングに失敗し、ハードランディングになってしまったのではないのか、こういった指摘もあります。また、その引締め政策への転換のおくれというのは、日銀の独立性が低かったからではないのか、こういう指摘もあります。

 それぞれの指摘が正しいのか、そうではないというのか、いろいろ議論はあろうかと思いますが、今のこの時点から振り返ってみて、金融政策として、それぞれの時期において何をどうすればよかったというふうに考えていますか。

雨宮参考人 金融政策運営という面からお答え申し上げます。

 御指摘のいわゆるバブルの発生につきましては、金融機関の積極的な融資姿勢ですとか、人々の成長期待の過度の強気化といったさまざまな要因が複雑に絡み合っていたというふうに考えられますが、日本銀行による金融緩和の長期化もバブル発生の重要な要因となったものというふうに認識してございます。

 当時を振り返ってみますと、物価の安定基調が維持されていた一方で、国の経済政策面におきましては、経常黒字の是正のための内需拡大ですとか円高の是正、回避などが重要な課題とされておりました。このため、景気拡大が続くという中でも金融緩和が長期化いたしまして、これがバブル発生の一因になったというふうに理解しておりますし、また、その後のバブル崩壊が九〇年代末以降の長期にわたる低成長とデフレにつながったというふうに認識してございます。

 こうした経験は、やはり、私どもにとって、金融面の不均衡ということも含め、経済、物価、金融が抱える潜在的なリスクに十分注意を払いながら政策を運営していくということが重要であるという大変重要な教訓を得たものというふうに考えておりますし、そうした教訓も踏まえまして、私ども、金融政策運営に当たりましては、政策運営に当たって重視すべきさまざまなリスクを点検するという枠組みを採用してございます。

櫻井委員 これは、いろいろな側面、関係する部署はあろうかと思います。金融機関の監督をする立場、金融庁が今担っている部分だと思いますが、この部分においても、バブルの発生時期においては、十分な担保なしに不動産への野方図な貸付けが行われたのではないのか、株式の持ち合いなどハイリスクな財務体質に銀行が陥っていたのではないのか、そういった状況を放置していたのではないのか、また、バブル崩壊後においては、不良債権処理の迅速な処理に失敗した後、公的資金投入をずっとためらって結構時間がかかってしまったというようなこともいろいろ指摘をされているところです。

 今から振り返ってみまして、金融機関を監督する立場として何をどうすればよかったというふうにお考えでしょうか。大臣、お願いできますか。

麻生国務大臣 いわゆるバブルという言葉は、サウス・シー・バブル、これはイギリスで始まった南海泡沫事件と訳されて我々が学校で習うやつもこれだと思いますけれども、バブルというのはどうやって始まるのかとか、どうやって起きたのか、いまだに正確に、たびたびその後も、オランダで起きたチューリップ・バブルとかいろいろ各国でバブルは起きておりますので、そういった意味では一概になかなか申し上げられないところですけれども。

 金融システムという面から御質問だったので、日本でバブルというものが崩壊をいたしました後、例えば株価を始めとした、金融市場における、いわゆる資産、土地とか株とかいう動産、不動産含めまして資産のバブルというものが、デフレ等々から、御指摘のありましたように不良債権問題というものに発展していって、これが深刻化していったんだということだと思います。

 その後、厳格な資産査定等々によって、不良債権の処理問題というものは、いわゆる公的資金を活用する等々によって不良債権問題を克服するということには成功したということだと思っておりますが、しかしながら、結果としてこれは実体経済に大きな影響を与えたということは事実だと思いますので、これが日本の経済の長期的な低迷の一因となったということは間違いありませんし、預金等々の保護のために十兆四千億、五千億という巨額な額を、国民負担が確定をしておりますので。

 こうした経験を踏まえると、金融行政として、いわゆる、四月でしたか、先週でしたか、御指摘のありましたとおり、バブルの行き過ぎを早目に抑制するということが大事なんだということで、金融庁としては引き続き、経済金融市場というものの動向をオンタイム、リアルタイムで把握して、実体経済というものに大きな影響を与える可能性が高いバブルの兆候みたいなものに対しましても、いわゆる前もって早目に、最近、フォワードルッキングとよく言いますけれども、前もって早目にそういった分析とか判定をした上で、金融システムの安定の確保というものに適切な対応を行っていかなければならぬということなんだと思いますが。

櫻井委員 もう一つ、財政とか、あと国際政治の観点からもちょっといろいろな課題があったんだと思います。

 先ほど日銀の副総裁からも御答弁いただいたとおり、当時、プラザ合意の後のドル高是正とか、その後、ドル高・円安が急速に進んで、円高不況というようなこともあったりしました。何より、当時、日米貿易摩擦が非常に過熱をしておりまして、政策当局としてはその解決が最優先の課題だったんだろうというふうにも思うわけでございます。

 一方で、バブルが崩壊した後は、先ほど申し上げたとおり、公的資金の注入をちゅうちょしたりというようなことで、対応がおくれたというような課題もあります。

 財務大臣の立場から見まして、あのとき何をどうすればよかったのかというふうにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 プラザ、一九八五年なんですけれども、いわゆる当時一ドル二百四十円まで、ぐらいだったと思いますが、この一九八五年九月のプラザというホテルでやった、当時はドナルド・トランプがあれは持っていたんだっけな、プラザホテルというところで合意して、二百四十円が一年少々で百二十円までドルが暴落、円が暴騰したというので、簡単に言えば、世界的には日本の資産が倍になったということですかね。二百四十円が百二十円になったんだから、倍になったので。当時は、円高不況なんという言葉がえらく言われた時代でしたよ。自国通貨が高くなって何で不況になるんだよという御意見も随分あったんですが、当時はそういった調子でしたね、私の記憶ですけれども。

 しかし、結果として、日本は、円高になって輸出が極めて厳しいことになりましたけれども、その金を持って、今度は海外でいろいろ、工場をつくったり、資産を買ったり、会社を買ったり、いろいろすることによって、だんだんその円高を利用した経営、商売というのがうまくいって、わあっと大きくなっていったんですが、同時に、その多くの資産というものが土地と株に流れていったというのがあのときの実態だったと思うので、それが結果としてバブルというものにつながっていったのではないかということで、これは、そういった見方があるというのは事実だと、それが全てとは思いませんけれども、そういうのが事実だと思いますが、円高不況とか言われたものがありますけれども、プラザ合意がバブルの発生の原因とまでは私は言い切れないんだと思いますが。

 その後、景気拡張面において、大規模な経済対策をあのときやっております、一九八七年に、いわゆる不況だとかいうので。また、金融の緩和も、八六年、七年、八八年、ずっとやらせていただいておりますので。これも一つの素地になったことは、私はこれは否定できないだろうと思いますが。

 その後、バブルが崩壊して、日本は経済成長率が下がりましたし、そういった意味では、長引くデフレ、正確には、資産のデフレによる停滞というのを二十年近く経験したということだと思いますが、その発端は、何といってもこれは資産のデフレーションです。もう土地と株がぼんと下がっていますので。

 そういった意味では、初めてこういった資産デフレを経験したので、財務省も日本銀行も、総じて財政支出の拡大とか金融政策とかそういったものに取り組んだものの、この対応が十分であったかといえば、デフレーションというのを経験したことが、我々少なくとも敗戦のころからやったことがありませんので、デフレがない以上、デフレ対策をやった人もおりませんので。世界じゅう、一九三〇年以来デフレーションというのは起きたことがありませんので、不況はいずれもインフレだったので。

 そういった意味では、資産デフレーションによって、企業は、土地、株等々の資産が暴落していますので、企業のバランスシートでいけば債務が超過した形になります。金融機関も同様だったと思いますが。そういった意味で、企業に対しては、当然のこととして、金融機関が、自分のところが債務超過ですから、企業に対しても、債務超過の分について返せというので、いわゆる貸し剥がしとか貸し渋り、ああいった言葉があのとき随分出たので。新規借入金というのを企業側も抑制しますし、当然のことで設備投資も控えますし、いろんなことが起きて、結果としてデフレ不況を長期化させていくということになったというのが反省しなきゃいかぬところなのかなと。あのときはやはり逆なことをやっておかなきゃいかぬかったのかなと。こういった反省を踏まえて、この政権になりまして、この六年間の間いろいろ取り組ませていただいたおかげで、デフレではないという状況はつくり出すことができたんだと思っていますけれども。

 いずれにしても、政府とか日銀とかそういうところの金融を担当させていただいているところとしては、そういった連携をきちんとしながら成長を更にさせていかないかぬというのが、これからも常に心がけておかねばならぬところだと思っております。

櫻井委員 いろいろ当時の時代背景を御説明いただきましたが、バブルが崩壊した後やるべきことというのは大分明らかになって整理もしているんですけれども、バブルの発生時期、バブルが膨らんでいる時期に誰が何を発見して、それでどういうアクションをとればいいのか、これはなかなか、先ほど日銀副総裁にも御説明いただきましたし、麻生大臣にも御説明いただきましたけれども、なかなかそこは、歯切れよくばしっと、何がどう間違っていたのか、あの当時こうすればよかったかというような答弁をいただけなかったというところに象徴されているかと思います。

 また、きのう、実は質問レクで担当者の方々ともお話をしました。財務省、金融庁、日銀の方にも来ていただいてお話をしたんですが、バブルの発生時期において、今振り返ってみて何をどうすればよかったのか、こういう質問をしたいんですという話をしていたところ、そうすると、担当の皆さんはちょっと下を向いちゃって、いや、うちじゃないよねみたいな顔をして、みんな下を向いちゃう。みんな、何か世の中おかしい、何か間違った方向に行っているかもしれないと思っていても、いや、うちは担当じゃないからというふうになっちゃうと、結局、結果的にバブルが見過ごされてしまうことになるのではないか、バブルがどんどんどんどん膨らんでいってしまって大変なことになってしまうということになるのではないのか、そういう心配をしているわけです。

 しかも、大体、こういう百年に一度の金融危機と言われるようなものは、大体十年に一回ぐらい起きるんじゃないのか。今から振り返ってみると、リーマン・ショックが十年前にあって、二十年前にはITバブルが崩壊したりとか山一ショックがあって、その前にも、アメリカでは中南米の債務危機とかいろいろありましたし、さらにその前はオイルショックとかいろいろありましたから、そう考えると、やはり十年に一回ぐらい起きるかもしれないという心づもりで対応しておかなきゃいけない。

 そういった観点から、やはりバブルの発生時期の対応、これは非常に難しい、バブルがはじけて初めてバブルだったとわかるわけなんですけれども、この点について、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。

麻生国務大臣 先ほど申し上げました、バブルという言葉が最初にできたとき、これは、ロバート・ウォルポールという人が、当時のイギリスの総理大臣、初めてプライムミニスターという名前をもらった人はこのロバート・ウォルポールという人なんですが、南海泡沫事件がおまえのところの責任だとわんわんやられたんですけれども、結果的には何のあれもならずに、後になって、結果的にどうやって起きたかわからぬ、ロバート・ウォルポールに責任は全くないということがはっきりしたんですが、そのときでも、どうやって起きたのか、何であれが起きたんだという話はその当時もやっているんですね。

 その後、オランダのチューリップの球根の値段が上がる、チューリップ・バブルと呼ばれるものがその後起きていますけれども、これも何だかわからない。単なるうわさから始まって、チューリップの値段がわあっと上がって、それにわあっと投資が始まって、これがはじけた後にというような。

 いつの時代でも、バブルと言われたのを見ますと、国内外の経済とか金融情勢とかいうのが今の言葉ではそういうことになるので。バブルの兆候とかそういったようなリスクが懸念されるというのがちょこちょこちょこちょこ見たときには、私はやはり、政策当局間でこれはいろいろ緊密な連絡をやらないかぬということなんだと思っておりますので。

 例えば、今、日銀とか金融庁とか財務省とか、いわゆる三者会合というのを定期的に行っておりますけれども、いろいろな形で情報交換というのが、今結構、世界的なものがぱっと瞬時にこっちへ来る時代になりましたので、そういったものもおくれが生じないようにしておくというのが大切なので、連携というものを常に図って、これはバブルじゃないのかなというのを考えるとき、やはり経験があるので、前のときもこうだった、三十年前もこうだったと今言われたような話を思い出して、きちっとあのときの状況とかいうものが語り継がれていくという政策の継続性を持たせるというのが大事なところで、かつ、継続性を持ったやつをみんな集めて、各銀行、日銀、財務省等々連携した、それぞれの情報を、ある程度関連するところ、持ち寄って、ふだん定期的に意見交換をしておくというようなのが結構大事なんじゃないのかなというのが正直な実感です。

櫻井委員 今振り返ってみますと、昭和の金融恐慌というのは昭和二年にありました。これは大蔵大臣の国会答弁がきっかけだったというふうに言われておりますが。それから、平成のバブル崩壊も、平成元年までずっと株価は上がっていって、平成二年になってから株価が落ち始めたということで、平成のバブル崩壊も平成二年。そうすると、来年、令和二年はどうなるのかということも心配になってくるわけです。リーマン・ショックから十年もたって、そろそろ次のがやってくるかもしれない、こういう警戒感でもって、先ほど大臣御答弁いただいたとおり、しっかりと注視をしていただきたいと思います。

