衆議院

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第17号 令和2年5月27日(水曜日)

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令和二年五月二十七日(水曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 田中 良生君

   理事 あかま二郎君 理事 井林 辰憲君

   理事 うえの賢一郎君 理事 津島  淳君

   理事 藤丸  敏君 理事 末松 義規君

   理事 古本伸一郎君 理事 伊佐 進一君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石崎  徹君    今枝宗一郎君

      勝俣 孝明君    門山 宏哲君

      小泉 龍司君    高村 正大君

      國場幸之助君    鈴木 隼人君

      田野瀬太道君    武井 俊輔君

      辻  清人君    船橋 利実君

      古川 禎久君    本田 太郎君

      宮澤 博行君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      浅野  哲君    海江田万里君

      櫻井  周君    階   猛君

      野田 佳彦君    日吉 雄太君

      森田 俊和君    石井 啓一君

      清水 忠史君    青山 雅幸君

      美延 映夫君

    …………………………………

   財務大臣

   国務大臣

   (金融担当)       麻生 太郎君

   財務大臣政務官      井上 貴博君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局長)  森田 宗男君

   政府参考人

   (金融庁企画市場局長)  中島 淳一君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    栗田 照久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 寺田 吉道君

   財務金融委員会専門員   齋藤 育子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十七日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     船橋 利実君

  岸本 周平君     浅野  哲君

同日

 辞任         補欠選任

  船橋 利実君     牧島かれん君

  浅野  哲君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総合政策局長森田宗男君、企画市場局長中島淳一君、監督局長栗田照久君、経済産業省大臣官房審議官島田勘資君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、国土交通省鉄道局次長寺田吉道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党の山田美樹です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 今回の質疑の準備に当たりましては、関連業界の方々へのインタビューに始まって、金融庁からのレク、質問通告など、電話とウエブ会議を使って全てリモートで行いました。コロナ対応で必要に迫られての試みでしたが、もしこれが当たり前になれば大幅な業務効率化になることを実感いたしました。

 特に霞が関では、夜中まで国会待機で待たされ、議員会館にレクに呼ばれて、本省、本庁と往復する移動時間だけでも三十分はかかるといった事態が改善されるように、国会議員が進んで努力をしていかなければならないと思っております。

 今回、電話やウエブ会議でもわかりやすく明快なレクをしてくださった関係者の方々に、この場をおかりしてお礼を申し上げます。

 それでは、質問に移らせていただきます。

 今般の法改正については、これまで数年間にわたって金融審などで議論を重ね、規制緩和のあり方について方向性を示していただいたものと認識しております。特に資金決済業については、期せずしてコロナ対策の観点からキャッシュレス支払いを推奨する声が高まる中で、まさに時宜を得た法改正だと思っております。

 他方、金融サービス仲介業や資金決済業の三年後、五年後の将来を考えますと、今回の法改正はあくまで過渡的なものではないかと感じる部分もあります。

 例えば、金融サービス仲介業では、ありとあらゆる生活ニーズを解決するスーパーアプリが登場したら個人情報はどこまで守られるのか、将来、独自通貨を持つプラットフォーマーが参入するとビジネスモデルが一変してしまうのではないか、それから、他分野から銀行業務への参入がふえる中で、銀行業の業務範囲規制とのバランスについても再検討が必要ではないかという論点がございます。

 同様に、資金決済業についても、デジタルマネーでの賃金支払い解禁を見据えて、利用者保護は万全なのか、決済データが蓄積されることで、中国のような個人信用スコアリングのシステムができてしまうのではないだろうか、無料の少額送金サービスが普及してしまうと、既存の金融機関は採算維持のために口座維持手数料を導入せざるを得なくなるのではないか、などなどの懸念がございます。

 海外に目を向けますと、ポストコロナ時代のグローバル競争は加速度的に進んでいる感があります。世界に先駆けて経済活動を再開した中国では、今月から蘇州、シンセンなど一部の都市でデジタル人民元の実証実験がスタートしました。スターバックスやマクドナルドも参加するとのことです。今後、恐らく、デジタル人民元に対抗して、リブラや中央銀行によるデジタル通貨も準備が加速されることでしょう。

 日本経済の回復がおくれますと、こうした世界経済の潮流に対応ができなくなります。国内の規制緩和と業界再編、グローバル競争の中での日本の立ち位置、ポストコロナの世界的な大きな潮流の中で、今回の法改正の意義と将来の課題をどのように捉えているか、麻生大臣にお伺いいたします。

麻生国務大臣 今御指摘がいろいろあっておりましたけれども、いずれも正しいと思います。起こるか起こらないかは別にして、そういった懸念があることは確かなんだと思います。

 この法案を考えるに当たりまして、私どもとしては、今いろいろなリスクがあることは確かですけれども、それに対応するのに当たって、私どもは、今いろいろ規制がありますので、その規制をいろいろ緩和したり厳しくしたりする、めり張りをつけた上で、いわゆるサービスのあり方というものにいろいろ選択肢を与えるというのが基本だと思っておりますので。

 今までですと、銀行とか証券、保険等々、業種がありますけれども、役所でも大きく三つぐらいありますけれども、そういったようなもののサービスというのを金融サービスということでワンストップでちゃんとできるようにしますという、いわゆるそういったもので、証券から保険へとか、銀行から保険へとかいった意味でのいわゆるサービスというものを送金サービスということでくくれば、手軽な送金サービスが実現できるようになります。

 また、利用者が負担をしておりますから、そういった意味での規制というものを緩める、いわゆる証券、金融、保険等々の規制がなくなりますと、三つのところにそれぞれ別々に出さなくちゃいけないものを一カ所で済むことになりますから、当然その分だけはコストが安く済むことになりますので、そういった意味では利用者にその分が還元されることになりますし、加えて、利用者の便益が向上するということが期待できるんだと思っております。

 二つ目は、いわゆる新しくできるサービスになりますので、今いろいろな業者が、私どもの知っている範囲で九十何業者、これに参入したいという意欲を示しておられる方がおられますので、欧米とか中国とかで、いわゆるファイナンシャルテクノロジーというものの分野では、これは国際競争力の強化にもつながっていくんだと思っておりますので、私どもとしては、この新たな業者等々を含めまして、いろんな方々がこれに入っていかれるということは、いわゆる競争は結果としてコストを下げるということになりますし、それがサービスの向上にもつながるということになっていくだろうと思っております。

 もう一点は、やはり、さっき言われましたように、金融サービスというもののオンライン化とかキャッシュレスというようなものは、これは環境整備をやっていくに当たってはこの新しい法はそれに資するというふうに思っておりますので。

 いわゆるコロナ後になりますと、嫌でも、これは非対面とか非接触とか、そういった経済というものが今まで以上に間違いなく普及してくるだろうと思いますので、そういったものでは時宜を得たものだと思っております。

 同時に、これは注意しておかないかぬのは、個人情報というもののあり方とか、業態によって規制のバランスが違っているとかいうような、さまざまな課題があると私どもも認識しておりますので、社会とか経済構造とかいうものがいろいろな構造として急激に変化していく中にあって、金融というもののあり方については見直していくことが必要で、技術は更に進むと思っておかないけませんから、今の顔認識なんというものは別に新しい技術でも何でもないという時代になってきたりするようなことになりますので、丁寧にそこらのところは検証しておきまして、仮に、技術の進歩とか状況の変化等々によって、制度面でさらなる見直しが必要な点ということが出てくるということも十分に考えて、その時点で適切に対応していくという心構えでもって臨みたいと思っております。

山田(美)委員 非常に大局的な、しかも時間軸も長く見据えた御答弁をいただき、ありがとうございます。今後も技術の進歩に応じて柔軟にということであろうかと思います。

 それでは、資金決済法改正の具体的な中身について順次お伺いしていきたいと思います。

 今回新設される百万円以上の送金が可能な第一類型と数万円程度の少額送金を行う第三類型については、従来型の第二類型との併営が検討されていますが、一定の残高保持を前提とする第二類型と残高の保持を認めない第一類型の併営は矛盾する部分があり、法の潜脱になるとの御指摘もあります。

 一方で、厳格に併営を禁止してしまいますと、第一類型によって拾い上げることができる事業者や利用者のニーズが非常に狭くなってしまいますし、せっかく規制緩和するのですから、第一類型をどのように活性化していくかを考えるべきではないかと思います。

 どのような併営の形であれば認めるのか、金融庁の見解をお伺いしたいと思います。

 第一類型は、残高を持てないので決済サービスに生かしていくのは難しいし、送金専門ということになるんでしょうけれども、例えば、中小企業への融資などで数百万円の送金が必要な場合、第一類型から第二類型を通してお金を流すということがもしできれば、第一類型の利用ニーズも大きく高まるのではないかと思います。その際、第二類型について、例えば、数日以内であれば百万円を超えることも認めるなどの配慮が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 本法案によりまして、資金移動業を三類型に区分することといたしておりますが、利用者利便を確保する観点から、保全すべき額を類型ごとに管理することなどを前提に、一つの事業者が複数の類型を併営すること自体は認めることといたしております。

 他方で、百万円を超える高額の第一類型については、相対的にリスクが高まることから、運用、技術上やむを得ない期間を超える利用者の資金の滞留を不可とするなど、滞留を厳格に制限していることを踏まえますと、例えば、高額類型での百万円を超える送金に使用するために、あらかじめ現行の百万円以下の類型に多額の利用者の資金を滞留させておくことは、こうした規制の趣旨を潜脱するということとなり、適当ではないと考えております。

 なお、本法案では、利用者保護などの観点から、従来型の現行類型においても、新たに資金移動業者に対し、送金と無関係と認められる資金を保有しないための措置を講じることを求めることといたしておりますが、資金移動業者のビジネスモデルの多様性を踏まえ、金額や日数などを基準とした画一的な規制ということではなく、実務をよく確認した上で、ある程度柔軟な対応が可能となる枠組みとなるよう検討してまいりたいと考えております。

山田(美)委員 御答弁ありがとうございます。

 今、滞留金管理のことについても少し御指摘をいただきましたけれども、改正法の五十一条では、利用者の保護等に関する措置で、現行の枠組みを維持しつつ、利用者から預かった資金が百万円を超える場合には送金と無関係な資金の払出しを求めることを想定していると思われます。

 ただ、今ちょっとお話の中にもありましたように、利用者にとって、具体的な資金移動の需要は必ずしも直近にあるとは限りませんし、仮に、ある一時点でアカウントの残高が百万円を超えていたとしても、毎月数十万円の送金がある場合ならば実質的に問題は少ないでしょうし、逆に、ほとんどお金の動きがない場合は問題があるわけですから、百万円を超えたら一律に全てだめという制度では現実的ではないように思います。

 また、百万円を超えるたびにその都度確認を求められてしまいますと、利用者の利便性にも影響してきますし、事業者のコスト負担も著しく大きくなってしまいます。滞留金管理に過度な対応を求めるような規制とならないような配慮が必要かと思います。

 資金移動業者による滞留防止の方法は、さまざまなものが考えられます。画一的な基準による一律の規制ではなくて、ビジネスモデルや送金実績、利用状況に応じて、よりリスクの高いアカウントを確認して払出しを行う体制を整備するなど、事業者の自主性を尊重した柔軟かつ実効性のある制度とすべきだと考えます。

 今、中島局長様から御答弁いただいたのは、こういう趣旨で間違いはないということでよろしいでしょうか。

中島政府参考人 まさに今議員の御指摘のとおりでございまして、画一的な規制とすることは適当ではない。具体的には、利用者の資金が送金上限額を超えている場合には、資金移動業者が受入額、受入れ期間、送金実績、利用目的を総合的に考慮して送金との関連性の有無を判断する体制の整備を求めるというようなことを想定いたしております。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 まさに御指摘のとおり、さまざまな方法が考えられるかと思います。オンラインの金融サービスの世界では、ビジネスの形態が日々刻々、進化、発展しておりますし、行政による規制の整備というのはどうしてもタイムラグがあることを考えますと、こうした対策は可能な限り企業の自主性に委ねて、行政はそのための体制を整備していくというのがあるべき姿ではないかと考えるところであります。

 続きまして、今回新しく、収納代行の一部である割り勘アプリが資金移動業の登録が必要ということになりますけれども、規制対象の範囲の明確化についてお伺いをいたします。

 改正法の第二条の二には、受取人となる債権者が個人の場合であって、内閣府令に定める一定のものは為替取引に該当するとの規定があります。法律の条文上はそれ以上の限定がないため、政省令で、内閣府令で定めれば、広い範囲の行為を規制の対象にすることも可能となりますが、内閣府令ではどのように規定をされるのでしょうか。

 また、今回は、法律上、割り勘アプリのみを明示的に記述をしておりますけれども、将来またいろいろな新しいサービス、オンライン上のサービスというのがこれからどんどん出てくるかと思います。そうしたときに、将来的に規制対象となり得る範囲については予見可能性に十分に配慮する必要があります。今後、仮に対象となる行為を追加するかどうか検討すべき状況が生じた場合に、どのようなプロセスを経て追加していくことになるのでしょうか、お伺いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、サービスの機能や実態に着目し、収納代行のうち、債権者である受取人の保護を図ることが必要と判断されるものについて、資金移動業の規制対象となることを明確化することといたしております。

 こうした中で、議員の御質問の中にありました割り勘アプリについては、収納代行の形式をとりつつも、サービス提供者が利用者から別の利用者への資金のやりとりに介在している点で送金事業者と同様の機能を有していること、一般消費者である債権者、債務者双方がサービス提供者に対して信用リスクを抱えるおそれがあり、利用者保護の必要性が高いと考えられることを踏まえまして、規制対象とすることを考えております。

 内閣府令におきましては、割り勘アプリのようなサービスを適切に特定できるよう、関係者の意見もよく伺いながら、具体的な規定ぶりを検討したいと考えております。

 一方、現時点で割り勘アプリ以外の収納代行で規制対象とすべきと考えているサービスがあるものではございませんけれども、今後仮に規制対象を追加する場合には、事業者や利用者に与える影響を踏まえつつ、規制の必要性、妥当性について関係者と丁寧に議論を尽くしていくことが重要と考えております。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 利用者と事業者の双方にとって予見可能性が非常に重要ですので、今後もし対象となる行為を追加する必要が出てきた場合には、必要に応じて金融審議会を開いていただくなど、事業者など関係者を交えて議論を重ねて、利用者の利便性や企業のイノベーションを考慮していただければと思います。

 続いて、資金保全についてお伺いいたします。

 銀行送金以外の方法での資金移動のニーズが広がったことで、将来的には、ペイロール解禁などに伴って、資金移動業者にとって一時的あるいは突発的に未達債務がふえるケースが予想をされます。銀行保証は手元に資金が残るため柔軟な対応が可能ですが、銀行には信用供与規制がありますので、無尽蔵に保証額をふやせるわけではありませんし、資金移動業者は取扱高がふえるほど契約先の銀行をふやす必要がありますが、残念ながら、大口ニーズに対応できる銀行はそもそも非常に限られていると伺っています。また、事業者の中でも、新しい、これから参入するところですとか、信用力の弱い事業者は、そもそも銀行からの保証が得にくいという問題がございます。

