衆議院

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第5号 平成29年3月14日(火曜日)

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平成二十九年三月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 丹羽 秀樹君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 高鳥 修一君 理事 とかしきなおみ君

   理事 三ッ林裕巳君 理事 井坂 信彦君

   理事 柚木 道義君 理事 桝屋 敬悟君

      赤枝 恒雄君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    江渡 聡徳君

      大隈 和英君    勝沼 栄明君

      木原 誠二君    小松  裕君

      白須賀貴樹君    新谷 正義君

      田中 英之君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    冨岡  勉君

      豊田真由子君    中川 郁子君

      長尾  敬君    丹羽 雄哉君

      福山  守君    堀内 詔子君

      務台 俊介君    村井 英樹君

      山下 貴司君    阿部 知子君

      大西 健介君    郡  和子君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      初鹿 明博君    水戸 将史君

      伊佐 進一君    角田 秀穂君

      中野 洋昌君    高橋千鶴子君

      堀内 照文君    河野 正美君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    堀内 詔子君

   参考人

   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      岩村 正彦君

   参考人

   (希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会代表)           天野  妙君

   参考人

   (三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社共生社会室室長・主席研究員)            矢島 洋子君

   参考人

   (法政大学キャリアデザイン学部教授)       上西 充子君

   参考人

   (中央大学経済学部教授) 阿部 正浩君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十三日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     務台 俊介君

同月十四日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     勝沼 栄明君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     赤枝 恒雄君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


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     ――――◇―――――

丹羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科教授岩村正彦君、希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会代表天野妙君、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社共生社会室室長・主席研究員矢島洋子君、法政大学キャリアデザイン学部教授上西充子君、中央大学経済学部教授阿部正浩君、以上五名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から御忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず岩村参考人にお願いいたします。

岩村参考人 岩村と申します。

 東京大学大学院法学政治学研究科の教授として、社会保障法、労働法を研究しております。

 本日は、参考人としてお呼びいただき、まことにありがとうございます。

 今回は、労働政策審議会の委員としまして、法案策定の議論に参画してきた雇用保険法を中心に意見を述べさせていただきたいと存じます。

 雇用保険は、社会保険方式によって、失業という事態に直面した方々の生活の安定を図りつつ、再就職に向けた支援を行うということを最も基本的な目的としております。

 雇用保険が対象といたします失業は、その発生状況が雇用情勢に非常に大きく左右されるものでございます。ですので、長期的な見通しに立ちつつ、しかし、その時々の雇用情勢に適切に対応して、失業している方々のための適切なセーフティーネットとなるよう設計し、運用をしていくということが肝要と考えております。

 雇用保険制度のあり方を検討する際には、失業している方々が働く希望を持ち、再就職して活躍していただけるにはどうすればよいかという観点とともに、失業期間中の生活の安定という点は十分なのかという観点が求められるところでございます。労働政策審議会、具体的には雇用保険部会で法案策定のための議論をしてまいりましたけれども、こうした観点は委員の間で共有されているというふうに考えております。

 まず、今回の改正につきましては、リーマン・ショック時には雇用危機がありましたけれども、現在では雇用情勢が大きく改善しているという状況にあります。こうした状況と昨年の改正後の状況とを踏まえて、給付、負担の両面をどうすべきかということを議論してまいりました。

 まず、失業した際の保障を提供する給付についてでございますが、リーマン・ショック時に創設された暫定措置が本年度末に期限を迎えます。この扱いにつきましては、雇用保険部会では、現在でも一定の支給実績があることから、終了すべきではないという意見がありましたが、他方で、給付日数の拡充によって就職活動時期が後ろ倒しになるといった弊害があるため、このまま終了すべきという意見もありました。

 これらの意見や、暫定措置が難しい雇用環境下で設けられたものであるということを踏まえて議論をいたしました結果、暫定措置については一旦終了した上で、雇用のセーフティーネットとして求められる手当てとして、若年層の給付日数の拡充、雇用情勢が悪い地域に居住する方々の給付日数延長の五年間実施などを行うべきという結論に至ったところでございます。

 これらの措置は、失業している全ての方々の給付日数を単純に延ばすというものではございません。これまでの検討で明らかになっている給付が持つ効果等を勘案しまして、雇用のセーフティーネットとして必要な部分に限定して措置をしたものでございます。したがって、雇用保険の目的である失業中の生活の安定、早期再就職の促進という観点からも妥当な結論であると考えております。

 次に、教育訓練給付に関しましては、今回の法案では、専門実践教育訓練給付の拡充を行うこととしております。少子高齢化が進む中で、労働者の職業能力の開発、向上が必要という時代背景を踏まえますと、教育訓練を支援することは必要であり、妥当な施策と考えております。

 続いて、雇用保険の財政について御意見を申し上げたいと思います。

 雇用保険の制度を考えるに当たりましては、財政の観点からのみ論じるというのは適切とは言えません。しかしながら他方で、雇用保険というのは公的な社会保険制度でございまして、その健全な運営というものが常に求められております。したがいまして、財政面にも着目して議論をするということはやはり必要でございます。財政面では、今回の法案では、雇用保険料率の時限的な引き下げを行うこととしております。

 雇用保険の財政に関しましては、積立金が多額に上っているという御指摘も多々いただいているところではございます。

 私が考えまするに、雇用保険の積立金には二つの意義がございます。一つは、当該の年度に支給される給付の原資となるということでございます。積立金の意義にはもう一つございまして、実はこちらが非常に重要でございます。それは、雇用情勢が悪化し失業がふえたときに、雇用保険料を引き上げずに給付を安定的に支給するための原資となるということでございます。

 したがいまして、積立金を十分に持っておくということは大変重要でございますし、そもそも積立金は、企業と労働者の方々から失業に備えるための保険料として徴収したものを積み立てているというものでございますので、この観点からしましても、ほかの用途に使うということは許容されないものというふうに考えております。

 そうはいっても、現在、積立金が一定額に上っていることも事実でございますので、先ほど御説明しましたような給付面での必要な手当てを行っても財政的に安定運営が見込まれるということを大前提としつつ、保険料率をさらに千分の二引き下げまして、労使の負担軽減を行うということといたしました。このため、この保険料率の引き下げは三年間に限定した措置ということになっております。

 あわせて、国庫負担につきましても、過去、雇用保険料率とあわせて一定程度軽減してきた例があるということに鑑みまして、その軽減を行うということはやむを得ないという結論に至ったところでございます。

 ただし、部会におきましては、公労使の三者から一致して、今回の措置は国庫負担を速やかに本則に戻すべきであるという考え方を変更するものではなく、国庫負担の引き下げは三年間に厳に限定すべきであるとの強い意見が示されたということを強調しておきたいと存じます。

 雇用情勢は国の経済政策、雇用政策によっても変動するものでございまして、その意味で、国庫負担というのは国の責任を体現しているものと考えております。ですので、本則に定められているとおりに国も負担をするのが本来の姿だというふうに考えているところでございます。

 最後に、まとめますと、雇用保険制度については、経済情勢、雇用情勢に応じて適切にその時々の必要な措置を講じていくことが肝要と考えております。また、実施した措置の効果も把握、検証し、可能な限り、それによって得られた実証的なデータに基づいて議論をしていくということが必要であると考えております。

 最後になりますが、労働政策は、何よりも労使において議論を尽くし、その合意を得て行うということが、労働政策の実効性を確保する観点からも最も重要なことであるというふうに私は考えております。今回の今御審議をいただいている雇用保険法の改正法案というものも、まさに労使が議論を尽くして合意に達し、それをベースとしてつくられたものでございます。この点につき、ぜひ御理解を頂戴いたしたく、お願い申し上げる次第でございます。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、天野参考人にお願いいたします。

天野参考人 初めまして。私、希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会の代表を務めております天野妙と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日、八時四十分までにこちらに入室をするということで、きょう、私、ゼロ歳の子を連れて国会まで参りました。しかし、議場に小学生未満の子は入れないということでございまして、ここでも子連れに厳しいのかなと大変残念に思っております。今、友人に抱っこをして廊下で待機してもらっていますので、もし泣き声が聞こえましたら、ちょっとにこやかにしていただけたらなというふうに思っております。

 ちなみに、欧州会議では、議員の方が子連れで議会に出席できるような仕組みにもうなっているということで、ぜひ日本でもそのように進めていただけたらなというふうに期待をしております。

 さて、まず、私の自己紹介を簡単にさせていただければと思います。皆さん、私が何者か、御存じないと思いますので。

 こちらのプリントをごらんいただければと思います。ごらんいただきましたとおり、私、子供が三人おりまして、三世代同居。女の子の働く母ということで、自称ですけれども、安倍政権推奨モデルというふうに称しております。

 配付資料の表紙の家族写真ですけれども、この八歳の女の子が、保活を八年前に私がいたしまして、不承諾通知を受け取りました。そこから八年たって、また改めて保活をこのたびしたんですけれども、当時より大変な状況に今現在なっておるという次第です。

 そういったこともありまして、昨年、市内の保護者たちで保育園増設を訴えまして、やっとのことで計画が六月にできたんですけれども、近隣住民の反対等によりまして事業者が撤退するという事態になりまして、結局、いろいろな活動をしたんですが、保育園がふえなかったという結果になりました。一市民の無力感を味わったわけであります。

 昨年、保育園落ちた日本死ねというブログによりまして、問題が顕在化されたことは記憶に新しいかと思いますけれども、その後、課題解決にはまだ至っていないのかなというところになりまして、国にぜひ働きかけをしていこうではないかということになりました。次のページをごらんいただきまして、SNSで、保育園問題を可視化させるために、当事者の意見を取りまとめをしております。そういった団体でございます。

 つい先日も、国会の中で、議員会館の中で、待機児童問題の解決に向けた建設的な話し合いの場ということで、約百五十人の方々がお集まりいただきまして、老若男女かかわらず、保育園問題が大きな社会問題ということでディスカッションをした次第でございます。

 保育園の問題は、なかなか、野党のテーマというふうに言われることが多くて、ぜひ、与党の皆様の、政権の政策の本丸に入れていただければなと思いますので、私どもも、ぜひ皆様方と対話をさせていただき、直接対話させていただけたらと思いますので、ぜひ、後ほどお声をかけていただけたらというふうに思っております。

 さて、本題に入る前にでございますが、育休二年についてきょうお話しさせていただくんですけれども、育休二年延長よりも、とにかく保育園をふやしてくれということで、それが大前提という上でお話を進めたいと思います。

 結論を先に申し上げますと、条件つきで育休二年に賛成をする立場で御説明をしたいと思います。民進党の参考人なのに、おまえ賛成かと柚木議員に怒られてしまうかもしれませんけれども。

 五ページ目をめくっていただきまして、施行によるメリットとデメリット、当事者の立場から御説明したいと思います。

 三点ございます。

 一つは、失業の緩和です。今、一年が原則ですけれども、半年延ばすことが可能です。またそれを半年延ばそう、そういうお話でございますが、半年失業が緩和されるであろうということです。

 あとはまた、四月入園というものが主になりますので、打席数がふえるというメリットが二点目に挙げられます。

 そうすると、ゼロ歳児が減りますので、その分、一歳児に保育士が移行することができますので、保育士が一対三から一対六になりますから、三人多く受け入れることが可能になってくるというところになります。

 そして、デメリットになりますけれども、これは残念ながら大きく六点ございます。

 一つ目は、何度もお話があるかと思いますが、待機児童数のブラックボックス化ということがデメリットとして挙げられます。今、待機児童数、自治体ごとにカウントがばらばらでございますので、自分が待機児童だよということを育休でカウントしてもらえないということになりますと、行政の計画の中に入っていかないということがリスクとしてあります。

 二点目ですけれども、単純に育休二年に延長しますと、一年半とっていた女性側が恐らくまた半年延長することになるということになりますので、家族や社会の中でも性別的役割分担意識が根強く残るということが予測されます。

 また、三点目につきましては、女性の活躍推進に反するものではないかということが言えるかと思います。私自身、第一子出産のときに一年三カ月ほど産休でお休みしましたけれども、会社のシステムも変わっておりまして、戻ってみると浦島太郎状態でした。人脈や仕事勘を取り戻すのに、休んだ期間と同じだけかかるんですね。ですので、やはり、女性が休むということは、女性を活躍からより遠ざけることになるのではないかなということが危惧としてあります。

 また、四点目ですけれども、この制度を遵守してくれるのは大企業だけになってしまうという可能性が非常に高いです。特権階級の人のための制度にならないのかなということになります。

 また、五点目ですが、この制度、マタニティーハラスメントの被害増加の懸念があります。

 資料六ページにありますとおり、マタハラネットの調査によりますと、育休、産休を取得する社員が出ると、その社員の業務は周囲の社員が負うことになる労働環境だと七割の企業が答えています。つまり、その仕事が、残された人にしわ寄せが行くという構造になっておりますので、よりマタハラが横行する可能性が高まるということです。

 そして、六点目ですけれども、ページをめくりまして七ページ目ですけれども、マミートラックに陥りやすいのではないかということが言えます。

 マミートラック、いわゆる出世しないお母さんのためのキャリアコースというものでございますが、労働政策研究・研修機構の調査によりますと、育児休業が長期化、つまり十三カ月以上になりますと、人的資本量の顕著な下落が生じ、マミートラックに陥りやすいということが研究の結果としてわかっているということであります。

 また、女性活躍推進法の影響で、女性管理職数をふやそうという動きがあります。マミートラックに入って責任のある仕事を任されていないにもかかわらず、女性管理職をふやそうと、そこからピックアップをしまして管理職コースに乗せるんですが、その結果、経験が少ないですから、余り結果が出せない、成果が出せないということになりまして、やはり女はだめだねというふうに企業で扱われるといった負のスパイラルが発生しているというのも聞き及んでおります。

 そもそも、本件の本質的な課題は、日本の人口減少社会、つまり少子化にあります。よって、次は、少子化の視点から考えたいと思います。

 少子化の主な、大きな原因の一つは、保育園不足。口を酸っぱくして申し上げて恐縮ですけれども、この保育園不足を解消せずに育休二年に手をかけるということになりますと、厚生労働省の人的リソースが本件に割かれてしまって、本末転倒にならないかなという危惧がございます。

 そして、二点目ですけれども、資料八にありますとおりに、男性の育児参加というのが必要なのではないかなというふうに思われます。第二子の出生率が上がり、妻の継続就業率が高くなる、育児参加をされるとそのような成果があるということが証明されていますけれども、男性育児休業取得、今二・六五%と大変低い状況であります。