 次に、ちょっと、日本銀行の役割についても確認をさせていただきたいと思います。

 日本銀行は、やはり、こうした危機が起きたときに、政策金利を誘導したり、国債の買いオペであったり、預金準備率を調整したりというようなことをやるわけですが、こうしたことは既にもう全部全開でやっちゃっているものですから、新たに追加的に何かできるかというと、なかなか難しいのではないのか。つまり、金融危機が起きてももう日銀がとり得る手段というのがなくなっちゃっているんじゃないのか、こんな心配もするところでございます。何か、セーフティーネットといいますか、命綱を外した状態で今、金融政策が行われているのではないのか。

 さらに、日銀は、株式、ETFですとか、J―REITとか、そういった、かなり、中央銀行としては異例のリスクの高い資産もいっぱい持っている。TOPIXが一三五〇ポイントを下回ると含み損になるのではないのか。先月行われた参議院の予算委員会での議論では、日経平均株価が一万一千円を下回ると日本銀行自体が債務超過に陥るのではないのか、こういう委員からの指摘もありました。これが本当なのかどうなのか、ちょっと、これは委員の持論だったというふうには聞いておりますけれども。

 結局のところ……

坂井委員長 申合せの時間がもう既に過ぎておりますので。

櫻井委員 はい、わかりました。じゃ、最後の質問に移らせていただきます。

 肝心の金融危機のときに、日本銀行は、財務が悪化をして身動きがとれなくなるということになってしまうのではないかと心配するんですが、この点について御説明をお願いいたします。

坂井委員長 簡潔に答弁をお願いします。

雨宮参考人 お答え申し上げます。

 まず、金融危機の対応ということで申し上げますと、私ども、最後の貸し手として金融機関に資金を供給する機能、あるいはマーケットを安定化させるために市場に資金を供給する機能を担っておりますし、こうした機能は、今後とも、金融危機等々においては、金融全体の安定を確保するために対応していくつもりでございます。また、それと同時に、金融政策運営におきましても、こうした金融上の問題が実体経済に大きな影響を与えるということであれば、当然、しかるべき対応をしていくということが前提でございます。

 その上で、いざというときの、財務の悪化ということでございますけれども、これにつきましては、私ども、例えばということで、ETFやJ―REITの大幅な価格変動の点について申し上げますと、例えば、資産に、私ども、含み益がございますので、直ちに決算上の期間損益に影響を与えるというわけではございませんし、準備金の積立てといったような格好で自己資本の充実にも努めてきております。

 私どもといたしましては、今後とも、財務の健全性に十分留意しながら、適切な政策運営に努めていきたい、こう考えてございます。

櫻井委員 時間が過ぎましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

坂井委員長 次に、階猛君。

階委員 国民民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 私、ふだん、弁護士ということで、法務委員会の方に所属させていただいておるんですが、もともとは旧日本長期信用銀行に勤務しておりまして、まさに、今、櫻井さんがおっしゃっていたバブルの時代に大変な思いをした、そんな経験もあります。二度とあのようなバブルの生成、崩壊といったようなことがあってはならないという思いで、きょうは質問に立たせていただきました。

 さて、今回、八千億円を預保の早期健全化勘定から国庫に納付するわけですけれども、資料の一に書いてありますとおり、会計検査院からは、「適時に国庫に納付」ということになっております。適時というところが問題になるわけですが、なぜこの時期に八千億円を国庫納付することにしたのか、大臣からお答えをお願いします。

麻生国務大臣 これは、早期健全化勘定の利益剰余金というものの取扱いについては、平成二十八年の会計検査院の意見表示のほかに、平成二十九年にも衆議院の本会議並びに参議院のいわゆる決算委員会での議決を受けまして、金融庁において、平成金融危機への対応を進める中、預金等の全額保護のため、十兆四千億円という巨額の国民負担が確定しているといった経緯、また預金保険の他の勘定に欠損金、含み損等々が発生していること、及び金融資本市場の状況等々によりその含み損等は変動することなどを踏まえて、いわゆる金融庁と財政当局といろいろ協議をしながら、総合的に検討を進めてきたところであります。

 今般、その検討の結果が得られましたことから、対応をさせていただくということにしておりますので、具体的な対応として、必要な制度整備というものを行った上で、早期健全化勘定の利益剰余金のうち八千億円を国庫に納付するということにしたのが経緯であります。

階委員 法案の内容というところが、同じページの下の方に書いていますけれども、預金保険機構は、別に平成三十一年度あるいは令和元年度じゃなくても適宜の時期に納付できるわけですね。でも、なぜかこのタイミングだというところが私は気になるわけです。

 二枚目を見ていただきますと、これは内閣府の中長期財政試算でありまして、真ん中の段に、国、地方の財政の姿ということで、ちょっと色分けしております、塗ってあるところですけれども、二〇一八年から二〇一九年にかけて、基礎的財政収支、いわゆるプライマリーバランスと、財政収支の数字がどのように変化しているかというのを見ていただきたいんですが、若干、この数字だけ見ると改善しているように見えるわけですね。基礎的財政収支を見てみますと、マイナス十五・二兆円がマイナス十四・六兆円、プラス〇・六兆円ということなわけです。

 ところで、今回、仮にこの八千億円がなかりせば、これは逆に悪化しているわけですね。むしろ、今回八千億円をこのタイミングで国庫納付したのは、財政が見かけ上健全化したということを取り繕うためにやったのではないかと思います。

 まず、この点について、仮に八千億円なかりせば財政は悪化していたのではないか、基礎的財政収支は悪化していたのではないかという私の認識でいいかどうか、これは大臣からお答えください。端的にお願いします。

麻生国務大臣 預金保険機構からの国庫納付を含みます平成三十一年度の臨時収入についてということですけれども、これは、消費税の引上げに伴います経済への影響を平準化するという今回の臨時特別の措置という経費の性格を踏まえて、臨時的な財源とすることにしたことを示しておるものであります。

 それで、財源を用いながら、消費税率引上げによる経済への影響をしっかりと平準化して、いわゆる持続的な経済成長というものを実現するということにしたいと思っておりますが、国民の負担であります債務残高の縮減にもこれは着実に取り組んでいかねばならぬのは当然であります。

 御指摘のように、仮に剰余金を債務の返済に充てるということにした場合でも、これは、消費税の引上げによります需要変動に対する平準化に向けた財源の一部が今度不足することになりますので、その分新たな国債を発行せないかぬということになろうかと思いますので、結果として、債務残高には変わりはないということになるんだというように理解をいたしております。

階委員 先走ってお答えいただいたんですけれども、まずこの八千億円なかりせば財政の数字はどうだったのかということを確認した上で、次の質問に移りたいんですね。八千億円なかりせば基礎的財政収支はむしろ二〇一九年は悪化していたんじゃないですか、端的にお答えください。ファクトの問題です。

麻生国務大臣 この八千億円を全く使わなければという、それだけでいけばそうなりますよ、それは。(階委員「ごめんなさい、今ちょっと聞き取れなかった」と呼ぶ)この八千億を使わなければという前提でしょう。(階委員「そうです」と呼ぶ)それは単純に、使わなければそういうことになります。

階委員 そこで、私は、この国庫納付額は、先走ってお答えになりましたけれども、やはり財政の健全化に真の意味で使うべきだと思っております。十・四兆円の国民負担が生じたと先ほども言われていたと思いますけれども、この十・四兆円を国民に負担をお願いして、その分借金がふえているわけですから、その借りを返すというか、そういう意味で、政策経費に充てるのではなくて、ちゃんと過去の借金の返済に充てるべきだというふうに思います。

 もう先走ってお答えされましたので、ちょっと別なことを聞きますね。

 私は、財政再建について、今の政府は本当にやる気があるんだろうかということをずっと思っていました。

 ちょうど最近では、アメリカでMMTという議論が盛んに行われていますね。これは現代貨幣理論というそうですけれども、これを提唱している人は、MMTというのは、今の日本がやっているように、日銀が低金利に抑えた上で財政出動をたくさんやって景気を盛り上げる、こういうことを、MMTを実践している日本がいいお手本だみたいなことを言っていますよ。

 そういう認識は、大臣も一致しますか。

麻生国務大臣 マネー・マネタリー・セオリーでしたっけね、たしか。そういうことを略してMMTという言葉を、最近、御党の方々、いろいろ言われる方もいらっしゃいますし、それを大いに推奨しておられる方も他の党におられるのは、財金に出てこられる、参議院なんかでもよく聞かれる話でもありますけれども。

 私どもとして、この話は、今理論をここで説明する必要もないと思いますけれども、こういった理論というものに関して、多くの、アメリカで推進しているのもいられると思いますが、歴代アメリカのコリン、サマーズを始め多くの財務長官、いずれも反対。そういった現状というのを、我々も、いろいろな、あの女性の方が言っておられる、言い始められた方、たしかUCLAでしたっけね、あの人は。あの人が言われ始めた理論だということを知らないわけではありませんけれども、そういった理論があることは知らないわけではありませんけれども、それを日本でやって、一体マーケットがどんな反応をするのかと考えて、それの実験場に日本をするつもりはありません。

階委員 ちなみに、MMTはモダン・マネタリー・セオリーの略ですので、お間違いのないようにお願いします。

 それで、提唱者は、先ほど言ったように、日本政府と日銀はMMTを長年実証してきたと言い切っておられますね。では、これは間違いだというのが大臣の認識ですか。

麻生国務大臣 我々は、基本として、今申し上げましたように、モダン・マネタリー・セオリーというものを考えて、私どもがこれを実験をしているというわけでは全くありません。

階委員 考えてやっていなくても、結果的にそうなっているから言われているわけですけれども、その評価に対しては、不本意なのか、それとも、それはそのとおりだと思われるのか。肯定的な印象を抱いているのか、否定的な印象を抱いているのか、お答えください。

麻生国務大臣 この人が言われ始めたときには、話をへえと思って聞きましたけれども、このところよく言われますけれども、私どもとしてはそういう意図が全くありませんし、私どもとしては、今そういった御意見がある、へえと、その程度の話だと思っております。

階委員 私は、このMMTという理論は、財政再建をほっぽっておくための口実だと思っておりまして、とんでもない議論だと思いますよ。財務大臣であれば、もうちょっと毅然とした態度を示してほしいと思うんですが、へえという感じで、そんな程度でいいんですか。日本の財政への信認が揺らぐと思いますよ、いいんですか。

麻生国務大臣 日本の財政が揺らいでいない理由として、金利が上がらないという現状を見ていただいてもわかると思いますが、私どもは、基本として、財政というものはきちんとして、中長期的には、いわゆるプライマリーバランス等々を始め、きちんとやっていかねばならぬという姿勢を示して、少なくとも第二次安倍内閣になってこの方、新規国債発行というものは十数兆円減少させてきておりますし。

 少なくともそういったような意味で、私どもはきちんとした対応をずっと示しているというのがマーケットにちゃんと伝わっているから、マーケットが急に、国債が暴落するとか、金利が急騰するということもないのであって。

 私どもとしては、今、階先生から御心配をいただきましたけれども、私どもは、いろいろなところで、この種のことに関しては、日本はきちんとやっていきます、そのために消費税というものもやらねばならぬと思っておりますし、いろいろなことをずっと申し上げてきておりますので、その種の心配を海外から持たれているということはないと思っております。

階委員 マーケットの評価と言いましたけれども、そのマーケットをコントロールして、人為的に金利を低水準にして、それで国がどんどん借金をしやすい環境にして財政出動をして、そして財政再建は先送りしている、これがMMTの本質ですよね。その実践の最たるものだというようなことを言われているわけですよ。

 つまり、財政再建は日本政府は先送りあるいはどうでもいいという考えを持っているというふうにこの提唱者の人は言っていますよ。そういうふうに言わせておいていいんですかということを言っているわけです。

麻生国務大臣 その方が日本を例に引いておられるのは知らないわけではありませんと先ほど申し上げたとおりですけれども、しかし、言わせておいたらいいという、そういった御意見もありますけれども、そういった意見とは全然違う意見もいっぱいあるのはよく存じておりますので、私どもとしては、それに対して抗議をするというような感じでは、そういう御意見もあるというように拝聴させていただいているというのが現状です。

階委員 この点、最後にお尋ねしますけれども、では、財務大臣としては、MMTの理論は正しいと思っていますか、間違っていると思いますか。最後にその点だけお答えください。

麻生国務大臣 今の段階でと聞かれれば、私どもはその気はありませんので、そういった危なっかしい話にはとてもついていけぬなと思っていますよ。危なっかしい話にはついていけぬと思っております。よろしいですか、それで。

