衆議院

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第12号 令和2年4月22日(水曜日)

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令和二年四月二十二日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 藤丸  敏君

   理事 末松 義規君 理事 古本伸一郎君

   理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      武井 俊輔君    辻  清人君

      藤井比早之君    古川 禎久君

      本田 太郎君    牧島かれん君

      宮澤 博行君    宮路 拓馬君

      宗清 皇一君    山田 賢司君

      山田 美樹君    海江田万里君

      岸本 周平君    櫻井  周君

      階   猛君    野田 佳彦君

      日吉 雄太君    森田 俊和君

      山本和嘉子君    石井 啓一君

      清水 忠史君    青山 雅幸君

      美延 映夫君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 竹内  努君

   政府参考人

   (財務省大臣官房総括審議官)           神田 眞人君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    藤木 俊光君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            奈須野 太君

   参考人

   (株式会社日本政策投資銀行代表取締役社長)    渡辺  一君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

            補欠選任

             美延 映夫君

同月二十二日

 辞任         補欠選任

  田野瀬太道君     藤井比早之君

  牧島かれん君     宮路 拓馬君

  櫻井  周君     山本和嘉子君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     田野瀬太道君

  宮路 拓馬君     牧島かれん君

  山本和嘉子君     櫻井  周君

    ―――――――――――――

四月十六日

 森友学園問題に係る財務省による文書改ざん等に関する予備的調査要請書(川内博史君外百二十七名提出、令和二年衆予調第一号)

は本委員会に送付された。

    ―――――――――――――

四月二十一日

 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の見直しに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五六六号)

 同(笠井亮君紹介)(第五六七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第五六九号)

 同(清水忠史君紹介)(第五七〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五七一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五七二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五七三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第五七四号)

 同(藤野保史君紹介)(第五七五号)

 同(宮本徹君紹介)(第五七六号)

 同(本村伸子君紹介)(第五七七号)

 消費税率を五%に引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第五七八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五八五号)

 消費税率の引下げとインボイス制度導入中止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六〇五号)

 同(笠井亮君紹介)(第六〇六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第六〇七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六〇八号)

 同(清水忠史君紹介)(第六〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六一〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第六一二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第六一三号)

 同(藤野保史君紹介)(第六一四号)

 同(宮本徹君紹介)(第六一五号)

 同(本村伸子君紹介)(第六一六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として株式会社日本政策投資銀行代表取締役社長渡辺一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として金融庁企画市場局長中島淳一君、監督局長栗田照久君、法務省大臣官房審議官竹内努君、財務省大臣官房総括審議官神田眞人君、経済産業省大臣官房商務・サービス審議官藤木俊光君、中小企業庁事業環境部長奈須野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案について御質問させていただきます。

 御質問の機会をいただきました同僚議員の皆様の御配慮に感謝を申し上げたいと思います。

 まず初めに、新型コロナウイルス感染症関連の御質問をさせていただきたいと思います。

 緊急事態宣言が出されまして二週間がたちました。いまだ新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている中で、今私たちがやらなければならないことは、この新型コロナウイルス感染症の拡大をしっかりと食いとめて、そして収束の方向に持っていくのと同時に、やはりそれに伴う経済対策をしっかりと進めていく、まさにこれを両輪でしっかりと進めていくということが重要であるというふうに考えております。

 先生方の地元もそうだと思いますけれども、私の地元、静岡県、沼津、伊豆半島は本当に観光地でございまして、ホテル、旅館を中心に、この観光産業、非常に裾野の広い産業でございますので、経済状況、今大変な状況になっております。

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期間にわたり、なおかつ今後の収束見通しも非常に難しい中で、これはまさに業種や企業規模にかかわらず、資金繰りに苦しむ企業が増加しております。先月の、三月末の年度末を何とか乗り越えたけれども今月に入って更に厳しいという声が聞かれております。

 まず、政府として経済対策等によって打ち出している資金繰り支援策をお伺いしたいと思います。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 先般決定いたしました緊急経済対策におきましては、事業の継続を強力に支援すべく、中小・小規模事業者や中堅・大企業の資金繰り支援を行うこととしてございます。

 具体的には、政策投資銀行などの危機対応業務による中堅・大企業向けの資金繰り支援に加えまして、民間金融機関による融資を実質無利子無担保とすることができる制度の創設や、日本政策金融公庫等の特別貸付制度の融資枠の拡充など、総額四十五兆円規模の金融支援策によりまして、質、量ともに万全の金融措置を講ずることとしてございます。

 その上で、今重要なことは、先生御指摘のとおり、資金繰りに苦しむ事業者にしっかりとこれまでの政策が行き渡るようにすることと考えてございます。

 こうした観点から、既に先月六日と十六日の二度にわたりまして、麻生財務大臣から官民の金融機関に対しまして事業者の実情に応じた対応に万全を期していただきますよう要請を行っているところでございますし、加えて、今月の八日には、総理からも官民の金融機関に対して支援策の積極的な活用、貸付条件の変更に係る迅速かつ柔軟な対応、迅速な融資実行などをお願いいただいたところでございます。

 こうした取組によりまして、引き続き、事業者の資金繰りに支障が生じることがないよう全力で支援してまいりたいと存じます。

勝俣委員 先ほど出ましたように、まさにこのDBJは危機対応業務が義務づけられておりまして、内外の金融秩序の混乱や大規模災害等の事態、まさに今そのときでありますけれども、企業金融を支える使命が課せられているわけでありますので、しっかりと企業の資金繰りを支えていただきたいと考えております。

 今、連日、全国の地域金融機関とDBJは災害対策業務協力協定を結びまして、連携を密にしながら対応いただいているというふうに思います。

 そこで、去る三月十九日に新型コロナウイルス感染症に関する危機認定がなされまして、危機対応業務を開始しているものと承知しておりますけれども、新型コロナ感染症の影響を受けた企業からの相談状況は現在どのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

渡辺参考人 日本政策投資銀行の渡辺でございます。お答え申し上げます。

 非常時にある現在、新型コロナウイルス感染症による被害への対応を何よりも優先的に注力するべき課題であると認識してございます。中堅・大企業からの資金繰り支援要請に対して、万全の体制で迅速かつ的確に危機対応業務を実施してまいる所存でございます。

 先生お尋ねの現時点での融資の期待状況でございますけれども、昨日時点で融資の御期待額が二兆円を超える規模というふうになってございます。過去、十二年前のリーマン・ショックを上回る勢いかなというふうに感じている次第でございます。

 また、業種につきましても、直接的な影響を受けている観光関連の産業、航空産業のみならず、サプライチェーンへの影響が大きく出てまいりますので、製造業を含め、幅広い業種からの相談を頂戴しております。

 また、地域における対応でございますが、先生も付言していただきましたけれども、私どもはネットワークとして全国に十の支店しかございませんので、地域に当たっては、地域金融機関と災害の業務協力協定、特にコロナ対策の業務協力協定を五十行以上と現在結びました。各地域において、それぞれのノウハウとかネットワーク、そういったものを生かしながら、リスクマネーの供給を含む事業者に対する支援を一層強化をして、地域の活性化、地域の持続可能性の向上、そういったものに注力していく所存でございます。

 今後も民間の金融機関や政府としっかり連携をさせていただいて危機への対応に万全を期す所存でありまして、総力を挙げて対応してまいりたいと考えております。

勝俣委員 ありがとうございます。ぜひきめ細やかで迅速な対応を更にお願いしたいというふうに思います。

 企業においては、まずこの危機をしっかりと乗り切らなければなりませんし、それを政府としても全力でサポートしていく。さらに、この感染症が終息した後の我が国の経済のV字回復、成長のためには、今まさに企業の投資意欲は、もちろん先ほど申しましたように、私の地元もそうですけれども、地方経済、本当に疲弊している、観光地も疲弊してしまっている、こういう状況にありますので、リスクをとって新しい事業や投資を行おうとする企業を、DBJが先頭に立って特定投資業務等によってしっかりと支えるべきではないかというふうに考えておりますが、この点について大臣の所感をお伺いをいたします。

麻生国務大臣 勝俣先生御指摘のありましたとおり、これは沼津とか静岡に限った話じゃありませんけれども、この感染症によって、内外、特に日本より海外の方が影響が大きいように見えますけれども、内外経済が非常に大きな影響を受けておるのも間違いないところでありますので、企業が新しい事業への投資というものをするに当たっての意欲が落ちてきているというのは間違いないんだと思っておりますし、中でも、新しい、出たてのベンチャー企業等々に対してリスクをとって貸すかという話になると、この投資意欲というのは、多分、十年前のリーマン以上に、今回の方がもうちょっと意欲が減退しているように思われるんですけれども。

 そういった中で、やはり、政投銀がいわゆる特定投資制度というものを活用して、いわゆるリスクマネーというものをベンチャー企業等々に行うことによって、これはコロナが終息した後の日本経済のいわゆるV字回復等々、そういったものに果たす役割はでかい、私どもはそう思っております。

 したがいまして、この特定投資業務において、これは渡辺さんの方なんだと思いますけれども、いわゆる成長基盤強化の新しい、新型コロナのリバイバル対策等々、いろいろなものを創設して、いわゆるリスクをとって新しい投資を行おうとする企業向けの新しい投資額一千億というものを確保されたんだと思っておりますので、いずれにいたしましても、この危機対応投資業務とか特定投資業務等々によって、いわゆる目先の資金繰りの話でもありましょうけれども、リスクマネーの供給というのを下支えするところで、結果として日本経済のV字回復というものをやらせるもとを、そこできっちり取り組んでいかねばならぬところだと思っております。

勝俣委員 ありがとうございます。

 大臣からも出ましたけれども、特定投資業務について少し詳しくお尋ねをしていきたいというふうに思っております。

 DBJの特定投資業務について、平成二十七年の業務開始以来五年近くが経過しております。この政策目的というのは、地域経済の自立的な発展、企業競争力の強化、それから成長資金市場の発展と三つに分けられますけれども、我が国が間接金融主体の金融文化の中で、民間金融機関のいわゆる呼び水効果と言われる特定投資業務がこれまでどのような成果を上げてきたのか、具体的にお答えをいただければというふうに思います。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定投資業務では、これまでに約五千九百億円の投資を決定してございますが、これらは、先生がおっしゃるとおり、大きく三つの政策目的に分けることができます。

 第一に、地域活性化につきましては、地域金融機関との共同ファンドなどを通じた案件を含めまして五十六件、六百三億円の投融資を決定しておりまして、件数としてはこの業務全体の過半を占めてございます。この地域金融機関との共同ファンドは、これまで十二個のファンドを設立いたしまして、地域金融機関のみでは取組が難しい案件に対応する枠組みとして展開しておりまして、地域金融機関に対するノウハウの移転や人材育成も行ってございます。

 第二に、企業の競争力強化につきましては、日本企業の海外展開支援などの大型案件を中心に三十八件、五千九十四億円の投融資を決定しており、企業の競争力強化に資する新事業開拓や異業種連携への取組の実績が着実に積み上がっているところでございます。

 第三に、成長資金市場の発展につきましては、特定投資業務に伴う民間の投融資額、おっしゃった呼び水効果、これは特定投資業務による投融資の当初想定四倍でございましたが、これを大きく超える六倍以上の三・九兆円となっておりまして、我が国の成長資金市場の発展に高い効果を発揮していると考えられます。

 さらに、累積損益は百八億円の黒字となっております。業務開始からまだ四年半なので、今後、さらなる投資回収による収益の積み上げを期待しているところでございます。

勝俣委員 ありがとうございます。

 先ほど、黒字になっているというお話がございました。特定投資業務によるこれまでの累積損益はまさに黒字になっているんですね。これは、先ほど申しましたように、間接金融と異なって、エクイティーやメザニンといった直接金融でございます。ですから、まさにリスクマネーに限定される中での黒字でございますので、私は大変これは評価できるのかなというふうに感じます。

