衆議院

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第10号 令和2年3月24日(火曜日)

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令和二年三月二十四日(火曜日)

    午前九時三十五分開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井上 貴博君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    勝俣 孝明君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      西田 昭二君    古川 禎久君

      牧島かれん君    宮澤 博行君

      宮路 拓馬君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      海江田万里君    吉良 州司君

      岸本 周平君    櫻井  周君

      階   猛君    西岡 秀子君

      野田 佳彦君    日吉 雄太君

      森田 俊和君    石井 啓一君

      清水 忠史君    青山 雅幸君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務副大臣        遠山 清彦君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 稲岡 伸哉君

   政府参考人

   (財務省大臣官房長)   茶谷 栄治君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    矢野 康治君

   政府参考人

   (財務省理財局長)    可部 哲生君

   政府参考人

   (財務省国際局長)    岡村 健司君

   政府参考人

   (国税庁次長)      田島 淳志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   参考人

   (日本銀行総裁)     黒田 東彦君

   参考人

   (日本銀行理事)     前田 栄治君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十四日

 辞任         補欠選任

  今枝宗一郎君     西田 昭二君

  門山 宏哲君     神山 佐市君

  國場幸之助君     安藤 高夫君

  田野瀬太道君     宮路 拓馬君

  本田 太郎君     高木  啓君

  岸本 周平君     西岡 秀子君

  森田 俊和君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     國場幸之助君

  神山 佐市君     門山 宏哲君

  高木  啓君     本田 太郎君

  西田 昭二君     今枝宗一郎君

  宮路 拓馬君     田野瀬太道君

  吉良 州司君     森田 俊和君

  西岡 秀子君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 財政及び金融に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁黒田東彦君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として総務省大臣官房審議官稲岡伸哉君、財務省国際局長岡村健司君、国税庁次長田島淳志君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官日原知己君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。(発言する者あり)

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。末松義規君。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 暫時委員会を休憩といたします。

    午前九時四十二分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 末松義規君。

末松委員 共同会派の末松義規でございます。

 まずもって、この森友問題の件で太田主計局長を呼ぶ呼ばないでいろいろともめたことに対しまして、ぜひその辺は柔軟に政府の方に対応していただきたいということを要請させていただきます。

 さて、一応、IDAそれからIFCの法案について、私の方から質問を申し上げます。

 外務省で私もODA部局にいたこともありまして、最貧国とか途上国に対する支援の重要性それから必要性は十分認識しておりますけれども、そのODAも、一九九七年をピークに、一・一兆円だったのが、現在ではその半分の六千億円弱になっているわけでございます。

 そのときに、さまざまな批判に応えるべく、私が外務省にいて、そのODA部局にいたときは、日本に対する途上国民の感謝の声を多く国民の皆さんに伝えていくとか、あるいは、JICAの専門家とか、海外青年協力隊とか、全国各地の自治体の職員とか、専門家、あるいはNPOなど、多くの日本人がODAにかかわって、参加して、そしてみんなでこの途上国の支援をやっているんだというようなことをしっかりと広報に努めてきたわけでございます。それでも半額の六千億円弱に今ODAの額がなってしまったということでございます。

 今回、このIDAも、例えば、日本の出資比率が一〇%ということで、四千五億円ということを要求されているわけですけれども、また、IFCにおかれては六百十七億円というのを日本に要求しているということで、合計四千六百二十二億円を拠出してほしいということを言っている。こういう考え方はちょっと甘過ぎるんじゃないかと思うわけですね。

 IDAとかIFCがどのように実際に役立っているのかとか、そういったことも日本国民には伝わってきていない。だから、もっともっと汗をかいて、しっかりとIDAとかIFCが日本国あるいは日本国民に対してどのくらい多く重要度があって役立っているかということをしっかりと国民にも伝えていかなきゃいけない。

 ただでさえ、日本は、少子高齢化とか社会保障の拡大とか、あるいはコロナ対策とか大変な時期に四千六百億円超を拠出するというのは、それはちょっとおかしいじゃないかという国民の声が聞こえるわけでございます。そういう考え方の方が合理的だと思うんですね。

 特に私の方は、この古い、古くからの問題ですけれども、日本は単に財布になっているだけではないかという強い批判もございます。特にその意味で私が問題視しているのは、日本人職員の数とか幹部の数、これが少ないということなんですね。世銀グループで見ても、日本は出資比率で第二位なのに、専門職員の数は五位の三・五%でしかないし、そのうち幹部は二・四%で七位という形になっている。これは本当に古くからの問題で、単にIDAとかIFCの問題じゃなくて、国際機関全般に言えることでもありますけれども、こういうことに対して、戦略的に計画的に政府として成果を上げる方策というものを定めて、しっかりとやっていくべきではないかと思うんですが、大臣の所見を伺います。

麻生国務大臣 世銀を含めまして、いわゆる国際開発金融機関とかそういったものに対して日本人の職員をふやすというのは、これはプレゼンスを高める上で極めて重要なんだと思っていますが、もともと、末松先生言われますけれども、行きたい人がいなかったんですよ、行きたい人が。これは、行ってくれ行ってくれと。みんな断ったんですって。日本の方が安全で、日本の方が給料が高いからといって、みんな行かなかったんですよ、昔は。最近やはり、こっちの方が給料が上がらなくなって、向こうの方が給料が高くなったせいか知りませんけれども、最近は希望が出てきた。

 これがまず大前提で、こっちなんか今まで、二十年前、全く応募する人はいないんですから。それが昔だったんですよ。それだけはちょっと覚えておいてください。それで、やっと、鐘だ太鼓だ、いろいろたたいて、みんな行くようになり始めたのは、職員たちが行くようになり始めたのはつい最近なので、それがまず大前提です。私どもは、それはもう三十年前にこれをやらされましたので、当時外務委員会におりましたので。正直なところ、そう思っています。

 ただ、いずれにいたしましても、世銀などの国際開発金融機関に対して日本でリクルートミッションというのを出せと、こっち側に。どういうのが欲しいんだか、こっちが出したい人とそっちが欲しいやつと違うから、どういうのが欲しいか採りに来いというところまでやって、そういったようなことをやって、さまざまな取組をやらせていただいて、最近はいろいろな数が少しずつ少しずつふえてきてはおりますので。いわゆる日本人のスタッフの雇用を繰り返し申し入れてきたところで、結果として、昨年は、十二月でしたけれども、あれはドイツを抜いて日本は五番目に、職員の数は五番になっていると思いますが、いずれにしろ、そこまで上がってきたとは思いますけれども。

 いずれにしても、国際機関において、日本人の職員の採用情報については、財務省のウエブサイトやら何やらでもいろいろ情報発信を行っているんですけれども、職員増加に向けた取組でも、これはぜひ、議会などでも言っていただけるというのは、我々にとっては、いや、国会でもこうなっているんだという話をしやすいことになりますので、ぜひこういった形で言っていただけるというのは大変ありがたいところであります。

末松委員 そこは本当に、議会で本当に問題になっているんだということを、私の方も痛感しておりますので、あえて指摘させていただきました。

 それから、ちょっと私の方も十五分しかなくて、ほとんど時間がないんですけれども、今、この森友問題で、赤木俊夫さんが、近畿財務局の職員であられた方が、その手記と遺書が公表されたということで、本当に痛ましいことだと私も感じております。

 体制内部の職員から、このような形で、心の叫びとして、財務省の輝かしい歴史に泥を塗った、そういった森友問題で改ざんをやったという中心人物が佐川局長であるという名前も書かれてあったわけでございますけれども、これに対して財務大臣が、これは事実関係で再調査をしないと言っておられますけれども、ここ、私もちょっとあれっと思ったのが、佐川局長を非難しているんですけれども、改ざんの理由について、なぜ改ざんをしなければいけなかったかということについての指摘がこの手記ではなかったんですね。

 その理由として、多数の指摘はありますけれども、やはり安倍昭恵さんの影響力というものが、これを感じさせてはならないという意味で改ざんを行い、特に安倍昭恵さんの名前を消した箇所も数カ所あったわけですけれども、こういった場合、やはり安倍昭恵さんとの面談のやりとりの調書が当然存在を、財務省は否定していますけれども、これは存在しているんじゃないかと思うんですが、いまだに発見されていないんでしょうか。

麻生国務大臣 今、森友学園との交渉記録のお話をされておられるんだと思いますけれども、今、押収されておりました文書等々、写しを入手するということなど、これは、捜査をしておられました検察等々の当局の協力も得まして、存在が判明したものにつきましては、もうこれは全て公表させていただいております。

 今御指摘になりました二十六年四月の二十八日、これは、これまでも答弁をさせていただいておりますが、事務方において徹底的に調べたものでありますけれども、発見するには至らなかった、できなかったということが現実であります。

末松委員 今の御答弁だと、事務的にやってそれは発見されなかった、そして検察も調べて発見をされなかったんだ、こういうことですね。確認ですけれども。

麻生国務大臣 あの当時、書類というものは、いわばほとんど、ごそっと地検に、地検というか捜査当局に持っていかれておりますので、それを返還をしていただくまでに結構時間もかかりましたけれども、返還をさせていただいたものを全て調べさせていただいておりますから、捜査当局も確認をしておりますけれども、双方で、その書類に関してはなかったというように理解をしております。

末松委員 先ほどもちょっと私触れたんですけれども、その調査記録、財務省の、あれも読み返したんですけれども、そのときでも、佐川局長がどうしてああいう汚点になるような改ざんを陣頭指揮をしてやったのか、その理由が曖昧というか、わからないんですね。大臣は、これに当然携わっておられたんでしょうから、そこはどのように、改ざんをする理由、これをどのように認識しておられるんでしょうか。

麻生国務大臣 これも、末松先生、たびたび御答弁をさせていただいておりますけれども、この改ざんの主たる目的、それがわかれば苦労はせぬと私が申し上げたのは記憶がありますけれども、これはきちんとやらせていただいて、平成二十九年の二月以降の国会の審議の中において森友学園の案件が、大きく取り上げたりしております中で、さらなる質問についてつながる材料を極力少なくすることであったと認定をされております。

 一連の問題行為の直接の動機については、そういった形で解明することができておると思っておりますので、私どもといたしましては、少なくとも、こういったような問題に基づいていたとはいえ、少なくとも改ざんさせるなどというのはまことにゆゆしき話なんだということなんだと思っております。

末松委員 この手記にも、事実関係として、総理の答弁から一挙に変わっていったという、時系列的なこともずっと赤裸々に述べられているところがあるんですけれども、やはりそこは、世間一般の人がいろいろとうわさするように、安倍昭恵さんの存在というものを何とか消したかったんじゃないかというのが、それはこの前の参議院の予算委員会でもるる述べられているところでございます。

 ただ、その文書、取調べの文書が全くないというのは、手記に述べられているように、できるだけそういった文書の存在はないと言え、そういうふうに佐川局長が命じたんだということを、財務省もいまだにそこは守っておられるのかなと思うわけです。

 そういうことで、改革について、今大臣の方で、これからちょっと私が質問しますけれども、その改革で、そういった省ぐるみにやっていったことに対して本当に改革というのはできるんですか。

麻生国務大臣 私どもといたしましては、少なくとも財務省の中において、仮にも一応決裁された文書が後に改ざんをされるというのは、これはもう財務省への信頼というものを大きく損ねたということで、極めて大きな不祥事であったことは確かだと思っておりますので、再生に向けた取組を始めさせていただいたというのが、あれから後であります。

 内部、中でやってもと思いましたので、秋池先生に御参加をいただいて、本当に多大な時間を割いていただいて、我々として、幹部職員というものを中心に、いわゆるコンプライアンス、評価というような形で、マネジメントに関するいわゆる研修を繰り返しやらせていただいて、多面観察等々を導入するなど、働き方とか業務の改善の仕方とか改善提案の説明、募集、実現等々、省内のコミュニケーションの向上等々に取り組んできたところであります。

 大分変わってきたと若い職員も言うそうですから、職員同士の意見交換をする場が設けられてみたりいろいろして、少なくとも、今、組織の理念というものをきちんと立てて、その上で明確化させていただいたりいたしておりますので、少なくとも、組織風土を新しくつくりかえていかないかぬという意識を持ってやらせていただいている最中であります。

末松委員 時間がなくなりましたのでこの辺で終わりますけれども、その安倍昭恵さんの関係の文書が出てくれば、かなり今の大臣の御答弁も一変することになりますので、そこを、出てくることを祈念しながら、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周と申します。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず冒頭、また新型コロナウイルスの感染症拡大に伴う事項について先にお尋ねをさせていただきます。

 日本銀行の黒田総裁におかれましては、本日、長い間お待ちいただきまして、ありがとうございます。

 世界の株式市場、金融市場、総崩れというような状況でございます。実は、私、昨年の四月の財務金融委員会におきまして、昭和恐慌、これは昭和二年に起きた、平成のバブル崩壊、これも平成二年から株の値下がりが始まって崩れていった、そうなると、令和二年、どうなるか心配だ、こういうことも昨年の時点で申し上げたところでございます。

 これは、単に二年、二年、二年ということで当てずっぽうで言っているということではなくて、やはり、リーマン・ショックからの十年の間に、ある種のバブル、それも官製バブルというのが起きているのではなかろうか、何かのきっかけでこのバブルははじけてしまうんじゃないのか、こういう心配をしていたわけでございます。その心配が今的中しているのではないのか、こういうことで懸念をしているところでございます。

 早速ですが、日本銀行の総裁にお尋ねをいたします。

 日本銀行がこれまで、異次元の金融緩和ということで、大量に上場投資信託、ETFを購入してまいりました。また、不動産投資信託、J―REITも購入してまいりましたが、この含み損は先週の終わり値の時点で一体幾らになりますでしょうか。先週、スタッフとレクをさせていただいたときには、先週の終わり値の方がちゃんと計算できるからということで、先週の終わり値でということでお願いをしているところです。今週はちょっと値段は上がっていますけれども、先週の終わり値でお願いいたします。

黒田参考人 御質問のETFの含み損と言われるものは、日々の市場動向に左右されますけれども、先週末時点の市場価格をもとに粗い試算を行いますと、二兆から三兆円程度という計算になります。

 また、J―REITの含み損も〇・一兆円程度という試算結果になりますけれども、これも、委員御指摘のとおり、市場は動いていますので、現時点の数字とはちょっと違うかもしれません。

 いずれにいたしましても、決算における日本銀行の損益というものは、国債利息収入あるいはETFの分配金などの収入があるほかに、先ほど申し上げたように、ETFとかJ―REITの時価も今後の市場動向や追加買入れの動向によって変わってきますので、現時点のETFやJ―REITの含み損というのは、決算における日本銀行の損益を示すものでは必ずしもないということでございます。

 いずれにいたしましても、市場動向については十分注視してまいりたいと思っております。

櫻井委員 ちょっと今の答弁をもう一度確認させていただきますが、先週の終わり値は一万六千五百円ぐらい、日経平均株価でこれぐらいでした。今の御答弁では、ETFの含み損が二兆から三兆というふうにおっしゃいました。

