衆議院

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第5号 平成30年4月6日(金曜日)

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平成三十年四月六日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 冨岡  勉君

   理事 安藤  裕君 理事 神山 佐市君

   理事 亀岡 偉民君 理事 工藤 彰三君

   理事 鈴木 淳司君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      池田 佳隆君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      門山 宏哲君    木村 弥生君

      小林 茂樹君    下村 博文君

      田野瀬太道君    高木  啓君

      根本 幸典君    馳   浩君

      百武 公親君    船田  元君

      古田 圭一君    松本 剛明君

      三浦  靖君    宮内 秀樹君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      櫻井  周君    日吉 雄太君

      山本和嘉子君    源馬謙太郎君

      長島 昭久君    西岡 秀子君

      中野 洋昌君    鰐淵 洋子君

      平野 博文君    畑野 君枝君

      串田 誠一君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       林  芳正君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          高橋 道和君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            義本 博司君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    宮嵜 雅則君

   文部科学委員会専門員   鈴木 宏幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     三浦  靖君

  櫻田 義孝君     門山 宏哲君

  宮川 典子君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     櫻田 義孝君

  木村 弥生君     宮川 典子君

  三浦  靖君     百武 公親君

同日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     上杉謙太郎君

    ―――――――――――――

四月六日

 学費負担の大幅軽減と私大助成の増額に関する請願(西岡秀子君紹介)(第七七二号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第八〇六号)

 同(櫻井周君紹介)(第八〇七号)

 同(山本和嘉子君紹介)(第八四〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八六六号)

 同(吉川元君紹介)(第八六七号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(井出庸生君紹介)(第七七三号)

 同(下条みつ君紹介)(第八三九号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(小川淳也君紹介)(第七七四号)

 同(階猛君紹介)(第八〇四号)

 同(長尾敬君紹介)(第八〇五号)

 同(土屋品子君紹介)(第八六四号)

 同(吉川元君紹介)(第八六五号)

 障害児学校の設置基準策定に関する請願(小川淳也君紹介)(第七七五号)

 国の責任による三十五人学級の前進、教育の無償化、教育条件の改善を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第八五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

冨岡委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長藤原誠君、生涯学習政策局長常盤豊君、初等中等教育局長高橋道和君、高等教育局長義本博司君、文化庁次長中岡司君及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長宮嵜雅則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

冨岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

冨岡委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林茂樹君。

小林(茂)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の小林茂樹でございます。

 まず、本日は、このような質問の貴重な機会をいただきましたことを皆様方に御礼申し上げます。

 私の選挙区は、奈良市、生駒市、奈良一区でございます。地元の話題を少し冒頭申し上げながら、今回議題となっております著作権法の一部を改正する法律案について順次質問をしてまいります。

 先月、三月二十四日でございますが、私の地元奈良で平城京歴史公園が装い新たにオープンとなりました。池に浮かぶ遣唐使船がこの目玉でございます。これは、二〇一〇年の平城京遷都千三百年祭に続く第二弾の大きなイベントと言えるものでございますが、私が事務所を構えております近鉄奈良線大和西大寺駅、この駅が最寄り駅でございますが、この駅から会場の朱雀門ひろばまで実際には徒歩で二十分かかります。大きなイベントを行う際にはシャトルバスやバス、タクシー等も運行されるわけでありますが、少々時間がかかるということで、民間事業者が工夫をされまして、シェア自転車の導入が既に実験的に始まっております。

 歩くにはやや遠いということで、最寄りの西大寺駅と朱雀門前ひろばを往復するシェア自転車、さらには、この近辺にあります海龍王寺や法華寺、そういったところにも少し足を延ばすことが可能となっておりますが、このシステム、スマホで本人確認をする、そして料金についても、スマホで料金が課金されるというシステムである、どのぐらいの距離をどの方向に乗っていったかということまでがデータ化されていく、どんどん進化している、そういうシステムでございますが、IoT、全てのものがインターネットでつながるという意味においては、このシェア自転車システムも一つのIoTの実現化されたものであろうかと思っております。

 我が国は、IoT、ビッグデータ、人工知能、AIなどの第四次産業革命と呼ばれるイノベーションを通じてさまざまな社会的課題を解決するソサエティー五・〇の実現を掲げています。これを実現していく上で、新たな価値を生み出すために、我が国に眠っている情報をいかに活用していくかということが重要になります。その際、著作権で保護されている著作物についても、表現された価値の高い情報をさまざまな形で生かしていくことが考えられますが、著作権の取扱いが過度な制約にならないようにする必要があります。

 今回は、平成二十一年、平成二十四年に続く改正でございますが、一つのポイントは、どのようにこの過度な制約を明文化していくかということになろうかと思います。

 一方、我が国は、世界で活躍する著作者、クリエーターを多く輩出しており、漫画、アニメなどのコンテンツが多くの国で受け入れられています。産業構造の成熟した我が国においては、世界に誇る文化立国として、文化的潜在力を最大限に発揮できるようにし、文化を通じて新たな価値を創出していくことは、我が国の経済的な豊かさと精神的な豊かさの両方を獲得していくことにつながります。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックは、こうした我が国の文化的価値を発信していくチャンスでもあり、我が国の著作者、クリエーターの創造活動をしっかり守っていくということが重要となってまいります。

 著作権法の果たす役割は、大きく保護と利用の二点であります。まず、文化的財産である著作物を守り、適切に流通させる。そして、時代の変化に応じて利用環境を見直し、情報を価値あるものとして生かしていくことであります。その意味で、今回の柔軟な権利制限規定の整備は、経済と文化の両面から、我が国の競争力を高めるために重要な意味を持つものと考えられます。

 情報通信技術の進展に対応した新たな著作物の活用形態にも対応できるよう、著作者、クリエーターをしっかりと保護しつつ、適切に権利制限規定の柔軟化を図っていく、今回の改正がそのような改正でありますことが望まれます。

 それでは、早速質問に入ります。

 柔軟な権利制限規定、総論、各論、そして第四十七条の五にある軽微利用等とはどのようなものであるのか、そして教育の情報化の部分、大きくこのように分かれると思います。

 まず、政府案における柔軟な権利制限規定について、林大臣にお尋ねをいたします。柔軟な権利制限規定について、立法趣旨及び制度設計の考え方についてまずお聞かせください。

林国務大臣 現在、我が国では、ビッグデータや人工知能等の第四次産業革命に関する技術を活用したイノベーションの創出が大いに期待をされておるところでございますが、現行法の権利制限規定には、委員からも今お話がありましたように、要件が一定程度具体的に定められているものがございまして、その要件から外れるような新たな利用方法が生まれた場合に、著作権侵害となるおそれが指摘されてきたところでございます。

 こうした状況を受けまして、産業界等から、イノベーションの創出のため、新技術を活用した新たな著作物の利用にも権利制限規定が柔軟に対応できるようにすることが求められてきた、こういうことから、抽象度を高めた柔軟性のある権利制限規定を整備することとしたものであります。

 検討に当たりましては、文化審議会におきまして、我が国の企業等の法令遵守意識や、国民の著作権に対する理解の程度、我が国の損害賠償制度を始めとする司法制度、環境等を踏まえ、規定の柔軟性を高めることは我が国にどのような効果と影響を及ぼすこととなるか、立法府と司法府の役割分担はどのようにあるべきか等という観点から検討を行ったところでございます。

 その結果、文化審議会では、現在の日本の諸状況を前提といたしますと、将来の変化への柔軟な対応を可能とすることと、法の明確性、予測可能性を確保するということのバランスをとるために、複数の規定による多層的な対応を行うことが最も望ましいとされたところでございます。

 今回の改正案では、文化審議会のこのような検討結果を踏まえまして、権利者に及び得る不利益の度合い等に応じて行為類型の分類を行った上で、そのうち、通常、権利者の利益を害さない行為類型、それから権利者に与える不利益が軽微な行為類型について、産業界等から寄せられたニーズに対応可能であり、かつ、適切な柔軟性を備えた規定を整備することといたしました。

 具体的には、まず、通常、権利者の利益を害さない行為類型につきましては、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用や、電子計算機における著作物の利用に付随する利用等を広く権利制限の対象とする規定、新第三十条の四、新第四十七条の四でございます。

 それからもう一つは、権利者に与える不利益が軽微な行為類型については、著作物の所在検索サービスや情報分析サービス等、電子計算機による情報処理の結果の提供の際、著作物の一部を軽微な形で提供する行為を広く権利制限の対象とする規定、新第四十七条の五を整備することとしたところでございます。

小林(茂)委員 さまざまな時代の変化に対応する産業界からの要請があった、もともと、元来そういう課題があったということであります。

 大変複雑、難しい構造でありますので、ちょっと私も資料を用意させていただきまして、委員にお配りをいたしております。資料の一にそのあたりが表現をされているかと思いますが、今回の改正案に盛り込まれている柔軟な権利制限規定、これを整備することによって、我が国にはどのような効果が生まれることを見込んでいるのか、お聞かせください、林大臣。

林国務大臣 今回の改正案は、AIやビッグデータを活用したイノベーションにかかわる著作物の利用ニーズのうち、著作物の市場に大きな影響を与えないものについて、相当程度柔軟性を確保する形で、著作物の利用の円滑化を図るものとなっております。

 具体的には、今回の改正案によりまして、委員がお示しいただいた資料にもございますが、例えば、AI開発のための深層学習、サイバーセキュリティー確保のためのソフトウエアの調査、解析、書籍の検索サービスなど多様な情報の所在の検索サービス、また論文の剽窃の検証サービスなどコンピューターによる情報解析の結果を提供するサービスなど、通常、権利者に不利益を及ぼさないもの、若しくは権利者に及ぼし得る不利益が軽微なものにとどまる形で、著作物の利用行為が行われるさまざまなサービス等の提供が可能となるところでございます。

 今回の改正によりまして、第四次産業革命のためのイノベーションに我が国の企業が安心してチャレンジできる環境が整うことになります。我が国の産業競争力の強化に大きく資するものになる、こういうふうに考えております。

小林(茂)委員 イノベーションの創出のために権利制限規定の柔軟化を図っていくという議論の中では、しばしば、インターネット情報検索サービスについて、国産のサービスが育たず、米国のグーグルが日本において大きなシェアを占めることとなった主な要因として、日本の著作権法の不備があったことが指摘されています。また、近年では、論文剽窃検証サービスについても、著作権法のために日米のサービスに優劣がついているとの指摘がございます。

 これらの指摘について、政府としてはどのように捉えておられますでしょうか。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、インターネット情報検索サービスの発展と著作権法との関係につきましては、今般の文化審議会における検討に際しまして、あわせて検証をさせていただきました。

 その結果、昨年、平成二十九年の文化審議会著作権分科会の報告書の中で、まず、我が国でこのサービスに関する権利制限規定が整備された二〇一〇年の相当前の一九九〇年代から、日本の企業等におきまして、著作物の複製等を伴うロボット型の検索エンジンの事業が実施されておりました。これらは、権利者の事前の許諾を得ていたとは認められていないということがございます。また、事業の実施当時、日本のロボット型の検索サービスの事業者におきまして、著作権法との関係を問題視していたという事実は確認されておりません。また、文化庁に対します法改正要望も二〇〇七年になるまで寄せられていないという事実がございます。さらに、国内の検索サービス事業者は、二〇〇〇年代に自社サービスから米国産の検索エンジンとの提携に切りかえを行っているところ、その理由といたしまして、米国産の検索エンジンの技術力を評価した旨を掲げている等の事実が指摘されたところでございます。

 そして、この報告書におきましては、こうした前提となります事実認識の誤認があるということや、インターネット検索サービスの我が国の発展の経緯等の事実から、権利制限規定がなかったことが我が国における検索エンジンサービスに全く影響がなかったとまで断ずることはできないにしても、米国産の検索エンジンが我が国において大きなシェアを占めた要因を権利制限の未整備に帰する合理性を見出すことはできなかったとされておりまして、この報告書で指摘された事実に基づくそのような評価には合理性があるものと考えております。

 また、議員お尋ねの論文剽窃検証サービスの件でございますけれども、米国におきましては、同サービスを利用する学校の生徒の論文をデータベースに蓄積することにつきましてフェアユースと認められた事案がございますが、出版物や学会誌など、市場に提供されている著作物につきましてフェアユースと認められた事実があるとは承知はしておりません。

 例えば、米国企業によるサービスでございますアイセンティケイトでは、出版社との提携によりまして五千万件、文献データベースとの提携で一億一千万件の文献を論文剽窃サービスのために用意しているとされておりまして、我が国との比較におきまして、こういった米国のサービスにおけるデータベースの充実は、主に契約によって実現されているものと考えられております。

 いずれにいたしましても、検索エンジンサービスや論文剽窃検証サービスを始め、国民生活の利便性の向上に寄与するサービスであって、かつ権利者に及ぼす不利益が軽微なものにつきまして、適切な明確性を確保しつつ、将来のサービスの発展に対応できるような柔軟性のある権利制限規定を整備していくことは重要だと考えております。

 そのため、今回の改正案におきましては、著作物の所在検索サービスや情報解析サービス等における軽微な著作物の利用を幅広に対象とする権利制限規定を整備することといたしております。

小林(茂)委員 明文化をしていくという方向だということでございます。

 少し法律の条文に入ってまいります。改正法の三十条の四、これは資料の二につけさせていただきました。改正案第三十条の四の部分でございます。大体二行目から三行目あたりに書かれておるわけで、その部分でございます。柔軟な権利制限規定の個々の条文について、具体的な内容を聞いてまいります。

 まず、改正案三十条四の規定の趣旨と、著作物に表現された思想又は感情の享受とはどのようなことを意味するのか、教えてください。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 この三十条の四の中に享受という文言が入っておりますけれども、ある行為がこの三十条の四に規定をいたします著作物に表現された思想又は感情の享受に当たるか否かは、著作物等の視聴等を通じまして、視聴者等の知的又は精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為であるか否かという観点から判断されるものでございます。

 著作権法の制度のもとでは、著作物に表現されました思想又は感情の享受を目的としない行為につきましては、著作物に表現された思想又は感情を享受しようとする者からの対価回収の機会を損なうものではなくて、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益を通常害するものではないと考えられるために、当該条項につきましては、原則として、権利制限の対象とすることが正当化できるものと考えられております。

 このため、新しい三十条の四におきましては、この趣旨が妥当する場合を広く権利制限の対象とするべく、著作物に表現される思想又は感情をみずから享受し又は他人に享受させることを目的としない場合を権利制限の対象とするものでございます。

小林(茂)委員 映画を例に挙げます。

 人を感動させるような映像表現の技術の開発を目的とする、こう言えば、多くの一般人を招待して映画の試験上映会を行うことも可能となるのでしょうか。まさしく、へ理屈のようでありますが、享受目的とそうでない場合の境界が曖昧だと、実際は映画を楽しんでいるような場合も権利者に無断で使われてしまい、著作物のビジネスを阻害することにならないでしょうか。いかがでしょうか。見解をお聞かせください。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員、具体的な事柄に即して、この三十条の適用関係についての御質問だと考えておりますが、ある行為が、著作物に表現された思想又は感情を享受する目的で行われたものか否かの認定は、最終的には司法の場での具体的な判断となりますけれども、その認定に当たっては、行為者の主観に関する主張のみが考慮されるわけではなくて、実際の利用行為の態様や利用に至る経緯などの客観的、外形的な状況も含めて総合的に考慮されるものと考えられます。