 そこで、ほかの官民ファンドと比較して、DBJの持つ強みは何かというふうに考えられていますか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 政策投資銀行、これは、特定分野に特化して時限的に設置されたほかの官民ファンドとは異なりまして、特定投資業務の開始以前より長い間投資業務に取り組んできておりまして、その中で培ったリスク評価手法などの高度な金融ノウハウあるいはコンサルティング能力、それを担う人材、金融機関や顧客とのネットワークに強みがあるものと承知してございます。そのノウハウを活用いたしまして、より広範な取組として特定投資業務を行った結果、地域活性化、企業の競争力強化、成長資金市場の発展に成果を上げていると考えてございます。

勝俣委員 更にそういったDBJならではの強みを生かして、これからも頑張っていただきたいなというふうに思います。

 今後の方針についてのお話を少しさせていただきたいなというふうに思います。

 先ほど、我が国のリスクマネー市場についてのお尋ねを今までさせていただきましたけれども、リスクマネー市場、先ほどから申し上げているとおり、我が国は間接金融の文化というお話をさせていただきました。まさに間接金融の文化ということは、要は、デットファイナンスを中心として、企業はそれぞれのステージにおいて資金調達をしてきたわけですね。ですから、リスクマネー市場において、民間の投資領域が非常に限定的になっているというふうにも言われております。

 特によく言われるのが、我が国の開業率が他国と比較しても非常に低いというふうに言われております。その要因の一つが、企業のアーリーステージにおいて、非上場株式市場、いわゆるプライベートエクイティー市場、また、特にベンチャー企業への投資が非常に不足しているんじゃないか、こういった御指摘もございますけれども、御見解をお聞かせいただければと思います。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生も御指摘なさいましたリスクマネーの代表的な市場でございます非上場株式、プライベートエクイティーマーケット、この規模を見ますと、近年、我が国の市場規模は増加傾向にはありますけれども、国際的に見ますと依然としてその規模は極めて小さく、例えば、二〇一八年時点でアメリカと比較すると、対GDP比で約五分の一程度の水準にとどまっておりますし、特にスタートアップの分野ではアメリカは日本の約三十七倍にもなるとされております。

 その原因といたしましては、まず、金融サイドで、民間銀行などは、自己資本規制やノウハウ不足、調達構造などの問題によって、リスクマネーの供給をふやすには一定の制約が存在する一方、受ける側では、民間が投資しやすい、マーケットプラクティスが確立されている領域や市場の厚みが限られている、その結果、両方ともリスクアバースになっているということが指摘されていると思います。

 このため、特定投資業務におきましては、先端技術の事業化、新産業の創造、航空宇宙分野など民間投資家になじみの薄い分野に投資を行って、民間が投資しやすい環境をつくっていくこと、また、事業会社との共同投資やコーポレートベンチャーキャピタルに対する支援を推進して、大企業の現預金などの余剰資金を有効活用すること、特に特定投資業務による成長性の高いスタートアップへの投資につきましては、これまで限定的ではございましたけれども、今後、ベンチャーキャピタルなどと連携して積極的に取り組むこと、こういったことによって、中長期の成長とイノベーションを促進して、積極的なリスクテークを行うエクイティーカルチャー、これを醸成していくことが重要であると考えてございます。

勝俣委員 そういう意味では、本当におっしゃるとおり、アーリーステージにおいて、DBJの役割というのは大変大きなものになるというふうに思いますので、ぜひ、そのあたりの、先ほどお話がありましたようにスタートアップの部分、ここをしっかりとサポートできるような体制を組んでいただきたいなというふうに思います。

 昨年末に、DBJの特定投資業務のあり方に関する検討会、この検討会の取りまとめが行われたと認識しております。

 よく言われるのが、DBJの業務というのは民業圧迫になるんじゃないかとかいろいろなことが言われるんですけれども、懸念される民業とのすみ分けという観点から、この検討会において、全銀協また地銀協といった民間金融機関等からどのような意見が示されたのか、お伺いをしたいというふうに思います。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年開催いたしました、先生おっしゃった有識者検討会、全銀協、地銀協、日本プライベート・エクイティ協会、日本ベンチャーキャピタル協会、そして特定投資業務のユーザーなどの関係者から幅広く御意見を賜りました。

 その中で四つ挙げさせていただきますと、第一に、外部有識者によって構成される特定投資業務モニタリング・ボードが設置されているなど、民業補完の趣旨を反映した設計となっており、民間金融機関などと適切に連携、協調していること、第二に、民間金融機関だけではとり切れないリスクがある、マーケットプラクティスが確立されていない領域や成長資金が不足している地域においても、特定投資業務が成長資金市場の質的、量的補完機能を発揮することで民間資金の呼び水となっていること、第三に、地銀との共同投資やノウハウ共有などにより地域におけるリスクマネーの出し手の育成に貢献していること、そして第四に、民間による投資領域が限定的であることや地域における成長資金が不足していることを踏まえ、特定投資業務の継続が必要であるなどの御意見をいただきまして、こういった御意見を踏まえて、今回、五年間延長の改正法案の御審議をいただいているところでございます。

勝俣委員 ありがとうございます。

 まさに先ほども検討会のお話が出ましたけれども、DBJの強み、リスク評価のノウハウを民間企業、特に地域の金融機関等と共有をして進めていくということは非常に大事なことだというふうに思います。

 そこで、今後、特定投資業務の期限を延長した場合、どのような分野への投資に注力をしていくのかということをお伺いしたいというふうに思うんです。

 例えば実績の方を見せていただくと、民間投資家になじみの薄い分野の投資領域を拡大していくことが大切だということで挙げられているんですけれども、新世代エネルギー分野、先ほども少し出ましたけれども、これはDBJの実績の中にもありますけれども、水素ステーションの整備、これも実績として挙げられています。水素というのはまさに究極のクリーンエネルギーだというふうに思います。まさに新世代エネルギー分野なわけなんですけれども。

 私も昨年まで自分が環境大臣政務官をさせていただいたときに、DBJの業務の一つとして環境格付融資というものを精力的に行っています。実は政務官時代、私、DBJの方と一緒に、ESG金融の普及に地域の金融機関を全国行脚したんですね。まさにこうした環境格付融資なんかもそうなんですけれども、リスク評価のノウハウをしっかりと共有して、そしてこれは環境格付融資ですけれども、投資の部分、まさにESG投資に注力していく、こういう切り口も私は考えられるのかなというふうに思うんですけれども、今後どのような分野にDBJとして投資に注力していくのか、お考えをお聞かせいただければというふうに思います。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお話がございました日本政策投資銀行の特定投資業務の在り方に関する検討会におきまして、民間の投資領域が限定的であるとか、あと、地域における成長資金が不足しているということが指摘されました。

 今般、期限延長をお認めいただくことによりまして、検討会での御指摘も踏まえまして、今の先生の御意見も踏まえましてこれまでの取組を一層推進しますけれども、中でも、例示ではございますが、ESG投資の観点も含めて、先ほどございましたような、再生可能エネルギーだけではなくてその次の世代を担うような、これはベンチャー的な要素もございますが、例えば蓄電池の開発、そういった先端技術の事業化など、民間の投資家だけでは少しなじみが薄いかなという分野に投資をしてまいるつもりでございます。

 また、そのほかのベンチャーもございまして、新産業を創造していこう、コロナ禍の後でやはり、働き方も含めていろいろな仕方が変わってまいると思いますので、そういった新しい産業をつくっていくようなベンチャー企業に対するLP投資、これは民間の皆さんからも御要望ございましたLP投資を拡充していこうということ。

 あと、大企業で余剰資金、今それどころじゃない企業もあるわけでございますけれども、それを有効活用して、コーポレートベンチャーキャピタルということで、大企業が新しいベンチャーキャピタルに出資をして、その技術を自分のところに戻してやはり事業化していく、そういったものの活性化なども図っていきたいと思っております。

 また、地域の話でございますけれども、地域金融機関との共同ファンド、これは、先ほど総審の方から十二とございましたが、実は特定投資以外でもつくっておりまして、それを含めますと二十以上のファンドがございます。

 そういったものを実はもっともっと横展開をして、地域における事業承継、これは大きな課題でございますが、そういったものへの取組を通じて、成長資金市場のさらなる拡大、発展に寄与してまいりたいというふうに考えてございます。

勝俣委員 ぜひ、DBJの強みを生かして地域に活力を運んでいただきたいなというふうに思うんですね。

 先ほど地域ファンドのお話もありました。さまざまな手段を使って地域に活力を運んでいただきたいんですけれども、時間ですので最後になります。先ほどもありました地方におけるDBJの役割について、少しお話をさせていただきたいなというふうに思います。

 私も地方に生きる金融機関にずっと勤めておりましたのでよくわかるんですけれども、地方において企業の成長を支えるリスクマネーの出し手がいない、そういったノウハウもない、こういう御指摘がございますし、私自身もそういうことを痛感してきました。自分が地方の金融機関で働いている中で非常に痛感してきたんですね。

 十数年前にもうなりますけれども、DBJを私一回お訪ねしたことがあるんですね。これは、私自身が、PFIそれからPPPといった民間活力を使って、地方の金融機関として地方財政に貢献したいな、こんな思いで十数年前、DBJの方に御相談しに行きました。今まさに、十数年前と比べても、まだPFI、PPPといったものというのが地方になかなか普及していないという現状なんですね。

 これはやはり、私、その要因として自分が実感するのは、地域の金融機関というのはなかなか、先ほどリスクマネーの出し手がいないとかノウハウもないという御指摘があったとおり、本当にノウハウがない、経験値がやはりないというのが私は非常に大きな要因なのかなということを十数年前にも実感しました。

 これはいまだにまだなかなか変わっていないんですけれども、そこで、私、この特定投資業務を活用することによって、やはり地方における成長資金の供給に、先ほど地域ファンドの話もありましたけれども、どのように具体的に貢献していくのかということを最後お尋ねをしたいなというふうに思います。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 私どもの銀行は、従前より、地域への貢献というのが重要な課題だというふうに認識して、グループを挙げて取り組んでございます。全国に有する支店は十支店だけでございますけれども、地域の金融機関さんと協働して地域への取組、貢献をしていきたいというふうに考えてございます。

 ちなみに、年間の投資件数の三分の一はそういった地域への出融資だということになってございます。また、きょうお諮りさせていただいている特定投資業務につきましても、件数でいえば、約半数が地域の活性化、地域についてのプロジェクトでございます。また、地域の金融機関向けには、今ございましたPPP、PFIのセミナーの開催をしておりますし、地域の経済の分析ですとか各種のレポートでいろいろな知見の共有化を図っているところでございます。

 先生も御指摘のように、先般、特定投資業務のあり方に関する検討会においても、投資案件の規模や収益性の観点から、民間ファンドの活動は大都市圏中心になってしまうということでございます。地域において新たな市場をつくり出す成長資金の担い手が不足しているという御指摘がございました。

 当行としても、地域における成長資金の充実や地域経済の活性化に向けて、地域金融機関からの出向者の受入れ、これは、特定投資創設以来かなりの出向者を受けさせていただいて、一年、二年でお帰りいただいて、そういった知見を共有させていただいているということでございますが、共同ファンドの組成、先ほど言いましたような組成を通じまして、当行が有しておりますノウハウの一部を共有化させていただいているというふうにしておるところでございます。

 今後も、更に地域金融機関の共同ファンドの、先ほど言いました横展開や地域のイノベーションの後押しをしまして、事業承継を契機とした経営刷新、そういったものなど、成長資金の成功事例をより一層積み上げて、地域の成長資金市場の拡大に何がしかの貢献をしてまいりたいというふうに考えてございます。

勝俣委員 いずれにしましても、本法案改正に伴う特定投資業務につきましてももちろんのことでありますけれども、今回のコロナ感染症における危機対応業務において、DBJにおきましては、きめ細やかでスピード感を持った経営をしていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日、政策投資銀行法改正案に対する質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 質問に入る前に、まず一点目。この法案、今、新型コロナ感染症が拡大しているこの局面において、なぜゆえにこの法案を審議しなければいけないのか、法案審議の緊急性について、まずお尋ねをいたします。

