衆議院

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第4号 平成30年3月23日(金曜日)

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平成三十年三月二十三日(金曜日)

    午前八時四十四分開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    大西 宏幸君

      木村 哲也君    木村 弥生君

      国光あやの君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    後藤田正純君

      佐藤 明男君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    田畑 裕明君

      高橋ひなこ君    長尾  敬君

      藤井比早之君    船橋 利実君

      三ッ林裕巳君    山田 美樹君

      池田 真紀君    長尾 秀樹君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      堀越 啓仁君    山本和嘉子君

      吉田 統彦君    大西 健介君

      白石 洋一君    山井 和則君

      柚木 道義君    伊佐 進一君

      中野 洋昌君    平野 博文君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   内閣府副大臣       田中 良生君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   厚生労働副大臣      高木美智代君

   厚生労働副大臣      牧原 秀樹君

   財務大臣政務官      今枝宗一郎君

   文部科学大臣政務官    宮川 典子君

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   厚生労働大臣政務官    大沼みずほ君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         中山 隆志君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        相馬 清貴君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         中川 健朗君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福田 祐典君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         宮川  晃君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局長)           吉田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 酒光 一章君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            吾郷 進平君

   参考人

   (日本年金機構理事長)  水島藤一郎君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  小泉進次郎君     大西 宏幸君

  小林 鷹之君     岩田 和親君

  尾辻かな子君     長尾 秀樹君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     小林 鷹之君

  大西 宏幸君     藤井比早之君

  長尾 秀樹君     山本和嘉子君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     小泉進次郎君

  山本和嘉子君     堀越 啓仁君

同日

 辞任         補欠選任

  堀越 啓仁君     尾辻かな子君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本年金機構理事長水島藤一郎君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として人事院事務総局職員福祉局次長中山隆志君、内閣府公益認定等委員会事務局長相馬清貴君、文部科学省大臣官房総括審議官中川健朗君、厚生労働省医政局長武田俊彦君、健康局長福田祐典君、労働基準局長山越敬一君、雇用環境・均等局長宮川晃君、子ども家庭局長吉田学君、老健局長浜谷浩樹君、保険局長鈴木俊彦君、政策統括官酒光一章君、中小企業庁事業環境部長吾郷進平君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田統彦君。

吉田委員 おはようございます。立憲民主党の吉田統彦でございます。

 では早速、貴重な時間ですので、質問に入らせていただきます。

 大臣は、所信表明演説で、望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、子供や患者等に特に配慮しつつ、施設の類型や場所ごとに禁煙措置や喫煙場所の特定を行うとともに、喫煙場所にはその旨の掲示を義務づけることなどを内容とする法案を今国会に提出するとおっしゃいました。

 これは、健康増進法の一部を改正する法律案のことをおっしゃったんだと思いますが、本法案に関する受動喫煙防止は、現状では屋内のみとなっていると思います。

 また、屋外の受動喫煙などの防止は自治体ごとの条例の方が進んでおりまして、約一割程度の自治体で、屋外の受動喫煙防止等のために路上喫煙を禁止する条例などが制定されていると聞いております。また、東京都では子供を受動喫煙から守る条例が制定されています。

 子供の歩きたばこによるけがなどを防止する観点から、受動喫煙等は、屋内ルールのみならず、屋外ルールも考えるべきであると考えます。

 もちろん、愛煙家の立場を鑑みれば、屋内もだめ、屋外もだめということになりかねませんので、各自治体の条例との兼ね合いも含めた屋外での分煙と、望まざる受動喫煙や子供のたばこによるけがを防止するような屋外ルールの確立について、そしてあわせて、やはりオリンピックも日本で行われることでございますし、車中で窓を開放してたばこを吸って、屋外に灰を捨てたり、あまつさえ、吸い殻をポイ捨てするようなドライバーを散見するわけでございますが、この取締りも当然必要であると考えますが、この二点に関して、政府の見解をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今、委員からお話がありました、望まない受動喫煙を防ぐためにどのような対策が必要かということで、政府・与党内でさまざまに御議論いただき、九日に健康増進法の一部を改正する法律案として閣議決定し、今国会に提出させていただいたというところでございます。

 この法案は、望まない受動喫煙の防止を図るという観点から、多数の方が利用する施設等について、その区分に応じ、当該施設等の一定の場所を除き喫煙を禁止し、これにより、多数の方が利用する施設について、法律上、原則屋内禁煙となっているわけでありますけれども、屋外については、未成年者や患者の方等が利用する病院や学校などを除き、禁煙や喫煙場所の特定といった措置を講じているわけでは確かにございません。

 しかしながら、屋外等においても、受動喫煙を望まない方がたばこの煙にさらされるということはあり得るわけでありまして、そうしたことを防ぐため、屋外等で喫煙をする際に周囲の状況に配慮すべき旨の規定を法案の中で設けているわけであります。

 また、駅前など人通りの多い場所での望まない受動喫煙を防ぐため、地方財政措置を講ずることによって、地方自治体が行う屋外における分煙施設の整備、それに対する支援、これは行っていきたいということでございまして、屋外においても、望まない受動喫煙対策は進めていきたいと思っております。

 自家用車そのものについては、公共交通機関ではありませんので法案の規制の対象にはしておりませんけれども、車の外へ煙が出ていくということであれば、それは道の上ということになるんでしょうけれども、そうしたことについては、先ほど申し上げた配慮義務に基づいて、周囲の状況に配慮していただくということが必要になるというふうに考えております。

 他方、灰や吸い殻の廃棄については、これは環境美化等の観点ということになるわけで、地方自治体においてはポイ捨て条例禁止などにおいて規制されている例もあるということは、委員も御指摘があったところでございます。今般の法案では、あくまでも望まない受動喫煙を防ぐということを目的にしておりますので、こうした美化等々の観点からの規制ということは行っていないというのが、提出させていただいた法案の中身でございます。

吉田委員 ありがとうございます。

 ぜひいろいろな方面で、せっかくすばらしい法案を提出する御予定と聞いておりますので、頑張っていただきたい。内容に関しては、またさまざまな議論のもとで成立をしていくのだと考えております。

 続きまして、では、東電福島第一原発緊急作業従事者に対する疫学研究に関してちょっと質問させていただきたいと思います。その中で、放射線を受けると傷害をされる組織の中で有名なものとして、目の水晶体があります。その中で、白内障調査の精度に関して少し質問をさせていただきたいと思います。

 この研究は、実効線量二十ミリシーベルト以上を被曝した約四千人を対象として行われると仄聞しております。全国で約七十四カ所の眼科施設の協力が得られると承知しておりまして、白内障の判定は各眼科の眼科医師が行うとなっていると思います。

 しかし、今後研究として行うには、当然、診断基準の統一や同一医師の判定、又は他覚的で統一的な評価ができるシステムの構築が不可欠です。そうでなければ、ただ単にやってみただけになってしまうんですね。ただ単にやってみただけという、意味のない、いいかげんな研究になってしまいます。逆に、条件を整えて精緻なデータを得ることができれば、人類に残る非常に重要なデータと知見となるわけであります。

 実際、白内障の重症度分類においては、無散瞳の状態で水晶体の混濁を評価することは困難でありまして、原則、瞳を開いた状態、散瞳下で細隙灯顕微鏡によって診断を行います。また、主病型に関しては、WHO分類、LOCS3分類、ウィルマー分類、ウィスコンシン分類、AREDS分類、オックスフォード分類など、多くの診断基準がございます。また、核硬度の判定にはエメリー・リトル分類が使用されることが多いんですが、いずれの分類も、問題なのは、診察した医師の主観的な評価によって分類をされるということが最大の問題であります。

 私は、以前国会で、NASAとNIHが共同で開発したDLSデバイスを使用してはいかがかと提言をしたことがあります。別にDLSデバイスがよいというわけではなくて、いずれにせよ、他覚的で統一的なシステムで評価をしないといけないということであります。

 この他覚的、統一的システムを構築してやらなくて、七十四施設でばらばらに主観的に検査を行うのであれば、極端な話、もう税金の無駄遣いと思われてしまうわけであります。そういった中で、そうならないために、どのようにお考えになっているかということを大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 東電福島第一原発の事故に対応された緊急作業従事者に対する疫学研究のうち、白内障の検査については、研究の分担者が全国各地の医療機関と連携して検査が実施されているということでございまして、それについては、今委員から、かなり具体的なお話もあったというふうに理解をしております。

 この白内障の検査は、実施した医師の技量に影響を受ける可能性があるわけであります。より精緻かつ均一的な結果を得るために、研究分担者が客観的な一定の評価を行える手法を展開していく、さらにはその手法の開発にも取り組んでいるというふうに承知をしております。

 具体的には、白内障検診の手引を関係医療機関に配付をし、検査方法と医師による所見、判定について標準化を図っていくということ、また、検査時の写真から水晶体の混濁を客観的に自動計測するシステム、これを今開発をしているということでございます。

 こうしたことをしっかり進め、各研究者とも連携をして、より高精度で、今委員御指摘あった、客観的な疫学研究体制、また、実際の疫学研究そのものを実施していくよう努力をしていきたいと思っております。

吉田委員 具体的な方法にまで言及いただきまして、感謝申し上げます。

 もう少し、一点だけ簡単にお伺いしたいんですが、実際、今大臣がおっしゃったシステム、写真を撮るシステムでございますか、これはもう間もなくできるものなのか、それとも研究に入ってからそれを進めていくのか、それとも研究に入る前にそれが完成するのかどうかということを、少し追加で教えていただければと思います。

加藤国務大臣 今まさに研究しているというところで、ちょっと具体的に、いつまでに一つの成果が上がるというところまでも言える状況にはないということのようでございますけれども、精いっぱい努力をさせていただきたいと思います。

吉田委員 ありがとうございます。

 期待をしております。ぜひいい形で、せっかく税金を使って、すばらしい研究になる可能性が十分にあると思います。人類の歴史に残るような重要な知見になることを期待いたします。

 それでは次に、産科医療補償制度に関して、制度全般の課題を受けて、今後と見直し状況に関して質問を順次させていただきたいと思います。

 産科医療補償制度とは、制度に加入する医療機関において出生した児が、分娩に関連して脳性麻痺を発症した場合において、一定の要件を満たすときに一定額の金額の給付を受けるというシステム、また、脳性麻痺に関する研究を進めて、国内から脳性麻痺を根絶していくというような、理想でありますが、それをしていくための制度であると承知しております。

 分娩に関連して発症した重症の脳性麻痺のお子様と御家族の経済的負担を速やかに補償するとともに、原因分析を行い、同じような事例の再発防止に資する情報を提供することなどによって、紛争の防止、早期解決及び産科医療の質の向上を図ることを目的としていると承知しております。平成二十一年の一月に運用開始されたわけでありますが、課題や問題点も多く見られるのではないか、そのように考えております。

 そもそも、脳性麻痺の子供たちを救済するということであると福祉なんだと本当は思いますし、三〇%程度が、大臣御承知のとおり、原因不明なんですよね。原因不明のこの三〇%がどのような状況で起こっているのかということを調べるという意味では、研究なんだと思います。

 そもそも、産科医療補償制度、医療なのかどうかということも疑問ではあるんですが、制度発足から五年で、大臣御承知のとおり、見直しが行われました。もちろんこれは、不断の努力でさらなる見直しをしていくことは絶対に必要だと考えるのですが、次回の見直しというのはいつごろを考えていらっしゃるのかということを、まず大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 この産科医療補償制度、私どもの党の中でもかんかんがくがく議論をし、また、日本医療機能評価機構における議論、そして社会保障審議会の議論を経た上で、平成二十一年に制度が創設をされたところでございます。そして、そのとき、五年後の見直しというお話がありまして、平成二十七年に制度の見直しがなされたわけでございます。その際には、補償対象の審査基準の変更、本制度の剰余金の保険料への充当、掛金の変更等の見直しが行われたところであります。

 本制度については、今後とも対象者数の推移や運営実績等を踏まえて必要な見直しを行っていきたいと考えておりますが、二十七年の見直しのときには、次の検証時期については具体的に明示がなされておりません。したがって、必要な状況に応じて、特に関係者からの意見も踏まえながら、そのタイミングをしっかり見きわめていきたいと思っております。

吉田委員 ということは大臣、また状況に応じて、五年なのか、五年とは言わないまでも、ある一定程度の間隔で必ず見直しをしていく、制度をよりよいものにブラッシュアップをしていくというお考えがあるという理解でよろしいでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、五年ごとの見直しということになっているわけではありませんから、別にその期間に制限されるわけではむしろないというふうに思います。

 やはりその状況、状況の中で、関係者の方々からさまざまな御意見、既にいただいている部分もございます。そういったところを踏まえながら、そうした判断をしながら、そうした場合には見直しに向けた検討に着手していきたいと思っております。

吉田委員 わかりました。必要に応じて見直しをしていくという姿勢をいただいただけで大変にありがたいことであると思います。

 この産科医療補償制度が、やはりさまざまな問題が噴出してくるその原因の一つ、問題点の根底には、現場で実際にお産を担う産婦人科医の意見ではなくて、しばらく、場合によっては何十年とお産をしてこなかった偉い先生方が、当時、やはり制度設計にかかわっていたというのも、これは正直な話、遠因になっているというのは否定しづらいのかなということは思います。

 そこで、順次、産科医療補償制度全般について、課題や問題点に関して質疑させていただきます。

 まず、補償金額であります。補償金額、もう大臣御承知のとおり、三千万となっております。現行では、補償対象と認定された場合、準備一時金六百万、そして、その後二十年にわたって補償分割金が百二十万掛ける二十、二千四百万、総額で三千万の補償金が支払われることになっていますが、欧米の無過失補償制度とかさまざまなものを鑑みると、やはり安いんじゃないかという意見がもちろんあるのは、大臣御承知のとおりだと思います。大体六千万以上ないと脳性麻痺の方々は納得しないんじゃないかな、そういったことが欧米では考えられています。

 また、重度脳性麻痺のお子様と御家族の経済的負担を速やかに補償するという意味がもともとこの制度にはあるわけでありまして、そうすると、分割払いより一括払いの方が望ましいと考えるわけでありますが、現時点で補償金額や支払い方法を変更する方向性があるのかどうか、大臣の御所見を伺いたいと思います。

加藤国務大臣 この補償水準については、対象児の看護、介護に必要な費用、自賠責保険、犯罪被害者給付制度等の他の補償水準、これらを踏まえて、社会保障審議会の御意見も聞いた上で、今お話あった、トータルでいえば三千万ということになっているというふうに承知をしております。

 補償水準の引上げ等については、この産科医療補償制度の運営状況、出産育児一時金を負担している保険者、また実際、こうした補償を受けた方々の声なども踏まえながら今後検討していく必要があるというふうに思いますが、平成二十七年一月の見直しを行った際にも議論はされておりますけれども、ほかのことを優先しようということで、この補償水準については現行どおり三千万で維持をするということになったというふうに承知をしております。

吉田委員 大臣、ありがとうございます。

 分割払いと一括払いに関してちょっと御答弁いただかなかったんですが、一括払いにしていく方向性があるかどうか、そして、なぜ分割払いなのかということの方が、多分、受け取る側は知りたいと思うんですね。それは、一括払いでもらった方が多分、本来、いろいろ将来設計を含めて対応しやすい中で、一括払いにしていく御意向があるのかどうか、そして、なぜそもそも分割払いになったのかということを、少し教えていただけませんでしょうか。

加藤国務大臣 当時、その支払いについても議論があり、いわば年金的に払った、一定を一時金で、最終的には六百万ということになるわけでありますけれども、お払いをし、あとは分割として、いわば年金的な形で毎年お払いをするという方がいいのではないかという議論の中で現在の姿になったというふうに承知をしております。

 そして、これをどうする、変更する云々というお話がございました。それらも踏まえて、金額をどうするということとも絡んでくる話だというふうに思いますので、またそれぞれの御意見をいただきながら、必要な状況があればその見直しをしていきたいというふうに考えております。

吉田委員 ありがとうございます。

 では次に、事務運営費について、大臣に、厚生労働省、政府にお尋ねいたしたいんですが、産科医療補償制度というのは平成二十一年にスタートをしました。同制度開始当初、補償対象になる重度脳性麻痺児は、年間五百から八百人程度と予想されていたのは大臣御承知かと思います。それに合わせて実は保険料が徴収をされていますが、しかし、実際に補償されているのは、最大で年間四百十九人だと承知しております。また、平均すると年間三百五十人程度であります。

 そうすると、当初、年間三百億円以上の保険料が集められていました、かつては百万人以上子供が生まれておりましたので。制度見直し後も年間二百四十億円前後の保険料が集められていますが、補償金は平均で百二十億円前後となっています。そうすると、大体百二十億から百五十億円以上の多額の余剰金が毎年発生しています。(発言する者あり)ありがとうございます。制度開始からの余剰金の総額は、現時点で何と約一千億となっています。一千億ですよ、大臣。

 確かに、伺っているところでは、保険料の値下げと保険料への充当というのを今後も行っていくということを説明で受けておりますが、ただ、前回の見直し後も、大臣、毎年余剰金が発生しています。

 この状況を大臣はどのようにお考えになりますか。こういう状況を踏まえたら、やはり、大臣は、さっき、五年という期限はないし、いつかはわからないと言っていましたが、さらなる見直しが必要であると考えますが、大臣の御所見をお伺いします。

加藤国務大臣 そうしたお話は、私も医療界の方からもお話を伺っているところでもございます。

 いずれにしても、そうした、先ほど申し上げましたけれども、それによって保険料を下げる方がいいのか、あるいは……(吉田委員「補償額を上げる」と呼ぶ)補償額を上げる方がいいのか、あるいは補償額の、そのときは支払い方をどうすればいいのか、一連の話だというふうに思いますので、そうしたそれぞれの議論を踏まえながら、また、この後、多分御質問もあると思いますが、これだけでは足らなくて訴訟にいっている例もあるのではないか、そういった全般的なことを見ながら、またそれぞれの御意見を聞きながら、先ほど申し上げた五年にかかわるわけではありませんから、必要なタイミングで検討させていただきたいと思います。

吉田委員 大変大臣はお詳しくていらっしゃるので、少し安心したところでございますが、やはり一千億、これは余剰金が出ているというのは問題だと、政府はちょっと考えていただかねばいけないし、私は、これは今回もしっかりと、厚生労働省の皆さんにはどういう質問をするかということも説明しましたが、従前からこれは問題視を私はしているところでございますので、すべからく、大臣におきましては御対応いただきたいと切にお願いするところでございます。

 また、大臣、そもそも論なんですが、重症脳性麻痺児が年間五百から八百と予想したことも、これはかなり大きな問題だとはっきり言って思うんです。

 人口は減っていくわけであります。その中で、これは五百から八百というのを、私は産婦人科医ではありませんが、当初から私は多いと思いました、はっきり言って。

 大臣、これはそもそもの制度設計に問題があると思うんですが、どう思われますか。大臣、一言。

加藤国務大臣 済みません、その数字に対する私は全然知見がございませんので、それがよかったか、悪かったかというのは、ちょっと判断するところではありませんが、ただ、これまで実績を踏んできておりますから、その実績を見ながら、先ほど申し上げた議論をするときには、これまでの実績等、そして、これからの出生数等も見きわめながら、当然、議論する必要があるだろうと思います。

吉田委員 大臣、この五百から八百と見誤ったところがこの問題の課題を大きくしていますので、そこはぜひちょっと、そもそも論ですけれども、しっかりと認識していただいて、今後の行政をやっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問ですが、本制度の事務運営費の中で私が最大に問題視しているのは、保険会社の事務経費のうち、制度変動リスク対策費というやつなんです。

 これは、制度開始直後から四年間は年間何と十五億円以上、平成二十五年、二十六年は約十億円弱、平成二十七、二十八年は七億円強と、そもそも税金が原資ですよね、税金が原資の中で巨額の費用が充てられています。

 先日、厚生労働省の方と日本医療機能評価機構の皆様に、制度変動リスク対策費に関して再三説明を受けました。ただ、今のところ、この制度変動リスクに該当するものはなくて、丸々保険会社、これは大手四社だそうですが、丸々保険会社の収益になっていると聞きました。いいんですかね、これは。

 そもそも、制度変動リスクというわかりにくい事柄の、例えばこれは何なんですかと尋ねたところ、日本機能評価機構の方は、何と、日本医療機能評価機構が存在しなくなる、潰れる場合とか、およそ想定しづらい例示をされていました。つまり、制度変動リスクとはほとんどあり得ないわけであって、そのほとんどあり得ないことに、年間、血税から七億から十五億を払い続けてきた、そういうことではないでしょうか。

 このような状況をどのように考えるか、そしてまた、保険会社に返還を求めるつもりがあるのか、はっきりと大臣にお答えいただきたいと思います。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 産科医療補償制度は、当時、産科医療分野におきまして、過酷な労働環境や医事紛争が多いこと等により、分娩施設の減少等が生じていたことから、産科医療の崩壊を一刻も早く阻止するという観点で早期の立ち上げが求められたため、民間保険を活用することとなったと承知しております。それに伴い、民間の保険会社が長期にわたり安定的に保険を引き受けるためのこの制度変動リスク対策費が設定されたところで、これは一般的なこの商品全てにかかわってくるものだと思います。

 このリスクというのは、今委員御指摘のように、いろんなリスクが、リーマン・ショック等も含め、保険会社に係るいろんなリスクがあるものと承知しております。当然、このリスクを上回るリスクが発生した場合には保険会社の損失となり、リスクが発生しなかった場合には、リスクをとった対価として保険会社の利益になるというところであります。

 今回、民間保険の活用が本制度の設計に当たっての基本になったということに鑑みれば、結果的にリスクが発生しなかったからといって、その返還を求める性質のものではないと認識をしておるところでございます。

吉田委員 これは多分、きょう用意した質問で一番答えにくい質問だったと思うんですけれども。

 でも、大沼政務官、大変恐縮ですけれども、この七億から十五億という額を血税から今までお支払いをして、おっしゃっている意味はわからないでもないです、もし万が一そういうことが起こったら。ただ、今まで起こっていないわけです、全く。そもそもその十五億、七億ということを上げちゃっているわけですよね。

 そこに関して、これが税金の中から支払われるということに関して、今でも適正なものであって、この制度を変える必要があるとお考えにならないかを、もう一問、お答えいただけますか。

大沼大臣政務官 先ほど大臣からも答弁させていただいたとおり、この制度の見直し等に含めて、さまざまな方々から御意見を伺いながら、必要であればそうしていくという答弁をさせていただきました。そうした方向で検討してまいりたいと思います。

吉田委員 政務官、ありがとうございます。本当に、これはちょっと見直した方がいいですよね。

 じゃ、もう一問、政務官、関連で聞きますけれども、返還がもう今までの部分は無理だとするんだったら、今後、よりよいものにするため、例えば、この制度変動リスク対策費がどうしても政府が必要だと考えるんだったら、日本医療機能評価機構にプールしておいたらどうですか。そこから必要なときに保険会社に出動する、支出するシステムにすれば何も問題ないと思いますけれども、いかがでしょうか。

大沼大臣政務官 お答えいたします。

 当初この制度をつくった背景を先ほど申し述べさせていただきましたけれども、そもそも、この制度設計の根本部分において民間保険を活用するというところからスタートしたというところで、簡単に結論を出せるものではないというふうに承知しておりますが、将来的な議論の論点として承知しておきたいと思います。

吉田委員 余り政務官を追及しづらいですけれども。

 次の質問というか少し関連ですが、これも大臣でも政務官でも結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。

 仄聞するところによると、支払いが三百件を超えると保険会社に利益がないということを説明で受けたんですね。その役所の皆さんの説明では、保険会社は本制度に参加することがステータスで、あくまで善意でこの制度に協力しているという説明を実は受けたんですが、そんなことあり得ますか。本当ですか、それ。民間の保険会社は、利益にならないことは絶対にやらないと思いますよ。またそこも聞きたいんですが。

 それと、この制度変動リスク対策費以外にも保険会社に、物件費、人件費として、最低年間七億円強、最大十八億円強、支払われています。これが純粋に産科医療補償制度に従事する方のみに保険会社が支払った人件費等であると日本医療機能評価機構の方はおっしゃっていましたが、では、具体的に資料やデータなど報告をちゃんと受けていますかと私が問いかけましたら、全くそれに答えることが日本医療機能評価機構の方はできなかったんですよ。そんな状態で、ちゃんとこの人件費は、純粋に産科医療補償制度のためだけに使われると言い切れるんでしょうか。言い切れないですね。

 産科医療補償制度から支払われる人件費でほかの業務をやっていたら、これは保険会社にも当然大きなメリットがあるわけでありますが、この点、非常に大きな問題ですので、大臣でも政務官でも結構ですが、お答えください。

大沼大臣政務官 一般社団法人日本損害保険協会の集計によれば、会員各社が実施している保険事業におきまして、保険料の総額に対して、保険金の支払いに充当される額の割合はおおむね六割程度、人件費等を含む事務経費の割合は三割程度で推移しているところでございます。

 一方、産科医療補償制度におきましては、詳細な制度設計を国が支援したり、加入者への説明や募集も関係団体の協力を得ることで代理店経費を節減する等により、保険会社と運営組織であります日本医療機能評価機構との合算で、事務経費の割合は約一割となっております。このうち、収入保険料に対する保険会社の人件費の割合は二%程度となっており、人件費は過大なものであるとは考えておりません。

吉田委員 でも、大沼政務官、実際はわかっていらっしゃると思いますけれども、巨額ですよ、これ。巨額です。やはりそこは、しっかりとした見直しも含めて、ちゃんとした精査を行って、政府は、ちゃんと医療機能評価機構や保険会社からしっかりとしたデータをもらった上で、適正かどうかの見直しをすべきだと思います。やはりそこは政府の責任でやっていただきたいと思います。

 大沼政務官、大変これはちょっと専門的知識が必要な質問ばかりで恐縮なんですが、次の質問に移りたいと。時間もなくなってまいりましたので。

 民間保険会社、ブラックボックスになってしまうと、民間保険会社は預かった保険料を運用して利益を得ることもできるかもしれないし、まあ、しているでしょうね、恐らく。やはり、民間の保険会社と日本医療機能評価機構が入りまじる制度自体に問題があるのではないでしょうか。

 この産科医療補償制度というのは、もう大臣以下皆様おわかりだと思いますが、本制度は民間保険会社に収益をもたらすことが目的じゃないですよね。そして、日本医療機能評価機構に収益やプール金をキープさせることが目的でもないですよね。そこは本当に再確認して、よりよい制度にしていくことをやっていただきたいと思います。

 田村前大臣なんかもお詳しいと思いますので、ぜひ御助言いただきたいと思います。(発言する者あり)済みません。失礼しました。

 それで、最後にもう一点確認したいんですけれども、この制度、もう時間がないので最後の質問になりそうですが、本来、重度脳性麻痺の発症率が高いのは未熟児なのは御承知かと思います。なぜ、未熟児がこの制度から除外をされているのか。通告で伝えてありますけれども、お答えいただきたいと思います。通告、しっかりしてありますよ。

高鳥委員長 時計をとめてください。速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 詳細は事務当局から申し上げますけれども、当初は、出生体重二千グラム以上かつ在胎週数三十三以上ということでありましたけれども、二十七年一月以降の出生に関しては、出生体重千四百グラム以上かつ在胎週三十二週以上、又は在胎週二十八週以上かつ所定の要件に該当する場合ということで、少し範囲を広げたということでございます。