 今回の法改正で、新たに信託が供託や銀行保証と併用可能になったという点には大きな期待が集まるところであります。

 ところが、現行の信託による保全は、必要な額の保全を一日刻みで求められたり、信託契約の受託者にモニタリング義務が負わされたりなどの制約が非常に多く、実際に余り利用されていないと聞いております。ユーザー保護が最重要であることは疑う余地はありませんけれども、事業者に過度な負担を求めることがないような、バランスのとれた柔軟な対応が必要ではないでしょうか。

 また、供託についても、もし柔軟にできれば、資金調達が非常にしやすくなります。事業者から供託所への取戻し申請を行う手続そのものはオンライン化されていると伺っていますが、その前提条件となる財務局から取戻し承認書を取得するというプロセスが紙媒体で行われていると聞いております。

 電子化によって手続を早期化し、使い勝手の向上につなげるべきではないかと考えますが、今後どのような対応をお考えでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 資金移動業者の資金保全について幾つか御質問をいただきました。

 まず、本法案では、信託による保全について、開始時に必要とされている事前承認制を事前届出制に見直しているほか、これまで認められていなかった供託又は保証による保全との組合せを認めることといたしております。

 また、現行内閣府令では、受託者である信託会社等に対し保全状況についてのモニタリングを求めており、これが信託報酬の増加要因になるとの指摘もございます。こうした対応を求めていない他の金融規制とのバランスを踏まえ、合理化を検討してまいりたいと考えております。

 また、供託金の払戻しにつきましては、取戻しが可能であることを供託所に証明するため財務局の承認書が必要となりますが、手続の合理化が課題というふうに認識をいたしております。今回の制度整備の機会を捉え、承認申請のオンライン化など、承認手続の電子化、効率化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 事業者にとって、信託銀行の口座が柔軟に使えるかどうかが非常にかなめとなっているところだろうと思いますし、ぜひ事業者の利便性も考慮した制度設計をお願いいたします。

 また、供託の取戻し承認書申請のプロセスについても、今まさに窓口のオンライン化というのが世の中の趨勢になりつつありますので、ぜひ早い時期に御対応いただきますようお願いを申し上げます。

 続きまして、プリペイドカードに関する利用者保護についてお伺いいたします。

 改正法の第十三条三項には、前払式支払手段の発行者は、内閣府令で定めるところにより、前払式支払手段の利用者の保護を図り、及び前払式支払手段の発行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要な措置を講じなければならないとあります。

 これは、いわゆる不正利用対策や利用者資金の保全、譲渡可能な前払式支払手段の不適切利用の防止について規定しているものと思われますが、具体的に事業者に対してどの程度の措置を求めるのか、お伺いをいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 情報通信技術の進展に伴い、前払式支払手段の多様化が進み、商品券などの紙型のものからスマートフォンで利用できるものまで、さまざまなタイプのものが登場してきております。こうした中で、発行者の業務運営の適切性を確保していくためには、それぞれのタイプの特性に応じた対応を求めていく必要があると考えており、御指摘の規定を新設しております。

 具体的には、例えばスマートフォンでチャージ残高の譲渡が可能なタイプのものは、発行者が提供する仕組みの中で財産的価値を有する支払い手段を容易に移転することができることから、商品券などと比較して、発行者みずからが公序良俗を害するような不適切な取引に利用されることを防止する必要性が高いと考えられます。このため、こうしたタイプの前払式支払手段の発行者について、例えば、譲渡可能なチャージ残高の上限の設定、繰り返し譲渡を受けている者の特定等の不自然な取引を検知する体制整備を求めることを想定しております。

 いずれにせよ、今後整備する内閣府令におきましては、実態を踏まえて柔軟かつ実効的な枠組みとしていきたいというふうに考えております。

山田(美)委員 具体的な対策、整備の方向性についても具体例を挙げて御紹介をいただき、ありがとうございます。

 先ほどの第二類型の滞留金管理のお話と共通するんですけれども、利用者保護の措置というのはさまざまな方法が考えられますので、行政が厳格に規制を決めてしまったり、あるいは自主規制団体のようなもので基準をそろえてしまうと、かえって結果的に事業者の創意工夫によるサービスの多様性がなくなってしまうように思います。企業の自主性を生かしたチェック体制の整備をお願いできればと思います。

 そして、最後になりますが、ずっと資金決済法の方の話が続きましたので、金融サービス仲介法制についてもお伺いをいたします。

 新たな仲介業の創設に関しては、既存の仲介業の許可や登録を受けている事業者の方々は、当該許可、登録を受けている分野において新たな仲介業としての仲介はできないという兼業規制があるかと思います。顧客に、お客さんに混乱を招かないという趣旨は理解するんですけれども、既存の仲介業者の方々が新たな仲介業に参入する際に大きな制約、ハードルとならないよう留意をする必要があるのではないかというふうに考えております。

 例えば、銀行代理業ですとか金融商品仲介業など、既存の仲介業の免許といいますかを取得済みの方々に対しては、移行の仕組みをできる限りシンプルにしてほしいという要望を多々お伺いをいたしましたが、金融庁としてはどのように応えていくのか、お伺いをいたします。

中島政府参考人 ただいま御質問いただきました、既存の仲介業の登録等を行っている事業者も含めまして、新しい仲介業への参入を検討している事業者がスムーズに参入できるようにすることが重要というふうに考えております。

 このため、新しい仲介業の登録を受けようとする事業者が施行日前においても登録の申請を行うことを可能とすることを検討しております。また、新しい仲介業に関心を有する事業者からの事前の相談には柔軟に応じることとしたいと考えております。

 こうした対応によりまして、金融庁といたしましては、新しい仲介業への参入がスムーズに行われ、ワンストップの金融サービスが速やかに提供されることを期待しているところであります。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 いろいろとまた新しい法律が施行されることで新しいビジネスも出てくるでしょうし、また、そのビジネスが浸透することによって新たな問題点というのもこれからまたいろいろと出てくるかと思います。業界の方々それから利用者の方々と意見交換などを密にしていただいて、そして、よりよい技術の発展、サービスの強化というところにつなげていっていただければと思います。

 時間を少し余らせてしまいましたが、これにて質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 立国社の海江田万里でございます。

 質問に先立ちまして、委員長に一言私から申し上げます。

 委員長を責めるとかそういう話じゃありませんけれども、今回の法律、これは金融商品販売法の一部を改正する法律案ということになっておりますが、この中身、子細にごらんいただければおわかりになると思いますけれども、まず、従来の金融商品販売法の目的から変わってまいります。それから、もちろん中身が変わるわけですから、法律の名前も、金融商品販売法という法律はなくなって、新たに、金融サービスの提供に関する法律ということになるわけですから、いわば新しい法律だと考えればいいわけでありますね。

 そして、これは言うまでもありませんけれども、金融商品販売法が誕生した経緯でありますとか、命の次に大切なお金といいますか、命より大切だという方がいらっしゃるかもしれませんけれども、そういう運用を、これから私たちが法律をつくって、もちろん利便性は増しますけれども、その裏側にリスクもあるわけでございますから、やはり私はもう少し時間をかけて議論を充実させていただいた方がよかったのかなと思います。

 もちろん、私どもの理事も、理事会が非常に円満に相整ってきょうの委員会の開催ということになったわけでございますが、法律の中を点検しますと、先ほどもお話が出ましたけれども、内閣府令に委ねるでありますとか政令に委ねるとか、それは、この委員会でしっかりと、法案を提出しました政府がどういう考え方で、どういう方向性で政令に委ねるのかということをチェックするのは、やはり財務金融委員会の大事な役割ではないだろうかと思いますので、ぜひ、もう返答は結構でございますが、よろしく、どこかに置いておいていただきたいと思います。

 それで、早速でございますが、麻生大臣のこの法律に対するお考えは今の答弁で十分わかりましたので、きょうは事務方に少し具体的にお話を聞きたいと思っております。

 私は、この大層な、本当にこれは重くて、四センチぐらいあるんですかね、すごい法律の資料でございますけれども、主に第二節の第二十四条から三十二条の中で幾つか、これはどうなっているんだろうなと思う点がありましたのでお尋ねをいたします。

 一つは、新たに生まれます金融サービス仲介業者が取り扱う金融商品についてであります。これについては、法律の中ではもちろん細かい規定はございませんけれども、ワーキンググループでの議論があって、そしてワーキンググループの中で一つの目安があるというふうに聞いております。銀行、証券、それから保険、それからさらに貸金業の仲介業務もできるわけでございますから、それぞれについて、基本的にどういう考え方で当面取扱いをしないようにするのかということ、そして同時に、具体的にこういう商品はだめですよということが、今わかっている範囲で結構でございますから、教えていただきたいと思います。

中島政府参考人 お答えいたします。

 金融サービス仲介業者には所属制を採用しないということを踏まえまして、利用者保護の観点から、仲介に当たって高度な説明を要しないと考えられる金融サービスに限り取扱いを認めるということを考えております。

 具体的な金融サービスの範囲は、例えば、銀行分野では普通預金、定期預金や住宅ローン、証券分野では国債や投資信託、保険分野では傷害保険、旅行保険、ゴルフ保険や、保険金額が高額とならない生命保険などの取扱いを認めることが考えられます。

 他方で、銀行分野ではデリバティブを組み込んだ預金であります仕組み預金、あるいは、証券分野では非上場の株式やデリバティブ取引、信用取引、保険分野では変額保険や外貨建て保険などは、仲介に当たって高度な説明を要するものと考えられ、取扱いを認めないことを想定をいたしております。

 それから、貸金業についてもお尋ねがございましたが、貸金業の仲介に関しまして、仲介可能なローンの範囲に何らかの制限を設けることは現時点では想定はいたしておりません。

 いずれにせよ、金融サービスの複雑性、日常生活への定着度合い、利用者のニーズなどを勘案しつつ、具体的な金融サービスの範囲について検討してまいりたいというふうに考えております。

海江田委員 今、高度な説明は要しないというお話があったわけでございますが、その高度な説明が要するか要しないかというのはなかなか微妙な問題でありまして。

 さっき漏れた中で幾つかお尋ねをしますが、銀行が取り扱います外貨預金についてはどうかということ、それから、保険業でもやはり外貨建ての保険、年金はどうだろうか、それから、変額保険はさっき無理だということがありましたけれども、あと、証券業での信用取引、あるいは非上場の株式、非上場企業の社債、これはどうでしょうか。

中島政府参考人 それぞれ具体的な商品については、まさにこうした国会での議論を踏まえて検討してまいりたいと考えておりますけれども。

 基本的な考え方として、例えば先ほどありました外貨預金については、一方で元本の変動があり得るという面とともに、例えば、米ドル建ての預金についてはある程度日常的にも使われているのではないかという御指摘も金融審議会のワーキングの中でもあったところでありまして、そうした議論も踏まえて今後検討してまいりたいと思います。

 それ以外にも、証券分野におきます非上場の株式、信用取引といったものについては、先ほど取り扱わないということで御説明をしましたけれども、そうしたものの延長として、それ以外の証券分野の商品についても考えてまいりたいというふうに思います。

海江田委員 高度な説明は要しないものにするということですけれども、非常に主観的だということで。

 これは、非常に金融について知識がある人ない人それぞれいますけれども、一般的な理解からすれば、銀行というのは、基本的に元本が保証されている商品を取り扱っていますよと、原則としてですね。それから、保険会社というのは、それぞれの損害が起きたときに保険金でもって支払いを受けてその損害を埋め合わせをするということ。証券会社については、これは当然リスクがありますよ、だけれども、リスクがあって、リスクとリターンの関係がありますねと。こういうものが大体の常識的な範囲だろうと思うんですよ。

 だから、まずその常識的な範囲の中からスタートをするということが、やはりこれは大切に育てていかなければいけない新たな業態でありますから、そのことを考えれば、なるべくここは慎重に。それは確かに米ドルを利用している方もいるでしょう。だけれども、何も、米ドルが簡単ならば直接行って契約をしてくればいい話で、わざわざ仲介業の方たちを煩わせることもないわけですから。ここは極めて慎重に、そして本当にみんながわかっている、どういう仕組みで利息が入ってくるのか、どういう仕組みでキャピタルゲインが入ってくるのかということがわかるようなところからやはり進めていただきたい。

 私どももいろいろな団体の方々から意見聴取をいたしましたけれども、その中でも弁護士の団体の方々が、やはり、例えば保険なんかについて言うと、もうこれは掛け捨ての保険だけにしてくれというような要望もあるわけですよ。

 だから、こういうことを踏まえて、それこそ、本当にここにいらっしゃる皆さんが、ああ、これならよくわかるよというようなところからまず始めていくべきではないだろうかというふうに思いますが、そこはぜひ、方向性として、そういう方向で、最初はやはり極めて限定的なところからスタートしていきますよということはおっしゃっていただけないものですか。

中島政府参考人 方向性としては、まさに先生の御指摘のとおりでありまして、日常生活への定着度合い、こういったものを踏まえまして、個々の商品について対象とするのかどうか検討してまいりたいというふうに考えております。

海江田委員 それから、今の、証券で信用取引は無理でしょうというお話がありましたけれども、この後で触れますけれども、それからさっきもちょっと出ましたけれども、貸金業の、一般的な貸金については構いませんよと。

 特にどれがだめだということは、片一方で多重債務の問題なんかもこれありで、やはり当面は、貸金の、幾らぐらいまでの範囲とか、そういうものはある程度基準を設けようと思えば設けられるわけですよ。だから、そういうこともやはり本当だったら考えていただいていいんじゃないだろうか。保険商品については、高額な保険金が入ってくるもの、あるいは契約が長期にわたるもの、こういうものはちょっと最初はやめた方がいいんじゃないかという意見もワーキンググループの意見の中にあったやに聞いておりますから、そこの点はどうなのかということ。

 それから、もう一つは、結局、貸金で借りて、そして今度は例えば株なら株を買うと、信用取引とそんなに違わなくなってしまうわけですよ。信用取引は、もちろん証拠金というのを出して、価格が下がれば追い証、追加証拠金を出してということですけれども、やはりその意味では、借りて証拠金だけでレバレッジをきかせて、そして株の売り買いをやるわけですから、そういうリスクがあるわけですから、私は、今回、貸金業に対して何ら規制を設けない、もちろん従来の貸金業法による規制はありますけれども、特に今回この仲介業を認めるに当たって、そういうものは何も禁止するのは考えていませんよというのはちょっと安易じゃないか、しかも、信用取引などと矛盾するのではないだろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。

