衆議院

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第4号 平成28年10月28日(金曜日)

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平成二十八年十月二十八日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      あべ 俊子君    赤枝 恒雄君

      秋葉 賢也君    江渡 聡徳君

      大隈 和英君    木原 誠二君

      木村 弥生君    小松  裕君

      島田 佳和君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田中 英之君

      田畑 裕明君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 郁子君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    福山  守君

      堀内 詔子君    村井 英樹君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      郡  和子君    中島 克仁君

      長妻  昭君    初鹿 明博君

      升田世喜男君    水戸 将史君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    河野 正美君

    …………………………………

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   財務大臣政務官      杉  久武君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  鈴木 俊彦君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十八日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     島田 佳和君

  初鹿 明博君     升田世喜男君

同日

 辞任         補欠選任

  島田 佳和君     田中 英之君

  升田世喜男君     初鹿 明博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、井坂信彦君外七名から、民進党・無所属クラブ提案による修正案及び高橋千鶴子君外一名から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。井坂信彦君。

    ―――――――――――――

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井坂委員 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明をいたします。民進党・無所属クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 基礎年金等の受給資格期間の二十五年から十年への短縮については、社会保障・税一体改革関連法として成立した年金機能強化法において、消費税率の一〇%への引き上げ時から実施することとなりました。しかし、いわゆる景気条項に基づき、消費税率の一〇%への引き上げは延期され、受給資格期間の短縮の実施も平成二十七年十月から平成二十九年四月へと先延ばしされました。そして、今般、安倍内閣は、新たな判断として消費税率の引き上げを再び延期するとしています。その後、政府が受給資格期間の短縮を消費税率引き上げより前倒しの実施を決定したことは評価しますが、その実施時期は平成二十九年八月とこれまでの予定から四カ月おくれになっています。

 無年金者の救済は早急に解決すべき喫緊の課題であり、新たに年金を受給できるようになる方々も、その実施を心待ちにしています。政府案では、本来受給できていたはずの平成二十九年五月から八月分までの年金が受給できなくなります。そうした状況に鑑みれば、事務的な準備作業にも配慮しつつ、これまでの予定どおり、平成二十九年四月から受給資格期間の短縮を実施すべきであると考え、本修正案を提出しました。

 修正の要旨は、第一に、「平成二十九年八月一日」となっている年金機能強化法の施行期日を「平成二十九年四月一日」に改めること。

 第二に、受給資格期間の短縮に係る老齢基礎年金等で平成二十九年五月分から九月分までのものについては、それぞれ国民年金法等に規定する支払期月後の政令で定める支払期月に支払うことができるものとすること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

丹羽委員長 次に、高橋千鶴子君。

    ―――――――――――――

 公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高橋(千)委員 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案について、その趣旨を説明します。

 基礎年金等の受給資格期間の短縮は、二十五年の納付期間を満たすことができずに無年金状態に置かれていた方々を救済する上で、一刻も早い実施が求められていたものです。しかし、実施は消費税一〇%増税時とされているため、二度の増税延期に伴って、その実施が先送りされてきました。

 今回、消費税一〇%増税時と切り離して、最大約六十四万人の方々が年金を受給できるようにする施行日の改正は賛成できるものです。無年金対策としては一定の前進が図られましたが、同時に課題となっている低年金の解決のためとされる年金生活者支援給付金は消費税増税と関連づけられ、実施の時期が定かではありません。また、今回救済される老齢基礎年金四十万人の受給額平均は二万一千円、十年ちょうどでは一万六千円にすぎません。なお約二十六万人の無年金者が残ることも明らかになり、改めて無年金・低年金生活者の全容と実態調査を行い、憲法第二十五条、国民年金法第一条の目的に明記された公的年金の本来の役割を発揮できるよう、暮らせる年金を目指すときです。消費税は、逆進性が高く、低所得者ほど負担が重くなります。日本共産党は、消費税一〇%は延期ではなく中止すべきと訴えています。切実で、本来必要な社会保障拡充策を消費税財源と位置づけた一体改革を見直すべきです。

 今回の改正によって、施行日を消費税増税時と関連させる必要は全くなくなったものと考えられることから、本修正案を提出するものです。

 以下、修正案の骨子を説明します。

 年金機能強化法により受給権が発生する老齢基礎年金等に要する費用のうち国の負担等に係るものの財源に関する規定を削除すること等であります。

 以上、委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。(拍手)

丹羽委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 この際、お諮りいたします。

 本案及び両修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房年金管理審議官伊原和人君、年金局長鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより原案及び両修正案を一括して質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 まず、委員長に抗議をしたいんですけれども、職権でこの委員会が立てられて、しかも、九時より前に始まる。当然、我々は国会議員ですから、朝六時だろうが五時だろうが仕事は一生懸命いたしますが、やはり国会というのは、質問の準備も含めきちっと時間をとって、ルールのもと、野党ともきちっと合意をした上で進めていただきたいということをまずは強く申し上げておきます。よろしく本当にお願いをいたします。私も、こういう運営、これまでも見てまいりましたけれども、余り例がないのではないのか、相当問題があるということを強く申し上げておきます。

 そして、質問に入りますけれども、今回の受給資格を短縮する法案でございますが、最大、受給資格が発生する可能性も含めると、何人になるのでございますか。

塩崎国務大臣 これまで繰り返し申し上げてまいりましたけれども、まず、ベースとなるのが十年以上の六十四万人というのが繰り返し申し上げてまいりましたが、それに加えて、空期間などの該当される方、こういった方を加えて、こういった方々の中で、合算をすると十年を超える、そういう方々がおられるわけで、これについては正確なところはまだ把握ができないということで、言ってみればプラスアルファということで、六十四万人プラスアルファというのが最大というふうに言わざるを得ないということだというふうに思って、今後、法律成立後には、しっかりと対処することによって該当者が年金を得られるようにしたいというふうに考えております。

長妻委員 そうすると、十年未満の方というのは何人ぐらいいらっしゃるんですか。

塩崎国務大臣 十年未満というお言葉でございますが、二十六万人でございます。

長妻委員 二十六万人の方々は、十年未満だから今回受給権が発生しないということではなくて、今もおっしゃいましたけれども、空期間というのがございますので、空期間というのは、一般の方々は御存じない方も多いのでありますが、例えば、配付資料にも添付しておりますけれども、一九六一年の四月一日から一九八六年の三月三十一日まで、専業主婦であれば、何にも手続していなくても、これは空期間に御本人がなる、約二十五年間。