 三兆円を上回っているということはございませんか。二週間前の前田理事の答弁から推測しますと、三兆円をはるかに超えているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

黒田参考人 先ほど申し上げたとおり、先週末時点の市場価格をもとに粗い試算を行いますと二兆から三兆円程度ということであるという点については、そのとおりだと思います。

 ただ、先ほども申し上げたとおり、市場価格が日々変動しておりますので、何と申しますか、いわゆる含み損というものを確定的にお示しするというのはなかなか難しいということを御理解いただきたいと思います。

櫻井委員 ちょっとここで押し問答してもしようがないので申し上げますが、二週間前の前田理事の御答弁ですと、一万九千五百円が損益分岐点、これはその前の、その更に前日の黒田総裁の御答弁があってのことでございますが、そこから二千五百円から三千円程度、日経平均で下がったら四兆円の含み損が出るということですから、二兆から三兆というよりは、しかも、日々株価は変動しますけれども、だからこそ、日銀のスタッフの方にも、職員の方にも、レクのときに、じゃ、先週の終わり値でということで、これだったらもう値段は決まっているわけですし、また時間もあるからちゃんと計算できるよねということで申し上げたんです。だから、四兆円近い含み損が出ているのではないのか、こういうふうに計算をさせていただいております。これは過去の日銀の答弁に基づいての計算でございます。

 その上でお尋ねをいたしますが、そういうかなり大規模な含み損が出ているということは間違いないわけです。日本銀行の資産、純資産を見ますと四兆円程度ということですから、これは、きのうきょうと上がっておりますけれども、昨今の一カ月の暴落傾向からすると、日本銀行、債務超過ということに陥るのではないのか。少なくとも、三月末にこの株式の含み損が出ていれば、それに対する引当金をちゃんと積まなきゃいけないということになりますから、そうすると、含み損による債務超過、こういう危機にも直面する。この含み損をどうするのか。まさに債務超過という、本当にある種緊急事態ですよね、こんなことになってはいけないので、それに対する手当てもちゃんと考えておかないといけないというふうに思うんです。

 そこで、こうした債務超過を解消する一つの手法として、増資というのもあろうかというふうに思います。黒田総裁は以前、アジア開発銀行でお勤めだったときには増資を成功させた、十兆円規模の増資を達成して、それまでのアジア開発銀行の資本を三倍に膨らませたということで聞いております。こうした取組が過去にあるわけですけれども、今度は日本銀行の総裁として、日本銀行が債務超過に陥る、そういうリスクがあったときには増資ということはお考えなんでしょうか。

黒田参考人 先ほど申し上げましたとおり、決算における損益というものは、国債利息収入あるいはETFの分配金等の収入があるほかに、市場の動向で相当変わってきますので、先ほど来申し上げているとおり、現時点のETFあるいはJ―REITの含み損が決算における日本銀行の損益を必ずしも示すものではないということは申し上げた上で、御案内のとおり、中央銀行は、継続的に通貨発行益が発生するために、やや長い目で見ますと必ず収益が確保できる仕組みとなっております。

 そういう意味では、御指摘の点については十分認識をいたしておりますけれども、長い目で見て必ず収益が確保できるという仕組みになっているということは御理解いただきたいと思います。

櫻井委員 時間も迫ってまいりましたので、二点目はちょっと私から意見だけ述べさせていただいて、三点目の質問に移らせていただきます。

 二点目、国際金融機関に対する日本の貢献、本日議題になっておる点でございますけれども、これについては、今回、出資ということで出ているわけでございますが、これまで、出資のみならず、議決権を伴わない拠出金ということでもたくさん我が国は出しているわけでございます。本日お配りしております資料一がそのリストなわけでございまして、網かけにしているところは出資金でございます。それ以外の、出資金じゃないさまざまなお金、いろいろな基金ですとか拠出金、いっぱい出しているわけですね。

 これだけ日本はさまざまな財政的な貢献をしているにもかかわらず、先ほど末松委員からも御指摘あったとおり、なかなか日本の職員もふえてこない。日本は、先ほどの麻生大臣の答弁では、少しふえてきているんだ、最近になってふえてきているんだ、こういう話でございますが、幹部職員についてもまだまだ少ない状況が続いております。

 ふえない理由はいろいろあろうかと思いますけれども、結局、採用するときには、これは国際機関の場合には、何か強力な人事部があってそこが一括して採用するというのではなくて、それぞれの担当部署で局長なり課長が、この人を採るか採らないか、自分のところの部下にするかしないかということでやるわけで、そのときに、それぞれの課長さんとか局長さんが、日本人、何か英語下手だし嫌だとかいって採用しないというようなことも間々あるわけでございます。

 そういうところに対しては、日本の、いろいろな基金とか、そんな部署にはつけないぞといっておどすぐらいのことをしないとなかなかふえてこないんじゃないの、このようにも思いますので、ぜひ、財務省におかれては、今回の増資に当たっても、いろいろな意見があったということを国際機関の方に強く言って、さらに、実際の運用面でも、出資金だけじゃなくて拠出金の運用面においても厳しくチェックをしていただいて、日本の存在感が高まるように運用していただくようお願い申し上げます。

 次に、三点目の質問に移らせていただきます。

 今回、国際機関への出資ということでございますが、こうした国際機関の役割ということについて、一方で、このコロナウイルスの騒ぎが起きる前の話でございますが、やはり、開発のための資金需要は非常に旺盛なものがある、こういう話がございました。とても公的な機関だけでは賄い切れない、民間資金が必要なんだという話も出ておりまして、むしろ民間資金が中心になるべきだ、こういう話もございました。

 しかしながら、こうした新型コロナウイルス、またその前、十年前にはリーマン・ショックもございましたけれども、さらには、その前にはアジア通貨危機等もございました。こういう危機が起きると、民間資金というのはとまってしまう。とまるだけじゃなくて引いていってしまうこともあるわけですね。そうすると、たちまち開発途上国の脆弱な経済というのは壊れてしまうということになってしまいます。ですから、まさに、こうした危機にあってこそ、公的な金融機関の役割というのは重要になってくるんだというふうにも思います。

 せっかくの機会ですので、黒田総裁にも本日来ていただいていますのでお尋ねをしたいと思いますが、今、日本銀行総裁として、日本の金融の安定ということ、それから、他の中央銀行とも連携をして、世界の金融機関の安定に努めていく、そういう役割を担っておられると思います。また、先ほども申し上げたように、リーマン・ショックのときに、アジア開発銀行総裁としてこうした国際金融の安定を図ってきたというお仕事をされてきました。さらには、その前のアジア通貨危機のときには、大蔵省の国際金融局長として、また財務官として対応された、こうした御経験もお持ちかと思います。

 今、こうしたコロナショックによる経済危機、金融危機が起きているわけでございますが、こうしたときに、開発金融機関、世界銀行のみならず、またアジア開発銀行を含めた各地域の開発金融機関がございますが、こうしたところの果たすべき役割、改めて御所見を教えていただけますでしょうか。

黒田参考人 御指摘のとおり、国際開発金融機関というものは、平時は、貧困削減、開発支援ということで、比較的長期のプロジェクトをファイナンスするということが中心になっておりまして、教育であるとか医療であるとか、あるいは環境、交通、通信、電力といった大きなプロジェクトについて融資をするということが中心になっております。当然、融資期間というのも二十五年とか三十年とか、非常に長いものになっております。

 御指摘の、リーマン・ショックのときに、私たまたまアジア開発銀行の総裁をしておりましたが、そのときには、御指摘のように、欧米の金融機関が破綻に瀕するということで、資金が全然アジアの方に来なくなったわけでございます。そこで、長期のプロジェクトをやるよりも、むしろ短期、中期の、政府の財政支援という形で、政府がいわゆる生活保護とか所得補償をする、あるいは景気対策をするというお金を貸す、それも、ゆっくり一年も二年もかけて審査しているのではなくて、急速に相手国政府と話して支援をするということをいたしました。

 それから、非常に例外的なんですけれども、貿易金融も、アジアの場合、ほとんどドルなんですが、これが目詰まりして、貿易金融もままならなくなったということで、アジア開発銀行としては、余り、貿易金融のような六カ月から一年ぐらいの融資というのはやっていなかったんですけれども、域内の百ぐらいの地場銀行を相手に、貿易金融のためのお金を貸す、あるいは貿易金融のためのお金を、ドルを調達するときの保証をするという形で支援をいたしました。

 そういう意味では、御指摘のように、今回のコロナウイルスに関して、仄聞するところによりますと、アジア開発銀行も六十五億ドルぐらい特別の資金を用意して、政府に対して医療とか景気対策をするためのお金を貸すというだけでなくて、民間の中小企業に対する支援、融資を行うということを発表しておりますので、そういう意味では、平常時のときとクライシスのときと対応は違いますけれども、やはり最もそのときに必要な資金を国際開発金融機関としては供給する。

 その場合に必要なことはスピードだと思うんですね。早期に決定して、早期に実行して、直ちにそういう途上国に対する支援の効果が出てくるようにするということが重要だというふうに思っております。

櫻井委員 御答弁ありがとうございました。

 もう時間になりましたのでこれで終わらせていただきますが、まさに今、世界ではドル高ということで、ドルの調達がなかなか難しくなりつつあるような状況もあるやに聞いておりますので、こうした観点からも、国際的な、公的な金融機関の役割、重くなってきていると思いますので、ぜひそういったことも留意しながら進めていただきたいと思います。

 本日はありがとうございます。

田中委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 こんにちは。立国社会派、そして国民民主党の吉良州司です。

 私は財務金融委員ではないんですけれども、きょうはIFC、IDA出資法案の審議ということで、ちょっと出張させていただきました。

 個人的なことになって恐縮なんですけれども、私は、商社勤め時代に、もう本当にIFCに入り浸るぐらいよくIFCに行きまして、特に五年半ニューヨーク勤務をしていたときは、月に少なくとも一回、多いときは二回ぐらい、五年間ほとんどIFCに通い詰める。時々、年に一回か二年に一回か、MIGAにも通わせてもらいました。そういう経験を持っていることもあり、ただ、私の経験は少し古いので、先日、IFCの東京事務所の所長さん、そしてスタッフにも来ていただいて、現在のIFC、そして世界銀行グループの最近の状況というものについてもアップデートさせてもらった上で、この場に立たせてもらっています。

 IFC、IDAに対して追加出資をするということの趣旨について、反対論を持つ人は恐らくいないんだろうというふうに思っています。

 ただ、先ほど来、何点か指摘がありますように、一般的な論点として、例えばこれだけ日本の財政状況が厳しい中で、IFCに対して五億六千万ドル、そしてIDAに対して四千五億円という巨額の税を使うことについての国民への説明、また、理解が得られるのかという広報の問題。そして、末松議員も櫻井議員も指摘しておりました人的貢献。出資比率に比して日本人スタッフの人数が少ない、特にエグゼクティブ、幹部の人数が少ないという問題。そしてさらには、今の今を考えたときに、これだけ世界的に、世界の健康、保健危機、そして世界の経済危機、このときにあって、優先順位的に、これだけの巨額の追加出資が今なのか、その判断をするのが今なのかというような論点はあろうかというふうに思っています。

 ただ、その論点については、一般的な論点でありますので深掘りはせず、私は、大きく二点について議論をさせてもらいたいと思っています。

 それは、私が今申し上げた、国際的な健康、保健危機、そして世界的な経済危機にあって、世界銀行グループがこの危機に対しての対応策として何か貢献ができないのか、これが一点。そして二点目は、特にIDAへの出資になると思います、またIFCとの協調ということになると思いますけれども、国際機関に対する出資を通しての国際貢献と、それから、それだけの税金を使うことに対して国益がどれだけあるのかという、国際貢献と国益のバランス。大きくはこの二点について議論をさせてもらいたいと思っています。

 最初は、新型コロナウイルスの世界的な健康、保健、そして経済危機に対する貢献ができないかという点であります。

 そこに行く前に、私はちょっと、G20における日本の存在感、発言力ということについて、少しお聞きをしたいと思っています。

 昨年のG20大阪サミットは、G20としても大成功だったと思いますし、議長国である我が国にとって、そして議長を務められた麻生大臣にとっても、大きな成功に終わったというふうに思っています。

 その根拠としては、例えば、IMFを中心としたグローバル金融セーフティーネットのさらなる強化ということをうたったこと、そして、インフラが成長と繁栄の原動力だとして、質の高いインフラ投資に対する原則をまとめたこと、三点目は、麻生大臣と同じく、大久保利通公の血を引く牧野伸顕公を曽祖父に持つ武見敬三先生、私も敬愛するお方でありますけれども、議員でありますけれども、ライフワークとして取り組んでおられるグローバルヘルス、ユニバーサルヘルス、国際保健は持続可能かつ包摂的な経済成長の前提条件だということで、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成に向けて前進していくということを確認し合ったこと、こういうことが盛り込まれた意義は大変大きいと思っています。

 そこで、G20における日本の存在感、日本の発言力、また、麻生大臣の発言力、御自身では答えづらいかもしれませんけれども、この発言力についての認識をまず伺いたいと思います。

麻生国務大臣 G20というのは、御記憶かと思いますけれども、これは二〇〇八年のリーマン・ブラザーズのバンクラプシー、破綻に伴いましてこの話がスタートして、たまたま総理をしておりましたのでブッシュ大統領から電話があって、G7と言うから、もうナンセンスと。一体どういう意味だと言うから、今、日本と中国と韓国とを足したGDPがドイツ、フランス、イギリスより多いって知っているかと聞いたら、ノーと言うので、イエスと。どうすればいいんだって、そういうのも入れなきゃもう意味がない、七つだけじゃ、金融をやるんだったら。アジアからだと、インド、中国、韓国、まあオーストラリア、そういうのを入れた上で、もっと大きな組織を考えたらと。結果的にG20になっていくんですけれども。

 あのとき、日本は最初に、今のいわゆる危機はリーマンの危機とかよく言われますけれども、今のあれは、物が動かない、人が動かないという話ですけれども、あのときは金ですから、もう今とは全然、もとのもとが違う話ですから、金がないというので、キャッシュが全くなくなっておりましたので、日本から一千億ドル、当時十兆円ぐらいだったと思いますが、十兆円の金をIMFに、いわゆる増資じゃありませんよ、融資して、融資というのは金利が取れますから、融資して、私どもはほかの国にも、日本が出すんだ、ほかの国も出せという話をして、結果としてあのときは、九七年のアジア通貨危機の学習によって、あれは結果として世界の金融恐慌を救ったという形になったのがG20の始まりなんですが。

 以来十年たって、日本が初めて議長国をやることにならせていただいたんですが、やはり十年間の間にいろいろな、日本の地位も上がったし、努力も上がったし、景気もこの七、八年で大分直ってきておりますので、存在感もでかくなっておりますから、そういった意味では、今よく言われるGAFAなんかの初めの、いわゆる税金の二重非課税みたいな形になっている、これを断固やめるべきと、私、七年前に主張したのが最初ですけれども、これが先ほど言われた中に、大阪でもう一つ加わったところが最大の成果かと思っております。