中島政府参考人 貸金業について少し御説明させていただきますと、金融サービス仲介業については銀行、証券、保険の仲介をワンストップで行えるよう規定をしており、銀行と同様にローンを提供する貸金業についても仲介をすることが可能としております。これは、現行の法制においても、貸金業者による貸付けの媒介を行うためには貸金業の登録が必要ということですが、この貸金業と銀行代理業、証券分野の仲介業、保険募集人との兼業が可能となっているということを踏まえたものでございます。

 ただし、この金融サービス仲介業者が貸金業の媒介を行う場合には、現行の貸金業に準じて、登録要件や行為規制など必要な規制を適用することによりまして、顧客保護を図るということを考えております。

 そういう意味で、先ほど出ました金額について、過剰融資にならないという貸金業の規制も当然のようにかかるということでございます。

海江田委員 一般の貸金業といいますか、いろいろな種類がありますけれども、当座、やはり生活が厳しいから借りようかといって、それは圧倒的に多いのは少額なわけですよ。

 ところが、金融機関の、とりわけ銀行の、先ほどありました住宅ローン、これはかなりのお金になります。これは何となれば、担保をとっているでしょう、ちゃんと。まず、やはり銀行の融資というのは基本的に担保をとるんですよ。

 だけれども、担保をとらないでいるのは、最近、カードローンなんかで、これは担保なしでもいいですよ、そのかわり少額ですよというときになってきて、今回の問題の違いというのは、何のために貸金業を仲介サービスの中に入れて、この仲介の業者が仲介をして、そこから資金を借りて、そしてどうするかといったら、基本的に今度は投資だとかそういうところへ向ける可能性が多いわけですよ。

 ここのところで借入れが本当に膨らんでしまわないのか、生活のために借りるお金と投資のために借りるお金というのは額も違いますし、性格も違ってくるんですよ。そこのところをよく考えて、一定の歯どめをつけるべきではないだろうかと思いますが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 投資商品の勧誘に当たって、例えば借入れによって投資商品を推奨するということにつきましては、むしろ、投資商品の勧誘というのは、そもそも適合性の原則というものがかかることになります。これは、個人の財産であるとか経験であるとか知識を超えて勧誘をするということは法律上認められないということでございます。

 また、先ほども申し上げましたけれども、貸金におきましては、過剰与信とならないよう、銀行ローンも含めて、金融庁としてもしっかりモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。

海江田委員 今の答弁で、二つ私質問があるんですね。

 一つは、それぞれの仲介業者、オンラインと対面とありますけれども、オンラインがやはりかなり多いと思いますけれども、そうすると、当然、これはサイトを設けて、そのサイトに、今、例えば金融商品の比較サイトというのがありますけれども、あれを見ますと、やはりいろいろな意味で、広告が入っているんですよ。その広告のほとんどは、まず、やはり貸金業者なわけですよ。あるいは、個人のいろいろなアドバイスをする人たちが、私に任せておいてくださいというような広告もありますけれども。

 この広告というものは、サイトの中に、サイトの中というかサイトの外というか、この広告というのは全く野放しなんですか。これが一点。

 それから、もう一点は、今の、本人の確認という、適合性原則といいますけれども、この人にはどれくらいまで貸していいだろうということ、これは対面すればわかるんですよ、話をすれば大体わかるんですよ。ただ、オンラインでどうやって適合性を把握するんですか、対面よりはずっと困難じゃないですか。そういう認識はあるかどうか。

 適合性原則をどうやって担保するのかということ、それから、広告をどうするのかということ、この二問についてお答えください。

中島政府参考人 まず、広告についてですけれども、金融サービス仲介業に関しましては、自身のウエブサイトに広告を出す場合、あるいはプラットフォーム的なウエブサイトに広告を出す場合において、投資商品や貸金に関しては、現行の証券会社や貸金業者と同様に、著しく事実に相違する表示や人を誤認させるような表示を行うなど、誇大広告を行うことを禁止するということといたしております。

 また、オンラインでの適合性原則についてですけれども、既に、証券会社や金融商品仲介業者については、いわゆる適合性原則を遵守することが求められております。この適合性原則を遵守するため、例えば、ネット証券会社での口座開設に当たっては、ネット証券会社はオンラインでのアンケートを通じて顧客属性の把握を行っているというふうに承知をいたしております。

 こうしたオンラインによる顧客属性の把握が難しいという認識は、金融庁としてもそういう認識を持っておりまして、こうした証券会社における既存のプラクティスも参考にしながら、適切な対応を促してまいりたいというふうに考えております。

海江田委員 私は、この仲介業、新たな業態が始まるわけですから、当面、広告はやはりやるべきでないと思います。どうしてもやるというのであれば、そこはやはり、本当は業界団体が出て、業界団体がしっかりとこういう一つの基準をつくりましょうというところでやるべきですけれども、まずこれを解禁しちゃってそこからということですから、金融庁とすればしっかりとした方向を持って、本来はやるべきではないですけれども、よしんばやる場合でも、やはりかなり厳格な基準を設けるということ。

 それから、一番わかりやすいのは、これは広告ですよと、テレビの画面なんかでもあるでしょう、テレビを見ていると何かニュースのショーみたいな演出があって、だけれども、小さなところでこれは広告ですと出しますよね。あれによって、ああ、これはニュースじゃないんだな、広告なんだというのがわかりますから。今も一部の比較サイトの中で、小さくではありますけれども、PRとか広告とか書いてあるところがあるわけですよ。

 やはり、そういうことをやらないと、これは本当に、その意味では、善意の利用者、顧客が経済的な被害を受けることになろうかと思いますので、ここのところはしっかり、これからお願いをしたいということであります。

 それから、今度は二十五条関係で、手数料及び報酬の開示ですね。これは、二十五条の中でずっと見ていきますと、まず、二十五条の最初には、あらかじめ、顧客に対して次に掲げる事項を明らかにしなければいけないということで一から六までございますが、その後の二でもって、金融サービス仲介業者は、顧客から求められたときは、金融サービス仲介業務に関して当該金融サービス仲介業者が受け取る手数料、これは開示しなければいけないということになっているわけであります。

 どうして片一方はあらかじめであって、一体幾ら手数料を受け取るんだ、もちろん顧客も仲介業にお金を払います、払いますけれども、肝心の、その商品を仲介することによって幾ら受け取るのかということは、どうしてあらかじめにしなかったんですか、これは。あらかじめにすると何か不都合があるのかどうなのか。

中島政府参考人 今回の法律の規定に当たりましては、所属制をとらない点において金融サービス仲介業者と共通をいたしております保険仲立ち人の制度と同様に、手数料は顧客からの求めに応じて開示するということにいたしたところでございます。

 ただ、いずれにしましても、金融庁が二〇一七年に公表した顧客本位の業務運営に関する原則におきましては、金融事業者は、名目を問わず、顧客が負担する手数料その他の費用の詳細を、顧客が理解できるように情報提供すべきという原則を示しているところでありまして、金融サービス仲介業者におきましても、この趣旨を踏まえた対応が進むことを期待したいと考えております。

海江田委員 確かに、おっしゃるように、保険業法の保険仲立ち人は顧客から求められたときという話ですけれども、その一方で、銀行法の銀行代理業でありますとか金融商品仲介業、これはあらかじめということになっています。もちろん比較対照する必要があるということですけれども、やはりそれは、保険の方はそうだけれども、銀行法の方ではそうなんです。銀行法の方が厳しいんですよ。だから、どうしてそっちにしなかったのかということ、保険業法があるのはわかっていますけれども、何でそっちをあらかじめと。必要があると自分から聞かなきゃだめなんですよ、これは。教えてください、幾らですかと。そういうことを、聞けば教えてくれるということを知らない人だってたくさんいるんだから、これは。そうでしょう。

 だから、それは聞かなくても、あらかじめお示しをしておけば、私はあなたを仲介をすることによってこれだけの手数料が入りますよ、だけれども、ほかとも比べてみてください、決して法外な金額じゃありませんよ、投資信託なんか今ずっと下がっていますからね、別に問題ないじゃないですかということになると思うんですけれども、いかがでしょうか。

中島政府参考人 手数料開示の重要性につきましては、先ほども申し上げたとおり、金融庁としても、顧客が理解できるように情報提供すべきということを考えております。

 その上で、この法律におきましては、先ほども申し上げたように、保険仲立ち人の制度を参考にして規定をつくっておりますけれども、利用者、顧客保護の観点から適切な対応がなされるよう促してまいりたいというふうに考えております。

海江田委員 まあ、なかなかはっきりした方向を出せませんけれども、やはり最初は厳しくやって、そして何年かやっていくうちに、私はやはりこれからのオンラインの取引というのは、今回のコロナの大変な事態になって、お年寄りのネット証券の利用者が急増したというような新聞記事もありました、決して若い人たちだけじゃない。

 それから、最終的にはやはり、お年寄りが一番金融資産を持っていますから、お年寄りをターゲットにして仲介業も商売をやっていくようになると思うんですけれども、やはりそのときは、お年寄りはどうしても、それこそ本当にクリック一つ間違えてやっちゃうことだってあるんですよ。それから、ちいちゃい字でばあっと、携帯電話、スマートフォンの契約書だって、皆さん見ないでしょう、見ないでとにかくクリック、クリック、これはクリックしないと次へ進んでいきませんから。そういう、やはり書面ならば、これは、これとこれとでこれは読まなくてもいいや、こっちは一生懸命読もうとかあるけれども、順番があって、スキップできるのかどうかちょっと僕わかりませんけれども。

 だけれども、そういうことがあるから、ここは、やはり当初は、本当に慎重が上にも慎重にして、できたけれどもなかなかまだ使い勝手が悪いね、そうです、だけれどもその間に、二年なり三年の間に、やはりみんなが協力をして、そして新しいルールというか新しい利用の仕方を考えて、そして、やはりこれでやっていきましょうということにすればいいのであって。最初から、どうしてもやはり法律は利便性、利便性の方で前に出ちゃうから、消費者保護というか契約者保護というか、そっちの方が後回しになっちゃうので、前のめりになり過ぎるから。

 ここは、やはりそういう基本的な考え方をもう少し、これからいよいよ、一年半あるわけですから、政令、省令、決めていく中でやって、徹底してもらいたいと思います。

中島政府参考人 今般の金融サービス仲介業については、利用者保護の観点もしっかり踏まえながら実際の対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

海江田委員 それはもう、くれぐれもお願いをしたいと思います。

 それから、私、これから法律ができて、そして施行は一年半後ということでありますが、金融庁の監督の体制というのは本当にどうなるのか。今の金融庁の組織は、前も検査局がなくなったのは残念だと言いましたけれども、監督局があって、その監督局の中で総務課、銀行第一課、銀行第二課、保険課、証券課、いわば縦割りになっているわけですね、それぞれの業者を監督する組織がちゃんとあるわけですけれども。

 今度新たに一体どこがやるんですか。あるいは、それをやるためには施行日までに金融庁の組織を変えていかなければいけないのか。そこのところのお話をいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは三つ一緒にやることになりますので、三つというのは証券、保険、銀行、そういったことを考えますと、やはり金融サービス仲介業を行うというのを、そのためだけに局をつくるとかというつもりはありません。私どもとしては、監督局の中に、いわゆるこの中には財務局、地方支分局もありますので、そういったものの中に担当ラインを新たに設置する、そういったことだけ今考えております。

 こうした体制整備というのを含めて、この金融サービスというもののワンストップサービスというものを提供する金融サービス仲介業者に対して、利用者の利便性とか保護とかいろいろなことを考えて、私どもは適切に今後ともモニタリングをしていかないかぬ。

 新しい部分だと思いますので、技術、ファイナンシャルテクノロジーというものの進歩等々にも合わせて、私どもとしては、それによって網の目をくぐろうとか、いろいろなやつが出てくるのは確かだと思いますので、そういった意味も踏まえて適時に対応していかなきゃならぬところだと思っております。

海江田委員 もう本当に時間もないので、逐条をやっていきたいんですけれども、さっきお話ししました二十六条の適合性原則、書面交付ということになりますが、もちろん、この書面というのは、紙じゃなくてそういうサイトでも構わないということですけれども、サイトの場合はそういうもろもろの問題があるということ。

 それから、問題なのは、この重要事項の説明を一体どの段階でやるのか、仲介業者がやるのか、それとも、それぞれの金融機関、銀行なり証券業なり、あるいは保険業がやるのか。

 ワーキンググループの報告では、仲介から契約に至る一連の過程で、金融機関ないしは仲介サービス業者のいずれかが十分な説明を行えばいいとありますけれども、この手の決め方では、結局、あっちがやってくれるものだろう、あるいは、こっちがやってくれるものだろうと。野球をやっていて、ボールがセカンドとショートの間におっこちちゃう、ライトとレフトの間におっこちちゃう、そんなようなこともあるんですよ。

 だから、ここはやはり最初から決めておいて、私はもう入り口でやるべきだと思いますから、仲介業者がはっきりやるということにできないんですか、これは。

中島政府参考人 ただいま御質問の中にありましたとおり、顧客保護の観点から、提供される金融サービスの内容について顧客に対し適切な情報提供がなされるということを確保することが重要というふうに考えております。

 他方、顧客の立場に立ってみれば、仲介行為の開始から契約締結に至る一連の過程において、同じ情報の提供や説明を何度も受ける必要性は乏しいというふうに考えております。

 金融機関と仲介業者の役割分担は、両者のビジネスモデルや協働関係に応じてさまざまであると想定されていることから、一律に役割分担を定めるということではありませんけれども、情報提供に関して仲介業者が担う役割を顧客に明示するということを求めることを検討いたしております。

海江田委員 私は、別に両方から受けろなんて言っているんじゃないんですよ。何度も受ける煩わしさがあると言うけれども、別に、どっちかが責任を持って、そして、私は仲介業者だと思いますけれども、どっちかが責任を持って重要事項を説明すればいいんですよ。だから、やはりこれはどっちかということを、法律の組立てはこういうことになっていても、これから政省令をやる中でどっちかに決めた方がいいですよ。そうじゃないですか。それとも、このままで曖昧にしておくんですか。結局、曖昧になって説明が不十分になるんですから、これは。ぜひ、それは検討をお願いしたい。

 もう一回、言ってください。二重にやればいいって、そんなことは言っていませんよ。

中島政府参考人 仲介業者のビジネスモデルによっては、仲介業者は媒介だけということで、きちんとした説明を行う体制ではなく、むしろ元請的な保険会社なり銀行なりの方できちんと説明をするという考え方での協働もあり得るということも想定をいたしております。

 一方で、仲介業者自身は、きちんと、窓口でありますので、そこが担う役割を顧客に明示をするということが重要ではないかというふうに考えているところでございます。

海江田委員 もう時間が来ましたので最後にしますが、それならば、どっちがやりますよという、このケースの場合、うちの場合、どっちがやりますよ、私のところではやりませんけれども重要事項の説明は銀行でやりますからそこに行ってしっかり聞いてください、こういうことは当然、入っていく、利用するところで言えるわけですね、これは。確認です。

