衆議院

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第21号 平成30年5月22日(火曜日)

会議録本文へ
平成三十年五月二十二日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高鳥 修一君

   理事 後藤 茂之君 理事 田村 憲久君

   理事 橋本  岳君 理事 堀内 詔子君

   理事 渡辺 孝一君 理事 西村智奈美君

   理事 岡本 充功君 理事 桝屋 敬悟君

      赤澤 亮正君    秋葉 賢也君

      穴見 陽一君    安藤 高夫君

      井野 俊郎君    大岡 敏孝君

      大西 宏幸君    木村 哲也君

      木村 弥生君    国光あやの君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      後藤田正純君    佐藤 明男君

      塩崎 恭久君    繁本  護君

      白須賀貴樹君    杉田 水脈君

      田畑 裕明君    高木  啓君

      高橋ひなこ君    長尾  敬君

      三ッ林裕巳君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山田 美樹君

      池田 真紀君    尾辻かな子君

      長谷川嘉一君    初鹿 明博君

      山川百合子君    吉田 統彦君

      大西 健介君    白石 洋一君

      山井 和則君    柚木 道義君

      伊佐 進一君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    浦野 靖人君

      柿沢 未途君

    …………………………………

   厚生労働大臣政務官    田畑 裕明君

   参考人

   (株式会社日本総合研究所理事)          山田  久君

   参考人

   (日本労働組合総連合会会長)           神津里季生君

   参考人

   (全国過労死を考える家族の会代表世話人)     寺西 笑子君

   参考人

   (一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長) 輪島  忍君

   参考人

   (全国労働組合総連合副議長)

   (働くもののいのちと健康を守る全国センター事務局長)           岩橋 祐治君

   参考人

   (法政大学経済学部教授) 小黒 一正君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十二日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     高木  啓君

  佐藤 明男君     杉田 水脈君

  船橋 利実君     務台 俊介君

  初鹿 明博君     山川百合子君

  足立 康史君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     佐藤 明男君

  高木  啓君     国光あやの君

  務台 俊介君     大西 宏幸君

  山川百合子君     初鹿 明博君

  浦野 靖人君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     宗清 皇一君

同日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     船橋 利実君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第六三号)

 労働基準法等の一部を改正する法律案(西村智奈美君外二名提出、衆法第一七号)

 雇用対策法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一四号)

 労働基準法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一五号)

 労働契約法の一部を改正する法律案(岡本充功君外四名提出、衆法第一六号)


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     ――――◇―――――

高鳥委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案、西村智奈美君外二名提出、労働基準法等の一部を改正する法律案、岡本充功君外四名提出、雇用対策法の一部を改正する法律案、労働基準法の一部を改正する法律案及び労働契約法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、株式会社日本総合研究所理事山田久君、日本労働組合総連合会会長神津里季生君、全国過労死を考える家族の会代表世話人寺西笑子君、一般社団法人日本経済団体連合会労働法制本部長輪島忍君、全国労働組合総連合副議長・働くもののいのちと健康を守る全国センター事務局長岩橋祐治君、法政大学経済学部教授小黒一正君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、大変御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、どうかよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず山田参考人にお願いいたします。

山田参考人 日本総合研究所の山田でございます。

 本日は、大変貴重な機会を賜り、まことにありがとうございます。

 私の方からは、マクロの観点から、今回の働き方改革の意義とその推進に当たって重要だと考えることについて私見を述べさせていただきます。

 まず、そもそもなぜ働き方改革かということですけれども、私はこれには二つの理由があると思います。

 まず第一に、人口動態が非常に大きく変わってきている、これに対する対応ということかと思います。

 従来、日本の労働市場というのは、男性現役世代が中核労働力と考えられてきたわけですけれども、これが大幅に減少しております。そういう中で、多様な属性の人材の活用を可能にすることが重要になっているわけですけれども、残業削減と柔軟な働き方、これをセットで進めることが重要になっていると思います。

 加えまして、労働力が希少になる中、全ての人材の能力を最大限に生かすべく、異なる人材、働き方の間で差別をせず、公平に処遇をする必要が高まっているということかと思います。

 第二に、ビジネスモデルの転換の必要性ということでございます。

 我が国の生産性をめぐっては、物的な生産性は高いけれども付加価値生産性が低いという問題がございます。労働力の持続的減少により、物的生産性頼みの、いわば労働集約的な薄利多売型モデルというのが限界に近づき、付加価値労働生産性を高める知識集約的な高収益型モデルへのシフトが必要になっております。

 そのためには、人材をオペレーション要員としてではなく、付加価値の源泉として扱い、その能力発揮を図る必要があるということかと思います。

 次に、今回の働き方改革の進め方について、ある意味異例とも言える政府主導になっているということかと思うんですけれども、これに対する評価を申し上げたいと思います。

 本来、労働条件の決定というのは労使自治に任されるべきものであります。しかしながら、一九九〇年代以降、厳しい経済環境のもとで、総じて職場の労働環境は悪化しております。特にここ数年、企業収益が改善している割には、十分な改善が見られない。そういうところに、労使自治による労働条件の改善が十分でない、そこに政府の積極的な介入が正当化される十分な理由があるというふうに考えてございます。

 もっとも、最適な労働条件のあり方は産業や企業あるいは事業によって異なっており、最低限の底上げあるいは標準レベルの実現を政府主導で行うことは必要にしても、労使自治が機能する状況を生み出すことで、最終的には個別労使の決定に任せるということは極めて重要かと思います。

 その意味では、今回の法整備とともに、従業員代表制の導入や労働組合の横のつながり強化など、集団的労使関係の新たなあり方を構築していく、これを同時に推進していくことが極めて重要だと考えております。

 続きまして、今回の内容の妥当性と留意点ということに関して申し上げたいと思います。

 端的に言いましたら、今回の働き方改革の内容というのは、欧州型の働き方の要素を導入しようということかと思います。我が国が求められている働き方改革の方向性、既に説明しましたが、その二点を考えますと、基本的な方向性としては極めて妥当だと考えております。

 その半面で、ヨーロッパ社会と日本社会の間にはさまざまな違いがございます。雇用システムというのはそもそも社会の中に組み込まれている、そういうものでありますから、日本型にアレンジするということが重要だと思いますし、同時に重要なのは、関連システムの改革を同時に進めていくということかと思います。

 関連システムの改革とは、具体的には、まず、人材育成の仕組みの再構築ということであります。

 我が国は、企業内でのOJTが基本で、仕事と育成が一体化している側面がございます。一方で、ヨーロッパでは、学校教育において基礎的な実務能力が身につく仕組みがさまざまにあり、いわば短い労働時間でも人材育成が十分に行われる仕組みが存在します。

 これに対して、日本はそういうものが十分でない以上、人材育成のあり方をまずは企業が見直すとともに、政策的な支援、とりわけ学校教育との連携も含めて、人材育成のトータルなあり方を見直していく、ここが極めて重要かと存じます。

 それから、物的生産性よりも付加価値生産性の向上を追求する企業行動ということをやはりつくっていく必要がございますし、それを受け入れるために、取引慣行、消費文化というものを見直す必要があると思います。

 いい物を安くの企業行動と低価格が当然という消費社会では、低価格薄利多売型のビジネスが選択されやすく、その結果、業務量確保のために長時間労働が助長され、いわゆる非正規社員をコスト削減のための低賃金労働として活用しがちになります。

 これをいわば、ユニークな物を高くの企業行動と、良質であれば高価格が受け入れられる消費社会に転換し、企業が適正な価格を設定し、適正利潤を確保できるビジネス環境を整える必要があると思います。

 それにより、一定の業務量、すなわち一定の労働時間で十分な収益が確保でき、非正規労働者も含めた全ての労働者を付加価値創造の担い手として位置づける経営が誘発されるようになる、そういうふうに考えてございます。

 各論に関しまして申し上げたいと思います。

 先ほど言いましたように、今回の働き方改革というのは日本型のアレンジが必要だというふうに考えておりますが、そういう意味では、一定の配慮がなされるということでは妥当かと考えております。

 その中で、労働時間規制ですけれども、まず、ヨーロッパタイプの絶対上限を入れることは妥当かと存じますが、ヨーロッパに比べては緩めになっているのが実態でございます。それ自体は、とりあえずの導入としては妥当だと思いますけれども、これを出発点に、自主的な一段の削減ということが、特に企業が自主的に努力していくということが重要かと思います。

 今回は高度プロフェッショナル制度の導入もセットになってございますが、私自身は、これ自体は妥当かと存じております。非常に知識集約的な産業構造に変わっていく中で、こういう自律的な働き方をふやしていくということは重要かと存じます。

 ただ、重要なのは、適正な運用がなされる、このための十分な措置を講じていく必要がある。例えば、本当に自主性の高い労働者のみに適用するような仕組みを整備したり、あるいは過重労働を防止するような有効な健康管理措置を講じるということが要件になってくるということかと思います。

 同一労働同一賃金に関しましては、今回は、ヨーロッパのオリジナルの形ではなく、非正規労働者の処遇改善という、ある意味、日本独自の形で導入しているということかと思います。

 この点に関しましては、私は妥当だと考えますが、一方で、企業の中ではこれに関しやや混乱が見られますので、そこの趣旨を改めて政府としてしっかり伝えていくことが重要かと思います。

 実務的には、産業別の自主ガイドラインを策定したり、あるいは個別労使の対等な話合いによる自主ルールを尊重するような、そういう運用が極めて重要かと考えてございます。

 一点、これに関して補足したいのは、従来の日本型の能力主義的な評価、報酬制度と真っ向から対立するものではなく、むしろそれを補完するもの、そういうふうに考えております。それから、プロセスの公平ということで、労使のコミュニケーションをしっかり強化していくような仕組みも重要かということでございます。

 最後に、今回の働き方改革というのは、大枠妥当かと存じますけれども、あくまで改革の出発点にすぎない、ここをしっかり認識をする必要がある。今後も、当面は政府が引き続き触媒となって調整に乗り出していき、労使の背中を押していくということが必要なのではないかなと思います。

 ただ、最終的には、これは先ほど申し上げましたように、個別具体的なワークルールというのを政府が全て決めるのは無理であります。そういう意味では、働き方の改革は、改革の主役はあくまで労使であって、雇用社会のあり方を最終的に決めるのは労使の自主的な合意であるということを改めて強調したいと思います。

 そういう意味では、政府がやるべきことは、場の設定と話合いの推進です。具体的に言いますと、政労使会議を改めて再開し、産業レベル、地域レベルに裾野を広げながら、教育のあり方や商慣行、消費社会のあり方も含めて、広い分野について労使が各レベルで議論を重ねながら練り上げていくように政府が働きかけていくということが重要かと存じます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、神津参考人にお願いいたします。

神津参考人 御指名いただきました連合の神津です。

 本日は、このような場で私ども連合の意見を表明をする機会をいただきました。大変にありがとうございます。

 私は、今回、法案のベースになりました働き方改革実行計画の策定を行った働き方改革実現会議に参画をし、真に働く者のための働き方改革を実現するという強い決意のもと、長時間労働の是正、そして、いわゆる非正規雇用という形態で働く方々の処遇改善の必要性を強く主張をしてまいりました。

 この日本には、連日の長時間労働で休みもとれず、心や体が悲鳴を上げている多くの労働者がいます。年間二百人前後の方々が過労死、過労自殺として労災認定をされているのは御承知のとおりであります。

 そして、他方では、パートタイマーだから、あるいは派遣社員だからという、雇用形態の違いだけでまともな説明のついていない理不尽な待遇差があります。こうした現状を改善しなければ、日本の未来はないと思います。

 罰則つきの時間外労働の上限規制や勤務間インターバル制度の導入、そして同一労働同一賃金の法整備は、まさにこうした現状を変えるものとして欠かすことができない政策であります。そのことをまず申し述べておきたいと思います。

 私たちは、ことしの春季生活闘争、いわゆる春闘でありますが、この中で、長時間労働の是正、そして同一労働同一賃金、これらにつきまして、法改正に先行して、法を上回る取組を闘争方針に掲げて、全国の職場の仲間たちが懸命に交渉を進めました。

 その結果として、資料をお配りをしているわけですが、三六協定の見直し、あるいは勤務間インターバルの導入、そういった長時間労働の是正、さらには、非正規と言われる形態で働く方々にも正社員と同様の制度を設けるなどの同一労働同一賃金、これらについて、多くの組合が成果をかち取ったところです。

 しかし、労働組合がない職場ではどうでしょうか。残念ながら、現在の労働組合組織率は二割弱にとどまっています。労働組合のない職場では、三六協定の仕組みが適切に機能せず、長時間労働に全く歯どめがかからないケースが横行しています。

 非正規と言われる形態で働く方々の処遇改善に向けても、労使交渉のきっかけすら見出すことができない、そういう職場が多くあるわけです。そんな現実があるわけです。法規制が進まなければますます格差が広がってしまう、このことを憂慮いたします。

 今回の法案に盛り込まれている罰則つきの時間外労働の上限規制、そして同一労働同一賃金の法整備は、労働組合がない職場も取り残すことなく、全ての働く者が安心して健やかに働くことができる最低限のセーフティーネットを張るものであります。

 本来であれば昨年秋の臨時国会で審議されるべきところ、あの冒頭解散で延び延びになってしまっています。こうしている間にも、この日本のどこかで、過労死、過労自殺のふちに追いやられようとしている労働者が悲鳴を上げているのであります。これらのセーフティーネットの内容については、一刻も早いスタートを強く求めるものであります。

 一方で、政府提出の法案には、幾つかの問題点、懸念点があります。

 まず、中小企業にかかわる問題です。

 昨年の九月に労働政策審議会で法案要綱を諮問、答申した後に、時間外労働の上限について、中小企業における法施行日が当初の予定より一年延期とされてしまいました。施行期日を先延ばしすることは大変残念です。働く企業の規模がどうであろうと、働く者の命を守る最低基準は同じであるべきです。

 ただでさえ、中小企業で働く労働者は、月間の時間外労働が六十時間を超えた場合の割増し賃金率について例外扱いとされ、大企業の労働者との間で二五%もの差をつけられるという不公平きわまりない状況が約八年も継続しているのであります。今回の法改正でこの点は解消されるはずですが、このような状態が続く限り、中小企業のあすを支える若手人材を確保することはますます困難なものとなると言わざるを得ません。

 大企業と同様の働き方改革がなかなか進まないのであれば、その根本の原因にこそメスを入れるべきであります。下請いじめの撲滅などの取引慣行の是正や、理不尽な買いたたきを拒み値段を上げることによって真の生産性を向上させることや、雇用確保を大前提とするもとでの再編を含めた強化策等、本質的な問題に本気で取り組むという明確な意思につなげていくためにも、今こそ、労働基準に差があって当たり前というような、あしき常識を断ち切ることを強く求めたいと思います。

 次に、運輸、交通の業界等における自動車運転業務にかかわる問題であります。

 時間外労働の上限規制の適用猶予業務であります自動車の運転業務については、これまでの例外扱いをなくす一方で、改正法の施行期日の五年後においてもなお年間九百六十時間以内という、極めて長時間の水準の規制が適用されることとなっています。

 今回の法案の提案理由の説明には、過労死を二度と繰り返さないため、長時間労働の是正が急務とあります。本当にそう考えるのであれば、過労死の最も多い自動車運転の業務こそ、長時間労働の是正に向けて真っ先に取り組まなければならないのではないでしょうか。五年の適用猶予後には、上限規制の一般則を適用すべきだということを強く申し述べておきたいと思います。

 さらに、医師や教職員についても、過労死、過労自殺の問題を含めて、長時間労働の体質が明らかになっている職種であります。抜本的な是正策に向けて検討を進め、着実な進展が図られなくてはなりません。公務の現場の長時間労働是正も大きな課題です。その点も強調をしておきたいと思います。

 次に、高度プロフェッショナル制度の問題について申し述べたいと思います。

 今ほど申し述べましたように、私たちは、どのような仕事、どのような職種であっても、過重労働により心身の健康がむしばまれることがあってはならないと考えます。そして、いかに専門的業務であろうとも、いかに高年収であろうとも、もちろんそのことは同じであります。

 いや、むしろ夢中になって打ち込んで働くという日本人の労働風土を踏まえるならば、今回の高度プロフェッショナル制度の創設は、働き過ぎの助長につながってしまうのではないでしょうか。長時間労働是正とは方向の全く異なるこの内容が一くくりにされたという点を含めて、極めて遺憾であるということを申し述べておきたいと思います。

 本日、全国過労死を考える家族の会の寺西代表も参考人としてお見えになっておられます。家族の会の皆様は、高度プロフェッショナル制度が創設されてしまえば、労働時間の把握は困難になり、労災認定されなくなるのではないか、このような懸念を示されているとお聞きをしています。