 法案の中身を見ますと、来年の四月からの業務、今やっている業務を延長するということですので、秋の臨時国会でも間に合うのではないのか、そういう疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。まず、この点について、法案の緊急性について御答弁をお願いいたします。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定投資業務の投資案件の組成には一年以上かかることが多うございまして、令和三年度以降も切れ目なく投資を行うためには、投資決定期限の少なくとも一年前から案件組成を開始する必要がございます。そのため、投資決定期限が早期に延長されない場合には、令和二年度中の案件組成の開始が困難となりまして、令和三年度以降の日本の成長資金供給に多大な影響を及ぼすことになります。

 また、協調している民間投資家からも、特定投資業務の先行きが不透明であるため、長期の共同投資へのコミットをちゅうちょする声もあると伺っております。

 したがって、切れ目なく成長戦略を推進して我が国の成長資金供給を支えるためには、投資決定期限等を早期に延長することは必要であると考えてございます。

櫻井委員 それでは、法案の中身について質問をさせていただきます。

 まず、政策投資銀行そのものについてでございますが、政策投資銀行は一応、株式会社ということになっておって、そして、民営化、つまり株式を売却する、こういう方針が立っているはずです。現状、いろんな危機対応業務等の義務が課されているということで、一定割合政府が保有するということにはなっておりますけれども、ただ、それを除けば売却できるはずです。こうした形で国庫への貢献ということも必要なことだというふうに考えます。

 ただ、この株式売却に着手する前に、今回のコロナウイルスの感染症の危機が到来してしまった。今、売却するタイミングではないし、また、そういった見通しも立たない状況になってしまっております。

 ただ、こうした政府が保有する株式については、私は昨年四月九日の衆議院本会議におきまして、これは預金保険機構の金融再生勘定で保有する長銀とか日債銀から買い取った株式の売却について麻生大臣に質問させていただきました。

 このとき、質問は、政府が保有する株式売却について、市中売却の一時凍結、これは平成二十年十月に麻生総理の指示で行われたものです、麻生総理がこうした指示をしたということで株式売却がとまったんだから、ちゃんとみずからの手で後始末をつけるべきではないのか、こう質問したところ、麻生大臣は、上場株式の処分の再開につきましては、金融資本市場の動向を踏まえつつ、今後適切に判断してまいりたいと考えております、このような答弁でした。

 しかしながら、そういうふうに判断をちゅうちょしている間にタイミングを逸してしまった、こういうことだと思います。政策投資銀行の株式売却のタイミングも逸してしまった。

 麻生大臣は、一月二十八日の衆議院予算委員会で、我々、マーケットと仕事していますので、野党と仕事しているんじゃない、こういう発言をするなど、常日ごろからマーケット、マーケットというふうに言っておられますが、その割にはマーケットと仕事できていないのではないのか、このようにも思うわけです。ただ、これはもう今さら言ってもしようがないので、指摘をさせていただきました。

 その上で、国庫への貢献ということを考えますと、政策投資銀行は、配当という形でも国庫へ貢献するということができます。六、七年前の配当金の金額を見ますと、それと比べて、去年の配当金額、大幅に減少しております。これ、比べますと、六、七年前というのは、東日本大震災の復興財源捻出のために配当性向を二五%から五〇%に引き上げた、また今は二五%に戻している、こういうことが理由だ、こういうことでございます。

 ただ、今、まさにコロナウイルスの感染症で大変な状況に経済が陥っている、財源は幾らあっても足りない状況にございます。したがいまして、東日本大震災のときと同様に、この配当性向を二五%から五〇%に引き上げる、そういうことで少しでも財源確保に努めるべきだというふうに考えますが、麻生大臣の御見解をお願いいたします。

麻生国務大臣 まず、政投銀による配当ですけれども、これは、平成二十年の株式会社化をさせていただきました以降、民間の金融機関の配当性向等々を見ましても、一定の内部留保蓄積というのを、これは当然のこととして、資本確保を留意をさせていただきながらも、これまでの安定的な配当を継続しておりますので、配当性向は、他の銀行を見ましても、UFJとかいろいろありますけれども、二七とか二八とか大体そんなものだと思いますので、そんなに、言われるほど、えらい悪いじゃないかという話は、それは、前に、あのとき特別に五〇にしたときに比べれば悪いかもしれませんけれども、現状として二五%というのは遜色のないものになっているんじゃないのか、まず基本的にはそう思っております。

 その上で、今後につきまして、政投銀という投融資機能というのは維持していく必要がありますので、財務基盤というのをきちんとして持っていないと、これは政投銀においても、なかなかきちっとした仕事をやる基盤がないということになりますので、適正な配当基準というものを検討していくということになるんだとは思います。これは政投銀が考えられることなんだと思いますけれども、いずれにしても、私どもとしては、適正な配当基準というものに関しましては注視をしてまいらねばならぬ。

 また、今、売却という話がありますけれども、御存じのように、どれくらいことしから下がったかというのは、金融株、銀行株、二七、八%下がっていませんかね、今、ことし初めから比べまして。したがって、今の時期ではないということは確かだと思っておりますし、どれぐらいのものを持っておくかというと、今回みたいなものをやるということになりますと、少なくとも、それをきちんとやるためにある程度の株式を持っていないと、政府が言う話と株主が求める話と利益相反する可能性というのは常にあるわけですから、そういった意味では、政府としてある程度の株を持っておく必要があるということなんだと思っております。

櫻井委員 そうです、政府がある程度株を持っていないとこうした危機対応業務とか特定投資業務ができないということになるでしょうから、おっしゃるとおり、一定割合持っておかないといけない。それは半分だ、五〇%ということになっているわけです。逆に言うと、五〇%は売れるわけです。ですから、それを国庫への、財政への貢献としてやることを本来考えるべきだった。ただ、今はもうタイミングを失ってしまったからそれができない、こういうことでございます。

 配当については、確かに、財務基盤云々ということですけれども、これは、財務基盤がよりしっかりしていれば、株式売却するときにその分高く株式を売れるということになるわけですけれども、要は、配当を先にやっちゃったら、その分株の値段が下がっちゃうかもしれない、でも、後か先かの問題ですから、今、この財政的に非常に厳しい折ですから、そこは先食いしてもいいんじゃないのか、こういう提案でもございます。ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。

 続きまして、危機対応業務について質問をさせていただこうということで事前通告しておりましたが、先ほど勝俣議員からの質問で大体御答弁いただいているので、私からはこれは要望とさせていただきます。せっかく社長に来ていただいたのに、申しわけございません。

 やはり、今、新型コロナウイルス感染症で大きな企業であっても大変資金繰りに窮している状況になりつつあります。したがいまして、こうした資金繰り支援、まずスピードも、スピードといいますか、適時的確なタイミングでの融資というのも必要になってくると思いますので、まさに迅速に対応していただくようお願いいたします。

 ほかの政府系金融機関においては、窓口で行列といいますか、一瞬行列ができて、そこが三密になっていてまずいんじゃないのかということで、ちゃんと電話で予約をとってとかいうようなことにしているみたいですけれども、ただ、そこで順番待ちが、非常に長い列ができているというような話も聞きます。

 政投銀の場合には、業務の性質上、そんなにたくさんの顧客がいるというわけではないと思いますので、ほかの政府系金融機関に比べればそういったことにはなりにくいというふうには思います。ただ、一つ一つの案件が大きい、重いものだと思いますので、しかしながら、適時的確にやっていただくよう要望させていただきます。

 また、特定投資業務についても、これは先ほどの勝俣議員から質問がございました。これについても、私から、これは要望だけさせていただきます。

 今回のこの新型ウイルス感染症に対する危機対応ということでは、まずは資金繰り融資が中心になろうかというふうに思います。この時点で、新たな何か新規事業を立ち上げて、お金をかけてやるんだというような、そういう環境では全くないというふうに思います。

 ただ、新型コロナウイルス感染症、病気としての感染症、これは医療的には克服できたとしても、その後、じゃ、経済が直ちに、すぐに回復するかというと、そういうふうにはならない可能性も十分あろうかと思います。大変な状況になっている中において、これをしっかりと回復させていくためには、まさに経営資源を有効活用する取組、新規事業開拓、異業種間の新たな連携の促進、地域経済の自立的発展、日本企業の競争力強化及び成長資金市場の発展が非常に重要になってくるかと思います。

 この点においても、まさにコロナウイルスが医療的に終息した後、経済を回復させていくためのエンジンとして大きく期待をするところでございますので、この点についてもよろしくお願いいたします。

 続きまして、政策金融全般についてもお尋ねをいたします。

 二年ぐらい前でしたでしょうか、新聞等の報道でも民業圧迫というような問題が報道されておりました。今般の議案となっております政策投資銀行というよりは、そこで名前が挙がっていたのは、日本政策金融公庫や商工組合中央金庫、商工中金でこうした問題が起きているという指摘がございました。その後、改善されたというような話も聞いておりますけれども、どのように改善されたのかということをまず御説明いただきたいと思います。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、日本政策投資銀行については、先ほどから議論になっております有識者の会議におきまして、非常に適切に連携、協調しているといったようなお話を伺っておりますけれども、それ以外の政府系金融機関につきましても、これまで、政府系金融機関と民間金融機関との連携協力について、民間金融機関と私どもも含めました関係省庁等との間で定期的に意見交換を行ってきてございます。

 その場で民間側からは、民業補完の趣旨を踏まえた適切な連携、協調関係に向けた検討、見直しのサイクルが定着しつつあるとの御評価をいただいているところでございます。実際に協調融資がすごくふえたりしておりまして、そこは裏づけられているものと考えてございます。

櫻井委員 あと、ほかの政投銀以外の政策金融機関においても危機対応業務というのが行われております。そして、特に政策金融公庫においては、新型コロナウイルス感染症特別貸付というような制度も立ち上がっているというふうに承知をしております。

 ただ、これは多くの事業者が申込みをされているということで、申込みはしたけれども、次、融資の手前の面談が数週間待ちというような話も聞いております。私自身、地元をいろいろ回って話を聞くということは今現在はなかなかやりにくいということでございまして、やっていたのは緊急事態宣言が出るその前でございますので、もう今から二週間ぐらい前になりますけれども、そのころの話としては、四月上旬に、今もう既に申し込んだけれども、面談のアポイントメントがとれたのが五月下旬だ、こんなふうに言われて、それまでは本当にもたないよ、そういう悲鳴も承ったところでございます。

 申込みが一度に大量にあったということで、政策金融公庫の窓口では、ふだんからそんなたくさんのお客さんが一度に来るというような業務はやっていないと思いますので、なかなか対応するのは困難だとは思いますが、しかし、このときに、こういう事態において迅速に対応できてこその政策金融機関だというふうに思います。この資金繰り融資の面談待ちをどのように解消して、速やかに、迅速にこの融資の申込みに対して対応する体制、どのようにつくっていくのか、またそれがどこまでできているのか、御説明いただけますでしょうか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この資金繰りの支援、迅速化が最も重要であると私どもも考えておりまして、特に、新型コロナウイルス感染症特別貸付制度を運用開始いたしましたら、日によっては一日二万件に上るなど、日本政策金融公庫に融資申込みが急増しております。

 そこで、先ほど申しましたが、先月六日と十六日の二度にわたって、官民の金融機関に対して、事業者の実情に応じて対応に万全を期していただくよう麻生財務大臣から強く要請を行っておりますし、総理からも、迅速な融資実行を含めてお願いをしているところでございます。

 日本政策金融公庫でも、この体制の整備と、それから審査の迅速化、両方の取組といたしまして、例えば、相談、審査要員として約五百五十名の応援の派遣、約六十名のOB職員の活用、年度末の定期人事異動の五月までの凍結、相談電話回線の増強、休日電話相談対応の実施、資金繰り表を原則不要とするなど提出書類を簡素化するとともに、実地調査を省略するなどの審査プロセスの簡略化、そして、現場への決裁権限の委譲などの取組によって、例えば、既に取引のある事業主からの少額の融資では、通常二週間以上かかっておりましたけれども、これを極力一週間以内で融資決定できるよう審査の迅速化を図っておりますし、今やっているさらなる取組といたしましては、郵送、インターネットでの申込みの推進、それから民間金融機関との連携強化。もう既にやっていることで、民間金融機関が日本公庫への申込書類を事前に処理していただくことを始めたのに加えて、今後、今、経済対策に入っておりますけれども、日本公庫に加えて、民間金融機関での実質無利子での融資実施を開始する、こういったことによって、更に来店までの待ち時間の削減、審査時間の確保に努め、迅速化に努めてまいりたいと思ってございます。

