衆議院

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第7号 令和2年5月15日(金曜日)

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令和二年五月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 橘 慶一郎君

   理事 池田 佳隆君 理事 白須賀貴樹君

   理事 田畑 裕明君 理事 馳   浩君

   理事 村井 英樹君 理事 川内 博史君

   理事 城井  崇君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      石川 昭政君    上杉謙太郎君

      小此木八郎君    大串 正樹君

      大野敬太郎君    上川 陽子君

      神山 佐市君    櫻田 義孝君

      柴山 昌彦君    高木  啓君

      谷川 弥一君    出畑  実君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      福井  照君    藤丸  敏君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    宮路 拓馬君

      神谷  裕君    吉良 州司君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      中谷 一馬君    牧  義夫君

      村上 史好君    山本和嘉子君

      吉川  元君    笠  浩史君

      高木 陽介君    鰐淵 洋子君

      畑野 君枝君    藤田 文武君

      森  夏枝君

    …………………………………

   文部科学大臣       萩生田光一君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       橋本 聖子君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    青山 周平君

   経済産業大臣政務官    中野 洋昌君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  河村 直樹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐藤啓太郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   角田  隆君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         串田 俊巳君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局長)          浅田 和伸君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          丸山 洋司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            伯井 美徳君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            村田 善則君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    瀧本  寛君

   政府参考人

   (文化庁次長)      今里  讓君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           八神 敦雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           河西 康之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           島田 勘資君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    鎌田  篤君

   文部科学委員会専門員   吉田 郁子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十五日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     藤丸  敏君

  船田  元君     古川  康君

  村上 史好君     神谷  裕君

  山本和嘉子君     中谷 一馬君

  森  夏枝君     藤田 文武君

同日

 辞任         補欠選任

  藤丸  敏君     大野敬太郎君

  古川  康君     船田  元君

  神谷  裕君     村上 史好君

  中谷 一馬君     山本和嘉子君

  藤田 文武君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     神山 佐市君

    ―――――――――――――

五月十四日

 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

三月三十日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(小寺裕雄君紹介)(第二九九号)

 同(泉健太君紹介)(第三一四号)

 同(石崎徹君紹介)(第三二五号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第三二六号)

 同(秋本真利君紹介)(第三四八号)

 同(生方幸夫君紹介)(第三四九号)

 同(泉田裕彦君紹介)(第三六〇号)

 同(田嶋要君紹介)(第三六一号)

 同(藤野保史君紹介)(第三六二号)

 同(吉川元君紹介)(第三六三号)

 同(左藤章君紹介)(第三七六号)

 同(池田道孝君紹介)(第四〇五号)

 同(山口泰明君紹介)(第四四三号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(佐藤公治君紹介)(第三〇〇号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第三一五号)

 同(阿部知子君紹介)(第三二七号)

 同(稲富修二君紹介)(第三二八号)

 同(岸本周平君紹介)(第三五〇号)

 子どもたちの命を守り、健やかな発達を保障するために全ての私立学校に正規の養護教諭を配置することに関する請願(藤野保史君紹介)(第三五九号)

 教育の無償化を目指して全ての子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(井出庸生君紹介)(第四三六号)

四月二十一日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(小川淳也君紹介)(第四七七号)

 同(福井照君紹介)(第四七八号)

 同(池田佳隆君紹介)(第四八二号)

 同(長坂康正君紹介)(第四八三号)

 同(根本幸典君紹介)(第四八四号)

 同(大西健介君紹介)(第五〇二号)

 同(工藤彰三君紹介)(第五〇三号)

 同(熊田裕通君紹介)(第五〇四号)

 同(関健一郎君紹介)(第五〇五号)

 同(牧義夫君紹介)(第五〇六号)

 同(松田功君紹介)(第五〇七号)

 同(江崎鐵磨君紹介)(第五〇八号)

 同(鈴木淳司君紹介)(第五〇九号)

 同(吉川元君紹介)(第五一〇号)

 同(伊藤忠彦君紹介)(第五一五号)

 同(伊藤渉君紹介)(第五一六号)

 同(近藤昭一君紹介)(第五一七号)

 同(遠藤利明君紹介)(第五三九号)

 同(村上史好君紹介)(第五四〇号)

 同(平野博文君紹介)(第五四三号)

 同(三ッ林裕巳君紹介)(第五四四号)

 同(山本有二君紹介)(第五四五号)

 同(清水忠史君紹介)(第五七九号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第五八六号)

 同(本村伸子君紹介)(第六〇三号)

 同(重徳和彦君紹介)(第六一七号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四八五号)

 同(笠井亮君紹介)(第四八六号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第四八七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四八八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四八九号)

 同(清水忠史君紹介)(第四九〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四九一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四九三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第四九四号)

 同(藤野保史君紹介)(第四九五号)

 同(宮本徹君紹介)(第四九六号)

 同(本村伸子君紹介)(第四九七号)

 国の責任による三十五人以下学級の前進、教職員定数増、教育無償化、教育条件の改善に関する請願(日吉雄太君紹介)(第五一八号)

 同(早稲田夕季君紹介)(第五一九号)

 同(吉良州司君紹介)(第五四六号)

 同(平野博文君紹介)(第五四七号)

 大幅な私学助成増額に関する請願(小林茂樹君紹介)(第五三七号)

 私立幼稚園の充実と発展に関する請願(菊田真紀子君紹介)(第五三八号)

 同(中川正春君紹介)(第五四八号)

 特別支援学校の設置基準策定に関する請願(清水忠史君紹介)(第五八〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五八七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四九号)

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官河村直樹君、総務省大臣官房審議官佐藤啓太郎君、財務省主計局次長角田隆君、文部科学省大臣官房総括審議官串田俊巳君、総合教育政策局長浅田和伸君、初等中等教育局長丸山洋司君、高等教育局長伯井美徳君、研究振興局長村田善則君、スポーツ庁次長瀧本寛君、文化庁次長今里讓君、厚生労働省大臣官房審議官八神敦雄君、経済産業省大臣官房審議官河西康之君、大臣官房審議官島田勘資君及び中小企業庁次長鎌田篤君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柴山昌彦君。

柴山委員 おはようございます。自由民主党の柴山昌彦です。質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 萩生田大臣始め、役所の皆様におかれましては、日夜の激務、お疲れさまでございます。

 まず早速、困窮学生支援について伺います。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって実家からの仕送りが減ったり、あるいはアルバイト収入が減ったりして、このままでは学生を続けられないというたくさんの声が寄せられています。一部メディアではこれに対する国の予算はわずか七億円だと報じられたりしているんですけれども、それは事実でしょうか。この七億円が一体どのような性質のものなのか、端的にお答えください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 学生支援に関する国の予算が七億円だという指摘でございますが、これは必ずしも事実ではございません。

 学生支援につきましては、令和二年度当初予算におきまして、まさに柴山大臣時代に成立させていただいた高等教育修学支援新制度に五千二百七十四億円、地方負担分を含めまして。さらに、貸与型奨学金には一兆四百四十四億など、令和二年度当初予算で措置をしているものでございます。

 これに加えまして、御指摘の七億円につきましては、先日成立した補正予算におきまして、国立大学、私立大学が各大学独自に行う授業料減免等を支援するための措置として計上したものでございます。

柴山委員 今御説明をいただいたとおり、既にことしの四月からスタートしている困窮学生に対する修学支援策、これを今回のコロナで家計が急変した方々にもしっかりと出すための拡大をしていくという御説明があったわけです。

 しかし、そもそも今回のコロナによって支援が必要な困窮学生というのは一体何人いるのでしょうか。今御説明をいただいた七億円、そしてそれ以外の予算がそうした困窮学生たちにどのように行き渡るということを想定されているんでしょうか。

伯井政府参考人 現在いる困窮学生の数の実態というのは、今後の支援、国として必要な支援を行っていくということで、必ずしもその数を確実に把握できているわけではございません。修学支援新制度におきましては約五十一万人を令和二年度予算、貸与型奨学金は百三十五万を対象として必要な額を措置しているものでございます。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響による家計急変への対応ということを修学支援新制度で行っておりますが、これにつきまして本年四月から運用を柔軟化し、開始しておりますが、四月末現在ですけれども、千件程度の申請がございます。昨年度一年間の家計急変での申請件数が千件ですので、それに相当するものは運用開始後来ておる、これはもっとふえるものと考えております。

柴山委員 一部学生のアンケートによると、結局、立ち行かなくなる学生の割合は二割ぐらいに達するということも言われているわけであります。したがって、今回の、今御説明をいただいた支援策、誰にどれだけ足りない、穴が生じるのか、そして、それを埋めるのにどのような、もし追加の政策が必要であれば追加政策をとるのかということをきちんと積み上げた形で議論しないと、財源配分に不合理が生じたり、あるいは不公平が生じたりしてしまうというように考えます。

 昨日、政府からは、この後、浮島議員からも触れられるかもしれませんけれども、自民党や公明党の要望したとおり、アルバイト収入が急に減って支援が必要となった学生、これは大学院生や専門学校生なども含みますけれども、高等専門学校生なども含みますが、基本的に十万円の給付を迅速に行うという案を提示させていただいております。

 さらに、大切なのは、意欲ある学生が退学を余儀なくされることがないように、一番彼らに近い大学の相談窓口を通じて、それぞれ各種支援策、特に、文部科学省所管以外にどのような支援策が用意されているのかということをワンストップできちんと明確に情報提供されること、そして迅速に支援がされることだと考えておりますが、現在の他のメニュー、あるいは支援制度、どのような形になっているんでしょうか。

伯井政府参考人 どのような支援策があるのか、支援を必要とする学生一人一人に迅速かつ確実に情報が行き渡るようにするためにワンストップでの情報提供の窓口を設けるということは、御指摘のとおりでございまして、我々、大学等にもそうした配慮を行うよう再三求めているところでございます。

 さらに、学生が日常的にアクセスするポータルサイトへの情報の掲載、あるいは学生へのメールの送付、郵送、SNSの活用などによりまして、いわばプッシュ型の情報提供を大学に対して依頼をしているところでございます。

 そして、他省の施策も含めまして、経済困難な学生が活用できる支援制度をまとめた事務連絡というのを文部科学省としても発出いたしまして、これらの情報が学生等に確実に行き渡るよう、ホームページ等でも一覧で周知しているところでございます。

 さらなる情報提供に努めてまいりたいと考えております。

柴山委員 今回、一人十万円の定額給付金もあれば、あるいは社会福祉協議会を通じた小口融資の制度などもあるわけです。ただ、そういった他の支援制度について、まだまだ十分学生の方々に情報が行き渡っているとは私は言えないというように思いますので、今御説明をいただいたような、やはり情報提供をしっかりと行っていただきたいというように思います。

 それと、あと、貸与型の奨学金についてお尋ねをしたいんですけれども、学生あるいは御家族の中には、借金をふやすということには大変抵抗感のある方々がいらっしゃいます。将来、要するにたくさんの債務を負担して生活しなければいけないということで。それに対して、日本学生支援機構はどのような安心な形での対策というものを講じているのかということをまず伺いたいと思います。

 そして、これは一つアイデアなんですけれども、心ある篤志家が当該日本学生支援機構に、学生たち大変だね、寄附をしますというような場合の税制措置を講じることによって、日本学生支援機構がさらなる支援の充実を図るなど、インセンティブになるのではないかというように思うんですが、どのように考えますでしょうか。

伯井政府参考人 お答え申し上げます。

 奨学金の利用に当たりましては、その内容、あるいは将来返還可能な範囲というのを学生がしっかり理解した上で貸与を受けるということが重要でございます。

 このため、日本学生支援機構では、返還を含めた適正な奨学金の利用への理解を促進するというために、ファイナンシャルプランナーを高校等に派遣して説明を行うスカラシップアドバイザー制度を実施していたり、あるいは、生徒等が進学費用のシミュレーションを行うことができるウエブサイトの開設など、相談、助言体制の充実、あるいは、一般的な奨学金の制度の周知、広報を行っているというところでございます。

 さらに、卒業後、返還困難になった場合にきめ細かな対応ができるということも必要でございまして、これまでも、返還期限の猶予制度における年数制限の延長、あるいは減額返還制度における期間の延長など、返還者の立場に立って制度の充実を図ってきたということでございます。

 また、寄附のお話がございました。

 日本学生支援機構に対して寄附を行った場合には、企業、個人からの寄附について所得税、法人税を軽減しているところでございまして、この寄附金については、例えば、新型コロナウイルス感染拡大により安全確保を図るため帰国した日本人留学生の経済負担の軽減を目的とし、一時金の支給を行うJASSO災害支援金等に今活用されているということでございます。

 これ以外にも、新型コロナウイルス感染症の影響で経済的困難に陥っている学生救済を目的とした新たな寄附事業の検討というのもスタートしているところでございます。

 さまざまな取組を今後とも進めていくことが必要というふうに考えております。

柴山委員 ありがとうございます。

 次に、大学側の事情について伺いたいと思います。

 日本経済新聞の報道によりますと、感染拡大防止のために授業が行えない、今たくさんそうした大学があるわけなんですけれども、五月五日までに、全国の国公立大学と私立大学のうち学生数上位の各十五校中、授業料の減免要請に応じているのが国立大学の五校にとどまっているということなんですね。ただ一方、授業料の延納措置を検討している大学は、特に国公立大学においては、ほぼ全てが検討しているという状況のようです。

 特に、休校中は使われていない施設の利用料など、大学側の授業料を含めた引下げをより大きく働きかけるべきではないか、それが不十分だったら、それに国の支援を行うべきでないかという意見がありますが、大臣、この点についてどのように考えますか。

萩生田国務大臣 学生の通学を要しない遠隔授業を実施する大学が多くなっている中で、授業料などの学生納付金について減額等を求める声があることは承知をしております。

 授業料、施設整備費など学納金、一般的に、在学期間全体を通じた教育に対するものであり、一時的に学生が通学できない期間の生じる中においても、例えば約七割の大学等において遠隔授業が実施されるなど、大学においては学修機会の確保をしっかりと取り組まれているものと承知をしております。

 このため、文科省としては、単に授業料を一律に減ずるのではなくて、各大学においてさまざまな手だてを通じて学修機会の確保等に取り組んでいただくことが重要と考えておりまして、そのための支援を行っております。

 委員御指摘の特定の施設の利用のために徴収する費用など、例えば図書館利用料なんというのを取っている学校もございますけれども、学生さんにしてみれば、学校が開いていなくて、図書館に行くこともできなければ図書館の本を借りることもできない状況で図書館利用料はどうなんだという不満や不安が出てくるのは当然のことだと思いますので、私は、やはりそれは施設の利用状況など実態に照らして、学校側が例えば返還等を行うこともあり得ると思いますし、あるいは、郵送で図書を貸出しするような努力もしていただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、各大学の実情を踏まえた対応やその徴収する費用について、学生の皆さんに適切に説明していただくことが大事だと思うんです。この休校期間中も、どういう支援策があるのかということを電話で問い合わせると、非常に丁寧にさまざまなアドバイスをする学校がある一方、全く留守番電話で、問合せもできない学校もあるという実態も、我々、学生の皆さんからも聞いておりますので。

 要は、自校の学生さんがこういうコロナの状況で非常に経済的にも困っていたり不安になっているときに、しっかり対応していただく学校の体制というものは大事だと思います。それは大学側がしっかりやっていただきたいと思います。その上で、文科省としてもさまざまな支援を講じていきたい、こう思っております。

柴山委員 ありがとうございます。

 今まさに大臣がおっしゃったように、きちんと理屈と筋が通っているか、そして大学がそれを納得のいく形で学生さんたちに説明できるかどうかというところが私はポイントじゃないかなというふうに思うんです。

 それで、これは私のアイデアというか考えなんですけれども、高等教育の質の確保をどうしていくか、あるいはそれをどう向上させていくかということも極めて重要なテーマなわけですね。ですので、基本的には、困窮学生支援は学生個人に対して行い、一方で、今、萩生田大臣がオンライン授業について触れられましたけれども、オンライン環境の整備ですとか、あるいは授業料が延納されてしまって非常勤講師を雇用するのが大変だという中において、その雇用を確保するですとか、あるいは大学間の格差を是正していくとか、そういう大学がきちんとやろうよという取組に対しては大学に対する支援をしていく、こういう整理を行っていくことについてどのようにお考えでしょうか。

萩生田国務大臣 柴山先生が今おっしゃったとおりのことが大事だと思います。

 私、先日、テレビ番組の中で大学側に目を覚ましてほしいというふうに申し上げたら、恣意的に、学生に目を覚ませと萩生田大臣が言ったといって騒いでいる方がいるんですけれども、大学に目を覚ましてほしいと思うんです。

 というのは、この事態で、学費の延納手続をしている学校はほとんど九六%を超えましたけれども、言いかえれば、やらないと言っている学校もあるわけですよね。それはどういう事情でそれが可能なのか、逆に私は聞いてみたいというふうに思っているんです。

 それから、さっきもちょっと例示しましたけれども、学生は相談したくても窓口の電話さえ通じないというこの学校の姿勢は、私はやはり学生に不安や不満を与える原因になっていると思うんです。

 先生おっしゃったように、きちんと説明をすれば、ちゃんとこういう制度がありますよ、とにかくこの大変なときにみんなで頑張って、修学を諦めちゃだめですよ、退学なんか考えないでしっかり在籍して、日常を取り戻すまで頑張りましょうと、学校もやはり学生と一緒に頑張っていただくことが重要でありまして、そういう大学をしっかりサポートをしていきたいなと思っております。

 学生を支えること、大学を支えること、いずれも大事なんですけれども、やはり自助努力を大学側もしてもらわなきゃなりませんし、既に、先ほど御指摘のあった図書館の利用ができないなんということで、逆にICTの環境整備費用を学校側が学生に還付をしているという大学の例も承知をしております。

 修学支援新制度を先生の時代につくっていただきましたけれども、貸与型の奨学金も弾力的に運営をさせていただいておりますし、アルバイト収入が減少し困窮している学生等の支援については、これまでの国会審議や与党の皆さんからいただいた提言、また野党からも法案を提出していただきましたので、いずれにしても、学びの継続のための緊急給付金の創設を現在検討しておりまして、最終的な詰めを行っております。

 大学に対しても、非常勤の職員を含めた業務体制の確保を要請させていただいておりまして、先般成立した補正予算を生かし、学修の機会を確保するための遠隔授業の実施や、困窮した学生に対する大学独自の授業料の減額措置など、前例のない状況のもとでもしっかりと教育活動に取り組む大学等への財政的支援を行っております。

 委員御指摘のとおり、経済的に困窮する学生や困難な状況下でも大学としての使命をきちんと果たそうとする大学に対して必要な支援が十分届くように、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。

柴山委員 ありがとうございます。

 なお、それ以外に、私のもとにさまざまな要望が届いております。大学に通えない間、実習が困難な場合の代替措置をしっかりと図ってほしいですとか、あるいはその期間設定の弾力化をしてほしいという要望、また、研究者の方々からは、科研費を始めとする競争的研究費について、各種手続の期限の延長やあるいは費用の繰越し、これを柔軟に認めていただくとともに、ぜひ手続の簡素化を図ってください、こういった要望も届いておりますが、ぜひ前向きな答弁をお願いします。

伯井政府参考人 今般の新型コロナウイルス感染症の影響による大学の教育研究活動につきましては、質保証を前提とした修学上の弾力的な取扱い、あるいは各種手続の柔軟対応ということは重要でございます。

 このため、既に三月二十四日付で、単位認定に関しましては、遠隔授業や補講等を通じた弾力的対応が可能であることを各大学等に周知しているところでございます。また、五月一日付で、実習等の授業につきましては、面接授業に相当する教育効果を有する遠隔授業による代替、あるいは実施時期の後ろ倒しや感染対策を講じた上での授業分散実施等の弾力的取扱いが考えられることを具体的取組例を示した上で周知したところでございまして、引き続き、各大学が取り組む好事例を収集いたしまして、しっかり周知して、質の向上というのを支援する必要があると考えております。

 教育実習につきましては実習期間の弾力化が可能である、医療系の実習については演習などで代替が可能であるというような、などを周知しているところでございます。

 また、科研費を始めとする競争的研究費につきましては、公募申請を始め各種手続の期限延長を、柔軟な対応を進めているところでございまして、そうした周知を図っております。

 引き続き、必要な情報収集、周知等を通じて、より柔軟かつ質の高い教育研究活動が行われるよう支援してまいりたいと考えております。

柴山委員 あと、別の問題として、今回、新型コロナウイルス感染症について、大学病院が一生懸命対応してくれたことによって、これら大学病院に大きな減収が生じているということなんですね。また、こうした感染症に対する研究、人材育成、あるいはさまざまな設備支援、こういった要望もあると聞いていますけれども、これに対する対応はどうなっておりますでしょうか。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症対応において、大学病院は、多くの重症患者に高度医療を提供するなど、大変重要な役割を果たしております。

 診療体制の構築や院内感染の防止のため、外来や手術の抑制等により減収が生じておるのも実態でございます。国立大学病院長会議によれば、全国四十四の国立大学病院の四月期の収入は対前年比で約百二十六億円の減収であったとの報告がなされております。

 文科省では、大学病院が減収により国民への医療提供等に支障を来すことがないよう、資金のショートを防ぐため、国立大学については国立大学運営費交付金の前倒しを、私立大学については無利子融資の支援を行うことを決定しております。

 今後、コロナウイルス感染症の状況により大学病院の減収が更に生じることが見込まれるため、各大学の損益計算書の状況を把握し、大学病院の医療提供や教育研究活動に支障が生じることがないように支援のあり方を検討してまいりたいと思います。

 せっかくの機会なので。コロナの患者さんを受け入れている大学附属病院は立派だ、いい病院だ、頑張っている、受け入れていない大学病院はけしからぬみたいな風潮があるんですけれども、これは全く誤解でありまして、やはり地域の医療計画、地域の医療圏の中で果たす役割が違って、全ての大学病院がみんな受け入れちゃうと、これは今度、二次救急や三次救急の受皿がなくなってしまいますので、そういったことを、それぞれの大学病院がそれぞれの地域でそれぞれの役割を果たしているということは、改めて国民の皆さんに御理解いただきたいと思います。

柴山委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がなくなりましたので、次に、現在注目されている九月入学制度の政府の検討状況について伺いたいと思います。

 言うまでもなく、コロナによる休校のため、必要な授業時間を年度中に確保できないという懸念がこの検討につながっているわけなんですけれども、まず前提として、現時点において各地域における学校の再開状況は、端的に言ってどのような形になっておりますか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 再開の状況でございますが、五月十一日の十二時時点で、国公私立の小中高等学校等のうち約八六%の学校が臨時休業を実施いたしております。具体的に申し上げますと、臨時休業を実施している学校の割合は、小学校が約八八%、中学校が約八八%、高等学校が約八九%、特別支援学校が約八九%となっております。

 また、臨時休業の終了予定日につきましては、五月十一日から五月二十四日までとしている学校が約一六%、五月二十五日から五月三十一日までとしている学校が約八〇%となっております。現段階では、六月以降も臨時休業を継続することを決定している学校はほとんどございません。

柴山委員 それが結構大事なデータだと私は思っています。

 私の大臣時代には、エアコンの設置を全国的にアクセルを踏んで進めさせていただいたんですけれども、例えば、夏休みや土曜日を活用するなどした場合に、一学年のカリキュラムをきちんと三月に終えるためには、一体いつまでに学校再開を行うことが必要となるのでしょうか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症の対応のために学校の臨時休業を行う場合でありましても、児童生徒の学習の機会が保障されるといったことは大変重要でございます。

 学校再開のめどについてでございますけれども、自治体や学校ごとに臨時休業の状況や学習の進度等が異なるために、一概に申し上げることは難しい状況でございますけれども、五月四日の緊急事態宣言の延長を受けまして臨時休業を継続している場合において、五月中に学校を再開した場合には長期休業期間の一部短縮等で対応可能であるが、それ以降となりますと相当の工夫が必要であるといった声が自治体等から上がっているということは承知しております。

 文部科学省といたしまして、段階的に学校活動を再開していく上での学校運営上の工夫、あるいは、学校を再開した場合には、時間割り編成の工夫、夏休みなど長期休業期間の短縮などのさまざまな取組、家庭学習などの対応などについて、これまでも通知等において考え方を既にお示ししているということでございます。

柴山委員 再開しても、すぐにはクラスにいっぱい生徒さんを集めた授業はできないというふうには思いますけれども、今文科省の方で検討されているように、受験を控えた最終学年を優先してカリキュラムを組んでいくなどの取組をして工夫をしてほしいなというように思います。

 続きまして、お手元に配らせていただいている資料をごらんいただきたいというように思います。

 まず、この資料一なんですけれども、もし小学校の入学を四月から九月までおくらせた場合に、その間に対象となる四月から八月の学生さんたちを、このB、下のように一緒に前の学年とともに入学を九月にさせるのか、あるいは、この上の図のように次の学年にするのかによって、前者であれば、当然のことながら、待ってもらっている間、保育園や幼稚園の負担が非常に大きくなりますよね。その場合、どういう対応ないし費用が生じることになるのでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 仮に、来年から、委員の御指摘のとおり九月入学を導入し小学校入学をおくらせる場合ということですが、幼稚園等の負担も生じることが考えられます。

 具体的には、園の運営に関し、来年四月に就学予定だった約百万人の子供の就学が五カ月間おくれ、就学前の期間が長くなるため、来年四月に入園予定だった幼児を四月に受け入れられず、保育の必要性のある子供が待機児童となってしまう、そういった可能性があります。また、来年四月に入園予定の幼児を受け入れる場合には、そのためのスペースや幼稚園教諭、保育士等の確保に加えまして、施設の運営や幼児教育、保育の無償化のための費用が生じるといった課題があるというふうに考えております。

柴山委員 それだけではありません。

 一年五カ月の幅のある子供たちが、この下の図の場合は一学年に共存することになるわけですね。ただでさえ、四月生まれと翌年三月生まれの子供に、低学年では発達段階に差があると言われているのに、この一年五カ月の差というのは、とても大きな壁になると思われます。

 では、上の図のように、このAのように、仮に四月から八月に生まれた生徒たちを翌年度の入学とすると、これは世界的に見て極めて遅い、満七歳五カ月から満六歳五カ月の児童が小学校一年生になるという、このサイクルが固定化することとなってしまいます。

 今、九月入学制度のメリットとして学校のグローバル化に資するという意見がありますけれども、半年就業ないし卒業をおくらせた場合には、その学生を、今紹介したA、上の図のようにすることはもちろん、下のBのように前年度にした場合であっても始業は他国からおくれてしまうことになります。

 次の資料二をごらんください。

 例えばアメリカなどにおいては、秋入学なんですけれども、五歳に達した子供に義務が発生する州も存在しているわけですね。もし真にグローバル化を目指すのであれば、むしろ幼児教育も含めてスタートを半年早めることとするべきではないかというふうに思うんですけれども、今このような政府の混乱状況でそのような方策をとることができるんでしょうか。

浅田政府参考人 現在の秋季入学についての議論は、子供たちの学習保障のための取組をしっかりと進めていくという観点から選択肢の一つとして提起されているものであり、したがって、現学年を後ろに延ばすということが想定されていると理解をしています。

 一方で、従来から、就学、進級の時期の後ろ倒しではなく前倒しを検討すべきとの意見がございます。

 日本では、現在満六歳になってから小学校に就学しますが、外国では、例えばイギリスは義務教育の就学年齢を五歳としています。G20の構成国で見ると、六歳としている国が十二カ国で最も多いのですが、そのうちの多くの国では実際の入学時期との関係から五歳児も入学しているというふうに承知をしております。

 就学の早期化につきましても、やはり体制整備のあり方や財源も含めて、学校教育制度全体のあり方にかかわる問題であるとともに、社会全体にも影響を及ぼすものですので、各方面との調整が必要な課題であります。幅広い国民の理解を得ながら十分に検討していく必要があると考えております。

柴山委員 そして、卒業について検討させていただくと、半年おくれの卒業になった場合には高校三年生や大学四年生の卒業や就職がその分おくれ、家計などの負担が増すことになりますし、授業料の追加が、他の学年も含めて、もしそんなことはできないよということであれば、多くの私立学校は存続の危機に立つこととなります。これをどのようにすればよいのか。家計や大学を予算措置で救うとすれば幾らの金額が必要になるんでしょうか。

浅田政府参考人 仮に学年の終期を八月まで五カ月間延長する場合、この五カ月間で家庭又は学生本人が追加的に負担する影響額については、文部科学省で一定の仮定のもとに行った試算では、国公私立の小中高等学校段階で、子供の学習費調査による学校教育費や給食費、学校外活動に係る費用の家庭負担額を合算した年間約六兆円のうち、五カ月分とすると約二・五兆円。それから、国公私立の高等教育段階で、学生生活調査による授業料や生活費の学部学生負担額を合算した年間約三・四兆円のうち、五カ月分として約一・四兆円ということになります。このうちで、学部生の授業料は全学年で約一・一兆円となっております。仮にですが、この分の授業料を大学側が負担し学生に請求しないとした場合には、この約一・一兆円が大学側への影響額になると考えております。

柴山委員 こうしたこともきちんと社会には周知をしていく必要があるんじゃないかなというふうに思っています。

 さて、今回の九月入学は知事会の多くが賛成し、経済界も前向きだというふうに聞いています。総務省や経産省は、こうした学生さんたちが就職することがおくれていくということについて関係団体とどのように準備をしているのでしょうか。

佐藤政府参考人 九月入学への移行に関しましては、文科省が中心となって課題等の取りまとめを進めておられますけれども、その求めに応じまして、総務省としましても、所管行政への影響等について検討を行っているところでございます。

 地方公共団体における採用に関しましては、新規学卒者を中心とする一括採用、これが広く行われておりますことから、大学等の卒業時期が八月末となりました場合には、九月が主たる採用時期となるものと見込まれますので、職員の定年退職や人事異動を始めとする人事管理に影響を生ずるものと考えております。

 今後、九月入学への移行に関する議論の進捗に即しまして、国家公務員や企業等における採用のあり方との関係にも配意しながら、地方公共団体の意見も踏まえ、必要な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