 いずれにしても、日本の発言権とか地位とかいうものが、日本パッシングとかバッシングとかいうのを楽しそうにしゃべっている新聞記者がよく今でもいますけれども、全く今時代が違ってきた、それだけ責任も重くなってきたなというのが正直な実感であります。

吉良委員 今回の新型コロナウイルスによる世界的な危機に対して、三月六日にG20が緊急声明を発しておりまして、あらゆる政策手段を活用する、結束して金融緩和、財政出動などを総動員する、経済を支えるため、財政、金融措置を含め、さらなる行動をする用意があるという声明を発出しています。

 そして、昨日のG20の電話会議でも、麻生大臣も答えておられますけれども、新型コロナウイルスが市場と経済に与える影響を深く憂慮している、G20はタイムリーにちゅうちょなく万全な体制をとる決意を表明すべきだというふうに発言されています。

 私がなぜ、世界銀行のことなのに、このG20を今議論しているかといいますと、これは言うまでもなく、先ほどG20の成り立ちについて大臣が語られましたけれども、実は、世界銀行グループの出資国上位二十のうちにこのG20メンバーが十七カ国入っています。そして、二十に入っていないんだけれども、韓国は二十一位、南アフリカが二十九位、トルコが三十一位。この三つを除くと全部が世界銀行グループの上位出資国に入っているわけです。ということは、G20で、ある行動をとろうというコンセンサスが得られれば、世界銀行グループに対する発言権、発言シェアがありますので、それは圧倒的なんです。

 そういう意味で、今言いました緊急声明を発したG20、そして、さかのぼれば、大阪サミットにおいて、先ほど言いましたグローバルヘルス、国際保健についても、これは一致して取り組んでいくということを表明されておりますので、私の提案は、本来、世界銀行グループというのは、基本的には途上国、IFC、IBRDは中所得国まで含みますけれども、途上国支援をする国際的組織なんだけれども、途上国の支援というのは、先進国経済が健全であって、世界経済が健全であって、そこで初めて途上国を支援するための原資ができて、そこで何ぼのものだと。そこで初めて途上国の発展に貢献ができる。

 そういう意味で、今、先進国経済も傷んでいる。その中で特にイタリア、スペイン、フランス、こういう国が傷んでいる。このときに、G20での発言力、G20における日本の発言力、G20自体の、さっき言いました出資比率からいって、国際銀行グループに対する発言力、これを利用して、この緊急事態にあっては、世界銀行グループが、先進国であるイタリアだ、スペインだという、先進国ではあっても経済基盤が弱い、金融的基盤が弱いところを支援をするということを日本発で提案してみてはどうかというのが私の提案であります。いかがでしょうか、大臣。

麻生国務大臣 先立つこと二月の終わりに、サウジアラビアのリヤドでG20の財務大臣・中央銀行総裁会議が始まったときにこの話は出た。もう全く反応がありませんから、だって、俺のところは感染者いないからと。ヨーロッパはそうだったんですよ、あのころは。

 それから一週間したら、いきなりG7の財務大臣会合の電話会談をやろうと、今晩もありますけれども、申し込んできましたので、何考えているんだと言って。イタリアがいろいろ言うから、つい一週間前、隣の席で、何の関係もない、あれは黄色人種の病気で俺たちの病気じゃないと言ったのは誰が言ったんだ、おまえが言ったんじゃないのか、何を考えているんだと言ったのがこの間の第一回の会議です。そういう意識だったんですよ、私に言わせたら。多分アメリカもそうだったんだ。

 ところが、それがいきなり、西海岸から入らず、東海岸から入ってきましたから、アメリカの場合は。ニューヨークなんて大騒ぎしていますけれども。初めて世界のいわゆるパンデミックになって、アメリカにしてみれば、一九一四年のときのスペイン風邪のときは五千百万人死んでいますから、日本人はあのとき五十二万人死んでいると思いますけれども、五千百万人、世界じゅうで。あんな騒ぎになるとは思わなかったでしょうけれども、瞬く間に広がっているのを見て、やはりそれは驚いた。

 日曜日のCNN、見られたかどうか知りませんけれども、少なくとも、カリフォルニアのサンフランシスコのメーンストリートに人が全く歩いていない。サンマルコの広場に人が全然いない。ニューヨークの地下のウォールストリートの角のところにも全く人がいないんですから。その四つ目に日本が出てくる。銀座に人がぞろぞろ歩いている写真。これが、四つ一緒に出るんですよ。うまい写真だなと思って、僕は。どうして日本のテレビというのはこんなことができないんだか知りませんけれども、CNNはそうやって映した。日本が最も安全だ、これで証明しているみたいな話を、記事をつくる。

 私はそういった意味で、この種の話に関して、明らかにこっちの方が先進国というか、先に経験しましたから。船のクルーズの話も、今サンフランシスコでごちゃごちゃしていますけれども、私どもはもう横浜でお世話になりましたから、そういった意味では。いろいろな意味で、こういったことに関しては、やったことを今、習いに、教えてもらいたいと来ることになってきているのは現実としてそうなっております。

 ただ、私どもとしては、イタリアのように医療崩壊が起きた最大の理由は、患者をどんどん入れたからだ。いやそうじゃない、まずは病院に来ないでくださいと。いろいろ言われました、野党からも。しかし、あれは、わあっと行くことをならしたがゆえに医療崩壊が起きなかったということを証明しているんだと思いますが。結果として、私どもとしては、今のやり方として、医療崩壊が起きない程度に少しずつ、少しずつ、少しずつというのをやらせていただいたおかげで今日があるんだとは思っておりますけれども。

 いずれにしても、こういったようなことは、我々の経験は大いに参考にしてもらっておかしくないし、我々は、いろいろな意味で、デフレの意味でも先進国にはなりましたし、いろいろな意味で、私どもの経験は世界じゅうに堂々と、こういった経験をみんなで共有して生かしてもらうということができればと思っております。

吉良委員 先進国を助け、かつ世界経済、世界金融システムを助けるという意味では、世銀グループよりもIMFグループかもしれませんけれども、先ほど言っていますように、世銀グループの主要出資国はG20メンバーだということ、そして、グローバルヘルスに取り組むということをG20大阪サミットで盛り込んだということ、そして、途上国支援の組織までもが今回は結束してこの危機に立ち向かうんだというメッセージ性も非常に大きいと思っていまして、そういう意味では、今晩も緊急電話会合があるのであれば、世銀グループとしても、ぜひ先進国も含めて支援をしていくと。

 というのは、先ほど櫻井さんが金融問題について取り上げておられましたけれども、今回の危機は、人が動かない、サプライチェーンが寸断されたということを含めて、これは実体経済が傷んでいる。金融緩和では、足元を見たときには救えない状況だというふうに思っています。そういう意味では、我が国も議論されていますけれども、結局、今足元を救うためには、各国、財政出動しかないという状況だと思うんです。金融政策では功を奏さない。

 ということになれば、先ほど言いましたイタリア、スペイン等は財政的には先進国の中でも弱い。そういうところを救うという、これは極めてメッセージ性が高いということで、ぜひ、議長国、議長を務められた麻生大臣から、G20の皆さんに働きかけて、世銀をもその方向に持っていこうという提案をしていただきたいと思います。

 では、これは要望ということにさせていただきますので。うなずいておられますので、ぜひお願いをします。

 続いて、本論のIFCとIDAへの追加出資についてでありますけれども、ちょっとこの件で、かなり時間がなくなってきましたので、私の問題意識をまず話をさせてもらいたいと思います。

 一つは、冒頭申し上げた、例えばIDA、四千五億も追加出資をするんだけれども、例えばそのうちの一部は、日本のODAでもありますけれども、最貧国に円借款を供与する。けれども返済能力がない。結局、債務救済無償ということで、無償の資金を提供して、その資金でもって返済をさせるということを日本でもやっています。このIDAも、最貧国については、今言いました重債務国は残念ながら返済能力がないので、そこへの債権カットをするか、場合によっては今言った返済原資を更に追加融資をする、これしかない。こういうお金の使い方で、果たして、先進国としての日本の国際貢献という側面を見れば必要なことですけれども、一方で国益には全く資さないのではないか。

 この国際貢献と国益とのバランス、これについては、もう堂々たる先進国になったので、日本企業に何かリターンがあるかとか、日本に直接裨益するかとか、そんなけちなこと言わずに、途上国のためだから持っていけ、我が国だって、東名高速だとか新幹線だとか、もともと世銀のお世話になったんだと。運動部の人たちが先輩からたらふくごちそうになったときに先輩におごり返すのではなくて、今度は後輩たちにおごり返すというのが常識であるように、もう日本の国益云々言わずに、ええい、持っていけ、国際貢献だと。そこの整理は国としてついているのか。

 この辺について、麻生大臣の見解をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 動かす金の桁も違ってきましたしね、昔と違って。いろいろな意味で、国際機関への増資といった意味においては、これは国益確保を含めてというお話でしたけれども、これはすごく大事な観点なんだと思っております。

 これは、二〇一五年に、いわゆる開発協力大綱、旧ODA法のあれを改正させていただいたんですが、国際社会と協力して世界が抱える課題の解決に取り組んでいくということで、そういったことが日本の国益にとって不可欠という認識をこのときに示されておるんですけれども。いわゆる、私どもとしては、最近では、野田財務大臣かな、ミャンマーのあれを民主党で半分チャラにしたんですな、たしか。チャラにした。その後、安倍内閣になって、私は財務大臣でしたので、残りをチャラにして、トータル約九千億近くのものがチャラになったわけですから。

 たまりにたまって、金利だけどんどんたまって、何か、あれは本当は俺の金よといったって、返ってくる当てはほとんどありませんから。そういったようなままで、今のままで、中国にずるずるずるっと寄っていって、何かだまされにだまされて、何だか知らないけれども発電所をつくった、全部ミャンマーの水で、場所で。しかし、行く先は全部、中国に行くのが九割。こんなふざけた、詐欺みたいな話じゃないか、こんな話、何をだまされているんだ、こんなことをされているからだめなのよと言ったら、ああしたい、こうしたいと言うけれども、そうしたいと言ったって、できる政治的力がなきゃだめなのよというのをばさばさ言い合って。結果的にあれは、野田財務大臣のところで半分、残りはこっちで半分か何か、全部。

 今あそこに行かれたら、それはちょっと、正直、ゴルフ場の方がまだきれいだというところが、こんな、何もなかったところが、今は工場で埋まっていますから。七年ですよ。野田内閣のときから足してみたら全部で八年ぐらいのもので全部きれいに変わっちゃった。最たるものですよ。あれを見たら、みんながこれをこれをという話をよくアジアの人はしますけれども、私は、あれは最もうまくいった例で、たまたま民主党と自民党と一緒になって半分ずつやったみたいな話ですけれども、結果論としては、そういったものをちゃんとやったらうまくいくという話ですよ、あの話は。たまたま今、野田先生がおられましたので思い出したんですけれども、そういった形では、結構うまくいく例がありますので。

 私どもは、今回のこのIDAの話やら何やらの話というのは、どういうプログラムを組んで持ってきても、それをやれる能力が必要なんですよ。ないなら、かさなきゃ、人を。金だけじゃないです。ノウハウと、それをやる、メンテナンスができる、そういった人も出してやるというところまでやってやらないと、なかなかきちんとしたものはでき上がらないんだというのがこれまでの例だと思っておりますので。

 いろいろなものを、きちんとうまくいっても、途端に、今回のように中国みたいにぱかっと、部品が、あれができない、これができないから、トヨタ自動車は今とまっていますから。五工場とまったんでしょう、トヨタは。五工場ですよ。中国に頼ったらこうなりますよという最たる例なのかもしれませんけれども。

 そういったようなことになってきますので、やはり分散してやる、いろいろなことを考えるいい機会にはなったんだと思いますけれども、このIDAの話も、どこでやるというところは、私どもも、そこは今までとは違うんじゃないのというような話はいろいろ言えますし、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの話にしても、少なくとも、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジで、日本の国会議員でUHCの大使になったのまで出てくるほど日本の評価というのは高いことになっていますので、そういった意味では、大いにこういったものが、日本と世界の巨大な組織とうまくくっついて大きなものができ上がっていく、より大きなものができていく、そしてそれが世界に貢献していく、いいことだと思います。

吉良委員 私自身の整理としては、IDAについては、今言った、先進国のある意味では務めとして、自分たちもお世話になったという務めとして、もう国益、ある程度、度外視までは言いませんけれども、深く考えずに出資する必要性があるんだろう。

 一方、IFCについては、先ほど黒田総裁がADBの総裁時代の話を語られていましたけれども、また、先ほど、G20でも、質の高いインフラ整備の必要性ということをうたっております。

 質の高いインフラを整備するというメッセージは非常に重要でして、なぜならば、一つは、中国の一帯一路、AIIBとの、ある意味では競争、対抗上の話です。

 IFCの人の話を伺うと、中国は実は、お金はあるんだ、だけれども、今の大臣の話じゃないですけれども、プロフェッショナリティーというか、ノウハウがないので、ノウハウをかりたいからIFCの融資が欲しい、こういう話をしているようなんですよ。

 我が国からしてみると、質の高いインフラを整備するということは、今の、AIIB、中国の一帯一路との競合、対抗上ではないですけれども、麻生大臣も外務大臣時代に取り組んでおられたチャイナ・プラスワン、これは、今回のコロナウイルスの問題で、中国からのサプライチェーンが寸断されて日本自身も大変な目に遭っておりますので、そういう意味では、中国以外の直接投資先、新たなサプライチェーンを構築するという意味でも、チャイナ・プラスワンという政策は間違っていないと私は思うんです。

 そのときに、チャイナ・プラスワンの地域にインフラ整備をしていく。これを、IFCと、例えばJBICとJICAと共同してやる。というのは、IFCも、私がやっていた当時の南米だとかアジアの国々はだんだん卒業していって、アフリカへの投融資が多くなっているんです。日本にとってもアフリカは大事なマーケットではありますけれども、やはりヨーロッパの裏庭という要素が非常に強い。そういう意味では、IFCについては、国益と日本の戦略というものも加味しながら利用していいと思っています。

 だから、そういう意味で、IFCとADBの協調、それからIFCとJBIC、JICAの協調、またIFCとIDBの協調、ここに力を入れていく。

 質の高いインフラということになれば、日本の企業にとってのビジネスチャンスとしての国益、そして、今言いました、日本全体を見たときに、チャイナ・プラスワンということを中心とした、日本企業が新たな、また確固たるサプライチェーンをつくるための、国々に対するインフラ整備、そこへの直接投資ができるようになる。

 その意味で、IFCと、今言った、公的輸出金融機関、JBIC、JICA、そして地域開発機関、それとの協調が非常に大事である。今回出資するに当たっても、日本は二位ではありますけれども、また発言力を増すわけでありますから、IFCの、ある意味では、アフリカも大事ですけれども、アジアへの回帰、そのツールとしてJBICを使う、JICAを使う、ADBを使う、そこについての発言力、指導力を発揮していただきたいと思っています。