 いずれにしても、一定の範囲の中で対象とするという議論があったというふうに承知をしておりますけれども、詳細は事務当局から補足します。

武田政府参考人 この補償の対象範囲に関しましては、分娩に関連して発症した重度脳性麻痺ということを、最初、その救済の対象として議論がなされまして、その対象範囲といたしましては、ただいま大臣から御答弁ございましたとおり、出生体重と在胎週数で一定の要件を設けておりますけれども、その一定の要件に当てはまらない場合であっても、所定の要件に該当する場合については対象とするということで制度が始まりまして、それで二十七年に対象範囲の拡大がされ、これにつきましても先ほど大臣から答弁がありましたとおり、制度の見直しという観点では論点の一つであろうというふうに考えております。

吉田委員 時間が来ましたので質問を終わらせていただきますが、この制度がよりよいものになるよう、本当に政府の皆様の御努力を期待いたします。また次回、ちょっときょうできなかった質問がありますので、続きをやらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 この間、予算委員会に始まって、国会審議は本当に大きく揺れ動いてまいりました。まずは、厚生労働省が当時私たち民主党に提出をした裁量労働制の労働者の労働時間の比較、そして、その後、野村不動産の特別指導の事案、そしてまた、今回、森友学園の土地売却をめぐる決裁文書の改ざんと、本当に日本の民主主義が根底から揺るがされるような大きな事件が続いてまいりました。本当にこれは、立法府にいる人間一人一人が本当に真摯に重く受けとめて対応していかなければいけないことだ、これは与野党問わずのことだ、課題だというふうに思っております。

 そこで、まず最初に厚生労働大臣にお伺いしたいのは、今回、森友学園の土地売却をめぐる公文書の改ざんが行われたということは、決して、他省庁のことだからということで高みの見物をしている出来事ではないということを厚生労働省としても自覚をすべきだというふうに思うのです。この後質問いたしますが、裁量労働制のデータの問題はまだ引き続き残っておりますし、野村不動産の問題も、これまた明らかになっていないところがまだたくさんあります。

 冒頭、加藤厚生労働大臣の公文書についての考え方そのものをただしたいと思っております。今回、財務省で起きたとされます決裁文書の改ざん、これは明らかな犯罪ですけれども、公文書の改ざんという行為そのものを加藤厚生労働大臣はどういうふうに認識しておられますか。

加藤国務大臣 公文書、特に決裁文書の書きかえということでの御質問というふうに思います。

 私も役人を十数年間やっておりました。そのときのイメージからいっても、決裁をしたもの、決裁の過程においてはいろいろな議論がありますけれども、決裁をしたものというのは最終的に確定をしているものでありますから、それを書きかえるということは、私はそもそも、当時、そんなことはすべきではない、そしてあり得ることでもないというふうに思っておりましたが、今回こうした事態が起きた、このことは政府また厚生労働省としても大変重く受けとめていかなければならないというふうに考えております。

西村(智)委員 この改ざんされた決裁文書は一年も前に国会に提出をされたものだったんですね。虚偽の資料をもとに、国会は一年も議論を行ってきたんです。このことについて、大臣はどういうふうに考えますか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、まず、そもそも書きかえをしたということ、そして、その書きかえをした文書を国会に提出をして、国会での御議論がそれをベースに行われたということでございます。そうしたことにつながったということ、これはしっかり我々も重く受けとめていかなければならないというふうに思います。

西村(智)委員 何だかちょっと他人事みたいな感じででしてね。これは改ざんですよ、書きかえではなくて。公文書を改ざんしたという、これはもう刑法上も犯罪に問われる本当に重大な事件なんです。これは、国民、国会をまずだましていた、一年にわたってだましていたということですから、国民も欺いていたということにほかなりません。政府全体としてはとても重たい責任があると思います。

 厚生労働省で仮に今回の財務省で起きたような公文書の改ざんが起きた場合に、どういうふうに大臣は対応されるでしょうか。現在、財務省は財務省で調査を行っておりますけれども、それには多少違和感があります。第三者機関がきちんと調査をすべきではないかと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 まず、そういった事態が起こらないようにしっかり取り組んでいかなきゃならないということであります。その上で、この全容解明に向けては徹底した調査を行っていかなければなりません。財務省においても今行われているという答弁がなされているというふうに承知をしているところであります。

 具体的な調査方法についてはそれぞれの大臣等がしっかり御検討するということだと思いますけれども、ただ、こうしたことがなぜ起きたのか等々、国民の疑念、これにしっかりと応えていくということが何より大事だと思います。

西村(智)委員 国民の信頼をかち取るために、まずは、厚生労働省において公文書の改ざんはないんだというふうに断言をする必要があると思います。加藤厚生労働大臣、そのことについては断言できますか。

加藤国務大臣 残念ながら、厚生労働省において、過去においてはそうした事例もあったわけでございます。そして、それを踏まえて、そのことについては厳正な処分をし、文書管理の徹底や情報開示作業による複層的なチェック体制の導入など、再発防止が指示をされました。しかし、その後、実態としては書きかえの事案がまた発生したというようなこともございました。

 いずれにしても、徹底した意識づけを行っていかなきゃならないというふうに思っておりますし、改めて、軽微な修正であっても、決裁後の行政文書については修正することができない、このことを徹底していくということと、現存する決裁文書についての保存状況についても改めて点検するよう指示をしたところでございます。

西村(智)委員 大臣、今の答弁は当たり前のことなんですよ。私は、行政官庁の長としての大臣がきちんとやはり、責任を持って、公文書の改ざんは今は厚生労働省においてはない、そして、そのために先頭に立って調査をするというふうに自信を持って言い切っていただきたかったんですけれども、今の答弁では、何だか、ちょっと下を向いてぼそぼそと答弁書を読んでおられるような感じで。本当に私たちも、厚生労働委員会はいろんな法案が出てきますけれども、やはりエビデンスベース、事実、立法事実にしっかりと基づいて議論をしていかなければいけないところだというふうに思っておりますので、今後とも、更に強力なリーダーシップで、公文書の改ざんが決して行われることがないようにしていただきたいというふうに思います。

 そこで、裁量労働制のデータ問題でございます。

 この点についてはもうこれまでにもずっと議論になっておりまして、私たちも、考えてみましたら三年間だまされ続けていたんですね。だまされた方が悪いのか、だました方が悪いのか。だまされた方も、これは調査不足だったと言われればそうなのかもしれませんけれども、厚生労働省から出てきたデータで、クレジットが入っているもので、時間数も九時間三十七分ときちんと書かれていたら、私たちはやはりそれを前提に議論していくわけですよ。それがうそであった、誤りであったということが明らかになって、一体、では、これまでの審議時間って何だったのかということになるんです。

 私は、この間、加藤大臣あるいは安倍総理がこの比較に基づいた答弁を撤回されたということは一歩前進だと思います。しかし、裁量労働制のデータそのものを撤回するというふうにはまだ答弁しておられません。

 きのうの野党六党のヒアリングの中でも、裁量労働制で働く労働者の一日一時間以下という労働時間については明らかに誤りであったということを厚生労働省は認めました。そろそろ、どこかの時点で、この裁量労働制の労働者の労働時間に関する実態調査、労働時間等総合実態調査、これを撤回すべきだというふうに思いますけれども、大臣、そのお考えはありませんか。

加藤国務大臣 特に、裁量労働制に関するデータを含めて、平成二十五年度の調査、労働時間等総合実態調査に関して大変、精査しなければいけないということ、また、裁量労働制に関しては本来と異なる仕方で抽出したものを比べて御説明をしたということ、それにおいて大変、国会そして国民の皆さんに御迷惑をおかけしたということ、このことは私どもしっかり反省をしていかなければならないと思っております。

 その上で、裁量労働制の平均的な者で、一日の労働時間の状況が一時間以下の者が二十五件あるではないかという御指摘をいただいておりました。

 一件の誤入力がありましたけれども、原票記載の時間も一時間以下であった。そして、二十五件のいずれの事業場でも、一時間より大幅に長いみなし労働時間が記載されていた。さらに、労働基準監督官が監督署にある事業場データをもとに事業場の状況を確認し、存在する事業場については直接訪問し、事業場の担当者からのヒアリングや賃金台帳等の書面を確認したところ、調査対象となった二十五件のうち三件の事業所は廃止、七件の事業場においては資料が残っておらず、当時の事業状況が確認できませんが、残り十五件の事業所全てにおいて、裁量労働制で働く労働者の労働時間の状況が一日一時間程度ということはなかったというふうに承知をしているわけであります。

 このように、裁量労働制で働く平均的な者の労働時間の状況が一時間以下というデータは実態を反映したものとは確認できなかったところでございます。

 したがって、裁量労働制のデータそのものについても撤回をさせていただきたいと考えております。

西村(智)委員 撤回していただきました。

 ですので、九時間三十七分も撤回していただくということでよろしいですか。

加藤国務大臣 九時間三十七分ということも含めて、九時間三十七分でしたかね、裁量労働制のデータについては撤回させていただきます。

西村(智)委員 では、安倍総理の答弁も、加藤大臣と同じような答弁をしておられますけれども、それも撤回していただくということでよろしいですか。

加藤国務大臣 済みません、九時間三十七分は一般でしたので、九時間十六分、要するに裁量労働制の方ですね、済みません、ちょっとそこは訂正させていただきます。そこを訂正させていただきたいと思います。

 それから、安倍総理の話は、安倍総理はそうしてお示ししたことは既にこの段階で撤回をされているということだと思います。

西村(智)委員 異なる、不適切なデータに基づいて答弁をしたということは撤回したんですけれども、データそのものについては総理も撤回していないんですよ。九時間十六分、済みません、私、間違っていました、九時間三十七分でなくて九時間十六分ですが、それも安倍総理も撤回されるということでよろしいですか。

加藤国務大臣 それは、安倍総理が答弁の中でそれを引用して答弁をされたということですから、そこは撤回されたということでございます。

 そもそも資料は私どもが出しているわけでありますから、私どもがこうして撤回をさせていただくということによって、政府としてこのデータについて撤回をさせていただいた、こういうふうに御理解いただければと思います。

西村(智)委員 どこかの時点で、総理からもちゃんと発言していただかなければいけないと思います。

 それで、総理が、裁量労働制の労働時間について実態把握をされるというふうに予算委員会で答弁をされました。どういうふうに、いつごろ、実態把握をされますか。

加藤国務大臣 総理からは、実態について厚生労働省においてしっかり把握し直すようにということで指示が出ているわけであります。

 具体的な把握方法については検討しているところでありますけれども、平成二十五年の実態調査と同じ方法ではなく、新たな形での制度設計をして調査を実施していく、またさらに、ヒアリング等の実態把握もあわせて行いたいというふうに考えておりますが、具体的な方策については、いろいろ外部有識者等の御議論も聞きながらこれからしっかりと詰めていきたい、こういうふうに思っております。

西村(智)委員 今回提出されると予定されておりました、いわゆる、かぎ括弧つきですが、働き方改革関連法の中から裁量労働制の部分が全面削除されました。予算案が衆議院で本会議採決された日の夜に総理が裁量労働制を法案から削除すると言ったときに、私は、裁量労働制の拡大、企画業務型の拡大のところだけ削除されるんだと思ったら、全面削除ということで、規制の強化まで削除されてしまったんですね。実態がわからないのに規制の強化までも削除するというのは、これはおかしいのではないか。規制の強化は残した上で、そして、実態把握をしていく、こういう必要があるんじゃないか。

 つまり、私が言いたいのは、裁量労働制の規制強化の部分まで削除するのはおかしいんじゃなかったかというふうに思いますけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 裁量労働制全体について、そのデータが、国民の皆さんに今回の裁量労働制の改正について疑念を抱かせたということでございます。したがって、拡大の話もしかりでありますけれども、そうした規制でいいのかどうかということももう一度議論をしていく必要があるということで、全体について削除、裁量労働制に関するところに関しては全面的な削除ということで、今、法案の議論をしているところでございます。

西村(智)委員 JILPTの調査の中で、アンケート項目を見ますと、確かに、裁量労働制で働いている人の中に、それを受け入れて、自分はこの仕組みでいいと言っている方もおられました。だけれども、自分が裁量労働制の労働者であることを知らなかったという労働者もいらっしゃいました。それから、やはり裁量労働制そのものはよくないというふうに答えておられる方もいらっしゃいました。だから、私は、規制強化の部分はやはり、内容はいろいろありましょうけれども、やっていくべきだというふうに思います。それを申し上げておきたい。

 それで、ちょっと、時間があれなので、先に行きますが、野村不動産の特別指導案件についてです。

 特別指導と聞いたときに、私も、東京労働局はすごく頑張ったんだなというふうに思ったんですけれども、後で伺いましたら、過労死された方がいらっしゃって、どうも、時系列に見ると、その自殺された方があって東京労働局なりが入っていったのではないかというふうに客観的に見える部分が大きいです。

 それで、三月五日の参議院の予算委員会で、石橋議員が野村不動産に関係する質問をされておられます。当時、総理は、特別指導については報告を受けておりましたが、今の御指摘について報告を受けておりませんというふうに答弁をされました。今の御指摘というのが何だか、多分、石橋さんの質問の文脈からすると、労災認定が出た、つまり過労自殺をされた方に対して労災認定が出たということについては報告を受けておりませんというふうに答えておられる。

 総理と加藤大臣の答弁は非常に巧妙なので、石橋さんの質問の最後の部分だけ切り取って答弁をしている可能性があるんじゃないかというふうに思いまして、改めて加藤大臣に伺うんですけれども、加藤大臣、その後に石橋議員から、加藤厚生労働大臣はもちろん知っておられたんでしょうねと聞かれて、加藤大臣は、それぞれ労災で亡くなった方の状況について逐一私のところに報告が上がってくるわけではございませんので、一つ一つについてそのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりませんというふうに答弁をしておられます。そのタイミングって、どのタイミングなんですか。

加藤国務大臣 改めてちょっと申し上げておきたいのは、こうした過労死についての申請があったとか、それぞれ支給がされたとかということについては、これはすこぶる個人情報ということでございますから、これまで、その御遺族の方あるいは代理人がこの件について具体的に言及があった場合以外については私どもの方からこの件について申し上げることはない、これが一般的な対応でございます。

 その上に立った上でのお話ということで当然ということでありますし、また、一般論として、労災事案一つ一つについて認定があったという段階において総理に上がる、あるいは私に上がってくる、こういうものではないということを申し上げたところでございます。

西村(智)委員 そのタイミングで知っていたのかと言われれば、承知をしておりませんと。確かに、過労死案件があったときに、そのタイミングでそれぞれ上がってくるということはないというふうに私も思うんですね。

 問題は、野村不動産に特別指導に入るということにかかわって、恐らく大臣のところにもレクがあったと思うんです。副大臣や政務官のところにも、こういったことで特別指導というものを行いますというふうに決裁文書が上がっていったんじゃないでしょうか。そのときに、政務官、副大臣、大臣、これは何で特別指導なんだというふうにはお思いになりませんか。

 特別指導というのは、厚生労働省で過去一度も行われていないものなんですよ。法的な根拠もありません。だから、特別指導って何なのか、なぜこれをやらなければいけないのか、普通はその経緯を聞くし、聞かれたら、役所の方からは、これは実はこういった案件がありましてというふうに普通だったら説明に入ると思うんですけれども、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 先ほど申し上げたように、この過労死の案件については、先ほど申し上げたことが前提になっておりますから、それを踏まえながら私どもは答弁をさせていただかなきゃならないということでございます。

 その上で、今回の野村不動産の件については、企画業務型裁量労働制の対象とされていた労働者の大半について、同制度の対象業務に該当していない個別の営業活動等の業務につかせていた実態が全社的に認められ、法の趣旨を大きく逸脱していたことから、行政の対応を明らかにすることにより同種事案の防止を図る、こういうことで昨年十二月に東京労働局長が特別指導を行った、こういうことでございます。

西村(智)委員 裁量労働制に係る違法な扱いが全社的に認められ、全社的に認められて特別指導に入ることになったという報告を受けたときに、大臣は、全社的に認められたというのはどういうことだというふうにお聞きにはならないんですか。

加藤国務大臣 特別指導は最後なんですね。要するに、局長がその経営者を呼んで言うところが特別指導でありますから、そこまでは通常の調査をずっとさせていただき、そして、その調査で明らかになった状況を踏まえてどういう対応をするかということで、今回、先ほど申し上げたこと、そういうことでありましたので東京労働局長が特別指導を行った、こういうことであります。

西村(智)委員 最後なのでという、その説明がよくわからないんですけれども。

 一地方労働局長が単独で特別指導などというものに入れるのかどうか。この案件は、その日のうちだったかな、プレスにちゃんとリリースされているんですよ。野村不動産への特別指導についてということで、野村不動産という企業の名前もきちんと公表されて出ている。これは社会的には物すごく大きな影響を与えます。名の知れた不動産会社で、それこそ何百人単位かな、すごくたくさんの、組織的な、裁量労働制の違法な取扱いが行われていたということは、これは一労働局がそこまで公表するということも含めて想定してやれるのかどうか。これは必ず本省に上がってきている、そして大臣にまで上がってきているはずだ、私はそういうふうに思います。

 済みません、ちょっと時間がなくなってきて、水島理事長にお越しいただいているので、年金の話についてお伺いしたいと思います。

 きのうも、ヒアリングを行って、私も参加いたしました。そこでわかったことは、一月の十日に、SAY企画ですか、委託した業者が中国への再委託をしているということが判明した、これが一月の十日だったそうでございます。この時点で、私は事実を明らかにする必要があったのではないかというふうに思いますけれども、大臣はどういうふうにお考えになりますか。

加藤国務大臣 その前に、ちょっと特別指導の話でありますけれども、当然、特別指導は本省にも相談があり、また、一連の流れの中で私のところにも特別指導については報告がなされていたところでございます。

 その上で、今の年金の問題でありますけれども、これは私のところにも、ちょっと済みません、今ちょっと日にちが明確でありませんが、一月の段階で私のところに上がってまいりました。私の方からは、まず実態をきちんと把握して、中国まで実際に足を運んでどうなっているか調査をしろということで、たしか一月末から二月の頭において調査が実施されたということでございました。

 それについての報告、これは個々出ておりますからちょっとはしょらせていただきますけれども、しかし、それと並行して、今回は一連の契約をこの会社に委託をしておりました、そして、その会社において、今再委託した問題と並行して、既に委託をしている分についての、きちんと入力が行われていない、こういう事案も見えてきたものですから、これを一連としてきちんと把握をして対処していく必要があるということで、中で調査をし、そして、その調査の概要がわかった段階で全体を含めて公表、あるいはしっかりとした対応、そしてその取組の中身を公表するようにということで私から理事長に指示をし、それを踏まえて公表がなされた、こういうことでございます。

西村(智)委員 ちょっと水島理事長にもお伺いしたいと思います。

 一月十日に、はっきりと契約違反があったということがわかった。ところが、日本年金機構は、そこで委託業者との契約をとめずに、更にそれ以降もその委託業者にデータを新たに渡しておられますね。一月の十五日、一月の二十二日、一月の二十九日、そして二月の五日、それぞれ、済みません、これは通告しておりませんでしたが、きのうの夕方データが出てきたのでお伺いいたします。それぞれ何件のデータを、再委託という契約違反がわかったにもかかわらずその委託業者にデータを渡していたのか、そのデータの件数はそれぞれ何件か、お答えください。わかりますか。

水島参考人 大変恐縮でございますが、一言だけおわびを申し上げさせていただきたいと思います。

 このたびは、年金からの所得税の源泉徴収に当たりまして、当機構の外部委託事務の不十分さから委託業者の入力漏れ、入力誤りが発生をいたしました。多くのお客様に大変な御迷惑と御心配をおかけいたしております。まず、この点について心から深くおわびを申し上げる次第でございます。

 その上で、御質問でございますが、今手元にございます数字を足しますと、十八万件がその後に委託された件数というふうに認識をいたしております。

西村(智)委員 一月の十五日に五万四千八百九十二件、二十二日に四万七千七百四十七件、二十九日に二万五千五百三十三件、二月の五日に五万二千百三十三件、合計すると約十八万件ということでしょうか。

 本当に、契約違反があった後にもかかわらず、十八万件ものデータがまた委託業者に渡されていた、これはとても大きな問題だというふうに思います。なぜ、そこでとめるという判断をしなかったんでしょうか。

水島参考人 お答えを申し上げます。

 当機構は、SAY企画が、契約上禁止されております再委託に関しまして、このことを行っているということについて、一月六日に立入検査を行いまして把握をいたしました。

 一月末の現地調査におきまして、再委託された情報は源泉徴収税額には影響のない氏名部分のみであること、中国への委託は昨年十二月二十五日の引渡しを最後に行われていないことを確認いたしまして、その時点で、同行いたしましたセキュリティーの委託業者でございます、日本IBMでございますが、IBMにも監査をさせましたところ、中国の取扱いに特に大きな問題はないという報告を受けております。

 一方、本年の二月の支払いに向けた入力作業は、昨年十二月十一日までに提出をされました申告書を対象といたしまして、この作業は昨年じゅうに完了いたしておりました。この部分につきまして、二月のお支払いのときには正しい源泉徴収税額を反映させることができない方が発生をいたしました。私ども、その内容につきましては、五百二十八万人の方々でございますが、職員によって点検をいたしまして、四月の支払い時に、二月にさかのぼって年金支払い額を調整させていただくことといたしております。

 さらに、三月の支払い及び四月の支払いに向けて申告書の入力作業を行う必要がございます。一月九日以降、SAY企画にかわる業者を探してまいりましたが、なかなか見つからないという状況でございました。加えまして、新たな入力業者が見つかるまでの間でございますが、SAY企画の入力を行ったものにつきましては当機構の職員が全て確認をするということを前提に、委託を継続いたしました。確認をいたしました件数は、約二十六万件でございます。

 二月二十三日でございますが、新規委託業者と新たな契約を締結することができましたので、SAY企画への入力データの新規の委託は、二月五日をもって停止をいたしております。

 四月支払い時に向けまして、正しい源泉徴収税額を反映させるために、新たな入力業者に引き継ぐまでの間、必要な作業のフォローを行いつつSAY企画に業務を継続させるという判断を行った次第でございまして、一定の妥当性はあったのではないかというふうに考えております。

西村(智)委員 時間ですので終わりますが、やはり、契約違反のあった業者に改めてその後もデータを渡していたというのは私は問題だと思います。

 引き続いて質問させていただきます。

高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時五十四分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時四十分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。西村智奈美君。

西村(智)委員 先ほどの質疑で、一月十日に委託業者が契約違反をして再委託をしているということが確認されたということ、そして一月十日以降も十八万件ものデータがその委託業者に渡されていたということが明らかになりました。

 それで、不思議なのは、一月十日に年金機構それから厚生労働省もこの事態を把握していた、要するに再委託されていたということを把握していたにもかかわらず、なぜ国民への公表が三月二十日だったのかということでございます。この点について、なぜ三月二十日の公表だったんですか、水島理事長。

水島参考人 この契約が、いわゆる一つの契約として、二十九年度分の扶養親族の個人番号の申出書、それから三十年の公的年金受給者の扶養親族等申告書、この二つの事業について一つの契約で行っておりました。この中で起きてまいりました、まあ種々の問題が起きてまいりましたが、四つの問題が起きてまいりました。一つは……(西村(智)委員「なぜ三月二十日に公表したのかということをお答えいただきたいんです。時間がないので短くお願いします」と呼ぶ)はい。

 先ほど大臣も御答弁なさいましたが、いわゆる起きてきた問題が複数の問題が起きてまいりまして、その問題の対処を順次行ってきたわけでございます。特に中国の再委託の問題に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、一月六日にわかりまして、一月の末に現地を調査いたしました。その後、全体の調査を継続いたしまして、最終的に問題が整理をされましたのが、三月の十六日に全体の整理がなされました。加えまして、源泉徴収票の誤りに関しましては、一月末に再交付をいたしておりましたが、入力漏れあるいは入力誤りに関します四月の対応に関しましては、一定のめどがついたのが三月の中旬でございました。これをあわせて御報告を申し上げまして、大臣からそれに関して公表するようにという御指示を頂戴いたしまして、公表したということでございます。

西村(智)委員 三月の中旬に事態が、全体が把握できたと。ただ、きのうのヒアリングでも、再委託の事実がわかった、確認できたのが一月十日だという答弁があったんですよ。その時点で少なくとも国民には明らかにすべきだったのではないかと私は思います。

 それと、大臣に伺いたいんですけれども、三月二十日に公表するということは大臣も了解されたんですか。三月二十日は、佐川前局長の証人喚問を行うということを与党側から発表した日だったんです。そのニュースと、言ってみれば抱き合わせのような形で、この問題を何となく国民から見えにくくしたのではないかという疑いすら持ってしまうんですけれども、何で、三月二十日の公表、これを了としたんですか。

加藤国務大臣 一連の話は、今理事長からのお話があったというふうに思います。

 そういう中で、データについて、特に入力ミスについての概括が三月二十日ごろ、三月二十日にはわかるということでありましたので、そこの段階で私の方が理事長を呼んで、それを踏まえて、全貌について、一連の委託についていろんな事案があった、その全貌について、その内容と、そしてそれに対する機構の取組、これについてしっかり説明を対外的にもしていくようにということを申し上げたということでありまして、あくまでも、その時期は全体の状況について把握ができたということでございます。

西村(智)委員 二カ月以上も、再委託の事実を把握していながら、日本年金機構と厚生労働省はそれを国民に隠していたということです。これは大変大きな問題だと思います。引き続き質問もあると思います。

 水島理事長、お伺いしたいんですけれども、最近やはり、事務処理誤り等が日本年金機構においては増加傾向であります。毎月、誤り等についてということで誤り件数が公表されていますけれども、ここ数年、非常にふえている。これを踏まえると、やはり今の外部委託業者の選定のあり方、これを見直す必要があるのではないかというふうに私は思います。

 それから、外部委託していたところが本当にその業務運営できちんとやられているのかどうか、これについても、運営評議会などで、外部委託先から情報が漏れたりするんじゃないかということも懸念されているという声がある中で、日本年金機構は、安全を担保する対策をとっているというふうに答えていますけれども、今回もまた外部委託先で問題が起きているわけですよね。外部委託先で起きた事件、非常に多いです、この間。その外部委託先をきちんとチェックする体制、それができていなかったのではないかと言わざるを得ませんが、いかがですか。

水島参考人 先ほど御質問を頂戴いたしましたので正確な数字を今手持ちで持っておりませんが、事務処理誤り全体としては減少をいたしていると思いますが、御指摘のとおり、外部委託における事務処理誤りについては増加傾向にございます。手元にございます数字で若干の検証が必要でございますが、平成二十六年度で百四十三件、平成二十七年度で百七十七件、平成二十八年度で百九十五件というふうに、この数年、増加傾向にございます。

 今回の事案も踏まえまして、外部委託の事務処理のあり方について抜本的に見直すように大臣からも御指示を頂戴いたしております。

 現在、私ども、機構内にプロジェクトチームをつくりまして検討を進めているところでございますが、具体的な内容といたしましては、入札仕様書に対応した体力、能力の把握の方法、入札後、履行能力の確認、立入検査のあり方、検品体制のあり方等でございますが、この中には、当然、入札の方法、契約の方法の見直しも含めて検討いたしております。