階委員 そこは私も共通認識であります。

 その上で、今回のこの納付額とは別にというか、納付額を算定する上でといいますか、預保の方に残しておかなくてはいけないお金、この算定根拠についてお尋ねしたいと思います。

 まず、早期健全化業務のために留保する必要がある金額ということで、資料の四ページ目を見ていただきますと、これは会計検査院が試算した数字なんですが、真ん中あたりに、「金融機能強化法(震災特例)に基づく資本参加に関する損失発生に備えるための資金」ということで、会計検査院が指摘したときは四千七百億円、こういう数字でした。

 次のページをごらんになってください。

 今回この法案を出すに当たって金融庁がはじき出した同じ数字が一千六百億円で、三千百億円も少なく見積もっているわけですね。

 これが妥当なのかどうか。まず大臣、そして検査院からも見解をお尋ねします。

麻生国務大臣 この会計検査院の試算というのは、東日本大震災を受けて国が資本参加した六つの協同組織金融機関全てについて、その資産全額が毀損したものと仮定して行われたものだと承知をいたしております。

 実際は、六つの協同組織金融機関は、いずれも昨年の三月期決算において当期純利益を確保しております、御存じかと思いますが。利益剰余金も順調に積み上げてきております。現在のところ、経営状態についての懸念が生じているものではないというのがはっきりしております。

 他方、これらの協同組織金融機関の経営が将来万一、仮に悪化したとした場合に、早期健全化勘定が一定の損失を負担する業務というのは当面継続するため、今後の制度運用には万全を期す必要があろうと思いますので、このため、仮に六つの協同機関に、過去の協同組織金融機関の破綻事例等々を見ますと、平均的な損失と同程度の損失が想定されるという場合、これは全損ですからね、こちらの試算は。したがいまして、私どもとしては、過去の平均損失、約四分の一、二五%が大体これまでの例であるというように理解をしておりますから。

 したがいまして、破綻事例において平均的な損失と同程度の損失が発生した場合に、早期健全化勘定が負担することとなります金額は一千六百億円であろうというように、二五・七%という過去の平均を当てはめてそういったことを留保させていただくということにしたのでありまして、全損するというようなことを前提としているわけではないということです。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院は、平成二十八年十月に行いました意見表示で、二十七年度末時点において、預金保険機構の金融機能早期健全化勘定において同時点以降使用する可能性のある資金の額を、発生し得る損失を最大限見込みますと、四千九百四十三億余円となると試算したところでございます。

階委員 四千七百億円という数字、若干違いますけれども、この四千七百億というのは、これはこれで合っているということでよろしいんですね。そこで結構です。はい、うなずいていただきました。

 そこで、麻生大臣からは、会計検査院の数字は全損が生じるという前提で計算したもので、実態に即して考えればもっと少ない、だから一千六百億円が正しいんだ、こういう趣旨のお話だったと思いますね。

 ところで、同じところで、新生銀行の株式の簿価、これは当時も二百億、今回も二百億ですね。ということは、二百億というのは、簿価全部が毀損するという前提で考えているんですか。実態に即して千六百億にしたということは、新生銀行は、実態を見ると全損する可能性があるから二百億のままなんですか。お答えください。

麻生国務大臣 二百億ということは、全体のことを考えて、総額は極めて大きな額なものですから、二百億という額というものは、今言われたとおり、旧日債銀等々の勘定の中においては、私どもとしてはきちんとした数字を出しておる、そのままだと思っております。

階委員 私が言ったのは、会計検査院の、まず金融機能強化法、震災特例の方は、実態に照らして、検査院は四千七百億と言っているけれども、一千六百億に直しました、これはこれで一つの合理的な考えでしょう。であるならば、会計検査院は、新生銀行の株式を、かた目に見て二百億全損の可能性があるということで、二百億とっておきなさいと言ったわけですよ。でも、先ほどの政府の説明からすれば、震災特例と同じように、新生銀行の方も実態に照らして、どれだけ損が出そうかという見通しに基づいてリザーブの金額を決めるべきじゃないですか。ちなみに、私は、きのう聞いたところだと、新生銀行の株式は、簿価が二百億ぐらいですけれども、時価は七百五十億ぐらいあると聞いていますよ。

 何でこれが全損するという前提でリザーブ金を積んでおく必要があるんですか。先ほどの説明と矛盾していると思いますよ。なぜこちらは二百億にしているのか、お答えください。

麻生国務大臣 二百億全損する可能性というのは、かた目に見積もっておるのであって、こっちと少しスタンダードが違うんじゃないかということを聞いておられる。そのとおりだと思いますね、私どもも。

 そこのところは、ある程度、こちらの方はかなりかた目に見積もっているというのは事実だと思いますが、傍らの、今の東北関係の六地方金融機関につきましての二五%というものも、これは、過去の例を見ましても、この種の地方の金融機関が倒産をしたときのこれまでの平均を見ましても、全損というのはほとんどありませんので、そういった意味では、二五%、いわゆる四分の一をきちんとリザーブしておくというのは、それなりのきちんとした考え方だとも思っております。

階委員 考え方を変えているというのはわかりましたけれども、なぜそうなんだと。株については簿価そのまま、そして、金融機関の資産内容については実態を見る、なぜそんなダブルスタンダードにするんですか。株については厳し目に考えるその理由を教えてください。ダブルスタンダードの理由を教えてください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 新生銀行の株式については、現在、簿価百九十八億円ということでございますけれども、これがいつの時点でどれぐらいで売れるかというのは、正直申し上げて、現在、明確なめどが立っておりません。ということで、今回はかた目に、全損もあり得るということで見積もったということでございます。

階委員 そこで、第二の矛盾を言いますと、金融再生勘定へのリザーブということで六千二百億円、五ページ目に書いていますよね、六千二百億円。これは何のための六千二百億円かというと、特別公的管理銀行から買い取った株式に関する損失発生に備えるための資金ということです。これが簿価ベースでいうと一兆五千億余りあるわけですね。こちらも株ですよ。しかも売却時期が決まっていない。まさにさっきの二百億と同じ話ですよね。こちらも、かた目に見るんだったら、全損という話にならないんですか。

 なぜこちらは六千二百億。この意味については下の注三に書いていますけれども、リーマン・ショック後の二〇〇八年九月末から二〇一八年九月末までの平均株価水準に下落したと仮定した上で試算して、六千二百億あれば、一万四千円ぐらいになっても持ちこたえられるでしょうということで出しているわけですね。

 ちなみに、六ページ目、それを裏づけるような資料ですけれども、株価水準が、日経平均ですけれども、どの程度になれば含み損がどの程度になるかということをあらわしたもので、六千二百億円、ちょうど一万四千円ぐらいで枯渇するような試算になっていますね。

 ただ、これは、一万二千円になれば七千六百億円、一万円になれば八千八百億円。これは第二次安倍政権が誕生したときは一万円ぐらいだったと思いますよ。たった五、六年前の話ですよ。もうちょっとさかのぼれば七千円とかという時代もあったわけですよ。

 かた目に見るんだったら、新生銀行は簿価全部毀損する可能性があるということでリザーブを満額積みましょう、こっちは何で、一万四千円というところで区切って六千二百億で済ませるんですか。その合理的根拠を教えてください。

 これは大臣ですね、大臣と検査院に伺います。

麻生国務大臣 この預金保険機構の旧長銀と旧日債銀からの買い取った株式を実際に処分する場合においては、これは国民負担の最小化とか市場への影響を極小化するとかそういった原則のもとに、損失の発生に留意しつつ処分を進めていくのは当然のことなんだと思っておりますので、今、仮に一万円という例を出していましたが、そうなったら売りませんから。そういった意味では、多額の含み損を抱えた状況で全ての株式を一気に売却するということはちょっと考えがたいのではないでしょうか。

 その上で、繰り返しになりますけれども、金融再生勘定で保有している株式は多額でありまして、金融資本市場の動向とか、また個別のいわゆる銘柄の状況等々によっては予測困難な損失が発生する可能性というのは否定できないところでもありますので、日経平均株価というのを、過去十年間の平均的な水準一万四千円まで下落したとの仮定を置いた上で、保有する上場の株式損を試算するということにさせていただいたというのがこの数字の背景だと理解しております。

三田会計検査院当局者 お答え申し上げます。

 会計検査院の意見表示では、平成二十七年度末において欠損金が生じている金融再生勘定に留保する必要がある金額を記述しておりませんが、今後、仮に金融機能早期健全化勘定から金融再生勘定に繰入れがされることとなった場合には、意見表示に対する処置として妥当かどうかについて今後確認してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、会計検査院といたしましては、意見表示事項に対するその後の金融庁の処置状況につきまして、余裕資金の有効活用として適切なものとなっているかどうかについて引き続き検査を進め、今回の検査報告にその結果を掲記したいと考えております。

階委員 会計検査院もしっかりチェックしていただきたいんですが、六千二百億円、保有株の下落に備えてリザーブしておこうということなんですが、その金額が妥当かどうかということを問いたいわけですよ。

 先ほども言いました、第二次安倍政権発足時、二〇一二年の十二月は一万円近辺だったわけですよ。一万三百九十五円という手元の数字がありますけれども、そのあたりから始まっています。今、二万二千円ぐらいで、株価は二倍強になっていますね。

 ところが、実体経済はどうだったのか。実質GDPで見ますと、ほとんど横ばいです。そういう中で株価は今の二万二千円というのが本当に底がたい水準なのか、私は極めて危うい数字だと思っています。

 現に、海外の投資家はどんどん売っておりまして、それを日銀がETFで買ったり、GPIFが年金資金で買ったり、そこで支えているのがこの二万二千円という相場でありまして、私は、一歩間違えば、また一万円という水準にも戻り得るということを十分念頭に置いたリスク管理をしなくてはいけないと思いますよ。

 六千二百億円で本当に合理的な根拠があるのか、妥当性があるのか、その点について大臣の見解を改めてお伺いします。

麻生国務大臣 これは、階先生、株価というものがどれくらいになるかというのを予測した上で話をするというような形はなかなか難しいところだと思いますが、少なくとも私どもとしては、今たびたび申し上げてきておりますように、この六千二百億で足りるかという話は、一万円になったら足りないんじゃないのかという御指摘なんだと思いますので、一万円になればそういうことになりますし、八千円になったらもっと下がる、一時期は七千九百円まで下がっていたんですから。

 そういった意味では、私どもとしては、常にそういったことは考えておかねばならぬというのは確かですけれども、それを全部リザーブしておく必要があるのかと言われると、それはまたちょっと考え方なのであって、私どもとしては、今申し上げましたように、そういった危険は常に考えておかねばならぬとは思いますけれども、仮にそうなったとした場合には、その時点で株を売って一挙に損を出すというようなことではなくて、株というものは、しかるべきときにしかるべき価格で売り抜けていく、そういったような形でしていかなきゃいかぬものなのではないかと思っております。

階委員 下落してから売りに出そうと思っても、時既に遅いわけですね。今の水準から売っておくべきだと思いまして、過去には、この勘定の保有株式、日経平均が一万五千八百九十一円のときでした。平成十八年八月二十九日に、十年かけて売却を決めたというのがありましたが、リーマン・ショックのとき、九千五百四十九円のときに一旦停止をして、以降そのまま塩漬けになっているわけです。今、二万二千円だから、すぐ売却すべきだと思います。

 あわせて言いますと、銀行等保有株式取得機構というところで銀行の持ち合い株式を大量に持っています。これもリーマン・ショックのときに処分を停止して、最近になって再開しましたけれども、これは、売る額というのは極めて制限されております。

 これは、これだけ、官民挙げてといいますか、日銀と政府が力を合わせて株価を高値で保っているわけだから、この段階でなるべく売れるものは売って、そしてリスクを減らすというのが正しいあり方なんじゃないんですか。なぜそうしないんですか。

麻生国務大臣 この上場株式の処分の再開というのは、もう御存じのように、これは含み損益の状況というものを考えた上で、多額の株式の処分が市場にいわゆる不測の影響を与えるというようなことがないように、金融市場の状況を踏まえつつ適切に判断していかないかぬということなんだと思いますけれども。

 銀行等保有株式取得機構というものは、短期間で大量に処分することによって、いわゆる今申し上げたような著しい変動というものが起きるということがないように、株式等の買取り業務を行う法人であって、平成十四年かにこの法人が設立をされておりますのは御存じのとおりです。

 設立後、買い取ってきた株式等につきましては、平成十九年から本格的に処分を開始しているんだと思いますけれども、リーマン・ショックが起きました平成二十年の十月に、いわゆる市中売却を一時停止をさせていただいておりますが、その後、機構は、平成二十九年六月、当面の間、株式等の新たな買取りの範囲内において、株式等の処分を行うこともあり得る旨を公表して、現在処分を行っているものと承知をいたしております。

 先ほど申し上げましたように、機構は、そもそも、株式等の短期間、大量の処分によって株価の著しい変動を引き起こすことがないようにするために設立されたものですから、階先生御指摘のとおり、処分の加速につきましては、今、二万二千円なんだから即売れというお話のように聞こえましたけれども、これは市場に与える影響というのも考えないけません。そういったことを考えながら、慎重に判断をしていくところなのであって、二万二千円以上、上がるか下がるか、ちょっと今の段階で、申し上げられるような段階にはないと思っております。

