衆議院

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第8号 令和2年3月10日(火曜日)

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令和二年三月十日(火曜日)

    午後三時二十分開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    武井 俊輔君

      辻  清人君    出畑  実君

      古川 禎久君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      海江田万里君    神谷  裕君

      岸本 周平君    櫻井  周君

      階   猛君    野田 佳彦君

      日吉 雄太君    森田 俊和君

      石井 啓一君    清水 忠史君

      青山 雅幸君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   経済産業副大臣      松本 洋平君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  清水 茂夫君

   政府参考人

   (財務省関税局長)    中江 元哉君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房国際部長)          水野 政義君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長)           平形 雄策君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         堀田  治君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

   参考人

   (日本銀行理事)     前田 栄治君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  本田 太郎君     出畑  実君

  日吉 雄太君     神谷  裕君

同日

 辞任         補欠選任

  出畑  実君     本田 太郎君

  神谷  裕君     日吉 雄太君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事前田栄治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官清水茂夫君、財務省関税局長中江元哉君、国税庁次長田島淳志君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君、農林水産省大臣官房国際部長水野政義君、生産局農産部長平形雄策君、中小企業庁次長鎌田篤君、国土交通省大臣官房技術参事官堀田治君、鉄道局次長寺田吉道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 関税定率法の改正案に対する質疑ということでございますが、冒頭、一点、ちょっと、新型コロナウイルス問題等による金融市場の混乱が日本銀行の資産に与える影響について質問をさせていただきたいと思います。

 実は、日本銀行が保有しているETFの損益分岐点、時価が簿価を下回るその損益分岐点がどうなのか、幾らなのかという質問をしようと用意をしておったんですが、午前中の参議院財務金融委員会におきまして、日経平均株価で一万九千五百円程度になっているという答弁、黒田総裁がされております。

 私が当初質問しようと思っていた問いについてはもう既に参議院の方でお答えいただいているんですが、そうしますと、日本銀行、今、純資産といいますか、大体四兆円ぐらいあろうかと思いますが、これが、もし株価だけで見た場合、四兆円の含み損になるような株価水準というのは一体幾らぐらいになるか、ちょっと、済みません、もしわかれば教えていただけますか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 私ども保有しておりますETF、これが期末時点で時価総額が簿価の総額を下回る場合には、その差額に対して引当金を計上するということにしております。したがいまして、確かに、引当金を計上すれば決算上の期間損益は下押しされるということになりますけれども、日本銀行の損益は、国債の利息収入やETFの分配金等さまざまな収益がございます一方で、補完当座預金制度利息等の費用もありますので、さまざまな要因によって決まってくるわけでございます。

 このため、今委員から御質問いただいたETFの要因のみを取り出してお答えすることはちょっと不適切か、このように考えております。

櫻井委員 じゃ、わかりました、ちょっと質問の仕方を変えますけれども、四兆円の含み損が発生するような日経平均株価というのは幾らぐらいですか。

前田参考人 お答えいたします。

 ただいま、ちょっと手元にそういうような計数がございませんので、なかなかお答え申し上げることが難しいかと思いますけれども、ちなみに、昨年九月時点現在で申し上げますと、そのときは四兆円程度含み益があったということであります。

 そのときの日経平均は二万一千八百円ぐらいであった、それで、そのときの損益分岐点は一万九千円ぐらいであったということでありますので、そのとき時点では二千五百円から三千円近く余裕があったということでありますから、仮にそれの対称的に下ということであれば、きょう総裁が申し上げましたような一万九千五百円からそのぐらい下ぐらいというのが、極めて機械的な試算になるということになりますけれども、ちょっといろいろな、その後もいろいろな買入れも行っておりますので、にわかにここでお答えしにくいということでございます。

櫻井委員 済みません、ちょっと、突然の質問にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 この問題、非常に重要で、しかも広範にわたる問題だと思いますので、また別の機会にじっくりと質問させていただきたいと思います。

 それでは、関税定率法改正案に関する質問に入らせていただきます。

 グローバル化の進展に伴いまして、物流が増大しているということもございます。また、一方で、著名人の違法薬物の使用の摘発事例も相次いでおります。この水際対策という意味で、まさに違法薬物の流入を阻止する一番大きなところは、やはり税関のところだというふうに思います。そうしたことも含めまして、またさらに、東京オリンピック・パラリンピックも開催を予定されているということを考えますと、税関職員の負担が非常に増大している、こういう状況だと思います。

 一方で、国民の安心と安全を確保するため、また公平公正な税関業務を執行するためには、やはり税関職員の定数拡充と確保、処遇の改善というのが必要だというふうに考えます。

 また、行政というのは必ずしも費用対効果ではかるべきものではございませんが、ただ、現状、行財政改革に努めている、こういう現状を考えますと、費用対効果も少しは考えておかないといけないということだと思います。

 税関職員については、増員すれば、その人件費をはるかに上回る取締りの、何というか収入も入ってくるのではないのかというふうに思いますので、税関職員については定数をふやしたからといって行財政改革に逆行するということにはならないだろう、こういうふうにも考えるわけです。

 さらに、コロナウイルスの感染症、現状、蔓延しつつあるという状況も踏まえれば、税関職員が感染しないようにする、この対策も非常に重要だというふうに考えます。

 以上のことを踏まえまして、税関職員の定数、定員の拡充、確保、処遇改善、安全確保に財務大臣として取り組むべきだというふうに考えますが、大臣の意気込みをお聞かせください。

麻生国務大臣 まずは、最前線というか、外国人が日本に入ってこられるときの最前線というのは多分税関職員ということだろうと思いますので、いろいろ御配慮いただきというか、元気なメッセージをいただきまして、ありがとうございました。

 費用対効果の話がありましたけれども、確かに、金塊なんかを見つければそれはそのままなりますけれども、麻薬を見つけても売るわけにいかないしね、あれ。それはなかなか、費用対効果というそんな簡単な話じゃ割り出せないということだとは思いますが。

 いずれにしても、税関業務を取り巻く環境というのは、オリンピック、パラリンピック等々の開催とか、訪日される外国人旅行者の数というのはこの五、六年で四倍ぐらいに、三・七、八倍になっていると思いますので、そういったものに加えて、今よく言われる覚醒剤等々の不正薬物のあれとか、それから、海外でよく言われるテロというものを防がないけませんし、金の地金の密輸というのもこれはやたら巧妙化しておりますなどなど、極めて困難な課題がふえております。

 加えて、今言われましたように、人をふやせばいいじゃないかといっても、税務署の職員を税関に回したって役に立つわけじゃありませんので、税関職員としてトレーニングする、訓練を組むというためには、かなりまたしばらく時間がかかりますので、そういった意味では、増加する従業員の業務量というものに対応をしていくために、私どもとしては、このところ、三年連続で約二百人ずつぐらいふやさせていただいて、純増させていただいて、ことしで二百九人だったかな、二百九人純増になっていると思いますので。

 今後とも、効率化を高めると同時に、何といっても、飛行機で来る方は三百人ぐらいだったんですけれども、船で来られると三千人ですから、それは一挙に十倍いるので、とてもじゃないけれども、私どもの福岡の港なんというのは、もう船の中でやらないと、おりられるまで物すごい時間がかかるということになりますので。

 そういった意味では、私ども、こういった問題につきましても、従来と少し情勢が変わってしまっておるという点も配慮して対応させていただければと思っております。

櫻井委員 今、大臣からも意気込みを語っていただきまして、ありがとうございます。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 特に観光客、今はちょっと、直近はいろいろな騒ぎもありまして減っておりますけれども、その騒ぎの直前は非常にふえてきたということですし、また、観光業に対する、インバウンドの観光客に対するところというのはまさに我が国の経済発展の一つの大きな要因でもあったわけですので、こうしたものを育てていくためにも、ぜひともよろしくお願いします。

 また、税関に関しては、違法薬物の摘発、金の地金の密輸等の阻止、こうしたものも重要な論点かと思います。これについては森田委員が後ほどしっかりと質問させていただきます。

 また、今般の関税定率法の改正点の第一の論点は私は農産物、畜産物に関することかなというふうに思っておりますが、これは、この問題に非常に詳しい神谷委員からまた質問させていただきますので、私からは、とん税及び特別とん税について質問をさせていただきます。

 私も兵庫県出身なものでございまして、神戸港を抱えております。二十五年前の阪神・淡路大震災で神戸港が崩れてしまった、コンテナ埠頭も壊れて被災してしまったわけですが、そのときに、コンテナは釜山港の方に大分行ってしまいました。それで、神戸港が復旧すればまたお客さんが戻ってきてくれるかなと思ったら、なかなか戻ってきてくれないというのがずっと続いて、もう二十五年たつというような状況でございます。国際的なコンテナの物流、東アジア全体で見ますと非常にふえてきておりますが、日本は微増程度というふうにとどまっております。

 資料一を見ていただきたいんですが、こちらを見ていただきますと、アジア、特に東アジア、東南アジア近辺でのコンテナの取扱い、それから定期船の便数でございますが、まさにこの定期船の便数が減ってしまうと、その分、日本から輸出をするときにも、待ちの時間といいますか、やはり何でも、ふだん通勤電車でも、二十分に一本なのか、十分に一本なのか、五分に一本なのかで利便性というのが随分変わってまいります。それと同じように、このコンテナ港が、どれだけ毎週寄ってくれるかというのでも随分変わってくるわけでございます。

 それを見比べますと、シンガポール、上海、釜山と比べて、京浜、横浜港を中心とします京浜港、それから阪神港、伊勢湾の名古屋港、こうしたところを見ると、随分と少なくなっている。それだけ我が国の港湾が実は東アジアの中においてもある種辺境の地になりつつあるのではないのか、ローカル線になりつつあるのではないのか。やはりローカル線になってしまうと、それはそれで非常に不便で、我が国の産業全体の競争力を損なうことになってしまう、このように懸念をしているところでございます。

 その意味で、今回のとん税及び特別とん税の引下げというのは、これは評価できるところかと思います。ただ、近隣の港湾の状況と対抗していくには、これではなかなか不十分なのではないのか、ほかにも取り組むべき課題が山積しているのではないのかということで質問させていただきます。

 といいながら、もうあと五分ちょっとしか時間がないので、ちょっと足早に質問させていただきます。

 まず、コンテナ埠頭へのアクセス状況でございますが、例えば東京港では四時間待ちとかいうような報道も以前ニュースでも流れておりました。コンテナ埠頭に入るのにも渋滞が起きている。また、運送業者の方でも運転士が不足をしているというような状況もございます。また、埠頭自体が、港湾自体が大規模化しているというようなところもありまして、埠頭間でコンテナをやりとりしたりするということで、埠頭間での移動においても渋滞が発生するというようなことがございます。さらに、西日本の方でいいますと、それこそ、内航海運で荷物を、コンテナを集めてくるよりも、外航海運で釜山に持っていった方が安上がりだということにもなるわけです。

 こうしたことを考えますと、まずコンテナ埠頭へのアクセス、これを改善していくことが重要な取組だと考えますが、このお取組について、国土交通省の方から御説明をよろしくお願いします。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 ただいまコンテナ埠頭へのアクセスの向上という観点からの御質問をいただきました。

 我々も、コンテナ埠頭へのアクセスの向上は極めて重要だと思っておりまして、特に阪神港、神戸港におきましては、大阪湾岸道路西伸部の整備を進めておりまして、これでポートアイランドと六甲アイランドの間のアクセスは劇的に向上できると思っております。

 東京港それから横浜港においても、それぞれ臨港道路をしっかり整備いたしまして、アクセスの向上に努めているところでございます。

 以上です。

櫻井委員 また、コンテナ船自体も大型化が進んでいるということで、一番大きな、最大級のコンテナ船ですと水深が十八メートル必要ということですが、日本の港は横浜港を除いてこれに対応できていない状況でございます。横浜港は北米航路の一番最後の出発点なので、ここは十八メートルないと寄ってもらえないということはあろうかと思いますが、ほかの港でも、余りにも浅いと、やはり荷物をフルで積めないとか、いろいろな問題が出てくると思います。