 具体的には、従来から進めております総合評価落札方式、あるいはSLAの効果的な活用等を進めてまいりますが、加えまして、契約方式に関しまして、落札後、履行能力を確認した後、正式な契約を締結するという方法について現在検討を進めている状況でございます。

 また、御指摘がございましたが、近年、特定個人情報等、極めて重要な個人情報を取り扱う業務が拡大をしてまいりました。このような状況の中で、果たして外部委託をこのまま続けていいのかということについては検討を要するというふうに考えております。

 その中で、例えば内製化も含めて検討を進めるべきだというふうに考えておりまして、これから具体的な検討に入りたいと、今、厚生労働省とも協議を進めさせていただいているところでございます。

西村(智)委員 また、この件については質疑の時間もあると思いますので、そのときに伺いたいと思います。

 文部科学省、政務官からお越しいただいております。東北大学の雇いどめの案件について伺いたいと思います。

 きょう資料で配付しておりますものは、東北大学の部局長連絡会議というところで、それぞれ、平成二十五年二月の十九日と、それから平成二十六年一月の二十一日に配付された資料とのことでございます。

 まず、平成二十六年の一月二十一日の方を見ますと、一月の二十一日のところで、三ページの下の方から四ページの頭のところにかけて、このように書かれています。無期労働契約への転換の申込みが、五年を超える場合にはですね。それで、通算五年を超える有期労働契約の更新は、財政等の面で大きな負担と責任が伴うものであるので行わないことを原則にすると書かれています。

 そして、その裏面を見ますと、二とページ数が打ってある方ですけれども、真ん中ごろに、改正法を踏まえ、労働契約法の改正法を踏まえ原則六カ月のクーリング期間を設けるというふうに書かれています。

 これを二つ組み合わせて考えますと、無期転換をしないために何か脱法的にクーリング期間を設けるということを、財政面からもそういうふうにしなきゃいけないんだということの、裏もちゃんとこう書かれているわけですので、これは、私、労働契約法の改正の趣旨とは大きく外れるのではないかと思いますけれども、これについて厚生労働大臣の見解を伺いたい。

 それから、文部科学省には、この無期転換ルールをめぐる雇いどめの問題、実は、大変多くの方がもうこの三月いっぱいで雇いどめに遭うんじゃないかということで言われておりますけれども、今の資料を見ていただいたところでいえば、無期転換を避ける意図が明確にあらわれているというふうに私は思います。なので、文科省として、この方針を撤回させて、無期転換ルールの趣旨に沿った対応をとるべきと大学の方に指導すべきと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 この委員がお示ししたやつは両方とも(案)と書いてあるものですから、これはどういうふうにとっていいかよくわからないんですが、ただ、いずれにしても、個別の事案について一つ一つ、全体の状況をしかも踏まえることなく申し上げるのは少し差し控えたいと思いますが、ただ、一般論として申し上げれば、クーリング期間は法律上定められているわけでございまして、それにのっとって対応されているということであれば、あくまでも、クーリング期間を定めること自体は法律に規定されているということであります。

 ただ、例えば、契約更新上限を設けた上で形式的にクーリング期間を設定し、さらに、期間経過後に再雇用するということを約束した上で雇いどめを行うといったような場合については、労働者を長期に雇用することを前提としているにもかかわらず、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持ってクーリング期間を設定して雇いどめをすることは、雇用の安定を確保する観点から、必ずしも適切ではないというふうに考えております。

 厚生労働省としては、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持って雇いどめする事案を把握した場合には、これは必要な啓発、指導ということにもなりますが、そういったことをしっかりと行っていきたいと考えております。

宮川大臣政務官 無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持って雇いどめを行うことは望ましくない、この委員の御指摘の意見に関しましては、私どもも同様に考えております。

 お尋ねの点について東北大学に確認いたしましたところ、平成二十五年の二月十九日に大学が示した対応方針案に、改正を踏まえ原則六カ月のクーリング期間を設けるとの記述がありましたけれども、平成二十六年一月二十一日に東北大学が改めて示しました対応方針案においては、当該記述は削除されていると既に確認をしております。

 文部科学省といたしましては、東北大学とその職員との相互理解が進むことをしっかり努めていくことが重要だと考えており、東北大学に対し、職員側と適切に対話をし、労働関係法令に基づき適切な対応がなされるように伝えてまいりたいと考えております。

 文部科学省は、これからも、厚生労働省と連携をして、適切な対応をしてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 さすがに、六カ月のクーリング期間というのを公式文書に残しておくのはまずいと思ったんでしょう。私が実際にお会いした方では、上司から、これからも働き続けてもらいたいので六カ月のクーリング期間を持つかどうかというふうに持ちかけられた人が実際にいらっしゃいます。そういう実態があるということをしっかりと把握して、これから対応に当たっていただきたいと思います。

 終わります。

高鳥委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。初鹿明博です。

 早速質問に入らせていただきますが、まず最初に、通告していないんですけれども、加藤大臣にお伺いしたい件が一つあります。

 今週の月曜日の三月十九日に、いのちのとりで裁判全国アクションと生活保護問題対策全国会議の皆様と一緒に厚生労働省に行きまして、定塚社会・援護局長と面会をいたしました。

 この面談、政務三役にお願いをさせていただいていたんですが、日程が合わないということで局長が対応をしていただいたということなんですが、その際に、当事者の皆さん方が、ぜひ大臣にも我々の声を届けたい、もし可能ならば日程を再度調整して会う機会をつくってくれないかというお話があったんですね。そうしたら、局長はどうもかなり後ろ向きで、きょうは私が政務三役のかわりに来ていますからという感じであったんです。

 伺いたいのは、日程が合わなくて月曜日は会えなかったという、本当にそういうことなのか、それとも大臣が会いたくないから会わなかったのか、そんなことはないと私は思っているんですけれども、そうなのかということと、日程が許すならばこの皆さん方と面会をするのかどうかということをお伺いしたいんです。

 そもそも、前回の生活保護法の改正のとき、平成二十五年ですね、参議院の厚生労働委員会の附帯決議の七項目めに、「五年後の見直しに際しては、生活保護受給者数、人口比受給率、生活保護の捕捉率、餓死・孤立死などの問題事例等の動向を踏まえ、生活保護受給者、これを支援する団体、貧困問題に関し優れた見識を有する者等、関係者の意見を十分に聴取した上で、必要な改正を行うこと。」という附帯決議がついているわけです。

 この附帯決議にのっとっても、やはり私は、生活保護を実際に受給されている方やその支援を行ってきた皆様方からきちんと大臣が話を聞く機会を持つということが必要だと思いますので、大臣に、まず最初、そのことをお伺いさせていただきます。

加藤国務大臣 今、三月十九日のお話がございました。

 これは、割とショートノーティスで、しかも時間を非常に限定されておられましたので、ちょうど私、そこにどうしても、所用がありまして対応できないということで、他の二役ということも考えたんですが、残念ながらそういうことにもならず、局長が対応させていただきました。局長からは、対応させていただいた話については聞いているところでございます。

 その上で、今、附帯決議のお話もありましたが、いろいろな方からの意見、声は、議論する中でそれぞれお聞きをしながらこの話を詰めたというふうに承知をしているところでございます。

 その上で、今の皆さん方から、改めてということがございました。それはまた改めてお話をいただきながら、政務三役の中で時間的に対応できるのであれば、またそれは検討させていただきたいと思います。

初鹿委員 今、対応できるのであれば検討したいということですので、また日程の調整等をさせていただきたいと思いますので、ぜひ政務で御対応いただきますようにお願いをさせていただきます。ありがとうございます。

 では、ちょっとお配りをしている資料に目を通していただきたいんですけれども、一つは、皆様のところに、ちょっと黒くなっちゃっているんですが、メールをスクリーンショットで撮ったもので、文章を読みますと、「いつもお世話になります。 ご利用の際は××××の部分を記入してご使用ください。」と書いてあって、「組合脱退届」という添付がされているわけですね、ファイルが。一枚めくっていただいて、二枚、手書きのものと実際に打ち込んだものとをつけております。

 個別の事案についてはお答えできないというのが、恐らく個別のことで聞くと返ってくるのは承知をしているので、あえて個別のことは聞きません。ただ、一般論としてお伺いさせていただきますが、これは何かというと、経営者側が個別の組合員一人一人に対してこのメールを送ったり、この脱退届というもののひな形をもって脱退をするように勧奨をしていた、そういうことがあったと。

 こういうことが行われるということは、労働組合法第七条の第一号では「労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。」という規定や、若しくは第三号の「労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、」という、使用者側に対して禁止をしている不当労働行為に当たるのではないかと思いますが、一般論として、こういう、経営者側が脱退届をもって、これに書くようにというようなやり方で労働者に勧奨するということは、不当労働行為に当たる行為なんでしょうか。

加藤国務大臣 委員からも今、一般論ということでお話がありましたので、一般論としてお答えさせていただきたいと思います。

 使用者が労働者に対して労働組合からの脱退を働きかけること、これは不当労働行為として労働組合法で禁止をされているということでございます。仮に不当労働行為が行われた場合には、労働組合は都道府県労働委員会に救済命令の申立てを行うことができる、こういう仕組みになっております。

初鹿委員 これが事実であれば、不当労働行為に当たると。実際には、その救済については各地方の労働委員会で行うということでありますので、その最終的な結果については地方労働委員会に委ねるとして、こういう行為は不当労働行為だという御答弁をいただきました。ありがとうございました。

 では、次の質問に移ります。

 また一枚めくっていただいて、厚生年金保険法と健康保険法の条文をお示しをさせていただいております。

 今、厚生労働省は、社会保険の未加入事業所に対して社会保険加入を進める取組を行っているわけですね。特に建設業については、社会保険に未加入の事業所を下請に使っちゃいけないというかなり厳しいことで進めていて、私は、これはいいことだと思うんです。

 ここの条文にも書いてあるとおり、常時五人以上の従業員を使用する場合は、強制的に社会保険の適用になるわけですよね、厚生年金にしても、健康保険にしても。加入をしていないと罰則まであるということになっているわけであります。ですから、社会保険に入っていないということは、五人人を雇っていたら、使用者の義務としてやらなければいけない、加入しないのは許されない行為だということなんだと思います。

 もう一枚めくっていただいて、きょうは、美容業界で今行われている、ある意味、社会保険適用逃れの事案について取り上げさせていただきたいと思います。

 大臣、面貸しサロンという言葉、知っておりますか。全てが悪いわけではないんですけれども、つまり、サロンの鏡を貸すという意味らしいんですけれども、正社員で雇わずに、業務委託契約という形で、その場所を貸して、そこで自分のお客さんを呼んでカットをしてお金をもらう、それで歩合制になっている、そういう働き方があるんだそうです。

 これで、ある程度お客さんを持っていて、それで自由に働けて、収入も多くなって、メリットのある働き方になっている方もいる一方で、明らかに、オーナー側の、経営者側の都合によって社会保険逃れになっているんじゃないかと疑われるようなケースも多々あるということなんですね。

 この美容業の求人サイトを見ていただいてわかるとおり、正社員、アルバイト・パート、業務委託というふうに並んでいるんですよ。一番下なんかは、業務委託が上で、正社員が下になっていて、材料、集客は会社が負担します、ハイレベルな技術、サービスを実現できる環境を整えています、そんなことが書いてあるわけですね。

 これは何が問題かというと、一つは、まず、社会保険に加入しないということで、経営者側からすると、保険料の負担がないわけですね。それだけじゃなくて、経営者側のメリットとしては、業務委託をすることによって、それは外注費になるので、本来人件費で払っているものが外注費だから、消費税の仕入れ税額控除の対象になって、消費税が戻ってくるんですよ。そういうメリットがあるわけですよ。

 それで、更に問題なのは、真面目に若いころからちゃんと正社員で育てていって、ある程度技術をつけてお客さんをつかむようになった人を、業務委託になれば手取りがふえるよといって引き抜いていってしまう。そうすると、真面目に保険料を納めて育ててきたところは、やっと一人前になったというところで、そこに今までお金をかけているわけですよね、それを全部持っていかれて、お客さんまで持っていかれる、こういうことが今常態化しているそうなんですね。

 それで、お伺いしたいんですけれども、この件、質問主意書も出させていただきました。比較的前向きな、きちんとした取組をするというお答えを返していただいているんですが、この答弁書の一及び二で「社会保険の適正な適用に向けた取組を実施してまいりたい。」ということが書いてあるんですが、具体的に、じゃ、どういうことを今厚生労働省として考えているのかということをお答えください。

牧原副大臣 改めて、貴重な御指摘もありがとうございます。

 社会保険の適用要件についてはケース・バイ・ケースの判断になるわけですけれども、それを満たしているにもかかわらず加入手続が行われていないというのは、我々も適切でないというふうに考えております。

 そういうことで、従来から、さまざまな機会を捉えて、適切な届出が行われているかどうかの調査を年金事務所において実施を事業所に対してしているところでございまして、その過程で、今言ったような加入手続が行われていない事業所や従業員を確認した場合には、適正な加入手続の実施を指導し、改善を求めるところでもございます。

 これに加えて、厚生労働省から業界団体や地方自治体を通じてより一層の社会保険制度の周知を行うことにより、理解を求め、適正な適用に向けて取り組んでいるところでもございます。

 先生の御指摘を踏まえ、引き続き関係機関等の連携を図りながら、着実に取り組んでいきたいと思っております。

初鹿委員 これは私の答弁をもう一回読んだだけなんですが、じゃ、具体的に、業界団体及び地方自治体を通じて周知を行うという、その中身を教えてください。

牧原副大臣 パンフレット等も作成をしたり、あるいはそのパンフレットでは不明な点等については、年金事務所やそれぞれハローワーク等で相談も呼びかけている、こういう形でやっているところであります。

初鹿委員 パンフレット、これは業界向けのパンフレットをぜひつくっていただきたいんですね。

 一つ確認をさせていただきたいんですけれども、業務委託契約で働く場合というか、働かせる場合は、その働いている労働者、働くというかそこで契約して仕事をする労働者は、使用者側、オーナーなり店長なりの指揮命令下に入ってはいけないわけですよね。指揮命令下に入って、例えばシフトに入るとか、朝何時に来て何時に帰らなければいけないとか、そういう指示をしてはいけないわけですが、多くの場合、シフトに入っているし、指揮命令下に入っているということなんです。

 恐らく、働く側も知識がなくて、そういうことになっているのは違法だということがわかっていない場合もあるでしょうし、また、オーナー側も安易に考えて業務委託にして、社会保険を逃れるためにして、実際にはほとんど正社員と同じような労務管理をしているというケースもあると思いますので、これが違法なんだということをやはりきちんと伝えていくことが必要なんだと思います。

 改めてお伺いしますけれども、使用者側の指揮命令のもとで働いている場合は、業務委託契約というのはこれは違法になるということでよろしいんですよね。

牧原副大臣 指揮監督でいわゆる雇っている状況にあるという判断のほか、週に何回働いているとかそういう要件もありますけれども、そうした要件を検討した結果、本来適用されるべきだという判断がなされる場合には、加入していなければそれはいけないという判断になると思います。

初鹿委員 あと、もう一つの問題は、働く側が、手取りがふえるからという安易な発想で業務委託を選んでしまうんですが、本来、業務委託契約だと、個人事業主の届出を税務署にしなければいけない、そして確定申告もしなければいけないわけですが、していないケースも多いんじゃないかということが指摘をされております。

 だから、この点もきちんとやはり厚生労働省が監査等に入っていくときに確認をしていただき、もし実際に個人事業主として届けていないという場合は、それは業務委託契約じゃなくてやはり正社員として雇用すべき問題ではないかという指摘をきちんとしていただきたいと思います。

 それと、先ほどの求人票を見ていただければわかるとおり、正社員、パート・アルバイト、業務委託というような求人票で民間では出しているわけですね。ハローワークを通じて求人に応募してきて、面接した際に、本来だったら正社員で雇うべきなのに、こういう働き方もあるよ、業務委託で、こっちの方が手取りが多くなるよといって業務委託契約を結ぶということは、ハローワークを通じてやった場合はこれは明らかに違法だと思うんですが、恐らくそういうことも、業界の実際にそういうことをやっている方々には伝わっていないんじゃないかというふうに思います。

 ハローワークを通じて応募があった場合に雇用契約じゃなくて業務委託契約を結ぶこと、これは違法ですよね。

牧原副大臣 ハローワークが行う職業紹介は、求人者とそれから求職者との間における雇用関係の成立をあっせんするものであるため、雇用契約ではなく業務委託契約の締結を求めることは不適切であるというふうに考えております。

初鹿委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、社会保険にきちんと加入しなければならない事業所が、逃れることを目的に、こういう、制度を悪用するということがないようにぜひしていただきたいと思います。

 続きまして、きょうは政府系金融機関の担当の省庁の方に来ていただいているんですが、この問題を調べていって更にびっくりしたというか、ああ、こうだったんだということがわかったのは、政府系金融機関で融資を受ける際に、適用事業所なのに社会保険に加入していない場合でも融資を受けられるんですよ。

 これは結構指摘をされるんですけれども、今回も美容室の問題を私のところに教えていただいた方からも言われましたけれども、自分たちは真面目に保険料を納めて、例えば百人とか従業員を抱えていると、年間で億単位の保険料を納めるわけじゃないですか。そうやって従業員のために保険料を納めているのに、一方で、社会保険逃れをしているところが、納めなくて、それで浮いたお金で新規の店舗を出店し、そこに政府系金融機関から融資をもらって、そしてどんどんどんどん発展していくというのはやはりおかしいんじゃないかと。

 この件について質問主意書を出したら、残念なことに、答弁が非常に後ろ向きな答弁だったんですよ。今資料をつけておりますけれども、二つめくっていただいて、政府系金融機関は、民間の金融機関のみでは適切な対応が困難な分野において、金融的手法により政策目的の達成を目指しており、政府系金融機関が行う融資の要件に社会保険の適用を一律に加えることについては慎重な対応が必要と考えていますと答えているんですね。

 でも、先ほど最初に言ったとおり、五人以上従業員を雇っているところは加入が義務なわけです。しかも、加入していなかったら罰則もあるわけです。罰則があるようなことに反しているのに政府系金融機関が融資を行えるというのは、私はやはり見直した方がいいと思うんです。

 そこで、きょうは、内閣府のあかま副大臣、そして財務省の今枝政務官と来ておりますけれども、あと経産省からは吾郷部長も来ていただいておりますが、政府系金融機関、五つあるので、それぞれ来ていただきました。それぞれ順番に、融資の要件に、適用事業所についてはきちんと社会保険に加入していることを要件とするということを加えるようにしないかということを、見解をお伺いさせていただきますので、順番に、ではまず副大臣からお願いいたします。

あかま副大臣 内閣府の方でございますけれども、内閣府からは、沖縄振興開発金融公庫についてお答えをさせていただきます。

 この公庫でございますけれども、沖縄における経済の振興及び社会の開発に資することを目的として、中小企業者及び農林漁業者等々に貸付けを行っているところでございます。

 この公庫でございますが、民間の金融公庫のみでは適切に対応が困難だという分野において、金融的手法をもって政策目的の達成を目指しており、社会保険の適用を一律に加えることということについては慎重な対応が必要だというふうに考えております。

 社会保険の加入の促進についてということでありますけれども、厚生労働省の所管ということでもありますが、厚生労働省の要請というものがあれば、必要に応じて、融資相談の際に社会保険制度を周知することについて検討をしてまいりたいと思っております。

 以上です。

今枝大臣政務官 初鹿委員にお答えをいたします。

 財務省からは、日本政策金融公庫、国際協力銀行及び日本政策投資銀行についてお答えをさせていただきたいと思います。

 まず、それぞれでございますけれども、日本政策金融公庫につきましては、政策的必要性の高い分野について、国民一般、中小企業者及び農林漁業者の資金調達を支援する等の役割を担っております。

 国際協力銀行につきましては、海外資源の開発及び取得の促進、そして我が国産業の国際競争力の維持向上等の分野における金融の機能を担当しております。

 日本政策投資銀行につきましては、投融資を一体的に行う手法など、高度な金融手法を用いて長期事業資金の円滑な供給及び金融機能の高度化に寄与することを目的としております。

 これら政府系金融機関は、民間金融機関のみでは適切な対応が困難な分野において、金融的手法により政策目的の達成を目指しておりまして、融資の要件に社会保険の適用を一律に加えることについては慎重な対応が必要だと考えております。

 ただし、社会保険の加入の促進につきましては、厚生労働省の所管でございますけれども、厚労省からの御要請がございましたら、必要に応じて、融資相談の際などに社会保険制度の周知をすることについては検討してまいりたいと思います。

吾郷政府参考人 商工中金についてお答え申し上げます。

 商工中金は、中小企業組合やその構成員に対する金融の円滑化を図るという目的のもと、中小企業に対する融資を行っているところでございます。

 先生御指摘のように、融資の要件として社会保険の適用を一律に加えることにつきましては、そのことによって中小企業の資金調達に影響が生じることも想定されまして、慎重な対応が必要と考えております。

 このため、中小企業における社会保険の加入促進につきましては、厚生労働省の方から御要請があれば、必要に応じて、融資の相談の際に社会保険制度を周知することについて検討してまいりたいと存じます。

初鹿委員 みんな同じ答えをしているんですけれども、でも、皆さん、冷静に考えてくださいよ。法律で加入しなければいけないと義務づけられていて、加入しないと罰則もあるようなことですよ。それに反しているのに、政府系の金融機関がそれを要件としないというのは、やはり私は明らかにおかしいと思うんです。

 大臣、厚生労働省からの要請があればということがありましたので、社会保険の加入を進める上でも、これが融資の要件になっているか、なっていないかというのは非常に大きいと思いますので、一律にと言っていますが、一律にちゃんとするように、ぜひ厚生労働大臣から言っていただきますようお願いします。

加藤国務大臣 質問に対する答弁書、これは内閣で確定したもので、私も花押を押したという立場ではありますが、今、各省から、要請があれば周知をするということですから、まず早速その要請をしたいと思います。

 それから、これをぎりぎり読めば、一律にというところでありますから、確かに、緊急融資とかそういった場合にまで適用できるかどうか、そういう議論は私はあるんだろうと思いますけれども、では全部がだめなのかということにもすぐにはならないんだろうと思いますので、その辺も含めて、少し議論をさせていただきたいと思います。

初鹿委員 ぜひ、正直者がばかを見るようなことにならないようにしていただきたいと思います。やはり、真面目に社員のことを考えて、社会保険にきちんと入って、社会保険料の負担は物すごく重いんですよ、事業主にとって。それを、頑張って働いているところがばかを見るようなことがないように、ぜひ、副大臣、政務官、そして部長も、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございます。では、ここで結構でございます。

 では、次の質問に移ります。

 もう一枚資料をめくっていただいて、ちょっと時間がなくなってきたので、ちょっと駆け足で行わせていただきますが、原発の作業員の国の調査についての質問をさせていただきます。

 こちら、東京新聞の記事ですが、「フクシマの英雄 使い捨て?」というかなり厳しい見出しをつけられていて、国の調査の受診率がわずか二割強だという見出しがついております。実際に担当の方とお話をしたら、今、三割ぐらいになっているということなんですが、なかなか伸び悩んでいるということです。

 これはどういうことかというと、まず、福島第一原発の事故があって、その直後、厳しい被曝線量の中で作業をしなければならないということで、年間の上限の特例を、今まで百ミリシーベルトだったのを二百五十ミリシーベルトまで引き上げて、一一年の十二月十六日までこの対策をとって作業を行ってもらった。その十二月十六日まで働いた作業員二万人の方については国が責任を持って長期的に健康管理をしようということで、二万人については、電離則で行う健康診断の結果をきちんと国が報告を受けて、一人一人きちんと管理をするということが行われている。

 それと別に、同じ二万人を対象に、被曝と病気の関係を疫学的に調査をするということで別に調査をやっていて、長期的な健康管理の方の健診は大体九割以上の方がちゃんと受けていて、こちらの疫学調査の方は、調査だから任意なので、受ける方が三割程度にとどまっているということですね。

 この話を聞いて、そもそも、健診一つにすればいいんじゃないの、二回も三回も行くから、この記事でも書かれているとおり、伸び悩んでいる原因なんじゃないかと。ここで、親会社からは、受けなくてはならない健診以外は受けなくていいと言われて休みにくいみたいなことが書いてあるわけですね。また、日当が保障されたり、日曜日に受診できるなら受診者はふえるかもだとか、また、これは一回の謝礼が三千円なんですよね。三千円の謝礼で一日分の働く賃金がなくなるというのは、やはりなかなか選びづらいんじゃないかと思うわけです。

 一本化できないのかという質問をしたら、疫学調査の方の健診を電離則の健康診断に当てることを認めているというんですよ。恐らく、これが事業者のところまで伝わっていないんだと思います。元請には説明したと言っているんですよ。でも、元請から二次、三次、四次とか、そういう下請企業の経営者のところまでこの情報が伝わっていないから、研究に協力するということにもなっていないんじゃないかと思いますので、電離則の健診にもかえられるということと、電離則の健診だったら、これは義務ですから、労働時間の範囲の中でやるべき問題なので、当然、有給の対象になったり又は給料が保障されたりするわけですから、そういうものもきちんとやらなければいけないんだということも伝えるべきだというふうに思います。

 そういう努力をしないと、私は、この健診の協力者というんですか、ふえていかないと思いますので、まずそこを徹底していただきたいということをお願いして、ちょっと質問時間がなくなりましたので、きょうはこれで終わらせていただきます。

 まずは、答弁よろしくお願いします。

牧原副大臣 事実については先生が今御指摘いただいたとおりでございますけれども、この疫学研究調査、三年から四年に一度行われている調査でございますので、毎年やっているものではないために、毎年毎年の健康診断に置きかわるものではありませんが、今おっしゃったように、これを労働安全衛生法に基づいて事業者に義務づけられている健康診断に、やるときには代替できるものですので、これの周知についてしっかりと取り組んでいきたい、こういうふうに思っております。

初鹿委員 終わります。

高鳥委員長 次に、白石洋一君。

白石委員 希望の党の白石洋一です。よろしくお願いします。

 今政府で検討されている高度プロフェッショナル制度、高プロと略称させてもらいますけれども、これは非常に問題だと思うんです。

 過労死の方々の遺族の方のお話を聞いて、彼女たち、彼らは現行の裁量労働制度で亡くなられた、過労死で亡くなられた方、その方々の最大の教訓、我々に残した教訓というのは、労働時間管理をしないといけない、それも上司がしないといけないということだと思うんですね。

 じゃ、上司がどういう動機で労働時間管理をするのか。それは、もちろん部下の健康をおもんぱかるというのがあります。そして、加えて、労働時間、勤務時間が長くなると残業代がふえていく、これがいわゆるペナルティーとして働く、予算もあるから、そういう中でおさめないといけない、こういう動機もあると思うんですね。それが働かないというのが裁量労働制度、それを更に働かなくさせるのが高プロだというふうに思うわけです。

 それで、高プロの対象者というのを厚労省の方に聞くと、ごくごくわずかな人たちなんですね。高プロには対象業務と年収要件、この二つの掛け算で絞られるんですけれども、年収一千七十五万以上ですよね。それを一千万以上ということで、加えて役員を除いた形で、今それだけの雇用者というのは日本で全体の三%でしかないらしいんです。さらに、ここから管理職を除きます。三%の中には管理職が含まれています。それを除いて、さらには今検討されている高プロの対象業務の方々というと、もう本当にわずかな方々になると思うんですね。