階委員 時間が来ましたので終わりますけれども、さっき、株が実体よりも値段が高過ぎるんじゃないかという趣旨のお話をしました。不動産についても、昨年の都区部の新築マンションの平均価格が七千百四十二万円ということで、バブルの一九九一年以来の高値だそうです。こういうリスクがある中で、昨年はスルガ銀行の問題があり、金融庁も不動産融資について厳格な姿勢をとるようになってきた。

 私は、こういう話を聞いていると、先ほどの櫻井先生と同じように、平成元年のバブルの再来を思い出すわけですね。

 当時、平成元年十二月二十九日の大納会のときに三万八千九百十五円でしたが……

坂井委員長 時間が過ぎておりますので、短くお願いいたします。

階委員 翌年の十月には二万円割れ、半分になっています。その間に何があったかというと、平成二年三月には大蔵省が不動産融資の総量規制をして、ぐんと不動産融資が縮小した。十一月には、不動産投資で大もうけしていたイ・アイ・イという会社がありましたけれども、そこの資金繰りがおかしくなって、私のいた長銀が支援に乗り出した。長銀はその後破綻への道を歩んでいった。こういう苦い経験があるわけですね。

 私は、当事者として、ぜひ、このようなことが二度と繰り返されないように、株や不動産のバブルは起こさない、その兆候があったら迅速に対応する、このことを切にお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 質問します。

 会計検査院の報告書では、早期健全化勘定の余裕資金は一・一兆円と指摘しております。今回は、二〇一九年度一般会計予算で、預金保険機構の納付金として八千億円が計上されております。

 国庫納付を八千億円とした理由は何でしょうか。

田中副大臣 お答えいたします。

 二〇一九年度予算に計上されております国庫納付額八千億円については、まず、早期健全化勘定に今後も留保する必要がある金額について、過去の実績等も参考にしつつ、早期健全化勘定の業務のために留保する必要がある金額約一千八百億円と、今回提案している法律改正が行われた場合に、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額約六千二百億円、これを足し合わせて約八千億円と試算したものであります。

 その上で、早期健全化勘定の利益剰余金約一兆六千億円からこの約八千億円を差し引くことにより、国庫納付額、これを算出したものであります。

宮本委員 金融再生勘定に繰り入れていく、法改正するからという話でありますけれども、もともと、一九九七年、九八年ごろの平成の金融危機では、三十兆円近い公的資金を投入して、破綻金融機関の処理やあるいは現在のメガバンクなどへの資本強化で金融機関を救済したわけでありますね。銀行救済で利用した国民負担分の公的資金がたまたまふえて余裕資金になっているということですから、本来、その利益は素直に国民のために使うべきであって、国庫に余裕資金を入れる、金融再生勘定に回すというのは、私は筋違いじゃないかというふうに思います。

 もう一つお伺いしますけれども、今度の国庫納付金の八千億円は、予算の説明では、消費税増税対策である臨時特別の措置の財源に充てられているわけですよね。何で、普通に色のつけていない一般会計の財源にしないんですか。

麻生国務大臣 消費税率一〇%引上げに際して、これは、前回、平成二十六年の四月に五から八に上げさせていただいたときにも、いろいろな経験が、反動減やらいわゆる駆け込み需要等々の経験がありますので、このたびも、プレミアムつき商品券とかポイント還元など、税率引上げに伴います需要変動というものをいかに平準化するかというための十二分な対策というものとして、臨時特別の措置を講ずることといたしております。

 この臨時特別の措置という経費の性格というものを考えて、今お尋ねのありました預金保険機構からの国庫納付金約八千億を含みます、平成三十一年度の臨時の収入につきましては、その臨時的な財源としてお示しをさせていただいたというところであります。

宮本委員 私たちは消費税増税そのものをやるべきでないという立場ですけれども、しかも、今度の増税対策、ここでも何度も議論になってきましたけれども、ポイント還元にしても、じゃ、みんなに恩恵が及ぶ政策なのかというと、全くそういうものでもないわけですよね。零細業者だって、このポイント還元で困るんじゃないかという議論もさせていただきましたけれども、そんなものの財源にこの八千億円を充てていくというのは、こんなおかしな話はないということを指摘させていただきたいと思います。

 その上で、過去二十年の間に、平成金融危機やリーマン・ショックがありました。その中で、金融機関の破綻処理の制度やそのコストの負担については、国内でも、あるいは国際的にも、大きな反省とともに、あるべき制度の議論というのが重ねられてきております。現在は、破綻処理コストの負担のあり方については、基本的な考え方として、政府の補助に依存することなく、預金保険料及び負担金によって自立的に賄うとの考え方に基づくべき、納税者負担のない金融機関の破綻処理が求められている、こういう考え方が国際的にも、G20サミット等において、原則として定着しているというふうに思いますが、その点、御見解はどうでしょうか。

田中副大臣 リーマン・ショックに端を発する金融危機以降、深刻な金融システムの混乱を防ぐ、金融機関の円滑な破綻処理を可能とするための破綻処理制度のあり方等について、国際的な議論は行われてきたところであります。

 その結果、二〇一一年のG20カンヌ・サミットで、納税者負担を回避しつつ、金融機関の破綻処理を実効的に行うための新たな枠組み、これが合意をされたところであります。

 議員御指摘のこの報告書は、こうした国際的な議論を踏まえつつ、預金保険機構において取りまとめられたものである、そのように認識をしております。

宮本委員 私、報告書の名前を別に言わずに引用しただけだったんですけれども。

 納税者負担を回避するというのが、今、国際的な、ある意味到達点というふうになっていると思うんですね。やはり、破綻処理のコストは業界内で対処することでモラルハザードは回避するんだ、決して納税者に負担させないんだ、これは今の国際的な常識になったと思います。

 リーマン・ショックの金融危機後の包括的な規制の見直しの際に、オバマ大統領もこう言っているんですね。この法律、ドッド・フランク法ですね、この法律により、米国民は二度とウォール街の過ちのツケを払うことはない、税金を用いたベールアウトは二度と行わない、こう述べました。これが国際的な潮流です。

 一方、日本の預金保険機構では、この間、預金保険料率は引き下げられてきております。一般預金については、二〇〇五年度には〇・〇八三%であったのが、二〇一九年度は〇・〇三二%です。

 お伺いしますけれども、どうしてこの預金保険料率は引き下げられたのか、その理由を述べていただきたいと思います。また、現在の責任準備金はどれぐらい積み立てられているのかも教えていただけるでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 預金保険機構が中長期的な預金保険料率のあり方を検討するために設置いたしました預金保険料率に関する検討会の報告書というのがございまして、これは二〇一五年三月のものでございますけれども、そこにおきまして、二〇二一年度末に責任準備金が五兆円程度になるように積立てを行っていくことを当面の積立目標とし、適用する預金保険料率については、この目標を確実に達成できる水準に定めるというふうにされております。

 この報告書を踏まえまして、預金保険機構では、積立目標に対する毎年の積立状況について、運営委員会で点検を行う枠組みとなってございます。

 そうした枠組みのもとで、近年の預金保険料率の引下げにつきましては、近年、被保険預金残高の増加等によりまして、責任準備金が積立目標を上回るペースで積み上がっていることを踏まえまして、平成三十三年度末までに五兆円程度という責任準備金の積立目標を確実に達成できる水準として設定されたものだと承知しております。

 なお、平成三十年三月末時点で責任準備金は約三兆六千億円であると承知しております。

宮本委員 責任準備金は今、三・六兆円あるということです。二〇〇二年度は四兆円を超える赤字でした。今後、先ほどの話では五兆円まで積み上げていくということですね。それ以降は金融機関の負担は発生はしないということです。この五兆円が十分かどうかというのはともかくとしても、潤沢な準備金は蓄えられているというのが今の現状だと思います。

 それで、本法案では、この早期健全化勘定の余裕資金は勘定を締める前でも国庫納付できるようにすることと同時に、一旦勘定を締めれば残余の余裕資金を金融再生勘定にも繰入れすることができるという内容になっております。

 勘定を締めた後で、この余裕資金というのは一体誰のものなのか、現行法では最後に残った資金はどうすることになっているのか、ちょっと教えていただけますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の早期健全化法に基づいて預金保険機構に設けられました早期健全化勘定でございますが、立法当初から、健全化勘定の廃止の際に残余がある場合にはその残余を国庫に納付するというふうにされてございます。

 その趣旨でございますけれども、平成金融危機への対応に当たって立法していただいたという法律でございまして、その政府保証によって調達した資金を用いて金融機関に対する資本増強を行う、こうしたものの結果、仮に剰余ができた場合にはこのように処理するというふうに整理されているものと理解してございます。

宮本委員 現在の法律では、全部国庫に納付すると。国民の財産という扱いになっているわけですよね。だから、国民の財産だから勘定を締めるときには国庫に全額納付する。当たり前のことなわけですね。

 ところが、今回の改正案は、金融再生勘定にも繰入れすることができるようになります。

 金融再生勘定で損失が発生する場合のコストは何が原因で発生するコストですか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融再生勘定は、早期健全化勘定と同じく、平成金融危機に対応するために設置されたものでございまして、当時、旧長銀、旧日債銀から買い取った株式ですとか、瑕疵担保条項に基づき引き取った資産等を保有しております。

 その中でも特に旧長銀、旧日債銀から買い取った株式については、その簿価が約一兆五千億円と多額になってございます。この株式を預金保険機構が処分するに当たっては、国民負担の最小化、市場への影響の極小化の原則のもと、損失の発生をしないように留意していくということになります。

 他方で、今後の金融資本市場の動向ですとか個別銘柄の状況などによって予測困難な損失が発生する可能性は否定できないということでございまして、そういうことを踏まえまして、金融再生勘定の業務のために留保する必要がある金額として約六千二百億円とさせていただいたものでございます。

宮本委員 ですから、六千二百億円留保しているのは、経過からいえば、もともと旧長銀と旧日債銀の破綻処理のところから来る損失が生じる可能性があるというわけですよね。

 先ほども確認しましたけれども、リーマン・ショック以降の国際的な議論の到達点というのは、銀行の破綻処理のコストは国民負担とせず業界の負担としていく、こういうことだと思うんですよね。

 金融庁に確認しますけれども、今回の法改正で早期健全化勘定の余裕資金による損失の穴埋めをしようとしている金融再生勘定ですが、現行の法律では、損失が出た場合は何によって損失を補填することになっていますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の金融再生法におきましては、金融再生勘定の廃止の際に損失が発生している場合の対応についての規定は設けられてございません。

 このため、当勘定の廃止の際に損失が発生し国民負担が生ずることのないように、早期健全化勘定にも、今後留保する必要がある金額につきましては、金融再生勘定の今後の業務に必要な金額も含め、過去の実績等も参考にしながら、将来の損失リスクを十分に勘案の上、約八千億円というふうな残余の額を設けさせていただいております。

宮本委員 その説明はちょっとおかしいじゃないですか。だって、早期健全化勘定の余裕資金というのは、今の法律でいえば国庫に入る、国民の財産に戻ってくる話なわけですから、それを金融再生勘定に充てるというのは、それは国民負担にするという話じゃないですか。

 法律では決まっていないわけですよね、金融再生勘定に損失が出た場合にどう補填するのか。法律がないからといって、じゃ、どうしようかということで、本来国庫に入って国民の財産として使えるお金を穴埋めに使うというやり方は、私は、さっきから議論しておりますリーマン・ショック後の国際的に議論されてきた到達点と違う話だと思うんですよね。

 先ほど、現在の預金保険制度のもとで責任準備金が三・六兆円も積み上がっているというお話がございました。こういう現状を見れば、銀行業界がどのように拠出するかはともかくとして、金融再生勘定の過去の破綻処理による損失補填を銀行業界の負担で行うルールをつくるというのが、本来、今の国際社会の議論の到達点にかなう処理の方法ではないかと思いますが、その点の認識はいかがですか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 銀行業界で負担するという国際的な考え方があるが、この今の処理についてどうかというお尋ねでございます。

 このいずれの法律につきましても、勘定を締める、業務を終了する時点まで、国庫納付をすることもそれから処理の仕方も定められていない。こういうものにつきまして、今回、会計検査院の指摘も踏まえまして、その法律のもともとの規定とは違う国庫納付の規定を設ける、こういう機会に際しまして、この二つの法律は、平成金融危機への対応のためにいわば車の両輪として同時期に成立したものでございますし、また、実態としても一体的に運用されていたという経緯がございます。また、早期健全化勘定及び金融再生勘定につきましては、立法当初から、それぞれ、勘定廃止の際に残余があった場合には国庫に納付する、こういう規定はある一方で、当時は、例えば、早期健全化勘定に約一兆六千億円もの利益剰余金が生じるといった事態が生じることを、当時の危機的な状況でなかなか具体的に見通すということは困難でなかったのではなかろうかというふうに推察する次第でございます。