中島政府参考人 ただいま議員の御指摘のとおり、入り口のところでしっかりとわかるようにさせるということを考えております。

海江田委員 じゃ、これで終わりますが、ぜひいい中身にしてください。お願いします。

田中委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの日吉雄太です。

 法案について質問をさせていただきます。

 まず初めに、顧客情報についてお伺いさせていただきます。

 新たな金融サービス仲介業者は、銀行、証券、保険、貸金業、いろいろな分野に横断的に仲介を行い得るため、顧客の資産状況等に関するいろいろな情報、これを知り得る立場にあります。そんな中で、グループ会社の間や仲介行為を行う分野ごとにおいて、仲介業務を通じて取得した顧客に関する非公開情報、この適正な取扱いを確保するということが求められます。

 そんな中で、金融サービス仲介業の創設によりその取扱量が多くなっていくにつれ、金融情報を把握する機会もふえることになります。顧客の利便性向上のためにこの金融情報を利用するという本来の趣旨を踏まえ、仲介業者の情報管理体制に関する今後の監督の仕方、これについてお伺いいたします。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 既存の仲介業者におきましては、仲介業務を通じて取得した顧客の非公開情報を顧客の事前の同意を得ることなく兼業業務に用いることなどが禁止されてございます。

 これに対しまして、今般創設されます金融サービス仲介業者につきましては、複数分野における仲介を横断的に行うものであるということを踏まえまして、既存の仲介業者に対する規制を参考に、顧客情報の適正な取扱いを義務づけるということを予定しております。

 こうした規制を踏まえて、顧客情報の適正な取扱いが十分確保されるよう、しっかりと監督をしてまいりたいというふうに考えております。

日吉委員 ありがとうございます。

 続いて、金融サービス業者は、取得した顧客に関する情報の適正な取扱いやその他の措置を講じなければならないことになっておりますが、具体的には内閣府令で定めることになっています。

 この内閣府令で定めることにした範囲、法律か内閣府令か、この線引きというか、これについて教えてください。

中島政府参考人 今般の法律におきましては、法令事項といたしまして、その金融サービス仲介業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いその他の健全かつ適切な運営を確保するための措置ということを法律上書いた上で、内閣府令で定めるところによりというふうにいたしております。この書き方は、他の法令に倣ったものでございます。

日吉委員 続きまして、顧客情報提供業務ということで、本来の業務ではなくて、顧客情報の収集そのものが本業のようになってしまうとそれは本末転倒かなというふうに思いますけれども、この立法の趣旨を逸脱することがないように、この顧客情報提供業務、これをどのようにモニタリングをしていくのかについて教えてください。

中島政府参考人 お答えいたします。

 今般のこの金融サービス仲介業者については、あくまで仲介のみを行う業者であり、銀行や保険会社のように異種のリスクの混入を阻止するなどの必要性に乏しいと考えられる一方で、業務範囲を過度に制限することは事業者のビジネスモデルを限定し顧客の利便を損なうおそれがありますことから、公益に反する事業を除いて広く兼業を行うことを可能としており、特段の業務範囲規制は設けていないところでございます。

日吉委員 特段の業務範囲規制は設けていないということですけれども、やはり本業のようになってしまいますと本末転倒になるかと思いますので、ある程度そこのところというのはしっかり注視していく必要があるのかなと思うんですけれども、悪意を持って、悪意といったら変ですけれども、そこに主眼を置くような業態になってしまうということが起こった場合に、どういうふうな対応をされるんですか。

中島政府参考人 例えば、金融機関の場合ですと、顧客に関する情報をその同意を得て第三者に提供する業務は、金融機関の付随業務という形で認められているところであります。

 この点、先ほども申し上げましたとおり、銀行や保険会社には、本業以外の業務を営むことによる異種のリスクの混入を阻止する等の観点から、営むことができる他業に制限が設けられており、顧客に関する情報をその同意を得て第三者に提供する業務についても、本業に付随する範囲において行うということとされているところでございます。

 他方、この金融サービス仲介業は、公益に反する事業を除いて広く兼業を行うことが可能となっており、顧客に関する情報をその同意を得て第三者に提供することも可能となっているところでございます。

 ただ、いずれにしても、情報の適正な取扱いについては、きちんと法令にのっとっていただく必要があるというふうに考えております。

日吉委員 情報の適切な取扱いについてしっかり法令にのっとって行っていただくように、十分注意をしていただきたいと思います。

 続きまして、今、もうお話に出ましたけれども、顧客情報の第三者への提供に当たっては、必要とされる本人の同意について、顧客がその内容を十分に理解した上で、その顧客の真意が適切に反映されるようでなければならない。顧客がしっかり理解した上で情報提供できるような適切性、その実効性を確保するために、どのような対応を考えていらっしゃるんでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 個人情報であります顧客情報の第三者提供については、金融機関に対しましては、一般的な事業会社に課される個人情報保護法令に加え、金融分野ガイドラインや業法、監督指針等においても遵守すべきルールが定められております。こうしたルールのもと、顧客が、自身の情報が第三者に提供されることをしっかりと理解した上で同意の判断をできるよう、金融機関において適切な対応が図られるべきというふうに考えております。

 金融庁としては、新しい金融サービス仲介業者が顧客情報の第三者提供を行う場合には、個人情報保護に関するルールを遵守しつつ、利用者利便の向上等に資するサービスを提供していくよう、適切にモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。

日吉委員 適切にということなんですけれども、顧客が同意するに当たって、多分いろいろなチェック項目があって、それをチェックしながら、了解を得ながらというふうにやっていくと思うんですけれども、その量がかなりたくさん、物すごく膨大で、そのチェックなり確認も相当程度形式的になってしまうんじゃないのかなということも想定されます。

 だから、この同意を得る上に、本当に実効性を確保する上に当たってどのような対応ができるのかという意味でも、この実効性確保という実質的なところで、もう一度御答弁いただけないでしょうか。

中島政府参考人 金融分野における個人情報保護に関するガイドラインというものを設けておりまして、その中におきましては、個人情報の取扱いに関する条項が他と明確に区別され、本人に理解されることが望ましいと。このために、文字の大きさ及び文章の表現を変えるというようなことを求めております。また、あらかじめ作成された同意書面に確認欄を設け本人がチェックを行うなど、本人の意思が明確に反映できる方法により確認を行うことが望ましいとしているところでございます。

日吉委員 それが形式的になってしまうんじゃないのかなということも危惧しておりますので、全体的な、そもそも論というところもありますけれども、その実効性を確保できるように日々改善をしていっていただけたらなと思います。

 続きまして、監督体制の整備ということで、本改正案で創設される金融サービス仲介業は、これまでの仲介業と異なって、金融機関との関係において所属制をとらず、ビジネスパートナーとの関係となる、こういった状況におきまして、この検査監督体制の整備をどのように行っていくのか、教えてください。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 この金融サービス仲介業につきましては、銀行代理業、金融商品仲介業、保険募集人、保険仲立ち人、貸金業という、現在金融庁が監督検査をしている複数の業種にまたがって多数の金融機関が提供する金融サービスを仲介するものでございます。

 既存のサービスを仲介する業者の監督検査に関しましては、現在、金融庁監督局の各課室、それから証券取引等監視委員会及び各財務局が共同して行っているところでございますけれども、金融サービス仲介業者を監督検査する体制につきましては、複数業者をまたぐサービス提供が可能なことを踏まえまして、監督局、証券取引等監視委員会それから各財務局に担当ラインを設置して検査監督に当たっていきたいというふうに考えております。

 具体的な監督検査の体制とか規模につきましては、今後、庁内関係各課室ですとか他省庁との調整の上、検討していきたいというふうに考えてございます。

日吉委員 具体的な規模については今後調整して検討していくということなんですけれども、人員もしっかり確保していただくということなんだと思うんですが、この人員の確保、今わかっているところでいいんですけれども、これから調整ということではありますが、その確保に当たってどのぐらいの規模を想定しているのか。このあたり、お答えできる範囲で御回答いただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで新しくできた業者の管理に関しまして申し上げますと、例えば電子決済等代行業というのが最近できておりますけれども、この監督に当たる人数としましては、金融庁、財務局合わせて三十四人が今手当てされております。

 今後、この新しい仲介業者、どれぐらいの数になるかというところの読みにもよるんですけれども、恐らく既存のこういう新規業者の数を参考にしながら機構・定員要求をしていくということになると考えております。

日吉委員 ありがとうございます。

 それともう一つ、この金融サービス仲介業者の法令遵守体制を維持していくためにさまざまなコストが発生していくというふうに考えますが、検査監督を通じた行政コスト、これはコスト面でどのぐらいかかるのかという、何か見積りというか規模感、これもおわかりになる範囲で結構ですので、お答えいただけますでしょうか。

栗田政府参考人 お答え申し上げます。

 この検査監督に係る経費につきましては、ほとんどが職員の人件費でございまして、あとは若干、検査などのための旅費とかそういうものが発生しておりますけれども、ほとんどが人件費ということでございますので、先ほど申しましたように何人ぐらい手当てしていただけるかによるわけでございますけれども、そんなに大きな額にはならないというふうに考えてございます。

日吉委員 どうもありがとうございます。

 先ほど一点お伺いするのを忘れてしまった点がありましたのでちょっと戻らせていただきますが、内閣府令で定めることになっていますというところでお話しさせていただいたときに、金融サービス業者は、取得した顧客に関する情報の適正な取扱いやその他の措置を講じなければならないことになっておりというふうになっているんですけれども、このその他の措置というのは具体的にどのような措置を考えられているのか、教えていただけますでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 その他の措置と申し上げますのは、今後考え得る利用者保護を確保する上で必要なものについて、この規定を使いまして対応していきたいというふうに考えております。

日吉委員 ありがとうございました。

 そうしましたら、最後に、前回ですか、私が質疑をさせていただいたときに、三権分立の説明図、これを使って大臣にちょっと質問をさせていただきました。そのときに、真ん中に国民の図があって、それが、国会、裁判所、そして内閣にこうやって普通は矢印が出ているんですけれども、首相官邸のホームページだけは内閣から国民に対して行政というような矢印が出ているということがございまして、これは何でですかという話をさせていただいて、それは、やはり国民からの監視というものは、通常、世論の監視を受けるということになるんですけれども、それとは逆の方向性を示しているということで、よくないのではないかというようなお話をさせていただきました。

 そのときに、大臣が、これについてはちょっと事務方に検討させるというふうに御答弁いただきまして、先日内閣官房の方にお話を伺ったところ、随時それについて修正を、今手続をやられているということを伺いましたので、御対応いただきましてありがとうございましたというお礼を申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、森田俊和君。

森田委員 立国社共同会派の森田でございます。

 先ほど海江田委員の方からも指摘がありましたけれども、金融サービスは、一言で言うと、やはり非常に難しい、わかりづらいということがあるんだろうと思います。ずっとクリックしてやっていかないと契約できないから、とりあえず飛ばしてクリックだけ入れて先に行くとか、そういうようなお話も出ておりましたけれども、顧客保護、消費者の保護という観点はすごく大事な視点になってくるんだろうと思います。

 私もこの前いろいろとこの内容を伺っていたときに、今でも、例えばショッピングセンターの中に行って、窓口があって、いろいろな保険会社の商品を扱っているような窓口はあるだろう、そういう業で営んでいる方がいらっしゃる、あれと何が違うんだろうということでお伺いしたところ、今の形だと、その何とか生命の看板をそれぞれいっぱい背負って、販売員としてあるいは代理店としてそこにあるということで、今度は本当に仲介業そのものなので、金融商品をつくっている機関とそれから顧客の本当に間をつないでいるというだけの立場になるという、そんなお話もございました。

 いずれにしても、こういうことがちゃんと消費者あるいは顧客の方に伝わるかどうかというのはこの制度を考える上で非常に大事な視点になってくるのではないかなというふうに思っておりまして、ネットを活用するとかということになりますと、非常にやはり技術的にも日進月歩でしょうし、また、商品の内容的にも日々新しい商品が開発されるというようなことになってくるだろうと思います。

 そこで、いわゆる、例えば金融機関なんかにも検査が入って、そこの検査の内容に対していろいろな指導だったり監督だったりというのが入ってくると思うんですけれども、日々変わっていくものに対しては、やはりどうしても事後的なチェックになってしまうということなんだろうと思います。そういった意味では、まずは業界内の自主的なルール、それを統括管理する業界団体というものの存在がやはり大事なものになっていくんだろうと思いますけれども、まず大臣にお伺いしたいのは、このあたりの業界の団体の自主規制、ルール、協会の役割についてどのように考えていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これは、森田先生、いわゆるファイナンシャルテクノロジーというものの急激な進歩というものと、お客の方のニーズがいろいろ多様化しているというんですか、商品も多様化しているんですけれどもニーズも多様化しておりますので、今回新たに設立されます金融サービス仲介業者というのも、証券、保険、銀行等々、いろいろそういったようなものを一つずつ縦割りというのではとても対応ができませんよ、今、スピードもありますし、ワンストップが必要ですよとか、いろいろな金融サービスが提供されるということが想定をされておりますので。

 今回、認定金融サービス仲介業協会というものが設立されて、業者間の自主規制とか、新しいところが立ちますといろいろ、なかなか忙しいんですというのはよくある話ですけれども、その自主規制の整備とかいうようなものを、柔軟かつ微に入り細に入り、細かいところまでよく見ておかないかぬところだと思いますので、そういったことが行われることとか。

 それから、同業者間というか、事業者間同士の連携というようなものが促進されてうまいこといけば更にいいアイデアとかより便利なものが出てくるんだと思いますので、その結果として、利用者保護というようなものとか、利用者が便利だとかいうような利便性の向上とかいうものにつながっていくということが、役人とは違った、現場をやっている人たちの意見として聞かれるんだと思っておりますので。

 我々としては、協会の設立及び自主的な、自分たち同士で、仲間で規制するとかそういったようなもの、結果としてそれが利用者の保護につながりサービスの向上につながっていくということになればと思っておりますので、こういった協会というものについては、我々としては後押しをしていきたいと思っております。

森田委員 特に立ち上げの段階ですから、やはりこの業界自体の信頼の高さというものもこれからどうやって高めていくかというのが大事な視点になってくると思うんですけれども、最初でその辺のところがこけてしまうと、どうもあの仲介業というのはうさん臭い、そういうようなことにもつながりかねないというふうに思っております。

 そういった意味では、監督権限を持つ国の方と、それから自主規制をするような何とか協会というようなところと、やはり密に連携をしていただいて、特にその最初の立ち上げのところで顧客の保護を丁寧にやっていただくということで、対応をよろしくお願いをいたします。

 それから、裁判以外の紛争解決の手段ということについてお伺いしたいと思います。

 ADR、オルタナティブ・ディスピュート・リゾリューションというふうに言っておりますけれども、要するに、一々裁判に訴えていては、なかなか顧客にとっても、普通の人に裁判というと非常に荷が重いということになると思います。