 じゃ、これは何人ですかといったら、厚労省は答えられないんです。これはぜひ大臣、よくよくこれを、ちゃんと人数を調べておいてほしいですね、もし法案を提出するのであれば。

 その上で、なぜ今政府は高プロの導入について検討し、働き方改革のいわば目玉とされているのか、ここをまず大臣、お願いします。

加藤国務大臣 今、例えば第四次産業革命という言い方もされますけれども、こうした流れの中で、また、グローバル化が進展していく、我が国においては、高い付加価値を生み出していく、そういう方向へ経済を変換していかなければいけない、こういう状況にもあろうかというふうに思います。こうした新しい産業というのがまた幅広い職種への需要をもたらすということで、雇用や就業機会の拡大といった面もあるということであります。

 こうした付加価値の高い財・サービスを生み出す分野では、イノベーションや付加価値化を担う高度専門職の方であって希望する方が、健康をしっかり確保していく、これは大前提でありますが、仕事の進め方や働く時間帯をみずから決定し、その意欲や能力を有効に発揮していく、こういった環境が求められているわけでありまして、そうした方々が能力を発揮していただくということで、先ほど申し上げた、この国でより付加価値の高い、またそうしたさまざまな産業が発展をしていく、またそれが日本経済全体の発展、また生産性の向上にもつながっていく。

 こういうような考え方に立って、働き方に合った健康確保のための措置や、今お話がありました、高い年収の確保、職務範囲の明確化等を規定した上で、自律的に働くことができる高度プロフェッショナル制度を、これは働き方のあくまでも選択肢でありますけれども、整備をしていきたい、こういうふうに考えております。

白石委員 要するに、付加価値を高める業種の方々は、みずから自律的に、働く時間、従事する時間を決めながら、第四次産業革命ですか、そういう時代に合わせていくということなんですけれども。

 この高プロで想定されている方々は、ちょうど裁量労働制の専門型とか企画型の方々とほぼ重なるんですよ。まだ裁量労働制、現行の裁量労働制、問題はありますよ、問題があるから過労死が出ている。問題がありながらも、わずかながらも労働時間の概念が残っている。それは、みなし労働時間とか、あるいは休日勤務に対して割増し賃金、あるいは深夜労働に対しての割増し賃金、そういうまだ労働時間の概念が残っている。ところが、高プロは残っていない。

 それが、高プロはどんな方々ですかとつぶさに見ていると、こういうことになっているんです。金融商品の開発、それからアナリスト、コンサルタント、そして研究開発、さらには金融商品のディーリング業務、こういうことになっているんですね。

 こういうふうに重なっているということは、いずれ、一旦、高プロが導入されたら、経営者としては、やすきに流れる、水が低い方に流れるように裁量労働制の方々を高プロに移していって、そして、もう残業代はない、もう休日出勤も夜間勤務も残業代はない、そういうやすきに流れる労働管理にされがちになってしまう、そういうことを懸念するわけであります。

 今、年収要件で一千七十五万円、これは法律で平均給与の三倍を相当に上回ると書くからその辺は大丈夫だという声もあるんですけれども、ただ、今でさえ、平均給与は三百万円強ですから、やろうと思ったら年収九百五十万に下げることだってすぐできるわけです。

 そうであれば、そこの、裁量労働制と高プロの対象業務の、そのほとんど重なっている、かすかに違うのが金融商品のディーリング業務なんですね。これは、いわば株式のディーラーだとか金融先物のディーラーだとか為替のディーラーですよ。取引所があるところは勤務時間というのは割と管理しやすい。でも、為替なんかは四六時中、二十四時間回っているから、本当に危険なところ。ここを高プロにしてはいけないんですよ。

 提案ですけれども、どうしても先ほどおっしゃった名目で高プロを導入したいというのであれば、その中の金融商品のディーリング業務だけを、その部分だけ裁量労働制、現行の対象業務に加えるということを考えてはいかがかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員今御指摘のように、専門業務型裁量労働制については、どういったものが対象業務になるか、省令、告示等で出されているわけでございます。

 そして、それと、高度プロフェッショナル制度が労働政策審議会、労政審で議論されたときの幾つか考えられる業務としてバッティング、ぶつけていくと、今委員御指摘のように、金融ディーリング、それからコンサルタントの業務も多分今合致していない部分があるんだと思います。

 業務から見たら確かにそういうことになりますけれども、もともと高度プロフェッショナル制度は、高度の専門的知識を必要とし、その性質上、従事した時間と従事した成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省で定める業務。他方で、専門業務型裁量労働制というのは、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある、そして実際指示することが困難であるという、視点がやはり異なっているということが一つあると思います。

 それから、その上で、これを実施するに当たっては、書面における本人の同意、そしてさらには、その書面において、どういったことを具体的にやるのかという職務についての範囲を決めていく、そして今委員御指摘があった年収要件、こういった要件も重ねているところでございますので、そのたてつけが基本的に専門業務型と、裁量労働制型、特に専門の業務型裁量労働制とは異なるものだということでございます。

白石委員 大臣、異なる部分として、視点が異なると。視点が異なるというその中身をよく聞くと、結局は労働時間との切離しじゃないですか。つまり、裁量労働制はわずかに勤務時間という概念がある。それが高プロでは、従事する時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない。まさに労働時間とそして報酬との切離しをしようとしている。さらにこれは危ないんですよ。労働者にとって過重労働、過労死の可能性が高くなる、そういうものなんですね。

 先ほど胸を張っておっしゃいました、ちゃんとその人の承諾を得るということと、それから健康確保措置をちゃんとやりますと。これは先ほど大臣はおっしゃらなかったけれども、ペーパーには書いている。そう胸を張って健康確保措置をやると言うのであれば、まずは現行の裁量労働制について、まだここで述べられている措置がされていないものを修正してやるべきだと思うんです。

 高プロについては、年間百四日の休日確保措置を義務化します、胸を張ってこう書いている。さらには、インターバル措置義務化、あるいは一カ月又は三カ月の健康管理時間の上限措置、二週間連続の休日、臨時の健康診断、さらには医師による面接指導。ここまでやるというのであれば、まずは現行の裁量労働制についてこれらをすべきだと思うんですけれども、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 高度プロフェッショナル制度については、今委員からお話がありましたように、労働時間とこれを分けるといいますか、労働時間法制から除外をしていくということの代替措置として、その中で健康確保をいかに図っていくかということで、今委員御指摘のさまざまな措置を設けているということでございます。

 裁量労働制については、今我々の方としては、現行については実態の把握をした上でこれから議論するということでございますので、それはそれとしてしっかり議論していく必要があると考えておりますけれども、高度プロフェッショナル制度は、それはその制度において、今申し上げた趣旨から考えて必要な健康確保措置を定めている、こういうことでございます。

白石委員 裁量労働制は、その拡大を、先ほどおっしゃった、次へ延ばす、政府の立場としてですね、それはやっていただいていいんですけれども、健康確保措置、その修正、バージョンアップ、これはぜひやっていただきたいと思います。

 次のテーマに移ります、時間の関係もありますから。標準報酬月額の決定方法です。

 標準報酬月額というのは大事です。さっき、社会保険料というのは払うのが大変だと。これは労使折半ですけれども、労働者にとっても大変なんです。その標準報酬月額がどうやって決まるか。五十五年前の局長通知によって決まっている。もとの法律もその前に、それ以上前の、あるんですけれども、それは、年度の初め、四月、五月、六月、たったと言わせてもらいます、この三カ月間の給与、残業代、手当を含みます、これを平均したもので決めるんですね。これが本当に公正なのかということをもう一回改めて考えてみたいと思います。

 まず、標準報酬月額によって年金、そして健康保険の保険料が決まるわけですね。年金については、多目の保険料を払っても行く行くは自分に返ってくる。給付ということが、それまで生きていたら、受給できたらもらえる。でも、健康保険というのはいわば一年の掛け捨てです。健康保険サービスというのは基本はみんな同じです、被保険者はみんな同じです。ですから、労働者の立場としては、なるべくならば払いたくないという気持ちがあっても、それは仕方がないところ。

 その保険料、特に健康保険料が四、五、六の月によって決まる。ただ、この四、五、六というのは、ゴールデンウイークがあるんです。ゴールデンウイークがあって、どういうことかというと、職種によって、ゴールデンウイークが書き入れどきの方々がおられるんですね。例えば、旅行業、バスの運転手、観光バスとか、それから、工場勤務者によっては、工場の保全をするメンテナンスの時期なんですね。そのときはラインがとまっている。だから、そのときこそメンテナンスをする。深夜あるいは休日、ゴールデンウイークをかけてその業務をする。月給があって、その上に手当が乗る。ですから、年間で一番給料が高いときなんですね。その後はまた巡航速度に戻るということなんです。

 そこで、提案なんですけれども、本来ならば一年間、前年度十二カ月を平均したものというのが一番公平だと思うんですけれども、平準化という意味で、せめて、四、五、六に加えてその前の一、二、三の六カ月の平均でもって標準報酬月額を、この時代ですから決めていただけないか。そこを大臣、答弁をお願いします。

高木副大臣 お答えいたします。

 被用者保険におきましては、実際の報酬にできる限り即したものとすることや、事業主と保険者の事務負担を軽減するという観点から、四月から六月までの三カ月間の報酬の平均をもとに仮定的な標準報酬月額を定めております。

 なお、被保険者の業務の性質上、先ほどのさまざま御指摘があったとおりでございますが、例年四月から六月までが繁忙期であるなど、この期間で標準報酬月額を算定することが著しく不当であると認められる場合は、特例的に前年七月から当年六月までの年間平均を用いて標準報酬月額を決定することができるということも定めております。

 報酬の平均を算出する期間を十二カ月や六カ月と長期にしてはという議員からの御指摘につきましては、仮に全被保険者について算定期間を長期間とした場合、昇給、降給前の期間が反映されるために、保険料が実際の負担能力と乖離したものとなり得るケースが生じること、またさらには、電子申請の環境が整っていない事業主や健康保険組合にとっては、被保険者の報酬に関する届出事務が増加するなどの課題があることから、やはり直近の昇給、降給を標準報酬月額に反映するには、算定期間を短期間とすることが望ましいと考えております。

 また、現行の年間平均を用いた手続の簡素化の御提案も既に事前にいただいておりますが、保険者が標準報酬月額を正確に算定するために、どこまで事業主の届出内容を省略できるかといった課題もありますために、関係者の意見を踏まえながら慎重に検討すべきものと考えております。

白石委員 副大臣、二点申し上げたいんです。

 まず一つ目は、十二カ月でもできるんですよ、申請さえすればということなんですけれども、まあ、十二カ月もいいでしょう。でも、十二カ月以外はできないともとれるんです。つまり、この五十五年以上前の通知によると、三カ月が原則、そうでなければ十二カ月。ここに、僕は六カ月を入れたらいいと思うんです。局長通知ですよ。六カ月も選択の中に入れるということが一つ言えると思うんですね。

 そしてもう一つは、確かにこれは事業主にとっては煩瑣な事務手続があるんです。だから、従業員が、あるいは労働組合を通じて、十二カ月にしてほしい、四、五、六は高い月だから困ると言ったとしても、面倒くさがられるというところは一つあると思うんです。確かに、こうやって書類を見せてもらいましたけれども、結構大変そうです。ですから、ここはぜひ、書類の簡素化、そして電子申請も交えながらやっていくようにしていただけないか。

 六カ月のところと電子申請ですね、お願いします。

高木副大臣 まず、ただいま御指摘ありましたように、電子申請につきましては前に進めることが必要であると考えております。このような形で正確に捕捉をするということが、まずは一つは重要であると考えます。

 その上で、先ほどの、六カ月はないのかということですが、いわゆるこれは報酬を正確に捕捉をしていくということから十二カ月か、しかしながら、事務の煩雑化を考えると、やはりこれは三カ月か、そうした今議論になっておりまして、御指摘の点につきましては慎重に検討をさせていただきたいと考えます。

白石委員 これで、時間ですので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時三十分開議

高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 質疑を続行いたします。柚木道義君。

柚木委員 希望の党の柚木道義でございます。午後からもよろしくお願いいたします。

 きょうは、厚生労働省以外にも、それぞれ、政務、政府参考人の皆さん、ありがとうございます。質問通告どおり全部いくかどうかわかりませんが、ぜひ御答弁の方、よろしくお願いいたします。

 早速、まず、きょうは、もちろん、この後、厚生労働大臣の方に、ほぼ、どの問題も関連するので、御答弁を求める場面がありますので、大臣、一応流れは耳を傾けていただきながらと思います、他省庁とのやりとりも。

 まず冒頭、一枚目の資料に、きょう、皆さんの方に資料をつけておりますが、こういう状況が今起こっているということをちょっと残念に思うわけです。これは、安倍内閣の諸問題ということで、この間、例えば今度、二十七日に証人喚問が佐川前国税庁長官に行われますし、本日ですか、籠池さんに衆議院の方の各党の代表が面会に、ちょうど四時からでしたか、十五分間、伺うという状況。安倍昭恵夫人の、いい土地だから前に進めてくださいというその御発言が、昭恵さんの言葉で発せられたのか、それとも、財務省の決裁文書、書きかえ前、改ざん前のものに書かれていたことですら、それが虚偽なのか、そういうことも明らかになってくると思いますし、その他、加計学園問題、あるいは稲田大臣のときの南スーダンPKOの日報改ざん問題、あるいは、この当委員会でも今大問題になっている、働く皆さんの命にかかわる裁量労働データの改ざん問題などなど、本当に今大変さまざまな問題が次から次へと起こっている。

 こういう中で更に、資料、まあ二ページ目は、それぞれ財務省、厚労省のさまざまな過去の出来事ですから、また後ほど時間があればと思いますが、きょうは文部科学省からも丹羽副大臣、きょうは足をお運びいただきましてありがとうございます。また、政府の方から、文部科学省からも白間大臣官房審議官にお越しいただいているんですけれども、私はぜひ当事者の淵上教育課程担当課長にお越しいただきたいと思っているんですけれども、お越しいただいておりまして、なぜお越しいただいているかといいますと、この後も取り上げますし、きょうは過労死家族会の寺西代表を始め、あるいは先日、渡邉美樹参議院議員の、本当に私は、遺族会の皆さんに対して、本当に逆なでをする大変な暴言だったと思いますけれども、議事録削除、その公聴会にお越しになられた中原のり子さんもいらっしゃっていますし、まさに当時の渡邉美樹さん、経営、十年前、二十六歳の若さで過労自殺、過労死、本当に痛ましい状況があった当事者の森さん御家族、御両親のコメントもきょうつけておりますけれども。そういう、和田議員の参議院予算委員会での太田理財局長への、これも議事録削除。

 大変なさまざまな、ある意味、暴言というか失言というか、こういったものも相次いでいて、そして今回、文部科学省、教育現場への不当な圧力、介入という、本当に大きく報じられている赤池議員、池田議員、それぞれ文部部会長、部会長代理というお立場ですね。

 こういう相次ぐ暴言、失言、これがまさに安倍政権与党の今の体質を、あるいは、おごりや緩みがこういうところに出てしまっているんじゃないのかと受けとめられておりますし、心ある与党議員の皆さん、今声が上がって、安倍昭恵夫人も含めて、本当にこれは襟を正していかなきゃいけない、自重しなきゃいけない、こういうことが言われているさなかでございます。

 それで、この文部科学省に対する、前川前事務次官の中学校の公開授業に対して、これは本当に不当な介入が行われているということで、四ページ目に時系列でこの間の経緯を説明をしております。ごらんください。

 これは、名古屋市教育委員会、名古屋の公立中学校ですから、赤池部会長が、まず二月の十七日土曜日の日に、授業に関して事実確認を求めて、そして藤原官房長にショートメール。その後、対応しますというふうに官房長からは赤池さんに来ているんですけれども。十九日の日に、今度は池田衆議院議員、部会長代理ですね、文科委員会。部会長と部会長代理といえば、まさに部会のナンバーワン、ナンバーツーで、厚労委員会のナンバーワン、ツーの方もおいでです。

 これはまさに、本当に、与党側でいえば、この部会を法案審査が通らなかったら、その後の総務会も上がらない。大変な実力者、ナンバーワン、ナンバーツーの方々がこういうことで文科省の方に問合せを行って、結果として池田さんが二度にわたってやりとりをして、この往復のやりとりも次のページにつけております。

 これは、二カ所にわたって書きかえ、改ざんじゃなくて書きかえということだと思いますけれども、前川さんへの報酬の金額も聞くとか、あるいは、これは公開授業ですよ、政治家の集会じゃないんですよ。何で動員とかまで確認するんですか。

 そして、この後、本来ならば淵上教育課程課長に聞かなきゃわかんないんですけれども、白間大臣官房審議官、先ほどの野党合同ヒアリングにも、これまで来ていた淵上教育課程課長が、何かほかを回っているからといって来ない。これまで来ていたのに、何できょうだけ来ないんですか。私、委員会にも、ひょっとしたら課長が答弁に立たれないかもしれないと言うから、昼のその会にまで出かけていって確認させていただきたかったのに、何で来ないんですか、これまで来られていたのに。

 赤池さんや池田さんも、当初は連絡がつかなかった。何でそうやって隠れるんですか、逃げるんですか。ちゃんと来て、そして、なぜ今回、この池田議員からの中日新聞の記事に基づいて書きかえを行ったというふうにその後答えるのに、当初、メディアに対して、いや、これは教育課程の方で記事も見つけて、自分たちで書きかえたんだと、そういう虚偽、うその答弁をしたんですか。

 これは、当事者本人じゃないとわかんないじゃないですか。佐川さんだってそうですよ。本人じゃないとわかんないから、佐川さんも今度証人喚問で来られるんでしょう。何で、淵上さんじゃなくて、大臣官房審議官が来られて答弁できるんですか。お答えください。

白間政府参考人 お答え申し上げます。(発言する者あり)

高鳥委員長 御静粛に願います。

白間政府参考人 まず、昼のヒアリングにつきまして、淵上が本日参りませんでした。ほかの用務を行っていたためでございます。ちなみに、前回も、申しわけございませんでしたが、淵上は参加できませんでした。申しわけございませんでした。

 また、今、柚木先生からの御指摘の点について、私、淵上の方に確認をしてまいりました。その点についてお答え申し上げます。

 まず、三月十五日の記者への取材に対して、教育課程課でとっている中日新聞を見たというふうに答えたのはなぜかということについて確認をいたしました。そのような回答をしたことについて明確に記憶がないものの、仮にそのような回答をしたとすれば、淵上教育課程課長の事実誤認であったというふうに聞いてまいったところでございます。

 ちなみに、淵上課長に確認をしましたところ、中日新聞の記事について、これは、自分は教育課程課の職員から受け取ったものであったというふうに確認をしたところでございます。

柚木委員 事実誤認じゃないんですよ、審議官。これはちゃんと我々に、その後ヒアリングの場で答えているんですよ。池田議員から中日新聞の提供の記事があって、そしてヒアリングの後に、これは多分初公開だと思いますけれども、メールのやりとりも、これは城井議員の事務所に窓口で届いているものを私はさっき手に入れましたけれども、これは明らかに、池田先生に御確認いただきました後に、本質問状を名古屋市教育委員会に送りたく存じますと言って、それで三カ所修正を加えて、まさに先ほどの、お金を幾ら払ったのか、前川さんに、あるいは、動員が行われた、事実なのかとか、天下りまで書き加えて、まさにこのやりとりがあって変わっている。しかも、その記事の提供は池田さんからあったということも明確に野党合同ヒアリングの場で認めていて、これは事実誤認じゃなくて、隠蔽、そんたくしているんじゃないんですか。池田さんを守る、赤池さんを守るために、自分がその分をしょおうとされているんじゃないんですか。違うんですか、審議官。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、私、先ほど確認をしてまいったと申し上げましたのは、当初、淵上が三月十五日の記事、記者への取材に対してのお答えをそう申し上げたということでございます。

 ちなみに、コメントについて二点、これについては、質問内容を、池田議員からのコメントを参考に修正をしたところでございます。しかし、この修正については文部科学省の主体的な判断で行ったところでございます。具体的に、一点は御指摘のあった交通費や謝金の支出について、二点目については授業に参加した保護者について、それぞれ御指摘のところについて私どもとして修正をしたというのは事実でございます。

柚木委員 そういう御説明を国民の皆さんは全く信じていないからこそ、これだけ、もちろん森友の議案も含めて、内閣の支持率、まさに危機感を持たれている与党の議員の方もおられますよ。きょう冒頭にこれをやっているのは、安倍政権全体の姿勢、そして今まさに失言、暴言が相次いでいて、この後、渡邉議員のこともやらせてもらいますけれども、そういう姿勢についてあるからわざわざ取り上げさせていただいている。与党の皆さん、ぜひここは耳を傾けていただければと思いますよ。

 それで、きょう丹羽副大臣にお越しいただいているんですけれども、これはぜひ、前川さん以外の事務次官経験者、いろいろな処分を受けられた方が八人いるんですよ。これは前川さん以外、誰もこういう事前検閲のようなことを、山中さんなんかは今、広島県の教育委員会に行かれているじゃないですか。何の照会、問合せも起こっていないんです。何で前川さんにだけ、そういう事前検閲のことを行うんですか。こういうことは以後、以後ですよ、こういう講演が行われるときに、こういう事前検閲みたいなことはやらない、これはぜひ、教育基本法の不当な介入に当たるようなことを文部科学省はやらないんだということを、ぜひ副大臣、ここで明言いただけませんか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 お尋ねいただきました、現時点において、事務次官でも今回の件と同様に調査した例はあるのかという、まず上段の部分でございますが、現時点において把握している範囲では、そのような事例は承知いたしておりません。

 そして、調査の内容の件につきましては、さまざまな事案につきましては、調査の実施をするかどうかの判断は、調査内容の確認を政務三役の判断で行うか、あるいは事務方の判断で行うかにつきましては、個別具体的な事案に照らして検討されるものであると考えております。

 今回の件につきましては、政務三役に何らかの事前報告をする必要があったのではないかというふうに考えております。

柚木委員 ぜひ、今後こういう、前川さん狙い撃ちかというような、本当に個人攻撃になっちゃいますよ、この後こういうことを続けると。ぜひそれはやめていただきたいということを強くお願いをして、もう一点だけ。せっかくきょうお越しいただいているので、次の資料を皆さんごらんください。

 これは、ちびまる子ちゃんの、文部科学省の、これは私はすばらしい本当に企画だと思いますよ。文科省は海外との交流や子供たちの異文化理解の意欲向上に取り組む先生、学校を応援しています、こういう文科省の取組はすばらしいと思うんですが、これは副大臣、何か問題ありますか、この文科省の後援の企画は。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 特に問題はないと思います。

柚木委員 さすが副大臣ですよ。そういう答弁だと思いますよ。なのに、赤池部会長さん、二年前のこういうことをとんでもないと、それで、文科省の担当者には猛省を促しましたと、担当課に働きかけをしているんですよ。しかも、機会あるごとに言ってきたと言っているんですね。こういうことも、ぜひ、このときは、私、はね返したのかなと思っているんですね。ぜひ、不当な介入と見られるようなことにならないように、これは文科省を挙げて、特に政務三役、しっかりそういう意識を持ってお取組をお願いしたい。

 最後、そこで御答弁を一言いただけますか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 柚木委員からの御質問でございますが、文部科学省といたしましては、今後、政務三役がしっかりとリーダーシップを発揮しながら、今回の事案を踏まえて、教育現場に対し、より一層、対応を丁寧に努めてまいります。

柚木委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 副大臣と審議官、ありがとうございました。こちらで結構です。

 それで次に、パワハラの、これは厚生労働大臣に後ほどコメントを求めますから、ぜひちゃんとお耳だけはおかしいただきたいんですが、これは伊調馨さんの、どこに置いたか……(発言する者あり)内閣府にも来てもらって、ちょっとごめんなさい、許可をいただいた本を忘れたので。(発言する者あり)いやいや、厚労委員会なんですよ。見てください、これ。パワハラ問題で、伊調馨さんの、これは御許可をいただいた本ですけれども、金メダル、四連覇ですよね、もう本当に女子個人で初という、国民栄誉賞、この方に対するパワーハラスメントの問題で、この問題が、皆さん、起こって、問合せが本当にふえているんですよ、パワハラ、現場で。

 ですから、非常にこれは、厚生労働省としてもちょっとこの見解を伺いますが、まず、内閣府の方にきょう来ていただいていますけれども、これは、実は、資料、その先のをごらんください。今回、有力な選手が、資料の、皆さん、さっきのページをぜひ繰ってごらんください、こういうことが起こっているんです。資料の十一、十二、十三についてなんですけれども、そもそもこの問題が起こるきっかけになったのが、非常に有力な選手が頸椎損傷事故で、本当に今、首から下が動かせないような状態になって、お母様一人で育て上げられて、これは無保険だったんですね。通常であれば一億とか二億の単位で補償される状況が、現在、ようやく対応され、百万円という状況なんです。

 これは本当に痛ましい事故なんですが、これを、内閣府公益認定等委員会が三月五日にヒアリングを関係者からされて、再調査をしっかりして対応するということをお述べになっているんです。これは、ぜひとも内閣府の公益認定等委員会で責任ある対応をしっかり行っていただけるように、副大臣、ぜひお願いできませんか。いかがでしょうか。

田中副大臣 昨年九月に、レスリングの強化合宿において選手が練習中に重傷を負うという大変痛ましい事故がありました。このことは承知をしているところであります。

 協会からは、合宿参加者各自の所属団体を通じてスポーツ安全保険への加入、これが義務づけられていることから、保険に加入しなかったということを説明を受けております。協会としては、今般のこの事故を受けて、協会主催の強化合宿の参加者全員を被保険者とする保険に加入するほか、事故の再発防止に向けて、重大事故対策委員会、これを設置するとともに、事故防止のためのガイドライン、これを作成するなどの取組を進めていると聞いております。

 今後、公益認定等委員会において、これからのこれらの取組が着実に実行されるようにしっかりと監督をしていく、これが必要であると考えております。

柚木委員 ぜひ副大臣、なるべく時間をかけない対応をお願いしたいんです。

 それから、伊調選手へのいわゆるパワハラ問題報道についても、これは日本レスリング協会第三者委員会と、内閣府のまさに公益認定等委員会と、それぞれヒアリングが行われていて、承知をしています、大体の内容も。

 これもぜひ、私はこの件を調べていてちょっと驚いたんですけれども、かつて、全柔連、柔道の方ですね、いろいろなことがあって、最終的には、まさに内閣府の皆さんの、ある意味、御尽力で責任の所在も明らかになって対応をとられましたよね。これはちゃんとやっていただきたいんですよ。

 なぜそう言うかというと、日本レスリング協会の方は、会長さん、福田会長ですね。会長さんは、もう十五年ぐらい続けていらっしゃいますが、ここのガバナンス改革が一つ最大の論点ですよね。ガバナンス改革をするためにいろいろな議論を今しているんだけれども、ところが、皆さんよく御存じの馳文科大臣も会長指名の理事で、しかも、この馳前大臣、あるいは、まさに有力な文科族である麻生副総理・財務大臣に、この福田会長が社長を務める企業から、あるいは務めていた企業から、平成二十八年ですよ、それぞれ、麻生大臣に三十一万円、馳さんに十六万円、寄附が行われているんです。

 別に寄附はいいですよ。だけれども、ガバナンス改革をしっかりやるときに、あるいは第三者委員会で公平公正な議論がなされなきゃいけないときに、何か要らぬ疑念を持たれないようにしていただくことも必要ですから、こういうことがあるんだけれども、ちゃんと公平公正なガバナンス改革。