 こういった港湾、しかも、これは、深くするといって掘ればすぐに深くなるとかそういう簡単なものではないので、もう一回港を一からつくり直さなきゃいけない、大変な作業だと思います。コンテナ船の大型化の動向をしっかりと見きわめて、こちらについても対応をお願いしたいというふうに思います。

 あと、特に西日本では、韓国の釜山のコンテナターミナルとの競争というのがやはり目の前にあるわけです。特に、麻生大臣のところからですと、釜山港、本当にでかい、どでかいコンテナターミナルがあって、福岡からでも見えるんじゃないかというぐらいの大きさでございますが、それだけ大きいものもあちらはつくっているということですから、その分、あちらも必死になってお客さんを集めようとすることかと思います。

 そういった意味で、今回、とん税、特別とん税、五〇%引き下げるということですが、これはとん税をゼロにするぐらいのことも検討しないと、どうせ、値段が同じぐらいになって、今回五〇%引き下げましたということで大体入港に関するコストが同じぐらいになっても、じゃ、向こうも引き下げるというようなことをやってくるかもしれません。

 とん税もゼロにするぐらいのことをしないと間に合わないんじゃないのかというふうにも思うんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

麻生国務大臣 いい御指摘だと思いますが、一番最初に、やはり櫻井先生、最大の問題は水深ですよ。おたくは十四メーターぐらいだろう。(櫻井委員「十六メーターでしたかね」と呼ぶ)神戸の港ぐらい調べておかないと。十四メーターぐらいですよね。一級港湾は十四メーター、横浜以外は大体十四メーターですよ。

 そうすると、今の船というのは十八メーターありますから。日本でつくっている船で一番でかいのは、今治造船がつくっているのは、バウからスターンまで四百メーターよ、バウからスターンまでで。横幅五十一メーター、水深十八メーターなんて船が日本でできているんだけれども、泊める港がないんだもの。それが日本の実態ですよ。港湾行政がいかにおくれたかですよ。時代についていけなかったんだ。

 パナマ運河でも十八メーターになりましたからね、今、水深は。スエズも二十一メーターでしょうが。そういったものを日本に泊めるといったって、泊める場所がないんだもの。だから来ないんですよ、これは。それが一番大きなところですよ。

 だから、とん税の前に、そこのところを、わんわんわんわん、あなた、港湾局に言わないかぬわけですよ。俺に言う前に、まずは港湾局に。だから、順番が違っているんだって、あなた。それを言っておいて。

 その上で、とん税の話が出ましたので、これは今、とん税のお願いをしているので、とん税の話をさせていただければ。

 これは、間違いなく、言われたとおりに、遠洋航海と近いところと二つ分けておるというところなんですけれども、遠いところの部分、遠洋航海の部分が今言われたように値段がということになりましたので、今度はそれを半分に下げますので、近海と同じようなところまで下げるんだけれども、それを更にゼロにしろという御意見なんですけれども、これは、結構な税、トン当たりお金を頂戴いたしますので、船というのは、港に泊めると分幾らでお金を取るところですから、一分幾らで取られますので、そういった意味では、時間当たりで、総重量一トン当たり幾らかというのは決められている。

 その税金の話になるんですけれども、これ、十七円とか何円とか決まっていますけれども、そのあれをゼロにしますと、これ、地方税百幾ら、国税も百幾らで、当然、そのうち、これは四大港ですから、神戸港もその四分の一ぐらい入ってきていますから、二十五億円ぐらいが丸々吹っ飛ぶことになりますので。それは、神戸港がそれでいいんだねと言われると、ちょっと兵庫県としては、丸々二十五億なくなっちゃうのかよという話になりますので、これはそんな簡単な話じゃないという点もちょっと。これは国税もありますから、その分。

 そういった意味では、ちょっといろいろなものを考えないかぬところで、簡単に、ゼロにしろというところの話まではちょっと今行っているわけではありません。

櫻井委員 私、申し上げたのは、ゼロというのは、特別とん税ではなくて、これは地方の話もありますので、特別とん税はとりあえずちょっとおいておいて、五〇%オフでとめておいて、とん税について、これは国税ですから、とん税の方についてはもう少し考える余地があるのではないのかということも申し上げたわけです。

 あと、港の水深については、大臣おっしゃるとおりで、一応、神戸港は十六メートルございますので、その点は。ただ、十八メートルはないので、おっしゃるとおりで。だからこそ、先ほど質問をさせていただいたということです。

 ちょっと時間になりましたので最後の質問にさせていただきますが、港湾の使い勝手をよくするということもさることながら、その使い勝手がよくなった港をほかのお客さんにも知ってもらわなきゃいけないということで、やはり営業活動も重要だというふうに思います。

 そういった意味で、東南アジア等の国々、北米航路を開拓していく、維持発展させていくためにも、東南アジアからも荷物を集めてくるべきではないのかというふうにも思うんですが、この点についての営業活動の取組、国土交通省から御説明よろしくお願いいたします。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 我々の取組として、まず貨物をふやそうということで今一生懸命頑張っておりますが、その中で、アジアからの集荷は非常に重要なものと考えております。

 さきの臨時国会で港湾法を改正させていただきまして、国際コンテナ戦略港湾の港湾運営会社の運営計画そのものに、国際基幹航路の寄港回数の維持又は増加に関する取組を位置づけることといたしまして、これに基づいて、しっかりとしたポートセールスができるようにしております。

 また、国土交通大臣からも、港湾運営会社への必要な情報提供とか、それから指導助言を行うことができるようになりましたので、官民一体となった取組を更に加速してまいりたいと思っております。

櫻井委員 先ほど麻生大臣からも国土交通省に対するエールもございましたので、ぜひ政府一丸となって取組を進めていただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

田中委員長 次に、神谷裕君。

神谷(裕)委員 共同会派の神谷裕でございます。

 きょうは、質問の機会を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。

 私、ふだんは農林水産委員会の方におりまして、そちらの方の勉強をさせていただいております。きょうは、関税定率法ということで、この分野にも大きくかかわるというようなことで、お時間を頂戴しました。いろいろと確認をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず、この関税定率法、セーフガードについて、ちょっといろいろと確認をさせていただきたいと思います。

 今次の関税定率法の改正では、CPTPP、日米等との経済連携協定で規定されるセーフガードとの関係があるというふうに承知をしております。この関係について、まずはお聞かせをいただきたいと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 日米貿易協定の税率で輸入されます米国産牛肉、豚肉につきましては、同協定に基づくセーフガードが適用される一方で、関税の緊急措置は適用されない旨がその協定に規定されております。これは、CPTPPや日・EU・EPAにおきましても、同様の規定が設けられているわけでございます。

 このように、我が国に輸入されます牛肉、豚肉の九九%超が関税の緊急措置の適用対象外となっていることから、今回の改正におきましては措置しないこととしたわけでございます。

神谷(裕)委員 今御説明いただいたとおり、日・EUであるとかCPTPP、そちらで規定をされているということで、今回、この関税定率法からはセーフガードの規定はなくなるというようなことだと思います。

 その上で、CPTPP、要はこのCPTPPであるとか日・EUであるとか日豪との関係、これは気になるところなんでございますけれども、CPTPPと二国間での経済連携協定と重複している国が幾つかございます。そういったところにおいては、例えばダブルカウント、牛肉なんかはダブルカウントを行うというふうに聞いているのでございますけれども、例えば牛肉の場合はダブルカウントをしたときにどちらの基準でセーフガードが発動されることになるのか、そのことについて改めて確認をさせてください。

水野政府参考人 お答えいたします。

 オーストラリア産牛肉につきましては、CPTPPと日豪EPAのいずれの税率で輸入されても両方の協定で輸入量としてカウントされると規定されております。

 また、輸入数量がTPP11と日豪EPAのいずれかの協定で発動基準数量を超えた場合には、その協定に係るセーフガードが発動されることとなります。このため、日豪EPAのセーフガードが発動され、日豪EPAのもとで関税が引き上げられた場合でも、CPTPPの低税率で輸入することは可能となるということでございます。

神谷(裕)委員 済みません、念のため確認なんですが、今言っていただいたとおり、要はカウントは両方される、ただ、日豪のトリガーは日豪で発動されるけれども、CPTPPの枠がまた別にあるわけだから、実質的には発動されない、要はCPTPPでカウントすればいいわけだからセーフガードはかからないという認識でよかったですか。

水野政府参考人 ただいま御説明申し上げましたとおり、輸入数量は両方の協定でしっかりとカウントされます、同じものが両方カウントされます。そのカウントの結果として、協定でそれぞれ決められたセーフガードトリガー、発動基準数量がございますので、その発動基準数量を超えた協定のセーフガードがまず発動されるということになりますので、両方の発動基準数量が超えた場合には両方発動されますし、一方しか超えていない場合には一方しか発動されないという関係になります。

神谷(裕)委員 済みません、オーストラリアが多分これに該当すると思うんですが、例えば日豪とあるいはCPTPP、これは両方ともダブルカウントとなると思います。

 では、日豪で発動基準数量まで到達しました、そうした場合は、もうそこで日豪の方では発動するよという世界があるのかもしれないんですけれども、一方で、CPTPPの枠というものが厳然としてある、その場合には、いわば日豪の方は発動するとしながらも、実際にはこちらの枠で入れるよとなったときには関係ないというようなことではないかと思うんですけれども、この辺はいかがですか。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御説明申し上げましたけれども、仮に日豪EPAの発動基準数量を超えて日豪EPAでセーフガードが発動された場合でも、CPTPPの方の発動基準数量がまだ満たされていないという場合には、CPTPPのもとで低税率での輸入は可能であるということでございます。

神谷(裕)委員 今言っていただいたとおり、従来から言われていましたけれども、実質的には日豪のトリガーはほとんどないようなものなのかなと。CPTPPの枠がある以上、低税率での輸入が可能になる、非常に心配だなということが改めてわかったわけでございますけれども。

 その上で、CPTPPや日米では最終的にこの先九%まで税率が下がることになります。その上で、九%に下がるということであれば、結果として、当然、輸入数量も大きくなるんじゃないかなということが容易に想像できるわけでございますけれども、一方で、発動基準数量の方は二〇三三年に向けて拡大していく一方であります。

 本来であれば、セーフガードというのは国内の産業を守るということを念頭に置くとするとすれば、やはりこういうあり方というのは問題なんじゃないか。関税は下がっていく、輸入量はふえる、一方でトリガーは上がっていく、これはやはり問題じゃないかと思うんですけれども、これについての所感を伺わせていただけたらと思いますが。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 TPPや日米貿易協定で規定する牛肉のセーフガードについては、これは関税削減期間における輸入急増の場合に一時的に関税を引き上げて国産価格への影響等を緩和するためのものでございます。

 御指摘のありました両協定における発動基準数量については、いずれにしても、これは相手国側との交渉を行った結果でございますが、なお、一般論として申し上げますと、二国間のFTA、EPA協定において規定されるセーフガードでは、その発動基準数量が関税の引下げに応じて段階的に拡大していく場合が多いということで承知しております。

神谷(裕)委員 今おっしゃっていただいたとおり、一般的には相手のあることだからということなんだと思いますけれども、当然、我が国あるいは我が国の農業者というか、国内産業を守るという観点でやはりやっていただきたいと思います。

 そういった意味で、やがて九%に下がるということでございますれば、例えば二〇三三年までの間、そんなに時間があるわけではありません。その間にしっかりとやはり国内産業を支える、あるいは国内の皆さん方がそれに対応できるものにしていく、それも必要だと思いますし、だからこそ、このセーフガードというのもやはりしっかりやっていただかなきゃいけないと思うわけでございます。そういった意味において、相手のあることだからということはそのとおりだと思いますけれども、いささか不安に思っているところでございます。

 そういった意味では、そもそもこのセーフガードというのはどういうものなのか、あるいは、このセーフガードのあり方、この国のセーフガードのあり方、果たして目的にかなっているのか、その辺を改めて御所感を伺えたらと思います。