 ただでさえそのトラブルというのは金融商品ですから、さっきも言ったように、とにかく文字の羅列がばっと書いてあるのを一々読めるかどうかというとそれもなかなか怪しいもので、しかも、大体その紛争が出てくるときというのは、例えば保険みたいに、何か事件、事故があって、いざお金が必要だ、支払いの段になってトラブルが出てくるということで、非常に精神的にも不安な状態の中でトラブルに巻き込まれていくというような、そういう段階での紛争に入っていくということだろうと思います。

 ということを考えますと、やはりこれは、特に仲介業ですから、こちらとしては、例えば何とか保険とか何とか損保に頼んでいたように思っていたのが、それを言ったら、いや、それはうちの責任じゃなくて仲介業の方の責任ですよみたいな、何か煙に巻かれてしまうようなことにもなりかねないんだろうというふうに思っております。

 とにかく最初からなかなかわかりづらい金融商品の上に、更にわかりづらさが増してしまうようなことになってはいけないというふうに思っておりますので、裁判以外の紛争解決の手段、ADRの制度について、お考えを大臣からお聞かせいただきたいと思います。

麻生国務大臣 これはまことにごもっともな御指摘なんですけれども、いわゆる仲介する業者がやった仕事で顧客に損害が生じたときに、その業者が悪いのか、保険とその間のどっちが悪いのか、いろいろな話がこれは込み入りますので、仲介業者を加えると三者になりますので、話が込み入ってくるということは、これはまことに大事なところなんだと思っております。

 そこで、今、ADR、オルタナティブ・ディスピュート・リゾリューションですか、だから、裁判外の紛争解決手段、制度というようなものを整備して、我々としては、早目早目、迅速にかつ簡単にそういったようなものが解決することを可能にする処置を、このADRというものをやらせていただいているんですけれども。

 これについては、これは知らない人が多いと思いますね。ADRとは何と知っている人、ここに今ほとんどいないと思いますよ。ここでも知っている人は少ないと思うね。ADRとは何の略とぱっと日本語で言える人もなかなかいらっしゃらないと思うんですけれども。ましてや、そういったものを利用されている方というのは、ほとんど、こういったことがあったら泣き寝入りとかいうことになりかねませんから。そういった意味では、こういった実施に関しては情報を提供するというのは極めて大事なことだと思っておりますので。

 いずれにしても、顧客に損害が生じるような事態が起きないようにするというのが一番なんですけれども、取扱い可能なサービスというか、金融サービスの提供とか、いわゆるサービスの購入代金ですか、そういったものの、利用者財産の受入れの禁止とか、いろいろありますけれども、金融サービスの仲介業者への丁寧な、監督検査等々含めまして、顧客の保護という点に関しましても、我々としては、きちんと守って最初からやっておかないとこういった新しいサービスが定着、普及ということになっていかないんだろうと思っておりますので、そういうつもりで対応してまいりたいと考えております。

森田委員 ありがとうございます。

 例えば、ホームページだとかをスマホの画面で見ていても、紛争の、何かトラブルがあったときはこういうところだということをちゃんと明示をしていただくだとか、あるいは、例えば、トラブルがあったときに最初に相談が持ち込まれるだろう消費者センターとかそういったところとの連携であるとか、あるいは、今、既存の証券だとか銀行、保険のそれぞれのADRのところとの連携とか、持ち込まれるであろうところとの連携を密にしていただいて、ぜひ、顧客にいろいろな負担が行かないように取り計らいをお願いできればなと思っております。

 それから、キャッシュレスのところの関係で、私もちょっといろいろ事例を聞こうと思って、商店の方に話を聞いたんですけれども、そうしたところが、キャッシュレス決済のことを聞いていたつもりがいつの間にか例の持続化給付金のオンライン申請の話になってしまいまして、そのときに言われたのが、できない人がまずいるわけですね。

 ウエブ上での申込みが、俺はちょっとそんなのできないみたいな人が一定程度いる。その次の段階として、できるけれども、申し込んだんだけれども、何だかよくわからないんだと。メールが来るんだか来ないんだか、何か申込みができましたとか、どこかから連絡が来るんだか来ないんだかよくわからないみたいな。

 申込みはできたんだけれどもよくわからないみたいな人というのはまだかなり大勢いらっしゃるんじゃないかなと思っておりますが、ちょっとこのあたりについて、オンライン申請についてお聞かせください。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 持続化給付金につきましては、五月一日より申請受け付けを開始いたしましたけれども、最新で昨日時点ということになりますが、五月の二十六日時点で百三十万件を超える申請を受け付けしたところでございます。そのうち、約六十一万件、金額にいたしまして八千億円について、事業者の皆様のお手元にお届けしたところでございます。

 持続化給付金を申請し給付を待っておられる方の振り込み時期に対する期待と不安の声は、承知してございます。審査は基本的に受け付け順に行っておりますが、申請の内容に不備や疑義がなければ、おおむね二週間程度で振り込みを行っているところでございます。

 他方で、これまで申請されたもののうち、四割を超える申請に何らかの形での不備や確認が必要な事項が存在しているというのも現実でございます。

 具体的には、例えば、昨年や対象月の売上額につきまして申請内容とそれから証拠書類の記載内容が違っている場合ですとか、それから、申請された口座番号や口座名義に誤りがございまして送金ができない、こういった事例がございます。順序が前後したり、不備の連絡に時間を要している場合も一部ございます。

 また、百万を超える申請の約四割にこういった不備が見受けられる中、事務局では、少しでも早く給付できるよう、その不備の案件を全て申請者に全部差し戻すのではなく、証拠書類等に基づいて可能な限り申請内容の補正を事務局サイドの方で行うといったような工夫もさせていただいてございます。

 このような事情もございますけれども、個別に見れば給付に時間を要している案件があることも事実ではございますが、申請開始当初から先週末までに既に事務局の審査体制を二倍程度に増強するといった措置も講じております。

 引き続き、可能な限り速やかに努めてまいります。

森田委員 いろいろ、今のこの仕組みの中ですから、自動的に返信するようなメールなんかもやはり組み込んでいくことというのはできるんだろうと思います。例えば、申込みをした段階とか、あるいは人の目に触れたという意味での受け付けをちゃんとしたという段階ですとか、あるいはその決定がなされたという段階とか、一々人が関与しなくても、送れるタイミングでレスポンス、反応を送り返すということは大事なことかなと思っておりますので、ぜひ御配慮いただきたいと思います。

 最後にちょっと、キャッシュレスの普及という意味で、ポイント還元事業について、特に高齢の事業者の方についてのケアをどういうふうに行ってきたかというあたりについてお聞かせいただきたいと思います。

島田政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨年の十月から、キャッシュレス・ポイント還元事業というものを実施させていただいてございます。この制度を通じて、キャッシュレス決済の使い方がわからないというふうな、キャッシュレス決済にそもそもなじみの余りなかった方も、利用者以外に事業者側にも少なからずいらっしゃるというふうなところが見受けられているところでございます。このため、この十月から実施しているポイント還元事業の一環として、中小店舗、消費者向けにわかりやすい周知、広報というものに取り組んできたところでございます。

 具体的には、全国津々浦々の中小店舗の皆様に御利用いただけるよう、この事業の開始前に、中小企業団体あるいは業界団体と連携をいたしまして、全国千五百の商店街、それから三百六十カ所の商工会議所に対しまして説明会を実施をしたものでございます。また、この事業開始後も、キャッシュレス決済になじまない方々を対象に使い方講座というものを全国で実施をしてきたわけでございます。

 さらに、今回のポイント還元事業では、決済事業者に対しまして、手数料の料率ですとかあるいは入金サイクル等の具体的な内容についてしっかりと公表するということを義務づけをしてございまして、中小店舗の側の方がどの決済手段を選択するかということがやりやすくなるような措置も講じたところでございます。

 こういったことを通じまして、引き続き、多くの方々の声を聞きながら、キャッシュレス決済の周知、広報に努めていきたいと思っております。

森田委員 ぜひ、皆さんが、事業者の側も、それから利用されるお客様の側も、両方がこういった新しい仕組みになれるように、ぜひ特段の御配慮をお願いできればと思います。

 以上で質問を終わります。

田中委員長 次に、櫻井周君。

櫻井委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの櫻井周です。

 本日も質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 今回の法案、安倍政権でよくある束ね法案ということで、十四本もの法律が束ねられておりまして、多岐にわたる質問をしていかなきゃいけないというふうに感じております。ただ、質問時間も限られておりまして、なかなかそれもかなわないところでございますので、附帯決議、後ほど提案させていただきますが、その中で、十七項目、思いを込めましたので、ぜひよろしくお願いいたします。

 同僚議員は、金融商品販売法や金融商品取引法などを中心に質問していただきました。私は、資金決済法関連のところを中心に質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、二条の二が新しくできました。これは、金融審査会のワーキンググループの報告書では十六ページから記載されている部分でございます。収納代行サービスがいろいろ出てきている。これは多様なニーズに対応するということでございまして、このこと自体は大変すばらしいことだと思います。

 そして、今回、この二条の二を設けたのは、この収納代行サービスの中で、割り勘アプリについては実質的には送金サービス、為替取引に当たるということで、資金決済法の規制の対象とすることを明確にしたわけでございます。他方で、インターネットオークションやフリーマーケットアプリケーション、またそのほかのエスクローサービスは規制の対象外になっております。

 このワーキンググループの報告書十八ページには、重大な問題とされるような被害は発生していない、立法事実はない、こういうふうに言い切っているわけでございます。しかしながら、ないということを証明するのはなかなか困難でございまして、本当は問題が発生しているけれども確認できていないということも可能性としては残っているわけでございます。

 このインターネット上でのエスクローサービス、これは新しい分野でございますので、継続して実態把握に努めるとともに、利用者の保護と利便性の観点から制度整備や規制のあり方を引き続き検討するべきだというふうに考えますが、金融庁の御見解をよろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、うえの委員長代理着席〕

中島政府参考人 議員御質問のとおり、本法案では、サービスの機能や実態に着目し、収納代行のうち、債権者である受取人の保護を図ることが必要と判断されるものについて、資金移動業の規制対象となることを明確化することといたしております。

 御指摘のエスクローサービスについては、一般的に個人間の売買において当事者双方の債務の同時履行を図ることによりトラブルの未然防止機能を果たしていること、これまで社会的、経済的に重大な問題とされるような被害は発生していないことなどを踏まえ、金融審議会における議論でも規制対象とする必要性について共通の認識を得るには至らなかったところでございます。

 引き続き、それぞれのサービスの機能あるいは実態を踏まえまして規制の適用の要否を判断していくということを考えております。

櫻井委員 続きまして、十三条三項というのも設けられました。これは、ワーキンググループ報告書では十二ページから十五ページまでさまざまなことが書かれております。前払式支払手段における利用者保護のことについていろいろ記載されているわけでございます。

 法案としては十三条の三項を設けたということでございますが、ただ、この十三条三項を読みますと、内閣府令で定めるところにより、必要な措置を講じなければならないということで、政令に丸投げという状況でございます。これは、丸投げが絶対だめだというわけではないんですが、やはり、本来であれば法律に書き込むべきところを書き込まなかったということであれば、それなりに理由があろうかと思います。そのことをまず御説明いただきたいのと、それから、じゃ、政令に一体何を書くのか、利用者保護と、それから発行業務の健全、適切な運営確保に必要な措置を講じるために内閣府令ではどのようなことを定めるのかということについて御説明をお願いします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 情報通信技術の進展のスピードが速く、また、前払式支払手段についても多様化、また内容についてもいろいろと進展が進んでいるという中におきまして、例えば商品券などの紙型のものからスマートフォンで利用できるものまで、さまざまなものが登場をしてきております。こうした中で、発行者の業務運営の適切性を確保していくために、それぞれのタイプの特性に応じた対応を求めていく必要があるということから、御指摘の規定ぶりとしたところでございます。

 具体的には、例えばスマートフォンでチャージ残高の譲渡が可能なタイプのものは、発行者が提供する仕組みの中で財産的価値を有する支払い手段を容易に移転することができることから、商品券などと比較して、発行者みずからが公序良俗を害するような不適切な取引に利用されることを防止する必要が高いと考えられますため、こうしたタイプについては、例えば、譲渡可能なチャージ残高の上限の設定、繰り返し譲渡を受ける事業者の特定等の不自然な取引を検知する体制整備を求めるといったことを想定をいたしております。

 いずれにせよ、今後整備する内閣府令におきましては、実態を踏まえて柔軟かつ実効的な枠組みとしていきたいというふうに考えております。

櫻井委員 続きまして、今度は三十六条の二というのも新たに設けられました。資金移動業に関することでございますが、この中で、やはり利用者の資金保全というのも重要だというところで、こういったさまざまなルールが設けられているところでございます。

 この資金移動業が活躍することによって、我が国の送金コスト、諸外国に比べて高いのではないかと言われているところでございますが、これを引き下げていくということでございます。しかし一方で、申し上げたとおり、利用者の資金保全、これは確実に行わなければならない。しかも、この両者というのはなかなか相反する性質があるということで、バランスのとり方が重要になってくるわけでございます。

 特に、第一種、金額の大きい送金をするところでは、保全額の金額、タイムラグによって保全額が過大になったりすることもあれば過小になったりすることもあるという問題もございます。

 こうしたことを考えますと、さまざまな課題がございます。

 例えば、当局のモニタリング、こうしたものをより効率化していくことによって、このタイムラグを小さくしていくということも重要な課題でございます。

 また、供託金、これも保全の手段として設けられているわけでございますが、払戻しの手段、これを電子化することによって業務を効率化することも課題だというふうに考えております。

 こうしたさまざまな課題があるわけでございますが、金融庁として今後どのように取り組んでいくのか、御説明をお願いします。

森田政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者資金の保全方法につきましては、利用者保護と事業者の規制対応コストのバランスを考慮しつつ、より合理的なものとしていくことが重要であるというふうに考えております。

 新設されます第一種資金移動業者につきましては、破綻した場合の社会的、経済的な影響の大きさを踏まえれば、利用者資金の受入れから保全が図られるまでのタイムラグをできるだけ短期化することが必要であるというふうに考えられます。

 他方、資産保全に係る手続につきましては、合理化が課題であるというふうに認識しており、取り組めるところから対応したいというふうに考えております。

 例えば、供託に係る手続につきましては、今後、オンライン化などにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 また、いわゆるレグテックにつきましては、私どもといたしまして重要な課題の一つと認識しているところでございますけれども、レグテックを用いたいわゆるリアルタイムモニタリング等につきましては、今後、情報通信技術の進展を注視しつつ、業者の実態やニーズ及び利用者保護とのバランス等も踏まえながら、適切に検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