 それから、資金の問題。レスリング協会は公益財団法人で、六億ぐらい、補助金が五億ぐらい入っていますよ、国からも。この収支も、今回の無保険の問題とも絡んでいるんです。ちゃんとこれをチェックしていただいて、資金の問題、ガバナンス改革、公正中立な、まさに第三者委員会の議論をしっかり行っていくように、これは副大臣、ぜひ御答弁をお願いいたします。

田中副大臣 委員御指摘の、この告発状についてであろうかと思います。仮にこうした内容が事実だとすれば、まことにゆゆしき事態、遺憾である、そのように考えております。

 本件に関する事実確認のために、先週から公益認定等委員会事務局において、順次、今、聞き取り調査、これを行っているところであります。

 公益法人は、公益の増進のための事業、これを実施するものであります。適切なガバナンスのもとで事業運営がされるべき、そのように心得ております。

 このような観点から、今後、聞き取り調査の結果、これを踏まえて、公益認定等委員会において必要に応じて適切に対応をしていく、そのように考えております。

柚木委員 これはぜひよろしくお願いします。本当に公平公正にやってください。

 栄監督の奥様が、二〇〇七年から一二年、五年間で、スタッフとして、強化スタッフとして登録されていたけれども、いろいろな場面で男女共同の強化合宿とかもいらっしゃっていないという証言も含めて、七百二十万円、これは助成金が入っていますね。いろいろな意味での使途を、きっちりと御確認をいただきたいと思います。

 それから、パワハラの問題なんですけれども、これは加藤大臣、パワハラというと、先ほどどなたか言われていますけれども、至学館の学長さんが、パワーのない人がパワハラなんかできるわけないと栄コーチのことをおっしゃっているんだけれども、パワハラの定義を見ると、職場内での優位性を背景に、適正な業務の範囲を超えて、精神的、身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為と書いてあって、これはまさに、今回いろいろ報道されていることがもし事実ならば、私は、これはパワーハラスメントにも当たる可能性があると思うんです。

 加藤大臣、パワハラ撲滅、まさに働き方改革担当大臣として、今回いろいろ報道でごらんになっていると思いますけれども、栄コーチというのは、パワハラ、パワーハラスメントをし得る立場にあり得るんでしょうかないんでしょうか、パワーはあるんでしょうかないんでしょうか。所感で結構ですよ、所感で。

加藤国務大臣 いわば、これまでの議論は、どっちかというと職場のパワーハラスメントということで、平成二十三年度の円卓会議以降、累次議論をしておりまして、現在、職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会において、取りまとめをしていただくことで今作業を進めているところでございます。

 今のはちょっと個別論の話でありまして、私、正直言って、余りそうした分野にもよく精通をしておりませんのでコメントは控えさせていただきたいと思いますが、ただ、いずれにしても、職場におけるパワーハラスメント、これについてはしっかり防止をしていく、許されない行為である、そういったことについては、これまでの議論も、そういった方向で意見が一致しているというふうに思っております。

 やり方については、まだまだいろいろな議論を深めなきゃならない点はありますけれども、そうした趣旨に沿って我々もしっかり対応していきたい、かように思っております。

高鳥委員長 柚木委員に申し上げます。

柚木委員 これ、冒頭申し上げましたように……

高鳥委員長 柚木委員、一言申し上げます。

 本日の質疑、議題は厚生労働大臣の所信に関する質疑でございますので、なるべく議題に沿った質問でお願いいたします。

 質問を続けてください。

柚木委員 そうなんですよ、たくさん通告しているので、なるべくやります。わかりました。

 それで、まさにパワハラ対策は、厚労省の検討会で、この月内にまとめる検討会の報告書に明記しないと、パワハラ対策を。

 ぜひ、ちゃんと、今回だって、そもそも、裁量労働制を削除したけれども、まさに健康確保措置とか対象業務とか対象者の範囲をどうやって決めるのか。罰則、あるいは体制、監督官、全然どれもまだ実効性が十分じゃないんですよ。

 だから、このパワハラ対策、今、まさに伊調さんの件も含めて問合せがふえているんですよ。ですから、このパワハラ対策についてはぜひしっかりと、これは報告書に明記しないというふうに報道されていますけれども、これはしっかりと取り組んでいくと、所管の厚生労働大臣としてぜひこの場で国民の皆様に、そして、きょうこの後、渡邉美樹さんの発言も、私、触れさせていただかなきゃいけないんですけれども、遺族会の皆さんにもしっかり、高橋まつりさんもそうでした、長時間労働だけじゃないんです、パワハラ対策にしっかり取り組むとぜひ御答弁をお願いいたします。

加藤国務大臣 職場のパワーハラスメント防止対策については、昨年三月二十九日に決定された働き方改革実行計画を踏まえ、昨年五月から検討会を開催し、有識者、労使関係者の御意見を伺っているということでございます。三月十六日に第九回の検討会を開催し、報告書案について議論を行い、年度末までに一定の取りまとめを行う予定であるというふうに承知をしております。

 職場のパワーハラスメントや、顧客や取引先からの迷惑行為への対策については、こうした検討会の議論を踏まえて、必要な対応を私どもにおいても検討していきたい、こういうふうに考えております。

柚木委員 ぜひ、加藤大臣、よろしくお願いします。

 そして、まさに三月十三日、参議院予算委員会公聴会で、きょうお越しの過労死家族会の中原のり子さん、本当に、渡邉美樹さんの御発言、私も拝見しましたけれども、週休七日で幸せなのかという、全く文脈にも関係ない。

 しかも、きょう、二十六歳でお亡くなりになった森さんの御両親、十年前に愛する社員を亡くしている経営者と言って、私たちの娘について愛すると軽々しく言ってほしくありませんと。十年前の約束、全然果たされていないじゃないですかと。和解条項の中の過労防止対策を守り、よい会社になってもらいたい。

 これは、加藤大臣、削除されているから不適切だということは御本人も認められているんですけれども、この経緯も、ちょっときょう言う時間はありませんけれども、渡邉議員側から連絡があったのに、中原さん側から連絡があって会いたいと言われたようなことをフェイスブックにもアップされていて、これもきのう記者会見で議論になっています。

 こういう、本当に今回の議事録削除の発言は、これは御遺族の感情を逆なですることに私はなっていると思いますよ。

 ちなみに、和田議員も議事録削除になったけれども、麻生財務大臣は軽蔑するとおっしゃっていますよ。

 加藤大臣、過労死、過労自殺撲滅の所管の大臣として、こういう公聴会での暴言に対してぜひ御所見をお述べください、御遺族会の方にも含めて。

加藤国務大臣 個別の議員が公聴会での御発言ということですから、これについて政府側からコメントすることは差し控えたいというふうに思います。

 ただ、過労死、過労自殺の悲劇、これは二度と繰り返さない、そうした強い決意で長時間労働の是正にしっかりと取り組んでいきたい、こういうふうに考えております。

柚木委員 加藤大臣、残念ですよ。ぜひ、今言えなくても、この後でもいいですよ、本当に一言おっしゃってほしい、遺憾だと。お願いします。

 最後に一点だけ、もう時間がないので。これですよ、年金の再委託費、一問だけ聞きます。

 これは今、調査しているんですけれども、百万人近くの方々が、皆さん、資料につけているような申請の申告書、こういうものを書いている余裕はないんです、本当に、年金世代の方は。

 それで、もっとしっかり告知していただいて、それで、まだまだ電話相談ダイヤルも、これは応答率が初日は二五・七パー。ようやくきのう七〇パー。きょう、どうなのか。ぜひ、しっかりと対応いただける、まず一つは、電話相談ダイヤルの体制の整備を一つぜひお答えいただきたいのと、もう一つだけまとめて。

 これは、やはり実害、実額がどうなっているのかをちゃんとお伝えいただきたいので、きのうお願いしたら、調べて回答いただきました。源泉徴収税額の還付分、二カ月で総額十六億。一人当たり最高五万、これは年間三十万ですよ。最低でも一万、年間六万。平均額二万四千円ですから、年間十四万四千円。こういう実被害額なども二十六日の公表に加えていただいて、本当にどういう被害が、しかも百万人ぐらいの方が対象になり得るわけですから、ぜひそこもしっかり二十六日の日には公表いただくこと。

 この二点について、ぜひ大臣、前向きな御答弁をお願い申し上げます。

水島参考人 まず、フリーコール、相談ダイヤルの状況でございますが、先生御指摘のとおり、一日目は二五・七、二日目は七〇・五%でございました。総コール数で申し上げますと、一日目は一万三千件、昨日、二十二日が六千八百件でございました。本日の午前中の数字でございますが、本日の午前中の数字は、総コール数が八百八十件、応答ができましたのが八百四十四件でございまして、九五・八%まで来ております。この土日に関しましても対応できるように現在準備中でございまして、できるだけ可能な努力は行いたいというふうに考えております。

 それから、影響額でございますが、御指摘のとおり、現在わかっておりますのが、三月にお支払いいたしました六・七万件でございます、十六億円でございます。その他、五百二十八万件を点検をいたしまして、三十一・八万件の入力ミスがあったというふうに御報告申し上げておりますが、この源泉徴収額に与える影響については、二十六日に額も含めて公表する方向で検討したいというふうに思います。

柚木委員 時間が来たので終わります。大臣、きょう、地元の件、できなくて済みませんでした、A型の就労支援事業所の件ですね。これはお願いだけ、ぜひ、賃金未払い問題、再就職支援、それから雇用保険等の受給手続への支援体制等しっかりお願いをして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間、働き方改革の問題点について質問をさせていただきたいと思います。

 きょうの朝の西村智奈美議員などの質問においても、裁量労働制のデータのでたらめが明らかになって、裁量労働制の調査結果そのもののデータを撤回するということも明らかになりました。しかし、残念ながら、長年、高度プロフェッショナル、いわゆる残業代ゼロ制度、私たちや過労死の家族の会の方々も大反対をしているにもかかわらず、このままいくと、高度プロフェッショナル、過労死促進法とも言われております、これを強行しようとしております。何とか思いとどまっていただきたい、今回の法案から高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度を外してほしい、そういうお願いを含めて質問をさせていただきたいと思います。

 聞くところによりますと、何か来週でも与党の方で法案審査をして、閣議決定をして、国会提出、そういう報道も出ております。そういう中で、きょうも過労死の御家族の皆さん方、傍聴にもお越しをいただいておりますけれども、まずお聞きしたいのが、さまざまな新聞報道、きょうの配付資料に入れさせていただいております。四ページ目、五ページ目、「勤務時間把握を義務化」「労働時間の把握 企業に義務付け」等々、こういうことを修正するのではないかと。もちろん把握義務化には私も賛成です。ただ、やはり、聞くところによりますと、労働安全衛生法に明記するということで、罰則がないのではないか。罰則がないと実効性がなかなか上がらないのではないかという気がするわけであります。

 そこで、労働安全衛生法にこの勤務時間の把握の義務ということを法律に書き込んだとして、罰則は入れられるんですか。そのことをお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 労働時間の把握に関しまして、昨年六月五日の労働政策審議会の建議において、労働安全衛生法に基づく医師による面接指導の適切な実施を図るため、管理監督者を含む全ての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を、これは省令に規定することが適当であるとされており、その建議に基づく法案要綱についても、昨年九月、おおむね妥当との答申をいただいたところでございます。

 現在、そうした答申を踏まえながら、要綱そして法案について与党内で御議論いただいているところでございますが、その中で、労働者の健康確保の観点から、労働時間の状況の把握の実効性確保、これが課題の一つとして挙げられているところでございます。

 具体的にどう対応していくのかについては、現在検討しているところでございまして、確定的なことを申し上げる状況にはございませんが、いずれにしても、早期に法案を提出できるよう、精力的に作業を進めていきたいと考えております。

山井委員 今答弁がありましたが、結局、罰則が恐らく入らないんですね。となると、なかなか、労働時間把握の義務化といっても実効性は上がらない、そういう危惧を感じます。

 それで、早期の法案提出ということですが、繰り返し言いますが、私たちはそれをやめていただきたいんですよ、早期の成立を。やはり、過労死をふやすような残業代ゼロ制度、高度プロフェッショナルを含んだような法案はぜひやめていただきたいというふうに強く申し上げます。

 それと関連して、この四ページ、五ページ目の新聞報道にもありますけれども、今議論をしている修正の中でもう一つ驚いたのが、中小企業について修正を加えるというふうなことが報道されております。中小企業の実態を考慮して指導監督を実施するという内容を盛り込む、あるいは、個別に中小企業に対して労働基準監督署は、人材確保や取引で厳しい立場にある中小企業の実態を考慮して指導を行うものとするということを附則に、法案に盛り込むと。

 私はこれは大問題だと思いますよ。もしこういうものを入れたら、事実上、私たちは、百時間でも長過ぎる、過労死ラインですから百時間でも長過ぎるのに、おまけに、こういう中小企業の実態を考慮して指導を行うということを入れてしまうと、事実上、百時間超えても指導はしません、事実上、中小企業は百時間上限を免除するということになりかねないんです。こういうことは当然やめていただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 まさか、こういう中小企業のところを緩めるということはありませんよね。加藤大臣、お答えください。

加藤国務大臣 法案要綱において、時間外労働の上限は原則として月四十五時間、かつ三百六十時間と法律に明記する、そして、これを踏まえ法案を策定する方針でありまして、その上で、臨時的な特別の事情がある場合に該当すると労使が合意しても上限は年七百二十時間であり、その範囲内において、複数月の平均では休日労働を含んで八十時間以内、単月では休日労働を含んで百時間未満、原則としての延長時間を超えることができる回数は一年について六カ月以内に限るとし、これらに違反する場合は罰則を科すということで今検討しているところでございます。

 この時間外労働の限度時間については、これまでも長年議論されながら法定できず、大臣告示にとどまっていたものでありまして、今回の法案要綱に盛り込めたことは、我々は大きな前進と考えておりまして、現在、法案作業中で具体的なことについてお答えすることは困難でありますが、中小企業について、罰則つきの時間外労働の上限規制の対象から外すといったことを考えているわけではございません。

山井委員 私の質問に答えないですね。外すなんて言っていないですよ。事実上、骨抜きになってしまうということを言っているんですよ。百時間の上限でも、私たちは長過ぎて過労死ラインだということを言っているのに、それを更に、事実上、中小企業を骨抜きにする。大部分の会社は中小企業ですよ。私は、中小企業にも頑張ってほしいと思いますよ。しかし、中小企業で働いている方々は過労死していいということにはならないんですから、こういうことは絶対にやめてください。

 それで、本当にあきれるのは、ただでさえ今回の法案で過労死がふえるのではないかと私たちが反対しているにもかかわらず、まだそれを緩めようということを考えている。方向性が逆なんですよ。

 それで、今回、過労死の問題について、先ほど西村智奈美議員の質問の続きをさせていただきたいと思いますが、野村不動産、裁量労働制、六百人の違法が見つかって特別指導が行われました。しかし、びっくりしたのは、きょうの配付資料の十四ページを見てください。私たち、聞かされていませんでしたけれども、特別指導した野村不動産で過労死が起こっているんじゃないんですか。そんなこと、私たち、聞かされていませんでしたよ。

 三月五日の石橋議員の答弁、配付資料の十五ページに書いてありますけれども、ここについて、この過労死が起こったことを加藤大臣は知っていたんですか、安倍総理は知っていたんですかということに対して、安倍総理は、今の御指摘については報告は受けておりませんと言っている。それで、加藤大臣は、先ほども西村智奈美議員が質問されましたけれども、一つ一つそのタイミングについて知っていたのかと言われれば、承知しておりませんということを答えられているわけです。

 ですから、今うなずいておられますけれども、皆さん、これは与党も野党も関係ありませんけれども、承知しておりませんということは、十二月の末の時点で過労死の事案は報告を受けていなかったんだなと誰が読んでも思いますよね。

 加藤大臣、改めて確認ですけれども、この答弁に明確に、承知しておりませんとおっしゃっているということは、特別指導を十二月末に行う段階で過労死の報告は受けていなかったということですね。

加藤国務大臣 委員も厚生労働省の、たしか政務官もおやりになっておられた。過労死の事案について、個人情報保護の観点から、御本人の遺族ないし代理人の方が会見等で発言された以外でそれについて厚労省側から触れるということはないということは御承知だというふうに思います。

 その上で、私が申し上げたのは、一般論として、かつ、そうした一つ一つの認定ごとに私どものところに過労死の案件について上がってくるわけではないんだ、そういうことを一般論として申し上げたということでありまして、野村不動産でそうしたことがあるかどうかという一つの労災補償の個別の事案に対して、私どもは常に説明また回答を差し控えさせていただいている。この態度は、こうした姿勢は一貫しているところでございます。

山井委員 ということは、加藤大臣、これは虚偽答弁したということですね。

 ここの新聞に全部出ていますよ、翌日。見てください、十六ページ。過労死、首相ら把握せず、加藤大臣もそのタイミングでは知らなかった、毎日新聞。朝日新聞、厚生労働大臣、当時承知せず。東京新聞、一つ一つの事案を報告を受けていなかった。産経新聞、首相、報告受けてない、厚生労働大臣も一つ一つの事案の報告を受けていなかった。読売新聞も、その次のページ、役所から報告が上がってこなかった。

 ほぼ全ての新聞が、加藤大臣の答弁を聞いて、承知していなかったと報道しているじゃないですか。国民もそう受け取っているじゃないですか。今さらそれを違うと言うのは、虚偽答弁をしたということですよ。これは私はとんでもないことだと思います。

 言いわけは結構です。何度も聞いていますから、言いわけは結構です。これは、テレビ入り、総理入りでついた問題ですからね。これは深刻な問題だと思いますよ。いや、結構です、結構です。私はこれは非常に深刻な問題だと思います。

 そこで、加藤大臣にお聞きします。

 安倍総理は報告を受けていないと答弁しておられます。ですから、過労死の報告を受けている受けていないを答弁するのは問題ないんです。安倍総理は報告を受けていないと答弁しているんですから。加藤大臣は、この過労死の事案の報告、安倍総理は報告を受けていないと答弁されていますが、加藤大臣は受けていられたんですか。

加藤国務大臣 私が全て、国会で答弁したことが私のしゃべったことでありまして、それがどう報道で解されたか、それはまた別問題だろうというふうに思いますし、それから、もともと、委員御承知のとおり、こうした労災の関係の個別事案に対して厚生労働省から積極的に発言するということはあり得ない、そのことは十分御承知だろうというふうに思います。

山井委員 その理屈は通りません、安倍総理は報告を受けていないと明確に答弁しているんですから。

 さらに、なぜこれが悪質かというと、二月二十日、ここにもおられますが、高橋千鶴子議員の質問に対して、こういう裁量労働制は過労死や長時間労働を生むんではないかという高橋千鶴子議員の質問、さらに二月二日の西村智奈美議員の長時間労働を更に促進するのではないかという質問に対して、加藤大臣は、裁量労働制を取り締まった好事例として、監督指導を行ってきた、あるいはしっかり監督指導を行っているところでありますと、胸を張って好事例として答えているんですね。でも、実は過労死が起こっていたんですよ。過労死を防げなかったんですよ。

 おまけに、過労死が起こったのは一昨年の九月、そして、労災認定で過労死と認められて、この裁量労働制が違法と認定されてブレーキがかかったのが去年の十二月二十五日。ということは、一年三カ月も、過労死が起こってから違法な状態を放置してきたんですよ。もしそれをわかっていたら、しっかり監督指導を行っているどころじゃないじゃないですか。人が死んでいるんじゃないんですか。死なないと違法がチェックできなかった、人が死んでからも一年三カ月も違法を放置してきましたと、本来だったら、これは謝罪しないとだめな案件ですよ。

 だから、私は、加藤大臣が過労死の問題を知っていたのかどうか、この特別指導のときに。そうやって野村不動産という企業名を公表したのかというのは非常に重要なんですよ。

 私の質問主意書によると、三回、この特別指導を十二月二十五日にするまでに加藤大臣は報告を受けていられるということです、質問主意書によりますと。ということは、これは質問主意書、十九ページ、本件について加藤大臣は、十一月十七日、二十二日、十二月二十二日、三回、事前に報告を受けている。私が厚生労働大臣だったら、史上初めてですよ、特別指導で企業名を公表するのは野村不動産が初めて。そのときに、特別指導をやろうという話になったら、六百人という人数は確かに多いです。でも、それだけじゃなくて、何がきっかけだったかと、普通聞くでしょう。そのときに、実は過労死の申請が出ているんですと普通言いますよ、役所の方も。

 加藤大臣、この三回の事前の打合せの中で、過労死の申請が出ているということを聞かれていたんじゃないですか。また一般論では答えられないとおっしゃるかもしれないけれども、一般論じゃないんです。史上初、野村不動産という企業名は公表しているんですよ。そこまでやっているのであれば、過労死が起こったということも発表するのが私は筋だと思いますよ。いかがですか。過労死のことを聞いていたんですか。いかがですか。

加藤国務大臣 申しわけありませんが、全く違うと思います。過労死の話というのは個人情報にかかわる話ですから、それを私どもから申し上げるわけにはいかない、このスタンスは一貫しているところでございます。

 それから、今、好事例というお話がありましたけれども、それぞれの委員から野村不動産の関係について御質問をいただいたので、それに対して私は答弁させていただいたので、私から積極的にこの事例を申し上げたということはこれまでの答弁の中にはなかったわけでありますので、そこははっきり申し上げたいと思います。

山井委員 いや、それは通りませんよ。西村議員にも、長時間労働の捕捉に関して監督指導を行ったところでありますと言っているし、高橋千鶴子議員に対しても、しっかり監督指導を行っていると。過労死が起こっていたら、しっかり監督指導を行っているなんて、口が裂けても言えません。

 安倍総理は、この件、過労死の申請、認定については報告を受けていないと言っているんですよ。だから、別に、個人情報とおっしゃるけれども、過労死の認定や申請について報告を受けたと言うことがなぜ個人の特定に、全くつながりませんよ。全くつながりません。おまけに、野村不動産も過労死があったということは認めていますからね。

 加藤大臣、答えられないというのは、私は不誠実だと思いますよ。過労死隠しという疑惑が今出ているわけですからね。

 そうしたら、質問主意書によると、決裁書が存在しないというんですよ。でも、これはおかしいですよ。これだけ重要な、史上初の特別指導に対して決裁書も存在しない。

 ということは、加藤大臣、お願いします。決裁書が存在しなくても、何らかの書面はあったと思います、今回の特別指導に関しての。その書面、プライバシーに関するところは黒塗りでも結構ですから、この委員会に提出してもらえませんか。

加藤国務大臣 今委員御指摘のように、当然、この特別指導に関しては私のところにも報告は来ているところでございます。

 ただ、委員御指摘ありました、会社が仮に公表したから、それで個人情報の問題がクリアされると。私は、それはないというふうに思います。あくまでも私どもは、御遺族並びにその代理人、そうした方の御意向というものをしっかり踏まえていかなければならないというふうに思いますので、いずれにしても、そうしたことを申し上げるということが今申し上げた過労死事案のことについてつながるということであれば、私どもはそれは差し控えなきゃいけないということで、一貫してこれはそう対応させていただいております。

 それから、今お話がありました件でありますけれども、決裁文書云々ということでございますけれども、これについては、あくまでも口頭での指導を労働局長から行ったということでございますから、別に書面等はないわけでありますので、決裁等もとっていない、こういうことでございます。

山井委員 その局長が社長に指導したときの書面でなくても結構です。何らかの関係する書面は必ずあると思います、史上初の特別指導ですから。委員長、これは一部黒塗りで結構ですので、委員会に提出するようにお計らいをお願いします。

高鳥委員長 後刻、理事会で協議いたします。

山井委員 やはり話を聞いていておかしいなと思うのは、加藤大臣が過労死事案の報告を聞いていたか聞いていないかで、全然個人情報に抵触しませんよ、もう野村不動産は過労死が出ていると認めているわけですから。それに、これだけ、裁量労働制で過労死がふえるのではないかという、あれだけのけんけんがくがく議論をしたときに、加藤大臣がそれを知っていて黙っていたということになれば、私は、本当にこれは深刻な問題になりかねないのではないかと思います。

 ということは、今の話を聞いていたら、御遺族が公表しない限り、過労死というのは、本当に、起こっても起こらなかったこととして、ほとんど社会問題としても取り上げられない、そういう恐ろしいことですよ。今度の高プロでも、もし高プロで過労死になっても、今の答弁と同じように、過労死が起こったかどうかも答えられません、答えられません。やはりそれはおかしいと思いますよ、これだけ過労死が問題になっている中で。

 そこで、高プロについてお伺いしたいと思います。

 きょうの配付資料の一ページ目、昨日も、ワタミの過労死で娘さんが亡くなられた、森さんの御両親がこういうメッセージを発せられました。

 中原のり子東京過労死家族会の代表が、参議院で先日、意見陳述をされました。私もその場で傍聴しておりましたけれども、本当に、長時間労働が過労死をふやすということで、御自分の御主人も、高度プロフェッショナルを先取りしたような制度で亡くなったということを切々と訴えられました。

 しかし、それを聞いて質問したのが渡邉美樹議員。私もちょっとびっくりしました、ワタミで過労死が問題になったということは誰もが知っているわけですから。さらに、その渡邉議員が、先ほどの柚木議員の質問にありますけれども、事もあろうに、働くことの概念についてお話を聞かせていただきたい、お話を聞いていますと、できれば週休七日が人間にとって幸せなのか、そのように聞こえてきますと発言されました。家族会の中原さんは、こんな趣旨の話を全くされていません。何でこういう発言をするのか。

 それで、御遺族の森さん御夫妻も、それに関して非常に批判をされていまして、最後の段落に書いてありますけれども、社員の過労死を生み出しても何ら反省のない渡邉氏に働き方改革を進めるための一翼を担わせる政府・自民党の目的は、経営者にとって今よりも都合よく働かせるための改革で、従業員が死んだところで、それは本人の責任で、企業、経営者側には一切の責任はないと主張する根拠となる法律整備を目指していると言えるのではないか、それを体現するのが渡邉氏だと言えるのではないか、その渡邉氏が推奨する高度プロフェッショナル制度は当然撤回することを求めたいと。

 さらに、この配付資料の後ろから二枚目にも、過労死等防止対策推進全国センター代表幹事の森岡さん、寺西さん、川人さんが発表された、労働時間規制の根幹を覆す高度プロフェッショナル労働制に反対します、対象業務が拡大する今後、更に年収要件一千万と言われているものが切り下げられていく危険性がある、年収が一千七十五万円以上の労働者の多くは三十代後半から四十代と考えられますが、この年齢層のホワイトカラーの間では過労死と過労自殺が多発しています、私たちは、過労死をなくしたいという願いから過労死防止法の制定に取り組み、法制定後は過労死防止対策の推進に全力を尽くしていますが、この高度プロフェッショナル制度は過労死防止法に逆行して過労死を広げるものであり、断固として反対するものですということを、これはもう三年も前から、日付を見てください、二〇一五年二月五日、三年も前から、何度も何度も国会に足を運んで、多くの国会議員に頭を下げて頭を下げて、ずっと要望を続けてこられているんですよ。