 最後にその点の見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。

麻生国務大臣 ADB、でき上がってかれこれ五十年。同じような目的でAIIBなるものがつくられておりますけれども、今、ADB、三千人を超えていると思います、スタッフが。日本が出したにもかかわらず、つくった場所はフィリピン。マニラに本社があります、アジア開銀。

 AIIBは、上海かどこかに、中国の中につくって、今に至るも、職員、百人じゃ少ないですかね、全然新しく起債もできませんし、そういった意味では、全く一緒になんかしてほしくないねと思うぐらいADBの方がしっかりしていますよ、私どもは。

 そういった意味では堂々たるものだと思いますが、そのADBが、少なくとも堂々と、マルパスという、世銀とかIMFとかいうところと同等に、EUに比べても話ができるようなところまでもっと上がってくるというのは十分に考えられることだと思っておりますし、それに、今言われましたように、JBICとか、いろいろな、ほかにも日本にもありますから、そういったようなものとうまく組んでやっていく。

 やはり、アジアとうまくやっていくというのは、これは極めて大事なところで、少なくとも日本と主につき合ったアジアの国は中進国になりましたから、ヨーロッパとつき合ったアフリカは、アメリカとつき合った南米はといって比較されたら、日本とつき合ったアジアだけうまくいったんじゃないのと僕はいつもアジア人の人に言うんですけれども。

 そういった意味では、きちんとした哲学を持って、我々は今後ともきちんとした見識を持った上でやらないと、何となく新聞ばかり読んでおると間違えちゃうんじゃないかな、つくづくそう思っております。

吉良委員 出資する以上、そして、世界的貢献、日本の国益のために、より発言力を強めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時三十分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 まず、きょうは主計局長に答弁をお願いしていたんですが、たび重なる要請にもかかわらず、この場に来ないと。その理由は何かと聞きますと、慣例でそうなっているという話でした。

 今問われているのは、慣例ではなくて、法令に違反した行為が本当はどうだったのかということをこの場で問いたださなくてはいけないわけですが、その答弁を避けているということは大変問題であるということを指摘したいと思います。

 太田局長がお見えでないので、きょうは麻生大臣と黒田総裁にお尋ねします。

 まず、今回の法案ですけれども、国際金融公社と国際開発協会合わせて四千六百億円以上も出資する中身の法案になっています。ただ、新型コロナウイルスの感染を防ぐという中で経済が極めて悪化しているということから、ほかに国内で優先すべき出資があるのではないかというふうに私は考えております。

 お配りしている資料の一なんですけれども、新型コロナウイルスで経済が落ち込んだ事業者さんが借入れをする場合に、このページの下の方に書いていますけれども、単に既往の貸出金について条件変更がなされていることのみをもって貸出し判断等を行ってはいけませんよなんてことが書いてありますけれども、実際にはなかなか緊急融資が受けられないというような声を聞いております。

 なぜそうなのかといえば、例えば日本公庫でいえば、貸倒れリスクを十分にカバーできるほど自己資本が潤沢ではないということなんですね。今回、日本公庫の緊急融資枠五千億円に対して、予備費を使って貸倒れリスクに備えた政府からの出資が一割弱あるんですが、もっと多く出資すべきではないかというのが一点です。

 それから、信用保証協会の方ですけれども、セーフティーネット保証や危機関連保証も、全国の信用保証協会がもし代位弁済をして回収不能となれば四%は自腹で損失を負担しなくてはいけないということで、これもなかなか保証が審査が通りにくくなっている理由になっているというふうに思っています。

 これを、リスクを日本公庫あるいは信用保証協会が負わなくて済むようにする、そのために、もっと政府からこれらの組織に対する出資をふやす必要があるんだと思っております。

 繰り返しになりますが、四千六百億円以上も国際的な組織に出資するよりももっと優先すべきこととして、信用保証協会あるいは日本公庫に出資をふやすべきではないかと思いますけれども、大臣の答弁をお願いします。

麻生国務大臣 階先生御指摘のこの日本政策金融公庫ですけれども、この十日に決定した緊急対応第二弾に基づきまして、日本公庫においては、いわゆる売上げが急減した個人事業主を含みます中小・小規模事業者に対しては実質無利子無担保の融資等を行っておりますので、財務基盤を強化するための出資を行う準備もあわせて進めているところであります。

 いろいろ御不満も来ているでしょうが、私のところに意外といい話も来ていますから。日本金融公庫は初めて支店の閉店時間を延ばしているとか。いわゆる、いきなりトタで来られて、いきなり金二百万貸してくださいっていったってそれは借りられませんから、普通は。したがって、長いつき合いがあるというようなところが非常に大事なんで、まあ、階さんが来れば二百万は当然だろう、幾らだろうと、大体長いつき合いならそういうことになるのは当たり前でしょうが、金貸した、長銀にいらしたんだからおわかりだと思いますけれども。したがって、そういった意味では、転勤は延期、この三月の転勤は千六百人に及びますけれども、大体これ全部、転勤は停止しております。

 そういったような形でいろいろやらせていただいておりますので、いろいろ対応していただいて助かっておりますという話も同時に私どもに来ておりますので。

 全部が全部うまくいっているとは思いませんけれども、そういったことになっておるので、今後のときも、その対応、これ以後もまた金が更に要るという事態になった場合は、それは私どもの方で対応させていただこうと思っております。

 その上で、今回のIDAとIFCへの増資ですけれども、日本が新型コロナの広がりに対応するという観点から、これは世界じゅう、どこでとまるかよくわからないところでもありますので、いろいろな観点から、この対応は極めて重要であるということを思っております。

 具体的に、IDAへの増資は、これはパンデミック対策とか、いわゆるユニバーサル・ヘルス・カバレッジとか……(階委員「大臣、ちょっと、日銀総裁にも聞きたいので、短く、もうそれは結構です」と呼ぶ)どっちを聞きたいの、聞きたい方は。こっちは飛ばしていいですか。(階委員「いいです、いいです、大丈夫です」と呼ぶ)では、お願いします。

階委員 大臣、済みません、十分しかないものですから。

 私が聞きたかったのは、政府系金融機関やあるいは信用保証協会について、なるべく出資をして自己資本を厚くさせて、そして、いざというときの損失に備えられるようにするべきではないかということを指摘させていただきました。その点をぜひよろしくお願いします。

 それから、今回、日銀が追加金融緩和で、資料の三ページ目ですけれども、新たに導入する企業金融支援策というのが、これは日経新聞の記事から抜粋しました。左上の方に図が描いてありますけれども、日銀が金融機関に対して、金融機関が差し入れた企業向け貸出債権を担保にして、ゼロ%で最長一年間資金を供給する、このお金でもって金融機関から企業に貸出しをふやしてもらう、こういうスキームなんです。

 私は、これは、金融機関にとってみれば、日銀からお金を調達すれば、当座預金がゼロ%、マイナスではなくてゼロ%の金利の部分がふえるということで、この図にも書いてありますとおり、金融機関はマイナス金利の適用を避けられるメリットがある。これは確かに金融機関にとってはいい話だと思うんですが、そこから先ですね。

 今、企業がなかなか借入れをしない、あるいは金融機関が貸出しをしないという背景には、お金がないからではなくて、金融機関が余りに金利が低いために貸し出してももうからない、もうからないし、もし貸倒れをした場合にはその損失を収益でまたカバーしていくのが大変だということで、貸出しに慎重になっている、貸出しが伸びないということなわけです。

 ですから、このスキームというのは、企業金融支援策というよりも、マイナス金利の副作用を緩和するための方策にすぎないのではないか。うまくごまかしてこういうことをやったもんだなというふうに私は思いましたけれども、これで本当に企業への貸出しが伸びるのかどうか、日銀総裁に伺います。

黒田参考人 日本銀行といたしましては、現在、金融面で中小企業の資金繰りなどの企業金融の円滑化が最も重要であると考えております。このオペは、委員御指摘のとおり、金融機関に対して有利な条件で資金供給を行うことによって、金融機関の企業に対する資金繰り支援をしっかりバックアップする仕組みであるということであります。

 金融機関から有効な施策であるとの声も聞かれておりまして、導入を決定して約一週間で、既に十八の金融機関がこのオペの利用を希望し、対象先として選定されております。本日実施した第一回目のオペでは、約三・四兆円の資金を供給したところであります。

 日本銀行としては、企業金融支援オペが企業金融の円滑確保に効果を有するというふうに考えております。

階委員 相変わらず、聞かれたことに答えていただかないわけでありますが、今総裁がおっしゃったのは、金融機関がこの制度を利用しているというお話でした。ただ、目的は、企業がお金を借りなければ達せられないわけですよね。それに対して、私がさっき申し上げたのは、この制度では貸出しは伸びないんじゃないか、金融機関は貸倒れしたらほとんど損失を回収できないという今の低金利の状況の中で、それは金融機関にしてみれば、当座預金、マイナス金利だった部分がゼロ金利になるわけで、金融機関としてはこの制度を利用するインセンティブはありますよ、ただ、その先の貸出しにはお金が回らないんじゃないかということを言っているんです。

 これは、確かにお金が回るという確証があるのか、あるいはそれを検証する仕組みがあるのか、この点をお尋ねします。

黒田参考人 今回のこの企業金融支援特別オペといいますものは、金融機関に対して、手形や証書貸付債権を含めた幅広い民間企業債務の差し入れ担保の範囲内で資金供給を行うものであります。

 この適格担保の拡充措置というのを既に行っておりまして、金融機関の自己査定で正常先に区分されているものを適格化ということにしておりますので、こういった担保拡充策とも相まって、この新たに導入した特別オペが活用されていけば、幅広い企業の資金繰りの円滑確保に資する、そして金融機関の積極的な取組を促すものというふうに考えております。

階委員 時間がもう参りましたが、結局、今の説明を聞いても、金融機関が日銀からお金を調達するところはうまくいくだろうけれども、その先の、企業にお金が流れるかどうか、これを検証する仕組みはあるのかと今言いましたけれども、答えませんでした。そして、本当に貸出しが伸びるかどうかについても、あくまで予想にすぎないということで、確証までは持っていないという趣旨の答弁だったと思います。

 こういう形だけのこそくなやり方ではなくて、真に実のある政策をとっていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 私も十分間の持ち時間でございますので、ぜひ、政府参考人等におかれましては簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 世界銀行グループの構成機関である国際金融公社、IFC及び国際開発協会、IDAの基金に対する追加出資に政府が応じるための法改正について質問をいたします。

 これまでIFCが途上国で紛争となっている民間プロジェクトに融資をしてきたことについて確認をさせていただきます。

 IFCが融資している南アフリカのプラチナ鉱山では、二〇一一年以降、鉱山労働者が賃上げと労働条件の改善を要求してストライキを始めました。翌年には警察の弾圧が行われ、四十人の労働者が射殺されたと報じられております。同じくIFCが資本提携をしているペルーの鉱山でも同様の労使紛争が起こっております。

 日本も加盟しておりますし、今回は増資を行うわけです。

 IFCは、このように投資事業で紛争あるいは環境破壊等が発生したときにどのような対応を行っているのか、また、日本政府としては事業の中立性についてどのように責任を持つのか。国際局、教えていただけるでしょうか。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 IFCは、世界の開発をリードいたします世銀グループの機関でございますので、環境保全や地元住民に与える影響の緩和などにつきまして国際的に高い基準を確保することが求められているところでございます。

 このため、IFCでは、厳しい環境社会配慮の基準、これをIFCのパフォーマンススタンダードと呼んでおりますが、これを定めた上で、これについての違反の疑いがある場合には、影響を受けた住民やコミュニティーが、IFCから独立した機関であります、CAOと呼んでいますが、コンプライアンス・アドバイザー・オンブズマン、CAOに訴え出る、これはIFCから独立した機関としてオンブズマンを設け、そこに訴え出るということで、問題解決に向けた仲裁の要請でありますとか、環境社会配慮基準への違反の是正を求めるという仕組みを設けて、投資事業における紛争への対応を行っているところでございます。

 委員から御指摘のございました南アフリカそれからペルーのプロジェクトをめぐる状況につきまして、一部の例ではございますが、紛争事態が長期化しているということは、私どもとしても大変遺憾なことだというふうに思っております。

 IFCは、環境社会配慮への対応の強化、それから迅速化、これが必要であると私どもも考えておりまして、また、IFC自体も既に取組を始めているところでございます。

 具体的には、昨年七月に、従来法務担当副総裁のもとに置かれていた環境問題担当の部局を格上げして、IFCの長官直属の組織としております。また、これに加えて、環境社会基準、IFCのパフォーマンススタンダードの違反の訴えがあった場合の対応を迅速にするために、あらかじめIFCの中に組織横断型の専門チームを立ち上げるといった措置を講じているところでございます。

 こういった点を通じまして、また、IFCは真摯な姿勢で地元コミュニティーやNGOとの対話に臨むことが重要でございますので、財務省といたしましても、引き続き、NGOとの定期協議会などを通じまして、NGOの方々の問題提起に耳を傾けるとともに、IFC、世銀の理事会審議などを通じて適切な対応を求めていくこととしたいと存じてございます。

清水委員 やはり、問題ある投資の場合は、中止をするなど適切な対応が必要だと思います。事業の中立性の担保が不透明ではやはりだめだと思います。

 IFCやCAOの報告書、これは日本語訳ってつくっておられませんよね。ぜひ、その日本語訳も含めて、国民に問題点を明らかにしていくということを指摘しておきたいと思います。

 次に、新型コロナ対策について確認をさせていただきたいと思います。時間が許せば、麻生大臣にも最後一問お伺いしたいと思います。

 国税庁が三月九日に、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い納税が困難な者への対応について指示を発出しました。納付困難な納税者への対応を税務署に徹底するものですが、今月十日の当委員会で、田島国税庁次長は、税務職員によって対応が異ならないように指示文書を出したと答弁されたわけですが、これは従来よりも柔軟な対応を求めた内容になっていると思うんですけれども、簡単に要点を説明していただけるでしょうか。

田島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の三月九日付の通達におきましては、納税の猶予の適用に当たりまして、例えば、納税者からの資料提供が困難な場合には聞き取りにより審査を行うことで資料のやりとりを簡略化する、また、担保提供が明らかに可能な場合を除きまして担保は不要とする、また、猶予の期間は原則として一年間とする、また、納税の猶予をした場合、既に差し押さえた財産があるときには、申請に基づき差押えを解除することができるなどといった点について、全国の国税局、税務署に指示を行ったところでございます。

 以上を含め、迅速かつ柔軟な対応を行ってまいりたいと考えてございます。

 納税者におかれましては、御不明な点等ございましたら、最寄りの税務署に御相談いただければと思います。

清水委員 新型コロナによる滞納問題が発生するのは、地方税や国保税、年金保険料など社会保険料でも同じだと思うんですね。

 厚生労働省と総務省においても、国税庁の指示文書の内容について同様の対応をしていただくことが大切だと思います。それを現場の職員に徹底するためにどのような対応を行うことを考えているのか。厚生労働省、総務省、それぞれ簡潔にお答えいただけるでしょうか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生年金保険料等の猶予につきましても、国税での対応も踏まえまして、柔軟かつ適切な対応が同様に行われますように、三月十二日付で日本年金機構等へ通知を行いまして、現場への周知徹底を図っているところでございます。

