衆議院

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第11号 平成28年12月7日(水曜日)

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平成二十八年十二月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      あべ 俊子君    青山 周平君

      赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    江渡 聡徳君

      大隈 和英君    木原 誠二君

      木村 弥生君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    谷川 とむ君

      豊田真由子君    中川 郁子君

      長尾  敬君    丹羽 雄哉君

      福山  守君    星野 剛士君

      堀内 詔子君    村井 英樹君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      大西 健介君    岡本 充功君

      郡  和子君    田嶋  要君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      初鹿 明博君    水戸 将史君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    河野 正美君

    …………………………………

   参議院厚生労働委員長   羽生田 俊君

   参議院議員        そのだ修光君

   参議院議員        牧山ひろえ君

   参議院議員        山本 香苗君

   参議院議員        東   徹君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      橋本  岳君

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   厚生労働大臣政務官    馬場 成志君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           瀧本  寛君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           松尾 泰樹君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 康裕君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月七日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     星野 剛士君

  高橋ひなこ君     青山 周平君

  村井 英樹君     穴見 陽一君

  阿部 知子君     田嶋  要君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     高橋ひなこ君

  穴見 陽一君     村井 英樹君

  星野 剛士君     田中 英之君

  田嶋  要君     阿部 知子君

    ―――――――――――――

十二月六日

 がん対策基本法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第五〇号)

 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案(参議院提出、参法第五三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 がん対策基本法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第五〇号)

 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案(参議院提出、参法第五三号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官瀧本寛君、大臣官房審議官松尾泰樹君、厚生労働省健康局長福島靖正君、雇用均等・児童家庭局長吉田学君、社会・援護局障害保健福祉部長堀江裕君、保険局長鈴木康裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文です。

 きょうは、がん対策にかかわって、最初に幾つか質問させていただきたいと思います。

 きょう、ようやくこの後議題となりますがん対策基本法改正案では、がん患者の尊厳を保持し、安心して暮らせる社会の構築を基本理念に書き込み、予防と検診の推進、患者と家族の療養生活の質の向上、研究の推進、就労、雇用と学習への支援などが盛り込まれています。私の事務所の部屋にも患者団体の皆さんから、何としても成立をということで連日たくさんファクスが届けられておりまして、まさに患者、家族の皆さんの願いに沿ったものとして、ぜひ成立させていきたいと思っております。

 同時に、このがん対策というのはまだおくれもあるし、課題もあると思っております。二〇一二年に閣議決定されたがん対策推進基本計画では、「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」というのが全体目標に加えられ、その中で、社会的な問題についての施策として、「がん患者も含めた患者の長期的な経済負担の軽減策については、引き続き検討を進める。」とされております。しかし、なかなか検討された形跡というのがありません。

 こうした経済的な負担という点では、全日本民主医療機関連合会、民医連が全国六百四十六事業所を対象に、経済的理由から受診がおくれ死亡した事例の調査を継続して行っております。二〇一五年も三十二都道府県で六十三事例があったといいます。

 資料でその一端を入れておきました。リーマン・ショックのあった二〇〇八年の後、二〇〇九年以降で急増しております。保険料が払えなくて、無保険や短期証、資格証明書しかなく、手おくれになった例がふえたまま高どまりしている一方で、正規の保険証を持っていても手おくれになっている事例が急増したまま減らない傾向になっています。そして、これは資料の二枚目につけておきましたが、死亡原因の六割ががんによるものだとなっています。

 大臣に最初にお伺いしたいと思います。こうした現状について、さきに挙げた基本計画でも、経済負担の軽減について検討するとうたっているんですが、その後どう対応されてきたでしょうか。

塩崎国務大臣 がん患者の皆さん方の経済的な負担についてのお尋ねでございますけれども、がん患者のうちで二・七%が経済的理由でがん治療を変更または断念したことがあると報告をされているのが、がん対策推進基本計画中間評価報告書にございますが、一方で、二七%のがん患者が治療中の悩みとして治療にかかる費用のことを挙げておられます。がん患者の経済的負担というのは重要な問題だというふうに思っております。

 がん治療も含めた治療にかかる経済負担に対する制度としては、医療費の自己負担額を抑える高額療養費制度、それから被用者保険の加入者が病気で休業している期間に一定の収入を保障する傷病手当金、さらには障害年金などの制度がございます。

 こうした制度について知らないという患者さんがおられるわけでありまして、がん診療連携拠点病院などに設置をされました四百二十七カ所の相談支援センターにおいて、これらの制度について周知をしているわけでございますけれども、これまた、相談支援センターそのものを利用している方は、拠点病院のがん患者のうちの約七・七%にとどまっているということもあります。相談支援センターの役割について広く周知を図っていくこと、これもまた必要だというふうに思っているわけであります。

 こういうような現状を踏まえて、現在、第三期がん対策推進基本計画の策定に向けて議論を行っておりますので、がん患者の経済負担という課題について引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

堀内(照)委員 今示していただきましたように、治療中断という例がやはり相当あるということですし、その支援センターの周知という点でも課題があるということでありました。

 特に長期的な経済負担の軽減ということが、特にがん患者の場合は療養が長くなる、ですので、さきに示しました民医連の調査の場合はアクセスできないという問題があったわけですけれども、アクセスしたとしても、なかなかやはりそういう課題があるということだと思うんです。

 高額療養費のことがありました。後でも触れますけれども、七十歳未満の高額療養費はむしろ上限を引き上げられてきたわけでありまして、これはやはり対策に逆行するんだと私は思うわけであります。

 民医連の調査の中で、こういう事例がありました。スナック経営をされている女性が、七十歳代になって、結局、末期で受診されて手おくれだったんですが、よく聞きますと、三十代後半で子宮がんにかかって放射線治療も受けていたんだ、ところが、やはりバブルも崩壊して経営も傾くという中で、治療を中断して、調子の悪いときには市販薬でごまかしていたと。そういう実態がやはりあると思うんです。

 今も言いましたが、本当に療養が長期になって、働いていても療養のための諸費用というのは、これは交通費や装具費、差額ベッド代、それから、未承認薬なんかを利用すればさらに重い負担になるということであります。そういう実態をさらにしっかりつかむ必要があるんじゃないかと思っています。

 今調査の一端を示していただきましたけれども、この十月二十六日に行われたがん対策推進協議会の資料の中に、都道府県がん診療連携拠点病院連絡協議会議長から、がん対策推進協議会長宛てに文書が出されています。「がん相談支援センターからみたがん対策上の課題と必要と考えられる対応についてのご報告」ということでありまして、今ありましたがん相談支援センターでアンケートをとっている。七百四十六件中、三十五件でやはり経済的支援制度の限界ということが指摘をされ、高額医療費がかかるために治療中断がある、そういう言及が多いと報告されています。

 この文書では、調査対象とならなかった人、つまり非拠点病院において治療を受けている人、また、回答しなかった人の状況もあわせて把握をし、その結果を踏まえた対応方針を検討する必要があると。改めてこの時点でそういう把握が必要だということが提言されているわけですが、そういう踏み込んだ実態調査、必要じゃないでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、今、第三期の計画の議論をしているわけでありまして、先ほど申し上げたような経済的な負担ということが患者の皆さん方にも一定程度やはり大事な問題としてあるということもわかっているわけでありますから、これらについてどういう実態なのかということがさらにわかるようにしていくことが大事だというふうに思っておりますので、今御提案をいただいたようなことも含めて、何ができるか考えていきたいというふうに思います。

堀内(照)委員 ぜひ進めていただきたいと思うんです。

 治療費の負担軽減という点で、今もございました高額療養費制度なんですが、現行でやはりなお負担が重く、十分治療が受けられないという現状があると思うんです。にもかかわらず、今度、社保審の医療保険部会では、世代間の負担の公平としまして、七十歳以上の高齢者の高額療養費の負担限度額を現役並みに引き上げようとしております。

 大臣にこれを伺いたいんですが、世代間の公平というなら、必要なことは、現役世代の負担を高齢者世帯並みに引き下げて経済的負担をさらに軽減することで、全てのがん患者が必要な医療を受けられるようにする、このことじゃないでしょうか。

塩崎国務大臣 今、改革工程表に基づいて、七十歳以上の高額療養費制度の見直しが議論をされているわけであります。

 医療費の増加が続く中で、社会保障制度の持続可能性を高める、そして同時に、世代間、世代内の公平性を図って負担能力に応じた負担を求める観点から行っているということでございまして、保険料、そして税、さらに自己負担、この三つの中の組み合わせでどういうふうによりよい医療を提供できるようにするかということが絶えず課題になっているわけで、さまざまな制約の中で道を切り開いていかなきゃいけないというふうに思います。

 十一月三十日の医療保険部会では、こうした観点から、低所得者の方への配慮は残しつつ高齢者の負担を見直す案をお示しして御議論をいただいておりますが、引き続き、関係者の御意見をよくお聞きしながら、年末に向けて具体的な見直し内容を検討していきたいと思っております。

 なお、現役世代の高額療養費制度については、平成二十七年一月に所得区分をきめ細かくする見直しを既に行っております。したがって、今般、現役世代に関して見直しを行うという必要性は低いと考えているところでございます。

堀内(照)委員 低所得者への配慮ということですが、提案の中には、非課税世帯にも外来負担の上限引き上げの提案があるわけであります。

 応分の負担ということですが、一般世帯で区分されている層は、年収三百七十万未満で住民税を払っている層であります。これは東京二十三区で単身の方であれば、年金収入年間百五十五万円、それぐらいの収入で、つまり月十三万円程度で、そこからいろいろな支払いなどがあるわけで、生活費は数万円になるわけですね。それらの人に上限五万七千六百円ということでありますので、本当に負担は応分どころか重い。これで本当によりよい医療が提供できるんだろうかと私は思うわけであります。

 民医連の調査でも、経済的理由による手おくれの死亡事例のうち、三割近くが七十歳以上になっております。現役世代の負担をさらに引き下げるのは当然必要だと思いますし、今計画されている負担の引き上げというのはやるべきじゃないと思うんです。

 医療保険部会で検討されている負担増はこれだけじゃありません。後期高齢者医療保険の軽減特例の見直し、医療療養型病床での光熱水費負担の見直しなど、まさに負担増のオンパレードであります。こんなことをしたら、ますます受診抑制が広がって、手おくれの方や治療中断に追い込まれる方が激増しかねないと思います。

 大臣、さらにちょっと伺いたいんです。こういう負担増計画はやはりやめるべきだ、重ねて伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 負担によって受診抑制がなされるのではないかという問題点、指摘があることはよくわかっておりまして、結果として医療費がかかるようなことも私たちは避けなきゃいけないということでありますが、いずれにいたしましても、今検討中でございますので、この検討をしっかりと深めていくということだろうというふうに思います。

堀内(照)委員 大臣が言われたように、結果として医療費が膨らむということになるわけですから、アクセスしやすい、治療中断のないように負担軽減をぜひやるべきだ。年金の審議のときに医療も介護もあるんだと言っていましたけれども、医療も介護も負担増ということでますます厳しくなりますので、ぜひ、こういう負担増はやめるべきだと重ねて申し上げておきたいと思います。

 関連して、患者申し出療養について伺いたいと思います。

 先日、この制度の一例目として、あるがん治療が承認をされました。この制度については、厚労省は、困難な病気と闘う患者の思いに応えるために、先進医療に次いで、患者の申し出を起点として、安全性、有効性を確認しつつ、身近な医療機関で迅速に受けられるようにするものだと説明してきました。

 しかし、患者らの願いというのは、安全で有効性が認められた治療を早く保険収載して、経済的な不安なく治療が続けられるようにしてほしいというものだと思います。承認されるに当たって評価会議で議論されているわけですが、それを私、見ておりまして、本当に患者の願いに添うのかという懸念を持っております。

 その一つが、やはり費用負担なんです。

 二〇一六年度の報酬改定疑義解釈によれば、プロトコールの作成やモニタリングの費用などの事務費や人件費について、文書により同意できれば患者に負担を請求できるとされています。評価会議でもこれは議論になりまして、外注するなどすればモニタリングだけでも数百万、二千万という数字も飛び出しています。

 評価会議で、厚労省側は、請求できるのは、社会的に見て妥当、適切な範囲、こう言っているんですけれども、これは一体どれぐらいの額になるんでしょうか。

鈴木政府参考人 患者申し出療養の患者負担についてお尋ねがございました。

 今御指摘がございましたように、保険外部分の費用については、医療保険の給付は行われずに、患者と医療機関の合意により決定されるということでございます。

 プロトコールと言われる研究計画の作成ですとか研究データのモニタリング、管理、こういうものについての運営費用については、今御指摘いただきましたように、中央社会保険医療協議会、中医協において、現に必要であるかどうか、それから社会的に見て妥当であるかどうかという観点から審査をしております。