 にもかかわらず、人が死ぬ、過労死がふえる、やめてくださいと言っているわけですよ。それをなぜ強行するんですか。

 先日も家族会の方々に会ってくださったということを聞きましたが、何か聞くところによると、来週にはもう閣議決定で法案提出とかそういううわさも聞きますけれども、これはやはり人の命にかかわる問題なんです。ぜひとも、この過労死の家族の会の方々の切実な声も受けとめて、この高度プロフェッショナルは削除していただきたいと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 高度プロフェッショナル制度は、時間ではなく成果で評価される働き方をみずから選択することができる、労働時間に画一的な枠をはめるという従来の枠組みを超えて、みずからの創造性を発揮できるようにするというための制度ということでございます。

 高度プロフェッショナル制度においては、法律において、対象業務また年収要件等々を定める、さらには対象労働者の個々の同意を得ていく、また対象、その職務についてもその同意を得る、そういったさまざまな限定も課した上で、さらに対象労働者の健康確保のための措置等もその中に組み込んでいるわけでありまして、こうした高い交渉力を有する高度な専門職、そういう方に限定するわけでありまして、そういった方々が自律的で創造的な働き方を可能にしていく、こういったことを推進するということで、今、高度プロフェッショナル制度も含めて、法案について与党内で議論をさせていただいている、こういうことでございます。

山井委員 これは本当に、人の命が奪われるんです。加藤大臣も、これで、高度プロフェッショナルで過労死が出ますよ、残念ながら。そのときどうやって責任をとられるんですか。人の命を守るのが、与野党を超えて厚生労働委員会の務めです。

 森岡先生、寺西さん、川人先生のこの要望書にも書いてありますけれども、例えば対象業務は、政省令ですから、法改正をしなくてもどんどんどんどん広げることができます、国会審議を経ずに。さらに年収要件も、今、平均年収の三倍ということで一千万と言われていますが、この三倍を法改正して二倍にすれば七百万円以上になりますし、その三倍というのをとったら四百万円以上になりますし、経団連はもともと、ホワイトカラーエグゼンプションは四百万円以上と言っています。ですから、一回通せば、残業代ゼロの過労死促進法と言われるものがどんどんどんどん広がっていくんです。

 ここにフリップを持ってまいりましたけれども、厚生労働委員で、三年前からやっていられる方は覚えていられると思います。この場所で与野党合意して過労死防止法を成立させたじゃないですか、全会一致で。そのときのチラシですよ。五十五万人もの過労死防止法制定の署名が集まったんですよ。それを集めたのは、ほかでもない、一番御苦労されている過労死の御遺族の方々じゃないですか。その方々が本当に、傷ついた心や体を引きずりながら、必死の思いで、やっとのことで、全ての政党が賛成して、この場で過労死防止法が成立して。今でも覚えていますよ。最後に寺西さんがここで意見陳述をされて、過労死家族会の全国代表として寺西さんがここで意見陳述して、立ち上がってみんなで拍手したじゃないですか。あれはたった三年前ですよ。そこにこの記事がありますよ、二十五ページ。

 あれから三年たって、まさか、この過労死家族の会の皆さんが大反対している、過労死防止法違反だと言って大反対しているというものを、まさか、野党や過労死家族の会の大反対を押し切って強行採決するんじゃないんでしょうね。働き方改革というのは、与野党合意して、人の命を守ることですから、穏便にやろうじゃないですか。

 ぜひとも、そのためには、高度プロフェッショナルが入っていると、ここにも書いてありますよ。今は労働時間の原則があるから、辛うじて裁判でも組織を追及できる、労働時間規制の撤廃を法律に明記し、一度その対象になってしまえば自己責任だと言われかねない、過労死防止法が無視されているという寺西代表のコメントもここに出ています。

 ぜひとも、加藤大臣、ここは立ちどまって、裁量労働制も削除しました、高度プロフェッショナルも削除していただきたい。そして、何としても、与野党合意でないとこういうものは、強行採決はしないということをこの場所で約束していただきたいと思います。

加藤国務大臣 高度プロフェッショナル制度に対する私どもの考え方は先ほど申し上げたことなので、二重に申し上げることは差し控えたいと思います。

 また、委員の後段のお話は、委員会でのお話なので、私どもとしては、まず与党内で御議論いただいておりますけれども、早期に法案を取りまとめて提出をさせていただき、そして、委員の、また委員会における審議にしっかりと対応させていただきたい、こう思っております。

山井委員 いや、本当に、何と言ったらわかってもらえるんですか。過労死の御遺族が十年、二十年、必死になって、自分の家族のような苦しみを二度とほかの人に味わってほしくないと。何で過労死の家族の方々が五年も十年も国会に通い続けているんですか。いつまでこれをさせるんですか。一回当事者の心の叫びを聞いたら、普通、理解するでしょう。何人死んだら、高プロを導入して何人死んだらわかってくれるんですか。

 ぜひとも高プロを削除していただきたい。私たちも、これは本当に、国民の命を奪う法律なんというのは絶対この厚生労働委員会では強行採決はさせませんよ。与野党、こういうのは対立する問題じゃないんです。国民の命を守る、そのことは与野党関係ないんです。そのためには、ぜひとも、加藤大臣、高度プロフェッショナル削除、それさえしてもらえれば、この委員会も円満にいろいろな議論を前向きにできると思います。ぜひとも高プロの削除をお願いして、もしそれをしないのであれば、私は体を張ってでもこの法案は絶対阻止する、国民の命を守るために私たちは絶対そういう法案を阻止するということを誓って、この質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 希望の党の岡本です。

 それでは、早速、時間が限られていますから、質問していきたいと思います。

 まず、この間大変話題になっております、今回の年金機構のいわゆる受託業者の入力漏れ、入力誤りによる源泉徴収税額を正しく反映できなかった事例について。

 お配りをしておるビラのとおりでありますが、SAY企画という会社と契約をしていた。大臣、まず、SAY企画と厚生労働省自体はどのくらい契約をしていて、今でも契約が続いているものはあるんでしょうか。過去の契約と、そして現在進行形のものを答えていただきたい。

加藤国務大臣 株式会社SAY企画と、厚生労働省本省において業務依頼をしている件、これは、平成二十九年度しかございませんけれども、十六件ということでございます。

岡本(充)委員 今も契約が継続しているものは何件ですか。

加藤国務大臣 済みません。ちょっとそこまで私、承知しておりません。

岡本(充)委員 いや、しっかりそれは通告しているんですよ、これは一番最初に聞きますと。今、一体何件、現にまだ契約しているのか。

 それともう一つは、これは大変重要なポイントなんですが、対策として、この一枚目の表に書いてありますけれども、三年間の入札への参加資格停止というのを。年金機構だけなんですよね、これは。本省の契約はこれからもできる、SAY企画と。そういう理解でいいわけですよね、大臣。ここを確認したいんです。

加藤国務大臣 本件については、日本年金機構が締結した契約案件において生じたものであり、現時点で厚生労働省が依頼した業務において契約違反等を行ったものではないということでありますから、直ちに厚生労働省の指名停止の対象になる、こういう仕組みにはなっておりません。

 ただ、現在でも、ちょっと件数は承知をしておりませんけれども、厚労省との間の契約が継続しているというものもございます。そういったものの履行状況を十分に注視しつつ、仮にそうしたことにおいて契約違反等が判明した場合には、厳正に対処していくことになろうというふうに思います。

岡本(充)委員 いや、ここに書いてある受託契約違反の内容の中には、報告等未提出、虚偽と書いているんですよ。虚偽の報告をしているような業者と契約が今続いていて、その契約は、いつまでに、ちゃんと履行されているか調べるんですか。いつまでに調べて、いつまでに報告していただけますか。

加藤国務大臣 済みません、どこを読まれたのかちょっとよくわからなかったのですが。

岡本(充)委員 一ページ目の二段落目の(1)受託業者が行った契約違反の4のところに、報告等の未提出、虚偽と書いているじゃないですか。これは厚生労働省の資料ですよ。

加藤国務大臣 ですから、これは機構との間の契約における話ということでありまして、先ほど私が申し上げたのは、厚生労働本省との間における、まだ幾つか契約が残っているものもあるというふうに承知をしておりますから、そういったことにおいて、今、契約違反等が判明した場合、その場合にはしっかり対処していくということでございます。

岡本(充)委員 それはいつまでに調べるんですか。これまでやったことも、きちっとやっているんですか。ベリファイという仕組みで本来は入力するものを、その仕組みを導入していなかったなど、入力方法にも誤りがあったということになっているわけで、契約違反があったということになっているわけです。厚生労働省がオーダーをした契約と違った納品がなされている可能性があるわけです。それをいつまでに調べて、そして、直ちに契約を中止するべきであれば中止するべきなんです。

 後で言いますけれども、大臣、これはずるずる引き延ばしていますよ。まずここで立ちどまって、本当に契約ができているのか、虚偽をもし本当に報告するような業者であれば、これは徹底的に調べて、今本当はここで答弁できなきゃおかしいんですよ。時間をこれだけかけたんですから、二カ月も。どうなんですか。厚生労働省の契約状況がきちんと履行されているかどうか、いつまでにお答えいただけますか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと詳細な、厚労省がどういう規定を持っているかまでちょっと私は承知をしておりませんけれども、ただ、基本的に、厚労省の場合において、一般競争入札でやるという、多分、原則があるわけでありまして、その対象から外すという場合にはどうなっているか、多分そういう規定があるというふうに認識をしておりますので、もし詳細、必要ならば、また後日、事務局の方から御説明させていただきたいと思います。

岡本(充)委員 大臣、後ほどと言うけれども、三ページ目を見てくださいよ。これは後ほどやろうと思っていましたけれども、議事録を見ると、例えば、大臣、この私の平成二十九年十二月六日の質問で、一番下の段。その指摘について、どういう今対応になっているか、もう一度ちょっと精査させていただいて、いずれにしても、私ども、そうした支給云々と続くんですが、障害年金について、障害認定と障害年金につながるその関係性、どのように整理して、どのように対応をとったのか、お答えいただけますか。後日やると言われて、どうやったんですか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと早口だったので、次のこの……(岡本(充)委員「議事録」と呼ぶ)議事録の文章ですか。ちょっと待ってください。(岡本(充)委員「とめてください」と呼ぶ)

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 このとき、委員から、遺族と障害と二つ分けてお話をされておりますが、遺族については、今、住基ネット等がございますので、その段階で遺族になられたことを把握をしてその方に通知をするということについて、今、中で作業をさせていただいているということでございます。

 また、障害に関しては、むしろ先方、障害を受けている方々から申請をしていただくということでありますから、そうしたことについてしっかり周知を図っていく、こういうことでございます。

岡本(充)委員 いや、違う。周知ができていないから対応すると言ったんですよ。だけれども、結局、その場で対応すると言って答弁しておいたけれども、対応できていない。

 もっと言えば、後ほど言うけれども、前回のいわゆる振替加算の支給漏れの話の後に、分類をして、どのような対応をとるのかということを十二月中にやるんだと。

 年末ぎりぎりにこっそり私のポストに入れておいて、現実的には、何がどういう分類になって、どういう課題があるのかというのをちゃんと説明にも来ない。本当にその場しのぎの答弁と言わざるを得ないと思いますよ。ちゃんと説明をしてこそ、これ、私、本当に思うんです。最後の一枚を皆さん見てくださいよ。これだけ見てわかる人がどれだけいるのか。私、本当に驚くんですけれども。これを先にやりましょうか。

 振替加算の支給漏れ、事務処理誤りの件数は千七百四十二件だったんですけれども、実際には十万人の方に影響したんですよ、六百億円だったんですよ。千七百四十二って書いてあるけれども、これ、十万人にふえたんですよ。

 同様に、例えば、めくっていただいて五番の合算対象期間、空期間の算入誤り、一体何人に影響するんですか。四百九十五件と書いているけれども、物すごい数になるんじゃないんですか。そして、対応不可である理由は、どういうことによって対応不可になるのか、そこを答弁いただきたいと思います。

加藤国務大臣 今の、空期間の算入誤りのことの御質問だというふうに思います。

 海外居住期間などの合算対象期間については、お客様からの申出によって初めて確認することができるということから、新規裁定時にお客様から情報を把握することが必要であり、システム的に対象者を特定し、再発、することは困難でありますが、一方で、御自身の合算対象期間に気づいていただくきっかけの一つとしては、昨年八月から、年金の受給資格期間が二十五年から十年に短縮されたことに伴い、御自身の保険料納付済み等期間が十年以上二十五年未満の方に対し年金請求書を送付する、あるいは御自身の保険料納付済み等期間が十年未満の方に対してはお知らせはがきを送付していることでありまして、これらをきっかけとして、御自身の空期間を申出をいただき、年金の受給等に結びついている方もおられるというふうに承知をしております。

岡本(充)委員 違うんですよ。空期間があることをわかっていない人がいる。今でも、空期間というのは、海外に赴任していたら発生する。

 したがって、十年未満の人に、こういう法改正がなされましたよじゃなくて、空期間という言葉は、そのはがきには書いているんですか。あなた、空期間があるかもしれませんから見てくださいと書いてあるんですか。

加藤国務大臣 ちょっと手元に具体のものを持っておりませんが、年金請求書、また、はがきにはそういった旨が記載されているというふうに承知をしています。

岡本(充)委員 恐らく、大変ややこしい文章の中にちょこっと書いてあるだけですよ、それは。ぜひ今度示してもらいたい。

 十年未満の人にちゃんと通知をすれば、これは支給につながる人はもっといるんじゃないんですか。こんな四百九十五件ばかりじゃないんじゃないんですか。何万人という方が、実は空期間があることをわかっていないんじゃないですか。これは大至急調べるべきですよ。これはぜひ調べるというふうに、大臣、答弁していただけませんか。これは調べないと、えらいことですよ。空期間があることを知らずに、せっかくの受給のチャンスを逃している人がたくさんいるんじゃないか。空期間という言葉を知らない人がいっぱいいるんじゃないか。これはぜひ調べるべきだと思いますけれども、どうですか。

加藤国務大臣 まず一つは、先ほど申し上げた対応によって、空期間を足して受給資格期間が二十五年以上となった方が約五・六万人、また、十年未満でありましたけれども、窓口にて空期間が確認され、受給資格期間が十年以上となった方は九・五万人おられるわけであります。

 今、調べろとおっしゃったんですけれども、その方が海外に行っているかどうかというところまで私どもの方で把握するというのは非常に難しいのではないかと。

 いずれにしても、委員からもお話がありました、こうしたさまざまな働きかけのときに、こうした空期間算入誤りの事例について、チェックリストをつくって算入漏れの防止等もこちらの方でしっかり図っていくなど、窓口での周知、さまざまな取組を進めていきたいと思います。

岡本(充)委員 これは、万の単位の人が空期間があることで受給につながった、十年未満の人が受給につながったということは、この本当に短期間の話でしょう、何年もの話じゃないでしょう。その十年未満の人で空期間があることで受給につながったのは、どれだけの期間でこれだけの人が見つかったんですか。

加藤国務大臣 昨年の七月ぐらいからの集計だというふうに承知をしています。

岡本(充)委員 つまり、このわずか半年の中で万単位の人たちがいたというこの事実は大変重いんですよ。

 そして、それはたまたま知った人がつながっているかもしれないけれども、知らない人がまだいるんじゃないか。もっと多くの人が、実際年金を受け取れるのに知らないまま、いや、それは申し出てくれなければだめですよ、この姿勢じゃだめでしょうと言っているんです。

 理事長、ぜひこれは厚生労働省と検討して、私の問題意識をわかってもらったと思います、対応策をぜひ検討してもらいたい。理事長、どうですか。

水島参考人 今、具体的な数字を持っておりませんので、具体的にお答えすることはできませんが、まず、十年短縮、十年に受給資格期間が短縮されて、十年未満の方で住基にぶつかっていらっしゃる方に関しては全て通知をいたしております。

 今後、住基にぶつかっていらっしゃらない方も含めて御通知申し上げまして、そこは、空期間とは、例えば海外にいらっしゃる、あるいはかつてのサラリーマンの奥様とか、十種類以上パターンはございますが、そういう方について御案内を申し上げた上で、ぜひ年金事務所においでくださいということについては既に今行っているところでございます。その内容について、今正確に御説明することはできませんが、また御説明申し上げることは十分可能でございます。

岡本(充)委員 大臣、ちなみに、この空期間の合算で、二十五年の方でいいです、つまり、昔から、年金機構発足以来、一体幾らの年金が受給に結びついたんですか、空期間の周知をすることによって。金額、件数。いや、これはここを集中的に聞くと言っているんですから。私、全部聞くとは言っていない。この五番のところの金額、件数は聞くと言っているんですから。幾らなんですか。

加藤国務大臣 済みません、ちょっと手元に資料がございませんので、後ほど御報告をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 まあ、これは本当に大変大きな金額になると思いますよ。空期間の算入を、気づいていない人たちにどうつなげていくのか、これを私はしっかりやるべきだと思いますが、ちょっと時間がありませんので、もとの話に戻ります。

 そもそも、きょうの大きな主眼は年金の入力漏れの話でありますけれども、そちらに戻ります。

 機構の理事長に来てもらっています。

 IBMの実地監査で適当だというような話をもらった、こういうような曖昧とした話でありますが、一体何とIBMからは指摘をされたのか、正確にその指摘内容をお答えいただけますか。

水島参考人 申しわけございません、御通告をいただいておりませんので、今資料を持ってきておりません。どういうような文章であったかということについては正確に申し上げないといけないと思いますので、ここでは控えさせていただきたいと思いますが、IBMが参りまして行いました手法は、ISO27001の基準に基づく監査を行っております。その上で、27001の、基本的には対象項目全てについて、イエスとあるか、ノーという項目については基本的にはないというふうに、今ちょっと私も、もう少し精査をさせていただきたいと思いますが、と思っております。

 それで、実際にどのようなシステムで受渡しをしていたのか、どのようなデータで受渡しをしていたのかということについては、一応、システムの内容は把握をいたしておりますので、それについては御説明申し上げられると思います。

 それが外に出たかどうかについては、基本的にはインターネットとつながっていないということでございますし、USBメモリーのようなものが接続不可能な状態になっているということは確認をいたしております。

 そういう意味で、外にそれが持ち出されることは基本的にはないという体制が確立しているということは確認をいたしておりますので、その上で、基本的に個人情報が流出していることはないというふうに私どもとしては判断をしたということでございます。

岡本(充)委員 インターネットにもつながっていない、USBも差せない、どうやって日本のデータをそのコンピューターに、じゃ、入れることができるんですか。

 そして、もっと言えば、個人が写真を撮って持ち出すことは、恐らくIBMは監査していないんじゃないですか。写真を撮って持ち出すことは可能なんじゃないんですか。

水島参考人 改めて正確に御答弁申し上げたいというふうに思いますが、27001の中には、そういうような物理的な制約と申しますか、例えば、スマホは持込みが禁止であるかとか、そういうことに関してもたしか入っていたというふうに記憶をいたしております。そういうような、例えば建物の環境がどうなっているかということについても基準を設けてやっているということだと思います。

 日本と中国との間のデータの受渡しでございますが、説明をされております内容は、日本のクラウドの提供企業が提供するクラウドに対してデータをSAY企画が格納し、そこに大連の会社がアクセスをし、データを取り出したと。確かに、その取り出した部分はインターネットにつながっております。この取り出したパソコンが、パソコンから取り出したものがその会社のホストにつながっていたかということについては、基本的につながっていないという報告を受けているというふうに認識しておりますが、申しわけございません、本日は先生から御通告いただいておりませんので、少し間違っている部分があるかもわかりません。もう一度精査をさせていただいて、きちんと御説明申し上げたいというふうに思います。

岡本(充)委員 基本的にというのが気になるんですよ。基本的につながっていませんという答弁をされる。つながっていたのかつながっていなかったのかと言われれば、これは最も重要なところです。そんなところ、通告を聞かなくても、つながっていないとはっきり言えるのか、それとも基本的につながっていないのか。

水島参考人 大変申しわけございませんが、正確を期させていただきたいというふうに思います。基本的につながっていないということは報告を受けておりますが、つながっていない場合にそのデータの受渡しがどのような形で行われていたかということについて、今、私、記憶に入っておりませんので、申しわけございませんが、そこに関しましては、きちんと確認をした上で御説明申し上げたいというふうに思います。

岡本(充)委員 基本的にというのが大変、本当に気になる。やはりつながっていた瞬間があったんじゃないか。

 じゃ、これは今度、別の観点です。大臣、先ほどの私の一ページ目の資料ですけれども、一枚目の(1)の八万四千人の話。六万七千人分について、いわゆる支給漏れにつながる可能性があるということについて大臣が聞いたのはいつですか。

高鳥委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

高鳥委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 三月十三日に、六・七万人の入力漏れについて、初めて詳細な報告を受けたところでございます。

 それから、先ほど、空期間等の話、それは確かに大事な御指摘なので、窓口等において、特に新規裁定等々においてはしっかりやれるように、更に努力をしていきたいと思っております。

岡本(充)委員 機構の理事長は、六万七千人、正しい額じゃない可能性があるといつ知りましたか。

水島参考人 申しわけございません、それも先生、通告いただいておりませんので……(岡本(充)委員「それは通告していますよ」と呼ぶ)

 私が、六万七千件について、こういう形で調べろと言って、その報告を受けたのは、今、記憶でございますが、二月の十四日ではなかったかと思います。ちょっと、もう一度精査をさせていただきたいと思いますが、申しわけございません。

岡本(充)委員 私もきのう、そう聞いたんです。

 それで、大臣、何でその間にこれだけ時間がかかったんですか。一カ月かかったということですか。

加藤国務大臣 何で時間がかかったかということでございますけれども、まさに六・七万人の入力漏れということについて具体に報告があったのは、さっき申し上げた三月十三日でございます。

 ただ、この間において、入力漏れじゃなくて入力ミスというんですかね、入力ミスがあるという話はこれまで聞いていたところでございます。

岡本(充)委員 それはいつ聞いたんですか。それを聞いているんです。それはいつ聞いたんですか。

加藤国務大臣 いや、先ほど六・七万件とおっしゃったので、三月と申し上げた。これはだから入力漏れの方でありまして、もう一つは、入力ミスの方については二月の十三日の段階で説明を受けているところでございます。

岡本(充)委員 そうすると、さっきの、機構の理事長が言った話より前に聞いたということですね。それは合わないですね。

 したがって、やはりこれはちょっと、私、ちゃんと通告しているんですよ。ちょっと、申しわけないですけれども、時間が来ましたから、他党もありますから、ちゃんと整理をしていただいて、何でそれだけ時間がかかったのかということ、公表までに。私はこれが聞きたかったんですけれども、この話で話が終わるとは思いませんでしたが、続きはまたやらせていただきたいと思います。

 終わります。

高鳥委員長 次に、平野博文君。

平野委員 無所属の会の平野博文です。

 私、初めて厚生労働委員会で質問をさせていただきます。ずっと聞いておりまして、何と活発な委員会だなと非常に感動と、いろいろ問題があるんだなということを素直に感じた次第です。

 そういう中で、いろいろ議論の中に出てまいりました。先ほど岡本さんの話を聞きましても、昔の消えた年金五千万件という、また再来なのかな、こういう気もいたします。

 改めて、私は、基本的にはデータというのは非常に大事な部分でありますし、全て、立法していく上においても、バックグラウンド、エビデンスを含めて、データをベースに物事が決められていくものだと思っています。そういう中で、厚生労働省の法案の今回の処理につきましても、やはり立法化していくためのバックグラウンドになっているデータが、余りにもずさんなデータに基づいて物事が行われている、こういうふうに感じたところであります。

 これはもう時間もありませんから質問をいたしませんが、先ほどの年金機構の年金のデータの入力ミス、こういうところが出てまいりました。

 私、一番の問題は何なんだろうというふうに思いましたが、やはり、問題の委託先は機構との契約に反している、中国への再委託を行っている、こういうことで、IBMとの共同で現地の調査をした、けれども、中国の業者のデータの取扱いに特段の問題はなかった、こういうふうに聞いておりますけれども、個人情報の外部への流出が本当になかったのかどうかというのを、何をもってそういうふうにおっしゃっているのか、ここがわからない。

 流出はしていなかった、こういうことを言っておられますが、こういうことだから流出していないんだということが国民から見たときにわからないんですね。したがって、その点についてこれからどうしていくのか、こういうことでございます。

 したがって、マイナンバーを始め個人情報の流出がやはり私は間違いなく、これだけ情報処理が発展しているこの時代でありますから、どこからでも抜き去られていく、こういうことはもう明らかだと思うんですが、後で大臣、所感で結構ですから、本当に流出していないという確証が、何をもって言えるのかということをまず教えていただきたいと思います。

 いずれにいたしましても、この問題というのは非常に、国民から見たら、またこんなことを厚生労働省はやっているのか、まあ年金機構になるんでしょうけれども、やっているのか、こういうふうに不安視をしているわけであります。

 また、コンプライアンスにも問題のある業者を選定している、こういうことですが、当該一者しか入り札がない、これは後づけの言いわけにしかすぎないと僕は思っております。

 したがいまして、そういう視点で見たときに、先ほど申し上げましたように、本当に、個人情報が流出していない、こういうふうに言われていますが、何をもって流出していないということを言えるのか、大臣、どうなんでしょう。

加藤国務大臣 委員御指摘のように、そもそも契約において再委託が禁止されている、そうした中にかかわらず、委託業者が中国の関連事業者に再委託をされた、そしてその中で、国民の情報、これはその再委託先には少なくとも行っているわけでありまして、これは大変国民の皆さんからも、御心配をかけているということで、まことに遺憾だというふうに思います。

 私も、こういった事案、そういったことがあるということを聞いたときに、いずれにしても、プロにしっかりそこはチェックしてもらわなきゃならないということで、機構がセキュリティーの関係で別途契約を結んでいるのが日本IBM株式会社ということでありますので、日本IBM株式会社とそして機構の職員も一緒に現地の関連事業所にも実際、足を運んでいただき、監査をしていただいたということでございます。

 その結果においては、中国の事業者に送られていたのは氏名部分のみで、マイナンバーや所得額等の情報は入っていなかった、また、当該再委託事業者においては、組織体制面、業務面のいずれにおいても必要な情報セキュリティー対策が講じられていた、委託された入力情報も管理、削除されていた、そして特段の問題もなかったという、これは日本IBMからの報告の概略でございます。

 具体の話については、また機構から、必要があればその中身について御説明をしていきたいと思いますけれども、そういったことを受けておりますので、今の段階ではそういう報告を、私としては、一つの、プロから出てきた報告でございますから、そういったものとして受けとめている、こういうことでございます。

平野委員 いや、加藤大臣、国民は、国だから、あるいは厚生労働省、お上がやっているんだからみんな信頼をしてあれしているわけですよ。ところが、その役所がこういう問題を起こした、こういうことですから、幾らIBM株式会社が大丈夫だと言っても、本当に信用できるのか、逆に、もう幾ら何ぼ言ったってあんた信用しませんよ、こういうふうになってしまう。

 したがって、この問題というのは、私は、委託先の業者、この委託先の業者が法令違反を起こしているわけですよ、そういう業者が、大丈夫です、調査をした、こう言ったって誰が信用するのか、こういうことなんだと思うので、もう一度、私、IBM一社がやったから大丈夫だ、こういうことじゃなくて、ダブルにでもこの調査結果をやはりしっかりしてもらいたい、こういうふうにこれはお願いをしておきたい。念には念を入れていただきたいということでございます。

 したがって、これはもう答弁は不要でございますが、ぜひ、そういう意味合いで、ダブルにでもこれをチェックしないと必ず抜けていきますから、こういうことをぜひ私は指摘をしておきたいと思います。