 男性たちに、育休を取得したかったができなかった、できないと思う理由の第一位は何かと聞くと、一位は代替要員がいない、二位は経済的負担、三位は上司に理解がないというふうにありました。

 男性が育児休業を取得するためには、資料にありますとおり、三つの壁があるというふうに言われています。

 一つ目は、本人の無意識の壁というところで、育休すら、男がとるものではないというふうに思っているところです。

 そして二点目は、職場の雰囲気の壁。一応クリアしても、周りが、何でおまえが休むの、奥さん何しているのという話になるわけであります。資料八にありますとおり、男性の子育てに対して最も理解があると感じるのは誰かという質問に対し、職場には誰もいないというのが圧倒的一位という状況です。

 そして三点目は、収入の壁です。先ほど申し上げたとおり、経済的負担が第二位に入っています。有休が余っているのに、収入が目減りする育休を取得する理由がないということで、有給休暇を利用した隠れ育休が多く存在しているのも事実と言えます。

 よって、少子化を改善するには、保育園の供給増加と男性の育休取得が近道でございまして、この三つの壁を段階的に取り払うことで貢献できると考えられます。

 そして、ページをめくりまして、次に、海外の事例から検証したいと思います。

 オーストリアでは、一九九〇年に、七月生まれから育休二年という制度に変わりました。この結果、復職率が一〇%悪化し、出生率が五%改善しているという結果が出ているそうです。

 続きまして、韓国の事例でございますけれども、韓国は非常におもしろくて、日本と同様に少子化の国でございますけれども、男女ともに一年ずつとることができて、一人目がとった後、二人目、つまり、妻が一年を取得した後、夫が育休をとると、最初の三カ月については給付金が一〇〇%支給されるようにしたわけであります。そうしますと、お得、男性が育休をとるとお得という設計になっているわけですね。そうしました結果、前年同期比で五三・二%育休取得率が上がったという結果になっております。

 日本で子供がふえない理由というのは、誤解を恐れずに申し上げますと、子供を産むと損をする社会になってしまっていると言えるのかと思います。私も三児の母ですけれども、周囲から、尊敬するとか、偉いね、よくやるねというふうに、信じられないといったような言葉をかけられます。つまり、親たちは、子供を産み育てることがお得というふうには思っていないというのが現状だと思います。少子化を抑制するためには、産んだ方がお得だねという社会にならなければならないわけです。

 長く休むと会社で隅に追いやられることを女性たちは知っていますし、男性が育児参加しない現状で数多く子供を産むと、より自分に負荷がかかるということを女性たちは知っています。女性にたくさん働いてもらい、子供を多く産んでほしいということであれば、この待機児童対策プラス男性育休取得によるお得論というのを組み合わせていただく必要があるのかなというふうに思っております。

 それゆえに、私が提案させていただきたい、ぜひ参考にしていただきたいというものにつきましては三点ございまして、待機児童のカウントを統一化して、育児休業中もカウント数に入れるというのが一点目。そして二点目は、男性の育児休業、育休を促進させるために給付金を一〇〇%支給する。そして三点目が、育児休業は夫婦が同時に取得することができ、時期を分割して取得することができるというものです。

 二〇二〇年までに、男性の育休、今二・六五を一三%にするという目標がございます。あと四年でございますので、前年比一・五倍増というふうにいけば、達成の見込みができるということです。ぜひこのタイミングでお得プランというのを推奨していただきまして、ぜひ、男性の育児休業取得に拍車をかけて、少子化対策への礎を築いていただけたらというふうに願っております。

 以上であります。ありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、矢島参考人にお願いいたします。

矢島参考人 皆様、こんにちは。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの矢島と申します。

 本日は、参考人としてお招きいただきまして、ありがとうございます。

 私は、シンクタンクで、女性の活躍ですとかワーク・ライフ・バランスに関する調査研究、そしてコンサルティングを行ってきております。そうした立場から、きょうは、近年当社が実施したさまざまな調査のデータをもとに、育児・介護休業法に関する現状と課題についてお話をしたいと思います。

 皆様、お手元の資料をお配りさせていただいております。まず、きょうの育児・介護休業法関係の改正案の部分について、議論の前提と、女性の就業継続、活躍と育児休業に関する問題、それから、男性の育児休業、育児目的休暇取得等の問題、そして最後に、改正法案の意義と留意点についてお話ししたいと思います。

 まず、議論の前提ですけれども、こちらは、もう既に労働政策審議会の建議で出されておりますけれども、やはり一つ目には、育児休業を取得した労働者が安心して職場復帰できるよう保育所等の整備を一層進めるということが何より重要だということは間違いのないことではないかというふうに考えております。そして、今は、年度初めの四月に入れるようにというところがまだ実現しない状況があるわけですけれども、今後は、さらにそれを一歩進めて、四月に限らず、復帰を希望する時期に子供を預けられる環境の整備と保育の質の確保、これも建議に書かれておりますけれども、こういったところが目指すところであるかと思います。

 それから二つ目に、やはり安倍政権の最重要課題の一つが女性が輝く社会の実現ですし、女性活躍推進法が施行されたところで、多くの企業がこの問題に真摯に取り組み始めています。女性の就業継続から活躍へということで、さまざまに今、かなり本当に企業は取り組みに苦慮しながら、試行錯誤しながら取り組んでいる。そして、そういった取り組みをしないとマタハラという問題で訴えられてしまうリスクも抱えながら、何とか、単に仕事を続けさせるだけではなくて、活躍できるような環境づくりということに取り組んでいるということを前提に、そういった、長く休むというよりは、どちらかというと、職場復帰して、両立支援制度をうまく使いながらキャリアを積めるような環境をつくるということが今大きな課題である。これは間違いなく議論の前提ではないかというふうに考えております。

 その上で、女性の就業継続、活躍と育児休業の現状と課題について、データでお示ししたいと思います。

 次のページ、第一子出生年別に見た第一子出産前後の妻の就業変化、こちらのデータは、皆さん、もうよく御存じだと思いますけれども、出産後の継続就業率が、二〇一〇年から二〇一四年に生まれた子について、五三・一%というところまで来ています。

 ただ、これを正規の職員とパート、派遣に分けて見ますと、正規の職員は六九・一%、そのうち育休を使っての就業継続が五九%まで来ています。一方、パート、派遣は二五・二%、うち育休を利用した就業継続は一〇・六%と、かなり格差がある状況です。

 ただ、育休を使った就業継続というのは、こちらのグラフを見ていただきますとわかるとおり、二〇〇五年―九年に生まれた子供のところから、この五年間に、かなりぐっと伸びているということはわかると思います。

 そういう背景の中で、その下のグラフは、二〇〇九年の育介法改正後の五年間の変化というものを捉えたものです。これを見ますと、企業調査なんですけれども、企業の認識としても、育児休業の利用は、女性の利用が特にふえているというところがわかります、正社員の女性ですけれども。有期契約労働者については、対象者がいないという答えが多いんですが、有期契約労働者について企業アンケートをとると、対象者と認識している方についてはほぼ一〇〇%とれているという答えが多いんですね。ですので、対象者として企業が認めるかどうかというところが有期契約労働者については大きいんですけれども、こちらも、女性の利用者は有期契約労働者でもふえてはいるというような状況です。

 次のページに参りまして、では、結婚、出産での女性の離職状況というのはどうなっているのかというのを、やはり同じ平成二十七年の調査で見ますと、正社員の全体としては、結婚、出産で離職する女性はほとんどいないと回答する企業が四七・六%、それから、少数派だが離職する女性もいるというところで三〇・七%、合わせて八割以上が、大分離職をしなくなってきているというような認識を持っている。

 これは、この調査だけではなくて、私、さまざまな企業でコンサルティングや研修をさせていただいたり人事の方とお目にかかりますが、現場の人事担当者あるいは女性労働者自身が実感として持っているところではないかなというふうに感じております。

 その中でも、その下のグラフは、では、こういう状況の中でもやめている人はどういう理由でやめているんだろうかということを見ています。仕事を続けたかったが両立が難しくてやめたという人が二五・二%います。その二五・二%の内訳を見ると、一番多いのは勤務時間が合いそうになかったということで、育児休業そのものよりも、復帰後の働き方、復帰後の労働時間の懸念というところが示されているところです。ただ一方で、育休の制度が会社になかったという答えもまだ二二・六%ございますし、保育園に子供を預けられそうもなかったという答えも一七%ある状況です。

 さらに、では、育児休業が十分とれたら就業継続は可能なのかというところなんですけれども、九ページのグラフは、もう少し昔にさかのぼりまして平成二十三年度にやった調査で、ちょうど平成二十二年の、改正法の前後五年間で企業における就業継続がどう変化しているかというのを見てみますと、大企業を中心に、結婚、出産を機に離職する女性がかなり減っているという状況がこの時点でも見られます。

 この離職が減った原因というのを企業の人事担当者に聞いてみますと、その下のグラフなんですけれども、一番多いのは、やはり短時間勤務制度を利用できるようになったこと。二〇〇九年の育児・介護休業法の改正で、短時間勤務制度が三歳までの子を持つ親には義務化されました。この効果を企業の人事担当者は実感しているということが見てとれます。ですので、子が一歳までの育児休業プラス短時間勤務制度というものが普及してきたことが、確実に女性の就業継続を進めているのではないかというふうに認識しております。

 次のページ、では実際の育児休業期間の希望というのはどんな状況なんだろうかというのを見ますと、休業期間が希望どおりだったかどうかというのを男性正社員、女性正社員、女性非正社員に聞いているんですが、特に女性正社員で見ますと、六九・一%が希望どおりだった。男性でも六九・三%ですけれども。一方で、希望よりも実際の取得日数が短かったという方が二五・三%、女性の正社員でいます。つまり、四分の一は自分の希望したよりも短くしか育児休業がとれていないというような状況です。一方で、希望よりも長くなった方もいます。それは、やはり保育所に入れない等の理由で、自分の希望よりも長くなっている方も五・六%いるという状況です。

 では、一番自分の取得したかった休暇、休業期間はどれぐらいなのかというと、やはり一年から一年半未満のところが一番多いというような状況です。

 希望より少ない期間で休業期間を取得した理由なんですけれども、男性の正社員では、男性の両立支援制度に対して会社や職場の理解がないですとか、残業が多い等業務が繁忙というあたりが、職場の働き方の問題あるいは制度の認知状況が問題になっております。そして、女性の正社員で見ますと、実は一番多いのが、休暇を長くとると保育所に入れなくなるためというのが多くなっているということです。ですので、今までの状況ですと、入れないので短くする、あるいは長くしても入れないというふうな、両方八方塞がり的な状況があるのではないかというところも見てとれます。

 では、実際に一歳を超えてとる人というのは、どういう状況で一歳を超えて育児休業をとっているんだろうかというのを十三ページで見ますと、こちらも、保育所に入れない、または法に定める理由で休業を延長した人がいる。これは企業の人事担当者に聞いたのですけれども、大企業では五〇・二%が、保育所に入れないなどの理由で、一歳を超えて育児休業を実際に取得する従業員がいるというような状況です。

 こういった状況で、育児休業で保育所に入れない期間を補いながら、今までの、一歳を超えて一歳半までは育児休業を延長できるという仕組みを使いながら、それと、育児休業と短時間勤務の組み合わせで女性の就業継続というのが進んできているというのは間違いなく言えるんですが、では、今安倍政権で言っている、就業継続だけではなくて、女性の活躍というところの面でどんな課題があるのかを見ますと、育児休業復帰後の配属の問題、ここに大きな課題があるのではないかと思われます。

 十四ページなんですけれども、育児休業復帰後の配属というのは、原則もとの職場にということでマネジメントされているケースが多いんですが、ほとんどもとの職場に配属しているというのが全体で六九・六%、もとの職場に配属している場合が多い、そうでない人もいるというような状況が一八・一%というところです。中小企業ほど、もとの職場に配属しているということが実施されてはいるんですけれども、大企業では、それプラス、もとの職場に配属している場合が多い、一部はそうではないというようなところの組み合わせで、九割近いところになっているわけです。

 では、もとの職場に戻っていない理由はどうなんだろうかというと、これは本人の希望というのは二三・五%と少なく、本人の希望と職場のニーズが一致しないということで、もとの職場に戻れない状況があるというのが七五%を占めるというような状況になっています。

 やはり、出産後に新しい仕事を覚える、新しい環境になれるというのはなかなか厳しいものがありますので、場合によっては自宅の近くの支店に移るといったような形で就業継続にプラスになっているケースもありますけれども、職場がかわるということは、女性が復帰後に活躍するという面ではなかなかハードルなのではないかというふうに考えています。

 十五ページには、では、育休からの復帰時期によって復帰後の仕事の内容がどう変わるんだろうかというのを見ています。

 これを見ますと、もちろん産後休暇後すぐに戻ればほとんど変化はないんですが、育児休業をとった場合で見ますと、末子六カ月未満と末子六カ月以上一歳未満までで復帰したところでは余り大きな変化が見られません。末子一歳以上になりますと、休業前と同じ内容に復帰できるという割合がぐっと下がるというような状況です。そして、末子一歳半以上になりますと、休業前と異なるだけではなく、職責や能力に見合わない簡単な仕事になってしまうという割合がふえるということが見てとれます。

 また、こういう簡単な仕事になってしまうということが、本人の希望と一致していればまだよいという面もあるのではないかと思いますけれども、次のページ、十六ページに参りますと、自分の希望どおりだったかどうかということも、育休からの復帰がおくれると、自分の希望どおりだったという割合が徐々に下がっていくというようなことも見てとれるわけです。

 十七ページには、こうした状況の中で、今、企業はどんな対策をしているんだろうかというところを皆さんに御紹介したいと思います。

 今、企業では、育休から復帰した後の本人と、そして上司に対する働きかけというものを通じて、先ほどもお話にありましたマミートラックといったような状況に陥ることを防ごうという取り組みがさまざま行われております。一番多いものは、今後の職務や働き方に関する面談を実施するといったものですけれども、こちらが、大企業では五八%行われており、中小企業でも四一・五%までふえてきているような状況です。

 ただ、まだこうした取り組みを特に行っていないという企業も多い状況でして、就業を継続するだけではなく、育休復帰後にしっかり女性が活躍していくというところで、企業はまだ対策が十分打てていない状況、これからますます取り組んでいかなければならない状況にあるということを確認していただければと思います。