稲岡政府参考人 地方税についてお答え申し上げます。

 三月十八日に各地方団体に対し、徴収の猶予等の措置についての通知を発出し、新型コロナウイルス感染症の発生に伴い想定される事例を示しつつ、納税者の置かれた状況に十分配意して適切に対応するよう要請したところでございます。

 また同時に、国税のリーフレットとあわせまして、地方団体において周知、広報に活用できるよう、徴収の猶予の具体例を示したリーフレットのひな形を作成し、地方団体に送付したところでございます。

清水委員 ぜひ、社会保険料や、あるいは年金保険料、さらに地方税等についても、今言われたリーフレットなどを活用して、納税の猶予、緩和に取り組んでいただければと思います。

 それでは、最後に麻生大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 今の質疑応答を受けてなんですが、新型コロナ感染拡大を受けて、中小零細業者の不安の多くは、やはり資金繰りの問題だと思うんです。ただ、いつになったら終息するかわからないもとで、多くの業者は、返すめどが立たない状況で、政府の融資を借りたくても借りられないと悩んでおられる方もいらっしゃいます。

 実は、このほど自民党の税調会長が、なけなしの現金を税金で納め経営を破綻させないように、工夫もしていくと述べ、中小企業の納税猶予を求めることを明らかにしました。これは私も同じ意見なんです。希望する中小零細業者を対象に、延滞税を例えば全額免除する納税の猶予を適用すれば、当面手持ちの現金を減らさずに経営を続けていくことができると思うんです。

 ぜひ、事業継続を優先させるために、手持ち資金をまずは活用できるよう、一定期間、納税猶予の制度を広く活用すること、これを中小企業対策として検討してはどうかと思うんですが、麻生大臣の見解を求めたいと思います。

麻生国務大臣 質問通告が全然ないんで、答えなくてもいいんですけれども。

 時間がないから、どっちにします。答えますか。(清水委員「答えてください。お願いします」と呼ぶ)いや、あなたより先に、こっちに聞いているの、理事。いいですか。(発言する者あり)はい、いいですか。

 理事だからね、こっちは。あなたは理事じゃないんだから、ちょっと間違えないで。

 少なくとも、この税金の話は、もう既に通達が出ていると思いますから、もう少しよく調べられた方がいいと思います。

清水委員 今大臣が言われたのは、通常の納税制度だと思うんです。延滞税などを減免するということまでやらないと、その資金繰り対応というのを十分中小企業はできないというふうに思いますので、やはり、従来の枠を弾力的に活用する。それは、これから自民党の税調からも声が上がってくると思いますので、私が今言った内容が。

 それをぜひ吟味していただいて、実現していただくことを強く求めて、質問を終わります。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会の青山雅幸でございます。

 本日も貴重な質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。

 IFC、IDA増資法に関して質問をさせていただきます。

 まず、日本人職員をめぐる問題です。きょう午前中の質疑でも、同僚委員の皆様方が同様の趣旨で御質問なさっておられました。

 世界銀行グループなどの国際機関において、国際貢献を果たし、かつ、国益につなげていく、こういった予算の支出を国益につなげていくためには、人的なつながり、日本人職員や幹部職員の充実が必要であると私も考えております。

 そこでお伺いしますけれども、日本人職員の比率は出資比率に対して大幅に下回っているとも聞いております。現在の日本人職員の人数とシェア、また日本人幹部職員の人数と幹部ポストに占めるシェア、数字がわかりましたら教えてください。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末の時点で、世界銀行グループの日本人職員数は二百二十一名でございまして、全体の三・五%でございます。

 また、日本人幹部、これは局長級以上ということでの人数でございますけれども、六名でございまして、この局長以上の幹部職員全体に占めるシェア、割合は二・一%でございます。

青山(雅)委員 そうしますと、やはり、出資比率に対しては相当少ないということになろうかとは思います。午前中の質疑でも、麻生大臣の方から、なり手がなかったというようなお話もお伺いしております。

 今後は、せっかくのシェアを生かせるように御努力いただきたいとは思うんですけれども、日本人の幹部職員がいることによって、具体的にどのようなメリットがあるのか。どういったポストを得て、どういった国益につながるのか、あるいはつなげようとする狙いがあるのか、その辺についてお答えください。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 世界銀行を含めまして、国際機関における日本人職員、特に組織の意思決定に関与する幹部職員をふやすことというのは、国際社会において日本のプレゼンスの強化につながるというのが第一の点でございます。

 また、国際機関と日本、双方の仕事の進め方でありますとか考え方でありますとか、こういった点を理解できる日本人の幹部職員がその国際機関に、しかも意思決定に携わるところに存在するということは、国際機関と日本との円滑な意思疎通あるいは連携、協調した行動をとっていく上で、これを効果的に行っていく上で大変重要であるというふうに考えております。

 具体的にということだと存じますので、例えば今回、IDAの増資においては、増資を担当する世銀側のトップの担当副総裁が西尾昭彦さんという日本人の副総裁でございまして、この西尾副総裁と密接に連絡をとりながら増資の議論を進めることができたわけでございます。

 その結果、日本がG20の議長として主要成果と考えてございます質の高いインフラ投資でありますとか、あるいは債務の持続可能性、それから自然災害に対する強靱性の強化に加えまして、パンデミック対策、あるいはユニバーサル・ヘルス・カバレッジなどの国際保健、これをIDAの重点政策として位置づけることができたといった成果につながっているわけでございます。

 今後とも、日本人職員、特に幹部職員、さらなる拡大、幹部ポストへの登用、これに向けまして積極的に取り組んでまいりたいと存じております。

青山(雅)委員 今言われたとおり、やはりお金を出す以上は物も言う、そして、日本の考え、政策というものをしっかりと反映させていくことが大変大事だと思いますので、ぜひその点についての積極的な取組をお願いいたします。

 次に、数字のことを若干お聞きします。

 IFCへのこれまでの出資額の合計は幾らになるのか。それから、現在、国有財産台帳には資産として幾ら計上されているか。同じことをIDAについてもお伺いいたします。

岡村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、IFCでございますが、平成三十年度の国の財務書類に基づく数字でございます。出資の累計額が百七十四億円。これに対しまして、国有財産台帳価格が千七百七十一億円。これがIFCでございます。

 それから、IDAについてでございますが、出資累計額が五兆百七億円。これに対しまして、国有財産台帳価格は三兆五百七十一億円でございます。

青山(雅)委員 IFCはドル建てですかね。百七十四億ドルですかね。

 IDAに関しては、きょう午前中の質問でもございましたように低所得国に贈与も行っておりますので、国有財産台帳上毀損が生じているのはやむを得ないことだとは思いますけれども、日本の貢献が無駄にならないようにしっかりと、お金を出すだけではなく、そこら辺の監視、監督、あるいは先ほど言った幹部職員の登用などを通して口を出していくということ、ぜひ心がけていただければと思っております。

 時間もございません。最後に、財務大臣にお伺いしたいと思っております。

 日本の国際援助のあり方について質問いたします。

 今回の法案のような多国間援助とともに、ODAには相手国との相互理解や友好関係を促進する二国間援助もございます。日本のODAの当初予算というのは、ここ十年くらいを見ると横ばいなんですけれども、日本が非常に調子のよかったころ、九七年程度と比較すると、半分くらいに減っているのかなというふうに思います。大幅に予算が削減がされている。

 これは、社会保障費の増大などに伴って日本の予算が非常に厳しい中、考えるとそれは当然理解し得ることではございますが、逆に言うと、その厳しい中でも、半分程度、五千億円を超える数字だと思いますけれども、確保されている。そういったことの狙い、査定する側ではございますけれども、国政全般を統括する立場にもおられる麻生大臣に、この厳しい中で、この限られた予算をどういうふうに有効活用することを期待され、またそれがどのような国益につながっているのか、御所見をお伺いしたいと思います。

麻生国務大臣 これは、一般的に、二国間の経済協力等々と国際機関と、ちょっと別にしなきゃいかぬかもしれませんが。

 二国間の経済協力で言わせていただければ、これは、支援の過程において相手国との間での緊密な協議等々をいたしますので、そういった意味では、先ほど出ておりました質の高いインフラ等々のあの話も、きちんと、二国間だとやりやすいというのも事実でありまして、ODAを実現できるというのが大きなところだと思います。

 一方、国際機関を通じた国際協力ということに関しましては、これは、国際機関の持ちます専門知識とか現場でのネットワークというのを活用することができるのが非常に大きなメリットだと。これは、我々の弱いところも向こうはできるところ。

 それはもう、それぞれメリットもあり、またデメリットもありますので、それは御指摘のとおりだと思います。

 予算編成に当たりましては、これはもう、ちょっと、いろいろ、これまでのいきさつとか外交課題とか国際情勢等々を踏まえまして、我々としては、経済に見合ってそれなりの国際貢献ということをやっていかねばなりませんでしょうし、それに、同時にそれが国益につながってくるということも考えて、その効果をどれくらいにやっていくか、いつも、一番大きな課題だと、常にそう思って対処いたしております。

青山(雅)委員 ありがとうございました。

 時間となりましたので、終わらせていただきます。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入るのでありますが、その申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。古本伸一郎君。

古本委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 国際金融公社及び国際開発協会を含む国際機関への資金拠出に当たっては、我が国の厳しい財政状況のもと、高額の資金を拠出することに鑑み、我が国の国際貢献上効果的かつ戦略的な資金拠出となるよう、然るべき国際機関の計画・方策に反映させるべく努め、国際社会における我が国の評価を高めるよう最大限尽力し、計画的に取り組むこと。また、国際機関の運営等に関して、主要出資国としてふさわしいリーダーシップを発揮するなど、我が国の国際的プレゼンスの向上に努めること。

 二 国際機関の活動並びに我が国の貢献について一層の広報及び情報公開を行い、当該資金拠出に関し国民の理解を得るよう努めること。

 三 我が国の国際貢献機会を拡大する観点から、国際機関において日本人職員の登用機会をさらに広げる活動を推進し、有能な人材が円滑に採用されるよう努めると共に、枢要なポストの獲得にも尽力すること。

 四 国際社会における我が国の役割も鑑みつつ、今後の国際機関への追加出資に当たっては、極めて厳しい財政状況を十分考慮して適切に検討すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、財政及び金融に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事前田栄治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として財務省大臣官房長茶谷栄治君、主税局長矢野康治君、理財局長可部哲生君、厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。海江田万里君。

海江田委員 共同会派の海江田万里です。

 時間も限られておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 まず、麻生財務大臣に対してでありますが、あの森友問題での赤木職員、まあ麻生大臣の部下であったわけでありますが、その方が自死をされて、そして、丸二年たって、つい先日、手記が明らかになりました。それから遺書も明らかになりました。

 その中で、いろいろ問題はありますが、特に赤木さんの奥様が、やはり大臣に一度お墓に手を合わせてほしいということを今でもおっしゃっています。そして、麻生大臣も、お墓に手を合わせるということは最初から希望をしていたんだということで、ところが、そごがありまして、先方は希望していないというふうに理解をされて、これまで墓前にぬかずくことはやっていなかったわけでありますが、もともとはやはりそういうお気持ちは私はあったんだろうと思います。

 今、改めて、昨日、それから、この間ずっと、本会議あるいは参議院の予算委員会で議論がございましたけれども、そこでなぜか麻生大臣は、いや、墓前に行くことはもうできないということを、きょうの本会議でもおっしゃっていましたけれども、そうした答弁を聞いて、この赤木さんの奥様は、弔問に関しては、麻生大臣が裁判を理由に弔問を断るのはやはりおかしい、私に会わなくても、夫のお墓参りをするのはいつでもできるはずです、夫の墓前に手を合わせてほしいと思います、そして、また、もし麻生大臣が私と会っていただけるのであれば、ぜひともお会いして、お話をお伺いしたいものです、こういうコメントを、きのうの夕方ですか、出しておられるわけですね。

 私もやはりそのとおりだと思いまして、裁判云々ということでありますが、お墓に参って、そして、苦労をかけたなというねぎらいの一言ですね、それだけでもやっていただけないものでしょうか。

麻生国務大臣 これは、もう本当に、今から二年も前になりますので、今から考えましてもいろいろ思いのあるところでありますけれども、御遺族の御了解をいただければ弔問に伺いたいと申し上げていたんですけれども、そごねえ、そごなんですかね、とにかく来てほしくないという話になったと伺っておりましたから、私の方からは、一年置いたところで、うちからは、次官、官房長等々、近畿財務局の職員が複数回弔問等々に行かせていただいたということになったと思っておりますが、その気持ちは今でも変わらないところですけれども。

 今言われましたように、今ならいいというその話も、本当かどうかわかりませんからね、私どもからしてみれば。それは、私どもが直接伺った話じゃなくて、海江田先生を通して、若しくは誰かを通しての話で、私どもがやったのも、誰かを通して話が込み入っておかしなことになったというのが今回の経緯ですから、私どもとしては、今回はその点に関しましてはかなり慎重に対応せないかぬと思っております。それが第一点です。気持ちがあっても、なかなか意が通じなければ意味がありませんので、そういった意味では一点。

 二つ目は、今裁判ということになっておるということになると、これはちょっとなかなかまた話は別であって、これは、いろいろ大臣をやっておりましたので、その役所を訴えられた方がいらっしゃいますので、その相手の人がのこのこ訪ねてきたりなんかするという人もいて、ちょっと、失礼ですけれども、そうはいかぬのですよといってお断りを申し上げた、いろいろな過去の例もありますので、そういった意味では、民事、刑事、いろいろ問わず、なかなかそういったところは難しいかなという感じはいたします。

海江田委員 これは、今お話をしたのは、きのうの国会でのやりとりを受けてのお話ですが、その前に、自筆のメモもあります。これも一部新聞などには載っておりますが、私も今持っておりますが、必要とあればお見せをして、それは自筆だということですから、相手の意思は、その意味では、来てください、お断りをするものではないということはほぼ間違いないですよ、これは本当に。そこまで人を信じられなくなってはいけませんね、やはりね。

 それから、裁判云々ですけれども、さっきお話をしましたけれども、お墓へ参ることが、これは何か差しさわりあるんですか。お墓の中に眠っておられるのは、まさに麻生大臣の部下であった人じゃないですか。その人と心の中で会話をすればいい話であって。それから、もっとその前提からいえば、別に民事の裁判で原告と被告が会って話をすることは幾らでもありますし、そのことによって裁判を取り下げて、そして和解したりとかいうことだって幾らでもあるわけですよ。だから、裁判を盾に言うのはおかしいです。