櫻井委員 今いろいろ御説明いただいて、いろいろ取組、努力されているということはわかりました。先ほどちらっとおっしゃいました、インターネットでの申込みであるとか郵送での申込みというものも取り入れているという話、これもまさに人と人との接触を減らすという意味においても重要なことだと思います。

 ただ、これは本当かどうかわかりませんけれども、申し込んだ事業者の方の感覚では、これは、郵送で送っても結局後回しにされているんじゃないのか、こういう懸念もあるわけです。インターネットで申し込んでも後回しにされている、やはり窓口に行って申し込まないと、その方が早く対応してもらえるんじゃないのか、こんなふうな疑念もあるわけです。だから、これもやはり解消していかなきゃいけない。何より、ネットで申し込もうが郵送で申し込もうが窓口に行こうが、迅速にやってもらえるということが何より大事だというふうに思います。

 あと、既に取引のある事業者さんに対しては一週間以内にというお話もございました。そうなんです、取引があればいろいろな話も、これまでの経過とか財務体質、財務内容とか事業内容とか資料がありますから、それは迅速に対応できるでしょう。しかし、そうじゃないお客さんもそれなりにいらっしゃるわけですよね。ですから、そういったお客さんに対してどれほど早く、いかに早くやっていくかということも大きな課題だと思いますので、これらもあわせてよろしくお願いいたします。

 それから、民間金融機関にもお願いしてというお話もございました。このお話でございますが、政府が今言われていることは民間にお願いばかりというような話で、お願い、お願いで、政府は何をしてくれるのか、こういう話もあるわけでございます。そもそも民間の金融機関はそろばん勘定に合わないことはできません。そんなことをすれば、株主への裏切り行為ということにもなりかねないからです。いざというときには国がしっかり支えるんだ、こういうことが必要なんだというふうに思います。

 実際問題としては、民間の金融機関にしてみれば、やはりこういった状況ですので、ニューマネーについては、もう信用保証協会の保証がつかないと貸出しが難しいという状況だと思います。一方で、では、信用保証協会の保証の審査、ここがひっかかるとここで目詰まりをしてしまうということになってしまいます。

 ですから、こういう状況ですから、この緊急融資については、もう信用保証協会がどんどんどんどん、余り細かいことを言わずにどんどん出していくんだ、それで、仮に焦げついたとしても、それはもう政府が補正予算でしっかりと見るんだ、こういうことでやっていただきたいと思います。そうしないと、潰れる必要のない、潰れるはずのない会社まで資金繰りに窮して潰れてしまうという状況にもなるかと思います。

 ですから、手持ちの現金の不足により、事業実施が立ち行かなくなる瀬戸際にある、こういう状況ですので、ぜひ至急にやっていただきたいというふうに思います。

 そこで、本日は、経済産業省から政務官にも来ていただきました。

 中野議員の地元でも、本当に、大きな企業もありますし小さな企業もあろうかと思います。私も、お隣に住んでおりますので、その辺、事情はよくわかります。また、うちの地域の事業者は、中野議員のところの支店に行かないと政策金融公庫の申込みができないわけですので、そういった意味でもつながりが多いわけですけれども。

 こうした、事業者にタイムリーに融資が行き渡るように、先ほど申し上げた信用保証協会の保証、こういったところでの審査で目詰まりを起こさないようにすることが重要だというふうに思いますが、こういった中小企業に対する支援の取組の状況について教えていただけますでしょうか。

中野大臣政務官 櫻井委員の御質問にお答え申し上げます。

 まさに委員御指摘いただいたとおり、中小企業の事業継続にとりまして、資金繰りの確保というのが何より重要でございます。とりわけ、今回は新型コロナウイルス感染症の影響ということでございますので、売上げが急減をした中小・小規模事業者に対しまして強力な資金繰り支援策というものをまさに講じているところでございます。

 審査で目詰まりを起こさないようにということで御指摘もいただきました。現在、各信用保証協会では、事業者が迅速に信用保証つきの融資を受けられるように、柔軟な人員配置による相談や審査体制の強化、相談受け付け時間の延長、あるいは求めるべきこうした書類の簡素化、さまざまな取組を行ってきておりまして、現在、この保証協会の部分の保証の審査につきましては、通常は一週間あたりを要しているところでございますが、今回は、案件によりましては最短では即日、長いものでは一週間以上ということもございますけれども、平均として三日から五日ぐらいで今保証審査そのものは実施をしている、こういうことで聞いております。

 経済産業省といたしまして、中小企業の事業の継続に向けまして、各信用保証協会が目詰まりを起こさない、しっかり迅速に対応を行うように、今後ともしっかりと指導して対応してまいりたい、このように考えております。

櫻井委員 今御答弁いただきましたとおり、早いものですと即日という話もございました。

 この信用保証協会の審査でございますが、これも、先ほど来のほかの金融機関と同じように、結局、これまでつき合いがあるといいますか、残高があるような事業者に対しては、内容を知っているからということで即日対応というようなこともできるんだと思います。ところが、今までおつき合いがなかったり、ないしはもう信用枠が結構いっぱいになっちゃっているというようなところは、審査が遅くなったり、ないしは場合によっては断られるというようなこともあるのではなかろうか、こういう心配をしているわけです。

 ですから、これは、場合分けといいますか、そもそも、新規のお客さんとそれから既存のお客さんによってこのスピードの違いがあるのかどうなのか、その点ももしわかれば教えていただけますでしょうか。

中野大臣政務官 済みません、ちょっと今、直ちに、新規かそうでないかということでどういう違いがあるかということは、手元に今データがございませんでして、ちょっとお答えすることはできないわけでございますけれども、しかし、いずれにしましても、審査の迅速化、保証協会の保証のところの審査もございますし、また、その前段階で、市町村の、自治体の方の認定の手続ということもございますし、また金融機関の与信審査、さまざまな手続がある中で、これを迅速に行っていけるように、各段階でしっかりと迅速化できるようにということで、先生の御指導もいただきながらしっかりと指導してまいりたい、このように考えております。

櫻井委員 ちょっと急な質問でしたので資料がなかったのかもしれませんけれども、ただ、新規かそれから既存かで随分スピードが変わってくるということはよくあることですので、その点も、単に平均してしまうとその違いが見えなくなってしまうものですから、そこにも着目して丁寧な行政の実施をお願いいたします。

 続きまして、こうした新型コロナウイルス感染症が広まって今大変な状況になっているということですが、それ以前から地方の金融機関は大変厳しい状況にあったということだと思います。

 私、十一月のこの財務金融委員会でも質問させていただきました。このときに、金融仲介の改善に向けた検討会議、金融庁の中の会議でございますが、それが作成した「地域金融の課題と競争のあり方」、この報告書、これはもう二年前の報告書ですけれども、このときには、地方銀行、貸出利ざやの縮小を貸出残高の増加で補おうとしているものの、資金利益は継続的に減少している、過半数の地方銀行、五十四行が本業赤字になっているというような状況について書かれておりました。

 したがって、先週、まさに衆議院内閣委員会で独占禁止法特例法の審議も行われたところだというふうに承知をしております。すなわち、地方銀行、合併がどんどんできますよ、そういう法律、特例法を今まさに国会で審議をしているわけです。その背景には、やはり地方銀行は大変厳しいという状況、これは以前からあったことだと思います。

 そこに加えて、今回、新型コロナウイルスの感染症、経済的ダメージをこうむっているということで本当に大変な状況になっておりますが、本当に地方銀行は大丈夫なのか、これをちゃんとしっかり支えていく、そういうことが政府としての務めではないのかというふうに考えるんですが、大臣の御所見をお願いいたします。

麻生国務大臣 今御指摘がありますように、これは、具体的に長崎が、一番最近でははっきり出た例は長崎の銀行が二つ合併しておりますので、そういった意味では、いろいろな意味で、この感染症が拡大する以前から、人口減とか、地域によって差がありますけれども、いろいろなところで、金利が非常に低い、超低金利だという環境が続いておりますので、そういったことを背景にして厳しい状態が続いておりますけれども、金融のシステムの総体自身としては、これはいわゆる最低所要の自己資本比率という言葉があるのは御存じでしょうけれども、あれはたしか四%だと思うんですね、地方銀行の場合は。ただ、今現状としてはその倍の約九・六ぐらいが平均だと思っておりますので、そういった意味では、かつてのリーマンのときみたいに自己資本比率が最低を割っているとかいうような状況じゃありませんよ、間違いなく。

 そういった意味では、私どもとしては、今後、世界経済というのは、これは日本だけが回復しても、日本の場合とアメリカの場合ともう全然、死亡者の数が片っ方は四万何千人、こっちは二百何十人というんですけれども、倍率が全然違いますので、そういった意味では影響も違いますでしょうし、また、いわゆる中小零細の、銀行の貸出先、小売業とか宿泊とか飲食とかいろいろありましょうけれども、そういった国内の個人消費が低迷するということ、プラス、いろいろな意味で今回サプライチェーン等々が大分穴があいたりというのが見えてきましたので、そういったものを変更する等々いろいろなことが出てくるんだと思いますので、私どもとしては、これがどういった形で地域の金融機関に影響してくるかというのはちょっと見ておかないかぬところだと思います。

 いずれにしても、潜在的な金融システムのいわゆるリスクというものは早目早目に分析してやっておかないかぬ大事なところだと思っておりますので、安定の確保というものに向けて適切に対応していきたいと考えております。

櫻井委員 ちょっと、もう時間になりましたので、最後に要望させていただきます。

 地方の金融機関の現状は大変厳しいものがあるということ、それは今麻生大臣からも御答弁いただいたとおりでございますが、そうした地域経済が疲弊しているのに加えまして、地方銀行だからこそ、その間収益源としていたのは日本国債ですよね。随分前に、異次元の金融緩和の前に、それなりに金利がついていた時代の国債を持っていて、それで何とか利益を確保するとか。しかし、これももうそろそろ大体満期が来て、ほとんど切れてきちゃう、収益源もどんどんなくなってきているという状況がございます。

 また、外国の債券、CLOとかいろいろ言われておりますけれども、こうしたハイリスク・ハイリターンだったはずの債券に手を出すような金融機関もあったりする。ただ、これはハイリスクで、やはりハイリターンにはならずにハイリスクをそのままかぶることになるのではないのか、そういう十年前と同じようなことになってしまうのではないのか、こういう懸念もあるわけでございます。

 ですから、それらも複合的に考えて、一方で、政府の方では民間の金融機関によろしくお願いしますといってお願いをしているわけですから、いざというときにはちゃんと支えるんだという裏側がなければ、お願いされても、それはできませんよということになってしまいますので、ぜひそういった観点での金融行政を進めていただくようよろしくお願い申し上げまして、私からの質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、政策投資銀行改正法案について質問をまずさせていただきます。

 先ほど櫻井委員からも話がありましたが、この法案の提出のタイミングについてまずお伺いさせていただきます。

 投資決定期限というのは一年ぐらい先までまだあるんですけれども、このタイミングで法案を提出されました。その理由として、先ほどのお話ですと、やはり投資を決定するその準備に時間を要するというようなお話でしたけれども、その一方で、期限内に政策目的を達成するために資金量をふやしていくという選択肢もあったのではないか。

 そういう選択肢の中で、今回期限を延長するということになるわけですが、実際にどういうタイミングでこれを終わらせるのかということも踏まえて、この法案提出のタイミングの適切性についてお伺いさせていただきます。

麻生国務大臣 これは先ほど同様の質問が、櫻井先生でしたっけ、しておられたと思いますけれども、この政投銀の投資機能というものを更に活用して、民間によるリスクマネーというものを、リスクマネーの需要に対する供給を促進していくことが今の段階では不可欠なんだと思うんですね。