 この点、仮に、行為者が、技術開発の試験のために映画を上映していると称していたとしても、客観的、外形的な状況を踏まえますと、当該映画の上映を通じて、視聴者等の知的、精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けて上映行為が行われているとするのであれば、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為には当たらないとの認定がなされるものと考えられます。

小林(茂)委員 権利は守られるというふうに解釈をいたしました。

 新第三十条の四では、大量の写真等の著作物を用意してAIに学習させることが権利制限の対象になると理解しておりますが、この規定によって、これから先進的なAIの開発に取り組もうとする企業の法的なリスクを解消するものとなることを期待しております。

 そこで、一点確認いたします。

 AIの開発については、AIが学習するためのデータの収集と学習用のデータを用いたAI開発を複数の事業者の協業、分業で行うニーズがあると聞いておりますが、AI開発を行う第三者にデータを提供することも今回の改正案では可能となるのでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 委員お配りの資料の一番の上のポンチ絵にかかわるような話になるわけでございますけれども、著作権法の目的は、通常の著作物の利用市場であるところの人間が享受するための市場における対価回収機会を確保することにあると考えられますことから、今般の第三十条の四における享受は、人が主体となることを念頭に置いて規定をしております。すなわち、人工知能、AIが学習するために著作物を読むなどすることは、本条に言う著作物に表現された思想又は感情を享受することには当たらないものとの前提で規定を設けているところでございます。

 したがいまして、人工知能、AIの開発のための学習用データとして著作物をデータベースに記録する行為は、著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的としない行為に当たって、本条による権利制限の対象となるものと考えられます。

 また、収集した学習用データを第三者に、これは連携してやっていく場合でございますけれども、第三者に提供していく行為につきましても、当該学習用データの利用が人工知能の開発という目的に限定されている限りは、著作物に表現された思想又は感情を享受することを目的としない著作物の利用に当たって、本条による権利制限の対象となるものと考えております。

 もっとも、適法性を確保するためには、データの提供に当たりまして、データの提供者が提供を受ける者に対しまして、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的として使用されることがないようにあらかじめ確認をしているということが求められるものと考えられます。

小林(茂)委員 可能となるということでございます。

 続いて、新聞記事を資料三につけさせていただきました。「サイバー攻撃対策」という表題がございますが、この新聞記事、わかりやすく説明されておりますので、参考につけさせていただきました。

 文化庁の回答では、三十条の四では、ソフトウエアの調査、解析も今回の柔軟な権利制限の対象となるということでしたが、最近、サイバーアタックにより巨額のビットコインの流出が起こったとの報道もございました。社会の情報化の進展によって社会のさまざまな活動がネットワークを介して行われるようになっております今日において、サイバーセキュリティー技術の向上は、企業や個人のみならず、国家安全保障の観点からも重要であります。

 サイバーセキュリティー対策のために、ソフトウエアの調査、解析の過程で、ソフトウエアのいわゆるリバースエンジニアリング、つまりコンピューター用の言語を人間が理解できる言語に変換する処理を行う、このことは今回の柔軟な権利制限の対象となるのか、どのように条文を解釈したらいいのか、教えてください。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 改正案の取りまとめに先立ちまして、制度設計のあり方につきまして文化審議会で審議を行いました。平成二十九年の審議会の著作権分科会の報告書におきましては、表現と機能の複合的性格を持つプログラムの著作物、これにつきましては、対価回収の機会が保障されるべき利用は、プログラムの実行などによるプログラムの機能の享受に向けられた利用行為であると考えられると整理されております。

 改正案におきましては、これを踏まえまして法制化を行ったものでございまして、委員御指摘のリバースエンジニアリングと言われるようなプログラムの調査、解析目的のプログラムの著作物の利用は、プログラムの実行などによってその機能を享受することに向けられた利用行為ではないと評価されるものでございますので、新三十条の四の著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用に該当するものと考えております。

小林(茂)委員 AI開発を始め、著作物の市場を害さないさまざまなニーズに対応できることは望ましいと思います。

 一方、利用できる範囲が大幅に広がることによって、現在想像できないようなさまざまな行為も可能となってしまい、その中には、著作権者に不測の不利益を及ぼすようなことも出てくることにはならないでしょうか。

 今回の柔軟な権利制限規定が予測の難しい将来の状況変化に柔軟に対応するためのものであるならば、著作権者に許諾なく利用できる範囲を広げるという方向だけでなく、著作権者の利益を守るという方向でも柔軟な仕組みとしていく必要があると思いますが、これについてはいかがでしょうか。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 新第三十条の四におきまして権利制限の対象となります著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為につきましては、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益、すなわち、著作物に表現されました思想又は感情を享受しようとする者からの対価回収機会を通常害するものではないというものと考えております。そのために、当該行為によりまして権利者の利益が不当に害されることは基本的にはないものと考えております。

 もっとも、技術の進展等がございまして、現在想定されない新たな利用態様があらわれる可能性もございますし、著作物の利用市場もさまざま存在いたしますので、新三十条の四が対象とする行為によりまして著作権者の利益が不当に害されることがないように、著作権者の利益が不当に害されることとなる場合はこの限りではないとのただし書きを設けております。

 このただし書きによりまして、著作権者の利益を不当に害する行為につきましては権利制限の対象とならないものと考えておりますので、将来の状況変化によりまして著作権者に不利益を与えることがないように十分に配慮した制度となっているものと考えております。

 このようなただし書きを置くことは、著作権の制限に当たりまして著作者の正当な利益を不当に害しないこと等を条件とすべき旨を定めております国際条約でございますベルヌ条約等の要請に応えるという観点からも必要なものと考えております。

小林(茂)委員 安全面が用意されたということです。

 これに関連して、例えば、情報解析を行う者に利用してもらうために、販売されているデータベースを購入せずに無断で利用するということは認められるのでしょうか。教えてください。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 著作権者の利益を不当に害することとなる場合に当たるか否かは、他の規定、先ほどの三十五条の第一項等と同様に、著作権者の著作物の利用市場と衝突するか、あるいは将来における著作物の潜在的市場を阻害するかという観点から、最終的には司法の場で具体的に判断されることになります。

 この点、現行の四十七条の七でございますが、これは、電子計算機による情報解析のための複製は、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的とするものではなくて、著作権者の利益を通常害するものではないと考えられたことから、原則として権利制限の対象とすることとする一方で、情報解析を行う者の用に供するために作成されましたデータベースの著作物を複製する場合には、この当該複製が、当該データベースの提供に関する別途市場がございますので、その市場と衝突をし、著作権者の利益を不当に害することとなる可能性が高いと考えられましたことから、例外的に権利制限規定を適用しないこととした趣旨であると考えられます。

 新三十条の四におきましても、このような考え方は基本的には変わらないものと考えられますことから、著作権者が自己が著作権を保有する大量の著作物を容易に情報解析できる形で整理したデータベースを提供している場合に、当該データベースを情報解析を行う目的で著作権者に無断で複製する等する行為は、当該データベースの提供に関する市場と衝突するものとして、著作権者の利益を不当に害することとなる場合に当たるものと考えております。

小林(茂)委員 第四十七条の五を話題といたします。

 インターネットで無償で一般公開されている著作物だけでなく、市販の書籍などの商業的な著作物も対象となっているということですが、過度な利用がなされた場合、著作物の市場を大きく損なうことにならないか、教えてください。

中岡政府参考人 四十七条の五についてのお尋ねでございます。

 四十七条の五におきまして、著作物の外部への提供、提示は、所在検索サービスや情報解析サービス等の目的上必要な限度で行うということがございますし、また、その結果の提供等に付随する利用であるということ、さらに、軽微な利用であること、そして、権利者の利益を不当に害しないこと等の要件を満たした場合にのみ権利制限の対象となります。

 一番目と二番目の要件によりまして、著作物の提供は、検索により求める情報を特定したり、その所在を明らかにしたりするための情報を提供する行為や情報解析の結果を提供する行為の目的上必要な限度、すなわち、サービス利用者がこうした情報処理の結果が自己の関心に沿うものであるか否かを確認できるようにしたり、その信憑性、信頼性を証明したりする上で必要な場合に、その限度で情報処理の結果の提供等に付随して行われるものに限定をされまして、こうした目的を離れて独立して著作物の提供を行うことは認められません。

 また、三つ目、四つ目の条件、軽微な利用である、あるいは利益を不当に害しないという要件によりまして、表示される著作物の質、量等の面でも軽微なものであって、かつ権利者の利益を不当に害しないものに限られます。

 これらの要件によりまして、形式的には、所在検索や情報解析の結果とともに著作物が表示されるサービスでありましても、その表示等が一般的に利用者の有している当該著作物の視聴にかかわる欲求を充足することになって、そのオリジナルの著作物の視聴等に係る市場に悪影響が及ぶような場合は、例えば、言いかえれば、いわばコンテンツ提供サービスと評されるような場合につきましては、本条の権利制限の対象とならないものと考えております。

 このように、新四十七条の五におきましては、著作物の市場等に悪影響が及ぶような場合は権利制限の対象とならないように、十分な制度的な担保が図られてくるものと考えております。

小林(茂)委員 検索結果提供のことでございます。

 軽微な利用といった、これまで存在しなかった要件が設定されていますが、軽微利用は、現行四十七の六にある必要と認められる限度と同様のものであり、現在適法とされているインターネット検索のための結果の提供が、改正によって違法になるということはございませんか。

中岡政府参考人 現行の四十七条の六でございますが、インターネット検索サービスを対象とした規定でございまして、URLの検索結果の提供のために必要と認められる限度で著作物の送信を認める旨が規定されております。

 この条は、既に広く提供されておりました当該サービスにつきまして、当該サービスにおける著作物の利用の態様を踏まえて、その適法性を明確化するために制度の整備を行ったものでございます。

 具体的には、インターネット検索サービスにおきましては、検索結果といたしまして、ウエブサイトのタイトルやURLとともに、そのウエブサイト内の文章を数行程度、いわゆるスニペット表示をする、あるいはサムネイルと呼ばれる小さなサイズに縮小された画像を表示したりすることが慣行として行われておりました。

 現行の四十七条の六は、インターネット検索サービスの目的が、著作物の提供自体を目的とするものではなくて、利用者に著作物の所在情報を提供することによってオリジナルのウエブサイトへ誘導することを目的とするものであることと、それから、さきに申し上げましたけれども、著作物の利用態様を踏まえますと、このサービスのために必要な限度で行われる著作物の表示は軽微なものにとどまりますことから、著作権者の利益に悪影響を及ぼさないと判断をし、権利制限を行ったものであると考えられます。

 したがいまして、現行四十七条の六に規定する、インターネット検索サービスにおけるURLの検索結果の提供のために必要と認められる限度の利用は、新四十七条五の軽微の要件を満たすものと考えております。

 なお、四十七条の五におきましては、インターネットにアップされている情報に限らず、書籍とか映画とか音楽など、幅広い種類の著作物の検索サービス等を新たに権利制限の対象とするものでございまして、必要と認められる限度と書いただけでは、サービスの慣行も存在しない中で、著作物の表示が軽微なものにとどまることが担保されなくなってしまうことから、軽微という要件を明記することとしたものでございます。

小林(茂)委員 話題をかえますが、著作者に対して一定の対価を還元する、これを補償金というんですが、この補償金の徴収及び分配、どのような団体が担うのか、あるいはこの補償金額はどのようにして決定されるのか、教えていただきたいと思います。

林国務大臣 教育の情報化に関する権利制限規定の整備も盛り込んだところでございますが、学校の非営利教育機関における著作物利用の円滑化を図るために、授業の過程で使用するための著作物の複製と複数の教室を中継して行う遠隔合同授業のための公衆送信、これは権利制限の対象となっており、無許諾で著作物の利用を行うことができますが、Eラーニング等のための著作物の公衆送信は権利制限の対象となっておらないわけでございます。三十五条でございます。

 このため、Eラーニング等のための著作物の公衆送信について、権利処理上の課題等から円滑に著作物の利用が行えないとして、教育関係者から権利制限規定の整備等が要望されておりました。これを受けて、今般の改正案では、学校その他の非営利教育機関の授業の過程で行われる著作物の公衆送信のうち、現行法上、権利制限規定の対象となっていないものについて、一元的な窓口への補償金の支払いを条件として、新たに権利制限の対象とするものでございます。

 これにより、教育機関でのICT活用教育において、一定の補償金により権利者の得るべき正当な対価を還元しながら、円滑に著作物が利用できるようになり、ICT活用教育の推進及び文化の発展に資することが期待をされておるところでございます。

小林(茂)委員 最後の質問になりますが、教育の情報化の推進に関連して、教育政策の観点から質問いたします。

 特別支援学校に通う子供たちはさまざまなハンディキャップを抱えていますが、そうした特性を持つ子供たちの学びを豊かなものにするために、ICTの活用は有効なものと考えますが、文部科学省の取組、考え方について林大臣に伺います。

林国務大臣 特別支援教育におきまして、それぞれの障害の状態や特性等に応じてICTを活用するということは、各教科や自立活動等の指導においてその効果を高めることができる点で極めて有用であると考えております。

 公立学校におけるICT環境整備につきましては、教育のICT化に向けた環境整備五カ年計画、これは二〇一八年から二〇二二年度まででございますが、この計画に基づきまして、三クラスに一クラス分程度の学習者用コンピューターの整備に必要な経費も含めまして、単年度千八百五億円の地方財政措置を講じることとされております。

 さらに、文科省において、ICTを含めた支援機器等の教材の活用に関する調査研究、また、ICTを効果的に活用した指導方法に関する実践研究、教科書デジタルデータを活用した拡大教科書、音声教材等の普及促進等に取り組んでおるところでございます。

 引き続き、特別支援教育におきましてICTが効果的に活用されるよう、必要な取組を行ってまいりたいと思っております。

小林(茂)委員 時間の関係で質問できませんでしたが、先ほどの補償金の分配の部分、徴収、分配業務の適正性及び透明性を確保していくことが非常に重要であるということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 今回の著作権法の改正というのはさまざまな内容がございまして、大きく区分で分けても、デジタル化、ネットワークの進展への対応ということもございますし、あるいは、先ほども御質問ございました教育の情報化ということもございます。そして、障害者の情報アクセスの機会の充実、アーカイブの利活用促進、さまざま内容があるわけでございますけれども、時間も限られておりますので、私からまず、デジタル化、ネットワークの進展に対応した柔軟な権利制限というところについて何点かお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 先ほどの質疑でもさまざまございましたけれども、日本の著作権法というのは、今まで権利の制限規定というのはかなり個別具体的に書かれていたということもございまして、今、新しい技術というものがどんどん進展をしていく中で、こうした規定では新しいサービスの提供というものが阻害されてしまうのではないか、こういう大きな問題意識の中での改正だというふうに理解をしております。

 著作権法の改正、何度かこの文部科学委員会でも議論になりましたけれども、従来から指摘をされておりましたのが、例えば、アメリカでいくとフェアユースという考え方がありまして、公正な利用は著作権の侵害とならないんだということで、これは極めて柔軟性の高い規定だということでございまして、アメリカの中ではさまざま、司法によっていろいろな判例、判決等も出て、こうした考え方が確立をしていっている、こういうふうに理解をしております。