河西政府参考人 お答え申し上げます。

 就職、それから採用の日程につきましては、学生の皆さんが学修時間を確保しながら安心して就職活動に取り組むことができるようにすること、これが何よりも重要だと考えております。

 このため、現在、広報活動開始は三月から、採用選考活動開始は六月からということで政府から民間企業団体等に要請しているところでございます。

 委員御指摘のとおり、九月入学になりました場合には、就職採用活動の日程に及ぶことになるということでございます。

 この点、大企業の中には、既に、通年採用ですとか、外国人留学生の採用、あるいは中途採用など、採用活動や時期の多様化、複線化が広がっておりまして、九月入学を前提とした就職採用日程の移行による大きな影響は避けられるのではないかというような意見もあると承知しております。

 中小企業におきましては、採用選考活動が早期化、長期化する懸念から、九月入社に移行する際にも就職、採用の日程に関するルールは不可欠でありまして、秩序立った移行が必要であるというような意見があると承知しております。

 就職採用活動の日程に関しましては、これまでも、内閣官房のもとで、関係省庁と連携しながら検討してきたところでございますが、九月入学の議論を踏まえまして、引き続きしっかりと検討してまいりたいというふうに考えてございます。

柴山委員 働き方改革の議論でも、やはり中小企業においては一定の経過期間が必要だという議論になっているわけですから、そういったことも含めてしっかりと根回し、調整をしていかなければいけないというようには考えております。

 続きまして、会計年度と学齢期の食い違いについて、学齢が二予算期にわたるということについてどのように考えられますでしょうか。

角田政府参考人 諸外国の例などを拝見しておりますと、学校の年度と国の会計年度は一致していない例が多いようでございまして、G20でいきますと、日本は四月ですけれども、一月がかなり多くて、七月の国も十月の国もありまして、これは恐らく四半期の関係だと思います。

 学校の年度はまたそれとは別に決められているようでございますので、そこは必要があれば適宜工夫を加えていくということになるんだろうと思います。

 以上でございます。

柴山委員 ただ、これは、もし日本トータルが年度というものを四月からじゃなくて九月年度にするということになりますと、会計年度を、今御説明があったように、余り例のない四月開始の会計年度にしておく合理性というものは、グローバル化の観点から、余りないのではないかという意見を付させていただきたいというように思います。

 さて、かつて、九月入学は何度か臨教審や教育再生会議で議論され、東大でも検討されたことがあると聞いております。留学の促進、あるいは入学試験の複数開催などとあわせて、特に大学ではギャップタームの検討やセメスター制の検討などが行われたということですが、その内容を教えてください。また、なぜそれが広がりを見せていないのでしょうか。

浅田政府参考人 秋季入学につきましての過去の検討としては、昭和六十二年の臨時教育審議会第四次答申があります。ここでは、全ての教育段階での秋季入学についての検討がなされております。

 この答申では、秋季入学は、一つには、効率的な学習、学校運営、二つ目に、国際社会との整合性といった理由から意義があるとされております。

 一方で、直ちに秋季入学に移行することについては、国民生活全般に及ぼす影響が大きく、国民の理解と協力が得られるか、国民の選択と合意に委ねる必要があるということ、しかしながら、その当時、必ずしも秋季入学の意義と必要性が国民一般に受け入れられているとは言えないことから、慎重な検討が必要であり、社会状況の変化も見きわめる必要があるとされたところです。

 次に、大学の秋季入学につきましては、日本版ギャップイヤーなどの観点から九月入学の大幅促進を提言した平成十九年の教育再生会議第二次報告を踏まえた学校教育法施行規則の一部改正によりまして、平成二十年四月から制度上可能となっております。

 また、平成二十三年度から東京大学において検討が行われましたが、経済的負担の増大、春卒業を想定した就職、資格試験などとの関係、ギャップターム中の身分や活動といった課題等があったことから、直ちに導入するのではなく、いわゆる四学期制の導入となったと承知をしております。

 これらの動きを受けて、文部科学省でも、平成二十五年から、学事暦の多様化とギャップタームに関する検討会議で検討が行われました。この検討会議の報告書では、大学全体の秋入学への移行について示される一方で、東京大学が示した課題が同様に指摘されているところでございます。

柴山委員 それだけメニューはもう既に出ているわけですし、やろうと思えば、大学に応じて、そうした、九月から留学生を新しいタームで受け入れていくということができることになっているわけです。しかしながら、広がりを見せていない。

 私は、大学の国際化というのは進めるべきだという立場でありますけれども、そのためには、単に入学時期をずらすというだけではなくて、企業側の意識、あるいは、私も大臣時代、一生懸命やっていましたが、外国語教育の強化、あるいは人材交流をしっかりと進めていくためのハード面、ソフト面の改革がやはりこれとあわせて不可欠であるというように考えますが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 御指摘のように、大学の国際化は、外国語教育の強化や、国境を越えた人材交流を支える人材育成や体制整備などの取組を総合的に進めることが不可欠だと思います。

 文科省では、具体的には、我が国の高等教育の国際競争力の向上を目的に、海外の卓越した大学との連携や外国語による授業の推進を含む大学改革により徹底した国際化を進める大学を支援するスーパーグローバル大学創成支援事業や、外国の大学との質の保証を伴った国際教育連携やネットワーク形成を支援する大学の世界展開力強化事業の実施、また、留学生交流を促進するための奨学金の充実や、機運醸成のための海外留学の魅力や意義、支援の機会などの情報発信等を進め、大学の国際化を支援しているところです。

 コロナウイルス感染症により留学生交流にも大きな影響が生じている中で、オンラインを活用した交流の取組なども新たに始まっており、文科省としても、より強靱な大学の国際化体制の構築に向け、今後も引き続き努めてまいりたいと思います。

柴山委員 それと、やはり、国際化と言うのであれば、今のように、ところてんのような形で、一定の在籍をしていたら、必要な単位が取れれば卒業できるということではなくて、飛び入学、あるいは集中的に単位を取れば三年で卒業できる、二年で卒業できる、そういうようなこともぜひ進めてほしいというように思います。

 時間がなくなりましたので、今、萩生田大臣から言われているオンラインの整備支援ということについて、GIGAスクール構想に質問を移していきたいと考えております。

 秋季入学をするというふうにアナウンスをした場合に、今まさしく家庭で懸命に、教育のオンライン化とか、あるいはソフトの普及などを進めているGIGAスクール構想の前倒しということが停滞をしないかということが私は実は心配です。入学時期が後になるんだから、そんなことを無理してやらなくていいじゃないかというような話であります。

 これまでのこのGIGAスクール構想の進捗状況を教えていただきたいのと、現場からはなかなか進んでいないという声もあるんですが、どうしてこの進捗が思うように進んでいないのか、以上二点、お伺いしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘の進捗状況でございますけれども、令和元年度補正予算事業におきましては、校内ネットワーク整備は、本年三月申請のございました九百五十五の学校設置者に対しまして交付決定を行ったところであります。

 また、端末の整備については、先月、特定警戒都道府県に指定をされました十三都道府県に対して交付内定を行うとともに、既に交付申請見込み調査におきまして提出をされた台数のうち、緊急事態宣言が発出された翌日以降に緊急性からやむを得ず契約したものについては、今後の交付決定においてさかのぼって補助対象とすることとしております。

 さらに、令和二年度補正予算事業につきましても、予算成立日以降に着手された事業は補助対象とする方向で現在調整をしております。

 それから、もう一点、どうしてこれまでは進んでこなかったのかといった点でございますが、御案内のとおり、自治体における学校のICT環境がかなり格差が出てきているという実態はございますが、我々として、要因として考えておりますのは、自治体においてICT活用の有効性や必要性に対する認識の差というものがあって、それが予算の確保ということにつながらなかったのではないか、また、職員の専門性やノウハウが不足しているといったようなことが考えられるところでございます。

 文部科学省としては、GIGAスクール構想を進める上で、このような自治体の課題を解決していくべく、自治体における理解が進むよう、ICT活用教育アドバイザー事業を今月から開始をしたところであります。

 また、学校におけるICT環境の立ち上げ支援を目的としまして、自治体が配置をしますGIGAスクールサポーターへの支援を新しく行うこととしております。

 さらに、自治体がICT環境を整備した後の財政負担が軽減されるということが重要でございますので、民間企業に対して、学校向けの安価な通信料の設定などについての協力もお願いをしているところでございます。

 このようなさまざまな取組を通じまして、GIGAスクール構想の実現に向けて、全国でのICT環境の確実な整備を図ってまいりたいと考えております。

柴山委員 やはり、地財措置ということになりますと、今局長からお話があったとおり、自治体ごとに意識の差があるとなかなかその格差が埋まらないということだと思うんですけれども、今回、補助事業によって、教育アドバイザーあるいはGIGAスクールサポーターなどの事業もしっかりと行うということですから、これを突破口にして、しっかりと加速をしていただきたいと思います。

 あと、私からの意見なんですけれども、例えば、通信環境の開設についての準備だけじゃなくて、その後の通信料、これについても、もし必要とあらば国の方でしっかりと支援をするということがインセンティブになるのかなというように考えております。

 その上で、今、こういうコロナの中にあって、現に、都市と地方、あるいは家庭によって、オンラインでの学びに差が生じているわけですね。この差というものが、では九月入学にしたときに埋まるのか。むしろ、要するにちゃんとしたところはどんどん進んでしまうわけですから、やはり環境をきちんと整えない限りは、九月入学にしたって、その差が埋まるということは私はないんじゃないかというように思いますので、文部科学省として、この差を埋めるために、もう一度その対策ということを、決意をお伺いしたいというように思います。

萩生田国務大臣 先生御指摘のように、このGIGAスクール構想は、私、柴山先生からバトンタッチを受けまして、確かに補助事業というふうにスキームを変えました。しかし、その前は、地財措置といえども、それは二、三年の間やったキャンペーンで、なかなか自治体から、財政状況が厳しくて手が挙がらなかったというなら、私は言いわけとしてわかると思うんですけれども、二十余年間にわたって、きちんと地財措置をしてきたにもかかわらず、学校現場のパソコンやタブレットの整備をしてこれなかった自治体の長の皆さんには、この機会によくこの仕組みを考えていただいて頑張っていただきたいと思います。

 今回、せっかく十分の十の補助でやろうということになったんですけれども、なかなかまだ手が挙がらなかったんです。といいますのは、年度当初のときにはまだコロナがここまで長期化するということが誰もわかりませんでしたから、いい制度だけれども、うちはうちで予定があるから、これから段階的にやりますねという話だったんですけれども、もはや各自治体、そんなことを言っていられない状況になっております。

 仮に九月からの始業ということになったとしても、その後また第二波が来ないとも限らないわけでありまして、それを考えたら、この九月までの間にどれだけの自治体が、国ももちろん応援します、協力します、その上できちんとした環境整備をしていくということは、これは九月がどうしたこうしたということ以前の問題として、絶対に整備をしなきゃならない大きな題目だと思っておりまして、ここはぶれることなくしっかりサポートしていきたいと思います。

 そして、率直に申し上げて、都市部のように詳しい人がたくさんいる自治体と、なかなかそういう、今までメーカーの営業所がなかったりして接する機会がなかったところにも積極的に専門家を派遣してぜひ対応していきたいと思いますし、このコロナで各メーカーの工場も一回とまっちゃっていますので、実はハードが足りないという問題がありますけれども、これは、文科省が期待をするスペックと値段でおさまっているものに関しては、きちんと買取りをする覚悟でもう発注をかけていますので、何とか各自治体の皆さんともしっかり連携をとりながら、一日も早い一〇〇%に向けて全力で頑張りたいと思います。

柴山委員 時間が来たんですが、最後に一つだけお聞きしたいと思います。

 目先は、やはり入学試験がどうなるかということが極めて重要でありまして、文部科学省として、今度の、今苦労されている最終学年の方々に対して、公正な入試の実現をどのように確保していけばよいというように考えているのか、仮に秋季入学制度を導入しない場合には、そういうことができるのかどうかについてだけお伺いしたいと思います。

伯井政府参考人 お答えします。

 学校の臨時休業が長期化する場合でも、特定の受験生が不利益をこうむらないよう、大学や都道府県教育委員会等の実施者において適切な措置を講じるということが肝要と考えております。

 大学入試につきましては、当面、九月以降に出願が始まるAOあるいは十一月以降に出願が始まる推薦入試におきまして受験生が大きな影響を受けることになるということで、この考え方で、それまでの成果獲得に向けた努力のプロセスとか大学で学ぼうとする意欲を多面的、総合的に評価する、あるいはオンラインによる個別面接などを取り入れた多様な選抜方法の工夫が考えられるという、現時点における配慮事項というのを大学に示したところでございます。

 一般入試を含めた大学入試日程全体の対応につきましては、これは受験生第一の立場に立って、高校、大学関係者と十分相談しつつ、大学入学者選抜実施要項等で、その時点時点の状況というのを十分勘案しながら対応したいと考えております。

 高校入試におきましても、同様の配慮事項を通知で示させていただいているところでございます。

柴山委員 以上です。ありがとうございました。

橘委員長 次に、牧義夫君。

牧委員 立国社、国民民主党の牧義夫でございます。

 きょうは、質問の時間をいただき、ありがとうございます。また、私の日程の都合で、与党の時間の枠の中に割り込ませていただいたこと、理事の皆様方に、御配慮に感謝を申し上げたいというふうに思います。

 この委員会もしばらく間があいていたものですから、やや旧聞に属する部分からちょっと話題に入りたいというふうに思うんですけれども、三月の二十四日に来春から採用される中学校教科書の検定結果が公表されました。これを受けての新聞報道を見て、ちょっと驚いた点が幾つかあったものですから、確認をさせていただきたいというふうに思います。

 これは、教科書会社の社名はあえて挙げませんが、一つは、歴史の教科書の中の、二十一世紀の日本というテーマの中で、二〇〇九年の民主党政権誕生と一二年の安倍晋三政権成立を説明するその内容の中で、民主党政権は沖縄の米軍基地移設問題や東日本大震災への対応などで迷走という表現があります。

 また、公民の教科書で、検定前の表現は、二大政党制をめぐって当初、自由民主党以外に政権を担える政党が形成されなかったという表現があって、これは検定意見がついたんですけれども、大してこれは内容が変わりません、自由民主党以外に安定的に政権を担うことができる政党が形成されなかった、こういう表現なんですね。

 これは、私は著しく公正性、公平性を欠く表現だというふうに言わざるを得ないというふうに思うんですけれども、こういう教科書が、まず事実関係を確認したいんですけれども、なぜ合格になったのか、審議会等で意見が出なかったのか、その辺の事実関係をまず確認をさせていただきたいというふうに思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 教科書検定についてでございますけれども、教科用図書検定調査審議会の学術的、専門的な審議により行われるものでございます。文部科学大臣による検定の決定又は検定審査不合格の決定につきましては、同審議会の答申に基づいて行われるというものでございます。

 御指摘の記述、幾つかございましたけれども、教科用図書検定調査審議会におきまして、その時点における客観的な学問的成果、適切な資料等に照らして学術的、専門的な御審議をいただいた結果、この記述につきまして検定意見は付していないという判断をされた状況にあるというふうに認識してございます。

牧委員 ということは、学術的な見地から検定意見が付されなかったということなんですけれども、検定意見書というのは、念のために、これは公表されるんですか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 検定意見書の公表でございますけれども、検定関係のさまざまな資料におきまして、検定意見書につきましては教科用検定規則というものがございまして、その規則に基づきまして文部科学省のホームページに掲載されているというものでございます。

 また、今後、東京及び地方の数カ所で検定関係の資料を公開するということを予定しております。

牧委員 そこで、ちょっと手続的なことを確認させていただきたいんですが、この検定に当たって、いろいろ検定の手順について、私は文科省のホームページでちょっと見たんですけれども、初中局に教科書調査官という方たちがいらっしゃいますね。企画官、これは人数が合っているかどうかは分からない、企画官二名、教科書調査官五十七名、視学官十三名ということで、この調査官の仕事なんですが、みずからの調査の結果に基づき、審議会の審査に必要な資料を作成するということですね、これは間違いないですね。

 ということは、これは審議会でそういう意見が付されなかったということですが、そもそも、この審議会の資料になる意見書案、この意見書案にこれが載っていなければ、審議会そのものでこれが議題の俎上に上ることがないんじゃないかと私は思うんですよ。その辺、ちょっと、どうなんでしょうか。

串田政府参考人 お答え申し上げます。

 検定の実際の記述、教科書の原案に対しての記述につきまして、調査官が、先生御指摘のとおり、原案の記述を見まして、この点の修正の意見をつけ、それを検定審議会にかけるというケースが多うございますけれども、仮にそのまま通るということもあるわけなんですけれども、審議会の委員も専門家でございますので、その調査書の原案になかったものについても、自分で教科書原案を読んで、この点についてどうなのかといったような指摘もあるというふうに承知しております。

牧委員 今の御答弁ではっきりしたことは、まず一つは、調査官はこれを検定の案に載せなかったということですね。

 案に載っていなくても、審議会の人たちは、教科書に全部目を通して、問題意識があればそれは俎上に上げる、検定意見をつけるという御答弁だったと思います。

 今明らかになったのは、調査官は、問題意識は全く持たなかったということでよろしいんですね。今の答弁だとそういうことになりますよ。

串田政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の記述につきまして、現在の学説状況等に照らしまして、この記述については、調査官は、意見書の原案をつくる段階で意見をつける必要がないというふうに判断したものと考えております。

牧委員 これは本当にゆゆしき話だというふうに思います。

 教科書検定の審査要項というのがきちっとつくられているわけで、その中で、検定基準に照らして不適切な箇所について意見書を作成する、意見書案をまずは作成するわけですけれども、では、この意見書案そのものは公表されますか。

串田政府参考人 お答えいたします。

 検定資料の公開の件についてでございますけれども、検定のプロセスをなるべく、できる限り透明化をするということが重要でございますので、この調査官がつくった検定意見の案についても公表しているという状況でございます。

牧委員 それはどこで公表されるんですか。

串田政府参考人 ホームページや、あるいは、先ほどお答え申し上げたとおり、各地域での公表の会場等で公表しているものでございます。

牧委員 わかりました。意見書案もホームページで、意見書じゃなくて意見書案もホームページで公表されるということですので、それを見ていなかった私が悪いのかもしれませんが、だからといって、この中身そのものに調査官が問題意識を持たなかったということ自体、これは私はゆゆしきことだというふうに思います。

 平成二十九年告示の義務教育諸学校教科用図書検定基準というのがあります。「政治・宗教の扱い」という中で、「政治や宗教の扱いは、教育基本法第十四条及び第十五条の規定に照らして適切かつ公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと。」というふうになっておりますけれども、この基準に照らして、この基準に違反していると私ははっきり申し上げたいと思うんですけれども、そういう問題意識を持たなかったんでしょうか。

 これは、大臣、お聞きになってどう思われますか。もし、例えば、あと何年かして、長期化した安倍政権のもとで、人事権の濫用によってそんたく政治が生まれて、公文書の改ざんや隠蔽が繰り返された、あげくには、感染症対策で後手後手に回って政権の弱さを露呈したというような表現が教科書に載ったらどうだと思いますか。ちょっと大臣、答えてくださいよ。

萩生田国務大臣 仮定の質問にはちょっと答えづらいんですけれども、検定制度は、教科用図書検定調査審議会の学術的、専門的な審議により行われるもので、文部科学大臣による検定の決定又は検定審査不合格の決定は、同審議会の答申に基づき行われるものとなっております。

 御指摘の記述については、教科用図書検定調査審議会において、その時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして、学術的、専門的な御審議をいただいた結果、当該記述に検定意見は付さないと判断されたものだと認識をしております。

 仮に、今、牧先生がおっしゃったような、将来新しい検定本の中でそういう記述が出てきたときにも、審議会の皆さんが適切に判断をされるというふうに思っております。

牧委員 これ以上言っても切りがないのでこの辺でやめますが、これは、教科書調査官までが政権にそんたくするようになったらもうこの国の教育はおしまいだと思いますので、その辺は、きちっとその辺の問題意識を持っていただきたく、改めてお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 さて、きょうはオリパラ担当大臣にもおいでいただいておりますので、これもちょっと、もう時間もかなりたっておりますが、私、前にここで質問させていただいたときはまだ一年延期ということが決まる前で、そういうことがあるんでしょうかと言ったら、ないというお答えでしたけれども、その後すぐに延期ということになったものですけれども。

 今、オリンピックが延期になったというのもコロナが原因であり、また国を挙げて今みんなで新しい感染症との戦いを進めている中でありますけれども、コロナとの戦い、そしてまたオリンピック、間違いなく来年開催できるように一生懸命頑張っている皆さんには敬意を表したいと思うんですけれども、ただ、この両方を比較考量したときに、国家の資源をどっちに重点的に投入するかといえば、やはり私たちはあまねく国民の健康ですとか生命を守ることが第一義であるというふうに思います。そういう意味で、ある程度、頭の中を整理して、きちっとその辺のところを優先順位をつけていく必要も場合によってはあるんじゃないかというふうに思います。

 端的に言うと、やはり経済的な部分、これは一年延期に伴って相当さまざまな部分で問題が生じて、またそれに対しての資金も必要になってくる、これをどういうふうに認識をされているか、まずちょっと簡単にお答えをいただきたいというふうに思います。

河村政府参考人 お答えいたします。

 まずもって東京大会につきましては、世界のアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆様にとっても安心で安全な大会を目指し、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして東京大会を完全な形で実施できるよう、三月二十四日に行われました安倍総理とIOCバッハ会長との電話会談において、安倍総理からおおむね一年程度の延期を提案し、その後、関係者間における協議を経て、IOC理事会において来年七月二十三日からの開催が決定されたところであります。

 その後、東京大会の延期に伴う費用につきましては、去る四月十六日にIOCと組織委員会が開催したエグゼクティブプロジェクトレビューにおきまして、二〇二〇年の大会運営計画、特に会場と競技スケジュールを踏襲することが望ましいこと、次に、IOC、IPC、組織委員会を始めとする関係者は共同で、サービスレベルの最適化、合理化を検討し、延期コストの削減を図ること、更に、IOCと組織委員会を含む日本側は共同で、延期による追加コストを含め、延期のもたらす影響について引き続き評価と議論を行うことで合意をしておるところであります。

 政府といたしましては、引き続き、大会の主催者であるIOCや組織委員会、東京都の検討状況を注視してまいりたいと考えております。

牧委員 もうちょっと端的に、何千億かかるのか、その費用負担をどこがするのか、そういうこともお答えいただきたかったんですけれども、今、そこは端的には多分言えないんだと思います。

 ただ、今おっしゃったように、コロナに打ちかったあかしとしてというお話がありましたが、まだ打ちかっていないんですよね。だから、私が言いたいのは、まずそっちが先でしょうということを申し上げたかったのが一つ。

 もう一つは、費用負担についての考え方をもう一回ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、国と東京都とIOC、これはどういう比率で受け持つのかというのはまだ未確定だというふうに私は思っております。

 そういう中でいろいろな水面下の駆け引きもあるんでしょうけれども、ちょっと嫌な、変な言い方ですけれども、費用対効果ということを考えたときに、これから発生する追加費用も含めて、全体のかかったお金とそれから効果、経済的効果、もっと端的に言うと、一体それによって恩恵をこうむるのは誰なんだ、あまねく国民に恩恵があるのか、あるいは特定の人たちに恩恵があるのか、そういうことも踏まえて我々はやはり政策の決定をしていかなければならないというふうに思います。

 もっと端的に言うと、例えば、テレビの放映権料はどこにどれだけ入るのかということもあわせて考えれば、これは、一年延期するのか、あるいは中止になったら一番、逆に裏を返して言うと、損するのはどこなのか、そういうことも考えて我々は費用負担についての議論をする必要があるいはあるんじゃないか。そうしなかったら、私は、IOCになめられっ放しで、こっちに負担ばかり押しつけられて終わったのでは、国民に対して申しわけない結果になるというふうに思いますので、その辺の考え方、費用負担についての考え方について、担当大臣からお考えをお聞かせいただければというふうに思います。

橋本国務大臣 先ほど事務方からもお話がありましたけれども、東京大会延期に伴う費用については、四月の十六日にIOCと組織委員会が開催したエグゼクティブプロジェクトレビューにおきまして、IOCと組織委員会を含む日本側は共同で、延期によるコストを含む影響の取扱いが共通の課題であることを確認して、今後、共同で評価、そして議論をしていくことで合意をしております。

 東京大会の経費というのは、やはりIOC、そして組織委員会、東京都ということになりますので、今後、延期に伴って、追加経費といいますのは、まだ今、組織委員会と東京都、そしてIOCが中心となって精査をしている段階でありますので、今後、それがしっかりと詳細な、経費がどのぐらいかかっていくかということが示された上で、評価、そして議論をしていくということになります。

牧委員 オリンピックそのものにけちをつけるつもりはありませんが、これはやはり国民の税金ですから、優先順位をきちっとつけていただいて、日本の国が割を食うようなことがないように、ぜひ今後の交渉をしていただければというふうに思います。

 また、万が一、少し終息に向かっているような雰囲気もありますけれども、また第二波、第三波というようなことも考えられなくもないわけです。そういうところで、どこかの時点で、場合によっては中止せざるを得ない選択肢もあるいはあるんじゃないかなというふうに思いますけれども、大臣、その辺のお考えはどうでしょうか。

橋本国務大臣 あくまでも、延期あるいは中止ということに関しましても、最終的な決定権はIOCにあるわけであります。

 先般もバッハ会長は、コロナの感染が終息をしなかった場合に再延期というのはあるのかというようなことを聞かれたときに、大会まで一年二カ月ある、将来のことについて臆測をあおるべきではないというふうに述べたというふうに承知をしております。

 今、東京大会を目指す世界じゅうのアスリート、この大会で全力を発揮するために現在も与えられた環境のもとで努力を続けておりますし、また、多くの関係者の方々も大会の準備に向けて全力で取り組んでいただいております。政府としては、世界のアスリートが万全のコンディションでプレーを行い、観客の皆さんにとっても安心で安全な大会を目指して、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして、東京大会を完全な形で実施できるようにしていきたいというふうに思います。

 IOCが延期あるいは中止ということを決める決定権を持っているわけですけれども、IOCがやはりしっかりと万全の体制で東京大会を実施ができるようにというふうに思っていただけるように、政府として全力を挙げていきたいというふうに思っております。

牧委員 そこら辺はよくわかりましたが、ただ、私が言いたいのは、中止が絶対あり得ないなんということはなくて、それも場合によってはあり得るんだということも、それを排除することなく、頭の中を我々みんなで整理していければということを申し添えておきたいというふうに思います。

 橋本大臣、ここまでで結構でございます。ありがとうございました。

 では次に、先ほど柴山先生のお話にもありましたが、今の一斉休校の現況、それから、今後の見通し、学びの確保について、簡単にちょっとまたお願いしたいと思います。今の学校再開等々の現況ですね。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 臨時休業の状況でございますが、五月の十一日の十二時時点でございますが、国公私立の小中高等学校等のうち、約八六%の学校が臨時休業を実施しております。

 また、臨時休業の終了の予定日についてですが、五月十一日から五月二十四日までとしている学校が約一六%、五月二十五日から五月三十一日までとしている学校が約八〇%となっております。現段階で、六月以降も臨時休業を継続することを決定している学校はほとんどございません。

牧委員 それぞれの地域によっていろいろな工夫もあろうかと思いますし、また、昨日解除された地域と、またそうでない地域との差もあるでしょうし、さまざまな取組、工夫も必要だというふうに私も思います。

 そういう中で、再三議論されてまいりましたけれども、オンライン授業について、その進捗、現況についてもお聞かせいただきたいと思います。GIGAスクール構想、補正等で予算の前倒し等もあるやに聞いておりますけれども、一方で、タブレットの供給が追いついているのか追いついていないのか、あるいは学校そのものがこういうものを駆使して使いこなせているのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校の臨時休業期間におきまして、ICTの活用により子供たちの学びを保障することは極めて重要であるというふうに考えております。

 委員御指摘のICTの活用の状況ということでございますけれども、新型コロナウイルス感染症対策のため、学校の臨時休業に関連をした公立学校における学習指導等の取組状況について、四月の十六日時点で調査を行っております。臨時休業中の家庭学習について、同時双方向型のオンライン指導を通じた家庭学習を実施する設置者は五%程度にとどまっております。

 文部科学省としましては、オンライン教育の基盤となるICT環境整備が急務であるというふうに考えております。既に自治体には、まずは、家庭にあるパソコンやWiFi等の活用や学校の端末の持ち帰りなど、既存のあらゆるICT環境を最大限利用するとともに、先ほど委員の方からございましたGIGAスクール構想、令和元年度、令和二年度の補正予算で措置をいただいておりますが、その実現のため、環境整備を前倒しでしっかりと今進めているところでございます。

 引き続き、自治体の需要の把握や供給業者への働きかけなども進めまして、全国でのICT環境の確実な整備を図ってまいりたいというふうに考えております。

牧委員 そこはもう本当に鋭意取り組んでいただきたいというふうに思いますし、また、生徒一人に必ずしも一台すぐに行き渡らなくても、自宅で勉強する子と学校に通う子と交代で使ったり、そういう工夫もあろうかと思いますので、あらゆる選択肢を念頭に、授業、学びのおくれをしっかり取り戻していただきますようにお願いをさせていただきたいと思います。

 時間もなくなってまいりましたので、きょう最後に、大学入試のあり方に関する検討会議の内容についてちょっと質問する予定でしたが、それはまた次に回させていただいて、もう最後になっちゃいますけれども、ゴー・トゥー・イベントについてちょっと聞きたいと思います。