 技術の内容によってこの額が異なるために、一概にお答えすることはなかなか難しいということでございますけれども、事前に具体的な費用の計画を提出させてその妥当性を審議することとしておりますので、適切な患者負担になるように努めてまいりたいというふうに思っております。

堀内(照)委員 これは本当に、金の切れ目が命の切れ目ということになってはならないと思うんです。

 この費用負担、患者に求めることができなければ医療機関がかぶるということにもなるわけで、ここにはやはり何らかの対策、検討が必要だと私は申し上げておきたいと思うんです。

 同時に、安全性、有効性が確認された治療は、やはり早く保険収載に結びつけて経済的な負担を軽減するということは本当に求められていると思います。この点で、この患者申し出療養制度によってきちんと保険収載に向かうのかということももう一つの懸念であります。

 一例目になったのは、腹膜播種陽性の胃がんへの抗がん剤治療で、もともと先進医療で行われてきました。適格基準外の患者からの申し出で、適格基準を七項目緩和して、百例実施する計画であります。

 先進医療で適格基準を設けて、有効性を確認し、エビデンスを積み上げてきたわけで、今、未承認薬迅速実用化スキームに乗り、薬事承認に向けて進んでいると伺いました。

 そこへ、基準を緩めた患者申し出療養が始まるわけであります。そのことによって条件が変わってしまい、積み上げたエビデンスとは違う傾向、有効性にマイナスな結果が出ることもあり得る。しかし、この制度の趣旨は、基準を緩和して患者の申し出に応えるということがやはり望ましいということであります。

 また、先進医療では対照群を設けて比較をする、そういう中でエビデンスを積み上げてきましたが、患者申し出療養ではそのような対照群はつくれません。

 保険収載のためというこの制度でありますが、そのためのエビデンスを得るということは非常に難しいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これは、先進医療もそうでございますけれども、患者申し出療養についても、将来の保険収載に向けて、医療機関に実施計画の作成を求めて、患者申出療養評価会議において、安全性、有効性等を確認するとともに、実施状況等の報告を求めるということをやっているわけでございます。

 患者申し出療養の一例目のお話がございましたけれども、その技術につきましては、この技術を必要とする患者の申請に基づいて、患者申出療養評価会議における安全性、有効性等についての検討をしていただいて、審議された結果、既に実施されている先進医療の対象患者の基準を一部広げて実施することとされたものだというふうに理解をしております。

 困難な病気と闘う患者からの要請に応えつつも、既に実施をされている先進医療等の実績も含めて、保険収載に必要なデータ、エビデンスを集積いたしまして、安全性、有効性等の確認を経た上で、将来的な保険適用について検討していきたいというふうに考えております。

堀内(照)委員 緩和した基準の一つに、前化学療法に関する規定を削除、つまり、以前に化学療法を受けていれば、当該治療の有効性を確認するのに障害になるために、これまでは排除していた。しかし、今回は、適用するに当たって、この規定を削除して、以前に化学療法を受けていても構わないということになったわけであります。これで有効なエビデンスが得られるんだろうかと思っております。

 法案審議のときには、保険収載に近づけるためだと、今も大臣からありました。しかし、今回の一例目を通してはっきりしたと思うのは、適格基準外の患者を受け入れようとすれば、治療の有効性の確認が難しくなる。これは、制度のあり方から来る原理的な問題だと私は思うんです。この制度の枠組みでは、結局、保険収載できずに保険外診療にとどまり、高い医療費に加え、事務費の負担までさせられる、これが続きかねないと思うんです。混合診療の拡大ではなくて、先進医療も含めた保険外併用制度の全体のあり方を見直して、安全で有効性が認められた治療を速やかに保険収載する、患者の願いのためになるような制度と運用が必要だと指摘をしておきたいと思います。

 ちょっともう時間がなくなりましたので、最後に、簡潔に聞きたいと思います。自治体が取り組んでいる子供医療費助成の国保の減額調整の見直しについて、これも医療保険部会で方向性が示されました。資料の三ページ、四ページにつけておきました。

 二案示されていますが、いずれも未就学児までで、見直しによって生じた財源は助成の拡大には使うなと対象と財源の使い道まで縛って、さらに案の二では、一部負担金や所得制限を設けている場合に限定すると。これはとんでもないと思うんです。これでは、完全無料化をしている自治体に対して、減額調整をやめてほしければ一部負担金や所得制限を設けよと国が誘導しているようなものじゃありませんか。

塩崎国務大臣 この仕組みについては、もう御案内のとおりであって、増加した医療費分、公費負担を減額調整しているということでありますが、一方で、子供医療費助成に係る国保の減額調整措置については、ことしの六月二日に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランにおいて、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会の取りまとめを踏まえて、見直しを含め検討し、年末までに結論を得ることとされておりまして、今議論が進んでいます。

 医療保険部会、子育て支援の充実等に努めている自治体の理解を得る観点から、一部負担や所得制限を条件とするべきではないという意見があった一方で、コスト意識を持つため自己負担を残すべき、それから、応能負担の観点から所得制限をすべしというような意見もあったわけであります。

 先日の十一月三十日の部会では、これらの議論や現在の各自治体の取り組み状況を踏まえて、見直し対象は未就学児までとし、特段の条件を付さないという案の一、そしてまた、見直し対象は未就学児までとし、何らかの一部負担金や所得制限を設けている場合に限定をするという案の二という二つの案を示しておりました。

 今後、医療保険部会における議論も踏まえながら、ニッポン一億総活躍プランに記載されたとおり検討を進めて、年末までに結論を得ることとしたいと思います。

堀内(照)委員 全国の自治体から寄せられているのは、国の制度として無料化してほしいというものであります。特に案二では、子育て支援逆行でありますので、せめて減額調整ぐらいは早急に全廃、撤廃すべきだということを求めて、質問を終わります。

丹羽委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 民進党の田嶋要でございます。

 きょうは、厚生労働委員会、このような機会をいただきまして、委員各位の皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 昨年の十二月に民進党の中でのワーキングチームの座長にさせていただきまして、特別養子縁組に関する取り組みをスタートさせました。本当に感無量でございます。ちょうど一年たった今、きょう午後に、この法案の審議、採決というふうに伺ってございますが、塩崎大臣におかれては、ことしの二月二十五日の分科会で一度御質問させていただき、私と同じか、それ以上にこの問題に思いを持っていただいている、そういう熱い御答弁をいただいたということをありがたく思っております。

 改めまして、きょう、総括的な意味も含めて、それから、これからの発展を願って幾つか確認の質問をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず、政府参考人からで結構でございますが、児童虐待がずっとふえ続けておるわけでございますが、児童の、子供の命が最も多く失われているのは、今のデータでは生後どれぐらいの子供たちかということを確認させていただきます。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 児童虐待による死亡事例につきましては、厚生労働省において自治体と協力して調査を行いまして、有識者の専門委員会で検証を実施しております。

 まず直近、二十六年度の子供の虐待死は七十一人になってございます。このうち、心中以外の虐待死の四十四人を見ますと、死亡時点の子供の年齢ではゼロ歳児が二十七人と最も多く、特に生後二十四時間に満たない死亡と考えられますゼロ日児死亡が十五人、これは今申しましたゼロ歳児の五五・六%、心中以外の虐待死四十四人の三四・一%と最も多い状況でございます。

田嶋(要)委員 今のデータからもわかるように、やはり、命を授かった、その赤ちゃんが生まれたそのときに多くの命が失われている、こういう事態が今でも続いておるわけでございますが、私も訪問し、そして私より先に大臣が訪ねられた愛知県の愛知方式は、まさにそうした社会の矛盾というか問題に取り組むために、三十年以上前から、生まれたばかりの赤ちゃんを特別養子縁組につなげていく、そういう取り組みをされておるわけでございます。

 もちろん、愛知方式だけが全てではございませんけれども、前回の二月の大臣の御答弁の中でも、ゼロ歳から二歳のそうした子供たちの愛着障害の問題も含めて、やはり一番大事だということを大臣も強く御認識されております。こうした命が失われるケースを防ぐためにも、今回のこの特別養子縁組が一日も早く広く認知をされて、愛知県のみならず、全国で広く推進できていきますように、強く期待を申し上げたいと思います。

 次の質問をさせていただきます。

 今回、与野党でいろいろ話し合わせていただきまして、きょうの日に至ったわけでございますが、事件なども起きております。私の千葉県で起きた事件もございまして、人身売買みたいなことが起きかねない、だからこそ、今回、許可制度という形にして、しかし、そういったところにはしっかり支援をしていくという枠組みができることになるわけでございますが、児童相談所に持ちかけられるケース、それから民間、現在ですと二十二団体ございますが、そうした団体に持ちかけられるケース、どちらにおいてもやはり大事なことは、その子供たちの命を守って幸せな家庭に入れるように、少しでも多くのマッチングの可能性をふやしていくということが何より大事であるというふうに思っております。

 そのためには、情報共有ということは、民間の方に入ってきたそういう子供のケースのみならず、児童相談所、もう既に児童福祉法は改正されましたけれども、児童相談所の方に入ってきたケースも同様に情報共有を行っていく、そして、日本全体でマッチングの確率が高まっていくように、言ってみれば左右対象に、そういう取り組みがこれから強化されるというふうに期待をしていいのかどうか、その点に関して確認で質問させていただきます。

塩崎国務大臣 まず第一に、今回、議員立法、これは自民党では野田聖子代議士、そして公明党の遠山代議士など、そしてまた、先生にあっては民進党でお取りまとめをいただいてまいりまして、改めて、私からも敬意を、そしてまた感謝申し上げたいと思います。

 今、養子縁組を推進するに当たって、当事者の意向等を踏まえて、必要に応じて児童相談所と民間のあっせん機関が連携をしながら、家庭における養育が困難な子供さんに関する情報を共有するということは重要なことだというふうに思っております。

 このため、さきの通常国会で成立をいたしました改正児童福祉法、ここにおきまして、養子縁組に関する相談、支援を初めて児童相談所の業務に位置づけたわけでありまして、このことを踏まえて、今後、児童相談所と民間のあっせん機関の連携をしっかりと確保していきたいというふうに思います。

 現在、議員立法として提出されているこの養子縁組あっせんに関する法案が成立した暁には、法案の趣旨も踏まえて、児童相談所による養子縁組のあっせんに当たっても、必要に応じて、やはり子供やあるいはその養親候補者に関する情報を民間のあっせん機関と共有するなど、さらなる連携を図りながら、養子縁組の一層の推進に努めてまいらなければいけないというふうに思っております。

 なかなか、特別養子縁組は、まだまだなじみが日本は低い。他のイギリスなどと比べても圧倒的にまだ少ないというか、人口はこちらの半分しかないのに、こちらの多分十倍ぐらい養子縁組がイギリスで行われているというようなこともあります。そういうことを考えてみれば、やはり官民挙げて、連携しながらしっかりと対応していかなきゃいけないというふうに思います。

田嶋(要)委員 大臣も前回も引用されました愛知県や熊本のようなケースはむしろ例外で、やはり官である児童相談所と民間のそうした団体の情報共有とか連携は必ずしも進んでいないというふうに私は感じますし、敷居が高いとか、余り近づきたくないとか、やはり役所には役所特有のイメージもございまして、そういったことから、役所にせっかく情報が入ってきても、それがそこにとどまってしまっては、やはりその子供が幸せな家庭につながる確率が下がってしまいますので、そこは今回、民間の方にかかわる法案が提出されておるわけでございますけれども、やはり児童相談所のそうしたオープンな姿勢というのも、ぜひこれから強化をしていただきたいというふうにお願い申し上げます。

 次の質問ですが、さまざま、出産後に経済的な問題等を抱えそうな、いわゆる特定妊婦などの支援でございますけれども、そうしたケースの方々と直接の接点のある現場ということでは産科のお医者様方だというふうに思いますが、こうした新たな制度というか、既に存在はするわけでございますけれども、この制度の周知をしていくということが、やはり何より大事だと思います。もう国も本気になってやっていくんだぞということでございますけれども、その周知の取り組みに関しましての見解をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 特別養子縁組制度というのは、子供の健全な育成を図る仕組みであることはもう言うまでもないわけでありますけれども、子供の最善の利益となると認められる場合には、特定妊婦の方などに対して積極的に支援を行うことが重要だというふうに思います。御指摘のとおりだと思います。

 産科医療機関につきましては、特定妊婦の方などがまず接点を持つことになるわけでありますので、この特別養子縁組制度の趣旨とか、あるいは中絶以外の選択肢がちゃんとあるんだということを、この産科医療機関にまず十分理解をしていただく、そして、産科医療機関が、必要に応じて、養子縁組に関する相談支援を行う児童相談所を紹介できるようにすることも重要だというふうに思っております。

 また、患者の個別の状況に応じて、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行うために、今つくりつつあります子育て世代包括支援センター、これにつないでいくことも重要ではないかというふうに思っておりまして、現在策定中でございますこの子育て世代包括支援センターのガイドライン、これらの中で、こうした医療機関と行政機関との連携を明確にし、産科医療機関や都道府県等に周知を徹底していかなければならないというふうに思っております。