 長時間労働を助長しかねない高度プロフェッショナル制度の創設は実施すべきではないとの考え方を改めて申し上げておきたいと思います。

 次に、法の実効性確保に関して申し述べたいと思います。

 法律ができても、それだけで職場が変わるわけではありません。私ども連合は、労働組合のない職場で働く人たちに向けて、本日配付をしております資料などを活用して、三六協定とはそもそも何かを知っていただく取組を行っています。ルールを知ること、権利を知ることが、職場環境を変えていくために不可欠であります。そのため、私たちは、学校教育段階や地域でのワークルール教育を求めてきております。

 厚生労働省の調査によれば、三六協定を締結していない事業所が約四五%もあります。また、別の調査では、約四割の企業において、選挙といった民主的手続によることなく、会社側から過半数代表者を指名するなど、不適切に過半数代表の選出がなされているということからも明らかなように、使用者の中にワークルールが行き届いていないというゆゆしき現実もあります。

 現在、超党派の議員で構成される、ワークルール教育推進法案、これが準備、検討をされていると伺っています。ワークルール教育を社会全体で広げていくための法整備を進めていただくことを強く要請をするところであります。

 最後に一言申し述べて、発言を終えたいと思います。

 今回の働き方改革に関しましては、立憲民主党と国民民主党から、それぞれ大変充実した法案が提出をされています。働く環境をよりよくしていきたいという理念に基づいた両法案には、具体的かつ有効な内容がちりばめられています。

 国会審議においてぜひ議論を深めていただき、これらの前向きな内容を具現化することで、働く者のための働き方改革を実現していただきたいと思います。

 以上であります。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、寺西参考人にお願いいたします。

寺西参考人 全国過労死を考える家族の会代表世話人をしています寺西笑子でございます。

 本日は、貴重な機会をいただき、まことにありがとうございます。

 全国家族の会は、一九九一年に結成以来、過労死の根絶を願って、遺族の救済と過労死防止活動に取り組んできました。

 本日は十五枚の配付資料を御用意させていただきました。これらの経験に基づいて意見を述べたいと思います。

 私たちは、愛する家族をある日突然に過労死で亡くしました。私ごとですが、二十二年前、四十九歳だった夫を過労自殺で亡くした遺族であります。

 随行席には、SEだった二十七歳の息子さんを過労死で亡くされた西垣さんがいらっしゃいます。報道記者だった三十一歳の娘さんを過労死で亡くされた佐戸さんもおられます。エンジニアだった御主人を過労死で亡くされ、幼い子をお二人抱えて大変御苦労された渡辺さんもいらっしゃいます。同じく、四十三歳だった御主人が過労死された小林さんも来ていただきました。そして、学校の教員だった御主人を過労死で亡くされた中野さん。以上できょう参加させていただいています。

 このように、仕事の内容が違っていても共通しているのは、真面目で責任感が強い人が長時間、過重労働の末に過労死に追い込まれ、とうとい命が奪われたことであります。私たちは、大切な家族を突然亡くしたことで地獄に突き落とされた衝撃を受け、なぜ死ななければならなかったのか、その温床になっている長時間労働はなぜ起こっているのか考え、せめて過労死したことを認めてもらいたいとの思いで労災認定を求めています。

 そのためには、遺族が労働時間と仕事の内容を証明しなくてはならないために、傷ついた心を抱えながら、血のにじむような苦労をして長年闘っていきます。

 たとえ労災が認められたとしても、死んだ人が生き返ってくるわけはありません。普通だった一家団らんはなくなり、いとしい家族との触れ合いも言葉を交わすこともできない。生涯、生きているときになぜ救えなかったか、自責の念を抱えながら、遺影をじっと見詰める生活が待っているのです。

 私たちは、このような悲劇を二度と繰り返さないために、職場改善を求め、過労死の教訓を過労死予防に生かし、心から過労死をなくしたいと強く考えて行動をしております。

 では、どうすれば過労死をなくせるのか。その一番の原因は、長時間労働をなくすこと、また、過労自死については、ハラスメントをなくすことであります。

 そこで、現在問題になっている政府の働き方改革関連法案についてですが、私たちは、これまでも、残業、時間外が過労死ラインの上限規制、裁量労働制の拡大、高度プロフェッショナル制度の創設、これらの問題点を指摘し、批判をしてきました。

 裁量労働制拡大についてはデータ問題で削除されましたが、私たちは、労働者の根幹を揺るがすスーパー裁量労働制と言われている高度プロフェッショナル制度も、働き方改革の関連法案から削除すべきと考えています。

 なぜなら、高度プロ制度は、御存じのように、労働時間規制をほぼ全面的になくすもので、長時間労働に陥り、過労死の発生を促進する危険性が非常に高いと考えているからです。今は年収要件や職種を限定していますが、一旦通ってしまえば、アリの一穴でも堤が崩れることが目に見えています。

 つまり、これまで違法と言われるような定額働かせ放題で長時間労働を完全に合法化し、そのあげくに、過労死をしても自己責任にされる仕組みになっているからです。過労死なのに自己責任とされ、労災認定さえされなくなり、過労死を出した会社は、勝手に働いて勝手に死んだ、会社は責任ないというひどいことがまかり通る社会になっていくことが目に見えているのです。

 私たち家族の会は、毎月のように新しい会員、つまり遺族が入会されています。皆さん、過労死を証明するために大変苦しんでいます。現時点でも、労災認定や賠償の壁はとても高いものがあるのです。

 高度プロフェッショナル制度は、労働時間も使用者に把握義務がなくなるので、過労死しても、過労死の労災認定はほとんど無理になる、賠償も無理になります。そうすると、遺族は、過労死認定されず、労災も受けられず、泣き寝入りし、路頭に迷う遺族がふえることになります。

 このように、高プロ制度になれば、過労死が必ずふえるのに、過労死しても過労死と認められなくなるので、遺族にとっては大変地獄のような生活になります。こんな恐ろしい高プロ、残業代ゼロ制度は絶対に削除してほしいと考えます。

 実際に過労死はふえても、労災申請も認定もされないことで泣き寝入りする人がふえ、数字の上では過労死は減ったという最悪の現象になりかねません。私たちは、過労死の被害者として、命にかかわる危険な働き方の創設を認めることはできません。

 配付資料の三ページを示します。

 そもそも、働き方改革の関連法案は、安倍総理大臣が委員長になり、政府主導で推し進めてきたものです。採決する前に、ぜひ私たち遺族の声を聞いていただきたく思い、このたび、安倍総理大臣へ面談依頼をしました。本日御返答の期日ですが、いまだ安倍総理との面談の返答はいただいていません。

 報道では、強行採決という暴挙も伺っています。先進国日本と言われているその政府の先頭に立っている方が、まさか命にかかわる法案を、丁寧な審議をせず、過労死遺族の声を聞かず、教訓を学ぼうとしない、世論の大半が反対している法案を強行採決するという暴挙はやめてください。

 私は、四年前の五月、この衆議院厚生労働委員会で意見陳述し、過労死防止法を通過させていただきました。六月に、安倍総理も賛成され、一人の反対もなく、全会一致で過労死防止法は成立しました。

 成立に御尽力いただいた超党派の議員さんたちとともにうれし涙を流した感動的なことは今も忘れません。これで過労死はなくしていけると思った瞬間を味わいました。

 まさか、四年後に、国民の命を奪ってしまうような、過労死を促進する法案について参考人意見陳述するとは夢にも想像しませんでした。

 安倍総理には、法案を採決する前に、ぜひ遺族たちの声を聞いていただきたいです。採決する前に会っていただきたいです。国民の命を奪うような高プロ法案は削除してください。

 そして、過労死防止法に逆行する働き方改革関連法案の強行採決は絶対にやめてください。衆議院厚生労働委員会の議員の皆様へ切にお願いを申しまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 御清聴ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、輪島参考人にお願いいたします。

輪島参考人 ただいま御紹介をいただきました、経団連の輪島でございます。

 本日は、このような機会を頂戴をいたしまして、感謝をしたいというふうに思っております。

 また、お手元には、私どもが毎年発行しております経営労働政策特別委員会報告をお配りをさせていただいております。この中には、働き方改革に関係します記述がたくさん盛り込んでおりますので、御参照いただければ大変ありがたいというふうに思っているところでございます。

 それでは、私からは、働き方改革関連法案に賛成する立場から意見を述べたいというふうに考えております。

 今、AIやビッグデータなどICTを活用した新たなビジネスの展開や業務プロセスの変革が急速に進み、企業や業界の垣根を越え、大きな変化が起きております。こうした中、今後、働き手の働きがいと企業の競争力の向上をさせていく大変重要な鍵は創造性の発揮にあるというふうに考えているところでございます。

 テクノロジーを活用して従来の働き方を大胆に見直し、高い創造性と専門性を発揮しながら、イノベーションを追求していく働き方へとシフトしていかなければならないというふうに考えています。こうした働き方は、必ずしも時間に応じて成果が得られるものではなく、生み出した成果に応じて評価、処遇することで、働き手の満足度を一層高めることができるというふうに考えております。

 また、時間外労働の上限規制の創設でございますけれども、労使が三六協定を結びさえすればこれまでは青天井に時間外労働が可能であるという現状を見直して、罰則つきで時間外労働を規制する大改正というふうに考えております。中小企業の実態も勘案しながら、労使の合意のもと、まとめた経緯というのがございます。過労死は絶対にあってはならない。過労死を防止し、労働者の命を守るために重要な見直しだというふうに考えているところでございます。

 今回の働き方改革関連法案には、多様な働き手への対応、長時間労働の是正、働く人の能力の発揮に向けた環境整備など、さまざまなものが盛り込まれており、時代に即した改正であるというふうに認識をしております。働き方改革の実現は社会の要請であり、働く人にとってもプラスになるものというふうに考えているところでございます。

 以下では、各法案の内容について具体的に述べてまいりたいと思います。

 まず、雇用対策法の見直しでございます。これにつきましては、国全体として働き方改革を総合的かつ継続的に推進していくという方針が明らかにされているという点において大変重要な改正だというふうに考えているところでございます。

 二番目に、労働基準法の改正でございます。二〇一七年三月十三日、本日お越しの連合の神津会長と経団連の榊原会長の両者で、時間外労働の上限規制等に関する労使合意というのが結ばれております。この労働基準法の改正案につきましては、この労使合意の内容に沿った形であるということで、上限規制を設けた点というのが大変重要だというふうに考えているところでございます。

 具体的には、原則的な上限規制を月四十五時間、年三百六十時間に設定し、企業として原則的に上限におさまるように努力をすること、特別の事情がある場合であっても、休日労働を含め単月百時間未満、二カ月から六カ月の平均八十時間以内、年間七百二十時間以内、月四十五時間を超える月は年六回までという四つの上限規制を罰則つきで設けている。これは労働基準法施行七十年以来の大改正でございまして、効果の高い過重労働防止対策というふうに考えているところでございます。

 また、年五日の年休の時季指定の事業主への義務化、月六十時間を超える法定労働時間外に係る五割以上の割増し賃金率の中小事業主への猶予措置の廃止、これにつきましても盛り込まれておりまして、いずれも、働く人の長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する改正というふうに考えております。

 あわせて、業務の性質上、従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くない高度の専門職に対して、職務を限定し、本人同意をとった上、通常の労働時間規制ではなく、労使同数の委員で構成する委員会で決めた独自の健康確保措置を適用する高度プロフェッショナル労働制の創設につきましては、創造性を十分発揮できる柔軟な働き方の選択肢をふやすものというふうに考えておりまして、時代の変化に対応した改正というふうに考えております。

 三番目に、労働時間等設定改善法についてでございますが、勤務間インターバル制度の努力義務を創設するということで、政府の各支援と相まって、まずは導入企業がふえるということを目指す、そういうことが期待されるというふうに考えているところでございます。

 安全衛生法とじん肺法の改正でございますけれども、産業医、産業保健機能の強化が盛り込まれております。加えて、医師の面接指導の徹底を図るために、こちらは、管理監督者も含めて、全ての労働者に対して健康確保のための労働時間の把握義務が明記されるということは非常に大きいことだというふうに考えております。

 上限規制の導入に伴いまして、医師の面接指導の対象となり得る時間が省令において百時間から八十時間に引き下げられるということも予定をされておりまして、いずれも働く方の健康確保にプラスになる改正だというふうに考えているところでございます。

 最後に、労働契約法、パートタイム労働法、労働者派遣法の改正についてでございます。

 同一労働同一賃金の目的は、いわゆる非正規の待遇を改善して働き方の選択肢を広げ、誰もが活躍できる社会をつくることにあります。労働力人口が減少する中、企業としても、若年者や女性、高齢者など多様な人材の活躍を促すために、雇用形態の違いによらない均等・均衡待遇を確保していく上で有効というふうに考えているところでございます。

 我が国企業においては、一時点の仕事の内容だけでなく、職務内容、配置変更の範囲などさまざまな要素を総合的に勘案して賃金を決定しております。加えて、我が国の基本給が、職能給、年齢給など複数の賃金項目で構成されている企業も少なくないという現状がございます。ゆえに、正規と非正規との間の待遇差が不合理かどうか判断しにくいという課題がございました。

 今回、不合理性の判断基準を明確にしたこと、また、法律に基づくガイドラインを策定することは、個別企業労使が不合理かどうかの判断をしやすくするものでありまして、均衡規定の実効性が高まるものというふうに評価ができるというふうに考えております。

 あわせて、通常の労働者との間の待遇の相違の内容や理由などを説明するということで、事業主の説明義務が強化をされております。事業主しか持っていない情報のために、労働者が訴えを起こすことができないというようなことを避ける、そういうことを解消することにつながるというふうに期待をされるほか、会社側が説明できない、あるいは説明しにくいということであれば、むしろ社員に納得してもらいやすい賃金制度へ見直しをしていく、そういうきっかけになるのではないかというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、正規、非正規間の不合理な待遇差を解消する上で大変重要な改正であり、働く方のプラスになる改正だというふうに考えております。

 最後に、先生方におかれましては、現在企業が大きな変革のときを迎えているということを改めて御理解をいただきまして、今国会におきまして、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、高度プロフェッショナル労働制を盛り込んだ働き方改革関連法案の成立をお願いをしたいというふうに考えているところでございます。

 私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、岩橋参考人にお願いいたします。

岩橋参考人 全国労働組合総連合、全労連の副議長で、働くもののいのちと健康を守る全国センターの事務局長をさせていただいております、岩橋です。

 委員の皆さんに、本日私が意見陳述する意見陳述書を配らせていただいております。それを読み上げて、意見陳述を申し上げたいと思います。

 まず、雇用対策法の改正案についてであります。

 雇用対策法は、言うまでもなく、日本国憲法第二十七条一項の国民の勤労権に基づく、その実効性を確保する法律であり、職業安定法とともに日本の雇用関係法令の基本となる法律であります。今回、法律名を変更して、働き方改革を推進していく基本法と位置づけるというふうにされています。

 まず、目的条文である第一条において、「雇用に関し」を「労働に関し」に変更し、労働生産性の向上等を促進してを挿入しておられます。雇用、雇われるから、労働、働くへの変更は、明らかに、いわゆる雇用されない働き方の普及を意識してのことだと思われます。労働基準法などの労働者保護法や労働保険、社会保険も適用されないフリーランスと呼ばれている個人事業主や請負、委託で働く労働者扱いされない労働者をふやそうという意図が感じられ、労働者の雇用安定を図ることとは相入れないというふうに思います。

 労働生産性の向上については、労働生産性は、労働強化をすれば向上するものであります。労働生産性の向上を促進することが労働施策の基本に置かれたら、労働者の労働や生活よりも企業のもうけを優先することにつながってしまうのではないでしょうか。雇用対策法が、労働者の安定した雇用を確保することが目的の法律から、経済政策、企業のもうけを優先し推進する法律に変質してしまうのではないかと危惧しているところであります。

 また、国の施策に「多様な就業形態の普及」を追加されておりますが、労働者は、パート、アルバイト、派遣などの不安定な雇用や多様な就業形態を求めてはおりません。多様な就業形態という名で使用者にとって思うとおりの働き方にしたいと考えているのは使用者の方だと思います。労働者は安定した働きがいのある人間らしい雇用を求めています。雇用対策法でうたわれている「完全雇用の達成」を一層重視していただきたいと思います。

 全体として、雇用対策法を改正することによって、日本の労働法全体を、国民の勤労の権利を保障する法律から、企業のための労働施策を総合的に推進する法律に変え、社会施策としての労働政策から経済政策としての労働政策に大転換しているように思われてなりません。

 次に、今回提案されているいわゆる高度プロフェッショナル制度は、現行労働基準法が定める労働時間規制を年次有給規定を除き全面適用とする制度であります。これまでの変形労働時間制、みなし裁量制、適用除外とは全く異質の制度であります。