 文化庁の所管に当たる、いろいろ文化的な公演事業の自粛による影響について問題を提起したいと思うんですけれども、ライブエンターテインメント市場というのを一部出ている資料で見ると、六千億円ぐらいの市場だというふうに大体見積もって、これはいろいろなところの見積りによってまた違ってくるように聞いています。九千億という説もありますし、いろいろあると思うんですけれども、今回のコロナ禍で、これはほとんどもう開催ができない状況の中で、大変な思いをしている実演家、芸術家の方たちがいらっしゃるというふうに思いますけれども、今回の補正予算で、ゴー・トゥー・イベントという企画があって、これは終息後ですけれども、一定期間で二割引き、チケットの二割引きというお話がございますけれども、文化庁の認識として、本当にこれで足りるんでしょうか。

今里政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘がございましたように、新型コロナウイルスの感染拡大の防止のために、文化イベントの中止や延期、規模縮小等の対応をいただいているところでございます。

 そして、数字はいろいろあるようでございますけれども、実演家などの文化芸術を担う方々、大変苦しい状況に置かれていると認識しているところでございます。これらの方々を守って、我が国の文化芸術の灯を消さないことが極めて重要だろうと考えてございます。

 今、先生の方からゴー・トゥー・イベントのお話がございましたけれども、私どもの方、文化庁に計上している第一次補正予算ということで申し上げますと、持続化給付金の創設に加えて、感染拡大が終息しつつある段階に、文化芸術活動を回復されるべく、子供たちの文化芸術体験、鑑賞機会の創出、地域の文化芸術関係団体等によるアートキャラバン、最先端技術観賞モデル構築事業等により活動再開に向けた支援を行う、こういったことを計上しているところでございます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

牧委員 経産省のゴー・トゥー企画とは別にあるというお話ですけれども、私から見ると、ちょっとこれは余りにも少ない予算だなというふうに思います。

 この文化芸術というのは、ここで途絶えたら、後進にきちっと道をつけることも途絶えてしまうと、あとはもうぺんぺん草も生えないというような国の状況になってしまっては取り返しがつかないと思いますし、この文化芸術という観点から、どの辺までの範囲を文化庁が捉えているのかよくわかりませんが、例えば、地方におけるマイナーな部分ですとか、そういうところにまできちっと光が当たるのか、行き渡るのかというのは、大変私、心もとなく思っております。

 こういうところから、きちっとした大きなメジャーの芸術というのも育ってくるわけですし、この辺のところをもう少しきちっと念入りに取り組んでいただけないかというふうに思いますが、最後に、その辺について大臣のお考えを。

萩生田国務大臣 まさしく、文化芸術の灯を消してはならないという思いで、第二次補正も含めて支援策をいろいろ考えています。

 ただ、今先生もいみじくもおっしゃっていただいたように、文化芸術活動に従事をされる就労体系というのが余りにも多様化をしていまして、一つメニューをつくったらそこで救えるというわけじゃないなというのはすごく肌で感じているんですね。ですから、何か非常勤の職業を持ちながら、しかしそっちも頑張っている人たちが、どっちも諦めることがないようにするために、今現場の声、さまざま文化庁の方で聞かせております。きめの細かい、今お話があった、メジャーな団体のみならず、本当に地域に根差したような草の根の文化団体なども、何が困っているか、続けられるかということをよく聞いておりますので、しっかり、予算のみならず、制度も含めて、あるいは税制も含めて、文化芸術の灯を消すことのないように国全体で支えていく、そういうスキームをしっかりつくっていきたいなと思っております。

牧委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

馳委員長代理 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。よろしくお願いいたします。

 本日は、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための大学や学校の休業、そして文化芸術のイベントやスポーツイベントの中止などで大変苦しんでいる子供たちや学生、そしてフリーランスの文化芸術関係者の支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 公明党は、日々、地方議員さんの皆さんから地域のお声をいただき、また、直接たくさんの方々から現場のお声をいただいております。その中で特に、今この状況の中で、学業と生活に必要な経済的基盤を失い、経済的困窮の度合いが深まっているという学生さんから、このままだと中退をせざるを得なくなるかもしれない、また、進学や進級を諦めなければならないかもしれないなどとの声をたくさんいただいております。そんな声を聞くたびに、そんなことがあってはならないと思っております。

 また、本年四月から、高等教育の修学支援新制度がスタートいたしました。そして緊急応急対応の貸与型奨学金の受け付けも行われておるところでございますけれども、これだけでは、アルバイトの時間が短くなってしまったり、バイトがなくなってしまったり、また解雇などによって突然収入がなくなってしまったなど、学びの継続、これの危機を防ぐことはできないと思っております。

 公明党は、四月の二十日、文部科学部会、青年委員会、学生局で、十五項目から成る学生等に対する支援の強化の申入れを萩生田大臣に行わせていただいたところでございました。また、申し入れただけではなくて、それがどうなっているのか、どこまで実現できているのかということを五月の一日に直接大臣にフォローアップをさせていただいたところでもございます。

 これらの要望を踏まえまして、五月の四日、安倍総理は記者会見において、厳しい状況にあるアルバイト学生への支援についても、与党における検討を踏まえ、速やかに追加的な対策を講じていきますと発言がなされたところでございます。

 この総理の発言を踏まえまして、またゴールデンウイーク中にもたくさんの学生さんからのお声を踏まえまして、連休明けの七日に文部科学部会として提言をまとめ、八日の金曜日に、斉藤幹事長とともに、萩生田大臣に対しまして、新型コロナウイルス感染症の影響によりアルバイトの減少、解雇等で経済的に困窮している学生等への給付金創設と迅速な給付についての緊急提言を行わせていただいたところでございます。

 これに書かせていただいたのは、住民税非課税世帯約十万人、それに準ずる世帯約十万人、そして中間所得層でアルバイトにより学業と生活に必要な収入を得ている約二十四万、これはJASSOの調べによって大体二十二万から二十四万ということでございましたけれども、トータル四十四万人を含む経済的に困窮している学生、大学院生等おおむね五十万人に対して直接支援として一人十万円の現金給付を行うこと、給付に当たっては、迅速に手続を行い、早急に学生等の手元に届けること、なお、その財源は予備費を活用することとの緊急提言を行わせていただきました。

 また、今週の月曜日、衆議院の予算委員会におきまして、我が党の高木美智代議員の質問に対して、総理からは、この緊急提言を受けた支援を実施する旨の答弁もあったところでございます。

 新制度には入っていない大学院生、また住民票のある留学生、また専門学校、日本語学校などの学生さんへの支援、これが喫緊の課題であります。

 そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいんですけれども、公明党が四月二十日、五月一日、八日と累次にわたって要望を重ねてまいりました。新型コロナウイルス感染症の影響によりアルバイトの減少、解雇等で経済的に困窮している大学院、専門学校、住民票のある留学生、そして日本語学校等の学生への給付金の創設についてどのような対応を行うのか、お聞かせ願いたいと思います。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、世帯収入の激変やアルバイトの収入の大幅な減少によって、学生生活にも経済的な影響が顕著となってきております。

 こうした学生等が安心して学業を継続できるよう、緊急の給付金制度の創設について与党の皆さんからも提案をいただいているところです。アルバイト収入が減少し困窮している学生等への支援については、これまでも、国会審議や、今先生から御披露いただきましたように、公明党の皆さんを含む与党の皆さんからも御提案もいただき、また、野党の皆さんからも真摯な御意見や法案の提出も承知をしているところでございます。

 学びの継続のための緊急給付金の創設を検討しておるところでございまして、御指摘がありましたように、現状の制度、新制度をさまざまお使いいただきたいんですけれども、例えば大学院生などは対象になっておりません。また、日本語学校で学ぶ学生や留学生に対してもその対応ができない状況にありますので、こういったことも幅広にしっかり考えて、学ぶ意欲のある学生たちが今回のことで修学を諦めることがないような、そういった制度にブラッシュアップをしていきたいと思います。現在最終的な詰めを行っているところでございます。

浮島委員 今、現在最終的な詰めを行っているということでございますけれども、総理が発言されたのが五月の四日、その会見でも速やかにとおっしゃっております。ぐずぐずしていないで一日も早く決定するということを、お願いを再度させていただきたいと思います。

 そして、何より大事なことは、この給付金を一刻も早く学生に届けることだと私は思っております。

 この給付金は学生にとって、今、この現在の必要なお金なんです。まず大学に申請して、大学がそれをリスト化して、そして日本学生支援機構、JASSOに渡すといった手順もあると思います。でも、例えば、今、文科省の方でもLINEを活用した学生支援の緊急給付金の対応というのも検討されて進めていただいているということを承知しておりますけれども、例えば、LINEの申請も手続のツールとして検討してはどうかと私は考えております。既に経産省で持続化給付金の申請に利用されておりまして、そのノウハウはそのまま活用できると思いますし、スピーディーに対応ができると思っております。

 また、直接、日本学生支援機構、JASSOですけれども、に申請するとか、その際、その事務処理を、アルバイトがないと困っている学生さんたちを雇用してアルバイトしてもらうなども、しっかりと手を打っていただきたいと思いますし、また、LINEの申請の手続のツールも一つとする、また、できるところでございますけれども、できるところは、大学が一旦給付金を立てかえて学生に支払うといった、これまで考えられなかったような新しい手を使うことにより、今、今すぐお金を必要としている学生に迅速に給付金が渡せるようにするべきだと思いますけれども、大臣の所見をお伺いさせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 今先生からも厳しい御指摘をいただいて、学生の皆さんの窮状を考えたら、速やかにというのは当然だと思います。

 したがって、これは今詰めをしていますと申し上げましたのは、二次補正のメニューに入れて、これから御審議をいただいて予算を積み上げていくというのでは間に合わないと思っておりますので、予備費の活用なども視野に速やかな対応をしていきたい、そのための手続を急いでいるところでございます。

 その上で、手続もできるだけ簡素化したいと思うんですが、一方で、先ほど学校への支援のお話もありました。私、やはりここは各学校が、自分の学校に、こういう形態で自分の学校に通っていて、困っている子が何人いるんだということをちゃんと把握していただくことも大事だと思っていますので、JASSOの方と並行してなんですけれども、やはり学校で責任を持って、その実態調査の上で申請をしていただく、一括で申請していただければ、JASSOの方は直ちにお振り込みをするような仕組みを考えさせていただいております。

 その中で、LINEなどは学生の皆さんにとっては非常に有用なツールでありますので、学校とのやりとり、あるいはJASSOとのやりとり、いずれかでLINEの活用なども含めた、SNSを有効に活用することもぜひ検討していきたいと思って、今現場にも声を上げているところでございます。

 その上で、学生アルバイトのことまで御心配いただきましたので、さまざまな手続をする上で、学生アルバイトも募集をしてまいりたいと思います。ただ、個人情報がいろいろ入りますから、あの大学のあの子がお金がないといって申請してきたなんてことの個人情報が学生間で漏えいしないような仕組みも必要なんだと思いますので、そういったことも含めて、学生の皆さんの就労の機会もつくりながら、繰り返しになりますけれども、そう時間を置かずにしっかり政府として方針を決めて、学生の皆さんに安心をお届けする。そのかわり、学生の皆さんはしっかり学んでいただく意欲を持続していただくようにお願いしたい。こんなことで、できる限りのスピード感を持って対応していきたいと思います。

浮島委員 ぜひとも大臣の強いリーダーシップのもと、よろしくお願いいたします。

 安倍総理が二月の二十七日に、全国の小中高校、特別支援学校に対して、三月二日から春休みまで臨時休業することを求めてから三カ月近くたとうとしております。この臨時休業、緊急事態宣言、そしてその延長と、子供たちも保護者も、そして先生方も、先の見えない状況に今直面をしております。

 教師は、その中でも地域や子供たちの状況に応じて子供たちを必死に支えてきました。改めて私は日本の学校の、教育関係者の底力を実感したところでございますけれども、他方で、なかなか登校できない状況の中で、小学校の新一年生が赤ちゃん返りをしている、子供の生活のリズムがとても乱れてしまっている、ずっと家にいると親子でストレスが高まってしまっているというお声もいただいているのが現状でございます。

 中央教育審議会は、四月の二十七日にオンラインで初等中等教育分科会を開催したと承知しております。

 その委員の一人の、認定NPO法人のカタリバ代表理事として被災地の子供たちの支援を続けている今村久美さんは、学校は、子供たちが教科教育を受ける場という価値以上に、教育活動を通じた福祉の場という前提に立つ必要がある、また、学校は、学びの場である以上に、人と安心、安全につながることができる居場所だと述べられておりました。

 また、廃校寸前だった島根県の隠岐島前高校を島留学という発想で活性化させた岩本悠委員は、休校になり、当たり前だった日常が失われたことで、そもそも学校は何を担い、何を守り、何を育んできたのかが改めて顕在化しました、学校は狭い意味での教育にとどまらない福祉的な価値、例えば健康的生活リズム、子供の安全な居場所等も担っていることが浮き彫りになってきましたと指摘をされたところでございます。

 それぞれ、本当にそのとおりだと私は思います。

 先の不透明な中でお友達に会いたいと思っている子供たち、また子供たちに会いたいと思っている先生方、今後、徐々に学校再開が始まっていきますけれども、子供にとって人と安心、安全につながることができる居場所、子供の安全な居場所である学校、感染拡大の防止に最大限の配慮をしながら再開することは何よりも大事なことだと思います。

 他方、三、四、五月と休校が続いた中で、子供たちも保護者にも、その間の学びをどう回復し学力を保障するかについては不安が高まっているのも現状でございます。今私たちが何よりも優先すべきなのは、目の前の子供たちの生活と学びをしっかり支えることだと思います。その地道な努力のためにはしっかりとした投資をしていかなければなりません。

 これから、もしかしたら一年、二年にわたって日本の社会はこの感染症と向かい合い、学校も休校したり再開したり、また休校したり再開したりということを繰り返すことも否定はできません。そんな状況のもとで、学びの保障のためにはどんな取組が必要になるのか。まず、教科書の内容を、個別でも実施可能な学習と、対話や討論、協働など、集団での中でこそ意味のある学習に分けて、今となっては本当にぜいたくな時間となったクラスでの対面授業で何を扱うのかを明確にして学習内容を重点化することが求められると私は思います。

 例えば小学校三年生であれば、年間、国語が二百四十五こま、算数が百七十五こま、体育が百五こまなど、計九百八十こまの授業を行うことになっております。その中で、国語であれば語彙や漢字の習得は個別でも実施が可能な学びであります。また、記録や報告などの文章を読んで、文章の一部を引用してわかったことや考えたことを説明したり、また意見を述べたりする活動、こういうのは対面授業やオンライン授業で行うことが求められる学習活動であります。また、語彙や漢字の習得、計算能力の育成といった、個別でも実施可能な学習は、情報端末を活用したり、学習指導員による指導を生かしたりして、授業とは別に学習の機会を確保することができると思います。

 さらに、学習指導要領はもともと大綱的な基準で、これまでも学校は全ての単元に同じ時間をかけて教育活動を行うのではなくて、大胆にめり張りをつけたり順番を入れかえることができました。今はこの状況だと私は思っております。文科省には、それぞれの単元を見渡して、各学校に教育内容の重点化、縮減を図るためのガイドラインを示すことが必要であります。

 このように学習内容と学習量について見取り図とスケジュールを整理した上で、夏休みの活用や土曜授業で時数を確保する一方で、三つの密を避けるために、クラスを幾つかの集団に分けて午前と午後の二部制の授業にしたり、学校以外の公民館、図書館等においてオンラインを活用した指導を行ったりして、安全、安心に学べる環境を確保しなければならないと思っています。

 でも、その際、個別でも実施可能な学習を中心とした教材、解説動画、そして学習定着度確認テストなどを文科省がオンラインで提供して、子供たちが情報端末を使いながら自宅で学ぶ意欲を持って学習に取り組むことも極めて重要だと思っています。

 学校は年間二百日の授業日が設定されておりますけれども、今年度は四、五と、三十から三十五日分の授業が実施できませんでした。しかし、このように教育の内容を重点化して圧縮するとともに、どの学びを対面授業で行うかを明確にしながら年間の学習計画を組むことにより、高三、中三、小六は優先的な分散登校で今年度末までに学びの保障をしっかりと行うとともに、それ以外の学年についても、二、三年を見通して無理なく学習を取り戻すことができることと思います。

 また、仮に再び休校となったとしても、休校の期間中、個別でも実施可能な学習は家庭において情報端末を活用して行い、オンラインの授業においては対話や討論を行うといった見取り図に基づき、慌てずに対応ができると思います。

 大臣の強いリーダーシップで、四千六百一億のGIGAスクール構想の実現のための予算が確保できました。これは画期的なことだと思います。

 次に必要なのはマンパワーです。三つの密を避けるための少人数学習の集団を編成したり、個別でも実施可能な学習に子供たちが意欲を持って取り組んだりするためには、これまでの常識に全くとらわれない規模の加配教員や学習指導員、スクールサポートスタッフなどのマンパワーが不可欠だと思います。

 教育というのは人、国づくりは人づくりでございます。今年度の二次補正の編成に向けた大臣の決意を伺わせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 子供たちの学びを保障するためには、感染防止のための取組を最大限に実施し、可能な限り感染リスクを低減させながら、地域の感染状況を踏まえて段階的に実現可能な学校教育活動を実施していくことが重要であると考えており、昨日、多くの自治体が宣言から外れました。また、引き続き警戒態勢をしかなきゃならない自治体もあるわけであります。

 そういう中で、今いみじくも先生おっしゃっていただいたように、学校教育というのは、授業のこま数の積み上げをするところではなくて、やはり対面で学んだり、同じ子供たち、友達同士、集団で事に当たったり、好きなことも苦手なことも、学校教育の中で、さまざま体験学習などを通じて乗り越えていくことが重要でありますので、家庭でプリントをやったからとか、オンラインでつながっているからということで全てを代替するというわけにはいかない、その前提はしっかり守っていきたいと思います。

 しかしながら、緊急事態で、おっしゃるように、では、全てのカリキュラムを予定どおり全部きちんとできるのかと言われれば、そこは工夫が必要になってくると思います。特に、最終学年の中学三年生や小学校六年生はもう後がないわけですから、そういう中で、残された時間の中でしっかり学びの保障ができるのか。そのためには、授業内容の、今御指摘があったような、さまざまな精選というものもしていかなくちゃならないと思います。

 それはあくまで、宿題を課したからそれで済むということじゃなくて、自分の時間でできることと、それをきちんと評価を、みんなで見なきゃいけないところをちゃんと分けていくということが大事でありまして、ここは丁寧に各教育委員会と対応していきたいと思います。

 一人一人のきめ細かな学習指導を実施するためには、学級を複数のグループに分けること、分散登校により時間帯を分けることなどにより、学習集団を小規模化し授業を行うことが考えられます。また、家庭学習の支援も、学びのおくれに対応するための補習などを行うこととセットで初めて意味があるんだと思います。

 このような取組を実施するためには、先生御指摘のとおり、マンパワーが不可欠であります。

 昨日、総理指示もございましたが、学校全体の指導体制の充実を図るために、今までの前例にとらわれない加配教員の配置、また、補助率も考えてあげないと、自治体はいろいろな意味で傷んでいますので、今までのような補助率で、必要な人は手を挙げてくださいなんと言っても、なかなか決断ができない自治体もあると思いますので、応分の負担を国がしっかり見る、そういう覚悟で、加配教員、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加。

 また、ICT、急がなくちゃなりません。しかし、先ほども答弁しましたけれども、なかなか詳しい人材が地域にいないという地域もありますので、ICTのサポーター、サポートスタッフ、こういったものも含めて、国全体でこの危機を乗り越えていくために、マンパワーをフルに活用できるように、しっかりと財政措置をしていけるように全力で取り組んでまいりたいと思います。

浮島委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 学びの保障のためには、四千六百一億円の公費を投じているGIGAスクール構想が、一人一人の子供たちの手元に情報端末が届く、それを自宅での学習に活用できるという形で実現することも不可欠でございます。本年度一次補正でGIGAスクール構想が完全に実施されますけれども、ここで一人一台の情報端末の整備を行わなければ、本年度残り十カ月で年間二百日の授業をこなすことは到底できないと思います。

 文科省として、全ての自治体に対しては、一人一台の情報端末をここまでに整備しなければ、また、東京都など十三の特定警戒都道府県の自治体に対しては、ここまでにモバイルルーター、またドングルなどを家庭でICT環境を整備できない子供たちに貸与できなければ学びの保障ができないという強いメッセージを市町村長に発し、確実に整備を図るべきだと思いますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

萩生田国務大臣 学校の臨時休業期間において、ICTの活用により子供たちの学びを保障することは極めて重要であり、そのためにも、文部科学省として、全ての子供たちに対するICT環境整備が急務だと考えております。

 既に自治体には、まずは、家庭にあるパソコン、WiFi等の活用や学校の端末の持ち帰りなど、既存のあらゆるICT環境を最大限利用するとともに、令和元年度と令和二年度の補正予算で環境整備を進めるよう働きかけをしているところです。

 また、自治体には一刻も早く環境整備を行っていただく必要があると考えており、少なくとも、特定警戒都道府県で夏ごろまでには全ての児童生徒がICTを活用できるよう、文科省として、自治体の需要把握や供給業者への働きかけなども進めているところです。

 今後の需給状況も把握しつつ、取組の遅い自治体には、全国市長会など関係団体と連携して、より強い働きかけも行いながら、全国での確実な整備を図ってまいりたいと思いますし、三月の予算編成段階ではなかなかここまでの危機感が伝わっていなかったので、もうちょっと後でいいやという自治体もあったと思うんですけれども、もはやそんなことは言っていられないと思います。

 先生の所属政党は地方の議員の方も大勢いらっしゃいますから、六月が来ますと、何でうちの市はやらないんだという声がどこでも出てくるんだと思います。それをきっかけに、何とか夏以降できるだけ早い時期に一斉に整備ができるように、全力を挙げて対応してまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。

 また、本年度の残り約十カ月で年間二百日分の授業をこなすには、長期休業期間、特に夏休みの活用が不可欠になってまいります。普通教室に空調整備を、設置するための予算を確保して全国で整備を図ってきたことが、今、功を奏しておりますけれども、課題がございます。

 夏に教室を閉め切って空調をかけて授業をすれば、三密になりかねません。しかし、だからといって空調を入れないと熱中症になる可能性があります。感染拡大を防止し、快適な環境で授業を行うためには、各教室に高性能の空気清浄機などを整備する必要があるとも思います。

 また、先日、これはお声をいただいたんですけれども、夏休みに授業を行うとなると、給食を提供することになります。現場からお伺いしたのは、給食の調理場には空調が入っていないところがあるということでございました。

 もしも給食を、この調理場を使っていくということであるのであれば、暑い中、調理員の皆さんが熱中症になってしまう。そういうことが起こってはならないので、給食現場への空調整備、これも必要ではないかと思います。また、かさむ電気代、これなどのランニングコストについても地方財政上の特別措置が必要だと考えますが、大臣の見解を聞かせていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 まず、空気清浄機なんですけれども、現時点で、専門家の皆さんの知見において、新型コロナウイルスの粒子が、フィルターで捉えることが可能とされる粒子のサイズよりも小さいことから、感染症予防にどれだけ効果があるのかを評価することは極めて困難だという認識を示されております。

 このため、教室において三つの密を避けるためには、気候上可能な限り常時、二方向の窓を同時にあけて換気を行うこと、又は一時間に二回程度窓をあけて換気を行うことを奨励しており、エアコン使用時においても、むっと熱風が入ってくる可能性はありますけれども、適切に換気をしていただくことを学校現場に示してまいりたいと思います。

 従来夏季休業であった期間に授業を実施するに当たっては、児童生徒の健康の保持増進を図る観点などから、学校給食もあわせて実施いただくことが重要と考えておりまして、学校給食施設の整備については、令和二年度当初予算に加え、学校の衛生環境改善の観点から、先月成立した令和二年度補正予算においても、その新増改築に係る補助金のための費用を計上しており、空調設備の設置についても、その中で可能な仕組みとなっております。

 また、夏季に学校給食調理場を稼働するに当たって追加的に必要になる運営経費や、空調がない調理場における調理員の熱中症対策などの支援については、どのような対応が可能か、関係省庁と連携しながら検討してまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 最近になって、先ほども議論になりましたけれども、九月入学、秋入学という議論が浮上してまいりました。

 今私たちがまず優先すべきなのは、これまでも挙げてきましたけれども、目の前の子供たちの学びの保障です。九月入学を議論すること自体は否定はいたしません。

 また、日本大学の末冨芳教授は、今の状況での九月入学の導入は、就学を半年後ろにずらすことになり、先進国で最も義務教育開始が遅くなる学年集団を生むことになるなどの懸念を指摘されております。また、立教大学の中原淳教授は、九月入学よりも、子供の学びをとめないことに集中と訴えております。

 この九月入学は、就職や就業、年度単位になっている社会システムとの関係、会計年度など、教育の世界だけの話ではありません。先ほども柴山委員の方からも数々の課題等々もあったところでございますけれども、まず、ことしの九月からの秋入学は全く考えられません。

 私のところにも、政府が九月入学を検討との報道が出た途端に、子供たちに課題を出したり保護者へのアプローチをすることをやめたという自治体があるという保護者の声が届いてきたのも現実でございます。

 来年度以降に課題として検討することは否定はいたしておりませんし、公明党は、五月の十二日に、党内に九月入学を含めた子どもの学びの確保支援検討プロジェクトチームというのを設置させていただきました。私が座長を務めさせていただいておりますけれども、昨日、第一回のPTを開催いたしました。

 その中でも、各関係省庁にも出席をいただきましたけれども、さまざまなメリット、デメリットを議論し、また意見交換をさせていただきました。この問題の難しさを改めて今痛感をしているところでございます。教育の世界の話だけではなく、社会全体にかかわることでございます。

 そこで大臣にお伺いをさせていただきたいんですけれども、大臣は、五月八日の閣議後の記者会見において、今回の学びの保障の一つの手段としての始業時期の変更は、今まで積み上げてきた議論の九月入学とのアプローチが違うとおっしゃられております。

 今は、まず子供の学びの保障が最優先の課題であります。今の高校三年生について、受験や大学入学の時期をどうするかは、真剣に考え、早急に結論を出さなければなりませんけれども、学校の制度、社会制度として、九月入学について、国民、特に当事者である子供や保護者、教師などの理解を得るべく、丁寧な対話を重ね、そして慎重に方向性を見定めなければいけないと思っておりますけれども、大臣の見解をお伺いさせていただきます。

萩生田国務大臣 秋季の入学、新学期制については、学校の臨時休業が長期化する事態を想定した際の対応案の選択肢の一つとして声が上がっていると承知をしております。

 文科省としては、御指摘のとおり、まずは早期の終息に向けて感染拡大防止の取組を徹底した上で、これまでも行ってきている子供の学習の保障のための取組を一層しっかりと進めていくことが重要であると考えております。

 九月入学は、文科省だけがかかわる問題ではなく、社会全体に影響を及ぼすものであり、各方面との調整が必要な案件です。仮に、我が国の社会全体の問題として広く国民の間で認識が共有できるのであれば、私は選択肢の一つではあると思いますが、いずれにしても、子供たちのための最高の選択肢は何かということを第一に考えていくことが重要と考えており、この議論が話題になったことによって課題の先送りをするような現場があってはならないと思います。あくまで学びの保障をすることの一つのツールとしてこういったことも考えていかなきゃならないということで、今、さまざまな場面で議論や検討を加えていただいております。

 公明党でも本件について御議論をされていると承知しておりますので、与党の皆様の御意見もいただきながら、政府としても、新型コロナウイルス感染症の今後の状況を十分見定めつつ、しっかりと考えてまいりたいと思います。

浮島委員 しっかりと対話を重ね、議論を重ねていかなければならない問題だと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 時間が少なくなってきてしまいましたので、順番をかえさせていただきまして、次に、きょうは経産政務官にもお越しいただいておりますので、フリーランスの芸術家等の皆さんへのサポートについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 緊急事態宣言に伴う文化芸術、スポーツイベントの自粛の中で、フリーランスの芸術家、文化人、スポーツ関係者の皆さんは本当に大変な思いを今されております。また、実演家の皆さんだけではなくて、大道具、小道具、衣装、照明といった舞台にかかわる裏方さん、この皆さんも同様でございます。

 私のところにも、このゴールデンウイーク中に、バレエダンサーや先生方、またフリーのアナウンサー、落語家、カメラマンの方々など、フリーランスの文化芸術関係の方々からたくさん御連絡がありました。経産省の持続化給付金を活用としてもできなかった。その理由は、出演料や教えた代金などが雑所得で分類されていたことが壁になってしまっているという連絡をいただきました。

 これまで、申告の際に、税務署の方々から事業収入ではなくて雑所得として申告するようにという指導を受けていて、そのように、そのとおりにしていたというのがその方々のお声でした。すぐに我が党内の新型コロナウイルス感染症対策持続化給付金チームの浜田参議院議員に連絡をして、対応するようにお願いをさせていただきました。

 また、五月の十一日、参議院の予算委員会で竹谷とし子議員が質問しましたけれども、梶山経済産業大臣からは、今週中に改善策を打ち出すと明言なさいました。

 そこで、中野経済産業大臣政務官にお伺いをいたしますけれども、文化芸術の方、また実演家の方も含めて、裏方の方も含めて、全ての方々を支えるという意味を含めて、フリーランスの文化芸術関係者の持続化給付金の支給に当たって壁になっている、この雑所得、事業収入の問題、大臣は今週中とおっしゃっておられましたけれども、経産省としてどのような改善策を打ち出すことになったのか、教えてください。

中野大臣政務官 お答え申し上げます。

 フリーランスの方々の中には、委員御指摘のとおり、事業からの収入を雑所得あるいは給与所得のもとになる収入に計上されて、結果的に持続化給付金の対象とはならないという方もいらっしゃいます。他方で、事業性のあるこうした方々の事業継続を支えるということは重要な課題でございます。ですので、経済産業省としてこうした方々に支援策を講じるということにいたしました。

 具体的な制度でございますが、雑所得についてさまざまな種類の収入が計上されているということがございまして、そうした中でどのような形で事業の実態を把握できるのかという点につきまして、最終、制度の詳細を設計しているというところでございまして、できるだけ速やかに検討を進めてまいりたいというふうに思っております。

