衆議院

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第9号 平成28年11月25日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十八年十一月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君

      江渡 聡徳君    大隈 和英君

      鬼木  誠君    木原 誠二君

      木村 弥生君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    武部  新君

      谷川 とむ君    豊田真由子君

      中川 郁子君    長尾  敬君

      丹羽 雄哉君    福山  守君

      星野 剛士君    堀内 詔子君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      阿部 知子君    大西 健介君

      岡本 充功君    郡  和子君

      玉木雄一郎君    中島 克仁君

      長妻  昭君    初鹿 明博君

      水戸 将史君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      河野 正美君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           定塚由美子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  鈴木 俊彦君

   参考人

   (一般社団法人日本経済団体連合会常務理事)    井上  隆君

   参考人

   (特定非営利活動法人ほっとプラス代表理事)    藤田 孝典君

   参考人

   (東京大学名誉教授)   神野 直彦君

   参考人

   (全日本年金者組合大阪府本部書記長)       加納  忠君

   参考人

   (嘉悦大学教授)     高橋 洋一君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十五日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     武部  新君

  高橋ひなこ君     鬼木  誠君

  村井 英樹君     青山 周平君

  大西 健介君     玉木雄一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     村井 英樹君

  鬼木  誠君     高橋ひなこ君

  武部  新君     星野 剛士君

  玉木雄一郎君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  星野 剛士君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

十一月二十五日

 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案(木村弥生君外三名提出、第百九十回国会衆法第五三号)

 特別養子縁組の促進等のための児童の養子縁組に関する法律案(田嶋要君外四名提出、第百九十回国会衆法第五六号)

は委員会の許可を得て撤回された。

同月二十四日

 最低保障年金制度の実現に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第七五二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九一四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一九号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一二二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一四二八号)

 さらなる患者負担増計画の中止に関する請願(小宮山泰子君紹介)(第七五三号)

 同(島津幸広君紹介)(第八二三号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九〇一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九〇二号)

 同(池内さおり君紹介)(第一〇〇八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一〇号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇一一号)

 同(今井雅人君紹介)(第一〇八〇号)

 同(郡和子君紹介)(第一〇八一号)

 同(池内さおり君紹介)(第一二四二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一二四三号)

 同(枝野幸男君紹介)(第一二四四号)

 同(田嶋要君紹介)(第一二四五号)

 同(泉健太君紹介)(第一四一〇号)

 同(小川淳也君紹介)(第一四一一号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第一四一二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一四一三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四一四号)

 同(牧義夫君紹介)(第一四一五号)

 安心・安全の医療・介護に関する請願(重徳和彦君紹介)(第七五四号)

 同(本村伸子君紹介)(第七六七号)

 同(島津幸広君紹介)(第八二四号)

 同(中根康浩君紹介)(第八二五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九〇三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一〇一四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇八二号)

 同(池内さおり君紹介)(第一〇八三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一〇八四号)

 同(大平喜信君紹介)(第一〇八五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一〇八六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一〇八七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇八八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇八九号)

 同(清水忠史君紹介)(第一〇九〇号)

 同(島津幸広君紹介)(第一〇九一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一〇九二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇九三号)

 同(畠山和也君紹介)(第一〇九四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一〇九五号)

 同(堀内照文君紹介)(第一〇九六号)

 同(真島省三君紹介)(第一〇九七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇九八号)

 同(宮本徹君紹介)(第一〇九九号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一〇〇号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第一二四六号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一四一六号)

 同(畠山和也君紹介)(第一四一七号)

 子ども医療費無料制度に関する請願(本村伸子君紹介)(第七六六号)

 同(田村貴昭君紹介)(第九一五号)

 同(池内さおり君紹介)(第一〇二〇号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一二三号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一一二四号)

 同(大平喜信君紹介)(第一一二五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一二六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一二七号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一一二八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一二九号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一三一号)

 同(島津幸広君紹介)(第一一三二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一三三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一三四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一三五号)

 同(畠山和也君紹介)(第一一三六号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一三七号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一三八号)

 同(真島省三君紹介)(第一一三九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一一四〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一四一号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一四二号)

 子供のための予算を大幅にふやし安心できる保育・学童保育の実現を求めることに関する請願(松野頼久君紹介)(第七六八号)

 同(本村伸子君紹介)(第七六九号)

 同(野間健君紹介)(第八〇三号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第八二六号)

 同(島津幸広君紹介)(第八二七号)

 同(大畠章宏君紹介)(第九〇四号)

 同(大平喜信君紹介)(第九〇五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九〇六号)

 同(篠原孝君紹介)(第九〇七号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第九〇八号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一〇一五号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一〇一六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇一七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一一〇一号)

 同(池内さおり君紹介)(第一一〇二号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一一〇三号)

 同(大平喜信君紹介)(第一一〇四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一一〇五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一〇七号)

 同(清水忠史君紹介)(第一一〇八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一一〇九号)

 同(島津幸広君紹介)(第一一一〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一一一一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一一二号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一一一三号)

 同(畠山和也君紹介)(第一一一四号)

 同(藤野保史君紹介)(第一一一五号)

 同(堀内照文君紹介)(第一一一六号)

 同(真島省三君紹介)(第一一一七号)

 同(宮本徹君紹介)(第一一一八号)

 同(本村伸子君紹介)(第一一一九号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一二四七号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一二四八号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第一二四九号)

 同(田嶋要君紹介)(第一二五〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第一四一八号)

 同(小川淳也君紹介)(第一四一九号)

 同(北神圭朗君紹介)(第一四二〇号)

 同(清水忠史君紹介)(第一四二一号)

 同(畠山和也君紹介)(第一四二二号)

 同(宮崎岳志君紹介)(第一四二三号)

 筋痛性脳脊髄炎の診療体制確立と治験の研究促進に関する請願(井上義久君紹介)(第七八一号)

 同(稲津久君紹介)(第七八二号)

 同(浦野靖人君紹介)(第七八三号)

 同(大西健介君紹介)(第七八四号)

 同(金子恵美君紹介)(第七八五号)

 同(金子恭之君紹介)(第七八六号)

 同(木原誠二君紹介)(第七八七号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第七八八号)

 同(左藤章君紹介)(第七八九号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第七九〇号)

 同(重徳和彦君紹介)(第七九一号)

 同(高木美智代君紹介)(第七九二号)

 同(角田秀穂君紹介)(第七九三号)

 同(とかしきなおみ君紹介)(第七九四号)

 同(仲里利信君紹介)(第七九五号)

 同(丹羽雄哉君紹介)(第七九六号)

 同(西村明宏君紹介)(第七九七号)

 同(堀内照文君紹介)(第七九八号)

 同(村岡敏英君紹介)(第七九九号)

 同(山井和則君紹介)(第八〇〇号)

 同(渡辺博道君紹介)(第八〇一号)

 同(荒井聰君紹介)(第八二八号)

 同(井出庸生君紹介)(第八二九号)

 同(今枝宗一郎君紹介)(第八三〇号)

 同(柿沢未途君紹介)(第八三一号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第八三二号)

 同(後藤茂之君紹介)(第八三三号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第八三四号)

 同(中根康浩君紹介)(第八三五号)

 同(西村智奈美君紹介)(第八三六号)

 同(福田昭夫君紹介)(第八三七号)

 同(船田元君紹介)(第八三八号)

 同(星野剛士君紹介)(第八三九号)

 同(松本文明君紹介)(第八四〇号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第九一六号)

 同(岡本充功君紹介)(第九一七号)

 同(上川陽子君紹介)(第九一八号)

 同(小松裕君紹介)(第九一九号)

 同(輿水恵一君紹介)(第九二〇号)

 同(玉城デニー君紹介)(第九二一号)

 同(土井亨君紹介)(第九二二号)

 同(野田聖子君紹介)(第九二三号)

 同(初鹿明博君紹介)(第九二四号)

 同(桝屋敬悟君紹介)(第九二五号)

 同(村井英樹君紹介)(第九二六号)

 同(あべ俊子君紹介)(第一〇二一号)

 同(竹内譲君紹介)(第一〇二二号)

 同(富田茂之君紹介)(第一〇二三号)

 同(御法川信英君紹介)(第一〇二四号)

 同(宮崎政久君紹介)(第一〇二五号)

 同(郡和子君紹介)(第一一四三号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一一四四号)

 同(中島克仁君紹介)(第一一四五号)

 同(井坂信彦君紹介)(第一二五四号)

 同(伊佐進一君紹介)(第一二五五号)

 同(今津寛君紹介)(第一二五六号)

 同(高鳥修一君紹介)(第一二五七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五八号)

 同(高橋ひなこ君紹介)(第一二五九号)

 同(阿部知子君紹介)(第一四二九号)

 同(泉健太君紹介)(第一四三〇号)

 同(江田康幸君紹介)(第一四三一号)

 同(木村弥生君紹介)(第一四三二号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一四三三号)

 同(笹川博義君紹介)(第一四三四号)

 同(津村啓介君紹介)(第一四三五号)

 同(中谷真一君紹介)(第一四三六号)

 同(長尾敬君紹介)(第一四三七号)

 憲法を生かして安全・安心の医療・介護の実現をすることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第八〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一一四六号)

 現下の雇用失業情勢を踏まえた労働行政体制の拡充・強化を目指すことに関する請願(宮崎岳志君紹介)(第八〇四号)

 同(柚木道義君紹介)(第八〇五号)

 同(近藤昭一君紹介)(第九一〇号)

 同(篠原孝君紹介)(第九一一号)

 同(玉城デニー君紹介)(第九一二号)

 同(初鹿明博君紹介)(第九一三号)

 同(大西健介君紹介)(第一〇一八号)

 同(郡和子君紹介)(第一一二〇号)

 同(吉川元君紹介)(第一一二一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五三号)

 同(阿部知子君紹介)(第一四二四号)

 同(小川淳也君紹介)(第一四二五号)

 同(畠山和也君紹介)(第一四二六号)

 同(堀内照文君紹介)(第一四二七号)

 介護保険制度の見直しに関する請願(初鹿明博君紹介)(第九〇九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二五二号)

 ウイルス性肝硬変・肝がん患者の療養支援、B型肝炎ウイルス排除治療薬等の研究・開発促進、肝炎ウイルス検診の推進に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一〇一二号)

 新たな患者負担増をやめ、窓口負担の大幅軽減を求めることに関する請願(斉藤和子君紹介)(第一〇七四号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一〇七五号)

 患者窓口負担の大幅軽減に関する請願(宮本岳志君紹介)(第一〇七六号)

 社会保障の連続削減を中止し、充実を求めることに関する請願(池内さおり君紹介)(第一〇七七号)

 同(畠山和也君紹介)(第一四三八号)

 若い人も高齢者も安心できる年金を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七八号)

 同(堀内照文君紹介)(第一〇七九号)

 障害者福祉についての法制度の拡充に関する請願(寺田稔君紹介)(第一二五一号)

 安全・安心の医療・介護の実現と夜勤改善・大幅増員に関する請願(寺田稔君紹介)(第一三六二号)

 育児・介護休業法の改正、仕事と生活の両立支援のための基盤整備に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一三六三号)

 介護労働者の処遇改善と介護報酬の緊急改定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三六四号)

 同(池内さおり君紹介)(第一三六五号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一三六六号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三六九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一三七〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三七一号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三七二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三七三号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三七四号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三七六号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一三七七号)

 同(畠山和也君紹介)(第一三七八号)

 同(藤野保史君紹介)(第一三七九号)

 同(堀内照文君紹介)(第一三八〇号)

 同(真島省三君紹介)(第一三八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三八二号)

 同(宮本徹君紹介)(第一三八三号)

 同(本村伸子君紹介)(第一三八四号)

 健康で文化的な生活ができる生活保護基準に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三八五号)

 同(池内さおり君紹介)(第一三八六号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第一三八七号)

 同(大平喜信君紹介)(第一三八八号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三八九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三九〇号)

 同(斉藤和子君紹介)(第一三九一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三九二号)

 同(清水忠史君紹介)(第一三九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三九四号)

 同(島津幸広君紹介)(第一三九五号)

 同(田村貴昭君紹介)(第一三九六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三九七号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一三九八号)

 同(畠山和也君紹介)(第一三九九号)

 同(藤野保史君紹介)(第一四〇〇号)

 同(堀内照文君紹介)(第一四〇一号)

 同(真島省三君紹介)(第一四〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四〇三号)

 同(宮本徹君紹介)(第一四〇四号)

 同(本村伸子君紹介)(第一四〇五号)

 国民が安心して暮らせるための社会保障制度の確立等を求めることに関する請願(野間健君紹介)(第一四〇六号)

 社会保障の切り捨て中止に関する請願(斉藤和子君紹介)(第一四〇七号)

 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(寺田稔君紹介)(第一四〇八号)

 年金機構と協会けんぽの業務一元化に関する請願(とかしきなおみ君紹介)(第一四〇九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百九十回国会閣法第五四号)

 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案(木村弥生君外三名提出、第百九十回国会衆法第五三号)及び特別養子縁組の促進等のための児童の養子縁組に関する法律案(田嶋要君外四名提出、第百九十回国会衆法第五六号)の撤回許可に関する件


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 第百九十回国会、内閣提出、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対するとかしきなおみ君外三名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、本日、参考人として一般社団法人日本経済団体連合会常務理事井上隆君、特定非営利活動法人ほっとプラス代表理事藤田孝典君、東京大学名誉教授神野直彦君、全日本年金者組合大阪府本部書記長加納忠君、嘉悦大学教授高橋洋一君の出席を求め、御意見を拝聴したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ、大変急なお願いにもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないこととなっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと思います。

 それでは、まず井上参考人にお願いいたします。

井上参考人 経団連で常務理事を務めております井上でございます。

 本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

 厚生労働委員会の先生方におかれましては、日ごろより経済界の声に対しまして御理解を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 また、本日は、公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案の審議に際しまして、経済界からの意見を開陳させていただく機会を頂戴いたしましたこと、重ねて御礼を申し上げます。

 さて、本法案につきましては、一昨年の財政検証を踏まえ、社会保障審議会における検討の結果を踏まえた内容だと理解をしております。審議会の検討段階におきましても、経済界から種々御意見を申し上げたところでありまして、本日は本法案に賛成の立場から意見を申し述べます。

 まず、私どもが賛成である理由として、大きく二点を申し上げたいと思います。

 第一点目といたしまして、二〇〇四年の制度改正により導入されましたマクロ経済スライドは、長期的な給付と負担の均衡を図る適切な制度と考えておりますが、その後、長らく続きました物価と賃金の低迷によりまして、その発動が十分に機能しなかったことから、制度の持続可能性や将来世代の給付水準の確保に向けた一段の対応が必要であると考えております。そのために、今回の法案によって制度が見直されることが不可欠だと認識しているところでございます。

 また、第二点目といたしまして、女性のさらなる活躍や多様な働き方を推進する必要性、また、社会や労働市場を取り巻く環境が変化をしていく中、この変化に応じまして年金制度も改革を行っていく必要がございます。その観点からも、今回の法案は時宜にかなったものでありまして、非常に重要であると考えております。

 経済界といたしましては、引き続き、デフレの脱却、持続的な成長に向けまして、賃上げのモメンタムの継続や積極的な設備投資、研究開発投資に努めていく所存でございます。それとともに、デフレから脱却を果たすためには、社会保障制度に対する現役世代の将来不安を解消していく必要が急務であります。本法案は、このような観点からも重要であり、経済界といたしましては、ぜひとも早期の成立をお願いする次第でございます。

 あわせまして、高齢者の方々にとりましても、現役世代にとりましても、また社会保障制度全体にとりましても、重要なのは持続的な成長でございます。成長戦略の実現に向けましても、皆様の一層の御支援、御協力をお願い申し上げます。

 次に、各論につきまして申し上げます。

 今回の法案の中でも、とりわけ経済界として重要と考えておりますのは、年金額改定ルールの見直しに関してでございます。この点は、将来世代の年金水準を確保するとともに、年金制度の持続可能性を高めるという観点から、必要不可欠な見直しであると考えております。

 御案内のとおり、二〇〇四年の改正に基づきまして、毎年、年金保険料が引き上げられております。現役世代や企業は、賃金や経済が低迷をしていた中におきましても、年金制度の持続性を確保するための負担を着実に行ってきているところでございます。他方、給付に着目をいたしますと、マクロ経済スライドの発動は、平成二十七年度に一度行われたのみでございます。

 このような状況の中、年金制度の基本が世代間の分かち合いであるという基本に立ち返りますと、やはり給付面におきましても、賃金や物価の動向を踏まえた調整が不可欠であると認識をしております。制度の持続可能性確保、将来世代の給付水準の確保に向けまして、今回の法案に盛り込まれました年金額改定ルールの見直しを実現いただきたいと考えております。

 次に、GPIFの組織等の見直しにつきまして申し上げたいと思います。

 申し上げるまでもなく、国民の貴重な財産である年金の積立金を運用するGPIFは、年金制度の安全、効率的な運営を図る上で極めて重要、重大な機能を担っており、国民からの信頼が確保される組織、ガバナンスを確立することが不可欠でございます。

 現在のGPIFでは、この点、理事長に意思決定権限が集約された独任制の形態をとっておりまして、経済や金融に関し高い識見を有する専門家などによる運用委員会がその執行監視を行うこととなっております。

 しかし、私どもといたしましては、理事長の独任制のもとでは、諮問機関的な運用委員会が監視を行うという形式だけでは、国民的な信頼確保という面からも限界があるのではないかという問題意識を持っているところでございます。

 したがいまして、現在の独任制を改め、合議制の機関として経営委員会が意思決定を行うとともに、執行部門の責任、権限を明確化して機能を分離することにより、執行部門の活動を経営委員会が監督する、そういうガバナンス体制とする今回の法案を支持いたしたいと思います。

 新たな経営委員会の構成につきましては、事業主の立場を代表できる委員一名が参画するということとなっておりますので、改正法が成立した暁には、経済界といたしましても、与えられた役割をしっかりと果たしていきたいと考えております。

 なお、今回の法案では、運用のあり方に関しまして検討規定が設けられております。

 これに関しまして、私どもといたしましては、特に株式の自家運用につきましては、これまで慎重な立場から審議会などにおきまして意見を述べてまいりました。社会保障審議会年金部会が本年一月に取りまとめましたGPIF改革に係る議論の整理におきましても、多数意見といたしまして、ガバナンス改革を中心に実施をし、その状況を踏まえつつ運用のあり方を考えることとされたところでございます。

 今般の改正法案では、こうした点も踏まえまして、施行後三年後をめどとした検討規定が置かれたと認識をしております。市場あるいは企業活動への影響を十分に踏まえながら御検討をいただきたいというふうに考えております。

 このほか、今回の法案では、労使合意に基づく被用者保険の適用拡大を可能とすること、また、産前産後期間の国民年金保険料の免除なども盛り込まれておりますが、いずれも、働き方の多様化あるいは女性のさらなる活躍を促進するという観点から、適切かつ有用な措置と考えておるところでございます。

 以上、今般の改正法案につきまして、経済界としての意見を申し上げました。改めまして本法案の早期成立をお願い申し上げまして、私からの意見を終わります。

 ありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、藤田参考人にお願いいたします。

藤田参考人 まず初めに、厚生労働委員の皆様には、市民生活に、福祉の向上推進に御尽力いただきまして、まことにありがとうございます。

 お手元に私の資料をお配りいただいておると思いますけれども、それに従ってきょうは話をさせていただけたらと思っております。

 私は、この法案に対して、反対の立場から意見を申し上げさせていただこうと思っております。

 なぜかといえば、この後、御説明させていただきますが、一つ目は、かなり時期尚早なのではないかということと、なおかつもう一つは、それが国民に十分理解されているのか、十分周知されているのかという点です。

 もう一点は、この後、御説明させていただきますが、かなり今の現状の生活困窮されている高齢者の実態がひどい、相当生活が逼迫されているという状況を申し上げておきたいなというふうに思っております。

 まず、その前提となる話ですけれども、私の自己紹介から始めたいと思いますが、NPO法人ほっとプラスは、埼玉県さいたま市に事務所を構えておりまして、年間五百件、十代から八十代まで、さまざまな方が相談に来られてきています。いわゆる生活困窮者という状況で、日々の生活費に事欠く状態で相談に来ております。そのうち約半数が高齢者ということで、中でも、国民年金が足りない、あるいは今の生活費だと生活がしていけないという状況が次々に寄せられております。ですので、きょうはこの実態について少しお話をさせていただけたらと思っております。

 一枚資料をめくっていただけると、実態が書いてあると思います。

 まず、年金がこのまま、もし景気浮揚等なく減らされていくという状況におかれましては、まず、生活困窮状態にある高齢者がどういうふうな状態に陥っていくのかということです。これはぜひ丁寧に御審議いただけたらありがたいと思っております。

 まず一つ目に、私たちのもとに相談に来られる方たち、病院の受診回数、服薬回数を減らしております。現行の年金制度であると、十分に支給が至っていない方は、なるべく病院に行かないように、日々、本当は受診をしなきゃいけない、そういった回数が規定されていますが、医師の指導に従えない、そういった状況なんかが見られております。

 あるいはもう一つ、介護保険制度も、本当は要介護四のサービスを入れないと普通の生活がしていけないという状態であるんですが、その助成に至っても、年金金額が少ないがために、要介護一分のサービスしか入っていない。現状では、今の年金制度では、このお金が、介護費が捻出できないというようなこともおっしゃられる方が相談に来ております。

 あとは当然、趣味とか楽しみ、社会参加の機会等の抑制をせざるを得ないということで、社会参加の機会が得られにくくなる、外に出ることが難しくなるということは、当然ですが、リハビリ等、歩くこととか外出することが、外出できないということは健康状態等を悪化させるということにつながっていきますので、今後の医療費、介護費の増大につながっていくんじゃないかということが懸念されます。

 あとは、所得に応じた健康格差の拡大ということを指摘しておりますけれども、ほかの、私以外の多くの研究者の方たちも、低所得にある高齢者の人たちがいかに健康を害しているのかという調査も既に多く出されております。この間、低所得高齢者の男性は、ほかの男性と比べても、うつ症状が七倍くらいに見られている、広がっているんだというような、そういった指摘もなされております。

 これらを見る限りは、たかが数千円、あるいは数万円という月々の生活費が減らされるという状況において、その金額だけを見るとわずかなものだと思われがちだと思いますが、この効果は非常に大きいということです。ですので、現行の年金制度でほとんど生活ができないという声を聞きながら、ぜひ先行投資的に、この高齢者の人たちにお金を出す意義、将来の介護費負担、健康についても考えながら、支給基準を検討いただけたらありがたいなと思っております。

 残念ながら、今の状態で年金制度改革がされてしまうと、若者へのツケをしないためにということで検討がなされていると思いますが、現在の高齢者を取り巻く家族が、さらに負担は増していくんじゃないかということが非常に危惧されているところです。

 なおかつ、現状の高齢者の生活におかれましては、この下に書いておりますが、高齢者の貧困率が非常に高い状況です。六十五歳以上の高齢者で一八%の相対的貧困率を示しております。

 これは国が認めているもので、大体、ひとり暮らしだと百二十二万円、二人暮らしだと百七十万円、これは年間の所得になりますけれども、そのあたりの所得以下で暮らしている高齢者の方が一八%、ひとり暮らしの方においては四割から五割を占めるというような、非常に高い数字が上がっております。要するに、現行の年金制度がほとんど生活保障の役割を担えていない、この金額だと生活がしていけないという状況にある高齢者が非常に多いという状況です。

 この水準ではかると、現行においては、少なく見積もって、控え目に見積もっても、約七百万人の高齢者の方が生活保護基準相当か、それ以下で暮らされているという状況にあります。立命館大学の唐鎌先生は約九百万人という指標を出していますけれども、同様に、もう少し多いのではないかというくらい、今の高齢者の年金水準は低いということが、これが研究のスタンダードかなというふうに思っております。

 私は昨年、「下流老人」という本を出版させていただきながら、その本で実情を、さすがにこれは厳しいだろうということで警鐘を鳴らしております。それが、もう一枚めくっていただいた後、括弧一、括弧二と書いている、高齢者の実情を明らかにさせていただきました。

 例えば、相談に来られた、飲食店にずっと勤めてこられた男性は、今現在、厚生年金月額九万円で暮らされています。例えば、この方がどういうふうな生活になっていくのかということも御検討いただきたいなと思っているんですが、七十六歳の男性、埼玉県在住です。平屋で民間賃貸住宅に五万円を払いながら暮らしているという方です。この方は、年金が足りないがために、春は野草を食べながら暮らしているという状況で相談に来られています。先進国日本において、年金水準が低くて、もう自前で野草を食べなければ生きていけないというような高齢者が現に発生しているという状況です。

 この方、一時期は主食を野草にしていた、それを食べて暮らすんだ、ヨモギとかフキノトウ、ツクシなんかもとっていたな、野草には救われた、それがなかったら餓死していたかもしれないと思うときもある、恥ずかしいけれどもホームレス専用の炊き出しにも並んだこともあった。

 ホームレスの方に対して支援をするという炊き出しは、当然、年金受給者、家を持っているという方は対象としていません。でも、そこに並ばざるを得ないという高齢者が実態としては出てきているという現状があります。

 二つ目に、うつ病の看病をしながら三人で暮らす御夫婦の事例です。この方は、月額年金十七万円の厚生年金を受給されております。七十七歳男性、七十四歳の奥さん、四十八歳の長女の三人暮らしです。金型工で長いこと町工場で働いてきたという男性です。一般的な中小零細企業で働いてきた、そんな男性の御家族になります。

 この方も、娘さんの治療費、医療費等を払いながら暮らしているので、月額二十六万円の出費があるという状況で暮らしております。自宅を売却しながら、その資金を得ながら生活をしているという状況になるわけなんですが、年金だけが生活の命綱なんだということを語っております。なのに年金は上がらないし、下がる一方なんだ、そこに働けない娘もいる、十七万円ではとても暮らしていけない、夫婦二人では、健康なうちは何とかなるけれども、どちらかが病気になったらおしまいなんだということを言っております。出費があり、貯金もできない暮らしが続いているということも相談の中で語っている方です。

 ほかにも、こういった相談は枚挙にいとまがない状況で、日々、毎日のようにメール、電話、来所されてこられる状況にあります。

 ほかにも、七十代の御夫婦は、国民年金二人で九万円です。それでは足りないので、夫、男性の方が新聞配達で働きながら何とか生活をやりくりしている。本当は仕事をしない方がいいんだけれども、医師にとめられているんだけれども、働かないと暮らしが成り立たないという状況にもあります。

 あとは、六十代の男性なんかは、厚生年金の金額が十万円に満たないという金額ですので、もうそれだけでは生活していけない。ですので、窃盗、強盗未遂等にならざるを得ない状況で、弁護士さんと一緒にかかわるという事例なんかも既に、これも数件というレベルではなくて、数十件というレベルで発生しているという状況にあります。

 年金金額がわずかでも減らされるということは生活を相当圧迫するということで、それが犯罪であるとか自殺であるとか、そういったものを招きかねないということを思っておりますので、ぜひ、この点も考慮いただきながら検討いただけたらと思っております。

 もう一枚めくっていただくと、だから、年金が足りないので働かざるを得ないという高齢者がこの間ずっと急増しているという状況です。本当は、仕事をせずに年金をもらいながら、仕事の件数を減らしたい、回数を減らしたいということをおっしゃる方も多いんですけれども、残念ながら、そういった状況になっていないということが多いかなと思っております。

 この状態になると、先ほどもお話ししましたが、私たちのもとには、自殺を考えている、一家心中を考えている、あるいは介護殺人を考えているというような声が既に数多く呼びかけられて、出されています。これは、六十代以上の方の自殺率あるいは自殺の件数が非常に高いということを考えてみていただければ、この改正がどんな影響を及ぼすかを、もう一度検討いただけたらありがたいなと思っております。

 最終的には生活保護を受ければいいじゃないかという話になると思いますけれども、現在では、生活保護はほとんど機能していないと言っていいかなというのが現場の感覚です。

 これは、もう一枚めくっていただけると、約七百万人の貧困状態にある高齢者のうち、現行で生活保護を受給できている方は約百万人程度に及んでいます。ですので、まだ六百万人程度は、本来生活保護は受けられるんだけれども、受けられていないという状況です。それは、生活保護を受けると恥ずかしい、あるいはさまざまなスティグマを伴う問題があって、せっかく年金を掛けてきたのに、生活保護を受けると苦しい、生活制限があるんじゃないか、さまざまな問題があって、まだ受けられていないという状況もあります。

 年金が少ないということであれば、本来、生活保護を支給すべきなんですが、残念ながら、これくらい低い捕捉率であれば生活保護という選択肢が出てきませんので、当然、死を考えるという方も出てくるだろうということを思っております。

 年間、私たちのもとに五百件相談がありますが、そのうちのほとんどの方は生活保護を選択肢の中に入れていないという状況です。これ以上年金が減るということが万が一あるのであれば、生活保護を当然支給していかないといけないはずですけれども、生活保護が十分機能していない現状においては、かなり生活が逼迫される、その後、何が起こるかということは容易に想像がつくところかなというふうに思っております。

 さらに、今の生活保護受給者の方の内訳を見ると、この表に書いてありますが、多くの方が、約半数の方が、生活保護を受けている方のうち、年金を受給されている方です。年金を受給しているんだけれども、年金が足りないから生活保護を、現行、半分の方が受けているという状況にあります。ですので、さらにこれは年金が減っていくと、生活保護になだれ込んでいくという現象が起きますので、生活保護受給者をふやすことが、本当にそれでいいのかということも、あわせて検討いただけたらと思っております。

 あとは、一番下に書いておりますけれども、年金がもしカットされるということが、これが現状よりも下がっていくということがあるのであれば、少なくとも今の高齢者の支出を抑制する、支出を削減するという政策を入れていかない限りは、厳しい生活がさらに追い打ちをかけるだろうというふうに思っております。

 現行においては、非常に高い医療費、介護費、負担を求めております。なおかつ、住宅費の負担が非常に重たい国の一つです。特に、低所得であればあるほど民間賃貸住宅にお住まいであって、そのうちの家賃がかなり高くなってきているという状況にありますので、この家賃負担を下げるということであるとか、租税、保険料を下げるということであるとか、地方においては軽自動車の保有とか維持に随分負担が重たくなってきておりますので、さまざま、電気、ガス、水道、その他、必要な費用の支出削減をするような政策の導入を検討いただけたらありがたいなと思っております。

 最後になりますが、一番下に書いておりますとおり、いずれにしても、この年金法案は、人々の、特に高齢者と、その取り巻く家族について、命とか暮らしに重大な影響がある法案です。これについては、非常に時間をかけて丁寧な審議をいただきたいということを思っております。なおかつ、今この審議自体が国民に幅広く共有されているとは到底思えませんので、これについても丁寧に説明いただきたいと思っております。

 私からは以上です。どうもありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、神野参考人にお願いいたします。

神野参考人 神野でございます。

 私のような者をこの場にお招きいただきましたことに、厚生労働委員会の皆様方に深く感謝を申し上げる次第でございます。

 とはいえ、私は網膜剥離を患っておりまして、手術でどうにか失明をもたせているという状態です。それで、目が思うように機能いたしませんので、きょうの発表でも失礼があるやと思いますので、その点、何とぞ御寛容いただければと思います。また、私、おとといまでずっと長野の方で調査活動等々やっておりまして、準備も十分にできておりません。この点もお許しいただければと思います。

 私は一介の財政学者にしかすぎませんが、社会保障制度審議会の年金部会長を仰せつかっております。そこで、本日は、年金部会での議論を、これは私の責任においてでございますが、御紹介させていただきながら、この法案の意義について意見を陳述させていただければというふうに考えております。

 結論を先に申し上げておきますと、年金部会長という立場、視座から今回の法案を眺めさせていただきますと、年金部会での議論を尊重していただいて、反映していただいているということが理解でき、国会におかれましても生産的な議論の上に成立を実現させていただくことを望みたいというふうに思っております。

 それで、この法案の内容についてでございますが、お手元に私の簡単なメモ、骨子をお配りしているかと思います。二番目に書いてあります「改正案の概要」というところですね。五項目にまとめられております。短時間労働者の被用者保険の適用拡大の促進、国民年金第一号被保険者の産前産後期間の保険料免除、それから年金額の改定ルールの見直し等々、五項目にまとめております。

 この内容につきまして、ごらんいただければおわかりいただけますように、この法案は大きく二つの内容から成り立っております。一つは、年金制度にかかわる内容ですし、もう一つは、GPIFの改革にかかわる内容でございます。

 年金制度の改革にかかわる、重点が置かれている年金制度の改正に焦点を絞りながら、年金部会でも共有している、恐らくこの改正法案もそれを目指していると思いますが、目的を示しておきますと、三つあるというふうに考えられると思います。制度の持続可能性の確保、将来世代の給付水準の確保、それから社会経済情勢の変化に対応した保障機能の、セーフティーネット機能の強化というこの三点にあるかというふうに考えております。

 この意義を考える上で、どうしても触れておかなければならない前提があります。それは、もう釈迦に説法かと思いますけれども、この改正の意義を考える上で、二〇〇四年の、つまりそれまでと発想を全く逆転させた年金改革について指摘しておく必要があるかと思います。

 それまでの年金は、御存じのとおり、給付水準を先に決めた上で社会保険料率を決定する、こういうやり方だったわけですね。ところが、これを二〇〇四年の改革でもって逆転させまして、社会保険料の水準を固定化しておいて、給付水準の方を調整するという仕組みに切りかえたわけですね。

 これは、どうしてこういうことをやったのか。御案内のとおり、少子高齢化が急速に進行している中で、常に負担が上がっていくというような、つまり将来世代に過剰な負担を強いていくようなことをどうにかクリアできないかということを目的にしながら、この給付水準を調整する仕組みとしてマクロ経済スライドを入れているわけですね。つまり、賃金再評価や物価スライドに対して一定の調整を行うマクロ経済スライドの導入をしたということになるわけでございます。

 この改革の目的を考えていく上で、そういう改革が行われたということを受けて、言うまでもございません、社会保障・税一体改革、それから国民会議での議論を経て、二〇一三年、つまり平成二十五年十二月に社会保障改革プログラム法が成立いたします。

 この意義は、このプログラム法で、先ほど言いました、平成十六年の、逆転の発想で改革した年金制度の基本的なフレームが完成したというふうに考えていいだろうと思います。かつ、その上で、このプログラム法は、四つの検討課題を明記しております。それは、マクロ経済スライドの見直し、それから短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、高齢期の就労と年金受給のあり方、高所得者の年金給付の見直し、この四つの課題が必要だということを提起しているわけですね。これが、今回の課題に結びついていて、今回の改革の重要な導き星になっているというふうに考えています。

 それと同時に、平成二十六年の財政検証では、負担を固定化しておいて給付の方を調整していくということで、五年ごとの財政検証が行われるわけですけれども、こうした国民会議や社会保障改革プログラム法で指摘された四つの課題に対応するために、新たな試みとして、制度改革の実施を仮定したオプション試算をやっております。

 この結果でございますけれども、五年ごとに行われる財政検証で、次の検証までに所得代替率が五〇%を下回る可能性がない、つまり差し当たっての改革は必要がないということが確認されると同時に、日本経済の再生と労働市場への参加が進めば、将来的に所得代替率五〇%は確保可能だということが確認されております。

 ただ一方で、平成十六年、平成二十一年当時の想定よりも、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が延びておりますので、また将来の基礎年金の水準が相対的に大きく低下してしまうという問題が明らかにされました。

 年金部会では、今申し上げましたように、国民会議及び社会保障プログラム法などで提起された検討課題や財政検証を念頭に置きながら、今回行うべき改革の課題を共有いたしました。それが、お手元の骨子の三番目に書いてある事柄ですね。将来世代の給付水準の確保への配慮、被用者保険の適用拡大、基礎年金の水準低下への対応、それから国民の合意の形成とスピード感を持った制度改革の実施、こういうふうな検討課題を共有した上で、その具体的なまとめをいたしまして、議論の整理をいたしました。