 大体どのぐらいの方がいるのかなと思って、ちょっと資料を要求いたしました。

 例えば、一つは、ちょうど空期間、国民年金に任意加入の直後の一九八六年度末の第三号被保険者、主婦の方が多いわけですが、それが一千九十三万人おられる。これは扶養も要件でありますから、もっと拡大するので。つまり、空期間を少しでも持っている方は一千万人以上おられるという推計がなされるわけでありまして、先ほどおっしゃった十年未満の二十六万人の方々、相当数が空期間で十年以上になる可能性があると思います。

 そういう方々に対する措置として、二〇一八年一月から郵便を発送するということを聞いているんですが、これは確実に、どういう形でやっていただけるんですか。

塩崎国務大臣 今お話しのように、専業主婦の方などで、これは昭和六十一年三月三十一日までの間に国民年金に任意加入していなかった期間が空期間になったり、あるいは学生、そしてまた海外におられた方々の中にも該当するような空期間の方がおられるわけでありますが、受給資格が十年未満の今申し上げた二十六万人、こういった空期間を持っておられる方々について、来年度から、これは個別に、どういうふうに送付するのかということでありますが、はがきを送付する中で、その際に、御自身の加入記録やあるいは空期間などを改めて明示した上で御確認していただいて、やはりそこは年金請求の手続を行っていただくように明示をした形でリマインドする。その上で、年金事務所に来ていただいてしっかりと確認をして、どれだけの空期間があるのかということを確定した上でそれを生かしていくということになろうかというふうに思います。

長妻委員 それと、これはしっかりやっていただきたいと思うんですが、配付資料六ページ目なんですが、いまだに、過去一度も公的年金制度に加入したことがない方が十八万九千人もおられる、二十から五十九歳までの方で。こういう方々は、全く何も基礎年金番号もなくて非常に問題な状況に置かれているということで、こういう方々についても的確な対応をしていただきたい。

 ひょっとすると、別に番号が宙に浮いて、十年、あるいは十年未満、十年以上の方々がこの十八万九千人の中にもいらっしゃる可能性があるというふうに思っております。この皆年金制度の中で、二十万人近くの方が何にも、公的年金に一切把握がされていない、一体誰なのかもさっぱりわからない、近代国家日本であるまじきことであると思っておりますので、きちっと事務処理もしていただかなければならないということも申し上げておきます。

 そして、私も前回から所得代替率の問題について質問をしてまいりました。これはやはり最低保障機能というような観点から質問してまいりましたけれども、前回も、塩崎大臣と質疑の中で、日本は、所得代替率が、いわゆるモデル世帯マクロ所得代替率が五〇パーを切る、切らないが抜本改革のトリガーになっている、こういうお話でございましたが、では、その五〇パーというのは何で五〇パーというふうに決めたのでありますか。四五パーでもなく、五五パーでもなく、五〇パーという理由は何でございますか。

塩崎国務大臣 今、所得代替率をなぜ五〇に決めたのかという経緯についてお話を頂戴いたしましたが、平成十六年の改正に向かって議論を詰めていったわけでありますけれども、少子高齢化の一層の進行などを背景に、当時の制度のままでは、つまり、五年ごとに保険料も含めて見直す、そういうやり方をやってきたわけでありますけれども、そうしますと、保険料がどこまででも上昇していくということになりかねない少子高齢化であって、将来年金を受け取る現役世代の負担が、つまり今働いていらっしゃる方で若い人たちが、将来自分たちがもらえるときには過重な負担になり過ぎるのではないかというおそれを当然、論理的に予想し得るわけで、そのことについて議論が深まっていったわけであります。

 そうした中で、現役世代の保険料負担を過重なものとしないように上限を固定する、今でいえば一八・三ということになっていますが、上限を固定するとともに、その範囲内で給付水準を調整する、こういう新しい枠組みを考えたわけであって、それが、いわゆるマクロ経済スライドという制度として導入をすることとして、高齢期の生活の状況等を参考にしながら、給付水準の下限を定めるということとしたわけでございます。

 その具体的な水準について今、なぜ五〇なんだという話でありますが、これについては、給付と負担のバランスを考慮する上で、厚生年金の保険料の上限を先ほど申し上げた一八・三%に固定をして、そして、現在の所得代替率の定義のもとで給付水準の下限を五〇%というふうに定めたわけで、それを法律にしたということでございます。

長妻委員 今改めてよくわかりやすい説明だったと思うんですが、つまり、まずは保険料の上限を決める。若い世代も負担がどこまで耐えられるのか、それを、厚生年金で一八・三%を上限とする、そこから逆算をして給付額についての水準が決まっていく、こんなような今御説明でありました。ある意味では拠出建て、つまり確定拠出という形、つまり、払う保険料が固定をされるから、給付はそれに見合ったものが自動的に算出される。

 つまり、これは、実際に私も過去の議事録を見てみますと、坂口当時の厚労大臣が平成十五年の十一月の二十五日に、まさに、ちょっと裏話かどうかわかりませんけれども、当初、厚労省としては、負担の方については二〇%、一八・三でなくて、最終的に上限は二〇%にする。そうすると、企業にとっては、一〇%が事業主負担で、一〇%が従業員の負担だ、こういう案を厚労省が出したんですね。そういう御発言がありました。

 その後の経緯を私も聞いてみますと、記憶をまたよみがえらせてみますと、経済界が相当反対になりまして、そんな高い事業主負担は払えないよ、経済界としては一五パーぐらいが上限でお願いできないかな、そんなような話も裏であったというようなことも聞きました。

 そこでいろいろ政治的折衝をして、では二〇パーと一五パーとちょっと歩み寄って、まあ、では一八パーぐらいならいいんじゃないのかというような議論があって、ただ、一八パー、一八・三にすると五〇パーを超えるから、〇・三をちょっと上乗せしようかなというような議論があったやに私は聞いているんですが、大体こういう経緯でよろしいのでございますか。