 それで、令和三年度以降というものも継続して投資を行うためには、いわゆる投資案件というものを組成せな、つくらないかぬというのに当たっては、これは御存じのようにある程度時間がかかりますので、当然一年以上かかることが多いことから、投資を決定する期限というものは、少なくとも一年間というものは、案件を組成する、開始以前の段階から必要なんだと思っております。

 したがいまして、投資を決定する期間が早い段階で延長されない場合になりますと、今年度中、令和二年度中の組成案件がいわゆる難しいということになりますので、そういった意味では、令和三年以降の日本のいわゆる成長資金というものを供給していくということにいろいろな影響が出ますので、私どもとしては、この投資決定期間というものを早目にやっておくということが大変大事なのではないかということから、今回この法案を出させていただいたという背景です。

日吉委員 先ほどの御説明と同じだと思うんですけれども、私のもう一つの疑問は、この期限内に目的達成で終了という選択肢をとらなかった、この理由は何でしょうか。(麻生国務大臣「ちょっともう一回。聞こえなかった」と呼ぶ)

 期限内に資金供給をふやしてこれで終わるということを行わなかった、それで延長をする、この目的をもう一度お願いします。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、先ほども御答弁申し上げましたように、日本におきましてはまだまだリスクマネーが足りない。そして、成長のため、あるいは地域活性化のためには、エクイティーやメザニンといったものの供給というのがまだまだ不足している。とりわけ、トラックレコードのない新しい産業とか新領域が連携したような分野、こういったところに資金供給を行う、あるいは、地域というのは、なかなかやはりお金と人がいないものですから、そういったところでもしっかりと将来の成長性のある産業を支えるために続けていかなければいけないという判断をした次第でございます。

日吉委員 そうしますと、それを続けていくという判断なんですけれども、じゃ、それをやめましょうという判断はどういったタイミングで行うのかというのは、今時点で何か考えられておりますか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 それは恐らく、本来であれば、リスクをとって、成長性のある市場が民間の自律的な活動によってなされることが望ましいわけでございますから、最終的に、ある程度、リスクマネーが民間金融機関あるいは民間のファンド等から供給されて、そして諸外国並みに、ちゃんとハイリスク・ハイリターンの成長性のある分野に、とりわけ新しい領域、日本はなかなかトラックレコードがないところにお金が流れない中で、そういったところにもお金が流れるようになったときには撤退していくべきだと考えておりまして、実際に、例えば、政投銀の特定投資業務を見ますと、以前は、例えばハイブリッド債、劣後ローンについて、なかなか、政投銀の特定投資業務が出なければ起債ができなかったんですけれども、最近は政投銀なしでもできるようになる。

 こういった形で、民間が自律的にやれるようになればだんだんと撤退して、そして、やはり政投銀の支えがなければなかなかできないフロンティアな分野に移行していく。そして、最終的には全て民間だけでやっていただくというのが理想だと考えております。

日吉委員 ありがとうございます。

 そうしたら、次の質問に移らせていただきます。

 この特定投資業務の損益というのは、ずっと好調を続けております。ハイリスクな分野に投資をしているということで損失が発生したケースもあるとは伺っていますけれども、好調な要因、これを御説明いただけますでしょうか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 政策投資銀行は、特定投資業務の開始以前より投資業務に長らく取り組んでございまして、地域金融機関との共同ファンドの組成や、民間が投資しにくいハイリスクな案件への投資等も行ってまいりました。この結果、平成二十年の株式会社化直後を中心に、先生御指摘のとおり、累計約二千億円の損失を計上しておりますが、投資事業全体として、結果、累計約三千億円の黒字になってございます。

 このため、こうした投資業務の中で培ったリスク評価手法などの高度の金融ノウハウあるいはコンサルティング能力、金融機関や顧客とのネットワーク、これに強みがあるものと認識していて、これが先生がおっしゃった黒字の要因ではないかと思ってございます。

日吉委員 ありがとうございます。

 そうしますと、こう黒字になっていて、そして、先ほどのお話ですと、まだ投資を続けていくということになっていくんですけれども、またこの期限を延ばして、その後も延ばす可能性というのはあるんですか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに、今御審議いただいている法案が五年間の延長になっているところでございまして、そこでどれだけ日本のリスクマネーのマーケットが育っているのかといったことを、また、この法案の中にございますように、有識者たちの御意見も伺いながら検証いたしまして、そして改めて五年後、この国会で御審議いただくことになるかと存じます。

日吉委員 ありがとうございます。

 一方で、先ほども少しお話がありましたけれども、政策投資銀行の株式というのはこれまで売却されたことがないわけなんですけれども、全て政府が保有しているんですが、今後の株式の売却方針、これについて教えてください。

麻生国務大臣 この政投銀の株式というものは国民共有の財産ということになりますので、これにとりましては、当然、国の収入というものの最大化が極めて大事なところだと思っております。

 また、株式の処分によって、企業のいわゆる長期事業資金にかかわるための投融資をするわけですから、その投融資といったいわゆる政投銀に期待される最も重要な役割のもとになるわけですが、それに対する影響とか市場の動向等々を踏まえて売却をする必要があるんだと思っております。

 企業価値の向上のために、これまで取締役会の設置とか、社外取締役とか、社外監査役といったガバナンスの強化等をやらせていただきましたし、投資業務の強化とか自己資本調達の拡大などということで、長期のいわゆる投融資機能を生かしたビジネスモデルの確立によって収益力の強化というのに取り組んで、先ほど申し上げさせていただきましたように、今までの赤字を大分消して、今、累積百億ちょっとの黒字になっているとは思います。

 他方、この収益力の強化というのは大丈夫かといえば、それはなかなか道半ばでありまして、株式市場が今、御存じのように低迷をいたしておりますので、そういった中で、金融株が特に落下というか下落しておりますので、今後、この売却方法、タイミングを含めて、この処分のあり方というのをやっていかないかぬと思っております。

 基本的には、我々としたら政策を決定できる、そういういろいろなタイミングに対して、これで、民間の金融機関と利益相反するし、株式を持っておられる株主との利益も相反することになりかねませんから、政府の動向を受けてやったら赤字をこくんだということになりますので。そういうことで、私どもとしては、ある程度の株を保有していながら、残りをというので、五〇%にしたり三分の一にしてみたり、いろいろやる決定に当たっての条件が三分の一、二分の一、いろいろありますので、そういったものを考えながら、今後しかるべきタイミングで売却をしていくべきものだと思っております。

日吉委員 ありがとうございました。

 そうしましたら、次に、新型コロナウイルス感染症の影響下における企業の決算の話を、前回の委員会に引き続いて少し質問をさせていただきます。

 有価証券報告書の提出期限や株主総会の開催日の後ろ倒しということを前回お話を、質問をさせていただきましたけれども、その後、有価証券報告書や半期報告書、四半期報告書につきましては、一律に九月末日まで提出期限が延長されたというふうに発表されております。一方、株主総会につきましても、基準日自体はそのままで、継続会を使って延長するということを個々の企業で対応するというようなことが説明されております。

 ただ一方で、株主総会自体も、基準日を法改正して一括して後ろ倒しするということもできたのではないかなと思うんですけれども、それはしなかった理由をまずお伺いさせていただきます。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現行の会社法では、基準日から権利行使日までの期間、三カ月以内でなければならないという規定がございまして、これが株主総会の開催時期の変更を困難にしているのではないか、こういう御指摘と理解をしております。

 本来、株主総会における議決権はその時点における株主が行使すべきものであると考えられますが、基準日の制度は、株式会社において日々変動します多数の株主を把握するのが困難であるということを踏まえて設けられたものでございまして、このような制度趣旨からいたしますと、基準日から権利行使までの期間はなるべく近いことが望ましいと考えられます。

 一方、投資家からは、基準日から権利行使までの期間を三カ月以内とする現行の会社法の規定については期間が長過ぎるという批判もあるところでございます。

 また、基準日の制度は、転々流通する株式について、過去に株式を保有していた者と新たに株式を取得した者との間の利害関係を調整するというものでございますから、基準日を過ぎた後に基準日から権利行使までの期間を変更いたしますと、基準日時点のいわゆる旧株主と、それから、それ以降に株式を取得いたしました新株主の利益状況を事後的に変動させてしまうということにもなり得るところでございます。

 権利行使日までの期間を延長いたしますと、新株主の利益よりも旧株主の利益を優先する結果となってしまいますが、旧株主の利益と新株主の利益のいずれを優先させるべきかという困難な問題だというふうに言わざるを得ないと考えております。

 これらの理由から、基準日から権利行使までの期間を延長することということにつきましては、慎重な検討が必要であるというふうに考えております。

日吉委員 ありがとうございました。

 決算のための作業、そして監査のための作業に十分な時間がとれるように御配慮をお願いいたします。

 次に、会計の見積りについてお伺いいたします。

 企業会計基準委員会が先日公表された文書によりますと、見積りの方法というのを、一定の仮定を置いて、その仮定が明らかに不合理でない限りは、それは最善の見積りの結果だというふうにみなして、後日その見積りと実績が乖離したとしても、それは誤謬として扱わない、誤りとして扱わないというような話が記載されております。

 この考え方というのは、最善の見積り、これまでの考え方と同じものなのか、違う新たな考え方なのか、ここを教えてください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のとおり、会計上の見積りに関する考え方につきましては、現下の状況を踏まえまして、四月十日に企業会計基準委員会が、「企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあたらないものと考えられる。」という旨の文書を公表いたしております。

 この公表を行いました企業会計基準委員会は、政府とは独立した民間の会計基準設定主体でありますが、そこにおきましては、海外の会計基準設定主体とも意見交換を行い、国際的な議論との整合性も考慮しつつ、新型コロナウイルス感染症の終息時期等について予測することが困難で、財務諸表の作成に際して利用可能な情報が限られている現在の状況を踏まえて会計基準の解釈を明確にしたものであり、これは、これまでの会計基準の基本的な考え方には変わりがないものというふうに承知をいたしております。

日吉委員 基本的に変わりがないものだ、考え方を明確にしたものだ、コロナが終息したとしてもこの考え方は継続していくというふうに理解をさせていただきました。

 やはり、ちょっと、前回も申し上げましたけれども、私が気になっているところは、日経新聞でも出ていましたけれども、会計基準の緩和というような形がもし適用された場合には、もし損失を先送りするようなことになった場合に、株主や債権者といった企業を取り巻く利害関係者に損失を与えてしまいかねないこともあるので、その物差しとしての会計の適用というのは今までと同じとして、それで、生の数字をしっかりと出した上で、それに対して対応をとっていかなければいけないなということを、しっかりとしていかなければならない、これを申し上げたかったところでございます。

 それで、ということは、もしかしたら質問する必要もないのかもしれないですけれども、継続企業の前提についての注記というのを、これも、この考え方につきましても後ほどちょっと御質問させていただきますが、その前にもう一つ。

 そうすると、監査上の意見不表明、これが減るとかというようなことには別につながらないということで、今までどおり、実際に、意見ができないもの、限定をつけなければならないものは、これまでどおりと同じ監査の基準である、これも念のため確認させてください。

中島政府参考人 ただいま議員御指摘のとおり、監査における基本的な考え方についても変わるものではございません。

日吉委員 それともう一つ、前回お伺いできなかったんですけれども、金融機関が、融資先の企業が最終赤字になったり債務超過になったときには融資を一斉に引き揚げるといったコベナンツ条項、こういったものがありますけれども、これについても、柔軟に、実質的に、実態をよく見て対処するようにということを言われておりますけれども、それについて、融資を行った金融機関がコベナンツ条項を柔軟に適用したとしても、その責任というのは、金融機関の責任において実態をしっかり判断してやってもらう、こういうことでよろしいんですね。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁におきましては、四月七日に決定、公表されました新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を踏まえまして、同日、金融機関に対しまして、事業者や個人への資金繰り支援に係る要請を発出いたしました。

 その中で、貸出し等の条件となっております財務制限条項、いわゆるコベナンツに事業者が抵触している場合であっても、これを機械的、形式的に取り扱わないよう要請を行っております。