 その整理、これは全部、私どもが報告している報告書の分野別項目を列挙したものでございますが、そこの七項目に整理できますが、これを提起いたしました。もちろんさまざまな課題を提起しておりますけれども、このうち早急に対応しなければならないような課題については、今回の法案で道筋がもうつけられている、こういうふうに認識をいたしております。

 もう一つのGPIFの方の改革でございますが、このGPIFの改革については、年金制度の信頼を高める上で、しっかりした組織改革をしていく必要があるということについては、年金部会で共有した認識として合意されているというふうに理解しております。

 GPIFは、発足してから十年足らずでございますけれども、市場環境は一層高度に複雑化している中で、百四十兆円という巨大な積立金を運用する世界最大の機関投資家になっているわけですね。そうした事実を踏まえながら、つまり、年金制度改革とそういう世界最大の機関投資家になっているということをにらみながら、組織的な改革が必要かというふうに考えている次第でございます。

 このGPIFにかかわる議論の整理についても、年金部会の方では、さらなるガバナンス体制の強化、これは合議制の機関の設置とか、運用の見直し、株式のインハウス運用とかオルタナティブとか、いろいろございますが、多くの方が合意していただいたのは、改革の進め方については、いろいろな議論があるとしても、当面は、ガバナンス改革を中心に実施して、運用については、早急に手当てが必要なデリバティブの規制緩和やコール市場の活用を行うということにとどめた方がいい、これも一致しているところでございます。

 今回のGPIFの改革法案を見させていただくと、このような年金部会の議論を踏まえて必要な改革が盛り込まれているということで、これも支持させていただきたいというふうに思っております。

 私は、これは個人的な意見でございますが、世界各国が年金制度に苦しんでいます。それは条件は三つあると思いますね。

 一つは、黄金の三十年と言われた第二次世界大戦後の経済成長がいずれの国でも失速して、賃金、まあ経済成長と言ってもいいかもしれませんが、その上昇がとまり、停滞しているという事実ですね。

 もう一つは、先進諸国の人口構成。つまり、少子高齢化という言葉で語られる、人口構造が大きく変化した、これが二番目です。

 もう一つ私が強調しておきたいのは、この年金制度の本質は、人間は、家族内での連帯でもって命の鎖をつないでいるんです。働ける世代が、子供たちを養うと同時に、労働能力を失った人を養うことによって私たちの人類の命の鎖はつながれているわけですね。この機能が弱まったときに、社会化するといったのが年金のはずです。つまり年金は家族内における世代間連帯を社会化したものだ。この事実を国民が認識しないと、年金制度そのものは揺らいでいくというふうに思います。

 私は、この年金法案の審議あるいは国民的な議論を通じて、ぜひとも、国民が、国民の誰もが誰もに対して不幸にならないということを願い、国民の誰もが誰もに対して幸福になってほしいというふうに願い合っているんだという確信が醸成されていくことを望んでいる次第でございます。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、加納参考人にお願いいたします。

加納参考人 私は、全日本年金者組合大阪府本部で書記長を務めております加納でございます。

 年金者組合は、年金受給者を中心に、全国で高齢者が人間らしく暮らせる町づくりや、年金制度を初めとした社会保障の充実を求める運動をしている任意団体であります。

 私たちは、国民年金法等の一部を改正する法律案の、特に年金額の改定ルールの見直し、すなわち、一つには、マクロ経済スライドの前年度までの未調整分を含めて調整する案、及び、賃金変動が物価変動を下回る場合、賃金変動に合わせて年金額を改定する考えを徹底する案、これについて強い懸念を持って反対をしております。この法案に反対をする立場から意見を述べていきたいと思っております。

 この案は、年金制度維持に必要とされる費用総額を抑制することを前提に、つまるところ、公的年金の給付水準を順次引き下げ、年金の支払い総額を大きく抑制して、制度維持の可能性の向上を図るというものにしかすぎないと思います。ここには、退職した年金受給者や障害年金を受けておられる方たちの健康で文化的な最低限度の生活を営む権利をどう確保するか、さらに、社会保障としての公的年金の向上及び増進にどう努めるのかの視点がほとんどないと言わざるを得ないと思います。年金制度後退を回避する方策を全く検討しないで、ひたすら年金引き下げを進めるものとなっていると思っています。

 高齢者や障害者の扶養の問題は、高齢者自身、また、その家族の自己責任を基本とするのではなく、社会的扶養を基本として解決することが現実的であり、合理的であると思っています。日本における公的年金を含めた社会保障財源の根本的な問題点は、本来負担すべきものがその責任を十分果たしていないというところにあると思います。国家の税制度と予算配分を通じた合理的な所得再分配機能が十分発揮されておりません。三百十兆円を超す内部留保を持つ資本十億円以上の大企業五千数社を中心とした資本の側の社会的責任は十分果たされていないと思います。このことが問われなければならないと思います。これは、今格差、貧困の拡大が大きな問題になっている、この背景と同様の構図があるのではないかと思っております。

 さて、きょうは、年金受給者の置かれている状況とその思いを私たちの運動の中から御報告申し上げたいと思っています。

 年金者組合の運動の中で、平成二十五年十月からの一%年金減額措置及び平成二十七年、昨年四月から実施されましたマクロ経済スライド年金減額に対し、今現在、全国で四千六百三十六人以上の原告による年金引き下げ違憲訴訟運動が起こっております。

 大阪府本部に寄せられたこの年金減額に対する年金受給者の切実な訴えの一端を御紹介してみたいと思います。

 これは、大阪市在住の、仮名ではありますが、松本さんの訴えです。

 昭和十三年八月生まれ、七十八歳です。長崎の製鋼所に働く一家の長男として出生しました。一歳のとき、ポリオ、小児麻痺にかかり、突然全く歩行できない両下肢麻痺の重度障害の状態となり、現在に至っています。

 小学校を含め、障害を理由に一切学校に入学できませんでした。三歳下の弟の通学かばんの中の教科書を見て、字を読めるようになりたいと思い、父や弟に平仮名の読み方を教えてもらって、教科書を何回も読み返し、何とか本も読めるようになりました。しかし、算数などは全くわからず、九九も知らないまま過ごして大人になりました。

 昭和二十五年、十二歳のとき、父は、勤めていた製鋼所を整理解雇され失業しました。失業と同時に父は体調を崩し、就業と失業を繰り返すという苦しい生活でした。車椅子もありませんでしたので、いつも家の中だけの生活で、雑誌などを読んで過ごす少年時代でした。今思えば、就学免除とされ、憲法二十六条に書かれている教育を受ける権利を剥奪されていたのであります。

 十七歳ごろ、小倉市に家族とともに転居。市が車椅子を支給してくれて、初めて車椅子に乗りました。知り合いに連れられて映画館に行き、西部劇を見ましたが、字幕が全く見えず、ひどい近視だということがわかったということもありました。

 十九歳のとき、小倉市の障害者職業訓練所に入り、印鑑づくりを習いました。その後、小倉市内の小さな印鑑店にやっとのことで就職できました。

 昭和三十四年十一月から国民年金の障害福祉年金が支給されるようになり、昭和三十五年三月に初めて障害年金を受け取りました。障害一級で、その当時、月額千五百円でした。早速、眼鏡を買うことができ、こんなにも世界が鮮明なのかと感激したことを覚えています。心から、年金制度は私たちにとって大切なものだと思いました。

 二十六歳のとき、単身で大阪に出て、吹田市の印鑑店に就職、約十年勤めた後、昭和四十九年、三十六歳で独立、借家の自宅で下請の仕事の印鑑店を持ちました。やっていけるのだろうかと大変不安でしたが、徐々に得意先もふえ、何とか自立した生活ができました。重度障害の私がどうにか生活できたのも、仕事があり、障害基礎年金があったからこそです。

 しかし、日本の少なくない障害者は、不当に厳しい受給要件や、制度を知らないために無年金のまま放置されている方がたくさんおられます。年金を受給していても、一級、二級の重度障害のほとんどは就業できず、生活費の全てを低水準の障害年金に頼らざるを得ず、自立した生活を送れないでいます。まさに社会保障は、人間が人間らしく自立して生きるための前提として機能しなければだめだと思います。

 体力も衰えてきたので、平成十二年、六十二歳で吹田市の店を閉じ、大阪市内の府営住宅に転居しました。同時に結婚し、現在、妻と二人暮らしです。収入は、私の障害基礎年金月額八万一千円余り、妻の老齢厚生年金、老齢基礎年金合計月額八万五千円余り、二人足して月十六万六千円のみです。

 妻は、厚生年金に入れない非正規の勤務時間が非常に長かったので、老齢年金額はわずかです。家賃や光熱費、また介護保険料や後期高齢者医療保険料、その他生活必需品などを支払うと、多くは残りません。私たちは自営業だったので退職金はなく、貯蓄も余りできませんでした。将来のために貯蓄をしなければと切り詰めて生活をしています。ほとんど旅行もしたことはありません。二人で生活をしているので何とか生活をできますが、二人とも後期高齢者で将来のことが不安です。片一方が亡くなれば、たちまち大変な事態になると思っています。

 平成二十五年十月から二・五%の年金削減をされました。私たちのように低年金者にも一律の削減に怒りを持っていましたが、昨年四月にマクロ経済スライドが実施され、今審議されている年金法案では、今後の年金減額のスピードが増すと聞いています。本当に許せません。

 私は、みずからの人生を振り返って強く思うことは、少年時代は就学免除で教育を受ける権利を奪われ、高齢になり、いよいよ障害基礎年金だけで暮らしていくことになった今、憲法二十五条で保障されているはずの健康で文化的に生きる生存権を奪われているということであります。

 最低保障もない、ほとんどお小遣い年金のようなひどい年金制度を若い世代に残すわけにはいきません。私は、これから生まれてくる人も含めて、全ての人が人間らしく生きる権利を守るため、マクロ経済スライド違憲訴訟の原告となりました。

 こういうお話でございます。これはまさに個人の自己責任の問題として放置することができるでしょうか。

 もうお一人、七十二歳の女性、山本さん、これも仮名でございますが、年金について簡単に御紹介したいと思います。

 この方の年金額につきましては、資料としてお手元に届けておりますが、高校を卒業し、大企業の紡績会社に就職、十八歳から六十歳定年まで四十一年間、厚生年金を掛けてこられました。この方の年金額は、何と月額十三万六千円です。お手元に年金記録の資料をつけております。ぜひ見ていただきたいと思います。

 四百九十三月、四十一年の年金加入でこの年金額に山本さんは衝撃を受けたと述べています。女性の賃金の低さが直接年金額に反映しているわけであります。さらに、年金制度の仕組み、日本の年金制度の水準の低さ、四十年も掛けてこの水準、十五年、二十年の方はいかがなものか、すぐ想像つくことだと思います。

 現在七十二歳、年々ふえる国民健康保険料、介護保険料など公租公課の天引きで生活はどんどん余裕がなくなっていくとおっしゃっています。高齢者の年金は高過ぎるは、全くの見当外れであります。

 このような年金受給者の厳しい状況は、今の年金受給者だけの問題ではなく、現役世代、若者にとってこそさらに深刻、切実な問題であります。持続可能であっても、もしこのような年金制度を残されたら、現役世代こそいい迷惑ということではないでしょうか。

 最大の問題は、日本には最低保障年金制度が確立していないということであります。

 国連人権規約委員会は、既に二度にわたって日本政府に、最低保障年金制度をつくるべきと総括所見で勧告をしております。この部分をお手元に資料としてお配りしております。

 スウェーデンでは、一九九〇年代後半、年金制度改革が議論され、年金水準の一定の見直しがされましたが、それでも、低所得者、無所得者であった者には、最低保障の年金により、最低生活保障の、ナショナルミニマムを保障する仕組みがあります。日本は、ナショナルミニマムを保障する最低保障年金制度もつくらず、一切の考慮もなく一律に年金削減を続けるなど、余りにもひどい年金制度となっていると思います。

 まさに今、最低保障年金制度の確立を初めとした年金制度の改善こそ、今、国会でも審議され、それが実現するべきことではないかと訴えて、私の陳述とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、高橋参考人にお願いいたします。

高橋参考人 高橋洋一でございます。

 本日は、こういう機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、賛成でございます。その立場で陳述をさせていただきます。

 私は、経済学者と言われているんですが、実は数量分析家でありまして、たまたま経済とか財政なんかを数量分析するというので今までやってきました。

 その中で、バランスシートアプローチというのを年金に対して導入するという話をずっと前からやっておりまして、そういう立場からいいますと、世代間のバランスシートというのを見ますと、過去の年金改正では、世代間の格差を広げたものもありました。ただ、マクロ経済スライドというものは、年金財政の安定性を向上させるためには極めて有効な手段であるというふうに私は思っておりまして、そうした世代間の格差の拡大を少しでも食いとめるための措置というふうに理解しておりました。

 この法案ですけれども、現在の高齢者の給付を削減し、将来の高齢者の年金を確保しようという試みでありますので、その意味で、年金の持続可能性という観点からは評価に値すると思います。

 問題は、これまでデフレが続いていて、マクロ経済スライドをまともに行ってこなかったことです。過去二十何年間、ずっとデフレでございますけれども、マクロ経済スライドが導入されたのは二〇〇〇年以降です、二〇〇六年以降だと思いますけれども、ほとんどまともに発動されてこなかったというのが問題です。デフレだからマクロ経済スライドが発動できないという何か本末転倒の話で、それにもかかわらずデフレを放置していたというのは大問題であるというふうに思っております。

 そもそも、デフレというのは経済運営が極めて困難になります。例えば、財政再建というのが問題になるんですけれども、これは、実は名目経済成長率が高くないと、ほぼできません。こういうのは、一九六〇年代からOECDのいろいろな加盟国の研究がありまして、財政再建に成功した国、しなかった国とあるんですけれども、そういうのを調べますと、実は、名目経済成長率が高くなった方は成長しておりますけれども、高くないとほとんど失敗です。

 日本にもそういう例がありまして、私自身は実は公務員をしておりましたけれども、第一次安倍政権と小泉政権のときにいましたけれども、このときは経済成長していますので、財政再建はほぼできております。今の安倍政権でも同じような傾向だと思います。

 これを見ますと、プライマリーバランス、基礎的財政収支というのは何で決まってくるかというのが結構簡単にわかりまして、一年前の名目経済成長率で九割決まります。これは別に日本だけの話ではなくて、どこの国でも一緒です。

 ですから、財政再建というのを仮にやろうとすると、実は、名目経済成長率を高めれば、後からついてくるという形です。

 デフレ脱却というのは、実は金融政策なんです。ここの理解が従来の政権は余りなかったと思いますが、今の安倍政権はかなりあると思うので、その意味では、ましであります。ただし、二〇一四年の四月の消費増税はデフレ脱却においては失敗でありましたので、そこは残念だったと思います。

 これから少子高齢化という話で、年金の財源問題というのはそれなりの問題であるというふうに思います。

 例えば、この委員会で、議事録を拝見させていただきますと、国民年金の未納とか、厚生年金の加入要件を満たすにもかかわらず加入していないという加入逃れの問題を解消するのが重要だったというふうに思います。まずは、納めるべき社会保険料なのに納められていない、徴収すべき保険料が徴収されていないところをしっかりと集める必要があると思います。

 あわせて、行政改革という観点も必要だと思います。

 政府が進めておられる社会保障と税の一体改革においても、税と社会保障というのは性格が違うということ、あと、公務員である国税庁と非公務員である独法の年金機構は違うとか、こういう議論がありますけれども、社会保険料と税というのは、基本的には一体、同じようなものです、両方とも税金の性格がありますので。

 その意味では、世界的な潮流というのが実は、税と社会保障を一体にする、社会保障と税の一体改革というんですけれども、本当は徴収の方を一体にするというのが世界の流れでありますので、そういう歳入庁の検討というのをぜひ進められるべきであるというふうに思っています。

 例えば、国税庁が把握している法人の数と年金機構の把握している法人の数は全く違いまして、数十万件もずれております。そのため、捕捉率が全く違いまして、労働者から天引きされる社会保険料が年金機構に行っていないという可能性はかなりあります。そういうことを推計しますと、多分、社会保険料の徴収漏れが少なく見ても数兆円あると思います。これはいろいろな計算がいろいろな国会でも行われておりましたけれども、ありますね。

 一方で、歳入庁というのは、国民にとっては、納税と保険料、一緒にできるという意味で、行革的には極めて効率的な組織です。

 海外でも、アメリカ、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーというのは基本的に歳入庁で、税と社会保険料は同じで、一元徴収であります。東ヨーロッパの国は、最近はほとんどの国がそういうふうな形で歳入庁というパターンになっております。

 ただ、この歳入庁の創設というのは、霞が関官僚には極めて評判が悪いようです。私もかつて首相官邸におりましたけれども、わかりますが、例えば、国税庁というのは財務省の植民地になっておりまして、国税権力というのを財務省がなかなか手放さない。私の経験でも、第一次安倍政権のときに実はこの歳入庁の話をやりましたけれども、猛烈な抵抗がありました。

 次に、財源の話をします。

 社会保険料とか社会保障の抜本改革というのは、そもそも消費税をどのように位置づけるかという話と密接にかかわってきますが、この消費税の位置づけについて、今の一体改革は間違っていると私は思っております。消費税を社会保障目的税とするというんですけれども、そうした国は多分ないと思います。

 社会保障は、要するに、助け合いの精神で、所得再分配でありまして、国民の理解というのが必要であるんですけれども、日本も含めて大体は、負担と給付の関係が明確な社会保険方式であります。

 社会保険方式でありますと、実は、保険原理から、保険料で払うというのが普通です。ただし、保険料を払えない人がいる。保険料を払えない人については、実は、多くの国は、所得税の累進課税の部分から持ってくる。これは社会保障が所得再分配であるということから出てきます。そうしますと、基本的には、保険料プラス累進課税という形が普通であります。日本のように、社会保険方式といいながら巨額な税金を投入するというのは、私は余り知りません。

 消費税の社会保障目的税というのは、実は、社会保障を保険方式で運用するという世界の流れと極めて逆行する話であるということは、もう一回強調しておきたいと思います。

 社会保障の目的税に消費税を充てて社会保障目的税というのが間違いという私の言った意見は、実は一九九〇年代までは大蔵省の主張でもありました。たしかこれは、二〇〇〇年のちょっと前に、政治的に、自自公連立のときに、当時の自由党の幹部の人に大蔵省が働きかけて、社会保障に消費税を使うというのを予算総則に書いたというふうに私は記憶しております。

 なお、そのときに同時に出た政府の税制の答申、政府税制調査会の答申では、「諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらない」という記述があります。

 こう考えますと、実は、消費税をどうやって位置づけるかといいますと、これは社会保障目的税ではなくて地方税とすべきというのが普通に出てきます。消費税は一般財源なんですけれども、国が取るか、地方が取るかという問題になるんですが、実は、地方分権が進んだ国では、国ではなく地方の財源とみなせるという例も多いのです。これは、国と地方の税金の配分理論、国は応能税、個人の能力に応じて払う税、それとあと、地方は応益税、各人の便益に応じて払う税という税理論にも合致する話であります。

 こういう話をしますと、ヨーロッパの国は消費税が多いんじゃないかというんですけれども、ヨーロッパの国は一つの国の規模が小さくて、GDPで見ても、日本は欧州の大体七個か八個のレベルの集まった国、経済体であります。ヨーロッパの国はサイズがちっちゃくて、日本から見れば恐らく地方の単位であります。だから、そういうふうなEUが一つの国として消費税を取るというのは、私がさっき申し上げた消費税の地方税化というのと何ら矛盾はないと思います。

 いろいろな国をほかに見ていましても、地方分権が進んだ国では、オーストラリアのように、国のみが消費税を課税し、地方に配分する国とか、ドイツ、オーストリアのように、国と地方が消費税を共同税として課税して、それで税収を国と地方で配分する。アメリカは、消費税を課税しないで、地方が消費税を課税する。カナダはちょっと変わっていますけれども、国が消費税を課税するんですけれども、その上に地方が課税するという方式もあります。

 いずれにしても、分権度が高いほど国としての消費税というウエートはちっちゃくなっていると思います。

 いずれにしましても、消費税というのをしっかりと地方税と位置づけた上で、それでいろいろな社会保障改革をしていただくというのが多分いいのかなというふうに思います。

 最後に、GPIFの話をします。

 これは、行革の観点、年金財政の観点、あと、組織のガバナンスという観点から述べたいと思います。

 年金運用という話をしますと、条件反射的に株式という話に行くのがよくあるパターンなんですけれども、実は、年金財政の観点から見れば、株式運用、市場運用は必ずしも必要ではありません。例えば、市場運用をしないで、非市場性国債、非市場性の物価連動国債という形でGPIFの運用をするということも可能です。こういう形にしますと、市場運用は全く不必要、年金財政も全く問題ないです。

 それとあと、ここでいろいろ議論になっている組織のガバナンスもないです。というのは、この非市場性の物価連動国債によるGPIF運用という形ですと、GPIFの組織は一人で多分できると思います。毎月、保険料が入りました、非市場性国債ですから実は財務省に連絡するんですけれども、これだけお金が入ったので非市場性国債をこのくらい出してくださいと言うだけで終わります。実は、こういう例というのは、今はちょっとなくなりましたが、かつてはありました。ですから、その意味ではガバナンスは極めて簡単であります。

 こういう話はなぜ反対を受けるか。もちろん、組織を持っているGPIFも反対かもしれない。それとあと、GPIFから運用委託されている金融機関も反対だと思います。それは、当然のことながら、GPIFの運用にかかわっていろいろなコストがかかるんですけれども、そのコストというか、それを報酬として受けている金融機関が多いからです。

 例えば、百兆円の運用、これで運用報酬というのは、実はこれほど高くないんですけれども、仮に〇・一%としても一千億円ですよ。これはかなりでかいです。もちろん、こんなに大きくなくて、もうちょっと、それより一個下の桁の数字かもしれませんけれども。でも、いずれにしても、大きな手数料が動いていることです。先ほどの、全額、非市場性の物価連動国債でやると、ほとんどこの運用コストはかからないです。

 ですから、今の私の言ったやり方というのは裁量性が全くないやり方ですね。それで、年金の運用額が幾ら巨額になっても問題がないです。実は、こういうやり方を志向するというのもガバナンスを高めるやり方としてはあるんじゃないでしょうかというふうに思います。コスト安。

 それとあと、こういう形で年金運用していますと、官民の癒着とか、こういうのも危惧されるものですけれども、私が申し上げたような、全く裁量性のない、全額、非市場性の物価連動国債でやると、そのような官民の癒着の問題も全く、ほとんど発生しません。

 ですから、そういう意味で、ガバナンス問題というのを一気に解決する手段、やり方であるというふうに思います。

 運用額が大きくなって、ガバナンスを強めて、それを、運用の責任があるからといって、いろいろな組織をやるというやり方を今回の法案では志向しているようなんですけれども、全く逆転の発想ですけれども、全額、非市場性の物価連動債というやり方もあるんじゃないかというふうに思います。

 以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。白須賀貴樹君。

白須賀委員 自民党の白須賀でございます。

 まず初めに、参考人の皆様方、さまざまな立場から見識の高いお話を頂戴いたしまして、本当にありがとうございます。

 私は、五人の皆様方全員に御質問をしていきたいと思いますので、そんな難しい質問はしません、どうか忌憚のない御意見をいただけたらと思います。

 まず初めに、今回の法案とちょっと関係のないというか、基本的な話で大変恐縮でございますけれども、年金について私がどう思っているか、そして皆様方の意見を聞きたいんです。

 私は、日本の年金というのは、これほどすばらしくて、これほど安定度が高くて、こんなにすごいシステムをつくってくれた先代の方々、そして、今現在支えている方々に対して敬意を表しているぐらい、本当に日本の年金制度というのはすごいと思っています。

 例えば、年金の支払いというのは、御存じのとおり、半分、二分の一は国庫負担です。そして、残りの二分の一は現役の方々が年金保険料という形で支えていただける。そして、そこにプラスアルファでGPIF、何と百三十兆円という資産を持っている、しかも毎年コンスタントに二%の利回りをたたき出している、このGPIFという組織が補填をしてくれながら、将来世代に対する負担を減らしながら支え続けている年金システムです。

 このGPIFの百三十兆円というのは、世界的に見たら物すごいレベルなんです。アメリカの年金制度の資産の総額というのは百兆円ぐらいしかないんですね。ですから、この百三十兆というお金、基礎体力ですけれども、この基礎体力がまずすごい。

 そして、この日本国、そして日本国民が支えていることがまたすごい。

 皆さん、日本に住んでいるとわかりませんけれども、日本というのはすごい国なんですよ。日本のGDPは、世界全体を一〇〇%としたら、世界第一位の国はアメリカです、経済大国、世界全体のGDPの二四%。第二位が中国、大体一二%ぐらい。第三位の日本が全体の六%のGDPをたたき出している。ヨーロッパのEU、イギリスも含めて二十八カ国全部足してもGDP総額は大体二二%ですから。日本一国で六%もたたき出しているんですよ。その日本国が、二分の一のいわゆる支払いの税金をちゃんと入れてくださって支えているこの現在。

 そしてまた、日本国の人口構成も、いろいろと世代間の人口構成も変わってきていますけれども、今現在、人口の数だけ比べますと、世界一位の人口は中国の十三億七千万人、第二位がインドの十二億九千万人、第三位がアメリカの三億四千万人、第四位がインドネシアの二億五千万人で、第九位がロシアの一億四千万人。第十位はこの日本、一億二千七百万人。この方々が支えているんですよ。

 つまり、世界で十番目の人口を有して、世界で三番目の、全世界の六%のGDPを支えているこの日本国が、そして日本国民が支えていて、そして、先ほど話したように、アメリカの年金財政の総額なんて百兆なんです。日本の約三倍の人口を有している国が百兆で、日本は、一億二千万人しかいない中で、その一・三倍の百三十兆の資産を、基礎体力として、年金の財政として持っている。一人当たりの持っている年金の財産ということを考えれば、はるかにレベルの違う、本当にすごいシステムだと思っています。

 そして、皆さん御存じのとおり、何か障害を受けたら障害年金も出る、大黒柱の方が亡くなったら遺族年金が出る、そしてまた、長生きリスクで、死ぬまでちゃんと毎月お金がいただける。そして、平成十六年の年金制度の改正で上限の金額も決まっていて、その中でやっていきましょうねと。

 これだけそろっている日本の年金制度、年金のシステム、これは、例えば、ほかの民間会社で、生命保険会社、損保会社、資産運用だって十兆、二十兆ですよ。その会社がトリプルAとかそういう形でランキングで安心度がされていますけれども、もしも日本の年金の制度をランキングしたら、私は世界トップだと思っております。

 これに対して、まず、基本的な認識として、五人の参考人の皆様方から御意見をいただきたいと思います。

井上参考人 ただいま御指摘のありましたとおり、私どもとしても、この日本の年金制度というのはすばらしい制度だと思っております。

 特に、年金保険料の上限を決めてある、それにまた、マクロ経済スライドを入れているということで一定のリスクの上限も決まっているということで、これはもう非常に現役世代としても安心できる年金制度になりますし、GPIFの資産の大きさ、ただ、資産の大きさゆえに、市場に与える影響というのはちょっと心配なところがあって、そこは慎重に考えなくてはならないんですけれども、すばらしい資産額を持っておりますので、日本の年金制度はすばらしいものだというふうに考えております。

藤田参考人 まず、私は、資産をどれくらい活用するのかということで、現行、その資産が十分にちゃんと所得再分配に至っているのかということもやはり注目する必要があるかなというふうに思っております。

 この間、厚生年金は、当然、私たちが支払えば、その分、税も含めて返ってくるという形で、非常に、保険料を高く掛けている部分は返ってくる状況にありますけれども、下層の人たち、国民年金であるとか、年金が払えないという方については、その資産がその人たちに分配されないということを意味しますので、だから、資産がたくさんあるから国民が豊かである、国民が安心して暮らせるということはイコールではないということを考えると、十分な資産がある、これは私も本当に有効だと思っておりますので、これをしっかりと低所得であるとか低年金の高齢者の方たちにいかに分配するなり支援を入れていくのかということは、また別の方向で議論いただけたら非常にありがたいなというふうに思っております。

 なお、さらに言えば、年金制度全体だけだと、どうしても年金の支給基準はどうするかという話にもなってきますけれども、年金だけだとどうしても議論が終わらないところもありますので、ほかの社会保障とあわせて検討もいただきたいなと思いますし、引き続き御議論いただけたらありがたいなと思っております。

神野参考人 年金制度だけに関して言えば、先生の御指摘のところがあるかと思います。

 つまり、日本は少し年金制度に対して自信をなくしているというところがあるかと思います。ただ、それは、逆に悪口を言われていて、ペンションステートと日本は国際的に言われておりまして、つまり、社会保障の中で年金だけが突出しているじゃないかという批判です。

 そこで、改革する必要がないかとおっしゃられれば、私は、いろいろな状況に合わせて改革していく必要があると思いますし、さらに重要な点は、社会保障というのは社会保険と生活保護が車の両輪になりますが、それと同時に、これから福祉サービス給付が重要だと思いますので、それぞれの社会保障制度を有機的に関連づけて、体系立てたものにしていくというビジョンを描いて、年金もその観点から見直していく必要があるかなというふうに考えております。

加納参考人 私は、日本の年金制度の問題点としては、やはり非常に大きな格差があるという点が大きな問題だと思っております。

 先ほどの私の意見発表の中でも述べましたけれども、極めて多くの無年金者の方も現実におられる。そして、厚生年金にも大きな格差がありまして、女性ですと、平均すれば月額十万前後という方が多いとか、一方で二十万を超える人ももちろんおられるんですけれども、年金の格差問題と、高齢者または障害の方が必要としている本当の所得保障を達成できていないという点が最大の問題かと思います。

 この点については、日本の年金制度を本当に社会保障の名に恥じない制度とするためには、いわゆる社会保険と言われておりますが、社会原理としての、全体で支える、税金を投入してやるという部分と、もちろん保険料というのもありますが、保険料にはいわゆる使用者側の保険料と労働者の負担の保険料がある、このバランスをもっと、国の税金を投入するという形や、使用者側の、資本の側の負担をふやすという形で、本当に所得再分配をきちっとしたものにしてほしいと思っています。

 ヨーロッパの最低保障年金制度、スウェーデンなんかでも、先ほど言いましたように、最低保障年金制度は全額国庫負担でぴしっと決める。この上に保険原理という所得比例年金を上乗せするということは十分あり得ることと思いますが、ぜひ、この大きな格差をなくすためにこそ年金制度の改革が必要だと思っています。

高橋参考人 まず、日本の積立金が大きい。大きいというときには、百三十兆は大きな数字ですが、年金財政全体からちょっと見てみましょう。

 私はバランスシートというので説明しますけれども、年金のバランスシートを書くときに、左側の資産には将来保険料、それとあと積立金が計上されます。右側の負債には年金債務です。この大きさを見ますと、実は二千兆ぐらいあります。この意味で、左側の資産の方の百三十兆が大きいといっても、たかだか全体の資産総額の五%から一〇%程度です。この意味では余り大きくないです。

 アメリカの話をしましたけれども、アメリカはこの比率がちょっと違いますので、そういう意味では、どっちの年金制度が大きいかというと、多分アメリカの方が大きいんですけれども、資産構成の比率が違うというだけです。

 こういうのをリスク管理の観点から見ますと、積立金には市場リスクがあります。将来保険料と年金債務の方には人口という問題があるんですけれども、実は、人口という問題は資産と負債、両方にあるので、かなりヘッジができます。ただし、左側だけにある、積立金だけにある市場リスクというのは、これは、大きくて、なかなか解消ができないです。ですから、私が先ほど申し上げたような非市場性の話にすれば、ここは圧倒的に市場リスクが減ります。

 ですから、その意味で、日本の年金がすばらしいというのは、私の観点から見ると余りすばらしくないという答えになります。要するに、これが市場リスクの観点です。全額、非市場性の国債にしていただいたら、この市場リスクはなくなるし、マーケットインパクトといって、市場に対する影響もなくなるので、これはぜひやるべきだと思います。こちらの方が年金財政は安定します。

 ですから、その意味では、まだ改善の余地があると思います。

白須賀委員 皆様方、貴重な御意見をありがとうございます。

 私、テニスの松岡修造さんばりにポジティブな男なので、皆様方の御意見を参考にしながら、またより安心なものをつくっていきたいと思っております。

 そして、今回の法案の方に入りますが、平成十六年の制度改正によって、支払う金額が決まりました。つまり、全体の支払うパイというか、よくようかんに例えられますが、その分は決まっております。ですから、今回の法案は、いかに世代間格差をなくして、いかに公平にまず分配するかという観点から考えるならば、今回のマクロスライドも含めてしっかりとした制度をつくることは私は大切だと思っております。

 でも、先ほどさまざまな方から年金収入の少ない方々に対するいろいろな御懸念がございました。

 例えば、この与えられた年金の中で十分生活できる方々もたくさんいらっしゃると思います。でも、その方々に、下の方々に合わせて支給額をふやしてしまったら、先の方々、未来の方々のようかんの部分が減ってしまいますから、本来ここで議論するべきことは、この年金というものをまず持続させて、皆さんに公平に分配しましょうね、その上で、例えば低年金の方々や弱者の方々、無年金の方々に対してどういうふうに手当てをしていかなければいけないかということを、別の、もう一つの観点で考えて議論をしていかなければいけないんですが、どうも厚生労働委員会というのは、全部一くくりにして、年金の枠にしてしまって全部を議論してしまうから議論がおかしくなってしまうと私は思っております。

 ですから、まず最初にやらなければいけないことは、いかに公平に、世代間も含めて、分配をどうするかを考えて、その中で出てきた弱い立場の方々やそこで補填しなければいけない方々はまた違う法律で、みんなで話して、違う財源を持ってくるとか違う手当てをしていくとか、そういう議論をしていくべきだと思うんですけれども、手短に、お時間がないので、五人の方々、よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

井上参考人 御指摘のとおりでございまして、ようかんの大きさは決まっておりますので、将来世代、いずれ現役世代も将来、高齢者になるわけです。そのときの給付水準を同様に確保するためにも、今回のこの見方というのは正しいと思いますし、年金の少ない、生活の水準という面でいけば、それ以外のさまざまな手当てで対応すべきというふうに考えております。

藤田参考人 まず、第一点目で、そのようかんをもう少し、どれくらいあるのか、これを明確に国民の人たちにやはり示す必要があるかなというふうに思っております。本当にようかんはふえないのか、ようかんは縮小するのか、どれくらいなのかということをもう少し幅広く御議論いただけたらありがたいなと思っております。

 私は、税の使い方で先ほど例えられましたけれども、年金は民間の会社の保険とは全く別物ですので、国が運営する所得再分配の役割も非常に大きいものですので、こういった民間の商品から比べて、これくらいパイがあるからこれくらいしか配れないというものでなく、実際にはどれくらいの金額が必要で、どれくらいあれば生活保障、所得再分配機能が高まるのかということをやはり重要視するべきかなというふうに思っております。

 ただ、後半は、やはり年金だけだと当然、おっしゃるとおり、もうパイが限られている、その前提で議論するのであれば、やはりほかの社会保障を整備していくということは当然必要だと思いますので、住宅政策、医療政策、介護政策、さまざま負担が重たいということが当然ありますので、このパイでちゃんと支出して生活ができる、このようかんで人々がちゃんと暮らせるような、そういった制度設計になるということがやはり大事だろうというふうに思っておりますので、このバランスというんですか、これをうまく考慮いただけたらありがたいなと思っております。