塩崎国務大臣 今、長妻委員の御説明を一般の方がお聞きになると、厚労省は二〇%と言って、経済界が一五と言って、何となくよくわからないところで一八・三に決まったんではないかというふうにもとられかねないような感じでありましたが、決してそんなことではなくて、これは経済財政諮問会議でオープンな、オープンというか、その場でやはり、当然、議事要旨は、後に議事録が公開をされるという意味での公開の場で議論を堂々とやったわけでありまして、これは経済界ひとり負担するわけではなくて、個人も当然負担するわけであって、要は、どこで将来世代が我慢の限界に来るのか、つまり負担の限界に来るのかということが大事なファクターの半分であって、経済界はもちろん折半ですから半分担うということはおっしゃるとおりだと思いますけれども、これはやはり両方の、むしろ個人の負担というものの限界をどう考えるのかということについてもさまざま議論があったというふうに私は理解をしております。

 そういう中で決まっていったことであって、代替率を五〇%にするというところで、この負担とあわせて皆さんに合意をしていただいたということで今日のこの十六年の改正の中身になったというふうに私は理解をしているところでございます。

長妻委員 いずれにしても、冒頭の大臣の説明において、まず、やはり最終的な給付水準はどれだけを確保したらいいんだろうと。百年ということでありますから、百年の間に均衡するときに、あるべき給付水準、これはどうあるべきなのかという議論があって、それで逆算していろいろな保険料率とか税金の投入額を決めたというのではなくて、まずこの保険料の拠出の水準を決めて、そして結果として給付ということになったということでありまして、本来は、日本人の老後はこれからどうするんだ、どれだけの年金の額があれば大丈夫なのか、あるいはその水準は果たして今の所得代替率という指標でいいんだろうか、こういうことまで踏み込んでやはり議論をすべきだったのではないのか。

 ところが、大臣、今のような経緯にもかかわらず、やはり誤解を招く説明が当時あったのではないかというふうに私は思うわけでございます。

 例えば、これは、恐縮なんでございますが、坂口大臣、当時、平成十六年二月二十七日の答弁で、年金の改正案についての質問について答えておられるんですけれども、五〇パーのことについて、こういうふうに答えておられます。「最低限の生活が保障できる若いときの手取りの五〇%というものを確保するという、」そういう趣旨の答弁、趣旨というか今、一字一句そのとおりですけれども、そういう答弁をされておられる。つまり、最低限の生活が保障できる、そういうような五〇%だというようなお話をされておられるわけです、国民向けには。

 そして、大変恐縮なんですけれども、丹羽先生、委員長じゃありませんけれども、ここにもおられるかもしれませんが、恐縮でございますが、平成十五年の十一月二十九日、東京新聞の朝刊で丹羽先生のインタビューが載っておりますけれども、そこでも給付水準五〇%について、給付水準は五〇%を確保するというのは、国民生活の中で安心して老後を過ごすという観点から崩せないラインだというようなお話もされておられる。

 いずれにしても、最低限の生活が保障できる、それが五〇パーなんだというようなことが国民向けには説明をされ、ただ、その五〇パーが決まった経緯はいろいろ政治的な背景、あるいは拠出ありきで議論をされているというようなことから、この水準の見直し議論というのをきちっとやはりした方がいいんじゃないのかというふうに私は申し上げたいわけです。

 しかも、この所得代替率というのは、御存じのように、モデル世帯の厚生年金の所得代替率でありますから、国民年金はある意味では置き去りにされているんじゃないのか。これは、ある意味では、報酬比例のところが大きくなれば基礎部分は小さくなっても所得代替率五〇パーということになるんですけれども、そうなると、国民年金だけの方は報酬比例はないわけですからどんどんどんどん下限なく下がってしまう、そういうような指標でもある。所得代替率にはいろいろな問題がある。

 そして、この前も申し上げましたけれども、日本の所得代替率は手取り分の額面ということで非常にちぐはぐになっているというような、これはいろいろな問題があると思います。

 そこで、塩崎大臣にお尋ねしますけれども、本当に老後確保すべき年金額の水準というのは一体どうあるべきなのか。私は、今の所得代替率ではなかなかそこら辺ははかれないと。最低限度、やはり日本国民の皆さんに百年かけて保障すべき年金の給付水準というのはどうあるべきなのか、本来どの水準であるべきなのか、こういうようなことについて塩崎大臣の見解をちょっとお願いしたいのでございますが。

塩崎国務大臣 先ほど坂口元厚労大臣の御発言を引用していただきましたが、あのときの議論で、例えば、国民年金でどこまでをカバーするかというときに、よく、基礎的支出をおおむねカバーする、あるいはカバーするというようなことを言うわけでありますけれども、今の代替率五〇%の話はもう少し、厚生年金の話でもございました。それで、大きい話として、少なくとも五〇%ぐらいはあるべきじゃないのかということを坂口先生が先ほどのような表現でおっしゃったのかなというふうに思うわけであります。

 まず第一に、所得代替率で見るというのは、もう何度も申し上げますけれども、これは物差しとして平成十六年の法律に明確に定義も定めているわけで、これはこれとして、長妻厚労大臣も当時お使いになって御説明をされてきたことでもございますので、これは物差しですから、一貫性があって、どういうふうに、その推移がどっちに行くのかというようなことを含めて見ていくべきことだろうというふうに思うわけであります。

 それで、先ほど、あたかも負担の方を決めて給付の方が後から決まったかのようなお話でありますけれども、これはあくまでも、さっき申し上げたとおり、両方、負担とそれから給付、その水準をどう考えるのかということをあわせて決めたことでございますので、どちらかということ、負担が決まって、あとは給付は後回しになったということではないということも御理解をいただきたいというふうに思います。

 生活の安定ということをどう確保するかということで、これは、年金制度の持続可能性というのを高めて次世代に引き継いでいくための制度としてこの十六年改正が行われてきたわけでありまして、その上で、社会保障・税一体改革においてその他のさまざまな手を打って、基礎年金国庫負担二分の一を実現するとともに年金の機能強化を図っておりますし、また、今回、御提起申し上げていることも、一体改革の中で、これはもうやらなきゃいけないということを、三党でもお決めをいただいたこととして保障機能を強化するという、これはしばしば長妻委員はこの保障機能ということをおっしゃってまいりましたが、それをやるために不断の改革をするということでやってまいったところでございます。