 こうしたことも踏まえますと、平成金融危機への対応に用いられましたこの二つの勘定について、利益剰余金が生じている勘定については国庫納付を行い、損失が生じている勘定については現在の金融機関に負担を求めるということよりは、むしろ、この両勘定を、いわばその実態に即して一体と捉え、利益剰余金が生じている勘定から損失が生じている勘定に繰入れをすることができるというふうにすることが理にかなっているのではないかというふうに考えて、このような案とさせていただいた次第でございます。

宮本委員 私たち、この二つの勘定をつくるときの法律は、当然我が党は反対してきたわけですよね。本来、業界の責任で対応すべきだということを申し上げてきました。私たちが主張していることは、リーマン・ショック後、国際的にも、それはそうだろうと、国民負担ではなくて業界の負担でというところまで議論は進んできているわけですから、その到達点を踏まえた検討こそすべきだということを強く申し上げておきたいと思います。

 ちょっと話題をかえます。

 四月三日、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針の一部改正案が公表されました。財務の健全性をはかる指標の一つとして、これまでは収益性となされていたものが、持続可能な収益性と将来にわたる健全性に変更した、これが主な内容だと思いますが、その心について説明していただけるでしょうか。

長尾大臣政務官 お答え申し上げます。

 地域金融機関においては、人口減少や低金利環境の継続といった厳しい経営環境のもとでも、将来にわたって持続可能なビジネスモデルを構築することが重要であり、そのために、地域金融機関の早目早目の取組や経営改善が必要だと考えております。

 こうした観点から、今般、足元の収益性の実態にとどまらず、地域金融機関の持続可能な収益性や将来にわたる健全性についてモニタリングを行いまして、早目早目の経営改善を促していくため、監督指針の見直し案をパブリックコメントに付したところでございます。

 金融庁といたしましては、地域金融機関において持続可能な収益性や将来にわたる健全性が確保されるよう、適切にモニタリングしてまいりたいと考えております。

宮本委員 先ほど説明の中にありました持続可能なビジネスモデルというのは、具体的にはどういうものですか。

長尾大臣政務官 お答え申し上げます。

 金融庁といたしましては、持続可能なビジネスモデルは、地域金融機関が将来にわたる健全性を確保し、地域における金融仲介機能を継続的に発揮するために必要と考えており、例えば、適切なアドバイスやファイナンスを提供することで地域企業の生産性向上を図り、ひいては、地域経済の発展に貢献をすることなどを通じて構築することが可能であると考えております。

 もちろん、適切なビジネスモデルは各地域金融機関によってそれぞれ異なるため、具体的にどのようなアドバイスやファイナンスを提供すべきかということは一律に申し上げることはできないものの、単純な融資業務のみならず、例えば、人材紹介業務等を含むコンサルティング業務や、フィンテック等技術革新を積極的に取り入れた新たなサービスの提供などによって、多様な顧客ニーズに対応することが重要であると考えております。

 金融庁といたしましては、適切なモニタリングを通じて地域金融機関の自主的な取組を促していくとともに、そうした取組をサポートするため、業務範囲に関する規制緩和等の環境整備についても引き続き努めてまいりたいと考えております。

 以上です。

    〔委員長退席、越智委員長代理着席〕

宮本委員 業務範囲の規制緩和を進めて、本来業務でもうからないから、ほかのこともやりなさいよというふうにも聞こえなくもない答弁なんですけれども。

 きのう、大臣はOECDの対日経済審査報告書をお受けになられたと思います。この中では、金融セクターに懸念が差し迫りつつあるとして、二つのリスク要因を挙げているんですね。一つは、低利子時代が長引く中で、預貸利ざやの縮小を反映し、貸出純益は低下傾向にあると。もう一つは、企業数が減少し、無借金企業の比率が上昇する中での金融機関同士の競争の激化であると。

 先ほど、持続可能なビジネスモデルという話がございましたけれども、持続可能なビジネスモデルが、ある意味脅かされているということを指摘しているんだと思うんですけれども。

 低利子による貸出純益の低下傾向は、自然に発生する経済環境の変化によって起きているわけじゃないわけですよね。この間のゼロ金利政策から始まった、現在のアベノミクスの異次元の緩和あるいはマイナス金利政策、こういった日銀や政府が長期間採用し続けた金融政策によって、OECDも指摘しているような事態が発生してきているんじゃないですか。

長尾大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本銀行による金融政策は、政府と一体となり、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けた取組の中で行われているものと承知しております。

 その具体的な手法につきましては日本銀行に委ねられるべきだと考えておりますが、その上で申し上げれば、金融機関の収益は、金融政策のみならず、顧客、借り手企業の資金需要、金融市場の動向や国内外の経済動向、人口減少といった環境変化など、さまざまな要因の影響を受けるものと考えられます。したがって、金融政策のみを取り上げ、金融機関の収益の要因を一概に論じることは困難であると承知しております。

    〔越智委員長代理退席、委員長着席〕

宮本委員 ただ、一番の大きな要因は、どう考えてもこの間の金融政策じゃないですか。持続可能なビジネスを地域金融機関ができなくなってきているのは、どう考えても、今の、金利がこんなに下がっている、このもとで貸出ししたって利ざやが稼げないという状況が生まれているわけですから、そういう点では、監督指針でもいろいろなことを言われていますけれども、今起きているのは、政府の金融政策の失敗の、あるいは副作用のツケを地域金融機関に政府が押しつけている、こういう事態なんじゃないですか。

麻生国務大臣 地域の金融機関をめぐります厳しい環境というものは、間違いなく低金利の政策というものも関係しているというのは否めない事実だとは思いますが、それだけじゃないと思っておりますね、基本的に。

 金融機関を取り巻く環境というものが、少なくとも、金があっても人が金を借りに来ないという現状、これは金融政策かと言われると、世界的にそういう傾向になってきております。したがって、金利を幾ら安くしても借りに来ないという状況というのは、これまでの資本主義が始まって以来のことが今起きているという認識を金融機関には持ってもらわないかぬですよ。間違いないと思っております。これは世界的に同じことを言っております。OECDもほぼ同じ見解なので。そういった意味では、いわゆる借り手、企業側とか、個人でもありましょうけれども、そういった資金の需要とか一般の金融市場の動向とかいろいろなものを考えておかねばなりませんでしょうし、地域におきましては、人口減少というものが地域によっては顕著なところもありますので、さまざまな要因を受けているものだとは思っておりますので、金融政策のみを取り上げてというのは一概に論ずることはこれは困難だと思っておりますので。

 ただ、今の状況として、総体として、今の日本の自己資本比率を見ましても、日本の金融機関自体は総体としては安定をしておると思っておりますので、そういった意味では、今後とも、そういった状況の中から新しい金融というもののあり方、仲介機能のあり方、いろいろなものを私どもとしては考えていってもらうというのは、やはりビジネスモデルというものはみずから構築してもらわないかぬのであって、金融庁が言って、これを全部やっていくような、社会主義をやっているんじゃありませんから、うちは。だから、そういった意味では、基本的に、各金融機関というものがいろいろなビジネスモデルを構築しようと努力されるというところが一番肝心なところで、我々としては、それをできるだけ、アドバイスやらファイナンスやら等々、いろいろなところで手助けできることはやっていくということだと思っております。

宮本委員 私も、もちろん、金融政策のみだということは言わないですよ。やはり、人口減少もありますし、高齢化もありますし、借り手が減っているという問題というのは、それはありますけれども、ただ、最大の問題は、貸しても利ざやが本当に小さくなっちゃって、本業で赤字が大半の銀行で生じるという状況になっているわけですから、やはり中心問題は、今の金融政策、余りにも金利を引き下げ過ぎている、ここにあるのは間違いないと思いますので、やはり本業である預貸業務でちゃんとやっていけるような金融政策をまずやるということが、私は、政府、日銀にも求められているということを申し上げておきたいと思います。

 あと少し時間がありますので、次のテーマに行きますが、昨年十月に金融機関向けに行った投資用不動産向け融資に関するアンケート調査の結果が三月の末に公表されました。アンケートの結果、スルガ銀行のように、銀行みずからが不動産業者と結託して不正を繰り返し多額の不良債権を生み出すような銀行はなかった、こういうことでよろしいんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、投資用不動産向け融資に関するアンケート調査を実施いたしまして、去る三月二十八日にその調査結果を公表しております。

 その結果、今回問題となりました一棟建てのアパート、マンション等の土地建物を一体的に取得するための融資につきまして、スルガ銀行は、融資の規模及び収益への影響度がともに高水準にあり、他の銀行とは大きく隔たりがあると認められたところでございます。

 また、アンケート調査への回答も踏まえまして、一部の金融機関に対してはより詳細な実態把握を行っているところでございますが、こうした中、委員御指摘のような、金融機関みずからが不動産業者と結託して不適切な行為を行うといったような問題は、現時点においては確認されておりません。

宮本委員 報道では、第二のスルガ銀行といった、不動産投資に関する不正行為を行っている銀行のことはたびたび書かれておりますが、そういう事実はなかったということなんですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたとおり、アンケート調査の回答も踏まえまして、一部の金融機関に対してより詳細な実態把握を行っているところでございますが、今、現時点におきましては、御指摘のような事実はなかった、確認されておりません。

 ただ、金融庁といたしましては、引き続き投資用不動産向け融資に係る管理体制の適切性につきまして検証しているところでございまして、今後とも、必要に応じ、立入検査も活用しつつ機動的な行政対応を行ってまいります。

宮本委員 時間になりましたので終わりますけれども、この問題は引き続き追及していきたいと思います。

 ありがとうございました。

坂井委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも引き続き健全化法の話を伺っていきたいんですが、ちょっと、きのう積み残した部分があるのでお話を聞きたいんですけれども、史上初の十連休ということで、経済効果もいろいろあるんじゃないかという民間のエコノミストの試算もありますけれども、懸念点としては、十日間本当に休みということで、例えば、口座から公共料金等々引き出されるときの口座残高の心配、特に金融関係であれば、FX等取引されている方が、日本は休みでも海外は動いていますので、そうした中で急に相場が動いて証拠金が基本的に不足してしまってえらいことになるとか、そういった事態も十分にあり得ると思うんです。

 金融庁さんが一応、こうした部分のことに対して注意喚起をこの間していただいているんですけれども、若干まだ何となく、大丈夫かなというところがあって、まだ連休まで時間があるので、もう一度どこかのタイミングできちんと、特に近づいたタイミングで対応ができる、数日前ぐらいですかね、そのあたりにもう一回、各業者さんにもうまく連携とっていただいて、こうした部分、きちんとやることが未然にできる限りこうした事態を防ぐことにつながるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、こうしたところについてどのようにお考えか、お答えいただけますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回の十連休、過去に例のない長期の連休となりますので、先生のおっしゃるとおり、繰り返し注意喚起を行うことが大変重要であるというふうに思っています。

 私どもとしても、あるいは取引所、あるいは関係者、金融機関におきましても、繰り返し注意喚起を行うということで、関係者と連携し、その手法についても工夫してまいりたいというふうに考えているところでございます。

丸山委員 どれだけ言っても、なるとき、なる方はなるのかもしれませんが、しかし、一人でもそうした方をなくしていく。ただ、余り阿鼻叫喚の状態を見るのは忍びない、大変なことになると思いますので、もちろん、個人の責任で御自身の口座の管理をされるのは重要なんですけれども、いま一度、おっしゃったような繰り返しの注意喚起を、銀行やまたそうした証券会社等々と連携しながら、ぜひきちんとやっていただきたいというふうに思います。

 そして、ちょっと話はかわるんですが、最近、いろいろなもので地域を回ることが私も党務で多くて、地域を回っていると、いろいろな企業さん若しくは有権者の方から、意見交換すると、地銀の経営状況について非常に懸念の声が高まっているような感を受けます。

 経営悪化状態と私は思うんですが、これに関して、金融庁、行政としてきちんと監視と、あと、やはり早期に早期に警戒を出していくというのは非常に大事で、昨今この制度の見直しに関してやっていただいていると思うんですけれども、この意図と、どういう形で行政として考えて前に持っていくのか、このあたりを含めて御説明いただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来御議論ありますように、人口減少ですとか低金利環境の継続などを背景に、地域金融機関を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いていると認識しております。

 金融庁といたしましては、地域金融機関が、現状のような厳しい経営環境のもとでも、例えば、地域企業に対しまして適切なアドバイスやファイナンスを提供することで地域企業の生産性向上を図り、地域経済の発展に貢献する、そういうことを通じまして持続可能なビジネスモデルを構築することが重要だと考えております。

 こうした観点を踏まえまして、足元の実態にとどまらず、地域金融機関の持続可能な収益性ですとか将来にわたる健全性についてモニタリングを行いまして、早目早目の経営改善を促していくということが必要だと考えておりまして、今般、従来からある早期警戒制度を見直すこととして、パブリックコメントに付させていただいたところでございます。