水野政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたけれども、セーフガードについては、輸入急増があった場合に一時的に関税を引き上げて国産価格への影響等を緩和することを目的とするものでございます。今回、TPPや日米貿易協定に措置されましたセーフガードについても、この目的、考え方に沿ったものであると考えております。

神谷(裕)委員 短期的な輸入急増に対してセーフガードはきくんだというような御説明なんだと思います。

 ただ、短期的なものも含めてですけれども、長期的な影響についても、やはりセーフガード、多少はきくものだと私は思っております。やはり国内産業を守っていただくという観点のもとに、これからもしっかりやっていただきたいと思うんですけれども。

 そういった意味において、CPTPPでの基準は、御案内のとおり、米国分を含んだものでございます。そういったことが先般のCPTPPの議論のときにも議論になったというふうに思っております。その議論の中では、このセーフガードのあり方、早急に働きかけて見直すべきではないか、CPTPPの参加国に対して働きかけるべきではないかというような議論があったというふうに承知をしております。

 この議論が終わってまだそんなに時間はたっていないんですけれども、その後の交渉の経過、あるいは、そういったセーフガードを改善する、基準数量を改善していくというような、枠を改善していくというような交渉の進展があったのか、それについてお聞かせをいただきたいと思います。

清水政府参考人 お答えいたします。

 TPP11につきましては、発効後の運営等について具体的に話し合っている段階であり、また、いまだ国内手続を完了していない国ができるだけ早期に締約国となるよう働きかけを行っているところでございます。

 御指摘の点につきましては、いずれかの時点でTPP関係国と協議を開始する必要があると考えているところでございますが、TPP11も発効から間もないこともあり、日米貿易協定の発効後の実際の輸入状況などを見きわめた上で関係国と相談を行うこととしていきたいと考えているところでございます。

神谷(裕)委員 ぜひこれは早急にやっていただきたいと思います。やはり国内の皆さん方にとってはこれは早急に求めていきたい事柄であるというふうに思っていますので、この国の国益にもかなうことであると思います、早急に交渉等を行っていただきたいということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 関税定率法について、加糖調製品についての話もございました。加糖調製品については、国内産糖への支援に充当する調整金の拡大が行われることを可能とするという法改正が行われるということでございまして、これについては大変歓迎をしたいというふうに思っております。

 御案内のとおり、砂糖の特殊性というのは外形上も味覚上も差別化が難しい、白くて甘いというだけでございますので、例えば外国産と国産との区別も難しいという点があると思います。

 また、一方では、この国の、鹿児島であるとか沖縄であるとかそういったところのサトウキビ生産であるとか、北海道では、てん菜糖ということで畑の利用については本当に重要なものであるというふうに思っておりますし、地域にとって大変欠くべからざる作物であるというふうに承知をいたしております。

 そういった中で、砂糖を守っていくということは極めて重要なことだと私自身も認識をしているところでございますけれども、この砂糖を守っていくということについては、例えば米豪の経済連携協定でも特異な扱いになったというふうに承知をしております。

 この砂糖についてというか、加糖調製品について改めて所感を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

平形政府参考人 お答えいたします。

 沖縄、鹿児島のサトウキビ、北海道のてん菜、これを原料とします国内産糖に対しましては、糖価調整制度に基づきまして、輸入粗糖から徴収される調整金を財源とした支援、これを行っているところでございます。

 御指摘のとおり、今回の関税暫定措置法の改正内容の一つなんですけれども、六品目の加糖調製品につきまして、TPP11協定税率の設定状況を踏まえ、暫定税率の引下げ、これを行うという内容になっております。

 これによりまして、加糖調製品からの調整金収入、これを増加させ、砂糖と加糖調製品の価格差を更に縮小、よって国内産糖の競争力の強化、これを図る、そういったものだというふうに考えております。

 甘味資源作物につきましては、地域の経済、雇用を支える重要な品目というふうに考えております。TPP11、日・EU・EPA、日米貿易協定等においても糖価調整制度を維持というふうにしてきたところでございまして、今後とも必要な施策を適切に実施していく考えです。

神谷(裕)委員 ぜひ、砂糖、本当に大事なものでございます。沖縄もそうです、あるいは鹿児島もそうです、そういったところの、本当に地域を支える産業でもございます。あるいは、北海道では、畑地の利用において、本当に輪作体系という中での重要な作物でございますから、しっかりとお願いをしたいと思います。

 最後の質問をさせていただきたいと思います。

 豚熱についてちょっと関連して言わせていただきたいんですが、我が国に入ってきた端緒というのは、海外から持ち込まれた豚肉製品が食べ残され、廃棄され、野生のイノシシが接触したことから感染が始まったと言われているところでございます。また、新型コロナを見ても、検疫等の持つ水際対策の重要性が増しているというふうに思います。空港でも、入国の際、荷物をあけて最後にチェックするのは税関であるというふうに承知をしておりますので、改めて水際対策の強化が重要だと思うんですけれども、税関における対応の強化について改めて教えていただけたらと思います。いかがでしょうか。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 アフリカ豚熱に関する水際対策につきまして、税関といたしましては、対策の中心的役割を担う農林水産省及び動物検疫所に最大限の協力を行っているところであります。

 例えば、昨年末には、空港等において提出いただく税関申告書の改正を行っております。

 具体的に申し上げますと、肉製品の持込みがあるかないかということについて、旅客の方が質問されていることがわかりやすくなるように、税関申告書の表裏の表の面において、はっきりと肉製品、野菜、果実、動植物等の日本への持込みが制限されているものというふうに明記いたしまして、所持の有無を直接聞くように様式を変えたところでございます。

 今後とも、動物検疫所としっかり連携して、この肉製品の持込みの取締り強化に協力してまいりたい、このように考えております。

神谷(裕)委員 貴重なお時間をありがとうございました。質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立国社共同会派の森田でございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私の方からは、ダイヤモンド・プリンセスの関係のこと、あるいは、空港、港における不正薬物、あるいは金の密輸等々に関連して質問させていただきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

 既にダイヤモンド・プリンセスのことについては、もう全ての方が下船をされたという状況だというふうに伺っておりますけれども、大変国際的な、いろいろな関係者が多い船でございました。これは、船籍がまずイギリス、英国であって、運営会社がプリンセス・クルーズというアメリカの会社であった。乗客乗員については三千七百十一名ということで、五十六カ国、乗客二千六百六十六名、乗務員千四十五名ということでございまして、本当に多くの国の方が乗船をされていたということでございました。

 ちなみに、先ほど港のお話も出てまいりましたけれども、造船をしたのは三菱重工の長崎造船所ということで、いろいろ調べてみましたら、二〇一四年に大幅なリニューアルをして、日本人客向けに展望の浴場を整備したり、すしバーを整えたりということで、大変日本のお客さんを呼び込むということで、私も数カ月前の新聞を当たってみたんですけれども、見開きの新聞の広告で、かなりお手ごろな価格でこのプリンセス・クルーズの広告が出ていて、安いものですと七、八万円とか、もちろん行くところとか日にちにもよるんでしょうけれども、十数万円ぐらいからクルーズに参加ができるということで、非常にお手ごろ感が高いクルーズだなと、後からまた振り返ってみてもそのようなことを思った次第でございますけれども。

 これはもういろいろなところで議論されていることでございますけれども、検疫ということで厚生労働省の職員の皆様が関係をされて、また、生活支援あるいは医療の援助ということで自衛隊の皆様も支援に当たっていただいたということでございました。

 と同時に、多くの税関の職員の皆様方もこの事案には関係をされていたというふうに伺っておりますけれども、改めて整理をさせていただきたいと思いますが、このダイヤモンド・プリンセスにかかわった税関の職員さんの数、あるいは配置をされておられた場所、それから装備であるとか、勤務体制についてお答えをいただければなと思います。よろしくお願いします。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 横浜港を管轄する横浜税関におきましては、ダイヤモンド・プリンセス号の横浜港到着以降、約一カ月間で延べ約五百人が同号に係る必要な税関手続に関与いたしました。

 こうした税関職員は、船側や客船ターミナル等におきまして、二次感染を防止する観点から、マスク、手袋、ゴーグル、それから長袖のガウンを着用し、交代で職務に従事したということでございます。

森田委員 ありがとうございました。

 また、今のお話ですと延べで五百名という大勢の方が携わってこられたということでございますけれども、その皆様方の感染の有無でありますとか、あるいはその後の経過の観察がどのようなものであるか、お答えいただければと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、税関職員へのお心遣いに感謝申し上げたいと思います。

 ダイヤモンド・プリンセス号に関係した税関職員で罹患した職員は、幸いにも確認されておりません。また、職員の罹患状況を把握する体制といたしましては、入出国旅客等と接触する職員等には日々の健康状態や勤務行動内容を記録させ、職員の体調に異状が生じた際には速やかに状況を確認できる体制を整えていたところでございます。

 今後とも、税関職員の健康面に配慮して対応してまいりたいと考えております。

森田委員 もしおわかりになればで結構なんですけれども、いわゆる濃厚接触者に当たるような方というのは税関職員さんの中にはいらっしゃったかどうかというのはおわかりになりますか。そこまではあれでしょうかね、確認されていないでしょうか。

中江政府参考人 いないというふうに承知しております。

森田委員 ありがとうございました。

 私もたまたま、横浜税関の、ダイヤモンド・プリンセスに関係されてこの期間に職務に当たられた職員さんともお話をする機会がございました。映像で私も見ただけなのでわからないんですけれども、船の脇からブリッジみたいなのが伸びていて、ブルーシートがかけられていたあたりにその方はいらっしゃったということでありましたけれども。

 とにかく情報が、出す出さないじゃなくて、そもそも相手、ウイルスそのものがどういうものかというのがまだよくわからないような状況だったと思いますけれども、そういう状況の中で、まだ二月のうちでしたから海辺の冷たい風の中でということで、大変な御苦労をされて勤務をされていらっしゃったんだろうなというふうに考えております。

 今回のクルーズ船のことは、こういったことというのは恐らく税関の業務としても初めての経験だったのではないかなというふうに思っております。

 聞くところによると、一回着岸して、いろいろと検疫をしたり何だりしている、その合間だったかちょっと記憶にないですけれども、一旦岸を離れて、船自体の真水をつくったりあるいは排水をしたりするので、一回沖に出て排水をしたり何だりしてまた戻ってくる、その間も不測の事態に備えて税関の職員さんも乗船をされていたというようなお話も伺っております。そういった間はずっと船内で待機をされていたんだと思いますけれども。

 この船だけではなく、今もほかの国では、クルーズ船を着岸させるさせないということも含めていろいろ問題が起こっているということもございまして、これから、先ほどもちょっと御紹介しましたけれども、非常に単価が安く皆さんが参加できるというクルーズ船の状況になってきておりまして、これからも同じような問題というのが出てくるんだろうなというふうに思っております。

 こういった感染のリスクのある通関業務等々、これからまた同じようなことが出てくるかなというふうに思っておりまして、今後に向けて、いろいろとまだ、課題の整理等は全て済んだとは思っておりませんけれども、現時点でいろいろ整理できることもあるんじゃないかなというふうに思っております。

 今後、どのような形で、リスクのあるこういった業務に取り組んでいかれるかということで、大臣から御答弁いただければと思います。

麻生国務大臣 これは今、中江局長の方から答弁をちょっとさせていただいておりますけれども、ダイヤモンド・プリンセス号の事案に当たって、職員の健康管理、これはもう最大限に配慮しながら、いわゆる関係機関と連携して税務業務というのを実施させていただいたところなんですが。

 対応に当たって、横浜税関においてはいろいろやらせていただいて、マスクや手袋とか、加えてゴーグルとか防護服とかガウンなど必要な備品の確保に努めてきたほか、検疫所とも連絡をした訓練を実施するなどしておりまして、こうした事前の準備というのをやらせておかないと、いざといったときには何をやっていいかわからぬというふうな話で、税関の業務とまたちょっと違ったことになりますので。