 裁量労働制は業務の遂行を労働者の裁量に任せなければならない、管理監督者は経営者と一体的な立場で労働時間法制による保護が基本的に必要とされない者という限定があるのに対し、高度プロフェッショナル制度にはそうした限定が全くありません。今回提案されている健康確保措置、一年間を通じて百四日かつ四週間を通じて四日以上の休日と五日の年休付与、健康診断の実施などをとれば、年三百六十五日の残り二百五十六日、使用者の指揮命令による無限定の長時間が可能となる制度であります。

 私たち労働者は、私たちの生きている資本主義社会においては、使用者に時間決めで労働力を売り、その対価として賃金を得て生活をしているわけですが、この時間決めということがなくなれば、奴隷労働と全く変わりがなくなってしまいます。今回提案されている高度プロフェッショナル制度は、その名称と大きく違い、現代の奴隷制度と言わざるを得ない制度であります。

 加藤厚生労働大臣は、無制限の長時間労働が可能となる指摘に対し、そのような働き方は想定をしていないと答弁をされています。

 しかし、日本の労働者の働き方の現実はどうでしょうか。ブラック企業、ブラックバイト、過労死、過労自死、長時間過密労働の蔓延、メンタルヘルス不全や、パワハラ、セクハラなどハラスメントが頻発をする大変深刻なひどい状況にあります。こうした状況のもとで高度プロフェッショナル制度が創設をされたら、一層ひどい事態になることは想像にかたくありません。

 労働時間法制は、労働者にとっては働き方の問題でありますが、使用者にとっては使用する労働者の働かせ方の問題であります。どこまで労働者を働かせることが法的に可能なのかという問題であります。

 事実、坑内労働は一日につき二時間を超えてはならないと定められていますが、トンネル採掘の現場では、一日十時間まで労働者を働かせてもいいんだと解釈され、運用されているところであります。

 高度プロフェッショナル制度が創設をされたら、対象労働者を年百九日休ませれば、あとは自由に働かせることができるということになると思われます。高度専門業務として業務が限定され、平均年間給与が三倍以上と、比較的高い所得保障があっても、そうした労働者が過労死、過労自死してもよいということには絶対になりません。

 派遣労働をめぐるこの間の推移を見れば、年収要件は必ず引き下げられ、対象業務は拡大されていくと思わざるを得ません。過労死、過労自死の頻発が予想される現代の奴隷制度とも言える高度プロフェッショナル制度の創設は、絶対にやめていただくことを強く要望するものであります。

 時間外労働の上限規制についてであります。

 安倍首相は、今回の働き方改革に当たって、長時間労働を是正すると強調され、電通で過労自死をされた高橋まつりさんのお母さんにお会いされ、二度と悲劇は繰り返さない、過労死、過労自死を一掃すると約束をされました。問題は、今回提案されている時間外労働の上限規制案でそのことが実現するかどうかであります。

 皆さんも御存じのとおり、厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定における労働時間数の業務起因性の判断基準を明示しています。つまり、過労死につながる脳・心臓疾患は、残業時間が月四十五時間を超えると発生する危険が生じ、それを超えれば超えるほどその危険性が強まるということであります。そうであるならば、月四十五時間を超える時間外労働は禁止すべきではないでしょうか。

 ところが、今回の案では、労使が合意をすれば、月百時間未満、二カ月から六カ月で八十時間以内の時間外労働が年六回まで認められています。これで過労死、過労自死を一掃することはできません。長時間過密労働はなくならず、悲劇が繰り返されることになってしまいます。

 月百時間、二カ月から六カ月で八十時間という上限は、過労死を始めとする脳・心臓疾患の労災認定基準そのものであり、そうした、人が死ぬかもしれない、殺されるかもしれないという基準を法制化をすることが、近代法治国家、民主主義国家で果たして許されるのでしょうか。私は、絶対に許されないと考えているところであります。

 月百時間未満、二カ月から六カ月で八十時間以内まで労働者を働かせることができるとすることは、立法その他国政の上で最大の尊重を必要とされている生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を著しく侵害し、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができなくなるということであり、私は、日本国憲法に違反する違憲立法でないかと思うところであります。

 私は、働くもののいのちと健康を守る全国センターの事務局長をさせていただいていますので、時間外労働の労働者の命と健康に与える影響について付言させていただきます。

 まず、労働者の命と健康の捉え方について、やはり、労働は労働力の消費であり、生活は労働力の再生産であります。労働者の命と健康は、労働と生活の両面で全面的に捉えることが必要です。

 研究によれば、労働に関する時間が十・五時間以下なら、つまり通勤時間と残業時間が一・五時間、労働時間が八時間以内なら、帰宅後の食事や入浴、睡眠に影響を与えないが、これを超えると、まず趣味や娯楽の時間が削られ、次に新聞、読書や勉強の時間が、そして食事や入浴、最後に睡眠時間が削られるとなっています。だんだん、労働時間が長くなるほど非文化的な生活になるわけであります。

 時間外労働四十五時間、八十時間、百時間の持つ意味については、見ていただきたいと思いますが、月四十五時間で、八時に出勤して八時に帰る、生活時間と労働時間が一緒だということになります。月八十時間では、八時に出勤して十時帰宅、睡眠時間が六時間しかとれない。月百時間では、十一時帰宅で睡眠時間が五時間で、一カ月で脳・心臓疾患を起こすという基準であります。

 時間も来ているようですから、もう一つだけ申し上げたいと思います。

 安倍首相の、二度と悲劇は繰り返さない、過労死、過労自死を一掃するという言明を実現するためにも、時間外労働の上限は月四十五時間、年三百六十時間とし、特例や適用除外は一切設けないよう、心からお願いをします。

 大阪・泉南アスベスト訴訟において、最高裁は、厚生労働省がアスベストの規制を怠ったことに対して、国は、労働者の生命、健康被害を防止するために、できる限り速やかに、技術の進歩や最新の医学的知見に適合したものに改正すべく、適時かつ適切に規制権限を行使しなければならないと判じました。この判旨は、引き続く建設アスベスト訴訟にも基本的には引き継がれています。

 私は、この見地は、アスベストの規制だけではなく、過労死や過労自死をなくすための労働時間の上限規制に当たっても当然貫かれるべきだと考えています。すなわち、過労死、過労自死につながる脳・心臓疾患を生じさせる危険がある月四十五時間以上の時間外労働を規制しない現状は、国の労働者の生命、健康被害を防止するための規制権限の不行使に当たり、違法状態ではないかと考えているところであります。

 あとのところは読んでいただいて、以上で意見陳述を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 次に、小黒参考人にお願いいたします。

小黒参考人 法政大学で教授をしています小黒と申します。

 本日は、貴重な意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 労働市場は非常に複雑で、各個人個人の要望、それから企業側が用意するオプション、こういった多様性が重要であるということに変わりはないところでございます。基本的には、労使間の交渉に委ねるべきであると思いますけれども、時には市場の失敗がございますので、そこについて是正していくということも重要ではないかと思います。

 その観点で、過重労働について、先ほども幾つかお話がございましたけれども、その観点だけではなく、特に生産性の観点からも労働時間のあり方が重要であることを少しお話しさせていただきたいと思います。

 お手元の方に資料をお配りさせていただきますので、そちらの方を見ていただければと思います。

 まず、少し学術的な話になりますけれども、今、日本を含む先進国では、一九九〇年代以降、ICTの技術革新やグローバル化、こういったものが進んでおります。先ほど山田先生からも知識集約型の経済に移行していると。そういった中で、高スキルを要する高賃金の職種とか、あるいは労働集約型の低スキルで低賃金の職種が増加するというような現象が起こっております。その一方で、中間の職種が減少するという傾向も長期的に進んでおります。雇用の二極化や賃金の二極化、いわゆる労働市場の二極化が進行しているという指摘もございます。

 当初、この二極化につきましては、まず初めにグローバル化仮説、いわゆるグローバル化で貿易の自由化が進み、未熟練の労働需要が減少するという中で賃金の二極化が起こっているというような話もございますが、第二に、スキル偏向型技術進歩仮説というのもございます。これは、ありていに言えば、高いスキルを持った方々に需要が集中するという中で賃金の格差が発生するというものです。それから、低学歴層がふえているんじゃないかとか、あるいは労働組合の組織率が低下しているんじゃないか、あるいは最低賃金が下落しているんじゃないかというような仮説がございます。

 ですけれども、いろいろ学術的な、日米、欧米も含めて先行研究を見ていますと、一番目のグローバル化仮説とスキル偏向型技術進歩仮説が有力であって、特にスキル偏向型技術進歩仮説が最近の主流になっているということでございます。

 資料をおめくりいただきまして、他方、一九九〇年代以降、先進諸国の年間労働時間は低下傾向にございます。OECDデータによりますと、二〇一五年における日本の労働時間は年間大体一千七百時間を超えております。他方で、スウェーデンは一千六百十二時間、フランスは一千四百八十二時間、ドイツは一千三百七十一時間ということで、日本は突出しているという状況でございます。

 それにもかかわらず、労働時間一時間当たりのGDP、これは二〇一〇年基準でございますけれども、二〇一四年において、スウェーデンが五十四・四ドル、フランスが六十ドル、ドイツが五十八ドルという中で、日本は三十九ドルしかないという状況です。この原因は一体何かということを我々は少し考えてみる必要があるのではないかというふうに思います。先進国の多くでは、労働時間が少ないほど単位時間当たりの生産性を高めることができているということです。

 実際、現在起こっている経済の状況としましては、ICTの技術革新などに伴いまして、アップルやアマゾン、それからグーグルといった革新的な企業が生まれている。それらは基本的には労働集約的というよりは知識集約的な産業です。柔軟な発想で大きく企業のかじをとって戦略を打っていく。そして、アイフォンのような製品を生み出していくというようなことで、柔軟な発想や革新的なアイデアが求められるような状況になっております。そのような発想やアイデアを生み出すためには、非常に時間的なゆとりも重要になってくる。特に、今政府が進めております、人工知能やビッグデータそれからIoT、こういった第四次産業革命が進展していけば、その傾向はますます強くなっていくということであろうと思います。

 次に、資料をおめくりいただきますと、今申し上げたエビデンスとして、横軸に年間平均の労働時間、縦軸に生産性として一人当たりGDPを労働時間で割ったものをプロットしております。これは時間的な中で生産性が当然上がっていく部分があるんですけれども、そうしますと見せかけの相関になりますので、各年度ごとにアメリカ、日本、ドイツといろいろな国々の平均をとりまして、一人当たりGDPの労働時間でランキングしたものを縦軸にしているという状況です。これを見ていただきますと、労働時間が低い方が生産性が高くなっているということです。

 こういう見方をしますと、一見、労働時間を下げていけば経済のGDPは下がっていくように思いますけれども、これに労働時間を掛けたものが一人当たりGDPになります。それが次の資料になります。

 見ていただければわかりますように、山形になっておりまして、これを見ますと、大体、ドイツと同じような時間、一千三百六十時間ぐらいが一人当たりGDPが最も高くなるような状況になってございます。日本の労働時間は一千七百時間でありますから、これは年間で三百四十時間の減少に相当します。一日の労働時間が八時間の場合、三百四十時間というのは四十二日ぐらいの労働に相当し、週休三日制が実現できるような労働時間になります。

 したがいまして、政府が今進めております労働時間のいろいろな規制、こういったものが進んでいけば、子育てや介護などを含む仕事の両立の調和、すなわちワーク・ライフ・バランスの実現も容易になっていくというふうに考えてございます。

 最後に、法案全体の中身について、私の賛否の立場を明らかにさせていただきたいと思います。基本的には、まだ改革すべきところはたくさんあるところでございますけれども、内容についてはおおむね賛成でございます。

 ただ、幾つか今後重要になってくるものとしましては、やはり労働者のパワーを強めるということが必要になってくると思います。他方で、やはりオプションも重要で、今回の法案には盛り込まれませんでしたけれども、裁量労働制、そういったものも入れていくということも重要であろうと思います。特に、その中で、今、高度プロフェッショナルの問題についていろいろ問題になっているところでございますが、これが適用されるのは数%であり、全体の労働者のごく一部にすぎないということであろうと思います。

 先ほどの申し上げましたオプションという意味では、昨今の与党と維新との修正合意に基づきまして、個人の申請で対象外になるというような状況になっているということでございますので、そういう意味では、オプションの提示ということ、それから労働者のパワーを強めるということでは十分な対応ができているんじゃないかというふうに考えてございます。

 最後に、労働市場改革というのは、日本経済が直面している課題の一つでございますが、やはり一番重要なのは、今日本は低価格高品質を競う経済になってございますけれども、高付加価値で利益率が高い、そういったものを競うような経済に転換していくということが重要であろうと思います。

 そういう意味では、ビッグデータとか人工知能とかIoT、こういった第四次産業革命について今政府が取り組んでいるということは承知してございますが、ぜひ成長戦略の方についても力を入れていただければと思います。

 短い時間で恐縮でございましたけれども、御清聴ありがとうございました。(拍手)

高鳥委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

高鳥委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山田美樹君。

山田(美)委員 自由民主党の山田美樹でございます。

 参考人の方々におかれましては、御多忙の中、国会にお越しくださり、貴重な御意見を賜りましたこと、心から御礼を申し上げます。

 私からは、最初に、今回の法改正について山田久参考人から御評価を伺った上で、企業における取組について輪島忍参考人に御質問を申し上げます。

 私は、議員になる前、伝統的な日本の大組織とアメリカの経営コンサルティング会社、フランスの事業会社の日本支社、三つの職場で、それぞれ、年功序列型賃金で残業手当が支払われる働き方と、今回の高度プロフェッショナル制度に近い働き方、そして、管理職として労働時間規制が適用されない管理監督者の立場を経験しました。

 今回の法案審議の中で、高プロないし裁量労働制は、長時間労働がふえて過労死につながるという議論がありますが、私自身の実体験からしますと、高プロみたいな職場も残業手当が支払われる職場も、どちらもやはり長時間、仕事はきつかったというのが実感です。残業手当の職場でも、極限まで働いて体を壊してしまう方はいらっしゃいました。残業手当が満額ついていたわけではないという話もよく耳にします。

 日本人の残業体質は、世界的に見ても異常だと言われます。日本のサラリーマンの多くが、残業するのは当たり前、先輩より先には帰れないという経験をお持ちだと思います。個々人のモラルにもよりますが、残業手当で稼ぐという人も全くいないとは言えません。そうした意味でも、今回の法改正で厳しい残業規制を設ける意義は非常に大きいと思います。

 他方、高プロに該当するような専門性の高い職業は、仕事の性質上、たとえ長時間働こうが、成果が出なければクライアントから評価されない、次の仕事をもらえない厳しい世界です。コンサルティング会社では、日中は騒がしいから朝の六時に出勤して、夜はなるべく自宅で働くスタイルの人も多かったです。時間で管理されて、定時出社、定時退社、つき合い残業を求められたら逆にしんどい、自分のペースで仕事に集中させてほしいと考えるのはプロフェッショナルにとっては合理的な発想です。

 今回の法改正は、こうした高プロの本来の趣旨、目的をきちんと実現できるような内容となっているでしょうか。制度の悪用を防ぐための十分な対応策は盛り込まれているでしょうか、山田参考人にお伺いします。

山田参考人 ありがとうございます。

 まず、今回の働き方改革の大きな意義というのは、もう既に御説明させていただきましたように、働く人たちが多様になるということ、それと、産業構造が大きく変わる、かつ、山田先生の御指摘にもありますように、日本のやはり長時間労働というのが当たり前になっているこの状況を変えていく。

 それには、法規制も極めて重要ですけれども、同時に、さまざまな形で、教育のあり方あるいはビジネスのあり方、そういうものを全体で変えていかないとだめだ。そういう意味では、繰り返しになりますけれども、今回が出発点であって、継続的にやっていくことが何よりも重要かと思います。

 その中で、御質問の高度プロフェッショナル制度が適正になっているかという御質問でございますけれども、今回のこの制度、先ほど山田先生の御説明にもあったように、実態的にこれに近いような働き方をしている人たちもいるということかと思います。そういう人たちの状況を、しっかりした制度の枠組みで担保していくということはこれは必要なのではないか。そのオプションをふやしていくということでは、私はこれは基本的には妥当なものだと考えております。

 ただ、問題はやはり、これを、まさに本来の意味で適用されるべき人だけにしっかり適用できるのかという問題、それと、もう一つは、健康管理措置というところが、やはり日本社会というのはどうしても長時間労働になりやすいというところがありますので、そういう意味では、やや、健康管理措置に関しましては、欧米に比しても劣らないような制度をつくるということが大事かと思います。

 その観点からいいますと、今回の制度を見ますと、年収がやはりかなり高い人に限定になっている。それから、限定列挙方式で、具体的に、例えばコンサルタントであったり金融ディーラーであったり、事実上、恐らく普通に考えれば、労働市場が一定程度あり、非常に労働時間と成果の関連が薄いものになっておりますので、そうしたら、これは一般論として妥当だと考えております。