神野参考人 先生のおっしゃるとおりだと思います。

 つまり、年金というのは、現在の枠組みに立てば、当然のことながら、世代間の分かち合いであり、世代間の連帯のお金ですから、御指摘のように、負担の方を決めたというと、給付の方で調整せざるを得ないということになると思います。それから、生活保障とかそういったものは、社会保障全体でやっていくものだというふうに私は考えております。

 したがって、社会保険、年金はどういう意義を持っているのかということを明確に考えないといけないと思うんですね。これは、労働所得を高齢退職ということで失った、その代替として支出されるわけですから、それだけで低所得者の生活を保障するというわけにいきません。

 私は、サービス給付と現金で高齢者の生活は保障すべきだと思っておりますし、特に低所得、低所得というよりも生活困窮と言いかえた方がいいと思いますが、生活困窮者の生活については、さまざまな意義のある社会保障制度を有機的に関連づけて守るべきだというふうに考えています。

加納参考人 私は、日本の年金の積立金は、全て合わすと百六十兆円を超える部分があると思いますが、これはやはり、本当の意味で日本の年金制度の維持と年金制度の内容を考えた場合、百六十兆円を超える年金積立金を持っていて、それを株式投資にやっていこうということ自身が非常に危険なことだと思っています。

 本当の意味の所得再分配をきちっとやるためには、今、百六十兆円を超える年金積立金を、先ほどから話が出ていますような、大変な人たちの生活を改善するために、当面、これを給付改善とか、保険料を下げるような形でするということがやはり大切かなと思っています。

 そして、やはり、年金制度は、応能負担、それから必要充足という点をきちっと置いた上で制度を設計すべきだと思っております。

高橋参考人 社会保障制度というのは、財源があるんですけれども、実は、社会保障は全て保険方式で扱われています。

 保険方式というのはどういうことかというと、各人の持ち分権がはっきり言えば確定できます。要するに、それぞれの社会保障の制度について、各人の、個人レベルの持ち分権が実は理論的には確定できます。ですから、そういう持ち分権を持って、その中をちょっと融通するという制度はあり得ます。

 実は、こういう考えのもとに、私は二〇〇一年から、社会保障個人勘定というのを、経済財政諮問会議の場で、私は委員じゃないので、その委員の人に言って提案をしたことがあります。五回ぐらいやりましたけれども、全く相手にされないで没になりました。

 今言ったように、社会保険方式というのは各社会保障の持ち分権があるので、例えば、自分が健康にすごく自信があって、早く死ぬという人は、年金の受給権を避けた方がいいんですよね。要するに、そういうのは、ごく一定の範囲はできます。

 こういうのは実はカフェテリア方式といって、社会保障の持ち分権を個人の段階でちょっと融通するという制度があるんじゃないでしょうか。こういうふうにやると、画一的な社会保障ではなくて、限られた財源で各人のニーズを満たすということは、ちょっとは可能であります。

白須賀委員 参考人の皆様方、ありがとうございました。

 もっと本当は話したいんですけれども、時間が来てしまったので、最後に、今の団塊の世代の方々が七十五歳以上になる二〇二五年、それからの十年、十五年間は恐らく団塊ジュニアの私たちがしっかりと支えることができますが、次の、私たち団塊ジュニアが七十五歳、八十歳、八十五歳になったときに、本当に、支える方々がほとんど、少なくなってきます。

 ですから、今、年金も話し合って、年金を持続性にするためには、本来は子育て政策とか経済対策とかさまざまなこともセットにして考えないと、今回の年金の話というのは絶対におかしくなってしまうので、どうか参考人の皆様方は、いろいろな意見を含めて、そして、年金は安心だ、安全だということをしっかりと皆様方に伝えていただきたいと思います。

 以上です。終わりにします。

三ッ林委員長代理 次に、郡和子君。

郡委員 おはようございます。民進党の郡和子です。

 今、年金そのもののみならず、社会保障としてどういうふうに考えていくのか、徹底的に議論していこうという他の委員の方からの提案があったというふうに思っております。新聞報道等々でも、何やら、きょう採決というようなことも書かれているようですけれども、まだまだ議論は入り口に立っているということだろうというふうに思います。

 きょうは、参考人の皆様方、急な要請にもかかわらず、早朝からおいでいただきましたこと、私からも御礼を申し上げたいと思います。

 社保審の年金部会長である神野先生までもが準備が不足しているというふうなことをエクスキューズせねばならないような事態だということも本当に申しわけなく思いますけれども、この委員会の運びに対して、やはり問題があるんだろうなというふうに私自身は思ったところであります。

 年金の改革ということで、この間、給付額をどういうふうに変えていくのか、新しいルールについて議論をさせていただいているところですけれども、年金制度改革の大事なことというのは、これはもう皆様共通の認識だと思います。老後の生活保障をどういうふうに担保できるのかということと、そしてまた、世代間の公平性をどう担保するのかという、このことなんだと思います。

 今般、私ども、いろいろ議論させていただく中で、なぜかこの委員会で、紛糾続きというふうに申し上げると参考人の方々にも申しわけなく思うんですけれども、なかなか厚労省から納得できるような試算というのが出てまいりませんで、今般のこの制度設計というのが、年金給付の抑制を強化するものでありまして、年金額を増額していく法案ではないわけであります。

 給付を抑制していくということであるならば、今の高齢者の皆様方、そしてまた、これから高齢世代になられる方々を含めて、どういう水準になるのか、それをしっかりと示していくのが国会の場であろうというふうに思っているわけであります。

 先ほど、部会長の神野先生、最低保障機能についてちょっとお話しされておりました。

 今の年金支給額基礎部分は、基礎的消費支出七・二万円で、基礎年金の水準が六・四万円ということで、厚労大臣は、おおむね賄えるというふうに、この間ずっと答弁されています。しかし、七・二万円であり、年金の額は六・四万円ですから、基礎的消費するには年金が足りていないということは明らかなわけなんです。

 この最低保障機能について、私は、どうも配慮が足りないんじゃないかというふうに考えているわけですけれども、この点について、神野委員、先ほどちょっと言及がありましたけれども、どのようにお感じになっていらっしゃるのか。また、年金部会でも、今後の課題ということで、このことについていろいろ議論があったというふうに承知しておりますけれども、お話しいただけますでしょうか。

神野参考人 先ほども申し上げましたけれども、そもそも年金というのは賃金代替である、賃金を正当な理由で失ったときの代替であるというふうに考えていいかと思います。

 それで、それとは別に最低保障年金というのをつくると、通常の場合、生活保護の水準等を考慮しながら考えていくというのが国際的な考え方だろうと思っております。その場合には、普通は、私の理解している限りであれば、租税資金を導入する。したがって、日本のような制度でいけば、社会保険料とそれに租税を組み合わせていくわけですが、それをどういうふうに組み合わせていくかということから決まってくるだろうと思っています。

 それから、そういう意味からいって、年金における最低保障水準というのは、私の理解では、生計費、口にするものと身にまとうもののお金を保障するということを原則として考えていくべきだろうと思っています。というのは、ほかの、つまり、住宅とかさまざまな高齢者に対するサービスとセットで生活を見るということを考えていけば、他のものについては、そういうサービスを充実させていくということだろうと思います。

 つまり、財源があったときに、生活困窮者を救済していくのに、どこにどういう財源を配ったらいいのかという問題を含んでおりますので、つまり、基礎年金を多く上げていく方が生活困窮者を救済する有効な手段になるのか、現在の状況のもとで。いや、ほかの政策に財源を投入した方がいいのかということをも含めて考えていく必要があるだろうというふうに思っております。

郡委員 ありがとうございました。

 藤田委員にお尋ねをいたします。

 私も、この「下流老人」という、大変センセーショナルな言い方だったものですから、気になって読ませていただいております。

 今、高齢者も含めてですけれども、日本には貯蓄ゼロ世帯が急増しておりまして、三割あるいは四割に達するぐらいの数字を出している調査も出ているようです。そういう中で、国民年金、公的年金、恩給等々、これに頼って高齢者が生活をしている、これは五五%にもなっているという、これらを鑑みますと、やはり貯蓄もなくて年金でしか生活できない、そういう世帯がまだまだ多いということ。それから、この本の中でも言及をされておりますけれども、若者の世代に非正規雇用がふえていることに対して大きな心配をされている旨が伝わってまいります。

 この辺について、少し詳しくお話しいただけませんでしょうか。藤田委員にお願いいたします。

藤田参考人 今御指摘のとおりで、私も、「下流老人」という本を出版しながら、非常に警鐘を鳴らしているという現状にあります。

 何にまず警鐘を鳴らしているかといいますと、先ほど先生おっしゃったとおり、今、現役の高齢者の方たち、現代の高齢者の人たちがまず生活ができない状況にあるということです。今の高齢者の方たちは、少なくとも、高度経済成長期を生き、ある程度雇用が安定し、社会保険料もちゃんと納めていた世代。その世代が、今、これくらいの高い貧困率で、なおかつ十分な年金をもらえずに苦しんでいるという状況です。

 ですので、私たちの年代、例えば四十代以下、団塊ジュニア世代ということを考えてみれば、今おっしゃったとおり、健康保険料未納もそうですし、社会保険料未納ということが非常にふえてきているという状況ですので、実態としては、これから年金を受給するだろうという世代の人々の年金金額が相当下がっていくだろうということは、想像にかたくないかなと思っております。

 私たちのもとには、既に年金を未納している、あるいは、これは企業で本当は厚生年金に加入させていかないといけないんだけれども、そういうふうな加入をさせていないというケースとか、さまざま現場では見られております。ですので、私も同じような危惧を抱えながら本を出版することになって、なおかつ現状としてはかなり厳しい状況にあるので、今後も、年金不信ということになると、若い人たちが積極的に年金保険料を納めないというケースも今度は出てきますので、本当に安心、安全ということを掲げて、保険料をちゃんと払ったらちゃんと将来もらえるんだよということで、安心なんだよということをぜひアピールいただきたいし、拡散いただけたらありがたいなと思っております。

郡委員 そういう意味での厚労省、役所から出てくる試算について、私たちは、非常に甘々な見通しに立った、そういう試算ではないかというふうに考えておりまして、ここもちゃんとした調査が必要ではないか。そして、財政検証にしても、五年ごとの財政検証があるわけですけれども、今回の法案については、施行が、まだ次の財政検証の先になっているんですね。このことについても、次の財政検証を見た上でやっていくべきではないかというふうなことも申し上げているんですけれども、この点については、神野委員は、これ以上、政府が示しているような賃金の上昇率がマイナスになるような可能性も含めて、正直に検証していくべきだというふうに私たちは思っているということについて、どのようにお考えでしょうか。

神野参考人 私どもでも、部会の方の議事録等々をお目通しいただければわかりますように、さまざまな観点から議論をいたしておりますが、この点については、見ていただければわかりますが、そう大きな問題というか、指摘はなかったというふうに了解をいたしております。それが全体の部会の雰囲気だったというふうに理解しております。

 この手の予測、計算というのは、期間が長くなるほど外れます。前提条件が狂ってくるからですね。先ほど申し上げましたように、私たちは、さまざまな制度を転がしていくときに、重要なのは、それを支えるクリマというか、精神的な問題が重要であって、思いもかけない事態が起きたときに、それに全ての人々が団結して対応できるということの方が重要だというふうに思っております。

郡委員 私、これは大変、私見というふうに言ってもいいのかもしれません、百年安心と言われた年金制度ですけれども、この間もいろいろな見直しが行われてきて、適用拡大も含めて対応しているわけでありますけれども、しかし、制度の維持ということに重きが置かれて、それこそ年金の機能である老後の生活をしっかりと支えていくための資金に、それではなり得るのかどうか。つまりは、大げさかもしれませんけれども、将来、一円ずつでも年金が支給できていればこの制度は大丈夫なんだ、ちゃんと保たれているんだ、破綻はしていないんだ、こういうことになっては困るわけで、この点について、もっともっと議論していかなくてはいけないというふうに思っているわけです。

 またちょっと繰り返しになりますけれども、もう既に年金だけでは生活をできていないという高齢者が生活保護を受給していて、これが六十五歳以上の高齢世帯の五一・三%を占めたという、これもまたしっかり考えていかなくちゃいけないな、そういうふうな数字も出ているわけですけれども、それこそ、求められる年金像、あるいは老後の安心ということについて、先ほど来、年金のみならず、さまざまな分野で考えていくべきだ、そういうお話もございましたけれども、その点について、お一人ずつお話をいただければと思います。

井上参考人 さまざまな分野、年金のみならず、例えば生活保護もそうでございますし、新たな年金生活者に対する給付金、あるいは医療、介護の保険料の負担軽減、こういうものも全部セットで考えながら、退職後の生活の安定というものを考えていくべきだというふうに考えております。

藤田参考人 まず私も、おっしゃるとおり、年金だけだと人々の暮らしは成り立たなくなっていくだろうということは容易に想像をするところかなと思っております。

 ですので、所得はちゃんと年金で、足りないものは生活保護制度がちゃんと補うというんですかね、現行は生活保護がちゃんと機能していないという状況ですので、まずは、どれぐらいの所得にある方は生活保護を年金と併給して受けられるんだよということを指し示すことも大事であろうと思いますし、なおかつ、生活保護制度を受けられない方もたくさんいらっしゃいますので、生活保護が非該当になるということであれば年金だけで生活しなければならないということになりますので、その部分は当然、おっしゃるとおり、家賃がどれくらいかかるのかとか、光熱水費がどれくらいかかるのかということで、ヨーロッパ各国だと、いわゆる脱商品化政策と呼ばれていますけれども、そういった、必要な商品を年金とか支給される現金で買わなくても初めからそろっているような、家であるとか、医療であるとか、介護であるとか、そういったものの負担を軽減していくということは当然検討されてしかるべきかなというふうに思っております。

神野参考人 これも繰り返しになりますが、金銭的な収入だけでは生活の困窮度というのははかれないんですね。カルドアという有名な経済学者が、所得はマイナスなのにマハラジャのような生活をしている人がいるということで、新たな税金を提案したりするわけです。つまり、財産を食い潰して生活をするということもできるので、ストックの面等々を考えなくちゃいけないということですね。

 したがって、貧困問題、つまり、私は、生活困窮という問題には極めて深刻な問題があると思いますが、この問題は、むしろ、所得の保障と同時に、社会的な孤立の問題をどうやってクリアしていくのかというようなことを含めて、サービス給付等々の問題を考えていかなければならないだろうと思っています。

 私は、例えばベーシックインカムというような考え方で、所得、お金さえ保障してあげればいいんだという考え方には賛成できません。なぜなら、生活困窮というのはさまざまな条件でなっていくんです。個別に違うんですね。障害を負っていたとか、心の病を負ってしまったとか、さまざまな要件でなっていくんです。個別の事情に対応してさまざまなセーフティーネットを張っていかないとクリアできない、年金だけで全部できるというような話ではないと思います。

加納参考人 私は、現実に深刻な貧困問題が高齢者においてもあると。

 先ほどお話ありましたように、貯蓄ゼロの世帯がどんどんふえている。高齢者はもちろんですが、現役の労働者も貯蓄はほとんどないという方がおられる中で、やはり今、何をすぐやらなあかんのかという点につきましては、先ほどから生計費とか基礎生活費の問題がありますが、現実の中で高齢者のお話を聞くと、やはり年金額、年金は受けているんだけれども、医療費や住宅費がどんどんふえていく、こういうふうな現実の中で、今、当面やらないといけないのは、やはり最低限度の生活部分を、今必要な所得保障を年金でやるというのはやはり必要だと思っています。

 現実に生活保護がきちっと機能していない中で、生活保護があるからいいじゃないかということにはならない現実、これを見ないとだめだと思いますので、私は何でも金額だけでやればいいと言うつもりはないんですけれども、現実に医療費や住宅費やその他のものが多くなっている中で、今、当面、最低保障年金が絶対必要だと思っています。

高橋参考人 もちろん、年金制度だけで全て解決するということは全くないです。ですから、いろいろな諸制度をあわせて対応するということになります。

 先ほど私は、カフェテリア方式といって、社会保障の中で、裁量を持って、ある程度個人で分けられるということも言いましたし、それと、あと、政府がどの程度の社会保障サービスを提供できるかということを示すというのが多分一番最初に重要だと思います。その一環としまして、実は年金の定期便というので、私はちょっと役所にいるときやらせていただきました。これは、どれだけもらって、どれだけ将来実は政府の方が払うかということを言うわけですね。

 こういうことを言わないと、社会保障制度全体で対応するとか、いろいろなきれいごとを言うんですけれども、実際は個別の話がすごく大きくて、個々、個人、大分違いますので、政府がそのような個人に対してどのような社会保障サービスが提供できるのか。このねんきん定期便の趣旨をほかの社会保障制度にも広げていただいて、その上で、個人が老後とかいろいろな生活設計ができるようにするために政府が情報提供、情報提供といっても、こんなのは政府の責務をただ言うだけですから、大した話じゃないんですけれども、こういうのをやっていただいて、それで、いろいろな制度をあわせて、個人がしっかりと自分の設計をできるようにしてもらいたいと思います。

郡委員 ありがとうございます。

 きょうは、加納委員からいただいた資料でしょうか、社会権規約委員会から日本に対して、年金制度に対して最低保障年金を導入するように求める勧告が改めて繰り返されている、この資料も入っておりましたけれども、やはり私は、年金の最低保障機能という、これをちゃんと担保できる、そういうような抜本改革が必要だというふうに思っているわけです。

 こうした抜本改革がないままに、単に年金給付を抑制して、そして年金財政のバランスをとって世代間の公平性を保つんだというふうなことばかりに議論が行っていますと、かえって、いろいろ御指摘があった、生活保護世帯をふやしたり、あるいはまた若年層の皆さんたちの年金に対する信頼、これを損ねることにつながりかねないというふうにやはり申し上げて、まだまだこの議論をしっかりとやっていかなくちゃいけないという思いを強くしたということを申し述べて、質問を終わらせていただきます。

 参考人の皆様、どうもありがとうございました。

三ッ林委員長代理 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 公明党の伊佐進一です。

 本日、五人の参考人の皆様、本当に示唆に富んだお話をいただきまして、ありがとうございます。

 限られた時間でございますので、全員に質問できないこともあるかもしれませんが、御容赦いただければというふうに思っております。また、そういう前提で質問させていただきますので、お一人お一人、別に簡潔にとは申しません。思いのたけをみっちりとぶつけていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、井上参考人に質問させていただきます。

 短時間労働者への厚生年金拡大という点についてなんですが、今回の年金の法案というのは五項目あるわけでございます。私も地元でこの年金の話についていろいろと説明をさせていただきますと、大体一番関心があるといいますか、質問があるのは、実はこの厚生年金の拡大の話なんです。

 先ほど加納参考人もお話しいただいた、まさしく現場の声というところの中にも、非正規の労働者で、非正規で働いていてなかなか厚生年金がもらえなかった、基礎年金だった、こういうお声もいただきました。そういう意味では、今回、短時間労働者の皆様に対しても厚生年金を拡大していくんだ、百三十万円の壁というのを、いわゆるこの壁を取っ払って、より皆さんに乗り越えていただいて、ただ、そのときに、よく現場の皆さんから聞くのは、いやいや、手取りが減るやないか、減ってしまうじゃないかというお声です。

 これは、意図するところは、この百三十万の壁があって、なかなかそれ以上働かなかった、あるいは働けなかったという方々が、この壁が手前に来ることによって、ではもっと働こう、会社ももっと働いていただこうと。結局、働く時間がふえて、最終的には手取りがふえるんじゃないか、こういう意図もあるわけでございまして、そういう意味では、大企業の皆様は既に十月一日からこれは実施されているわけです。

 いよいよ今回の法案では、中小企業の皆さんも、労使の合意によって、こうしたやり方、新しいルールを採用するかどうかということになるわけですが、まず井上参考人にお伺いしたいのは、まだ一カ月なので、現場がどういう状況かというのはまだ情報が集まってきていないかもしれませんが、そういう場合には、今後、どういった企業活動として、より働いていただくことになるのか、この辺の予測について伺いたいと思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

井上参考人 経済界といたしましても、少子高齢化が進行していく中で、労働力というのは経済活動の基礎でございますので、これを確保するということは非常に重要な課題でございます。

 その意味で、今回の法案で五百人以下のところにも適用拡大したということは、多様な働き方を推進する、あるいはそのための働き方のセーフティーネットを整備する、さらには、女性にさらに活躍をしていただくという面で、非常に新しい方向であろうというふうに思います。

 今回の労使合意に基づく適用拡大というのは、非常に意義の大きい見直しだというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 次に、藤田参考人に質問させていただきたいと思います。

 藤田参考人、きょうのお話も伺って、また、藤田参考人が書かれたさまざまな書き物も読ませていただきました。その中に、経済成長にとっても社会保障が重要なんだというような御提言を、御意見を述べておられました。つまり、その意図するところは、当然、社会保障、ここが安心であれば、より消費も進むでしょうし、先を見通せるということじゃないかと思います。

 確かに、ヨーロッパで景気後退期に社会保障をしっかりと厚くしていった例もあるというような意見も述べておられましたが、同時に、社会保障を充実させるためにも経済成長が大事だというふうにも言えるというふうに思っております。

 そういう意味では、社会保障なのか、景気対策、経済なのか、どちらかというんじゃないと思っております。つまり、景気対策、経済対策と、こうした社会保障のさまざまな制度をしっかりと構築していくということは車の両輪だというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

藤田参考人 もう本当に、まさにおっしゃるとおりだと思っております。両輪だと思っております。

 ただ、問題は、経済成長しなければ社会保障の財源がないという状況ですね。そうすると、当然、経済成長メーンで、経済成長を追うことになりますので、逆に言えば、経済成長しなければ、賃金、インフレ、達成できなければ、当然、社会保障の財源が縮んでいくというんですか、この間も、社会保障等の議論を見ている限りだと、ずっと縮んでいる。どうやって縮んでいるパイを分け与えていけばいいか、なおかつ、さらに自然増を減らそうということで、こっちに抑制をかけるというんですか、だから、経済が縮小すれば、こちらの社会保障は縮小するんだというふうに考えられておりますので、その点はやはりもう少し社会保障を手厚くして、消費が全然喚起されていませんので、両方のエンジンをバランスよく見て出していくということがやはり今後も必要じゃないかなと思います。

 これはよく、社会保障政策、福祉政策に財源を入れると経済政策が低迷するというか、経済活動が低迷する、増税すると低迷すると言われていますけれども、実際には、学説的にはそういった根拠というのは余り見られておりませんので、なのでバランスよく、やはり社会保障を見ながら、時宜に応じた形ですか、そういった経済政策、経済支援、社会保障の政策が必要かと思っております。

伊佐委員 経済と社会保障というのはしっかりバランスよく進めていくのが大事なんだということでございました。

 次に、神野参考人にお伺いをしたいと思います。

 年金部会の中で、先ほど御紹介いただいたこの議論の整理、これは昨年の一月だと思いますが、その整理の中で、マクロ経済スライドによる調整が極力先送りされないように検討するのが必要だというふうにその議論の整理の中で書かれていらっしゃったと。その中で、これはもともとは、ほぼ同じ表現で、民主党政権下の閣議決定の中で、社会保障と税の一体改革の大綱の中で同じような表現があると。現行のマクロ経済スライドの方法というのは機能を発揮できないんだ、見直しの検討が必要だというような議論、こういうことが書かれております。

 その中で、これは今回の法改正の中では、その回答としては二つ、主に、この点に関しては二つ提示をしているわけです。一つはキャリーオーバー。マクロ経済スライドを発動できないときに、キャリーオーバーで後々発動しましょうというのが一点と、もう一つは賃金スライドの徹底ということでございました。

 ただ、一部、この国会の審議でも議論がありましたのは、キャリーオーバーはオーケーだけれども、賃金スライドの徹底はだめだという御意見です。ただ、さっきの閣議決定の話あるいは神野参考人の示していただいた議論の整理、この示された問題意識に応えるという観点からすると、キャリーオーバーだけではだめで、やはり賃金スライドの徹底というものも重要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

神野参考人 重要だというふうに考えております。それで、私どもの論点整理を読んでいただいたかと思いますけれども、先送ると、問題の解決がどんどんどんどん困難になるということですね。

 特に、御質問いただいた、物価と賃金のどちらをやるかという問題に関して言えば、主として議論で心配していたのは、基礎年金部分の問題です。そちらがやはり将来悪くなる一方になっていくという問題をクリアしようということで入っています。

 それともう一つ、この方式をとる限り、重要な点は、これは世代間の連帯ですので、現役世代が賃金の低下で苦しんでいるときには、当然のことながら、年金の世代も同じような苦しみを分かち合うというのが原則だろうと思っておりますので、そこについては早く入れて、次の将来世代のためにも禍根を残しておかないというふうに考えております。

伊佐委員 この点について、もう少し掘り下げて質問したいと思いますが、井上参考人に質問したいと思います。

 まさしくこのマクロ経済スライド、さっき言った二つの回答ということについて、基礎年金しかない方々への影響という話もありました。もう一つ、多分影響があるのは、経済に対する影響。先ほど、社会保障と経済というのはしっかりとバランスをとってやらなきゃいけないというような御意見もいただきましたが、では、このマクロ経済スライドによって経済に与える影響はどうか。

 井上参考人は、冒頭の陳述の中でおっしゃっていただいたのは、現役世代の不安を取り除く点で非常に重要だという点、あるいは持続性を確保するというところで評価するという点でございました。こういった観点から、今回の法案の、特にマクロ経済スライドのここの部分について、日本企業の経済活動にとってプラスなのかマイナスなのか、この点について伺いたいと思います。

井上参考人 目下の重要課題、デフレ脱却、GDPをふやしていこうということでございますけれども、この中で最も我々産業界として気になっているのが、消費がなかなか伸びないというところでございます。その大きな原因の一つとして、若年層、現役世代の将来不安というのがよく言われます。年金制度だけではありませんけれども、今回のような制度を導入することによって、将来に対してツケを回すという部分を修正していくということで、少しでもこの不安を解消していくということは、非常に意義の大きい、経済活動にとっても意義の大きい改正だというふうに考えております。

伊佐委員 ありがとうございます。

 次に、最低機能保障、ここも国会でよく議論になったんです。ずっと議論になったところですが、年金だけで生活をカバーできるのかどうかというような議論でした。

 基礎年金というのは、生活の基礎的部分をおおむねカバーすると。さっきも、おおむねの議論になりました。これも国会の審議の中でも、では、おおむねというのはどれぐらいなんだ、幾ら以上がおおむねなんだとか、こういう議論になってしまうわけですが、そもそも、きょう、多くの参考人の皆さんもお話しいただいたとおり、ここは年金だけじゃないんです。現金給付と現物給付、これをさまざま組み合わせていく中で、いかにこうやって生活を支えていくかということが大事だというお話でございました。

 そういう意味では、現物給付である医療や介護や、こういったところのサービスを削ってお金をふやして、このお金で何とかしてくれ、これは余り意味がない、本来の趣旨に反するということだろうというふうに思っております。それは、もちろん現金給付も多ければ多い方がいいわけで、ただ、さらに重要なのは、当然、現物給付をいかにしっかりとしたものにしていくかという観点も非常に大事だというふうに思っております。

 その点で、先ほど神野参考人もお話しいただいたとおりで、支え合いの観点から、最低保障年金という考え方はちょっと、この考え方でいくと少し違うのではないかというお話をいただきました。さらに突っ込んで質問させていただきますと、では、今の現物給付と現金給付のバランス、日本のバランスというものは今どのような状況かということについて御所見をいただければと思います。

神野参考人 現物給付と現金給付ということに関して言えば、先ほども申し上げましたけれども、日本は、余りにも現物給付がみすぼらしい、それに対して、年金とか社会保険について言えば、そういう現物給付に対しては充実しているというふうに言っていいのではないかと思っております。

伊佐委員 この点について、藤田参考人にもお伺いをさせていただきたいと思います。

 藤田参考人も、さっきのお話の中で、ほかのサービスとセットでというふうにおっしゃっていただきました。

 書かれた中で、私、本当に感銘を受けたのは、こうした現物給付、いわゆるサービスについても、サービスがあるのに受けられない、あるいは受けない方がいらっしゃるということを書かれておりました。年金をもらっていると生活保護が申請できないんじゃないかというような話、さっき御紹介いただきましたとおりで、追加で足りない分というのは申請できるわけで、こういうところがなかなか、知らなかったりとか、あるいはちゅうちょされたりとかという場合があると。

 あるいは、もう一つ書き物の中で紹介されていたのは無料低額診療施設。これは、無料であったり、あるいは低額で診療が受けられる、そういう病院がありますよということで、当然、診察数に応じて病院は優遇措置を受けているわけですから、こういう制度も用意されていると。ところが、これも知らない人が多い。

 こういう中で、こうした現物給付に対してしっかりと、藤田参考人は受援力という言葉を使っていらっしゃったと思うんですが、こういうものを受けようという力というか、これが大事だということをおっしゃっておられました。この点について、もう少し御紹介いただければと思います。

藤田参考人 まさに御指摘のとおりでして、日本の方が、一応、社会保障はそれなりに整備されているという状況で、ただ、その社会保障がちゃんと受けられているかどうか、ちゃんと受益を受けられているかということが大事かなと思っております。一応、これはいろいろな制度、あらゆる制度が用意されています、では使ってくださいねで、では、それで使えているかという検証が本当は必要だと思っております。

 この最たるものは生活保護制度で、その捕捉率といえば、大体一〇%から三〇%ぐらいということで、生活保護制度はほとんど、専門的にはスティグマ感と呼ばれていますけれども、恥辱感があって、年金を受けている、働いている、あるいは子供がいていじめを受ける可能性があるという場合には、差別的、偏見を受ける可能性もありますので、なかなかその制度の利用に至っていないという方が非常に多いという状況です。

 一般的に言うと、年金はちゃんと払っていれば受けられるという感覚がありますし、児童扶養手当、児童手当も同じような感覚を持っていますけれども、生活保護制度もそうですし、あるいは介護が必要なときには介護保険制度も、なかなか恥ずかしくて相談できないということであるとか、だから、制度があればそれでオーケーだ、十全に機能しているとはなかなか言いがたい現状がありますし、実態としては、情報がない、恥ずかしい意識があって、私たちが付き添わなければその制度が受給できない、受けられないということもあるかと思っております。

 そういった意味では、私たち専門家としては、ソーシャルワーカーを含めて制度を利用しましょうということで、本人に、助けてもらっていいんですよとか、支援を受けられるんですよという促しをしておりますけれども、この点については、まだまだ引き続き広報等が足りないでしょうし、まだ自分自身が、どんな制度が活用できれば救われるんだろうかということも十分伝わっていないかと思っております。ですので、これは専門家から見ても非常に複雑多岐にわたる社会保障制度ですので、これは本人に全て自分で選べというのは本当に難しい状況かとは思っております。

伊佐委員 支援も受けてもいいんだよというような思いを持っていただくということと同時に、今、広報だというお話をされました。

 確かに、これは、私もこの厚労委員会でいろいろな質疑をさせていただいていますと、年金で、あるいは生活保護の話をされましたが、それだけじゃなくて、例えば就労支援でも、いろいろな制度を国が、政府が、厚労省がやっていても、制度はあるのに、これの使われ方、使用率というのが物すごい低いというのが幾つかあるんです。こういうものは、やはり、せっかく制度をつくるのであれば、それに見合った同じだけの広報をやっていく必要があるなというふうに私も思っております。

 もう一点、伺いたいと思います、神野参考人に。

 年金は支え合いだという話がございました。年金というのは支え合いで、本来家庭内のものを社会化しているんだという話で、非常に大事だということでありましたが、ただ、今、財政との兼ね合いで、どうしても、例えば毎年自然増は社会保障は一千五百億以内に抑えなさいという話もあって、神野参考人がちらっとおっしゃっていたのは、書かれていたのは、社会保障費の抑制というのは結果であっても目的であってはならないんだということをおっしゃっておりました。その点について少しだけ言及をいただければと思います。

神野参考人 年金を含めて社会保障制度というのは、私は丈夫にした方が経済も発展するという考え方に立っております。

 第二次世界大戦後、世界の国々が福祉国家を目指しましたが、これは、社会保障の支出額と経済成長がリンクするから、世界の先進諸国は福祉国家を目指したんですね。ただ、途中でというか、一九七三年の石油ショックを契機にしながら、これはうまくいかなくなりました。社会保障等々は切られていったんですが、これは、第二次世界大戦は重化学工業化の時代だったんですけれども、それ以降は新しい産業をつくり上げていく時代になったわけですよね。

 私の考えでは、セーフティーネットというのは、サーカスの空中ブランコや綱渡りで演技をしている人がおっこっても死なないように張ってあるネットのことですので、このセーフティーネットとしての社会保障を強めないと、アクロバットの演技をしてくださいねというときにアクロバットの演技をしなくなってしまう、つまり投資も進まなくなるんですね。

 つまり、セーフティーネットが張ってあると、おっこっても安心するよといってやる気を失うんじゃないかという考え方もありますが、私は、現在はむしろ冒険的な投資をしなくちゃいけない時代なので、冒険して失敗しても大丈夫よということをやるということが重要だというふうに思っています。

伊佐委員 ありがとうございました。本日、非常に勉強させていただきました。

 今回の年金の法案、もちろん年金制度というのは、今完璧なものでもありませんし、これを時代とともに、その都度その都度、修正を加えていく必要があると思っています。その上で、皆さんおっしゃっていただいたとおり、今の社会保障というのは、いろいろなものを組み合わせて何とか生活を守ろうというものでございまして、年金についても、当然議論はあっていい、抜本改革ということも議論もあっていいと思います。ただ、その上で、だからといって、今すべきことを先送りしていく、どんどんどんどん後に送っていくということはやっちゃいけない、避けてはならないというふうに実感をいたしました。それが今回の法案だというふうに私は実感をさせていただきました。

 以上、終わります。ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文でございます。

 きょうは、皆さん、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。限られた時間ですので、早速質問させていただきたいと思います。

 まず初めに、藤田参考人にお伺いしたいと思います。

 今回の法案を、政府は、将来世代の年金の確保のためだ、こう言って説明しております。しかし、よほど経済状況がよくならない限り年金は下がるということは確実ですし、経済状況がよい場合でも、マクロ経済スライドが発動されてカットされていくという仕組みであります。それによって改善されるという中身も、マクロ経済スライドの調整期間、短縮はわずか一年、所得代替率の上昇効果も〇・三%だというのが政府の答弁でありました。

 若い世代の中での問題ということでいいますと、藤田参考人自身も著書などで指摘をされていますように、低賃金、非正規雇用が広がっていく。むしろこれは、無年金、低年金予備軍が広がっているじゃないか、大量につくられているというのが実際だと思います。この解決こそ将来世代の年金のためにも急がれると私は思っております。

 若い世代のためにという今度の法案で、若い世代の皆さんのこうした問題の解決の寄与になり得るんだろうか。先ほども少しございましたけれども、そういう問題と、それから、こうした高齢者と現役世代を何か対立させるような議論のあり方について、御意見がございましたらお聞かせいただきたいと思います。

藤田参考人 そうですね。まず、私は今現在三十四歳なわけですけれども、団塊ジュニア世代よりも下の世代です。実際には、この間、経済の状況によってだと思いますが、現役は今の高齢者の方よりも相当金額が下がるだろうということがあらかじめ見通しとして立っておるわけですので、この状況で私たち世代が年金をどう見るかということを考えれば、高齢者はもらい過ぎだよという感覚が出てきたりとか、あるいはもう少し下げろという感覚が出てくるというのは、若者の率直な感想なのかなというふうに思っております。

 ただ、問題は、今の高齢者の年金を下げて、では若者が救われるかというと、もう先生おっしゃるとおり、そうならないだろうというふうに思いますし、そういう保証はもう全くないでしょうし、そもそも、百年安心という中で、わずか十年くらいでこの状況だと思いますので、現状としては、年金制度全体に対する国民の信頼が揺らいでいるという状況を思えば、若者にツケを回さないというその言葉自体も、私はちょっと飛躍があるのかなと思わざるを得ないということは思っております。