 そういった意味では、ダイヤモンド・プリンセス号に関して、新たな状況が発生する中で、これは厚生労働省とか検疫所とか保健所とかいろいろな連絡やら、財務省の本省と税関等々の意思疎通がうまくいったところ、なかなか難しかったところ、いろいろあろうと思いますけれども、この重要性を再認識したというところが大きな、学習させてもらったところではないかと思っております。

 今後とも、訓練等々、事前の備えというのをやっておきませんと、こういったことが起きないという保証はありませんので、そういった意味では、関係機関との連携を引き続きやらせていただいて、やはり職員が不安なく職務ができるという環境をつくっていかぬといかぬ、そういうように思って取り組ませていかねばならぬと思っております。

森田委員 ありがとうございました。

 職員さんが不安なく職務に当たれるようにというお言葉をいただいております。全くそのとおりだなと思っております。

 また、万が一、あってはいけないんですけれども、感染をされる職員さんもこれから出ないとも限らないと思います。そういった、感染された方が出たときにどういう対応をしていくのか、その方がお休みになっていらっしゃるんだとすれば、その穴埋めをする体制をどうやってつくっていくのかというようなことについても、これから考慮し、また、準備をしていっていただく必要もあるのではないかなというふうに思いますので、ぜひそのやり方についても取組をお願いできればなというふうに考えております。

 それから、今般のこのコロナウイルスのこともありまして、私、今回の質問をさせていただくに当たって、改めて、税関の職員さん方がどのような形でお仕事されていらっしゃるかなということで、羽田空港の税関の現場を見せていただきました。

 こういうときですから、余り皆様方のお手を煩わせることのないようにということで短時間で行ってきたわけでございますけれども、非常に今人がすいている状況だということで、職員さんの手をもうちょっとふやしてもらえればなということを言おうと思って見に行った割には、今回はちょっとその観点とは全く違ったことになっておったんですけれども。たまたま今はそういったすいている時期ということがあろうかなと思いますけれども、いずれにしても、職員さん方の働いている現場を見せていただきました。

 私、埼玉県なものですから、ふだんは税関の現場とは全く遠いところで生活をしておりまして、もちろん海がないので港はない、空港もないということで、なかなかその縁がないんですけれども、若いころから旅行が好きで、いわゆる学生時代はバックパッカーで、いろいろと海外の国も好きで回っていたんですけれども、そのときにやはり余りお世話になりたくないのが、入国審査を通って、荷物を受け取って、最後、余り探られなければいいなと思いながら通っていくのが今までは税関だったんですけれども、いろいろ現場の話を聞かせていただいて、全く今までとはまた違った面から皆様のお仕事ぶりを見せていただいた、そういうことを思わせていただきました。

 先ほどコロナウイルスの関係も質問させていただきましたけれども、改めてですけれども、空港での税関職員さんの感染予防、これをどのように対応されていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 税関におきましては、二次感染の防止のため、全ての入出国旅客等に対応する職員に対しまして、マスク等の着用のほか、うがい、手洗いの徹底を既に指示しております。また、中国、韓国、イラン及びイタリア来の航空機、船舶の旅客等と接触する際には、原則手袋を着用し、さらに、石けんによる手洗い、アルコールによる手指の消毒も徹底した上で、必要な場合にはゴーグル等を着用することとしているところであります。

 今後とも、職員が安心して職務を全うできるよう、健康面、安全面に十分配意してまいりたい、かように考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 今回のコロナウイルス、危険な割合というか、命の危険に至る割合としてはそんなに高くないということで伺っておりますけれども、ただ、今の世界の状況を見てみると、まだまだこれから感染が広がっていく、そういう中で、まさに水際のところを担っていただいているのが税関の職員さんということでございます。

 先ほど、いろいろと装備、備品の関係も対応していただき、また、感染者が多い国からの便については手袋をつけての対応をされているということでございましたけれども、これからまたいろんな状況が変わってくると思います。

 ぜひ、先ほどの話の続きでありますけれども、職員さん、皆さんが不安でない中で仕事ができるように御配慮いただきたいなというふうに思っております。

 それから、不正薬物の関係で質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 昨年、大きな事案がございました。六月に、静岡県の南伊豆町ですか、これは覚醒剤約一トンが押収をされた。あるいは、十二月には、熊本県の天草市の魚貫町の港で五百八十七キロのやはり薬物が押収された、こういうことがございました。

 いろいろと今、有名人と言われる方が薬物の使用で捕まったりということがありまして、薬物の管理をどうやってやるのかということは非常に大きな私たちの課題になっているわけでございますけれども、そこで、確認をさせていただきたいのが、薬物全体の押収量、そのうち税関が扱ったものについて数字を教えていただければと思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 不正薬物の押収量は、令和元年につきましてはまだ国内全体の分が計上されておりませんので、比較とする場合は平成三十年の分で比較させていただきたいと思いますが、平成三十年の国内での不正薬物の押収量は約一・七トン、そのうち税関が関与したものは約一・五トン、全体の約九割近くを占めております。特に覚醒剤については、国内での押収量全体のうち約九六%は税関が関与しております。

 それから、令和元年、これは税関だけの数字でありますが、御指摘のように、令和元年における不正薬物につきまして税関の押収量は、先ほどの静岡あるいは天草の件とかを含めまして、史上初めて三トンを超えております。特に、覚醒剤の押収量は、史上初めて二・五トンを超え、四年連続で一トンを超えるなど、日本への不正薬物の流入は極めて深刻な状況となっております。

森田委員 ありがとうございました。

 平成三十年が全体の量を把握できている数字としては一番新しいということで、今、一・七トンというお話がございましたけれども、そのうち一・五トン、九割近くが税関による押収であるというお話がございました。令和元年におきましては三トンをもう既に超えているということでございますけれども、非常に深刻な数字なんだろうというふうに思っております。

 今回、私も羽田の視察をさせていただいて、いろいろと、こういうことで密輸がされているんですよというような事例も教えていただきました。これはもう既に公開されていることでしょうから、ここで言っても大したあれじゃないと思うんですけれども、いわゆるオーソドックスな例としては、二重底になっているボストンバッグの下に薬物が隠されているような例、あるいは、難しい例になってきますと、バッグの、スーツケースの樹脂の中に薬剤が練り込まれていて、それを後で何か分離して、薬剤とプラスチックに分けていくみたいな、そういう摘発が困難な事例もあるということでした。また、あとは、体内にのみ込んで持ち込もうとするような人がいたりということもございました。

 また、先ほど、金のお話、大臣もされていらっしゃいましたけれども、金の摘発の事例も紹介をしていただいておりまして、オーソドックスな事例としては、体に巻き付けて延べ棒を持ってくるようなケース、非常に巧妙な手口としては、空港の中で使う荷物のカートの広告がついている、こういう面に金を張りつけて、その上からまた同じような広告を張りつけて、見た目には普通にカートを押しているだけのような感じに加工して持ち込もうとしたような、そういう事案もあったということで、そういったものも見せていただきました。

 この例については、非常にその税関の職員さんがその行動をよく見ていて、長時間トイレに入っているななんということを注意深く見ていたので摘発に至ったというような、そういうこともございましたけれども。

 いずれにしても、こちらがいろんな手を尽くして摘発をしようと思えば向こうはその上を更に行こうというふうに考えて、イタチごっこのような状況になっているんだろうなというふうに思っております。

 こういった、日本の中だけではなくて、世界各国でいろんな手口があるというような、こういったことを、いろんなノウハウをやはり税関の職員さんたちが共有をしていて、最新の手口を学んだ上で、あるいはいろんな兆候を発見した上で摘発をしていくということになると思うんですが、このノウハウの共有ですね、これをどのように図っていらっしゃるのか、お答えいただければと思います。

中江政府参考人 お答えいたします。

 まず、税関におきましては、最新の密輸手口、これに対応するために、密輸の摘発後、速やかに、その物件の内容ですとか摘発の端緒、さらには隠匿手口等の情報を全国の税関で共有することにしております。

 また、東京税関に、情報センターという、これは全国の税関における情報関係業務の総合調整を行う、そういう組織を設置しておりまして、そこでは、個別の密輸手口に係る情報の共有だけではなくて、一元的に密輸情報を集約して、さらには分析して、分析した情報を全国の税関に共有する、こういう方法をとっているところでございます。

森田委員 ありがとうございます。

 私がお話を聞いたところでは、皆さんが通っていく、あそこのところに立っている時間というのは大体十五分ぐらいだというふうにお話しされていました。やはり、いろんな方が来て、一瞬の判断で、この人は通していいものか、ちょっと検査が必要かということを判断するというのは、非常に集中力の要る作業であると思いますし、やはり、その一瞬の中で判断していくためには、いろんな事例の蓄積があって初めてそういった短時間の中で摘発するに至るのではないかなというふうに思っております。

 今、いろんな機械なんかも見せていただいて、そういうものが導入されているというお話を聞きましたけれども、そういった機械も含めて、いろんなノウハウであったり技術を駆使してやっていかれるということなんじゃないかなというふうに思っております。

 私も、今回見せていただいて、初めて、あっ、そういうことなんだなというのを知ったんですけれども、パスポートを読み込ませて、もう既にその読み込ませた時点で、この人はこういう背景があるとかというのをある程度職員さんが把握ができるというような状況になっているということでございました。

 こういった情報の共有のシステムというのも、かなりお金もかかることだと思いますけれども、これも進めていかなければいけないと思いますし、また、私が見た羽田空港では、四月から自動ゲートを運用されるというお話でございました。出入国のところは自動のところは私ももう経験したんですけれども、税関のところも自動ゲートで、パスポートを置いて何かQRコードとかでこうやると、そのまま通れるようになる。そういうこともこれから運用を開始する、そんなことも聞いております。

 非常にいろんなところでお金もかかることなんじゃないかなというふうに思っておりまして、例えば、さっきのバッグを、一々あけて中を調べられないところもあるということで、大型のエックス線の機械の中を通して怪しいものがないかどうかということをチェックされる、こういった機械でありますとか、あるいは、さっきの樹脂を練り込むような手口のときには、そのバッグの脇をこうやって布で何回かこすって、微量な薬物を検出するような、その布を置いて検出するような、そういった機械であったりだとか、あるいは、よく飛行機に乗るときに、水を置いて、これは大丈夫ですよとかというああいう機械も、液体を分析する装置というのも税関でも使っていらっしゃるということでございました。

 また、金の密輸に関しては、いろいろと、外側にメッキをしたりなんなりで金だかどうだかわからないようにしちゃうような手口もあるということで、物質を分析するような機械というのも税関のすぐ脇に置いてあったりというようなことで、非常に、いろいろな機材もあって、これはお金もかかるんだろうなというふうに思っております。

 また、麻薬探知犬も、ちょうど私が見ていたときには、アメリカから到着する便に、この犬がこれからお客さんに対応するところですよというようなことを言っていましたけれども、そういった犬も、非常に、飼ったり、トレーニングしたりするので、やはり手間暇がかかることだなと思います。

 何よりもそういったものを使いこなす職員さんがやはりいないと、なかなかそういった機械も宝の持ち腐れになってしまうということで、やはり、先ほど押収量としては非常に大きいものがあるということでございまして、きちんとした税関の対応をするということで、薬物であったり、あるいは金の密輸を防ぐということで、非常に効果が高い、まさに水際の対応ということが言えるんだろうなというふうに思っております。

 たまたま私が行ったときには、今旅客の数が少なくなっているという時期でありますけれども、これから、これがまたおさまれば海外からのお客様もふえるでしょうし、また、オリンピック、パラリンピックを控えた時期でもあるということでございます。ますます国際化が進展していく中で、税関の職員さん、人の配置であるとか、あるいは機材であるとか、こういったものも手厚くしていく必要があるのではないかなというふうに考えております。

 ぜひ、今後の人員配置とかあるいは資機材の配置についてということで、大臣から今後の見通しについての御答弁をお願いしたいと思います。

麻生国務大臣 今後の見通し。税関業務を取り巻くいわゆる環境というのは、オリンピック、パラリンピック等々そういったものを含めまして、訪日外国人の数というのは間違いなくこの六、七年で三・八倍とか四倍にふえ上がっております。それだけ税関の職員がふえたかって、ふえておりませんから、そんなには。そういった意味で、当然のこととして、税関職員には負担がかかっておるということなんだと思いますが。