 ただ、少し気になるのは、自主性といったときに、仕事の進め方というのは自主性が基本的にはあると思うんですけれども、仕事の量に関して、ケースによっては、少しそこが劣るというケースが入る可能性が私は否定できないんじゃないか。

 そういう意味では、そこに対してのやはりブレーキをかけておくという、そこの追加的な措置が必要ではないかなと思います。そもそも、健康管理措置というのは、本当に全て自由で労働者が選べるのであればほとんど最低限でいいわけですけれども、そこが少し劣るようになりますとそれなりのものが必要になってくる。

 原則論としては、やはりこれは、本来、そもそも限定的なものですので、これでいいと思うんですけれども、中にはそういうケースが出てくるという可能性を考えたときには、やはり、今回の制度にありますように、労使委員会がしっかりこれをチェックしていく。

 ただ、少し気になるのは、日本のこれまでにおいては、この労使委員会のようなものがこれまでつくられてきましても必ずしも十分に機能されていないという現実もありますので、そこは別に、これはマニュアルなのか、あるいはそれ以上のものかも含めてですけれども、何か自主性が本当にあるかというもののチェックリストのようなものを別のところでつくっていって、それが低いものであるというふうに判断されるのであれば、例えばインターバル規制のような、一定程度厳し目のものもそこにひもづけていくというふうな、一定のルールを行政のところで準備しておくということがやはり必要なのではないかなと。

 繰り返しますけれども、基本的には、大枠はこれが妥当だと思いますけれども、悪用というんですか、されないような形のしっかりした措置ということで、特に仕事量の自主性に対してのチェックしていくような仕組みを別途しっかり整備していくということが重要なんじゃないか、そういうふうに考えております。

山田(美)委員 具体的な対応策までお示しくださり、ありがとうございます。

 次に、経営者側の取組について輪島参考人にお伺いします。

 本法案では、さきに述べました高プロ以外にも、罰則つきの時間外労働の上限規制の導入、それから、同一労働同一賃金の実現といった内容が含まれていますが、おのおのの企業の現場で新制度を導入し正しく運用していくためには、社会保険労務士の方々による支援が不可欠だと考えています。

 社労士の方々は、社労士法第一条に、「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。」とありますとおり、中立公正な立場に立って経営者と労働者の双方を支援する労務管理の専門家であって、何よりも、現場に近く、一企業、一業界の枠を超えてさまざまな事例やノウハウを蓄積されているという強みがあります。学校教育においても、就職前の若い世代への社会保険や働くルールの研修に力を入れていただいています。

 輪島参考人にお伺いしますが、企業における労務管理や働き方改革支援において社労士の方々に御活躍いただいている先進的な取組があれば、ぜひ御紹介ください。また、今回の法改正を含め、労働環境の改革を進めていく上で社労士の方々に寄せる今後の活躍への期待をお話しいただけますでしょうか。

輪島参考人 御質問ありがとうございます。

 社会保険労務士、働き方改革について大変ノウハウを蓄積をされているというふうに考えておりまして、中小企業の実態に精通をされている面もございますので、地元に根差した活動ということに大変期待をしているというところでございます。

 幾つかお話を伺った経験談ということでございますけれども、実際のお話では、例えば建設業など長時間労働が問題となっている企業に対して現場の従業員が話し合う場を設けること、そういうことで課題とか原因を発見をして対策を講じていく、高い業務改善が実施されるように働きかけていただいている。

 中小企業では、長時間労働になる原因として、やはり人手不足ということが大変大きいわけでございまして、企業にとって必要な人材の絞り込みそれから採用の仕方、そういうアドバイスをいただいているというふうに考えております。企業のイメージの向上のためにたくさんサポートいただいているというふうに思っております。

 それから、三六協定の問題がございまして、三六協定自体を知らないというような企業も実際には多いというふうに聞いております。経営者、担当者レベルに労働法の基本的な考え方、理念について御指導いただく。

 それから、最近は勤務間インターバル制度についての助成金が出ておりまして、そういうようなことを活用するというようなことも経営者に啓発をしていただいて、申請の手続それから指導助言などをいただいているというふうに聞いております。各企業の一つ一つの課題に対して細やかな対応をしていただいているというふうに聞いているところでございます。

 また、経団連には各都道府県ごとに地方別経営者団体というのがございますけれども、この経営者協会は、独自のセミナーといいますか、そういうようなところを開催をしておりますけれども、社会保険労務士の先生をお招きをいたしまして、例えば働き方改革セミナーであるとか、そういうようなことで銘打って、単に法律の改正の内容を紹介することではなく、実際にどういうふうにして実務の対応をしていくのかというようなことを御解説をいただいて、好評を得ているというふうに聞いているところでございます。

 地元に根差して業務の改善をサポートしていただくというようなことで、社会保険労務士の皆様には今後もますます大きな期待をしているというところでございます。

 私からは以上でございます。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、今後ますます社労士の方々がいろいろな場面で活躍していただければと願っております。

 続いて、働き方改革と人事給与システムとの関係について輪島参考人にお伺いします。

 時間で管理されない柔軟な働き方を進めていくためには、これまでの年功序列型の人事給与システムを改め、能力や成果に応じた人事給与制度へと変えていくことが不可欠です。

 裁量労働制や高度プロフェッショナル制度では、頑張ってもお給料がふえないのではないか、基本給で頭打ちなのではないかと懸念を持たれる方も多いのではないかと思います。

 頑張ったかどうかは時間ではなく成果で判断され、頑張った分のプラスの報酬は残業手当ではなく賞与、ボーナス等で支給される仕組みをつくらなければ、結局は、企業が支払う給与総額が減って、働く側は損をするだけです。頑張った人が報われる制度でなければ生産性向上にはつながりません。

 いわゆる賞与、ボーナスは、多くの企業で月給の何カ月分というふうに相場が決まっておりますけれども、社員個々人の努力や成果に応じて大胆にめり張りをつけていくことも必要です。そのためには、職場における業績評価が中立公平に、客観的に行われることが大前提です。

 現実の職場ではなかなか難しい取組ですが、働き方の多様化に見合った人事給与制度の導入に成功している企業はありますでしょうか。また、産業界全体として、将来、どのような人事給与制度が理想だと考えているか、輪島参考人にお伺いします。

輪島参考人 ありがとうございます。

 処遇制度の納得性を高めるということで、先生の御指摘、大変重要だというふうに思っております。年功序列型の人事給与制度をそういうことで改めていくというようなことがポイントではないかなというふうに思っております。

 賞与の関係でございますけれども、ある電機メーカーでは、各部門のトップの判断で、部門の業績と個人の業績を、目標度に応じて一円単位で支給額を決めるというような取組をしているというような事例も伺っているところでございます。

 また、初任給では、学歴別に一応同額にするというようなことが一般的ではありますけれども、ある情報セキュリティー会社では、学歴初任給を廃止をして、例えば、IT競技会で成績が優秀であった人だとか、グローバルでの活躍が期待できる人というような方には、能力や専門性に応じて初任給を増額をしているというような事例も聞いております。

 また、アパレル業界では、年齢にかかわらず売上げの一〇%を年収とするというような仕組みを取り入れてインセンティブを与えているというようなことを、個別の企業では事例として伺っているというところでございます。

 また、本日お配りをしております経労委報告でございますけれども、こちらの六十一ページをごらんをいただければと思います。

 右側の(二)柔軟な働き方の実現ということで、企業では、サービス経済化やICTの進展等による業務の複雑化、高度化により、高い専門性と創造性が求められる業務がふえている、こうした業務に従事する労働者の働き方は、必ずしも時間に比例して成果が得られるものではなく、生み出した成果に基づき公正に評価、処遇することが労働者の満足度を一層高めることというふうに記述をしております。

 また、六十三ページの右側の一番上の段落でございますが、企業は、働き方改革を長時間労働の是正だけで終わらせてはならない、社員の働きがいや能力を最大限に高める働き方改革と、自社の競争力を高める生産性の向上、その成果を反映する処遇改善を三位一体のものとして、企業労使が知恵を出し合い、緩むことなく取り組んでいかなければならないというふうにしているところでございます。

 また、育児や介護でございますけれども、そういった事情を抱えた専門職などに対して、時間の長さではなくて仕事の成果で評価する視点というのもこれからますます重要なのではないかというふうに思っておりまして、全ての社員が活躍できる環境をつくっていくという意味で、処遇制度、人事給与制度の見直しというのは必要ではないかなというふうに思っております。

 今後、企業の取組において、自社に合った仕組みを労使で模索していくということが大切だというふうに考えているところでございます。

 私からは以上でございます。

山田(美)委員 ありがとうございます。

 時間が迫ってまいりましたが、最後に一つだけ、多様な働き方の将来像について、山田参考人と輪島参考人の御両人にお伺いしたいと思います。

 時間にとらわれない柔軟な働き方が可能になれば、例えば、会社に勤めるお母さんが、お子さんのお迎えの時間まであと一時間がどうしてもやりくりできない、頼める人がいない、そのために正社員を諦めざるを得ないといったことがなくなります。女性も男性も、高齢者も若者も、障害や難病のある方も、全ての方が活躍できる道が開かれます。

 一方で、日本社会がこれから迎える深刻な人手不足に対応するために、一人一人の能力をフル活用するための方策として、テレワークのさらなる推進ですとか、兼業、副業の可能性も議論になっていますが、個々人がそれぞれ自分に合ったスタイルで働くには、仕事を成果で評価するのはもちろん、職場の中で不公平感、不平等感が生じないように、自由と規律のバランスをどのように図っていくか、現場で積極的に試行錯誤を行って、経験を積み上げていく必要があるかと思います。

 多様な働き方の目指すべき姿について山田参考人にお伺いするとともに、産業界のこれからの取組について輪島参考人にお伺いします。

山田参考人 雇用社会の将来のあり方ということでいきますと、やはり日本の場合はこれまで、就社型というんですかね、一企業の中で基本的にやっていく、こういう働き方が基本でありました。

 これ自身は、私、特に若いときにおいては極めて重要な働き方ではありますけれども、それに比べて、プロフェッショナル型の、どちらかというと欧米型の働き方も、そこと連続する形でうまい転換をしていく、そういう意味では、幾つかのやはり働き方が選択できるような、そういう状況をつくっていくということが極めて重要かと思います。

 そこでやはり大事になってくるのは、今回の働き方改革で二つの大きな両輪になっております、労働時間を基本的には短くしていってめり張りをつけて働くということ。それから、異なる働き方、異なる属性の間で公平に処遇していくという、ここの大原則。

 それプラス、やはり重要なのは、教育のインフラですね。ここの部分が、企業内はとても大事なんですけれども、同時に、教育界、あるいは欧米のように組合であったり、あるいは産業界が協力しながら、実務的な能力を企業を外れても育成できるような、そういうふうなやはりインフラをしっかり整備していくことが大事になってくる。

 もう一つ申し上げたいのは、やはり、労使の自主的な決定ということを、しっかりそこを強化していく。

 もう繰り返しませんけれども、そのために幾つかの施策というのが大事なんですけれども、それによって、労使関係がいいからこそ生産性も上がりますし、いわばお互いに学ぶというふうなカルチャーが出てくるということで、そこの、緊張関係ながら、やはりお互いに切磋琢磨していく、そういう労使関係、いい労使関係を改めてつくり出していく、そこも極めて重要な論点じゃないかなと思います。

 ありがとうございます。

輪島参考人 ありがとうございます。

 事例ということで、また経労委報告で恐縮でございますけれども、五十二ページをごらんをいただければと思います。こちらにテレワークの御紹介をしております。四行目でありますけれども、「「テレワーク」は、多様な人材に対して時間や場所にとらわれない柔軟な働き方・環境を提供することで、その持てる能力の発揮やワーク・ライフ・バランスの推進に資するもの」というふうに御紹介をしております。

 また、五十ページ、ちょっと前に戻っていただきますと、図表の1―19というのがございます。「法定を上回る両立支援制度の整備状況」ということで、介護のさまざまな事情を抱える方に、短時間勤務やフレックスタイム制度というようなことを二つ以上導入をしている制度ということで御紹介をしている、選択的な措置としてこういうようなものを導入をしているということで、さまざまな企業の取組があるのではないかなというふうに考えております。

 私どもとしましては、テレワークやこういう制度を更に会員企業に周知をしていきたいというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

山田(美)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、長谷川嘉一君。

長谷川委員 それでは、二十分という限られた時間ではございますが、御質問をさせていただきます。

 最初に、六名の参考人の皆様方には、それぞれのお立場で先ほど貴重な御提言、御説明、また資料をいただきました。本当にありがとうございます。我々もこれからの活動に十分に生かしてまいりたいというふうに思っております。

 きょうは、時間的な制約もございますので、二名の参考人に絞らせていただいて御質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、神津参考人と家族の会代表世話人の寺西参考人にお願いを申し上げたいと思います。

 まず、高度プロフェッショナル制度について、先ほど比較的明確なお答えをいただきましたので、私も心強く感じた次第でございます。

 この問題については、この委員会で大変な議論を重ねてまいりました。重ねれば重ねるほど、この制度の問題点が浮き彫りになってきているということであります。

 そういった中では、まず、過労死がふえるおそれがある、また、休息や休日、深夜労働の割増し規定が除外されるだけではなく、長時間労働しても割増し賃金は、いわゆる残業代はゼロということでありまして、使用者が長時間労働を強いることが予測されるというのではないかというふうに思っております。

 また、現行の制度、プロフェッショナル制度を入れなくても、時間ではなく成果で評価される制度の導入は可能であるのではないかというふうに思っております。実際に多くの職場では既にこれが導入され、したがって、時間ではなく成果で評価される働き方の実現のために、労働時間の規制を外す必要は私はないと考えております。

 また、一旦制度が導入されれば、現在は数%の高額の報酬を得た方ではありますが、この対象労働者の年収要件が引き下げられる可能性は否定できません。そういった観点からも、この導入には極めて問題があるというふうに思っております。

 また、もう一点でありますが、労働者の同意が前提条件でありますけれども、七五%の労働者はいわゆる中小零細企業に勤めている、極めて個人的な関係も含めているわけでありますから、労使の力関係からして、この同意を拒否することは大変難しいという問題も御指摘をさせていただきたいと思います。

 この点について、それぞれのお立場で、神津参考人と寺西参考人の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

神津参考人 ありがとうございます。

 幾つか申し述べたいと思うんですが、高度プロフェッショナル制度、成果に重きを置いた制度のたてつけだというふうに伺うんですけれども、私は、労使関係がしっかりしているところにおいては、とっくのとうに、成果に重きを置いたそういった制度体系というものはかなりのところでつくってきていますので、そこに持ってきてこういう労働規制を全部取っ払うという法改正が必要とは思えません。

 一方で、さっき発言した中で申し上げましたけれども、世の中の八割以上が、集団的労使関係、労働組合という傘に守られていない人たちなわけです。そういった人たちに、これは労働組合があろうとなかろうと全てに適用されるという、これは国の法律でありますから、その人たちにおいて労働基準が取っ払われるということの危険性をどう考えるのか、やはりそのことを直視していただく必要があるというふうに思います。

 これも、先ほどの発言の中で申し述べましたけれども、いろいろな制度において、過半数代表をきちっと選びなさいということになっているんですけれども、調査をした中においてもおよそ四割の企業がその辺をいいかげんにやっているということでありますので、制度としてそこはそういう従業員の声を聞くんだということになっていても、やはり有名無実化してしまっているんじゃないのかということがあります。そのことを申し上げておきたいと思います。

 それから、年収要件、これが拡大してしまうんじゃないか、私どももその懸念は当然のことながら持ちます。これまでの労働保護、労働者保護のいろいろなルールにおいても、当初、まあこの程度だからというふうに入れられたものが実際には拡大されてしまったケースというのは多々ありますので、そこのところは非常に懸念を持ちます。

 これは、国会審議の中でどういった議論になっているのか、私も全てカバーできていませんので詳しくは承知しませんけれども、本当にいい制度であれば、拡大するということについて憂慮をするような意見、声もないんでしょうけれども、御承知のように、国民各層からとりわけこの内容について大変懸念がある、悪いイメージがあるんで、この国会での法案成立に対して非常に否定的な見方がふえてしまっているわけですよ。

 それはやはり、国民各層がこの高度プロフェッショナル制度において非常に危険性があるんじゃないかというふうに思っているから、したがって、その範囲が広がってしまうんじゃないのか、こういう懸念を抱いているからにほかならないと思います。

 これが本当にいい制度であれば、与党の皆さん方も堂々と、こういう形で順次拡大していくというのは、胸を張っておっしゃっていただければいいと思うんですけれども、なかなかそういうふうには見られていないのではないのかなというふうに率直に思うところであります。

 以上です。

寺西参考人 質問ありがとうございます。

 私の資料の十ページ、十一ページに、取材を受けまして、私たちの意向を伝えていただいているところでありますが、先ほども発言の中で触れさせていただきましたが、やはり、労働者と使用者の力関係というのは今歴然とあります。