 さらに、これとあわせて、妊婦健診を受けに来られた方に対して、気兼ねなく匿名で電話相談を受けられる体制を都道府県等において整備する、そして同時に、その相談窓口の周知に今取り組みつつあるところでございます。

 こうした取り組みを通じて、産科医療の現場で、特別養子縁組制度に関する周知が行われるように努めてまいりたいと考えております。

田嶋(要)委員 児童相談所によっては……。大丈夫ですか、何か間違えましたか。

塩崎国務大臣 先ほど、妊婦健診を受けに来られた方と申し上げましたが、来られない方に対してはということで、訂正させていただきたいと思います。

田嶋(要)委員 児童相談所によっては、妊娠している女性が相談に来ると、産んでからもう一回相談に来てくださいというふうに追い返すところもあるという話はよく聞きます。先ほど、ゼロ歳、ゼロ日で命を落とす赤ちゃんが多いということを見ても、それでは遅いわけでありまして、そうしたケースをゼロにするためには、いわゆる予期せぬ妊娠をした方々が安心して相談できる現場というのがやはり充実されなければいけないし、そして、産科の先生方がこういった制度的枠組みの存在をしっかり認識する必要もあろうかと思います。

 今大臣に御答弁いただきましたが、特に、例えばリーフレットを用意するとか、それからもう一つは、お忙しい産科の先生方がワンストップで連絡をとれる行政の窓口、ここにとにかく駆け込めば、電話一本で、その後はきっちりそうした妊婦さんの方のフォローをしていただける、そういうような簡易な枠組みの希望が非常に強いわけでございますが、こうした具体的な話はまだ検討されていないかもしれませんが、何か大臣、前向きな御答弁いただけますか。こういったものを、しっかりと全国で用意していただきたいというふうに思っております。

塩崎国務大臣 熊本の慈恵病院のように、医療機関そのものが熱心に特別養子縁組に取り組んでいるというところもございます。日本医師会も、産婦人科の先生方の中で、この特別養子縁組ということについて、特に日本では、今先生御指摘のように、生まれてから来てくださいみたいなことを言うところがありますが、アメリカなどでは、おなかの中に子供さんがいるときに、もう行き先が決まっているというようなことがあるんだということは、私は日本医師会の産婦人科の先生からお聞きをいたしました。そういう認識でもって対応しているということでありますから、医療機関ともしっかりと連携をし、産婦人科の待合室にポスターを張るぐらいのことをやることが私は大事ではないかということを内部でも話をしております。

田嶋(要)委員 ぜひよろしくお願いします。

 私、実は先週、地元の千葉県でキックオフ会議を開催いたしまして、愛知県の萬屋さんにちょうど来ていただいて、産科のキーマンを集めてスタートさせました。現場からずっと継続して見守りたいと思いますので、そうしたポスターが届くとか、統一番号が提供されるとか、そういう動きがこれからしっかりと沸き上がってくるのを確認していきたいというふうに思っておりますので、愛知方式だけがもちろん全てではありませんが、やはり早いうちに手を打つことが、虐待によって命を落とす子供の数も減らせるというふうに思っておりますので、どうか具体的に動いていただきたいというふうに思います。

 次の質問ですが、養子縁組して子供の幸せにはつながった、よかったということなんですが、もともと、予期せぬ妊娠をしてしまったという女性の例えば貧困の問題等々やはりあるわけで、同じサイクル、ループというか、同じところにまた迷い込んでしまうと、二度目、三度目ということが同じ方に関して起きるおそれもあるわけであります。実母の自立の支援ということに関してどういうふうにお考えになっているか、その点に関してお尋ねしたいと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 養子縁組成立後の実母、実の母親の方々は、自立生活を営む上で困難な問題を有しておられたり、あるいは保護、援助などを必要とされることが多いというふうに承知をしておりまして、これまでも、婦人相談所において相談に応じる、あるいは必要に応じて一時保護を行って、生活支援や心理的支援という形で行わせていただいております。

 また、一時保護終了後、速やかに自立することが困難なお母さん、実の母の方々に対しましては、婦人保護施設において生活支援あるいは心理的ケアを行いながら、中長期的に心身の健康の回復を図って、自立支援をしていただくというような働きかけもさせていただいています。

 こうした支援に加えまして、婦人保護サイドだけではなく、平成二十七年の四月に施行されております生活困窮者自立支援制度というのもできてございますので、福祉事務所を設置する自治体がこの主体となって、本人の状況に応じた包括的な相談支援でございますとか、あるいは、直ちに就労が困難な方に対しましては、一定期間、プログラムに沿って、一般就労の準備としての基礎能力をつけていただく、さらには、相談者がみずから家計を管理していただくことができるように、その状況に応じた家計支援計画の策定など、生活困窮者の自立に向けてさまざまな支援も行わせていただいております。

 こうした支援がさまざまありますけれども、適切に必要な方に届くように、地域における各機関の連携もしっかり確保できるよう、国と自治体、いろいろ協力させていただきながら進めさせていただきたいと思います。

田嶋(要)委員 児童福祉法の改正や、今回の新法の範囲の外ではございますけれども、今おっしゃっていただいた困窮者自立支援法など関係する法律の部分とも重ね合わせて、ぜひしっかりと、アフターケアというか、その部分をやっていただきたいというふうにも思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次の質問でございますが、お金のことでございますが、今回、許可制にして、そして財政的な支援ができるということにしておるわけでございますが、民間あっせん機関は、本当に自転車操業のような苦しい状況のところが多い。だからこそ、お金の授受みたいなことをせざるを得ないような現実もあるんだろうというふうに思います。

 また、その一方、民間であっせんを受ける養親の方々は、いわゆる児童相談所に相談する方とは異なりまして、まず里親手当の類いのようなものをもらえるわけではない。なおかつ、ある程度の手数料を払うことになるわけで、負担も多いわけでございます。

 前回、大臣も、その関係では御答弁をいただいておりまして、「生みの親ではない限りは、さまざまな支援が必要でありますから、」というように、そうしたお金の部分に関しての支援ということを言及されているような印象でございますが、改めて今回法律ができても、やはり民間の団体もその辺が不安だし、そうしたことで与野党協議して、一切の手数料はもう養親から受け取っちゃだめだということにはならずに、限定で列挙したものはオーケーとしつつ、国の方からの支援の道を開いたということでございますけれども、大臣の口から、こうした施設に対する財政の支援、施設を運営する方々の安心が得られるような御答弁、そして養親に対する財政支援に関しての御答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 厚生労働省としては、現在は、民間あっせん機関あるいは養親希望者に対する財政的な支援は行っていないわけでございますが、新たに財政支援を行うことについてはさまざまな議論があるというふうに理解をしております。

 あっせんがスムーズに行えるケースもあれば、なかなか複雑な事情によって多くの負担が生じるようなケースがあるということで、いろいろな場合があり得るということ、それから、財政支援の方法によっては実親の中立的な意思決定に影響を与えるおそれがあるというようなことも指摘をされておりまして、どういう課題があるのかということについて、まず少し整理、検討が、これから特別養子縁組については、特に我々としても応援をして進めていきたい。

 何といっても、やはり家庭養育、これが基本だということを明確にしたわけでありますから、その典型例である特別養子縁組について、したがって、財政的な支援が、どういうことがあり得るのかということについて検討しなきゃいけないと思っておりますが、民間あっせん機関や養親希望者へのさらなる支援のあり方は、やはり今申し上げたようなことをよく踏まえた上で、さらに検討していきたいというふうに思っております。

 都道府県によっては、かなり特別養子縁組に前向きになってきている都道府県も出てきておりまして、知事自体がこれに問題意識を持ってやっていらっしゃるというところもふえてきたので、ぜひ、そういうところともよく考えを共有して、そしてまた、民間のあっせん機関も今回こうして明確な位置づけを与えられることとなりますので、そういった方々も含めて御一緒に検討していきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 この問題は、一個一個が違った形の困難をはらんでいる、なかなか一般化できないということをよく現場の方はおっしゃって、結果として持ち出しになるケースが多いと。

 例えば、私も訪ねた茨城県のBabyぽけっとさんでも、十代のおなかの大きい女性が二人、そこで受験勉強をしていました、そういうアパートを用意してということで。その後、出産をされて、母子ともに健康でございますけれども、そういったことを結局全部面倒を見なきゃいけない、とにかく目の前の命ですから。であるし、例えば健康保険料も未納だったとか、ふたをあけてみたら、いろいろお金のかかることがたくさんだと。それを全部背負っているのが今の民間団体であります。

 片方で、先日千葉で起きたような、お金もうけの考えがあるようなものはもちろん許可制によって排除されますが、一生懸命やろうとしている団体に関しては、この法律で許可をするわけですから、本来禁止するものを特別に許可するわけだから、それをしたからにはしっかりと支えていくということが何より大事だし、それは子供の命を守ることにつながると思いますので、大臣にはもう一度、その点、しっかりやっていくということを確約いただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたとおりでありまして、これから関係する方々がふえてくると思いますので、幅広い皆様方に御参加をいただきながら、一緒に検討をして、どういうサポートができるのか、よく考えていきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 引き続き、法律が成立した暁にも、省令の中身に関してもいろいろ御意見も申し上げさせていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、都道府県や市町村、そして本法のかかわる民間団体における専門性の高い人材の育成ということが何より大事になってまいります。前回の大臣の御答弁でも、そのことを強調されておりました。人材がしっかりと育たなければいいサポートができないわけでございますが、政府はその点、具体的にどういうような支援を考えておるか。午後の法案の二十二条にかかわる話でございますが、その点に関してお尋ねをしたい。

 そしてもう一つ、ちょっと質問通告していないんですが、もし答えられたらで結構でございますが、前回、大臣がその関係で、都道府県、市町村、国の役割分担、こういったことをおっしゃっておる中で、「今地方公共団体にも投げているところであります」という御答弁をいただきました。何のことか、おわかりでしゃべられていたと思いますけれども、この投げている話が今どんなような状況なのかということを、事務方でも結構ですので、この専門性の、いわゆる人材育成も含めての話だと思いますが、どういうことを今都道府県や自治体と連携しているか。これから現場の方での動きがふえてまいりますので、その点に関して、もし御答弁できることがございましたら、お願いいたしたいと思います。

塩崎国務大臣 まず第一に、この専門性の問題でありますけれども、今回の改正児童福祉法においても、今は児童相談所長だけが研修を受けるということになっていたんですね、前の法律では。今回、この児童相談所における児童福祉司等について、児童相談所強化プランに基づいて、専門職の配置の充実とか資質の向上を図ることとしておりまして、研修の対象を、所長だけではなくて、その関係する児童相談所の方々、そして、これから市町村の支援というのがまた大事になるということを明確に法律に入れましたので、市町村の方々も対象にしようというふうにしております。

 それから、現在の、議員立法として提出されている養子縁組あっせんに関する法案では、研修の実施等、国による民間あっせん機関に対する支援に関する規定が盛り込まれたと理解しておりまして、養子あっせん機関の担当職員についても、子供の最善の利益を見通す専門性が求められていることから、今後、研修の充実等、具体的な人材育成のあり方について検討しなければならないと思っております。

 今、改正児童福祉法が成立した後、四つ検討会をつくっている中に、専門性の検討会があります。ここでは私は、都道府県の児相の職員と市町村の関係する職員の皆さんにもチャンスを与えるような研修、今一カ所しかありませんけれども、そういったものにしようと申し上げましたが、今回この法律が通りますので、民間のあっせん機関の方々も御一緒に研修を受けられるような仕掛けを考えるように私は指示をしておりますので、ぜひそういうような形で、ともに同じだけの専門性を持って、子供のために養子縁組ができるようにすればというふうに考えているところでございます。

 もう一つの、先ほどの、以前、市町村に投げているという話、ちょっとよくわからないので、何を指しているのかがちょっとよく……(田嶋(要)委員「いいですよ、政府からでも」と呼ぶ)わかりました。

 それでは、そういうことでございます。

吉田政府参考人 お答えいたします。二月の時点でのやりとりを踏まえての御質問というふうに思います。

 大臣の、私ども、今つぶさに確認をさせていただいているわけではございませんが、事実関係として申し上げれば、当時から、改正児童福祉法の施行を目指して、その内容に応じて、市町村の方々も一緒に、あるいは都道府県の方々とも一緒に意見交換をしながら、先ほど来大臣から御答弁申し上げておりますような、新しい児童福祉法下における人材育成のあり方について議論をさせていただきました。今もさせていただいております。