 今回の考え方といたしましては、より早期の対応を可能とするため、足元の実態よりも将来の収益に着目する。それから、従来、収益のみに着目しておりましたけれども、さまざまな事象のシミュレーションなどを踏まえまして将来の自己資本の見通しも勘案したい。それから、具体的に着目する指標ですとか将来を見通す際の着眼点、例えば、地域経済の見通しですとか、実施予定の施策、それから追加コストの可能性などを明らかにして、そういうことも踏まえて見ていくということでございます。

 金融庁といたしましては、今般の監督指針の見直しも踏まえまして、地域金融機関において持続可能なビジネスモデルの構築に向けた対応が進展するように、適切にモニタリングをしてまいりたいと考えております。

丸山委員 非常に環境も厳しくて、政府の国策で金利も今非常に下げている状況で、その中で更に技術進歩も進んで、つまり、銀行が果たすべき役割の形すら変わりつつある中で、経営体力のない地銀というのは非常に厳しいなと正直考えています。

 ただ、チャンスもあるような気がしていて、その地域に特化しているというのは非常にほかにない切り口だと思うので、経営の効率化というのは非常に重要で、恐らく統廃合も進んでいくんだと思うんですけれども、何か、地域に寄り添うというのは大きな銀行にはできないところですから、非常にこの辺は、それぞれの現場の皆さんもそうですけれども、ぜひ、政府のサポートをうまいことやっていくというのは非常に大事だと思いますし、そもそも銀行業自体が規制が多いので、そういった意味でなかなか動きづらいというのが正直なところだと思いますので、そういった目線でぜひやっていただきたいんですけれども。

 でも、この議論はずっとやっている気がするんですよね。ずっとやっていると思うんですよ、財務金融委員会で。そういった意味で、今までの取組を促してこられた政府のサポート、環境整備とかというのは本当にうまくいっているとお考えなんですか。うまくいっていないから見直されたのかもしれませんが、若しくは、委員会で、そんなにうまくいきませんでしたとは言いづらいのかもしれませんが、この辺の認識について、政府としてどう考えているんですか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、これまでいろいろな規制緩和策を講じてきたわけでございます。具体的には、金融機関が所有する不動産について、自治体等の公共的な主体からの要請に基づく場合は、賃貸の規模等を柔軟に解釈できる旨の明確化をしたり、銀行が取引先企業に対する人材紹介業務を行うことが可能であることを明確化するなどやってきたわけでございます。

 その効果がどの程度出ているかというのは、これからよく見ていかないといけないと思っておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、我々は、金融機関の本体の健全性が阻害されない範囲で、できるだけ業務範囲に関する規制緩和などの環境整備に努めていきたいというふうに考えてございます。

丸山委員 大臣は、本会議でうちの党がこの点をお話ししたときに、先日ですけれども、この健全化法の質疑で、独禁法の適用のあり方についても検討という御発言をされていて、非常に大事な観点だと思うんですけれども、これは将来的にどういう形を考えているのか、具体的にもう少しお伺いしたいんですけれども。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 地銀などにおきます独占禁止法の適用のあり方についての御質問でございます。

 この問題につきましては、政府の未来投資会議において、関係省庁も事務局に寄り添いまして議論をしております。

 ここでの議論でございますけれども、地銀は地域において重要な役割を担っているということでございまして、人口減少社会においてもこのサービスを適切な形で維持することが必要である、こういうものがその大きな柱でございます。

 このためにどうするかということでございますけれども、仮に、経営統合ということを銀行の経営者が判断した、こういう場合に、経営統合によって余力が生じる場合が多々あります。この生じる余力に応じまして地域におけるサービスの維持を行う、こういうことを前提に、シェアが高くなっても特例的に経営統合が認められるようにする必要がある、このために特例的な措置も設けるということの検討を進める、こういうふうな議論がございまして、四月三日の未来投資会議におきましては、総理からもこのような指示がございましたところでございます。

 具体的にどういう形にするのかということにつきましては、また引き続きこの未来投資会議やそのもとで具体的な検討が進められる、そういうことでございます。

丸山委員 これは、まさしくその方向性が重要だと思うんですけれども、ぜひ早くやっていただきたいですし、これは法改正が要るので、法律を含めていろいろと要るのかもしれませんし、もしかしたら法の枠内でできるのかもしれませんが、これのスキームを含めて早さが非常に大事だと思うんですけれども、このあたりをできる限り早くやるという認識で、どれぐらいのスピード感、含めて、この辺は共有していただけるということでいいですか。できるだけ早く、スピード感を持ってやっていただきたいんですけれども。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 今のような方向性で検討するということは未来投資会議におきましても明示的な指示なりコンセンサスがあるところでございまして、この方向に向けて、スピーディーに、私どもとしても、事務方としても、検討に参加し、その結論を出すべく努力してまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 本当に、ぜひスピーディーによろしくお願いしたいと思います。

 それでは、少し細かいんですが、また重なるところもありますが、通告の関係でありますけれども、細かいこの法案の中身、更にお話をお伺いしていきたいというふうに思います。

 今回の法案で、早期健全化勘定から、ほかの、九つある勘定の中で、金融再生勘定だけに繰り入れるという状態になっておりますけれども、これは、なぜこの金融再生勘定だけに繰入れを可能とするようにしたのか、この理由をお伺いできますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 この早期健全化勘定の利益剰余金について、仮にほかの勘定に繰り入れるという場合に、九つの勘定からなぜ金融再生勘定だけを選んでいるかということでございます。

 この点、会計検査院の御指摘あるいは衆議院、参議院の議決を踏まえまして、金融庁におきまして、具体的な扱いについて、それぞれの勘定の保有資産の状況や勘定の収入や支出の状況なども踏まえて検討を行ってまいりました。

 その結果でございますけれども、金融再生勘定は、平成金融危機におきまして、早期健全化法と二つセットで、実際に平成金融危機に対応するために設けられまして、実態としてはそれを、いわば車の両輪として適用、運用してまいったところでございます。また、当時、旧長銀、旧日債銀から買い取りました株式を、多額のものを保有していまして、この処分について今後損失が生ずる可能性、こういったリスクに備える必要がある、こういう勘定であるということで、この二つの勘定を一体的に見まして、この金融再生勘定への繰入れの規定を整備するということが理にかなっているのではないかというふうに考えて、このようなこととした次第でございます。

丸山委員 金融再生勘定は、健全性については非常に議論があると思うんですけれども、この辺、政府としてはどういう位置づけで、どう認識されているんでしょうか。お伺いできますか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融再生勘定につきましては、平成金融危機当時、旧長銀、旧日債銀から買い取りました株式ですとか、瑕疵担保条項に基づき引き取りました資産などを保有しております。その中でも特に旧長銀、旧日債銀から買い取りました株式につきましては、その簿価が約一兆五千億円と多額でございます。

 当該株式を預金保険機構が今後、順次処分していくわけでございますけれども、その際には、国民負担の最小化、市場への影響の極小化の原則のもとで、損失の発生をしないように留意しながらやっていくということになるわけでございますけれども、今後の金融資本市場の動向あるいは個別銘柄の状況などによりましては、予測困難な損失が発生する可能性が否定できない。そういうことがございますので、金融再生勘定の業務のために六千二百億円を留保させていただいているということでございます。

丸山委員 非常に懸念点だと私は思っているんですけれども。

 ちょっと細かいところをもう少しお伺いしていきたいんですが、この早期健全化勘定の方なんですけれども、資金の活用は勘定廃止時に限定していると思うんですよね。これはどういった理由なのか。この限定の理由についてはどのようにお答えになりますか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、早期健全化勘定から金融再生勘定への繰入れにつきまして、本法案では、金融再生勘定の廃止の際に、金融再生勘定の債務超過の範囲内において行うか、あるいは、早期健全化勘定の廃止の際に、金融再生勘定に属する財産の状況に照らして特に必要があると認めるときに限り行う、こういった限定を付してございます。

 この趣旨でございますけれども、早期健全化勘定と金融再生勘定のそれぞれについて区分経理を行うということになっておりまして、その趣旨を踏まえますと、両勘定がともに存続しているという状況のもとでは、とりあえずその資金のやりとりは両勘定間で行わないというふうに考えたものでございます。

丸山委員 なるほど。

 手続面は少し気になるんですが、この金融再生勘定への繰入れは、今回、総理と財務大臣の認可を受けてということになっていますよね。一方で、早期健全化勘定廃止前の適時の国庫納付、これに関しては、財務大臣の認可は要らないですよね、総理だけになっていますけれども、これは何でこういう違いをしたのか、この辺は非常に疑問点だと思うんですけれども、いかがですか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、早期健全化勘定の剰余金を金融再生勘定に繰り入れる際のことでございますけれども、繰入れが行われた場合には、結果として、早期健全化勘定の廃止の際の国庫納付金がその分だけ減少するということになりまして、早期健全化勘定の繰入れを行うに当たりましては、早期健全化勘定及び金融再生勘定の両方を所管する、まず内閣総理大臣、金融を所管する内閣総理大臣が繰入れの必要性や繰入額の妥当性を確認するための認可手続をするのはもとより、それに加えまして、国庫を所管する財務大臣が繰入額が必要な範囲内であることを確認するための認可手続をする、その趣旨でこの規定を設けたものでございます。

 他方で、早期健全化勘定廃止前の適時の国庫納付につきましては、本来、同勘定の廃止の際に国庫納付すべき資金の一部を、廃止前に前倒しして国庫納付をする、こういう時期がずれるということになりますので、早期健全化勘定を所管する、金融としての、内閣総理大臣が繰入れの必要性や繰入れの妥当性を判断するということは必要でございますけれども、先ほどの後者の方の、国庫の、財務大臣の確認の認可規定を設ける必要はない、こういうふうに整理したものでございます。

丸山委員 ごめんなさい、ちょっと早口だったので聞き取りづらかったんですけれども、簡単に言うと、何が違って、なぜ財務大臣は要らないと判断したのか、もう一回わかりやすくお願いします。

三井政府参考人 まず、早期健全化勘定の廃止の前に早く国庫納付をするというのは、廃止時点での国庫納付額が、金利のことを脇に置きますと、その時点が前にずれる、こういうことなので、そこは、納付の妥当性、時期の妥当性であるとかその必要性、こういうことの判断をするということに尽きるということで、これは金融を所管する内閣総理大臣の判断で足りると。

 もう一つの方の再生勘定に繰り入れるということについては、再生勘定の、先ほど申しましたように、繰り入れることによって健全化勘定から国庫納付される金額が変動することになりますので、今度は国庫を見る立場の財務大臣の了解もいただく、こういう趣旨でございます。

丸山委員 切り分けとタイミングの問題とお話しされましたけれども。

 ちょっと、入り口というかあれなんですが、そもそも論として、国民負担が多額に発生、一応確定しているのが十・四兆円と聞いていますけれども、非常にこの辺の位置づけというのは明確化、わかりやすくしなきゃいけないなと私は思うんですが、今回の措置で勘定間の資金移動をするというのは、非常にわかりやすさに欠けるというか、見えづらくなるんじゃないかなという懸念の声があると思うんですよ。

 今回の措置を設けた理由、そもそももう一回聞きたいんですけれども、同時に、もうちょっと、公的資金で破綻処理をするわけです、税金ですから、この制度自体の国民負担がどんなものなのかというのをわかりやすい制度設計にしないと、本当にこの部分というのはどんどんどんどんわかりづらくなっている感じが、お話を聞いていてもすごいするんですが、今回の制度設計を見ていてもするんですが、このあたりについてはどのように考えていて、どのように答えるのか、よろしくお願いします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、先生の御指摘のとおり、平成の金融危機に至る過程では大変いろいろな事柄が起きまして、その事柄に対応して、その都度、政府、国会におきまして新たな制度なり措置を講じたり設けていただいた、こういうことでございまして、その蓄積の結果、現在のような仕組みになっているということでございます。

 その中で、今の健全化法、健全化勘定と再生勘定で見ますと、これはその前の安定化勘定も含めまして、平成金融危機、平成十年前後の金融危機に対応する一連の制度、実態としては、複数の制度、法律を、一つの、一固まりの平成金融危機に対応するために相互に使ってきたという実態がございますので、これについては、恐らく、一体として最終的な処理を目指して今から手を打っていくというのが理にかなっているのではないかということで、とりわけ、今回、この二つが大きな勘定としてありますので、一体として、繰入れも含めて御提案させていただいてございます。

 それ以外にも、預金保険の一般勘定であるとかその他の勘定がございまして、これは、それぞれ制度の趣旨なり運用の仕方がその後整理されて今のような形になっておりますので、そこは、先生御指摘のとおり、それぞれの趣旨について、どういう事態に発動するのか、それに対して今後どのようにしていくのかというのを都度、しっかり国民に説明しながらやっていくというふうな所存でございます。