 さらに、中小企業は九九%と言われています。大企業であっても、また日本を代表する、世界に進出している企業であっても、やはり労働基準法や現行法が守られていないというのが実情であります。

 過労死を発生するところは、そうした、本来、法律遵守をしなければならないことが全く守られていない職場で発生しているのが実情であります。そうした法律が、守らなくても大きな罰則にはならない、有罪になったとしても、まあ数十万の罰金やその程度で済んでしまう。

 そうしたところで、なかなか労働行政に職場の劣悪なことが伝わっていないということがあって、臨検監督やそうしたものも徹底されていないというのが、今の労働行政また働く社会の実情だと思っています。

 そういう中で、更に長時間労働を助長する制度を、法案として通ってしまえば、また更にそうした働く人にとっては不利なことが濫用され、そして、該当しない職種にあっても、また拡大解釈で、本人の同意やそうした自由意思ということが盛り込まれていたとしても、やはりそこで、その会社に一旦入ってしまえば、上司の命令また会社の方針、そうしたものを突きつけられるとノーと言えないというのが労働者の現状じゃないでしょうか。

 そういうことがあって私たちは、そうしたことを制度化すること自体に問題があると。今でさえ法律が守られていない、濫用されている、拡大解釈されているというのが実情であります。

 高度プロフェッショナル制度は、これから創設されるということですが、既に家族の会では、まさに高プロ制度を先取りしたような働き方で過労死された方がいらっしゃいます。そういうことがあって私たちは強く反対をしているのであります。

 以上です。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 この問題については、私どもも全く同じ認識であり、なぜ今この時期に急がなければいけないか、その必要性はない、また問題があり過ぎるということをお伝えして、次の質問に移らせていただきます。

 次の部分については、まず寺西参考人にお伺いしたいと思います。

 労働時間の延長の上限規制という部分で、立憲民主党も国民民主党もそれぞれの対案を提出しております。政府提出の対案と比較してちょっとお話をお伺いしたいと思っております。

 今一番の問題は何かと言えば、過労死をとめる、過労死を防ぐことではないでしょうか。ところが、現在、脳と心臓疾患関係については高どまり、下がらないんです。

 もう一つの過労死、精神疾患。これは脳・心臓疾患の倍ですよ、倍。これも、高どまりどころか、右肩の急成長。大きな問題を今抱えて、過労死問題はここにある。今、岩橋参考人から御発言がございましたけれども、労働時間と過労死の関係は明らかであります。

 今回、立憲民主党が提出したものは、この八十時間を超えてはいけないというふうな部分でございます。これについては、明らかな根拠、エビデンスが示されましたけれども、もう一度ここで確認をさせていただきたいと思います。

 すなわち、平成二十七、二十八年度の直近のデータであっても、今申し上げていただきましたように、六十時間未満ではほとんど過労死は認定されておりません、あるのかもしれませんが。ただ、六十時間に入った段階で急速にこれが二桁台に入っている。

 しかも、この六十時間から八十時間を超えて政府案の八十時間ということになると、これが一桁上がって、まず、平成二十七年では、この六十時間から八十時間未満と八十時間から百時間を比較すると、十一対百五です。二十八年度では、十四対百六。歴然としている。この時間を超えてはいけないというのが明確になっている。

 この点について、ぜひお考えをお聞かせいただければと思います。

寺西参考人 ありがとうございます。

 まず、前提として御理解いただきたいのは、労働時間管理が適正把握、徹底されているところが少ないということを御承知おきください。

 今、労災、毎年六月に厚生労働省は発表していますが、それは明確にわかった場合です。だからといって、それが正しい労働時間管理とは限りません。証明された範囲であるからです。それだけに、泣き寝入りや、証明できないために認められない、そうしたことで、その背景には、圧倒的にそうした方がいらっしゃるということを前提として考えていただきたいと思います。

 そこで、今、上限時間の過労死ライン、百時間未満ということが法案の中に入っていますが、この百時間未満、八十時間にしろ、平均にしたとしても、八十時間であれば毎日残業が三時間、百時間となれば毎日残業が五時間です。そこへ八時間の法定労働、そして休憩時間を入れると、何時になりますか。

 さらに、問題は、一日の上限、一週の上限がないことです。平均にとるとは限りません。ですから、そこに問題があるというのが私たちの意見であって。

 それと、既に厚生労働省では、月四十五時間という大臣告示が出ています。これは、それ以上働くと睡眠時間に影響が出て疲労が回復されない、蓄積疲労になるというものです。そうした大臣告示がありながら、そうした過労死ライン倍以上の時間を法律に明記するということは、私たちは絶対反対します。

 理由は、今述べたとおりです。やはり、残業時間が当たり前の働き方は過労死を生み出す。八十時間以下だからといって、過労死でないことはないです。これは、時間外労働とは関係のない過密状態、そして不規則勤務、いろいろなことが負担になって過労死される方がいらっしゃいますし、認定されるケースもあります。ですから、一概に八十時間以下だからといって安全とは限りません。

 更に申し上げたいのは、私たちは過労死を防ぐ観点で考えています。防ぐというのは、これ以上働いたら既に統計として過労死の危険性があるというレベルではだめなんですよ。それとやはり、生活、ワーク・ライフ・バランス、バランスのとれた生活、睡眠時間、家族と過ごす時間、自分の自由な時間、そうしたものを犠牲にしてまで働く社会、それを国が認めるということはどうなんでしょうか。過労死を防ぐ観点から考えていただきたいというふうに思います。

長谷川委員 大変的確な御指摘だと思います。それを基本に我々は考えていかなければいけないという御示唆をいただきました。

 ただ、政府案と比べれば、我々は一つのエビデンスに基づいて、これ以下でなければ絶対認められないということで対案を出させていただいたということは御理解を、一部に入れていただきたいと思います。

 ただ、今、寺西さんの御活躍、御活動については本当に敬服をする次第でありますし、こういった方に非常に勇気づけられている方たちも大変多いわけであります。

 特に、過労死認定されていない、労働組合に所属できていない。確かに、今、労働安全法などではよくハインリッヒの法則、一つのそういった事例のもとには二十九のそういったトラブルがある、その背景には三百の同じような事例がある。ですから、何百人もその背景には統計上に上がってこない人たちがいらっしゃる。この問題がウナギ登りになっているという部分が、精神疾患。この問題を解決せずして、こういった高プロ導入は絶対にあってはならないと私は思います。

 最後に、神津参考人にお聞かせをいただきたいと思いますが、今、過労死の中でも長時間労働の割合が最も高い自動車運転手についてでありますけれども、この問題について、我々は、この上限規制についても一つの案を出させていただいて、すぐには無理ですけれども、五年後には一般則の適用をするということを出させていただきました。政府案と比較して、この点についての御所見をお伺いできればと思います。

神津参考人 ありがとうございます。

 自動車運転業務における上限規制の問題については、先ほど発言申し上げたとおりでありますし、そういう意味では、長谷川委員がおっしゃったとおりだというふうに思っています。

 内容はもう時間の関係もありますので繰り返しませんが、過労死が最も多いそういう業務であるということに鑑みて、ぜひここのところは検討いただきたいと思いますし、業界の労使でやはりこの五年の猶予措置の間に的確な対応をとるということが極めて大事でありますし、そのことによって一般則適用ということに持っていかないと、やはり、この業界に本当に人が来るんだろうか、そういう問題でもあると思いますから、そこはしっかりと考えていただきたいと思います。

 また、特定の業界のみ緩めるということは、やはり不公正ないろんな取引慣行、これを温存させるということにもつながりかねませんから、その視点もぜひ取り込んでいただきたいというふうに思います。

 以上です。

長谷川委員 どうもありがとうございました。

 大変短時間でありましたので舌足らずな質問になってしまいましたけれども、大変有効な御答弁をいただいたと受けとめさせていただきました。

 我々も、その声に応えるべく、これからも全力でこの問題には取り組んでまいることをお約束を申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 大変ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、山井和則君。

山井委員 山井和則でございます。

 まず何よりも、きょうは朝から、参考人の全ての皆様、大変重要な内容の意見陳述をお聞かせいただきまして、学ばせていただいたことに心より御礼を申し上げたいと思います。

 私からは、寺西代表、神津会長を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず何よりも、私たちがこの働き方改革を議論する最大の目的は、過労死をなくすことであります。きょうも、寺西代表、そして中野さん、西垣さん、佐戸さん、渡辺さん、小林さん、そして傍聴席にも多くの御遺族の方々、当事者の方々、お越しをいただいております。今まで過労死で亡くなられました全ての方々に心より御冥福をお祈りを申し上げたいと思います。

 そんな中で、きょう、今申し上げましたように、寺西さん始め御遺族の方々が顔出し、名前出しをされて、国民に対して、また私たち政治家、そして政府に対して、過労死をこれ以上ふやしてはならないということを発言されるということは、相当な勇気と覚悟の要ることだと思います。

 私の周りにも過労死の御遺族の方々はおられますけれども、はっきり言って、九九・九%の方々は、もうそのことについて発言することもできない、一生ずっとその苦しみの中で御遺族の方々は耐えておられるんですね。

 それが普通だという中を、こうやって新たな過労死をふやさないために御発言をいただいていることに、何と御礼申し上げていいかわかりませんし、まさに、そのことを踏まえて、私たちは御遺族の方々の思いをしっかりと重く受けとめる必要があると思っております。

 そういう中で、残念ながら、一つ、私、問題にさせていただきたいのは、きょう寺西代表がお配りになった配付資料五ページですね。二月二十三日に、そのような思いで、寺西代表を始めとします過労死の御遺族の方々が加藤厚生労働大臣に面会をされました。五ページ、裁量労働制拡大や高プロに反対、過労死遺族、厚生労働相と面会という記事。翌日の二十四日の朝刊でございますね。

 その前の四ページを見ていただきましても、同じように、新聞記事、過労死遺族ら厚生労働大臣に要請と。記事の中には、裁量労働制の拡大と残業代ゼロ制度、高度プロフェッショナルの撤回を求めたと。その下の新聞記事も、同じく、過労死を考える会、厚生労働大臣に要望書を提出、裁量労働制の拡大や高度プロフェッショナルについて撤回を求める要望書を加藤厚労大臣に手渡したということであります。

 この厚生労働委員会において、加藤大臣から、高プロに賛同する趣旨の十数人の方々の発言内容のメモが理事会に出されましたので、私は、それはちょっと一方的じゃないか、逆に、高プロの問題点を指摘する方々の声も、もし賛成する方々の声を配付するのであれば、セットで配付するのがフェアじゃないかということで、理事会に要望させていただきました。

 その結果、先週木曜日の理事懇で出てきたのが、寺西代表がお配りになっておられます六ページになるわけで、全国過労死を考える家族の会の要請、概要で、左に寺西代表の発言があるんですね。

 でも、私、実はこれを見てびっくりしたんです。理事懇で私たち厚生労働委員に配付された、家族の会の代表の中から高プロの削除を要請したという部分が消えてなくなっているんです、なぜか。一番重要な点ですよね、ある意味で。消えているんです。

 それで、これについて加藤大臣は、先週金曜日、私の質問に対して、いやいや、頭撮りの部分だけテープ起こしをしたので、その頭撮りでは高プロ削除おっしゃっていなかったんですよとおっしゃったんですよ。そうしたら、家族の会の方々が頭撮りの部分の文字起こしとテープそのものを発表されました。そうすると、ここにありますように、はっきりと高度プロフェッショナルの削除もお願いしているということが出ているんですね。

 そこで寺西代表にお聞きしたいんですけれども、この頭撮りの部分で高プロの削除のことを加藤大臣に確かに要望されたのかということと、もしそうであれば、その要望が厚生労働省の公開された資料では削除、はっきり言って捏造ですね、家族の会の要望が捏造されて、高プロ削除は要望していないことに対外的に発表されている。こういうことについて、寺西代表のコメントをいただければと思います。

    〔委員長退席、渡辺(孝)委員長代理着席〕

寺西参考人 ありがとうございます。

 山井先生がおっしゃったように、二月の二十一日に衆議院の予算委員会の公聴会に呼ばれまして、私は意見陳述と質疑を受けました。そのときの発言文もこのとき一緒にお渡しをしました。

 私が、ちょうど頭撮りというか、記者さんに囲まれて、新聞記事の写真どおりのこのときに、直接大臣に冒頭にお願いをしました。

 そのときの音声を、一緒に行った東京家族の会の会員さんが文字起こしをして、今回この形で提供していただきまして、私もこれは間違いないというふうに思っておりますし、文字起こしの作業をしてくれた彼は全く事実を出したということであります。

 私たちは、これまでも、先ほど意見陳述させていただいたとおり、この関連法案については、やはり、残業時間の上限と裁量労働制の拡大、そして今回の高度プロフェッショナル制度の創設、これについては反対の意思を再三言ってきましたので、それを言わずして挨拶したということはあり得ません。ここに書いてあるとおりのことです。

 また、記事の中にも、裁量労働制と高プロについて削除を求めたというふうに記者さんたちも書いていただいていますので、言わないことを記者さんも書かないと思います。

 以上です。

山井委員 これは、もちろん家族の会の方々はテープそのものも持っておられますし、私もテープそのものも聞きました。はっきりと高プロの削除はおっしゃっています。

 けさの理事会で、厚生労働省の説明は、いやいや、自分たちはテープは持っていないので、そのときのメモをもとに書き起こして、そのメモには高プロ削除とは入っていませんでしたという言いわけをしたようであります。

 私、これは、ちょっとした、てにをはの間違いじゃないですよ。今、国会で一番問題になっているのは高プロの削除じゃないですか。命にかかわる問題ですよ。命にかかわる、家族会の方々の高プロ削除の要望を、テープもあるにもかかわらず、わざと改ざんして国会に出した。

 これは当然、加藤大臣の責任は重大だと思いますし、正しいメモを改めて出していただかねばなりませんし、おまけに、そのことに関して加藤大臣は、頭撮りでは高プロの削除は自分は聞いていませんという虚偽の答弁までされました。

 こういう質問は、私もはっきり言ってしたくありません。でも、余りにもひど過ぎませんか。過労死の御遺族の方々の要望のメーンを受けた本人が聞いていないと言って、おまけに、改ざんした、うその報告を国会に出す。そこまで高プロ削除を、家族会の方々がしていることを言いたくないんですね。

 でも、もう次の話題に移りますけれども、はっきり言って、うそはやめていただきたいんです。そして、過労死家族の会の方々の思いを冒涜するのはやめていただきたい。

 委員長、このことはしっかり、今言ったような加藤大臣の謝罪、そして、正しい高プロの削除が入った面談メモの提出を理事会で求めたいと思います。

渡辺(孝)委員長代理 後刻、理事会で検討させていただきます。

山井委員 それでは、次に神津会長にお伺いしたいと思います。

 この高プロで人の命が奪われるのではないかというのは非常に深刻な問題で、連合も労政審の当時から高プロには強く反対されていたと聞いておりますけれども、この高プロの問題点について、改めてお話をいただければと思います。

神津参考人 ありがとうございます。

 労働政策審議会においても、最低限のルールを決めるのが労働基準法のはずですから、その中で、使用者から成果を強く求められる、そのことがさらなる長時間労働をせざるを得なくなるのではないか、そういった主張を含めて、制度の創設には反対をしてきたところであります。

 少し引き取りながら申し上げると、拡大についてはデータの問題で撤回されましたけれども、裁量労働制の拡大ですね、裁量労働制についても、本当の意味で働く者が裁量権を持って働いているんだろうか。先ほど来申し上げております過半数代表を適切に選んでいるかということも含めて、極めて問題がもう既にしてあるということだと思います。

 それから、まだそんなにスポットが当たっているということになっていないのかもしれませんけれども、いわゆる管理監督者ですね、管理監督者と言われている方々の中にも、本当に法律で定義している管理監督者であろうか。

 実際のところ、日本全体の中で、管理監督者というふうに定義づけられてその場で働いている方々というのがどのぐらいいらっしゃるのかというのは、正確なデータはないと思いますけれども、しかし、二、三割は、あるいは企業によっては半分ぐらいがというところもあるんだろうと思うんです。その方々が、本当にこの長時間労働の問題というのは一体どうなっているんだろうと。これも私は深い闇の中にあるのではないのかなというふうに思うんです。

 そういった日本全体の労働環境にある中で、また一つ極めて危険な要素をふやしてしまうということが、どうして今回この労働基準法の改正の中で、全く上限規制ということとベクトルの異なるものを、一括、ここで決めていかなければならないのかということについては極めて疑問であり、問題だというふうに思います。

 もうこれも何度も申し上げているんですけれども、日本全体で、認定ベースだけでも過労死、過労自殺が二百件前後ということですから、これは二日にお一人以上がそういうことになってしまっているということですから。最近こそ、それこそ本当に、きょうの寺西代表始め家族の会の方々の勇気であるとか、本当に貴重なお気持ちで、過労死、過労自殺の実態というものが、かつてに比べると世の中に明らかになっている。