浮島委員 今、支援すると、今最終的に詰めを行っていると言っておりますけれども、先ほども文科大臣の方にもお伝えさせていただきましたけれども、速やかにとか早急にとか急いでという言葉はいろいろなところで出ております。でも、それがなかなか本当になっていない。とても遅い。現場は困っているんです。なので、しっかりと、いつまでにやるのか、また大臣にもしっかりとこれを持ち帰っていただき、こういう厳しい声があったということをぜひとも政務官の方から伝えていただき、現場の声を真摯に受けとめ、早くしていただけるようお願いを再度させていただきたいと思います。

 この問題を文化庁は経産省任せにしていてはならないと私は思っております。自分事と捉えて、文化庁は文化芸術団体の関係の皆様ともっと寄り添って、持続化給付金について、どのような問題があり、そのためにどんな解決策があるのか、積極性また機動力が私は必要だと思っています。文化庁からはどうも、自分たちが守るんだという気迫が私には全く感じられません。

 緊急事態宣言解除後を見据えて、国が全額負担する文化芸術活動に対する支援事業の展開が必要だと私は思っております。文化庁は文化芸術関係者の伴走者として文化芸術をしっかり守り育てることが使命です。緊急事態宣言の解除後に文化芸術関係者がこれまで蓄積してきた文化芸術のエネルギーを思い切って表現し、新たな文化芸術のうねりを生み出すためにも、国が全額負担する新たな支援事業、また直接個人に給付など、二次補正予算として検討すべきだと私は思っています。

 また、エンターテインメント業界の技術スタッフ、裏方を支える方々を守ることも重要です。今回のイベント自粛要請により、エンターテインメント業界の技術スタッフに対しての影響への補償、そしてイベント再開へ向けたガイドラインの作成もお願いしたいということを皆さんから言われております。演技する側、そしてそれを支えるスタッフをきちんと守ってください。リーダーとしての大臣の決意を伺います。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、文化イベントは中止や延期、規模縮小等の対応をいただいておりますが、このように大変苦しい状況ではありますが、演技をする方々、それを支えるスタッフの方々など、文化芸術の担い手を守り、我が国の文化芸術の灯を消さないことが極めて重要と考えております。

 本年度の一次補正予算において、感染拡大が終息しつつある段階に、文化芸術活動を回復すべく、子供たちの文化芸術体験、鑑賞機会の創出、地域の文化芸術関係団体等によるアートキャラバン、最先端技術鑑賞モデル構築事業等により活動再開に向けた支援を行うこととしております。

 また、現在、各業種においての専門の方々と連携しつつ、感染拡大防止のためのガイドライン策定が進められているところであり、文科省としてもイベント等の安全、安心な再開に向け、適切な助言を行ってまいります。

 この困難を乗り越えるため、文化芸術にかかわる皆様の意見をしっかりと聞きながら、支援に万全を期しつつ、全力で文化芸術の振興に取り組んでまいりたいと思います。

浮島委員 文化芸術の皆様のお声を聞きながらと今大臣は御答弁いただきましたけれども、もうたくさん既に悲鳴が出てきております。なので、これはもう本当に早くに手を打っていただきたいと思います。

 そして、個人的な給付も私は重要だと今申し上げさせていただきましたけれども、今こうして外に出られない芸術家たちにとっては、今が私は逆にチャンスだと思っております。さまざまな作品を生み出す、またスキルアップをする最大のチャンスだと思います。家で絵を描いたり、曲をつくったり、また作品を考えたり。

 また、実演する方に対しましては、私もそうでしたけれども、通常、朝から夜まで練習をして体を動かしておりますけれども、約二カ月間の夏休みの間には、みんな、本を読んだり、あるいはDVDを見たり、演技の勉強をします。どうやったらスキルアップができるかという勉強でございます。

 外に出られないこの期間だからこそできることもたくさんあります。でも、そこには、皆さん、お金がなくて、これをやりたいけれどもできない、本を買いたいけれども、たくさん買って今読みたいけれども読めない、DVDを見たいけれどもそれが難しいという話もたくさんありますので、個人的な給付というのも考えていただきたいと思います。

 また、先ほどなんですけれども、イギリスのロイヤルバレエのプリンシパルの平野亮一君と話をしておりましたら、イギリスのロイヤルバレエ団の場合は、みんな大丈夫、大変だねという話をしたら、いや、毎日楽しいです、家で、家は狭いから飛んだりはねたりはできないけれども、ストレッチをしながら、また、給与の八割、これが国が支援をしている、安心しなさいということで、今のところ、七月いっぱいまでは給与の八割は全部支援するよということで出ているので、自分の家の中にいながら、ストレッチをしながら、また次の公演に向けてどういうことをやっていこうかという精神力を自分で育てる、これができているから、今までにない充実した時間だと先ほど述べていました。

 このように、私は、今の時期だからできることがたくさんあると思いますので、現場の皆様のお声を聞いてから何か一歩踏み出すのではなくて、今すぐに一歩踏み出すということを大臣に強くお願いをさせていただき、どうか大臣の強いリーダーシップを発揮していただきたいとお願いをさせていただきます。そうしないと、本当に、文化の灯を消さない、言葉で終わります。文化の灯は必ず消えます。なので、絶対に、ここは大臣の強いリーダーシップを重ねてお願いをさせていただきたいと思います。

 次に、もう時間がなくなってしまいましたので、最後に一問だけお伺いをさせていただきたいと思います。

 これも地元から連絡があったんですけれども、今週、読書週間が終わったところです。「出会えたね。とびっきりの一冊に。」というのを標語に読書週間が行われましたけれども、その中で、今、子供たちが家にいる中で、気持ちもとても沈んでいると思います。読書というのは本当にいろいろな世界が見られる、そして、沈んだ気持ちが晴れやかになる、世界の彩りを私は変えるものだと思っております。

 現場から、うちの大阪の府会議員の藤村さんから連絡がありまして、図書館が閉館になってしまっていて本を借りることができない、幼児期のお子さんを持つ保護者の方が絵本を読んであげたいけれども高くて買うことができないんだ、また、大学や大学院生からは専門書を借りることができないので研究ができないといった話もありました。

 それを大臣にもすぐお伝えさせていただいたところ、四月の二十三日には事務連絡を各都道府県に出していただきました。早い対応に、これは感謝を申し上げさせていただきたいと思います。それを受けて、五月一日からは、大阪府立の図書館は郵送で本を貸出しするサービスを始めた。

 また、大阪府の松原市では四月六日から、自宅で本に触れてもらおうと、職員が市内の自宅や職場に本を届けるサービス、これもやられております。

 でも、その一方、感染拡大を防止するという消毒など、これで大変な苦労をしているのも現状でございます。

 そこで、本を読む大切さを考えながら、安全、安心に留意した図書館の積極的活用の支援のための大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

萩生田国務大臣 読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、また表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものだと思っております。

 文科省では、これまでも、臨時休業期間における学習支援コンテンツポータルサイトに「子供の読書キャンペーン きみの一冊をさがそう」の特設ページを開設しており、その中では、例えば、中学生、高校生、大学生のビブリオバトルの動画などを掲載しているところです。

 各図書館では、これまでも、休館中でも、予約した図書の貸出しや、郵送や配達による貸出しなど、工夫をしてサービスを継続しているところもあり、文科省としても、こうした取組の例をホームページや通知で周知することにより、積極的な取組を後押ししてきたところです。

 公益社団法人日本図書館協会が昨日公表した図書館における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインでは、新型コロナウイルス感染予防に取り組むとともに、社会基盤としての図書館の役割を継続的に果たすよう努力することや、サービスを限定した開館や休館を継続する場合には、職員体制を考慮して、感染防止策を徹底した上で、さまざまな検討、工夫を続けるべきであるといった内容を定めています。

 文科省としても、本ガイドラインを、各都道府県等を通じ、全国の図書館に参考として周知をしたところです。

 図書館は、地域住民の学びを支える重要な社会教育施設であり、文科省としても、引き続き、図書館の振興にしっかりと努めてまいりたいと思います。

浮島委員 終わります。ありがとうございました。

橘委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 新型コロナウイルス感染症の影響について、高等教育無償化プロジェクト、FREEによる調査結果によれば、五人に一人が退学を検討しているといいます。また、大学の学費減免を求めるネット署名が広がっております。現在、二百を超える大学で署名が行われています。一律学費半額を求めるアクションの要望書や、高等教育無償化プロジェクト、FREEの緊急提言も出され、一律学費半額の運動が大きく広がっております。

 ある学生は、授業料は年間百四十万円だと言っていました。一律学費半額を求めるのはなぜか。それは、経済的な問題はもちろんありますが、それだけでなく、心理的な問題、あるいは、実習ができない、資格試験が受けられないかもしれない、学会で発表ができない、研究テーマを変えざるを得ないなど、学業への影響など、新型コロナによる不利益をこうむっていない学生は一人もいないからだと訴えているわけです。

 この後、同僚議員からも後ほど質問の中でも言われると思いますが、野党は、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための学生等の支援等に関する特別措置法案を提出いたしました。立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの共同会派の皆さんと、私たち日本共産党が共同提出をしているものです。授業料の半額免除を大学院生、留学生を含めて全ての学生に行う。高専、専門学校も含めております。短大も含めております。また、アルバイト減収分を最大二十万円緊急支援する、そして奨学金の返済免除であります。

 萩生田光一文部科学大臣のところにも既に学生の皆さんからそういう訴えが届いていると思います。私からも紹介したいと思います。

 両親ともに収入が減ると既に職場から言われているので、このまま学業を続けるためにも、大学授業料の政府支援や、奨学金も無利子にしてほしい、私立大学、世帯年収一千万以上。学費減免を必要としているのは収入が激減した家庭だけではありません、もともとぎりぎりのところでやりくりしている家庭では、少しの減収でも大学で学ぶことが難しくなりかねません、どうか御配慮をよろしくお願いします、国立大学、世帯年収五百から六百万円。こういう方です。

 さらに、実習で医療機関に行けなくなると卒業できなくなるのかという声や、資格試験が受けられないかもしれないという声。どちらも国立大学、世帯年収六百から八百万円の学生です。

 そして、大学が閉まっていて、学生相談室でのカウンセリングが受けられない。実家を出てひとり暮らし、飲食店でのアルバイト代を生計費に充ててきたが、新型コロナの影響で営業時間が短縮され、一カ月の収入は約九万円から半減した。家賃や光熱費、食費を払うと奨学金でも足りず、貯金を取り崩している。研究室や実験施設に立ち入れないことによって、大学での研究は何もかもとまる事態、研究テーマの見直しを迫られたり、十分な指導を受けられなかったりするなど、若手研究者の育成にも影響が出ている。こういう声がたくさん出ております。

 大臣は、こうした学生たちの、大学院生たちの声をどう受けとめられるでしょうか。国としてもしっかりと支援をするべきではないでしょうか。

萩生田国務大臣 これまでの国会審議においていただいた御意見や、学生が代表となっている団体からの要望書を通じて、学生の皆さんが今置かれている困難な現状については承知をしておるつもりです。

 現在、経済的に困難な学生等に対しては、本年四月に開始した、真に支援が必要な低所得世帯を対象とする高等教育の修学支援新制度及び従来のより幅広い世帯を支援対象としている貸与型奨学金の両制度において、家計が急変した学生等への支援も行っております。

 また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により家計に急変を生じた学生に対しては授業料等の納付猶予や減免等を行うよう、文部科学省から各大学に要請しており、約九六%の大学でそれら納付猶予等の取組がなされている現状となっております。

 一方、授業料、施設整備費等の学納金は、一般に在学期間全体を通じた教育に対するものであり、一時的に学生が通学できない期間が生じる中においても、例えば約七割の大学等において遠隔授業が実施されるなど、大学においては学修機会の確保にしっかりと取り組まれているものと承知しております。

 このため、文科省としては、単に授業料等を一律に減ずるのではなく、各大学においてさまざまな手だてを通じて学修機会の確保等に取り組んでいただくとともに、経済的に困窮している学生に必要な支援が確実に行き渡る方策を講ずることが重要と考えており、そのための支援を行っております。授業料の、学納金の取扱いやその支援を行う制度等について、まずは各大学においてしっかり対応していただくことが重要であり、文部科学省としては、大学独自の授業料減免への支援など、大学としても努力をいただく中で、ともに伴走しながら必要となる支援を国として検討してまいりたいと考えております。

畑野委員 大学がやればそれを応援するということですね。私たちもそういう法案ですよ。

 では、実際にどういう予算か。この間も予算委員会の審議でありましたけれども、補正予算で各大学独自の授業料減免等に対する支援、国立大学、私立大学に対する額と対象人数を教えてください。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 まず、高等教育の修学支援新制度における授業料減免措置というのは約二千五百億でございます。また、今般の補正予算において、各大学が独自に行う授業料減免の支援額といたしまして、国立大学が四億、私立大学三億の計七億でございます。

 これは平成二十年九月のリーマン・ショックの際の実績額を踏まえまして、高等教育の修学支援制度との関係も整理した上での算出ということで、予算積算上、対象学生数を何人と予定して算出したものではございませんし、また、実際に支援される人数というのはそれぞれの大学の取組によって変わってまいりますが、先般予算委員会でもお答えを申し上げましたが、数字ということでございますので、仮に、国立大学において全て全額免除を行うというふうに仮定すると約七百人の免除、それから、私立大学について、各大学における授業料減免の実績に基づく平均額から算出すると約千六百人分の金額という試算でございます。

畑野委員 コロナ対応の補正予算の話を聞いているわけです。七百人そして千六百人、これだけですよ。全く足りないわけです。大学側の自助努力には限界がある、国も積極的に乗り出すべきだという声が出ております。

 日本私立大学団体連合会が、四月二十八日付で「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う学生支援にかかる課題」を発表しております。その中で、アルバイトの解雇等により学生の学修継続が危ぶまれている、私立大学学生の学費プラス生活費に占める学費の割合は約六八%、国立大学学生は約四三%を占めており、学費の負担感が大きい、私立大学学生の収入はアルバイトや奨学金による割合が高く、アルバイト機会の喪失や著しい減少により、学費や生活費の支弁に重大な支障を来すこととなり、ひいては修学継続を断念せざるを得なくなる学生が続出することが懸念されると指摘しております。

 そして、補正予算の私立大学等授業料減免等支援制度では不十分なため、学生を広く救済する総合的な方策が統合的に構築される必要があると要望されているんです。その一方策として、いわゆる中間層に該当する給与所得者八百四十一万円以下までを対象とする私立大学等経常費補助金の特別補助であった授業料減免制度の復活が強く望まれると言っているんです。

 こういう大学関係者の御要望をどう受けとめられますか、大臣は。国として支援を強めるべきではありませんか。

萩生田国務大臣 まず、この事態で学生の皆さんが修学を断念するようなことがあってはならないと思って、そこはしっかり支えていきたいと思います。

 今、私大連合会の要望については、私どもが直接受け取ったんじゃなくて、インターネットや何かで発表されているものだと思うので、それはそれで御意見として真摯に受けとめたいと思うんですけれども、私、さっきも他の委員の皆さんにお答えしましたけれども、やはり大学も、学生の立場をしっかり見きわめて一緒に対応してもらわなきゃいけないと思うんですね。

 先ほど、学校だけではやれないとおっしゃいました。学校だけではやれないから、我々文科省としても応援しようと思っているんだけれども、学校は何もしないけれども応援しろというのは、これは順番が逆じゃないかということを私は機会があるごとに申し上げていますし、大学関係者から、私学の皆さんから要望があったときにもはっきりそれは申し上げました。

 すなわち、こういう状況で、自分の学校に在籍している学生たちがどんなに困っているかをやはりきちんと寄り添って聞いてあげなきゃいけないんじゃないか。学生支援の窓口が、電話をしても出ないという学校があったりする。あるいは、私立の学校では、OBの皆さんに、この状況を救っていくためにも経済的困難な学生のための奨学金をつくりたいので寄附を募っている。OBの皆さんに少し後輩たちを応援してくださいと頑張っている学校もあれば、そういうことをしないで、創立何十周年の記念事業の基金の寄附金の振り込みを送ってくる学校もあるのも現実なんですよ。

 ですから、ここは私は学校の皆さんにも目を覚ましていただいて、今目の前にある、自分たちの学校の学生さんたちが困っているんだったら、それに対応する、まず策を講じてくださいと。その上で、七億円の話を、私、御党の小池議員から参議院の予算委員会で聞かれて、全く少ないということをはっきり申し上げました。だから、ちゃんと次の補正で積み増しもします。

 だけれども、前提としては、学校がまず自分の学生を助けるんだ、うちの学校から退学者は出さないんだ、そういう努力をしていただく中で、国がどういう応援をできるかが順番としては重要なんじゃないかと思っておりますので、そこは、学生の皆さんを応援する気持ちは十分持っていますから、まずは学校の皆さんにも一緒になって頑張っていただくということを改めて呼びかけてまいりたいと思います。

畑野委員 そうであるなら、本当に大臣、聞いてください、学生からも大学からも直接。どうですか。

萩生田国務大臣 いろいろな機会を通じてお話は聞いているつもりでおります。

 例えば、私立大学は最もキャッシュがあるのは何月かといったら、五月から六月なんですね。受験が終わって、入学金が入ってきて、もちろん、これは今授業料の減免あるいはその延納のお願いをしていますから、従来どおりのキャッシュは入ってきていませんけれども、三月で私学助成の半額以上は既に学校にお納めしています。ですから、一年を通じて最もお金があるはずのときに何もできないというのは、ちょっと私は理解が逆にできないんです。必要があれば十一月の私学助成の前倒しもするということも、はっきり私学協の皆さんにもお伝えしています。

畑野委員 大学だけでなくて、全ての事業者が今後の将来の見通しが立たないんですよ。あなたが言った、授業料のあり方とか、そういう話と矛盾するじゃありませんか、大臣。

 そうじゃなくて、今はコロナの緊急事態なんだから、大学も物すごく苦労していますよ。オンラインのあれだってパンクしちゃうような、そういう状況に心を寄り添って、いや、もちろん大学は頑張っていますよ。いろいろなオンラインの設備のための、学修支援を何十億という予算をかけて学生たちに振り向けるという大学だっていっぱい出ているじゃありませんか。御存じでしょう。

 そういうときに、まず、人ごとにするんじゃなくて、教育の取組というのを本当に政府は支援をするんだ、そういう発信を萩生田大臣がしなかったら、大学の責任にされても、自粛要請を始めたのは、コロナによる、政府なんだから、大丈夫ですよ、自粛と補償は一体にと、これは本当に私は求められると思うし、まさに憲法と教育基本法の立場に立ってやるべきだということを申し上げたいと思います。

 大学がやるというんだったら応援するというわけだから、そういうふうに両方でやってください。鶏が先か卵が先かではないです。同時進行でやっていただかないと、これは困るということを申し上げたいと思います。

 それで、伺いますが、家計急変の学生への支援です。これを求めてまいりました。修学支援新制度について確認します。申込みのそもそもの見込み数、それから応募人数、採用人数、また家計急変を理由とする応募数について伺いたいと思います。新制度の申込み見込みというのと応募数と採用数というのは、それぞれ学生の何%かも教えていただけますか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度予算におきまして、修学支援新制度における支援対象者数は約五十一・四万人と見込んでおります。これは割合でいいますと、大体、学生数は三百五十万人と見込んでいますので、今ちょっと計算して、約一五%程度かと思われますが、そういう数でございます。それから、申請数につきましては、昨年度末時点で、新入生十八万人、二年生以上の在校生が十八万人の合計三十六万人となっております。既に採用が決定した者には、順次、奨学金の振り込み手続等が進んでおります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、締切りを延長しなきゃならない、一カ月ちょっと先延ばしで申込みをしておりますので、最終的な人数というのは現段階では確定していないという状況でございます。

 また、四月から新たに採用を開始するとともに、家計急変への対応ということで、それを加味した、家計急変対応の家庭の学生から申込みを受け付けているところでございまして、支援対象者数の全体像が判明するのは夏ぐらいになる見込みでございます。

 その家計急変を理由とする申請につきましては、四月末時点で約千件以上の申請がなされているというふうに伺っております。

畑野委員 そもそもの制度が一五%だと。これは大学院は入っていませんよね。そして、申請しているのは全体の学生の一〇%。採用数は、今のところ十数万人というふうに伺っていますから、まだ全ての学生の数%、そういう状況だと思うんです。

 それで、家計急変の応募が千人ということで、資料をつけておきましたけれども、この間、やはり収入減少の期間を短くすることや、公的証明書ですね、罹災証明にかわるということで言われてきたんですが、そういうものは申し込んでももらえない状況ですから、そういうものがなくても申請できるなどの手続の簡素化を求めてきたんですけれども、これは大臣、どうなっているでしょうか。

萩生田国務大臣 先ほどの議論にちょっと戻るんですけれども、私は全ての大学がそうだと言っているんじゃなくて、先生がおっしゃるように、オンラインなどで努力している学校もいっぱいありますし、あらかじめ学生たちにお金を戻して、そして家庭学習の応援をしている学校もあることは承知しています。ただ、そうじゃない学校もあるので、そこは伴走しましょうね、一緒にやりましょうねということなので、誤解のないように。応援する気持ちは十分持って、今対応しています。

 高等教育の修学支援新制度において、新型コロナウイルス感染症の影響により家計が急変した場合には、それを加味した所得見込みで支援の判定を行うこととしております。

 その判定に当たっては、当初は、減収後三カ月分の収入に基づき算定することにしておりましたが、新型ウイルス感染症による家計急変の場合は、減収後一カ月分の収入のみで判定することができるようにしております。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大によって収入が減少したことを確認するため、各種公的支援を受けていることの証明書類の提出を求めていたところ、公的証明書を提出できない場合であっても、申告書を提出することによって申請できるように手続の簡素化を行いました。

 こうした取組により、新制度の支援を学生たちに迅速に届けることができるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

畑野委員 なくてもできるようにしているということですね。届出というのは、先ほど他の議員からもありましたけれども、本当に急がれているので、おくれることのないようにしていただきたいと思っているわけなんです。

 これは前進なんですが、しかし、先ほどもあったように、この修学支援新制度というのは、大学院生や多浪生、留学生、そして中間所得層は対象外なんですよね。家計急変といった場合にはそれは入ってくる人もいるかもしれません。そもそも、制度設計が省かれている人たちがいるというふうに思います。

 大臣、先ほどもう一回言い直した、一部の大学のことを言っているんですと言っているんですけれども、そうやって大学ごとに仕分けていくと問題があるんですよ。学生たちが一律に学費の半減と言っているのは、分断をつくらない、みんなで大学を応援しよう、学生たちを応援しよう、そこでこそ社会が動くんだということを、運動の中でつかみながらそういう呼びかけをしているんです。私、分断という発想はぜひやめていただきたいと思うんです。

 大臣、順序が違うとよく言うんですけれども、もう一回確認ですけれども、じゃ、大学が半減しますよというふうにしたら、その分、国は補填するという格好でやるということでいいですか、確認ですけれども。

萩生田国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、一律に同じ支援をするということじゃなくて、やはり各学校の取組に対して支援をしていきたいと思っていますので、例えば、半減したら半分は国費で埋めるということが果たして国民の皆さんの理解をいただけるかどうかということもありますので、直ちにそういうことを約束はできませんけれども、しっかり学校経営ができるように応援はしていきたいと思います。

畑野委員 ぜひ、今度のコロナの件で、やはり大学の学費のあり方が問われていると思います。OECD諸国の中で、日本の高等教育に対する公費の支出は際立って少ない。学生、保護者の負担が大き過ぎるわけです。国際人権規約の高等教育の漸進的無償を進めるということは本当に必要で、今回の新型コロナ問題でいえば、大学も、学生、保護者も両方支援する必要があるということを強く訴えておきたいと思います。ぜひ野党の法案も検討していただきたいと申し上げておきます。

 時間がなくなってしまいましたので、次に進みます。

 二月二十七日、春休み期間までの学校の全国一斉臨時休業の要請がありました。その後、緊急事態宣言が発出され、そして延長され、きのう、特定警戒都道府県以外の三十四県と特定警戒都道府県のうちの茨城、石川、愛知、岐阜、福岡の五県の計三十九県について緊急事態宣言が解除されました。これを受けて、今月末を待たずに再開される学校も広がっていくと思います。

 この間、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンの皆さんが臨時休業中に集めた緊急子供アンケートがあります。一番多かったのが、日常生活が送れていない、外出できないことやお友達と会えないということだったと述べられています。

 学校での預かりがあっても、お友達と遠く離れて座り、ランチでも一人で黙々と食べ、話したらだめ、一緒に遊んだらだめはとてもつらい、小一。友達と会う回数がとても少なくなって連絡が余りとれなくなってしまった、それが一番の悩み、小六。学校好きなのに行けないからもやもやする、何もしたくなくなる、小三。笑うことが減った、小五。この一カ月近く、突然不安になって泣いたりすることが多くてしんどい、みんな心のコロナにかかっているってLINEで言っている、高二。こういう声です。

 今後、臨時休業が続く地域と段階的に学校再開する地域とが併存する状況のもとで、それぞれの地域が実情に応じて子供の学びを保障していく上で、何よりもまず、子どもたちの置かれている状況や今紹介したような思いを学校や教職員がしっかり受けとめるところから、全ての教育活動を出発させることが一番大切ではないかと思うんですが、萩生田大臣の御認識はいかがでしょうか。

萩生田国務大臣 私もそう思います。

 昨日の緊急事態宣言の一部解除を踏まえ、地域や学校の実情に応じて学校の段階的な再開が進んでいくものと考えておりますが、学校再開後においては、児童生徒の心身のケアに十分留意しながら、臨時休業期間中の学習のおくれを取り戻すことが重要です。

 これまでも、臨時休業期間中において、児童生徒が自宅等にいる状況であっても、規則正しい生活習慣を身につけ、学習を継続するとともに、学校の再開後を見据え、学校と児童生徒との関係を継続することができるように可能な限り措置を講じることについて、通知等においてお示しはしてきたところでありますけれども、実際には対面していないわけですから、なかなかその効果が評価しづらいと思います。

 感染防止を徹底した上で、分散登校など可能な限りの工夫を行って、まずは児童生徒一人一人の状況を丁寧に把握し、児童生徒の発達段階も踏まえながら学習指導を充実していくことが求められます。

 依然として心理的なストレスを抱えている児童生徒も存在すると思いますので、児童生徒等の状況を的確に把握し、健康相談等の実施やスクールカウンセラー等による支援を行うなどして、心の健康問題に適切に取り組むことが再開後最も重要だと思っております。

 文科省としても、児童生徒へのきめ細かな指導のための教員の加配や、退職教員等も活用した学習指導員、スクールカウンセラー等の追加措置などを通じて、各自治体、学校の取組をしっかり支援してまいりたいと思います。

畑野委員 臨時休業中の学びの保障について、四月十日付の局長通知で、教科書に基づく家庭学習を課すことを求め、「教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができる」としています。また、この通知は、登校再開後の指導について、家庭学習の内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断したときは、学校の再開後に、当該内容を再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができるとしています。

 しかし、これが現場では混乱を呼んでいるんです。もう本当に、入学式、卒業式もできなかった、あるいは行ってもプリントだけもらってくるという実態が、私が聞いたあるお母さんからも切実に訴えられまして、親はもう本当に大変だ、子供も気の毒だと。じゃ、新しいことを家でやったから、あとは学校で省略ねというのでは、これはもう本当に大変だと思うんですね。

 大臣に伺いたいんですが、こういう家庭学習の状況は今いっぱいあるんです。もう時間がないから言えませんけれども、機械的に学習評価に反映したり、もう授業で教えませんよということがあってはならないと思うんですが、いかがでしょうか。簡潔で結構です。

萩生田国務大臣 そのとおりです。

 プリントをやったから、それで授業をやらなくていいという意味の通達じゃないので、そこはぜひ誤解のないようにお願いしたいと思います。

畑野委員 それで、そういう点では、夏休みを三分の一にするとか、もう全部の行事をどかすか削減するとか、そういう話も出てきているんです。

 私は、あの四月十日の局長通知で、学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士のかかわり合い等を通じて行われるものだというふうに言っていることは、大事だと思うんですね。しかし、何でこんな焦った話になるかというと、とにかく教科書を全部終わらせなくちゃいけないというふうになっているからだと思うんです。

 今は、傷ついた子供たちを受けとめるということが大事なので、私は、子供たちにこれだけはという単元や教材をえりすぐって、省略する、あるいは先送りできる課題や単元は年度内に詰め込まない、学習指導要領にとらわれなくてもいいと思うんですね。

 学習課程の思い切った精選を行って、ゆとりを持った授業を行えるようにする必要があると思うんですが、柔軟な対応を行うことが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、各自治体や学校が主体となって必要な措置を講じていただくことが大事です。

 そのためには、感染防止対策を徹底した上で、登校日の設定や分散登校の実施などにより段階的に教育活動を再開させること、再開後には、時間割り編成の工夫、長期休業期間の短縮、土曜日の活用、学校行事の重点化等のあらゆる手段を活用し、最大限、今年度の学校における教育活動を充実させていただくことが重要であると考えています。

 一方で、今後も長期的に感染拡大を防ぐ必要があるとされており、地域によっては臨時休業や分散登校の長期化が続いたり、一旦終息しても、再度感染者が増加するなどの事態も想定されます。

 御指摘の学習指導要領については、各学校段階において全国の子供たちが共通に学ぶ必要のある内容を定めたものであり、その取扱いを、直ちに変更を加えることは考えておりませんけれども、しかし、各都道府県教育委員会に対し、先ほど述べたあらゆる手段を講じて、学校における学習指導を充実してもなお今年度予定していた内容の指導が終わらない場合の特例的な対応について、通知を発出する予定です。最終学年以外の児童生徒については、次年度以降を見通した教育課程を編成すること、学校の授業における学習活動を一部重点化することなども考えられる旨を示し、今後、各設置者等の参考となる詳細な情報を順次提供する旨お知らせする予定です。