 また、企業の人事担当者に聞いた、育休や短時間勤務制度を利用した場合の長期的なキャリア形成への影響というところで見ますと、どの規模の企業でも、多くの職種で長期的に影響しないという答えが一応多いんですけれども、大企業では、多くの職種では余り影響しないが一部の職種で影響するというような割合が二〇%。そして中小企業では、どちらとも言えない、わからない。企業の人事担当者に聞いているんですが、育休から復帰した後、制度を利用したことで長期的なキャリア形成への影響がわからないというような回答が多くなっている。これは、利用する本人たちからすると、かなり不安な状況ではないかなというふうに考えています。

 ということで、育児休業というものの普及、それから、育児休業と短時間勤務の組み合わせによる利用が女性の就業継続を確実に伸ばしていて、企業もそうした就業継続に対応した女性の活躍支援ということに取り組み始めたところなんですけれども、やはり育休が余り長くなり過ぎると、そのあたり、課題が多くなるということは見てとれるかと思います。

 それから次に、男性の育児休業、育児目的休暇等の取得に関するお話です。

 育児休業取得率の推移については、皆さん御承知のとおり、男性では、近年上昇傾向にはありますが、二・六五%とまだ低い状況です。

 二十一ページには、妻の就労形態別に男性の育児休業取得率を見ています。男性全体では五・四%ですが、妻が無業の方は四・四%、また、妻が正社員の方は八・八%。余り差が大きくないんですが、妻が正社員の方だと若干多い。ただ、問題は、利用希望をしているが利用できていない割合が三割に及ぶというところではないかと思います。

 そして、次のグラフは、育児を目的とした休業の取得率と取得日数ということで、実は、育児休業以外の年次有給休暇や配偶者出産休暇の方が、男性の場合はやはり取得しているというような状況があるということです。

 次のページに参りまして、では、男性が育児休業を取得しなかった理由は何なのかというのを見ますと、最も多いのは、職場が育児休業制度を取得しづらい雰囲気だったということで、職場環境というのが一番多く挙げられていますし、次に、会社で育児休業制度が整備されていなかったからということです。

 この整備されていなかったからということについて言うと、さらにその下のグラフで、育児休業とか両立支援制度が会社に整備されていなくても、法律上、制度の対象であれば利用できるという状況があるわけですが、これを知っていたかどうかと聞きますと、男性の正社員の六七・九%は知らないというような状況です。

 そして、企業における性別に見た育児休業の利用しやすさで見ますと、やはりまだまだ、女性は利用しやすいが男性は利用しづらいというふうに企業の人事担当者が直接答えるという割合が高い状況というのも見てとれます。

 こうした状況の中、企業は、男性に向けた育児休業取得促進の取り組みとして、配偶者出産休暇制度を整備するといったことや、上司や人事部から働きかける、それから、取得率や取得の人数を目標として定めているということをやっているわけですが、いずれも、これまでのところは大企業が突出して多い、中小企業との間に大分差があるというような状況です。

 参考までに、次のページに、非正社員の女性の育児休業取得率というのも低いわけですけれども、この取得率というのが、実際に企業から直接働きかけた場合と働きかけなかった場合でかなりの差があるというところを見ています。ですので、男性の育児休業についても、企業からの働きかけというのが取得率に影響があることが期待できるのではないかなというふうに考えています。

 最後に、改正法案の意義と留意点ですけれども、育児休業の再延長については、現状、一歳を超え、さらに一歳六カ月を超えても保育所に入所できず、離職を余儀なくされる人のセーフティーネットとして一定の、今の状況でいうとニーズがあるのではないかというふうに考えております。しかも、従来の一歳六カ月までの延長では、生まれ月によって入所可能性の高い四月のタイミングに届かない人がいるという状況があります。こうしたことから、今回の延長というのはニーズがあるのではないか。

 ただし、年度の初めに届かないという問題と、年度を越えて、年度頭にさらに入れないという状況は、これは実は大きく違います。今回の延長は、今の保育環境下では、一時的に、四月に入れない人の受け皿になる可能性も考えられます。こうした状況については、やはり早急に解消していただかなければならないのではないかと考えています。

 それに関しまして、待機児の問題について言いますと、待機児問題というのは、保育所の整備の問題もありますが、また、整備の問題だけではなくて、今検討されているコンシェルジュやマッチングの問題というのも非常に大きいわけです。一方で、整備の問題というのは、待機児だけを見ているとおくれてしまう、後で後でになってしまう。

 実際に、平成二十年から、国は、潜在保育ニーズに基づく保育計画というものを自治体に求めてきました。しかし、自治体の中では、この潜在保育ニーズというものに対応するという意識が十分広まっていないのではないかというふうに感じています。というのは、保育が整備されたことで働く女性がいるということを、ネガティブに言う自治体関係者がいるからです。

 ですので、潜在保育ニーズに基づく整備ということをしていただくと同時に、ことしの待機児の問題については、マッチング機能等を高めることで早急に解消していただくことが大事かと思います。

 そして、女性のキャリア形成ということについては、企業が現在、活躍ということでさまざまな取り組みをしておりますので、そうしたことに対して、保育に入れないことで女性間の復帰時期の格差がつくという事態、これが早急に解消される必要があるかと思います。

 そして、男性の育児休業取得の促進については、やはり、男性が両立支援制度の存在や制度を把握していないということが顕著に見てとれますので、こうしたことを個別に周知していただく取り組みというのは非常に意義があるのではないかと思いますが、ただ、留意点としては、やはり働き方改革とあわせて進めていただいて、実際に代替要員や周囲の環境など、とりやすい環境整備ということとあわせないと、なかなか厳しい状況ではないかと思います。

 最後に、育児目的休暇につきましても、男性が育児休業以外の制度を利用して実際に休暇を取得しているということ、また、企業がさまざまな支援をしている状況から、育児目的休暇を努力目標としていただくのはよいことなのではないかというふうに評価しております。

 ただ、留意点としては、国が把握する育児休業取得率の算出方法です。企業はこれを非常に気にしていますので、他の休暇をとっても育児休業取得率と同じような認識をされるのかということが、非常に企業にとってはモチベーションになるのではないかというふうに思います。また、先ほどの話にもありましたが、企業間格差が拡大する懸念がありますので、この点を留意していただければと思います。

 済みません、長くなりました。以上です。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 次に、上西参考人にお願いいたします。

上西参考人 法政大学の上西と申します。

 本日は、意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私からは、一括法案のうち、職業安定法の改正案について、中でも募集時における労働条件の明示に関する事項について意見を申し上げます。

 お手元の配付資料をごらんください。

 今回の法律案に関して私が問題と考える点を五点にまとめました。順に御説明いたします。

 第一に、募集時の労働条件に固定残業代を含んでいる場合、新たに指針で明示を求めるだけでは不十分だと考えます。

 まず、固定残業代をめぐる問題について皆様と理解を共有しておきたいのですが、固定残業代を含んだ形で給与を提示するということは、中途採用だけではなく、新卒の求人でも行われています。

 お手元の資料の一ページ目に、A社からC社までの初任給のモデルを示しました。一見すると、A社とB社の初任給は同額に見えます。けれども、B社は同じ二十万円の中に四万円の残業代を含んでいます。また、C社は初任給が二十四万円と条件がよいように見えますが、八万円分の残業代がその中に含まれています。

 もしも給与に一定額の残業代が含まれていることが募集時に隠されていたならば、求職者は労働条件を比較して適切に求職活動を行うことができません。実際には固定残業代は募集時に隠されていることが多く、そのことがこれまで賃金と労働時間をめぐるトラブルの大きな原因となってきました。国会でも、固定残業代をめぐる問題は繰り返し取り上げられてきました。

 固定残業代が募集時に隠されている場合、誠実な求人企業の側も被害をこうむります。見た目だけがよい求人に求職者を奪われ、労働市場における公正な競争を阻害されてしまう可能性があるからです。

 そのため、職業安定法改正案の作成に至る検討過程においては、固定残業代の明示は重要なポイントの一つでした。そのことは、配付資料の一ページ目に抜粋をした、雇用仲介事業等の在り方に関する検討会報告書、それから職業紹介等に関する制度の改正に関する労働政策審議会の建議が示すとおりです。

 しかしながら、固定残業代の明示に関する事項は今回の法律案には盛り込まれていません。労働政策審議会における法律案要綱の検討過程を確認すると、改正法が成立した後に指針が作成される予定のようです。二〇一五年の秋に成立をした若者雇用促進法の場合も、指針によって固定残業代の明示を求めるという方法がとられました。

 では、若者雇用促進法に基づく指針の場合、指針が出されたことによって、若者を対象とした求人における固定残業代の明示は的確に行われるようになったのでしょうか。

 配付資料の二ページ目をごらんください。

 若者雇用促進法に基づく指針は二〇一五年十月一日から適用とされ、翌年三月に新規大卒の募集要項が公開されるまでには六カ月の準備の時間がありました。けれども、六カ月後の二〇一六年三月にウエブ上で公開された新規大卒の募集要項を見ると、指針に従った表示が行われていたケースもあったものの、そうではないケースも多く見られました。

 朝日新聞が二〇一六年五月にウエブ上の就活サイトのリクナビで検索を行ったところ、固定残業があるとしている約百九十社のうち、三分の二の会社は、固定残業代とそれに相当する時間のいずれか、または両方を示していませんでした。時間数だけ、あるいは金額だけでは、情報として不十分であるのは明らかです。

 また、二〇一六年三月の募集要項では固定残業代を含んでいることをうかがわせる記述は全くなかったような企業の中にも、実際には固定残業代を給与に含ませていた企業もあったようです。ことしの三月に公開された募集要項との比較から、それがわかります。

 配付資料のX社、これはあくまで一例ですが、この企業の下の方に示した募集要項を見ると、初任給二十五万円には四十五時間分の残業代五万円余りが含まれているということがわかります。けれども、上の方に示した、こちらは昨年の募集要項ですが、こちらからは、固定残業代が二十五万円の中に含まれているということはわかりません。固定残業代を明示せよという指針は実際には守られていなかったということでしょう。東証一部上場の大企業においても、このような例は複数確認済みです。

 固定残業代が給与を高く見せる効果を持つことを考えると、企業としては給与に固定残業代が含まれていることやその詳細はできるだけ伏せておきたい、そういう意向があると考えてもおかしくありません。X社の場合は、ことしは一定の情報開示を行っていますが、ことし三月の募集要項でさえ、固定残業代の存在をいまだに隠している企業もどうやらある模様です。

 このように、各企業の対応がばらばらであり、それが放置されたままであれば、真面目に情報開示をした企業の方が不利な競争条件に立たされてしまうという大変おかしな状況が生まれてしまいます。

 皆様のお手元にある法律案に関する参考資料の三百六ページの調査結果でも、固定残業代の存在が面接時や入社時などに後出しで出されている実態が明らかになっています。このような実態に適切に対処できるような法改正でなければなりません。

 労働政策審議会の建議の趣旨を踏まえれば、募集時における固定残業代の明示は、強行規定ではない指針によってではなく、省令によって定め、さらに、固定残業代を採用しているにもかかわらず募集の段階で適切に明示を行わないような企業については指導を行い、指導に従わない企業には、企業名を公表するなどの対策をとっていくことが必要と考えます。そのような内容が法律案に盛り込まれるべきです。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

 四ページ目に移って、二番目のポイントです。

 今回の法律案では、募集時の労働条件から労働契約締結に至る過程で変更を行う場合には、改めてその変更内容を明示することとされており、それが働く方を保護することになると位置づけられています。十日のこの委員会で、大臣はそのように答弁をされています。しかしながら、私は、変更内容を明示すればよいとなると、募集に際しての労働条件の明示義務の意味が損なわれ、募集時からの労働条件の大幅な変更に、むしろお墨つきを与えかねないのではないかと危惧しております。

 この点について御説明申し上げます。

 まず、変更のタイミングはいつであるかという問題があります。

 法律案を読むと、配付資料の下線部に示すとおり、労働契約を締結しようとする場合に、変更があれば、その変更事項を明示しなければならないとされています。

 この労働契約を締結しようとする場合とは、一体いつのタイミングを指すのでしょうか。それが労働契約締結の直前であれば、労働契約の締結時に労働条件が書面で交付されるのですから、それをよく確認して労働契約を締結するというこれまでのあり方と実質的には変わらないことになります。

 労働契約の締結時とは、多くの求職者にとっては、やり直しがきかないタイミングです。そのタイミングになってから労働条件を後出しで変更することを許してしまうのであれば、求人トラブルが横行する現状に対して、実効性のある改善とはなりません。さらに、改善とならないだけではなく、むしろ状況を悪化させる可能性もあります。

 五ページをごらんください。

 能力や適性を口実にした労働条件の大幅な変更があり得ます。正社員で募集をしておいて、君なら契約社員だねとか、二十万円で募集しておいて、君なら十七万円だねとか、事務職で募集しておいて、君なら販売職だねなどのケースが考えられます。

 その場合、見た目のよい求人を使ってだます意図がもともとあったのか、もしくは能力や適性を見きわめて労働条件を変更したのか、その点を識別することは困難です。

 募集に際して虚偽の労働条件を表示することは、四ページ目に示したとおり、現状でも罰則が設けられています。しかし、その罰則には実効性がありません。虚偽であることの立証は困難であるからです。

 また、まだ契約が締結されていない段階にある求職者は、途中で労働条件を変更して提示されたとしても、問題だと争うことによって経済的に得るものがありません。その点が残業代不払いなどの問題とは異なります。

 そのため、争うことも困難であり、後から労働条件が変更されて、こんな労働条件だと初めからわかっていれば応募していなかったのにというような場合でも、辞退して求職活動を一からやり直すか、もしくは求職活動をやり直す余裕はないために泣く泣く承諾するかという大変つらい状況に置かれてしまいます。求職者には、せっかくつかんだ就職先を失いたくないという思いがあるため、問題が把握できた場合であっても行政指導を行いにくいという声も聞いています。求人者と求職者の間には圧倒的な力関係の差があるのです。

 このような事情があるため、求人と実態が違うというトラブルは表面化しにくいのです。ハローワークの求人におけるトラブルの件数が公表されていますが、あれはあくまで氷山の一角です。たとえ苦情処理の窓口を設けても、苦情を申し立てずに諦めるケースも多いだろうと考えられます。

 また、募集時の労働条件は公開されているため第三者がチェックしやすいですが、その後の面接時における労働条件の変更は一対一の関係の中で行われるので、実態把握も困難です。

 改めてまとめますが、労働条件が募集時から変更した場合に求人者に新たな明示義務を課すという法律案の内容は、実効性において、現行法における労働契約締結時の労働条件明示義務を超えるメリットを求職者にもたらすものではありません。むしろ、変更時に明示すればよいと求人者に受け取られ、募集時からの労働条件の大幅な変更にお墨つきを与えかねず、改悪のおそれが強いものと考えます。