 あるいは、川人弁護士始め弁護士の方々の地道な努力でそういった実態が、かつてに比べれば明らかになっているとはいえ、今申し上げたように、実際には二日にお一人以上がこの日本のどこかでお亡くなりになっているというのが実情ですから。

 私ども、過労死、過労自殺を起こしてしまったところはやはり企業名を公表すべきだということをかねてより主張しておりますけれども、申し上げたいことは、どうも日本の社会はそういった実態についてまだ少し敏感さが足りないんじゃないのかなというふうに言わざるを得ないと思っています。

 そういう中でこの制度を入れてしまうということは問題だと思います。まず、過労死、過労自殺をゼロにするということから始めるべきだというふうに思います。

 以上です。

山井委員 ありがとうございます。

 労働者の立場は本当に弱いわけでありまして、この間、この高プロ反対、阻止のために御尽力いただいておりますことに感謝を申し上げたいと思います。

 また寺西代表に、次にお伺いしますが、私、寺西代表のお話を今までからお聞きして、非常にやはり考えさせられたのは、三百六十五日、御主人、彰さんが働きづめの上で過労死されて、ところが、そのことについてお店に、上司に抗議をしたら、勝手に働いて勝手に死んだんやと言われたと。これはないと思うんですね。

 しかし、この高プロというのは、まさに自由な働き方と言われている上に、今回、途中で何か抜けられるという、今までから法律には入っているんですけれども、そのことを強調したら、抜けなかった本人が悪いんやないかと言われかねない。

 そういう中で、先ほど、加藤大臣に申し入れたけれども、加藤大臣は、高プロ削除については頭撮りでは聞いていないという、改ざんした資料を出した上、虚偽答弁までした。私は、これは加藤大臣、大臣をやめるべきだと思います。

 働き方改革の担当大臣が、過労死御遺族の高プロ削除の要望を、冒頭、頭撮りで聞いたのに、聞いていないと虚偽の答弁をして、そのことを、改ざんした虚偽の資料を国会に提出した。これはもう、加藤大臣は当然責任をとってやめるべきです。

 その中で、もうこれは加藤大臣ではらちが明かないということで、安倍総理に面談の依頼を今されていると聞いております。働き方国会といって一番先頭に立って旗を振っているのは安倍総理ですからね。ところが、まだ返事もないということで。

 そのことについて、また、安倍総理に会って何を伝えたいのか、そのことを寺西さん、お願いします。

寺西参考人 ありがとうございます。

 まず、やはり過労死の実態を知っていただきたいということであります。

 先ほども別件でお答えしましたが、やはり法律は全く守られていません。過労死がふえ続けている現状があります。そうした問題をまず整理して、安全に働けるそうした制度を先に構築すべきだというふうに考えています。

 それには、私たちのような大切な家族を過労死で失った、その現状の話を聞いていただきたい。それを教訓にして、そこを改善していただきたい。それからいろいろな働き方を考えていただく。順番はそうじゃないかと。

 まず、経済発展のために、また会社利益のためにどんどんと緩和した働かせ方を、しかもそれを法律に広げていくということは、大きな問題があります。まずはきちっと規制をし、そして管理もきちっとし、その上で、過労死が本当になくなったね、そうした方がいらっしゃらないねという確認をしてから、私は、いろんな自由な働き方を考えればいいことであると。

 まず、物の考え方の、そもそも本末転倒な考え方をやめていただきたい。私たちの話を聞いてから考えていただきたいということを申し上げたいです。

 それには、私一人ではなくて、家族の会にはいろんな職場、あらゆる職場の方が過労死されています。そうした職場で何が問題になっているかということをあわせて考えていただきたいというのが、私たちの面談の目的であります。

 以上です。

山井委員 これは本当に人の命にかかわる問題であります。もちろん安倍総理も御多忙であるとは思いますけれども、万が一強行採決をして、そして高プロ導入されたら確実に人が死にます。死ぬ上に、労災認定もされない。地獄の苦しみを、御本人も御遺族も苦しむわけで。ここは総理との面談、ぜひとも採決までに実現していただきたいと思います。

 それで、神津会長にお聞きしたいんですが、今の寺西代表のお話の中でも、さまざまな業種というお話がありましたが、今回、残念ながら、医師の方や教員の方の上限時間規制というのが後回し、先送りになっております。

 先ほどのお話の中でも、それが問題だということを神津会長はお触れになっておられましたけれども、全ての仕事は大切ですけれども、特に教員の方、医師の方々のお仕事というのは、まさにとうとい公務だと思うんですね。

 そういう方々の過労死対策が今回の法案の中では後回しになっているということについて、神津会長の御所見をお伺いしたいと思います。

渡辺(孝)委員長代理 時間が迫っておりますので、簡潔によろしくお願いします。

神津参考人 ありがとうございます。

 自動車運転業務についてはさっき申し上げました。やはり、職種だ、業界だ、そういうことにかかわらず、働く者の命を守っていく、そのための法律が必要だということは共通ですから、そこはぜひ光を当てていただきたいと思います。

 それと、学校の先生にしてもそれからお医者さんにしても、聖職であるとか、あるいは呼出しがあったらそれに応えなきゃいけないとか、そういうことがあります。そうであるだけに、やはりそこの働き過ぎ、つい働き過ぎてしまうというところに歯どめをかけていただくということは極めて重要だと思います。

 国民民主党の対案にはそこのところを盛り込んでいただいているというふうに認識しています。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

山井委員 時間が来ましたので締めくくらせていただきますが、全員の参考人の方々に質問できませんで本当に申しわけございません。

 高度プロフェッショナル、残業代ゼロ制度の危険性を改めて痛感をいたしました。

 やはり働き方改革というのは、与野党合意をする、そして何よりも、一番の苦しみを味わわれた過労死の御遺族の方々の声を最大限尊重する。それで、与野党合意できるところから採決して前に進めていくというのが当然の姿であると思います。

 そういう意味では、高プロを削除し、じっくりこれからも審議を続ける、与野党合意なき強行採決は絶対しない、そのような方向でぜひとも私たちも頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

    〔渡辺(孝)委員長代理退席、委員長着席〕

高鳥委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 きょうは、六人の参考人の皆様、大変に貴重な御意見をそれぞれのお立場から頂戴をいたしました。心から感謝を申し上げます。

 時間も限られておりますので、私の方からは、主に山田参考人、そして神津参考人、また輪島参考人、お三方中心に御意見をまた頂戴をしたいというふうに思っております。

 働き方改革法案、今回大きく、さまざまな中身がございますけれども、一つは残業時間の上限規制、そして同一労働同一賃金、そしてまた高度プロフェッショナル、さまざまな制度がございますので、一つ一つについてお伺いをしたいというふうに思います。

 まずは、残業時間の上限規制の導入、これの意義についてお伺いをしたいと思います。

 これは、労使のお立場ということで、神津会長と輪島本部長とそれぞれにお伺いをしたいんですけれども、今回、長時間労働を削減をしていかないといけないということで、上限規制というものが、今まで事実上、労使合意、三六協定を結べば上限の規制がなかったというものが、今回初めて導入をされたというわけでございます。それぞれのお立場で、本当にぎりぎりのところで合意をされたんだろうというふうに思っております。

 まずは、規制が導入を今回できた、このこと自体の意義についてどうお考えかということを、神津会長そして輪島本部長の方からそれぞれお伺いをしたいというふうに思います。神津会長の方からお願いいたします。

神津参考人 ありがとうございます。

 これは私どももいろいろな場面でも申し上げてきたんですが、労働基準法の七十年の歴史の中でも、罰則つきで上限規制を設けるということ自体は極めて大きな改革だというふうに思っています。

 先ほどのやりとりの中で、過労死、過労自殺が年間二百件前後ということを申し上げました。ある意味、そういうことが今世の中にかつてに比べて明るみに出て、初めて長時間労働の極めて問題の大きい実態が明るみに出ているということだと思うんですけれども、そういうことではなくて、そもそも長時間労働ということがあってはならないことなんだと。

 過労死、過労自殺につながってしまうようなこととの因果関係というのは、さまざまケースによってはあると思います。しかし、その中の大きな要素として長時間労働というものがあることも、これも厳然たる事実であります。

 申し上げたいのは、そういうことがあって初めて長時間労働というのはだめだということではなくて、そもそも、長時間労働に罰則つきで上限を定めるという、基軸を転換するということは、これはぜひとも進めていただきたいし、この内容についてはもう一刻も早くスタートをさせていただきたいというふうに思っております。

 以上です。

輪島参考人 御質問ありがとうございます。

 先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、二〇一七年三月でございますが、連合と経団連、過労死は絶対にあってはならないという思いを共有をいたしまして、これまで青天井に時間外労働ができるという仕組みでありましたものを抜本的に改めまして、罰則つきの上限規制を導入をしたところでございます。

 その水準につきましては、脳・心臓疾患の労災認定基準でございます単月百時間未満ないし六カ月平均八十時間以内ということだけにとどまらず、年間七百二十時間、単月四十五時間を超える月が六カ月以上という規制も入れたということでございます。

 この労使合意でございますけれども、連合と経団連の間でなされたものではございますけれども、さまざま交渉の過程では、私どもといたしましては、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会とも連携をさせていただきまして、団体に属していない零細企業の状況も踏まえながら勘案をして対応してきたつもりということでございます。先ほど先生御指摘のとおり、四つの規制に対して、違反すれば罰則がつくという最低基準を導入するということで、私どもとしてはぎりぎりの判断だったというふうに言えるかと存じます。

 上限につきまして、単月百時間未満という数字だけが注目をされがちだというふうに思っておりますけれども、単月百時間ぎりぎりまで当たり前のように働くというようなことを許容するという趣旨ではございません。月四十五時間、年三百六十時間の原則的上限の時間に近づけていくという努力をするということについても、この労使合意に明記をされているということでございます。法律成立後に策定される指針にも同じような趣旨が盛り込まれるというふうに聞いておりますので、私どもといたしましても、この点をしっかり受けとめて周知に努めてまいりたいというふうに思っております。

 私からは以上でございます。

中野委員 ありがとうございます。上限規制の意義、お話をいただきました。

 他方で、やはり、単月百時間、平均八十時間というものについて、これをもっと下げていかないといけない、過労死を考える家族の会の皆様からもそういう御指摘もございます。私もいろんな御意見もいつも頂戴しておりまして、そのお気持ちは重々承知をいたします。

 ですので、その上で、輪島本部長からもお話ございましたけれども、やはり、今、上限としては、百未満であるとか、あるいは平均八十というふうな数字がございますけれども、これを出発点として更に実際にはどんどん下げていく、こういう取組を私は進めていかないといけないんだろう。今回、そういうことについても、罰則つきのこの規制では八十、百とはなっておりますけれども、それを下げていくんだという方向性も法案としては大きく出ているものであるというふうに承知をいたします。

 この点につきましても、それぞれ労使のお立場から御意見をお伺いしたいと思うんですけれども、さらなる長時間労働の削減の必要性、また、それに向けて具体的にはどう取り組むべきか、あるいは国のどのような取組が求められるのか、これについても労使それぞれのお立場から御意見を頂戴をしたいというふうに思います。神津会長の方からお願いいたします。

神津参考人 ありがとうございます。

 私も、中野委員がおっしゃるとおり、これをスタートさせるということにおいて、政労使あるいは公労使の合意がないとスタートができないということで、私も実現会議の中で、百時間というのは、はっきり言ってこれはちょっと違うんじゃないのかという発言までした経過もあるんですけれども、しかし、やはり上限罰則つきでスタートをさせるということの意義に鑑みて合意を図ったところです。

 委員がおっしゃるとおり、これはやはり下げていくべきだと思います。そのためのスタートを切るものだと思います。これは輪島参考人もおっしゃられたとおりで、百とか八十というところが目立っていて、これは私にとっても非常に不本意なことなんですけれども、あってはならない水準なわけでありまして、四十五時間、年間三百六十時間ということに向けて労使が努力をするということがあってこの法律の意味があるんだというふうに思っていますので、私どもも、そこのところこそがこの法律改正の趣旨の中心部分だということを内外にアピールしていかなければならないというふうに思っています。

 それと、冒頭にも申し上げましたけれども、そもそも三六協定ということについて理解がどこまで進んでいるのかということがありますので、それはしっかりと努力をしていきたいと思いますし、これはそれぞれ行政の立場からも特段の努力を求めておきたい。それから、従業員の代表の選出の仕方、これも非常に曖昧ですから、そこのところにも力をぜひ込めていただきたいということも申し上げておきたいと思います。

 以上です。

輪島参考人 ありがとうございます。

 この働き方改革関連法案、特に労働基準法の改正に対応して、これから企業又は業界でさまざまな、これをきっかけとして取組が進んでいくというふうに考えております。

 それで、例えば建設業でございますけれども、非常に現場としては厳しい状況でございますので、先取りして業界としては取組をしているというようなことを伺っております。長時間労働の実態、社員の高齢化を背景にして、魅力ある職場環境を整えない限り業界のあしたはないというふうな非常に強い危機感をお持ちだというふうに聞いております。

 日本建設業協会でございますけれども、ここが中心になって、週二日の閉所、いわゆる週休二日でございますけれども、これの取組を開始して、また、作業員にデジタルカードを配って、現場に入るときにその都度カードリーダーにかざすということで、労働時間とかキャリアアップの記録をするシステムを開発をするというふうに聞いているところでございます。

 さまざまな形で、若い人や女性が働きやすい環境、職場づくりに努力をしていく、そういうようなことで、さまざまな現場で対応していくというふうに思っております。

 また、法律自身は、見直し規定が入っておりますので、その時点でまた適切に対応していくということも必要なのではないかなというふうに考えているところでございます。

 私からは以上でございます。

中野委員 ありがとうございます。

 長時間労働の削減という点におきまして、私ども公明党としても、いろいろな取組を進めていこうということで訴えてまいったんですけれども、勤務間インターバル、これの導入というのが非常に有効なのではないかということで、これを進めていこうということで訴えてまいりました。

 山田理事の方にお伺いをしたいんですけれども、ただ、勤務間インターバル、今現在導入を進めている企業の数も非常に少ない、あるいは、具体的な制度設計におきましては、恐らく業種によってかなり状況がさまざまなんだろうなという中で、今回、これを義務づけるということはせず、努力義務のような形で、しっかりこれを、導入をまずは促進をしていこう、こういうことになったと承知をしております。

 山田理事にぜひお伺いをしたいのは、勤務間インターバルの重要性と、あと、具体的に、今後の進めていくに当たっての、どういう形でやっていくかというか、制度設計を今後考えていくとしては、どういうものが望ましいかであるとか、そういった点についてぜひ御意見を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

山田参考人 ありがとうございます。

 勤務間インターバル制度につきましては、御案内のようにヨーロッパで普及をしている制度でございます。これに関しては、ヨーロッパの実態というのは、原則これは入れるということなわけですけれども、これは日本と少し違うわけですけれども、労使自治というのが日本以上にワークしているという前提のもとで、実は業界によってさまざまに独自のルールを設定しているという実態がございます。

 私自身は、先ほども申し上げましたように、日本の、今後、やはり、人口動態の変化、あるいは付加価値型の社会に変わっていくという意味では、中長期的にはヨーロッパ型社会と日本型のハイブリッドということを目指すべきだというふうに私個人としては考えておりますので、そちらの方に近づけていくということがやはり重要だというふうに考えております。

 しかしながら、一方で、問題は、残念ながら、日本社会というのは、さまざまのこれまでの経緯の中で、長時間労働というのがまさにもう社会の中にしみついてきたという現実があるわけです。これをいきなり変えるというのは、現実には、余りにも厳し過ぎる規制が入りますと、結果として、それを裏側で、アンダーグラウンドでネグってしまうというようなことも発生しかねないということで、私自身は、そこの現実も見ながら、やはり時間軸で考えていく、漸進的に進めていくということが極めて重要かと思います。

 今回、本当は、そういう意味では義務化ということが望ましいんでしょうけれども、とりあえずは努力義務というところで入れながら、やはり絶えずPDCAを、見直していくことが極めて重要だ。

 それと、重要なのは、やはり業界として、あるいは地域として連携して取り組んでいくということなんじゃないか。長時間労働の問題というのは、やはり、何度も申し上げましたが、消費社会のあり方あるいは商慣行のあり方とも極めて密接に関連しておりますので、そういうものも含めて、これは個別企業だけではできない問題でありますので、労働組合も積極的にそこに関与しながら、労使全体として、地域として、あるいは産業として取り組んでいく、そういう姿勢が重要なのではないかなと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 こうしたさまざまな取組を進めていく中で、これは公労使それぞれのお立場から、お三方からお伺いをしたいと思うんですけれども、まさに山田理事が最後におっしゃっていただいた、業界あるいは取引慣行等々も含めて、社会全体としてやはり取り組んでいかないとなかなか進まない問題が、長時間労働にせよ、同一労働同一賃金にせよあるなというふうに感じておりまして。