 そういう意味では、先ほど大臣が御答弁いただきましたことに全て尽きてございますけれども、検討に当たりましては、自治体の方々の御意見もいただきながら一緒になって考えてございますので、今後、その形をつくっていくのとあわせて、では実際にどういうやり方ができるのかということを自治体の方々にも投げかけながら進めさせていただきたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 法律は、児童福祉法改正と今回の法律、車の両輪は整った、しかし、現場がちっとも動かないということはありがちでございますので、私もこれから軸足を千葉県の現場に移します。愛知方式がどのぐらい全国に広がっていくかということも含めてやろうと思っているんですが、前回、大臣の方から、都道府県や市町村の役割分担が大事だということと、そして今、地方自治体にも投げているということで、人材育成のことも含めて言及されましたので、今、少し御答弁、ありがとうございます。

 そういう意味では、ぜひこれから自治体との連携をしっかりとしていただいて、自分たちはどう動けば子供の命を守れるのかということをしっかり考えるようにしていただきたいというふうに思います。

 そして、最後でございますが、これも前回、大臣の御答弁を引用させていただきますが、里親率とかそういったことに関しては今政府の目標がございますが、これは、やはり里親とは違う意味での特別養子縁組に関する数字の目標があった方がいいのではないかと私は思っております。現在は大体年間五百人の赤ちゃん等が特別養子縁組を成立するわけでございますが、大臣おっしゃったとおり、人口半分のイギリスで年間五千件ある、ということは、単純計算すれば二十倍なわけでございますから、したがって日本の目標は私は年間一万人ぐらい、五百に対して二十倍というようなことも一つ考えられるのではないか。

 それから、同じように、大臣が前回おっしゃいました、ドイツは六歳までは、法律ではないけれども、基本、施設には入れていないということに驚いたと。そしてイギリスは、これは伝聞だったと思いますが、小学校六年生までは施設に入れていない、これまた驚いたと大臣から、みずからそういう言葉がございました。

 今、日本は、ゼロ歳から二歳の乳児院に三千人余りが入っています。乳児院が悪いということではないけれども、やはり愛着障害の問題を考えると、ゼロ歳―二歳、そういう一番人生のスタートのところで、なるべく特定の大人との愛着、愛情を形成していくということが何より大事だから、里親は里親でふやしていただきたいし、一対一対一という目標があるのは結構でございますが、私は、特別養子縁組に関しても何らかの目標値を定めて取り組みをいただきたいというふうに思っておりますが、最後、大臣の決意の具体的な御答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 特別養子縁組の成立件数は、今後、今回の議員立法そしてまた改正児童福祉法を踏まえて、そしてまた先生のような努力をされる方々の力によってふえていくのだろうというふうに思いますし、その方が子供の将来にとって、日本の将来にとっていいというふうに私は思っておりますが、大事なことは、一人一人の子供を、具体的にどういうような環境で、どういうような養育をしていくのかということで、やはり子供の最善の利益、このために全てを努力していかなきゃいけないと思っております。

 今まで、課題と将来像というので、さっきもお話がちょっとありましたが、三分の一、三分の一、三分の一でいくという数値目標がございましたが、これについても全面見直しをするということで、新たな社会的養育の在り方に関する検討会というので議論してもらっています。全体をやることになって、特別養子縁組ももちろん踏まえた上での議論をしてもらって、どういう目標を持つべきなのか、それが数値なのか数値じゃないのか、それはいろいろあると思います。

 それから、都道府県に計画をつくってもらっていますが、ですから、これも全部やりかえるということになりますので、ぜひそういうことで、子供の最善の利益につながるような、そういう政策目標を掲げるということは私は大変大事なことだと思っていますし、中でも、愛着形成の大事な時期に家庭養育が行われるような仕組み、すなわち特別養子縁組や里親、これを重視しながら、あるいは本来の実親に戻っていけるんだったらそれが一番、しかしそれには支援が要る、そのための体制をどうつくっていくのかというようなことを含めて、しっかりと目標を掲げていかなければいけないと思っておりますので、よろしくまた御指導のほど、お願いしたいというふうに思います。

田嶋(要)委員 ぜひ、政策目標をお願いしたいと思います。前回の大臣の御答弁は、「今、明示的に養子というのが目標などがないのは少しいかがなものかなということを私も感じているので、その辺は考えていきたい」と思う、こういう御答弁もいただいておりますので、数字がいいのかどうかはよくわかりませんけれども、とにかく、やはりしっかり目標を定めて動く、ただ数さえふやせば粗っぽくてもいいということになっては意味がありません。

 それから、実母に戻すのが理想であるということもそのとおりでありますので、どうかその点、総合的に勘案していただいて、今回から邁進をしていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

丹羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 民進党の柚木道義でございます。

 午後からもよろしくお願いいたします。

 きょうは、私の方からは、昨日、衆議院で、本会議でも採決がなされましたIR法案、カジノ法案とも言われますが、この法案が成立しようがしまいが必要なことではありますが、附帯決議の中でも触れられておりますギャンブル依存症対策を中心に前半、そして、できれば残りの時間で、この間、委員長にもお願い申し上げておりますし、筆頭間でも、きょうの段階でも協議を続けております長時間労働の是正の対策、私たちとしては、参考人質疑も含めて、そしてまた長時間労働規制法案の審議も含めてお求めをしている部分がございますので、それに関連した質疑をお願い申し上げております。

 それで、厚生労働大臣に、通告に沿ってお尋ねをします。

 昨日、カジノ法案と言われるこの法案が衆議院では成立となりましたが、これは本当に、各委員の先生方も御案内のとおり、与党内におかれましても賛否が分かれるような、与党の公明党さんにおかれましても十一人の先生方が、桝屋先生も含めて、反対をされておられますし、朝日新聞に、まさに公明党の先生方の一人一人の賛否が触れられているんですね。

 私は、一人一人の議員の先生方が、御自分のお考え、あるいはいろいろな課題も含めて、議論を、御自分の中で、苦渋の判断でそれぞれ賛否を決められた痕跡がうかがえると思っております。これは、私どもの党内でも同様に、本当にそれは議論を積み重ねてきておりますので、各党において、それぞれ議員の個人の考え方によって賛否があって当然のことと思います。

 ただ、問題なのは、六時間にも満たない審議の中で、私もこの間の谷川弥一議員の質疑も含めて質疑録を拝見しております、この審議で到底やはり十分とは言えない中で、衆議院で採決が行われて、あしたから参議院でも議論がなされるとの状況においては、国民の皆さんが、反対が倍以上多い、とりわけ女性の方では三倍ぐらい反対の方が多い、こういう状況下で、年金やTPPもありましたけれども、とりわけこのカジノ法案については、やり方において、これはまさに与党公明党の山口代表も触れておられるように、国会における手続に問題があったのではないか。

 これは、政府・与党の中におかれまして、もちろん議員立法ですが、一年後に実施法が制定をされることも含めて、やはり、国民の皆さんの理解を得ないままにこのまま進めていくことに対しては、私自身も、依存症対策については、実は学生時代にそういった分野を専門で勉強させていただいていて、そういった困っている方々のお役に立てればと当時学生時代に勉強させていただいていた経緯や、家族会の方等と当時からのおつき合い、関係もあります。

 ですから、まさに依存症、とりわけギャンブル依存症の対策が、はっきり言えば、実施法を一年後に先送りをされております、丸投げされています。もちろん、厚労省の中におかれましての予算の増額や対策についても話を聞いておりますから、きょうその点についてもお尋ねしますが、言ってみれば見切り発車です。

 賭博、ギャンブルが合法化されて、負の側面については内閣委員会でも議論がなされてきたと思います。国や自治体が選定をして、そしてまた、まさにそこで上がった収益を公益に還元するということですが、間違いなく、例えば依存症や、あるいは、場合によっては、きょう質問もさせていただきますが、家庭崩壊、自己破産、犯罪、さまざまなことにつながりかねない、そういった状況の中で、少なくともこの厚生労働委員会においては、依存症対策所管でもありまして、私は、そういった部分も十分でないままに参議院における質疑が始まるということについては、これは本当に、国民の皆さんに対して、今の状況はゆゆしき事態だと思っております。

 ぜひ、塩崎大臣、まさにカジノ法案が仮に参議院においても成立すればですけれども、政府におかれまして、一年後に実施法が出されてくるということになるわけですが、まず基本的な御認識をお尋ねしたいんですね。

 まず、いわゆるギャンブル依存症について、これは病気であるのか、病気でないのか、大臣の御所見をお述べいただけますか。

塩崎国務大臣 ギャンブル依存症につきましては、適切な治療と支援によって回復が可能であって、依存症の方が必要なときに適切な治療を受けられる環境を整備することが大事だというふうに思っております。

 したがって、これは病気であるということだと思います。

柚木委員 WHOにおいても病的賭博に整理をされておられて、そういう方が日本では成人全体の四・八%。これは、厚生労働省が研究班の調査結果として一四年八月に発表されて、本当に驚きを持って、四・八%といえば、成人の二十人に一人、諸外国に比べても、他国との比較においても四倍から八倍ぐらい高い数値でもございます。

 その背景には、もちろん、パチンコを初めとするさまざまな、そういった我が国において認められている公的な分野も含めた、やはり国における状況が無関係ではないという専門家の指摘もある中で、今おっしゃられましたように、これは病気であるという認識のもとで、まさに適切な対応がなされれば当然回復していく、改善していくということがあるわけですが、ギャンブル依存症と言われるこの病気においては、他の依存症と若干違う部分も指摘をされておると思います。当事者がなかなか御自分では認識をしにくい、あるいは、それを指摘されても、そうではないと、なかなか相談、治療に足が向きにくい、そういった特性もあるわけでございます。

 ちなみに、きょう、資料の四ページ目に「ギャンブル障がいの簡易チェック」という資料をおつけしております。

 大臣、資料をごらんいただきたいんですが、ここに幾つかのチェックのスケールがあるわけです。簡易チェックということで、この五項目、そのうち二項目以上で当てはまる方はいわゆるギャンブル依存としての支援が必要な可能性があるということでございますが、これは大臣、見たことあるでしょうか。

 ここに書かれている項目、私もちょっと自分自身を、これがひょっとして該当するのかどうなのか、一つ一つ自分の中で考えてみました。

 「ギャンブルで負けた時、負けた分を取り戻すために、またギャンブルをしたことがある。」、あるいは「自分に賭け事やギャンブルの問題があると思ったことがあるか、その問題を人から指摘されたことがある。」、三つ目は「お金の使い方について、同居していた人と口論となった原因が、主に自分のギャンブルだったことがある。」、四つ目は「誰かからお金を借りたのに、ギャンブルのために返せなくなったことがある。」、五つ目が「ギャンブルのためか、ギャンブルによる借金を返すために、下記のいずれかからお金を借りたことがある。」、これは「家計、サラ金・闇金、銀行・ローン会社」とあるわけですね。

 私自身は、それこそ子供のころにそういったゲームみたいな形でやったような記憶はありますが、今の自分の中で当てはまる項目は正直思い当たらなかったわけですが、しかし、午前中、理事会でもギャンブルについてちょっと話題になって、昔そういえばみたいな話も、理事の中でも、先生方の中でも話題になるような、つまりそれは、まさに多くの国民の皆さんにとって身近な問題であって、パチンコ人口が一千万人とかいう指摘もございます。

 大臣、今この五項目をごらんいただいて、今読み上げたわけですが、別に何がどうということではないですが、大臣御自身が、この五項目の中で、これは自分の中で思い当たる節があるなという項目があるかないか、もしよかったらお答えいただけますか。

塩崎国務大臣 該当はありません。

柚木委員 はっきりとお答えになられたので。

 議員の先生方の中には、これは我が党の中でも、きのう部会の中でいろいろな議論が出て、賛否を決めたわけですが、ギャンブルというのが、何がギャンブルかというのもありますけれども、いわゆるかけごと的な部分について、やはりそれぞれいろいろな御所見、御意見がありました。

 誰もが本当に当事者になり得る、そのことを後ほど、きょう一応提出を許していただいている「ギャンブル依存症」、これは考える会の代表の田中紀子さんが書かれている本ですが、本当にどなたでも対象になり得る、それぐらいこのギャンブル依存症というのは身近な問題であります。

 大臣はないということでお答えになったわけですが、しかし、私の周りの方の中でも、やはりそういう問題にお困りの方やその御家族の方がおいでになりますので、大臣におかれましては、来年以降どういうことになるのかはありますが、これは、問題を考える会の代表の方で、厚生労働省の方もいろいろやりとりされている方ですので、ぜひ、よかったら一度御一読をいただければとお願いしたいと思います。

 それで、このギャンブル依存症対策として幾つかお尋ねを申し上げたいんですが、対策をどういうことを講じていくのかということを昨日もいろいろつぶさにヒアリングをさせていただきました。

 その中で、幾つか、さらなる取り組みが必要なのではないかというふうに思う施策がございます。

 一つは、ギャンブル依存症スクリーニングテスト、SOGS。もちろん、調査をされているわけですが、ただ、その調査をもう少し、その質問項目も拝見しましたが、今後どのようにその調査の手法、項目も工夫をし、また、工夫をすると同時に、その調査結果をどう分析して、そしてどうギャンブル依存症対策改善につなげていくのかという視点が、私はまだまだ議論があるところだというふうに正直感じました。