 六ページに移って三点目です。今回の法律案では固定残業代の明示にかかわるトラブルはどうなるのかです。

 図示をしたようなケースを想定してみてください。募集時の月収は二十万円と書かれています。一方、労働契約締結時の書類には基本給十五万円と固定残業代五万円と書かれています。これは果たして変更でしょうか。変更であれば、法律案では変更点について明示義務が設けられます。しかし、変更ではなく、求人票の記載スペースが小さかったので書けなかっただけだというように主張されるかもしれません。

 労働条件が変更した場合にはそれを明示せよという今回の法律案では、このようなトラブルに対処できません。求人トラブルを防止するためには、変更する場合の明示ではなく、募集時における労働条件の明示について、より的確な明示を求めることが重要と考えます。

 労働契約締結時の労働条件と異なる労働条件を募集時に示すことは違法とすべきです。加えて、募集時に明示する労働条件を最低保証と位置づける取り組みの促進が行われるべきです。

 続けて、七ページ目の四点目です。

 新規学卒の場合、募集から入社までにはかなりの期間があるため、募集時に労働条件の的確な明示を行わせることは特に重要です。そして、内定時における労働条件の書面交付も確実に行わせるべきです。

 現在の大卒採用のスケジュールにおいては、実は、労働契約の締結時とはいつの時点を指すのか曖昧であるのが現状です。六月ごろに面接を終えて就活を終える学生もいますが、十月の内定式でさえ労働条件の書面がいただけないというようなケースも実際には多いようです。

 四月の入社になって初めて本当の労働条件がわかるということであれば、非常に学生は厳しい状況に置かれます。まずは、現状において労働条件の書面交付の実態がどうなっているか調査を行い、適切な対策を進めていただきたいというふうに考えております。

 八ページ目に移ります。

 時間も限られておりますので、その他の点は列挙するにとどめましたが、裁量労働制が適用されている求人の場合にも、その明示は募集に際して求められていないという点が大きな問題としてあります。新卒採用でも、裁量労働制が本来の範囲を超えて拡張適用されているという実態があります。

 また、現在の募集時の労働条件明示の形式は統一されていないため、給与に固定残業代が含まれているか否かがわからない、あるいは給与と諸手当は別建てなのかどうかわからない、期間の定めのない雇用なのかどうなのかもわからない、実は業務委託かもしれないなど、募集要項では判別できないという大きな問題があります。

 そのため、ハローワークの求人票の書式なども参考にしながら、一般の求職者にもわかりやすく、かつ、紛れがない形での労働条件の表示を行うモデル求人票を厚生労働省が作成すべきです。

 来年度には、総合的職場情報提供サイトが新たに運用される予定とも聞いております。各社はそのサイトにモデル求人票の書式に従った求人票を掲載することを促すなど、モデル求人票の普及に厚生労働省として取り組みを行うべきです。同じ条件で数十人規模を採用する新規学卒採用などでは、このような取り組みは効果的と考えます。これは法改正を待たずに行えることですので、直ちに取り組んでいただきたいと思います。

 最後になりますが、今回の職業安定法の改正案は、これまで申し上げてきたように、多くの課題を積み残しております。また、状況をさらに悪化させるおそれを含む内容ともなっております。年度末までに成立が必要な雇用保険法の改正案などと一括で今回法案が提出されておりますが、一括法案からは切り離した上で、改めて、職業安定法については法案を別途提出すべきと考えます。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

三ッ林委員長代理 ありがとうございました。

 次に、阿部参考人にお願いいたします。

阿部参考人 中央大学経済学部の阿部と申します。

 よろしくお願いいたします。

 私は、大学で労働経済学を専攻しておりまして、主に日本の労働市場について研究を行っております。本日は、そうした立場から、最近の労働市場の状況をお話しした上で、今、日本の労働市場に必要とされている政策のパッケージについて、少し私の意見を述べたいというふうに思っております。

 まず、お手元の資料の一ページ目でございますが、これは、皆様御案内のとおり、リーマン・ショック以降、日本の労働市場での失業率及び有効求人倍率の推移を示しているものでございます。

 リーマン・ショック以降、失業率が継続的に低下をし、一方で有効求人倍率が上昇しているというのは御案内のとおりかと思います。

 ことし一月、失業率三%、有効求人倍率は一・四倍程度ということになっておりまして、我が国の労働市場は、労働需要の不足によっている失業が発生していない、ほぼ完全雇用の状態にあるというふうに私は認識しているところであります。そういう意味では、非常に、景気回復に伴って労働市場の需給がタイトになって、労働市場の政策としては余り必要ないのではないかというようなことも言われるときがありますが、実際のところ、細かなところを見ていきますと、課題がないわけではありません。

 というのは、二枚目のグラフをごらんいただきたいのですが、これは均衡失業率と需要不足失業率を推計したグラフでございます。

 均衡失業率というのは、先ほど申しました完全雇用状態の失業率がどの程度あるかということであります。完全雇用状態というのはどういうことかというと、需要が不足することによって発生する失業がほぼない、ですから、需要不足の失業がほぼないような状況にある状況を均衡失業率というように言っているわけでございます。

 問題は、この均衡失業率が今ほぼ三%程度で高どまりしているというところであります。これが八〇年代ですと、二%の半ば、あるいは一%の後半というぐらいの数字でしたので、相当、日本の労働市場では均衡失業率が高どまりしている状態であるということになります。

 では、何で均衡失業率が生じるかということでございますが、一般的には、構造的な問題、産業や職業の構造的な問題によって生じているというふうに考えられております。つまり、衰退する産業がある一方で成長する産業がある、衰退する職業がある一方で成長する職業がある、この産業と職業の間に必要な知識や技能、そういったものの違いがあることによって失業が生じてしまうというようなことがよく言われており、よく、ミスマッチが生じているとかいうような言葉で言われているところでございます。

 こうしたミスマッチあるいは産業や職業の間の知識や技能がアンバランスなことによって生じる構造的失業ですが、これがあると、なかなか失業された方が次の仕事を探しにくいですとか、長期失業に陥るというようなことが生じます。そういった意味で、従来から、ミスマッチを防ぐためには教育訓練の拡充が必要だとよく言われているところでありまして、今回の法改正においても、一部そうした配慮があるというふうに私は考えております。

 ただ、長期失業が問題になっているわけですけれども、その長期失業者の中には一部、一生懸命というか、密度の濃い職探しをされていないような層が一定程度いるということも事実のようであります。

 三枚目のページは、厚生労働省の職業安定分科会雇用保険部会の平成二十八年十月十七日に提示された雇用保険受給者の実態に関するアンケート調査でございますが、その次のページ、五ページ目、就職できない理由についてといったところで、年齢の違いによる再就職割合の違いということを見ておりますが、特に、表の一番右側にあります、雇用保険受給終了後に再就職先が見つからなかった、これが長期失業者にほぼ相当するかと思いますが、他の年齢層と比較して特に六十歳以上、六十歳から六十四歳、六十五歳以上のところに赤い文字が示されていると思いますが、ほかの年齢層に比べてこうした六十歳以上の層が就職活動に関しては長期化する傾向があるかというふうに考えられます。

 もう一つあるのは、次のページでございますが、六ページ目、雇用保険受給中に考えていた再就職する時期の違いによってどの程度再就職の割合が違うかということでございます。またこの赤い文字のところを注目していただきたいと思いますが、雇用保険受給期間中に、受給終了時期にかかわらず一刻も早く就職したいと考えていたという方々は、雇用保険受給期間中に再就職が見つかっている一方で、雇用保険終了後に再就職先が見つからなかった割合は七・八%、相当低い。一方、できるだけ受給終了した後に就職したいと考えていた人たちの場合には、雇用保険受給期間中に再就職が見つかった方は七・一%に対して、雇用保険受給終了後に再就職先が見つからなかった割合が五四・九%と高うございます。

 次のページが、求職活動中にどの程度企業に応募をしていたかということですが、応募回数が最も多かった時期が、給付制限期間中ですとか、所定給付日数の前半ですとか、所定給付日数の後半に一番応募回数が多かったというふうに答えている方々の、雇用保険期間中に再就職が見つかった割合は高うございます一方で、基本手当の受給終了後ですとか、企業へ応募はしなかった、そういった余り密度の濃い就職活動をされていなかった層では、比較的長い失業期間というふうになっているということであります。

 したがいまして、そこに書いてありますように、早期から就職活動を行うことが再就職の割合を大きく左右するということになっているかと思います。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

 また、離職理由の違いによっても再就職の割合が違います。

 例えば、倒産、希望退職への応募、その他会社からの申し出によるといった会社都合による離職者の場合には、早期に再就職したいと考えている方々が多いこともあり、受給終了時期にかかわらず一刻も早く就職したいと考えている層が一定程度おり、こういった人たちの再就職の時期は相当早くなっているというふうに考えられます。

 雇用保険というのは、そもそもは、失業中の生活の安定と同時に、早期就職を労働者に促していくということが本来の目的かと思います。そういった意味で、失業給付の水準や日数といったものは、生活の安定と同時に、求職者のモラルハザードを防いで、早期の失業離脱あるいは再就職に向けて、そうした行動を促すように設計されることが必要かと思われます。そういった意味で、今回、給付日数あるいは給付水準といったものはこうしたことを反映して設定されているというふうに私は理解をしているところであります。

 また同時に、こういった再就職に導いていくためには、労働市場の需給調整機能を高度化していく必要があるというふうに考えておりまして、その意味で、今般の改正案で職業安定法が果たす役割は重要であるというふうに認識しております。

 こうした長期失業あるいはミスマッチ失業の課題といったものがある一方で、他方で、失業率が下がってきて有効求人倍率が上がっているという中では、人手不足に悩んでいる企業も多数発生しているということであります。御案内のとおり、今、人が足りず業務が上手に遂行できないような、例えば宅配便の問題ですとか、あるいは外食産業の営業時間の短縮ですとか、そういったことが如実にあらわれているわけでございます。

 こうした状況は、今後の人口減少、特にこれから若年人口が減少していくということを考えていきますと、この人手不足の問題というのは今後も顕在化していくだろうというふうに思います。そういう意味で、働く希望のある方が実際働けるようになるということが、労働市場政策としては求められるんだろうと思います。

 今、日本の人口の推移は、御案内のとおりですのでちょっとはしょりまして、十ページ目に、二〇一六年の労働力状態という円グラフがございます。

 ここで、不本意非正規の雇用労働者が三%。それから就職希望者、これは非労働力人口の中の就職希望者ですが、四%。それから完全失業者が、全体では一%。こういった人たちが仕事につけるようにしていくということが望まれるというふうに思います。これを果たすような労働市場政策というのが今求められていると思います。そういった意味でも、労働市場の需給調整機能や、あるいは育児休業制度の拡充ですとか、そういったことが必要かというふうに思います。

 また、今後の労働市場のことを考えていくと、人口が減少していく中で労働力不足が顕在化していくという中では、当然ながら、働く希望のある人たちが働ける状態にするということが望まれるわけですが、その一方で、生産性を上げていくといったことも必要かと思います。

 十一ページ目に、労働生産性の変化率の寄与度分解というようなグラフがございます。

 これは、三つの要因に労働生産性の変化を分解したものでありまして、グラフの赤い部分が純生産性要素。というのは、労働者の知識が高度になったとか技能が高度になったとかそういったことによって生産性が上がった部分、寄与した部分であります。もう一個、緑色の部分が、ボーモル効果というふうに言っていまして、これは生産性の上昇率が相対的に高いような産業の全体のシェアが高まっていけば生産性を引き上げるということでありまして、それが緑色の部分です。最後に、紫の部分が、デニソン効果というふうに呼ばれておりまして、これは生産性の水準が相対的に低い産業から高い産業に人が移ることによって生産性が引き上げられる部分だということであります。

 これを見ますと、これは二〇一〇年までしかないんですか、直近の〇六年から一〇年の部分については、生産性が余り上がっていない中で、それまでと比べて一番大きく変わったのは、赤い部分が小さくなっているということでありまして、純生産性効果が小さくなっている。その一方で、紫色の部分は若干大きくなって、労働移動の効果がかなり生産性に寄与しているということがおわかりになるかと思います。

 今後ますます生産性を上げていく必要があると思うのですが、その場合には、赤い部分と紫色の部分、それから緑の部分、これをうまく伸ばしていく必要があるだろうというふうに思います。

 そういう意味では、赤い部分を伸ばすためには、教育訓練の拡充、大学教育も含めて教育の充実といったものが必要かというふうに思います。また、紫色の部分も相当生産性に寄与しておりますので、労働市場での需給調整機能の高度化をより進めていくといったことが必要かと思います。そして、低い生産性の部門から高い生産性のある部門に人を動かして、日本経済の生産性をより高めていくといったことが必要かというふうに私は考えているところであります。

 ここまで、日本全体の労働市場の概況についてお話をさせていただきましたが、最後に、地域労働市場の状況についてお話ししたいと思います。

 といいますのも、地域によって、失業率、有効求人倍率に大きな幅がございます。

 最後のページに載せているのは地域別の有効求人倍率でございますが、確かに、リーマン・ショック以降、日本全体の有効求人倍率が上がっていく中で、各地域の有効求人倍率も上がっているわけですが、しかし、一方では、地域によってはまだ厳しい地域がある、有効求人倍率がまだ一を超えていないような地域もございます。

 こういったところでは、より、地域の労働市場政策を行いつつ、地域の活力を維持向上させるといったことが必要かと思います。今は地方創生と言われておりますが、地方創生の第一には労働市場を整備して状況を改善するといったことが必要かと思いますので、今後はますます地域別の労働市場政策への配慮といったものが必要になるかというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

丹羽委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

丹羽委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川郁子君。

中川(郁)委員 自由民主党の中川郁子と申します。

 きょうは、五人の参考人の先生方に、お忙しいところおいでをいただきまして、大変貴重な御意見を頂戴いたしましたことを心からお礼を申し上げさせていただきます。時間が限られておりますので、全員の先生方にお聞きできるかどうかちょっとわからないわけでありますけれども、お許しをいただきたい、このように思います。

 雇用保険というものは、やはり失業した際の本当に支えであり、希望を持って新しい仕事を探す、そして準備をする、また生活の支えをするものである、このように思っています。