 さて、働き方改革について質問をさせていただきたいと思います。

 この国会において、我々野党の指摘によって、裁量労働制の調査データ、またここでデータに問題が起こったわけであります。裁量労働制の拡大については見送られる、こういうことでありますが、加藤大臣は、まだ、高度プロフェッショナル制度、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションについては法案に盛り込みたい、こういうことを言っておられるわけであります。

 こうした時間管理を受けない働き方の導入を検討するに当たって、まず先に、導入する前に解決しておかなきゃならない問題がたくさんある、その解決なくしてこういう一部門だけを入れていくということについては、私は疑問を感じている一人であります。

 まず、そういう視点で、一つには、いわゆる管理職の問題であります。

 残業代の払われていない就業、就労体系の中に、我が国として一番ポピュラーなものというのは、公務を除けば、労基法の四十一条に基づく管理監督者だろうというふうに実は思っております。我が国では一般に、管理職に位置づけられると時間外手当が支給されない。昔、名ばかりの管理職、こんな問題も指摘されたことがございます。

 基本的に、改めて私は確認をしたいと思っていますが、厚生労働省としては、管理監督者というのはどのように定義をしておるんでしょうか。簡単に、こういう基準でもって管理監督者と言っている、これを端的に、大臣、お答えいただきたいと思います。

加藤国務大臣 労働基準法第四十一条に管理監督者とありますが、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意ということで、名称ではなくて、実態に即して判断されるべきものということでございます。

平野委員 経営者と一体的な立場で仕事をしている、こういう端的な定義を今言われていました。そうすると、これは、少し私はとってみましたが、東京の労働局がパンフレットで示している要素というのがあって、今大臣が一言言われた、経営者と一体的な立場で仕事をしている、これは大きな要件ですね。もう一つは、出社や退社や勤務時間について厳格な制限を受けていない、これも一つありました。もう一つは、その地位にふさわしい待遇、処遇がされているか。この三つの要件が書かれておりました。今大臣が説明されたのは一つでありましたが、では、管理職と呼ばれている方々の全てが、管理監督者に当てはまっていない人もいるんじゃないでしょうか。

 今私が申し上げた三つの要件があるんですが、私も民間で勤めておりましたからわかるんですが、中間管理職というのは非常につらい。例えば、課長であるとかあるいはスタッフ職で、時間外手当がなくなった、俺は管理職になったんだからうれしいけれども、時間外手当がなくなり、本給が下がったよ、全体の給与が下がったよ、こういうことを言っているわけですが、いわゆる管理職、管理監督者、この要件、大臣の言う要件にはまっている人は全て管理職と言える我が国の実態でしょうか。その点はどうですか。

加藤国務大臣 今の委員の御質問、逆に言えば、職制上の役付者ということであれば全てが管理監督者になるのかということなんだろうと思いますけれども、これは必ずしも、職制上の役付者といういわば名称というのでしょうか、それがあればいいということではなくて、むしろ、管理監督者の範囲といいますか、かどうかを決めるには、職務の内容、責任の権限、勤務態様等に着目することが必要であるというふうに考えております。

平野委員 では、大臣、改めて聞きますが、我が国に管理監督者と言われる方々がどれだけの実態にあるかということは、厚生労働省としては掌握していますか。

加藤国務大臣 どれだけの実態がある、済みません、ちょっと意味がとれなかったんですが。

平野委員 ごめんなさい。人数です。

加藤国務大臣 管理監督者の人数等については把握しておりません。

平野委員 したがって、私は、大きな労基法の改正を含めてやろうとしているわけですが、労働実態をやはり素直に調べないといけないんだと思うんですね。

 今言われたように、名目上の管理者は管理監督者とは言えない。今大臣いみじくもおっしゃいましたように、経営者と一体的な立場で仕事をしている人、こういう定義をされているわけですが、では、我が国にそういう立場で働いている人というのは何人おるんですか。厚生労働省、わかっていますか。

 大臣、細かい話ですから、大臣に聞かなくてもいいですよ。いいですか、わかりますか。どうぞ答えてください。

山越政府参考人 今大臣からもお答え申し上げましたように、管理監督者の割合とか人数については、現状を把握しておりません。

平野委員 改めて私、聞きますが、労基法の改正をするんですよ。するときに、日本の労働実態というのは一体どうなっているんだというのは調べるのが当たり前じゃないですか。それを調べずして部分的に改正をするというのは、総体としての労働環境の実態がわかっていないのに、なぜこれ、改正できるんですか。それがデータにもあらわれておるんじゃないですか。

 大臣、どうですか。

加藤国務大臣 結果的に管理監督者に当たるかどうかについては、先ほどもお話し申しましたように、その個々の人の職務内容、責任、権限、勤務態様、これに着目しながら判断せざるを得ない。したがって、例えば統計をとって、肩書を持っていますかということは統計的にとれるのかもしれませんが、じゃ、それが本当に管理監督者であるかということになると、今申し上げた、個々に当たっていかなければならないんだろうというふうに思います。

平野委員 それは、現実的に調べるとしたら、誰が調べるんですか。

加藤国務大臣 事業所で管理監督者とされている者が労基法上の管理監督者に該当するかについては、これは労働基準監督署の監督指導において確認するということになるわけであります。

平野委員 それでは改めて私、確認しますが、やはり、管理職と一般的に呼んでいる、しかし本当に、先ほど大臣からおっしゃられたように、管理監督者なのかどうか、このことの実態把握はしないといけないんじゃないですかね。名前だけ管理者になっている、それで時間外賃金は払われない。しかし、現実的には、経営者と一体的にやっている人、こういう定義。現実の姿と、法律に求められている、労基法の四十一条に書かれている部分と、随分乖離の中で実態があるんじゃないでしょうか。

 これをきちっと調べた上で、労基法の今度新たな改正をするというのが本来の筋じゃないでしょうか。それがない中で今回の法案を提出するというのは、余りにも早計ではないでしょうか。実態がわからない中でやっていくのではないでしょうか。それはないと言えますか。きちっと把握していると言えますか。

加藤国務大臣 まさに管理監督者でないにもかかわらず管理監督者として扱われている事例があるかということでありまして、これは正直言って、全ての事業所を、常に今の状況について我々把握することはできないわけであります。

 具体的に、それぞれ先ほど申し上げた監督指導を行ったときに、そういったことについて、明らかに管理監督者でないにもかかわらず管理監督者の扱いになっている、したがって休日とか時間外、そういったものの適用がなされていない、そういった事案が認められた場合には、その是正を勧告するとともに、管理監督者の範囲の見直し、要するにその人は管理監督者じゃないんじゃないか、あるいは、管理監督者であるならばこういった処遇をすべきじゃないか、そういったことに指導しているということでございます。

平野委員 卑近な例を申し上げますと、平成二十年ぐらいに、フランチャイズの店長が本当にどうなのか、こういうことで調べられたわけですよ。六十六店舗で管理監督者とされていた店長、副店長八十八人のうち、法律の定義に合致した人は何人だったか、こういう調べをしているんですね、大臣がおっしゃるように。抽出作業でやったのか、告発があってやったのかは別にして、やっているんですよ。八十八人のうちに、わずか十人しか法令に適した管理監督者がいなかった。これが現実の姿なんですね。

 したがって、私、言いたいことは、やはり違法状態の管理監督者と名前を打った人が管理監督者として働かされているというふうに私は実は思うものですから、その実態をしっかりと把握しないと、現実の労働実態に合わないんじゃないでしょうかということを指摘したいんです。その点はどうですか。

加藤国務大臣 委員が今御指摘した点、ちょっと私も新聞記事等でそうしたことを読んだような記憶がよみがえってきたところでございます。

 いずれにしても、それがどういうきっかけでそうした監督指導がなされたのかは私も承知しておりませんし、また、そうしたことは申し上げることは控えさせていただいているわけでありますけれども、いずれにしても、個々についてさまざまな情報等があれば、そうしたことを踏まえて私ども必要な監督指導を行い、そして、実際、そこにおいて違反事例等があれば、是正勧告をするなり、そうした見直しを行うよう指導していく、こういうことで取組をさせていただきたいと思っております。

平野委員 いずれにしても、高プロという新しい概念を入れてきたわけですが、時間管理を受けない働き方のさらなる拡大を検討する前に、社会に広く定着している就労形態、すなわち、先ほど申し上げた点も含めて、違法状態の解消や課題の洗い出しをやはりしてから新たなものに着手すべきだと思うんですが、そこをせずして、新たな、高プロみたいな問題を法案に持ち出してくる。

 これも、百歩譲れば、高プロ的な、そういう働き方もあるかもしれません。しかし、その前提になるのは、労働実態が本当に正しく、違法状態でない状態でやられているという現実をしっかり把握した上での私は法理でなきゃならない、こういうふうに実は思うんですね。そこがないからいろいろな問題が起こる。

 まして、きょう、過労死の家族の方が来られた。過労死が起こっている、中間管理層に起こっているんですよ、これ。この点をやはりしっかり直視してもらわないといけない。この間、ヒアリングでも、私、ちらっと聞きました。一生懸命仕事をする。中間管理職にいました。だけれども、時間管理がない。そういう中で、どんどんどんどん長時間の労働に組み込まれていく。責任も持たされる。そういう中で過労死になってしまった。そういう事例も私はお聞きしました。

 改めて、だから、中間管理層を含めて、本当に仕事を経営側と一体になってやっている立場では僕はないと思うんです。やらされているんですよ。責任だけを持たされている。これが現実の管理職と言われる労働実態ではないでしょうか。ここを是正せずして新たな法律を組み込んでいくということについては、余りにも早計だと私は言わざるを得ないと思うんです。

 次に参ります。

 時間がないものですから次に参りますが、安全配慮の義務、こういうところもあると思うんです。労働契約法に基づいて、これは平成十九年にでき上がっている法律ですが、これはもともと民法からきている法律でございます。企業については、雇用者に対する安全配慮義務がある、こういうことでありますが、当然、管理監督者についても企業は安全や健康に万全を期する責任を持たされているんです。

 でも、実態はどういう実態になっているか、この点についてはどうですか。実態は、法制度として十分にこの点については担保されている現実でしょうか。その点は、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 管理監督者に対しても、適切な健康確保措置を講じる観点から、労働安全衛生法に基づく健康診断や医師による面接指導等の規定は適用されているということでございます。

 また、事業主は、原則として年一回、健康診断を受けさせる必要があり、また、本人が、時間外、休日労働時間が一カ月当たり百時間を超え、かつ、疲労の蓄積があると認められる状態にあると自身で判断し、事業主に申し出た場合には、医師の面接指導を受けさせる必要があるなどの健康確保措置が講じられているところでございます。

平野委員 大臣、それは、そういうふうには書いてあるんです。でも、実態はどうなのか、ここが一番大事であります。時間による残業代の計算がないために、管理職については出退勤の記録をとる必要がない。労基法の百八条の賃金台帳作成についても、労働時間の記載の必要性も要らない。こういうふうにしているんですね。

 じゃ、企業では、長期に労働時間を、防いで、雇用の、今大臣おっしゃるように、健康と安全を守る責任がある、こういうことはおっしゃるんだけれども、そのためには、雇用者の労働時間をきちんとやはり把握する、最低限の義務が必要なんじゃないでしょうか。それが現実的にされているでしょうか。この点が非常に疑問なんです。

加藤国務大臣 今、管理監督者については、例えば、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというのもあるんですけれども、これが適用されていないわけでありますが、それについても適正な労働時間管理を行う責務があるということは一応書かれているところでございます。

 そうしたことを踏まえて、労働政策審議会において、こうした管理監督者を踏まえて労働時間の状況等についてしっかり把握をすべきということで、建議においては、省令において対応すべきということで建議をいただいているということでございます。

 今、それらを踏まえて、働き方改革法案全体について与党内で御議論いただいておりますけれども、与党内においてもそうした労働時間状況の把握、これは大きな課題であるという認識を持ち、それを含めて議論がなされているという状況にあります。

平野委員 いや、僕は、今議論しているということでは困っちゃうんですが。

 過労死を受けた家族からは、労働時間の記録がないものですから、過重労働の実態を証明する、これは家族にとっては極めて困難なんですね。この点を、少なくとも、企業において、雇用者の勤務実態、それと労働時間、賃金に反映する必要性はないんですよ、少なくとも、命を守る、健康管理を維持していく、こういう視点で、やはり労働時間の把握というのは絶対に私は必要なんだろうというふうに思うんですよ。

 今、現実的に、特に大企業の一部で、労使関係がきちっとしているところは順次やっていっているんでしょう。特に、ICチップを入れたりいろいろなことをやっていますが、日本というのは、やはり結構中小企業が多いわけですよ。そういう中にあって、本当にこのことはしっかり法律で、賃金を時間外で払うとか払わないという問題ではなくて、雇用者の命を守るという視点での労働時間の把握というのは私は義務化すべきだと思いますが、どうでしょうか。

加藤国務大臣 まさに今委員御指摘のように、賃金等のベースになるという意味での労働時間の把握というのと、いわゆる労働安全衛生の観点から見る労働時間の状況を把握する、これは確かに二つの側面があります。もちろん、前者も大変大事なことでありますけれども、特に、今御指摘のあるような管理監督者ということになれば、前者というよりも後者ということになるわけでありますので、そこについては、先ほど申し上げた労働時間状況の把握ということについて、労働政策審議会では省令ということでありましたけれども、この法案の議論の中において、議論すべき課題の一つとして今議論がなされているということでございますので、その議論を踏まえて私ども法案を作成していきたい、こういうふうに思っております。

平野委員 大臣、ぜひ、その議論を踏まえてじゃなくて、実態を正確に把握した上で議論を進めてほしいということを申し上げておきたいと思いますし、やはり、現実の現場でどういう実態にあるかということを把握できるのは労働基準監督官だ、こういうふうに思うんですね。

 ところが、現実には、我が国の労働基準監督官はどれぐらいおられるんですか。

加藤国務大臣 平成二十九年度において、全国の労働基準監督署に二千九百七十八人の労働基準監督官が配置をされているところでございます。

平野委員 これはILOでは、大体雇用者一万人に一人ぐらいの部分になっているんです、先進国では。

 そうすると、日本はその比率でいったらどれぐらいの比率になっていますか。

加藤国務大臣 失礼しました。

 ILOで取りまとめた諸外国の雇用者一万人当たりの監督官の数でございますけれども、日本は〇・五七人に対して、フランスは〇・七四、イギリスは〇・九三、ドイツは一・八九、こういうことでございます。

平野委員 時間が参りましたからこれで終了したいと思いますが、いずれにしても、やはり正確な労働実態をつかんだ上で立法の措置をしてもらいたい。余りにもずさんなデータのもとに物事を進めていくと、必ず問題が起こるわけです。

 したがって、大臣、きょうは私、この委員会は初めてですし、まだ初心者マークですから、これからしっかりと審議を深めていきたいと思いますが、やはり労働者というのは我が国の社会を構成している大きなパワーでありますから、その方々の命を守る、働く活力を見出していく、そういう意味の中で、労基法、あるいは労働契約法等々含めて、労働者の労働環境をいかに、労働者側にやはり重きを置くというのが労働法制だと思っています。

 今の理屈でいくと、どうしても使用者側に重きを置いた法律としか私は思えないものですから、しっかりとそういう視点で、働いている側に立つ、命を守っていく、こういう視点の労働法制をさらに強化をしていただくようにお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 先ほど来、きょうはいろいろな話題がありますけれども、その中で重なるところがあるんですが、どうしても私自身がこれを取り上げなければと思っています。

 二月二十日の予算委員会で私が、昨年十二月二十五日、野村不動産に対する特別指導を行ったこと、このことを取り上げました。

 資料の一枚目に、これを報じた当時の、十二月二十七日付ですが、朝日新聞をつけております。裁量労働制に該当しない営業職など約六百人に適用していたとして、残業代不払いなどで是正勧告をしたものであると。そして、記事の二段目にあるように、このような事案で大企業の社長が労働局に呼ばれて指導されるのは極めて異例だと指摘をしています。なので、特別指導と、行政用語にはない言葉を使っていたようでありますけれども。

 そこで、去年のこの瞬間というのは、もう何度も議論されていますから、加藤大臣は、二月二十日の私の質問の際、野村不動産の社員の過労死が認定されていた事案を知っていたのでしょうか。

    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

加藤国務大臣 先ほどからもほかの委員からも御指摘ございましたけれども、過労死に係る申請とか認定とか、そういった個々の事案については、申請者の個人情報保護の観点から、御本人の遺族、また代理人の方、例えば弁護士等がみずから会見を行う等、確認をできた場合以外においては、私どもの方から説明をしたり、あるいは回答することは差し控えているところでございます。

高橋(千)委員 その答弁、何度もさっきから聞いていたわけですけれども、個人名を出せとか、そんなことを誰も聞いていないわけなんです。

 過労死事案があったということを、しかも、野村不動産という名前を出して質問し、野村不動産と名前を出して答弁しているわけですよね。しかも、しっかり指導していると。そういう文脈の中で、これを知っていたかどうかも答えられない、これは大変なことだと思うんですね。

 この五十代の男性は、裁量労働制に当たらないと指摘された約六百人の中の一人だとされています。私の質問の趣旨は、その日ですよ、二十日の質問の趣旨は、何で異例の特別指導を行ったのかなというときに、裁量労働制でやはり過労死がふえるんじゃないか、長時間労働になるんじゃないかということが盛んに言われてきた、そういうときに、裁量労働を偽って、ただ働きや長時間労働をさせていることが現実にあること、そしてそれがさらに拡大するおそれがあると認めているからではないかということ、そういう趣旨で指摘をしたわけです。

 大臣はそれに対して、今の野村不動産を始めとして、適切に運用していない、こうした事業所などもありますから、つまり認めているわけですよね。実際にそういうところがあるということを認めて、しっかり監督指導を行っていると。いるですよ、これからやるではなくて。そういうお答えをしたわけです。

 ですから、当然、心の中には、そういう事案があったしなと、知っていないとおかしいわけなんです。でも、知っていてそれを一切触れないのも重大だなと思うけれども、逆に知らされていないとすれば、知らされていなくて、そんなことはなくてしっかり指導しているんだよと答弁していたとしたら、これは極めて深刻な、いわゆる大臣と官僚との関係の問題を言っているわけなので、私はそれだけを大臣の立場に立って、これはちょっと深刻じゃないかという意味で聞いているんですよ。

 裁量労働制のデータ問題が削除という結末になったものの、今も調査が続行中です。そういう中で、年金個人情報のデータ問題も発覚しました。厚労省に対する信頼が土台から揺らいでいるんです。

 知っていたか、知っていないか、そのくらい率直に答えてください。

加藤国務大臣 今お話があった、Aという企業において例えばそういう事案があったということになれば、おのずとどの方かというのは特定されていくわけですから、やはりそこは我々は慎重に対応しなきゃいけないということで、先ほど申し上げたような対応をとらせていただいているということでございます。

 ただ一方で、もちろん、特別指導を行ったということは私も当然承知をし、また報告も上がってきているわけでございます。

 本件については、各地区で行われていた、また対象者も非常に多くあったといったこと等々を踏まえて、これは特別指導という形の対応をする必要がある、そういう判断の中で行われたということでございます。

高橋(千)委員 二〇一六年の十月の予算委員会で、これは私、電通の高橋まつりさんの過労自殺を取り上げたんですね。そのときに、塩崎大臣が、社長を呼んで指導したと、異例の答弁をしました。これは本当にちょっとびっくりしたわけですけれども、特別指導というのは、このときと今の野村不動産の二件のみと聞いているわけなんです。

 では、なぜ、野村不動産の場合は、過労死のことは言わなかったけれども、是正勧告をしましたという、特別指導をやりましたということを公表したんでしょうか。

加藤国務大臣 労働基準監督署が個々の事業場に対して監督を行った結果、全社的に法の趣旨を大きく逸脱するなどの実態が認められた場合、労働局長が企業の幹部に対して行政の対応を明らかにすることによって同種事案の防止を図るということから特別指導を今回行い、そしてその旨の公表を図ったということでございます。

 電通の事案についても、そういった対応でありますけれども、ただ、電通の事案のときには、別に特別指導と名を打ったわけではなかったというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 それは、後でそういう呼び方をしたということなんですね。

 昨日の野党の合同ヒアリングの中で、昨年の裁量労働制による監督指導ということがありまして、是正勧告又は指導を行った事業場数は二百七十二。そのうち、指導事業場数というのは二百三十二。内訳があって、対象業務が、つまり、対象業務というのは、裁量労働制ではないのに裁量労働制だと言って残業代を払っていなかったとか、そういうことを言うんだと思うんです。これは、野村不動産もその中に入る。それが七十もあるんですね、七十も。一年間でですよ。その中の一つだけをとりたてて特別指導し公表したというのは、よほどのことがなければと言わなければならないわけですよね。違いますかね。

 これはだから、逆に言うと、私は、過労死案件を知っていたということと同時に、政治判断だと。いろいろある中で、本当はたくさんあるけれども、あえてこれを、名前もよく知れた業者のことを出して、自分たちは裁量労働制になっても大丈夫だ、ちゃんと指導できますというアピールをしたかった、そういう政治判断だとも言えませんか。

    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 政治判断というよりも行政判断なんだというふうに思いますけれども。

 趣旨は先ほど申し上げたので、同じことは重複をいたしませんけれども、この野村不動産においては、本来、企画業務型裁量労働制の対象とはなり得ないにもかかわらず、多くの働き手がそういう形で働き、しかもそれが全社的に認められていた、そういったことを踏まえて、これに対して、その名前を公表し、特別に東京労働局長が指導を行うことによって、こうした行政の対応、これをしっかり明らかにして、こうした事案の防止を図っていく、こういったことでありまして、あくまでも、そういった趣旨においてこの特別指導がなされたということであります。

高橋(千)委員 極めて残念だと思いますね、この答弁は。

 一昨年の十二月二十六日に、電通の事案があって、過労死ゼロ緊急対策を政府が発表したわけなんです。これが、資料の二枚目につけておきましたけれども、フローがあるわけですよね。いろいろあるんだけれども、今回の事案は、このフローにはのっとっていなかったという説明を受けています。

 だけれども、私はずっとこれを公表しろと言ってきた。言ってきて、言って見直ししたんだけれども、真ん中を見ていただくとわかるんですが、過労死、過労自死が二つの事業場であった場合初めて、それも認定されて初めて公表するんですね。ゼロ対策と名乗っているんですよ。ゼロ対策と名乗っているのに、二人以上亡くならなければ公表もしない。これをやはり見直さなくちゃ。亡くなる前に本当に対策を打つとしたら、そういうところから見直すべきなんです。

 先ほど来、個人情報が云々と言いましたけれども、過労死を、本当につらい思いをしてきた家族の会の皆さんが一番このことを望んできました、企業名の公表をやれと。これはもうずっと言っています、このことを。これに、大臣、応えるべきではありませんか。

加藤国務大臣 これも、ちょっと年次が入っていませんけれども、そういった御指摘も踏まえながら、新たな仕組みとして、この、何といいますか、点々々の下のところですね、これを……(高橋(千)委員「それじゃだめだと言っているんです」と呼ぶ)いやいや、そうじゃなくて、それをやったということでございます。そして、さらに新たな仕組みとして、現行の要件を以下のとおり拡大するということで、平成二十九年から実施をしているということでございます。

 これは確かに公表基準なんですけれども、私自身思うのは、これは一つのルールなんですが、ただ、じゃ、逆に言うと、ここにかからなければいいのかという御指摘もいただいているわけであります。ですから、やはり、これを基準としながら、その条件条件を見ながら我々は適宜に対応していくということが必要ではないかというふうに思います。

高橋(千)委員 もうゼロ対策なんてとても言えるものではないと、重ねてこの問題は何回でも指摘をさせていただきますので、見直しをしていただきたい。大臣も、やはり二人死んでからということをしっかり胸に引き取って考えていただきたい、このように思います。

 それで、裁量労働制を削除して高プロだけを残すということには理がありません。

 安倍総理は、三月二日の参議院の予算委員会で、我が党の小池晃議員に対して、高プロは、今度、これからつくる制度でありますから、この制度に起因する何か問題が起こっていることでは、もちろん今まではないわけであります。当たり前なんですよ。高プロだと言われている人は今はいないから、それはそうかもしれないけれども、でも、法律をつくって初めてそこに対応する労働者が生まれるわけではなくて、どこかのカテゴリーにいるわけなんです。それは、いわゆる専門業務型裁量労働制とか、あるいは商品開発として限度基準を除外されている方、そういう人たちの中に高プロと呼ばれる人が当然いるわけですよね。

 今回、裁量労働制のデータ問題を契機に、新たな手法を検討して実態調査を行うんですから、高プロもその調査結果を待つべきではないでしょうか。

山越政府参考人 裁量労働制の実態についてでございますけれども、総理から、厚生労働省においてしっかり把握し直すよう指示を受けているところでございます。具体的な把握方法といたしましては、二十五年の調査と同じ方法ではなく、新たに調査を実施することとしております。

 高度プロフェッショナル制度につきましては、平成二十七年二月の労働政策審議会の建議で対象業務なども議論されたところでございますけれども、この高度プロフェッショナル制度につきましては新しい制度でございますので、現状において実態を把握することは困難であるというふうに考えているところでございます。

高橋(千)委員 資料の四枚目を見てください。これは産経新聞の二〇一五年の七月十二日です。「ホワイトカラーエグゼンプションの対象者」と、懐かしい名前が出てきたかもしれませんが、ちゃんとここに囲みで、高プロのことを今はホワイトカラーエグゼンプションと呼んでいるんだという解説をしております。これは、「労災認定 三年で七十三人」とありますけれども、二〇一五年の三月二十六日の参議院の厚生労働委員会で民主党の津田弥太郎議員が、年収一千七十五万円以上の労働者の脳・心臓疾患及び精神障害の労災補償状況について出すようにということで、厚労省が調べて出したものであります。その内訳がここに書いてあります。次のページをめくっていただければわかると思うんですね。

 ですから、これが高プロだと言っているわけじゃないですよ。ただ、年収が高い人も、二十五年度が四件で二人が亡くなっている。二十四年度も八件で五人が亡くなっている。こういうふうな数字を積み上げていくと七十三件にもなっている。決して、年収が高いということが長時間労働にならならない事由であるという、歯どめにはならないということがはっきりしていると思うんです。

 これは、右側の裁量労働制のことについては、大臣、実は答弁していることがあるんですね。このときだけは調査がありますと答弁している。ところが、左の調査については、これまで議論がされてこなかったわけです。ですから、高プロは今存在しないからなんて言ったら、立法事実がないということになるんですよ。そんな答弁が成り立ちますか。高プロになりそうな方は、こういう形で調べることができているでしょう。これをちゃんとやるべきだと思いませんか。

加藤国務大臣 今委員御指摘の数字、確かに平成二十七年六月に、参議院の厚生労働委員会に、理事会に報告をさせていただいた数字だというふうに承知をしております。

 ただ、高度プロフェッショナル制度の年収要件、しかも、今のやつは、ちょっといろいろな仮定を置いた数字でありますけれども、高度プロフェッショナル制度についての要件というのは、年収のみならず、書面等による合意に基づき職務が明確に定められている等々が決まっているわけでありますから、そういった意味において、また、そもそも目的が、高度の技能を、専門的な知識を必要とし、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるという性質の範囲内で、具体的には省令でその範囲を限定していくわけでありますから、そこは、単に今の部分というのは、通常の働き手の中で高額な収入を得た人とはその性格は違ってくるんじゃないかというふうに思います。