 これまでの金融機関における融資実務におきましても、コベナンツへの抵触をもって直ちに債務償還等を求めるということではなくて、債務者の事業の収益性向上ですとか費用削減といった、債務者の企業活動の見直しに向けた対話の契機として用いられることが多いというふうに承知しております。

 今般の要請は、このような融資実務を踏まえまして、新型コロナウイルスの影響を受けた債務者につきまして、改めて、金融機関が個々の企業の経営実態をきめ細かく把握し、コベナンツの変更、猶予に関する事業者からの相談に迅速かつ真摯に対応することを求めたという趣旨でございます。

日吉委員 ありがとうございます。

 そういう実質をしっかりと判断してくださいということでありますので、それを踏まえて、ゴーイングコンサーンの注記につきましてもちょっと質問しようと思いましたが、時間がなくなってきたのでやめますけれども、今この議論の流れから解釈しますと、コベナンツの実態を把握、実態を判断して、監査上も、企業の注記も実態を判断して行ってくださいということで、今までのルールとは変わりはないというふうに理解をいたしました。

 続きまして、最後のテーマとして麻生大臣にお伺いしたいんですけれども、今、新型コロナウイルス感染症のもとでいろいろな対策を行っているところではございますけれども、その対策の主なものが、やはり補償として給付するというようなことが多いわけです。

 その一方で、給付していくというところには限界もある中で、このコロナ感染症が広がっている中で社会の仕組みというのもいろいろなところで変わってきているのかなと思っておりまして、今の政策というのは、もとに戻すという政策を多分想定しているんだと思うんですけれども、このコロナによって社会の、世の中の方向というのはかなり変わっていくんじゃないかなということも意識した方がいいんじゃないかな。

 そういった中で、この感染症を前提に、今、この状況下でもできる仕事なりをつくっていく、それに対して支援をしていくということが重要なんじゃないのかなというふうに思っております。ただ給付をするだけではなくて、仕事をつくり、それを育てていくことに力を注いでいく。

 こういった支援について、終息してからというのではなくて、今段階でそういった考え、何かありませんでしょうか。

麻生国務大臣 働き方改革という話をかまびすしく皆いろいろ言っておられましたけれども、何か進んでいましたかねといえば、テレワークの方が一挙に進んだような気がしますね、このコロナのおかげで。災い転じて福となすならこれかなと思っていますけれども、生産性が上がる等々に関しましては、間違いなくテレワーク、国会でもとにかくA班、B班と分けるというのをやっているんでしょう、今。それで事が進んでいるなら結構、それでいいじゃないか、半分ずつにできるんならいいんじゃないか、国会議員も半分にしたらとか、いろいろな話が出ますよ、これは多分。僕は、それはいいことだと思っていますよ、正直なことを言って。

 だから、いろいろな形でこのテレワークというものの普及というのをやっていくというのは、僕はいろいろな意味で、これは家庭においてはいろいろな問題が起きていますよ、奥さんが既にテレワークやっていたら亭主が来ちゃったもんだから、家庭内で酸素の欠乏を訴えていますよなんて言っていた新聞記者がいたのは非常に印象的でしたけれども、なかなかこれは、働き方改革がうまくいけば生産性が上がるということになりますので、これは日本にとりましては非常に大きなシステムの変更になってきますので、そういった意味ではすごく世の中が変わってくるなという感じは正直しています。

 このコロナを、一種のえらい災害みたいなもんですけれども、これは世界じゅうに広まりましたから、そういった意味では、今回これをうまく活用して生産性の向上につなげていくというのになるのであればというので、私どもは、テレワーク等々の支援に関しましてはいろいろ予算やら何やらやらせていただいておるんですけれども。

 いずれにいたしましても、こういったものをうまく前向きに捉えてやる企業というのは随分出てきておられますので、今は何となくもうかっていない企業の話ばかりしか新聞に出ませんけれども、このおかげでうはうはな企業も実は片方でいっぱいあるわけで、そういった企業の方々やら何やらの話もあわせて聞かないと、やはり判断を間違えるんだと思っております。

日吉委員 時間が参りましたので終わりますけれども、今おっしゃってくださったように、いろいろな、このコロナで職を失った方もいると思うんですけれども、その一方で伸びている企業もあるというふうにおっしゃられましたが、失った人がこの環境下でも働けるような、そういったことに支援をしていく、こういったことも考えていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、階猛君。

階委員 立国社共同会派の階猛です。

 きょう、質問通告しておりましたけれども、質問通告のうち三、四、五については、前の委員から御指摘があった点なので、後回しにさせていただきたいと思います。

 では、早速一番から、日本政策投資銀行の投資業務の実績について伺いたいと思いますが、私の資料の一枚目ですけれども、真ん中あたり、左側に番号を振っている十三番というところを見ますと、昨年の九月末の時点で、特定投資業務の投融資決定額は累計五千九百四億円となっております。伺いましたところ、これが三月末現在では累計で七千百億円まで伸びたそうです。当初予定では来年三月末までに五千億円だったものがここまで急激な伸びがある以上、本当に審査やリスク管理の体制が追いついているんだろうかと疑問に思います。

 現に、二ページ目、三ページ目を見ていただきたいんですが、二ページ目、これは九月末時点の数字ですけれども、株式等償却による損失が百八十一億円出ております。それから、三ページ目には鬼怒川ゴム工業に対する出資が焦げついているのではないかという記事も、これは「選択」という雑誌に出ておりました。

 そこで、きょうは政投銀の社長さんにおいでいただいていますけれども、鬼怒川ゴム工業への出資額は累計で幾らなのか。昨年九月末の中間決算の今申し上げた百八十一億の株式等償却損失の大半は鬼怒川ゴム工業の出資分の損失ということで間違いないか。加えて、ことし三月期決算で、この鬼怒川ゴム工業への出資額、更に損失額がふえるのではないか。この三点について、端的にお答えください。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 銀行の守秘義務の関係で、大変恐縮ですけれども、個社のことについては御答弁させていただけないので、御理解いただければと思います。

 端的に三点ということでしたけれども、少し御説明をさせていただきますと、私どもの銀行は、二〇〇八年の株式会社以降……(階委員「いや、質問したことに答えてください。答えられないなら答えられないで結構です」と呼ぶ)はい。

 守秘義務の関係で答えられません。

階委員 では、一〇〇%出資をしている政府としては、当然この件については詳細な事実を把握されていると思うんですが、財務大臣、こうしたことについては、情報は得ているということでよろしいですよね。さすがに、守秘義務があるとはいっても、財務大臣は御存じだと思うんですけれども、どうですか。

麻生国務大臣 個別の内容に詳しいわけではありませんので、全体として今どうなっているかという以上お答えはいたしかねます。

階委員 私は個別にいろいろ聞いていますけれども、二百七十億ぐらい鬼怒川ゴム工業には出資していて、それの大半が焦げついているという情報も得ております。ぜひ、一〇〇%出資をしている政府としても、こうしたことに気をつけながら追加出資を考えていただきたいと思っております。

 今後予定されている特定投資業務の規模を見ますと、さっき申し上げました七千百億円が更にふえる予定なんですね。と申しますのが、さっきの一ページ目、この特定投資業務のファンドの規模、右下の方にありますとおり、政府出資とDBJ自己資金の半々ずつ出して、合わさると八千四百八十億円、これが九月末の数字で、ここから更に今年度の本予算で一千億ずつ、更に補正予算でも一千億ずつ、それで、八千四百八十億も、今現在、千三百八十億ぐらい使われないで余っているお金がありますから、これから更に投資されるお金が千三百八十億足す四千だから、五千三百八十億もあるわけですよ。そのうちの半分が、二千六百九十億円ということになりますが、政府の出資額です。

 余りに多過ぎて、審査がおざなりとなって、損失が生じるリスクが高まるのではないか。これは、出資しようと思えば、もう今年度やることが可能なんですよ。ちょっと、余りにも性急過ぎる、追加出資するにしてももうちょっと慎重にやるべきではないかと思うんですが、財務大臣の見解を伺います。

麻生国務大臣 これは、いわゆる追加出資をしていくスピードが速過ぎるのではないかという御意見、御懸念なんだと思いますけれども、私どもとして、まずは、各年度において、これまで資金需要を踏まえてやらせていただいてきておりますけれども、令和二年度の当初予算ではたしかマイナス三百億ぐらいの、前年度に対して減らして、前年度比三百の減少をさせていただいたと記憶していますので、私どもとしては、トータルでそれまで千三百だったものを千に減らさせていただいたのが前の年、令和二年だったと思います。

 しかし、御存じのように、今回はコロナの話が発生しておりますので、これは早くスピードを持ってやらないかぬということで、慌てているところもありますので、確かに千億円の追加出資を決定させていただいておりますけれども、それに当たって、いわゆる投資、融資といったものをするに当たっては、きちんとよく調査をしてやっておかぬと危険負担が伴う、将来赤字がというところを御懸念をいただいておるんだと思います。

 まことに正しい御指摘だと思いますので、私どももそういった点に関しましてはきちんと対応をスピード感を持ってやらないといかぬという状況でもありますし、こういった民間がちょっと出し渋るところをやるというところがこの銀行の仕事でもありますので、ある程度の危険負担は考えながらもやらないかぬというところのバランスをどうやってやるかというのは常に頭の痛いところだとは思いますけれども、なかなか赤字というのが巨額なものにならないようにするという配慮は常にしておかねばならぬところだと思っております。

階委員 それで、これほどお金があるのなら特定投資業務としてやるべきことがあるでしょうということをきょうは申し上げたいと思います。

 五ページ目に、これは海江田委員が前回の質疑で取り上げた高橋温三井住友信託銀行名誉顧問さんの提言であります。中小企業に資金繰り支援だけじゃなくて資本増強の支援もすべきではないかということなんですね。

 私、これは非常に重要な指摘だと思っていまして、金融機関にいた立場からしますと、今政府がやっていることは、これはこれで重要なんですよ、資金繰り支援、あるいは借入金や税金や公共料金、こういった支払いを延期する、これはこれで重要です。ただ、これをやるとバランスシートがどんどん悪くなってくるんですね。負債比率が上がります。自己資本比率が低下します。こういう中でやはり自己資本の増強というのもやっていかなくちゃいけないだろうと。

 再び政投銀の社長さんに伺いますけれども、前回、ここでの政府の答弁として、日本公庫の資本性ローンがあるじゃないか、あるいは中小企業の事業再生ファンドの株式取得があるじゃないかというような話があったんですよ。でも、考えてみますと、日本公庫の資本性ローンは五年、十年、十五年で期限一括償還、これは永久劣後ではありません。それから、中小企業何とか機構の事業再生ファンドの株式取得というのも、株式を取得するので経営をコントロールしてしまうということで、これは出資を受ける側からするとちょっとちゅうちょを覚えるということなんですよ。ですから、使い勝手が悪い。

 そういった中で特定投資業務を今までやってこられて、地域金融機関と共同でファンドをつくって中小企業に劣後ローンを提供してきた実績があるわけです、政投銀には。そうした中で、今回、特定投資業務の枠を拡大しようというのであれば、中小企業に永久劣後ローンを供与して資本増強に資する貢献をしていただきたい、そう思います。どうでしょうか。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 当行はもともと中堅・大企業が主なカバーエリアでございました。ただ、特定投資業務におきましては、地域金融機関、地域の創生というのが一つの課題でございますので、御指摘のとおり、地域の金融機関と共同ファンドを設立して、地域の新事業の開拓等を支援するために劣後ローンを供給している実績がございます。

 ただ、特定投資の業務の目的は、競争力の強化、地域の活性化を目的として、その要件としましては、例えば新分野への進出ですとか他業種間の業務連携ですとか、そういったものを手段として行う、そういうような視点での投資でございます。

 一般論としましては、永久劣後ローンを含めた個別の商品性につきましては、共同投資家、特定投資は共同投資が必要ですので共同投資家、投資先の企業との協議の中で、そのニーズとか収益性とかリスク評価なども踏まえまして、最も適切な手段がとられることになるというふうに承知をいたしております。