 先生方からの御意見の中に、雇用情勢が大変好転をしている中での今回の法改正であるという認識のもとにお話をいただいた、このように思います。

 一方で、私は北海道の出身でございまして、現在、厚生労働委員会の委員の中には北海道の委員というのは私一人ですので、少し北海道に偏った形でお聞きをする場合もあるかというふうに思いますので、お許しいただきたい、こういうふうに思います。

 まずは、最後の阿部参考人にお話をお伺いしたいところでありますが、北海道におきましては、幾つか雇用情勢が好転していない地域がございます。有効求人倍率がまだ一まで全然到達していない地域もあるという中で今回の法律改正があったわけでありますが、若年層あるいはそういう地域にも十分配慮した今回の改正であった、このように思います。

 しかし一方で、私、若い方たちとの対話をよくしているところでありますけれども、私の地域は小さい町村が多くて、成人式に二十人か三十人いらっしゃって、いろいろ対話をするところでありますが、その中で一割以上が、十八歳で学校を卒業して、二十までの間に、幾つも仕事をかえながら、自分の人生の方向性が決まらないままの方がいらっしゃる。そういう中で、中小企業の社長さんたちは、常に人手不足に悩んでいる。

 ミスマッチという観点で少しお話を聞かせていただきたいことと、そして、リカレント教育も含めて教育訓練の重要性などについて、もう少しお話を聞かせていただければというふうに思います。

 阿部先生、お願いいたします。

阿部参考人 十分にお答えできるかどうかわかりませんが、まず、地方では、やはり若年人口が減少していて、特にそういった一部の若年層が大都市圏に、多分首都圏を中心とした大都市圏に大学等で進学をし、そのまま大都市圏で就職をするといったことが起こっておって、それが大きな問題になっているんだろうと思います。

 そういった意味では、Uターン、IターンあるいはJターンと言われたものをより進めていく、そのためにはどうしたらいいのかということを、それぞれの地域で分析し考えていくといったことが必要かと思います。

 それぞれ地域には特色のある産業もありますし、あるいは特色のある職業もあるかと思いますので、そういったものを核にして、より産業が伸びていくことを考えるといったことが行われていますけれども、それをより一層政府が手助けをしていくといったことも必要かと思います。

 また、人々の生産性を上げていくためにも、そしてそれが地域の活性化につながっていくためにも、技術力あるいは知識、こういったものを高めていく必要があろうかと思います。特にこれからはAI、ロボットが本格的に登場してくることによって技術革新が進めば、技能の陳腐化ですとか知識の陳腐化といったものが進んでいくと考えられておりまして、そういった陳腐化を防止するためにもリカレント教育が必要になるのではないかというふうに思います。

 それから、もう一つ大きな問題としては、技能伝承の問題というのもよく言われております。

 私、先日、ある製鉄所に伺ったところ、今やその製鉄所の現場の人たちも、一割は女性が進出している。ところが、教える方は男性が多くて、女性にどう教えたらいいかよくわからない、あるいは、そもそも、高齢者の方が引退してしまって技術をどうやって伝えるかがなかなかわからないといったところもあるんだというようなお話をお聞きしました。そういった意味で、技術伝承を維持していくためにどうしていったらいいか、それをどういうふうに政府が手助けできるかといったことも必要かというふうに思います。

 御参考になったかどうかわかりませんが、以上でございます。

中川(郁)委員 ありがとうございました。

 次に、岩村参考人にお話をお伺いしたいというふうに思います。

 久しぶりに私の家の近くにある帯広のハローワークに行ってきました。本当に大変好転しているという状況を所長さんにお話を伺ったところでありましたけれども、保険料の話になりますが、保険料が下がるというのは、何でも下がるというのは誰にとってもうれしいことでありますから、保険料が下がることはいいことでありますが、一方で、雇用保険財政が悪化するのではないか、そういう懸念もあります。

 財政面についてはどのように審議会で議論をされて、またどういう意見が出たかということについて、先ほども御説明をいただきましたけれども、少し補足をしていただければというふうに思います。

岩村参考人 御質問ありがとうございます。

 審議会におきましては、雇用保険財政につきましても真摯に議論をさせていただいたところでございます。

 もちろん、先ほども申し上げましたが、雇用保険制度にとりましては、財政の安定的な運営というのは欠かすことのできないものでございます。そういう意味で、保険料を下げるということは、注意深くやらないと財政の安定性を損なう危険というのが常に存在いたします。

 この点につきましては、審議会におきまして、雇用保険の財政状況についてのいわば精査をし、そして、今回のように千分の二下げたとしても、財政的に何か揺らぎが生ずるということはないという検証結果を得た上で、労使ともに最終的には賛成をいただいたというふうに言えるかと思います。

 簡単ではございますけれども、ありがとうございました。

中川(郁)委員 大変ありがとうございました。

 次に、育児休業関係についてお話を伺わせていただきたいというふうに思います。

 私も、先ほどお話をしたように、私の地域は北海道の帯広市というところでありまして、今回、帯広市と、それから大企業のある札幌に行って、何人かの女性、大企業そして中小企業あわせて、いろいろなところでお話を聞かせていただいたところであります。

 私が聞かせていただいた皆さんのお話ですと、やはり育児休業制度についても、それから時短制度についても、取り入れている会社がふえてきているんだなというところで大変ほっとしたところでありますが、そういう中で、時短制度をとった後にも管理職になった女性もいらっしゃって、随分と御苦労されながらも頑張っておられる方がいらっしゃって、三十代は結婚、子育て、そして四十代は自分のキャリアについて考えながら仕事をする時期である、また五十代になると、これは、本当は女性だけではないんですけれども、介護について考えながら仕事をしていく時代である。それぞれのライフステージに、それぞれ考えながら、一方で、いろいろな皆さんがいろいろな事例をつくりながら女性の活躍というのは推進されていくんだというような御意見が多かったかというふうに思います。

 そういう意味で、育児休業以外に女性が育児と両立しながら継続就業するために必要なものは何であるか、あと五分しかありませんので、女性の参考人の皆様方に順番に一言ずつお答えをいただければありがたいというふうに思います。天野さん、矢島さん、上西さんの順番で、済みません、あと四分ぐらいになったので、一言ずつでお願いします。

天野参考人 御質問は、女性の活躍を進めるためにということでよろしいでしょうか。

 女性の活躍、やっとこの時代が来たなというふうに私は思っておりまして、政府の制度について、政策について大変期待をしております。

 口を酸っぱくして申し上げて恐縮ですけれども、やはり保育園がないと働き続けることが難しい、まずそこがベースのラインなのかなというところです。また、やはり男性の意識改革が最も重要だなというふうに思っていますので、男性の皆様方に御理解を進めていただくということが重要ではないかなというふうに思っております。

 以上です。

矢島参考人 ありがとうございます。

 私は、やはり育児休業から復帰した後の時間制約がある時期、短時間勤務あるいは所定外労働の免除といった形で働く人たちがきちんと一人前として役割を与えられ、公正に評価される仕事をする、こういう環境をつくることが最も重要ではないかと考えております。いきなり管理職ではなくて、時間制約がある中でも能力を発揮して評価されるということを踏まえて、その先のキャリアがあるのではないかというふうに考えております。

 また、そのためには、周囲の同僚の皆さんにも余り長時間働かないでいただく、これも非常に重要かと思います。

 以上です。

上西参考人 就職という局面に関連して申し上げたいんですけれども、今、女性活躍推進企業データベースというものがつくられていて、あれは非常にいいと思うんですね。

 各企業における女性の管理職比率ですとか、育児休業の取得者の数とかそういうのもありますし、男性と女性の平均勤続年数とか残業時間とか、コース別の残業時間とか、そういう職場の実態が非常に見える化されるような形になっておりまして、女性の求職者にとっても男性の求職者にとっても、より自分の能力を、キャリアを伸ばせるような企業を選べるということでいいと思いますので、そういうような職場実態の見える化というのは今後も進めていくことが必要ではないかと思っております。

中川(郁)委員 大変ありがとうございました。

 私が民間企業に就職をしたのが昭和五十六年でありまして、男女雇用機会均等法前ということで、女性は結婚したらやめるのが当たり前という状況の中でありました。現在、結婚してもやめる人はほとんどいない、子育てをしながら頑張っていく、そういう時代が来たなというふうに思っています。

 きょうは、参考人の皆様方にいろいろなお話を聞かせていただいたこと、本当にありがとうございました。参考にさせていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 よろしくお願いいたします。

 それぞれの参考人の皆さん、きょうは本当にありがとうございます。時間の関係で全員にお尋ねできるかどうかちょっとわかりませんが、質問をさせていただきます。

 まず、天野参考人に、実は、育休二年の問題と、それから、それぞれメリット、デメリットを挙げていただきまして、それぞれ当然あろうかと私も思いますし、我が党も条件つき賛成かなという一応立場ですので、私にそう言っても怒られませんので、思ったことを言っていただければいいと思うんです。

 実は、待機児童数のブラックボックス化というデメリット、それから逆にメリットとして四月の打席数がふえるとか、それぞれあったんですが、私、実は、両方のことが実際今起こっている問題の中で起こりかねないと思って聞いていたんです。

 それは、森友保育園という、ちょっとこれは例を出して恐縮なんですが、実は、保育園で虐待の疑いがあって、近く大阪市が立入調査に入る。しかし、まさに今、そこに募集で園児さんを行かせようと思っている親御さん、あるいは行っている親御さんもいるわけですが、これは二パターン今後考えられると思って、実はこの問題と関連すると思って、お尋ねするんです。

 結局、では森友保育園に入れる、しかし、今問題になっているのは、保護者の間でも、いや、虐待が行われているような保育園、可能性があって、そこに我が子を入れるのかどうなのか。かといって、私もやめさせたお母さんの話を聞きましたが、ほかが落ちて、ようやく入れた、決まって内定している、断るのか。基本的には二者択一ですね。どちらも私、問題が起こると思っているんです。

 当然、そこに入れてしまって、もし、そういうお仕置き部屋とかいろいろなことが行われているという話を聞いていて、自分の子供がそういう目に遭う、ではそれを回避しようと思って入るのをやめたら何が起こるかというと、これは、待機児童数カウントの統一化という話があったんですが、実は待機児童数にカウントされないということに多分なるんですね。そうすると、隠れ待機児童が実は増加してしまう。打席数はふえるかもしれないけれども、入れてもそういう問題があって、入れなくてもそういう問題がある。

 きょう、保育の質の話もございました。どっちにしたって、やはり、待機児童解消、保育園の整備、質が担保されていることが重要だと言われる中で、こういうような選択を迫られているお母さん方も出てきているんですね。

 ですから、一人の親御さんとしてこれは究極の選択になってしまうんですね、どっちを選ぶか、もし自分がそういう環境になったら。これは、待機児童のカウントの統一化の問題ともかかわるので、一人のお母さんとしてどちらを選ぶか、あるいはどう悩まれるか、よかったら教えてください。

天野参考人 大変難しい選択なのかなというふうに思います。

 ただ、ちょっと個別の事案につきましては、私がその園に入れるか入れないかというところについては、御回答は控えさせていただきたいんですけれども、この問題というのは、やはり保育園の需給バランスが崩れているということが一番の大きな問題です。親に選択肢がないということですね。もうここしかないよというところに入れていいのか、いけないのかという不安に常にさらされているわけであります。

 園の事業者側も、保育の質やサービスの向上を目指そうという思考がやはり生まれにくい状況ですね、競争原理が働きませんので、幾らでも園児が入ってくるという状況ですから。そういった状況が改善されませんと、やはり選択ができないという状況を改善しなければ解消できない、保育の質が担保できないというところになるのかなと思います。

 なので、待機児童解消のための保育園の受け皿の拡大ということが、保育の質の向上の効果を生み出すというふうに思っております。かわいい我が子の預け先はどこでもいいというわけではないというふうに思っております。

柚木委員 重く受けとめなければいけないと思います。

 続いて、上西参考人にお伺いできればと思うんですが、資料の五ページ目のところで、募集時に示された仕事と、実際に採用されてさせられる仕事が異なる、そのことに対しての、この法改正におけるさまざまな危惧を指摘いただきました。おっしゃるとおりだと思うんですね。

 これは、ちょっとまた重ねての例で恐縮なんですが、私、森友学園の関係で取材していて、今度は塚本幼稚園の話なんですが、実際にもうやめちゃったんですけれども、その先生も、事務職で求人募集に行った。ところが、幼稚園の教諭の資格を持っているその先生は、いきなり担任を持たされちゃった、話が違うじゃないかと。しかし、今さらと。そういう中で担任をやったんですけれども、一言で言うと、教育方針に強烈な違和感を感じておやめになってしまったんですね。

 こういう例も含めて、私がちょっと危惧するのは、このようなことが仮に起こったときに、デメリット、負の影響として、例えば保育士さんもそうですけれども、不足している業種、業態ほど、こういうような懸念が顕在化すると、ますます人手不足、負のスパイラルに陥りかねないんじゃないかと思うんです。

 ですから、まさに求人詐欺のようなことに、仮にこの法改正が、抑止じゃなくて、むしろ、そういうことを後押ししちゃうような改正になった場合に、より不足している業種、業態ほどその影響を受けかねない。保育士さんも介護士さんもそういう業界ですね。そのようにちょっと懸念するんですが、御見解をいただければと思います。

上西参考人 募集の職種と実際の職種が違うというのは、保育園、保育士に限らず、いろいろなところで起こっておりまして、新卒でも起こっております。アルバイトでもありますね。アルバイトであれば、まだ仕事をやめるということも簡単なんですけれども、就職活動の場合は、先ほどちょっと時間に制約があって余りお話しできなかったんですけれども、資料の七ページを見ていただきますと、最初の募集が出てくるのが、今の三月なんですね。就職するのが来年の四月です。非常にその期間が長い。

 では、自分は教員として採用されるんだとか、自分は事務職で採用されるんだということを考えて就職活動して、ほかは全部断って、もうここに行くと決めて、にもかかわらず、四月になってから初めて、全く違う仕事を任される、全く違う労働条件を提示される、これは非常に大きな問題なんです。

 その大きな問題に対して、きちんとした手当てが今回の法改正案でできていないんじゃないかと思うんですね。ただ、いや、事務職で募集していたけれども、あなたは営業職の方が向いてそうだからみたいなことを言われてしまう可能性があるので、そのあたりをどこまで厳密にするかというのは、難しい問題ではあるかもしれないんですけれども。