堀内(照)委員 同じことを加納参考人にもお伺いしたいと思います。

 これは陳述の中でも、藤田参考人からも、将来世代のためと言いながら、今の皆さんの年金をカットするということは、現役の、現在の家族にツケが回るということになるじゃないかということもありました。そうした政府が将来世代のためと言っているこの議論について、どうお考えなのか。

加納参考人 社会サービスを含めて医療費や住宅問題が大変なときに現実の年金水準が非常に低くて大変だということは、いろいろ話をされていました。その中で、年金の役割として生活の基礎的な部分を持つということで、いろいろなやりとりがありましたけれども、現実に日本の基礎年金と言われているものは、四十年きっちり掛けて六万五千円という水準であって、例えば、いろいろな事情で二十年しか掛けられなかったとか十五年しか掛けられなかったという方の基礎年金はどんどん下がっていく、いわゆる底なしの低水準の構造になっているという点が最大の問題であって、これをきちっとしたものにするためには負担と給付の関係が必要だという、そのとおりなんです。

 いわゆる世代間の助け合いということを大きくは言いますけれども、ただ、今一番問題は、世界でもいろいろ言われていますように、大企業を含めて一%の富裕層と九九%の貧困化していく庶民との対立ということであって、本当に所得再分配を考えるならば、この富裕層の部分と一般層との格差が広がっている原因が何か、これを所得再分配せなあかんという点が社会保障としての所得再分配の最大の問題点だと思っています。

 以上であります。

堀内(照)委員 同じく加納参考人にお伺いしたいと思います。

 参考人からは、今の年金では生存権が保障されていないという指摘がございました。年金で暮らしが賄えるのか、今もずっと議論がありましたけれども、大臣が、国民年金については、年金で全てを賄うことは難しく、ある程度の蓄えをお願いせざるを得ない、こう言っているわけです。率直にどうお感じになるかということをお聞かせいただきたいと思います。

加納参考人 今おっしゃった点について言えば、確かに、基礎年金だけでどうなのかという点はいろいろ言われていますが、現実に生活保護がきちっと機能していない中で、みんなが老後を基本的に安心して暮らすためには、社会的なサービスを充実するのはもちろん当然ですけれども、やはり最低限度の所得保障を年金制度に持つということが一番現実的なことではないか。

 先ほどスウェーデンの例も言いましたけれども、スウェーデンも、最低限度の生活に到達しない年金の方にはプラスの最低保障年金制度を渡すことによって高齢者の生活は安定をする。生活保護に類似する制度は、原則的には現役の労働者または現役世代を対象とするのが基本的な仕組みであって、例えば、障害のある方については、障害であるということで、一定の水準はありますけれども、それをきちっと社会的に保障しよう、高齢者については、高齢であるということで一つ社会的に支えるということは必要だと。

 ということで、もちろん、社会サービスとのバランスということがありますから、一律に今幾らという、機械的に将来決める必要はないんですけれども、そういう仕組み、本当の意味での最低保障の仕組みをつくることがぜひ必要だと思っております。

堀内(照)委員 もう一問、加納参考人に。

 その社会的サービスの方も今、医療も介護も、負担もふえ、給付も減っていくという状況であります。逆に高齢者の暮らしを脅かすような状況になっているんじゃないかと思うんですが、その点の実感といいますか、お聞かせいただきたいと思います。

加納参考人 まさに、私、年金者組合でいろいろな高齢者の生活問題また相談を受けておりますが、やはり年金受給者の最大の、最大といいますか、今現在、将来不安の大きな点は、負担、いわゆる医療費がどんどん上がっていく、介護保険料が上がっていく、住宅の家賃も払っていく、そして消費税がまた一〇%になるんじゃないか、こういうことで、今の水準の年金でも将来を見通すと先が見えないという不安は非常に深刻に受け取っております。

 そして、今出ているような年金の水準を下げるということについて、そういう社会サービスが全然できていない中で下げていくということは本当に許されないことだなというのが私の実感であります。

堀内(照)委員 ちょっとこれらの問題について藤田参考人にもお伺いしたいと思っています。

 NPOの活動も通して、高齢者の生活実態というのをさまざまに見てこられたんだと思います。蓄えも含めてという大臣の答弁も先ほど紹介いたしました。しかし、蓄えが多少あっても、藤田参考人の著書なんかを読みましたら、それこそ医療の不備、介護の不備ということで、病気など一たび何かあれば、もしくはお子さんも含めて家族に何かあれば、あっという間に貯蓄、蓄えも底を尽きて貧困に落ち込むということなんだと思います。

 蓄えも含めて何とかせいと。今、社会的にも支える他の医療や介護の制度がそれだけなかなか助けにならないという中で、蓄えということだけにはいかないということにもなると思うんです。そういう中、自己責任で済ませてしまっていいのかなと思うわけでありますけれども、その点いかがお考えでしょうか。

藤田参考人 そうですね。まさに本当におっしゃるとおりで、いろいろな世帯があります。

 実際には、蓄えがたくさんある世帯もあれば、もう全くないという世帯もあって、どちらかというと高齢者世帯は二極化されているという状況で、当然お金がある世帯もたくさんあるんですね。

 そちらは、年金を幾らもらおうが、それこそ数千円、数万円下がろうが、余り関係ないという世帯も当然あるかもしれないですが、問題はこの一番下の層が非常にふえてきているという状況で、私はそちらの方を危惧しております。今や貯蓄ゼロ世帯が高齢者世帯で一六%程度あって、この貯蓄ゼロ世帯がふえてきているという状況をどう見るかということです。

 これは、一億総中流社会であって、貯蓄が形成しやすい、あるいは確実性がある社会というんですか、大体将来が多くの場合展望できる、多くの方が、それこそ日本の福祉国家モデルと言われますけれども、男性正社員で、奥さんはパート、アルバイト等で支えて、子育てをして、家事、育児ができてみたいなところで、そのモデルが非常に崩れている社会ですので、その状況に応じて、本来年金はどうあるべきかということを考えないといけないので、だから、ためておいてくださいということが、貯蓄ができる世帯が実際には減ってきているということが今の現代社会であろうと思っております。

 できれば、貯蓄をふやす、できやすいような支出を下げる政策、現物給付策、先ほどから出てきますし、あるいは現役時代にちゃんと働いて賃金が得られやすいようにしておくという、こういった雇用対策、経済対策がやはりあわせて必要なんだろうと思いますし、現行においては残念ながら貯蓄ができにくい社会になっているということは言わざるを得ないことかなというふうに思っております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続いて、神野参考人にお伺いしたいと思います。

 私、先日の質疑の中で障害年金について取り上げさせていただきました。基礎年金しか受け取っていない方が非常に多いわけで、マクロ経済スライドなどが発動されますと、もろに影響を受けるわけであります。ところが、年金部会での議論を拝見しますと、この問題がなかなか議論されていないんですね。いろいろ調べてみましたら、欠席された委員からの意見ということで、ペーパーが資料で入っておりました。その中でこんな言及があったんです。

 「先天的な障害により二十歳前障害基礎年金のみを受給する者を含め、資産等の蓄えが乏しく稼働能力も十分でない障害者にとって、マクロ経済スライドによる給付水準低下の影響は大きい。」「フルスライド導入をめぐる議論の中で主張される世代間の公平性といった議論は、もっぱら老齢年金を念頭におくものであり、障害年金と結びつくものではない。」「マクロ経済スライドのかけ方について慎重に検討する余地があるのではないかと思われる。」という意見でありました。

 この意見についてどのようにお考えなのかということを率直に、ぜひお聞かせいただきたいと思っています。

神野参考人 おっしゃるとおり、年金部会の方ではマクロスライド等々について、主として老齢年金を念頭に置いて議論し、その中で、現行制度の年金を今の枠組みを維持するということを前提にしながら、どうやって維持させていくのかということで議論をしてまいりました。最初にも御説明したと思いますが、個別にそういう意見を出されたという方もいらっしゃったんだけれども、それは大きな声になっていなかったので、全体の共有の認識としては年金部会として提示しておりません。

 ただ、個人的な意見を言わせていただければ、繰り返すようですが、年金以外の制度と組み合わせて、障害者の問題とかは、お金を配るということではなく個別にサービスをきちっと提供して守ってあげるという制度をつくっていくことが私の考え方に合っています。

 それから、ちょっと別なことで申し上げておくと、先ほど来の、最低保障年金等々を含めて抜本的に年金制度を変えようという御意見があろうかと思うんですが、私の認識では、これをやるにしても、現行の年金制度を維持しておかないとできないんです。つまり、二十年とか三十年とかかけて二十分の一とか三十分の一ずつ制度は変えていきますので、とてもすぐにはできませんから、現行制度は維持しておく必要があると思っております。

 それは、財政の方からいうと、カナールという人の、旧税は良税なり、新税は悪税なりという有名な言葉があります。これは、古い税金はいい税金で、新しい税金は悪い税金だということなんですね。つまり、税金というのはしょっちゅう変えるとかえって不公平になってしまうということわざです。

 税金ですらそうなので、年金制度についてはかなり持続的に維持していかなくちゃいけません。したがって、憲法では財政について単年度主義を入れているんですけれども、いずれの国でも、基本的な会計から外して、特別会計なりなんなりで独立して年金制度や社会保障制度を維持しているんですね。これはなぜかというと、やはり継続性を持たせないと無理だからということだと思っております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 あるべき抜本改革ということで、ちょっと最後にお聞きしたいんですけれども、加納参考人に、最低保障年金制度、既にもういろいろ部分的にはおっしゃられましたけれども、改めてまとめて、あるべき姿ということでお示しいただけたらと思っています。

加納参考人 最低保障年金制度は本当に緊急の課題だと私はずっと言っています。これは本当の意味の、日本の現実の中で、高齢者の生活、安心して暮らせる、そういう社会にしていく上で、今欠かすことのできない課題だと思っています。

 この中身は、やはり全額国庫負担による最低保障年金ということでございます。ということは、いわゆる加入要件を問わない、誰でもが基本的に、例えば六十五歳以上になれば基本的な部分は最低保障年金で保障するという制度なんですが、この財源は、やはり消費税に頼ることなく、今の日本の税制の中で、非常な、一方的な大企業優遇とか高額所得者優遇の税制が、この約二、三十年の間に富裕層の所得税率や、また法人税がずっと約六〇%ぐらい減っていっている、これを戻すだけで財源は基本的には当面いけるやないかということで、今の制度を根本的にあり得ないという形にしなくても実現可能な制度だと思っております。

 以上です。

堀内(照)委員 抜本改革も緊急性があるんだというお話だったと思います。それまで当然今の制度を維持するということですが、それが今の法案の方向でいいのかというのはいろいろ議論があるんだというふうに思っております。

 最後に藤田参考人にも、本来あるべき年金も含めた社会保障制度全般、基本的な考え方ということでお示しいただけたらなと思っております。

藤田参考人 先ほどから出ている最低保障年金ですが、少なくとも日本では、健康で文化的な最低限度の生活を送る権利を保障するということになっておりますので、それが何をあらわすのかというと、一応国がナショナルミニマムということで保障しているのは生活保護基準ということになりますから、先ほどからずっと御議論あるとおり、その最低限度の生活に満たない年金で暮らしている方とか、あるいは医療、介護、さまざまな障害等を含めて支援が必要な方たちについては、当然、年金とあわせていろいろなサービスを入れていくというような、そういったことが今後も考えられてしかるべきだろうと思いますし、できれば、年金だけの議論にとどまらずに、ほかのサービスを充実させていくということを検討いただきたいなと思っております。

 昨今残念なことは、ほかのサービスを入れようとすると介護費負担、医療費負担が重たくて、要するに、こちらも保険ですので、介護保険なんというのはもう、二〇〇〇年に発足しましたけれども、保険料負担ですが、その当時から平均金額が倍に上がっていますので、年金が下がり、保険料負担が上がるということになると、当然ですが、健康で文化的な生活ということに支障が出てくるという世帯は出てくるんじゃないかなと思います。

 今後も高齢者に負担を、ほかの社会保障でも負わせていく、社会保険で負わせていく限りは、この少ない年金でそれを補わないといけないということになりますから、現金と現物の入れ方も含めて詳細に検討いただけたらありがたいなと思っています。

 残念ながら、これは今ミスマッチが相当起こっているんじゃないかなというふうに思いますし、そのひずみが低所得の人たちに当然起こって、降りかかっているんだろうというふうに、そう捉えざるを得ない状況かと思っております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 全ての皆さんにお聞きできなかったこと、御容赦ください。終わります。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日は、本当にお忙しい中、また、厚生労働委員会、なかなかスケジュール感が決まらない中で、五人の参考人の方、お越しいただきまして、ありがとうございます。

 最後の質疑者でございますので、かなり重複することも出るかと思いますが、よろしくお願い申し上げます。

 まず冒頭、お聞きしていまして、藤田参考人に伺いたいなと思うんですが、私も、精神科医として議員になるまでずっと医療の現場におりました。本当に、生活保護の患者さんも、精神科ですから、社会基盤がないうちに発病されたりとかということで、たくさん見てきましたし、また一方で、障害年金という方も見ていまして、そういう中で、本当に、医療費が、生活保護だと無償で受けられるという中で、障害年金の方は、やはり一部負担金とかいろいろな問題で、入院したくてもできないとか、非常につらい選択を医師としても迫られることが多々ございました。

 そういう中で、生活保護制度というものについていろいろ議論が、そんなに活発な議論はないんですが、生活保護について議論すると、医療費の一部負担をするべきじゃないか、導入すべきじゃないかとか、そういったこともあるわけなんですけれども、私は、できれば生活保護というのは、もっと簡単にとれる、受給できるんだけれども、速やかにそこから出ていくという、インとアウトについて、もうちょっときちんと整備するべきかなというふうに思っているんです。

 実際、多分、いろいろな相談を年間五百件なり受けられていて、生活保護というのは、言うほど簡単にはいかないんですよね。法律上は受けられますよと言っていても、実際、現場では御苦労があると思うんですけれども、その辺について、生活保護制度についてコメントいただければと思います。

藤田参考人 まさしく、先生おっしゃるとおり、生活保護にさまざまな課題があるというのはそのとおりかなと思っておりまして、まずは、第一点、受けにくいということですね。これは本当に受けにくいと言っていいんじゃないかというくらい、資産調査がほかの国と比べても相当厳しいですね。これは、ミーンズテストと呼ばれますけれども、あらゆる資産を活用して、なおかつ親族すらも助けられない場合には生活保護というような、そういった要件がありますので、かなり厳しいと言わざるを得ないかなと思っております。

 なので、この間、年金とセットで生活保障をどうするのかという意味においては、生活保護は今後も非常に重要な役割を果たしていくと思いますけれども、今は、残念ながら受けにくい、あるいは、これは、制度的にも受けにくいんですが、当事者の心情的にも受けにくいというような二重の受けにくさが当然ありますので、今後も緩和していく必要があるかなと思っております。

 これは、私もずっと、生活保護を次はどうしていくのかという代替案を示しているんですけれども、海外は大体分離支給をしています。生活保護の分離支給という方法を入れていて、日本だと八つの扶助が生活保護にあるわけなんですが、要はセット販売なんですね。生活に困窮したら、医療費もあるいは介護費等も、必要なものは全てセット販売で出しますけれども、海外は、本当に困窮する手前で、住宅手当だけ入れる、医療費だけ免除するとか、さまざま分離支給ということをやっております。

 これで若干受けにくさは変わっていくだろうと思いますし、そのハードルを下げていくということにもなるんじゃないかなと思いますので、基礎年金部分でしか生活できないという方については、生活保護の一部分を入れていくということも今後検討されるべきかなというふうに思っております。

河野(正)委員 まさに、おっしゃるとおりで、家を売らないと生活保護は受給できないとか、非常にいろいろハードルがあって、実際はそんな、家を売らなくても大丈夫ですよという、こういう場所で議論するとそういう回答になるかと思うんですけれども、実際の現場では、そういったことで、本当に厳しいハードルがあるのかなと思っていますので、それは国会の場でもしっかりと議論しなければいけない課題だというふうに思っております。

 もう一問、藤田参考人にお聞きしたいんですけれども、先ほどちょっとお答えになっていましたが、若年層の年金への不信感についてということで、コメントいただければと思います。

藤田参考人 そうですね。不信感について、一般的に申し上げると、上の世代の方たち、今現役でもらっている方たちについては、金額が高いんじゃないかということも、当然、若者世代から出される一番の大きな主張かなというふうに思っております。

 問題は、今の若い人たちが、年金、三十年、二十年先、もらえるときに、どういうふうになっているのかというビジョンがなかなか見えにくいというところですね。本来は、ちゃんと審議過程が見えて、幾らくらいもらえて、先ほども高橋先生もおっしゃいましたけれども、ある程度、どれくらいもらえてといった青写真等が見えてくると、そういった懸念等も減っていくんじゃないかなというふうに思っております。

 現状においては、もう年金を掛けておいてももらえないんじゃないかといった感覚も広がっています。実際には、年金は、払っておけば、当然、障害を負ったときには障害年金をもらえたりとか、長生きすればの話ですけれども、保険料を払っておけばある程度保障は手厚く受けられるということになります。そういったメリットが語られないということもあります。あるいは、若者世代は非正規雇用等が広がっていて、この保険料がそもそも負担が重た過ぎて払えないという状況があって、今、月額一万六千円程度の国民年金の保険料が払えていないという若者たちが非常にふえてきているという状況は、この年金保険財政を考える上でも危惧すべき問題かなと思います。

 これは税金も同じだと思うんですね。税金を払っても、保険料を払っても返してもらえないという、この受益感が薄いという感覚を今の現役の若者世代は持っているんじゃないかなというふうに思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 高橋参考人に伺いたいんですけれども、先ほどの、若い世代は年金がなかなか払えないとかいう問題もございますが、社会保険料の徴収漏れ対策など現行制度の問題点、あるいは、先ほども随分お話しいただきましたが、歳入庁の必要性等々について、我が党としても問題意識を持っているところでございますが、この徴収漏れ対策などの現行制度の問題点、あるいは歳入庁の必要性について御意見をいただければと思います。

高橋参考人 年金とか社会保険の保険料という言い方をするんですけれども、保険料というのは、法的な性格を言えば、実は租税債権と全く一緒です。ですから、その意味では、英語で説明すると、ソーシャル・セキュリティー・タックスと言うことが多いですね。そういうふうな性格であれば、納めないという議論ではなくて、これは払わないと脱税になるというレベルですね。

 もちろん、こういうふうな、厳しくすると払えない人がいるという話になるんですけれども、実は、これは今より物すごく厳しくするとそういう議論が出てくるわけで、まず租税債権としてきちんとやるべきじゃないでしょうか。租税と全く同じ扱いにして、それで払えないということであれば、それはいろいろな制度で救済するという形になろうと思います。

 ただ、今の場合ですと、実は、率直に申し上げて、旧社保庁、今の年金機構というのと国税庁の下の税務署では全く徴収体系が違っていますね。ですから、これは同じ税金として扱って、払わなければ脱税、ただし、いろいろな条件で払えなければいろいろな措置をやるというふうに割り切った方がいいと思います。

 それで、多くの社会保険料のうち、実は、源泉徴収税と同じものがすごく多いです。要するに、企業が払うものだってみんなそうです。私自身は実は、大蔵省の役人でしたが、税務署長をやっていますけれども、そういうときに、税務署で法人の源泉徴収税を調べたときに、実は社会保険料を払っていないのはすぐわかります。ですから、そこは一緒に払った方がすごくフェアになるんじゃないかと思います。特に税金という扱いですからね。

 ただし、繰り返しますけれども、それでも本当に貧困で払えない人というのはほかの制度で救済すべきだと思いますけれども、とにかく、同じ土俵できちんと払う。払わないと実は脱税と同じであると。正直言って、未納でないですから、未納でなくて脱税と同じだという認識でやった方がフェアな制度になるんじゃないかなと思います。

 そのために、組織が二つ。先進国では少ないと思います、二つの組織があってやるというのは。もちろん、歴史的経緯があって二つの組織というところがなくはないですけれども、多くのところは実は一体化してやるということだと思います。

 ですから、税と社会保険料は実は法的性格が同じなので、税金として扱うということだと思います。それから、行革にもなると思います。

河野(正)委員 改めて伺いますけれども、歳入庁の必要性について、設置について猛烈な抵抗があったということをおっしゃっていましたけれども、その辺、もう一言いただければ。何が抵抗になるんでしょうか。

高橋参考人 率直に言うと、官僚という場合は、組織の改編というのは物すごく抵抗します。ですから、それはもちろん、組織の変更という形になりますと、指揮命令系統とかそういうものがずれたり、人事が難しくなりますね。

 歳入庁というものを仮に考えるとすると、今の国税庁というのは実は財務省の下にある組織ですけれども、年金機構になってちょっと変わりましたけれども、基本的には社会保険、厚生労働省の下の組織になって、その組織をあわせるという形になりますと、ともに、財務省と厚生労働省ではない、ほかのところにやるというのが普通なんですね。そういう形になりますと、人事なんかを組織の中で一体でやっているところなんかは物すごく抵抗しますし、実際問題、私、第一次安倍政権のときにこれをやるときには抵抗がすごかったです。でも、それは、一般に官僚組織自体が行政組織の変更に対しては物すごく抵抗があるというのと同じ話だと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 本当に大変な問題があるんだと思いますけれども、政治判断も含めて、しっかりと公平感を出すためには、そういった制度を議論していかなければいけないのかなと思っております。

 我が党としましては、現在の賦課方式というのにはかなり無理があるんじゃないのか、厳しい状況にあるんじゃないか、年金制度の持続可能性という点からさまざまなことを検討すると、積立方式などの新しい年金制度について抜本的な制度改革の必要性を感じておりまして、それを議論していかなければいけないというふうに考えているところでございます。

 こういった年金制度改革を今回の法案と別にもっと抜本的に変えていくことについて、本日お越しの参考人の皆様の御意見をいただきたいと思います。

井上参考人 例えば積立方式へ移行するといった場合に一つ懸念されるのは、現在の高齢者に対してどういう給付を確保し、誰がその資金、財源を確保していくのか、非常に大がかりな移行になると思いますし、また、それが若い世代に対してどういう負担になるのかというのも、非常に長期間にわたって考えなくてはならないことかと思います。

 ということで、現実的に考えますと、どうしても現状の制度の枠組みの中でよりよい制度にしていくということが必要ではないかというふうに考えております。

藤田参考人 私は、正直申し上げて、抜本改革は余り賛成ではなくて、実は、年金というのはそもそもの制度の趣旨が、それで全てを賄えるものという意味合いを持っていませんので、やはり私はどちらかというと、年金の抜本改革に力をかけていくというよりは、過去の失敗をしてきている経緯を見るとちょっと難しいんじゃないかと思いつつありますので、ほかの、それこそ住宅政策、医療政策、さまざま支出を下げる政策を入れながら、ある程度の少ない年金であっても暮らしが成り立つとか、ある程度の今の状況であっても暮らしが成り立つような、そういった社会保障制度をほかに入れていくと。

 年金はどうしても、今、御存じのとおり、こういった政争の種になりがちなものでありますので、そこに手を入れるというのはちょっと難しいんじゃないかなということも思っております。なので、ぜひほかを入れていくことも御検討いただけたらと思っております。これは三十代の、若手からの切なる願いです。よろしくお願いします。

神野参考人 繰り返しになりますけれども、抜本的な改革をやるにしても、年金の場合には、一足飛び、すぐにはいきませんので、現行の制度をある程度残していくための持続可能性と、さらに、社会的なセーフティーネット機能を強めていく改革が必要だということをまず申し上げておきたいと思います。

 それから、積立方式と賦課方式ということであれば、恐らく積立方式の理屈というのは、それぞれ、若いうちなりなんなりに貯蓄しておきなさいよ、貯蓄をしておけば、それは投資となって、将来には経済成長して生産が増加します、それであなたの老後は生活できるようになりますよ、そういう理屈ではないかと思うんですね。ただ、それが、社会保障という、社会の構成員全体で支え合っていくという制度に合うかどうかということには疑問を感じます。

 というのは、日本はもともと、積立制度であったものを徐々に徐々に賦課方式に移行していっておりますので、世界的な傾向からいえば、積立方式から賦課方式へ移行するというのが大体大きな流れではないかというふうに理解しています。

加納参考人 私も、公的年金の財政システムとしては、やはり賦課方式を原則にするというのが妥当だと思っています。積立方式には、現実的には長い歴史の中で、必ず一定の社会変動の中で行き詰まるということが歴史的な経験ではないかと思っております。そして、本当の所得再分配をきちっとやるためには賦課方式が最も適していると思っております。

 そして本当に、抜本改革という点について言えば、私は、もちろん現行の制度の上に、私が言っています全額国庫負担における最低保障年金制度を入れて、若者も信頼できる、将来これがあるからと安心できる制度をつくっていくという点では、今削減されているのを抜本的に変えるという意味では抜本ですけれども、機械的にばしっと切ってできるんじゃなくて、もちろん一定の経過を経ながら、段階というのはありますけれども、やはり社会保障の基本はいわゆるセーフティーネットということで、網ということになっておりますが、ILOなんかの二〇一二年の勧告でも、ネットよりも社会保護の床、いわゆるもう落ちないというものが世界的にも求められているという勧告も出ているということを含めて、やはりそういう改革は今必要だろうと思っております。

高橋参考人 賦課方式と積立方式という形なんですけれども、賦課方式という形をとりますと、実は保険料を払わないで年金を給付される人が最初に出てきます。これを年金でいうと未積立債務額というんですけれども、実はこれが、数百兆のオーダーになって、世代間不公平の最も大きな原因です。ですから、世代間不公平を本当になくしたいのであれば、賦課方式というのは、かなり出てきます、実際問題、賦課方式でやると、この未積立債務額を将来にわたってだんだんだんだん縮小していくというパターンなんですけれども、その上でさらに世代間不公平を完璧になくすのであれば、積立方式という解にならざるを得ないと思います。

 ですから、その意味で、世代間不公平というのを非常に問題視するのであれば、積立方式について全くできないとか、やらないとかいうのはちょっと理論的ではないなと思います。

 ただし、いろいろな委員が言っているように、その移行に当たって時間がかかります。時間はかかるんですけれども、国家百年の計とかそういうので、長い計画というのを立てながら世代間不公平というのを抜本的に改めるということであれば、積立方式というのは十分に検討に値すると私は思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 それぞれの御意見をもとに、今後いろいろとまた党内でも議論をしてまいりたいと思います。

 最後に、若干視点を変えまして、井上参考人に伺いたいんですが、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大について、今後さらなる適用拡大を受け入れられるのかどうか、あるいはまた定年のあり方などさまざまな働き方改革等も必要になってくるんじゃないかと思いますが、そういったことについてコメントをいただければと思います。

井上参考人 今回の見直しの中に入っております適用拡大につきましては、先ほども申し上げましたが、多様な働き方の推進であるとか女性の活躍支援といった面で適切な見直しだと思っております。

 またさらに、これを今回大企業に関しまして適用拡大をしたわけですけれども、現状の労働力不足の中心となっております例えば小売業であるとか外食産業、このあたりの動向がどうなるのかというのをまずは注視した上で、働き方に中立な制度の確立をお願いしたいというふうに思っております。

河野(正)委員 時間が来ましたので終わりたいと思います。

 本日は、本当にお忙しい中、ありがとうございました。

丹羽委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 参考人の方々は御退席いただいて結構でございます。

     ――――◇―――――

丹羽委員長 この際、お諮りいたします。

 第百九十回国会、木村弥生君外三名提出、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案及び第百九十回国会、田嶋要君外四名提出、特別養子縁組の促進等のための児童の養子縁組に関する法律案につきまして、それぞれ提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 原案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房年金管理審議官伊原和人君、社会・援護局長定塚由美子君、社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君、年金局長鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修一君。

高鳥委員 自由民主党の高鳥修一でございます。

 安倍総理におかれましては、内外ともに大変タイトなスケジュールの中、当委員会にお越しをいただきましたことを、まずもって心から敬意と感謝を申し上げます。

 早速、質問に入らせていただきます。

 年金制度は老後の生活の一助と言われておりますが、国民生活に直結をするものであり、皆さんの関心も非常に高いと思います。

 今回の改正は、私たちはそう考えておりませんけれども、年金カット法案といった、その趣旨と違ったレッテル張りがされております。

 この法案によって直ちに年金が下がることはないわけでございます。

 少子高齢化が進む中で、将来の負担増を考えて、保険料の上限を固定した中で、年金財政というお財布に入ってくるこの金額は決まっているので、切り分けるようかん、これの大きさは決まっているという話は何度も出てまいりましたけれども、現在の高齢世代と、そして将来の世代でどう公平に分配をするかという問題であると思います。

 そこで、将来世代の不安を解消し、そして年金水準を確保する観点から、改めて総理に今回の年金改革法案の意義を語っていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の年金改革法案は、いわば将来の年金水準確保法案であり、これによって世代間の公平を図るものであります。

 具体的には、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、そして年金額改定ルールの見直しなどを内容としております。

 平成二十六年度までは、本来よりも高い水準の年金が支給されていた中、少子高齢化による人口の構造の変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドが発動されなかったことにより、今の年金の所得代替率が上昇し、その分、マクロ経済スライドによる調整が長くなり、結果として、マクロ経済スライドが完了した時点での基礎年金の給付水準が約一割低下しました。

 このため、年金額改定ルールの見直しについては、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を先送りせずに、できる限り早期に調整し、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする見直しを行うこととしたものであります。このような改定ルールの見直しを行うことが責任ある対応であると考えます。

 ただし、年金額改定ルールの見直しに当たっては、低年金の方にも十分配慮する必要があります。そして、配慮してまいります。

 まず、少子高齢化による人口の構造変化を踏まえて年金水準を調整するマクロ経済スライドについては、賃金、物価がプラスのときに発動し、また、マクロ経済スライドによって、前年度よりも年金の名目額を下げないという配慮の措置を維持する。その上で、未調整分を繰り越して好況のときに調整する仕組みを導入します。

 そして、賃金が下がった際に賃金に合わせて改定する見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付を平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用します。これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えていきます。

 もとより、安倍政権では、デフレ脱却、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでおりますので、賃金が下がるということを前提としているわけではありません。

 今回の法案を初め、不断の改革に取り組むことで、将来にわたって所得代替率五〇%を確保し、高齢世代も若い世代も安心できる年金制度をしっかりと構築していく考えであります。

高鳥委員 ありがとうございます。

 しっかりとした社会保障は将来に向けた安心感を生み出し、この安心感が消費の拡大につながる、そして経済の好循環をつくり出すという考え方、これはニッポン一億総活躍プランの中で総理もお考えになっていることだと思います。

 逆に、足腰の強い経済というのは、やはり社会保障を支える大きな力となるわけでありまして、社会保障と強い経済というのは車の両輪でございます。

 今、総理から、経済再生に向けた強い決意、そして、きょうの参考人のお話にもございましたけれども、どうしても、経済が力強い中でも、さまざまな事情で老後の生活が苦しい方も現実におられるわけであります。こういった方々に対して温かい手を差し伸べていくことは、まさに政治の役割であると思います。ぜひ総理にしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 最後に、年金積立金の運用についてお伺いをしたいと思います。

 これにつきましては、今まで、基本ポートフォリオの変更、あるいは短期的な評価損益を中心に議論されてきた嫌いがあると思いますけれども、私は、国民からお預かりをした大切な積立金を運用するGPIFの組織体制について一層の改革を進める、こういう観点が非常に重要であると考えております。

 今回の法案では、GPIFに経営委員会を新たに設置すること等としておりますけれども、GPIF改革に向けた法案の意義について、総理からお聞かせいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 年金積立金を運用するGPIFのガバナンス体制の強化は、運用に対する国民の信頼を高めるとともに、運用の多様化や高度化が進む中で、リスクを適切に管理しつつ市場の動向に応じた機動的な対応を行う上で、大変重要な課題であると認識をしています。

 このため、今回の法案には、外部の有識者から成る合議制の経営委員会を設け、法人の重要な方針を決定する仕組みとし、また、経営委員会が行う意思決定、監督と、執行部による業務執行を分離し、外部の有識者による適切な監督のもとで、機動的な業務執行が可能となる体制とする内容を盛り込んでいます。

 今回の法案に基づき、今後、国民からの信頼をより一層得られるような組織体制の確立に取り組んでまいりたいと思います。

高鳥委員 ありがとうございます。

 きょうの総理の答弁を聞いてもわかるように、この法案は、世代間の公平性を確保し、将来世代が安心して年金に、前期制度に入れるようにするものであります。

 世界に冠たる国民皆年金制度と、それから豊かさを実感できる強い経済社会を子孫にしっかりと引き継いでいくために、引き続きリーダーシップを発揮していただくことを心からお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことに、まず感謝を申し上げたいと思います。

 時間もございませんので、早速、質問に入らせていただければと存じます。

 我が国の年金制度は、世代間の分かち合い、支え合いで成り立っており、全ての国民、年金受給者、年金保険料を負担する現役、双方に納得してもらえる制度でなければなりません。

 一方で、未来を正確に知るということ、未来がどうなるかということについて、これは誰にもわからないことであります。百年先はもとより、数年先に年金財政の見通しの前提に置いた数値がどう動いているのかも、正確に見通すことすらできません。

 年金制度を議論する際には、こうした限界というものをわきまえた上での冷静かつ謙虚な議論が何よりも求められると思っておりますし、将来、どのような事態になっても、年金制度が安定して運用されるよう、考え得る備えというものをしておくこと、これは政治の重要な責務であると考えます。

 そのための備えの一つとして、本法律案では、将来世代の給付を確保するために、デフレ下で賃金が下がるという局面での年金額の調整ルールの見直しを行うとしておりますが、このことについて、このルールはあくまでも平成三十三年度以降そういったケースが出現をしたら適用されるということであり、直ちに年金がカットされるわけではありません。将来、不測の事態が起きても、現役世代の年金の水準が著しく低下しないよう、これは、あくまでも現に年金を受給している方々の理解と納得も得られる範囲でということになりますが、備えとして調整ルールの見直しを行うものであります。

 これに対して、民進党など一部野党は、年金カット法案だとのレッテルを張って、国民に対していたずらに不安をあおっております。過去十年ほどの間に経験したような深刻な状況が今後も続けば、それは年金カットどころの話ではなく、国民生活そのものが危機的な状況に陥ってしまいます。年金カットだと言い募る方々は、そのような暗い未来社会を望んでいるのかと思わざるを得ません。

 今なすべきことは、そうした年金額が下がるようなデフレ経済に再び陥らないよう、デフレからの脱却、経済再生の歩みを着実に進めること、さらに加速をさせることこそが政治の仕事であり、そのために汗を流すことこそが政治の責務であると考えますが、いかがでしょうか。まず御見解をお伺いしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 ただいま角田委員が言われたとおりであろうと思います。

 年金の設計については、まずは将来の世代に対しても責任を持って設計を行っていくということでありますから、あらゆるケースを想定して対応できるようにしていかなければいけません。その間、賃金が下がったという状況についても対応していくのは当然のことであって、その状況を想定しなければそのことが起こらないということではないんです。そういう状況もしっかりと想定しながら……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 その際にも、将来受給する世代の所得代替率についても、しっかりとそれを見詰めながら、将来の世代のことを考えながら設計をしていくのは当然のことであろう、こう思う次第でございます。

 今回の年金改革法案は、いわば将来の年金水準確保法案であり、先ほど申し上げましたように、中小企業の短時間労働者への被用者保険の適用拡大、国民年金の産前産後期間の保険料免除、そして年金額改定ルールの見直しなどを内容としています。