 それから、赤木さんの奥様も、本当に、まずお墓に、墓前に参ってくださいということを言っているんですよ。もし、その後もう一歩進んで、そして私に会ってくれるのなら、会っていただければお話をしたいということですから、まず最初の一歩で墓前にお参りをするということも、私は決してできないことじゃないと思うんですよ。

 どうですか、それは。もう本当に、半歩踏み出していただければいい話でありますから、お墓の前に線香とお花を手向けて、そして、本当に苦労をかけたなと。やはり大変なことですよ。もっと思いはいろいろあると思いますけれども、私はあえて苦労をかけたという表現をしますけれども、それでぬかずいてくるということは、これは本当に、麻生大臣も熱い血が通っているわけですから、それをやはりそのまま正直に吐露をして、まずそこから麻生大臣の誠意というものを見せていただけるわけにはいきませんか。それでもだめですか。

麻生国務大臣 熱い血が通っているとか通っていないとか関係ない話なんで。私個人の話を言われると、ちょっと私どももいろいろこれまでの経緯がありますので。

 二年という月日がたちましたので、随分違った状況にはなったんだと思いますよ、あのときの状況からとは。興奮もしておられたと思いますし、いろいろ高ぶっておられたので、随分状況は変わってきたんだなとは思います。したがいまして、私どもの方としては、もうずっと気持ちは変わりませんので、伺いたいなと思っているという気持ちをお伝えしたんですけれども、お断りをされたという状態が、二年前の状態は私どもはそう理解しておりますから。

 したがいまして、それがどういう変遷を経たのかはよくわかりませんけれども、いきなり訴状が来ましたから。そういったような形になりますと、ちょっとこれはなかなか難しいなという感じはいたしますよ、正直なところですけれども。

 私どもとして、そういった気持ちがあるというのは確かですけれども、今の状況というのは、よく訴状をまず見させていただいた上で考えさせていただければと思っております。

海江田委員 むしろ私は、訴状を見る前に行っていただいた方がいいと思うんですよ、これは。

 だから、本人の意思がどうぞお越しくださいということであれば、それは行かれますか、確認できれば。

麻生国務大臣 第三者の話を経由するという話というのはなかなかこれまで難しかったというのがあれなので、海江田さんが言われたから本当かどうかというのは、あなたを信用しないわけではありませんけれども、私どもとしては、この間、そう申し上げて、そうじゃないという対応をされましたものですから、それに対しましては、私ども、訴状ということがなければまた別の話でしょうけれども、出たということになりますとちょっと話は込み入ってきておるなと思います。

海江田委員 これはもうこれ以上お話ししませんけれども、やはり行くべきですよ。一言言ってくれば、そして、亡くなってしまわれたので、本当に取り返しがつかないことでありますけれども、やはり自分の気持ちはこうなんだということをおっしゃっていただければ。国民も見ているわけですよ。はっきり言って、みんな国民は怒っているんですよ、これは。やはり、その国民に対して、自分はこうなんだということをやっていただきたいというふうに思います。

 まだ時間はありますから、別に私が言ったからということでなしに、御自分でお考えいただいて、行ける機会があったらぜひ行っていただきたいと思います。

 それから、きょうは、改めて、森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書、それから手記ですね、パソコンで打ってある方は私は手記というふうに理解をしておりますが、その中で、そごがあるとかないとか、いろいろな言われ方がしておりますけれども、やはりこの報告書の中に全く欠落しておりましたのは、財務省の、これは大臣も含めてでありますけれども、佐川局長以下の当時の国会答弁が、これは明らかに虚偽答弁ではないだろうかということを指摘しているんです、何カ所にもわたって。

 こちらのこの報告書は、決裁文書の改ざん等に関する調査報告書、等という言葉がついておりますけれども、私は、その意味では、当時答弁をしたことが、実際にここに書かれている、この報告書に書かれている事実ともやはり違うことがあるわけですよ。

 そういうことであれば、それを赤木さんは指摘をしているわけでありますから、それだったら、やはりそれに対してどういうふうに思っているのかということ、あるいは財務省としてどういうふうに考えるかということを私はぜひ聞かせていただきたいと思います。

 そこで、当時、この手記の中で名指しをされています、それは太田理財局長、当時の理財局長でありますが、今は主計局長でありますから、ここへ来ていただいて、いや、それはこういうことなんだということを改めてお話しいただきたいと思ったんですけれども、それがかなわないということでありますから、現在の理財局長が、太田前局長から、ここに書かれているということについて、自分は、虚偽答弁という指摘があるけれども、御本人からの、赤木さんの指摘ですから、それはこうなんだということをお聞かせいただきたい、太田さんから聞いた話を教えていただきたいと思います。

可部政府参考人 お答えいたします。

 現在、理財局の職務を担当させていただいておりますので、私の方から、委員の御要請に応じまして、太田現主計局長の方に確認をさせていただきました。

 御指摘のように、その手記の中では、当時、太田局長が、情報公開請求の中で改めて確認したところ法律相談文書の存在が確認されたと答弁していたのは虚偽ではないのか、こういう指摘があるわけでございます。

 この点について、太田主計局長に確認いたしましたところ、法律相談文書について、近畿財務局管財部においては存在しないと聞いていたが、情報公開請求への対応のため、管財部にとどまらず他の部門も含めて、森友学園案件の関連文書の探索を行った結果、法務部門に法律相談文書が行政文書として保存されていることが判明したとの報告を受けたことから、速やかに会計検査院に対して提出するよう指示をしたものであり、その旨、当時国会において答弁をしていたとのことでございました。

海江田委員 それでは、全く虚偽の答弁をした覚えはないという話ですね、これは。

 ただ、ここで指摘がありますのは、これは日付も入っていますが、二月十九日の衆議院予算委員会で、太田理財局長が、当初段階で、法務担当者に伝え、資料に気づく状況に至らなかった、法務担当に聞いていれば気づいたはずだと。

 法務担当に聞いていればということですから、後で法務部門から聞いた。この答弁は全く虚偽であるということ。二月の十九日の時点でこう答えているわけですから、それがわかったのは後のことでしょう、太田さんがそのことに気がついたのは。そうじゃないんですか。

可部政府参考人 時系列を、御説明を申し上げます。

 平成二十九年の秋に情報公開請求がございました。これに応じまして、先ほど申し述べましたように、近畿財務局の管財部にとどまらずほかの部門も含めて文書を探索したところ、その秋の段階でこの法律相談文書が見つかったので、十一月の下旬に、会計検査院に追加して資料として提出をさせていただきました。

 これにつきまして必要なマスキング等を施した上で年明けに国会に提出をさせていただいたわけでございますが、当時、それを受けて、冒頭委員が御指摘になっておられた国会答弁が行われました。その当時の太田局長の答弁、当時の認識を確認して、ただいま御報告申し上げたところでございます。

海江田委員 時間がありませんので、そこを一つ一つ詰めることはきょうはできませんけれども、いずれにしましても、この報告書、財務省のお役人が国会で虚偽の答弁を行ったということ、これは佐川さんを筆頭にでありますけれども、これがやはり全くこの報告書には抜け落ちているわけですよね。

 ですから、私は、その意味でも、改めて、やはり国会に対して虚偽の答弁をするということは大変大きな問題でありますから、そのことは、ぜひ、これは別の調査でもいいですけれども、国会で答弁をしたことと、それから、実際に起きたこととの間でそごがある。虚偽の答弁というのが嫌であれば、結果的には虚偽の答弁なんですけれども、事実と違う答弁を幾つかの時点で、まだもう一つあるんですけれども、申し上げませんけれども、その時点で事実と違うことを答弁をしているケースがあるんですよ。そういうことをちゃんと調べて、そしてやはり国会に対して報告をしていただきたいと思います。

 これはまた後刻質問の機会もありますから、こういう答弁をしているけれども、これは、ここで書いてあることと違うんじゃないか、こういう事実と違うんじゃないだろうかということを申し上げたいと思いますので、それは、ぜひそちらでもお調べをいただきたいと思います。

 それから、きょうは、もう一つ、やはりコロナの問題についてもお話をしたいと思いましたけれども、もう本当に時間がなくなってしまいましたけれども、コロナのウイルスの問題、よくリーマン・ショックの当時と比べてどうだこうだというお話があります。

 ただ、私は、リーマン・ショックのときと比べて、いろいろな違いがあるわけですけれども、一つ大きな違いというのは、リーマン・ショックは今から十二年前であります、その十二年の歳月というものの間に、実は、特に中小企業の経営者の年齢がそのまま年とっちゃったわけですよね。ですから、二〇一五年の段階で、東京商工リサーチが、中小企業の社長の平均年齢がほぼ六十歳を超えて、六十六歳かな、それくらいになっているわけでありますね。

 そして、一番問題なのはやはり、その人たちの中で、これは後継者ですね、後継者がいないという人たちが大体、これは麻生大臣、いろいろな方とお目にかかっていろいろな話を、意見交換をしておられると思いますからおわかりだろうと思いますけれども、やはり半分近くが六十歳以上の方で、およそ四七%とか四八%の人たちが後継者が決まっていないということなわけですね。

 そうしますと、どういうことになるかというと、やはり今度のことで、いろいろな形でつなぎの資金の融資をしなければいけないとかそういうことはもちろん大切ですし、ぜひやっていただきたいというふうに思うわけでありますけれども、そこからもう少し先のことを考えたとき、これは私自身も、私の友人なんかで中小企業を経営している人もたくさんいますから、話を聞きますと、いや、今度のがもう致命傷になって、自分はまだ傷口が大きくならないうちにもう廃業してしまおうという人がたくさんいるわけですよ。これはやはり十二年前と違うんですね。十二年前にももちろんそういうケースはありましたけれども、これからかなり多くの人たちが、もう廃業だという人たちが出てくるわけでありますから。

 この企業の中には、もちろんゾンビのように生き残っている企業にはお引取りを願うということもあるんですけれども、優秀な技術を持っているとか、それからちゃんと黒字を出しているとかそういう企業があって、この企業が日本に存在をして、雇用、人々を雇ってくれていることによってやはり日本の社会は何とか支えられて経済活動ができているわけですよ。

 だから、こういう人たちに対する配慮、特に、私は、ことしの、ことしというか来年度の税制改正を見ておりまして、事業承継の税制、個人に対して、これは事業承継をする、第三者に対してでも、これはいろいろな形で手当てができるようになりました、それから、せんだって、閣議決定で、これは、そういう中小企業の、これから後継者不足の人たちを何とかやっていかなきゃいけないな、だから、個人が抱えている債務保証は除外しましょうねとかいろいろなことでなっていますけれども、一つだけまだ抜け落ちているのが、やはりMアンドAなんですね。

 どうしても人が見つからないときはやはりMアンドAをかけて、それで、その企業の価値を認めてくれる人に対して買ってもらってということの後押しの税制が、残念ながら、来年度の税制改正の中で抜け落ちてしまいましたので、これから、先日閣議決定をしました、中小企業を支えていく、特に事業承継で支えていくその法案も国会に出てくると思いますけれども、そのときに同時に、セットで、MアンドAについても、例えば来年の税制改正でもいいわけですよ、これは。だけれども、MアンドAについても必ずやはりこれは、ちゃんと事業承継、MアンドAで事業承継をやってくれるんだったら、その人たちにやってもらえるようにちゃんと税制で後押しをしていきますよという方向性を出さないと、それがあって初めて、そうか、それならもう少し頑張ってみるか、あるいは、MアンドAをかけてちゃんと自分の会社の技術力を日本で根づかせてもらう、雇用もちゃんと確保してもらう、そういうことにつながると思いますので、ぜひこれは、大臣、前向きに検討してください。

麻生国務大臣 事業承継税制、非常に大きな税制の変更だったと思いますね。これは、この七、八年間の中で、事業承継というのは最も、地方の中小零細企業に限らず、中企業、大企業に至る中でも、この事業承継税制というのは大きな税制だったと思っております。

 MアンドAの話が抜けているじゃないかという話がありましたけれども、これはなかなか難しいので、売り手と買い手と両方おりまして、買った方が利益が出るのに、その買った方の利益を税金から引いてやるという話はなかなか乗れぬ話ですわな、基本的には。買って、もうかる方が税金が安くなるという話はなかなかできませんから、それは売る方の話だから、両方の話をしなきゃいかぬということを考えないといかぬので、もうかる方の片っ方だけやるなんて、そんなことはできませんですよね。だから、そういった意味では、いろいろなことを考えないかぬので、もうちょっと練られてからの方がいいと思いますね、この話は。

 私どもは、今の段階というのは、もう一点、MアンドAって、何だか知らないけれども、大企業、いろいろやっておられるような気がするんですけれども、今MアンドAが最もうまくいっている企業はどこか、日本で。どこだと思いますか。僕は不思議に思っているんですけれどもね、これは官ですよ。日本たばこが最もうまく成功したところでしょう。トヨタはMアンドAじゃないですから、こっちは自分でつくるんだもんね。MアンドAで大きくなった会社といったら官なんですよ。どうして官がうまくいって民がやるとうまくいかないんだろうと、僕はこれは前から不思議なんですけれどもね。私、ただ事実を申し上げておりますので。

 そういった意味で、それがMアンドAの税制によるものなのかねと言われれば、ちょっとそうでもない、いろいろなことを考えないかぬと思っておりますが、とにかくこの事業承継に伴って、このMアンドAの話やら何やら、いろいろなことを考えないかぬところだと思っています。

海江田委員 もう時間が来ましたので、本当は、時間があれば売った方の話と買った方と両方の話をやりたかったんですけれども、きょうはここまでにします。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、森友学園問題に係る財務省による公文書の改ざんの問題、これについて麻生大臣にお伺いしたいと思います。

 安倍総理が、私や妻がかかわっていたら総理も国会議員もやめます、こう発言されました。これを受けて、麻生大臣、これを聞いて、いや、内心困ったなと思われたんじゃないのかなというふうに思います。

 もしも私が麻生大臣の立場であれば、ああ、これ、本当、どうなっているのかなと心配になって、それについて問合せをするんじゃないかなというふうに考えました。

 麻生大臣、この総理の言葉を受けて、佐川さんに対して、これ、事実関係どうなっているんだ、こういうような問合せってされたんですか。

麻生国務大臣 私の方から事務方に対して問合せをしたかと聞いておられるんですか。(日吉委員「はい」と呼ぶ)問合せをしたことはありません。

日吉委員 今申し上げましたけれども、これ、気になると思うんですよね。実際、改ざんはまだわからなかったかもしれないですけれども、事実関係として、総理がかかわっているということが万が一にもあったら大変なことになるから、事実関係を確認しておこうというふうに思うのが自然だと思うんです。でも、今、麻生大臣は、それをしていなかったというふうにおっしゃっていました。これはある種、この確認をしていれば、そこで改ざんをもしかしたら防止することができたかもしれませんし、そういったことにつながるわけですね。これが組織のチェックの機能というふうに思うわけです。

 そして、麻生大臣が知らないところで部下が勝手に改ざんをしていったということになるわけなんですね、今の話ですと。そして、佐川さんがこの改ざんの方向性を示して、指示を出して、それによって職員の方が死に追い込められていく、こういったことが起こってしまった。こういうことでございます。