 ですので、今回の議論の中でも、そうしたアメリカのフェアユースのような柔軟性の非常に高い規定というものを設けるべきではないか、こういう指摘もあったというふうに理解をしております。

 しかし、必ずしも、日本の司法の実態等々も含めて、全く同じ仕組みを導入できるのかどうなのかという議論もあり、今回の改正といたしましては、そういう著作権者がこうむる不利益の度合いに応じて、グループ分けというか、文化庁の審議会の報告書では、第一層、第二層、第三層ということで、権利の侵害の度合いに応じていろいろな考え方があるんだということでグループ分けをしながら、柔軟性のより高い規定を置いたというふうに理解をしておるんですけれども、こうした柔軟性の高い規定を置くに当たっては、利用そして権利保護のバランスをどういうふうに図っていくのかということが大事だと思います。

 アメリカのフェアユースという考え方かというとそういうものでもない、しかし柔軟性の高い日本としての考え方というものを置いていると理解をしているんですけれども、まず冒頭、大臣に、今回の改正において、利用と権利保護のバランスというのをどのようにとるようにしたのか、これについてまずお伺いをしたいと思います。

林国務大臣 大事な御指摘をいただいたと思っておりますが、今、委員の御紹介していただいたフェアユースというのは、抽象度が非常に高い、こういうふうに一般的に言われておりますが、権利制限規定の対象となる行為の抽象度を高めた場合には、法が想定していなかった新たな著作物の利用行為にも対応できる、こういうメリットはある、こういうふうに言われておりますが、一方で、行為の適法性が司法判断によって初めて明らかになるということになりますので、法規範の予測可能性というものは低下をする、裁判をやってみなければわからない、法が想定する行動と個人が現実にとる行動との間に乖離が生じやすくなる、こういったデメリットもあると、両面指摘されておるところでございます。

 先ほどの米国のフェアユース規定は抽象度の高い権利制限の代表的な例かもしれませんが、これは、米国は御案内のように判例法に起源を持っておりまして、一定の要素を考慮した上で、公正な利用と認められれば権利者の許諾なく著作物を利用することを認める、一般的な、包括的な権利制限規定でございます。

 今般の我々の改正ですが、このフェアユースのような一般的、包括的な権利制限規定が我が国に適しているかどうかも含めて、どの程度抽象的な権利制限規定を置くことが我が国において最も望ましいかということについて検討してきたところでございます。

 先ほどの小林委員の御質疑のときにもお答えいたしたとおり、文化審議会で検討いたしまして、我が国の企業等の大半が、高い法令遵守意識と訴訟への抵抗感を有しておりまして、規定の柔軟性よりも明確性を重視している、それから、著作権に対する理解が国民に十分浸透していないことなどから、権利制限規定の柔軟性を高めると過失等による権利侵害を助長する可能性が高まること、我が国では法定損害賠償制度等がないために、訴訟しても費用倒れになることが多い、こういう問題があること、こういうことから、フェアユースのような一般的、包括的な権利制限規定の創設をしても著作物の公正な利用の促進効果はそれほど期待できない一方で、不公正な利用が助長されるという負の影響が予測される、こういうことが指摘されたところでございます。

 また、立法府と司法府の役割分担のあり方、罪刑法定主義との関係からも、フェアユースのような一般的、包括的な規定は望ましくない、こういうふうにされたところでございます。

 以上のことから、文化審議会では、現在の我が国の諸状況を前提といたしますと、フェアユースのような一般的、包括的な権利制限規定ではなくて、明確性と柔軟性の適切なバランスを備えた複数の規定の組合せによる多層的な対応を行うことが最も望ましいとされたところでございますので、今回の改正案では、文化審議会のこのような検討結果を踏まえて、権利者に及び得る不利益の度合い等に応じて行為類型の分類を行った上で、そのうち、通常、権利者の利益を害することがない行為類型、そして権利者の利益に与える影響が小さな行為類型については、それぞれ適切な柔軟性を持たせた規定を整備することといたしまして、これによって利用と権利保護のバランスをとった形で規定を整備したところでございます。

中野委員 ありがとうございます。大臣から大変に丁寧に、また非常にわかりやすく御説明いただいたかと思います。

 しかし、先ほどの大臣の御答弁の中からもやはりわかりますとおり、今回、非常に柔軟性の高い規定を置いた一方で、日本の企業はある程度明確性を求めるというふうな紹介もあったかと思います。

 そういう意味では、今回の法改正の中でもさまざま御指摘というか、こういうときはどうなんだということで私もいろいろ質問もいただいているところでございますので、少し制度の詳細なところについても御質問させていただければと思います。

 例えば、柔軟な適用が規定されるサービスの中で、今回、第一層、第二層というところが、審議会の報告書の中で二つやっておりますけれども、例えば所在を検索するようなサービスというものが一つ想定される類型として挙げられております。

 他方で、今まで、著作権法はかなり具体的な規定しか置いておりませんでしたので、例えば現行のインターネット検索、これも著作権法規定がございますけれども、どういうやり方かといいますと、例えば政令で、プログラムで自動的に行うタイプの検索に限ってそういうものを認めるですとか、かなり具体的な規定が今までかかってきたわけでございます。

 この新しい制度において、では情報検索といったときに、それはどうなるんだろうか、こういう自動的な検索、今までどおりこういうものしか認められないのか、あるいは、情報の入手方法というのは、そうではなくて、包括的な規定なんだから幅広く認めるということなのか、例えばこういう声がございますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。

中岡政府参考人 個別の条文の内容の話でございます。

 現行の第四十七条の六におきましては、インターネット情報検索サービスにおきまして大勢を占めておりました、いわゆるロボット型の検索エンジンによるサービスを権利制限の対象とすることとして、この条に規定します政令で定める基準におきまして、委員御指摘のとおり、情報の収集、整理、提供をプログラムにより自動的に行うということ等を定めたところでございます。

 他方、今度設けます新四十七条の五におきましては、所在検索サービスにつきまして、インターネット上の情報のみならず、書籍等、公衆に提供又は提示されている著作物も広く対象とすることとしております。今後、さまざまなサービスがこの条の規定によりまして実施されることを想定していかなきゃいけないということでございます。

 このサービスを実施する主体につきましては、新しい四十七条の五の一項及び第二項におきましても、現行の第四十七条の六のように、著作物の利用に当たりまして、政令で定める基準に従うべき旨を定めております。

 この政令で定める基準の内容につきましては、改正法の成立後、関係者の御意見も伺いながら検討してまいりたいと考えておりますけれども、まさに、先ほど委員御指摘のように、さまざまな情報を集める、例えば紙の書籍などアナログの情報につきましては、例えばプログラムによりまして自動的に収集することはできないということになりますので、情報の収集、整理及び提供をプログラムにより自動的に行うことを一律に義務づけるということは考えておりません。

 政令で定める基準の内容につきましては、今般の立法趣旨を踏まえまして、公正な利用の促進と権利者の正当な利益の保護のバランスに資するものとなるようにしてまいりたいと考えております。

中野委員 この第二層のサービスについてもう少しお伺いをしたいんですけれども、今、所在の検索のサービス、情報を解析するサービス、この二つが具体的に定められております。もう一つ、条文には号がありまして、その他政令で定める類型のサービスもございます。これは、お伺いをしたところ、政令の中身、現在まだ具体的に何を指定するというのが決まっているわけではない、しかし将来何か出てくるかもしれないから、そういうことに備えて政令規定は置くというふうなこともお伺いはしたんですけれども、これは具体的に、ではどういうことになったら定めていくのか、事業者の要望があれば、こういうサービスをしたいということがあれば、関係者の意見を聴取しながら検討していくのかどうなのか、ここの政令の定め方についてどう考えているのか、お伺いをしたいと思います。

中岡政府参考人 新たな四十七条の五の第一項第三号の政令についてのお尋ねでございます。

 これまでも、柔軟な権利制限規定を整備するに当たりましては、さまざまなニーズを文化審議会の方で調査して、それで整理をしてきたという経緯がございます。

 この政令につきましては、柔軟性を高めるという意味におきまして、今後どのようなサービスが出てくるかわかりませんので、そのときの状況に応じて、ニーズに応じて検討するということになろうと思いますので、文化審議会での検討を経て制定すること等を考えておりますけれども、その検討に当たりましては、御指摘のように、関係する事業者とか権利者等の意見を伺いながら、保護と利用のバランスのとれたものになるようにしていきたいというふうに考えております。

中野委員 もう一つ、これは全体的な話としてお伺いをしたいんですけれども、今回、柔軟な権利制限規定を置いたということでございますので、どういうものが行うことができるサービスなのかというのはかなり幅のあるものだというふうに考えております。今までのように明確に、こういうものであればできるんだということであれば、それをはみ出すサービスができないということがある一方で、今回のように、ある程度包括的な規定を置いておりますので、そうすると、これがその規定に果たして当たるのか当たらないのかということの判断が今までよりは少し難しくなってくるのかなというふうに思います。

 そうした中で、そこをはっきり余り決めない方がいいんだというふうな御意見ももちろんあるかと思いますけれども、例えば、いわゆる第一層の規定であれ第二層の規定であれ、著作権者の利益を不当に害する場合は、これはもちろんできないんだというふうな規定は置かれておりますし、そうすると、何が不当なのかということが今の段階ではよくわからないというふうなお声もございます。

 第二層でも軽微な利用はできるということでございますけれども、その軽微はどこまでなのか、これをどうやったらわかるのか、ビジネスをやっていくに当たって、そこが少し不安なんだというふうなお声もいただいたりいたします。

 他方で、余り細かく決め過ぎるとまた自由度が下がっていく、こういうジレンマもあるかと思いますけれども、こうした声もございますので、国としてどう対応されていくのかということを答弁願えればと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 このたびの改正につきましては、抽象度の高い要件が書かれておるわけでございますけれども、御指摘のように、法解釈の余地が大きくなるということがございます。

 このようなことの解決方法の一つといたしまして、ガイドラインの策定が有効な場面もあると考えられるところでございます。その点、文化審議会の著作権分科会でも指摘が既にされております。

 一方で、ガイドラインというのは、法の画一的な運用を促して、法の柔軟な運用をかえって阻害する場合もあるということで、そういう場合もありますので、そういう意味においてはジレンマがある部分ではありますが、あえてこれを定めずに、裁判外の紛争処理手続や司法手続における柔軟な解決を図る方が望ましい結果を導く場合もございます。

 したがって、ガイドラインの策定につきましては、さまざまな場面が想定されるわけでございますけれども、法の成立後に新設される規定を利用しようとされる関係者のニーズ等に応じまして、その要否、策定主体、策定プロセス、策定内容等につきまして判断されることが望ましいと考えております。文部科学省といたしましては、関係者のニーズや国に期待される役割等を踏まえまして、ガイドラインの整備に向けて取り組むこととしたいと考えております。

中野委員 文化審議会の報告書におきましては、今、第一層、第二層ということで二つ類型を定めましたけれども、それ以上に権利の侵害の度合いが大きいんじゃないかという類型として、第三層の類型というのも示されております。

 他方で、こうしたところに該当はすると思うけれどもサービスをやっていきたいというふうな声もあるわけでございまして、こうしたニーズがどんどん起こってきたときに、この第三層の部分、今後の検討課題ということでございますけれども、どのように検討していくのかということもあわせてお伺いできればと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の第三層につきましては、権利者に与える不利益が軽微ではなくて、権利者の利益と権利を制限することにより実現される公益との間に調整が必要な行為類型等として整理しております。その調整に関しましては、政策判断を要するものと考えております。

 今回の改正の中では、教育の情報化だとかアーカイブの充実のようなものを第三層として御提示しておりますけれども、この第三層に属する新たなニーズが生じました場合には、当該ニーズの内容や課題の優先度を踏まえながら、文化審議会に諮りつつ、政府として順次検討を進めて、必要な制度整備を速やかに行えるように取り組んでまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 柔軟な権利制限規定の部分だけでもかなりさまざま、やはりいろいろな御指摘もございますし、これからの施行という意味では、ガイドライン、先ほどあったお話も含めて、かなりいろいろな方の意見もまた聞きながら、しっかりやっていただきたいと思います。

 教育の情報化も少し質問したかったんですけれども、ちょっと時間ももうほとんどございませんので、最後に、障害者の情報アクセス機会の充実というところで一問だけ、厚生労働省に来ていただいておりますので質問させていただきます。

 録音図書など、障害者の方がさまざまな情報にアクセスをすることができる、これは非常に大事だと思います。著作権という意味での権利の整備の部分については、今回、受益者の範囲を広げましたので、これを措置することができたんですけれども、具体的にそれをどうやってつくっていくのか、あるいは、つくっていく方への支援ということ、アクセスできる情報をどんどんつくっていくということが大事でございますので、これはぜひ厚労省にしっかりと進めていっていただきたい、このように思いますけれども、答弁いただければと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 障害によって著作物にアクセスすることが困難な方の情報保障の観点から、著作物の音声化、点字化を進めていくことは重要であるというふうに考えております。

 現在、著作物の音声化、点字化につきましては、その多くが点字図書館で行われておりまして、厚生労働省においては、点字図書館の運営に係る費用につきまして、国がその二分の一を負担しているところでございます。

 また、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業というのがございますが、その事業におきまして、録音図書の作成に係る朗読奉仕員とかあるいは点字図書の作成に係る点訳奉仕員を養成する地方自治体に対しまして、国として財政支援を行っているところでございます。

 こうした取組によりまして、著作物の音声化、点字化について必要な支援を実施しているところでございまして、今後とも、録音図書や点字図書の普及を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

中野委員 以上で質問を終わらせていただきますけれども、厚労省、きょう来ていただいたのでぜひお願いしたいんです。

 そういった取組、非常に重要だと思うんですけれども、なかなか、財政的な制約もある中で、大きく前に進めていくということが非常に、地道にやっていくということだと思うんですけれども、これをどうやったらもっともっと加速して広げていっていただけるのかということは、ぜひいろいろな知恵も使っていただきたいと思いますし、また、我々政治の側からもまたしっかりと応援をさせていただきたい、このように最後にお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、日吉雄太君。

日吉委員 立憲民主党・市民クラブ、日吉雄太でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、著作権法の一部改正法律案についての質疑ではございますが、先日来問題となっております前川前事務次官の公立中学校での講演に関する調査問題、これについて幾つか確認をさせていただきたいことがありますので、まず先にそちらの質問をさせていただきたいと思います。

 先日の委員会で、名古屋の教育委員会に対し、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第四十八条一項に基づき助言を行ったとの発言がありましたが、具体的にどのような事実が助言の対象になったのでしょうか。いわゆる天下り問題で停職相当となった前川氏の講師としての選任自体が不適切だったのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の助言につきましては、今回、学校が外部講師として招いた前川氏が、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為により停職相当とされた方であるという事実関係を十分に調べることなく学校で授業の講師として招いたことについて、必ずしも適切であったとは言えず、もう少し慎重な検討が必要でなかったかとの認識を伝えたものでございます。

日吉委員 今の御発言ですと、講師の選定に当たり十分な検討が行われていなかったということですが、これは、調査票にあります、前川氏は、いわゆる天下り問題についてみずからが直接関与したことが認められ、省全体の責任者としての責任のみならず、本人みずからの非違行為を理由として停職相当とされましたが、校長はこの事実を認識されていたのでしょうかという問いに対して、辞任されたこと以上のことは知りません、このように回答したことを指してのことと理解いたしました。