 そのほか、先ほど中江の方から申し上げましたように、覚醒剤等々の話というのは、史上最高、二・五トンとかそういった桁が大きな話になってきていますし、テロの話ももちろんありますし、また、いわゆる金の地金の密輸というのはかなり巧妙化してきておるというのは御存じのとおりなので。

 困難な課題に対応する必要は認識した上で、税関では、きちんとやるところと、迅速に通過させないと来た観光客は気分悪いですからね、やはり。そこらのところは、延々と真夏に待たされたんじゃかなわないとかいろいろな人がいらっしゃいますので、そういったところの水際の取締りと、それと両立させるというようなことで、やはり機械というので、ぱっと出るような機械も今いろいろ出てきていますので、そういったものをいろいろやるにしても、それをオペレーションする人員がまた要るということになるんだと思っております。

 定員については、先ほど申し上げましたけれども、どなたかの質問にお答えしましたが、毎年二百人ぐらいのところをこの三年間ずつ純増させてきていただいておりますので、それについてもやらせていただきますし、予算としても、令和二年は、千億円ぐらいを計上して、いわゆる検査機器等々については、大型のエックス線の検査機械とか、現行機器を更新するとか、そういったようなものに対して、爆発物探知機とかいろいろな新しい機械がありますので、国際郵便物の検査というようなもので、あの中に、封筒の中に入れて送ってくるとかいろいろなものがありますので、検査機器を追加整備する等々をやらせていただこうと思っておりますので。

 いずれにしても、業務運営というものを一層効率化すると同時に、体制の整備というのをきちんと努めていかないかぬ、そういった難しい時代になってきているなと思っております。

森田委員 ありがとうございました。

 厳しい財政状況の中で、先ほど御紹介になったような職員さんの配置をしていただいているということでございます。

 さらに、先ほどの薬物の話じゃないですけれども、日本がいいマーケットとしてそういう組織から狙われているということもございまして、ぜひ、これからまた一層の人員の配置、それから、いろいろなノウハウの共有であったり、あるいは機材の配置、こういったことを含めて、税関の業務が滞りなく遂行できるように、ぜひ大臣の方からも御配慮いただければなというふうに考えております。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、野田佳彦君。

野田(佳)委員 共同会派立国社の野田佳彦でございます。

 まずは、先般、二月二十八日、大臣所信に対して質問をさせていただきましたが、そのときに、新型コロナウイルス対策の一環として、今行われている確定申告、期限については柔軟に対応したらどうかという提案をさせていただきましたけれども、別に私が言ったからじゃなくて、総合的に判断されたと思いますが、四月十六日まで期間を延ばしていただいたこと、善処していただいたことには感謝したいと思います。

 また、かんぽ生命の不正にかかわる問題を取り上げて、そのときに、日本郵政グループの株というのが復興財源になっていて、今のような株価の低迷ではなかなかこれを売却することが困難ですので、二〇二二年度までになっている、これを売るということがですね、復興財源確保法ではそうなっていますよね、どうするかという質問をしたときに、内容は固まっていたんだと思うんですが、まだ閣議決定もしていなかったからそこはもやもやっと答えられましたけれども、三月中に方針を出して法案を提出するというお話でございましたが、五年間延長ということが、その後、閣議決定をされたと承知をしています。これは、やむを得ない措置だろうというふうに思います。

 という前回質問の宿題の後、きょうは改めて関税定率法等について、二十分でありますけれども、質問させていただきたいというふうに思います。

 まずは、やはりこれは、どの行政機関も、そして、つかさつかさで全力を尽くさなければいけないのは、新型コロナウイルスの感染の拡大を歯どめをかけていくということだというふうに思うんですね。国内対策については、きょう緊急対策の第二弾が出たようであります。これについては、後で若干触れますけれども。

 先般も質問しましたけれども、G20からお帰りになった大臣に、国際社会にどのように日本の取組を説明したかということを御質問して、大臣からは、インターナショナルに理解を深めていくことは大事だというような御見解をいただきました。あのときは国際社会というばくっとした言い方をしていましたけれども、絞って、私は今、最大の焦点はアメリカだと思うんですよ。

 アメリカは、スーパーチューズデーで、何か、みんなハグしたり握手したり、大丈夫かよ、各州ごとにクラスターができるんじゃないかという動きをやっている中で感染者がふえてきていますよね。感染者がふえてくると、国内対策を強化するとともに水際対策を強化するのは、これは間違いないんです。アメリカは今、中国とイランについては入国禁止になっていますね。トランプ大統領が不気味なことを言っているのは、イタリア、韓国、日本についての言及がこの間ありました。これも射程に入ってきているんだというふうに思います。

 アメリカに入国制限をされるとなると、他の国も追随をする可能性が大きいと思います。これは、国内対策をどんなに頑張っても、この影響ははかり知れないと思います。それを全力で阻んでいかなければいけない時期ではないかと私は思います。これこそ、今最大の対策ではないかと思うんですね。

 これは、財務大臣、金融担当大臣としてのカウンターパートだけではなくて、副総理として副大統領とのパイプも含めて、アメリカとの非常に強いパイプを持っていらっしゃる麻生大臣でありますので、政府の中で、特にアメリカがまさに日本に対する入国禁止制限をすることのないように、きちんとした日本の取組を、これは誇大広告で言ってはいけないし、うそをついてもいけないと思いますが、きちんと説明をし、理解を求めていくという努力を、全力を尽くしてほしいと思いますけれども、いかがですか。

麻生国務大臣 まことにごもっともな話なので、ここはCDC、センター・フォー・ディジーズ・コントロール・アンド・プリベンションか、CDCPという組織がアメリカの中で一番、プリベンションセンター、米国疾病対策予防センターみたいなものがあります、これがキーです。もうここが全て握っていると言ってもよろしいんだと思いますけれども。

 ここの頭を張っている人に対して、私どもの方から今の置かれている状況等々をきちんとした形で説明して、問題は、おたくらは最近、あんたが言っても大統領が言ったらすぐひっくり返る国になっているから信用できない、したがって、大統領にこれを上げたという保証をくれという話をして、必ずやりますと言って、次の日、大統領の記者会見のときは一切日本の話が出ない、そこは先週の話です。

 そこまでしておりますが、今度はアメリカの方がひっかかりましたので、ちょっと騒ぎになっているだろうなと思いますが、向こうの方が今度は、ちょっとまた別の人を送ってありますけれども、その人に対して聞きたいのはダイヤモンド・プリンセスでどうやったか、やり方を教えてくれと。おまえ、ついこの間までこちらのことをぼろくそ言っておったじゃないか、何言っているんだ、とぼけるなと言っておけといって、そいつに言って突き返した。そうしたら、今度は丁寧に、もう一回、ぜひということを言ってきましたので。まあ、そういう国ですから、そう思われて、我々、ただ、影響力が大きい国ですので、ふざけるなと思ったってちゃんとやっておかないと影響が出ますので、そういった話をきちんと今させていただいておるところですけれども。

 あちらの場合は、日本みたいに風邪を引いたぐらいで医者に行ったら破産しますので、なかなか医者に行かないんですよね、アメリカは御存じのように。したがいまして、ちょっと広まり方がひどいことになりはせぬかなという感じもするし、先ほど言われましたように、日本と違っておじぎじゃなくて握手かハグということになりますと感染率は高まるということがはっきりしていますので、そういった意味では、何となく今まではあれは東洋人の話で白人は関係ないと思ったら、いきなりイタリアでばんといって、スペインでいって、ついにアメリカも、西海岸からではなくて、東海岸から入ってきたことになってきていますので、ちょっと話が忙しくなってきているのかなとは思いますけれども。

 いずれにしても、私どもとしては今言われた点を重視して対応しているところであります。

野田(佳)委員 今、世界で多分、現時点では二十七カ国が日本からの入国の禁止、制限ということをしているんですね。汚染国としてのイメージができたら本当に大変だと思います。その意味からも今は瀬戸際ですし、やはりアメリカの対応というのはとても今重要だと思いますので、一丸となってきちっとした説明をしてほしいと改めて要請をさせていただきたいと思います。

 国内対策の方ですけれども、きょうは、政投銀であるとか政策公庫などを通じて、政府系金融機関をもっとフル回転させて、資金繰りで困っている企業に対する金融支援などを柱とした対策が講ぜられるということの発表でありました。また、先週末は、民間の金融機関に対して大臣からいわゆる資金繰りの支援の要請を、強い要請をされていました。

 これはもう当然やらなければいけないときだと思うんです。いずれこの感染の話も収束をしていったとしても、まだ見通しが立たないし、この間の資金繰りが大事なんですよ。どう見てももはや七転八倒しているような店舗とか企業というのが出てきていますね。これは早急な対応が必要だと思うんですけれども、貸付条件の変更なども含めて柔軟に対応するようにというお話もされたようでありますが。

 これというのは、リーマン・ショックの後に、これは恐縮です、民主党政権の中で、党は違いましたけれども、亀井さんが金融担当大臣をやっていて、いわゆる中小企業金融円滑化法、よくモラトリアム法と言っていましたけれども、あれは劇薬と言われていましたけれども、リーマン・ショック後の企業倒産の流れに歯どめをかけたきっかけになったし、その後のいわゆる金融庁の金融検査マニュアル、その精神を受け継いで金融監督、監督をしてきた、報告を求めるということをやることによって貸し渋りとか貸し剥がしの風潮を一掃するという意味においては、劇薬でありましたけれども、私は効果があったと思うんです、あの時点では。ずっと続けると問題ですけれども、時限立法でしたね。

 たまたまリーマン・ショックの後に導入をして、その後、東日本大震災があったから期間を延ばして、安倍政権の始まりまで法的には効力があったけれども、その後、失効したけれども、その精神はしばらくはずっと生き続けてきたと思うんですが、これ、もう一回、この法律を復活させた方がいいんではないかな、時限立法で限定的にと私は思うんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 本当、あのとき、記憶にあるんですけれども、亀井先生がその話をされたものですから、おまえ、金融がわかるのかと言ってやった記憶が今でも鮮明に残っているんですけれども。いやいや、何とかかんとかと言うから、学校で勉強したような、経済部なんて関係ない、そんな話は、わかるやつをちゃんと下につけてもらえよといって、たしか日銀の大塚耕平さんが行ったんだと思いますね、あのときの記憶ですけれども。日銀って、日銀出身の御党の方が行かれて、二人でいろいろされたんだと思っておりますけれども。

 いわゆる円滑化法案というのは、御存じのように、中小企業等々から融資等々の申込みがあった場合には、できる限り貸付条件の変更など適切な処置に努めるようにしろということに加えて、条件変更の取組状況について報告を求めるというところを、一番出てきたところだと思いますが、私どもはそういったものが円滑化法案の中に入っているのはよく承知をしておりますが。

 私どもの方では、その上で、三月六日の私から金融機関への要請に対しまして、今申し上げた、この法律に書いてあることとほぼ似たようなことを重ねて申し上げますけれども、既往の債務については返済猶予等の条件変更に迅速かつ柔軟に対応すること、二つ、新規の融資については事業者のニーズに迅速かつ適切に対応することを要請した上で、銀行法第二十四条によって、金融機関による条件変更の取組というのを報告しろ、かつ、その状況はこちらで公表しますということもいたしておりますので、この要請は、事業者の資金繰りを支援するという観点では、野田先生おっしゃったように、中小企業円滑化法というものとほぼ同様の内容を今やらせていただいております。

 したがいまして、この円滑化法を復活させるまでもなく、今後、金融庁において、金融機関に対しまして、事業者の資金繰り等々の支援の取組を当面、金融庁も地方の銀行を回ったりしますけれども、当面の検査監督の最重点はこれ、銀行が潰れる等の話よりもまずはこれという話をしておりますので。要請内容の実効性があるものになるようにしっかりとした対応をしていかないけませんと思っておりますので。