 今後とも、関係自治体と連携を図りながら、児童生徒の学校生活の充実が図られるように取り組んでまいりたいと思います。

畑野委員 最後に伺います。

 再開した学校で感染症対策を進める上で、やはり少人数のクラス分けとかが必要になってくると思うんです。私、退職教員にも積極的に協力を含めて、今年度、緊急措置として二十人以下学級にしていく、一人一人に丁寧に対応していくということをやったらどうかと思うんですけれども、どうでしょうか。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校の再開に当たっては、地域の感染状況を踏まえつつ、子供たち一人一人のきめ細かな学習指導を実施するため、学級を複数のグループに分けること、また、分散登校により時間帯を分けることなどにより、学習集団を小規模化し授業を行うことが考えられます。また、家庭学習の支援や、学びのおくれに対応するための補習等を行うことも考えられます。

 このような取組を実施するためには、学校全体の指導体制の充実を図る必要があり、昨日ありました総理指示も踏まえ、加配教員、学習指導員、スクールサポートスタッフの追加配置ができるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

 人材確保には一定の期間を要するため、先日、大臣の方から、退職をされた先生方に向けて協力をお願いする旨のメッセージを発出しております。また、学校・子供応援サポーター人材バンクというものも今開設をしているところであります。

 休業明けの学校現場は、これまでに経験のない状況下で、学習支援を始め、子供たち一人一人のきめ細かな配慮がいつも以上に必要になると考えます。ぜひとも、退職教員や学校の先生方からの協力を得ながら、しっかりと再開に向けた支援を取り組んでいきたいと考えております。

畑野委員 時間が参りましたので、保健室へのサージカルマスクの問題とかを聞こうと思いましたが、引き続き、ぜひ大臣、進めていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

橘委員長 次に、藤田文武君。

藤田委員 日本維新の会の藤田文武でございます。

 きょうは、文部科学委員会、初めて質疑に立たせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 まず、問題意識を先に申し上げたいんですが、大阪でも出口戦略がずっと言われまして、自粛解除の基準を設定いたしました。そして、政府も、緊急事態宣言解除に向けて、いろいろな基準を設定しながら、とはいえ、やはり、安倍総理も繰り返しおっしゃられているように、長期戦そして持久戦をやらなければいけないと。

 つまり、一回目のこの感染がうまく封じ込められたとしても、第二波、第三波の可能性というのは消し切れないし、なかなか長期的な終息が難しい状況である。こういう状況の中で、この学習環境についても非常に不安定な中、ここからやはり半年、一年とやっていかなければいけないというのがまず前提としてあります。

 その中で、実際に休校要請がまだ解除されていない中で、オンライン授業というのは非常にそれを代替する機能として導入を急がれているわけでありますけれども、これについてちょっと質疑をしたいと思います。

 オンライン授業又はオンラインのプラットフォームなどを使った相互コミュニケーションが図れるようなツールがたくさん出ておりまして、今GIGAスクール構想でもそれを推進するということで進めておりますが、私もいろいろ体験いたしまして、これはただ単に教室に来なくていいという機能だけではなく、授業のあり方自体が非常に変わっていく、そういうきっかけになるのでないかなというふうに思っているわけでございます。

 その中で、このオンライン授業というものが、まずはちょっと確認として、どのように今制度上位置づけられているか、つまり認められているかということについて、まず確認したいと思います。

串田政府参考人 お答えいたします。

 学校教育におきましてICTを効果的に取り入れるということにつきましては、教育の質のさらなる向上につながるといった面、あるいは生徒一人一人の学習ニーズにきめ細かく対応していくという面において非常に意義のあることだと考えております。

 文科省といたしましては、現在、ICTを活用した教育を進めるに当たりましては、授業等の中で遠隔システムを活用するものとして大きく三つのタイプを示して進めてございます。一つ目は当該教科の免許状を保有する教師が行う複数の遠隔の教室での授業をつなぎます合同授業型、二つ目は当該教科の免許状を保有する教師が行う授業に対して専門家等が遠隔の場所から協働して授業を行います教師支援型、三つ目が、高等学校段階におきまして、当該学校の教師の立会いのもと、当該教科の免許状を保有する教師が遠隔の場所から授業を行います教科・科目充実型の三つを示しているところでございます。

 また、生徒等がさまざまな事情によりまして通学して教育を受けるといった事情が、困難な児童生徒がおりますけれども、そういった生徒さんが病院や自宅等におきましてICTを活用して学習する機会というものもあると思います。そういった場合、病気療養児が病院等において同時双方向型の遠隔授業を受けた場合に一定の要件のもと出席扱いとする、それから、不登校の児童生徒が自宅や教育センター等の学校以外の場におきましてICTを活用した学習を行った場合に一定の要件のもと出席扱いとするといったようなことを認めてございます。

 さらに、今般の新型コロナウイルス感染症対策のため臨時休校措置等の取組がなされているわけでございますけれども、その場合、ICT等を活用して家庭学習を行う場合に、登校日の設定や家庭訪問、電話や電子メール等を活用した教師による学習指導や学習状況の確認の組合せといったようなことによりまして、学習成果を学校における学習評価に反映するといったようなことができるようなものとなっております。

 文科省といたしましては、今後とも、ICTを効果的に活用いたしまして、児童生徒の学習機会の確保やその質の向上を図ってまいりたいと思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 今、オンライン授業の三つのパターンであるとか、あとは出席についても言及がありました。これは病気をお持ちのお子さんだとか、不登校、そういった形で登校できない方がいわゆる例外的に出席を認められるような規定がある、これは私はいいことだと思うんですが、今後、例えばコロナが終息した後に全てがオンライン授業に置きかわった方がいいとは私も思いませんが、これを積極的に活用して、やはりこの対象範囲というのを広げて規定していくというのが必要じゃないかなと。

 例えば数週間に一回、数日に一回、オンラインでの授業又は遠隔でのそういう指導みたいなものが行われる環境というものに、これはウイズコロナの時代としてシフトしていかないといけないのではないかなということがまず問題意識としてございます。それはぜひ検討してほしいなというふうに思います、今後の制度設計として。

 そして、このオンライン授業が進むに当たっては、やはり自治体や学校等によってもいわゆる能力差が出てくるというのは想定されることであります。ただ、今先生が受け持っている子供さんに対してオンラインの授業をツールを通じてやるというだけでなく、例えば、専門的な授業をやるに当たっては、いろいろな先生の授業だったり専門的な知見というものを生徒が選択して選べる、それが自治体を超えても選べるというようなことが、未来像としては私はあるべきじゃないかなというふうに思うわけです。

 でも、これには結構いろいろな制度的な制約もあって、今の現状のところではできない。だから、ただ単に出席、実際に現地に行って先生が子供たちに教えるということを代替する機能としてのオンライン授業という意味ではなく、更にもう少し拡大して、教育の質を上げていくという意味で、これをきっかけに拡充すべきだというふうに思うわけでありますが、このあたり、環境整備又は法整備について御見解があれば、大臣からいただきたいなと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

萩生田国務大臣 ICTも活用しながら、児童生徒がより質の高い教育を受けられるようにしていくことが重要であると考えております。

 このため、学校において遠隔システムを効果的に活用した取組や、やむを得ず学校に登校することができない病気療養児や不登校児童生徒が自宅等でICTを活用して学習を行うための取組などを推進しているところです。

 今般の新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業への対応に当たっても、学校教育は教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士のかかわり合い等を通じて行われるものであるという趣旨を踏まえた上で、ICTも最大限活用し、家庭における学習を支援するための措置を講じているところではございます。この取組の中で、文科省において、教育委員会やNHK等において作成されている学習動画等のオンラインコンテンツの情報を集約し、文部科学省ホームページ内の子供の学び応援サイトにおいて提示することで、全国で活用していただけるように情報提供しております。

 今後も、ICTを活用した学習指導の充実につきましては、先ほど述べた、学校教育は教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士のかかわり合いなどを通じて行われるものであるとの現行制度の趣旨を踏まえた上で、遠隔教育に関する優良事例の創出や共有、今般の新型コロナウイルス感染症の対応の結果、課題も踏まえたオンラインコンテンツの活用などを図ってまいりたいと思います。

 先生御指摘のように、コロナ後と考えたときに、今はこういうたてつけでやっているんですけれども、世の中がテレワークを奨励しているわけですから、将来その子たちが社会人になったときにテレワークに対応できる能力というのも、せっかくですからこの機会につくっていくことも大事だと思いますから、ツールとしては有効に使いたいと思うんですけれども、これが授業の代替になるのではないということだけは改めて確認をして、最終的には対面で、みんなで集まって、集団的な行動も含めたものが学校教育だということは、ちょっと一本柱としては私はしっかり残しておきたいと思うんです。だけれども、それに執着して新しいことにチャレンジをしないというのは、この機会、もったいないと思うので、いろいろな機会、やっていきたいと思います。

 あわせて、自治体ごとに能力の差が出るんじゃないかというのは、そこはおっしゃるとおりでございまして、先頭を走ってくれる得意な先生などがいる自治体はもうどんどんどんどんいいものをつくっているかわりに、やはりこれは苦手だ、俺は嫌だという先生が影響力があったりする自治体など、あるいは学校などはなかなか進まないこともあるんですけれども、いい例を横展開しながらしっかりやっていけば、必ずや皆さん御理解いただけるときが来ると思いますので、ここはいろいろな取組をしっかりやっていきたいな、そしていい取組は全国にも知らせていきたいなと思います。

 授業のやり方なども、よその自治体の先生ですごい上手な人がいると、刺激を受けて、やる気をなくしたら困るんですけれども、刺激を受けて、負けるものかということでいい授業をやってもらえれば、それもまた教員間でもいい刺激の与え合いにもなるんじゃないかと思っていますので、あくまでツールとして最大限有効な活用を考えていきたいと思います。

藤田委員 ありがとうございます。ペーパーの答弁以外にも、思いも語っていただいて、ありがとうございます。

 非常に重要な示唆を今いただきまして、私が思うに、対面でなければコミュニケーションが進まないという時代はもう私はちょっと終わっていると思っていて、やはり、我々のような大人になっても、もうテレワークを推奨して、その中でコミュニケーションをいかにとっていくかという能力も非常に重要である。現場で実際進んでいるところを見ると、対面ではなかなか手を挙げて発言しにくい子が、ウエブ上だったら的確な発言を積極的にするというような事例もかなりあるというふうに聞いていますから、これは両輪で、平常時にもこれをいかにフル活用できるかというのをぜひ考えた上で今後の制度設計を行っていただきたいと思います。

 それから、学習環境の格差について。

 これは、休校要請が長引く中で、特に私、大阪が地元ですけれども、やはり東京と大阪が、どうしても、最終最後までこのリスクを一番抱えながら不安定な学習環境を続けないといけない。また、もしかしたら、五月末で休校要請が解除されたとしても、二学期もまた再流行の可能性があって、とまってしまう可能性もある。こういう中で、地域の状況又は家庭環境で例えばオンラインのインフラがない、そういったところから学習環境の格差が広まっていく可能性があると思います。

 そこで一番懸念されるのは、やはり入試ですね、入試。入学試験が通常どおりのスケジュールで実施されればかなり受験に影響するというふうに考えますが、これは今、九月入学の話、私は九月入学賛成派ですけれども、これはなかなか、非常にいろいろな付随する問題がたくさんございます。

 その中で、通常どおりの入試が行われたときのこの格差というものをどのように捉えていくか、これは非常に大きな問題、特に、進学に力を入れている私学の先生方なんかも非常に危惧されているところですが、このあたり、どのように是正し対応していくか、御見解をいただけたらと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 地域や学校の状況にかかわらず、児童生徒の学習機会を確実に保障していくということは大変重要でございまして、文部科学省としては、子供の学習の保障のための取組を一層しっかり進めていく、これが前提でございます。その上で、大学入試につきましては、文部科学省としても、何より受験生の立場に立った配慮措置を講じていくことが必要というふうに考えております。

 当面は、特に、九月に出願が始まるAO入試とか十一月以降に出願が始まる推薦入試、この日程をどうするかというのもございますが、まずは、高校、大学団体等からの御意見を踏まえまして、中止、延期となった大会、資格検定試験等の結果を記載できない場合でも、それまでの成果獲得に向けた努力のプロセス、あるいは大学で学ぼうとする意欲を見るということ、あるいは、オンラインによる個別面接とかプレゼンテーション等を取り入れた多様な選抜方法を工夫することなどにつきまして、五月十四日付で大学に配慮をお願いしているところでございます。

 一方、一般入試を含めた大学入試の入試日程等、全体、どうするのかということでございますが、これは、今後の臨時休業等の状況又は感染の拡大、あるいは終息の状況を見きわめながら、これも受験生の立場に立って、高校、大学関係者と十分相談しつつ、しっかりと検討し、通知、周知をしていきたいというふうに考えております。

藤田委員 ありがとうございます。

 次に参ります。

 学校の休校要請について、今、特別支援学校も対象になって、特別支援学校も、多くの学校が休校を余儀なくされているという状況があります。これは私は、結論から申し上げますと、特別支援学校は対象外にした方がよいのではないかという問題意識があります。

 といいますのも、結局、例えば発達障害をお持ちのお子さんが、特別支援学校が休校であれば、昼から放課後デイに行きます。これはやはり、三密を防いだり感染リスクを下げるために人が集まるところに行かないようにという趣旨で、特別支援学校も休校を一律に要請されているわけでありますけれども、一方で、家庭で例えば専業主婦のお母さんがいらっしゃらない場合は、一人で御家庭にいるというのは非常に難しい、というと、どこかで預かっていただかなければならない。そういった場合に、じゃ、既存のサービスの受皿というと、放課後デイや児童発達支援といったところが受皿になる。でも、そこは、結局、感染リスクを抑えながら実際に運営しているわけですから、多くのお子さんが入り乱れている、こういう状況なんですね。

 私は、御家庭の負担を下げるという意味でも、また、療育というのは、私、ふだんは厚生労働委員会で障害福祉専門なんですけれども、この療育というのは、一旦途切れてしまうと非常にもう一度立ち上がりが難しいというのがあるのと同時に、そういったお子さんの多くは環境の変化を非常にストレスに感じやすい、こういったことがあります。

 ですから、特別支援学校についてはできる限り休校要請から外して、通常どおりの運営、もちろん感染対策を施した上での通常どおりの運営をするべきではないかという問題意識がありますが、このあたり、見解いかがでしょうか。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 学校の臨時休業措置は、学校保健安全法に基づきまして、地域や生活圏の感染状況等を踏まえ学校の設置者が行うものであり、五月の十一日時点で全国の八九%の特別支援学校において臨時休業措置がとられているという現状でございます。

 委員の御指摘のとおり、特別支援学校には、臨時休業中に家で一人で過ごすことが困難な児童生徒が在籍をしているため、文部科学省としては、福祉部局と連携をした、先ほど委員の方からもお話がありました、放課後等デイサービス等の活用、また、必要な感染症対策を行った上での人数を絞った登校などによりまして、子供の居場所を確保いただくよう各設置者にお願いをいたしております。

 引き続き、学校の設置者に対する臨時休業や学校再開の判断に資する情報の提供を行うとともに、厚生労働省などと連携した子供の居場所の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

藤田委員 今の御答弁でも、今の事実をおっしゃっていただいたんですが、私の問いかけは、特別支援学校が休校になって放課後デイが受皿になる。放課後デイは、今定員を、例えば十人定員だったら十人以上受け入れてもいいよという緩和措置がとられていて、通常よりも多くの子を、しかも学校よりも狭い場所で引き受けているというのが実態なんですね。これは、感染防止のために、人が集まって三密を防ぐためにここを休校にして、結局そこで同じ環境をつくり出しているというのは、これはどちらに行っても私は同じじゃないかなというふうに思うわけです。

 例えば、特別支援学校は、通常の学校よりもそもそも人数が少ないですから、これはやはり一考いただいて、今回はもう既に走り出しておりますから、今後、二学期、三学期に、もし長期化した場合に、休校要請等、来る場合には、ぜひとも検討していただきたい。これは、子供さんの問題もあるし、やはり親御さんの問題もかかわってくる問題ですから、簡単に一律に休校というのは、私はちょっと考えが浅いんじゃないかなというふうに思わざるを得ないというふうに思います。

 あと、加えて、これはちょっと通告していないですが、質問はいたしませんが、先日、維新の会の提言、四回今まで出してきたんですが、第五弾提言を出させてもらって、出口戦略について言及させてもらっています。

 強目と弱目の自粛を繰り返すだけでは終息までに二年かかるというハーバードの研究も出ていますし、今これは数カ月、コロナとの戦いを経て、いろいろな科学的知見や論文等も発表されている中で、若い方に関して言えば非常に重症化しにくい、特に重症化する方のリスク群というのが高齢者層または基礎疾患をお持ちの方に偏っているというのは、これは明らかになっています。

 ということは、社会を動かしていく中で、どの部分を動かして、どの部分を例えば自粛だったり行動制限をかけていくか、または資源をどこに投入するかということを戦略的にやっていかないと、国民一律の、全ての層に対して一律の行動制限というものは、もうこれはもたないというふうに思うわけです。

 そこで、学校教育を預かる文部科学省に考えていただきたいのは、行動制限をかけることにおける表裏一体の関係の学習環境の悪化というものを考えれば、これは冷静な判断として、そして積極的な提言として、学校教育を動かしていくということをぜひ検討していただきたいんです。つまり、全体の地域が自粛要請がかかっていたとしても、学校教育はしっかりと動かしていく、登校させていくということは、私は冷静に検討していくべきじゃないかということは申し添えさせていただきたいと思います。

 それから、続きまして、同じく障害を持つお子さんに関してですが、キャリア支援そして就労支援についても悪影響が予想されてきます。

 といいますのも、ただでさえ今雇用環境が相当悪化している状況の中で、そして、前提として、特別支援学校の就労支援というのは、まだ非常に手厚い部分が通常級に比べてあると私は認識しています。しかしながら、発達障害やグレーゾーンのお子さんたち、通常級に通っておられて支援級に一部通われていたりするお子さんに関しては、これをうまくキャリア支援していくという仕組みが、そもそも平時においても弱いというのが今現場の実情でございます。

 それに加えて今回のコロナ、雇用環境も悪化している、支援学校や通常級も休校になっている。そういった中で、キャリア支援をどのようにサポートしていくかというのは非常に重要な問題で、この弱い立場である障害を持っているお子さんが、しっかりと就労に、社会に出ていけるサポートは私は忘れてはいけない部分だというふうに思いますが、このあたりについてどのように考え、そしてまた対応策を考えておられるか、見解をいただけたらと思います。

丸山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の学校の臨時休業等によりまして、児童生徒のキャリア教育を始めとした学校における教育活動が休止されるなどの影響が出ているというふうに承知をいたしております。

 先ほど委員の方からも現場の実情についてのお話がございましたけれども、そういった状況を踏まえまして、文科省では、臨時休業中に学習活動を行う上での留意事項や学校運営上の工夫などについて、都道府県教育委員会などに対して通知を発出しているところであります。

 例えば、特別支援学校の高等部に通う生徒の職場実習について、緊急事態宣言等の期間中であっても、地域や生徒の生活圏の感染の状況を踏まえ、職場実習の実施が可能かつ必要と学校が判断をする場合には、学校と受入先の企業等と、生徒、保護者等との間で合意を得た上で職場実習を実施することも考えられることを示しているところであります。

 また、関係の事業者団体に対しましても、障害者などの課題を抱える方の雇用の安定に向けた特段の配慮などを要請させていただいたところであります。

 文部科学省としましても、引き続き、児童生徒の学習活動への支援の充実を図るとともに、障害のある生徒の就労状況を注視しまして、厚生労働省等々の関係機関と連携をして、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

藤田委員 今の御答弁をお聞きしましても、やはり具体的な策というのはまだ明確化されていないんだなということはわかります。

 これは非常に難しい問題だと思います。何か批判するつもりもないんですけれども、これはやはり知恵を出していかないといけないなと。特に、これから更に、やはり失業者もふえ、解雇等もおそれが出てきている中で、全体の雇用状況も悪くなってくる。

 障害者雇用というのは、雇用率というのが政策の柱になっていますから、全体の雇用が下がると、もちろん、雇用率ですから、障害者の雇用数も下がらざるを得なくなるというのは実際のところ明らかですし、それからやはり、企業側も、障害の方を合理的配慮のもとでしっかりと環境整備をして受け入れるということが、そこまでやはり経営資源として投下しにくいという状況がある中で、やはり、社会がしんどいときに、障害を持っているお子さんが割を食うというか、一番しんどい部分を目の当たりにするというのは、私はどうしても、何とかしてあげたいという思いがありまして、特に学校においてのキャリア支援というのは非常に重要になってくるかなというふうに思いますので、これは、先生方も、なかなか知識がない中で、迷いながらやっています。ですから、そのあたりの支援についてもぜひ一考いただけたらというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 それから、きょう、済みません、他党の委員が質問されていたのはお聞きしたので、橋本大臣に来ていただきまして、同じ質問になるかもしれないんですが、オリンピックについて。

 今回、感染症との戦いが長期化する、そして持久戦になる。そして、世界各国を見ても、さまざまな状況があって、終息しつつあるところもあれば、第二波、第三波が既に来て、再流行の兆しがあるところもある。そういった中で、先ほど申し上げましたように、これは、一波を封じ込めても、二波、三波というのはなかなかこれを防げないという中で、非常に不確定な要素となっているのがあります。

 そして、三月の三十日ですかね、オリンピックの延期が発表された時点からもう約二カ月弱たちまして、かなり状況が変わってきている中で、これは、来年に延期されましたオリンピックが果たして完全に開催できるのかというのを確信を持って言える方がなかなか少なくなってきているんじゃないかな、そういう不安を持っている方が多くなってきているんじゃないかなというのを私は感じます。

 そこで、再延期の可能性は、なかなか、国が決めることはもちろんできないのは承知しておりますが、そういう可能性はあるか又は想定しているかということと、そういったものを国としてはどのような判断基準で見ていくかということを、現時点のお考えがあればお聞かせいただけたらと思います。

橋本国務大臣 この東京大会については、安倍総理そしてIOCバッハ会長との電話会談におきまして、安倍総理から、アスリートのことを第一に考え、おおむね一年程度の延期を提案しまして、その後、IOCの理事会において来年の七月の二十三日に開催を決定されたところであります。

 やはり、何といいましても、まずはこの新型コロナウイルスに人類が打ちかったあかしとしてということを、総理もそしてIOCバッハ会長もおっしゃっておりますので、この東京大会に向けては、まずは、これまでも大会の主催者であるIOCそして大会組織委員会がワクチン開発を大会開催の条件とした事実はないとしておりますけれども、ワクチンや治療薬の開発は、やはり新型コロナウイルス感染症の現下の事態を終息させるための重要な対策であるというふうに思います。まずは、日本のみならず、世界がしっかりと終息に向かってめどを立てていくということが第一であるというふうに思います。

 その上で、バッハ会長も、今の段階で再延期ですとかそういったことを考えるのにはまだ時期が早いということもおっしゃっておりますし、また、森会長そしてIOCのコーツ調整委員会委員長も、来年の東京大会に向けて、再延期はない、しっかりとやっていくということで強い意思を表明されているというふうに承知をしておりますので、今まさに選手たちが一生懸命にこの状況下でも頑張っておられますし、関係者も一丸となって来年の東京大会成功に向けて努力をしております。

 今、政府といたしましては、IOC、組織委員会、東京都としっかりと連携をしながら終息に向けて努力をし、そして万全の体制で安心と安全の東京大会が迎えられるように努力をしていくというのが今の状況であります。

藤田委員 ありがとうございます。

 現時点での真摯な御答弁だと受けとめさせていただきます。

 私が一つ申し上げたいのは、前回、三月にオリンピックが延期になったときは誰も延期の可能性に言及できない、それはメディアコミュニケーションとしてはわかります、わかりますが、一回延期されて、やはり二つのラインで考えないといけないと思うんです。実際に実施するということを、全力を尽くして想定するという道と、それから再延期なり中止するという道を、やはり二つのプランを並行して、腹ではですね、考えていただかないといけないと思います。

 実際に七月の時点で終息しているかどうかというのも大事ですが、その前に、やはり選考や又は準備期間、アスリートですから、大臣もトップアスリートですからよくおわかりになられているピーキング、どのようにしていくかというのは非常に重要な問題ですから。実際にぎりぎりになって、物理的に一番ぎりぎりのタイミングで、例えば延期します中止しますということが、私は政治のコミュニケーションとしては正しいとは思わないです。

 そういう可能性もありながら全力を尽くして、もし延期になった場合にはこういうプランをするということは、私は実際に、表に出すのは難しいかもしれませんが、私なんかは、表に出して真摯にそういう選択肢をやりながら全力を尽くして開催を目標とするということは、私は正直でいいんじゃないかというふうに思う立場です。

 同じような議論で、今回の党の提言にも入れさせていただいたんですが、大阪はそういう意思決定の過程を公開していこうという動きが進んでいて、例えばコロナ対策本部はウエブ上でリアルタイムにマスコミフルオープンで公開されています。これは今、未知のウイルスとの戦いで何が一〇〇%の正解かわからない中で、一番大事なことは、意思決定の過程を透明化して、そこに共感を得てもらう、そこに対して真摯に対応を見てもらうというのがやはり国民の一致団結を生む一番の鍵じゃないかなと。

 だから、今、政府の対応というのは何か思いつきで出てきているんじゃないかと。例えばマスクの問題もそうですけれども。でも、そんなことはないと思うんです。いろいろ考えた上で出されているはずなのに、でもそういうふうな声が多いというのはそこに問題があると我々は感じておりますので、このオリンピックの件に関してもできるだけオープンな議論、ぜひとも検討していただきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

橘委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時九分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時開議

橘委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。城井崇君。

城井委員 国民民主党の城井崇です。

 きょうも質疑の時間をいただきました。ありがとうございます。

 萩生田文部科学大臣に、新型コロナウイルスの影響を受けた子供たちの学びの保障を中心としてお伺いをしてまいります。

 まず一つ目、学生支援についてであります。

 これまでにも、共同会派からは、四月の二十八日に文部科学大臣に要望書を、そして五月の十一日にはコロナ困窮学生支援法案も提出をさせていただきました。国会質疑等も含めましてさまざまな形で現場の要望を伝えさせていただいているわけでありますが、まず大臣に、一点、議論の前提を確認したいと思います。

 新型コロナの影響を受けた学生本人及び実家や家庭等の親族の収入の減少を金額目安でどのくらいと見込んでいるか、お答えいただけますか。

萩生田国務大臣 本年四月に開始した、真に支援が必要な低所得世帯を対象とする高等教育の修学支援新制度においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変した場合は、それを加味した所得見込みで支援の判定を行うこととしており、その見込み額が基準を満たせば対象となります。例えば、両親、本人、中学生の四人世帯の場合、年収三百八十万円程度であれば対象となります。

 御指摘の、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、学生本人及び親族の収入減少の金額目安については、家庭や個人の状況はさまざまであるため一概に申し上げられませんが、現在、収入減少や失職等による家計急変の相談等が大幅にふえており、昨年度一年間で千件程度の採用数であったところ、四月下旬時点で既に千件以上の申請がなされていると聞いております。

 現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、世帯収入の激変やアルバイト収入の激減、中止等、学生生活の経済的な影響が顕著となっていると承知をしており、現在行っているさまざまな支援を速やかに学生等に届けるとともに、さらなる支援についても必要と考えております。

城井委員 大臣、この数字をお聞きしたのにはわけがあります。

 新型コロナの拡大前の最新の調査がございました。二〇一九年の全国大学生協連合会の調査です。自宅生のアルバイト収入が四万一千二百三十円、下宿生の仕送りが七万二千八百十円、下宿生のアルバイト収入が三万三千六百円、アルバイトの就労率は七五・八%でした。

 つまり、新型コロナが拡大をしてアルバイトが失われ仕送りが減ったというのはどんな影響だったかというのを推しはかるのに大事な数字だというふうに思っています。

 つまり、アルバイトは大体三万円から四万円、月収入で奪われている学生がおり、仕送りの七万円ちょっと、七万円から八万円というのがいろいろ調べた数字の平均でございますが、この七万円から八万円の仕送りが奪われた、あるいは減ったという状況にあるということを念頭に置いて議論をすべきだというふうに、大臣、思っております。

 このことを踏まえて次にお伺いするんですが、学生や実家等の収入減少のために退学検討している学生が、きょうも議論になりましたが、五人に一人いるというのが学生団体の調査でした。

 教育は未来への投資であります。そのことを踏まえて、大学等の授業料の一律半額、アルバイト減収学生への一時金支給を、まずは予備費で、そして足りないならば第二次補正予算に盛り込んで、速やかに学びの継続を後押しすべきと考えます。

 大臣、この失われた数字の重さを考えながら、ぜひこの応援をやっていただけないでしょうか。

萩生田国務大臣 まず、学生の皆さんのさまざまな御意見や統計の結果については私も承知をしておりますし、また、文科省の方にもわざわざお出かけいただいてその結果などを御報告いただきました。

 ただ、あの時点では、四月末での学費の納入をしないと除籍になるのではないかという物すごく恐怖心の中での数字だったので二割という数字もあったと思うんですけれども、先ほど来御説明していますように、授業料の延納等の仕組みは九六%以上の学校で対応していますので、まずは一段階では落ちついていただいたんだと思います。

 しかしながら、今先生から御指摘がありましたように、自分でアルバイトをしながら生計を立てている学生さんたちはアルバイトそのものがないわけですから、結果として前に進めない、そういう状況にございます。

 新型コロナウイルス感染症の影響により経済状況が悪化する学生がふえている中で、授業料などの学生納付金について減額を求める声があることは承知しています。授業料、施設整備費等の学納金は、一般に在学期間全体を通じた教育に対するものとして各大学が設定しており、一時的に学生が通学できない期間が生じる中においても、例えば約七割の大学等において遠隔授業が実施されるなど、大学においては学修機会の確保にしっかりと取り組まれている学校もあると承知をしています。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響により家計に急変を生じた学生等に対しては授業料等の納付猶予や減免を行うよう、文部科学省から各大学に要請しており、今申し上げたように、九六%以上の大学でこれらの納付猶予の取組がなされております。