 それにもかかわらず、大臣は、佐川さんのことを、適材適所でこの人事だというふうにおっしゃって、そして、この佐川さんを国税庁長官に昇進をさせる、こういったことを行っているわけです。

 そういった意味では、これ、ペナルティーを科すという意味での責任が発生する、任命責任が発生するのではないかということが考えられる。これが一点。

 もう一つ、この改ざんをとめようとした人がいるわけです。しかし、声を上げたんですけれども、それをとめることができなかった。これは、改ざんを防止するためのガバナンスができていなかったということになるわけです。

 以前の委員会でも何度か質問させていただきましたけれども、その中で、麻生大臣は、このガバナンスを構築する責任は自分にあるというふうに明言されておりました。

 そういったことを踏まえたときに、平成三十年の財務大臣談話の中で、麻生大臣は、この公文書の改ざんによって、財務省、そして行政全体の信頼を損なわせてしまったことを踏まえて、御自身にペナルティーを科したんですけれども、むしろ、この任命責任や、ガバナンスを構築していなかったことに対して責任を果たしていくべきではないのか、ペナルティーを科していくべきではないのかと考えるんですけれども、麻生大臣のこの点についてのお考えを教えてください。

麻生国務大臣 この国税庁長官の人事ですけれども、これは全ての人事と同じで、ポストにふさわしいという、適材適所に配置するという考え方に基づいて行っておるというのが基本なんだと思っております。

 佐川につきましては、私どもとしましては、基本的にこれまでに、とにかく、国税庁の次長、大阪国税局長といういわゆる徴税分野におきます経験、また、審議官やら課長を主税局でやってきておりますので、税制の企画立案の経験等々豊富でありますから、国税庁長官として適任と判断したということなんだと私どもとしてはそう思っております。

 文書の改ざん等々、これは極めてゆゆしきことなんであって、まことに遺憾なことなんであって、深くおわびを申し上げねばならない、これはたびたび申し上げているとおりです。

 平成三十年六月にこの問題に関する経緯等に関する調査結果というものを公表させていただいて、関与した職員に対して厳正な処分を行わさせていただき、減給やら免責やらいろいろ出しましたけれども、私自身も閣僚給与の自主返納をさせていただいたりもしました。

 なお、作業にかかわりましたいわゆる部下というものにつきましては、これは本省理財局からの指示に明確に反対したということになるんですけれども、処分というものをいたしておるわけではございません。

 いずれにいたしましても、この種の話というのは二度と起こしちゃいかぬという点については大事なところなんだと思っておりますので、理財局長時代の対応によって、国有財産の行政に対する信頼を失ったということとして私どもとしては考えておりますけれども、懲戒免職にすべきじゃなかったかなどいろいろな御意見があるのは知らないわけではありませんけれども、職員を懲戒免職するのは、これはもうルールで刑事処分の対象となったケースとか横領などの議員自身が不正な利益を得ようとしたケースなどであって、これらには該当しないというのが佐川の立場だと思っておりますので、私どもとしては、今回、懲戒免職の次に重い停職相当の処分にするのが相当と判断をさせていただいたということであります。

日吉委員 今、佐川さんについての処分というよりも、麻生大臣御自身の責任、これを質問させていただいたわけであります。そこについて、ガバナンスを構築しなかったこと、そして任命責任についてどう考えているかということを教えていただきたかったわけです。

 そもそも、麻生大臣そして安倍総理が、この森友問題に、この改ざんに関して知っていたのではないか、こういったことが国民の皆様の中では疑惑となっているわけです。そういった意味で、亡くなられた赤木さんの奥様が、安倍総理そして麻生大臣、この二人は調査される側であって、調査をしないとかそういったことを言う立場にはないというようなことを先日おっしゃっていたわけです。

 まさにそのとおりだと思うんですけれども、こういったことを踏まえた場合に、前回の財務省による調査というのは職員を対象としただけの調査であるわけです。そういった意味で、大臣自身、疑われているということを踏まえて、第三者である方々を入れた調査機関による調査、こういったことをして、その事実をしっかり明らかにするべきではないか、こういうふうに考えられるんですけれども、この点について麻生大臣はどのようにお考えか、教えてください。

麻生国務大臣 第三者と言うのであれば、いわゆる検察庁というのは第三者なんじゃないんでしょうか。その第三者の調査によって不起訴処分になったというように理解いたしております。第三者と言われるんだったら、ということになろうかと思いますが。

日吉委員 そこから、この手記が出て新しい事実もわかってきているわけです。第三者といっても、その中で、麻生大臣そして安倍総理の関係というのが国民全般にわからないわけですね。そのあたりをしっかりと明らかにしていく必要があるんではないかということで、改めて調査をする必要があるんではないか、このように考えられるんですけれども、それについてもう一度お考えを教えてください。

麻生国務大臣 先ほども同僚の方々に、同じような御質問でしたので、同じような答弁をさせていただくということにしかならないと存じますが、私どもとしては、今申し上げたとおり、今回の中から特に新しい事実が出てきたわけではございませんから、我々としては改めて調査する必要はない、そう思っている。

 ただ、調査する権限がないと言っている人に調査しろと言われても、ちょっと困るんですけれどもね、そこのところは。調査する権限がないと言っているわけでしょう。そういう人に向かって、調査しろと言っておられることになりやしませんか、おっしゃっていることは。

日吉委員 資格がないと言っているわけではなくて、時間が来ましたので終わりますけれども、新しい事実もわかってきましたし、それで、今申し上げた麻生大臣のガバナンスの構築の責任も、そして任命責任も、これも明らかになっていないわけですから、そういったことを踏まえた上で、もう一度調査をして明らかにしていただきたい。これを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 お配りしている資料一枚目の方ですけれども、線を引いている部分、ごらんになってください。「亡俊夫の手記には様々な新事実が記載されています。また、亡俊夫は職場のパワーハラスメントで自殺に追い込まれたといえますが、少なくともかかる観点からの調査は一切行われていません。」ということで、パワーハラスメントで自殺に追い込まれた、これを裏づけるような事実が手記の中にはあるわけでありますが、この観点からの調査というのは今まで全くされていないわけですよ。

 ですから、この自殺に係る真相究明は絶対にする必要がある。そうでなくては、財務省の組織の隠蔽体質、そして、不当なことを部下にしわ寄せして、そしてトカゲの尻尾を切る体質、これは改まらないわけでありますよ。ですから、今申し上げたこのパワーハラスメントで自殺に追い込まれた、これに関連する真相の究明を行っていただきたいんですが、いかがですか。

麻生国務大臣 いわゆるこのパワーハラスメントに関しましては、これは民間の法制では、事業主にまずなりますけれども、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならないということとされているものと承知をいたしております。

 文書改ざん等の一連のこの問題行為に関しましては、これはもう御存じのように、平成三十年六月の調査報告書に既にお示しをいたしたとおり、本省理財局の指示により、近畿理財局において不適切な業務を強いられたものであり、そうした問題に適切に対応し得る体制になっていなかったと言わざるを得ないという点を踏まえまして、我々としては、こういったことは二度と起こさないように、文書管理の徹底また必要な取組を進める等々、秋池参与等々にも御足労をかけて、財務省が組織として抱える問題を抽出させていただいた上で、問題行為の発生を許したこの組織というものの風土というものの改革を進めているというところでありまして、私どもとしては、いわゆるパワハラというのであれば、この種の認識はしていた、相当の有無について考えていたというように御理解いただけるんじゃないでしょうか。

階委員 調査報告書で書かれているのは、改ざんに至った経緯、こうしたことは書かれていますが、パワーハラスメントで自殺に至った経緯それから原因、そういったものについては書かれていないですよ。

 この御遺族の奥様は、なぜ亡き俊夫が自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにするために訴訟を提起するに至っているわけですから、この部分については今まで真相究明されていなかったわけですから、しっかり調査をするべきだと思いますよ。今の答弁は全く的外れです。

 逆に、調査しなくても、もうこれ、全部、新しい事実はないんだということであれば、このパワーハラスメントで自殺した職員に対する責任をとっていただかなくてはいけないと思いますよ。そもそも、パワーハラスメント、どのようになされたのか、どうして自殺に至ったのか、ここを調査して、責任をとるべき人はとる、これを約束してください。

麻生国務大臣 いわゆる文書改ざん等の一連の問題行為についても、これはパワーハラスメントに該当するのではないかとの御指摘もある一方で、例えば、近畿理財局の一部の職員が本省理財局からのたび重なる指示に強く反発し、結果として、これらの職員はこれ以上作業に関与させないこととされたことをどう考えるかとかいった論点もありまして。

 パワハラに該当するかどうかを認定することまではいたしておりませんが、いずれにしても、本省理財局の指示によって近畿財務局において不適切な業務を強いられたというものであって、そうした問題に適切に対応し得る体制になっていなかったと言わざるを得ないということを認めているということだと思います。

階委員 それが自殺という重大な結果を招いているわけですよ。これに対して何の言及もないのがこれまでの調査報告書。

 この部分は、今回訴訟が提起されるに至って、それほど重要な問題だったんですが、これまでは調査の対象じゃなかった。だから調べるべきだと思いますし、これをやらなければ御遺族の方は決して納得できない。

 やるべきじゃないですか。ぜひやってください。そして、それをやらないで、この問題は、絶対に私たちはないがしろにすることはできないと思っていますよ。なぜ調査をしないんですか。

麻生国務大臣 パワハラの調査をしないかと聞いておられるんでしょうか。(階委員「なぜパワハラによって自殺をしたのかということを調べないといけないんじゃないですか」と呼ぶ)パワハラの調査というのは先ほど答弁申し上げたんじゃないですか。(階委員「自殺に至ったのか」と呼ぶ)至った経緯は、本省からのたび重なるあれがあったというのが、パワハラというのであればパワハラかもしれません、それが。本省から地方理財局におりてきた内容がパワハラに当たるというのであればパワハラというのが、それがパワハラという背景でしょうか。

階委員 大臣は本当にそれでいいんですか。人が死んでいるんですよ。

 大臣が知っていたか知らないかわかりませんけれども、こういう何か人を死に追い込むような行為が財務省の中で行われていて、そして、指示をしてパワハラで自殺に追い込んだ人たちはみんな出世しているじゃないですか。これはおかしいでしょう。それでもう調査は終わりと。財務省の信頼はそれで回復するんですか、あり得ないですよ。だから、今回、御遺族の方は業を煮やして訴えを提起したんですよ。本当は、財務省が真摯な対応をしていれば、大臣もお墓参りに行っていればこんなことにはならなかったんですよ。

 反省も足りないし、みずからの責任に対する自覚も足りないと思いますよ。大臣、もっと重く受けとめるべきではないですか。本当にこれはおかしいと思いますよ。これは本当に、国会に対する冒涜も文書改ざんで行われましたけれども、今度は遺族に対する冒涜ですか。二重に冒涜していますよ。そんなので大臣が務まりますか。以前テレビで見ましたけれども、やめるつもりだったと言っていましたよね、もうやめていいんじゃないですか、そこまで無責任だったら。どうですか。

田中委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いいたします。

麻生国務大臣 階先生からそういう御意見があったということは拝聴させていただきます。

 その上で、これは公務災害みたいな話になっていると言われますと、個人のプライバシーにかかわるということになりますので、これ以上お答えすることは我々としてはできないということになろうかと存じます。

階委員 プライバシー権を主張するのは御遺族ですから、御遺族の方が調べてくれ、プライバシーにかかわることを調べてくれと言っていますから、プライバシー権を放棄しているわけです、問題ありませんと申し上げまして、質問を終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 森友学園の決裁文書改ざん問題について質問をいたします。

 初めに、財務省に伺います。

 平成三十年六月四日に、森友学園案件に係る決裁文書の改ざん等に関する調査報告書、以下、調査報告書と言わせていただきますが、これが出ました。

 ここに、当時近畿財務局職員だった赤木俊夫さんがうつ病を発症したことの原因や、みずから死を選ばざるを得なかった経緯について書かれていますか。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、近畿財務局において平成三十年三月に職員の方がお亡くなりになったことはまことに残念なことであると考えており、深く哀悼の意を表したいと思います。

 その上で、決裁を経た行政文書を改ざんし、それを国会等に提出するようなことはあってはならないことであり、また、職員が亡くなられたという事案の重大性を踏まえて、お尋ねの調査においては、一連の問題行為の経緯や目的を明らかにした上で、責任の所在の明確化を図る観点から必要な調査を行ったところでございます。

清水委員 答えていません。

 私が聞いたのは、赤木俊夫さんがうつ病を発症したことの原因や、みずから死を選ばざるを得なかった経緯について報告書に書いているかと聞いたんです。お答えください。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 報告書に書いてございますのは、今申し上げたように、一連の問題行為の経緯等を書いているところでございまして、個別のことについては書いておらないところでございます。

清水委員 書いていないというふうにお認めになられました。

 では、改めて伺います。

 これは調査報告書とは別で、この赤木俊夫さんが精神疾患、うつ病になぜなったのか、そのことについて財務省はその理由を把握されていますか。どうして赤木さんがうつ病になったのか、その原因について。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件につきましては、まさに個人のプライバシーに係ることであるため、具体的な内容についてはお答えは差し控えたいと考えます。

清水委員 プライバシーは御遺族の方が公開するかどうかを決めるわけで、しかも、赤木さんはみずからの手記を出されて、プライバシーも含めて、なぜ自分が追い込まれていったかということを明らかにしているんですから、本当に哀悼の意を示すとか言うんだったら、しっかり答えるべきじゃありませんか。

 平成三十一年二月七日に、人事院に対して、これは近畿財務局長名ですが、公務災害補償通知書というのを出されております。これは、近畿財務局が赤木俊夫さんの傷病名がうつ病だというふうに認定した公務災害補償通知書なんですね。

 これは人事院が判断するんですが、人事院が判断する上で、近畿財務局や財務省の資料、なぜ精神疾患にならざるを得なかったのかという、さまざまな資料を人事院に上げているはずなんですよ。そういう資料を把握しているということは、なぜ赤木さんが精神疾患になったのか、その理由については財務省はわかりますでしょう。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますが、その具体的な内容については、個人のプライバシーにかかわるため、お答えは差し控えたいと思います。

清水委員 では、一般論で、確認だけしておきます。

 職員が病休に入るとき、産業医といいますか、近畿財務局の管轄の医師にヒアリングするはずなんですよ。ヒアリングした上で、診察した上で、あなたはもう病休ですということで。ヒアリングするはずですけれども、一般的に言えば、そういうことでいいですね。一般的に言うと。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 あくまで一般論ですが、基本は聞いているかと思いますが、それぞれ個々の事情もありますので、すべからくそうかというのは今直ちにはお答えできかねるところでございます。

清水委員 調査報告書の二十七ページには、赤木俊夫さんについてこう書かれています。

 そもそも改ざんを行うことへの強い抵抗感があったこともあり、本省理財局からのたび重なる改ざんの指示に強く反発した、こう書かれております。

 公文書の改ざんを強要されたことが精神疾患の大きな要因になったことが、これは手記からもうかがえますし、先ほどの麻生大臣からの答弁からもうかがえるところだと思います。