 ただ、今までも実績がございます。今後も、そういう意味では、事業者や地域金融機関を始めとする共同投資家と連携をしながら、成長資金を目的とする特定投資業務の要件を踏まえて、御要請に応じて永久劣後ローンを含めたニーズに対して対応していきたいというふうに考えてございます。

階委員 確かに政投銀は本来中堅以上の企業を対象にするというのはわかっていますけれども、これまでの実績、経験、あるいは、本来、日本公庫というのは融資が中心ですから、こういうメザニンローンとか永久劣後ローンというのはなかなかノウハウがないだろうということで、私はここは政投銀の出番なのではないかなというふうに思っています。

 大臣にお尋ねしますけれども、まず状況を共有してもらいたいんですが、この資料の最後ですね、これは財務省の法人企業統計をもとに住友信託銀行さんの協力を得て私の事務所で作成したものなんですが、今回のコロナのマグニチュード、どの程度、中小企業、特にこれは資本金一千万未満ですから中小の中でも小さい方かもしれません、こうしたところにどの程度の影響を与えるか、BS、PLについてこれを見たものです。

 まず、BS、現在の段階で自己資本、純資産ともいいますけれども、二十三・六兆円ぐらい。左側の方にBSがありますね。二三五八四という数字があります。これは二十三・六兆円です。総資産が百二十二兆円ですから、大体一九%ぐらいになるかと思います。

 他方、右の方にPLがあります。PLは、矢印の左側のところは売上高百三十三兆です。当期純利益は二兆二千七百二十億ということで、売上高に占める当期純利益の割合というのが一・七%にしかすぎません。

 こうした中で、仮に売上高が前年度比三分の二まで減少した場合、赤字が二十五・八兆円出るんですね。これが一番右側の下の数字ですね。つまり、現在の自己資本二十三・六兆円が一年間でひょっとしたら吹っ飛ぶかもしれない、こういうマグニチュードなわけです。

 結論的なところがこの資料の黒丸として書いていますけれども、この債務超過を回避するためには、少なくとも二兆円は資本増強をする必要がある。それから、現在の自己資本比率を維持するためには、赤字の分の二十六兆円を資本に加える必要があるというような話なんですよ。

 こうしたことを考えると、補正予算では新型コロナリバイバル成長基盤強化ファンドということで、どちらかというと立派な会社さん向けの新たな特定投資業務も始めるようですけれども、これよりも、日本の経済を支えている中小企業が大変な苦境にある中で、この特定投資業務を使った永久劣後ローンの提供を行って、これをやることで民間金融機関の新たな融資の呼び水となるんですね。この融資の呼び水というのも特定投資業務の大きな意義だったと思うんです。まさに今これをやるべきではないでしょうか。

 財務大臣、政治判断が必要だと思いますので、ぜひお願いします。

麻生国務大臣 新型ウイルスの感染によっていわゆる被害を受けられた中小企業向けとしては、御存じのように、今先生の前の指摘でありましたように、政策金融公庫の方から無利子とか無担保とか、いわゆる融資を含みます特別貸付制度の拡充をやらせていただいたり、税金、社会保険等々を延滞金利なし等々で延ばしてもいい、可能とか、また、金融機関による融資をするに当たって、それに対しましては、実質の無利子無担保ができることの制度を創設するとか、いろいろ金融措置を講じさせていただいておるのは御存じのとおりです。

 いわゆる投資業務というものに関しましては、これは、いわゆる成長資金となるリスクマネーというものを供給する必要があります仕組みなので、その役割はおのずと異なるところではありますけれども、中小企業に対しましても、これは、地域金融機関との共同ファンド等々を通じて、劣後ローン等々の供給というものを共同ファンドを通じてやらせていただくということで、事業開拓等々支援をさせていただいているところなんですが、委員御指摘の、永久劣後ローンということを今言われておるんですけれども、ちょっと、個別の商品についてはコメントは差し控えさせていただきますけれども、この特定投資業務というものを、業務完了期限までの間に、債権等々の譲渡その他の処分をしなきゃいかぬことになっておるんですが、永久劣後ローンであっても、これは業務の完了というものをいたす期限までの間には、共同投資家に、してもらっている人に対して譲渡するとか、投資回収の見込みがあるなどの必要があるんだと考えますので、こういったものに関してちょっといろいろなことを考えないかぬところだと思いますけれども。

 永久劣後ローン、劣後ローン、いろいろなもので、先ほど言われましたように、資金繰りを今、目先でやらせていただいておりますけれども、先生の言っておられるのは、フローの話じゃなくてストックの話も考えろということを言っておられるんだと思いますので、こういった点も私どもとしてはいろいろ配慮せねばならぬというところは確かだと思っております。

階委員 海江田先生も前回申し上げましたけれども、ぜひ、資金繰り支援だけではなくて資本的な資金も入れていく、そして、まさに、フローだけではなくてストックにも目配りしていく、これが非常に大事だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 終わります。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史でございます。

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改定する法律案について質問いたします。

 初めに、特定投資業務について伺います。

 政投銀は、二〇一六年度に、特定投資業務としてソフトバンクグループに出資しました。英国企業、ARMホールディングスの買収を支援するために、劣後債を取得したわけです。その後、ソフトバンクグループが、ARMホールディングスの子会社の株式をグループ内で移動させ、意図的に巨額の損失をつくり出す手口で租税回避を行っていたことがわかり、今国会で、抜け道を防ぐ法改正が行われました。

 政投銀は、このような租税回避に利用されることを知った上で出資したのか、知らなかったとすれば、この租税回避が判明したときにどのような対応をとったのか、教えてもらえますか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の件、ソフトバンクグループが半導体の設計等を手がけるイギリスのARMホールディングスを買収するに当たって資本性資金を調達するために発行した劣後特約つき社債を、二〇一六年に取得したものでございます。

 その後、二〇一八年に行われましたソフトバンクグループのグループ内取引に関して、二〇一六年当時、政投銀は知り得る立場になく、公募債投資家として対応する立場にもなかったと承知してございます。

 また、本投資先のARM社は、半導体領域で独自の基盤技術と高い市場シェアを有しておりまして、IoT分野の中核をなす半導体設計とソフトバンクの通信事業のシナジー効果によって、IoTサービスの展開などの新事業開拓を現在でも行っておりまして、本投資と御指摘のグループ内取引に直接的な関係はないと考えております。

 なお、言うまでもございませんが、政府といたしましては、国際的な租税回避の防止については、これまでも、国際的な合意事項も踏まえ、必要な税制上の見直しを着実に実施してきたところでございまして、引き続き不断に取り組んでまいりたいと存じます。

清水委員 今、関係ないというふうにおっしゃいましたけれども、そんなことはありませんよ。このことによって租税回避が行われていたということで、財務省は、今国会で、その抜け道を防ぐ法改正をしたではありませんか。

 そういう反省がないまま、これからもこうした特定投資業務を続けていくというのは問題があります。反省すべきです。

 次に、危機対応融資について伺います。

 新型コロナウイルスの影響を大きく受けているアメリカ、ここでは航空産業への政府支援が打ち出されております。その中身は、従業員の給与向けの補助金と低利子の融資ですが、例えばアメリカン航空は、補助や融資を受けるかわりに、ことし九月三十日までの解雇、減給の禁止、一定期間の自社株買いの停止、配当や役員報酬の制限に同意したと報道されています。

 事実関係について、財務省、教えていただけますか。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカが、新型コロナウイルス感染症対策といたしまして三月二十七日に決定した経済対策第三弾、ここで自国の航空関連産業への融資等を決定したことを承知してございます。

 その際の融資の条件といたしまして、融資の返済後十二カ月が経過するまで自社株買いや配当金の支払いを禁止すること、雇用を実行可能な限り二〇二〇年九月三十日まで維持すること、これは三月二十四日の水準を基準といたしますが、そして、雇用を減らす場合も一〇%以上削減しないこと、こういったことが法定されていると承知してございます。

清水委員 今お答えいただきましたように、アメリカでは、大企業への支援をする際に、雇用を守ることなど、ちゃんと条件をつけているわけですね。実は、これはアメリカだけではなくて、欧州各国でも、公的な資金繰り支援などに条件をつけていると報じられております。

 紹介しますと、イギリスでは、健全性監督機構、これはPRAといいますが、政府が新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各種の施策を実施していることに鑑み、銀行に対して、配当、経営陣のボーナスの増額、自社株買いなどを行わないことを要請している。

 ドイツでも、企業が政府の支援プログラム利用やドイツ復興金融公庫からの借入れを希望する場合は、ケース・バイ・ケースの決定になるとしながらも、全般的なルールとして、配当金の支払いはやめる必要がある、こう定めております。また、安定化基金の支援を受ける要件として、配当の支払いを停止することや企業幹部の報酬、賞与の削減が別の規則等で規定される可能性があることも報じています。

 フランスでもあります。フランスでは、納税猶予、社会保険料納付猶予や公的信用保証融資を申請する大企業は、二〇二〇年に配当及び自社株買いを行ってはならない、こう定めております。

 また、欧州中央銀行も、三月二十七日に、ユーロ圏の銀行に対し、新型コロナウイルス感染期間は、二〇一九から二〇二〇会計年度の配当支払いや自社株買いを行わないように要請しています。株主への還元ではなく、損失の備えや家計、企業への支援継続を優先させるのが狙いと言われております。

 財務省も、欧州各国のこのような取組については知っていますね。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツ、フランス、イギリスの各国が融資や信用保証等を通じ企業に対する支援措置を講じたことは承知しておりますし、先生がおっしゃった中で、例えばフランスについて、政府保証つき融資等を求める大企業は、二〇二〇年は国内外の株主に対する配当を行わない、二〇二〇年は自社株買いを行わないことを政府として要請していたり、ドイツで、政策金融機関、KFWを通じた融資先は配当金の支払いを禁止する、あるいは、経済安定化基金による債務保証や出資については、役員報酬や配当金の支払いを含む、受益企業が満たすべき要件に関する詳細な規則を出すことができると法定されていることなどを承知してございます。

清水委員 そのとおりだということですね。

 それで、最後に麻生大臣に伺うわけですが、今回の緊急経済対策では、危機対応融資、六兆円の財政投融資規模で中堅・大企業等の資金繰りを支援すると言われております。国内では、航空業界が二兆円の政府融資を要請していると報じられているもと、やはり重要なことは、支援するに当たって、欧米各国に見られるような雇用の確保やあるいは配当の停止などの条件、これが必要ではないかということなんですね。

 公的資金で支援を受けながら、配当を出したり役員報酬を出したり、そういうことを見直しもせず、解雇や派遣切りなどを野放しにし、雇用を維持しなくてもいいということになれば、これは緊急経済対策の趣旨から見ても外れていると言わなければなりません。大企業への支援については、少なくとも欧米並みの条件をつけるべきだと思うんですが、麻生大臣の所見を伺います。

麻生国務大臣 今回のこの感染症による危機対応融資について、これは、売上高が大幅に減少しているということなどを条件として資金繰り支援を行っておりますのは、もう御存じのとおりです。

 今、外国でさまざまな工夫を行っているということは承知しておりますが、いわゆる雇用調整助成金はアメリカにありますかね、アメリカにはないんだと思うんですね、僕の知っている範囲では。日本の場合は十分の九ありますからね。そういった点はちょっと考えておいていただかないかぬところなので。大企業でも四分の三、七五%までの雇用調整助成金がつく。

 そういったことが、基本的には、私どもとして、融資をするに当たっては雇用は確保するというのが条件。条件をつけなくても、それは常識的にそういったことになるようにして私どもはやらせていただいている。命令してやらせるというのを御希望のようですけれども、うちはそういうやり方ではしておりません。

 そういったことだと思っておりますので、雇用の確保が事業の継続につながっていくということ、事業の継続が雇用の確保にもつながっていく、それは両方あろうとは思いますけれども、私どもにとりましては、そういったことを考えておきまして、そういった条件のもとで、過剰な配当金の支払いとかボーナスを上げちゃうとか、そういったような話は常識的には考えられないところでありますけれども、私は、指定金融機関におきまして、こういった点は適切にモニタリングをさせていただけるものだと思っております。