 これらの状況も踏まえ、文科省としては、単に授業料等を一律に減ずるのではなく、各大学においてさまざまな手だてを通じて学修機会の確保等に取り組んでいただくことが重要と考えており、遠隔授業の質の向上を図るため、各大学への支援も行っております。

 授業料等の学納金の取扱いやその支援を行う制度等について、まずは各大学においてしっかりと対応していただくことが重要であり、文科省としては、大学独自の授業料減免への支援など、大学としても努力していただく中で、ともに伴走をしながら、必要となる支援について検討してまいりたいと考えています。

 アルバイト収入の減少で困窮している学生が安心して学業を継続できるよう、これまでの国会審議においていただいた御意見等も踏まえ、学びの継続のための緊急給付金の創設を現在検討しており、最終的な詰めを行っているところでございます。

城井委員 アルバイト減収学生への一時金支給の検討について言及いただきました。

 先ほど御紹介したように、月のアルバイト平均収入は三万円から四万円です。感染拡大の影響が出て、二月、三月、四月、五月、恐らく一時金支給は六月になります。そうすると、この五カ月間の影響を勘案してという形をとるべきだというように思いまして、三万円掛ける五カ月、少なくとも十五万を超えてという形の一時金支給が必要だということを意見として申し上げたいと思います。

 続いて参ります。

 貸与型奨学金の返済にも新型コロナの影響が及んでいます。特に、通算十年の猶予期間を超えると返済困難を乗り越える手だてがない可能性が高い方々がおられます。平成二十二年の三月卒業以前の貸与型奨学金の利用者の方々であります。仮に卒業してすぐ猶予を使い始めますと、この方々は十年が切れてしまった状況にもなっていて、それ以外に手だてがないという状況になってしまいます。

 ですので、こうした方々を念頭に、貸与型奨学金の返済中、かつ、新型コロナの影響が理由で返済困難な人の一年間の返済免除あるいは猶予をすべきだと考えます。大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 独立行政法人日本学生支援機構の奨学金事業では、さまざまな事情により卒業後厳しい経済状況に置かれ奨学金の返還が困難な方に対しては、きめ細かな対応が必要と考えており、これまでも、返還期間の猶予制度による年数制限の延長や減額返還制度における期間の延長など、返還者の立場に立って制度の充実を図ってきたところです。

 また、新型コロナウイルスの影響を踏まえ、今般、返還期限猶予の手続を、当分の間、申請書のみの提出をもって迅速に口座振替を停止する臨時対応を行うこととさせていただきました。

 なお、経済困難による返還期限の猶予の十年を超える場合であっても、条件を満たせば、減額返還制度や他の猶予制度への移行も可能としており、このような制度も利用していただきたいと考えております。

 いずれにしましても、コロナウイルスの影響で返還者が返還困難に陥ることのないよう、どのような対応が可能か、今の御意見も踏まえて検討してまいりたいと思います。

城井委員 学生支援については、きょうの委員会でもたくさん議論になっています。大事なのは、大学生などの学生に直接支給が届くことだと思っています。また、持続化給付金でもSNS経由の申込みがかなり簡略な形で行われておりまして、そうした簡略で簡便な申込み、迅速化ということも、ぜひ努力をいただけたらということをお願いしたいと思います。

 続きまして、学校再開支援についてお伺いをいたします。

 通告を一つ飛ばしまして、二つ目に参りたいと思いますが、日本社会が自己免疫を獲得するまでは約二年かかると言われています。この間、学習指導要領の弾力運用をすべきだという点を私からも意見として申し上げたいと思います。

 総授業時間数で必要なのは約一千時間だと聞きました。このうち、確保を必須とする授業時数や学習内容の目安、今は各自治体等にお任せするような意見が出ておりますけれども、国から示すべきだと考えています。この間の報道で、文部科学省は、小中学校でやり残した授業について、上級学年への繰越しを認める方針を固めたという一部報道もありました。大臣、この場合、最終学年、高三、中三、小六は、授業時数が限られて、どうしても詰め込み教育になってしまいます。

 この悪影響への対策、そして授業以外の課外活動の確保も視野に入れた学習指導要領の弾力化、国による目安のお示しということについて、大臣のお考えをお聞かせください。

萩生田国務大臣 今後も新型コロナウイルスの感染が継続する状況下においては、社会全体が長期間にわたり新型コロナウイルス感染症とともに生きていかなければならないという認識に立ちつつ、感染症対策を最大限講じながら児童生徒の学びの保障をしていくことが重要です。

 そのため、まずは感染防止対策を徹底した上で、登校日の設定や分散登校の実施などにより段階的に学校教育活動を再開させ、その際には最終学年を優先すること、学校再開後には、例えば時間割り編成の工夫、長期休業期間の短縮、土曜日の活用、学校行事の重点化等のあらゆる手段を活用し、最大限、今年度の学校における教育活動を充実させていただくことが重要であると考えております。

 一方で、新型コロナウイルス感染症については、今後も長期的に感染拡大を防ぐ必要があるとされており、地域によっては臨時休業や分散登校が更に長期化したり、一旦終息しても、再度感染者が増加したりするなどの事態も想定されております。また、先生御指摘のとおり、学校教育は協働的な学び合いの中で行われる特質を持つものであり、学校の行事等も含めた学校教育ならではの学びを大事にしながら教育活動を進めていくことが大切であると考えております。

 御指摘の学習指導要領については、各学校段階において全国の子供たちが共通に学ぶ必要のある内容を定めたものであり、その取扱いについて直ちに変更を加えることは考えておりませんが、本日、都道府県教育委員会等に対し、先ほど述べたあらゆる手段を講じて、学校における学習指導を充実してもなお今年度予定していた内容の指導が終わらない場合の特例的な対応について、通知をする予定です。具体的には、最終学年以外の児童生徒については、次年度以降を見通した教育課程を編成すること、学校の授業における学習活動を一部重点化することなども考えられる旨を示し、今後、各設置者等の参考となる詳細な情報を順次提供する旨お知らせをする予定です。

 これらの取組を通じて、感染症対策と子供たちの学びの保障の両立に全力で取り組んでまいりたいと思います。

城井委員 特に最終学年のお子さんを持つ親御さんなどを含めて心配の声がたくさん上がっておりますので、その点には十分に注意をして進めていただきたいと思います。お願いします。

 続きまして、オンライン教育の導入迅速化の支援についてお伺いいたします。

 休校継続の場合の最低限の環境整備であります。この間、直近二つの補正予算などでGIGAスクール構想を進め、一人一台端末、学校への高速大容量回線の整備を全ての学校で全ての児童生徒対象に行えるだけの予算を準備したというのは前進だと考えています。

 ただ、この間も大臣とも議論をさせていただきましたが、端末自体の整備が思うように進んでいないというのは変わっていないと思っています。ベンダーロックイン問題で自治体調達が高額化をして調達そのものがおくれる、また、新型コロナの影響で中国の工場がとまり、端末の製造もおくれるという状況があるからであります。高速大容量の回線の整備も業者が限られているなどして、おくれているというふうにも聞きます。

 端末と回線がそろえば最低限のインフラが整います。調達の迅速化と調達価格の適正化のためには、今進めている県ごとの共同調達や一括購入も含めてですが、こうしたことを促すために、共同調達のECシステムを導入することを提案したいというふうに思います。このことによって、調達の取りまとめや、そして文部科学省による金額チェックもしやすいと考えます。大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 学校において、ICTの活用により子供たちの学びを保障することは極めて重要です。

 御提案の調達の迅速化に関しては、文科省として、これまでも都道府県に対して共同調達の実施を奨励してきたところですが、これに加えて、今後随時、各自治体の調達状況を調査、把握しつつ、ICT教育アドバイザー事業等を通じ、自治体へのサポートを進めてまいりたいと思います。

 共同調達ECシステムというのは、イメージとして、ちょっとどういうものだか、私もイメージが湧かないんですけれども、確かに、自治体任せにしておいたのではなかなか、選択する能力もそれぞれ千差万別ですし、共同購入するスケールメリットというのはありますから、今回はそれを業者の皆さんにもお願いしています。

 先生が御指摘いただいたように、今まで海外のいわゆるインフラがとまっていましたので、これはせっかく予算を積んでも物がなければ話にならないので、これも、一定のきちんとした標準を保つものであって、ある程度金額の似たものであれば、これは責任を持って購入するということをメーカーにも私の責任でお願いをさせていただいて、生産の再稼働を今始めていただきました。

 そういう中で、いろいろな知恵を絞りながら、自治体のみならず、メーカーの皆さんや業界の皆さんにも御協力いただいて、円滑な供給に向けて必要な働きかけを行ってまいりたいと思います。

 ECシステムというのは、済みません、どういうのか、ちょっと逆に説明していただければ私も助かるので、お願いできればと思います。

城井委員 インターネット上で、民間の商業サイトなどで行われていて、そこに、例えば各自治体から注文があったときに、その数が積み重なってくる、その数がまとまると共同調達がスタートするというふうな形なんですが、また改めて文部科学省には説明に参りたいと思いますので、よろしくお願いします。

 もう一つ提案をしたいと思います。

 この間の取組で、ここが重点的な支援が必要だという点があります。公立高校であります。端末や回線整備の追加的支援が足りないという声があります。

 ただ、高校生の場合には、多くがスマートフォンを持っているという回答をしたデータも民間の個別指導塾の調査でもございました。ですので、いわゆるBYOD、私物端末の利用ということと、そして、これまで進めてきた学校端末貸与をあわせて使う、併用することによって、高校における端末準備は現実的にやれるのではないかというふうに思っています。

 こうしたことを踏まえまして、高校における回線整備の支援とBYOD、端末貸与の併用を迅速に行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 高等学校においても学校における円滑な高速通信ネットワークの整備は不可欠であり、今回のGIGAスクール構想の実現における補正予算では、高等学校も高速通信ネットワーク整備の補助対象とさせていただきました。

 端末につきましては、個人の端末の持込み、BYODを進めている高等学校の事例もふえていることなどを踏まえ、国としての補助は行っておりませんが、高等学校においても三人に一台分の学校のICT環境の整備のための地方財政措置は引き続き講じているところでございます。

 なお、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した自治体による整備も可能となっております。

 現在、コロナウイルス感染症対策として、家庭で所有している端末の活用を含め、さまざまな取組を進めているところですが、BYODの検討のためにも、まずはGIGAスクール構想によるICT環境の早期実現を進め、学校でのICT活用が当たり前である社会をつくり上げることが前提と考えております。

 先生も御指摘いただきましたように、いろいろな調査で若干数字は違うんですけれども、間違いなく高校生は九割以上、もっといえば九七とか九八%が何らかの自分の専用のスマートフォンなどの端末を持っておりますので、今回この事態が生じたときにも、大手キャリア三メーカーには、二十五歳以下のギガ数を五十までふやしていただいて、学校での動画授業などが見られるような環境もつくってまいりましたし、また、学校のみならず御自宅にある端末も使えるようにWiFiのルーターの貸出しなども今回の補正でも更に追加をしていきたいと思っておりまして、BYOD、大いに活用しながら、高校生の学びの保障というものを、努力を我々もサポートしていきたいと思っています。

城井委員 今あるものを活用していくということを文部科学省も促しているという点は、先日の、五月の十一日に行われた動画上での説明会の映像を私も拝見しましたので、その気合いは理解をするところであります。ただ、その一方で、個人の持ち出しで新たに対応しなきゃいけないところが多いようですと、その話だと気合いが空回りするというふうに思います。

 例えば、オンライン教育に関する非常勤講師の負担についてでありますが、新型コロナの影響で、大学や高専等での遠隔授業において、多くの非常勤講師が必要な機材を個人の持ち出しで対応しているという声が私のもとにもたくさん届いています。

 このたびの補正予算には、遠隔授業を行うための機器整備費が計上されています。非常勤講師を含む教員個人に過度の負担を強いることがないように、大臣として、大学や関係部局に改めて周知徹底をするべきだと考えます。大臣、いかがでしょうか。

萩生田国務大臣 現在、遠隔授業を行っている大学や高専においては、非常勤講師を含め教員の方々がさまざまな工夫を行うことにより、学生に必要な学修機会が確保されるよう努めていただいているところと承知をしております。

 一方で、各大学等における遠隔授業の実施に当たっては、御指摘のとおり、非常勤講師を含む教員個人に過度の負担を強いることのないよう御配慮いただくことが重要と考えています。

 遠隔授業の実施に必要なカメラや音声機器などの機材については、各大学等において既存の設備を使用、活用することや、必要に応じて教員への貸出しを行うことが考えられるところ、文科省としては、先般成立した補正予算を活用し、大学等におけるカメラや音声機器等の機器整備等に取り組んでまいります。

 また、こうした各大学等の設備の活用や学内の遠隔授業推進部門等によるサポートなど、教員の負担に配慮した取組について、文科省から各大学等に対して周知をし、各大学等における取組を促してまいりたいと考えています。

城井委員 続きまして、学習内容の整備についても、オンライン教育について伺います。

 この点は、民間教育産業に頼る部分が大きい状況ではないかと思っています。突然の学校休校の発表の後に文科省から示されたのは、ポータルサイトの紹介でした。しかし、学習の細かな指導は家庭に任される形になってしまいました。家庭での学びは濃淡があります。学びの格差につながるのではないかという心配も出ています。

 一方、民間教育サービスのIDやパスワードを学校ごとに配って対応する自治体も出てきました。民間サービスにも優秀な取組は多いと思いますが、ただ、学校教育と受験指導を峻別する観点から、確認が必要な部分もあると考えます。

 学習指導要領に基づく指導内容や体系といった基準、民間サービスの講師の教員免許保有状況といった民間の取組内容を国としてチェックをする仕組みを文部科学省は早急につくるべきだと考えます。この民間サービスと学習指導要領との整合性とを早期にチェックすることについて、大臣、やっていただけますでしょうか。

萩生田国務大臣 臨時休業中の児童生徒の学びの保障について、文科省としては、児童生徒の学習に著しいおくれが生じることのないよう、各学校において家庭学習を適切に課すよう、各教育委員会や学校等に依頼をしているところですが、その際に、各学校の判断で民間教育産業の作成する教材等を活用することも考えられます。

 文科省としても、各学校の検討に資するよう、児童生徒や保護者が自宅等において無償で利用できる教材や動画等を紹介する子供の学び応援サイトを開設しておりますが、その中には民間企業等が提供する無償のコンテンツも一部含まれており、文部科学省において内容の確認の上、各教科等ごとに整理してお示しをしております。

 一方で、文科省は、学校現場における民間教育産業の取組のよしあしを個別に取り上げ、評価する立場にはなく、御指摘の民間の取組内容をチェックする仕組みを設けることは適切ではないと考えています。

 文科省としては、引き続き、子供の学び応援サイトの充実などを含め、各自治体とも緊密に連携しながら児童生徒の学習に対する支援に努めてまいりたいと思います。

城井委員 大臣、なぜ私がこの提案をしているかと申しますと、対面指導ではない形で一定授業などを進めなきゃいけなくなってきて、それが、いずれは成績評価などにつなげなければならない場面が来たときに、その内容が仮に民間サービスのものに由来したものであったときに、そこに国の目が全く届かないままで成績評価などにつなげるわけにはいかないのではないかと考えるからこそ、対面指導とオンライン教育とを併用していくことを前提に、そうした内容については目を配るべきだという趣旨で申し上げたわけです。

 そういった点を考慮しながらで、この点、お取組を検討いただけませんか。

萩生田国務大臣 先ほどもちょっと答弁しましたけれども、無料のコンテンツで、民間企業が提供するコンテンツを紹介する場合には、一定内容を確認の上、各教科ごとに整理をして公開をしているんですけれども、仮に先生御指摘のような民間の教育産業が行っている中身が、それぞれの自治体あるいは学校の判断で、それを、じゃ、使いましょうねとなったときには、やはりそれは設置者、あるいは使うという判断をした学校で、その中身については判断をいただくことが適切じゃないかと思うんです。

 それを、先回りして、世の中に出ている民間の教育産業のものを全て文科省があらかじめチェックをして、これは学校現場で使っていいですよ、これは使わない方がいいですよというわけにもいかないので、そこは現場の先生たちと。

 まず、今回のこういう取組というのは初めてのことですから、いろいろ走りながら考えなきゃならないこともあると思うので、問題意識はよく理解していますので、ぜひその辺は、誰かがどこかでちゃんとチェックしておかないと、大きな穴があいたり違う方向に行ったりするということを多分先生心配されているんだと思うので、そこは、直接文科省がというわけじゃないですけれども、問題意識を受けとめさせていただいて、いろいろ現場できめの細かい対応をしたいと思います。

城井委員 時間が限られてまいりましたので、一問飛ばさせていただいて、あと二つほどやりたいと思います。

 今後の入試日程の取扱いについて大臣にお伺いいたします。

 最も早く決めねばならないのが入試日程だと考えます。特に、高校三年、中学三年の皆さんとその御家族から、学びのおくれの影響に不安を募らせている声がたくさん届いています。

 高校入試は、十三日に新型コロナの影響を考慮する通知を、通知で促したという報道がありました。大臣、問題は大学入試です。大学入学共通テストは予定どおり行えるんでしょうか。新しい生活様式のもとで、そもそも五十万人の共通テスト実施が可能でしょうか。二〇二〇年度入試日程の後ろ倒しなども検討すべきではないか。大臣、大学入試についての日程感、はっきりした方針を出していただけますか。

萩生田国務大臣 大学入学の共通テストは、国公私立大学が入学者選抜に利用することのできる共通試験として大学入試センター試験にかわり実施するもので、来年の一月十六日、十七日を実施予定日としております。

 御指摘の日程の後ろ倒しについては、先行きが不透明で不安を抱える受験生や高校生等に対し、余裕を持って進学準備ができる日程を明示することができるという利点がある一方で、日程をおくらせた時期にかえって感染が流行した場合、入学者選抜の機会が失われるおそれや、大幅に日程を後ろ倒しする場合、一月、二月の入試に向けて準備を進めている高校生や浪人生の理解が得られるのかといった課題もあると認識をしております。

 このような点も含めて、一般入試も含めた大学入試の日程等の全体の対応については、臨時休業や感染の状況等に応じて、受験生第一の立場に立って、高校、大学関係者等と十分相談をしつつ、例年六月に定める大学入学者選抜実施要項等で周知してまいりたいと考えております。

 同時に、どのような日程であっても、来年度入試は試験当日の衛生管理体制の構築が必要であると考えており、感染症対策の専門家の御意見も伺いながら、大学入試センターと緊密に連携し、しっかりと準備を進めてまいりたいと考えております。

城井委員 入試日程の後ろ倒しをしない場合もあり得ると思いますが、その場合には、共通テストなど、二〇二〇年度の入試の出題範囲の縮小や出題方法の工夫の検討などもぜひ、高校入試同様に検討いただきたいと思います。この点は要望にとどめたいと思います。

 最後に、学事暦の変更の検討についてお伺いします。いわゆる九月入学、九月新学期案を含めた検討ということであります。

 先ほどから議論させていただいた、さまざまな対策をやっても教育のおくれの取り戻しが間に合わない場合を想定して、この学事暦の後ろ倒し、あるいは前倒しといった学事暦の変更の議論が必要だというふうに考えています。

 私にとっては、先ほども申しました入試日程などの不安の声が、このことを考えなきゃいけないなということで検討のきっかけになったところであります。大臣、この検討をがっちりやりますか。

萩生田国務大臣 九月の入学、新学期制につきましては、学校の臨時休業が長期化する事態を想定した際の対応案の選択肢の一つとして声が上がっているものと承知をしております。

 文科省としては、まずは早期の終息に向けて、感染拡大防止の取組を徹底した上で、これまでも行ってきている子供の学習の保障のための取組を一層しっかりと進めていくことが重要であると考えております。

 九月入学は、文部科学省だけがかかわる問題ではなく、社会全体に影響を及ぼすものであり、各方面との調整が必要な案件です。仮に、我が国の社会全体の問題として広く国民の間で認識が共有できるのであれば、私としては選択肢の一つではあると思いますが、いずれにしても、子供たちのための最高の選択肢は何かということを第一に考えていくことが重要だと考えております。

城井委員 時間が来たので終わりますが、大臣、この学事歴の変更、入試日程の扱いに加えて、未就学児への影響を懸念する声が随分とたくさん届いています。この変更に伴う未就学児への影響、対応策についていかがお考えか、最後にお聞かせいただけますか。

萩生田国務大臣 まさに文部科学省だけで完結できる問題ではないということの一つが、こういう問題だと思います。

 具体的には、来年から九月入学を例えば導入する場合、来年四月に就学する予定だった約百万人の子供の就学が五カ月間おくれ、就学前の期間が長くなることとなるため、来年四月入園予定だった幼児を四月に受け入れられず、保育の必要性のある子供が待機児童となってしまう可能性があります。また、来年四月に入園予定の幼児を受け入れる場合には、そのためのスペースや幼稚園教諭、保育士等の配置が必要となります。

 こういった課題への対応策については、財政上の課題も含め、関係府省や幼稚園、保育園また小学校等の関係機関との調整、保護者の御理解、御協力が必要であり、文科省としては、子供たちのための最高の選択肢は何かということを第一に考えながら、今後議論を深めることが必要だと考えております。

城井委員 子供たちを含め、社会の分断を促すことにならないように強く要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長 次に、中谷一馬君。

中谷(一)委員 立国社の中谷一馬でございます。本日はよろしくお願い申し上げます。

 私からは、学生が困窮をしている現状並びにオンライン授業等について、るる伺ってまいります。

 まず、大臣に私から現状の認識について伺っていきたいということを思っておりますが、全国大学生活協同組合連合会が二〇二〇年の五月一日に「緊急!大学生・院生向けアンケート」、これを行いまして、速報の結果が公表されました。アルバイト収入の見通しとして、大きく減少する、減少すると答えた学生が約四割、この先の経済的な不安に対して、非常に不安である、不安であると答えた学生が全体の六割以上を占める結果となりました。

 また、立憲民主党青年局や別の学生団体が行った調査でも、大学生らの約七〇%から八〇%がアルバイト収入がなくなったり減ったりしており、退学を検討しなければならない、そんな学生も出ている、予断を許さない状況であるということを思っております。

 私も、立憲民主党の青年局長という役柄、学生の皆様とのコミュニケーションをとる機会が非常に多い現状にございますが、それぞれ置かれている環境下で切実な悩みを持っておりますので、当代の政治を担う大人の責任として、学生の皆さんが安心して学業を続けられるような環境整備をしていかなければならないと考えております。

 そこで、大臣にまず伺いますが、現在の学生が置かれている状況に関して、どのような認識を持ち、どのような支援が必要であると考えているのか、所見を伺います。

萩生田国務大臣 これまで国会審議においていただいた御意見や、学生の皆さんが要望書などを通じて置かれた環境について御説明をいただいておりますので、今先生も御質問の中で触れたような困難な現状にある人が特別な人じゃなくて、多くの学生がそういう環境にあるということは承知しています。

 また、先日、御党を始めとする野党からの法案が提出をされたところであり、困窮している学生に寄り添ってどのような支援ができるか、検討しているところです。

 現在、経済的に困難な学生等に対しては、本年四月に開始した、真に支援が必要な低所得世帯を対象とする高等教育の修学支援制度及び従来のより幅広い世帯を支援対象としている貸与型の奨学金の両制度において、家計が急変した学生等への支援も行っております。

 また、授業料や入学料の納付が困難となっている学生には納付猶予や減免等を行うよう大学等に要請するとともに、先日成立した補正予算において、家計急変を理由に、各大学が独自に行う授業料減免等を支援していくことを考えております。

 文科省としては、こうした取組を通じ、今般の新型コロナウイルスの影響で大学生等が進学、修学を断念するようなことがないよう、引き続きしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

中谷(一)委員 さまざまな提言などをもとに学費の減免などを進めていきたいという趣旨の答弁だったんですが、大臣、ちょっと今の答弁を聞いていて一個気になったことがあったんですけれども、大臣は今、そういったアンケートや提言、こうしたことをもとに学生が厳しい現状に置かれていると捉えているというふうに受けとめられたんですけれども、そもそも、コロナ禍の現状になってから学生とコミュニケーションをとられたことはありますか。エピソードなどがあれば教えてください。

萩生田国務大臣 なかなか地元へ帰れないんですけれども、それでも、地元の学生さんたちとはさまざまな活動を通じて御縁がございますので、生の声も聞かせていただいておりますし、また、今の学生さんは本当に忌憚のない意見をメールで直接送ってこられますので、真面目に、茶化すような話じゃなくて、本当にこういうことがあるんですということを教えていただくことは極めて重要なことだと思っていまして、できる限り返信もさせていただいているところでございます。

 学生の実態については、私のみならず、支援機構が隔年で学生生活の調査などを行っておりますので、こういったところからの報告も含めて、私なりに、学生の皆さんの生の声また実態については承知をしているつもりでおります。

中谷(一)委員 さまざまコミュニケーションをとりながら情報収集をされていらっしゃるということなんですが、今、学生支援機構の調査の話にも触れていただいたんですが、私は、政府としても、しっかりエビデンスをとるという意味も含めて調査を行った方がいいんじゃないかなということを思っているんです。

 厚生労働省は、LINEを使ったサービスで、新型コロナ対策のための全国調査を行いました。LINEは、十代、二十代の人口約二千三百六十万人中の千四百万人程度の方が利用しているという統計がありまして、六〇%程度がカバーをされていますので、私はアンケートをとるには適した媒体じゃないかなと評価をいたしております。

 別にもちろんLINEに限らなくてもいいんですが、文科省としても、学生の置かれている現状について、私はこの把握を行うために何かしらの形で実態調査を行った方がいいんじゃないかなということを思っているんですが、大臣、いかがでしょうか。

伯井政府参考人 学生の実態につきましては、ただいま大臣も御答弁いたしましたように、日本学生支援機構が隔年で実施する学生生活調査において、学生の標準的な学生生活費、家庭の経済状況、アルバイト従事状況等を把握し、その上で、そうした結果も活用しながら、困窮している学生数を推計したりして、早急に支援が行き渡るような取組というのを進めているところでございます。

 今後、御指摘になられたように、追加的な調査あるいはいろいろな媒体を活用して行う調査というのを、状況を見きわめながら、必要に応じ検討していきたいと考えております。

中谷(一)委員 ぜひ前向きに行っていただきたいと思います。

 次に、授業料の減免について伺わせていただきますが、私たちも青年局で学生に対してアンケートをとりました。政府の大学生支援策について十分ですかという問いに対して、七四・七%が不十分と答えました。そして、必要な支援策として複数回答可で調査をいたしましたところ、学費の免除、減免、これが八一・二%、バイト減収分など目の前の生活費の補填、これが五二・一%、そして遠隔のオンライン授業に対応する費用の補助、これが四九%という回答結果が得られました。

 また、寄せられたコメントを抜粋しますと、授業をしていないのにきっちり授業料を取られているのは理解ができません、アルバイトの方も休業手当が六割出ると言われていましたが、六割ももらえず解雇寸前です、正直このまま続くと生活が苦しいです、オンライン授業と言っているにもかかわらず、お金と設備がないからライブ授業はできないと記載をされているペーパーが配られ、授業開始は今月中旬からと言われていますが、プリントをネット配付で自分で進めるような形となります、これでは十分な教育が受けられませんといったものが多く寄せられている現状がありました。なので、やはりデータとリアルな意見に基づいたEBPM的な発想で政策形成を行う必要があると私は思います。

 そこで、大臣に伺いますが、野党提出のコロナ困窮学生等支援法案でも提言をいたしておりますが、大学院、大学、短期大学、専門学校等に通う全ての学生に対し年間授業料の半額を免除し、国がその減額分を十割負担する対策を打ち出すべきと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症の影響により、遠隔授業を実施する大学が増加をしたり経済状況が悪化する学生がふえている中、授業料など学生納付金について減額などを求める声があることは承知をしております。

 授業料、施設整備費などの学納金は、一般に在学期間全体を通じた教育に対するものとして各大学が設定しており、一時的に学生が通学できない期間が生じる中においても、例えば約七割の大学等において遠隔授業が実施されるなど、大学においては学修機会の確保にしっかりと取り組んでいるものと承知しております。

 また、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により家計に急変を生じた学生等に対しては授業料等の納付猶予や減免などを行うよう、文科省から各大学に要請しており、約九六%の大学でそれら納付猶予等の取組がなされていると承知をしています。

 これらの状況も踏まえ、文科省としては、単に授業料等を一律に減ずるのではなく、各大学においてさまざまな手だてを通じて学修機会の確保等に取り組んでいただくことが重要と考えており、遠隔授業の質の向上を図るため、各大学への支援も行っております。

 同時に、経済的に困窮している学生に必要な支援が確実に行き渡るよう、各大学における支援制度等について学生等に適切に周知、説明していただくことを求めるとともに財政的支援を行っているところであり、引き続き各大学の学生支援の取組を促してまいりたいと思っております。

中谷(一)委員 私はやはり、御答弁いただきましたけれども、減額、減免をしていただきたいということを思っております。

 といいますのも、労働者福祉中央協議会が行った奨学金や教育費負担に関するアンケート調査でも、高等教育関連の負担に関して優先的に実現してほしいこととして、大学などの授業料の引下げと答えた方が七二・四%、学費の減免制度の拡充と答えた方が五六・六%となっております。非常に大きな声だということであります。

 ちなみに、一九七五年、昭和五十年時点の大学における初年度納入金、授業料プラス入学金の平均額は、国立で八万六千円、公立で五万二千九百十五円、私立で二十七万八千二百六十一円でありました。その一方、二〇一九年、令和元年現在の平均額を見ると、国立で八十一万七千八百円、公立で九十三万千百二十五円、二〇一八年、平成三十年の私立で百十五万四千百三十一円と急騰をしています。

 四十年前と比べて物価は約二倍になっていますが、国立の費用は約九・五倍、公立の費用は十七・六倍、そして私立の費用は四・一倍となっており、相対的に学費負担が高くなっている現状がデータからも明らかです。その一方で、二〇一八年時点のOECD三十六カ国中、フランスやドイツなど十四カ国では大学授業料が無償化されています。