 ただ、今回、審議時間が非常に限られている中で、いろいろな論点が話題になっちゃうので、この問題について、皆さんが審議を十分にいただけないのは私としては大変残念なんですけれども、そういうような、君ならちょっと労働条件を下げるみたいな話と、実は、固定残業代はあるんだけれども隠しているという話は、結構違う問題なんですよね。君だから固定残業代をつけるという話ではないので、本当は固定残業代の話もきっちりとこの会で審議をしていただきたいです。

 それから、おっしゃるとおり、人手不足というのはいいように思われますけれども、求人倍率も状況が好転してきていいように思われますけれども、やはり人が来ないところほどよく見せようということは起こりますので、法改正がきちんとした実効性のあるものでないと、正直に労働条件を、実際の労働条件を明示したところの方がある意味ばかを見るというか、そういうことにもなってしまいがちになると思いますので、ぜひそこのところは慎重に御検討をお願いします。

柚木委員 ありがとうございます。

 ちなみに、突然先生がやめるとクラスが統合されたりして、保育、教育の質にも私はマイナスの影響があると懸念をしておるところです。

 続いて、矢島参考人に伺いたいんですが、これは天野参考人も同様に、男性の育児参加の重要性、有効性についてお話があったと思います。

 それで、私自身もこれまで提案をさせていただいてきたのが、男性の育児参加を促す上で、天野さんはお得感、子育てのお得感と言われたんですが、私は、企業にとってもお得感、メリットがあるということを、あるいは経済にとっても、男性の育児参加が進むことで、これは、例えばなんですけれども、男性がとった期間、具体的な提案は天野さんからもありましたけれども、一〇〇%休業補償する、お金の壁があるという話がありましたから。

 そして、それをよりとってもらうためのインセンティブというか、制度の壁を乗り越える、プラスしてパパクオータ、割り当て制、これは割り当てといってももう二・六五%で、パパ・ママプラスが一%台で全然実効性が上がっていないから、多少、義務化ぐらいのことをやらないと。

 これは、男性の勤労の権利とかいう話が、ちょっと役所の方とやっているとあったんですけれども、女性の勤労の権利も当然あるんだから、同じように。そうすると、多少義務化的なことも含めてのパパクオータ、割り当て制をセットで、休業補償一〇〇%とパパクオータ、割り当て制を多少義務化をして、そして、そういうことをすることで私は実は男性の労働生産性も上がると思うんです。

 実は、ワーク・ライフ・バランス先進企業をグローバルで調べたときに、シカゴ大学の山口先生が、そういう制度を先進している企業ほど、そうでない企業と比べて利益率が二倍ぐらい高いという、これはよく日経新聞とかの社説にも取り上げられています。

 矢島参考人、御専門だと思うので、男性に、まさにこういう、イクメン企業アワードというのもあるわけですけれども、一〇〇%休業手当、そしてパパクオータを多少義務化した割り当て制などを導入してより実効性を上げて、そのことが私は女性の復職の支援になるとも思っています。働く女性、子供、アンケートをとると、一番必要なのは保育園じゃなくて夫の理解、協力です。

 企業にとっても利益率が上がる、経済にとってもプラス、こういう視点で、今の一〇〇%休業補償の導入やパパクオータの割り当て義務化などの視点について、いかがお考えになられますでしょうか。

矢島参考人 ありがとうございます。

 女性の就業継続や活躍において、男性の育児参加、家事参加ということが非常に重要であるということは私もそのとおりだというふうに考えております。

 その上で、男性の育児休業がどのようにしたら進むのかということについては、幾つか、確かに施策としては休業補償やクオータという考え方もありますが、私は、今の時点で申し上げますと、さらに言いますと、やはり働き方改革といいますが、職場が余りにも休まない、あるいは残業ありきの働き方になっていて、少しでも休むことが非常に大きなマイナスになる。

 それは、どちらかというと、調査していますと、休んだ間の給与の問題だけではなくて、その後のキャリアに対する影響を非常に気にしている。調査してみますと、女性の場合は一年以上休んでいるわけで、その後のキャリアへの影響というのにダイレクトに響くのは、懸念はわかるんですが、男性の場合、育児休業を一週間程度しかとらなくても非常に評価を気にするというようなところがあります。

 ですので、そういった問題も今後検討する、あるいは、今進んでいる、男性も女性も含めた柔軟な働き方を企業に浸透させるという取り組みの中で、柔軟な働き方と柔軟な働き方に対応した人事評価制度、こういったものの導入がやはり男性の育児休業ですとか、あるいは育児休業以外のふだんの生活の中で子育てや家庭に参加していただくということも非常に重要なので、そういったことを促進する上では、今働き方改革が非常に重要なのではないかというふうに認識いたします。

 ありがとうございます。

柚木委員 ありがとうございます。

 最後にいたしますが、今参考人おっしゃられたように、私もちょうどイクメン議連というので、経産省の育休をとったキャリア官僚の方を呼んでやったら、とるときに上司から、おまえはもう出世を諦めるのかと言われた、そのとおりですね。だから、そういう問題、後のことも含めてだと思います。

 ちょっと最後に、恐縮です、ほかの参考人の方、天野参考人に再度伺いますが、今男性の育休参加のことを矢島参考人に伺ったんですけれども、実は、この雇用保険法改正の議論を審議会でやっている中で、育休二年のうちの三カ月だったと思いますけれども、これを男性にまさに割り当てるというような議論が実際あったと聞いているんですよ。にもかかわらず、今回そういうことになっていなくて、育休二年、三年だっこし放題のときもそうなんですけれども、男性がとることを前提に多分考えていないのです、制度設計、パパ・ママプラスを考えてもね。

 例えば、やはり半分ぐらいは男性がとるようなことに本当になれば、そういうことで、では家事、育児に参加している御家庭、時間数が多い家庭ほど、二人目の壁を乗り越えて、そういうことがなかなかない御家庭と比べて五倍から七倍ぐらい二人目の出生率が違うというデータもあって、お子さん一人目のときでも、二人目は無理だとお母さんが一番思ってしまうのは、やはりお父さん、夫の育児参加だと言われております。

 ですから、これはやはり、育休二年をするにしてもしないにしても男性のそこにおける参加というのが最重要のように思いますし、二〇二〇年女性管理職三〇%のためには、私は二〇二〇年男性の育休三〇パーいけばパラレルだということを提案しているんですけれども、実際にお母さん方の声を聞いていて、では、お父さんにそういうのをとってねというようなことを言うとか、あるいは、話をするときに、お父さんはオーケーだよ、とってくれそうだと、御提案として、半分ぐらいはお父さんがというのがあったんですけれども、実際そういうのをとってくれそうかどうか。

 それからもう一点は、それを、しかし二年とることによって、またそれも待機児童にカウントされない、隠れ待機児童がまたふえてしまうという悩ましい問題も他方であるような気がしていて、こういう点について、二点まとめてでございますが、お答えをいただくことはできますでしょうか。

天野参考人 男性の育児休業の取得というところですけれども、私の夫も、隠れ育休ということで、やはり育児休業というものを取得することができませんでした。

 一〇〇%給付の話も、ちょっと最初は私の方でも、お金、財源の問題がありますので、どうかなというふうな思いがあったんですが、男性の方々にヒアリングをさせていただいたところ、やはり収入の壁というのが大きいと、男性の方が女性よりも収入が大きいということがありますので、そこの家計へのダメージが非常に大きいというところが要因の一つだなというふうに感じています。

 あと、また先ほど義務化みたいなお話もありました。義務化の話もしましたけれども、義務というと抵抗がやはり大きいのではないか。義務にしちゃえばいいんじゃないというと簡単なんですけれども、それは抵抗が大きいので、やはりお得、とったら得だよねというふうにするのがいいのではないかなというふうに、皆で話し合った結果、そのような形になっています。

 あと、韓国の事例を御紹介しましたけれども、今ロッテグループでは、男性の育休一カ月、これが義務化されているそうです。給付金というのは、基本的には、もう上限が決まっていまして、平均賃金のところが上限額になっています、一〇〇%給付ということになっても。ただ、ロッテの場合は、給与所得が普通の平均賃金より高いですから、その差額分までを企業が給付するというような仕組みになっているということで、非常に取得率が上がっているということのようです。

 あと、また男性が育休を取得すると、企業の方が困りますと言い出しますので、男性がいなくなることを前提に考えれば、カウントをもっとしてくれというふうに求めてくるでしょうし、また、企業推進型、企業型保育所というものの推進にもつながっていくというふうに思っています。

 あと、また男性が育休をとると、働き方改革、やはり、お尻が決まっているとか、家事、育児がどんなに大変だということが当事者として実感できますから、そういう意味でも、男性が育休をとって、どれだけ育児、家事が大変だということを理解した上で仕事に行けば、早く帰らなきゃいけない、奥さんが怒っている理由がわかる、だからちゃんと定時に帰れるように生産性を高めなきゃいけないというふうな気持ちのモチベーションが上がります。だらだらと仕事をしないということですね。そういった礎になっていくのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

柚木委員 以上で終わります。

 質問できなかった参考人の方、申しわけありません。ありがとうございました。

丹羽委員長 次に、角田秀穂君。

角田委員 公明党の角田秀穂でございます。

 五人の参考人の方には、本日、朝早くから御出席を賜りまして、心より御礼を申し上げたいと思います。

 私も、時間が限られておりまして、できれば皆様の御意見を賜りたいと思っておりますけれども、時間の関係で、お聞きできないこともあろうかと思います。あらかじめ御容赦いただければと思います。

 私の方からは、女性の活躍しやすい環境づくりということについて、初めは岩村参考人、矢島参考人にお伺いをしたいというふうに思っております。

 働き続けたい、こう希望する女性が希望どおりの働き方ができるようにするための環境づくりということについては、これは労働法制のみにとどまらず、やはり税制でも、女性が就業調整をすることを意識せずに働くことができるようにということで、配偶者控除の年収の上限引き上げなども図られようとしているところですけれども、これについてはまだ不十分という批判もあります。

 税金の面では控除の限度が引き上げられたといっても、夫の勤める会社の配偶者手当であるとか、現在、民間の事業所のうち四分の三以上が家族手当制度を持っていて、そのうち九割以上が配偶者に手当を支給していて、このうち約八五%が配偶者の収入による支給制限を設けていて、最も多いのが百三万円ということで全体の七割を占めている。また、百三十万円というのも二五%という実態が、女性の就業調整の一因ともなっているということから、こうした男性中心型の雇用慣行の変革を進めるために、政府としても、こういったことについても見直しを働きかけていかなければならないと思いますし、女性が就業調整をあえてしなくてもよいようにするために考えなくてはいけない課題はほかにもあると思いますが、ただ、そうした壁を仮に全て取っ払って、働き方に中立な税制や企業の手当見直し等が実現したとしても、直ちにそれで年収三百万円あるいは四百万円を稼ぐようになるかといえば、現状はそうではないだろうというふうに思います。

 これまで、育児休業制度の段階的な拡充、近年では短時間の勤務制度や介護休業制度の拡充などの効果も上がってきてのことだと思いますが、子育て世代が多い三十代女性の労働力率の落ち込み、いわゆるM字カーブの底も持ち上がってきております。

 国立社会保障・人口問題研究所の調査でも、第一子出産後に就業継続した女性の割合は、かつては四割前後で推移してきたものが、直近では五割を超えるまでになっておりますが、その一方で、依然として五割、半分ぐらいの方は出産、育児ゆえに退職をしている現状に対して、就労継続支援の一つとして育児休業期間を二段階で延長できるようにすることが本改正案にも盛り込まれておりますが、これは一面では、保育所の整備が追いつかない大都市などの要望を踏まえたという面もありますけれども、本来、キャリアブランクが長期化することは好ましくないという意見も、一方であります。育児休業期間の延長についての評価について、まずお二方の参考人にお伺いしたい。

 それから、あわせて、実際に今育休を取得できているのかどうか、ここを見てみますと、全体的な取得率というものは上がってきているものの、中小零細、特に非正規で働いていらっしゃる方はなかなか育休がとれていない、育休をとらずにやめてしまっているという方も多数いると考えられます。

 こういったことについては、国としてもしっかりとした調査をして、今後の施策に役立てていく、そうした取り組みも必要だろうと思いますけれども、非正規で働いている方の就業継続支援の充実、これもこれからの大きな課題と考えますが、この点についてのお考えをあわせて伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

岩村参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、今回の法改正における育児休業の延長についてでありますけれども、私自身は、政策の大きな方向性としては、やはり先生もおっしゃいましたように、保育所をふやすということだというふうに思っております。ただ、これはハードウエアに係ることでありますので、そう急になし遂げられるということでもございません。そういった状況を勘案しますと、今回の延長というのはやむを得ない措置かなというふうに考えているところでございます。

 それから、非正規の方の育休の問題というのは非常に難しい問題であるということは、おっしゃるとおりだと思います。これについては、例えば現在のところでは、有期契約の場合であれば、それを無期に転換するということが徐々に進んできているところでもありますし、非正規の人をどうやっていわゆる正規に転換していくかということを政策的に誘導していく、あるいは推し進めるということを通して、育休をとりやすくするということを考えていくのが一つのあり方としてあるかなというふうに思っております。

 以上でございます。

矢島参考人 ありがとうございます。

 今回の育休の延長については、先ほども私、述べさせていただきましたけれども、基本的には、今まで、一歳を超えて保育所に入れなかった方が一歳六カ月まで延長できる、ただ、生まれ月によって大分不平等がある、そのために、早期に、早い段階で、ゼロ歳児で、本人の希望ではなく保育所を探さなければならないという方もいたという状況を考えますと、二歳までで、全ての方が一歳を超えて、比較的入所の可能性の高い四月まで延長できるということに意味があるかなというふうに思っております。

 ただし、そこを超えてとなりますと、やはり、本人も、企業にとっても、ただ単に育児休業期間が長くなるというだけではなくて、復帰の時期の見込みが立たなくなる、この問題が非常に大きいと思いますので、四月を超えてというところは非常に慎重にならなければならないところではないかと考えております。

 また、今回の延長が、ちょっと先ほどの御質問の方のお話にもありましたけれども、決して育休が二年になったというふうに捉えられないようにしなければならない、誤解されないようにしなければならないということは強く申し上げたいと思います。あくまで一歳が基本であるというところ、そして、その後、やはり柔軟な働き方で復帰する。

 これは日本の場合、今まで非常に三歳児神話というものが根強くある中で、ようやく女性たちが、一歳まで育児休業をとって、その後、短時間勤務がとれるのであれば、働きながら子育てができるというふうに、ようやく気持ちの折り合いがついた時点なんですね。だから、一歳が二歳でも、どちらでもいいじゃないかという話ではなく、そういう形であれば、企業側も一歳までの育休だったら受け入れられるということで折り合いをつけ、その後の短時間を認める、そして、女性たちの側も、一歳から保育所に預けるということをようやく気持ちの中で多くの方が受け入れたので、就業継続に結びついたと思うんですね。