 給付を厚くするということで、給付と負担のバランスを見ていかなければいけないのでありますが……

丹羽委員長 答弁は簡潔にお願いいたします。

塩崎国務大臣 若い世代を中心に今以上の負担をお願いすることにならざるを得ないわけで、給付を一方的に厚くするということだけを言うわけにもいかない。そうすると負担とセットでいくということで、魔法のつえはないということはこれは総理も何度も申し上げてきたことでございますので、いずれにしても、今後とも、この議論はもちろん不断の改革をする中で重ねていかなければならないというふうに考えております。

長妻委員 これはやはり厚生労働委員会での議論というのは、局長なんかと議論するときは今のような答弁でもいいと思うんですけれども、制度の中の説明ですから。私は、政治家同士の、大臣は政治家でありますから、今の制度の外の大臣の感触、常識感覚、あるいは社会保障を責任者としてつかさどる大臣の見識を問うているわけでありまして、これは明らかになってきつつあると思うんですね。

 本当にきちっと、日本国民の老後はこのぐらいの水準は保障していこう、そういうような議論から所得代替率という指標が出てきたのではないし、所得代替率五〇%という数字もそういう議論から出てきたのではないわけでありますから、本当に日本国民の年金、これを最低限どこまで保障する、こういう骨太なちゃんとした議論を、大臣の見解を聞いているわけでありますから、制度の中の説明だけだったら紙を読めばわかるわけですよ、全部、そんなもの。

 何で、国会でちゃんと政治家としてそういう将来に向けた議論をしたいというふうに申し上げているのにかたくなに拒むのかということで、ぜひ、政治家として、これから将来のビジョンや感覚や見識を厚労委員会でちゃんと御披露いただきたい。そうでなかったら、法案の審議、加えて将来の話をするわけですから、本当にそれを強く申し上げまして、私の質問といたします。よろしくお願いします。

丹羽委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 委員長、今の運営でもそうですけれども、私からもちょっとお願いしておきたい。

 きのう、この委員会が開かれる時間が二転三転しました。十時十五分に、この委員会、私の質問は十二時直前だという話になり、そして夜の十一時三十八分に、やっぱり九時五十八分から質問してくれと電話がかかってくる。こういうやり方の委員会の運営で、私はやはり、委員長の職権だということもあり、本当にいい議論ができる委員会にならない。

 委員長、こういうやり方はぜひ、厳に慎んでもらいたい。御答弁いただきたいです。

丹羽委員長 しっかり拝聴させていただきます。

岡本(充)委員 ぜひ、もう今後こういう運営をしないでいただきたいことをお願いして、質問に入ります。

 それでは、まず最初、今回大きな議論になっている、この法案の施行日についてお伺いをしたいと思います。

 委員として御質問に立たれた井坂委員が、施行日を四月一日にすることについて大臣に再三問題提起をしてこられましたが、法案提出者の方に伺いますが、そもそも、四月一日を施行日にすることの意義はどういうふうにお考えでしょうか。

中島委員 岡本委員の御質問にお答えいたします。

 政府案では、本来受給できていたはずの平成二十九年五月から八月分までの年金が受給できなくなります。修正案は、施行日を早めることにより、平成二十九年五月から八月までの四カ月分の年金が支払われるようになるという意義を有しております。

 修正案では来年六月以後から年金が支払われることとなりますが、政府案はそれよりも四カ月遅い来年十月からの支払いとなります。四カ月おくれる間にも、多くの方々が無年金のままお亡くなりになる可能性もございます。そのため、支払いは可能な限り早める必要があると考えております。

 一方で、事務的な準備作業にも配慮する必要があります。年金の請求書は四月に間に合うように発送すべきでありますが、万が一、発送や裁定がおくれても問題がないように、修正案では支払い月に猶予を持たせることといたしました。具体的には、五月分から九月分までのものについては、それぞれ国民年金法等に規定する支払い月後の政令で定める支払い月に支払うことができるようにいたしました。

 新たに年金を受給できるようになる方々の利益を最優先に考え、事務的な準備作業にも配慮しつつ、四カ月分の年金を確保することを優先したものでございます。

 以上です。

岡本(充)委員 そこで、もう一つさらに問いたいんですけれども、これは、四月一日にすると、当然必要な財源がふえてくると思うんですけれども、財源は幾らというふうに提出者は考えているのか、御答弁いただきたいと思います。

井坂委員 施行期日を平成二十九年四月に前倒しすることによって五月分から八月分もお支払いをすることになりますが、これによって必要になる財源は約二百十億円というふうに見込んでおります。

岡本(充)委員 特にこれについて私が指摘をしたいのは、大臣は、十月二十六日の柚木委員への答弁に立って、老齢基礎年金の平均受給額、この場合は老齢基礎年金の話をしていたんですけれども、二・一万円であるから、一人当たりは四カ月分で八・四万円の増額、二・一掛ける四。それから、総額は、二・一万円掛ける四十万人、これは人数ですね、掛ける四カ月ということで、三百四十億円という議論をされているんですよ。

 これは、実は国庫負担分はこの半額ですよね。違いますか。

塩崎国務大臣 当然、給付費ベースでお尋ねをいただいたので、そのとおりお答えをして、国費ベースでいけば今御指摘のようなふうになるわけでございます。

岡本(充)委員 三百四十億円がどこから出すのかというのを、その後言われるわけですね。三百四十億円の財源が要るわけであります、こう言われているんですけれども、この三百四十億円のいわゆる財源を探してくる話じゃなくて、半分は保険料から出るという意味でいえば、これだけのお金が必要なんだという議論をするのは、私はやはり正確性に欠けていると思いますね。

 そういう意味で、やはりきちっと、必要な財源はどうなのか、玉木委員の質疑の中でそういう議論をされているのであれば、やはりそこは正確にお答えをするべきじゃなかったかというふうに思います。

 その上でお伺いをしてまいりますけれども、では、この金額が財政検証にどういう影響を与えるのか、これについてお答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 財政検証のやり方でございますけれども、財政検証におきましては、受給者のお一人お一人につきまして、その受給資格期間がどうなるか、どのように満たすかといったことを将来にわたって見通すということはできない、これは御理解いただけるかと思います。すなわち、個人単位での推計を行っているわけではございません。