 つまり、講師選任に当たり、停職相当の事実を把握していなかったことが助言の対象になっているわけです。

 しかし、そもそも適切な教育的配慮のもとで行われたかどうかについて懸念があったわけで、それは具体的には、道徳教材に否定的な発言をする前川氏が、道徳教育に関して学習指導要領に合致しないような発言をするのではないか、こういった懸念です。たしか先日、そのような答弁があったと思います。

 今、前川氏の講師選任について問題はなかったとのことでしたが、たとえ停職相当という事実を知らずに前川氏を講師に選任したとしても問題はなかったわけです。むしろ、道徳教育に否定的な発言をしているということを講師選任に当たり考慮していなかったのであれば、講師選任について十分な検討が行われていなかったという主張も、その是非は別として、ロジカルではあります。

 つまり、この助言は根拠を欠いたものではないでしょうか。調査した以上、何もなかったとは言えないので、取ってつけたように行っているようにしか思えません。本当に地教行法四十八条一項による助言が必要な内容でしたでしょうか。むしろ、文部科学省からの圧力に対して、名古屋の教育委員会の方が文部科学省に対して指導なりすべき内容ではなかったのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事案は、中学校の授業において講演を行った前川氏が、直近まで、文科行政の事務方の最高責任者として、その発言が教育行政に関して正当な根拠があると受けとめられる特別な立場にあったことから、影響力が極めて大きく、仮にその発言内容が学習指導要領と整合しない場合であっても、法令や学習指導要領の正しい解釈として受けとめられる可能性が極めて高いこと、また、いわゆる天下り問題等にかかわって、単に監督責任だけでなく、本人自身の違法行為をもって停職相当となった者であることから、特に心身の発達が途上段階にあり、必ずしも公正な判断を行う能力が十分に備わっていない中学生に対して授業を行うことについて適切な教育的配慮が求められること、本人の違法行為をもって停職相当となったことなど、これについて、一部にはこれを不適切と捉える向きもあると考えられることから、保護者の当該学校に対する信用に与える影響について十分な考慮が行われる必要があること、従来からこの三点を答弁させていただいておりますが、こういったことを考慮して行ったものでございます。

 そして、その結果、授業内容そのものについては学習指導要領等に反する内容はないということは確認をできたわけでございますけれども、ただ、講師をお呼びするに当たって、先ほど申し上げた、みずからの非違行為によって停職相当であったというような事実については御存じなかったということでありましたので、そういう点についてはもう少し対応をいただく必要があったんではないか、そういう助言を申し上げたということでございます。

日吉委員 教育的配慮というのが、以前の答弁の中で、道徳教育に否定的な発言、これを懸念した、これが学習指導要領に合致しない可能性があるというようなことを懸念したという発言があったと思いますけれども、これについて、この質問状の中では特に、道徳教育に否定的な発言をしていることを知っていますかというような質問はなかったんですけれども、それでもこれについて助言が必要だったのでしょうか。

高橋政府参考人 先ほど申し上げましたように、今回問合せをした一つの内容には、前川次官が停職相当というような、みずからの非違行為によってそういう評価を得ていたということについて知っていたかどうかということがございました。それについては、辞任されたことまでは知っていたけれども、それ以上のことは知らなかったということですので、これは広く報道等もされておりましたので、そういうことについてはもう少しお調べいただいて決めていただいた方がよかったのではないか、そういう助言を申し上げたということでございます。

日吉委員 辞任、停職相当というのは、それ自体が選任に当たって問題にならなかったのですから、そこ自体がこの助言の根本的な要因ではないのかなというふうに考えます。

 ちょっと次に行かせていただきます。

 林大臣は、前川氏の講演に関する調査について、やや誤解を招きかねない面もあった、表現ぶり等について十分留意する必要があると言いましたが、これは、今回の調査が、調査先において圧力と受けとめられかねない内容であったとの趣旨での発言でした。

 今回の調査は、物理的プレッシャーと心理的プレッシャーが強くかかる内容になっています。

 第一に、物理的プレッシャーですが、執拗に詳細な調査が繰り返され、膨大な作業を強いていることに異常さがあります。電話での問合せの後、メールでの調査が二回、このうち、一回目は十五項目の質問数、二回目は十一項目の質問数と、膨大な内容になっています。

 林大臣は、質問数自体が圧力になっているわけではないとおっしゃいましたが、質問数の多さも圧力の一つの要素になります。また、回答に当たっては具体的にや詳細にという言葉を頻繁に使っております。根掘り葉掘りといった印象です。

 第二に、心理的プレッシャーです。

 例えば第二回目のメールでの調査では、三月六日の八時三十五分に調査依頼したにもかかわらず、翌日の三月七日正午という極めて短い回答期限を設定しています。非常識ではないでしょうか。また、毎回追加確認の可能性を言及しています。同じことを重ねて聞いてもいます。一体いつまで調査が続くのか。まるで間違いを認めるまで延々と続けるのではないかと思うほどです。

 圧力とは、一般に、威圧して服従させようとする力と理解されています。まさに、たび重なる詳細な調査を続けることで威圧し、前川氏を講演会に招いたことは誤りだったと認めさせる、まさに服従させようとしていたのではないでしょうか。

林国務大臣 繰り返しの答弁になるかもしれませんが、今回の調査は、文部科学省として、法令に基づき適切、適正に行った調査でございます。

 調査における質問事項や質問内容については、あくまでも事実関係について内容を確認したものにすぎず、教育現場に不当に介入するものではないと考えておりますが、今触れていただいたように、書面全般の表現ぶりとしてもう少し留意する必要があったことから、やや誤解を招きかねない面もあった、こういうふうに注意をしたというふうに申し上げたところでございます。

日吉委員 では、ちょっとお尋ねいたしますが、林大臣は、今回の調査でやや誤解を招きかねない面もあった、このようにおっしゃいますが、私としては、やや誤解どころか圧力そのものと思いますが、林大臣の中で、やや誤解と、ややのない単なる誤解、そして圧力そのもの、この線引きはどのように考えられているのでしょうか。お答えください。

林国務大臣 国語の授業のような感じになっておりますが、書面全般の表現ぶりとしてやはりもう少し留意する必要があったということで、具体的に、ここの場でも、例えばバーに行ったくだりの表現ぶりについては、この報道等によって確認をしたということもあったことから、こういう部分についてというふうに例示をさせていただきましたけれども、そういうところもあるということで、全体的に、事実確認をしている部分がある中でそういうことがあったということで、やや誤解を招きかねない面もあった、こういうふうに申し上げたところでございます。

日吉委員 具体的に、誤解になる場合と圧力そのものになる場合、どのようなことを想定されているのか、ちょっとよくわからなかったんですけれども、もう一つ、法令にのっとって適切に調査が行われている、このようにおっしゃっておりますが、これは調査する権限があるというだけであって、地教行法第五十三条一項にある、必要があるときに必要な調査をするという規定にのっとっているかどうか、これは別の話だと思います。あくまでも、調査に当たって必要最小限の内容でなければなりません。

 先ほども述べましたが、たび重なる詳細な調査は明らかに行き過ぎた必要以上の調査と言わざるを得ませんが、これは法令違反にはならないでしょうか。

高橋政府参考人 御答弁する前に、先ほど私、名古屋市の授業について、指導要領に反する事実はないと断定的な答弁をいたしました。ちょっと手元に答弁がなくて、そういったちょっとラフな答弁になりまして恐縮でございますが、正確に申しますと、現時点で法令や学習指導要領に反する事実は確認できていないということでございますので、済みません、訂正をさせていただきます。

 それから、ただいまの御質問でございますけれども、今回はあくまで地教行法第四十八条に基づく指導、助言、援助を行う必要があるかを判断するために同法五十三条に基づいて事実確認を行ったものでありますので、法令の範囲の中で行ったものと認識をいたしております。

日吉委員 お手元に資料を配らせていただきましたが、文部科学省行政文書管理規則第十条、これについて少しお尋ねをさせていただきます。

 この十条の中には、ちょっと読ませていただきますと、「職員は、文書管理者の指示に従い、法第四条の規定に基づき、法第一条の目的の達成に資するため、文部科学省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに文部科学省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。」というふうになっております。

 今回の調査に当たりまして、決裁は局長が口頭で了解されたというふうに伺っておりますが、これは、この事案が軽微なものであるから書面を作成していない、このような説明をされたと思いますが、軽微である、この基準はどのように解釈すればよろしいのでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の文部科学省行政文書管理規則につきましては、内閣総理大臣決定であります行政文書の管理に関するガイドラインを踏まえて作成をしているところでございます。

 このガイドラインによりますと、委員お尋ねの「処理に係る事案が軽微なものである場合」につきましては、「事後に確認が必要とされるものではなく、文書を作成しなくとも職務上支障が生じず、かつ当該事案が歴史的価値を有さないような場合」とありまして、その具体的な事例といたしましては、「所掌事務に関する単なる照会・問い合わせに対する応答、行政機関内部における日常的業務の連絡・打合せなどが考えられる。」とされているところでございます。

日吉委員 一方、三枚目の第十一条のところを見ていただきたいんですけれども、こちら、「別表第一に掲げられた業務については、当該業務の経緯に応じ、同表の行政文書の類型を参酌して、文書を作成するものとする。」というふうにあります。別表第一は添付しておりませんけれども、この中に、二十六号で「調査に関する事項」ということが含まれておりまして、この調査というのは、今回の地教行法に基づく調査、これも含まれると解されるというふうに理解しております。ここで、第十一条で、調査についての文書を作成するものとしている。

 この第十一条の二項では、「前条」、前条というのは十条ですね、十条「の文書主義の原則に基づき、文部科学省内部の打合せや文部科学省外部の者との折衝等を含め、別表第一に掲げる事項に関する業務に係る政策立案や事務及び事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ等の記録については、文書を作成するものとする。」というふうになっておりまして、今回の調査におきましても、議員からの問合せ、こういった接触がございました。こういった打合せ、また、文部科学省内部でも打合せ等あったかと思いますけれども、そういった記録、これを御提出いただけますでしょうか。

高橋政府参考人 委員御指摘のように、今回の調査につきましては、別表第一第二十六号の「調査に関する事項」に該当するものと認識をしております。

 そのため、本件の経緯を時系列でまとめた文書、あるいは名古屋市教育委員会に対する質問状、同教育委員会からの回答文書等の必要な書類については適切に作成、保存をしているところでございまして、それらについては、既に、報道あるいは国会等においても提出をさせていただいているところでございます。

日吉委員 この「文部科学省外部の者との折衝等」というのに含まれております、今回、議員からの問合せにおいて質問項目を変更する、こういったことがございました。

 これは、ここに言う「事業の実施の方針等に影響を及ぼす打合せ」だったかと思いますけれども、こういった議員との打合せ、これについての文書を作成しなければいけないと思いますが、これは作成されているのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 その文書といたしましては、池田議員にお持ちする前の質問状とそれから名古屋市に送った質問状で、三点変更点がございました。その変更点を対照の形で文書でまとめたものを保存しております。

日吉委員 その結果は文書になっておりますけれども、なぜそこで変更したのかとか、どういう経緯でこういった問合せが行われたとかいうそういった具体的な内容を記載した文書、こういったものがいわゆる打合せ文書というふうにここで認識するんですけれども、そういったものはないのでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点では、そこまで詳細な文書というものはまだ作成しておりません。

日吉委員 では、今後作成されるという理解でよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 この文書管理規則の目的である、経緯も含めた意思決定に至る過程を合理的に跡づけ、又は検証することができるものとして、現在、文書をまとめております。

 なお、今後、必要に応じて情報の追加等が必要かは、検討してまいりたいと考えております。

日吉委員 ということは、今回の調査に至る経緯、どういう決定で、どういう判断で今回調査をするようになったのか、こういったことをまとめた書類を今後つくっていただける、御提出いただけると理解いたしましたので、よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 文書管理規則の目的である、経緯も含めた意思決定に至る過程を合理的に跡づけ、又は検証することができるに足るかどうかという観点から、今後、必要があるかどうかも含めて検討させていただきたいと思います。

日吉委員 こちら、十一条の第二項では、打合せの記録まで求めているんですね。それほど重要な内容、調査というものは重要なものですというふうにこの十一条二項では言っているわけですから、そういったことをしんしゃくしますと、この十条で言うとても軽微なものには該当せず、この意思決定に至る過程、こういったものを明確にしなければならない案件だというふうに考えますので、しっかりまとめていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、次の著作権制度について質問をさせていただきます。

 著作権と聞きますと、一般的に、法律によって規制をかけるというイメージが強いように感じられます。

 権利の保護と利用の促進を考えると、今後の著作権制度はどのように構築されるべきだと考えられますか。政府のお考えをお聞かせください。

林国務大臣 著作権法は、この第一条でございますが、「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」こういうふうになっております。

 すなわち、人々の創作意欲や努力によってつくり出される文化的な創作物につきまして、その無断利用が蔓延をいたしますと、創作者の創作意欲を損なって文化的な創作活動全体を阻害してしまうことになるために、著作物等の公正な利用に留意しつつ、創作者に対して無断利用を防止する権利を与え、対価回収の機会を確保することにより創作活動へのインセンティブを付与することによって文化の発展に寄与していこう、こういうことではないかというふうに思っております。

日吉委員 ありがとうございます。

 著作権物を扱う利用者にとって、少しわかりにくいことが多過ぎるのかなというふうに感じています。こういうふうに使用すると大丈夫ですが、こういう使い方をすると侵害に該当しますよといった利用行為の適正化が不透明であると思います。

 利用の促進を促すのであれば、この点を改善しなければならないと考えますが、政府としてどのように考えられているのか、お聞かせください。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 著作権法自体が非常に難しい法律でございますので、そこら辺についてきちっと国民に対してわかりやすく啓発をするということが必要だという御指摘だと思いますが、今回の改正におきましては、委員御指摘のものと同様の問題意識から、法の予測可能性と柔軟性のバランスをどうとるのかといったところで審議をして、きちっと検討してきたところでございます。

 しかしながら、今般の改正によりまして、現行に比べて抽象度が高い規定が導入されるということになりますので、法解釈の余地が大きくなるために法の予測可能性が低くなるということが考えられるわけでございます。

 この問題の解決方法といたしましては、柔軟な権利制限規定の運用が適切に行われるようにするために、まず、法が成立した後には、今般の立法趣旨及びその内容について、しっかりと周知に努めてまいりたいと考えております。またさらに、法解釈を明確化するためのガイドラインの整備が必要となる場合には、関係者のニーズや国に期待されている役割等を踏まえて、その整備に向けて取組を進めたいと考えております。

 また、著作権制度全体をきちっと国民の方々に浸透させるということも、この前提として非常に重要な部分でございますので、我々としてはしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

日吉委員 ありがとうございます。

 今回の改正の検討過程におきまして、平成二十八年度には、企業向けアンケート等、柔軟な権利制限の効果、影響に関する調査、これを実施し、平成二十九年四月には文化審議会著作権分科会報告書を取りまとめ、明確性と柔軟性の適切なバランスを備えた複数の規定を組み合わせることが適当とされたということでありますが、この調査などは適正に行われ、改ざんなどはないと断言していただけますでしょうか。また、議事録などの保管は適正に行われていることを断言していただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。

中岡政府参考人 このたびの改正に向けまして、さまざまなニーズを審議会の場におきましても拾い上げてきたところでございます。また、さまざまな団体につきまして、ヒアリングをしたり御意見を頂戴したということがございます。