 この点は非常に大きいので、決して今回の法改正が、育休が二年になったというふうに受けとめられないように気をつけることが重要ではないかと思いますし、あと、有期の方と中小の問題の格差というのは非常に深刻だと思いますので、ただ、有期に関して言うと、有期契約労働者の方の就業継続という言い方に若干の矛盾がございまして、その中で、正規への転換を希望される方、あるいはそういったチャンスのある方は、積極的に正社員への登用というのも進めていくことが重要ではないかと考えております。

 以上です。

角田委員 ありがとうございます。

 引き続き、岩村参考人、矢島参考人にお伺いをしたいと思っておりますけれども、希望すれば働き続けられる環境の整備、依然として大きな課題として残っていて、必要な施策を推し進めていく必要があると思いますけれども、同時に、キャリアが断絶した女性も能力を最大限発揮して活躍できる環境を整えていく、これも非常に大きな課題だと考えております。

 このために、今回の法改正に当たって、離職後に出産、育児でブランクがあっても、必要とされる能力を身につけ、あるいは能力を向上させて再就職しやすくするために、専門実践教育訓練の指定講座数を二千五百から倍にふやすであるとか、また、この中で、子育て女性のためのリカレント教育の講座であるとかEラーニング講座の新設、増設を厚労省としては推し進めるということにしております。

 さらに、これは省令の改正になりますけれども、出産、育児等によって離職後一年間の教育訓練が受けられない場合に延長できる期間を、現在の離職後四年から十年まで受けられるようにするなどの見直しも予定をされております。

 このことについて、まずお二人の参考人にお伺いしたいと思いますが、出産、育児によって一旦離職した女性に対する今回の支援施策に対する評価、それとあわせて、女性が活躍しやすい環境づくりに向けて、今後どのような政策展開が求められているのかについてお考えを伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、三ッ林委員長代理着席〕

岩村参考人 御質問ありがとうございます。

 できればキャリアを中断せずに、育児休業をとった後に復職するという方が望ましいというふうに私自身は考えておりますが、それでも、さまざまな理由から退職してしまう女性の方というのもいらっしゃるわけでありまして、やはり一番大きな問題は、先ほどほかの参考人の方々もおっしゃっていましたように、そうしてキャリアが中断しますとスキルがなくなってしまう、あるいはスキルが衰えてしまうということによって、ますます就職の道が閉ざされていくことになっていくというところだと考えます。

 そういう意味で、今回、雇用保険法の改正の中で、教育訓練給付についての拡充ということを行い、特にキャリアを中断してしまった子育てをしている女性について、より充実した訓練の機会を提供して再就職へと導くという方向が採用されたというのは、非常に肯定的に評価してよいのではないかというふうに思います。

 出産、育児等の、そういう状況に置かれている女性の方々の今後の処遇をどうしていくかということは、非常に多くの問題にかかわる難しい問題だと思いますけれども、やはり第一義的には、保育のサービス等の充実によって、育児休業をとった後に、もとの企業に復帰するということをいかに推し進めていくかというのが一番肝要だというふうに私自身は考えております。

 簡単ではございますけれども、以上でございます。

矢島参考人 先ほど申し上げましたとおり、妊娠、出産期に就業を継続できる女性は大分ふえてまいりました。ただ、その後、やはり夫の転勤の問題であるとか、あるいは親の介護問題で一旦会社を離れる方もいらっしゃいますので、そういった意味で、再就職の機会、そしてそれに向けての教育機会が充実されるというのは大変意義のあることだと思います。

 また、最近では、妻の転勤に伴って夫が離職するということも私どもの調査の中で確認されておりまして、今後は、二十代の男女の中では賃金格差も大分縮まっておりますので、そういうことを考えますと、どちらがどちらについてということは、さまざまなケースがあるのではないかなというふうに考えております。そうした中で、再就職へ向けての教育機会が充実するというのも大変重要ですし、また、そういったライフイベントによるいろいろな人生設計が、生涯の中で何度か変わる可能性があるということが、これから男性も女性もふえてくるのではないか。

 そういう意味で、現在、文部科学省では、高校生に向けてのライフプランニング支援ということで教材の開発等の検討を行っていますけれども、高校、大学生、学生の方ですね、そして大人になってからは、男女共同参画センターや大学のリカレント教育などで、やはりライフプランニング、自分の人生をさまざまな場面で立て直していく、計画していくということの取り組みも重要ではないかなと考えております。

角田委員 ありがとうございます。

 たくさん質問を用意してきたんですけれども、時間がなくなってしまったので、最後、一点だけ、労政審で法案作成の過程、さまざまな議論にかかわってこられた岩村参考人にお伺いしたいと思います。

 いまだにどうするか結論が出ていない課題の一つであるマルチジョブホルダーについてお考えを伺いたいと思いますけれども、本業も副業も雇用者である労働者は百万人以上いると言われて、実態は正確に把握されていませんけれども、雇用保険が適用されないという労働者も三十万人いると見積もられておりますけれども、これは増加傾向にあって、今はまたマイナンバー制度の導入、こうしたものをきっかけとして、適用対象の拡大について早急な検討が求められていると思いますけれども、この点について最後にお考えを伺えればと思います。

岩村参考人 御質問ありがとうございます。

 今先生おっしゃいましたとおり、マルチジョブホルダーにつきましては、審議会におきましても一つの課題として認識しているところであり、議論をしているところでございます。

 ただ、マルチジョブホルダーの場合、失業というのをどのように考えるかという非常に難しい、雇用保険の根本にかかわる問題であるとか、あるいはマルチジョブホルダーを被保険者としてどのように把握するのかといったような問題が存在しまして、今のところ、まだ具体的に議論を詰めるところには行っておりません。

 聞いているところでは、今後、検討会などを立ち上げて、基礎的な研究をまずやって議論を進めていきたいというふうに聞いているところでありますので、これからの議論かというふうには思っております。

 ありがとうございます。

角田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長代理 次に、堀内照文君。

堀内(照)委員 日本共産党の堀内照文でございます。

 本日は、お忙しい中お越しいただきまして、また、貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。

 早速質問させていただきたいと思います。

 最初に、岩村参考人に伺いたいと思います。

 失業給付に係る国庫負担についてであります。

 私は、減らすのではなく、やはり給付の拡大に使うことが必要だと考えております。

 今、本則の五五%にまで下げられた国庫負担のあり方については、これまでの部会報告や国会決議で、できるだけ速やかにとか、早期に本則に戻すということが指摘され続けてきました。ところが、今回の部会報告では、基本的にはこの立場に立つべきだとしながら、きょうも冒頭の陳述では、過去に下げた例もあるということがありましたが、報告ではさらに、未来への投資を実現する経済対策での指摘も考慮してということで、一〇%にまで下げられております。

 きょう陳述の中で、国の責任を体現したものだということもおっしゃっていただきました。だからこそ三年間に限定をした措置なんだろうとは思うんですが、この本則へ戻すということの必要性についての御認識を改めて伺いたいと思っております。

岩村参考人 御質問ありがとうございます。

 まず、審議会におきましても、この国庫負担の問題というのは、かなり真摯な議論をしたテーマの一つでございます。

 やはり公労使三者一致しておりまして、雇用保険会計における国庫負担というものは、先ほども申し上げましたけれども、国の雇用政策あるいは経済政策上の責任というものを具体的にあらわすものであるというところから、ぜひともこれは本則の負担率に戻していただきたいというふうに考えているところでありまして、この点は揺らぎがないというふうに申し上げたいと思います。

 ただ、いろいろな状況の中で、今回も引き下げを受け入れざるを得ないという苦渋の決断をしたということも事実でございまして、その点は、例えば雇用保険部会の意見書と報告書等にも記載しているとおりでございますので、もし機会があれば御参照いただければというように存じます。

堀内(照)委員 前回、昨年の法改正のときの参考人質疑で、当時の井上全労連事務局長が失業する権利ということを言われ、私は新鮮に受けとめたんです。つまり、今ブラック企業が問題で、ここに入ってしまった場合、自己都合でやめたとしても、給付制限の期間なしに失業中の生活保障がある、安心して次の仕事探しができるということは大事だという指摘でありました。

 モラルハザードという議論もあるんですが、阿部参考人からも示されました中で、六十歳以上とそうでない層とではやはり再就職の動向が違うんだという指摘もありました。そうだろうと思うんです。やはり生活のために早く仕事につきたいというのが基本だと思います。給付制限期間の見直し等、給付の拡大こそ必要だなと改めて思ったところであります。

 続いて、天野参考人にお伺いしたいと思っております。

 子供を産むと損する社会という指摘は、ぐさっと、今の政治の一番の課題といいますか、そこを本当に当てた指摘だというふうに受けとめました。育休延長よりも保育園をというのも、本当にそのとおりだと思っております。その上で、育休を取得できる労働環境というか、職場環境をどうつくるのかということでお伺いしたいと思っております。

 これは矢島参考人からも、本当に的確なデータと、とりやすい環境整備をという指摘もあったところだと思うんですけれども、一つは、マタハラの増加の懸念と言われました。やはり、ただでさえ忙しい職場で、抜けるとそのしわ寄せが来るということだと思うんです。そういう意味では、今の長時間労働や過密労働といったような環境をどう改善するのかというのは課題だろうかと思っています。

 それから、男性の育児休暇の取得についても指摘をいただきました。仕事と家庭の両立ということも含めて考えても、やはりこの長時間労働の是正というのは待ったなしの課題だと思っているんです。天野参考人からは、男性の場合は特に、本人の意識と収入と代替要員等々、そういった壁があるんだということもありましたので、そういった働き方改革について、天野参考人の御意見、お考えをぜひお聞かせいただきたいと思っています。

天野参考人 ありがとうございます。

 御指摘いただきましたとおり、育休延長を可能にする労働環境というところですが、これも女性活躍推進と同じ話だと思っております。まず、制度がきちんと整わなければいけないということ、そしてあと女性が活躍できる機会、皆さんの意識の部分ですね、そしてあと女性本人の意識、やはりこの三つがセットになっているのではないかなというふうに思います。

 やはり、制度がなければ使うことはできませんので、そういった設計が必要ですし、機会、これは男性の職、仕事を提供するだかとか、あとマネジメントの部分でどういうふうに差配をしていくのかというところが大きな課題なのかなというところ、そしてあと、女性側の意識のところについても、育休二年になったからラッキーというような考え方ではなくて、いかに会社に貢献できるか、社会に貢献できるか、そして家族をどうやって大切にできるかといったところの視点を意識高く持つ必要がやはりあるのかなというふうに思っております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 もう一点、天野参考人に伺いたいんですが、この間、待機児童対策では、規制緩和をして小規模保育をふやしていく、それが結局、三歳の壁という新たな問題も生み出しております。そういう点で、待機児童対策に何を求めるか。保育園ということがここに書いてあるように、受け皿ということで何を求めるのかということを、ちょっと御意見を伺いたいなと思っています。

天野参考人 話し始めるとすごく長く深くなってしまうんですけれども、三歳の壁を御指摘いただいてありがとうございます。

 おっしゃるとおり、小規模保育園というのが近年できまして、ゼロ、一、二までが入ることができるんですけれども、三歳になると追い出されちゃうわけですね。

 今、現行制度で、小規模保育園に三歳も入れられるような形に変わろうと、変化しようとしていますけれども、三歳児を持っているお母さんたちがおっしゃっていらっしゃるのは、小規模保育園というのは、名前のとおり面積が小さな保育園になります。やはり例えば三歳の男の子とかになりますと物すごく活動量が大きいですし、こんなに小さな空間に押し込めていいのかなという思いがお母さんたちに一つあるのかな、親御さんたちの思いに一つあるのかなというところと、狭さだけではなくて、外遊びもなかなかしにくいような場所。マンションの一室とかにどうしてもなりますので、雨が降ったらもちろん外で遊べないんです。やはり、そういったところでちょっと遊ばせてあげる、雨がやんだから外に出せるね、園庭に出せるねというような状況にないというところになると思います。

 三歳の壁のお話もありますけれども、いろいろなことを踏まえていって、待機児童を解消していく先に、何か義務教育化みたいな話も一部でありますけれども、またそこは、義務という話になるといろいろ御意見があるとは思いますけれども、待機児童を解消することと、受け皿をふやしていくこと、そして保育の質を同じように担保していくことが必要。そのステップの上でまた、今、待機児童は八十万人、百万人とも言われていますけれども、そこのところの受け皿の無償化だとかそういったところも含めて視野に入れながら、一つ一つ手を打っていただきたいなというふうに期待しております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続きまして、上西参考人にお伺いしたいと思います。

 学生の就職活動を間近にごらんになって、その実際からの提言だと、深く納得して聞かせていただきました。募集時からの労働条件の変更へのお墨つきを与えてしまうという指摘も、本当にそのとおりだと思いました。

 それで、お聞きしたいのは、その問題で、労働条件変更の内容を明示すればいいということになれば後出し変更を許すことになると。これは、この委員会での質疑のことも先ほど御紹介いただきましたけれども、はなから変更を見込んでいたらそれはもう虚偽になるんだということでありましたが、それではどこで虚偽を見分けるのかというのが大問題なんだろうと思っています。参考人からも、その立証は困難だという話がありましたけれども、そういう能力を見きわめるとか、本当に困難だという点をもう少し詳しく述べていただけたらと思うんですが。

    〔三ッ林委員長代理退席、委員長着席〕

上西参考人 この求人トラブルの問題は二つに分けて考えることが必要だと思っていまして、一つは固定残業代を隠すという問題ですね。それからもう一つは、仕事とかいろいろな労働条件を途中で変えるという問題です。

 固定残業代を隠すという問題については、人を見て変えるということはあり得ないので、そこを隠せないようにするために、最初の募集要項の段階できちんとそれを明示させることを省令で定めるということが大切だと思っています。

 一方の、人によって職種とかいろいろな労働条件を最初の募集と実態で変えるということが虚偽かどうかというのがわかるのかというのは、十日でしたか、高橋議員もやりとりがありましたけれども、本当に、一人、二人だったら、その人に見合ったものをやったんですよみたいに言われちゃうんですよね。

 例えば百人を事務職で雇ったのに百人全員販売職に配置をしました、これはやはり明らかにだめだよねということはわかるんですけれども、では、それが一人、二人だったらどうかというと、やはり実証ができない。