 大変ですと言って来られる前に行けと。営業せい、営業という話も、全部下へおろせという話をそこまでしておりますので、それなりの対応がしてもらえるんだと思っておりますので、きちんとあと、後追いして、フォローしてまいりたいと思っております。

野田(佳)委員 こういうときこそ銀行の出番だと思いますので、しっかりとそこはフォローしていただきたいと思いますが、ちなみに、円滑化法で何万件と貸付条件の変更の申出があって、あれ、九八%そのとおりになっているんですよね。やはり実効性があったと思いますね。ぜひその精神は生かしていただいて。

 やはり、民主党の政権がやったことを何か遠慮しているんですよ。こういうときはやっていただいて全然構いません。新型インフルエンザの特措法だって、今ごろになって何か活用しようという話でしょう。ちゃんと法的な根拠を置いて、やるべきことをやってほしいというふうに思います。

 法案の中身に入りますが、これ、もう先番議員のいろいろな質問にも重なりますが、私は今回の関税定率法の改正の中で一番特筆すべきことは、これはやはり半世紀ぶりのとん税と特別とん税の改正、軽減ですよね。半減ですよね。

 この意味は、先ほどからも議論がありましたとおり、これは櫻井さんが取り上げていましたけれども、やはり上海とか釜山港に比べて国際競争力が落ちている。釜山港なんてもう、趙容弼が「釜山港へ帰れ」を歌っているころと全然違って、躍進に躍進を遂げていますから。それに比べると、さっきの週単位の主要航路の便数の話も出ていましたけれども、もう京浜も阪神も全然、今はもう負けている、劣っているという状況ですので、その一環として、推進のお話もございましたけれども、つかさつかさで頑張るという意味では、この税のところで我々としては頑張っていこうという趣旨だと思うんです。

 これは、もう趣旨はわかりました。だから、これはもう大臣に御質問しません。問題は、大事なところは、特別とん税というのは、これは地方税じゃないですか。国の方はそういう覚悟で、国税が減るかもしれないという中で頑張ろうというのもいいんですが、特別とん税ということは、関係する自治体があるわけです。長年、全国の市長会なんかは、むしろ、特別とん税の引上げなんかを要求したこともあったんですよ。関係自治体の理解はちゃんと得ることができているのかどうかについて、これは関税局長にお尋ねをしたいというふうに思います。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 本特例措置における特別とん税の引下げについて、国交省によれば、対象となる京浜港、阪神港、名古屋港及び四日市港に所在する全ての関係自治体から御了解をいただいております。

野田(佳)委員 では、最後、もう要望だけ。

 税関の役割は、これは森田さんがもう言ったとおりで、細かいことは言いません、細かいことは言いませんが、私、忘れられないのは、去年、千葉県は台風十五号でえらい影響を受けましたね。あのときに、冠水だとか、停電だとか、断水とかでえらい目に遭いましたけれども、成田空港が、どんどんどんどんと着陸を許して、どんどんどんどんお客さんがふえちゃって、一万四千人ぐらい人がたまっちゃう、陸の孤島になったじゃないですか。そのときに、当然のことながら、税関の職員の皆さんも帰れないんですわ、もうバスも鉄道もとまっている。そのときに、臨機応変に、寮があるんですよ、税関の、自主的に職員たちが駆けつけて応援に入ったというのを聞いたことがあります。

 というぐらいに、一万人弱の組織だけれども、税関の職員というのは、モラルが高いし、非常に体育会系でチームワークがいいんです。その人たちが、今、水際で、いろんな課題を背負っていますね。薬物だとか、銃だとか、何か動植物の問題を含めて、あらゆる課題、テロの問題を含めて、課題を背負って、頑張っています。私はすばらしい組織だと思うんだけれども、やはり、まだ人員もそして装備も足りないところがいっぱいありますので、そのことは十分もうお含みおきだと思いますが、その体制整備についての御決意だけ、最後にお聞かせいただければと思います。

麻生国務大臣 これは、先ほど櫻井さんのときの話にも出ていましたけれども、税関の職員というのは、やはり、今言われましたように、いろいろな技術的な能力プラス、モラルがないと。ちょっと、こう、いただいたり、もうどこかの国なんかはしょっちゅうやっているところですから。ちょっといわゆるオーバーウエートしたら、ちょっとお金をやったらすぐにすっと通してくれるなんて国は、私ども、そういうところばかり、長いことアフリカにおりましたので、そういうところに住んでいましたのであれですけれども、日本の場合、そこらのところはえらいしっかりしている。モラルが高いと言われた点は、私ども、大変誇りに思っておるところです。

 いずれにいたしましても、税関の職員の、そういった待遇を含めまして、モラル、規律、そういったものをきちんと維持できるように努力してまいりたいと思います。

野田(佳)委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 関税定率法等の一部を改定する法律案について、質問をさせていただきます。

 国際コンテナ戦略港湾政策推進のため、外国貿易船が日本に寄港する際、その容積にひとしく課税するとん税及び特別とん税に今回特例を設けるということになりました。この政策は、二〇一〇年に阪神港及び京浜港が国際コンテナ戦略港湾として選定されて以来、寄港便数をふやすべく、国土交通省が進めてきたものです。

 それで、港湾整備やアクセス道路等の戦略港湾事業の総事業費は、二〇一一年度から二〇一九年度まで、六千六百億円を超えます。今回の特例も、国際戦略港湾に限って適用されるというものなんですね。つまり、港湾整備やアクセス道路等の戦略港湾事業にどんどんお金をつぎ込んできた、そして、もっともっと外国船をふやそうということで進めてきたわけですが、初めに関税局長に伺います。この間、我が国に寄港する欧米基幹航路の便数はふえましたか。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 国際戦略港湾に入港する欧米基幹航路の便数につきましては、国際コンテナ戦略港湾政策が開始された二〇一〇年以降、おおむね減少傾向にあると承知しております。

清水委員 ふえていないんですよね。減っているんですよね。それだけお金をかけても便数がふえていない。

 先ほど、大水深コンテナバースのお話がありました。一斉に、十四メーターぐらいは必要だということで進めてきて、阪神港でも今十六メートルの大水深コンテナバースをつくりましたけれども、ふえていないんですよね。やはりこれは政策効果は乏しいと言わなければなりません。

 韓国、釜山港への寄港便数は増加傾向にあるわけで、国際コンテナ戦略港湾の三港湾、これは阪神港、京浜港、そして伊勢湾も含めまして、ほとんど減少しているわけですよね。

 諸外国のとん税と比べても、日本のとん税が高いということではないんです、実は。ですから、今回とん税及び特別とん税を引き下げる、これは一体何を狙ったものなのか。わずかですけれども、四億八千万円、国と地方の税収が減るわけですよ。

 やはりこれは政策効果についてしっかり検証しないといけないわけなので、今回のとん税及び特別とん税の減税措置のみで、どんどんどんどんお金はつぎ込むんだけれども欧米航路は減っている、便数が減っている、こういう傾向を変えるということができるんでしょうか。

中江政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のとん税及び特別とん税の半減につきましては、コンテナ貨物定期船の積載量一トン当たりの税負担が欧州、北米航路と近距離航路との間で約二倍の開きとなっている、そういうことに着目いたしまして、両航路の税負担が同程度となるように、欧州、北米航路のとん税と特別とん税の税率を半減することにしたわけでございます。これによって、国際戦略港湾の競争力を高め、欧州、北米航路の寄港数が維持拡大されることを期待して措置するものでございます。

 もちろん、本特例措置の効果については定期的に検証していく必要があるというふうに考えてございます。

清水委員 日本の港湾は、やはり、アジアのハブ港という位置づけが国際的にも低いですよね。シンガポール、上海、釜山と比べて、寄港する欧米外国船籍は非常に少ないわけなんです。

 こうした船の入港数をふやすためには、やはり、全体の貨物量をどうふやすのか。大体、トヨタの自動車でもマツダの自動車でも、九州からどんどん中国へ、釜山港を通じて輸出しているわけですよ。ですから、こうした国際コンテナ戦略港がそもそもそういうハブ港としての役割を果たしていないという問題があります。また、とん税だけではなくて、荷役作業にかかる時間やコスト、こういうものもやはり加味されるというふうに思うんですよね。

 やはりこうした多岐にわたる問題点を検討する必要があるわけで、今回のとん税、特別とん税だけを下げたからといって、欧米基幹航路がどんどんふえていく、これはちょっと見込みは甘いのではないかなというふうに思いますので、今関税局長がおっしゃられたように、やはり適宜その政策効果についてはしっかりと注視をしていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。

 次に、新型コロナウイルス感染症による申告、納税対応について、国税庁に確認したいと思います。

 大阪府内の税務署で、職員への新型コロナウイルス感染が発生しました。今後、感染が他の職員に拡大する可能性も排除されておりません。集団感染によるクラスターが税務署で発生する可能性もあるわけで、今ちょうど確定申告の時期ですが、これがどんどん拡大していくというようなことがあった場合は、これはどういう対応をされるんでしょうか。お答えいただけますか。

田島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、実際、職員の感染が判明いたしました。

 国税庁におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、申告相談事務に従事している職員がコロナウイルスに感染した場合又は濃厚接触者と判定された場合、さらに感染者が確定申告会場に来場していたことが判明した場合におきましては、感染の拡大を防ぐべく、保健所などの指導を仰ぎながら、申告相談を一時中断し、会場の消毒を行うととともに、そうした職員の感染や業務の一時中断の事実を直ちに報道発表するという運用を現在行っているところでございます。

 こうした取組を実施していくためには、日ごろより事前の準備の徹底ですとか、保健所との協力体制の構築に努めていくことが重要と考えておりまして、その旨、全国に指示しているところでございます。

 その上で、確申会場における感染拡大防止の取組全般について若干お答えいたしますと、まず、先般公表したとおり、今、申告、納税期限を延長することとしてございます。さらに、職員に対する手洗い、うがい、マスク着用の徹底などの対策を講じているなど、感染防止に努めているということでございます。

 今後とも、感染拡大防止に努めるとともに、納税者が不安に思うことなく申告を行っていただけるような体制整備に努めてまいりたいと考えてございます。

清水委員 確かに、申告、納付期限については延長が告示されまして、四月の十六日まで納付期限が延長されたわけなんですが、しかし、現状を考えますと、本当に延長期限内に新型コロナウイルスの感染拡大が収束するのかどうかというのはまだわからないわけなんですよね。職員への感染による影響もまだ懸念されているわけですし、もっと言えば、申告する方が感染するとか、その家族が感染するとか、いろいろな状況が考えられるわけなんです。

 今後、状況が更に悪化し、こういう状況が継続した場合、これは申告、納付期限のさらなる延長も検討するべきだと思うんですが、そこはいかがでしょうか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員御指摘のとおり、四月十六日まで個人の申告所得税等の申告、納付期限を延長するとしたところでございます。

 お尋ねの点につきましては、まずは延長された期限である四月十六日まで確定申告会場などの感染防止策の徹底などに万全を期していく、こういうふうになろうかと思いますが、その上で、今後の政府全体の方針などを踏まえながら適切に対応していくこととなろうかと存じます。

 なお、先ほど個々の納税者の御事情のお話も御指摘いただきましたが、期限内に申告等を行うことができないやむを得ない事情がある場合には、税務署への申告によりまして、個別に申告、納付等の期限を延長できる制度がございます。この制度の運用に当たりましては、納税者個々の実情をよくお聞きし、納税者の置かれた状況に配慮しながら、法令等に基づき適切に対応してまいりたいと考えてございます。

 いずれにいたしましても、納税者の方におかれましては、御不明な点等ございましたら、最寄りの税務署に御相談いただきたいと考えてございます。

清水委員 個々の事情において延長することもできるということですので、柔軟に対応していただきたいと要望しておきたいと思います。

 申告期限の延長は、それはそれで必要なんですが、新型コロナウイルスによる影響で、一部の中小企業、あるいは小規模事業者、あるいは飲食店、こういうところでは売上げが激減して資金繰りが悪化しているというふうに聞いております。私も実際、地元大阪等で、この週末、聞いてまいりました。