 そこで、厚生年金、国民年金の制度別の被保険者集団の延べ加入期間をもとにいたしまして総年金額を推計する、こういったやり方をしております。

 したがいまして、財政検証上は、保険料を納付していただいた全員が受給権を満たすと仮定して将来の給付費を推計しているわけでございまして、いわば給付、すなわち支出という見通しでいきますと、実際が見通しよりも上回る可能性というのは小さくなる、かた目の保守的な推計をしている結果になっているわけでございます。

 そこで、今回の改正が行われまして受給資格期間が短くなるということになりますと、実際上はこの年金財政の検証の姿に、結果に近づいてくるということになろうかというふうに思います。

岡本(充)委員 数字が、やはり結構な金額が出ていくことになるんですよね。私の推計、大臣のお話から推測すると、老齢基礎年金で五百十億円ぐらいのお金が必要になってくる。それも、積立金の方から必要になってくる、保険料の方から必要になってくるという理解で正しいですよね。

 だとすると、これだけのお金が出ていくことになれば、必然的に財政検証のその数字に影響を与えない、先ほどの局長の答弁だと、ある意味、誤差の範囲だと言わんばかりの話でありますけれども、これで本当にいいのか。これまでの財政検証のあり方、これを誤差として含む、要するに、保守的に見ているんだから、五百十億円、あってもなくても変わらないんだと言わんばかりの話だと、これまでの財政検証というのは何だったのかという話になるんじゃないかと私は思うんですけれども、今私が指摘をした五百十億円という数字、そして、これはある意味、保守的に見ているわけで、制度全体を揺るがすような金額ではないという考え方、それでよろしいですか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになる部分がございますけれども、財政検証上は、先ほど申し上げましたように、受給者お一人お一人が将来的にこの受給期間を満たすかどうかというのを全員について追って、その見通しを推計するということは、これは事実上できませんので、全員が、いただいた保険料全部が給付になるだろう。これを、いわば比喩的に申しますと、受給資格期間のハードルをつくらないという形で検証いたしております。

 そういう意味で申しますと、今回の改正の効果というのは財政検証の数字の中に織り込まれているというふうに申し上げてもよろしいかと思いますので、そういう意味では、先生が今御指摘になりました影響という意味では、特段今回の改正に伴って生じることはないということだと承知をいたしております。

岡本(充)委員 五百十億という数字は、それでよろしいですか。

鈴木政府参考人 五百十億円というものの前提につきまして精査が必要だと思っておりますが、従来から御答弁申し上げておりますように、国庫負担ベースで申し上げれば六百五十億円ということで、それをもとにいたしました給付費というものは、先ほど申しましたように、財政検証の中に十分織り込まれていると申しますか、のみ込める数字でございますので、そういう意味で、影響はないというふうに考えております。

岡本(充)委員 いやいや、金額は幾らかと聞いているんです。そうしたら、五百十億じゃないのであれば、幾らなんですか。

鈴木政府参考人 私ども御答弁申し上げておりますのは、まず、満年度ベースで、国庫負担にいたしますと六百五十億円になります。そこで、では給付費は幾らかということになるわけでございますけれども、これも御答弁申し上げておりますが、厚生年金の場合には、それぞれの方がどれだけ、過去、賃金に基づいて保険料を払っていたかということが必ずしも全部追い切れませんので、これは裁定に来ていただいた上で金額を算定することになります。

 それで、あえて……(岡本(充)委員「老齢基礎年金で聞いているんだから」と呼ぶ)基礎年金でございますか。

 基礎年金で申しますと、給付費につきましては、まあ、厚生年金も含めまして、大体、ざっくり申し上げまして二千億円規模で……(岡本(充)委員「だめ、だめ」と呼ぶ)いや、財政検証との結果をお尋ねになりましたので、むしろ、基礎年金だけではなくて、厚生年金も含めますと約二千億円規模でございますが、先ほども申し上げましたように、それは財政検証の中で十分のみ込めるような形になっておるということで理解をしております。(岡本(充)委員「聞いているんだから答えてよ。確認して。とめてください」と呼ぶ)

丹羽委員長 一旦速記をとめてください。

    〔速記中止〕

丹羽委員長 速記を起こしてください。

 鈴木年金局長。

鈴木政府参考人 失礼をいたしました。

 これも、正確に申しますと、国庫負担はそういったことで推計をいたしておりますけれども、厚生年金と同じように国民年金も、来ていただいたときに、御本人の免除期間、これがどのぐらいあるかによりまして給付費に影響してまいります。

 それで、一定の前提を置きますと、基礎年金、例の四十万人ベースでございますけれども、これは満年度で申しますと大体一千億規模ということで私ども数字は推計をいたしております。

岡本(充)委員 つまり、では、給付費として一千億円であるということは、先ほどのお話で、保険料はざくっと言うと五百億から五百十億、これでいいということですね、いわゆる積立金の方に与える影響。

鈴木政府参考人 給付費でいきますと大体一千億規模でございますけれども、先ほど申しましたように、免除期間がございます。したがいまして、給付費の半分が国庫負担となるというよりは、給付費の半分よりも、免除期間がある分だけ、この国庫負担の分が多くなりますので、それからいきますと、単純に二で割って五百億ということではなくて、満年度ベースで、従来から御答弁申し上げておりますように、大体六百五十億円ということで承知をいたしております。

岡本(充)委員 ちょっと時間がありませんので、これは後ほどまた聞こうと思いますけれども、六百五十億円になる前提の根拠というのもあるんでしょうし、またお聞かせいただきたいと思います。

 その上で、未統合記録が問題になった時代がありました。これは結局、先ほどの議論で気になっているのは、十年未満の方が二十六万人いる、それから、過去の議事録で見ると、今から加入すれば十年を満たす六十五歳以上の人が六万人いる、そして後納する制度を利用すればこれまた二十六万人が受給権が発生するんじゃないかと、いろいろな数字が出ています。

 まず、そもそも未統合記録で、何件、何人、幾ら分の記録が、現に十年以上二十五年未満の記録として存在しているのか、お答えいただきたいと思います。

伊原政府参考人 お答え申し上げます。

 加入期間が十年以上二十五年未満の方で未統合記録をお持ちの可能性のある方のうち、これまで記録確認のための特別便等をお送りしまして、いまだ回答をいただいていない方、いまだに未統合記録があると思われる方、それが約八・五万人と考えております。