 そういった積み重ねの中できちっとした議論がされてきたところでございまして、そういった中身につきましては、しっかりと審議会の報告書という形で外部に対して示しているというところでございます。

日吉委員 今のお話ですと、それでは、適正に行われ、改ざんはない、議事録は適正に保管されている、こういうことでよろしいですね。

中岡政府参考人 著作権分科会の審議の過程ではさまざまな御議論がございますし、その中での審議を踏まえて、最終的には報告書という形でしっかりと外に対して示しているというところでございます。したがいまして、我々といたしましては、その審議の中身につきまして、どういった意見が出てきたかといったところにつきましては、しっかりと外に対しても示しているというふうに考えております。

日吉委員 今の御発言で、特に適正に行われている、このように断言していただいたと理解をさせていただきます。

 時間がなくなってまいりましたが、最後に、これからますますデジタル化、ネットワーク化が進んでまいります。今回の改正で何年もつのかが心配されています。もしかしたら、ネットワーク上のシステムの変化で、すぐにもまた改正をしなければならなくなるといった事態も考えられますが、今回、ネットワーク化の進展に対応したある程度の柔軟性を持たせることは、権利の侵害に該当する部分で不透明さが拡大するおそれもあると思います。著作権にはなじまないものではないかとも考えますが、今回の柔軟性を持たせる意義について、もう一度、政府の御見解をお聞かせください。

林国務大臣 今般の改正によりまして、情報通信技術の進展等による時代の変化に柔軟に対応できるように、抽象度を高めた柔軟性のある権利制限規定として、先ほど来御議論いただいておりますように、著作物の表現の享受を目的としない利用等広く権利制限の対象とする規定、また、所在検索サービスや情報分析サービス等、電子計算機による情報処理の結果の提供の際、著作物の一部を軽微な形で提供する行為を広く権利制限の対象とする規定を整備することとしております。

 これらの規定により、権利制限の対象となる行為については、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益を通常害するものではない、又は著作権者に与える不利益が軽微なものであると考えておりますが、もっとも、今委員からもお話がありましたように、技術の進展は速いわけでございますので、現在想定されないような新たな利用態様、これがあらわれる可能性は否定できないところでございますし、著作物の利用市場もさまざま存在するために、これらの行為によって著作権者の利益が不当に害されることがないようにただし書きを設けておりまして、著作権者の利益が不当に害されることとなる場合はこの限りではない、こうしております。

 このただし書きによって、著作権者の利益を不当に害する行為については権利制限の対象とはならないものと考えておりますので、将来の状況変化によって著作権者に不利益を与えることがないよう十分に配慮した制度となっている、こういうふうに考えておるところでございます。

日吉委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきますが、前川氏の講演の調査問題につきましては、引き続き、お話を伺わせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 おはようございます。

 立憲民主党・市民クラブの山本和嘉子でございます。

 本日も質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。早速質問に入らせていただきます。

 まず冒頭、一昨日、四月四日に舞鶴市で行われました大相撲の春巡業で、土俵上で御挨拶をされていた京都府舞鶴市の多々見市長がクモ膜下出血で急に倒れられたということでございまして、そのとき、観覧の女性が土俵に上がって手当てをされたということなんですが、その様子を見た行司さんが、女性は土俵に上がらないでくださいということを何度もアナウンスされたということでございまして、女性二人によって、市長に対しまして心臓マッサージの救命措置が行われたということだったんですけれども、それはとても賢明な対応だったと思いますし、もし対応がおくれれば、市長の命は危なかったかもしれないんですけれども、すぐに相撲協会の八角理事長が、行司の対応が不適切だったとおわびのコメントを出されていますが、今までも、女性が土俵に上がる云々に関しましてはいろいろと議論があったかと思うんですけれども、この件に関しまして、林大臣、どうお感じになられますでしょうか。御所見をお願い申し上げます。

林国務大臣 一昨日の四月四日に起きたこの事案につきましては、その日のうちに日本相撲協会から謝罪文が発表された、こういうふうに承知をしております。その中で、これは八角理事長の謝罪文ということですが、応急処置のさなか、場内アナウンスを担当していた行司が、女性は土俵からおりてくださいと複数回アナウンスを行いました、行司が動転して呼びかけたものでしたが、人命にかかわる状況には不適切な対応でした、深くおわび申し上げます、こういう文面だというふうに承知をしております。

 いかなる状況でも、やはり人命、これは最優先されてしかるべきだ、こういうふうに考えておりまして、協会においては、適切な対応を心がけるとともに、再発防止に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

山本(和)委員 本当に、命に別状がないのが本当によかったと思います。この緊急措置があったからこそだと思うんですけれども、土俵に女性が上がれないということが相撲会の伝統だということはよくよくわかるんですが、こういった緊急の場合はその限りではないのかなとは思いまして、ちょっと特例措置といいますか、そういう緊急事態が起こった場合は女性が土俵に上がることの特例措置みたいなのを検討していただければなとは思うんですけれども、相撲協会に対しまして大臣からの御助言があればいいかなと思います。そのあたり、ぜひ御検討いただければと思います。

 では、今法案についての質問を進めさせていただきたいと思います。

 まず、デジタル化、ネットワークの進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備につきまして、幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法案は、著作物利用の円滑化を図り新しいイノベーションを促進するということと、柔軟な権利制限規定を整備するということが目的となっています。これは、例えばAIにディープラーニングをさせて、さまざまな著作物を含んだデータを利用していくことを前提として考えられたものなんだろうなとは思うんですけれども、その前提として、著作権者の利益を不当に害することがない場合に限るということを条文の中で繰り返し言われています。

 これは、権利者の不利益が生じないようにということを言っておられるのかなと思うんですが、具体的に、どのように権利者の不利益が生じる可能性があって、それが生じないようにと考えているんだろうと思うんですが、このあたりの御所見をお伺いします。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、AIの開発のためにAI学習用データとして著作物を利用する行為は、通常AIによる学習の深化を専ら目的として行われるものでございまして、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的とする行為には該当しないものと考えられますので、新三十条の四の適用を受けるものと考えております。

 一方、AIによる情報処理の結果として著作物を一般公衆に視聴させる場合には、この行為は、通常、視聴者等の知的、精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられるものと評価できるというものと考えられまして、そういった場合には本条の適用を受けないということになるわけでございます。

 そういったものまで許してしまいますと、まさに、著作権者の市場での著作物の流通に影響を及ぼすということになりますものですから、そういった著作者の権利を不当に害さないという観点で、そういうような解釈をしていくわけでございます。

 この新三十条の四により権利制限の対象となります、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない行為につきましては、著作物に表現された思想又は感情を享受しようとする者からの対価回収機会を損なうものではないということになるわけでございまして、著作権法が保護しようとしている著作権者の利益を通常害しないという、この条文上の整理になるわけでございます。

 さらに、新三十条の四が対象とする行為によって著作権者の利益が不当に害されることがないように条文上も手当てをしておりまして、著作権者の利益が不当に害されることとなる場合にはこの限りではないというようなただし書きを設けておりますことからも、著作権者の利益を不当に害する行為については権利制限の対象とならないものと考えておりますので、今後、いろいろなイノベーションが進展してまいりますが、将来の状況変化によっても著作権者に不利益を与えることのないよう十分に配慮した制度となっていると考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 著作権を利用する側を善意に捉えているということもあるんですけれども、悪意を持って利用することも考えられると思います。今後は、新しい分野なので、そのあたりは細心の注意を払っていっていただければなと思いますので、よろしくお願いしたいところでございます。

 引き続きまして、今後、AIの開発が進んでいって、それらを活用しようとするときに、AIがつくったものは著作権には今現状当たらないということなんですけれども、既存の、例えば有名な作家さんにそっくりの自動創作物、例えば絵画でありますとか音楽、作曲とかをAIがつくり出すというような段階に実際なった場合、著作権上の課題が生じるということが先々起こり得るのかなと思います。そうした段階で、権利者の権利をしっかり守っていくための仕組みというのがとても大切なものであるというふうに思います。

 現時点で、それらについてお考えになっておられるか、ちょっと教えていただければと思います。

中岡政府参考人 お尋ねの趣旨がちょっとはっきりしない部分がございますが、例えば、AIがみずから創作物をつくるということにつきましては、現行の著作権法におきましては、まさに人間が思想又は感情を創作的に表現するというものを著作物というふうにしております関係で、そういったものは著作権法上の著作物には当たらないというふうに考えられるわけでございます。

 いずれにいたしましても、今後、イノベーションが進展をいたしまして、さまざまな技術上の工夫ができるような余地が出てくるわけでございますけれども、文部科学省といたしましては、さまざまなそういった著作権の権利者に対します侵害があるとか、あるいはその利用行為をより活発化させるために、著作権者の権利との調整が必要であるというようなことが今後出てくるということが考えられます。そういった新たなニーズにつきましては、文化審議会の著作権分科会におきまして、必要に応じまして、ニーズを調査しながら法律的な手当てをしてまいりたいというふうに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今おっしゃっていただいたことに関連しまして、権利侵害についてなんですけれども、諸外国に日本は比較しまして、権利侵害が起こった場合の法整備というのが不十分なのかなというふうにも言われておりまして、著作権利用の促進をするのであれば、一方で、異議を申し立てる場を持てるような、裁判をしやすくするような工夫も必要なのではないかなと思います。

 例えば、先ほども言われておりましたが、アメリカでは、フェアユース拡大の前提として、集団訴訟や懲罰的な賠償制度など、権利者を守るための法整備が整っていると言われています。日本でこれらをそのまま導入することは、多分、大変難しいことだと思いますけれども、著作権の利用を進めていくには、法制度を始めとした環境整備も日本で進めていく必要があるのではないかと思います。こういったことはいかがでいらっしゃいますでしょうか。

中岡政府参考人 このたびの著作権法の改正につきましては、とりわけ柔軟な権利制限規定というものの整備をしていくわけでございます。

 それにつきましても、先ほど来大臣からも答弁がございましたけれども、我が国の法制度あるいは国民の考え方、さまざまな背景を十分勘案しながら決定をしてきているわけでございまして、今後、社会の状況変化を踏まえまして、さまざまな著作物利用のニーズが出てまいろうと思いますが、そういったものに的確に対応いたしまして、著作物の公正な利用を促進するための措置を講じる必要が出てきました場合には、今後とも、我が国の企業等の法令遵守意識や国民の著作権に対する理解の程度、あるいは我が国の損害賠償制度を始めとする司法制度環境等、まさに今御指摘があったところでございますけれども、そういったものを踏まえまして、規定の柔軟性を高めることが我が国にどのような効果と影響を及ぼすこととなるか、あるいは立法府と司法府の役割分担はどうあるべきかという観点からも、しっかりと検討していく必要があるというふうに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございました。ぜひそのあたりの検討を進めていっていただきたい、そのように思います。

 続きまして、教育関係に関連して質問を進めさせていただきます。

 既に、文部科学省が支援されています大学間連携共同教育推進事業の一環として、授業科目のEラーニング教材を幾つかの大学で分担して作成して、それらを共有して活用する取組も行われているとお聞きしております。

 また、公益財団法人の私立大学情報教育協会の報告によりますと、同協会の電子著作物相互利用事業では、教育水準の向上を目的として、大学と教員の間で、講義スライドや講義ノートや実験、実習の映像等の授業用コンテンツをウエブ上のシステムを通じて二千人弱の教職員が閲覧、相互利用を行っているということもあり、そういうことも含んで、例えば初等中等教育においても、学校や教職員が連携して、授業運営や生徒指導の注意点とか、さまざまなそういうコンテンツをウエブ上のシステムを使って閲覧する、そういう共同利用みたいなことが考えられますけれども、そういったことの中で、クリアしなければならない著作権の問題もあると思うんですが、そうした課題についてはいかがでいらっしゃいますでしょうか。

中岡政府参考人 学校の教職員が連携して、ウエブ上のシステムを通じて授業や生徒指導などのコンテンツを他の学校の教職員とも共同利用していくというようなことが念頭にあると思いますけれども、文化審議会におきます検討におきましても、教育関係者の方から、教員間や教育機関間での教材等の共有につきまして、権利処理手続上の負担があるという理由から、より教育に適した著作物を利用できない実態があることが述べられまして、教材等の共有につきましても、いわゆる権利制限の対象とすることが要望されてきたわけでございます。

 そこで、審議会におきましても、当否について検討を行ってまいりました。審議会におきましては、地理的環境に左右されない教育の質の確保のために一定の範囲で権利制限の対象とすることに肯定的な意見が示された一方で、教材等の共有と授業での利用とでは権利処理のための時間的余裕も異なるということですので、授業での利用と同列に扱うべきじゃないというようなことで、教材共有の公共性、必要性や権利者の利益への配慮の観点から、権利制限の対象とすることに消極的な意見もございました。

 そして、平成二十九年の審議会の報告書におきましては、教材の共有を権利制限の対象とするか否かにつきましては、共有の範囲によっては権利者に与える不利益が大きなものとなる、そして、民間の教材関係者との競合の問題が生ずることとなるために、教育上の必要性が認められるケースについてより詳細に吟味した上で、権利者に及び得る影響の度合いとのバランスについて更に考察を深める必要があるとされたところでございます。

 この点、教育分野に関係する権利者団体の三十七団体が加わります教育利用に関する著作権等管理協議会におきましては、現在、今般の法改正を契機といたしまして、教育機関における著作物の利用に関するライセンシング環境の整備に向けた検討が行われていると承知をしておりまして、こうした取組によって、教材の共有に係る著作物利用の円滑化が図られていくことも期待されるところでございます。

 今後、こうした取組の状況も見つつ、教育機関における教材の共有のための環境の充実が一層図られますよう、適切な方策についての検討を進めてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 いろいろと検討いただいているということなんですけれども、こういうことが進んでいけば、授業の効率化も進んで、先生方の多忙化解消にもつながるのではないかなと思います。

 ぜひ、こういう環境整備、教員同士が連携できる環境を整えていただく、そういうことを促進していただければと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいところでございます。

 引き続きまして、情報化に対応した権利制限等規定の整備なんですけれども、権利制限により、ワンストップ窓口に一定の補償金を支払えば著作物を適切に利用可能になるということなんですけれども、一元的な窓口への補償金の支払いについて、どういう主体からどのくらいの金額を集めようとお考えなんでしょうか。生徒たちへの新たな負担がふえないかということも懸念されておりますが、そのあたりを教えていただければと思います。

中岡政府参考人 今回の補償金の制度についてのお尋ねでございます。

 今般の教育の情報化に対応した権利制限規定の整備に当たりましては、権利者の正当な利益の保護に留意しながら、学校における著作物の公衆送信の円滑化を図るという法改正の趣旨を実現する観点から、制度の整備と運用を行っていくことが重要であると考えておりまして、補償金の額につきましても、その適正性を確保するための制度的な措置を講ずることとしております。

 具体的には、指定管理団体があらかじめ教育関係者の意見を聞いた上で補償金額を決定して、文化庁長官の認可を受ける必要がある、さらに、文化庁長官は、認可に当たって、非営利教育機関における著作物の利用円滑化を図るという第三十五条一項の趣旨、あるいは公衆送信に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ認可をしてはならない、さらに、文化庁長官は、認可に当たって、文化審議会に諮問しなければならないということを定めているところでございます。