清水委員 緊急経済対策の十八ページに何と書いているかということなんですよ。ここには、「国民生活にとって最も重要な雇用の維持に、引き続き全力を挙げて取り組む。」、国民生活にとって最も大事なのは雇用の維持だと。事業が持続しなければ雇用は当然維持されないわけですが、そのためにも、公的資金を投入して資金繰りを支援する企業に対しては、首切りするな、雇用を守れと言うのは当たり前のことだと思います。

 リーマン・ショックのときにも大量の派遣切りや雇いどめが行われました。今回のコロナウイルスの影響を受けて、既に派遣切りや外国人技能実習生の雇いどめなども行われております。緊急対応融資を受ける企業に対しては、せめて欧米並みに雇用を守るなどの企業の社会的責任を果たすことを条件にすることを求めて、私の質問を終わります。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、貴重な質問の機会をありがとうございます。

 早速お伺いさせていただきます。

 日本政策投資銀行が日本の競争力の強化という観点から創造的事業展開に関してリスクマネーを供給する、これは日本の将来にとって非常に重要な役割を果たしておられる、そう思っております。また、それを期待しております。その観点から幾つか質問をさせていただきます。

 まず、これは古くから言われていることではございますけれども、民間金融機関の弱点として、新規事業に関して、事業の有望性あるいは人的な有望性で投資していく、こういったことがなかなか難しい。銀行内部のいろいろな制約もあるでしょうし、また、そういったノウハウがなかなか取得できていないということもあろうかと思います。

 一方で、政策投資銀行というのは、もともとそういったことに関してノウハウを持って取り組んできた、そういう役割を果たしてきていると思っているんですけれども、そういったノウハウを民間金融機関、とりわけ、大手はそれなりのものを当然持っておられるでしょうけれども、地方の金融機関はなかなか苦手としているところだと思われます。こういったことを提供していくべきだと思っておりますけれども、それに関してどのような取組をされているのか、教えてください。

渡辺参考人 お答え申し上げます。

 当行は、もともと、ビジネスモデル上、基本的に他の金融機関と協働する、協調するということが基本でございます。特に、地域においては全国に十の支店しかございませんので、地域の金融機関様と連携をしながら、いろいろな業務を図っていったり、また資金調達をしていったりということでございます。

 地域においてきめ細やかにリスクマネー供給を実施するために、それぞれの地域の実情に応じた、よくお詳しい地域の金融機関と共同にファンド、これは前にも御説明したように、ファンドをつくって連携をしております。その地域における成長資金をそこから供給をしているということでございます。

 あと、先生から御指摘ありましたノウハウの共有という、シェアということでございますけれども、当行が有しますリスクマネーに係るノウハウの共有への期待が大きく、共同ファンドの運営を通じたノウハウを移転するということもございますが、実際に、先ほどもちょっと申し上げましたが、当行として、地域の金融機関等から出向者を受け入れていまして、特定投資の業務の創業以来約百二十名、一年から二年おいでいただいて、お帰りいただいてそういった仕事をしていただくというようなこともやってございます。そういったところから、ノウハウとか知見のシェアをさせていただいているということでございます。

 今後も、地域の金融機関等からの出向者の受入れや共同ファンドの組成、運営を通じ、当行が持っておりますノウハウの共有を図って、民間金融機関と連携、協働して、地域発のイノベーションの後ろ押し、事業承継、そういったものに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

青山(雅)委員 特にイノベーション、そういったところに投資する、これは当然リスクがつきまとう。ただし、そこについて臆病になってしまっては何のためにやっているかわからないところではございますので、もちろん慎重を期しつつ、日本の新しい産業を切り開くという意味で、積極的な、そういったリスクな部分にも民間とともにチャレンジしていただきたいと思っております。

 続きまして、リスクマネーの供給に関して、経産省系の株式会社産業革新投資機構も類似の業務を担っておられますが、日本政策投資銀行の業務と産業革新投資機構の業務は重複しているのか、そして、重複している場合には、どのようにすみ分けというかシェアをされているのかということについて質問をさせていただきます。

神田政府参考人 お答え申し上げます。

 産業革新投資機構は、原則として、あらかじめ定められた重点投資分野に基づいて傘下にファンドを組成して、そのファンドを通じて産業競争力の強化に資する事業分野への資金供給を行い、あわせて、民間投資家からリスクマネーを受託できる投資人材の発掘、育成を図っていくものでございますが、他方、私どもの特定投資業務では、政投銀が有するリスク評価手法などの高度な金融ノウハウと、顧客基盤を含む長年培った独自のネットワークを生かして、地域活性化や企業競争力の強化に資する案件に対して投資を行うこととしておりまして、この両者は役割や強みが異なるものと考えてございます。

 ただ、特定の政策目的に合致する投資案件につきましては、その目的のために時限的に設置されました官民ファンドの役割を尊重するとともに、密なコミュニケーションを図って適切に協働してまいりたいと存じます。

青山(雅)委員 大企業が新しい創造的な事業を展開するということに関しての融資というのはこれまでも行われてきたところでしょうけれども、特にスタートアップ企業へのリスクマネーの供給という点は非常に不十分かと思っております。したがいまして、これはちょっと時間もございませんので提言にとどめさせていただきますけれども、日本政策投資銀行あるいは産業革新投資機構が連携して、スタートアップ企業、ぜひこれから推し進めていただきたい、新しい芽がどんどんどんどん育つように、ぜひその方向で取り組んでいただきたいと思います。

 質問はかわります。

 非常に重要な点として、コロナ対策で、マスク、非常に取り沙汰されております。これは静岡新聞の一つスクープのようなニュースですけれども、国交省が、所管の倉庫団体などへマスクをあっせんした、こういうことが報じられております。

 もちろん、例えばタクシーの業界などに、これは公共交通を担うものですので、これを配付する、一定の枠を確保する、これは意味があるところですけれども、倉庫というと、ここの新聞記事にあります、接客が余りないので人との距離をとりやすく、他業種に比べてマスクを特に必要とする理由はない、みずから、このあっせんを受けた倉庫業者の方が語っているわけです。

 御承知のとおり、医療施設、介護施設、どんなマスクでもいいからもうとにかく欲しい、こういう状況の中で、経産省あるいは国交省がこういったことをしているというのは非常に問題ですし、国民感情からもこれは非常に納得しがたいものだと思いますけれども、どういうことでこういうことをやっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、マスクに関しましては、緊急性、緊要性が高い医療機関への医療用マスクの配付ということが最優先でございます。これまで、政府が買い上げ、それを配付するという形で、三月下旬以降五千八百万枚の医療用マスクの配付を行ってきているところでございます。また、介護施設、小中学校等に対する布製マスクの配付といったような取組も進めてきているところでございます。

 一方で、こういった医療機関以外におきましても、例えば、法令上マスクの着用を求められる業種でございますとか、あるいは、公共交通、物流を担うといったような、国民の安定的な生活の確保、社会の安定の維持のために必要な業種というところにつきましては、感染防止の観点から、各省からの求めに応じまして、メーカーあるいは輸入業者等を御紹介しているところでございます。

 今回の話につきましても、国土交通省からのお求めに応じまして、厚労省等と連携いたしまして、いわゆる医療用というレベルに達しない一般用マスク等々について、メーカー、輸入業者等を御紹介したものでございます。

青山(雅)委員 今回の質問も、本来は国交省の方にお伺いしたかったんですけれども、経産省の管轄であるということで、経産省と。厚労省は、御承知のとおり今こういうことですので、質問を自粛しておりますけれども。

 とにかく気持ちを込めてやっていただかないと、せっかくの政策というものがちっとも国民に反映していかないわけですね。どう考えてもやはり優先の度合いが薄いものに関して、国民が本当に入手するのに困難で大変な思いをしているマスクを平然とばらまいているようでは、これは、政策を幾らいいものをつくっても、国民の怒りを買うだけだと思います。

 またこれは質問させていただきます。ぜひ、その点、心を込めてやっていただきたいと思います。

 質問、ありがとうございました。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。清水忠史君。

清水委員 私は、日本共産党を代表して、株式会社日本政策投資銀行法の一部を改定する法律案に反対の討論を行います。

 その理由は、特定投資業務の大部分が競争力強化の名目で大企業へ投資されており、政策金融の本来のあり方に反するからです。

 我が党は、政策金融は、中小企業や地域経済振興、国民生活、環境などの分野への公的融資を中心に行うべきと主張してきました。政投銀においては大企業本位の投融資からは撤退し、財投債の減額による国民負担の軽減を求めてきたところです。

 二〇一五年の法改正時には、競争力強化ファンドを政府出資により強化、拡充した狙いが、政府系金融機関にメガバンクのリスクを肩がわりさせることで、大企業の収益性向上を目指した事業再編、輸送システムなどのインフラ整備のための大規模な資金調達を実現することにあり、巨額の公的資金を大企業優遇に活用することは許されないと指摘し、反対しました。

 政府は、民間のリスクマネー供給がなおも不足しているため、政投銀の特定投資業務を継続する必要があるとしています。しかし、本来、ベンチャー企業への出資や先端事業への出資などは民間が担うべきものであり、リスクをとりたくない民間金融機関や大企業が及び腰になっているからといって、政策金融が先頭を切ってリスクマネーを供給することには反対です。

 二〇一五年に新設されてからの特定投資業務の実績を見ましても、二〇一九年九月末までに決定した八十九件、五千九百四億円の投融資のうち、大企業支援の競争力強化が三十八件、五千九十四億円、実に投融資額の八六%が競争力強化の案件です。

 二〇一六年度には、ソフトバンクグループが、英国企業、ARMホールディングスを買収する取組を劣後債により支援しましたが、このとき買収したARMホールディングスの株式は、その後、租税回避策として利用されたことも大問題です。

 このような日本政策投資銀行の業務は期限の切れる二〇二〇年度末で一旦廃止するべきであり、延長することは認められません。

 以上、反対討論といたします。

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、井林辰憲君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。階猛君。

階委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 株式会社日本政策投資銀行ができる限り早期に完全民営化することとされていること及び特定投資業務が時限を定めて導入されたことを踏まえ、期間延長が際限なく繰り返されることがないよう特定投資業務の法定期限到来までの間に、同業務の継続の是非と国の関与のあり方について十分に検討すること。

 二 政府の保有株式については、特定投資業務等の実行に伴い政府が保有すべき株式を除き、株式会社日本政策投資銀行の目的の達成に与える影響及び市場の動向を踏まえつつその縮減を図り、できるだけ早期の売却に努め、その売却益を増大している国債の償還財源に充当するよう努めること。

 三 特定投資業務が民業の補完又は奨励に徹することとされていることを踏まえ、民業を圧迫することがなく適切な運営がなされるよう注視すること。また、いわゆる呼び水効果が民間金融機関に与える経営上の影響について、定量的な計測や検証に努めるよう促し、もって呼び水効果が最大となるよう配慮すること。

 四 昨今、株式会社日本政策投資銀行の配当が低下していることを踏まえ、株主である政府として同行の業務の事業実績及び経営状況を十分監視すること。

 五 民間金融機関による資金供給を公的観点から支援するという株式会社日本政策投資銀行の役割に応じた適切なリスクが取られるよう、同行の経営状況について、その投資損益等が適正なものとなるよう十分注視すること。

 六 特定投資業務の法定期限の延長は、新型コロナウイルス感染症の被害対応とは直接関連することがないところではあるが、政府は、株式会社日本政策投資銀行の危機対応融資等の活用や、中堅・大企業の資金繰りへの支援を通じ、中小事業者を取り巻く厳しい環境の改善に万全を期すこと。

 七 地域経済の自立的発展を実現するためには、地域金融機関等の人材の育成が急務であることに鑑み、株式会社日本政策投資銀行から地域金融機関に対する先進的な金融ノウハウの提供や同行と地域金融機関等の協働等により、地域における人材育成が同行によって図られるよう適切な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。財務大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

田中委員長 この際、御報告いたします。

 去る十六日、議長より本委員会に送付されました、議員川内博史君外百二十七名からの森友学園問題に係る財務省による文書改ざん等に関する予備的調査の要請につきましては、理事間の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る二十日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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