 私は、全ての子供たちがその子たちにとってよりよい教育を受けることのできる社会の実現を目指すことが不可欠であると考えており、幼児教育、初等教育、中等教育、高等教育などの教育環境を子供たちに保障すべく、教育費の無償化を漸進的に進めるべきであると考えています。

 やはり、学生生活、私も非常に、アルバイト等で当時苦しい思いもしました。萩生田大臣も学生時代は御苦労されたと聞いています。ぜひそのころのお気持ちに立ち返っていただいて授業料の減免を進めていただきたいということを思っているんです。世界的に見ても極めて高くなってしまった学費などを引き下げるために、環境整備として国立大学法人運営費交付金や私学助成を拡充していただくなど、さまざまな工夫を凝らしていただいて学費負担を減らすということを進めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 先生とは二月に類似のやりとりをしたのを記憶しております。

 平時で今後の高等教育はどうあるべきかということであれば、さまざまな幅広い議論をしたいところなんですけれども、今はまず、目の前にいる学生がコロナ禍で学校を退学するという決断だけは避けていきたい、修学を続けていくための支援をまずは足元でしっかりしていきたいというふうに思っております。

 令和二年度予算においても、五十一万人分を対象と見込んだ新しい制度をつくりまして五千二百七十四億円を措置しましたけれども、今回の家計急変にも柔軟に対応できるようにして、ぜひそれを使っていただきたいと思います。

 また、支援機構の無利子の貸付けもありますけれども、有利子が上限十二万円なんですね。有利子というと、やはり何となく金利が膨らむというイメージがあるんですけれども、年利〇・〇七でありますから、ほぼゼロに近いような形であります。しかし、こういうコロナ禍ですから、その間の新しい、利息のないメニューというものも考えていきたいなと思っていまして、あらゆる手段を講じてまず学生の学びの保障をしっかりしていきたいと思います。

 その上で、運営費交付金や私学助成の増額をする必要があるんじゃないか、した方がいいんじゃないかという御意見は、これは我々にとってはエールでありまして、ありがたいなと思っておりますので、このコロナの事態と今後のことについては少し分けて、冷静な対応をしていきたいなと思っています。

中谷(一)委員 平時でそれがうまくいっていなかったところの議論が有事だからこそ大きくクローズアップされている現状があると思いますので、ぜひ萩生田大臣には、この学費負担の軽減というものに関しては引き続きお取り計らいをいただきますようにお願いをしたいと思います。

 そして、次に学生支援給付金と申請方法について伺ってまいりたいと思いますが、与党案において、予備費を活用して五百億円程度の予算を計上し、約四十四万人の学生を対象に十万円程度の現金給付を行うという案が浮上しておりますが、目下の厳しい現状を鑑みて、野党提出の学生支援法案では、更に対象を広く、そして給付を多くした内容というものを提出させていただいております。

 約二千億円の予算を捻出して、大学院、大学、短大、専門学校等の学生数約三百七十万人中の六割の学生がアルバイト収入が減少したと仮定し、そのうちの半分程度の方を対象とした約百十万人の学生に対して二十万円の一時金の給付をすべきとしておりますが、こうした提案については大臣としてはどのように受けとめられていらっしゃいますか。御所見を伺います。

萩生田国務大臣 新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、世帯収入の激変やアルバイト収入の大幅な減少により学生生活にも経済的な影響が顕著となってきていると承知しています。

 アルバイト収入が減少し、困窮している学生等への支援については、これまでの国会審議や与野党からいただいた提言等も踏まえ、学びの継続のための緊急給付金の創設を検討しており、現在、最終的な詰めを行っております。

 野党の皆さんの法案の中身につきましても、しっかりと読み込みをさせていただきました。限られた財源の中でどういう支援ができるか、この辺は残されました日数でできるだけ早く調整をして対応してみたいと思います。

中谷(一)委員 緊急給付金、最終的な今詰めをされていらっしゃるということなんですけれども、私は、どういう形にせよ、給付をするに当たって、どのような方法で支給をするかということは極めて重要だなということを思っております。

 金額も大事なんですが、やはりそこにちょっと焦点を当てた議論もさせていただきたいということを思っているんですが、今、国民全員を対象に一律十万円の支給を決めた特別定額給付金、これはマイナンバーを使ってマイナポータルでの電子申請が行える仕様となっていますが、マイナンバーカードをつくろうとする人が役所に殺到していて混乱をしているという現状があったり、パスワードロックの解除とかこういったことでごった返しているという話がございますが、コロナ対策で、密閉空間に人を密集、密接させては、私は本末転倒だということを思っています。

 また、マイナポータルによる電子申請が始まった二〇一七年十一月から二〇二〇年三月現在まで、連絡先入力画面のアクセス件数と電子申請が受け付けられた件数を比較して離脱率を計算すると、その率が極めて高い状態にありまして、申請が成功しない方が続出しているといった現状があります。アクセス件数十三万九千八百五十五件に対して申請件数が二万二千三百八十六件、八四%の方が離脱をして申請を完了させられなかった、一六%の方しかうまくいっていないという現状があります。

 私も実は、この質問をするに当たって、十万円の給付申請を行って、体験談をもとに文科省の給付申請方法についても話をしようと思いまして、約一時間、悪戦苦闘いたしましたが、残念ながら、システムエラーが連発をしまして、申請を成功させることができませんでした。そして、マイナポータルのよくある質問にも、システムエラーが起こることが確認されているとの記載がございましたが、これじゃUXが悪過ぎて誰も使わないよなと痛感をする、そんな結果となりました。

 そこで、まず、そもそも論で伺いたいと思うんですが、大臣は、マイナンバーカードを使ってマイナポータルで、給付金じゃなくてもいいです、何かしらの電子申請をされた経験はありますか。エピソードなどがあれば教えてください。

萩生田国務大臣 マイナンバーカードは割と早いうちに取得をしたんですけれども、それを使って何か給付を受けたことはございません。

中谷(一)委員 多分ほとんどの方がそうだと思うんですね。私も、つくば市に行ってインターネット投票のシステムを利用したことが一回あるんですけれども、そういったものでぐらいしか使ったことがなくて、今回の給付も、結果的にエラーでありましたから、うまく使えなかったという現状があります。

 その中で、学生の給付支援を行うにおいては、金額だけじゃなくて、やはり申請が便利で、スピーディーに進めていくということが私は重要だということを思っています。

 そして、電子申請においては、総務省の個人向け給付金と経産省の企業向け給付金では大きな評価の差が出ています。

 個人向け給付金は、マイナンバーカードリーダー機を購入する必要があるか、特定のスマートフォンで難解なアプリの操作をしないと申請ができないため、不便で、電子申請が完了した率は極めて低い状態にある。しかも、マイナンバーカードリーダー機は売り切れが続出をしていて、価格も高騰していて手に入りづらくなっている現状がある。その一方で、企業向け給付金は、スマートフォンのカメラで書類を撮影して、ウエブ、SNS等で申請するボタンを押すだけなので、便利かつスピーディーに申込みができます。

 そこで、提案をさせていただきますが、学生支援給付金を支給すると決定した際には、文部科学省も電子申請を行うとすれば、私はマイナンバーカードやマイナポータルに固執をするような方法はとらない方がいいと思っています。

 なので、その仕様については、ウエブやSNS、API、チャットボットでの申請システムを活用して、学校名、名前、電話番号、住所の入力に加え、学生証の写真など本人確認書類を添付する方法で進め、本人確認は、スカラシップ等で利用されている、各学校と学生支援機構で連携されているシステムや学校内のグループウエア等で行って、振り込み口座は本人名義の口座に限定する方式で進めることができれば、私はセキュリティーと利便性の両立がし得ると考えますので、こうした方式をぜひ検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 貴重な御提言をありがとうございます。参考にさせていただきたいと思います。

 今、まだ最後の詰めをやっているんですけれども、私たちが考えているのは、やはり一日も早く支援が届くようにするために、本人確認と口座がわかれば、そこに学生支援機構から振り込もうと思っているんですけれども、申請を個々に今支援機構に出していただいても、支援機構が他の支援で手いっぱいです、アルバイトなども入れなきゃならない状況なので。

 けさほどからずっと話しているように、やはり、自分の学校の学生さんですから、自分の学校の学生さんがどのぐらい困っていらっしゃるのか、どういう状況なのかというのを、この際、大学の皆さん、専門学校の皆さんにも知ってもらいたいので、そこを窓口で、言うならば一括申請をしてもらいたいと思っているんです。それに対してまたさらなる審査を加えるということは考えていません。大学が一定程度の書類で精査をしていただいたものが上がってきたら、逆にそこは速やかに支給をしたいと思うんですね。

 ということは、国と学校で責任を持って学生さんたちのサポートをしましょうということの一つのあらわれになると思いますし、例えば二次的に、その学生さんたちが今までやってきたバイトがなくなっちゃっているんだけれども、しかし、何かバイトがあればすぐやりたいというのがあったときに、今度、我々も学校経由で紹介することもできますので、そういう二次的な仕組みもつくっていきたいなと思っています。

 けさ、浮島先生からも、学校と学生の間も、紙ベースで、学校へ来ないと話が進まないようなことがないように、SNSなどの活用をするようにという御提案もいただきましたので、先生方のさまざまな御提案をしっかり受けとめて、詳細な手続についてもしっかり簡素化したもので考えていきたいと思っております。

中谷(一)委員 ありがとうございます。

 本日、内閣委員会とダブルヘッダーで、浮島先生の議論が聞けていないんですが、そういったやはり紙だけでやるというのは、ちょっと今の時代に、コロナ禍の状況の中では全く即していないかなと思いますのと、電子申請はできるようにした方がいい。今大臣からもるる御答弁をいただきましたが、やはり申請方法のあり方というものは工夫をしていただきたいということを思っておりますので、ぜひ提言をさせていただきたいということを思っております。

 一応確認なんですが、今の話を聞いていると、マイナンバーカードを活用した電子申請は現時点では検討されていないという理解で大丈夫ですか。

伯井政府参考人 今大臣が答弁いたしましたように、大学でリストをつくって学生支援機構に申請をしていただくというのが一日も早く支援が行き届くやり方だと考えております。

 大学と学生との間において、いろいろなSNSを活用したり、場合によっては、大学側もマイナンバーなんかを使っていろいろやっているような場合にはそういうことがあり得るかもしれませんが、そういう仕組みでございますので、大学がリスト化をして学生支援機構に提供するという仕組みを考えております。

中谷(一)委員 私、大学でマイナンバーカードやマイナンバーを活用してそういうことをしているという事例を知らないんですが、政府参考人の方で結構でございますので、そういった事例は現実的にあるんですか。

伯井政府参考人 現状の把握はしておりません。そういうのがもしあればという意味でございます。

中谷(一)委員 ということは、現時点では想定していないという理解でよろしいですか。

伯井政府参考人 想定はしておりませんが、全体として、政府としてはマイナンバーカードの活用というのは推進しているというものでございます。

中谷(一)委員 わかりました。

 非常に使いづらいと思うので、私は今の文科省案をちゃんと進めていただけばいいんじゃないかなと思っておりますので、要望をさせていただきたいと思います。

 では、そろそろ時間となってまいりましたので、最後に一問、二問伺わせていただきたいなと思いますが、先ほど紹介をした労福協が行ったアンケート調査によれば、高等教育負担の軽減策で実現してほしいこととして、給付型奨学金の拡充と答えた方が四八・二%、貸与型奨学金を無利子にすると答えた方が四〇・二%となっております。

 給付型奨学金については、コロナ禍で学生の生活環境が著しく苦しくなっている現状を踏まえ、私は、大学院生も利用できる制度にしていただき、支援対象となる学生の範囲を、世帯年収三百八十万円未満程度の住民税非課税に準ずる世帯までに限らず、経済的に修学することに苦慮をしている子供たちが幅広く利用できる制度に拡充をしていただきたいと考えております。

 野党提出の学生支援法案では、二〇二〇年度中の返済期限の奨学金の返済が困難な場合、その返済の免除をすべきということを提案させていただいておりますが、これらの提案に対して大臣はどのように受けとめられているのか、御所見を伺いたいと思います。

萩生田国務大臣 御指摘の給付型の奨学金を更に拡充することについては、低所得世帯以外は進学率が高い状況の中、貸与型奨学金の拡充により進学機会が開かれていること、また、高校卒業後の進路が多様であり、進学せずに働く者との公平性に留意する必要があることを十分に踏まえて慎重に議論する必要があると思います。

 大学院生段階においては、業績優秀者上位三分の一に対して奨学金の貸与額の全額又は半額の返還を免除する業績優秀者返還免除制度のほか、各大学における授業料減免措置や学内奨学金、リサーチアシスタント制度があり、加えて、日本学術振興会の特別研究員事業等を通じた支援の取組により経済的負担の軽減を図っているところでございます。

 文科省としては、引き続き、このような取組を通じて奨学金の返還に係る不安が軽減されるように努めてまいりたいと思いますが、今般のコロナの件で、仮に一時的な支援金を出すということになれば、これは大学院生も含んで考えたいと思っています。

中谷(一)委員 やはり、コロナ禍の現状でありますから、大学院生も含めて救済措置をしていただきたいということを思っておりますし、そもそも給付型の奨学金は拡充をしていただきたいと思いますので、引き続きの要望をさせていただきたいと思います。

 最後に、デジタルデバイド対策について一問伺わせていただきたいと思っておりますが、デロイトトーマツコンサルティングの調査で、二〇三〇年までにG20で最大五・四億人のデジタル貧困、バーチャルスラムが生まれるという試算が出ています。今後、デジタルをうまく活用できる人とできない人では大きな格差が生まれることから、オンライン教育での教育機会均等、これをしっかり担保することが私は非常に重要だと思っています。

 そうした中、例えば韓国の放送通信委員会では、生活保護受給世帯など低所得者層や障害を持つ方に対して月額の基本料、通話料、データ通信料の負担軽減を行ったり、ソウル市内の自治体ではPCの無償レンタルなどを行っています。先ほど城井先生の質問でもありましたが、日本のさまざまな通信会社や大学でもそうした取組というものは進んでいるんですが、現時点では短期で期間が限定されているものでございますので、根本的な解決にはなっていません。

 その中で、文科省も、GIGAスクール構想や、WiFi、モバイルルーターの貸与、こうしたものを目的にさまざまな取組を進められているんですが、やはりデジタルは触れられる人とそうでない人では大きな格差を生じますので、しっかりと、スマートデバイスや通信サービスの補助、これが誰もが漏れることなく利用できる環境を進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。大臣の御所見を伺います。

萩生田国務大臣 そういう世の中をつくっていくことは大事だと思います。

 まずは、文科省としては、GIGAスクール構想で、小学生、中学生、一人一台端末、また大容量の通信環境というのをやっていますけれども、じゃ高校はどうなんだと言われれば、高校は地財措置でまだ対応していますし、さっきも議論があったんですけれども、高校生の場合は、パソコン、タブレットというよりはスマホでさまざまな情報をとりに来ている環境もありますので、そこを応援していきたいと思います。

 大学生で、経済環境でそういうツールを持てないままこれからの大学の授業にかかわっていくということは大変厳しくなってくると思いますから、今までは、特別なツールとして何かダイレクトに国が応援したりというのはなかったんですけれども、こういう世の中が当たり前になってくるんだとすれば、そこに経済的な事情で、どうしてもデバイスが出てきてしまうんだとすれば、それはしっかり支えていく、そういう世の中を、これをきっかけにしっかり皆さんと一緒につくっていきたいと思います。

中谷(一)委員 前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 ぜひ、デジタルデバイド対策をよろしくお願い申し上げて、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

橘委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 笠でございます。よろしくお願いします。

 まず、九月入学、先ほどもちょっとお話があったんですけれども、一つ大臣に基本的なことを伺いたいんですが、九月入学というのは、実は、もう大分前になりますけれども、東京大学が平成二十四年にこの構想を打ち出したときに、ちょっと私もいろいろと間接的にはかかわっておりまして、あの議論のときはやはりかなり反対論というのが強かったわけです。

 当時は、高等教育、まずは大学等を九月入学にして、その間のギャップタームをどうするかとか、そういった議論だったと思うんですけれども、今論点整理をされているということですけれども、確認ですけれども、今回の九月入学、秋の入学というものについては、あくまでも、大学という高等教育だけではなくて小中高大、初中高等教育段階全てをというようなことで検討されているという理解でよろしいんでしょうか。

萩生田国務大臣 秋季の就学についてなんですけれども、これは、やるとすれば、小学校から大学までの学校が臨時休業になっている状態から始まった話でありまして、世の中では賛成派と反対派の人がいろいろなメリットやデメリットをいろいろ議論されておりまして、それはそれでありがたいことなんですけれども。

 今我々が考えているのは、とにかくこの時代のコロナの影響で学びの機会を奪われた子供たちが、小学生から大学生まで、しっかりその学びの保障ができるかどうか。残されました期日で、例えばまだ在学が続く学生は複数年度に分けて学び直しをすることも可能ですけれども、先ほどから話が出ている高校三年生、中学三年生、小学校六年生、もう三月の卒業ということで決まってしまえば、その間に夏休み返上で、あるいは土曜日も授業を行って、そして平日も正規の授業以外に補習授業なども詰め込んで、本当にそのゴールを目指すことができるのかどうかというのは冷静に考えてみたいと思っておりまして、その中の一環で出てきたのが九月へ時期をずらすという話であります。

 学校教育というのは、先生御案内のとおり、授業のこま数をこなしたかこなしていないかじゃなくて、やはり対面授業ですとか集団での活動、こういったことも極めて重要だと思いますから、そういうものも全部諦めて授業時間だけ積み上げて、はい卒業だ、はい進級だということで本当にいいのかどうかということを、文科省が中心に、子供の学び、子供たちにとって何が一番かということを前提に、しかし、文科省だけで解決できる問題じゃありませんから、関係各省や世の中の皆さんの御理解がいただけるならばということで、今さまざまな検討を始めているところでございます。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

笠委員 私自身は、この秋入学というのはこの際、一つのコロナ禍というものがきっかけになったとはいえ、これからのコロナの後の社会、これからの社会のあり方、あるいは学校の現場、教育の現場のあり方を考える上で本当に徹底的に議論をし、そして何らかの形で将来的にはこういったことを実現していくべきではないかという思いを持っております。

 それで、もう一点確認したいんですけれども、今大臣がおっしゃったように、コロナの問題、コロナ対策という中で、この九月入学、知事さんたちの発言もありました、あるいは高校生なんかが当事者としてのいろいろな声も上げています。私は、これはそれぞれすばらしいことだと思うんですが、ただ、いまだにちょっと混乱しているのは、私もよく聞かれるんだけれども、この九月から、ことしの九月から一斉に九月入学なんだ、そういうやはり捉え方をされている人がまだいるんですよ。最近の新聞の投書なんかでも、そういった高校生の声がありました。

 ただ、現実的には、この九月から一斉に入学を認めるということ、これは私はまず不可能に近いと思うんですけれども、あくまで今検討しているというのは、この九月からということではなくて、来年以降。いつかということじゃないんです、この九月から一斉に九月入学が始まることはないということは、それは確認させていただいてよろしいですか。

萩生田国務大臣 入学式などが行われていない自治体や学校はたくさんありますけれども、これは法律上も裏打ちをされて既に入学をしていることになっていますから、ことしから九月入学というワードはなじまないんだと思います。

 しかし、今この状況で学びの機会を失われた子供たちを救済するのに、九月移行、卒業時期をずらすことによって時間を確保するという意味での移行というものは同時に考えていかなきゃならないことだと思っておりまして、そういう中でさまざまな検討を加えている、そういう状況であります。

笠委員 私があえて今この前提をまず確認させていただいたのは、やはり先ほど来、きょう午前中から議論がありますけれども、大学受験あるいは高校受験に対する不安、あるいはどうしていくのかということ、これはもう早々にいろいろな方向性を国として打ち出していかなければ、恐らくさまざまな混乱、あるいは、現役の生徒たちもそうですけれども、浪人で本当に頑張っている子たちもいるわけです。

 というのが、九月入学というのをこの時期から一斉にやるとなると、これは大学入試自体が、あるいは高校受験自体が七月、八月、そうやってずれていくということになりますから、そうなると前提が全く変わっていくわけで、そうではない状況の中でどういうような対策を打っていくかということを議論させていただきたいというふうに思います。

 まず、ことし、高校入試については通知が出されて、いろいろな形で工夫をしてくれということで出ておりますけれども、これも私立、公立、もちろんあるわけですけれども、大前提として、二月、三月にしっかりと高校受験を行いますよということを前提にした通知という理解でよろしいでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 高等学校の入学者選抜でございますが、実施者である都道府県教育委員会等の判断におきまして例年一月から三月に実施をされておりますが、現段階では、令和三年度においても同様の時期に実施をしていただきたいというふうに考えております。

 一方、学校の臨時休業が続く中、特定の受験生が不利益をこうむらないようにすることが重要であることから、出題範囲や内容、方法について、地域における学習状況を踏まえ、例えば、中学校三年生からの出題は適切な範囲となるよう設定をする、問題が選択できる出題方法とする、面接や作文等の学力検査以外の方法を用いるなど、実施者の判断において工夫を講じていただくことを五月十三日付の通知で依頼したところでございます。

 実施者におかれては、こうした配慮をしっかりとしていただき、受験生の不安を払拭し、安心して受験に臨んでいただけるよう努めていただきたいというふうに考えております。

笠委員 高校受験、高校入試については、やはり公立、県立高校も非常に数が多いわけで、その都道府県内で完結をするというか、そうすれば、その中の中学校で、今どういうような状況で、学びの進捗、どれぐらいのことを学んでいるかというふうなことはある程度把握した中で、さまざま、これから恐らくいろいろな問題の作成等々が行われると思うんですけれども、かなりそれぞれの自治体で対応ができるんだと思います。

 ただ、一部には、やはり人気のあるというか有名私立、県を越えて、都道府県を越えて入試に臨む受験生が多いというようなところもありますので、そういったところの私立等々について、あるいは国立ということもあろうかと思いますけれども、そういった学校がどういう形の方針で試験を行っていくのかということがやはり受験生がわかるように、ぜひ、今後しっかりと周知をできるように協力を求めていただきたいと思います。

 それで、問題は、やはり大学受験の方なんですね。これはちょうど昨日ですか、AO入試と推薦入試については入学についての通知が文科省の方から出されたわけですけれども、やはり今問題になってくるのは一般入試。特に本年は、大学入試センター試験にかわって大学入学の共通テストが、今年度、来年の今度の試験は大学入学共通テストということになるわけですけれども、先ほど来局長がおっしゃっていましたけれども、従来ですと六月ですか、大学入学者選抜実施要領を、一般選抜については通知を出すということですけれども、その日程は変わらないでしょうか。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、いわゆるAOとか推薦入試の配慮事項については、昨日、五月十四日付で通知をしたところでございます。

 一般入試を含めた大学入試の日程等全体の対応につきましては、今御指摘いただいた例年六月に定める大学入学者選抜実施要項等で周知しているところでございます。

 ことしは、先ほど来言っていますように、臨時休業の状況、あるいは感染の拡大あるいは終息の状況等をしっかり見きわめて、状況に応じて判断するということが必要になってまいります。

 いずれにせよ、受験生の立場に立って、高校、大学関係者と十分相談しつつ、まずは六月に定める予定であります選抜実施要項の中で、その時点での状況でしっかり関係者と相談し、検討し周知してまいりたいと考えております。

笠委員 確認だけです。令和三年一月十六、十七で大学入試センター試験が行われるということで、現時点では変わらないということでよろしいですか。それはイエスかノーか。

伯井政府参考人 大学入学共通テストでございますが、来年一月十六、十七を実施予定日としておりまして、そのための実施準備を着々と進めているというものでございます。

笠委員 来年の一月に行われる大学入学の共通テスト、これは二年かけて問題を作成するということで、既に準備が進められていると思いますけれども、予定であれば、今は恐らく試験問題案が作成をされて、そして校正段階、校正が行われ、恐らくは、このコロナの問題がなかったら、通常だと七月ぐらいにはもう印刷に入るというようなスケジュールで準備が進められていると思いますけれども、今どういう状況かということを御説明ください。

伯井政府参考人 今御指摘いただきましたように、大学入学共通テストの試験問題、各大学等の教員が大学入試センターで問題作成に従事するという形で、二年間かけて行われます。

 現在、来年の問題作成についてはもう最終段階に入っておりまして、大学入試センターにおいて鋭意準備を進めているというものでございます。

笠委員 出題の範囲は、高校一年生から三年生の間に学んだ範囲ということで、変わらず今の準備が進められているということでよろしいですか。

伯井政府参考人 もともと国、数、英は高一、高二までの範囲でございますけれども、いわゆる理科あるいは地歴、公民というのは高校三年の部分も含めた出題範囲の試験科目となっておりまして、いずれにせよ、問題としてはもう最終の段階というところでございます。

笠委員 例えば、今ありましたように、高校二年までの部分はいいんですけれども、既に高校三年生まできちっと履修するということを前提に問題がつくられている。恐らく、もうほとんどできているはずなんですよ。

 ただ、このコロナ禍で、恐らく、ちょっと伺いたいんですけれども、この校正というのは、問題をつくられる各大学等々の教員さんなんかが協力してやっていると思うんですけれども、これは極めて機密性の高いもので、通常だとセンターに集まって行うんですかね。それはなかなか、人がばあっと密になるので集まれないようなことも危惧されるんですけれども、今どういう対応をされているのかを伺いたいと思います。

伯井政府参考人 御指摘いただきました問題作成については、校正等、最終の段階なわけですけれども、最も機密性が高い業務でございますので、これをオンラインで自宅でというわけにはもちろんいかないわけでございます。

 緊急事態宣言がなされている中、大学入試センターにおいては、委員等の協力を得ながら、機密性を保ちながら、鋭意、進捗におくれがないよう準備をしているということでございます。

笠委員 仮に、この五月末、状況を見て、その後高等学校が、恐らくは緊急事態宣言がまだ解除されていない八都道府県等々あるわけで、これは今はわかりません、五月末で本当に休業が終わるのか。先ほど答弁の中でも、五月いっぱいで学校の休業が終われば、何とか取り戻していくことが工夫によってできるんじゃないかというような見通しを語られていたけれども、しかし、受験の時期、例えば一月に行われるということになったときに、果たして、自分たちが学習をしていない出題内容が含まれる可能性もあるわけですよね。

 先ほどの高校受験のように、設問あるいは出題というものをこれから検討するのだったら、あるいは、私立なんかはそろそろ検討に入っている段階だと思います、大学受験についても。そういうところは幾らでも配慮ができるんだけれども、センター試験は、今からやり直して、一月とか、あるいはちょっとずれたとしても従来の日程で試験をするときに、それを前提としたときに、問題をつくり直すということはできますか。

伯井政府参考人 先ほど申し上げましたように、二年間かけて作成しております。また、本試験の問題、追再試の問題と複数種類つくっておるわけでございまして、現段階で問題をつくり直すというのは極めて困難でございます。

笠委員 あと、同時に、一月の受験を迎えた段階で、都道府県ごとに、それぞれ同じような順番で全て教えているわけじゃないですから、何がそこで履修が済んでいるのかどうかというようなことはそれぞれ違いが出てきます。

 ただ、問題なのは、特に現役の受験生が、浪人生はいろいろな準備をしているでしょうけれども、やはり自分たちが勉強していないことが試験の問題として出題をされたというようなことだけは、私は絶対あっちゃならないと思うんです。

 そのための対策というのを、今後の状況によっては、これは大臣に伺いたいんですけれども、絶対に万全を期していただきたい。特に、大学の共通テスト、要するに入試センターでやるわけですから、本当にその責任は重いと思うんです。

 ですから、私立の大学等々にもいろいろな要請も必要だけれども、特にこの点については御留意いただきたいと思いますけれども、その点、大臣のお考えをお聞かせください。

萩生田国務大臣 今局長からも答弁をされましたとおり、もう二年前から来年の試験問題については作問委員の先生方がさまざまな取組をしています。一体どこの誰がつくっているのかも含めて、極めて機密性高く、そして慎重にやっております。

 他方、こういうコロナ禍の状況の中で、学校が六月以降再開をするとはいえ、順調に授業時間を積み上げて学生たちがしっかりとした学びができるかというと、第二波があるかもしれない、そういう状況の中で、私はやはりことしのことは特別に考えていかなきゃいけないと思います。

 高校で使う教科書も単一じゃありませんから、指導要領という大きな枠の中には入っているとはいえ、一学期でやること、三学期でやることが教科書によっては異なるものもありますので、そういったことにもよく目配りをしながら、いずれにしても、不公平、不利益を感じることがあるような出題であってはならないと思っています。

 そのために、さまざまな知恵を、現場は現場で今作業をしていますけれども、高等局を中心に、例えば履修が確認しづらい分野がもしあったとすれば、選択問題を追加でふやして、自分がこれはわからないといったら違うものの中から選んでもらうようなことも含めて考えたらどうかなということは今議論の中で話合いをしていますので、できるだけ公平性、そして皆さんが納得感がある、そういったものにつくり上げていくために、ことしは特別だと思いますので、その時間や労力は惜しまず対応してまいりたいと思います。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

笠委員 あるいは本当に初めての大学入学の共通テストということになるわけで、ただ、今大臣がおっしゃったけれども、確かに、二年かけて試験を準備されてきた方々の思い、その方々がいろいろと、やはり学生あるいは生徒たちのことも、将来の人材育成ということも考えて準備をされてきたことは本当に多としないといけない。しかしながら、まさか誰もこういうことが起こるとは想定していないので、やはりそのときには、この試験自体を、どういうような、大学側がこの共通テストを実際の入学選抜の要件として比重も含めてしっかりと活用するかというようなことも、ことしは特に、ことしというか来年の試験についてはぜひ大胆に、また、今後の状況によっては、従来にない発想で、きちんと子供たちが不利益のないような対応をお願いいたしたいというふうに思います。