 例えばなんですけれども、これは通告を申し上げておりますが、ギャンブル依存症になることで例えば自殺をされてしまう方、これは考える会の会員の中でも毎年三人ぐらいの方がそういう状況におありだそうです。あるいは、ギャンブル依存症と児童虐待、あるいはそういった依存症になっている方の御家庭で、お子様の貧困や、虐待もそうです、そういう相関関係があるのではないかとか、さまざまな専門家の見方もございます。

 このSOGSの現行の調査手法、分析の仕方では、そういったギャンブル依存症と自殺や児童虐待、貧困との関係などなどが、分析、対策を講ずるにはまだまだ工夫、改善の余地があるのではないかというふうに考えるわけですが、大臣、このスクリーニングテストの調査方法や分析の仕方、そして、それを工夫、改善することでしっかりと対応策につなげていくという視点でぜひ御検討いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今御指摘をいただいたスクリーニングテストは、平成二十五年度の厚生労働科学研究において、成人男女約四千人に対して行った調査でございます。

 この調査では、ギャンブル依存症の疑いのある方は成人の四・八%というふうに推計をされておりまして、この数値は、みずから記入する方式のアンケート調査によるものであったために、現在、日本医療研究開発機構において、医師による診断や調査員による面接など、過去の研究よりも高い精度が期待できる手法を用いて、より正確なギャンブル依存症の実態把握に努めているところでございます。この結果も踏まえて、これまで以上にギャンブル依存症対策が充実できるように取り組んでいきたいと考えています。

 なお、ギャンブル依存症と、先ほど来お触れをいただいている自殺との関係を調査分析し、対策を講ずべきとの御主張がございましたけれども、まずは、より正確なギャンブル依存症の実態把握に努めてまいるべきかなというふうに思っているところでございます。

柚木委員 自殺に加えて、児童虐待、あるいは貧困も含めて、ぜひ正確な把握をいただいて、もちろん、それぞれの調査研究事業、まだまだ、今年度からスタートしたり、あるいは今後支援事業を拡大していく、来年度の予算の話も聞いておりますから、まさにこれからなんですよね。ですから、そこをしっかりと講じていただかないと、本当にこれは見切り発車に今のままいくとなりかねない。

 これは、私が懸念しているだけじゃなくて、それこそ、考える会の方もそうですし、あるいは全国にそういった施設がふえることに対しての懸念を表明されている全国協議会の代表の方もそうですし、あるいはさまざまなそういった関係団体の方も同様に心配をしておりますので、ぜひ大臣、この調査研究の手法においても、これは別に、それをまず把握することを待ってでなくても、同時進行でできると思いますので、工夫をお願いしたいと思うんです。

 それで、厚生労働省において、依存症関連対策、もちろんギャンブル依存症対策も含めて、きのうも伺うと、そういった専門家人材の育成、あるいはそういった診療体制も含めた地域体制整備など、さまざまお聞きをいたしました。

 ただ、私も、それぞれ関係の方からきのうお話を伺ったり、もちろん田中さんからもお話を伺いましたが、ギャンブル依存症対策として、今の人材育成や地域体制整備の中に不十分と思われる点で、一つは、民間の自助グループ、例えば、GA、ギャンブラーズ・アノニマスや、ギャマノン、これは島根県における取り組みも私きのう聞いておりますが、もちろん、こういったギャンブル依存症を考える会などを含めて、民間の自助グループと医療機関や、例えば、私も学生時代、それこそ出入りしていたんですが、精神保健福祉センターとか、そういった保健所などとの、専門機関などとの連携強化、これが不十分ではないか。

 そして、これは資料にも、三枚目につけておきましたけれども、「ギャンブル依存 外来で治療」ということで、私の地元岡山県の精神科医療センターの医師の方のコメントも載っております。下線をつけておきましたが、依存症患者の皆さんでつくる自助グループへの参加もこのお医者さん自身も勧めていて、そして、同じ状況の仲間と悩みや情報を共有することで回復につながりやすいと考える、仲間の存在が非常に重要。

 それこそ、当事者の方の自覚がなかったり、足が向かないという特性も含めて、やはり、その医療機関やその専門機関の連携だけではなくて、こういった自助グループとの連携をぜひ強化いただきたいと思います。

 大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 ギャンブル依存症のある方が依存症から回復する過程で、民間の自助グループ、NPOとか、そういった方々が大きな役割を果たしているということは認識をしているところであります。

 ということなので、現在、民間の自助グループで支援に携わるスタッフを対象にいたしました研修を行うなど、民間による依存症への取り組みを支援するとともに、五府県で実施をしている地域の支援体制構築のためのモデル事業がございますが、民間の自助グループと精神保健福祉センター、今お触れをいただきました、それから保健所などの公的な機関との連携体制の確立に取り組んでいるところでございまして、平成二十九年度、来年度の概算要求では、これまでのモデル事業における成果をもとに、治療や支援の拠点となる医療機関の数をふやそう、そして同時に、研修も拡充をするために必要な経費を計上しておるところでございます。

 こういう取り組みを通じて、地域における民間の自助グループと医療機関などとの連携体制が全国で構築できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

柚木委員 もちろん、そうやって、私が今提案申し上げた民間の自助グループ、連携強化も含めて、今、善処されるということであったので、お願いをします。

 ただ、やはり、地域体制整備であっても、もちろん、これはギャンブル依存症だけじゃなくて依存症対策全体の話ですから、拠点機関なんかはまだまだ、全国五カ所に拠点機関とか、あるいは普及支援事業ですね、依存症者に対する治療・回復プログラム、これも精神保健福祉センターにおいても全体の半分ぐらいであったり、家族に対する支援事業においても、五カ所の精神保健福祉センターにおいて治療プログラムを実施とか、まだまだこれは、本当に決して十分とは言えません。

 これが、実態としてもそうだし、当事者の関係者の方の声でもありますので、こんな状況の中で、私、このカジノ法案、通して一年後、実施法ということでいいのかなと、本当に調べれば調べるほど懸念が深まる状況なんですね。

 塩崎大臣、今そういう御答弁をいただいているんですが、このギャンブル依存症対策について、本当に今のままで十二分に議論、準備が整っていると自信を持って言えますか。ギャンブル依存症ですよ、依存症全体の話は今ありましたけれども。

塩崎国務大臣 今回、IR法案というのが審議をされていて、その中で、いわゆるカジノと呼ばれる、今おっしゃっている、ギャンブルに属することが議論をされて、一年以内に法律を政府が出してくる、こういうことでございます。

 先般、シンガポールの大統領が国賓で来られました。そのときに、私は議連の会長をしているものですから、民進党の方々とも一緒に、玄葉さんが私の隣におられましたが、シンガポールでどうだったのかという玄葉さんの質問に対して、実はシンガポールの内閣も最初は五分五分だった、こういうことでございました。そういう中で一番問題になったのは、大統領もおっしゃっていましたが、やはりギャンブル依存症をどうするかということだったということでありまして、一年ぐらい時間をかけて対策をとっていったということであります。

 日本にカジノがないわけですから、今、十分な体制ができていると思うかということでありますが、ギャンブル自体がない、本格的なものとしてはということでありますから、先ほど申し上げたように、これからしっかりとこういうことに備えていくということが大事なんだろうというふうに思っております。

柚木委員 大臣、今本当に率直におっしゃられたように、まさに対策はまだまだこれから途につく状況ですから、私、本当に懸念しているのは、実は、ギャンブル依存症を考える会の代表の田中紀子さんが書かれた本の中に、平成に入って起こったさまざまな事件の中で、ここに書かれている事件一から十というのは、どれも皆さん記憶にあるような重大事件、死刑判決が確定していたり、本当にまだ記憶に新しい事件。

 これは、ちなみに、一から十、全てギャンブルとのかかわりが指摘をされていて、なおかつ、これは田中さんがデータベースをつくって、平成に入ってですけれども、ギャンブルが原因になっている疑いが強い事件だけでも六百件以上、これをさらに資料的にきっちりと分析をしていって、根拠がギャンブルにあると明確なものだけに絞り込んでみても三百六十件が残った、こういうようなことも起こっています。

 これは何を申し上げたいかといえば、今回のカジノ法案が仮に成立すれば、内閣委員会でもまさに負の影響の指摘があった中で、これはもちろん公金を使ってさまざまな取り組みも、対策も含めて行うわけですが、カジノが合法化されることで、まさに、場合によっては、事件の誘発、あるいは御本人のギャンブル依存症、家庭崩壊、あるいは自己破産、さまざまな負の影響が想定をされる。そして、その負の影響が想定されるところにまさに厚生労働省も予算を五倍にして対策を講ずるとかいって、これはよくよく考えてみればおかしいことと思いませんか、大臣。

 国が主導をして、これは言っちゃ悪いですけれども、不幸が起こることがもうわかっていて、それを前提に対策を税金で講ずる、こういうやり方というのは、少なくとも依存症対策、ギャンブル依存症対策を所管する厚生労働省として、大臣として、こういう構図というのはおかしいと思われませんか。

塩崎国務大臣 国会は、国民の代表が集まっている、選挙で選ばれて集まっている場所であって、国権の最高機関で、法律で成り立っている法治国家の日本は、やはり法律でさまざまなものを律するということだろうと思います。法の支配。

 そういう意味では、こういう問題について、法律でもってどうするかということを決めるわけでありますから、国会でこれの賛否を明らかにするというのが一番大事なことではないかというふうに思います。

柚木委員 これはもう時間で終わらなきゃいけないんですが、委員長、ぜひお願いしたいんですよ。

 内閣委員会で谷川弥一議員が質問時間を十分以上余らせてお経を読んでいる場合じゃないんですよ。附帯事項だけで十五項目もありますよ。その中で、主要なのがギャンブル依存症対策。これを質問するだけでも二時間ぐらいかかりますよ、附帯事項だけでも。

 ぜひ、この厚生労働委員会で、長時間労働是正の審議もお願いしています、あわせて、このギャンブル依存症対策、これは集中審議、それから参考人を、この田中さん初め関係者の方をお招きして、そして厚生労働省としても対策を前倒しでお願いをしたいんです。

 ぜひ、この委員会で、もう金曜日しかないんですよ、委員長。ぜひ委員長のお取り計らいで、このギャンブル依存症対策、集中審議、参考人質疑をお願いしたいです。委員長、いかがですか。

丹羽委員長 委員会における参考人質疑は筆頭間で御協議いただきたいと理事会でお願いいたします。(柚木委員「いや、委員長としてどうなんですか」と呼ぶ)

 理事会で御協議いただきたいと思います。

柚木委員 終わりますが、きょうは長時間労働是正についても、これは本当に、パワーハラスメント対策の強化策を初め、通告しているんです。やりたいんですよ。ですから、これもあわせて集中審議、参考人をお願いして、きょうはできませんでしたが、質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 民進党の中島克仁です。

 本日、時間をいただきましたので、私からも質問させていただきたいと思います。

 きょう、久しぶりの質疑なので、一般質疑ということで、私からは長時間労働、ギャンブル依存症対策、介護離職ゼロ、がん対策基本法、一億総活躍プラン、さまざま、端的に質問しようと思ったんですが、今、柚木委員がギャンブル依存、そして午前中は、がん対策基本法改正について堀内委員も質問しておりますので、ちょっと順番を変更させていただくことを御容赦願いたいというふうに思います。

 今国会は、年金関連法、この議論に非常に終始したと言える国会だったのではないかなというふうに思っているわけですが、一方で、電通の過労自殺事件、電通の新入社員であった高橋まつりさんが昨年の十二月、過労自殺に追い込まれたこの問題、今も柚木委員からもございましたが、やはり喫緊の、真っ先に取り組まなければいけない長時間労働是正、これは参議院では集中審議が行われておるということで、やはりこれも厚労委員会の責務ということで、私からも、集中審議がされることを要望させていただきたいというふうに思います。

 この事件を受けて、議論することが重要だということは今も申し上げましたが、一方で、政府は、働き方改革において議論を進めておるということでございます。

 長時間労働の話になると私はいつも思い出すわけですが、私も外科医師だった、そして厚労委員会にも医師出身の先生方も多々おられる、その当時、研修医時代も含めて、今思えば大変長時間労働をしていたなということを思い出すわけです。最も過酷な長時間労働にさらされている職種の一つと言えるのが医師ではないか、特に勤務医ということになるというふうに思います。

 私も、当時、一番ひどいと言うとあれですが、当直回数が月二十回というときもありました。さらには、長い手術をしておるときには十何時間、その後、次の日の準備のために夜中まで仕事をせざるを得ないという状況があった。今また、新臨床研修制度の中でそのようなことは恐らくないだろうというふうに思うわけですが、非常に懸念するところであります。