 金額がどのくらいになるかというお尋ねでございますけれども、金額を算定するためには、国民年金に関しましては納付月数とか免除月数が必要ですし、厚生年金に関しましてはその方のトータルな標準報酬額が必要ですが、これは把握できておりませんので、額の方は、ちょっとお答えはできません。

岡本(充)委員 何件の記録があるんですか。何万人ではなくて、何件の記録があるんですか。

伊原政府参考人 済みません、今のところ理解しているのは、八・五万人の方が対象だというふうに認識しております。

岡本(充)委員 ちなみに、そうすると、これは通告していませんから、これもぜひ調べてもらいたいんですけれども、十年未満で、今から加入すれば十年を満たす方、こういった方は未統合記録の中にやはりいらっしゃいますよね。こういう方が何人いて、その方が一体、先ほどのお話で、何件ぐらいの記録があるのか、これも調べればわかるということでいいですね。

伊原政府参考人 未統合記録がございますので、調べることは一定できると思いますから、検討したいと思います。

岡本(充)委員 この八・五万人というのは、先ほどから話題になっている六十四万人の中に入るという理解ですか。それとも、その外にいるんですか。

伊原政府参考人 六十四万人の中でございます。

岡本(充)委員 これは、さらに言いますと、もう一度確認をしたいんですけれども、六十五歳以上で、今から加入すれば十年を満たす方が六万人という答弁を過去にされていますね。これは、後納できる制度を利用して、それで十年を満たす方が六万人ですか。それとも、これは今から前向きにお支払いした場合に六万人なんでしょうか。

伊原政府参考人 七十歳までの、さらに任意加入ができますが、そうすることによって加入ができる方と考えております。

岡本(充)委員 では、これは後納制度を使うと、さらにこの人数が膨らむということですね。

伊原政府参考人 後納制度は、六十五歳より前でないと利用できませんので。

岡本(充)委員 六十五歳から七十歳の人に限って言うと、それは任意加入していますけれども、要するに、十年を満たす可能性がある方、これを機に、本来であれば、六十五歳から七十歳だけでそうですよ。

 では、六十歳から七十歳でもいいです、六十歳から七十歳でもいい。要するに、今現在では十年を諦めているけれども、今回、後納期間や任意加入を含めて十年を満たす可能性がある方が何人になるのか、これは出せますね。いや、聞いていないから、人数はいいです。出せますね。

伊原政府参考人 直ちに申し上げられませんが、できるように、できるだけ努力をしたいと思います。

岡本(充)委員 そこで大臣、ここまでの話を聞いていていただいて、ちょっと答えていただきたい。

 どうやら、今から任意加入をすれば、六万人の方が六十五歳以上でも十年を満たす可能性が出てくる。それ以上に、二十五年を払うことを前提にしたこれまでの制度で諦めていた方でも、十年を満たせる人がかなりいそうだという話なんですね。

 つまり、結局、今回通知をしようと思っているのは、十年を満たした皆さんには通知の文書を送ると言っていますけれども、要するに、こういうふうに法律が変わりましたからあなたは受給対象者になりましたよと送るんですけれども、こうした、従来諦めていた人、可能性のある人、皆さんにもやはりお知らせをするべきだと思う。それはもう早急にやらないと、十年を満たす期間を逃してしまう人がたくさん出てくる。

 だから、これは早急に調べて、こういう皆さんにも、もしこれが成立した場合には早急にお知らせをする必要があると思いますが、大臣の、大臣の御見解を聞いております。

塩崎国務大臣 おっしゃるとおり、十年未満の方々に対してもお知らせが届くということが大事だということで、私どももそれを予定していて、来年度から個別にはがきを送付するということでありまして、そのとき、先ほど申し上げたとおり、空期間などを、改めて、どういうものかということを御存じでない方もおられるし、もうとっくのとうに諦めておられたという方々にもちゃんと届かないといけないということで、それは十年未満の方々にも送るということであります。

 同時に、それが届かない方々も、全く入っていない、支払わない方々とか、そういういろいろな方々がおられますから、当然ホームページなどでこれを周知するということも同時にやっていくことで、できる限り該当する方がしっかり年金を得られるようにすることが大事だということを、先生の問題意識、そのとおりだというふうに思います。

岡本(充)委員 ただ、これは、周知期間を設けて、例えば十年、二十五年の記録を持っている方に対してお知らせをしたけれども裁定の手続に来ない、こういう方が必ず出てきますよ。こういう方々に再度のお知らせをする必要がある。また、今から入れば加入できる可能性がある方で、お知らせをしたけれども加入をされない方がいらっしゃる。もう一度、再度のお知らせをする必要がある。

 これは、再度のお知らせまでの期間は、大臣、どのくらいの期間で再度のお知らせをするべきだとお考えか。要するに、半年ほど待って動きがなければ、もう一度お知らせをするのか。それから、加入については、どのくらいの時間を置いて再度加入のお伝えをするのか。

 これは大臣、どのくらいの期間を置いてやろうというふうにお考えか。これは大臣のお考えです。

塩崎国務大臣 定まったものがあるわけではございませんが、まず第一に、今回こうやってお知らせをして、どういう反応がどういう確率で戻ってくるのか、御相談に来ていただけるのか、そういったことをよく踏まえた上で、おっしゃるとおり、これは権利として年金をいただける方々でありますから、当然、私どもとしても、再度お知らせをするということは考えていきたいと思います。

 具体的にどのくらいというのは、やってみないとわからないところがありますけれども、できる限り早く、年金を得られるようにするために努力をしていきたいというふうに思います。

岡本(充)委員 質問を終わりますけれども、これは、そんなに時間をかけずにちゃんと督促しないと、高齢の方が中心ですから、ぜひしっかりと再度の通知をするようにしてください。

 終わります。

丹羽委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 十分しかないので、早速質問に入ります。

 きょうは杉財務大臣政務官にお越しいただいております。ありがとうございます。

 資料の一枚目なんですが、消費税一〇%になったときに増税分をどう使うかとしたポンチ絵であります。大変おなじみでございますが。

 全額社会保障に使うといっても、充実分に使うのは、ここにあるように一%分、二兆八千億円にすぎません。右側を見ると、その内訳、子ども・子育てに七千億円、医療、介護の充実に一兆五千億円、年金制度の改善に六千億円、この中に今議題となっている年金、期間短縮も入っております。ただし、民主党政権時には今回の法案の予算三百億円と見込んでおりましたが、今回は六百五十億円と倍増しております。