    〔うえの委員長代理退席、委員長着席〕

櫻井委員 特に、この三十六条の二の中では、新たに第一種、第二種、第三種という類型を設けて資金移動業を規定しているわけでございます。従来は第二種に相当するものが行われておったわけですが、第一種と第三種が今回新設されたということになろうかと思います。

 ワーキンググループ報告書十一ページにもありますように、事業者は、第二種に加えて第一種にも進出するというような形で、つまり、第二種と第一種の両方をかけ持ちして実施したい、そういうニーズはたくさんあろうかと思います。

 第二種の方では一定の残高保持はオーケーということになっていますが、第一種の方では残高保持はだめということになっています。これはルールが大分違うわけですね。相矛盾するわけでございます。

 そうすると、この第一種と第二種のかけ持ち、どういうふうにやっていくのかというのが課題になるわけですが、まず、私は、かけ持ちは認めるべきだと思いますし、ワーキンググループの報告書にもそのようにあります。金融庁の見解をまずお尋ねをしたい。

 その上で、かけ持ちを認めるということであれば、この残高保持の規制の運用、これをどうするかというのが課題になります。これについても御説明をお願いいたします。

中島政府参考人 お答えいたします。

 本法案によりまして、資金移動業を三類型に区分することといたしておりますが、利用者利便を確保する観点から、保全すべき額を類型ごとに管理することなどを前提に、一つの事業者が複数の類型を併営する、いわゆるかけ持ちすること自体は認めることといたしております。

 他方で、高額類型は相対的にリスクが高まることから、運用、技術上やむを得ない期間を超える利用者の資金の滞留を不可とするなど、滞留を厳格に制限することといたしております。このため、例えば、高額類型での百万円を超える送金に使用する資金をあらかじめ現行の類型で滞留させておくことは、こうした規制の趣旨を潜脱することとなり、適当ではないというふうに考えております。

 金融庁としては、こうした利用者利便と利用者保護のバランスを踏まえた枠組みのもと、資金移動業者が業務を適正に遂行していくよう、しっかりモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。

櫻井委員 それから、続きまして、マネーロンダリング対策、テロ資金供与対策についてもお尋ねをいたします。条文でいいますと、多分四十条の二などが関係してくるかと思います。

 もちろん、このマネーロンダリング対策やテロ資金供与対策、これは国際的な要請でありますし、我が国国内でも重要な課題でございます。十分な対策を講じなければなりませんが、対策をしっかりとやり過ぎてしまうとコスト高になってしまう。一方で、海外送金のコスト、我が国のコストは高いんじゃないのかというふうにも言われておりますので、これとの関係をどうしていくかというのも重要な課題かと思います。

 そこで、金融庁にお尋ねをいたしますが、顧客の利便性に配慮しながらも、この不正防止にどのように取り組むのか、御説明をお願いします。

森田政府参考人 先生御指摘のとおり、第一種資金移動業者のマネーロンダリング及びテロ資金供与対策につきましては、利用者の利便性を考慮しつつも、不正の防止には適切に対応することが重要であるというふうに考えてございます。

 こうした観点から、第一種資金移動業者に対しましては、これまで認められていた送金額より高額の送金が可能となることに伴うリスクを踏まえ、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策につきましても、現行規制における資金移動業者と比較して、より充実した体制整備を求めることが必要であるというふうに考えております。

 したがいまして、金融庁といたしましては、例えば、第一種資金移動業者が顧客のリスク評価に基づき送金額管理を適切に実行しているかといったリスクに応じた管理体制の整備状況について十分に検証するなど、実効的な検査監督を行っていきたいというふうに考えております。

櫻井委員 続きまして、ワーキング報告書の十八ページから十九ページには、後払い型の支払いの問題についても書かれております。すなわち、少額でのポストペイサービスについて、「少額であっても過剰与信防止の必要性に変わりはないとの指摘があった」という記載がございます。これは全くそのとおりでございまして、貸金業法などでの対応の必要性について、実態把握に努めるとともに、過剰与信防止制度は後退させるべきではないというふうにも考えますが、これについても金融庁の見解をお願いいたします。

中島政府参考人 金融審議会におきましては、少額の後払いサービスを念頭に、貸金業法上の規制の合理化の必要性について検討を行いましたが、少額であっても過剰与信防止の必要性に変わりはないという指摘があったことも踏まえまして、現行の貸金業法上の規制を維持することとしたところでございます。

櫻井委員 大臣、お待たせいたしました。最後に、大臣にも一つ質問をさせていただきたいと思います。

 近年、金融サービスが高度化、多様化しておりまして、今日も、このための金融サービスに関する法案を審議させていただいているところでございます。

 一方で、まさにコロナ対策ということで、特別定額給付金の申請手続、各市役所等でも行われておりますが、この中で、マイナンバーカードを利用して、マイナポータル経由でのオンライン申請というのが、市役所の現場でも大変混乱をしているところでございます。一方で、民間の方では、オンラインでのいろんな手続、特に民間の金融機関においてはeKYCというようなシステムも普及しつつありまして、これは本人の認証の方法として送金や決済でも活用されているところでございます。

 そこで、大臣にお尋ねをしたいのは、eKYCを利用すれば、安価で、簡易に、確実に本人認証は可能だというふうに考えておりますけれども、大臣の御見解を求めたいのと、あわせて、やはりこうした行政サービスにおいても、民間のeKYCのような技術をどんどん活用していくというようなことを、各省庁、とりわけ今回問題になりました総務大臣、それからマイナンバー担当大臣、どちらも高市大臣でございますが、こうした方々に御提案されてはどうかというふうに思いますが、いかがでしょう。

麻生国務大臣 何でしたっけ、ノウ・ユア・カスタマーでしたっけ、これ。エレクトロニック・ノウ・ユア・カスタマー、略してeKYC。

 これは、犯罪収益移転防止法、あれのときにこれが改正になったんだと記憶しますので、平成三十年でしたか、あのときにこれは改正になって、十一月か、あれが改正になってこれができ上がって、まあ、こういうのもというので出てきたんだと思いますけれども。

 いろいろ顔認証やら何やら全部やれるというようなシステムになっていますので、これも、いわゆる電子的にこういったことができるようになった、やはり技術進歩のおかげでこういったものが可能になっているんだと思いますので、私どもとしては、こういったようなものが複数の金融機関において、既に導入しているところがあるでしょう、三井住友とかりそなとか、三菱はやっていませんけれども、りそなとかはやっていると記憶しますね。

 そういった意味で、システムの導入に関しまして、これは金がかかりますので、そういった費用とか、それから、提供するサービスの質がいろいろありますので、導入されるに当たって、これには使えるけれどもちょっとこれはどうかなというのは、多分銀行もいろいろ考えているんだと思いますけれども、利用者の利便に資するという本人確認の一つ、判こやら何やら、本人確認にかわるシステムとしてこういうのが出てくるし、今回のコロナの騒ぎで更にいろいろこういったものが普及しやすい環境にもなってきているんだと思いますので。

 私どもとしては、金融機関からこの種の相談があったときに関しては、もう積極的にやった方がいい、いろいろ事情がわかりますので、そういったものに対しては丁寧に対応しているというのが現状です。

櫻井委員 大臣に最後に御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 私としては、金融機関でこうした新しい技術、特にICTの関連の技術がどんどん活用されている、すばらしいことだと思いますが、他方で、こうした民間の技術を更に行政においても十分取り込んでいく、そういったこともあわせて重要なのではないのかということも重ねて申し上げまして、私の質問時間がちょうど終わるころでございますので、終わらせていただきます。

 本日は、どうもありがとうございました。

田中委員長 次に、清水忠史君。

清水委員 日本共産党の清水忠史です。

 金融商品販売法の改定案について質問いたします。

 銀行や証券など、複数の金融機関の金融サービスをワンストップで提供することができる金融サービス仲介業の創設は、顧客にとって便利になるかもしれませんが、一方で、金融の知識のない人が不必要な金融商品を買わされなけなしの資産を失うかもしれない、こういう金融被害が広がることも懸念されています。

 そこで、最初に麻生大臣に伺います。

 金融審議会の報告書には、「スマートフォンのアプリケーションを通じ、自身の預金口座等の残高や収支を利用者が簡単に確認できるサービスを提供するとともに、そのサービスを通じて把握した利用者の資金ニーズや資産状況を基に、利用可能な融資の紹介や、個人のライフプランに適した金融サービスの比較・推奨等を行う」と書かれています。

 本改正案により、このような金融サービスができるということになるんでしょうか。今回の金融商品販売法の改正の目的、意義とあわせて、端的に御説明をお願いします。

麻生国務大臣 簡単にはそうです。というだけで終わるわけにはいかぬでしょうから、簡単にはそういうことが書いてあるので、役人用語でずらずらずらずら書いてありますけれども、簡単にはそういったサービスができるということが書いてあるので。

 さっきも申し上げましたけれども、金融、証券、保険等々、縦割りになった部分で、別々にやっていた部分を一発でできますというのは、これは極めて便利な話ですから、そういったものができる業者というのは。じゃ保険でやってくれるかと言ったら、証券は、いや保険じゃ嫌だと言うんですから、なかなか難しいんですよ、この業界というのは。

 だから、そういった意味で、それを全部できるというのがちゃんと出てくるというのは、私どもとしてはいいことなんだと思いますけれども、これ、悪用されるとちょっとかないませんので、三つ全部見られますから。これ、技術の進歩で全部見られるようになるんですから。

 そういったようなことになりますので、ワンストップのサービスができるとなると、それに立って、先ほど、ノウ・ユア・カスタマー、eKYCの話が出ていましたけれども、ああいったようなものは、より確実なものができるとか、ああいった技術の進歩とこれとがうまく、セキュリティーとコンビニエンス、便利というのと両方、そこのところのバランスがなかなか難しいんだとは思いますけれども、流れとしてはそういう方向で、より便利なサービスが提供できるようになっていくということだと思っています。

清水委員 便利になる側面、セキュリティーの問題が重要だというふうにも認識されているということであります。

 仲介業務で知り得た個人の預金や金融資産などの情報を利用して、株式や保険などの金融商品の仲介をするためには、当然、顧客本人の同意が必要になると思います。

 制度上は、顧客の同意については、利用する都度必要なのか、保険なら保険、あるいは証券なら証券、そして例えば預金なら預金、それとも包括的な同意、そういうものがとれたら、あとは契約が終了するまでは同意をとる必要ない場合もあるのか、この辺について御説明いただけますでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 個人情報保護法や金融分野における個人情報保護に関するガイドラインにおきましては、金融機関に対し、個人情報の取得や利用の際、利用目的をできる限り特定し、公表又は原則書面による通知を行うことを求めております。また、特定された利用目的を超える情報の取扱いを行う際には本人の同意を得ることが求められているところ、同意の取得に当たっては、原則として、電磁的記録を含む書面の形式により本人の意思が明確に反映できる形で確認を行うことが望ましいとされております。

 必ずしも利用の都度顧客に改めて同意を得る必要まではございませんが、こうした規定に従いまして、金融サービス仲介業者や金融機関が顧客から適切な形で同意を得た上で個人情報の取扱いを行うことを求めていきたいと考えております。

清水委員 必ずしもその都度同意をとる必要はないという答弁がございました。

 そのようにして仮に同意がとれた場合、金融サービス仲介業者は、各金融機関が保管する顧客の個人情報を名寄せして、例えば顧客のデータでプロファイリングすることができると思うんですが、いかがでしょうか。

中島政府参考人 先ほども申し上げたとおり、個人情報の取扱いについて、個人情報保護法や金融分野ガイドラインにおいて、金融機関は、個人情報の利用目的を特定すること、個人情報の提供に際して本人の同意を得ること、目的外利用をしないことなどが求められております。

 また、金融サービス仲介業者には、既存の仲介業者に対する規制を参考に、業務を通じて取得した顧客の非公開の情報について、顧客の同意を得ることなく利用や授受を行うことを禁止するなど、顧客情報の適正な取扱いを義務づけることを予定しております。

 御質問にございましたプロファイリングも含めまして個人情報の取扱いに当たっては、こうした規定に従い、金融サービス仲介業者や金融機関が顧客から適切な形で同意を得た上で行うことが求められるというふうに考えております。

清水委員 個人の同意を適切にとれば、そうしたことも可能だと。大臣もそのとおりだというふうにお認めになられたんですが、やはり、資金ニーズや資金状況をもとにさまざまな商品を提供していくということです。

 例えば、退職金が振り込まれた直後に、あるいは高額な定期預金の満期日に合わせて、ETFとかJ―REITだとか、こういった投資信託や外貨預金等の金融商品を、新たにできる金融サービス仲介業が勧誘するということ、これは問題ないということですか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 今御質問にありましたような金融商品の勧誘に当たりましては、まず、顧客情報の適切な取扱いが求められるということでございます。また、投資商品の勧誘に当たっては、顧客の知識、経験、投資の目的に照らした適合性の原則を遵守するということも求められております。また、利用者保護の観点から、仲介に当たって高度な説明を要すると考えられる金融サービスについては取扱いを認めないということといたしております。

 金融サービス仲介業における業務については、顧客保護の観点から、金融庁としても更に適切に監督をしてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 いや、明確に答弁されていないんですけれども、そういうことができるということだと思うんです、否定されなかったので。顧客のニーズに合わせて、退職金がおりましたねとか、あるいは定期預金の満期日ですね、そういう情報、適切に得た同意に基づいてそういう勧誘をしても構わない、うなずいていらっしゃるのでそういうことだと思います。

 となりますと、一たびプロファイリングされた顧客データは、その金融サービスを利用している限りはデータ更新され、知らぬ間に、顧客にとって適切かもしれない、これは主観ですけれども、金融商品を買わされて、必要な資金まで投機に巻き込まれるということになる懸念というのは、私、指摘をしておきたいと思います。

 金融商品の販売をスマホによるワンストップで行うことにも、やはり重大な懸念が残ると思うんですね。

 ことし一月二十五日付の日本経済新聞の記事では、多重債務者が再び増加していることが紹介されました。背景に、スマートフォンを使う買物と簡単な借入れの増加があるといいます。キャッシュレス決済の普及もありまして、個人が気づかないうちに多額の借金を抱えるリスクにさらされているということなんですね。リボ払いをやっていましたら、いつのときに買った商品の支払いをしているのかよくわからないというような状況も伺っております。

 多重債務者の相談に乗っておられる司法書士の方から話を伺いました。二十代の若い方からの相談が多いそうです。明細書を出してください、こう言いますと、明細書がないと言うんですね。全部スマホで決済していますので、明細書もスマホです、スマホでしか認識されない。これも時代が変わったなというふうにおっしゃっておられました。それで、本人たちも何に幾ら借りているのか十分把握できないというのも共通しているそうであります。

 スマホ等によるオンラインでの契約ができるようになって、高額商品の購入やその借入れのためにサラ金からお金を借りるという、非常にこれはハードルが下がってきているんじゃないかなというふうに思います。