 例えば、今政府でやっておりますのが、下請取引適正化というものを進めております。どうしても、今までの商取引の関係でこうした長時間労働等々を縮減する働き方改革をやっていこうとしてもなかなかそれが進まないんじゃないか、全体的に取り組まないと進まないんじゃないか、こういう御指摘を多々受けるところでございまして、私もまさにそのとおりだと思って、こうした取組の必要性というのを政府にも訴えているわけでございます。

 こうした、下請の取引の適正化のような、社会全体としてこういう働き方改革をしようということについての必要性であるとか、あるいはまた具体的な進め方であるとか、それぞれ三者のお立場から御意見を頂戴できればというふうに思います。山田先生からお願いいたします。

山田参考人 ありがとうございます。

 必要性に関しましては、先ほど申し上げたとおりでございます。

 具体的な進め方ということでいきますと、私は、現実としてなかなか、労使自治が本当は望ましいと何度も申し上げておりますけれども、さまざまな事情の中で、労使が自主的に進んでいくというのは、環境の中では難しくなっているというのが実態ではないか。そういう意味では、政府がいわば触媒となってそこを調整していくという役割が極めて重要ではないか。

 最初の意見陳述の中でも申し上げさせていただきましたけれども、政労使会議というのが、この政権が発足した当時にされたと思います。今の段階では、ちょっとここが、基本的にはそれほど開催されていないということがあるので、改めて私はこれを再開していく。

 重要なのは、やはり産業別、地域別ということですので、いわば大きな枠組みを政労使会議で論点出し、あるいは基本的な方向性を合意した上で、それを地域別あるいは産業別におろしていくというんですかね。そこでまた、それぞれの業界ごとで議論をしていく、あるいは地域で議論していく。そういうものをやはり時間をかけてしっかり回していくということだと思います。

 働き方改革というのは、最終的には、やはり働く人たちの意識であり、企業の意識だと思います。そういう意味では、やはり自主的にまずはセミマクロ、それからミクロのレベルで対話を重ねていくということが大事ですので、そこに関しては政府がやはり積極的にコーディネートしていく、こうしろということではなくて、場を設定し論点を提示して、そこで自主的な議論を進めていく、その調整役というのが極めて求められているんじゃないかなと思います。

神津参考人 ありがとうございます。

 非常に大事な論点だと思っております。

 関連する話で、ちょっと御紹介も含めて申し上げると、私どもは、春季生活闘争ということで、春闘、さっき働き方改革に係るところの内容を御紹介しましたが、賃上げについて、今の賃上げの流れというのは二〇一四年から始まっているのは御承知のとおりなんですが、最初の二年間はむしろ大手企業と中小企業の間で格差が拡大してしまったんです。

 連合集計の中ですらそういった実態がありましたので、これじゃだめだ、幾ら賃上げしても、格差が開くようじゃ意味がないということで、二〇一六年段階から、私どもは、底上げこそ大事だということ。その中で、まさに、取引慣行の是正についても、電話相談ダイヤルも設けて、経営者の皆さんからも何かあったら一報いただきたい、そういったことで取り組んできております。

 そういった中で、昨年もことしも、ことしはまだ途中ですけれども、いわゆるベア、定期昇給などを除いたところのベースアップで比較できるところで見れば、去年もことしも中小が大手を上回る、そういった今実績にあります。

 これは、何も賃金だけの問題ではなくて、やはり、働く者が、どういう立場であれ、一生懸命働いて生み出した製品だとかサービスとか、それに値する対価を得るということがないと前に進みませんから、そこは取引慣行の中できちんとした対価が得られて、そのことが公正な分配に回るということはもう基本中の基本ですから、やはり、そこで値段が上がるということがあって初めて生産性が向上するということにほかならないというふうに思っています。

 そういった取組を、我々も努めていきたいと思いますし、社会全体で共有していくことが必要だと思います。

 以上です。

輪島参考人 御質問ありがとうございます。

 お配りをしております経労委報告でございますが、八ページをお開きをいただければというふうに思っております。左側の図表1―2でございますが、これは私ども経団連が働き方改革推進に向けた独自の活動ということでございますが、その二つ目でございます。

 先生御指摘がございましたように、個別のさまざまな企業での取組というものがございますけれども、一企業ではやはり難しい問題があるというふうに考えておりまして、一企業では解決が困難な商慣行の是正に向けて、経済四団体、それから地方、業種の経済団体、百十二団体でございますけれども、共同宣言という形で取りまとめを行っております。

 具体的には、本当にシンプルな1から6のものでございます。1関係法令、ルールの遵守に加えて、労働基準関係法令を違反しないこと、配慮すること。2でございますけれども、契約がそもそも曖昧なのではないかという問題意識でございまして、契約条件をきちんと明示する、それを徹底をする。それから、四番目でございますけれども、取引先の休日労働、深夜労働につながる納品。例えば、金曜日の夕方、月曜日の朝に持ってきてねという、不要不急のものの時間とか曜日指定とか、そういうようなものの発注を控えるであるとか、そういうようなこと。それから、六番目に、短納期であったりさらなる追加注文だったり高品質であれば、サービスの対価に見合う適正な価格をきちんと契約で取引をするというような共同宣言を取りまとめをさせていただきました。

 経済産業省からも高く評価をいただきまして、昨年の十一月の下請法等のキャンペーンでもこれを取り上げていただきまして、周知をしていただいたというような経緯もございます。

 私からは以上でございます。

中野委員 済みません、以上で終わらせていただきます。

 質問できなかった参考人の皆様、大変申しわけございません。また引き続き御指導いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、六人の参考人の皆様、お忙しい中御出席をいただき、また貴重な御意見をいただきました。本当にありがとうございました。時間の制約があるために、全員に質問はできないと思いますので、あらかじめ御容赦をいただきたいと思います。

 最初に、神津参考人に伺いたいと思います。

 先ほど、陳述の冒頭で、高度プロフェッショナル制度について実施すべきではないと力強くいただきました。

 そこで、私自身はもちろん、労働時間規制から除外される制度であり、絶対にあってはならないと思っております。

 この制度は、ホワイトカラーエグゼンプションがやはり源流にあったのかなと思いますが、あのときも世論の反対の前に導入を断念しました。今回も、一番最初に提起されたときに、総理が年収要件や本人同意要件をつけました。最近では、連合の要請を受けた形で、百四日の休日が義務化などという修正を加えてきているわけですね。今回は与党修正も準備中と聞いております。

 改めて伺いますが、このような一定の修正を行ったからといってやはり本質は変わらないのであって、やはり今回はやるべきではないと思いますが、改めて確認をさせてください。

神津参考人 ありがとうございます。

 一言で申し上げれば、最前から申し述べているとおり、この導入は必要がない、むしろ過労死、過労自殺の危険性を増す懸念があるのではないのかということであります。御指摘のように、昨年、政府に対して要請をしたことは事実なんですけれども、その時点においても、要請文にも、制度導入自体が反対だということを明記をしておりました。

 また、そもそも法案を一括にするということについても、私どもとしては、これは向きが違う、ベクトルが違うものであるのでいかがなものかということを終始表明をしていることは御承知かと思います。

 したがって、いろいろ与党修正というようなことの動きもあるやにお聞きをしますけれども、根本的なところで、さっき申し上げたように、やはりこの制度が危ないというようなことの国民各層における疑念に正面から応えたということとは言えないのじゃないのかな。むしろ、それがあるからこそ修正をせざるを得ないというような内容にも率直に言って見受けられるところもありますので。

 そもそも、そういったことがあっても、やはり制度として必要がないということについては全く変わりがないということは申し上げておきたいと思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 同じく高度プロフェッショナル制度について輪島参考人に伺いたいと思うんですけれども、現在、裁量労働制を適用している主な企業などでは、やはりグレード別の基本給と残業代見合いの裁量労働手当といった、呼び方はいろいろあると思うんですが、報酬制を採用しているところが多いと思うんですね。

 二〇一七年の、先ほど紹介されたことしのではなくて、昨年の経営労働政策委員会報告では、もともと高い年収が確実に見込まれる者が対象なんですからということで、賃金下がることは想定されていないということを書いた上で、高年収保障型成果給というふうな表現をされております。

 そこで伺いたいんですけれども、時間と成果はリンクしない、でも、賃金と成果がリンクするという規定は現実に法案には書いておりません。そこで、使用者側としては、高プロの導入によって、成果により報酬や手当を高めてインセンティブを持たせる、そういう仕組みをつくるという考えなのか、それとも、残業代も出ないために、なるべく労働時間を短縮させるというインセンティブが働くということで効率的な働き方になることを期待しているのでしょうか、伺います。

輪島参考人 ありがとうございます。

 私どもの考え方としては、先ほど来申し上げているように、我が国企業を取り巻く環境は非常に激変をしている。国際競争力の激化、デジタライゼーション、AIなどの新技術を利用したもの、企業の新規参入、人口減少に伴う国内市場の縮小というようなことでございまして、企業がこうした環境変化に対応するためには、やはりイノベーティブな経営を一層追求をしていくほかはないというふうに考えております。

 そのために、職種を絞って、最先端の研究者、イノベーションの担い手である高度専門職がその持てる能力を最大限に発揮できるように、環境を整えることが大変重要だというふうに考えております。

 もとより、高度専門職の特徴でございますけれども、働いた時間と成果との関係性が薄いということでございます。また、高度な専門職でございますので、企業に引く手あまたというような、そういう労働市場にいらっしゃる方なのではないか、いわゆる転職が容易なくらい極めて高い専門性を持っているというふうに考えているわけでございます。

 こうした高度専門職の特徴を考えますと、働いた時間に比例して成果が上がることを前提とした従来型の労働時間規制にはなじまないのではないかというふうに考えているところでございます。

 私からは以上でございます。

高橋(千)委員 それでは、同じく高プロについて、岩橋参考人に伺いたいと思います。

 今の、イノベーティブな働き方ということのお話もあったわけですけれども、この間の委員会の議論でも、私が、なぜ自律的で創造的な働き方になるのかという問いに対して、加藤大臣は、深夜手当が高いから、なるべくそういう時間帯に働かないようにということも率直におっしゃっているわけなんです。その上で、夜間に働く方が効率よい人もいるというふうな表現をしておりまして、労働者側のニーズというのはほとんど見えておりません。

 時間配分は裁量で決められるといっても、命じられた業務量や終期の決まったプロジェクト、あるいは研究開発のように失敗も含めて時間がかかるものとか、さまざまあると思うんですね。そういう意味でも長時間労働は避けられないと思います。

 現場を知る者として、ぜひ御意見を伺いたいと思います。

岩橋参考人 ありがとうございます。

 私、最初の意見陳述で申し上げたんですけれども、今回の高度プロフェッショナル制度というのは、まさしく、労働基準法の労働時間法制を年休の手当以外を適用しない全く異質な制度だと思うんですね。法律をつくる以上、やはり労働基準法というのは使用者に罰則をもって守らせるという法律ですから、悪用を許さない。想定していないというような楽観的な御意見がありますけれども、どんなひどい使われ方をするのか、それを許さないということを基本に法制度をつくっていただかないと。先ほど高度プロフェッショナルとかきれいなことを言われましたけれども、それは、今、専門型業務労働制もあるわけで、何の必要性もないわけですよね。

 そんな恐ろしい制度をなぜつくるのかという、やはり日本の現実を想定していただいて、先ほど日本の労働者の現実ということで言われましたけれども、本当にひどい働かせ方をされているわけですね。

 過労死をなくそうということで先ほど連合の方も言われましたけれども、今回の働かせ方改革の出発点が過労死、過労自死をなくすことだと。そして、経団連の方も、過労死は絶対あってはならないということを言われているわけですから、そうしたことが予測される、特に今回の高度プロフェッショナル制度では、使用者が労働者を指揮命令できないんだ、裁量に任すんだという規定がないわけですよね。裁量に任せたら専門型業務労働制でいいわけですから。確かに高度プロフェッショナルで自由に働ける人のためにつくるんだと言っていますが、つくる中身は恐ろしい中身になっているというふうに思います。

 もう一点ちょっと、余り当てられないので言わせていただきたいんですけれども、先ほど、過労死とかなくすということを言われましたから。

 脳・心臓疾患を生むおそれがある、そうであるなら、何で四十五時間を超える時間外労働を認めるんだろうと。政労使、安倍首相も連合も経団連もそう言われているわけですから、過労死は絶対に起こさせないという一致点がある以上、その結論は、厚生労働省が言っている脳・心臓疾患を起こすおそれがある月四十五時間以上の時間外労働は認めないという結論に何でならないのかということを、質問もされていないまましゃべってしまいましたが、済みません。

高橋(千)委員 全く同感でございまして、私は大臣告示基準を上限とすべきだという立場でこれまでも言ってきました。

 そこに関連して岩橋参考人にもう一点、簡潔にお願いしたいんですけれども、今回、労働安全衛生法で、一般の労働者は、現行百時間、これを省令で今度八十時間にするということなんですが、医師との面接を義務づけるわけで、高プロの場合は、健康管理時間が所定内労働を超えて百時間になるときに医師の面接を義務づけるというふうになるわけです。

 ただ、どちらも、過労死ラインぎりぎりのところで医師の面接を義務づけるというのはおかしいのではないかと思っているのと、その前提としての労働時間の状況を把握するということが今回盛り込まれたわけですよね。でも、私は、そもそも労基法に罰則つきで労働時間の把握を義務づけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

岩橋参考人 簡潔に申し上げます。

 そのとおりだと思いますが、産業医の面接指導で改善されることはないんですよ。産業医というのは企業側が雇っている人で、産業医が、そうした百時間を超えたら是正しなさい、改善しなさいという意見を言うことはできるでしょうけれども、それを改善できないわけでありまして、やはり、監督官の監督指導があって、そうした百時間を超えることをさせないということが必要なわけで、今回の高度プロフェッショナル制度はそうしたことができなくなるわけで、労働時間の把握、監督しないわけですからね。まさにそういう意味でも危険だと。

 産業医の面接指導に、現実もそんなことは全くされていないわけですけれども、過大な期待を設けるというのは、本当に幻想以外の何物でもないと思います。

高橋(千)委員 今回、産業医の権限を強化ということは書いてあるんですけれども、まだその議論が十分されていないし、実態は、強化できるどころか、企業に遠慮しているということがあるのではないかと思います。

 ありがとうございました。

 そこで、上限規制について、神津参考人と輪島参考人に伺いたいと思います。

 先ほど、八十、百時間の問題がひとり歩きしちゃっているけれども、これはそもそもあってはならない時間なんだというふうに神津参考人おっしゃいました。ただ、現実に、今、三六協定の特別条項によって青天井になっている残業時間、そして、年間千時間を超す所定外残業を労使協定によって認めているという現実もあるわけなんですよね。このことを今回過労死ラインに据えることについて、どのように労組として臨むのかを伺いたいと思います。

 続けて、輪島参考人には、今言ったように、上限規制を今決めるとすれば、今の状態で超えている企業がたくさんあるわけであります。そうすると、そういう企業は、どのようにしてこの上限規制を守るように努力をしていくのか。既に始まっているということは御紹介いただきました。だけれども、例えば弾力的な制度に振りかえていこうとするのか。本来は人をふやすのが一番いいと思うわけですけれども、その点について続けて伺いたいと思います。

神津参考人 ありがとうございます。

 連合としてということにおいては、二つの要素があると思います。

 一つは、自分のところの傘下の労働組合の取組として、どういうふうにやっていくのかということにおいてなんですけれども、その点については、冒頭その説明を申し上げた中で、私ども、足元の春季生活闘争の中で、実際に法の考え方を先取りし、あるいは上限時間をそれよりももっと下回るような協定にしていく、そういう努力を重ねているということは申し上げておきたいと思いますし。

 やはり、私は、この上限時間の問題もそうですけれども、働き方改革にかかわるあらゆる問題が、きちんとした労使関係を持てるのかどうかということによって大きく左右されるということは、私どもとして、同じ労働組合に所属する仲間をふやす、そういう地道な取組も含めて、世の中にもっとアピールしていかなければならないというふうに考えています。

 一方で、これは再三強調申し上げているところですが、労働組合という傘を持たない人たちのことを考えますと、これは、さっき申し上げたように、百時間とか、あるいは、実際に過労死のケースにおいても、それは百時間を下回っていても過労死認定がされるというケースがあるわけですから、そもそもそういう時間に到達しないようにしなきゃいけないというのが極めて重要な今回の法改正の一番中心の趣旨だと思っていますから、今回、ですから、その三六協定を届け出る場合においても、やはり労使で具体的にどういう努力をそこでしているのか。