 二枚目は、財務省からいただきました「社会保障の主な充実等について」。八%の段階に今いるわけですが、一〇%になったらやろうとしていたものが赤字で書いておりまして、例えば、子ども・子育て、保育の受け皿の拡大、「五十万人分(運営費)」と書いているものなどが、まだ予算のめどがついていないというのが一目でわかるようになっております。

 ここについて見出しがありまして、「消費税率の引上げが延期されたことを踏まえ、社会保障の充実については、財源確保の努力を図りながら、その財源の範囲内で優先順位をつけて実施」すると書いております。つまり、全部はやれないということを言っているんだと思います。

 そこで、一億総活躍と言っているんですが、保育士の処遇改善や介護人材の処遇改善などは外枠であり、なおさら財源がわからないというふうにまとまっているかと思います。

 そこで、質問は二点、まとめてお答えいただきたいと思います。

 資料の三枚目にあるように、消費税が八%から一〇%になっていくときの、要するに財源をどのように割り振るかというのが書かれた図の中で、現在は、平成二十六年度の姿、五兆円程度でとまっているわけです。

 そこで、ここで言っている一・三兆円のところ、これは、右に延ばしていくと、一〇%のときは、最終年度は七兆三千億円というふうに、結果として、増収分のうち一番幅をとっているものなんですね。これが後代への負担のツケ回しの軽減という名目であります。でも、ここは使途を定めてはいないので、今、社会保障の充実として挙げてきたメニューの財源が決まらないのであれば、ここから回すという考えがあるのかと思いますが、それはいかがなのかということが一点。

 それから、財政審は、自然増分を五千億円にとどめよと厳しい改革工程表を示しております。これによる財政効率化が一体改革で予定した額を上回った場合も、必ずしも社会保障一体改革のメニューに入れないということでしょうか。

杉大臣政務官 お答え申し上げます。

 社会保障の充実についてのお尋ねがございました。

 今委員がおっしゃられたとおり、社会保障の充実につきましては、お配りをいただいた資料の二枚目にございますとおり、消費税の一〇%への引き上げを前提とした充実のもの、また一億総活躍関係のもの、さまざまございます。

 これらの社会保障の充実等につきましては、しっかりと財源を確保してやっていくということでございます。しっかり財源を確保して実施していくことによりまして、後代への負担のツケ回しの軽減の規模を含め、社会保障と税の一体改革の枠組みを変更する必要はない、このように考えております。

 また、二つ目の御質問の点ですけれども、改革工程表に基づく社会保障制度改革については、財政当局としては、これを着実に実行していくことにより、社会保障関係費の伸びを経済・財政再生計画における目安とされております三年間で一・五兆円程度、これに確実におさめることが重要と考えております。

 ただ、仮に財政効果が予定を上回った場合の対応についての仮定の質問には、お答えすることはできません。

 いずれにいたしましても、社会保障の充実につきましては、給付と負担のバランスを考えれば、消費税一〇%への引き上げを延期する以上、全て行うことはできませんけれども、優先順位をつけながら今後の予算編成過程の中で最大限努力してまいりたい、このように考えている次第でございます。

 以上です。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 ちょっと確認をさせていただきたいんですが、一問目については、後代へのツケ回しのところは、その規模を含め、枠組みを変更するつもりはないとおっしゃったわけですので、充実のメニューに振りかえるということはないという意味だと受け取ってよろしいですか。

杉大臣政務官 今お答えしたとおりでございまして、この枠組みを変える必要は全くございません。

 以上です。

高橋(千)委員 もう一つの、三年間で一・五兆円の経済・財政再生計画の圧縮の予定ですが、これも、一体改革で言うところの財政効率化というものもあるんですけれども、これは厚労省がメニューを持っています。それとは全く別であって、もともと国全体の圧縮であるから充実の方に回るということではないということで、私、確認をさせていただきます。

杉大臣政務官 今まさに、財政審等を含めまして、この一・五兆円程度で確実におさめるということを議論している状況でございますので、先ほど申し上げましたとおり、これに対しての、結果に対しての、上回った場合の対応等、仮定の質問については、現時点ではお答えできません。

高橋(千)委員 ごめんなさい、上回った場合と私が聞いたから悪かったんです。

 一・五兆円を圧縮するということは、要するに、一体改革はもともと充実と効率化とセットでありました。しかし、効率化のメニューというのは四枚目以降に厚労省が出しているんですね。それじゃないところで圧縮を求めているのが私は財政審ではないかと思っていますので、外ですよねということを確認しています。

杉大臣政務官 そういった意味において、繰り返しになりますけれども、財政審で今、その一・五兆円の枠の中で進めることを議論している最中でございますので、その後の部分については、現時点ではお答えすることはできません。

 以上です。

高橋(千)委員 実は、きのう確認をしまして、これは全く別枠であるということなんですね。

 つまり、厚労省自体が圧縮をしている、同時に、もっと大きな枠で、五千億円で自然増は抑えよ、おさめよ、つまり、半分の自然増分を削れということが今、枠がかかっているわけなんですよね。

 そうした中で、きょう大臣に伺いたいのは、やはり、消費税の枠内におさめたこと、一体改革の問題がかなり窮屈になっているのではないかと思うんです。

 資料の四に、来年度予算額一兆五千三百億円をどうやって効率化で生み出したかということが書いてあります。ちっちゃい字ですが、注の四のマイナス二千九百億円、その内訳が最後のページにあるんですね。介護の居住費の負担の見直しですとか、補足給付の見直しですとか、そうしたもので圧縮をしているんです。そして、それに対して来年度の見直しもしている。

 伺いたいのは、一体改革によって社会保障財源の確保を窮屈にしている、財源でと決めてしまったがために、増税しない限りやれないものがあるし、やるためには財源をどうすると。結局は一層の負担増にならざるを得なくなると思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 当然のことながら、社会保障制度というのは社会保険料と税財源で賄われているわけであって、社会保障への税財源の投入というのは、国費だけで約三十兆円を超えています。国の一般歳出の半分以上を占めているわけで、しかも、高齢化の進展でこれからまだまだふえるということであります。