 今回の年金額改定ルールの見直しは、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とする見直しを行うものとしたものでありますが、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付を平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から適用するわけでありまして、これによって、年金と相まって、今まで以上に高齢者の生活を支えていくことになります。

 もとより、安倍政権としては、何よりも重要なことは、強い経済をつくっていくことであります。そのため、デフレから脱却をし、賃金上昇を含む経済の再生に全力で取り組んでいるところでありまして、賃金が下がるということを前提としているわけではありません。

 これにより、若い世代が受け取る年金の水準が下がることを防止し、世代間の公平性が確保され、若い世代が安心して今の高齢者の年金を支えることができると考えています。

 一部の野党は、すぐに、年金をカットする法案といったレッテル張りをするわけでありますが、その指摘は全く当たらないということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

 いずれにしても、安倍政権としては、政権交代後、アベノミクス三本の矢によって、二十年間続いたデフレからの脱却にチャレンジし、デフレではないという状況をつくり出すことができたわけであります。名目GDPは三十三兆円増加し、賃上げは、中小企業を含め、今世紀に入って最も高い水準の賃上げが三年連続で実現をしています。これは厳然たる事実であります。

 この流れをより確かなものとするため、事業規模二十八兆円を超える経済対策及びそれを具体化する補正予算を円滑かつ着実に実施することで、内需を力強く下支えするとともに、未来への投資を大胆に行っていく考えであります。

 いずれにせよ、今後、しっかりとデフレ脱却に向けて全力を挙げ、力強く経済を成長させ、賃上げを図っていきたい……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いします。

安倍内閣総理大臣 このように思っております。

角田委員 もう一点お伺いをさせていただきたいと思いますが、将来世代の年金を確保する観点からも、一億総活躍社会の実現、とりわけ希望出生率一・八の実現という目標は、今後重点的に取り組むべき課題と考えます。今政府が掲げる希望出生率一・八への取り組みは、ある意味、歴史的な挑戦であると言ってもよいのではないかと思っております。

 このためには、保育や介護の受け皿の整備、家庭の経済事情に関係なく、希望すれば誰もが望む進路に進むことができるよう奨学金制度の拡充、子育て世帯への支援の充実、さらには働き方改革など、あらゆる政策を動員して、何としてもこの挑戦を成功させなければならないと考えますが、一億総活躍社会の実現へ向けての総理の御決意をお伺いできればと思います。

安倍内閣総理大臣 一億総活躍の根源的な課題は、人口減少問題にどう立ち向かうかであります。

 ことし六月には、ニッポン一億総活躍プランを閣議決定いたしました。この中で、希望出生率一・八に向けた十年間のロードマップを策定し、各年度において施策をどのように展開していくかを可能な限り指標を掲げつつ示しています。具体的には、長時間労働の是正等の働き方改革、子育ての環境整備、奨学金制度の拡充など、全ての子供が希望する教育を受けられる環境整備に取り組むこととしております。

 一億総活躍社会をつくり上げることは、今を生きる私たちの次世代に対する責任であり、年金制度を支えることにもつながっていきます。

 最初から設計図があるような簡単な課題ではありませんが、これまでの発想にとらわれることなく、政府を挙げて取り組んでいく考えであります。

角田委員 あくまでも、大事なのは社会保障の充実、そのためにはもう一つの車輪であります経済というものをしっかり推し進めていく、この両面をやっていくことが政治の責務であると申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民進党の柚木道義でございます。

 総理、きょうはお越しいただきまして、ありがとうございます。

 総理、本当に国民の生き死にがかかっているんです。きょうは、午前中の参考人質疑の中で、「下流老人」のベストセラー著者の藤田さんから、御本人の仕事上、さまざまな悩みの相談を受け、そして、本当に、人は、ほんの数千円、数万円、そういうことで自殺をしてしまったり、無理心中をしてしまったり、介護殺人を犯してしまったりするんだ、だからこそ、国会議員の皆さんや省庁の方には、一つの法案が人の生き死にを左右する、その自覚と責任をしっかりと持って取り組んでもらいたい、そういう趣旨のことを伺っております。

 総理、この世論調査の数字を御存じでしょうか。今回の将来年金三割カット法案、この法案が、NHKの世論調査では、賛成は一〇%、反対は四九%。五倍反対の方が多い。フジテレビの調査では、賛成は二五%、反対は約七〇%。二・五倍以上反対が多い。まあ、私が見つけられた調査だけですから、ほかにもそういった調査はあるかもしれません。

 しかし、いずれにしても、言えるのは、この数字を見て、安倍総理、今回の将来年金三割カット法案は国民の皆さんの支持、理解を得られていると思われますか。

安倍内閣総理大臣 そうした世論調査があることは承知をしておりますが、そうした世論調査において、どこまで法案の趣旨、目的を伝えた上で質問したのかは承知をしておりませんが……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 最近の新聞各紙は、今回の年金改革法案に関して、世代間の公平を図るための制度改革が必要であるとの論調である、このように認識をしております。

 いずれにせよ、年金制度につきましては、国民生活に直接つながることでありますから、我々も各議員もしっかりと説明していくことが求められている、このように考えております。

柚木委員 安倍総理、恐縮ですが、お聞きしたことに端的にお答えいただきたいんです。

 今回の将来年金カット法案は国民の理解、賛同が得られていると思いますか。イエスかノーでお答えください。

安倍内閣総理大臣 ですから、こうして今も議論をしているわけでございます。

 そして、今回の年金法案はさまざまな事柄を含んでいるということは、先ほども質問でお答えをしたとおりでございます。

 同時に、そうした質問をするときに、例えば、賃金が下がり、そして物価が上がったときも、それに合わせて年金額が引き下げられるという情報のみを受け取ってしまえば、それは反対ということになるわけでございますが、こうしたことがなかなか起こらない、普通はそう簡単には起こらないわけでありますが、そのときのために、それは一応そういう設計をしている、かつ、それは、将来世代のいわば所得代替率がそれによって下がっていくことを防ぐため、それをしなかったときよりも下がらないようにするためのものであるということ等をしっかりと説明していけば、私は、御理解を得ることができるのではないか、このように考えているところでございます。

柚木委員 安倍総理は、十一月一日の私の本会議代表質問への答弁で、このカット法案が発動した場合、将来、三%、月額二千円年金がカットされ、そしてその後は、七%、月額五千円、年金カット法案によって金額がアップする、そういう趣旨の答弁をされたかと思えば、今回の改定ルール見直しは、このまさに三、七の、財政検証ケースEは発動されない、したがって、足元の年金額の低下や将来の年金額の増加は起こりませんと否定をしているんですね。

 安倍総理、いま一度確認しますよ。三%下がった後七%上がる、こういうことはないということで理解してよろしいですね。

丹羽委員長 塩崎厚生労働大臣。(柚木委員「いや、総理ですよ、全部通告していますから」と呼ぶ)

塩崎国務大臣 委員長の御指名でございますので、お答えを申し上げたいと思います。(柚木委員「だめですよ。総理の本会議の答弁ですよ。何で総理、答弁から逃げるんですか。丁寧に通告していますから。だめですよ、総理答弁なんですから」と呼び、その他発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

 では、大臣の答弁が終わったら……。

塩崎国務大臣 これは何度も御答弁を申し上げてきたとおりであって、三%、七%という数値につきましては、井坂試算をどうしても、機械的に当てはめて平成十七年からやってみた場合にどうなるのかということを、リクエストに応じて……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

塩崎国務大臣 御要望に応じて計算をさせていただいたところでございまして、当然、マクロ経済スライドでできたこの今の年金の仕組みがどういうメカニズムになっているかということはよくわかっていただいているはずでございますし、数値は、おっしゃったとおりの数字をそのまま計算したということでございますので、ぜひ御理解を賜っていただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 委員会の運営というのは、委員長の指名によって私たちが答えるということは、どうか、これはイロハですから、御承知おきいただきたい、このように思います。

 その上で、お答えをさせていただきますが、今まさに厚生労働大臣がお答えをさせていただきましたように、井坂委員からお示しがあったいわば条件によって、我々がその上で計算をしてお示しをしたものである、こういうことでございます。

柚木委員 三パー下がって七パー上がるということは否定をされているんです。しかも、この委員会の中でそれはもう共通認識になっているんですよ、総理。

 そして、私たちが将来年金三割カット法案と申し上げているのは、総理、まさに私たち団塊ジュニア世代が年金を受給する二〇四〇年代、マクロ経済スライドの調整期間が終わるころ、これは所得代替率ベースで、まさにこの後、井坂さんもされます、この、これは出しちゃいけないですね、五万円が三万五千円になる、基礎年金の平均月額が。そして、安倍総理、今から私たち団塊ジュニア世代が年金受給世代になるころに所得代替率が三〇%カットされるというのは、政府の試算資料に出ていますよ。

 三〇%、所得代替率は下がらないんですか、下がるんですか、答えてください。

安倍内閣総理大臣 そもそも、この法案により将来の年金が三割カットとなるなどという言説は誤解と悪意に満ちたものでありまして、全く不適当である、こう考えているわけであります。この法案が通れば確実に三割減っていくというのは、全くこれは、誤解を生む、まさに、非常にいわばミスリードする……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 意図的なミスリードとしか言えない、このように思うわけであります。

 基礎年金の所得代替率について、現在の三六・八%が、マクロ経済スライドによる調整終了後には二五・六から二六・〇まで低下し、約三割低下する見通しであることは事実でありますが、この見通しをもって基礎年金の名目額も約三割低下するというのは、所得代替率と名目額を混同したものであります。

 財政検証上、基礎年金の名目額については、二〇一四年度の六・四万円が、マクロ経済スライドによる調整終了後には、二〇一四年価格で六・三万円とおおむね横ばいになっています。

 なお、議員が……(柚木委員「もうわかりました。答えてください」と呼ぶ)よろしいですか。ここは大切なところですから、よく聞いてください。

 なお、議員が問題にする所得代替率については、二〇〇九年の財政検証でも、マクロ経済スライドによる調整終了後には三割弱減少する結果であります。これは二〇〇九年ですよ。民主党政権での年金制度の運営は、まさにこの財政検証結果を前提に行われてきたわけでありまして、つまり、この法案になって急に所得代替率が三割減少するものではないんです。二〇〇九年の財政検証において既にそうなっている……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 そして、大切なことは、民主党政権での年金制度の運営は、まさにこの財政検証結果を前提に行われてきたわけでありまして、当時の自公も賛成した特例水準の解消以外は、何らの対応も行われなかったではないですか。そのことをはっきりと申し上げておきたいと思います。

 今回の年金改革法案は、いわば将来の年金水準確保法案であり、これによって世代間の公平を図るものであります。そのことは重ねてはっきりと申し上げておきたいと思います。

柚木委員 所得代替率が三〇%下がることはお認めになりました。

 そして、総理、基礎年金だけで暮らしていらっしゃる方が年金受給者の四人に一人ですよ。今、では、五万円、三万五千円じゃなくて五万円、今ですよ、平均月額、安倍総理、五万円で一カ月お暮らしになることができますか。

 いや、安倍総理ですよ。安倍総理に聞いている。五万円で暮らせますかと聞いている、安倍総理御本人が。

安倍内閣総理大臣 これは、厚生労働委員会ですから、私は出ていますが、全て私が答えるということじゃなくて、委員長が判断して、より担当大臣がふさわしければ担当大臣が答えるというのは、これは委員会の常識ですから。まず、その常識がわかっておらないと成り立たないということは申し上げて……(柚木委員「安倍総理、五万円で一月暮らせるんですか」と呼び、その他発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。(柚木委員「答えてください。委員長、答弁させてください」と呼ぶ)

 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 今答えようとしているんですから、席からどんどんどんどん言われたら私も答えにくいですよ。私が答えているときには質問者は少し黙っていてください。私がいつも質問していたときはそうでしたよ、大体からして。

 そこで、お答えをさせていただきますと、従来から私も厚労大臣も答弁をさせていただいておりますように、いわば基礎年金だけで生活は、なかなかこれは、全て賄うことは困難である。それまでの間、蓄えた貯蓄、資産等も含めて我々は考えざるを得ないということを申し上げているわけであります。

 いずれにせよ、給付をするためには誰かが負担をしなければならないわけであります。負担額、保険料と税金があって初めて給付が成り立つわけであります。

 私たちだって、それはより多くの給付をしたいですよ。みんなそうなんです。しかし、責任ある立場としてどうかということを考えれば、基礎年金については、基礎年金全てで賄うわけにはいかない、それまでに貯蓄あるいは資産の形成等をお願いをしたいということであります。

柚木委員 安倍総理には、きょう、「下流老人」の著者の藤田さんがおっしゃられたような、資料の七ページ目につけていますが、さまざまなケースがおわかりにならないんですね。どのような方であっても、容易に下流老人、貧困高齢者に転落し得る。

 ケース一、きょうもお話がありました。飲食店で働くも、野草で飢えをしのぐKさん。正社員の仕事をやめて親の介護に、こんなに年金が少ないとは思わなかった。

 ケース二、うつ病の娘さんを支えるNさん夫妻、ともに七十代。年金だけが生活の命綱、自分は順風満帆でも、自分以外の想定外でこういった状況になってしまうとは想定していなかった。

 ケース三、事務職員をしていたYさん、六十代男性。三千万円の貯金があったんです、しかし、病気になられて、あっという間に消えてしまった、まさか自分がこんなことになるとは夢にも思わなかった。

 ケース四、銀行に勤めていたFさん、六十代で、離婚をされています。銀行や大企業の社員も下流老人になることは例外ではない。

 まさかと思っていた、みんな想定外というのが共通しているんです。基礎年金だけで暮らしていくことが困難である、簡単におっしゃっていただきたくないんです。

 これだけ切実に、公的年金を頼りに暮らしているという方が、この「下流老人」の著者の方によれば八割。しかし、年金以外の貯金など十分な蓄えがないという方が約四割。実際、四人に一人が貯蓄ゼロ世帯。今後、そういった方がふえていくおそれもある。そういう中で、年金だけで暮らせない、国民年金も満額受給できない方はいっぱいいますよ。

 だから、六万六千円じゃなしに五万円、平均月額が三割、所得代替率で減ったら、三万五千円では暮らせないです、そういう議論を、皆さんの方が三パー減って七パーふえるというようなバラ色試算を出すから、私たちが独自の試算を出したわけです。

 安倍総理、私たちが今この間、議論をしてきて、共有をしてきていることは、バラ色の試算ではなくて、不都合な真実であっても、ケースGやHのような将来試算、こういうバラ色の、百年間、賃金上昇率が物価上昇率を上回るようなケースEではなくて、リアルケース、ケースGやH、こういった試算もして、そして、不都合な将来推計も真正面から見据えて対策を講じていく、最低保障機能を強化していく、こういう議論を深めてきたんです。

 そして、その最低保障機能については、軒並み先送り、後回し。そして、やるやるとは言われますが、具体策で答えられるのは、六万円の年金生活者支援給付金。これは消費税が一〇%になったときの逆進性対策であって、最低保障機能の強化は、三党合意や社保・税一体改革の中の議論でも別枠になっているんです。こういうことは全く具体的な言及はない。

 おまけに、高所得者、高額年金所得者、議論をさせていただきましたクローバック、一定の額を還付していただく、あるいは、所得税、相続税、こういったところで、高額所得者の方々に、申しわけないですが、低年金、無年金の方々を出さない、生活保護をふやさない、貧困高齢者をこれ以上ふやさないためにお願いをさせていただく、我々の抜本改革の中にはちゃんとそういう案が入っています。

 しかし、それも答弁の中で、全てこれから検討ということですよ。安倍政権は本当にお金持ちには優しい政治だなと私は思いました、そのとき。

 そんな中で、きょう私は、このボード、見覚えありますか、総理、このボード。(発言する者あり)これはいいと言われていますよ。これは認められましたよ。

 安倍総理は、今まで結党以来、強行採決をしようと考えたことはない……(発言する者あり)これはいいと認められましたよ。写真を消してくれと言われたのはこちらですよ。内容は合っているけれども、萩生田官房副長官の顔写真は消してくれと理事会、その後の筆頭間協議で言われたんです。

 きょうも決算行政監視委員会で、我が党の大串政調会長の質問に対して、この、強行採決なんていうのは世の中にあり得ない、審議が終わって採決するのを強行的に邪魔する人たちがいるだけだ、野党の国会対応を田舎プロレス、あの人たちが本当に声をからして質問書を破りながら腹の底から怒っているかといったら、本当に田舎のプロレスだ、茶番だと言ったことに対して、謝罪、撤回をされました。

 安倍総理、塩崎大臣も先日、野党の強行採決を演出と言いましたが、我々は演出でもプロレスでもありませんよ。人の生き死にがかかっているんですよ。容易に人は、年金の減額の影響で心中、自殺、殺人ということが起こってしまうということを午前中も聞いたばかりなんですよ。何でこのことに対して怒っていることが茶番、田舎のプロレスなんですか。安倍総理、この発言について、総理からも謝罪をいただくべきじゃないですか。

安倍内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、所得代替率の三割カットというのは、二〇〇九年の段階でそれはもう示されていたわけであります。皆さんは、その後三年間、では、生き死にがかかっているとおっしゃるのであれば、何をやったんですか。何もやっていないじゃありませんか。何もやっていないんですよ。

 そして、私たちがやろうとしていることは、さまざまな対応をしています。そして、被用者保険の拡大も図ろうとしています。あるいはまた、個人型確定拠出年金など……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 私的年金等の拡充もしっかりと行いながら、保障機能の強化に今、取り組んでいる、取り組もうとしているわけであります。

 そして、七%、私が七%アップと言ったのは、七%アップという趣旨、七%アップということでなくて、やらなければ七%下がるところを、何もやらなければ下がっている七%から、七%上げるということを申し上げているわけであります。

 発言を的確に、ちゃんと紹介をしていただきたい。そうでなければ、お互いに正しい議論はできないじゃありませんか。

 そして、萩生田官房副長官の発言につきましては、既に謝罪し、撤回しているものと承知をしております。

柚木委員 安倍総理御自身はどうお考えかとお尋ねしたんですよ。

 私も、恥ずかしながら、きょうも朝から医務室ですよ。八度以上熱も今あります。解熱剤を飲んでいます。嘔吐、下痢どめを飲んで来ています。きのうは点滴を打ってきました。先週も、水、金、質問させていただいて、何が声をからしてですか。私のポケットの中にはいつもドロップがありますよ。声をからして、本気でやっているんですよ。人の生き死にがかかっている法案を、何が田舎のプロレスなんですか、茶番なんですか。

 総理、官房副長官は側近でしょう、萩生田さんは。こういう発言について、萩生田さんは謝った、総理はどう考えるんですか。

安倍内閣総理大臣 繰り返しになりますが、人の生き死にがかかっている、そして、それは三割カットということであれば、先ほど申し上げましたように、もう二〇〇九年の段階で所得代替率は三割下がるという数字は示されているんですよ。その間、三年三カ月、皆さん、人の生き死にがかかっているのに何もしなかったんですか。そうではないと思いますよ。

 やはり、責任ある対応をしようとすると、そう簡単にはできないんですよ、それは。年金の制度を変えていくということは、責任を持って変えていくということはそう簡単なことではないということを、本当は政権を経験してそれをわかっているはずだと私は思っておりましたが、大変残念であります。

 そして、この法案とはかかわりがないかもしれませんが、今の御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、萩生田副長官は謝罪をし、撤回したものと承知をしております。そして、本人は、みずからの発言で国会審議に支障を来すとすれば、それは本意ではないと、発言を撤回し、謝罪したものと承知をしておりまして、萩生田副長官においてはこれからも副長官として緊張感を持って仕事に当たってもらいたい、このように考えております。

柚木委員 安倍総理御自身が、今と未来の年金生活者に対して私は非常に不誠実だと思いますよ。

 萩生田さんは、もちろん、当たり前ですよ、こんなの、謝罪、撤回。塩崎大臣が、強行採決という演出をしてくると言うこともとんでもないと思いますよ。そのことに対して安倍総理御本人の認識を私は尋ねた。本来、そのような発言は慎むべきだと一国の総理としておっしゃるのが筋じゃないですか。

 今と未来の年金生活者が、このような各大臣や側近の官房副長官の発言を聞いたら、いや、どうせ年金なんて将来もらえないと。たくさん言われますよ。柚木さん、これ以上年金を減らさないでください、もう暮らしていけなくなる、たくさん言われますよ。そういう中でこのような発言が出てきたことに対して、御自身は謝罪をされない。その姿勢が安倍総理の今と未来の年金受給者に対する姿勢をあらわしていると言わざるを得ません。

 将来、この年金カット法案で、では、一体、ここの資料に示しております、これは二〇〇九年から二〇一四年の調査データによって、この五年間で貧困高齢者が百六十万人ふえた、そして、合計八百九十三万五千人、これだけの方が貧困高齢者ということで、今度、私たちは直接この著者の方にもお話を伺います。

 しかし、政府の試算によれば、私も六ページ目に資料をつけておきましたが、ギャップがあるんですね。百七十五万人ぐらいなんですね。七百万人ぐらいのギャップがある。もちろん、前回議論もしたことですので、その理由としては、もう答弁があったので、私は、その答弁は、塩崎さんはもう結構ですので、求めません。

 私が安倍総理にお聞きしたいのは、総理、この将来年金三割カット法案が成立したら、では、このような貧困高齢者あるいは生活保護受給者がどれだけ減るんですか、お答えください。将来年金はふえるんでしょう。

安倍内閣総理大臣 今回の年金額改定ルールの見直しは、将来の基礎年金の水準がこれ以上下がることがないようにするためのものであります。

 したがって、この見直しのみによって、将来の給付水準が財政検証の見通しより改善したり、将来の貧困高齢者や生活保護世帯が減るわけではないわけであります。

 それを減らしていく上においては、しっかりとした経済政策を前に進め、経済を成長させ、そして仕事をつくっていくことなんですよ。仕事が民主党政権時代みたいに十万人も減っていたら、それはなかなか仕事を得ることができないんです。

 我々は、百万人の雇用をつくり、相対的貧困率、これは随分言われましたね、相対的貧困率は、この統計をとって以来初めて減少傾向になったんです。

 子供の相対的貧困率についても、十五年前にとって、それは九・二、そして、十年前に九・七まで上がり、五年前に九・九になった。そして、安倍政権ができてそれがどうなったか。七・九になったんです。(柚木委員「減るんですか」と呼ぶ)大幅に減ったじゃありませんか。改善されているんです。

 大切なことは、しっかりと仕事をつくっていくということであり、そして、給与を上げていく、生活水準を上げていくということであります。

 また、生活保護の受給状況については、高齢者の世帯構成の変化、そして、経済情勢や資産の状況など、さまざまな要素の影響を受けるものであることから、年金額の動向によって生活保護の受給者がどの程度変化するかといったことをお示しすることは難しいと考えております。

 なお、高齢者の生活状況については、国民生活基礎調査や全国消費実態調査などのさまざまな統計データの活用により、多角的な実態把握に努め、適切に対応してまいりたいと思っております。

柚木委員 残念ながら、将来年金三割カット法案で貧困高齢者や生活保護受給者が減らないということですよね。

 そういう中で、さらに、安倍政権になって、医療、介護で……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

柚木委員 負担増メニューがオンパレードなんですよ。

 この中の、例えば、介護保険の利用者負担三割とか、もう既に四項目は来年度から実施をする。低所得者の保険料軽減措置もやめるじゃないですか。そして、この中で、三項目以外は全て安倍政権になって出てきている項目なんですよ。

 年金カット法案による影響だけじゃなくて、医療や介護も含めて負担増をパッケージで試算をして、そして、その上で総理がおっしゃる最低保障機能の強化を図らないと、どれだけの人がどれだけ負担がふえて、そしてまさに貧困高齢者や生活保護に陥りかねない、試算を出さなきゃわからないじゃないですか。

 ぜひ、安倍総理、今回の将来年金三割カット法案による負担増と、そして医療、介護の負担増メニュー、こういったものをパッケージで負担増を試算していただいて、そして、それに対応できる最低保障機能の強化をお願いしたいと思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 まず、今、年金カット法案ではないということは再々申し上げているとおりで、そういう呼び方をするのはやめていただきたい。(柚木委員「三割減るじゃないですか、所得代替率。認めたじゃないですか」と呼ぶ)

 そして、三割に至っては、先ほど申し上げたじゃないですか。三割カットというのは、所得代替率、三割でありますが、これは二〇〇九年の段階で、それはもうそういう数字がお示しをされているんですよ。その間、皆さんがこの三割に対して何かなさって、そして、それを私たちがまたもとに戻したのであれば、その指摘は合っているかもしれませんが……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 それは既に二〇〇九年の段階からそうであった。皆さんは、三年三カ月、何にもしなかったわけでありまして、そして、この法案によって三割カットされるわけではない、これは……(柚木委員「いいかげんに、もう人のせいにするのはやめてください。総理、質問に答えてください」と呼び、その他発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 これは法案の根幹にかかわることであります、法案の根幹にかかわることでありますから、はっきりと申し上げておかなければいけない、こう思います。(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 こんな議論をしているのであれば、そんなレッテル張り、三割カットというのは、これは明らかにデマゴーグですよ、はっきりと申し上げまして。それがそうでないというんだったら、証明していただきたいと思いますね。そういう議論をしていくことによって政治は信頼を失っていくということをはっきりと申し上げておきたいと思います。

 そこで、お答えをいたしますが、今回の年金額改定ルールの見直しに当たり、マクロ経済スライドについては、前年度よりも年金の名目額を下げないという配慮を維持し、その上で、未調整分を繰り越して好況のときに調整する仕組みを導入する。

 また、賃金が下がった際に賃金に合わせて改定する見直しについては、低年金、低所得の方に対する年最大六万円の福祉的な給付が平成三十一年十月までにスタートした後の平成三十三年度から実際には適用になる。このように、制度の見直しに当たっては、低年金の方にも十分配慮を行っています。

 また、医療保険制度と介護保険制度の見直しについては、昨年十二月に取りまとめられた経済・財政再生計画改革工程表等を踏まえ、現在、社会保障審議会の関係部会等において御議論をいただいています。

 これらの見直しについては、まさに現在、各関係審議会等において御議論をいただいているところであり、その負担の増減について試算をお示しすることは困難であります。

 いずれにしても、社会保障・税一体改革の中で低所得の方については医療や介護の保険料の軽減を行っているところであり、今後とも適切に対応してまいりたいと思います。

柚木委員 後ほど議事録を確認しますが、所得代替率がこれから我々が年金を受給するころまでに三割減るというのは政府の資料ですよ。それを今、否定されるということは、みずからを否定されることになりますから、議事録を私は精査して、委員長、これは私は訂正が必要だと思いますよ。

 そして、六万円の話は、消費税が上がったときの逆進性対策なんですよ。何でそれを、やるかどうかもまだ決まっていないことを、あたかももうやることが決まっているようなことを言って、ここに書いてあることも、来年やることがたくさん入っているんですよ。負担増は先行して、負担減は後回しじゃないですか。そして、医療、介護、これは負担増、ダブルパンチなんですよ、本当に。年金カットと医療、介護の負担増、ダブルパンチなんですよ。六万円なんか、まだやることは決まっていないじゃないですか。

 では、この中で撤回するものはあるんですか。決定と報道がたくさん出ていますよ、来年度から。

 私は、安倍総理、きょうの議論も含めて、先ほどの所得代替率の話も、非常に不誠実だと思いますよ。あり得ない、三パー減って七パーふえるというバラ色試算を出す。そして、我々は、不都合な将来推計でも向き合って対策を講じていこう、ケースG、Hなどでも試算をすればいいと。これは、年金部会の専門委員の方がそういうことをやるべきだと言っていますよ。

 そういうことは一切やらない。最低保障機能の強化は先送り、負担増は先行。私はよくわかりましたよ、安倍政権の姿勢が。結局、試算からも逃げ、負担増は先行、負担減は先送り。お金持ちには優しい政治じゃないですか。

 私は、総理、そういうことで、本当に、まさか、よもやきょう採決なんてあり得ないと思いますよ。

 安倍総理、試算から逃げているだけじゃないんですよ、総理は。昨日も、我が党の蓮舫代表との議論で、トランプ次期大統領との会談、何で衆議院で説明責任を果たす集中審議に応じられないんですか。安倍総理が応じると言えば、訪米報告、ちゃんと説明責任を集中審議で果たしていただけるんですよ。

 安倍総理、年金問題からも、訪米の説明責任からも逃げずに、この国会で答えてくださいよ。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 質疑がかみ合っていないんですね。なぜかみ合っていないかといえば、私が言ったことを全く御理解をいただいていないからなんですよ。私は、三割カットしないということは一言も言っていないんです。

 ちゃんと聞いておられないから、もう一度言います。

 二〇〇九年において、財政検証でも、マクロ経済スライドによる調整終了後には三割弱減少する結果があったんですよ。もう既にその段階で決まっているんですよ。この法案によってやるんじゃないんですよ。それを私、さっき述べたじゃないですか。だから、恐らくそれを御理解していないから、その後の三年三カ月、何をやっていたんですかということが御理解いただけなかったんじゃないかな、そう思うわけであります。

 つまり、年金というのは、そう簡単に給付を上げて保険料を下げるなんということはできないんですよ。保険料があって、そして集めた税金があって初めて給付があるわけであります。その中でしか設計はできないわけであります。ですから、皆さんも、三年三カ月の間、この三割減る中において、何もできなかったんですよ。しかし、私たちはそれを批判していません。

 その中で……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 将来年金をどうしていくかということに誠実に向き合っていくべきであって、我々は、世代間の公平さをしっかりと守らなければいけないという中において、今回の法案を出したわけであります。

 そして、もとより、審議において、集中審議をする等々については、これは委員会でお決めになることでありまして、これはまさに国会のルールのイロハであろう、このように思います。

柚木委員 安倍総理はいつまで野党のせいにされるんですか。御自分たちが、我々の三年三カ月以前、何十年政権を持ってきたんですか。いつまで人のせいにするつもりですか。我々は抜本改革を、国民会議、三党合意して、やろうとしてきたじゃないですか。それをほごにしているのは安倍総理じゃないですか。

 しかも、この年金カットルールが発動しないと言いながら、過去十年で六回も発動して、安倍政権に戻ってから、過去四年で二回も発動することになっているじゃないですか、足元の経済で。今年度だって発動しているんですよ、安倍政権の中での経済状況だったら。何が念のためですか。いいかげんにしてください。

 総理、きょう、この総理質疑が終わって一時間半もすれば、この将来年金三割カット法案を強行採決する、そういう提案が既になされております。

 安倍総理、与党と野党との協議ですが、総理でもあり、自民党の総裁でもありますよ。安倍総理が、いや、まだまだ審議不十分だ、しっかりと議論もしなきゃいけないと。

 GPIFの問題もある、短時間労働者の保険適用拡大、日本年金機構の資産売却、議論はまだまだ尽くされていない。マクロスライドのときの三十六時間の半分もいっていなかったんですよ、きょう始まる段階で。それできょう、強行採決を提案するなどというのは、今と未来の年金生活者を完全に無視することになりますよ。

 安倍総理、きょうの強行採決は行わないと国民の皆さんにこの場で約束してください。

安倍内閣総理大臣 私は、所得代替率が三割減ることを野党のせいになんか全くしていないじゃないですか。

 二〇〇九年の段階の試算というのは、それまでずっと自民党が政権をとってきたことも含めて、それは、自民党のせいとか、どこの党のせいではなくて、人口動態によるんですよ、これは。年金というものはそういうことなんですよ。これを御理解いただけないとそもそも議論にならないし、しかも、私が述べたことを全く御理解いただいていないようでは、これでは何時間やったって同じじゃないですか。こんな議論をやっていたんでは何時間やったって同じですよ、それは。

 中身のある議論というのは、私が述べたことをしっかりと受けとめていただいて、その上で、では、こうすればいいという建設的な議論を述べていただいて初めて議論は機能するのではないかな、こんなように思う次第でございます。

 そして、年金カット法案というのは、まさに、年金がカットされる、そのための法案であるかのごとくの印象を与えるわけでありまして、三割カットに至っては、全く根拠がないということが……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 済みません、今私が述べていることを国民の皆さんが聞かれたら困るんですか。ちゃんと静粛にしていただきたいと思います。

 つまり、そういう議論をちゃんとしていかないと、ひたすら間違った認識に基づいて相手を非難したって、これは全く生産的ではないんですよ。

 確かに、そうやって非難すれば、年金に対する、我々の法案に対する不安をあおるかもしれませんが、皆さんだって、決して皆さんの信用が上がることはないですよ、はっきりと申し上げておくけれども。それで民進党の支持率が上がるわけではないんですよ。それも、残念ながら、数字が示しているではないですか。そのことを申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 ドンドン机をたたかれて叫ばれていると、私も話がしにくいんですね。静かにしていただきたい。

丹羽委員長 答弁中ですから御静粛にしてください。

安倍内閣総理大臣 私は事実を述べているわけでありまして、そうやって根拠に基づかない批判をしたって、皆さんに対する支持は上がりませんよ。それははっきりと申し上げておきたいと思います。

 その上で申し上げると、この国会において、またこの委員会において採決するかどうかは、この委員会において皆様がお決めになることであります。

柚木委員 副長官の言葉、お坊ちゃま育ちの安倍総理には、今と未来の低年金者、貧困高齢者の声は全く届いていない、そのことが今改めてわかりましたよ。

 きょう、強行採決するんですね。

 今と未来の年金生活者の声を全く無視して、かき消して……(発言する者あり)では、これから、来週、再来週、しっかりやりましょうよ、皆さん、議論を。やりましょうよ。

 まだまだ議論は尽くされていない。マクロ経済スライドよりも、賃金が下がって、物価が上がって、下がった方の賃金に下がるダブルパンチ、医療、介護と年金カットのダブルパンチ、こういう中で、最低保障機能の強化も含めて全くめどが立たない中で、きょう強行採決などは絶対にあり得ないということを申し上げて、質問を終わります。

丹羽委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 井坂信彦です。

 先ほどの総理の答弁で、やはり聞き逃すことができない答弁がありました。ちょっと、それはお答えをいただきたいと思います。

 まず一点目は、こんな議論だったら幾ら審議時間を重ねても仕方がない、こういうことを総理ははっきりとおっしゃいましたが、行政府の長として、この委員会で、もう幾ら議論をしてもしようがない、こういう御認識なのか、お答えください。

安倍内閣総理大臣 最後の段階でも、この採決については委員会でお決めになることです、このように申し上げました。しかし、柚木議員は、では強行採決するということですか、こうおっしゃったわけでありまして、まさにかみ合っていないじゃないですか。つまり、私が言ったことを、ちゃんと正しく議論して、理解して、反論して……(発言する者あり)

丹羽委員長 静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 私が述べていることを理解しようとしていないのであれば、議論する意味がないという、これは常識ではないか、こう思うわけであります。

 その上において、委員会で議論を終結するかどうかは、もちろんこれは委員会が決めることであります。

 建設的な議論というのは、相手がどういう趣旨を述べたかということを正確に受け取った上で、反論するなり、あるいは建設的な提言をすることによって、初めて議論はかみ合い、成り立つんではないのかな、このように思うわけでございます。

井坂委員 議論がかみ合わないのは、相手が自分の発言を理解していないせいだというふうに総理はお感じになったんだと今おっしゃいましたが、私、こちらから聞いておりまして、総理の御答弁も、質問されたことを本当に御理解いただいているのかなと大変疑問に思うような御答弁が続いておりますよ。

 もう一点お伺いをしたいと思いますが、今回、この年金カット法案、そちらは将来年金確保法案というふうにあだ名をつけておられます。それは、お互いにあだ名をつけているんだというふうに思いますけれども、今回、将来年金確保法案とおっしゃいますが、一体、将来年金の何が確保されているんですか。