丸山委員 最初に申し上げたとおり、非常にわかりにくくなっていきつつあるなというふうに思いますので、ちょっと制度設計からちゃんと考えていただきたいです。

 最近、財務省さんが出す制度というのはどんどんどんどん何かわかりにくくなっている気がします。例えば税にしても、今回のポイント還元も消費税の軽減税率も、税は簡素でなければならないはずなんですけれども、非常に複雑ですよね。国民の皆さんから見ても、わかりづらいというお声がありますけれども、この勘定関係を見ていても、非常に複雑になり過ぎているんじゃないかなというふうに思いますので、余りこねくり回すことなく、きちんと、ぱっと見てわかるような形にしていただくことが非常に大事だと思いますので、このあたり、ぜひ留意して今後の制度設計をしていただきたいというふうに思います。

 ちょっと細かい条文、時間がなくなってきたのであれなんですけれども、十八条二項において、「金融再生勘定に属する財産の状況に照らして特に必要があると認めるとき」という表記があるんですけれども、これがちょっと気になっていて、これはどういった状況を想定されているのか、特に具体的に、ぜひこれについての見解をお伺いしたいんですけれども。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘の十八条二項、「金融再生勘定に属する財産の状況に照らして特に必要があると認めるとき」の意義でございますけれども、例えばでございますけれども、その時点で金融再生勘定に保有されている旧長銀、旧日債銀から買い取った株式がかなりの簿価ベースで残っているという状況で、そうしますと、その以降、その処分に際しまして損失が発生する可能性があって、その可能性、リスクに備える必要がある、こういった状況を想定してございます。

丸山委員 これは簿価ベースですけれども、金融再生勘定で、前は特別公的管理銀行から株式を買い取った、この簿価ベースが一・五兆円規模で未処分になっているという話ですけれども、非常に高額なあれですし、当時から考えれば最近の株価を見たら上昇していますので、もうかっているのか、もうかっていないのか、その辺のラインは非常に微妙なラインだと思うんですけれども、このあたりの、保有リスクの話を今聞きましたけれども、この売却のタイミングも含めて、ちょっと、株価を下げるわけにはいかないのでというのもあるんでしょうけれども、持っているだけでリスクと先ほどもおっしゃったんですけれども、リスクなんですよね。この売却方針というのは非常に大事な部分だというふうに思いますけれども、このあたりはどのようにお考えで保有されているんでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 旧長銀、旧日債銀から買い取りました株式につきましては、預金保険機構が、平成十八年八月から、国民負担の最小化及び市場への影響の極小化の原則のもと、おおむね十年をめどに処分を開始いたしましたけれども、平成二十年九月のリーマン・ショック後の急激な株価の下落などを受けまして、同年十月から上場株式の処分を原則として停止しているところでございます。

 今後、この上場株式の処分をどういうふうに再開するかにつきましては、その含み損益の状況はもちろんのことでございますけれども、多額の株式の処分が市場に不測の影響を与えることがないかどうかなど、金融資本市場の動向も十分踏まえまして、今後適切に判断していきたいというふうに考えております。

丸山委員 時間が来たので終わりたいと思いますけれども、そういう言い方しかできないのはわかるんですけれども、非常に多分長期にわたるんだろうなと、いずれにしても、処分していくにしてもかかるなというふうに思いますし、国民負担がある中で、しっかりこういった部分も、一つ一つきちんと説得できる、相手が納得できる、国民が納得できるような、しっかりと処分の方法についても前に進めていただきたいと思います。

 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 無所属の青山雅幸でございます。

 本日も大変貴重な質問の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。感謝申し上げます。

 さて、早速ですけれども、今回の法改正の基礎となる立法事実として、早期健全化勘定に剰余金が出た、このこと自体は財政の観点から大変喜ばしいことだと思っております。ただし、この陰に、この当時、金融システムの安定のために次々と法案が成立し、法改正がなされ、それによって多くの国民負担が出たことは忘れてはならないと思っております。

 そういった意味で、過去の歴史から学ぶというのは大変重要なことだと思っておりますので、歴史のおさらいといいますか、法改正並びに国民負担、どういうふうになっていったのかということをきょうは少しお聞きしたいと思っております。

 さて、私が申すまでもないわけですけれども、この早期健全化法改正案がなされた前後において、日本のバブルが崩壊して、地価下落や不良債権が大変多く出ました。一方、銀行、金融機関では、損失隠し、いわゆる飛ばしなど、非常に、時代のうみといいますか、ゆがみが数多く見られ、これによって金融機関が次々と破綻したわけです。

 私、当時弁護士をしておりましたけれども、ある優良中小企業が取引先一社から不渡りを受けて、そのあおりで、手形融資、クリアできない、しかし、そういう単発的な事象ですから、メーンバンクがジャンプさえしてくれれば助かったんですけれども、それを拒絶されて倒産した、こういう非常にかわいそうな事例を経験したことがございます。当時、銀行というのはかなり冷酷なこともするんだなと思ったんですけれども、今改めてこれを振り返ってみますと、一連の金融破綻を受けて、銀行が自己資本を維持するために当時潮流となっていた貸し剥がしをやった、その一例だったんだなと思っております。

 簡単に当時の状況を振り返ってみます。

 まず、一九九四年、これは平成六年ですけれども、高度経済成長、バブルを経て、盤石と思われていた日本の金融機関が破綻し始めた。このはしりとなったのが、平成六年の東京協和信用組合、安全信用組合の二信組事件だったというふうに思われます。これは政治家絡みの不祥事で、後の整理回収機構となる東京共同銀行がつくられたものでしたけれども、二十五年余りしかたっていない現在からしてみますと、政治家絡みの事件ということもありまして、非常に前近代的な事件だったんだなというような印象を覚えます。

 続きまして、その翌年、九五年には、コスモ信用組合が破綻しました。これは、バブル崩壊による株式や不動産担保の暴落、それから不良債権が相まってのもので、その後、戦後初の銀行破綻となった兵庫銀行、これも不良債権と関連ノンバンク絡み、当時ノンバンクという言葉が随分マスコミなどでも言われていたことを思い出します。このころから、バブル崩壊が金融機関に広く影響を与えていることが表面化し始めたものと思われます。

 そして、翌平成八年になりますと、暴力団関連のフロント企業や、最上恒産グループへの貸付けが問題となった太平洋銀行の破綻が起きまして、そして、バブル崩壊による地価下落で不良債権の巣窟と化しました住専、この処理のための住専処理法が成立しております。このときに投入されました国費が六千八百五十億円、これが非常に多いというふうに、当時マスコミなどで盛んに取り上げられたことをよく覚えておりますけれども、その後の破綻処理で一体幾らかかったのかというのをこの後お聞きしていくわけですけれども、その総額からすると、この六千八百五十億円が非常に小さく見えるということになろうかと思っております。

 そして、いよいよ平成九年、九七年に入りまして、記憶に残る幾つかの破綻が起きてまいります。三洋証券、これもやはり関連の三洋ファイナンスの債務保証から破綻に至ったわけですけれども、北海道拓殖銀行、地銀の雄と言われた北海道拓殖銀行が、カブトデコムというところ、洞爺湖リゾートの不良債権と損失隠しのための飛ばし、これで破綻していくわけです。

 そして、大変バブルの崩壊の象徴とも言えるような山一証券、これも株価下落と損失補填と飛ばし、こういうことで破綻して、本格化していくわけです。

 そこで、まずお聞きしますけれども、この発端となったさっきの平成六年、東京協和信用組合、安全信用組合、この破綻処理はどういう枠組みで行われたのでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、不動産関連事業への多額の融資が不良債権化したことなどによりまして経営困難に陥りました東京協和信用組合及び安全信用組合の破綻処理スキームにつきましては、一九九五年、平成七年一月に金融業界などの出資により設立されました東京共同銀行を受皿金融機関として、同年三月二十日、これら二つの信用組合から事業の全部譲渡が行われております。

 この事業譲渡に当たっては、預金保険法に基づく、当時の大蔵大臣の適格性の認定を経まして、預金保険機構より四百億円の金銭贈与が行われております。

 そのほか、金融業界などによる外部支援あるいは預金保険機構の資金援助によりまして、結果として預金が全額保護されたというふうに承知しております。

青山(雅)委員 このときの枠組みというのは昭和四十六年の預金保険法をそのまま使われたようです。ところが、この後、次々と金融機関の信用不安が表面化していき、九六年から九八年にかけて、いわゆる泥縄のように次々と預金保険法改正等々の立法措置が行われております。この概要について簡単に御説明ください。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成八年、一九九六年の預金法改正の主な内容でございます。

 まず、協定銀行制度というものが設けられました。これは、破綻した信用組合と合併を行うものとして協定銀行という制度をつくりまして、これに対して預金保険機構が出資などを行うことができるというのがまず一つ目の内容でございます。

 また、時限的な措置といたしまして、破綻金融機関と合併等を行う金融機関に対しまして、預金保険機構がペイオフコスト超の資金援助、いわゆる全額保護を行うことができることとされました。

 付随的なこととしまして、この費用を経理するために一般金融機関特別勘定と信用協同組合特別勘定というのが設けられてございます。

 それから、平成十年、一九九八年の預金法改正の主な内容でございますけれども、今申し上げました協定銀行制度というものが拡充されまして、信用組合以外の破綻金融機関とも合併等が行うことができるようになりました。それに伴いまして、一般金融機関特別勘定と信用協同組合特別勘定を統合いたしまして特例業務勘定を設けるということと、その財源を政府が交付する国債をもって充てるということができることとされました。

 以上でございます。

青山(雅)委員 ここで行われた、今御説明にあった中で、九六年に行われた預金等全額保護の特例措置、ペイオフの限度を外したわけですね。これによって当然預金者は救われたわけですけれども、反面、税の投入により、非常に多額の国民負担が生じたということになろうかと思います。

 念のため、お聞きします。

 このときに、税の投入、国民負担、結局幾らの国民負担ということで確定しておるんでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 一九九八年二月に預金保険法が改正されまして、預金保険機構の特例業務勘定に七兆円の交付国債をもって充てる基金が設立されました。その後、この七兆円は十三兆円に増額されております。

 当該交付国債につきましては、預金等の全額保護を図るため、ペイオフコストを超える金銭贈与の財源といたしまして十兆四千三百二十六億円が使用されまして、この額が国民負担として確定しているということでございます。

青山(雅)委員 今お答えいただきましたように、このころの破綻処理に係る十・四兆円、よく言われるわけですけれども、結局何に使われたかというと、一千万円の枠を超えるところに関して預金を保護したことに使われたということになろうかと思います。

 ところで、このころの世帯の平均預金額、今、ホームページ上で確認できますところは平成十四年です。ですから、そんなに変わりはないと思いますけれども、平成十四年の平均値が一世帯当たり千六百八十万円。ただし、中位数、最も多い中央値は一千二十二万円となっております。平成十一年の全世帯の平均預金が千六百六十万円ですので、余り差はないと思います。

 つまり、普通のいわゆる一般庶民を救うのであれば、これは一千万円でも足りていた、ほぼ足りていたということになろうかと思います。

 これは、あえてその特例措置を行ったことによって、どちらかといえば富裕層が助かった、そういう側面は否定できないものと思います。

 つまり、やはり、こういう破綻が起きたときに、誰を救い、誰を救わないかという問題が起きたときに、国民の間に不公平が生じるということは忘れてはならないことだと思っております。

 この後、金融安定化法及び今回の法改正に関連する二つの法案が成立してくるんですけれども、この当時の金融機関の状況、それについてどういう御認識であったのかということをお聞きいたします。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機能の安定化のための緊急措置に関する法律、これは一九九八年でございますけれども、この当時は、御存じのように、かなり大手の金融機関の破綻などがございまして、金融の状況が非常に厳しいものになっていたというふうに認識しております。

青山(雅)委員 おっしゃるとおりで、大変どこの金融機関も不安定な状況、また世間も大変そわそわしていたんだと思いますけれども、まず、金融安定化法についてお聞きいたします。

 この金融安定化法の概要と、これに基づいて投入された国費、それから投入された国費の資金の行方、こういったものについて簡略にお答えください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融機能安定化緊急措置法は、信用秩序の維持と預金者等の保護を図り、国民経済の健全な発展に資することを目的として制定されたものでございます。

 同法に基づきまして、預金保険機構は、一九九八年三月に、二十一の金融機関に対しまして約一・八兆円の資本増強を実施いたしました。二〇一八年九月時点で、そのうち約一・七兆円が回収されてございます。

青山(雅)委員 回収されていない分、これについて、ちょっと個別にお答えください。

栗田政府参考人 現在回収されておりませんのは、現在の新生銀行に対する株式一千三百億円分でございます。

青山(雅)委員 新生銀行に注入した資本の分が回収できていない、こういうことになろうかと思います。

 続いて、九八年に長銀、日債銀が破綻して、この処理を主眼として、議員立法として、金融再生法が成立しております。この金融再生法の概要について御説明をお願いいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 この金融再生法の措置の主な内容でございますけれども、まず、金融機関に対する定期的な資産査定の実施、公表の義務づけ、さらに、破綻銀行の特別公的管理、一時国有化に関する措置がございます。この規定に基づきまして、旧日本長期信用銀行及び旧日本債券信用銀行の特別公的管理を行ってございます。