 国といたしましても、制度の運用に当たりまして、今般の法改正の趣旨とか国内外の使用料や補償金額の相場、教育機関の教育機関関係経費に係る実用や著作物の利用ニーズを含め、教育関係者の意見が適切に把握、考慮されているか等の点を総合的に勘案して、適正なものとなっているかを確認した上で認可の判断を行う予定でございます。

 国内外の補償金額の相場についても参考にしていかなきゃいけないということでございまして、以上のことを通じて、あくまでも、これは教育関係者と権利者の間で議論をして、民民で適正な額となるよう議論をしていただくわけでございますけれども、認可に当たりましても、しっかりと文化庁としても見ていくということが必要だというふうに考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 しっかりそのあたりを見ていっていただけるということなんですが、できるだけ適正な価格で、負担にならないように御配慮をお願いしたいところでございます。ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

 次に、補償金のワンストップ窓口である徴収分配団体についてお伺いをいたします。

 団体の組織について、いかにして、先ほどもお話ありましたけれども、公平性や透明性を維持して運用されるのかが重要ではないかなと思います。補償金の金額の設定についても、もう御答弁いただいておりますが、教育関係者の意見、権利者、それぞれの意見も聞かなければならないということを条文にも示されておるところでございます。

 権利者団体と教育関係者の調整を行う、その辺の公平性が保てるのかも懸念されていますけれども、公平性を担保するためにどのような運営ルールをつくっていかれるのか、御所見をお伺いしたいと思います。

 文化庁長官にとっては、慎重にこの団体を指定する必要があると思います。きちんと国が監督していくべきだとも思いますので、そのあたりもあわせてお聞かせください。

中岡政府参考人 委員御指摘のとおり、補償金徴収分配業務の適正性、透明性を確保されるということは、権利者が得るべき利益を適切に還元をして、また、教育関係者からも御理解を得ながら、補償金制度の信頼を維持するというために非常に重要だというふうに考えております。

 このため、まず、補償金の徴収分配団体につきましては、文化庁長官が指定を行う際の基準といたしまして、補償金請求権の対象となる公衆送信が行われる著作物、実演、レコード、放送及び有線放送につきまして、それぞれの権利者を構成員とする団体であって、当該権利者の利益を代表すると認められる者が構成員となっているものであること等の要件を満たすこと等を定めております。

 また、指定管理団体に、補償金の分配に関する事項を含む補償金関係業務の執行に関する規程の文化庁長官への届出義務を課すということ、さらに、指定管理団体の補償金関係業務の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、文化庁長官が指定管理団体に対しまして、報告の徴収や改善のための勧告等を行うことができる旨について規定しております。

 文化庁といたしましては、これらの措置等を通じまして、業務の適正性、透明性の確保にしっかり努めてまいりたいと考えております。

山本(和)委員 新しい仕組みづくりということで、いろいろと検討事項が多くあるかと思います。透明性、公平性でもってきちんと運営がなされるようにお願いしていきたいところでございます。

 続いて、補償金の分配についてもお伺いしたいと思うんですが、補償金について、どのように権利者に分配するかということは、権利者と利用状態とをきっちり把握して、権利者に対してどのように支払いを行うのか、そのあたりをちょっと具体的に教えていただければありがたいなと。以前から、JASRACとかでもこの部分が結構係争になっているのかなと思いますし、明解で丁寧な対応が必要だとも思います。そのあたり、いかがでいらっしゃいますでしょうか。

中岡政府参考人 このたびの改正につきましては、教育現場で著作物を利用していくという行為になるわけでございます。

 この著作物といいますのは、教育現場で多種多様なものが扱われていると思いますので、権利者への補償金の分配の参考とするために、一部の教育機関にサンプリング調査の協力が求められることも想定されるところでございますが、その具体的な方法につきましては、調査負担が過大なものとならないように、教育関係団体の意見をよく聞いて定められることとなると考えております。

 なお、学校等における著作物利用にかかわります補償金つき権利制限を導入している国等におきましては、補償金等の分配に当たり、利用実績のサンプリング調査を行っているものもあると承知をしております。

 文化庁としても、制度の趣旨を踏まえ、教育機関が円滑に著作物を利用できるような形で補償金制度が運用されるよう、適切な助言等を行ってまいりたいと考えております。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 適切に運営されるよう制度設計をよろしくお願いしたいところなんですが、ちょっと時間がなくなってきたんですけれども、教育関係、もう一つ、同時双方向型の遠隔授業と遠隔合同授業についてお聞きしたいと思います。

 権利者の許諾なく著作物を利用することが認められている同時中継著作物の公衆送信について、それぞれに生徒がいる二つの教室での遠隔合同授業であれば現行法のまま無償である、でも、本法案では、配信側に生徒がいない状態である同時双方向型の遠隔授業についての公衆送信は有償であるというふうにあります。

 一方に生徒がいるかいないかで権利制限が変わってくることの意味と違いは何なのかなと思いまして、済みません、素朴な疑問なんですが、教えていただけませんでしょうか。

中岡政府参考人 既に、教育におきまして著作物を利用することにつきましては、古くは昭和四十六年に、例えば、その当時はガリ版で教材を刷って先生方がお配りになるというような時代だったと思うんですけれども、そういう中で、教育課程の実施に当たりまして、そういった著作物を利用することについては無償で利用できる、無許諾で利用できるというふうにしておるわけでございます。

 それにつきましては、更に遠隔の合同授業についても同様の措置が講じられてきたわけでございますけれども、今回、新たに無許諾で行われるようになる公衆送信につきましては、全て補償金の対象とすることとしております。

 文部科学省といたしましては、権利者の不利益に配慮する観点からは、本来的にいずれの行為も補償の対象とすることが適当、それぐらい時代の進展があったというふうに考えておるわけでございますが、教育関係団体からは、現在無償で行える行為は無償を維持してほしいという要望が示されておりまして、教育現場の混乱への配慮の観点から今回の案を採用することとなったということでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 著作物の権利者に支払うことも大事だとは思います。一方で、先ほどから何度も申し上げておりますが、教育費負担がふえないようにすることも大切だと思います。将来的に両方の課題が解決されるようなことになってほしいと感じております。

 済みません、ちょっと時間がなくなったので、これで終わります。ちょっとほかの質問ができなくて、通告していましたのに申しわけありません。

 ありがとうございました。

冨岡委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 私は、希望の党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。ちょうどお昼の時間にかかりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、著作権の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 著作権の歴史というものは、明治二年に、日本の場合、さかのぼっておりますけれども、一口に著作権と言いましても、音楽、写真、映画、論文、小説、また新聞など、本当にさまざま多岐にわたる分野がございます。

 以前は、著作権という分野は、私たち一般の国民にとっては、日々の生活で余り意識することのないものであったと思いますけれども、近年、デジタルネットワークの進展によりまして、本当に国民生活に身近に、急速に身近なものとなったというふうに認識をいたしております。その意味で、著作権を取り巻く環境というものが大変目まぐるしく変化をして、今後も一層この流れが加速するということが予想されております。

 これまでの著作権制度につきまして、簡単に、我が国の歴史においての著作権の取組につきまして御説明いただければと思います。

林国務大臣 著作権法につきましては、著作物の利用方法の変化や社会状況の変化、政府の知的財産戦略等を踏まえまして、権利保護と利用の円滑化とのバランスをとりつつ、適宜必要な制度の見直しをこれまで行ってきたところでございます。

 近年のデジタルネットワーク技術等の進展を踏まえた改正といたしましては、インターネット情報検索のための複製、電子計算機による情報解析のための複製等、これは平成二十一年でございます、また、著作物利用に係る技術開発等の試験のための利用、平成二十四年改正でございます、こういうものに関しまして利用を円滑化する権利制限規定を整備するほか、平成二十六年には、インターネット上に出回っている海賊版を出版権者がみずから差しとめることができるよう、電子書籍に対応した出版権の整備等を行ってまいったところでございます。

西岡委員 今大臣からも御説明がございましたように、これまで著作権法というのは、時代の変化、ニーズに合わせまして随時改正、整備が行われてきたことでございます。

 現行の著作権法が公布されましたのは一九七〇年でございます。その後、改正を現在まで続けているわけでございますけれども、そのときの大きな柱としては、著作権の権利の保護という柱と公正な利用の促進というこの二つの柱が、両方を見据えながら改正が行われてきたと理解をいたしております。

 著作権の利用の保護に関する改正につきましては、大臣からも概略御説明がありました。一九八〇年代の貸与権、プログラム、データベース。また、一九九〇年代の私的録音録画補償金制度、公衆送信権、送信可能化権、譲渡権、技術的保護手段、権利管理情報というのがございます。また、二〇〇〇年代に入りますと、実演家の人格権、音楽レコードの還流防止措置、罰則の強化というものが改正で行われてきました。また、二〇一〇年代になりますと、違法送信からの録音、録画を対象としたもの、また電子書籍に対応した出版権というものがございます。

 また一方、公正な利用の促進面における改正は、一九九〇年代の情報公開との関係。また、二〇〇〇年代におきましては、視聴覚に障害をお持ちの方の利用の機会の拡大、また教育関連のもの。二〇一〇年代におきましては、図書館の関係、ICT利用の円滑化、また一般規定関係の改正というものが行われてきたところでございます。

 特に、今まで質疑でもあっておりますけれども、デジタル化、ネットワーク化の進展に対応した著作権の改正というものが近年は行われてきたというふうに思っております。

 このような流れの中で、今までの質疑と重複するところもあるというふうに思いますけれども、今回の著作権改正の意義というものを御説明いただければと思います。

林国務大臣 今委員から、著作権法の歴史とでもいうべき御紹介がございました。私も、党で実はコンテンツ促進議員連盟というものの事務局長をやっておりまして、映画盗撮防止法などは一緒にやらせていただいたというふうに今思い出しておったわけでございます。

 今回お諮りしております著作権法の一部を改正する法律案は、デジタルネットワーク技術の進展により新たに生まれるさまざまな著作物の利用ニーズに的確に対応するために、著作権者の許諾を受けるべき著作物の利用行為の範囲を見直すことで、情報関連産業や教育の過程における著作物の利用、障害者のための著作物の利用、さらには美術館等におけるアーカイブの利活用のための著作物の利用、こういったものをより円滑に行えるようにするものでございます。

 これにより、今委員からお話がありましたが、著作権等の保護と著作物の公正な利用が促進されることになりまして、よってもって我が国の文化の発展に寄与するもの、こういうふうに考えておるところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 林大臣の今回の提案理由の中にも述べられておりますけれども、その中で、文化芸術立国、知的財産立国の実現ということが大臣の説明の方で述べられておりますけれども、その充実というのは極めて重要なことであるというふうに思っております。

 文化芸術というものは大変我が国にとって大切な分野であるというふうに思いますし、著作権の権利者の権利利益の保護というものも、これから文化芸術立国として日本が立っていくときに、大変重要な側面であると思っております。特に、グローバル、ボーダーレスの情報通信の進展の中で、大変重要なことであるというふうに認識をいたしております。

 また、この著作権法というのは、国内だけにとどまらず、今申し上げましたグローバル、ボーダーレスの時代の中で、国際的な協調の必要性というものもこれからどんどん重要性が増してくるというふうに考えております。その意味では、著作権のあり方を考えるときに、権利の保護と円滑な利活用のバランスというものが大変大切だというふうに思っております。

 このことにつきまして、バランスのとり方につきましての大臣の認識と、また、今後、著作権行政について文科省としてどういう方向性で取り組んでいかれるのかということについてお尋ねをいたします。

林国務大臣 現在、我が国では、ビッグデータや人工知能、AI等の第四次産業革命に関する技術を活用したイノベーションの創出が大変期待されておるところでございますが、現行法の権利制限規定には要件が一定程度具体的に定められているものがございまして、その要件から外れるような新しい利用方法が生まれた場合に著作権侵害となるおそれが指摘されてきたところでございます。

 こうした状況を受けまして、産業界等から、イノベーションの創出のために、新技術を活用した新たな著作物の利用にも権利制限規定が柔軟に対応できるようにすることが求められてきたことから、抽象度を高めました柔軟性のある権利制限規定を整備することとしたものでございます。

 今回の改正案は、いわゆるアメリカのフェアユースのような一般的、包括的な権利制限規定ではなく、権利者に及び得る不利益の度合い等に応じて行為類型の分類を行った上で、そのうち、通常、権利者の利益を害することがない行為類型、それから、権利者の利益に与える影響が小さな行為類型につきまして、それぞれ適切な柔軟性を持たせた規定を整備することといたしまして、こういうやり方をすることによりまして、今委員からお話がありましたように、利用と権利保護のバランスをとった形で規定を整備させていただいたところでございます。

 今後、我が国の社会状況に変化が生じた場合は、改めて、その状況を踏まえて、著作権法における権利の保護と利用のあり方について考えていかなければならない、こういうふうに思っております。

 そもそも著作権制度は、創作者に対して無断利用を防止する権利を与えて対価回収の機会を確保することにより創作活動へのインセンティブを付与する、こういうことで文化の発展に寄与する、こういうことで、大変に我が国の文化の発展の基盤となる仕組みだ、こういうふうに考えておるところでございますので、こうした著作権制度の重要性を踏まえて、権利の適切な保護と利用の円滑化のバランスをとることによって文化の発展に寄与するという著作権法の目的にのっとって、今後生じ得る社会の変化に応じて、制度の整備や著作物の流通環境の整備等を適時適切に行ってまいりたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 大臣が今申されていましたことは大変重要なことだというふうに私も思っております。

 これまでも、著作権の改正に当たりましては、文化審議会著作権分科会におきまして、今回の改正につきましても二年間議論が、検討がなされてきたというふうにお聞きをいたしております。当然、この改正に当たりまして、この分科会の中には関係業界団体の方も参加されております。どのような御議論があったのかということをお聞かせいただきたいということ。

 関連いたしまして、先ほどからもお話があっておりますフェアユースの制度の問題につきましても、日本版フェアユースの導入につきまして、過去、二〇〇八年の分科会から議論をされてきた経緯があるというふうにお伺いをいたしておりますけれども、そのこともあわせてお尋ねをいたします。

中岡政府参考人 これまでの審議会での議論の経緯でございますけれども、その中でどういう御意見があったかということでございます。

 とりわけ、フェアユースのことにつきましては、権利を守るということと円滑な利用を図るということと、どのように折り合いをつけていくかということが非常に難しい調整の場になるわけでございますけれども、そのためにも、著作権等の制度や実務について識見を有する学者や弁護士、権利者団体、利用者団体の代表者が委員として参加する文化審議会の著作権分科会という場で検討をしてきたわけでございます。

 文化審議会の著作権分科会の報告書の取りまとめに向けましたパブリックコメントというのをしておるわけでございますが、柔軟性のある権利制限規定の整備に関しましては、フェアユースなどの一般的、包括的な権利制限とは異なる制度の導入を提言した点については評価する意見が寄せられたものの、柔軟性のある権利制限規定の導入によって、既存の権利ビジネスへの悪影響や権利者に不当な不利益が生じるのではないかといった懸念も示されたところでございました。

 また、ICT活用教育に関します権利制限規定の整備に関しましては、ヒアリングにおきまして、権利者から、権利制限規定の拡充に対します消極的な意見や、権利制限規定の整備に当たって、権利者の得るべき正当な利益についての配慮を求める意見、さらには教育機関における著作権法に関する研修等の徹底を求める意見等が示されたところでございます。