安倍内閣総理大臣 つまり、これは、将来年金、既に恐らく何回も厚労大臣から答弁をさせていただいていると思うわけでありますが、いわば、今まで、賃金が下がったときやデフレ状況の中においてもマクロ経済スライドは発動されなかったわけでございまして、賃金が下がっても、その賃金に合わせて年金が引き下げられなかったとすれば、これは当然、所得代替率は上がっていくわけでございます。年金の財政については、将来にわたって、いわば同じ財布に入っていくわけでありますから、それは当然、将来の基礎年金の水準にかかわっていくわけでございます。

 先ほども申し上げましたように、マクロ経済スライドが発動されなかったことにより、将来の年金については、一割、これは減額になってきたわけでございます。そういう意味において、我々は、あらゆるケースを想定しながら将来世代の基礎年金の所得代替率を確保していかなければならない、このように考えているところでございます。

井坂委員 本日、順を追って議論をしたいと思います。

 今回の年金カット法案で、物価が上がっても賃金が下がれば年金も下がる、こういう新しいルールが追加をされようとしています。この新しいルールは、思った以上に高い頻度で発動し、仮に過去十年間の日本の賃金、物価改定率に当てはめれば、過去十年で何と六回も年金カット法案が発動されることになり、年金カット法案があるときとないときで比べれば、実に五・二%も年金がカットされてしまいますよということ、これは先月の予算委員会で議論をさせていただきました。

 物価に比べて年金の水準は下がる一方で、一度下がった年金は二度と物価に追いつくことはない、こういう制度になっています。この年金カットルールは、今の高齢者だけでなく、我々現役世代、またその次の将来世代の老後にもひとしく適用されるということも忘れてはならない事実であります。

 その後、政府も、年金カット法案で、高齢者は十年で三%、一方、将来の年金は七%もふえるんだ、こういうバラ色の試算を出してこられました。

 資料の二をごらんいただきたいというふうに思います。入り口から、試算どうするんだということで、年金カット法案の審議は随分もめたわけであります。上が政府の出してきた将来試算、一言で申し上げれば、大昔からカットすれば、将来これだけふえますね、しかも、今後年金カット法案の発動は百年間一度も発動しない、こういう前提で出してきた政府の試算が七%アップ。

 一方、我々が求めている当たり前の試算は、この年金カット法案が平成三十三年に施行された後に本当に発動したら、どれだけ高齢者の年金は減るんですか、そして将来世代にはプラスマイナスどういう影響があるんですか。年金カット法案が発動したらどうなるんですかという当たり前の試算は、結局、本日に至るまで、政府の方からは全く出していただくことはできませんでした。

 仕方ないので、私の方で、先週、試算を出させていただきましたところ、将来世代にこの法案が与える影響は七%どころかせいぜい二%、これはバックデータも含めてそちら側にもお渡しをしているところであります。

 そこで、総理に確認をいたしますが、二〇一四年財政検証におけるマクロ経済スライド終了後の基礎年金の所得代替率二六・〇%、これが本法案でふえることはあるのか。厚労大臣はふえないと明確に答弁をされましたが、本法案で将来世代の年金がふえることはありませんね、確認をいたします、総理。これは通告どおりですよ、通告の一問目に、今お聞きしたとおりの言葉で書いてありますから、総理もぜひ、この質問の意味を御理解いただけたのであれば、お答えをいただきたいというふうに思います。

丹羽委員長 先に、塩崎厚生労働大臣。(発言する者あり)

塩崎国務大臣 先ほど、私の方からの発言についての御言及がございましたので、とりあえず私の方からまず答えさせていただきます。

 前回、これは玉木議員の御質問がございまして、そこで答えたとおりでありますが、今回の賃金に合わせた年金額の改定を行うルールは、将来の基礎年金の水準が二〇一四年の財政検証、これでの見通し以上に低下をすることを防止するというものであります。

 したがって、将来の基礎年金の水準を同じ経済前提で考えれば財政検証での見通し以上に上昇させるものではないと申し上げたところでございまして、仮に名目でも実質でも賃金が下落するような事態が生じた場合には、本法案による改正を行わなかった場合の将来の基礎年金の水準と、改正を行った場合の将来の基礎年金水準を比較すれば、改正を行った場合の水準の方が将来は上回るということになるわけであります。

 つまり、もし下げるべきときに、残念な条件として、賃金が今おっしゃったように下がるということになった場合に下げなければ、将来の世代の年金受け取りが減ってしまうということになるわけで、見通し以上に低下することを防止するというために、今回の手だてを打つということであります。

安倍内閣総理大臣 ただいま大臣から答弁したとおりでありますが、今回の賃金に合わせた年金額の改定を行うルールは、将来の基礎年金水準が二〇一四年の財政検証での見直し以上に低下することを防止するためのものでありまして、それは従来から申し上げているとおりであります。(発言する者あり)二〇一四年の財政検証での見通し以上に低下することを防止するためのものであり、今回の見直しを行わなかった場合と比較すれば年金水準は上昇しますが、二〇一四年の財政検証での見通し以上に上昇させるものではありません。

井坂委員 一方で、今回の年金カット法案では、さっき申し上げた物価が上がっても年金は下がるというルールのほかに、マクロ経済スライドの強化ということも一つの柱として織り込まれております。

 特に将来世代の年金水準、年金額を真面目に考えれば、今議論した我々の話は、七%とおっしゃり、私は二%とバックデータつきで試算も出し、それに対して、政府は、いや、そもそもこんなものは発動しないんです、今後百年間発動しないように経済を頑張るから発動しないんです、こういうことをおっしゃるわけであります。要は、この効果は非常に微々たるものだ。

 一方で、今回強化をされるマクロ経済スライドによって将来世代の年金は三割減る、これは先ほど答弁でもお認めのとおりであります。こちらの方がはるかに、私は、将来の年金を考えるに際して大きな問題だというふうに考えておりますので、総理にお伺いをしたいというふうに思います。通告どおりです。

 このマクロ経済スライドによって、将来の基礎年金は三割カットされるわけでありますが、その年金額で将来世代の老後の基礎的消費支出は現在と同じようにおおむねカバーできるのか。今回の法案で強化されるマクロ経済スライドによって、今から基礎年金が毎年毎年カットされて、将来世代は基礎年金が三割低い水準になるわけですが、これでは百年安心どころか将来世代の老後生活は成り立たないのではないですか、総理。

安倍内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、所得代替率が三割下がっていくというのは、まずは二〇〇九年の財政検証では既に示されているとおりでありまして、この法案によって新たに三割、これを削り込んでいくということではないということ、これをまず基本的な共通認識にしないとそもそも議論が成り立たないのではないかということを申し上げておきたい。

 これはもう先ほど来何回も議論している話でありますが、誤解をされておりますので、もう一度念のために申し上げておきたいと思います。(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

安倍内閣総理大臣 基礎的消費支出と基礎年金額の関係について、これまでの経過を見ると、夫婦世帯は、二人分の基礎年金額が基礎的消費支出をやや上回っており、単身世帯については、逆に、基礎的消費支出が基礎年金額をやや上回っています。

 二〇一四年の財政検証のケースEでは、マクロ経済スライド調整後の二〇四三年の基礎年金額は二〇一四年価格で六・三万円と、二〇一四年の六・四万円と比較しておおむね横ばいであると見込んでいるところであります。

 いずれにしても、基礎年金だけでは、先ほど来御説明をさせていただいておりますように、生活の全てを賄うことは難しく、それまでの間の蓄えを含めて万全な老後となるよう努力をしてまいりたいと思います。

 低所得、低年金の方には最大六万円の年金生活者支援給付金を行うこととしております。さらに、将来世代に対しては、年金の保障機能を一層強化し、老後の所得保障を厚くするため、高齢期の就労機会の確保、そして厚生年金のさらなる適用拡大、個人型確定拠出年金への加入促進等にも取り組んでいく考えであります。

井坂委員 もう一度、端的にお伺いします。

 マクロ経済スライド、今後、毎年毎年、基礎年金は下がっていって、そして、将来世代の年金は三割低い水準になるわけであります。今も確かに基礎年金だけで基礎的な消費が賄える状態にはなっておりませんので、おおむねカバーをしている、こういう答弁が続いています。我々、別にそれを全部カバーせよなどとは申しておりません。今はおおむねカバーをしていると答弁をされている。それに対して、今からさらに基礎年金がどんどんどんどん毎年減っていって、将来の年金の水準は三割下がる、こうなったときに、もはやおおむねカバーとも言えない状況になるんじゃないですか、将来の年金水準では将来世代の老後の生活は成り立たないのではないですかとお伺いをしています。

安倍内閣総理大臣 いわば、先ほど申し上げましたように、賃金には追いついていかないということになっていくわけでございますが、購買力においてはそれほど変わらないのではないか、このように考えているところであります。

 と同時に、そもそも、国民年金、厚生年金との関係でいえば基礎年金でありますが、国民年金ができた当初は自営業者が多く加入していたわけでございまして、いわば定年というものがないわけでありますから、この国民年金、いわば基礎年金と、例えば床屋さんを続けながらその収入とともに生活をしていくという設計でもあったわけでございますが、しかし、その後、厚生年金に加入をしていない被用者の方々、非正規の方々がふえてきているというのが状況であり、それに対応していく必要がありますから、なるべく、先ほど申し上げましたように、その拡大を、正規雇用の方々そして厚生年金に加入する方々の拡大にしっかりと努めていかなければならない、こう考えているところでございます。

井坂委員 ちょっとはっきりさせたいんですが、総理は、例えば働き方を変えるとか、いろいろなことをおっしゃいます。その前提は、やはり今のままでは、基礎年金では、将来世代の年金はおおむねカバーということすらできない水準まで落ち込む、だから働き方とかいろいろ変えるという答弁をされているという理解でいいですか。

丹羽委員長 塩崎厚生労働大臣。(井坂委員「総理の答弁ですよ」と呼ぶ)

塩崎国務大臣 補足をさせていただきますと、順序立てて物事を考えた方がいいと思うんですが、今、年金の議論をしているわけでありまして、年金は、給付と負担のバランスの上に立って、限られた財源を世代間で分かち合う仕組みであるわけでありますので、その中でどういうふうにするのかということで、平成十六年にマクロ経済スライドができ、そして、今回御提起申し上げているような、賃金がマイナスになった場合、物価のマイナスより大きい場合、あるいは物価がプラスで賃金がマイナスの場合、そういうときでも将来の年金が確保できるようにするというためのルールをまず設けていくべきだということで申し上げているわけです。

 皆さん方が今、将来の基礎年金が下がるじゃないかとおっしゃっているけれども、今反対をされているこの法案のとおりにやらなかったら、結局、皆さんのもとでの年金制度はもっと将来下がるということになることをお忘れになってはいけないということがまずあると思います。

 当然、所得代替率を現在と同じ六〇%程度に守るというのは難しいわけでありますので、それは、今申し上げたようなマクロ経済スライドの、今回の御提起を申し上げているようなことなどを含めて、低所得、低年金の高齢者に対する対応策というのはさまざま、きょう午前中の参考人でも、これは藤田さんも、医療、介護、住居費などを総合的にやはりやるべきだ、こうおっしゃっているわけでありますから、我々は、まず年金でやれることは全てやる、そして社会保障制度でやることも全てやる、そしてそのほかの住宅の政策などもやって子細に見ていく、高齢者の生活ぶりを支えていくというのが我々の大事なことなので、給付だけをふやそうといっても、それは財源の要ることです。

 皆さん方が今下げないと言っていらっしゃる今回のルールで、ではその財源はどこから持ってきているのかといったら、それは将来世代の方々の財源を今の、下げるべきものを下げないということに使うということであることをお忘れにならない方がいいと思います。

安倍内閣総理大臣 お答えさせていただきますと、これは先ほどもう既にお答えをさせていただいているわけでありますが、二〇一四年の財政検証のケースEでは、マクロ経済スライド調整終了後の二〇四三年の基礎年金額は、これは代替率ではなくて、もらう基礎年金額は二〇一四年価格で六・三万円と、二〇一四年の六・四万円と比較しておおむね横ばいでございます。

 これは物価が上がっていくものを割り引いたものでございます。という意味において、購買力は変わらないということでございます。これは御理解いただけていると思いますが、その上で、さらに私が申し上げましたような対策をちゃんとやっていかなければならない、こういうことでございます。

 ですが、御質問の、これが今の水準よりもがくんと落ちるからいろいろなことをやらなければいけないということではなくて、購買力という点においては、これは今申し上げましたように、ほぼ横ばいだということであります。である上にさらに、今高齢者の皆さんは元気に活躍できますから、活躍していただこうという政策をしっかりと進めながら、雇用をされながら収入も得、かつ基礎年金ももらっていけるという状況を多くの人たちに生み出していきたい、こう考えているところでございます。

    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

井坂委員 総理、今答弁で、購買力は変わらないということを強調されました。

 お伺いいたしますが、将来世代の年金、今から毎年毎年下がって、三割下がるわけでありますが、そこまで下がっても購買力は変わらないから将来世代の老後の生活は成り立つ、そういうふうにおっしゃったんですか。

安倍内閣総理大臣 所得代替率は三割下がる、これはもう繰り返しになりますが、私たちの法案によって下がるのではなくて、既にマクロ経済スライドを導入した段階で、二〇〇九年のいわば計算においてそういう計算が、はじき出されているわけでありますから、この法案でそうなるわけではございません。

 他方、所得には追いついていかないわけでありますが、物価が上がればそれに対してはマクロ経済スライドは発動されますが、しかしそれを超えていく分には当然上がっていくわけでありまして、今申し上げましたように、六・四万円に対して六・三万円という支給額は確保できるということがEケースにおいて示されているということは申し上げているわけでありまして、一番最初に私は、大臣が答弁される前に、購買力においては変わらないということはそういうことでありまして、後ほどもう一度詳しく説明させていただいたとおりでございます。

井坂委員 重ねてお伺いいたします。

 購買力が変わらないという答弁はそういう答弁だとよく理解をいたしました。購買力が変わらないということで将来世代の老後の生活は成り立つとおっしゃったんですか。

安倍内閣総理大臣 つまり、その間、例えば、どんどん賃金が上がっていく、それには、これは先ほど申し上げましたように、追いついていかないわけでありまして、どんどん国民が豊かになっていく、現役世代が豊かになっていくところには追いついていかないわけでございますが、しかし、物価が上がっていく中においてはある程度追いついていく中において、六万四千円に対して、割り戻しても六万三千円の確保がなされている、物価水準に対して、今の物価水準とほぼ同じように計算して六万三千円ということでありますから、当然、生活費としては、購買力としても、物価に対応して考えるのがこれは常識であろうということでございます。

井坂委員 ちょっとはっきりおっしゃらないんですけれども、購買力は維持されるということで将来世代の老後の生活は成り立つなら、自信を持って成り立つとおっしゃってくださいよ。基礎的消費は賄える、おおむねカバーできるとおっしゃってくださいよ。

安倍内閣総理大臣 基本的には今の考えでございますが、ただ、今のいわばこの六万四千円についても、これは十分ではない、生活をしていく上においては十分ではないということを申し上げているわけでありますが、また、いずれにしても、高齢者世帯の支出は高齢者世帯の所得に応じて変化するものと思われるわけでございまして、いずれにせよ、基礎的消費支出の動向等も見ながら、必要な低所得者対策に適切に取り組んでいきたいと考えております。

井坂委員 もうちょっとお答えいただきたいと思います。自信を持っておっしゃったらいいんじゃないですか。将来世代の老後の年金、三割下がりますが、しかし、購買力は維持されるので基礎的消費はおおむねカバーできる、今もおおむねカバーできていると答弁されているんですが、将来世代もおおむねカバーできるのか、できないのか、お答えいただきたいと思います。

高鳥委員長代理 塩崎厚生労働大臣。(井坂委員「いや、こんな簡単な、総理」と呼ぶ)

塩崎国務大臣 私に対しても同じような御質問を受けましたけれども、何度も申し上げるように、ミーンズテストをやって決める生活保護と年金とは、やはり目的も違いますし、仕組みも違うということであります。

 それで、先ほど来、けさの参考人の藤田さんが、年金で全てを賄うことは困難なので住宅補助等で支出を下げる政策を行うべきだ、こうおっしゃっています。つまり……(井坂委員「いや、生活保護の話なんか一秒もしていないですよ。違うページの答弁を読んでいるんじゃないですか。そんなことは言っていないですよ。答弁から逃げまくらないでくださいよ」と呼び、その他発言する者あり)聞いてください。聞いていただけますか。

 つまり、私どもは、絶えず五年に一遍の財政検証をしながら、将来の代替率がどうなるのかということと、実質購買力ベースで見て、この年金額が、今回は特に基礎年金も含めて明示的にお示しをして、そのときそのときの、やはり先々の暮らしがどうかということを見ているわけです。

 今回の財政検証、二年前では、少なくとも代替率の五〇%は守れるということであり、また実質的に購買力は維持ができる、このマクロ経済調整が終わるころでもというのが結論であって、しかし同時に、私たちは三党合意で、年金生活者支援給付金を導入するということを、消費税引き上げ時にやることを決めているわけでありまして、それはやはり低年金の方々がおられるということです。

 それは、今回、短縮法案ももちろん導入しますし、それから、あわせて適用拡大も、中小企業に対してさらに広げていくことによって、非正規で働いていらっしゃった方々の年金を受け取る世代になったときの備えをきちっとするということであり、もちろん、先ほど総理がおっしゃったように、就労機会あるいは個人型の確定拠出年金も用意をしている、広げているわけでありますので、そういったことを含めて、あわせて総合的に高齢者の生活は見ていかなきゃいけないということであります。

井坂委員 資料五をごらんいただきたいと思います。あるいは、パネルの右側、ピンクと緑の、もうこの委員会で何度もお示しをしている政府のグラフであります。

 総理、このグラフをごらんいただいて、世の中の平均賃金が三十四万円の時代の基礎年金六万円と、世の中の平均賃金が四十八万円の時代の基礎年金六万円が同じはずないと思いませんか。

安倍内閣総理大臣 ですから、先ほど申し上げておりますように、代替率においては確かにそれは追いついていくことができないということになっているわけでございますが、しかし、物価の伸びに対してはある程度追いついていく、もちろんマクロ経済スライドはありますが、ある程度追いついていくということで、先ほど申し上げているとおりでありまして、六万四千円に対して六万三千円、おおむね購買力については変わらないということを申し上げたわけでございますが、一方、高齢者の将来の基礎消費について、今それをはっきりとお示しすることは難しいということは先ほど申し上げたとおりであります。そうした動向を注視しながら対応を考えていかなければならないということも申し上げたとおりでございます。

井坂委員 資料の六、将来の基礎的消費を示すのは難しいとこの間政府がおっしゃったので、過去のグラフをつくってまいりました。もう一目瞭然で、この高齢者の基礎的消費というのは、世の中の平均賃金にぴたっと合って伸び続けてきているわけであります。少なくとも物価に合わせて消費が伸びている、あるいは消費が物価どまりだという事実はありません。

 考えてみれば当たり前の話で、現役時代、まさに世の中の賃金四十八万円の時代は四十八万稼いで、五十歳、六十歳になって、それに合わせて基礎的な衣食住の支出がもう決まっているわけですから、老後になった瞬間に、急に三十年も四十年も前の高齢者の基礎的消費に戻れるわけがないわけであります。

 ところが、政府のグラフでは、こちらの棒グラフですけれども、ピンクのグラフ、所得はどんどんどんどん伸びる、これ自体大変甘い見通しで、我々はこんな甘い見通しでいいのかと再三申し上げておりますけれども、賃金、ピンクの棒グラフはどんどん伸びる。ところが、この緑の年金のグラフは横ばいで全く伸びない。でも、購買力は維持される、物価に追いついているからまあ大丈夫だというような答弁が続いているわけであります。

 年金が物価にさえ追いついていれば大丈夫、物価に追いついていれば大丈夫とそこまでおっしゃるなら、逆に、さっきのパネル、今回の年金カット法案は、まさに年金額が物価から離れてどんどんどんどん落ち込んでいく制度です。年金の実質価値が一方的に下がる制度です。物価に追いつくのが大事なら、この年金カット法案の賃スラルールは、これは非常に問題があるんじゃないですか。

塩崎国務大臣 我々は、今回のルールも、幾つもあるケースの中の二つ、民主党政権時代に十分対応できていない、デフレ下における年金制度をしっかり持続性を持たすためのものとしてやっているわけでございます。

 それも、そのときにも申し上げたように、もともと物価、賃金ともに健全に上がっていく経済運営をしていけば、こういうルールはないわけでありまして、将来の高齢者の生活ぶりについても、私たちはそういう、今申し上げたように、強い経済をつくる、これは総理が何度も申し上げておりますけれども、ということを基本としながら、物価も賃金も健全に上がっていくということを実現していく、そういう中で、将来の高齢者の消費を賄えるだけの制度にしていこう。

 それは当然、少子高齢化を解決しなきゃいけない。先ほど総理が言ったように、人口問題に今直面をしてそれに答えを出そうとしているわけでありますので、そこのところは、年金の掛金を一八・三というものを上限としていますけれども、では、これを撤廃して上に行くようにするのかということは、今までの話を全部狂わすことになりますから、やはりそういうことはできないので、そうすると、さっき申し上げた合わせわざで、年金そして社会保障そして就労を含めたその他の制度を駆使していくこと、そして原点は、強い経済をつくって賃金も物価もちゃんと上がっていくようにしていくということが基本であります。

    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

井坂委員 二〇〇四年にマクロ経済スライドが導入されたときは、将来世代の年金は一五%下がることでとどまる見通しでした。

 ところが、まさに当時、今と同じように、物価は下がるはずがないと甘い将来見通しで制度設計した結果、十年間これが発動されずに、今、将来世代の年金は三割下がる、こういうことになってしまった。

 私はやはり、厳しい経済見通しと、そして客観的な将来推計で抜本改革をする以外に、もはや将来世代にまともな金額の年金を払うすべはない、このことは強く申し上げて、本日の質疑を終えたいと思います。

丹羽委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本会議で総理に法案について質問したのは十一月一日でした。そのときは言い切りでしたので、一問一答の質疑で順次深めていきたいと考えていましたが、全く時間が足りません。

 委員長にお願いをいたしますが、本日の参考人質疑もありました。さらに十分な審議を確保してくださるようにお願いいたします。

丹羽委員長 理事会でそれは諮ってください。筆頭間で諮ってください。

高橋(千)委員 ちゃんとお答えいただきましたが、今聞こえませんでした。

丹羽委員長 筆頭間で御協議をお願いいたします。

高橋(千)委員 筆頭間の協議が成り立たないときは、ぜひ理事会でお願いをしたいということであります。与野党が一致をしておらないという状況で、我々はさらに徹底審議を求めたいと思います。

 総理にまず質問いたしますが、冷静に、しかもシンプルな質問ですので、総理が答えていただきたいと思います。

 野党が今度の法案を年金カット法案と呼んでいることに対して、やや、レッテル張りだとか、将来年金確保法案とか、あるいは転ばぬ先のつえなどというさまざまな名前が与党の側からも出ております。

 しかし、先ほど実は総理がちらっと述べたように、年金が下がることは間違いないんです。カットという表現を使わなくても構いません。

 それはどういうことかといいますと、マクロ経済スライドで所得代替率が三割下がるのは〇九年に既に決まったことだと答弁をされている。でも、それは過去に一度しか発動されていない。なので、それを確実に発動することを今回の法案で組み込んだわけですよね。

 なので、仮に物価より賃金が上回る経済再生ケースであっても、マクロ経済スライドが毎年引かれることになるわけですので、年金水準、購買力が下がるのは明確だと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 マクロ経済スライドは、平成十六年の改革によって、将来世代の負担を過重にしないため、将来の保険料水準を固定し、その範囲内で給付と負担のバランスをとるよう給付水準を調整する仕組みとして導入されたものであります。

 そして、今回の年金額改定ルールの見直しについては、マクロ経済スライドの調整期間の長期化を防ぎ、将来世代の基礎年金の給付水準を確保するため、マクロ経済スライドの未調整分を持ち越し、できる限り早期に調整し、賃金に合わせた年金額の改定により、支え手である現役世代の負担能力に応じた給付とすることとしたものであります。

 マクロ経済スライドによる調整が行われる間は、既に年金を受給されている方の年金額は物価の伸びほど上昇しないことになります。しかしながら、マクロ経済スライドによる調整を早期に行い、終了させることは、将来世代の給付水準の確保につながるものであり、御理解をいただきたいと思います。

 なお、見直しに当たっても、マクロ経済スライドによっては、前年度よりも年金の名目額を下げないという配慮を維持しているところであります。その上で、低年金、低所得、無年金の高齢者については、社会保障・税一体改革において、年金の受給資格期間の二十五年から十年への短縮、年金生活者支援給付金の創設、医療、介護の保険料の負担の軽減など、社会保障全体を通じた低所得者対策を講じることとしております。

高橋(千)委員 ですから、一問一答なんですから、本会議と同じ答弁を長々とやらなくてもいいです。順々に質問していきますので、最初のところだけでよかったと思います。

 二点、確認をいたしました。

 結局、マクロ経済スライドを確実にやっていくわけですから、物価の伸びほど上昇しない。ですから、これは購買力が下がるというのは明確だとお答えをいただいたと思います。

 それから、名目下限措置があるからと。つまり、前年の水準よりは下げないのだということは、これは原則は決まっております。今も、新しいルールでもそれは決まっている、そのことをお答えになったんだと思います。

 ただ、問題は、資料の一枚目を見ていただきたいんですけれども、まず一つはキャリーオーバー制度で、削減し切れなかった分は、翌年、翌々年とどんどん繰り越していって、必ず削減しようとしている。ですから、ちょっとでも大きく物価が上がれば、その分、ざっくりと、去年削減できなかった分も合わせて、例えば、毎年一・二%マクロ経済スライドをきかせるんですから、一年削減できなければ二・四%というようになることなわけですね。そこでまず横ばいになる。

 しかし一方では、そうはいっても、ずっと右肩上がりというのはさすがにないと思うんですよね。幾ら経済再生ケースといっても、ずっと右肩上がりというのは見たこともないわけで、当然、マイナス成長もあるでしょう。そのときに、転ばぬ先のつえということで、賃金スライドの新しいルールが発動するわけなんです。

 この資料の1の下にあるように、物価もマイナス、賃金はそれよりマイナスの場合、新規裁定者も既裁定者も賃金に合わせる。あるいは、物価はプラスなんだけれども賃金がマイナスのときは、どちらも賃金に合わせて下げられるということで、そうすると、マイナス成長で賃金スライドが発動された場合は、このラインが下がっていくわけですよね、物価よりマイナスのところに合わせるわけですから。そうすると、そこからまたスタートしていくということなので、結局、将来世代の年金水準を下げることにもなると思いますが、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 これは、既にこの委員会で厚労大臣が答弁をさせていただいておりますように、物価が上がっても、賃金が下がっているときには、この賃金が下がっている方にスライドをさせるということでございますが、従来から申し上げておりますように、こうした状況をつくらないように我々も努力をしていきたい、こう思っているところでございます。

高橋(千)委員 まず、事実だけを確認いたしました。下がる仕組みになっているということなんです。だから、私たち、カット法案と呼んでいるわけですが、現実にはそうなんじゃないかなと言わなければならないと思います。

 そこで、資料の二枚目ですが、二〇一四年の財政検証から二つのパターン、政府がよく使うケースEと、それから最も悪いケースHについて。これは二〇五五年には積立金も底をつくというケースなわけですけれども、二つを示しています。

 それで、先ほど来答弁されているのは、早く調整をしていけば、それだけ早くマクロ経済スライドの調整が終わって、将来世代の水準が保てるんだという説明だったと思うんです。

 それで、Eケースでは、ここにあるように、終了時が二〇四三年で、所得代替率が五〇・六%。これは、二〇一四年の物価に割り戻していいますと、夫婦の収入二十四万四千円で、今より少し上がっているという計算になるわけですね。問題は、ここで示されている数字は、あくまで新規裁定者の数字だということです。

 資料の三枚目を見てください。これは、似たような形の絵をパネルで、去年の予算委員会で質問したことがあるので総理も見覚えがあると思うんですが、現在の年齢の方が六十五歳になって年金をもらうと仮定して、その後の年金額の推移を示したものであります。

 先ほどの資料に合わせまして、二〇四四年、つまりマクロ経済スライドが終了する年の新規裁定者、六十五歳の方、今三十五歳なわけです。その方は五〇・六%、二十四万七千円もらうということで、その先がどうなるのかというのは、上に上がっていくとわかるわけなんですね。その同じ年に、四十歳の人は四八・〇となり二十三万四千円になり、四十五歳の人は四五・七%となり二十二・三万円となって、年金を一度もらったら、その先は確実に減る仕組みになっている。つまり、既裁定者というのは将来世代じゃないんでしょうか。

鈴木政府参考人 今先生お示しになりましたように、新規裁定者と既裁定者の改定ルール、これについて差異を設けるというのは、実は平成十二年の法改正によって既に導入されておるわけでございます。したがいまして、もとよりこの法案で導入されたわけではないわけでございます。

 その上で、先ほど来総理あるいは大臣が御答弁を申し上げておりますのは、新規裁定者の年金につきまして、今回の改定ルールによりまして、あるいは従来入れておりますマクロ経済スライドによりまして、どういったような所得代替率の動きが生ずるであろうか、その際、基礎年金についての購買力というものが失われることになるだろうかということの論点について申し上げたわけでございまして、その点につきましては、購買力が失われることはないということでございます。

高橋(千)委員 そうです、平成十二年に、これがもう既に入れ込まれている。そのときの説明は、下から上に上がっていったときに、最初にもらうときの所得代替率の八割を下らなければまあいいんだといって、年を重ねていけば消費支出が減るんじゃないか、それが自然な姿じゃないかという説明だったと思うんです。

 しかし、昨年の大臣の答弁は、こういうふうなものでありました。二〇一五年二月二十七日の予算委員会です。「年金を受け取り始めた後の年金、いわゆる既裁定年金と呼ばれますけれども、この改定は、購買力を維持するために、基本的には物価スライドのみということにしたわけでございます。」中略「なお、先進諸国の年金制度においても、多くの国々は我が国と同様に、年金額の改定というのは物価スライドのみで行われているということが多いわけでございます。」と答えているわけです。

 先進諸国まで引き合いに出して、既裁定者には物価スライドが原則と言い、だから購買力が維持できるんだと言っておきながら、今回は賃金スライドの提案をしている。どういうことですか。

鈴木政府参考人 今回の見直しの前のルールにおきましても既に、物価と賃金と丈比べした場合に賃金の方が物価ほど上がらない場合には、賃金に準拠して改定をするというようなことになっております。

 繰り返し申し上げますけれども、購買力のお話につきましては、あくまで新規裁定年金の話ということで従来から御答弁を申し上げているところでございまして、その際、では既裁定年金についてはどういうことになるのかということは、ただいま先生御紹介ございましたように、既に平成十二年の改正におきまして、八割を維持するということで歴代厚生大臣が御答弁を申し上げているところでございます。

高橋(千)委員 局長、そういうごまかしの答弁をしてはなりません。

 賃金と物価を丈比べして上がらない場合はとおっしゃいました。そうなんですよ。上がらない場合の話であって、今は、どっちも下がっていたときに、賃金の方が下がったら賃金に合わせるという、それは全く新しいルールではありませんか。それは十二年のときは想定していなかった。だから大臣が昨年、先進諸国だって物価スライドのみだと力を込めて答えたんじゃありませんか。

 二〇一四年度の財政検証結果レポートを見ると、「年金をもらい始めた年以降の年金額は、原則として物価スライドにより年金の購買力を維持する仕組みであるが、マクロ経済スライドによる給付水準調整期間は、物価スライドを抑制することとなるため、いずれの経済前提においても年金の購買力は低下していくことになる。」と明記しているんです。最初からわかっていたこと、国民にもこのことをきちんと説明してこなかったのではありませんか。総理、お答えください。

丹羽委員長 鈴木年金局長。その後に総理。

鈴木政府参考人 まさに今先生から御紹介いただきましたように、私ども、公表をしております年金数理レポートの中で、ただいま御紹介になったような記述を既にしておるわけでございます。

 そして、昨年の大臣の答弁ということで今御質問ございましたけれども、今回の法律改正の提案に当たりまして、まさに賃金が名目でも実質でも下がるような状況下で、この賃金の動きに合わせて年金を改定してこなかったがために将来の年金水準がより下がってしまうような結果を生んだということがわかったわけでございますので、このわかったことに基づいて早急にきちんとした対応を図るというのが責任ある対応であろうというふうに思っております。

高橋(千)委員 まず、先ほどの質問をきちんとやはり認めていただかないと、丈比べをした話を、逆さまなことで、私が下がった話をしているのに、それをすりかえたということは、きちんとやはり認めていただかないといけないと思うんですね。

 時間が来たので、ここはまとめますけれども、世代間の分かち合いとか持続可能な制度を叫んで、高齢者に今以上の我慢を押しつけることが、実は国民全体へも悪影響を与えるわけです。今、国民の四人に一人が年金受給者ですから、地域の消費支出、地域の経済を決めているのは、ある意味、年金受給者なんですね。

 私の生まれた秋田は、年金は県民所得一六・四%、対家計消費一八・五%です。だけれども、総理の地元の山口では一六・〇%、対家計消費二二%なんですよ。だから、ここを削ると、本当に経済の好循環なんて生まれるはずがないんです。

 こういう立場に立ってやはり組み立て直さなきゃいけない、このことを指摘して、終わりたいと思います。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 短い時間ですので、早速質問に入りたいと思います。

 これまでの質疑や報道の中で、国民の間に年金制度に対して持続可能性への不安や不信感が根強く存在すること、その一方で、高齢期の暮らしを支える仕組みとして年金制度を頼りにしている方が大変に多いことは明らかになったかと思います。しかし、残念ながら、議論のすれ違いばかりが目立ち、国民に不安を与えるかのような審議であったことは、我々としては極めて残念に感じているところでございます。

 年金制度の持続可能性については、五年に一度、制度を所管する厚生労働省によって財政検証が行われております。ただ、そもそも、制度を所管する役所が検証したのでは、みずからの制度に不都合な財政検証や結果を示さないのではないかという疑いの意見もあります。検証の前提となる指標が恣意的に設定されているのではないか、あるいは、結論ありきではないかという批判も聞かれるところであります。このような状況を続けていては、本当に年金がもらえるのかという国民の間にある不安を払拭することは難しいのではないかなと感じるところであります。

 我が国は、先ほど来お話がありましたけれども、この七年ほどの間に二度の政権交代がございました。将来推計のように、我が国の未来を考える上での基礎となる情報を、政府から一定の距離を持った組織が行うことによって、政治や行政の安定性を高めることにもつながるかと思いますが、安倍総理の見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 社会保障政策については、厚生労働省において企画立案が行われておりますが、企画立案に用いるデータや試算などの計算方法については客観的かつ公正的なものであるべきであって、恣意的なものであってはならないというのは、委員御指摘のとおりだろうと思います。

 お尋ねの、年金制度の財政検証は、年金制度の運営に最終的な責任を有する厚生労働相が責任を持って担当しています。その財政検証で用いる主な前提は、人口に関しては国立の研究機関である社会保障・人口問題研究所の将来推計、そして経済前提については、内閣府試算の数値を活用するとともに、経済、金融の専門家で構成される専門委員会における客観的な検討を経て設定した前提などを用いており、客観的であり公正的なものであると思います。

 また、平成二十一年財政検証からは、基礎データや推計プログラムについて厚生労働省のホームページにおいて広く公表するなど、推計の透明性を高める取り組みを行っており、今後とも、第三者が検証しやすいような不断の取り組みを進めていきたいと思います。

河野(正)委員 私たち日本維新の会は、積立方式による新しい年金制度を提案しているところでございます。私たちが積立方式を理想と考えているのは、世代間の公正と世代内の公正を追求しているからであります。世代間に存在する格差と、所得の高い高齢者と低い高齢者の格差是正が実現できる仕組みだというふうに考えております。