 あるインターネットを通じたアンケートによると、月百時間以上時間外労働している医師の割合は一七%という数字もあります。

 また、さらに、いきいき働く医療機関サポートWeb、俗にいきサポと言うんですか、厚生労働省が委託してアンケートをとっているものを見ますと、平成二十七年度の六月のデータですけれども、月八十時間を超える医師が八・一%、また、これが年代が低いほど緊急対応等の対応で時間外労働がふえているという数字もあります。さらには、時間外労働時間の申告状況というのを見ると、時間外労働時間どおり申告していると答えている医師は半数しかいない。さらには、これも月ですが、一日も休んでいない医師が一割見られる。さらに、有給休暇においてはゼロと回答した医者が三割いる。そしてまた、当直、先ほど私、多いときで二十回という話もしましたが、月平均は三・二回ですが、八回以上当直をしている医者がいる。さらには、当直明け、通常勤務をしていると答えている医者が八割以上ということであります。

 それ以外にもネットで検索するといろいろデータが出てくるわけですが、どれも相当ばらつきがある。先ほど言ったように、私も経験したことからすると、実態はどうなっているのかということが非常に気になるわけです。長時間労働是正、先ほど言ったように、電通の事件を受けて二〇一四年には過労死等防止対策推進法ができた、にもかかわらず、たびたびこのような事件が報道される。

 改めて大臣にお尋ねをいたしますが、この勤務医の長時間労働、厚生労働省として実態をどう把握して、認識をしておるのか、具体的にどう対策をとろうとしているのか、まずお尋ねをいたします。

塩崎国務大臣 病院の勤務環境の改善のさらなる推進方策を検討するために平成二十七年度に実施をいたしましたアンケート調査によれば、医師の一カ月時間外労働時間数は平均三十四・一時間、ゼロ時間という方が一割見られる一方で、八十時間を超える医師も八・一%となっています。

 いずれにしても、医師は厳しい勤務環境にあると認識をしており、我々もそういう話をよく聞くわけでありますが、医療機関の勤務環境全体を改善していくことがやはり重要だというふうに、とりわけ今、働き方改革を議論している観点から見ても、この問題は極めて大事だというふうに思っています。お医者さんだけ特別というわけではないというふうに思います。

 こういうことから、都道府県ごとに医療勤務環境改善支援センターというのを既に設置しておりますが、社会保険労務士等による総合的、専門的な助言、相談等の支援を行っていて、また、診療報酬においても診療従事者の負担軽減の取り組みを評価しています。

 さらに、私ども、今後医師の働き方をよりよいものにしていこうという問題意識を持って、本年十月に、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会というのを始めました。これを始めて、医師の勤務実態、それから働き方の先生方の御意向について正確に把握をするための大規模な全国調査を初めて厚労省として行うことにいたしました。今後の医療のあり方そのもの、つまり医療のビジョンと、それを踏まえた医療従事者の望ましい働き方あるいは希望する働き方についての検討に着手をいたしております。

 これは、東京大学の医科学研究所の井元清哉教授を研究代表者として、医師約十万人を対象に調査を行いますので、中島委員にも調査票が行くと思いますから、ぜひお答えをいただきたい。きょうこの中に何人かお医者さんがおられますから、ぜひお考えをお示しいただきたいというふうに思います。

 いずれにしても、医師の勤務環境の改善にしっかりと取り組まなきゃならないというふうに思います。

中島委員 冒頭にお示しいただいたのは先ほどのいきサポのデータではないかというふうに思うわけですが、大規模な実態調査をされるということです。これは結果がいつ出るのか、お答えいただくのと、加えて、今、働き方改革の中で、新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会で検討するというふうにおっしゃいました。

 今までに三回行われているわけですが、私も議事録を拝見いたしました。今のような、検討していく働き方ということではありますが、長時間労働に対して、そもそもその詳しい実態調査がない中でどうやって議論をするのか、私には非常に疑念があります。実際に、長時間労働に関することは一切触れられていないと私は議事録で拝見しております。

 今後、その働き方改革の、新たな医療のあり方、このビジョン検討会ですね。具体的に、そういった医師、看護師含めた医療者の長時間労働に対する検討会というものが開かれる予定になっているんでしょうか。

塩崎国務大臣 今申し上げたように、医師約十万人に対して調査票を発送することになっておりまして、来年の一月から二月にかけてビジョン検討会でその結果を報告していただくというふうに聞いております。今後、今回の調査の分析結果を踏まえて、より精緻な医師需給推計をできるようにしようと。

 そのためには、どういう医療をこれから、あるいは医療、介護、中島委員もよくおっしゃっているように、もう医療、介護は一体に近いわけでありますので、どういう医療のビジョンあるいは介護のビジョンでこれからいくべきなのかということを、今多分議論をしていただいているわけであります。

 長時間労働だけを議論するための会ではございませんので、まずは、これからの医療、あるいは特に、例えば過疎地医療をどうするのかとか、そういうことを含めて、あるいは都会の医療も、高齢化の中で、多死社会で、どうするんだ。あらゆることを考えていただきたいということでお願いをしているわけであります。

 しかし、いずれにしても、今の調査の結果は一月、二月ごろに報告をいただくというふうに聞いておるわけでございますので、それを踏まえた上で、この医療のビジョンもともに考えてお示しをいただくということになっているわけでございます。

中島委員 この医師の過重、長時間労働の問題は以前から指摘されていたわけです。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

 先ほど言ったように、私が、若い、大学病院時代もしくは地域の中核病院時代、十数年前ですが、そのときにも、私は実体験として、恐らく今委員長席に座られた三ッ林先生も経験されていて、このことが、なぜ今まで実態調査が行われなかったのか。

 研修医制度、その制度自体も当時と変わってきていて、そんなことはないと私は信じたいわけですが、実際に私も同期の医者を突然死で二人亡くしました。さらには、数年前ですが、これは外科とか、そういうメジャーな医師だけではなくて、例えば地域の中核病院に行くと、眼科の先生、一人で診療をやっています。そうなってくると、労働時間以外にも相当なストレスがかかって、私も知り合いの三十代の医師でありましたが、細かくはあれですが、やはり過労自殺という結果になりました。

 もちろんこの問題は、医師不足というよりは、医師偏在の課題であったりとか、さまざまな問題が絡み合っていることだとは思います。しかし、医師、そもそも人の命と向き合って、状況によっては見守りながら、状況によっては人の命を救うという仕事について、その使命感に燃えた結果、過労死をしてしまうというようなことになるのであれば、これは本当に本末転倒という大変大きな問題だということであります。

 この常態化している医師の長時間労働、詳しい実態調査、先ほど二月にはということでございますが、この土台がなければ、幾ら検討会をしたって具体的なものは見出せないというふうに私は思います。

 もちろん、この医師の現場は、普通の職場と、ちょっと特殊性があるかとは思いますが、そもそもの長時間労働、時間外労働、当直、日直も含めてですが、どこからどこまでを通常の仕事、時間外とするのか。さらには、勤務医もそうですが、今国が進めている在宅医も、二十四時間オンコール体制という状況の中で、どういう状況を長時間労働と呼ぶのか。

 医師だけではないと先ほど大臣も言いましたが、やはり仕事仕事によってその特殊性があると思います。そういったことを、先ほども言ったように、長時間労働の問題、本当に、過労死等防止対策推進法ができたにもかかわらず、そのことがたびたび報道され事件が起こっておるということで、これは一刻も早くしっかりとした対応をするべきだということを申し伝えさせていただきたいと思います。

 続いて、午前中、堀内委員も質問されましたが、きょうこの後議題となりますがん対策基本法、これについて御質問させていただきたいと思います。

 これは、前々回ですか、一般質疑でも、何としても今国会で成立すべきだということで、大臣からもその必要性については御答弁いただいたわけであります。

 旧民主党の山本孝史議員が、みずからのがんを告白されて、まさに命をかけてつくり上げたがん対策基本法、制定から十年、ことしが節目の年であります。

 私は、当時、実際、医療の現場にいて、緩和ケアに携わる医者として、このがん対策基本法ができたことによる効果は本当に絶大だったというふうに肌で感じておりますが、改めて大臣に、今回、改正、この後議題になるわけですが、十年前に基本法が制定された、この十年間、その意義、果たした役割について、どのように認識しているのか、お尋ねしたいと思います。

塩崎国務大臣 がん対策基本法は、平成十八年六月に成立をいたしました。がん対策の基本となる事項を定めて、がん対策を総合的かつ計画的に推進することを目的として、がん対策推進基本計画を策定することによって、具体的な目標やその達成時期を定めて取り組みを進めているということでございます。

 特に、平成十八年の六月から平成二十四年の五月までの第一期の基本計画から、医療機関の整備、それから専門的な医療従事者の育成に取り組んで、また、都道府県においては、国の基本計画をもとに都道府県におけるがん対策推進計画というものを策定いたしまして、地域におけるがん診療連携拠点病院の整備を進めてまいりました。

 これによって、がんの集学的治療を行う医療機関として、がん診療連携拠点病院や地域がん診療病院を全国に四百二十七カ所設置して、拠点病院や地域がん診療病院のない二次医療圏は二百四十カ所から七十五カ所に減少するというところまで来ておるわけでございます。全ての拠点病院には放射線治療に関する機器が設置をされ、外来の化学療法室あるいはがん相談支援センター、ここには専門的な医療従事者を配置することができるようになったところでございます。

 基本法に基づくこうした取り組みによって、全国どこにお住まいになっても質の高いがん医療が受けられるというふうになりましたし、また、がんの五年生存率は六二%にまで上昇して、我が国のがん対策を進めるための原動力として大きな役割を果たしてきたものというふうに認識をしておるところでございます。

中島委員 がん対策基本法が制定され、この十年で取り組みが進んだことを今大臣から御答弁いただきました。

 これは、時代の変化とともにそのニーズも変わってくる。午前中は堀内委員から、がん患者の経済的支援についてということもございました。さらには、就労の問題。

 今回、議員立法として提出してある法案には、社会的支援の必要性であり、また小児がん、希少がん、難治がん、やはり数は少ない、だからこそ、今後しっかりとした支援強化が必要になるという旨であったり、これは働き方とも関連してきますが、今の就労の問題、やはり、先進医療の影響で完治できるがんの方もふえている、一方でがん患者の就労の問題、なかなかシームレスにつながっていかないという問題もある、そういう内容が盛り込まれているわけです。

 これは質問しようと思ったんですが、時間がありませんので、このがん対策基本法ができて十年、そして今回、社会の変化、さまざまな状況の変化に応じた改正がされる、この意義も非常に大きいということを、これは大臣は認識していると思いますが、社会に向かっても発信していただけますように、ぜひともよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 続いて、ギャンブル依存症をしようと思ったんですが、先ほど柚木委員がされましたので、資料の二枚目ですね。これは今週の、十二月五日の読売新聞の一面の記事です。「介護殺人や心中 百七十九件」と大きく見出しが出され、この記事によると、「高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中などの事件が二〇一三年以降、全国で少なくとも百七十九件発生し、百八十九人が死亡していた」との調査結果です。一週間に一件のペースで介護殺人もしくは介護心中が起きているという。これは一面に出て、私、大変ショッキングな記事だなと思ったわけです。

 この記事を見て、大臣、どのように問題意識を持っておられるのか、お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 こういうまとまった記事として書かれていますけれども、時折こういう事件が新聞に報道をされて、特に御夫婦の間でこういうことが起きるといったことは、私はやはり大変胸が痛むことと思ってまいりました。

 家族間の殺人あるいは心中などによって高齢者が亡くなっていることは本当に痛ましい限りであって、そういった方々に対しては御冥福を申し上げるしかないというふうに思います。

 我が国で、核家族化の進行、あるいは介護する家族の高齢化、老老介護化などの状況の変化を受けて、高齢者の介護を社会的に支えようという新しい仕組みとして、二〇〇〇年から介護保険制度が始まっているわけであります。現在ではサービス利用者が三倍以上増加をし、高齢者の介護になくてはならないものとして制度が定着をして発展をしてきているわけでありますけれども、それでもこういうことが起きるということであります。

 厚生労働省としては、介護を必要とする高齢者の方々に必要なサービスが行き渡るように、そして、介護サービスの一層の充実を図って、介護する家族の負担を軽減して、こういうような事件に至ることがないようにしていかなければならないというふうに思うところでございます。

中島委員 これは、私、大変ショッキングだと言ったんですが、私も在宅医をしていて、実はこっち、こっちの世界と言うと変ですが、来たきっかけも、やはりこういう事件だったんです。

 私が診ていた、これも何度か厚労委員会でお話しさせていただくことがありますが、寝たきりになったお母様を介護するために東京で仕事をしていた息子さんが帰ってこられて、そして介護に従事した。そして、私も何度か行きましたが、大変真面目な、そもそも、仕事をやめてお母様の介護に入られる、そういう意識を持った方。しかし、そんな状況を繰り返し、お母様の御病状が変化していく中で、何年かして、お母様の首を絞めて殺してしまった。