 このような検討の過程で寄せられました権利者の懸念にも配慮しながら、審議、検討を行ってまいったわけでございますけれども、その結果、文化審議会著作権分科会においては、特段の異議なく報告書として取りまとめられたところでございます。

 今般の政府案は、こうして長い間かかって取りまとめられました報告書に基づいたものとなっておりまして、権利者の利益を不当に害することのない制度としているところでございます。

 また、検討の過程におきまして権利者から示された懸念を踏まえまして、法が成立した後に、適切な運用環境を確保するために、著作権法に関する普及啓発に取り組むということと同時に、関係者のニーズや国に期待される役割等を踏まえまして、ガイドラインの整備に向けて取り組むこととしたいと考えております。

西岡委員 今、ガイドラインという言葉があったんですけれども、ちょっと後で質問しようというふうに思っていたんですけれども、今回の改正を受けまして、このガイドラインをつくるということが大変重要だというふうに思っております。

 以前の改正におきましてもガイドラインというものがつくられたというふうに思いますけれども、このガイドラインにつきまして、今後の方針等ございましたら教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 ガイドラインにつきましても本日いろいろ御議論が出ておりますが、抽象度の高い規定を今回整備するわけでございますので、法解釈の余地が大きくなるために、権利制限の対象となるか否かに関する予見可能性が低くなるということが考えられます。

 この問題の解決方法の一つといたしまして、ガイドラインの策定といいますものが有効な場面もあると考えられるところでございまして、その点、文化審議会の著作権分科会でも指摘されているところでございます。

 一方で、ガイドラインは、法の画一的な運用を促して、法の柔軟な運用をかえって阻害する場合もあるということで、ある意味、両面を持っております。あえてこれを定めずに、裁判外紛争処理手続や司法手続における柔軟な解決を図る方が望ましい結果を招く場合もございますので、文部科学省といたしましては、法の成立後、関係者のニーズ、あるいは国に期待されております役割等を踏まえまして、必要なガイドラインの整備に向けてしっかり取り組んでいくというふうに考えております。

西岡委員 今お話がございました、柔軟性を高めることのメリットと、反面、法規範が大変不明確になるデメリットというものが一方であると思います。

 先ほど質問の中でも出ましたけれども、三十条の四、著作権に表示された思想又は感情の享受を目的としない利用という、大変概念的な、解釈がどのようにでもできるような規定がございますので、ある一定の基準と申しますか、ガイドラインというものはやはり必要なのではないかというふうに思っております。

 メリットもデメリットもある中で、審議会の方で議論を重ねられてきたところで今回の改正ということになったというふうに思いますけれども、その中で、イノベーションの創出促進ということがその効果として挙げられておりますけれども、ちょっと先ほどの質疑とも重複いたしますけれども、イノベーションの創出というところにつきまして、具体的に御説明をいただければと思います。

中岡政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案は、AIやビッグデータを活用したイノベーションにかかわる著作物の利用ニーズの中で、著作物の市場に大きな影響を与えないものにつきまして、相当程度柔軟性を確保する形で、著作物の利用の円滑化を図るものとなっております。

 具体的には、今回の改正案によりまして、AI開発のための深層学習、さらにサイバーセキュリティー確保のためのソフトウエアの調査、解析、あるいは書籍の検索サービスなど多様な情報の所在の検索サービス、論文の剽窃の検証サービスなどコンピューターによる情報解析の結果を提供するサービスなど、通常、権利者に不利益を及ぼさないもの、若しくは権利者に及ぼし得る不利益が軽微なものにとどまる形で著作物の利用行為が行われるさまざまなサービスの提供が可能となってくるわけでございまして、こういったことはイノベーションにつながっていくものと考えております。

 今回の改正によりまして、第四次産業革命のためのイノベーションに我が国の企業が安心してチャレンジできる環境が整うことになり、我が国の産業競争力の強化に大きく資するものと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 次に、教育の分野についての質問をさせていただきます。

 教育の情報化に対応した権利制限規定についてお尋ねをいたします。

 ICTの教育分野での活用というものは大変今重要であると認識をされております。学校の授業や予習、復習のために、また、教師が他人の著作物を用いて作成した教材をネットワークを通じて生徒の端末に送信することが許諾なく行われるという今回の改正でございます。

 従来、対面授業のために複製することや、対面授業で複製したものを同時中継の遠隔合同授業のために公衆送信することは無許可で可能であったわけでございますけれども、その他の公衆通信については権利者の許諾が必要であり、このことに教育関係者からの円滑な利用を促進する要望があったというふうに聞いております。

 スタジオ型のリアルタイム配信授業も可能になり、ICT活用教育、特に遠隔教育推進に大きく資するものであると考えます。子供たちがどこに住んでいても、また家庭の環境にかかわらず、また障害の有無にかかわらず、ひとしく質の高い教育を受けることができるという意味でも、ICTを使った教育、また遠隔教育というものは大変これから重要な意味を持つというふうに思っております。遠隔教育につきましては、諸外国に比べまして我が国は大変おくれているというふうに言われておりますけれども、今回の改正がその推進に資するものであるというふうに思っております。

 諸外国におけます遠隔地教育の実情と、今後の推進のための日本における課題について、これはちょっと通告をいたしておりませんけれども、もしお答えいただける範囲で遠隔教育につきましてありましたら、よろしくお願いいたします。

中岡政府参考人 委員御質問の、諸外国でもこういった著作物利用につきまして権利制限があるかどうかということでございますけれども、例えばイギリスにおきましては、権利管理団体とのライセンス契約による利用をしていくというようなこと、また、ライセンス契約外の著作物は権利制限で利用可能となるというようなことが実際運用されているところでございますし、オーストラリアとかフランス、ドイツにつきましては、今回私どもが導入しようとしているような補償金つきで権利制限をしているというような例がございます。

 したがいまして、そういった諸外国の例が進んでいるという先ほどの御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、我が国でのICT教育を更に一層進めるという観点からも、諸外国と同様に、こういった補償金つきの権利制限規定を設けることとしたというふうになったところでございます。

西岡委員 申しわけございません、通告をしておりませんでしたけれども、ちょっと遠隔地教育のことで諸外国についてお尋ねをさせていただきました。

 今お話がございました、授業目的の公衆通信補償金制度につきまして質問をさせていただきます。

 従来から、私的録音録画補償金制度というものがございました。これは、メーカーの協力によりまして、機器、媒体の価格にあらかじめ上乗せをしまして支払っているものでございますので、私たちが日ごろ意識することが余りないという制度でございました。

 今回、この教育目的の補償金制度が新設をされます。

 先ほどちょっと質問ございましたけれども、このワンストップ補償金支払いの制度設計、全体像、また、先ほどいろいろお答えございましたけれども、その中で、補償金の額については民民でそれぞれで話し合っていただくということでございましたけれども、大体、このような補償金制度の場合、どれぐらいの金額を想定されておりますでしょうか。よろしくお願いいたします。

中岡政府参考人 今回、ワンストップサービス、補償金の支払いの仕組みをつくるということでございまして、それを全国で一の団体に限り文化庁長官が指定をして、補償金の徴収に当たっていただくということになるわけでございます。

 これにつきましては、今御関心のところは、まさにその徴収される補償金がどれぐらいの額になるかということでございますけれども、先ほども御答弁申し上げておりますが、やはり、権利者の正当な利益の保護に留意しながら学校等における著作物の公衆送信の円滑化を図る、そういったところを両方にらんで運用していくということが必要でございます。

 このために、制度的な措置といたしましては、指定管理団体があらかじめ教育関係者の意見を聞くということをした上で補償金額を決定して文化庁長官の認可を受けるということで、認可制を入れるということがございます。また、文化庁長官は、認可に当たりまして、非営利教育機関における著作物の利用円滑化を図るという三十五条第一項の趣旨、あるいは公衆送信に係る通常の使用料の額その他の事情を考慮した適正な額であると認めるときでなければ認可をしてはならない。さらに、文化庁長官は、認可に当たって文化審議会に諮問しなきゃならないというようなことで、その適正性を確保しようとしていくわけでございます。

 先ほどお尋ねの額の問題でございます。

 この制度あるいは額の問題につきましては、小林委員の方からも先ほど御質問があって、私ども、ちょっと答弁できなかった部分がございましたが、例えば諸外国の補償金の水準を申し上げますと、英国及び米国においては、無償の権利制限規定及び包括的なライセンス体制が整備されている。あるいは、豪州、いわゆるオーストラリア、フランス、ドイツにおきましては、補償金つきの権利制限規定及びライセンス。韓国においては、補償金つきの権利制限規定があるわけでございますけれども、このように、さまざま、そういった権利制限はあります、制度はありますけれども、その金額は国によってさまざまでございます。

 認められる利用行為の範囲も異なりますけれども、例えばという話でお聞きいただければと思いますが、オーストラリア、フランス、ドイツ、イギリスにおける書籍、本にかかわります補償金等の額は、生徒等一人当たり年間数百円から千数百円の間になっているというふうに理解しております。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほどからもあっておりますけれども、この補償金制度につきましては、公平性そしてまた透明性というものが大変大切だというふうに思っておりますので、今後また、いろいろ関係の皆さんの意見をよく聴取した中で進めていただきたいというふうに思います。

 次に、障害を持たれている方の情報アクセスの機会の拡充についてお尋ねをいたします。

 現行法でも、視覚に障害をお持ちの方のための書籍の音訳などは許可なく可能であったわけでございますけれども、マラケシュ条約締結のために必要な規制整備という面も今回の改正にはあるというふうに聞いております。

 受益者の範囲拡大を今回の改正でして、肢体不自由のために書籍を読むことが困難な方も広く対象とされるということになります。肢体不自由の方という明記がございますけれども、この対象になる範囲というものにつきまして、どういう方が対象に、肢体不自由の方以外になられるのかということがもしありましたら、教えていただきたいと思います。

中岡政府参考人 我が国におきましては、視覚障害の方々に対しまして、既に権利制限規定を適用しておるわけでございますけれども、このマラケシュ条約の関係で、その担保法として、今回、肢体不自由の方につきましても、例えば手が不自由なために本のページをめくることができないというような方についても権利制限をかけるというようなことで、この条約の担保をしようとするわけでございます。

 この条約自体は、まさに、こういった読書をすることについて障害を持っているという観点で広く捉えられておりますので、そういった観点で今回も措置をしたということでございます。

西岡委員 録音図書をやはり必要とされる方につきましては、なるべく広く、受益者を広く捉えるべきであるというふうに考えております。

 それでは次に、アーカイブの利活用に関することについてお尋ねをいたします。

 これは、今まで紙媒体でしか認められていなかったものが、タブレット端末等閲覧することが許諾なくできるようになるというものでございますけれども、この場合、当然、タブレットの端末のみならず、携帯電話やアプリ等も対象となるというふうに思いますけれども、そのことにつきまして御説明をお願いいたします。

中岡政府参考人 今回の改正によりましては、対象となる機器は指定をしておりません。現在、実際には、タブレット端末のほかにスマートフォンを活用したり、ポータブルゲーム機が実際に美術館等で活用されている例があると承知しております。

 今後、技術の進展によりまして、多様な機器を用いたさまざまなサービスの提供が可能となるものと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 また、著作権が不明の著作物というものも大変多くあるというふうに思いますけれども、この場合の裁定制度を見直しまして、権利者と連絡がとれた場合に補償金を確実に払うことが期待される国や地方公共団体につきましては、事前の供託を求めないということが今回の改正で認められたものでございますけれども、この場合の主体は国や地方公共団体というふうに御説明がございますけれども、国、地方公共団体のみを想定されているという理解でよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 今般の改正におきましては、「国、地方公共団体その他これらに準ずるものとして政令で定める法人」というような規定の整備の仕方をしております。

 したがいまして、この「準ずるもの」との規定は、著作物の利用後に、著作権者と連絡をとることができた場合の支払いの確実性という同項の趣旨に照らして判断されるものでございまして、その趣旨を「準ずる」という形で表現したものでございます。

 この国、地方公共団体に準ずるものといった他の法律の用例といたしましては、銀行法など一部に見られまして、また、その指定の対象は同法の趣旨を踏まえて限定的となっておりますけれども、今回の改正につきましては、補償金の支払いの確実性という本改正規定の趣旨に鑑みまして、国、地方公共団体以外の団体につきましても、支払いが担保される枠組みがある場合には指定対象としていく方向で検討してまいりたいと考えております。

 具体的な指定対象につきましては、今後、関係省庁や利用者等の意向を聞きながら検討してまいります。

 なお、今回の改正におきましては、改正規定の趣旨に鑑みまして、個人は対象としていないというふうに考えております。

西岡委員 個人につきまして対象とするということにつきましても、今後は考えていかれる方向なのか、今は、国と地方公共団体という、確実に支払いがしていただけるということだと思いますけれども、それは今後のことでやるという認識なのか、そのあたりをちょっとお伺いいたします。

中岡政府参考人 これまでも、著作者不明の著作物の利用につきましては、補償金あるいは担保金の供託をすることによりまして著作物を利用するということはできるという制度だったのでございますけれども、基本的に、やはりそれは、著作者が後であらわれたときに、それがきちっと、補償されないということがないようにするという趣旨でございます。

 したがいまして、これまでは全て、国であろうが、こういった補償金につきましては事前に供託をしていくということであったわけでございますけれども、こういう資力のあるところにつきましては、そういったものを事前には求めないというふうに考えております。

 個人の方は対象としていないということは、先ほど御説明したとおり今回の改正では入っておりません。将来的に、利用ニーズが高まって、保険の仕組みなどができるなどして、支払いが担保される枠組みが構築されるようであれば、対象とすることの可能性について検討してみたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 続きまして、国会図書館による絶版資料の海外の図書館への送付を許諾なくできるものとするという今回の改正の内容がございますけれども、外国の図書館、海外の図書館といった場合に、日本の図書館と、ちょっと外国の場合、違う面もあるというふうに思いますけれども、図書館だけではなくて、例えば、博物館等につきましてはこの範囲に入るという理解でよろしいでしょうか。

中岡政府参考人 現行法におきましては、国立国会図書館が絶版等資料につきまして自動公衆送信できる宛先といたしましては、今、一定の国内の図書館等に限定されておりまして、具体的には政令におきまして公共図書館等に範囲を限定するとともに、施設に司書等が置かれていることが要件とされております。

 今回、改正をお認めいただけましたら、今後、政令によりまして外国の施設も追加していくことになりますけれども、その場合には、現行法で規定をしております図書館等の要件を踏まえまして、絶版等資料の受信が適切な環境において行われ、受信した資料がいたずらに利用されないような措置が講じられる施設が指定されるような基準を定めていくということになりますので、そういった検討の中で検討していくものと考えております。

西岡委員 今後、情報化社会がさらなる進展をしていくことはもう間違いのないことでございますし、先ほどからも審議があっておりますが、ビッグデータ、AI、ロボットなど、私たちが今まで経験したことのない環境というものが本当にすぐ近くまで来ている状況がございます。

 その中で、著作権を取り巻く環境も、本当に私たちが想像する以上に激変することが予想をされております。我が国の法体系のあり方にも関連することでございますけれども、著作権法の位置づけ、方向性というものは、極めて国際的に考えても重要なものであると理解をいたしております。