 衆議院本会議での代表質問に対する答弁では、積立方式について、いわゆる二重の負担と、高齢者の給付を賄うための非常に大きな資金が必要となることを問題として挙げておられました。しかし、私たちは、そうした課題は乗り越えられるものであるとし、国民にとってはそれを上回るメリットがある、公正な年金制度が実現できるものと考えております。

 積立方式の新しい年金制度について、重ねて安倍総理の認識を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 十一月一日の本会議におきましては、今委員がお話しなされたような二重の負担、いわば自分の積み立てと高齢者の給付を賄うことというこの二つの負担であります、それについて答弁をさせていただいたわけでございますが、仮に賦課方式から積立方式に切りかえる場合には、若い世代を含む全世代が、自分の積み立てに加えて高齢者の給付を賄うことになります。いわゆる二重の負担の問題が生じると考えます。

 具体的には、自分の積み立てとは別に、既に年金として支払わなければいけない金額が合計八百七十兆円あるわけでありまして、現在保有する積立金百八十兆円を差し引くと六百九十兆円となるわけでございます。この必要となる大きな財源をどのように確保するかといった問題があると考えております。

 これは、我が党においても随分、ずっと議論されたことでありますが、では、この百八十兆円を引いた六百九十兆円を一体どうしようか、誰にこれを負担していただくかということについては、これはなかなか難しい、なかなかこれは乗り越えられないというほぼ結論に至っていると言っても、我々与党においては、当時、自民党においてはそうだったわけであります。

 現行の年金制度は、賦課方式を基本としつつも、一定の積立金を保有しており、これにより、少子高齢化の進んだ将来の保険料負担の緩和と平準化が図られています。現行制度は、こうした積立金を保有するメリットも生かした財政運営を行っており、これが公的年金制度に最も適した財政方式ではないかと認識をしております。

河野(正)委員 我が党は、乗り越えられるものだというふうに考えておるところでございますし、残念ながら参議院の方でしか法案を提出できませんけれども、しっかりとぜひ議論をしていただきたいと思っております。

 今国会の議論が年金制度の信頼回復に向けた一助となることを願ってやみませんが、年金制度の国会での議論のあり方について、最後に問題提起をしておきたいと思います。

 平成十六年の年金制度改正以来、年金制度の議論が国会の場で与野党の対決の最前線に位置づけられてきたことが、年金制度への不信感と関係しているようにも思われます。野党側は制度の問題点を提起し続け、政府・与党側は制度を守る立場から議論をかわし続けることで、議論がなかなか深まっていなかったのかと思います。

 今回の法案も、年金カット法案と批判する議論があり、国民に大きな不安を生じさせたと思います。一方、政府・与党側も、国民に安心感を与えるだけの答弁が十分ではなかったようにも思っているところでございます。

 このような国会での議論を目の当たりにしてきた国民からすれば、年金制度自体に信頼が持てないというのも仕方がないかもしれません。もっと国会での議論を、国民の信頼、安心につながるものにできないのかと考えるところであります。

 過去には、例えば平成十七年、国会に、年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議が設置され、超党派で衆参を超えて議論する場がつくられたというふうにも聞いております。超党派の議員による新しい年金制度が提案されたこともありました。年金制度を政争から切り離し、国民の皆さんに信頼される制度を構築するために、立法府として一層の努力が必要ではないかと考えます。

 私たちは、今回の法案が年金制度改革のゴールではなく、より抜本的な制度改革が不可欠だというふうに考えております。今後、党派を超えて年金制度などを議論する場が必要だと考えますが、最後に安倍総理のお考えを伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回私どもが提出をしております年金改革法案は、財政検証によって明らかとなった将来の基礎年金水準の低下という課題に対応していかなければいけないということと、そして世代間の公平を図っていかなければいけない、そして将来の年金の水準を確保していかなければならない、そういう観点から改正を行うものでありまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

 その上で、年金制度は給付と負担のバランスの上に成り立っているわけでありまして、我々も、できる限り年金についてはふやしていきたい、将来にわたり、皆さんの年金もより多くしていきたいと考えるのは当然であります。一方、現役世代の皆さんの保険料という形の負担も、あるいは税金で支払う負担も、なるべくこれは抑制していきたいと思うのが当然であります。

 しかし、お届けする給付は負担の中からしか出てこないわけであります。これは、余りにも行き過ぎた負担によっては、当然、むしろ消費が落ち込んで、経済そのものが落ち込んでいくという結果になってしまうわけでありまして、年金の持続性を大きく損なうわけでございます。そもそも、納得できる水準でなければ負担をお願いできないわけでございます。その中で給付をどうするかということを考えなければいけないわけでございます。

 そういう、落ち着いた、深い議論をしていくことによって初めて年金の議論は深まり、国民の年金に対する信頼も高まっていくのではないか、こう考える次第でございます。

 いずれにいたしましても、日本維新の皆様方におかれましては、今まで審議を通じて熱心に、建設的な御議論をいただいたことに対しましては敬意を表したい、このように思う次第でございまして、今後も建設的な御提案をいただければありがたい、このように思う次第でございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 今後も、この法案とはまた別にして、国民の皆さんが安心して、現役世代であればしっかりとお金を払っていく、そして受給者世代の方も安心して暮らしていけるような制度づくりということで、議論をともにできればというふうに思っております。

 それでは、時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

丹羽委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 質疑を続行いたします。(発言する者あり)初鹿明博君。(初鹿委員「時計をとめて」と呼び、その他発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

丹羽委員長 速記を起こしてください。

 質疑を続行いたします。初鹿明博君。

初鹿委員 民進党の初鹿明博です。

 まず、委員長に申し上げます。

 三点申し上げます。

 一つは、筆頭間で協議をする、理事会をやるということですから、まずそれをきちんとやってくださいよ。それから審議に入ってください。それがまず一点。お答えください。

丹羽委員長 引き続き筆頭間で御協議ください。

初鹿委員 もう一つは、まさか強行採決なんて考えていませんよね。きょうここで採決をするのは時期尚早だと思います。

 先ほどの安倍総理とのやりとりを見ていても、議論がなかなかかみ合っていないんですよね。それは、お互いの認識の違いもあるかもしれませんが、一番の原因は、皆さん方がきちんとした試算を出していないことに一番原因があると思いますよ。

 今回、物価が上がっても賃金を下げるという新たなルールを設けると。では、これがこれから先、発動されて、どれだけ年金額に影響があるんですかということを問うと、財政検証の結果だと今後一切賃金が下がることはありませんと言うんですよ。だったらこの法案は要らないじゃないですか。三十一年に財政検証をするんでしょう。そして、この法案が発動するのは三十三年ですよ。三十一年の財政検証できちんともう一回試算を出した上で、それから法案を提出しても遅くないじゃないですか。違いますか。

 まずは委員長、きょうは採決は行いませんね。

丹羽委員長 私は採決について言及したことは一度もございません。

初鹿委員 行わないということですね。行わないということですね。

 では、もう一つ、もう一点、委員長にお願いがあります。

 先ほど安倍総理は柚木議員の質問に対して、あなたたち、そんなことを議論したって支持率上がりませんよという大変無礼な発言をいたしました。我々は支持率を上げるために議論をしているんじゃありません。国民の生活を守るために真剣に議論をしているんです。仮にそれが国民にとって不利益になることでも、将来にとって必要だったら我々は堂々と議論しますよ。皆さんたちだってそうでしょう。それだったらきちんと私は総理に謝罪を求めたいと思います。

 委員長からきちんと総理に対して発言の撤回と謝罪を求めてください。

丹羽委員長 理事会でお諮りいたします。

初鹿委員 これで委員長には質問は終わりますけれども、内容に入りますけれども、とにかく公平な委員会運営を行っていただきたいと思います。これまでこの厚生労働委員会は何回職権で立てているんですか。まともに協議が調って立ったことがないんだから、それはしっかりと行っていただきたいと思います。

 では、内容について少し話をさせていただきます。

 今回のこの審議の中でかみ合わない理由は幾つかあると思うんですが、まず一番の理由は、皆さん方政府の側は、年金をもらっている人たちの生活を考えていないということですよ。今、年金をもらっている人たちよりも将来の年金財政のことを考えていて、今、年金をもらっている人は、皆さん、藤田さんの、けさの参考人の話を聞きましたか。それを聞いたら、千円、二千円下がることも……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

初鹿委員 年金をもらっている人にとっては……(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

初鹿委員 大変なダメージなんですよ。そういう痛みがあるということを考えて議論を行っていただきたいんです。

 我々は、今、年金をもらっている人たちの生活を一番重視して議論を行っています。皆さん方は、それよりも年金財政のことを重視して議論をしているんです。そこが議論がかみ合っていない一番の理由です。

 そして、もう一つは、皆さん方が示している試算が非常に楽観的で、本当にこんな甘い見通しで大丈夫なのかということを我々は考えているわけですよ。きちんとした試算を出して、そして、将来年金を受け取るときに、我々または私たちより若い世代がもらうときに一体幾らの年金になるのか、そして、その年金額で生活が果たしてできるのかどうかということをきちんと示していただかないと国民は納得しないと思いますよ。所得代替率といっても、ぴんとこないんですよ。

 だから、我々は、何度も言っていますけれども、物価が上がって賃金が下がる、そういう状態が起こったときの試算をきちんと出してくれと言っているんですよ。それを示した上で、これぐらいの影響がありますよといって審議をするのが当然じゃないですか。一回も賃金が下がることはありませんといって議論が成り立つというものではないと思いますよ。(パネルを示す)

 皆さん、与党の皆さん、これを見たことがありますね。ありますよね。当然、皆さん、見ていますよね。これを見て、皆さん、違和感はないんですか。

 見てください。ここから二〇二三年まで一・八%でTFPが上昇するんですよ。これで、がくんと下がるんですよ、ケースEは、皆さんたちがベースに置いているのは。これでケースAとかケースBで一・八とか一・六でいく、それなら合理的だと思いますよ。いきなり一年間で、がくんと下がる、それで一%になる。最初から内閣府の、こちらの参考ケースでこういって、ケースFだったら、みんな納得しますよ。現状から考えると、やはりGかHなんですよ。皆さんたちにとっては不都合かもしれないけれども、こういう冷静な試算を出してもらいたいんです。

 塩崎大臣は、政治はやはり夢を持って、そして目標を持っていかなければいけない。私は、それは否定しませんよ。それで、夢を持って、こう一・八で来るんですけれども、厚生労働省は冷静なんですね。その先は現実を見て、つまり夢が覚めるんですよ、ここで、二〇二三年で。夢が覚めるんですよ。こんな試算で、こんな試算で年金制度を語っちゃいけないと思いますよ。違いますか。

 塩崎大臣、こう答弁しているんですよね。「政府として行う年金の財政検証において用いる諸前提について、政府の取り組む姿勢、施策や方針と整合的に設定することが基本だということは踏まえながら、」と書いてあるんですよ。政府の立場からすれば、アベノミクスを進めていって成功させる、そうなってくると、こういう前提を置かざるを得ないのかもしれません。そうなると、やはり過大になるんですよ。

 皆さん、お手元に資料を配っておりますが、過去の試算を、過去二回の財政検証の結果を見ると、物価の上昇、賃金の上昇、どれも外しているんですよ。そして、今回も恐らく、こんな試算を出していると、外すんですよ。

 だから、前回、井坂さんも多分、たしか質問したと思いますが、政府の試算に基づかない試算を使って年金については議論を進めるべきだと思います。これは安倍政権だけで終わるものじゃなくて、百年とか先までの制度設計をするわけですよ。その間には、景気のいいときもあるし悪いときもある、災害が来ることもあるし、もしくはリーマン・ショックのような事態もある。そういう事態も考えたら、甘い見通しじゃなくて、政府が根性論で頑張って、こうやって経済成長をすると言っても、そうならないときもあるんだから、かたい試算を使ってやる必要があると思うんです。

 そこで、提案です。

 年金の財政検証については、政府から独立した試算をする機関を置いて、その試算に基づいて次の試算は行っていただきたいと思いますが、そういう機関をつくる、そういう試算を用いるということについて大臣の御見解を伺います。

塩崎国務大臣 今、第三者的な組織が財政検証をすべきではないのかというお尋ねでございましたが、これは先ほど総理から御答弁申し上げたとおりだというふうに思っています。

 年金制度の財政検証は、年金制度の運営に最終的な責任を有する厚生労働省、厚生労働大臣が責任を持って今は担当をしているわけであります。

 その財政検証で用いる主な前提については、人口については国立の研究機関であります社会保障・人口問題研究所の将来推計、そして、経済に関しては経済、金融の専門家で構成される専門委員会、ここにおける客観的な検討を経て設定した前提などを用いておりまして、客観的で公正的なものとして外の方に参画をいただいて、この専門委員会はつくられているということでございます。

 平成二十一年の財政検証からは、基礎データや推計プログラムにつきまして厚生労働省のホームページにおいて広く公表するなど、推計の透明性を高める取り組みを行っておりまして、今後とも第三者が検証しやすいような不断の取り組みを進めていきたいということを先ほど総理から答弁したとおりでございます。

初鹿委員 このグラフを見ればわかると思いますが、二四年以降は、確かに客観的なそういう数字を出しているかもしれません、パターンを八通りつくって。でも、その前は明らかに政権の思惑で上に持ち上げているじゃないですか。やはり、こういう政権の思惑が出るような試算で年金は議論するべきじゃないと思いますよ。

 それに、賃金の上昇についても、二〇二四年以降は二・五%になるんですが、その前、二〇一七年は三・六、一八年は三・七、一九年は三・八、二〇年は三・九、二一年は三・九、二二年は四・二、二三年は四・一ですよ、この上昇率。

 一枚めくっていただいて、過去の賃金上昇率の、これは全部出しましたよ、表を出しましたけれども、三・九なんていう数字は一九九一年にまでさかのぼらないと出てこないんですよ。それが現実なのにこの数字で議論をしているというのは、私は非常に不誠実だと思うんですよ。違いますか。毎年バブルが来るんですか、これから。

 人口も減少していって、新興国がどんどんと力をつけている、そしてアベノミクスの一番の看板だったTPPももう破綻しちゃった、そういう状況ですよ。これこそ、まさに財政検証をもう一回やり直してからこの法案の議論をした方がいいんじゃないんですか。違いますか。

塩崎国務大臣 御指摘の点は、何度かこの委員会でも既に議論したところでありますけれども、まず第一に、最初の十年間が、内閣府がつくった数字が甘いんじゃないかという御指摘がありました。

 御指摘は御指摘として受けとめたいと思いますけれども、これは政府の全体としての整合性もあってということを先ほど引用していただきましたけれども、それに尽きるわけでありますけれども、もう先生御存じのように、この財政検証というのは、約百年を見るわけであります。したがって、最初の十年ですけれども、あと残り九十年あって、これをどう考えるのかということで、我々は、我々独自の専門家に集まっていただいて、数字を集めているわけでありまして、その上でこういうケース分けを、かつては、前回は三通りしかございませんでしたけれども、今回は八通り出させていただいて、AからHまでということにしているわけでございます。

 先ほどの、内閣府と、それから、そこから先の、専門性のある、私どものお願いした、専門家にお願いした試算という、このやり方は、民主党政権ができるちょっと前の二十一年ですね、財政検証のときも同じやり方でございました。

 したがって、あと百年の全体のを見るためにこれをお示ししているので、最初の十年間の評価についてはともかく、全体としては、私どもとしてはいろいろなケースを考え、伸びないケース、伸びるケース、いろいろお出しをして、御検討いただくように、第三者的な目からも見られるようにしているわけでございますので、そこのところで、どうやってその中のより望ましいパターンを実現するのかということを、政府として、先ほど言っているように、しっかりやっていかなきゃいけないということだろうというふうに思います。

初鹿委員 今までやってきたからこれでいいじゃないかというのは、もうやめましょうよ。我々の、我々というか、民主党政権のときもこのようなやり方でやってきて、マクロ経済スライドで三〇%所得代替率を下げる、それはやはり、今になって顧みてみると、高齢者の、年金生活者の暮らしは成り立たなくなるなということを感じているから、我々は真剣に今議論しているんですよ。

 一緒に、これから真面目に年金制度を考えるその前提として、どちらの側が政権をとっても、思惑が入らないように、第三者機関にきちんと試算をさせるようにしようじゃないですか。いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりで、私どもとしては、ケース分けをできる限りしっかりお見せをした上で、皆さん方に一緒にお考えをいただけるようにするということを、前回の財政検証ではさらに選択肢をふやして、考えていただく機会をつくっているわけでありまして、そういう意味で、私どもとしては、ぜひここで御議論をいただくということが大事であり、また、何度も申し上げますけれども、このケースEで、きょうもお配りをいただきましたけれども、所得代替率というものの考え方というのは、きょうは丹羽先生、おいででありますけれども、こういう考え方なら、現役の賃金に対して何%ぐらい持っておくことが、年金というのが、少なくともこれだけは守れというのが五割ということでやっているわけで、それはそれとして、この財政検証でも守られているということを確認したんです。

 同時に、絶対額で見ても、実質購買力で見た、平成二十六年の物価で割り戻した額としても、この十二・五というのは、これは一人当たり六・三万円というのが先ほど来随分出ていますけれども、そういうところでの購買力がどうなのかということも同時に見ていますので、三割下がるという代替率のことばかりをおっしゃっていますけれども、それと、先ほどお話あったとおり、その水準とはまたこれは違う話であるので、それがどうなのかということの方が、実は、暮らしはどう守れるのかということにくるわけで、代替率は、その直接の数字よりも、よりこの水準の方の数字の方がわかりやすい購買力だというふうに思います。

初鹿委員 大臣、聞いていないことは答えないでください。聞いていないですから。

 先ほど、大臣、答弁で、百年先まで考えて年金の財政検証をして示していますというお話がありましたよね。百年先まで一度も賃金が下がらない、そういう状況があるんですか。皆さん、あると思いますか。これから百年先まで、物価が上がるけれども賃金が下がらない状況が一度も来ない、そんなことは私はあり得ないと思います。きちんと、景気の波をつくって、それに合わせた試算を出してください。

 今回のルール、三十三年からこのルールが適用になりますけれども、例えば、三十三年でこの状態、物価が上がって賃金がマイナスになる状況でできるのと、これがマクロ経済スライドがぎりぎり終わるかなという直前でできるのとでは、財政に対する影響が全く違うんですよ。そうですよね。全く違うんですよ。だから、きちんとしたシミュレーションを、幾つかの波をつくってやったらいいんですよ。

 実際に、今回の財政検証だって、皆さんのお手元に配っていますけれども、マクロ経済スライドを、景気の波があったときにどういう影響になるかという試算を出しているじゃないですか、マクロ経済スライドでは。出しているんですよ、マクロ経済スライドでは。それで、変動の波があってもそれほど影響がない、そういう試算を示しているんですよね、ここでは。

 だったら、今度は、物価が上がって賃金が下がるという特殊事情ですよ。生活をしている人からすれば、物価が上がったのに入ってくる収入が下がれば可処分所得は減るんだから、購買力が下がるわけじゃないですか。生活水準を下げなければならなくなるんですよ。その金額がどれぐらいなのか、そしてそれが全体の年金財政にどの程度影響があるのかということを私は示す必要があると思いますよ。この法案の議論をする上で、基本的ですよ。

 そして、その賃金が下がるところがいつ来るのか、そしてどれぐらいの頻度で来るかによってもこれは違ってくるんですから、景気変動をつくって、賃金がマイナスになる、そういう試算もきちんと出してください。いかがですか。

塩崎国務大臣 今お配りをいただいたのは、まさにこれは、前回、二十六年の前の二十一年のときにはやっていなかったオプション試算というのを、今回三通り出しました。

 その三通りというのは、マクロ経済スライドのフル発動した場合、被用者保険の適用拡大を千二百万人というようなことでやってみた場合、それから、保険料の拠出期間を四十年から四十五年に延ばす、こういう三つをやった中の、マクロ経済スライドのフル発動をやった場合のオプション試算をした際に、こういう波打つものを使っているということであります。

 これは、プラスだったりマイナスだったりすることによって、適用される場合、されない場合があるからこういうことをやっているので、私どもとしては、先ほどの実質賃金にしてもTFPにしても、こういうものは百年の中の平均ということで出して、八通りの試算をお示ししているわけでありますから、これはこれで、低いものから高いものまで並べるということで、大変これでいろいろ考えることができるようになっているわけでありますので、こういう材料を立体的に示しながら、さらに財政検証ごとに知恵を出していくということが大事なことだと思いますけれども、必ずしも、今申し上げたように、変動、物価、賃金がどうなった場合というのは、これはもう無限の可能性というか選択肢があり得るので、どういうようなものにするのかというのは、なかなかそれは難しいんだろうということで、私たちは今、八通りのケースを示しているということでございます。

初鹿委員 全てのパターンを出せとは言いませんよ。でも、幾つかのパターンを出して、十通りぐらい出して、これは年金額が一体幾らになるのかを示す試算ですからね、国民にとってみれば非常に重要なんですよ。マクロ経済スライドで全体の年金財政としてどうかというのは、なかなか国民には理解できません。私のところに幾ら入りますかということに、やはりみんな関心を持っているんですよ。

 先ほどの井坂議員の、ワニの口があいたようなグラフのとおり、賃金スライドで賃金が下がっていくと、その後、物価の上昇には追いついていかないで、どんどんこの口は開いていくわけですよ。つまり、物価水準に比べて手元に入ってくる年金額が低くなるということは、購買力が維持できなくなるということじゃないですか。まさに基礎的消費支出に追いつかないということですよ。それがもう起こり得るわけですから、そこはきちんと試算を出すべきだと私は思いますよ。

 ちょっとまた別な話に移りますけれども、先ほどの高橋議員の質問に対して、局長は、購買力については新規裁定の方の話で、既裁定の方については購買力が八割維持できればいいという答弁をされたと聞いたんですけれども、それは昔からだと言っておりましたが、そういうことでいいわけですよね、既裁定の人は八割になると。

塩崎国務大臣 平成十二年に、それまで賃金スライドを行っていた既裁定者の年金額について、賃金スライドをやめて物価だけのスライドにしたということであって、先ほど高橋委員からお話をいただいたのは、既裁定者の購買力がどんどん下がるじゃないかという中で、申し上げたのは、八割ルールというのがございますということを事実上申し上げたということでございまして、既裁定者と新規裁定者の間の乖離が八割を超える場合には……(初鹿委員「そんなことは言っていないです」と呼ぶ)そういう意味ですよ。そういうときに、今度は賃金スライドを発動するということになるのではないかということを申し上げたところだと思います。

初鹿委員 物価が上がって賃金が下がる、こういうルールを今度入れるわけですよね。つまり、物価が上がっているのに賃金が下がるということは、賃金の下げに合わせて年金が下がるということは、買えるものが少なくなるということを意味しているわけですよね。それは、基礎的消費支出を賄えない状況をどんどんつくり出していくんじゃないんですか、既裁定の方について見れば。違いますか。

塩崎国務大臣 今、賃金が下がって物価が上がった場合に、賃金に合わせて年金を引き下げれば実質的に購買力が下がるじゃないか、こういうお話でございました。

 そのこと自体はそのとおりでありますけれども、問題は、そこで下げないということが、年金制度全体の長い間の原資である、賃金に応じて支払われる保険料が減るということがあるにもかかわらず、今の年金額を下げないということを御提案になっていらっしゃる皆さん方の言い方でいけば、将来の年金はもっと下がってしまうということが問題だということを、総理が先ほど御指摘をしたとおりであって、私どもは、一八・三で、来年の秋に保険料が上昇するのをとめる。この水準自体も、実は、平成十六年のときの法律を通すときには、旧民主党の皆さん方が高過ぎるとおっしゃったんです。高過ぎるとおっしゃった。だけれども、一八・三で来年それがとまる。それを前提に、年金のトータルの入ってくるもの、つまり保険料が、事実上、あと人口の変動によって決まってくるわけで、これを将来世代と今の世代でどう分かち合っていくかということを、私たちは、できる限りフェアにやるべきだろうということで、今回、将来世代のこともよく考えた上で、その年金が下がってしまわないように、本来の水準にとどまれるようにしていこうじゃないかというのが今回のルールでありますから、だからこそ、マスコミでも、主要紙は皆、社説等で賛成をしていただいているということだと思います。

初鹿委員 いや、このルールを徹底していくと、年金だけではやはり暮らしていけなくなるわけですよ、はっきり言って。だから、抜本的な改革をして、きちんと機能するような最低保障機能をきちんとつくりましょうよ。そういう議論を今から始めないと間に合わないと思いますよ、私は。

 我々はクローバックということも提案をさせていただいております。皆さん方は今までどうですか、二十六年にちょこっと検証したけれども、合意が得られなかったということで、その後、検証をやめているそうじゃないですか。

 あと、私が以前から問題視していますけれども、三号被保険者の問題。これも、何で厚生年金は世帯単位で、国民年金は個人単位なのか。今、転職をたくさんする、また、離婚をしたり結婚したりという人もたくさんいる中で、私は、年金は個人単位にそろえるべきだと思いますよ。この第三号被保険者の問題だって、議論をきちんとする。

 そういう丁寧な議論をして、その上で、この法案が本当に必要かどうかということを考えるべきだと思います。三十三年からの適用なんですから、今拙速にここでやらずに、三十一年の財政検証をきちんと踏まえて、そして、現実的な数字に基づいて制度設計を新たにしていただきたいとお願いをして、質疑を終わらせていただきます。

丹羽委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 いろいろ議論を聞いておりまして、やはり、そもそも論、年金とは何ぞやという非常に重要な視点が欠落した答弁が続いて、自民党のやじも異常ですね。ぼけというやじを私は初めて聞きましたよ、自民党席から。こういう本当に乱暴なやじや委員会の運営、私は初めてです。これは反省を強くしていただきたい。

 社会保障とは何かとまずそもそも発想をめぐらすと、やはり、家庭とか個人の悩みをみんなで悩みましょう、これが社会保障だと思うんですね。

 二〇〇〇年には介護保険ができました。親の介護、これはもう長男の仕事だ、家庭の問題だから介護はやってくださいというんだけれども、でも、家庭がそれじゃもたないので、では、親の面倒を見るのはみんなで悩みましょうということで、親の介護がない人も保険料を払ってみんなで悩もうということで、そういう機能をさせるということなんです。

 年金も、当たり前ですけれども、昔は年金がなかったわけですから、よく世代間格差ということを言われますけれども、おおよそ今七十五歳以上の方は親に年金がないですから。ですから、親が苦しいときはお給料の中から生活費を補填しているわけです。だから、親が苦しいときにお金の面倒を見るのは長男の仕事だ、あるいは子供の役割だ、個人と家庭の悩みだったわけですよ。

 ところが、それじゃ潰れちゃうので、保険料をみんなで払って、親がお金に苦しいときは、子供が全部面倒を見るんじゃなくて、社会でそれはやっていきましょうということで、年金は家族間扶養の社会化と言われて、老後の生活の中核なんですよ。

 こういうそもそも論の中で年金とは何ぞやというと、長年積み上げてきた議論の中で、年金で基礎的な衣食住の費用を払いましょう、あるいは、その中から公的保険料も払いましょう、あるいは、介護の自己負担とか医療の自己負担もあるので、それも払いましょう、そういう尊厳ある生活ができるために、孫にお小遣いもその中から、少ないかもしれないけれども払うということで、自立して、お年寄りが子供の世話にならないで、自分のお金で、自分の権利のお金で生きていく、人間の尊厳を支える制度が年金ということでありました。

 二〇〇四年に、先ほども神野先生がおっしゃいましたけれども、大きく発想が変わりました。それまでは給付を見ていたんですよ。給付を見て、お年寄りがこれだと大丈夫かな、もうちょっとふやした方がいいんじゃないのかな、税金を投入した方がいいんじゃないのかなということで、給付に着目をして、そして年金を仕組んでいった。

 ところが、二〇〇四年の改正で、基本的には給付は見ない。基本的には、払う保険料の上限を決めて、これだけ負担ができるアッパーリミットを決めて、そして、所得代替率という、私に言わせるとちょっといいかげんな、分子、分母が合っていないということでちょっと基準としてはいかがなものかと思うので誤解を招くと思うんですけれども、それを切らない限りは、それは思考停止をすると言わんばかりの制度ができたわけで、ある意味では、五〇パーだけ見ていて、五〇パーを切らなければ、保険料のアッパーリミットも決まっているので、それでやっていきましょうと。思考停止になっちゃっているんです。

 つまり、年金制度の向こう側にいるお年寄りを具体的に見なくても、制度が維持できればいい、こういう発想になりがちな一つの考え方が二〇〇四年の年金制度改革だったわけであります。

 ですから、我々、注意しなきゃいけないのは、代替率五〇%を切らなきゃいいんだ、それにとらわれて、老後の実態を見ずに議論をしていく。だから、私は、この委員会の質疑がかみ合わないんだと思いますよ、野党と政府で。

 やはりちょっと、塩崎大臣も政府も年金課長のレベルの答弁が続いているわけです。今の年金制度だけを見て、本当にそれが年金の役割を果たしているのかどうかというような視点がないと意味がないんですよ、年金の意味が。だから、そこを我々は強く強く申し上げているところであります。

 そして、先ほどの安倍総理の答弁、私も驚きました。民主党は年金で何もしなかった、皆さん、三年三カ月何にもしなかったと。

 消えた年金問題の尻拭い、徹底的にやりましたよ、まず。これは誰が隠していたんですか。一千四百四十八万人の記録を回復して、そして、回復額は生涯額で二・六兆円。紙台帳も、自民党は、我々野党のときに全件照合しろと言ったときに、できない、できないでしたが、我々は、全件照合して、七千九百万人分の紙台帳を名寄せして、コンピューターと照合を全部しましたよ。あるいは、グリーンピアを初め、年金の流用もストップしましたよ。

 そして、制度についても、公務員の年金と厚生年金を一元化する、これも我々の法律で実行しましたよ。パートの二十五万人の厚生年金の加入、これも我々の法律ですよ。低年金受給者、例の福祉的給付七百万人への年金上乗せ、これも我々の政権のときに法律を通したわけですよ。自民党が消費税を先送りして、この法律も先送りになっちゃった。そして、まさにこの前成立した無年金対策、十年以上の保険料支払いで受給権を発生する法律、これも我々の政権のときに法律を通したわけですから。

 何にもしていないなんて、もう失礼千万。私に言わせたら、総理こそうそつきだと。

 なぜかというと、私はこれは忘れませんよ。総理は、第一次安倍内閣のときに、参議院の厚生労働委員会で、平成十九年六月十四日、消えた年金問題について、「最後の一人に至るまで徹底的にチェックをし、そしてすべてお支払をするということはお約束をしたいと思います。」と大見えを切って、記録問題、全然、不熱心じゃないですか、関心もないじゃないですか。

 ですから、そういう、何にもしていないという暴言については、これはぜひ委員長から総理に厳重注意をしていただきたいということもまずお願いを申し上げます。

 そして、そういう年金の運用の仕方の不備、日本年金機構が相当また緩んできている。塩崎大臣も、もっと関心を持って、日本年金機構のガバナンスについても目配りをしていただきたいんですが、私が調査を年金機構に要請しましたところ、法律違反と思われるべき障害年金の理不尽な支給停止がありました。これは、件数と金額、最大の停止の金額、状況を教えていただけますか。(発言する者あり)

丹羽委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

丹羽委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 金額の御通告をいただいていなかったものですから、今ちょっと金額のことを聞いたんですが。

 件数は、まず、期間別に見ますと、平成二十八年の八月から九月分というので二十七件ございます。二十七年の八月から二十八年の七月まで、これが一件。二十七年の八月から二十八年の九月までというので四件。それから、二十六年の八月から二十八年の九月分までの二件ということで、一番大きな金額のものは、二百十万というのが一番大きな金額であったようでございます。

長妻委員 これは大変困ったケースがあって、調査を要請して、少なくとも、まだ全件ではないと思いますけれども、三十四件が、いわゆる二十歳前障害と言われる福祉的障害年金について、所得証明を出したにもかかわらず、その前の年の所得証明を出していないとその後も停止しちゃう、所得証明が出た年もそういう法令違反の運用がなされていたということであります。

 これは、こういう運用が全年金事務所に蔓延しているというか、それが普通の運用だと思ってされている事務所もあったやに聞いておりますので、私は、背景には障害者に対する差別もあったのではないかなという疑いを持っておりますので、これについても、年金機構のガバナンスについても、今の政府はほとんど関心がないですから、ぜひチェックをしていただきたいというふうに思います。

 そして、先ほどから購買力の話がございましたけれども、購買力は変わらない、塩崎大臣の答弁も、購買力ベースではおおむね横ばいである、平成二十六年と平成五十五年の基礎年金についてそういう御答弁をされている。総理もそういう答弁をされております。

 であると、購買力というのは、やはり、公的保険料を引き算して、それで残ったお金から購買力ということになると思うんですけれども、これは配付資料の二ページを見ていただきますと、六十五歳以上の高齢者の社会保険料の負担というのがどんどんどんどん上がっている。さらに、先ほど柚木委員も指摘しましたけれども、後期高齢者医療制度の保険料の値上がりもあります。どんどんどんどん値上がりしていって、購買力というのは公的保険料を支出する前の額面だけで今議論しているんですけれども、保険料を支払った後の購買力、これも保障できるというふうにおっしゃる根拠というのは何ですか。

    〔委員長退席、とかしき委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 今、購買力、実質購買力ということについてのお話をいただいておりますが、財政検証の中でお示しをしているのは、実額の方は、物価で平成二十六年度に割り戻した額ということで、私ども、実質価値ということで、基礎年金が一人六・三万円になる平成五十五年、こういうことを申し上げてきたわけでございます。

 今の、マクロ経済調整の終了後の基礎年金額六・三万円は実質価値であって、これに着目をして購買力はほぼ横ばいという表現を使ってきたわけでありまして、確かに、社会保険料、今お配りをいただきましたが、最近のところは横ばいのように見えますが、少なくとも趨勢的には上がってきているということで、税や社会保険料について、将来のミクロの額を正確に推計するというのはなかなか難しいわけであります。

 また、低所得者には、同時に、負担能力に応じて配慮をするということで、介護保険にしても、あるいは医療保険にしても、例えば、典型的なのは、後期高齢者医療制度の保険料などについても配慮をしているわけでありまして、必ずしも可処分所得で議論をしなければならないかどうかというのは、それはまた別問題ではないかというふうに思っております。

 いずれにしても、そういった負担がどういうことになっているのかということは、絶えずそれは、御指摘のとおり、考えていかなければいけないのはそのとおりでありますが、どういうふうに考えるのかというと、実態は、今申し上げたように、あらゆるところで、きょうの朝の参考人の藤田さんを含めて、社会保障全体で低年金の方々を支えていくということが大事だということをおっしゃっているので、このことは私どもが繰り返し申し上げてきていることであります。

長妻委員 ここではっきりさせたいのは、購買力はほぼ変わらないというのは間違いですから、答弁として。額面だけを見て今の物価に割り戻すと、ケースEですけれども、ほぼ金額が同じなだけで、額面だけなんですよ。おっしゃったように、保険料はどんどんどんどん上がるわけです、引かれるものはどんどんどんどん。引かれた後にお金が残って、それで財やサービスをどれだけ買うことができるかというのが購買力ですから、購買力がほぼ変わらないという答弁は取り消さないといけないですよ。

 余りこういう答弁は過去にないんですよ。塩崎大臣あるいは安倍総理のときにこれが出てきているわけで、過去、こういう答弁は余りありません。これを言い続けていただくと相当ミスリードすることになりますよ。一回これを取り消したらどうですか。