 次に、きょう午前中も議論になっておりましたけれども、文化芸術分野への支援について、私の方からも要請をさせていただきたいというふうに思います。

 先ほど萩生田大臣は、午前中の答弁で、文化芸術の灯を消すことがないように全力を挙げるという思いを述べられました。ただ、先日の補正予算の中で、この文化芸術についての予算が幾つか積まれているわけですけれども、これは大きく自粛要請期、再開期、反転攻勢期というふうな中で文化庁のいろいろな関係の支援があるんですけれども、とにかく、再開期とか反転攻勢期なんというのは次のステップでいいんだけれども、今をどうやってしっかりと支援していくのか。本当に、この補正予算の中身を見ると、再開期とか反転攻勢期が多いんですよ。でも、今困っているのは自粛要請期、今、目の前、本当にこれをどうやって乗り越えていくのか、その危機感が本当に関係の皆様方は募っています。

 これはもう党派を超えて皆さんと一緒に要望等々もさせていただいているし、大臣もいろいろな関係の方から直接の意見も聞かれていると思うんですけれども、ちょうど午前中、浮島先生が気合いを入れられたように、私も、もう経産省のメニューだとか、何でもいいんです、それはそれで、しかし、やはり文化庁として、しっかりと文化芸術を預かる責任ある庁として、自分たちが予算を獲得して支援をやるんだという気合いが必要なんだと思っています。

 そういう意味において、二次補正に、これから編成するに当たって、文化庁としての支援策、どういうふうに基本方針を考えておられるのかをまずお聞かせいただきたいと思います。

今里政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生も御指摘ございましたように、本年度の第一次補正予算においても、さまざまな文化芸術関係者の方々が活用できる支援策、今後のものも含めて計上させていただいておるわけでございます。

 他方、先生からも今御指摘ございましたように、今の時期に支援するためのということでございます。文化芸術活動における、例えば新しい生活様式のもとでの業界固有の課題などがないか、文化芸術にかかわる皆様の意見を聞いて、支援に万全を期しつつ全力で取り組んでまいりたい、このように考えてございます。

笠委員 ちょっと具体的に伺いたいんですけれども、今、基金が近く創設をされるということで伺っております。独法の日本芸術文化振興会に文化芸術復興基金を設置して民間からの寄附の受皿とするような、これはもう決まっていると思うんですけれども、そろそろ発表されるんですかね。

 これについては、もちろん、民間からいろいろな寄附をお願いして、その受皿というのはいいんですけれども、そこで税制のいろいろな形での優遇措置をとるというのも一つ私はあってもいいと思うんです。ただ、やはり今、日本全体が、社会全体が大変な危機に瀕しているときに、なかなか、民間頼みで、お金を出してくれと言っても、それは難しいですよ。

 だから、やはり官民総力を挙げてしっかり対応するという中で、例えば二次補正で、国のお金をこの基金用に積むというようなことは検討されているんでしょうか。

今里政府参考人 お尋ねの日本芸術文化振興会に対する民間からの寄附、これの受け入れる口としての基金というものが創設される、そして、近々寄附金の受入れが開始されるものというふうに承知しております。

 国といたしましては、先ほど申しましたような、文化芸術活動の困難な時期においても活動の継続が可能となるよう必要な支援を行う、こういったことを検討しているわけでございまして、この基金による文化芸術団体への支援と相互補完的に連携をしていきたい、このように考えているところでございます。

笠委員 いや、次長、私が伺ったのは、その基金に国からお金を入れるということは考えておられますか。

今里政府参考人 繰り返しになって恐縮ですけれども、活動の継続が可能となるために必要な支援を国として行い、その中で、この基金による文化芸術団体への支援と連携をしていきたい、このように考えているところでございます。

笠委員 ちょっと大臣に確認したいんですけれども、私、基金にお金をやはり国も入れないと、今の一応支援の概要、想定としては、もう何か秋ぐらいには助成を始めたいみたいなことも想定されているようなんだけれども、ただ、そんなにこれは集まるものじゃないですよ。しかし、本当に今すぐ非常にそういう支援が必要だというところ、これはいいんです、文化庁としてやってもいいんです、直接。本当はそれが一番いいんです。ですから、そういったものを、どちらでもいいんだけれども、二次補正で、大臣、必ず獲得してください。

 ただ、先ほどおっしゃっていたように、どういう対象で、どういうようなところの線引きで支援をしていくかというところはやはり知恵を出さないといけないところだと思うんですけれども、もちろん、経済的な発展も大事だけれども、この日本の文化芸術を、伝統を継承し、また次につなげていくというのはやはり我々の責任でございますので、その担い手の皆さん方が今大変な苦労をされている、そういった思いに寄り添って、ぜひ大臣のリーダーシップで、必ず二次補正で文化芸術の支援のための予算を獲得することをお約束いただきたいと思います。

萩生田国務大臣 文化芸術というのは、まさに心のビタミンだと思います。コロナ禍が落ちついたときに改めて日本のよさをお互いに確認し合う意味でも、さまざまな文化活動を応援していくことは極めて重要だと思っています。

 今、基金については、次長の答弁を聞く限り、基金に直接国がお金を積み増しするというのではなくて、多分、この基金を中心にした事業に対して伴走しながらサポートをしていくということなんだと思います。それがV字回復のときの支援策の一つなんだと思うんですけれども、いずれにしても、一次補正のときに文化団体の皆さんからさまざまな声が上がっていて、しっかり手を差し伸べたかったんですけれども、形態が余りにも多過ぎちゃって、どういうメニューで応援したらいいのかというのがなかなか決まり切らないまま、第一次補正の金額になりました。

 もう一度チャンスがありますので、改めて、ここに携わる皆さんが、今はとにかくつなぎ資金で頑張っているんだから、元気になったらもう一回舞台に立てるように、その舞台が五回が十回にふえるような、そういう応援策を、しっかり予算も含めて確保する努力を改めてお約束したいと思います。

笠委員 ありがとうございます。

 持続化給付金とか雇用調整助成金とかいろいろありますけれども、フリーランスの方々含め、なかなかハードルが高い部分がありますので、今の大臣のリーダーシップで、しっかり文化庁主導の支援のスキームを二次補正でつくっていただきたいと思います。

 それで、もう一問だけ、ちょっとスポーツに関係して端的に伺うしかないんですが、先日、大臣がたしか鈴木スポーツ庁長官と一緒にトップアスリートとオンラインの何か意見交換をされた中で、オリンピック、来年ということで延期になりましたけれども、今、トップアスリートたちが、あるいは出場選手として決まっている人たちを含め、大変工夫をしながら、しかし、後ろ向きにならずにいろいろな形で頑張っておられる。それは本当に国民に対する勇気も与えていると思いますが、やはりそろそろナショナルトレセンは、そのときにも要望があったように、早期に何とか部分的にでも再開をさせていくということが私は必要なんじゃないかと思いますけれども、その要望が出ていましたけれども、その点の現時点での大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

萩生田国務大臣 緊急事態宣言が発出されて、都内のさまざまなスポーツ施設、公的なものも私的なものも全部閉鎖状況にありまして、オリンピックを目指すアスリートも練習がほとんどできないという状況を、改めて実情をお伺いしました。

 私は、ナショナルトレーニングセンターは、確かにテニスコートみたいに一般の方に貸し出すエリアもありますけれども、一流アスリートの皆さんが専門的なさまざまな知見を集めて調査をしたり調整をしたりする場所なので、体育館とは違う扱いでもいいんじゃないかなと閉める前は思っていたんですけれども、選手の皆さんも自分たちだけが特別扱いされるわけにいかないという中で、この状態になりました。

 しかし、これだけ少しずつ落ちつきを取り戻してきましたから、感染拡大にしっかり配慮をしながら、少しずつその使い道というものを、現場の団体の皆さんとも調整をしながら考えていきたいなと思っています。

笠委員 ありがとうございます。

 非常に多様で高機能なさまざまな施設でございますので、いざもう一度再開しようと思っても時間がかかりますので、再開ができるタイミングが来たらいつでもオープンできるような準備だけはしっかりと進めていただきたいということを要請して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

橘委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。大臣、よろしくお願いいたします。

 今、この下のフロアで内閣委員会が開かれていて、問題の検察庁法について採決をされるのかされないのかわかりませんけれども、大変な三密状態ですよ、見てきましたけれども。安倍総理大臣がきのう会見されて、新しい社会をつくっていこうねと御発言をされて、三密を避けることはもちろんだよというふうにおっしゃられていらっしゃるわけですが、やはり、おっしゃっていることとやっていることに矛盾があるから、いま一つ、この新型コロナウイルス感染症の問題についても、国民からの信頼というものが不足をし、なかなか施策が国民に伝わっていかないのではないか。

 政府としてもさまざま御努力をされていらっしゃるということは、ここにいる人たちはみんなわかります。持続化給付金にしても、特別定額給付金にしても、雇用調整助成金にしても、さまざまなメニューを使って、ウイルスに対応するために社会経済システムをとめるんだから、その分、公的セクターがお金を出しましょうね、みんなで頑張ろうねということでやっていらっしゃるのはわかるけれども、しかし、何か肝心のところで言っていることとやっていることが違う。

 三密を避けてください、これからも新しいライフスタイルをつくっていきましょうよと言いながら、下で三密をみずからつくるという状況、これはやはり、大臣はおかしいと思いませんか。

萩生田国務大臣 積極的に三密をつくるのはおかしいと思います。

川内委員 いや、だから、こういう状況の中で、少なくとも国民的理解が得られないものについては、私は、政府・与党として慎重な態度をおとりになられるというのが国民からの信頼を受ける道ではないかということを申し上げておきたいというふうに思います。

 このゴールデンウイーク、私もさまざまな方々と電話でお話をしたり、メールでやりとりをしたりしたわけでございますけれども、学校に子供を通わせていらっしゃる保護者の方から、その保護者の方は県境をまたいで仕事をしなければならないお仕事をされていらっしゃる方なんですけれども、学校から子供さんを学校に来させないようにしてくれというようなことを言われている、一体どうすればいいんだろうというような趣旨の御相談でございまして、いや、それは文部科学省のQアンドAでも、医療関係者やあるいは社会的機能の維持に努めている方々の子供たちに対して差別やそういうものがあってはいけませんよということが書いてあるので、じゃ、私の方でちょっと行政とも話をしてみましょうねというふうに申し上げて解決をしたんですけれども、やはりどうしても差別とか偏見とかいうものが、感染症にまつわっていろいろ出てくる。

 これは、まず学校の現場がそういうことがないようにしっかりとしていく、そして、それを社会に広げていくという意味においても、学校というのはやはり物すごい大事だなということを改めて感じたわけでございまして、その学校の現場の行政を最終的に預かられていらっしゃる文部科学大臣として、私はその責任は、萩生田大臣の責任というのは物すごく重いものがあるんだなということも感じておるわけでございます。

 そこでお尋ねをさせていただきたいと思うんですけれども、五月十一日の予算委員会で私は、PCR検査のことについて山中教授から提言があった、それについて安倍総理大臣が、いや、積極的にやっていきますよとその場は言っているんだけれども、結局、目標は二万件だということで、山中先生は十万件体制を目指したらどうだという御提言だったんだろうと思うんですが、総理は、それはじゃやりましょうよと言いながら、結局二万件だというふうに、月曜日は私にもおっしゃったし、萩生田大臣もそのようにおっしゃった。

 PCR検査が多い少ないということが、直接何か価値とか評価につながるわけではないだろうというふうに思います。他方で、なるべくしっかりと検査ができる、それこそ医師の判断でできる体制になり、そして感染状況を把握し、そして患者さん個人にとっても自分の置かれている状況が客観的にわかるという体制をつくっていくことは大事だろうというふうに思います。

 五月十一日の私の質問の後、夜、各大学におけるPCR機器の保有状況等についてという事務連絡が発出をされております。この調査の目的、内容、対象、そしてその対象の数について、教えていただきたいと思います。

萩生田国務大臣 PCRの体制を整備するために、文部科学省としても、さらなる検査能力拡大に向けて、大学の個々の研究室等にどの程度の検査能力があるのかを把握するため、十一日付で各大学等へPCR機器の保有状況調査を依頼しました。

 あのときにもちょっと、先生、お話ししたんですけれども、文科省としては、二月の段階で、まず、大学病院にあるPCR機械設備でコロナに対応できるものについて数えてくれ、供出してくれということで、まずその数が出てきました。それから、文科省が所管をしている研究所、独立行政法人、こういったところでPCR機械を持っているだろう、コロナに対応できるところを数えて教えてくれといって、百五十という数字が出てきました。この百五十は、厚労省から依頼がなくて出番がまだないんですけれども、一方では、地域と連携しながら、地域の、自治体のPCRセンターなどでもう活用している事例も中にはあります。

 実は、その山中先生の発言まで、お恥ずかしいんですけれども、研究室にPCR機械がどのぐらいあるのかというのは、私も知りませんでしたし、お恥ずかしい、文科省も知らなかったんですよ。

 ですから、あのときのあの質問をきっかけに、別に、だから慌ててやったんじゃなくて、もともとあの日にやろうと思っていたのが十一日だったんですけれども、研究室にもPCRはあるんじゃないの、しかし、数だけあってもすぐに検査に使えないから、レベル2の環境にあるようなところも含めてこの際しっかり調べてみましょうねというのが十一日の夜に発出したものであって、それを調べることによって、もしかすると、今まで我々が知らなかったPCR機械で、今後コロナ対策に対応できる機械が、多分、数が出てくると思いますので、そういったものをまた関係の自治体と情報共有をしたいと思っています。

川内委員 実は、この調査の事務連絡を私も読ませていただいて、調査の期限が五月十四日、昨日までというふうになっておりました。どのような回答状況なのか、この調査結果はいつまでにお取りまとめになられるのかということについて、教えていただきたいと思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 十一日の深夜に調査を発出いたしまして、十四日の調査の締切りとしておりました。

 現在、集まった調査結果を精査しております。部局ごとに出してくれというようなことを申しておりまして、一つの研究科の分のみの回答など、まだちょっと、集まった結果の集計が出せない状況でございます。速やかに調査結果を取りまとめた後に、厚労省とも情報交換を行い、文科省として、PCR検査能力の拡大に向けて対応していきたいと考えております。

川内委員 私も、総理の一日二万件体制というのは、どこで御発言になられて、政府としての方針になっているんだろうかと思って調べたら、これは、一日二万件というのは、対策本部決定文書に書かれているわけではなく、対策本部での総理発言なんですね。

 したがって、政府方針ではないので、私は、多ければ多い方がいい、検査の能力というのは高ければ高い方がいいというふうに思いますので、文部科学省として、研究機関に設置されているPCR検査機器を積極的に新型コロナウイルス対応に協力ができるようにしていくべきであるというふうに思っておりますし、また、日本でも承認された、スイスのロシュ社という会社の全自動PCR検査機器というのは、一日四千件の検査が可能だということだそうです。二十台導入するだけで八万件検査が可能で、そうすると、二万件足す八万件で、一日十万件達成できる。まあ、そんな、言っているほど簡単ではないと思いますよ。簡単ではないけれども、しかし、未知の新型コロナウイルスに対応するためにはそのくらいの意気込みが必要ではないかというふうに思いますし、一台一億円だそうですから、アベノマスクをやめれば全自動PCR検査機器が何台導入されるんだろうと考えると、本来、政府がお金を使うべきところに使うということも、こういう状況の中では大事なことではないかなというふうに思います。これは意見として聞いておいていただきたいというふうに思います。あえて答弁は求めません。

 きょうお尋ねしたかったのは、そういうさまざまな状況の中で、実は私の友達の病院も帰国者・接触者外来を保健所から頼まれて開設しているわけですけれども、これは委託契約になるわけですが、そのときは、別に、契約だけれども、お金がもらえるわけじゃ全然ないわけですよ。お願いします、はい、わかりましたというだけですよね。

 この一次補正で、設備費用等について、若干、何か面倒を見ていただけるということも聞いておりますが、他方で、これ、専門家会議が、当初、熱が出ても病院に行かないでくださいと言ったものだから、病院は今どこも外来患者がめちゃめちゃ減っているわけですよね。しかも、帰国者・接触者外来などを引き受けると、公表はしていないけれども、もう周りの住民の皆さんは、あそこはコロナの人が行くらしいよと。これも偏見、差別ですけれども、ますます来なくなるということですね。これは多分、大学病院なども経営の状況は同じではないかというふうに思うんですね。

 まず、そこで、大学病院について、現在の経営状況、さらには将来の見通しについて、国立大学、私立大学、それぞれちょっと教えていただきたいというふうに思います。

伯井政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナウイルス感染症対応におきまして、大学病院は、多くの重症患者に高度医療を提供するなど、大変重要な役割を果たしております。

 今御指摘いただきましたように、診療体制の構築であったり、院内感染の防止のための外来や手術の抑制ということで、減収が生じております。

 今ちょっと、手元にあります資料は国立大学の見通しでございます。国立大学病院の病院長会議によれば、全国四十四国立大学病院の四月期の収入は対前年度比で約百二十六億円の減収であるという報告がなされておりますので、これを通年ベースでいうと二千二百十九億円の減収見込み、これは、前年度の国立大学病院収益の約二割に相当するということでございます。

川内委員 私立大学は。

伯井政府参考人 私立大学は、手元には資料がございませんが、大幅な収益の減ということでございます。

 一方で、全体として、収益減と、収支差というのを、今しっかり現状把握しようということで努めているところでございます。

川内委員 いずれにしても、大学病院、国立も私立も大幅な減収になると。きょうは橋本副大臣にも来ていただいて、ありがとうございます、お忙しい中。

 民間の病院、診療所、医療従事者、皆さん大変な思いをしているわけですね。持続化給付金は収入が五割減ると給付金の対象だよということになっているわけですが、私、この医療の世界については、二割でも三割でも減収になれば持続化給付金の支給対象とするべきであるというふうに思うんですけれども、厚労副大臣として、経産大臣に対してそういうネゴをされたらいかがかというふうに思いますが、いかがですか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 今なお新型コロナウイルス感染症が拡大をしているというか、今終息には向かいつつありますけれども、そうした状況下におきまして、医療機関、委員御指摘のとおり減収のところが多いということは私どもも認識をしております。

 ただ、何のためにそれが起こったのかというのは恐らく事情はそれぞれでありまして、患者を受けるためベッドをあけた、そのために減収してしまったというところもありますし、コロナウイルスの患者を受けないんだけれども、純粋に患者の方が受診を控えられたので減収した、そうした例もあろうかと思います。そうしたことを丁寧に見ていくことがまずは大事ではないかと思っております。

 私どもといたしましては、診療報酬におきまして、まずは重症の新型コロナウイルス感染症患者に対する一定の診療への評価を二倍に引き上げることなど、コロナウイルス感染症患者の診療について診療報酬の特例的な取扱いを措置するとともに、地域の実情に応じた柔軟かつ機動的な都道府県の取組を包括的に支援するための新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の創設、また、独立法人福祉医療機構における無利子無担保等の優遇の支援などを行ってきたところでございまして、さらに、二次補正というお話もございますけれども、そうしたことも頭に置きながら、何ができるかについて、まずはその関係団体の皆様ともしっかりお話をし状況をお伺いして、経営状況を私どもとしてきちんと把握をし、そして何ができるか考えていきたい、このように思っているところでございます。

川内委員 丁寧に見ていくんだと橋本副大臣はおっしゃるんですけれども、先ほど、国立大学でも年間を通せば二千億を超える収益減だ、私立大学も同じぐらい大変だろうという伯井高等局長の御答弁だったわけですけれども、丁寧に見ている間に別な意味の医療が崩壊しますよね、経営が成り立たないという意味において。

 だから、ここはある程度見切りも大事ではないかというふうに思いますし、この新型コロナ対策の緊急包括支援交付金、地域の病院や診療所などが、PCR検査のための装置、設備、防護具などの費用に対しても交付されるというふうに聞いておりますが、既に先行して資金を負担しているところもたくさんあるんだろうというふうに思います。事後でも交付の対象となるということでよろしいでしょうか。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 新たに創設をいたしました新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金では、帰国者・接触外来などにおいて、四月以降に、要するに今年度に購入をしていただいたもの、その対象となるものにつきましては、交付金の交付決定の前に購入したものでありましても補助の対象とする、このようにしております。

川内委員 何かちょっと微妙ですね。四月以降に購入したものについてはでしょう。

 だから、何でそんな限定をつけるのかちょっとよくわかんないですね。ちょっとその辺は事業の交付要綱の中に書いてあることでしょうから、ちょっとその辺、見直してくださいよ。新型コロナの問題はもう二月から始まっているわけですから、そこはちょっと変えると言ってください。

橋本副大臣 年度の、要するにことしの補正予算での今回の交付金の創設でございますので、年度ということで御答弁を申し上げたところでございます。

 ただ、委員が御指摘をいただきましたように、医療機関の経営そのものが大変だというのは、特に診療報酬の支払いというのは二カ月おくれて来ます。したがって、これから本当にあらわになってくるんだろう、まさに、それこそ六月とかが、ボーナスも払わなきゃいけないし、大変苦しいというようなお話も私たちも認識はしているところでございまして、この交付金がということにとどまらず、今さまざまな方策を考えているところでございますので、またしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

川内委員 いや、橋本さんらしくない。しっかり取り組んでまいりたいと思いますと言えばいいかと思って。全然、だからきちんと、やはり具体的に支援することを考えていただかないと大変なんだと思うんですよ。

 ここは大臣にまたお尋ねしますけれども、例えば国立大学の附属病院などで、新型コロナウイルス感染症の検査とか治療の最前線に立っていらっしゃる医師や看護師や検査技師や臨床工学士などの医療従事者、あるいは介護従事者。これは私は、何か拍手でみんなで感謝しましょうみたいなのをやっていますけれども、拍手じゃなくて、やはり報奨金みたいな手当をちゃんと渡さなきゃいかぬと思うんですよ。

 そういうことも文科大臣として考えていらっしゃるのかということを教えていただいていいですか。

萩生田国務大臣 まず、全国の大学病院において、多くの医療従事者の皆様が昼夜を分かたず、新型コロナウイルス感染症の対応に当たられていることに、この場をかりて感謝を申し上げたいと思います。

 こんなところでつまらない縦割りを持ち込むつもりもないんですけれども、私が唯一サポートできるのは大学の附属病院で、だけれども、じゃ、大学の附属病院だけじゃなくて、地域の公立病院も医療法人の病院もみんな頑張っているわけですから、できれば同じルールで厚労省と一緒に支援策というのを積み上げていきたいんですけれども、これはこの国の宿命でございまして、それぞれいろいろ考えていかなきゃならない部分もございます。

 医療従事者の皆さんに対する危険手当等については、厚労省が診療報酬において、危険手当として日額四千円相当が支給されることを念頭に、新型コロナウイルス感染症対応の特例措置も講じており、これを受け、大学病院においても危険手当等の支払いを行っている事例がございます。

 新型コロナウイルス感染症対応を支えているのは医療従事者の皆様であり、診療報酬を活用した手当のみならず、医療安全にきめ細かく目配りをし、医療従事者が安心、安全に診療に専念でき、大学病院が国民の期待に応えられるように、関係省庁とも連携し、しっかり支援をしてまいりたいと思います。

 この未曽有のウイルスとの戦いの中で、お金のことを心配しながら国民の皆さんを守ってくれというわけにはいきませんので、大学病院につきましては、国立だったら運営費交付金を前倒しをしようと思って、とりあえずキャッシュを先に渡しておこうと思っています。私学も、私学助成でいくのか無利子の貸付けを文科省として責任持って渡すのか。いずれにしても、お金のことでばたばたすることがないように、環境だけは、私の所管の大学病院についてはしっかりやっていきたいなと思っています。

川内委員 運営費交付金なり私学助成なりで配慮はするんだよということですが、例えば診療報酬にしても倍増している、倍の点数をつけていますと。しかし、一人当たりにすればそれは四千円になるかもしれないけれども、経営が苦しいわけですから、診療報酬はその減収の穴埋めになってしまうということで、文科大臣が、自分の所管の範囲で、所管の施設にいる医療従事者に対しては危険手当ではなく感謝手当だということでやるよと言えば、これは厚労省だってやらざるを得ないでしょう、全ての病院に対して。そういうことをやるのが私は内閣だというふうに思うんですよ。

 橋本副大臣、医療従事者に対する感謝手当を、厚労省としても二次補正に向けて私は考えなきゃいかぬと。だって、民間の病院は減収しているからボーナスないんですよ、こんな大変な思いをしているのに。それでいいと思わないでしょう。いいと思わないんだったら、何らか工夫する、手だてを考える、一生懸命考えるということを御答弁いただきたいと思います。

橋本副大臣 委員の、医療現場などで立っておられる方々に感謝、そして、それをきちんと具体的に示すべきだというお気持ちは、大変私も共感をしているところでございます。

 これは、先ほど萩生田大臣からも御答弁いただきましたが、診療報酬において引上げをしたときに、感染症の患者に直接向き合う医療従事者の皆様に危険手当として日額四千円相当が支給されることを念頭に、その人員配置に応じた診療報酬の引上げなども行っております。

 その上で、さらに今後、まずは、例えば現場の方々に対して、これは処遇というだけではなくて、仮にマスクが足りないとか、そうした状況もよく言われております。それについてしっかりとお届けをして、きちんと安心をして現場に立っていただけるようにするだとか、さまざまな形で具体的に、取り組んでいただけるようなサポートをするのが私たちの仕事だろうというふうに思っております。

 まず、それこそ二次補正の編成をこれからというところでございますので、ちょっと具体的に今申し上げるふうになっておりませんけれども、お気持ちをしっかりと受けとめて具体化を目指していきたいな、このように思っております。

川内委員 安心して仕事をしていただくためにも、そういう具体的な手当について、私は真剣に考えるべきであるというふうに思うし、先ほどの文化芸術に携わっていらっしゃる皆さんへの支援についても、私は、政府の一次補正のゴー・トゥー予算、全くとんちんかんだと。終息した後、使いますと。じゃ、終息させられるんですか。それはいつですか。それもわからない。だから、あらかじめ繰越明許に載せて、繰り越すかもしれないということにしているわけですよね。

 これは、今使わなければ、学生にしても、大学院生にしても、大学生にしても、専門学校生にしても、今支援しなければ私はならぬというふうに思います。なぜなら、社会経済システムを自粛要請という形によってとめたわけですから、そこは、政治、行政の責任として、スピード、スピード感じゃなくてスピードを持ってやっていく必要があるのではないかと思いますし、検査の体制についても、多くの国民の皆さんが何となく、お相撲さんが、大臣、亡くなられたじゃないですか。やはり病院を幾つか回って、受け入れてもらえなくて亡くなっちゃいました。大変残念なことだなと思うんですよ。これは、多くの国民はそういう事例を見て、何か検査の体制が不十分じゃないかと思っちゃっているわけですよ。

 それをちゃんと、いや、そうじゃないよ、頑張っているよということを示していくためにも、山中教授のありがたい提言は、私は、しっかりと前向きに受けとめるべき、そして、そこに向けて、みんなで力を合わせていくべきではないかというふうに考えております。

 ぜひ、もうこれは与野党関係ないですから、私どもも協力するところはしっかり協力して、さまざまに考えを述べさせていただきたいというふうに思いますので、政府・与党におかれては、余り強引なことをなさらずに、ここは、みんなで力を合わせられる環境をつくっていくんだということをお願い申し上げて、終わらせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございます。

     ――――◇―――――

橘委員長 次に、内閣提出、著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。萩生田文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

萩生田国務大臣 このたび政府から提出いたしました著作権法及びプログラムの著作物に係る登録の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、近年のデジタル化、ネットワーク化の進展に伴い、インターネット上において違法な著作物等の流通が広がっているとともに、著作物等の利用の態様が多様化していることから、著作権等の適切な保護を図るとともに、著作物等の利用の円滑化を図るため、必要な措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、インターネット上の海賊版対策の強化など著作権等の適切な保護を図るための措置を講じます。

 近年、インターネット上の違法な著作物等による被害が深刻さを増してきていることから、早急に総合的な対策を講じていくことが重要であります。

 このため、まず、いわゆるリーチサイトを通じた違法な著作物等への誘導行為等に対応するため、リーチサイトにおいて違法な著作物等のリンクを掲載する行為等について著作権等を侵害する行為とみなすとともに、リーチサイトを運営する行為等についての罰則を定めることとしております。

 また、違法にアップロードされた著作物をデジタル方式で複製する行為について、それが違法にアップロードされたものだと知りながら行う場合には、私的使用のためであっても違法とすることとしています。ただし、海賊版対策としての実効性を確保しつつ、国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないため、漫画の一こまや数こまなどの軽微なものや、二次創作、パロディー、また、著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合の複製は、違法としないこととしております。さらに、違法とする複製のうち、正規版が有償で提供されているものを継続的に又は反復して複製するという悪質性の高い行為については、罰則を定めることとしております。

 このほか、著作権等の適切な保護に資するよう、著作物等の不正利用を防止するためのアクセスコントロール等に関する保護の強化や、著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化を行うとともに、プログラムの著作物に係る登録制度について、著作権者等が、みずからの保有するプログラムと登録されているプログラムとが同一であることの証明を請求できる制度の導入等を行うこととしております。

 第二に、著作物等の利用の円滑化を図るための措置を講じます。

 近年、知的財産立国として知的財産の利活用を促進する観点から、著作物等の円滑かつ安定的な利用が可能となる法的基盤の整備が求められております。

 このため、いわゆる写り込みに係る権利制限規定について、スクリーンショットやインターネット上の動画の生配信を行う際の写り込みをその対象に含めるなどの拡大を行うとともに、行政手続に際して権利者に許諾なく必要な文献の複製等を行うことを可能とする権利制限規定について、新たに地理的表示や植物の品種に関する審査手続等をその対象に加えることとしております。また、ライセンス契約に基づき著作物等を利用する権利について、第三者への対抗力を付与し、著作物等を利用する者が安心して利用を継続することを可能とすることとしております。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようにお願いいたします。

橘委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

橘委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時八分散会


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