 もちろんその行為自体を肯定するつもりはございませんが、この新聞記事の左の方に、「高齢者介護を巡る事件の加害者の年齢と家族関係」というものがございます。これを見ますと、加害者の半数は七十歳以上、さらに、被害者との関係では、夫、息子、要するに、男性介護者が加害者のケースが六七%にもなるわけです。男性介護者の数、これは年々ふえ続けています。ある統計を見ますと、一九七七年時点では男性介護者は九%、これが二〇〇七年には二八%になっておる。さらには、違うデータでいくと、一九九一年には百十二万人だった男性介護者は二・三八倍までふえている。

 要するに、大臣は今介護サービスの話をされましたが、この変化とともに、介護の形態、もちろん、核家族化であったりとか少子化の影響もあるとは思いますが、本来、家事やそういったものに従事してこなかった男性が介護をするケースがふえ続けておる。結果、虐待であったり、そういった事例、多くは夫であったり息子さんがかかわってしまうケースがふえている。これは、男性がなかなかそういうコミュニティーに溶け込めなかったり、もともとそういう家事にかかわっていなかったということからストレスを抱えてしまうということに起因すると思います。

 全国では、男性介護者の支援団体というのもできており、私の地元でも、やろうの会と言いますが、私もたびたび話を聞きます。そこで、どういったことがストレスなのかと話を聞くと、おむつを交換したりとか、そういうことが大変なんだろうと勝手に思っていたら、いや、実は一番ストレスなのはスーパーに買い物に行くことなんだというふうにおっしゃっていました。もともとサラリーマンとして働いていた方が家事をするに当たって、買い物をしたりする、そういう手伝いがぜひ介護保険の中であったらいいということは強く男性介護者の方はおっしゃっていたわけです。

 こういった状況からいくと、今、社会保障審議会の介護保険部会で制度の見直しについて議論が、本年も二月からたびたびされておるわけです。もちろん、介護保険財政、制度の維持のための効率化、適正化という観点は必要ですが、介護にかかわる方々の変化に応じてどうサービス供給体制があるべきかということはしっかりと議論をしながらそういったことをしなければいけない。残念ながら、今行われている介護部会で、そのような観点では議論はされていないというふうに私は理解をしているところであります。

 改めて、これは従来から、ことしの通常国会から、政府は昨年、介護離職ゼロを掲げ、一方で、社会保障審議会で、生活援助サービスの介護保険、一、二の方を切り離すということを議論されました。新聞報道で見聞きするには、これは見送られたというふうに私は報道で目にしているわけですが、これは確認いたしますが、要介護一、二の方の生活援助サービスの介護保険からの切り離しはなくなったという理解でいいのかどうか、端的にお答え願いたいと思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 これについては御議論を委員会でも随分賜ってまいりましたけれども、軽度者に対する生活援助サービス、このあり方については、昨年の十二月に改革工程表というものが定められて、それを踏まえて、社会保障審議会の介護保険部会、ここで議論をしていただいているわけであります。

 先月十一月二十五日の介護保険部会では、部会報告の素案として、軽度者に対する訪問介護における生活援助等の地域支援事業への移行に関しては、昨年度から実施をしている要支援の方に対する訪問介護等の地域支援事業への移行状況等を把握し、検証を行った上で検討を行うことが適当だと。それから、生活援助サービスの人員基準の見直し等に関しては、次回の介護報酬改定の際に改めて検討を行うということが適当だということに内容はなっているというふうに理解をしております。

 引き続き、しっかりとした議論をお願いしたいと思っておりますが、私どもとしては、高齢者の自立を支援し、重度化を防ぐというのが介護保険の理念でありますので、それを実現するとともに、制度の持続可能性に配慮をして、必要な方のサービスも確保されることが重要だということを同時に考えていかなければいけないというふうに思います。

中島委員 時間もないのであれですが、今大臣がお答えいただいたように、資料の一枚目になりますが、これは、十月十二日、介護保険部会、厚労省が「軽度者への支援のあり方」として提出したものです。

 今の繰り返しになりますから、赤線が引っ張ってあるところですね。次回介護報酬改定において、訪問介護における生活援助については、要介護度にかかわらず、生活援助を中心にサービス提供を行う場合の人員基準の見直しを行うということも考えられるというふうに、これは厚労省が提示してあるわけです。私、これは大変違和感を感じるわけですね。今回の法案では取りまとめとしてはないけれども、一年半後の介護報酬に言及している。これはもう釈迦に説法で言いませんが、介護報酬は、当然、前年度の介護給付費の検討会を踏まえて、最終的には厚生労働大臣が決定するものです。この段階で、介護報酬、これは現行でいえば、端的に言えば、今回の審議会ではやらないけれども、帳尻合わせに次の介護報酬でマイナス改定すると言っていることになるわけです。

 こんなことが本当に許されていいのか。私は大変問題意識があります。こんなことが許されるとしたら、介護報酬、もう既にこれは新聞報道もされているわけです。私のところにも問い合わせが来ました。今行われている審議会、もう既に一年半後の介護報酬に言及して、マイナス改定されるということですかという問い合わせが来ています。

 もう時間がありませんので、改めて、最後に聞きますが、今回の社会保障審議会、恐らく最終は今週の金曜日と聞いておりますが、この決定と介護報酬は明確に関係ない、関連性がないと、大臣、お答えいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げた介護保険部会というのは、介護保険制度に関する課題とかその対応方策を議論することを目的として置かれているわけでありますが、一方で、介護報酬あるいは指定基準の見直しなどについては、介護報酬改定において対応すべきものについてでございますので、介護給付費分科会というところで議論するのが常であります。

 したがって、介護保険部会における議論の結果、介護報酬改定において対応すべきものということについては、その意見も踏まえて、具体的な内容については給付費分科会、ここで議論をしていただいて決めていくということになろうかと思います。

中島委員 これはもう新聞報道にも、そういう一割カット、要するに、人員基準を見直して、マイナス改定しますよ、今の体制だったらということを出されているわけです。

 だとすれば、今の大臣の答弁が正確であるならば、そのことはしっかりと訂正をしていただく必要があるというふうに思いますし、なぜここにこだわるかというと、そもそも政府が介護離職ゼロだと。一方で、私は何度も何度も指摘しておりますが、この生活援助サービスの介護保険からの切り離しは、それとは真逆の政策です。

 そのことを、もし介護報酬に言及するのであれば、まず介護離職ゼロを取り下げてから検討するべきということを申し伝えて、質問を終わります。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 短い時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 私どものところにも多数のお声を頂戴しておりました、がん対策基本法改正案、ようやくゴールが見えてきたのかなと思っております。非常に我が党としても喜ばしいところでございます。

 希少がんとか難治がん、これをきちんと、治療法の開発支援などを国としてやっていかなければいけないものだというふうに思っておりますが、一方でいろいろ問題がありまして、例えば、一部の極めて高額な薬剤について臨時に薬価を引き下げるというような政府の対応を受けまして、製薬企業側からは、新薬の開発に支障が生じるといった声も聞こえてくるところであります。

 政府としては、極めてかじ取りが難しい問題かと思いますが、治療法の開発支援と薬価をどうバランスをとっていくのか、塩崎厚生労働大臣の見解を伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 がん対策基本法に関連して、希少がんあるいは難治性がん、この研究開発については、患者数が大変少ないということで専門とする医師も少ないということで、治療法の開発が進みにくいということがこれまで課題としてありました。

 こういうことを踏まえて、平成二十六年度に策定をされたがん研究十カ年戦略では、ライフステージやがんの特性に着目をした重点研究として、希少がん、難治性がんの研究開発を位置づけて、標準治療の普及、あるいは革新的治療法、発生のメカニズムに関する研究開発を推進しておるわけであります。

 御指摘のオプジーボは、希少がんであるメラノーマを効能、効果として、世界初の我が国で承認された医薬品ということで、平成二十六年に保険収載をいたしましたが、その後、効能、効果に肺がんが追加をされた。それによって大幅に市場規模が拡大して販売額が急増いたしたわけでありまして、このため、国民負担軽減の観点と医療保険財政への影響というのを配慮して、緊急的に薬価を五〇%引き下げることとしたところでございます。

 オプジーボのような革新的な医薬品については、効能、効果が追加される等により大幅に市場規模が拡大をした場合、現在の薬価制度は対応できていないということでございました。このため、現在、薬価制度の抜本的改革に向けて経済財政諮問会議で議論をし、年内に政府の基本方針を取りまとめるということとなっております。

 希少がんあるいは難治性がんの研究開発などイノベーションの推進と、それから国民皆保険の持続性の維持、この両面をちゃんと成り立たせていくということが図れるように、薬価制度の抜本的な改革を進めてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 今御答弁いただきましたように、やはり市場規模が急激に拡大した場合などにどのように対応するかというルールづくりをしておかないと、開発する側としては厳しいのかなと思いますので、そういったことで開発がとまってしまうことがないようにしていただきたいなと思います。

 次に、小児がんについて伺いたいと思いますが、病気や障害にかかわらず、どのような境遇にある子供さんであれ、その世代の子供たちと同様の教育を受けられる体制というのを構築しなければならないと思いますが、国としての見解、今後の取り組みについて伺いたいと思います。

瀧本政府参考人 お答え申し上げます。

 小児がん患者を含めまして、病気の児童生徒については、特別支援学校や小中学校の特別支援学級など多様な場において教育が提供されているところですが、特に長期入院中の児童生徒については、特別支援学校や小中学校の病院内学級や訪問教育等により教育が提供されております。

 文部科学省としては、病気の子供に対する教育の充実を図ることは大変に重要な課題であると認識しておりまして、近年におきましては、平成二十五年三月に、各都道府県教育委員会等に対し、病気の子供への指導に当たっての留意事項等を整理し、「病気療養児に対する教育の充実について」という通知を発出しましたほか、平成二十七年四月には、療養のために長期欠席する高校生や特別支援学校の高等部の生徒に、インターネット等を利用した学習を取り入れた教育課程の特例を創設いたしました。

 さらに、病院等に入院または通院して治療を受けている児童生徒に対する教育機会を確保するため、本年度より新たに、入院児童生徒等への教育保障体制整備事業において、関係機関が連携して支援する体制の構築方法等に関する調査研究を実施するなど、取り組みの推進に努めているところであります。

 小児がん患者を含みます病気の子供たちが、必要な教育と適切な治療を継続的かつ円滑に受けることができますよう、引き続き教育的支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

河野(正)委員 時間がありませんので、ちょっと割愛しながらいきたいと思います。

 IR法案がようやく衆議院で可決をいたしましたが、この機会に我が国の依存症対策が進展することを願っております。

 そこでお聞きいたしますが、先ほど柚木委員のときにもありましたが、いわゆるSOGSというものでいろいろ見ていくと、日本はかなり、四・八%でしたか、非常に高い数値が出ているということが言われております。

 実際、これはいわゆる風営法上の遊技という位置づけでありますが、パチンコも含めて、こういった調査をすると高く出るんじゃないかなということも言われておりますが、パチンコ依存を含めてギャンブル依存症に係る現状について、塩崎厚生労働大臣の見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

塩崎国務大臣 今御指摘の、パチンコを含むギャンブル等の依存症でございますが、回復のために適切な治療と支援というのが当然必要であって、認知行動療法、集団療法、内観療法など、さまざまな治療法を必要に応じて受けられるように環境を整えるということが大事な問題としてあると思います。

 厚生労働省では、ギャンブル依存症を初めとする依存症への対策として、拠点となる医療機関における専門的治療、それから相談支援、さらに依存症の方の支援に当たる人材に対する研修の実施などに取り組んできておりまして、地域の治療体制の整備、それから相談支援の質の向上に効果を上げるものと認識をしているところでございます。

 現在審議をいただいておりますIR法案につきましては、衆議院の委員会の採決時に、「ギャンブル等依存症患者への対策を抜本的に強化すること。」との附帯決議がなされました。こういうことも踏まえて、厚生労働省としては、ギャンブル依存症について、より正確な実態把握、これにまず努める、さらに、これまで以上に対策が充実するように、こういった実態把握を踏まえて、それから先の政策づくりに取り組んでまいりたいと思っております。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

河野(正)委員 最近、ダルクとかいう言葉をよく聞かれるかと思いますが、かなり、薬物依存症を初めとして、我が国の依存症対策というのは、民間に負うところが極めて大きいんじゃないのかなと思っております。

 国の対応は消極的だったんじゃないかなというふうに思っているわけでございますが、今後の依存症対策における国の役割、そして民間との役割分担、あるいは民間団体への支援のあり方についてどのように考えているのか、政府の見解を伺いたいと思います。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、依存症対策につきましては、地域の精神科病院のみならず、ダルクですとか全国マック協議会などの依存症の回復施設、それから、ギャンブルであればギャンブラーズ・アノニマス、アルコールについてもアルコホーリクのアノニマスなどの自助団体などの民間の活動が大きな役割を果たしているというふうに存じております。