 それから、それ以外の措置としまして、預金保険機構が金融機関などから不良債権の買取りを行う、こういう措置もこの法律に盛り込まれてございます。この規定に基づきまして、金融機関から三千五百五十億円の資産を買い取りまして、昨年九月までに累計七千億余の回収をいたしております。

青山(雅)委員 今御説明にあったとおり、この法律によって長銀と日債銀が国有化されたわけですね。

 この国有化前、平成十年の九月と十二月に、それぞれ金融監督庁が長銀と日債銀を内部検査いたしまして、査定を行っているようです。その際のそれぞれの銀行の債務超過額、どの程度と見込んでおられたのか、お答えください。

栗田政府参考人 お答えを申し上げます。

 当時、金融監督庁が一九九八年十月に公表いたしました日本長期信用銀行の検査結果によりますと、同年九月末見込みといたしまして、有価証券等の含み損を考慮すると、実質的に約三千四百億円の債務超過であるとされております。

 また、金融監督庁が同年十二月に公表いたしました「日本債券信用銀行の検査結果について」によりますと、同年三月三十一日時点におきまして、有価証券等の含み損を考慮すると、実質的に約二千七百億円の債務超過であるとされております。

青山(雅)委員 両者合わせて大体六千億円くらいの債務超過という見込みで国有化に入ったものと考えられます。

 ところで、最終的に長銀、日債銀の処理に投入された公的資金、これは損失確定額として幾らになるんでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 旧長銀、旧日債銀に対しましてはさまざまな形で公的資金が投入されておりますけれども、まず、資金贈与という形で、両行合わせて六兆三千七百六十四億円が実施されております。また、不良債権の買取り、資本増強、資金の貸付け等などで、合計約十兆七千七百五十八億円が投入されているということでございます。

青山(雅)委員 そうすると、全部合わせて十六兆ということでよろしいんでしょうかね。はい。

 そうしますと、見込みとしては六千億円程度の債務超過だったはずが、何と十六兆。十六兆といえば大変な数字であって、今年度の例えば国債の償還額に相当する大変な大きな額の損失が、見込み違いといいますか、あるいは非常に巧妙な会計処理によって、これは長銀、日債銀側の話ですけれども、行われたと。これは大変驚くべき数字だと思っております。これによって、国民の貴重な財産が、先ほどの十・四兆円とは別に、十六兆円も失われているわけです。合計二十六兆円です。一年の新規国債発行額にも見合うような額でございます。どれだけ大きな損失がこのころ生じたのかということを本当に思わざるを得ません。

 一方で、このとき国有化されたことによって、長銀、日債銀の株主、株式を所有していた人は当然全額の損失、紙切れになるわけですから、全部損するわけですね。一方で、長銀と日債銀の債権者、これは救済されたということになろうかと思います。全額の救済です。

 そこで、お聞きしたいんですが、バランスシート上、長銀、日債銀の当時の債権者、要は預金債務であるとか発行していた債券をお持ちであったという方が債権者ということになろうと思いますけれども、その辺のところ、おのおの幾らぐらいだったのかということをお知らせください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 その前に、先ほど申し上げました私の答弁で合計十六兆と申し上げたのは投入した額でございまして、当然、そのうち回収されている分もございますので、損失として確定している額はもっと小さい額になるということでございます。

 それから、今御質問のありました当時の長銀、日債銀の預金残高、まず、長銀の単体の預金残高は四・五兆円で、債券、金融債の残高は十一・九兆円、日債銀単体の預金残高は一・八兆円で、債券残高は三・五兆円であったというふうに承知しております。

青山(雅)委員 そうしますと、このとき国有化されたことによって保護されたのは、預金者というよりは債券を買っていた投資家ということになろうかと思います。当然、債券と株式というのは随分性質は違いますけれども、株主は全額損失をして、そして債券を持っていた者、これは企業なども当然あると思いますけれども、そういった方は全額損失を免れている。こういう不公平、どういう根拠によってこれは正当化されているんでしょうか。

栗田政府参考人 済みません、先ほどの答弁、一カ所修正をさせていただきたいと存じます。

 日債銀の債券残高三・五兆円と申し上げましたけれども、五・三兆円の誤りでございます。訂正をさせていただきます。

 それから、今御質問のありました株主とその他の方々との差別化ということでございますけれども、平成金融危機対応に当たりましては、我が国金融システムの再構築や預金者保護等を目的といたしまして、健全金融機関からの不良債権の買取り、金融機関の資本増強、預金等の全額保護など、あらゆる手段が講じられたということでございます。

 こうした取組を行うに当たりまして、多額の公的資金が必要とされたところでございまして、こうした公的資金の使用について国民の御理解を得るためには、株主が保有株式の価値の毀損を通じて本来負うべき損失を負担していただくことが重要であったということでございまして、株主の方には損失を負担していただいたということでございます。

青山(雅)委員 いずれにしろ、大変な不公平が生じたということは事実だと思われます。

 更にその後についてお聞きしたいんですけれども、長銀、日債銀、結局投資グループに売られたわけですけれども、売却額はそれぞれ幾らだったのか。それから、現在の新生銀行それからあおぞら銀行、それぞれの純資産額は、公表バランスシート上お幾らになっているのか、教えてください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、長期信用銀行でございますけれども、一時国有化時に預金保険機構が保有しておりました長銀の普通株式約二十四億株でございますけれども、これにつきましては、引受先であるニュー・LTCB・パートナーズ・CVと長銀、預金保険機構との間で締結されました長銀譲渡に係る最終契約書に基づき、十億円で譲渡されてございます。現在の新生銀行単体の純資産額は、平成三十年三月末時点で八千三百六億円となってございます。

 他方、日債銀でございますけれども、こちらも、一時国有化時に預金保険機構が保有しておりました日債銀普通株式約二十五億株につきまして、引受先でありますソフトバンク株式会社、オリックス株式会社並びに東京海上火災保険株式会社を中心に構成されました出資グループと日債銀及び預金保険機構の間で締結されました日債銀譲渡に係る最終契約書に基づき、これも十億円で譲渡されてございます。現在の、あおぞら銀行になっておりますけれども、あおぞら銀行単体の純資産額は、平成三十年三月末時点で四千二百九十一億円となってございます。

青山(雅)委員 そうしますと、国民負担、十六兆円より少ないようですけれども、十六兆円近いお金を使って立て直した銀行をわずか十億で売って、買った方は現時点で八千二百九十億円のもうけが出ている。そして、もう一方は四千百九十億円程度ですか、四千億円以上のもうけが出ている。

 非常に国民にとってみれば納得いかないようなやり方がなされたのではないか。またここでも不公平、もうける者と損をした者が出ている。

 こういったことは、やはり今後の反省として、こういったこと自体を起きなくすることも必要ですし、後から見たときにどうかなと思われるような処理にしない、そういうことが、今後の課題としてぜひ学んでいただきたいと思っております。

 続きまして、本来、再生勘定に回る株式、こういったものについても早期売却すべきだというところは、きょう同僚議員の皆様がお聞きしたところであり、私もこれは質問する予定でしたけれども、重複するのでここは省かせていただいて。

 麻生大臣にお聞きしたいんですけれども、きょうバブルについても盛んに議論が行われております。今心配されているバブルというのは何かといえば、日銀に限らず、FRB、ECB、あるいは中国などでも大規模な量的緩和政策がとられている。また、ECBでは、日本と同様にマイナス金利政策がとられている。この副作用で世界にマネーがあふれて、金融バブルが起きているのではないかと非常に心配されているわけです。

 麻生大臣、きのう野田委員の御質問に答えられて、アメリカでは一部不動産の地価も心配であるというようなことをおっしゃっておられました。

 それで、一方、きょうの質疑の中で、日銀の雨宮副総裁の方は、当時ですけれども、日銀の金融緩和が長期化した、要は金利を上げてこなかったことによって不動産バブルを助長させたということだと思いますけれども、日銀の利上げ、金融政策によってバブルが増長した部分があるんじゃないかというふうにおっしゃっております。

 御承知のとおり、日銀の異次元緩和、もう既に五年経過しているわけですね。FRBはもっと長いわけです。国債、これだけ見れば、きょう麻生大臣も言及しておられましたけれども、マイナス金利、これが売れているわけですから、マイナス金利のものが。利回りが低いのに取引がなされるということは、これはバブル以外の何物でもないわけですね。少なくとも、日本において国債バブルは起きている。それから、地価についても御指摘の方がおられましたし、株式市場、ニューヨークなどは史上最高値をどんどん更新している状況ですね。

 バブルというのは崩壊してみなければわからぬところがあるというのは、きょう大臣もおっしゃっているようなところだと思いますけれども、アメリカにおいても、リーマン・ショックで救済されたところとされないところが出る。リーマンは破綻した、だけれどもAIGなどは救済された、こういった非常な不公平が起きているわけです。

 先ほどの日本の例を引くまでもなく、やはりバブル崩壊が起き、大規模なシステミックリスクが起きれば、これは政府としても救済せざるを得ないんでしょうけれども、これをやると必ず大きな不公平が起きてしまう。ですから、これはどうしてもやはり防いでいかなければいけない。

 そこで、経済に大変お詳しい麻生大臣に、経済、金融の両面から、今言ったような私の懸念についてどうお考えか、そして、これについてどう対処されていくのか、ちょっとお聞きをしたい。お願いいたします。

麻生国務大臣 これは、青山先生お尋ねのように、G7等々主要国の金融政策によってグローバルな感じでの資産のバブルというものが生じて、それが吹っ飛ぶことによって世界的な金融危機が起こるかどうかという話を聞いておられるんでしょうけれども、資産の価格というのは、もう言うまでもなく、資産の実際の需給、土地に対してとかいろいろなものに対して、株に対しての需給だけではなくて、その企業のファンダメンタルズとか経済とかいろいろなものを、見通し等々で、投資家が持っている金を、さまざまな形によって金を突っ込んできますので、それぞれ、アメリカ始め欧州等々の金融政策また経済情勢というのはさまざまなので、これは一概に申し上げるということは極めて困難というのは今の現状だと思っておりますし、この間のG20でもこの点は皆一致しております。

 ただ、これに対して、みんなできちっとしていかなきゃいかぬなという意見は、これはいろいろな人がいろいろなことを言いながらもこの点に関してはみんな一致をしておりますので、きちんとしたやり方をしていかないかぬということでやろうと思っております。

 その上で、日本について申し上げれば、間違いなく、バブルの崩壊した後の資産によるデフレーション等々も加わって、結果として日本の不況というのはかなり長期間長引いたんですが、おかげさまでこの六年間の間にデフレではないという状況には至った、これは間違いなく政策の成功なんだと思いますが、結果として、一時期七千九百円まで下がっていた株が、今は二万一千、二万二千というところまで上がってきておりますし、土地もそこそこ、まあ地域によって差がありますけれども、上昇傾向にあるというものだと考えております。

 いずれにしても、こういった状況が、ゆっくりであっても確実にというのと、ぼんと上がったらというのと、これは大分状況は違いますので、ゆっくり上がればゆっくり下がっていくというのは傾向ですけれども、急に上がれば急に下がるというのはこれまでの株価、土地等々、過去の数十年間の経済ではそういった形になりますので、確実に上がっていくという方向に、私どもとしては経済とか財政の運営というものをきちんと今後やっていかねばならぬというところは最も難しいところであって、注意深くよく見ておかないかぬと思っております。

青山(雅)委員 経済政策あるいは財政政策が起因となってバブルとなることがないように、ぜひ、今おっしゃっていただいたように、きちっと見守っていただきたいと思っております。

 これで時間となりましたので、質問を終わります。ありがとうございました。

坂井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本委員 日本共産党の宮本徹です。

 反対討論を行います。

 金融機能早期健全化法改正案に反対する理由の第一は、早期健全化勘定からの剰余金の繰入れ八千億円を、消費税増税を強行するための景気対策、臨時特別の措置の財源として二〇一九年度予算に計上しているからであります。

 預金保険機構の剰余金のうち必要のない部分を一般会計に繰り入れることは問題ありませんが、消費税増税対策の財源に使うことには反対であります。

 また、剰余金八千億円の繰入れで税外収入をふやしながら、新規国債発行額を九年連続で減らしたと誇張するのはこそくな主張だと指摘させていただきたいと思います。

 反対理由の第二は、金融再生勘定に繰入れを可能とする措置は、国庫に返還されるべき金融機能早期健全化勘定の利益剰余金を使い、金融再生勘定の公的資金の損失を穴埋めするものであるからであります。

 金融機関の破綻処理は、政府の補助に依存することなく銀行業界の負担で行うべきであるとの国際的原則に照らせば、今回の措置には賛成できません。

 以上指摘し、反対討論とします。

坂井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

坂井委員長 これより採決に入ります。

 金融機能の早期健全化のための緊急措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

坂井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

坂井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十五分散会


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