 この結果、多重債務がふえ、自己破産がふえているという認識を現在金融庁はお持ちでしょうか。

中島政府参考人 今の御質問にありました日経記事にありますとおり、貸金業者から五件以上の無担保無保証の借入れの残高があるいわゆる多重債務者の数は、二〇一七年度末には約八万六千人、二〇一九年度末には約九万六千人というふうになっております。こうした近年の多重債務者の増加の背景として、スマートフォンを用いた買物や簡単な借入れの増加を指摘する声があるということは金融庁としても承知をいたしております。

 このため、今回の法制化の検討に当たっては、貸金業法上の規制の合理化についても検討を行いましたが、過剰与信防止の必要性に変わりはないということから、現行規制を維持するとともに、新たに創設される金融サービス仲介業者が貸金業者への仲介を行う場合には、現行の貸金業に準じて、登録要件や行為規制など必要な規制を適用することにより顧客保護を図るということといたしております。

 金融庁としては、引き続き多重債務対策に取り組む必要があるというふうに考えております。

清水委員 現行の貸金業法のもとでも多重債務や自己破産がふえているというのが問題なんです。

 本法案では、金融サービス仲介業者の業務範囲に、いわゆる貸金業の仲介、含まれました。さらに、サラ金業者自身が金融サービス仲介業者を兼業するということも可能になるということですが、これはそういう理解でしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 貸金業者については兼業規制が課されておらず、また、本法案におきます金融サービス仲介業者についても兼業規制を課さないということから、貸金業者が金融サービス仲介業者を兼業するということは可能であります。

清水委員 サラ金業者が仲介業をするとなれば、当然、自身の融資につなげるように金融商品の勧誘をするようになると思うんです。

 仲介業者がオンラインで金融商品の販売を行う際に、顧客の個人情報をもとに、購入意欲が湧くタイミングでですよ、あなたならこの金利でこの金額までサラ金の御利用可能、先ほど海江田議員が、いろいろ広告が出るというふうにありましたけれども、広告ではなくて、その顧客、特定に向けたターゲットですよ、あなたならここまで与信枠があるからここまで借りれますという、こういう、顧客個人をターゲットにした勧誘等、これも行うことは禁じられないということでしょうか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 今回の法律におきましても、貸金業の媒介に当たりましては貸金業法の規制がかかるということでございまして、貸金業者における過剰な貸付けは禁止されております。

 金融サービス仲介業が創設された場合には、こうしたことも含め、過剰貸付けにつながるような貸出しが行われないよう、しっかりモニタリングをしてまいりたいというふうに考えております。

清水委員 質問に明確に答えていただいておりませんので、もう一度答弁を求めます。

中島政府参考人 金融商品を紹介するときに消費者金融などを利用した資金の貸出しを同時に行うということについての……(清水委員「勧誘」と呼ぶ)勧誘についての答弁のところが漏れていたとすれば、改めて答弁をさせていただきます。

 既存の金融商品仲介業者が銀行代理業等を兼業している場合、資金の貸付けの代理、媒介を条件として証券取引の仲介行為を行うことが禁止されております。この規定は銀行分野と証券分野の業務をあわせ行うことに伴う弊害防止のための措置でございますが、証券取引と銀行などによる融資を組み合わせた勧誘についても本規定により禁止されることになっております。

 議員御指摘のターゲット広告につきましては、広告である限りにおいては資金の貸出しと組み合わせた金融商品の勧誘に至らないということも考えられますが、いずれにせよ、金融サービス仲介業者が投資商品を提供する場合には、顧客の知識、経験、財産の状況及び投資の目的に照らして不適当と認められる勧誘を行わないことが求められております。

 また、金融サービス仲介業者に対しましては、投資商品や貸金に対して著しく事実に相違する表示や人を誤認させるような表示を行うなど、誇大広告を行うことを禁止しているところでございます。

 いずれにいたしましても、金融サービス仲介業者に係る規制については、今後、既存の仲介業者に係る規制も参考としながら、不適切な勧誘や広告を防止し、顧客保護を図るために必要な制度整備を検討してまいりたいというふうに考えております。

清水委員 いろいろ言われましたけれども、私が聞いているのは、銀行の商品と証券の商品を組み合わせて勧誘することなんかは聞いていないんですよ、貸金業者、サラ金業者が持っている情報に基づいて、あなたはここまで貸出しすることができますよというターゲット広告を打つことについて防止されるかというふうに聞いたんですけれども、そうしたことについては、できないということはありませんでしたから、これはできるということだと思うんですよね。

 現在、貸金業法には、規制法には、年収の三分の一を超える貸付けを禁止する総量規制が設けられています。金融サービス仲介業が顧客の購買意欲に合わせて消費者金融と銀行のカードローンを同時にあっせんすることができれば、総量規制を実質形骸化すると思うんですよ。その顧客個人の資産状況や借入状況を本人の同意に基づいて把握していれば、そうしたこともできると思うんですね。

 この問題の最後に麻生大臣に伺いますが、金融サービス仲介業にいわゆる貸金業者、サラ金業者の参入を認めることで、利用者が証券取引や投資信託の購入のあっせんを受け、そのための購入や損失補填のためにサラ金や銀行カードローンなど手軽に多額の借入れをすることになってしまい、結果、多重債務者となってしまうというリスクを負わせてしまう可能性、これは完全に否定することができるでしょうか。

麻生国務大臣 多重債務問題というのは、これは二〇一〇年でしたかね、改正の貸金業法において今言っていた総量規制の話とか、もう全部知っているでしょう、その話は。そういったものであって、規制強化などの対応を行ったところなので。

 今般創設させていただく金融サービス仲介業に関しましても、これは貸付けの仲介を行うという立場ですからね。したがって、いわゆる貸し主である貸金業者に対する、こうした多重債務というもののための規制上はこれまでと変わるものじゃありませんよ。

 金融庁としては、そういったものを通じまして、多重債務問題というのの経験も、これまでいろいろありましたので、踏まえまして、引き続き顧客保護というのに努めてまいりたいと考えております。

清水委員 いろいろあるんですけれども、やはり過剰与信とならない保証というのはないと私は思うんですよね。そのことについてはやはり厳しく指摘をしておきたいと思います。

 あと二分時間がありますので、持続化給付金について二問質問したいと思います。

 持続化給付金事務局から返信された不備メール、どのように修正していいのかわからない、余りにもその不備メールの内容が機械的で理解できないという多くの批判が私の事務所にも届けられています。中小企業庁としてどのように対応するのかというのが一点。

 もう一つは、青色の確定申告書第一表の売上欄に記入することを忘れた方が、税務署の収受印のある青色申告決算書を添付した申請ケースで、不備メールが返ってきたという声も多数寄せられています。この間の国会質疑で、これらのケースは受給対象となる、審査していくということはわかりました。

 ただ、持続化給付金事務局の判断に誤りがあった場合は、事務局から再提出する必要はないとの連絡がなければ、どうしていいかわからないわけですよ。ですから、こういう場合は再び同じ添付資料で申請するという必要はあるのか。

 この二点についてお答え願います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 二問御質問がございましたので、順番にお答えさせていただきます。

 まず、持続化給付金の審査に当たりましては、申請者自身で入力内容や証拠書類等の修正が必要な場合には、事務局から申請者に対しまして修正を依頼するメールをお送りしているところでございます。申請のときにおつくりになられるマイページに表示される、不備通知というのが出るんですけれども、この不備として指摘される事項や修正が求められる事項が一部わかりにくいという御指摘があることも承知してございます。

 何分新しくつくった制度でありますので、当初、不備になる事例の蓄積が進んでおらず、類型化が十分でなかったこと等に起因するものと考えてございます。このため、事例の蓄積に伴いまして、いわゆる不備、文言の内容等を現在随時改善をしているところでございます。引き続き、こうした御指摘も踏まえつつ、申請者の視点に立って不断に改善を図ってまいりたいと考えてございます。

 二点目の質問でございますけれども、御指摘のように、青色の確定申告書第一表の売上欄に記入を忘れた方が、税務署の収受印のある青色申告決算書を添付して申請をしていた場合には、持続化給付金の対象となる可能性があるということでございます。

 ちょっと個別の案件についてお答えするのは差し控えさせていただければと思いますけれども、一般論で申し上げますと、御指摘の点以外にも不備があることも想定されます。先ほど、ほかの委員の方の御質問で、口座の間違いですとか、いろいろと複合的な要因でこの御連絡をする場合がございますけれども、既に不備があるということでその旨連絡をさせていただいてございますが、そういった内容について一つ一つ事務局の方で、数多くのものがございますので、確認して、それをお待ちいただくということでありますと、かえって時間がかかってしまいますので、今般は、現時点で不備の出ているという御連絡をさせていただきましたものについては、事務局の指示に従いまして御対応いただければというふうに考えてございます。再提出をいただければということでございます。

 なお、個別の案件は、一義的には事務局の判断でございますけれども、現時点においては、当該案件のような場合には、他の申請者と公平性の観点も踏まえつつ、個別のケースを慎重に検討した上で証拠書類として認められ得るということは、事務局の中でもしっかりと共有させていただいているところでございます。

清水委員 一日も早い支給を求めて、質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、青山雅幸君。

青山(雅)委員 日本維新の会・無所属の会、青山雅幸でございます。

 本日も、貴重な質問の機会、ありがとうございます。

 早速質問させていただきます。

 まず、今回の法律の改正案、立法趣旨というか、背景の立法事実、これがもう一つよくわからないところがあります。

 私が言うまでもないわけですけれども、今、世界じゅうで、コロナで巨額の赤字国債を発行して国民のためにいろいろな給付をするということを、欧米を始めいろいろな国でやっている。そんな中で、日ごろから私申し上げているように、通貨に対する信頼が徐々にどこの国でも失われている。さらに、どこの国もマイナス金利政策に近いようなことをとっているから、昔のように、預金しておけば四%、五%の利子がついてどんどんどんどん自分の金融資産の価値がふえていく、あるいは守られていくという時代ではなくなっているわけですね。置いておけば置いておくほど損をする。

 そうなってくると、資産運用をしなければいけないというようなことになってきて、いろいろな資産を、ポートフォリオといいますか、分散して有利なものにしていく。日本もそろそろ考え方を切りかえて、これ自体は、資産運用が悪であるということではなくて、合理的な資産運用で資産の形成を図っていくという方向に切りかえるべきではないかというふうに従来から思っているわけですね。

 そういったために、例えばEU、あるいは日本にも、IFA、インディペンデント・フィナンシャル・アドバイザー、あるいはアメリカではこれはRIAというようなものがあるようですけれども、そういう方向で、個人の資産運用をアドバイスしたりよりよい方向にしていく、そういうものかなと思ったらどうもそうでもないようなんですけれども、その辺について、ちょっとまずは御説明いただけますか。

中島政府参考人 お答えいたします。

 証券会社から独立した立場で金融商品の売買を扱うIFA、あるいは顧客への投資助言業務を手がけるRIAというものは、アメリカの個人向け証券取引において主要な販売チャンネルの一つになっているというふうに承知をいたしております。

 新たに創設する金融サービス仲介業は、特定の金融機関への所属を求めていないことから、金融機関から独立した立場において金融サービスの仲介を行おうとする事業者にもなじむ制度というふうに考えております。

 さまざまなビジネスモデルを持つ事業者に金融サービス仲介業の枠組みを活用していただき、事業者が互いに切磋琢磨する中で利便性のより高い金融仲介サービスを実現されることを期待しているところでありまして、もともとの、御質問にありましたIFAとかRIAといった方に近い形で顧客の側に立ったサービス提供ができるのではないかというふうに考えております。

青山(雅)委員 今のお答えに関連して、そういうものであるとすると、取扱商品の線引きというものもいろいろ考えなければいけない。

 例えば、銀行の中で、どうも、今の配付されているレジュメなどを見ると、外貨預金は取扱禁止商品に分類をされているようですね。外貨預金そのものが、若干、為替、交換するときのレートが随分マージンが高いものですからそれほど有利とも思えないんですけれども、例えば、ドルあるいはスイス・フラン、より安定性の高いものにニーズがある、ポートフォリオとしての意味がある、そういうふうにも思うわけですね。しかも、もちろん外貨ですからそこの為替変動リスクはあるにしろ、別に複雑なものじゃないわけですよね、スイス・フランにしておいて何%というだけの話ですから。こういったものを、何でこれを禁止商品として挙げているのか。

 それから、投資信託が取扱い可能となっているということは、多分、外貨建ての投資信託は幾らでもありますけれども、そういったものも入ってくるんだと思うんですけれども、じゃ、外国債券そのもの、あるいは外国株式そのものは入ってこないのか。

 その辺について、線引きについて具体的に、今挙げた例なども含めてお答えいただきたいんですが。

中島政府参考人 金融サービス仲介業者には、顧客保護の観点から、商品設計が複雑でないものや日常生活に定着しているものなど、仲介に当たって高度な商品説明を要しないと考えられる金融サービスについて取扱いを認めることを考えております。

 具体的な金融サービスの範囲は今後政令で定めることとなりますが、金融審議会の議論では、ただいま御質問にありました外貨預金については、資産運用の手段として捉えれば、為替の変動に伴い損益が生じる点について丁寧な説明を要するものと考えられる一方、投機性が低いと考えられる主要国通貨に限って取扱いを認めてもよいといった意見もございました。

 投資信託については、レバレッジ型など商品性が複雑なものは除外すべきであるといった意見も示されておりました。

 なお、一般に、預金については、元本が保証されることを念頭に置く顧客が多いというふうにも承知をいたしております。また、投資信託などの投資商品については、価値の変動が起こり得ることを意識した上で投資を行う顧客が多いというふうに想定をしております。

 為替変動リスクという観点でさまざまな金融サービスを一律に制限するのがいいのかどうか、金融サービスの種類ごとの検討が必要ではないかと考えているところであります。

青山(雅)委員 せっかくこういう制度を手間暇かけてつくるわけですから、意味があるものにするためには、その辺について、保守的な考え方だけではなくて、やはりポートフォリオという観点から、必要であるということであるならば入れていくということもぜひ考えて、検討していただきたいと思っております。

 それから、ローンと金融商品の組合せによって、信用取引と同様の危険性が入ってくる、あるいは、貸金業務で、サラ金などに関連した問題が起こるというようなことは私も大変危惧しているところでございます。しかし、これについてはほかの委員の方が丁寧に御質問されていましたので、その問題点だけ指摘させていただいて、割愛させていただき、私として気になっているのが、金融機関に与える影響です。

 例えば、住宅ローン、どうもこれは対象になるというような案のようですけれども、住宅ローン、例えば大手の信託銀行なんかですと、いろいろな優遇が加わると、変動ですけれども、〇・五というような信じられないような低金利が出てくる。ところが、一般の、例えば地元の信用金庫なんかだと一がせいぜい、一ちょっと切るくらいが精いっぱい。倍くらい違うわけですね。