 そういう中で、厚生労働省では、地域に拠点となる医療機関を指定していこうというのが一つでございまして、そういう関係機関への技術援助を行う、それから、先ほど来のマックですとかダルクですとか、そうしたところの研修、職員の資質向上というのを図っていくということがありまして、そうしたことにおきまして、民間団体と連携いたしまして依存症対策の推進に努めてまいりたいと考えてございます。

河野(正)委員 ちょっと順番を変えてお尋ねいたしますけれども、依存症治療ということであれば、極めて人材育成ということが大切になってくるかと思います。また、医師としましても、医学部のカリキュラムを、きちんと依存症に対応できるような医師を養成するように変えていかなければならないなどの問題があるかと思います。

 依存症の治療や回復支援を担う人材育成、医師に限りませんが、人材育成について、厚生労働省、文部科学省の見解をそれぞれ伺いたいと思います。

堀江政府参考人 お答えいたします。

 先ほど来のモデル拠点病院のような経験も通じまして、依存症の治療、回復の支援を行うには、一般的な医療機関では得られる機会が少ない依存症に関する専門的知識、利用可能な社会資源に関しての知識、依存症の患者様が通院を継続したくなるようなコミュニケーションスキルなどを有している人材が必要だということで、そうした人材の育成が重要であるというふうに認識してございます。

 先ほどからの五カ所のモデル機関の上に、全国拠点医療機関といたしまして久里浜の病院があるわけでございますが、今年度まではモデルとしてその五カ所に限って人材育成を行っていたわけでございますけれども、来年度には大幅な予算要求もしてございまして、全国にそうした拠点の医療機関を整備することとし、また、各都道府県において、指導に当たれるような人材を育成していくというふうに考えてございます。

 そうしたことを通じまして、全国拠点センターの久里浜で、政令市も含めれば六十七の拠点機関の人材を育成し、その六十七の医療機関が各県市での人材をまた育成していく、こうした流れにしていきたいというふうに考えてございます。

松尾政府参考人 お答えいたします。

 医学部教育でございますけれども、依存症の治療、回復支援につきまして学ぶこと、これは極めて重要であると認識してございます。

 特に、依存症につきましてでございますが、卒業時までに学生が身につけておくべき必須の能力の到達目標を提示する医学教育モデル・コア・カリキュラム、その中で、薬物の乱用、依存、離脱の病態と症候を説明できること等が設定されているところでございます。これに基づきまして、各医学部におきましては、例えば神経精神医学に関する科目の中で、覚醒剤、アルコールそしてギャンブルなどの依存症及びその治療法について教育が実施されていると承知しているところでございます。

 文科省といたしましては、これらの取り組みを通じまして、引き続き、すぐれた医師の養成に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

河野(正)委員 医学教育に、しっかりとそういったことで依存症対策をやっていっていただくということでありますけれども、なかなかそれを教える教員というのもいないのかなと思います。

 私も医師になって、精神科医になってから、そういった依存症の勉強、現場に出ていろいろやりましたし、保健所や精神保健センター等々に行ったり、そういう中で習得をしていって実際に身につけてきたということで、大学病院というのは、なかなか依存症の治療というのは今までやってこなかったと思いますので、そういう教員の人材育成から始めていかなければいけないということなので、かなり大きな問題になってくるのかなと思っております。

 来年度、平成二十九年度の依存症対策の推進に関する概算要求を見ますと、今年度の一・一億円から五・三億円へと大幅に増額をされております。具体的にどういったことに、先ほどの答弁にも多少入っておりましたけれども、最後に一言コメントいただきたいと思います。

堀江政府参考人 先ほどもお答えした内容が入ってございますけれども、予算は大きく三つに分類できてございまして、先ほど申し上げました、拠点医療機関を指定していくものが一番大きくございまして、それがふえる部分の大宗を占めてございます。依存症対策総合支援事業ということで、六十七の拠点をつくりたいというのが一つでございます。

 また、依存症対策全国拠点機関ということで、久里浜の医療機関、久里浜医療センターでこれまでやってきていただいていますけれども、そこにおいての研修指導者の養成、それから情報収集、提供、普及啓発、そして最初にお問い合わせのありました依存症回復施設職員の資質向上といったもの、それが一点。

 そしてもう一つは、依存症に関する普及啓発ということで、こちらもしっかり対応していきたいと考えてございます。

河野(正)委員 それでは、IRに関して、また依存症、これからも議論する機会があるかと思いますので、またそのときに詳しくお尋ねしたいと思います。

 本日は、時間が来ましたので、これで終わります。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

丹羽委員長 次に、参議院提出、がん対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長羽生田俊君。

    ―――――――――――――

 がん対策基本法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

羽生田参議院議員 参議院厚生労働委員長の羽生田でございます。

 ただいま議題となりましたがん対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 がんは我が国で昭和五十六年より死因の第一位であり、平成二十六年には年間約三十七万人ががんで亡くなっており、生涯のうちに国民の約二人に一人ががんにかかると推計されております。このように、がんは、国民の生命と健康にとって重大な問題となっています。

 平成十八年に制定された現行のがん対策基本法は、がんの予防及び早期発見の推進、がん医療の均てん化の促進、研究の推進等を基本的施策としており、この基本法に基づき、国、地方公共団体、がん患者を含めた国民などが一体となって、がん対策が進められてきました。

 しかし、がんの早期発見のためにがん検診をより効果的に活用することや、がん患者の療養生活の質の維持向上などについて一層の取り組みが求められています。

 また、がん医療の進歩とともに、我が国の全がんの五年相対生存率は六二・一%となっており、がん患者の中には長期生存し、社会で活躍している方々が多くおられます。このような中で、がん患者やがんの経験者が適切ながん医療のみならず福祉、雇用、教育などについて必要な支援を受けられるようにすることが必要となっています。さらに、がん患者の社会生活上の不安を和らげるためには、国や地方公共団体が中心となってがん患者を支援することにとどまらず、社会全体でがん患者を支えていくことも求められています。

 また、本年一月には、がん登録推進法が施行されるなど、がん対策基本法制定時から状況が変化してきております。

 本法律案は、このような状況に鑑み、がん対策基本法を改正し、がん対策をさらに総合的かつ計画的に推進していこうとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、目的規定において、がん対策においてがん患者がその状況に応じて必要な支援を総合的に受けられるようにすることが課題となっていることに鑑み、がん対策を推進する旨を明記することとしております。

 第二に、基本理念として、がん患者が尊厳を保持しつつ安心して暮らすことのできる社会の構築を目指し、がん患者が、その置かれている状況に応じ、適切ながん医療のみならず、福祉的支援、教育的支援その他の必要な支援を受けることができるようにするとともに、がん患者に関する国民の理解が深められ、がん患者が円滑な社会生活を営むことができる社会環境の整備が図られること等を明記することとしております。

 第三に、がん患者の雇用の継続等に関する事業主の責務について規定することとしております。

 第四に、がんの予防及び早期発見に係る施策として、がんの原因となるおそれのある感染症等に関する啓発、がん検診によりがんの疑いがあると判定された者等が必要な診療を受けることの促進等について規定することとしております。

 第五に、緩和ケアのうち医療として提供されるものに携わる専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成を図るための施策を規定することとしています。

 第六に、がん患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策としてがん患者の状況に応じて緩和ケアが診断のときから適切に提供されるようにすること等を明記するとともに、がん患者の家族の生活の質の維持向上のために必要な施策をも講ずるものとしております。

 第七に、がんの罹患率及びがんによる死亡率の低下に資する事項並びにがん患者の療養生活の質の維持向上に資する事項についての研究の促進等の施策を講ずるに当たっては、罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究の促進について必要な配慮がなされるものとしております。

 第八に、がん患者の雇用の継続、小児がんの患者その他のがん患者における学習と治療との両立、学校教育及び社会教育におけるがんに関する教育の推進などについて規定することとしております。

 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

 以上でございます。

丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、がん対策基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

丹羽委員長 次に、参議院提出、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院議員山本香苗君。

    ―――――――――――――

 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本(香)参議院議員 ただいま議題となりました民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 児童が心身ともに健やかに養育されるためには、家庭や家庭と同様の環境での養育の推進を図ることが必要であります。実親による養育が困難な児童に対し、養育者との永続的な関係に基づいて行われる家庭における養育を確保する養子縁組は、子供の健全な育成を図る上で重要な役割を果たすことが期待されております。

 本年の児童福祉法の改正により、全て児童は、適切な養育を受け、心身の健やかな成長及び発達、自立等が保障される権利を有する旨が規定され、また、国及び地方公共団体の責務として、家庭における養育が困難な児童に対する家庭と同様の養育環境における養育の推進等が明記されました。あわせて、児童を養子とする養子縁組に関する相談支援が都道府県の業務として位置づけられるとともに、政府は、法施行後速やかに、特別養子縁組制度の利用促進のあり方について検討を加え、必要な措置を講ずることとされております。

 しかし、我が国では、社会的養護を必要とする児童の約九割が施設に入所しており、児童を養子とする養子縁組の成立件数はわずかにすぎません。また、児童を養子とする養子縁組に際し、民間の養子縁組あっせん事業者が大きな役割を果たしている一方で、一部の民間あっせん事業者が不当に営利を図り、もしくは適正に養子縁組のあっせんを行わないなど、不当な行為をする事案が生じております。

 本法律案は、これらの状況を踏まえ、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護を図るとともに、あわせて民間あっせん機関による適正な養子縁組のあっせんの促進を図り、もって児童の福祉の増進に資するため、養子縁組あっせん事業を行う者について許可制度を実施し、その業務の適正な運営を確保するための措置を講じようとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんは、児童の最善の利益を最大限に考慮し、これに適合するとともに、可能な限り日本国内において児童が養育されることとなるよう行われなければならないこととしております。

 第二に、養子縁組あっせん事業を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないこととし、民間あっせん機関は、厚生労働省令で定める種類の手数料を徴収する場合を除き、実費その他の手数料または報酬を受けてはならないこととするほか、国や地方公共団体による財政上の措置その他の民間あっせん機関に対する支援等について定めることとしております。

 第三に、民間あっせん機関は、養親希望者が児童の養育を適切に行うために必要な研修を修了していない者等であるときは、当該養親希望者に対する養子縁組のあっせんを行ってはならないこととするほか、養子縁組のあっせんに係る業務として、相談支援、児童の父母等の同意、縁組成立前養育、都道府県知事への報告、養子縁組の成立後の支援等について定めることとしております。

 第四に、厚生労働大臣は、民間あっせん機関が適切に養子縁組のあっせんに係る業務を行うために必要な指針を公表するものとし、国及び地方公共団体は、養子縁組のあっせんに係る制度の周知のための措置を講ずるものとしております。

 第五に、許可を受けないで養子縁組あっせん事業を行った者は、一年以下の懲役または百万円以下の罰金に処することとしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 この際、本案に対し、とかしきなおみ君外四名から、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。阿部知子君。

阿部委員 私は、自由民主党・無所属の会、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び日本維新の会を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 民間あっせん機関による養子縁組のあっせんを利用する養親希望者は、児童相談所による場合と異なり、手数料を負担する可能性が高いことから、養子縁組のさらなる促進に資するよう、養親希望者の負担の軽減を含む必要な支援の在り方について検討を行うこと。

 二 予期せぬ妊娠等、産前産後において特に支援を要する妊産婦や不妊に悩んでいる者が、養子縁組のあっせんに係る制度及び特別養子縁組制度に対する理解を深め、必要に応じて利用することができるよう、産科を始めとする医療機関等において両制度の適切な周知に努めること。

 三 民間あっせん機関が継続的かつ安定的に養子縁組あっせん事業を運営することが可能となるよう、財政上の措置その他必要な措置を講ずるよう努めること。

 四 養子縁組のあっせんは家庭における養育を児童に確保する上で重要な役割を果たすことに鑑み、当該あっせん業務の質にばらつきが生じないよう、厚生労働大臣が定める指針や運営基準等の周知徹底に努めること。また、営利目的が疑われるような悪質なあっせん事業を防止するよう、民間あっせん機関の指導監督に万全を期すこと。

 五 民間あっせん機関において養子縁組あっせんの業務に従事する者には、実父母と養親希望者の事情を考慮し、児童の最善の利益を見通す専門性が求められることから、各種の研修等の充実を図るとともに必要な人材育成の在り方について検討を行うこと。

 六 養子縁組のあっせんに関する施策については、特定妊婦への支援、養子となった者の実父母が自立した生活を営むことができるようにするための施策その他の関連施策との有機的な連携を図ること。

 七 本来の家庭における養育が困難な児童に対し、家庭における養育環境と同様の養育環境の継続的な提供に資する観点から、児童相談所及び民間あっせん機関は、可能な限り連携を図りながら相互に協力すること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

丹羽委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

丹羽委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、塩崎厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたす所存でございます。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

丹羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

丹羽委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十分散会


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