 将来を見据えながら、また未来のニーズを的確に捉えながら、権利の保護と利用者の利便性のバランスをとりながら、我が国の発展に資する改正につきまして今後とも取り組んでいただきますようにお願いを申し上げます。

 以上、著作権改正につきましての質問をさせていただきました。

 引き続きまして、消費者教育につきましてお尋ねをさせていただきます。

 今回、民法が改正されまして、成年年齢が十八歳に引き下げられるに当たりまして、消費者庁におきまして、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムというものが作成をされました。二〇二〇年までに全ての高校で消費者教育を実施するという目標が掲げられました。消費者教育の教材、あすへの扉を活用しまして、実践的な能力を身につけることを目指すというものでございます。

 今年度、消費者庁の新未来創造オフィスが移転をいたしました徳島県におきましては、既に先行的に、県内の公立、私立、特別支援学校も含めまして、全ての高校でこの教材を用いた消費者教育が実践をされていると聞いております。

 消費者教育におきましての、文科省としての取組につきましてお尋ねをさせていただきます。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、消費者教育の推進に関する法律に基づきまして、基本的な方針というものを閣議決定で作成することとなっておりますけれども、消費者庁と共同で案を作成いたしまして閣議決定をする、そしてそれを踏まえて消費者教育を推進するということで取り組んでございます。

 例えば、小中高等学校につきましては、学習指導要領に基づきまして、社会科や家庭科など関連する教科等において、例えば契約、消費者信用及びそれらをめぐる問題などを扱うなど、消費者教育に関する指導が行われております。また、大学等では、各大学の自主的、自律的な判断になりますけれども、消費者教育に関する授業科目が開設をされておりますほか、学生に対するガイダンスや学生相談等において、消費者トラブルやその対処方法に関する啓発が行われております。

 消費者教育につきましては、消費者庁を始めといたしまして、関係省庁と緊密に連携を図りながら、その充実に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 既に四省庁で関係局長会議というものが行われているというふうに聞いております。その中で、消費者教育コーディネーターというものを育成して設置をするということがうたわれておりますけれども、このことにつきまして、文科省の今の取組、今後の方針につきましてお尋ねをさせていただきます。

常盤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘をいただきました消費者のコーディネーターにつきましては、消費者庁さんの方で具体的な枠組みを持って取組を進めておられると思います。

 私どもといたしましては、先ほどお答えを申し上げました閣議決定での基本的な方針、これは、ことしの三月に新しい方針を決定をしているわけでございますけれども、その中でも消費者行政と教育行政の緊密な連携、協働が必要というふうにされております。

 それに伴いまして、消費者庁と文部科学省と連名で、地方公共団体に対しまして通知を行っておりまして、その中では、国の中での連携とともに、地方自治体におきましても、消費者担当部局や消費生活センター等と教育委員会、学校、大学等との連携によりまして、一層の消費者教育の推進をしてほしいということで依頼をしておりますので、こういうことを通じて、国レベルでも地方公共団体レベルでも、消費者教育の連携による充実が図られるように更に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 先ほど御説明ありましたように、小中学校の学習指導要領の方で消費者教育に関する内容が盛り込まれたということでございます。今回、まず高校生から教材を使いまして消費者教育が行われるというふうに思いますけれども、小学校の低学年からというような、もっと幼いころからの、特別な消費者教育というものではなくても、消費者意識ですとか、そういうものを育んでいくことも大変必要であると思います。

 やはり、高校生になって学ぶ前に、そのような消費者としての目線であるとか、食べ物を食べるときに、いろいろな中でこの食べ物があるというようなことも、食育も含めまして、いろいろな子供たちに教えていく切り口はあるというふうに思いますけれども、もっと若いときからの取組について、もしお考え等あれば教えていただきたいと思います。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお話をさせていただきましたように、小中高等学校につきましては、学習指導要領に基づいて、社会科や家庭科などの教科で行っております。その中で、例えば今御指摘いただきましたように、小学校ではどうなっているかということでございますけれども、小学校では、社会科において、「地域の社会生活を営む上で大切な法やきまりについて扱う」であるとか、あるいは家庭科の中では、「物や金銭の大切さに気付き、計画的な使い方を考えること。」あるいは、「身近な物の選び方、買い方を考え、適切に購入できること。」というようなことを教育の内容として学習指導要領に定めておりまして、それがまた、中学校、高等学校と学校段階が上がるにつれて、より充実した形で展開をされます。

 また、先ほど御指摘をいただきました消費者庁さんがおつくりになっている教材、社会への扉という教材でございますけれども、この教材につきましては、作成段階から私ども文部科学省の教科調査官も協力をさせていただいておりますので、その展開についても、消費者庁さんとも協力をしながら、我々としても取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

西岡委員 大変この教材につきましては評価が高いというふうに聞いております。今御説明がありました、幼少期から学校の学びの中で自然に消費者としての意識が教育をされていくということは大変重要なことであると思いますので、引き続いて、取組の方、よろしくお願いいたします。

 次に、大臣の方から、幼児期から高等教育段階までの切れ目のない形での教育の無償化、負担軽減を進めるという旨が大臣の所信の中で述べられております。政策パッケージの中でということではあると思いますけれども、この内容がどういうものになるのかということにつきましては、大変国民的な関心、特に子育て世代の皆さんに大変関心の高いことだというふうに思っておりますので、大臣として、文科省として、この取組の内容、その範囲、スケジュール感、工程等につきまして、今お答えいただける範囲で、決意も含めてお聞かせいただければと思います。

林国務大臣 人生百年時代を迎えまして、人づくりを行っていく上で、家庭の経済事情に左右されることなく、希望する質の高い教育を受けられるということは大変重要だと考えております。

 今お話しいただきました、昨年十二月に閣議決定をされました新しい経済政策パッケージにおきましては、教育の無償化、負担軽減につきまして、全ての三歳から五歳児の幼児教育の無償化、授業料減免や給付型奨学金の拡充による、真に必要な子供たちへの高等教育の無償化、年収五百九十万円未満世帯を対象とした私立高等学校の授業料の実質無償化などが盛り込まれたところでございます。

 これらの実現に向けて政府全体で検討を進めるために、同閣議決定を踏まえて有識者会議を設置いたしまして、本年の夏までに一定の結論を得ることを目指して議論を重ねておるところでございます。

 負担軽減に関する会議というのは、今申し上げましたように、幼児の無償化と、それから高等教育と両方ございまして、幼児教育の方は我が省と厚労省にまたがるところがございますので、内閣官房に、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲等に関する検討会というのを置いております。それから、高等教育の方は、文科省の方で高等教育段階の負担軽減方策に関する専門家会議というのを置いて、既に検討を開始しておるところでございます。

 夏までに一定の結論を得るということを目指しておるところでございますが、その取りまとめの後も、二〇二〇年度、これはパッケージは消費税財源ということでございますので、二〇二〇年度の全面実施に向けて、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

 また、本年度予算においても、幼児期から高等教育段階まで、学校段階全体を通じた教育費の負担軽減を図るための必要な経費を計上しておるところでございますので、財源があってできるところはやっていくということをやりながら、パッケージの実施準備とあわせてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

西岡委員 ありがとうございます。

 次に、ちょっとまた違う内容で質問をさせていただきます。

 今のことにも関連をいたしますけれども、今、保育士の皆さんが大変不足しているということの中で、保育士、介護職の人材不足が大変深刻化しているという中で、人材の育成というものが大変重要なテーマであるというふうに思っておりますけれども、文科省としまして、該当する学部・学科につきまして、定員をふやすとか、そういう学科につきまして、そういう人材を育てていくということで取り組んでおられるようなことがもし今後の計画も含めてありましたら、お聞かせいただければと思います。

義本政府参考人 お答えいたします。

 少子高齢化が進みまして、労働力人口の減少が見込まれる我が国におきましては、今後とも世界に伍して発展していくためには、委員御指摘のとおり、例えば保育職ですとか、あるいは介護も含めた各分野で活躍できる人材を育成していくということは大変重要だと認識しております。

 文科省におきましては、保育や介護などの分野も含めた専門職業人の養成や、社会人の学びを機能の一つと位置づけた実践的な職業教育を行う専門職大学というのを制度化いたしまして、諮問して、今審議しているところでございますし、また、社会人が学び続けられる環境を構築するために、大学等における企業との連携によります実践的、専門的なプログラムの大臣認定制度というのを設けて取り組んでいるところでございます。

 御指摘いただきました保育や介護などの分野につきましては、厚労省とも連携しながら取り組んでおりますけれども、基本的には、各大学の申請に基づいて設置ですとか定員増を行うことを可能にし、その申請を受け付けているところでございます。

 ちなみに、保育の分野におきましては、現状において、二百四十六大学において定員が二万一千五十一人、介護福祉養成の分野については、五十九大学、定員としまして千九百四十三人ということで整理しておりますけれども、今後、各大学の申請に応じた形で文科省としてもしっかり対応してまいりたいと思います。

西岡委員 加えまして、リカレント教育も大変重要であると思っておりますので、このような人材を育成するということも大変大切なことだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あと一点、お尋ねをいたします。

 小中学校の就学援助制度というものがございますけれども、この対象となる生徒数と実際の利用状況、そしてまたこの制度の周知方法につきまして、御説明をいただきたいと思います。

 それをちょっとお尋ねする意味というのは、そういう対象となっている方であっても、この制度を知らないですとか、学校でいろいろなこの制度についての説明会をしたとしても、仕事をかけ持ちされている保護者の方も大変多いと思いますので、そういう情報を知る機会というものが大変少ないという中で、受けられるのにこの制度を受けていない方がいらっしゃるのではないかと思います。

 統計については、その数字は、ちょっと統計上は、御本人からの申請の制度でございますので、統計では出てこない数字ということを文科省の方からお聞きをいたしておりますけれども、このあたりのことにつきましてお尋ねをいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘いただきましたように、就学援助の対象は、生活保護法に規定する要保護者と、市町村が要保護者に準ずる程度に困窮していると認める準要保護者ですが、保護者等からの申請をもって市町村が認定を行っておりますので、文部科学省として、対象となり得る児童生徒数そのものは把握はしておりません。なお、平成二十七年度に市町村が認定した要保護児童生徒数は約十四万人、準要保護児童生徒数は約百三十三万人となっております。

 経済的に就学困難な児童生徒に対する支援については、支援を必要とする児童生徒の保護者に対して十分に周知し、必要な支援がしっかりと行われることが必要であると考えております。このため、文部科学省の調査では、毎年度の進級時に学校で就学援助制度の書類を配付するなど、各市町村の取組を調査しておりますが、これにつきましては、年度を追ってその取組は強化をされてきておるものと認識しております。

 文部科学省としては、引き続き、市町村ごとの周知の実施状況の調査や公表、周知徹底を促す通知の発出や各種会議での呼びかけなど、教育委員会に対して積極的な働きかけをしてまいりたいと考えております。

西岡委員 申請をすることをためらっておられる保護者の方もいらっしゃると思いますので、申請がしやすいといいますか、保護者の方にとって申請がしやすいような環境づくりというものも私は大変必要だというふうに思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、今、イラク派遣の日報が隠されていた問題が出てきておりまして、先般から、財務省の決裁文書改ざん問題、そして厚労省につきましては、働き方改革の裁量労働制に係る不適切なデータの使用の問題、そして、先ほど言いました、イラクの日報が隠匿されていた問題。さかのぼりますと、南スーダンの日報の問題も含めまして、行政の公平性であるとか信頼性というものが本当に揺らいでいる、私は、大変今深刻な状況であると捉えております。

 これは、与党、野党ということではなくて、私たち国会議員が今の事態に真摯に本当に向き合わなければ、私たち自体が、やはり国会というものも国民の皆様から信頼をされないということに私はなってしまうのではないかと思っております。

 この今の行政のあり方、今さまざまな問題が起こっておりますけれども、この問題、公平性、信頼性が揺らいでいる事態につきまして、林大臣、以前、防衛大臣も御経験をされております、農林水産大臣も御経験をされておりますし、さまざまな党の要職を務められた林大臣の、率直な、今のさまざま一連起こっている事件につきまして、大臣の御所見、ぜひお伺いをしたいと思っております。

林国務大臣 直接の所管ということではないわけではございますが、やはり、まずは事実関係をしっかりと解明をしていくということが大事だと思いますし、その解明されたことに対して、やはり責任ある者が真摯に向き合って、なぜそういうことが起こったのか、そういうことを再発させないためにはどういうことが必要なのかということを、時間との戦いというところもあると思いますけれども、やはりしっかりと把握した上でそういうことをやっていく。

 これで全部終わりで、もう何も起こらないというところまで行けるということではないかもしれませんけれども、何か問題が起きたときは、やはり真摯にそういう対応をそれぞれがしていくということが大事なことではないかというふうに考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 先般から、集中審議もございました。文科省におきましても、先ほどもちょっと議論がございましたけれども、前川前事務次官の講演に対しましての、教育現場への介入問題というものが起きてしまっております。

 私は大変これは残念なことだというふうに思っておりますけれども、以前答弁されたことであるかもしれませんけれども、政務官、副大臣そして大臣と、なぜこのようなことが局長の方から相談されないままに行われたのかということが、私は、いまだにちょっと納得のできないところがあります。

 もし、この問題が、林大臣の方に事前に相談をもししていれば、大臣は文書を出されなかったのではないかなというふうに私自身は思っておりますけれども、やはり、まず政務官にこのことについて諮るべきではなかったかというふうに私は思っておりますけれども、この面に対して、大臣のお考えというもの、やはりそれだけ慎重に行わなければいけない事柄であったのではないかというふうに私は思っておりますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

林国務大臣 この場でも、また参議院の方でも、あるいは会見等でも申し上げてきたところでございますが、法令規則上は、四十八条、五十三条、また省内の文書管理規則等々、また設置法における所掌、こういうことで、初中局内で判断してやったということで、法令上何かそこに問題があるということではございませんが、こういう案件でございますので、ホウレンソウとよく言いますけれども、報告、連絡、相談ということが政務三役にあってしかるべきではなかったかということは、最初に報告があったときに注意をしたところでございます。

 そのときわかっていたらというのは、なかなか仮定の御質問でございますし、どういうところがどの辺まで最初からわかっていたかということによりますので、なかなかお答えすることは難しいと思いますが、やはり、しっかりと、組織というもの、先ほどの御質問にも通じるところがありますが、ホウレンソウ、報告、連絡、相談というものをしっかりやりながら、信頼関係を持って組織として進めていくということが、一般論として申し上げれば大事なことだというふうに考えております。

西岡委員 もう質疑時間が終了いたしましたけれども、文科省は子供たちの教育というものを所管している省庁でございますので、やはり信頼性ですとか公平性ですとか、そういうものがより子供たちに対して問われる省庁だというふうに思っております。

 その意味で、あの文書というのは、林大臣があの文書を事前に見ていらっしゃったら、ああいう文書は教育委員会の方に行かなかったというふうに私は思っておりますけれども、やはりあの文書というものにつきましては、幾ら法令にのっとったものであったとしても、大変問題があるというふうに私は思っております。

 やはり、二度とこのような介入という疑念、文科省にとっては疑念だというふうに思いますけれども、実際に介入をしているということに、結果的には私は影響が、介入ということで影響があっているというふうに思いますけれども、やはり二度とこのようなことがないように、ぜひ、林大臣、よろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

冨岡委員長 次回は、来る十一日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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