高橋(千)委員 それは最初から織り込み済みで聞いているじゃないですか。年収が高いということが長時間労働にならないことの歯どめにはならないということ、裁量労働制だといっても過労死がないとは言えないということ、そういう実態が一定程度指摘をされて調査をしているんですよ。

 今回は裁量労働制の調査をちゃんとやると言っているんでしょう。一応ちゃんとやるんでしょう。だったら、それが終わってから高プロのことをちゃんと提案したらいいじゃないですか。今どこにもいないなんて言って、どうしてそれで法案を出せるんですか。もう一度。

加藤国務大臣 もう一度答弁させていただくわけでありますけれども、年収が高ければ長時間労働にならないということを申し上げているわけではなくて、しっかりとした年収を確保するということが、これまでのいろいろな議論の中で、交渉力があるということの一つとして労政審でも議論がなされたということでございまして、我々は、そういった中で、長時間労働にならないように、また、健康確保をしっかりやっていく、そういった措置はしっかり盛り込んでいるということでございます。

 また、そういった意味において、先ほど申し上げた新たなカテゴリーということでございますから、それはそれとして、そこで懸念されることに対しては、健康確保措置等々、あるいは一定の年収等々を絞り込んで、しかし他方で、そうした仕事の仕方ということは働き手の方からも求められているわけでありますから、そうしたことに対応できる人に対してこうした制度をつくることによって、その方が自律的に創造的な仕事ができる。そういったことによって、また日本においてより付加価値の高い仕事が維持され、あるいは生み出されていく、そして、それが更にさまざまな新たな仕事等を生んでいく、そういったことを進めていきたい、こういうふうに思っております。

高橋(千)委員 何一つ根拠のある答弁がなかったと思います。高プロを、そもそも年収要件を設けることの根拠すらやらない。だって、どういう人かもわからない、現実にいないから実態はわからない、それで法律をつくれるわけはないんです。立法事実がないと重ねて指摘をして、あの調査を踏まえて本当に抜本的な見直しを、私は、これ二つ削除したらいいと思っておりませんので、法案はもう今国会は諦めるべきだと思っております。重ねて指摘をしたいと思います。

 それで、きょうはもう一つ、どうしても質問したいことがあるんですが、あと一週間で四月です。無期転換権を持ちながら雇いどめにされる人がいます。厚労省はどのように把握しているのか、このまま大量の雇いどめを認めるのか、伺います。

牧原副大臣 御指摘の無期転換ルールにつきましては、委員を始め共産党の先生方に、私のもとに陳情をいただきましたので、私の方から答弁をさせていただきます。

 昨年の九月に、都道府県労働局に無期転換ルール特別相談窓口を設置して相談対応を強化し、さらに、委員を始め先生方の要請もあり、労働者や事業主に対して相談窓口を明確化し、そしてまた周知を徹底するために、本年二月十三日より、全国統一番号である無期転換ルール緊急相談ダイヤルを開設したところでございます。

 この開設後、二月十三日から二月末までの統計が今のところ確認できていますが、相談状況によって、この窓口に寄せられた相談のうち、雇いどめについての相談割合は約三%というふうになっております。

 厚労省としては、無期転換ルールの適用を意図的に避ける目的を持って雇いどめをする事案等を把握した場合には、必要な啓発指導をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 正直、遅いと言わなければいけないんですけれども、ただ、副大臣のところに行ってから、無理かなと思っていた理研が、雇いどめを無期転換にするとか、そういう変化が起こっていますので、最後まで諦めたくないと思っております。

 次に、文科省に伺いますが、昨年も質問しましたけれども、全国の国立系大学で有期雇用契約労働者がどのくらいいるかということを聞きました。その調査がまとまったということですので、伺いたい。そのうち、雇いどめされるおそれがどのくらいいるのでしょうか。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人におきましては、各法人の自主性、自律性のもとに業務運営が行われることが基本であり、それぞれの職員の雇用形態は、労働関係法令に基づき、各法人が適切に定めるべきものであると考えております。

 文部科学省におきまして、国立大学法人八十六法人及び大学共同利用機関法人四法人に対しまして、平成三十年一月一日、本年一月一日現在の各法人における有期雇用職員数を問い合わせたところ、全体で九万八千六百六十七名でございました。このうち契約更新に通算五年以内の上限の定めのある者の数が五万九千六百七十三人であり、そのうち平成二十九年度末で雇用の期間が契約期間の上限を迎える者の数は七千九百十九人でございました。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 今お答えいただいたものを資料の最後につけてあります。九十の国立大学法人の内訳でございます。

 それで、実は私、東北大学の問題を何度も取り上げているわけなんですが、昨日の河北新報に、無期転換ルール東北大のみ実施せずという大きな見出しがありまして、これは、東北の中の十八の国公立大学で、何らかの無期転換を認めている中で、東北大学だけが無期転換は一つもないということを指摘した記事なんです。大変不名誉なことだというふうに思っております。

 今年度、千百四十名の対象者のうち、労契法十八条による無期転換者は一人もいない。限定正職員に採用された方が六百九十名おりますけれども、実は、そのうち、プロジェクト型で、一年すれば雇いどめされるおそれがある方が四百十八名いるんです。ですから、かなりの方が雇いどめに今直面しているというところなんです。

 それで、少し質問を飛ばします。

 先ほど西村委員が東北大学の資料を出してくれたんですけれども、その続きをやりたいと思います。

 大臣も、資料を見て、案がついているとおっしゃいましたね。先ほど、「原則六カ月のクーリング期間を設ける。」という文書があった。それから、「財源等の面で大きな負担と責任が伴うものであるので、行わないことを原則とする。」この二つの文書があるわけです。

 これに対して、実は、二月一日の参議院の予算委員会で我が党の田村智子議員がジェトロの内部文書を示したときに、世耕経産大臣が、この文書は撤回させた、不適切だと答えた。それの文書よりもひどいんです。ジェトロの文書は、難しいと書いていた。難しいと。だけれども、こっちは原則行わないですから、もっとはっきりくっきりしているわけなんです。

 先ほど大臣は、クーリング期間そのものは違法ではないが、あらかじめ六カ月後に戻ってくることを約束するようなことは法の趣旨にそぐわない、そういう答弁をされたと思うんですね。

 だけれども、現場では、先ほど西村委員が一部紹介していただいたように、面談で、六カ月後戻ってきてほしい、現場に必要だから、どんな状態でも席をあけて待っている、こう言った。でも、私は四月から続けて働きたいと言うと、それはできない、本部の方針が変わらない限りは、こう言われているわけです。

 あるいは、また別の方。今回、一回おやめになって六カ月たてば、クーリングってあるのを知っていますよね、そこは余り不安にならずにと言われた方もいるんです。明らかにこれは、もう無期転換をしたくない、避けるためにこの規程を設けたということなんです。

 先ほど、実は文科省の宮川政務官は、それは案であって、削除したと大学から聞いていると答えました。しかし、現場ではそうでないということを今お話ししました。

 私の手元には、案ではなく、ことしの二月の文書があります。ことしの二月の文書で、本学では、就業規則により、五年を超えての雇用は行いません、再度労働契約を行うには、適切なクーリング期間を経る必要がありますので御注意くださいと。ちゃんとそういう文書を出しているんですよ。

 これは本当にいいんですか。先ほどの答弁に照らしても見過ごすことはできないと思います。これは、大臣とそれから丹羽副大臣に続けて御答弁をお願いします。

牧原副大臣 違反かどうかということについては個別の判断になりますので、お答えを厚生労働省としては差し控えますが、一般論として申し上げれば、企業においては、有期労働契約の濫用的な利用を抑制し、有期契約で働く方の雇用の安定を図るという無期転換ルールの趣旨を踏まえた対応がなされることが望ましいというふうに考えて、厚生労働省としては、そうしたことについて周知や啓発、指導等について取り組んでまいりたい、こう考えております。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 高橋先生御存じのとおり、各大学、国立大学法人におきましては、運営につきましては各大学の自主性というのが基本原則でございます。それぞれの職員の雇用形態は、労働関係という法令に基づき、各法人が適切に定めるものだというふうに認識いたしております。

 そういった中で、これまで無期転換のルールにつきまして、文部科学省といたしましても、事務連絡や国立大学の学長等を集めた会議を通して情報提供や説明を行うなど、改正労働契約法の趣旨を踏まえて、各法人が適切に対応いただくように、文部科学省といたしましてもお願いしているところでございます。

高橋(千)委員 随分事務的な答弁でございますね。

 そうはいっても、人事をやっているのは文科省の天下りの理事でございます。その方が、結局、財政がないからと言っているんですよ。だけれども、無期転換することによって財政がなくなるということは、運営費交付金を持っている文科省として、それはないでしょう。それは関係ないわけですよね。それをちゃんと言ってくださったらいいじゃないですか。東大だって、ほかの大学だって、ちゃんとやっている。十七大学、私たちは数えました。そうじゃないですか。

丹羽副大臣 お答えいたします。

 高橋先生おっしゃるとおり、東京大学、ちょうど去年の委員会のときは、この東京大学の話が話題になったというふうに思っておりますが、各国立大学法人、一番最初に進んだのは名古屋大学だというふうに思っておりますけれども、名古屋大学を始め、それぞれの自主性の運営の中で賄っておりまして、文部科学省といたしましても、運営費交付金を出した中で、各大学の学長を始め理事の皆さん方の会議、合議制のもとで、そのように運営が進んでいるというふうに認識いたしております。

 東北大学に対しましても、職員側と適切に対話をいたしまして、労働関係法令に基づき適切な対応がなされるように、これからも伝えていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 時間になりましたので、一言、しゃべるだけです。

 実は、大臣、聞いていただきたい。そこまでして無期転換を避けたい理由に、交渉の場で大学側が何度も言っていること、それは、働き方改革だと言っているんです。それはどういうことかというと、無期転換しても、その後、同一労働同一賃金がやってくる、そうすると、やはり処遇改善をやらなきゃいけない、これは経営的に大変だということを打ち明けているんですよ。これ、全く真逆でしょう。

 非正規の皆さんの処遇改善を目指すと言ってきた、安定雇用すると言ってきたのに、それが逆に労働者の地位を奪うこと、根拠にされたらとんでもないですよ。そういう意味で厚労省が危機感を持ってほしいし、そういう意味で大臣に乗り出していただきたい、そのことを言いたかったんです。

 このことを指摘して、終わります。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野です。

 丹羽さんの、委員長時代とは違って、打って変わって冷たいような感じの答弁が印象に残りましたけれども。何か、恐らく全員が思っていることだと思いますけれども。

 きょう、長い時間、長時間、私が最後二十五分になりますけれども、あと少しですので、皆さん、頑張りましょう。

 久しぶりに厚生労働委員会の質疑に立たせていただきます。私は、高橋さんの後に質問ということでいつもやっていたんですけれども、いろいろな委員会、人数の関係であっちこっちの委員会に立たせていただきますけれども、やはり高橋先生の質問が一番いいですね。厳しいことを言いながら、時には優しい感じでしゃべったり、ある方みたいにずっとどなり散らしているという質問とは違って聞きやすいですし、本当に的を得た指摘もたくさんしっかりとやって、こういう委員会の質問を僕らも見習わないといけないんだなというふうにいつも思っております。ほんまです。

 きょうは、一つ目は、データの不備問題について質問しようと思っていたんですけれども、私はもっと早く委員会をやると思っていたので、先週の木曜日に質問のレクをしまして、もう一週間以上たっています。データのこともきょう朝からいろいろと、僕が聞きたかったことも全部、ほとんど皆さんお聞きになっていますので、殊さら、本当はその後の対応はどうなりましたかという質問だったんですけれども、ほとんど新聞にももう出ていますし、この質問もやらぬでいいかなと。せっかく来ていただいているんですけれども、この質問はもうやめておこうと思います。一週間前はそうでもなかったんですけれども、もう今データは。

 ただ、一つ、しっかりと、これもどの委員からも指摘がありますけれども、やはりちゃんとしたデータに基づいて政策の決定をしていただきたいと思いますので、これから、今後こういうことがないように厚生労働省が自戒を込めてしっかりとやっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 二つ目の質問なんですけれども、保育の質の低下ということ、これは私は内閣委員会でも大臣所信の中で質疑をさせていただきました。そのときは、なかなか、型どおりの答弁をされておりましたけれども、私は、保育の質に関しては厚生労働委員会でもいろいろと指摘をさせていただいてまいりました。

 私が一番やはり心配しているのは、保育士の質の低下、これは私はもう始まっているというふうに指摘をさせていただいていますけれども、保育士の質が下がれば、やはり保育の質は間違いなく下がってしまいますので、まずは保育士の質を高める努力をしていかないといけない。その高めるためのさまざまな政策は、一〇〇%十分だとは言えませんけれども、それでもかなりのスピードで、今、現政権は行っていただいていると私は思っております。更に注文をすればいろいろとまだまだありますけれども、それでもかなり前向きにやっていただいております。

 もう一つ、保育士の質の、人材の質はそういう形でやっていただいている、今度は環境ですね、子供が置かれている保育園の環境等の質の低下。

 これはよく、自治体によって上乗せ基準で子供の数を抑えている、本来の最低基準であればもう少し保育園に子供が入れるところ、上乗せ基準をつくって、独自予算でつくって子供の入所を抑えているというところがあります。では、最低基準でやっている保育園と上乗せ基準でやっている保育園の、子供たちにとってどれぐらいの影響がその差によってあらわれているのか、その子供の育ちに影響がどれぐらいあらわれているのかという詳細なデータというのは、今まで我々も見たことがありませんし、恐らくほとんどとられていないだろう、学術的にもしっかりとしたエビデンスがないんじゃないかというふうに思っています。

 私は、よく、保育の議論になったときに、質の低下を懸念するということでいろいろな答弁がされます。しかし、保育の質の低下というのは一体どういうことを指しているのか、そういう具体的なものが今まで議論をされてきていないような気がするんですね。だから、一度、そういった保育の質の低下という言葉について、厚生労働省としてどういうふうに認識を持っているのかをお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、保育の質の確保、向上というのは、保育の受皿の拡充と同時に車の両輪として進めていかなければならないと常に私どもは申し上げるわけであります。

 先ほど委員、例えば環境基準がAとBの場合、それがどう、そこでの子供さんたちの育ちに影響するのか、こういう御指摘もありました。まさに保育の質、そのときに、保育の質というものをどう考えるかということがなければ比較ができないということになるんだろうと思います。

 保育の質については、保育所保育指針というのがありますので、そこにおける保育の内容というのが一つあると思います。また、設備運営基準などによる保育の環境ということもあると思います。それから、今御指摘ありました保育士のキャリアアップなどを含めた保育の人材、こういった多様な要素がその保育の質には含まれているんだろうというふうに思います。

 そうした認識のもとで、子供の健やかな育ちを保障するため、今後、保育の利用者や事業者、あるいは学識経験者などの意見も伺いながら、保育の質というのはどういうことなのかといった議論をやはりしっかり深めていきたいというふうに思っておりまして、そういった場をまず設定し、そこにおいて議論、今申し上げた議論を深めていきたい、こう思っております。

浦野委員 今、そもそも数年前は、幼保一元化ということで、保育園と幼稚園を一つにまとめましょうということで頑張りましたけれども、結果は、最悪にも、二つどころか三つに制度がふえてしまって、余計ややこしくなってしまったという結果を生みました。

 私は、そのときの幼保一元化の議論の中で、保育所保育指針と幼稚園の教育要領、正式な名前はちょっと今ぱっと出てこないですけれども、そういった部分で統一をして、しっかりと子供にとってどういった保育、教育、まあ、保育と教育という差別化する、カテゴライズするというのもちょっと僕はどうかと思いますけれども、保育と教育の部分、それを一つにするという作業もある程度そのときにしたと思うんですね。私は、結果的には制度が三つに分かれてしまって余計にややこしくなってしまった部分はありますけれども、その議論自体は、非常に議論をたくさん、その当時、一元化に向けた議論は会議の中でされていたと思うんですね。

 そういったいいところをしっかりとこれからも、私はですよ、私は、今でも幼保一元化、一つの制度にまとめていくという努力はした方がいいと思うんですね、これからも。ただ、やはりなかなかそういうわけにいかない、いろいろな事情があって、今でも三つに分かれてしまっている。

 私の地元の大阪は、三つ目の認定こども園が一番全国で多い地域ですので、非常に前向きにそういった制度、保育園から認定こども園に移られている施設が一番たしか多い地域だったと思うので、そういったことも踏まえて、我々はやはり最終的には幼保一元化をすべきだというふうにも考えています。

 これは、そこだけの議論だけじゃなくて、幼保一元化だけの議論ではなくて、これから幼児教育の無償化だとか待機児童の解消、まあ、私は、待機児童の解消は、もうこれ以上保育園をつくっても待機児童の解消というのはなかなかできないんじゃないかというふうに、一部の都市部ではもうできないんじゃないかというふうには、ほかのことを考えてやらないといけないんじゃないかとは思っているんですけれども、そういった全てのことが、やはり最終的には、保護者の皆さんのためにもなるのはもちろんですけれども、やはり一番大事なのは、子供がこれからの人生を歩む中でどうやって過ごしていくか、日々過ごして、自分たちのその経験が将来自分たちの役に立つように、どうやったらやっていけるのかというのを大前提にしっかりと議論をしていただきたいと思っております。

 内閣委員会でもこれは指摘したんですけれども、環境、保育の質の中で環境を一つとっても、今は都市部ではもう独自の運動場も持てない保育園がほとんどです。運動場がないというのは、子供にとっては非常に大きなマイナスだと思うんですね。それは都市部ではもうやむを得ない状況ですけれども、やはり、保育園には運動場があるというのは、私としては最低限守っていかないといけなかった基準じゃなかったかなというふうに思っています。

 公園でもいいということになって、同じ公園に何個も保育園の子供が、複数の保育園がそこを園庭と認定してもらって、毎日そこに何回も子供が遊びに来る、そして、保育園に行っていない子供たちの遊び場が奪われるというような状況も出てきていますので、そういったことを考えたら、果たして本当に子供の成長に一体何がベストなのかというのは、もう一度、保育の質の低下という言葉を使うのであればしっかりと議論していただきたいと思います。

 大臣、もし何かつけ加えることがあれば答弁していただいたらと思いますけれども。

加藤国務大臣 先ほど、幼稚園の教育要領、要綱ですか、それから保育所の保育指針、それから認定こども園にもございまして、この中身については、それぞれ性格の違う部分はありますけれども、共通の部分もかなりありますから、そこは共通化していこうということで進めさせていただいているところでございます。

 その上で、今委員からもありましたけれども、本当に、保育の質というのは何なのかということ、これについてやはりしっかりと議論していく必要があるということで、先ほど申し上げた、議論の場を設けて、そこで、これはなかなか簡単ではないと思いますけれども、一つでも何か手がかりをつくっていきたい、こういうふうに思っております。

浦野委員 よろしくお願いをいたします。

 次に、きょうも、民間の方々、民間の企業での過労死のお話はたくさん取り上げられました。私は、公務員の皆さんの過労死について取り上げたいと思います。

 今わかっている現状で結構ですので、報告をまずいただけるでしょうか。

中山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般職の国家公務員の過労死の公務災害認定件数を申し上げます。

 平成十四年度から平成二十八年度までの十五年間の合計を申し上げますと、脳・心臓疾患を原因とする死亡件数が四十九件、精神疾患を原因とする自殺による死亡件数が五十件、合わせて九十九件でございます。

浦野委員 人の命ですから数がどうこうという話ではないんですけれども、私も初め、この数字を聞いたときは数にびっくりしました。対象になる公務員の皆さん、四十万人近かったですかね。四十万人、人事院が今把握をされている、人事院の方で、管理と言ったらおかしいですけれども把握をされている、自分たちがやっておられる範囲では、この十五年間で、九十九人、約百名の方が過労死をされております。

 私は、これは非常にまずいことなんじゃないかなというふうに思っているんですけれども、今までこういった議論というのはほとんどなされてこなかったのはなぜかという、公務員の皆さんの過労死についてですよ、なぜこういったことが議論されてこなかったのか、ちょっとどういうふうに思われますか。

中山政府参考人 直接のお答えにはならないんですけれども、私ども人事院としても、過労死はあってはならないことだと思っておりまして、そのアピールが不足しておったかもしれないという反省をしつつ、この機会に、職員の命と健康を守るためどのような対策を講じてきたかというのを御紹介させていただきたいと思います。

 心の健康について申し上げれば、各府省の健康管理担当者向けの研修や職員向けの啓発を行っております。さらに、こころの健康相談室というのを全国十カ所に設けておりまして、府省問わず、府省問わずといいますのは、みずから所属する府省に知られることなく安心して相談事ができる環境を整えるといった対策も講じているところでございます。また、ストレスということにどう対応するかということで、平成二十七年十二月よりいわゆるストレスチェック制度を導入しまして、平成二十八年度以降、全ての府省において実施していただいているということでございます。

 人事院といたしましては、過労死が繰り返されることのないよう、引き続き、各府省とも連携して、必要な取組に努めてまいります。

 大事な課題を取り上げていただきまして、直接のお答えにはなっておらず恐縮でございますが、この機会に対策を御説明させていただきました。

浦野委員 人事院は公務員の皆さんの労働三権の付与のかわりにあるものですので、人事院がしっかりとこれからも、今まで別にやってこなかったわけではなくて、対策はしているけれどもなかなか、これは本来はゼロにしないといけないものですから、その対策をしっかりととっていっていただきたいんです。

 質問をするときに人事院の方にも来ていただいていろいろ話をすると、人事院は人事院でそういった対策をもちろんとる、各省庁も各省庁でそういった心のケアだとかそういうことができるような対策もとっているということなんですけれども、結果的にはこれだけの数の皆さんがお亡くなりになっているというのは非常に大きな問題だと思っているんです。

 国としてこういった問題を所管しているのは厚生労働省だと思うんですけれども、人事院の方は人事院の方で先ほどおっしゃったような対応をしています。厚労省としては、それに加えて、やはりしっかりと公務員の皆さんに対しても、どういうことをやっていくかというのをやらないと、対策をとらないといけないと思うんですけれども、いかがですか。

加藤国務大臣 国家公務員の過労死の現状については、先ほど人事院からもお話がありました。公務員のみならず働く人が過労死にならないように、これはしっかり我々、取り組んでいかなきゃいけないというふうに思います。

 国家公務員については、平成二十七年七月閣議決定された過労死等の防止のための対策に対する大綱というのがございまして、そこにおいても、超過勤務縮減に向けた取組の推進、管理監督者に対するメンタルヘルスに係る研修、Eラーニング教材を用いたメンタルヘルス講習、パワハラ、パワーハラスメント防止の講習等、その中にも盛り込まれているところでございまして、それを一つ一つ進めていくということが必要だろうと思います。

 また、厚生労働省、先ほど言った各省各省という意味においては、厚生労働省においても、残念ながら過労死で亡くなった方も過去におられるわけであります。そうしたことが二度と起きないように、職員に対して、心の健康に対する啓発、また相談体制の充実、こうした対策を講じているところでございます。

浦野委員 もちろん、国会のいろいろなことで省庁の皆さんに、非常に、働き方に関して、やむを得ず押しつけている部分もあると思います。この間の予算委員会のときも、夜中まで協議が調わず、結局、待機はしたけれども、みんな夜中になって帰った、中には、インターバルが二時間しかあいていない職員もいたということもあります。

 こういったことを続けると、それは国会職員の話でしたけれども、同じように、各省庁、待機をされていた方もたくさんいてたはずです。そういった国会での我々の仕事のあり方も変えていかないと、それにつき合って長時間労働になっている職員の方がたくさんいる現状で、こういったことを防ぎましょうと我々が言ったところで、むなしく聞こえるだけですから、私は、やはり国会こそがまずそういった働き方が改善できるように国会の運営を、これはもちろん与野党がもう少し話合いをして、なるべく早く皆さんが帰れるように、早く仕事ができるようにしていくことも必要だと思っていますので、しっかりとこれからも考えていっていただけたらと思っております。

 国家公務員の皆さんの過労死については、ちょっと更に、これはしっかりと調べて対応していただきたいと思いますので、まだまだこれからも取り上げていきたいなと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 最後に、シェアリングエコノミーという言葉が最近よく使われるようになりましたけれども、大臣所信の中にも、介護分野のICT化とか、要は、新しい、今できてきているインターネットだとかそういういろいろなものを組み合わせて、そういう介護に限らず福祉分野でもそういったものをこれから活用していかないといけなくなると思うんですね。

 そういう意味では、シェアリングエコノミーというのは非常に福祉分野もやっていかないといけないものになってくると思うんですけれども、厚生労働省として、そういった取組というか、されているのか、お聞かせいただきたいと思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 シェアリングエコノミー、これにつきましては、内閣官房のシェアリングエコノミー検討会議の中間報告書によりますれば、個人などが保有する活用可能な資産、これはスキルや時間等の無形のものを含む概念でございますが、これを、インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人なども利用可能とする経済活性化活動とされておりまして、シェアリングエコノミーを活用した働き方は、一般的には雇用によらない働き方と承知しております。

 シェアリングエコノミーを活用した働き方を含めまして、雇用契約を結ばずに仕事を請け負う、請負ですとか自営等の雇用類似の働き方全般につきましては、働き方改革実行計画におきまして、保護等のあり方について、有識者会議において、実態を把握し、法的保護の必要性を含めて中長期的に検討していくこととされているところでございます。

 このため、厚生労働省といたしましては、昨年十月に雇用類似の働き方に関する検討会を立ち上げまして、まずはその実態等を把握、分析し、あわせて、このような働き方に関する課題整理を行っているところでございまして、引き続き、働き方改革実行計画を踏まえた中長期的な検討を行ってまいりたいと考えております。

浦野委員 例えば、去年ですか、内閣府の方で、シェアリングエコノミー、そういった活動をされているところに表彰状を出したりとかやっているんですけれども、その中で、AsMamaという、子供の送り迎え、近所の人たちが自分の子供を送っていくときに、マッチングさえできれば一緒に送っていくよということで、それをネット上でやっている、こういった取組が表彰されたわけですけれども、本当にこれも一つの、働き方改革という意味では、こういった今まで考えてこなかったようなところで、シェアリングエコノミーという名のもとにいろいろなサービスが出てくると思うんですね。こういったサービスをしっかりと厚生労働省は把握をして、それが悪い方向に行くときもあるんですよね、だからそれをやはり悪い方向へ行かないように、しっかりと今から研究をして取り組んでいただけたらと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 質問を終わります。

     ――――◇―――――

高鳥委員長 次に、内閣提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。加藤厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

加藤国務大臣 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法及び国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 駐留軍関係離職者等臨時措置法については本年五月十六日限りで、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法については本年六月三十日限りで失効することとなっております。

 しかしながら、駐留軍関係離職者及び漁業離職者につきましては、今後も、国際情勢の変化等に伴い、なおその発生が予想されることから、これらの法の有効期限を延長することとし、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、駐留軍関係離職者等臨時措置法について、法の有効期限を五年間延長し、平成三十五年五月十六日までとすることとしております。

 第二に、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法について、法の有効期限を五年間延長し、平成三十五年六月三十日までとすることとしております。

 最後に、この法律案の施行期日については、公布の日としています。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

高鳥委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十一分散会


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