 やはり、ただそのお題目だけではなくて、これは後ほど輪島参考人からもそういうお話があるのかもしれませんが、やはりマネジメントとして、実際に、じゃ、そういう努力というのを何で裏づけるのかということが明らかにならなければならないということだと思いますので、そこは、省令とかそういう補足的な措置においても、やはりそこのところをいかに強化をしていくのかということは力点を置いていただきたいというふうに思います。

 いずれにしろ、上限を罰則つきで決めるという基軸を転換するということにおいては、やはりこれはスタートさせなければならない、このように認識をしています。

 以上です。

輪島参考人 ありがとうございます。

 先生御指摘のとおり、大変、どういうふうに企業として対応していくのかというのは厳しいところがありますけれども、業務量を減らすことなく労働時間を短くすれば、かえって過重な労働というものを誘発をしかねないわけでございまして、業務量を減らすことが非常に難しいというような声を聞いているところでございます。

 そこで、いろいろ各社からお伺いをする点でございます、事例といいますか、そういうことで御紹介をしたいと思いますけれども。

 全社的に業務の棚卸しというものを実施をして、業務の本質に照らして、不要なもの、時代に合わなくなったもの、まずそれを捨てる、いわゆる断捨離でございますけれども、そういうようなことでまずは対応する。それから、二番目には、上司が毎日職場の稼働状況を確認をして、当日どの仕事に何人従事をしているのかというようなことについて、本当に目配りをして日々確認をするというようなこと。それから、社内の資料でございますけれども、これまでA3の一枚というようなことで会議に提出をする慣例といいますかルールをA4一枚にするというようなことで、役員会議のペーパーレスもあわせてやるというようなことも伺っております。

 また、ビッグデータを分析をしまして、活用したもので、採用の評価、それから監査、問題プロジェクトの予兆の分析、それから財務システムの品質の向上というようなもの、タブレットの端末活用によってデータの再入力作業を防ぐとか、そういう細かいものを寄せて、企業としては非常に努力をして生産性を上げるというようなことでやっているというふうに伺っています。

 私どもとしましても、企業のこういった取組というようなものを、働き方改革事例集であるとか、それからセミナーであるとか、そういったもので、東京だけでなく、地方に対しても積極的に周知をしているというところでございます。

 私からは以上でございます。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 最後に寺西参考人に一言伺いたいんですけれども、例えば、高プロの導入において、夜の方が効率がよいという人がいたり、一定の残業を望んでやる人がいたとしても、しかしそれは、やはり規制をしなければいけないんだということが皆さんの経験でわかっていることだと思うんですね。一言お願いしたいと思います。

寺西参考人 ありがとうございます。

 やはり、日本人の労働への美徳、真面目に責任感が強い、そうした皆さんの思いの中から、どうしても、仕事を任されたり、そしてたくさんの仕事を積まれると、それをこなさねばならないという思いが強いんですね。ですから、中には長時間労働したいという方がいらっしゃるかもわかりませんが、その背景にそうした問題があるのではないか。

 たまたま一日そういう日があったとしても、じゃあ、それを毎日ずっと機械のように働けるのかということであります。本人が気づけない、そういう場合は、やはり周りが気づき、そして、使用者である立場の方が、それだけ働いたら過労死するよ、倒れるよということで、やはりそこは制止する、そうした職場の役割が必要じゃないかというふうに思います。

 人間は生身の体です。そんな機械のように働き続けることはできません。そうして、万が一の場合に遺族は大変な悲しみを負うということが私たちの教訓ですので、そこはきちっと、本末転倒にならない考え方を持っていただきたいというふうに思っています。

高橋(千)委員 ぜひその生の言葉を総理にもちゃんと届けられるように、そして、過労死をなくすということはみんながおっしゃっているわけですから、この法案をそういうものに変えていかなければならない、今のままではだめだということを表明して、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 日本維新の会の浦野靖人です。よろしくお願いいたします。

 早速質問に入りたいと思いますが、本日は、六名の参考人の方々、本当にありがとうございます。

 まず一点目ですけれども、今回の法案、過労死の議論というのが非常に大きい一つになっております。もちろん、労働時間というのが一番、過労死の原因につながっている一つの大きな要因だとは思いますけれども、今回のこの法案に賛成をされている山田参考人、輪島参考人、そして小黒参考人にお聞きしたいんですけれども、過労死の原因が労働時間にあるのはもちろんわかっていますけれども、それ以外、先ほど寺西参考人がおっしゃった、恐らく日本人はほとんど全員が真面目だからそういったことになるんだということもおっしゃっていましたけれども、どういったことが原因で、そして過労死を防ぐためにはどういった取組が必要かということをまず三名の方にお聞かせをいただきたいと思います。

山田参考人 過労死の問題というのは、さまざまなケースがあると思いますので、一概には言えないケースがあると思いますが、もちろん、長時間労働というのは一つの極めて重要なファクターになっているのは間違いないと思います。

 それと、やはりストレスというか、いわゆるパワーハラスメントを含めたそういう問題。特に、職場が非常にぎすぎすとしているという状況、そういう中でやはり起こっていくんではないか。ある意味、職場のマネジャーと言われる人たちに期待されている役割が十分果たせていない、そういう中で労働時間が長期になり、かつストレスがたまる、そういう中でこの問題が起こっているんではないかなと思います。

 そういう意味では、長時間労働の是正ということも当然ですけれども、やはりマネジャーが本来の役割を果たしていくような環境を、これは必ずしもマネジャーだけの問題ではなくて、その背後にある経営のあり方、もっと言いますと、長時間労働になる背景には、日本の場合は、消費社会のあり方というんですかね、非常にディマンディングなサービスあるいは商品を要求するような社会というのがありますので、何度も申し上げてきたように、これは本当に社会改革の話だというふうに思いますので、やはりこれは継続的に、かつトータルに取り組んでいかないと、本当の意味での解決は難しいと思います。

 ただ、当面の話としまして、高プロに関して、私は、基本的には賛成ではあるんですけれども、山田先生の質疑の中でお答えさせていただきましたけれども、やはり自主性といったときに、量の自主性、これがまさに労働時間の際限ない超過につながっていくわけで、ここの部分に対して、一定の行政による指針なりガイドラインをしっかりしたものをつくって、そこを防止する仕組みということが、やはり、今回、高プロを実施するに当たっての重要な条件になってくるんじゃないかなというふうに思います。

輪島参考人 ありがとうございます。

 まず、私どもとしましては、トータルとしては、やはり経団連全体としての活動をしているというような意味合いでは、経労委、八ページをごらんをいただければと思いますけれども、八ページの、一つ目の柱は、やはり個社としてどういうふうに長時間労働をなくしていくのかというような取組、それから、二番目の柱は、先ほど申しました、一企業では対応できないような取組、それから、やはり休むことということが大事だというふうに考えておりますので、三番目の柱の年休取得促進キャンペーン、そういうようなものを全体に周知をしていくということではないかなと思っております。

 もう一つ大きなことしのポイント、二〇一八年のポイントは、やはり、ハラスメントの防止ということを周知活動の大きな柱にしていかなくてはならないのではないかなと思っております。その点でいうと、パワーハラスメント、それからセクシュアルハラスメント等を中心に、企業の考え方を整理をして、職場の健全な労務管理のあり方というようなことを模索をしていく、周知をしていくということではないかなと思っております。

 それから、同じく経労委報告の二十三ページでございますが、こちらに「健康経営」という企業の取組を御紹介をしておりますので、こういった形での取組も非常に重要ではないかな、こういうふうに考えているところでございます。

 また、同じ経労委報告の八十三ページでございますが、こちらに「ストレスチェックの実施状況と課題」というようなことも記載をさせていただいております。

 それぞれが非常に大変重要な点でございますので、そのさまざまな施策を相まって総合的に取り組んでいくというようなことで、過労死の防止、長時間労働の是正というようなことを図っていくというのが私どもの考え方ではないかと思っております。

 以上でございます。

小黒参考人 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 御質問の過労死のケースにつきましては、私も結構思うところがございます。理由は、実は私、もともと財務省というか行政官だったんですけれども、大蔵省時代に同僚が一人亡くなっております。それから、別の省庁でも一人友人が亡くなっているということで、この法案自身の中身については非常に関心を持っていました。

 ただ、過労死についてはいろいろなケースがやはりあるというふうに思いまして、大きく三点ぐらい、私も、曲がりなりにも行政官として、少し、部下を管理したりとか、上司の関係もあった中で思うところがございますので、三点ほど述べさせていただければと思います。

 一つは、やはり管理職の重要性だと思います。長時間労働そのものはありますけれども、逆の面としては、仕事が非常に集中するというようなことも非常に多くございます。この場合に、例えば役所の場合、企業も同じだと思いますけれども、その担当の人に仕事が集中してしまうものを上司がアロケーションできないということになると、非常にどうしても長時間労働になって、場合によっては、日本人の場合は非常に真面目ですので、それをこなそうとする中でいろいろ問題が発生するというケースがあると思います。ですので、管理職はきちっと対応していくということが重要かなと。

 それから、二点目でございますけれども、きょう山田先生からもいろいろ、少し御指摘がございましたが、やはり組合関係の労働者側の力を強めていく。きょう冒頭の意見陳述でも少し述べさせていただきましたけれども、グローバルに見て労働組合の組織率が低下してきているということがございますので、やはりこの辺のところを少し力を入れていくような、何らかの施策で対応していくことが非常に重要かなというふうに思っております。

 あと三点目なんですけれども、これは日本ではなかなか難しいと思いますが、最終的には、自分の職場で問題が解決できなければ別の職場に移る、要するにほかの企業に移るというような出口も当然重要になってくると思います。そういう意味では、労働市場をきちっと流動化していくような、そういうような施策というのも最終的には重要になってくるんじゃないかなというふうに思っております。

 三点ほど、簡潔でございますけれども、私の意見を述べさせていただきます。ありがとうございました。

浦野委員 ありがとうございました。

 私、法案の質疑の中で、公務員の皆さんの過労死についても質疑をさせていただいております。

 この十五年間で、人事院の方で把握されている過労死認定の方々、九十九名いらっしゃいます。これは私は非常に大きな数字だと思っています。

 公務員の皆さん、特に霞が関の皆さんは、我々国会の動きによって非常に偏った働き方になってしまう。それはもう今までも何度も指摘をされてきたことですし、国会が働き方を変えない限り、そういった働き方はなかなか変えられないというのが霞が関の皆さんの現状だと思っております。

 中には、土曜日も日曜日も働いて資料をつくれと言う国会議員もいらっしゃるんですね。そういったことに関して、寺西さんはどう思われますか。

寺西参考人 それはやはり、要求側の考えを変えていただく必要があると思います。

 日本はそういう制度である。現状はそうですが、じゃ、世界を見た場合、全てそうなのかというところ、私は、数少ない海外経験ですが、その中で、日本の働き方また制度、話をすると、やはり幾ら説明しても理解していただけないのはサービス残業です。なぜ長時間労働するのか、なぜ給料ももらえないのに働くのかということを、幾ら説明しても理解していただけません。

 そうして、やはり今先生の御意見をお伺いすると、やはりそういう環境をつくっている側が変えていかないと、お役人の方は指示が出ればそれに従わざるを得ない。それが仕事なんですね。ですから、やはり全てにおいて、仕事を出す側のお考えを変えていかないと、これはもうずっと変わらないと思います。それはもう企業も一緒だというふうに思います。そこは国会を変えていただきたいというふうに思います。

浦野委員 先ほど山田参考人、輪島参考人、小黒参考人にお話を聞いたときに、やはり今、寺西参考人がおっしゃったように、企業はこういう対策をとっているといっても、結局、現場でそれがじゃどこまで実行されているのかというのは、非常に疑問な部分がたくさん出てきます。

 私も、だからこそ、社会保険労務士の皆さんの役割というのは非常に大きいというふうに思っているんですけれども、あらゆる過労死事案の裁判を見ても、そして、この法案でも、労務士の方々は今回全く関係のない法律になっていますけれども、裁判でも、本来そういったことを未然に防ぐべき仕事を任されている方々の責任というのは全く問われないわけですね。

 さらに、先ほども意見の中であったと思いますけれども、責任者の責任もそんなにきつく問われないというのが現状です。私は、そこは少し変えていかないといけないんじゃないかというふうに思っておりますけれども、その点について、寺西参考人、一言あれば。

寺西参考人 繰り返しになりますが、やはり根本的な考えを変えていかないと、仕事を出す側また受ける側、そうした関係性ですね。

 ですから、やはりそこは、過労死という人の命にかかわる問題というものを、やはり仕事で死ぬことがあってはならないということを真ん中に置いて、それで制度を変えていただくということを、やはり仕組みとして、やはり国みずから考えていただくということが大事ではないかなというふうに思います。

 あしたまでにこれが要るからとか、やはり納期に追われて、結局、そこで働いている人をふやせれば一番いいんですけれども、その人しかできないということもやはりあるかと思います。そういう場合はやはり制度を変えていただく。どうしても間に合わさなければならないのかということ。

 特に、ちょっと話はずれますが、やはり重篤な、病院であるとか、命を預かっていらっしゃる看護師さん、またドクターの皆さん方は、まさにそういう、自分のことを棚に上げて、そうした患者さんが来られたらやはりどうしても働いてしまうということが、それがやはり過労死を生む大きな要因になっていると思いますので、そうした仕組みをやはり国を挙げて考えていただくということが過労死をなくしていくことにつながっていくというふうに思いますので、ぜひ国会でも議論をしていただきたいというふうに思っています。

浦野委員 ありがとうございます。

 続いて岩橋参考人にお聞きしたいんですけれども、三六協定自体をもう完全になくすべきだということでよろしいですか、意見陳述で触れられた中で。

岩橋参考人 意見陳述書に触れさせてもらっているとおりですけれども、やはり基本的に、こういう問題を労使自治に任せたら、先ほどありましたけれども、今組織率が十数%、特に中小企業などは弱い立場にあるわけですから、法的な規制をしていくということでやはり労働基準法というのは最低条件を定めているわけですから、それを労使自治、労使協定で壊せるようにするという仕組みそのものが現代の長時間過密労働につながっているというふうに思いますので、今、七十年来の法改正というのであれば、この三六協定のあり方そのものをやはり見直していただきたいというふうに思っています。

浦野委員 今回、野党からの対案でも、三六協定自体はそのままになっています。上限規制の部分は与党案と野党案では違いますけれども。

 岩橋参考人の話では、やはり三六協定自体が、アリの一穴じゃないですけれども、それがあるがゆえに、時間外労働が結果的には認められてしまっているということだと思うんですね。

 私は、三六協定がなかったら、今の日本の国内の産業はもう何も動かなくなるんじゃないか、それぐらい、やはり長時間サービスを提供するところがふえましたし、本当に三六協定がなかったら、恐らく会社が回らないというのが現状だと思います。

 寺西参考人なんかは、三六協定自体はどうですか、ない方がいいという考えですか。

寺西参考人 これも労働基準法で、一日八時間、週四十時間、原則というふうにうたわれて、特別条項があるがためにやはり長時間労働になっています。今回も、特別条項とは言われませんが、特別な事情という意味合いのものが盛り込まれるんですね。

 結局、こういう基準をつくっても、ダブルスタンダードで、それがざる法になって、特例を認めてしまうことによって何ももともとの法律が守られない、そういうことになっていますので、今回も、特別条項に沿った特例を認めるということは本当に同じことだなというふうに思いました。

 ですから、やはり特別条項、これは禁止すべきです。

浦野委員 最後の質問になりますけれども、高プロの、反対されている方、きょうも意見を述べておられましたけれども、イノベーティブな働き方をしたいとみずから思っている方がいることは実際確かなんですよね。

 では、その方々の自分たちはそういう働き方をしたいという働き方も未来永劫認めないのか、自分たちが欲している働き方でそうやったとしても認めないのかということを神津参考人にお聞かせ願いたいと思います。

神津参考人 いろいろな前提があると思います。

 まずは、繰り返しにもなりますけれども、やはり年間で二百件前後という過労死、過労自殺の認定、これをゼロにするということが先決ではないのかなというふうに思います。

 それと、働く者が自発的にということが前提だということではあるんですが、本当にそれが担保されているのかどうかということは、これも繰り返しになって恐縮ですけれども、労働組合という傘に守られていない方々が八割以上いらっしゃるという中において、従業員の代表というものがまた適正に選出されているのかどうか、やはりそのことがきちんとしていかない中でこの制度が入るということは危険の芽がふえてしまうということですから、やはりそのことは重く考えていくべきだと思います。

 一方で、これも繰り返しになって申しわけないですけれども、今、そういう意味では、労使関係がきちっとしているところの中では、やはりそういう働く者のニーズに対しても応え得るような制度を労使が工夫をしながらつくっているということもあるわけですから、殊さらにこの制度がどうしても必要だということについては私はどうしても納得ができないというところであります。

浦野委員 以上で、時間が参りましたので、質問を終わります。

 ありがとうございました。

高鳥委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


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