塩崎国務大臣 基礎年金の方々は、基本的に、基礎年金に対する課税というのはないと思います。

 その他についてもさまざまありますから、絶えずそういうことには目配りをしていくということが大事であることはそのとおりであって、だからこそ、それぞれの社会保障の制度の中での配慮というものがなされているわけでありまして、介護にしても、後期高齢者医療制度にしても、年金にしても、全て低所得、低年金の方々に配慮をしておりますので、それが十分かどうかということはいつも見ていかなければいけないというふうに思います。

長妻委員 購買力ということを言わなくなりましたけれども、これはどう考えても本当におかしいと思いますよ、購買力、購買力と。珍答弁だと思いますので、こういう答弁は本当に取り消していただきたい。

 そして、三ページを見ていただきますと、改めてこれを調べるとなるほどと思うんですが、神野先生もきょうおっしゃいましたけれども、基本的には生活保護の水準と基礎年金、年金額というのは非常に考慮されながら国際的にも決められているということで、この基礎年金の満額が、とうとう平成二十六年には、一番、三級地の二という生活保護の、宇和島市とかそういうところの水準を下回ってしまったということで、ある意味では、全ての生活扶助、どの地域の生活扶助よりも下回っているというようなことも発生をしております。

 そして、この一ページですね。これも深刻だと思いますのは、生活保護は、高齢者、九割の方が単身世帯です。単身世帯は、非常に金銭的に困窮している方、あるいは、病気あるいは何か外的な要因があったときにすぐに家計が破綻をする、そういうリスクが高い方でありますけれども、一般の単身高齢者の伸び、これを一〇〇として見ると、生活保護受給者に占める単身高齢者の伸びの方が、上の棒ですけれども、ぐっと上がっているんです。平成七年には一〇〇のものが、平成二十七年には三六三に、生活保護を受けているひとり暮らしの高齢者はぐっと上がる。しかし、全体の伸びは、単身高齢者、平成七年を一〇〇とすると、平成二十七年には二六九・二ということです。

 ですから、私も前回、生活保護の試算を出しましたけれども、これからこのまま年金をほったらかしておくと生活保護がぐっと上がりかねないし、あるいは、藤田さんが午前中におっしゃったように、日本人は余り生活保護を受けませんから、捕捉率がヨーロッパに比べると三分の一から四分の一とも言われておりますから、そういう方々が体を壊して本当に大変な状況になる方が非常にふえるんじゃないのか、こういう強い懸念をたびたびこの委員会でも、野党、我々も含めて申し上げても、全くそれに対して誠実な答弁が返ってこないということが最大の問題だと私は思います。

 制度を見て、その向こう側にいる高齢者の老後の生活を見ていない。意味がないんじゃないですか、こんなことをやっていたら。

 それで、私が本当に申し上げたいのは、三党協議というものがございましたけれども、これは田村前大臣も三党協議にかかわったと思いますけれども、これについて配付資料でそもそも論を書かせていただきまして、十一ページ、これは実は、塩崎大臣も経緯は御存じだと思いますけれども、相当際どい議論がありました、我々が政権のときに。

 三党協議が破裂するかどうかという瀬戸際の議論は、一つは、年金制度の抜本改革も、実は、この三党協議が破裂するかしないか、破談するかしないかの瀬戸際のテーマだったわけで、我々はこれをちゃんと議論する場をつくろうということを申し上げ、政府は、当時、我々民主党の最低保障年金案は絶対のめないというふうに、自民党はおっしゃっていた。そこでずっと平行線だった。抜本改革はしないというようなお話をずっと自民党はされていた。

 そこで、議論をして、社会保障制度改革推進法というのをつくって、ここに、公的年金について、これは抜本改革のことですけれども、今後の公的年金制度については、社会保障制度改革国民会議において議論し、結論を得ることとする、こういうような条文を法律に設けて、そこで着地をしたということです。つまり、抜本改革は議論を続けましょうというものを、道筋を残した上で着地した。これは、当事者に聞いていただければ、そういう共通理解だと思います。

 そこで、この国民会議が三年前に報告書を出しまして、これは安倍内閣のときですけれども、このメンバーは、民主党政権のときに任命したメンバーでございます。

 そこで、将来の制度体系、これは抜本改革のことです、将来の制度体系については引き続き議論するという二段階のアプローチが必要。全部読むと、「年金制度については、どのような制度体系を目指そうとも必要となる課題の解決を進め、」、まず、微修正はどんどんどんどんやる、しかし、将来の抜本改革については引き続き議論するという二段階のアプローチが必要だというのは、三年前に報告書が出たわけです。

 我々は、再三再四、政府に、新しい国民会議の場でもいいですから、議論をして、案を提示してくださいと。当時の自民党、今も政府は同じ立場だと思いますけれども、我が党の最低保障年金という案は認められない、こういう立場を貫いておられるので、我々の案を蹴るのであれば、ぜひ抜本改革の議論、そして案を出していただきたいと思うんですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 まず、先ほど生保の話がございましたけれども、公的年金は社会保険であって、給付と負担のバランスの中で給付水準が決定されるというのは御案内のとおりであって、また、生活保護は、これは役割、対象者、仕組みが異なって、ミーンズテストがあって資産も見てということで、生活への制度のかかわり方も生活保護は違うんですね。そういうことから、金額を単純に比較をするというのは、余り、社会保障論としてはいかがなものか、大事な問題ではありますけれども。

 それから、単身の高齢者の増加の話がありましたけれども、高齢者のこれまでの保護率の上昇要因については、立体的、多角的に実態を把握することが大事だということは、僕は先生にも申し上げたと思います。平成二十九年度の次期生活扶助基準の検証に合わせて、これはしっかり制度全般についても見直しの検討を行っていくこととしていることから、この中でさまざまなデータを用いた実態の把握や分析をやっていきたいというふうに考えております。

 今の抜本改革の問題でありますけれども、引用していただいたとおり、国民会議の報告書は、「年金制度については、どのような制度体系を目指そうとも必要となる課題の解決を進め、」つまり、今やっていることですね、今回御審議をいただいている法律もそうですが、「将来の制度体系については引き続き議論するという二段階のアプローチを採ることが必要」だというふうに指摘をこの報告書ではされています。

 このため、二段階のアプローチの第一段階目として、まずは、国民会議の報告書を踏まえて定められた社会保障制度改革プログラム法に掲げられている四つの課題、これは、マクロ経済スライドのあり方、適用拡大、それから高齢者の多様な受給のあり方、クローバックや年金課税の見直し、そういうことをやるということが法律に書かれているわけで、今回の法案は、この方針にのっとって、財政検証で確認された基礎年金水準の低下という政策課題、それから、先ほど初鹿委員もお配りをいただきました、財政検証の中で行ったオプション試算で示した政策の選択肢を踏まえて必要な見直しを行うものであって、引き続き我々としても不断の見直しに取り組んでいく所存でございます。

    〔とかしき委員長代理退席、委員長着席〕

長妻委員 いや、全然答えていないじゃないですか。ちょっと、一回とめてください。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、二段階アプローチだということを申し上げているわけで、何を抜本改革と呼ぶのか、考え方はさまざまあろうかと思います。

 少なくとも、三党合意、それから、それに基づく社会保障制度改革推進法、これは三党で行われた議員立法でありますが、これによって公的年金制度は社会保険方式を基本とするということが確認をされているわけです。給付と負担の適切なバランスのもとで安定的にかつ持続可能な制度として次世代に引き継いでいくことができるように、今後とも、政府としても必要な検討を行っていく所存であります。

長妻委員 これは、まず二点ありまして、一つは、曲解をして何かイメージをつけようというふうに答弁されたんだと思いますけれども、ここに「必要となる課題の解決」ということがありますけれども、そこにはこの賃スラが入っていませんからね、今回のいわゆる年金カット法案にある。これがあたかも入っているような言い方というのはまずやめていただきたいのと、この「将来の制度体系については引き続き議論する」というのは、これも塩崎大臣も御存じだと思いますけれども、あの三党協議の経緯で、抜本改革の議論をきちっとしよう、案をちゃんと国民会議で出すというようなことがあって、それがなければ我々も三党協議を引き揚げようというふうに話していた非常に重大なことなんですよ、この文言は。

 ですから、全然お答えになっていないんですけれども、「将来の制度体系については引き続き議論」というのは、なぜ議論しないのか。すぐこれは議論してください、今まで議論していないのであれば。ぜひ議論をしてください。

塩崎国務大臣 明快に先ほど申し上げたとおり、これは二段階アプローチと書いてあるわけでありまして、その第一段階目として、今申し上げたように、国民会議の報告書を踏まえて定められたプログラム法に掲げられている四つの課題、その中の一番目にあるマクロ経済スライドのあり方に関連して今回のルールをお示しし、キャリーオーバーもお示しをしている。それから、被用者保険の運用拡大も今回お示しをしているわけです。

 支給開始年齢などの問題についてはまだ引き続き議論しなければいけない。それから、クローバックや年金課税の問題も今回の法案には入れ込んでいないということでありますので、こういったことをまず一つ一つ答えを出していくということが法律にも定められたことでもありますので、それをやるということが大事なので、先ほど申し上げたとおり、何を抜本改革と呼ぶのか。

 給付をふやすということはよくおっしゃいますけれども、財源のことについては何もおっしゃっていただけないので、今すぐ抜本改革が必要、あるいは議論をすぐ始めようということであるならば、まず、これはもう何度も総理からも私の方からも言っているように、国民の前で、議論する場で、国会にトータルなパッケージで御党のお考えを示していただいて、それを議論するものではないかというふうに思うところでございます。

長妻委員 これは驚くべき無責任答弁ですよ。我々の案を、一旦、だめだ、最低保障年金は認められないというところから、この三党協議が成り立って、それでこういうふうに議論をしようというふうに決まったわけで、政府が国民会議の中で案を議論して出す、こういう趣旨なんですよ、これは。今の言い方だと、二段階アプローチ、では、一段階目が終わるまでは二段階目の抜本改革の議論に入らないというと、一段階目をぐずぐずしているのは誰ですか。

 これは一番下に書いてありますけれども、社会保障のプログラム法の中で、高所得者の年金給付のあり方の見直し、いわゆるクローバックのことが入っているわけですよ。我々はここからも財源を出そうと考えているんですよ。月三十万、四十万、年金をもらっている方は、基礎年金について、税金部分はちょっと我慢していただこう、そういうようなところから捻出をする。

 この社会保障のプログラム法を、高所得者の年金給付のあり方、これは当然、税制も含めた、クローバックのみならず、議論するというものをサボってサボって、いや、第一段階ができないから抜本改革の議論はできませんといって、自分が第一段階の一番肝心なところを抜かしてとめているわけじゃないですか。

 これは、本当に責任ある与党なんですか。抜本改革を本当にしないでいいと思っているんですか、このままの年金で。これは無責任ですよ、幾ら何でも。いかがですか。

塩崎国務大臣 長妻先生はよくわかった上であえておっしゃっているんだろうと思いますが、年金部会で、今回の財政検証の後に、このクローバック、それから税の問題、年金課税のあり方の問題はしっかり議論をしています。

 しかし、答えがまとまったわけではないということで今回の法律の中には入れ込んでいないわけでありますけれども、年金部会ではしっかり議論をさせていただいているわけでありますし、引き続き議論を重ねていくという宿題の一つだというふうに私たちは思っていますし、法律にも、プログラム法に、この四つはしっかり課題として取り上げられているところでございます。

長妻委員 ですから、抜本改革の議論、あるいは抜本改革というのはもうやらないんですか。方針が変わっちゃっているんですか。議論をしてやっていくということなんですよ、これは。

 では、やらないというふうに変わったんですか、これは。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおり、抜本改革といったときに何をお指しになっているのかは具体的に提案をしていただかないとよくわからないわけでありまして、クローバックが抜本改革の中に入っているとは私は余り個人的には思っていなかったのでございまして、これはもう既に議論すべき課題として取り上げられているわけであります。

 これは野田内閣のときにも、「この制度が破綻をしている、あるいは将来破綻をするということはございません。」「二十一年の財政検証でも収支の長期の見通しは立っておりますので、破綻をすることはない。」と、野田当時の総理は、今の御党の幹事長ですが、明確におっしゃっているわけであって、これは、そうは言いながら、しかし、メンテナンスはきっちりやらなきゃいけないということを、多分、野田総理もおっしゃっていたんだろうというふうに思います。

 したがって、今私が申し上げているように、二段階アプローチと国民会議がおっしゃっているのは……

丹羽委員長 簡潔に答弁をお願いいたします。

塩崎国務大臣 私たちとしては、メンテナンスとしてしっかりやっていかなきゃいけないということで今回の法律をお出し申し上げているということであります。

長妻委員 これは悪質ですね、答弁が。私がクローバックが抜本改革だといつ言いましたか。この質疑の文脈の中で、クローバックは第一段階だと大臣もおっしゃったじゃないですか。そういう議論で進んでいるのに、そういうまた、非常に、わざとそういうふうにそらすような議論をする。今の御答弁を聞いて、委員は、全然、抜本改革、全く大臣、政府にもやる気がないというふうに言わざるを得ないですよ。

 このままどんどんどんどん年金を削っていって、さっき冒頭申し上げましたように、年金の役割が果たせるとは到底思えないんですよ。しかも、将来的な抜本改革の議論さえ全然答弁しない、法律に基づいた国民会議の報告書に書いてあるのに。これはもう話にならないと思うんですよ。

 本当に、この年金で、よくよく地元に帰って高齢者の生活の実態を見ていただいて、そして、これからどんどんどんどん保険料も上がっていく、自己負担も上がる中で、果たして家族間扶養の社会化という年金の目的を達成できるのかどうかというようなことをよくよく見きわめて議論をしないといけない。

 今の三党協議、ぎりぎりの中でみんな汗をかきましたよ、自民党の人も、公明党の人も、我々も。その中で、離脱寸前、壊れる寸前のところで抜本改革の議論は続けるという一本のひも、糸を残して、それでここで国民会議が出ているのに、それを否定するような言動については、決してこれは許されるものではないし、その前提でない限り、今回の法案でも、ちょこちょこ削って抜本改革はしない、年金が老後の生活を支えようが支えまいが関係ないような態度で審議するのはやめていただきたい。

 きょうは、強行採決は絶対許されませんよ、本当に。三党協議の精神に基づいて、法律の精神に基づいて、きちっと、老後に必要な年金をちゃんと議論する、そして、それを始めていくということを強く申し上げまして、絶対にきょうは強行採決してはなりません。ぜひお願いします。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来、今の長妻委員を初め、やはり年金制度のそもそも論の議論がされていると思います。とてもいいことだと思うんですね。午前の参考人質疑においても、このタイミングというのは余り、もっと、決議をやって一週間後にきちんと参考人をやるということをやるべきなのに、非常に、きょう朝決議していきなり参考人になったという、異例中の異例ではありました。そのことは強く指摘をしたいんですが、しかし、それぞれに貴重な意見をいただきました。

 与党の質問者からだって、もっと話したい、そういう意見が出たではありませんか。やはりこれは、議論はもっともっと深めていくべきなんですよ。臨時国会の枠で無理やりおさめるという必要は全くない、そのことを重ねて指摘したい、このように思います。

 そこで、先ほどの続きから入りたい、通告を残しておりましたので、やりたいと思うんです。

 年金水準がどうなるかということは、先ほど来議論されているように、現役男子の手取り収入との比較で、所得代替率であらわしております。

 手取り収入とは、実際の年金加入者の標準報酬月額の平均値に、家計調査で見る、先ほど長妻委員が示していただいた、税、社会保険料を引いた可処分所得割合を掛けて出しているということであります。

 それで、聞きたいのは、当然想像できる、可処分所得というのは減っているであろうと。二〇一四年度の可処分所得割合は〇・八一四となっておりますけれども、前回、前々回と財政検証時と比較してどうなっているのか、また、今後どう見ているのか、まずお答えください。

鈴木政府参考人 ただいま御紹介いただきましたように、財政検証で、前年度におけます男子被保険者の平均的な標準報酬額に相当する額から公租公課の額を控除した可処分所得に基づきまして所得代替率を計算することとされております。これも、御紹介いただきましたように、総務省の家計調査を用いまして可処分所得割合を算定した上で、この可処分所得割合と標準報酬額を掛け算することによりまして可処分所得を算出している、こういった算定過程を経ております。

 その中で、平成二十六年度の財政検証では、この可処分所得割合の値が〇・八一四でございましたが、その前の回、平成二十一年度においては〇・八三三、さらにその前の回、平成十六年度は〇・八四でございました。

 もう一つ、将来の見込みでございますけれども、この点につきましては、今後の税あるいは年金以外の社会保険料を具体的に見込むということは大変難しゅうございますので、その見込みをお答えすることは大変に困難であるというふうに言わざるを得ないと考えております。

高橋(千)委員 ごめんなさい、今、数字を聞いたわけじゃないんですよ、それは正確に出るわけがないので。

 当然、可処分所得は減っていくと考えるのが普通だと思いますが、違いますか。

鈴木政府参考人 将来の見込みに当たりまして、例えば今後の人口がどうなるのか、あるいは経済を初めといたします経済社会情勢がどうなるのか、そして、そういったものを前提といたしました税制、そして社会保険を初めといたします社会保障の制度がどうなるのか、こういったさまざまなことが絡んだ上での可処分所得の状況ということになりますので、趨勢を今の段階で一概にこうであるというふうに決めつけて申し上げるまでには私ども至っていないと言わざるを得ないと思っております。

高橋(千)委員 余りにも消極的なお答え。それはそうですよね、税や社会保険料がふえるなどということを言うのはなかなかつらい立場ではあるかなと思います。

 十年間で、今お答えいただいた数字を聞いても、二・六%も税、社会保険料の割合が上昇したことになるわけです。

 先ほど参考人質疑で年金者組合の加納さんが紹介したケース、これはいただいた資料を見て私が計算しますと、〇・七七九なわけですね。ですから、今〇・八一四だけれども、既に八を割っているという状態なんだ。やはりこれが実態なんじゃないか。数字よりもさらに乖離が進んでいる。

 私が言いたいことは、年金そのものをふやすべきだし、減らすべきじゃないと思っている、だけれども、それは、先ほど来議論しているように、制度設計に時間がかかります、だけれども、可処分所得をふやすことはできるんです、政治の決断で、そのことを言いたいんですね。

 先週、私は、南三陸町、宮城の被災地に行って、被災者の声を聞きました。ちょうど公営住宅の入居が始まっているところで、あるいは抽せんなどもやっている最中なんですね。ですが、皆さん一様に心配しているのは、仮設は今まで無料でしたので、公営住宅の家賃が払えるだろうか、そのことを心配しているんです。

 例えば、年金は月四万五千円しかもらっていないけれども住民税は払っている、これは当地の言葉で言いますとぷらぷらと言うんですって。つまり、境界なんですよ。ぎりぎり非課税世帯にならない境界で住民税を払っている。そのために、介護保険料は年九万円、月にすれば七千五百円なんですね。もう初めから天引きされているから幾らも残らないと訴えていた。本当に高いなと思いました。そうして引かれて引かれていけば、年金は三万円程度しか残らないんじゃないかなと思います。

 介護保険料がこの間も全国で上がっていることを思えば、もう可処分所得割合は実際の数字よりももっと下がっているであろうと当然想像ができるわけであります。

 本会議で総理は、低所得者に対しては年金生活者支援給付金が平成三十三年度からスタートし、今まで以上に高齢者の生活を支えてまいりますと答えました。しかし、対象となるのは非課税世帯のみなんです。今言ったように、ぎりぎりのところで課税世帯になっている方には何の恩恵もないんです。

 医療、介護の保険料の負担軽減もある、こうもおっしゃいました。だけれども、財政審でやろうとしている負担増、もう既に、三年間で一兆五千億円に自然増を抑制する、だから医療と介護で一千四百億円削り込むということが議論されているじゃないですか。これをやっていったら、もうどこまでも下がっていくわけですよ、手持ちの収入が。

 ここをもう本当にとめなければ、これ以上の負担増をやめるという立場にならなければ、これは政治の決断、大臣の決断でできることではありませんか。大臣、お願いします。

塩崎国務大臣 趨勢的に、可処分所得割合が下がっている、つまり、公租公課の負担がふえているという御指摘をいただいたかと思いますが、この問題をしっかり見ていくことは、そのとおり、大事だと私も思います。

 それは、主に何の支出があるのかというと、やはり他の社会保障、医療だったり介護だったり、そういったところで、もちろん税もございますが、そういった低年金、低所得の方々の年金課税の場合には、比較的、基礎年金だけだとかからないとか、そういうところはもう既にあるわけですけれども、そういう面で、それがどうなっていくかということを考えていかなきゃいけませんし、今、これは、それぞれの部会で介護も医療も絶えざる見直しはしているわけでありますけれども、同時に、低所得、低年金の方々についても、これはしっかりと目配りをした上で制度設計をしなきゃいけないと思っております。

 一方で、医療制度、それから介護の制度、これらの持続可能性というものも同時に考えていかなきゃいけないということでありますので、先ほど来申し上げているとおり、いろいろな点を総合的に考えていかなきゃいけませんし、きょうの午前中の参考人でも、やはり社会保障全体で見ていくといったことが言われているところには、そういった面でもちゃんと配慮した上で、可処分所得が減り過ぎない形で負担があるべきだということも御指摘をされているんだろうというふうに思いますので、そういうことをしっかり考えていきたいと思います。

高橋(千)委員 確かに、午前の議論では、社会保障全体で見るべきだという議論がありました。ところが、それを提案した年金部会長である神野先生が、現物給付、つまり社会保障の医療や介護のことですよね、それは極めてみすぼらしい、こういう表現をされたんです。

 ですから、大もとをきちんと守らなければ、あれもあるよ、これもあるよと言っても、やはり大もとは守らなければだめなんです。持続性とか言いながら、たった今、本当にもうやっていけないという声が上がっている、それに応えていくべきなんだということを指摘しなければならないと思います。

 私は、実は民主党政権のときも要求したことがあるんですけれども、今言った、本当にわずかな差で住民税を払っているような方、そして、そのために負担が非常に大きい方、その方たちには、境界層という考え方がございます、減免をすることによって生活保護に陥らない、これは介護保険の世界にあるわけですけれども、この考え方をもっと整理して、減免制度を、やはり社会保険料の負担をもっと減らしていって、自立しながら暮らしていける、そういう道もちゃんと考えたらいいんじゃないでしょうか。

 前向きの提言をさせていただきましたが、大臣、いかがですか。検討するとおっしゃってください。

塩崎国務大臣 私は、先ほど申し上げたような考え方でおりますが、今御指摘をいただいたような制度も参考にしながら、やはり低所得者、低年金者対策というのはしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思います。

高橋(千)委員 よろしくお願いしたいと思います。

 それで、二〇〇四年の年金改正のときもモデル世帯というのは実態から離れているんじゃないかという議論はもう既にあったと思うんですね。

 今だって、平均標準報酬四十二万八千円、四十年間正社員で、妻が四十年間専業主婦、これを物差しに使っているということ自体が非常に現代に合わないし、しかも、比べるときは、一人の男子の収入に対して夫婦二人で五割を何とか保っているねなんて、そんなことを言っているのでは、現実とはかけ離れている。だから、基礎的消費支出が賄えないという議論が当然あるんだと思うんです。

 ですが、二〇〇一年、女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会というものがありました。その後、例えば、離婚したときの年金の分離とか、やはり女性がもっと権利を発揮できるように、あるいは社会参加に応じての年金のあり方というのを検討したことがあったんだなと思うんですね。

 そのときに、モデル世帯、要するに、昭和六十年前、基礎年金が導入される前のモデル世帯というのは、もともと男子一人の厚生年金で二人分が賄える水準だった、逆に言うと、単身世帯ならむしろ有利だったわけですよね。それがまだずっと今に残っている。余りにも現実的じゃない。当時は男性の正社員が九二・六%だったわけです。それががくんと減って、非正規がふえている。

 そういうことを考えれば、ちょうどこの昭和六十年というのは、男女雇用均等法ができて、一方では派遣法ができた、そういう社会の反映でもあるんです。加入者の責任だけでは言えないということなんですね。

 だとすれば、このモデル世帯の指標をもっと現実に合わせて、経済指標がAからHまであるように、多様にやって、その中でもきちんと年金がやっていけるのかなということを見るようにするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 ただいま御指摘いただきましたモデル世帯でございますが、これは御案内のように、現在の制度では法律に定義が書かれておりまして、それによってさまざまな改正等の効果を計測するということでございます。

 一方で、今先生御指摘ございましたように、社会経済の情勢、家族の状況も変化をしておりますので、これまで大臣からも御答弁申し上げておりますけれども、今後の検討課題として、どのようなモデルの設定の仕方をしたらよいのか、そうしたことも含めて、また検討してまいりたいと思っております。

 今回の財政検証におきましても、夫婦世帯だけではなくて、女子の単身世帯、男子の単身世帯も含めまして、幾つかの類型の世帯につきまして具体的な年金の水準というものをお示ししておりますので、そういったことも含めまして、今後検討してまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 百年安心の中の、あと九十年あるわけです。それがもう変えられないみたいな議論をしないで、今の年金の法案の中で、こうしたモデル世帯のあり方や、本当に今、せっぱ詰まっている人たちの生活を保障していくこと、そのことをきちんと議論しようではありませんか。結論を出すべきではありません。

 そのことを申し上げて、質問を終わります。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 思えば、この法案、最初の質疑のときは私は野党席に一人でおりましたので、きょうは、こんなにたくさん野党席におられて心強い限りでございます。

 それでは、早速、前回までの質問の積み残しでお話を伺いたいと思います。

 きょうも、午前中の質疑の中で、生活保護を利用することについていろいろ議論がありました。ことし初めて、生活保護を受給する世帯のうち、六十五歳以上の高齢者世帯が半数を超えるというようなことになりました。年金だけでは最低限の生活すら厳しい状況に陥っている世帯が着実に増加しているんじゃないかというふうに思います。

 今後も高齢者世帯での生活保護を受ける世帯はふえていくとお考えなのかどうか、政府の見通しについて伺いたいと思います。

定塚政府参考人 お答えいたします。

 今後どれくらいの高齢者が生活保護を受けることになるかにつきましては、高齢者の世帯構成の変化、就業の状況などの経済情勢、また個人の資産の状況や扶養関係などさまざまな要素の影響を受けるため、将来の高齢被保護者数の見通しを正確に申し上げることは困難だと考えております。

 その上で、これまでの傾向を申し上げれば、高齢被保護者数は増加をしてきておるところでございます。高齢者の保護率を単身世帯と二人以上世帯に分けてみると、単身世帯の方が高くなっております。このため、高齢者の保護率が増加してきている要因としては、社会全体の単身高齢者が増加していることが考えられ、それに加えて、中高年の雇用環境の変化、貯蓄なし単身高齢者の増加、長寿化や家族関係の変化などの背景があるのではないかと考えております。

 いずれにしても、こうした保護率のこれまでの上昇要因については、立体的、多角的に実態を把握するということを大臣も申し上げてきているところでございまして、平成二十九年度の次期生活扶助基準の検証に合わせて、制度全般についても見直しの検討を行っていくこととしていることから、この中でさまざまなデータを用いた実態の把握や分析に取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 この委員会でも議論が重ねられましたけれども、年金だけでは生活できないから生活保護を受けるというお年寄りがふえてきてしまうと、年金が本来果たすべき役割を果たせなくなるばかりか、財政負担も大きくなるという影響が看過できないと思います。年金収入では生活できないのですぐに生活保護の出番となるといったような状況は避けなければならないと考えております。

 さまざまな議論が必要だと思っておりますが、個々の置かれた経済状況やライフスタイルに合わせて生活を支えていく、そのような柔軟な仕組みを考えておく必要があるのではないでしょうか。厚生労働省内でも制度を横断した検討が進んできたと思いますので、その取り組みとあわせて橋本副大臣にお聞きしたいと思います。

橋本副大臣 お答えをいたします。

 年金だけで生活できない高齢者の生活を支える仕組みということでございますが、これは収入の確保、支出の軽減という両面からの支援が要るんだろうというふうに思っております。

 収入面につきましては、年金生活者支援給付金の支給でありますとか、高齢者の就労の促進などの働き方改革の中で議論している、そうしたことで収入がふえるように支援をしていくということ、それから支出面については、医療、介護の保険料の負担の軽減、生活困窮者自立支援制度において、現役時代と異なる収入水準でやりくりしていくための家計支援などなどを支援するということに今なっているわけでございます。

 委員御指摘のように、平成二十四年に社会保障制度の低所得者対策の在り方に関する研究会というものがございました。これは民主党政権のときなんですけれども、二回会合をされて、ただ、結論の取りまとめには至っていないという状況のようでございます。

 これまでのこの委員会での議論を私もずっと聞いておりまして、るる御指摘があった点だなと思っておりますし、やはり絶えず検証して、そして、どのような制度があり得るべきかということを考えていくべきだろうということは私もそのとおりだなと思っているところであります。

 例えば二〇四〇年、二〇五〇年はどうなるんだという議論が多々ありました。そのころ私たち、おられる先生方もですが高齢者になっている。そのときに、例えば、子供とか孫の世代にどういうような負担をさせることになるのか、しないで済ませるのか、今、現役世代で、今の私たちで何ができるのかということもあわせて考えていく。ただ、そうした中で、低所得の方に対して生活保護にならないようにどうしていくか、そうしたことの検討というのは本当に絶えず真剣にしていかなければいけないと思っております。

河野(正)委員 次に、GPIFのガバナンスについて伺いたいと思います。

 ガバナンス見直しの必要性は認めるところでありますが、理事長の高額な報酬を含めて、独法の運営そのものに多くの費用が費やされることも看過できないと思います。今回、新たに経営委員会、監査委員会を設けることとなりますが、全体としてどの程度運営費の増加が見込まれるのか、確認させていただきたいと思います。

鈴木政府参考人 GPIFにおきましてはまず年金積立金の効率的な運用に努めておりまして、その運用コストでございますけれども、そもそも海外の公的年金と比較して極めて低い水準になっているということを承知しております。これが前提でございます。

 そこで、今回の改正案におきまして、GPIFのガバナンス強化を図って国民の信頼を一層高めるために、外部の有識者等から成ります経営委員会あるいは監査委員会を設置するということを提案申し上げております。

 これによりまして、今御指摘のように、管理費用等は一定程度増加することも見込まれるわけでございますけれども、一方で、経営委員の人数でございますが、現在の運用委員七人と監事二人を合わせた人数と同数にとどめております。また、監査委員は経営委員と兼ねることなどによりまして、全体として必要最小限な組織というふうにいたしております。

 こういった中で、具体的なコストを見込むことにつきまして現時点では困難でございますけれども、いずれにいたしましても、経営委員会、監査委員会が機能を十分に果たしながら、できるだけ効率的な運用が行われるように具体的なあり方を検討してまいりたいと思います。

河野(正)委員 GPIFの運用見直しについてはインハウス運用の是非が論点となっております。巨額のお金が動くことになれば国内市場での影響、株式市場での影響力も巨大であるというふうに思いますし、国内企業に対して政府が関与を深める契機ともなりかねず、自由な市場に政府が介入することを警戒する意見も根強くあるかと思います。

 仮に今後GPIFが直接運用するインハウス運用が可能になれば、そうした警戒感はさらに強まっていくんじゃないかと思いますが、今後の方向性について、またこの指摘について、政府の見解を伺いたいと思います。

鈴木政府参考人 GPIFにおきます株式のインハウス運用でございますけれども、これは、今回の法案の立案過程におきまして社会保障審議会でさまざまな検討が行われまして、その中では、インハウス運用の解禁につきまして、積極的な立場あるいは逆に慎重な立場の双方からさまざまな御意見をいただきました。

 今回の改正案におきましては、こういった御意見を踏まえまして、株式のインハウス運用までは踏み込まないという意見が多数でございましたので、改正案には盛り込んでおりません。

 その上で、検討規定を置きまして、施行の状況とか国民の意識、スチュワードシップ責任をめぐる動向などを勘案いたしまして、GPIFの運用が市場あるいは民間活動に与える影響を踏まえ、検討を加えて、必要があると認めるときは必要な措置を講じる、これは施行後三年を目途に講ずるということで規定したわけでございます。

 今後でございますけれども、この盛り込んだ検討規定のとおりにインハウス運用をやるということを前提にしたものではございませんので、こうした検討規定に盛り込まれたものをしっかり勘案いたしまして、引き続き検討をしてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 ほとんど時間がありませんので、最後に一言申し上げたいと思いますが、本日、参考人質疑が午前中行われまして、その後、本散後に総理入り質疑が行われました。

 このことにつきましては我が党として了といたしておりますけれども、もし与野党の合意が得られないまま採決となるのであれば、極めて遺憾だと感じております。

 以上で質問を終わります。

丹羽委員長 高鳥修一君。

高鳥委員 動議を提出いたします。……(発言する者、離席する者多く、聴取不能)終局を望みます。

丹羽委員長 ただいまの高鳥修一君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立多数。よって、可決いたしました。

 討論に入ります。

 討論の申し出は維新さん以外にございますでしょうか。なしと認めます。

 討論を行います。河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。(発言する者あり)

 討論しますので、お静かにしていただきたいと思います。

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

河野(正)委員 私は、日本維新の会を代表して、ただいま議題となりました公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案について、賛成の立場から討論をいたします。(発言する者あり)

丹羽委員長 御静粛にお願いいたします。

河野(正)委員 我々日本維新の会は、結党以来、現在の賦課方式の問題点を指摘し、積立方式移行という抜本的な年金制度改革を提案してまいりました。少子高齢化が進行する中で、賦課方式による年金方式を採用すると、世代間格差が生じて社会正義に反する上、将来世代の活力が奪われて我が国の長期的な成長と繁栄が妨げられると考えるからであります。また、世代内格差の是正も必要で、高所得の高齢者と低所得の高齢者の公平のためにも積立方式とすべきだと考えております。

 そのような立場からいえば、そもそもこの法案のよって立つ賦課方式に賛成できないということになります。また、委員会及び本会議の質疑においても、今回の法改正で年金の純受取額が各世代でどう変わるかという質問に、最後まで数字をもってお答えいただけなかったことは大変遺憾であります。この点は今後もただしてまいりますので、政府の真摯な対応をお願いいたします。

 以上のように、我が党としては、現行の年金制度自体に問題があると考え、政府の対応にも改善を求めたいと思っております。ただ、大変残念ながら、当面は、我が党の主張する年金抜本改革が実現するのは、少し先のこととなります。このため、仮に賦課方式による現行制度を前提とするならば、今回の改正は必要なものだと思っております。

 平成十六年度改正は、世代別のバランスシートで見れば、世代間の格差を広げた可能性があります。それでも、そうした世代間格差の拡大を少しでも食いとめるためにマクロ経済スライドを導入したことは、遅きに失したとはいえ、一定の評価はできます。

 問題は、スライド制の実施がどの政権でも行われず、世代間格差が広がる一方だったことであります。今回の法案は、わずかではあっても、こうした現状を改善し、若い世代と将来世代の年金給付を確保しようというものであります。

 我が党は、現状を一歩でも前進させる本法案には賛成をいたします。

 終わりに、年金制度全般について一言付言いたします。

 我が党は、議員年金制度の復活は絶対に反対であります。国民への年金給付が削減される中で、特権的年金の復活は許されません。

 以上を付言して、賛成討論といたします。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 以上で討論は終局いたしました。

 これより採決に入ります。(発言する者あり)

 まず、とかしきなおみ君外三名提出の修正案について採決を行います。

 本修正案に……(発言する者多く、聴取不能)お願いいたします。賛成の諸君の起立をお願いします。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 続きまして、修正案を除く原案について採決を行います。

 原案につきまして賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立多数。よって、本案は可決いたしました。

 お諮りいたします。(発言する者あり)

 ただいま議決いたしました法案についての委員会報告を委員長に御一任いただきますようお願いいたします。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十二分散会


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