 納税そのものが困難となっている。一月、二月の売上げで、もっと言えば、三月に入ってからの売上げで、これで何とか税金を納めるという零細業者も少なくありません。そういう方々が納税そのものが困難になっているという場合、国税庁としてどのような対応が考えられますか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 納税をしていただくに当たりましては、納税者の方々の個々の実情を十分に伺いながら対応させていただくことになります。

 その際、先ほど委員から御指摘ありました資金繰り等の事情から国税を一時に納付することが困難な場合には、申請により納税の猶予が可能となってございます。この猶予の期間は一年以内とされておりますが、やむを得ない理由があると認められるときには、更に一年延長することができます。

 従来から、この猶予制度の適用に当たりましては、納税者の置かれた状況に配慮し対応してきたところであり、引き続き適正な対応を行ってまいりたいと考えてございます。

 先ほどの答弁と繰り返しになりますが、納税者におかれましては、御不明な点等ございますれば、最寄りの税務署に御相談いただきたいと考えてございます。

 また、国税庁としては、チラシやホームページ、こういったものを使いまして、この猶予制度の積極的な周知、広報に努めてまいりたいと考えてございます。

清水委員 もう一問、田島次長にお伺いしたいんですけれども、融資の問題もあるんですが、やはり差押え、滞納処分などが実施されれば、幾ら政府が資金繰りでお金を貸しますよと言っても、融資を受けられなくなってしまいます。納税者の実情をよく聞いていただいて、滞納処分については、やはり慎重に行うべきだというふうに思うんですよね、こういう状況下ですから。

 それから、先ほど納税の猶予の制度もあるというふうに言われましたが、これも原則として担保の提供が必要なんですよね。ですから、そうした担保を出せない方々とか、あるいは滞納処分の危機に瀕している方とか、こういう危機的な状況ですから、やはり従前とは違う万全の対応ということも、資金繰りとあわせて納税の方でも求められると思うんですよね。

 それで、職員さんによっては、個々の事情によく対応していただけるという方もおられれば、しゃくし定規に、あなただめだ、もう滞納処分だという方もおられれば、担保がなければ分割だめだという人もいるかもしれないですよ。

 そういう個々のケースで当たり外れがあるようなことでは、これはちょっと納税者はたまりませんから、ぜひお願いなんですけれども、国税庁として、全ての税務署職員の皆さんに、親切丁寧な対応がされるような通達などを出していただきたいと思うんですが、そのことも含めていかがでしょうか。

田島政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたけれども、この猶予制度の適用に当たりましては、納税者の置かれた状況に配意し対応してきたところで、引き続き適正な対応を行ってまいりたい。先ほど御指摘がありましたが、税務職員によって対応が異なるといったことではいけませんので。

 実は、今般の事態を受けまして、そういったところを更に周知ということで既に指示文書を出しておりますので、そういったものを適切に対応してまいりたいと思います。

清水委員 よろしくお願いいたします。

 最後に、セーフティーネット保証の問題についてお伺いしたいと思います。

 きょうは、経産省の松本洋平副大臣にも来ていただいております。

 大阪市の保証協会の窓口、今、すごく相談者が殺到していまして、相談窓口に行くまで一時間半待ちと言われたんですよ。金融機関を通じて保証協会に融資を申し込む際も、審査まで一カ月かかると言われたんですよ。一カ月もかかったら、そのお金を借りるまでの間に潰れてしまうというような声も聞かせていただきました。ぜひ、迅速な対応というのがやはり必要だというふうに思うんですよね。

 私の聞いた話では、例えば自転車販売業でいうと、今、電動アシスト自転車というのが売れ筋なんですが、これがほとんど中国から入ってこないと。在庫がなくなれば、もう売るものがなくなるので営業できないとか。あるいは、自転車のサドル、ありますでしょう。そのサドルを調整するレバーってあるじゃないですか。あれはほとんど中国製なんですよね。これがないと自転車を組み立てられないとか、こういう影響も広がっている。

 これも、私、聞いた話ですけれども、お好み焼き屋さんは、消費税が上がったときに、ドリンクの値段は上げたんだけれども食べ物のメニューは上げずに頑張ってきた。実質値下げですよね。それでも、今回のコロナ問題が起こってから一見さんが来てくれなくなったと。朝はかけ持ちでアルバイトもしているけれども、それも、これ以上コロナが続けば限界だという話もあります。

 私が時々行く焼き鳥屋さんも、先週は売上げが半分だというふうに言っておられました。本当に無観客営業の日が続いたというようなことも言われておられました。もう深刻なんですよね。

 ですから、やはりスピードが大事だと思うんです。

 申込みの窓口などで渋滞などが起こらないように、ぜひ、信用保証協会の体制の拡大充実、これをすることが求められていると思うんですが、松本副大臣、いかがでしょうか。

松本副大臣 今委員から御指摘がございましたけれども、我々といたしましても、特に中小企業につきましては、全国千五十カ所に設置いたしました経営相談窓口において情報収集を行っております。これまで幅広い事業者から資金繰りに関する相談が寄せられておりまして、三月九日時点で約二万四千件の相談を受けておりまして、九七%が資金繰り関係ということでもありますので、中小企業を中心にこうした実態が広がっているということを、私たちとしても大変重要な課題として考えているところであります。

 中小企業の事業継続にとりまして資金繰りの確保は何より重要でありますけれども、とりわけ年度末を迎えるということもありまして、多くの事業者が経費などの精算を行う時期とも重なっておりまして、資金繰りの重要さが一段と高まる時期であるというふうに認識をしているところであります。

 事業者に必要な資金が円滑に供給されるように、融資、保証手続の迅速化を図るため、最大限の対応を行うこととしておりまして、日本政策金融公庫におきましては、本部人員の支店への応援派遣、支店営業時間の延長、また、定期人事異動の凍結などを行うこととしております。

 また、信用保証協会におきましては、柔軟な人員配置による相談、審査体制の強化、休日の相談受け付けや平日の相談受け付け時間の延長などを行うこととしているところであります。あわせて、提出書類を見直すなど、融資手続の簡素化、迅速化、事業者の負担軽減にも取り組むこととしているところであります。

 加えて、三月六日には、改めて、政府系金融機関及び信用保証協会に対して、最大限のスピードで事業者の資金繰りに万全の対応を行うことや、事業者の負担にも配慮することなどにつきまして要請を行ったところであります。

 引き続き、事業者の資金繰りに支障が生じることがないよう、全力で支援してまいりたいと存じます。

清水委員 ぜひ、融資実行までの迅速化、引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 これも私が地元から聞いたお話なんですけれども、融資なんだが、やはり借りるのをちゅうちょされている方もいらっしゃるんですよ。というのは、既に今返済しなければならない借金を抱えながら営業されている方がほとんどで、新たに借入れをすると、その返済まで大変になってしまうと。この新型コロナウイルス感染症の影響がいつまで続くか出口が見えない中で安易に貸してもらってしまうと、それこそ後で大変なことになってしまうということで、慎重な方が多いんですよね。

 それで、これも松本副大臣に要請なんですけれども、事業者からは、政府からの借入れ等については無担保無利子にしてほしい、また、返済猶予期間も従来よりも柔軟に設定していただけないかということなんですよね。やはり、こうした声に応えて、中小企業が資金繰り等で新たな借入れをすることをちゅうちょしないように、安心して借りていただけるような、そうしたメッセージも必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

松本副大臣 これまでも、そうした中小企業の資金繰り対策というものを、さまざまな手だてというものを打っているところでありますけれども、本日、第二弾の緊急対応策というものを決定するという運びになっておりまして、そこでは、更に、資金繰りの一層の支援というものを充実させることとしているところであります。

 具体的には、日本政策金融公庫などにおける特別貸付制度の創設、フリーランスを含む個人事業主、売上げが急減した中小・小規模事業者に対する実質無利子無担保の融資など、こうしたものを今準備をするということにしているところでもありまして、ぜひこうしたものを御活用をいただきたいと思っております。

 また、政府系金融機関また各信用保証協会に対しまして、スピードを上げてということも申し上げましたが、既にお借入れをいただいている債務の返済期間の長期化も含めた条件変更などに最大限の配慮を行うことなどにつきまして、三月六日に経済産業大臣から要請を行ったところでありますし、また、民間金融機関に対しましても、事業者の資金繰り支援に迅速かつ適切に取り組むよう、三月六日に麻生金融担当大臣から要請を行っているところであります。

 経済産業省といたしましても、この要請文に沿った対応が行われますように、関係省庁とも連携してフォローアップをしてまいりたいと思いますし、また、所管する政府系金融機関及び各信用保証協会が事業者の実情をきめ細かく把握をし、今般の要請に沿って取り組むよう、しっかりと指導してまいりたいと存じます。

清水委員 時間が来ましたので、最後に麻生大臣に一問聞いて、私の質問を終わりたいと思います。

 緊急対応策第二弾につきましては、今年度については予備費で対応するということなんですが、しかし、来年度以降、新たな財政措置が必要であるということは間違いないと思います。

 しかし、来年度予算案には新型コロナウイルス関連の予算が一円も計上されておりません。感染拡大の防止、検査体制の拡充、中小・小規模事業者への支援や、フリーランス、非正規労働者への生活保障など、具体的な財政措置が求められていると思うんですが、麻生大臣の所見はいかがでしょうか。

麻生国務大臣 コロナと名前が書いていないからといって、ほかの科目でコロナに使えないなんというルールじゃありませんからね。ちゃんとこの中にはコロナに使えるようなお金が入っているということも、ちょっと後で役人に聞かれたらわかりますから。ゼロにしているなんというような感じは間違っていますから、訂正しておいてください。

 第二弾の取りまとめがきょう夕方発表されると思いますけれども、下振れリスクを確実に乗り越えていくために、これまでにもう、昨年の十二月に十三兆円の総合経済対策を既にやらせていただいて、それの対応のための補正予算も既に通過をさせていただいておりますので。

 私どもは、今新たに新型コロナウイルスというものがどれくらいの影響が出るかというのは、これは、どれくらい長く続くのか、どれくらい感染が拡大するのかによって全然違いますから、そういった意味では、うかつに今、これでやります、足りますなんてことは、全く言えるあれがありませんから、今の段階では、確実にということで、きょう発表させていただく分にとどめさせていただいているのであって、来年そういった状況になれば、それで対応してやらせていただければと思っております。

清水委員 それでは、質問を終わります。

 ぜひ、資金が枯渇しないようにお願いします。ありがとうございました。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 最後でございますので、同僚議員の方の質問とかぶるところも多くなるとは思いますけれども、なるべく簡略に質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、とん税及び特別とん税の特例措置の創設について伺います。

 今回の特例措置の創設で意識されている日本の港湾の競争相手となる港湾はどこか、また、今回の税率の引下げによりコスト面で日本の競争力がどうなるのか、簡単にお答えください。

堀田政府参考人 お答えいたします。

 アジア諸国におけるコンテナ取扱量の急増、スケールメリットを追求するためのコンテナ船のさらなる大型化や、船社間の共同運航体制の再編等による寄港地の絞り込みの進展により、港湾間競争が激化している状況にございます。

 例えば、韓国の釜山港では、港湾の競争力強化を図るため、トランシップ集荷支援策の実施や入出港コストの軽減措置、また、積みかえに適した広大なヤードと水深十六メートル以上の岸壁を有するコンテナターミナルの確保などの取組を積極的に行うことによりまして、我が国以上の国際基幹航路の寄港便数を確保している状況にございます。この結果、我が国を出発地とする外貿コンテナ貨物の一割弱が釜山港経由で輸送されている状況にございます。

 このような状況を踏まえますと、我が国の国際コンテナ戦略港湾の競争相手としては、釜山港等の東アジアの主要港湾が想定されるところであります。

 また、もう一つの御質問でございますけれども、今回の税率の引下げによりコスト面で日本の競争力がどうなるのかという点でございますけれども、これにつきましては、まずコンテナ船が寄港する際にかかる入出港コストは、とん税、特別とん税のほか、入港料、引き船料等の費用によって構成されております。とりわけ我が国の港湾では、国際基幹航路のように、船型が大きく、また投入隻数が多くなるほど、とん税、特別とん税の入出港コストに占める割合が著しく大きくなる傾向にございます。釜山港等の近隣諸国の競合港との比較においてもコスト高となっております。