 例えば女性と男性の賃金に格差があるかというのは、一つの会社の中で何十人という女性と何十人という男性を比べて、ある程度合理的な格差があるかどうかというのは判断できると思うんですけれども、就職の場合というのはそうではない。本当に、数名だけ入るとか、十数名しか入らないという場合はありますので、その中で、何か大量観察みたいな形で、これは虚偽ですねと判断ができるかというと、できない。

 ですので、虚偽かどうかというところでの厳格化というのは恐らく不可能であって、募集時のきちんとした表示というところにより焦点を当てることが大切だと考えています。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 続きましても上西参考人に伺いたいと思います。

 今ありましたように、募集時にしっかりやると。特に固定残業代の場合は、変更どころか隠されてしまっているということでは、なお問題があるわけで、募集時の明示というのが非常に大事だということは非常によくわかる指摘だと思いました。

 そのことも含めた虚偽求人で、実際に学生さんや卒業生の皆さんが長時間労働を強いられたり、心身ともに壊されていくようないろいろな実態があろうかと思うんですが、先生御自身がいろいろ接した中で見てこられたような、そういった卒業生、学生の実態、実際というもの、御紹介いただけるものがございましたら何か教えていただけたらなと思っております。

上西参考人 今、募集要項の段階できちんと確認するということが大切で、でもそこに隠されてしまっている問題があるというお話をしましたけれども、今、就活が始まっていますね。では、就活に関して何が語られているかというと、いろいろなところを回りましょうねとか、マナーはきちんとしましょうねとか、何かそういうことばかりで、入った後にそういう求人トラブルというのはすごく表面化をするんだけれども、今就職活動している学生たちにそこが届いていないんですね。なので、私なんかも、今就職活動している人に、募集要項を見てということをすごく言いたいんです。

 最初に、労働条件は余り気にしないで、やりたいことを考えて就職活動する、最終の面接ぐらいの段階で、実は残業代が入っているんだけれどもいいよねみたいに言われちゃうというのが現実にあるんです。そうすると、学生からすると、まあそこだけ我慢すればいいかみたいに思ってしまうんですね。実際、そういう相談を聞いたことがあります。ほかは全て自分はこの会社に満足だ、ただ、残業代が入っていることを最後の段階になって知った、どうしようかと思っているけれども、でも行こうと思いますというような話なんですけれども、それは本当は、最初の段階できちんと検討していれば、また違った企業への就職ということを考えたんじゃないかなと思います。

 そういう意味で、最初の段階で、募集の段階できちんと明示をさせるということと同時に、ワークルール教育、労働条件の見方とか、契約とは何かとか、そういうことに関して学生がきちんと認識できるような、ワークルール教育を含めたキャリア支援というのが必要だと考えております。

堀内(照)委員 ありがとうございます。

 先生がこれまでお書きになったものなんかを読みますと、それこそ、面接のときに労働条件を質問すると何か目をつけられるとか不利になるというようなことも指摘されて、ああ、なるほどなと思った次第であります。

 ブラック企業規制が大きな世論になって、若者雇用促進法にも対策の一端が盛り込まれましたけれども、このような虚偽の求人や、また隠されるような実態というのが助長されるようでは、やはりこの間の規制の流れからも反するんだと思っております。

 きょうは、本当に貴重な御意見、ありがとうございます。質問を時間の都合でできなかった皆様もありましたけれども、御容赦いただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

丹羽委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 きょうは、五名の参考人の方、本当に貴重なお話、また、お忙しい中、ありがとうございました。五名の方それぞれに幾つか質問をしたいと思いますが、私、最後の質疑者ですので、大体、準備をしていても、当初の皆さんの開陳された陳述と、さらに、前の質問者の方で終わってしまいますので、それ以外のところで、あるいは繰り返しになるかもしれませんが、伺いたいと思います。

 まず初めに、岩村参考人に雇用保険法ということで伺いたいんですけれども、雇用保険関係助成金の不正というのが極めて多く続いております。また、これは看過できないような額になっていると思いまして、先日のこの委員会におきましても、会計検査院あるいは厚生労働省の御意見を聞いたところでございますが、雇用調整助成金等の不正取得について、何かコメントあるいは対策、ございましたら教えていただきたいと思います。

岩村参考人 御質問ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、雇用助成の助成金の不正というのは、非常にこのところ多発しておりまして、不正額そのものもかなり大きな額であるということも承知しているところでございます。当然のことながら、これは、強制的に徴収した労使の保険料、とりわけ助成金の場合は使用者側の保険料というのを財源としておりますので、そういった不正の受給というものがあってはならないというのは当然のことだというふうに思います。

 どういうふうにして対策を考えるかというのは非常に難しいとは思いますが、やはり、申請時におけるチェックであるとか、あるいはまた、実際の交付後の使用状況等のチェックといったものを厳格に行うということによって、いかに不正を防ぐかということを考えていくことが正道ではないかというふうに思っております。

 ありがとうございました。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 やはり、貴重な財源ですので、不正取得のないようにしっかりとしていかなければいけないなというふうに考えております。

 次に、天野参考人と矢島参考人にお尋ねしたいんですが、男性育休ということについて改めて伺いたいと思います。

 ちょうど、男性が育休を取得できるようになったころ、私も子供が生まれまして、いろいろ議論しておりました。当時、私、医者なんですけれども、大学病院に勤務しておりまして、子供が生まれたら男性育休を取得できるようになったんですよねという話をしたら、ある先生から、休んでもいいけれども帰って来られるのかなみたいなことを、冗談めかして言われたところもあります。もちろん、患者さんをたくさん抱えていましたので、とてもじゃないけれども休めないなと思いつつ、そういう話をお茶飲み話程度にしたところ、そういう環境だったことを思い出しております。

 まず、天野参考人、いろいろ、お得な制度にしなければいけない等々言われておりました。当事者の立場からそういったことをお話しいただきたいなと思いますし、矢島参考人は企業の方でいろいろ見識もあると思いますので、そういった立場からそれぞれお答えいただきたいと思います。

天野参考人 お話がちょっと重複するかもしれませんけれども、やはり男性育休の取得の壁は女性が育休をとるよりもはるかにハードルが高いという現状でございますので、私が御提案させていただいたとおり、韓国の事例が非常に参考になるのではないかなというふうに思っております。少子化は韓国も日本と同様な課題になっておりまして、思い切ってやったというところ、思い切りのよさがかなり数値を上げている、押し上げているというところになると思います。

 韓国の事例をまた深く掘り下げてお話ししてしまうんですけれども、日本の場合は、育休をとると半年間は約三分の二が給付されます。その後が半分になる、二分の一になるというふうになっているんですけれども、韓国の場合は実は四〇%の給付で、非常に少なくはあるんですね。二人目がとると一〇〇パーになるというような制度設計になっています。

 あとまた、育休をとった後に短時間勤務をとると、日本の場合は短時間勤務は純粋に給与が減ってしまうんですけれども、短時間勤務の減った分の給与を補填するといったような、そういった制度もありまして、子育てをするとお得になるというような仕組みができているのかなというふうになっておりますので、ぜひそちらも参考にしていただけたらなというふうに思っております。

矢島参考人 ありがとうございます。

 男性の育児休業の取得率は、先ほどデータを見ていただいたとおり、全体で二%台なんですけれども、企業の間で大分格差がございまして、実際にはゼロ%、全くいないという企業の割合がまだかなり高い状況です。

 一方で、最近、男性の育児休業取得率一〇〇%というところ、まあ、まだ始めて間もない企業が多いので一定の期間ですけれども、達成している企業もございます。こういったところは比較的大企業で、今は、男女問わず育児休業の最初の一週間を有給化するというような形を設定した上で、上司に働きかけをして、上司から部下にきちんととるようにということを言って、とるという形をとっております。

 これは、企業にとっては、先ほどお得感の話がありましたけれども、今はやはり新卒の学生の採用事情が厳しくなっている中で、男子学生も企業のそういったワーク・ライフ・バランスであるとか、女性も活躍できる企業であるかとかということを非常に気にしているので、そういう中でいいますと、男性の育児休業一〇〇%というのは今非常にインパクトがありまして、私が企業の皆さんにお勧めしているのは、これは企業にとって本当にお得な支援ですよと。というのは、たった一週間なんですね、正直言って、男性の育児休業。それがいいことではないので、長くしていただきたいんですけれども。しかも、女性と違って、タイミングがいろいろ選べるわけですね、子供が生まれたときから一歳までの間。ですので、仕事の繁閑に合わせて、とるタイミングも選べるので決してそんなに難しいことではない。それに気づいた企業が今、男性の育児休業取得一〇〇%という取り組みをしています。

 ですので、企業間でちょっと差はついてしまいますけれども、今、これから男性の育児休業というのはかなり進んでくるのではないかなと期待していますし、そのためには、おっしゃったように、働き方について、女性はいいけれども男性はねというその風土、男性についての厳しい風土というのを見直していただくことが非常に重要ではないかと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 上西参考人に伺いたいと思いますが、まずもって、最後に、上西参考人がおっしゃいました、一括法案から切り離してということでありますが、我々野党の立場でございまして、本当に、ここの部分は賛成できるけれどもここは絶対譲れないというところが全て一括されて出てくると、我々としても、いつも国対、役員会等々、党内で協議するときに非常に悩ましい問題でありまして、ぜひ与党の先生方に……(発言する者あり)野党席から応援いただいておりますが、ぜひ細かく分けて審議できればなというふうに思っているところでございます。

 あわせて、先ほど天野参考人、矢島参考人からお得とかいろいろな言葉が出てきましたけれども、安倍内閣におかれましてはかなりキャッチフレーズというのが多いと思いますので、そういったことを通じて男性育休一〇〇%を目指していければいいなと思いますので、与党の先生方、ぜひよろしくお願いいたします。

 そこで、上西参考人に伺いますが、求人トラブル防止ということをずっとおっしゃっておりました。苦情を受け付けたからといって抜本的な解決策にはなりませんし、やはり、そういった意味で、求人トラブルを防止するために事前に何らかの方策をとっておかなければならないと思います。モデル求人票ということとかも言われましたが、改めて、どのような対策をとればいいのか、具体的に伺いたいと思います。

上西参考人 モデル求人票について、追加で御説明をしたいと思うんですけれども、今、給与、諸手当というような表示で、初任給の場合、書いてあります。例えば、給与二十万円、諸手当の中に家族手当、住居、残業代とか書いてあって、でも残業代がその二十万の中に実は入っているとか、あるいは、交通費が給与の手当の方に書いてあるんだけれども、でも交通費も入れて給与を示しているとか、そういうものが実はたくさんあるんですね。それが判別できない。

 固定残業代についても、あると書いてあったらわかるけれども、何も書いてなかったら、あるのかないのか、ないからないのか、あるけれども隠しているのか、わからないというようなことがあるので、そこを紛れのない形にするようなものというのは、紛れのないフォーマットというものがやはり必要なんですよ。

 それをハローワークは実はつくっているんですね。固定残業代があるかないか、あるんだったら、では何時間分、幾らみたいなことを書かせるフォーマットがあるので、そういうものをぜひ民間の方にも活用していただきたい。

 ただ、これは強制力はないと思いますので、フォーマットをつくって、専用のサイト、女性活躍推進の情報のサイトみたいなサイトをつくって、そこに、うちは堂々と出せますよ、堂々と出せるので、これが紛れのない形での求人であって、うそも何もありませんというのを出せる企業が集まってくれば、では、ここは安心して行けるというふうに学生も思えると思うんですよ。

 なので、個別の企業がきちんとした求人を出すということと同時に、そうやって紛れのないフォーマットのサイトをつくっていただく。どうやらそういうようなサイトをつくるような計画もあるというふうに聞いていますので、ぜひその情報サイト、総合サイトの方にそういうものをつくっていただければと思います。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 それでは、阿部参考人に伺いたいと思いますが、先ほど、資料を提示していただきまして、早期から就職活動を行っておくことが再就職割合を大きく左右していく、よくなっていくということでありますし、また、そうなのかなと思います。また、早期から就職活動を開始される方というのは、早く就職したいということで、そういったモチベーションも高いでしょうし、結果につながっていくのかなというふうに伺ったところであります。

 早期から再就職活動を促していくような、もちろん、しばらくは休まなければいけないという方もいらっしゃるでしょうけれども、そういった、なるべく早期に再就職活動をしていただくような制度づくりについて、何かよいお知恵がありましたら教えていただきたいと思います。

阿部参考人 ありがとうございます。

 今既に再就職手当というのがございまして、期間によっては、再就職をすると一定程度の手当が出るというような制度がございます。これを利用される方をもう少しふやすというような、モチベーションを促進するようなことをすればいいのかなというふうに思っています。ですので、まず一つは、再就職手当の周知を行うということ、それから、再就職をしたら手当がもらえますというようなことを求職者の皆さんにお知らせするということが一つ。

 それから、再就職手当を今後どういう水準で出していくのかとか、どういうふうな形で手当を出すのかといったことを検討していくということもあってもいいのかなと個人的には思っているところであります。

河野(正)委員 それでは、時間がほとんどありませんので、最後に岩村参考人と阿部参考人、お二方だけお伺いしたいと思いますが、雇用保険法改正というのは極めて頻繁に行われております。経済情勢や雇用情勢の変動を見て、緊急的、暫定的措置も含めて頻繁に見直していくということでありますが、お二方から、今積み残している問題、あと何があるかというのを、時間もありませんので簡単にコメントをいただけたらと思います。

岩村参考人 ありがとうございます。

 積み残しの問題としましては、先ほど申し上げたとおり、一つはマルチジョブホルダーの問題というのがございます。

 あともう一つ、これも前から課題としては認識しているのですが、なかなか検討が進まない問題の例としまして、例えば長期失業者の方の問題といったものも存在するというふうに考えております。

阿部参考人 ありがとうございます。

 私もマルチジョブホルダーの問題は積み残しであろうというふうに思っております。

 と同時に、今後の労働市場の状況を考えますと、例えば独立自営業者ですとかそういった人たちの保障をどうしていくかとか、そういったことも、多分、AIやロボット、あるいは在宅勤務だとかそういったものが出てきたと同時に、そういう企業から独立して働くような自営業者がふえていく、こういったときに雇用をどういうふうに保障していくか、生活を保障していくかという問題も今後は考えていくべきではないかと個人的には思っております。

河野(正)委員 本当に貴重な意見、ありがとうございました。

 時間が参りましたのでこれで終わります。ありがとうございました。

丹羽委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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