 そうなってくると、これで仲介業が出てくると、事実上、中小の金融機関は住宅ローンから撤退しなければいけないような状況も出てくるかもしれない。ますますビジネスチャンスが失われていく、そういうことも考えられるわけですけれども、その点について何か御懸念はないんでしょうか。何かお考えのことはありますでしょうか。

中島政府参考人 まず、今回の金融サービス仲介業につきましては、この創設によりまして、複数の金融機関が提供する金融サービスのワンストップでの提供が進むことで、結果として、よりすぐれた商品、サービスを提供する金融機関が利用者から選択され、全体として金融機能が向上していくことが期待をされております。

 一方で、地域金融機関につきましても、地域企業に対する適切なアドバイスやファイナンスの提供などを基本としつつ、利用者から支持される商品、サービスの提供を通じ、持続可能なビジネスモデルを確立することが重要と考えております。

 こうした環境整備を通じて、金融機関において利用者のニーズに応えた多様な創意工夫が更に発揮されることを期待しているところでございます。

青山(雅)委員 どうも、今のお答えを聞いていても、金融庁の背景には、一定程度金融機関の淘汰もやむを得ない、あるいはいろんな意味での線引き、今までのビジネスモデルからは撤退しなさいというようなところも含んでおられるかのようにも思っております。

 顧客にとってはメリットの部分もあるでしょうし、ただし、地域を支えている金融機関がなくなると、一般サラリーマン等とは違って、中小事業者にとってはかなりの不利益が出るということもあり得るとは思っています。その辺、よく目配りはしていただくようにと、お願いだけしておきます。

 ちょっと一般的なお話で、先ほどから出ているコロナの問題、持続化給付金の問題に絡んでちょっと聞かせていただきたいんですけれども、ここから大臣にお話を伺いたいんですけれども、まずは、持続化給付金、やはりスピードが問題なんだと思うんですね。もう始まってから三週間たとうとしていますけれども、やはりいまだに届いていないという声もSNSなんかではかなり多く見受けられるところでございます。

 マスク、いわゆるアベノマスクもそうでしたけれども、どんなにいい政策立案でもスピードに欠ければ何の意味もないということもあるわけです。持続化給付金も、企業が潰れてしまえば意味がないということになろうかと思います。

 それからあと、質の問題です。例えばフランスなんかでもマスクは急に決まった話で、これは四月二十八日に首相が発表して、一人二枚配るというような話になって、どうも五月十一日にはもう配られているようですね。それがまたフランスらしくとてつもなくおしゃれなマスクで、自分もしたくなる。ところが、残念ながら、アベノマスクと言われるものは、小さい上に不良品もまざったり、小学校のころしていたようなマスクで、誰もが余りしたくないなと思う、きょうの皆さんの中でも多分一人もつけておられないような状況です。そういうことではやはり困るわけですね。

 一方で、立憲民主党の川内議員が取り上げられたようですけれども、この持続化給付金の給付に当たっては、電通それからパソナ、そういったところがつくっておられる協会が七百億円を超える大変なお金で請け負われていると。私は、それを請け負われるのはいいんだと思うんです、それに見合った仕事をしていただければ。ところが、残念ながら、それに見合った仕事は成っているのか。

 前回この委員会で私が聞いたときに、契約前からきちんともう動き始めていると。それはいいことをしてくれているなと思ったんですけれども、かなりふだんから密接な関係にあるところがお入りになってやられたと。であるならば、やはりドイツ、フランス並みの仕事をしていただきたいというところなんですよね。

 今回も、補正予算、第二次補正がどうもきょう、今から閣議決定があるようですけれども、更に数十兆円、三十二兆ですか、巨額の補正予算が組まれる。せっかくの補正予算ですので、これについては、今言ったような品質の問題、スピードを含めた質の問題を確保するように、本来であるならばトップがそこまで面倒を見るような話じゃないんでしょうけれども、そこが欠けていることによって、今政権も大変批判にさらされている、あるいは国民が困っているというところもあるわけですから、そういうところまできちんと上の方からトップダウンで指示いただきたい。

 副総理である麻生財務大臣に、その辺の所感をお伺いしたい。

麻生国務大臣 いろいろ言われましたので。

 まずは、この補正予算というのが前回成立をしておりますので、この特別定額給付金とか持続化給付金とかいうのは、これは早く届かないかぬというお話はそのとおりだと思いますが、いろんなものが、全市町区、千七百四十団体ですかね、またこれはオンライン、いずれも受け付け、申請を開始しているでしょう。五月二十五日までに全てがこれで始めておりますね。

 また、給付も始めた市区町村というのは一千三百八十八団体、七九・七%になっておりますから、そういった意味では、今の時点ではこういった段階まで来ているんだと思っておりますし、持続化給付金も、五月二十五日時点で百二十万件以上の申請で、そのうち五千九百八十億円というものが既に届き始めていると思っておりますので、スピードという点においては、なかなか、これだけ大きな話ですからそんな簡単にはいかないとは思いますけれども、今言うようなところまで来ているんだと思っております。

 その上で、今、第一次補正予算の強化という話で、今回二次補正というのをやらせていただこうと思っておりますが、雇用調整助成金の抜本的な拡充、家賃負担軽減のための新たな支援、医療の交付金の強化等々を柱とする補正予算というものを本日閣議で決定する予定だと思っております。この補正予算を速やかに国会に提出して、第一次補正予算を強化し、事業の雇用と生活を守り抜いてまいりたいと思います。

 少なくとも、先生、日本の評価というのは日本の新聞では全然大したことになっていないし、あなたのおっしゃり方もそういうことになっておるんですけれども、死亡者の人数というのはどう考えられますか。

 世界じゅうで、少なくともアメリカなんかは十万人を超えるとベトナム戦争を超えますからね、死亡者は。それが数字ですよ。たしかベトナム戦争は五万八千人だったと記憶しますから。今回、もう既に、きょう、あさってで十万人を超えますよ。そういったようなところに比べて日本は八百人。何ですか、これ。対応が遅いって、結果としては一番うまくいっているんじゃないんですか。これは外国の新聞に出ておる記事です。

 だから、そういった意味では、全然評価が違うんだというのが正直な実感ですけれども、これは、終わった後、よく正確にこの種の話をもう一回検証してみるという必要はあるんじゃないのかなというのが正直な実感ですけれども、いずれにしても、こういったような話で、今まで起きたことがないことが起きておりますので、なかなかすぐにはできなかったし、対応ができなかったのは確かですけれども、そういった意味では、結果論としては、少なくとも、時間をかけて、三カ月、四カ月たってみた結果、どういった結果になったかというのをもう一回改めて検証してみる必要があるんじゃないかなと思っております。

青山(雅)委員 時間がなくなってしまいました。この件、少しやりとりをしたかったんですけれども、それはまた次の機会で。

 最後に、若干誤解をされておられるので申し上げますと、私は、コロナ対策、医療の関係でもって結果が出ていないとは申し上げるつもりはありません。おっしゃるとおりに、世界じゅう見渡しても、大変に死者が少ないという意味ではいい結果は出している。ただし、それが政策によるものかどうかについてはまさに検証が必要です。

 それから、今まで政府がとられた経済対策も、これが悪いということは一回も申し上げておりません。大変いいものだと思っている。ただし、そのいいものが評価されないにはやはりそれなりの理由がある、そこについてはぜひ改善する必要があるんじゃないですかということを申し上げたということだけ、最後に申し添えさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。清水忠史君。

清水委員 ただいま議題となりました金融商品販売法の改定案につきまして、日本共産党を代表し、反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、顧客保護のための規制である所属制を排した金融サービス仲介業の創設により、多数に上る投資被害、多重債務を一層拡大する危険があるからです。

 新たな仲介業者が扱える金融サービスは、高度な説明を要するものを除外するとしていますが、現行でも、上場株、投資信託などの取引について、国民生活センターや証券業協会に寄せられる苦情相談、あっせん件数が毎年数千件にも上り、多くの被害が出ています。金融被害に取り組んできた全国的な弁護士団体からも、新制度創設反対の意見書が提出されており、所属制というチェック体制をなくした仲介業者の創設は、金融被害の拡大につながる危険があります。

 また、金融サービス仲介業に貸金貸付業務を加え、サラ金業者の仲介を認めることも問題です。近年、多重債務が再び増加傾向にありますが、その一つの要因として指摘されているのが、スマホでの手軽な買物や借入れの増加にあります。新制度の創設は、多重債務問題を再び深刻化させる危険があると言わなければなりません。

 反対理由の第二は、金融サービス仲介業の創設が、金融大手及びIT企業の要望を受けたものであり、これにより、国民、特に若者の零細な資産を株価つり上げのために動員し、投機に巻き込む危険が強まるからです。

 安倍政権は、貯蓄から投資の方針のもと、NISA等の税制優遇、金融規制の緩和等を進めてきました。特に近年、スマホを活用する若者をターゲットに投資への誘導を強化しており、本法案により、利用者、顧客の保護が十分に保証されない可能性が生じます。

 反対理由の第三は、仲介業に参入するIT、フィンテック企業に対する規制、ルールづくりが不十分であり、個人情報保護、独占禁止法上等の弊害をもたらす危険があるからです。

 プロファイリング活用によるターゲティング広告は、まさに特定顧客向けであり、広告ではなく、勧誘行為として規制すべきです。日弁連は金融サービスのターゲティング広告について禁止を含めた検討を求めており、EUの一般情報保護規定でも規制の動きがあるなど、我が国でも十分なルールづくりを優先すべきです。

 なお、資金移動業の見直しについて反対するものではないものの、金融サービス仲介業の創設は金融被害を引き起こす問題があり、反対することを申し上げて、討論といたします。

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、津島淳君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び日本維新の会・無所属の会の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。櫻井周君。

櫻井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 近年の情報通信技術の発展に伴う金融仲介及び資金決済の実態等を踏まえ、利用者保護等の観点から、実効性のある金融検査・監督を実施すること。その際、優秀な人材の確保と職員の専門性の向上を図るとともに、必要な定員の確保及び機構の体制整備に努めること。

 二 技術革新による金融サービスの急速な変化に対応し、適切な規制体系を構築する観点から、行政当局による必要に応じた監督権限の行使を可能とする法令に基づく規制と、環境変化に応じて柔軟かつ機動的な対応を行い得る自主規制団体が策定する自主規制の連携を十分に図るよう努めること。また、法令適用事前確認手続においては、利用者の利便の向上に資するよう、その適切な運用に努めること。

 三 利用者の利便の向上及び保護のため、オンラインによる金融サービスの仲介と既存の仲介業者を含む実店舗における対面によるサービスの提供との間の競争や両者の特性の違いを活かしたサービスの提供が適切に行われるよう配慮し、既存の業態の店舗網や雇用が過度に失われることがないように留意すること。

 四 金融サービス仲介業者における手数料水準については、適切な競争が働くよう積極的な開示を促すとともに、利用者が仲介業者の中立性を適切に判断できるよう、金融機関との委託関係・資本関係の有無などの情報の開示に努め、利用者が不利益を被ることがないようにすること。

 五 金融サービス仲介業が取り扱う業務に対しては、銀行・証券・保険・貸金など諸々の金融商品の仲介に定められる顧客保護等に関する業法規制を準用し、既存の金融業及び金融仲介業との間における同等の扱いを確立すること。また、金融サービス仲介業の事業内容の実態に応じたものとなるよう、情報通信技術の発展に伴い、規制の在り方について適時適切に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

 六 金融機関と金融サービス仲介業者との間の顧客説明における役割分担においては、オンラインによる仲介においても、顧客が十分に金融商品・サービスを理解することが可能となるよう、利用者保護の観点から適切に指導・監督すること。

 七 金融サービス仲介業の取扱い可能な金融商品・サービス及びその金額の上限については、金融商品へのアクセス向上などの利便性と顧客が負うリスクのバランスを十分に考慮し定めること。その際、当初は日常生活に定着しているなど高度な説明を要せず、顧客に分かりやすい金融商品・サービスに限定し、国民の金融リテラシー及び技術進捗など環境の変化に応じて段階的に拡大していく観点から検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずること。

 八 金融サービス仲介業者のオンラインによる仲介においても、顧客の意向が十分に満たされるよう、適合性原則の遵守及び顧客本位の業務運営が徹底され、顧客が想定外の損失を被ることがないよう適切な指導・監督を行うこと。

 九 金融サービス仲介業の利用による金融商品の契約締結等に際して発生した紛争について、所属制を前提とした現行制度と比べて利用者保護に不足が生じることがないよう、金融ADR制度を早期に整備し、その周知徹底及び事例の公表に努めること。

 十 金融サービス仲介業者の顧客に対する賠償資力となる保証金供託額の水準を定めるに当たっては、イノベーションの促進による利用者利便の向上を考慮しつつも、顧客保護の観点に十分に配慮するように努めること。

 十一 顧客情報の取扱いに係る規制については、金融サービス仲介業が仲介業務を通じて取得する顧客情報の幅広さを念頭に、仲介業者の情報管理体制に対する適切な指導・監督を行うこと。また、顧客情報の第三者への提供に当たって必要とされる本人の同意については、顧客がその内容を十分に理解し、顧客の真意が適切に反映されるよう指導・監督を行うこと。

 十二 収納代行については、継続して実態把握に努め、利用者保護の観点から制度整備や規制の在り方について、引き続き検討を行うこと。また、改正資金決済法第二条の二の要件に該当しない場合であっても、為替取引に該当するときには、資金移動業の登録が必要となることを周知すること。

 十三 前払式支払手段発行者に対する利用者の保護等に関する措置を定めるに当たっては、サービスの提供実態や利用状況を把握して、利用者保護が十分に図られるようにするとともに、自主規制ルールの策定状況を十分に踏まえつつ、適切な指導・監督を行うこと。

 十四 少額与信を伴うキャッシュレス決済の普及により多重債務問題が生じないよう、その実態把握に努めるとともに、過剰与信の制度的な防止の観点から、貸金業法等の運用の充実を図り、適切な指導・監督を行うこと。

 十五 送金サービスの利用者資金の保全方法については、事業の運用状況を踏まえて利用者保護の観点や金融システムの安定性の確保の観点からさらなる検討を進めるとともに、可能な限り送金コストの低下を図るため、取扱送金額及びビジネスモデルに応じた最適な方法を業界団体と連携しながら引き続き検討すること。

 十六 第一種資金移動業において、送金上限額が設けられていないことに鑑み、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策規制の遵守態勢については、海外送金コストの低下という利用者の利便の向上に配慮しつつ、実効的な指導・監督体制の整備を行うこと。

 十七 この法律の施行に関し措置した政令等について、国会に対し十分説明すること。また、附則第二十八条に検討条項があることを踏まえ、改正後の各法律の施行状況を十分に把握し、国会への説明責任を果たすこと。

以上であります。

 何とぞ御賛同賜りますようよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。金融担当大臣麻生太郎君。

麻生国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえて配意してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十七分散会


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