 このため、とん税、特別とん税の軽減措置により、競合港である釜山港などと同程度の入出港コストとなりまして、コスト面での競争条件の改善を図ることができ、競争力の強化にもつながるものと考えております。

青山(雅)委員 特に欧州、北米航路のコンテナ貨物定期船の入港数をふやすには、今のとん税の話だけではなくて、大臣が先ほど御指摘されていました水深の問題であるとか、総合的な対策が必要だと思っております。

 ちょっと時間の関係で、ぜひ総合的な対策を今後きちんととっていただいて、そもそも船が入れないのでは、これはどうしようもないわけですから、そういったことについてきちんと目配りをしていただきたいということを要望させていただきます。

 次に、これも、先ほど来同僚議員の方が盛んに御質問されていて、私も同じような問題意識を持ってお伺いするわけですけれども、訪日外国客数の飛躍的増加であるとか、麻薬などの禁制品密輸の摘発例の増大、あるいは消費税上げに伴う金の密輸の増大、こういった、本当に日本が狙われている状況にあると思っております。弱いところから狙われるというのがこの世界だと思います。

 そういった観点で、先ほどから同様の質問にお答えいただいておりますので、本当に簡単で結構ではございますけれども、税関の人員の拡大、ここ三年間、二百九名、続けて増員されていると思いますけれども、これでもまだ外国客数の増加には追いついていないのかなと思います。それから、例えば大型のエックス線の可搬的な、移動する設備、トレーラーをそのまま見れる。原子力規制委員会との調整等も必要なようですけれども。

 こういった人的、物的設備の拡充について、大臣の御決意をお聞かせください。

麻生国務大臣 今おっしゃいましたように、この六、七年間で外国人の来日総数が飛躍的にふえまして、三千百万というような形になってきておりますので、かつての三・八倍になっておる形になっております。

 それに対応して、私ども、税関の人員をふやすということをやらせていただいて、今、この三年連続二百人ずつ、ことしは二百九人ということでやらせていただいております。

 これは単なる切符のもぎりとわけが違いますので。税関職員というのはきちんと検査せないかぬ立場にあります。ある程度経験が問われるので、そんな簡単に、社員になったらすぐできるという話とは全く違いますので、少し時間がかかる。

 また、予算につきましても、対前年比で二・七%ぐらいになるような予算を組ませていただいて、今言われたような大型のエックス線の検査装置とか、不正薬物とか爆発物の探査装置とか、そういったようなもの等々を調べられるような検査機器というものの追加整備というものをやらせていただくようにいたしております。

青山(雅)委員 ぜひ、日本がそういった面でも危ないことにならないように、担当部署あるいは大臣、御努力をお願いしたいと思っております。

 続きまして、今国民の最大の関心事である新型肺炎、COVID―19についてお伺いします。これについての対策であるとか調査であるとか医療体制の整備には、当然予算措置が必要となってくる、そういった観点からお伺いしたいんですけれども。

 今、さまざまなものの自粛が呼びかけられております。宴会であるとかパーティーであるとか、あるいは、クラスターの発生しやすいところで、ジムなどについても危惧がされております。これが、中小飲食店、あるいはパーソナルトレーナーという、最近非常に多いわけですけれども、こういった方の生活を直接的に脅かしている。一方で、これも政府の要請によるもので経済的な損失が生じている。

 そう考えますと、休校に伴うフリーランスの助成と同じように、貸付けではなく給付ということが検討されてもいいのかとは思います。その点について、経産省の御見解をお伺いします。

鎌田政府参考人 お答えいたします。

 今回の新型コロナウイルス感染症の拡大により、民間事業者が受けている具体的な影響はさまざまであり、一律ではないという状況でございます。営業、イベントの自粛を行っている例もあれば、営業時間の変更や消毒の徹底で対応している例もある。また、営業、イベントの自粛によって、その納入業者の販売に影響が出るというケースもございます。

 このような民間事業者の多様な機会損失や追加コストにつきまして、政府が一律に補償するということは、社会全体に納得感のある公平な対応という観点から慎重に判断する必要があると考えております。

 このため、経済産業省といたしましては、まずは、資金繰り支援により、中小・小規模事業者が資金ショートを起こさないように万全を期していきたいというふうに考えております。

 このため、二月十三日に取りまとめました緊急対応策では、当面の第一弾の措置として五千億円規模の融資、保証を措置したところでございますし、また、これにとどまらず、週末の総理の指示を受けまして、本日取りまとめる予定の第二弾の緊急対応策におきましては、更に強力な資金繰り支援を含む必要な対策を盛り込んでいきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

青山(雅)委員 ぜひ、同じ政府の自粛要請でもって国民の間に不公平が生じないように、よく目配りして対策をとっていただきたいと思います。

 続きまして、最近、新幹線に乗っていると、よくJRの方から、このコロナウイルスに対する対策を盛んに呼びかけられるわけですけれども、例えば東京なんかでは、混雑時には目いっぱいの長さの車両が来るわけですけれども、静岡などの地方にいますと、例えば六両、八両くらい連結できるところで、三両、五両の電車が混雑時に来るということがあるわけですね。そうすると、二倍混んでしまうわけです、六両に比べて三両ですと。

 こういった直接的な対策も、きちんと国交省としては鉄道事業者に呼びかける必要があると思うんですけれども、そういったことは検討されていないでしょうか。

寺田政府参考人 お答え申し上げます。

 新型コロナウイルスの感染予防策として、鉄道車両の混雑緩和を図ることは、委員も御指摘のとおり、大変重要な課題であると認識をしてございます。

 今ほど、車両の増結について御指摘をいただきましたが、二月二十五日に決定されました新型コロナウイルス感染症対策の基本方針、こちらにおきましては、テレワーク、時差出勤の推進などを強力に呼びかけることとしておりまして、国土交通省といたしましては、駅、車内などで、テレワーク、時差出勤を働きかけることなどによって、ピーク時間帯の鉄道利用者数を抑制し、混雑緩和に取り組むことが適当であると考えてございます。

 引き続き、混雑緩和を始めとする感染予防対策を徹底してまいりたいと考えてございます。

青山(雅)委員 ちょっと人ごとのように感じます。

 例えば、今言ったように、車両編成を倍増すれば混雑度は半分になるわけですね。テレワークを呼びかけても、どの程度効果があるかわからないわけだから、そういう直接的な効果ができ、しかも経済的にも余裕のあるそういった鉄道事業者に対してきちんと呼びかけをすることが必要だと思います。ぜひ御検討ください。

 続きまして、厚労省の方にお伺いしたいんですけれども。

 PCR検査は、ダイヤモンド・プリンセスや、武漢からの帰国者、あるいは既に発症が確認されている者の濃厚接触者などの例外を除いて、軽症例にはなされていないという理解でよろしいでしょうか。はい、いいえで結構でございます。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省といたしましては、PCR検査の対象につきまして、二月四日以降、対象者の要件に限定されることなく、各自治体の判断で検査を行うことを可能としてございます。

 そういう意味で、各自治体において、重症者等に限定することなく、適切に判断して検査を行っているものと承知しております。

青山(雅)委員 もう一つお伺いしたいんですけれども、帰国者、接触者などにおける陽性例でかつ軽症者、こういった方は自宅待機なんでしょうか、それとも隔離施設のあるところで入院しているんでしょうか、どっちでしょう。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のところということになりますけれども、検査の結果、陽性と判定された患者の方につきましては、基本的に、感染症法に基づく感染症指定医療機関に入院いただき、症状に応じた適切な治療を受けていただくこととしているところでございます。

青山(雅)委員 そうしますと、大変心配されるのは、各自治体の判断、あるいは今度から保険適用があるということでPCR検査が拡大していった場合に、軽症者が非常に増大する。中国の武漢あるいはイタリアで死亡例が多いというのも、軽症の感染者によって医療崩壊が起きている、医療施設がパンクしてしまって、あるいは医療従事者が非常に疲弊してしまって、重症者に対するきちんとした対応ができていないということも一つの要因として推測されているところだと思います。

 日本の場合には、人工呼吸を超えて、血液を体外でもって直接酸素交換させるというような大変手厚い措置がなされていて、こういったものも死亡者が少ない要因だと思います。

 そう考えると、軽症者がふえた場合に、今のような隔離施設のある病院の入院、もしこれを続けていくのであれば、その入院設備自体を拡充していかないと、重症者が結局おろそかになって死者をふやすという大変残念な結果になりかねないと思いますけれども、その辺、どういうふうにお考えでしょうか。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今後の重症患者の増大を念頭に置きながら、入院施設の拡充を図っていくということが極めて重要だと考えてございます。

 対策本部が決定いたしました基本方針におきましては、今後の患者数の増加等を見据えて医療機関における病床数の確保を進めるということで、現在、二千を超える感染症病床がございますけれども、緊急時にはこの感染症医療機関におきます病床を最大限動員することで五千床を超える病床を確保することが可能であると考えてございます。

 政府といたしましては、病院等への支援を行い、現時点であいているベッドを全て維持してもらうことで、患者が大幅に増加する事態にも万全の医療提供体制を整えてまいりたいと考えております。

青山(雅)委員 最後に、麻生大臣に一問だけお伺いしたいと思います。

 今、先ほど申し上げたような中小企業対策、個人事業者対策、あるいは入院施設の整備には当然予算の裏づけが必要だと思います。自治体に丸投げではいけないと思っております。

 ぜひ、そういったことについて、どういうふうにして国民の安心、安全を守るために予算を投入していくのか、担当大臣としての御決意をお聞かせください。

麻生国務大臣 過日の緊急対策に引き続きまして、きょう、第二弾の対策をこの後出させていただくことになろうと存じます。

 この中で、今回の臨時休校等々によって職場を休まざるを得なくなった方々に対する、保護者に対する助成金を創設するとか、また、中小企業等々でやります学校給食のパン、あれは米飯もやっております、大きなパン屋ではほとんどありませんで、地元の小さなパン屋がやっておるというのが大体のところなので。

 ここらのところに対して、このパンをやります学校と、小麦、米飯を扱います農林省と、それと支出を実際にいたします地方自治体と三所にまたがっておるような話なんで、大体こういうのはやらない、いまだかつて、今までの対策でこういうのをやった例はありませんから、そういった意味では、今度それをやらせていただく等々、いろいろなきめ細かな対応をやらせていただいて、中小・小規模事業者等々の方々の資金繰り等々に対応させていただくという盛り込みを本日中にも決定を行うことになろうかと思います。

 いずれにいたしましても、この状況がどれぐらいで収束するのかが、ちょっと先生、これはよくわからぬところなんで、中国は終わったと言っているんですよね。もう新聞を見られたかもしれませんが、終わりましたと。病院を全部閉鎖しているんですから、何だこれはと思いましたよ。きのうのCNNでいろいろやっていましたので見られた方も多いと思いますけれども、我々はウイルスに勝ったって、おまえ、冗談言うなと思って、そんな、ふざけたようなことを言うなと思いながら見ていました。いや、本当にそうやっていますから。でも、やらせの多いところですからよくわかりませんもんね、この国は。

 ですから、私どもとしては、そういった状況は、本当ならそれで結構ですよ。しかし、現実問題としてはちょっと眉唾物の話だと思いながら、きのう夜、CNNを見ていたんですけれども。

 いずれにいたしましても、今こういったようなものが実際にそうなっていくのかどうかというのを見きわめた上で、きちんと対応させていかないかぬと思っております。

青山(雅)委員 ぜひ、国民が安心できるような、ちょっと今パニックになりかけているのを静めるような積極的な予算措置とそれから発言、発信をお願いしたいと思います。

 本日は、貴重な時間をありがとうございました。終わらせていただきます。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、明十一日水曜日午後五時理事会、午後五時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十九分散会


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