 それで、これは先ほど麻生大臣も言われたんですけれども、パワハラの定義は何か。厚生労働省の定義はこうしております。同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的、身体的苦痛を与える、これがパワハラの定義だと。

 まさしく、もう泣いて抵抗した赤木さんに公文書の改ざんという違法行為、犯罪行為を強要した、これは明確なパワハラではありませんか。お答えください。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の言動がパワーハラスメントに当たるかどうかについては、個別事案におけるさまざまな要因を総合的に考慮の上判断するものと承知しており、これを判断していくのは必ずしも容易ではないと認識しております。

 文書改ざん等の一連の問題行為についても、パワーハラスメントに該当するのではないかとの御指摘もある一方で、例えば、近畿財務局の一部の職員が本省理財局からのたび重なる指示に強く反発し、結論として、これらの職員はこれ以上作業に関与させないこととされたことをどう考えるのかといった論点もあり、パワハラに該当するかどうかという認定をすることまではしておりませんが、いずれにせよ、本省理財局の指示により近畿財務局において不適切な業務を強いられたものであり、そうした問題に適切に対応し得る体制となっていなかったと言わざるを得ないと考えているところでございます。

清水委員 よくわからない答弁ですね。それがパワハラというんじゃないんですか。

 先ほど麻生大臣は、それがパワハラというのであればパワハラだというふうに述べられましたけれども、答弁が違うんじゃないですか。ちゃんと答えるんですか。ちゃんとパワハラと認めるんだったら答弁してください、この赤木さんのケースが。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今、この行為については、パワーハラスメントに該当するのではないかとの御指摘もある一方で、今申し上げたように、反発を受けて、結論として、この職員にはこれ以上作業に関与させなかったということもどう考えるかということで、パワハラに該当するかは認定するとしていないということでございます。

清水委員 指摘じゃなくて、財務省の受けとめを聞いているんですよ。

 途中でそういう強要をやめたからといってパワハラでないと言えるんですか。強要したのは事実でしょう。それがパワハラじゃないんですか。先ほどの麻生大臣の答弁と違いますよ。整理しください。途中でやめさせたらパワハラじゃなくなるんですか。何を言っているんですか。

茶谷政府参考人 今申し上げたように、個々の言動がパワハラに当たるかどうかについては、個別事案におけるさまざまな要因を総合的に考慮の上判断するものと承知しており、これを判断していくのは必ずしも容易ではないと。それで、大臣は、そういう指摘もあるのではないかというのを言われたと承知しております。

清水委員 これはもう麻生大臣に聞かざるを得ません。

 麻生大臣は、平成三十年三月、森友文書の改ざん事件が判明した後の新体制について問われた記者会見でこう述べられております。一連の問題行為というものを真摯に反省するとともに、信頼の回復に向けて財務省の再生に取り組むことを重視した人事だと述べておられます。

 同年十月に出された財務省再生プロジェクト進捗報告では、一連の問題行為の発生を許した財務省の組織風土を抜本的に改革することが必要、このように書かれています。ならば、赤木俊夫さんに対してパワハラがあったのかなかったのか、その真実を解明しなければ本当の意味での組織風土の改革はできないと言わなければなりません。

 赤木さんの手記には、パワハラで有名な佐川局長の指示には誰にも背けないのです、こう言っているんですよ。

 パワハラの事実について認めることが必要ではありませんか、麻生大臣。

麻生国務大臣 今、茶谷からも申し上げましたように、個別の行動がパワーハラスメントに当たるかどうかについては、個別事案におけますさまざまな要因を総合的に考慮の上判断する、これはもう承知をしておられる、皆よく御存じのとおりですよ。したがいまして、これを判断していくのは必ずしも容易ではないと我々も認識をいたしておりますけれども、これがパワハラに当たるか当たらないかということに関して、これはパワハラだと私が個別的に言えるようなあれには、これはできないということが書いてあるんだと理解していますが。

清水委員 これは驚くべきことですよ。パワハラがあったかどうか、いまだに調査していないということじゃないですか。これはパワハラかどうかというのは調査すべきですよ。亡くなった人に対して失礼じゃないですか。

 最後、私、これはちょっと、報告書の四ページの七というところがあるんですね。財務省としてできる限りの調査を行ったところであるが、今後、新たな事実関係が明らかになるような場合には、更に必要な対応を行っていくこととなる、こう書いているんです。

 麻生大臣は新たな事実はないと言いますが、赤木さんの手記には、この改ざんを命じられたときに、近畿財務局の楠管財部長からやらなくていいと言われた、しかし、その後本省から電話が入って、やらざるを得ないということになって泣く泣くやるんですが、そのときに、近畿財務局の美並局長が全て責任をとるというふうに言った、こう書いているんです。

 そのことはこの報告書に書かれていますか、調査報告書に。その事実が調査報告書に書かれているかどうか。

田中委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。

茶谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今のその文言は書かれておりませんが、報道を受けて念のために美並元局長に改めて確認したところ、調査過程において申し述べたとおり、平成二十九年二月上中旬ごろ、国会で森友問題が取り上げられる中、本省から近畿財務局に対し、国会答弁作業などに向けた作業依頼が多々あった、迅速な作業が求められることを踏まえ、部下職員に対し、理財局の指示に従う以上は逐一、局長、美並元局長でございますが、に上げる必要はない、それについては責任を持つ、自分は聞いていなかったと言うつもりはないと述べたということでございました。

清水委員 述べていないというふうに最初にお認めになられました。

 戒告という処分をされましたけれども、今、美並さん、東京国税局長でしょう。出世しているんですよ。強要された赤木さんは自殺をして、強要させたメンバーはみんな出世している。こんな不条理を許すことはできません。

 引き続き追及することを求めて、質問を終わります。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸です。

 本日はまず日本銀行に、ETF買入れについてお尋ねをいたします。

 ETF買入れは、金融緩和を強化するという目的で、六兆円だったものを年間十二兆円にふやすと発表されているというように聞いております。

 例えば、これに対して、二十三日ですけれども、FRBは量的緩和を無制限にして資金供給を拡大した、これは当然御承知のことだと思います。この政策目的は、今回のコロナウイルスの騒動によってドル資金が逼迫してきている、みんながドルを現金にかえたがっている、そこで、ドルが逼迫していることを緩和するために資金を大量に供給した。これは非常によくわかるわけですね。

 しかしながら、このETFの買入れを強化するというのは、これは政策目的がもう一つよくわからない。そもそものETF買入れの目的と今回更に拡大したその目的、これを明確にお答えください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 御案内のとおり、先月末以降、新型コロナウイルス感染症の拡大などの影響により内外金融資本市場が大きく不安定化し、株式市場のリスクプレミアムが大きく高まっているということでございます。

 このため、日本銀行は、金融市場の安定を維持し、企業や家計のコンフィデンス悪化を防止する観点からETF等の積極的な買入れを実施しているということでございまして、このところのETFの買入れにつきましては、買入れなかりせば株式市場のリスクプレミアムが更に大きく拡大した可能性がある場合に、これを抑制する効果を想定しているということでございます。

青山(雅)委員 非常に簡単に言えば、買い支えに走っている、こういうことでよろしいんでしょうか。

前田参考人 私ども、特定の株価水準を意識してETFを買い入れているものではございませんで、あくまでも、株式市場でリスクが高まるという際にそれに働きかけるという目的からやっているということでございます。

青山(雅)委員 私、特定の株式というふうに特定はしておりません。日経平均、日経平均というのも日本の株式市場です。日本の株式市場を底支えする、その買い支えのためにやっているということでよろしいんですか。

前田参考人 済みません。私の言い間違いかもしれませんが、特定の株価水準を意識してやっているものではございませんということでございます。

 ただし、今委員御指摘がありましたとおり、私どもが買い入れているのは日本の株式市場でありまして、現在のように市場参加者のリスクテークが極端に慎重化し市場機能がむしろ低下している、こういうような状況においては積極的に買い入れることが重要である、このように考えております。

青山(雅)委員 その政策目的が全くわからないんですね。FRBもECBも、そんなこと全然やっていませんよね。

 今回、三月に入ってから九回買われている、ダウが下げたときにほぼほぼ買われている。ダウが下げたときに買わなかったのは一回だけですかね、あと全部、ダウが下げたときに買っておられる。何でこういうことをされるのか。

 株価というのは、そもそも、現在の企業価値あるいは将来の企業業績、これを見越して適正な価格になるように市場が調整する、そういうものじゃないんでしょうか。

前田参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘のとおり、株価というのはさまざまな企業業績の先行き等々に左右されますので、いろいろな要因で左右されるものでございます。その中で、私どもとしては、先ほども申し上げたとおり、株式市場における市場参加者のリスクテークが極端に慎重化している、その結果、株が極めて不安定な動きになっているというときに、それをリスクプレミアムに働きかけるという観点から行っているものでございます。

 これは先日、私ども、金融緩和の強化ということを発表した、決めたときに、潤沢な資金供給、それから企業金融の支援、そして市場の安定、こういう三つの大きな枠組みを公表したわけでありますけれども、その三つ目に当たるものの一つとしてやっているということでございます。

青山(雅)委員 またそこがよくわからない。なぜ株を買い支えなければいけないのか。

 例えばニューヨーク・ダウにしたって、今一万八千ドルぐらいですけれども、これはトランプさんが就任されるときの相場ですよね。それというのは、もうかなりダウが高いと実は言われていたところ。で、日本株にしても、一番低いときは八千円だったわけですから、そこから比べれば全然安くないわけですよね。これを買い支えることが、なぜ市場を不安定にさせるのかというのが、その価値観がよくわからない。

 こういう、普通の水準に無理やり政策で持っていったものがもとに戻りつつある。しかも、今誰がどう見ても世界的に、例えば生産をストップさせる、アメリカなんかでもロックダウンが起きている、命じているところがある、ニューヨーク州のように。あるいは、イギリスのように広範な外出禁止を出す。こういう状況の中で、世界経済が先行きを下げるのはもう間違いないわけですよね。

 それにつれて株式が下がるのは当たり前なのに、なぜ日銀は価格形成機能を阻害しようとするんですか。明確にお答えください。

前田参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、私ども、何か特定の株価水準を下支えするという観点から買っているものではございませんで、今のような市場状況のもとでは、むしろ、株式市場を含めたいろいろなリスク市場の市場機能がむしろ低下しているという状況にあると思いますので、そういう中において、私どものような公的機関がリスク資産を積極的に買い入れるということは、金融市場の不安定な動きをある程度軽減し、それによって企業や家計のコンフィデンス悪化を防止することにつながる、こういう考えからやっているものでございます。

青山(雅)委員 社会主義国とかそういったところであるならば国有企業的な観点から買い支えるということはあるでしょうけれども、本来、日本というのは自由主義国、資本主義国です。それを政府が支える、株価のことについて、その水準を意識しようがしまいが、下落を支えるということは本来あってはいけないことだと思います。

 株価PKOということをやったことによって日本の株式市場は逆に長く低迷したというふうに言われているのは御存じのとおりだと思います。私は、もうきょうは時間がございませんので日銀に対してはこれで終わりますけれども、ぜひそのことについてはきちんともう一度よく検討をしていただきたいと思います。

 時間がございません。最後に、麻生大臣にお伺いしたいと思います。

 つい最近、埼玉で非常に大きな格闘技のイベント、これが政府と県知事による自粛要請にかかわらず強行されてしまった、こういうことがあったわけです。

 これは非常に心配です。ニューヨーク等大都市で大きなクラスターが発生していることを見れば心配なんですけれども、逆に、今の日本のやり方というのは、自粛要請、これは要は自粛する側の責任なんだから補償しなくていいよと、全部を自粛される側におっかぶせる、言葉は悪いですけれども、そのようなやり方になっているのではないかと思います。

 そうであれば、余裕のある、例えばもうかっている有名な歌手であるとか、大きな広告代理店であるとかはイベントは別に自粛しても大丈夫かもしれませんけれども、財政的な基盤が薄い興行主であれば、これはやめたくてもやめられないと思うんですね。この危険な状況を放置しておくのは、私はこれから日本がきちんとコロナウイルス、この問題を収束させるのに非常に大事なことだと思うんです。

 その観点で、こういった自粛を今後これからも呼びかけることがあるとすれば、自粛によって被害といいますか損失をこうむる興行主あるいは自営業者等々に関する補償もぜひお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。御所感をお願いします。

麻生国務大臣 イベントの話は伺っておりますし、状況として、今置かれている状況等々、テレビなんかでも出ておりましたので知らないわけではありませんけれども、イベント等々は、例えば春の甲子園、またいろいろな野球のオープニング、バスケットのオープニング、いずれも無観客で対応される等々、いろいろな損失というのが発生しているということは我々も知らないわけでありません。

 その上で、大きな大企業というのとは違って、中小・小規模事業者向けに、これは新たに特別融資という枠をつくるというのは御存じですね。どれくらい使われているか。意外と使われております、幸いにして。中でも、売上げが急減した事業者については実質無利子無担保で融資を行うなど、強力な資金繰り支援というものをかなり実施させていただいていると思っております。お礼を言われたこともありますので、そうだと思うんですが。また、雇用調整助成金の特例措置というもの、これは拡大させていただいております。

 したがいまして、雇用の維持と事業の継続というのを我々としては今当面全力でやらないかぬということで、いわゆる、みんな、爆発的な何とかとか、いきなり強力な形でのV字回復とか言われますけれども、V字回復の前に底が抜けたらV字回復なんかできないんですよ。ですから、そういった意味で、まずは底をとめるところをきちんとやっておかないかぬということだと思っておりますので、今申し上げたように、まずは雇用の維持とか事業の維持というものに全力を挙げさせていただいて。

 薬ができない限りは国民の不安はなくなりませんから。景気がよくなったといったって、不安でしようがないですよ。

 ですから、そういった意味で、きょう株がまた一千何百円上がっていますけれども、おっしゃるとおり、普通じゃないんですよ、日銀に聞いたって無理です、それは。聞く相手を間違っておられるので、マーケットに聞いていただかぬとどうにもなりませんよ、これは。

 そういうことになって、我々に起きたことがないことが起きているんですから、今は。我々の習った経済学なんて全く役に立ちません、今。そういった時代に今なっていますから、それを前提にして我々は対応せないかぬということになっているんだと、私はそう理解しているんですけれども。

 いずれにしても、今申し上げたように、そういったような事業者の方々を最小限にするためにどうしていくかというのが、一番頭の痛いところであります。

青山(雅)委員 ありがとうございます。

 時間となりました。

 最後に、けさ、ドイツのZDF、テレビを見ていましたら、零細企業や自営業者などに、規模に応じて一月当たり百七万から百七十八万円、これを三カ月の間給付するという大胆な経済政策もとっております。

 こういった損失補填といいますか給付、これについてもぜひ今後御検討ください。

 本日は、ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時十五分散会


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