 こういう状況を踏まえると、社会保障制度が将来にわたって必要な機能を果たし続けるためには、税財源によって賄われている部分についても安定財源が確保されることが極めて重要であるわけであって、社会保障の充実には、なおのこと安定財源の確保が求められることは論をまたないわけであって、したがって、一体改革によってかえって社会保障の財源確保が困難になった、消費税に頼ることがということで今お話がありましたが、そういう形で社会保障の財源確保が困難になった、こういう御指摘は全く当たらないというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 終わります。続きはまた後で。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 七分間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 受給資格期間の短縮は、もともと消費税一〇%引き上げ時に実施と規定されていました。安倍総理の新しい判断による消費増税の再延期によって、その実現時期がさらに延びることとなります。安倍総理は、社会保障については、給付と負担のバランスを考えれば、引き上げた場合と同じことを全て行うことはできないと表明されました。

 本改正案が成立すれば、受給資格期間の短縮は一〇%引き上げを待たずに実施することとなりますが、同様に一〇%引き上げ時に実施するとされていた年金生活者支援給付金は、時期を前倒しされておりません。他の社会保障の充実策よりも優先して実施する理由をお聞かせください。

塩崎国務大臣 社会保障の充実につきましては、給付と負担のバランスを考えてまいりますと、消費税率の引き上げを延期する以上は全てを行うことはできないということが、総理からも繰り返し答弁してきているところでございまして、こうした中で、無年金の問題は喫緊の課題ということから、今般、受給資格期間の短縮については消費税率の引き上げに先んじて早期に実施すべきというふうに判断をしたところでございます。

 年金生活者支援給付金を含めたその他の施策につきましては、優先順位をつけながら、税収の動向や重点化、効率化の効果を見きわめつつ、今後の予算編成過程の中で努力をしてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 受給資格期間を短縮することは、年金制度の土台を変える大きな制度変更だと考えております。国民生活への影響も大きいものだと思います。

 国民年金保険料の納付率が六割強にとどまる現状を踏まえれば、今回の制度改正によって納付率にどのような影響があるのかが注目されるところであると思います。

 例えば、十年以上既に納めている方にとって、これまでは二十五年に達することを目標に保険料を払ってきたんだけれども、受給資格が得られたので納めるのをやめてしまおうという思いを抱く可能性もゼロとは言えないのではないでしょうか。こうして納付が減ってしまったら、年金財政への影響も無視できないものになってまいります。

 逆に、十年未満しか納めていない人にとって、二十五年に届かせるのは難しいが十年なら納められると考えて、納付がふえる効果もあるかもしれません。

 今回の短縮による納付行動への影響について、厚生労働省はどのように想定しておられるのでしょうか。また、来年の施行後に納付行動の変化の有無をきちんと検証していく必要があるとも考えますが、見解を伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 今回の受給期間の短縮でございますけれども、これは、納付していただいた保険料を極力給付に結びつけるということでございまして、これによって国民の信頼が一層高まりまして、若い世代の納付意欲が高まる、これを期待いたしております。

 ただ、一方で、先生御指摘のように、十年納付すれば十分だといったような誤解も生ずるおそれがありますので、きちんと、本来なら四十年納付する、これが必要であるという意義につきまして周知を図りますとともに、クレジットカードとかコンビニとかインターネットとか、そういったものも活用して、納付しやすい環境の整備に努めたいというふうに思っております。

 それで、納付行動への影響の検証でございますけれども、私ども、定期的に、国民年金被保険者実態調査、これを実施いたしております。その中で、そもそも受給資格期間というものをお知りいただいていたかどうか、そして、未納のある方につきましては、受給資格期間を満たしているということが納付行動に影響を与えているのかどうか、こういったことを調査してまいりたいと思っております。

 こういったことも含めて、納付率を把握いたして、分析いたしまして、検証を進めまして、納付行動を促す施策につなげてまいりたい、こういうふうに考えております。

河野(正)委員 納付行動に関しまして、また受給資格期間に関しましても、しっかりと広報活動をやって周知していただきたいなというふうに思います。

 本改正案によって受給資格期間の短縮が実現し、無年金者の救済が進むのであれば、基本的には歓迎されるものの、二十五年納めなければ受け取れなかった年金が十年納めれば受け取れるようになることによって、将来の年金制度や年金財政にどのような変化、影響が及ぶのか、慎重に見きわめなければならないと思います。

 二十五年の受給資格期間があることで納付を続けていた人が納付しなくなってしまうと、年金制度全体としては、納付率が減ることによって年金財政が傷む上に、本人にとっては、受け取れる年金額が減ってしまう、生活が成り立たなくなってしまうということにもなりかねません。

 専門家の中の意見として、年金史上まれに見る悪法である、低年金者の大量生産になると厳しく評価している方もいらっしゃいます。十年の受給資格期間の導入が、保険料を納付するインセンティブを失わせ、かえって低年金者を多く生み出すのではないかという懸念は根強いと思いますが、厚生労働省の見解はいかがでしょうか。

塩崎国務大臣 現に、低所得、低年金の高齢者の方々への対策として、受給資格期間の短縮に加えて、年最大六万円を支給する年金生活者支援給付金の創設、あるいは医療、介護の保険料の負担の軽減、こういった社会保障制度全体で総合的に対処していくということについて一体改革の中で定められているわけでありまして、まずはこれらにしっかりと取り組むということが重要だと思います。

 さらに、将来世代への対応といたしましては、今回の年金改革法案にも盛り込んだ被用者年金の一層の適用拡大、個人型の確定拠出年金などの私的年金等の拡充などによって保障機能の強化に取り組む。

 もとより、現行の年金制度では、経済事情により保険料を納付することができなくても免除申請が可能でありまして、こうした制度の活用も含めて、できる限り多くの方に長く保険料を払ってもらうということが大事であるということで、将来に備えるために、その重要性を皆様方に御理解いただくということが大事ではないかというふうに考えております。

河野(正)委員 ちょうど時間になりましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 これにて原案及び両修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 この際、井坂信彦君外七名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 衆議院議員井坂信彦君外七名提出の公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、高橋千鶴子君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、井坂信彦君外七名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十二分散会


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